第11号 平成25年5月14日(火曜日)
平成二十五年五月十四日(火曜日)午前八時三十分開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 大塚 高司君 理事 土井 亨君
理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君
理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君
理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君
青山 周平君 赤澤 亮正君
秋本 真利君 井林 辰憲君
岩田 和親君 大西 英男君
門 博文君 川田 隆君
後藤田正純君 國場幸之助君
斎藤 洋明君 坂井 学君
桜井 宏君 笹川 博義君
白須賀貴樹君 中村 裕之君
長坂 康正君 林 幹雄君
原田 憲治君 平口 洋君
ふくだ峰之君 前田 一男君
宮崎 謙介君 宮澤 博行君
務台 俊介君 若宮 健嗣君
泉 健太君 大畠 章宏君
奥野総一郎君 辻元 清美君
寺島 義幸君 若井 康彦君
上野ひろし君 坂元 大輔君
西岡 新君 三宅 博君
佐藤 茂樹君 樋口 尚也君
柿沢 未途君 杉本かずみ君
穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
総務副大臣 坂本 哲志君
国土交通副大臣 梶山 弘志君
国土交通副大臣 鶴保 庸介君
国土交通大臣政務官 赤澤 亮正君
国土交通大臣政務官 松下 新平君
国土交通大臣政務官 坂井 学君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 深澤 淳志君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 西脇 隆俊君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 足立 敏之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 前川 秀和君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 山縣 宣彦君
政府参考人
(海上保安庁長官) 北村 隆志君
国土交通委員会専門員 宮部 光君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
井林 辰憲君 川田 隆君
後藤田正純君 宮崎 謙介君
國場幸之助君 笹川 博義君
桜井 宏君 青山 周平君
泉 健太君 辻元 清美君
大畠 章宏君 奥野総一郎君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 桜井 宏君
川田 隆君 井林 辰憲君
笹川 博義君 國場幸之助君
宮崎 謙介君 後藤田正純君
奥野総一郎君 大畠 章宏君
辻元 清美君 泉 健太君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
水防法及び河川法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
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○金子委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案及び水防法及び河川法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長久保成人君、大臣官房技術審議官深澤淳志君、総合政策局長西脇隆俊君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、港湾局長山縣宣彦君、海上保安庁長官北村隆志君及び総務省大臣官房審議官黒田武一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三日月大造君。
○三日月委員 おはようございます。民主党の三日月大造です。
国土交通委員会、先週に引き続きまして、道路と河川と港湾、老朽化対策、防災対策の法案質疑に臨ませていただきます。
きのうは、海上保安の日で、大臣初め私も式典に出席をさせていただきました。
海でも空でも、また陸、全国各地で、内外問わず、運輸や物流、保安警備のために昼夜分かたず御尽力いただいている現場の皆様方に敬意を表しながら、緊張感を持って、使命感を持って質疑に臨んでまいりたいと思います。
特に、東日本大震災を教訓とした防災対策、経年劣化に伴います老朽化対策をやるという、将来の我が国にとっても極めて大事なテーマでございますので、私は、先週は道路法の改正案のテーマでしたけれども、きょうは、島国日本の生命線であります港湾の防災対策、競争力強化の観点から質疑をさせていただきます。
なお、河川法、水防法の改正案の審議につきましては、後ほど寺島先輩の方から御質疑をいただくことになっておりますので、あわせてよろしくお願いいたします。
まず、港湾法の一部改正法案ですね。
港湾における震災、防災対策、そして海上運送の効率化に資するばら積み貨物の輸入促進、輸入拠点の形成、こういった観点からの改正事項だと拝聴しておりますが、私はいずれも必要なことだと考えております。
まず一点、私たち民主党は、野党時代から、海に関する、港に関する施策は大変重要視をしてまいりまして、特に政権交代以降、政権を担当させていただいた折には、限られた財政資源の中で、港湾の絞り込み、競争力強化に向けた選択と集中、これを、各地の御要望がある中で、どの港も大事な生命線である中で、大変な作業だったんですけれども、港湾の選択と集中、絞り込みをさせていただきました。これは港湾局長も、また港湾局の皆様方にも大変御尽力をいただきました。
また、海洋、海運の成長戦略、これも、あらゆる分野で、海の力、海に向いた力、海からいただける力をもう一回高めていこうということで取り組んでまいりましたし、排他的経済水域の大陸棚の保全や確認、さらには海洋資源を活用していくという取り組みについては、国境離島の保全も含めて取り組んでまいりました。
ぜひ、まず一点、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、社会資本の老朽化もそうです。これからの我が国日本の国家経営もそうです。まず踏まえるべき視点といたしまして、条件、制約条件、変化ということで、前々回の私の質疑の中でも申し上げたんですが、これから日本の人口が減っていく、もう減少し始めている、この局面にあること。その減る人口、とりわけ生産年齢の人口が減るということ。そして、高齢化が進展し、これは国土交通省の報告書の中にもありますけれども、我が国日本の縮退化が進むという状況下にあるということ。さらには、その中で、他の先進国に比べますと非常に厳しい財政状況にあるという財政悪化の局面。その中で、グローバル化の競争に立ち向かい、打ちかっていかなければならないということ。さらには、他の国よりも自然災害による影響を受けやすいという国家であること。その中で、経年劣化の社会資本の老朽化が進んでいるということ。
さまざまな変化の中で、きょうテーマになっております港湾や道路の老朽化対策をしていかなければならないということなんですけれども、前回、大臣の御答弁の中にもありました。四年前の民主党政権下で始めた港湾行政の選択と集中、これは極めて困難な作業を伴いますが、国際コンテナ港湾の絞り込みも行いました。日本海側の拠点港についても決定をいたしました。そして、きょうテーマになりますバルク港湾についても、これは、穀物、鉄鉱石、石炭、それぞれ港の指定、選定をしてまいりました。
私は、競争力強化を進める観点からも、防災対策というものを進める観点からも、この港湾の選択と集中、これは欠かせない、避けては通れない、変えることができない政策の方向性だと思いますが、私たちがこうした行政を行っていく上で踏まえるべき状況の変化に対する御認識と、この港湾行政の選択と集中という流れについての大臣の御見解、御認識をまず伺いたいと存じます。
○太田国務大臣 民主党政権時代に、選択と集中ということで港湾の整備ということに力を注いでいただいたということは、大変ありがたいことだというふうに思います。
私は、政権交代といえども、これは、民主党政権の中でいろいろな困難の中で推進してきた港湾の選択と集中ということは、そのまま継続して、同じ考えで進んでいかなくてはいけないというふうに強く思っています。
特に、国際コンテナ戦略港湾、そして今回の法案審議にありますバルク港湾というところを選択し集中させて輸入拠点としてつくり上げていくという作業はますます大事で、一緒になって、ぜひともこれは推進をさせていただきたいというふうに思っているところです。
特に、世界の中で、今人口の減少ということがありましたが、時代は、私は十数年前から言ってきたんですが、一つは、グローバリゼーションという大きな構造変化。
小泉政権時代に、構造改革、構造改革というけれども、構造改革を政治が偉そうにやるなんという前に、世の中の方が構造変化をしてしまっている、その構造変化というものを直視して対応するということが政治には求められている、私はこういうふうに言いまして、その構造変化としては、グローバリゼーション、そして人口減少、そして環境制約と三つを挙げて、十年間ぐらい主張してきました。
その中で、この三つの大きな変化、そしてプラスして建造物が老朽化している、そしてまた大きな地震が迫っているということをよく見て、強い港湾というものをつくっていかなくてはいけないというふうに考えています。
その中で、きょう御審議をいただいている港湾法の改正は、ばら積み貨物についての輸入拠点となる強化、そして防災対策としての国による航路の啓開、老朽化対策、そしてそのための、特に民間港湾ということについて、その中身を点検作業ができるようにということをもって今回の法改正をお願いをしているということでございまして、一層、民主党政権時代にとった選択と集中の路線をそのまま推進をしていきたい、このように思っているところでございます。
○三日月委員 状況認識ですとか危機感、これは共有できていると思います。
今大臣がおっしゃったように、グローバル化の中で、世界では、例えば港に入ってくる船舶の大型化、これを進めることによって、一度でより多くの荷物を運び、物流コストを低減し、どんと運んで、そこから小分けをして国内に輸送する。これは海からもそうですし陸からもそうなんですけれども、この大型化がどんどん進んでいる。
しかし、日本は、残念ながらそのことに乗りおくれ、そうした大きな船に対応する必要な岸壁水深というものがつくれずにいたという状況を今何とか改善し、おくれた港湾の力というものをもう一回高め直して、国に荷物がしっかりと運んでこられる、そうした対策を講じているところだと思います。
ぜひ、この流れは継続して、さらに一層強化してというお言葉がございましたので、私たちもそのことを見守り、また時には後押ししながら進めてまいりたいと思います。
さて、そうはいっても、東日本大震災で、この生命線である港湾の被災をいたしました。大変大きな被害を受け、まずその点について確認をさせていただきたいと思いますが、港湾局長、東日本大震災で主要な港湾はどのような被害を受けたのか。これは、揺れによるものと津波によるもの、そしてその他の液状化含めたさまざまな被害があったかもしれません。さらには、この被災で、どのような教訓を、私たち、我が国港湾行政は持ったのか。この点について、政府の認識を伺いたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
まず、被災状況でございます。
今回の東日本大震災によりまして、八戸港から鹿島港まで、地方港湾を含めまして三十二の港の港湾施設が被災をいたしております。
先生御指摘のように、まずは地震動、液状化による被害でございますが、仙台湾より南部に位置する港湾で顕著でございまして、地震動によります岸壁や護岸が被災したことに加えまして、液状化により岸壁背後のエプロンあるいは荷さばき地が沈下するなどの被害が発生しております。
また、津波による被害でございますけれども、これは東北地方から北関東に至る太平洋沿岸の広範囲で甚大でございまして、特に八戸、釜石、大船渡、相馬、これらの四つの港では、第一線防波堤、いわゆる港の一番沖側にございます重要な防波堤でございますが、これが全壊または半壊するなどの被害が顕著でございました。
さらに、仙台塩釜港や鹿島港などでは、地震、津波による港湾施設の被災に加えまして、大型船舶が岸壁等に衝突、乗り上げたほか、各港においてコンテナ等の大量の津波流出物が発生いたしまして、これが港内を閉塞し、緊急輸送船の入港の妨げとなるといった災害も発生してございます。
先生、質問ございませんでしたが、東京湾でも、例えば、港湾の直接的な被害は免れたわけですけれども、大津波警報発令後に、各港から港外に一斉に船が退避いたしました。そのため、湾内が非常に混乱いたしまして、特に、一部の大型船舶は、十分な避泊場所、いかりをおろす場所ですけれども、こういったところがなかったために、航路上に待避せざるを得ないといったような避泊場所を探すのが大変困難な状況というものも発生してございます。
次に、教訓でございますけれども、まずは、耐震強化岸壁等が大きな役割を果たしたということ。それから、各港の防波堤が津波に対しまして一定の減災効果を発揮しております。ただ、こういった防波堤が被災したことを踏まえまして、今後は繰り返し何度も襲来する津波への対策が必要だというふうな教訓もございます。
こういった教訓を踏まえまして、震災後、岸壁の耐震化あるいは防波堤を粘り強い構造とするなどのハード対策を講じているところでございます。
以上です。
○三日月委員 今局長、防波堤や耐震強化岸壁という言葉を使って、一定の効果があった、また、対策を講じなければならないといった旨のお話がありましたが、防波堤や耐震強化岸壁というのはどの程度、被害を軽減するために効果があったんですか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
耐震強化岸壁あるいは防波堤、防潮堤等の効果ということでございますけれども、東日本大震災の際には、被災地の八戸から茨城までの五港におきまして、緊急物資輸送用に整備されました六つの耐震強化岸壁がございますが、これについては被災後直ちに利用可能な状況でございまして、生活用の緊急物資あるいは燃料油等の運搬を海上輸送が担ったところでございます。
さらに、石炭、飼料、自動車などの地域産業の継続に不可欠な貨物の輸送に利用されておりまして、被災地の生活再建や産業の復旧復興に大きな役割を果たしたと考えております。
次に、防波堤等でございますけれども、こういった施設によりまして津波の浸入が抑制されたために、津波の高さを低減することができました。津波の到着時間を遅延させるということによりまして住民等の避難時間の確保につながったこともございました。さらに、流速を弱めることで建物等への破壊力の低減などの減災の効果も発揮したところでございます。
例えば、釜石にございます釜石港の湾口防波堤でございますけれども、施設の一部は倒壊しましたけれども、津波の高さを四割低減し、防潮堤を津波が超えるまでの時間を六分遅延させ、また海岸から内陸へ津波が駆け上がる高さ、いわゆる遡上高でございますけれども、五割低減させたといった効果も推計されてございます。
以上です。
○三日月委員 今おっしゃった防波堤、津波の到達時分をおくらせる、また、津波の力を弱める効果があった、遡上高を低める効果もあった、こういった防波堤の効果。また、耐震強化岸壁、被災後直ちに輸送可能な状態になったのは耐震強化岸壁の港が多かった。こういったところは、できるだけわかりやすく私たち国民の側にもっと知らせる必要がある。そのことが、ひいては次の防災対策に対するまた理解にもつながっていくんだと思います。こうしたところをぜひ港湾行政の中でもこれからより力を入れて取り組んでいくべきだと思います。
その際に、被災後、復旧の過程と同時に、次に海洋で直下型もしくは海溝型の地震が起こったときに、長期間にわたって港湾機能が失われることがないように、できるだけ港湾機能を継続して使用することができるようにというBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランをもう一回それぞれの港湾においてしっかりとつくり直しておこうじゃないかという、この取り組みを国を挙げて進めていただいております。
これは、現時点、政府において、港湾、耐震強化岸壁のところは確かにすぐに荷物の積みおろしができた、しかし、長期にわたって使用不可能な港もあった、クレーンもあった、液状化対策もあったという状況の中で、BCPを策定するに当たって、どのようなことが重要だと政府は考えておられるのか。
また、全国の港湾で、南海トラフがある、東南海地震が発生することも想定される、首都直下もありそうだという状況下で、全国のビジネス・コンティニュイティー・プランの策定状況はどのようになっているのか。
はたまた、これは民間の港もございます、国として、どのような支援を行っているのか、また今後、行っていかれる御予定なのか、伺いたいと存じます。
○梶山副大臣 災害時の港湾の機能継続には、港湾周辺から始まりまして、幅広い関係者の協働体制を構築するとともに、あらかじめ復旧に向けた役割分担や行動計画を定めた、今委員御指摘のBCPを策定しておくことが重要だと考えております。
このため、国としましても、港湾管理者等の港湾関係者と連携をして、BCPの策定に積極的に今取り組んでいるところであります。
現在、国及び港湾管理者が中心となって、全国十七港において、各港湾のBCPを検討するための協議会が立ち上がっておりまして、東京港など四港でBCPが既に策定をされているところであります。
今後は、東日本大震災の教訓を踏まえて、今回の法改正により位置づけられています、国の機関や港湾管理者が災害時の対応について協議をする港湾広域防災協議会等を活用しまして、他港との連携体制も盛り込んだ、より広域的な港湾の事業継続計画の策定に取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、これはほかの港湾との連携、この港が使えなくなったというときに、荷主さんとも連携しなくちゃならない、船社とも連携しなくちゃならない、ほかの港湾とも連携しなくちゃならない、そして、産業ごとにやはり港湾の特性というのがありますので、そういうことも含めて連携をとっていくために国がしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
○三日月委員 今おっしゃっていただいたとおり、広域、一つの港湾の中にも多様な主体が経営にかかわっていらっしゃいます。その方々の連携をするための協議会も必要ですし、いざ、その港が使えなくなった場合に、今回の東日本大震災もそうでしたが、例えば油は、例えば物資は、どこから代替輸送してくるのかといった、他の港との連携、他の交通モードとの連携といったものが極めて重要になってくる、その部分で国が支援をするんだということでございますが、十七港で今このBCPの策定に取り組まれ、現時点、四港、四つの港の策定が済んでいるということでございます。
ちなみに伺いますが、大体いつぐらいまでにこのBCPのプランを策定完了する御予定なのか。
○山縣政府参考人 現在、鋭意、各港でこういった策定の作業を進めているところでございまして、現在では四港ということなんですが、これにつきましては、ともかく、各港のまた事情がございます。関係者の非常に多い港とか、先ほど副大臣の答弁にもございましたように、広域的に考えなきゃいけないとか、港湾、港湾でいろいろな状況は違いますが、できるだけ早く策定をさせていただきたいと思ってございます。
○三日月委員 続いて、海上保安庁、きょうは長官にもお越しいただいておりますが、お伺いをいたします。
私、東日本大震災の発災直後から、不明者の捜索また救出、さらには漂流物の調査、除去、水深の測量、また、現在でも行方不明者の方々の捜索、残された、流されたものの回収等々に海上保安庁の皆様方がお取り組みいただいてきた、また取り組んでいただいているということを承知いたしておりますし、現場で、海の上で、船の上で、空の上から御尽力いただいている保安庁職員の皆様方にも心から敬意を表するものでございます。
東日本大震災以降、海上保安庁が果たしてきた役割、行ってきたこと、そういったことについて御答弁いただくと同時に、島国日本の生命線である港の機能を維持回復する、今回の法改正の一つのテーマでもあります、待避場所の確保、保全でありますとか、航路の啓開でありますとか、航路の安全を、例えば地震、津波という自然災害直後に保っておくという観点で、海上保安庁の組織面やまた装備面でどのような改善を今後行っていく必要があるとお考えになっていらっしゃるのか、この二点について、長官、堂々と御答弁いただければと思います。
○北村政府参考人 三日月先生よく御存じのとおりで、今の御質問の中でも、幾つもいろいろな点に触れていただいてありがとうございます。
我々海上保安庁、もう御承知のように、地震発生直後から対策本部を置きまして、全国の船や航空機や特救隊を派遣して対応に当たりました。
まず、直後は孤立者の救助というのがございまして、これは海だ陸だと言っている場合じゃありませんので、できる限り陸であってもやらせていただくというふうに努め、さらに、海上の行方不明者については、これは今先生のおっしゃっていただきましたように、今もいろいろな捜索を続けさせていただいております。直後ではやはり、先ほども言っていただきましたように、漂流している船舶を何とか曳航して救助するだとか、航路にいろいろな障害物がございましたので、こういうものを除去するだとか、さらに、被災者の方に緊急な物資だとかお水だとかそういうものを支援するなど、できる限り何でもやっていこうということで対応してきたつもりでございます。
港湾との関係でございますと、やはり港湾は物流の拠点でございますから、一つは緊急物資の輸送路を確保しなきゃいかぬということでございまして、これは港湾等関係機関と連携をしまして、港湾の中にあるコンテナとか、津波で海に入ってしまった車両だとか、その引き揚げは港湾管理者がなさったわけですが、我々は、海上保安庁の測量船で本当に船が入るときに水深が確保できているのかどうかという確認作業を、水路測量を専らやらせていただきました。
そこで、港湾局といわばコラボで港湾の啓開作業を進めまして、発生直後から中旬なり下旬にかけて、主な港、十一港湾について、一部でも供用をさせていただくということでやらせていただいたところでございます。
そういう意味では、総動員をして一日も早い復旧に取り組んできたつもりでございますが、反省点としましては、一つはやはり、直後では、津波で漂流物がいろいろな海域にも散乱をしている、そうすると、我々の巡視船艇のスクリューにそれが絡みついてしまってなかなかうまく動けないというようなこともありました。それから、巡視船艇で漂流している船を引こうとしましても、その曳航能力、もう少し持てればよかったなという思いもあります。
さらに、救援物資を運ぶわけですから、我々はふだん、そういう輸送がメーンじゃありませんから、甲板に段ボールを積んでおく、天候によっては雨にぬれてしまうとか、甲板に置くだけですから限界もあるだとか、そういうものももっと高めなきゃいかぬ。それから、お水の確保というのはやはり被災された方は非常に大切ですから、海保の船で給水能力があればもう少しお助けできたんじゃないかとか、さまざまな反省点はございます。
そういう意味で、今申しましたような災害対応能力を高めた船というものをやはりもっと持たなきゃいかぬということで、そういう面を強化した船を今予算措置などをして対応を強めているところでございます。
また、特に緊急輸送路の確保につきましては、実は、あのときもできるだけ迅速にはしたつもりではありますけれども、やはり関係機関と連携をして少しでも早くやっていくということですが、今回の港湾法の一部改正で、例えば待避用の泊地だとか緊急輸送航路だとか、これが指定をしていただければあらかじめそこがわかりますから、そうしますと、我々は、災害発生時におきましては、船舶をすぐ避難させる、さらに、発生直後で救援物資を緊急輸送するだとか、そういうものがあらかじめわかっておれば、より迅速に、効果的に行えるようになるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○三日月委員 ありがとうございます。
今長官がおっしゃっていただいたように、漂流物の調査、回収能力、また、スクリューに絡まってしまったので思うように進めない巡視船があったということでありますとか、もう少し曳航能力があればより引けたのではないか、被災された方に水を提供する、そういう物資の輸送能力を持っておいてもよかったのではないか、また、水深の測量をする、そうした測量調査能力というものもより高めておくべきではないか等々のいろいろなお話がございました。
ぜひ今回のことを教訓に、海上保安庁や何かは、与えられた装備で与えられた任務を遂行しますという、現場でもその士気たるや物すごく強いものがあるとも思いますが、今回のことを特に第二管区の方々を中心に教訓をしっかりと出していただいて、次に起こったときに一人でも多くの方を救える能力というものを持っておく。そのために高めていく努力を、海上保安庁としても主体的に、国土交通省もしっかりとバックアップをした形で行う必要が私はあると思いますので、ぜひ、予算要求やその他法制度の改善も含めて、組織体制の改善要求も含めて積極的に御発言、御提案をいただければと思います。
最後に、首都直下地震を想定した東京湾の石油・ガスコンビナート集積地における安全対策について質問をしたいと思います。
今回も東京湾で、これは直接的な原因ではなかったと聞いておりますが、ガスタンクの中に入った水があふれ出て、そして火がおこり、石油・ガスコンビナート地域の大変な被害、そのことが、ひいては全国的な石油の物流にも影響を与えてしまったという状況がございました。
例えば東京湾では、コンビナートが面積にして二二・八%、石油の貯蔵・取扱量として一八・八%、さらには、高圧ガスの処理量として三一・九%も東京湾に集中をしていると承っております。
しかし、このコンビナート港湾における地震、津波対策は、例えば、石油コンビナート、石油タンクについては資源エネルギー庁、また高圧ガスの施設、配管を含む耐震性については資源エネルギー庁、さらには耐火性については消防庁等々、各省庁それぞれ多岐にわたり、この安全対策といったものについて多くの不安や懸念というものがございますが、こうした全国の中でも極めて有数の集積地であります東京湾の液状化対策、そして民間の方がお持ちの護岸の強化対策に、より踏み込んだ、より力強い対策が必要なのではないかと私は考えますが、この点について今の状況をお伺いしたい。
○太田国務大臣 コンビナートがあるこの東京湾について、私が三・一一のときにとっさに考えたのは、タンク等が倒れて油が漏れて、東京の河川に津波が遡上して火がそのまま上がるということです。
荒川の津波の状況は、三・一一のときに、夜七時過ぎに戸田橋のところで五十センチというのがありまして、一・三メーターぐらい河口では津波が起きる。それだけの津波の波高がありますと、そのまま、火がついたまま上流に持っていくということです。私はそれを一番心配しまして、すぐ気仙沼に飛んでいったのはそういうことで、気仙沼は同じように火が出ました。
三日月先生おっしゃるように、護岸をしっかり耐震化する、そして液状化対策をしっかりやる、それから、民間が持っているところが多いので、民間に、同じような意識でやるということが必要であるという対策を打つ、これが今回の港湾法改正の一つのことです。
それから、各省庁に分かれているということを一本化して、津波、液状化対策、そして航路が塞がれることのないようにということについては連携が物すごく大事で、その司令塔がなかなかございません。私は、国交省がやるしかない、こういうふうに思っています。
そうしたことから、昨年の五月に、国交省が中心となって、これは民主党政権時代でありましたけれども、各省庁をまとめて、コンビナート港湾における地震・津波対策検討会議を設置していただいて、対策をしてということで、今回の原案というのはそこでつくられてきているということは、大変貴重なことだと思います。
これから、護岸の耐震性とかいろいろなことにつきましても、相当、知見が必要だと思います。液状化について技術的にどうするかということについては、相当、技術的な知見が必要です。
そうしたことを各港湾ごとにもう一遍、そこに津波が来るのか、地震波の方が大きいのか、いろいろなことのそこに襲い来る地震というものに対応できるという体制を協議会等もつくってしっかりまとめて、総合的に対策ができるようにということを考えているところで、この港湾法改正がその第一歩という位置づけにございます。
○三日月委員 ありがとうございます。
今、私が最後に御提案しようと思ったことまで、大臣お答えいただいて、ぜひ、港湾局が各省庁ごとにそれぞれ事情があるのを取りまとめて、国にとって生命線である港湾の安全対策を、たとえ民間の護岸であったとしても、規制やまたさまざまな支援を持つことによって、火がおこらないように、揺れて倒れないように、また、流れて川を遡上して引火するといったことがないように、私は、東日本大震災の一つの大きな教訓は、最悪の事態を想定できていなかった、最悪の事態を想定した対策がとれていなかったということが極めて重大な教訓だと思います。
特に、港湾行政については、今回の五十六条の二のところで、改正条文の中にも一部港湾行政の権限強化の条文が入っておりますけれども、より踏み込んだ、一歩前へ出た対応、対策をとっていただくことを私の立場からも強く要請して、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、寺島義幸君。
○寺島委員 おはようございます。民主党の寺島義幸でございます。
通告順に従いまして、順次質問をさせていただきたいと存じます。
初めに、水防活動の強化に向けた課題についてでございます。
我が国は、私たちの持ち得る自然環境の状況からして、本当に、洪水や高潮による被害を受けやすい状況にあるのは御案内のとおりであるわけであります。そのため、河川改修、これが大切なわけでありますが、現実に災害が生じたときに、人命あるいは財産をしっかり守る水防活動は重要な役割を果たしているわけであります。
水害の頻発あるいはまた河川管理施設の整備の進捗に伴い、水防活動を実施する必要がある堤防等の対象範囲が拡大する一方で、水防活動を担う水防団員の減少と高齢化が続いているわけでございまして、御承知のとおりであろうと思うわけであります。地域の事情をよく知る者が水防の担い手となるということが本当に望ましいわけであります。
水防団員確保のため、国土交通省においてどのような取り組みがなされているのか、お伺いをいたし、また、水防活動の重要性とそれを支える水防団の社会的認知度の向上のほか、水防技術の伝承に積極的に取り組むべきではないかと考えるわけでありますが、国交省の所見をお伺いいたします。
○足立政府参考人 水防活動についてお答えを申し上げます。
水防団につきまして、委員御指摘のとおり、水防に関する社会的認知度の低下、団員数の減少、高齢者の割合の増加、そして約七割がサラリーマンであることによりまして要員の確保が難しい、そういったような課題がございます。また、これらに伴いまして、水防技術が伝承されないという課題もございます。
こうしたことから、国、都道府県、市町村が協力をいたしまして、毎年、水防演習を実施し、その中で、水防技術の習熟を図るとともに、水防技術の伝承に取り組んでいるところでございます。これらの水防演習におきましては、水防団や行政機関だけではなくて、地元の自治会、婦人会を初め企業や学生など、多様な方々に参加していただきまして、水防工法を体験いただくことで水防に関心を持っていただくような努力をしておるところでございます。
さらに、毎年五月を水防月間と定めまして、河川管理者や水防管理団体等の関係機関による水防連絡会の開催、重要水防箇所の合同巡視、ポスター等による普及啓発活動を実施してございます。
また一方で、水防功労者に対する内閣総理大臣及び国土交通大臣の表彰、特に功績が大きかった水防団員に叙勲等の措置を講じることによりまして、水防団員の士気の高揚にも努めているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを一層充実させまして、水防団員の確保、水防技術の伝承に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上です。
○寺島委員 よく消防と比べられますけれども、消防団と水防団、なかなか水防の方は地味な活動が多いわけであります。そういう中で、やはり認知度を高めるということがこの時代は本当に大切だということを認識しておりまして、御努力いただきたいというふうに思います。
次に、水防への河川管理者の協力についてであります。
豪雨だとか台風、最近は本当に、予期せぬというか、強度が大きな台風とか豪雨が来ているわけでありまして、それらを背景として、河川の管理と水防の連携を強化することがまさに必要であるわけであります。
水防法改正案におきましては、都道府県知事等の水防管理者が定める水防計画に河川管理者の協力に関する事項を明記するとしておるわけであります。あわせて、河川改正法案におきましても、水防活動への河川管理者の協力をこれまた明記するということになっております。
これまで、実態としては、河川管理者による河川に関する情報提供とか水防訓練とかは、その参加等がなされて、実は行われているわけでありますが、改正案において改めて法律に明記するということになっておるわけでありますが、このメリットはどこにあるのか。そして同時に、法律に明記することによりまして、その意義あるいはまたその効果、どのような効果を期待しているのか、あわせてお伺いをいたします。
○足立政府参考人 河川管理者の水防活動への協力についてお答えを申し上げます。
近年、集中豪雨等によりまして水害が頻発してございまして、こうした被害を軽減するためには、委員からもお話ございましたとおり、河川管理者による河川の整備や危機管理対応だけでなく、水防との連携を一層強化することが求められてございます。また、先ほども申し上げましたが、水防団員の減少や高齢化などによりまして地域の水防力が低下していることからも、河川管理者の水防活動への協力が不可欠となってございます。
委員からもお話がありました、これまでも、河川管理者による情報提供や訓練参加など、水防活動への協力が行われてまいっておりますけれども、今回の法改正で河川管理者の水防への協力について義務づけることによりまして、これらの協力を一層強化することができるというふうに考えてございます。
具体的には、河川管理者からの水位や流量に関する情報提供や訓練への参加、資器材の提供などの協力を水防計画に記載するとともに、河川管理者にその実施を義務づける規定を設けたものでございます。
以上でございます。
○寺島委員 次に、水防法の改正案において、浸水想定区域内にある一定の地下街、あるいはまた要配慮者利用施設、老人ホームとか病院とか、そういうことだと思いますが、そして大規模工場等の各施設の所有者等に対して避難確保や浸水防止のための措置を求めているわけでありますが、地下街等に対しては避難確保と浸水防止のための両方の措置を求め、要配慮者利用施設、老人ホーム等に対しては避難確保のための措置を求めている、そして大規模工場等に対しては浸水防止のための措置を求めている。施設ごとに求める措置が異なっているわけであります。
そこで伺いますが、地下街等の所有者に対して、避難確保対策と浸水防止対策の両方、これは当たり前のことなんでしょうけれども、両方の措置を求めている理由はどこにあるのか。そして、要配慮者利用施設に対して、浸水防止対策は求めないわけでありますが、避難確保対策のみを求める理由はどこにあるのか。さらに、大規模工場等に対して、避難確保対策を求めず、浸水防止対策のみを求める理由はどこにあるのか、お伺いをいたします。
そして、要配慮者利用施設等において避難確保のための措置が努力義務であるのに対して、地下街等については避難確保等の措置を義務づけるとしているわけであります。この辺も違うわけでありますが、その辺の理由はどこにあるのか、お伺いいたします。
○足立政府参考人 施設ごとに求める措置や努力義務、これの使い分けをしていることについてお答えを申し上げます。
まず、地下街等についてでございますが、地下街等は、従来から水防法によりまして避難確保計画の策定を義務づけてきたところでありますが、地上に比べまして浸水のスピードが速い、閉鎖的であって浸水のリスクが高い空間である、こうしたことから、一たび浸水を生じますと極めて深刻な被害を発生する可能性が高いというふうに言えます。
したがいまして、被害を抑えるためには、避難の確保だけでなく、浸水そのものを防止する取り組みを事業者みずから行うことが効果的であることから、避難確保とともに浸水の防止のための措置を義務づけることといたしました。
次に、要配慮者の利用施設についてでございますが、高齢者や幼児等が利用する要配慮者の利用施設は、一般の方々よりも避難に多くの時間を要するというようなことでございまして、一旦浸水が発生した場合に深刻な被害が発生するおそれがございます。
したがいまして、円滑かつ迅速に避難していただくことが特に大事であるということから、避難確保に関する規定を設けることといたしました。なお、水災害上の危険性は地下街ほど高くはないことから、努力義務というふうにいたしております。
最後に、大規模工場についてでございますけれども、平成二十三年のタイのチャオプラヤ川で発生しました洪水では、サプライチェーンが寸断され、世界的にも大きな経済被害が発生いたしました。日本国内におきましても、大規模工場等への浸水はサプライチェーンを寸断し、我が国の経済活動にも重大な影響を与えるおそれがあることから、大規模な工場などにおきましても、民間事業者みずから事業の継続が確保できるように浸水防止の取り組みを促すこととしたものでございます。
なお、大規模工場等につきましても、水災上の危険性というのは地下街ほどは高くないということから、浸水防止を努力義務といたしてございます。
以上でございます。
○寺島委員 理屈はわかるわけでありますが、わかりやすい方がいいのかなと。そして、例えば、要配慮者利用施設に対して浸水防止対策を求めないということになっておりますけれども、むしろ両方求めておいた方が、より安全度は高まるわけでありまして、その辺が課題なのかなというふうに思いました。
次に、水防法改正法案におきまして、地下街等の所有者が義務づけられる浸水防止等のための計画を作成していない場合において、市町村長は必要な指示をすることができることとなっておりまして、その指示に従わなかった場合、その旨を公表することができるとしています。
地下街等の所有者等が避難確保等の計画を作成していない場合、公表することとした理由はどこにあるのか。公表はどのような方法で行われるのか。そして、公表によりまして、特に地下街等所有者等に大きな影響があるのではないかなというふうにも思っているわけでございまして、この点についてもお伺いいたします。
○足立政府参考人 公表についてお答えをいたしたいと思います。
公表の方法は、市町村のホームページなどで広く公表することを想定いたしてございます。公表自体は、法的には比較的軽易な措置ではございますけれども、公表することによりまして、地下街などの事業者とすれば、イメージの低下のおそれがあります。また、浸水に対する脆弱性への懸念から、テナント入居率が低下するだとか来訪者の減少、こういった影響もあるというようなことでございまして、計画作成義務の履行を促すには十分効果のある措置ではないかというふうに考えてございます。
以上でございます。
○寺島委員 それでは次に、水防協力団体の対象範囲や業務の拡大についてであります。
水防協力団体制度は、御案内のように、水防活動の中核を担ってまいりました水防団の団員数の減少や高齢化、会社員の水防団員の増加による平日の参集人員の不足等によりまして十分な活動ができない状況が生じるなど、災害の防止力の低下が懸念されてきたわけであります。
一方で、住民や民間団体など、災害時の自主的な活動が活発に行われるようになってきたこともあるわけであります。そこで、平成十七年の水防法改正によりまして、この水防協力団体制度ができたわけであります。これによりまして、水防協力団体に指定されたNPOとかが監視、警戒等の水防活動への協力業務等が行えるようになりまして、水防体制の強化が図られることが期待されるようになったわけであります。
平成十七年の水防法改正に基づき創設された水防協力団体の指定状況は、どのようになっているのでしょうか。また、現行水防法におきまして一般社団法人、一般財団法人あるいはまたNPO法人とされている指定の対象を本改正により広げることといたした理由はどこにあるのか、お伺いいたします。そして、どのような団体が水防協力団体に指定されると想定されるのか、また、水防協力団体として指定できる範囲が拡大されることにより、水防協力団体はどの程度ふえると見込んでおられるのか、お伺いをいたします。
○足立政府参考人 水防協力団体の対象の拡大についてお答えをいたします。
現在のところ、水防協力団体の指定は、委員の御地元の長野県内で活動しております天竜川ゆめ会議、これと合わせまして二団体ということにとどまってございます。
水防団員につきましては、委員からも御指摘がございましたけれども、高齢者や団員の減少などにより弱体化が進んでおりまして、その課題を解消するために、今回の改正で指定の対象を拡大することによりまして、水防活動への多様な主体の参画を促進するということにしてございます。
具体的には、営利法人を含む民間法人、法人格を有しない自治会、町内会、ボランティア等の幅広い団体を水防協力団体として指定することができるようにいたします。
このように、指定対象を拡大するだけでなく、制度の周知や水防活動に関する啓発を進めることで水防協力団体の増加を図り、地域の水防力の強化に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○寺島委員 そうですね。民間の団体の皆さんは、お仕事をお持ちの傍ら、ボランティアで本当に御努力をしていただいているわけでありまして、しっかりとした支援というものが重要であろうというふうに思っています。
そこで、当然のことながら、そうした水防協力団体の活動に対して、国としてしっかりとした支援をしなければというふうに思っておるわけでありますが、その辺の点についてどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○足立政府参考人 水防協力団体への国の支援ということでお答えをさせていただきます。
水防協力団体の活動に必要な資器材の購入などに対しましては、今般設けました防災・安全交付金を活用いたしまして、市町村を通じて助成することを可能といたしてございます。
また、今回の改正案では、水防管理団体が水防に必要な資器材などを保管するための倉庫などの設置を行う際に、河川管理者との協議成立をもって河川法上の土地の占用の許可があったものとみなすなど、手続の簡素化を図るというようなことにも取り組んでございます。
また、水防法では、水防管理者または水防団長の指示のもとで水防に従事した者が万が一被害を受けた場合には災害補償制度も設けてございまして、水防協力団体の活動に対しまして、国としても積極的に支援していきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○寺島委員 できれば費用弁償的な支援もできればいいなというふうに思っておったわけでありますが、よろしくお願い申し上げます。
次に、河川法改正案において、河川管理施設とともに、許可工作物について維持、修繕が明記されているわけでありますが、樋門、樋管あるいはまた橋梁等の河川管理施設以外の許可工作物は、国管理区間で約一万五千施設あると言われていまして、そのうち、設置後約四十年以上経過した施設が約四割を占めるという状況で、まさに今後その老朽化が進んでいくことが懸念をされるわけであります。また、都道府県管理の許可工作物は約六十二万施設あると言われていまして、これらの施設に対する対応も当然のことながら必要であろうというふうに思っています。
許可工作物の管理については、その許可を受けて施設を設置している者が点検し、必要な対策を行うことが原則であるわけですが、許可工作物の一部には、使用されていないけれどもそのまま放置してあるということがあるわけであります。そういう事例もあるわけでして、こうしたものは重大な災害の誘因になると考えられるわけであります。
平成二十五年四月の社会資本整備審議会の、安全を持続的に確保するための今後の河川管理のあり方について、これは答申でありますが、ありまして、円滑かつ適正な是正措置等が図られるよう、行政代執行等の実施を含めた許可工作物への対応のあり方を示すべきだと指摘されているところであります。
そこで、今後、対策が必要となる許可工作物について、国としてはどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お伺いをいたします。
○足立政府参考人 許可工作物の管理についてお答えを申し上げます。
許可工作物につきましては、委員御指摘のとおり、設置者の責任におきまして維持、修繕がなされるべきでございますけれども、是正措置が必要な老朽化した工作物などにつきましては、河川管理者と許可工作物の管理者が合同で点検を行うなど、その工作物の状況や維持、修繕の必要性について確認するなど、必要な対応を行ってきたところでございます。今回の法改正におきまして、政令で技術的基準を定めることとしておりまして、許可工作物につきましても、この基準に基づいて維持、修繕をしていただくことになります。
なお、委員御指摘のとおり、必要な場合には行政代執行を含む監督処分を行うことなどにより、許可工作物につきましても適確な管理が行われるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○寺島委員 そういうわけなんですが、行政代執行という言葉は聞くわけでありますが、なかなかしづらいねという部分があるんだろうと思います。ただ、人命にもかかわることなので、これはというときにはしっかりと毅然たる態度をとるというのも行政のあるべき姿だろうというふうに思っておりまして、御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
小水力発電の導入促進についてであります。
東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの関心は今まさに強まっているわけでございまして、水力は、持続可能で低炭素社会の構築に大いに役立っていると思います。自給的な再生可能エネルギーでございまして、こうした電力需要が逼迫する中では、その活用も期待されていると思います。
そうした中で、小水力発電は大規模な、大きな投資も要らないし、小水力という十分に利用されていない資源も活用されるということから、エネルギーの安定供給ということはもとよりでありますが、地域の活性化にも大きくつながるのかなと私は考えています。こうしたことから、今後、さらに促進を図っていくということが必要であろうというふうに思っております。
今回の法改正により、従属発電、小水力発電について登録制が導入をされる、手続の簡素化とか期間短縮が行われる、こういうことでありますが、そのポテンシャルはどの程度あるのか、まずお伺いします。
あわせて、手続の簡素化等によりまして、どの程度の小水力発電の促進が図られ、どの程度の導入数を見込んでおられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○太田国務大臣 この小水力発電というのは、極めて有効であり、重要であるという認識をしておりましたが、私もいろいろこれまでやってきたんですが、なかなかこれは昔から難しい水利権の問題がありまして、また、冬も結構これは農業用水としても使うということもありまして、なかなか難しい。そこで、今回、従属発電ということで登録制を導入して、これが期間短縮だけでなくて、やりやすくなったということが大きな特徴でございます。
これは環境省が調査をしているんですけれども、全国で大体ポテンシャルとしては三十万キロワットという、水力全体ですと東北で五百万キロワットぐらい全体にあるんですけれども、小水力としては全国で約三十万キロワット。だけれども、これは非常に重要だというふうに思っています。
それで、どのくらいの箇所が可能なのかということ、これは概略でありますけれども、約六百地点の導入が期待されるということで、大きい小さいいろいろございますものですから、今の時点では、モデルを幾つかつくって、そして、小水力が目に見える形で、いろいろなところで発電ができているというようなことに何とか持っていきたいな、こういうふうに思っているところでございます。
○寺島委員 大臣みずから御答弁いただきまして、ありがとうございました。
水利権は、明治二十九年にできた権利だというふうに言われているんですけれども、大変古いわけであります。それだけに、いろいろ水のことでございまして、昔、田んぼで水の争いがあったというぐらいの歴史をずっと引きずっているような部分も、私ども、地方にもあるわけでありまして、そういう意味では、その権利というのは重要なのかもしれません。
しかし、時代も大きく変わっているわけであります。そうした中で、やはり地元の皆様の協力、これが大事だと思いまして、そういうことを働きかけることによりまして、大臣おっしゃられたように、全国で三十万キロワット、約六百カ所ということを承りました。これらの目標に向けて、さらなる御努力を御期待申し上げさせていただきたいと思うわけであります。
最後でありますけれども、河川管理のあり方についてでございます。
御案内のように、河川法には、一級河川と二級河川というのが位置づけられているわけでありますが、一級河川は、国土保全上または国民経済上特に重要な水系に係る河川、こうなっているわけであります。二級河川は、一級河川以外で公共の利害に重要な関係のある河川、こういうふうになっているわけであります。
そしてまた、河川法の九条では、一級河川は国土交通大臣が管理すると明記されているわけであります。ただし書きというか、ただ、九条の二項で、大臣が指定する区間は都道府県知事が管理することができると。これはできる規定ということになるんだろうと思うんですけれども、こうなっているわけであります。
そこで、まず初めにお伺いしますが、河川法で言う一級河川は全国で何河川あるのか。何水系ということになるのかもしれませんけれども、何キロぐらいあるのか。そして、その一級河川において、国管理はどの程度あるのか、また、都道府県管理はどのくらいあるのか。まず、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
○足立政府参考人 一級水系についてお答えをいたします。
一級水系の数は百九水系でございます。一級水系の河川の総延長は約八万八千百キロメートル、そのうち国が直轄で管理している区間は約一万六百キロメートル、都道府県が管理をしております区間は七万七千五百キロメートルということでございます。
○寺島委員 そこがちょっとびっくりするところでございまして、一級河川は全国に百九水系あるという話でありますが、本来は一級河川は国土交通大臣が管理をする、理屈としてはそういうことになっているんですが、よく直轄、直轄と言うんですけれども、いわゆる国直轄が約一万キロで、都道府県管理が約八万キロ、こう相なっているわけでありまして、ちょっと意外な気もするわけであります。
本来、一級河川は国土交通大臣が管理すると法で一義的に明記されているにもかかわらず、例えば全国でいえば、八万キロを都道府県が管理をして、国が一万キロを管理している。どうしてこういう状況になっているのか、教えていただきたいと思います。
○足立政府参考人 一級水系の管理についてお答えを申し上げたいと思います。
一級水系のうち特に重要な区間、これについては国が直轄で管理をするということになっておりまして、例えば上流の区間だとか支川の区間につきましては、都道府県に管理を分担していただいております。
そのような役割分担でやってございまして、先ほど御説明したような、直轄が約一万キロ、都道府県が約八万キロというような管理の実態となってございます。
○寺島委員 それでは、全国の一級水系におきまして、一連の区間において、国が管理している区間の間に都道府県が管理する区間が存在する水系があると思うわけでありますが、全国でそれはどのぐらいあるんですか。
○足立政府参考人 委員御指摘の、国が管理する一連の区間の中に都道府県の管理する区間が挟まっている、そういう川でございますけれども、我々、中抜け区間だとか、そういうような呼び方で呼んでございますけれども、全国では、委員の御地元の信濃川水系を含めて、四水系ございます。
以上でございます。
○寺島委員 全国で四水系ある。実は、私は、この河川の管理について、いささか疑問を持っているわけであります。
例えば、私、地元は長野県でございますので、地元の話を若干申し上げますと、一級河川というのは五千百十一キロあるわけですね。そのうち、国が直轄で管理していただいている部分が二百九十八キロなんです。県管理が四千八百三キロ。もっとあるのかなと思って調べたら、こういう状況なんですね。
もっと言いますと、例えば島崎藤村の千曲川旅情で有名な千曲川というのがあるんですね。その本川を例にとれば、源流は川上村からなんですが、上田市というところの大屋橋までが県の管理なんですね。まあ上流だから、それはあれなんでしょうけれども、上田の大屋橋から飯山市の湯滝橋というところまで八十八キロぐらいあるんですけれども、これは国の管理なんですね。そして、その飯山市から県境まで、これは二十二キロあるんですが、実はこれがまた県の管理なんですね。三分割に実はなっていまして、これでは、河川整備をやるといっても、県の建設事務所と千曲川河川事務所と合議をせないかぬとか、流量計算して河川断面がどうだとか非常に複雑で、管理も効率が悪い、水防活動をするにも連携が図りにくい。なおかつ言えば、県境、長野県の境から新潟県まであるわけでありまして、新潟県の事務所とも話をしなければならないということです。
千曲川というのは信濃川水系で、本当に広域にわたる大きな河川であります。まさに国土保全あるいはまた国民経済に大きく影響するような大きな河川であるわけでありまして、当然のことながら、国の河川法で言うこうした重要河川は、国土交通大臣が直轄で管理するのが効率がいいのではないかな、こう思っているわけであります。本当に、日常の管理を初め、洪水時の災害対応等が必要であるわけであります。となりますと、水系一貫管理の原則、これは国が管理すべきことであろうというふうに思っています。
このたびの水防法の改正、あるいは河川法の改正によりまして、水防活動や河川管理をより適切なものにするためにも、その連携強化を図り、もって国民の生命財産を守り、より一層、安心、安全な県土を築いていかなければならないということが目的であるとすれば、その基本となる河川管理というのは、水系一貫管理の原則に基づいて、特に、真に広域的な、重要な河川は、国がしっかり管理すべきであると考えています。
近年、気候も変化して、想定外というような大規模な水害が起きたり、東日本大震災があったり、まさに状況は大きく変化しているわけでありますから、そうした中で、この法改正がなされ、それらが有益に機能するためにも、本当に重要な河川は国で管理するよう、河川管理体制を見直す必要があると考えています。
太田大臣にお伺いいたしますが、それらについて検討をいただきたいと思うわけでありますが、御所見をお伺いいたします。
○太田国務大臣 一級河川、百九、距離にすると全体で八万、そのうち国で管理している部分は一万、そして信濃川水系全体を見ますともっと極端である。しかも、信濃川水系の中には、飯山から新潟に至るところはいわゆる中抜けということで完全に抜けているというような、都道府県ということになるというような、いわゆる中抜けというのが、全国四水系の中でも、信濃川が一つ、阿賀野川が一つ、淀川とかにあるような、そうした状況である。
これはひとつ、一級河川は国が責任を持ってやるという、その意思というものは明確にしておかなくちゃいけないというふうに思っています。その上で、また、国に管理してほしいとか、あるいは、最近は集中豪雨が山間部にありまして、小さい川の方が、実は灌木等がそこでせきとめられて、そして水害が発生するという事例があったりいたしますので、地元の方と個別によく相談をしながら、これらについて、防災とか安全という観点に立って、ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、どういうふうに管理をしていくのかということについては検討させていただきたいというふうに思います。
○寺島委員 ありがとうございます。前向きな御答弁を賜りました。ぜひ、いい結果が出るように検討をお願いいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上でございます。
我が会派も、先週から、この道路法、港湾法、そして水防法並びに河川法に関しての審議を一定進めさせていただきました。先週は、我が会派の西岡議員から道路法に関して、また三宅議員から水防法、河川法に関して質疑をさせていただきました。私からも、残っております港湾法初め三法案について質疑をさせていただきたいと思います。
まず、道路法についてでありますけれども、この道路法の趣旨を確認させていただきたいと思います。
我が国の道路は、高度経済成長期に集中的に整備されたため、今後、道路橋を初めとした道路構造物の老朽化というのが急速に進行し、補修や更新の増加が想定される。そのため、道路の適確な維持管理が必要とされているが、特に、市町村では、財政力不足や職員不足などの理由から、その対策がおくれているというような、この法案提出の経緯というのが書かれております。
そういった理由もあって、国交大臣が、要は国が代行するというようなことも今回の法案には含まれておりますけれども、そういった中で、議論させていただくのは、維持管理について少しお伺いをさせていただきたいと思います。
現在の国の直轄道路、国道においての道路事業費と維持管理費の推移というのが参考資料で出ているんですけれども、平成二十五年においては、総額の道路事業費が約一兆三千八百七十七億円というのが予算として組まれまして、そのうちの改築費等で一兆一千三百六十二億円、維持管理費という項目で二千五百十五億円というふうに組まれております。これは、割合でいうと、全体の道路事業費に対して、改築費等は内訳でいいますと八割、維持管理費は二割ということになっています。
当然、その改築費の中には、道路事業費として新規のものも含まれていると思うんですけれども、そういう中で、ずっとさかのぼって見ますと、ここ約十年で考えたときに、十一年前が一番高い予算の時期がありまして、そのときは道路事業費全体で二兆一千二百八十四億円という時代がありました。これは平成十五年ですね。その当時の改築費等と言われる内訳の部分は一兆七千六百八十八億、維持管理費が三千五百九十六億という額になっています。
要は、何を言いたいのかといいますと、平成十五年のころから今日の平成二十五年にかけて、改築費等と維持管理費の内訳の中の割合は八割、二割とやはり変わっていないんですね、十一年前と今年度の予算においても。
もちろん、大臣が所信のときにもおっしゃっておりましたメンテナンス元年という考え方は、笹子トンネルの事故なんかも受けて、やはり非常にこれから重要視しなければならない考え方であるというのは我々も同調しておりますし、大臣のそういう思いも非常に信じておりますけれども、実際は、十一年前から使われている事業費の割合、八対二というのは変わっていないんですけれども、その辺は大臣、どのようにお考えでしょうか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、直轄国道の道路事業費を維持管理費と改築費等に分けまして、平成十五年度が維持管理費の割合が一六・九%でございました。平成二十四年度にその割合が一五・七三%まで低下したところでございますが、二十五年度予算につきましては、維持管理費を増額いたしまして、委員御指摘のように一八・一%までふやすこととしたところでございます。
今後とも、施設の老朽化等に対応いたしまして、必要な維持管理費の確保に努めてまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 今御答弁いただいたように、決して減っているとかそういう意味合いではなくて、ふえてはおるんですね。ただ、微増という指摘というか、範疇なのではないかなというふうに思うんですね。
これからはやはり、先ほども申し上げた笹子トンネルのような、ああいう不幸な事故も起きました。そういう面で、メンテナンスというのをしっかりやっていかなければならない。
また、この法の提出経緯でもありましたように、やはり地方はどんどん人件費も含めてカットしていっています。そういった中で、技術継承というのが非常に今おくれているというか、下手すると、自治体の規模によっては、全くそういう継承が行われずに、事務方の職員ばかりのそういう自治体というのもたくさんふえてきて、メンテナンスの面でも非常に後手後手になっていっていると思います。
そういう面では、しっかりとした、もちろん予算だけが全てじゃないんですけれども、表現できる一つの大きなものとして予算というのもありますので、ぜひとも、今後ともそういった予算に十分配慮していただきたいと思いますけれども、大臣の決意はいかがでしょうか。
○太田国務大臣 全体的に、メンテナンスということは非常に大事になってきます。現実に一八・一二%というのは近年になく比率は高いんですけれども、ここは、上げなくてはならないという言葉が適切なのか、上がってしまうということが適切なのかもよくわかりませんが、いずれにしても、そうした補修であるとか、あるいは点検作業自体からもう一遍始めなくてはならないなというふうに思っているところです。
結構でこぼこがあったりとか、いろいろなことがありますから、とにかく安全ということを確保できるように、適切な維持管理費を予算化できるようにということを心がけていきたいと思っています。
○井上(英)委員 先ほども私も申し上げましたけれども、予算が全てじゃありませんけれども、そういった考え方、それからまた一方で、ミッシングリンクの解消ということで、各地方、私の大阪もそうですし、それぞれの地方、地域、新しい道路をぜひともつくってくれという声があるのも事実であります。
そういう意味では、メンテナンスの予算をどんどん上げていくということに関して総論賛成、各論反対というような議論も出てくるかと思いますけれども、そういったバランスをぜひ持っていただければというふうに思います。
次に、今度は高速道路についてお伺いをさせていただきたいと思います。
高速道路、NEXCOの三社、東日本、西日本、中日本、そしてまた首都高速、阪神高速株式会社、それぞれの会社が、老朽化が進む高速道路の橋やトンネルなどを対象にして、建てかえや改修費用の試算を発表されたかと思います。
まず、その建てかえ、改修の規模など、把握している限り御説明をいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
NEXCO三社の管理する高速道路につきまして大規模修繕、大規模更新に必要な費用につきまして、NEXCO三社が設置をいたしました有識者委員会で検討を行いまして、先日、約五・四兆円という試算を出したところでございます。
有識者委員会の検討結果を踏まえまして、今後、NEXCO三社において、さらに優先順位等について検討が進められると聞いております。
また、首都高速道路につきましては、大規模更新、大規模修繕に必要な金額ということで、七千九百億円から九千百億円が必要だという試算を発表しております。
また、阪神高速道路会社におきましては、同じく、総額で六千二百億円の費用が必要だということを発表させていただいております。
○井上(英)委員 ありがとうございます。
それぞれ莫大な金額が試算されているんですけれども、やはり老朽化というのもそれぞれ、先ほども言いました道路と、例えば高速道路によっては老朽化の仕方といいますか違いもあるでしょうし、長い直線のところの道路と、それからまた海側にできている高速道路によって、さまざまな違いがあるかと思います。老朽化だけじゃなく、腐食の問題だとかそういった問題もさまざまあると思いますけれども、この建てかえ、改修の明確な基準といいますか、それと長期計画というのはあるんでしょうか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
NEXCO三社が管理する高速道路の供用延長は八千七百キロございますが、そのうち三十年以上経過した延長が約四割を占めているという状況にございます。
これら、先ほど申し上げました大規模修繕だとか大規模更新が必要な箇所につきましては、委員御指摘のとおり、道路が置かれた自然環境、また大型車交通量などの利用環境等にも左右をされますので、そういったことを総合的に勘案するために、有識者委員会等を設置して御議論をいただいているところでございまして、そういう大規模修繕、大規模更新が必要な区間、その総額を試算したのは今回が初めてでございます。
○井上(英)委員 ありがとうございます。
いずれにしても、もちろん、それは専門家の有識者の方々がやっていただけるのでしっかりとした試算であるかと思うんですけれども、問題は、建てかえも含め、改修を含めて、やはり財源だと思うんですね。
その財源についてお伺いをしたいんですけれども、先ほども言いました、NEXCOそれから首都高、阪神高速、それぞれ株式会社化された、二〇〇五年、道路公団民営化時に、こうした老朽化への予測、対応というのは考えていたのかどうかというのをお聞かせいただけますでしょうか。
○太田国務大臣 そのときには、大規模更新とかそうしたことが現在の償還計画には含まれておりませんものですから、財源については、新たな措置が必要ということになります。
どういう形でこの維持更新というものをやっていくのかということについては、現在、国土幹線道路部会で三月までにはということで発表できるというふうに思っておりましたが、なかなか複雑、また基礎データ等々も十分そろっていないというゼロからの試算なものですから、全体的な体系の中で今最終的な詰めを行っているところで、そこの維持更新を含めて、また、現在の本四連絡橋とかアクアラインとかいうことの一体的な高速道路料金そして維持管理費用をどういうふうにするか、それらを総合的に検討していただいている。最終段階だと思いますが、この問題は非常に重要な課題だというふうに認識をしています。
○井上(英)委員 大臣、ありがとうございます。
結局、何を財源にするのかということは、本当に大事なことだと思いますし、非常に難しい問題だと思います。料金収入から積み立てていくとか、また、民間資金を活用していくのかとか、料金でいくのなら今の料金を値上げさせていくのかとか、それから、償還したら無料という考え方も、やはり恒久的に料金を取り続けていくという考え方を明確にするのかとか、さまざまな考え方があると思うんですけれども、抜本的に見直す時期なんかは具体的にお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
○太田国務大臣 今、その道路幹線部会で答申をいただくことを待って、それを受けてそうしたことについて決めていくというか、判断をしていくということになると思います。そんなに遅い時期にはならないというふうに思っておりますが、今、一生懸命答申に向けて議論をしていただいているという状況にございます。
○井上(英)委員 ありがとうございます。
非常に大事な、将来を占う意味での本当に大事な判断になることになると思いますので、急ぎながら、また慎重にお願いをできたらというふうにも思います。
先ほども申し上げましたように、三社では五・四兆円、首都高においては七千九百から九千百億円、そしてまた阪神高速においては六千二百億円というような莫大な試算が出ております。
その試算の発表の際には、百年先でも現状と変わらない形で道路を利用できるように対策したというふうに言われているのですけれども、結局、いろいろな条件を考えた上において、やはり、同じ今のような経済規模で今の人口構成などの条件で考えられているのか、今後進んでいく少子高齢化も含めて、そういった条件もしっかりと鑑みて、この試算が出されているのか、いかがでしょうか。
○前川政府参考人 現在行われている試算につきましては、現在の利用状況等を勘案して、将来の交通需要推計も取り入れて試算をしたと聞いておりますが、将来の交通需要推計は二〇五〇年までしかありませんので、それ以降、今後百年と言われると、一定の仮定を置いた試算になっていると承知をいたしております。
○井上(英)委員 だから、百年というような表現を使うのは、軽率とまでは言わないですけれどもちょっとあれなんですけれども、やはり今後予想される人口減少というのもしっかりと踏まえた上での条件で出していただいて、人口がどんどん少なくなってくる、現役世代がどんどん少なくなってくる中で、過剰な投資というのは抑えていかなければならないと思いますので、ぜひともその辺はしっかりと見分けていただけたらというふうに思います。
最終的には、これから新規も非常に大事なんですけれども、新規とメンテナンスにかけていく費用ということに対して、それぞれ、国の直轄国道もそうですし、それぞれの地域もそうですけれども、やはり英断をしていくような、英断を迫られているような、そういう時代が来ているんじゃないかなというふうに思います。
どうか、国の施策もそう考えて進めていただけたら、過度な土木事業国家というのは、なるべく、過度なものにはならないようにというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
それでは次に、港湾法の改正についてお伺いさせていただきます。
港湾における震災対策についてお伺いをいたします。
今回の法改正では、東京湾そしてまた大阪湾、伊勢湾のいわゆる三大湾というのが対象になっている。しかし、首都圏を初め、東海、東南海、南海地震というのが想定される地域だと思うんですけれども、東日本震災の際、新潟港を初め日本海側の港湾が物資の流通に大きな役割を果たしてまいりました。
今回の改正では、対象となるのが日本海側の港湾というのは選定されていないんですけれども、それはなぜかというのと、それから、今後、三大湾を対象にしているのであるなら、大阪湾また伊勢湾というのはいつごろやるようなお気持ちがあるのか、お答えいただけますでしょうか。
○山縣政府参考人 防災関係についての御質問でございます。
東日本大震災の教訓を踏まえまして、地震、津波発生時に我が国の港湾機能を維持するために、事前防災・減災対策を講じることが必要でございます。
特に、三大湾地域でございます東京湾、伊勢湾、大阪湾につきましては、湾内が狭隘でございまして、交通量が多いことに加えまして、産業、物流、エネルギー供給上の重要な拠点が集積しております。震災時に港湾機能が停止することによる影響は極めて甚大だと考えてございます。
このため、今般の港湾法の改正を踏まえまして、航路上の障害物を迅速に除去することができる緊急確保航路というものをこの三大湾地域において指定することとしております。
また、東京湾におきましては、東日本大震災発生時におけます船舶の避難のための海域、特に大型船の避難のための海域が不足してございましたので、泊地の整備にも取り組むこととしております。
一方、民有港湾施設への立入検査、報告徴収等の導入、あるいは港湾広域防災協議会の設置につきましては、三大湾のみならず、必要に応じて三大湾以外の地域にも展開していく所存でございます。
以上です。
○井上(英)委員 日本海側の港湾というのは、今後はどうなんですか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたが、いわゆる緊急確保航路とか大型船のためのいかりをおろすための津波に対する泊地、これについては三大湾でやりたいと思ってございまして、それ以外の日本海側の港も含めて、もちろん津波、地震等のいろいろな災害も考えられます。そういう意味では、民間の施設の耐久性がどうなっているのか、あるいは、広域的な防災協議会をつくってやっていくとか、そういった仕組みについては日本海側の港でも必要に応じて適用させていただきたいと思っています。
○井上(英)委員 ありがとうございます。
やはり、そういう憂いのない震災対策というのをしっかりとやっていただいて、先ほど三日月委員からもありましたように、国際戦略特区を初め、グローバル社会の中で勝ち抜いていける、そういう港というのをつくっていく必要があるかと思います。
そういう中で、次に、国際戦略特区に基づく港湾のあり方についてお伺いをいたします。
本当に、先ほどから議論もありますけれども、一層激しくなる国際競争のもと、港湾の選択と集中というのは極めて重要であるというふうに思います。
港湾コスト削減、コンテナ貨物集荷機能の強化というのは絶対不可欠であると思いますけれども、京浜港、阪神港を国際戦略港湾として指定された国交省の戦略というのを改めてお伺いいたします。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、我が国の国際競争力強化のために、国際基幹航路の維持拡大を図る国際コンテナ戦略港湾として阪神港それから京浜港を選定しておりまして、これらの港におきましては、大水深コンテナターミナル等の整備、あるいは港湾運営会社によります民の視点での港湾運営の効率化、広域からの貨物集荷等に取り組んでいるところでございます。
非常に厳しい財政状況でございますけれども、それぞれの時代のニーズ等を踏まえまして、選択と集中という考え方に基づきまして、適切にこういった施策を実施していきたいと考えてございますし、成長を支える真に必要な港湾機能の強化につきましては、ソフト、ハード一体となって、総合的な施策を集中してまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 選択と集中ということで、意気込みを聞かせていただいたんですけれども、やはり、京浜港とか阪神港に荷物を集約するというか、集めるということは、非常に大事な考えじゃないかなというふうに我々も思っております。
ただ、そういう中で、それぞれのまた地方港は地方港で、やはり、外貿コンテナ貨物を集荷するために、さまざまなインセンティブを初め、やっています。
広島港のように、外貿の貨物も内貿の貨物もともに一TEU、一つのコンテナに対して五千円というふうにしてやっていただいているところもあるんですけれども、一方で、新規利用の促進助成というのもそれぞれの地方でやっています。それはやはり、韓国とか中国の、釜山とか上海とか、その辺の外貿のフィーダー路線に関して新規で入ってくると、インセンティブが出ているんですね。
結果的に、そういうそれぞれの地方港がそれぞれで営業活動をして荷物を集めることになりますと、今局長がおっしゃったような、京浜港と阪神港の集荷を強化させるという考え方と、そごといいますか、乖離があるかと思うんですけれども、その辺の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
確かに、先生御指摘のように、幾つかの地方港におきましては独自のインセンティブというものをそれぞれ立てられておるわけですけれども、先ほど説明申しましたとおり、私ども国交省としては、国家戦略として、京浜港、阪神港というものをコンテナ戦略港湾と指定をし、そこに集荷をしていくということを一つの基本として考えてございますので、地方港のそういった取り組みにつきましては、国際フィーダーとして京浜港あるいは阪神港に集めていく、そういった取り組みについて引き続き協力を要請しているところでございます。
○井上(英)委員 局長、ありがとうございます。
ぜひとも、そういう協力も求めていただきながら、やはり、集約して、世界で勝てる港をつくる。京浜港、阪神港が牽引をすることで、日本全体のまた盛り上がり、活性化というのに恐らく寄与するでしょうし、またそれが最終的に地方港も必ず盛り上がってくるというふうにも思っております。そういう面では、ぜひとも局長の思いを遂げていただきたいと思います。
また、国際戦略港湾ということで、総合特区という形になっているんですけれども、もちろん、何かをやるときに、さまざまな法律の壁というのがたくさんあるのは事実でありますけれども、我々の感覚でいきますと、やはり総合特区となると、極端なことを言うと、何でもできるようになるというイメージがあるんですね。
既存の港で既存のことをやるだけだったら総合特区という表現を使う必要はなくて、特区と言われるような、多分、特別な地区という意味で特区、総合特区という名前がついていますから、やはり、時には法を超えるようなことも、そこの中では合法的に認められる、また、そういうところがないと総合特区という意味がないんじゃないかなというふうに、厳しく言えば、言えるんじゃないかと思います。
そういう中で、さまざま、阪神港なんかでも、国内貨物の積載重量と外貿コンテナの積載重量との差で、手続等も含めて大変だ。やはり、国内の貨物も外貿コンテナの貨物も同じ重量まで引き上げるというような要望といいますか、地域から上がっておりますけれども、現行法の中で、総合特区ということで、いかに局長としてお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、国際コンテナ戦略港湾でございます阪神港、京浜港のハブ機能の強化に向けまして、ハード、ソフト一体となった施策を推進しております。
先生の御地元の関西地区でございますが、平成二十三年十二月に指定を受けました関西イノベーション国際戦略総合特区の取り扱いがございます。これについては、阪神港のハブ機能の強化に資するものであるというふうに考えてございます。
この特区からの提案事項につきましては、規制の特例、税制上の支援、財政上の支援、金融上の支援など多岐にわたってございます。
この中には、現行制度で対応できるもののほかに、既存の制度等との整合性を踏まえまして検討すべきもの、財政、税制当局等との調整を要するものも含まれてございます。
関係機関と調整の上、実現可能な事項から実施していくこととしてございまして、今後も同特区からの相談に真摯に対応してまいりたいと考えてございます。
○井上(英)委員 局長、ありがとうございます。
もちろん、本当にハードル、法律を超えるということも、それはなかなか難しいというか、普通では考えられないことだとは思うんですけれども、それが総合特区の売りでもあるというふうにも思います。ぜひとも、さまざまなハードルがあるかと思いますけれども、クリアをしていただきたいと思います。
たくさん質問を考えていたんですけれども、時間が来ているのであれですけれども、港務局について少しだけ、ちょっと会派のメンバーの質疑時間を削って聞きたいと思うんです。
先般、五月八日の国土交通委員会の一般質疑のときにも我が会派の坂元委員から聞かせていただいた新港務局についてですけれども、その際の局長答弁で、新港務局のデメリットというのがありました。一体型で一元的な管理というのがやはり必要だというふうにその局長答弁ではおっしゃっていたんですけれども、港務局に出資する自治体というのは、港務局と全く無縁ではないというふうに思っております。
港務局と共同連携して行うことで、国の懸念されている、一体的、一元的じゃないと難しいんじゃないかという懸念は、ある程度消えるんじゃないかというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○山縣政府参考人 港務局についての御質問でございますが、御指摘のとおり、この港務局、各自治体が出資していくような形で一元的にできるんじゃないかという御質問でございます。
先般もちょっとお答えしましたとおり、港というものは、要は、物流機能だけじゃなくて防災機能も空間的には持っているということでございまして、そういう物流機能だけじゃない空間機能がばらばらになると、これは非常に問題があると思っています。また、物流機能も、港だけの機能だけじゃなくて、例えば、埠頭と埠頭を結ぶいわゆる道路の機能とか、あるいは港と外とを結ぶ道路の機能、これをどう効率的につくっていくのかという観点での機能も必要だと思っています。
そういう意味で、この新港務局をどうするかということについては、いろいろな提案がございますので、現行法の中でできるもの、そして、あるいはそうでないものとあると思いますので、そこはぜひ、いろいろ意見交換をさせていただきながら、いい形のものに変えていきたいと思ってございます。
○井上(英)委員 ありがとうございます。
一体型で、今の現時点でもなかなかうまくいっていないようなこともあるのも事実なので、今後ともまたその辺はしっかりと議論をさせていただきたいと思いますし、ニア・イズ・ベターという考え方を我々は持っています。
その中で、もちろん、国としっかりと連携してやっていくということなんですけれども、地域の実情を考えている、例えば、現状の大阪市の港湾局、大阪府の港湾局が一緒になって新港務局をつくろう、また、神戸、兵庫県の港湾局と、行く行くは阪神港ということでつくっていこうという考え方自体は、これはまた一番身近にいる行政体が考えている案ですので、その辺は真剣に受けとめていただきまして御議論いただければということをお願いして、私の質疑を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、坂元大輔君。
○坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。
我が党の井上委員に引き続きまして、私からは、道路法等の一部を改正する法律案と、水防法及び河川法の一部を改正する法律案に関しまして、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、具体的な事例から挙げさせていただきたいと思います。
先週の火曜日、五月七日の朝でございますが、私の県であります広島県広島市西区に宮島街道というところがございますが、そこの陸橋、五・八メートルの高さから二十三キロのコンクリート片が落下をいたしまして、車を直撃する事故が起こりました。幸いにして、直撃した車に乗っておられた方にけが等はなかったんですけれども、二十三キロのコンクリート片が約六メーターから落ちてきたということで、もしもの事態も十分想定できたわけでございます。
そして、この宮島街道というのは広島市が管理しております道路でございまして、広島市が定めている老朽化基準というのが四段階であったわけでございます。当然、その四段階の最も悪いものから優先的に補修をしていっているわけでございますが、残念ながら、宮島街道のこの陸橋は、その四段階の基準の中で軽い方から二番目の基準であったために、補修が行われていなかったという事実がありました。
私もこの基準も見させていただいたんですけれども、特にこの基準に問題があったというわけではなかったんです。その基準でも、軽い方から二番目の陸橋ですらコンクリート片が落下したという事態が、やはり、日本の今の道路、橋、そういったインフラの整備が急務であるということがよくあらわれている事故だったのではないかなというふうに考えております。
そして、今回の事例で私が驚いたというか発見をしたのが、自治体が管理している道路や橋に対しての基準というものがそれぞれの自治体で違うということです。それぞれの自治体が独自に基準を決めているということだったのでありますが、今回の道路法等の一部改正案では、国土交通大臣による点検結果の調査ということが明記をされております。
では、国土交通省として、現在、各自治体がどのような基準でインフラの点検を行っているかということを把握しておられるのでしょうか。そして、その基準というものなんですが、どの程度、全国的に統一をされているものなのか。そして、もしくは、各自治体によって、審査基準というもの自体に差があるものなのか。お答えをいただきたいと思います。
○前川政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、先週五月七日に宮島街道でコンクリート片が落下をいたしましたが、この上にかかっております鈴が峯陸橋、これは、広島市が、広島市の橋梁点検マニュアルに基づき、昨年の十月に定期点検を実施したところでございまして、その定期点検の結果は、委員御存じのように、小規模な補修が必要な状態ということで、まだ未補修であったということでございます。
一般に、国土交通省といたしましては、各自治体が行う個別の橋梁の点検結果までは調査、収集はしておりません。
それから、基準類につきましてでございますが、地方公共団体における点検基準の策定状況については、アンケート調査等で把握をしております。例えば、アンケート結果によりますと、八割の自治体が独自の基準を策定している。ただ、その独自の基準を策定している中には、国の基準を準用しているというところもございます。
したがいまして、そういう状況まではアンケートで把握しておりますが、具体的に基準のどこが国の基準と違うかという詳細な内容までは把握していないのが実態でございまして、そういった意味では、必ずしも基準の統一は図られていないと承知をいたしております。
○坂元委員 御説明ありがとうございます。
アンケート等々で調査がどのような基準で行われているかということを一部調べてはおりますという御回答だったと思いますが、繰り返しますが、今回、国土交通大臣による点検結果の調査ということが明記をされるわけでございます。ということは、今回の法改正によって、国土交通省が各自治体の検査基準というもの、どういう基準で検査を行った結果がこういうものですということを把握できるようになるのかというところをお伺いしたいと思います。
そしてもう一つ、また、点検結果の調査というのは、今はアンケートによって一部ということでございましたが、今後は網羅的に行って、全国の自治体が行っている調査結果を国土交通省が一元管理できるようになるという理解でよろしいんでしょうか。お答えをお願いいたします。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
地方自治体が管理する道路に関しますいろいろな調査につきまして、道路法の七十七条におきまして、従前から、道路の交通量でありますとか構造等に関しては、調査を行い、報告する旨が規定をされていたところでございます。
今回の道路法改正におきまして、委員御指摘のように、道路の維持または修繕の状況についても調査の対象に追加することといたしました。
これによりまして、委員御指摘の地方自治体における点検の基準については、定期的に調査をしたい、調査をした上で公表をしていきたいというふうに考えておりますし、点検結果につきましては、個別の施設でありますので膨大ではございますが、国が今後構築するデータベースに対しまして、必要なデータの提供をしていただくということを考えております。
これによりまして、重要構造物については、ある程度一元的に管理ができていくというふうに考えております。
○坂元委員 先ほど一級河川の管理の件で、国直轄といっても、実は自治体が管理している領域がかなり大きいという話がありました。これは、道路、橋等々の交通インフラに関しても同じことが言えることでございまして、つまり、自治体管理の部分がかなりあるという中で、その自治体管理のものがどういった基準でどういう検査が行われて、その結果がどうであるかというのをやはり一元的に管理、把握するのは、先ほど太田大臣から、港湾に関してこれは国交省がやるしかないという御発言がありましたけれども、同じく道路や橋に関しても、これは一元管理というのは私は国土交通省がやるしかないものだというふうに思っておりますので、今回の法改正をよい機会として、ぜひぜひ、この一元管理そして把握、全国の道路、橋がどういった状況に現在なっているのかということを、まず把握に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
そして、基準という部分に関してなんですが、検査の基準というものも、私は、今八割が独自でやっていますという話だったんですが、全国的にある程度統一したものに、特に一元管理、把握していくのであればなおさら全国的にある程度統一していくべきだというふうに考えておりますが、今回の法改正をきっかけに、国土交通省として、そうした基準を定めて、自治体に周知、指導していくお考えはありますでしょうか。お願いいたします。
○太田国務大臣 安全の基準ということについては、統一して判断をしていくということです。
それから、長寿命化等については、これはもう少し幅を持たないと、一律でというわけにはなかなか、財政的な側面もありまして、それを担えるかどうかということになりますものですから、ここは幅がどうしても出てくるということを基本にして基準を定めて、提起をしたい。
この維持管理とか点検で一番大事なのは、そこの点検のまず手法、そしていつまでに点検を行うかということの工程、そして、台帳をつくるといいますか、そこの記録が、今まで本当に記録が残っていないわけです。ですから、一元的管理の一元的なるものの意味合いは、そこで調査しました、点検をしました、それがデータ化されて、次に直そうと思ったときに、それが蓄積されてよくわかる、どこが弱点かとかいろいろなことがわかるということです。
そこのところで、ずっと、今、小委員会で議論をしていただいているところでございますけれども、計画的な点検をする、そして健全度を一定の尺度で診断する、そして点検、診断、措置の記録の作成、保存をしていく、こうしたことが法令上位置づけるべき基本的な事項ということになるのではないのかな、こういうふうに思っています。
今、小委員会でその辺のことについて議論をしていただいておりますから、それらを受けて、今申し上げたようなことだと私は思いますが、そうしたことを、地方自治体も含めて、一つの目安が明確に出るようにということで、お示しをできる状況に持っていきたい、こう思っております。
○坂元委員 大臣、ありがとうございます。
私たち日本維新の会は、地域の自立ということで、地方分権というものを強く訴えております。私も、何も一つの基準を強制的に全部の自治体にというふうに申し上げているわけではございません。特に、命にかかわるインフラの整備と点検というところに関しては、国土交通省として責任を持って一定の基準というものを示した上で、あとは、各自治体、各地方の状況によって柔軟にそのベースとなるものに応用を加えてやっていただければなというふうに考えております。
そして、大臣が力強く、台帳をつくってインフラの一元管理というものをやっていくというふうに御発言いただきました。これは本当に急がれる部分だというふうに思っております。膨大なデータ、大変だと思いますけれども、国交省としてぜひ力を入れて取り組んでいっていただきたいというふうにお願いをいたします。
それでは続いて、水防法及び河川法の一部を改正する法律案に関してお伺いをいたします。
今回の法律改正案で、河川協力団体を指定し、民間による河川環境の保全等の活動促進を行うという旨が記載されております。
これは、非常にすばらしいことだと私も思っておりまして、いわゆる民間ボランティアの方々の力を河川の管理もしくは環境改善に使わせていただくというところで、そういった団体に法的根拠を与えるという非常にすばらしい取り組みだというふうに評価をしております。
これを、ぜひ、具体的な制度設計を行って、民間団体の方々が早く法的な位置づけをされた上で活動に取り組めるように、スピード感を持って取り組んでいただきたいというふうに考えておりますが、今後のタイムスケジュールは具体的にどのようになっているか、お教えいただきたいと思います。
○足立政府参考人 河川協力団体制度の設計のスケジュールについてお答えをいたします。
河川に関する活動をされている民間団体につきましては、委員も御指摘のとおり、NPOや町内会など多様な団体がございまして、既にたくさんの方々が活動をされてございます。そういった団体に河川管理などのパートナーとしてできるだけ早く参画していただき、河川管理の充実を図ることが必要であることから、この河川協力団体制度は、改正法の公布後一カ月以内で施行するということといたしております。
このため、速やかに関係省令の策定など必要な準備に着手し、関係する運用ルールなどの整備を行い、河川管理者が適切に河川協力団体制度を活用できるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○坂元委員 お答えありがとうございます。
迅速に対応していただけるということで、非常にこれは期待をしております。できましたら、来年の今ごろには、そういった資格を得て民間団体の皆さんが活動を行えているというようなことが起こっていることを私も希望したいなというふうに思っております。
では、また具体的な事例を一つ挙げさせていただきたいと思います。
私の地元は広島県福山市でございますが、その福山市にありますNPO法人申請中の民間団体が、一級河川である芦田川という川が福山にはございますが、その芦田川は非常に水質に問題があるということで全国的にも有名な河川なんでございますが、特に河口付近にたまっているヘドロというのが大きな問題になっております。
御承知のとおり、ヘドロというものは、そのヘドロがたまった状態で中に硫化水素が発生をいたします。この硫化水素は非常に猛毒でありまして、硫化水素が発生すると、生物がすむ環境になかなかならないということがございます。また、硫化水素は還元物質でございまして、海中の酸素というものを消費してしまうために酸素が欠乏状態となって、より魚やその他生物が生息できない状況が生まれてしまうということがございます。
これを何とか改善していこうということで、その民間団体さんは、広島県はカキで有名でございますが、カキの殻というのは炭酸カルシウムでございますから、カキの殻を焼いて砕いて、ミネラルを豊富に含んだ山の土とまぜてだんごにする、そのこねただんごを水の中に投入することで、カキ殻がヘドロの酸化物質を中和するというか、水質を改善していってくれる、これは大学の実験結果等々も出ているわけでございます。
これを民間団体さんが、カキ殻を泥とこねるということを子供たちの環境教育と兼ねて、子供たちにカキ殻と土をこねてもらうことを一緒に取り組んでいくという、教育と環境改善というものを組み合わせたプロジェクトを実施しようというふうに活動をしているわけでございまして、私もこれに非常に興味を持って、御協力できる部分はさせていただいております。
芦田川でぜひカキ殻だんごを投げたい、投げ入れたいということで、国交省の中国地方整備局や広島県にかけ合ったところ、実績がまだないというところで、芦田川に非常に近い環境下での実験結果がもっと欲しいであるとか、河口堰付近というのは漁業もやっているわけでございまして、漁協さんの納得も要るというところで、その民間団体自体が自分たちで漁協も説得をしなければできませんというような御指摘があって、なかなかこの事業が進んでいないという実態がございます。
そこで、今回の法改正で、仮にこの団体さんのような活動をやっている団体が河川協力団体に指定された場合、こうした事業の許可であるとか地元のほかの団体さんとの調整で、簡素化であったり、どのようなメリットが生まれるというふうに国交省としてはお考えでしょうか。お願いいたします。
○足立政府参考人 芦田川のカキ殻のだんごの件については承知してございますけれども、今、一般論でお聞きされたということでございますので、お答えさせていただきたいと思います。
まず、許可手続の簡素化という点がございます。
河川協力団体がその活動の一環として、例えば工作物をつくるとか土地の掘削を行うなど、本来法手続が必要な行為を行う場合でも、今回の法改正によりまして、河川管理者との協議が成立することで足ることとする規制緩和を行うということにしてございます。
また、この協議に当たりましては、従来行ってきた事業を行う実施主体の適格性の審査、こういったものも行わない、省略するということになりましたので、許可申請の場合に必要とされる団体の規約だとか収支報告書などの書類提出が不要となるなど、手続が簡素化されるというふうに承知をいたしております。
また、関係者との調整、今、漁協とかいうお話がございましたけれども、これにつきましても、法律上位置づけられた団体になっていただくことで、関係者との調整も円滑に進みやすくなるのではないかというふうに期待をいたしております。
また、河川管理者から河川協力団体に対しまして、今回の改正によりまして、情報の提供だとか助言を行う、こういったことも行うこととなりますので、関係機関との調整にも適切に対応することができるのではないかというふうに考えてございます。
以上でございます。
○坂元委員 ありがとうございます。
もちろん、個別具体的なケースがいろいろあることは私も承知をしております。
ただ、せっかくいい法律改正を行って、よい制度をつくっていこうということであれば、それが、やはり、それを使っていただく民間団体の皆さんにとって非常に便利で、使いやすくて、実効力のある制度設計というものをぜひ行っていっていただきたいというふうに強くお願いをいたします。
そして、今、具体的な事例を一つ挙げさせていただきましたが、河川の性質によって、その地域の民間団体の活動内容というのは本当に千差万別、さまざまであります。
今回の法改正を本当に効力あるものとし、民間団体の活動支援を促進していくために、都道府県、市町村の協力というのが必要不可欠であると思いますが、その都道府県や市町村への周知徹底や制度の指導というものをどのように行っていかれるのでしょうか。
そして、先ほども述べましたが、実際の活動主体となる民間団体の皆さんへの告知や、申請、これはいい制度だけれども知らなかったとか、その申請をどうしたらいいのかよくわからないというようなことが起こらないように気をつけていただきたいと思うのですが、それをどのように国交省として取り組んでいかれるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
○足立政府参考人 河川協力団体制度の周知徹底についてお答えをいたします。
今回の法改正によります河川協力団体の指定制度を広く活用していただくため、河川管理者として実際に指定を行う都道府県だとか政令指定都市に十分周知する必要がありますし、委員御指摘のとおり、実際に河川で活動している指定対象となり得る市民団体の皆様にも広くお伝えする必要があるというふうに考えてございます。
具体的には、河川管理者への周知につきましては、当然、通知等によりまして河川協力団体の指定の考え方を周知いたしますとともに、地方整備局単位で説明会などを実施して、しっかり周知をしたいというふうに考えております。
もう一点、市民団体等への周知も大事だという御指摘でございますが、パンフレットを作成、配布する、あるいは地方整備局への申請等の相談窓口を設置する、あるいは水系ごとに、あるいは都道府県単位で説明会を市民団体向けに実施する、こういったことも検討してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○坂元委員 ありがとうございます。
いろいろな手法があるとは思うのですけれども、とにかく、伝わるということが一番大事だと思います。実際の活動主体である民間団体、既にいろいろな活動をされている団体さんであれば、地方整備局等々ともつながりがありますので周知はしやすいと思うのですけれども、先ほど述べました福山市の団体のように、これからいろいろやっていこうというふうな団体さんにも、こういった制度もありますよということができるだけ伝わるような仕組みをつくっていただければというふうにお願いをいたします。
それでは最後に、福山市にあります芦田川ですが、地元の方々や漁協さんから、水質保全、これは具体的には、芦田川の河口堰がございまして、今、流水量がかなり制限されている状態であります。その芦田川の水質保全、具体的には、川のミネラルやプランクトンを移動させていくために、その河口堰で制限されている水の流れの量をもっとふやしてほしいという要望をいただいておりますが、今現在の取り組み状況がどういったものであるかということと、もう少し水の量をふやしてほしいという要望に関して、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
○足立政府参考人 芦田川河口堰についてお答えを申し上げます。
この河口堰は、芦田川の洪水の流下能力の向上と塩害の防止、福山市への工業用水の供給のため建設された潮どめ堰ということでございます。
この貯水池には、汚濁の著しい支川からの流入水、それから貯留水が滞留するというようなことで、水質が悪化して、水質改善のための取り組みがこれまで強く求められてまいりました。
国土交通省といたしましては、先ほど申しました支川の高屋川に浄化導水を導入したり浄化施設を整備する、こういったことで水質改善対策を実施してまいりましたけれども、さらなる水質改善効果を高めるということで、工業用水の取水や魚道の機能に支障を与えない範囲で、弾力的に放流するというような取り組みをやってきてございます。
この堰からの弾力的な放流は、貯水池の水の交換を高めたり、栄養塩の海への供給、こういったものを促すというような効果も確認されておりまして、平成十九年そして二十四年と、河口堰からの放流をふやす運用ルールに段階的に変更してきてございます。
これらの効果をさらに検証いたしまして、今後とも、河口堰の治水、利水機能を確保しつつ、さらなる水質改善の取り組みに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○坂元委員 ありがとうございます。
先ほども申し上げたように、ワーストワンは脱したとはいえ、芦田川はまだまだ全国的にも水質が悪いということで有名な川でございまして、その改善のために国交省としてもできる限りの取り組みを行っていただきたいと思います。
大臣、もしよろしければ、先ほどのだんごですね、もし実現した場合には、一緒に投げ入れに参加していただければというふうにお願いを最後にいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、杉本かずみ君。
○杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。
本日は、三法案ということで、道路法等の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案、水防法及び河川法の一部を改正する法律案ということで、大変盛りだくさんというか、大変内容の濃い委員会でございますが、私の場合は道路に絞って質問をさせていただきたく存じます。
その道路の中でも、殊に高速道路について質問いたしたいと存じますし、民営化された高速道路、二〇〇五年九月三十日をもってJHがなくなって、その翌日の二〇〇五年十月一日から民営化ということのスタートを切ったわけでありますが、こういったことの状況、そして続いて、この民営化にかかわる中での、今、自民・公明政権さんでの三本の矢、この中での三本目に当たる規制改革について、そして、その規制改革から派生するところの地域活性化・主権問題、地方分権ともいうかもしれませんが、そういった点について質問いたしたい。
ちょっと御紹介をしておきたいのが、自民党さんの衆議院選挙の公約の中の文言なんですが、国際比較上劣っている国内制度を改革、改善するということを自民党さんはうたわれている。そして、地方の成長なくして日本の成長なしということを言っておられます。
それと、もう一つ御披露したいのが、二月二十八日の安倍総理大臣の衆議院本会議における施政方針演説ですが、総理が指を一本立てて力強くお話しされたかという記憶なんですが、世界一企業が活躍しやすい国にという演説をされました。こういった思いを、一種、日本人の一人として、議会人としても共有させていただきたいと思っておりますし、また、ひいては、これから質疑する中で、可能性を含めてですが、東日本大震災の東北の復興について、活性化するために何ができるかというような点で質問をさせていただきたいと存じます。
それでは、私は常に庶民感覚という点で質問させていただきたいんですが、改めて何を今さらという質問をさせていただきます。
一体、道路は誰のものであって、そしてその道路は、メンテナンス元年と大臣はおっしゃられていますけれども、もうざっくりで結構なんですが、これから国、政府あるいは市町村が関係するメンテナンスに一体総額幾らぐらいかかるのかということで、金額はかなり巨額になるかもしれませんが、これは長い年月をかけてまた回収していくというか、日本のためということでありますので、そういった意味での金額等も教えていただければと思います。
○太田国務大臣 なかなか難しい質問で、道路は誰のものなのかというと、みんなのものと言うと、みんなの党のものみたいになってしまいますが。
道ということについて、私は、中道ということをずっと考えていましたから、そこにも道というのがあったり、相撲をとっていましたから、武道、相撲道とか、そういうことで道という言葉を使ったりします。私は、人間存在というのは、自立した自分自身をつくるということと同時に、東洋哲学におきましては、人間というのはジンカンというふうに読みます。人と人の間、これがイコール社会という捉え方をしているということからいきますと、自立した人間と人間をつなぐものが社会として構成され、その人と人との間を結ぶものとして、倫理的には何々道という、そうした人間の振る舞い、あり方というものがあり、そして、交流をするものとして道路というものがある、私はそんなふうに感じています。
メンテナンスということからいきまして、これは総額が一体幾らになるかということは、実は極めて重要な問題で、なかなかそういう試算自体が行われてきておりません。
首都高速におきましては、この一月に、維持更新という、更新も含めましてですが、七千九百億から九千百億円という数字が出て、この間、東、中、西のNEXCOにつきましては五・四兆円という数字が出ており、そして、阪高については六千二百億という数字が出ております。
だんだんそういう、どのくらい維持更新にかかるかというものが、数字が出てきておりますが、そこの判断基準がどの程度のものかということもありますから、かなり幅のあるものではないかというふうに思っています。
全体的には今申し上げましたような数字が出ているところでありますけれども、さらにそうしたことを蓄積しながら、維持更新、更新も、内容を全く新しいものにする更新もありますから、その辺のことも含めて、いわゆるメンテナンスにはどのくらいかかって、長寿命化が図れるかというようなことも含めて、総合的に数字を提示できるように、一年ぐらいかかるかと思いますが、提示をさせていただくように準備したいというふうに思っています。
○杉本委員 御答弁、また御指導、どうもありがとうございました。道というものを、改めて倫理的にも理解させていただいたと思います。
次に、この法案を見ますと、道路管理者という言葉が出てきて、庶民感覚では耳なれないんですけれども、どうやら国交大臣でいらっしゃるという立場かと思いますが、その道路管理者の責任といったものをどういう形で、命を守り抜くというお言葉があったかと思いますが、どういうことが責任の範囲ということになるかという点を教えてください。
○太田国務大臣 一番は、管理する場合は、命を守るというか、そうしたことだと思います。
相馬の市長は立谷さんといいまして、お医者さんです。いつも私に、道路が必要だ、こういうふうに言ってくるんです。高速道路が欲しいというのは、相馬と福島の間に道があります。阿武隈山脈を通って、相当山の中に入り込んで、またおりて福島に行くということです。救急患者が出た、脳から出血したというのを、救急車と一緒に乗って、そして阿武隈山脈を通りながら、いつも抱きかかえるようにして行くんだけれども、自分も医者でありながら、福島の病院でなければ治療ができない。山の中で、脳の中が出血しているのに、右左に揺れながら行く、いたたまれない。少しでも早く、真っすぐで、そして揺れない、そういう高速道路を、命の道なんだから早く通じてほしいということを常に言いながら、今、全国的にもそうしたリーダー役としてやっていただいています。
私は、この高速道路等については、世界の都市間競争の経済戦略道路としては大事だけれども、基本は命の道という観点に常に立たなければ、管理者としての責務はそこにある、私はそのように思います。
○杉本委員 どうもありがとうございます。
次に、その高速道路も、誰のものというのはもう御答弁をいただいたと思うんですが、人と人との間をつなぐものであるという認識をさせていただきましたし、高速道路は、さきの質疑でも御紹介があったかと思いますが、東北では、くしの歯作戦ということで、極めて重要な命の道ということかと思います。
そこで、高速道路の民営化の状況。思い起こすと、今の東京都知事の猪瀬さんだとか、あるいは今の環境大臣の石原伸晃さんだとか、そういった方々の印象が極めて強く残っているのが二〇〇五年でございます。そのときに、上下分離方式ということになりまして、日本高速道路保有・債務返済機構というのが、いわゆる下部というか下の側で、四十五年をめどに債務を返済して解散するというようなことが決まったかと思います。
この民営化は一体どこまで進んでいるのかという点で、質問の通告を細かくしていないんですけれども、債務の返済状況等も含めて、この民営化がどこまで進んでいるのかという点を教えていただきたいと思います。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、二〇〇五年の十月一日に高速道路の民営化がなされました。できるだけ少ない国民負担で債務を確実に返済しつつ、より多くのお客様に安全かつ快適に高速道路を利用していただくという趣旨でございます。
民営化から七年が過ぎまして、債務は順調に償還しているところでございます。民営化時点で有利子負債が三十七兆円ございましたが、平成二十四年度の期首でいきますと、有利子負債が三十兆円ということで、七兆円の減少が図られております。
また、サービスエリアとかパーキングエリアのサービスでございますけれども、民営化時点で、例えばでございますが、コンビニの数、十七カ所だったものが現在では全国で百三十七カ所となっておりますし、トイレでございますが、洗浄機能つきの便座を備えたトイレが、民営化時点では五%でありましたのが現在一〇〇%ということで、サービスの向上も図られているというふうに考えております。
○杉本委員 前川局長、ありがとうございます。
引き続き、民営化の状況を伺いたいんです。
現在のNEXCO東日本、中日本、西日本、この三社についてお伺いしたいんですけれども、この三社の今の株主の構成状況、それから、株主総会が行われたときに、どなたが株主で、どういった形で運営されているのかなと。こんなのを、ちょっと映像的なイメージが湧くような感じで御説明いただけるとありがたいです。お願いします。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
映像的なイメージまで湧かないかと思いますが、株主構成でございますが、NEXCO東日本、中日本、西日本、それぞれいずれの会社も、株主は国土交通大臣と財務大臣の二名でございます。
それから、株主総会の運営状況でございますが、それぞれの会社の株主総会につきましては、国土交通省並びに財務省からそれぞれ担当官が出席をいたしまして、議決権を行使しているところでございます。
○杉本委員 前川局長、恐縮なんですが、その国交大臣と財務大臣の持ち株比率みたいなところを教えていただけますでしょうか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
各社とも同様でございますが、国土交通大臣が株式数、議決権数で九九・九五%、財務大臣が〇・〇五%という内訳になってございます。
○杉本委員 御答弁ありがとうございます。
次に、それだけ株を持っているということは、実質的にはまだ、本当に民営化が進んでいるのかと。債務は順調に返済されているということで、このペースだとあと三十年でという感じかと思います。一方で、民営化という言葉とは別に、実質政府保有という状況が続いているということを改めて確認させていただきましたが、その各三社の、これは単体で結構なので、平均年齢と、一年間の年俸というか、給与を開示いただけないでしょうか。
〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
いずれの会社も、有価証券報告書で開示をいたしております。
二十四年三月現在の状況で申し上げますと、NEXCO東日本の職員の平均年齢は四十二・四歳、平均年間給与は八百十三万三千円でございます。同じく、NEXCO中日本の平均年齢は四十一・六歳、平均年間給与は七百九十二万六千円でございます。NEXCO西日本の平均年齢は四十一・〇歳、平均年間給与は七百七十万七千円となってございます。
○杉本委員 どうも御答弁ありがとうございます。
命を守り抜くという意味では、処遇が悪くても私は勤労意欲というのはなくなると思いますので、そういった意味で参考までに、ちょっと決算期が違うんですが、民営化したJRの開示状況ですと、まあ、従業員数等は違いますけれども、JR東さんで平均年齢四十一・七歳、今は八百万、七百万台の上の方だったんですが、東日本の場合は六百六十九万。それからJR東海、私の地元は、若くて、三十七・七歳の七百十六万。JR西日本さんが平均年齢四十・二歳で六百七十四万。こういう水準感ですので、多い少ないという問題を単に議論しても仕方がないとは思いますが、そういう状況にあるということも、改めて議員各位並びに国民の皆さんに知っていただきたいと思います。
次に、高速道路は、皆さん御案内のとおり、ETCになって、さっと入れるようになって便利です。しかし、ETCをつけていない人にとっては従来どおりというような状況だったりします。逆に、ゴールデンウイークなんかになると、ETCが混んじゃって、料金を払う方がすいているみたいなところがあったりした記憶もございますが、次に、このETCの問題についてお伺いしたいんです。
ETCは、道路システム高度化推進機構、ORSEという略語かと思いますが、こちらの運営になっているかと思います。この収益の構造、具体的には、どんな関係組織から料金徴収をしているのかという点も教えていただきたいのと、これによって年間どのくらい収入を得て、あるいは利益を得ているかを教えていただけないでしょうか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
ETCの仕組み、委員御案内のとおりかと思いますが、一台の車載器で、多様な料金体系とか料金割引に柔軟な対応が可能となっております。
ETCのシステムに当たりましては、セキュリティー規格の標準化によりまして多数の車載器メーカーが参入可能となっておりまして、このセキュリティーのかなめになる機器の認証でありますとか登録情報の暗号化を担当するのが、一般財団法人の道路システム高度化推進機構、通称ORSEでございます。
ORSEにつきましては、平成十一年九月に設立をされまして業務を行っておりますが、収入といたしましては、全国二万六千五百店に及ぶセットアップ店との情報交換のシステムでありますとか、そのシステムの維持のための費用といたしまして暗号キーの使用料等を得ているところでございます。
二十三年度の報告によりますと、収益は二十四・八億円、費用は二十八・〇億円ということで、当期の損益はマイナス三・二億円というふうになってございます。
〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕
○杉本委員 ありがとうございます。
御説明あったんですけれども、私が認識しているのは、三つのルートから収入を得ているというふうなことで確認をしていまして、いわゆるカード会社から得る使用料、車載器メーカーからの使用料、それと、おっしゃられた販売業者、セットアップ店からの徴収という三ルートから収入を得ていて、事業収入が年間約百十億ぐらいあるというような、これは一部マスコミ報道なので正確かどうかはわかりませんが、そういった仕組みがあると聞いております。
今、年間の収入なんですけれども、平成十一年九月にできたとおっしゃられましたので、まだ年月がたっていないんですが、私は、今後、この会社については、一般財団法人ではあるんですけれども、財産集積が進む可能性があるかと思いますので、このORSEについての管理監督といったものを国交省さんにはしっかりしていただいて、場合によって、埋蔵金じゃないかもしれませんが、使えるお金として出てくる可能性もあるかと思います。
恐縮なんですが、念のためお伺いしたいんですが、この一般財団法人への国家公務員出身の方の常勤、非常勤、あるいは納税状況等をちょっと教えていただけないでしょうか。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
まず最初に、収入でございますが、先ほど私の方から、セットアップ事業者からの使用料等と言いましたが、御指摘のように、カード会社からの使用料、それから車載器メーカーからの使用料、その三ルートを合わせて、先ほど申し上げましたように、収入が二十四・八億円ということでございます。それから、十一年の九月から財団が運営をされておりますが、現在、正味財産が約六十三億円、内部留保額が約三億円となっておりまして、この内部留保額約三億円については、運転資金として必要な額だと聞いております。
それから、役員におきます国家公務員出身者でございますが、常勤役員が一名、非常勤役員が一名でございます。いずれも国土交通省出身ではございません。
以上でございます。
○杉本委員 わかりました。
納税状況もお伺いしたんですが、納税はよろしいでしょうか。
○前川政府参考人 失礼をいたしました。
納税状況でございますが、二十二年度並びに二十三年度ともに納税額は七万円となっておりまして、内訳は、法人税、住民税、事業所税となってございます。
○杉本委員 ありがとうございました。
次に、ETCなんですけれども、できる限りその利用率を高めていただいて、スムーズに入りやすくというのもあると思うんですが、一方で、どうしても、そんなにしょっちゅう乗らないので、たまにしか乗らないんですよという方々には、選択肢を与えるという意味では、料金所で人がお金を徴収するというような仕組みもやはり選択肢として残す必要があるのかなというふうに私は感じますので、この点もいろいろ検討いただければと思います。
次に、高速道路の料金の取り方について、日本の料金の取り方が諸外国と比べて類似性が高いのか、むしろ特異なものなのか、この辺の認識を、他国の紹介をしていただきながら、日本と類似の仕組みがあるかどうかも含めて、この料金体系の歴史的経緯みたいなところを教えていただければと思います。
○前川政府参考人 我が国の高速道路料金につきましては、名神高速道路が五十年前に開通しておりますが、それ以来、基本的に大臣の許可になっておりますが、対距離制を基本といたしております。
日本以外で高速道路の有料道路制を採用している国は、ヨーロッパでいきますとフランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アジアにおきますと韓国、中国等がございますが、いずれの国でも日本と同じく対距離制の料金体系になっているというふうに聞いております。
なお、例外的な事例といたしまして、例えばスイスにおきましては、重量三・五トン未満の車両についてでありますが、年間一定額の料金を、ビニエット方式と言っておりますが、ステッカーを購入していただくと一年間それで高速道路が利用できる、そういった方式を導入しているところもあると承知をいたしております。
○杉本委員 ありがとうございます。
私はイギリスとかアメリカとかにおりましたのですが、イギリスで高速料金を余り取られた記憶もないですし、アメリカでもそんなに高かったという印象はないんですが、日本の場合は、おっしゃっていただいたように、歴史的経緯で、阪神が五十年前にできたときに、距離別で、受益者負担という考え方なのかもしれないですし、ほかのいわゆる交通機関との関係という言葉でいくと公正妥当主義という言葉なのかもしれないんですが、そういった歴史的背景の中で料金が距離に応じて課金される仕組みになっているということでございます。
おっしゃっていただいたとおり、スイスはビニエット方式ということで、たしか四千円だったかな、四万円じゃないですね、そんなに高くないですね、ステッカーをぱっと張れば一年間走れるということでありますので、そういった考え方も世界にはあるんだということを議員各位に御認識をいただければと思っております。
さて、今の道路の使用状況についてお伺いしたいんですけれども、一体どのくらい平均距離を皆さん乗って走っているのかなということをお伺いしたいんです。専門用語でトリップ長分布というデータがあるやに聞いているんですけれども、距離に応じてどのくらいの台数が走っているのか、このあたりを教えていただけないでしょうか。
○前川政府参考人 御指摘のとおり、トリップ長別の利用台数というのが車種別にございます。お求めがあれば御提供をさせていただいておりますけれども、全車種平均で、平均トリップ長は七十六・五キロメートルとなってございます。
○杉本委員 ただ、私の手元にあるデータによると、かなり短距離でおりてしまう方が多いというようなこともあって、十キロから二十キロに非常に台数が多くあったりとかというようなことが言われていて、実は平均的には本当にそうなのかなという気もいたしますが、一応、局長、今のは直近のデータということでよろしいでしょうか。
○前川政府参考人 平成二十二年の道路交通センサスの自動車起終点調査の結果でございます。
○杉本委員 ありがとうございます。
次に、高速道路、どういう利用状況になっているかという中で、いわゆる首都高とか名古屋高速とかそういったのではなくて、三社の、東名、名神というような高速道路についてですが、インターチェンジについてお伺いしたいんです。
これは、距離、最低何キロ、最短何キロとか、インターチェンジ間で何かルールがあって、例えば、非常に密集地で三キロごとにあったりとか五キロとか、そういう非常に短い距離でインターチェンジが存在することがあるか。あるいは逆に、常に私が聞く限り、最短でも十キロというようなルールがあるやに感じるんですけれども、この辺はルールか何かございますでしょうか。
○前川政府参考人 お答えを申し上げます。
インターチェンジの配置計画につきましては、一般的な設計要領におきまして、都市周辺では五キロから十キロ、平野部では十五キロから二十五キロというような標準的な間隔はございますが、実際には、都市の配置でありますとか、ネットワーク、幹線道路との連絡の場所、または空港や港湾との連絡、そういったものを勘案して適切な設置を選定いたしているところでございます。
具体的に短いところで申し上げますと、NEXCOの高速道路会社でいきますと、伊勢湾岸道路の湾岸桑名インターからみえ川越インター間、このインター間の距離は一・八キロということで、全国で一番短くなってございます。
○杉本委員 ありがとうございました。
一部、短い距離のところがあるんですが、国土交通省全体として、コンパクトシティー、スマートシティーというような標榜をされているので、私は、ぜひとも、ちょっと最近忘れられているスマートインターチェンジを、このスマートという言葉にあやかってでございますが、やはり考えていただくときが、日本経済活性化三本目の矢、規制改革という意味で考えていく必要があるかなというふうに感じております。
次に、確認なんですけれども、総理官邸並びに国交省さんあたりに対して、地方議会や地方財界から、高速道路の有効利用、どちらかというと一律料金制みたいなのを考えてはどうか。これは、高速道路無料化というさきの政権の考え方ではなくて、麻生政権がやられた一律金額というような考え方に近いと思うんですが、そういった要望が官邸並びに与党側あたりに入っているかどうかを確認させてください。
○赤澤大臣政務官 高速道路の有効利用に関する御要望や御提案はもちろんのこと、新規整備や四車線化などの御要望も多くいただいております。
また、今後の料金制度のあり方については、御要望、御提案をただ待つだけではなくて、現在検討を進めております国土幹線道路部会において、関係団体や地方公共団体に対するヒアリングやアンケートを積極的に実施し、さまざまな御意見をいただいているところです。
委員御指摘のとおり、特に地方公共団体に対するアンケートの中で、代表的な意見として、対距離制を基本とし、水準、料率は全国共通とすべきなどの御意見をいただいているところでございます。
○杉本委員 赤澤政務官、ありがとうございます。
私が聞き及ぶ限り、日本列島広しといえども、こういった要望を出しておられるのは、実は本州の端と端の、例えば山口県であったり青森県であったりということで、そういう地域を本当に活性化して、安倍総理の三本目の矢が生きた矢になっていただくためには、そういった要望をしかと受けとめていただいて、今までやってきたからということで、いわゆる距離別料金といったものに本当にこだわる必要があるかどうかを考えていただけないかなと思っております。
そんな点から、改めて、NEXCO三社の一台当たりの収入額、これは料金収入額割ることの台数ということで、一体、一台当たり幾らずつ三社が平均得ているかということで、これは麻生政権のときの千円でというようなときは少し金額が下がっていますが、だんだんそれがなくなって、また値段が上がり気味になっているかと思いますが、一台当たりの平均収入を教えていただきたいと思います。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
NEXCO三社で、総料金収入を総走行台数で割ると、一台当たり七百四十円という数字になります。これは、現在行っているさまざまな割引を反映した数字ということで御理解いただければと思います。
○杉本委員 御開示ありがとうございます。平均七百四十円ということでございます。ただ、割引料金を含みますよということです。
私の手元で、二〇一二年度で計算すると、東日本さんで一台当たり六百五十四円、中日本さんで七百三十二円、西日本さんで五百九十四円ということで、ちょっと数字が、若干、百円ぐらい違いますけれども、平均で六百五十二円という二〇一二年のデータがございます。
要すれば、いずれにしても、麻生総理がやられた一律千円、これを下回る六百円だ七百円だという収入で実は今の収入が賄われているということでありまして、思い切って千円にすれば、逆に収入額がふえて、使用台数もふえて、日本経済が活性化してということで、多くの経済界あるいは観光したい一人一人の生活者、そういった方々にメリットが及ぶのではないかなというふうに私は感じております。
そこで、これは開示されているかどうかわからないんですが、麻生政権時の、これは観光に限ってで結構なので、投資額と収入増額というんですか、この数字をお持ちだったら、教えていただきたいと思います。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
麻生政権時に、土日祝日上限千円という対策を、経済対策として導入いたしました。その結果につきまして、平成二十三年の十二月に有識者委員会で審議をいただいたときに、試算でございますが、経済効果を示しております。それによりますと、観光消費の拡大効果が約三千六百億円という試算がなされております。
しかしながら、この試算は、他の交通機関からの転換について、転換元の交通機関側の負の効果、マイナスの効果が考慮されていないなど、さらに研究すべき課題も残っているというふうに認識をしております。
○杉本委員 ちょっと正確じゃないかもしれませんが、私の手元のデータですと、投資、投入額が一千五百億、おっしゃられた効果額ですが、直接効果がおっしゃった三千六百なんですが、間接効果が別途四千四百億あって、合計八千億ですね。千五百入れて八千入ってきたと。それは、ほかの交通機関へのマイナスの影響があったということかもしれませんが、これは観光に限ってで千五百が八千なんですよね。ということであれば、一体、日本経済にとってどれだけの効果があるかということを改めて考えていただけないかなと思っております。
それで、もう時間がないので、大臣に御答弁というか、感想で結構なのでいただきたいんです。
東日本大震災を考えれば、せめて、この三社ある中で東日本だけでも一律料金体系を入れて、東日本を活性化する。これこそ復興復旧につながるのではないかという感を持ちますけれども、そういった点を、冒頭申し上げました、これは自民党さんの方で、公明党さんの方じゃないんですけれども、地方の成長なくして日本の成長なし、あるいは、国際比較上、劣っている国内制度を改革、改善する、世界一、企業が活躍しやすい国にするというふうに安倍総理は言われている。
こういった点と東日本の復興を勘案して、少し極端かもしれませんが、一律千円というものを、私は安倍総理にも、予算委員会でも麻生さんを横にして申し上げたんですが、土日に限らず平日も、普通車に限らず商用車もということを考える時期が三本目の矢としてあるのではないかと思いますし、殊に東日本でいかがかという点をお聞かせいただいて、質問といたしたいと思います。
○太田国務大臣 御提案の、高速料金の定額化というのは、物流コストを低減させて景気回復を図ると。きょうの論議を聞いておりまして、試算ということについても、ある根拠に基づいてお話をされているということを感じました。一つの御提案であるというふうに思います。
このことについては、値上げになる方と値下げになる方がいてというようなことで、一旦総括がされているというふうに思いますけれども、御提案だというふうに思っておりますが、現在、再三ここでも発言をさせていただいております、寺島実郎さんを中心にした国土幹線道路部会で、この料金問題は今総合的に検討しているところでありますので、その判断というものを聞いて、また考えていきたいというふうに思っております。
○杉本委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、柿沢未途君。
○柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。
道路法等の一部を改正する法律案、水防法及び河川法の一部を改正する法律案、港湾法の一部を改正する法律案、三法案が一括して質疑の対象となっているわけですけれども、いずれも、それほど大きな対立する論点のあるものではないように思われます。
また、太田大臣が、メンテナンス元年、こうおっしゃっておられますように、道路構造物やあるいは河川管理施設の老朽化対策、防災対策の視点が盛り込まれている、こういう法案であるというふうに理解をいたしております。
このように、インフラの老朽化対策、こういうものの必要性が強調されるきっかけとなったのが中央道の笹子トンネル事故だったと思います。天井板の落下により九人の方が下敷きになり、車の中で犠牲になられたわけであります。
中日本高速道路会社によると、管理する同じ構造の三つのトンネルのうち、笹子トンネルだけ、天井部にあるつり金具のボルトの部分の打音検査を行っていなかったということであります。当初、これが事故を未然に防げなかった原因だというふうに随分大きく報じられました。
こういうメンテナンスをやっていなかったのは前政権が公共事業予算を削ったせいだ、こんなふうにも言われて、過日の平成二十四年度補正予算の審議で、麻生財務大臣などもしきりにそのことをおっしゃっていたという印象がございます。
平成二十五年二月七日、衆議院予算委員会の答弁ですけれども、「笹子トンネルというような甚だ悲惨な例がありますけれども、ああいう例は明らかにメンテナンスの手を抜いたからでしょう。」こういうふうに麻生財務大臣はおっしゃられております。
ところが、最近になって、この笹子トンネルで仮に打音検査をやっていたとしても、あのような事故につながる劣化というのは見抜くのが困難だった、こういう結論が国交省の調査委員会において出された、こういうふうに報じられております。
あれっ、打音検査をやらなかったからあの事故が起きたんじゃないの、こういう感じもしてしまうわけであります。
笹子トンネルの立地県であります山梨県の横内知事は、打音検査なんて原始的なことをまだやっているのか、こういう趣旨の苦言を呈された、このようにも報道されています。この方は旧建設省出身の知事さんであります。
これだと、公共事業予算を削ってけしからぬというよりも、そもそも打音検査に頼ってきた手法そのものが問題だった、こういうことになるのではないかと思います。「笹子トンネルというような甚だ悲惨な例がありますけれども、ああいう例は明らかにメンテナンスの手を抜いたからでしょう。」これは、公共事業予算を前政権が削ったからこうなったというよりも、そもそも、旧態依然たる手法で検査を行ってきた、こういうことも一つの原因になるということではないかと思います。
そういう意味で、打音検査中心のトンネル検査のあり方を見直していく必要もある、こういうふうに思いますけれども、このことについて、国交省ではどういう議論を行い、どのような方向性を持っているのか、御確認をさせていただきたいと思います。
○太田国務大臣 前政権で公共事業を削ったからメンテナンスがおろそかになったという観点には私は立っておりません。
それは、前政権のみならず、今までそうしたことについての重点的な整備という観点がやはり薄かったということで、私は今メンテナンス元年と呼んでおりますけれども、老朽化対策、防災・減災、こういうことについて心しなくてはいけない。その原因は、大地震が迫っている可能性があるということ、そして、高度成長時代にできた構造物が経年劣化をしてきている、今しっかりやらなくてはならないという観点です。
メンテナンスという場合に、打音検査というのは、横内正明さんが何を言ったか私は存じておりませんが、国交省の人、建設省出身の人はみんな正確だとは私は考えておりません。私は技術屋の端くれでもありましたものですから、どうしてこんな原始的なという言葉までは一緒でしょう。今これが有効なのかどうかということについては、普通の人はそう思うかもしれません。もっともなことだと思います、たたいて、ずっと、大丈夫か見ているなんというのはおかしいなと。
それ以前に、一番やらなくてはならないのは目視ということです。目で見て、メンテナンスというものについて、まず基本は目視、次に打音検査。打音というのは、その中に空洞ができているかできていないかということが一番よくわかる。たたくとキーンという音がするのは中身が詰まっている、低音で音がするのは中身が空洞であるというようなことで、これは本当に有効なんです。ただ、技術的なことで、熟練のということもございます。
ですから、この打音検査とか目視ということは、昔からやられてきて進歩がないと言うかもしれませんが、現実には極めて有効である。
さて、笹子トンネルです。
笹子トンネルのことは、中に空洞があったということと同時に、接着系のボルトが抜け落ちてきた。それは、構造的な問題であるのか、あるいは、そこの中に入っている接着剤というものによるのか、あるいは、それが雑に突っ込まれていたのか。なおかつ、いろいろなことが今原因究明でされているということであります。
この接着系というものが全部かぶっていたとしても、これは打音検査で一発で全部わかるというような状況ではなくて、打音検査で一番厄介なのは、接着剤が空洞の中にあるという状況。これが打音検査では、引き抜き抵抗力の把握までは困難だというのが技術的な打音検査の実情でございます。
熟練した技術者が少なくなった、高齢化した、力量によって精度が異なる、そして何よりも、接着系ボルトの引き抜き抵抗力の把握までは打音検査はなかなか難しいということがありましたものですから、なかなかこういう打音検査のことについて答弁する機会がありませんでしたものですから、ちょっと長くて申しわけありませんが、申し上げました。
ただ、ここで、そうしたことの事態を受けて、赤外線を使うとか、電磁波を使うとか、超音波をやるとか、そうした検査というものの手法のあり方、いわゆる非破壊検査というものの手法について磨きをかけて、対象構造物の弱点にそれが当たるというような調査、検査法の技術の革新というものが私は大事なことだと思っておりまして、メンテナンスをやる場合に、そうした技術力の開発ということと、それを地方自治体にまで提供できる、そうしたことが今大事なことだというふうに思っております。
笹子トンネルはそうした事態でありまして、そんな原始的なこととかいうよりも、私が残念だというふうに思っておりますのは、打音検査も含めて検査をやろうとした、天井板の上に乗って全部そういうことを調べようとしても、それをしようとしたり、ある理由があってやらなかったというのが三回ぐらい繰り返されていて、もう少し丁寧な検査をすればという思いがあるということは事実でございまして、私は、そういう意味で、そういう機会を逃したのは残念。
その責任は、打音検査ということが効果を発揮しないということとはちょっと位相が異なるのではないかというふうに思っているのが現状でございます。
○柿沢委員 大変詳しい御答弁をいただきましたが、太田大臣は、先ほど麻生副総理の御答弁を引用させていただきましたが、前政権が公共事業予算を削った、削った結果、メンテナンスがおろそかになった、こういう見解をとってはいない、そういう立場には立っていない、こういうことでありました。
私は、何も別に前政権の弁護人を買って出ているわけではありません、それは別途大反省会を開いておられるようですので。
私が言いたいのは、メンテナンスが、ある意味では行き届いていなかった。そして今、インフラの老朽化時代を、朽ちるインフラの時代を迎えている。こうした状況の中で、では、そのメンテナンス、補修と称して公共事業の予算をふやしていく、これが本当に解決になるんですか、こういうことをお伺いしたいと思っているわけであります。
インフラの経年化を踏まえれば、メンテナンスの必要性は論をまちません。笹子トンネルも、昭和五十二年から三十六年経過していたものだったわけです。
予算をふやすだけではなくて、きちんと中身を精査しなければならないということを今回の笹子トンネルの事例は示しているのではないかというふうに私は思います。仮に、打音検査をやっていない、打音検査をやったといっても、今回の直接的な原因には行き当たらなかった、こういう可能性が高いということを考えても、そのように言えるのではないかというふうに思います。
さて、平成二十四年度補正予算の審議でも太田大臣といろいろと問答をさせていただきましたけれども、安倍内閣が編成した最初の予算である平成二十四年度補正、総額十兆円、公共事業関係費五兆円、これがインフラ老朽化補修、防災・減災に重点化された予算だと言われたわけであります。
あのとき、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安全安心・地域活性化、この重点三分野が掲げられたわけですけれども、そのときの質疑でも指摘をさせていただきましたけれども、例えば、ミッシングリンクと言われる地域連携道路事業。予算書を見ると、このミッシングリンク、地域連携道路事業が、防災対策の推進で計上されていたり、成長による富の創出で計上されていたり、暮らしの安心の確保、こういう名目で計上されていたり、それぞれの名目で予算が計上されているんですね。これを見ると、重点三分野といって、どれだけ振り分けをされて計上されているのか、私は大変疑問に思えました。
あのときは、まだこれから箇所づけするから、こういうようなことで、それぞれがどういう形で配分されるのか、その基準を示してくれと言っても、なかなかお示しをいただけなかったんですけれども、既に箇所づけをされております。
お尋ね申し上げますが、平成二十四年度補正予算における国交省所管の公共事業関係費に関して、具体的な予算配分、箇所づけにおいて、復興・防災対策一兆八千五百三十八億円、成長による富の創出八千九百六十三億円、暮らしの安心・地域活性化九百六十七億円、こういうふうに計上されていますけれども、この振り分けは何を基準に行われているのか、というより、何か基準らしきものはあるのかないのか、お伺いをしたいと思います。
○久保政府参考人 先生御指摘の三分野でございますけれども、総理指示に基づきまして、御指摘のとおり、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化を三分野として、国交省においても必要な経費を盛り込んだところであります。この際、もともとは、まず額ありきではなくて、それぞれの分野の事業について、地域の御要望も踏まえて、必要な事業を積み上げた結果として予算措置をしたものであります。
具体的には、先生の全体事業費とは別に、公共事業関係費、国費ベースで申し上げますと、おっしゃるとおり、老朽化を含めた復興・防災対策に結果として一兆一千四百三十七億円、成長による富の創出に四千八百二十九億円、暮らしの安心・地域活性化に千八百七十八億円をそれぞれ予算措置したところであります。
また、それぞれの個別の事業についても、御指摘のとおり、その中身によって、三分野に分かれて計上しているものもあるのも事実でございます。
○柿沢委員 私が引用した数字とちょっと違いますが、私も国交省の公表資料を見てこの数字は引用していますので、若干、補助事業が入っているか入っていないかとか、そういうことの違いではないかと思います。
問題なのは、久保官房長がお答えになられた答えは、私の問いに対する答えに全くなっていないということであります。
復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安全安心・地域活性化、こういうことを三つ、基準を設けて重点化項目として計上したわけですけれども、それぞれの計上する際の振り分けの基準は何ですかと聞いたら、そういう名目で要求されたものを積み上げてこの結果になったんだ、これだけが答えに聞こえる部分だったと思います。
もう一度、この三つがいかなる基準で振り分けられているのかということを明快に語っていただきたいと思います。
○久保政府参考人 同じお答えになって恐縮でございますけれども、額が先にありきではなくて、地域の御要望等を踏まえて、必要性を聴取して、結果として積み上げていった額が先ほど申し上げた事業になっているものであります。
例えば道路につきましても、先生御指摘のミッシングリンク等を含むこの地域連携道路事業でございますけれども、個別の事業によって、その地域の必要性に応じて、防災対策の推進であったり、成長による富の創出であったり、暮らしの安心の確保等に分かれて計上されているものであります。
もともとは、額が先にあって振っていったというより、それぞれの御地域のお話を聞いて、要望を聞いて、個別に、必要のあるものについて丁寧に積み上げていった、そういう結果でございます。
○柿沢委員 要するに、それぞれの名目で要求をされたものがそういう数字に積み上がったということだということが今の御答弁、再度の御答弁でわかりました。例えば数値化されたエビデンスがあるとか、そういうことでこの重点三分野に対する予算配分というものが行われているわけではないということが逆に言うとわかるわけであります。
同じような話として、老朽化対策や補修に重点化をした、これは安倍総理もあのときの答弁でお答えになられているわけでありますが、平成二十四年度補正における公共事業関係費のうち、既存インフラの補修に充てられるのは一体どれだけか、こういうお尋ねに、最初、財務省は答えを用意できなかったんですね。後になって、補修と新規が一対三である、二五%と七五%である、補修の予算は公共事業関係費の二五%である、こういうことを答えられるに至ったわけでありますけれども、箇所づけの済んだ国交省所管の公共事業三兆円余りのうち、補修と新規の内訳というのは結局どのように、額、比率、なったのか、お伺いをしたいと思います。
○久保政府参考人 ちょっと国費ベースで申し上げて恐縮でございますけれども、三兆一千百五億円、これは事業費ベースと考えていただいて、国費ベースであれば一兆八千百四十四億円となっております。
この一兆八千百四十四億円のうち、既存インフラの点検、補強を初めとした老朽化対策を含む復興・防災対策に一兆千四百三十七億円。これは、割り算いたしますと、全体の六三%がそういった既存インフラの点検、補強を含む老朽化対策を初めとした復興・防災対策に充てられている、こういうことでございます。
また、この二十四年度補正予算では継続事業がほとんどでありまして、私どもの事業評価の対象となる新規事業、新しいプロジェクトを起こすというのは、これは十一カ所でございます。ちなみに、この十一カ所の事業費を見てみますと、二十五年度単年度ではなくて数カ年にわたるものもありますが、その数カ年にわたるものを含めて、全体事業費で見ても三百三十八億円となっているのが現状でございます。
○柿沢委員 老朽化対策また補修を含む復興・防災対策と言われてしまうと、本当の意味で先ほどの補修と新規が一対三だというのとちょっと、どういうベースに立って比較をしたらいいのか、よくわからなくなってしまうんです。
また、補修と新規が一対三だとあのときの予算審議で財務省はお答えになられているんですけれども、老朽化対策、補修を含む復興・防災で六三%を占めておるのだということになると、これは全然かけ離れた数字になってしまうんですけれども、ここの違いはどこから生じるものなのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
○久保政府参考人 国土交通省の一兆八千百四十四億円の国費ベースの数字のうち、私どもの整理として、既存インフラの点検、補強を初めとした老朽化対策その他、それを筆頭とする復興・防災対策で一兆千四百三十七億円でございますので、これを単純に割り算いたしますと、復興・防災対策関係に六三%を国土交通省としては計上している、そういうことを数字を申し上げております。
○柿沢委員 恐らく、補正予算の審議の時点と今とで、計上すべきというか、充当した箇所づけというか配分先というのはそんなに大きく入れかわったわけではないと思うんですね。何か数字のとり方があるのか、また後ほど精査をしたいと思いますが、先に進みたいと思います。
何かお答えありますか。
○久保政府参考人 補正予算審議での、維持補修費が一定の割合であって、それ以外を全部新規と整理するということではなくて、維持補修費を含む数字があって、新規というのはやはり純粋に新規プロジェクトを始めるということで、先ほど冒頭申し上げましたけれども、それを国交省においては十一カ所であるというふうに、ちょっと事実について申し上げたということでございます。
○柿沢委員 水かけ論になりますから、これで最後にしますけれども、では、新規事業以外のプロジェクトには、継続案件ではあるけれども、成長による富の創出、こういうところにカテゴライズされているものもたくさん入っているではありませんか。そういうものが、どこが老朽化対策に含まれる、こういうことが言えるんですか。言っていることがどんどん迷路に入ってしまっていると思います。これ以上続けません。
補正予算の審議のときに太田大臣にお尋ねした件ですけれども、民主党政権で箇所づけ資料の事前漏えい問題というのが起きました。これについて、当時の前原国交大臣、そして馬淵副大臣が平成二十二年の国会答弁で、公共事業の箇所づけの仮配分を予算審議に資する形で事前公表することに前向きな答弁をされておられます。これは、私たちが国会で予算を審議する際に、個別の事業の評価に資する大変前向きな考え方だったと私は今でも思っております。
財政法上の問題があるのは承知をしておりますが、一度は実施しようとしたこの箇所づけ仮配分の事前公表でありますが、その方針はどのように現政権に引き継がれているのかいないのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
○太田国務大臣 二月だったと思いますが、私はそのときにも答弁申し上げましたが、公共事業の箇所づけにつきましては、予算成立後に公表されるものでございます。予算成立後に、実施計画を策定して、財務大臣の承認を得た上で決定されて、公表されるものであるということと、そしてこのことはこれまでの政権においても同様であったと承知しているという発言を私はしましたが、これは全く同じです。
民主党政権で誰がどういうことを言ったかわかりませんが、この点については、結果的には全く同じで、箇所づけというものについては、予算成立後に公表されるものであり、これまでの政権では、民主党政権も含めて、全く同様であったというのが事実だと思います。
○柿沢委員 あのとき、太田大臣、終わった後にたしか廊下で立ち話をさせていただいて、あなたの質問にもう少し答えたいことがあったんだというようなお話をされておられましたので、そのことをぜひ私はお伺いしたいというふうに思っております。
まず、この間の一つの改善点として、計画段階事業評価というものが導入されたという点があります。つまり、予算の概算要求前に、実施しようとする事業の計画段階での評価を行うものであります。
平成二十二年度からまさに試行が行われておりますが、この国交省の所管事業に関して、計画段階事業評価というものがどのように行われて、評価結果はいつの段階でどのように公表されているのか、ここがやはり国民的監視の上で非常に重要だと思いますので、ぜひ教えていただきたいと思います。
○深澤政府参考人 ただいま、計画段階評価につきまして御質問いただきました。
計画段階評価につきましては、事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、平成二十四年度より、直轄事業等において実施しております。
評価の実施に当たっては、新規事業採択時評価の前段階で、地域の課題や達成すべき目標、地域の意見等を踏まえ、複数案の比較、評価を実施し、都道府県等や第三者委員会等の御意見もいただいた上で対応方針を決定することとしております。
平成二十五年度予算で新規採択を検討している事業につきましては、既に国土交通省のホームページ等で公表しております。
なお、平成二十六年度以降に新規採択を考えている事業につきましては、新規事業採択時評価の手続に着手する前までに公表することとしております。
以上です。
○柿沢委員 計画段階事業評価の上で概算要求が行われて、さらに予算化決定時までに新規事業採択時評価というものが公表される、こういう運びになっているわけであります。費用便益分析、つまりBバイC、これの確認、また、事業の特性に応じて環境に与える影響や災害発生状況等も含めた多面的な評価を実施して、事業の必要性を確認する、こういうふうになっています。
国交省の所管事業に関して、この新規事業採択時評価というものがどのように行われて、評価結果がどのように公表されているのか。計画時段階評価をやってしまうと、新規事業採択時評価というのは、基本的には同じことの繰り返しになる可能性もあるのかなというふうに思いますが、両者の特性の違いみたいなことも含めて、もし御答弁をいただければ幸いであります。お願いします。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
計画段階評価と新規事業採択時評価の違いにつきまして今お尋ねがございましたけれども、計画段階評価は、先ほども若干申し上げましたが、新規事業採択時評価の前の段階で、政策目標を明確にした上で、複数案の比較、評価を行うものであります。一方、新規事業採択時評価、これにつきましては、新規事業の採択時において、費用対効果分析も含めて、総合的に実施するものであります。
新規事業採択時評価につきましては、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るという観点から、直轄事業負担金の負担者であります都道府県知事等への意見照会、あるいは学識経験者等の第三者から構成される委員会等による審議を経て、その評価の結果を公表するところであります。
以上です。
○柿沢委員 こういうプロセスの公開、公表が進んでいるということは、私は大変評価できることだというふうに思います。新規事業採択時評価、これが公表される、その上で、私たちはその費用対効果あるいはその他の便益というものを評価することができるようになったわけです。
この質問の最後に、太田大臣にもう一度お尋ねしたいんですけれども、やはり箇所づけの予算額の仮配分については、これは事前公表の対象にはならない状況になっているわけです。しかし、実質的には、予算成立と同時に公表されていますので、事前公表して審議に供することは、本来は、私は、実務的にはできるはずだと思うんです。
立ち話で太田大臣が話したいことがあったというのは、そこに何か含みを持たせるような部分があったのかもしれないと期待して、きょうは質問通告をさせていただいたんですが、どうやらそうでもなさそうなんですけれども、もう一度御答弁をいただければと思います。
○太田国務大臣 これは財政法等の関係もありまして、箇所づけということについては予算成立後にということで、それは前政権からも同じであるということです。
ただし、いわゆるどういう事業をやってということの事業評価ということについては、補正予算のときの新規分については、これはこういう事業をやりますよという事業評価を事前に発表する。そのことについては、民主党政権が実施している、事業評価の結果のいわゆる事前公表、それまでもやっていたんですが、前もって、できるだけ早く、一月の末とかめどとかいうことになったわけでありますけれども、それについては同じようにやらせていただくということが私の言っている真意でございます。
したがって、今回も、補正予算の事業評価についての新規、そして本予算においてのそうした新規、そして継続分については、事業評価という面においては発表させていただいているということでございます。
○柿沢委員 箇所づけの事前漏えい問題というのがあれだけ大きな問題になったのは、やはり、どの事業に幾らの予算を配分するのかというのが最もある種権力的な行為であって、そして、そこがさまざまな利害当事者あるいは国民の皆さん、そうした皆さんの最も関心事でもある、こういうことが根底にあるからではないかというふうに思います。
そして、国会における予算審議というのは、まさにそうした配分も含めて、国家予算をどこに幾ら投じていくのかということを議論する、そうした機会だというふうに思います。
そして、国会において、議論の結果、修正をされるということが間々あっても、これはおかしくないはずのもの、今、現状はそういうふうにはなっておりませんけれども、そういう意味でいえば、やはり、どこに幾らを配分するのかという政権の方針を示して、その上で、この場で議論をして、そして、必要とあれば、また不必要と感じられるものであれば、場合によってはそこを修正なりしていく。こうしたあり方を目指していく上で大前提となるのが、今の箇所づけ、仮配分、こうした資料の事前公表だというふうに思うんです。
私がこだわるのは、予算が成立した途端に同日発表しているわけですから、そもそも、基本的に内定をしているものでしょう。内定をしているんだったら、国会の審議の前にも出すことが可能なはずなんですよ。それを、財政法上の問題を理由に公表しないということになっていることが、はっきり言えば、予算審議を形骸的なものにさせて、そして、実質的な、どこに幾ら投じるのかという中身の議論にならない、こういう状況を生んでいるのではないかというふうに思っています。
ぜひ、今後も御検討していただきたいというふうに思っております。
インフラ老朽化対策にまた戻りますけれども、高速道路についてです。
先日、東日本、中日本、西日本の高速道路会社が三社合計で五兆四千億から十兆六千億、今後百年間で老朽化対策に必要だ、こういう試算結果を公表しています。八千七百キロのうち、もう四割の三千二百キロが開通後三十年を経過しているということであります。
私は東京の人間で、太田大臣もそうでありますけれども、一号線の芝浦―京橋の開通から、もう首都高は半世紀がたっています。国交省も有識者会議をつくって、老朽化対策、議論を進めてこられました。そこで議論をされたのが、都心環状線の地下化の問題であります。
オリンピックで、日本橋の上に高速道路を走らせた。失われた東京の空を取り戻すんだ。こういう議論は小泉政権時にも随分行われました。都心環状線を地下化して、そして東京の景観を取り戻す。あるいは、地下化をすると四兆円余りかかってしまいますので、単純撤去という方法もあるわけです。
都心環状線は半径二キロぐらいしかない。世界の大都市の環状道路と比べると、半径は非常に狭い。ある意味では、オリンピックのときのための間に合わせの産物としてつくられたものだと言っても私は過言ではないというふうに思います。単純撤去であれば、これは五千億円程度でコストは済むと言われております。
この都心環状線の地下化あるいは単純撤去、国交省の有識者会議では議論をされたわけですけれども、一方で、首都高速会社の有識者委員会の方ではいささか否定的な方向の議論が行われている、こういうふうにも聞いております。
国交省の現時点でのこうしたことについての見解をお尋ねしたいと思います。
○太田国務大臣 首都高速の、日本橋の上のということが小泉政権のとき以来言われて、もともとあるんですけれども、どうするかということが一つあり、そして三宅久之座長のもとで昨年九月に提出した有識者会議は、これは、老朽化した都心環状線の高架橋を撤去して、できるだけ地下化を含めた再生をするということで提言をまとめました。
その後、ことしの一月に、今度は老朽化というのはどれだけ進んでいて、老朽化と更新をどう進めるかということで、涌井先生を中心にした委員会が結論を出しまして、それが七千九百から九千百億ということになっています。
私は、去年九月の提言というものも踏まえて、涌井先生たちの提言も踏まえて、東京の高架というものを地下にすることを推進するということは極めて有効であるというふうに思っておりまして、築地川区間をモデルケースとしまして、都市空間を有効利用するという、これをモデルにして、どこをどういう形でやっていくかということについて今後引き続き検討していきたいというふうに思っているところです。
○柿沢委員 三宅久之座長は他界をされてしまったわけでありますが、私もテレビで御一緒したときに随分お叱りをいただいた覚えがありますが、天から太田大臣を見守っておられると思いますので、これからもぜひ鋭意お取り組みをいただきたいというふうに思います。
最後に、小水力発電についてお伺いをいたします。
大型連休中に、ドイツ、デンマークの原発ゼロと再生可能エネルギーの取り組みを視察してまいりました。ドイツは電力の二四%が再エネ、また、デンマークは消費電力の三〇%が風力発電で賄われております。北欧の中で日本と似た急峻な地形を持つノルウェーは、九九%が水力発電で電力を賄っているということであります。
今回、法案審議に当たって、小水力発電の資料に目を通しましたけれども、改めてそのポテンシャルの高さに刮目をいたしました。
河川部における小水力の導入ポテンシャルは八百七十八万キロワットアワー、地点数で一万九千七百カ所、農業用水路では二十九・九万キロワットアワー、地点数五百九十五カ所、計算上、これはちょうど今の時期の東北電力の電力需要を満たすぐらいの総容量になるんですね。
再生可能エネルギーの拡大を進めていく上で、小水力発電のポテンシャルをどのように生かしていくか、今回の法改正でどの程度これが進んでいくのかということが一点。
そして、小水力は、固定価格買い取り制度、FITの中でも買い取り対象になりましたが、課題となっているのは、法手続の煩雑さです。今回の法改正もそれに連なる法改正だと認識をしております。
平成二十四年四月三日に閣議決定をされたエネルギー分野における規制・制度改革に係る方針では、小水力発電に関する水利利用区分を準特定水利利用として大規模な水力発電とは異なる取り扱いをするということについて、二十四年度中に結論を得て、結論を得次第措置する、こういうことになっています。
ぜひ、先ほどのヨーロッパの進んだ取り組みを追いかけていくためには、こうした法手続のバリアというものは早急にやはり見直していく必要があると思います。今回の法改正でどのぐらい進むのか、そしてさらに進めるために、今指摘を受けているような法的な手続上の論点をどういうふうにクリアしていくのか、あわせて伺って、終わりにしたいと思います。
○太田国務大臣 今回は、いわゆる従属発電ということでの小水力について、少しでもという私自身のすごい前から意思もありまして、そこを進めさせていただいたということでございます。
農業用水とのこれが水利権とのぶつかり合いがありまして、従来、全く動かないに等しい状況であったのを、今回、登録制ということを導入してやりやすくしたということで、例えば東北でいきますと、水力発電のポテンシャルは五百万キロワットと言われるんですが、これは全ての水について言っている話です。それが東北電力ということに、先ほど指摘があったと思います。
小水力を、全国農業用水路において約六百地点というものが可能だというふうに思っておりまして、全体的には、これが実現した場合には、三十万キロワットが今回の措置によって獲得できるものである、モデルをつくりながら、そのところの到達点に向けて進めたいというふうに思っているところです。
水力はこれからますます重要になるというふうに思いますので、これは、今度は治水、利水両方と、自然の荒廃とかさまざまな、ダムの問題もありますから、その辺はこれからさらに煮詰めながら、再生エネルギーということの中で論議をしていかなくてはいけないというふうに思っているところです。
まず、とりあえず第一歩として、小水力三十万キロワットに向けてスタートを切るというのがこの法案でございます。
○柿沢委員 済みません。一点、最後にお伺いをした準特定水利使用について、平成二十四年度中の結論を得て実施をするということでありますので、この点についてはどうかということを重ねてお伺いさせていただきたいと思います。
○足立政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま御指摘の、小水力発電を普及促進するために、千キロワット未満の小水力発電の水利権の許可手続を簡素化するというのは、この四月一日から施行いたしてございますので、御承知おきいただければというふうに思います。
○柿沢委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 午後三時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後三時十一分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。穀田恵二君。
○穀田委員 まず最初に、道路、河川、港湾という、性質も違い、それぞれ法改正中心事項が多岐にわたる三法案を一括して審議することに私は抗議したいと思います。しかし、決定されたからには、まとめて質問せざるを得ません。
そこで、三法案の共通する防災、老朽化対策については、かねてから私は主張してきましたわけで、積極面として評価したいと思います。
道路法では、点検の義務づけ、維持管理の政令策定、河川法では、河川管理施設等の維持、修繕の基準の創設、港湾法では、民有港湾施設の維持管理状況、耐震性に関する立入検査を実施する等々、点検、維持管理の位置づけを明確化、明文化はしました。
問題は、これらのことによって老朽化対策にどのような効果が生まれると想定しているのか、そこをまず最初にお聞きしておきたいと思います。
○太田国務大臣 今の橋であれ、トンネルであれ、河川であれ、港湾であれ、これが老朽化、経年劣化をするということに対応し、そして大地震ということを想定しますと、この対策をしっかりやらなくてはいけないということだと思います。
そういう意味では、特に、まず調査、点検ということが全てにわたって大事になる。その適確な調査、点検ということが、これによってさらに推進されることになる。
そしてまた、計画的に修繕を行う予防保全型の管理が促進されることで、長寿命化とライフサイクルコストの縮減を一層図る効果が出てくる。
そしてまた、基準という点では、考え方、あるいは予防的な維持管理のための定期的な維持管理が必要ということ、点検の後の記録、台帳をつくって、その後の点検の基礎とする。
そうしたことがこれによって定められ、この老朽化対策に大きく寄与するというのが今回の法案の趣旨であるというふうに思っています。
○穀田委員 お話のように、老朽化対策に力を入れ始めたことは当然だと思うんです。
問題は、公共事業政策のあり方として、老朽化対策が施策の中心に据えられたのか。新規建設が中心だったこれまでの公共事業施策から本格的な転換が図られたのか。それを検証するためには、これまでの老朽化対策、維持管理に対する取り組みをどう総括したのか、その上に立って、改善すべきを改善し、施策に反映しているかを見る必要があると私は考えます。
私は、老朽化対策、維持管理の問題については、二〇〇九年の麻生内閣のときにも、予算委員会などで取り上げました。その際、道路橋で見ると、全国の市町村が管理する橋梁のうち八四%が点検されていないことや、橋梁の長寿命化修繕計画も一一%しか策定していないことを指摘しました。
さらに、二〇一〇年にも、当委員会で、道路橋の長寿命化修繕計画の進捗状況などを質問しました。市町村の長寿命化修繕計画の策定は、二四%まで進んだ程度でありました。
その後、現在、どれだけの橋梁の点検や、橋梁の長寿命化修繕計画の策定が進んだのか、そして、実際の補修、修繕はどれだけ実施されているのか、簡潔にお答えください。
○前川政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体が管理いたします十五メーター以上の橋梁につきまして、委員、過去の数字をお示しいただきましたが、平成二十四年四月の時点で申し上げますと、点検の実施率は、都道府県・政令市で九九%、市区町村では八九%でございます。また、長寿命化修繕計画の策定率は、都道府県・政令市で九八%、市区町村で五一%となっております。
さらに、長寿命化修繕計画の中で、修繕が必要とされた橋梁の数に対しまして、現時点で修繕を行っている橋梁の割合は、都道府県・政令市で一七%、市区町村に至っては三%にすぎない状況でございます。
○穀田委員 今、報告ありました。老朽化などにより早急な補修が必要となった六万七百四カ所のうち、修繕実施済みは六千四百七十六カ所。特に、今報告があったように、市町村の管理では、修繕実施済みが三%。つまり、八百八十三カ所しかありません。そして、長寿命化修繕計画策定率も、市町村においては約五一%にとどまっています。
市町村が進まない理由は、簡単に言うと、修繕費用、財源がないこと、それからもう一つは修繕計画を策定する人材等の不足、こういうことで、ずっと大臣も言ってこられました。
そこで、トンネルはどうか。
さきの当委員会で私述べましたけれども、国交省が先ごろ実施した自治体へのアンケートで、五八%の市区町村が、笹子トンネルの事故の前までトンネルの点検を一度も行っていなかったことが発表されています。
トンネルを管理している六百九十二市町村のうち、四百二の市区町村だったわけです。このうち、約半数以上の二百二十八の市区町村が事故後も点検していなかったわけです。点検した市区町村も、定期的な点検を行っていたのは四十一自治体と、全体の六%しかありませんでした。まだまだ取り組みはおくれています。したがって、社会資本の大半を管理する市区町村がこの老朽化対策に取り組むかどうかが鍵となっています。
私は、先ほど述べた二〇〇九年当時、なかなか市町村の取り組みが進まない要因として、予算の問題、技術力の問題を取り上げました。これがどうなっているか、確認したいと思います。
そこで、道路法改正でいえば、四十二条二項に基づく維持管理の政令策定についてです。道路法制定以来、六十年以上も、政令で定めるとしながら、制定してきませんでした。
二〇一〇年三月二十三日、当委員会でこのことを指摘し、私は、維持補修の技術的基準を定めると明記しているが、いまだに政令がないままだ、維持補修、修繕については新設にあるような技術的基準もない、この事態は改善すべきではないのかと提案しました。
当時の政務官は、橋梁定期点検要領案など個別の基準を例示するのみで、維持管理の政令については、どう言ったかというと、地域主権改革の流れも踏まえながら引き続き検討してまいりたいと答弁しただけでありました。
結局、今日まで制定されませんでした。なぜ、これまで制定されなかったのか。なのに、なぜ今回制定することになったのか。新規建設のみだった高度経済成長の時代には維持管理という発想も余りなかったというんだろうけれども、二〇〇〇年代には、既にさまざまな形で、老朽化対策、維持管理のあり方が問題視され始めていました。にもかかわらず、制定を先送りしてきたのは、公共事業施策が新規建設を中心に行われてきたあかしであると同時に、その怠慢さは厳しく反省しなければならない事柄だと思うんですが、大臣の見解を伺いたい。
○赤澤大臣政務官 委員御案内のとおり、これまで道路の維持管理については、個別具体の道路の状況や、地形、気候の問題などを細かく考慮することが必要であるため、全国的に一般的な法規範としては定めにくいので、御指摘の政令は制定されなかったということを申し上げてまいりました。
したがいまして、政令のかわりに、国土交通省としては、点検を含む維持、修繕の標準的な手法として、橋梁定期点検要領案などの周知を図ることによって、道路管理者に適切な維持管理を促し、道路管理において必要な安全性の確保を図ってきたところでございます。
ただ、こういった状況の中で、道路構造物の老朽化が顕著に進んできた、これは全く穀田委員御指摘のとおりでございまして、これに対応した適切な維持管理を、より徹底して確保することが喫緊の課題ということになっているのが現在でございます。
一方、国交省などにおいては、これまで行ってきた橋梁やトンネルなどの道路構造物の点検、診断、修繕を通じて、これらの方法などに係る技術的な知見が相当程度蓄積されてきております。
以上のような状況を踏まえて、これまで制定されていなかった維持、修繕の技術的基準に関する政令について、効率的な修繕を行うための点検の基準も含め定めることとし、従来の基準とあわせ、維持、修繕基準の体系を整えて、各道路管理者による適切な維持管理の一層の促進を図りたいと考えております。
○穀田委員 大臣に答えてほしかったんですが。
だけれども、私が提起した時代も、その事態については明らかだったんです。その時点で言っている私の事実指摘と今の指摘はほとんど変わらないんですよ。その間に、老朽化という問題についての問題意識が確かに広まったことは事実です。だけれども、そのときから私は指摘をしていたわけで、別に今日まで、あれから何年になりますかね、三、四年になりますけれども、やはり政令を制定しなければならなかったんでしょう。
だから、その意味では、おっしゃるとおり、より顕著に徹底してというのはわかりますけれども、もう少し反省は要るんじゃないかと率直に言うと思うということですよ。悪いと言っているんじゃないんですよ。だけれども、前から言っているんですから、今になって何か細かく云々かんぬんとかいろいろ言う、その言いわけが要らぬのじゃないかと率直に思います。
そこで、では予算面ではどうかという問題について少しお聞きしたいと思うんです。
市区町村は、財政は相変わらず厳しいです。私は、三月の十五日、それから四月三日の当委員会において、笹子トンネルの事故に関して、事故の背景に、中日本高速道路会社が、要補修損傷件数が五年間で五倍と大幅に増加しているにもかかわらず、維持補修費はほとんど横ばいで、維持補修費が事実上抑制されていることを指摘しました。その背景に、道路公団民営化に伴って、改修、更新の費用を三割減とする方針、計画があったこと、その削減計画は当時の自公政権のときで、政治の責任は重いと指摘しました。
昼間に何か前政権のという話がありましたけれども、そうじゃないんです。自民党政権時代からそういう削減計画があったんです。それを私は指摘しました。
しかも、この維持管理費の削減方針は高速道路に限りません。市区町村への補助の引き下げにもあらわれました。経過を若干振り返ると、小泉内閣の時代に選択と集中と称して、ダムや高速道路、巨大港湾事業、そして都市再生事業など、新設の大型事業に重点化して予算を集中することが図られました。その一方、地方自治体への補助を初め、維持管理費用が削減のターゲットにされてきました。
小泉内閣の麻生総務大臣が、「国庫補助負担金毎の見直しの考え方」という中で、公共投資関係費に係る国庫負担金は国家的なプロジェクト等根幹的な事業などに限定することが必要。特に、1市町村に対するもの、2補修、修繕、局部改良等に係るものには原則廃止、縮小するとしたんです。
ここに問題がある。社会資本の補修・修繕費用は減らせという圧力になったことは間違いありません。
当時の方針は現在どうなったのか、総務省にお聞きしたい。
○坂本副大臣 委員御指摘の内容は、平成十五年六月に閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三において、官から民へ、あるいは国から地方への考え方のもと、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主、自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築していくとの方針に基づいて策定されました国庫補助負担金等整理合理化方針に沿って、当時の総務大臣が経済財政諮問会議に提出したものでございます。
地方公共団体の維持補修費の決算額は、三位一体の改革による地方交付税の抑制の影響もあり、平成十八年度までは減少傾向にあったということは、これは事実でございます。しかし、その後増加に転じております。
総務省といたしましても、地方公共団体が管理する道路や橋梁等の社会資本について、適切に維持補修を行うことは重要な課題であると認識しております。地方財政計画における維持補修費も、平成二十五年度以降は増加をしているところでございます。
総務省といたしまして、今後とも、地方公共団体が適切に社会資本の維持補修を実施できるよう、交付税等も含めて必要な財源措置を行うよう努めてまいりたいと思っております。
○穀田委員 私は、その前の方の話は、文書に書いていますから、知っています。それに基づいて十八年までは減らされたんです。ただ、その後の需要があって、結果としてはふえたということも知っています。
問題は、こういうやり方自身を、官僚の皆さんは、こういう方針があれば、そのやり方が撤回されていない以上、必ずまた復活してくるということもあるんですね。例の、九千キロにわたる道路のつくり方の問題についても、やめたと言いながら、実際上は、方針上、政策的にも決定法律事項ではやめたと書かなかったからこそ復活したということを、平気で国交省関係の官僚の方は言っておられますからね。そこは厳しくやらなきゃならぬと私は思うし、こういうやり方を反省すべきではないかと言っているわけであります。
当時、〇九年の麻生総理の時代に、鳩山邦夫総務大臣は、市町村道の維持補修が単独事業とされたことが大きい、三位一体改革で地方交付税の減額が余りに急激だったために、市町村という弱い方に一番しわ寄せが行ったと、地方公共団体の社会資本維持管理費が三位一体改革のもとで削減されたことを認めたほどなんですね。
ですから、そのぐらいこの問題というのは極めて重要だったということを私はあえて言っておきたいと思います。その辺は大臣はおわかりかと思います。
そこで、老朽化対策を進める上で、社会資本の維持更新費にどれだけかかるのか、その試算が極めて重要だということを何回も私はこの委員会で指摘してまいりました。
国交大臣は、質疑の中で、国交省が〇九年度の国土交通白書で示した更新費百九十兆について、「百九十兆というのがひとり歩きするのは、基本的にざっくり言いますと、五十年で全部壊れるから、全部つくり直すということの合計が百九十兆というようなことに近い数字である」、こう述べました。そして、もっとメンテナンス技術を向上させれば、山が低くなってくるという答弁でありました。メンテナンス技術が向上、それによる維持更新も進めば、更新費はもっと下がるだろうと思います。
しかし、そもそも老朽化の、先ほど大臣も何度も私との議論の中で言っておられるように、はっきり言って、点検も調査もまだこれからだと。となると、一体どれだけ更新費がかかるのかということについては、もっと精密に精査すべきだと考えています。
そこで、道路、河川、公園、空港や港湾、下水道などそれぞれ精査しているのかということと、また、どのくらい地方自治体が維持更新費の試算をしているのか、お答えいただきたいと思います。
○西脇政府参考人 お答えいたします。
まず、維持管理、更新費の将来推計につきましては、現在、審議会の御意見を賜りながら、道路、河川など各施設の建設年度や、これまでの維持管理の取り組み実績などをもとに、情報の整理、分析を進めているところでございまして、引き続き、検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
また、どの程度の地方公共団体が将来推計を行っているのかというものにつきましては、審議会が実施しておりますアンケート結果によりますと、費用の推計を実施していると回答した団体が都道府県・政令市で約三三%、その他市区町村で約一一%、推計は実施していないものの、必要な費用の見通しを大まかに想定していると回答した団体が都道府県・政令市で約二六%、その他市区町村では約二〇%という現状になっております。
○穀田委員 一つ言わないことがあるんですが、その中で推計していないというのが全体として八八・一%あるということ、それを言ってくれなくちゃ困るんですよ。いい方の話ばかりせぬと、肝心かなめの問題は、推計をしていないというところが八八・一%あるということなんですよ。
だから、地方自治体では非常に深刻なんですよ。インフラマネジメントだとか公共施設マネジメントなど、計画を立てて、老朽化対策に取り組みを始めているところもあります。
例えば、東京の府中市は、市が管理する道路、公園、下水道などの維持管理費が、今後四十年間のコストについて年平均八十億七千万円、学校や図書館など、施設の維持更新コストは年平均六十一億円、近年の一・四倍から一・七倍になると試算をしています。国立市は、公共施設の一九八一年以前に建てられた建物の割合を示す老朽化率が八〇・九%と高く、今後十年間に維持更新費が百九十八億円かかり、七割が不足する。さいたま市は、今後四十年間で百五十五億円の財源が不足する、こういうふうに報告しています。私が若干調べたところでもこれほどある。だから、維持更新費について試算して老朽化対策を始めているわけですよね。
総務省は、道路関係費などの歳出内訳で老朽化対策としての経費を把握するようにすべきではないのか、社会資本の維持更新費の把握など、国としての支援を強めるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○黒田政府参考人 総務省といたしましても、地方公共団体が管理する道路、公共施設等の社会インフラの維持管理費用にあわせまして、更新費用を把握することは課題であると認識しております。
しかしながら、ただいまの国土交通省からの御答弁のとおり、費用の推計を行っている団体はまだ少数割合にとどまっているということも事実でございます。
したがいまして、総務省といたしましては、このような状況を踏まえまして、台帳の整備などを通じました公共施設の老朽化の状況の把握や、効果的、効率的な維持管理、更新のあり方を検討するよう地方公共団体に要請しますとともに、検討の参考となります情報提供等を行っている状況でございます。
今後とも、このような取り組みを進めながら、各年度において必要な維持更新費用につきましては、その実態に応じまして、適切な地方財政措置を講じてまいることとしております。
○穀田委員 大臣、聞いてほしいんだけれども、今やっていると言っているんだけれども、そんなのは、二年前からホームページ上に維持更新費用のソフトを公開している程度なんですよ。促進に努めているというのが、実態は言っていないんだけれども、それがやっている仕事なんですね。それを何ぼ利用しているかというと、たった百十一自治体なんですね。だから、およそ数字をつかむ事態になっていない。
だから、大臣がいつもおっしゃるように、データをデータベース化する必要があるとか、いろいろなことを言いますよね。肝心の老朽化対策を重点化するためには、やはり国、自治体の維持更新費の把握がまず必要なんですよ。それに基づいて具体的計画を立ててこそ、私は事業を実施することができると。何も無理を言っているんじゃないんですよ。最低のところまでやろうじゃないかと一貫して私は提起しているということは、もう御承知いただけると思います。
うなずいているので、次に行きます。
前回の質疑で、高速道路会社の話なんですけれども、「有料道路分の事業費につきましては、税負担とはなりませんが、お時間をいただければ、整理した上で御報告をさせていただきたい」と答弁がありました。
整理しましたか。有料道路分の事業中の総事業費、いわゆる新規のための費用及び残事業費は幾らになるのか、お答えいただきたいと思います。
○前川政府参考人 NEXCO並びに首都高速会社、阪神高速の新設、改築事業についての総事業費、残事業費について整理をさせていただきました。
全体の合計でいきますと、事業中区間の総事業費が約十兆円でございます。そのうち、既に投資した額を除きまして、平成二十五年度以降の残事業費が、半分の五兆円という数字でございます。
○穀田委員 この間のときには、今言いましたように、修繕の費用というのは八兆円とありましたよね。それは、うなずいておりますから、そうです。これは、今ありましたけれども、新規の事業とは違って、要るわけですよね。八兆円というのは日常修繕の費用なんですよ。大規模修繕や更新費用については入っていないんじゃないのか。
では、聞きますが、実際に道路会社が試算した大規模修繕、更新費用は幾らになりますか。
○前川政府参考人 お答えいたします。
大規模修繕、大規模更新等の老朽化対策に必要な費用については、各高速道路会社が有識者委員会を設置して検討を行っておりまして、NEXCO三社で五・四兆円、首都高速で七千九百億円から九千百億円、阪神高速で六千二百億円、合計で約七兆円弱が必要であるという試算が出されております。
○穀田委員 三社が管理する高速道路は、合計で約八千七百キロメートルに達しています。そのうち四割が、開通後三十年以上経過しています。二〇五〇年には三社の道路全体の八割が開通後五十年以上になり、計画的な老朽化対策が急務となっています。
二〇〇五年の道路公団民営化を決めたときの計画では、旧公団時代に抱えた約四十兆円の借金を五〇年までに全額返済し、その後は道路を無料開放することになっています。ところが、これには、大規模な改修を行う費用は盛り込まれていない、道路補修程度の予算しかないと言われています。旧道路公団時代も含め、本格的に老朽化対策を見込んだことはなかったということらしいんですね。実際に、大規模修繕、更新費用は道路保有・返済機構との協定には含まれているのかどうか、お答えいただきたいと思うんです、一言だけ。
その上で、では、どうするかという問題にこれはかかってくるわけですよね。私は、有料道路分の事業費を根本的に削減すれば、計画どおり賄えると。北海道新聞は、「問題は財源だ。」ということをその社説で述べていて、そして、「設計段階などにある建設予定路線の妥当性を再吟味し、一部を凍結して浮いた費用を充てることも検討すべきではないか。」ここまで述べています。私のこの間一貫した主張と同じだと思うんですが、この際、そういう方向を選択すべきじゃないか。
この二つ、お答えいただければ幸いです。
○前川政府参考人 最初の、大規模修繕、大規模更新が保有機構との協定に含まれているかということについてお答え申し上げます。
現在の協定には含まれておりません。
○太田国務大臣 全体的な試算をしていくということは極めて重要だというふうに思います。そこをどういうふうに、償還ということも含めてそれから後どのようにしていくかということは、まさに私も大事なことだというふうに強く思っておりまして、今、国土幹線道路部会で、三月までということだったんですが、おくれておりますが、おくれているというのは、それだけ慎重に、また非常に広範にわたるということで計算をしているということでありますけれども、そこを幹線部会で幅広く検討していただいて、これからどういうふうに本格的な償還の財源、そしてまた、その後の維持更新についてどうするかというのは、その答申を受けて判断をしていくということにしたいと思っているところです。
○穀田委員 私、答申を受ける前に、実際には新聞紙上などでは先延ばしする方針を固めたということまで報道されているから、心配して言っているんですよ。
今大臣からありましたように、試算も含めてきっちりやらぬと大変なことになるということですわね。しかも、今局長からお話あったように、この協定の中にはもともとないんですよね。だから、そういうことに立って、ではどうするかといったときに、やはり白紙から議論しないと、とにかくつくり続ければいいとかという話では済まない問題があるんですね。
その当時の責任は責任ではっきりさせるということと、同時に、予断を持ってやらずに、やはり私が述べたことなんかも選択肢の一つとして入れてやらないとだめだと思うんですね。
北海道新聞の社説は、その後段で次のように書いているんです。「今後の高速道路建設は、国と都道府県が建設費を負担する新直轄方式が中心となる。 政府・自民党は国土強靱化を掲げ新規建設に力を入れる構えだ。だが、路線が増えれば更新・維持費用もかさむ。国際社会からも批判を浴びる財政難を忘れてはならない。」こうも述べています。
ですから、繰り返しますけれども、私は、高速道路に限らず、ダムや新幹線、港湾などの新規の開発事業は抑制し、防災、老朽化対策としての維持更新事業へ公共事業政策全体を大きく転換すべきだということを改めて要求しておきたいと思います。
次に、今度は違う話をします。
地下街等の水防問題について次に述べます。
都市型の集中豪雨で、地下街等での水害も大きな問題となっています。地下では地表の天候が把握しにくく、また停電で真っ暗になることも考慮しなければなりません。そして、地上の洪水が大きな水圧を伴って押し寄せることで、この間犠牲となられた方も多いわけです。
二〇〇五年の水防法改正で、全国千三百四十二の自治体で浸水想定区域が指定されました。洪水ハザードマップの公表が義務化されましたが、公表は九五%、六十八の自治体が公表されていません。また、その浸水想定区域内にある八百七十三カ所の地下街等では避難確保計画が義務づけられました。しかし、作成を義務づけられた避難確保計画が実際に作成されているのは、ことしの三月三十一日現在で四百八十七カ所です。五五・八%、約半数で避難確保計画が未作成です。
今回、その八百七十三カ所の地下街に自衛水防団の設置を義務づける法改正が提案されています。避難確保の計画すらできていないのに、自衛水防団を法律で義務づけただけで進むんだろうか、なぜ計画ができないのかなどの問題点について、現場での声に耳を傾け、丁寧に援助しなければ、絵に描いた餅となりはしないか、私はそう危惧するんですけれども、大臣、その辺、いかがですか。
○足立政府参考人 御指摘のとおり、浸水想定区域内に地下街がたくさん存在しておりまして、先ほど御指摘のような計画の作成状況になっているということでございます。
それらについては、しっかり我々もバックアップして、計画の作成ができるように自治体を支援していきたいというふうに考えてございます。
○穀田委員 これは、この間もやってきていて、この程度までしか進んでいない。深刻さがちょっと感じられないという気がするよね、はっきり言って。
私は、幾つかの地下街を見て、意見を聞いてまいりました。ですから、きょうはもう、浸水防止対策、避難確保、水防団員の安全確保のための若干の具体的提案をしていきたいと思っています。
一つは、関係者の話では、地上から雨水などが流れ落ちてくる階段においては、避難がほぼ不可能と言われています。消防署の職員の訓練でも、膝の高さで上れないとのことでした。そこで、地上への通路が多数ある地下街では、安全な通路への正確な誘導が鍵になります。その際、当然、放送施設が大きな役割を担います。変電施設が地下にあって浸水時には停電し、使えないことも考えなければなりません。
京都市の、ある地下街の避難誘導計画では、メガホンを六台使ってやるとなっています。ここのところは、三十九カ所ぐらい出口があるんですね。六台のハンドマイクなんです。その上で、避難誘導計画の中には、将来課題として、非常用電源回路を別ルートで配備することが理想だと。それから、浸水センサーも将来課題としています。国は電池式の拡声機でよいとしているわけですけれども、バックアップ電源の配備や正確な状況把握のための浸水センサーなどの整備に積極的に補助をすべきと思いますが、いかがですか。
○太田国務大臣 地下街というのは、水の流れが閉鎖空間である上に速くて、そこはほかのところの防災とはちょっとスピードが違うと私は思います。去年の十月二十九日にサンディが襲来をして、結局ニューヨークの地下街が相当やられたということの知見というのをもう一遍吟味しなくちゃいけないというふうに思っておりますけれども、日本において、この地下街というものをどういうふうに水害から守っていくかということを本格的にやらなくてはいけない。もう一遍、翼を広くしてやろうというふうに私は思っているんです。
具体的なきょうの御提案の、バックアップ電源や浸水センサー等の設備の整備がほとんどないということについては、これは促進が非常に大事なので、促進できるようにということで進めてまいりたい、このように考えています。
○穀田委員 結構だと思います。
事務方が答えると、大体、防災・安全交付金の話が出てくるはずだったんですけれども、やはり政治家はそうでなきゃなりませんよね。やはり促進するということなんですよ。あれこれ金の話じゃなくて、まず政治的立場、政治的推進、そのことが大事だと私は改めて思いました。ですから、何も私、あれこれけちをつけているんじゃなくて、これをやろうということを言っているわけです。
次に、地下施設からの避難誘導のための国のサポートについてであります。
同じ地下施設でも、地下駐車場などでは、施設に比べ人員が少なくて、誘導班を組織すると言うけれども、手が足りないのではという不安があります。しかも、駐車場というのは、自動車で避難したいという方もおられる。それで、水没させたくないという気持ちもあるドライバーに対して、人命の観点から、短時間での徒歩での避難誘導が求められるわけだけれども、一人一人に応対するという意味でも、施設に比べて人員の少ない施設では課題がある。
また、介護施設などでは、要介護者に比べて職員の人員が少なくて、支援を求められる。ある施設では、警報の出そうなときは宿直の職員をふやすんだそうです。また、地域の避難所とするかわりに避難を手助けしてもらう協定を結んでいるということもおっしゃっていました。いずれにしても、関係職員の少ないところで、避難誘導への支援を考えるべきだと思うんです。
特に聞いたのは、火災訓練はあるけれども、水防訓練はなじみがなくて、どうすればよいかという声も寄せられました。私は、帰宅困難者対策の際にもここで問題提起しました。この避難確保計画にも障害者の避難誘導の訓練を盛り込む必要があると考えています。
国土交通省や政令市などの計画作成を支援するための手引書などは示しているわけですが、それによると、災害時要援護者への介助と叙述しているだけなんですね。横浜市では、災害時要援護者を見かけた場合には迅速に避難誘導と書いている。名古屋市では、高齢者や身体障害者等には周りに協力を求め、手をとって避難する、若干具体的ですけれども、この程度なんですよ。これでは大変なことになると私は率直に言って思っています。
したがって、このような現場の悩みや不安に耳を傾けて、先進事例なども紹介し、不安解消に努めるべきだと思いますし、具体的には、障害者も含めた避難計画となるよう指導を強化すべきではありませんか。
○松下大臣政務官 委員御指摘のとおり、地下街等におけます避難の際、身体障害者や高齢者等に対して特に配慮することが重要だと認識しております。
地下街等につきましては、平成十七年の水防法改正におきまして、避難確保計画を作成することとされてございます。先進的な取り組みとして、京都駅ビル専門店街ザ・キューブ、そして梅田地下街等がございますが、身体障害者などに対する特別の配慮が規定されてございます。御案内のとおりでございます。
国土交通省といたしましても、このようなモデル的な事例を広く情報提供する等によりまして、今後とも、身体障害者等への配慮が一層進められていくよう努めてまいりたいと考えております。
また、今回の改正によりまして、これまでの避難確保計画の作成に加えて、浸水防止計画の作成や避難等の訓練の実施も義務づけることとしております。要は、実践的な訓練を通じて、障害者等への配慮について実効性があること、効果があることということを肝に銘じて取り組んでまいりたいと思います。
以上です。
○穀田委員 私は何度もこの問題を言っているんですけれども、本当に一人一人の方の身になって考えていただかないと、電気は切れるわ、水は上がるわ、それこそ大臣もおっしゃったように、狭い空間だ、スピードは速いというときに、ほんまにこれで対応できるのかということは、机上の話では絶対ないんですね。だから、最悪の場合を想定してやるということについて、本当にこれは手を打たなきゃならぬということを心してほしいと思います。これもうなずいていらっしゃるので、やってほしいと思います。
それから三つ目に、水防団員の安全確保についてもちょっと指摘したいと思うんです。
東日本大震災ではたくさんの公務員が殉職されましたが、その中で、消防職員は二十七人、警察官三十人、消防・水防団員二百五十四人。うち、水防活動中の水防団員の殉職は百九十六人と桁違いに多いんですね。
この犠牲を教訓として、津波から水防団員の安全確保など、水防法が改正されましたけれども、どう書いているかというと、水防活動従事者の安全確保に考慮したものでなければならない、こう書いているだけで、極めて一般的なんですね。この法改正で自治体の長や水防団長の責任は重くなりましたけれども、それで事足りるのかと私は懸念を持ちます。
今後、地下街での水防活動において、計画を作成し、訓練を行って自覚が高まれば、一層逆に、当然、使命感を持って奮闘される。とても皆さん、献身的にやられるわけですよね。その意味で、水防団員や自衛水防団員の安全確保へ、せめて最低限、ライフジャケットの着用や班ごとの防災無線の携帯を援助する必要があるんじゃないかと思っています。
もう一つ、退避指示を的確に行える責任者の配置、あるいは消防職員との緊密な連携など、こういうものをやらないとなかなか、先ほどありました、短時間で、スピードを持ってやろうと思うと、これらのことが必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
○足立政府参考人 先ほど委員から御指摘のありました水防法の改正に合わせまして、都道府県が作成する水防計画において、津波や洪水に対する留意事項、それから水防活動時の無線通信機器の携行、ライフジャケットの着用、こうしたことを明記して記述すること等を通知してございまして、これを受けまして、ほぼ全ての都道府県におきまして、水防従事者の安全配慮が水防計画に現在明記されてございます。
それから、消防団と水防団の関係についてお話がございましたけれども、多くの地域では消防団が水防団を兼ねてございまして、また、水防団が独自に設けられている木曽川だとか淀川、こういったところでも、水防法によりまして、水防団と消防機関が、水防に関しては水防管理者の所轄のもとに行動することとされておりまして、現場においては極めて緊密な連携が図られているというふうに考えてございます。
○穀田委員 書いただけではあかんです。私が言っているのは、きちんと援助する必要があるんじゃないかと言っているんですよね。
書いているからと、また防災・安全交付金で請求したらよろしい、そうはならないんですよ。問題は、そういうことが現実に全ての水防団員のところに配付されたかということを確認する必要があるということを言っているんですよ。そこをやってくれなきゃあきまへんで。それはよろしくお願いしたいと思っています。
次に、もう一つの法律であります港湾法改正についても質問したいと思います。
港湾法改正の柱の一つである港の防災・減災対策強化について聞きます。
まず、港湾施設の老朽化対策についてです。
東日本大震災の際、鹿島や石巻で液状化等によって民間所有の護岸が壊れ、船舶の入出港が困難となりました。東京湾には多数の民間コンビナートがあり、老朽化が進行していますが、東日本大震災の際の液状化並びに護岸等の港湾施設への影響や被害状況について、どのように把握しておられますか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
東日本大震災におきましては、鹿島港のコンビナートなどにおきまして、液状化により護岸や敷地が沈下するなどの被害がございました。
一方、東京湾でございますけれども、このコンビナートにおきましては、昨年五月に国土交通省が中心となりまして設置しました、関係省庁が参画いたしますコンビナート港湾における地震・津波対策検討会議において確認したところ、液状化による大きな被害が出たとの報告は上がってきておりません。
なお、千葉の市原市で製油所の火災が発生しておりますけれども、これは強震動によりタンクの支えが折れて配管を損傷したことによる火災でございまして、液状化とは関係はないというふうに伺ってございます。
以上です。
○穀田委員 民間所有施設の状況についてはどうですか。
○山縣政府参考人 先ほど申しましたコンビナートの施設、特に護岸のところは民間の施設でございまして、それを含めて先ほど報告させていただいた次第でございます。
○穀田委員 例えば、あなた方が検討を依頼した、関東整備局などが依頼している、そういう有識者会議などの座長をやっている方などは、衛星なんかで見ますと、少なくとも東京湾の後背地、護岸だけじゃなくて後背地の方で見れば、地下のところでの液状化状況が見られるという報告を出しています。
問題は、私が言っているのは、護岸だけじゃなくて後背地もあるわけだから、それはつかんでいるのかということを言っているんです。
○山縣政府参考人 失礼いたしました。
敷地の話でございますけれども、敷地につきましては、大きな液状化の被害はなかったというふうに聞いてございます。したがって、若干の液状化はあったという報告は聞いてございます。
○穀田委員 民間所有施設なんですよ、私が気にしているのは。
今局長がおっしゃっているのは、護岸とその後ろ、ちょっとだけなんです。もっと後ろはいろいろな被害が起きている可能性があるということを指摘していて、あなた方が依頼したりしている浜田さんという早稲田大学の教授は、その中まで入れなかったから実情がつかめていないということをわざわざ言っているわけですよね。
確かに今回は大きな被害に至らなかったとしても、東京湾岸というのは埋立地なんですよ。多くの液状化がこの間発生している。例えば、川崎市でも、東扇島では約四千平方メートルにわたって液状化が見られ、道路や公園で亀裂が発生、護岸が約二十センチメートル海側にせり出したと報告されています。
そして、今後、首都圏で非常に強い地震が発生した場合に耐えられるのか。今回の地震による液状化や側方流動、水平に移動するあれですよね、そういうのが新しく起きているという、その全容を把握していく必要が私はあると思います。
そこで、これまで民間のコンビナート内の施設について、どれだけ老朽化が進行し、どのような危険があるのか、報告を求めたり調べることさえできなかった。国として港湾地域の安全を守る責任を果たしてこなかったと言わなければなりません。今回の改正は、この反省を踏まえて、民有地に立入検査できるようにするわけです。対象となるのはどのような施設か、どのような場合に勧告、命令を行うのか、お答えいただきたい。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
現在のところ、民間事業者が管理する港湾施設の現状を把握する制度がないということでございまして、先ほどの議論にございます液状化による被害の詳細までは把握していないというのが実態でございます。
このため、今回の港湾法の改正におきまして、民間事業者が管理する港湾施設につきまして、港湾管理者が報告徴収あるいは立入検査ができる制度というものを盛り込んだわけでございます。
この港湾管理者が行う立入検査の対象とする港湾施設でございますけれども、地震や津波によりまして被災した場合に、船舶の交通に影響を及ぼすおそれの大きい岸壁や護岸などを想定しているところでございます。
○穀田委員 だから、やはりやっていないんじゃないですか。やれていないんですよ。最初にそれを言ってくれなくちゃあかんわけで、さっきそう答えてくれればいいのに。
だから、現状より一歩前進であることは確かです。今ありましたが、立入調査の対象となるのは航路沿いの護岸に限られる。これではやはり不十分だと私は思うんです。
新潟地震以前に造成された東京湾それから大阪湾及び伊勢湾などの埋立地の護岸や地盤は、多くの場合、液状化そして側方流動の対策が実施されていない。ですから私は、埋立地では地盤が液状化し、側方流動することで護岸が破壊され、大きな被害が生じると指摘されている文書も読んでいます。
阪神大震災の際に、神戸のタンクヤードで、護岸並びに埋立地全体が三メーターから四メーター海方向に移動し、配管が壊れ、大量のLPガスが漏れ出しました。幸い爆発炎上には至りませんでしたが、付近の住民が大量避難しました。
先ほど少し触れましたけれども、正確に言えば、国土交通省関東地方整備局の有識者委員会が二〇〇九年三月にまとめた、臨海部の地震被災影響検討委員会報告書では、東京湾臨海部の埋立地で側方流動により護岸が九メーター以上水平に変位し、護岸が壊滅的被害を受けると試算しています。タンク破損による油の流出、海上火災、長期にわたる船舶航行の規制が起こると指摘しています。
したがって、護岸だけじゃなくて背後の地盤の液状化対策を含めてチェックすべきではないのか。側方流動で護岸が壊れ、大規模な油流出が起これば、緊急支援物資の輸送もできなくなるではありませんか。その点、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 まさにそこだと思いますね。
国土交通省と消防庁と経済産業省と、海岸、護岸があって、その後のところがそれぞれ違うということと、民間がそこに入っていて護岸のところにある、ここのところが一体となってやっていかなくてはいけないということにプラスして、そこに液状化という現象が埋立地を初めとして存在する。これらを全部包み込んで、この港湾の安全対策、耐震化を図っていかなくてはならないということを私は本当に思っています。
そこのところの省庁と、それから対象にする液状化とかそういうことについて、港湾ごとに来る地震波、そして津波の状況が違うということもありまして、ここは港湾という、京浜なら京浜、東京湾、伊勢湾、そして大阪湾、こういうところに従って、その周辺のところをどう強化していくかということを総合的にやっていかなくちゃいけない。
おっしゃるとおり、今回の法律では、民間のところにまで入るというところまでやったりしています。その多くのところの液状化というところまではなかなか対象にしていないんですが、私の意識としては、そこまで含めて対策を打つということがあって初めていけるのではないかというふうに思っています。
浜田先生のおっしゃっているようなことは、私はそのとおりだというふうに思っておりまして、そういう意味では、今度は、体制のみならず、地震ということの技術的な知見というものが、液状化に対する知見も含めて、今すごく必要な段階に来ているという認識をしております。
○穀田委員 では、具体的に一つだけ提案しておきましょう。
今お話があった、総合的に関係諸機関を含めてやらなくてはならぬということは、私は同意見です。
そこで、先ほど大臣も触れておられた浜田教授は、関係省庁、消防庁もありますけれども、そういうところを含めて、中央防災会議、東京湾岸の一都二県、土木学会、建築学会や日本地震学会、日本学術会議などが協力して、大都市圏臨海部の地震・防災性向上に関する協議会、こういうものを設定してはどうかということを述べておられます。
私は、この点では国土交通省がイニシアチブをとる以外にないと思うんですよね、これだけ各省庁にまたがっているわけですから。その点だけ一点、いかがですか。
○太田国務大臣 国交省が中心となってここはやって、科学的な、地震対策の技術的な知見ということも含めて、耐震強化ということに乗り出していかなくてはいけないというふうに思っています。
○穀田委員 では次に、港湾法改正のもう一つの柱、産業競争力強化のため、石炭等のばら積みの貨物の輸入拠点の形成に関する規定の追加の問題であります。
国交省は、二〇一〇年に、穀物、鉄鉱石、石炭の輸入拠点となる国際バルク戦略港湾の募集を行って、二〇一一年五月に十港を選定しました。それぞれ、最大級のバルク船が入港できるように、水深マイナス十七メートルから二十三メートルの岸壁や航路の整備、荷役の機械や関連施設の高機能化などを行う計画であります。
これまで、約二年弱、どれだけの整備事業を行ってきたのか、今後の整備事業費は一体幾らかかるのか、税金を幾ら投入するつもりか、お答えをいただきたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、このバルクの戦略港湾につきましては、二十三年の五月に選定したという経緯がございます。しかしながら、二十三年の三月に東日本大震災が発生いたしまして、この国際バルク戦略港湾の選定が当初よりおくれたということや、あるいは復旧復興、防災対策等を優先していることなどによりまして、国際バルク戦略港湾におきまして、二十四年度予算では新規事業に着手しておりません。
一方、二十五年ですけれども、福島県に位置します小名浜港におきまして、同港を拠点とする東日本地域への石炭の安定的かつ安価な輸送の実現を目的とした事業につきまして、新規事業採択時評価の手続を現在進めているところでございます。
それから、全体の事業費という話がございました。
この国際バルク戦略港湾の選定時に各港からの提案がございましたけれども、選定された十港での今後の事業量は、民間企業が負担する設備投資を合わせまして、二〇二〇年までに約四千億強と見込まれてございます。
なお、当該事業量ですけれども、各港からの提案額を単純に合算したものでございまして、今後の貨物需要の見通しや民間の企業活動の動向、事業の優先度などを踏まえまして精査する必要があると考えてございます。
以上です。
○穀田委員 事前にお聞きすると、約四千億円という話は聞きました。大体、民間が半分ぐらい、国の税金が半分ぐらいだろうということでありまして、結局、公共事業が最低でもざっと二千億円かかるということなんですね。さらに、民間が行う事業にも税金の支援ができるということになりますし、それから、十港以外についても、連携港湾に大型船が入港できるように整備する。こうなりますと、税金投入は二千億円では済まないというのが、誰の目にも、それはすぐ計算できる。
そこで、昨年の日本航海学会で、我が国のドライバルク港湾における政策効果の検証に関する研究、これが発表されているんですね。
それによれば、木更津港では大水深化のために千五百万立米のしゅんせつを計画しており、約六百億円かかると言われています。これは単純計算で、今までしゅんせつに一立米何ぼかかったかというもので掛け算したら、これだけなんですね。大型、大深度の航路の整備費用を負担するのは国と自治体であります。一方、物流コストはどのぐらい削減効果があるかということについて言えば、約十億円から十二億円と試算されているんだそうです。そうすると、多額の税金を投入して十分な効果が得られるのか、冷静に検討しなければならない。
それだけの費用をかけて整備し、この港を利用するのはどういった企業なのか、簡単にお答えください。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
国際バルク戦略港湾の取り組みを通じまして、物流コスト低減の便益を直接受ける具体的な企業といたしましては、三つの品目があるわけですけれども、石炭につきましては、石炭火力発電所を有する電気業あるいは自家発電設備を有する化学工業など、それから鉄鉱石につきましては、製鉄所を有する鉄鋼業、それからトウモロコシにつきましては、畜産飼料を生産する飼料製造業やコーンスターチなどを生産する食料品製造業などが挙げられます。
以上です。
○穀田委員 そこで、今お話があった、利用する主な荷主ということになりますので、資料を配付しました。国際バルク戦略港湾を利用する主な荷主ということであります。
結局、恩恵を受けるというのは製鉄会社や電力会社など大企業、港湾と航路整備に巨額の税金が投入されることは確実、この二つだけははっきりしている。ところが、大企業を応援して、国民に還元される保証があるのか。
例えば、物流コスト低減という話を見てみますと、輸送にかかる費用は低減するということは確かに書いているんです。ところが、物流のコストの削減が本当に確かかというと、今でもそうですけれども、円安、円高に振れますね。そうすると、コストそれ自身は乱高下しますから、そんなに簡単に、定量的に、これだけもうかる、効果が得られるというのは余りないんですね。推計したらこれだけだというので、先ほど述べた研究には大体十億円から十二億円と試算されている現実があるわけです。したがって、こういう形で大企業を応援しても、国民に還元される保証は何もないと言わなければなりません。
大体、今後いつまでも大量の穀物や石炭を海外から輸入し続けるのかということも真面目に考えなければならない。今行うべきは、食料並びにエネルギー政策を転換して、計画的に自給率の向上を進めることが私は大事なことじゃないかなと思うんですけれども、その辺の御意見を、最後、大臣に。
○太田国務大臣 国際バルク戦略港湾で物流コストを引き下げる、世界の港湾ということも、ハブ港湾が逃げている、水深が非常に低い、一旦持ってきても、それを陸揚げするというのが大変困難であるというようなことがありますから、石炭、鉄鉱石、トウモロコシ、こうしたことがこれからどれだけ入ってくるのかというようなことは、また別の次元のお話だと思います。それはエネルギー全体の問題だと思います。
ただ、現在置かれている日本の港湾が、水深が非常に浅くて、一旦そこでばらけてというようなことで、なかなか世界に伍するというわけにはいかないということで、そこで、同じ石炭量、鉱石量が入ってきても、最初から小分けしていくというよりも、水深のあるところに一旦入れて、そしてコストを下げて、それが全国に広がっていくということは私は有意義なことだというふうに思います。
ですから、特定の大手企業のみが恩恵を受けるというようなことよりも、日本全体としてそういうことは必要であるという観点に立って、この国際バルク戦略港湾を十指定し、それを強化しようというのが、これまでのこの数年間の要請に従っての流れだというふうに私は思っています。
○穀田委員 港の水深の問題は、バルク港湾だけでなくて、国際戦略港湾、その前はスーパー中枢港湾と言って、何回も何回もやって、それで百何港を指定し、今度は何ぼ指定しとやって、どれだけ税金をかけてきたか。その反省は全くないということの証明みたいなものだと私は思うんですよね。
確かに、量をたくさん積んできたら、それは若干低減されるということについては誰も否定していないんですよ。ただ、問題は、それが国民的な削減効果に当たるのかということについては、それほど効果があるとは思えないという学者の意見もあるということを私は言っているんですね。
ですから、最後に私は、はっきり言うと、国際バルク戦略港湾の整備に、先ほど、私と局長の話でいうと大体四千億ぐらいだろうと言うんだけれども、私の試算で、もっとかかるだろうとしているわけですね。したがって、幾ら税金を投入するのかさえ国民に明らかになっていない。
今述べた、大量輸送でコストが安くなるというけれども、本当に国民の利益になるのか。多額の税金を投入して、結局、穀物メジャーや資源メジャー、輸入商社を初めとした大企業の利益を確保して、大企業に都合のよい港づくりにつながるおそれが大きいと言わざるを得ない。
だから、こうした国際バルク戦略港湾政策を推進するための本改正案には賛成できないと政策の見直しを求めて、きょうはこの程度にして、質問を終わります。
○金子委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
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○金子委員長 ただいま議題となっております各案中、まず、道路法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
道路法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○金子委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。三日月大造君。
○三日月委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
道路法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 社会資本の老朽化が今後急速に進行することに鑑み、道路構造物等の公共施設の現状を適確かつ迅速に把握すること。特に、防災上重要な施設等への点検・修繕等真に必要な対策を重点化し、早急に対応するよう努めること。
二 道路の効率的かつ効果的な維持管理を実施できるよう、道路の維持・修繕に関する技術的基準に係る政令を早期に制定するとともに、点検を含めた維持・修繕が適確に実施できるよう、マニュアル等については見直しを行い、その周知徹底を図ること。
三 効率的な維持管理・更新を図る上で技術開発の促進が重要であることに鑑み、民間で開発された新技術や新材料等について、その普及が促進されるよう、国による評価や認証制度を充実すること。そのため、最新の技術的知見を踏まえた技術開発の推進の観点から、土木研究所等国の研究機関の機能を効率化・重点化しながら強化するとともに、構造物保全に関する地方公共団体への技術支援を加速させるべく、関係機関の機能を拡充すること。また、国による施設管理データの一元的な把握・蓄積により、技術開発を促進させ、効率的な維持管理を推進すること。
四 地方公共団体、特に市区町村が管理する橋梁等の道路構造物について老朽化対策が遅れている状況に鑑み、長寿命化修繕計画の策定等に必要な財政的支援及び技術的支援を講ずるなど十分な配慮を行うこと。また、道路の維持管理・更新の適切な実施を確保するため、現場における点検や工事に携わる人材の確保及び育成に必要な支援を講ずること。
五 重量超過車両の通行による道路の損傷を軽減するため、特殊車両通行許可制度に基づいた適正な道路利用がなされるよう啓発活動に努めるとともに、重量制限違反車両に対する監視・検査体制の強化、違反者名の公表・立入検査の基準を厳しくするなど、荷主等を含め対策を一層強化すること。また、ITS技術の活用による特殊車両通行許可手続の簡素化、カーナビ等による許可ルートのわかりやすい表示など、運転者も含めた運送事業者の負担を軽減する方策も検討すること。
六 特殊車両通行許可の迅速化を一層図るため、地方公共団体において大型車両の通行を誘導すべき道路に係る道路構造情報の国への迅速な提供など必要な責務が果たされるよう促すとともに、国においては道路構造に関するデータベースを充実すること。
七 緊急輸送道路だけでなく避難路等においても、必要に応じ、電柱等の道路占用の禁止又は制限区域の指定や電線管理者への無利子貸付け等により無電柱化を積極的に推進し、歩道の整備やバリアフリー化とあわせて、災害時の円滑な輸送・避難を確保すること。また、道路管理者が占用物件の安全性を十分確認した上で占用を許可できるよう、道路管理者が上下水道管やガス管の地下埋設物などの占用物件の健全性や耐震性等の点検結果を確認できる仕組みの構築に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。
○太田国務大臣 道路法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
大変ありがとうございました。(拍手)
―――――――――――――
○金子委員長 次に、港湾法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
○穀田委員 港湾法の一部を改正する法律案について、日本共産党を代表して、反対の意見を述べます。
本改正案には、防災・老朽化対策と産業競争力強化という全く異なる二つの内容があります。
このうち、港湾施設の老朽化対策など、東日本大震災の教訓を踏まえた港の防災・減災対策については、災害時に港湾機能を維持、早期復旧するために必要な改正です。
しかし、もう一つの柱である、産業競争力強化のため、ばら積み貨物の輸入拠点を形成する、すなわち国際バルク戦略港湾政策の推進については問題があります。
第一に、国際バルク戦略港湾の整備は、結局、多額の税金を投入して、穀物メジャー、資源メジャー、輸入商社を初め大企業の利益を確保し、大企業に都合のよい港づくりにつながるおそれがあるからであります。
委員会の審議を通じて、既に選定されている十港の整備事業費だけでも約四千億円、うち公共事業費は少なくとも二千億円に上ることが明らかになっています。多額の税金を投入して十分な効果が得られるのか、冷静に検討することこそ今必要です。ターミナルの共同利用設備の整備や共同輸送などは、本来、民間企業がみずから取り組むべき課題であり、大手の荷主や商社などを優遇する必要はありません。法改正しなくても、資金貸し付けや原料確保、飼料価格引き下げなどのための支援は可能であります。
そもそも、今後も大量の穀物や石炭を海外から輸入し続けるのか。食料並びにエネルギー政策を転換し、計画的に自給率向上を進めることこそ求められています。
第二に、民の視点での効率化、規制緩和の推進により、民間企業の利益が優先され、港湾の秩序ある運営と公共性、安全性、港湾労働者の雇用、条件を脅かすことが懸念されます。
以上の点から、国際バルク戦略港湾政策の推進を目的とする、ばら積み貨物の輸入拠点の形成に関する改正内容には賛成できません。
国際バルク戦略港湾政策の見直しを求めて、私の意見表明を終わります。
○金子委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○金子委員長 これより採決に入ります。
港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○金子委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。井上英孝君。
○井上(英)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
港湾法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 東北地方太平洋沖地震の被害が港湾において甚大であったことを踏まえ、首都直下地震や南海トラフの巨大地震等が発生した場合における市民生活や産業活動に与える影響を最小限に留めることができるよう、港湾において防災・減災のための措置に万全を期すこと。
二 被災港湾において関係者間の連携が十分に行われず物流機能の復旧に時間を要したという東日本大震災の教訓を踏まえ、関係者の協働により港湾事業継続計画の策定を全国的に進め、非常災害時における港湾物流機能の維持と早期復旧が図られるよう最善を尽くすこと。
三 港湾施設の適切な維持管理・更新が、国民の生命や財産を守るとともに、我が国を支える臨海部立地産業の競争力強化にも資することに鑑み、港湾管理者及びコンビナート等において港湾施設を管理する民間事業者が港湾施設の老朽化対策を適切に実施できるよう必要な支援を行うこと。
四 ばら積み貨物の安定的かつ安価な輸入の実現が、我が国産業の国際競争力の強化を図る上で喫緊の課題であることに鑑み、特定貨物輸入拠点港湾に関する施策について、時機を逸することなく国家戦略として確実に実施するとともに、特定貨物輸入拠点港湾の指定に当たっては、その位置や数についても十分配慮すること。また、特定貨物輸入拠点港湾以外の港湾についても、物流の効率化等の観点から引き続き機能強化に努めること。
五 輸入ばら積み貨物の海上輸送の共同化の推進が港湾の秩序の確立に混乱を生じさせないよう特定港湾管理者への助言に努めるとともに、問題が生じた場合には、関係者の意見を十分聴いた上、必要に応じ、適切に対処すること。また、港湾の秩序ある運営と安全確保のために、適正な料金設定、雇用の安定、職域の確保、福利厚生の増進等を図り、良好な労働条件が確保されるよう努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。
○太田国務大臣 港湾法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
大変ありがとうございました。(拍手)
―――――――――――――
○金子委員長 次に、水防法及び河川法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
水防法及び河川法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。杉本かずみ君。
○杉本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
水防法及び河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 洪水時における水災防止体制を充実・強化するため、水防活動への理解と参加意識の向上のための啓発等により一層の水防団員の確保及び水防協力団体の拡充を図るとともに、水防管理団体と河川管理者及び水防協力団体との連携強化に向けた取組を推進すること。
二 浸水想定区域内の地下街、要配慮者利用施設及び大規模工場等において、事業者等の自主的な水防活動を促進するため、当該施設の利用者の避難確保又は施設への浸水防止のための計画作成、訓練の実施、自衛水防組織の設置に係るガイドラインの作成や情報提供等を行うとともに、国としても事業者等の取組状況の把握に努めるほか、洪水予報等の情報を確実に伝達するよう必要な措置を講ずること。
三 社会資本の老朽化に対する意識が高まる中で、国民の安全・安心が保持されるよう、河川管理施設等の維持・修繕に係る技術的基準を早期に定め、国土交通大臣が管理する当該施設の維持・修繕を適切に実施するとともに、都道府県知事等が管理する施設については、長寿命化計画の策定等に必要な財政的支援及び技術的支援を講ずるなど十分な配慮を行うこと。また、許可工作物の維持・修繕が適切になされるよう、当該工作物の設置者を積極的に指導すること。
四 再生可能エネルギーとして期待される小水力発電の促進が図られるよう、従属発電に係る登録制の導入等について周知するとともに、小水力発電事業者と関係行政機関との情報共有を進める等により、小水力発電プロジェクトの形成支援に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。
○太田国務大臣 水防法及び河川法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
大変ありがとうございました。(拍手)
―――――――――――――
○金子委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十六分散会