衆議院

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第6号 平成25年4月19日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十五年四月十九日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君

   理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      大西 英男君    門  博文君

      川田  隆君    菅野さちこ君

      後藤田正純君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    中村 裕之君

      長坂 康正君    林  幹雄君

      原田 憲治君    平口  洋君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    武藤 貴也君

      務台 俊介君   山本ともひろ君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      大畠 章宏君    寺島 義幸君

      若井 康彦君    上野ひろし君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      三宅  博君    佐藤 茂樹君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      柿沢 未途君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    藤田 利彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房技術参事官)         長坂 潤一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     川田  隆君

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  中村 裕之君     武藤 貴也君

  長坂 康正君     青山 周平君

  宮澤 博行君     菅野さちこ君

  務台 俊介君     山本ともひろ君

  佐藤 茂樹君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     長坂 康正君

  川田  隆君     井林 辰憲君

  菅野さちこ君     宮澤 博行君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  武藤 貴也君     中村 裕之君

  山本ともひろ君    小田原 潔君

  中野 洋昌君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     務台 俊介君

    ―――――――――――――

四月十八日

 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、土地・建設産業局長佐々木基君、都市局長川本正一郎君、道路局長前川秀和君、住宅局長井上俊之君、航空局長田村明比古君、総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、国税庁課税部長藤田利彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長清木孝悦君、文部科学省大臣官房技術参事官長坂潤一君及び厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井宏君。

桜井委員 おはようございます。自民党の桜井宏でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。

 私は、ゼネコンの大成建設におりまして、国立大学の北見工業大学で土木のコンクリートの専門でいろいろやっておりました。学会等では質問はなれているんですけれども、このような、議員として質問するのは初めてでございますので、何分、技術的に偏ったところがありましたら、皆様の方から御指摘をよろしくお願いいたします。

 私は、土木の専門なので、若干建築の分野と体系が異なりますけれども、本法案、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして、趣旨は賛成でございます。

 なお、運用に当たって、あるいはその効果に当たって、若干質問させていただきます。

 太田大臣は、京都大学の大学院で耐震を御専門に研究されていたというふうに伺っております。本政策は大変重要な政策でございますけれども、国土強靱化と、よろしければ設計思想的な観点から、本法案の改正の背景とその趣旨に関しまして御答弁いただけたら大変ありがたく思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 この法案の趣旨については、きょうの論議の中でさまざまあろうと思いますし、この間の趣旨説明でも私の方から申し上げました。

 私は、日本の強靱化、国土の強靱化ということについて、特に、一つは、大地震が切迫をしているということがあることへの対応。そして、高度成長時代からつくられた構造物が経年劣化をしている、これらに対応しなくちゃいけない。そして同時に、現在の建物は、五十六年のいわゆる新耐震基準ということにおいて、五十六年以降と五十六年以前というのが構造的に違う。そこのところの耐震の考え方あるいは設計ということで違うということがありまして、命を守るためには、多数が集まる施設の耐震化をしっかりしていかなくてはならないということが、設計思想の上で、今回のこの法案としては大事なことだというふうに思っております。

 私も、今から十六年前の九七年の二月に、こうしたことについて予算委員会で質問をさせていただいたことがあったんですが、いわゆる弾性域ということの中での設計思想から塑性域というところまでの設計を加えるという、ここのところが物事の大きな違いだと思います。

 五十六年以前の建物が倒壊あるいは大破等をして甚大な被害をもたらしたという現実の阪神・淡路大震災のことを考えますと、ここでしっかり踏み込んで、剛性率や偏心率ということも含めて設計というものをしていく必要があるということから、今回、特にそうしたことについて、五十六年の耐震基準以前のものについては、安全確保の観点から、新しい基準というものに基づいて、急いで耐震診断と耐震改修をしなくてはならないという考え方のもとで法改正をいたしまして、支援措置をしっかりとってやっていくというのが、設計思想上から見た今回の法改正の趣旨である、こういうふうに考えているところでございます。

桜井委員 ありがとうございました。

 さすが大臣です。弾性から塑性へ、それが改正の理論的な革新ということで、さすがの御答弁というふうに思いました。

 さて、資料をごらんください。なお、四月十七日というふうに書いてありますけれども、これは十九日ということで御修正願います。また、不鮮明なところがあれば、どうぞお許しください。

 資料一にありますように、建築基準法におきまして、今大臣から御指摘ありましたように、新耐震基準は、昭和五十六年、施行令改正によって導入されました。今大臣がおっしゃられましたように、建物が弾性から塑性的に変形する、地震のエネルギーを吸収することを考慮して、そして、大規模地震に対しまして倒壊や崩壊をしないというようなことで成り立っております。

 それで、建物の偏心率や剛性率、偏心というのは建物の重心がずれている、前のニュージーランドの地震で大勢の英語の学生さんが亡くなった、あのビルも、重心と剛性の中心がずれていてあのような形になりました。そのように、バランスを考慮して、大規模地震のときに生ずる力、これを応力と申しますけれども、建物の一部に力を集中させないで、地震に耐えるように設計しております。

 次の写真でございますけれども、私は、阪神・淡路大震災直後から、北大工学部の佐伯昇教授らと土木構造物の調査を行ったんですけれども、コンクリートが専門なので、さらにビルとかマンションの被害の調査も一部行いました。

 その特徴を見ると、写真にございますように、高さの三分の一から半分以下のところが押しつぶされております。次の写真によると、駐車場の一階が押しつぶされて、あるいは、マンションの下の駐車場がつぶれてマンションが傾く。それから写真三、そのページの下の方ですけれども、基礎部分が崩壊して倒れてしまって、完全に道路を遮断したもの。

 それで、五十六年改正による新耐震の以前のものがこのようなことになっております。ここのところを当局の方に、破壊パターン、それから新耐震基準でこのような被害が防げるかどうか、御見解をよろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 新耐震基準では、先ほど来の中にございますように、大規模な地震で倒壊、崩壊しないために、建物各階でのかたさの違い、これを剛性率と申し上げます、それから平面上のねじれやすさ、これを偏心率といいますけれども、これらについて確認をした上で、平面、立面のバランスをしっかりとる、あるいは弱いところはしっかり固定する、こういう設計思想でございます。

 お示しいただきました写真につきまして、細かい分析がそれぞれされているわけでは必ずしもございませんけれども、写真の一につきましては、これは鉄筋コンクリートが上の方でございまして、下の方は鉄骨鉄筋コンクリート造になってございます。この構造が変わったところで応力が集中し、また、壁の量にも偏りがあったということでねじれが生じた、これは偏心率が非常にあったということだと思います。こういうことで、構造が変わった階の柱に応力が集中したということで破壊に至ったのではないかというふうに考えられます。

 写真の二につきましては、壁が少なく、剛性が著しく減少しますピロティーの部分、ここに応力が集中しまして破壊につながったのではないか。

 写真の三につきましては、これははっきりわかりませんが、一階または基礎部分に同じように応力が集中して破壊され、傾いた結果、勢いがついて建物全体が倒壊をして道を塞いだというふうに考えられます。

 新耐震基準につきましては、剛性率や偏心率をしっかり考慮して設計をすることになっておりますので、新耐震基準であればこれらの弱点となる部分が生じない、したがって、このような被害は防げるのではないかというふうに考えております。

桜井委員 どうもありがとうございました。

 次に、資料三をごらんください。これには西日本の地図が載っております。

 耐震改修促進の対策の効果につきまして、南海トラフ巨大地震が想定されて、それが大変心配されておりますけれども、二十七年までに大体耐震化率九〇%を目標とするということに関して、これはできるかどうか、そういったところを、また局長の方から御説明をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の発表した資料、先ほどお示しいただきましたとおりだと思います。これで、耐震化を進めた場合にどうなるかということについても内閣府の試算が示されておりまして、例えば発生時期が冬の深夜の場合、現状の耐震化率、現状といいましても平成二十年の数字でございますけれども、七九%の場合には、揺れによる建物全壊棟数が、これは津波は含みませんが、六十二万七千棟、建物倒壊による死者は三万八千人という想定でございます。耐震化率九〇%となった場合には、揺れによる建物の全壊が三十六万一千棟、死者が約二万人ということで、大体四割減というふうに試算されております。

 この九〇%に持っていけるかという御質問でございますけれども、現状は、平成十七年ベースで不特定多数の方の使われる建物の耐震化率あるいは住宅の耐震化率は大体八割ということでございます。それから、平成二十年が今の数字でございますけれども、そのまま最近のケースを考慮すると二%程度おくれているのではないかということで、一層の加速が求められているのが現状だと思います。

 このため、今回の法案ないしは予算等々を御提案させていただいているわけでございまして、いろいろな手段を用いながら何とか目標を達成してまいりたいというふうに思っています。

桜井委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 次に、東京都の調査によりますと、旧耐震の分譲マンションが一万二千棟、賃貸マンションが一万三千棟あります。私の試算ですと、これを耐震診断するために国からの補助が三百億円はかかるだろう、また旧耐震基準でも、耐震性があって改善が可能なものを耐震改修すると、二千億円程度の国費の補助が必要だ。

 それで、全国的に、これは少なく見て、大体倍に見ると、それぞれ六百億円、耐震の改修には四千億円ですけれども、この予算をしっかり確保すべきであると思うんですけれども、こちらの見通しを坂井政務官の方からお願いいたします。

坂井大臣政務官 従来より、耐震改修促進法に基づく規制措置のほか、地方公共団体を通じた耐震診断、改修に対する補助、税制、融資等による支援を行ってきておりまして、確かに予算が必要だというところでございます。

 今年度、平成二十五年度の予算案におきましては、住宅・建築物の耐震化を含めた地方公共団体の取り組みへの支援として、社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金を合わせて一・九兆円を計上いたしておりますとともに、今般の法改正によって耐震診断が義務づけとなりますが、この義務づけの対象となる建築物に対する補助率の引き上げなど、補助制度の充実のために、いわばその引き上げの差額分の対象としても百億円というのを別枠で措置いたしております。

 今後とも、必要な予算確保に努めるとともに、補助という手法だけではなくて、税制とか融資といったような制度を総動員いたしまして、この住宅・建築物の耐震化に一層重点を置いて取り組んでいきたいと思っております。

桜井委員 地元の県あるいは市町村からもよろしくお願いしますということで、費用等のことをよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

 次に、資料四でございますけれども、ちょうど耐震の基準についての考え方がこれには書いてあります。

 ちょっと見えづらくて済みませんけれども、下に式があります。

 Is=E0×SD×Tということになっております。ちょうど授業みたいになって大変恐縮ですけれども、ここのE0のところに、例えばコンクリートの強さとか、躯体の強さ、それから粘り強さを入れると、このE0が上がるということなんです。それから、SDというものは偏心ですね。バランスが悪かったり、建物の重心と剛性の中心がずれていたり、そうすると、SDの値が下がります。この前のニュージーランドのような建物ですが、それが非常に低い。それから、Tというものは、時間がたつとそれがだんだん低くなってくる。それで評価していくものなんです。

 それで、このIsが非常に重要になってくるんですけれども、そこのところのお考えを局長の方からよろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、既存の建築物につきましては、新築の場合と異なりまして、Is値というのを指標にいたしております。

 これは、既存の建築物にはいろいろな制約がございまして、例えば、設計図書が必ずしも調っていない、見つからないというような場合もございますし、また、実際の施工状況がどうかということに関しましても、これは一部破壊検査なんかをするにしても、はっきりは出てこないというようなことが考えられます。また、そもそもその耐震基準自体が、古いものと新しいもので、帯筋の比率でありますとか異なるところがございまして、即適用するのはなかなか難しい。それから、先ほどの御指摘にもございましたように、経年の変化を考慮しなければいけない。

 こんなようなことを踏まえて、既存の建築物を評価する指標としてIs値というのを用いておるということでございます。

 この基本的な考え方は、新耐震における保有水平耐力計算と大きな考え方はほぼ同じだということを前提にいたしております。

 具体的には、Is値〇・六というのが保有水平耐力比一・〇に相当するということで、この数値をしっかり用いながら耐震診断を進めていただいているところでございます。

桜井委員 どうもありがとうございました。

 この中で、学校の建物というのは、児童の安全を守るために非常に大事かと思うんです。それから、避難に実際に使われておりまして、特に、ここの考え方、設定の仕方を文部科学省の方から、まとめてお願いいたします。

長坂政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、学校施設は我が国の将来を担う児童生徒等の学習の場であり、また非常災害時には地域の避難所に使われることから、こうした学校の特性を踏まえまして、一般建築物であればIs値〇・六以上を耐震改修の目標にするところを、学校の耐震補強事業では〇・七以上を求めております。

 このIs〇・七でございますけれども、平成七年の阪神・淡路大震災の後、学校施設として必要な耐震性能の検討のために、日本建築学会に設置されました専門家の委員会の意見に沿って文部省として設定したものでございます。

 この効果でございますが、構造体の大きな補修をすることなく校舎等を使用できるため、教育活動が速やかに回復されること、あるいは、地震発生後の応急避難場所としての機能が維持されるといったものでございます。

 東日本大震災における被害状況を見ましても、耐震補強済みの建物は大部分が軽微な被害にとどまっており、ピーク時には六百二十二校の学校が避難所として使用されましたことから、耐震性向上による一定の効果があったものと考えております。

桜井委員 どうもありがとうございました。

 それでは、資料五と六をごらんください。

 五は、これを実際に建築士の、技術者の方がやられるんですけれども、たまたま私のところの県議の先生、中森先生、服部先生ですが、一級建築士がおりまして、これを運用するに当たって、五千平米以上というんですけれども、地方に行くとなかなか五千平米を超えるものというのは少なくなってきますので、そういったところについてどうかという意見があります。これにつきましてお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模な建築物の規模をどうするかというお尋ねでございます。

 これは、従来の耐震改修法の中で、所管行政庁、これは都道府県と大きな市あるいは特別区というふうにお考えいただきたいと思いますが、こちらの方が指示を行う対象となっている面積というのがございまして、これも考慮しながら、ある程度用途別に考えたいというふうに思っております。

 具体的には、病院、店舗、旅館等につきましては床面積五千ということでございますけれども、小中学校につきましては三千平米、それから幼稚園、保育園につきましては千五百平米ということで考えたいというふうに思っております。

桜井委員 ありがとうございました。

 それから、これを実施するときに技術者が大変要るかと思うんですけれども、建築士協会とか事務所協会とか、これとの連携について、実施体制についてお願いいたします。姉歯事件のようにならないように、よろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、耐震診断の義務づけに当たりまして、診断をしっかりしていただくことのできる建築士の確保、それから、行政庁側にも審査のための体制の整備というのが必要となってまいります。

 これは過去の例でございますけれども、耐震診断を、補助を得て、ないしは公共団体がみずから実施したものの棟数の数字というのがございまして、平成二十一年度は六千六百棟やっています。これ以外に、補助を得ないでやったものも相当あると思われますけれども、これは学校が非常に多かったわけでございますけれども、ピークがこの年でございまして、平成二十三年度は二千二百棟というふうになってございます。

 この義務づけの対象の建築棟数でございますけれども、現在精査中ですが、四千棟あるのではないかというふうに思っておりまして、過去の数字からいえば、診断をやるマンパワーというのは十分に足りているのではないかというふうに思っております。

 ただ、地域によっては偏在があるとかいうこともございますので、新たな建築士の講習等による養成も含めて、関係団体ともしっかり連携をとりながら進めさせていただきたいというふうに思っております。

桜井委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。

 また、いろいろ建築の関係の方から、六強から七を超えるものについてはある程度新耐震で対応できる、だけれども、今後とも検討が要るだろうというふうに聞いております。

 次に、せっかく補助金をいただいても、それに課税されてしまう。これは当然改修するために、経営状況が厳しいところでいろいろ補助をいただくんですけれども、それに課税されない方法について、国税庁にお聞きしたいのでよろしくお願いします。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 法人が、国や地方公共団体から補助金等の交付を受けまして、その補助金等の交付の目的に適合した固定資産の取得または改良をした場合には、法人税法上、固定資産の取得や改良に充てた補助金等の額に相当する金額を、その固定資産の帳簿価額から減額し、損金の額に算入することができる圧縮記帳という制度が設けられているところでございます。

 この圧縮記帳制度でございますが、損金の額に算入するという経理処理を行った上で、確定申告書に所定の明細書を添付した場合に限り適用することとされております。

桜井委員 どうもありがとうございました。

 この圧縮記帳制度について、いろいろ周知していただくのに、国交省の方からも、パンフレットを置く等のPRをよろしくお願いします。

 それでは、最後の質問でございますけれども、これを適用するときに一つ困った問題があります。

 公表ということになると、ホテル、旅館、あるいは病院等々いろいろありますけれども、この費用がなかなか出づらい。しかも、二十七年ですと、いろいろ業者等々に聞くと、耐震設計等には六カ月、それから改修には一年、補助金を申請するのを入れると、最速でやっても大体二年を超えてしまう。

 この辺のところにつきまして、旅館業界から、あるいは市、県から要望がいっぱい来ております。これについてよろしくお願いします。

鶴保副大臣 委員御懸念のとおり、ホテル、旅館業界から懸念の声が上がっていることは私どもも承知をしております。

 先ほど御指摘いただきましたとおり、耐震化に前向きに取り組んでいることが評価されなかったり、同じ業種の中で迅速に報告した方がそうでない方に比べて早く公表されたりすることなどがあって、不公平になることがないように十分に配慮をしていきたい。

 したがいまして、耐震診断結果の公表時期については、法令で一律に期限を定めることとはいたしておりません。また、用途ごとに一覧に取りまとめた上で、所管行政庁が公表するなど、さまざまな工夫をさせていただきたいと思います。

 そして、これらの耐震に係る資金的補助につきましても、最大限の措置をして、努力をしていきたいということで、具体的には、特に不特定多数が利用する大規模建築物については、地方公共団体が補助制度を整備していない場合でも、国単独で、通常と同様の国の補助率での支援をすること、また、所有者の負担軽減がより図られるよう、補助制度のない地方公共団体等に対して、補助制度の整備充実を図っていただくことを強力に要請してまいりたいと思います。

 これらのことについて、各ブロックごとに地方公共団体とただいま協議をさせていただいているところであることも報告をさせていただきます。

桜井委員 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。

 先日、淡路島で起きた地震、そして三宅島でも地震がありました。被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。

 また、各地で地震が頻発に起こっておりまして、皆様の心配の声が聞かれています。ぜひとも、命を守る防災・減災を急がなければなりません。私も、委員の一員として、さあいよいよと決意をして、加速度を増して、命を守る防災・減災、老朽化、長寿命化対策に取り組んでまいりたいと思いますので、本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 昨日は、夜、大阪市の旭区の国政報告会に出席をいたしました。そして、メンテナンス元年のお話をいたしました。防災・減災、そして老朽化、長寿命化、メンテナンス元年だという大臣のお話を力強くお訴えし、皆様にも、非常にわかりやすい、こういうふうに言っていただきました。

 政治は大衆とともにでございますから、ぜひとも難しい政治課題をわかりやすく丁寧に国民の皆様にお届けをするということでお願いをしてまいりたいと思います。きょうもよろしくお願いします。

 私も本法案に賛成の立場から質問をさせていただきたいと思います。

 さて、今、桜井先生からもありましたけれども、私どもの方にも、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤会長様、また皆様がお越しになりまして、その趣旨はよくわかって、この安全性の確保について、その必要性は十分に理解をし、また耐震診断、耐震改修に努めていくというふうにおっしゃった上で、何せ唐突な、突然な、急な話でありますから、ぜひ配慮をお願いしたいということでお話を頂戴いたしました。

 私もその御要望を伺いまして、すぐに関西にあります旅館業を営まれている御夫妻のところにお伺いをして、直接お話を聞いてまいりました。その現場の旅館を営まれている、大きな旅館です、立派なところです、だけれども、お声は大変切実なものでございました。

 その旅館は、部屋数は七十室あります。そして延べ面積は五千平米以上で、建物は昭和四十年代に竣工をした立派な旅館であります。だけれども、現状は、毎年の売り上げに対して借入金は六〇%おありになる。利益がほとんど出ていないので、次のようにおっしゃられました。

 そのまま申し上げますけれども、一つ、この耐震の結果が公表されれば、売り上げに影響することは必至だ。改修しなければならないことはわかっているが、いざ改修となると、事業を継続するのかやめるのか死活問題だ。そして二つ目に、改修費用の融資を金融機関から受けられないかもしれない、それは売り上げに対して六〇%も借入金があるから、もうこれ以上借りられないという趣旨であります。無担保、無金利の融資を何としてもお願いをしたい。そして三つ目には、耐震改修しても、それによって客単価が上がることはない。おっしゃるとおりでありまして、内装を改修したり、温浴をつけたりすれば客単価が上がります。ですけれども、耐震補強をしただけでは単価が上がらない。おっしゃるとおりだと思いました。そして四点目には、改修では一時休業も余儀なくされるので売り上げが下がる、そういう強い懸念と御要望をいただいてまいりました。

 そこで、同組合連合会の特に強い御要望について四点いただいておりますので、その点について御質問させていただきたいと思います。

 まず一つ目は、地方公共団体の補助金については、国が示した補助金の拠出をするよう指導されたいという点であります。現在、地方公共団体の非住宅建築物の耐震診断に係る補助制度の実施状況、また同耐震改修に係る補助制度の実施状況の現状について御質問をします。

 この現状は大変厳しいものと認識をしています。このような現状の中で、どのようにして地方公共団体に協力を求めていくのか。そして、その内容とスケジュール、地方公共団体が活用できる財源について、ぜひ具体的に御説明をお願いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公共団体の補助制度の現状と整備についてということだと思います。

 まず、現状でございますけれども、二十四年の四月時点で、公共団体における補助制度の整備状況、これは非住宅建築物の方だけお答えいたしますが、これは市町村の単純な数だけでいいますと、耐震診断が三五%、これは人口ベースに直しますと五七%になります。大都市では比較的整備が進んでいる。それから耐震改修が一一%、人口ベースで二九%というのが現状でございます。

 こういう現状もございましたので、今回の二十五年度の予算案におきましては、今回の法改正によりまして義務づけの対象となる建築物につきまして、一つは補助率を引き上げる、もう一つは、場合によっては公共団体がどうしても補助制度を整備できないという場合に、国だけでも、これはわずかになりますけれども、補助をすることができるようにさせていただきました。

 こういう国の制度はあるわけでございますけれども、所有者の方の負担軽減を最大限図っていくべきだと思います。補助制度のない地方公共団体に対しましては、補助制度を整備あるいは充実を図っていただきますよう、先ほど副大臣の答弁にもございましたけれども、全国のブロックごとに今説明会を既に始めておりまして、三ブロックで説明済み、四月中には一応全部終わる予定でございますし、個別の都道府県への働きかけもきめ細かにさせていただきたい、意見交換もさせていただきたいというふうに思っております。

 また、地方公共団体が活用できる財源でございますが、従来の交付金につきましては、地方負担額の五〇%につきまして特別地方交付税の措置がございます。また、二十四年度の補正予算で創設されました地域の元気臨時交付金につきましても、これは要綱に基づく任意事業でございますので、裏負担の方に活用していただけるということでございまして、これをしっかり公共団体に周知を図ってまいりたいと思います。

樋口委員 ありがとうございます。

 局長、質問を出していなかったんですけれども、今、耐震診断の駆け込みやこの人材不足、人手不足の話は、きのうも大臣の方が四団体さんに直接賃上げのお願いをされたというふうに、大変頼もしいお話だと承っておりますが、この人材不足や駆け込みによって費用がやはり上がってしまうのではないかという御懸念もあります。その中で地方がついてきていただかないと全く話にならないなという点もございます。

 この人材不足や駆け込みで費用が上がってしまうのではないかという点、もしよかったらお答えいただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、人材不足。恐らくこれは、設計あるいは耐震診断をされる方々の方と、それから工事をされる方々というふうに、二つ分けて考えなきゃいけないと思いますけれども、設計、耐震診断の方につきましては、建築士さんの仕事がそれほど今逼迫している状況ではないというふうに伺っております。これからタイトになるのかもわかりませんけれども、特に耐震診断専門の方の数も全国では足りているというふうに思っておりますので、油断しないで、これもどんどんふやしていく努力をしたいというふうに思っております。

 工事の方は、現下のような状況でいろいろなことを言われておりまして、これによる単価アップというのは、これは市場の問題でございますので、私どもの方でコントロールを直接できるわけではございませんけれども、補助制度の運用などを通じまして、できるだけ実効が上がるような形にさせていただきたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございました。

 続きまして、二つ目ですけれども、二十七年の末までに耐震診断の結果を公表、この公表をすることについては、各施設の進捗状況を勘案し、公表までに十分な期間の猶予をされたいというのが二つ目の要望です。

 公表の時期については定まっていないということでございましたけれども、この公表について、どのような公表をするのか、また、具体的に公表の内容については、一体何を公表するのかについてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公表につきましては、まず診断結果の報告につきましては所管行政庁、先ほど申しましたように、都道府県、大規模な市、あるいは特別区というふうに御理解をいただきたいと思いますが、こちらの方に届けをしていただきます。これを受けて、公表も所管行政庁が行うということにいたしております。公表の時期は、先ほど来申しておりますように、法律で一律に期限を定めてはおりません。

 公表の内容につきましては、建物の名称、所在地、用途、それから先ほどの議論にございました耐震強度の指標でございますIs値、さらに、耐震改修の予定があるような場合は、そういうものもあわせて公表できるようにしたいというふうに思っております。

 それから、公表の仕方でございますけれども、これはインターネットを使ったり、広報を使ったり、あるいは庁舎に掲示をする、やり方については公共団体の方に地域の実情に合わせて決めていただくというふうに考えております。

 報告の出し方も、診断結果を用途ごとに一覧に取りまとめた上で行政庁ごとに公表していただくというようなことも考えておりますので、地方における個別の状況とか、それから営業環境などにも十分配慮をしてやっていただけるように、公共団体にも十分お願いをしてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 さまざまな状況、事情がございますので、公表につきましては、例えば、状況をしんしゃくの上で公表をするでありますとか、先ほどおっしゃいました用途を取りまとめた上で公表するといったような配慮を、ぜひともお願いをしたいと思います。

 そして、三点目です。耐震性に係る表示制度の創設について、営業に大きく影響を与えるため一定期間の猶予をされたいという点の御要望です。

 これにつきましては、安全性の表示ができるということについてさまざまの声があります。一方では、適合しているからPRが有効にできるという点で、賛成されているという声も伺いました。また逆に、この結果が公表されてしまうと、修学旅行生の受け入れや旅行会社との契約が解除されてしまうのではないか、こういった心配の声、また、今回の改正の基準でない五千平米未満の建物、五千平米未満のホテルや旅館については、そもそも診断の義務がないにもかかわらず、新耐震に適合しなければマークが張れないといった問題、また、一、二年かかる工事期間中にはそのマークが表示できないといった問題、今ある東京都とかのマークと混同してしまうのではないか、そういった不安とか心配を抱く声というのが現場から寄せられております。この表示の意義についてお伺いをしたいというふうに思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 建築物の耐震性というものにつきましては、利用者の方々、建物を使う方々の命の安全ということにかかわるものでございますので、利用者の方々にわかりやすく、建築物に耐震性があるよということを示すというこの表示制度が有効なものではないかというふうに考えてございます。

 既に、東京都とか横浜市のようなところでは、この表示を地方独自で始めておられます。ただ、民間の建物には普及状況はまだまだでございまして、東京都の場合ですと、民間には、避難路沿道等で四百件ということでございますけれども、公共建物だけ一万八千件張っているというようなことが現状でございます。

 これからもうかがえますように、この制度はまさに任意の制度ということでございます。張りたいという方のニーズもございますので、行政庁においては施行日より認定の申請を受け付けたいというふうには思っておりますけれども、任意の制度であるということをしっかり理解していただくように、張っていないからといって直ちに耐震性がないということではございませんので、こういうあたりにつきましては、利用者の方々、あるいは表示を希望される方々にもしっかり周知をしてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 任意の制度である点、そして、張っていないからといって直ちに安全性が損なわれるわけではないという点、よくわかりました。その施行に関しては、ぜひとも利用者の方が混乱をしないように、例えば、一定期間の猶予を持つとか、わかりやすいガイドラインやマニュアルを作成して周知徹底を図る、また、全国一斉にスタートするということが大事だと思いますので、その点もぜひ御留意をお願いしたいと思います。

 次に、四点目です。四点目は、旅館、ホテルを宿泊避難所として指定していただく、そうすると税制の優遇が受けられるということで、防災拠点と同率の補助率をお願いしたいという要望であります。この点について、具体的にどのようにすればこの避難所等の指定が得られるのか、お伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、避難所等の防災拠点に指定をした場合には、今回、補助率をより一層上げることといたしております。具体的には、国が五分の二ということでございますので、地方が同額をおつき合いいただければ五分の四、費用の八割が補助対象となるということでございます。

 旅館、ホテルにつきましては、その規模にかかわりませず避難所として有効であるということで、これは恐らく、非常時の協定のようなものが要ると思うんですけれども、そういう協定を結んでいただいた上で、都道府県が耐震改修促進計画に拠点として記載をしていただければ、高い補助率が適用されるということでございます。

 結局は、旅館の方と都道府県とがその協定をちゃんと結べるかどうかということにかかっているんだと思います。その後の手続は、それほど複雑なものにはならないというふうに思っております。

樋口委員 よくわかりました。協定をぜひ進めるように私たちも呼びかけてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上、御要望の点について明確にするために御質問をさせていただきました。

 続きまして、私どもの看板政策、防災・減災ニューディールでございますけれども、その中でも、住宅を含めた耐震化については喫緊の課題でございます。今回の法改正で、非常に前向きで、評価できる点がたくさん散見をされます。その中で三点お伺いをしたいというふうに思います。

 まず一点目は、容積率、建ぺい率についてです。

 新たな耐震改修工法の認定も可能になるような容積率と建ぺい率の緩和の創設がされました。現場の声は、見ばえや景観について工夫ができて、技術力が発揮できるということで、大変喜んでいらっしゃる方が多いというふうに承っています。容積率と建ぺい率の緩和で耐震改修促進にどのような効果があるというふうにお考えでしょうか。お伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の工法でございますけれども、既存の建物の外側に新たな壁とか柱とか床を打ち増しをしまして全体の強度を高める、言ってみれば、外に同じような形で開口部がとれますので、いわゆるブレース、バツ印みたいなものが出てこないという工法、外づけフレーム工法というふうに呼んでおりますけれども、これは非常に有力な工法だと思います。

 従来、この工法を使いますと、床面積がふえてしまいますので容積率あるいは建ぺい率違反だということで、非常にしゃくし定規かもわかりませんが、認められないというのがこれまでの制度でございました。

 今回の改正の中で、耐震改修のために、やむを得ない範囲でございますけれども、こういう工法を採用した場合には容積率、建ぺい率を緩和するという規定を入れさせていただいております。そういう意味では、非常に選択肢が広がるというふうに効果が期待できるのではないかと思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 次に、前向きな二点目ですけれども、マンションの耐震改修についてであります。

 先ほど、桜井先生からの御質問にもマンションがありましたけれども、今回、区分所有法の決議要件、この特例で、四分の三を二分の一にするということができます。これも画期的ですばらしい緩和だと思いますけれども、やはり特にマンションの場合は、所有者の費用負担の問題があります。所有者皆さんがやればいいですけれども、私はやらないという方もいらっしゃいますので、こういう負担が今後問題になってくるというふうに思います。

 まず、現在の住宅における補助制度の現状についてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 マンションを含みます住宅につきましては、改修事業費の一一・五%を国が補助する、地方と合わせて二三%というのが現状の補助制度でございます。しかしながら、二十四年度補正予算におきまして、二十五年度までの措置でございますけれども、これに加えまして、国と地方で三十万円の上乗せをするという措置を既に講じさせていただいております。

 その市町村の補助制度の整備状況でございますけれども、二十四年四月時点で、耐震改修への補助が市町村ベースで七三%、非住宅よりはかなり高くなってございます。これは人口ベースでいえば九一%でございます。しかしながら、まだ整備の進んでいないところもございますので、これも強く働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 特にマンションについては、拡充の方法を検討していかなければいけないというふうに思います。区分所有の建物は、集合住宅の場合は、反対の方がお出しにならないということがありますので、二分の一で決議をした場合にでも、その後、進めるのは非常に困難でございます。今、百万戸ぐらい新耐震以前のマンションがあるというふうに伺っておりますけれども、何らかの措置を講じていかなければ促進は図れないというふうに思いますので、今後ぜひまたマンションについては、いろいろ、さまざまな検討を加えていただきたいというふうに思っております。

 そして三点目ですけれども、今回、この新しい法案の中に、全ての建築物の耐震化の促進について、初めて、耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力義務が創設をされました。これまた画期的なことでございまして、今局長からお話をいただきましたように、平成二十四年度の補正予算で国と地方で二三%、プラス三十万円の緊急支援というのが計上されています。その半分は地方公共団体に御負担をいただかなければいけない部分であります。この点についても、ぜひ地方公共団体にあわせて強く要請をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本来の補助制度につきましても、まだ整備されていないところがございますので、これにつきましても働きかけなければいけませんが、この上乗せ分につきましても、本来の補助制度に加えてしっかり対応していただけるように、地方公共団体には強くお願いをしてまいりたいと思います。

樋口委員 ありがとうございます。

 地方公共団体との関連で、もう一問お願いします。

 地方公共団体との関係についてですけれども、今回、この耐震改修促進計画、こういうものの期限の設定について定めておりません。地方公共団体ごとにそれは決めるということでありますけれども、ある一定のめどを国でお示しすべきではないかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

井上政府参考人 全国の耐震改修を進めるためには、できますれば、地方公共団体にも、ある一定のめどをお示しして、耐震改修を進めていただくように、計画も位置づけていただきたいというふうに思うところでございます。

 しかしながら、それぞれの地域の実情というものもございますので、私どもとしましては、全国の状況を把握しまして、その状況を、今でもやっておりますけれども、各公共団体が見比べていただけるように、情報を共有させていただく。さらに、どうしても遅いというようなことがあれば、しっかり意見交換などを通じまして働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 もう一問、地方公共団体、よろしいでしょうか。

 今回の通行障害既存耐震不適格建築物、これについてでございますけれども、こちらは地方負担の義務が規定されています。この地方負担の義務が規定されているがゆえに、余り熱心に計画をしないのではないかというふうに懸念をされておりますけれども、こういう計画に記載をためらうのではないかという懸念に対して、局長の御意見を伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、これは地方公共団体が地域の実情で指定をいたしますものですから、その費用については、耐震診断だけでございますけれども、保証規定というのが置かれてございます。

 最後は、公共団体の方で、どれだけの財政負担をして、何を優先して取り組んでいくかということに尽きるんだと思いますけれども、私どもは、この防災の問題というのは最優先の課題の一つだと思っておりますので、そういう観点から、これも意見交換などを通じまして、しっかり働きかけてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 直近の政府の調査を伺いましたら、公立の小学校、中学校の耐震化率が八四・八%、病院は六一・四%、防災拠点となる公共施設につきましては七九・三%というふうに伺っております。

 例えば、内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定で、建物の耐震化率を一〇〇%にして、そして、ほかの対策もあわせて行った場合に、建物の倒壊による死者数を八万二千人から一万五千人に八割以上も減らせる、また、建物などの経済的な被害も百六十九・五兆円から八十・四兆円へと半減できる、こういう試算があります。

 あらゆる知恵を、英知を結集して、一刻も早く耐震化一〇〇%を目指すべきだというふうに思っております。新耐震の基準を満たしていない住宅については約一千万戸ある、こういうふうに言われている中でありまして、この住宅の耐震化も喫緊の課題であります。大変困難な課題でありますけれども、住宅も含めた耐震化一〇〇%ということにつきまして、ぜひ太田大臣の思いをお伺いしたいというふうに思います。

太田国務大臣 五十六年新耐震という点について、以前の建物を全て耐震化していくということは、目標として非常に望ましいことであるとともに、今御指摘をいただきましたように、南海トラフの被害想定を考えてみましても、耐震化を施せば被害は激減するという指摘を、あわせて考える必要があると思います。

 私は、そこにこの法案の意義があるわけでありますけれども、全ての建物のまず耐震診断というのは全部行うというもとで、耐震改修という、これはいろいろな形の耐震改修の方法もあり、見ばえがどうだとかいろいろなこともあり、先ほどから議論いただいております公表というものの与える影響がどういうものかということは、今回の法案の範囲の五千平米ということ以外のものも全部含めまして、いろいろな影響というものが財政的基盤も含めてあろうというふうに思います。しかし、全ての建物の耐震診断を行い、そして耐震改修を急いでいかなくてはならないというところに、私は、配慮をしっかりしながらも、強い意思を持って安全、安心を確保したいという思いでございます。

 そして、命を守り抜くという観点からいきますと、首都直下地震で、東京都の中で九千五百人が亡くなるとか、それから、南海トラフでも一万五千名、やってもというようなのを聞くと、私は十年も前からずっとそういう数字が出ること自体がいたたまれない気持ちになるんです。一人でも我が市から我が区から我が地域から死者は絶対に出さないという決意を持って、客観的なデータとして一万何人という、これは大事ですよ。だけれども、我々政治に携わっている人間からいくと、我が地域からは一名たりとも亡くなる人を出さないという決意を持ってこのことに臨んでいかなければいけないと思います。

 また、国家ということにおきましても、一七五五年にリスボンで大地震、津波に襲われまして、そして完全に国家が破壊をされました。ここにポルトガルの時代が終わった、こういうふうに言われるということは、実は大地震、大津波というものがリスボンを襲ったからです。

 私は、首都直下、南海トラフ、こういうところの中枢部のところで大地震に見舞われて、無防備であったならば、我が国は本当に立ち直れないような状況になるということを、今地震が切迫している前に決意を固めることが大事だというふうに思っています。

 そういう意味から、ぜひともこの法案に賛同いただいて、それが、配慮もさまざましながら、推進できるようにということを強く望んでいるところでございます。

樋口委員 本当にありがとうございます。命を何としても守り抜くという御決意に感銘をいたしました。

 先日も大臣から、寺田寅彦先生の、物事を正しく恐れることは難しいというお言葉を教えていただきましたけれども、正しく恐れて、そして本当に命を守り抜くというところで、スピード感を持って、安心、安全な国土交通行政に携われるよう全力でお支えをしてまいります。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。六十分間の質問の機会をいただきました。ありがとうございます。

 大臣初め国土交通省の皆様方、政府の皆様方、お仕事お疲れさまでございます。また、委員部、調査室含め国会の職員の皆様方、お疲れさまでございます。大事な局面にあると思うんです。しっかりとお互い緊張感を持ってこの国会の中で仕事をしていきたいと思います。

 淡路島初め、三宅島、東北でも、また新たに地震が起こりました。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 そして、私いつも思うんですが、この国、日本というのは本当にいい国だな、すばらしい国だなと思います。四季があり、変化に富む自然があり、確かに自然災害はありますけれども、厳しさはありますけれども、多くの恵みを自然の中からいただいて、そして先人、先輩方が築いてくださった技術があり、世界の中での信用があり、私は、この国に生まれ育って誇りに思っております。すばらしい国だと思います。

 その国が、今、将来の子供や孫たちの世代にとって岐路になるのではないかと思われるほどの重要、重大な局面にあると思います。

 一つは、大臣初め皆様方、もう御承知おきだと思うんですが、人口が減り始める局面にあるということ。長生きできるようになった、しかし、子供の数が減り、支え手が減る、少子長寿化、高齢化の、これは世界の中で最も速い速度で進む国になっているということ。そして、その中で、いろいろな要因はあるんでしょうけれども、財政が厳しい状況にあるということ。世界とのかかわりの中で、グローバル化の中で、この国が生きていかなければいけないということ。人口減少、少子長寿化、財政悪化、そしてグローバル化、そういう不可避で未曽有の変化の中にある。これは、ある意味では、制約要因になると思うんです。

 その上で、未曽有の大震災、東日本大震災が発災をし、今なお復興の途にあること。福島第一原発で事故が起こり、この原発政策をどうするのかということ。事故をいかに早く収束させるのかということ。汚染水、放射能、見えません。まだ知見も十分じゃない。地下水から原子炉建屋に水が入り、いや、その地下から海にその水が漏れているのではないかということまで指摘をされ始めている状況下で、これは、いかに私たちは新しいエネルギー政策をつくっていくのかということ。

 大臣も常々指摘されますが、今までつくってきた社会資本が老朽化し始めているということ。領土、領海も守らなければなりません。特に、海に囲まれた我が国で、海を守ること、国境にある離島を守ること、これは国家の至上命題です。陸、海、空のさまざまな輸送、物流、交通の安全を確保すること。さらには、環境対策を行うこと。

 まあ、言い始めたら切りがないんですけれども、この国土交通委員会は、そういう幅広く、そして将来にとっても極めて大事なテーマを扱う委員会であるということをお互い自覚しながら私どもは議論をしていかなければいけないと思います。

 私は、私たちは私たちなりの理念と視点と立場でしっかり建設的な提案をさせていただきたいと思いますので、どうぞ、それぞれの皆様方の切磋琢磨、また御指導、御鞭撻をよろしくお願いしたいと思います。

太田国務大臣 全く、全て私の言いたいことを言っていただいた。本当に、人口減少、そしてグローバル社会の中での世界的な都市間競争の激化を初めとして、国土の均衡ある発展というようなことでは、もうこの国はもたない。そして、さまざまな危機管理、そうしたことで、まず前提としてお話をされていたんでしょうけれども、全く三日月先生と私は認識を一致しておりますので、そこをどうしのいでいくかということに、いろいろ意見を交わしながら、一生懸命頑張りたい、このように思っているところです。

三日月委員 主権者は言うまでもなく国民だ、そして、その国民、私たちも国民なんですが、国民より正当に選ばれた議員より成る国会を、憲法は国権の最高機関と定めている。国会、なかんずく本院が、衆議院が内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣の任命する国務大臣により内閣が構成され、初めて行政権が行使される。行政権の行使につき、内閣は連帯して国会すなわち国民に責任を負う。したがって、国会と内閣との間には、党派、会派を超えて、いい意味での緊張感が必要であるということ、主権者たる国民のため、党派、会派を超えて、良識ある判断を示さねばならないということ。そして、その上で、この本院の、衆議院の憲法上の責務をわきまえられて、国民の負託を受けているという議員としての謙虚さを持って、矜持と品性を大切に、本院の運営に御協力をと。

 これは、昨年十二月二十六日に伊吹議長が御就任の際に述べられた御挨拶なんです。

 私は、歴代議長の御挨拶を承ってまいりましたが、当たり前のことといえばそうなんですが、感銘と共感を持って拝聴いたしました。以来、私は、この議長が述べられた議事録を常に持ちながら、反すうしながら、この立法府の中で、微力ですけれども、仕事をさせていただいております。

 何が言いたいかといいますと、やはり、この国会の中で、それぞれ党派が違う、理念も違えば主張も違う、しかし、一致点を見出す努力、そして、行政との間に緊張感、違いがあるとするならば、連帯して責任を負うという観点から、私は、立法府として、必要な例えば立法、また法の修正、また時には決議、そういうものを、与党、野党の別なく、これはしっかりと行っていくことが必要だと思うんです。

 誰に言っているということではなくて、自分も含めて、しっかりと申し上げながら、大臣、今おっしゃった……(発言する者あり)

金子委員長 静粛にお願いします。

三日月委員 人口減少を初め、私と認識を一にするとおっしゃっていただきました。私も、大臣のお人柄も、常々のお考えも、御主張も、少しは理解しているつもりですので、今回の大臣所信を楽しみに聞かせていただきましたし、読ませていただいてもおります。

 歴代国土交通大臣の所信表明の中には、私たちの国日本が有史以来初めて経験する、国土交通行政を行う上で一番踏まえなければならない人口減少というこの所与の条件を必ず言葉として入れられているんですが、大臣の今回の所信表明の中にはそういう言葉がありませんでした。

 言葉はなくとも認識は一にすると言われるかもしれませんが、私は、さまざまな社会資本整備を行う際に、行政を行う際に、この人口が減り始めている局面にあるということをしっかりと言葉としてビルトインしていく必要があると思うんですけれども、そのあたり、もう一度、大臣の御認識をお伺いいたします。

太田国務大臣 この国土をどうグランドデザインを描くのかということは、常に、国土交通委員会あるいは建設委員会、運輸委員会のこの二十数年は、私もそこに所属をしまして、いつもこの国土をどうするのかということは基本だと思います。その中で最も前提としていかなくてはならないのは、人口動向であるというふうに思います。

 私は、そういう意味で、これまで、国土軸ということを表現した国土庁があった時代からということもあるし、それから、国土の均衡ある発展ということがずっと言われてきたということも承知をしておりますが、国土の均衡ある発展という概念のもとでは、もうこれは国土のグランドデザインは描けないなということで、一番の基底にあるのは人口ということだと思います。

 今、人口を、二〇五〇年を眺望してみますと、一平方キロメートル当たりで全国三十八万平方キロをメッシュで切りますと、二〇五〇年には一億人を切ると言われていますが、そうしたことではなくて、実は、人口が半分以下になるというところが何と六六%である、まだら模様の中にある。

 そしてまた、首都圏をとってみましても、昔は若い人が郊外に出て住んだりして、そして列車で通うというときがずっと続いていますが、郊外の中にという、郊外と言っては大変失礼なんですけれども、埼玉県や、東京に通う人たちの中でも、通う人が少なくなって人口の高齢化が進んできている。そして、都市部の人口の高齢化も進み始めてきている。そして、人口減少が二〇五〇年に半分以下になるところが六六%。

 こうしたことで、均衡ある発展ということでは国土形成というものはできないという中で、新たな国土形成、グランドデザインをどうするかということで、大都市と、分権ということの中で道州制の州都になるべきエンジン役になるという都市と、今、県庁の所在するところの果たす役割、そして、過疎というけれども、そこに現実には高齢の方々を含めて大勢の人が愛着を持って住んでいる事実というものをどう考えるか。

 その中で、それぞれの都市というものをどういうふうに考えて戦略的に維持しながら国土のグランドデザインというものを描いていくかということが極めて重要であるとともに、そこに、道路なら道路、交通行政ということにおきましては、それらを踏まえて、過疎と言われるけれども、現実にはそこで生き続けたいと思っている方が大勢いらっしゃる、病気になった、寸断をされている、そうした中でどういうふうに病院とか買い物というものを位置するかということの配慮の仕方。道の駅ということを言われたけれども、今までの道の駅ではなくて、そこに防災拠点としての新しい拠点をつくる。どう国土にめり張りをつけて、それぞれの地域に住む人が安全で、安心でということをやるかということが大事なことだというふうに思っています。

 ちょっと長くなりましたが、若い人が大勢来ていらっしゃるものですから、ある意味では、何だ国会議員はなんと言われることが多いんですが、三日月さんとの間で、本当に日本をどうするか、若い人たちにちゃんとした日本を残したいという真剣な論議がこの委員会で行われるということは、私は大変すばらしいことだというふうに思っているところです。

三日月委員 ありがとうございます。

 ちょうど私たちの子供の世代が傍聴してくれているんだと思うんですけれども、その土地その土地に現実に住まわれていらっしゃる方々があって、そのお人お人にそれぞれの御事情があって、それをいかに国として守っていくのかということが大事です。

 私たちは、先ほど大臣からありましたけれども、地震の想定をし、何万人の方がお亡くなりになるというようなことを軽々しく言うものではなくて、お一人たりともお命を落とされることがないようにしっかりと守るという視点で行政を出発させるべきだというお考えは私は賛同いたしますが、しかし、その大義名分を掲げ過ぎるが余り、あちらにもこちらにも、これまでと同じ延長線上で、これまでつくってきた社会資本をつくり続けるということはもはやできない、もしくはやるべきではない時代に入っているということを私はしっかりと国土交通行政の中に貫いていくべきだと思うんです。

 私たちの考えを申し上げると、定住人口は確かに減少するかもしれないが、交流人口をふやすことによって、我が国日本はもっともっと富んでいける、豊かになれる。したがって、観光、日本から世界に行く、世界から日本に来ていただける、こういう状況を私たちはもっともっとつくっていくべきだ、このことによって元気になっていく、豊かになっていけると思います。

 この議論は、すれば二時間でも三時間でも、また委員長にはお時間をとっていただきたいと思いますので、次の話題に入らせていただきたいと思うんです。

 もう一点、通告にはなかったんですけれども、ぜひ確認したいことがあります。

 きょうの報道に、ボーイングの787の問題がございました。これは、独自に安全策をとって運航再開かというような内容の記事でございます。

 大臣は、所信の中で、これは原因を究明しということを明言されておられますが、報道には、原因が特定できていない中、運航再開かというような報道がございますが、よもや、原因がわかっていないのに運航再開するということはないだろうなという確認をさせていただきたいと存じます。

太田国務大臣 大事な問題なので、貴重な質問をいただきましたので、お答えします。

 ボーイング787型機、一月八日、そして一月十六日、ボストンと高松の事案がバッテリーということを中心にした事案として、重大インシデントということで認識をして、ずっと調査もし、そして、改善措置をどうするかということで、ボーイング社が改善措置を出してきたのが二月の二十八日、そして、アメリカの航空局、FAAに出したのは二月二十二日でございます。内容は同じでございます。

 ずっとFAAを中心にして調査を深めてきまして、その改善措置の是非ということについてずっと議論して、それが今、アメリカの航空局、FAAとしては最終段階の判断、それはアメリカがやっているというのではなくて、アメリカが一〇〇%やると同時に、日本も一〇〇%、世界で787が全部で五十機ある中で、二十四機が日本、全日空が十七機、日航が七機ということからいきまして、絶対に安全、そして、私がアメリカのボーイング社に言ったのは、日本は、安全というだけではなく、安心ということが同じように大事なんですと。世界は、どちらかというと、安全ということがあったら、それは安心である、しかし、日本民族は、安全ということと安心ということを両方一〇〇%満たさなければだめなんだということを私は申し上げました。

 今どういう段階かといいますと、その是正の措置ということが提出されたことを分析、解析、そして実験等を行いまして、それが現在、最終段階というところに来ているということでございます。

 私がきょう申し上げられるのは、最終段階に来ているということと、安全、安心という両面が求められているし、万全の再発防止策が図られるということが大事だということで、この状況を今注視しているということでございます。

三日月委員 大臣、理系の御専門の方であれば、原因が究明され、特定され、改善策ですよね。原因が究明されず、特定されない改善策はあるんですか。

 したがって、大臣は所信表明の中で、速やかな原因究明と書かれているんです。原因が何であったかわからないまま改善策がとられるということはないと考えますが、最後に一言、確認をさせてください。

太田国務大臣 ここは、原発でも、原因が究明されるというのは、例えば、地震によるものか、津波によるものかということについては、調査委員会で来ています。

 安全ということを確認して、再発防止ということは、全てがその原因であるとして、これであれ、これであれ、これであれ、これであれ、全部措置をとるということ、これが安全ということの一番基本の認識方法であるというふうに考えているところです。

 こういう場合も、こういう場合も、こういう場合もという全ての場合を想定して、全部に手を打って、その全てについて、何があろうと全部措置をとりましたというのが安全ということだという判断のもとで、今、FAAと国土交通省航空局はそういうことの確認措置をとっているという段階にあるということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

三日月委員 そういう段階にあるということは、お話はお伺いいたします。ボーイングの対応、そして米国FAAの対応も、それぞれあるんでしょう。しかし、日本国、国土交通省航空局の良識ある判断を私は求めたいと思います。

 もちろん、全日空社、日航社、十七機、七機ですか、大変多くのこの調達をされ、その経営にも、そして、私たち国民の足にも多大なる影響を及ぼしているということについても理解をいたしますが、バッテリーが焼けて煙を出して、そして、運航を停止しているものの原因がわからないまま飛ばすということについての不安を私は一利用者として強く感じます。

 したがって、そこは、わかりやすい、将来にも責任が持てるしっかりとした判断と説明が要ると私は思いますので、大臣、このことはよく、言われなくてもわかっていると言われるかもしれませんが、肝に銘じて御対応いただきますように、よろしくお願いをいたします。

 そして、本題に入ります前の確認事項を資料に基づいてさせていただきたいと思うんですが、一点だけ、この復興の状況について、住宅政策について確認をさせていただきます。

 資料の一と二に、現時点で仮設住宅に入居されている方がどの程度いらっしゃるのかということについて、資料を入れさせていただきました。そして、二枚目には、災害公営住宅の整備状況についてお知らせをさせていただいております。

 進んでおりません。用地確保や建築設計等々で、現地の皆様方、関係者の皆様方に非常に御苦労をいただいております。

 私たち、発災当初、仮設住宅をつくろう、旅館やホテルにも泊まっていただこう、そして、仮設住宅の建設が間に合わないんだったら、津波で土地がないんだったら、民間の借り上げ賃貸住宅を借りてでもやろうじゃないかということで、今回、これだけ大規模の借り上げの民間住宅の方に今お住まいをいただいております。

 この方々が、いつ家に戻れるのか、自分たちのおうちを持てるのかということについては、この二ページ目にありますように、まだまだ時間的には厳しい状況だということがある中で、仮設住宅については、公営で建てた、国が建てた仮設住宅及び公営住宅に入っていただいている方だけではなくて、民間賃貸住宅を借り上げていらっしゃる方々も含めて、復興公営住宅が整備できるまでしっかりと御入居していただけるということでよろしいですね。

 鶴保副大臣に御見解をお伺いいたします。

鶴保副大臣 御指摘のとおりの方針で臨んでおります。

 進捗状況につきましては、多少技術的にはなりますけれども、岩手県で五千六百三十九戸、宮城県で一万五千四百八十五戸の供給計画が示されており、具体の用地を確保し事業に着手したものは、三月末時点で、全体計画の約四一%ということでございます。

 そのうち、建築工事が完了したものは、岩手県で百十八戸、宮城県で五十戸、福島県で八十戸、合計で二百四十八戸ということでございまして、委員御指摘のとおり、まだまだ十分なものとは至っていないという認識でございますから、これをスピードアップさせていただくために、今後とも最大限の努力をさせていただくことをお誓い申し上げたいと思います。

三日月委員 私たちも最大限協力をいたします。

 と同時に、私たちは住宅政策の中で、特に三ページ目、四ページ目にありますように、大臣の所信の中にもございました、新しく家を建てることも大事だが、今ある住宅を質を高め、しっかりと流通をさせていく、さらには、高齢者の方々の住まいを確保していくということに取り組んでまいりました。きょうは、ここについては、御紹介のみとさせていただきたいと思います。

 さて、本題に入ります。

 この改正法案につきまして、私も、この改正法案は、東日本大震災の教訓を踏まえ、新たに想定される大地震のことも考えながら、私たち国民の生命と財産を守るという意味において大切な法律また法律改正だと思います。

 その上で、資料の九ページにありますように、今回、耐震診断を義務づけられ、また、その結果の報告を求め、義務づけられる建物が全国各都道府県にどれぐらいあるのかということをお聞きしたところ、現時点、最新のデータで、全国で四千十四棟であるというふうに言われております。

 先ほど来、委員の方々の御質問にありましたように、偏在はないのか、それぞれの都道府県で対応できるのかということについて確認をさせていただきたいと思うんですけれども、例えば、沖縄県、京都府、佐賀県、岡山県、熊本県では、対象物棟数のうち、耐震未診断が半数を超えております。東京都、大阪府、神奈川県、北海道、四都道府県では、これは三百を超える棟数になっておりますし、福岡、兵庫、京都、広島、福島、山形、六府県では、これは百棟を超える棟数になっております。

 一番のポイントは、今回、民間事業者の方々にも耐震診断及び耐震改修の費用をこれまで以上に多く拠出していただいて、この耐震化を進めていくということなんです。

 それで、お手元資料の十一ページと一番最後のページをごらんいただきたいと思うんですが、では、一体、この耐震診断が義務づけられた対象建築物にどんな補助制度があるんだということで問うたところ、この十一ページの資料が出てまいりまして、これだと非常にわかりにくいので、もう少しわかりやすいものをつくってくださいということでお願いしたところ、出てきたのが、一番最後のページにございます「耐震改修の補助対象となる避難所(防災拠点)」というものでございます。この避難所という言葉と防災拠点という言葉が乱立をいたしまして、事業者、関係者の皆様方を混乱させてしまっております。

 今回、お伺いいたしますが、避難所等の防災拠点に指定された場合、この補助の割合が高く、それぞれの事業者の方々の御負担が少なく済むということなんですけれども、今お示ししました最後の円の図によりますと、どの部分が避難所等防災拠点として指定された場合ということに位置づけられるのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、今回、補助制度をいろいろ拡充させていただきました。かなり複雑な制度になっていることは事実でございまして、説明が至らないところがあれば、おわびを申し上げたいと思います。

 その上で、都道府県が指定をいたしました避難所については、補助率を特例的に五分の二にしておりまして、公共団体が同じ額をおつき合いいただければ、先ほども御答弁申し上げたとおり、五分の四、八割の費用が補助金で賄われる、こういうことでございます。

 今お尋ねの件は、その避難所とは一体何なんだということだと思いますけれども、御指摘いただいたこの図は、左の方は、今回、災害対策基本法の改正案に盛り込まれている一次避難所ないしは二次避難所的な二つの段階があるということだと思いますけれども、これも含めまして、旅館、ホテルは恐らく二次の避難所だということになるんだと思いますが、都道府県が耐震改修促進計画に記載をしていただければ、補助率の五分の二の適用をする。端的に言えば、この右の方の青い円の中の部分に入れば高い補助率の適用になるということでございます。

三日月委員 そうしますと、確認ですが、住宅局長、前の方に来ていただいて。例えば、お伺いいたしますが、この丸の右側の青いところ、耐震改修促進法における避難所に旅館、ホテルというのは指定されるという理解でよろしいですね。

井上政府参考人 基本的には、都道府県が指定するためには恐らく事前の協定のようなものが要るんだと思いますし、また、避難所として使うのに適切かどうかというそれぞれの個別の判断があると思いますけれども、今回の大震災でも、旅館、ホテルはかなり避難所に使われております。こういうような使い方をするものであれば指定ができるというふうに考えております。

三日月委員 あっちこっち飛んで申しわけないんですけれども、十二ページに資料としてつけさせていただきましたが、いろいろなパターンの資料を出していただいておりますので、ちょっとややこしくなってきているんです。

 そうしますと、今局長が御答弁いただいた「耐震改修促進法における避難所(防災拠点)」にそれぞれの自治体との協定に基づいて指定された場合、十二ページの表の上の段、左側の「地域防災計画における位置づけ」もあり、右側の「耐震改修促進計画における位置づけ」もあった場合、国は五分の二の支援、地方は三分の一から五分の二の支援、そして事業者の皆様方は十五分の四から十五分の三、したがって、一番最小で十五分の三の御負担で耐震改修が行えるという理解でよろしいですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的にそういう理解で結構でございますけれども、下の米印の一の注にございますように、地域防災計画における位置づけは必ずしも必要としておりません。都道府県の耐震改修計画だけに書いていただいても同様の扱いができるということでございます。

三日月委員 今最後におっしゃったことで、また一つわからなくなったんです。

 そうしますと、もう一回この円の図に戻っていただきますと、右側に指定された場合は支援が受けられる。でも、この左側の今回新たに国会に提出をされた災害対策基本法における避難所というのがございまして、四十九条の七ですか、これで指定避難所、災害発生後に必要な間滞在するための避難所、要は、すぐに逃げていただくところではなくて、その後しばらくお過ごしいただく場所を避難所として指定する。

 大体、想定いたしますと、今回もお世話になった旅館、ホテルというようなものが容易にイメージできるんですが、左側の災害対策基本法上における避難所と、右側の耐震改修促進法における避難所というものの違いは何なんですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、避難所としての機能に求める要件といいますか条件は同じだというふうに思っております。

 災害対策基本法の避難所に位置づけていただいても、都道府県の耐震改修計画に位置づけなければ、補助要綱上、補助が出ないということでございますけれども、これの手続はそんなに重いものではないというふうに思ってございまして、左側の方で指定をしていただけるものであれば、当然に右側の方では指定ができるというふうに考えております。

三日月委員 そうしますと、同じようなものでございます、そんなに重いものではございません、左側に指定されても、当然右側のこの青いところにも含まれると思いますとお答えいただきました。

 ならば、そう書いて、そう自治体に周知すべきです。左側に指定され、指定避難所として指定された場合にもきちんと補助が受けられるということを明確にすべきです。

 いかにも、左側に指定されても右側の計画に位置づけられなければ大きな補助が受けられませんよというような表現ですけれども、ぜひここは、きょうは西村副大臣にもお越しいただいておりますけれども、災害対策基本法を所管される内閣府も、この左側の災害対策基本法四十九条の七の指定避難所に指定された場合にも、この右側の耐震改修促進法上における補助のかさ上げが地方公共団体の理解と協力と賛同のもとに得られるんだということをしっかり制度としても確立すべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

西村副大臣 御指摘のとおり、今回の災対法の改正案で、市町村長が避難所として旅館とかホテルとかも指定できることにはなっております。

 ただ、同意を得た上でという条件がありますので、旅館、ホテルの管理者というか、旅館、ホテルの同意を得た上で指定ができることになっておりますので、もし仮にこの法律が改正されて成立した後、指定を受けて、避難所として指定を受けた場合にはこうした補助制度も受けられる、今の手続に従ってやれば受けられるということは、これは住宅局、国交省とも連携して、しっかりと周知をしたいと思います。

三日月委員 右側は都道府県なんです。今副大臣がおっしゃったように、左側は市町村なんです。

 同意が要るとおっしゃいました。右側は協定だとおっしゃった。そして、左側の災害対策基本法上の指定避難所というのは、耐震性は要件とならない見込みだと書かれている。右側は当然耐震性が要件になる。

 これは、今この国会で議論しているだけでも、みんなちんぷんかんぷんになってきて、では、果たして都道府県と市町村との連携なり連絡はきちんとできるんだろうか。ましてや、市町村にも話をしに行かなければいけない、都道府県にも話をしに行かなければならないそれぞれの事業者は、さあ、二十七年末までに耐震診断を受け、耐震改修計画をつくり、そして公表等々に間に合わすことができるんだろうかと思うんですけれども、このあたり、いかがですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の質問にお答えしておりましたので、肝心のところの説明がしっかりできておりませんでしたので、補足をさせていただきたいと思います。

 右側の耐震改修法における避難所は、都道府県が耐震改修促進計画の方に記載をしていただくことによって耐震診断の義務づけが課されることになります。左の方は、先ほど委員の方から御指摘いただきましたように、耐震性は要件にならないということになっておりまして、これは、そういう意味では、そのままでもいいということの表明になるんだというふうに思っています。

 左の方で指定したものが右の方になじむというふうに先ほど申し上げたつもりなんですけれども、義務づけが課されるというところがございますので、それゆえに補助率も五分の二に上げさせていただく、こういう組み立てになってございますので、非常に複雑なことは御指摘のとおりでございますから、内閣府とも十分協議をした上で、都道府県、市町村それから旅館の方々に、混乱を来さないようにしっかりと情報の周知に努めてまいりたいというふうに思います。

三日月委員 先ほど地方自治体にも強力に要請をするんだというお話がありましたが、今、大臣、副大臣も、お顔を見合わせながら、何かややこしそうだなというような……(発言する者あり)違いましたか、別の話ですか。

 いや、私、これは非常に大事なところだと思うんですよ。今、局長が微妙に先ほどの答弁と言い直され、修正されましたけれども、基本的に同じようなものではないんです。

 右側は、耐震診断が義務づけられ、当然耐震性が求められるがゆえに補助率のかさ上げがあるんだ。ただ、地方公共団体がこれについてこられなければ、地方公共団体の補助がなければ、私は、今申し上げた十五分の十二、十五分の十一といったようないわゆる公共の支援というのはできないと思うんですけれども、このあたり、私たちは、単に、要請します、予算制度としてつくりましたということだけではなくて、しっかりと法文の中に、地方公共団体、とりわけ都道府県の改修計画の中に位置づけられた建物の耐震改修については、費用を工面し支援を行うべきだ、支援制度を設けるべきだということを法文に書くべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりだと思いますけれども、耐震義務づけをしておりますのは耐震診断のみでございます。法律の中では、地方が指定をするこういった防災拠点につきましては、耐震診断を義務づける以上、法文の中に保証規定を盛り込ませていただいております。

三日月委員 保証規定を設けさせていただいておりますとおっしゃいましたが、いや、ないのがあるから言っているんです。今局長がおっしゃったのは、十条のところですね。耐震診断の実施を伴う際に、やはり、それぞれの事業者の費用負担を軽減するための条項をこの十条の中に設けるべきだと私は思うんです。

 かつ、国も、これは五分の二の支援をしますと予算案で出しています。予算措置しますとおっしゃっていますが、あくまで予算措置だけなんです。年度によって金額の多寡が変わるんです。予算措置を財政上しっかりと講じなければならない旨を、これは立法府の意思として示していった方がむしろ行政府で財政当局と向き合われる皆様方にとっても力になるのではないかと私は思うんですけれども、再度お伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大変申しわけありません。保証規定は、避難路沿道だけでございます。ちょっとそこは間違った答弁をいたしました。おわび申し上げます。

 その上で、地方公共団体、国も含めてでございますけれども、こういった耐震診断あるいは改修につきましての支援を行うという努力義務規定は既に法律の中に入ってございます。私ども、従来から、これに基づいて国にも努力義務、責務がかかっておりますし、地方公共団体にもこれに基づいてお願いをしているという趣旨でございますので、立法府の判断でございますけれども、行政側としましては、改めての補助規定は必要ないのではないかというふうに思っております。

三日月委員 そうでしょうか。先ほど来、再々御答弁を修正していただいて、わかりにくさを助長していただきながら、加えて、規定についても、不十分ながら規定は必要ないのではないかと述べられるところに私は一抹の不安を感じますので、私どもとして、しっかりとそのあたりを規定するということの修正案を出させていただきたいというふうに思います。

 もう一点お伺いいたしますが、先ほども議論になっておりました、この公表についてですね。そうして診断されました、その結果につきまして、二十七年末までに報告をする義務がこの法案に課されております。その後、これは九条ですか、改正法案の九条で、公表を行うことになっております。

 しかし、この公表によってはいたずらに、もちろん、利用者、消費者の選択に資する、評価に資するということもあるんですけれども、そのことが必要以上に事業者の事業や経営をゆがめてしまう、また困らせてしまう場合もあるのかもしれません。

 私は、特定行政庁ごとに、例えば用途ごとに事業者間の公平性が保てるように、しっかりとこの公表については配慮する必要があると思いますし、そのことについては、いやいや、そのとおりですと多分答弁があると思いますので、国土交通省令で定められることになっておりますが、私は、その省令にしっかりと、民間事業者及び地域経済に与える影響に十分配慮すべきである旨を定めることが必要だと思いますが、いかがでございましょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公表につきましては、今も御指摘をいただきましたとおり、用途ごとに、公共団体ごとに取りまとめて出していただく、言いかえれば、それぞれのグループの、現場のそれぞれの事情に基づきまして、みんな公表時期が異なってくるということを容認するような中身の省令にしたいというふうに考えてございます。

 それにつきまして、今の書きぶり以上の縛りをかけますと公共団体の自由度の方が減るのではないか、地域独自のいろいろな事情を反映できるように今の規定でやらせていただくのが最善ではないかと行政側としては思っております。

三日月委員 行政側の方に、こう立法したらどうでしょうかと問うこと自体がナンセンスだったかもしれませんし、今、公表時期をそれぞれの地方公共団体によってずらすことも含めて対応可能だというお話がございましたが、耐震診断の結果を受けて耐震改修を行う計画をつくられているとするならば、診断も受けません、改修もしませんという事業者さんは別ですよ、診断を受けられ、改修をやりたいんだ、しかし、工法はどうだろうか、費用の工面はどうだろうかということに思案をされながら計画をつくられるような事業者については、しっかりと配慮をした上で、その方々も含めて公平な競争に資することができるような公表のあり方というものをしっかりと定める必要があると思いますし、そうやって定めるべきだということを私は法文にもしっかりと盛り込むべきだと思うんです。

 最後のところは結構ですので、冒頭のところの指摘にお答えいただければと思います。

井上政府参考人 基本的には、それぞれの地域でいろいろ考え方も違うと思います。業界の方も一緒になって早く耐震改修をやろうということになれば、これはさっさと公表するという判断もあるのかもわかりません。しかし、耐震改修に時間がかかるので、工事に着手するまで、その間は公表してほしくないというケースもあるんだと思います。こういうことものみ込んだ上で、しっかり公共団体のそれぞれの事情が生かされるような、そういう形を容認するような形での規定にしてまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 その際に一番肝になるのは、そもそもその建物がどのような耐震性をお持ちなのかという耐震診断なんです。もう局長も、また先生方もよく御存じだと思うんですけれども、非常に多くの建物があり、そして、先ほども御質問にありましたが、限られた人員体制の中で、しかし、学校耐震の診断も行い、それなりに日本の中に、数としては、ボリュームとしてはいてくださっておられますので、それで何とか大丈夫だというお話があります。

 しかし、気をつけなければいけないのは、事業者さんの皆さんからも伺ったのは、耐震改修のことを考えた耐震診断が行われるが余り、いや、ほんまにこんなお金がかかるのかいな、もうちょっと安うて済むのちゃうんかいな、A社もB社もC社も聞きたいけれども、一体どれがほんまに私の建物にとって必要な耐震改修であり耐震診断の結果なのかというのがわからぬということがあるんですが、この公平性ですね。

 耐震診断を受けた、義務づけされているから診断を受けた、報告した、しかし、後になってみたら、おまえ、あんなところの耐震診断を受けたんかというようなことを言われてしまうことがないような耐震診断の公正性及び公平性、中立性というのはどのように担保されるんですか。どこかに、受けられた方が相談なり判定を求められるような機関が私は要ると思うんですけれども、いかがですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断の具体的なやり方、技術上の指針につきましては、現行法上、法律に基づいた指針としてお示しをしているところでございます。

 しかしながら、建物には非常に個別性がございまして、構造計算につきましても、モデル化という過程でいろいろな考え方がある。こういうことで、新築につきましては、今、適判制度ということでダブルチェックをさせているところでございます。

 委員御指摘のところは、まさにそういうところをできるだけ横並びにそろえて、かつ、透明に処理ができる仕組みが要るんじゃないかというようなことだと思います。

 ちなみに、学校につきましては、既に、全国にこういうものを判定する委員会が設けられておりまして、専門家による委員会でございますけれども、こういうようなものも活用しながら、しっかり公平な診断ができるようにやってまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 ということは、透明に、公平公正に処理される仕組み、学校耐震診断の際に活用された仕組みは、今回の民間事業者の方々に義務づけられる耐震診断にも同じく活用されるという理解でよろしゅうございますか。

井上政府参考人 それぞれの都道府県での判断は、あるいは市での判断は余地を残したいと思いますけれども、基本的にはそういうことだというふうに思っております。

三日月委員 もう一つ大事な話がございまして、二十二条の表示の関係、先ほども委員の御質問の中にありました。

 私の配らせていただいた資料の十六ページに、今、耐震診断・耐震改修マーク表示制度として、この三種類のマークがあるんだそうです。真ん中が東京都がやられていて、右側が横浜市がやられていて、左側が耐震改修支援センターがやられていて、そして、今回の法改正が行われれば、五千平米以上の方のみならず、以下の方も含めて、マークがまた新たにつくられることになるんでしょうかね。

 私は、このマークを統一すべきだと思いますし、マークがある人とない人、マークをつけた人とつけなかった人、このことが選ぶ側の混乱を来さない配慮が必要だと思うんです。

 どの基準に基づいてどのマークがつけられているんだということについてのしっかりとした統一、また説明、さらには、そのことがきちんと運用されているのかどうかという監視、これが必要だと思うんですけれども、先ほど局長は任意の制度だからとおっしゃいましたが、私は、任意の制度だからこそ、このマークについての監視、運用をしっかりと担保する必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 任意の制度であるということはそのとおりでございますけれども、委員御指摘のように、任意であるからといって、受け取る人の受け取り方、あるいはマークによっての運用が異なるということは絶対に避けるべきだというふうに思います。

 そういう意味で、表示制度につきましては、全国共通の制度でございますので、全国で使うことができる認定マークは私どもの方で用意をしたいというふうに思っております。

 それから、地方の二つの事例、横浜と東京都で先行いたしておりますけれども、これにつきましてマークをどうするかは、これから、具体のそれぞれの公共団体とよく調整をしてまいりたいと思います。仮に、二つのマークが併用される場合にあっても、運用は全く同じにさせていただく必要があるというふうに思っておりますので、そのように取り組ませていただきたいと思います。

三日月委員 先行する二つの自治体のマークともできる限り統一できるよう調整する、仮に異なったとしても運用が統一されるよう協議するということでございましたが、私は、この任意の制度で市場がゆがめられたり、事業者の経営がいたずらに影響を受ける、マイナスの影響を受けるということがないように、このマークの制度は、軽く見られているかもしれませんが、非常に重要な制度だと思うんです。

 このことで、例えば団体旅行の宿泊が受けられる受けられない、特に修学旅行や何かではそういう影響が多くあると聞いておりますし、最近はインターネットでいろいろな、もちろんサービスもそうですが、この安全性の評価が行われる際に、マークが乱立をし、そして、基準がわからないまま消費者が選択されるということがないような仕組みをつくることが必要だと私は思いますので、しっかりとした対応を求めておきたいと思います。

 最後に、建築所有者に対する金融支援のあり方なんです。

 先ほども委員の方から御報告がありました、耐震診断も受けたい、改修もしたい、でも、資金繰りが大変で、このことによって付加価値が上がり、客単価が上げられないとするならば、ここに金融の支援というのはなかなか受けづらいよね、もともと抱えているものも大きいしというような方々に対する金融支援が必要だと私は思うんです。今よりも拡充した金融支援が必要だと思うんですけれども、この点について、政府はどのような対応をとられますか。

井上政府参考人 お尋ねの金融支援ということも一つ大きな要素だとは思います。

 国交省の助成につきましては、そうはいいながらも、まずは補助制度ということをこれまで優先して取り組ませていただいたところでございます。

 ちなみに、私どもの直接の所管ではございませんけれども、ホテル、旅館等の生活衛生関係営業を営む会社、個人の方々には日本政策金融公庫の低利融資制度、それから、都道府県と地域の金融機関及び信用保証協会の連携による低利融資制度や債務保証、こういうものが行われているというふうに承知をしております。

 これらの補助制度以外の支援策につきましても、関係省庁、地方公共団体と十分に協力しまして、事業者に周知を図り、耐震改修を促進してまいりたい、こういうふうに思っております。

三日月委員 最後にいたしますが、大臣、私が指摘いたしました補助制度のあり方、もちろん、今の金融支援も私は不十分だと思うんですけれども、これからしっかりと関係省庁とも協力して対応するということですので、その動向を見守りたいと思いますが、地方自治体も含めた補助制度のあり方、さらには、公表の時期ややり方の問題、そして最後に申し上げたマークの問題、大臣も東京都でいらっしゃいますが、このマークが乱立、併用されると、これは非常に市場をゆがめることにもなりかねない。

 このあたりの対応策について、最後に御見解、御決意をお伺いして、私の質問を終わります。

太田国務大臣 今、公表の問題と表示、それから財政支援、論議をずっと聞いておりました。

 しっかり、御指摘のところで安心してできるように措置をとりたいというふうに思っています。

 一つ一つについて申し上げますか、長くなりますが。

三日月委員 大臣、一つ一つはいいんですけれども、お聞きいただいていて、例えば、このマークのところなんかは、これを見てくださいよ、それぞれ違うマークがあるんですよ。先行している東京都、横浜市があって、さらには、これから耐震診断が義務づけられ、報告が義務づけられ、公表される五千平米以上の建物のみならず、新耐震で安全認定がされた建物については、これ以外のマークがつけられる可能性があるんです。

 今、国土交通省の住宅局長は、恐らく左側のマークになるのではないかとおっしゃっていますが、右側のマークも併存するかもしれないということになっているんです。そのことでもって、お客様が例えば旅館やホテルを選ばれる、いろいろな建物、学校だってそうです、私立の学校だってそうです、病院だってそうなんですけれども、こういうものを見られるときに、選択を混乱させることになりやしませんかということなんです。

 恐らく大臣は、そうだと思われ、そして対策を講じるべきだと思われると思いますので、最後にその御決意を短く伺って、終わります。

太田国務大臣 東京と横浜がそうした措置をとっているということは、地元でもありますし、よくわかっております。現在、そうしたところで取り組みが始まっていることもありまして、逆に、積極的に表示したいという方々も当然いらっしゃる。任意制度を前提とした無理のない柔軟な運用をしたいというふうに思います。

三日月委員 ありがとうございました。

金子委員長 次に、西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 本日は、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案における幾つかの疑問点を質問させていただきたいと思います。

 最近、淡路島、伊豆諸島、そして宮城県沖と、大きな地震が頻発しております。将来の地震の発生に備えて、一刻も早い建築物の耐震化を実施することは必要であろう、安心、安全のためにも大変重要であろうと思っております。

 今回の改正案では、大規模な建築物の耐震化を義務化するということでありますが、その耐震診断に当たってはどのような資格が必要なのか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断を実際に行っていただく方、この方々については、まず建築士の資格を有しておられるということが第一、その上で、一定の耐震診断に関する講習を受けた方というようにする予定でございます。

 私どもの方で法律に基づいて指定をしております耐震改修支援センターでは、平成八年からこういった講習を行っておりまして、これは一つ活用することが考えられますけれども、そのほかからも申し出があれば、内容をしっかり見させていただいた上で、幅広く講習をしていただければというふうに思っているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 現行法では、私はてっきり建築士の方が耐震診断をやっておるというふうに思っておりましたが、建築士の資格を規定する建築士法では、この耐震診断は建築士の独占業務として定めていないという現実もございます。その中にあって、大げさに言えば、法律上無資格の方でも今までは実施することが可能だったんだというふうに理解しておりますが、今回の改正案で、ようやく、建築士等の一定の資格を有して、なおかつ、耐震診断に関する講習会を受講した者に限定する予定であるというふうに御答弁がありました。

 最終的には省令で定められるというふうにお聞きしておりますが、どのような形になって、しかも、その講習については、どれくらいの期間で、主催はどこがやって、開催頻度はどれぐらいであって、全国での開催地はどこでやるのかというようなところを教えていただければと思います。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げたところでございますが、現在やっている耐震改修支援センター、これは一般財団法人日本建築防災協会という団体でございますけれども、こちらの方が従来からやっておりましたので、二十五年度は従来に増して頻度を上げていただく。具体的には、全国十一カ所、主なブロックの中心都市、沖縄那覇も含んでございますが、こちらの方で開催をしていただく予定でございます。

 ニーズに応じまして、回数が足りなければやっていただこうと思いますし、また、先ほども申し上げたとおり、ほかの団体からも申し出があれば、実施能力をよく見た上で、幅広くやっていただけるように、そちらの方も活用してまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 ありがとうございました。

 現在の全国の有資格者の人数と、全国各地の分布状況をお教えいただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で把握している数字でございますが、具体的には、平成八年から二十四年までにこうした講習を受けられた方でございますけれども、鉄筋コンクリート造につきましては二万七千四百名、鉄骨造につきましては一万五千名、こういうような総人数でございます。

 それから、都道府県別で見ますと、実はこれは偏りがございまして、鉄筋コンクリートに限ってでございますが、東京都では八百六十八名、大阪府では四百二十七名でございますけれども、少ないところでは、例えば徳島県では三名、山梨県では五名、こんな県もございます。

 ただ、これらの県でも、過去、小中学校の耐震診断を、例えば徳島県では平成十八年度一年で百九十八棟やっております。恐らく、県外の方がいろいろ協力をされてやった結果だと思いますけれども、実質的な地域の偏りはあるものの、非常にタイトになる地域というのは、過去のこういった実績を見れば、現実にはないのではないかというふうに思います。

 思いますが、油断をしないで、地域偏在については、情報提供を進めるなど、きめ細かに対応させていただきたいというふうに思っています。

西岡委員 確かに、全国で偏りはあるということであります。しかも、私の地元であります愛媛県は、一般財団法人建築防災協会のホームページを見ますと、耐震診断を実施できる建築士事務所として、四つだけの紹介になっておるんですね。愛媛県に問い合わせてみても、国が定める有資格者というのは、実態についても、詳細は把握していないというようなことであります。

 診断を受ける側の方からも、やはりもう少し宣伝をしておかないと、どこに診断をしていただける方がいるのかわからないという状況もございますので、その点に関してはどうお考えでありましょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘は、恐らく建築部局では、民間の耐震診断、改修が大規模なものについてはそれほど進んでいないので、そういうふうにお答えになったんだと思います。恐らく、小中学校の工事を担当しています教育委員会の部局はよく御存じなのかなということで、これは縦割りでこういうことであってはいけませんので、都道府県、市町村も含めまして、情報共有ということをしっかりやってまいりたい、先ほど来の御議論の中にありますような、まだまだ足りない部分については、しっかり補って取り組んでまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 不特定多数という建築物についてどのようなものが今回考えられるのかということと、あと、大規模なものというのは政令で定めるということでありますが、政令を出すタイミング、スケジュールというのもあわせてお伺いできればと思っております。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断の義務づけの対象となる不特定多数の者が利用する建築物、全部挙げていると大変でございますので、わかりやすいものを幾つかかいつまんで御紹介しますが、体育館など、それから病院、診療所、劇場、観覧場、集会場、公会堂、展示場、百貨店、スーパーマーケット、ホテル、旅館、博物館、美術館、遊技場、大体こんなような不特定多数の方が使われる建物、それから、多数の方が使うんですけれども、避難弱者の方が使われる小中学校、幼稚園、保育園、こういうものを想定しているところでございます。

 規模につきましては、御指摘のように、政令で決めることになってございます。幼稚園、保育園につきましては千五百平米、小中学校につきましては三千平米以上、それから、病院、店舗、ホテル等のものにつきましては五千平米以上というふうに決めたいと思っております。

 この法律は、公布の後、半年以内に施行ということでございますので、それまでには政令もしっかり整備をして出してまいりたいというふうに思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほど来質問もございましたが、五千平米ということでありますが、大規模なものに該当する建築物の数は四千ほどだというふうにお聞きしましたが、そのうち民間が所有する建築物の数というのがおわかりになればお教えいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模なものは、先ほど委員の方から御指摘のように、現在把握しているのが四千棟ほどでございます。公共団体に一件一件該当のものを精査していただいて、正確な集計は今後できるだけ早急にしてまいりたいというふうに考えてございます。

 あと、御質問の民間と公共の比率でございますが、申しわけございません、そういう集計はまだできておりませんので今お答えを申し上げることができませんが、用途からいうと、従来の学校とは異なって、相当程度が民間所有のものだというふうに思っております。

西岡委員 民間も早く数を把握して、必要な対策をとるべきだと思いますし、どうぞよろしくお願いします。

 あと、私が危惧するのは、予算面についても非常に危惧をしております。

 社会資本整備総合交付金等による助成に加えて、今年度の住宅・建築物の耐震化の緊急対策の実施として百億円の予算が計上されているということであります。

 先日の予算委員会の分科会でも話をさせていただきましたが、愛媛県では、公立の学校、特に高等学校の耐震化が非常におくれておりまして、ほかに空港や医療施設、警察施設も同様な状況にあって、国の予算措置も含めた要望をさせていただいておるところであります。

 そういった地方の財政事情を考えると、今の補助の負担というか、地方公共団体が一部負担となるということに対しては、とても現実的ではないような気がいたしますが、その点に関してはどうお考えになられますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 従来から、学校につきましては、私どもの補助制度と文部科学省の方の補助制度、両方使えることになっておりまして、これまでは恐らく、文科省の補助制度の方が補助率等も高いということから、文科省の補助制度が使われてきたんだというふうに理解をいたしております。

 高等学校についても同様かと存じますけれども、私どもの補助制度は、補助制度として今回かなり拡充させていただきましたので、使い勝手のいい方を使っていただけるようによく周知をしてまいりたいというふうに思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 また、耐震の観点からいえば、不特定多数が使用する施設ということで、先ほど局長の方からも御紹介していただきましたが、例えば木造建築などの有名神社仏閣、このような歴史的建造物に対しての取り扱いというのはどのようなものになりますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、木造建築物につきましては、これは一般論でございますけれども、建築基準法施行以降は、基本的には三千平米以上のものは禁止をされておりますので、それ以降のものはないんだというふうに思っております。

 恐らく、歴史的建築物というのはそれ以前のものということになろうかと思いますけれども、歴史的な建築物については、文化財保護法に基づく国宝や重要文化財、その他幾つかあるんですけれども、これらにつきましては、建築基準法令適用除外になってございます。構造の規定も適用されなければ、今回の耐震診断等も法律上の義務づけは適用されないということになってございます。

 しかしながら、これまで発生した地震で、歴史的建造物も大きな被害を受けてまいりました。その価値をしっかり保っていくために、耐震性を確保するということは重要な課題でございまして、最近、免震工法などもございますので、こういうものも使いながら、しっかり耐震化を図っていくことが必要だというふうに思っております。

 これは他省庁でございますけれども、文化財保護法に基づく重要文化財等につきましては、文化庁の方におきまして耐震化を促進するための指針をつくり、また補助もされているというふうに承知をいたしております。

西岡委員 ちょっと確認しておきたいんですけれども、国以外の、都道府県、市町村が指定します有形文化財などについては同じようになるんでしょうか。

井上政府参考人 直接、今御指摘のもの全てがなるかどうかわかりませんが、条例によって現状変更の規制や保存のための措置が講じられているような文化的な建築物につきましては、それぞれの建築確認を行う特定行政庁におきまして、その行政庁内に置かれた建築審査会の同意を得て指定をすれば、国宝等と同様に建築基準法の適用除外になるということでございます。

西岡委員 また、非常に疑問に思っている一つが、該当する建築物に対しては、誰がどうやって通知をするようになるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本来は、法律が公布をされますと、それに該当するかどうかは所有者の方がおのずからわかるというのが一般論でございますけれども、建物につきましては、増築をされていたり、いろいろなケースがございます。そういうことでございますので、御本人にそれを、認識を自発的にしていただくのは無理だというふうに思っております。

 したがいまして、所管行政庁の方で、耐震診断義務づけの対象建築物を特定していただきまして、台帳として整備をしていただき、それをもとに、所有者の方には、あなたのところは対象になりますよということを個別に通知していただくように考えてございます。

 なお、これらの台帳整備、所有者への通知につきましては、交付金の中で助成もすることができるように措置をいたしております。

西岡委員 所管行政庁ということで、地方公共団体がやるんでしょうが、国交省としては、該当する建築物の所有者の手元に、例えば法施行からどれくらいの期間で通知が完了するというふうに目算しておられますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、先ほど申しましたように、公布から法律施行までに最大六カ月の期間がございますので、その間には台帳整備をして、施行になれば直ちに通知できるようにしたいと思います。

西岡委員 施行からどれぐらいの期間か、明確に言っていただければありがたいんですが。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 通知につきましては、施行と同時に、直ちに出せるようにしたいというふうに思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 もう一つ。所有者が認識しない場合、例えば通知をして反応がなかった場合などについては、直接連絡をとり合うなど、そういった体制は考えていらっしゃるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には五千平米以上の建物でございますので、小さい建物ですと、まず所有者がわからないというケースも実はよくあるように伺っております。空き家問題などはまさにそういうことだと思いますけれども、そういうことは非常にまれではないかと思います。

 それから、全部で今のところ四千棟ということで、都道府県別に平均を出しますと百棟ということでございますので、ある意味、行政庁の方からは、顔の見える関係ということになるのではないかと思います。

 通知後の運用につきましては、それぞれ個別に、しっかり丁寧にやらせていただきたいというふうに思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 地方公共団体の協力体制というのが、やはり一番重要になってくると思います。先日、国交省の方から説明を受けた際には、もう既に各都道府県の担当の部長の方には話をして、周知を図っているということでありました。

 しかしながら、先日、私も愛媛県の担当部署の、これは幹部ではないところでありますので、その方に問い合わせてみたところ、詳細についてはやはり認識がおくれているという現状がありました。法案が成立していないということもその要因として考えられるのでしょうが、地方公共団体が理解して動くまでには、やはりかなり時間がかかるのかなというような感触を受けました。

 その点の私の危惧に対して、どのように取り組まれていくか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 大変貴重な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 今までの取り組みといたしましては、これは電話連絡も含めてでございますけれども、四十七都道府県の担当課長さんと部長さんには、まずはざっくりとしたお願いを申し上げました。それから、東京の方で、これは各公共団体においでいただいたんですけれども、一回説明会をさせていただきました。その上で、現在は、全国八ブロックで、各ブロックの県の方を集めて説明会を、私ども幹部職員を派遣しながら、させていただいているところでございます。

 まだまだ周知が足りないと思います。これにつきましては、最後は各県に個別に職員を派遣することも含めて、施行までの期間に十分に取り組ませていただきます。御指摘ありがとうございました。

西岡委員 ぜひ、しっかりとした周知徹底を図っていただきますようお願い申し上げます。

 五千平米以上の建築物に関しては、耐震義務化ということであります。しかしながら、五千平米を少し超えるぐらいの建築物を所有される方が、仮に一部を取り壊して適用範囲から除外をするような場合について、余りないとは思いますが、そういった場合の罰則規定というか、そういったものに対する対応というものはどのように考えておられるのかということと、いずれ、五千平米未満のところの耐震化についても、やはりしっかりとやっていく必要があると思いますが、その点に対する国交省の取り組みもあわせてお聞かせいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の資産であります建築物を増築するなり、あるいは一部除却、減築ということになると思いますけれども、これは基本的に法令の範囲であれば自由でございまして、多少脱法的なことにもなるのかもしれませんが、御指摘のように、一部を除却して四千平米台になったものについては、今回の義務づけはかからないということになると思います。

 済みません、もう一点は。恐縮でございます。

西岡委員 五千平米未満の今後の取り組みですね。

井上政府参考人 五千平米未満につきましては、これは従来から、五千平米以上、以下にかかわらず、助成なり、あるいは、公共団体が耐震改修促進法に基づいて指導助言、指示をさせていただいているところでございます。

 今回は、とりわけ、優先順位ということで、五千平米以上の不特定多数の方が使う建物について診断の義務づけというふうにさせていただいたわけでございます。あくまでも優先順位でございまして、五千平米以下のものが必要がないということではございませんので、これにつきましても、優先順位をつけながら、従来にも増して取り組んでいきたいというふうに思っております。

西岡委員 太田大臣にお尋ねしたいと思います。

 該当する建築物の指定や通知、そして耐震診断する者の資格の取得、今の全国の分布状況だとか人数を考えてみると、先ほど来より議論がございましたが、平成二十七年度末までに全ての耐震化を終えるということは非常に難しいのではないかと思っています。

 せっかくいい法案でありますから、一般の方も協力しようと思っても、例えばこれが公共建築物なら、ある程度の強制をしながら取り組んでいくことができるというふうに思っていますが、民間も対象になっておりまして、こういった場合に、先ほど、病院や旅館、ホテルというような方々に対しての配慮というか、せっかくアベノミクス効果で景気が上向いてきても、今、地方ではやはり実体のない状況であることも確かであって、これが地方経済に深刻な打撃を与えてしまうのではないかという心配もしております。

 例えば、旅館やホテル、そして病院などが廃業や転業などをすることも考えられるんじゃないかと思いますが、こうしたところに対しての営業の妨げにならないように、やはり一定の配慮をお願いしたいと思いますが、その点につきましての大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 これをやらなくてはならないということは、主体になる方々も皆さん思っていらっしゃるというふうに思います。

 しかし、これまでの質問にもありましたように、今の時期に直ちにということの中で、なかなか簡単ではないと思って、それで、診断の義務化ということと同時に、改修ということについては、これは努力していただくとか、公表のあり方についても配慮をするというようなこともさせていただいているところでございます。

 ですから、公表のやり方を丁寧にする。丁寧ということは、公表の時期について法令で一律に期限を定めるということではないわけです。いろいろな、診断を早くして早く公表すると得をするという方もいらっしゃるが、逆に損をするという方もいらっしゃったりするということもありますから、ここは公平ということが非常に大事なことだというふうに思っています。

 私は、そういう意味では、耐震診断の結果を建築物の用途ごとに一覧に取りまとめた上で所管行政庁が公表するなど、地域における建築物の個別の状況や営業上の競争環境等にも十分配慮をしていくという丁寧な運用が大事だというふうに思っています。

 今回は五千平米ということで、愛媛県では幾つとか具体的に限られているということで、総論として対応するというのではなく、地域において、何々県では対象がどれだけで、その方たちがどういう状況にあって、どんな心情になっていて、どういう不安を抱えているかということが現場の中で見える形というものが非常に大事で、そういう意味では、全体的に全部ということではない、全体的に四千とかいう箇所だと思います。都道府県につきましてはかなり少ない。

 そして、それぞれの、私なら私の選挙区ではどこということがもう特定されるということがあって、そこで診断士は一体どこの人を使うかということがかなり具体的で、全体で論じるというんじゃなくて、戸数からいきまして、かなり見える形だというふうに思っておりまして、むしろ、今回は、現場の、どこどこのどういう方たちが、どんな心情で、どういうふうにしようと思って、何を困っていらっしゃるかということもよく見ながら対応するということだというふうに思っています。

 ですから、運用の幅というものが今回は幾つかあるわけでありますけれども、それはそういう意味合いを持って、幅を持ってということでやっているところです。

 アベノミクスということ自体にどうこうというような、そういうことではなくて、あくまでここは耐震診断をやっていただき、改修への方向性というものを、ある程度の幅を持ってやっていただくということで、むしろ、命を守ったり、また経営をしている方たちがどういうふうに思ってこれを受けとめるかというところに十分配慮をしてやっていくということが今回のこれについては大事で、経済的効果というよりも、アベノミクスではなくて、その持ち主の方がどういうふうにということで、事業なら事業が継続できるというようなことの配慮をしっかりしていくということが大事なので、ここはかなりきめ細かく、現場の一棟一棟、一軒一軒に即してよく話を聞きながら、御相談を申し上げてやっていくということが大事だというふうに思います。

 地方自治体、そして国が、そこに予算をつけて支援をするということを十分お互いに考えていただいて、このことが円滑に進んでいくということが大事なことで、かなり、今回の法案は、そういういろいろな意味での配慮ということをしながらやっていかなくちゃいけないものだというふうに私は思っているところでございます。

西岡委員 ありがとうございました。

 示唆に富む御指導もありがとうございました。しっかりした建築物の耐震化を図っていただきますようお願い申し上げまして、我々も一緒になって取り組む覚悟で頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。

金子委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 西岡委員に続きまして、私からは、本件に関して、耐震診断の結果公表についてと、耐震性に係る表示制度の創設について、絞った形で御質問をさせていただきます。本日午前中の質問内容と重なる点もあるかと思いますけれども、その点は御容赦いただきまして、改めて確認をさせていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問を始めさせていただきます。

 今回の耐震改修促進法の改正によって、いわゆる大規模な、五千平米以上の、不特定多数の方が利用する建物に関しては、平成二十七年末までに耐震診断を義務化し、その結果を公表するというふうになっておりますが、その公表に関して、公表者は誰になるかということと、どのタイミング、つまり、二十七年末までというふうになっておりますが、その具体的な時期というか、どのタイミングで行うかということを、もう一度確認させていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断の結果をまず出していただく先は、所管行政庁、都道府県、それから比較的大きな市、特別区でございます。耐震診断の公表は、この所管行政庁が行うということとしております。

 公表を行う時期につきましては、法律の中では一律にいつまでということは決めてございません。具体的には、所管行政庁の方で、用途ごとに取りまとめた上で出すということでございますけれども、その用途ごとに取りまとめるという中には、それぞれ一定の業種の中の営業環境、不公平が生じないというようなこと、あるいは、耐震改修計画をしっかりお持ちならば、多少、その工事が始まるまでは、取りまとめる中で、公表を少し待つというようなことも含めて、公共団体の方で幅を持って判断をしていただけるというふうにしてまいりたいというふうに思っております。

坂元委員 ありがとうございます。

 つまり、地方公共団体に委ねられているということは、公表のタイミングに関しては、若干ずれが各公共団体によって生じるということで間違いないでしょうか。

 あと、もう一点、公表の方法に関しては、それも完全に委ねられるという解釈でよろしいでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公表のタイミングにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、公共団体ごとで、場合によっては用途ごとに、いろいろな事情があろうかと思います。公共団体ごと、用途ごとに公表の時期が異なるということも当然にあり得るというふうに考えてございます。

 また、公表の方法も、いわゆる公表ということで、社会通念上認められるものであれば、インターネットでありますとか、広報の活用でありますとか、公共団体の事務所での掲示でありますとか、こういう方法の中から適切な方法を公共団体が選んでいただけるということで、公共団体の方で決めていただければというふうに思っております。

坂元委員 わかりました。

 方法に関してなんですが、具体的に、恐らく考えられるケースとして、例えば大手の旅行代理店とかが全国的にどうなっているのかということを調べたいときに、各自治体によって公表のフォーマットというか、それがかなり別々、ばらばらですと、見づらい、確認しづらいということも考えられるかと思うんですが、そのあたり、国交省として、ある程度統一の公表フォーマットみたいなものを、強制ではないにしろ、監督指導していくようなお考えはあられないんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公表についての具体的なやり方とかフォーマットの統一ということは、今の時点では考えておりません。国交省として明確にそれを示すということは考えていないということでございます。

坂元委員 これは要望になりますが、私も、全てこの規格で統一しろとか強制しろということを申し上げるつもりはありませんが、あくまでも利用者側というか、そういう旅行会社さんとか、本当の一般の利用者の方も含めて、ある程度見やすいような形での公表というものを、ぜひ御検討いただければというふうに考えております。

 続いての質問に移らせていただきます。

 今度は、地方公共団体が平成二十七年末までという期限を切らずに、地方公共団体が指定する時期までというふうにされる対象のものに関して、これは太田大臣に何度も御答弁いただいておりますとおり、耐震化の促進というのは国全体として推進していかなければならないという中で、地方公共団体によって期限の差が大きく変わらないように、差ができ過ぎないように、国において、ある程度の目安というようなものを設定していく必要はないのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 公共団体それぞれにおいて個別に指定する避難路沿道の建物あるいは防災拠点につきまして、委員御指摘のように、できるだけ早い時期を設定して、できるだけ早く耐震診断あるいは改修をしていただきたいというふうに基本的には思っているところでございます。

 一方で、公共団体の側からすれば、それぞれの地域の中での地震等の災害の逼迫性、これは、日本全国で地震の危険があるとはいうものの、当然地域差がございます。そういう問題でありますとか、地方の財政状況でありますとか政策の優先順位、これを国が一律に縛るというのは必ずしも適切ではないのではないかということでございます。

 私どもとしては、できるだけ早くやっていただきたいということを、きちっと機会をそれぞれ捉えてお願いをしてまいりたいということと、こちらの方は、今も補助制度の状況なんかをやっておりますけれども、全国の取り組み情報を国として整理しまして、見比べていただけるように情報提供する、こういうようなやり方、あるいは公共団体に個別にお願いしていくというようなやり方、あるいはブロックごとに公共団体間で話し合っていただく、こんなやり方を通じて情報の共有を進めてまいりたいというふうに思っております。

坂元委員 国交省として非常に努力されていらっしゃるということはよくわかりました。国全体としての耐震化の推進というところは、もちろん地方公共団体のそれぞれの事情というものも重々考慮しながら、今後とも積極的にいろいろな方法で取り組んでいっていただきたいなというふうに考えております。

 それでは、続いての質問に移ります。

 先ほど来何度も話が出ておりますとおり、今回、対象となる建物は全国で約四千ほどあるという中で、本当に、個別にさまざまな事情だったり状況というものが考えられます。という中で、この平成二十七年末という期限が、今は平成二十五年でございまして、実際、これが動き始めるというふうになったときに、非常にタイトなスケジューリングになっているというふうに私は考えております。実際、旅館とかホテルの経営者さんからも、そういう声を聞いております。

 例えば、この二十七年末というものに関して、もちろん、事情を考慮しながらではありますが、猶予期間等を設ける考えというものは今のところ一切ないのかということをまず確認したいです。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断の実施、そして公共団体への報告、この公共団体への報告が二十七年末というのが一つの期限になってございます。これについては法律の方でしっかり書かれておりますので、これについて猶予期間を設けるというのは適切ではなかろうというふうに思います。

 ただ、いろいろな事情があって多少ずれたということに関して、手続上は、行政庁の方が、その後、指導をしながら、最終的には命令を出して、命令の中で定めた期間までに耐震診断を実施していただかない場合には最高罰金百万円の刑事罰がかかる、こういう仕立てになっております。

 その命令をかけるまでの時期につきましては、これは、それぞれの事情を勘案しながら、かといって、この耐震診断の重要性というものも片目で見ていただきながら、公共団体の方で、まあ、そうしゃくし定規に直ちに命令をかけるということはないように運用していただけるんだと思いますし、そういうようなことについても、よく意見交換をしてまいりたいというふうに思います。

坂元委員 ぜひぜひ、本当にそのあたりはよろしくお願いしたいと思います。本当に、個別の事情をよくよく考慮しながら、フレキシブルに御対応をいただければというふうに考えております。

 それは方法に関しても同じだというふうに私は考えておりまして、これも先ほど来挙がっておりますけれども、例えば、診断の結果、耐震改修の必要が生じておりますという建物に関して、ただ単に必要がありますというだけの表示ですと、必要がありながらも耐震改修に向けて計画も立てていない、改修をする意思もないというようなものと、意思はある、計画も今立てておりますというケースですとか、計画は立て終わりました、意思はありますけれども財政上なかなかとか、そういういろいろな個別の努力、各事業者の努力の姿勢が見えるような公表方法というものをできる限り考えていくべきではないかというふうに私は考えております。

 というのも、五千平米以上の旅館ですとかホテルの場合、私も樋口委員と同じように、私の地元は広島県の福山市なんですが、やはり、そういった大きな旅館やホテル等がございます。そういった方々から実際にヒアリングを行ったところ、この改正法によって一番影響が懸念されるのが、修学旅行とかも含めて、いわゆる大手の旅行会社さんとか、そういう非常に安全性というものを重視するところから、その公表結果を見ただけで契約を切られてしまうんじゃないかという懸念を非常に持っておられますので、そのあたり、本当に、努力の姿勢がはっきりと見えるような形での公表方法というものをぜひぜひ考えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘については、二つ言えるのではないかと思います。

 一つは、同じ業種の中で、早く対応した方、早く診断をして早く提出をされた方、それと、なかなか提出をされない方、こういう方々について、早く出した者が不利益をこうむるというような、あってはならない不公平ということは避けるべきだというふうに思います。そういう意味では、公表について、用途ごとに取りまとめて出すというのが一つの方策であろうというふうに考えております。

 それから、耐震改修の意気込みといいますか、現実にどういうふうに考えて、どう対応されるかということにつきましては、これは個別に、どの方がどういうふうにやるということを、いろいろなケースがあり得ると思いますので、あらかじめこういうやり方をということはなかなか難しいのかもわかりませんけれども、例えば耐震改修計画をしっかり持っておられて、ちゃんと時期まで出せるというようなものを公表の際にはあわせて出すというようなやり方もあり得るんだと思います。

 公共団体の意見もいろいろ聞きながら、利用される方の立場も考えながら、あるいは営業所の方の立場も考えながら、一番いい方法がとれるように努力をしてまいりたいと思います。

坂元委員 ぜひぜひ御検討をよろしくお願いいたします。

 続いて、耐震性に係る表示制度の創設についてに移らせていただきます。

 制度の創設時期やその方法について、現時点でどのようなお考えをお持ちでしょうか。また、これも営業に大変大きな影響を与えるということが予想されますが、先ほど来言っておりますとおり、個別事情への対策というものをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本表示制度につきましては、先ほど来お答えしていますように、既に幾つかの公共団体などで取り組みを始めているところでございます。また、積極的にマークを早く張りたいという方々のニーズもあるというふうに思っております。

 そういう意味で、制度のスタート自体は、本法案の施行日から、認定という行為が要るんですけれども、所管行政庁の方へこの認定申請は出していただけるようにするということになろうかと思います。その後、いつから張り出すかということは、地域の事情の中で、多少の事情の勘案というのは所管行政庁ごとにあり得るのではないかというふうに思います。

 もともとが任意の仕組みでございまして、多くの建物に張られない限りは、張ってあるからといって、ほかのものが耐震性がないということには直ちにはならないという側面もございますし、そもそも耐震性がわからないものについてはマークが張れないわけでございますので、耐震性のあるものについてもマークがないということもあり得るわけでございます。このあたりのことにつきましては、制度の趣旨をしっかり利用者の方々あるいは建物の所有者の方々に御理解いただけるように、公共団体の方も共有しながら進めてまいりたいと思います。

坂元委員 任意とはいえ、これも事業者の方が、ある意味、非常に懸念をしておられますので、細かい御配慮をぜひぜひお願いしたいというふうに考えております。

 最後に、太田大臣にお伺いさせていただきます。

 今議論をしてまいりましたとおり、今回の法律の改正によって事業者が極力不利益をこうむらないように、事業者の努力姿勢が評価される公表の方法であったり表示制度というものをできる限り検討していっていただきたいというふうに考えておりますが、その点に対して大臣の御見解をお伺いしたいのと、あともう一点ございます。やはり、今回のポイントとなるのは、地方公共団体の財政的な支援がかなり大きなポイントというふうになると思いますが、その点に関して、大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 努力姿勢が評価される公表方法、そして表示制度自体をどう運用していくか、そして地方公共団体の補助制度、これがあるかないかというのは全然変わってきますから。

 これらについて、まず、公表ということについて言うならば、これは必要なんですが、不公平になってはならない。そういうことからいきまして、一覧としてまとめて所管の行政庁が公表して、先生御指摘のように、建築物の個別の状況に、あるいはまた営業上の競争環境等に十分に配慮をするということが大事なので、丁寧な運用ということに心がけたいと思っています。

 表示につきましては、先ほど申し上げましたが、任意制度を前提にした無理のないような柔軟な運用、これもまた運用ということでございます。

 財政支援ということについては、地方公共団体が補助制度を整備している場合は、これはこれでいいんですが、いない場合もこれは国としては支援をするわけですが、しかし、やはり地方公共団体、自治体が支援をするということが非常に大事だというふうに思いますので、補助制度の整備充実というものをしっかり図っていただけるよう、地方公共団体に強力に要請をしてまいりたいと思っております。

坂元委員 力強い御決意をありがとうございました。

 質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。

 きょうは、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案について審議をさせていただきます。

 まず、この昼休みにも、北海道東部でマグニチュード七、震度は四だったようですけれども、また、茨城県でということで、日本列島が揺れているということであります。また、各委員からもお話がありましたとおり、淡路島、三宅島等での地震の被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げたく存じます。

 先ほど、質疑の中で大臣の、配慮しながらも強い意思で命を守り抜くんだというお言葉を強く受けとめさせていただいた次第です。

 まず初めに、若干質問の順序は変わるんですが、北朝鮮ミサイルの発射情報メール誤送信問題が最近国土交通省内であったということでございました。

 この件について、去る四月十五日の午前に菅官房長官が国土交通省の事務次官を呼ばれて注意されたということを報道等で聞いておりますけれども、この誤送信問題の経緯、てんまつ、あるいは原因、そしてこれに対する組織的な対策を拝聴したいと思います。いかがでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問の北朝鮮ミサイル発射情報の誤送信につきましては、去る四月十一日、航空交通管理センターの職員が、業務引き継ぎ時に職場のパソコンの画面操作を誤りまして、北朝鮮のミサイル発射に関する情報メールを誤送信するという事態が発生したところでございます。

 それからまた、二日たちました十三日早朝でございますけれども、大阪航空局の職員が、淡路島を中心とする震度六弱の地震発生に伴いまして受信しました緊急地震速報のエリアメールを閉じようとして官用携帯電話の操作を誤り、北朝鮮のミサイル発射に係る被害状況把握の依頼メールを誤送信する事態が発生いたしました。

 いずれの場合にも、結果として、官邸への報告それから報道対応に時間がかかってしまったということでございます。

 極めて短期間に二度にわたりまして同様の事態が発生したことにつきまして、深刻に受けとめております。改めて、国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第でございます。

 このような事態が発生した原因といたしましては、北朝鮮ミサイル発射情報というものが、その取り扱いいかんによって、国家、国際社会あるいは国民に深刻な影響を及ぼしかねない非常に高いレベルの情報である、こういう認識が当省の組織、職員の中で共有が十分にできていなかったということ、それから、そのような重要な情報の取り扱いというものを個人に委ねて組織的に対応ができていなかった、それから、トラブル発生時に何はともあれ上司等へ報告を直ちに行うという意識、体制ができていなかった、こういうことであるというふうに認識しております。

 国土交通省におきましては、四月十五日に、大臣の指示により、メールの宛先は事前に登録をしない、そして送信するまでに複数の者を介在させること等の再発防止策を含む事務次官通達を発出いたしまして、全官署関係職員に対して伝達をし、周知徹底を図ったところでございます。

 こうした問題が再び起きませんように、再発防止を徹底してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 今伺っていたところ、操作の誤りというような形の中で、大臣から御指示があって、事前登録をしないとか、複数名のチェックの上でというお話を伺いました。一方で迅速性も大切であり、また一方で、こういった誤ったことがあってはならないと思います。

 皆様に御披露するにはちょっと恥ずかしいんですけれども、例えを一つ挙げさせていただきたいんです。二〇〇五年の郵政選挙で私は落選をいたしましたが、その秋に、たまたま縁がありまして、旧ソ連のゴルバチョフ大統領のかばん持ちまでいかないんですが、数時間御一緒する時間がありました。それで承ったお話を皆様に御披露して、ぜひ緊張感を共有していただきたいと思います。

 ゴルバチョフ元大統領いわく、私は君のような見たこともないような人と会うことは核のボタンを管理しているときは全くなかった、二十人ぐらいのいつも知った顔、あるいは三十人とおっしゃったかもしれないんですが、いつも知った顔としか会わない、その中で核のボタンを持ち運びそれを押す責任を負わされている人間の気持ちが君はわかるかと。そして、もう一つおっしゃってくださったのは、戦争はたやすくはできるだろう、しかし、平和というものは極めて長い対話の中でしか実現できない、このことを君に教えてあげるよ、こういうお言葉をいただいたわけであります。

 ちょっと手前みそなお話で恐縮でもありますけれども、まさしく今回の件というのは、今局長がおっしゃられたように、一つ間違えれば、日本に限らず、世界を巻き込むような大きな間違った帰結を生んでしまうようなことだと思っております。そういった意味からは、人間には誤りはあると思いますが、システムとして、やはり複数名で確認して連絡をするとかいうような、迅速性も必要なんですけれども、ダブルチェック、トリプルチェックという上での行動が行われるという形にぜひしていただきたいと思っております。

 それでは次に、まだ本論に入らなくて恐縮なんですが、この耐震という問題にかかわるところで、瀬戸大橋が四月十日に開通二十五周年を迎えて、大変喜ばしいことだと思っておりますが、百年間は金属疲労が起きないのではないかと言われていた瀬戸大橋の一部で亀裂が見つかった。数でいうと十一カ所とかという報道もあるんですけれども、この問題についての事実関係と、現在国交省が考えておられる対策を教えていただきたいと思います。

前川政府参考人 瀬戸大橋の亀裂につきましてお答えを申し上げます。

 本四高速におきましては、長大橋の長期にわたる健全度を維持するため、定期的な点検の実施に加えまして、専門家のアドバイスをいただくことによりまして、構造物の変状を早期に発見いたしまして、適切に補修を行っているところでございます。

 四月九日に報道のありました櫃石島橋と岩黒島橋の十一カ所の亀裂につきましては、平成二十一年度と二十二年度に実施をいたしました定期点検の中で確認されたものでございますけれども、車の通行に伴う桁のたわみが部材に伝わり、局部的な変形が繰り返されたことにより、疲労亀裂が発生したものと考えております。

 この二つの橋が設計された昭和五十年代後半では、道路橋の設計に疲労に関する配慮が、基準が明確になかったということが原因だというふうに考えておりまして、平成十四年から道路橋の示方書におきましては疲労の影響を考慮することが規定されているところでございまして、その後、対策を講じられております。

 なお、本四高速の亀裂につきましては、発生した箇所が直接車両の荷重を受ける部材ではなく、橋の安全性に直ちに影響を与えないことから、応急措置を実施した後は経過観察措置を実施していると聞いておるところでございます。

 現在、本四高速といたしましては、引き続き、定期的な点検を実施するとともに、このような疲労の専門家も含めた専門家の技術的な知見も参考にしつつ、適切な維持管理に努めているところでございます。

杉本委員 どうも御説明ありがとうございます。

 当面は応急措置そして経過観察ということでございますが、笹子トンネルの事故がございました。やはり、まさかのときが起きてしまっては困るわけでございますので、国民の皆様、まして四国の皆様方あるいは四国に行かれる皆様方が安心して渡れる橋の管理といったことをぜひお願いしたいと思います。

 あと、これは答弁はいただく予定はないんですが、一言だけ申し上げたいのは、きょう三日月筆頭理事も質問されましたけれども、ボーイング787のことで、太田大臣からも御答弁があり、危ないと思われるところは全部措置をとっていくという形で対処を、そして、日本の場合は、安全だけではなくて、安心を確保するんだというお話がありました。まさしくきちっと太田大臣のもとでしっかりとした航空行政が行われることを心からお願いしたいと思います。

 大臣の重責という意味では、いつでも責任をとるというお気持ちでいらっしゃると私は拝察しておりますが、御配下の官僚の皆様方も、ぜひとも大臣と同じ緊張感あるいは責任感で、その責任の部分も、明確化も含めて、本当に安全な航路、飛行機に安心して乗れるような形を、きちっと組織立って、責任体制も明確にして努めていただきたいとお願いを申し上げます。

 さて、それでは本論に入らせていただきます。

 まず、耐震化という言葉が趣旨説明等々でも出てくるんですけれども、国民の皆さんの立場、あるいは素人的に言って恐縮なんですが、一体何をもって耐震化というのか。マグニチュード幾つに耐えるのか、あるいは震度幾つに耐えるのか、いや、そうではなくて、こういうレベル感なんだということを、ぜひわかりやすく御定義づけをいただきたいと思います。お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震化とは、昭和五十六年に改正をされました現行の耐震基準、これは震度六強ないしは七といった極めて大きな規模の地震に対しても倒壊、大規模な損壊をしないという基準でございますけれども、この基準の適用以前に建築された既存の建築物でこの耐震性基準を満たさないものについて、一つは、建てかえで現行の基準に合わせる、これは非常にシンプルだと思います。今の基準のものができるということでございます。もう一つは、改修を行って、現行の耐震基準もしくはそれと同等の基準に適合させていく。建てかえか改修か、二通りの方法がある、こういうことでございます。

杉本委員 どうもありがとうございます。わかりやすい御説明だったと思います。

 次に、法案理由説明のところに努力義務という言葉が出てきまして、「第二に、耐震診断及び耐震改修を行う努力義務が課せられる。」と。これもまた、国民の皆様の目線というか、私、素人的で恐縮でございますが、どうしても努力と義務は別のものということがあるんですけれども、これはいわゆる国土交通行政の専門用語なのかどうかも含めて、この努力義務というのは行政用語なのか、あるいは法律用語なのか、このあたりも含めてちょっと御説明をいただけないかと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この努力義務という言葉は、こういった促進法みたいなもので一般的に広く使われているのではないかというふうに思っております。

 御指摘のように、今般、小規模の建築物、住宅等でございますけれども、これの耐震化を進めていく上で新たに努力義務を課すということになってございますが、法律の中で、これに従わなかった場合の措置ということは、罰則も含めて特段の規定がございません。そういう意味では、罰則を伴うようなはっきりとした義務とは少し性格の異なるものではないかというふうに思っております。

杉本委員 民法上、工作物の責任、「瑕疵」あるいは「必要な注意」、こういった定義もありますので、この辺との関係ではいかがなんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの民法七百十七条一項の「瑕疵」に当たるか否かということでございます。

 本来工作物が備えるべき安全性を欠いているか、そういう状態にあるかどうかということがもとになって基本的には判断されるものであろうかと思います。基本的には、個々のケースを、最後の判断は司法の場で判断されるようなことなのかなというふうに思います。

 この努力義務が、従来は、住宅、小規模な建築物以外の、特定建築物と呼ばれます多数の方が使う建築物には、もう既に、この法律ができたときから課されてございました。これに関連して、この「瑕疵」が問題になったというような事案は、これまでのところは承知をいたしておりません。

 それから、同項の「必要な注意」ということについてもお尋ねがございました。

 この「必要な注意」は、占有者、使っている方が注意をした場合には免責になるということでございますが、所有者につきましてはこの免責はございません。今回の努力義務の対象は所有者でございますので、こちらの方は本努力義務とは関係が生じてこないというふうに思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、公表の問題で、公表は何をするんですかとか、さっきいろいろ質疑があったかと思いますが、さらに突っ込んで、耐震診断をしていただいて、その結果、公表することになった、しかし、公表したけれども、その後、実際に耐震改修をしていただくという流れにならない中で極めて危険なものが発生したというようなケースの場合に、改善命令や代執行といったものにつながるという法的意味合いをこの公表というものは持っているという解釈をしてよろしいかどうか、確認させてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、期限までに耐震診断の結果の報告が行われない場合は、いきなりではございませんけれども、最終的には報告の提出を行政庁の方が命令をする。そして、それでも提出されない場合は、行政庁が所有者にかわって耐震診断を行うことができることとされております。

 それから、危険な建物につきましては、この耐震診断の義務化にかかわらず、従来から、倒壊等の危険性が高く、著しく保安上危険であるというふうに特定行政庁が認めた建築物につきましては、建築基準法十条に基づきまして改修命令等を行うことができる。これについても、従わない場合には行政がかわって耐震改修を行うことが可能、こういうふうになっております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 次に、公表をした後、実際に耐震化工事をしていただいたという前提で質問をさせていただきたいんです。

 耐震補強をした結果、その建物の資産価値が上がったということが当然想定されると思うんですけれども、そういう解釈で、耐震改修後、建物の固定資産税の評価額は上昇するとお考えになっているかどうか。その場合の、税がふえてしまう負担増といった問題があります。

 これに対する対策は幾つか御説明を受けておりますが、その説明を含めて、私が感じるのは、税はずうっとこれからかけられるんですけれども、そのいわゆる補助策的なものは期間がかなり短く区切られているやに感じるんです。その点の長さ、期間、そういったものを含めて御説明をわかりやすくお願い申し上げます。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問ありましたのは、家屋の耐震改修に伴って固定資産税の評価額がどうなるかということでございますけれども、家屋の耐震改修そのものの内容がさまざまでございまして、また、行われる場合はリニューアル等の増改築と一体で行われることが非常に多いために、耐震改修そのものに伴って固定資産税評価額がどう移動するかということについてはちょっと一概に申し上げられないのでございますけれども、私どもが伺っている範囲内では、維持管理の範囲にとどまるものも多うございまして、耐震改修分で評価額が大きく上昇するケースはさほどないだろうというふうに受けとめております。

 したがって、御指摘のような固定資産税評価額の上昇に伴う負担軽減措置については特に講じておりませんけれども、その一方で、もう先生御案内のとおりでございますが、二十五年から二十七年までに耐震改修を行った住宅については一年度分の固定資産税額を二分の一に減額する、それに加えまして、今回の耐震改修法の改正に伴いまして、要安全確認沿道建築物についてはそれを二年に延長するということを考えているところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 あえて再度伺うんですが、今御説明いただいた税制改正の二十五年度の案の中で、特に重要な避難路沿道にある住宅は二年間二分の一に減額ということなんですが、この二年間という決定はどういう根拠でなのか、また短いとお感じになられないのか、この辺をもしあれば御答弁いただきたいんですが。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、二十五年から二十七年までに耐震改修を行った住宅については一年というふうに申し上げましたが、過去に、もっと前に耐震改修を自主的に行った方については三年間やっていたということがございまして、そのときにもう自主的にやった方よりも、その後にこういう勧告を受けてやった方の方が財政的な支援が手厚いということはちょっといかがなものかということもありまして、そういったことで、その間をとって二年とさせていただいたものでございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 国の財政事情もあるとも思いますし、また、ある意味での不平等感をつくってもいけないという御説明は大変よくわかりました。ありがとうございます。

 次に、国土交通省は、コンパクトシティー構想、都市再構築戦略策定委員会だったかな、ちょっと名前が正式じゃなくて申しわけないんですが、そういった委員会を発足して、例えばコンパクトシティーですと、その町、コンパクトシティーに対する、建築物等について税制優遇をして、コンパクトな中心街に人をある意味で呼び込んでいこうというようなことを構想に持っておられるということが、この耐震のこととは別に国土交通省は考えておられるということです。

 一方で、私が前に所属しておりました経済産業委員会は、いわゆる町の中心街にある商店街の振興策、シャッター通りの再構築的な流れのことをいろいろ検討されていたかと思います。まさしく、お役所とお役所との融合する政策部分がこのコンパクトシティーにあらわれないといけないと思っております。

 私の地元で、一宮の中心街に本町通り商店街というのがありまして、そこはいろいろな策が打たれて新しいお店が出たりするんですが、どうしてもシャッターが閉まっているお店がある。背景は、実は地主さんとテナントさんは別の人であるとかいうような問題があったりするんです。

 私が感じるのは、この商店街が、さらにお店が元気になるには、人が呼び込まれて、地主さんもテナントさんも喜ばれるように、ある意味で、高層住宅、集合住宅、分譲住宅が建って、御高齢の方々が買い物も近い、そして、今議論しています耐震基準上も十分に安全な免震、制震構造のような建物が建ってというような町並みができてくることが理想だと思っております。

 こういったコンパクトシティー構想について、いわゆる経産省等、他の官庁等との連携状態、あるいは政策の協議の場とか、そういったものは今どう存在しているのか、どういう方向感なのかを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 中心街などで、比較的古い百貨店とかそういうものが一般的にあるんだと思います。こういうものにつきまして、今回の耐震改修法では、一定規模以上のものですけれども耐震診断の義務づけをする、そして、これが耐震性が不足だというようなことが明らかになることが当然あり得るわけでございます。さて、これを改修して今の機能の維持ということにするのか、あるいはもう、この際、建てかえて、ほかの機能も導入する、先生御指摘のような住宅を入れたり、建物も十分な耐震性のある新しいものにするか、こういう契機になることも考えられるんだと思います。

 そういう意味では、この耐震診断というのは一つの契機になって、そして、先ほど来御説明をしております耐震改修の補助ということだけではなくて、再開発事業でありますとか、優良建築物等整備事業でありますとか、地方都市リノベーション事業でありますとか、これは国交省、私どもと都市局の所管でございますけれども、こういった手法を活用していったり、あるいは御指摘のような、経済産業省が持っております地域商店街活性化事業のような事業を活用して連携していくということも当然考えられるんだと思います。

 耐震化の促進という観点で、そういう意味で、他省庁との連携も含めてこれからしっかりやってまいりたい、こういうふうに思っております。

杉本委員 井上局長、ありがとうございます。

 今お話ありましたけれども、私はちょっと正確に読めなかったんですが、都市再構築戦略検討委員会というところで検討していただいているようでございます。

 ちょっと私も舌足らずだったんですが、経産省等との連携に加えまして、都道府県あるいは市町村との連携もぜひお願いして、私の地元の町に限らず同じ問題は抱えていますので、ぜひとも国土交通省の力量を太田大臣御指導のもと進めていただきたい、発揮していただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、先日、たしかNHKのメガクエークという番組だったかと思いますが、長周期地震動の問題を指摘しておりました。午前中の質疑でも井上局長が御説明されていた、構造物と構造物のつなぎ目、例えば鉄骨と鉄筋のつなぎ目の部分とかそういった部分に、実際、東日本大震災でも、仙台では、実は構造が少し、形が変わっているところがちょうど折れたような形で浮き上がったような揺れがあったというような番組がございました。

 こういった長周期地震動に対する耐震上の方策というのはなかなか難しい問題でもあると思うんですが、今回の定義上の耐震化とはちょっと違う部分かと思いますが、公共施設、あるいは多くの人が集まる施設に対しても、こういった長周期地震動に対する対策が必要かと思いますが、この点についてはどういうお考えでいらっしゃいますでしょうか。

太田国務大臣 冒頭に指摘をいただきました、耐震化とは何かと。

 入力ということから、建物、構造物からいきますと、震度というはかり方で六強から七ということをしておりまして、中央防災会議ということからいきますと、例えば首都直下地震は七というのはないと見ておりましたが、七があり得ると昨年度出したということがこの耐震化の大きなポイントになります。

 そして、マグニチュードというのは地震規模ということで、耐震工学的にいいますと、地震が起きたところを震源といいますが、それが地上にあったところを震央といいますが、震央から百キロメーター離れたところの通常地震計における振幅の常用対数、これが定義なんですけれども、地震の大きさということです。ですから、遠いところでマグニチュードの大きいものが起きても、津波は当然心配なんですが、できない。

 それらについて対応するんですが、実は、最近、液状化現象ということがまた別にありまして、この液状化現象というのは、昭和三十九年六月の新潟地震で日本では一番指摘をされ始めてきまして、今回、浦安を初めとして、このことは非常に大きな耐震化の課題になっております。

 先ほど住宅局長が言っておりました、これは構造物でありますけれども、そうしたことが問題になる中に、一つ新しい課題として長周期地震動というのがあります。大きなビル、六十メーター以上のビルで発生する。この間のNHKの九時からのものは、あれは長時間揺れたという長時間地震動ということです。今御指摘になりましたのは長周期地震動ということで、長時間というのは、今回の東日本大震災は、実は百七十三秒揺れた。阪神大震災のときは二十七秒だったのが百七十三秒揺れたというところに大きな特徴があったんです。

 この間のNHKはその長時間地震動の方に力点が置かれておりましたが、長周期地震動は、六十メーター以上の建物が、今、日本には二千五百棟ぐらいあります、これが非常に揺れる。たしか、今回、東京都の都庁では、右、左に六十五センチずつ揺れた、百三十センチ両方で大きく揺れたということがあったりしまして、長周期地震動は極めて新しい警戒しなくてはならない揺れ方だと思います。

 これは、地震学的には、それぞれの建物やこういう机もそうですが、それぞれには固有振動というのがありまして、その固有振動に振動の入力が一体となったときに、実験等をするとわかるんですが、物すごく急激に揺れます。そういう現象で、建物の固有周期が一致したときに極端に揺れを生ずるということが高い建物の中には起き得るということで、その制御方法というのは、通常の免震とかいろいろなこととは違いまして、吸収ダンパーというものが必要になるというようなことになっています。

 したがって、これから、都市部の特に六十メーター以上のビルでは、長周期地震動にどう対応するかということで、ダンパーも含めたそうした免震装置というのを加えていくことが一番大事で、大体こういうことでそれぞれは今対応をし始めてきているということだと思います。

杉本委員 御教授ありがとうございます。

 国交省の官僚の皆さんもある意味で身が引き締まる思いで聞いていらっしゃったかなというふうに拝察いたしますが、私も無知を恥じたいと思いますが、本当に太田大臣が就任していただいていて心強いと改めて感じました。

 さて、次に、幾つかちょっと質問を飛ばすかもしれないんですが、既に質問が出ておりますが、認定マークの問題でございます。

 今、太田大臣は緑の羽根をされておられます。私はしておりません。赤い羽根は非常になじみ深くて、地元の生徒さんたちが赤い羽根の共同募金に御協力くださいと言ってくださるんですが、緑の羽根の募金に御協力くださいという言葉はそう聞く機会がないかと思います。実際は、昭和の二十五年当時から始まっていて、春と秋とやっておられるというふうに聞いておりますが、委員長初め御認識があるかと思います。私は、恥ずかしながらまたこのことも余り知っておりませんのですが。

 そういった意味で、赤い羽根の共同募金ではありませんが、全国共通でみんなが認識してよくわかっているということが認定されるマークには必要だと思っておりますが、全国共通といったマークの考え方というのはおありかなしか、あるいは、今後可能性があるか、御回答をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築物の耐震性ということをわかりやすく示すということで、今回の法律の中に表示制度を入れさせていただいております。これは任意の制度ということを先ほど来申し上げましたけれども、非常に有効な制度ではないかというふうに思っております。

 御指摘でございますこの制度は、全国的に共通する制度ということになりますので、当然、私どもがお示しするマークは全国で使えるマークを決めていきたい、こういうふうに思っておりますし、また、先行する東京都、横浜市とは、今後どういうようにするのか、しっかりと協議を、もう既に始めておりますけれども、させていただきたいと思います。

 マークが仮に違っても、あるいは二枚張ることになっても、表示の考え方が変わるということがあっては消費者の方あるいは利用者の方に大変混乱を招きますので、そこだけは少なくとも一致をさせながら運用してまいりたいと思います。

杉本委員 次に、耐震診断の技術者の確保、育成問題ということでお伺いしたいんです。

 先ほど、大臣の御答弁では、私の選挙区ではということで、東京都北区でいらっしゃるかと思いますが、具体的に、誰々が診断してという形で、見える形で診断してもらうような形にしなければならないんだというお話がございましたが、実際に全国規模で考えると、その技術者が本当に足りるのか。あるいは、その技術者たるには、一定の講習を受けたらばその技術者たるというような内容かと思うんですが、本当にその講習だけでいいのか。あるいは、その講習は、先ほども、要は耐震してもらうための診断になってしまうようなことにはならないかという質疑もあったかと思います。

 この講習の内容も含めて、耐震診断技術者の確保といった点で御説明をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断を実施していただく方につきましては、先ほど来お答えいたしておりますとおり、まず、建築士の資格を有していること、その上で耐震診断に係る、中身がしっかりわかるような講習を受けていただいた方とすることを予定しております。

 御指摘の講習でございますが、先ほどもお答えしましたとおり、耐震改修支援センターとして指定しております一般財団法人によりましてこれまでも講習をしてきており、その内容は、耐震診断基準それから耐震改修設計指針、これは法律に基づくものでございますが、これの内容の習得、それから、具体的な例題に即して耐震診断、耐震改修設計を演習としてやっていただく、こんなことをやってきております。

 こうやって研修を受けた方が、特に学校の耐震診断につきましては、文科省の補助もございまして、相当のピッチでここ数年進んでおります、これらの仕事をしっかりこなしていただいているのではないかというふうに思っておりますので、現段階では、こういうことである程度やっていけるというふうに思っておりますけれども、これも先ほど来御答弁しているところでございますけれども、気を緩めることなく、不足があるかもしれないという前提に立って、一層の研修等々を進めてまいりたいというふうに思っております。

杉本委員 最後の質問とさせていただきますが、阪神・淡路大震災がありました。私は、その地震があったときに、実は日本の建築物というのは免震、制震といったものが爆発的にふえるかなと思ったんですが、その割には増加傾向というのは余り強くなかったのではないかなと思っています。また、東日本大震災もございました。この二つの大きな震災とこの免震、制震構造の建物の建築、普及状況、これを教えていただきたいのと、もう一つあわせて、今回、大臣からもお話がありましたけれども、液状化に対する対策は今どんな形で考えられているのか、この二点を御答弁いただきたいと思います。

金子委員長 既に時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

井上政府参考人 免震構造についてお答え申し上げます。

 委員御指摘のように、地震があった後は、この免震構造の採用が非常に高まる傾向がございまして、阪神・淡路直後、それから新潟の中越の直後の平成十八年から二十年にかけては、大体年間百棟ぐらい、免震のマンション、共同住宅でございますけれども、建設をされております。

 その後、時間がたつとまた四十とか五十とかいうレベルに戻るという傾向がございまして、東日本の後も、免震装置のメーカーによれば出荷がふえているとのことでございますので、こういう傾向は今もあるんだと思います。

川本政府参考人 液状化対策の関係につきまして、簡潔に御答弁申し上げます。

 液状化対策につきましては、東日本大震災の教訓を受けまして、まず第一に、宅地で液状化するおそれがあるところというのをしっかり調べるということで、ボーリング調査でありますとか地下水位の状況によりまして、地盤の液状化がしやすいかどうかということを判定する手法を取りまとめました。これを本年四月一日に技術指針として公表いたしました。これが第一でございます。

 第二に、それをもとにしまして、家を建てる人、家を買う人、消費者がそれぞれその地盤が液状化するのかどうかという情報を手に入れやすくするということで、ポータルサイトを開設いたしますとともに、公共団体においてマップをつくってくださいというお願いをしておりまして、そのための予算措置を講じました。これが第二点。

 第三点目、その上で、液状化しやすいというところについて、公共施設と宅地というものを一体的に液状化の防止対策を事前に講じるという場合については、それに対する予算上の助成措置を講ずることにいたしました。

 こういった取り組みで、あらかじめ液状化のおそれの高いところについては適切な対策を講じられるように進めてまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございました。終わります。

金子委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 多数の人命にかかわる大規模建築物の耐震化は緊急の課題であって、耐震化を加速させる必要があります。

 これまで、地方自治体に耐震改修促進計画の策定を義務づけるなど、耐震改修の促進を図ってまいりました。その到達点はどうなのか。また、二〇一五年度までに九〇%という目標や、東日本大震災の教訓、南海トラフ地震、首都直下地震など、今後の大災害想定などから見ますと、今の到達点はおくれていると私は断ぜざるを得ないと思います。なぜおくれているのか、その要因をどのように認識しておられるのか、まず最初にお聞きします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方公共団体の取り組みを含めた到達点でございますが、耐震改修計画につきましては、市町村につきましても、全部とは申しませんが、相当程度の策定が進んでおりまして、その上で、補助制度でございますけれども、こちらにつきましては、先ほど来お答えしていますように、住宅の方はかなり進んでまいりました。年を追って補助をする公共団体がふえておりますけれども、その他の建築物の方はまだまだという状況でございまして、これについては大変これから私どもも努力をしていかなければいけないということを認識させていただいております。

 それから、耐震化の状況でございますけれども、正式に出ていますのは古いデータで大変恐縮でございますが、平成二十年現在で、住宅が七九%、多数の者が利用する建築物が八〇%、目標値につきましては、推測でございますけれども、目標値達成のためには、この時点で大体二%ぐらいおくれていたというふうに認識をしておりまして、委員御指摘のように、まだまだおくれているのではないかということでございます。

 この要因でございますけれども、一つは、耐震化の中で、特に住宅は建てかえに相当期待をしておりました。大体一対三の割合で建てかえの方が多いというのがこれまでの趨勢でございまして、これにつきましては、二十年のリーマン・ショックを受けまして、目標設定時に百二十万戸と見込んでいた建てかえが、今八十万戸台ということで推移をしておりまして、これが一つの大きな要因になっていると思います。

 それから、耐震改修につきましても、耐震改修に多額の費用がかかる、所有者の認識が必ずしも十分ではない、工事中に利用できなくなるようなことがある、区分所有建物については合意形成が難しい、こんなような要因も考えられるところでございます。

 今回の法改正等で、これらの相当部分をある程度リカバリーできると思いますので、これから一生懸命、この向上に向けて取り組んでまいりたいと思います。

穀田委員 いつも最後はそう言ってやっているんだけれども、おくれているわけですよね。

 一番最後のあたりで、おくれている原因とありましたけれども、結局のところ、多額の費用とおっしゃっていましたよね。それは確かに、東京都のマンション実態調査でもそれであって、改修工事の費用がないためというのが五〇・一%なんですよね。それから、診断に反対している主な理由を聞きますと、やはり、二番目ではあるんですけれども、改修工事費用がないためと、それから費用負担ができないため。おっしゃっているように、その点にあることは確かだと思うんですね。そこで、私は、そういう実態を踏まえながらやることが必要だということをお互いに認識したいというのが一つです。

 その上で、大規模のそういう建物の耐震診断を義務化して、その結果を市町村に報告させ、公表させることで、大規模建築物の所有者などは、耐震性がないと判断されれば耐震改修しなければならない。しかし、今お話ししたように、耐震改修費用がなければ工事もできない。幾ら耐震診断を義務化しても、改修費用をどうするのかということが一番ネックになる。これは誰が考えてもそうなんですね。

 そこで、二〇一二年度補正並びに二〇一三年度予算で、義務化に伴う緊急支援措置を設けています。これでどれだけの効果があって耐震改修が進むと考えているのか、お答えいただきたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 義務化に伴う予算につきましては、二〇一三年度のみでございます。二〇一二年度補正予算におきましては、防災・安全交付金の中で、住宅につきまして、国、地方で合わせまして三十万円、従来の補助に上乗せをするというような措置をとらせていただいたところでございます。

 二〇一三年度予算につきましては、住宅・建築物の耐震化を含めました社会資本整備総合交付金に従来の補助メニューは入れているわけでございますけれども、今般の法改正による、耐震診断義務づけの対象となる建築物に対する特別の措置として、補助率の引き上げ、場合によっては国のみでの補助、こういったものを可能にするための補助制度を別枠で百億円措置させていただいております。

 この百億円の使い道は、実際には診断の方が先行することになると思いますけれども、一例の計算でございますけれども、診断について一千から二千棟、耐震改修について三百棟から四百棟、今年度の予算で対応できるのではないかというふうに考えております。

穀田委員 そこで、私が出しました、住宅・建築物の耐震化に関する主な補助制度の変遷というところに書いているんですが、今お話あったのは、平成二十四年補正、平成二十五年予算というところに書いているものを大体細かくお話しいただいたということだと思うんです。

 そこで、旅館業の意見についてということで、ちょっと具体的に話をしたいんです。実は私、私の祖父が全旅連、全観連という関係者だったものですから、その意味で言いたいわけであります。

 そこで、観光地である東伊豆町議会が、旅館の耐震対策への支援の強化を求める意見書というので要望をしています。

 それによりますと、耐震改修には、小規模でも改修に数千万円かかるとも言われ、大規模施設では数億円単位に改修が必要になるとも言われている。銀行からの融資が受けられる保証はない。国の支援についても、この程度の支援では、事業所は耐震に足を踏み出し切れない。今回の法改正は、地元資本の老舗旅館への廃業宣言と受けとめられるという、これほど厳しい意見も上がっているんですね。そして、国会に対して、法改正に対する支援を補助額や金融など総合的かつ大幅に強化するよう強く要望する、こういう意見書であります。

 ですから、東伊豆町町議会自身がこういう要望書を出している。このような意見にどう応えるのか。

 あわせて、私も今述べました、各党もお話があったようですが、全旅連の提出している五つぐらいの要望については、私も同業者の一族として、極めて切実で当然だと思うんです。この点、あわせて大臣にお答えをいただければと思います。

太田国務大臣 東伊豆町の町議会から本年三月にそうした要望、意見書をいただいております。

 二十五年度予算案では、今回の法改正によりまして、耐震診断義務づけの対象となる大規模な旅館等に対しまして、国として特別の支援をすることとしております。

 具体的に、耐震改修の方につきましては、地方自治体の補助がない場合にも、国が単独で一一・五%、こうした補助をするとともに、地方公共団体の補助がある場合は、国の補助率を最大三分の一まで引き上げるということが可能となっているところでございます。

 このように、地方公共団体の補助がある場合に大幅に補助率を引き上げることができるというのが今回の仕組みでございまして、都道府県等に対しまして、補助制度の整備充実を図っていくよう強く要請をしたいというふうに思っているところです。

穀田委員 今お話があったように、それは地方公共団体に補助がない場合もあるわけでして、そういうことも含めて言っておられるわけですよね。ですから、地方公共団体自身も援助するようにという督促をしていると思うんですけれども、なかなか財政的余裕がないという問題もありまして、その意味では、私どもとしては、国が最終的には、どういうところで、受ける側はどういう援助が最終的に受けられるのかということが、結果としては、どういう手だてであれ、全体として必要なわけですから、そこはよく見ていただいて、しっかり配慮願いたいということだけは、あえて言っておきたいと思います。

 そこで、次に、全ての住宅、小規模建築物の耐震努力義務化の方について聞きます。

 これもやはり資金がネックになっている。この努力義務化に伴う支援措置の拡充はあるのか、局長に端的にお答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回努力義務化しましたのは、一般の住宅、それから、賃貸マンションは従来からかかっているんですが、分譲マンション、さらにはそれ以外の小規模な建築物、こういうものについてでございます。

 住宅については、従来から補助制度がございましたし、先ほど来御説明をしている上乗せ補助の措置を講じたところでございます。

 マンションにつきましては、法律の方で耐震改修工法の多様化を認め、容積率の特例、あるいは区分所有法の特例を設けたところでございます。

 その他の小規模な建築物につきましては、これは優先順位ということもあって、国の交付金の基幹事業というところには、今のところ、入れてございません。

 しかしながら、公共団体の判断で、いわゆる効果促進事業という枠の中で、これについても助成は可能というふうになってございます。

穀田委員 それで、今話がありましたけれども、この平成二十四年補正というところにも書きましたけれども、それ自身は時限措置でありまして、まだまだ極めて不十分だということを私としては思っている。

 そこで、国民の命や安全を守る上で、住宅・建築物の耐震改修というのは当然であって、誰も異議はないわけです。異論を挟む者はない。しかし、誰もが知っているように、資金力不足がネックになっているということは確かなわけですね。

 そこで、私が出しました資料の一ページ目の方にあるんですけれども、法制度も、一九九五年の阪神大震災後に法律が制定されて、二〇〇五年の法改正で、自治体への改修計画策定の義務化、そして二〇一三年の大規模建築物への耐震診断義務化へと、強制力を持たせる方向へと変化してきています。

 政府の支援策も、建築物については、法律の制定とともに一三・二%の改修補助が始まり、二〇〇五年度補正では緊急輸送道路沿道建築物の補助率を三分の二に引き上げ、〇八年度には避難所等も三分の二に補助率を引き上げました。

 先ほど来、ずっとこの間私どもと議論してきましたけれども、住宅についても、一九九八年に耐震診断、二〇〇二年には耐震改修で一五・四%の補助制度が創設、〇五年度の補正では地域要件も緩和、さらに、〇八年には地域要件撤廃などを拡充しています。

 確認しますが、耐震診断、耐震改修の支援制度を拡充しているという主な考え方、理由というのは、大臣、何でしょうか。

太田国務大臣 とにかく、全体の政府ということでいえば、そうした状況に、地震があるたびに少しずつやらなくちゃいかぬということで来たんだというふうに思います。

 私は、学校の耐震化なんかは自分が一番国会議員の中ではやってきたというふうに実は思っておりまして、四川大地震がありまして、胡錦濤さんが来て福田内閣というときに、直ちにこれは支援をしなくちゃいけないと同時に、学校の耐震化でいいますと、五月二十日だったと私は記憶しておりますけれども、福田総理と談判しまして、一気に補助率を上げろということを言わせていただいた。その中で、これが急激に上がったというようなことがありまして、耐震化が大事だという意識を持つ人たちがその都度その都度やってここまで拡充してきて、今回この法案になったんだというふうに思います。

 したがって、お金の問題ということが一番、国も財政難、そして現場で住宅を持っていらっしゃるいろいろな方たちもお金が、直ちに改修費用が出ないというようなことがあって、どうしてもおくれがちになっているということでありますから、私は、これだけの大地震が起き、そして、これから首都直下、南海トラフ、さまざまな地震というものが想定されて、きのうも、おとついも、きょうもというような状況でありますから、何とか少しでも応援できるという体制を、予算化ということも含めてやらなくてはいけないと思っておりまして、ぜひとも多くの議員の皆様の御協力もよろしくお願いしたいというふうに思っているところでございます。

穀田委員 大臣は、公の施設の話、学校の問題についても、ことしの春の最初の予算委員会でもお話ししていました。

 私が何でこんなことを言っているかというと、私自身も阪神・淡路大震災のときの六日後に国会で質問しまして、今やはり住宅支援というのがなければ生活再建はできない、だから住宅再建の支援制度をつくろうじゃないか、公的支援制度をつくろうじゃないかということを初めて私は問題提起しました。そこに哲学があるわけですね。それは、個人財産の形成に資するということで、当時拒否されたわけです。当時、村山内閣の時代でした。そこの根本について余り触れずに、わあわあっと外側のことばかりを今大臣は言われましたけれども、私は、ここのところの哲学を正す必要があるというふうに思っているわけであります。

 その場合に、個人の財産というんじゃなくて、例えば公益性に資する建物が一つ、三つ、五つ壊れた場合に、その沿道が壊れるということだとかも含めて、公益性に一つの阻害が出てくるという形でそれを補っていく考え方、そういう点が大事なんじゃないか、そういう点も考慮しながら私は考えてきたんじゃないかなというふうに思うんですね。だから、考え方の哲学を聞きたかったわけです。その点は後でもう一遍やりますけれども、それを聞きたいと思っています。

 そこで、私どもは、考え方を改めて提起したいと思うんですね。大臣も今、南海トラフの話もしましたし、それから首都直下の問題も、これは言わざるを得ないことになっています。そこで、私どもは、耐震化支援はもっとふやすべきだと思いますし、その点で三つの提案をしたい。

 一つは、耐震改修補助をもっとふやすこと、第二は、老朽化対策など他の改修事案とセットで総合的な支援制度にすること、第三は、地域のまちづくり、地域再生の一環と位置づけて支援すること、大きく言って、こういう考え方を提起したい。

 そこで、今、耐震化に係る国と地方の補助金の状況を見ますと年間どの程度あるのかということを一言、言ってくれますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この耐震化の費用は、今回の特例は別でございますけれども、社会資本整備交付金の方で補助を出しております。この交付金の内訳というのが、実は集計をされておりません。そういうことで、こういうことでお許しいただけないかということで試算をしてまいりました。

 二十三年度に国の補助を受けて耐震改修した件数というのはわかってございます。戸建て住宅が八千九百戸、それから共同住宅、これはほとんど公営住宅でございますけれども、七千三百戸、特定建築物、多数の方が使われる建築物が千六百棟でございます。

 もう単価等の細かいことは省略しますが、一定の平均値みたいなものを掛けて算出をしましたら、戸建てが十五億ぐらい、共同住宅が七十億ぐらい、特定建築物が二百七十億ぐらい、大まかに三百五十億ぐらいの補助をしているのではないか。地方負担がほぼ同額でございますので、地方の方では、これを含めまして七百億円ぐらい使っていただいている、こんなことになっております。

穀田委員 今ありましたように、多く見積もって大体三百五十億程度のようです。

 では聞きますが、東京外環道、関越から東名の事業費は、一二年度、国、地方で幾らであって、一三年度はどうか。これも数字だけ。

前川政府参考人 お尋ねの、東京外郭環状道路の関越自動車道から東名自動車道間で事業費を申し上げますと、二〇一二年度は二百五十億円でございます。このうち、国の予算額が七五%でありますので百八十七・五億円、東京都の予算額は二五%の六十二・五億円でございます。

 なお、二〇一三年度の事業費については、予算成立次第、決定をいたすことになっております。

穀田委員 何を言いたいかというと、高速道路の建設、それも外環道の一区間の予算が大体約三百五十億円。片や、全国の国民の命にかかわる住宅・建築物の耐震化予算がそれよりも少ない。これは防災や減災対策を最優先に考えるという状況ではないということだけ、一言、言っておきます。

 そこで、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、学校の問題について一言触れますと、学校でいうと、耐震化は進んでいるんですけれども、老朽化はそんなに進んでいないんですよね。ですから、そういう状況についてもお聞きしたいと思っています。

 老朽化対策の取り組みの状況と更新費の試算について、文科省、お答えください。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 公立小中学校施設につきましては、第二次ベビーブームに合わせて建てられた建物など、建築後二十五年以上を経過した建物の面積が全体の約七割となるなど、老朽化が大きな課題となっているところでございます。

 現在は、主に昭和四十年代前半ごろに建てた建物の建てかえがなされているところでございますが、今後、学校施設建築のピークが昭和五十年代でございましたので、近い将来、こうした老朽化施設の対策のために多額の費用がかかることが見込まれているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、専門家などによります有識者による検討を行いまして、改築よりも工事費が安く、また排出する廃棄物も少ないいわゆる長寿命化改修、これは七十年から八十年程度使用が可能になるものでございますけれども、そちらへの転換が必要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、平成二十五年度予算におきまして、長寿命化改修に対する補助制度を創設したり、また、モデル事業や手引の作成などを行うこととしているところでございまして、文科省としましては、各地方公共団体の要請を踏まえまして、必要な支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、費用の試算でございますが、有識者による検討の際に、一定の条件のもと、今後三十年間の公立小中学校施設の更新費用を試算いたしましたところ、これまでの建てかえ中心の整備では、国、地方合わせて約三十八兆円必要となりますところ、長寿命化改修中心の整備では約三十兆円になるとされているところでございます。

穀田委員 大臣、どっちにしても、長寿命化しても三十兆円、それから、そうでない改築をやった場合でも三十八兆円という多額の金がかかるということだけは確かだと。

 ですから、私がこの間ずっと問題意識で追及しているのは、どこの省がどの程度あるかと一つ一つやっているということがおわかりいただけると思うんですが、とてつもなく膨大な金がかかるということだけはお互いに認識は一致している、したということだと思うんですね。そのためにずっとこの間やってきました。

 そこで、老朽化対策というのは、笹子トンネルの事故を見るまでもなく、命や安全を守る上で欠かせません。大地震などの災害に対しても、脆弱性というのは、まさに耐震不足と変わらないわけであります。学校だとか公共施設だから公的助成は当たり前だけれども、民間である住宅なども、現場では、住宅リフォームとあわせて改修するというのが現実的です。

 その意味からも、一九八一年以降に建築された建物についても、所有者が望む場合は耐震診断の補助の対象にすべきだと私は思います。バリアフリーや省エネ、耐火などの住宅の安全、安心、快適性などのリフォームは、住宅・建築物の老朽化対策でもあるわけで、耐震改修だけの支援ではありません。ですから、これらリフォームも補助制度等支援を拡充すべきではないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

太田国務大臣 耐震改修工事に合わせて住宅・建築物のリフォームを行うということは、極めて効果的であるというふうに認識をしております。

 この二十五年度予算におきまして、住宅・建築物の省エネ改修とバリアフリー改修を同時に行うことができる補助制度を用意しているわけであります。この補助と耐震改修の補助とあわせて活用することで、総合的な質の向上が図れるというふうに考えています。

 また、ずっとおっしゃっている、私有財産だからという、そこの根本的な哲学の問題というのはなかなか突破できないことで、恐らく一緒にやったかと思いますが、被災者生活再建支援法のときも、ここがもう本当に長年苦労したことでありますけれども、これは、公共ということについて、どういうふうにその辺の哲学を考えていくかということについても今検討していく段階に来たのかな、私はそのようには思っているところでございます。

穀田委員 その議論はその議論で一回ゆっくりするということで。

 ただ、今のこの間の、先ほど述べました支援、補助制度や耐震改修に関する法律ということを見ますと、徐々にではあるけれども、実際上は個人の財産に結果としてはつながる形でやっているんですよ。それはなぜやっているかというと、公共物、公共的な被害を及ぼさないようにということからも接近できるという角度でやっていることは確かなんですね。それは今後も少し詰めた議論をしたいと思います。

 ただし、今ありましたように、こういう補助制度等を拡充し、リフォームと一緒にやるというのは効果的だという点では、これは大臣としての大事な発言として、私はこれをテークノートしておきたいと思っています。

 先ほど、伊豆の旅館の話をしましたけれども、実は旅館業というのは、観光振興のかなめであります。国交省は観光庁も所管していますし、その意味で、地域活性化の中心であるということは、皆さん、言うまでもないと思っていると思うんですね。それだけではなくて、東日本大震災では被災者の避難所として、さらにはみなし仮設として献身的役割を担ってきました。ですから、そうした公益性や社会貢献性の強い施設の耐震化は、安全、安心なまちづくりとしても重要だと考えます。

 ですから、耐震補助に限らずに、まちづくりの支援としての補助、耐震化のグループ補助金制度、低利、無利子融資など、そういう意味での具体的な支援制度を創設、拡充すべきところに踏み込んではいかがかと思いますが、いかがですか。

太田国務大臣 今言われたことの全てを、補助とかいうようなことの中で、直ちにここで答えるという状況にはないわけですが、ただ、旅館業の方たち、どこどこの観光地だというようなところは、また商店街もそうです、密集市街地というところもそうです、個別の建物ということだけで耐震化を促進するのではなくて、やはり、商店街は商店街全体、それで、旅館があって観光地であるというところはその町全体ということで、まちづくりもやるということが基本的なことだというふうに思っています。

 そういうことでは、老朽化したデパートを例えば耐震化する場合、周りの商店街も含めて共同で建てかえるというようなこと、町全体で地震や火災に強いということに物の考え方を置いていくということは、私は大事なことだと思っております。

穀田委員 ですから、私が提案したのをもう一度見ていただくとわかるんですが、三つ言っているんですよね。つまり、耐震改修補助をふやす、それから老朽化対策などと他の改修事案とセットでやる、それから地域のまちづくり、地域再生、こういういわば広がりを持ってやっていく必要があるだろうということを実はずっと言ってきているわけなんですね。最後のところはそういう意味で御賛成いただいたので、今すぐ全部やれというのは、それは無理なこともわかります。一つ一つそういう考え方でやっていこうじゃないかということであります。

 最後に一つだけ。

 マンション管理規約では、形状の著しい変更の四分の三の特別決議を規定している場合があります。そこで、法改正をしても管理規約を変えなければ、四分の三の特別決議が優先されるのか。耐震改修を促進させるためには、管理規約より法改正が優先されることを徹底し、管理規約の改正を促すことも必要だと私は考えます。大規模修繕に反対する区分所有者の事情をよく勘案して、不利益等の原因を極力取り除くための援助が必要ではないか。このことについて、最後、お答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回規定をいたしております区分所有法の特例につきましては、これはいわゆる強行規定でございまして、管理規約には定めがあってもこちらの方が優先する、すなわち過半数の決議で耐震改修を行うことができることになります。

 委員御指摘のように、であれば、反対者ができるだけ少なくなるような支援策が要るんじゃないかということだと思います。管理組合向けのマニュアルの作成とか、いろいろな形での情報提供、これは従来もやっておりますけれども、当該制度を含めまして、もう一回しっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 また、先ほど来出ています外づけフレーム工法というのは非常にマンションには有効でございまして、容積率の特例を設けましたので、これでかなり賛同もいただけるのではないか、いわゆるブレースのバツが出なくなっております。

 それから、加えて補助制度は、これまでお答えしたとおりでございまして、地方への働きかけも含めて、一生懸命取り組ませていただきます。

穀田委員 一番最初に言いましたように、現場の実態をよく踏まえてやっていただかないと進みませんし、それはやっていますやっていますというような話で、うまくいったためしがないんですよ。だから、やはり現場の意見をよく聞いてやるということを、我々もそれをお届けし、前に進めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、本案に対し、三日月大造君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。三日月大造君。

    ―――――――――――――

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三日月委員 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案趣旨説明を行います。提出者を代表いたしまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年三月に発生しました東日本大震災においては、多数の建築物が被害を受け、建築物の耐震化の必要性が改めて認識されたとともに、首都圏直下地震や南海トラフ巨大地震など、今後起こり得る大規模地震による人的、経済的被害を少しでも軽減するため、建築物の耐震化を促進させることが急務となっていることについては論をまたないところでございます。

 その意味で、建築物の耐震化のより一層の促進のため、本改正案の必要性については十分認識しているところでございます。

 しかし、本改正案において規定されている一定の建築物に対する耐震診断の実施及び報告の義務づけ、耐震診断の結果の公表並びに建築物の地震に対する安全性に係る認定制度につきましては、その実施に当たり、建築物の利用者や民間事業者、ひいては地域の経済に与える影響に配慮するとともに、認定に係る表示の有無により、建築物を利用しようとする者にその利用しようとする建築物の選択に際し混乱を生じさせることのないよう配慮することが必要であります。

 また、耐震診断の実施には相当の費用を要するため、耐震化の促進のためには、国や地方公共団体による支援が不可欠であるところ、地方公共団体による支援については、各地方公共団体の財政事情等により、必ずしも十分な支援が講じられていない場合もあることから、耐震診断の費用の助成が規定されていない法第七条第一号に掲げる建築物についても、法律により地方公共団体による支援を促す必要があるとともに、予算措置等による国の支援制度についても、その根拠を法律に明確にすることで建築物の耐震化のさらなる促進を図ることが必要であります。

 このような趣旨から、本修正案を提出した次第であります。

 次に、本修正案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、耐震診断の結果の公表に係る国土交通省令を定めるに当たっては、建築物の利用者、民間事業者及び地域経済に与える影響に十分に配慮するものとしております。

 第二に、建築物の地震に対する安全性に係る認定を受けている旨の表示に係る国土交通省令を定めるに当たっては、建築物の利用者の選択に混乱を生じさせることのないよう十分に配慮するものとしております。

 第三に、都道府県は、法第七条第一号に掲げる建築物について、同条の規定により行われた耐震診断の実施に要する費用の助成等の財政上の措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。

 第四に、国は、耐震診断の実施を義務づけられた要安全確認計画記載建築物の所有者の経済的負担の軽減を図るため、予算の範囲内において、法第七条の規定により行われた耐震診断の実施に要する費用の助成等の必要な財政上の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 本日の質疑の中で、与野党全ての会派の委員の質問の中で懸念とともに指摘された点を盛り込み、まとめさせていただきました。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、三日月大造君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。井上英孝君。

井上(英)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 耐震診断、耐震改修は、安全・安心のために必要な措置であり、その促進は喫緊の課題であるが、建築物所有者の負担を伴うものであることから、地方公共団体においても交付金を活用するなど財源確保に優先的に取り組むよう周知徹底及び支援を行うとともに、特に中小事業者への財政的、技術的支援に努めるよう地方公共団体に促すこと。また、耐震改修が必要な建築物が多数存在する地方公共団体を把握し、これらの業務が円滑に行われるよう、十分な情報提供や支援を行うこと。さらに、避難所として指定された場合には耐震化に係る助成率が高くなることについて地方公共団体に周知徹底し、建築物所有者の負担の軽減を図るとともに、耐震診断が義務化される大規模建築物等以外の建築物についても避難所としての支援を行うこと。

 二 耐震診断が義務付けられる建築物の所有者に対し本法の内容の周知に努め、また、地方公共団体における相談窓口を充実させ、耐震診断の基準や改修の工法等必要な相談に応じられる体制を整備するなど、本法の円滑な実施に万全を期すこと。

 三 東日本大震災の被災地において、再度の地震により建築物に大きな被害が生じることがないよう、また、各地の復興に支障を来すことがないよう、既存建築物の耐震診断、耐震改修に対し最大限の支援を行うこと。

 四 病院や旅館、ホテル等の民間建築物については、耐震診断の義務付けや診断結果の公表が経営への大きな負担にならないよう、必要な支援を積極的に行い、建築物の耐震性に係る表示制度及び耐震診断の結果の公表の時期や方法等についても、迅速に取り組んだ建築物所有者が不利になることのないよう適切な配慮を行うとともに、耐震性に係る表示制度については、建築物の選択に利用者が混乱を生じないよう十分な周知期間をとる等十分配慮すること。特に耐震診断の結果の公表については、公平性の確保の観点から、当該結果を用途ごとに一覧に取りまとめた上で公表するなど、地域における建築物の個別の状況や営業上の競争環境等にも十分に配慮し、丁寧な運用を行うこと。

 五 認定を受けた建築物に対する容積率、建ぺい率の緩和は、耐震改修のために必要な場合に限られるよう適切に指導を行い、違反建築物への対応には万全を期すこと。

 六 耐震改修の実施に当たっては、計画的に順次改修を行う方法など、改修がなされやすい方法が可能となるよう配慮し、また、低コスト化など耐震改修工法の技術開発の促進に努めること。

 七 住宅の耐震改修の促進に際しては、工務店等の地域の建設業者の参画が図られるよう努めること。また、耐震化と併せて省エネ化やバリアフリー化が図られるよう、関係施策の充実のための対策の検討を早急に進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。

    ―――――――――――――

金子委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

金子委員長 次に、内閣提出、気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 自然災害の多い我が国においては、一昨年の東日本大震災や平成二十四年七月九州北部豪雨による災害などのように、時として、一度発生すれば多数のとうとい命が失われるような大規模な災害が発生しております。また、今後も、南海トラフ巨大地震など大規模な災害の発生の可能性が指摘されており、多くの国民の安全で安心な暮らしが脅かされているところであります。

 こうした大規模な災害の発生のおそれがまさに高まっているような状況においては、多くの国民が避難行動を迅速に行いみずからの命を守ることができるよう、地方公共団体と連携して、国民に対し、災害の危険性をわかりやすく、いち早く確実に伝えることが必要となっております。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、気象庁は、大津波や数十年に一度の豪雨が予想されるなど、重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合に、その旨をわかりやすく伝える特別警報を実施しなければならないこととしております。

 第二に、気象庁は、特別警報の基準を定めるに際し、都道府県及び市町村から意見を聞くこととし、また、実際に特別警報の通知を受けた都道府県及び市町村は、住民等に対する周知のために必要な措置をとらなければならないこととしております。

 第三に、特別警報の実施などの気象業務を的確に遂行するため、海洋気象台を管区気象台等に統合することとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十八分散会


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