衆議院

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第10号 平成25年5月10日(金曜日)

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平成二十五年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君

   理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      岩田 和親君    大西 英男君

      門  博文君    後藤田正純君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      島田 佳和君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      平口  洋君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    若宮 健嗣君

      泉  健太君    大畠 章宏君

      寺島 義幸君    若井 康彦君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      三宅  博君    佐藤 茂樹君

      樋口 尚也君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      梶山 弘志君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     橋本  岳君

  宮澤 博行君     宮内 秀樹君

  務台 俊介君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     青山 周平君

  橋本  岳君     原田 憲治君

  宮内 秀樹君     島田 佳和君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     務台 俊介君

  島田 佳和君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     宮澤 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 水防法及び河川法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案及び水防法及び河川法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官深澤淳志君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長大森雅夫君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、自動車局長武藤浩君、港湾局長山縣宣彦君、国際統括官稲葉一雄君、総務省大臣官房審議官黒田武一郎君及び経済産業省大臣官房審議官宮本聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田一男君。

前田委員 おはようございます。

 自由民主党、前田一男でございます。どうぞよろしくお願いします。

 私の選挙区は、北海道の八区でありまして、函館を中心といたします北海道の南西部に位置する場所でございます。私は、その管内の松前という町の、人口一万の町長をさせていただいておりました。医療の崩壊、また、厳しい財政、教育の振興、さまざま厳しい環境の中で、まさに一日一生の思いで町民と一緒に日々を過ごしてきたところであります。

 そんな中で、こんなエピソードがございました。松前の町民同士の若い夫婦が結婚いたしまして、そして妊娠いたしました。九カ月のときに突然破水をしてしまいまして、ちょうどそのときは救急車が二台とも外に出払っていたものですから、仕方なく旦那の車で二時間先の病院まで走ったわけであります。一時間しましたら、途中でもう破水がひどくなって、そして赤ちゃんも全部出てしまったんです。幸いに、その女性は看護師でもありまして、その場合、冷静沈着に対応して、そして救急車も間に合って、今、その子供はすくすくと育っているわけでありますけれども、しかし、海岸線に沿ったくねくねの道路というのは大変その女性にとっては厳しいものだったそうであります。

 大変こういうリスクがあって、そしてある意味住みづらい、そういう地域に住まざるを得ない、そういう人たちの声を代弁したいと思いまして、私は国土交通委員会に入らせていただいたところでもあります。

 私を国政に送ってくれた全ての支援者に感謝をしながら、これから初めての質問に立たせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 道路や橋、トンネルなどの老朽化の進行は以前からわかっていたことであって、インフラの再構築は、言ってみれば時代的な要請であったと言えるかもしれません。しかし、残念ながら、コンクリート関係予算は政局の真ん中に置かれてしまいまして、なかなか政治の世界で思い切った手当てができないで来たという現実があると思います。

 しかし、東日本大震災をきっかけに、国民も、また政治も、無駄の象徴とも言われたコンクリート事業が、一方で人の命を守る公共財であることに気づき、土木建設業は災害時にはふるさとの復興の最前線に立つ頼もしい集団であるということにも気づかされたわけであります。さらに、笹子トンネルの崩壊事故は、必要なインフラ整備は着実に長期的な視点に立って進めていかねばならないという認識を決定的にしたというふうに思うのであります。

 このように、道路の果たす役割は、徐々にではありますが、見直されてまいりましたが、これを契機に、まだまだ再検討していかねばならない項目はあるのではないかというふうに思ってございます。

 その一つは、BバイCというものであります。事業評価の指標であるBバイCは、事業効果を金銭価値化して評価するもので、道路が持つ災害時の有効性や救急医療への貢献、そういったものは便益として考慮されていないと私は理解しています。

 そもそも、このBバイCが道路などの工事着手の中心的な指標となったその理由や背景、また時期などについて、まず説明をいただきたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を図るため、平成十年度より、新たに事業に着手する際、事業評価を導入しております。

 事業評価に当たっては、委員御指摘のように、貨幣換算が可能な効果を用いた費用便益比、いわゆるBバイCに加えまして、貨幣換算化ができない効果である、例えば二酸化炭素排出量の削減であるとか、工業団地の立地状況、災害時における輸送の確保等をなるべく指標化等をしつつ、これらの公共事業の多様な効果等を総合的に勘案した評価を行っているところであります。

 以上です。

前田委員 このBバイCのBの便益をどう見るかということだと思うのでありますけれども、道路の事業効果、金銭価値化することができない項目、今おっしゃられたことも何点かあるようでありますが、私は、もっとあるんだというふうに思うんです。

 震災からの教訓を受け、今後、このBバイCの位置づけや、また用い方、さらには便益の計算に用いる項目、そういったものについて、さらに見直しをしていくという余地はないのでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 道路の果たす役割は多岐にわたっておりまして、道路事業の評価に当たりましては、走行時間短縮などの三便益によるBバイCだけではなく、災害時の対応でありますとか、救急医療への支援、地域活性化などのさまざまな効果を捉え、総合的に評価を行っているところでございます。

 特に、一昨年の東日本大震災におきまして、既に開通していた道路が救助救援活動、また緊急物資の輸送等に大きく貢献したところでございまして、このような防災面の効果は、走行時間の短縮など現行の三便益のBバイCだけでは十分に評価できないと考えております。

 このため、災害時におきます孤立でありますとか迂回の解消など、ネットワークの多重性等を考慮した防災面の機能の評価手法を取りまとめ、道路の新規事業の評価に適用してきているところでございます。

 例えば、委員御指摘のように、函館の高次医療機関に渡島半島の西部地域から救急医療の搬送が行われておりますが、平成二十三年度に函館茂辺地道路が開通いたしまして、消防本部のヒアリングによりますと、安定的な患者の搬送が可能となった、また搬送時間の短縮が図られた、大変揺れが少なくて患者への負担が軽減したというようなお声もいただいておりまして、こういった観点も道路整備の効果として事業評価に当たって考慮すべき視点だというふうに考えております。

 今後とも、道路事業の目的、効果に見合った評価手法の充実を図ってまいりたいと考えております。

前田委員 茂辺地の道路のことなどもよく調べていただいて、ありがとうございます。

 今言っていただいたように、BバイCというものはあくまで客観的な指標でありますし、これに加えて、地域の生活、そういったものも十分に勘案するような、そのような見直しを期待するところであります。

 二つ目には、ミッシングリンクの問題であります。

 道路、とりわけ高速道路におきましては、都市間のアクセス確保という観点から、私は非常に大事な問題であるというふうに思っております。私の地元の函館市もそうなのでありますが、今、百ある全国の中核市の中でも、まだ高速道路がなかなか進んでいないという状況があるわけであります。小さな町は、これは予算の問題でありますから仕方ないかもしれませんが、しかし、その中核となる全国の中核市クラス、そこはせめてこの整備を急いでいくべきではないかというふうに思うのでありますが、御見解をお聞かせください。

太田国務大臣 ミッシングリンクの解消ということで、ことしに入りまして、各知事さんを初めとして要望が相次いで来ているところでございます。

 私は、ここは、今BバイCの話がありましたが、BバイCの特に定性的なものをどう見るかということを含めて判断し、ミッシングリンクの解消というものが、生活の利便性そしてまた経済効果、こういうことでBバイCということにアルファして、今、緊急輸送とかいうことの面も含めて判断していかなくてはならないというふうに思っています。

 特に、都市部の道路ということは、大都市圏の環状道路などの物流面から重要ということがありますし、また慢性的な渋滞を解消する、そして物流の効率性を阻害する要因を除去する、こうしたことから、私は、経済戦略道路として捉える。今、首都圏では三環状ということで、例えば圏央道が通るということになりますと、圏央道の周りに工場がかなり立地しているというようなこともありまして、こうしたミッシングリンクの解消というものは、都市部は都市部で、まちづくりも含めて極めて大事な観点だというふうに思います。

 また、地方におきましては、特に防災・減災、また先ほどありました、そうした医療というような、緊急輸送というようなことも含めて、道路があるということが非常に大事で、ある意味では、経済戦略道路というものに対して、地方は生活インフラ道路という要素も持っているということをよく踏まえて、あわせてリダンダンシーというものも考え、地域が孤立しないようにというような意味でミッシングリンクの解消ということをしていかなくてはならないというふうに思っているところです。

 いずれにしても、現地の人たちが、ぜひともここはお願いしたいという声が、私は、それはイコール、ここはつくっていくときに納得をいただいてつくっていただくということが公共事業では大事なので、地元の方たちの納得というものがあっていくということを大事な判断材料にしていかなくてはならない、このように思っているところでございます。

前田委員 どうもありがとうございます。

 高速道路に限らず新幹線などもそうでありますが、やはり全国を結ぶ高速交通体系、この整備があって初めて地域間競争もその土台が整うものだというふうに思いますので、財源は限られているかもしれませんが、総合的な判断でもって進めていただきたいと思うのであります。

 次に、法案の中身に入らせていただきます。

 地方道の構造物を国が代行工事する場合の懸念についての二つの質問であります。

 一つ目は、提案理由の説明の中で、地方道の構造物のうち、大規模かつ構造が複雑なものについて国が都道府県や市町村の代行工事をできるようにするとしておりますけれども、国にできて地方公共団体にできない工事というものはどういうものなのかということについて疑問を持ちました。実際に工事をするのは建設会社でありまして、そういった建設会社を地方公共団体が選べば、それで可能なのではないかというふうに思ったのでありますが、この疑問について、お解きください。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 県道でありますとか市町村道など、地方道の維持、修繕につきましては、本来、当該道路を管理する地方公共団体の責任で行われておりまして、国としては、そういう地方道の管理が適切に行われるよう、財政的な支援でありますとか技術的な支援を行ってきたところでございます。

 しかしながら、地方道の橋梁、トンネルの中には、修繕等に高度な技術が求められまして、地方公共団体では必要な修繕等の実施が困難になるものの発生も予想されているところであります。

 このため、今回の法改正に当たりまして、地方道における大規模かつ構造が複雑な橋梁またはトンネルを中心といたしまして、また、市町村を中心といたしまして地方公共団体の技術職員がほとんどいない場合、そういった実情を勘案し、また、地方公共団体からの強い要請を受けてということで、代行できるような規定を設けたものでございます。

 具体的には、アーチ橋とか斜張橋とかつり橋等の大変複雑な構造形式の場合には、たとえコンサルタントとか施工業者、ゼネコンに技術力があっても、発注者側にもそれ相応の判断力とか技術力が必要になると思いますので、そういった場合のケースを想定した規定を設けさせていただくこととしております。

前田委員 もう一点は、発注者が地方公共団体から国に変わることで、入札の参加企業、この顔ぶれも場合によっては変わってくるのではないかというふうに、現場を知る者としては思うところであります。地元企業が排除されるのではないかという不安に対して、どう応えていただけるでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回想定しております代行工事の対象は、先ほど申し上げたように、大規模で、かつ構造が複雑で、技術的難易度が高い橋でありますとかトンネルを想定しております。そういった意味では、発注者が国それから地方であるのいかんにかかわらず、そういった高度な、技術的な難易度が高い工事を適切に施工する能力を有する者を契約の相手方とする必要があるというふうに考えております。

 しかしながら、そういった工事の発注に当たりましては、地域の建設企業の活用を図ることが大変重要だと考えておりまして、今回の代行工事を発注する場合におきましても、引き続き適切な地域要件を設定するなど、地域の建設企業に対する受注機会の確保に努めるよう指導をしてまいりたいというふうに考えております。

前田委員 地元の企業は、その町にある建設物を建てる場合には、もちろん誇りも持って臨みますし、愛情も持って臨みますので、ぜひ地元企業への配慮ということもよろしくお願いしたいと思います。

 前段に質問申し上げました発注者側の確たる技術力、それは理解するところであります。であるならばということで質問させていただきたいと思うんですが、道路の維持、修繕を適切に進めていくためには、地方整備局や国総研、国土技術政策総合研究所、さらには、ここから分離いたしました土木研究所、私も町長時代、職員が大変お世話になったのでありますけれども、こういった国の機関のバックアップ体制というものも逆にしっかりと構築されていなければならないのではないかというふうに思うのでございます。

 第二の笹子トンネルが二度と起きてはいけないわけであります。点検や修繕技術の高度化、また予防保全の徹底など、最後は、今おっしゃったように国の研究機関が責任を持つんだというふうなことであるならば、これまで、行政改革の中で縮小になってしまったような機関もあるかもしれませんけれども、私も、自分の管内で、町長の立場で開発建設部などを見て、特に若い職員の士気、そこには影響があるのではないかなというふうに感じたところもあるのであります。

 今こそ、国としての最高レベルの研究開発力、これを再結集しなければならないとも思いますし、また、現場をよく知る地方整備局などの機能強化、これを逆に図っていくということもまた大事ではないかなというふうに思うんですが、その点、いかがでしょうか。

鶴保副大臣 おっしゃるとおりだと思います。国土交通省の省内でも、鉄道局でやっている技術を道路局の方に応用できないか、また、道路局でやっている技術を港湾局の方に応用できないか等々、省内の縦割りの中でもそういった技術の集約というものが必要になってくる。

 おっしゃるとおり、日本的な、各地方にちりばめられたさまざまな技術を集約する。そういう意味で、土木研究所あるいは国総研といったものの機関の機能強化を、これからも、限られた予算の制約ではありますけれども、鋭意努力をして確保してまいりたい、そのように考えております。

前田委員 最後には国が責任を持つんだというその決意、覚悟がしっかりとしているならば、私は、国民的な理解も得られるのではないかというふうに思っております。

 道路に関する最後の質問とさせていただきます。インフラ整備に係る将来展望についてであります。

 人命に係るインフラ整備が、予算が足りないからという理由で後回しにされてはなりません。しかし一方、日本が置かれた財政状況からは、どうしても予算上の制約というものは出てくることが考えられます。

 将来的課題として、今後のインフラ整備をどういう考え方で行っていくのか。例えば、福祉に充てていたものをインフラ整備に一定期間回すということも一つの選択肢かもしれませんし、また、そういったことはできないから、道路の補修、点検、そういったものも抑制的にしていくということも、また一つの考え方なのかもしれません。

 いずれにしろ、国土形成についてどうしていくのかということを、国民を説得して、そして納得させる、そういう哲学やビジョンというものが必要だというふうに思います。この点、大臣に見解を伺いたいと思います。

太田国務大臣 私がこの十何年間、予算編成ということで、記憶といいますか、どきっとしたことが二回ありました。一つは、社会保障費が一般会計の中で二十兆を超えた、これは大変なことになるなというふうに思っておりましたが、今、二十八兆円台になっている。

 もう一つは、連立政権を組んでいたときに、景気が緩やかに回復というときで、これは回復したのかどうかという論議もあるんですが、予算、税収というものを見ますと、税収が五十兆を超えたというときに、随分予算編成が楽になったなというふうに思いました。

 そういう意味からいきますと、今、連立政権の中でアベノミクスということで、これは予算面では税収をふやしていくことになるという、この景気回復への路線というものは極めて重要だと思います。

 翻って、今度は国土形成ということからいきますと、人口は減少します、そして限界集落が出てくる。そして、世界の都市間競争というものがあって、都市を強くしていかなければ世界に伍していけない。そして、港湾や空港というものをもっと幅広のものにし、ハブ空港やハブ港湾が逃げているということを食いとめていかなければならない。

 いろいろなそういう角度があると思いますけれども、また、道州制とか分権ということを考えてみますと、その州都になるようなところというのは、大きく経済のエンジン役を果たしていくというものをつくっていかなくてはならない。そういう点では、これまで国土の均衡ある発展というようなことをずっとやってきた段階はもう超えた。そして、メンテナンスや老朽化対策というものが新しい項目になってきた。

 限られた予算の制約の中で、どれだけ老朽化対策とかそういうことに使い、そして、その他の新規の、都市を強くするということを初めとして、そこに予算を投入するか。相当めり張りをつけた、相当戦略的な、そうしたことを今やらなくてはならないスタートがことしだというふうに私は強く認識をしています。

 ただし、公明党が防災・減災百兆円とか、あるいは自民党が、主語は自民党がじゃないのかもしれませんが、二百兆円という国土強靱化というものは事業規模においてであって、税金が全てではありませんし、特に民間が担うという部分、高速道路でも今は民間です、新幹線も民間です。民間にやっていただくという部分と、そして事業規模ということと税金というものの投入の中でこれらをしのいでいきながら、老朽化対策に手を打ちながら、そして国土をどうするかということで、私は、今本当に、この国を未来に向けてどうつくるかという一番大事なスタート台に立っているという認識をしています。

 そういう意味では、ぜひとも御協力をいただきまして、コンパクトシティー、スマートシティーというようなことも含めて、潤沢とは言いませんけれども、そこに適正な予算が組まれて、そして、より強い、より安心できる国土というものをつくっていく責務が、今の私たち議員にはあると私は強く認識をしておるところでございます。

前田委員 ありがとうございました。

 いずれにしろ、国民に対して真剣な、真正面からの議論を我々政治家がなしていくということが大事だということを、今の大臣のお話から感じたところでございます。

 私も、国土交通の委員の一人として、ただ質問したり攻撃をしたりするだけではなくて、これからの国土形成はどうやっていくべきなのかということを一緒になって考えさせていただきたいというふうに思いますので、今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 次に、港湾法の法律改正の方に入らせていただきます。

 時間も限られてまいりましたので、一点だけ質問させてください。

 今回の国際バルク戦略港湾、十港湾は全て太平洋の沿岸に配置されています。これは、太平洋沿岸に集中するのは輸入相手国の関係で理解できるのでありますけれども、私も松前町の町長という、江戸時代、北前船の航路で、今、裏日本とも言われている、そちらに光を当てていこうという事業をしておりましたし、また、北前船寄港地フォーラムという日本海沿岸の広域連携を目的とした事業を各地域の方々とずっとやってきたこともありますので、やはり思い入れがあるのであります。

 いろいろ調べてみましたら、日本海側の拠点港湾の整備というものもされているというふうに聞きました。これへの戦略的な整備というものがなされれば、中国や韓国、またロシアとの交易、そういったものにもまた新たな展開が見出せるのかもしれないというふうに考えております。

 これはぜひ、日本海沿岸の振興に思いを持っておられる赤澤政務官にお答えいただければというふうに思います。

赤澤大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、中国、韓国、ロシアなどの対岸諸国の経済成長が大変著しいということがございます。また、東日本大震災の際も、津波や地震で壊滅状態となった太平洋側の港湾の代替として、日本海側の港湾が大変重要な役割を果たしました。具体的には、緊急支援物資のみならず、コンテナ貨物、あるいは、バルク貨物であります石油であるとか飼料用穀物など、被災地の住民生活や生産活動に必要不可欠な物資が日本海側の港湾から入ったということでございます。

 こうしたことを踏まえまして、対岸諸国の経済発展を我が国の成長に取り入れるという観点、それから、東日本大震災を踏まえた災害に強い物流ネットワークの構築にも資するということを目的として、平成二十三年の十一月に日本海側拠点港を選定したところでございます。

 港湾取扱貨物量に着目をしますと、今後、非常に巨大な地震、津波の被害が想定されております東海、東南海、南海地震、これはいわゆる南海トラフでございますけれども、その対策地域の港湾の取扱量は日本海側の港湾の四倍以上といったことでありまして、今後のそういった首都直下地震、南海トラフ巨大地震など巨大災害の発生に備えても、災害時物流機能、日本海側のバックアップ機能といったものの確保は大変重要な課題だと思います。

 こういったことを、以上を総合的に勘案しまして、港湾において大規模災害発生時の代替輸送ルートの想定、代替港湾の利用のための体制の構築、さらには港湾間の災害協定の締結について検討を進めるなど、災害に強い物流ネットワークの構築、そして日本海側の港湾の整備といったものをしっかりやってまいりたいと思います。

前田委員 海洋国家たる我が国といたしましては、港湾の整備はまさに生命線であるというふうに思います。国際競争で勝ち抜いていけるだけのインフラ整備を戦略的に進めていくことを強く期待し、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。

 本日も質問の機会をいただきました。大変にありがとうございます。

 災害について、寺田寅彦先生はこのように指摘をしています。「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す」、まさに、備えあれば憂いなしであります。何としても命を断じて守り抜くという決定した一念に立って、一日も早い防災・減災を推進するレジリエンス、強く推進をするという決意に立った上で質問を始めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 議題となりました今回の三法案ですけれども、いずれも東日本大震災の大いなる教訓から大規模災害の発生に備えるものであり、老朽化対策に係るものであります。道路法の一部を改正する法律案、水防法及び河川法の一部を改正する法律案についても賛成をさせていただいた上で、本日、限られた時間でございますので、港湾法の一部を改正する法律案を中心に、賛成の立場から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、東日本大震災ですが、これまでの想定を超える規模の地震そして津波であり、東日本の太平洋側の地域が大きな被害を受けました。物流の拠点でもある港湾は大きな被害を受けたところであります。私たちは、東日本大震災から、想定外ということはもうあってはならない、許されない、こういう教訓を得ました。

 その教訓をもとに、太平洋側で発生する可能性がある大規模災害である、地震や津波が起こる可能性のある南海トラフ巨大地震について検討をされ、その被害想定が今年の三月に発表されたところでございます。

 この被害想定では、特に津波については、これまで想定されていた東南海地震や南海地震などをはるかに上回る被害が発生するということが明らかになり、被害額は最大で二百二十兆円という想定でございます。これが現実になると、もう日本は大変なことになる。

 大臣に四月十九日に、その想定が行われている中で耐震化が進めばという御質問をしたときに、大臣から、このように命を守り抜くという観点からいくと、我々政治にかかわっている人間が、我が地域から一人たりとも亡くなる人を出してはならないという決意を持ってこのことに取り組んでいかなければならないと、力強く、まさに防災・減災に対するすさまじい御決意、思いを伺ったところでもございます。

 今、私の地元大阪では、非常に大阪というのは土地が低く、海面の高さよりも標高が低いゼロメートル地帯が広がっているところであります。南海トラフ巨大地震のような地震が発生した後に津波が襲来した場合に、大阪中心部も壊滅的な被害を受けるというふうにも言われているところでございます。

 大阪に限らず、日本の大都市の多くが海沿いの低い土地に立地をしており、人口や産業がこうした臨海部と呼ばれる地域に密集をしております。臨海部の防災・減災対策は、全国的に大変に重要な課題であります。

 私たちは、臨海部に位置する港湾の役割には二つある、こういうふうに思います。まず一つは、物流の拠点である役割ということです。そしてもう一つは、その背後にある人口や産業を守る役割、この二つがあるというふうに思っています。

 東日本大震災を踏まえて、今後発生が予想される巨大地震や津波について、この臨海部の港湾において具体的にどのような対応を図っているのか、お伺いをしたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員御指摘のとおり、東日本大震災の教訓を踏まえていくことが大変重要であると考えております。今後発生が懸念されます南海トラフ巨大地震、津波、そして首都直下地震などに対する防災・減災対策を進めていくことが喫緊の課題だということでございます。

 これらの地震が発生した場合、我が国の外貿コンテナ貨物の八割、それからLNG輸入の八割、さらには原油輸入量の五割を取り扱う三大湾の港湾機能が麻痺をする、そして、市民生活のみならず、経済産業のサプライチェーンの寸断が起きて企業活動に重大な影響を及ぼすおそれがございます。

 厳しい財政事情の中ではございますけれども、災害の切迫性、あるいは港湾機能の重要性といったことに応じて、岸壁の耐震化、あるいは防波堤を粘り強い構造とするなどのハード対策を進めてまいります一方、今回の港湾法改正によりまして、災害時に障害物を迅速に除去する航路の指定、さらにはBCP、事業継続計画の策定など、ソフト対策も組み合わせることで、全体として最大限の防災・減災効果を発揮するよう努めてまいります。

樋口委員 ありがとうございます。

 臨海部の防災・減災対策、大変重要だというふうに思います。しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 さて、昨年十二月に、中央道の笹子トンネルで人命が奪われるという大変痛ましい事件、事故が起こりました。原因の一つとして老朽化の問題が指摘をされているところであります。

 道路のトンネルに限らず、さまざまな社会インフラで老朽化の問題が深刻化をしておりますが、先ほどお話をしました大都市が立地をする臨海部にある港湾施設も老朽化が進んでいるのではないかということが指摘をされているところであります。老朽化した施設は、地震や津波で壊れやすくなっているというふうに思います。

 そこで、南海トラフ巨大地震の想定被害の中に、このような港湾施設、二百二十兆のうち約二十兆円だ、港湾は十分の一だと伺っておりますけれども、こうした港湾施設の老朽化の影響については考慮されているのかどうか、また、老朽化対策にどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ巨大地震のような地震、津波の被害想定では、老朽化によります施設の能力の低下といったことを考慮することが技術的に困難でございました。このため、港湾施設につきましても、設計当初の能力を前提に被害を想定しておりまして、老朽化による耐力の低下等の影響は考慮されておりません。

 しかしながら、南海トラフ巨大地震等が発生した場合の被害を減少させるために施設の老朽化対策を進めているところでございまして、具体的には、国や港湾管理者が所有する港湾施設につきましては、従前より、維持管理の長期的な計画の策定を進めているところでございます。

 さらに、老朽化の状況につきましても、現在、今年度中を目途に総点検を進めているところでございまして、これらの結果を踏まえまして、特に劣化が進んでいる施設につきましては順次対策を進めてまいりたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 想定が難しいので新築で見ているということだというふうに認識をしておりますので、しっかり点検、またお願いをしたいと思います。

 国や都道府県が整備をしている港湾も大変心配でございますけれども、例えば、大阪港には、工場や製油所、また発電所等のコンビナートが広がっております。こうした民間が所有する岸壁や護岸も老朽化をしているというふうに思うのでございます。十分な対策が講じられているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 民間の事業者が管理している桟橋あるいは護岸等の港湾施設につきましても、港湾法に基づきまして、技術上の基準に適合するよう、建設、改良、維持しなければならないとされてございます。また、港湾施設を建設あるいは改良する際には港湾管理者の許可が必要でございまして、その際に、技術基準への適合性も確認しているところでございます。

 これらの民間の事業者が管理する港湾施設は、建設後、事業者により、基準に適合するよう維持管理されてきたところでございますが、老朽化の進行状況につきまして、現状では、港湾管理者や国がその実態を把握する制度がなくて、必ずしも十分に把握できていないというのが状況でございます。

樋口委員 公共施設については対策が進められる、だけれども、民間施設については、どのぐらいあるのか、どうなっているのかという実態すらも把握ができないという今現状であるということであります。今後の地震や津波の発生が予想される中でも非常に不安な点でございます。

 私は堺にも住んでおりましたけれども、大阪港には、堺泉北港に基幹広域防災拠点を設置していただきまして、非常に地元の皆さんも頼もしく思っていらっしゃるところであります。大規模災害が発生した場合には災害対策や物流の拠点になる、こういう施設でございます。

 しかし、現状が十分に把握できていないということで、例えば、災害時に、民間の施設が倒壊をしてしまって船舶がこの広域防災拠点に入港できなくなる、こういったおそれも考えられるわけでございます。

 民間事業者が管理をする港湾施設の安全対策も含めて、港湾の老朽化対策、そして防災対策について、今回の法案でどのように変わっていくのか、御説明をいただきたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 今回の港湾法の改正によりまして、民間事業者が管理いたします港湾施設に港湾管理者が立入検査等を行う制度を創設いたしまして、港湾施設が適正に維持管理されるよう促してまいりたいと考えております。

 また、国の機関や港湾管理者等が災害時の対応について協議をする港湾広域防災協議会といったものを法律に位置づけまして、広域的な港湾のBCP、事業継続計画について協議を行うなど、災害時の連携体制を強化してまいりたいと考えております。

 これらの対応によりまして、被災地への円滑な支援を確保するなど、震災が市民生活や産業活動に与える影響を最小限にとどめたいと考えてございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 この法改正で老朽化対策についても制度が創設をされる、そういうことでありますので、しっかりとその制度を活用して、取り組みの推進をお願いしたいと思います。

 続きまして、老朽化対策、そしてさらには関係者との連携対策ということが今回の法案に盛り込まれているところでありますけれども、東日本大震災では、大量の瓦れきや自動車や貨物が漂流をして、一部はアメリカの西海岸まで到達をした、こういうニュースもございました。

 大阪港のように人口や産業が集中をしている地域では、東日本大震災と同じように、大規模な津波が襲来をした場合に、大量の漂流物が発生をして湾内に船すら入ることができなくなるのではないか。

 その場合、私も今回改めて勉強させていただきましたけれども、日本の貿易量の九九・七%が港を通じた海上輸送であるということ、航空は〇・三%しかない。この事実を教えていただいて、金額にすると二三・一%ということですが、量にすれば九九・七%が海上を利用するということで、港湾の重要性というものは、国民生活の、特に私たち庶民の生活のベースになる部分、ほとんどの部分が港湾からの荷揚げによるものだということを勉強させていただいて、この九九・七%が港湾を経由する、こういう中で、市民生活のストップ、何かあればとまってしまうということが大変懸念をされることでございます。

 津波が生じた場合に、漂流物対策、また船舶の交通ルートの確保は大変重要であります。津波による漂流物の対策について、今回の法改正の意義も踏まえて、わかりやすく御説明をお願いしたいと思います。

山縣政府参考人 御指摘のとおり、東日本大震災では、東北の港湾におきまして大量の津波流出物が発生しまして港湾区域が閉塞し、緊急輸送船の入港のため、障害物の除去が必要となりました。いわゆる啓開作業が必要となりました。

 同様の津波が比較的水深の浅い東京湾あるいは大阪湾などに襲来した場合に、港湾区域だけではなく、港湾区域外の一般海域におけます船舶の交通に影響を及ぼすおそれがございます。

 このため、今回の港湾法改正におきましては、湾内の各港湾にアクセスする一般海域を緊急確保航路として指定をし、災害が発生した場合に、国土交通大臣が障害物を迅速に撤去することができる制度を盛り込んでいるところでございます。これによりまして、船舶の交通ルートが確保され、緊急物資の迅速な輸送が可能になると考えてございます。

樋口委員 その指定は、政令で定めるということだというふうに承っておりますけれども、スケジュール的にどのぐらい、すぐに決めるということなんでしょうか。

山縣政府参考人 年度内に政令で指定をしたいと考えてございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 東日本大震災においても、港湾内が障害物で埋まってしまったということがあったということでございますけれども、被災地になった場合に、一度に大量の物資を届けることができるのは、やはり海上輸送であるというふうに思います。災害が発生した後もこうした港湾機能が確保できるように、東日本大震災の教訓をしっかりと踏まえて、事前の防災・減災対策を力強く推進をお願いしたいと思います。

 次に、今回の法案の中で、ばら積みの貨物の効率的な輸送についてお伺いをしたいと思います。

 コンテナということについては、これまでもたくさんの議論があったところでございますが、ばら積み貨物の効率的な輸送について。

 日本は島国でございます。四方を海に囲まれた資源小国であります。この我が国で、資源、エネルギーのほぼ一〇〇%を海外に依存しているという現状であります。このような現状の中で、安定的に、また安価に資源を調達するということは極めて重要な国家課題でございます。

 既に、中国や韓国などは、大分早くから国を挙げて石炭や鉄鉱石を扱う港湾の大深水化に取り組んできたというふうに聞いております。日本では、日本の港湾は水深が浅く、世界的な船舶の大型化に対応できていない現状があったというふうに伺っています。中国や韓国などと比較をし、日本の港湾は水深が浅く、世界的な船舶の大型化に十分対応できていない現状について、ばら積み貨物の輸送を取り巻く我が国の現在の課題を教えていただきたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、資源、エネルギー等のほぼ一〇〇%を海外に依存しておりまして、これらの物資の安定的かつ安価な輸入の実現を図ることは重要な課題だというふうに認識しております。

 こうしたばら積み貨物を輸送する船舶は、世界的な貨物需要の増加を背景に大型化が進展してございまして、中国などの近隣諸国では、ばら積み貨物船の大型化に対応した港湾施設の整備が進行しているところでございます。

 一方、我が国の石炭等を取り扱う主要な港湾におきましては、大型船に対応していないために、積み出し地であえて積載量を減らし、喫水を調整した上で我が国に輸入するといった非効率な運送が常態化しているという事例が見受けられます。

樋口委員 少し前から言われていることかもわかりませんけれども、このような状態のままでよかったのかということ、大丈夫なのかということ。また、あらゆる面で国際競争力が激化する中で、我が国の国民生活や産業活動に大変な支障が生じてくる、こういうふうに考えられているところであります。

 特に、東日本大震災を契機とする原子力発電の稼働停止に伴う電力の供給不足については、大変な問題であります。本当に、電力供給が下がって、電力が高くなってしまって、企業の皆さんも、それを内包するために、本当に不断の努力を今続けられているところでございますけれども、LNGや原油の輸入の増大により貿易赤字が拡大をしており、我が国の所得が海外に流出をするという懸念があります。二〇一一年は二・六兆円の赤字、三十一年ぶりの貿易赤字でございます。二〇一二年は六・九兆円の貿易赤字が発生をしています。

 こうした中で、石炭、燃料コストがLNGの約二分の一というふうに安価であり、世界じゅうで広く分布をし、そして、確認可採埋蔵量は石油の三倍もある、こう言われておりますけれども、安定的な調達が可能なエネルギーである石炭について、世界の電源別発電量の約四割を占めている。日本では二〇%台ということでございますけれども、我が国において、今後、石炭の火力の推進が期待されているところであります。

 電力価格の高騰やエネルギーの供給不足が懸念される中で、石炭などの安価な輸入をどう実現していくのか。この輸入船の大型化に対応するのは当然であると思いますけれども、国土交通省として、具体的にこの港湾機能の強化にどのように取り組むのか、法改正の意義を含めて御説明をお願いしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 石炭などのばら積み貨物を安定的かつ安価に輸入するためには、大型船の入港に対応した港湾機能の充実を図ることが必要でございます。しかしながら、大型船に対応可能な大水深岸壁等の整備には多額の費用が必要となります。全国各地の港湾で満遍なく整備を行うことは困難だというふうに考えてございます。

 また、我が国におきましては、ばら積み貨物を取り扱う個々の企業の需要が分散していることから、それぞれの需要地におけます港湾で個々に整備を行うと、かえって非効率となってしまいます。

 このため、今般の法律改正を通じまして、ばら積み貨物の輸入拠点となる港湾の整備に重点化を図りつつ、当該港湾を核として、荷主間の連携による大型船を活用した共同輸送を促進するための施策を講じてまいりたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 こうした取り組みを進めることで安定的、安価な資源の調達ができるのかどうか、どのような効果が実際に期待されているのかということについてお伺いしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律改正などを通じまして、荷主間の連携による大型船を活用した共同輸送などの取り組みが促進されることによりまして、石炭などのばら積み貨物の安価な輸入に貢献するものと考えています。

 一例として、石炭の主要な調達先でございますオーストラリアから日本に向けまして、七万トン級の中型船、これを十五万トン級の大型船に満載で輸送が可能となるということを想定しましてコストを比較しますと、石炭の海上輸送コストが従来と比較して約三割ほど低減されるという推計をしております。

 また、従来と同じ輸送コストで、より遠方からの資源調達が可能となりますので、資源の調達先の多様化が図られる、世界各国から、より安定的な資源調達を行うことが可能になるというふうに考えてございます。

樋口委員 通告しておらず恐縮でございますけれども、スケジュール感という意味では、この法案が通って、その先に指定をし、そしてその後で工事をしてからようやく可能になるというわけですよね。どのぐらいのスケジュールを、今予定をされている十カ所、これが大深水化するのにどのぐらいの期間がかかるのか、お伺いしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 もともとの、このバルクの政策を考えるときには、二〇一五年あるいは二〇二〇年といったところで目標を定めてございましたけれども、個々のプロジェクトで若干その内容が違いますので、いつというわけにはいきませんけれども、まずは今年度からこの法律に基づきまして拠点化というものを図っていって、できるだけ早くこういった大型船による輸送のネットワークができるような、そんな整備を考えていきたいと思ってございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 経団連の二〇一三年四月の十六日に出されました「次期総合物流施策大綱に望む」というものを読ませていただきましたけれども、この中でも、このことについて、産業の国際競争力の強化の観点から重視すべき施策として国際コンテナ・バルク戦略港湾政策の推進が挙げられ、エネルギー資源の輸入等に対応した港湾等の整備が円滑に実施されるよう官民一体となって取り組むことが重要である、こういう文言が本当に初めの方に盛り込まれております。産業インフラとして港湾機能強化が早急に実現をするように、ぜひお願いをしたいと思っております。

 日本はデフレに苦しみ続けておりまして、私、平成六年に会社に入社しましたので、十九年間サラリーマンをさせていただきましたが、最初にもらったボーナスを超えるのに十七年か八年かかりました。一番最初が一番よくて、ずっと下がり続けて、ようやく戻って会社をやめた、こういうことでございます。これが失われた二十年間のデフレの現状です。自分のお金でみんな会食をして、お小遣いを使って営業活動をする。サラリーマンの皆さんは、本当にこの二十年間のデフレというものに苦しみ続けて、負のスパイラルという中で、もがき続けてまいりました。

 デフレを脱却しなければいけない。そして、命を守る投資、成長戦略のための投資が必要なときは、まさに今でございます。人材不足が懸念をされている建設業、そして港湾労働者もそうかと思いますけれども、将来を見通すことができて、人材の確保や設備投資に踏み切るためにも、思い切って、スピード感を持って施設の整備をなさっていくべきだというふうに考えております。

 安定的、長期的なビジョンを示して、そして、予算を確保することは最も大切なことであります。スピード感を持ってお取り組みをいただくということをお願いし、最後の質問として、今回の港湾法の改正は、事前防災・減災対策、そして産業力の強化に資するものだというふうに考えておりますけれども、ぜひ具体的に、早期に実現をしていただきたい、こういうふうに思っておりまして、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 委員さっき言われておりましたが、貿易量の九九・七%、これが港湾であるということです。ところが、一方では、釜山、上海、香港、シンガポール等々にハブは逃げている。その中には、もうこの十数年の、そこに集中できなかったということが一つ大きな理由としてあると思います。選択と集中ということが言われていながら、本当に港湾という、ここの港を強化するということに国が十分乗り出していけなかったということがあると思います。

 そういう意味では、私は、今回、まず一つ、国際コンテナ戦略港湾ということで、阪神と京浜と、二つの港をそうしたコンテナ戦略港湾として定置する。そこには、大阪でいいますと、堺もあるんですが、神戸、それぞれの管理者というのは違いがあったりするんですが、そこを乗り越えて、国と一緒になって強くしようということが必要だと思います。これは京浜でもそういうことです。

 同時に、バルク港湾というのを、今回、穀物も石炭も含めて指定しました。この法律で指定したところというのは、あわせて、当然そこでは十四メーターぐらいの水深を十八メーターに持っていく、世界では二十メーター以上の水深があったりする、そういうところで石炭なら石炭を陸揚げする。

 そして火力発電が、高効率の発電、世界一の技術水準を持っている、そうした発電ができる。これは非常に我が国にとって、エネルギー政策としても極めて重要なことができるようにということで、今回はこの改正というものに踏み込んだというふうに思っています。

 そこに東日本大震災というのが数々の教訓をもたらした。これらの障害を除去しながら強い港をつくるということで一致して、ある意味では、これまでずっと押し込まれてきたものを反転攻勢をかける、そういう強い意思を持った法律改正だと私は強く思っておりまして、きょう、これからもさまざまな論議があると思いますけれども、御意見をいただいて、結論的には強い港をつくるんだということで、世界に負けないように、これから反転攻勢をかけたいと強く思っているところでございます。

樋口委員 ありがとうございます。反転攻勢をかけるという強い意思をお伺いいたしまして、ぜひとも早期に開業ができるように、工事まで終わってそこの港が早く使えるように、スピーディーな行政をお願いしたいというふうに思います。

 きょうからまた決意も新たにこの防災・減災を推進するためのレジリエンスに取り組んでいくということをかたくお誓い申し上げて、そして、国土交通行政をお支えすることをお誓い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 当委員会には三つの法律案が付託されておりまして、質疑をされているところでありますが、私は、道路法等の一部を改正する法律案、これに集中して質問をさせていただきまして、他の水防法及び河川法の一部を改正する法律案並びに港湾法の一部を改正する法律案については同僚議員から質問をさせていただきたいと存じます。

 先ほどから質疑が展開されておりますが、太田昭宏大臣からは今日の道路に関する御見識等も披瀝されたわけであります。特に、前田議員とのやりとりの中で、これまで均衡発展型の時代から、維持あるいは補修型の時代に入ってきた、こういう御認識がございました。

 私も茨城の県会議員時代を振り返りますと、人口がふえて、まさにドーナツ化ということで、ドーナツ型の発展型の時代があったわけですが、現代は、コンパクトシティーあるいはスマートシティー、こういうふうに太田大臣もおっしゃっております。道路を中心として考えるというのもおかしな話かもしれませんが、道路から見れば、時代とともに随分世の中が変わってきた、こういう見方もあるだろうと思うんです。

 もともとは、私の子供時代も太田大臣の子供時代も大体同じでありますが、最初は、自動車が今日のようにたくさん走るなんということは余り考えないで、子供の時代は、馬車とか牛車、それから、各自宅では自転車があればいいぐらいの話でありましたから、そんなに今日のようにモータリゼーションということは考えていなかった。したがって、道路も、生活のための道路ということで発展してきたのではないかと思うんです。

 ヨーロッパを見ますと、日本における馬車という意味ではなくて人を運ぶという、日本の場合にはどちらかというと荷物を運ぶ馬車が多かったんですが、数百年前から歩道と車道が分かれて建設をされた、同時に下水道まで一緒に整備されて都市化が進んだということがありましたが、戦後急速に、欧米に追いつこう、こういうことで、かなり無理をして道路建設も頑張りました。

 この道路建設を行うことによってどんな形に社会に影響が出るのかというのは、私たちにとっては余り想像もつかなかったんですが、当時の建設省の職員の皆さんもそうだと思いますが、欧米を見て、道路あるいは鉄道、港湾、そして空港、こういうところをしっかりと整備することが将来の日本の国の形をつくるためには大事だ、こういうことで、非常に大きなビジョンを持って展開されたと思います。

 経済産業省なんかも同じように、将来の日本の国民が食べるためにコンピューターと自動車については国産化する、アメリカからの強い圧力を受けながらも、それをはね返しながら頑張ってきたわけです。

 そういう時代を経て今日に至っているわけでありまして、私は、太田大臣がおっしゃったように、おおよそ、先人たちが考えたビジョンというものを踏まえて、建設がかなり進んだのかな、これからはさらに、どうやってそれを維持していくのか、そしてまた補修をしていくのかということが非常に大事な視点だろうと思います。

 その典型がこの間の笹子トンネル事故でございましたね。これは非常に、私も大変残念な思いでありまして、大変申しわけなく思いますが、そういう抜け落ちているところが、これまでのずっとやってきた中で多々あるんじゃないか、それについてはしっかりやっていかなきゃならないという思いがございます。

 そこで、まず大臣に、今回の東日本大震災を経て、私たちは、新たに、道路に命を守るという役割が加わった。私は、これは従来なかった発想だと思いますが、改めて、太田大臣として、日本国における道路というものをどのように捉えておられるのか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 なかなか難しい質問ですが、日本人は、日本は国土が自然な状況だと思っていると思うんですが、実は国土に働きかけて現在私たちは住まいを持ち生活している、この脆弱国土というものに相当手を加えて今日があるということを意外と今の人たちは知らなくなっているのではないかというふうに思います。

 一六〇〇年前後は、特に治水というのと、戦国時代が終わりまして、我が領地をしっかり整備していかなくてはならないという、物取り合戦の時代ではなくて、自分の領地を守るということがあったものですから、利根川の東遷、荒川の西遷、徳川家康のやった河川改修、あるいは伊達政宗の北上川改修、大坂の大和川改修、そうしたことが戦国武将によって行われて、そして、常に、河川もそうでありますが、道路もそうした営みの中で街道をつくってくるという、ある意味では日本の近代国家の一番先駆的な役割を果たしたのは一六〇〇年前後だったと私は思っています。

 国土に働きかけて今の国土がある、ここに、ツールとして道路があり、そして河川計画というようなものがあり、さまざまなものがあるというふうに思っています。

 そこで、物をつくる、先般、私、コシノジュンコさんの話を紹介しましたが、太田さん、引き算の政治はありませんか、こういうことを言われたんですけれども、いっぱい、わっとつくってしまって、そして、めり張りをつけていかなくてはならない。今度は、補修ということと新規ということのめり張りもつけていかなくてはならない時代だし、限界集落というのは、限界集落がなくなれば限界集落問題はなくなるんだ、人が住まなくなれば限界集落問題は解決すると乱暴なことを言った方がいらっしゃいますが、人はその地域に住み続けられるということをどういうふうにバックアップしていくのかというのが政治の役割だというふうに私は思っています。

 今回、東日本大震災で、最もこの道路の問題で私たちが再認識をしたのは、まさに命を守る道路、そしてリダンダンシー、一つの道路が遮断された場合に代替道路があるというような、複雑系というものを常日ごろから備えているということが、実は命を守り、また安全保障という意味からも極めて重要であるという認識があったと思います。

 昨年の四月に第二東名ができたときに私は論文を書いたんですけれども、その中にも、第二東名の役割は、つくった当時と違って、今、昨年これが通ったということの中からは、やはりリダンダンシーということ、命を守る、そういう役割を果たすということが大事だというふうに思っております。

 命を守る、リダンダンシーの確保、こうしたことが実は大畠大臣のときに、真っ先に東北整備局が走って、くしの歯作戦、これもリダンダンシー、こっちが遮断されたら東西の道路で行くというような安全保障、常に、本当の意味での人間の安全保障という意味で道路のネットワークがある、こういう観点を持っていかなくてはならない、私はこう思っています。

 そういう意味では、道路は人間の安全保障の一つである、私はこのように捉えています。

大畠委員 非常におっしゃるとおりだと思うんです。

 特に後半の部分でお話がありましたが、かつては、一本、道が通じていれば、大体物流とか人も行き来できますから、いいなと思っておりましたけれども、その道が何らかの都合で遮断されたときにどうなるか、これは新たな視点で全国の道路地図というものをもう一度見直すことが必要だろうと思いますし、今、太田大臣がおっしゃったような形で、改めて、その地域その地域で、ふだん通れる道路が通れなくなったときにどうなるかということは十分に対応策を練っておくことが必要だろうと思います。

 例えば、南相馬市でありますが、あそこは国道六号が何とか通れるようになりましたが、福島の原子力発電所の事故の関係で、茨城の方から福島の方に抜ける道がありませんで、南相馬市からは福島市を通って東京とつながるということになって、福島市までたしか二時間ぐらいかかると思いますが、市民生活上も大変苦労しているという話がありました。

 したがって、これからの時代を考えるときに、一本の道が遮断されても、もう一つの道があって、こういう形で物流とか人の流れも確保できる、そういう視点で総見直しをしておくことが必要だと私も思います。

 そこで、関連する質問をさせていただきます。

 まず、道の駅というものが東日本大震災のときにも非常に注目をされました。もともとは、その地域の農産物等を、地産地消という精神で、そこで販売するために道の駅というのがつくられたんですが、考えてみますと、大災害時は、駐車場があり、トイレがあり、水道があり、食料もあり、大きな建物を持っているというので、非常に重要な役割を果たしました。言ってみますと、緊急の場合の救援のための支援センターとなり、また、自衛隊の駐屯地にもなりましたし、支援物資の中継基地ともなったわけであります。

 これから考えますと、私も当時を振り返ると、ヘリコプターのおりる場所がなかなか十分に地域にないんですね。したがって、そういうところも、非常時にはヘリコプターもおりられる、こういう機能も果たしたり、あるいは、大きな建物の上にはヘリコプターの離着陸ができるようなものを地域地域に一つ置いておくというのは大事だと思います。

 改めて、国土交通省として、これは地域、自治体との関係もありますが、道の駅というものをどういう位置づけにするのか、このことについてお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 道の駅というのは、鉄道に駅があるならば道の駅をつくったらどうかという一人の発想の中からこれが生まれて、現実になった。これはそんなに昔の話ではなくて、でき上がりました。

 ここは、地域の農業をやっている方たちが持ち寄ったりというようなことがあって、非常にいい働きをしておりますが、私、大畠先生の言っていることと全く同じことで、国交省は、そこに防災機能を強化するために、二十三年度の第三次補正予算から、地方自治体の防災計画等と連携して、道の駅に災害用トイレや非常用電源などの整備というものを進めてきた。これは民主党政権時代の話でございます。

 私は、今、識者にも議論していただいたりするんですが、ここをもっと、トイレがあるとか災害用にちょっと倉庫があるとかいうんじゃなくて、大々的にきちっとして、あそこに行ったら全てのものがそろう、医療ということも含めてできるというようなことで使ったらどうだという声を聞いておりまして、これは協力していただかなくちゃならないんですが、ヘリというお話もありましたが、ここは災害のときの拠点にするということで本当に物すごい大きな機能を果たすと私は思っています。

 まだ、そういうふうに思っているだけで、動きをしていないのが申しわけないんですけれども、何とか道の駅に今までよりももっと大きな役割を果たしていただく、防災拠点、さまざまな意味でのそういうものを付加していくということが極めて重要だと今私は思っているところでございます。

大畠委員 それから、震災のときに学んだことの一つに、道路が津波を食いとめるという機能を果たすということは、私も全く予想もしなかったんですが、実際上、道路ののり、ちょっと高くなった土盛りした道路は、そこで津波をとめた、こういう事実関係がありますので、こういうことも含めて、防災の一つとして、道路も重要な役割を果たすということがわかりました。

 こういう教訓を今後どのような形で道路計画に生かすのか、このことについてお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災におきまして、内陸への津波の浸水防止機能を発揮した仙台東部道路の例がございます。また、高い位置の盛り土の道路に住民の皆さんが避難をして助かったというような副次的な防災機能を発揮した例も多々報告をいただいております。

 こういった教訓を踏まえまして、国土交通省並びに高速道路会社におきましては、太平洋側の津波が想定される地域で、自治体と連携をして、高速道路の盛り土部分に避難階段や避難スペースを設けまして、住民の避難場所として活用するような整備を進めさせていただいております。

 また、東日本大震災の復興事業におきましては、例えば仙台市の復興計画によりますと、太平洋岸に沿って県道がございまして、県道塩釜亘理線というのがありますが、この整備に当たりましては、六メーターの高さの盛り土構造で整備をいたしまして、海岸堤防を突破されたときに副次的に津波の拡大防止の機能をあわせ持つように、そういった計画で道路整備が進められているところでございます。国土交通省といたしましても、関係機関また地元の被災の復興計画を踏まえまして、そのような道路整備を支援してまいりたいというふうに考えております。

大畠委員 私の記憶では、他の地域でも、たしか和歌山県だったと思いますが、防災機能を持つような形で、道路を、いわゆるミッシングリンクの一部でありますが、そういう形にしたい、こういう話もありましたので、大震災で得た教訓を十分に踏まえた道路整備をぜひお願いしたいと思います。

 それから、福島県内の道路の復旧状況については、いろいろお話は伺っておりますが、最近、避難区域や警戒区域が徐々に除染等が進みまして解除される地域もございます。私も、テレビの映像等を見る限り、まだその地域の復旧が進んでいないようにも見受けられますが、解除される地域については、早急に道路の整備というのが必要だと思います。

 そういうことも含めて、避難区域や警戒区域等々の解除されつつある地域の道路の整備の現状についてお伺いします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 福島県で従来警戒区域等に入っておりました地域につきましては、立ち入りができないために、災害復旧事業すらまだ行われていない状況でございます。ただ、一時帰宅等の御利用があるということで、本当に応急対応で通れるようにしているというような状況でございまして、本格的な災害復旧事業はこれからという状況でございます。

 委員御指摘のとおり、避難指示区域等の見直し、再編がほぼ終わりましたので、今後、環境省等におきまして優先的な除染が避難指示解除準備区域並びに居住制限区域から順次実施されるというふうに聞いております。そのような除染の進捗とあわせまして、災害復旧事業にも本格的に取りかかってまいりたい、そのような現状でございます。

大畠委員 いずれにしても、一番最初に申し上げたように、道路というのは生活を支える大変重要なものでありますから、避難区域あるいは警戒区域の解除される地域に住居を持つ方々にとっては大変大事な要素になりますから、しっかり現地の状況に合わせて対応を要請いたします。

 次に、少し時間の関係もございまして飛ばす項目もございますが、前回の委員会のときだと思いますが、台帳整備、いわゆる道路、橋等々の老朽化等を把握する場合には台帳を整備することが大事なんだ、太田大臣のこのようなお話があったと思います。

 私も、一体、日本にはどれほどの道路、橋、トンネルがあって、それがどんな状況なのか、これを全部把握するということがまずは大事なんだと思うんですね。しかし、橋等も、六、七十年、あるいは、中には、私の近くの大北川橋なんというのは九十年ぐらい前の橋ですが、多分、そのころの設計図面だとか情報というのはほとんど私は残っていないんじゃないかと思うんです。

 ですから、大臣がおっしゃるように、一体どのくらいのデータを集められるのか、これが補修ですとかいうためには大事でありますし、今日はコンピューターがありますから、随分データはたくさん入りますから、一つ、この台帳整備は現在どういう形で老朽化の現状をデータとして集約されているのか、この件についてお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、インフラの老朽化対策に当たりましては、点検でありますとか修繕の履歴はもちろんでありますけれども、建設年次とか基本的な構造諸元とか、そういったデータを台帳として記録、保存することが大変重要だと考えております。

 しかしながら、昨年度実施をいたしました実態調査によりますと、全国の道路橋約七十万橋のうち、約三十万橋が正確な建設年次すらわからない、そういう状況でございました。

 また、本年二月に自治体に対して実施したアンケート調査によりますと、トンネルを管理する六百五十の市区町村のうち、約三割がトンネル台帳を整備していないという状況でありまして、大変大きな課題であるというふうに認識をしております。

 現在、笹子トンネルの事故を受けまして、全ての道路管理者に対しまして道路ストックの総点検を指示し、実施をしていただいているところでありまして、そのための総点検要領の提供なども行っております。

 この総点検要領の実施によりまして、自治体の方でもいろいろな点検の記録とかそういったデータがそろってまいりますので、そういったデータをきちっとデータベースで構築をしていただいて今後の維持管理に役立てていくことが大変重要だということで、国としても積極的に支援をしていきたいというふうに考えております。

大畠委員 ひとつ国交省として、正直に、ごまかさないで、全ての台帳をまずはそろえる。わからないというのも一つの台帳になるんだと思うんです。データを持っていない、そこのところは後で事実関係を調べて埋めていけばいいわけですからね。その台帳さえつくってしまえば、あとは年次を追って計画的に点検をして補修をしていく、こういうことになりますから、太田大臣がおっしゃったように、台帳整備が全ての原点だと私は思いますので、ぜひ、調査をして、しっかりとした台帳を整備していただくよう要請しておきます。

 それで、その台帳をもとに補修計画と、それから財源、お金がかかるわけであります。急にどこからか湧いてくるわけではありませんから、計画的に進めるんですが、いずれにしても、どういう形で補修をやっていくのか、どういう形で新しく取りかえるのかということも、一つの基準を設けて対処していくことが必要だと思いますが、この件について、現状をお伺いします。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、道路ストックの総点検について説明をさせていただきましたが、補修計画ということで、橋梁を例にとりまして、現状について申し上げたいと思います。

 まず、国が管理する橋梁につきましては、五年ごとの定期点検に基づきまして、長寿命化修繕計画と言っておりますが、計画的な修繕を行う計画を立てて、効率的な予算の執行に努めております。平成二十四年度補正予算におきましても、直轄の橋梁につきまして二百億円の予算を計上したところでございます。

 また、地方公共団体におきましては、そういった点検でありますとか長寿命化修繕計画をつくること自体の取り組みがおくれておりまして、国からのいろいろな財政的な支援、それから技術的な支援を行ってきたところでございます。二十四年度の補正予算におきましても、地方公共団体に対しまして防災・安全交付金、約五千五百億円の内数になりますが、重点的に配分いたしまして、財政的な支援を実施しているところでございます。

 平成二十五年度におきましても、予算審議等を踏まえまして、橋梁、トンネル等を初めとする道路施設について引き続き計画的な修繕ができますよう、財政的な支援を図ってまいりたいと考えております。

大畠委員 建設するのに大体百年ぐらいかけて、ずっとやってきたわけですから、それを台帳をつくって一気にといってもなかなか難しいのは事実で、三十年あるいは五十年ぐらいかかってしまうのではないかと思いますが、いずれにしても、ベースとしてそういう全体の分母を把握して、それを一つ一つ計画的に補修、あるいは寿命が来たものについては取りかえるということを長期的に計画をしておいて、それに合わせて予算を積み上げていく、こういうことで、ぜひ、国民の安全を守るためにも、命を守るためにも着実な実行を要請いたします。

 続いて、新たな視点での道路の活用という観点について質問いたします。

 今までは、とにかく通れればいい、あるいは、とにかく道路をつくって何とかしようということでやってきたんですが、最近では、道路をつくったときの想定を超えて自動車がたくさん走っていますので、子供たちの安全を守れない、こういうことから、通学路の確保というものが強く要請をされています。

 同時に、狭い道でも自動車が入ってきますから、自動車と自転車の事故等も多くなってきているわけです。ヨーロッパの方では歩道と車道は最初から、数百年前から分けていたわけですけれども、日本の場合には後追い的に自動車が入ってきているので、道路の計画といいますか、構造上なかなかそういうスペースを確保されていないというのが実態だったろうと思いますが、ここのところは非常に大事な視点になると考えています。

 したがって、市民生活面での、住民に対する安全を考えた新たな道路の対策というのが必要だというのが一つ。

 それからもう一つは、慢性的に地方都市は交通渋滞があるわけでございますけれども、この交通渋滞をどうするのか。

 新たな道路をつくる、こういうのも一つですけれども、イギリス、スウェーデン等では、例えば、スウェーデンで私は見ましたが、一人乗りの自動車は、ある時間帯は町の中心部に入れない、こういう制約を設けて、二人乗りの自動車はオーケーということで、あとは公共の鉄道を使ってくださいという利用者側に対する制限というものを設けて、公共交通機関の利用を促進しながら町の渋滞を緩和するという対策をとっているようでありますが、そろそろ日本でもそういうことを考えるべきなのではないか。

 公共交通機関が、バスなんかは乗る人が非常に少なくて経営が成り立たない、こういうことでもありますから、これとあわせてそのような対策も必要であろうと思いますし、非常に混むときには、誘導するような交通システムというものを導入して、最近、地方都市でも見られるようになりましたが、それをひとつ大いに活用して、こちらの方に回った方が早く目的地に着きますよということを誘導するような仕組みを大いに活用すべきだと思いますが、以上三点についてお伺いしたいと思います。

梶山副大臣 まず、公共交通の利用促進についてお答えをいたします。

 交通渋滞対策としてのみならず、二酸化炭素の排出削減、高齢者の移動手段の確保を図る観点からも大変重要なことであると認識をしております。

 国土交通省におきましては、公共交通の利用促進を図るために、これまでも、公共交通機関のバリアフリー化、ICカード化導入などの利便性向上のほか、公共交通による通勤の奨励などの普及啓蒙活動に対して支援を行ってきたところであります。

 平成二十五年度予算におきましても、地域ぐるみで公共交通の利用促進を図る取り組みについて支援する制度を創設し盛り込んでいるところでありまして、本制度も活用しながら、公共交通の利用促進に一層取り組んでまいりたいと思っております。

 あと、委員御指摘の自家用車の走行規制につきましては、公共交通機関の利用促進の観点から大変有効な手段だと思っておりますけれども、その地域だけじゃなくて、そことつながっている地域、例えば、大畠委員もそうですけれども、私の地域もそうですけれども、公共交通機関があるところとないところがありますので、そういった方の利便性を考えたり、また、周辺地域の渋滞の状況を考えたりということで、住民の皆さんの御意見を伺いながら、自治体、公安委員会等の関係者とともに検討を図っていく必要があると思っておりますけれども、委員御指摘のこの手法については、大変有効な手法だと感じております。

前川政府参考人 交通渋滞に関しまして、交通誘導システムについてお答えを申し上げたいと思います。

 交通渋滞などの道路交通問題を解決するためには、交通の混雑などの情報を適切に提供することで、ドライバーにルート選択を促し、道路を効率的に利用していただくことが大変有効な手段だと考えております。

 このため、交通渋滞とか通行規制の情報について、リアルタイムで利用者に提供することが重要でございます。

 具体的には、ラジオやテレビの放送局での交通情報の提供、また日本道路交通情報センターのホームページ、それから、カーナビゲーションに対しまして、電波を使って、カーナビゲーションシステムの中に渋滞状況でありますとか車線規制などの情報を表示するといったような取り組みを実施しているところでございます。

 今後とも、渋滞などの道路交通問題が解決されるよう、多様な手段でドライバーの皆様に必要な情報を提供するよう取り組んでまいります。

大畠委員 それから、地元の方でも、町場は朝晩混むんだけれども、高速道路だけすいているので、あそこを朝晩だけでも使わせてもらえたらありがたいというような話もありますので、これは要望にとどめておきますが、いろいろ立体的によく考えて、効率的に今ある道路をどう使うかということもぜひ検討していただきたいと思います。

 あと時間が四分ぐらいになってきましたが、二つ質問します。

 一つは、これからの時代を考えるときに、水素自動車、電気自動車が非常に多くなるものと思いますので、これについてどのような対応をしているのか、経済産業省、国土交通省、両省からお伺いしたいと思います。

 あわせて、最近では、高度道路交通システム、ITSの導入というのが非常に注目をされてまいりました。これも日本国としては、科学技術立国としては大いに活用すべきだと思いますが、この二つについて、現状、どういう状況にあるのか、経済産業省、国土交通省からお伺いいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電気自動車等についてでございますが、電気自動車あるいは燃料電池自動車の普及につきましては、自動車そのものの導入支援はもとよりでございますが、委員御指摘のように、やはりインフラの整備というのが必要不可欠だと考えてございます。

 このため、経済産業省といたしましては、電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車、こうしたものの普及に向けて、平成二十四年度補正予算約一千億円によりまして充電器の導入補助を進めているところでございます。

 特に、その際、都道府県とかそういう自治体において、どういう充電器を設置したらいいか、そういうビジョンを策定いただいた場合、そしてそれに基づいて実際に充電器を設置する場合、これにつきましては、購入費だけではなく工事費も含めて、しかも高い補助率で支援するというようなことで地域との連携を強化しているところでございます。

 また、燃料電池自動車につきましても、日本でも二〇一五年から四大都市圏で市場に投入されることが計画されておりますので、今年度から三年間かけて、水素を充填するステーションを四大都市圏を中心に百カ所程度整備したいと考えております。

 それから、もう一つの御指摘でございますITSでございますが、こちらにつきましても、経産省といたしましては、トラックの自動運転、隊列走行技術の確立を目指しまして、平成二十年度から二十四年度までその推進事業というのを実施してまいりまして、昨年度末には、この研究開発目標である、時速八十キロ、車間距離四メートル、四台のトラックの自動走行を実現し、実際にデモンストレーションを実施したところでございます。

 今後は、さらに、こうした研究開発だけではなくて、それが実際に社会で受け入れられることが必要だと思っておりますので、本年十月に東京で開催されますITS世界会議、こうした場を使いまして、プロジェクトの成果を社会に広く認知していただきたいということを計画しております。

 いずれにしましても、経産省といたしましては、こうした電気自動車等の導入促進、それからITS等につきまして、引き続き、国土交通省さんを初めとする関係省庁と連携して強く推進していきたいと思っております。

 ありがとうございます。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 国土交通省におきましても、バス、タクシーが中心でございますが、地域とか運送事業者が電気バスなどを導入するに際しまして、車両だけではなくて充電施設についても、その導入の補助を実施しております。加えて、例えば駐車場施設のどこに置いたらいいかとか、充電施設の配置につきましても、地方自治体向けのガイドラインを国交省の中の関係部局と連携をして策定するなど、そういった取り組みを行っております。

 また、燃料電池車についての水素充填施設につきましても、課税標準を軽減する、そういう減税措置を講じているところでございます。

 いずれにしても、今後とも経産省と連携をしながら、充電施設等の適切な普及を図っていきたいというふうに考えております。

前川政府参考人 ITSに関しまして、国土交通省の取り組みについて御説明をいたします。

 これまでも、カーナビでありますとかETCの普及を通じて進めてきたところでございますが、今後は、インフラと自動車が一体となったシステムの実現など従来のITS技術をさらに高度化させていくことが期待をされているというふうに思います。

 国土交通省におきましては、高速道路上の自動運転を実現するシステムということで、オートパイロットに関する検討会を設置いたしまして、自動車メーカー等とも連携しつつ、その実現に向けた課題の整理を行っているところでございます。夏ごろには中間取りまとめを行いたいと思っております。

 また、十月に東京で開催されますITS世界会議におきましては、このオートパイロットの大々的なデモンストレーションを行いまして、世界の皆様に日本の技術を見ていただいて、PRする機会をつくりたいというふうに考えております。

大畠委員 最後に太田大臣に御質問して、せっかく日本でつくったこの科学技術等々を応用した交通システムの世界展開についてお伺いしようとしましたが、時間になりましたので次回に質問させていただきます。

 きょうはありがとうございました。

金子委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 時間が二十分と限られております。大所高所の議論は、今、大畠先生と太田大臣初め政府の皆さんと行われました。私の方からは、想定される災害対策も大切なんですけれども、これまで大量につくって、また使ってきた、そして古くなってきた社会資本、とりわけきょうは道路に絞って、経年による劣化の状況、またその対策がどのようになっているのかについて確認をしながら、また、個別具体的な提案もさせていただきながら、大きく三点にわたって質問させていただきます。

 まず一点目。先ほど、道路そして橋梁、トンネルの経年の把握の状況について、大畠委員と道路局長との間でやりとりがありました。いつつくったかわかっているだけでも半分に満たないというようなことがございました。

 そして、お手元に資料を配らせていただきましたように、長寿命化修繕計画というものを、それぞれ国、都道府県、政令市、市区町村で定めて、計画的な修繕をしようということも進められております。これは、国については一〇〇%、都道府県については九九%、政令市については九三%、しかし、市区町村については修繕計画の策定率も五一%という状態で低くとどまっております。さらに、市区町村によっては一〇%台、または二〇%台。残念ながら、我が滋賀県も、県内の市区町村については二一%の策定にとどまっている状況なんです。さらに、市区町村間でばらつきもあるという状況があります。

 二点お伺いいたします。

 大臣も、メンテナンス元年、これから総点検をやるんだということをおっしゃっておられますが、特に市区町村における道路、橋梁、トンネルの総点検、これをいつまでに行うおつもりなのか。さらには、長寿命化修繕計画の策定も含めて、いつまでに行う御計画なのか。

 ただ、私も地元の市区町村の道路、土木の管理担当者にお伺いをいたしますと、非常に体制が厳しくて、通常の業務だけでも回らない、市区町村によっては道路だけじゃなくて河川も下水道も都市も全て管理をされながらの業務の実態でありまして、資金面もさることながら、技術面での支援を国としてどのように行っていかれる御計画なのか。二点お伺いいたします。

鶴保副大臣 御指摘のとおり、地方公共団体の修繕計画等々に遅延があるという認識は、我が省も持っておるところでございます。

 午前中、前田委員の質問にもお答えをさせていただきましたけれども、さまざまな技術的集約をまず進めること、そして、国として修繕計画を、率先してロードマップをつくり、それを地方公共団体にお示しをし指導していくということが大切だろうというふうに考えております。

 このため、国土交通省内で、ワンストップサービスというわけではありませんけれども、大臣をトップとする社会資本の老朽化対策会議並びに社会資本老朽化対策室を設置いたしました。そして、そちらの方で具体的な取り組みについて検討を行い、三月二十一日には、社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置を取りまとめさせていただきました。

 その中で、今後は、特に維持管理等の担い手確保、育成の観点から、地方整備局等の窓口機能の充実強化、また、技術講習の実施、研修制度の充実、あるいは技術開発を含めた専門家による技術アドバイスの実施等に取り組むこととさせていただいております。

 委員の質問の中で、いつまでにという御質問がございましたが、もう委員御案内のとおり、地方公共団体によって、市区町村ごとによって、それぞれ、言葉を選ばず言うなら、でこぼこがございます。それらの進捗状況を踏まえて、地域の実態に応じたきめ細かい指導をこれからさせていただくということに答弁をとどめさせていただきたいというふうに思います。

三日月委員 講習、研修、相談体制の充実、それぞればらつきがあるので、いつまでにということについては明言できないということでございましたが、大臣の先ほどございましたお言葉で、道路は人間の安全保障を守るべきものだ。命を守る、命をつなぐ道路が人の命を奪うことがないように、全国市区町村の実態を踏まえたしっかりとした体制支援、技術的支援、これは資金的な財源工面も含めて、私はこれは重要な国家的課題だと思いますので、ぜひしっかりとした対策をともにとってまいりたいというふうに思います。

 その観点でもう一点確認させていただきたいんですけれども、大型車両、特殊車両の通行の実態でございます。

 二ページに資料をつけさせていただきましたが、国土交通省の報告によりますと、全国で三十九カ所設置されております車両重量自動計測装置の計測結果によりますと、この結果でわかっているだけで、特殊車両、これは制限令で決まっておるんですけれども、この制限令を超えるものについても、道路の構造を保全し、または道路の危険の防止に必要な条件を付して通行が許可される車両として許され、走行している車両のうち、三割強が総重量制限を超過して通行をされている、三割ですね。

 その三割という台数がどれぐらいなのかといいますと、年間百九十二万台。三十九カ所の計測地点で、日本全国で総重量を超過して走行している車両が、わかっているだけで年間百九十二万台、二百万台あるということなんですね。

 今回、この法律改正で、一定、違反業者に対する取り締まりを強化される、また、事前に通達を改正されて、これまでは警告の郵送だけにとどまっていたものを、しっかりと運輸局に来ていただいて注意喚起をする、指導していくというような対策もとられていると承知をしておりますけれども、これは、ただでさえ古くなり弱くなっていく道路を、物流の観点からは大型化していく、そして重くなっていく、こういうものが、決められた、想定された基準以上で、決められた規則を破って走行している実態が、わかっているだけでこのような状況にあるということからして、私は、もう少し対策を強化すべきではないかというふうに考えます。

 例えば、今回、立入検査をするということだそうですけれども、これはもっともっと、三十九カ所にとどまっている総重量の監視確認体制を強化、増設するでありますとか、単に運んだ運送事業者だけではなくて、運ばせた荷主の名前の公表も含めて対策を強化するということでありますとか、もっと問題は、そもそもどこがどれぐらいの車両が通れるかといったことのデータベースをしっかりと把握しておく。そのデータベースに基づいてそれぞれの事業者に対する告知や指導をしていくというような、そういう体制強化が私は必要だと考えるんですけれども、政府の見解を求めたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員御指摘のとおり、三十九カ所で測定すると、三割強違反車両があり、二百万台、まさにそのとおりでございます。

 これまでも、道路法そして車両制限令において、道路構造の保全と交通の危険防止のために、道路を通行する車両の重量等の制限を定め、しかも、違反については、道路脇の取り締まり基地での定期的な取り締まり、指導を実施し、そして、自動計測装置で違反を把握したものは、違反を繰り返す業者に対して警告書を文書で出すなどやってきました。しかしながら、まさに御指摘のとおり、常習違反者への是正指導が不十分であったことは否めないということだと思います。

 このため、特殊車両の通行に関する指導取締要領を本年一月に改正して、三月からは、委員も御指摘のとおり、違反者を呼び出し、直接指導して改善を求める、違反者に対する指導の徹底を開始いたしました。さらには、業界団体に対して協力を要請することもしております。

 本法案においては、道路管理者への報告徴収それから立入検査権限の付与により、一層の取り締まり強化を図ってまいる所存であります。

 ただ、委員御指摘ありましたように、三十九カ所の測定装置をさらにふやすといったようなことは、ちょっと予算を伴うような話でもございますし、また、荷主の協力を求めるといったことも検討課題にはなってくると思いますが、当面、この法案において立入検査、報告徴収の権限を付与することで対応していきたいと思っております。トラック運送事業者を監督する地方運輸局や警察とも連携した重量制限違反対策にも取り組んでまいります。

 つけ加えて申し上げさせていただけば、今回、重量のある車両が通っていい場所については経路を指定するということをした上で取り締まりを強化していくということで、やはり御指摘のようなデータベースといったものはきちっと持った上で、ワンストップで重量を超える車両についての許可をするというようなこともあわせて実施をしていくことで取り締まりの実効を上げていきたいというふうに考えております。

三日月委員 私は、この対策は必要だと思います。

 例えば、物流の観点、先ほども議論になっていました災害対策の観点からしますと、原発事故が起こったときに、あれは通称キリンというのでしたか、コンクリートの打設車が福島に入られるときに、一体どこの道が通れるんだろうか、どこで曲がれるんだろうかということに、随分、大畠大臣を初め国土交通省の皆さんも苦労され、時間がかかったということもお聞きをいたしました。

 そういうデータベース化を進めるということと同時に、利用者や事業者がそのことを一目で、できるだけ早く把握できる。例えば、先ほど議論がありましたITSのシステムの中でわかりやすく告知をするですとか、カーナビに通行できる経路について表示できるシステムを開発するとか、そういった対策が要るということと同時に、もう一つは、だんだん大きくなる、高くなる、そういう車両が通行可能になるような、そういう取り組みを私は進めていくべきではないかと。

 資料の三枚目に、国道一号線の滋賀県の草津川トンネルといいまして、これは、高さ制限四・一メートル。限界四・五以下の制限をかけている箇所は、国道一号線で五カ所しかありません。そのうちの一カ所が、災害時に緊急輸送道路にもなり得る国道一号線で、四・一メートルの高さで、これは昔、上に川が通っておりまして、今、この上には水が流れていないんですけれども、こういったトンネルの撤去を含めて、工事を進めていくべきではないかと考えるんですけれども、いかがでございましょうか。

前川政府参考人 委員御指摘のとおり、草津市内の国道一号におきまして、もともと天井川でありました草津川の下のトンネルということでございます。

 ここの委員の資料にもございますように、高さも足りない、自歩道も未整備、それからトンネルを出たすぐの交差点の付加車線の長さも足りなくて、追突事故等が多発をしているというふうに認識をしております。

 この天井川でありました旧草津川の廃川敷の取り扱いにつきまして、地元の草津市、また滋賀県等で調整がなされまして、昨年の十月に草津川跡地基本計画が草津市により策定をされまして、その中では、このトンネルを撤去いたしまして、切り広げまして、歩道を整備したり、交差点の改良をしたりというようなことで、草津市からも要望を受けているところでございます。

 そういった要望を受けまして、国土交通省といたしましては、早期の事業着手に向けて、現在、検討を進めさせていただいているところでございます。

三日月委員 もう一点、確認させてください。費用の問題なんです。

 老朽化対策を進める、さらには、今お話のありました特殊車両なり大型車両が通行できる箇所をふやしていくということのためには、国においてもそうですし、とりわけ地方において、その費用をしっかりと、限られた財源の中で財源を確保していくということは重要なことだと思うんです。先ほど、社会福祉の費用を削ってでもというようなお話がありましたけれども、それもなかなか容易ではありません。

 その中で、私は一つの提案をさせていただきたいと思うんですけれども、道路整備特別措置法の十五条というものがございまして、これは、途中は抜きますけれども、地方道路公社は、維持または修繕に関する工事に特に多額の費用を要し、かつ、当該道路の道路管理者が当該道路の維持または修繕に関する工事を行うことが著しく困難または不適当であると認められるときに限り、決められた期間の経過後においても料金を徴収することができるという定めがございまして、この規定に沿って償還後も料金を徴収できている道路、道路公社は、全国に三カ所しかございません。

 例えば、県の判断によって、それぞれの地域の事情によって、これから多額と見込まれる維持、修繕、改修のために必要な財源を確保するためなんだということで、料金を徴収し続けることができるという適用緩和を私は行うべきではないか、行うことを検討すべきではないかと考えるんです。先ほど大臣は、他の委員の方の御質問に対して、国の税金だけでやるのではありません、民間の力を使ってもやるんですというお話がありました。私は必要なことだと思います。

 と同時に、利用者が払う料金を使って、古くなる道路や、地域の中で維持、修繕が必要な道路の補修を行っていくという仕組みも私は極めて大事な方策ではないかと考えるんですけれども、この点についての御見解、お考えを伺います。

太田国務大臣 有料道路は、借入金によって建設をしまして、通行料金によって償還する、そして償還後は無料開放、これが原則になっています。

 今御指摘の道路整備特別措置法第十五条、これは指摘されたようにかなり厳しい措置で、三カ所と言いましたが、確かに、関門トンネルのところ、これは相当水が出たり、工事も難しい。そして、神奈川の真鶴道路、これは海抜下のトンネルということもある。そして、富士山有料道路、これは貴重な観光資源というような、本当に厳しい条件で、それだけということになっています。

 こうした中で、老朽化が本当に進んでいるということもありまして、維持補修費等の増大が見込まれているということにどう対応するかという目の前に迫っている課題につきまして、この原則、そして厳しさというものは当然踏まえるんですけれども、そこで、この時点に立って、将来にわたって安定的な財源を確保することは重要であるというふうに私は考えておりまして、その意味では、この関係性も含めて、今後のあり方について検討を進めていきたい、このように思っております。

三日月委員 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 本日は、道路法等の一部改正に関する法律の中で、特に無電柱化について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、国交省にお尋ねしたいと思いますが、今回の無電柱化、電柱の地中化において、どれぐらいの防災効果が上がると試算されているのか、お尋ねしたいと思います。

前川政府参考人 これまでも、地震の発生時、また台風等の災害の発生時におきまして、道路上に設置された電柱等が倒壊をいたしまして、住民の避難や緊急車両の通行に支障を来したことがございました。無電柱化は、このような事態を未然に防止する効果があると認識をしております。

 また、電力や通信サービスの供給面から見ても、例えば電線類を地中化した場合の被害率は、架空線に比べまして、阪神・淡路大震災の例では、通信線の場合は八十分の一、電力線の場合は約二分の一だったというデータもございます。

 そういった意味で、無電柱化の効果は大変高いものがあるというふうに考えております。

西岡委員 東日本大震災の経験として、先ほどおっしゃられたように、そういった効果があるということでありまして、特に、命の道としての緊急輸送路の確保は必要不可欠であると思っておりますし、国交省が先ほどの無電柱化の説明の際にはよく写真で見せていただくように、災害で電柱が道路をばたばたと倒れていく写真を見ると、それによって緊急車両の通行が妨げられるのであれば、やはり改善していくべき点だと思っております。

 今後、三十年以内に、南海地震が六〇%、東南海が七〇から八〇%、首都直下型地震においては七〇%の確率で発生することが予測されている中で、期限目標をしっかりと決めて取り組んでいくべき課題であると思います。

 今現在の電柱の地中化の状況においては、これまでの都道府県別の市街地等の幹線道路の無電柱化率を見てみると、ばらつきがあって、一番高いところでは島根県の三三%ということでありますが、低いところでは実は我が愛媛県の七%、これは北海道と奈良県も同じであります。そういう状況であり、また、東京二十三区や政令指定都市のような大都市でも、市街地等の幹線道路の無電柱化率は、東京二十三区でも四一%、また大阪市でも三五%というふうになっておりまして、まずまずなんですけれども、それ以外の政令指定都市においてもやはり二〇%以下の達成率ということで、非常に低いというような印象を受けております。

 歴史的背景も違うんでしょうが、諸外国では、パリだとかロンドンなんかは完全に無電柱化されておりまして、そういうふうなところから比べると我が国はおくれているなというような指摘もあるんでしょうが、愛媛県に聞いてみると、無電柱化対策として五カ年計画を立てながら毎回取り組んでいるということでありまして、もう既に七期目に入っているというような状況であります。しかしながら、五カ年計画では、五年で大体五キロから六キロ程度の達成でありまして、一年に換算するとやはり一キロちょっとしか電線の地中化ができていないというような状況であります。

 おくれている理由としては、市街地では歩道の幅員が狭くてスペースを十分確保できない路線が多いとかの理由があるようですが、私が感じるところでは、やはり、ミッシングリンクとか、田舎では道路の整備が優先されているのではなかろうかというような印象を受けております。

 恐らく、多くの地方自治体が同じような認識を共有しているのではないかと思っておりますし、また、今回の法改正によって、地方自治体の意識改善について国交省がどう取り組まれていくおつもりなのかをお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 委員御指摘のように、パリ、ロンドンは電線の地中化率一〇〇%でありますが、我が国におきましては、最も整備が進んでいる東京二十三区におきましても四一%と、いまだ低い状況だと考えております。

 地方の方でございますが、地域によっては、地域の活性化また観光振興の観点から、無電柱化を積極的に進めている地方公共団体もございます。例えば、川越市でありますとか金沢市でありますとか、そういったいろいろな観光地で、地域資源を生かして積極的に無電柱化を推進していると考えております。

 ただ、全般的に申し上げますと、地方公共団体におきましては、大変財政事情が厳しいということもございまして、どちらかというと新設の道路の整備を優先して、無電柱化のところまで予算が回らないという実態があるというふうなヒアリングもさせていただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、無電柱化の必要性につきまして地方公共団体の皆様に一層の周知を図りますとともに、社会資本整備総合交付金等によりまして財政的な支援も行いながら、より一層の整備が進むように努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 先ほどのお話でも予算が回っていないというようなことでありましたが、現在の緊急輸送路における無電柱化の達成率というのは、一体どれぐらいでありましょうか。

前川政府参考人 お答えをいたします。

 緊急輸送道路につきましては各地域ごとに地域防災計画に位置づけられておりますけれども、全国の延長を合計いたしますと、二十三年度末の数字で、高速道路を除きまして、緊急輸送道路、八万四千キロございます。このうち、無電柱化されているのは約七千キロということでございます。

 必ずしも残り七万七千キロ全てを無電柱化しなければならないというわけではないと思いますけれども、七千キロを八万四千キロで単純計算いたしますと、八%という状況でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 私の地元の愛媛でも、観光地である道後温泉などはもう既に無電柱化されておりまして、これまでは、無電柱化というのは、防災というよりも、景観とか観光とか、そういった側面が強かったと思っております。言ってみれば、それこそ、ぜいたく品というような感覚があったのではないかというように思っておりますが、そういったことが昭和六十一年から取り組みが始まって、いまだその達成率が低いというような現状を生んでいるのだと思います。

 しかし、これからは、防災の観点からしっかりとした取り組みをするべきであって、先般審議をさせていただいた大規模な建築物の耐震診断そして改修についても、五千平米以上の建築物に関しては民間所有のものであっても義務化をしようというような話でありましたから、本来、重要な緊急輸送路というものに関しては、それこそ無電柱化を義務化してもいいんじゃないかというふうに思っておりますし、これはやはり国がリーダーシップをしっかりとりながら進めていかなければならないというふうに思っています。

 防災・減災の観点から、国交省のこの問題への取り組み、そして、指導はどのように変わってきておりますか、お聞かせいただければと思います。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の法改正によりまして、各地のそれぞれの道路管理者が、防災上重要な道路につきまして、道路の区域を指定して、占用の禁止または制限を行うことができるという規定でございます。

 国土交通省といたしましては、各道路管理者が区域の指定に当たっての参考となりますように、指定の考え方について、その目安を示し、周知をして、指導をしてまいりたいというふうに考えております。

 特に電柱の占用につきましては、電線管理者等と調整を行う無電柱化協議会が地方ブロックごとにもう既に設立されておりますので、そういう協議会の場を通じまして、本制度の趣旨、また指定の考え方の目安を関係者の皆様に御理解していただくように取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 占用の問題なんですけれども、金子委員長もメンバーで役員をされていらっしゃいます自転車活用推進議員連盟、これは超党派の議連で、八十名ほどの国会議員が参加をしておりまして、前自民党総裁の谷垣法務大臣が会長であります。先般、その議連の中に自転車活用プロジェクトチームというものが立ち上がりまして、私もそのメンバーに入れてもらいまして、自転車振興にも取り組んでおるところなのであります。

 無電柱化の推進によって道の幅が広がるということは、安全で快適な通行空間の確保のためにも非常によいことであると思いますし、また、昨年、京都府の亀岡で起きました、登下校中の児童に自動車が突っ込んでいくというような事故を初め、同様の事故が相次いで発生した事件もございました。緊急車両の通行の確保としての緊急輸送路の電柱の地中化に加えて、私は、やはり避難路の確保、これは、当然、学校などは避難所になるわけでございますから、いわゆる住民が逃げる道路の安全面の確保ということを通じて、通学路などに占用制限をかけていって、子供の通学路の安全やバリアフリー化も図るべきだと思っております。

 そういった観点からも、この際、積極的に取り組んでいくべき問題であると思いますが、その点の国交省としての御見解をお聞かせいただければと思います。

梶山副大臣 お答えいたします。

 本法案によりまして、道路管理者が新たに占用を禁止または制限する道路の対象といたしましては、地方公共団体が策定をします地域防災計画に位置づけられている緊急輸送道路、そして、今委員が御指摘の避難路をまた想定しております。

 このため、住民が避難するために必要な箇所につきましては、占用の禁止または制限などの取り組みが進むよう、関係者と連携してまいる所存でございます。

 また、御指摘の通学路につきましては、昨年四月以降相次いで発生しました事故を受けまして、学校、PTA、警察、道路管理者等の関係者が緊急合同点検を行いました。安全対策が必要な箇所の整備は、予算を手当てして、進めているところでございます。

 この対策の実施に当たりましては、無電柱化等の関連施策についても一体的に進めることとしておりまして、無電柱化に関する協議会とも連携をしながら、安全な歩行空間を確保する取り組みを進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ぜひ、通学路のことに関しても、やはり将来を担う子供たちの安全を守るということで、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、電柱の地中化となりますと、電線共同溝に電線等を通していくわけでありますが、この共同溝の耐用年数、これは税法上でコンクリートなどは六十年というような話でありますけれども、この耐用年数が一体どれぐらいなのかということと、その維持費用に関してはどれぐらいかかってくるのか。

 また、全般的な話にもなりますが、今後重要になってくる社会資本のメンテナンスにおける技術者や維持管理者の育成に関しても、我が党内においても意見が出たところでもありまして、国交省も同法案の提出には問題意識を共有していると思っておりますが、この技術者や維持管理体制についての国交省の見解もあわせてお聞きしたいと思います。

前川政府参考人 三点御質問をいただきましたので、一つずつ御説明をさせていただきます。

 まず、一点目の電線共同溝の耐用年数ということでございますが、共同溝の箱自体は、コンクリートでございますので、かなり耐用年数はあると思っておりますが、その中に鋳鉄製の配管が入ったりしておりますので、そういった意味では、財務省の減価償却資産の耐用年数等に関する省令によりますと、鋳鉄製の配管の耐用年数は三十年というふうにされているところでございます。

 二つ目の電線共同溝に入った場合に点検や修繕の費用が高いのではないかということでございますが、そういったことが生じないよう、電線共同溝に入溝していただく場合に、インセンティブを与えるために、点検や修繕の費用も考慮して占用料の減額をいたしているところでございまして、電線管理者の皆さんに大きな負担が生じないようにしております。

 それから、三点目でございますが、電線共同溝に限らず、地方公共団体が管理する社会資本についての技術者の不足の問題でございます。

 先ほどからも一部議論があったところでございますが、特に市町村におきましては、必要な技術でありますとか専門知識を持った職員が不足していると聞いております。

 このため、地方整備局、また国総研等の研究機関が中心となりまして、維持管理、更新に関する基準等の情報提供、また職員等に対する研修、さらには施設に重大な損傷があった場合の技術的な支援などにより地方公共団体を支援しているところでございまして、今後とも、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

西岡委員 ぜひ、よろしくお願いします。

 今回の法改正で、新たに無利子貸付制度というものが創設されて、これは地方公共団体を通じて電線管理者に貸し付けるというような制度だと思いますが、確かに、この制度では無電柱化の実施が早まるかもしれません。

 私もそう願いたいと思っておりますが、平成二十五年度の電線敷設工事資金貸付金として、三億円が計上されています。しかしながら、電線共同溝の一キロ当たりの費用というのは約六・八億円かかっている。内訳として、道路管理者が約四・五億円、電線管理者が約二・三億円なんですね。それほどの費用がかかるのに、一体この三億円でどの程度できるのかなというような疑問があります。また、単純に四十七都道府県で割ってみますと、非常にわずかな額でしかないというような状況で、これは果たして大丈夫だろうかというふうに思っております。

 予算も含めて、国交省として、この制度の創設でどれぐらい効果が期待できるのかをお聞かせいただければと思います。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二十五年度予算におきましては、無利子貸付額として三億円を計上させていただいております。

 この三億円によりましてどのぐらい整備が進むかということでございますが、電線管理者の負担に対しまして国と地方があわせ貸しをするといったようなこととか、費用のうちの二分の一をめどに無利子貸し付けを行うとか、そうしたことを前提として計算いたしますと、この三億円によりまして、電線共同溝六千メーターの整備の促進が図られるというふうに考えております。

 もちろん、電線共同溝の整備に当たっては、地方公共団体に対しまして、社会資本整備総合交付金等で御支援をしておりますので、こういった交付金とあわせてこの無利子貸付制度を活用することによりまして、より一層の電線共同溝の整備につながっていくというふうに考えております。

 なお、本制度の周知、さらなる活用によりまして、予算が足りない場合には、必要な予算を確保していくよう努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 六千メーターということで、それで大丈夫かというような思いはすごくありますが、限られた予算の中で、国交省としても苦肉の策であるのかもしれませんので、ぜひ前向きに進めていただきたいと思っております。

 それと、例えば私の地元の四国を無電柱化する場合には、どこをやるかというのは四国地区無電柱化協議会において決定されるわけでありますが、メンバーとしては、四国地方整備局や四国総合通信局、四国経済産業局、そして、警察と四国四県に加えて、四国電力やNTT西日本など営利企業が八社ほど入っているんですね。

 これだけの営利企業が入っていると、その時点で、各社の業績のよしあしだとか、そういったものが影響して、なかなかコンセンサスを得づらいんじゃなかろうかというふうに思っております。

 しかも、電力会社、四国電力は愛媛県に伊方原発を持っておりますけれども、この伊方原発が長期間停止をしておって、今、火力発電に頼っている状況で、燃料費の高騰で業績が大幅に悪化しているというようなことで、ことしの七月から料金を値上げするというような話なんです。

 そういった中にあって、電力会社のこういった経営状況の中、果たして十分な役割を果たせるのかというふうに思っておりますし、国交省としてはどういう体制を構築して取り組んでいくのかということをお尋ねしたいと思います。

梶山副大臣 委員御指摘のように、今、全国を十ブロックに分けまして、各地方で無電柱化協議会を設置してございます。

 今、電力会社の業況についてお話がありましたけれども、これまでは、そういったことも含めて、認識を共有しながら実施するかしないかということを決めてきたわけですけれども、原発事故以降の電力会社の状況を考えてみると、委員の御指摘のようなことも生じてくると思いますので、これらにつきましては、これからまた少しこちらで考えさせていただきたいと思っております。

西岡委員 確かに、非常に難しい問題でありますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 無電柱化については、国交省として、ここまですれば安全だよというような、安全宣言じゃありませんが、防災上の安全を確保できるという目標とか最終形というものがちょっと見えづらいところもありますので、今回の取り組みについて大臣から、どこまでいけば安全だというふうに言い切れるのか、必ずしも言い切れるものではないと思いますけれども、そういった決意をお教えいただければと思います。よろしくお願いします。

太田国務大臣 どこまでかというよりも、防災上重要な道路について無電柱化を図るということだと思います。

 これには、実は沖縄なんかは、台風によって一気になぎ倒されてというところもあります。津波によってというようなことも今回ございます。また、液状化という現象が起きたがゆえに、電柱が本当に倒れてくるというようなところもあります。

 しかし、先ほど大畠先生の質問の中にもありましたが、道路というものは一カ所やられると全部の長さがやられるということですから、こういうことがないようにということで、遮断されるというその区間だけでなくて、どういうふうに、ここが倒されたらだめなんだということの重要性、防災上の重要な道路ということで私たちは考えて、東京の中では、二十三区では四一%できている。ところが、全国では一割。しかし、それは地域によって、みんな東京のようにというのはまた違いますから、とにかく防災上重要な道路を優先するという角度で進めていきたいというふうに思っているところです。

西岡委員 ぜひ、防災上重要な道路を優先的にやっていただいて、しっかりとした国民の安全を守る施策に取り組んでいただきたいと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 今回は、水防法及び河川法の一部を改正する法律案について質問をしたいと思います。

 私自身が、大阪の大和川といいます一級河川の横で生まれ育ちました。そしてまた、以前に大和川の水防団の議会の議員をしたり、あるいは土地改良区の事務のお手伝いをしたりということで、多少こういう部分には思い入れがございますので、いろいろとお聞きしたいと思っております。

 まず、今回の改正案に関する背景、これは、近年の気候変動の特徴、こういったものも当然あると思います。あるいはまた、その他の部分もあると思いますけれども、その辺の背景をまず詳しくお聞かせいただきたいと思います。

足立政府参考人 今回の法改正の背景について、五点ほど御説明をさせていただきたいというふうに思います。

 まず一点目でございますけれども、近年、集中豪雨が頻発してございまして、時間雨量百ミリを超える局地的な集中豪雨も全国各地で記録をされてございます。平成二十三年には、台風十二号によりまして、紀伊半島で場所によりましては総降水量が二千ミリを超える記録的な大雨となりまして、大きな被害が発生しました。また、昨年の七月の九州北部豪雨では、これまでに経験したことのない大雨ということで、一級河川矢部川の直轄管理区間の堤防が決壊するなど、大きな被害が発生してございます。

 このように豪雨災害が深刻化する中で、水防団員の減少により、地域の水防力の弱体化が進んでございます。こうしたことから、水防団だけではなく、河川管理者、民間事業者など多様な主体の参画によりまして、地域の総力を挙げて水防力を強化することが求められてございます。

 このような状況を踏まえますと、河川管理と水防との連携を一層強化することが求められることから、河川管理者の水防への協力について法律上明確化し、連携をより確実なものにしたいと考えてございます。それが一点目でございます。

 二点目は、都市水害のリスクが増大する中で、地下街だとか高齢者の皆さんが利用する施設、大規模な工場など、一旦浸水が発生した場合に、社会的に極めて深刻な被害が発生するおそれがございます。タイの水害の際に、進出している日本の企業のみならず、サプライチェーンに国際的にも深刻な影響を与えたことも記憶に新しいところでございます。

 こうしたことから、浸水の想定される区域内にあります地下街だとか要配慮者の利用施設、大規模工場等の事業所などにおきまして、避難の確保や浸水の防止に関する計画をあらかじめ作成するとともに、訓練を行ったり、自衛の水防組織の設置をしまして、民間事業者みずから防災力の強化を図っていただくことが重要というふうなことでございます。これが二点目でございます。

 三点目が、河川管理施設につきましては、きょういろいろ御議論がございました他のインフラと同様でございまして、設置後四十年以上のものが四割を超えるなど、老朽化が懸念をされてございます。このため、河川法におきましても、施設を良好な状態に保つよう維持、修繕すべきことを明確化し、その基準を策定することで、施設の適確な維持管理を図ることとしたいというふうに考えてございます。これが三点目でございます。

 四点目が、近年、河川環境の保全など河川管理に資する活動を行っている民間団体、これは大和川でもそうでございますけれども、非常に増加してございます。そのような地域に根差した団体に河川管理のパートナーとして活動していただくことにより、河川管理の充実を図りたいというふうに考えてございます。

 五点目でございますけれども、環境・エネルギー問題の深刻化に伴いまして、クリーンエネルギーである水力に再び注目が集まってございますけれども、小水力発電による再生可能エネルギーの導入促進が非常に重要な課題というふうに認識してございます。

 以上のような主に五つの課題の解決のために、今回の法改正の審議をお願いしているものでございます。よろしくお願いしたいと思います。

三宅委員 本当に詳しく御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 次に、さっきの大畠先生の御質問にもあったんですけれども、あの質問は道路法の方なんですけれども、これは都市の基盤整備といいますかインフラ、こういったものが本当に多く耐用年数に近づきつつある、あるいは一部には超えている部分もあると思うんですね。そういった老朽化に対して、これからいろいろと対応していかなければならない。今、その老朽化の現状、こういったものをちょっとお聞きしたいと思います。

 河川の施設につきましては、管理者がつくった施設、あるいはまた管理者の許可を得てつくった施設、こういったものは相当数全国にあると思うんですけれども、その辺の老朽化に対応しなければならない施設、あるいは全体の数、こういったものをちょっとお答えいただきたいと思います。

足立政府参考人 河川の施設の老朽化についてお答えをしたいと思います。

 河川の主要な施設であります堤防につきましては、原則土でつくられておりまして、長年にわたって築造と補修を繰り返し、現在に至っております。そのため、材料そのものに劣化というものを生じているわけではございませんけれども、沈下や洪水の作用で変形やひび割れを生じるなど、点検や補修などにより適確に維持管理することが極めて重要でございます。

 昨年七月の先ほど申しました九州の北部豪雨によりまして堤防に多くの被災を生じたことから、全国の堤防の緊急点検を行いました。その結果、流下能力の不足や浸透だとか侵食に対する対策が必要な延長として、国の直轄管理河川では約二千二百キロで対策が必要だというようなことが明らかになりまして、現在、優先順位をつけながら対策を進めているところでございます。

 一方、先ほど委員からもお話がございましたとおり、河川にはさまざまな設備がございます。水門や樋門、樋管など、こういった構造物につきましては、全国に約一万の数がございます、これは直轄でございますけれども。施設設置後四十年を経過した施設が全体の約四〇%を占めてございまして、十年後には六〇%に達するということでございます。このように古い施設が増加しておりまして、老朽化に伴う水門だとかポンプ場だとかの機械設備の故障等が懸念されるところでございます。

 さらに、委員御指摘のとおり、管理主体はいろいろありまして、先ほど申しました直轄以外にも、都道府県で管理されている河川もございます。それから、許可工作物、こういったものもございますが、こういった構造物につきましても、老朽化については同様な懸念がございます。さらには、管理者によって管理レベルに顕著な差も見られることから、一部の都道府県の管理の河川におきましては、老朽化が原因と見られる護岸の損傷で背後地に被害を生じた事例もあるというふうに聞いてございます。

 このように、河川においては、老朽化に伴うさまざまな課題が顕在化してございまして、必要な対策を講じていくことが急務であるというふうに考えてございます。

太田国務大臣 私が局長のほかに感じますのは、一つは、異常な水害というのが目立つということがありまして、去年の七月の九州の豪雨は、今までの河川という水を扱っている人たちにとっては余りなかったことだと思うのです。今まで越流することが多かったんですが、浸透破壊といいまして、中を通って堤防が破壊されるという新しい事態が起きたというようなことがありまして、これは老朽化との関係がどうかという問題はあるんですが、一つ、ここは新しい事態として考えなくちゃならない。

 東京等で、私の選挙区も含めて、水門があるんですが、水門とかそういうことについては、去年までは震度六強ということで首都直下地震というのは設計されていたんです。ところが、去年、震度七があるよという事態が起きたものですから、全部水門とか樋門を点検し直さなくちゃいけないという事態に新しくなりました。

 ですから、老朽化対策ということだけでなくて、新しいそうした地震の対応であるとか水害の対応で、技術的にも、土木工学的にも、新しいそうした対応がどうしても必要になったということが、老朽化プラス新しい要素が加わっているということがあると思います。

三宅委員 大臣は土木の専門家でございますので、今非常にわかりやすく御説明いただきまして、理解できました。

 うちの近所の大和川もそうなんですけれども、水門が幾つかございまして、これは元来は農業用水の取水口としての水門だったんですね。ところが、環境の変化といいますか、農地が非常に大幅に減少してしまいまして、用水路としての水門が要らなくなった。しかも、川底が水流によってずっとえぐられてきて、もともとの水門の位置よりも今の水流の流れの高低差が非常に大きく乖離してしまいまして、とれなくなってしまったんです。

 こういった環境の変化によって不必要になった水門等の整備等もこれからやっていかなくてはならない。相当大規模な予算もこれから必要になっていくと思いますけれども、今後、そういったものも含めて、国土交通省としての対応というものを基本的にどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。

足立政府参考人 老朽化対策の国土交通省の取り組みについて御説明を申し上げます。

 国土交通省では、昨年十二月に、太田大臣のリーダーシップのもとに、大臣みずからを議長とする社会資本の老朽化対策会議を設立いたしました。本年三月には、社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置を取りまとめまして、国土交通省全体として、全力を挙げて老朽化対策に取り組んできたところでございます。

 河川管理施設の老朽化対策につきましても、大臣から、メンテナンス元年としてしっかり取り組むようにという御指示も受けてございます。

 こうしたことを受けまして、今回の法改正で、具体的には河川管理施設等の管理者、許可工作物も含めてでございますけれども、こういった施設を適切に維持、修繕すべきことを明確化する規定を新たに設けるとともに、点検の方法だとか、点検を踏まえた適切な修繕の実施について技術的な基準をつくるというようなことを定めることといたしました。

 そうしたことによりまして、河川管理施設のみならず許可工作物も含めまして、委員御懸念のような点も含めましてしっかりとした対応を進めていきたいというふうに考えてございます。

三宅委員 今回の改正の背景として、地域の水防力の低下に対応するために水防の担い手の拡大が必要、これは非常に大きな要素なんですね。では、水防活動の中心は何かというと、水防団ですね。

 これは、全国に水防団は数多くあると思います。それから、水防団員の方々は相当数いらっしゃると思いますけれども、こういったものもかなり維持が困難になってきているんじゃないかなというふうなことがうかがわれるんですね。

 これは、私の地域一つとりましても、消防団と水防団、両方あるんですね。消防団の方は、何といいますか、やはり希望者といいますか、これが非常に多いんです。順番待ちみたいな感じなんですね。ある程度順番を待っていないと消防団に入れない。これは、うちらの地域の青年からしますと、消防団に対する一種の憧れみたいな部分があるんですね。いつも消防車に乗って、格好いい制服で地域を回って、訓練といっても放水訓練というのは、これは格好いいですね。

 ところが、水防団の方は非常に地味で、消防車に乗って地域を回って、こういうこともないですよね。水防訓練といいますと、川に行って土のうを積んだりとか、非常に地味で、ぱっと見も魅力というものが余り感じられないということで、水防団員の高齢化、この部分も相当懸念されるわけです。私の身内でも、七十過ぎて水防団に入っていたようなこともありますし、水防の中心的な組織、水防団に対しましてどのような対策を今後講じられるのか、あるいはどのような認識をお持ちなのか、ちょっとその辺のところを聞かせていただきたいと思います。

 過去からの推移も相当あると思いますね。団員の確保というのも相当困難になりつつあるんじゃないかなということも考えられるんですけれども、そのあたりも含めてお答えいただけますでしょうか。

足立政府参考人 委員よく御承知の水防団の課題について御説明を申し上げます。

 水防団の課題には二つ種類がございまして、団員の構成に関する課題と、水防団の活動自体についての課題、二つあるというふうに考えております。

 水防団の団員の構成についての課題ですけれども、全国の水防団は約二千四百組織、水防団員は約八十九万人おりますけれども、その数は、御指摘のとおり年々減少してございまして、平成元年当時と比較して一割以上、今減少しているということでございます。

 また、年齢構成について見ますと、六十歳以上の方は四・五%ということでございますけれども、その割合は年々増加しているというようなことで、高齢化の進行が懸念されているところでございます。

 またさらに、水防団員の約七割がサラリーマンということになってございまして、平日には勤務があって参集ができないとか、十分な水防活動ができない、そういう懸念もございます。

 一方、水防団の活動に関する課題でございますけれども、水防団の活動自体は、大雨が降っているときに人目に余りつかない川沿いの地域で一生懸命活動されていることが多いということで、先ほどお話がありました消防団の消火活動と比較して、なかなか認知度が低いというようなところが課題だというふうに思います。

 また、危険を伴う活動に従事する方々は、安全確保だとか効率的な作業、こういったものが求められますけれども、伝統的な工法だとかいったものを中心としておりまして、必ずしも技術開発だとかいったものが十分ではないというところも課題ではないかというふうに思います。

 このように水防団の抱える課題は多岐にわたっておりますけれども、そういったところを少しでも解消するようにということで、今回、水防法の改正案において、水防活動へ多様な主体の参画を進めるための規定を設けるということにいたしました。

 河川管理者が水防団との連携を日ごろから密にするというようなことで、例えば情報の提供だとか資器材の提供だとか、そういったことをしっかりやるということで規定を設けましたし、それから、水防団によります活動だけではなくて、民間の方々にも水防活動に参画していただこうということで、今回の法改正に取り組んでございます。

 具体的に申し上げますと、最初の背景のところで申しました地下街とか高齢者の配慮を要する施設だとか大規模工場だとか、そういったようなところの事業者の方々にあらかじめ、水防にかかわるような計画をつくっていただいたり、訓練を行っていただいたり、自衛の水防組織をつくっていただく、こういうようなことを規定するということで、委員御懸念の、やはり地域全体の水防能力が落ちているところを何とか回復していきたいというふうに考えてございます。

三宅委員 今御説明いただいたんですけれども、今回の法改正につきましては、河川協力団体制度の創設、それが今おっしゃったようなお話になってくると思うんですね。水防協力団体、自衛水防組織、こういったものもこれからは認めていこうというふうなことであります。あと、一級河川なんかで、毎年、クリーンキャンペーン等もやっておられて、地域住民にとりまして、河川の清潔といいますか、環境をより向上させて、親しみやすいようにいろいろと持っていかれると思うんです。

 大阪の淀川なんかですと湾処というのがありまして、水たまりのところですね、ここには日本の固有種の魚、イタセンパラとかバラタナゴとか、こういったものもあったんですけれども、一時期、ブルーギルとかああいうふうな洋種の魚によって駆逐されて、ほとんどいなくなった。ところが、最近はまた復活しつつある。これは地域の方々の協力の結果だと思うんですけれども、こういったものを通じて、近隣の地域あるいはまた住民にとりまして、川に対する理解と愛情を深める、そういうふうな施策も必要じゃないかなと思うんですけれども、このあたりはいかがでしょうか。もし、ございましたらお願いいたします。

太田国務大臣 本当にそう思います。これは、河川敷を利用するということになると、我々政治家は、どちらかというと、グラウンドを確保するというふうなことによくなるんですが、本当に、夏休みに川で釣りをするようにとか、あるいはビオトープ的なもので自然のものを特別につくって、地域のボランティアがやって環境教育に使っていくとか、いろいろな水辺空間の使い方という中には、自然に親しみ、水に親しみ、そして自然との共生ということの教育効果というのは物すごく大きいと思いますね。

 そういう人たちは水に対する愛着もあるし、水の怖さも知っているということがあって、今回、そことの協力も得て、水防ということに協力をしていただくというようなシステムをつくったというふうに思っているところでございます。

三宅委員 それから、今回は、再生可能エネルギー、小規模な水力発電、こういったものも推進していこうということですね。その部分、ちょっとだけ、また御説明いただけるでしょうか、時間もございませんのでちょっとで結構です。

松下大臣政務官 委員御指摘のとおり、我が国の電力需給が逼迫する中で、再生可能エネルギーの導入拡大は非常に重要な課題となってございます。

 御指摘いただきましたように、水力に関しましては、発電効率も高く、自給的かつクリーンなエネルギーでございます。水力の中でも、既存の農業用水路を利用するなど、大規模な投資が不要な小水力発電が注目されてございます。

 先日、私は、栃木県の那須地域の小水力発電の視察をしましたので、ちょっと紹介させていただきますと、こちらもやはり農業用水を利用したもので、もう二十年経過しているんですけれども、大変順調に経過しております。

 具体的には、那須野ケ原発電所、最大出力三百四十キロワット、百村第一、第二発電所、最大出力合計百二十キロワット、全部で約二百世帯分の電力を賄っておりますけれども、こういった農業施設の維持管理に使うとともに、余剰電力を売電するなど、エネルギーの地産地消が図られております。ごみがたまったりするんですけれども、それに地域の皆さんが協力して熱心に取り組んでおられました。

 こういった既存の施設を利用した小水力発電につきまして、今回の法改正によりまして登録制が導入されまして、小水力発電の導入が促進されることになります。大幅に事務が軽減されることで、地域のエネルギー需給の緩和や地域経済の活性化に寄与すると考えております。

 以上です。

三宅委員 今、松下先生のお話を聞きまして、非常に大きな期待を抱かせるような話だと思います。環境にもいいですし、これに対して異論を唱える方はほとんどいらっしゃらないんじゃないか。あるいはまた、いろいろな大きな可能性というものを我々が感じ取れるようなことを精いっぱい、またこれからもこういった部分を推進していっていただきたいと思います。

 今回の水防法及び河川法の改正にかける大臣の思いを最後にお聞かせいただきたいんですけれども、これはやはり、法律案の提案理由説明の中でも、近年、全国各地で豪雨災害が多発する中で、水防活動及び河川管理をより一層充実させるとともに、その連携を強化することが求められているというふうに説明がございました。基本的な河川管理に対しましての理念といいますか、考えというものを非常に大きく今回は変えられたと思うんですね。

 その辺のところに対しましての大臣の思いをちょっとお聞かせいただけたらと思います。

太田国務大臣 豪雨とか、それから津波の河川遡上、そして水辺の使い方、また水門の体制、いろいろなものの中で、いろいろなことが従来とは違っているのに、今そのまま来ていて、そして野球をするなら野球するとかばらばらになっているというのを、一遍、我が地域の財産であるこの水辺、そして河川というものをしっかり防災という観点でも、また河川敷も含めた水との親水という意味でも守っていこうよということが、今回、大事な理念であろうというふうに思っています。

 川については、従来、日本は伝統的に、コンクリートから人へとか、いろいろなコンクリートはとかいうことはあるんですが、河川工学の一番の基本は、日本の川とのつき合いは非常に長く、川をなだめるというのが、これが河川法、そして、日本の伝統的な河川治水というものは、自然との共生の中で、暴れてしまう川と共生しながら生きていく、川をなだめるというのが基本哲学であったと思います。私は、その川をなだめるということの基本理念に沿った体制をつくるというのが今回の河川法改正、水防法の改正であろうというふうに思います。

 小水力については、私もこの間、青森で見てまいりまして、大きいところもあれば小さいところもあって、農業用水とのぶつかり合いが物すごくあるものですから、登録制で、一つ一つ隘路を決着をつけて、やりやすくしたというのが今回の特徴でもありますものですから、いろいろな地域でいろいろなレベルでの小水力に挑戦していただいて、モデルが全国的に波及していくということがあればというふうに強く願っているところでございます。

三宅委員 今のお話をお伺いしておりまして、古来からの日本の河川に対する考え方、これは古事記、日本書紀にも書かれておりますけれども、そういったものも含めて、今回非常に大幅に改正された。いろいろと大臣以下の御答弁をお聞きしまして、非常に大きな共感を覚えました。丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 これをもって質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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