衆議院

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第4号 平成25年11月8日(金曜日)

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平成二十五年十一月八日(金曜日)

    午前九時三十六分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    越智 隆雄君

      大西 英男君    勝俣 孝明君

      門  博文君    川田  隆君

      熊田 裕通君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    林  幹雄君

      原田 憲治君    ふくだ峰之君

      藤井比早之君    前田 一男君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    泉  健太君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      松原  仁君    三日月大造君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      松田  学君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君    柿沢 未途君

      亀井 静香君

    …………………………………

   議員           赤澤 亮正君

   議員           金子 一義君

   議員           菅原 一秀君

   議員           渡辺 博道君

   議員           三日月大造君

   議員           若井 康彦君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      中島 秀夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  井林 辰憲君     川田  隆君

  佐田玄一郎君     熊田 裕通君

  長坂 康正君     青山 周平君

  林  幹雄君     越智 隆雄君

  原田 憲治君     新谷 正義君

  務台 俊介君     藤井比早之君

  後藤 祐一君     松原  仁君

  松田  学君     上西小百合君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮内 秀樹君

  越智 隆雄君     林  幹雄君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  川田  隆君     井林 辰憲君

  熊田 裕通君     佐田玄一郎君

  新谷 正義君     原田 憲治君

  藤井比早之君     務台 俊介君

  松原  仁君     後藤 祐一君

  上西小百合君     松田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

十一月七日

 交通政策基本法案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(金子一義君外六名提出、衆法第二号)

 交通政策基本法案(内閣提出第一七号)

 交通基本法案(三日月大造君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三八号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 金子一義君外六名提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省自動車局長田端浩君、公正取引委員会事務総局経済取引局長中島秀夫君及び厚生労働省大臣官房審議官大西康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上西小百合君。

上西委員 日本維新の会、上西小百合でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私の地元大阪では、初乗り六百六十円の通常料金のタクシーと並行して、乗車賃が二割程度安い格安タクシーが随分走っております。そして、その業者さんたちは異口同音に、タクシー特措法さえなければ、人件費や労働環境を劣化させるどころか、よりよい待遇で乗務員を雇い、さらなる低運賃設定や台数増加も可能だと断言されています。

 ワンコインタクシーと呼ばれる大阪の格安タクシーは人気があり、そして、新大阪や伊丹空港の車列には並んでいないので、大阪以外の委員の皆様にはなかなか御理解いただけないかもしれませんが、大変に需要が高く、流しのタクシーを拾うときでも、ワンコインタクシーが来るのを待って手を挙げるのが主流のような現状でございます。

 私は、その実態を知っているがゆえに、そもそも、郵政改革を初めとして国民に絶大な支持を得た小泉構造改革を評価し、そしてさらなる規制緩和を求める立場ですので、二〇〇九年十月のタクシー特措法自体に疑問を抱いており、今回、さらに都市部を中心とした特定地域で、二〇〇二年の規制緩和が完全に潰れるにも等しい今回の提出法案がそのまま成立して運用されることには慎重な立場であることを最初に表明して、順次、通告に従って質問をさせていただきます。

 今回の改正法案は、規制緩和の度が過ぎて、特定地域でのタクシーの台数が過剰になり、一台当たりの売り上げが減ったという前提で提案をされています。しかし、本当に二〇〇二年の規制緩和に問題があったのでしょうか。タクシー営業をする者は、小泉構造改革の流れの中で、認可制から事前届け出制への変更が行われ、新規参入のハードルが低くなりました。それで、タクシーの数がふえ過ぎ、乗務員の賃金が減少し始め、ワーキングプアの典型例になったというのが国交省の説明でございます。

 しかし、長期不況や、とりわけリーマン・ショックという劇的な景気後退は、何もタクシー業界に限ったことではございません。ほかの業界も同じことです。また、地下鉄南北線や大江戸線、あるいは東横線の相互乗り入れなど、交通インフラの整備も乗務員の給与に影響を及ぼしているので、一概に、規制緩和が要因である、そういったようには言えないように思います。

 また、従来から日本の首都東京のタクシーには、英語が通じる乗務員がほとんどおらず、ドルやユーロでの支払いもできず、しかも世界最高水準の高い料金だと世界からやゆされています。多くの国民の熱意が通じて二〇二〇年には東京オリンピックも決まったのに、このようなありさまでいいわけがないと思います。ハイブリッド車の導入、燃料仕入れのロットの見直し、型式変更など、営業努力さえ怠らず、そして薄利多売精神を貫けば十分採算ベースに乗ると思われます。

 法案提出者の先生から、なぜ、それでもあえてタクシー業界だけを特別視した規制強化の方向へ進むのか、その理由をお聞かせ願えますでしょうか。

金子(一)議員 タクシー業界だけなぜというお話がありました。

 我々も、三党でいろいろな議論をしている過程で、居酒屋がふえたから減らせというのかよという御意見から、飲食業がふえたから減らせという議論まで多々ありました。

 タクシーについては、一番我々三党が位置づけておりますのは、タクシーは公共交通機関の一環である、そういう意味では利便者、利用者の輸送の安全を守るという大事な観点が損なわれるようなことがあってはいけない、これが我々の議論の出発点であります。

 二〇〇二年の小泉改革を非常に評価していただいてありがたいと思っておりますが、この二〇〇二年の規制改革後の状況を見ていただければおわかりになると思いますが、一貫したデフレ現象によってお客さんがどんどん減る、つまり需要が減少していく、ところが、タクシー業界の特性でありますけれども、労使双方で決めていただいている賃金体系が歩合制であるということに起因いたしまして、売り上げが減少すると増車をする、供給を増加して売り上げを補填しよう、カバーしようという行動になりがちで、現実になってまいりました。

 したがって、二〇〇二年以降、その供給の過剰、需要は引き続きデフレによって減少、その間起こったことは、結果として運転手さんの労働条件の悪化と給与水準の低下。今でも、全産業に対しての運転手さんの給与水準というのは、残念ですけれども、およそ六割、三分の二程度にとどまってきている。

 これをやはり、規制緩和という流れの中で、前提として何とか今の状況というのを改善していきませんと、つまり供給過剰というのを是正する、特に供給過剰が起こっている地域でありますけれども、これについては是正していきませんと、今冒頭に申し上げた、本来の公共交通としてのタクシーの利用者に対する安全というのが守られない。

 ちなみに、世界一高いという御意見がありましたが、決して現実にはそうではありませんで、確かにシンガポール等々に比べて高いかもしれませんけれども、他の先進国に比べて決して高い水準ではありませんし、それから、オリンピック、ブエノスアイレスでクリステル滝川さんが言ってくれたように、日本のタクシーのサービス水準はある意味世界一であるというふうな状況にはなってきているんだと思います。

 したがって、今回の法案の目的でありますけれども、供給過剰が行き過ぎてなかなか改善しない地域については、原則の自由化というものはその枠組みは崩さずに、特に供給過剰が著しい地域について、一定の期間に限定して供給過剰を抑制する方法というものを三党で検討し、御提案をさせていただいているところであります。

上西委員 ありがとうございます。

 今、先生の方から、安全性そして需要減少ということでいろいろ御意見をいただきましたが、安全性ということ、また公共ということでしたら、タクシーと同様に公共性のある航空業界でも、規制緩和の結果、LCCなどで格安に安全に運航されて、国民に、消費者に大変喜ばれているわけですから、公共のために安い運賃設定が認められないのは理にかなわないのではないでしょうかということを私は思いますし、そして、先ほど大阪の例を申し上げましたが、消費者は安ければ利用しやすいんですね。消費者がタクシーを気軽に利用しなくなる、高いと消費者は気軽に利用できませんので、そういったことがタクシーの需要の低下につながっているのではないかと思っております。

 後にも述べさせていただきますが、私は、このように、タクシー産業だけを特別視し、過度な規制強化をしなければならないほどタクシー産業だけが落ち込んでいるわけではないと思いますし、そして、この法案が地域を限定し、一時的な応急処置だと今おっしゃっていただきましたので、それでしたら、しっかりと規制強化を解除する基準などを明確にしていただきまして、しっかりと対応していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、次に参ります。

 かつて私は、総務委員会でも特措法について質問をしたことがあり、乗務員の皆さんの収入が二十年ほど前とほとんど変わらないか、減っている、そういった説明を受けました。

 しかし、私が知っているだけでも、大阪市のタクシー会社が、バブル期とはいえ、福井県に巨大な仏像を建立し、そして、固定資産税を地元に落とすためにあえて宗教法人を名乗らず、趣味は納税ですと見上げた心意気を示してみたり、守口市のタクシー会社が二十四億円を超える相続税を脱税したニュースも記憶に新しく、とてもタクシー業界がもうかっていないとは思えません。何をもってタクシー業界が疲弊しているとみなしているのでしょうか。

 帝国データバンクの情報や、上場されている会社ならば会社四季報を調べましたが、株価や収益が規制緩和の前後でさほど急落しているようには思えないのですが、国交省は各社の経営状況をどのように踏まえ、どのように把握され、認識されていますか。私の述べたエピソードも踏まえた上で御回答をお願いします。

田端政府参考人 国土交通省におきましては、タクシー事業者の経営状況は、タクシー行政を進めていく上で大変重要な指標と位置づけておりまして、道路運送法に基づいて、毎年度各社から事業報告書を提出していただき、各社の事業実績のうち、このタクシー事業にかかわる部分について把握をさせていただいております。

 その中、例えば平成二十四年度の大阪市域交通圏におけます百六十六者の経営状況を見ますと、タクシー事業部門で赤字となっている事業者の割合は、事業者数ベースでも、また車両数ベースでも五〇%を超えており、依然として厳しい経営環境にあるものと認識しております。

上西委員 ありがとうございます。

 今、車両数ベースとか、さまざまなことをいただきましたが、普通、企業の状況を見るのは、株価、収益、それを見るのが当たり前だと思うんですね。

 そして、乗務員の給料が少ないということを先ほどから何度もいただいておりますが、私は、乗務員の給料が少ないのは企業が乗務員に利益を還元していないからだ、そういうふうに感じております。

 それでは、次に参ります。

 タクシー業界には赤字会社の中小零細企業が多いと国交省から伺っております。国土交通省の旧建設省のセクションでは、建設業の入札において、経営事項審査、通称経審により業者をランクづけし、赤字が続く企業はおのずと入札から排除されるシステムを徹底しています。弱者を保護し、救済する必要性は十分に理解はできますが、その同じ役所なのに、旧運輸省のセクションでは、赤字が続く企業の主張ばかりを聞き入れ、黒字会社の格安タクシーの意向には耳をかしていないのが現状であり、整合性が感じられないところです。なぜそのような矛盾が生じているのでしょうか。

 また、タクシーにおいては、経営の関係ではありますが、運賃規制がありますが、運賃規制のベースの考え方を教えてください。

 また、保有台数、従業員数によるものだとは思いますが、タクシー業界の大企業、中企業、小企業のカテゴリーをお教え願います。

田端政府参考人 タクシー事業につきましては、運転者の賃金が歩合制となっているため、この運賃収入が労働条件に直結し、輸送の安全やサービス水準をも大きく左右すること、したがって、経営が安定していることが安全確保上も極めて重要であることなどの理由から、道路運送法では、輸送の安全の確保及び利用者利便の保護の観点に基づき、運賃については国土交通大臣による認可制としております。

 認可の具体的な手続については、膨大な数の事業者が存在するために、全ての事業者の運賃を個別に審査することは困難であることから、地域ごとに、道路運送法に定める認可基準に適合すると考えられる一定の金額の幅を自動認可運賃として設定し、事業者から申請が出されれば自動的に認可する方式で運用しているところでございます。

 また、道路運送法上、タクシー事業について大手や中小零細の制度的な区分というものはありませんが、自動認可運賃を設定する場合に、車両数の規模に応じたカテゴリーごとのコストの差を適切に勘案しております。この場合の大手、中小零細の区分は地域によって異なっております。例えば東京地域でいいますと、大規模事業者は百一両以上、中規模事業者は五十一両以上として区分しております。

上西委員 済みません。先ほど、国交省内の矛盾、どうしてこういった矛盾が生じるのかということにもお答えいただけますでしょうか。

田端政府参考人 各事業につきまして、タクシーの事業のそれぞれの特性、あるいは他の建設関係の事業の特性、それぞれを踏まえて、制度的な担保が必要なものは担保を生ずるというようなことで、事業特性を踏まえた、いわゆる制度あるいは行政運用というもので行政運営をしております。

上西委員 ありがとうございます。

 事業特性ということなんですが、その事業特性というのはどういったことなんでしょうか。

田端政府参考人 この事業の特性は、タクシー事業につきましては、タクシーに関しまして、まず給与体系、歩合制であることという御説明が提案者からもございました。また、事業を拡大していく場合に、投資が比較的容易な形で進められていくというような点などを含めて、タクシー事業につきましては、道路運送法の中で、輸送の安全確保というものが利用者にとって一番大事な点でございますので、これを踏まえた形で、先ほど申し上げました自動認可運賃というような仕組みなどによって安全の確保を担保することとしております。

上西委員 ありがとうございます。

 利用者の安全確保ということで先ほどからおっしゃっていただいております。私も先ほど述べましたが、安全確保を公共性というのでしたら、航空業界はどういうことなんでしょうかということになりますが、次に移らせていただきたいと思います。

 法案中、強制力がある供給削減措置を導入しております特定地域について、より細かい調査をし、さまざまな角度からの検証をして指定すべきことは言うまでもありませんが、特定地域の指定について、提出者のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

渡辺(博)議員 委員御指摘のとおり、本法案の特定地域においては、新規参入や増車が禁止されるとともに、強制力のある供給削減措置が導入されるなど、供給過剰を早期に解消するための効果的な措置が導入されることとなっております。

 このような特定地域においては、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、法令違反等の不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力を削減しなければ地域公共交通としての機能の十分な発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要な地域と規定しておるところであります。この供給過剰が実際に発生しているということが要件でありまして、明確に位置づけられております。

 したがって、改正後の特定地域は、現行の特定地域のうち、より厳しい客観的な基準により供給過剰が実際に発生していると認められている地域のみ指定されることを想定しており、国土交通省においてそのような基準を新たに作成し、適切に運用してもらうことが必要であると考えております。

 また、特定地域の指定に際しては、地方公共団体の長が国土交通大臣へ要請できることとされているほか、第三者による公平かつ合理的な判断を担保することを目的として、運輸審議会への諮問を経て、国土交通大臣が指定する制度となっております。

 このように、特定地域の指定につきましては、客観的で厳格な基準と第三者機関によるチェックを通して、安易な指定や恣意的な指定は行われない仕組みとなっているわけであります。

上西委員 ありがとうございます。

 しっかりと明確な基準が設定されるということですが、この指定がタクシー業者の営業権にさらなる規制を及ぼすことになるわけですから、安易に特定地域をふやしていかないように、必ずしっかりとした平等な精査をお願いして、次に、減車規制に関してお伺いしたいと思います。

 この法案では、各企業に対してどのように減車を課すのでしょうか。私は、逆累進で零細企業の減車数、率、そういったものはゼロないしは極力小さくし、大きい会社の減車数、そして減車率を大きくすればいいと思います。要するに、さまざまな条件を勘案して、一律ではない減車率を用いていただきたいのですが、減車率の設定方法をお聞かせください。

渡辺(博)議員 本法案では、特定地域においては、協議会における協議、合意を経て作成され国土交通大臣の認可を受けた特定地域計画及びこれに基づいて個々の事業者が作成し国土交通大臣の認可を受けた事業者計画に基づいて、必要な場合には法的な強制もできる形で、減車や営業方法の制限による供給削減の取り組みが行われる制度となっております。

 この場合、事業者ごとの具体的な減車等の供給削減の規模や方法については、必ずしも全ての事業者について一律の割合で規定する必要はなく、個人タクシー事業者を含めてさまざまな規模の事業者が参加する協議会の場において、個人や中小の事業者の意向もよくよく伺いながら、協議や合意の手続が進められることを想定しております。これによりまして、協議会に参加する事業者のカテゴリーごとの事情や意向などが特定地域計画にしかるべく反映されることとなります。

 特定地域計画に定めることとなる供給削減の具体的な規模や方法については、一律の割合による削減以外に具体的にどのようなパターンがあるのか、協議会での検討が円滑に進むように、国土交通省において、参考例などを盛り込んだガイドラインを作成して示してまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 協議会でしっかりと規模とかを勘案して決めていただくということですが、資本主義社会の原理に逆行して国がこのたび業者に強制規制をかけるわけですから、努力している者がしっかりと報われるような方針で勘案してくださるように強く要望させていただきます。

 また、特定地域ごとに設定される最低車両数を下回る減車を課すのは余りにも残酷で理不尽だと考えますが、このあたりのお考えをお聞かせください。

渡辺(博)議員 特定地域ごとに設定される車両数につきましては、協議会において特定地域計画に基づいて行われる供給削減のうち、減車については、地域ごとに設定されている最低車両の台数の範囲で行われるものとしております。必要に応じて、特定の曜日や時間帯を休業するという営業方法の制限と組み合わせて行うことと想定しております。

 この点につきましても、国土交通省が作成するガイドラインにしっかりと盛り込んでもらい、周知、指導をしてもらいたいと考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 中小零細企業にとりまして、減車の規制、これは企業存続の危機にかかわる大変重要な事項でございます。日本の産業、そして経済のことを本当に考慮しながらの御対応をお願いしたいと存じます。

 それでは、次に距離規制に関してお伺いします。

 関越自動車道での高速バスの事故以来、ドライバーの一日の走行距離を規制し、例えば、岡山で新幹線からおりられなかった方が、新大阪で気づいてタクシーへ乗って帰ろうにも、距離制限のために岡山までタクシーを走らせることもできないのが現状です。

 乗客の安全面への配慮という反面、二十一時間連続勤務をして、そういった勤務が容認されることに私は整合性を見出すことができないわけですが、さらに、長距離を乗りたいお客さんのニーズに応えられないことにもなると思います。本当に安全性、そしてお客さんのニーズに応えるのでありましたら、連続運転時間制限を短縮し、逆に走行距離制限はより緩和させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 加えて、そのような中で、今、国交省は、タクシー規制に関する裁判で敗訴が続いております。ことし七月には、二百五十キロの最高乗務距離制限も否定されました。司法府のその判断をどのように受けとめていらっしゃいますか。お答えください。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘がありました行政訴訟の関係では、タクシー関係で、全国で約二十七件、行政訴訟が係争中であります。国土交通省におきましては、関係当局と連携しながら、一つ一つにつきまして、利用者にとって安全で利用しやすいサービスを確保する観点を十分に踏まえながら、丁寧に対応していくこととしております。

 御指摘の本年七月四日の大阪地裁の判決で、道路運送法に基づいて近畿運輸局長が大阪市などの地域に設定いたしました最高乗務距離ということで、二百五十キロということでございますが、この規制について、その違法性の有無が争われたものでございましたが、この判決では、まず、タクシーの最高乗務距離規制そのものは、輸送の安全の確保という立法目的に照らして必要かつ合理的であり、また、大阪市などへの適用についても、近畿運輸局長による合理的な裁量に基づくものと認められたところでございます。

 しかしながら、近畿運輸局長が設定いたしました乗務距離の最高限度の数値につきまして、計算方法の面で合理性を欠き、違法であると判断されたところでございます。

 この判決を受け、現在、近畿運輸局において、大阪市などにおけます最高乗務距離の算定の見直しの検討をしているところであり、適切に対応していきたいと考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 しっかりと、司法の判断を勘案して、正しく、本当に自由に、公平な判断をお願いしたいと思います。

 そして、先ほど勤務時間のことを申し上げたので、ちょっと質問をさせていただきます。

 タクシーの台数を減らせる減車は、実は企業側に大変メリットがあるようです。大手の必要台数がその分減り、遊んでいる車を処分でき、購入資金が節約でき、車検代、修繕費も大幅カットできるなど、コスト削減が可能になるというわけです。

 おまけに、大手企業では一台のタクシーを二名の乗務員で交互に乗るわけですから、タクシーは毎日毎日二十四時間、フルに稼働して会社へ利益を入れる。乗務員は二十一時間連続勤務して、翌日は完全にオフ。ですから、一月働ける日数が自然と減ってしまい、歩合制でもあるので手取りが少なくなる。その悪循環のようです。

 格安タクシーでは、ほとんど、世界一ステータスが高いとも言われるイギリスのタクシーのように、一乗務員が一台のタクシーを任されています。それにより、乗務員は一日十二時間前後の就労をし、翌日も翌々日もきっちりと働けるので、最低でも一カ月に二十二日は出勤でき、収入が高い。これは現実のようです。

 タクシー一台を一人の乗務員が担当する、そういった方式へ転換すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

田端政府参考人 ただいま御指摘いただいた点でございますが、まず、タクシー事業者の遊休車両の有無でございますが、これは各社の稼働率によって見ることができると思いますが、例えば東京地区ですと、稼働率が平均で約八五%に達するなど、事業者間の稼働率の差は東京地区ではそれほど大きいものではなく、したがって、車両数の多い事業者が減車にメリットがあるということにはならないのではないかと考えております。

 また、御指摘ありました、タクシー一台を何人の運転者で運行するかということにつきましては、これはタクシー事業者各社の経営判断であると考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 時間もなくなってきましたので、最後になりますが、日本は資本主義で、そして憲法でも営業権や自由競争が保障されています。独占禁止法がある中で、その適用除外にするのも強権的ですし、正真正銘のカルテルを認めるわけにはいかないと私は思います。

 そして、公定幅運賃制度……

梶山委員長 上西君、既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

上西委員 はい。最後に一言だけ申し上げます。

 安倍総理も所信表明で、「あらゆる分野において、フロンティアに挑む企業には、新たな規制緩和により、チャンスを広げます。」こういった発言をくださったにもかかわらず、このような規制強化の法案が出てくることは本当に残念でなりません。この法案が成立してしまうのであれば、この法案が応急手当てで……

梶山委員長 終了してください。

上西委員 一時的なものになることを願い、そしてまた、附帯決議をつけていただき、それが自由、平等な機会が保障される社会を目指す、そういった方向に運用をいただくようにお願いをいたします。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願いします。

 まずもって、今回の議員立法に尽力されている先生方に、タクシー業界で働く皆様方の職の安定であるとか、そういった心配りをされていることに心から敬意を表し、同じ思いであるという前提の上で、いろいろな側面から質問をさせていただくことをお許し賜りたいと思います。

 そもそも、この交通行政というのは、単に経済合理性だけというわけにはいかないのがこの交通行政の難しさであり、今の上西さんの御質問にもあったかと思いますが、バスの事故がございました。そして、我々が議論をよく重ねようとしている、また、これから集中審議もお願いしようとしているJR北海道の問題であったり、あるいは航空機事故も、日航機事故から時間はたちましたけれども、決して忘れてはならない。こういった難しい側面を持っているのが、経済的側面だけでないのがまさしくこの交通行政であると思っております。

 タクシー業界で働く皆さん方に、私は地元でも党派を超えてよくお声がけをいただき、そして、私の活動のチラシもとっていただく、そんなところも感謝申し上げたく存じます。

 あえて言うと、タクシー業界のことを考えると、ふと、今も話が出たロンドンタクシーであったり、あるいはニューヨークのタクシーを、皆さん乗った経験はあられると思いますけれども、あの運転手さんたちの命というのをまずちょっと考えていただきたいんですが、必ず支払いをするに当たって、防護のプラスチックの厚い板が張られている中でお金のやりとりをするというのが、ニューヨークのタクシーであったりあるいはロンドンの昔からのクラシカルなタクシーであると思います。

 そんな意味からも、ちょっと今回の法案審議にはないと思いますけれども、運転手さんが強盗に遭って亡くなられるという事案が、よく年末にかけて、あるいは時期を問わず、あると思っております。

 そんな意味からも、このタクシー業界にあっては、利潤追求ということも、自由主義社会、資本主義社会の中では当然あるべきことではあるんですが、一方で、冒頭申し上げたとおり、安全、命という点で、乗られる方々の命ということも大切であり、また一方で、ハンドルを握っていらっしゃる方々の過剰労働による危険、あるいは、仕事柄、やはり多くの一見のというか知らない方々を乗せざるを得ないという運転手さんたちの身の危険といったことも十分勘案いただいて、今後の議論になっていくと思いますけれども、やはりタクシーの運転手さんの命を守るための防護というのが、いっとき議論されたと思いますけれども、また忘れられがちだと思っておりますので、ぜひとも、こういった部分の議論も今後は深めていただきたい、私も含めて、深めていかなければならないと思っています。

 また、業界の平均年齢といったものが他業態に比べてかなり高齢化していると言われておりますけれども、時々女性の方々のドライバーを見るようになりました。しかし、この人、若い運転手さんだなという感じの運転手さん、私、決して豊かな活動をしているわけではないので、そんなにタクシーも乗る機会は、タイミングを選んでしか乗りませんけれども、若い方にお会いするということも余りないです。

 そんな意味から、ぜひ、タクシー業界で私は本当にサービスのいい運転手さんになってみたいんだというような思いを持ってくださる若者や若い女性の方々がハンドルを握って、そして命を守られる、そんな業界になっていっていただきたいというお願いを、ちょっと長くなりましたが、申し上げたく存じます。

 それでは、まず、この法案の提出の経緯について確認しておきたいんですが、さきの法案は内閣提出でありましたけれども、今次法案が議員提出法案となった、落語ではございませんが、この心を教えていただきたく存じます。お願いいたします。

金子(一)議員 心は、内閣の提出されました二〇〇九年の法案は、五年間ということで運用されておりますので、来年度以降でないと改定ができてこない。しかし、我々、供給過剰の状況が、二〇〇九年以降、思ったほど進んでいない。つまり、二十一年のときの改正で想定されなかった状況というのが出てきているな。これは一刻も早く手当てをしていきたい。

 もう一つは、今お話がありましたけれども、運転者、従業員の方の賃金というのが、やはり依然として低い。賃金格差、二極化という社会現象について、この問題については、三党とも、閣法の期限である来年を待たずに、一刻も早く供給過剰を解消することによって解決をしていきたい。

 そういう意味で、この両面、想定されなかった状況に対応すること、それから、一刻も早く供給過剰を解消して、賃金格差というものも、ワーキングプアという状況を一刻も早く脱却させていきたいということで、議員立法にしたところであります。

杉本委員 今、金子先生がおっしゃられた賃金の格差の問題、あるいは供給過剰の問題ということで承りましたが、ちょっとデータ的に見ますと、自交総連のデータ、もとの資料は国土交通省さんの陸運統計要覧によりますと、二〇〇七年の二十七万三千七百四十台から、これをピークに、統計のとり方が二〇一一年に変わったようでありますけれども、二〇一三年の数値として二十四万三千二百四十七台ということで、現行法制下でも減少傾向にあるということでございます。

 再度確認でございますが、供給過剰というのが著しいという認識をされているということでよろしいでしょうか。

金子(一)議員 御指摘いただきましたように、二〇〇九年の特措法は、我々も、それなりの効果は認めております。ただ、供給過剰の解消というところに至っていない。

 私、先ほど、二〇〇九年の特措法で、我々が想定していなかった、あるいは気がつかなかったという点は、前回の特措法では自主的に減車ができるという枠組みはつくらせていただいたのでありますけれども、地域によって、減車を協力するところ、あるいは協力しない会社、結果として、減車に協力をしない会社が得をする、減車に協力した会社が損をするという状況、二〇〇九年の特措法ではそういう状況になっておりました。一刻も早く供給過剰を、さらに進めていきたい。

 我々、あくまでも、これは二〇〇二年の原則自由化という社会に戻していきたいということでありますので、この供給過剰をやはり早く、特定地域で、こういう枠組みとして、全事業者が協力して減車をしてもらえるという、やや強制力を持った枠組みを今度提案しているわけでありますけれども、そのことによって一刻も早い供給過剰を脱却していく。

 そして、その結果として、タクシーの運転手さん、働く人の給与水準を、全産業の六〇%あるいは三分の二という格差の存在というのを一刻も早く正していきたいということが、今回、多少減っているけれどもという今御指摘がありましたけれども、さらにそれを有効にしていくために、今回の法案を提案させていただいている次第であります。

杉本委員 それでは、ちょっと視点が変わるかもしれないんですが、今の法律のもとで特定地域に指定されたのは、十月一日現在時点で百五十五地域ということでございますが、今後、この法律が通ったという前提のもとで考えると、どの程度の割合で特定地域と準特定地域に分類される見通しでございますでしょうか。

菅原議員 特定地域並びに準特定地域を指定いたしまして、これまでもお話がありましたように、供給過剰の発生、あるいは供給過剰の発生のおそれなり、その有無を判断するための客観的な基準といたしまして、地域ごとのタクシー事業に係る営業実績の動向や輸送の安全の確保等の状況に関するデータ、こうしたことに基づきまして、こうした基準を設定した上でそれを判断していくわけでございますが、今の状況では、日車営収の状況、あるいは地域で法令違反をしていないかどうか、こうしたことによって、タクシーが地域の公共交通機関としてきちっとその役割を果たせるようなことが、一番今回の法案の中での目的となっております。

 したがいまして、この改正がもしされたとした場合、現行の特定地域のうち、より客観的基準により供給過剰が実際に発生をしていると認められる地域のみが指定されることを想定いたしておりまして、国土交通省におきまして、その当該基準を新たにつくることによって、それを適切に運営をしていきたい、こう考えております。

 したがいまして、準特定地域の指定につきましては、今現行の特定地域同様の基準によって判断をされる、こういうふうにお考えをいただいてよろしいのではないかと思います。

杉本委員 大体の比率を伺いたかったんですが、なかなかやってみないとわからないというところなのかとは思います。

 では、ちょっとさらに、お答えはないのかもしれませんが、法が通った後、法改正後、特定地域となる具体的な地域はどこのあたりとイメージできるのか、改めて、何とか具体的なところを言っていただきたいと思います。

菅原議員 今のは大変肝を得た御指摘だと思うんです。

 今、現行の特定地域をこれから移行するであろう準特定地域とお考えいただいてよろしいかと思います。それでいて、日車営収の状況や法令違反の状況、こういったものを鑑みて、より厳しい基準を用いることによって特定に指定をする。これは、あくまでも国土交通大臣あるいは国土交通省のガイドラインに沿って判断をしていくものというふうに考えております。

杉本委員 なかなかお答えは難しいということで、規制が厳しくなっていくところは、よく調べて慎重にやっていただかなきゃいけない。ある意味ではそうだと思います。

 一方で、ちょっと、今の法律のもとで、直近、この百五十五地域から外れた、解除された地域が三地域ほどあるというふうに伺っておりますけれども、その地域は具体的に言っていただけると思うので、具体的にどの地域が外されて、どのような経緯によって外されたのかを教えていただきたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘ありました三地域でございますが、秋田県横手市、三重県北勢交通圏、岐阜県の東濃西部交通圏、この三地域でございます。

 一旦は特定地域として指定され、その後、協議会によります自主的な減車等が取り組まれた結果、三年間の指定期間が満了した際に、タクシー一台当たりの収入が改善されるなど、指定基準を満たさなくなり、再指定が行われませんでした。

杉本委員 ありがとうございます。

 自主的減車ということが根拠だというふうにおっしゃったんですが、果たして本当にそうなのかどうか。収入が改善したというのが単に減車だけによるのかどうかというのは、少し議論が必要なのかなという気もいたします。

 次に、独禁法の適用除外の根拠についてお伺いいたします。

 今次法案では、一定期間を設けて、それを三年とするということでありますが、一方で、新規参入、増車を禁止するという行為をするということでございます。このことが、一般論的に言って恐縮ですが、適切な市場メカニズムを働かせがたくするということにはならないでしょうか。すなわち、一定の取引分野における競争分野を実質的に制限することによって、旅客の利益を不当に害するということに該当することにはならないでしょうか。このあたりの論拠を、法案提出者と公正取引委員会、それぞれから御意見を伺いたいと思います。

三日月議員 ありがとうございます。

 旅客の利益を不当に害することにならないと思います。逆に、旅客の利益を著しく損なっているから今回の法案を提出した次第です。

 そして、その論拠とおっしゃいましたが、私は、二点、タクシー市場が持つ特性があると思うんですね。

 一つは、後ほど議論の対象になるのかもしれません。タクシー事業では、費用の多くの割合を人件費が占めている。そして、給与の多くの割合を歩合給で運営されているということ。そして、需要が減少している局面でも、供給をふやすことによってそのマイナス部分を賄おうとし、それが長期化してしまうという一つ目の特性ですね。

 二つ目は、この供給過剰に陥っている状況下で過当な競争が行われ、競争そのものを否定するものではないんですけれども、過当な競争によって労働条件が悪化し、さらに、ひいては利用者の安全性を損なってしまう傾向がある。

 そういった傾向に陥りやすいというこの二つの特性からいたしますと、まずは入り口を遮断する、参入できない、増車できない、その上で需要をふやしていく、こういう取り組みが必要だと考え、それぞれに応じた対策を講じさせていただいているところであります。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、供給過剰が発生した地域におきましては、交通渋滞などの交通問題、運転者の賃金の減少に伴う労働条件の悪化、これによります利用者サービス、安全性の低下などが生ずるおそれがあるということを踏まえまして、タクシーの供給過剰を解消し、地域公共交通としての機能を十分に発揮させる、そういう政策目的を達成する観点から、特定地域におきまして、新規参入、増車を禁止し、また、減車等につきまして独禁法の適用除外を認めることとされたものと承知しております。

 本法案は議員立法でございますので、個別の規定について私どもの具体的な御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、新規参入等を制限することによって市場メカニズムの機能を制限するおそれがあるということは、杉本委員御指摘のとおりだと思います。

 ただ、本法案は、今申し上げましたとおり、タクシーにつきまして地域公共交通としての機能を十分に発揮させる、そういう政策目的に立って立案されたものと承知しておりますので、公正取引委員会としては、今申し上げましたこの法案の政策目的を達成する上で、競争に与える影響が必要最小限の範囲のものとなるよう、例えば特定地域の時限的指定等につきまして不断の見直しを国土交通省にお願いしていきたいと考えております。

 なお、本法案では、独禁法の適用除外規定のただし書きといたしまして、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより旅客の利益を不当に害することとなる」場合には、この適用除外は適用されないというふうになっております。万が一かかる事実に接した場合には、公正取引委員会としては、独禁法違反行為として厳正に対処してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

杉本委員 お二方とも明快な御答弁をありがとうございました。非常にわかりやすかったと思います。ありがとうございます。

 新規参入が抑制されてしまうというと、自由な経済社会という点では、やはり危惧があると思います。また一方で、おっしゃっているような労働環境の問題等を考えると、三年と期限を切っているとか、公取さんから不断の見直しをというようなお言葉もございました。考え方としては理解させていただきたいと思います。

 また一方で、ちょっと話はまたそれるかもしれないんですが、安倍政権は、安倍政権の話と違ってこれは国会でございますけれども、全体として規制改革を標榜されていると思いますけれども、そういった中で、数がふえればいいというだけの問題ではなくて、賃金のレベルというのは当然あるわけでありますが、やはり雇用創出の機会を奪ってしまう、先ほど冒頭申し上げた、例えば若い人たちが働いてみようと思う機会を失ってしまう、そういうことにはならないかどうか、御意見をいただきたいと思います。

菅原議員 御指摘いただきましたように、安倍政権のまさに基本的な考え方として、規制改革を進めていく、これは広義においてベースになっております。

 しかしながら、今回、法案の一番の発意といたしまして、平成十三年以来の行き過ぎた規制緩和によって、しかもデフレ状況が続いて、供給過剰になってしまっている。したがって、ドライバーの賃金が下がって、そこにおいてまた、地域においては事故があったりさまざまな問題が生じてきたゆえに、真面目に減車しているところをしっかり担保させ、やっていないところはこれを進めていこう。

 こういう法案の中で、今お話あった、基本的に規制改革の精神を持ちながら、しかし、そこの地域において一定期間、そこの地域と限って、この特定地域、準特定を設けることによって、より良質な、年齢がいっていても健康を維持して体力を蓄えてサービスがいいドライバーもふえてくる。それによって、いっときは減りますけれども、またそこで特定地域が解除になれば、そこにおいて、賃金が上がり、しっかりとした供給体制が整う。

 こういったことを目的としておりまして、そういう意味では、規制改革と新たな雇用の創出、中長期でしっかり雇用が生まれてくるような流れをつくっていきたい、こう考えております。

杉本委員 次に、今の法律のもとにおいても、下限割れ運賃については、黒字を確認するといったような形での厳正な審査基準があって、下限割れ認可を受けた事業者数というものが、ここ四年間で九百余り減少しているという状況にあります。東京ではワンコインタクシーというのは、もう全くと言っていいかほとんどというか、見られなくなっているような状況にあります。

 この今次議論をしている改正法によって、下限割れ運賃に対して変更命令まで許してしまうということは、価格設定の自由度を奪って、価格カルテル的な側面が強くなる。そして、旅客の側の利益や選択肢を減らしてしまうということにはならないかという危惧があります。

 これはちょっと重複する質問になるかもしれませんが、改めて、法案提出者と公正取引委員会から御意見を伺います。

三日月議員 今委員御指摘のとおり、現行の道路運送法のもとでは、タクシーの運賃は、国土交通省において、標準的な事業者の費用水準に適正な利潤を加えて算出される金額というものをベースに、一定の幅を設定いたしまして、その幅の範囲内であれば自動的に認可を行うという自動認可運賃制度というものを採用しておりまして、この幅の範囲を下回る、いわゆる今御指摘のあった下限割れ運賃の申請については、それぞれの個社ベースで厳正な審査を実施しまして、採算性が確保されると判断される場合のみ認可が行われています。

 今回提出いたしました法案では、特定地域及び準特定地域において公定幅運賃制度というのを導入いたしまして、この公定幅運賃を下回る運賃については、国土交通大臣による運賃変更命令の対象になるというふうに規定をしています。

 これは、考え方はそれぞれかもしれませんけれども、個社ベースで採算性が合っているだけでは、実は、安い運賃が存在するということでもって市場をゆがめてしまう。その市場のゆがみによって、ひいては利用者の方々の安全性を損なう過当競争を生んでしまう。この傾向を私たちは是正したいという考えで、この法改正を提出した次第でありまして、先ほど申し上げました歩合制賃金と相まって、やはり運転者の労働条件、そして利用者の安全というものを改善していくために、今回のこの制度をしっかりと運用してまいりたいというふうに思っております。

 なお、公定幅運賃の中での競争によって、例えばサービスですとか、新たな需要の掘り起こしですとか、そういう運賃面ではない部分での健全な競争を促す、私たちはそういうことを求めてまいりたいというふうに思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 下限割れ運賃につきましては、それによりまして、タクシー運転者の労働条件のさらなる悪化、タクシー事業者の事業の収益基盤の著しい悪化等が生ずるおそれがあること等を踏まえまして、本法案におきましては、地域公共交通としての機能を十分発揮させるという政策目的から、下限割れ運賃を許容しない公定幅運賃制度に変更することとされたものと承知しております。

 本法案は議員立法でございますので、この問題につきましても、私どもの具体的な見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいところでございますが、タクシー事業者は、本法案の公定幅運賃制度のもとにおきましても、その範囲内であれば自由に運賃設定ができるため、その点におきまして競争の余地があるものと承知しております。

 仮に、タクシー事業者が、他の事業者と相互に連絡をとり合い、共同して運賃を決定するということなどによりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限した場合には、不当な取引制限として独占禁止法に違反することとなります。

 以上でございます。

杉本委員 今議論に出た賃金の問題なんですが、歩合型の給与体系、最低賃金、こういったものの点検、あるいは労働環境、過剰労働、こういった問題というのは、労働基準監督署の検査によってなされているはずと思っておりますけれども、現行法制下でこれが十分機能しているという理解でいいかどうか。労働基準監督署の職員数などにおいて、十分検査をする要員的に足りないとか、そういった問題があるかないかを厚労省さんに伺いたいと思います。

大西政府参考人 厚生労働省でございます。

 御指摘の点でございますけれども、タクシーなどの自動車運転者の労働条件について厳しいということでございまして、労働基準監督機関におきましては、こういった自動車運転者の労働条件の確保というのを重点対象の一つといたしまして、積極的に監督指導をしているところでございます。

 また、労働基準監督機関と地方運輸機関との合同の監督、監査でありますとか、あるいは最低賃金法などの違反につきまして相互通報制度を実施しているなど、国土交通省とも連携を図っているところでございます。

 委員御指摘の、この厳しい行財政事情のもと、国家公務員の定員をめぐる状況は厳しいところでございますが、自動車運転者の労働条件の確保、改善を図るため、国交省ともしっかりと連携をしながら、効果的、効率的な監督指導に努めているところでございまして、こうした取り組みにより、タクシー運転者の労働条件の確保をしっかり図ってまいりたいと考えております。

杉本委員 ちょっと一つ、いいケースで、会社によって違うぞということも言われる方がいると思いますけれども、南関東のあるタクシーの会社さんは、労務管理を非常にきめ細かくされまして、従業員の運転手さんたちの家の事情というのを丁寧に面談をして、そして、例えば親の介護をしなきゃいけないとか、あるいは、ちょっと離婚をしてしまって父子家庭になってしまっているとか、あるいは、人工透析をしなきゃいけなくてその時間働けないんだとか、そういったところをきちっと把握されて、そして、うまい割り当てでタクシー自体の稼働率を上げて、好決算、ずっと安定経営。

 そして、時間がありませんが、ちょっとだけしゃべりますと、タクシー業界の慣行として、研修を受けて、給料のいい方にどんどん会社を移ってしまう、こういう労働慣行がある中で、その会社については、逆に、あの会社に戻りたいということで従業員が戻ってくる。そして、一台当たり九割を超えるような稼働率で、いい経営をされているという会社の事例を先般聞いたばかりなんでございますが、そういった会社の企業努力といったものもやはりこの業界の中であるということも皆さんに御認識いただきたいと思います。

 ちょっと一方的にお話ししましたが、時間となりましたので、終了いたします。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 提出者に質問します。

 二〇〇〇年の規制緩和の審議のときに、当時の運輸大臣は、規制緩和を行うことによって、それぞれ事業者間の競争、そしてまたタクシーの運転手さんも含めたいろいろな方々が、これからは自由にいろいろな面で競争を導入して対応していくことは、やがてまた新しいタクシーの需要も起こってくる。また、当然労働力を必要とする最も重要なタクシーの事業でございますから、新しい事業が参入してくることは、労働者に対してもまた条件をさらによくしていく方向になっていくと。

 二つのことを言っておったわけですよね。規制緩和を行うことで競争が起きて、新しい需要も起きてくるし、労働者の条件もよくなると言っていた。

 法案提出者に聞きます。

 このように、当時の運輸省が描いていた新しい需要は起きたのか、また、労働者の条件がよくなると言っていたことは実現できたのか、端的にお答えください。

金子(一)議員 端的にお答えを求められました。

 規制緩和そのものが決して間違っていたとは思いませんが、その結果によって、いろいろな弊害あるいは問題点も出てきている、これが我々の反省点であり、今回の法案の提出の趣旨でもあります。

穀田委員 そこで、間違っていたとは思わぬけれどもと言っていたんですけれども、私は、間違っていたと思うんです。

 つまり、二つのことを言っていた。労働条件はよくなる、事業参入もふえる、需要が拡大する、この二つを言っていたんですね。需要は減った、労働者の労働条件は悪くなった、これは間違いではなかったのかと言っているわけです。間違いなんです。

 私どもは当時、需給調整廃止によって供給過剰を一層深刻化させる、こう言っていました。私どもはそう主張しました。規制緩和によってタクシー台数はさらにふえ、一台当たりの水揚げが減れば、それをカバーするために一層の長時間労働を余儀なくされ、安全を脅かすことになると私どもは結論づけて、反対討論をしたわけであります。

 そして、タクシーの適正な車両規制が必要じゃないかと我が党が求めたのに対し、当時の運輸大臣は、この供給過剰の状態というものについては、今日の経済状況として、自由競争の中でそれぞれ工夫を凝らしていくわけだから、タクシー業界そのものは御心配いただいているようなことにはならないと述べた。ここまで述べたんです。

 ですから、間違っていないとおっしゃっていましたけれども、弊害が起きている、政策目的の二つが達成できなかった。私は、これは誤りと言うしかないと。

 問題は、私、〇九年の六月にも参考人質疑で主張しました。政策の誤りが、どれほど多くの方々に被害と苦しみをもたらしたのかということなんです。今、タクシーの労働者は、塗炭の苦しみをなめている。市場の失敗ということでは済まない。利用者の安全、これは人の命がかかわっている問題です。そして、労働者の労働条件悪化、これは生活が成り立たないほど深刻化している。したがって、検証の上、まず真摯かつ真剣な反省が必要だということを改めて私は主張しておきたいと思います。

 そこで、その後の経過を振り返りますと、〇六年七月には交通政策審議会タクシー小委員会報告書が取りまとめられ、そのときに「市場の失敗」という言葉が出たわけですよね。認めた。それで、輸送サービスの質の確保、向上のための新たな仕組みを構築する必要が提起されて、タクシー業務適正化特別措置法改正案となった。それでも改善されず、〇九年、三日月さんと私も含めて、野党で共同して法案を提出する。審議の中でさまざまな議論を踏まえて、全会一致のタクシー適正化・活性化法案が可決されて、改善方向が打ち出された。

 それで、さらにさらに進めると。だから当然、私のところにまず話があってしかるべきなんだが、どういうわけか、相手方に行くというのも難儀な話だなと思って、関西人ってそんなはずやったかなと思ったんですけれども。それは、政権というものに対する甘い汁があるのかどうかわかりませんが、蜜にほだされたかどうかは別として、私は、その後、では、この経過についての評価はどうかという問題について聞いておきたいと思います。

 さっきの話は聞いておいていただいて、その後、タクシーの供給状況、減車の状況、最大の目的であった労働者の賃金などの労働条件の改善はいかなるものかとお聞きしたい。

三日月議員 同志穀田先生と、このタクシーの問題はずっとやってきました。ドライバーさんのみならず、利用者の皆さん、ひいては国民の皆様方の命がかかったテーマだから、しっかりと検討し、改善しようということで、〇九年、一緒に法改正をいたしました。

 その結果、御案内のとおり、当時、二十一万五千台だったんですけれども、二十四年度末時点、昨年度末時点で約十九万五千台ということで、約九・三%の減少。そして、運転者の年間所得、これも特措法が施行された二十一年は、これはマクロの数字で約二百八十万だったものが、翌年から上昇に転じましたが、非常に小幅でして、二十四年時点で二百九十六万円ということで、今なお依然として三百万円を下回る状況ということになっています。

穀田委員 調査室の資料をいただいて、私もその内容を見ております。したがって、我々が期待するところまでは行かなかった。

 したがって、〇九年の法制定で十分な効果を上げていない点はなぜなのか、何がよくなかったのか、何がうまくいかなかったのか。ですから、そのことを検証する必要があるし、その点の御意見を踏まえた上で、なおかつ、今回の法改正等によって供給過剰を解消、防止することができるのかということについてお聞きします。

金子(一)議員 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 二〇〇九年の改正においては、穀田先生、共産党も御賛成をいただいて、成立したところでありますけれども、あの法案で我々が今回欠けていたと判断している部分は、供給過剰になった特定地域についての減車、自主的にはできますけれども、全者が協力して減車をする、これが担保できていない、できなかったという枠組みになっておりました。

 今回は、全事業者が協力して、つまり、減車をしたところ、正直者が損をする、減車をしないところ、こういう不公平感がそれぞれの地域で広がっておりまして、そういう意味で、今回は、全事業者が協力し合って減車ができる仕組みを入れることによって一層の早期の供給過剰が解消できるようにしていきたいというのが、今回の一番のポイントであります。

穀田委員 〇九年による減車は、協議会に参加する事業者の自主的な取り組みにとどまったということなんですよね。協力しないタクシー業者への強制措置もなかったというのが特徴でありました。

 私どもは、〇八年の九月二十六日に提言を発表していまして、規制緩和政策を根本的に改め、国民の命・安全、運転者の暮らしを守るタクシー行政への転換を求めるということを、当時の国土交通大臣に提出しました。

 その中で、「タクシーの輸送の安全を脅かす過当競争や運転者の労働条件低下のおおもとは需要を上回る過剰な供給にある。適正な需給調整規制を含め、供給過剰を解消・防止する手立てを講じる。」「地域の実情に応じて、地域ごとに参入や増車の手続きと基準を厳格化できるようにする。」このことを提案してきたわけであります。「また、すでに台数が過剰な場合、地域政策として、協調的減車措置がとれるよう、独占禁止法の適用を除外する。」ことも当時から主張してまいりました。

 私は、その際の視点として、やはり労働条件改善が不十分であった要因も分析して対策を立てるべきじゃないかということを、一つの軸に据える必要があるということを、改めて言っておきたいと思うんです。

 そこで、現行のタクシー活性化法が不十分だった点を改善することが大きな眼目だとすると、それが今度の法改正で実効が上がるかどうかということが問題ですね。したがって、きょうはそこを若干具体的に数点聞きたいと思います。

 一つは、特定地域を指定する要件、指標はどうなるのか。指定地域がごく限られたものになるのでは、これまた実効性がないわけです。最大の交通圏東京、運賃競争の弊害が大きい大阪、〇七年通達改正の際、特別監視地域に入らなかった京都などが指定されるのかということについて一つ。

 二つ目、減車命令は具体的にどのように出されるのか。先ほど渡辺さんから曜日の話もちらっと出ていましたけれども、何曜日、あるいは指定期間の間は何台しか運行してはならないということなのか、その辺を少し具体的にお聞きしたい。

 三つ目に、運賃変更命令の実効性の問題です。現に下限割れ運賃で運行している会社が地域指定後にもそのままの運賃を希望した場合どうなるのか。

 それらを含めて、今言いましたけれども、二つ目、三つ目との関係で、命令された事業者が訴訟を起こした場合、耐えられるのかということについて。

 その四つをお聞きしたいと思います。

赤澤議員 穀田先生から、まとめて、大きく言って四つ、地域を具体的に指定するのかも入れると五つ伺いましたので、ちょっと答えが長くなることはお許しいただきたいと思います。

 まず一番目に、特定地域を指定する要件、指標はどうなるのかということで、本法案に基づく特定地域は、国交省において、供給過剰の発生の有無を判断するための客観的基準として、データに基づく基準を設定した上で、当該基準に基づいて指定の判断を行い、該当する地域には適切に指定の手続をしていくことになります。

 したがって、改正後の特措法の特定地域は、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、あるいは法令違反などの不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力の削減をしなければ地域公共交通として機能の十分な発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化、活性化を推進することが特に必要な地域と規定しておりまして、供給過剰が実際に発生していることが要件であることが明確に位置づけられております。

 したがって、改正後の特定地域について申し上げれば、現行の特定地域のうち、より厳しい客観的な基準により供給過剰が実際に発生していると認められる地域のみに限定をして指定をするということを想定しております。国交省において、当該基準を新たに作成し、適切に運用してもらうことが必要であると考えております。

 この関連で、先生から具体的に、ちょっと通告に加えて御指摘のあった、東京、大阪などは指定されるだろうが京都はどうなのかというお話でしたが、この辺は国交省が具体的に基準をつくった上で決めていく話なので、現時点において予断を持って何かを申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 それから、二番目に、減車命令は具体的にどのように出されるのかというお話でございました。

 本法案では、特定地域においては、一定の要件に該当する場合にあって、国土交通大臣が、当該特定地域における協議会に参加しない事業者に対して、減車はできませんけれども、特定の曜日や時間帯を休業するといった営業方法を制限することにより、供給を削減するよう命令できるというたてつけになっております。

 この命令の発動要件としては、特定地域計画の作成に合意をしたタクシー事業者の全てが、おのおのの供給の削減量や削減方法等を定めている事業者計画の認可を受けていることというのが一点ございます。それからあわせて、その協議会から命令を発動してくれという申し出があったこと、この二つの手続上の要件とともに、さらに申し上げれば、特定地域計画の作成に合意したタクシー事業者により供給を削減する取り組みが着実に実施されてもなお、それら以外のタクシー事業者の活動、あるいは急激な社会経済情勢の変動などで特定地域内のタクシー事業の適正化が図られない事態、これが生じているという要件も満たされる必要がございます。

 さらに、こうした事態を放置しては、タクシー事業が地域公共交通としての機能を十分に発揮することに著しい支障が生じることと認められる必要があるほか、実際の命令の発動に際しては、運輸審議会への諮問を経て、第三者による公平かつ合理的な判断を加えた上で命令が発動されるという仕組みになってございます。

 三点目の御質問でございますけれども、公定幅運賃、運賃変更命令の実効性ということで、現に下限割れ運賃で運行している会社が、地域指定後もそのままの運賃を希望してきた場合、その場合は、公定幅を下回る額で届けられた運賃について変更命令の対象となるということになります。

 法律の仕組みとしては、施行後に指定された特定地域または準特定地域で国土交通省が公定幅運賃を講じたときは、その範囲内でしっかりと届け出を行っていただくということになっておりますので、それを下回る額で届けられた場合、変更命令の対象になります。

 最後の御質問でありますが、命令された事業者がもし訴訟を起こした場合ということですけれども、今回の命令等はしっかり法令に位置づけられた基準に基づいて出される命令でございますので、法律の規定に基づいて行われる処分ということで、その適法性については問題がないというふうに私どもとしては考えているところでございます。

穀田委員 大体、発動していくいろいろな経過の形式というか段取りはよくわかりました。

 ただ、一番で言っている、指定する要件というのは、指標はどうなるかということについて言うと、客観的基準が定められるという、客観的と言うんだけれども、その基準が何なのかというのは、実際に発生している状況ということなので、国交省の中で、相変わらず、客観的条件は省令に委ねるということになるんだなという感じがしますわね。それではなかなか、そこがさじかげんでやられた日にはまた困るわけで、きちんとしておく必要があるかなと私は思いますけれどもね。

 そこで、過度な運賃競争というのは、さらなる労働条件の悪化などを招き、安全性を損ねる要因ともなります。解消するとともに、予防のためにも、適正な運賃制度に改善する必要があると私は考えます。

 私は、公共交通機関として、同じ地域であれば、どのタクシーに乗っても全て同じ運賃、同一地域同一運賃制度を考えるべきと思うけれども、いかがでしょうか。簡単に。

三日月議員 私も、個人的にはそう思います。個人的にはそう思いますから、そういうものを目指して法案を提出したこともあります。

 しかし、今回、現行の自動認可運賃のもとで、一定の幅の中で競争が定着しているという状況と、そして、まずはやはり供給過剰の状態を是正せなあかんのやという強い認識のもとで法改正を提案した次第でありまして、一定の幅の中で健全な競争が行われることを期待したいというふうに思っています。

穀田委員 私は同一運賃が必要だと思う方ですから、個人的にはと言ってはりましたので、その意味で、私をどうして呼んだのかいなと思ったんですけれども。

 そこで、最後に、累進歩合制について聞いておきたいと思うんですね。

 タクシー事業は、先ほど提出者からありましたように、人件費が総費用の七割を占めて、歩合制が主流の賃金体系であります。そのために、労働者に犠牲を容易に転嫁できる特殊性があることを見ておく必要があります。

 タクシーの歩合給制は、個別の車の売り上げが落ちても、車をふやせば会社は利益を確保することができる。これを悪用するリース制というのは禁止する必要があると思うんですが、いかがですか。

赤澤議員 タクシー事業では、費用に占める人件費の割合が高いほか、運転手の賃金が歩合制となっていることは大変大きな特色となっておりまして、このため、需要が減少して、一台当たりの売り上げが落ちる場合には、事業者は増車により売り上げの減少をカバーしようとする傾向が非常に強い。本当に、委員がずっと御指摘をされているとおりでございます。このことが、タクシー事業において供給過剰が発生しやすい大きな要因となっております。

 タクシー事業者が、車両の使用料に相当する固定額を実質的に運転者に負担させる、いわゆるリース制の運営形態については二パターンあって、きちっと会社と運転者の間に雇用契約があれば、これは問題がない場合もあり得る。しかしながら、雇用契約がなくて請負のような形でやっているということで、会社がその収支リスク等を負わないような形でやっている場合には、道路運送法第三十三条で禁止されております名義貸しと、無許可営業の組み合わせに該当するケースに当たると考えておりまして、国交省では平成二十年にタクシー事業の名義貸し行為の判断基準を通達で示しまして、そのような行為の禁止の徹底を図っていると承知しているところでございます。

 この問題については、重要な問題でございますので、先生の御指摘も受けて、今後とも国土交通省において当該通達に基づき適切に対応してもらうことが必要であると考えている次第でございます。

穀田委員 これは、今ありましたけれども、雇用契約という形であったからといって大丈夫かという問題は、それは現場を見てもらわなあかんでということだけ、一言、言っておきます。

 なぜなら、私、〇九年の法案審議の際に、京都のMKタクシーの例を出しました。労働者の賃金、労働条件を改善するには、歩合給制の合理的改革を求めて改善していく必要があるということを私は主張しています。

 そこで、時間が余りないので言っておきますと、厚労省は、これはよくないということを言っていて、つまり、非連続性といって、階段だからだめだ、こう言うんですね。でも、カーブというのは、例えば、グラフをずっと仮に描きまして、それをよく分析してみると、拡大、拡大していくと、必ずカーブというのは階段になっているんですね。数理の問題ですよ。数理の問題で、そうなっているんですよね。

 だから、いかがなものかと私は思うんだけれども、特にMKなんかの場合にはひどい状況があるということを、前回、私は指摘しました。当時、金子さんが大臣の時代だったと思いますけれども。

 違法とされる累進の歩合制というのは、最高賃率と最低賃率の差が二〇%程度だと言われているということは、これは業界では常識です。MKの場合はそれどころじゃなくて、賃金は売り上げが高くなれば高くなるほど、賃率、すなわち、売り上げに対する賃金の割合が上昇する仕組みになっている。四十万円の売り上げであれば賃金は大体十四万円程度で、賃率は三四%。売り上げが八十万なら賃金は五十万を超える、賃率は六四・四。開きは三〇ポイント以上になる。まさに異常なんですね。

 当時、金子提案者は、大臣として、これまでは厚労省がチェックしていて、ある意味情報共有しながらもそこで終わっていたようなところもあるかもしれませんが、今度この法案を運営していく上で、そういう厚労省の労働基準局の調査というものをきちんと共有してもらって、そういうものを踏まえて経営監査に国交省として当たってもらうことは当然やっていきたいと思っています、こう答弁しました。

 その後、どうなっていますか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 前回の法案審議の議事録も拝見させていただいております。

 私ども、厚労省の労働基準局とは緊密に連携をとってございまして、その調査結果を我々も共有させていただいております。また、監査の方も現場職員を増強しながらしっかりと行っておりますので、今後も引き続きそのような方針で臨んでまいりたいと思います。

穀田委員 局長も突然振られて大変な感じだと思ったんですけれども。

 私、〇九年に質問したときも、累進歩合制を禁止しているのになくなっていないということを指摘したんですね。今、監査とかいろいろ言っていましたけれども、当時のハイヤー、タクシー事業者への監査、指導の中に占める割合が一〇%台で高どまりしているということを指摘しました。私、今度もう一遍調べてみたら、相変わらず一〇%台の高どまりなんですね。この三年間も一〇・七%と同様の傾向なんですね。だから、この問題は氷山の一角で、累進歩合制というのは事実上ずっとやられているということなんですよ。

 私は、その〇九年の質疑で質問したわけですが、今、田端さんは見たと言ってんねんから、それやったら聞きましょう。

 当時の局長は、歩合制賃金に問題があるとして、タクシー運転者の賃金システムの改善について、交通政策審議会における議論を踏まえてとたしか言っておったと思うんですけれども、その結論はどうなって、どのような効果を上げましたか。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の局長から、賃金システムのあり方の検討を行ってまいりたい、こういう御答弁を申し上げました。

 タクシーの賃金の関係につきましては、二十年の十二月の交通政策審議会の答申において、関係者で検討を進めていくべき、こういう御指摘がされて、その上で、タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会を設置いたしました。平成二十一年三月から二十二年の九月まで、五回にわたって熱心な御議論を進めていただきました。

 検討課題としては、賃金体系のあり方、あるいは累進歩合制度を含めた賃金に関する規制のあり方、あるいは賃金の負担の問題、あるいは労働条件の透明性の確保のあり方、こういうものをテーマに、有識者からの提言、あるいは労使双方からの両論も併記をしました取りまとめ案を提示しながら懇談会の皆様に御了解をいただいてきているところですが、両論併記であるということなどを含めて、現時点で外部に公表できるところまでは至ってございません。

 今後も引き続き、この懇談会に参加されました労使の方々あるいは有識者の方々の意見もきちっと随時把握をしながら、この意見の収れんの可能性をきちっと探ってまいりたいと考えております。

穀田委員 苦しい話をしているよね。

 要するに、検討は行ったけれども、二十二年、今から三年前の九月に事実上幕を閉じて、成案を得ていないということを、まずきちっと言ってくれなあかんわな。何か、やっている、やっているという話をしていたのではだめなんですよ。

 だから、結局、二十二年というと二〇一〇年、今から三年前ですよね、九月に開催以来、開かれていない、結論は出ていないということになります。

 当時、答申は、歩合制賃金については、その実態を所与の前提とするのではなく、例えば固定給のあり方などの改善の可能性を関係者で検討を深めていくべきと指摘したわけですよね。局長はどう言ったか。その検討を踏まえ、所要の改善を図っていくと答弁したんですよ。

 そうすると、省はこの三年間、一体全体何をしていたんだと。私も、質問して以来、何をしていたんだとなるわけだけれども、それはあるんだけれども、やはりここの問題は、歩合制賃金というものをなぜ問題にするのかということの本質を理解してくれなきゃ困ると思うんですね。やはり歩合制、とりわけ累進歩合給の事実上の蔓延が依然として後を絶たないということを、改めて私はこの法案を見るときに調べてみるとわかったわけです。

 低運賃競争が可能なのは、事実上のリース制によって、先ほど来お話があったように、収益が減るリスクは運転者に負わせ、経営者が損をしない仕組みとなっている。だから、経営者の方は、運賃値下げやもしくは増車によって、一台当たりの営業収入が減っても、台数をふやすことによって売り上げを維持し、ないしは増加させることができる。したがって、累進歩合制とリース制をとっていること自体が、必然的に増車だとか値下げ競争が激化する産業構造のポイントなんです。だから、私はここにメスを入れる必要があると。

 そのときに一番大事なのは、タクシー業界の発展にかかっていると我々は思っているわけですよ。そのときのポイントは、やはり労働者の賃金や歩合制という問題を根本から解決するための努力がなされなければ、そのことについて、だめなんだということを私は言っているわけなんです。それを九年にも言って、一〇年に終わって、その後、のんびりしているとは言わぬけれども、何もしてへんというんじゃ、それはあきまへんで。ちゃんとやってもらう。

 何か言いたいですか。

三日月議員 いや、同じ思いですよ、穀田先生。

 それで、累進歩合を厚生労働省の通達で禁止しておきながら実態として残ってしまっているという状態であるとか、固定給と歩合給の割合で歩合給が多いから運転手に無理がかかってしまっているという状態を、ぜひ是正してもらいましょうよ。そのために、道路運送法に過労運転防止の規定を今回入れることにしましたし、それをしっかりと担保する適正化実施機関というものも法定化しました。

 これは労使の問題ということになるのかもしれないですけれども、ぜひこの割合をしっかりと改善していくための協議を、さっきはとまっていると表現されましたけれども、さらに加速させて、改善につなげていきたいというふうに思います。

穀田委員 先ほど、質問を飛ばしたものは堪忍ね、それでわざわざ言ってくれたんやけれども。

 やはりこの問題は、肝心かなめのポイントはそこにある。歩合制問題についての根本的な解決を図らなければならない。そのための努力は、三年間も放置していたことについては極めて重大な責任があると言わなければならないし、答弁しておいて、そういうことをやらないというのはけしからぬということを言って、終わります。

梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。井上英孝君。

井上(英)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 一般乗用旅客自動車運送事業が地域の公共交通機関として重要な役割を担っていることを関係者は認識し、高齢者、妊婦、障害者、訪日外国人等の幅広いニーズに的確に応えるとともに、創意工夫を凝らしてサービスの高度化や高質化に積極的に取り組むことにより、需要の拡大を図ること。

 二 特定地域の指定については、その法的効果に鑑み厳格に行うこととし、現行特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づく特定地域に係る指定基準より厳しい客観的な基準を設定した上で、適切に運用すること。また、特定地域について指定事由がなくなったと認めるときは、すみやかに指定を解除すること。

 三 特定地域において設立される協議会に対し、特定地域の早期解除を図る観点からも積極的に活性化による需要の拡大に取り組むよう、適切に指導すること。

 四 特定地域の協議会における特定地域計画の作成に際しての協議会としての合意の要件として、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリー毎に車両台数シェアを等しくした基準を設定することとし、これを周知・指導すること。

 五 特定地域計画に記載する削減すべき供給輸送力、供給輸送力の削減の方法等については、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーに応じて、一律ではない削減率による減車(地域毎に設定されている最低車両数を下回らない台数までとする。)や営業方法の制限を柔軟に行うことができることとし、参考となる具体的パターンを示すなどの方法によりこれを周知・指導すること。

 六 五のカテゴリーに応じて設定される削減率については、あらかじめ協議会で合意した基準により加減等の調整もできることとし、これを周知・指導すること。

 七 準特定地域における増車に係る事業計画変更の認可について、事業者の一台当たり増収実績(特定地域として指定されていた直近の期間に係るものも含む。)、雇用する運転者の賃金増の実績等をその基準として設定し、適切に運用すること。

 八 国土交通省は、公正取引委員会の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律についての見解に基づき、改正後の特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づく行為として、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上何が問題とならないとされるのか、また、何が問題となるのかについて明確となるよう、文書により周知を図ること。

 九 国土交通省は、地方運輸局長が特定地域及び準特定地域における協議会の構成員ではなくなることを踏まえ、協議会における協議や検討に必要な各種データの提供をはじめ、協議会の円滑な運営のために必要な支援を適時適切に行うこと。

 十 国土交通大臣が指定する運賃の範囲については、利用者利便の確保の観点を十分に踏まえて、能率的な経営を行う標準的な事業者における適正な原価に適正な利潤を加えることにより設定することとし、安易な値上げが行われないよう指定に取り組むこと。

 十一 特定地域及び準特定地域以外の地域で適用される自動認可運賃について、その幅を従前通り維持するとともに、引き続き個別の申請に対する審査を厳格に行うこと。

 十二 国土交通省及び厚生労働省は、累進歩合制の廃止について改善指導に努めること。また、労使双方に対し、本法の趣旨を踏まえた真摯な対応を行うよう促すとともに、取組状況を把握し助言等必要な支援を行うこと。

 十三 一般乗用旅客自動車運送事業者は、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し等賃金制度等の改善等に努めるとともに、運行の安全を確保し、拘束時間外に運転代行業務に従事すること等により安全な運転をすることができない運転者を乗務させることがないよう万全を期すること。

 十四 国土交通省は、運転代行業者による場合も含め、いわゆる白タク行為が行われることがないよう、関係機関と連携して監視・取締りの強化を図ること。

 十五 本法の施行後も、個人タクシー事業者による事業の譲渡・譲受が円滑に行われるよう、譲受しようとする者に対する試験制度等の運用改善に取り組むこと。

 十六 本法の施行後における施行の状況や効果について、三年毎に総合的に検証を行い、その結果を両院に報告すること。

 十七 国土交通省は、本法の施行の状況等を検証し、関係法令に基づく諸施策について不断に検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、関係省庁等と連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

梶山委員長 次に、内閣提出、交通政策基本法案及び第百八十三回国会、三日月大造君外三名提出、交通基本法案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 交通政策基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました交通政策基本法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 人口減少・少子高齢化、国際競争の激化、巨大災害の発生など、我が国を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。交通政策の推進に当たっては、このような国土全般にわたる状況の変化を見据えつつ、社会資本の整備と密接に連携しながら、長期的な観点で計画的な取り組みを進めることが不可欠であります。このため、今後の交通政策の基本となる法案を制定し、交通に関する施策について、関係者が一体となって強力に取り組む枠組みを構築することが必要であります。

 この法律案は、このような趣旨を踏まえ、交通に関する施策について、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項、国の責務等を明らかにすることにより、交通安全対策基本法と相まって、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とするものです。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、交通に関する施策について、その基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることとしております。

 第二に、政府は、毎年、国会に、交通の動向及び政府が交通に関して講じた施策に関する報告等を提出することとしております。

 第三に、政府は、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通政策基本計画を定めることとしております。

 第四に、交通に関する基本的施策として、国及び地方公共団体の施策を定めることとしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

梶山委員長 次に、提出者三日月大造君。

    ―――――――――――――

 交通基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三日月議員 ただいま議題となりました交通基本法案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 交通は、私たち国民の生活及び経済活動にとって必要不可欠な基盤であるものの、交通に関する施策については、その基本となる法律は存在せず、これまで、個々の分野ごとに定められた事業法などによる個別対応に終始してきたところであります。

 このため、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図るために、本法案を提出した次第であります。

 次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、交通に関する施策の基本理念として、国民等の交通に対する基本的な需要の充足、交通の機能の確保及び向上、交通による環境への負荷の低減、交通の適切な役割分担及び有機的かつ効率的な連携、交通に関する施策相互間の連携等による施策の推進並びに大規模災害発生時における交通の確保について定めております。

 第二に、国、地方公共団体、交通関係事業者及び交通施設管理者並びに国民の責務、関係者の連携及び協力等について定めております。

 第三に、政府は、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通に関する施策に関する基本的な計画である交通基本計画を定めなければならないこととしております。

 第四に、国の施策として、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等、高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のための施策、交通の利便性向上、円滑化及び効率化、交通関係事業従事者の育成及び確保等、国際競争力の強化及び地域の活力の向上に必要な施策、交通に係る環境負荷の低減に必要な施策、総合的な交通体系の整備等、まちづくりの観点からの施策の促進、観光立国の実現の観点からの施策の推進、関係者相互間の連携と協働の促進、技術の開発及び普及、国際的な連携の確保及び国際協力の推進、災害発生時における交通の支障の防止等並びに国民等の立場に立った施策の実施のための措置について定めております。

 第五に、地方公共団体は、その区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた交通に関する施策を、まちづくりその他の観点を踏まえながら、当該施策相互間の連携及びこれと関連する施策との連携を図りつつ、総合的かつ計画的に実施するものとすることとしております。

 第六に、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、交通基本法案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る十二日火曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十三分散会


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