衆議院

メインへスキップ



第3号 平成25年11月6日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月六日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      泉原 保二君    岩田 和親君

      大西 英男君    勝俣 孝明君

      門  博文君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    谷川 弥一君

      土井  亨君    中村 裕之君

      長坂 康正君    林  幹雄君

      原田 憲治君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    泉  健太君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      中根 康浩君    三日月大造君

      鷲尾英一郎君    岩永 裕貴君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      松田  学君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君    柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           赤澤 亮正君

   議員           金子 一義君

   議員           菅原 一秀君

   議員           渡辺 博道君

   議員           三日月大造君

   議員           若井 康彦君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      中島 秀夫君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     勝俣 孝明君

  泉  健太君     中根 康浩君

  後藤 祐一君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     井林 辰憲君

  中根 康浩君     泉  健太君

  鷲尾英一郎君     後藤 祐一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(金子一義君外六名提出、衆法第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 金子一義君外六名提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省自動車局長田端浩君、公正取引委員会事務総局経済取引局長中島秀夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 本法案は、報道等でも取り上げられ、大変関心の高い法案ですので、立法の趣旨がよくわかるように、賛同者の一人として、冒頭、質問をさせていただきます。

 まず、法案提出者に御質問申し上げます。

 今回の法律の目的について、まず冒頭、御答弁をお願いいたします。

金子(一)議員 早速に御審議ありがとうございます。

 平成十三年に、それまで新規参入、増車について需給調整をやっておりましたけれども、十三年に実質の規制を緩和して、自由にいたしました。ただ、その結果、地域によりまして著しく供給過剰が発生するという状況が出てまいりました。その弊害も出てまいりましたので、平成二十一年に、地域によって一時的に期間を限定して減車ができるようにという枠組みをつくりました。しかし、その結果、多少改善をいたしましたけれども、自主的に減車をするということでありましたものですから、協力をしない、自主減車に応じないというところも出て、なかなか、減車というものが必ずしも思うように進んでいないということも議論されてまいりました。

 その結果として、今度の法案では、地域によりまして供給過剰の著しく進んだところでは、全事業者が一致して減車ができるような枠組みを盛り込んだところであります。

 タクシーの業界の特色として、需要が減ってまいりますと、どうしても増車をして供給をふやすということが起こりがちであります。その結果として、運転手の賃金が下がっていく、歩合制を背景にしておりますので、運転手の賃金が下がって労働条件が悪化する。その結果として、一番肝心なことでありますけれども、本来、利用者が守られるべき利益、つまり輸送の安全を損ないかねないという問題が発生してまいりました。

 タクシーというのは、公共交通の一環であります。この状況を我々三党としてなるべく早く解消していきたいというのが、最大の今回の目的であります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに本法案は最終的に、公共交通機関であるタクシー事業の安全性を向上させ、利便性を向上させ、利用者の皆様の利益に供するということで理解をいたしました。

 次の質問、これは政府に求めていた質問を一つ飛ばさせていただきまして、通告でいきますと三つ目を御質問させていただきますが、今回の立法によりまして、新たな特定地域及び準特定地域が指定をされますけれども、この基準についての考え方について、提出者に答弁を求めます。

赤澤議員 本法案に基づく特定地域及び準特定地域については、国土交通省において、供給過剰の状況を判断するための客観的基準として、地域ごとのタクシー事業に係るデータに基づく基準を設定した上で、当該基準に基づいて判断を行うことにより、該当する地域について適切に指定の手続をすることとしております。

 具体的に、この指定基準につきましては、現行法の特措法、その特定地域は、供給過剰の状況のほか、法令違反などの不適正な運営の状況などに照らして、地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするために、タクシー事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要である地域と規定されていることを受けまして、国土交通省では、日車営収あるいは法令遵守などの状況に関するデータに基づく基準を定め、これにより、ここが肝でありますけれども、供給過剰が実際に発生している地域及びその兆候が発生している地域を特定地域として指定しているものと承知しております。

 以上が、現行法についての指定基準でございます。

 これに対し、本法案による改正後の特措法の特定地域は、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、法令違反などの不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力の削減をしなければ、地域公共交通として機能の十分な発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化、活性化を推進することが特に必要な地域と規定しておりまして、ここが肝でございますが、改正後の特定地域は、供給過剰が実際に発生していることが要件である、そのことが明確に位置づけられております。

 したがって、改正後の特定地域は、現行の特定地域のうち、より厳しい客観的な基準により、供給過剰が実際に発生していると認められる地域のみが指定されることを想定しております。国土交通省において、当該基準を新たに作成し、適切に運用してもらうことが必要であると考えております。

 一方、改正後の準特定地域については、タクシー事業が供給過剰となるおそれがあると認める場合であって、日車営収の状況、法令違反などの不適正な運営の状況に照らして、地域の輸送需要に的確に対応しなければ、地域公共交通としての機能の十分な発揮ができなくなるおそれがあるため、タクシー事業の適正化及び活性化を推進することが必要な地域と規定しておりまして、これは、ここが肝でございますけれども、準特定地域は供給過剰の兆候が発生している地域、これが該当するものと考えております。

 指定による法的効果は、現行の特定地域とおおむね同じということでございます。このため、準特定地域の指定については、現行の特定地域と同様の基準により判断されることになるものと考えておりまして、このような考え方で、国土交通省において適切に運用してもらう必要があると考えているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今の答弁をお伺いして、まさに供給過剰を是正していくことによって利用者の利便性を向上させていく、こういう趣旨でございますけれども、一方で、一部報道等では、今回のこの法改正はいわゆる規制の強化に当たり、政府が全体として進める規制緩和という方向性に逆行するのではないかという声もあるのも事実でございます。

 この懸念に対して、本法案の趣旨を改めて提出者に答弁を求めます。

金子(一)議員 平成十三年に原則自由化、このときは道路運送法を改正しました。この道路運送法による原則自由化というのは、事後ずっと続いておりました。本件においても、原則自由化の中で行われる法律であります。

 二十一年の特措法のときもそうでありましたけれども、供給過剰が著しい地域において一定期間自主的に減車をできるという枠組みをつくったわけでありますけれども、今回もその基本的な枠組みは同じであります。つまり、言い方をかえますと、一階の部分は原則自由化、ここは変わりません。二階の部分で、供給過剰が著しいところについて、同じように、今回の場合には少し踏み込んで、特に著しく供給過剰の地域については、自主的ではなくて、全事業者が減車ができるような仕組みをつくったところであります。

 一方、今回の法案では、運転手を全国登録制にいたしました。今までは主要地域だけだったのでありますけれども、全国登録制にして試験制度も実施するということで、運転手さんの質を向上させる。あるいは、適正化事業実施機関というのを指定することができるようにしまして、今度は事業者に、運転手さんが法令を遵守しているかどうか、ちゃんとした休憩所等々もつくっているかというような、マネジメントまで各事業者に対してチェックをするという、いわば運転手さんのきちんとした法令違反等々の対応ができているかどうかということも、つまり、逆に言えば質を上げてもらうということによりまして、本来の目的であります利用者の利益、つまり輸送の安全というものを確保しようというのが今回の法案であります。

 そこは、規制緩和というのも利用者の利便性を確保するということでありましたけれども、より踏み込んだ状況を今回つくり上げていると思っております。

伊藤(渉)委員 非常に御懸念の強いところでございますので、念のために確認をさせていただきました。

 本法案は、原則規制緩和という方向性を堅持したまま、一部、供給過剰等によって弊害が発生しているところについては特定地域という強制力のある地域を指定して、減車等のいわゆる営業区域の改善を図っていくということでございますが、強制力が強いだけに、この特定地域の決定ということについても非常に関心が高うございます。

 政府によって特定地域が恣意的に決定されることのないよう今回の法案ではどのような仕組みを想定しているのか、これも提出者に答弁を求めます。

渡辺(博)議員 本法案による改正後の特措法の特定地域につきましては、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、法令違反等の不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力の削減をしなければ公共輸送機関としての機能が十分発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要な地域と規定しております。供給過剰が実際に発生していることが要件として明確に位置づけられているところであります。

 したがって、改正後の特定地域は、現行の特定地域のうち、より厳しい客観的な基準により供給過剰が実際に発生していると認められる地域のみが指定されることを想定しております。国土交通省においてそのような基準を新たに作成し、適切に運営をしてもらうことが必要であると考えております。

 また、特定地域の指定に際しては、地方公共団体の長が国土交通大臣へ要請できることとされているほか、第三者による公平かつ合理的な判断を担保することを目的として、運輸審議会への諮問を経て国土交通大臣が指定する制度としており、恣意的な運用とならない仕組みとなっております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 順に、この特定地域について、その中身をお聞きしてまいります。

 特定地域に指定をされますと、事業者の間で協議会が構成をされます。この協議会においては、地域計画を策定し、特定地域の場合は供給過剰であると断定をできる地域でございますので、いわゆる需給のバランスをとるためのさまざまな方策を検討することになりますけれども、この協議会の構成において、最終的にその方法を決めるのには、その営業区域においての全車両台数の三分の二を保有する事業者によって最終的に決定をしていくわけですけれども、その際に、いわゆる大手の事業者の声だけでこの地域計画等が決定をされてしまうのではないかという声が、中小タクシー事業者の方から私ども公明党の方に多く寄せられてまいりました。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、この協議会の構成におきまして、大規模事業者ばかりで構成をされてしまうのではないか、中小企業者への配慮をどのように実施するのか、この御心配に対して考えておられる対策について、提出者の答弁を求めます。

菅原議員 大変重要な御指摘を賜ったと思います。

 本法案におきましては、特定地域におきまして、協議会における協議、合意を経て、二つの計画を出していただくことになってございます。

 まず一つが、今委員からお話ありました、国土交通大臣の認可を受けた特定地域計画でございます。あわせまして、個々の事業者が作成をし、国土交通大臣の認可を受けた事業者計画。この二つに基づきまして、必要な場合には法的な強制も可とする、減車や営業方法の制限による供給削減の取り組みが行われる制度となっております。

 この場合、事業者ごとの具体的な減車等の供給削減の規模や方法につきましては、個人タクシー事業者も含めまして、さまざまな規模の事業者が参加をする協議会の場におきまして、個人や中小企業の事業者の意向も十分に反映をされるルールによりまして、協議や合意の手続が進められることを想定いたしております。これによりまして、協議会に参加する事業者のカテゴリーごとの事情や意向などが、特定地域計画にしっかり反映されることを想定いたしております。

 具体的には、国土交通省におきまして、特定地域の協議会における特定地域計画の作成に際しての協議会としての合意の要件といたしまして、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーごとに車両台数シェアを等しくする基準を設定することといたしておりまして、これを十二分に周知徹底していきたい、このように考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも今の答弁の趣旨に沿って法案が施行されるように、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 もう一つ、今、この協議会で定められると答弁のございました特定地域の地域計画の中で、特定地域は供給過剰と断定をされる地域ですので、主に削減目標等が決定をされるわけでございますけれども、ここにおいても、いわば中小事業者の方への配慮が必要になると考えております。

 といいますのも、何千台という保有台数を持った事業者と、例えば東京地域であれば、最低保有台数、たしか四十台だというふうに認識をしておりますけれども、何千台の保有台数がある事業者と四十台の事業者と同じ率で削減をしてしまうと、営業ということについては大変厳しい状況がございます。

 よって、この地域計画の作成に当たっても、保有台数など、事業者の規模や地域の最低保有台数を下回らないなど、中小事業者に対する配慮が必要になってくると考えておりますけれども、この点についてもどのような対策をお考えか、答弁を求めます。

赤澤議員 重ねて重要な御指摘をいただきまして、まことにありがとうございます。

 特定地域の協議会において特定地域計画を定めることとなる供給削減の具体的な規模や方法については、必ずしも事業者一律の割合で設定する必要はなく、一律の割合による削減以外に具体的にどのようなパターンがあり得るかについては、協議会での検討が円滑に進められるよう、国土交通省において、参考例などを盛り込んだガイドラインを作成して示してもらうことが必要だと考えております。

 具体的には、まさに今先生の御指摘があったようなことでございますけれども、国土交通省において、特定地域計画に記載する、削減すべき供給輸送力、あるいは供給輸送力の削減の方法などについて、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーに応じて、一律ではない削減率による減車や営業方法の制限を柔軟に行うことができることを明文化し、参考となる具体的パターンを示すなどの方法により、これを周知、指導してもらうこととしております。

 また、この場合、減車については、地域ごとに設定されている最低車両数の台数までの範囲内で行われるものとすること、また、事業者のカテゴリーに応じて設定される削減率については、あらかじめ協議会で合意した基準により、下限などの調整もできることとすることなど、先生の御指摘も踏まえた方向でしっかりと周知、指導してもらうこととしたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。明確な御答弁をいただきまして、中小事業者の方も安心をいただけると思います。

 あともう一つ、いわゆる地域計画の策定に当たって、こんな声もございました。

 供給過剰等、また供給過剰のおそれがある等の地域においても、各社の営業努力によって一社当たりの収入が上がっている。つまり、供給は過剰のおそれがあるけれども、うちは頑張って営業努力で収入を上げているんだ、そういうところまで減車をしなければならないと言われると、そこはちょっと納得ができないというような具体的な声も寄せられておりまして、この地域計画の策定に当たっては、営業努力をどのように反映するかということも極めて重要だと考えております。

 そこで、お伺いをしますが、今申し上げたとおり、これまでの減車やサービス向上によって一社当たりの営業収入が増加をしているなど、これまでの営業努力も十分反映をして地域計画を策定する必要があると考えますけれども、この点についても提出者の答弁を求めます。

渡辺(博)議員 大変重要な御指摘をいただきました。

 本法案における、改正後の特措法十五条の二第一項では、準特定地域における増車については、安易な供給拡大を抑制することを目的として、道路運送法に基づく認可の一般的な要件に対して、供給過剰とならないものであることということを追加し、さらに、申請事業者における営業面等での企業努力の状況も、基準として追加しております。

 この規定により、準特定地域においては、新規需要が発生した場合には、既存のタクシー事業者のうち、頑張って成果を出している事業者、具体的には、道路運送法などをしっかりと守り、交通事故の防止に取り組むとともに、サービスの向上や高度化を通じてタクシー一台当たりの売り上げを伸ばしているといった、他の事業者の模範となるタクシー事業者からの増車申請が優先的に認められることとなり、この点において、本法案は頑張った者が報われる仕組みを整えているものと考えております。

 この規定に基づいて、国土交通省において、準特定地域における増車に係る事業計画変更を認可する場合について、特定地域として指定された直近の実績を含めて、事業者の一台当たり増収実績、雇用する運転者の賃金増の実績等をその基準として設定し、適切に運用してもらうことが必要と考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 続いては、これは政府に問い合わせをいたしますけれども、個人タクシーの現状と譲渡譲受制度についてお伺いをいたします。

 今回の法案の議論の中で、全国の個人タクシー協会の資料によりますと、平成二十四年度において、事業者の高齢化による一般廃業、死亡等で、年間二千名を超える減少があるというふうに伺いました。この減少をわずかでも緩和するものが、個人タクシー事業の譲渡譲受制度の見直しでございます。

 譲渡譲受にかかわる試験回数や、譲渡者が確定する前の譲受者の受験を可能にするなど、事業の円滑な継承のみならず、政府がさまざまな機会で取り組んでいる雇用の機会をふやすという観点からも極めて重要であると考えますけれども、政府の答弁を求めたいと思います。

田端政府参考人 本法案におきましては、個人タクシー事業者につきましては、事業者としてその意思があれば、法人タクシーと同じように協議会の構成員となって、特定地域計画の策定に参画して供給の削減ということを進めていくことになりますが、車両を一両しか保有していない個人タクシーにつきましては、減車ということができないため、例えば特定の曜日は営業しない、こういうような方法で供給削減を行っていくものになると伺っています。

 また一方、個人タクシーについては、現行のこの特措法の特定地域では事業の譲渡譲受が認められているところですが、本法案によります特定地域及び準特定地域においても、現行制度と同様、事業の譲渡譲受が認められることになるというふうに伺っています。

 事業の譲渡譲受に関しまして、譲渡を受ける者については、試験の実施などを通じてその適格性を審査することにより、個人タクシーの安全性やサービス水準の確保を図っているところですが、今後においても、個人タクシーにかかわります事業の譲渡譲受が円滑に行われるように、譲受しようとする者に対する試験制度等の運用状況の改善に国土交通省として適切に取り組んでいきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただきまして、個人タクシー事業者の方も喜んでおられると思います。

 最後に一問お伺いをいたします。これはまた提出者にお伺いをいたしますが、特定地域の解除の仕組みについてお伺いをいたします。

 本法案では、この特定地域は原則三年という期間を設定して特定をするわけですけれども、当然のことながら、三年という年数を待たずに状況が改善するケースがございます。

 本法律案は、あくまで原則として市場における適正な競争を前提としつつ、需給バランスの度を越した悪化により、事業の適正化及び活性化を推進し、地域における交通の健全な発達に寄与することを目的としているわけでございますので、状況が改善されたならば速やかに特定地域の指定を解除する必要があると考えますけれども、本法案での考え方について答弁を求めます。

渡辺(博)議員 本法案による改正後の特措法第三条第三項では、指定を受けた特定地域について、指定時の基準に該当しなくなったと認めるときは指定を解除するものと規定をされております。

 本法案の特定地域については、現行の特措法の手法をそのまま活用することとし、タクシーの供給過剰による安全面などで弊害の生じている地域及びそのおそれの多い地域のみを対象として、三年程度の期間限定で、地域ごとにその実績に応じて供給過剰を解消するための効果的な措置を導入する制度であります。

 措置の実施により早期に供給過剰の解消が実現し、特定地域の指定基準に該当しなくなった場合は、この規定に基づいて速やかに指定の解除が行われることとなっております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わりますが、本法案は、ある意味、適正な市場における競争を前提とするという意味では画期的な法案であろうと思います。そういう意味では、きょう、運用面において重要な点を何点か御質問させていただき、答弁を頂戴いたしましたので、私としても、これをきちっと附帯決議としてまとめさせていただいて、委員各位の御賛同がいただけるように協議を重ねたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、大西英男君。

大西(英)委員 私は、きょう、国土交通委員会の場で、タクシー業界の改善、運転手の皆さんの地位の向上といいましょうか労働条件の向上のための質問ができるというのは、本当に感慨無量でございます。

 実は私、四十数年前、学生時代でしたけれども、タクシー運転者として働いておりました。それこそ、そのころは行け行けどんどんの高度成長期の時代でございまして、ちょうど初乗りメーターは百円の時代でした。今から七分の一ですね。それでも、メーター料金で、働きに働いて五万円以上稼ぎまして、そして半分ぐらいは手取りになりますから、二万五千円ぐらいの収入があって、しかも、ごらんのように、品行方正、誠実一路でございますから、お客様が、頑張っているな、気持ちだよなんて言って、そのころはみんな、町は派手に飲み歩いている人たちも多かったですから、チップがそのころで二万五千円ぐらい入ってまいりまして、私は朝七時から夜明けまで無我夢中で働いて、あるタクシー会社の営業収入ナンバーワンになりました。

 しかし、社会はいつも厳しいものでございまして、子供だけではありません、いじめがあるのは。私も大変いじめられまして、タクシーのタイヤの空気が抜かれていたり、クラッチですから、自動じゃありません、オートマチックじゃありませんから、クラッチのかたい車で、夜中になるとこの短い足が動かなくなっちゃう、そんなこともあった時代でございました。

 世は、多くの方々が真面目に頑張っていました。頑張っていましたけれども、雲助タクシーという言葉が流行語になっていた時代でございまして、我々の先輩たちの中には、一発屋といいまして、昼間はパチンコか寝ている、酒は飲んでいなかったと思いますけれども。夜は繁華街に行って、そしてお客を選ぶ。それこそ、ワンメーターのところは、今どき何言っているんだといって厳しく拒絶する。そして、一発一万円ぐらい取れそうな長距離の客だけを乗せていくというので、乗車拒否なんていうのが大きな社会問題であったわけでございますけれども、その後、業界の自主努力、そして適切な運輸当局の指導によって、タクシーはだんだんだんだんサービスが向上されてきました。

 そうした中で、一番顕著になってきた問題は、平成十三年、道路運送法の改正が規制緩和という美名のもと、何でも規制緩和というと、新しいんだ、正しいんだ、そして経済の活性化につながるんだという世論の中で、このタクシー業界にも規制緩和の波が押し寄せたわけでございまして、これで何が起こってきたかというと、新規参入の業者もいる、あるいは、大手は資本に任せてどんどんどんどんタクシーを増車する。要するに、需要に対して供給過剰がずっと続いてきたのが、平成二十一年の特措法の施行まで続いたわけでございます。

 皆様にお手元に資料を配付させていただいておりますけれども、資料の1をごらんいただくと、平成七年から規制緩和が行われるまで、経済状況によってタクシーは減っておりますけれども、規制が解除されるとリーマン・ショックまでどんどんタクシーの台数がふえてくる、供給過剰、ふえている。そして、それに伴って何が起こったかというと、やはり運転者一人当たりの賃金というのがどんどん減少してきているのが、この表でおわかりのとおりです。

 私が昭和四十三年代で稼いでいたお金が、一回出ると二万五千円ぐらい、そして、チップは別にしても、五万円近く稼いでいたわけですね。今、タクシーに乗って運転手さんに、チップもらえるかと聞くと、十円までもらって帰る人たちが大半だそうでございまして、今はチップの収入なんか、ほとんどタクシーの現場ではないと思いますね。

 ですから、私のような、学生でありながら十五日ぐらいは乗っておりましたから、七十五万円の現金収入がそのころあったんですよね。それが、どうでしょうか。一番落ち込んだのが平成二十一年、二万六千五円という数字が出ているわけでございますけれども、これは一日の収入でございますから、これは営業収入ですから、手取りは歩合等で引かれます。したがって、仮に十五日乗ったとしても二十万円まで月に稼げない、こういうような状態が今出てきているわけでございます。

 こうした実情に即して、やはりもう一つ顕著な例は、こういった運転者の収入というのが減少してきている、そうすると若い世代はなかなか入ってこないんですね。佐川急便へ行って、営業をやりながら、四十万、五十万取れるような時代ですから、タクシーを選ぼうという若い世代はいなくなってくる。あるいは、家族を持っている人たちも、タクシー業界では食べていけない。

 そういう中で、資料2をごらんいただくとおわかりになると思うんです。これは、タクシー運転手と全労働者の平均年齢の推移が記載をされています。下段でございますが、平成七年にタクシーの平均年齢は五十・五歳でした。現在はどうかというと五十七・六歳、全産業の平均年齢というのは、平成七年が四十歳で、現在もほとんど変わっていません。四十二・五歳です。そうすると、今、タクシーの運転者になられる方というのは年金生活者、六十歳、六十五歳で年金を持っている、そして、年金だけでは暮らせないから、タクシーに乗って少しは日銭を稼ごうよという人たちがふえてきているのが実態でございます。

 皆様もタクシーに乗られると、ええっ、おじさん、こんなに遅くまで働いていていいのなんて聞く方もいらっしゃいます。そして、あんた幾つと言うと、六十五だよと。えっ、俺六十七だよなんて言って。まあ大分老けていますね、苦労が多いですから。そういう方々の実情があります。

 そんな中で、私は、きのう、たまたま朝日新聞の夕刊を見ました。やはり、こういったタクシー業界の実情が如実にあらわれているんですね。

 資料4をお手元にとっていただきたいと思います。きのうの夕刊、高齢運転者が八歳の児童を事故で死なせてしまった、こういう記事が載っています。この人は現在七十七歳、四十年間タクシーをやっているそうです。そして、住宅ローンがまだまだ続いているので、これは恐らく、タクシー業界がいいころに自宅をローンで買ったのでしょう。しかし、長期ローンですから、まだそれが払い終わっていない。ですから、七十七歳になってもハンドルを握らざるを得ない。それで、お子さんを死なせてしまった。御遺族の悲しみは、本人の無念はさぞかしだと思いますけれども、これも、今、タクシー業界が置かれている悲惨な状況というのを如実にあらわしているんじゃないかと思うんです。

 はねた男性は、昨日、判決がおりました。東京地裁で、禁錮一年六カ月、執行猶予三年という判決、これは執行猶予がついただけでも温情だと思います。この資料4の裏面に、きょうの朝刊の判決の記事が記載をされているわけでございます。

 私どもは、こうした実情の中から、運転手、運転者の方々の労働条件を向上させ、賃金を向上させ、そして多くの人たちが生きがいを持って働けるような職場を再びよみがえらせていかなければいけない。そのためには供給過剰の現状を改革していかなければいけない。そうした流れの中で、提案者の方々が、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら御努力をいただいて、今回の法案になったと思います。金子先生を初め関係者の皆さんの今日までの御努力に、心から敬意を表したいと思う次第でございます。

 そこで、私は、この法案について御質問を、提案者の方々を中心にしてさせていただきたいと思っております。先ほどの伊藤委員の質問と重複する部分もありますけれども、御理解をいただければと思います。

 この法案に対して、今、一部マスコミや世間では、規制緩和に逆行するじゃないか、どうしてタクシー業界だけがこうした規制緩和をとどめるような、あるいは規制緩和に反するような法律をつくるんだというような声があることも事実でございまして、私どもとしては、こういった一般的な疑問に、ぜひ提案者の方々からわかりやすく御説明をいただければと思います。

金子(一)議員 行け行けどんどんの時代、タクシーの運転者の経験として大変な御苦労されたお話も今伺いました。大西先生には提案者側にお座りいただいてもいいのではないかと思います。

 御指摘ありましたように、タクシーは、バス、鉄道と同じように、公共交通機関の一部でありまして、それだけに、守るべき利用者の利便、つまり、輸送の安全というものは最も大事にしてもらわなければいけないんだと思っております。

 しかし、一方で、原則自由化という中で、供給過剰の状況というのがさまざまな弊害をもたらし、特に運転手さんの労働条件の悪化あるいは給与の低下によって労働環境が悪くなってくる、あるいは守るべき輸送安全に危惧を来すという状況が出てまいりました。したがいまして、それに対応して、供給過剰という状況に陥っている地域について、供給過剰というものをもっと積極的に解消できる仕組みを何とかつくろうということで三党で協議し、本法案の枠組みにさせていただいたところであります。

大西(英)委員 規制緩和を特定地域に限定して行っていくということで、何ら規制緩和の方向性に反するものではない、そんなお話を伺いまして、多くの方々に御理解をいただきたいな、そのように率直に感じております。

 次に、私ども東京選出の議員にとりましては、東京オリンピック二〇二〇年が決定して本当にうれしく思っておりますが、もう一つの感謝をしております。それは、オール・ジャパンで、この東京オリンピックを実現するために、きょうここにお座りの国土交通委員会の皆様もそうですし、多くの、安倍総理を中心にして、政府も全力を尽くしてくださったわけでございまして、心から感謝をしておりますし、これをやはりオール・ジャパンのオリンピックに、パラリンピックにしていかなきゃいけない、そのように私どもも感じている次第でございます。

 そして、私ども、かつてタクシー経験者にとってうれしかったのは、滝川クリステルさん、美しい女性が、おもてなしもありますけれども、東京は、そして東京のタクシーは世界一だということを美しいフランス語で言ってくれたんですね。

 そして、さまざまな調査の中で、東京のタクシーのサービス、安全性について、高い高い評価をいただいているわけでございますが、これから七年後、おもてなしの、世界各国の方々に日本の心を伝えるためにも、タクシー業界そしてタクシーの運転者の方々のサービス向上というのも、これは大きな課題になっているのではないかと思います。

 タクシーの供給過剰を抑制する、それは運転手の待遇改善につながる。さらには、それが利用者へのサービス向上につながる。さらには、もっと意欲的に、おもてなしの心で、乗った方々を安心して目的地に運ぼうという流れも出てくるわけでございまして、本法案が、真に利用者のサービス向上に資するために、タクシー事業者に求めるところはどの辺にあるのかについてお聞かせをいただきたいと思います。

菅原議員 都議会の先輩である大西議員にこうして答弁できることを感慨深く思っております。このままドライバーをやっていれば、個人タクシーの全国の会長さんになっていたのではないか。しかし、国政に出られて、ドライバーの声を代弁し、また事業者に対するさまざまな声を反映していくことに敬意を表したいと思います。

 お話がありましたように、確かに、国際的には東京のタクシーは一定の評価をいただいたと思います。しかしながら、全国、オール・ジャパンで見れば、全ての車がサービス百点満点かというと、そうではない。

 この点は、本法案におきまして、例えば運転者の登録制度、あるいは試験制、これはこれまで特定指定地域にしかなかったんですが、これを指定地域にするなど、こうしてタクシードライバーの安全の確保とサービスの向上、質の向上を図る措置といたしております。この制度を利用して、労使が一体となってタクシーサービスの一層の向上に全力で取り組んでもらうよう努めていきたい、こう考えております。

 また、タクシーは、鉄道、バスと同様に、地域の公共交通機関として、高齢者やあるいは妊婦、あるいは障害者、いわゆる通院している患者等々、さまざまな交通弱者、あるいはオリンピックに向けて外国人がふえてくると思いますから、そうした幅広いニーズに応えていくことが求められると思います。こうしたサービスの高度化、高質化に積極的に取り組む、そうした業界のあり方になるように、この法案をしっかりとつないでいきたいと思っております。

大西(英)委員 ぜひ七年後の東京オリンピック・パラリンピックで、日本のタクシーは世界一だ、いや、宇宙一といっても宇宙ではタクシーはないと思いますけれども、それぐらいの大きな評価を得られるように頑張っていただきたいと思います。

 次に、準特定地域制度、あるいは中小企業や零細企業への取り組みについては、先ほどの伊藤委員の御質問に対して適切な御答弁もございましたので、時間の関係で、これは重複を避けさせていただきます。

 次にお伺いをするのは、現行の特定地域における協議会には地方運輸局長が参加をしています。それに対して、関係地方公共団体の長、タクシー事業者、労働組合、地域住民によって構成されているわけですけれども、今回の本法案には、この協議会に、地方運輸局長はその構成員になっていないと我々承知しております。

 協議会を円滑に機能させていくためには、政府とも一体となってこの協議会を運営していかなければならないわけでございまして、それについてどのようなお考えかをお聞かせいただきたいと思います。

菅原議員 お答えをいたします。

 現行の特定地域におけます協議会は、お話がありました地方運輸局長、関係地方公共団体の長、タクシー事業者、労働組合そして地域住民等によって構成をされておりますが、本法案に基づく特定地域における協議会については、協議会で作成する特定地域計画におけます、より責任を担う国土交通大臣の認可対象となることを踏まえまして、地方運輸局長はその構成員とならないこととなっております。

 現行の特定地域における協議会の運営におきましては、確かに地方運輸局長が構成員として中心的な役割を担っているわけでございますが、協議会の円滑な運営に大きな支障が生じないように考えていきたいと思いますし、また、本法案に基づく特定地域の協議会におきましては、地方運輸局長は議決権等を有する正式な構成員とはならないものの、協議会や検討の円滑化に資する各種データの提供を初めとするさまざまな面で、引き続き裏方的な役割を担いながら、協議会が十二分に円滑に運営されるように、サポートの面で万全を期してもらうように努めていきたい、こう考えております。

大西(英)委員 本法案にとって画期的なことは、独占禁止法の適用除外制度を導入したということでございます。

 今、これは私が言っているんじゃないんですよ、公正取引委員会について、非常識取引委員会だとか、いろいろな声がちまたに聞こえてきます。長い間、社会や経済の商慣習の中で行われてきて、そして業界の秩序や、あるいはともに利益を分かち合うようなことについても、競争一点張り、競争がない、それで摘発された事例もたくさんあるわけでございまして、私は、何も独占禁止法反対とか、公正取引委員会とんでもないと言っているのではありません。そういう声があるということをお伝えしているわけでございまして、この適用除外制度、画期的な制度だと思いますけれども、これについて、内容についてお聞かせをいただきたいと思います。

三日月議員 大西先生、ありがとうございます。今御指摘いただいたように、この法改正の一つの大きなポイントです。

 特定地域において、今話題にしていただきました協議会で、協議、合意を経て作成されます、かつ国土交通大臣の認可を受けて定められます特定地域計画と、その特定地域計画に基づいて個々の事業者が作成をいたします、かつ国土交通大臣の認可を受けた事業者計画に基づいて、必要な場合には法的な強制もできる形で、減車ですとか営業方法の制限による供給削減の取り組みが行われるという枠組みになっております。

 ただ、この特定地域において供給過剰の状態を削減するために、それはすなわち、地域公共交通としての役割を発揮するために行われるこうした話し合いですとか、それに基づいて行われます行為、こういったものが独占禁止法の定める不当な取引制限に該当するとして同法違反に問われる可能性があれば、これはこの実効性を損なわしめるものになると我々考えて、このような独占禁止法の適用の可能性について適切な手当てを行わなければならないということで、今回、八条の四といったところに、協議会に参加する事業者において減車などの供給の削減のあり方や進め方に関する特定地域計画を策定したり、計画に基づいて実際に減車等を実施するということについて、これを独占禁止法の適用除外というふうに定めたものでございます。

 この規定によって、特定地域における減車等の取り組みが、これまで以上に効果的に、かつ円滑に行われることを私たちは期待させていただいております。

大西(英)委員 安心をいたしましたけれども、それでも公正取引委員会は何をしでかすかわからないんですね。

 例えば、平成二十一年の特措法改正を受けて、新潟のタクシー事業者の方々が運賃を一斉に値上げした。それに対して、公正取引委員会が立入調査を一月に行って、排除措置命令や課徴金の納付命令を出したわけですね。それについて、今タクシー事業者から審判請求をしておりまして、まだその審判の結果は出ていないわけでございますけれども、やはりこれは、こういった法ができたとしても公正取引委員会は大丈夫か、そういう心配は業界の皆さんの中にあると思うんですね。

 そこで、もう時間が大分厳しくなってきておりますから、二問続けて、独占禁止法関連で御質問をさせていただきます。

 競争を通じて消費者の利益を守るという独占禁止法の適用除外というのを、果たしてタクシー事業に関して認めさせるその理由について、一つ明らかにしていただきたいと思います。そして今後、改正後、特措法の運用において、どのような行為が独占禁止法上問題にならないのか、また、どのようなことが問題になる可能性があるのかを、やはりここで明確にしておくべきことが大切じゃないかなとも思うわけでございまして、その二点についてお聞かせをいただきたいと思います。

三日月議員 今、先生御指摘のように、競争を通じて消費者の利益を守る独占禁止法とおっしゃいましたが、競争だけでは利用者、消費者の利益を守れないから、私たちは独占禁止法の適用除外を定めたところであります。

 先ほど来御指摘のように、タクシー事業では、費用に占める人件費の割合が非常に多うございます。そして、運転者の賃金が、先生も御指摘のように、歩合制になっておりますから、需要が減少しても何とか売り上げを確保しようということで、車両数をふやしたり、供給過剰の状態になっていてもそれが長期化してしまう、そういう事業特性というものがあります。

 今回、私たちが一番解消しなければならないのは、この供給過剰の状態を解消するということでありましたので、そうした供給過剰の状態を解消するために、例外的かつ必要最小限の範囲内で独占禁止法の適用除外を認めることとした次第であります。

 なお、法案の施行に際しては、国土交通省に、公正取引委員会の独占禁止法についての見解に基づいて、改正後の特措法に基づく行為としては独占禁止法上何が問題ないとされるのか、また何が問題となるかについて、それぞれ明確となるよう、これは新潟の事例でもありましたように、まだまだきちんと周知ができていなかったということも踏まえ、それぞれ明確となるよう文書により周知を図ってもらうことが必要であるというふうに考えております。

大西(英)委員 ありがとうございました。

 これによってタクシー業界が今抱えているさまざまな困難な問題を克服して、運転者の方々があすの生活に希望を持って安心、安全な運行ができるような流れができるように、提案者の皆様にはまた御努力をいただきたいと思います。

 そして、この法が仮に施行されて、独占禁止法や公正取引委員会のあり方についても一石を投ずることになるんじゃないか。やはり主役は国民です。そして国民の生活です。そして、その生活を豊かにし、安心、安全にするためにはこれが第一義であって、法や組織が第一義ではない。そういったことについても、ぜひ、この法の施行によって新しい流れが、経済活動に活性化が生まれるように期待をする次第でございます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 私も、引き続き、自民党、公明党、民主党三党提案の、タクシー事業の適正化及び活性化に関する特措法の改正案について質問を続けさせていただきたいと思います。

 まず、確認というか、押さえておきたいことがございます。

 平成十四年に行われた道路運送法の改正による規制緩和の目的は何だったのか、その後、この規制緩和により生じた問題を解決するために、平成二十一年に特措法が制定されたということでございますが、特措法制定の問題意識は何であったのか、現状のタクシー事業のあり方とあわせてお伺いをしたいと思います。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、規制緩和をいたしますと、サービスの多様化により、利用者利便が向上し、運賃も下がり、その結果、利用者がふえて需要が増加するという好循環が期待されるものと考えられます。

 タクシー事業につきましても、この競争促進によりまして事業を活性化することによって新たなサービスの提供あるいは需要喚起が活性化することなどを目的として、規制緩和が行われたところでございます。規制緩和以降、車が拾いやすくなったり、あるいは新しいサービスの出現があったりなど、効果があったものと評価をしております。

 しかしながら、一方におきまして、規制緩和により参入や車両の増加は自由化されたものの、多くの地域で期待どおりに需要が増加せず、規制緩和で意図された好循環に至りませんでした。

 その背景といたしましては、タクシー事業では、費用に占める人件費の割合が高く、かつ運転者の賃金が歩合制となっておりますことが大きな特色でございます。このため、需要の減少に際して車両数をふやして売り上げを確保しようとする結果、供給過剰になり長期化しやすい、こういう事業特性がございまして、供給過剰が発生しますと、運転者の賃金の減少に伴う労働条件の悪化に直結して、これは安全性やサービスの質の低下をもたらすため、利用者の利益が損なわれます。

 そのような供給過剰の問題解決を図るため、国土交通省では、平成二十一年に国会にタクシー適正化・活性化特別措置法、特措法案を提出しまして、両院で全会一致で可決していただきました。以降、供給過剰となっている地域を特定地域とした上で、期間を限定して車両の削減、需要の開拓等の取り組みを促進しているところであります。

 これによりまして、運転者の賃金が上昇に転ずるなど一定の効果は出ているものの、平成十三年の道路運送法改正による規制緩和以降の車両数でございますが、増加の一途をたどっていましたが、この二十一年の特措法の施行で減少し始めて、平成二十四年時点では十九万五千台と、十三年度実績と比較して六%減となっております。

 これに対しまして、需要面でございますけれども、二十四年度の輸送人員は十五億二千万人、運送収入一兆五千億円と、平成十三年度比で二割以上減少しておりまして、需要が供給を大きく上回るペースで減少しております。

 このように、多くの地域で引き続き、需要に対して供給がアンバランスに大きい供給過剰の状態が解消されていないものと認識しております。

 以上でございます。

中根(康)委員 今なお需要を供給が大きく上回るという現状をお示しいただいたわけでございます。

 前段の質問者と重なるところがありますが、あえてお尋ねをしたいと思いますが、今回の法改正は規制緩和の方向性に逆行するのではないかという指摘、これは大変重要なポイントであろうと思います。先ほどは金子先生からお答えをいただきましたので、今回は三日月提案者から御答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

三日月議員 中根委員御承知のとおり、需要を大きく上回る供給、そういう状態にある地域が今なお多数存在するということであります。

 その供給過剰の状態を解消する十分な仕組みが、私たちは四年前に法改正に一緒に取り組みましたけれども、あのときは、いい制度ができたと思っておりましたが、従う事業者と従われない事業者との間で不公平感が生じてしまったりですとか、また、公正取引委員会との関係で、きちんとした規定が定められていなかったなどなど、一定の効果はあったんですけれども、不十分なことがありました。

 したがって、今なお、安全性を損なってしまったり、サービス低下をもたらしてしまうなどなどの懸念のある、供給過剰の状態にある地域に対して、期間を絞って、地域を限定して効果的な対策を講じる必要がある、そのことがひいては利用される方々の安全性の向上、また、乗っていただく方々へのサービスの向上につながるというふうに私たちは考えて、この法案を提出した次第でありまして、規制緩和に逆行するというよりも、むしろ規制緩和と規制強化とをきちんとミックスさせて、あるべきタクシー法制度をつくろうとしているというふうに御理解をいただければ幸いに存じます。

中根(康)委員 ありがとうございます。

 今、国家戦略特区の方で、雇用に関する規制緩和の議論も活発にこれまで行われてきたわけでありますが、やはり、今の御答弁にありますように、必要な規制といいますか、国民の暮らしや命、仕事を守るために必要なものもあるということであります。これはタクシー業界においても、雇用、働くという面についても、同じ共通するものがあるということを今改めて感じさせていただいておるところでございます。

 次の質問でございますが、平成二十一年に制定された特措法によってもなお解決されなかった問題を改めて確認させていただきます。

 この点につきまして、事業者、運転者、利用者、それぞれの立場から見てどのような点が問題であるか、お示しをいただきたいと思います。

金子(一)議員 二十一年度改正で不足をしていた分は何か、あるいはカバーできなかった分は何かということを我々三党で議論してまいりました。

 事業者の立場から見ますと、自主的に減車するという枠組みでありました。ところが、現実には、減車に協力する会社あるいは減車に協力しない会社、結果として、減車に協力を積極的にした会社が損をするというようなことで、なかなか全体としての減車というものが進んでいかないという問題が、二十一年度改正の中に見過ごされた問題としてあったんだろうと思います。

 運転手さんの立場からいえば、結果として、供給過剰が解消されない結果、運転手さんの賃金が向上しないという問題を引き続き継続させることになってしまったということであります。

 利用者の立場からいえば、そういう労働条件の悪化によって、本来守られるべき輸送の安全というものが本当に危機に立たされているという認識であります。

中根(康)委員 現行の特措法でございますけれども、これは附則において、施行後五年後に見直しを行う旨が規定をされております。

 現実に、今までの答弁で御指摘があったように、運転者の賃金は上昇傾向にある、あるいは減車が進んでいるという一定の効果があらわれている中で、この施行後五年ということを待つことなく、今回議員立法で特措法の改正を行うこととした理由を伺いたいと思います。

金子(一)議員 最大の理由は、先ほど述べたように、二十一年度の特措法改定によりまして、それなりの改善はしてまいっておりますけれども、そもそも自主的に減車をするという枠組みでありますので、なかなか思うように進んでいかない。特に供給過剰の状況が著しい地域においては、全事業者が協力し合って減車ができる枠組みというのをつくることによって、利用者の利便性、あるいは働く運転者の給与の改善を今回図ることができるようにするということが、今御指摘いただきました、五年間を待たずに今法案を出させていただいた理由であります。

中根(康)委員 先ほど大西議員がお配りをした資料を拝借して恐縮でございますけれども、タクシー運転者の年間所得は全産業平均の約半分であるが、労働時間は全産業平均よりも長い、タクシー運転者の労働時間は年間二千三百六十四時間で、全産業平均の二千百八十四時間を大きく上回っている、その一方で、お給料は、全産業平均の五百三十万円に比べて二百九十六万円と大きく下回っていると。こういった現実を見たときに、やはり国会として何かしていかなきゃいけないという思いを強くさせられるところでございます。

 供給過剰によって過当競争が生じる。これは賃金が歩合制になっているというようなことなども一つの原因であると思いますが、運転者に過労運転を強いるということになって、結果として、最悪の場合、過労死あるいは交通事故の頻度が高くなる、こういったことが考えられるし、実際に指摘をされているわけでございます。

 この過労運転防止、交通安全確保、こういった観点から、この点についての提案者の認識を伺いたいと思います。

三日月議員 今、中根委員おっしゃったように、タクシーというものが持っている特性ゆえ、供給過剰の状態が過当競争を生み、この過当競争が運転者に過労運転を強いやすくなる、そのことが結果として、交通事故等が発生しやすくなり、利用者の安全性を損なうという、この悪循環に対する認識は委員と同様であります。

 現行におきましても、道路運送法関係法令において、委員御承知のとおり、運転者一日当たりの運転時間ですとか連続運転時間の上限を定め、事業者に対して、乗務しようとする運転者に安全確保のための運行指示を行わせることなどが義務づけられており、その履行状況がどうなのかということについて、周知徹底とともに、立入検査などを通じて指導が行われているというふうに承知をしています。

 しかし、それだけでは不十分だということで、今回の法案では、結果的に利用者サービスの向上を図るという観点から、輸送の安全を一層向上させることが極めて重要であるということを踏まえて、道路運送法の条文として、二十七条の二項なんですけれども、事業者において過労運転を防止するための措置を講じなければならない旨を明記し、過労運転防止措置を義務づけることといたしました。

 あわせて、先ほど提出者である金子先生の方からもおっしゃいましたように、事業者に対する適正化事業の実施機関の制度を新たに設けることを通じて、この法令遵守の状況、また、過労運転の防止の徹底をしっかりと図ってまいりたいというふうに考えております。

中根(康)委員 大切なところはきちんと押さえられているということが確認できたわけであります。

 また、この法律によって、例えばタクシーの台数が減ってなかなかタクシーが拾えない、使えない、あるいは運賃の面で利用者に不便や負担を生じさせてはならないと考えますが、利用者の視点に立った場合、この法案のメリットはどのようなものであるか、改めて確認をさせてください。

三日月議員 これまで累次御質問もいただき、御答弁もさせていただきましたけれども、今回、三つあると思います。

 一つは、供給過剰の状態にある地域を絞って、期間を絞って効果的な削減措置を講じることによって、利用者の皆様方が利用される際の安全性の向上、そしてサービスの向上を図っていくということがまず一つ目。そのことによって、例えば妊婦の方々に対するタクシーでありますとか、空港への輸送でありますとか、いろいろな幅広い需要に応えていけるような、そういうサービスを開拓していける、そういったことを促進していく、このことが一つ目の大きなメリット。

 二つ目は、タクシー業務適正化特別措置法を改正いたします。そのことによって、タクシー運転者の登録制度というものを全国に拡大することによって、現在は東京、神奈川、大阪の三地域において実施しております運転者の試験制度、これを全国十三の政令指定都市に拡大する、運転者の質を高めていくということを狙っております。

 三点目は、先ほど委員から御指摘のあった、過労運転防止の措置を道路運送法上に明記することによって、安全なタクシーというものをつくる。

 この三つのことで利用者利便に資するものというふうに考えております。

中根(康)委員 利用者にとってもこの改正法案が必要であるということを確認させていただきました。

 特定地域において新規参入や増車を禁止しているが、これらの措置は既存事業者の既得権を優遇するということになりはしないか。この点について御答弁を願いたいと思います。

渡辺(博)議員 本法案による改正後の特措法の特定地域は、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、法令違反等の不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力の削減をしなければ、地域公共交通として機能の十分な発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要な地域と規定しており、供給過剰が実際に発生していることが要件であることが明確に位置づけられております。

 このため、指定された場合にあって、新規参入の許可や増車が禁止されるとともに、特定地域計画に基づいて全ての協議会参加事業者に対して供給の削減が義務づけられるなど、地域の全ての事業者が公平な形で供給の削減を行うことを前提として、供給過剰の解消を効果的に図られる制度としております。

 この制度により供給過剰が早期に解消され、特定地域の指定が解除されますと、準特定地域においては一定の要件のもとで新規参入が認められるほか、また、供給過剰のおそれのないことが認められて準特定地域の指定が解除されれば、規制緩和の原則に戻り、新規参入が認められることとなることから、既存事業者を優遇することにはならないと考えております。

中根(康)委員 既存事業者の既得権優遇ではないということを確認させていただきました。

 この法案によって個人タクシーはどのように扱われることになるか、提案者の説明を願いたいと思います。

渡辺(博)議員 個人タクシーの事業者も、事業者としてその意思があれば、法人タクシー事業者と同様、協議会の構成員となって、特定の地域計画の作成に参画し、これらの計画に基づいて供給の削減を進めていくことになります。

 ただし、個人事業者は車両を一両しか保有しておりません。したがって、個人タクシー事業者は、減車を行うことができないため、特定の曜日は営業しないこととするなど、営業方法を制限することにより供給削減を行っていくこととなります。

 本法案により、特定地域において措置されている営業方法の制限命令についても、法人タクシー事業者と同様の条件でその対象となってくることとなります。

 また、個人タクシーについては、現行の特措法においても譲渡譲受により参入が認められてきておりますが、本法案施行後の特定地域及び準特定地域においても、これまでと同様、譲渡譲受により参入を認めていくことになると考えております。

 今後とも、個人タクシー事業者の皆様方におかれましても、法人事業者と同様に、タクシー事業の根本である輸送の安全の確保とサービスの質の多様性の向上に努めていただきたいと考えております。

中根(康)委員 幾つかの質問で、事業者、運転者、そして利用者、それぞれにとってメリットが大きい、必要な法改正であるということを確認させていただきました。

 三者にとってウイン・ウイン・ウインの関係がさらに進展をするように、この法律の成立を強く望ませていただきながら、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 質問の機会をいただきましてありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。

 時間も限られておりますので、早速でございますが、質問させていただきたいと思います。

 まず、先ほど各委員からの質問あるいはその受け答えでもあったとおりでございますが、このタクシー問題ほど、市場という機能を適切に発揮させることの難しさを感じる問題はございませんで、何か市場が全て万能であるという思想が政府の側にも時折見られますし、市場、市場といいますけれども、その市場なるものがどういう結果をもたらすかというのは、やはりこういうタクシー問題を通じて我々は深く認識しながら、政策を立案していかなきゃいけないんじゃないかと思うところでございます。

 その中で、先ほど来、各委員の先生方の御質疑等を拝見させていただきますと、タクシーの運転者の所得等々、随分と厳しいな。特措法改正の際にも、私、質疑させていただいたんですけれども、車両数が随分と落ちついてきたというところはあるにせよ、当時も議論かまびすしかったわけですが、運転者の所得という部分では効果というのがなかなか出てきていないと思っております。

 きょうは自動車局長さんにお見えいただいているので、まずは最初は自動車局長からここら辺の所感をお聞かせいただきたいと思います。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十三年の道路運送法の改正による規制緩和以降、供給量を示します車両数は、規制緩和直前の二十万八千台から増加の一途をたどりまして、二十一年の特措法の施行で減少の方に向かいましたが、二十四年度現在時点で約十九万五千台と、十三年度の実績と比較して六%減となっております。

 これに対しまして、需要面でございますが、十三年度から十八年度の輸送人員はほぼ横ばいでしたが、リーマン・ショック後の影響で、十九年度から二十一年度にかけまして大幅に落ち込みまして、二十四年度は約十五億二千万人と、十三年度比で二割以上減少しています。

 また、運送収入は、十三年度から十九年度にかけて、これも横ばいでしたが、十九年度から二十一年度にかけまして大幅に落ち込んだ結果、二十四年度は、こちらも十三年度比で約二割以上の減少となっておりまして、需要の減少ペースが供給の削減幅を大きく上回っているという実態でございます。

 これに伴いまして、タクシー運転者の年間所得でございますが、十三年に三百三十四万円であったものが、二十一年には二百八十万円まで減少いたしました。特措法の施行以降、小幅な上昇に転じてはいますが、二十四年でも二百九十六万円と、依然として三百万円を下回る水準にございます。

 一方、タクシーの走行一億キロ当たりの交通事故件数につきましては、平成十七年の年百五十八件をピークに、二十四年には同百三十四件に減少してはおりますけれども、事業用貨物車の年三十五件と比べて依然として高い水準にございます。

 利用者の利便性の面では、規制緩和以降、サービスの多様化、待ち時間の短縮などでメリットも生じているほか、現行の特措法の施行に伴いまして、特定地域において多くの事業者が、スマートフォンなどの携帯端末、あるいはGPSの配車システムの整備、高齢者とか身体障害者の利用に対応した車両の整備など、利用者の利便を高めるための取り組みを進めてきております。

 他方、供給過剰が発生した地域では、運転者の賃金の減少に伴い労働条件が悪化し、これにより安全性やサービスの質の低下がもたらされているほか、交通渋滞などで円滑な交通に支障を生じさせているものと認識しております。

鷲尾委員 その上で、今度は提案者にお聞きしたいと思いますけれども、特に特措法施行後の状況に鑑みまして、今るる自動車局長から説明がありましたけれども、私が思いますのは、タクシー運転者の適正な労働条件を確保するのは本当に難しいなと思っているところであります。

 今までも質問でもあったところだと思いますが、特に賃金の累進歩合制度等々、運転者の負担というのは特に問題だと思っておりますが、この点について提案者から見解をお聞かせいただきたいと思います。

三日月議員 鷲尾委員、ありがとうございます。この五年、一緒にこのタクシー法制についてあるべき姿を探求してきましたよね。

 市場原理で最適化することがこのタクシー市場、タクシー業界は難しいと思います。古今東西まだまだ試行の域を出ないのかもしれませんけれども、私たちは今回、党の枠を超えて、よりよい法制度をつくろうということで提案をした次第です。

 そのときに一番考えたことは、やはり、タクシー運転者、ドライバーの皆さんの労働条件、給与水準なんです。これを今委員が御指摘をされ、政府からも答弁がありましたように、四年前、特措法を施行し、それぞれの地域で協議会の決定に基づくいろいろな取り組みをしてこられましたが、改善したところもあります。日車営収、マクロでは少し改善の兆しはありますけれども、まだまだ全体としてドライバーの皆さんの給与水準が低い状況にあります。

 したがって、供給過剰の解消でありますとかサービス向上、そういったことにより効果的な措置を講ずることによって、この労働者の賃金を上げていきたいというふうに考えております。

 その際に、今御指摘のありました累進歩合制度、これは御案内のことと思いますけれども、歩合制の歩合給が非連続的に、あともう少し収入を稼げばどんともらえる給与が上がるという、非連続的に上がるこの累進歩合の制度につきましては、運転者の長時間労働、苦しいけれどももう少し運転しようでありますとか、速く走ればお客様がつかめるかもしれない、そういうスピード違反を誘発するおそれがあるということで、厚生労働省において、通達に基づいて廃止するよう指導をされております。

 しかし、実態としてまだまだこういう制度が残ってしまっている現状に鑑みて、さらにこの累進歩合制の廃止について改善指導に努め、また、労使双方に対して、この法案の趣旨を踏まえた真摯な対応を行うよう促すとともに、取り組み状況を把握し、助言等必要な支援を行うよう対応してもらいたいというふうに考えております。

 また、委員からは御質問がありませんでしたけれども、累進歩合制度と重ねて運転者に負担をさせるという、これは今から質問されますか。(鷲尾委員「今質問しました」と呼ぶ)そうですか。ありがとうございます。失礼いたしました。

梶山委員長 続けてください。

三日月議員 運転者にさまざまな負担を強いる。例えば、カードで決済されたときに、チケットで決済されたときにドライバーさんに負担をさせるという、私はこんなことがあるということ自体が信じられないんですけれども、あしき慣行として残ってしまっている。これは非常に問題が多いものだと考えております。

 この点は、タクシー事業者各社において、この法律案の成立に合わせてこのような運転者負担の慣行の見直し等にしっかりと取り組んでいただき、運転者の労働環境の改善を通じて、結果、利用者に対して一層安全で利便性の高いタクシーサービスになるよう取り組んでいただきたいというふうに考えております。

鷲尾委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 その上で、今ほど来、市場についてちょっとお話し申し上げたところでございますけれども、今回は、前回の特措法よりもさらに強い強制力を持った措置を講ずる、それに加えて独禁法の適用除外規定を設けているところであります。

 これは、特措法改正後、やはり、施行に当たって、運用に当たってさまざまな問題があって、その上で今回こういう規定を設けようという話になってきていると思います。

 一方で、やはり私、タクシーを利用しておりまして感じるのは、本当に便利になったなということでございます。さまざまなサービスも出てきたなと。これはやはり市場のいい面だ、競争のいい面だと思っております。

 今回、タクシー業界、さまざまな事業者がおられる中で、また、今、三日月先生から御答弁いただいたように、雇用者の問題、この特措法のさらに改正で、強制力ある措置、そして独禁法除外まで置いて、どういうところにメリットがあるのかというところをお聞かせいただきたいと思います。

三日月議員 ありがとうございます。

 供給過剰の状態にある地域の台数をより効果的な方法で削減をするというのが、一番私たちがこの法改正で狙ったところであります。

 過剰である供給輸送力を削減しなければ、今委員御指摘のように、タクシー事業として、地域公共交通としての機能を十分発揮することが困難な地域において、例えば話し合いをしたり、また、その話し合いに基づいて、合意に基づいて定められた計画に基づく行為を行う、そのこと自体が定義上では独禁法の定める不当な取引制限に該当するということになった場合、せっかく地域のためにより効果的な措置をとろうとしているにもかかわらず、同法違反に問われてしまう可能性が想定されることになります。

 新潟でも、特措法施行以来、非常に不幸な事例が起こってしまいました。これは周知不足も一つの原因だと思います。したがって、この独禁法の適用の可能性についてしっかりと手当てを行うということを私たちは考えて、特定地域計画を策定したり、計画に基づいて実際に減車を実施するということについては独禁法の適用除外ということによって、このことがひいては事業者と、そして運転される被雇用者、さらには利用者の利便性、安全性の向上につながる、もしくはつなげていかなければならないということで定めさせていただいた次第であります。

鷲尾委員 ちょっとこれから運賃についてお聞きしたいというふうに思っております。

 当然減車についても大変重要な問題だと思いますが、さらにもっと言うと、運賃はもっと機微に触れますし、この特措法改正で想定している状況を常識的にやっていけば、三日月先生おっしゃるとおり、独禁法の適用に当たる可能性が大いにあるというところでいろいろな制限がかかっているわけでございます。

 この特措法では、自動認可運賃ということで、地域によっていろいろまた実情を加味した、これは後で聞きますけれども、自動認可運賃ということでありましたが、今回は公定幅運賃という形で制度の名称が、制度といいましょうか、公定幅運賃制度になるわけであります。そう変わるわけですけれども、高いと言われている運賃、既に我々はこれは高いと、我が国の運賃自体が高いと言われているわけでありますけれども、特措法を施行して自動認可運賃になりました、そして、今回改正してさらに公定幅運賃になりますとなったときに、この運賃はどう推移するとお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

三日月議員 まず、今委員が高いと言われました。それぞれのお人によって、それぞれの地域によって、それぞれの感性、考え方によって違うのかもしれませんけれども、私どもが把握しております主要都市におけるそれぞれのキロ当たりのタクシー運賃を比較した場合、東京は、シンガポールですとか上海など、アジアの主要都市よりは確かに高い。しかし、ロンドン、ベルリン、シドニー等、欧米諸国の主要都市とはほぼ同程度の運賃水準にあるというふうに把握をし、東京のタクシー運賃が現時点で特別に高いということではないというふうにも考えております。

 今回、供給過剰の状態にある地域を絞り、期間を限定し、起こってしまった供給過剰の状態を効果的に解消するということをこの法律の目的とさせていただいているところでありまして、同時に、公定幅運賃を定めることによって、それぞれの地域で、運賃が上がったな、必要以上に利用者に負担が強いられるなということがないよう定められていくことが望ましいというふうに私たちは考えております。

 したがって、今回、運賃範囲の指定に際しても、十六条にありますように、それぞれの協議会の意見というものを聞いて運賃の幅を設定するということを担保させていただいているところです。

鷲尾委員 その中で、たしかこれは特措法制定時の議論だと思いますが、自動認可運賃については、当分の間、適正な原価に適正な利潤を加えたものとして、「超えないもの」というのを「加えたもの」という形で読みかえるという修正がなされていますが、これは公定幅運賃制度になってどのような取り扱いになるのかというところもお聞かせいただきたいと思います。

三日月議員 公定幅運賃になっても、自動認可の運賃の幅自体については基本的に変更されるものではありませんし、今委員から御指摘いただきました適正な原価に適正な利潤を加えた運賃というものについても変更されるものではないというふうに考えております。

鷲尾委員 わかりました。ありがとうございます。

 続きまして、きょうは公正取引委員会さんにもおいでをいただいておりますが、現行のタクシー特措法が衆議院で可決された際に、附帯決議をもって、「公正取引委員会は、国土交通省が行う下限割れ運賃審査をはじめ、タクシー運賃の不当競争防止策について助言を行うなど、必要な連携協力を図ること。」と、我々附帯決議で明記をしているところであります。

 当然、この特措法の議論のときにも、先ほど来申し上げたとおり、独禁法に抵触することがないように、これは十分国交省が公正取引委員会と協議、相談するのは当然として、公正取引委員会が必要な連携協力を図るということをあえて明記していると認識をしておりますが、これまでの公正取引委員会さんの対応はどのようなものだったでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、附帯決議に定められました公正取引委員会と国土交通省との連携協力についてお尋ねがありました。

 私ども公正取引委員会は、今お話のありました附帯決議を踏まえまして、タクシー運賃の審査のあり方について、例えば、平成二十一年八月に公表されました国土交通省のタクシー運賃制度研究会の報告書に対しまして、競争政策の観点から、事業者間の適正な競争を確保し、利用者利益を損なうことのないようにすべく助言を行うなど、国土交通省と必要な連携協力を行ってきたところであります。

 なお、御案内のとおり、この研究会の報告書の内容は、国土交通省の運賃等の認可申請の審査基準に反映されるとともに、「タクシー運賃の今後の審査のあり方について」と題しまして、その概要が国土交通省のホームページに掲載され、広くその内容が周知されているところでございます。

 以上でございます。

鷲尾委員 公式にはそれだけですか。日常的に連携をしているということよりは、今の、その審議会で話をしたということだけですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な形として申し上げられるのは、今申し上げた研究会報告書に対する助言でございます。

鷲尾委員 それでは、国交省さんから、公正取引委員会さんと協議をしているというのはどういうものがあるか、教えてください。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、公正取引委員会と常に必要な連携強化は図ってきておりますが、個別のケースにつきまして具体的なお話をいただくということまでは至っていないと承知をしております。

鷲尾委員 必要な連携強化を行っているというところの、その必要なものを本当にやっているのかどうかというのは、皆さん方の主張をそのままうのみにすることはできないわけですよ。というのは、現実、いろいろな問題が起こっておりますので。

 ちょっとその質問に入る前に、自動認可運賃について一律一〇%としておったわけです、今まで。それを、この特措法によって、地域の実情に応じて五%から六%にすることも可能だという形で改正をしているわけですけれども、その趣旨についてお聞かせください。

田端政府参考人 ただいま御指摘のとおり、自動認可運賃の幅につきましては、地域の実情に応じて五から六%に縮小しているところでございます。

 特措法施行前は、自動認可運賃の幅は全国一律で上限から一〇%としておりましたが、これは、幅運賃制度を導入した平成九年当時、地域によっては現に一〇%程度の運賃の幅が存在し、それが、当時の経済社会情勢や需給バランスなどの諸条件の中で、労働条件の悪化やこれに伴うサービスの質の低下などの問題を特段生じていないという状況を踏まえて設定されたものであります。

 これに対し、特措法が制定された平成二十一年の時点では、多くの地域で下限運賃採用事業者の収支率が一〇〇%を下回っているケースが多くなっており、全国一律一〇%という自動認可運賃の幅の設定方法が必ずしも合理的とは言えない状況となっておりました。

 そのような状況を踏まえ、特措法施行時においては、道路運送法第九条の三第二項第一号において、適正な原価に適正な利潤を加えたものと読みかえられたため、この自動認可の幅を五から六%に縮小することといたしたものでございます。

鷲尾委員 そういう事情に基づいたんでしょうけれども、その上で、特措法でもそうでしたけれども、下限割れの事業者について個別に厳正な審査を行うということをあえて明記しているわけですね。この個別審査というのはどういう内容で、これまでの実績はどうなのかということもお聞かせいただきたいと思います。

田端政府参考人 下限割れ運賃について、それが適正な原価に適正な利潤を加えたものとなっているかどうかを審査するに当たっては、まず、申請に係る原価について、個別の費目ごとに、それが輸送の安全、利用者の利益の保護など、道路運送法の目的に照らして不適切なものとなっていないかどうかという観点で、慎重に審査を行っています。

 審査対象の費用項目でございますが、このうち運転者の人件費については、地域の標準的、能率的な事業者の平均給与月額の平均を指標として査定をしており、事業者の申請値がこの平均を下回っている場合は、平均を採用する方法などにより査定をしております。

 また、それ以外の費用につきましては、安全、サービスの確保に必要な経費、これは車両等の修繕費とか車庫などの償却費でございますが、またあるいは公租公課、これは諸税、保険料、事故賠償費など、こういうものにつきましては、原則として、これも地域の標準的、能率的な経営を行っている事業者の走行キロ当たりの原価に基づいて査定をするということをしております。一方、その他の経費につきましては、申請事業者の申請値に基づいて査定をしております。

 このような査定をきちっと行った結果、平成二十一年十月一日時点では全国で千二百八社ありました下限割れ事業者が、平成二十五年十月一日時点では三百七社となったところであります。

鷲尾委員 ぜひその審査の結果で、それは私の立場からいえばいいことだと思っています。その上で、もうちょっと雇用者の所得が上がっているという結果がつけばなおいいんじゃないかというふうに思っています。

 それで、下限割れ運賃を採用している事業者、これを国交省さん、それから公正取引委員会さんがどう認識しているのかということをお聞かせください。

田端政府参考人 下限割れ運賃につきましては、労働条件のさらなる悪化、あるいは事業の収益基盤の著しい悪化や不当な競争を引き起こすおそれがあることなどを踏まえて、厳格に審査を行っているところであり、今後もこのような観点から厳格に審査を行っていくこととしております。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 下限割れ運賃を採用している事業者についてのお尋ねがありました。下限割れ運賃につきましては、一般論として申し上げれば、安全確保等の観点から毎年行われる国土交通省による厳正な審査、今お話が出ましたが、この厳正な審査を経るということを大前提といたしまして、事業者が事業の効率性を向上させることにより、より安い運賃でサービスを提供することは、独占禁止法が想定している競争の一つの成果であると考えております。

 したがいまして、下限割れ運賃自体は、いわゆる不当廉売に該当することとならない限りは、独占禁止法上は問題とならないものと認識しております。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 それでは、新潟の状況についてお聞きしたいと思いますけれども、新潟交通圏のこれまでの状況、特に全国の状況と比べたものも含めて、自動車局長から御答弁いただきたいと思います。

田端政府参考人 新潟交通圏について、まず車両数の動向で見ますと、平成十三年の道路運送法の改正による規制緩和時点の直前の千三百二十五両が、平成二十四年度末では千七十八両へと約一八・六%減少しております。

 これは、同時期に全国では約六・四%の減少ということでございますので、全国平均をかなり上回るペースで減車が進捗しております。

 一方、一台当たりの収入で見ますと、新潟交通圏では、平成十三年度の一日二万七千百七十一円が、平成二十四年度末では二万五千四百三十五円と約六・四%減少しております。

 これも、同時期に全国では約一〇・三%の減少でございますので、減少幅では全国平均を下回っているところでございます。

鷲尾委員 全国的に見て今おっしゃるとおりではあるんですけれども、随分、その前に、老舗のタクシー会社さんも何社か倒産したり、そういった、もう耐えられなくなって、ある意味、競争が激化して、それこそ特措法の改正を待たずに大変な状況に立ち至った。ある意味、その効果が特措法後に出てきたというところもあると思いますし、新潟の状況というのは、正直申し上げて大変厳しい状況にあると私は認識をしております。

 その上で、実は、カルテルという形で今審判をされているところでありますけれども、公正取引委員会さんがそれこそ排除措置命令を出して、課徴金の納付命令を出している。それに対して今審判が行われているというところでございますが、ちょっとこの件についてお話をしたいというふうに思いますけれども、新潟のカルテルの事件につきまして、これはまだ審判中でありますけれども、先ほど来、三日月先生からも不幸な事件という形で言及されておりますけれども、事情を知れば知るほどせつなくなる状況なわけでございます。

 というのは、特措法改正によって、それこそ新潟のタクシー業界の状況は、これはもう福音だと。つまり、今まで過当競争、それこそ公正取引委員会さんからも、下限割れ運賃は不当廉売であれば問題だという話をされていましたけれども、まさしく不当廉売と業界内では思ってしまうほど過当競争が行われていて、実際に何社かタクシー会社さんも倒産をしたというところの中で特措法ができたということで、今ほど来議論をさせていただいた自動認可運賃も、地域の実情に応じて五%から六%の幅にセットされるというところもこれあり、事業者さん相互にいろいろと協議をしながら、では我々の適正な価格というのは何たるやということを当然ながらある程度協議をするという事態に立ち至ったわけであります。

 それは、もちろん国交省さんの指導にもそのような指導があったわけでありまして、長岡あるいは新発田で特措法の説明が行われたときに、運輸当局から、法の施行の趣旨からいえば、私どもからは自動認可の幅運賃のところへ移行してくださいというお願いと指導をしていく形になります、指導に従わない方については調査を求めるとか監査をするとかいう措置がとられるかと思いますと。この調査や監査というのは今ほど来国交省さんでおっしゃっていたとおりです。旧運賃そのものを否定するものではないけれども、だからといって、立場的には旧運賃でいいですとまでは言えないので御理解ください、とにかく新ゾーンに入っていただければと考えていますと。運輸当局が新潟の事業者に対しての特措法の説明ということで、今申し上げたような説明をしているということであります。

 またあるいは、地域協議会の現場でも、タクシー適正化・活性化法により運賃の認可基準が改正された趣旨や経緯等を踏まえて、安全性等を確保するために適切な運賃基準というものが確保されるよう、適正化に向けた個々の事業者に対する自動認可運賃への移行を促す指導は行ってきているということなわけであります。

 こういうことを運輸当局として事業者に対して発言されているということなんですね。そういう指導があれば、業界でさまざまな相談をして、自動認可運賃に移行をしようとするのは当然なわけであります。

 しかし、自動認可運賃に移行しようとしました、そして実際に新潟市の業者さんは移行したわけであります。長引く過当競争、同業者も倒産していく、その中で特措法ができた、運輸当局からも指導があった、だからこそ、事業者同士で自動認可運賃に移行していこうということの協議を行ったわけであります。ところが、公正取引委員会さんからは、それを、共同して価格決定をした、これはカルテルであるということで、排除措置命令がなされたということであります。

 これは、私は、事業者の立場からすれば、ちょっと待ってくれと。政府は、特措法が成立をして、それで運輸当局からも自動認可運賃に移行してくれという指導があったにもかかわらず、であれば、当然なおのこと、業界内で運賃に移行しようねという協議はあってしかるべきだけれども、それに対して、片一方で公正取引委員会さんからは、これはおかしいという指導がなされた。指導どころじゃありません。もうこれは排除措置命令という、課徴金納付も命令されているわけですから。

 これは、国交省さんが言っていることに従いながらやっていることが、逆に公正取引委員会さんからは明確に否定されるということにほかならないわけでありまして、事業者の環境としては、一体何なんだこれはと思わざるを得ないと私は思います。

 市場原理というものを適切に働かせるために公正取引委員会さんは恐らくはそういう排除措置命令を行ったんだと思います。それは適切な捜査があったんでしょうし、事実認定についてここで云々するつもりはありませんけれども、私が今ほど附帯決議のことまで持ち出してここで申し上げているのは、こういう事態を避けるために必要な連携を行うんじゃないんですか、そのために附帯決議を行ったんじゃないんですかということなんです。必要な連携を行っているというけれども、結果として、こういうことが起こった時点で、必要な連携を怠っていたと言われても仕方がないじゃないかということなんです。

 その点を、後で答弁を求めたいですけれども、そういう事情も含めて、公正取引委員会さんも、こういう状況に立ち至った状況まで含めて、この状況をしんしゃくした上でやはり審判に臨んでいただきたいと思います。

 きょうは、国土交通委員会でありますけれども、公正取引委員会の杉本委員長にもお越しいただいております。そのことは、他委員会であるにもかかわらずお越しいただいたのは感謝を申し上げたいと思いますが、この件について一言おっしゃっていただきたい。お願いします。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 御指摘の新潟のタクシーの件に関しましては、新潟市等に所在するタクシー事業者が共同して、小型車のタクシー運賃を新潟交通圏に係る自動認可運賃の下限運賃として公示された額とすること等合意していたという事実が認められましたことから、独占禁止法第三条、不当な取引制限の禁止の規定に違反するものといたしまして、タクシー事業者二十五社に対しまして、行政処分でございます排除措置命令及び課徴金命令を行ったものでございます。

 私どもは、独占禁止法を厳正に執行する立場にございまして、こうしたものはまさに独占禁止法で禁止されております価格カルテルに値いたしますので、そういった形で独占禁止法の執行をしっかりとしていかなければいけないという立場から対応しているものでございます。

 本件につきましては、具体的には、処分後に十六社から審判請求が行われまして、現在審判手続の係属中でございますので、個別の審理状況についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

鷲尾委員 これは公正取引委員会さんも国交省さんも、必要な連携を怠っていたんだという認識になってもらわなきゃ困ります。こういう事件があるわけですから。

 今、この特措法をさらに改正するということでいろいろな協議が進んでいると承知しています。この特措法改正に当たってさまざま協議をする中で、お見せすることはできませんけれども、正直これは、ここまで線引きをしっかりしなきゃ事業者の皆さんも大変だろうなというところまで線引きをしなきゃいけない。これをなぜ前回の特措法改正のときにできなかったかと思うわけです。

 今回、強制措置を設ける、あるいは独禁法適用除外規定を設けるということが、そもそも現場で必要な連携がうまくできていなかったということの証拠であるし、なお一層この改正を機に連携を深めていただかなければ、第二、第三の不幸な事案もある、私はそう思っています。

 それに加えて、最後、また申し上げますけれども、新潟市の案件につきましては、公正取引委員会さんにも本当にお願いしたいですけれども、こういった事情はぜひともしんしゃくをして今後取り組んでいただきたいというふうに思うところであります。

 最後、もう質疑時間が終了したので、ちょっと言いっ放しになっちゃいますけれども、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次回は、来る八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.