第1号 平成25年11月1日(金曜日)
本国会召集日(平成二十五年十月十五日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 金子 恭之君
理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君
理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君
理事 井上 英孝君
赤澤 亮正君 秋本 真利君
井林 辰憲君 岩田 和親君
大西 英男君 梶山 弘志君
門 博文君 國場幸之助君
斎藤 洋明君 坂井 学君
桜井 宏君 白須賀貴樹君
谷川 弥一君 土井 亨君
中村 裕之君 長坂 康正君
西銘恒三郎君 林 幹雄君
原田 憲治君 ふくだ峰之君
前田 一男君 御法川信英君
宮澤 博行君 務台 俊介君
泉 健太君 後藤 祐一君
寺島 義幸君 若井 康彦君
岩永 裕貴君 坂元 大輔君
西岡 新君 松田 学君
伊藤 渉君 北側 一雄君
佐藤 英道君 杉本かずみ君
穀田 恵二君 柿沢 未途君
亀井 静香君
―――――――――――――
十月十五日
金子恭之君委員長辞任につき、その補欠として梶山弘志君が議院において、委員長に選任された。
平成二十五年十一月一日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 梶山 弘志君
理事 赤澤 亮正君 理事 秋元 司君
理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君
理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君
理事 若井 康彦君 理事 井上 英孝君
理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 井林 辰憲君
泉原 保二君 岩田 和親君
大西 英男君 門 博文君
國場幸之助君 佐田玄一郎君
斎藤 洋明君 坂井 学君
桜井 宏君 島田 佳和君
白須賀貴樹君 谷川 弥一君
土井 亨君 中村 裕之君
長坂 康正君 林 幹雄君
原田 憲治君 ふくだ峰之君
前田 一男君 宮澤 博行君
務台 俊介君 泉 健太君
後藤 祐一君 寺島 義幸君
岩永 裕貴君 坂元 大輔君
西岡 新君 松田 学君
北側 一雄君 佐藤 英道君
井坂 信彦君 杉本かずみ君
穀田 恵二君 柿沢 未途君
亀井 静香君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 高木 毅君
国土交通副大臣 野上浩太郎君
国土交通大臣政務官 土井 亨君
国土交通大臣政務官 中原 八一君
国土交通大臣政務官 坂井 学君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 室田 哲男君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 武藤 浩君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 森 昌文君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 西脇 隆俊君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 花岡 洋文君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 森北 佳昭君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 井上 俊之君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 山縣 宣彦君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 田村明比古君
政府参考人
(国土交通省北海道局長) 関 博之君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長) 稲葉 和雄君
政府参考人
(観光庁長官) 久保 成人君
政府参考人
(気象庁長官) 羽鳥 光彦君
政府参考人
(海上保安庁長官) 佐藤 雄二君
国土交通委員会専門員 宮部 光君
―――――――――――――
委員の異動
十月十五日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 泉原 保二君
西銘恒三郎君 佐田玄一郎君
御法川信英君 秋元 司君
十一月一日
辞任 補欠選任
務台 俊介君 島田 佳和君
杉本かずみ君 井坂 信彦君
同日
辞任 補欠選任
島田 佳和君 務台 俊介君
井坂 信彦君 杉本かずみ君
同日
理事土井亨君及び松本文明君九月三十日委員辞任につき、その補欠として秋元司君及び赤澤亮正君が理事に当選した。
同日
理事高木陽介君十月十一日委員辞任につき、その補欠として伊藤渉君が理事に当選した。
同日
理事三日月大造君同日理事辞任につき、その補欠として若井康彦君が理事に当選した。
―――――――――――――
十月十五日
交通基本法案(三日月大造君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三八号)
国等が行う公共工事についての地元建設業者の受注の確保等に関する法律案(衛藤征士郎君外五名提出、第百八十三回国会衆法第四四号)
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、第百八十三回国会承認第四号)
同月三十日
海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案(内閣提出第四号)
十一月一日
特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(金子一義君外六名提出、衆法第二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案(内閣提出第四号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○梶山委員長 これより会議を開きます。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
このたび、国土交通委員長に就任をいたしました梶山弘志でございます。
現在、国土交通行政におきましては、東日本大震災からの復興の一段の加速化を初めとして、公共交通の安全確保、インフラの老朽化対策、人口減少社会の地方のあり方、成長力強化のための各施策の推進、海上保安の確保など、さまざまな分野で短期、中長期の諸課題が山積しております。真に豊かで安全、安心な国民生活の実現のため、本委員会に課せられた使命はまことに重大であります。
委員長に就任するに当たり、その職責の重さを痛感するとともに、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存でございますので、委員各位の御指導、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――
○梶山委員長 理事辞任の件につきましてお諮りいたします。
理事三日月大造君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に
赤澤 亮正君 秋元 司君
若井 康彦君 及び 伊藤 渉君
を指名いたします。
――――◇―――――
○梶山委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
国土交通行政の基本施策に関する事項
国土計画、土地及び水資源に関する事項
都市計画、建築及び地域整備に関する事項
河川、道路、港湾及び住宅に関する事項
陸運、海運、航空及び観光に関する事項
北海道開発に関する事項
気象及び海上保安に関する事項
以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○梶山委員長 この際、国土交通大臣、国土交通副大臣及び国土交通大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。
○太田国務大臣 国土交通大臣の太田昭宏でございます。
梶山委員長、理事そして委員の皆様におかれましては、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)
○梶山委員長 国土交通副大臣高木毅君。
○高木副大臣 おはようございます。
このたび、国土交通副大臣を拝命いたしました高木毅でございます。
梶山委員長、理事、委員の先生方の格段の御指導、御鞭撻、心よりお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)
○梶山委員長 国土交通副大臣野上浩太郎君。
○野上副大臣 このたび、国土交通副大臣を拝命いたしました野上浩太郎でございます。
梶山委員長を初め理事、委員の皆様方の格段の御指導を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○梶山委員長 国土交通大臣政務官土井亨君。
○土井大臣政務官 おはようございます。
このたび、国土交通大臣政務官を拝命いたしました土井亨でございます。
梶山委員長を初め理事、委員の皆様の格段の御指導を心からお願い申し上げます。(拍手)
○梶山委員長 国土交通大臣政務官坂井学君。
○坂井大臣政務官 国土交通大臣政務官の坂井学でございます。
梶山委員長を初め理事そして委員の皆様方、格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○梶山委員長 国土交通大臣政務官中原八一君。
○中原大臣政務官 このたび、国土交通大臣政務官を拝命いたしました中原八一でございます。
梶山委員長を初め理事、委員の皆様の格段の御指導を心からお願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――
○梶山委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長武藤浩君、大臣官房技術審議官森昌文君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、北海道局長関博之君、国土地理院長稲葉和雄君、観光庁長官久保成人君、気象庁長官羽鳥光彦君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君及び消防庁国民保護・防災部長室田哲男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。
○赤澤委員 おはようございます。自由民主党の国土交通部会長を務めております赤澤亮正でございます。
きょうは、本臨時国会の国土交通委員会、最初の委員会でトップバッターで質問をさせていただけることを大変うれしく思っている次第でございます。関係の皆様に心からお礼を申し上げます。
まず、質問の冒頭に当たりまして、ことしは本当に大型台風そして集中豪雨で大変大きな犠牲が出ております。三十人以上の犠牲を出した台風二十六号、伊豆大島の被害でありますとか、七月の末には、私の地元山陰も含めて、集中豪雨で犠牲者を出しております。行方不明者の皆様を少しでも早く発見していただきたい、そのことも復旧復興とあわせて政府にお願い申し上げるものでございますし、あわせて、この場で、とうとい犠牲を払われた全ての皆様に心から御冥福を申し上げる次第でございます。
さて、太田大臣、九カ月間、九月三十日まで、本当に大臣として温かく政務官の私を御指導いただきましてありがとうございました。きょうの質問次第では、赤澤は太田学校の卒業生ではなくて、あれはできが悪いから退学したんだと言われるようなことがないように、一生懸命質問をしてまいりたいと思います。国土交通分野の御見識に加えて、政治家としても本当に学ぶところが多かった九カ月でありましたので、この場をかりましてお礼を申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。
国土交通分野、大臣政務官で九カ月間担当して、本当に感じたことが一つあります。それはいわば、ゆでガエルと言っていい、例の例えに例えられるような状態の、本当に大きな、古くて新しい問題が幾つかあるだろうということであります。
ゆでガエルというのは、御案内のとおり、水を張った鍋にカエルを入れておくと、少しずつ温度を上げても、その変化に余り気づかず、対応もできず、いきなり熱いところに放り込まれたら飛び出て何とか助かるものが、少しずつ温度が上がるために、最後は煮えて命を落としてしまうというような例えであります。
二つ例を挙げさせていただくと、国際競争力の強化の問題、これが一つあります。それからもう一つは、地方交通の維持確保ということでございます。長年指摘され続けていながら、言いかえれば、問題の所在は長らく認識されていながら、政治も行政もなかなか有効な手が打てずに、ずるずると少しずつ状況が悪化し続けてきたと言える問題ではないかと思います。国土交通分野の大事な問題であると私は認識をしております。
国際競争力の問題について申し上げれば、例えば成田空港の空港利用者数は、二〇〇一年に世界で八位であったものが、二〇一二年に十二位ということであります。これも少しずつ低下しているので、同じようにゆでガエルかなと心配になるところですが、それ以上に衰退が著しく思えるのが港湾でございます。
神戸港は、コンテナの取扱数でございますけれども、一九九〇年、世界五位という順位でございました。しかしながら、阪神・淡路大震災を挟んで、二〇〇〇年には二十二位。復旧がおくれる間に顧客を失ってしまったというのも大きな要因だと思いますが、その衰退の勢いはなかなかとまらずに、二〇一〇年には順位が四十五位に落ちているということであります。二十年間かけて世界に占める地位が四十位も落ちてしまった、こういうことであります。
あわせて、近くの東京港について見れば、一九九〇年十三位、二〇〇〇年十五位とじりじり順位を下げてきたわけですが、次の十年間で、二〇一〇年には二十五位まで順位を下げてきているということでございます。
港湾については国際競争力の減退が著しいと思うわけでありますけれども、太田大臣、一体何が問題で、国交省としては打つ手はないのかということをお尋ねしたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
近年、我が国の港湾は、船舶の大型化への対応あるいは港湾コストの面などにおきまして、釜山港、上海港といったアジアの主要港におくれをとっておりまして、その結果、我が国に寄港する欧州航路は週二便になるなど、国際基幹航路の減少が大きな問題となっております。
このため、我が国港湾の国際競争力の強化を戦略的に進め、国際基幹航路を維持拡大することによりまして、強い物流網を構築することが喫緊の課題であるというふうに考えてございます。
港湾の国際競争力を強化していくためには、大型船に対応するための大水深岸壁や十分な広さを持ったコンテナヤードの整備、そしてコンテナターミナルの渋滞対策、効率的な港湾運営など、我々が具体的に取り組むべき課題は数多くございます。
こうした課題の解決に向けまして、阪神港、京浜港におきまして、国際コンテナ戦略港湾の施策をさらに深化、加速していくために、本年七月に国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会を開催いたしまして、八月には、集貨、創貨、競争力強化の三本柱から成ります中間取りまとめを公表いたしました。
この中間取りまとめに位置づけられました幾つかの施策については、既に平成二十六年度概算要求に反映させているところでございます。
本日閣議決定されました交通政策基本法案におきましても、国際海上輸送網の拠点となる港湾の整備を明記するなど、我が国港湾の国際競争力の強化に取り組むこととしておりまして、引き続き、国際コンテナ戦略港湾の機能強化に向けまして、国家戦略として着実にこれを進めてまいりたいと考えてございます。
○太田国務大臣 港湾は、歴史がかなり長いということもありまして、今までの流れの中から体制を組もうとしてきたということがあると思います。
今、港湾局長から話がありましたように、これから世界の中での港湾ということを考えると、国がかなり前面に出て仕事をするという体制をとらなくちゃいけないということを強く思っておるところです。
○赤澤委員 まさに、今大臣が最初におっしゃったことが非常に大事なことだと思います。
港湾については、港湾管理者が地方公共団体ということで、なかなか国の、お願いをしたいような国家戦略が反映されないということで、国土交通省においても、太田大臣のリーダーシップのもとで、今委員長をお務めの梶山副大臣当時がしっかりと報告を取りまとめています。私は、これがしっかり実行されれば効果が大きく上がってくるんじゃないかと期待をするものでございまして、安倍総理の所信表明にもありました、作文はずっと何十年も過去続けてきているわけでありますけれども、実行が伴わなければならない、その点を強くお願いしておきたいと思います。
二番目のゆでガエルの問題ということで、地方交通の維持確保についてもお話をさせていただきたいと思います。
離島交通を含む地方交通の維持確保、この問題も、特に過疎の地方を中心に、本当に大きな問題であり続けています。少子高齢化が急速に進む、世界一のスピードで高齢化が進む日本ということでありますから、お客の数も減ってしまう、それから人々の移動も活発でなくなってきかねない、こういうことであります。
そんな中で、これまでの地方交通の維持については、鉄道が路線を廃止するぞ、バスが路線を廃止するぞという問題が起きたときに急に大騒ぎになるということがあります。あるいは、維持が決まった途端に、応援をすると言っていた地方公共団体も、なかなか応援がおろそかになってしまうというような問題もあると思います。もう少し体系的に、総合的に、面的に地域の交通を考えて、しっかり地方交通を維持していくような、そういう取り組みが必要だと思います。
国や自治体がもっと一歩も二歩も前に出て問題の解決を図ってほしいという声が強い中で、国交省に打つ手はないのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
○西脇政府参考人 お答えいたします。
人口減少社会、またあわせまして少子高齢化社会ということで、地域の活力を維持して安全で安心な社会を構築していくためには、コンパクトな拠点とそれを結ぶネットワークということを進化させるということが必要だと思っておりまして、特に、地域の公共交通は非常に厳しい状況にありますし、本当に人口減少を迎えて今が正念場という認識を持っておりますので、高齢者と学生の足を確保する、それから、ネットワークの機能を十分に果たすためにも、地域公共交通の維持確保ということは極めて重要な課題というふうに認識しております。
本日閣議決定されました交通政策基本法案におきましても、離島を例示に挙げながら地域の諸条件に配慮した交通手段の確保を明記しておりますので、地方公共団体と一緒になって取り組みたいと思います。
今、委員御指摘がありましたように、今までの路線廃止、またそれに対するいろいろな運動ということではなくて、まさに地域の関係者が役割分担し、しかも合意のもとでネットワークの形成をしていくための新たな枠組みづくりが必要だということは痛感しているところでございます。
具体的に今検討しているところの一例を申し上げますと、官と民が連携して地域の公共交通網の再編のための計画を策定する、しかもそれをきちっと関係者間で合意をするような措置がとれないかなどを内容とする、まさに新たな枠組みというものを検討しているところでございます。
この検討結果を踏まえまして、できますれば関連法案を次期通常国会にも提出するべく検討を進めているところでございまして、一歩でも二歩でも前に行くということが評価されるような内容に努めたいというふうに思っております。
○赤澤委員 今、二つの問題、国際競争力の強化、そして地方交通の維持確保、これは本日閣議決定された交通政策基本法案にもしっかりと位置づけられているようでありますし、国土交通省が、何とか作文ではなくて実行しようということで、次期通常国会に向けて法案を用意し、しっかりこれと取り組もうとしていることを私は評価いたします。
どうかいいものに仕上げていただきたいと思いますし、何とかこのゆでガエルの状態から脱するように努力を続けていただきたいというふうに思います。
あわせて、今の地方交通の維持確保の一環とも呼べる問題でありますが、新しい問題として、JR北海道のレールの異常放置の問題がございます。
これについては、まだ特別監査二回が終わって分析中ということを私は承知しておりますので、今何か決定的なことが言える状況でないことは理解した上で、過去二回の特別監査の結果の分析状況や今後の対応の見通しについて、もしお答えいただけることがあれば承っておきたいと思います。よろしくお願いします。
○太田国務大臣 JR北海道につきましては、さまざまなトラブルが明らかになっております。
国交省としては、JR北海道の問題点を洗い出して、抜本的な対策を講じるために、九月二十一日から二十八日が第一回、そして十月の九日から十二日まで、二回にわたって特別保安監査を実施いたしました。
特に、今回の監査で今までと違いますのは、いわゆる軌道を中心にした土木、電気、車両、そして運転の技術分野に加えまして、経営体制を含む幅広い観点から監査を実施したというところが特徴です。これを今分析しておりまして、かなり広範にわたって全体像をつかんだ中でという対策が必要だと思っておりますので、さらに今分析を鋭意行っているという途上でございます。
ただ、毎日毎日運行しているということからいきまして、毎日安全ということが確認をされなくてはいけない。そのためには、軌道なら軌道、あるいは、枕木が指摘されたところがありました。ATSの問題が指摘されたこともありました。一つ一つについて、時期を逸することなく対応すべきものは対応するということで、全体像をまとめるという以上に、今やらなくてはならないことは改善指示をさせていただいているというところであります。
確実な意思疎通が大事であるということが一つ、そして日々の安全確認が大事であるという、この二点にわたって十月四日に改善指示を行いました。十月の二十五日に、安全推進委員会の改善、そして、その後明らかになった問題、枕木の問題とATSの問題、これらについての指示、そしてJR北海道の来年度予算編成、これは十一月に来年度の予算編成をするということでありますので、その予算編成の改善についての当面の改善指示を二回にわたって行ったところであります。
今後、安全確保のため必要とあらば、直ちに時期を逸することなく指示をしたいというふうに思っているところです。
いずれにしましても、JR北海道の安全問題と全体の整理、分析を早急に行うとともに、抜本的な対策の検討もあわせて進めていきたいというふうに思っているところで、今鋭意努力中でございます。
○赤澤委員 今大臣がお話しになったように、本当に安全の問題でありますから、もうこれは徹底的に原因を究明して、再発しないように手を打っていく必要があると思います。
大臣がいろいろな指示をされるのを私も横で見ておりまして、この問題、やはり職員の意識改革も要るぞということでありますし、個々の業務プロセス、枕木をチェックするときの基準になるマニュアル等をきちっとつくることもやはり大事。それから、その報告を受けた本社がまたきちっとそれを安全確認できるような業務体制、体制の整備もやはり必要だ。最後には、その全てにかかわる人材の育成も必要ということで、その四つのポイントについて着々と今手を講じていただいているところだと思います。
いろいろ難しい問題はありますが、再発を防止するために、これはきちっと、犯罪に及ぶような器物損壊の類いは、それはそれとして立件しなければなりませんし、また、組織の文化とか、職員に深く根差す意識とか、そういうところまで立ち入ってしっかりと手を打っていただきたい、このことを重ねてお願いしておきたいと思います。
今、ゆでガエルといった例えで、長年指摘され続けていながら解決が本当に難しい、状況がずるずると悪くなっているというような問題についても御質問いたしましたが、これからお話しするような、新しい事態を踏まえた新たな対応がぜひとも必要であるという分野もございます。
冒頭、私が御冥福を祈る、多くの犠牲者が出ている東日本大震災、さらには大型台風、集中豪雨といった自然災害の被害の極大化の問題がまずございます。あわせて、これは大変明るい話題でありますけれども、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催をされるということで、それらの新しい動き。大変痛ましい経験もありますし、うれしいニュースもあるわけでありますけれども、その辺を踏まえて、残り時間で御質問をさせていただきたいと思います。
最近の集中豪雨を見ると、水関係のインフラの整備の基準というのは今のままで本当にいいのかなということを強く感じるものでございます。
私は政務官の当時にこの話を太田大臣に申し上げたこともあったかと思うんですが、具体的には、水関係のインフラ、下水道とか雨水、五年から十年の再現確率を前提として整備をしている。端的に言えば、五年や十年に一遍起きるような大雨、これを前提に、対応できる、そういうインフラを整備しているというのが基本的な考え方かと思いますが、その場合、おおよそ、聞くと時間雨量五十ミリぐらいを前提としているんだ、それを大幅に超えてくると、都市でいえばマンホールから水が噴き出してみたり、地方でいえば、中小の河川が、川の流れの勢いが強くて、橋の上を水が流れ始める越流なんということも起こり始める、そんなことだと思います。
しかしながら、時間五十ミリが大体のおおよそのイメージでつくってきたものが、私の記憶が間違いでなければ、山口市で七月の二十八日に降った雨、これは時間百四十三ミリでした。それは極端だとしても、今、日本全国で、集中豪雨、時間百ミリを超える雨、あるいは三時間、四時間かけて三百ミリ、四百ミリ降る、一晩に八百ミリ降るというような雨が降るわけであります。
こういうことを考えると、時間雨量百ミリを超えるようなものでもある程度耐えるような、そういった方向でインフラ整備の考え方を改めていかなきゃいけないんじゃないかなといったようなことも感じるわけでございますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○森北政府参考人 最近の集中豪雨を踏まえた水関係のインフラ整備の強化についてのお尋ねでございます。
現在、人口、資産集積地区等におけます中小河川では、時間雨量五十ミリ相当に対する河川の整備率、約五八%という状況でございます。
一方で、委員御指摘のとおり、最近は、時間雨量百ミリを超える豪雨によりまして、各地で浸水被害が発生している状況にございます。
このような中で、例えば東京都におきましては、昨年十一月、区部の河川整備の対象雨量を五十ミリから七十五ミリに引き上げる整備方針を策定し、それを上回る豪雨に対しましては、河川情報の提供、住民の避難などによりますソフト対策で対応するということにいたしております。
国土交通省におきましては、河川や下水道の整備、そして、住民の避難行動を支援するソフト施策によりまして、浸水被害の軽減を図る百ミリ安心プランの取り組みを行っているところでございます。
このように、時間雨量百ミリを超えるような豪雨に対しましては、ハード、ソフト一体となった取り組みを鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
○赤澤委員 今御指摘のとおりで、厳しい財政制約のもとでありますから、なかなかハードだけで対応するようなことは実現不可能ということは間違いのないところだと思います。
地震や津波と同じように、やはりハードとソフトの対策の適切な組み合わせで少しでも被害を軽減する、減災の考え方で全力で取り組んでいかなければならない問題だと思います。
国土交通部会長として、公共事業も含め当初予算でしっかりと予算を確保して、水の関係も手を打てるように、さらには、デフレ脱却最優先という安倍内閣でありますから、そういう意味でもしっかりと予算を確保し、やるべきハードの対策、ソフトの対策を進めていきたいというふうに思います。
ここで、最優先の課題として安倍内閣が取り組んでおられます復興の話についても伺っておきたいと思います。
よく言われるのが、どんな一般の方でも知っているのが入札不調が多いという問題であります。これについては、実際の事情をよく教えていただいた身としては、最終的に落札されずにおかれているようなものがそうあるわけではない。だから、仕事は、全体として、このことでおくれが出ているわけではないというようなことでありますけれども、特に地方の中小の建設業の衰退の問題、若い人を余り雇用できてこなかった、公共事業を減らされてきたので雇用ができない、あるいは重機も全部レンタルしちゃって手元にない、いざ対応してくれと言われても無理なんですよというような話も同時に聞こえてくるわけでございます。
国土交通省としては、東北に生コンのプラントを新しくつくるように取り運びをしたり、いろいろな手は打っておられる中でありますけれども、現時点においてなお復興の障害となっている問題にはどのようなものがあって、どのように対応していくと認識をされているのか、お答えをいただきたいと思います。
○西脇政府参考人 お答えいたします。
復興につきましては、道路などの基幹インフラの復旧につきましてはある程度進んでおるというふうに思いますけれども、住宅再建とまちづくりにはまだおくれがあるのではないかというふうに認識しております。
被災市町村は、地形ですとか従前の土地利用、また被災実態などそれぞれ事情が異なりますことから、復興に当たりましては、これに応じた課題をきめ細かく解決していく必要があるのではないかというふうに思っております。
三月には、住宅再建のまちづくりの工程表、これを市町村別、地区別にきめ細かく発表し、それを実現するための加速策のパッケージを示しております。
国土交通省所管分野につきまして若干例を述べますと、例えば住宅再建の加速化につきましては、防災集団移転促進事業がございますけれども、こうしたものを柔軟に運用していくでございますとか、あと用地取得の迅速化というのが一つの大きな課題になっておりますが、これにつきましても土地収用法上の事業認定の審査期間を短縮いたしますとか、あと今委員からも御指摘がございました資材不足につきましては、生コンの公共工事専用のプラントの新設を決める等がございます。
それから、あと、入札不調の話がございました。全体的に、最終的には再発注等の工夫によりまして発注できておりますけれども、その過程におきまして、例えば労務単価の引き上げなどによりましてかなりいろいろな努力を重ねた結果、そういう状況になっておるというふうに思っております。
いずれにしても、きめ細かい対応ということで、今決めております工程表と加速策に基づきまして、できる限り事業のスピードアップを図っていきたいと思いますし、これによって、最終的には住民の方々に復興を実感できるようにということで、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○赤澤委員 ありがとうございます。
復興最優先ということで取り組んでおります安倍内閣でございますので、しっかりと、今お話のあったような点も念頭に置きながら進めていただきたいと思います。
あわせて、東日本大震災の教訓を生かして、きちっと首都直下地震、南海トラフの地震にも対応していかなければならないということで、お願いをしておくような形にもなりますけれども、例えば都市計画について、これは今まで、とかく防災の点抜きで都市計画をつくり、いざ、でき上がってから、水辺にいろいろなものをつくっておいて、さあ、防災頼むねと防災の担当部署にお願いをする。その時点で防災の手を講じようとすると、膨大な予算が必要になる。
これからはきちっと、都市計画をするに当たっても、都市再生も同じであります、何をやるにも事前防災ファーストで、財政的制約が厳しいわけですから、防災のことを常に念頭に置いて、いざというときに少しでも人的、物的被害が少ないような、そういう都市づくり、都市再生、これを進めていかなければいけないと思います。ゆめゆめ防災を念頭に置かずに都市計画を策定して、実行段階で必要な防災予算を積み上げて膨大な額になった、できません、このようなことのないようにしていただきたいと思います。
戦後六十何年、国が滅びると思うような大きな地震を経験しなかった、あるいは、武力で外国から領土を狙われるようなこともなかった。そんな中で、平和ぼけという言葉は私は余り好きではありませんけれども、本当に、政治も行政も国民も、多少危機について鈍感になっているところはないかなと自戒の念も込めて、この点は強くお願いをしておくものでございます。
次に、老朽化対策の話についてお話をさせていただきたいと思います。
これも大臣の御指導で、当時の政務三役が、八月四日に放送されたNHKスペシャル「日本のインフラが危ない」を見て、本当にもう背筋が冷えるような思いがしたわけであります。これは実は、もう放映されていますので名前も挙げていいでしょう、浜松市が国からの緊急点検、総点検の依頼でしっかりインフラを点検したということで、ある意味胸を張っておられたような状態だったのが、専門家がきちっとチェックをしてみたところ、これは東京都のインフラの専門家でありますところの高木千太郎さんという方だったと思いますが、この方がチェックを改めてしたところ、本当に大きな問題が次々に見つかった。
自治体の技術力、これは財政の問題ももちろんあるんでしょうけれども、十分ではないのではないか。国が直轄の部分についてしっかりやる点検等はもちろん一定の水準に達してはいるのだけれども、地方公共団体の技術力や財政力の欠如が危ないインフラを放置するという結果になると、これは大変大きな問題が生じ得ると思います。
例えば、私の承知している範囲で、新幹線の上を市町村が管理している道路の橋が渡っているというようなところもないわけではない。そういうところで管理がずさんで、走っている最中の新幹線の上に万が一橋が落ちるというようなことがあれば、これは大惨事になることはもう目に見えているわけでありまして、そういうことも考えますと、何とか地方公共団体の技術力や財政力の欠如を補っていく、そういうことを考えなければならないと思います。
一定の水準にある技術者の資格を認定して、その方たちをプールして自治体にあっせんをする、自治体のニーズに応えるといったようなことも検討対象になるのではないかと思いますが、この点のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、社会資本の老朽化対策を着実に実施していくためには、国のみならず、その大部分を管理されております地方公共団体の取り組み、これは極めて重要でございます。
地方公共団体からさまざまな御要望をお聞きいたしますと、財政力が厳しいとか、あるいは技術職員が少ないといったような意見が寄せられているところでございます。
このため、私どもの方としましても、当面、市町村の職員の方々への研修といったようなことも当然やってまいりますが、加えて、増大するインフラ点検需要のサポートをするためには、適切な技術力を有する方に業務を委託するというふうなことも当然効率的な方法でございますので、点検要領を十分理解できるような、そしてまた実務経験に裏打ちされた技術者の方々に委託する等を通じまして、さまざまな需要に対応してまいりたいというふうに考えております。
このため、現在私どもの方で運営をしておりますさまざまな資格制度、これを俯瞰した上で、どのような制度をつくっていくことが適切かといったようなこと、また、今委員御指摘のような、各地域で運営をされております技術支援組織、こういったものをあわせて検討した上で、早急な対応を行ってまいり、点検等の品質の確保、こういったことをしっかりと努めていけるように努力をしてまいりたいと思います。
また、私どもの方で運営しておりますメンテナンス小委員会といったようなところでも、今委員御指摘のありましたところについて同様の御指摘をいただいておりますので、私どもとしても積極的な対応をやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○赤澤委員 着実に安心、安全を確保していただきたいと思います。
質疑時間が参りましたので、最後、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、CIQ体制の整備。これは関係省庁が四省庁ございます。その点も、観光庁を初め、音頭をとってしっかり取り組んでいただきたいですし、最高のおもてなしをするとともに、東京以外の日本の田舎に多くの外国人観光客が入り込むように、その点も万全の対策をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、松田学君。
○松田委員 日本維新の会の松田学でございます。
今国会から国土交通委員になりまして、ぜひよろしくお願い申し上げます。
そういうことで、最初でございますので、既に国交委員会では随分と議論されていることかもしれませんけれども、大臣の基本的な認識を何点かお聞かせいただければと思っております。
まず、今、アベノミクスの中で、公共投資、これは第二の矢という大変重要な位置づけになっているわけですが、私は、アベノミクスはまだ、実体経済との関係で見れば、日銀にお金を積んで、それが実際にマネーになるには、金融機関がお金を貸し出さなければマネーにならない。また、公共事業も、予算は積んだけれども、これはやはり民間需要に波及しないと、本当の意味での実体経済の成長に結びつかない。まだまだお金を積んだだけの段階じゃないかというふうに認識いたしておるんです。
さはさりながら、一方で大事なのは成長戦略ということで、お金が回る仕組みが、戦後のいろいろな仕組みがもう行き詰まっているということで、これを組みかえていくというのが本当の成長戦略。まさに、改革をしないといけないというのはそういう点にございまして、その点で、いわゆる既得権益に依存しない成長戦略というのがどの程度出てくるかというのがこれから重要だと思っているんです。
さはさりながら、お金が回っていくためには、その前提として、それにはしばらく時間がかかる、いろいろな規制改革なんかも。その間に需給ギャップが拡大しないように政府が一定の有効需要を創出していくという意味で、一時的な政策としては、公共事業を拡大するというのはそれなりの意味がある。その意味で、第二の矢というのが必要であることは、よく理解しております。
ただ、維新の会は、公共事業に依存しない経済ということを唱えている立場でありまして、公共事業というのは一種のモルヒネのようなものでございますので、これをいつまでも打ち続けていると、本当にそれに依存した成長しかできなくなってしまう、かえって地方の疲弊を長期的に拡大してしまうということで、やはり、財政の制約も考えると、その中身が非常に問われているんだろうと思っております。
むしろ、公共投資というのは、経済政策の手段として考えれば、位置づけとしては、一時的な総需要拡大政策というよりは、真に社会に必要なニーズに応えていく。そのために、段階的、計画的、戦略的に、これからの公共インフラ整備に対するニーズはいろいろな面で拡大していくと思いますけれども、そういう戦略性が大事だろう、むしろそれが問われてくる時代だろうということで、そういう意味で、国土交通省の役割がそっちの面で非常に大きくなるんじゃないかと考えています。
かつて九〇年代、公共投資が、無駄な投資が多かった。景気対策の手段として使われることによって、かえってそういう批判を受けることになって、その後、現在は、当時に比べて、ピークに比べて半分まで減らされた。半分まで減らされて本当に大丈夫なのか、地方もこんな状況ですけれども。
やはり、そういうことがないように、公共投資の中身、本当に、真に将来の生産性の上昇に役立つような、そういうすぐれた資産を残していく。そのためのファイナンスとして建設公債を出すのであれば、やはりそれの、バランスシートで見て、つじつまの合った、資産の価値のある、裏づけのある資産を裏づけにして、それで建設公債を発行していく。そういう意味でも、本当に将来の生産性に寄与するような公共投資であるかどうかというのが重要になってくると思います。
そこで、私、これからの二十一世紀における日本の国土形成、どういうふうに考えていくか。大きな潮流としては三つぐらいあるんじゃないかと思っていまして、少なくとも三つあるんじゃないか。
一つは、これはよく言われていることですが、右肩上がりの時代というのは、全国一律のナショナルミニマム達成のために公共事業というものが位置づけられていた時代があったんですが、それがほぼ達成された後は、それ以上の公共投資については、やはり受益と負担との関係を地方みずからが選択していく、その結果でこぼこが生じてもやむを得ないという考え方に、ある程度ギアチェンジが必要ではないかという議論が大きな潮流としてはあろうかと思います。
二つ目の潮流というのは、人口が右肩下がりに転化した、いわゆる人口減少社会、高齢化社会になっていきますと、今まで都市から郊外へと人口が拡大してきた、しかし、高齢化していくと、人口減少していくと、一人当たりのインフラコストの問題が出てくるということで、やはり都市の中心部に戦略的に撤退して人口を集中させていくという方向、そういうインセンティブ、モビリティーのある社会といいますけれども、人が動く社会といいますか、そういう考え方も大事になってくる。
それから、もう一つ指摘するとすれば、グローバリゼーションの時代というのは、これは集積を競争する時代になっていると言われておりますが、どれぐらいの集積を都市に残していくか、その都市間の競争。そして、その中核都市を中心として広域経済圏を形成して、それがグローバル経済と競争していく。
こういった三つぐらいの潮流があると思いますけれども、こういった流れを踏まえまして、今後の日本のインフラ整備に当たりましての国土形成の基本的設計思想について、大臣の基本的なお考え方をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○太田国務大臣 非常に、公共事業というのが、ばらまき批判をやったり、そしてマクロ経済の中での公共事業というものをどう位置づけるかということ自体が、実は国土形成ということの一つの重要な観点だというふうに思います。
長い答弁をしたら質問時間が終わっちゃうのでなんですが、せっかくお話しいただきましたので申し上げますと、景気対策という角度で公共事業が使われるということになりますと、これは一過性のものでもありますし、あるいはまた、中身がずさんになってくるということがあると思います。
ただ、私は、景気対策といえば公共事業というものであってはならないし、中身を本当に吟味しろというのは当然なんですが、今までの公共事業展開の中で完全に欠けていたというのは、日本は脆弱国土であるという危機意識、それで、首都直下地震や南海トラフを初めとする災害、こうしたものについては、全く景気対策というものとは違って、常にやっておかなくちゃならないということで、実は私自身が苦労しているところです。
そして、フローで見るのではなくて、ストックという観点を常に見ていかなくてはならない、そういうことについては留意してやっていかなくてはならないということを常に思っています。
同時に、今御指摘のありましたように、一つは人口減少ということがあるでしょう。それを踏まえた国土形成をどう考えるか。一平方キロでメッシュに切りますと、二〇五〇年には六六%の地域が実は半減以下になる。
そこで、どういうふうにそこのところを、切り捨てるコンパクトシティーではなくて、それを生かしながら、人間学ということからいきますと、人は土地と文化を呼吸しながら生きている存在であると私は思いますけれども、そうした生の哲学というものの中から、この人口というものをどう捉えていくかという中に、交通政策基本法というものは、そうした考え方を踏まえて、ネットワークで補っていかなくてはならないというふうに思っています。
人口の制約、そして少子高齢化社会がやってくる。都市間競争というものはさらに厳しさを増してきている。そしてグローバリゼーションというのは、当然そこの中でどう生きるかということをやらなくてはいけない。同時に、私が今申し上げました巨大地震を初めとする大災害がやってくる。こういうものの中で、国土形成というものをどうするかということをしっかり考えていかなくてはならない。
おのずから、無駄な公共事業を景気対策のためにという考え方は、私は全くとっておりません。むしろ、順調に、基本的に、ベースとしてどれだけの公共事業費が要るのかということを想定しながら、国土というものを、田舎というか地方においてはコンパクトなシティーにしていかなくてはならない。また、考え方が、道州制とかいろいろなこともあるんでしょうから、その中で、中核的にエンジン役となるような中核都市の活性化というものをどう図っていかなくてはならないか。そこにネットワークというものが、コンパクトシティー・プラス・ネットワーク。
大都市圏におきましては、この国際競争に耐え得るというようなコンパクトシティーであるとともに、中身の点で、ウエルネスシティーといいますか、あるいはスマートシティー、スマートウエルネスシティーというものと、そして、外国からのそうしたゲートウエー機能を強化するというようなものでやっていかなくてはいけないということを、国土形成というものの考え方の基本に考えていかなくてはならないと私は思っているところです。
○松田委員 どうもありがとうございました。大変しっかりと御答弁いただきまして、ありがとうございます。
その中で、今おっしゃっていただいた中で、道州制ということをにらんでというお言葉がございましたが、まさに今、交通政策基本法案というのが策定されていると認識しておりますけれども、これは将来的に、今の安倍政権も道州制については基本的には賛成する立場だと。我々もそういう提案をしておりますけれども、それも視野に置いた国土形成の考え方を持っておられるというふうに今確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○高木副大臣 ただいま大臣から、国土の基本的設計思想あるいはまた国土のグランドデザイン等についてお話がございました。その中で、交通というものは非常に大事な要素を持っているところだというふうに思っております。
一方で、道州制の議論があるわけでございますけれども、導入も含めて、今さまざまな議論がされております。当然、これが導入されるということになってきたならば、この交通政策というものが道州制の中でどうあるべきか、しっかりとそれは勘案をして対処していくべきものだというふうに私は思っております。
○松田委員 ここで少し質問の中身をかえまして、今、秘密保護法案というのを、海上保安庁の平成二十二年の保安官の事件、よく取り上げられるんですけれども、その関連で、ことしの三月十九日のこの国土交通委員会で、うちの日本維新の会の三宅博議員が、中国漁船衝突の映像を流出させたあの元海上保安庁の職員の行為について大臣に御質問いたしました際に、大臣の御答弁が、「元海上保安官の当時における行為は、守秘義務違反ということはもちろんのこと、」「海上保安庁に対する国民の信頼を損なう行為であったというふうに私は思っておりまして、海上保安庁の業務に悪影響を与えたという認識をしておりまして、許されない行為であるという認識を私自身はしているところでございます。」という議事録があります。
報道されていますように、十月三十日、菅官房長官は記者会見で、これについて、特段の秘匿の必要性があるとは考えにくいという考え方を示したと報道されているところでございますが、当時の大臣の御答弁、今も同じお考えでしょうか。これを確認させていただきます。
○太田国務大臣 財務にもいらっしゃって、国交省にも来られたことがあるという先生、もう十分御承知のことだと思いますが、国家公務員は、国家公務員法において、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないということになっています。
海上保安庁は、その中でも、取り締まりの手法、事件捜査など、秘匿性の非常に高い情報を扱っているということから、国家公務員法で禁止する守秘義務違反については、特に厳格な対応が求められていると考えます。
そこで、私は、ことし三月に、海上保安庁に対する国民の信頼を大きく損なうとともに、海上保安庁の業務に悪影響を与えた、守秘義務違反というのは当然問題になりますけれども、これは許されるものではないという考え方を示しました。それは、私は今も変わっておりません。
菅官房長官がこの間の記者会見で申し上げている発言は、これは秘密保護法案において特定秘密に関しての発言であるということを承知しています。
そういう意味からいきまして、どのような情報が特定秘密に該当するかということについては、当該基準を踏まえて今後慎重に検討ということになっているところでございますが、あえて私は現時点で申し上げますと、そこは、内容はこれから検討するということになっているわけですが、菅長官と同じ見解でありまして、当該ビデオは、秘密保護法案の観点からいいますと、特段の秘匿の必要性があるとは言いがたいのではないかと私は思っているところです。
○松田委員 大臣の御答弁、恐らくそういう御答弁だろうと思っております。国家公務員の守秘義務と特定秘密というものとは、ちょっと分けて考えていかなければならない。ただ、国民が、大変この問題、メディアでも報道されていますので、大臣の今のお考えということで整理していただいたという理解をさせていただきたいと思います。
二十分しか時間がないので、いろいろ通告させていただいた質問の残りはまた改めてと思いますが、最後にPFIについて。
私は、内閣委員会の方で、PFI法案、前の通常国会で、新しい機構をつくって、政府も百億円出すということで、独立採算型のPFI事業を推進していく、この趣旨自体は大変よいものだと思いますし、それから、先ほどから申し上げているインフラ整備の上で、これから民間資金の活用というのが極めて重要な課題になってくる中で、趣旨はいいんですけれども、しかし、政府がお金を出して、そしてインフラファンド、いわゆるお金の面でやる前に、まだいろいろPFIについてはやるべきことがあるだろうという立場から、日本維新の会は反対をさせていただいたという経緯がございます。
その際に、私どもが指摘させていただいたのは、まず一つは、いわゆる官の事業の財務情報をもっときちっと民間に、投資判断ができるように開示すべきではないか。それからもう一つは、コンセッション方式ということ。これは非常に注目を浴びているんですが、まだまだ十分に使い勝手がいいようなガイドラインが整備されていないんじゃないかという議論もありました。それからもう一つはPPP、いわゆる公民連携、官民連携と言われているものですね。こういったいろいろな施策を進めていくことがまず大事であって、お金の話にいきなりいくのはどうかと。
それで、でき上がりました機構を見ましても、そこに参加されている私の知人の話では、やはり金融機関からお金を出すことがどうも優先されていて、例えば仙台空港なんかも、官と民がいろいろなことをすり合わせて、どうすれば収益性が成り立つ部分を組み立てられるか、単に切り出すだけじゃなくて、ほかのものと組み合わせていって、そういう作業というのは相当のすり合わせが必要なんですが、そういうことをやる機構かと思ったら、必ずしもそうでもないんじゃないかという意見もあります。
この点について、例えば官と民が十分な調整をする場として、本省はなかなかそういうわけにもいかないということもございますけれども、そういった体制整備のあり方も含めて、このPFIについての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○中原大臣政務官 答弁させていただきます。
厳しい財政状況の中ではありますけれども、真に必要なインフラの整備、維持管理、更新等を着実に行っていくためには、民間の資金や知恵等を活用していくことが必要なことでございます。
このため、政府全体の取り組みとして、本年六月、コンセッション方式の活用を初めとする、PPP、PFIの抜本改革に向けたアクションプランが策定されております。
議員から御指摘をいただきました点は、PPP、PFIを推進する上で重要なことだと思っております。アクションプランにおいても、財務情報の整備促進や、コンセッションに係る実務的な指針の発出、また、今後十年間で十二兆円規模のPPP、PFIの推進等が示されております。
国土交通省といたしましては、アクションプランに基づきまして、民間事業提案や参入判断に必要とされる、公共施設等に関する財務情報等を整備するための方策の検討や、所管事業におけるPPP、PFI導入のためのガイドラインの策定、また、空港等におけるコンセッション方式の活用を初めとするPPP、PFI推進に取り組んでいるところでございます。
○松田委員 PFIにつきましては、また機会を改めて議論したいと思います。
もう時間になってまいりまして、私、実は、先ほど大臣がおっしゃっていたように、財務省から国土交通省に一時出向していたことがございまして、そのときは北海道局というところにおりまして、北海道局というのは前の民主党政権のときにもいろいろ議論があったようですが、本当に北海道特例というのが税金を投入して必要なのかという点を常に議論もしてきた次第ですが、今の時点で考えればどういうことになるかにつきまして、また改めて議論させていただきたいと思います。
北海道ということで、この後、我が党の岩永委員がJR北海道について質問させていただきますので、よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○梶山委員長 次に、岩永裕貴君。
○岩永委員 おはようございます。維新の岩永でございます。
本臨時国会から、国土交通委員として皆様方とともに、この委員会の中でお仲間に加えていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
先ほども少し出ておりましたけれども、この間の集中豪雨そして災害、非常に大きな爪跡を日本の国土に残し、特に十八号そして二十六号、二十七号と、これまで日本が経験したことのない集中豪雨、私も十八号の際には地元滋賀県で、ちょうど真夜中、家でそろそろ寝ようかなというころから非常に激しい雨が降り出しまして、バケツを返したようなというか、本当に恐ろしい経験をし、そして、河川がどうなっているのかなと真夜中も車で走り回って見ていると、すごい音を立てながら、これほどまでに集中豪雨というものは恐ろしいんだなということを身をもって体験させていただきましたし、それでお亡くなりになられた方々には心より御冥福を申し上げます。そして、被災された方、いまだ復旧復興のめどが立たない地域もたくさんあるということですので、まず冒頭に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
そして、この被害に遭ったというところで、私の地元も、大臣も御承知いただいておると思いますけれども、信楽高原鉄道という鉄道がございます。この信楽高原鉄道は、もちろん公共の鉄道として、地域の皆さん方の通学の手段であったり通勤の手段であったり、そして、これまでも事故等多くのことを乗り越えながら地域が一体となって守ってきた線路、第三セクターの鉄道でございます。
これの橋梁が台風十八号によって流されてしまいました。御党の浮島代議士もいち早く信楽に駆けつけていただきまして、その状況をごらんいただいて、非常に大きな問題意識を持っていただいたところでございます。今、再建案というものを地元自治体でも検討中なんですけれども、恐らく自治体が再建できるような規模の額ではないというようなところ、そして、この公共の鉄道を復旧するというところで、現行の法律では、地元の市が四分の三を負担しなければならないというようなことになっております。
この信楽高原鉄道というのは、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づきまして、鉄道である信楽高原鉄道は、いち早くその実施計画の認定を受けて、本年四月から上下分離方式というものを運営しております。鉄道の施設は甲賀市が保有している。そして、現行の制度では、その甲賀市が、復旧事業費に係る地方公共団体分四分の一、そして鉄道事業者分二分の一を合わせた四分の三を負担しなければならないということになっております。
やはり私は、これは公共用財産として扱っていくべきだというふうにも考えておりますし、道路と同様に、何とか国の方で、補助率四分の一から、せめて施設災害復旧事業費補助金並みの三分の二というところに引き上げて、地域の皆さん方の、本当にその不安の解消という部分にいち早く何とか取り組んでいただきたいというふうに考えておりますけれども、大臣の何とか前向きな御答弁を賜ればと思います。よろしくお願いします。
○滝口政府参考人 信楽高原鉄道は、今委員がお話しになられましたように、毎年度、経常損失を計上するなど、経営状態が非常に厳しいという鉄道でございました。本年四月から、沿線の甲賀市が、鉄道事業者の負担の軽減を図るといった趣旨のために、鉄道施設をみずから保有するという上下分離を実施いたしまして、この事業につきまして鉄道事業再構築事業といったものの認定を受けて、鉄道事業の継続を図ろうという努力をしてきたところでございます。
このような中、本年九月の台風十八号によりまして、橋梁の橋脚、これは五本あるものでございますが、一本が流れ、また橋桁二つがあわせて流されたといったような被害、そしてまた、さらにほかの路線のところでは土砂の流入がある、こういったような被害を受けたというように承知をいたしております。
被災の直後には、信楽高原鉄道と合同でJR西日本が直ちに現地調査を実施するといったようなことを行いまして、今後の復旧に向けた、大きな方向性といったアドバイスをしたというようなことをやらせていただいております。現在は、復旧方法や復旧事業費などにつきまして甲賀市御自身が調査をしている、こういうような状況でございます。
さて、この災害復旧の進め方でございますが、甲賀市の調査結果を踏まえて、どのような災害復旧をするのかということが具体的に議論されるということになります。
実は、上下分離をした鉄道事業者に対しまして、この下物の部分に対しまして、先ほどお話がございました鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助というものを適用した事例がございません。しかしながら、こういったような背景があることがございますので、適用する方向で検討を行ってまいりたいと思っております。
この適用をするというようにいたしました場合、復旧事業費の二分の一をまず鉄道事業者という立場で負担していただく必要がございます。さらに、残りの二分の一を国と地方自治体、これは県または市といった地元の市町村ということになろうかと思いますが、そういった方々でその半分、したがいまして、トータルとして、四分の一を国、そういった地方自治体が残りの二分の一の半分でございますから四分の一ずつを負担する、こういうことになるわけでございます。このため、今回の信楽高原鉄道の場合には、下物については甲賀市が持っておりますので、鉄道事業者分と合わせまして、地方自治体ということで全体の四分の三の負担をお願いするというのが現在の制度でございます。
このような地方自治体の負担について、現在の国の負担分、すなわち全体の四分の一というものを引き上げるということは、まことに申しわけございませんが、非常に困難であるというふうに考えております。
一方、このような支援につきましては、地方財政の観点から検討すべき問題という要素もあわせ持っているところでございます。そこで、私どもは、総務省と調整をしながら検討を行わせていただいております。
なお、ただいま申し上げたのは災害復旧という問題についての助成でございますが、あわせて、この路線というのは老朽化しているといったような問題もあるというふうに聞いております。そういった場合の整備、更新という問題につきましては、他の支援スキームもございますので、そういったものについても私どもは検討してまいりたいと思っているところでございます。
○岩永委員 そういうことなんだろうと思います。大臣に御答弁をいただきたかったんですけれども、事務方としてはそういうことだと思うんです。
特別警報が出て、これまで経験したことのない災害、そして公共交通という部分、そして、今も子供たちが、電車は走っていないけれども駅舎の掃除をしてくれています。そして、代行の路線バスを走らせていますけれども、やはり道路というところは日々渋滞状況も変わってくる、一時間目に間に合わないような状況が出てきている。本当に生活に大きな影響が出ているんです。
でも、やはり自治体だけではどうしても今回そういった復旧のめどが立たないというところの現実的な問題、そして地域の皆さん方の苦難、このあたりをしっかりと乗り越えていくために、そういった現行の制度はわかるんですけれども、前向きに、それも早急に、やはり解決の道に向けた施策を打っていただきたいということを改めてお願いさせていただきますし、大臣の方からも御答弁いただければと思います。
○太田国務大臣 この信楽高原鉄道は、生活の上で必要不可欠なものであって、復旧をさせなくてはいけない。しかし、現行制度では、今のような状況で甲賀市が担うということはなかなか困難ということもよくわかる。そうすると、結果として、いろいろな知恵をとにかく出して、この高原鉄道が復旧し、そして市がとても負担できないよということを補ってやれるような仕組みをどうつくるかということで、ちょっと知恵を出させていただきたいというふうに思います。いろいろな知恵の発揮というのが大事な局面だというふうに思っているところです。
○岩永委員 ありがとうございます。ぜひ知恵を結集していただきまして、また一日も早い復旧に御支援をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、先ほどちょっと松田委員の方からもございましたJR北海道について。
今、特別保安監査が一応終わって分析中というところでございますけれども、この特別保安監査の内容と、いつどのような形で明らかになってくるのかというところを、局長の方からで結構ですので、少し御説明をいただきたいと思います。
○滝口政府参考人 JR北海道につきましては、平成二十三年五月に石勝線で列車の脱線火災事故というものが発生いたしまして、多くの負傷者を出すといったような事故がございました。その際に、私どもといたしましては、こういったトラブル、事故といった異常事態に対応するマニュアルが不整合であったのではないかという問題から、事業改善命令を出させていただいております。
さらに、JR北海道の会社全体を眺めた場合に、社内の安全管理体制が不十分ではないかという問題意識がございまして、これを徹底するようにという見直しを実際にとったところでございます。
これを受けまして、JR北海道では、平成二十三年の九月に安全性向上のための行動計画というもの、またこれに基づき、これを実施するための安全基本計画というものを昨年の十一月に策定しておりました。ところが、このようなものを策定しておりながら、残念ながら、ことしに入ってもトラブルが多発しておったというのが状況でございます。
さらに、九月十九日には貨物列車の脱線事故が、JR北海道が保守管理をする軌道の上で発生をしたという問題が起こっております。そして、この脱線事故を契機といたしまして、JR北海道において、整備基準を超える軌道変位を放置しているという事実が明らかになったところでございます。
このため、まず、軌道関係を中心といたしまして、九月二十一日から特別保安監査に入ったところでございますが、トラブルが多発していることなどを踏まえまして、軌道のみでは不十分であるという判断をいたしまして、検査対象を、いわゆる技術の四分野に加えて、経営分野まで加えた五分野に拡大をした上で、九月二十八日まで延長して実施をいたしました。さらに、十月九日から、二回目の特別保安監査も実施しているところでございます。
現在、こういった二回の特別保安監査の結果を整理、分析しているところでございます。そして、先ほど大臣から御答弁がございましたように、安全を確保するために必要なことがあれば、直ちにそういった早急な改善措置も求めていくといったようなことをやってきたところでございまして、そういった当面の問題と大きな問題というものを並行して今検討しているところでございます。
○岩永委員 その監査の結果はいつ出てくるでしょうか。
○滝口政府参考人 今回の特別保安監査は、JR北海道の全体を眺めるということで特別保安監査に入らせていただきました。このために、極めて広範な事象を実は扱っております。
大臣から御指示をいただきまして、鋭意、整理、分析をやっておるところでございますが、現時点において、具体的に、いつ、どのような形で結果が出るのかということについては、申し上げられる段階にないというところでございます。
○岩永委員 一カ月後になるのか、三年後になるのか、もう全くわからないというところでしょうか。
○太田国務大臣 組織全体をしっかりするということについては、かなり分析が必要です。そういう意味で、全体を大きな一センチぐらいの総合的なペーパーにまとめて、そして、これをやりなさいという形は、私は今回適切ではないというふうに思っています。
そうしたことよりも、まず、安全で毎日運行できるというように、具体的、個別的な今回の事象ということについて、これにはこういう手を打つ、枕木ならこういう手を打つ、幅ならこういう手を打つ、ATSの問題ならこう手を打つということで、必要なことについては随時、全体像をまとめるという前に手を打とうということが、今、改善指示という形をさせていただいているところです。
あわせて、全体の指令系統の問題とか、あるいは財政の問題とかいろいろなことがありますから、それにはもう少し総合的に分析する時間が必要である。
それで、特別保安監査というのは、どちらかといいますと、かなり技術的な面を調べているということでありますものですから、そこはそこで、ある程度まとめる作業をするということが必要かもしれませんが、まず、その都度必要なことについて指示を出させていただくという手法を今我々はとっているということであります。
○岩永委員 日々の安全第一というところの御対応はそのとおりだと思うんですけれども、やはり鉄道技術、そして鉄道というのは、日本にとっての大変大きな宝であると私は思っていますし、がゆえに、海外からいただいている、これまでの本当に日本の鉄道に対する高い技術というものの信頼性を失わないためにも、やはりこの委員会でしっかりと議論を尽くして、今後二度とそういうことが起こらないように検証していくということは非常に大切なことであろうというふうに思っております。
だから、この委員会で何をもとにいろいろな議論をしていくのかというところを非常に心配をしておりまして、また情報公開もしっかりしていただきながら、この委員会が全容をしっかり把握できるように、そして、それに対してしっかりとした議論ができるような資料というものを、また今後御提示いただきますようにお願いを申し上げます。
それと、もうほとんど時間もなくなってきたんですけれども、最後に、やはり問題意識としては、先ほどもございましたとおり、この企業の形態、人材の育成というところが非常に大きな根本的な課題になっているのかなというふうに思います。
この会社、国土交通省の外郭団体であります独法の一〇〇%出資をされているJR北海道ということ、そして、約七千億のお金をJR北海道さんに貸して、それをまた独法さんに貸して、その利回りをまたJR北海道の方に、たしか三・九とかそんな形だったと思いますけれども、それで赤字を補填しながらこれまで運用されてきたというところを少し、そのあたりのお金の流れと、この三・九の利回りというものをどのようにしてこれまで出してこられたのかというところを、最後にちょっと御答弁をいただきたいと思います。簡単にで結構です。
○滝口政府参考人 ただいま先生がお話しになりましたJR北海道の経営安定基金でございますが、総額六千八百二十二億円といったものでございます。これは、いわゆる国鉄の債務の一環ということで、国鉄改革時にJR北海道の方にこのお金が与えられているというものでございます。
この基金の運用につきましては、JR会社法という法律がございまして、その十二条の五項で、「旅客会社は、確実かつ有利な方法により基金を運用しなければならない。」ということがうたわれているところでございます。
現在、この規定に従いまして、JR北海道においても、確実かつ有利な運用先ということで、この経営安定基金の運用が行われているところでございまして、具体的には円建ての債券、ボンドの方の債券でございますが、債券を中心にいたしております。大体、この債券が四割ぐらいでございます。それから、外国債券や内外の株式への投資といったものが大体三割ぐらい、あと残りが、先ほどもお話のございました、独立行政法人の鉄道・運輸機構に対する貸し付けといったような形になっております。
その結果、二十四年度決算における平均運用利回りというのは約三・七%というふうになっているところでございます。
○岩永委員 時間となりましたので、これで終わらせていただきますが、やはり石勝線のトンネル事故以来、国交省からも出向されていたりとか、あとは社長人事については閣議了解事項であるとか、さまざまな部分で国の関与というものもこれまであって、なぜそういうことをこれまで見過ごしてきてしまったのかというようなところも含めて、今後また建設的な、前向きな議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。本日は、ピンチヒッターで一般質問をさせていただきます。
まず、一般質問ということで、地元から要望のあった問題について順次お伺いをいたします。
旅館やホテルなど、不特定多数の方が利用する建築物の耐震検査の義務化や改修について伺います。
これは、耐震検査の補助自体は大変ありがたいんですけれども、実際、改修が必要になったというときには、ちょっと手直しということでは済まず、思った以上に大規模改修、またほぼ建てかえに近いような状況で改修費がかかるというふうに考えております。また、実際、そのようなことでホテルや旅館の方、経済的に不安を感じている方も多いというふうに伺っております。
国の単独補助では事業者負担が多過ぎるため、特に耐震改修の話ですけれども、国と地方で補助をし合う形を目指して、以前の国会審議の中でも、地方公共団体にしっかり働きかけをしていくべきだという議論がされてきたと思いますが、まず、この点について国交省はどのように取り組んでいくか、お伺いをいたします。
○太田国務大臣 耐震改修促進法を成立していただきました。
その中で、耐震改修をするということについては、従来よりも国の出す分が多くて、国が二分の一、地方が二分の一というのが、耐震診断でそういう形になりました。地方自治体が協力しますということを言っていただくと、いわば無料で診断ができるということです。
耐震改修ということについては、国が三分の一、地方が三分の一ということになりますから、三分の二補助がされる。ですから、出すのは三分の一でいいということになります。ここを避難所等に指定した場合には、五分の二、五分の二で五分の四ですから、五分の一だけ出せばということになります。これは補助率が非常に高いということになります。
そこで、焦点は、地方自治体がそこに加わってもらえるかという一点になるというふうに私も思っておりまして、そういう点では、地方公共団体に対して、この補助制度の整備充実を強く働きかけて、夏からずっと、私の方から指示をしまして、そういう作業をしてきたところです。全国に職員を派遣したり、あるいは議員の先生方にも協力をお願いしたりということをさせていただいておりますが、これは議会で決議ということが必要になってきます。九月議会では、十の府県がそれに加わるというところまで来ました。議会は十二月と来年の予算の二月、三月議会というのがありますが、そこでどこまで到達するかということが一番の目標だと思います。
我々国交省としてもその辺を働きかけますが、地元での御相談ならば、ぜひとも、兵庫県は兵庫県として今検討中だということを聞いておりますものですから、働きかけていただければ、これが実現すると改修というものが大変促進されるというふうに思っているところです。
○井坂委員 補助制度について今御説明をいただきました。
私が心配をいたしますのは、これは今年度は国費百億円ということで、初年度ですから耐震診断の方の補助だけでおおむね済むかと思うんですが、これが二年目、三年目になりますと、実際、診断で改修が必要、しかも特に大規模な改修が必要というところが幾つも出てくるのではないかと危惧をいたします。その場合、当然、この国費百億円ということでは、国の三分の一補助あるいは五分の二補助というようなものは、これはもう到底足りなくなるのではないかなと危惧をしておりますが、これをちょっと事前に事務方ともすり合わせいたしましたら、ここでちょっと聞いてしまうと、再来年の予算を約束するような話は逆にいい答弁ができないというようなお話も伺っております。
そこで、そうならないように、ぜひ来年、再来年、改修の方に非常に補助金の予算が必要になると私は思っておりますので、その点を、足りない、足りないから実際改修できない、あるいは経営が傾いて地域の経済にダメージを与える、こういうことのないように、これは強く要望することにとどめたいというふうに思います。
ちょっと時間があれなので飛ばしていきますけれども、オリンピックについてお伺いをいたします。
東京オリンピックということで、これから二〇二〇年まで日本ないし東京に世界の注目が集まることは大変喜ばしいことだと思いますが、これでまた東京一極集中が加速するようではいけないと思っております。
オリンピックのために東京に来られる観光客あるいは東京に関心を持たれる世界の方々が西日本で二都市目、三都市目に回遊をしていただく、ゴールデンルートのような宣伝の仕方、さまざまあると思いますけれども、西日本で二都市目、三都市目に回遊をしていただく仕組みということについて、観光庁長官にお伺いをいたします。
○久保政府参考人 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定というのは、観光にとって、また、外国の方々に来ていただくというインバウンド推進の、私どもとすれば、強力な追い風であって、これを中心に観光戦略というものを御指摘のように考えていきたいと思います。
その際に、オール・ジャパン体制のもとで、開催国日本という形で国際的注目度を活用していきたいというふうに考えています。そういう観点から訪日プロモーションを強化していきたいということであります。
私ども観光庁といたしましては、先生御指摘のとおり、日本全体に世界じゅうの注目が集まるこの時期に、開催効果を東京だけではなくて各地域に波及させることが重要だというふうに考えております。
このため、例えば、西日本を含めまして、参加選手がオリンピックに先立っていろいろな合宿や練習を行う際に東京以外の地域を活用してもらう。また、オリンピックまでにさまざまな各種のスポーツの国際競技大会が開かれるかと思いますけれども、日本の各地域に誘致する。そして、オリンピック観戦に来られた方々にも、東京をゲートウエーとして、西日本含めて各地域に観光してもらうというような取り組みを進める必要があるというふうに原則的に考えております。
こういうような観点から、開催時あるいはそれに至るまでのさまざまな準備の場で、広域的な観光というような形で各地域の魅力を発信していく施策を強力に推進していきたいというふうに考えているところであります。
○井坂委員 もちろん東京に限らず各地域の魅力ということなんですけれども、世界の人から見れば、もう少し的を絞って、どうしても行政というのは、特定の地域をどうこうするというのはなかなか難しいのはよくわかるんですけれども、やはり観光に来るお客さんというのは、日本に来たら東京に来て、それで京都、大阪、神戸、あるいは九州、あるいは北海道、そういう幾つかのゴールデンルートがあって、またそこから枝があってというようなことが、多分お客様の目線からしたら現実的な宣伝の仕方かなというふうに思いますので、ぜひ、そういうめり張りのきいた世界への提案の仕方ということについても御検討いただきたいというふうに思います。
それから、もう一点オリンピックで、本番までにインフラの整備ということであります。また、日本はおもてなしの国ということでありますが、そこに比べていささか心配なのが東京都内の交通、とりわけ、私も日々乗っておりますけれども、東京メトロなどは非常に動線が厳しい、階段を上ったりおりたり、そして長い距離を歩いたりということが続いております。
東京メトロのバリアフリーについて、もちろん、各駅必ずホームまで行けるというワンルート目の整備は来年までに完了ということを聞いておりますが、しかし、これはやはり、二ルート目、三ルート目、要は普通に人が通っている動線についてどこまでバリアフリー化できるかということでありますから、二ルート目以降の整備の状況についてお伺いをいたします。
○滝口政府参考人 鉄道施設のバリアフリー化につきましては、一日当たりの平均利用者数が三千人以上の駅につきまして、平成三十二年度末までにワンルートのバリアフリー化を進めるというのが私どもの目的、目標ということになっております。
一方、委員御指摘の二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京の駅におけるバリアフリー化の推進というのは重要な施策であるというふうに認識しているところでございます。
現在、東京メトロも鋭意バリアフリー化を進めているところでございますが、委員御指摘のように、一ルート目の段差解消、バリアフリー化につきましては、二十六年度までに一〇〇%の整備を行うという予定ではございます。
地下鉄につきましては、特に地下鉄空間が非常に狭いといったようなこと、あるいは古い駅が多いということで、ホームが狭いといったような問題もございます。こういったような問題を踏まえながら、二ルート目以降の整備についても、同社の中期経営の計画におきまして、病院に近い駅など、さらなる利便性向上のため、エレベーター整備を推進していく、こういったことがうたわれているところでございます。
国土交通省といたしましても、オリンピック、パラリンピックの開催というものがございますので、鉄道事業者の実施するバリアフリー化に対しまして引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思っております。
○井坂委員 ありがとうございます。
次に、東西の鉄道の連携、高速鉄道の連携ということについてお伺いをいたします。
リニアモーターカーも、平成三十九年ですか、名古屋まで来て、関西まで来るのは平成五十七年だというふうに聞いております。また、北陸の新幹線も、敦賀までしか平成三十七年に来ないということであります。これは、国の一番最近議論されたグランドデザインの中でも、やはり東京、名古屋、大阪というのを超高速鉄道網でしっかりつないでいくということが政策の一つのビジョンの根幹かというふうに思うわけですけれども、北陸新幹線もリニアも、関西に届くのは非常におくれてしまう見通しとなっております。
この東西のいわばミッシングリンクと言えるような状況は国益に反するのではないかというふうに考えるわけですが、見通し、御所見をお伺いいたします。
○滝口政府参考人 委員御指摘のように、リニア中央新幹線につきましては、建設主体でありますJR東海が、民間企業として、経営の自由や投資の自主性の確保が大原則であるといった前提のもと、JR東海の財務見通しなどを踏まえまして、委員御紹介がございましたように、東京―名古屋間につきましては平成三十九年、そしてまた、大阪までにつきましては平成五十七年ということになっております。
一方、北陸新幹線については、現在、鋭意整備を進めておりますが、長野―金沢間につきましては平成二十六年度末、そしてまた、金沢―敦賀間については平成三十七年度の完成、開業に向けて現在取り組んでおるところでございます。
現在、日本海側を経由した場合、東京―大阪間というのは、新幹線や特急などを乗り継いで行きますと、最短で約六時間三十分かかるといったことになっておりますけれども、敦賀まで開業いたしますと、これが二時間近く短縮される、こういったような見込みでございます。
さらにそれよりも以西、いわゆる敦賀以西につきましては、整備計画においては大阪まで整備をするということで位置づけられているわけでございますが、財源の問題などがございますので、現在のところ、まだ着工に至っていない、このような状況でございます。
委員御指摘のように、それぞれ、リニアあるいは整備新幹線につきましても、大阪まで早期に整備すべきであるという強い御要望があることについては十分承知いたしておりますが、財源問題など解決すべき課題もございます。大阪開業が実現するまでの間は、既存の鉄道ネットワークなどとあわせて活用していただくことで、その効果を最大限に発揮していただきたいというふうに考えているところでございます。
○井坂委員 続きまして、残された時間は、JR北海道問題及びそれに関連して鉄道全般の問題についてお伺いをいたします。
事故のリストをいただきましたけれども、本当に毎月のように油漏れ、発煙といったようなことが起こっている状況かというふうに見受けます。
私の率直な感想として、これが普通の私鉄であれば、ただごとでは済まないだろう、営業停止とかお取り潰しのようなことになるのかなというふうに思うわけなんですけれども、これはお伺いいたしますが、JR北海道の問題と同様の、このような頻度で似たような事故が繰り返されるということが、一私鉄、民間鉄道、JRもそうですけれども、いわゆる一般の私鉄で起こった場合、国はやはり、今回のJR北海道に対するのと同じような、同程度の指導、対応ということになるのでしょうか。甘過ぎるのではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○滝口政府参考人 私ども鉄道局が行っております、鉄道事業者に対します指導監督というものは、基本的に、全ての鉄道事業者を同等に扱っているということでございます。
ところで、委員御指摘の、例えば中小の鉄道事業者というのは、路線が短い一路線だけというところもございます。それに比べますと、JRというのは、旧国鉄から引き継いだということがございますので、広大な空間に、非常に長い路線、複数の路線を持って営業しているといったような特徴があるというふうに考えております。
このため、私どもが、各鉄道事業者が安全に運行を行っているかどうかということをチェックするために、保安監査というものを行っております。
この保安監査には実は二つございまして、あらかじめ計画を立てて行う定期的な保安監査というものと、今回のJR北海道のように、トラブルが起こっているとか事故が起こっているときに行う特別保安監査と二つございますが、定期的な保安監査について申し上げますと、中小の鉄道事業者の場合には、数年に一回といったような頻度で行われております。特に問題がない場合はこういったような頻度で行われております。
一方、これは北海道に限らず全てのJRの旅客会社でございますが、こういったJRに対する保安監査というのは、規模が大きいことがございますので、当然、各年全てというわけにはまいりませんが、路線や部門を選びながら、原則として毎年入る、こういったようなことをやっているところでございます。
こういったことは、やはりそれぞれの事業者の規模に応じて必要な対応をしていくということが必要だろうという考え方に基づくものでございます。
一方、繰り返しになりますが、事故等の安全上の問題が生じた場合には、いずれの場合であっても、特別保安監査を行う必要があるかどうかということを判断いたしまして、必要があるというふうに考えたら直ちに入るということをいたしまして、そして、その結果を踏まえて、必要な改善指示であるとか、そういったような対策を講じているところでございます。
○井坂委員 今、監査については御説明があったわけですけれども、私の感覚であれば、これだけ似たようなことを繰り返しているということであれば、いわゆる監査だけではなくて、ペナルティー的なことが私は必要だというふうに考えます。
ところが、実際、考えてみれば、ではJR北海道、極端な話、営業停止とか取り消しとか、そういうようなことは、これは現実的に、地域の生活、経済に多大な影響を与えることで、私はやはりできないだろうというふうに考えるわけであります。
何となく、これはあくまで感覚であり想像ですけれども、現場でも、さすがにお取り潰しはないだろう、社会的な影響が多過ぎるためにというような、ある種の緩みがあるのではないかなというふうにも感じるわけで、私が質問さしあげたいのは、要は、ペナルティーの形として、地域の住民の方々に迷惑をかけないような、しかも、経営側にとって、あるいは現場の方々にとって厳しいペナルティー、抑止力となるような種類の厳しいペナルティーが必要ではないかなというふうに思うわけです。あるいは、特にJR北海道に関しては、独法の一〇〇%出資、要は半ば国が株主みたいなものですから、そういったやり方もあるのかなというふうに思うわけですけれども、地域住民に迷惑をかけない厳しいペナルティーが必要ではないかということについて、大臣の御所見をお伺いします。これは事前に大臣でお願いをしていたんですけれども。
○滝口政府参考人 今、JR北海道に求められておりますことは、安全を確保して、利用者の方々が安心して利用できる、そういったような鉄道を回復することであるというふうに考えております。
そういった目的のために、私どもは、九月十九日のJR貨物の脱線事故、これはJR北海道が管理しております大沼駅の中で起こったことでございますけれども、これを契機として特別保安監査に入る、そしてそれも、従来とは違う、従来であれば、こういったトラブルだけであれば、軌道部門だけを対象にするということが多かったわけでございますが、今回まさに、JR北海道の問題が非常に大きいということを考えまして、技術四部門及び経営まで含めた五部門における特別保安監査ということで、これまでにない体制で特別保安監査をやらせていただいております。
そしてまた、この特別保安監査で、本社が現場の状況を把握していないという問題も確認されました。このために、十月四日の緊急に要する改善指示の中では、しっかり安全統括管理者が現場の安全を確認しろということも指示をいたしております。毎日、安全統括管理者が現場の状況を確認するということを求めております。
こういったことも極めて異例の指示だろうというふうに思っております。決して私どもが甘やかしているということはないと実は思っております。
現在、緊急改善を要する事項について二回出しておりますが、大臣からは、さらに必要があればさらに検討しろということを言われております。そしてまた、全体についての検討も行っているところでございます。
こういった全体的な問題、そしてまた、今後仮に追加の改善指示があるとすると、こういった改善指示も含めてでございますが、JR北海道はみずからの問題として血のにじむような努力でこれを実行していかなければならない、こういうふうに考えております。決して甘いというつもりは一切ございません。必要なことをきちっとやらせるということで、今後とも、特別保安監査の結果の整理、分析及び検討について、しっかり進めてまいりたいと思っております。
○太田国務大臣 ペナルティーという御質問です。
私は、とにかく安全で、毎日運行される、そしてそれが持続されていく、そして安心感が世の中で広がり認められていくというところが一番大事なことだというふうに思っているんです。そういうことからいきますと、構造的な、全体的な問題もあるんだろうというふうに思います。
まずやるべきことは、毎日毎日の安全ということについて、現場は相当、八千人の組織です、そこのところが神経が行き届いてきちっとされるということが実は一番大事なことで、何かの責任を誰かがとったらそれで安全が確保されるんですかというところに現実には至らないという判断のもとで、一つ一つの具体的事例について手を打つということを厳しくやっているところです。
JR東からも、今、北海道への技術的な支援部隊が入り、毎日の安全ということについては、国交省の方に確認ということを毎日させて運行というものが行われているという状況にあります。
厳しい態度で臨んでいますが、厳しいか厳しくないかという以上に大事なのは、毎日安全であるかどうかという方向に持っていくことが大事だというふうに思っておりまして、そこに努力をさせていただいているということでございます。
○井坂委員 まさに、安全を確保するための抑止力としてのペナルティーが本当に機能しているのかという趣旨で御質問をさせていただきましたので、その点は理解をいただきたいというふうに思います。
続きまして、より構造的な問題と今大臣もおっしゃいましたけれども、私も、きょうはいろいろある中で、特に経営面の問題についてお伺いをしたいと思います。
JR北海道、非常に広い、雪も降る、二千五百キロの路線を保有しているということであります。これは、実際、今のJR北海道の特に収益が非常に少ない中で、単位長さ当たりの線路の補修費用というものですとか、あるいは単位収益当たりの安全管理費用といったものをJR他社と比べても、数字上見えてきますのは、要は、非常に一生懸命お金をかけて安全に投資をしようとしているんだけれども、収益そのものが低いために、収益当たりの安全投資というものがかさ高く、割合が多くなってしまっているというような状況かというふうに思います。
これは時間がないのでちょっと飛ばしていきますけれども、要は、北海道というのは不採算路線を非常に多く抱えているのではないかということであります。
この不採算路線をどう扱うかということで、一つは、国土計画というものを国として持っていて、その中で、高速道路、道路なんというのは本当に国土をどうするかということで根幹をなすものでありますけれども、私は、実は同じように、鉄道路線というものも国土計画を考えるに当たって根幹をなすものではないかな。要は、不採算路線だからといって、民間の単なる経営上の問題でなくしていくということでは、これは今度国土の計画にも非常に影響を与えるのかなというふうに私は思うわけでありますけれども、こういう不採算路線の問題と国土計画の関係についてお答えをいただきたいと思います。
○花岡政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十年に国土形成計画といったものを閣議決定しておりますけれども、その中におきましては、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、暮らしやすい国土の形成を図るということがうたわれておりまして、その実現のために、戦略的な目標、各分野別の施策の基本的方向というものを定めているところでございます。
地域の公共交通につきましては、地域における移動手段を確保するということに向けまして、地域みずからが需要や実情を踏まえて、主体的かつ総合的に地域交通のあり方について考えていただく。それにより形成された合意に基づきまして、計画的、戦略的に、さまざまな交通手段を適切に組み合わせるといったような方法を活用しつつ対応をしていただくといったような考え方が示されております。
北海道では、実際に実験等も行われておりますけれども、デュアルモードビークルとか、そういった新しい輸送手段の実用化に向けての取り組みも進めていくといったようにされているところでございます。
具体の路線につきましては、鉄道事業者を初め、地域の方々の主体的かつ総合的な取り組みによりまして対応をしていただけたらといったふうに考えているところでございます。
○井坂委員 不採算路線をどう扱うかという問題で、ぜひ大臣にお答えいただきたいのは、道路や空港というものは、国がいろいろお金を使って建設している、あるいは維持しているわけでありますけれども、鉄道というものだけが、基本的には民間事業者の単独経営、単独黒字を求められるという形になっているわけです。
私は、結局、不採算路線、民間であれば、これはもう最後は経営判断でとめるというような経営判断になっても仕方がない、それを国土のために無理して継続すると、今度は非常に過剰な投資が、収益が上がらないのに過剰な投資が必要になってくるという構造上の状況が今後も続くというふうに思っております。
道路や空港に比べて、鉄道だけがなぜこういう民間で、基本的には単独で維持しなければいけないのか、大臣にお伺いをいたします。
○太田国務大臣 我が国の鉄道事業は、道路や空港などの公共インフラと異なりまして、民間事業者による営利事業として運営することを基本としている状況にあります。さかのぼれば、八七年の国鉄民営化というところの議論ということになろうと思いますが、それを決断して、そうした仕組みにしたということです。
そして一方で、鉄道は、公共交通機関として重要な役割を果たしていることから、安全性やサービス向上、災害対策、こうしたことにつきましては、補助金や税制特別措置を初めとして、さまざまな支援というものは現実に行っている、こういう仕組みになっているということを御理解いただきたいというふうに思っています。
○井坂委員 不採算路線問題を真面目に考えれば考えるほど、国鉄の民営化のときには当然そういう議論があったわけですけれども、しかし、今のままのやり方で、安全を維持したまま、なおかつ不採算路線を地域のために民間企業であるJR北海道が維持をしていくという判断には行く行くならないと私は危惧をいたしますので、鉄道事業者間の水平調整の仕組みであるとか、あるいは国が、道路や空港に比べての予算等にはまだ少ないという考え方もあるでしょうから、そういった、ある意味上下分離のような形ですとか、考え方をまたさらに進める必要がある。ちょっときょう議論もしたかったんですが、時間ですので、きょうはそこまでにさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○梶山委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 きょうは、JR北海道事故問題について質問します。
JR北海道の相次ぐ事故、トラブル、さらに不祥事、これは一刻も放置できない問題です。次から次へと毎日のようにトラブルが報道されており、利用者、国民は、またか、うんざりという気分になっていると言われています。鉄道事業者としての資格が問われていまして、解体的出直しなどの厳しい批判が上がっています。まさに、公共交通機関としての信頼は失墜している現状です。
そこで、鉄道事業を所管する国交省として、この問題をどう捉えているのか。この間、九月以降、特別保安監査を二回実施しています。緊急の対策が必要だと明らかになったものに対して、改善指示は二回出しています。どういう問題点が明らかになり、改善指示を出したのか、その内容は何か、簡潔にお答えください。
○滝口政府参考人 委員御案内のように、JR北海道については、二十三年の五月に石勝線の脱線火災事故という多くの死傷者を出す事故がございました。その際に、マニュアルに関する事業改善命令とあわせまして、社内の安全管理体制の徹底ということをやったわけでございます。これに基づいて、行動計画、安全基本計画というものを策定しておりました。
この安全基本計画の内容というのは、企業風土の改革、安全基盤の強化、現場力の強化といったような柱から成っておりまして、いわば同社の安全管理体制を徹底的に見直すというような内容でございまして、安全性の向上に向けて、この安全基本計画に基づく取り組みが進められるものだというふうに考えていたところでございます。
しかしながら、現実には、残念ながらトラブルが続く、あるいは、九月十九日にはJR貨物の脱線事故が起こるということで、これを契機といたしまして、JR北海道において、整備基準値を超える軌道変位を放置しているという事実も判明をしたところでございます。
このため、二回の特別保安監査、九月二十一日から二十八日、十月九日から十二日までという二回の特別保安監査を行い、かつまた、この特別保安監査というのは、従来にない、四技術分野プラス経営分野までということで頑張ってやっているところでございます。
ところで、この保安監査などを踏まえて現在の取り組みの状況でございますが、大臣の方から、この整理、分析を行う過程で利用者の安全を確保するために直ちに実施すべきものがあれば、緊急の改善措置として指示を行えというような指示を受けました。
これを踏まえまして、まず十月四日に四点について改善指示を行っておりますが、これはまず、会社の本社から現場までの各階層を通じて確実に意思疎通を図るということでございまして、安全統括管理者が各部門を確実に統括管理するための業務体制の改善、軌道部門における、本社が現場の状況を把握して迅速に対応し、現場で担当者間の連携を確実にするなどの保守管理体制の構築、また、同じような問題が他の部門にないかということで検討させております。さらに、安全統括管理者には毎日の安全の確認もさせております。
十月二十五日には、第二回目の特別保安監査を受けて新たに四点の改善指示を行っております。第一点目が、安全推進委員会が実質的に機能するようにということで、トラブルの抽出、原因究明と対策の調査審議ということ、それから、老朽化した枕木の管理、更新問題、ATSブレーキのコックの取り扱い問題、そして、来年度の予算編成が今行われている最中でございますので、予算編成に当たり、現場からの提案を十分聴取した上で、安全を確保する上で優先度を考えて、着実に安全対策が推進できるような予算編成とするように、こういったような内容の改善指示を出しているところであります。
○穀田委員 質問をよく聞いてから答えてほしいので、ところで以後でいいんですよ。前の方は要らないんです。知ってんねやから、そんなこと。
それで、先ほど局長は、JRに血のにじむようなとありましたけれども、私は、やはり国交省がみずからの問題として捉まえて、自分たちが主導してきた責任はどうなんだという立場から取り組まないとだめだということを特に指摘しておきたいと思うんです。
今報告のあったもののうち、社内の意思疎通ができていなかった、さらには安全推進委員会という問題がありました。そこで事故について議論していなかったという点での改善指示があったわけですが、これらは会社ぐるみの安全軽視のあらわれだと私は考えます。
そこで、社内の意思疎通が不十分だった問題は、JR福知山脱線事故の後、鉄道事業法を改正して設けた安全統括管理者の制度が機能していなかったということではないかと思うんですね。
だとすれば、鉄道事業法第十八条の三第七項、国土交通大臣は、安全統括管理者がその職務を怠った場合であって、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、鉄道事業者に対し、解任すべきことを命ずることができる、これに該当するのではありませんか、大臣。
○太田国務大臣 毎日、その具体的な運行について、安全に運行できるかどうかという報告を受けるということをさせていただき、そして、そうした連携は現実には現場ととれているという状況にはあるんです。
だけれども、それが本当に、言いづらいとか形の問題じゃなくて、もう少し実態的には、なかなか現場から行くと聞いてくれないとか、いろいろなそういうようなものがありまして、その点を私は、特に連携という、同じ連携という言葉ですが、形の上で報告がありましたどうかということを超えて、もっと率直な意思疎通というものが、これはあらゆる組織そうなんですけれども、そういうことがJR北海道では特に大事なのに、それが十分ではないというところを指摘させていただいているところなんです。
そういう意味では、本社で、各部門の現場の把握ができていなくて、安全統括管理者によって統括管理する体制が不十分であるというのは、そういう意味を込めて指摘をさせていただいているところです。
鉄道事業法第十八条の三の、今お話のありましたものとして、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることというふうに指摘されていて、そこで解任を検討するという話になるわけでありますけれども、現時点では、JR北海道の安全統括管理者について、これに該当するという状況ではないという判断をさせていただいているというところです。
そして、具体的にもっと意思疎通をよりするようにという指令を出させていただいて、安全統括管理者は、十月四日の指示をしっかり受けとめて、輸送の安全を確保し、利用者の信頼を取り戻すために努力をする必要があるということを、連日にわたって私たちは指導している状況にあるということです。
○穀田委員 意思疎通が欠けているとして、連日、大臣のところまで安全報告が来るようになってからも、事故は絶えないわけですよね、トラブルは絶えていない。だから、私は、法に抵触するくらい責任が重いということを自覚させる必要があるよねということを言いたかったということなんですね。それぐらい、人の命を預かっている安全にかかわる問題というのはゆるがせにできないということなんですよ。ですから、そこをわかっていただかなければならないと思います。
しかも、その法改正で、十八条の二として「鉄道事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。」このこともつけ加えられたわけですよね。「絶えず」なんですよ。そういう努力が足りなかったという事態が、少なくとも、石勝線以後、誰の目にも明らかになっているということを私は指摘しているわけであります。
しかも、その石勝線以後、そういうことがたびたび起こっている事態は、少なくとも、国交省が監査を実施していることからしても、そのことが見抜けなかった、また見過ごしてきた責任は免れないということもあえて言っておきたいと思うんです。
そこで、一つ。安全推進委員会が機能していなかった問題であります。これには驚きました。
まず、安全推進委員会の社内での位置づけはどうなっていたのか。安全問題についての最高決定機関と言ってもいいんではないかということを確認したい。
二つ目に、この間の事故、トラブルは、一体どこで議論していたのか。安全推進委員会にかわる部署があったのか。では、社長はたびたび会見をしていますが、その会見の中身は、社長の事故と安全に関する会見は個人の見解を述べていたのかということについて、二つ聞いておきたいと思います。
○滝口政府参考人 JR北海道の安全推進委員会は、同社においては、鉄道の事故防止及び労働災害防止に関する事項を総合的に検討し、安全確保上有効かつ適切な対策を樹立し、これを強力に推進するための委員会という目的が書かれております。
また、具体的な仕事の内容といたしましては、事故原因の究明及び再発防止対策に関すること、そしてまた、事故の趨勢の把握及びその対策に関することなどを調査審議するというふうに位置づけられているところであります。
なお、この委員会は、社長が委員長を務め、各部長等で構成をする、こういったような非常に、この会社の経営上層部による委員会というふうになっているところでございます。
ところで、この委員会が機能していないということであれば、実はどこで議論していたのかということでございますが、まず、私どもの特別保安監査の結果、安全推進委員会では、トラブルがこれだけ頻発しているにもかかわらず報告だけにとどまっているということが確認されております。事故原因であるとか、あるいはそれに対する対策などについての実質的な調査審議は行われていないということでございます。
このため、先ほど御紹介申し上げましたように、十月二十五日の緊急に改善を要する事項の一つとして改善指示を出したわけでございますが、安全推進委員会が実質的に機能していない、どういったような形で会社として安全対策あるいは事故原因について議論をされていたのか、この問題も、現在、二回にわたる特別保安監査などを踏まえて、問題点の整理、分析を行っているところでございます。
今後、そういった問題意識も十分持って、抜本的な対策の検討を進めたいというふうに考えているところでございます。
○穀田委員 そうすると、記者会見というのは、何の議論もなく、個人の判断で発言していたという可能性もあるということですよね、結果的には。だって、議論していないんだから。しかも、最高決定機関であることは確かだ。
これがJR北海道の安全報告書でして、これによれば、今、滝口さんからありましたように、毎月、事故等の発生状況並びに原因を報告し、再発防止策を議論し決定するとある。つまり、日常の安全業務の中心問題なんですね。この機関なんですね。
ところが、今ありましたように、報告だけで議論をしていない。今正確に滝口さんはおっしゃっていませんけれども、非常ブレーキ機能不全のまま走行というのは報告もなかった。これはそうなんですね。そういうふうにおたくのところへ言ってはるわけですよね。
ですから、なぜそうなったのか。つまり、議論はしないわ、報告はされないわという事態について、なぜそうなったのかつかんでいるのかということを聞きたい。
○滝口政府参考人 現在、私どもが、二回の特別保安監査で確定的に確認ができたところは、今委員御指摘のように、幾つかのトラブルでは報告だけがなされており、また、ATSブレーキの問題については報告もなされていなかったということが確認できております。
なぜこういったことがなされていなかったのかというのは、現在、これはいわゆる全体的な問題として私どもが検討すべき問題だろうというふうに考えております。
同社の安全管理体制が一体どういうふうになっていたのかという問題意識を持っておりまして、現在、二回の特別保安監査等を踏まえて整理、分析を行っておりますけれども、その中で、どういうところに問題があったのかということについて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○穀田委員 こう言うと結局、大臣、よくわかっていただけるように、監査している、その中でそれを今つかんでいる最中だ、この繰り返しなんですよね。だから、それではちょっと困るので、私は、安全推進委員会に報告もなし、議論もなしということは驚くべきことなんですが、ここが動かずにどこで議論をして動かしていたのかというのは、これは社長としても、その責任者としても、極めて重大な問題だと思うんですね。
この文書では、先ほど言いましたけれども、決定することにより安全性の向上に努めると、わざわざ自分たちの報告書で書いているわけですよね。
そして、国交省は、安全に関する監査をしていたのに、肝心かなめのところ、すなわち日常的にどうしていたのか、先ほど全体的問題としてと、そんなのは前から何回も監査しているわけやから、そういうことを通じて、全会社としての安全を議論し徹底していたのかどうかというのを、逆に言うと見抜くことができなかった、結果として見過ごしたということなんですよね。
そこで、安全推進委員会の構成は、先ほどありましたように、委員長を社長とし、役員で構成されているとなっています。結局、何のことはない、役員会と同じメンバーで、社内だけなんですよね。これでは監視チェック体制が機能せずに体制が形骸化する、当たり前だと私は思うんですね。
JR西日本では、福知山脱線事故後、社外の安全の専門家などで構成する安全諮問会議や安全推進有識者会議などで議論し、検証して、安全基本計画を決めていました。また、会社と各労働組合が一堂に会する労使安全会議などを開催して、全社挙げて安全問題に取り組んできました。私は、十分、不十分は問うていませんよ、こういうのをやってきたと言っているんですね。
したがって、JR北海道も外部の有識者を入れた第三者委員会を設置して、事故等の原因解明、再発防止策などを検証、検討するよう指導すべきではありませんか。
○滝口政府参考人 まず、JR北海道におきます安全関係の問題についてどのように検討していたのかという点について、一点補足をいたしたいと思います。
委員が御紹介されました安全報告書二〇一三で、確かに安全推進委員会のところにつきましては、「毎月、弊社で発生した事故等の発生状況ならびに原因を報告し、再発防止対策を議論し決定することにより、安全性の向上に努めております。」こういうふうに書かれております。その上のパラグラフを見ますと、「輸送の安全確保に係る取り組みについては、安全推進委員会に諮った後、経営会議に諮り、重要な事項は取締役会に諮って決定しております。」こういうふうに書かれております。
こういったようなことを実は書かれておるんですが、どのようにいろいろなデータを集め、整理され、どういうふうに検討され、どのように会社として決定がなされていたのか、このあたりを今現在分析をしているところでございます。
したがいまして、単純に、安全推進委員会に諮っていないから社長が個人的な見解で言ったかどうかということについても、そういうことなのかどうなのかということについても、現在、我々は問題意識を持って検討しているところでございます。
それから、いわゆる事故のこういった原因究明や対策に際して、外部の目を入れたらどうか、こういったような御指摘でございます。
実は、JR北海道においても、たびたび申し上げております石勝線の脱線事故を受けて、私どもの方から改善指示を出しておりますが、それを受けて策定をしております安全性向上のための行動計画というものがございます。この策定に当たりましては、外部の方の、学識経験者、弁護士等々の方の御意見を伺っております。
それから、七月六日に、エンジンブロックの一部パーツが、スライジングブロックというのが壊れております。このスライジングブロックは、実は過去にも数回壊れているところでございまして、私どもも、徹底した原因究明をやるべきだということをJR北海道に申しました。社長も、執着心を持った原因究明をやりたいということを言っておりまして、その結果、この七月六日の重大インシデントにつきましては、外部の学識経験者あるいは鉄道総研といった第三者機関を交えて議論をしております。
さらに、その直後、七月十五日に、配電盤から発煙をするというトラブルがございました。これについても、電気関係に詳しい方がいらっしゃいます独法の交通安全環境研究所の有識者の方に入っていただいて原因究明を行っているということでございまして、これまでもJR北海道は、重要な案件につきましては外部の専門家を交えた検討というものを行ってきたという経緯がございます。
今回の特別保安監査でも、こういったような事故原因の究明あるいはこれを踏まえた必要な安全対策の検討といったことについて、外部の方の目あるいは有識者の考え方などをどのように反映するのかということについても問題意識を持っているところでございまして、その必要性も引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○穀田委員 一言言っておくと、分析は石勝線以後ずっとできたはずだということを言っているんですよ。今ごろになって、分析している、分析していると言っちゃだめだということを言っているんです。
それと、安全会議、それは書いていますよ、上に上がるのは。だけれども、そこで議論せずにどこでやったんだと聞いたらわからぬと言っているわけでしょう。わからぬということは、ここでも議論せずにやっているということは、個人のけんかをやっているということじゃないですか。そういう全社としての体制がとれていないということを言っているんですよ。
事故の問題について言うならば、一つ一つの機械だとかそういったものはやっていますよ。だけれども、私が言っているのは、安全対策全般のそういう対応についての考え方をしっかり入れる、外部を入れるということをやっていないということを言っているわけですよ。そこをはっきり言わないと、何か一つずつやっているみたいなことを言うと、あそこはえらい努力しているじゃないかなと。そんなことはやっていないんですよ。そこを言っているんですよ。
そこで、次に、安全基準の問題について聞きたいと思うんですね。
枕木の話がさっきありました。もともと、レールの異常が放置された問題について、十五日以内に補修するという自主ルールがあったとされています。つまり、安全基準が設定されていなかったし、あっても守られていなかった、あるいは曖昧で、不統一で、現場まで徹底されていなかったんじゃないかと私は考えます。
したがって、この事実をどのように受けとめ、なぜこのようなことが起こると考えているのか、お答えください。
○滝口政府参考人 軌道につきましては、九月十九日の脱線事故がございましたのは、本来あるべき整備基準を逸脱していたのにもかかわらず、それが放置されていたという問題でございました。それと同時に、第二回目の特別保安監査の際に、枕木の不良判定と交換の基準が現場に徹底されていないということが確認されたところでございます。
このため、緊急に改善を要する事項ということで、十月の二十五日の改善指示の一つとして、本社においてまず不良判定及び交換の基準を規程などで明確に定めるようにということ、そして、これを周知徹底するようにということをまず本社に申し上げました。そして、現場においては、これを受けて枕木の状態を一本ずつしっかり管理するようにということをしております。
ちなみに、枕木というのは、木の枕木とPC枕木といったものがございます。こういったことについて漏らさず検討するようにということで、安全性を高めるように指示をしたところでございます。
ところで、こういったような、現場に徹底されていないのは一体なぜかという問題でございます。
私どもとしては、そのための一つの対策として、本社に規程等を定めろということ、そしてこれを徹底しろということをやりました。一応、問題はこれによって解決されるんだと思いますが、なぜこういったことが長らく放置されていたのか、こういったことについては私どもも問題意識を実は持っておりまして、これも全体の問題の中の一つとして考えていくべき問題だというふうに考えているところでございます。
○穀田委員 枕木なんかの問題については一言言っておくと、現場では、千本かえてほしいと言うと五百本しか予算がないからと来る、そうするとどうしているかというと、全部をかえるんじゃなくて、一本ずつ飛び越してやっていくというようなことをやっているわけですよね。そういう実態があるということを見なくちゃあきまへんで。
それで、今、一生懸命本社全体に指示を出していると言っていますけれども、JR北海道だけがなぜ安全基準の不徹底が発生するのか。それは、他の会社に比べても基準の表現が曖昧なんですね。きょう資料を出しましたけれども、JR西などの基準と比べて曖昧な表現が使われている事例です。
資料一は、JR西日本の軌道構造整備準則のスラック、線路のカーブ部分でレールの幅を少し広げて車両が通過しやすいようにしたものですが、その設定量についての記述です。一行目に「前項のスラックは、次の表により付けるものとする。」とあります。ここでは「付けるものとする。」と書いているんですね。
ところが、JR北海道の線路技術心得、実施基準ではどう記述しているか。これは資料二です。これは、スラック、第十二条、「曲線におけるスラックの量は次表を標準とする。」とありますように、標準となっているんですね。つまり、「標準とする。」ということは、その前後でもいいと言っているのと同じです。
例えば、JR西では、曲線半径二百ミリ未満は二十ミリと決まっているのに、JR北海道は、二十ミリは標準で、その前後であってもよいという規定の仕方であります。
北海道は、レールの異常を検査で見つけながら補修を先送りして放置していたり、旧国鉄の基準を間違えて適用していたり、十五日以内に補修するという実施基準が徹底できていなかったりという曖昧な対応の原因の一端がここにあらわれていると言わなければなりません。こういう曖昧な表現が、現場によって徹底に格差が生まれていた一端と考えるんですが、時間がないから端的に。
○梶山委員長 滝口鉄道局長。簡潔に答弁願います。
○滝口政府参考人 このスラックというのは、やや技術的な問題でございますが、遊びでございまして、そこで、これがスムーズにカーブを曲がれるか。ところが、これを曲がれるようにすると蛇行するというような問題がございまして、これをどのように取り扱うかというのは、個々の事業者が判断することにつきましては一定の合理性があると思います。
残念ながら、北海道は、こういった規程がつくられていないような問題もある、あるいはそれが徹底されていない問題がある、こういったところが私どもの今の問題意識でございまして、枕木の問題などにつきましてはそれを徹底するということで、今回の改善指示を出させていただいたところでございます。
○穀田委員 個々の事業者って、カーブとそれから遊びというのは、あっちだったら違う、こっちだったら違うことはないんです。もちろん、夏とか冬とかの問題はありますよ。だけれども、基準は、少なくともこれ以内でなければならないとか、それから、ここにありますように、「次の表により付けるものとする。」と。一方では、「標準とする。」という書き方は違うじゃないか。だから、守っていないだけじゃなくて、もともとそういう基準を曖昧にしていることがけしからぬじゃないかと思っているわけなんです。
私は、結局、今お話ありましたように、個々の事業者という話がありました。これは本来、そういうものが、かつて国鉄の時代は全体が統一していたわけでして、これをしっかり守りなさいということをやっていたわけでして、ですから結局、安全基準の作成を事業者任せにしているからこういうことが起こるんだということを言っておきたいと思っています。
これは、今後もう一度やっていこうと思っていますので、時間が少し来ましたので言っておきたいと思います。
私は、もう一つ、北海道が、厳冬といいますか、自然条件が厳しい、そういう中で、旧式の線路も多くて、今ありましたように、木製枕木のバラスト軌道が多く残されていて、車両からの落下物が増加するなどのトラブル、ふぐあいが頻発している。常識的に考えれば、車両が古くなれば、丁寧に頻度も上げて検査し、修繕すべきというのが考え方だと思うんですね。
ところが、車両の検査周期はどうなっていたか。民営化当初から現在、どうなっているのか。これはもう端的に。
○滝口政府参考人 車両の検査については、今委員御指摘の検査については、JR北海道の表現にあります、交番検査というもの、要部検査というもの、全般検査というものがございます。
民営化後、この検査のスパンというのは、時間軸あるいは走った距離、二つの要因で定められておりますが、総じて申し上げますと、延ばす方向になっております。これは、それぞれ、科学技術の発達とともに部品などの信頼性が上がったといったようなことがあるわけでございまして、こういったことを反映してこういったことがなされておりますが、一部の車両については、そういった効果がないということで、従前どおりの検査周期のまま据え置くといったようなことも行っておりまして、そういう意味では、きめ細かな対応がなされているというふうに考えております。
○穀田委員 最後にしますが、私、現場にも行ったし、工場にも行ってまいりました。そういう周期を延ばしているということは言っていました。
私は思うんですけれども、近代化、現代化しているというのは、それは新しい車両はそうかもしれませんよ。古い車両をそのままにして、それも同じように周期を延ばしている、そんなばかな話はないわけで、誰が考えたかて、古いものは少なくともどんどんやっていくというのが当たり前なんですよ。ですから、おかしな話だということを言っておきたいと思うんですね。これも、国の告示の基準に合わせて実施基準も緩められたことについて指摘しておきたいと思うんです。
私は、今後もこの問題を追及していきたいと思うんです。私は、理事懇で何度も、JR北海道の社長を呼んでの参考人招致を要求してまいりました。私は、改めて、社長を参考人として招致し、集中審議を要求したいと思っています。
私は、この問題というのは、やはり、JR北海道が安全を最優先で再生する、そして鉄路を守る、それから国交省として責任をはっきりさせる、あわせて分割・民営化の問題についても検証する、そういう三つの角度から今後とも追及していくということを述べて、終わります。
○梶山委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
JR北海道の問題が各先生方から質問されていますが、私は、災対特も開かれていますけれども、台風、風水害、そういった自然災害を初めとした、それに対応する、特に消防団あるいは水防団というところに焦点を当ててきょうは質問をさせていただきたいというふうに思います。
私自身も実は消防団員でありまして、現役消防団員としてもう十年以上たっております。大変珍しいケースだそうでして、一応、法的にも両立は可能だということで、以前も一度見解をいただいておるわけですけれども。そういう中で、もちろん、国会では超党派の災害ボランティア議連の役員もやっておりますので、これまで、災害対策には特に関心を持って取り組んできたつもりであります。
そういった意味では、先日も伊豆大島に私も行ってまいりましたけれども、これらさまざまな災害で被災された方々、あるいは亡くなられた方々には、本当に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
そういう中で、現場を見ていますと、やはりいたし方ないところはあります、全て一緒にはならないですが、警察、消防、自衛隊の規模、組織力、資機材の力、そういったものに比べれば、消防団というのは完全な専従部隊ではなくて、何か起こったときの地域の有志による協力ということになります。
そういった意味では、非常に大変な、半分ボランティアという中で、特別公務員という立場はいただいておりますが、待遇も、お手当をいただく中でやっているということであります。そういった、特に伊豆大島でも、ほかの自衛隊や消防、警察と同じように捜索活動に当たられていた現場を見てまいりました。
改めて、大臣には、そういった消防や水防の現場で従事をされている団員の皆さんに、何か思い入れやあるいは思いがあれば、一言お願いしたいと思います。
○太田国務大臣 まず、泉先生が消防団員であるということについては心から敬意を表したいと思いますし、そのこと自体が、全国の消防団、水防団の皆様を力づけているのではないかというふうに思います。
先般の伊豆大島の豪雨災害におきましても、もちろん国交省も、東京都も、自衛隊も行ったわけですが、地元、また近くの地方自治体からも消防が、これは団員じゃありませんけれども、消防、警察が派遣をされてきているという状況にあります。
私は、地元の消防団が災害対応に尽力している姿に大変敬意を表したいというふうに思いますし、また、東日本大震災のときにも、水門を閉じようとして命を落とされたという方も大勢いらっしゃって、私は、仮設住宅に行って手を合わせてきたりしたこともございます。
地元でも、そうした消防団の会合にもよく出ておりまして、生業の傍らで、御家族もずっと緊張しているものですから大変で、御家族を含めて、消防団員として、あるいは水防団員としてやっていただいているということについては、本当に感謝をしたいというふうに思っています。
先般の通常国会で水防法の改正を行いまして、河川管理者による水防への協力、地下街等の民間事業者による自衛水防の強化等の施策の充実を図っているところです。
さらに、水防団、消防団の活動を今後も積極的に支援していきたいというふうに思っているところです。
○泉委員 ありがとうございます。
そういう中で、国交省においては水防団が主になるかもしれませんが、全国的には、消防団員が水防団員を兼任しているケースがほとんどでありますので、ぜひとも御支援をお願いしたいと思います。
実際には、消防団、水防団というのは、こういった災害対応のみならず、日常の啓発活動、さらには、地域によっては力仕事は何でもやってもらいたいというような形で、お祭りの警備から、道具の搬送みたいなものから、いろいろなことで地域に根差して役割を担っているということであります。もちろん、その地域での役割全てに手当が出るわけではなくて、本当にボランティアでやっている部分もある。
そういった中で、きょうは深刻な問題についてちょっと触れたいと思うわけですが、要は、水防団、消防団の役割。
まず、大臣がおっしゃられた東日本の大震災でいいますと、消防団が水門も閉める、これは本来求められていた業務かもしれません。一方で、災害が、津波が起こった後に、遺体の捜索あるいは遺体の搬送ということについて従事をしたわけです。
それは、我々消防団は、言われれば、地元の責任として、地域を守るために当然ながらその業務には携わります。携わりますが、いろいろとお話を伺っていると、警察や消防や自衛隊が業務命令を受けて作業をしている中で、遺体の捜索をしてくれと言われて捜索をしていたから搬送まではできないと言われて、では、そこが抜け落ちているから消防団がやってくれとか、そういうようなケースを含めて、誰が何をやるのかがはっきりしていない。これが実は東日本の問題点だったのではないか。
およそ、ここまでの大きな津波を想定していなかったのかもしれませんが、あるいは、防災計画等々では何かしら全てうまく割り振りがしてあるように思えるんですが、消防団員というのは、例えば伊豆大島では、重機を持っている消防団員は自分の会社から重機を出して、その捜索作業にその重機を使ってもらっていることもあります。あるいは、それぞれ農家の皆さんが持っている自分の軽トラックで現場に駆けつけたら、そのままそれが遺体の捜索活動の軽トラックとして、そして遺体の搬送作業の軽トラックとして、その軽トラックに御遺体を載せて何度も何度も安置所と往復をする。果たしてそれを本当に想定していたかといえば、それは想定をしておらないわけです。
果たして、こういった遺体の捜索や搬送、繰り返しになりますが、当然、言われればやります。言われればやりますが、そういった私物の提供ということも含めて、ルール化をされているようには思えません。
ぜひとも、そういった意味では、最も過酷で精神的負担も重たいこういった遺体の捜索や搬送ということについては、警察、消防、自衛隊、そしてその中に消防団も入れるのであれば、何の役割を、どんなものを提供してもらってやるのかというのははっきりしていただきたい。これは、まずお願いとしてお伝えをしておきたい。
きょう、総務省もお越しいただいていると思いますが、内閣府に聞けばいいのか、総務省に聞けばいいのかということも事前にお伺いをしておりましたが、お答えがあればぜひお願いをしたいと思います。
○佐々木政府参考人 行方不明者の捜索や遺体搬送におきまして、消防団の方々が献身的に活動されているということは承知いたしておりまして、その活動に対しまして敬意を表したいと思っております。
これらの活動は、被災自治体の災害対策本部等において、被災状況や各実動部隊の体制等に応じて適切に役割分担、調整されることが重要というふうに考えております。
私どもとしましても、そういった役割分担が適切に自治体で行われるよう、いろいろな場面で御助言を申し上げていきたいと思っております。
○泉委員 今、適切にというお話がありましたが、まだまだ各市町村ごと、そこまでの想定は私はできておらないんじゃないかと思います。
幾つかの都道府県、例えば愛知県ですとか宮城県においては、私が見る限りですけれども、東日本の今回の震災の教訓を受けて、消防団、どのような課題が浮かび上がったのか、それを誰が補うべきなのかというような報告書は出てきております。
そういった意味では、そういった報告書も踏まえて、国の方では、各市町村ごとにそのルール化をぜひ進めてほしいということを、通知か何かをぜひとも流していただけないだろうかということをお願いしたいと思います。
例えば陸前高田でいえば、三月十一日に発災をしてから四月三十日まで、少なくとも消防団自身が御遺体の捜索と搬送を行ったということであります。日々、よもやそういった、御遺体に触れて、そして長期間そういった作業に従事するということは想定なされていなかったというふうに思います、消防団の場合は。また、そういった具体的な長期にわたる活動の訓練というものも、あるいは心がけというものも、もともとはできていなかったのではないかというふうに思います。
それが証拠に、ちょっと質問の順番は変わっておりますけれども、被災自治体においては、被災三県においては、新聞報道でも一部出ておりますが、あの東日本大震災を受けて、いわゆる消防団員の処遇の改善、主に長期にわたる作業に従事する場合のいわゆる出動手当の改善というものも行われているわけですね。
しかし、これも、被災があった三県のデータというものは出ておりますけれども、今国会も含めて、東海、東南海ですとか、さまざまな地域での地震も想定されている、津波も想定されているということでいえば、後追いで手当を上げるという話ではなくて、あらかじめ、これもまた全ての自治体において、しっかりと、災害時の長期にわたる作業における、消防団、場合によっては水防団もかもしれませんが、主に消防団の手当の改善をなすべきだということも、これまた通知をぜひとも出していただくべきではないかというふうに思うわけです。
その意味では、答弁の中でおっしゃられるのではないのかなと思っているわけですが、平成二十四年の八月三十日、これは消防庁国民保護・防災部防災課長から、全国の都道府県の防災担当、そして政令市の防災担当に対して、東日本を踏まえた取り組みの推進についてという通知が出されています。
ただ、ここには、三枚目ですが、三行書いてあります。「活動内容に応じた処遇の改善は重要であり、特に地震、風水害などの長時間(長期間)の活動を余儀なくされる大規模災害時の出動手当は、充実すべきと考えられること。」とだけ書いてあります。しかし、やはりこれだけで各市町村が動くというものではないと私は思うんですね。もう少し具体的に、実例も含めて。
そして、実は被災自治体では今どういう状況かというと、自治体ごとにばらばらなんですね。もちろん財政のこともありますから、あるいは諸手当との整合性もありますから、全部一律にはできないかもしれませんが、例えば作業時間が六時間を超えた場合という自治体もあれば、十二時間を超えた場合という自治体もあれば、災害救助法に基づく、適用される大規模災害の場合というところもあれば、あるいは、災害発生から一カ月後も出動し、市長が認めた場合とか、いろいろな要件で、各自治体ごと、ばらばらになっております。
しかし、あの東日本大震災のときも、日本じゅう消防団は一つというシールが配布をされて、我々も元気づけられたり元気を与えたりということで、消防団がみんな結束してやる中で、出動時の手当というものに、もちろん、気にしているわけではありません。そんなものを気にしている暇はない、誰しもそう言います。
しかし、隣の町の分団ではこうだ、団ではこうだ、うちの町はこうだ、そして横で働いている自衛隊はこうだ、警察はこうだ、でも、うちの団はこうだと。やはりそういったところはでき得る限りその頑張りに報いる、そういう姿勢を持って全国に通知を流していただかないと、災害というのは、やはりどうしても後追い後追いの対策になってしまうということを改めて私は実感をしております。
ぜひ総務省、改めて、この通知を具体的に、そして先行事例も含めて徹底をしていただけないでしょうか。
○室田政府参考人 消防団員の出動手当につきましては、消防組織法により、市町村の条例で定めることになっておりまして、総務省といたしましては、それに対して地方交付税措置を講じているところでございます。
平成二十二年度の決算ベースの一般団員の出動手当の全国平均は二千五百六十二円となっておりますけれども、交付税上の単価は七千円になっておりまして、それに比較して低い状況になっているところでございます。
消防庁といたしましては、これまでも、この交付税上の単価も示しつつ、金額の低い市町村においては単価の引き上げを検討いただくよう要請してきたところでございます。
あわせまして、委員御指摘のように、東日本大震災で、大規模災害時に長時間の活動を余儀なくされた消防団員の出動手当を引き上げたという例は我々も承知しておりまして、このような事例を紹介しつつ、処遇の改善の要請をしてまいりたいと考えております。
○泉委員 非常に前向きな御答弁、ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
さらに言えば、そういった長時間、長期間の作業に従事していくと徐々に疲弊していくわけですが、特に消防団の疲弊がなぜ早いかといえば、極端に言えば、山間部に行けば、いまだにはっぴを着て作業をしているというところもあります。果たしてはっぴが災害復旧なり災害対応としてふさわしい服装なのかということだって、歴史的には本当に誇りあるはっぴではありますが、もう変えていかなければいけないし、一つは、服装も含めた装備、資機材、こういったものが、消防、水防、警察に比べれば弱いということもあります。
あるいは、消防、警察、自衛隊は、やはりローテーションができますね。しかし、消防団というのは、ともすれば人員はもともといる団員に限られるわけですから、そんなに代替要員がいるわけではありません。そういったところからも、大変固定化したメンバーで作業に従事しなければいけないという可能性があります。
さらに言えば、地域でそれを支援する体制ができていればいいですが、食事の用意だとか、こういったことも自分たちでやらなければいけないという事情もあります。
今回、実は水防団もそういうことがありました。私の地元、京都市伏見区というところは、災害、今回の台風十八号で溢水をして水防団が活動に出たわけです。結局、約十二時間ぐらい活動に従事したわけですが、振り返ってみたら、御飯の用意をしてくれる人が誰もいなかったということで、団長の奥さんが自主的におにぎりをつくってくれるとか、後でそれが自治会の中で課題になって、次からは女性会が例えば炊き出しをしようとか、そういう話にはなっておりますが、それほどに、水防や消防の日々は何とかもっても、いざ災害になったときのバックヤードが非常に弱いという問題については、そういったことも踏まえて、ぜひともいろいろなことを想定していただきたい。ただ出動させればいいというものではないんだということを、ぜひとも国交省の方にもお願いをしたいというふうに思います。
大臣には改めてになりますが、伊豆大島では、まさに消防団、先ほど話をしたように、重機を自前で出して作業に当たっているという状況もありましたので、そういった資機材も、例えば貸与される場合どうなっているのかということも一度お調べをいただいて、そこがただ単なる無償提供ということでないように、これをお願いしたいというふうに思うところであります。
次の問題ですが、今お話をした水害についてです。
水害発生時においては主に二通りあって、全国的には消防団と水防団が兼任ということでやっているところがほとんど。一部に、事務組合という形で、消防団は消防団、水防団は別個の組織として水防団を組織している、メンバーも違うというような地域があります。私の京都市というのは、たまたまそういう地域でもあります。郡部の方は、逆に水防と消防は一緒というようなことになっているわけですが、そういう地域もある中で、今回、台風十八号では少し問題が出てきました。
水防法でいろいろ定められていることはあるんですが、当然ながら水防団は、雨が降り始めたぐらいから、予想される天候も含めて、現場に待機をしているという状態になるわけです。そして、ずっと河川の見守りをしているわけなんですが、結局のところ、警報を誰が出すかといえば、現場の人が出すわけではありません。雨量を見て、気象台、気象庁が出したりということが警報ですね。避難の勧告や指示というのは誰が出すかといえば、これは市町村ということになるわけです。
では、本当に、河川の現場に、市町村のメンバーや、いわゆる警報を出す国交省の方々がいるのかといえば、確かに、国が設置した水位計のあるところにはおられるかもしれない、あるいは、行政、自治体が設置した水位計のところにはおられるかもしれない。しかし、水位計のないポイントにそういった職員がいるかといえば、そういうことでは必ずしもないようです。少なくとも今回はそういう事態が起こってしまいました。そして、水があふれたのは、その水位計のない地域の水防団、その地域の水があふれてしまったという状況がありました。
結果的に整理をするとどういうことかというと、警報や避難指示、避難勧告というのは、水位計や雨量計を見て役所の中で判断されることであって、幾ら現場に水防団が張りついていても、そこからの情報というのは余り避難情報には活用されていないケースがあるのではないかということです。
もちろん、現場に定点的に行政職員がいれば、その行政職員からの通報でうまく避難指示なり勧告が出るのかもしれないんですが、今回、京都市の水害で明らかになったのは、現場の消防団員や水防団員からSOSの電話を行政にかけたんだけれども、いや、まだ警報が出ていない、まだ避難指示の段階ではないとか、水位計はそうなっていないとか、そういう理由があったのかもしれませんが、具体的には、水があふれた後に、避難の勧告というか指示というか、そういったものが出たという状況があります。
そういった意味では、自治体であれば、自治体で一つの水防団をつくって河川全体を見ている、だから一つのポイントで水位計を置けばいいという話になるのかもしれないんですが、そういった事務組合の場合だと、事務組合の中に幾つかの水防団がエリアを分けて存在をしています。そのエリアを分けて存在している水防団ごとに水位計がないものですから、幾ら現場で水防団員がSOSを出しても、残念ながら、行政の方はいわゆる避難の指示をできないということになっております。
そういった意味で、ぜひとも、全国あまねく、現場から、ある一定の水位まで来たら必ず行政の側に連絡が行って、それが避難の指示なりに考慮される、生かされる、こういう体制をつくっていただきたい。それが別に水防団長や消防団長の主観で、おい、危険だからそろそろ来てくれという話ではなくて、やはり客観的な目盛りさえあれば、それは行政としては信頼の置ける情報だということになるわけですので、ぜひともそういった形で水防団のエリアごとに、もし漏れている地域があれば、少なくともそこの地域には一つずつ水位計をつけていただけないか、こういう御提案であります。
大臣、いかがお考えでしょうか。
○森北政府参考人 まず私の方から、水位計の設置、そして水位に関する情報提供等につきましてお答えをさせていただきます。
水位計につきましては、主要な地点のほか、洪水を流す能力が低い危険な箇所等に順次水位計の設置を進めているところでございます。
次に、通報のルール化についてでございますが、洪水時の水位につきましては、氾濫の危険性の関係等もあわせまして、河川管理者から市町村等に情報提供をすることといたしております。
具体的には、主要な河川において、主な水位観測所ごとに、氾濫注意水位、避難判断水位、そして氾濫危険水位等をあらかじめ定めております。それぞれの水位に到達する場合には、その都度、河川管理者から市町村等へ情報提供を行うこととしております。
一方、堤防から漏水等、そういう異変がある場合につきましては、水防団から市町村等に通報がなされるよう、水防法及び水防計画書に定められているところでございます。
市町村では、これら河川管理者そして水防団からの情報等を踏まえ、避難勧告等の発令の判断がなされるということになっているところでございます。
○太田国務大臣 九月十六日の十八号のときに、防災センターでずっと私、監視していました。京都のちょうどお寺があるところがずっと映されていまして、そこに消防団員が歩いていて、本当に大丈夫かというような心配をしました。今度は別に、しばらくたってから、昼過ぎだったと思いますが、渡月橋を、それまで閉ざされていた渡月橋がなぜか渡れるようになっていて、歩いている人がのぞき込んでいるというような状況で、どうしてあそこをもう解除したんだろうというふうに思いました。
それは、現場の消防団員もかすかに心の中にそういうことを持ちながら警備体制をし、情報を提供するということが的確に判断される、そして今度は逆に、そこで現場と実感の合った避難等の指示がなされるという往復作業というものが十分行えるかどうかということについて、すごく見ていて私も心配をしておりました。
不安だろうなとか、大変だろうなとか、大丈夫なのかとかいう観点を持ちましたので、今先生がおっしゃっているそういう水位計というものを極力配置するということにも努力をしたいと思っておりますし、それが伝えられて、避難とかそういうものは市町村が出すわけでありますけれども、そこに反映していけるように、また、その状況が全体像の中から現場の消防団員にも伝わるようにということを、どういうふうにすればいいかということはこれから考えることになりますけれども、そうしたことが連携がとれるように、また意味を持つようにということに努力をさせていただきたいというふうに思います。
○泉委員 当日も京都の状況をごらんいただいていたというのは大変心強い話でありまして、大臣がおっしゃるとおり、水防団員や消防団員は、果たして自分が歩いている堤防が本当に大丈夫かと思いながら、実は非常に危険な思いをして活動しているんです。その危険度を誰か専門家が判定してくれるかといえば、それは先人たちの経験の中でやっていかざるを得ないというのが実態なんですね。
そういった意味では、特に最近はサラリーマンをしながらという団員がふえていますので、なかなかそんなに地域にべったりということができない中で、それでも団員になろうと思って団員になっておられる方が数多くおられる。そうすると、知見もそう昔ほどは多くない中で、みんな不安を感じながら、おい、まだ大丈夫かなんて言いながら土のうを一生懸命積んでいるという状況なんですね。
そういったことはぜひ御理解をいただいて、やはり、いち早く専門家というか行政職員なりがその現場で同時に対応していただけるようにしていただきたいと思います。
例えば、今回、水がつかった学区があるわけですが、その学区から、災害時にはここに避難してくださいねという災害協定を結んでいた福祉施設があるんですが、そこに至る道が早々に通行どめになってしまったとか、とめられてしまったとか、そういうケースも含めて幾つも直さなければいけないところがあるわけです。
もう一つは、これは、きょう防衛省は来られていませんが、自衛隊なんですね。これはやはり防衛省に聞けば、もっと予防の観点の時点から派遣は可能ですということをおっしゃっておりますが、今回、私は京都府知事がいい悪いということではなくて、京都府からいわゆる自衛隊に要請があったのが午前七時であります。水があふれたのは七時半であります。本来は、やはり消防団だけであふれる水をとめられるような、そういう地域は私は少ないと思います。いざ作業をしようと思ったら部隊が必要で、警察や消防で人員があるかといえば、それはできないと実際には思います。
そうなれば、やはり自衛隊に期待をしたいというのが今の住民の感情でありますので、水が引いてから土のうを積むということに今回は残念ながらなってしまったということを教訓にして、やはり水があふれる前に部隊に要請をして、部隊が到着をして水があふれる前に作業をして、それでもあふれればそれはいたし方ないということだと思います。
ぜひとも、災害が起こってから、これは水防法では決壊してから通報するだとか、そういう水防法にもなっていて、もっと予防の観点から水防法も考え直してほしいな、一応そう読めなくもないですが、もっともっと予防を重視する考え方で書いていただきたいなと思うわけですが、そういった自衛隊への要請ということも含めて、ここはぜひ対処をしていただきたいと思います。
質問時間が過ぎましたので、最後になりますが、被災した家屋あるいはインフラ、特に居住地域を最も急がなければいけないということが大前提でありますが、今回、京都においては、河川敷の運動公園を初め、そういったところが、本当に多くの土砂が堆積をしてしまっております。あるいは伊豆大島でも、港も含めてやはり大きな被害を受けている。こういった公共物の土砂の撤去というものは、ぜひとも今後も力を入れていただきたいと思いますし、今回水があふれた場所については、やはりかさ上げの要望というのが強く出ております。桂川ですね。そういったものには、ぜひ大臣にもお答えいただきたいと思いますが、最後に一言お願いいたします。
○太田国務大臣 大島では、今もTEC―FORCEはそのまま派遣して、まださまざまな土砂の行方を計測しているという状況にもあります。
今御指摘のところは防災の非常に大事な問題なので、しっかり力を入れて検討していきたいと思っております。
○泉委員 終わります。
――――◇―――――
○梶山委員長 次に、内閣提出、海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
―――――――――――――
海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○太田国務大臣 ただいま議題となりました海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
四方を海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存するなど外国貿易の重要度が高い我が国の経済社会及び国民生活にとって、海上輸送の安全を確保することは極めて重要であります。
海上輸送の安全確保にとって重大な脅威となっている海賊事案については、二〇一二年に全世界で二百九十七件が発生しております。とりわけ、ソマリア海賊による被害の発生件数は近年急激に増加しており、また、その発生海域もインド洋やアラビア海にまで拡大する傾向を見せており、当該海域における船舶の航行に危険が生じているところです。
こうした状況に対し、他の主要海運国においては、当該海域を航行する自国船舶に小銃を所持した民間警備員の乗船を認める措置を講じてきており、我が国においても、原油タンカー等の国民生活に不可欠な物資を輸送する日本船舶について同様の措置を講じることがその航行の安全を確保する観点から強く求められております。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、国土交通大臣は、海賊行為による被害を防止するために、政令で定める海賊多発海域において小銃を用いて実施される特定警備が、その目的の達成に必要な範囲内で適正に実施されることを確保するために、特定警備実施要領を策定することとしております。
第二に、国民生活に不可欠な物資を輸送するなど一定の要件を満たす日本船舶の所有者は、特定警備に関する計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることができることとしております。
第三に、小銃の取り扱いに関する知識及び技能を有し、かつ、欠格事由に該当しないことについて国土交通大臣の確認を受けた者は、認定を受けた計画に基づく特定警備に従事するために、特定警備実施要領に従い、小銃を所持し、使用することができることとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十五分散会