第4号 平成25年4月3日(水曜日)
平成二十五年四月三日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君
理事 松本 文明君 理事 望月 義夫君
理事 三日月大造君 理事 井上 英孝君
理事 高木 陽介君
赤澤 亮正君 秋本 真利君
穴見 陽一君 井林 辰憲君
岩田 和親君 大西 英男君
門 博文君 後藤田正純君
國場幸之助君 斎藤 洋明君
坂井 学君 桜井 宏君
白須賀貴樹君 瀬戸 隆一君
中村 裕之君 長坂 康正君
林 幹雄君 原田 憲治君
平口 洋君 ふくだ峰之君
前田 一男君 宮澤 博行君
務台 俊介君 村井 英樹君
小川 淳也君 大畠 章宏君
田嶋 要君 寺島 義幸君
中根 康浩君 吉田 泉君
鷲尾英一郎君 坂元 大輔君
西岡 新君 三宅 博君
佐藤 茂樹君 樋口 尚也君
杉本かずみ君 中島 克仁君
穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
復興副大臣 谷 公一君
内閣府副大臣 寺田 稔君
国土交通副大臣 梶山 弘志君
防衛副大臣 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 亀岡 偉民君
国土交通大臣政務官 赤澤 亮正君
国土交通大臣政務官 松下 新平君
国土交通大臣政務官 坂井 学君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 長田 太君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 三輪 和夫君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 安藤 友裕君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 大庭 誠司君
政府参考人
(財務省主計局次長) 福田 淳一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 高島 泉君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 小川 誠君
政府参考人
(水産庁漁政部長) 柄澤 彰君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 深澤 淳志君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 西脇 隆俊君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 大森 雅夫君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 佐々木 基君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 川本正一郎君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 足立 敏之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 前川 秀和君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 井上 俊之君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 森 雅人君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 山縣 宣彦君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 田村明比古君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 杉田 伸樹君
政府参考人
(観光庁長官) 井手 憲文君
政府参考人
(気象庁長官) 羽鳥 光彦君
政府参考人
(海上保安庁長官) 北村 隆志君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 梶原 成元君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 黒江 哲郎君
国土交通委員会専門員 宮部 光君
―――――――――――――
委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
後藤田正純君 村井 英樹君
若宮 健嗣君 瀬戸 隆一君
泉 健太君 中根 康浩君
若井 康彦君 吉田 泉君
柿沢 未途君 中島 克仁君
同日
辞任 補欠選任
瀬戸 隆一君 穴見 陽一君
村井 英樹君 後藤田正純君
中根 康浩君 田嶋 要君
吉田 泉君 鷲尾英一郎君
中島 克仁君 柿沢 未途君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 若宮 健嗣君
田嶋 要君 泉 健太君
鷲尾英一郎君 小川 淳也君
同日
辞任 補欠選任
小川 淳也君 若井 康彦君
―――――――――――――
四月二日
建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
三月二十九日
一般乗用旅客自動車運送事業法の早期制定に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第二〇九号)
同(照屋寛徳君紹介)(第二一〇号)
同(松原仁君紹介)(第二一一号)
同(三日月大造君紹介)(第二一二号)
同(若井康彦君紹介)(第二一三号)
同(小川淳也君紹介)(第二六〇号)
同(大畠章宏君紹介)(第二六一号)
同(辻元清美君紹介)(第二六二号)
同(古本伸一郎君紹介)(第二六三号)
同(渡辺周君紹介)(第二六四号)
同(岸本周平君紹介)(第二七五号)
同(辻元清美君紹介)(第二七六号)
同(階猛君紹介)(第二八八号)
同(菊田真紀子君紹介)(第二九三号)
同(高木義明君紹介)(第二九四号)
同(高木義明君紹介)(第二九八号)
同(吉川元君紹介)(第三一〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長久保成人君、大臣官房技術審議官深澤淳志君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長大森雅夫君、土地・建設産業局長佐々木基君、都市局長川本正一郎君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、海事局長森雅人君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、政策統括官杉田伸樹君、観光庁長官井手憲文君、気象庁長官羽鳥光彦君、海上保安庁長官北村隆志君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長長田太君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長安藤友裕君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、財務省主計局次長福田淳一君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長小川誠君、水産庁漁政部長柄澤彰君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君及び防衛省運用企画局長黒江哲郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。
○務台委員 ありがとうございます。長野二区選出の、新人の務台俊介でございます。
私の地元はアルプスの麓でございまして、国土交通省には、砂防から河川から国営公園から道路から、さまざまな分野で大変お世話になっております。
御存じのとおり、長野県は十数年前に長野オリンピックというのをやりました。そのオリンピックを支えるために、公共事業が飛躍的にふえた時期がありました。長野新幹線も、オリンピックに間に合わせるようにつくっていただきました。本当にありがたいことだと思います。
ところが、その後の県政の政権交代で打ち出された脱ダム宣言の結果、大幅に公共事業が削減されたということになっております。その結果、県内経済が非常に落ち込み、県民所得が、長野県が大幅に落ちた、そういう事実もございます。さらに、その後の政府の財政構造改革の中で、さらなる公共事業の削減がなされたということで、ある意味で長野県は経済的な面から見ると大きな波をこうむった、そういう経緯がありました。
一番直接の影響をこうむったのが地元の建設業界の方でございまして、彼らの目から見ると、県政や国政の政策の大きなぶれで苦境に陥ったという思いが強いというのもまた事実でございます。
一方で、今回は、国土強靱化ということで、公共事業を大きく積み増す動きが出ているということで、これはこれで非常にありがたいということなんですが、残念ながら、事業量がふえればそれで事業実施が円滑にいくかというと、そこが結構ネックになっている、そういう事実があります。
既に、事業者の方の事業執行体制が相当細っている。私も、選挙中、地元に入ってみると、知り合いの土木業者の社長さんがみずから現場に出てフォークリフトを運転している。これは全然珍しいことではない。聞いてみると、人が雇えないんですと。そういう実態がありまして、本当にこれで大丈夫かなということを聞いております。
先週、松本に戻りまして、ハローワークにちょっと数字を聞いてみましたところ、直近の常勤の新規の求人倍率、一般の業種だと一・一六でございますが、建設事業のそれが三・一五ということでございます。求人数が八十五名に対して、求職者が二十七名、完全な売り手市場になっている。有効求人倍率でいうと、全体が〇・六九で、建設業のそれが一・六六ということなんだそうです。
そこで、厚労省に伺いたいんですが、全国の建設業の新規の求人倍率、有効求人倍率、その数字、これがほかの職種と比較してどうかということをまず教えていただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年二月の全国の建設・採掘の職業におけるフルタイムの新規求人倍率は三・三八倍、有効求人倍率は二・三倍となっております。全国、職業全体におけるフルタイムの新規求人倍率の一・一二倍、有効求人倍率の〇・七三倍に比べ、人手不足の状況でございます。
○務台委員 ありがとうございます。
今お示しいただきましたように、新規求人倍率、有効求人倍率ともに、建設業が平均に比べて非常に大きい。全国でも三・三八ということで、これは、職を求めている人が就職しやすいという点でいうといいと思いますが、一方でいうと、建設業に人が集まらないその証拠だというふうに思います。
なぜそういうふうになっているかということを考えてみた場合に、建設業の人気が最近なくなっている、きついということもあるでしょう。それから、長期展望がなかなか持てないということもあるでしょう。
しかし、私は、政府の設定したシステムにもその原因が潜んでいるのではないかというふうに思います。それは、公共工事における労務単価の設定のあり方が結果としてそうなっているんじゃないかというふうに思います。
そこで、まず、公共工事設計労務単価について、政府からお話を伺いたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
国が行う公共工事につきましては、予定価格は、予算決算及び会計令によりまして、取引の実例価格、需給の状況等を考慮して適正に定める、こういうことになっているわけでございます。
この予定価格の積算に必要な、お尋ねのありました公共工事設計労務単価についてでございますけれども、この考え方に基づきまして、昭和四十五年度より、原則として毎年十月に、現在では約二十万人の建設労働者につきまして、賃金台帳等により賃金の支払い実態の調査を行いまして、都道府県ごと、職種ごとに、国土交通省と農林水産省が設定しているところでございます。
なお、この公共工事設計労務単価につきましては、国が行う公共事業についてのものでございますけれども、地方公共団体にも参考として提示しておりまして、広く活用されているところでございます。
○務台委員 ありがとうございます。
今の局長の説明は、大変真っ当な、妥当なシステムのように思われますけれども、しかし、これまで仕事が少なくて、価格競争が非常に激しい、落札価格がこれまで下がってきている現状では、入札時に、工事をやる段階で人件費も削らざるを得ない、そういう現実があったと思います。
今局長おっしゃったように、労務単価は実勢単価調査をもとに決定されているということもあり、削った人件費をもとに単価がまた引き下げられるという、一種の負のスパイラルに陥っているということもこれまであったかと思います。まさに人件費のデフレスパイラルが労務単価算定システムに組み込まれてきてしまった、そういう結果があったのではないかというふうに思います。
そこで、国交省に伺いたいんですが、これまでの全国の労務単価がどのような推移を示してきたか、そのことについてちょっとお示しいただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事設計労務単価の推移を見ますと、平成九年度をピークとして、以降、下落を続けておりまして、平成二十四年度の単価の平均を見ますと、平成九年度、ピーク時と比べますと約七割ということになっております。
このように、大幅な下落傾向が続いてきました原因といたしましては、最も大きいのは何といいましてもいわゆるデフレの状況が継続してきたということでございますけれども、それに加えまして、建設業界におきましては、過当競争によるダンピングが頻繁に行われる、こういう状況下にございます。
こうした中で、賃金の調査方法におきましても、必ずしも十分に実勢を反映できていなかった面もあるのではないかと考えているところでございます。
○務台委員 ありがとうございます。
今のお話、これまで必ずしも実勢を反映できなかった面があったのかもしれないという、ちょっと反省に似たお話もあったんですが、昨今、平成二十五年度の公共工事設計労務単価について、新たに通知を発したというふうに承知しておりますが、その内容と、そこに盛り込まれた考え方について御説明賜れればと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまお話ありましたように、平成二十五年度の公共工事設計労務単価につきましては、この三月二十九日に公表いたしました。
そこにおきましては、長年の賃金の低下と、それに起因します建設技能労働者不足が顕著になってきた中で、労働市場の実勢価格をできるだけ適切に反映したいということでやったわけでございます。具体的には、ダンピングの影響を受けている落札者の単価を用いるだけではございませんで、落札者以外の応札額についても調査対象とするなどの措置を講じたところでございます。
また、法令により加入が義務づけられている社会保険への加入に必要な法定福利費相当額、これにつきましても反映させていただいたところでございます。
加えて、東日本大震災の被災地におきましては、労務費の上昇等によりまして入札不調が増大しておりまして、こういうことを踏まえまして、機動的に単価を引き上げる措置も講じたところでございます。
こうしたことにより、全国平均値で対前年度比一五・一%、東日本大震災の被災三県では二一・〇%、こういう上昇になったところでございまして、賃金の継続的な下落に歯どめがかかったものと考えているところでございます。
○務台委員 ありがとうございます。
これまでにない大幅な引き上げをしていただいたということは、それはそれで大変な御努力をいただいたというふうに思います。特に、落札者だけでなく応札側の事情も加味された、あるいは福利厚生費を加味されたということを、ありがたいことだと思います。
それはそれでありがたいことなんですが、さらに改善点があり得るのではないかという観点に立ってちょっと御提案を申し上げたいと思うんですが、設計労務単価を引き上げるということ、その引き上がった額については、その額自体に落札率を乗じてはいけないということがあり得ないのか。つまり、その設計労務単価は労働者の方にそのまま行くんですよと、丸々、完全に保障する。つまり、人件費に対しては基準価格の設定率一・〇を保障する、そういうことがあり得ないのかなというふうに思うんですが、そこについて国土交通省のお考えをちょっと伺いたいと思います。
○松下大臣政務官 お答えいたします。
国土交通省が行っております工事では、工事の品質を確保するために、予算決算及び会計令に基づき、低入札調査基準価格を定めてございます。
調査基準価格を下回りますと、契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると判断して、応札者に対し、適切に履行できるかどうか、調査を行っております。
調査基準価格の設定に当たりましては、直接工事費、現場管理費等に一定の割合を乗じた額の合計値を用いております。
このうち、人件費につきましては、材料費、機械経費とあわせて、工事目的物の施工に直接必要となる経費、いわゆる直接工事費に含まれてございます。
直接工事費の内訳ですけれども、工事の内容によって異なっておりますが、一律、直接工事費全体の九五%を一つの目標として調査基準価格を設定してございます。
一方で、務台委員御指摘のとおり、技能労働者に係る適切な賃金水準の確保は喫緊の課題であります。また、低入札調査基準価格のあり方につきましても、別途御指摘をいただいているところでありまして、今後、早急に検討してまいりたいと思います。
あわせて、今回の労務単価の引き上げに関しまして、建設業団体に対しては、適切な水準の賃金の支払いに対する配慮など、また、地方公共団体に対しましては、引き上げた平成二十五年度設計労務単価の早期適用を要請するなど、関係者と連携した取り組みを進めてまいります。
以上です。
○務台委員 ありがとうございます。
今の御説明、制度のメカニズムの説明としては納得できるものなんですが、今後の制度改正において、直接工事費の中に含まれる労務単価、これを抜き出して、これはもう別枠にして、これに落札率を掛けるようなことはまかりならぬ、そういうことを出していただけないかというふうに思います。そうすることで、建設業の労働者の賃金がしっかりと保障されることになると、そこに人も集まる、そういうことになっていくと思うので、ぜひ、しっかりとした考え方を今後まとめていっていただきたいというふうに思います。
それで、この公共工事設計労務単価についての根本的な制度というのが、予算決算及び会計令というのがあるということでございますが、ここにおいて、取引の実例価格等を考慮してこれを定める、そういうことがあります。
私、ちょっと霞が関にいたことがあるので、制度の枠組みの中で仕事をするということがありまして、予決令のこの考え方に結構縛られ過ぎているんじゃないか、過度に縛られ過ぎているんじゃないかというふうに思います。
取引実例価格というものですから、労務単価も実勢を見なければいけない、その結果、どんどんダンピングに引きずられて設定単価を低くしてきた、そういうことがこれまであったのではないかというふうに思います。制度の仕組みはよくても、デフレ環境下でこれを動かすと、それが経済の足を引っ張ったり、人件費を過度に下落させる、結果としてそういう原因になってきたのではないか、そういう気もしております。
そこで、アベノミクスで賃金を引き上げよう、そういうこともあるんですが、この予決令の中で、取引の実例価格を考慮して適正に定めるという、この政令を暫定的に改正して、例えば、賃金のあるべき水準とか目標水準をこの中に設定して、それをベースに価格を設定していい、そういうことを考えていくべき時期ではないかというふうに思います。
特に、麻生財務大臣がいらっしゃって、アベノミクスを全面的にやっていこう、その中で、財務省所管の政令がそのブレーキ役になっているようなことになってはまずいのではないかというふうに思うんですが、財務省のお考えを伺わせていただきたいと思います。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事を初め国が発注する契約は、御存じのとおり、公正性、経済性の原則に基づいて行うということから、御指摘の会計法令は予算を適正に執行するためということで定めているものでありまして、特定の行政目的なんかをそこへ織り込んでいくというのは、ちょっとなじまないんじゃないかなと私どもとしては考えております。
ただし、御指摘にありましたとおり、過度にとらわれているというお話がございましたが、御指摘の予定価格の予決令は、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易等々を考慮して適正に定めなければならないと規定されておりまして、取引の実例価格のみをもって算定せよということではなくて、費用として見積もれるものはこれを考慮して適正に算定せよ、そういう趣旨で定められているものでございます。
○務台委員 ありがとうございます。
財務省としては精いっぱいのお答えかなとも思うんですが、特定の政策目的を推進すべき国交省としてはどういうふうにお考えか、伺いたいと思います。
○松下大臣政務官 お答えいたします。
公共工事設計労務単価におきます予算決算及び会計令の意義及び解釈につきましては、会計法令を所管する財務省におきましてまず検討すべきと考えております。
その上で、今回の改定において取り組みましたように、調査手法の改善やダンピング対策等を実施することにより、現在の枠組みの中で若い人材が入職しやすい環境をつくることも可能であると考えておりますし、またそうしなければならないというふうに考えております。
今後とも、建設労働者の賃金が適切に確保されるよう、務台委員御指摘のとおり、調査手法のさらなる改善等に取り組んでまいりたいと思います。
以上です。
○務台委員 ありがとうございます。
予決令を根本的に直すというのは確かに難しいかもしれませんが、事業法の中でこの解釈を相当弾力化するというようなことを踏まえて、今回、設計労務単価を引き上げていただいた動きをさらに加速するような運用を、ぜひしっかりやっていただけないかというふうに思います。これはぜひともやっていただきたいと思います。
さて、今回、単価設定していただきましたが、設計、落札後の実際の資材調達あるいは人件費の支払いは、契約の時点と実施の時点に大きなタイムラグがあるというのは一般的でございます。結果的に、人件費などの上昇分を反映させるのが難しいという状況があると思います。物価スライド制度というものがあるというふうに承知しておりますが、これがなかなか認められるケースはそうは多くないとも聞いております。
そこで、既に契約した工事について資材価格などが上昇した場合に国交省としてどんな対応を行っているのか、あるいはこれから改善を講ずべき点があるのかどうか、そこらについて御説明いただければと思います。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
工事の契約は民法上の請負契約でありますから、原則的には、受注者は請負代金で工事を完成いただくというのが基本でございます。
しかしながら、国土交通省の工事請負契約書におきましては、発注者または受注者は、物価水準の変動のほか、主要な工事材料の単価の著しい変動により請負代金額が不適当となったときは、相手方に対して請負代金の変更を請求することができるというふうになっております。
当省としましては、既に契約した工事について資材価格が変動した場合は、この措置、いわゆるスライド条項を活用して適切に対応してまいりたいと考えております。
一方、委員の方から労務単価のことについても御質問がございました。
現在、被災地においては、労務単価と建設資材単価の両方が上昇しているということで、国土交通省の工事請負契約書第二十五条第六項に定める、いわゆるインフレスライド条項を適用しており、受注者は発注者に対して、労務単価を含め、請求代金額の増額変更を請求することができます。
一方、被災地以外においては、そのような全体的なインフレの傾向が認められていないことから、このインフレスライド条項は適用されてはおりません。
なお、今後、建設資材価格の動向にも留意しながら、インフレの状況にあるかどうか、適宜見定めてまいりたいと考えております。
以上です。
○務台委員 制度の仕組みはわかりましたが、実際にどのくらいのケースでそのスライド条項の適用が認められているのかというのがおわかりになりましたら、教えていただきたいと思います。
○深澤政府参考人 済みません。今、ちょっと調べますので、お時間いただけますでしょうか。
○務台委員 ありがとうございます。
事前に通告しておかなかったので、後で教えていただければと思います。
さて、今回の設計労務単価の見直し、本当にありがたいことだと思います。全国で一五%も上がった。私の長野県でも一八%ですか、大変上がっていて、私が質問をしたから上がったわけじゃないと思うんですが、質問する前から上がっていたので、それは残念だったんですが、本当にみんな喜んでおります。
ただ、はっきり言って、これまで十数年の間に三〇%も下がってきた中で、それがちょっと回復したということでございまして、まだまだ焼け石に水の感はあります。
人件費にお金がかけられないということは、現場によい人材が集まりにくいということにもなりかねないと思います。特に、現職の離職者が多くて、離職した人を埋められない、そんな現状が続いております。現場職人の技術継承にも大きな影響が出ている。特にこの冬なんかは雪がたくさん降りましたけれども、雪かきをする現場の事業者も集まらないというような現状にもなっています。
大災害時の復旧に大きな力を発揮するマンパワーというのは、実はこの建設業の現場に蓄えられてきたというのが偽らざる現状でございます。
建設業の方は、自分の仕事をやっていながら消防団にも加入している、お祭りの担い手でもある、町内会の役員もやっている。全部引き受けているというのが現状でございます。この人たちをそこで生活してもらえるようにするのが、やはり国土交通省の責任ではないかというふうに思います。そういう意味で、ぜひこの業界の底力をバックアップする制度を、英知を結集しておつくりいただくことが必要じゃないかというふうに思います。
国土強靱化、そういう動きがこれから出ていくと思いますけれども、本当に必要なのはマンパワーの強靱化、これなくしてお金を幾らつぎ込んでもだめだというふうに思います。そういう意味で、建設業界の人材確保に取り組む大臣の御決意を伺いたいと思います。
○太田国務大臣 大変大事な論議をいただきました。ありがとうございます。
この建設業界が大変疲弊をしてきて、若い人がなかなか入ってこない、そして職人さんが不足をしてきている。型枠とか、鉄筋工であるとか、とびだとか、特に不足をしている。高齢化ということもあるんですが。
しかし、そこで、どういうふうにしていったらいいかということで私が考えておりますのは、とにかく一つは、建設関係の公共投資、建設投資の減少ということが急激に行われた。また、急に落ちたり急に上がったりということも困るんですね。ですから、この業界あるいは公共事業というものは、老朽化した日本の体制あるいはこれから日本を発展させる貴重なインフラであるということで、一つは誇りを持っていただく業種というものに再建する。
もう一つは、長期的にこれは大事な業種であるということで見通しがきくように、我々がしっかりそれを支えて、急に予算をふやしたり急に減らしたり、また、誇りまで失わしめるということではない、見通しがしっかりきくような、そういうことを我々が示していくということ、また予算的な裏づけもしていくということが極めて重要だというふうに思っています。
また同時に、きょうは設計労務単価のお話をいただきまして、非常に詳細な論議で大変ありがたいと思っております。これが、まず予決令の中で、取引の実例価格を考慮してということが極端に縛られ、また現場のところでは、決めたその労務単価そのものが払われないで現実は違うというように、さまざまな問題がございます。
また、長期に仕事がわたりますから、そこでスライドをするということも非常に大事なことでありますから、さまざまなことをしっかり配慮して、この入札方式の契約制度の問題であるとか、あるいは社会保険への加入の徹底であるとか、あるいはまた、そうした建設労働者の賃金実態の適正な反映、こうしたことをさらにしっかりやっていかなくちゃいけない。
今回、平均一五%、そして東北では二一%引き上げをさせていただきましたが、私は、よくここの調査というものと実態というものを踏まえたことをしていかなくてはならないというふうに思っております。
今後とも、建設産業に必要な人材の確保に向けて全力で努力をしたい、このように決意をしているところでございます。
○務台委員 大臣の力強い決意を伺いまして、私もともに頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、樋口尚也君。
○樋口委員 公明党の新人の樋口尚也でございます。
本日、人生で初めて質問に立たせていただきました。このような機会をいただきましたことに、まず心から感謝を申し上げます。また、金子委員長初め皆様の格別の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
初めての質問でございますので、お聞き苦しい点もあるかとは存じますが、ぜひ御容赦をいただきたいと思っております。
私は、昨年の十月三十一日まで、建設会社に十八年半勤務をしておりました。ほとんど営業マンをやらせていただいておりました。先輩から、仕事をとる上で三つの大きなポイントがあると教えていただいておりました。一つは困難な壁を突破する突破力だ、二つ目には、すぐやる力、スピード感だ、そして三つ目には、何といっても人のために尽くすという心だ、こういうふうに教えていただいておりました。
現在、安倍総理の強いリーダーシップのもと、自公連立政権の、デフレという困難な壁を突破し、スピード感を持って国民の皆様の命と暮らしを守るための取り組みに、心から共感をしております。それとともに、その先頭を走られる太田大臣を初め国土交通行政に携わる皆様の御尽力に、国民の皆様を代表して心から敬意を表しますとともに、私も委員会の一員として、全力でお支えをしてまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、初めに、きょう初めての質問でございますので、私ども公明党の掲げます防災・減災ニューディール、命を守る防災・減災の政策を中心に、特に雇用や人材の確保を中心に御質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、公共工事の長期的なグランドデザインについてお伺いをいたします。
先ほども務台先生から御質問がありましたとおりに、建設業は、建設業者数が今、ピーク時から約二〇%も減少をし、平成二十三年度末で四十八万社、建設業就業者数もピークから約二八%減少をし、平成二十三年度平均で四百九十七万人でございます。賃金は下がり、高齢化は進み、人材不足は顕著になってきております。
釈迦に説法でございますが、ここで少し現場の声を御紹介させていただきたいと思います。大手建設会社、そして二次下請の協力業者、さらには私の地元大阪の中小企業の、五人で営んでいらっしゃるタイル業者さんにヒアリングをしてまいりました。
皆さん、異口同音にこういうふうにおっしゃいます。自助努力は当然として、その上で、長期間、例えば十年や二十年にわたって公共投資の支出を明確にしていただいたら、すなわち仕事があるということが明確になれば、人材の確保や設備投資に踏み出せる、こういうふうにおっしゃいます。
さて、大臣は、三月五日の本会議におきまして、我が党の井上幹事長への答弁の中で次のように述べられました。「近年の建設投資の急激な減少や、それに伴う安値受注等により、経営を取り巻く環境の悪化と、技術者や職人となる若年の入職者の減少が見られる」、「こうした中で、地域の建設産業の健全な発展を図るためには、インフラの維持や整備等の仕事について、将来が見通せるよう、計画的、安定的に行っていくことを示すことが必要だ」と。私も本会議場で、全くそのとおりと大きな声を出し、力いっぱい拍手をさせていただきました。
そこで、質問をさせていただきます。
大臣が所信の中で述べられました「長期的な観点から、災害に強い国土構造に向けたグランドデザイン」、この点につきまして、ぜひとも具体的で、かつ力強いものをお出しいただきたいというふうに思っておりますが、大臣に、それに関する思いと御決意をお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 国土のグランドデザインということはいろいろな角度であると思います。従来から、全総ということを言ったときもありますし、あるいは国土軸というようなことを言ったこともあります。あるいは社会資本整備総合計画というようなこともございます。
災害ということに絞って、脆弱国土をどうするのかということについてお話をさせていただきますと、私は、まず第一に日本は脆弱国土、特に大災害、特に大きな地震に見舞われる可能性があるという、そこの危機意識というものを持って取り組んでいかなくてはならない。これから、首都直下地震あるいは南海トラフの地震等々、ある意味では一七〇〇年代の、ポルトガル・リスボンが大津波でやられまして、ポルトガルの時代が終わったというようなことになりかねない、大変な事態というものを想定して対応しなくてはいけないということが一つ。
そして、何度も申し上げておりますが、高度成長時代につくったインフラが経年劣化をしているという、メンテナンスということが非常に大事な角度であるということが一つ。
それから、これから日本がどう生きていこうかというときに、世界のいわゆる都市間競争というものにさらされると思います。そういう意味では、脆弱国土でありながら、よくここまですばらしい都市をつくり、生活だけでなく活力のある都市というものがつくられたという、都市間競争にたえるだけのものをつくらなくてはいけないんですが、実は、例えば昨年の十月二十九日にハリケーン・サンディがニューヨークを襲ったということで、地下街が相当やられて、この間も視察に多くの人が行っているところです。都市を強くするという中での弱点というものをどのように克服していくかということが、私は三つ目に大事なことだ。
さらに四番目には、建設産業のことをおっしゃいましたが、それを担う建設産業というものは、私は、メンテナンスというのは老朽化した建物のメンテナンスというのと同時に、建設産業のメンテナンスが今必要だというふうに思っておりまして、この建設産業の維持、活性化、あわせてソフト面での防災教育等と組み合わせてそうした災害というものに立ち向かっていき、そして、その中で強い日本をつくっていかなくてはいけないということを強く決意しているところでございます。
○樋口委員 強い日本への四点にわたってお話をいただきました。大変ありがとうございます。
私、建設産業の実情というものを長年、現場でずっと見てまいりました。近年は、仕事がないから人員は削減をしよう、そして機材や設備も手放す、さらには、これ以上仕事を続けると赤字が累積してたまらないから、もうやめてしまおう、こういうことで、まさに負のスパイラルに陥った近年でございました。そして現時点で、建設産業の供給能力というものは不足しつつあるということが明確になっております。現実問題として、東日本大震災の復興のおくれも懸念をされてまいりました。
先日、我が党の先輩の荒木、渡辺両参議院議員が視察をいたしました福島県南相馬市の常磐自動車道の工事においても、現場の所長さんは、二百人ほどの人員が必要だが、実際には約四十人の作業員でやりくりをしていると、人材確保の現状について行政の支援を強く求められておりました。復興の加速化のためにも人材の確保は喫緊の課題でございます。
さて、我が党の山口那津男代表は、現在の好循環を生んでいる理由について、先が見通せる予見可能性を自公連立政権が社会に示していることというのを挙げて、予見可能性を示すこと、この重要性を最近よく語っております。今こそ予見可能性を示し、負のスパイラルに歯どめをかけるときだと思います。
そこで、建設産業の皆さんが将来を見通すことができ、人材の確保、そして設備投資に踏み出すためにも、国土交通行政として、長期的でかつ安定的な予算を確保するということ、そして、それを内外に指し示すことが最も肝要ではないかと思います。長期的、安定的な国土交通事業の予算の確保について、坂井政務官にお伺いしたいと思います。
○坂井大臣政務官 国交省も、大臣の号令のもと、本年をメンテナンス元年と位置づけまして、国民の命と直結をいたしますインフラの老朽化対策や防災・減災対策など、必要な対策を行ってまいりたい、こう考えているところでございます。
委員御指摘のとおり、実際に現場で作業を行っていただく状況を改善していくということが必要でございますし、また、建設業者の技術の質の確保、それからまた質の向上というものには、やはり継続性、安定性というものは見逃せない大事な観点だと思います。
また、公共事業そのものに関しましても、その整備、そして効果は長期間にわたってまいりますので、施工に関して、継続的、計画的に実施していくことがこれまた重要でございます。このため、中長期的な視野に立ちまして、必要な予算が安定的に確保され、先ほど予見性というお話でございましたが、計画的に経営ができる環境をつくっていくということを求めていきたいと思います。
なお、公共事業関係費につきましては、近年、一貫して減少傾向が続いてまいりましたけれども、二十五年度当初予算におきましては、地域自主戦略交付金の公共事業関係費相当分を考慮いたしますれば、二十四年度当初予算とほぼ横ばいということで計上させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○樋口委員 ありがとうございます。
よく言われていることでございますけれども、単年度予算の弊害というものもあるのではないかというふうに私も認識をしております。そもそも、建設する建物とか長寿命化がたった一年でできるということはないわけでございますけれども、予算が単年度主義だという点は否めません。建設業者や地方公共団体の皆様も、ことしは予算がついたけれども、来年はどうなるか不安でわからないから、人や物が確保できない、こういった現状もございます。
この単年度予算の問題につきましては、今後しっかりとまた議論をさせていただきたいと思いますし、あわせまして、今、国交省さんで推進をなさっていらっしゃる包括契約、複数年契約、地域維持型契約、これらの活用にぜひ期待をして、見守ってまいりたいと思っておりますので、推進方をお願いしたいというふうに思っております。
次の質問をさせていただきます。
先ほど務台先生の方から詳しく、公共工事設計労務単価についてはお話がございました。私も一点だけ申し上げたいと思いますけれども、要するに、単価というものは積算の根拠でございまして、業者が労働者に支払う賃金を縛るものではないということでございます。
御承知のとおり、一番大事なことは、労働者の所得をふやして、そしてデフレを脱却するということであったり、人材不足を解消するということでございますので、具体的なフォローの仕方、ぜひとも、どうフォローするのかを、公共工事はいろいろな情報の発信をしていただいたらこうなるんですが、特に民間の事業者の皆さんによくよく発信をする、お願いをしていくということが大事だというふうに思っています。そのための施策やフォローの仕方について、佐々木局長にお尋ねしたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
今回の労務単価の改定措置につきましては、労働市場の実勢価格を適切に反映することや、必要な法定福利費相当額を反映すること、さらには、被災地等の入札不調の増加状況に応じて機動的に単価を引き上げる、こういうことに努めたところでございます。
重要なことは、今後、こうした措置が技能労働者への適切な水準の賃金支払いや社会保険等への加入に確実につながっていくということにならなければならないと思っております。このため、今回の改定措置にあわせまして、建設業団体や、公共、それから今お話ありました民間の工事発注者を含めまして、関係者にこうしたことについて文書で要請したところでございます。
実際に、今後、どの程度賃金が上昇していくか、社会保険の加入率がどの程度ふえていくか、あるいはダンピングの状況がどうなっていくかということにつきましては、関係者と連携をとりながら、各種調査等によってしっかり把握していきたいというふうに考えております。
○樋口委員 ありがとうございます。
特に経済団体でありますとか、各地の商工会議所、商工会、そういったところにもぜひ御発信をいただいて、強く宣揚していただくのと同時に、先ほど大臣からありました実態調査をぜひ進めていただきたいということをあわせてお願いさせていただきたいと思います。
次に、建物の耐震化についてお尋ねをさせていただきます。
大臣はブログで、大震災への対応は、大学時代に耐震工学を専攻した私にとってライフワークというべきものだ、阪神大震災以来、学校の耐震化を初めとして先頭に立って進めてきたが、復興とともに、大震災への対応は今直ちに行う緊急のテーマだ、一気に進めたい、こういうふうに発信をされていらっしゃいました。
さて、現在の新耐震と言われる、一九八一年、昭和五十六年に、三十二年前になりますけれども、改正をされました建築基準法は、震度六強の地震が発生しても即座に建物が破壊されない基準というものを定めたものだというふうに認識をしております。
これから法案の審議がなされてまいりますけれども、震度六強以上の大地震で倒壊のおそれのある建物の耐震診断、また耐震化を早急に進めていかなければならない、こういうふうに思いますけれども、井上局長にこの点をお伺いしたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、震度六強以上となる大地震で、新耐震基準以前の、いわゆる旧耐震と呼んでおりますけれども、その当時建てられた建物については甚大な被害をこうむるおそれがあるということで、事前の備えとして、この耐震診断、耐震化を進めるということは非常に重要であるというふうに思っております。
このため、不特定多数の方が利用される大規模建築物について耐震診断を義務づけるというようなことを内容とします耐震改修法の改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。
あわせて、この義務づけ建物について支援の強化を行うという内容を二十五年度予算案にこれも盛り込ませていただいておりまして、これらの措置を通じまして、今まで以上に住宅・建築物の耐震化の促進にしっかり取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○樋口委員 ありがとうございます。耐震化促進をしっかりとお支え申し上げたいと思います。
さらに、先ほども大臣からもありました世界屈指の地震大国でありますから、我が国に迫りくる南海トラフ巨大地震や首都直下型の地震、この大規模地震から命を守る、こういう観点から、建築基準法そのものの見直しについてお伺いをしたいというふうに思っています。
専門家によりますと、震度が六強から七というのにふえてしまったら、建物の全壊の数、全壊率は三倍から四倍に上がってしまうという指摘も散見されております。今後、何が何でも命を守ろうという視点で考えますときに、大規模地震などを想定した基準の見直しというものについて検討を始めるべきではないかというふうに思いますけれども、この点についても御答弁をお願いします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
現在の基準では必ずしも十分ではないのではないかというお尋ねだと思います。
御指摘の中にもございますように、震度七の地震で今の基準のものが被害を受けないということではございません。あくまでも建築基準法は最低基準でございますので、これを引き上げるかどうかということの御議論だと思いますけれども、直ちにこれを今見直すと、今、耐震改修をやろうとしているもののレベルもまた上げなければいけませんし、また、過去改修をしたものもまた上げなきゃいけないということになると思います。
当面は、例えば、長周期地震動に対して超高層建築物が非常に脆弱ではないかという御指摘もございますので、こういうものについての基準を整備するとか、あるいは、住宅品質確保法というので住宅性能の表示制度というのがございまして、これで耐震強度を等級でお示しすることにしています。こういう制度を通じて、市場の中でより耐震性の高いものが選ばれるというような取り組みも、今まで以上に強化するような形で対応させていただければというふうに思っております。
○樋口委員 局長、よくわかりました。ありがとうございます。特に超高層に関するお話、長周期震動の話については、ぜひ推進をお願いしたいというふうに思っております。
命を守る防災・減災の公共工事というものは、これは機動的な財政政策でございまして、私は、単に一過性の景気対策というフローの効果だけではなく、むしろ、将来の子供たちの世代に安心でしっかりとした生活基盤、産業基盤を残すストック効果がある、すばらしいものだというふうに認識をしております。
ポイントとなるのは、公共工事は無駄、ばらまき、悪、そういったような批判がございますので、これを抑えていくためにも、国民の皆様から見て納得のできる、公共工事の見える化を推進すべきであります。すなわち、国や地方公共団体が管理する社会インフラが、いつ、どのように点検され、また修繕されたのか等、そういう情報を一覧表にして、また、そこにお金をかける理由、幾らかけて何をしたのかを明示し、将来的に国民の皆様が見ることができるこういう制度、見える化について取り組むべきだというふうに思っています。これが公共工事への信頼性と必要性の理解を深めることにつながってまいります。今後、この公共工事の見える化については、ぜひとも積極的な議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
また、日本が誇ります防災・減災技術、社会インフラメンテナンスのシステムやパッケージというものは、世界に発信でき、日本の飯の種になる、まさに民間投資を喚起する成長戦略を大いに担えると確信しています。これらについても、今後、国会の中でぜひ議論をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
そして次に、つい先日ですけれども、テレビの番組で、富士山の研究で著名な先生が、富士山の噴火の可能性について述べられました。私も、テレビを視聴していた皆さん、何人かの方から御連絡をいただいて感想を聞きました。
非常にショッキングな内容ですけれども、少し引用が長くなります。御容赦ください。
その教授いわく、富士山は三百年分のマグマをため込んでいる。火山は、長く休むと次の噴火が大きくなる。富士山の火口は百カ所以上ある。東日本大震災の四日後に起きた富士山付近の地震のときに、やばいと思った。地震と火山の関係について、この百年間、巨大地震の三年以内に火山が噴火した、そのことに例外はない。もし噴火すれば、溶岩は半年から一年間は冷めないで、富士山の溶岩は東名や東海道新幹線を分断して三島まで流れてくる。ただし、富士山の噴火には予兆がある。富士山は噴火しそうになると膨らみ、噴火のタイミングがわかる。富士山噴火は一カ月も前にはわかる。低周波地震については気象庁が情報を公開する。
こういったような特集で、大変にシリアスな内容でございました。
自然災害大国の日本であります。火山活動も大変活発な国であります。正確な情報をお伝えするということも大切です。そこで、現在の富士山の火山状況について、気象庁長官にお伺いをしたいと思います。
○羽鳥政府参考人 富士山の火山活動の状況について御質問がございました。
気象庁では、全国百十の活火山がございますが、このうち四十七の火山について、常時監視火山ということで、二十四時間、三百六十五日監視してございまして、その一つとして富士山も監視をしているところでございます。
このため、富士山の火山活動状況を把握するために、地震計、傾斜計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラ等の観測施設を整備して、観測をみずから行ってございますが、さらに、大学等の関係機関も研究用に観測をしてございますので、これもリアルタイムで収集しまして、二十四時間体制で監視してございます。
これにより、地震活動に加えて、先生御指摘の山体の膨張ですとか、そういった異常現象を早期に検知し、仮に異常な変化があれば、速やかに噴火警報を発表し、関係機関、住民にお伝えすることとしてございます。
最近の富士山周辺の地震あるいは火山に関連する活動としましては、委員御指摘の、一昨年の東北地方太平洋沖地震の四日後の三月十五日、マグニチュード六・四の地震が発生してございまして、その後、活発な状況になってございました。しかしながら、現在、地震活動は低下傾向にあると考えてございまして、おおむね落ちついた状態で経過しており、噴火の兆候は現在は認められません。
以上でございます。
○樋口委員 大変ありがとうございます。
先ほど御紹介させていただきました先生のコメントにもありましたけれども、富士山が噴火をしてしまった、仮にそうなってしまったら、日本の背骨である東海道は完全に分断されてしまうという大変な事態も考えられます。東日本と西日本の完全分断という最悪の事態、想定外も想定をするということで考えておかなければならないと思います。
そこで、バックアップルートとして、未来を拓く北陸新幹線について御質問をさせていただきます。
北陸新幹線、未来を拓く北陸新幹線ですけれども、長野から白山総合車両基地までは平成二十六年度末開業の予定です。その後、白山総合車両基地から敦賀までは、実に平成三十七年度の開業の見込みというふうになっております。完成を加速化させることが災害対策にもつながってまいりますし、何よりも、北陸の皆さんが熱望をされていらっしゃいます。
特に、おくれてしまうと言われるところの白山から福井の間、平成三十七年度末に開業見込みの中の白山―福井間については、ぜひとも早期に、早く完成をしてほしい、できれば平成三十年の福井国体までに延伸部分を開業してほしい、こういう地元の強い御要望もございます。ぜひとも、この点について太田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 北陸新幹線につきましては、昨年の六月に新しい認可を行いまして、沿線地方公共団体との調整を実施して、事業の推進に取り組んでいるところです。
私も直接、福井県知事を初めとする方々から、十二年後というよりも、もう少し早くならないかという切実な声もお伺いしているところでもございます。また、金沢、白山から福井というところを先行して開業してもらえないか、ただし、全体は十二年よりもうちょっと早く、その中でも、福井までをより早くという要望もお伺いをしているところでございます。
早期の開業ということについては、鋭意努力をしなくてはならないというふうに思っておりますが、ただ、河川水量によって工事の期間が制約されるという九頭竜川の鉄橋、それから北陸トンネル側のもう少し南のところ、工事がなかなか難工事という技術的な問題もあったりしますし、財源スキームへの影響などを総合的に勘案していかなくてはならないというふうに思って、慎重に検討を進める必要があるというふうに思っているところです。
いずれにしましても、与党の間でもさまざまな促進方の論議が始まっているというふうに思っておりますし、北陸新幹線を初め、昨年着工した三区間の工期の前倒しなど、全体の見直しについて与党が大変熱心な論議をしているということでもありますので、その状況も踏まえて、適切に対処していきたいというふうに思っているところでございます。
○樋口委員 ありがとうございます。
新幹線につきましては、自民党の先生方ともまたしっかり御議論をさせていただきたいというふうに思っています。
いずれにいたしましても、貴重なバックアップルートでもございますし、敦賀から大阪というところもございます。ぜひとも早期に決定をし、事業化をし、完成をするということをお願いさせていただきたいというふうに思っています。
最後になりますけれども、あすで就任百日目を迎えられます太田大臣、引かば押せ、押さば押せの真っ向勝負で、力強く、ぜひとも国土交通行政を推進賜りますようお願いを申し上げまして、質問を終わりにします。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
きょうは、質問の機会をいただきましたので、東日本大震災対応のお話と、それから防災関係について質問をさせていただきます。
東日本大震災からもう二年が過ぎました。改めて、東日本大震災で亡くなられた皆さんの御冥福と、現在でも三十万人を超す方々が仮設住宅等で過ごされておりますが、皆様方にもお見舞いを申し上げる次第であります。
当時、私、国土交通大臣を拝命しておりまして、東日本大震災に直面をいたしまして感じたことは、国とは何か、そして同時に、行政は何をすべきか、それから政治家は一体何をすべきなのか、そういうことをいろいろ考えさせていただきました。
結論的には、国は国民の命を守り、暮らしを守る。そういうことから、今回の震災で大変大きな被害を受け、そして亡くなられた方も、一万九千人近い方々が亡くなられているわけでありまして、国としては大変申しわけなく思いました。そういうことから、やれることは全部やり切る、こういう決意で震災対応をしたことを覚えております。
そのときに、東北地方整備局を中心に、国土交通省の職員の皆さんが心を一つにして、全力で人命救助に当たっていただきました。もちろん、自衛隊、警察、消防、地元の自治体も頑張っていただきましたが、関係者の皆さんの御協力に心から感謝を申し上げる次第であります。
そういうことから、私もいろいろ、今考えますと、まずは、先ほど質問にもありましたとおり、想定外のことは起こる、それに備えること、そしてそれをしっかりと後世に伝えること、これが今必要なんだろうと考えております。
これから、いろいろなことが考えられますけれども、太田大臣として、この東日本大震災の教訓等を踏まえながら、これから首都直下型地震等も考えられるわけでありますが、どのようなお考えでこれから臨むのか、まずは決意をお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 大畠大臣のときに三・一一があり、直ちに現場、東北整備局に全て委ねて、号令を発したがゆえに、東北整備局が道路の啓開をし、そして、闇屋のおやじと思ってくれということで、何から何まで、トイレから棺おけに至るまで、女性にとって大事なものであるとか、全部、国土交通省ということを超えて、全面的にやることをやれという指示をいただいてということは、今も現場を歩くと私はよく聞いて、本にも紹介されておりますけれども、大臣であった時代の、大畠章宏と太田昭宏とほとんど同じような名前なんですが、大変、いつもいつも思い浮かべながら現場を走ってまいりました。
私は、この間に、バッジがない時代でもありましたが、幾つかのものを感じました。
一つは、災害は現場で起きている。そして、災害対策は実務であるということであったり、あるいは、八方美人の政治は必ず八方塞がりになるというような言葉であったり、あるいは、総論ではなく各論に強い政治というものが大事であるというふうに思ったり、現場には空気があり、雰囲気がある。そして、現場には何よりも優先順位がある、東京で会議をして物を決めてはならない、現場に直行して、現場の優先順位、これをやってもらいたいということに直ちに反応する政治が大事であるというふうに思ったり、また、寺田寅彦が、物を怖がらなさ過ぎたり怖がり過ぎたりするのではなく、正当に怖がることが大切であるということを指摘したということは、私、大変大事なことだと思っていたり、あるいは武田徹さんが、日本人はどうも情緒的に流れ過ぎて科学的思考を放棄するリリースポイントが早過ぎると。原発なら原発で、あるいは災害でも科学的思考をずっと貫いて、科学で結論を出さなくちゃいけない、それが途中で情緒に流れたりイデオロギーに流れたりして、日本は本当の詰めができないというようなことで、科学的思考を放棄するリリースポイントが早過ぎる。
今私が申し上げたような言葉は、この二年間、特に大震災、そしてこれからの災害対策に何が大事かということを自分の中に刻みつけているような言葉でございます。
そういう意味では、首都直下地震、東海、東南海、南海、日向灘に至る地震、そして笹子トンネルにありますような経年劣化、こういうものを直視して、とにかく現場を歩いて、会議をするんじゃなくて現場に行って、頭の中に現場の混乱、そして状況を想定するという、大畠先生おっしゃるように、災害は想定外が来るということがあるわけですが、思考はまた無限であり、思考の中に想定外を組んで対策をしていかなくてはいけないというふうに思っているところです。
現場の、東北の復興からいきますと、住宅、まちづくりがおくれてきている、基幹道等はなかなか推進できているけれどもということがあったりして、それぞれの地域にはそれぞれ、一律に言えない、それぞれの町やそういうところに行って、何がここが復興ができない、滞っているのかという、必ず一つの優先順位、隘路というものを見つけ出して、それを体当たりでぶち破っていくということに努めたいというふうに思っているところです。
あのとき、二年前に先生のやられたことをしっかり自分もかみしめて、現場に強い、そして現場に行き、その空気を察して、総論ではなくて各論に強い指揮をとりたい、このように思っているところです。
○大畠委員 さすが土木工学出身の大臣でございますし、また、相撲の世界でも、相撲部のキャップをやっていたという話も聞いておりますし、今御答弁がありましたように、現場というものを非常に大事にして、あらゆることに対応する、こういうことでぜひお願いをしたいと思います。
さて次に、大震災に対する質問に入る前に、一枚の参考資料を配付させていただきました。ちょっとごらんいただきたいと思います。
本当は該当のところに線を引いておけばよかったんですが、二段目のところの真ん中あたり、携帯電話がひっきりなしにブーブーと鳴った、とろうと言ってもできないんだ、手がかじかんでうまくとれなかった。これは、御存じのとおり、三月二日の日に、岡田さんと娘さんが豪雪の中で、すごい吹雪の中でお父さんが亡くなったという事件の新聞記事であります。けさ、たまたま目にしたものですから、持ってまいったんです。
実は、私も現地に三月八日に参りまして、豪雪被害の現地調査をしてまいりました。そのときに、この北海道の湧別町を訪ねて、現地にも入りまして、御冥福もお祈りしたわけであります。
この新聞の記事によりますと、携帯電話が鳴っていたというんですね。ところが、位置情報を現地の消防署がつかむことができなかった。これについては、現地の方が、実は消防署は捜査権がありませんから、情報通信会社から位置情報を教えていただけません、こういうお話でした。
捜査権は警察が持っているわけですが、人命救助の活動の中においては、この位置情報を消防署も入手できるようにすべきではないか。
例えば、こうやってブーブー携帯が鳴っていたということは、情報通信会社であれば位置情報を入手できますから、それを消防署に通報すれば、消防署も、その夜、一生懸命捜していたんですね。しかし、十一時に、二次災害になっては困るというので引き揚げたわけで、次の日の朝六時に発見されたんです。
このことについて、総務省と消防庁に、現状、どのような形で人命救助に当たるのか、情報通信会社からの位置情報をなぜ現地の消防署が入手できなかったのか。科学技術立国日本というふうに言われているんですから、当然ながら、こういうものは利用できるようにすべきと考えますが、この件についての総務省と消防庁の見解を伺います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
携帯電話の基地局で取得する位置情報につきましては、高いプライバシー性を有することなどから、その取り扱いにつきましては、総務省の告示であります電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインにおいて、電気通信事業者は、当該携帯電話の利用者の同意がある場合、その他の違法性阻却事由がある場合、これらが例外ケースになるわけでございますけれども、こうした場合を除いては位置情報を他人に提供しないものとすると規定されているところでございます。
ここで言う、いわゆる例外事由に当たりますところの違法性阻却事由には、例えば緊急避難に基づく対応などがございまして、これに該当するかどうかは個別の事案に応じて判断されるものの、人の生命などに差し迫った危機がある場合には、通常は緊急避難に基づく対応に当たるものと考えられるところでございます。
携帯電話の位置情報につきましては、電気通信事業者において、このような本ガイドラインに基づく取り扱いを行うこととなるところでございまして、各電気通信事業者においてそれぞれ取り組みを行っているところではありますが、引き続き……(発言する者あり)申しわけございません、ガイドラインの考え方や具体的な取扱手順が現場にまで共有され、適切な取り扱いがされるよう、電気通信事業者に対して働きかけてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○大庭政府参考人 今、答弁がありましたとおり、人の生命に差し迫った危険などがある場合には、携帯電話の位置情報につきまして、自治体消防や都道府県警察から電気通信事業者に問い合わせて、提供していただけるという形になっているところでございます。
ただ、今回、現場が相当混乱していたということもございまして、消防庁としても、携帯電話の位置情報の取り扱いについて、電気通信事業者等とも再度協議しながら、運用も含めて適切な取り扱いがなされるよう、各自治体消防に対してきちんと働きかけてまいりたいと考えております。
○大畠委員 今の総務省と消防庁の答弁をお伺いすると、このような場合についても位置情報を現地の消防署は入手することができるということですね。もう一度ちょっと答弁してください。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
できるということでございます。
○大畠委員 だとすれば、総務省の方も、全国の消防署に対して、捜査権がなくても位置情報を入手できる、こういうことですから、今度は、総務省の方は全国の情報通信会社に対して、消防署から生命にかかわる位置情報の要求があった場合には速やかに位置情報を提供すること、こういうことを周知徹底してもらいたいと思うんですが、もう一度、答弁をお願いします。
○安藤政府参考人 基本的にそういうことで対応させていただきたいと思います。
必要な手続については、消防署と十分に意識合わせをさせていただいて円滑に進むように、非常にプライバシー性の高い情報でもございますので、的確な形で運用されるような手続について、十分に意思疎通を図らせていただきながらしっかりと対応させていただきたいというふうに思います。
○大畠委員 またわからなくなってきたんですが、要するに、いいですけれども、情報通信会社に対して、警察だけでなく、消防署からも自治体からも生命を守るための要請があった場合には速やかに情報通信会社が位置情報を提供する、これを全国に周知徹底してもらいたい。もしもこれができたら、こういう新聞記事にならなかったんです。岡田さん親子も、お父さんも助かったんですよ。
できることと実際にやれることというんですか、それが違うんですね。今の話だと、システムというか、法律的にはできるんだけれども、現地の方々がわからなかった、だからできなかったんですよ。だから、それをぜひ、総務省は全国の通信会社と、そしてまた消防署等々に徹底をしていただきたい。これはもう一度何かお話をされますか。では、それを強く要請しておきます。
そこで、次に、大震災の質問に入らせていただきますが、まず、住宅対策についてお伺いします。
復興公営住宅の建設状況と、それから、仙台市内等では復興公営住宅が千七百万円と上限が決まっておりまして、資材の高騰、人材不足により建設単価が高騰している、こういうことでなかなか入札も不調になっているという話。さらには、場所がなかなか見つからないので、用地を獲得するのが大変なので高層住宅というものを考えられないか、こういうことでございますが、これは、阪神・淡路大震災のときにも復興公営住宅は高層ビルを建ててエレベーターつきでやっているので、私はそういうことも対応できると思いますが、この三点について国土交通省の見解をお伺いします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。三点お尋ねがあったと思いますので、それぞれお答え申し上げます。
まず、建設状況でございますが、三月七日に住まいの復興工程表というのを策定して公表させていただきました。岩手県で五千六百三十九戸、宮城県で一万五千四百八十五戸の供給計画をお示しし、福島県は、計画はまだ全体像は未策定ということでございます。まず、今、用地を確保して実質的に動き始めているものが、全部含めてでございますけれども、福島を除き、岩手、宮城でございますが、三六%ということでございます。順次、完成したものも出だしております。
また、今後の見通しでございますけれども、岩手県では、二十六年度までにおおむね四千五百戸、二十七年度までにおおむね五千百戸、これが大体九割に当たりますけれども、工事完了の見込み。宮城県は、二十六年度までにおおむね七千九百戸、二十七年度までにおおむね一万一千二百戸、これが大体七割でございますけれども、工事完了の見込みということでございます。
なお、福島県では、三月十五日現在、用地確保したものが二千二百五十三戸、それから二十七年度までに完了するものがおおむね二千九百戸というふうに見込まれてございます。
二点目でございますけれども、補助の限度額についてのお尋ねでございました。
公営住宅の限度額というのは、通常の単価で積算をして求める額と一戸当たりの上限値というような二段階で決まってございまして、この二段階目の上限値のことを委員の方からは千七百万円という御指摘をいただいたと思っています。
千七百万円という数字はないんですけれども、構造とか地域とか階数とかによって標準の単価と、基礎なんかのプラスアルファの単価というのが決まっていまして、例えば仙台市で五階建ての田子西地区というところでは、この標準建設費が大体一戸当たり千六百五十万円。大体御指摘の数字だと思います。
このキャップの数字を上回ったものは実はまだございませんので、そちらの方が制約になっているということはなくて、むしろ単価の積み上げの方が、古い、追いついていない単価を使っていたりというようなことで不調になった例があるというふうに聞いておりますので、ここはしっかり、単価も改定されましたので、これを踏まえてやっていただくように、県あるいは市とも、情報提供なりをさせていただきたいと思います。
それから、三つ目でございますが、高層化というのは、土地がないところでは非常に有効な手段だと思います。
一方で、戸建てがいいとか木造がいいとかいう要請もあるところでございまして、これは地元の選択ということになるんだと思いますけれども、全体の割合を調べてまいりました。
岩手県で、大体設計内容が確定しているもののうち、戸数ベースでございますが、六階以上、いわゆる高層とされているものが七百九十八戸で大体五割近く。それから、宮城県でも、五千九百九十戸のうち二千六百三十九戸、大体四割ぐらいが六階以上ということで、想定したよりも戸数的には結構高層化ということが先行されているように感じております。
事業主体がしっかり実情に応じて御判断いただけますように、必要な情報提供等、しっかりやってまいりたいと思います。
○大畠委員 しっかり対応していただきたいと思います。
それから次に、仮設住宅というのはおおよそ使用期限が二年となっていたわけですが、これを延長する、こういうことでございますけれども、それは、復興公営住宅が完成しないということから政府の方でも延長することを決めたと思いますが、この件について、仮設住宅に入っている方は非常に不安に思っていますので、仮設住宅の使用期限と復興公営住宅の建設との関係について、改めて明確に対応策を伺いたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
仮設住宅につきましては、公営住宅ができるまでの間は当然必要とされるということだと思います。このため、東日本大震災を受けて建築された応急仮設住宅の存続期限については、特定非常災害法に基づいて、建築確認を担当する公共団体が判断をした場合には延長していただいて構いませんということで、最長期限が定まっているわけではございません。その旨、四月二日付で、復興庁、厚労省と、改めまして都道府県を通じて、市町村それから住民の方にも周知していただくように通知をさせていただきました。
○大畠委員 さらに、実は仮設住宅に入っている方々の間で、長く仮設住宅に入っていますといろいろトラブル等があると思うんですけれども、それから、心身の健康状態の悪化というのが懸念されるということでございますが、この仮設住宅に住まわれている方々の健康管理、あるいは医療従事者の常駐など、この件について厚生労働省の現在の対応策についてお伺いします。
○高島政府参考人 お答えいたします。仮設住宅で生活する被災者に対する支援でございます。
長期にわたりまして仮設住宅で生活している方々の健康状態の悪化を防ぐためには、継続的な保健活動を維持するということが非常に重要であると考えておりまして、被災地域の健康支援事業、これによりまして、保健師による戸別訪問等の各種保健支援活動や、それに伴います保健師等の人材の確保に努めているところであります。
それからまた、高齢者につきましては、地域支え合い体制づくり事業、こういうものがございまして、これは震災対策で拡充をしております。この中で、被災地にサポート拠点、こういうものをつくります。このサポート拠点は、仮設住宅とか避難所、これに近接してつくりまして、ここにおきまして、安心した日常生活を支えるためのきめ細やかな相談支援とか生活支援、それから地域交流等を支援しているところでございます。ここの対応におきましては、地域の実情に応じまして、常駐という形での対応も可能となっております。
それからさらに、心のケアというところにつきましては、被災者の心のケア支援事業というものを行っておりまして、心のケアに当たる専門職の人材を確保して、被災者からの相談を受け、必要に応じて専門的医療支援を行いますとともに、その活動拠点となる心のケアセンターを岩手県、宮城県それから福島県の各県に設置する、こういう支援をやっているところでございます。
○大畠委員 先ほどの総務省の話と同じように、できることとやれることは違うんだよね。だから、今のお話だと、一つの方向性が出されましたが、ぜひ現地で、実際にそういうことができるように、よく目配りをしておいてください。
それから、実は仮設住宅に入っていても仕事が必要なんですね。そこで、漁業者の皆さんも、仮設住宅に入りながらも一生懸命始めましたが、最近の円安によって油代がかなり上がり始めて非常に困っているという話も出てきておりまして、この漁船の油代の高騰対策について、農林水産省の現在の対応策をお伺いします。
○柄澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、現在、円安などによりまして燃油価格が上昇傾向にございますが、漁業経営につきましては、支出に占める燃油費の割合が高いということから、燃油価格の高騰が漁業経営に与える影響を緩和するための対策が重要だと考えております。
このため、農林水産省といたしましては、平成二十二年度から、漁業者と国が毎年度積み立てを行いまして、価格が高騰したときに補填をいたします漁業経営セーフティーネット構築事業という事業を実施しているところでございます。
この事業につきましては、先般の平成二十四年度補正予算で三十九億円、また平成二十五年度の当初予算案におきまして三十五億円を措置しておりまして、国の積み立てに必要な額を計上しております。今後の高騰に対しましても、一定の対応が可能な状況でございます。
また、本事業への加入申し込み期間というのは、通常の漁業者の方につきましては三月三十一日まででございますが、御指摘のような東日本大震災の被災漁業者の方につきましては、随時加入を可能としております。
今後とも、漁業者の皆様の御意見もよく伺いながら、漁業用燃油価格の動向を注視して適切に対応してまいりたいと考えております。
○大畠委員 漁業者の皆さんも、やっと漁船を借りたり譲り受けたり、新しく支援を受けてつくったり、一生懸命頑張ろうとしていても、その漁業の環境が非常に今悪化しているという話でもありますから、今おっしゃったことをしっかりと実行していただきたいと思います。
それから次に、道路の話に入りますが、被災した交通インフラの復旧を望む声は、当然ながら現地から届いております。四十五号線それから三陸沿岸道路などを含む道路の復旧状況と今後の計画についてお伺いします。
○梶山副大臣 まず、御質問のありました国道四十五号でございますけれども、宮城県及び岩手県内四百三十キロのうち、約二割が津波、震災の被害を受けました。順次復旧工事を進めてきた結果、現在、全ての交通を確保しているところであります。
ただ、仮橋等によって供用を行っている橋が今五つ、五橋ございます。このうち、現位置、もとの位置で架橋を行う三橋、三つの橋につきましては既に本復旧工事を進めておりますけれども、残る二つの橋、二橋につきましては、海の近くであったり、また、JRをまたぐ跨線橋であったりということで、それとの絡みもありまして、復興計画と調整しながら計画を進めているところでございます。
また、三陸沿岸道路、これは全長三百五十九キロでございますけれども、震災当時供用していた区間、これは百二十九キロございますけれども、これが発災直後から救助救援活動や復旧のための物資輸送等に機能を発揮したことも踏まえまして、平成二十三年度補正予算で未事業化区間全てを事業化したところであります。
また、事業化直後に、関係機関で構成をされます復興道路会議を開催して、事業推進に向けた合意形成を図るとともに、順次測量や用地買収に着手をいたしまして、一部区間では、事業化から一年を待たずに工事に着手をしております。通常ですと、事業化をしてから三、四年たってから工事に着手ということになりますけれども、一年で工事着手ということは、地元の待望の道路であるということ、大変理解の深い道路であるということで、こういった状況になっていることと思っております。
これらの早期整備に向けた取り組みによって、三陸沿岸道路全体の工事着手率は、昨年末時点、平成二十四年の十二月の時点では約六割となってきております。
三陸沿岸道路の整備は、被災地の復興を進める上でも最優先の課題であると認識をしておりまして、引き続き、復興のリーディングプロジェクトとして早期に機能が発揮できるように、国交省といたしましては全力で取り組んでまいります。
○大畠委員 次に、高台移転の課題ですが、高台の住宅あるいは公共施設等、低いところにあったものを高いところに移したものですから、連絡道路というものが、幹線道路が大変重要になってまいりました。
しかし、幹線道路の整備は、浸水区域以外の箇所や道路ネットワーク整備は復興交付金事業に該当しないと国から言われている。したがって、これらの高いところと低いところをつなぐ道路が、災害発生時に高台地域の孤立化を招きかねないので、さらに支援物資を輸送する重要な災害対策道路となりますが、これが復興交付金事業に該当しないと言われていて、地元では非常に困っている。したがって、新たなまちづくりと同様に、復興支援、生活関連道路については復興交付金の対象としてほしい、こういう要望を受けているところですが、復興庁の見解をお伺いします。
○谷副大臣 お答えいたします。
復興交付金は、津波などによる著しい被害を受けた地域において、従来の災害復旧だけでは対応できない復興地域づくりを支援することを目的としており、そのために、必要な道路整備にも対応しているところであります。
具体的には、防災集団移転促進事業あるいは土地区画整理事業などの高台移転や、新たなまちづくりに必要な面的整備と一体となって整備する道路、また、津波想定浸水エリアから高台などに避難するために必要となる避難道路、また、孤立集落の解消のために必要な道路などの整備については、これまでも幅広く復興交付金の対象としてきたところであります。
ただし、道路には、委員御承知のとおり、たくさんの要望がございます。そういう要望について、大変多様でございます。したがって、一つ一つの道路について、まちづくりとの整合性、緊急性、効率性、また実現可能性、事業規模、そういったものを精査した上で、支援の対象としているところであります。
また、整備の手法として、復興交付金以外にも、委員御承知のとおり、社会資本整備総合交付金の復興枠の活用ということも可能でございます。
いずれにいたしましても、個別の事業については、被災自治体の方から具体的な要望の内容を十分に、丁寧にお伺いいたしまして、対応を今後しっかりと検討してまいりたいと思います。(発言する者あり)
○大畠委員 歯切れが悪いという話が今出ましたけれども、谷副大臣らしくない答弁のように感じますね。やれるのかやれないのか。
私は、低いところに生活していたのが高いところに移った、その取りつけ道路というのは復興交付金を使ったっていいと思うんですよ。二十二兆円も予算をつくったんですよ。地元の市町村が一生懸命再建のための計画をして、やろうとするときに、復興庁が査定庁になっちゃだめだということなんですよ、これはできます、これはできませんと。
私も、これは質問取りのときに復興庁の職員の人が来ましたが、声高に言っていたのは、これは国交省の仕事です、これは環境省の仕事ですと。あなたが仕切り屋じゃないじゃないか。復興庁というのは仕切り屋さんじゃないんですよ。まさに何でもできるんですから、国土交通省の仕事もできるし、環境省の仕事もできるし、総務省の仕事もできる。だから、新たにこの震災の後、復興庁というのをつくったんですよ。それが、一々、これは国土交通省の仕事です、これは環境省です、これは違います、こういうことをやられるとすれば、私、その担当官に、あなたはどこから来たんですかと言ったら、財務省出身ですと。大体それでわかりましたけれども。
ただ、谷さん、復興庁というのはみんな期待しているんですよ。新しくできた庁なんですよ。したがって、難しいところはあるかもしれませんが、自治体の、一生懸命希望をつなぐ町を今しっかりつくろうとしているんですから。ぜひ、谷副大臣らしい答弁をもう一回求めたいと思うんです。
○谷副大臣 質問を聴取するときに今委員御指摘のような発言があったとすれば、やはりそういうことのないように、復興庁は全体を、復旧復興を取りまとめてする省庁で、そのために時限的につくった省庁ですから、しっかりとその点は対応してまいりたいと思います。
また、先ほど、高台移転のときに、取りつけ道路などは交付金の対象にならないのではないかという御趣旨かと思いますけれども、そういうことはないと思います。先ほど御答弁させていただきましたように、高台移転をして、それに必要な一体となった事業は、当然交付金の対象であります。
ただ、道路整備というのはいろいろな要望があるんです。全く津波浸水エリア以外のところに、もう数十年前からもともと計画していたものを交付金の対象にしてちょうだいとか、そういったものもございますので、一つ一つ、そのまちづくりとの整合性、緊急性などを吟味しながら対応してまいりたい。
また、やり方として、社会資本整備交付金復興枠と先ほど申しました。それは国土交通省が実施するにしても、計上は復興庁計上でございますので、逃げたりいたしません。しっかり正面から見据えていきたいと思います。
○大畠委員 かつて、衆議院の予算委員会のような、谷さんらしい歯切れよさはどこへ行っちゃったんでしょうか。何か、もうちょっと元気よく、歯切れよく仕事をしてもらいたい。それが復興庁の職員の人にもつながると思うんです。
私は、復興庁が復興査定庁になっちゃだめだと思うんですよ。まさに被災地と寄り添って、被災地の方々は本当に希望をなくしているんですから。新しい町をつくろう、こうしようというときに、これは対象外です、これはできませんと言うだけでは復興庁の名に値しない。そこだけ谷副大臣に申し上げておきたいと思います。
次に、鉄道の話に行こうと思ったんですが、その前に、原子力発電所の事故により、富岡と浪江の間が警戒区域となっていて通行ができない。それで、いわきから南相馬間の交通が分断されている。ということで、常磐高速道路の広野から南相馬間の早期完成を求める声が現地で強く出されております。
さらに、いわき市などでは、常磐三市長会から、国道六号の内陸部に災害対策としての機能を持つ六号バイパス建設の要請を受けておりますが、この二つについて、現状をお伺いしたいと思います。
○前川政府参考人 お答えを申し上げます。
国道六号につきましては、平成二十三年十二月に全線仮復旧をいたしまして、その後、警戒区域の見直しに合わせて本復旧工事を進めまして、ことしの三月二日には本復旧が全て完了をいたしております。
しかしながら、現在、警戒区域である双葉町、また帰還困難区域では一般の交通が制限されている状況でございます。あらかじめ市町村の許可を受けた工事車両等に限って通行ができるという状況になってございます。
このため、常磐自動車道の早期整備が待たれるわけでございますが、今御指摘のように、南相馬インターチェンジから広野インターチェンジの間におきましては、環境省が行う除染と並行して復旧工事を進めておるところでございまして、関係機関と調整が調うことを前提に、一部区間を除きまして、平成二十六年度を供用目標としているところでございます。
なお、委員御指摘のとおり、国道六号につきまして、一般交通が制限されているため、一般の方々は阿武隈山地の中の国道、県道を、いわば国道六号のバイパス的に使っている実態がございます。このため、必要な路線の整備計画につきまして福島県において検討中と聞いておりまして、国土交通省としても最大限協力をして必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○大畠委員 現地の方からも、とにかく、福島の原子力発電所の事故によって大変困難な状況が続いておりますので、そういう意味では、現地からの要請に応えてしっかりと対応していただきたいと思います。
それから、鉄道事業でありますが、実は、質問項目がたくさんございますので、鉄道については一つだけにしておきますが、JR大船渡線、気仙沼線など、三陸の沿岸の鉄道の復旧というのが非常に被災地の方々にとっては希望の光になっている。ぜひしっかりと再建のための支援をしていただきたいという要請が来ておりますが、この件について国土交通省の見解を伺います。
○松下大臣政務官 お答えいたします。
東日本大震災におきまして、鉄道も大きな被害を受けました。このうち、東北新幹線につきましては、震災発生後、四十九日間という非常に早い段階で復旧がなされました。
一方で、在来線につきましては、まず経営の大変厳しい第三セクター旅客鉄道につきまして、復旧費用のほぼ全額を実質的に国が負担する特別な措置を講じたところでございます。この結果、ひたちなか海浜鉄道等におきまして全線が復旧したほか、三陸鉄道につきましても、本日、四月三日に南リアス線の盛から吉浜間が復旧いたします。来年四月ごろの全線運転再開に向けた取り組みが着実に進められているところでございます。
また、JR東日本の路線につきましても、三陸沿岸及び原発警戒区域等を除く区間につきましては復旧し、あるいは復旧に向けて着実に整備が進められているところでございます。
一方で、三陸沿岸の被害が非常に大きかったJR大船渡線及び気仙沼線につきましては、仮復旧としてBRT、バス高速輸送システムが導入されたところでございます。
JR山田線も含めたこれらの路線につきましては、国土交通省、復興庁、沿線自治体、JR東日本等で構成する復興調整会議の場におきまして、まちづくりと一体となった鉄道復旧について検討を進めてまいります。
鉄道の復旧は、委員御指摘のとおり、被災地域の本格的な復興を図る観点から極めて重要な課題でございますので、引き続き、鉄道復旧に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。
以上です。
○大畠委員 それから、港湾、河川、下水道についてお伺いしようと思いましたが、時間の関係上、要望だけにとどめさせていただきます。
港湾は耐震岸壁というのが非常に重要だということも、私も学びました。したがって、全国の主要港においては耐震岸壁をきちっと置いておいて、震災のときにも使用できるような岸壁を残すということで計画をお願いしたいと思います。
それから、下水処理場が海の近く、あるいは川の近くだったので、これも津波で被害を受けて、仮復旧はしておりますけれども、機能停止状態がまだ続いているわけでありますが、全国的にも、地震で、下水管等の老朽化もあって大変な状況だというので、これについても、国の方からしっかりとした財政的な面も含めての支援をお願いしたいと思います。
それから、復興庁に質問いたします。
浸水地域の土地のかさ上げ事業を行うに当たり、地下埋設物、例えば下水管などの撤去を行わなきゃならないんですが、これが自治体負担が生じないようにしてほしい。これは広範囲にわたっているものですから、住宅地等もあって下水管が入っているんですが、それをそのまま対策してしまうわけにいきませんので、この下水管の撤去作業等々についての支援を要請したい、こういうことでありますが、復興庁の現在の見解を伺います。
○谷副大臣 委員御承知のとおり、復興交付金の基幹事業ということで、土地区画整理事業あるいは津波復興拠点整備事業で実施可能です。ただ、基幹事業に該当しないものであったとしても、効果促進事業で基幹事業と関連を理屈づけて、そうすれば、地下埋設物の撤去への対応ということは可能でございます。したがいまして、地方の負担が地下埋設物の撤去で生ずることがないよう、るるいろいろ知恵を出しながら、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○大畠委員 やっと谷副大臣の体調が戻ってきたようでありますが、今後ともそういう姿勢で対応をお願いします。
それから、自治体関係でありますが、復興予算がつきましたので、町の予算がこれまでの十倍から十五倍になったということで、それに対応するための職員が不足している。そして、他の市町村からの応援もいただいているんですが、派遣期間を長期化したり、あるいは継続的な人的な支援をいただきたい、こういう声が寄せられておりますが、これについての総務省の対応策について伺います。
○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
総務省におきましては、発災の直後から、全国市長会、全国町村会の協力をいただきまして、被災市町村への職員派遣の支援を行ってきたところでございます。
しかしながら、依然として被災市町村の要請に十分には対応できていないということでございまして、全国の市区町村に対しましてさらなる職員派遣を要請するほか、被災自治体における任期つき職員などの採用の支援、被災自治体で働く意欲のある市区町村のOB職員情報の提供などを行っているところであります。派遣期間につきましても、全国の市区町村に対して、中長期的な職員の派遣を要請しているところでございます。
また、民間企業などの人材の活用促進のための仕組みを整備し、先日公表をしたところでありまして、これらを含めて、より一層人的支援の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
○大畠委員 続いて、まちづくり関係、復興まちづくりについて、三問質問したいと思いましたが、時間の関係で、一つだけに絞らせていただきます。
これは私、非常に大事な事業だと思うんですが、現在、復興交付金による都市公園事業の活用をして、災害復興祈念公園構想というのを各地でいろいろやっております。再び津波等での悲劇を繰り返さないためにも、避難訓練もできる震災祈念公園の整備を行いたいと思いますが、公園事業の防災機能や面積などの要件がありますので、なかなか前に進まない。これについて緩和をして、弾力的に運用を求める声がありますが、復興庁の見解をお伺いします。
○谷副大臣 復興交付金では、これまで、なりわいの再建とか住まいの確保、これに重点を置いてきました。しかし、復興のステージが高まって、委員御指摘のとおり、公園事業など、要望が出始めているところであります。それで、先日、先月の第五回の交付金の可能額通知で、相当運用を弾力化したところでございます。
それで、公園事業についても、復興まちづくりにおいて必要な公園であって、防集跡地を活用するなど、効率的な整備が見られるものにつきまして、今回、岩手の野田村、宮城の岩沼、七ケ浜、また福島の新地の二カ所、こういうところで公園事業として採択したところであります。
今後とも、個別の御要望をしっかり受けとめながら、できる限り、委員御指摘の、被災地に寄り添う形で、要望の実現に向けて精いっぱい努力してまいりたいと思います。
○大畠委員 ひとつ、今、被災地に寄り添うというお話がありましたが、今必要なのはその心なんだと思うんですよ。国の方でいろいろ計画したりなんかして、査定もすることが必要でしょうけれども、被災地は今どんな状況なのか、ここにぜひ復興庁の職員も派遣して、一カ月ぐらい現地でその方々と話をすれば、どういう状況かというのはわかると思うんです。ですから、ぜひ、復興庁の職員に対して副大臣の方から、今お話があったように、寄り添いながら復興しろ、仕事をしろ、こういう指示をしていただきたいと思います。
それから、実は福島地域からの要望でありますが、例えば福島の原子力発電所の現地において、今でも毎日三千人の技術者等々が原子力発電所の安定化に向けて仕事をしているわけですが、一つの事象として、例えばトレーラーでコンテナ型の作業場というものを持ち込んで据えつけようとしたときに、地元の役場で建築確認を受けなければだめだ、こういう要請があって、福島の原子力発電所の安定化作業そのものに、現地作業に大きな影響を与えているという話もあります。
私は、ここら辺は、福島の原子力発電所のあの敷地内は、特区的な形で、東京とか通常の町の建築確認の対象外にして、仕事がスムーズにいくようにすべきではないかと考えるわけでありますが、この件についての国土交通省の見解を求めます。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として、建物の中に人が入らないようなもの、具体的には、コンテナ型データセンターとか蓄電池収納コンテナとか、こういうものについては建築物ではないという扱いをしております。御指摘のものがどんなものか、図面を見ながらしっかり中身を調べた上で、公共団体とよく相談させていただきたいと思います。
ちょっと、特区は私どもでお答えする立場にないと思いますので、失礼いたします。
○大畠委員 これは、復興のための操作盤とか何かが入っているコンテナですが、それを現地に置いて、そこにつないで操作するというものですが、従来は鉄板の上に置いて、溶接を何カ所かすればそれでオーケーだったんですが、現在では基礎まできちっとしなきゃならないというような話で、これはどうも、原子力発電所の事故対策の対応の状況としては、ちょっと違うんじゃないかと思いますので、ぜひ検討いただきたいと思います。
さて、残り十分となってきましたので、最後の質問の項目に入ります。
実は、あの東日本大震災のときに、私が目にしたのは映像でありました。したがって、現地の映像を、いち早くどうやってつかむかというのが大事だと思うんです。
あのときには、国交省の現地の東北地方整備局の熊谷さんという女性の防災課長さんの機転で、仙台空港から一機のヘリコプターを操縦士だけで飛ばすことができました。飛ばした後、津波が来たために、その他の飛行機はほとんどだめになってしまったんですが、そこからの映像をベースにして国交省の人命救助作戦が始まったと言っても過言じゃないと思うんです。
そこで、防衛省と内閣府にお伺いしますが、これから災害が起こった場合に、防衛省も撮影しているという話を聞いているんですが、その映像を、官邸だけでなく、全部の省庁と関係する自治体にも私は通知すべきだと思うんですが、この件についての防衛省と内閣府の見解を伺います。
○黒江政府参考人 防衛省の体制について、まずお答え申し上げます。
防衛省につきましては、発災直後の現場の情報を迅速につかむということの重要性に鑑みまして、震度五強以上の地震が発生したという情報を得た場合には、直ちに近傍の部隊が航空機等を飛ばしまして、先生御指摘のヘリコプターの映像も含めまして、情報を収集する。なおかつ、これを関係機関と共有するということから、ヘリコプターで撮影した映像につきましては、中央防災無線網を通じて配信するということに努めておる、そういう体制をとっております。
以上でございます。
○亀岡大臣政務官 今、大畠先生の言われたように、私も被災地におりまして、現状の把握が一番大事だということはよく認識をしております。私も当時調べましたら、実際に、警察、消防、また自衛隊から来た映像は、しっかりと中央防災無線によって配信をされておったようであります。ただし、各都道府県にはなかなかそういう状況ができていなかったということで、平成二十四年に、被災情報がしっかりと配信できるような回線を整備したところでありまして、これから、官邸を含めて、中央省庁、それから各被災都道府県にはしっかりと映像が配信できるように努めてまいります。
○大畠委員 私も事前にいろいろお伺いしましたが、できる仕組みになっているということと、実際にそれが利用できるというのと、どうも違うみたいなんですね。ですから、それをぜひ、今御答弁いただきましたような形で、システム的にも整備していただきますよう要望いたします。
次に、太田大臣にお伺いしたいと考えるところでありますが、実は、先ほどもお話がありましたが、今回の東日本大震災で、現地でどういう方が活躍したかというと、地元の土木建設業の関係者の方々が、要請されることを受けることなく、自分で重機を持ち出して瓦れき処理を始めたと。これが一番早く道路に自動車が通れるようになった一つの直接的なものでありますが、したがって、さまざまな意見もあると思うんですけれども、地元の土木建設業者の方々が各市町村ごとに、雪害とか災害とか、最低限これだけは必要だというところはきちっと確保できるような、先ほど、先の見通しという話も出ておりましたけれども、そういうことも含めて、一度、国土交通省で少し整理して、そういうものを基本的な考え方に置いておいてはいかがかと思うんですが、この件についての大臣の御見解を伺います。
○太田国務大臣 非常に大事なことだと思っていまして、この数年、建設業界が特に疲弊してきている。若い人もいないし職人もいないし、何よりまた重機もリースになっているというような状況がありまして、昔から土木屋さん、土木屋さんというのはいい言葉かどうか知りませんが、自分が土木屋だと思っていますから私は何の抵抗もないんですが、そういう意味では、雪が降りました、水害がありました、そしてこうした大変な災害がありました、自分たちでばっと出ていってやれるという地域の体制をつくっていく。これは業界自体をメンテナンスするということが大事だと私さっき言ったんですけれども、そうしたことの中でやっていくと同時に、地域の人たちは、ある意味では町医者です。大手ゼネコンは大学病院とすると、地域の町医者というところが、この町は我々が守るんだ、地方自治体と地域のゼネコン建設業界がメンテナンスも含めて守っていくという、新たな使命というか立場というものをしっかりつくれるようにという仕組みあるいは考え方というものを私は徹底したいな、こういうふうに思っているところです。
○大畠委員 それは私自身も強く感じるところでありまして、ぜひそのような太田大臣の基本的な考え方に基づいて実施していただきたいと思います。
それから、もう一つは、今回の東日本大震災の経験というものを踏まえるのであれば、私も、韓国の友人の国会議員とか中国の友人に連絡をして、たしか、中国からは十四万キロリットルのガソリン等々の支援をしていただきましたし、韓国からも三十万キロリットル近いガソリンの緊急の支援を受けました。災害のときに近隣の国々と連携をとる、こういうことは非常に私は大事だと思います。その件について、これは内閣府にお伺いしたいと思います。
○亀岡大臣政務官 今お話があったように、近隣諸国との連携は大変大切であります。
ちょうど平成二十年のとき、日中韓首脳会議の中で、これから三国間の防災担当閣僚級会合を開こうということでしっかりと協議がなされたんですが、残念ながら、防災担当閣僚級会合は、第一回、二十一年でしたかに行われたときには、具体的なことは盛り込まれませんでした。
今回、二十三年に、被災の年ですけれども、日中韓防災担当閣僚級会合が開かれまして、具体的にきちんと、共同声明の中にしっかりと内容が盛り込まれました。二十五年、今度開かれるときに手順をしっかりとやっていこうという状況に今なっておりますので、これからも国際社会の中でしっかりと連携がとれるようにしていきたいと思います。
○大畠委員 時間になってきましたので、最後の質問にさせていただきますが、これも太田大臣に御質問させていただきます。
国土交通省の六万三千人の職員の皆さんが本当に心を一つにして対応していただきました。その記録を国土交通省のホームページに置いてあるわけですが、この内容というのは非常に大事なので、例えば英語、中国語、韓国語に訳して、支援を受けた方々の国に提供する、こういうことは非常に私は大事だと思います。
ぜひ今後の備えの一つとしてそのような対応をお願いしたいと考えておるんですが、大臣の御所見をお伺いします。
○太田国務大臣 そうしたいと思っています。
見させていただいて、大畠大臣のもとで、こんな立派なものをつくっていただいて、私は、国土交通省というものがどう動いたか、そして、そこの教訓というのが物すごく貴重だというふうに思っています。同時に、建設業界がどう動いた、消防団がどう動いた、鉄道関係者がどう動いた、それがいかにしっかり現場で闘って、復旧ということについてもやり続けてきたかということを多くの人に知っていただけることが大事だというふうに思っておりますので、何とかほかの国にもお伝えできるようにというふうに思います。
○大畠委員 時間が参りましたので、他にも質問の予定がありましたが、これは次回にさせていただいて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、西岡新君。
○西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。
本日は海洋基本計画などを中心に質問したいと思いますが、それに先立って、先日、政府の再就職等監視委員会から違法認定をされた天下りあっせんについて、国交省のお考えを確認しておきたいと思います。
この件は、再就職等監視委員会によって、事務次官経験者、当時は審議官であった幹部職員による、国交省所管の海技振興センター並びに日本民営鉄道協会への口ききがあったと初の違法認定がなされ、国交省に通知がされたということであります。
この件について、以前に国交省による内部調査が行われたとお聞きしておりますが、当時の調査メンバーはどういうメンバー構成で、当時の調査結果はどうだったのかをお聞かせいただければと思います。
○久保政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の、当時の調査委員会は、国土交通省の政務三役の責任で調査を行うという方針のもと、当時の副大臣を委員長とし、担当政務官と、また外部からの弁護士さん二名を加えた四名で構成されておりました。
当時の調査委員会は、資料の分析、また関係者からのヒアリングを実施した上で、結論としては、「国家公務員法違反の再就職あっせん行為があったとは認められない。」との結論を当時出しております。
以上です。
○西岡委員 あっせんは認められなかったという結論でありますが、これは、今回の再就職等監視委員会の結果とは違いがあると思います。身内に甘い調査であったのではないかという印象も国民に与えたのではないかと思いますし、そういった点に関しての御見解をお伺いしたいと思います。
○久保政府参考人 各事案の事実関係の認識におきましては、当時の国土交通省の調査委員会も、今般の再就職等監視委員会も大きな違いはなくて、国家公務員法、具体的には国家公務員法百六条の二第一項の解釈、適用、いわゆる当てはめに当たりまして、判断の違いがあったものと考えております。
いずれにいたしましても、今般の調査結果につきましては、私ども真摯に受けとめて、こうした事態の再発防止に向け、職員、また元職員を初めとする関係者に対しましても、再就職規制、また今回の事案の内容について周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○西岡委員 解釈の違いだということでありますが、三月二十七日付の朝日新聞に掲載された記事に、当事者が、今回の監視委員会の件に関して、「心外な判断だ。私の発言は法律が規制しているケースには当たらない。」というように朝日新聞の取材に答えておりまして、この記事が正しいならば、間違ったことをしていないという認識が非常に強いんじゃないかと思います。
これでは、再就職等監視委員会が天下りあっせんの口ききと認定したものが国交省によって日常化していたのではないかと思われてしまいますが、この点に関してはどう思われますか。
○久保政府参考人 当事者に対しましても、三月二十六日、事務方より調査結果を伝えた上で、今後は元職員としての再就職規制を遵守するように注意を促したところであります。
○西岡委員 大臣にお尋ねしたいと思います。
一昨日の予算委員会でも質問がございましたが、この件に関して、委員会からの勧告を受けて太田大臣は、調査結果を真摯に受けとめ、信頼回復に努めるというコメントを出されておられますが、今後の防止策について具体的にどういう対応をするのか、国交省としての取り組みを大臣にお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 三月二十六日に監視委員会から調査結果が通知をされまして、そこで特に指摘をされているのは、この制度について周知徹底するようにということが一番の、監視委員会からの私たちに対しての通知でございました。
私は、この問題は、二度とこうしたことのないようにということで真摯に受けとめて、監視委員会が指摘するように、しっかり徹底する。徹底するとはどういうことかというと、徹底するということなんですが、私が思うには、一番大事なのは意識改革です。こういうことはいけないんだということを、いろいろな仕組みをつくるということは当然大事だと思います、だけれども、意識を変える。これは相当の力が要ります。
私は、ここのところを真摯に受けとめるということは、省の職員、それからOBに対して意識改革、意識変化をもたらすようにということで、何回もこれから指摘をしたり、引き締めていきたいというふうに思っています。
○西岡委員 ぜひ、意識改革の上、制度の周知徹底をしていただきたいと思います。
有為な人材の活用は当然あろうかと思います。公務員の早期退職慣行等の問題もあろうかと思いますが、今回は、特に国交省のような営利企業等を所管する官庁では、天下りに対する国民の厳しい目を考慮すると、ルールを守る姿勢がやはり大事だと思っております。今後同様のケースが発生しないように、再発防止に取り組んでいただきたいと思います。
次に、海洋基本計画について質問をしたいと思います。
我が国は六千余りの島々で構成されており、これまで狭隘な国土が常に強調されてきました。確かに、日本の国土の面積は世界で六十位ぐらいであります。しかし、排他的経済水域、いわゆるEEZでは国土面積の十二倍となって、実に世界第六位であります。まさに堂々たる海洋国家であると言えることであります。
この点、海洋基本計画は今後非常に重要なものとなってきますが、まず、平成二十年三月に閣議決定された現在の海洋基本計画が、この五年間でどんな成果が上がっているか、お聞かせいただければと思います。
○長田政府参考人 先生御指摘の海洋基本計画でございます。
これは、海洋基本法に基づきまして、五年前の平成二十年三月に閣議決定をされまして、この五年間における我が国の海洋政策の方向性について定められたものでございます。
この五年間の進捗状況でございますが、海洋基本計画に基づきまして、国土交通省及び経済産業省など関係省庁が積極的に取り組まれた結果、多くの成果が出てきております。
例えば、海洋資源の開発、利用の推進に関する事項といたしましては、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画の了承、あるいは海洋再生エネルギーに関する今後の取り組み方針の決定。
また、今先生御指摘のEEZにつきましては、大陸棚の延長の申請を平成二十年十月にいたしまして、昨年四月には勧告が国連の限界委員会から出されております。また、EEZの外縁の基礎となる低潮線の保全を目的とした低潮線保全法の成立などがございます。
また、我が国の海運の安全の確保ということで、海賊対処法の成立あるいは海洋管理のための離島の保全・管理に関する基本方針、こういったものを制定しておりまして、我が国の海洋立国の推進に向けて多くの成果が上がっているというふうに認識をしております。
○西岡委員 徐々に海洋に関する環境整備ができているということであります。
しかしながら、近年では、領土問題を初め、海洋権益を主張する隣国との緊張関係も高まっております。我が海域においても中国公船の動きが活発化している状況でもあります。しかも、中国政府は、国家海洋局に主権維持活動を一元化して海洋強国化を推進するなど、今後の我が国の安全保障問題はもちろん、資源問題にも深くかかわってきています。
また一方で、災害においても海の重要性は高まっておりまして、先日、政府の中央防災会議作業部会がまとめた南海トラフ地震における被害予測の全体像では、マグニチュード九クラスの巨大地震が起きた場合には、その被害額は約二百二十兆に上るという試算も公表されました。もし地震が発生すれば、陸路は寸断されるおそれもあります。その場合に、救援物資等は海上輸送に頼らざるを得なくなる場合も考えられます。
そういった観点も織り込んで、新たな発展の可能性を求めて、海洋政策に積極的に取り組むべきだと思いますが、今度の予定されている新たな海洋基本計画の策定のスケジュール、そして、その基本計画のポイントについてお伺いできればと思います。
○長田政府参考人 海洋基本計画でございますが、今先生御指摘のように、五年前に現在の海洋基本計画がつくられまして、海洋基本計画はおおむね五年ごとに見直すということになっております。
このために、昨年の五月には、海洋政策本部長である総理が任命をされました十名の参与、これは東大の小宮山先生初め有識者でございますが、ここにおきまして昨年来議論を進めております。また、超党派の先生方で構成される海洋基本法研究会あるいは海事振興連盟からも御提言をいただいております。
現在、政府部内で最終的な調整を進めておりまして、今週の月曜日からはパブリックコメントを実施しておりまして、できるだけ早く閣議決定をいたしたいというのが考え方でございます。
今回の見直しのポイントといたしましては、先生御指摘のとおり、東日本大震災の結果、いわゆるエネルギー政策の全般的な見直し、さらには海洋資源、海洋再生エネルギーに対する期待の高まり、さらには、日本をめぐる海洋権益をめぐる争いが極めて緊迫化しているということの中で、海洋権益を保全するための海洋安全保障についてのあり方、こういった点が今回の見直しの大きなポイントであるというふうに認識をしております。
○西岡委員 エネルギー政策の全般的な見直しということもありますが、東日本大震災による福島原発事故によって、これまでの原子力政策というのは見直しをする必要に迫られております。また、現在のように、石油や天然ガスを大量に海外から購入し続けるということも、エネルギー政策の安全保障上の問題からも長く続けるべきではないと思っております。
さきの大戦においても、我が国の開戦の動機も石油問題でありました。日本は資源のない国で、資源を世界から買って、得意な物づくりで経済大国になった国家だとよく言われております。しかしながら、今やもう、日本近海にはメタンハイドレートに代表される多くのエネルギー、鉱物資源、先ほど御指摘もありましたが、その存在が確認されつつあります。まさに将来の資源大国への道が開かれる可能性も出てきております。
また、メタンハイドレートは北海道から沖縄まで広く分布しており、その埋蔵量の調査は今年度から三年かけて実施するということであります。完全に把握できていないということでありますが、一説によると、十兆立方メートルもの埋蔵量があるのではないか。これは、日本の天然ガス使用量に換算して約百年分という驚異的な数字であります。
しかしながら、今の開発技術のままではやはり生産コストがかなりかかってくるということでありまして、シェールガスのコストに比べると五十倍を超えるとの見方もあって、まだまだ技術革新が必要だということであります。
我が国の海域に膨大に存在する海洋エネルギー、そして鉱物資源の開発促進を何より急ぐべきだと思っておりますが、この点、どういう取り組みを行われておられますか。
○長田政府参考人 先生御指摘のとおり、東日本大震災の結果、多くの原子力発電所が停止をしておりまして、そのために、火力発電所のための石油、天然ガスの輸入というものが増大をしております。こうしたことから、我が国においては、エネルギーの安定的な確保というのが極めて重要な現在の課題というふうに認識をしております。
こういう中で、先生今御指摘のように、我が国の周辺海域におきましては、石油、天然ガスに加えまして、先般、メタンハイドレート、これは愛知県沖での海洋からの産出試験の成功がありました。また、伊豆沖あるいは沖縄海域におきましては海底熱水鉱床、それから南鳥島におきましては、いわゆるレアアースを含む海底堆積物というものが発見をされてきております。これらをいかに実用化し、商業化していくかということが今後の研究課題でございまして、そのための調査研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
また、エネルギー資源という意味では、ブラジル、オーストラリア、アフリカ等で、新たな海底油田あるいはガス田というのが発見をされております。こういった世界の海洋資源開発市場というのは急成長しておりまして、我が国の安定的なエネルギー供給の観点からは、これら資源開発への関与が見込まれておりますが、その際、あわせて、これらの資源の生産、貯蔵、輸送など関連する新たな海洋産業の成長も期待をされております。
今回の基本計画におきましては、こういった点を踏まえまして、官民を挙げて、資源開発整備あるいは海洋産業の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
○西岡委員 今や、それこそ海洋からの資源産出量は世界でも三割から四割ということでありますが、先ほどもお話がございましたが、ブラジル沖で膨大な量の石油、天然ガス等が埋蔵されている、それに我が国が参入しようとしているということであります。私は大変いいことだと思いますし、ぜひ、成長力強化ということでも取り組んでいただきたいと思いますが、この点に関して、具体的な取り組みをもう少し詳しく教えていただければと思います。
○赤澤大臣政務官 世界的なエネルギー需要の増大に伴い、海洋からの石油、天然ガスの産出量が年々増加をしている。御指摘のとおりでありますし、その開発に用いられる海洋資源開発関連の船舶の需要は、委員御指摘のブラジルなどを中心に大幅に増加をして、二〇二〇年には二〇一〇年の三倍近くに達するといったような試算もございます。
今後、増大する世界の海洋開発の需要を取り込んでいく、そして委員御指摘のとおり、資源大国への道を探るといったことで、官民一体となって、海外の海洋開発プロジェクトに日本企業が参画するための政策支援、さらには環境整備といったことに取り組んでまいる所存でございます。
さらに具体的に申し上げれば、民間企業の技術開発に対する支援、それから安全面に関する調査研究などの取り組みを進めてまいります。
○西岡委員 四方を海に囲まれた、主要な物資の輸出入を海上輸送に依存している我が国にとっては、先ほどおっしゃいました造船業や海運業に代表される海洋産業は、やはり今後も重要な産業の一つであり続けなければいけないと思っております。
私の地元の愛媛県でも、外航海運業は約八百隻所有しておりまして、これは我が国の外航船の約三分の一を占めているということであります。本当に愛媛県の基幹産業として取り組んでおりますし、また、日本を代表する海事都市でもあります今治市は、内航海運者数や造船事業者数など、まさに海事関連企業の集積地でもあります。バリシップと題した海洋博のイベントも隔年で行っておりまして、ことしはちょうど、来月開催するような予定であります。
こういう海洋産業の新たな成長の可能性として、先ほど政務官からもお話しいただきました海洋資源開発船舶。これは、七年後には三倍近くの十兆円産業になるというような試算も出ておりますが、現在のところ、国際競争力の観点においては、韓国や中国に海洋構造物の手持ち工事量というのは非常におくれをとっているというような状況であります。やはり、この分野に今積極的に取り組まなければ、将来の我が国のEEZの開発を自前の技術でやることすら難しくなるような現状も考えられる次第であります。この点についてどう考えられるか、お聞かせいただければと思います。
○赤澤大臣政務官 委員御指摘のとおり、我が国の造船技術というのは世界に誇るものでありまして、これまでも、造船の技術を持ち、造船産業を国内に抱え、加えて国際会議などでも安全基準あるいは環境基準などを率先して高い水準に高めることで、我が国の産業の競争力というのを保ってきております。
そういう観点からいうと、我が国の大事な産業でありますこの造船関係の技術をさらに発展させて、浮体式の液化天然ガス生産貯蔵積み出し設備、FLNGとか、これが委員の念頭にあると思いますが、こういったものの安全基準の策定などでもしっかり世界をリードするような取り組みを行うことで、今後とも、産業の発展、そして国際的な安全環境基準の設定、さらに、それに基づいて我が国の産業が一定のシェアを占めていくということで、いい循環をつくって、しっかり国富の創造にもつなげていきたいというふうに考えております。
○西岡委員 ぜひ、国際競争で負けない産業の育成をお願いしたいと思います。
また、この分野に関しては、海洋再生可能エネルギーの分野でも、洋上風力発電というものも注目されております。この洋上風車は将来的にも需要が上がると見込まれておりますが、洋上風力分野での取り組み状況はどうか。もし具体的な目標数値もございましたら、お教えいただければと思います。
○長田政府参考人 現下の厳しいエネルギー情勢を考える中で、洋上風力発電を初めとする海洋再生エネルギーの活用というのはやはり極めて重要な状況だというふうに思っております。
現在、我が国の洋上風力発電は世界の一%程度しか占めておりませんが、現在、鹿島港を初めとする港湾区域や漁業との調整を進めながら、今後、大幅に洋上風力発電を進めてまいりたいというふうに考えております。例えば、洋上風力発電、一基二メガワットで、大体二千世帯の電力をカバーできるということでございますし、また、福島あるいは長崎等におきましては浮体式の洋上風力発電ということもやっております。
こういった技術が非常に、関連産業を含めて、我が国の成長産業のもとになるというふうに考えておりまして、私ども、今回の海洋基本計画の中でも大きな点だというふうに認識をしております。
○西岡委員 ありがとうございました。
海洋産業の発展のためには、それを支える人の問題も重要であります。
私の選挙区にも上島町というところがございまして、国立弓削商船高等専門学校があります。一時これは定員割れを起こしていたものが、最近では志願者数もふえているというような状況であります。
しかしながら、船員を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるということでありまして、船員の不足、高齢化、その上、労働条件や環境が悪いということであります。
例えば内航船員では、一昨年の十月の時点で五十歳以上の割合が半分となっておりまして、しかも船員の数が、二年後には八百人から約二千二百人、七年後には二千百人から五千百人不足するという試算が出されております。
また、外航船員では、昭和四十九年に五万七千人ほどいたものが、平成二十二年には約二千三百人というふうに大幅に減少しておる次第であります。これは、外航船員の多くを外国人船員に依存している現状もあり、しかも世界的な船員不足により、フィリピン人を初めとするアジア人の船員の囲い込みということも激しくなっておると聞いております。我が国の外航商船船員の国籍別の状況では、日本人船員は、昨年の時点でもう二・一%にしかすぎないというふうにお聞きしております。
国交省も、この点を憂慮して検討会を立ち上げたというふうにお聞きしております。この検討会の報告が昨年三月に出されたということでありますが、船員の確保、育成の方向性について、どういった成果が今上がっているのかをお聞かせいただければと思います。
○森政府参考人 委員御指摘の、船員の確保・育成に関する検討会でございますけれども、多くの海事関係者、それから船員の教育訓練機関、あるいは有識者の方にも御参加をいただきまして、海運業界のニーズに応える船員の効率的、効果的な養成について検討を行ったものでございまして、昨年の三月に報告書を取りまとめております。
この報告書の中では、海事関係者が一丸となって優秀な船員志望者の確保に取り組むこと、また、海運業界のニーズに応じ、教育訓練システムを逐次見直すこと等の基本的な考え方に基づき、幾多の提言がなされております。
これまでの具体的な成果の一例を挙げさせていただきますけれども、例えば、内航海運業界におきまして船員志望者向けの奨学金制度の大幅な拡充が進められているほか、新たな船員の供給先からの人材確保に向けまして、水産系の高校の卒業者に係る資格制度の改善を行う等の取り組みを行ってまいりました。
国土交通省としましては、引き続き、船員の安定した確保、育成に向け、報告書の提言の実現に取り組んでまいりたいと思っております。
○西岡委員 時間もありませんので、質問を飛ばして、次の質問をさせていただきたいと思います。
海洋基本計画は、今後の我が国の発展にとって非常に重要な計画でありますので、ぜひ、太田大臣のリーダーシップで着実に前に進めていただきますようお願い申し上げます。
次に、ボーイング787について質問をさせていただきたいと思います。
私は地元との行き来に飛行機を使っておりまして、私の利用しております松山空港にはボーイング787が寂しそうに駐機しておる状態であります。私も何度かこの飛行機には搭乗させていただきましたが、非常に快適で、乗り心地もいい機体だっただけに、今回の事案については非常に残念であります。
現在も、二十四機の787が一月十六日から運航を停止しているということでありますが、既にもう二カ月以上、時間も経過をしておりまして、その原因究明に時間がかかっているのではないかと感じております。現在どのような状況なのかということと、また、就航路線等の便数確保に支障が出てきている状況もある中で、航空会社への負担軽減のためにどのような対策がとられているか、そして運航再開のめどが立っているのかをお聞きしたいと思います。
○坂井大臣政務官 お答えを申し上げます。
国土交通省は、米国の国家運輸安全委員会、NTSB及び米国連邦航空局、FAAと緊密に連携をしながら、今回のバッテリー損傷事案の原因の究明と再発防止策の検討を進めているところでございます。
今の検討状況でございますけれども、ボーイング社による是正措置案、こうやったらいいんじゃないかという是正措置案を、これが安全だということを証明する証明計画というものを今出しておりますが、それをFAAが承認をいたしました。これが米国時間の三月十二日ということでございまして、今、この計画に従って、ボーイング社が是正措置案の安全性を立証するための試験や解析等を進めているところでございます。
国土交通省も、職員を派遣するなどいたしましてFAAと緊密に連携をして、これらの試験や解析等が適切に行われていることを確認し、また、今後、その内容がいいかどうかということをしっかりと審査いたしてまいります。
したがいまして、この点に関して申し上げれば、今はまだ安全性を証明する努力をしている最中、こういうことでございまして、残念ながら、運転再開の見通しについて現時点でコメントできる段階にはありませんが、委員が御指摘のように、この航空会社のさまざまな今の状況に鑑みての対応策、それから安全かつ早期の運航再開に向けて、全力で取り組んでまいります。
○西岡委員 ありがとうございました。
日本だけではなくアメリカの関係当局もかかわってきている問題なので、調査結果が、なかなか進まないというのもわかりますが、今回の問題になった機体は三五%が日本製でありまして、日本の技術力に対する信頼性がやはり問われている問題であろうかと思いますので、この点、十分な配慮をいただきますようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、三宅博君。
○三宅委員 日本維新の会の三宅でございます。
空港行政、それから国境を接する島嶼、それから拉致の問題、この三点について質問をさせていただきます。
まず空港行政についてなんですけれども、大阪の伊丹空港、大阪国際空港の存続についてちょっとお伺いしたいんです。
関西新空港ができたその当初は、伊丹空港の廃港というものを前提にこれが建設されたわけでございます。その代替として関空が建設された。当時、伊丹空港の騒音あるいは公害といった問題で、非常に訴訟あるいは抗議が相次ぎまして、それで関空の建設というものが実現したわけでございます。
ところが、空港完成の数年前から、今度は伊丹をそのまま存続させてもらいたいという、地域自治体といいますか、こういった声が上がってきたわけでございますけれども、本来、伊丹の廃港を目的に関西新空港ができたということでありますから、できた以上はそれを廃港にすべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
大阪国際空港は、周辺の市街化及び急速なジェット化が進んだために、昭和四十年代に騒音問題が深刻化をいたしまして、空港周辺住民より、国を相手とした訴訟あるいは同空港の廃止を含む調停の申請というのが数多く行われてまいりました。
昭和五十五年に成立した調停の調停条項として、国は、調査研究及び地元の意見聴取を行い、関西国際空港開港時までに、国の責任において大阪国際空港の存廃を決定することとされたところでございます。
調査結果や地元意見等を踏まえて、平成二年に、国として大阪国際空港の存続を決定し、地元自治体、十一市協でございますけれども、及び調停団との間で、存続の合意と発着枠や発着時間の制限などを盛り込んだ協定を締結いたしました。
なお、この間、航空機の低騒音化や周辺環境対策の進捗によりまして、大阪国際空港周辺の騒音影響範囲が大幅に縮小されてきたということについてもつけ加えさせていただきます。
○三宅委員 そのあたりの経緯については私も理解しておりますが、私の所属しております日本維新の会の大阪市長の橋下さん、それから知事の松井さんの御両名は、やはりその廃港というものを、本来、筋からいえばすべきであろうと。
今は経営統合されまして、基本的には、民間の会社ということで、その意思というものは尊重をするということなんですけれども、これは地元自治体の態度の豹変といいますか、この部分につきましては、いろいろな面からこういったことになったと思うんですけれども、一つは、空港が存在することによって国から支払われるいろいろな交付金、その他補助金。このあたりは、今どれぐらい地元の地域に対しまして交付あるいは支払いがされているのか、ちょっとまずその辺のところも御説明いただきたいと思います。
○田村政府参考人 先生御質問の件というのは、恐らく航空機燃料譲与税の譲与額のことかと理解をいたします。
平成二十四年度におきます航空機燃料譲与税譲与額でございますけれども、豊中市に対しまして二十四億円余り、それから池田市につきましては三千六百六十万円、それから伊丹市に五億八千万円、川西市に三億三千万円というような状況でございます。
○三宅委員 地元対策費といいますか周辺環境対策費、こういったものも激減しているということはよくわかっているんですね。
ただ、関西に今、関西新空港、関空、それから伊丹、神戸、こういった三空港がある。今、アジア全体でもそうなんですけれども、国際的にハブ空港の競争みたいなものがあって、そういった中で、その三空港の存在そのものが、このハブ空港の競争に打ちかつことができない一つの原因になっているんじゃないかなというふうな観点を持つのですけれども、この辺のところは質問通告はしていなかったので、もしよければその辺の御感想を聞かせていただければというふうに思います。
○田村政府参考人 先生御案内のように、昨年、伊丹空港というのは関西空港と経営統合がなされたわけでございますけれども、その経営統合の目的というのが、関空の国際拠点空港としての機能強化ということ、それから、伊丹、関空両空港の有効活用によりまして、関西の航空需要の拡大を目的として一体的に運用する、こういうことで経営統合がされたわけでございます。
そういう意味では、関西空港の新しい会社のもとで、LCCを初めとする新たな航空会社の誘致、あるいは、もうすぐ貨物航空会社のハブ化というようなことも計画をされておりまして、関空というものがアジアにおいて国際拠点空港として存在感を発揮できるように努力をしているところでございます。
以上でございます。
○三宅委員 ぜひとも、その辺のところを御努力されまして、国際競争に打ちかっていただきたいというふうに思っております。
翻りまして、実は私、大阪府の八尾市というところに住んでおるんです。私の家から直線でいいますと百五十メーターぐらいのところに、八尾空港という、民間航空会社が利用しているといいますか、小型機の発着便数では日本一の飛行場なんですね。そこに住んでおります。
これは、一番最初は昭和九年だったと思うんですけれども、陸軍の阪神飛行学校という形で開校をいたしました。もともとは私も地元の農家の出身でして、当時、地元周辺地域あるいは農家の方々の非常に大きな協力を得た。当時の緊迫するアジア情勢の中で、この陸軍の飛行学校が必要だということで、国策としてこれがされたわけなんですね。
全体で百ヘクタールぐらいたしかあったと思うんですけれども、西側の部分が施設の統合によって不必要になった。これを売却しようというふうな国の基本的な方向がある。ところが、八尾空港ができるときには地域の非常に大きな協力を仰いで、国策として、国の方針に同調していただきたいということでやったんですね。今、要らなくなったからといって、これを民間の方に競争入札で売る。これは、当時の協力をされた地域の方々に対して一つの大きな背信行為的な面も否めないんじゃないかなと思うんです。
要らなくなったのであれば、当初の協力を仰いだという経緯もありますので、やはり地域にとって最もメリットのあるような活用方法をされるべきではないかなというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
八尾空港の西側の跡地の問題でございますけれども、当然いろいろ、この空港ができた経緯等も私ども十分認識をしておりますし、そういう意味も含めまして、現在、その利活用について、地元でございます八尾市、大阪市から、地域のまちづくりに配慮してほしいという御要望をいただいておるわけでございます。
したがいまして、現在、この地元の二つの市に大阪航空局と近畿財務局を加えました四者で、協議の場として八尾空港西側跡地検討会議というものを設置して、検討を進めているところでございます。
この会議におきましては、地元からいろいろ御要望もいただいておりますので、地域のまちづくりに配慮した利活用について、できるだけ地元の意向が反映されるように取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
○三宅委員 私自身も、以前は八尾市議会に在籍しておりましたので、その辺の経緯というものは十分承知しているつもりなんですけれども、ただ、当初からの経緯というものを無視して、要らなくなったので売るというような、こういうことだけは何とかやめていただきたい。今おっしゃったように、地元自治体の要望、それから地元地域住民のメリットというものを念頭に入れて、その辺の活用をお考えいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、国境最前線の島嶼部の領土保全について、ちょっと話を転じていきたいと思っております。
皆さん御存じのように、領土あるいは資源、こういったものに対しての中国の膨張主義的体質というのは非常に、とどまるところを知らない。これが、アジア全体に非常に大きな危機的状況をつくっている部分があると思うんです。
そこで、国境最前線の島の与那国島ですね、与那国島に対しましての防衛省の方のお考えをちょっとお聞きしたいんです。
与那国島の方で、平成二十年の九月に自衛隊誘致の方針を町議会が決定しまして、翌二十一年六月には、町長、町議会議長が浜田靖一防衛大臣を訪ねて自衛隊誘致を要請されたわけなんです。ところが、今これが一転してどうも暗礁に乗り上げているみたいなんですけれども、その辺の、自衛隊の部隊の誘致、あるいは過去の経緯と現状、この部分を説明いただきたいと思います。
○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
ただいま委員が御指摘のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境というものが一層厳しさを増す中、この南西地域を初めとする島嶼部の防衛というのは極めて重要なものだと我々も認識しているところでございます。
その上で、この与那国島への沿岸監視部隊の配置につきましては、平成二十一年の六月、外間町長等から当時の浜田防衛大臣に対し、与那国島への陸上自衛隊部隊の配置に関する要望書が提出された。そういうことも踏まえまして、平成二十三年の九月に与那国島への部隊配置を決定。その後、平成二十四年度の予算に関係経費を計上し、外間町長を初めとする地元の方々に対して調整を丁寧に進めてきたというところがあるわけであります。
しかしながら、本年の三月二十日、左藤章防衛大臣政務官が外間町長と町有地の用地売却について協議したところ、外間町長からは、賃借料のほかに、沖縄県に新たに自衛隊基地を建設する対価として、町長は当時はいわゆる迷惑料と言いました、その後、市町村協力費と言葉を言いかえてきたわけでありますけれども、十億円という要求があったわけであります。
我々防衛省としては、自衛隊施設が所在する市町村に対しては、法令に基づき、地元の御要望を踏まえながら、まちづくりには最大限協力してまいりたいというふうには考えておりますけれども、自衛隊誘致を要求した町長みずから、今般、いわゆる迷惑料の要求というものは、これはどう考えても余りにも理不尽でありますし、そしてまた、財政法上からも応じることはできないわけであります。
このため、外間町長が、いわゆる迷惑料、市町村協力費と言いかえておりますけれども、このことにこだわるのでありますれば、当面の間、我が防衛省からの積極的な交渉ということは控えざるを得ないなというふうに今考えております。そして、今後、用地交渉の進展というものが見られない場合においては、与那国島への部隊配置を含めた計画全体の見直しを検討せざるを得ない、そのように考えております。
いずれにいたしましても、南西諸島への防衛態勢の確立というのは喫緊の課題だと我々考えておりますので、初動を担任する部隊の配置につきましては現在検討を加速させていただいておりまして、部隊配置の概略を早急に策定した上、具体的な調査の方に移行したいというふうに考えております。
○三宅委員 これは、そもそも一九九六年に、台湾の総統選挙のときに中国が発射したミサイルが与那国近海に落下した。こういったこともあって、与那国島の方で、やはり非常に大きな危機感を深められてこういうふうなことになった。国境最前線で、国防上非常に危機的状況にあるその地域が、自衛隊の誘致を真剣に考えて、防衛省の方に依頼された。
ところが一転して、直前になって、外間町長も発言をころっと変えているんですね。国防上の危機からで要請したんじゃないんだ、町の経済の振興発展に寄与するために自衛隊に来てもらいたい、そういう思いで我々は自衛隊を誘致したんだと言って、全くその趣旨を変えてしまったということがあるんですね。
与那国島は人口千六百人ほどなんですけれども、今、ここの、国境最前線の島の守りというのは警官二人でやっている。これはもう異常な状態ですね。確かに、町のそういうふうな態度の豹変もありますけれども、これはやはり、国防の観点からして対応していかなくてはならないというふうに思います。その辺のところ、今、副大臣がおっしゃったような御認識はよくわかるんですけれども、それはそれとして進めていかなくてはならないという国防上の必要性、この部分もやはり重要視していただきたいというふうに思います。
これは与那国島だけじゃなしに、竹富町の方の外離島、内離島ですか、こういうふうな島を所有している台湾の陳さんという方が、この二月に御夫婦そろって殺害された。その殺害の背景にどうも中国の影があるんじゃないかなというふうな報道が、先日の四月一日付の産経新聞に載っておりました。いろいろな部分で、日本の国境あるいは国防というものが危機的な状況にあるというふうに思います。
また与那国島の方に戻りますけれども、ことしの八月にたしかまた町長選があると思うんですね。ここで、人口千六百人の島ですから、ちょっとした人数の変化によって結果が左右されるという場合があるんですね。特に前回の町長選挙のときも、住民票が一挙にふえて、僅差で今の町長が勝ったというふうなことがあるんですね。こういったもので、特定の意図を持って数百名の人間がそこに住民票を移して、選挙結果をがらっと変えるということが可能なので、こういうふうな部分も、我々は常にやはり注意をしていかなくてはならないと思います。
副大臣おっしゃったように、迷惑料と。国の守り、あるいは与那国の人々の平和と安全を維持するためにそこへ部隊派遣をしようとしたら、町長がそれに対して迷惑料って、何ということを言うねんというふうな思いが我々はするんですね。町長自体がもともとそういうふうな御認識、御意向であればそうなんですけれども、全く態度を百八十度変えてしまったんですね。そういった部分もあって、与那国の現状というものを、あるいは将来を考えますと、非常に憂慮すべき状態にあるというふうに思います。
尖閣を国家の方で買収いたしまして、購入いたしましたけれども、積極的な有効活用をすべきではないかなというふうに思うんですね。今、無人で、積極的な利用をするどころか、反対に、利用しようとする、漁をしようとした地元の石垣の漁民に対して、二マイル以内は入らないでくれとか、この一月までは一マイル以内と言っていたのが、三月に行ったときには二マイル以内は入らないでくれ、こういうふうなことも海上保安庁の方が言ったりしているんですね。
しかし、本来ですと、実効支配を強化すべきというふうな観点からしますと、より一層有効活用すべきではないかなというふうに思うんですけれども、その辺のお考え、決意をお聞かせいただけたらというふうに思います。
○加藤内閣官房副長官 尖閣諸島について、有効活用、あるいは私どもの選挙のときのJ―ファイルにおきまして公務員の常駐等を検討する、こういう旨を記述しているところでございまして、これについては、安倍総理も、尖閣諸島及び海域を安定的に維持管理するための選択肢の一つと考えている、こういうふうに述べておられるところであります。また、実際にどのような状況の中で、そして公務員の常駐等を検討していくかについては、まさに戦略的な観点も含めて議論していかなきゃいけないというふうに考えております。
ただ、いずれにいたしましても、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、自国の領土、領海、領空を守るという断固たる決意を持って対応していきたい、こういうふうに考えております。
○三宅委員 今、戦略的なというふうにおっしゃったんですけれども、さっきも言いましたように、与那国は千六百人の人口で、選挙結果というものは、ちょっとした変化によってこれが左右されるという背景もあります。
こういった中では、今、外国人参政権の問題なんかもよく国会でも論議になっているんですけれども、戦略的な考えからしますと、これもやはり慎重に考えるべきではないかな、そういうふうに私自身は考えておりますので、その辺のことも視野に入れて今後対応をしていただけたらというふうに思います。
次に、拉致問題の方に話をかえていきたいと思います。
これは一度、以前からちょっとお聞きしたいなと思っていたんですけれども、昭和六十三年の八月に、境港を出港した一世丸という船に乗っておりました矢倉富康さんという方がいなくなったんですね。その船には他船と衝突したような跡が見られて、一部、そこに塗料が残存しておりまして、この塗料を海上保安庁が持ち帰って分析したと思うんですね。この塗料は日本の船のものとどうも異なるんじゃないかなというふうなことだったんですけれども、その分析結果を全然聞かされていないので、ちょっと知りたいと思うのでお聞かせいただけないでしょうか。
○北村政府参考人 お尋ねの事案についてでございます。
今先生おっしゃいましたように、発見されました一世丸の船体の状況から、ほかの船との衝突の可能性も視野に入れて全国的に手配を行いますとともに、一世丸の船体に付着していました塗料片を採取いたしまして、我々の海上保安試験研究センターの方で鑑定をいたしました。
鑑定します場合には、推定される操業海域を航行していた船舶の塗膜片と同一性があるかないかとか、そういうものも含めて鑑定をいたしました。
その結果、船舶の塗料は、日本の船の塗料とは異なるとは断定はできないということでございます。したがいまして、そのときに一世丸から採取しました塗膜片と、さらに付近を航行したと考えられる船舶の塗膜片が一致するか相違するか、そういうことも含めて鑑定をいたしましたが、相違することはわかってはおるんですが、どこのものかというのは、残念ながらはっきりはいたしません。
したがいまして、我々としましては、事件当時、当庁で可能な限り、失踪された、先ほど名前が挙がりました矢倉さんにつきましても、捜査だけではなくて可能な限りの捜索もやらせていただきましたけれども、残念ながら、それ以上の手がかりはございませんので、現時点においては新たな情報に接してはおりません。
以上でございます。
○三宅委員 塗料からどこの船かどうかというのはなかなか把握しがたいというふうなことですね。と申しますのは、これに類似した事件がそれよりはるか前に起きておりまして、それは寺越さんの事件なんですね。
昭和三十八年に、寺越さんという漁師の方が、おじさん二人と寺越武志さんが漁に行った。そのときに、結局三人とも行方不明になって、翌日に無人の船だけが残された。船にはどこかほかの船との衝突跡があったということなんですね。
それから二十年ほど経まして、武志さんが北朝鮮で生きているということが判明したんですね。武志さんはそのときに、いや、事故があって、我々は北朝鮮の船に助けられて、今北朝鮮に住んでいるんだと。これは、脅迫下に置かれているので、にわかにそんなものは信じがたいんですけれども、この事件と非常に類似しているように思うんですね。漁船を衝突させて、人を拉致して北朝鮮に連れていく。
寺越武志さんは、いや、反対に、北朝鮮に助けてもらったんだというふうなことをおっしゃっているんですけれども、これは本来ですと、間違いなく拉致事件と断定し、寺越武志さんを認定被害者にしなくてはならないというように思うんですけれども、本人が北朝鮮に助けてもらったんだと言っているのをいいことに、日本政府は全くこれを拉致認定していないということなんです。
五百名近い特定失踪者の方々が、ひょっとしたら北朝鮮に拉致をされているかもわからない。この人たちの職業とかいったものは非常に特徴が見られるんですね。特定の職業あるいは技術の保有者、それからまた特定の地域、こういったパターンが見られまして、職業でいいますと、看護婦さん、看護師さん、あるいはまた印刷技術、あるいはまた精密機械に精通している者、あるいは女性ですと編み物、それから先端技術、電気工学、こういったものが非常に見られる。どうも北朝鮮はむやみやたらに拉致をしているんじゃなしに、基本的な戦略を打ち立てて、その必要性に応じて、ターゲットを絞って日本人を拉致し続けてきたというふうなことがかいま見られるわけなんですね。
我々は、深く北朝鮮のこういった意図を把握して、二度とこういう悲劇が起きないようにしていかなくてはならないというふうに思います。
まだまだ言いたいことはいろいろあるんですけれども、時間も来たようでございますので、これで質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時二分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。杉本かずみ君。
○杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。よろしくお願いいたします。
会議の定刻は十三時ということでございましたが、私も、一回生のときが前回でございますが、とにかく時刻には座っていろ、定足数が足りないと会議が成立しないんだということをさんざん先輩方から言われた記憶がございます。きょうは、せっかく樋口委員が初質問で、百日目ということを、太田大臣の御就任についてお話がございましたので、大変僣越ですけれども、与党の皆さんは気を引き締めて頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。
私、環境委員会の方にも所属させていただいていまして、公明党の斉藤元環境大臣を大変尊敬申し上げております。その斉藤大臣が御出席をされていたテレビ番組で、まさしくきょう質問させていただく、国土交通省職員による再就職等規制違反行為が行われた事案といったことの紹介がございました。
その中で、尊敬する斉藤代議士は、太田大臣には張り手をしていただかなきゃいけないのではないかというようなお言葉まであったので、私は、先ほどの大畠元大臣との質疑の中でも非常にいいやりとりをしていただいていたと思っておりまして、現場に行くことが大事とか、意識改革を本当にしてもらわなきゃいけないんだというお話があったと思いますので、そこを改めて大臣から御答弁をいただいたりしていく質問をしていきたいと思っています。
それで、ちょっと冒頭幾つか申し上げたいんですが、天下りに関することについては、官僚の多くの方々は一生懸命働いてくださっていて、逆に、杉本は質問を出すのが遅いぞ、早く出してこいということで、時々延長させていただいたりもしている恥ずかしさもあるんですが、本当に多くの方々が一生懸命働いている中で、残念なことに、国民の皆様からは、昨今は公に対する、官僚に対する御評価というのが決して芳しくないように感じております。
そして、イメージとして、これは御無礼だと思いますけれども、何となく、水戸黄門じゃないですが、悪代官みたいなイメージにとられてしまうということが、本当に一生懸命やっていらっしゃる官僚の皆様にとって申しわけなく私は感じております。
そんな意味から、国を思う方々、あるいは国家国民を思うという姿勢については、むしろ、私はこんな言葉も聞いたことがございます。政権がかわったぐらいで官僚のやっていることが変わったらたまりませんよという言葉を、今回の政権交代の前後で同じ官僚の方から、経験した上で、そういう言葉をいただいていますので、多くの官僚の方々が一生懸命やっていただいているということを前提に、その中で、この天下り問題をどう前向きに捉えて改善していくことが大事なのかということで、質疑をさせていただきたいと思っております。
それで、先ほどのお話からの引用で恐縮なんですが、太田大臣は現場に行くことが大事だということをおっしゃってくださいますし、大畠大臣も随分入ってくださっていたと思います。
そんな意味で、私が昨今も、ちょっと手前みそで恐縮ですが、双葉町の埼玉県加須市に移っている役場をお訪ねして、新町長にお会いして、新町長が着任して二週間弱のときだったんですが、伊澤町長さんは極めて明るい方で、そしてまた若くてバイタリティーに富んだ方で、そして、今後のことをいろいろ伺ったところ、お言葉として、六月にはいわきの方にこの役場を移すんだ、そういう予定で、ただ、御高齢の方々が百人以上、七十歳以上の方々がこの高校跡地にいらっしゃるので、その方々は引き続きここにいていただくということで、一つ一つ対応していかなきゃいけないという言葉をいただきながらも、そういった現場の声を聞かせていただくことの大切さをまた改めて、先週行って感じた次第でございます。御報告したいと思います。
そんな意味から、私は、やたら、官僚の無駄遣いがいかぬだとか、税金の無駄遣いがいかぬとかいうことも、私も言ってはいるんですが、実際に官僚の方々、役人の方々が本当に現場に行っているかどうかという点では、大臣もおっしゃったとおり、現場にもっと足を運ぶのは、政治家は必要でもあると思いますが、官僚自身、やはり行っていただくということも、補正予算で随分予算もとれたんじゃないかという気もいたしますので、本予算は別で、節約型かもしれませんが、いずれにしても、もっと円滑に官僚が現場を見るということを考えていただくということも、ひとつお願いしておきたいと思います。
それから、今回の口きき行為的なところなんですけれども、私が感じるのは、組織の必要悪的なところがあって、ちょっと例としては正しくないかもしれませんが、私がいた民間の銀行でも、同期意識というのが極めて強くて、出世街道を進んでいって、最後に数人だけが役員に残って、そして何年かに一人が運よく頭取に、あるいは持ち株会社だと社長になれるという流れの中で、同期がどんどん出向させられるというパターン化したものがございました。
今は大分、信賞必罰、厳しくなって、降格人事、停滞人事、あるいは逆転人事、それも起きているやに聞いておりますし、私がいたのは銀行でありますが、その昔、八尋さんという方が三井物産にいらっしゃって、社長、会長を務められたと思いますが、八尋さんは一回降格した上で、最後はトップまで上り詰めたというような人事があったかと思います。
そんな意味からも、やはり今回の天下りの問題点というのは根が深いと思っておりまして、本質的には、やはり、シニアになったときに、仲間が出世する一方で、それを横目に別の組織に行って活躍の場を求める、こういう体質を改めて、むしろ、民間が最近多く行っているような形での専門家として役所に残っていただく、こういうことをもっともっと進めていく必要があるというふうに私は感じております。
これも私の勝手な言いっぷりで申しわけないんですけれども、そんなことを思いながら、この事案について質問をさせていただきたいと思います。
そもそも、財団法人海技振興センターといったところは、水先人といった方を養成する仕事をしていると聞いているんですが、この水先人という言葉も庶民感覚からするとなかなかわかりにくいんですけれども、そういった点も含めて、どういった事業をしているか、この点についてお話をいただきたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
まず、水先人でございますけれども、船舶交通が非常にふくそうしている海域において、船舶の船長に的確な指示を与えて船舶の航行の安全を守る業務でございます。
財団法人の海技振興センターは、船舶交通の安全の確保に不可欠な、今申しましたような水先人のなり手が近年非常に不足している中で、水先人を目指す学生に対する奨学金の給付や、水先人の養成を行う大学への教材、装置の貸与などの事業を実施しております。
なお、国からの補助金等につきましては、一切受けずに事業を実施しております。
○杉本委員 ちょっとレクを受けて、官僚OBは何人勤務していますかということで、二名というような回答をいただいているんですけれども、改めて、確認の意味を込めて、これは常勤と非常勤もいらっしゃるんじゃないかと思うので、非常勤も含めて二なのか、その点も含めて、常勤、非常勤で御回答いただきたいと思います。
○森政府参考人 国家公務員出身者は二名在籍しておりますけれども、これは常勤理事でございます。
○杉本委員 済みません、非常勤の方はほかに何人いるかというのは、事前に通告の対象にならなかったかもしれないので、私の方からお答えしますと、もう四人ぐらいいらっしゃるように感じております。そんな意味で、ちょっと国土交通行政にとって、補助金は出ていませんけれども、関係の深い組織であるのかなというふうにも感じます。
この関係で、前後をする組織がございました。小型船舶検査機構、それと日本冷蔵倉庫協会、この二つの組織がございましたが、それぞれについて、どんな事業をされて、補助金が出ているかいないか、官僚OBがいらっしゃるかいらっしゃらないか、そして開示できれば、わかる範囲でその報酬も教えていただきたいと思います。
○森政府参考人 まず、私の方から小型船舶検査機構についてお答えをしたいと思います。
日本小型船舶検査機構は、船舶安全法に基づきまして設立された法人でございまして、小型船舶の安全基準への適合性の確認、検査事務、それから所有者の登録に関する事務などを行っております。日本小型船舶機構は、国の補助金等は一切受けておりません。
それから、同法人の役員のうち、国家公務員の出身者は理事長一名のみでございます。なお、報酬につきましては、この法人では給与支給基準を公表しておりまして、それによりますと俸給月額は九十四万二千円と承知しております。
○杉田政府参考人 日本冷蔵倉庫協会は、冷蔵倉庫業者を会員として、冷蔵倉庫業の健全な発展を図るということを目的としております一般社団法人でございます。その事業といたしましては、冷蔵倉庫における物流品質の向上や物流効率化などを促進するための各種の調査検討、情報提供などの事業、あるいは冷蔵倉庫の従事者における必要な知識の習得などを推進するための各種の研修会の実施などの事業、冷蔵倉庫に関する各種の統計資料の提供事業などを実施しております。
同協会は本年四月一日に、既に一般社団法人に移行しているところでございますが、国からの補助金は受けていないものと承知しております。また、常勤の理事としては国家公務員出身者が一名勤務していると承知しております。その報酬につきましては公表されておらず、具体的には承知しておりません。
○杉本委員 ありがとうございます。
今お話しいただいたんですが、ちょっとさっきの話にさかのぼりますが、財団法人海技振興センターさんの非常勤は三人でしたね。だから、常勤が二人に、三人いらっしゃるというように私のデータからはありますので、一応御報告いたします。
それと、今の質疑でいただいた報酬が月額ベースだとわかりにくいので、九十四万二千円というお話だったんですが、一応レクでは一千八百万円というふうに聞いておりますので、国土交通委員の皆様は御認識をいただければと思っております。
そこで、今回の事案は国家公務員法第百六条の二の第一項違反行為ということでありましたけれども、これについて罰則があるかないかというのを確認したいんですが、お願いできますでしょうか。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員法第百六条の二第一項におきましては、各府省による再就職の要求・依頼のみならず、再就職に関する情報提供やその依頼という行為も含めて幅広く禁止しているところでございます。
一方、罰則規定でございますけれども、これにつきましては、国家公務員法の第百十二条におきまして、職務上不正な行為をすること等に関して、営利企業等に対し、他の職員やOBの再就職を要求、約束した場合について規定がなされているところでございます。
○杉本委員 ありがとうございます。
今回の事案については、再就職等監視委員会の方から意見が出されていまして、「国土交通省においては以下の点について所要の措置を講じられたい。」ということで、職員への周知徹底、あるいは元職員に対しても、ちょっと読みますと、「営利企業等に勤務する国土交通省の元職員に対し、国家公務員の再就職規制の内容の理解を求めること。」こうあります。
先ほども西岡新さんの質問にも御答弁があって、こういうことについて具体的にどうされますかということと、あと、大臣の記者会見等でも情報をいただいていますが、二度とこういうことがないように徹底したい、繰り返しこの点について省内に求めたいとかいうお言葉と、あと、先ほど何回か、きちっと伝える機会を持ちたいというようなお言葉を大臣はおっしゃっていたと思うんですが、このことについて、ちょっと具体的にもう少し詰めて考えてみられないかなと、僣越なんですが思っております。
それで、まず罰則についてなんですが、これは、大臣が野党時代のときに、現行法に対する公明党さん案が政府案に修正する形で、罰則について、再就職のあっせん規制違反を行った場合、懲戒処分及び二十万円以下の罰金というようなことを考えられたということを伺っていますし、当時野党、今の与党の自民党さんは、我がみんなの党とともに、同様の内容なんですが、再就職あっせん規制違反行為を行った場合、懲戒処分及び二十万円以下の罰金というような、少しこの罰則ルールを厳しくしようじゃないかというような流れが、民主党さんが政権を持っておられたときにはそういうやりとりがあったので、この罰則についてもう少しお考えを深めていただけないものかなというのと、最後に感想を伺えればと思っています。
それと、私は、一番大事なのは、今回のケースでも、御本人は違反としての意識がないというようなことがございましたけれども、このことに関しまして、もう少しOBの方々にこれをしてはいけないんだという意識を持っていただくためには、私が感じるのは、もっとペナルティーという意味で、罰則ではなくて、功成り名を遂げた方々が、むしろ、OBとなって、かわいい後輩の後をちょっと心配しないといかぬな、だから、あいつ今どうしているのかなんていうことで現職の幹部の方に連絡をして、そしてその結果人事が動くというような、無意識のうちで行ってしまうというようなこともあるかもしれませんが、功成り名を遂げた名誉ある方々にこそこれは慎んでいただかないといけない、徹底をしていかなければならないと私は思っております。
そんな意味から、例えば、罰金云々というようなレベルではなくて構わないので、やはり、現職ではなくなった方、OBに対しても、その名を公表する、広く公開するというようなことで、ある意味で功成り名を遂げた方が名誉を毀損されるというようなぐらいの思いでその周知徹底を図ることはいかがかと思いますし、何回かきちっと徹底したいと大臣はおっしゃっておられましたので、そういった意味で、ではことしは二回ぐらい、きちっと定例で省内に私は意見を言っていくぞというような、ちょっと唐突で恐縮なんですが、そんな頻度も含めて、大臣に、OBに対する慎んでいただくというような施策と、それから省内に対する施策みたいなことを、突然の質問なので、ちょっと感想で結構でございますので、いただければありがたく存じます。
○太田国務大臣 私は、意識を変えることが大事だということを先ほども申し上げたんですが、意識改革というのは、いつ、どこでというのは、私は長い間、組織や大勢の人を統括する立場にいたことが多いんですが、ゆっくり懇談をしたり、それから唐突に言ったり、いろいろな意味で、こうですよと定例で、スケジュールが決まっている中でやるというのは、意識は本当に変わらないんですよ。
今回の事案は、極めて私が真摯に受けとめたいと言っているのは本当にこういうことなんだよということを、一人一人、OBも含めてよく理解をし、意識改革をしなくてはいけないというふうに変わらなければ、そこがない限り、いろいろな規定を設けてもなかなかだめなので、私は本当に、いろいろな会議があったりします。出張で懇談するという場もあったりします。そういうときに、このことは非常に大事なことなので、今回は直ちに官房の方から全てやりました。また、追加してもう一回、今回の事案がどういうものかということについてやらせました。これは日曜日に私はやらせたんです。直ちにやったということではなくて、もう少し、こういう事案だということをよく理解しなくてはいけないということで、既に二回にわたってやりました。
いろいろな機会に、私は、そこの意識改革ということをやらなくてはいけないというふうに強く思っていまして、定例ということは、私は逆に考えておりません。
私の責任として、ここはきちっと意識改革に力を注いでいくということの、ちょっと決意で申しわけないんですけれども、そのことを本当にしなくちゃいけないなと思っているところです。
○杉本委員 大臣の真摯な、そしてタイミングをはかってのというお話だったと思いますので、大いに期待したいと思います。ありがとうございます。
さて、この天下りの事案はそういうことで、国交省さんがより本業に精励していただくことをお願いしつつ、次の質問に移りたいと思います。
ひとつ、私の地元の道路の問題をテーマに、ミッシングリンクをやはりつなげるべきではないかという大きな答えとリンクして、質問をさせていただきたいと思っています。
時間が余りなくなってきたので、特に私の地元で、ちょっと順序が逆になるかもしれませんが、都市計画道路の一宮春日井線という東西の道路。
皆さん御案内かと思いますが、愛知県がありまして、三河と尾張、東と西で、西側が尾張でありまして、その尾張の南の方が名古屋、北側に私の地元の尾張地域があって、そこに一宮市という大きな市があります。三十八万都市でございます。
そこの中で、南北の道というのは結構できていまして、ちょっと渋滞の問題があるというのは事実なんですけれども、東西がやはりミッシングリンクがまさしくありまして、私も四年半ほど浪人をして、タクシーの運転手さん並みに地元を走らせていただく中で、どうしても、それこそちょっと御無礼な例になるんですけれども、原子力発電所の放射線の関係で通行どめになっているような、そんなようなイメージというのをイメージしていただきたいんですが、走れる道路があるんだけれども、それがブロックされていて、それがいわゆるガードレールのようなものが設置されていて、その先、道は何か見えるんだけれども使っていないんだよな、こんなような道路がございまして、それがまさしく一宮春日井線というものでございます。その先に川があって、小さな川でありますが、青木川というのを越えて、そしてまた道がということで、そこの部分だけがミッシングリンクになってしまっている。
地元の一人一人の声を拾うと、もうこれはずっと懸案なんだけれども、ちっとも政治家というのは仕事をしないなというようなお言葉をいただいて、厳しく感じておるんですが、地元の土木の県の事務所に尋ねますと、いや、逆に地元から余り要望がなんていうふうな声が聞こえたりとか、市の方が余り言わないんですよみたいなことがあったりとか、ちょっと住民の皆さんの声が、本当にしっかりとこれは伝わっていないという感じがしました。
冒頭申し上げた、官僚の、役人の皆さんに現場に行っていただきたいというのは、まさしくそこなのでございますが、そんな意味のミッシングリンクが、まさしくこの一宮春日井線に代表されるものなので、現場に入っていただくことをお願いしつつ、この現状がどうなっているか、御答弁いただけますでしょうか。
○赤澤大臣政務官 道路整備の重要性についての先生の認識の高さには大変感謝をしております。
県道一宮春日井線、御指摘の県道でございますけれども、昭和六十一年度に事業着手をしましたが、実は、未施工区間については地元の合意がとれなかったということで、愛知県において平成七年度から事業を休止している、恐らくこれは御案内のことだと思います。
それで、今後、事業の必要性、予算の状況、地元調整状況などを踏まえつつ、事業再開の検討を行うと愛知県からは伺っているところでございます。
一般的に、道路は、ネットワークを形成してその機能を発揮するものと認識しています。主要地方道の整備に当たっては、おのおのの事業主体が事業の必要性や優先度を勘案しながら、事業計画や事業手法を個別に判断するものと考えています。
国土交通省といたしましても、引き続き、先生の御指摘もいただきながら、都道府県の要望を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。
○杉本委員 今、赤澤政務官の御答弁をいただいて、ありがとうございます。
地元の合意というお言葉がありまして、まさしくそこは問題ではあるわけなんですが、ある意味で、ちょっと一種、諦めムードの中で横に置かれてしまった問題みたいな感じで、どなたももう何も言わなくなってしまったので、とまっちゃっていて、実はつながると相当便利だ、こういうふうに私は理解しておるんですね。
そんな意味で、どこからその話を始めるかという意味からすると、それは、地元の合意は大切でございます。しかし、その合意を得るために、ではどこがもう一度ボタンを押すのかといった意味からも、ぜひとも、まさしくお役所の皆様方の役割というものも改めて考えていただいて、国家国民のためにそういった業務に精励していただいて、ぜひ、ミッシングリンクは高速道路だけじゃないという意識を、改めてこの場で申し上げさせていただきたいと思います。
あとは、大体時間、切りもよくなりましたので、このぐらいで今回は質問を終了させていただきまして、また次回に持ち越させていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。
○金子委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 三月十五日、当委員会での続きを少ししたいと思います。
まず、笹子トンネル事故について再度聞きたいと思います。
結局のところ、笹子トンネルの事故の原因は何だったのかということについて、端的に御報告いただきたいと思います。
○赤澤大臣政務官 今回の笹子トンネルの事故により犠牲となられた九名の方々に対し改めて哀悼の意をささげるとともに、負傷、被害を受けた方々に心からお見舞いを申し上げます。
さて、穀田委員からのお尋ねでございますが、笹子トンネル天井板落下の原因究明と再発防止策について、調査・検討委員会において、幅広い技術的知見に基づき議論していただいているところでございます。
これまでの議論では、天井板の落下原因について、一番、トンネル完成当初から、ボルト接着部周りに要因が内在していたこと、二番、経年的な影響を受けて天井板が落下に至ったことが指摘されたと理解しておりますが、さらに分析を進める必要があると考えております。また委員会からは、三番目として、中日本高速の点検体制も不十分と指摘されており、問題があったと認識しております。
国交省としては、委員会の取りまとめを早急に行い、二度とこのような事故を起こさないよう、原因究明に努めるとともに再発防止に取り組んでまいります。
○穀田委員 三月十五日、私は当委員会において、今、赤澤政務官がおっしゃったように、三番目のところでありましたけれども、維持補修費をふやさずに、収益を優先させるために笹子トンネルの改修を後回しにしたんじゃないかということ、そして、中日本の責任は極めて重大だ、その背景に、道路公団民営化に伴って、改修、更新の費用を三割減としたのがもともとの発端ではないか、こういうことを指摘したわけであります。
今ありましたように、もともとの施工のときから不十分だったんじゃないかというふうなことなど、報告を見ますといろいろなことが書かれています。それから接着剤の問題も含めて、当時の考え方だとか含めて書かれています。そういう意味では、全体として極めてずさんだったということが言えると思うんですね。
いつもこういうのがありますと、事故原因を究明し、再発防止に努めます。これは大体、慣用句であってはならぬわけですよね。そこで、この事故報告、原因を受けて、国交省はどのように対応しているのか。ボルトで定着というやり方をしていると思われる高速自動車会社ないしは当該する自治体へはどのような指導を行って、どういう回答を得ているのか報告されたい。
○赤澤大臣政務官 国土交通省としては、調査・検討委員会の指摘を踏まえて、道路管理者ということで、各地方整備局等及び各高速道路会社に対し、笹子トンネルと同様の構造を有する既存の天井板については、今から申し上げます対策を実施するよう指示をしたところでございます。
具体的には、まず、各種影響などを勘案しつつ、可能な限り撤去することでございます。二番目として、やむを得ず存置する場合には、バックアップ構造・部材を設置すること、さらにモニタリングの強化とともに、速やかにサンプリングを行い、実際に引っ張ってみて、これは引っ張り載荷試験と言うようですけれども、それを実施することなどでございます。
あわせて、委員御指摘の地方公共団体に対しても、当該内容について情報提供し、対応を求めているところでございます。
○穀田委員 トンネル事故を受けて、今、地方自治体の対策はどのように進行しているかをお聞きしたいと思うんです。
国交省が先日実施したとされている自治体へのアンケートでは、五八%の市区町村が、笹子トンネルの事故の前までトンネルの点検を一度も行っていなかったと発表されています。笹子トンネルの事故以後はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
全国の市区町村のうち、トンネルを有する市区町村が六百九十二団体ございます。このうち、笹子事故の前に点検をやっていなかったのは、委員おっしゃるとおり、約六割の市区町村で点検を実施していなかったという報告を受けております。
なお、笹子トンネルの事故を受けて初めてトンネルの点検を実施したという市町村が百七十四市町村、二六%ございまして、残る三五%の市町村については、笹子トンネルの事故を受けてなおかつ点検を実施していないというふうに伺っているところでございます。
○穀田委員 今、報告がありました。その数字を引き算すると、結局、二百二十八の市区町村がやっていないということになりますよね。私は、これは極めて大事だと思うんですよね。終わってからもやっていない。事故防止やトンネル等の老朽化対策が不十分であるという実態がまさに浮き彫りになった。
そして、事は人の命と安全にかかわる重大問題なのに、なぜこのような実態が放置されているのかということについて、できれば大臣にお答えいただきたいと思います。
○太田国務大臣 今まで、トンネル等について、危ないとかそういう意識がなかなかなかったんだというふうに私は思います。さまざまなことでメンテナンスが必要だ、今までも、山陽であったり、ことしに入ってから意識がされていたということもありまして、モルタルが天井から落ちたとか。今までは、モルタルが落ちたぐらいでは報告もされてこなかったということがあったと思います。
穀田先生おっしゃるとおり、ここは点検を急がなくてはならない。緊急点検をし、緊急の対策をすべきところはやらなくてはいけないということなんですが、点検しなさい、こういうふうに言っても、今度は点検する職員が、特に小さい市町村であればあるほど、老朽化していて、いつこれがつくられたかというような履歴もない、データもない、図面もないというようなことが結構多くて、そこのトンネルや橋が特に地方自治体で放置されてきて、危ないということが指摘されるというふうになりました。
私は、今直ちにこれをやらなくてはいけないというふうに言い、緊急点検を六月まで、そして全部のいわゆる集中点検というのをこの一年間、しっかりした修繕対策というもの、緊急はもっと早いんですけれども、そういうサイクルをつくるというのに、その後展開してPDCAサイクルを回すということに持っていきたいと思っていますが、地方自治体で、やる手法とか、マニュアルとか、人がいないということがあるものですから、マニュアルを出す。それから人の問題でも、どうすればいいんだというようなことの研修を行ったり、相談窓口をしっかり置いたりというようなことを、今、体制を整えて動き出したところでございます。ここをさらにしっかりやっていかなくちゃいけないと思っています。
○穀田委員 現状はそのとおりだと思うんですね。
結局、市町村における人手不足といいますか職員不足と、技術系の方々がいないという問題が大体あるということが一つの大きな原因ですよね。もう一つはやはり、大臣は言わなかったんですけれども、お金の問題も実はあるわけですよね。どうしてこれをやるかという場合に、金が要りますから、どうしてもちゅうちょしてしまう。単に調査、点検の費用だけじゃなくて、直さなければならぬという現実が直面しますから、その問題は当然出てくる。
要は、今ありましたが、督促し、体制をとるということはそのとおりだと思うんですけれども、国として、今こういう実態、地方自治体におけるそういう現状を踏まえて、どういう支援策、単に点検し、内の体制を整える、国交省の内側の体制を整えるのはそれは当然でしょうけれども、どんなふうにしてその支援対策をとろうとしておられますか。
○太田国務大臣 例えば予算の面でいいますと、国交省の公共事業予算が、補正予算で一・八兆円です。例年は、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、こういうことに使われる予算というのはほとんどなかったんですが、これについて、一・八兆のうち、防災・減災、老朽化対策にと言ったのが、一・二兆円ということになったのが先般の補正予算でございました。約六五%がそうした防災・減災、メンテナンスも含めた、点検も含めた予算になっています。
今審議をいただいております本予算の中では、大体四七%ぐらいが防災・減災、老朽化対策。
その中には、予算面として、打音をするとか、点検をするとか、目視というようなこともある、あるいはまた防災の教育というようなことも含めて、今まで予算組みがなされていなかったんですが、その部分についてもしっかりやるように、そこに予算をつけたというのが、ことしの両予算の大きな特徴であるというふうに思っているところです。
○穀田委員 予算の問題について出ました。では、そちらの方に話を進めます。
今大臣から補正予算の話がありました。いずれにしても、その中でも実は老朽化対策は幾らあるのかということについて、大臣は、老朽化対策、防災・減災と丸めて言っていますから、では、補正予算の中で老朽化対策は幾らかと聞くと、公共事業全体の予算の四分の一、こう言っているんですよね。ですから、そんなに褒められたものでもないんです。何か、防災・減災含めて、ぼこっと言うと多く聞こえますけれども、そこは言っておきたいと思うんです。
問題はそこですから、せっかく出ましたので、笹子トンネルの事故を通じて、社会資本の老朽化が大変な事態になっているということが明らかになった。そして、その対策は喫緊の課題であるということがはっきりしたと私は思うんですが、大臣の認識を簡単に問いたいと思います。
○太田国務大臣 老朽化対策ということで、改めて一九八〇年代のアメリカが、ニューディール政策をとった五十年後ということで、橋が落ちたり道路が陥没したりという荒廃するアメリカという現象が、全く同じように今起きています。
一九七〇年代に、日本の例えば橋梁をとりますと、一年間で一万橋ずつつくられるというようなことだったんですが、それがずっと、どんどん減ってきまして、今は百とか百五十という規模の橋をつくるということになっています。それは、大きな山がずっとあって、今一番底のところに来て、また再び、メンテナンスあるいは修繕、老朽化対策の山場がこれから来るということです。
ですから、そこをどういうふうに予算組みもしながら、防災・減災、老朽化対策、そして特に構造物の長寿命化というものを図っていくか。ここのところは、極めて私は、これをやればここのお金がすごいし、しかし日本のこれからのことを考えると、そうしたことだけでなくて、地震ということについて対策をするということは老朽化ではありませんから、新しいものも設定しなくてはいけないということになったり、国際競争力の中で都市間の競争というのが激しくなって、勝ち抜かなくちゃいけないということからいきますと、新型の都市をこれからどうつくり上げて、強い都市をつくっていくかという課題もあったりする。
そういうことで、穀田先生、まさにこの防災・減災、老朽化対策、長寿命化ということが非常に大事という中で、どういうふうにこれをやるかという長期的な全体的なフレームワーク、そして規模をどうするかということは、まだ私、全部見据えておりませんけれども、極めて重要な課題だということで、勉強をしっかりしなくちゃいかぬというふうに思っているところです。
○穀田委員 前半の方は、私、去年の三月に予算委員会で、新しい山が来ると。その点は認識は一致した。後半の方になってきますと、ちょっと話が違ってきますけれども。
そこで、どんなふうにお金が要るかという問題が一つ鍵だと思うんですね。そこで、老朽化対策というのはどのぐらいかかるか、特に維持管理、更新費用はこれから当然増大するわけで、どの程度必要かということなんですね。私は昨年、予算委員会でただしました。そのときに、国交省所管の更新費だけで百九十兆円と試算されている。これは国交省の文書にも書いてある。問題は、その試算に高速道路などは入っていないわけですね。
私は、ことしの三月十五日の当委員会で質問して、きょう、またもう一度資料を皆さんにお配りして出させていただきまして、これだけ、五倍になっているんだったらふやす必要があると、大臣がこの間おっしゃっていました。そこで、NEXCOの三社の管理する高速道路における要補修損傷件数が五年間で五倍になっているのに、維持補修費はほぼ横ばいということを言ったわけですね。これはまさに、こういった問題の老朽化対策を軽視し、後回しにしている実態だと思うんです。
そこで、首都高、阪神高速、NEXCOの高速道路の維持補修費は、今後幾ら必要と推計しているんですか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
高速道路会社が六社ございますが、高速道路機構と締結している協定によりますと、二十五年度単年度では、計画管理費、これは維持管理費と業務管理費を含んでおりますが、約六千億円、修繕費が約四千億円となってございます。
このうち維持補修、修繕にかかわるものということで申し上げますと、二十五年度から六十二年度までの協定の締結期間内に、修繕費トータルで約八兆円が必要ということで協定の中に組み込ませていただいております。
○穀田委員 全体としては八兆円ということで、去年も言っているんですけれども、そこで、先ほど大臣は、どうしてお金を出していくかということを含めて、これから詰めて、いろいろな御意見も聞きながらという意味なんでしょうけれども、勉強されるとおっしゃっていました。
そうしますと、維持管理、更新費用が巨額になるということは大体お互い一致しているわけですね。そこで、〇九年度版の国土交通白書で、新規建設を今までどおりの水準で対応した場合、二十五年後の二〇三七年には、維持管理、建てかえ費用さえ賄うことができないと指摘しているわけですね、大まかに言うと。だから、新規の大型公共事業などを進める予算的余裕はないんじゃないか、思い切って減らさなければならないんじゃないかと私は思うんです。その辺はいかがですか。
○太田国務大臣 これは、国土交通白書で百九十兆円ということがここでよく出てきているわけですが、私から見ますと、この白書はかなり前提というものがいろいろありまして、この数字が、百九十兆というのがひとり歩きするのは、基本的にざっくり言いますと、五十年で全部壊れるから、全部つくり直すということの合計が百九十兆というようなことに近い数字であるというふうに思っています。
そういう意味からいきますと、私は、修理、修繕というのは当然やらなくてはいけない、長寿命化は大事だというふうに思っていますが、しかし、それも、さっき申し上げましたような山が必ず来ます。しかし、山が来るというときに、私は、技術というものの向上を一気にさせるという中で、相当これは山が低くなってくる。
土木工学科はシビルエンジニアリングという学問で、今は、シビルエンジニアリングどころか、土木なんていうと格好悪いということで、地球環境学科なんていって、私の後輩のところは違う名前になったりして残念に思っていますけれども、シビルエンジニアリング、つくり上げる工学というものについては世界的にあったんですが、メンテナンスエンジニアリングというような学問が日本から発出して、それで技術水準を上げて、そして三十年、四十年後には国々が同じようになるときに一番すぐれている技術が輸出できるような、私は、そういうようなメンテナンスエンジニアリングということをやると同時に、長寿命化を図って、それで、山を低くしながら長くいくというようなメンテナンスの方向に持っていかないとこの国はうまくいかない、こう思っていますから、そういうところにスタートを切りたい、こういうように思っています。
○穀田委員 ただ、この白書を含めて、それは次の山が来ると、もっと大きくなるという見込みもあるんですよ。しかも、これは更新費だけでありまして、維持費を含めると三百四十兆になるということを含めますと、そう低目に見積もってはならないというふうに私は思っています。
だから、政府の財政審議会も、「維持管理に多額の経費がかかることも踏まえれば、社会資本ストックの大幅な拡大を指向していくことは困難であり、新規投資を抑制しつつ、既存ストックの有効活用への転換を一段と進めるべきである。」と指摘しているんですね。だから、やはり新規の抑制はしなくちゃならぬというのが、政府は、少なくとも今の予算をつくるときにも言わなければならない事態に直面しているということを指摘しておきたいと思うんです。
そこで、百九十兆という話が出ましたが、あわせて、私は、新規の事業がどれほどかかるのかということについて質問しておきたいと思っています。
新設の事業のうち、今事業中ですが、ダム建設で三兆二千四百五十四億円、整備新幹線で三兆七千六百億円、国際コンテナ戦略港湾事業で四千二百億円の巨額に上ります。
高速道路関係はいつも出ないものですから、この際はっきり聞いておきたいと思うんです。二〇一二年度末の数字で答えてほしい。一つ、新直轄高速道路建設の総額と残事業費。二つ、大都市環状道路の総事業費と残事業費。三つ、高規格幹線道路の総事業費と残事業費。四つ、地域高規格の首都高などの残事業は、それぞれ幾らか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
国が直轄で行っている事業中の箇所におきます総事業費、並びに二〇一二年度末時点の残事業費について申し上げます。
高規格幹線道路については、総事業費約十五兆円、残事業費約七兆円となっております。
地域高規格道路につきましては、総事業費約七兆円、残事業費約三兆円となっております。
さらに、お尋ねのございました新直轄方式は、高規格幹線道路の内数となっておりますが、総事業費約四兆円、残事業費約二兆円でございます。
さらに、大都市圏環状道路も高規格幹線道路の内数となっておりますが、総事業費約七兆円、残事業費約三兆円となっております。
なお、有料道路分の事業費につきましては、税負担とはなりませんが、お時間をいただければ、整理した上で御報告をさせていただきたいと思っております。
○穀田委員 高規格幹線道路の残事業費というのは、私は、残延長のキロ数と今までつくってきたものを計算すると、大体二十九兆ぐらいかかるという数字なんですね。ですから、今、全体を合わせるともう少し精査をする必要がありますけれども、いずれにしても、約四十兆円ぐらいかかるということだけは確かだと思うんですね。特に、高規格道路も含めて今つくり出す、それから地域高規格もやる。これは、結局のところ、このまま継続したらとてつもない巨額の費用が要るということだけは確かだと私は思うんですよね。
額の多少の違いはありますよ。でも、今私が言いましたように、ダム、整備新幹線、国際コンテナ戦略港湾、それから、いわゆる全体として丸めて言うと高速道路、これらを含めたら、相当多額な額になる。それをまたつくるということは、その山をつくるということは、またもう一回、次に一定の年限が来ればつくらなければならない、つくり直さなければならない、また山が来る、こういうことになりますね。
したがって、私は、先ほど交通白書を引用しました、それから財政審議会の指摘も引用しました。ですから、これらを本気になって抑制しないと、幾ら大臣がおっしゃる、メンテナンスエンジニアリングと言ったとしても、費用は幾らその問題について縮小することができたとしても、多額の費用が要ることにかける予算的余裕はないということだけは言っておかなければならないと思うんです。したがって、それは抑制しつつ、本当の意味で老朽化対策、維持管理、補修というものについて全力を挙げるという形での政策転換をしなければならないということを述べて、きょうは質問を終わります。
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○金子委員長 次に、内閣提出、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
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建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○太田国務大臣 ただいま議題となりました建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
一昨年に発生した東日本大震災においては、建築物にも大きな被害が生じたところです。
この未曽有の大地震により、事前の備えとして建築物の耐震化を着実に進め、人的、経済的被害を可能な限り軽減する必要があることが再認識されました。
このため、このような大地震の発生に備え、国家的課題として、建築物の耐震化をより一層強力に推進していくことが不可欠であり、一刻も早く、所要の施策を講じていく必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、不特定かつ多数の者が利用する大規模な建築物等の所有者は、耐震診断を行い、その結果を一定の期限までに所管行政庁に報告しなければならないこととしております。
第二に、耐震診断及び耐震改修を行う努力義務が課せられる建築物の範囲を拡大し、現行の建築基準法令の耐震関係規定に適合しない全ての建築物を対象とすることとしております。
第三に、耐震改修の計画の認定について、対象となる増築及び改築の範囲を拡大するとともに、認定を受けた建築物について、容積率及び建ぺい率の特例措置を講ずることとしております。
第四に、建築物の地震に対する安全性に係る認定制度を創設し、認定を受けた建築物の所有者は、当該建築物等にその旨の表示を付することができることとしております。
第五に、区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定制度を創設し、認定を受けた場合には、区分所有者の集会において、耐震改修に係る決議要件の特例措置を講ずることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時散会