衆議院

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第14号 平成24年8月7日(火曜日)

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平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伴野  豊君

   理事 阿知波吉信君 理事 川村秀三郎君

   理事 辻元 清美君 理事 若井 康彦君

   理事 金子 恭之君 理事 山本 公一君

   理事 畑  浩治君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    小野塚勝俊君

      奥田  建君    沓掛 哲男君

      熊田 篤嗣君    小泉 俊明君

      坂口 岳洋君    高木 義明君

      津島 恭一君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中川  治君

      中林美恵子君    橋本 清仁君

      初鹿 明博君    福島 伸享君

      福田 昭夫君    松岡 広隆君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      赤澤 亮正君    小渕 優子君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      塩崎 恭久君    徳田  毅君

      二階 俊博君    林  幹雄君

      福井  照君    三ッ矢憲生君

      望月 義夫君    小宮山泰子君

      古賀 敬章君    玉城デニー君

      竹内  譲君    穀田 恵二君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      中島 正純君    中島 政希君

    …………………………………

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   財務大臣政務官      若泉 征三君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 神田 裕二君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            氷見野良三君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三井 秀範君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  藤田 利彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 中田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  長田  太君

   参考人

   (株式会社企業再生支援機構企業再生支援委員会委員長)           瀬戸 英雄君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  坂口 岳洋君     小野塚勝俊君

  高橋 英行君     山本 剛正君

  橋本 清仁君     道休誠一郎君

  向山 好一君     石井登志郎君

  柳田 和己君     福島 伸享君

  赤澤 亮正君     三ッ矢憲生君

  福井  照君     塩崎 恭久君

  小宮山泰子君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     中林美恵子君

  小野塚勝俊君     坂口 岳洋君

  道休誠一郎君     橋本 清仁君

  福島 伸享君     柳田 和己君

  山本 剛正君     松岡 広隆君

  塩崎 恭久君     福井  照君

  三ッ矢憲生君     赤澤 亮正君

  玉城デニー君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     向山 好一君

  松岡 広隆君     高橋 英行君

同日

 理事畑浩治君同月三日委員辞任につき、その補欠として畑浩治君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 交通基本法案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第三三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件(航空問題等)


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     ――――◇―――――

伴野委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伴野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に畑浩治君を指名いたします。

     ――――◇―――――

伴野委員長 国土交通行政の基本施策に関する件、特に航空問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として株式会社企業再生支援機構企業再生支援委員会委員長瀬戸英雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伴野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長中島正弘君、鉄道局長久保成人君、自動車局長中田徹君、航空局長長田太君、内閣府大臣官房審議官神田裕二君、金融庁総務企画局審議官池田唯一君、金融庁総務企画局審議官氷見野良三君、金融庁総務企画局参事官三井秀範君、法務省大臣官房審議官萩本修君及び国税庁調査査察部長藤田利彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伴野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伴野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川委員 おはようございます。民主党の谷田川元でございます。

 なでしこジャパンの活躍で結構深夜までテレビを見た方が多いかと思いますが、私の持ち時間は二十分でございますので、ひとつおつき合いいただきたいと思います。

 まず、JALの再建について御質問したいと思います。

 私は、二年前の国土交通委員会のことを思い出すんですね。ちょうどJALが更生計画を、当初は二十二年の六月に出す予定だったのが、いろいろあって二カ月おくれてしまった。そして、この国交委員会が九月に開かれまして、当時、前原国交大臣に対して野党の皆さんの追及が非常に厳しかったのを思い出します。

 そのときの論調は、政府が三千五百億円出資しても、これはもう二次破綻は必至だから無駄になるんじゃないか、こういうのはやめた方がいいんじゃないか、前原大臣に政治責任がとれるのか、そういった御発言がございました。

 しかし、今はどうでしょうか。三千五百億円の出資があれば再建されて当然というような論調です。しかしこれは、当時の政府が、リーダーシップのもと、日本航空の再建のためにリスクを払って三千五百億円の出資を決めたわけですね。

 そして、これは一部報道でございますけれども、もし再上場して売却すれば六千億から七千億の利益になるという話もあります。今、財政状況厳しい折、これは国民にとっても大きな利益でございます。

 ですから、私としましては、やはりJALの再生は既定方針どおり行うべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

羽田国務大臣 日本航空の再生については、会社更生手続中は二次破綻も懸念されていたところでありますが、関係者の御理解もあり、現在のところ着実な再生過程にあると認識をさせていただいております。

 企業再生支援機構の支援期間は法律の規定により三年とされているため、機構は、来年一月十八日までに、保有する日本航空の三千五百億円分の株式を売却し、国民負担を生じさせないようにすることが求められております。

 このため、機構と日本航空において、企業価値を適正に評価する方法であるとともに、株式購入機会が平等に与えられる公平な方法として、株式の再上場を行うこととし、去る八月三日に東京証券取引所の上場承認を得て、九月に上場を実施することで手続を進めていると承知をさせていただいております。

 いずれにしても、国土交通省としては、安全運航の確保を大前提としつつ、確実な再建が図られるよう、引き続き指導監督を行っていくということでございます。

谷田川委員 ひとつ羽田大臣のリーダーシップを期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、今度は、二年前の国交委員会でも私は質問させていただいているんですが、航空機燃料税について質問いたします。

 今、エアラインの競争が非常に厳しい状況に置かれております。LCCも参入する大競争時代に突入いたしました。そうした中、日本独自と言ってもいいぐらいの航空機燃料税、これは世界にほとんど例がないんですね、アメリカでも州によって日本の大体二十分の一ぐらいの額の燃料税が課されるところはありますけれども。それで、当初、二年前の九月議会で、国交省が財務当局に対して、国の分、十三分の十一の半額を減額する、そういう要請をしたんだけれども、結果的に、平成二十三年度から二十五年度の三年間、二分の一じゃなくて三分の一減額するという形になりました。

 ですから、二十六年度以降はどうなるかわからないんですが、二年前、私は、前原大臣に対してこういう質問をさせていただきました。これは空港整備勘定で、とにかく、この航空機燃料税は空港の整備に充てるということで、目的税みたいなものですけれども、既にもう九十八カ所できておりますので、もう当初の目的はほぼ達成されたので、これは廃止に向けて進むべきじゃないかと。

 それに対して大臣は、こう私に答えてくれました。

 新たにつくるというのは基本的にもうこれで終わりにして、それをいかに活用していくかということが大事だ。となると、今までのつくることを目的にしたこの空港整備勘定、特別会計というもののあり方を根本的に見直すということが大事だと思いますし、これから全日空も別会社でLCCをつくる、そして大競争時代になっていくという状況の中では、公租公課の引き下げということは、日本の航空会社の競争力を高める上で極めて重要だと思っております。

 こう前原大臣は答弁されました。

 羽田大臣も前原大臣の考え方を踏襲されるかどうか、お尋ねしたいと思います。

羽田国務大臣 航空機燃料税については、我が国航空会社の競争力強化のため、平成二十三年度から平成二十五年度まで緊急引き下げの措置を行っているところであります。これを受け、平成二十四年度においては、航空機燃料税の額はピーク時の四五%に減少し、空港整備事業費も平成二十二年度の二千七十二億円から七百七十八億円に減少するなど、空港整備勘定は厳しい状況にあります。

 今後とも、首都圏空港の容量拡大のための羽田空港C滑走路延伸事業や、航空機の安全な運航を確保するため、老朽化が進んでいる施設の更新、改良、空港の耐震対策など、必要な事業を着実に実施するため、航空機燃料税のさらなる減免については慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

 前原大臣の答弁も読ませていただきました。その意思というものはしっかりと踏まえた上で、しっかりと対応したいというふうに思っております。

谷田川委員 今、慎重という言葉がなければよかったんですけれども、慎重でもいろいろな表現があるという意味で解釈したいと思います。

 それで、今度は成田空港についてちょっと質問したいと思うんですが、二年前の七月に成田スカイアクセスという新高速鉄道ができました。日暮里から成田空港まで三十六分で行くんですよ。恐らく、議員の皆さんでこの成田スカイアクセスをまだ利用していない方も多いんじゃないかと思います。私もまだPR不足の感があると思います。

 羽田大臣、スカイアクセスにお乗りになったことはありますか。ちょっと、まずそれをお聞きしたいと思います。

羽田国務大臣 まだ乗る機会をいただいておりません。

谷田川委員 ぜひ早い機会に乗っていただきたいと思います。

 これは私も二度、三度乗ったんですけれども、非常に速いです。百六十キロ出すところもありまして、これはもう、ああ、こんなに快適なのかと。揺れも少ないですしね。日暮里から大体三十六分ですから、上野あたりに住んでいる人は、羽田空港へ行くよりも、スカイアクセスを使えば成田の方が近いんですよ。

 ですから、成田空港というと、何か遠いというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、確かに成田空港は距離的には遠いですよ。しかし、スカイアクセスとかいろいろな交通ルートができていますので、特にスカイアクセスに乗れば早いということはぜひ認識していただきたいと思います。その先入観からぜひ脱却していただきたい、そのことを皆さんにお願いしたいと思います。

 それで、成田空港と羽田空港、どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、私は、首都圏の航空需要を成田と羽田で一体的に運用する、これが大切だと思うんですよ。そうした場合、今確かに、成田空港から東京駅まではJRの成田エクスプレスというのがありまして、これは五十数分で行きます。しかし、そこから羽田に行こうとするとさらに時間がかかって、一時間半以上かかっちゃうんですよね。

 それで、スカイアクセスを使って成田空港から押上まで行って、押上から東京駅の地下を通って泉岳寺まで短絡線をつくって、それで京急で羽田まで結ぶ。その地下の押上と泉岳寺の間は大体十一キロらしいんですけれども、それが完成しますと、何と、成田から羽田まで五十分台で行ける。そういう構想が、今、国交省の中であると聞いております。

 二年前に同じような質問をしたときに、今調査しているということでした。その後、二年たちましたが、どうなっているか、御答弁いただきたいと思います。

久保政府参考人 先生御指摘の成田、羽田両空港と東京駅等を結ぶ鉄道アクセス、これを強化いたしますと、御指摘のとおり、いろいろな意味で大幅な時間短縮になります。成田空港にとっても羽田空港にとっても大きなメリットがありますし、また、首都圏の国際競争力を高める観点からも非常に重要な課題だと考えております。

 それで、二年前から今までの進捗のお尋ねでございます。

 この新線につきましては、二十二年度には、おおよその事業費だとか需要見通し、整備効果等の検証を行いまして、昨年度、二十三年度は、駅周辺開発との連携方策について検討を行ったところでありまして、今年度は、民間資金の活用方策の検討を進めています。

 課題はいろいろとありますけれども、一歩一歩プロジェクトの熟度を高めるための取り組みを進めているところでありまして、今後は、費用負担のあり方とか事業主体のあり方について、関係します鉄道事業者さんや自治体との合意形成を進めていくほか、先ほど申しました民間資金をどのように活用していくのかについてより具体的に検討を進めて、プロジェクトを早期に実現できるよう、現在取り組んでいるところでございます。

谷田川委員 ちょっと今のことについて追加質問させていただきたいんですが、もし全てのスキームが整って着工しますと、工事してから開通するまで時間はおよそどのぐらいかかると見通されますか。

久保政府参考人 これは相当長期にかかるわけではありませんけれども、東京駅の工事等がありますので、着手をすれば、できる限り急いで完成をしたいというふうに思っております。

谷田川委員 わかりました。何年になるかというのはまだ明言できないということがわかりましたので、また後でお聞かせいただきたいと思います。

 それでは次に、欧州連合の温室効果ガス排出規制制度、いわゆるEU―ETSについて質問したいと思います。

 地球温暖化というのは何とか阻止しないといけないということで、今、世界各国の共通課題になっていると思います。そうした中、今、EUが一方的に、EUの上空のみならず、EUに離発着する飛行機に対して、温室効果ガス排出規制制度の対象を全ての国際航空に広げて、その賦課金をことしの一月から課そうとしております。そして、これはことしの十二月いっぱいで計算して、来年の一月ぐらいには請求が来るんじゃないかという話があります。

 これについて、現在どういう状況なのか、また、日本としてこれにどういうふうに対応していくのか、御質問させていただきます。

長田政府参考人 先生御指摘のEU―ETSでございます。

 地球温暖化対策というのは非常に重要な課題でございまして、私ども、国際航空分野におきましては、世界の百九十一カ国が加盟する国際機関でありますICAOにおきまして議論が行われております。

 その一方で、先生御指摘のように、EUにおいて、このEU―ETSをことしの一月からEU域内の空港で発着する全ての航空機に課するということに拡大をされるという改正が行われたところでございます。

 そもそも、こういった国際航空分野から排出されるものの対策につきましては、世界的な合意のもとに解決されるということが重要というふうに考えておりまして、アメリカ、ロシア等を初めとする非EU国におきましては、そのための反対の会議をこれまで三回やっておりまして、我が国も毎回参加をしているところでございます。

 また、昨年秋に開催されましたICAOの理事会におきましても、EU側が一方的にこういう措置を導入することについては反対する決議がなされておりまして、日本としては、こういうICAOの場を通じましてグローバルな解決が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

谷田川委員 これは非常に難しい問題だと思いますが、航空局として、ひとつ日本のエアラインの言い分もしっかり聞いていただきたいと思います。

 それで、地球温暖化ガスの排出をできるだけ少なくするという前提で、バイオのジェット燃料、これを今、アメリカがかなり熱心に政府主導で開発を進めているという話がございます。日本もやはり、このバイオジェット燃料の開発について、アメリカとか他の国に負けないようにどんどん進めるべきだと私は思うんですが、この辺、どういう取り組みをされているか、今後の見通し等について教えていただきたいと思います。

長田政府参考人 今先生御指摘のように、国際航空分野における地球温暖化対策というのは、非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 その中で、特にこのバイオ燃料につきましては、先生おっしゃるようにアメリカで先行して進められているところでございますが、一方、問題としては、上空でかなり低温の中で航空機が飛行しますので、そういう中で、安定供給の問題とか価格面の問題とか、こういうことを今後解決していく必要があるというふうに考えております。

 例えば、日本の航空会社でも、シアトルの製造工場から日本に飛行機を持ってくるときに、実際にバイオ燃料を混合して使用して実験をするという航空会社も、ANA、JALあるいはNCAが既に実施をしているところでございます。

 日本におきましては、現在、経産省関係のNEDOにおきまして、戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発ということで、ジェット燃料を代替することを見据えながら、特に食料生産活動に影響を与えないような原料を使いまして基礎技術の開発を進めているということでございまして、私ども、日本におきましても、他国の動きにおくれないように取り組みを進めてまいりたいと考えております。

谷田川委員 それでは最後に、成田空港に関してもう一点質問させていただきたいんですけれども、せんだっての国交委員会で公明党の富田議員から、運用時間について見直すことも検討すべきではないかという話がございました。LCCが本格的に成田空港を拠点に運用開始されました。そして、ジェットスター・ジャパンは、成田空港の運用時間内に着陸するのが難しいということで欠航したことが二件ほどございました。それについて、羽田大臣のこの間の答弁は、やはりこれは地元の意向をしっかり踏まえる必要があるということでございます。全くそのとおりだと思います。

 それで、ミュンヘン空港を視察した周辺自治体、つまり、成田空港の周辺自治体の皆さんが、二、三年ほど前に、ドイツの内陸空港であるミュンヘン空港を視察したというんですね。そのとき聞いた話であって、確認はとれていないんですけれども、例えば今、成田空港では夜十一時から朝六時まで飛べませんが、十二時まで一時間ぐらい余裕を持たせる、それで、そこに着陸したときは課徴金を取る、その取った分は騒音の被害を受けた地域に全て還元する、そういった方策をミュンヘン空港はとっているんだという話をされたんですね。

 私が通告するのが遅かったもので、国交省の方でどうなっているのか調べてくれという話をしたんですが、まだ確認がとれないということでございます。ミュンヘン空港のみならず、恐らく世界各国の内陸空港は騒音問題を抱えていると思うんですよ。それに対して、地元の理解を得るためにどのような方策をとっているかについて、ぜひ徹底的に調査していただきたいんですが、どうでしょうか。

長田政府参考人 先生御指摘のミュンヘン空港でございますが、これは、成田空港と同様に内陸空港でございます。環境対策あるいは地元との共生という意味で先進的な取り組みを行っていると聞いておりまして、成田の周辺の方々も頻繁に訪れて、いろいろと交流をされているところでございます。

 先生御指摘のように、ミュンヘン空港では、基本的には成田と同様に二十二時から朝六時までは離着陸が禁止をされているわけでございますが、低騒音機に限っては一定の機数までいい、それから、先生御指摘のように、本当は二十二時までに到着する予定なんだけれども、万が一おくれた場合については、一定の要件を満たす場合には着陸を認めるというふうな制度になっていると聞いております。

 深夜に着陸する場合は、昼間に比べて若干着陸料が高くなっております。ただ、その高くなった分を地元対策に使っているかどうかというところまではちょっと時間が間に合いませんでしたけれども、私どもは、やはりそういう内陸空港の例というのはこれから非常に参考になると思っておりますので、引き続き調査してまいりたいと思っております。

谷田川委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

伴野委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。

 JAL、日本航空の再建問題について質問させていただきたいと思います。

 質問に入る前に、一言申し上げます。

 本日、質問に立つに当たり、日本航空の出席を求めてまいりました。しかしながら、理事さんや、国対だったのかもしれませんが、民主党の国対の皆さんの反対により出席がかなわなかった、このことを私は大変残念に思います。

 JALについては、この八月三日に東京証券取引所において承認がされた、新たな段階に移った。しかしながら、この段階までにもさまざまな問題が指摘されております。日本航空さん自体が記者会見において反論もされ、また誤解があるとも申されております。この委員会で堂々と反論していただければ結構だったと思いますし、また、国民の皆様に説明責任を果たしていただく、そうした義務もあったのではないか。にもかかわらず、本日の審議において出席を反対されたということを私は大変遺憾に思っております。

 民主党さんの、まずいものを隠そうというようなこうした姿勢こそが、今の政府に対する信頼を大きく損なわせている要因になっているのではないか。私は、今後、JALの出席のもとでもう一度集中審議を行っていただくことを強く要求申し上げたいと思いますし、そのことがかなわなければ、きょうにも衆議院では不信任が、参議院では問責が提出されるのではないかという大変緊迫した状況になっておりますが、どういう状況になったとしても、集中審議がなされなければ今後の法案審議には応じられないと、国対の一人として強く申し上げておきたいと思います。

 そして、もう一点。

 先日、参議院の国土交通委員会において西田委員から、航空問題、JALの第三者割り当てについての問題が取り上げられました。そうした中で、大臣も答弁に立たれておりますが、大変気になったのは、御自身がお答えになられる立場ではないと言われていることです。なぜ大臣がお答えになられないのか。

 JALの支援においては、当時の前原国交大臣の主導のもとに政府の支援の決定がなされた、こういう経緯もありますし、また、再建をするに当たっても、その途中においても、航空市場において公平性が損なわれないように配慮するべき責任ある立場であります。にもかかわらず、なぜそうした立場にないとお答えになられたのか、まず最初にお聞かせいただきたいと思います。

羽田国務大臣 国土交通省といたしましては、日本航空に対する公的支援によって、航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがあってはならないというのが基本であります。公平公正に、そして安全に運航されるという責任を負っているというふうに思っておりまして、そのことをしっかりと進めていきたいと思いますし、政府の決定によって支援をしていくということでありますので、その責任の一端はある、こういうふうに思っております。

徳田委員 責任の一端があるからこそ、答える立場にあるのではないかということを申し上げているわけです。

 大臣は委員会の中で、問題意識も感じておられるということを申されておりました。それでは、どういう問題意識を感じておられるのか、お答えいただきたいと思います。

羽田国務大臣 いろいろな形での支援が行われてきたわけでありますけれども、その途上では、二次破綻もあるんじゃないかということで、大変厳しい状況であったというふうに思っておりますし、マスコミの報道も、二次破綻で三千五百億円の支援については無駄になるんじゃないかという議論があったというふうに承知をしております。

 そういう中で、政府としてしっかりと支援をし、やはり航空行政がゆがめられてはいけないという思いで今までやってきました。そういう意味では、日本航空は今回、再上場に向けて、しっかりとした更生計画のもとで進んでいるというふうに認識をしております。

 公的資金を入れたことによって競争関係がゆがめられるということになってはいけないわけでありまして、そのことの監視をしっかりと国土交通省としてはしていかなければならない、こういうふうに考えております。

徳田委員 今現在においても、市場においては公平性が十分にゆがめられているというのが私たちの問題意識でありますが、この公平性については、後ほどまた三ッ矢先生の方から御質問いただきたいと思います。

 JALの支援が決まってから、私たち自由民主党では国土交通部会において航空PTを立ち上げて、これまでに二十九回の議論を重ねてまいりました。そして、今回、再上場の申請をされたということをお聞きしまして、我がPTでは、日本航空の再上場に反対する決議を行ったところであります。

 きょうお配りもさせていただきますが、簡単に抜粋させていただきますと、企業再生への国の関与の仕方について税制や法的整備を含む総合的見直しを行うことが必要であるが、当面の措置として、公平性が確保され国民の理解が得られるように、

 一 公平性を確保するガイドラインを設けるとともに、現在の不公平を是正する措置(新規投資・路線開設の制限等)を講じること。

 一 再建により生じた繰越欠損金・税の免除額等について十分な情報開示を行うとともに、本件に関する国の関与について徹底的に検証を行うこと。

 一 日本航空への公的支援が航空ネットワーク維持を目的としていたことに鑑み、国民生活に不可欠な路線維持のための支援等、利益の社会的還元を行うこと。

 このような措置を速やかに実行しない限り、日本航空の再上場を見合わせるべきと決議をした次第であります。

 私たちのPTには航空局より参加もいただいておりますし、この決議文は大臣のもとにも届いているかと存じます。この決議を受けて、国交省としてどういう措置をとられたのか、また大臣の所感をお伺いしたいと思います。

長田政府参考人 先生御指摘のように、自民党の方からPTの決議を私どもいただいておりますし、その中で、我々としてはできることをしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

 まず大前提としては、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられてはならないということは大前提であろうというふうに思っております。

 また、先生御指摘のような、いろいろな会計上の制度等々から、日本航空と全日空の間で現実に業績の差が出ておりますが、問題は、この業績の差が今後の航空会社間の健全な競争環境に影響を与えることがないように、我々としてはしっかりとやっていかないといけない。そのために、私どもとしては、公的支援によって航空会社間の競争が不適切にゆがめられないことをしっかりと確認し、一定の監視をし、場合によっては指導助言をしてまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。

羽田国務大臣 今言われたとおりでありまして、国土交通省としては、日本航空に対する公的支援によって、航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがあってはならないということを考えております。

 平成二十三年度の決算では、全日空と公的支援を受けた日本航空との間で、営業利益で約二倍、当期純利益では約六倍の業績の差が生じております。そういう意味では、この業績の差が、今後、航空会社間の健全な競争環境の確保に影響を与え、利用者利便に支障が生じるおそれがあることは否定できないと考えております。

 このため、国土交通省としては、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられていないかを確認するため、一定期間、日本航空の再生状況を監視することとし、必要に応じて助言をしていきたいというふうに考えております。

徳田委員 公平性を確保するために、さまざまな取り組みを行っていただく。今、公平性が担保されていないという問題意識を感じておられることはよくわかりますし、私たちの決議の趣旨を御理解いただいているものだと思います。

 しかしながら、監視をするだけでは不十分なんですね。私たちは、EUにあるような、公平性を確保するためのガイドラインを設けていただきたい、また、不公平を是正する措置として、具体的に、新規投資や路線開設の制限等を講じていただきたいということを申し上げております。

 具体的にはどういう措置を考えておられますか。

長田政府参考人 先生御指摘の不公平の是正ということでございます。

 基本的には、私どもとしては、競争関係にある航空会社間について、公的支援によって不公平な結果が生じてはならないというふうに考えております。

 まず、そういう現状があるということを前提に、これまでの国土交通省の取り組み、あるいは公的支援の問題等々について、私どもの審議会におきまして一連の過程について報告し、議論させていただきたい。その中で、航空分野における先生御指摘のガイドラインという観点からすれば、企業再生と公的支援に関するガイドラインの策定についての議論も当然されていくことだろうというふうに思っております。

 ただ、EUのガイドラインと申しますのは、EUと日本では従来申し上げておりますように制度の前提が違いますので、つまり、統一市場と単一市場という制度の前提も違います。全体のガイドラインがあっての航空のガイドラインなのかどうかということも違いますので、この点については関係府省と十分な議論が必要だというふうに考えております。

 それから、新規投資と路線開設の制限についてでございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、必要に応じ監視をし、要請、指導をしていくということを考えております。

 航空会社の路線展開や投資について、これを一方的に規制するということについては法的な根拠がない中で、EUの場合は既に条約がございまして、それに基づいてやっているわけでございます。日本の場合、そういう法的根拠がない中でどこまでできるのかということはございますが、一方で、公的資金によって航空会社間の競争が不適切にゆがめられてはならないということも、これまた事実でございます。その中で、私どもとしては、まずは航空会社のそれぞれの新規投資が、本来の、更生計画に従った適正なものであるかどうかということをチェックし、必要に応じて指導してまいりたい、そういうふうに考えております。

徳田委員 まあ、余り深く聞いてもらちが明かないので、これからまた具体的な措置について検討を重ねていただきたいということを思います。

 先日の参議院の国土交通委員会において西田先生からも指摘があった、第三者割り当て増資問題についてお伺いしたいと思います。

 二〇一〇年の一月に更生開始が決定され、そして、二〇一〇年の十二月一日に企業再生支援機構から三千五百億の出資がされました。そして翌年、二〇一一年の三月十五日に、八社に対し第三者割り当てが行われたわけですが、このことについてさまざまな問題が指摘されております。

 まず第一に、そもそも、この二〇一一年の三月十五日時点において第三者割り当てを行う必要があったのかということをお伺いしたいと思います。機構の方からお願いできますか。

瀬戸参考人 お答えさせていただきます。

 日本航空を再生支援するに当たって、我々、当初の事業再生計画では三千億円の出資を予定しておりました。

 ところが、二〇一〇年の一月十九日、更生手続を開始して、その後、更生計画の策定に入りましたが、主要金融機関から、財務基盤が非常に弱い、万一のイベントリスクが発生した場合、とてもこれでは対応できないだろう、さらなる資本の充実が必要である、こういう強い要請がございました。もとより、更生計画は債権者の同意なくして成立し得ないわけでありますので、我々は金融機関と緊密に連携をとりながら、幾ら出資すべきかということを検討してまいりました。

 そういう中で、機構としては最大三千五百億円の出資をしよう、そこが我々がとれる、公的な資金を入れる最大リスクであろうと考えました。機構の投資の資金は、政府保証で市場の金融機関から調達した資金を投入するわけでありますので、万々が一、それが、投資回収ができず毀損するようなことがあってはならないということで、我々としては、三千五百億、ここまでは何とか頑張って、投資回収できる限界であろうと考えました。

 そういう中で、金融機関の方からは、それだけではなお不安がある、追加の増資を求める条項を更生計画の中に盛り込むべきである、こういう要請がありました。それからもう一つ、万々が一のイベントリスクが発生した場合には追加の機構の資金的な支援をする、そういう要請がありました。そういう中で……(徳田委員「三月十五日の時点でという話です」と呼ぶ)三月十五日に至るまでの経過を御説明申し上げないと、それは御理解いただけないと思います。

 ということで、八月三十一日に裁判所に提出した更生計画の中で、増資をするということは我々は予定しておりました。当然のことながら、この増資の対象先は民間の資金でございます。

 そういう中で、十一月に関係人集会がございましたので、債権者の御賛成をいただくために、九月から、増資に協力してくれるところに十数社当たりました。そういう中で、十二月、一月といろいろ御検討いただいて、出資できるところが八社集まったわけであります。残念ながら、我々が当初当てにしておりました大手の金融機関等々は、まだまだリスクが高いという御判断かと思いますけれども、出資には協力していただけませんでした。そういう中で、三月十五日に出資いただいたわけであります。

 それから、更生手続が三月の末に終結するということ、これも更生計画の中に明記しております。これは、公的な支援、資金というものは速やかに、できるだけ短期間、最小限度で済ませるべきだということで、我々とすれば、三月の末に金融機関からのリファイナンスを受ける、当然のことながら、先ほどの増資の問題もそうですけれども、金融機関に対して、我々は更生計画に基づいて最大限の誠意を示しているということを示す必要がございました。そういう中で百二十七億円の増資に御協力をいただいた、こういう経過でございます。

 以上でございます。

徳田委員 更生計画が策定された時点で三千億の予定が、金融機関の要求により、イベントリスク等に備えた、より強固な財務体質の構築、資本の厚みが必要である、そういう要求があって三千五百億になったということもわかっております。

 今のお話の中で、三千五百億が機構の最大リスクだとおっしゃいました。しかしながら、この更生計画の中には、「イベントリスクが発生する場合、管財人である機構は、更生手続後も、企業再生支援委員会に諮りつつ、機構法の下で可能な範囲で、事業継続や義務の履行に必要な追加の財務上の支援」、これは出資、融資、保証、あらゆる諸施策を実行してでも、「予期せぬイベントリスクに即応できる強固な経営体質を構築するよう引き続き支援する所存である。」と。

 最大リスクじゃないんですよ。こういうことが起こった場合、引き続き機構として何度も支援しますよということが書いてあるわけです。

 そして、三月十五日の時点でと私が強く申し上げているのは、実は、二〇一〇年の十一月十九日、私たちの第十三回自民党PTに機構から出席をいただきました。このときに機構の出席者が何とおっしゃられていたか。おかげさまで、上期、二〇一〇年四月から九月の数字は、計画から相当業績が大きく上振れしており、利益がかなり積み上がっているため、五百億の必要性はどんどん薄くなっていると答えているんです。この夏に民間企業からの増資を検討され、十一月からそうした呼びかけを行ったということも聞いておりますが、この十一月十九日の時点で、五百億の必要性は薄くなっているということを答えておられるわけです。

 また、西田先生が質問された委員会で、二〇一〇年の十二月の段階で債務超過は解消されているというお答えでありました。そしてまた、三月十五日、第三者割り当てが行われた時点で、二〇一一年三月期、一兆三千六百二十二億の売り上げ、千八百八十四億の営業利益の数字は、関係者の方は実は見通せていたのではないですか。見通せていた上に、三千五百億に対し百二十七億、わずか四%の増資がなぜ必要だったのかということをお伺いしているわけです。

 二週間後の三月二十八日、リファイナンスが実施されて、会社更生手続が終結されました。しかしながら、この二千五百四十九億円の更生債権のリファイナンス、この二千五百四十九億円のうち一千二十三億円は政投銀ですね。一千十三億円はJBIC、国際協力銀行。約二千億は政府系の金融機関で確保し、残りの約五百億はメガバンクで調達するということになっているわけですよ。ということは、国の支援に頼って、確実にリファイナンスされる見通しだったんじゃないのですか。それで、なぜ必要なんですか。

 さらに申し上げれば、二〇一〇年十一月の時点で、日航では上場準備室が立ち上がっているわけです。ですから、この二〇一〇年の秋には、第三者割り当てが行われた一年半後に上場することを見据えていた。こうした事実もあって、この時点で第三者割り当てをすることに対して疑義があると出てくるのは当然のことではありませんか。

 先ほど言われたように、三千五百億を最大リスクと言われましたが、本当にそうだったのか。では、なぜ更生計画の中にこういう一文があったのか。そして、業績は見えていたのに、この時点でさらなる、わずか四%の増資がなぜ必要だったのか。もう一度お答えいただきたいと思います。

瀬戸参考人 徳田先生が御指摘したとおりの条項も入っております。それも、同じく金融機関からの非常に強い要請で、機構が、この機構の支援の手続中、日本航空の再生支援にコミットすることを明確にせよ、こういうことでございました。ということで、そのような条項が入っております。

 先ほど申し上げた五百億の増資、これは、機構の再生支援期間中だけではなく、将来も含めた、日本航空の安定株主になってもらうということも含めて増資の規定を入れているわけでございます。日本航空を当初から一〇〇%の国有化をすることを目的としたわけではございません。

 できることならば民間から資金を調達して、その方々と手を携えて再生支援をしていく、そういうことができるならば我々はそうしたわけでありますが、残念ながら、当時の日本航空の状況の中では、手助けをしてくれる、スポンサーになってくれるという方々はどなたもいらっしゃいませんでした。それで、当面、日本航空の株式については機構が一〇〇%持つことにしましたけれども、これも、できる限り多くの方々に株を持っていただいて、日本航空をきちんとした会社にしていただきたい、その一連のものとして今回のIPOがあるわけでございます。

 それから、三月のリファイナンス、更生手続の終結ということも、当初から我々は更生計画の中にうたっております。これはもう、二〇一〇年の八月時点で公知の事実だと言ってよろしいかと思います。それ以降に、先ほど申し上げた第三者割り当ての増資をしたわけであります。

 それから、日本航空の機構支援の出口として、IPOをメーンシナリオにする、こういうことも当初から、これも更生計画の中にうたっております。我々はそれを目的として、先ほど申し上げましたけれども、更生計画は債権者との約束事でございますので、我々はそれを誠実に、確実に実行しようということでこれまで取り組んできたわけでございます。

 以上でございます。

徳田委員 第三者割り当てについて、なぜこの時点で必要だったのか、余り明確にお答えいただいていないように思います。

 この実績、二〇一一年三月期の営業利益一千八百八十四億というのは、更生計画の計画よりも三倍なんですよ。このころ、たしか新聞報道では二次破綻なども言われていましたけれども、限られた人たちは更生計画が着実に、うまくいっていることはわかっていたはずなんですよ。わかっていなかったらおかしいですよ。そして、ここまでうまくいっているんだったら増資の必要はない、これは金融機関だって容易に理解できるはずですし、金融機関といっても政府系ですから、政府支援を行っている以上、政府系金融機関だってちゃんと引き受けますよ。

 問題なのは、こうしたあらゆる条件がそろっている中で、三月十五日時点で出資する。これは本来なら、更生計画中ですから、一般企業からすればリスク債権ですよ。しかも三月十一日の震災の四日後ですね、イベントリスクそのもの。では、こうした中で、機構がなぜ民間企業に対して出資を募るのか。でも、中には五十億の出資をした会社もあった。なぜ出資ができたのか、そこが不思議でしようがないんです。

 皆さん、先ほど、公的資金三千五百億を機構から入れられたことだけを言いましたが、運航継続のために三千六百億円のつなぎ融資も行われている。一般の金融機関からは五千二百十五億円の債権放棄も行われている。これは金融機関の株主にも損害を与える話ですよ。そして、全国の三十万人、二十七億株を、一〇〇%減資により紙くずにもしているんです。さらには一万六千人のリストラ、不採算路線からの撤退。そうした国民の犠牲の上に今回の再建が成り立っているんじゃないですか。

 そして、それを主導しているのは、企業再生支援機構法のもとに設置された機構じゃないですか。これは公的機関なんですよ。公的機関がこれだけの資金を突っ込んで再生するに当たっては、透明性が確保されて当然だと思うんですよ。これについては、松下金融担当大臣も七月二十日に、一般論になりますけれども、JALのような公的資金を受け入れている企業については、公平性、透明性の確保は極めて重要だというふうに考えていますとも答えています。

 もう一度、この三月十五日時点で、なぜ民間から第三者割り当てをしなければならなかったのか。この決定はどこでなされたのか、企業再生委員会でなされたのなら、どういう議論のもとにこの決定がなされたのか、お答えいただけますか。

 まず、委員会の中で議論があったのか、お答えいただけますか。

瀬戸参考人 委員会の中で議論があったかという御質問に対してまずお答えしたいと思います。

 当然のことながら、委員会で議論を行いました。ただし、この増資の問題については委員会の決議事項ではございません。十分な議論は果たした上で、増資について、了解してもらえると。

 増資につきましては、先ほど申し上げたように、更生計画の中に書きまして、それで、先ほど、政府系の金融機関でも増資に応じてくれるだろうというお話がありましたけれども、残念ながら、政府系の金融機関もそのほかのメガバンクも増資には協力いただけませんでした。そういう中で、残った八社が増資に協力をしてくれて、それが百二十七億という数字になったわけであります。

徳田委員 五千二百十五億の債権放棄をして、増資するわけないんですよ、金融機関が。当たり前の話じゃないですか。そんなの当然の話ですよ。だから応じないんですよ。

 この問題について、もう時間がありませんが、最後に一点だけ申し上げておきたいと思います。

 この問題については、日航株は今、実質的に国が株を保有している、国有会社だということです。この国有会社において、これから上場されるに当たり、一部の特定の人間だけに増資をする、出資をさせる、そんなことが本来認められるわけがないんです。そして、出資をされるに当たり、こうした経緯についてもはっきりと答えていただけない。委員会で議論をされたなら、その議事録をしっかりと提出していただきたいと思います。

 きょうの私の質問は終わりますが、もう一度、JAL出席のもとでこうした集中審議を必ず行っていただきますことを強く要求して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伴野委員長 次に、塩崎恭久君。

塩崎委員 自民党の塩崎恭久でございます。

 続いて質問させていただきます。

 通告はしてありますけれども、基本的には、答弁は大臣並びに公取の委員長にお願いをいたしたいと思います。公取委員長、おいでになっていますか。はい、よろしくお願いします。

 今、徳田議員からいろいろ疑問が呈されたわけでありますけれども、JALの再建、再上場問題につきまして、地元でいろいろ聞いてみるんです。私も官房長官などをやって経験をしておりますが、政府としてはやはり都合のいい、なるべく受けのいいマスコミ報道をしてもらおうと思っていろいろなことを言うわけですね。ですから、再上場が決まったときには国民負担が返ってくるということを言って、よかったというふうに思っている人も中にはいます。

 中にはいますが、経営をしている人たちに聞いてみると、若手経営者なんかに聞いてみると、異口同音に、何か変だ、おかしい、こういう声ばかりでありました。特に、消費者、国民にとって本当にこれでいいのかということで、まるで、ゾンビ企業が経営の失敗で、言ってみれば自業自得で経営破綻したと思いきや、最近よくありますけれども、民事再生法で身軽になって、そして契約などにおいて、それを背景に安値落札をしまくるということで自分たちを圧迫するケースがよくあるけれども、何かそれと似ているな、こんなふうに言っておりました。

 要は、頑張る者や正直者がばかを見るような、あるいは、自助でなくて、業容が好転することが公助でないとできないというようなことで、先ほど、二次破綻はあたかももうないようなことをおっしゃっていますけれども、むしろ私はこれからだと思うんですね。ビジネスモデルは特に変わっていませんし、国際便の二社体制も変わらない。国内便も二社プラスアルファ。何が変わったんだというと、ほとんど枠組みは変わっていない。それから、とりわけグローバルな視点というのが抜けているような気がするんですね。航空産業、もう世界は大競争時代というのは言うまでもないわけであって、そんな中で、どうも内向きな論理で物事が進んでいるような気がしてなりません。

 そこで、国交大臣、質問通告していませんが、私企業へ国の公的な資本注入が許されるというのは、どういうケースのときは許されるというふうにお考えになっていますか。

長田政府参考人 まずお答え申し上げます。

 私企業に対して公的資金を注入するということは、JALの場合は、政府声明にございますように、JALが我が国の経済あるいは国民生活に重要なネットワークを持っている、それによって、JALを破綻させることが我が国の経済活動あるいは国民生活に重大な影響を及ぼすということを前提に資金が投入されたものであるというふうに考えております。(塩崎委員「一般論を聞いているので、JALの話は全く聞いていないんです」と呼ぶ)

 一般論については、ちょっと私どもで全体をお答え申し上げられませんが、当該事業が我が国全体の経済活動あるいは国民生活にどれぐらいの重要性を負っているかということがやはり重要なポイントになるのではないかと考えております。

羽田国務大臣 一般論ということでありますけれども、やはり我が国の経済にどのように寄与しているか、また、国民生活に対してどのような重要性があるかということが求められるというふうに思います。

塩崎委員 羽田大臣も、いろいろなケースを政治家としてごらんになってきているはずなんですね。今のようなお答えであれば、どの企業でも資本注入していい。どの企業も重要じゃないなんということはないですからね。何でもいいというスタイルが民主党政権のスタイルだということが、私は今よくわかりました。

 世界の常識は、システミックリスクがある場合と、ツービッグ・ツーフェール、もう国家にとってどうにもならないようなときだけ。これが常識だし、我が国も基本的には、振り返ってみれば、今まで金融機関に入れてきたことはあります。これはシステミックリスクがあるからですよ。それから、ツービッグ・ツーフェールということはそのときの判断ですけれども、アメリカだったら、GMなんかはまさにそうですよね。ですけれども、ネットワークの維持なんといったらもう何ぼでも、JRだって何だって全部資本注入できちゃうという話なので、意外なことに、たまげました。

 航空会社で、公的資本注入による破綻処理のケースがあるのか。特に、例のEUのガイドラインが二〇〇四年に確定してから、それ以降はどうなのかという質問を通告してありますので、答えてください、大臣。

長田政府参考人 先生御指摘の、公的資本がエアラインに注入されたケースがあるかどうかということでございます。

 米国におきましては、日本の民事再生法に相当するチャプターイレブンに基づきまして、デルタ航空、ユナイテッド航空などが再生を行っておりますが、これについては公的資本の注入は行っておりません。ただし、GMについては注入をしているところでございます。

 欧州につきましては、エールフランスあるいはオーストラリア航空等、かなりの航空企業が破綻をいたしまして、その中で、政府等による公的資金の注入が行われた例は多数承知をしております。(発言する者あり)

伴野委員長 静粛にしてください。

 はっきりポイントだけ答えてください。

長田政府参考人 オーストラリア航空につきましては、二〇〇九年に、オーストラリア政府から五億ユーロの出資が行われているところでございます。

塩崎委員 結局、公的資本注入をやっているのは、EUのガイドラインができた二〇〇四年以降はないということでいいよね。そこでうんと言ってくれればいいから。大臣。

羽田国務大臣 今局長が答えたように、オーストラリア航空においては二〇〇九年に公的資金を入れております。

塩崎委員 オーストラリアはわかりましたけれども、それがどういう資本注入か僕も余りよく知らないけれども、少なくともEUでは、二〇〇四年以降はないですね。九七年のアリタリアが最後ということであります。それはもう私が調べております。

 それから、法的な破綻処理と資本注入を双方同時に行ったケースはあるかというのを聞いています。長田さん、あなたはテクニカルなことだけ答えればいいから、基本的には大臣と私の間でやりましょう。

羽田国務大臣 ないと思います。

塩崎委員 今大臣がいみじくも言ったように、今回のJALのように法的処理と公的資本注入を両方やったということは、世界じゅう、初めてのことが起きたということなんです。それが、先ほどのように全く、私企業に公的資金を入れるということがどれだけ重大なことかというのは、普通の資本主義の国ならば真剣に考えるわけですね。我々も、九八年とか、資本注入するときには死ぬほど考えましたよ。憲法違反でやられるんじゃないかとか、いろいろなことをやった。それも、社会に役立つ企業だったら何でもいいみたいな話でやっているんだということがよくわかって、愕然とするということだと思うんですね。

 では、大臣、JALが破綻してから、仮に今度再上場、できるかどうかわかりませんが、国民負担の金額はどれだけだったというふうに思いますか。

長田政府参考人 国民負担という意味では、JALが破綻した際に、特に政策投資銀行の融資等に絡んで、その部分の補填を国の方でしておりますので、発生をしておりますが、現在については、三千五百億の出資でございますので、これが今回の上場によってカバーされれば国民負担は生じないというふうに考えております。

塩崎委員 ところが、三千五百億を別に運用していたら、どれだけの逸失利子があったのかということを考えれば、例えば年率一%で考えても、年間三十五億の二・五年で約九十億円ですよ。少なくともこれは国民負担になるわけですね。

 それから、会社更生法の適用になれば、繰越欠損金が計上されて法人税が免除される。これはいろいろ議論になっていますけれども、これをざっくり、もし仮に入ってこない法人税の全体がどれだけかというと、大体三千三百億なんですね。これは当然返ってこない。

 それから、七年一〇〇%と九年八〇%がありますよね。この差だけでも実は七百四十五億円あるんです。ですから、これも実は国民負担として取られるということであります。

 それから、さっき自助努力の話をしましたが、要するに、こういう公的資金と、会社更生法の税制上の特権の二重取りをしてきているわけでありますから、そうすると、他の航空会社の利益は圧縮されるわけですね。例えば、最大手の全日空でいけば、ことしは最高といっても三百億弱しかないわけでありますけれども、それが年間百億程度へこむとしたら、二年半で二百五十億、これも足さないといかぬのですね。

 だから、こういうことになると、法人税が入ってこない分を三千三百億でカウントすると、約三千六百億。さっきの、七年と九年の差額分だけカウントしても千八十五億円の国民負担になっている、こういうことなんですね。

 大臣、どうですか。

羽田国務大臣 この再生に当たっては、国民の皆さんの大きな負担があるというふうに思っております。

塩崎委員 国民負担があるということを認められたということですね。ですから、さっきの長田さんの答弁は全く間違っていた、こういうことでよろしいですね。

 そこで、私は、この公的資本の投入と会社更生法による恩典の、またそれもプラスアルファもあるわけですけれども、この二重、三重の恩典というのが問題であろうと思うんです。後ほど公正取引委員会の委員長にお聞きをいたしますけれども、これはやはり問題だなと。

 もともと、私は、会社更生法だけでいいんだろうなというふうに思っていました。そして、もし支援機構を使うならばDIPファイナンスとか、そういうものの資金繰り程度であって、よもや資本注入するほどのことは、ただの、まあ飛行機を飛ばされている大事な会社であって、貢献していることも間違いない、しかし、システミックリスクがあるわけじゃない、そしてツービッグ・ツーフェールでもない。GMと比べたって、二桁ぐらい雇用の人数が違いますからね。全くそんなのは当たらないのにやっている。

 ですから、私は、この二重恩典をネットアウトする。特に、例の一〇〇%と八〇%、七年、九年というのがありますが、この差分。会社更生法適用前にやっていればいいですよと言われている、七年間一〇〇%と九年間八〇%、この差の、七年間二〇%、これだけで七百四十五億ですけれども、少なくともこの七百四十五億をネットアウトする、そういうことを含めた議員立法を我々は考えています。

 そのことを考えているので、要は、二重恩典に一番敏感なのは財務省ですよ。財務省、きょう来ていると思うんだけれども、見解を簡単にお願いします。

藤田副大臣 法人繰越欠損金等のことだろうと思いますけれども、これは、いわゆる特定の企業なりに対する免除ということではなくて、企業というのは長期的に計画を立てている、それに対して税収の方は年度別にやっておりますので、それを補うための欠損金の取り扱いということになっておりますし、平成二十三年度の改正で八割に下げております。

 ですから、制度上は、あくまでもそういうことでございますので、特定の企業に対して云々ということではないというのは、塩崎先生、よく御承知のことだろうというふうに思っております。

塩崎委員 いや、特定の企業なんて言っているわけじゃなくて、二重に財政的に応援をするというのはおかしいんじゃないか。今までは、普通は財務省はそういうのは嫌がる。それをやめた方がいいんじゃないかということで、おやりにならないんだったら、我々が議員立法でネットアウトしたいと思います。

 次に、公正取引委員長、私企業への政府、国家による補助や財政支援が、独禁法第一条の公正かつ自由な競争、すなわち公正競争を阻害し、市場をゆがめることはあり得ますか。

竹島政府特別補佐人 それはあり得ると思います。

塩崎委員 明快でありました。

 消費者、需要者の利益のための個別の産業政策と、競争政策という横串の政策のまさにぶつかり合いのことを今我々は問題にしようとしていると思うんです。そうしたゆがんだ事態、今、あり得ると言っているわけですから、それを解消したり是正することに対する公取としての行政権限あるいは政策ツールというのはあるのかないのか、答えてください。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会は独占禁止法の運用をやっているわけでありますが、独占禁止法の運用と、各省庁が持っておられるいわば業法というのは同時に適用されるものであります。したがって、業法上のことが行われても、それが独禁法に触れるようなことを、それを受けて事業者がやる場合は独禁法の違反に問われるということであります。

 しかしながら、今の御質問の趣旨は、いわば産業政策と競争政策の調整について、公正取引委員会は権限を持っているのかというお尋ねかと思うんですけれども、その点については、持っておらないと言う方が正確だと思います。

 ただ、各省で法律をつくったり改正したりする際には、御案内のとおり、各省庁で協議をいたしますので、我々としても、これは反競争的な規定であるということであれば、当然、意見を申し込むという形ではやっておりますけれども、ほかの一部の国にありますように、公正取引委員会の承認とか協議とかいうことが、制度上は日本においては入っておりません。

塩崎委員 明快に、今そういう権限が公取に与えられていないということがありました。

 後ほど申し上げますけれども、私たちはそれを、権限を与えるように議員立法をしたい、そしてEUが持っているような、法律に基づいたガイドラインも定めてもらおうというふうに考えています。

 今申し上げましたけれども、EU条約百七条というのがあります。先ほど来、ガイドラインの話が徳田委員からも出ましたが、実は、もともとこの百七条というのは、国家による特定企業、産業への補助金提供に関し、市場での競争をゆがめるもの、またはそのおそれのあるものについて、種類のいかんを問わず原則違法としているんですね。つまり、こういう公的な補助金提供というのは原則違法だ、だけれども、例外的に、適用除外される場合のガイドラインというのを設けているということになっているんですね。

 それで、そのガイドラインの中では救済補助と再生補助というのがあって、救済補助だったら、例えば金額の上限、返済期限、金利などが決まっています。それから再生補助の場合には、補助を受ける企業、今回だったらJALの資産圧縮、生産能力の削減、市場シェアの削減、不当廉売禁止等を条件としている。この不当廉売に関しては、ボストン便を飛ばし始めましたけれども、今までにない、えらい安い値段が出ているというふうに聞いております。ですから、そういう政府補助が市場をゆがめることへのバランスとして、こういうことを決めているわけです。

 今いみじくも言われたように、ガイドラインは存在しないと竹島さんはおっしゃいました。国交省は今回、JALの再生のために、市場のことを顧みることもなく、あらゆることを認めて、あらゆることをやらせたというふうに私は思っています。例えば、ボーイング787を五年間で四十五機導入するとか、新規設備投資、矢継ぎ早の国際新路線の開設、それからLCCへの投資も行われてきて、収益のV字回復に寄与しているものもたくさんある、こういうことであります。

 こういうケースは、航空産業の公正競争に与えた影響が余りにも大きかったと私は思っておりますけれども、市場の番人の竹島さん、日本でもEUのような、市場をゆがめる国家補助の原則禁止法規と、市場原則に見合った適用除外を規定したガイドライン的な指針が必要だというふうに思いませんか。その際、公取としての権限が今ないと言いましたけれども、必要だとは思いませんか。

竹島政府特別補佐人 それは、大変基本的な問題提起でございまして、私の今の所掌範囲でお答えできるかどうか自信がありません。

 ただ、前の国土交通委員会でも御質問いただいてお答えしましたけれども、今の公正取引委員会には、このJALの救済の中身について物を申す権限はございませんけれども、EUの百七条に基づく国家補助規制、それに基づく具体的な航空会社の、アリタリアのことをおっしゃいましたけれども、そういうところで示されている考え方というのは、日本においても共有されてしかるべきだと私は思っております。

 要するに、そういう制度をつくるかどうか以前に、国家補助というのは個別企業にしてはいけないというのが、私も長いこと役人をやっておりますが、これは常識だと思います。したがって、それを覆す例外としては、よほど大きな公益上の要請があると。

 その程度はともかくとして、競争をゆがめることは当然であります。したがって、それを最小限に回避する措置も講ずるというのが行われていることで、こういった物の考え方は日本においても、各省庁の政策判断、決定において取り入れられてしかるべきであると私は思っております。

 現状がどうなっているかわかりませんが、したがって、それは制度をつくれば動くというものじゃなくて、各省庁の政策をつくるときの基本的なスタンス、着眼点の問題でありまして、当然、救済制度は必要最小限でなけりゃいけないでしょうし、同時に、競争をゆがめることが最小限でなけりゃならぬ。だから、EUの場合、いろいろな条件が航空会社の救済についてつけられているというふうに私は理解しておりますので、その辺の原理原則は日本においても同じであるべきだというふうに思っております。

塩崎委員 明快なお答え、ありがとうございます。

 さっき局長は、日本はEUの場合とは違うんだ、EUは国の集まりだから、それでやっているんだ、単一国家と違うんだと言っていますけれども、実は、国交省がつくっている主要運輸事情調査報告書の二〇一〇年版を見ると、九・一一の直後に、ヨーロッパはアメリカの航空会社に対して、政府が一兆八千億円ぐらい支援をすることについて注文をつけているんですね。それは何かといったら、太平洋路線の価格のダンピングですよ。これについて注文をつけて、ちゃんとアメリカは大幅に減額をしています。

 ですから、EUの中だけの話じゃないんですね。要するに、不正競争をやるのはだめだ、フェアコンペティションをやらせないとうちの市場では許さないし、自分たちの会社がかかわる市場でも同じだ、そういうふうに言っていると私は思うんですね。

 ですから、私は、ガイドラインを公取がつくることを要請する議員立法、さっき権限がないというふうに言われましたが、やはりその調整ができるような権限を持つのが僕は一番だと思う。さっき、各省でやっていますなんて、それは公取は各省に負けるに決まっているんですよ。そういうことではだめなので、国民の負担があるんだということをちゃんと大臣は認められたんだから、その国民負担を減らして最小限にするということが我々政治の一番大事なことであり、また、JALが頑張って再生するというのは、やはり自力で更生していくというのが当然やらなきゃいけないことで、今回は、やるべきことを全く間違ったと私は思うんですね。

 委員長にもう一回お尋ねをしますが、我々がこういう議員立法をつくって、ガイドラインをつくるよう公取に言う、指示するということについてどう考えるのか。やる気がないんだったら内閣官房なんかにやらせますけれども、そんなところがやる権限も能力も本当はないのだから、私は公取しかないと思っています。

 それから、そういうことについて大臣はどう思っているか、一言願います。

竹島政府特別補佐人 それは、個別企業に対する救済についてだけ、要するに国庫補助についてだけなのか、広く規制改革、規制緩和、新しい規制を入れることがいいとか悪いとかという問題も、それは別途、大きなテーマとしてかねがねあるんですね。そういうことについて競争当局が一枚かむという仕組みはあり得る。

 日本がそれを採用するかどうか、これはまさに政府全体の問題でございますので、公正取引委員会としては、そういう制度ができ上がれば、当然、責任を持って仕事をさせていただきますけれども……(塩崎委員「国会が決める」と呼ぶ)それをつくるかどうかは、もちろん国会を含め……(塩崎委員「いや、法律は国会でできるんだ」と呼ぶ)はい。そういうことになれば、当然、公正取引委員会としては対応させていただきます。

羽田国務大臣 公平性を確保するためのガイドラインについてでありますけれども、今般の日本航空の再生に係る国の関与や公的支援の内容については、今後、国土交通省の交通政策審議会において、その一連の過程について報告し、議論をいただくこととしております。

 その一環として、航空分野における企業再生と公的支援に関するガイドラインについては、関係省庁、公取も入っていただいて検討していきたいというふうに思っています。

塩崎委員 いや、航空だけじゃないんです。国からの支援というものを民間企業に出すときのルール。市場をゆがめるから原則禁止ですよね。だけれども、例外的に認めようというスタイルがヨーロッパ・スタイル。これを議員立法でやろうというふうに思うんだけれども、どう思うかということです。特に、公取がガイドラインをつくれということですけれども。

羽田国務大臣 今言われたとおり、ガイドラインについて、関係省庁全て、そして公取も含めて入ってもらって検討していきたいというふうに思っています。

塩崎委員 一般的にガイドラインをつくることについてどう思いますかという意味ですから、どうやるかとか、そんなことを言っているんじゃないんです。全く新しいこと、今まで議論したことがないことを申し上げているので、国交大臣はともかく、政治家としてそれをどう思うんだということを聞きたい。

羽田国務大臣 しっかりと議論をする必要があるというふうに思っております。

塩崎委員 議論をしてどういうふうにするのかがよくわからないので、羽田さんらしくないなと、ちょっと残念な思いであります。

 ですから、そういうことで、我々は今議員立法でやろうということにしています。さっきの、税の恩典と国の支援のダブルの恩典はネットアウトするということと、フェアな競争が行われるための法的根拠とガイドライン、これを考えています。

 そうなると、再上場することを東証はお決めになって、きょう東証の社長に来いと言ったら、これも来てくれないんだな、何だか知らないけれども。それで、こういうことであれば、当然、上場の審査の中で、審査基準というのがあって、経営活動や業績に重大な影響を与える係争または紛争等を抱えているときはだめなんですね。それから、その他公益または投資家保護の観点から適当と認められること。

 ですから、こういうところから考えてみると、ネットアウトされて収益が変わりますからね。それから、ガイドラインをつくったら、こういう形での支援はだめじゃないかというような話にもなる。もちろん、さかのぼってはないにせよ、これからのことがあるわけですから。そうすると、東証もこれは考え直さなきゃいかぬので、金融庁の担当の人に来てもらっていますが、これについて、上場基準に照らしてみれば、仮にこういう法律が通ったら上場も考え直さなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘がございました。いろいろな国の政策、制度等々において、公平な競争がなされる形での整合性があるというのは必要なことだろうというふうに思います。

 上場の審査においては、東証における上場の規則等々で定められているところでございまして、今回の上場審査においてもその規定等々に照らして適切に判断されていると思いますが、今のような御議論が国会の中でありました場合には、それを受けて制度を考えていくということになろうと思います。

塩崎委員 いずれにしても、いろいろなことが今回のJALの件でわかったと思うんですね。

 一つは、内向きの論理だけで、何だか知らないけれども一社、世界的な基準からいっても、日本の今までの行政の扱いからしても、ここに資本注入するのかというところに資本注入をして再生を図った。二年半で、できたできたと言っていますけれども、これからコーポレートガバナンス、それから企業文化もどう変わるのかわからないということもありますから、私はなかなか難しいんじゃないかなというふうに思っています。

 そして、世界は大きく変わっている、航空産業も大きく変わっているということも、どうも余り考えられていない。そして、単一市場だ、EUの共同市場だ、そんなことじゃないんですね、もう世界は一つですから。

 そういう中で、我々はちゃんとしたルールを持って、ほかの国から変なのが来たときにもはねるし、我々も身を正して、ちゃんと立派に自助努力で頑張れる企業が世界で活躍して、やはりナショナルフラッグはなくならない、私は、キャリアは一社でいいと思っています。今の世界の動きからしたらとてもじゃないけれども、二社やっているような余裕はない、私はそう思っています。

 そういうことで、引き続き、この問題については追及をしていきたいというふうに思います。

 終わります。

伴野委員長 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 きょうは、大きく三つのテーマについて御質問しようと思っておったんですが、三十分しか時間がないものですから、お示した三つのうち、二番目の公的支援を行った理由を中心に話を伺いたいと思います。

 ただ、その前に、そもそも日本航空が破綻した理由につきまして、これは、大臣に質問しても仕方がないと言うと叱られますけれども、私の方でちょっと指摘をさせていただきたいと思います。

 資料がお手元に配られているかと思いますが、一ページ目は、これは内閣府がつくられた資料でございまして、JALの破綻の窮境原因について示した図でございます。実はいまだに、JALが赤字になった原因は、余計な地方空港をたくさんつくって、その赤字路線を押しつけられたことだというような俗論が通っておるんです。

 資料の二、三ページをごらんいただきたいと思います。これは、JAL、ANAの、国内線と国際線それぞれの収入の推移の比較のグラフでございます。これをごらんいただいてもわかるように、国内線の収入というのは極めて安定しているんですね。他方、国際線は、テロ、SARS、あるいはリーマン・ショック等のイベントリスクのたびに大きな赤字を日本航空の場合は出しておりまして、この根っこにあるのは、今までもってきたのは、最後は国が助けてくれるという甘えの構造だったのではないかというふうに私は思います。

 もう一つ、ここに書いてないことで、日本航空は、実は、国際線のネットワークを自社で維持していこうと。それに固執した結果、アライアンスに乗りおくれてしまって大きな赤字を出してしまったというのも一つの大きな原因であろうと私は思っております。

 実は、これらの原因が完全に除去されていない限り、今後また同じことを日本航空は繰り返すことになってしまうんじゃないかなというふうに私は思っているんですが、今回の再建によってこの原因が完全に除去されたというふうに大臣はお考えでしょうか。

羽田国務大臣 全てが除去されたということではありませんので、しっかりと監視をしていくということであります。

三ッ矢委員 それから、後ほどお伺いすることともちょっと関連するんですが、日本航空が膨大な累積債務を抱えている。破綻したときには二兆円を超えるような債務を抱えておったんですが、この原因というか、内容は何だと大臣はお考えになりますか。

長田政府参考人 日本航空が膨大な累積債務を抱えた原因でございますが、基本的には、不採算路線の存在に加えまして、燃費効率の悪い大型機を大量に保有していた、そういったものが時価と簿価との差ということで出てきておりますし、本来、それが九千億の累積債務を生み出した一因であろうというふうに思っております。

三ッ矢委員 この中身が実は問題なんですよね。つまり、私が何を言いたいかといいますと、真面目に経営努力をしたけれどもやむを得ず出てしまった欠損なのか、あるいは、非効率な経営をやってきた、あるいは体質として非常に甘い体質があってその結果出てしまった債務なのか。今の局長の答弁ですと、どうも後者のように聞こえます。

 この結果、会社更生法に基づいて九年間法人税を減免される。要するに、非効率な経営をやって赤字がたまってしまいました、その赤字が残っている間は税金を免除します、こんな不公平な話がありますか、大臣。どう思われますか。

羽田国務大臣 我が国の航空会社において、二社体制で公平公正な競争が進んでいくことが望まれてきたわけでありまして、そういう意味では、やはり航空のネットワークを崩してはならないということで、今回の再生という形になってきたというふうに思っております。

 今後とも、やはり公平公正な運用ということが求められてきておりますし、しっかりと監視をしながら、再生に向けての歩みを続けていただきたい、こういうふうに考えております。

三ッ矢委員 二社体制が望ましいというのを誰が判断したのか、私はわからないんですけれども。

 さっき塩崎委員からも質問がありましたが、それに関連しますけれども、今回、会社更生法と公的資金の注入という両方を使った。こういう例というのはないんですね。世界でも類例がない。しかも、三千五百億というような巨額の公的資金を注入した例はございません。

 先ほど塩崎委員が聞いておられましたが、どういう場合であれば公的資金の注入が正当化されるのかという話なんです。これは改めて伺いませんけれども、一つは金融のようにシステミックリスクが非常に大きいという場合。それから、これは例が適切かどうかわかりませんが、電力会社のようにほかに代替企業がない。さらに、これはアメリカの例ですけれども、GMの場合のように社会的なインパクトが非常に大きい。先ほど竹島委員長もお答えになっていましたが、要するに、公益性が非常に高いから、だから公的資金をつぎ込んでもこの企業を助ける必要があるんだ、こういうことだと思うんですが、日本航空の場合は、今私が申し上げた三つのケースのうちのどれに当てはまるんでしょうか。

羽田国務大臣 公益性が高く、インパクトが大きいということだと思います。

三ッ矢委員 どういう公益性なんですか。インパクトが大きいというのはどういう意味ですか。

羽田国務大臣 日本航空は、我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っております。このため、日本政府として、同社が再生を果たすまでの間、十分な資金を確保するということを決め、外国政府に対しても理解と協力を得るなど、運航の継続と確実な再生を図るために必要な支援を行うということを決めさせていただいたところであります。

三ッ矢委員 これは例が悪いですけれども、デパートが潰れるのとどう違うんですかという話なんですよ。

 先ほどから御答弁されているのを聞いておりますと、要するに、日本航空の公益性が高いというのは、航空ネットワークを維持する必要があるんだ、そういう理由で公的資金をつぎ込んだ、こう言っておられるんですね。本当なんでしょうか。これは前原元大臣も同じようなことを言っておられます。大臣も同じ考えですか。

羽田国務大臣 政府声明として閣議了解しておりますので、そのとおりです。

三ッ矢委員 それでは伺いたいと思いますが、この公的資金が国民生活に必要なネットワーク維持のために使われた、あるいは使われているとお考えですか。

羽田国務大臣 今、再生過程でありますので、しっかりとそのような方向で再生をしていただきたいというふうに思っております。

三ッ矢委員 いや、再生過程の問題じゃなくて、本当にそれがそういうふうに使われたのかということを伺っているんです。

 日本航空が実は国内線を四十三路線切りました。そのうち、JAL単独で飛んでいた路線というのは二十九路線あるんですね。要するに、日本航空でしか飛んでいなかった路線を非常に多く切っているわけです。これがネットワーク維持のためと言えるんでしょうか。どう思われますか。

長田政府参考人 大臣の前に少しお答えさせていただきます。

 ここで、政府声明におきましてネットワークと言っておりますのは、地方路線だけではなくて、国際、国内、全体のネットワークでございまして、これが一挙に倒れた場合に我が国の経済に与える影響が大きいということで、ネットワークというふうに申し上げている次第でございます。

羽田国務大臣 現在、日本航空は再生過程で事業規模を縮小しておりますけれども、引き続き、離島路線を含む豊富な国内線、国際線ネットワークにより、我が国の国民生活と経済産業活動に貢献しているものと認識をさせていただいております。また、今後再生した暁には、またしっかりと指導していきたいというふうに考えております。

三ッ矢委員 要するに、日本航空が残した路線というのは競合路線がほとんどなんですよ。国際線もそうですね。五社も六社も飛んでいるところを残しているんです。単独路線は切っちゃっている。これでネットワークの維持と言えるんですか、本当に。こんなことのために公的資金をつぎ込んだんですか。もう一度伺います。

羽田国務大臣 今後しっかりと再生をしていただいた中で、社会貢献、そして国民の利便性も含めて、しっかりと指導していきたいというふうに思っております。

三ッ矢委員 これはらちが明かないので、ちょっと別の切り口で聞きたいと思います。

 機構に伺いたいと思うんですが、支援基準というのがありますね。その中で、「事業再生計画の実施が過剰供給構造の解消を妨げるものでないこと。」という一項が入っていますね。今回のこの日本航空の事業再生計画、それぞれの路線について過剰供給じゃないかどうかということをチェックされましたか。これは後で内閣府にも同じことを聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

瀬戸参考人 当然のことながら、議論はしております。

 日本航空が撤退した路線、これは、他社が飛んでいて非常に不採算だったもの、それから、例えば国内線ですと、新幹線との競争ではっきり言って負けているもの、要するに採算がとれないものについて撤退をしている。

 先ほども出ましたけれども、生活路線についてはしっかりと維持しながら、公共的なサービスの提供はするように努めるということを前提として我々は議論しております。

 以上でございます。

三ッ矢委員 今の答えはおかしいですよね。公的資金をつぎ込む理由がネットワークの維持というんだったら、不採算だから切りますよという理由にならないんです、これは。おかしいですよ。

 もう一つ申し上げますと、当時、リーマン・ショックの直後だったわけですね。多くの路線、国際線について供給過剰になっていたんです。イールドも下がっていました。ロードファクターも下がっていました。そういう中で、日本航空の、増便は認めていないにせよ、そのままの形で残すというのは、先ほど申し上げた支援基準、この実施が過剰供給構造の解消を妨げていたんじゃないか、私はそう思いますが、全路線についてそれをチェックされたんですか。

瀬戸参考人 当然のことながら、全路線について検討いたしております。ジャンボ機、747―400等を飛ばしているところは、機材を小さくすることによって採算をとらせる。それから、機材を小さくしても不採算で、なおかつ、はっきり言って競合と競争しても負けている、そういうものについて撤退したわけです。そういう意味で、過剰供給構造を解消した、こう御理解いただければよろしいかと思います。

三ッ矢委員 それは日本航空だけの問題であって、まさに路線そのものが過剰供給だったかどうかというのは、誰がどうやって判断したんですか。

瀬戸参考人 誰が判断するかという御質問でございますが、我々、日本航空を支援する際も、それから各種の処分決定等々をする際も、関係省庁、事業所管大臣等々の御意見を承りながら進めております。

三ッ矢委員 ちょっと大串政務官にも伺いたいと思いますが、機構の支援委員会が、管財人が所管している企業の、この場合JALですけれども、特に支援基準に合っているかどうかというのをチェックするはずなんですね。

 ところが、瀬戸さんは、管財人であり、支援委員会の委員長なんです。知っていますよ、その職務は外しますということがちゃんと紙に書かれているとお答えになるんでしょうけれども、内閣府はどういう判断をされていたんですか。

大串大臣政務官 一連の支援決定等々における国としてのかかわり、内閣府としてのかかわりはどういうふうになっていくかというと、支援決定の際に政府として意見を述べることができる、さらに、今回もそうですけれども、出資の決定等々のときにも意見を述べることができる、こういったかかわり方をしています。

 その前提として、誰が何をどう決めるかということに関しては、今話がありましたように、機構において支援基準に基づいて支援を決めていく、それを専門家の立場から支援委員会が決定していく、こういう形になっています。

 先ほどの供給構造の話でありますけれども、今、瀬戸委員長から話もありましたように、支援を決定する際に、供給構造の過剰を増嵩する方向になっていないかということを全体として判断して今回支援を決定したということでございます。

三ッ矢委員 ぜひお願いしたいんですが、それぞれの路線について全部チェックしたということですから、根拠となる数字を出してください。運賃が下がっていなかったとかロードファクターが下がっていなかったとか、全部調べたというんだったら、全部出してください。要求しておきます。

 ちょっと視点を変えます。

 先ほど、公的資金をつぎ込む目的がネットワークの維持だったということを大臣おっしゃいましたね。破綻直後に、公的資金で事業を継続している会社が、羽田―サンフランシスコとか六路線の開設を発表して、裁判所が更生計画を認可する前に就航させているんですね。なぜこんなものを国交省は認可できたんですか。

 もう一つ伺いますと、更生手続終了後ではありますけれども、公的資金がつぎ込まれて、再上場も果たしていないのに、ボストン線等の新規路線開設やジェットスターへの出資などを認めた、これはなぜなんですか。これらの路線開設や出資は公的資金がなければできなかったはずですけれども。そう思いませんか。国交省としてはどういう判断でこれを認めたんでしょうか。

長田政府参考人 更生計画におきましても、国際線につきましては、欧米主要拠点及び成長市場であるアジア路線における業務需要等をメーンターゲットとしながら、羽田及び成田発着を中心としたネットワークを構築するというふうに書いておりまして、こういう考え方のもとで、JALの再生の一環としてそういうことが必要だというふうに認識しております。

三ッ矢委員 これはさっきの支援基準の話とまた絡んでくるんですね。先ほど要求した資料は、委員長、ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。

伴野委員長 後刻理事会で協議させていただきます。

三ッ矢委員 この新規の路線についてもぜひお願いしたいと思います。

伴野委員長 後刻理事会で協議させていただきます。

三ッ矢委員 こういうことをやって、しかも公的資金を使って新規の路線を開設したり、ボストン線なんて787を買わなかったらできなかった路線なんですよ。大臣は、これでもまだ不公平じゃないとおっしゃるんですか。不公平だと思われますか。

羽田国務大臣 国土交通省としては、公平公正な運用を目指しております。(三ッ矢委員「不公平かどうかと聞いているんです」と呼ぶ)不公平だというふうには考えておりません。

三ッ矢委員 不公平じゃないとおっしゃるのであれば、それは大問題ですね。何でもありになっちゃうじゃないですか。公的資金をもらって、補助金をもらった会社がどんどん事業を拡張していって、真面目にやっている会社がそういうところと競争しないといけないというのは、不公平そのものじゃないですか。

羽田国務大臣 公的資金によって競争環境が不適切にゆがめられてはいけないというふうに思っておりまして、それを確認するために、今後の日本航空の投資や路線開設の状況を一定期間監視するということにさせていただいているところであります。

三ッ矢委員 監視じゃだめなんですよね。

 先ほど徳田委員から自民党の決議についての話がありました。我々も別にやみくもに再上場に反対と言っているわけじゃないんですよ。公平性が確保されるべきだと。そのために、ガイドラインのようなものもつくり、また、一定程度の事業の抑制も事後措置として必要じゃないか、こういうことを申し上げているんです。

 竹島委員長に伺いたいと思いますが、二年前、この委員会で委員長が、たしか、やはりこのケースについてはEUのガイドライン的なものも必要だろう、ただ、それは所管官庁においてまずは検討してもらいたい、こう言っておられました。議事録も六ページにつけてございますが、このお考えに変わりはないでしょうか。

竹島政府特別補佐人 先ほどの御答弁と重複しますが、ガイドラインをつくるということについて私どもは決して消極的ではありませんが、ただ、御理解いただきたいのは、権限がないのに、権限の裏づけがないところでガイドラインをつくっても、これは実効性が期待できない。

 それよりも、これを申し上げるのは私の領域を越えているかもしれませんが、JALの問題については、誰しもこういうことになるということは予測されなかったんだろうと思うんですね。もしこういうことがわかっていたら、あれだけの内容の救済策が講じられたのかということにもなるかと思います。

 そういう事態をどういうふうに判断されて、評価されて、それで、では改善すべきことがあるとすれば何をするのか、そういう段階でございまして、そのときに私から申し上げたいのは、競争に与える影響は最小限にとどめるようなことを考えるべきであるということでございます。それは何も、ガイドラインをつくらなくても、そういうふうに考えればできることでございますので、そこはぜひ御理解いただきたいと思います。

三ッ矢委員 至極ごもっともな答弁だと思います。

 私は別に公取にガイドラインをつくってくれと言っているんじゃなくて、やはり国土交通省が何か考えるべきなんです。二年前のこの委員会で、実は当時の前原大臣ともやり合った話なんですが、前原さんも、何らかの措置をとらないといけないですねということを言っているんですね。

 この二年の間に国土交通省は何か措置をとったんですか。あるいは、これからどうしようとしているんですか。大臣、お答えください。

羽田国務大臣 自民党さんの方からも、日本航空の再上場に反対する決議の中で、「公平性を確保するガイドラインを設けるとともに、現在の不公平を是正する措置を講じること。」という一項目が入っておりまして、我々としても、今後、国土交通省の交通政策審議会において、その一連の過程について報告をし、議論をしていただくということにしておりまして、その一環としてガイドラインの策定についても検討していきたいというふうに考えております。

三ッ矢委員 竹島委員長にこれは要望だけ申し上げておきますが、ごく最近、競争政策研究センターの方で「競争法の観点からみた国家補助規制」というレポートが出されていると思うんです。この観点から国交省とも話をしていただいて、どういう手だてといいますか手当てが適切なのか、ぜひ御協議をいただきたいというふうに思っております。これは要望にとどめておきます。

 今回の場合、本来の目的であるネットワークの維持というのはそっちのけで、やってはいけない事業の拡大を、これは本来、再上場してから純粋の民間企業としてやればいいだけの話だったんですが、もう既に公的支援をそういうところに使ってしまっているんですね。こんなもの、大臣だって経営できますよ。私だってできる、こんなに手厚い支援をしてもらったら。

 我々が求めているのは、今からでも公平公正を確保するための措置をとれということです。例えば、法人税の免税期間中は新規事業や新規路線の開設は控えるとか、あるいは百歩譲って、これまでやってしまったことと同期間、例えば向こう三年間ぐらい何らかの是正措置をとる、そういうことをやるべきだと思うんですが、大臣、どう思いますか。

羽田国務大臣 航空会社の路線展開や投資については、法的根拠なく国が制限を課すことはできませんけれども、公的資金によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられてはならないというふうに考えておりまして、そのために、国土交通省としては、公的資金によって競争環境が不適切にゆがめられていないかを確認するため、今後の日本航空の投資や路線開設の状況を一定期間監視するというふうにしたいと考えております。

三ッ矢委員 法的根拠はあるんですよ。国交省設置法ですよ。何と書いてあるんですか。「航空運送及び航空に関する事業の発展、改善及び調整に関すること」とちゃんと書いてあります。あなたはできるんですよ。もっと自信を持ってやってくださいよ。

 もう一つ、ちょっと別の話を申し上げたいと思います。

 私どもの決議の中で、一つ、社会的還元をやってくださいよ、こういう話をしているんですね。これは、ちょっと端的に具体的な例を一つ申し上げますと、北海道に、HAC、北海道エアシステムという会社がありますが、これはもともと日本航空が五一%出資していて、子会社だったわけですね。これを、更生計画の過程で一四・一%まで減資をして切り離した。今、実は北海道の皆さんが大変苦労しておられるんですね。この会社がやっている路線には、実は、函館―奥尻とか、離島の路線もあります。今回、日本航空がこういう格好で経営から事実上手を引いたものですから、北海道議会の方で三億何がしかの補正予算を組んで支援をせざるを得なかったと。

 私は別に、日本航空にキャッシュをやれと言っているわけじゃないんですが、もともと公的資金をつぎ込む理由がネットワークの維持というのであったのであれば、こういうところにこそ何らかの形で手当てをすべきじゃないか。まして二千億もうけているのであれば、何らかの形で支援すべきじゃないか。日本航空として還元すべきなんですよ。大臣、どう思われますか。

羽田国務大臣 国土交通省としては、日本航空は、国民生活と経済産業活動を支える我が国航空ネットワークの維持発展に貢献する企業として確実な再生を図る必要がある、こういうふうに考えております。

 このため、日本航空に対しまして、再生過程において地方路線の大幅な削減や、関係者の理解のもとに債権放棄、減資や公的資金の投入等の協力が行われてきた経緯を踏まえて、地方路線の拡充や、これはHACも含めてですけれども、地域の航空会社に対する支援、社会に対する貢献方策等について検討を行うよう要請をさせていただいているところであります。

 また、国土交通省としては、我が国航空産業のあるべき姿等を取りまとめた航空産業ビジョンの策定に向けた検討を行うこととしたいと考えており、この中で航空ネットワークの維持方策についても検討を行い、その結果を踏まえて、路線維持のための支援措置についても検討していきたいと考えております。

三ッ矢委員 大臣、そんなに役人の書いた文章を読んでばかりいないで、ちゃんと自分の言葉で答えてくださいよ。

 最後にもう一つ、実はこの問題はもう二年前から申し上げているんですが、情報公開が非常に不十分なんですね。さっき冒頭にも申し上げましたが、では、累積債務がどうしてこんなにたまっちゃったのか、中身がさっぱりわからない。今回、二千億というような利益を上げていますけれども、これが、自助努力の結果出た部分、それから、更生法を適用して、借金の棒引きや、あるいは株を紙切れにしてしまった結果出た部分、それから公的資金をつぎ込んで押し上げられた利益、これをきちんと仕分けして、最低限、最後のものについては、もしそれが仕分けできるのであれば、その部分は本当は法人税を払うべきなんですよ。そう思いませんか、大臣。

長田政府参考人 今、三ッ矢先生の御指摘の情報公開の件でございますが、決議にも言われておりますし、私ども、今現在、日本航空に対して、再建により生じた繰越欠損額あるいは税の免除額等については、十分な情報開示を行うよう要請を行っているところでございます。

 また、その結果につきましては、先ほど来、羽田大臣が申し上げましたとおり、国の関与や公的支援の内容について、交通政策審議会においてその経緯を御報告し、議論をさせていただきたいというふうに考えております。

三ッ矢委員 交通政策審議会もいいんですけれども、やはり国会の場で出すべきですよ。

 委員長、この件につきましても、ぜひ情報公開をこの委員会でされるようにお願いしておきたいと思います。

伴野委員長 後刻理事会で協議させていただきます。

三ッ矢委員 時間もなくなってまいりました。

 今回のケースは、今ちょうどオリンピックをやっていますけれども、試合に負けた選手がぼろぼろになっていて即退場するはずだったのを、助けたわけですね。敗者復活戦というのは普通は銅メダルまでしか行かないんだけれども、これは金メダルをとらせているわけですよ。しかも、何をやったかというと、筋肉増強剤をめちゃくちゃ注入しているんですよ。それから、コーチも外から連れてきた。ドーピングテストをやったら一発でひっかかるんですよ。そういうことをやっているんですよ。

 私は、やはりきちんとした航空政策がない、ビジョンがない、これが一番大きな原因だと思っています。敵は全然違うところにいるんですよ。青だの赤だのと言っている場合じゃないんです。厳しい国際競争にさらされているんですよ。

 本来、国土交通省は、オープンスカイだとかあるいはLCCの導入だとか、競争を促進する方向で政策を進めてこられたわけです。ここへ来て、突然ここだけ社会主義的政策をとった。これはおかしいと思いませんか、大臣。

 我々は、引き続き自民党のPTでもこの問題を議論していきたいと思いますし、また、決議についての回答は党の方でもまた要求していきたいというふうに思っています。

 この問題、議論は尽きませんけれども、この辺で終わらせていただきますが、先ほど徳田委員からも話がありましたが、ぜひ日本航空をこの委員会に呼んでもう一度審議をされることを委員長にお願いしておきたいと思います。

伴野委員長 その件につきましては、引き続き筆頭間で精力的に協議をされておると承知しております。理事会でも協議させていただきます。

三ッ矢委員 終わります。

伴野委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 国民の生活が第一の玉城デニーです。

 きょうは、質問に立つ機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。

 先日、日曜日も台風十一号が沖縄に来まして、多くの観光客の方、あるいは航空路線を足としている方々に大きな影響が及びました。

 離島に住んでおりますので、台風が来ると必然的に、例えば水の心配、電気の心配も含めて、離島の航路、あるいは沖縄から他府県に移動する場合の空の足の確保についても大きな影響を及ぼします。そういうことを考えますと、やはり我が国の国土交通政策の全体のネットワークといいますか、その連携が今後ますます重要になってくるだろうというふうに思います。

 そこで、きょうは、後ほど日本航空さんの件についても質問させていただきますが、交通基本法案の案件について、総体的に連係してまいりますので、少し質問をさせていただければと思います。

 交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進する、そして基本理念を定めて、国、地方公共団体、事業者等の責務を明らかにするというふうなことになろうかと思います。交通基本法案の目的としている理念についてまずお伺いしたいと思います。

中島政府参考人 交通基本法の理念、目的についてのお尋ねでございます。

 交通基本法は、交通に関します施策について、基本的な理念でございますとか関係者の責務、さらには交通基本計画の策定などを定めておりまして、これによりまして、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進する、これを法の目的としています。

 仮に交通基本法が制定されました場合には、この法律に従いまして、交通に関するさまざまな関係者が、交通基本法で規定された基本理念のもとに、同じ理念、同じ認識を持ってそれぞれの役割を果たしていただくということが期待されます。これによって、交通に関する具体的な施策が順次実現していくことを期待している法律でございます。

玉城委員 冒頭、私が沖縄県の離島の話をさせていただきましたが、戦後、一九四五年から一九七二年、いわゆる施政権がアメリカから日本に返還されるまでの二十七年間、沖縄はアメリカの施政下で、戦争で失われる前までは軽便鉄道というのが沖縄県内でも実は走っておりましたが、その軽便鉄道が戦後復活するだろうという期待があったにもかかわらず、ちょうどアメリカのモータリゼーションの真っただ中にあって、道路の整備の方が先に行われました。

 それは何かというと、その当時、つまり復帰前の一九七二年までの沖縄県は、いわゆる軍用道路としてアメリカが道路をつくっていった。つまりは、戦車やトラックや、そういうものが一般道路から普通に移動することを目的につくられていて、それが結果的には、鉄軌道などの敷設が全く進まなかったということがあります。

 しかし、一九七二年、施政権が本土に返還されてからは、県民の多くはやはり、道路の自動車、バス、タクシーはもちろんですが、鉄軌道などの導入が、大変長い間、県民から多くの期待が寄せられ、この間、振興計画の中でも何とか実行できないかというふうなことが、十年一くくりではあるんですが、振興計画が新しくなるたびにその要求がされてまいりました。

 この間、実は、二〇〇九年に政権交代がなされてからは、平成二十二年、二十三年にそれぞれ鉄軌道のための総合調査が、内閣府の予算ではありますが、三千万円、四千万円、今年度は一億円というふうにつけられて、体系的に採算がとれるような、そういう鉄軌道の導入を図ることをまず目的として、内閣府がその調査を進めております。

 しかし、私は、あくまでも、やはりそういうふうに各省庁あるいは各法律ごとの取り組みについては限界があるというふうに日ごろから考えておりました。そこで、この交通基本法がこれから審議され、策定されていくという場合に、現在執行されているそれぞれの法体系との相関性、そういうものとこの交通基本法との関係がどういうふうになるか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

中島政府参考人 交通基本法と個別法との関係についてのお尋ねでございます。

 交通基本法は、交通に関する施策の理念や基本的方向を明らかにする、そういう基本法でございます。個別法は、この交通基本法の理念などの方向性に沿って交通に関する施策を具体的に定める、そういう位置づけになるというふうに理解をしております。

 したがいまして、この法律が施行された後、交通基本法に基づく交通基本計画の策定なども行われて、交通に関するいろいろな施策が講じられて、そうした中で何らかの必要性が出てくれば、この基本法に基づいて個別法で措置される必要があるのであれば措置される、こういうふうに理解しております。

玉城委員 いろいろ調査をしておりますと、例えば道交法の規制ですとか鉄道法の規制ですとか、それぞれの役割によって、法律、法体系の壁、あるいは省庁間の予算、計画などのそれぞれの独立性が、やはりどうしてもどこかでそこに横串を刺さないといけないというふうなことが、ずっと私どもも求めておりますし、また、多くの沖縄県民からも、そういう総合的な政策をぜひつくってほしいということが、この間、もう本当に切望として挙げられておりました。

 交通基本法案の資料に目を通してみますと、日常生活に必要不可欠な交通手段の確保の中には、コミュニティーバスのほかに、離島航路・航空路、海、空の航路の確保、これもやはり日常生活には当然必要不可欠であります。そして、当然ですが、高齢者、障害者などの円滑な移動のためのバリアフリーなどの確保、それから、地域の活力の向上に必要な施策、ここには幹線道路の整備、国際コンテナ戦略港湾の整備などが書かれております。そのほかにも、総合的な交通体系の整備、まちづくりや観光立国の観点からの施策の促進の中に実はLRTが書かれているというふうなことを見て、実は私は、交通網の総合整備そのものはまちづくりの新しい面的な展開とリンクしていくものだということ、かねてからいろいろな調査報告書を読ませていただきながら、そのことを痛感しております。

 しかし、そうであっても、交通基本法をつくった場合に、今度は、各都道府県、市町村のそれぞれのまちづくりの施策と全体的にどのように連携していくのかということもまた少し危惧されるところであります。

 というのは、これからは、地方分権、地域が主役になってしっかりと進めていくということを考えると、国が全部決めてしまうというふうな形になるというのはやはりいかがなものかというふうに思うわけですね。そこは、地域の実情に合わせて、あくまでも画一的ではない、しかし、それぞれの省庁、法律を横断的に包含していく、網羅していく形での交通基本法であるべきだというふうに思いますが、この点に関しては大臣の方から御答弁いただけますか。

羽田国務大臣 交通基本法案においては、地方公共団体の責務について、この法案に規定する基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的、経済的、社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると規定するとともに、地方公共団体を含む関係者が、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう規定をさせていただいております。

 したがって、交通基本法成立後、地方公共団体その他の関係主体が、この基本理念を共有する中で、この法律に基づき今後策定される交通基本計画に沿って、相互に連携を図りながら、総合的に交通に関する施策を進めることを期待させていただいております。

玉城委員 ありがとうございます。

 その場合の国、地方自治体の責務というのはしっかり織り込まれるだろうというふうに思いますが、もう一点だけ確認をさせていただきますと、その場合の事業主体の関係、責任というものはどういうふうに位置づけられるでしょうか。

中島政府参考人 交通基本法におきましては、交通事業を行う交通事業者、さらにその施設を管理する者についてのそれぞれの責任が規定されておりまして、当然、この法律に基づいて関係者が連携をするという場合には、それらの者も含まれるというふうに考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 この交通基本法案に関しては、またこれからもどんどん審議をさせていただいて、議論を深めていただいて、よりよき国民の足を、生活のための足を確保するということで、おのおのの責任と自主性を尊重してぜひ取り組んでいけたらというふうに私は希望いたします。

 それでは、次は日本航空について質問をさせていただきます。

 この間、各委員からいろいろな意見も伺っております。どうしても私も感じるのでありますが、公的に大きな予算を投下し、さらにそれがしっかりと立ち上がっている、立ち直っているというふうなことを考えるにつけ、過去に例のない会社更生法による公的資金支援、債権の放棄などによる業績回復の迅速さなどなど、そういうことを考えると、この更生計画の取り組み、その方向そのものは私は順調にいっているんだろうというふうに思います。

 その取り組みがこれまで行われ、そして二〇一一年三月二十八日で会社更生が終了し、民間企業に復帰をするというふうな流れになってきております。この間の取り組み経過、それから決算の状況についてお聞かせいただきたいと思います。

長田政府参考人 今先生御指摘のとおり、日本航空につきましては、平成二十二年一月十九日に企業再生支援機構に支援の申し込みを行うとともに、会社更生法の手続の開始をし、そして八月三十一日に更生計画案を東京地裁に提出し、十一月三十日に認可をいただいたところでございます。

 現在、その認可された更生計画に従って再生への道を歩んでいるということでございまして、今後、来年一月十八日が支援の終了でございますので、それまでに上場を果たすことによって、支援機構からの三千五百億の出資金を返済し、国民負担の軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 では、少し具体的に私も確認をさせていただきながら、質問を進めていきたいと思います。

 国土交通省さんから、日本航空についての資料、七月三十一日付の資料で、私たちも説明を頂戴いたしました。

 そこで、再生計画の概要で、まず事業の方は、機材の大幅なダウンサイジングの実行ですね。747、A300、MD81の全機を含む計百三機を退役させ、運航機種を四機種に削減したというふうな内容、これも先ほどから各委員からのお話があります。それから、不採算路線の大胆な撤退、国際線、国内線の撤退がありました。

 そこで、この撤退をした状況について少しお話を伺いたいと思いますが、先ほども質問にありましたとおり、これまでに多くの路線から撤退をしております。しかし、この撤退した路線が回復されないままに、今度は国際線の開設など、いろいろと内容によっては、つまり、もう既に減価償却等の財産評定によっての営業利益も上げている上に、この不採算路線に復帰するのかどうなのかということが、大変国民の皆さんから、心配といいますか、足の確保という観点からその状況について本当に求められているところだと思います。

 しかし、私の調査の中では、どうもその国民の要求に応えられていないというふうに思うわけであります。

 それはなぜかといいますと、この間、羽田発着路線の状況を見てみますと、運航路線が、日本航空で三十四路線、それから全日空で三十六路線、新規航空会社で十六路線、これが羽田発着路線の状況なんです。全線でいいますと、日本航空が四一%、全日空が三九%、新規航空会社二一%なんです。

 その中で、便数のシェアの資料についてちょっと目を通してみますと、新千歳、伊丹、福岡、沖縄などの幹線はほぼ同一で、日本航空三九%、全日空三八%、新規航空会社二三%なんです。

 需要規模別の路線というのがありまして、年間百万人以上が利用している高需要地方との便数は、日本航空が四〇%のシェアに対して、全日空が三三%、新規航空会社は二七%。そして、年間三十万人以上百万人未満の中需要が、日本航空が四七%、全日空が四一%、新規一三%。しかし、年間三十万人未満、いわゆる小需要の地方空港とのシェアを見てみると、日本航空は三五%で、全日空が六五%、新規は当然飛んでおりません。

 それを見てみると、現在の日本航空の開設している路線、これまでにも、ダウンサイジングですとか、あるいは赤字路線からの大幅な撤退などがありますものの、ここまで回復してきている日本航空からすると、現在の全日空の路線の状況と単純に比較しただけでも、国民の目から見るとやや公平さを欠いているのではないかというふうに思うわけですね。その点について御見解を伺いたいと思います。

長田政府参考人 委員御指摘の資料につきましては、私どもが平成十九年と二十四年の路線数を比較した資料のことを指しておられると思います。

 先生の御質問のとおり、幹線あるいは羽田の路線についてはJALは基本的に維持をしておりますが、特にローカル・ツー・ローカルについては、この間かなり減便をしているところでございます。ただ、離島路線につきましては、基本的には三十一路線を維持しているところでございます。

 JALについては、再生の過程で、国際、国内を合わせたネットワーク網の充実を維持しながら、需要に応じて柔軟に増減便を繰り返すことによって収益性の維持向上を図っていくということでございますが、今後、更生計画におきましても、地方路線については、小型化による需給の適正化を図り、採算性の確保を前提に最大限ネットワークを維持するというふうにされておりますし、また、中期経営計画におきましても、リージョナルジェット機を活用した地方間路線等の新規路線展開を図るというふうに書いてございます。

 この間、現実に日本航空におきましては、新しい路線を八路線も、例えば沖永良部―与論、福岡―屋久島、福岡―奄美、こういった路線について新たに開設しているところでございます。

 私どもとしましては、日本航空が国民生活と経済産業活動を支えるネットワークの維持発展に貢献する企業として確実に再生を図っていただきたいというふうなことを考えておりまして、特に日本航空に対しましては、再生過程において地方路線の大幅削減を行ってきた経緯を踏まえ、今後、拡充や、先ほどのHACとか、そういう地域の航空会社に対する支援等を通じて地域の航空需要の拡大を図り、地域の活性化に資するよう、検討を行うようこれから要請をしてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 赤字路線に即戻るということではなくて、新たに需要を見きわめながらいろいろと取り組んでいかれるということについては、私もその線は大事にすべきだろうというふうに思います。

 実は、最新の予約状況を少しホームページから見てみました。これは日本航空のホームページの状況なんですが、予約状況が、国内線、国際線の比較がありまして、国内線が、座席数で前の年に比べて一〇三・八%上がっています。予約数は前年に比べて九七・六%、まだこれからしっかり伸びていくだろうと思いますが、国際線に関しては、前の年に比べて提供座席数が一〇〇・一%ですが、予約数は一〇五・一%と、もう既に予約が前年同時期を上回っております。

 これは、考えると、国内路線ではなくて国外の路線について日本航空はしっかり伸ばしていこうというふうな考えがあるのではないかということが一つ考えられることと、それから、国際線の予約状況というのを見てみますと、北米大陸線が提供座席数の前年比で一一二・三%なんですね。東南アジア線が一〇一・七%、台湾線が一〇三・〇%で、これは座席数の前年比でいずれも一〇〇%を上回っているものです。

 その一方で、予約数を見てみますと、北米大陸線が予約数でいうと一一二・三%、東南アジア線が一〇三%、オセアニア線が一〇二%、中国線に至っては予約数は一二〇・五%、台湾線が一一一・五%というふうに、やはり787という機材にかえてからは、国内需要ではなく国外の需要に日本航空が利益を求めているのではないかというふうに思うわけですね。

 しかし、より公共性の高い還元ということにポイントを置きますと、やはり国内路線のさらなる、増設なのか増便なのか、そこは計画の中に織り込まれるべきだと思いますが、もっと国民への利益の還元ということを考えた場合に、私は、さらなる経営努力がそこに求められない限り、海外に飛ばして、機材も新しくして、その機材で、結局は円高差益で利益を上げているのではないかというふうな、そういうことも含めると、ますますもって、もう公的支援の役割は既に終わっているだろうという国民の不満の声が出てくると思うんですね。

 日本航空さんも、機材をかえたりリストラをしたり、いろいろな形で努力をし、結果的にそれがまた再建のための重要な場面で使われているということがやはりこれだけ出ている以上、国民に還元する、そのためのさらなる方策にもっともっと努力できるのではないかと思うんです。

 つまり、言ってはなんですけれども、飛ばして何ぼ、運んで何ぼ、私は、そういう言葉をある航空会社の先輩から聞いたことがあります。そして、より早く遠くではなくて、より安全に確実に送るんだ、そういう安全の理念そのものもまた、その先輩から伺いました。ということは、やはり日本航空に対して国民が期待するのは、より国民の生活の足を確保するということにあると思うんですね。そのことについてお聞かせいただきたいと思います。

長田政府参考人 先生御指摘の予約状況でございますが、この四月―六月の決算を見ましても、JALの場合、国内線に比べて国際線のロードファクターが高うございます。これは、今の円高の傾向の中で旅行者が国際に流れているということでございまして、これは全日空についても全く同じような状況でございます。

 ただ、JAL、ANA、両方ともそうでございますが、国際線が好調だからといって、経営資源を全て国際に持っていくんじゃなくて、国内は国内でしっかりと維持をし、国際とあわせもってやっていくということが基本であろうというふうに考えております。

 私どもは、先ほど申し上げましたように、本来、赤字路線を、多少成績がいいからまたそこに飛ばせということではなくて、機材の小型化でありますとか運営の効率化とか、そういう中で、従来廃止した路線を少しでも多く回復できるような御努力を日本航空の方にしていただきたいというふうに考えております。そういう中で、我が国全体の経済の活性化といったことに寄与していただきたいというふうに思っております。

 確かに787は入ってきておりますが、これは、従来747では全く採算が合わないところを、787で運航することによって事業を継続しているところでございますが、そのことによって、今、国際に回っている767が国内に回り、その分、国内は国内でしっかりと供給量をふやしていく、そういうこともございます。

 それから、リージョナルジェットをさらにふやすことによって、地域の小さなニーズにも応えて路線が成立する、そういうこともございますので、そういう工夫を日本航空においてしていただきたい、そういう要請をしてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 そういうふうに努力をしていくというふうなことが、より具体的に国民に見えてくるような形にしていただきたいと思います。

 例えば、国際線十路線、国内線三十九路線の不採算路線から、再建計画を始めるに当たっては撤退しています。しかし、先ほどからやはりお話がありますように、国際線の新規航路で、成田―ボストンを飛ばし、サンフランシスコに飛ばし、パリに飛ばし、ホノルルに飛ばす計画があるというふうなことも含めて、そしてせんだっては、カンタス・グループ、日本航空、三菱商事の三社がジェットスター・ジャパンに資本を投入しています。

 そういうふうなことも考えると、もっとできる努力というものが見えない限り、今まで努力した、再建した、ではこの先どうするんだというところで、また外に飛ばしますよ、新しいLCCに資本を注入しますよということになったら、では何のための公的資金の支援なのか。それがまたさらに二〇一八年までいろいろ続いていくわけですよね。

 そういうことを考えると、どこかでやはりガイドラインになるものを求めるべき時期に来ているのではないかというふうな国民の声もあろうかと思います。

 そこで、最後の質問になるかと思いますが、その公的支援のガイドラインについてお話を伺いたいと思います。

 EU条約百七条で規定されているガイドラインは、救済補助、再建補助、そして一回限りの原則というふうに、経営不振企業の救済と再建のための公的資金ガイドラインがもろもろ設けられています。先ほど来、公正取引委員会の見解もここに述べられているんですが、EUが導入しているような基本的な考え方は日本においても採用されることが望ましいと思っているという見解もあり、きょうの参考人の答弁でもそのような答弁が繰り返されていると思います。

 例えば、航空分野における主な事例からすると、一九九四年のエールフランスには、主な条件として、機材数をふやさない、他社の株式取得の禁止というふうな項目がありますし、一九九七年、アリタリア航空には、政府は権益等で優遇措置を行わない、こういうふうに明確に、あなた方は再建支援を受けているんですよ、そのことを忘れずにしっかり内側から立て直していきなさいということがこの規制の中で書かれているわけです。

 そのことについて、いろいろな法律についてもそうですけれども、このガイドラインについて、公的資金による再建対策における問題についての考えを聞かせていただきたいと思います。

長田政府参考人 先ほど来、大臣も申し上げておりますように、日本航空の再生に当たって、そこに国の関与や公的支援があったということは事実でございます。そういう企業がかえって国内の健全な競争市場を乱すということがあってはならないというふうに考えております。そういう意味で、EUのガイドラインというのは、公取委員長がおっしゃっておりますように、競争政策を議論する上で大きな意味を持つというふうに思います。

 ただ一方で、今先生がいろいろ、エールフランスの例、アリタリアの例をおっしゃいましたけれども、EUの場合は、先ほど塩崎先生からもございましたが、まず、国のそういう民間企業に対する補助というものを原則禁止した上で、それを解除するためのガイドラインということがございます。そういう意味で日本と若干制度が違いますので、そういう差も含めて、また、公取を初め関係府省の皆さん方の参加もいただきながら、私どもでしっかりとそういうガイドラインの必要性等についても議論してまいりたいと思っております。

玉城委員 私が申し上げたいのは、つまり、日本航空さんもしっかり努力をしているということがまず一点。しかし、公的資金が注入されていない一般企業も必死で努力をしているということが二点。ということは、この二つの均衡、バランス、不公平さを取り除くためには、ガイドラインという、EUを例にとりましたけれども、そういうことではなくて、日本における企業経営の是正、公的にかかわっている側がそれをきちんと考えることによって、企業はさらに努力をし、それが日本国の発展とさらなる航空産業の進展につながっていくものだというふうに私は思います。

 ですから、こういう問題、またさらに深く審議をさせていただきながら、さまざまな問題を、やはり国民の生活が第一ということで、空の足の確保、海の足の確保をしっかりと頑張っていただきたいと思います。

 以上、質問を終わります。

伴野委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、まず航空分野の安全について聞きたいと思います。

 高速ツアーバスの事故で、規制緩和が問題になりました。参入規制を緩和したため、事業者がふえ、運賃のダンピングが激化するなど過当競争が発生しました。さらに、法令違反を繰り返す事業者がはびこる事態も生まれています。運行に直接かかわる運転手の賃金や労働条件の低下を招き、安全が脅かされてきました。

 交通運輸分野というのは、人の命を預かり、運ぶために、運転手の状態が安全に直結する。だから、当然、日雇い労働や長時間運転など厳しい規制があります。かつて規制緩和を推進した側も、安全など社会的規制は緩和しないと言ってきましたし、国交省は、事前チェックから事後チェックに変えるが、監視、監督は強化すると言ってまいりました。しかし、実際は、先ほど述べたように法令違反も常態化し、検査官の数も足りず、穴だらけだった。先日の東北道の高速ツアーバスの事故、前回も指摘しましたが、監査に入ったのに、乗務時間を点検しなかったというチェック内容のずさんさも露呈しました。

 これだけ交通分野での安全が問題になっているときに、安全規制の緩和というのは問題だと言われている時期に、信じられない話がある。航空分野の安全を規制緩和すると言われています。しかも、百項目にわたって緩和する。これは事実なのか。そして、なぜこのようなことをするのか、目的は何か、安全を守れるのか、こういった点について大臣に見解をお聞きしたいと思います。

羽田国務大臣 現在、航空分野においては、首都圏空港の容量拡大、オープンスカイの進展、LCCの参入、シミュレーターの普及などの航空技術の進展など、航空を取り巻く環境が大きく変化しております。

 このため、安全の確保を大前提とした上で、技術の進展や国際標準等を踏まえて、昨年十二月より有識者会議を設置し、航空技術分野の専門家の参画を得て、規制及びその運用について見直しを行ってきたところであります。

 公共交通において安全確保は最大の使命であります。国土交通省といたしましては、航空技術規制の運用状況のフォローアップを含め、引き続き公共交通の安全確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

穀田委員 万全を期していきたいという気持ちは、それは当たり前の話なんですけれども、問題は、この間何度も指摘したけれども、安全が脅かされている実態があるわけじゃないですか。不安全事例が相次いでいる事態を私は何度も告発してきました。スカイマークが、ことしだけで六件の安全にかかわるトラブルが発生し、厳重注意を受けた。日航も、相次ぐふぐあい事象に危機感を抱き、特別安全キャンペーンを実施した。コスト削減のために台風の中を突っ切るとか、骨折していた機長が操縦したなど、信じられないケースが発覚しています。

 規制緩和を、誰が、何のために要望しているのかということを見きわめる必要があるんですよ。はっきりしているのは、LCCの参入を初め競争が激化する中で、いかにコストを削減するか、コスト削減競争を強いられる航空業界の要望が背景にあるということを見きわめなければなりません。安全規制さえ緩和してコストを削減する。結局、業界にしてみれば、安全など二の次になる。

 そういう業界の要求を受け入れて安全規制を緩和する政府、行政というのは、安全を確保する責任の放棄じゃないのかと私は疑わざるを得ません。したがって、航空の安全を確保できるのかということを改めて問いたいと思うんですが、いかがですか。

羽田国務大臣 今般の見直しについては、航空会社の要望があったことは事実であります。しかし、あくまでも安全の確保を大前提とした上で、国際標準等を踏まえ、安全性の検証を行い、実施しているところであります。

 その際、有識者会議を設置し、航空技術分野の専門家の知見に基づく意見をいただいた上で、最終的な判断は行政側で行うこととしております。

 いずれにしましても、公共交通において安全確保は最大の使命である、こういうふうに認識しており、国土交通省としては、今後とも、公共交通の安全の確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

穀田委員 何やら、先ほどの答弁を繰り返しているというのが実感なんですけれども、私、思うんだけれども、ツアーバスの事故で、監査の強化とか、万全を期すという話がいかに空虚に聞こえるかということなんですよ。

 ある新聞では、安全について規制を担う官庁が、同時に業界を発展させる役割を担っているということが問題だと言っているんですね。これは、先ほどの答弁の中にずっとありますように、こうやっているから大丈夫だ、しかし航空会社からの要望であることは確かだ、こう言っている。みずから言ってきた、規制緩和については、安全規制はきちんと守るんだという角度が非常に後退しているということを私は指摘せざるを得ないと思うんですね。

 機長らでつくる日本乗員組合連絡会議などが、次のように意見を申し入れています。

 二十四時間空港と同時に航空機の高稼働化が進んでいる中で、できるだけ整備時間を減らし、整備士も減らす、こんな動きが進んでいます。到着から出発の間に行う飛行間点検やダブルチェックは安全運航を担保する基本でしたが、飛行間点検、ダブルチェックは省略の対象になっています。

 こういう指摘をしているし、そして、元日航機長で日本ヒューマンファクター研究所の桑野偕紀所長も、激しい競争にさらされた企業は安全を軽視することがある、ツアーバス事故はそれを証明している、国交省は徹底して目を光らせないといけないと指摘しているんですね。

 ですから私は、ここは本当に、安全にかかわる規制は緩めてはならないという立場でどれほどやるのかということが問われていると思っているんですね。その辺、御見解はいかがですか。

羽田国務大臣 今委員から御指摘をいただいたことについては、やはり私も、安全、安心というのが第一だというふうに思っております。

 最終的には行政が決めることでありますので、しっかりと検討もさせていただきたいと思います。

穀田委員 その際、有識者会議を経ている、最後は行政が、この語り口のパターンというのは原発とよく似ているんですよね。くれぐれも、そういうことで同じ過ちを繰り返してはならぬということだけは指摘しておきたいと思います。

 次に、日本航空の再建にかかわっての問題について質問します。

 真の再生は、私が一貫して主張してきました安全性と公共性の確保が必要であり、それは政府の責任であることを指摘してまいりました。とりわけ、利益なくして安全なしという安全軽視の経営手法を批判し、さらには百五十六人もの整理解雇は全く必要がなかったことを明らかにし、その不当性を指摘し、さらに、それが職場のモチベーション低下を招いて不安全事例にも影響していることを述べてまいりました。

 きょう、改めて、日航の真の再生とは何か、政府の責任について見解をただしたいと思います。

 先日、東京証券取引所が日本航空の株式再上場を承認しました。九月十九日を上場予定日にしている。この再上場をめぐっては自民党の方々からもさまざまな問題点が指摘されました。

 まず確認したいんですが、過去最高の利益を上げている日航が欠損金の繰越控除制度を使わなかった場合、納税額は幾らになるか。

長田政府参考人 日本航空からは、二〇一一年における繰越欠損金による法人税の控除額は約三百五十億円であるというふうに聞いております。

穀田委員 三百五十億円だと。

 大もうけしている企業が、法人税を実質的に払わなくてもいい。しかも、今後九年間にわたって納税しなくてもよい。そうすると、このままでいけば、約四千億円にも上る巨額の税金を納めなくていいと報道されています。なぜこんなことが許されるのか、大臣にお聞きします。

羽田国務大臣 御指摘のとおり、日本航空においては、今後、繰越欠損金制度により多額の税負担が軽減されることが予想され、その点については少なからずの方が割り切れない気持ちをお持ちだというふうに指摘をされております。そのことについては承知をしているつもりであります。

 一方で、繰越欠損金制度は、欠損金が発生した全ての法人に適用される税制上の一般的な制度であり、優遇や支援といった特例的な制度ではないと承知をさせていただいております。

穀田委員 特例的ではないと言うけれども、そんなことを言い出したら、更生法の適用会社は例外扱いして、七年目までの一〇〇%の相殺が可能となっているんですね。だから、そっちできちっとやったらいいじゃないかというふうに私は思うんですね。

 実は、今大臣がおっしゃった制度というのは、一二年度の税制改正で、法人税の免除期間は七年から九年に延長されたんです。延長されたんですよ、前からあったというだけじゃなくて。そして、再建中の企業には欠損金の適用で優遇措置も生まれた。だから、日航の支援のためじゃないかとささやかれたほどなんですよね。

 歴史を見ますと、公的資金を入れた銀行も、この制度によって税金を納めてこなかった。ところが一方、今、全企業にだと言っていますけれども、庶民には消費税の大増税、もうけがなくて赤字であっても税金を取られる消費税の増税、片や、二千億円も大もうけする企業が税金を納めなくていい。私は、不公平という問題について、その制度の問題が国民にとってどうなのかという角度から見なくちゃならぬと思うんですね。公的資金は確かに返ってくるかもしれないけれども、減税したものは国庫には入らぬわけですから、優遇過ぎる税制だと私は思うんです。

 JALとかメガバンクという大企業で、そして公的資金が投入されている、三つ目に、その上、大もうけをしている、この三つの条件を満たす場合に、税金を払わないというのはどうもおかしい。だから、このような場合は、制度から外すということなどを初めとして見直すべきじゃありませんか、財務省。

三谷大臣政務官 先生御指摘の欠損金の繰越控除制度は、企業活動が期間を定めずに継続的に行われるのに対し、法人税については、事業年度を定めて所得の計算をするという制度的な問題に対応するものであって、先ほど大臣がお話をされたように、支払うべき税金を免除するといった特例的なものではありません。また、一般論で申し上げれば、こうした制度の見直しを行うに当たっては、その目的や影響等を含め、慎重な検討が必要だと考えます。

 なお、本制度については、平成二十三年度改正において、法人実効税率の引き下げとともに実施した課税ベースの拡大の一環として、大法人の控除限度額を所得金額の八割に制限するという見直しを行ったところでございます。

穀田委員 あれこれ言っているけれども、こんな制度がいいのか、国民にはさっぱり理解できない。常日ごろ、金が入るのをあれこれ言う財務省が、こういうことだけは気前がいい。本当に情けない限りですよ。

 こういう制度の問題はお互いにわかっているわけです。しかし、こういう制度であるかもしらぬけれども、大もうけしている、公的支援を受けている、そして大企業だという場合には制度から外すぐらいのつもりでやったらどうかということを言っているわけですよ。そんなことぐらいできないようでは何のための政治かと私は思うんです。

 そこで、ちょっと聞きますけれども、第三者割り当て増資で百二十七億円があったわけですけれども、京セラが増資引き受けしたという話もいろいろ出ていました。日航の上場で株式が売りに出されるけれども、その価格は一株当たり幾らになりますか。

神田政府参考人 お答えします。

 有価証券届け出書では、想定売り出し価格は一株三千七百九十円というふうになっております。

 ただ、この価格につきましては、需要状況等を勘案の上、九月十日に最終的な売り出し価格は決定される予定でございます。

穀田委員 そうすると、総株式数でいいますと一億八千万株強ですから、六千八百七十億円になる勘定で、約二倍近くなる。

 そうすると、日航の支援は、企業再生支援機構が総額三千五百億円を二〇一〇年十二月一日に出資した。これに対して、日航は第三者割り当て増資として一億七千五百万株、二千円で発行しています。このほか、二〇一〇年十二月二十四日に二千株、四百万円。これは当時の日航役員二十名に、一人二十万円で買わせている。

 さらに、会社更生法の手続終了直前の二〇一一年三月十五日にも六百三十五万株、総額百二十七億円を発行している。当時会長、現名誉会長の京セラの稲盛さんも買っているようであります。発行された株式を取得した会社名、取得株数、価格について回答されたい。

大串大臣政務官 当時の第三者割り当て増資のときの一株当たりの価格は二千円でございました。

 当時、第三者割り当て増資をしてそれを引き受けた者は、先ほど名前が挙がりました京セラ以下の八社であったというふうに存じております。

穀田委員 名前を言ってくれと言っているだけだから、京セラ以下というのはどういうつもりかいね、京セラは買っているということを言っているわけだから。

 会社名を言ってくれと言っている。もう時間がないからあれだけれども、京セラが二百五十万株、五十億円で買っている。それから大和証券五十億円、そのほか東京海上日動火災だとかジェイティービー、こういったところやね。それを言ってくれと言っているんです。

神田政府参考人 御指摘の内容については、既に有価証券届け出書で公表されております。

 京セラ、大和証券、そのほか、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上、それから阪急交通とジェイティービーということで、既に開示されているところでございます。

穀田委員 そうすると、上場によって、京セラも倍近い利益がある。だから、日航が上場すれば、結果として稲盛氏の身内の会社も五十億円近い利益を生むということになるわけですよね。稲盛氏は必ずもうけになることがわかっていて京セラなどに株式を割り当てたんじゃないかと考えられるけれども、簡単に言えば、稲盛氏はもうかるということがわかっていたんじゃないかという疑いは免れないわけですよね。

 そこで、一つ聞きたいんですけれども、日航が債務超過を解消したのはいつか。いつ解消したか。

神田政府参考人 債務超過を解消いたしましたのは、平成二十二年の十二月時点で解消いたしております。

 この情報につきましては、翌年一月末に裁判所に提出いたしました月例報告にこの情報も含まれておりまして、債権者等の利害関係人は誰でも閲覧可能な状況となってございます。

穀田委員 さっきから聞いていると、公表しているんだ公表しているんだと、一体何が言いたいのかよくわからぬけれども、そんなことわかって聞いているんだから、あなたのところはちゃんと答えたらええのや。その最後の答えなんか要らぬのや、それが何やちゅうねんと私は言いたいわけや。公開しているだ公表しているだって、当たり前やんか、皆知っているのだから。確かめているだけやんか。何でそんなことを一々言わなあかんのか、本当にわからぬわ。

 問題は、今わかったように、いいですか、ここからが大事なんです。債務超過が解消されたのは二〇一〇年の十二月なんです。しかも、営業利益が、更生決定後から九月までに千七百億円に上ることが確実だったんです。そして一万六千人の人員削減も達成していた。だから、会社がその時点で二次破綻するだとか、潰れるだとかいうことについての認識は経営陣にあろうはずがないんですよ。要するに、解消するということが十二月末にあったわけでしょう、利益も上がるということなんかを含めて言えば、二次破綻だとか、潰れるとか、経営陣にあろうはずがない。

 私が何を言いたいかというと、結局、その実態を知っているからこそ、稲盛氏は当時、不当解雇、整理解雇をやったわけですけれども、そういう問題について、解雇は経営上必要なかったと言っているのは、実はそこに根拠があるんですね。

 公的資金の支援を受けて大もうけしたのに、税金は免除される、その上、身内の企業に大もうけさせる、こんなやり方が許されるはずがない。企業の社会的責任、経営モラルからしておかしい。しかも、大もうけしたのは、売り上げが上がり、商売がうまくいったからじゃないんです。一万六千人の人員削減によるコストカットによるものであります。先ほども言いましたように、こういうときに、経営上、解雇は必要なかったと裁判で証言しておりながら、整理解雇、首切りまでやって、それをいまだに撤回しようとしない。だから、ここには、実は従業員を犠牲にして大もうけするということがありありと見える。

 国がこのような公的資金を入れたのは、こんな再生支援のやり方というのは正しいとお思いですか。その辺、大臣にお聞きしたいと思います。

吉田(お)副大臣 日本航空につきましては、再生支援決定時の政府声明におきまして、我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っていることから、同社が再生を果たすまでの間、政府としても必要な支援を行うとされております。

 この方針に従いまして、政府として、裁判所の関与による透明性、公平性が確保された手続である会社更生法の適用と、企業再生支援機構による支援が行われてきたものと承知しております。

 これらの支援は、日本航空の再生のために必要な措置であったと考えております。

穀田委員 それは公式の文書なんですよ。それはわかっているんです。

 問題は、今私が指摘したように、一つは、公的支援を受けて大もうけしたのに税金も免除、それから身内の企業に大もうけさせる、その上、従業員は首を切る、こういうやり方が再生支援として行われた結果、生まれている事象なんですね。

 あなた方の言っているのは、吉田副大臣が言っているのは、こうやってきました、こういう立場ですというのは、当時の日航支援についての公式の考え方なんですね。その考え方がこういう結果になっているんだが、そういう再生支援のやり方はよかったのか、こう聞いているんです。

吉田(お)副大臣 繰越欠損金は税制上の一般的な制度でありますし、今御指摘の解雇の問題につきましては、現在司法の場で争われており、その推移を見守りたいと。

 そして、今委員の御質問で申し上げますと、これは再生のために必要な措置であったと考えているということであります。

穀田委員 見守ると言っているのと、必要な措置であったというのは分けて言っているんだよね。それは確かだね。

吉田(お)副大臣 もう一度申し上げますと、別で、これらの支援については再生のために必要な措置であったということ。

 そして整理解雇の問題については、現在司法の場で争われておりますので、その推移を見守りたいということであります。

穀田委員 改めてわざわざ聞いたのは、その違いは違いではっきりさせておかないとあかんからね。

 そこで、この間の質疑の中で、大臣は、利益なくして安全なしというのは間違いだと。実は、私が指摘したのは、これは稲盛氏の経営哲学なんですね。もうけ、利益ばかり優先する再生手法は、結果として安全もないがしろにしてきたということを私は何回も指摘してきたわけです。

 先ほど述べましたけれども、コスト削減のために台風の中を突っ切ることだとか、骨折しているのに交代もせずに操縦桿を握っていて、到着後、病院に救急搬送される機長までいるし、機内では、客室乗務員には物品の販売にノルマが課せられ、保安要員としての任務を散漫にさせる。さらに、カートの飛び出しなど不安全事例が相次いでいる。さらには、こんなことまで起こっている。JALは管制官が速度を上げるように指示しても従わない。速度を上げれば燃料を食うから、こういうことまで報道されている事態です。

 安全確保が大前提ということは大臣もおっしゃっているし、何回も議論してきました。私は、一番大切な安全性と公共性を、再生に当たって貫かねばならないということは自明の理だと思うんです。しかし、それを実行するためには、繰り返し求めて言いますが、やはり整理解雇したベテラン労働者を職場に復帰させることだと考えています。

 行き過ぎた人員削減で、現場をやめていくパイロットが後を絶ちません。この間、客室乗務員の話をしましたが、パイロットも随分減っています。それで、運航乗務員が足りなくなって、急遽大量募集をやる。結局、気に入らない労働者を更生計画の名で無理やり解雇して、足りないから新たな人員を募集するなど、道理のないことを平気でやる。こんなやり方を許しておいて、再上場したから、再生はめでたし、めでたしでいいのか。

 私は、再生させる前に、国民がおかしいと思う点の是正の指導を行うべきだと思います。先ほど航空局長は不公平の問題についていろいろ言っていましたけれども、私も、大もうけしているのに税金を払わない制度、身内をもうけさせるやり方、そして公正競争の問題もあるでしょう、そして何よりも、解雇を撤回するように日航を指導すべきではありませんか。大臣に一言聞いておきます。

吉田(お)副大臣 何度も委員御指摘の、利益なくして安全なしというお言葉でございますけれども、これは、稲盛名誉会長の雑誌におけるインタビュー記事をもとにしたものと承知しております。日本航空からは、安全と経営は車の両輪であり、安全を守ることと利益を追うことは両立可能であるという趣旨であると聞いております。

 いずれにいたしましても、日本航空におきまして、安全運航の確保を大前提として確実な再生が図られるよう、国土交通省といたしましても引き続き指導監督をしていく所存でございますし、今御指摘ございました整理解雇の問題に関しましては、現在司法の場で争われており、その推移を見守っていきたい、かように考えている次第でございます。

穀田委員 稲盛さんの考え方は雑誌で言っていることだと。もし国土交通省がそういう見解でいるとすれば、本当に甘いなと思うんです。

 やります、必死になって頑張りますと言うてもやらない人が多いのに、そういう考え方を哲学として表明し、何度も私がここで言いましたように、その哲学の中で、JALのフィロソフィーということで、結局、安全の項目を外したことまで明らかにしているわけじゃないですか。そういった点も見ずにやっている。よっぽどのお人よしだなと私は思います。

 ですから、神戸新聞などは、政府の役割というのは投資ファンドじゃないと言っているんですね。つまり、安全、安心を最優先して、それでこそ任務が遂行できる、それを保障するのが国の責務だと言っているわけですね。

 私は最後に言っておきたいと思うんですけれども、やはり再生の根本は安全の確保なんです。それと、一番最初に言った規制緩和が極めて結びつく問題だ。政府が、一方では安全をと言って、大臣も副大臣も含めてそれが前提だと言うけれども、実際は、片一方で規制緩和をやって、安全問題についての規制を緩くする。こういうことをやって、しかも、もう一方ではいろいろなことで、今日の国民の税金をつぎ込んでやっていることに対する怒りがある。

 私は、こういうことをしっかり踏まえてやるべきだということを主張して、終わります。

伴野委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利です。

 きょうは経営再建中で再上場を目指すJAL問題の審議でありますが、最初に、八月二日に宮城県の東北自動車道で三十一人がけがをした高速ツアーバス事故についてお尋ねをしたいと思います。

 四月の関越自動車道で起こった高速ツアーバス事故を受け、監査を行った上で緊急対策を講じて、七月三十一日から高速ツアーバスから高速バスの新制度への移行を始めた途端の事故であります。少なからず衝撃を受けたわけであります。

 この事故についてですが、事故を起こした運転手が軽度の脳梗塞を患い、医師から運転を控えるように言われていたという報道がありました。さらに、運転手の乗務時間が十一時間半に達し、国交省が設けた夜間高速ツアーバスの新基準にも違反をしている、こういうこともお聞きをいたしております。七月には東北運輸局がこのバス事業会社の同じルートの検査をしたところ、乗務時間をチェック項目から外し、検査で見逃していた、こういう報道もございました。

 現在も調査中とは思いますが、事故の原因についてわかっている範囲でお答えをいただきたいと同時に、国交省が実施した監査に問題はなかったのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

奥田副大臣 八月二日の東北自動車道でのツアーバス事故でたくさんのけが人が出ましたけれども、まず、事故に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私どもとしても、四月二十九日の悲惨な事故を大きな教訓として、委員御指摘のように、緊急対策、そして重点監査というものを進めて、そしてまた、その緊急対策を実施した直後ということであり、大変残念な事故でありますとともに、私たちとしてもじくじたる思いを持っているところでもあります。

 今、事故ということで、直接原因の方は警察の取り調べという中で、居眠り運転の可能性が強いという御指摘をいただいておりますけれども、その背景となるところは、やはり安全管理体制というものに問題があったのではないか。そして、私どもの重点監査の中にも、委員御指摘のように、乗務時間のチェックが万全ではなかったというところもありますので、そのことは早急に正した上で、また事業者の方々を指導していきたいというふうに思います。

 また、関東運輸局の方では、この事故前から点検項目の訂正ということはやっておりましたけれども、このバス事業者の監査に入ったときには、乗務時間という項目が入っていなかったということも確かであります。乗務時間あるいは健康管理ということもありますけれども、そういった問題もしっかりと精査をして進めていきたい。また、精査を行っているところでもあります。

 私どもとしても、公共交通機関、ましてや旅客事業にとって安全はやはり全ての基本であるんだということを、私どもも含めて周知徹底を図っていきたいと思います。

中島(隆)委員 関越自動車道の事故も今回の事故もそうでありますが、過酷な労働条件、運行距離も、それから連続運転の時間も、これらが運転手の事故の原因だということで、新しい基準が設けられて実施された直後であるわけで、監査された中でも、指摘が漏れていた、乗務時間の項目が漏れていた、こういうことでございます。今回は関越自動車道以降、監査されたわけでありますが、監査要員が不足しているのではないか、こういう指摘がなされています。

 貸し切りバス事業だけで二千二十、そのうちの高速バスが二百、監査担当が二百八十一、こういう非常に少ない中で監査がされたわけでありますが、問題は、この監査体制の人員で本当に十分な監査ができたのかどうか、そこが一番問題だと思うんですが、その点についてはどうですか。

奥田副大臣 中島委員からは、この監査体制について何度か御質問もいただいております。ここ十年で三倍の人員にまで監査体制をふやしているということも御承知と思いますけれども、やはり現在でも監査体制にまだ問題があるのではないかという問題意識は省の方も持っております。

 そして、ちょうどあすから、八月八日からでありますけれども、こういった中期的テーマの幾つかの検討会の一つとして、自動車運送事業者に対する監査のあり方に関する検討会を開始することとなります。年度中に結論を持ちたいと思っておりますけれども、その途中であっても、一つの監査体制に対する効果のあらわれる提言というものを少し中間的にもまとめることができましたら、すぐにまた実施体制の中に盛り込んでいきたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 今後の対策では、やはり運賃の適正化あるいは参入規制などの根本的な対策が私は必要だと思うんです。

 今回、恐らく行政処分もされるだろうと思いますが、やはり今後再発を防止するためには、こういう業者に対する徹底的な監査と、それから、事故を起こした、あるいは違反を起こした業者に対する徹底的な行政処分も必要だと思うので、ぜひ万全な対策をとっていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 JAL問題についてお尋ねをいたします。

 今年三月期の決算で、JALは、営業利益が二千四十九億円、純利益が千八百六十六億円と、過去最高の利益を記録いたしました。また、今年度の第一・四半期の連結業績を見ましても、売上高、営業利益ともに過去最高益を記録しております。

 莫大な債務を抱え経営破綻した企業が短期間で業績回復している要因はどこにあるのか、まずその点をお尋ねいたします。

長田政府参考人 先生御指摘のとおり、日本航空の営業利益でございますが、破綻直前の平成二十年度はマイナス五百八億円でございました。それが、平成二十三年度末には二千四十九億円の利益に回復しております。

 これは、需給構造に合わせまして増減便を行ったり、あるいは投入機材の見直しを継続的かつ機動的に行うということで増収に向けた取り組みを実行するとともに、人件費の削減のほか、不動産賃借料の削減を初めとする各種の経費の削減、それから円高による燃油費の削減など、こういった措置の結果だというふうに考えております。

中島(隆)委員 業績が回復していること自体は好ましいわけでありますが、今回のJALの経営再建のあり方について、公的な支援を行っている以上、国交省としてもしっかりとした総括が必要ではないか、こういうふうに思っております。

 例えば、最高益を記録した三月決算を見ますと、売上高はJALよりもANAの方が高いわけでありますが、営業利益はJALがANAの二倍以上、純利益に至っては六倍以上高くなっているわけであります。この要因は、先ほどもありましたが、企業再生支援機構による三千五百億円の公的支援、あるいは銀行団による五千二百億円の債務免除、さらには一万六千人の人員削減、赤字路線の廃止、こういうリストラによるコスト削減が進んだからであろうと思います。

 本当に収益力が強化されているのかどうかという指摘もされていますが、これらの指摘についてどのような受けとめをされているか、改めてお尋ねいたします。

長田政府参考人 先生御指摘のとおり、二十三年度決算においては大きな利益を上げたわけでございます。

 その原因としては、先ほど申し上げましたように、人員削減等の人件費の削減だけでなく、燃油消費量の減少、あるいは航空機の機種数を削減して整備費を減少させるといったリストラ効果のほかに、会社更生法適用による財産評定効果、それから債権放棄による金利負担の軽減等の公的支援による効果も含まれております。

 また、そもそも、日本航空に対して公的資金の投入や既存株式の一〇〇%減資等の支援が行われ、日本航空の事業が継続されたからこそ達成された業績でもあります。日本航空の業績回復は、こういった公的支援と日本航空による今の人員削減等の自助努力の総合的な効果というふうに考えております。

中島(隆)委員 私の思いとしては、JALの経営破綻は、経営陣の放漫経営や政府の空港拡張政策などが無視することのできない原因だったと思います。

 しかしながら、経営再建の柱が、一万六千人の人員削減や職員の賃金カットなどに大きく依存していると思います。そして、本委員会でも何回も指摘をしてきたわけでありますが、経営再建中にパイロット八十一人と客室乗務員八十四人が整理解雇されました。今、裁判がされているわけであります。司法の判断に首を突っ込むわけではないわけでありますが、働く人にこれだけの負担をかけながら利益を上げてきた。しかも、JALは、来春から客室乗務員の新卒者採用の計画をいたしております。その数を見ますと、七百十人という数の募集計画がされています。であれば、この整理解雇は何であったのかと疑問に思わざるを得ません。

 経営再建に汚点を残さないためにも、整理解雇された職員を職場復帰させることが検討されるべきではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねをいたします。

羽田国務大臣 日本航空の再建のためには、安全な運航の確保を大前提としつつ、人員削減を含む再生計画全体についての確実な実施が不可欠であったというふうに考えております。

 お尋ねの件については、日本航空の再生の過程で、日本航空が多くの方々に自主的な退職をお願いせざるを得ない中、最終的に整理解雇という事態になったというふうに承知をしております。具体的な人員削減の進め方については、日本航空において適切に判断されたものと考えております。

 本件については、現在、司法の場で争われておりますので、その推移を見守らせていただきたいというふうに思っております。

中島(隆)委員 先ほど穀田議員からもありましたが、稲盛会長の経営政策、経営理念でありましたか、利益なくして安全なしという、この理念が直接この経営再建の中に貫かれているというような気がするんです。適切な再建策であった、こういうことを言われていますが、特に、一万六千人を人員整理して、今回、七百十名を採用する、こういう状況というのは、再建計画の中で、まさにこの経営理念そのものが問題であったというふうに私は思うわけであります。

 特に、羽田大臣は、安全の確保が大前提であると。先ほど副大臣も申されました。今後の再建計画、再上場しますけれども、今後のJALの経営姿勢について、やはり雇用、安全については厳しく正していただきたいというふうに思います。

 次のJALの経営再建については、企業再生支援機構による融資や銀行団の債権放棄があったほか、繰越欠損金を課税所得と相殺する法人税の控除制度も大きな影響を与えていると思います。

 そこでお伺いしますが、JALの経営破綻に対して、二〇一〇年一月直後の有利子負債額が一兆二千億円程度であったと記憶しておりますが、二〇一〇年のJALの欠損額は最終的には幾らになるのでしょうか。

 さらに、二〇一〇年度、二〇一一年度の両年度、この欠損額から課税所得と相殺される、控除された額はそれぞれ幾らになるのか、この点についてお尋ねをいたします。

長田政府参考人 日本航空におきます、会社更生法の申請時、これは二〇一〇年一月十九日でございますが、この時点における欠損金額は三千六百億円と聞いております。

 また、欠損金による法人税の繰越控除額でございますが、二〇一一年三月期につきましては課税所得がなかったために法人税の控除はなく、二〇一二年三月期の控除額は三百五十億円であるというふうに推計をしております。

中島(隆)委員 繰越欠損額は二〇一一年度に税制改正されました。JALの場合は旧制度の適用となります。そうしますと、仮に二〇一〇年度末に一兆二千億円の欠損金が発生している場合、七年間にわたって課税所得から欠損金の全額が控除されるわけですから、大変な額の納税を免れるわけであります。

 実は、法人税の繰越欠損金につきましては、社会保障と税の一体改革の審議の中でも質疑をし、指摘をしてまいりました。不良債権問題で公的資金の注入を受けた金融機関が、つい最近まで、この制度の恩恵を受けながら法人税の納税をしなくて済んだわけです。財政面を含めた公的な支援を受けながら、その後に経営改善し、利益を上げても納税しなくてもいいというのは、国民感覚からすると受け入れられないのではないかというふうに思います。さらに、JALの場合は、急激な利益回復を受け、投資活動を活発化させる計画も持っています。

 問題なのは、公的支援を受けた企業が、その再生の過程において、他社との競争が損なわれたり、あるいは圧倒的に有利な立場になることをどうしても考えないわけにはいきません。EU、欧州連合では、公的支援をする企業の経営に関してガイドラインが存在します。日本においても、公的支援を受けた企業の納税や投資活動のあり方などについて一定のルールの検討が必要ではないかと思いますが、これについてお尋ねをいたします。

羽田国務大臣 今般の日本航空の再生に係る国の関与や公的支援の内容については、今後、国土交通省の交通政策審議会において、その一連の過程について報告し、議論をいただくこととしております。その一環として、今言われた航空分野における企業再生と公的支援に関するガイドラインの策定についても検討を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

 なお、EUのガイドラインについては、EUと日本では制度の前提が異なってまいります。我が国においてガイドラインの策定を検討する場合には、関係府省を含めて十分な議論が必要と考えております。

中島(隆)委員 時間が参りましたが、JALの問題については、上場するということになりましたけれども、まだ職員の裁判等を含めた大きな雇用問題も抱えています。安全な運航を果たすために、今後もさらに日航の再建については厳しく指導していただきたいと思います。

 私の質問を終わります。

伴野委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

伴野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 午前中の質疑をずっと伺っておりまして、何かやはりよくわからない、はっきり説明いただけない部分がかなり多いなという印象を受けました。JALの再生につきまして、会社更生法の適用に加えて公的支援がなされた、この二本立てでいったということに本当に問題がなかったのかというのが、午前中の質疑者の基本的な視点だったと思うんですね。

 特に、瀬戸参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、もともと三千億支援する予定だったけれども、それが三千五百億まで膨らんできた、プラスもっと考えられないのかということで債権者側からいろいろ要望があった、更生計画をきちんとやっていく上には債権者の同意が必要だからという御説明でした。それはよくわかるんですが、午前中にも各委員が、なぜこの時期に第三者割り当て増資だったのか、三月十五日という時点になったのか、そこの理由がよくわからないんじゃないかというような趣旨の質問が何度もありました。

 瀬戸参考人からは、将来の安定株主確保も目的、そういうこともあったんだという説明があって、そこは、なるほどなという理解はできるんですけれども、三千五百億のスキームがきちんとできて、前年の末には債務超過状態も脱却したというところになって、なぜこの百二十七億の第三者割り当てが必要だったのかなと、素朴に疑問に思うんですね。

 もともと、瀬戸参考人が債権者の皆さんといろいろ交渉されていて、この三千五百億にあとどのぐらいあれば債権者の協力が得られるというような、もともとの増資予定というのはあったんでしょうか、その百二十七億を超えて。最終的には八社が応募してくれたという数字が午前中に出てきましたけれども、新聞報道等によると、もっと多く、二十社以上に声をかけたけれども断られたというような話もありますので。

 そうすると、三千五百億プラス幾らの増資が当時必要だったというふうに認識されていたのか。それができなくて百二十七億になったのか。この百二十七億というのはどういう経過でなったのかを御説明いただけますか。

瀬戸参考人 午前中にも御説明申し上げましたが、更生計画策定の過程で、特に主要金融機関でございますが、債権者との交渉の過程で、JALは財務基盤が非常に弱いので、ちょっとしたイベントが発生すると、また再び債務超過の状態になり得る計画では我々は賛成しかねる、もっと厚い財務基盤、資本の厚みを用意しろ、こういう御指摘を受けました。そこで、企業再生支援機構としては、当初予定していたものから五百億円積み増しをして、三千五百億円の出資をすることにいたしました。

 しかしながら、債権者の方からは、それだけではなくて、なお資本を積み増しする、財務基盤を強化するための措置をとるべきである、こういう御指摘がありましたので、追加増資の条項についても更生計画の中に定めました。それとあわせて、当面に危機的なものが発生した場合、危機対応の問題として機構がコミットする条項も入れてほしい、こういう要望もございました。そこで、そのような条項も入れさせてもらいました。

 我々は、三月の末に更生手続を終結するという当時としての目標を立てておりました。したがいまして、その時点までに金融機関からの借り入れを受けられる状況をつくらなければいけなかった。三月末をめどに債務超過を解消する、こういうことを我々は申していたんですが、それが先ほど、どの先生の御質問だったかちょっと失念しておりますけれども、十二月の末には債務超過状態を解消することができました。そのころに、この増資の問題についても十数社の方々に出資の御意向をお願いしまして、結果、八社、合わせて百二十七億円の出資をいただけた。

 そのことによって、我々は、追加出資を各債権者に対して、更生計画に基づいて誠意を持って出資をお願いしているということ、それから、債務超過状態についても年末にそれを解消することができたということで、三月末の金融機関からのリファイナンスを受けることができて、そこで更生計画を終結することができた、このような経過でございます。

富田委員 午前中に自民党の徳田先生が言われていたんですけれども、今の三千五百億のプラスアルファ分は、機構の方で政府とちゃんと交渉して、上乗せしてもらえばよかったじゃないかと。今の参考人の御説明の中にも、危機管理対応にコミットしてくれということで、そういう条項も入れたとおっしゃっていましたよね。そこも含めて考えると、わざわざ民間資金を集める必要はなかったんじゃないかという疑問があるから、午前中もいろいろな質問が出たんだと思うんですね。

 本来は、やはり機構の方できちんと政府と交渉して準備すべきだったというふうに思うんですが、その点はどういうお考えですか。

瀬戸参考人 これは、基本的な公的支援に対する考え方かもしれませんけれども、できる限り民間から支援をお願いして、資本を入れていただいて、公的な、国としてリスクを負う資本の投入は最小限度にすべきだろうと私どもは考えておりました。その結果、三千五百億円が限度であろう、こういう結論に至ったわけでございます。

富田委員 できる限り民間の資金をという思いはわかるんですけれども、結果として民間資金百二十七億を入れて、でも、その時点ではどこが出資したか公表しませんでしたよね。この公表しなかったということが、インサイダーじゃないのかとかいう疑惑を生んでいる。非上場会社だからインサイダーじゃないというふうに言われるのかもしれないけれども、疑惑を持たれたのは公表しなかったという点が大きかったんじゃありませんか。その点はどう思われますか。

瀬戸参考人 先生御指摘のように、非上場会社でございますし、これは私募の方法での募集でございましたので、それぞれの株主の名前は公表しないということを前提としておりました。

 にもかかわらず、当時、報道で、今になってみればかなり正確な株主名が報道されておりましたが、その時点で、そのことについて、なぜ私の方にも声をかけてくれなかったのかというようなことは私の耳には届きませんでした。

 以上でございます。

富田委員 最終的には有価証券報告書でどうせ公表されるんだからというような思いがあったのかもしれませんけれども、やはり後になって見てみると、そのときに公表しなかった、本来は、公的資金をこれだけ入れているんだから、民間で応募する際にもそれと同じようなレベルでのきちんとした透明性を出すことが、客観的な支援だというふうになるんだと思うんですね。そこがちょっと欠けたんじゃないかと私は思うんです。

 午前中の瀬戸参考人の御説明ですと、増資の問題については委員会の決議事項ではない、ただ、委員会では十分議論したというふうに御説明されました。決議事項ではないけれども、議論はしたんだと。

 そうしましたら、午前中、自民党の徳田先生の方から、議事録を出してもらいたいというお話がありました。これは議事録を出すおつもりはありますか。この委員会に提出するつもりはありますか。

瀬戸参考人 機構の委員会の議事録については非公開とされております。

 所定の手続をとられてお申し出になれば、それはそれでまた別途、法的な範囲で我々は検討しなきゃならぬ問題だろうと思っております。

富田委員 委員長、今のようなお答えですので、ぜひ理事会で協議していただいて、やはり不透明さをなくすという意味でもこれはきちんと提出していただいて、各委員に配付をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

伴野委員長 ただいまのお申し出につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 ある学者の先生がこの問題について論文を書かれていまして、第三者割り当て増資はこの時点で、監督サイドである機構の方でとめるべきだったんじゃないかというふうに言われています。実際に、委員会の議論の中でもそうした指摘があったんじゃないかというような論文も発表されています。

 この委員会で手続がとられた場合には、どういう議論がされて増資に至ったのか、これを明らかにすることが、今いろいろな方面から疑惑を持たれていることを払拭することにもなると思いますので、ぜひ参考人の方でも御協力をいただきたいというふうに思います。

 もう一つ、内閣府の方からも政府参考人に来ていただいていますけれども、JALの増資過程についていろいろ疑問を持たれる、この百二十七億の第三者割り当て増資についても疑問を持たれている。このときに、機構の主務官庁である内閣府の方でも、機構なり委員会の方から説明を求めて、本当にこの百二十七億の増資が必要だったのかどうか、きちんと監督すべきだったと思うんですが、今、その点についてはどういうふうに思われていますか。

神田政府参考人 お答えさせていただきます。

 企業再生支援機構法上は、機構自身が出資をしますとか、支援決定するという重要な決定をする際には、主務大臣が意見を申し述べるという機会を確保することになってございますけれども、この場合は管財人として増資をするということでございますので、主務大臣がこれについて意見を述べるとか、逐一、出資者ですとか額について関与をするという仕組みにはなってございませんでした。

 基本的な理解としましては、先ほど来ございますように、更生計画の中に、イベントリスク等に対応するために増資を検討するというふうに書いてございましたので、更生計画に書いてある事項を、裁判所の許可を得て増資をするということでございましたので、そのように報告を受けておりました。

富田委員 神田さん、今、報告を受けたという話はいいんだけれども、今になって見てみて、透明性に欠ける部分があるというふうに認識しませんか。そこはどうですか。

神田政府参考人 私どもの理解としましては、あくまでも更生計画自体の中に、イベントリスク等に対応するためには、資産超過にはなっておりましたけれども、その資産超過額が非常に少ないということで、さらなる追加の資本増強を検討するというふうにされておりましたので、そのための増資であるという理解でございましたので、その段階では、更生計画に定められた事項を、裁判所の許可を得て実施するものという理解をしておりました。

富田委員 今のは全然違うんですよ。それは、会社更生法の法律的な手続の方に議論を逃げているわけ。

 主務官庁としては別の形で監督権限があるわけでしょう、三千五百億も公的なお金が入っているんだから。更生計画で決まっているから、それは法律の方の、裁判所の問題ですと逃げているのと一緒ですよ、神田さん、今のは。三千五百億ものお金を私企業に出しておいて、主務官庁の義務は何にもないんですか。そちらの観点から、もう少しきちんと再生機構の方を監督すべきだったんじゃないのですかということを聞いているんですよ。どうですか。

神田政府参考人 先ほど委員長の方からも答弁がございましたけれども、この追加的な増資の検討をすることによって金融機関等の理解を得てリファイナンスをしまして、二十三年の三月末に更生手続の終了を目指すということも更生計画に書かれておりました。

 誠実に更生計画を実行することによって、早期に更生手続を終結させるということのためにも必要なものであったというふうに理解をしておりましたので、我々としてはそれを、報告を受けていたということでございます。

富田委員 午前中、ちょっと急な通告だったので、神田さんに来ていただいたので、あなたにはそれ以上の答弁はできないでしょうから、もう一度この航空問題をやる機会があるようですから、そのときには政務三役に来ていただいて、政治家としてどういうふうに考えているのかを、きちんと意見をいただきたいというふうに思います。

 今こういうふうに、会社更生法の問題と公的資金投入の問題とは本来別々の話なのに、全部法律的な手続の方に逃げている。これは、一つは、瀬戸参考人が両方の立場で、機構側の人間あるいはJAL側の人間、本来なら監督する側の立場の人が、監督される側の管財人の執行者にもなっている、ここの部分にやはり多くの人は疑問を持っていたんだと思うんですよ。

 もうずっとこういう管財、あるいは倒産法のプロ中のプロの参考人ですから当然おわかりだと思うんですけれども、私は、なぜ御自分一人でこういうことをやられたのかなと思うんですが、今、その点について何か感想はありませんか。

瀬戸参考人 今回の日本航空の再建の支援に当たって、なぜ会社更生手続を併用したのかということをまず御説明申し上げる必要があろうかなと思います。

 日本航空のような非常に巨大な会社で、一般的なデューデリジェンスでは判明しかねるような偶発的な債務が発生して、後日、公的な資金を投入した後にとんでもないことを発見する、こういうことがあってはならないということで、偶発債務から確実に遮断できる手続をとるべきだろう。これが公的手続をとるべきだということの一番の理由にもなります。いずれにしましても、計画の不確実性を排除して、抜本的な、実現可能な計画を立てなきゃならぬだろうと思いました。それから、巨額の公的資金を投入することになりますので、国民への説明責任を果たすためにも、できる限り透明で中立的な、また公平性を高めた手続をとるべきだろうということで会社更生手続を採用することにいたしました。

 その中で、私自身が管財人になったことについて御意見をいただきましたので、経過を御説明申し上げますと、当時、東京地裁と会社更生手続を進めるに当たって、管財人をどうするかということを当然のことながら意見交換をいたしました。

 法人が管財人になるということは、通常はそう例がないわけでありますが、今回は企業再生支援機構という法人を管財人にしてもらいたい、将来的にはスポンサーにもなるわけでありますので、法人である管財人とあわせて、個人としての法律家の管財人、弁護士の片山弁護士がなったわけでありますが、そういう体制でこの会社更生手続を進める方向にしてみたい、こういうふうに裁判所の方に申し上げました。

 そういう中で、法人が管財人になったとしても、必ずその職務を執行する人間を指定しなければいけません。会社更生手続というのは、先生も御承知だと思いますけれども、非常にテクニカルなところもございますので、それに精通している者ということで、私はこれまでに会社更生の管財人を何件か経験しておりますので、私が職務執行者の一員になるということは裁判所との協議の中でも当然の前提とされていたことでもありました。

 そういう中で、機構として、職務執行者として二名を指定しました。私と機構の専務の中村彰利、この二名を職務執行者として選任し、それを裁判所にお届けし、裁判所の承認を得た、こういうことでございます。

 したがいまして、私は、企業再生支援機構、これはJALだけではなくてほかの案件もたくさんやっておりますけれども、日本航空の案件に関しては、その決議に加わることは適当ではないだろうということを考えまして、日本航空の再生の支援決定、買い取り決定、出資決定については、その決議には加わっておりません。委員長代理の方に議長をお願いして議事を進めていただいております。

 以上でございます。

富田委員 今の説明は、プロの方が聞けばある程度理解されるのかもしれないけれども、一般の方は全然理解しませんよ。利益相反行為をやっているんじゃないかというふうに疑念を持たれるだけですよ。これ以上これをやってもしようがないですから、それを指摘しておくだけにとどめます。

 国交省に聞きますけれども、このJALの再生のように、会社更生法の適用に加えて公的支援がなされたことはこれまでに例があったんでしょうか。

長田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど塩崎先生から、海外の例についてお問い合わせがございました。必ずしも公的支援と会社更生法というわけではございませんが、私どもの航空企業におきましても、例えばエア・ドゥは、民事再生法の適用を申請しまして、その過程で、債権放棄あるいは既存株主の一〇〇%減資等を行いながら、政投銀を中心とするファンドが出資をして再生を行っております。

 また、同じように、スカイネットアジア航空でございますが、これは平成十六年でございますが、産業再生機構が支援を決定いたしまして、産業再生機構が出資をしながら、一方で株主の減資等も行っております。必ずしも全く同じような例ではございませんが、同じような例がございます。

 また、それ以外に、公的支援の結果、株式上場を行ったケース、あるいは私的整理から産業再生機構の活用に至ったケースなどがございます。

富田委員 長田さんはわかっていて答えていらっしゃるんだろうけれども、全く同じようなパターンではないんですよね。それぞれ、その時々の法律に基づいたり、いろいろな形でやっているので、今回は二重に支援したわけですから、相当注意深くやるべきだったなというふうに思います。

 午前中からもいろいろ質問が出ていましたけれども、この公的資金はなぜ投入できたんだと。日本経済全体あるいは国民生活に重要な影響を与えるというような答弁もありましたし、路線をきちんと維持したいというような答弁もありました。その午前中の答弁からすると、JALが再生の計画に当たって、いわゆる生活路線から次々と撤退していったわけですけれども、これは問題なかったんですか。

長田政府参考人 JALの再生の過程で、とにかく事業構築をするということで、これは国内線だけでなくて、国際線の方についても大幅にカットをしたわけでございます。

 その中で、特に国内線につきましては、午前中も議論がございましたが、四十二の路線を廃止しております。これは基本的に、いわばローカル・ツー・ローカルの路線でありまして、いわゆる離島路線は三十一ございますが、これはJALは廃止をしておりません。ローカル・ツー・ローカルの路線を四十二廃止しておりまして、四十二のうち二十二は別会社が運航しておりますが、残り二十のうち、例えば中部と小牧のように、あるいは関空と伊丹のように、近くに路線があるものが六つ、広島西のように、そもそも空港が閉港するものが二つございますが、それ以外については現実に路線が失われているということでございます。

 一方、この間、新規にJALとしても八路線を開設しておりまして、その中には福岡―奄美、あるいは沖永良部―与論、こういった路線がございます。私どもとしては、そういう国内線のネットワークの維持発展に貢献する企業として日本航空は発展をしていただきたいと考えております。

 再生の過程におきまして、今申し上げましたように、地方路線の削減をせざるを得なかったということは事実でございますが、今後、地方路線の拡充等、地域の航空需要の拡大を通じた地域の活性化対策について検討を行うよう、今お願いをしているところでございます。

富田委員 今、地方路線の拡大、検討をお願いしていると言われまして、午前中、大臣からもその旨ありましたし、藤村官房長官の方からも、そういうふうにお願いしている段階だと、記者会見でありました。これはぜひ、期限を区切るなりして、具体的に、本当に困っているところを、これだけ利益が出ているわけですから、国交省の方からも強く指導をしていただきたいというふうに思います。

 今、四十二路線撤退したと言われましたけれども、その少し前からを考えると全部で四十九、撤退しているんですね。そのうち三十四はJAL単独路線でした。これはかなり影響が大きいので、やはりここはもう少し、国交省の方からも具体的な指導をしていっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、午前中からもいろいろ問題がありましたが、公的資金による支援を受けながら新規路線参入、新しい航空機を四十五機も買う、こういう流れというのは本当にいいんでしょうか。公正取引委員会の委員長も、できるだけ支援は最小に、そして他業種への影響も最小になるようにするのが、こういう場合の基本理念だろうというふうに午前中言われていましたよね。

 それから考えると、JALは公的支援を受けながら、今回の三千五百億の出資の前に、つなぎ融資三千六百億を受けているんですよね。三千六百億のつなぎ融資を受けながら、二〇一〇年の四月二十八日には、羽田からサンフランシスコ、パリ、ホノルル、バンコク、台北の五路線の開設を発表する。十月三十一日に就航を開始した。先ほどもずっと出ていましたけれども、一一年の五月二十七日にはボストン開設を発表。二〇一二年二月十五日には、成田―サンディエゴ、成田―ヘルシンキの開設も発表。

 これは、今までのジャンボ機だったら採算はとれなかったけれども、787を導入することによって、二百数十人以上のお客さんがいないと赤だったのが百数十人で利益が出ると、JALの社長が自分で言っているんですよね。公的資金をもらいながら、自分たちの稼ぎ路線だけどんどんやっていく、機材も新しいものにどんどんかえる。やはりこれはちょっと、今これから国民の皆様に消費税を含めたいろいろな御負担をしていただくというときに、こんなの本当にいいの、というふうなのが素朴な疑問だと思うんですけれども、大臣、どうですか。

羽田国務大臣 日本航空は、国民生活や経済産業活動を支える我が国の航空ネットワークの維持発展に貢献する企業として、確実な再生を果たすことが必要であると考えております。その観点に立って、新規の路線開設や事業投資についても、更生計画で定められた方針にのっとり、管財人たる企業再生支援機構と日本航空が、再生支援の趣旨に沿って適切に判断を行ってきているものと考えております。

 具体的には、新規路線については、更生計画において、国際線は欧米主要拠点及び成長市場であるアジア路線における業務需要をメーンターゲットとしながら、羽田及び成田発着を中心としたネットワークを構築するとされていることを踏まえて、適切に判断したというふうに考えます。

富田委員 午前中から同じ答弁をされるんだけれども、会社更生法の手続にのっとっているから、のっとっているからと言うんですけれども、JALとANAがあって、余りにもちょっとANAに過酷なんじゃないかなというふうに、午前中の質疑、答弁を聞いていて思うんですね。

 時間がないのでこちらから指摘しますが、会社更生法適用前後のJALの有利子負債の推移を見ますと、二〇〇八年に一兆四千四百十九億の有利子負債があったのが、二〇一一年には二千八十四億まで減っているんですよ。航空会社は、航空機を含めて大きな機材がありますから、一兆円規模で有利子負債がある。ANAはいまだに九千六百三十六億の有利子負債を抱えています。これだけ有利子負債を減らしている、それで、先ほど来ずっとお話がある、繰越欠損金で税金も免除されている。

 午前中に長田局長の方から、三千六百億の繰越欠損金があると言われました。会社更生法適用で約九千億円分、また繰越欠損金が出てきたんじゃないかというふうに推定されています。詳しい数字はわかりません。トータルで一兆二千六百億円の繰越欠損金があるとすると、実効税率、法人税、事業税、住民税、平均三八パーで計算すると、約四千八百億円の法人税がこれから免除可能になる。

 有利子負債はこんなに減らす、税金も四千八百億払わなくていい。これで対等な競争になりますか。どう考えたってならないですよ。ここは二年前に、きちんとすべきだというふうにこの委員会で議論したのじゃないんですか。当時、私はここに所属していませんでしたけれども、我が党の竹内議員たちも質問していまして、四月十三日に、国土交通行政の基本施策に関する件で日本航空問題をやっていますよね。

 その中で、全日空の伊東社長が見えて、二点だけお願いしたいと言っています。

 一点目は、日本航空に大規模な公的資金が投入される中で、公正公平な競争環境の堅持を図っていただきたく、欧州連合のようなルールの設定をお願いしたい、これも出ていました。もう一点は、公的資金の使途を含めて、適切な情報開示が適宜行われるべきと考えている、この二点はぜひお願いしたいというふうに言われた上で、弊社も厳しい経営環境の中で、グループ従業員約三万人が、安全運航の堅持とともに、必死に業績回復に向けて努力を重ねており、自力で経営を行っている者に不利益が及ばない仕組みを我が国でも築いていただきたい、こういうふうに要望されていました。

 やはり、二年間何をやってきたのかなという思いが強いんですね。EUのルールは日本にはそのまま適用されないんだということを午前中ずっと答弁されていたけれども、生活の玉城さんが、日本らしいルールをつくればいいじゃないかという質問をしていましたよね。そのとおりだと思うので、これから上場に当たって、これまでずっとこういうことが問題になってきたんだから、やはり国土交通省としても、今後のJALのあり方について何らかの指針をきちんと出していくというぐらいの決意を示すべきだと思うんですよ。

 最後に、大臣、どうでしょうか。

羽田国務大臣 今言われたことは私も強く感じているところでありまして、ガイドラインについては、これから国土交通省の交通政策審議会において、今までの過程をしっかりと報告し、そういう中で議論をいただく中、その一環として、航空分野における企業再生と公的支援に関するガイドラインの策定についても検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

伴野委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 二〇〇九年以来、本委員会を初めとして、おかげさまで二百五十回ぐらいの国会質問をしてきたんですが、私の初めての国会質問は、この委員会におけるJALの経営破綻に関する質問でした。それ以降も、会社更生法と公的支援を併用するという例のない手厚い対応で国がJALの経営を救済する、これが本当に正当化されることなのか、また、更生計画の妥当性についてもいろいろお尋ねをさせていただいてまいりました。

 また、今もお話がありましたが、公的支援を受けたエアラインが存続し、事業を行うことで、競争環境をゆがめる、こうした懸念についても御指摘をさせていただいてきたところであります。

 このJALの経営再生、また再上場、この異常さというのは、今お配りをした二つのグラフに尽きているのではないかというふうに思います。

 ごらんをいただければわかるとおり、JALの最終利益一千八百六十六億円というのは、世界のエアラインの利益の半分を占める、こういうものなんだそうです。一方、自力経営をしているANAは、ごらんのとおり二百八十億円。六・六倍の差がJALとANAでついてしまっているわけです。

 これは、内訳はもういろいろ質疑で出ているんだと思いますが、営業利益二千四十九億に対して、JALは最終利益千八百六十六億。ANAは、実は営業利益は九百七十億出しているわけですけれども、最終利益は二百八十億。JALの営業利益と最終利益がほとんど変わらないのは、今もお話が出ましたとおり、会社更生法の特例などによって、これまでに購入した機材の評価損等を繰越欠損金、期限切れ欠損金として算入して、法人税等の負担を免れているからであります。先ほど数字も出ましたが、会社更生法により払わなくて済む法人税や事業税等の税負担は四千八百億になる、こういう計算があるということでございます。

 さらに、これは下のグラフですけれども、金融機関の五千億円もの債権放棄によって有利子負債をがっと圧縮したわけですね。このグラフを見れば、二〇一一年の有利子負債は二千八十四億。さっき出ましたけれども、一兆四千四百十九億円だったものが、たった三年間足らずで二千八十四億になっている。自己資本比率は四〇%、そして、世界のエアラインでも、ごらんのとおり、ぴかぴかの健全経営をしている。このままいくと、二〇一二年度には実質的に無借金経営になる可能性が高い。破綻企業が二年かそこらで、これは私は、やはり異常なんじゃないかと思います。

 しかも、JALは、売り上げそのものはふえていないんですから。借金棒引きと税金棒引き、公的資金による資本注入でこれをつくり上げてきているわけですから。しかも、この間、ANAはもちろん自力経営をしているわけです。別にどちらかの肩を持とうとかいうことではなくて、余りにもこれは一方的な経営支援のあり方ではないかと言わざるを得ないというふうに思います。

 しかも、このJALとANAの二社体制の中で、幾ら経営破綻をしたからといって、片方が政府によってこんな支援を受けて、そして片方よりも圧倒的に有利な状況にしていくこと、これを本当に正当化できるんでしょうか、まずお尋ねをしたいと思います。

羽田国務大臣 国土交通省としては、航空各社が活発に競争しながら、利用者利便を高めていくことが望ましいというふうに考えております。

 平成二十三年度の決算では、全日空と、公的支援を受けた日本航空との間で、営業利益で約二倍、当期純利益では約六倍の業績差が生じており、この業績差が、今後、航空会社間の健全な競争環境の確保に影響を与え、利用者利便に支障が生じるおそれがあることは否定できないというふうに思います。

 このために、国土交通省としては、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられていないかどうかを確認するために、一定期間、日本航空の再生状況を監視することとし、必要に応じて指導助言を行っていく考えであります。

柿澤委員 破綻企業として公的支援で救済されるJALと、自力経営のANAが対等条件で競争するのはおかしいということで、公的資金を受けた航空会社の業務拡大を抑止するEUのガイドラインの話なんかも、私も二〇一〇年の国会質疑で行わせていただいてきました。

 こういう形で一定の歯どめをかけるべきだとお話をしてきたんですが、先ほどの答弁を聞いていますと、これから検討するというんですから、これは、JALがこんなに丸抱えでよくなって、ANAが傾いたときにガイドラインを適用しようという話なのか、こういうふうにも思ってしまうわけであります。やりたい放題やっておいて、そして事が大体落ちついて再上場を迎えたら、今度はガイドラインだ、こういう順番になっているのは甚だおかしいというふうに思います。

 それに加えて、前原国交大臣、当時の国交大臣ですが、公的資金が投入された企業とされていない企業で公平性が失われることがあってはいけない、そして、何らかの措置を考えなければいけない、必要があれば是正措置をとる、こういうふうにおっしゃってきたわけですよね。

 この間、JALは何をやってきたか。先ほど富田先生がまさにおっしゃられていましたけれども、三千六百億のつなぎ融資で何とかしのいでいた、その期間に、国際線の新規路線を五つも開設して、そしてLCCのジェットスターに出資をする。それで、ボーイング787を四十五機購入ですよ。事業拡大に乗り出している。

 ボーイング787の四十五機購入に充てる金額というのは、投資金額としては四千八百億だ、こういう話なんですけれども、この四千八百億というのは、ちょうど会社更生法の適用期間中に法人税等を棒引きされる額とほとんど一緒だという計算になるようです。つまりは、税金を棒引きしてもらって、そのお金で最新鋭機を買って事業を拡大しようという、こういうことをやっているわけですね。

 問題は、この間に、国交省はこの辺のところを何か言ってきたのかという話なんですよ。この二年間、国交省として、こうした状況を横目で見ながら、JALに対して、こうした業務拡大ととられかねない事業の展開について物申してきたことはあったのか、お伺いをしたいと思います。

長田政府参考人 大臣が何度もお答えを申し上げておりますように、まずは、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがあってはならない、これは、今委員御指摘のように、前原大臣もそういう認識を持つというふうに言っておられました。

 我々は、それを受けまして、いわゆる国交省としてできることということで、日本航空の運賃について、これはいろいろな運賃の申請があるわけでございますが、これを個別に常に審査しながら、いたずらな値下げを行わないよう個別ごとに指導することによって競争環境の適正化を図ってまいったところでございます。

 また、前原大臣の答弁以降、実は、更生計画が認可をされて、今、実施をしているわけでございますが、基本的に、確かに新規路線ということはございますけれども、トータルとして見れば、国際線で四割、国内線で三割の大幅な事業縮小をしております。また、航空機の機材数も、将来的には787を四十五機購入するわけでございますが、今は、基本的に、退役するジャンボの代替として少し787が入ってきているという状況でございまして、機材数で見てもトータルで三割削減しているということでございます。

 我々は、こういう状況をしっかりと点検しながら、健全な競争環境が阻害されないように、これまでもやってまいりましたが、引き続きやってまいりたいと考えております。

羽田国務大臣 今局長が言われたことにプラスして、日本航空に対しては、再生過程において地方路線の大幅な削減や、関係者の理解のもとに債権放棄、また、減資や公的資金の投入等の協力が行われてきた経緯を踏まえた上で、地方路線の拡充や地域の航空会社に対する支援、これはHACを私は頭に入れているわけですけれども、こういうことに、社会に対する貢献、方策等について検討を行うよう、既に要請をしているところであります。

柿澤委員 これは要するに、国土交通省として、今までの事業の展開というのは、公的支援を受けたこうした航空会社、JALが、市場環境として公平公正な競争をねじ曲げた、ゆがめた、こうしたことは今までの実績としてはない、こういう認識を語られたということでよろしいわけですね。

長田政府参考人 私どもとしては、現状においてそういう不公平が生じているというふうには認識をしておりませんが、ただ、こういう業績差を見ると、今後の推移によってはそういう不公平になりかねない可能性があるので、そこはしっかりとチェックをしてまいりたいというふうな視点でございます。

柿澤委員 この点をチェックするのは国土交通省なんですか。全体の事業再生計画の執行を管理監督する企業再生支援機構が果たすべき役割というものはないんでしょうか。お伺いをしたいと思います。

大串大臣政務官 お答えします。

 企業再生支援機構の役割、立場から申しますと、御案内のように、機構において支援計画をつくり、それを、委員会の方で支援基準に応じているかどうかということを確認した上で支援決定するわけでございます。その支援決定の基準の中に、過剰供給構造になっていないか等といった項目もございます。

 この点も踏まえて、適切なものとなっているかを踏まえて今回支援決定が行われた、機構との兼ね合いでいうとそういうことになります。

柿澤委員 今御答弁をいただいたとおり、これは、企業再生支援機構の支援基準にも「事業再生計画の実施が過剰供給構造の解消を妨げるものでないこと。」という文言があるわけです。つまりは、事業再生計画の実施によって、支援対象企業が、自力経営している競争相手と過剰供給の消耗戦を繰り広げる、こういうことがあってはならない、こういう趣旨なんだと思います。

 これは、JALとANAの関係ではどうか。例えば、成田―ロサンゼルス間は七社が運航しています。ニューヨークは六社が運航している。しかも、この間、単価も下落をしています。これは過剰供給構造というふうに言えるのではありませんか。しかし、JALはこの路線を維持しています。

 こうした状況に照らしても、支援基準に適合した再生計画をJALが執行してきた、このように言えるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

大串大臣政務官 先ほど申しましたように、支援決定の際に、支援基準に沿っているかどうか、機構の方及び委員会の方で見て決定します。その中に、過剰供給構造になっていないか、その解消を妨げないかという点がございます。この過剰供給構造の解消を妨げるものでないという判断をする際の考え方としては、事業再生計画において供給能力の増加が図られていないということを確認するということになっております。

 今回支援決定された内容でございますけれども、路線からの撤退、機材の退役、あるいはダウンサイジング化等々が行われておりまして、これら全体として見て、過剰供給構造の解消を妨げるものではないという判断で、支援基準に適合しているということを判断したわけでございます。

 機構とのたてつけでいうと、支援決定の際に政府として意見を申し上げることができる、こういうことになっています。その際には、政府内でもいろいろな議論をしますし、所管大臣において、所管分野の需要構造等々から見てバランスを失していないかということを担当の省庁からも意見を言っていただける、そういう構造になっています。

柿澤委員 つまりは、内閣府は、意見を言うという形でこの間のJALの経営にお墨つきを与えてしまっている、こういうことになるのではないでしょうか。

 先ほど来、企業再生支援機構の意思決定機関である企業再生支援委員長であった瀬戸弁護士、きょうも委員会に来られていましたけれども、支援決定後はJALの管財人になって、なおかつ、更生手続の終結後はJALの取締役となっているわけです。監督側と執行側が同一人物によって兼ねられている。こういうことになっているのが、結局、歯どめのかからないまま、私から言わせれば、公平公正を無視したなりふり構わぬ公的支援による経営再生策をとることにつながったのではないかと思えてなりません。

 もう一個、余計なことですけれども、加えて言えば、これは二〇〇九年の民主党政権発足時に起きた出来事でありましたので、しかも、稲盛さんに三顧の礼をもって来てもらった、こういう経過もあるわけですので、失敗させることが政権としてもできなかった。こういうことで、結果として、こんなにも手厚い、前例のないような支援を行ってJALを救済してきた、こういう結果になったのではないですか。

 瀬戸さんの問題について内閣府はどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。

大串大臣政務官 今御指摘がありましたように、いわゆる法人の管財人という立場で機構が加わっています。その機構の職務執行者であるという意味で、瀬戸さんがいらっしゃる。その瀬戸さんがJALの社外取締役であった。瀬戸さんは企業再生委員会の委員長でもある。こういった中で、これが利害が反しないかということでございます。

 機構法上、機構の意思決定において、特別の利害関係を有する委員は企業再生支援委員会の議決に加わることができないという形になっています。こういった形で利益の相反を排していくという形になっておりまして、実際に、JALに関する意思決定においても、瀬戸委員長は意思決定から外れるという形で運用されているというふうに聞いています。ですので、利益相反等々の疑念の生じないように運用してきているというふうに理解しております。(発言する者あり)

柿澤委員 これは、私はやはり実態から見ていくしかないと思うんですね。いろいろな御答弁は可能なのかもしれませんけれども、同一人がわざわざ監督側と執行側を兼ねるような形になっている。今いみじくも、弁護士さんというのは一人しかいないんですか、こういう不規則発言が飛びましたけれども、この間、まさにそういう形で展開されてきたこと自体が、やはりいろいろな疑念を招くことになった。今回は触れませんでしたけれども、増資の問題もそうだと思います。

 こうした疑念をもたらしてきたということをどのように総括するのか、そのことを皆さんに一つ警鐘として申し上げて、質問時間は少し余しているんですけれども、終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伴野委員長 次に、第百七十七回国会、内閣提出、交通基本法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣羽田雄一郎君。

    ―――――――――――――

 交通基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

羽田国務大臣 ただいま議題となりました交通基本法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 交通は、国民生活及び経済活動にとって不可欠な基盤でありますが、交通に関する取り組みについての骨格となる枠組みが存在しないため、これまで個々の分野での個別の対応に終始してきました。

 しかしながら、我が国においては、現在、人口減少、少子高齢化の進展や地球温暖化の防止に関する取り組みの必要性の増大、国際競争の激化といった交通を取り巻く社会経済情勢が著しく変化してきております。また、これまでの交通に関する施策については、交通サービスを利用する側の視点や国民の視点からの検討が必ずしも十分であったとは言えず、交通利用者や国民の視点に立った施策への転換が求められているところであります。

 このような変化に適切かつ十分に対応するためには、人が社会で生きていく上で必要な人と物の移動にかかわる施策を総合的に再構築し、これを計画的に推進していくことが必要であることから、交通に関する基本的な計画の根拠となる基本法を制定することが大きな課題となっております。

 この法律案は、このような趣旨を踏まえ、交通に関する施策について、その基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項、国等の責務を明らかにすることにより、交通安全対策基本法と相まって、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とするものです。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、交通に関する施策について、その基本理念を定め、国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者及び国民の責務を明らかにすることとしております。

 第二に、政府は、毎年、国会に、交通の動向及び政府が交通に関して講じた施策に関する報告等を提出することとしております。

 第三に、政府は、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通基本計画を定めることとしております。

 第四に、交通に関する基本的施策として、国及び地方公共団体の施策を定めることとしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

伴野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十四分散会


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