衆議院

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第5号 平成25年11月12日(火曜日)

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平成二十五年十一月十二日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      石川 昭政君    泉原 保二君

      岩田 和親君    大西 英男君

      門  博文君    菅野さちこ君

      國場幸之助君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    白須賀貴樹君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    後藤 祐一君

      寺島 義幸君    三日月大造君

      岩永 裕貴君    坂元 大輔君

      西岡  新君    松田  学君

      北側 一雄君    佐藤 英道君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           寺島 義幸君

   議員           三日月大造君

   議員           若井 康彦君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            花岡 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   参考人

   (東京大学大学院工学系研究科教授)        家田  仁君

   参考人

   (両備グループ代表兼CEO)           小嶋 光信君

   参考人

   (日本福祉のまちづくり学会会長)         秋山 哲男君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     石川 昭政君

  務台 俊介君     菅野さちこ君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     國場幸之助君

  菅野さちこ君     務台 俊介君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 交通基本法案(三日月大造君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三八号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 交通政策基本法案(内閣提出第一七号)

 交通基本法案(三日月大造君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三八号)

 交通基本法案(三日月大造君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三八号)の撤回許可に関する件


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、交通政策基本法案及び第百八十三回国会、三日月大造君外三名提出、交通基本法案の両案を一括して議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授家田仁君、両備グループ代表兼CEO小嶋光信君及び日本福祉のまちづくり学会会長秋山哲男君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、家田参考人、小嶋参考人、秋山参考人の順で、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。

 それでは、まず家田参考人にお願いいたします。

家田参考人 家田でございます。おはようございます。よろしくお願いいたします。(拍手)

 着席させていただいてよろしいですか。

梶山委員長 どうぞ。

家田参考人 それでは、意見を申し上げさせていただきます。

 お手元にA3のメモが一枚あると思いますので、大体これに沿いましてお話ししたいと思います。

 私は、東京大学で社会基盤を担当している者でございます。社会基盤と申しますのは、国土とか都市とか交通とか、そういった問題を取り扱う学問分野、昔で言うと土木工学になるんですが、土木工学の分野も、物をハード面でつくるというだけじゃなくて、それをいかにソフト面で運用するかというウエートが高くなっているので、社会基盤というような名前をつけているところでございます。

 それでは、資料に沿いましてお話しいたします。

 まず、一、交通と従来の我が国の法制度に関する基本認識ということでお話しします。

 まず、(1)に書いてありますのは、交通というものの人類的な意味でございます。交通は、英語では普通、コミュニケーションというふうに考えるんですけれども、これは、人とか物とか情報のやりとり、あるいは行き来、こういうことをいいます。いろいろな動物がいますけれども、こういう交通行動をするというのは人間だけ、人類特有のアクティビティーになろうかと思います。

 それで、この交通の分野が、船ができて、それから車輪ができて云々云々と、こういうふうに時々刻々といろいろ工夫されてきたことによって人類に繁栄がもたらされてきたというふうに思います。それは、ある地域でつくられた産物がほかの地域でも活用できるし、別の地域でつくられた文化やコンセプトがほかの地域に伝わっていく。そしてまた、人々は旅行することによって人生を楽しんでいく、自分自身を盛り上げていく、こういうようなところに貢献したところでございます。

 ただ、一方で、この重要な交通でございますけれども、事故防止とか環境の保全とか、あるいは弱者保護、競争力、こんな面からもまだまだ課題が多いのが実態でございます。これまでも逐次改善されてきたところではありますけれども、これからも一生懸命継続して、着実な改善を進めることが重要かと思います。

 特に、これから日本は非常に激しい人口減少ということを迎えるわけですけれども、人口が減ってきたから交通は動かないでいいや、人はうちにいればいいというものではなくて、人口が減ってきたからこそ、人々の間でモビリティーを担保し、やりとりを高めていかなきゃいけないというふうに考えますと、これからも交通の発展が必要かと思います。

 それだけじゃなくて、国際競争力の強化や、あるいは、我が国に海外からのお客様にたくさん来ていただくという面からしますと、国際的に通用する交通サービスということも大事ですし、また、三年前に起こりました東日本大震災なんかを考えましても、巨大災害への備えという点からも、やはり交通の重要なところでございます。

 一方、(2)で書きましたが、これまでの我が国の交通関連施策といいますと、道路法、港湾法、云々云々ありますように、個別の法体系に基づいて個別に実施されてきた様子になってございます。それをなるべく総合的に扱っていかなきゃいけないということは昔から言われていたところでございますけれども、それは法体系の中で総合化するのではなくて、例えば国土総合開発計画もそうですし、いろいろな個々のプロジェクトの中で実務者レベルで連携をとるというところにとどまってきたということでございます。昭和四十年代の半ばくらいには総合交通体系の論議が盛んになりましたけれども、結局それは総合化する法体系には結びつかず現状に至っている、ここが我が国の法体系の交通面での大きな課題というふうに考えております。

 次に、二番の、この法案に関する意見を申し述べます。

 (3)に書きましたが、この基本法案、どちらの法案も拝見しましたけれども、地域の交通から国際交通まで、交通全般についての目指すべき理念とか諸方策、あるいは国の責務や国民の役割等々を示す従来の個別の法体系を統合するような、その一番上位に位置づけられるものとしてつくられており、これから体系的に、統括的に交通政策を進める上で非常に有効なものというふうに考えます。

 (4)、旧交通基本法案というのを作成する際に私も一部お手伝いさせていただいたことがございますけれども、今回の法案を見させていただきますと、やはり東日本大震災を踏まえて、大災害発生時における交通機能の備えというようなところについて大幅に内容が充実しておりますし、そのほか、昨年の笹子トンネル事故、あるいはつい九月に起こったJR北海道での脱線事故等々にありますように、メンテナンスの重要性というのも強調されているところが評価できるのではないかというふうに考えております。

 それからまた、(5)に書きましたが、国や地方自治体あるいは事業者が交通の問題に努力することは当然でありますけれども、それに加えて、第十一条に国民等の役割ということが明記されていて、国民等が基本理念を理解して、そしてまた主体的に取り組むように努めて、そして交通に関する施策に積極的に協力する、こういったようなことがうたわれているのは極めて斬新、かつ、これまで培われてきた新たな公共という視点からも高く評価できるのじゃないかと考えます。

 (6)、蛇足になりますけれども、この法案では交通政策基本計画等々を定めて努力していくということが書いてあるんですが、加えて大事なことは、そういって策定された計画が着実に実施されていくこと、そしてまたそれがどんな状況に常にあるのかを国民が知っていること、それが大事だと思います。したがいまして、実施状況のモニタリングや、あるいは定期的な計画のレビュー、見直しもやはり不可欠ですので、運用面ではその辺の充実をお願いしたいと存ずる次第でございます。

 これが二番まででございます。

 三番、若干の時間をいただきまして、特に地域公共交通に関して一言申し述べたいと思います。

 (7)に書きましたが、交通といいましても非常に幅が広くて、国際航空輸送、国際海上貨物輸送、あるいは高速道路や新幹線といったような分野、それから貨物輸送、それから都市鉄道を中心とする大都市の交通、さらに地方部の地域公共交通、あるいは都市の中の徒歩の交通、いろいろあります。ただ、この法案の検討されたベースが割合地方部の地域公共交通というのを高く意識していた点もございますので、ここについてもう少し述べたいと思います。

 (8)に書きましたが、いろいろな交通分野がございますが、その中でも、我が国が世界の中でリーディングポジションにある分野とそうではない分野があります。例えば新幹線の分野であるとか自動車の開発という分野では、日本は現在もトップ水準にあると思います。リーディングポジションにあります。一方で、これからお話しする地域公共交通の分野は、努力はしていますけれども、残念ながら諸国に後塵を拝しているというところにあろうかと思います。この点はぜひ先生方に御認識いただきたいところであります。

 (9)に挙げましたが、我が国の地域公共交通の特徴を申し述べます。

 地域と申しましても、東京や大阪に代表されるような大きな都市につきましては、そこの大都市圏の鉄道は非常に世界的にも注目されるパフォーマンスを示していますので、これは独創性といい、民間経営といい、機能の水準といい、やはりトップレベルにあります。ただ、そのネガとして、つまりその反動として、地方部の公共交通は非常に厳しい状況にあるというのが実態でございます。

 右側のページに行きます。

 そうしたところなんですが、大体一九八〇年代くらいまでは、我が国は、地域の公共交通について、物すごく高いイノベーションマインドを持って取り組んできたところでございます。例えばハード面でいきますと、東京モノレールは世界で初めて空港に軌道系のアクセスをつくった事例でございますし、新交通システム、あるいは名古屋の基幹バス、これは世界じゅうで今BRTという名前で実施されていますが、これは発祥は名古屋です。それから、ソフト面では、鉄道の相互直通運転、あるいは道路財源を利用した踏切除去、あるいは車庫法というようなものも、やはり我が国のソフト面でのオリジナリティーであります。これはみんな一九八〇年代ぐらいまでに開発され、そしてやってきた。そこまでは我が国は挑戦者でした。

 しかし、その後は、どうも挑戦マインドが低下しているようであります。その結果として、中国や韓国のみならず、例えばブラジルやコロンビアといったような中進国にも、地域の交通の状況が決して先んじている状況ではなくなってきている、そういう状況にございます。

 (10)でございます。

 そういった中で、二〇〇七年に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律というのがつくられまして、いろいろな努力がなされるようになりました。全国各地で種々の試みがなされ、また、海外の事例も含めて皆さんに知っていただくようになってございます。

 そういう中では、自治体や事業者間で、今までは事業者に押しつけきりだったものが、自治体も含めて、我が町の公共交通はどうもねというところまでわかってきてくださった、そしてまた、いろいろな努力がされてきたところであります。

 ただ、その中では、強い即物性志向、例えば我が町にもLRTが欲しいといった類いの物志向であったり、あるいは、活動しているからいいでしょうというような、やっていることに意義があるというようなところがあって、一体どこの水準までどのようにして持っていくのかというビジョンとロードマップ性に欠けている面がございます。

 (11)に行きます。

 それでは、これから地域公共交通をどういうふうにブレークスルーするのか、私なりの幾つかのキーポイントを申し述べます。

 まず一番は、ここまで培ってきたような共通理解というものをなるべく明文化して、そしてこれを国民にわかるようにする。その際には、国際的にも通用するものでなければいけないし、また、目標とすべきサービス水準もわかるようなものにしなければいけません。

 また、そういった中では、自分の町の公共交通のポジションが、日本の町の中で見たときに、一体どんな水準にあるのか、高いものなのか低いものなのか、あるいは国際水準から見たらどうなのか、この辺を見えるようにするということがまず第一歩ではないかと思います。

 その他もろもろ、いろいろな点がございますが、私の後に、極めて実績を積んでいらっしゃる小嶋さんがお話しされますので、私の話はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 次に、小嶋参考人にお願いいたします。

小嶋参考人 両備グループの小嶋でございます。おはようございます。

 こうやって交通政策基本法の陳述をさせていただくことを大変にうれしく思っております。私が十四年間にわたってきたことを十五分でお話をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 私どもは、一九一〇年、岡山の西大寺というところに、西大寺鉄道として産声を上げさせていただきました。運輸交通の部門、そして情報産業の部門、生活関連の部門、五十六社、約八千五百人の企業グループでございますけれども、公共交通については、鉄道、軌道、フェリー、路線バス、ほとんど扱わせていただいているというところが特徴でございます。もう一つは、私鉄グループさんと違うのは、約一千人以上の情報系の社員がいるというところでございます。

 実は、平成十一年、一九九九年、私が両備グループの代表になったときに、私どものグループの懸案というのは、毎年二、三%ずついわゆる顧客の逸走が続いているこの公共交通、これを一体どうするのかということでございました。私どもは、実は補助金をいただかないという企業のポリシーでもってやってきましたけれども、二〇〇二年の規制緩和を控えて、これはもう我々のグループでさえも十年後に赤字になるな、お荷物の産業になってしまう、一体どうしたらいいんだろうというところからが出発点でございました。

 そして、いろいろ研究をしていくと、こちらに書いてございますが、三番目に、先進国で公共交通を民間に任せ切った国というのは、もうまさしく日本一国しかなかったということでございます。今先生がちょっとおっしゃられましたけれども、公共交通ではガラパゴスと言われても仕方がないような状況に陥っております。

 では、なぜヨーロッパ社会は公設民営というやり方をして公共交通を残そうとしたかということですけれども、ちょうどそこにマイカー時代のモデルを書いてございます。マイカー時代とマイカー時代より前ですね。

 簡単に言いますと、マイカーのある前は、百人が百人、公共交通に乗っていただきました。経費が九〇としますと、一〇〇マイナス九〇、つまり一〇が経常利益の産業だったというふうにいたしますと、マイカー時代になりますと、もう一〇〇のお客様の中で五〇すぽっと抜けてしまいました。売り上げが五〇になりました。しかし、経費の方は、百人乗っていた電車が五十人になったから、では電車を半分にするか、五十人乗っていたバスを、二十五人になったから、ではちぎって半分にするかというわけにいきませんので、売り上げ五〇マイナス経費九〇イコールマイナス四〇といういわゆるビジネスモデルになってしまった。もう成り立たないビジネスモデルになっているものを補助金政策で何とかつないでいただいて、そして過去の蓄積を食い潰しながら、そしてまた、賃金が大幅に下がりながら維持してきたというのがこの産業の実態でございます。

 したがって、このビジネスモデルというものをいかに現状に合わせていくかということが政策上一番大事な視点ではないかというふうに思っています。

 そして、四番目に書いてございますが、規制緩和と三位一体改革でもって地方財源は欠乏し、地方公共交通は存続の危機に至ってしまいました。

 公共交通衰退の理由は、そこに簡単に書いてありますが、一番はやはりマイカー時代になって、五、六〇%の顧客を失ったこと、これが一番でございます。二番目は、都市のスプロール化によって交通渋滞を引き起こして、マイカーと一緒に渋滞に巻き込まれるバスを中心とした公共交通が機能しなくなったということでございます。

 そしてもう一つ、実は忘れ去られているのは、補助金制度というのはなくてはならなかったものなんですが、副作用が二つあった。

 一つは、経営のモラルハザードを起こすということでございます。

 後ほど説明いたしますが、私どもが再建をいたしました中国バス、私どもよりも高速バスを一千万高く買っております。そして、燃料は十円もリッター当たり高く買っている。そして、部品代は三倍でございました。当時の経営者に何でこんなことをするんだと聞きましたら、赤字を減らすと基本的には補助金が減る、そういう感覚にどうも陥るようであります。

 もう一つは、労使の不仲を助長したということでございます。

 お客様が見えなくなってしまう。基本的には、行政から補助金をいただいていくことが目的になってしまって、労使ともがお客様に対する努力を失って、ストライキに次ぐストライキをしたのが中国バスでございます。

 そして、その次に来たものが、そういう状況の、補助金で支えていた事業が大半であった地域公共交通の需要の中に規制緩和が行われたということでございます。

 規制緩和そのものは悪いことではございませんが、実は、経済学的に言っても、やっていい産業とやってはいけない産業があるということの分別がどうも今の世論の中で忘れられているような気がいたします。それが、規制緩和の幻想という形で私が書いております。規制緩和は、供給が需要よりも少ない環境、いわゆる需要がどんどんふえて供給が足りないところには規制緩和をすべきですが、逆に、需要がどんどん減り、供給過多の産業になりますと、結果的にはその産業の滅亡につながるということでございます。致命傷になってしまう。現実に、タクシー産業、観光バス産業、滅びるところの寸前まで供給過剰で苦しんでいます。

 また、岡山市においては、去年の七月、突如として異業種から循環バスという形で進出がありました。百四十円、百七十円の運賃のところに百円で走らせる。実は、地方では、中央部のお客様の多いところの収益でもって郊外に路線を延ばしているものがあって、郊外路線の維持に支障を来すということになってしまっています。

 そしてまた、公共への誤った費用対効果の議論、事業仕分けでよく聞かされたことでございますけれども、入れていいところと入れてはいけないところ、実は、公共財には、費用対効果の問題は、節約という面ではいいんですが、国民経済的には誤りだと思います。

 それで、こういう状況の中でどうしたらいいだろうというふうに思って、公共交通のパネルディスカッションというのを地元でいたしました。わかったことは、中央ぐらいのところに書いてございますが、一人の女性が、私はもう公共交通なんか使うことはありません、マイカーがあれば十分です、通勤通学のたった一〇%ぐらいしか携われないのは、基本的には公共交通とは言えない、したがってそんなものは要らないというふうに言われたときに、大変にびっくりいたしました。

 実は、交通弱者という存在がマイカーを運転している通常社会人の方には極めて希薄になってしまって、なくてもいいんじゃないかというふうに思われているところに大変な危機感を抱いたわけでございます。

 その他、県民会議をやったり、オムニバスタウンの導入をしたり、バスシェルターを入れたり、「時刻表見えルン♪」というのをつくったり、クリームスキミングを直しましたけれども、地域公共交通を活性化するというやり方ではお客様の取り戻しができないということがわかりました。

 基本的には町が元気になることが大事であって、町が活性化すれば我々公共交通業者も活性化するということがわかって、二十一世紀のまちづくりとして、公共交通利用で歩いて楽しいまちづくり運動というものをやった。未来型のLRT「MOMO」、これは今、富山ライトレールさんに私どものデザインを使っていただいてやる。また、岡山市の中心部の活性化ということで、百八メーターのグレースタワーをしてコンパクトシティーの原形をつくってまいりました。

 そのうち、市民団体が私どものやっていることを全国にお話しになっていって、実は私どもの方に経営の再建の依頼が殺到してまいりました。

 そういう中で、実は話があったのは公共交通ではなくて、九番目に書いてあります津エアポートラインでございました。三重県が、空港のない県として、中部国際空港への海上アクセスをつくった。しかし、地域はどこも、運輸業者は協力してくれないということで、私のところに御相談があって、分析をしてみました。

 簡単に言うと、コンサルティングがつくったよりも需要がなくて、五航路どころか一航路もできない。せめて津市ぐらいに、公設民営ならできる。また、三セクでやってしまうと、結果的には経営がずさんになってしまって、意思決定がおくれて潰れることになるということで、ボランティアでもって海上アクセス案をつくってさしあげました。

 結果として、海上部門の経験のあるところがなくて、私どもがお引き受けしてこの事業をしましたけれども、たまたま開業人気と万博でその航路が物すごくにぎわったために、ほかの都市でもできるんじゃないかというので、四日市、松阪、伊勢でやられて、全部潰れて、結果的には三市長とも失職をされました。今、松阪の航路は私どもでもって再建をさせていただいております。

 そして、そのことが結構聞こえるようになってきて、南海電鉄貴志川線が廃線になるということで、私どもの方に、地域から存続運動というものが言われるようになりました。

 私どもの方で分析をさせていただいて、公設民営にすること、運営会社は三セクとしないで一〇〇%単独出資にすること、利便向上は和歌山電鉄内の運営委員会をつくるということで、年間五億円もの赤字の路線を、八千二百万円以内の案までだったらできると。しかし、これは現行法ではなかなか難しいということでしたけれども、監督官庁、鉄道局の方も一生懸命頑張られて、地方の鉄道を残すのはこの方法しかないんじゃないかということで、超法規的に実施することができるようになって、おかげさまで、六ページになりますけれども、市民運動が上滑りでなかったということと、行政の協力体制がしっかりしているということと、人口がやや増加地帯に変わっていったということで、実は、この路線が非常にうまく再建できました。

 年間八十件ものイベント、いちご電車、おもちゃ電車、たま電車、三毛猫のたま駅長というような形で、実は、この存在を見ていただくようになり、客招きの駅長さんの効果というのは、年間十一億円の経済効果を発揮いたしました。

 次に、並行して、隣県の広島県の中国バスが破綻をする三カ月前に、社長が私のところに面談に参りました。広島県で救ってくれる業者がないので隣県の岡山県に来たと言われましたけれども、これは燃える高速バスということで二〇〇〇年の初めにNHKでたたかれた会社であって、年間十二回以上の労使紛争をした会社でございました。再建不可能と言われておりましたけれども、社長のお顔を見たら、これは引き受けなかったらとんでもないことが起こるなと思って、引き受けさせていただきました。

 この中で、結果的には、先ほど言いましたように、補助金制度の副作用や不仲な労使関係が客離れを起こすということを分析させていただきました。おかげさまで、二〇〇八年度には一億円以上補助金を減らし、事故は八分の一になり、苦情は四割減少をいたしております。

 十二番目に、地域公共交通の現行の維持の仕方は延命治療の効果しかないと書いてございます。

 補助金制度というのは、本来、一部のものを補うのであって、ほとんどが赤字になったところにカンフル注射では、体力がもたないということでございます。

 先ほど先生からもお話がありましたけれども、京都市、名古屋市、それを韓国が取り入れてソウルのすばらしい公共交通網をつくられたということは炯眼に値することでございます。

 交通権の考え方について、十四番目に申し上げます。

 基本的には、この制度は、なくてはならない人道主義的な考え方であるということを申し述べさせていただきたいと思います。

 そして、もう一つ大事なことは、延命治療的な地域公共交通政策を、次代の夢のある公共交通に変えていかなくてはならない。私は、エコ公共交通大国と申し上げましたけれども、基本的にはLRTと電気バス等を使って、効果をしっかりした仕組みでもって、やはり次世代に夢の持てる産業にどうするかということが大事であるというふうに思っております。

 エコ公共交通大国構想、年間二千億で十年間の二兆円の国民プロジェクトということで、策定を以前にさせていただきました。これは基本的には、ただ単純に日本のいわゆる公共交通を救うだけではなくて、世界に環境を輸出する産業になるというふうに思っております。しかし、なかなかそういうことをお話ししても、ぴんとこないというんですか、政策がなかなか前に進みませんでした。

 そこに、去年の十月、突如として、十八番目になりますが、井笠鉄道の経営破綻というのがあって、経営の破綻を発表してから十九日でもって営業を停止してしまうというすさまじいことが起こりました。

 今までは、基本的には、内整理をしたり、債権者にホワイトナイトがあらわれたりして何とかなったんですが、今度は待ったなしで来て、私どもの方に、国、県、市の方から緊急支援の要請が参りました。そして、十一月一日、緊急代替運行というものを決めた。

 ここでわかったことは、現行法では、この会社を救うことはなかなか難しいということでございます。もちろん、財源的にも非常に難しい。あらゆる面でもって対応しなきゃいけませんが、十九番目に、いわゆる地方公共交通の再建のスキームというのを私の方で書いてございます。

 一番昔のスタイルは公設公営。そして、日本の今のスタイルが民設民営。その横に、公設民営、公設民託というものが左右に書いてございます。これからは、官の役割として、いわゆる調節をし、そして運行の責任として民間が行う、もしくは、民間が委託を受けるということによって再建をする以外には、地方の公共交通の再建の仕方はない。

 したがって、それはどういうことかというと、今の補助金では、後払い方式ですから、資金繰りが実はもたない。基本的には赤字の補填でありますから、収益の生まない会社になってしまう。そういう形で、再建というものは基本的には無理であると思います。

 そして、先ほど私は十四年間というふうに申し上げましたけれども、実は、この交通政策基本法に流れる道すがらというのは、私が中国バスの再建をしたときに、隣県の宮沢代議士が私のところに御挨拶に来られました。ありがとうと言っていただいて、大変うれしかった。

 そのときに、私が、今のままでいったら、地方公共交通の路線は、半分以上、七割近くはだめになりますよ、これは政治のミスリードかもしれないという話をしたら、すぐに、自民党に、国土交通部会で地域公共交通小委員会を立ち上げていただきました。そこで、二〇〇七年三月十四日に、補助金へのインセンティブと公共交通の活性化の陳述をさせていただきました。

 そして、二〇〇七年の十月、この法律が成立をいたしました。そして、この法律を使って、和歌山電鉄の事例から鉄道では公有民営の法制化、中国バスの事例から補助金にインセンティブを入れるという法制化が行われました。

 そして、次に、実は私の方で提起をさせていただいたのは、交通権として地域公共交通再生の財源確保をお願いいたしました。自民党のマニフェストにも載りましたけれども、結果的には、政権が交代をいたしました。

 政権を交代したときに、実は民主党のマニフェストには公共交通の記載が非常に少なくて、これは一体どうしたものだということでもって悩みましたけれども、地元の民主党の議員の先生方に実情を話そうということで、二〇〇九年の九月、高速道路を二兆五千億円ただにしても、地域の公共交通全部、陸も海もただにしても一兆円ですよ、どっちが国民的なんですかという話をしたら、今いらっしゃいますけれども、三日月政務官の時代に国土交通省に言っていただいて、そこで、国土交通省で交通基本法検討会ということが行われることになりました。

 そこでも陳述をさせていただいて、これは小手先では直らぬ、抜本的な改革でなければだめですよというお話をして、二〇一〇年十一月に、今度は交通基本法のワーキングチームという形になって、ここでも陳述をさせていただき、二〇一一年に三党合意ができましたけれども、また政権がかわるということに相なりました。

 基本的には、二〇一二年の十月、井笠鉄道が倒れることによって、地元の加藤先生や逢沢先生も大変心配をして、いろいろ応援をしてくださいました。

 政権がここでかわりながらもここまで法案が来たというのは、地方の実情をよく知っていらっしゃる国会議員の先生方が、地域をよくしよう、そのためには地域公共交通を何とかしなくてはならないと与野党を問わず思ってくださったおかげであって、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 簡単に言うと、国会議員の皆さん方は、我々の地元に帰られたら、みんな地元党でございます、基本的には。どうも霞が関だけがちょっと地磁気が狂っているのではないかというふうに思いますけれども、本当に、与野党ともに、やはり地域の問題を皆さん方真剣に解決していただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 最後に、結論として、公共交通は、交通弱者の移動を保障するだけではなくて、これからの老人社会に、健康に、また歩行困難に、老人性痴呆症に対して非常に有効な手段だということでございます。

 そして、延命的なものからもっと夢のある産業に変えることが、この国の活力を保つことというふうに思っております。

 したがって、大都市を中心とした民設民営に対して、地域公共交通は、抜本的に、公設民営や公設民託を御検討いただきたいと思います。

 そして、財源は、暫定税率が一般税化するときしかもうタイミングはないと思います。

 できれば、このエコ公共交通大国が実現することを心から願い、また、新しい産業となることを願っているわけでございます。

 これが最後のチャンスだというふうに思いますので、ぜひ先生方の御熱心な討議でもって、交通政策基本法が成立することを心から熱望するものでございます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 マイクの調整をしますので、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

梶山委員長 速記を起こしてください。

 次に、秋山参考人にお願いいたします。

秋山参考人 日本福祉のまちづくり学会の秋山と申します。

 座らせていただいてよろしいですか。

梶山委員長 どうぞ。

秋山参考人 私のメモに沿ってお話をさせていただきたいと思います。

 私自身の専門は交通計画、特に障害者、高齢者の交通などを研究したり、あるいは観光とかまちづくり、町中再生などを中心に研究しております。その観点から、きょう、気づいた点を何点か申し上げたいと思います。

 最初に、一番ですけれども、法案成立の方向についてですけれども、国土交通省、自民党政府とも、交通政策基本法を閣議決定したことというのは、極めて重要な役割を果たしたというふうに思います。我が国の、票にならない交通に光を当てていただいたことに感謝を申し上げるということが第一点です。

 ただ、これを今後進めるに当たって、ここはメモがございませんので、三つの重要な見解がございます。一つは、計画や法律が十分にきちっとできるか、これが一点です。二点目が、財源確保がちゃんとできるか、これが二点目です。三点目が、人材が、果たして可能な人材を育てることができるか。この三つが私は問題だと思っております。

 計画と法律というのは、今ある法律で、地域公共交通会議だとか、あるいは、福祉有償運送を許可するものなどは、結構組みかえをやらないと、かなり厳しいなというふうに思っています。

 二つ目、財源ですけれども、日本は、バスがもうかっていた時代から、本当にもうからなくなってきた時代。そのことを考えると、スウェーデンのカールスタッドは、この間、勉強会で聞いたんですが、五五%が税金である。そして、既にバスの中にはインターネットのWiFiまで準備されていて、質が相当高くなっている。運行頻度も、地方の一時間や二時間に一本じゃなくて、相当の高頻度を上げているということを考えると、財源がキーポイントになるだろう。

 三つ目は人材ですけれども、全国千八百の自治体の職員がどれだけ計画ができるかというと、まずほんのわずかだろう。そうすると、人材と、それから時間も、五年なり十年かかるということで、人事が入れかわる中ではできないだろう。それから、コンサルタントに頼むのに、単年度契約でやっていてはだめだろう。イギリスのように、一つの都市に雇われて五年とかいて、計画が終わったら次に移るとか、新しい仕組みを人材について考えないと、法案成立後の地域公共交通は相変わらず前に進まないだろうと私は思っております。

 こういうことを考えて、二番、三番は、法文のちょっとした手直しをしたらどうかという提案と、四、五は、法文にない問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 二番で、一条で書かれてあります「交通安全対策基本法と相まって、」と規定することについてですけれども、(1)で交通安全対策基本法を交通安全対策法にということですけれども、ここで、交通安全対策基本法は昭和四十五年に制定された法律です。交通全般からしますと、交通政策基本法が成立されるときには、交通安全対策基本法としての部分はもう役割を終えたと解釈して廃止されてもよろしいのではないか、したがって、法名を交通安全対策法に変えた方がよろしいのではないか、これが第一点ですね。

 (2)のところ、交通安全対策と相まってとの部分と七条があるんですが、交通政策基本法と両輪で動くというところを、交通政策基本法の一つの輪で動かした方がよろしいでしょうというところが、このあたりの内容です。したがって、一条の「交通安全対策基本法と相まって、」との部分と七条を削除する、このことが二つ目の大きな課題です。

 ここは細かいことを書いてありますけれども、「ところが、」以降をちょっと見ていただいて、交通安全を確保する施策については交通安全対策基本法その他の関係法令で定めるところによる、交通安全を除く全般についての施策と十分な連携が確保されなければならないと定められているだけで、条文上は関係省庁が協力して総合的な施策を推進することが外されているというところがございます。

 したがって、ここで、次に自転車の例ですけれども、自転車による死亡事故を含む人身事故が増加しています。自転車による人身事故の減少を図るには道交法による取り締まりだけでは不十分で、自転車専用道の設置等の施策が必要となり、まさに関係省庁が協力して総合的な施策を出すことが必要になっています。この一事をもってしても、交通安全についても交通政策基本法の直接の対象としなければならないと思いますので、第一条の「交通安全対策基本法と相まって、」の部分と七条は削除されるべきです。

 三番目ですけれども、地球温暖化対策を目標に規定するということですが、最初の行は事実ですけれども、運輸の部分でCO2が相当多いんですよということを書いてございます。そして、交通基本法第一条は、「この法律は、」というところで「国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。」としており、同趣旨に解する余地がないではないですが、第一条に「地球環境の保全に寄与することを目的とする」と明記したらどうでしょうかということです。

 これは、もうちょっと説明を加えますと、コンパクトシティーとか、串とだんごだとか、公共交通を重視していくような都市の開発の方向がどうも必要だと思いますので、この点が三つ目の課題です。

 四つ目ですけれども、四番で移動制約者、低所得者のモビリティー確保についてということですが、十七条で、国は、高齢者、障害者、妊産婦その他の者で日常生活、社会生活に身体の機能上の制限を受けているもの及び乳幼児を同伴する者が日常生活及び社会生活を営むに当たり円滑に移動することができるようにするために、自動車から、ずっと書かれてあります、道路並びに駐車場の構造物、設備の改善の推進その他必要な施策を講ずるものとするとしていますけれども、交通手段に身体の機能上の制約を受けているものプラス心身、たまたま、バリアフリー法では障害者としておりますので、心身障害が入っておりますので、そこの部分がちょっと欲しいなというところです。それから、日本では余りないんですけれども、経済的に制限を受けているものというのも入れられないか。

 次のところに、自動車、鉄道云々とありますけれども、このところに、移動制約者を輸送する移送サービスとか、タクシーとか、デマンド交通の位置づけが抜けているのではないだろうかというふうに思います。

 こういうことも含めて、欧米先進国において移動制約者や低所得者の対策が進んでいるんですけれども、我が国はこの点が立ちおくれていると考えられます。参考として、米国、フランス、国連などが以下書かれておりますので、五番目、移動権のところについて触れたいと思います。

 我が国は交通権が入らない途上国であると私は認識しております。米国、フランスなどから文化的におくれていることを法案から読み取ることが、そういう意味ではできるのではないか。

 内閣府が、障害者差別解消法を二〇一六年四月に施行する予定ですけれども、これとの折り合いをつける必要があるんですが、今回はほとんど見られないということです。前回は時期尚早ということで見送ったと思いますが、これについては少し状況が変わっているのではないかというふうに思います。

 米国の移動権ですけれども、米国の移動権はパラグラフ二つ目、「その後、」のところにありますけれども、一九六四年に公民権法で黒人を差別してはならない対象に入ったけれども、障害者の移動については、一九七三年のリハビリテーション法五〇四項において、ここのたった数行なんですが、合衆国において資格のある障害者個人が、単に障害があるからという理由だけで、連邦政府の財源援助を受けているいかなる計画あるいは事業のもとで、参加を締め出されたり、給付を拒否されたり、差別を受けることがあってはならないということが、今から四十年ぐらい前に既にアメリカでは出ている。

 それからもう一つですけれども、それから少し後ですけれども、ADAパラトランジットというのがあるんですが、これは簡単に言うと輸送サービスの一つなんですが、ADAパラトランジットの運行の具体的なルールは、バスや鉄道を利用できない移動困難者に対して、要するに、バスと鉄道の路線があるところに対して、そこから千二百メートル以内はパラトランジットサービスを提供しなければならないというのがアメリカの法律で規定されています。こういうことが現に行われています。

 それから、さらにその次のパラグラフですけれども、ここでは、二〇〇六年のところからちょっとお話ししたいと思いますが、二〇〇六年に国連で採択された権利条約、ここに、移動の妥当な費用とか、移動の補助、支援、移動に関する研修、こういったことが規定されておりますので、こことの整合をどうするかということがあると思います。それが国連についてです。

 それから、フランスの交通権についてお話ししますと、フランスは交通権が交通政策の中の最重要概念です。日本は最重要概念になっていない。第一は、経済的な平等として、低所得者が基本的な交通サービスにアクセスする権利、これを保障している。第二は、身体障害者の社会参加を保障する権利のことである。条文一、二というところに細かく規定されています。これは後でお読みいただければというふうに思います。

 以上のように、日本が交通権についてはガラパゴス化といいますか、やはり日本独自の発展を遂げていくというところで、そろそろ文化的な国家として考えていくのならば、交通権もきちっと設定していく時期が来ると思いますので、今回は交通基本法をつくったことに非常に意味がありますので、これを今後加えていくことをどうするかを、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 以上です。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 まず初めに、家田参考人、小嶋参考人、秋山参考人、お三方の高い見識に心から感謝を申し上げます。

 そしてまた、前回私が質問をさせていただいたのが、水の質問でございました。そのときも、私と同じ選挙区の若井康彦先生が後で質問されて、今回も私の後に若井先生が質問していただけるということで、非常に、私の選挙区は、同じベクトルを向いた同志が質問させていただけるということで、その配慮に心から感謝を申し上げます。

 さて、交通というものは、そもそも人類史におきまして極めて本質的な役割をしてきました。そして、このたび、交通の憲法でもあるこの交通政策基本法について、皆様方で御議論をしていただけること、そのことは本当に心から感謝を申し上げます。

 さて、昔からいろいろな言葉がありますが、全ての道はローマに通ずという言葉もございます。道、道路というものは交通のかなめでございまして、当時のローマ帝国では、もう既にアスファルトの技術、またコンクリートの技術、これはローマンコンクリートというものですが、そういったものが発達しており、非常に高度な道路を形成しておりました。その結果、ローマ帝国は非常に繁栄をし、その国の道路や文化やそして経済というものは、道路、いわゆる交通に非常に関係しているということは歴史的な事実でございます。

 また、旅という言葉がございますが、皆様御存じだと思いますけれども、旅というものの語源は他人の他に火と書いて他火、つまり、長期間外出する際には他人のいろりやかまどをお借りして、火をお借りするということで旅という言葉になった。そして、その旅というものは、同じように昔から、かわいい子には旅をさせろという言葉もあるように、教育的な思想においても非常に重要な役割をしていて、いまだに修学旅行というものがあります。

 つまり、道路というものの役割、そういったものも、この旅についても考えていきますと、いわゆる観光立国を目指す、観光立国の施策について連携をするということも、今回、この交通政策基本法の中に組み込まれておりますので、非常に内容的にもすばらしいと思います。

 つまり、何を言いたいかといいますと、今回の交通ということを考えるに当たりまして、やはり深い見識と、そして高い理想を持って交通政策基本法というものをつくっているんだ、そのことに対して皆様方の御理解をいただきたいと思います。

 早速質問に入ります。

 三参考人の方に御質問させていただきますが、これから日本は少子高齢化に向かいます。また、東日本大震災のような大きな災害もございました。やはり、まちづくりというものと道路、交通の重要性というものは、これは切っても切り離せないものでございます。つまり、これからのまちづくりの政策と交通の政策は一体化していかなければいけないと思います。

 そのことについて、三参考人の方々から思いっ切り、その思いと理念をお話ししていただきたいと思います。私の質問はこれ一個だけにしますので、よろしくお願いいたします。

家田参考人 家田でございます。

 大変、どう言いましょうか、白須賀先生の的を得た御質問じゃないかと思います。

 交通というのは動きです。そして、何のために動くかというと、場所があるから動くんですね。Aという場所とBという場所をつないで初めて交通の意味もあるし、Aという場所とBという場所の場所の施策は、交通によってつながれるから意味を持つ面があります。したがって、御質問のとおり、町をつくる、つまり、地べたの側での施策とムーブメント、交通の側の施策は常に一体不可欠というふうに、お考えのとおりだと、私も同感でございます。

 その際に思いますのは、これは決して、きょう主として関心をお持ちの地域の公共交通のみならず、例えば国際交通、飛行機を考える際にも、空港とその周辺という地べたの施策と、それから、そのまた周辺の、工場をどういうふうに立地させるかという施策と飛行機の施策というのはくっついていなきゃいけないというふうにお考えいただきたいと思います。

 もう一点だけお話ししますと、まちづくり的な施策も、つまり地べたの施策も、ムーブメント、交通の方の施策も、二つの考え方が常に両方並行することが大事だと思っています。

 一つは、ボトムアップ的に地元の側で考え、そしていろいろな方が参加しながら、工夫して前へ進んでいくという活動。これは努力と涙と汗のたまものになるので大変大事なことなんですが、もう一方では、どの方向に向かうのか、どこまでやるのか、それを国民としてどう認識するかという、これはトップダウンとはちょっと違うんですが、ある種、大局を見据えた方向と、両方必要だと思います。

 特に、きょうの話題の地域公共交通については、ボトムアップの方は相当努力されてきたんだけれども、大局の方が弱い。ここのところを強化する大変大きな一歩となるのが今回の法案というふうに認識しております。

 以上でございます。

小嶋参考人 今のお話を聞いて、大変うれしく思いました。

 実は、交通だけの問題を論じてみても物事は解決しないので、基本的には、先ほど申しましたけれども、公共交通というのは、地域づくり、まちづくりを活性化するための一つのツールである、暮らしには移動というものが欠かせないということでございます。

 昔は、どんどんマイカーの時代ができてきましたから、国民自身が、自分が車を買って、そして国が道路をつくって、移動することができました。しかし、高齢化社会になると、残念ながら、自分で運転ができなくなって、道路ができても、その上を移動する手段がなくなってくるということが問題になっています。もちろん、子供たちの学校に行く通学の問題等々、車を持たない人たちの移動の問題というものが出てきました。

 そして、先ほどちょっと申しましたけれども、都市は中心市街地からスプロール化したことによって、実は、どんどん都市部は空洞化をし、そして交通渋滞というものが郊外から都市に向かって発生するようになったのは、今のまちづくりの実態でございます。

 これをやはりどうやって直していくかということで私どもが提唱したのが、公共交通利用で歩いて楽しいまちづくり運動でございます。いかに中心市街地を活性化していくか、公共交通を使いながらどうやってそれを達成することができるか。

 そして、スプロール化して、実は、遠い団地のところに御老人たちが住んでいらっしゃるんですけれども、もう自分で車を運転して大きなスーパーに行って買い物をするということが非常に難しくなってきた。その生活を守るために、今度はむしろ都心部に入ってきて暮らしをする。それが、暮らしをすることによって、生活のインフラが全て整ったところ、郊外部分は今度は若い世代の人たちが移り住んでいくというような流動をつくっていかなきゃならないというふうに思っています。

 したがって、そのために、実は、先ほどちょっと申しましたけれども、エコ公共交通大国おかやま構想というのをつくらせていただいたのは、今、地方都市はどこも疲弊をし、中心市街地が空洞化し、商店街はシャッター化し、元気がなくなってしまいました。これをどうやって魅力をつけるかという一環において、実は、公共交通というものをうまく使うことによってできると思います。私どもが提唱しているあり方というものを、富山ライトレールさんが実は先鞭的に果たしてくれたというふうに思っております。

 したがって、これからは、この交通政策基本法で一番喫緊の問題は、先ほど言いました、地域公共交通の傷んだものをどうして、これから恐らく約半分以上の企業がこの五年から十年の間に破綻をする可能性というものを秘めておりますので、その問題をどうするか、過疎地の交通をどうするか、地域のいわゆる中心部から郊外に至る交通をどうするか、そういういろいろな問題と同時に、新しい、夢のある公共交通政策というものをすることによって、いわゆるまちづくりや地域づくりというものを活性化し、それがひいては衰退していく地方のいわゆる活性化というものにつながっていくんじゃないかというふうに思っております。

 したがって、我々の方としては、できるだけ、今まで、どちらかというと資金繰りに苦しんで防衛の方ばかりに回っていたいわゆる地域公共交通、それを地域の皆さん方がしっかり見ていただいて、一体になりながら地域づくりというものに邁進していくと、この交通政策基本法も大変お役に立つんじゃないかというふうに思っております。

 先ほど言われた観光の問題も、非常に大事な問題だと思います。ちなみに、たまちゃんだけで、香港から約九千人のお客様がいらっしゃっていただけます。本当にローカルのところがグローバルに変わりました。本当にちょっとしたことの工夫によって、地域がやはり公共交通によって変わるということもございますので、ぜひ、地域公共交通並びに交通全般について、先生方に、ひとつ愛の手を私どもの方に与えていただきたいということをお答えしたいと思います。よろしくお願いいたします。

秋山参考人 秋山です。

 まちづくりと交通という基本的な点は、まず、現象がどうなっているかというところで、例えば渋川市の町で、八二年に高齢者が移動してショッピングできる距離が三百九十五メーターだった。ところが、二〇〇四年には七百六十一メートルである。ということは、二倍になっているんですね、距離が。

 なぜこうなったかというのをもうちょっと考えると、道路のつくりと町中と、やはりバランスを欠いていたということです。道路のつくりは、バイパスをいっぱいつくってしまったので、たくさんショッピングがそのバイパス沿道にできてきている。それから同時に、土地利用の規制がようやく始まったのは、市町村で三千平米以上建ててはいけないという大型店舗の規制がまだ全然なかった。そのために、全国あっちこっち大型店舗ができてしまった。その結果、中心市街地が少しずつ弱くなってきた。

 それだけが原因ではないんですが、そういう意味では、バランスのとれた都市と交通をつくるためには、交通基本法がかなり都市計画の方にアプローチしなければならないんじゃないか、その部分が一つ。二つ目は、都市計画にお願いをするにしても何十年もかかるわけですから、その間に、では政策的に通す公共交通をどうするかということの一方で、政策的に通すということは、赤字だけれどもこれは重要だというところをどうやってつくるか。この二点が基本的に欠けている。

 政策的な公共交通というのは、動く公共施設と考えていただいてもよろしいのかなと。公共施設は多くの人がただで使えるんですが、ただで供給するというものではないんですが、かなり低所得者でも使えるような公共交通の整備がこれから必要だ。

 ブラジルのクリチバというのは、二十キロ先でも三十キロ先でも料金は同じである。そのときの政策は、お金持ちも、お金のない人も、同じように公共交通にアクセスできるということを原則としている。この点が、今の日本の交通計画には抜けている点でございます。

 以上でございます。

白須賀委員 ありがとうございました。三参考人の御教示に心から感謝をいたします。

 先ほど家田参考人からございました、空港と地域周辺の道路の整備という話がありましたが、私の選挙区は、成田空港から都心まで、北千葉道路があと十キロででき上がりますので、どうか、この基本法ができた後に、道路の方もよろしくお願いいたします。これは若井先生と一緒に頑張りますので、よろしくお願いします。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 ただいまは、家田先生、小嶋先生、秋山先生、交通政策基本法にかかわる貴重な御提言をいただきましたこと、まずもって心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 私は北海道が選挙区でございまして、特に、何といっても地域公共交通の問題に関しては非常にやはり関心があり、北海道にとっては極めて喫緊の重要な課題でもございます。

 北海道というと、JRの問題等もありますけれども、離島も抱えます、離島の交通路の問題もあります。また、やはり札幌集中という問題もありまして、北海道の交通網は、札幌、そしてまた中都市へ向かうアクセス等々が中心になっておりまして、いわゆる過疎地域におきましては、先生方が御指摘をされたように、大変に大きな課題を抱えている現状であります。

 そこで、まずは家田先生と小嶋先生におかれましては、ぜひ、地域公共交通にかかわって、先ほどお話ありましたことも踏まえた上で、交通政策基本法にかける、期待する思いについてお話をいただければなと思っております。

 特に、家田先生におきましては、十一番の「地域公共交通ブレークスルーの方向性」の中で、特に2番目で、見える化と数値的目標設定が重要だというお話がございましたけれども、できれば、この問題について具体的に、もうちょっとわかりやすく教えていただければありがたいと思います。ぜひこのことも踏まえてお話しいただければと思います。

 それから、小嶋先生は、本当に体験を踏まえた上での貴重な御提言でございましたので、たまちゃんの話も含めて、もっとこういったことも考えているというようなことも含めてお話をいただければと思うんです。

 特に、エコ公共交通大国構想、やはり地域公共交通というと、ちょっと暗いイメージがあるんですけれども、先生のお話を伺っていると、大変に夢のある、明るい兆しも見えてくると感じましたので、ぜひそうした視点も踏まえてお話をしていただければと思います。

 それから、秋山先生のお話におきましては、いわゆる交通弱者にかかわるお話がございました。

 特に、二〇二〇年、東京オリンピックまたパラリンピックが開催されるわけでありまして、特に我が国はパラリンピックについて、これまで以上に大きな力を入れていると私は認識をしているところでございます。

 そうしたときに、やはり東京だけではなく、全国各地がパラリンピックを機に、世界各地が、日本というのは世界の中でもハンディのある方々に対して最も優しい交通だ、交通にかかわる優しい基盤整備を行っているところだ。これはハード、ソフトの面、両面があると思いますけれども、そうしたことも大変重要じゃないかなと思っているところであります。

 そうした先生のこれまでの御経験も踏まえた上で、そうしたハンディを持っている方々への施策について、このたびの政策基本法への計画に、こうしたことについて基本計画に反映させるべきじゃないかということも含めて、お話をいただければと思います。

 私の質問も、お三方に対する一問ずつの質問で終わりにしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

家田参考人 どうも御質問ありがとうございます。

 佐藤先生からの、特に見える化のところについてという御質問ですので、少々具体的にお話ししたいと思います。

 これからお話しする前座として、ちょっとだけお話ししますと、例えば、東京の鉄道のサービスで非常に課題が多かったなと、この十年、二十年でずっとほぼ国民の共通認識になっているのが混雑ですよね。うわっ、混んでいるなというだけじゃなかなか前に進まないのを、混雑率というような指標を相当前につくって、定員に対して何%乗っているかという、一五〇%の混雑率なんて言いましたよね。それを長期的には一五〇%まで落とそうというのを当時の運輸省ですかが決めて、だけれども、当面は一八〇%を目指そうなんてやってきて、それでいろいろな施策によってそれなりに前に進んできましたね。

 というような、国民から見て誰でもわかりやすい指標で、そして目標設定できるようなもので、なおかつ、今、自分のいる町の公共交通がどんな、高いのか低いのかというのがわかるようなものが必要だと思っています。

 では、例えばということで申し上げますと、公共交通の使いやすさという面でいきますと、例えば、路線がどのくらい密度が高いのか、あるいはもっと簡単に言うと、停留所であるとか駅がどのぐらいこの地域の中でたくさんあるのか、面積当たりの個数とか運行頻度、何分に一回来るのか、あるいは日に何列車来る、あるいは何本のバスが来る、こういうのが空間的な使いやすさ、時間的な使いやすさということになろうかと思います。

 実はこれは、私ども、国土交通省の事務局と相談しまして、今トライアル中なんですけれども、比較して見つつあるところです。

 そうしますと、当然、人口密度の差によって、東京のようなところと、もっとちっちゃいところでは様子が違うんですが、同じような人口密度のところでも地域によってかなり差があります。したがって、それは、水準の高いところはこれまでの努力の成果だし、どうも低いところはまだもうちょっと努力しないといけないな、こういうのが見えるようになりますね、うまく公表すれば。

 なおかつ、これを国際的にも比較してみました。そうすると、どの密度を問わず、日本の地域公共交通のサービス水準はやや低いねというような状況にあります。

 そういったデータもおいおい先生方にもごらんになっていただけるように準備中だと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

小嶋参考人 交通政策基本法に対する本当の心の中を申し上げると、実は、今の現行法では残念ながら公共交通を守ることができないということでございます。

 これは運送法で、前は事業者を中心とした法律だったものが、今度は利用者を中心にする、利用者の利益という形にかかわりを変えてまいりました。そのために、本来は事業者といわゆる利用者、これが相まって実は望ましい交通体系というのをつくっていくべきところが、基本的には、利益のためには業者の方は、簡単に言うと経営の悪いところは潰れても仕方がないねという形になったことが、規制緩和によって三十幾つもの公共交通がばたばたと倒れ、二、三割の路線が失われていったという大きな理由でございます。

 先ほど、ちょっと規制緩和の幻想というお話を申し上げましたけれども、やっていい規制緩和とやってはいけない規制緩和の中の、やってはいけないところに踏み込んでしまったということでございます。

 もちろん、東京、大阪、名古屋のような需要の大きいところ、これには是ですけれども、需要がほとんどないところは、実はミスリードになります。一方においては是、片っ方においては間違いということですけれども、日本全国の中で、中心部として存在するのは二、三千万人ぐらいのものでございます。そうすると、一億人くらいのみんなが、やはり我々の地域公共交通と同じような気持ちを持ちながら地域の交通を守っているということでございます。

 したがって、規制緩和をすれば何でもよくなるんだということは、東京にいると何となくそういうふうに思われるかもしれないけれども、地方の目線、先ほども言いましたようにマジョリティーである地方から見ると、実はとんでもない業界の破綻というものを来してしまうということでございます。

 私どもは、この法律ができたときに、例えばツアーバスが出てきたときも、これは四条に違反する行為である、一国二制度でおやりになるのかということも随分申し上げました。結果的には、人の命を失わなければ法律は変わることはございませんでした。

 しかし、ぜひとも今回は、本当に先生方の御努力でこの交通政策基本法をつくっていただくと同時に、この政策基本法を核としながら、いわゆる正しい運送法のあり方というところまでぜひ踏み込んでいただくと同時に、ただ単純に交通だけではなくて、総合福祉の観点からこの公共交通というものを見直していただきたいというのが私の気持ちでございます。

 先ほど、たまちゃんのお話がありました。これは、私どもが再生を始めた二〇〇六年の四月一日、本当にたまたま貴志駅で、自分のすみかを失った三毛猫ちゃんとの出会いでございました。本当に不思議な猫でございます。

 そして、私が駅長に任命したときから、実は、みんな、どうしてあんなに仕事するのと言うんですけれども、駅長帽を毎日かぶって、朝の九時から夕方の五時まで改札台に立って、お客様のお出迎えをし、お見送りをしていただきます。暇なときにはホームをパトロールして安全状態を確認していたというようなことで、実は本当に私ども社員がびっくりするほど頑張ってくれました。

 よくマスコットと言われますけれども、実は、たまちゃんは私どもの正式な役員でございます。ホームページを開いていただくと、役員構成というのが書いてございまして、社長は私でございます。次席社長代理、たまでございます。三番目が代表取締役専務という順番になっておりまして、たまちゃんはナンバーツーでございますけれども、今、和歌山県の観光まねき大明神という形で、私を超えて、ついに神様になってしまいました。大変今扱いにくい存在になっておりますけれども、非常に頑張ってくれているわけでございます。

 私が申し上げたいのは、公共交通の惨めな部分ばかりをするのでは、いつまでたったってこの日本はよくならない。やはり、どうやったらこれを前に向いた方向に進めていくのか、これを新しい方向に進めていくのかということが大事だと思います。

 今、私どもは岡山市でもってKDDIさんと、三十一両のバスを使って、岡山市から西大寺というところの幹線において、いわゆるデジタルサイネージの実験をやっております。スマホを使ったバスロケというものによって、基本的には、停留所の三つ前ぐらいに来ると、この停留所を今おりていただくと、例えばAという中華料理屋さんで、今行ったらチャーシュー三枚おまけになりますよというような情報を流すことによって、市内の中心部の中の移動を進めていこうじゃないかと。または、中心部から郊外に至る、西大寺では今、植木市をやっていますよといって都会の人に知っていただいて、わざわざ行っていただくというようなことの実験をしております。

 そういうような、基本的には前向きな方向に公共交通を使うことによって地域の活性化ができる。その中の一つとして、先ほど言ったエコ公共交通大国ですけれども、日本のこの冠たる公共交通をなぜ商品化しないか。本当に今、韓国や中国にどんどん、アジアに行っては負けてしまっております。実は、本当は日本が最もすぐれた公共交通システムを持っているところであって、それに、この日本のマニュファクチャリングと情報社会をやっていけば、私は世界に環境を輸出できるすばらしい国になるというふうに思うので、ぜひこういう面を持ちながら、公共交通がもう一度、本当に国民の皆さんから熱いまなざしで見ていただけるような、衰退産業から成長産業に切りかわっていくことを心から切望していきます。そうすれば、優秀な人材がどんどん入ってきて、ますますよくなっていくんじゃないかというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

秋山参考人 秋山です。

 オリンピック、パラリンピックにつきましては、二〇〇七年にローザンヌ大学のオリンピックの調査員と一度お会いしましたら、国のやるべきことというのは、二百ぐらいの指標を事前、事後に中国でとってくださいということを提案してきましたということを当時言っていました。

 二〇一一年に、私、英国に行きまして、ロンドンのオリンピックの準備の状況を伺っていましたら、橋梁を三十カ所ぐらいだったか、それを全て英国全土の土建業者に委託をしたと。つまり、そういう公平性を出していたというのは印象的でした。

 そして、トランスポート・フォー・ロンドンという、日本でいう東京都の交通局に道路部隊をくっつけたようなものですね、そこが既に準備を始めていまして、その結果をこの間、ほんの少し伺ったのですが、二〇一三年の十月三十一日から一日にかけて、英国大使館でワークショップをやりました。そのときにトランスポート・フォー・ロンドンの人が来まして、オリンピックの準備とパラリンピックの準備は非常に重要で、彼らはやり遂げているんですね。

 日本の場合に問題なのは、東京都交通局と道路が別々で、警察が別々で、実は交通の一番大きな問題が、オリンピックのこれから進めようとする大きな問題になるんじゃないかと思っております。

 そういう意味で、統合化を、やはり警察と道路と交通は統合化の方向に、これから政策的にはかなり一体化しないと危ないなと思っておりますので、ここをぜひやっていただきたいなと。そのことによって、コンジェスチョンチャージ、ロンドンなんかは混雑税をバリアフリーに振り向けたり、そういうことができるようになるはずですので、日本でもその辺がまず大きな問題になるだろうと思います。

 それからもう一つ、オリンピック、パラリンピックが終わった以後、ニック・タイラーさんと話を雑談でしていたんですが、高齢者のオリンピックをやれないだろうか、そのことを国が先導してやりますと、日本の経済が全然違ってくるだろうと。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、オリンピックが終わった後、がくっとくる。あの施設をもう一度使って、さらにパワーを上げていくということ。つまり、オリンピックというのは、高齢時代の、ある意味で底上げというんですか、高齢時代の悲惨な状況をできるだけ底上げしていく、その材料としては非常に有効ですので、そういう意味で、高齢者オリンピックをさらにプラスアルファしていく政策を国がとっていただくと、また元気が出るかもしれないというふうに思います。

 以上です。

佐藤(英)委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 終わります。

梶山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 秋山参考人、小嶋参考人、家田参考人におかれましては、万障繰り合わせて国土交通委員会、参考人においでいただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほど来、三人の参考人から大変貴重なお話をたくさん賜りました。その中で大変に印象的でありましたのは、お三人とも、交通基本法の中で最大のテーマは地域公共交通ではないかということであったのではないかと思います。

 先ほど家田参考人がちょっと触れられていましたけれども、一時代前は、例えば、交通問題といえば、通勤時の混雑率をどう解消するか、道路の渋滞をどう解消するかというようなこともございました。実は私も、その当時は、二七〇%と全国一の混雑率を誇っておりました千葉県のJRの電車で通勤をしておりましたけれども、その当時は、過疎地域とはいいましても、一応何とかまだバスも走っているというような状況だったんだろうと思います。

 それ以来、四半世紀、あるいはもう少し時間がたったかもしれませんけれども、大変に我が国の交通事情が変わってきて、今は、おっしゃるとおりに、地域公共交通が崩壊に瀕しているという問題にどう対処していくのかというのが全国の共通の課題になっているのではないか、私もそのように実感をしておる一人でございます。

 この問題をどういうふうに解きほぐして次の時代に結びつけていくのかというのが、この交通政策基本法のキーだと思いますけれども、まず秋山参考人にお話をお聞きしたいと思いますが、先ほど障害者のお話をしておられました。時代が変われば交通問題の主たる部分というのも変わっていくと思いますが、近未来といいますか、次の時代に最も私たちが力を注がなければいけない交通問題というのはどういうところにあるというふうにお考えになっておられるでしょうか。

秋山参考人 秋山です。

 きょうの最後の方に、皆さんのところに、移動権のお話をしましたけれども、移動権をつくるかつくらないかというよりは、アクセシビリティーとモビリティーという二つの言葉がございます。

 アクセシビリティーというのは、割と、接近性とか訳しますけれども、これは、アクセスという言葉になると、段差を解消するとか、鉄道に乗れるように、バスに乗れるようにノンステップ車両をつくるとか、そういうところに比較的使われます。モビリティーというのは、移動という訳がふさわしいかなと思います。

 特に、高齢者、障害者で、特に高齢者は、あと四十年たちますと、四割が高齢者です。そして、ロコモーティブシンドロームという言葉があるんですが、どちらかというと、骨の異常だとか、それによって歩くのが難しくなったりしていきますけれども、寝たきり高齢者のうち、三分の一はロコモーティブシンドロームで亡くなっていきます。こういう意味で、モビリティーというのは、その人の人生をどうやって継続するかというのがすごく大事な場面に来ております。その認識を前提として考えるときに、モビリティーをどうやって支援していくか、このプログラムが日本では弱いなと。

 特に、都市の中心部の商店街が壊れていって、そして、郊外のショッピングセンターに行くのにバスがないとか、あるところもあるんですが、英国では、郊外のショッピングセンターといえども、二手段以上でアクセスできるようにとか、そういうプランニングが出てきているはずです。

 そういう意味で、交通については、さまざまな形で、少なくとも週に何回か買い物に行ける条件と、病院に月に何回かかかれる条件をつくっていく必要があるだろう。そのプログラムが今、日本の中では明確に示されていないというところが問題である。

 フィンランドのヘルシンキという都市では、障害者に一カ月十八トリップを保障するというのを十年前に既にやっていました。そういうようなことを考えると、トリップをどこまで保障してその人の生活圏とか生存権を確保するかというところにモビリティーは深く結びついていますので、このあたりをどうひもとくかというのが非常に大事だろうと思います。

 以上です。

若井委員 近い将来、大都市圏、地方圏にかかわらず、モビリティーを確保できないという層が大変にふえていく、これに対する対処が一番の課題ではないかという秋山参考人のお話、ぜひ生かさせていただきたいと思います。

 次に、家田参考人にお伺いをいたします。

 今、時間軸のお話をしましたが、空間軸でちょっと考えてみたいと思うんですけれども、やはり地域と交通というものが、あるいは地域構造と交通体系というものが一体的であるということで、交通を考えるということは地域を考えることと一体だと私も考えております。

 徒歩と荷車しかなかった時代には、恐らく町と在という地域構造しかなかった。町は、歩いて十五分ぐらい、一キロ四方ぐらいのところにぎゅっと固まって住んでおり、集落の方々はそこへ一日がかりで歩いて交通するというような地域だったと思います。

 そのコアを電車が結び、あるいはそのコアから放射状にバスが広がっていくという形で今日の時代ができていると思うんですけれども、さらにその間を車が充填するといいますか、そういう形で今の交通体系あるいは地域の構造ができていると思います。

 しかし、時代が、例えば人口が減少するというようなこともあり、あるいは情報化が進むというようなこともあり、恐らく地域構造というものも大きく変わっていくと思うんですけれども、家田参考人、交通と次の時代の地域構造の関係というのをどういうふうに想定していったらいいのか、その辺について、御意見を家田参考人に。

家田参考人 御質問ありがとうございます。

 幾つか申し上げたいと思うんですけれども、先生が今お話しされたので、今思い出したというか、彷彿したんですけれども、宮本常一さんという、もちろんもうお亡くなりになっているんだけれども、非常に著名な民俗学者がおられて、旅する人でございますね、日本じゅうを足で歩き回って、それで調べている。昭和三十年代くらいの様子を「忘れられた日本人」なんという本で書かれているんですけれども、どこの集落に行っても、村々はもう年寄りの人しかいなくて、みんな町へ行っているんですね。東京へ行っているわけじゃないですが、町へ行っている。そこは、道もなくて、だけれども、みんな元気に何とか年寄りだけでうまくやっているよねみたいな感じのつくりになっていましてね。

 それから、私も実はいろいろな地方に、これは仕事だけじゃなくて遊びで行くことが多いんですが、離島なんか行きますと、大体は階段というか石畳の、上っていかなきゃいけないような道で、そういうところはみんな、お年寄りなんか結構元気なんですよね。だから、高齢社会だからみんな何かに乗っけて運ばなきゃいけないというようなことだけで行くのではなくて、日本人の実は源泉というのは、ちっちゃいときですから、よく歩き回って、健康を若いうちからつくってきている。こういう側面もやはり頭に置きながら、活力ある地域社会というふうには思います。だけれども、さはさりながら、やはり、やるべきことというのはやっていかなきゃいけない。

 それからまた、先生御指摘のように、人口減少の社会の中では、今までのようにのべつ幕なしに平たく広がっちゃった町を、何とかコアに、きゅっとまとめて、集約的都市あるいはコンパクトシティーなんという言い方をします。これも、言うのは簡単で、やるのは大変に難しいことですが、そこのところを着実に一歩一歩進めて、住み方自身も変えていく、その両輪をやりながら交通政策をうまくやっていく、そんな感じじゃないかと思います。

 以上です。

若井委員 ありがとうございます。

 交通政策と相まってこのコンパクトシティーを実現していくということが、交通基本法の中には直接は書いてありませんけれども、恐らく大事な方向づけだという御指摘、ありがとうございます。

 それでは、小嶋参考人にお伺いをいたします。

 先ほど、和歌山電鉄のお話がありました。私も、白須賀委員が先ほど千葉県のお話をしておられましたけれども、いすみ鉄道、あるいは銚子電鉄等、客観的に言うと、経営状況は本当に厳しいような、そういう私鉄でございますけれども、いろいろ元気を出す材料を見つけながら、次の時代へ生き延びていく、あるいは自分の使命を果たしていくという工夫をしておられるわけでございます。

 この和歌山電鉄なんかの例をお話を聞いておりますと、そのもの自体が、前へ進もうという主体的な、あるいは自立的な、そういう動機を持って動いておられるように思うんですが、その秘訣といいますか肝は一体何なんでしょうか。その辺、ちょっと教えていただければと思います。

小嶋参考人 大変大事なことを聞いていただいたというふうに思っています。

 実は、地域の公共交通を維持するのは、事業者や行政ではないんですね。地域住民の皆さん方が、本当にこの鉄道が必要だ、このバスがなきゃいけないというふうに思って、一言で言うと、当時の運動が、乗って残そう貴志川線だったんですね。

 全国で起こっている鉄道の存続運動であるとかバスというのは、行政が心配して、なくなったら困るだろうということでやっていて、住民の方はほとんどマイカーに頼っていて、行政から言われたから、では一生懸命応援するかということで、口だけ残そう何とやらなんです。ですから、やはり自分たちが本当に必要として、利用して残していこうという気持ちを持つようにしていくことが、これが一番でございます。

 それからもう一つは、交通は、実は広域にまたがることが多いんですね。私どもでも、和歌山県と和歌山市と紀の川市という一県二市にまたがっております。これがなかなか、気持ちを一つにするということが、行政同士というのは難しい点というのは多々ございます。

 したがって、それを、やはり市民の方に向かって、一つの心でもって応援をしていく。やはりその行政の応援がなければ、実は地域公共交通というのは成り立たないんですね。それが実は和歌山県の場合は極めてうまくいっているということでございます。

 それからもう一つは、私どもの社員の努力でございます。今までは縦割りで、運転は運転、駅務は駅務というふうにやっていたのが、運転士さんたちが暇なときには一生懸命営業活動をしてくれたり、イベントをやったり、頑張っております。私どもでは猫も働いているので、働かないとちょっと調子が悪いなという気持ちを持つのは否めないというところでございますけれども。

 基本的にはそうやって、一番大事なことは、やはり地域市民の、乗ることによって、乗って残そうという熱い気持ち、行政が一枚岩になって地域をよくしていこうという行政支援、そして、そこで働く事業者さんが、本当にひたむきに地域のために頑張ろうという、この三つが相またないと実は再建はできないんです。どこが一つ欠けても、実はうまくまいりません。

 私どもは、再建をするときに、実は覆面で、地域を大体私は一人で歩き回ります。歩き回って、いろいろな情報を集めるんですけれども、やはり、市民の皆さん方の熱き声がないところというのは、幾らやっても実はうまくいかない。結果的には、つくってくれ、つくってくれと言われるけれども、いわゆる空気を運んでいるような公共交通をつくってしまう。その辺のところをやはりしっかりすることが大事だと思います。

 今後の日本のあり方を考えたときに、先ほど環境の問題も両先生方からお話がありましたけれども、やはり公共交通を積極的に使っていくような国民的な施策というものを並行して打っていくということが、結果的には地域を元気にし、それよりももっと前に、お年寄りや若い人たちが体が健康になり、そして環境的にもよくなっていくというようなことで、交通政策と同時に、やはり国民運動としての公共交通利用という部分の高まりというものがなければ、実はうまくいかないのではないかというふうに思っています。たまちゃんはそのための一つのエポックであったと思っております。よろしくお願いいたします。

若井委員 先般大変にはやっておりました「あまちゃん」の北鉄も、きっと小嶋CEOのアドバイスがあったんじゃないかと思います。

 時間がなくなりました。家田参考人に、交通政策基本計画、これをどういうふうにつくるかというお話を聞きたかったんですけれども、今後また機会があると思います、いろいろ御指導よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 三人の参考人の皆様、高い御見識を伺うことができまして、大変勉強になっております。ありがとうございます。

 特に小嶋参考人は、私は広島七区、福山市の選出でして、中国バスの再建に関しては本当に御尽力いただいたことを、この場をおかりして感謝申し上げたいというふうに思っております。

 それでは、時間もありませんので、質問に入らせていただきます。私は欲張りでして、たくさん質問をしたいなと思っておりますので、簡潔な御答弁をお願いできればと、御協力よろしくお願いいたします。

 まず一つ目なんですが、今回の交通政策基本法にいわゆる交通権、移動権というものを明記するべきかどうかというところで、先ほど秋山参考人からは明確に入れるべきだというお話があったかというふうに思うんですけれども、家田参考人、小嶋参考人のお二人は、この件に関してはどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。

家田参考人 私は、入れる必要はないというふうに考えています。

 その理由は何かというと、いろいろな現場で見てみますと、結局、権利と責任の対抗関係からは余り前に進めずに、むしろ協力、連携、あるいは普通の市民や住民や国民の理解と責任、こっちの方がより重要と考えております。

 以上です。

小嶋参考人 基本的には、権利というと、何となく、それを振り回して云々という意識というものが、実は交通基本法の成立を非常におくらせたというふうに思っております。したがって、国民の基本的な権利の中に実は移動するということは既に含まれているのであって、基本的には、入ればこれほど好ましいことはありませんけれども、それで議論百出をして交通基本法の方は前に進まないということの方が、より問題が大きい。

 したがって、将来の課題として、先ほど秋山先生も言っていらっしゃいましたけれども、今後の日本のやはり先進的な公共交通というもののあり方の中で、そちらの方向に向かっていくことが正しいのじゃないかと思っております。

坂元委員 ありがとうございました。

 やはり、日本的に官民協力して、対立するのではなく協力して進めていく方が大事だというお二人の御見識、ありがとうございました。

 それでは続いてなんですが、家田参考人にお伺いをしたいと思います。

 家田先生の論文を読ませていただいて、私は非常に目が開いたというか、これはすばらしい御指摘だなというふうに思ったのが、本源需要と派生需要と言われる、移動、交通にかかわる二つの需要ということがあるという御指摘が論文の中であったと思うんですが、それに関して少し御説明をいただけますでしょうか。

家田参考人 派生需要と申しますのは、例えば、本日ここにお招きいただいたので、私が電車に乗ってくる、これは電車に乗るのが目的じゃなくて、ここに来るのが目的の交通でございますね。通勤通学、ビジネス交通、物流、これは全部派生需要です。だけれども、もう一方で、本源需要というのは、移動したい、列車に乗っていて楽しい、ヨットに乗って、あるいはクルージングが楽しい、山にも登りたい、歩きたい、こういうのは移動そのものに需要がある、そういう現象でございます。

 ともすると、量的には前者の方が多いものですから、こういった本源需要というのは看過されがちだったんですが、本来、先ほど、どなたかのお話にもありましたように、かわいい子には旅をさせよというのは、旅をする中で人間が形成されていくというようなことでありますので、私は、これから目を向けるべきは、むしろこの本源需要にあろうかと考えております。

 以上です。

坂元委員 ありがとうございます。

 いわゆる新幹線に乗ってはしゃいでいる子供は、多分、その本源需要というのを満たしているのかと、私のように、早く福山に着かないかなと思って、新幹線に乗ってかりかり仕事をしている人間は派生需要だという話だと思うんですけれども、日本は今後、観光立国を目指していくというふうな方針を掲げておりまして、この観光という点において、私は、この本源需要というのが非常に大事なのではないかなというふうに思っております。

 少し余談になるんですが、私たち日本維新の会は、いわゆるIRという統合型リゾートというものを推進しておりまして、私が広島県選出ということもあって、党内で、いわゆる瀬戸内IR構想ということで、瀬戸内の島に統合型リゾートをつくって、そこから船で瀬戸内を周遊していただいて、瀬戸内のさまざまな観光地を見ていただく、そういう移動自体も観光の一つの大きな要素にすべきなんじゃないかという構想も実は持っているんですけれども、この観光と本源需要というところに関しての御見解というか御見識を家田参考人にお伺いできればと思います。

家田参考人 先生の御炯眼だと思います。

 特に、瀬戸内地方は世界でも有数の風光明媚なところでありますし、それから、ともすると、移動というと、早く行くということだけを考えるので、電車、車、飛行機くらいが念頭にあるんですけれども、実は、最も本源需要的な素質が高いのが船ですね。ぜひ、その辺を進めていただきたいと思います。

 もう一方で、小嶋さんのところでもやっていただいた水戸岡鋭治さんがすばらしい列車をデザインされて、私はとても乗れませんけれども、九州では「ななつ星」とか、すごいのがあるじゃないですか。あれなんかは、やはり、観光に目をつけて、しかも本源需要的に極めて高い質の交通サービスを提供するという新しい世界を切り開いていると思います。

 以上です。

坂元委員 ありがとうございます。

 皆様の御協力のおかげで質問が進んでまいりまして、これを一応最後の質問というふうにさせていただきたいんですが、これはお三人全員にお伺いをしたいと思います。

 特に、小嶋参考人から、地方公共交通の危機的な状況というところに関してお話がございました。

 私の地元、福山市は、四十七万人の中核都市ではあるんですけれども、やはり、御指摘のとおり、都市部の、中央部の空洞化も進んでおりますし、公共交通の問題というのも非常に実感をしております。恐らく、ここにいらっしゃる議員の方々、皆さんそれぞれ、地元の公共交通の問題というのは、それぞれ地域事情はあるとは思いますけれども、一様に厳しくなっているという認識は共有をできていると思っております。

 私は、小嶋参考人のおっしゃる公設民営もしくは公有民営という形の運営方法は正しいというふうには思っておるんですが、一方で、我が国の財源というのは、財政状況が非常に厳しい中で、やはり公共交通というものにかけられる財源というものも限られておりますし、そこは極力抑えていかないといけない部分でもあるという中で、私はこれは一つの鍵は公共交通のデマンド化だと思っております。

 つまり、需要があるところに、ピンポイントでというか、供給を届けるということにあるのではないかなと思っておるんですが、その中で、やはり絶対に必要なのは、技術革新を生かしていくという考え方だと思っております。

 先ほど家田参考人から、一九八〇年代までは日本というのは公共交通に関して非常に高い挑戦的なイノベーションマインドがあったというお話もありましたが、やはりそういうイノベーションマインドを再び取り戻して、日本が世界初の、これから高齢化が進んでいくのはどの国も基本的に先進国は同じですから、そういうものを解決していくための先進的な取り組みをやっていくべきかなと思っております。

 済みません、ちょっとるる申し上げましたが、私が非常に期待しているのは、ことし発表されました自動車の自動運転技術ですね。二〇二〇年ごろまでには何とかなるんじゃないかという話なんですけれども、これをうまく使えないのかなと思っておりまして、例えば自動運転タクシーのような発想で、需要があるところにピンポイントで車、公共交通を届けるということも、これは技術的に不可能ではなくなってきているのではないかなと思っておるんです。

 そこの部分に関して、公共交通のこれからの革新と技術との関係というか、デマンド化と技術革新の可能性について、お三人の参考人の皆様の見解を伺えればと思っております。お願いします。

家田参考人 技術革新は、常に目を開いて取り組んでいかなきゃいけないことだと思いますね。

 ただ、先生の御見解にコメントさせていただくとすると、自動運転的な世界というのは、道路の方もかなり規格化された高規格のところであって、そして車両の方も規格化されたものであるというようなところに限られると思いますね。そうしますと、いろいろな横丁を入っていくというような町の公共交通にはなかなか道は遠いかもしれません。

 それから、ディマンドについては今はやりですので、あちこちでやっていますが、日本もそのリーディングポジションに近いところにいるかもしれませんね。

 ただ、もう一つだけ申し上げますと、技術というのは、そういうハード面の技術だけじゃなくてソフト面の技術も重要です。それはどういうものかというと、先ほど小嶋さんからもガラパゴスという話がありましたけれども、経営のスタイルが、諸外国の地域公共交通は、いろいろな国の企業が別の国に行って参入して経営したりする。いろいろなところが入りまじっているんです。日本だけ孤立しているんです。

 ここのところの一つ乗り越えるところが、実はコストを低減したり、いろいろな工夫をするマインドを刺激する第一歩じゃないかと思います。

 以上です。

小嶋参考人 大変夢のあるお話で、聞いていて私も楽しかったんですけれども、基本的には、需要に向かってピンポイントでやっていく、これは非常に大事な視点だというふうに思います。しかし、交通の一番大事なところは、ネットワークをどうつくるかということなんですね。そこの部分だけ最適にしてみても、全体が最適にならなければ意味がない。

 ですから、全体の形が、例えば、さっき言ったようなピンポイントで無人で持っていくということになると、全てこれは専用線という形をとっていって、リスクマネジメント上ほかのものが入ってこないという形を、道路でもってみんなが実は自動運転の形になっていけば達成することが可能ですけれども、人が運転するものと自動運転というものが混在をするということになると、我々交通運輸業者からすると、これは大変難しいかもしれないなということを感じます。

 しかし、将来的には、一番大事なことは、高速道路はかなり早い時代に、先生のおっしゃっておられるような形にうまくいくというふうに思っております。

 それから、先ほど公設民営に対して財源はどうするんだというお話もあったので、ついでにちょっとお答えさせていただいてよろしいですか。

 実は、そこが一番大事なんですね。先ほど申しましたように、なぜ公共交通が苦しくなったかというと、マイカー時代ということでもって国民がひとしく足を持たれた。それによって、基本的には道路がつくられていき、その財源からまた道路がつくられていってと日本は発展をしてまいりました。

 ところが、今度は車の運転をできない人たちが出てきたということになってきたときに、先ほど言った道路目的税でもってできた一つの財源二兆五千億円、これを一般税化するときに、いわゆる公共交通を環境によくするという形で、環境税目的のうちの一つとして取り入れていくことによって、ある程度の財源を確保していくということが必要ではないかというふうに思っています。

 例えば韓国の場合には、ロードプライシングという形をとっていって、ソウルの町の中は公共交通中心の町をつくっております。そして、ソウルの郊外から市内に入ろうとすると、三人乗っていないと全部いわゆるチャージされるんですね、基本的に。それによって、できるだけ公共交通に乗るような形、先ほど言われたように、需要をつくっていくことによって全体の公共交通を維持していこうという仕組みにする。そうすることによって都市環境を守っていこうとする。

 そういうようないろいろなものを組み合わせていくことによって財源の確保というものができてくるのであって、それを全部利用者に負担しろという形になってくると、結果的には、一番大事なことは、目的のない御老人をいかに家から社会の中に出すことによって元気にするかということがなかなか難しくなってしまうので、やはり国民的な課題として、この財源の問題というものもお考えいただければ幸いだというふうに思っております。

秋山参考人 ディマンドについてちょっと簡単に歴史だけ申し上げますけれども、一九七〇年代にアメリカあたりとか欧州でディマンドが出てきました。七〇年代というのはそういう実験的なレベルで、九五年ぐらいになると、今度、移動困難者あたりのディマンドが出てきて、スウェーデンなんかは方向別のディマンドをやっていました。あるいは、その他の国もやっていました。

 二〇〇三年の国際会議のところでは、イタリアに行ったんですけれども、そのときには、フィレンツェは全部のバスシステムと、そしてバスから先のところをバスを廃止してディマンドに変えていったというのがフィレンツェの例です。乗ろうと思って待っていたら、バスがなかなか来なかったんですが。

 そういう歴史があって、では、日本で導入はどうしたかというと、バスが高くつくところをディマンドに変えていく、私も旭川でそれをやりましたけれども、その先が今度困るなと。ディマンドで乗れる段階はいいんですが、車両が、ディマンドが、意外に高齢者がだんだん機能が低下して、五年、十年たっていくと、その先が見えなくなる。その先の交通が今準備されていないので、移動権とかモビリティーとかいっているのは実はその問題なんですね。人口の一%の人をどうやって送迎するかという部分が、今、日本では抜け落ちているので、そこをディマンドだけで頑張れない。つまり、ディマンド交通もコミュニティーバスもバス交通もLRTもBRTも、適材適所に組み立てて総合的にやっていくことが最も望ましくて、ディマンドだけで全てやるとなるとすごくお金がかかります。ディマンドは実は結構お金がかかって、一人当たり今三百円とかでやっていますが、実質はそうじゃないですよね。

 ですから、コスト計算することも大事かなというところで、適材適所に交通手段を組み立てる、その一つの手段としてディマンドを位置づけるということだと私は思っております。

 以上です。

坂元委員 貴重な御意見をありがとうございました。

 質問を終わります。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 ちょっと、大変重要な政策基本法という審議の中で、正直申し上げて、定足数が足りているのか足りていないのかという状況がかいま見えることを、国会の責務としていかがなものかということを冒頭申し上げたく存じます。

 その上で、家田参考人からは総括的なお話、小嶋参考人からは公設民営のお話、そして秋山参考人からは交通権とか弱者というお話を伺ったと思っておりますが、ちょっと視点を変えて、あえて、見識深いお三方にあえて伺いたいんです。

 最近余り話にならなくなってきましたけれども、私は問題意識をずっと持っておるんですが、やはり、均衡ある地域の発展、国家の発展という意味からすると、首都機能移転の話というのがその昔ありましたし、今は余り話されなくなった。あるいは最近は、首都機能分散というのか、あるいはむしろ、東日本大震災があって、バックアップ都市機能の議論、大阪だとかそういう話もございます。

 そういった点を勘案してこの交通行政があると思っているんですが、そういった首都機能の問題については、先生方はどういう御見識をお持ちか、どういう問題意識をお持ちか、教えていただければと思います。

家田参考人 首都機能ですね。

 国土計画的な観点からお話ししようと思うんですが、現在、国土総合開発計画が国土形成計画に変わった、その前後くらいだったと思いますけれども、大学や工場なんかを首都圏の中につくっちゃいけないというルールが撤廃されて、東京にもそんなものを昔と同じようにつくっていいようになりましたよね。

 先生おっしゃっているのは、それの前夜までの中で、国土の均衡ある発展、しかも東京一極集中をなるべく抑えていこうという中で、首都機能移転が検討され、候補地が検討され、だけれども、最後に東京と比較した結果、何となくなくなっちゃった、こういう状況だったと思います。

 私は、均衡ある発展というのは、あるいは極度な集中を防ぐというのは、国家たるものの常に考えなきゃいけない視点だと思っております。だから、これは、どんな明示的な方法がありなしに関係なく、今後も続けていくべきだと思っています。

 ただし、国家そのものが国際的な競争力をなくしては均衡も何もないですね。したがって、アジアの国々が、その町、上海なり台北なりあるいは北京なりが強力になっていく中では、東京を抑えることによって国土の均衡ある発展を目指していくというよりは、東京は東京で強力にしつつ、別のエリアについても力を上げていくというところが重要じゃないかと思っております。

 以上です。

小嶋参考人 今お聞きいただいたことの一番大事なことは、今、東京から物事を考えるということが当たり前になっているということでございます。基本的には政治も行政もしかりでございます。教育も最近はそういうふうになってまいりました。そうすることによって、日本全体がきちっと見えなくなってきてしまった。東京の論理というものが全ての日本の論理であるような錯覚、幻想が生まれてきてしまったということでございます。

 私は、その機能がどこにあるかということもさることながら、大事なことは、日本全体を見渡すようなことができなくなったほど首都圏が大きくなり過ぎてしまった、ここに非常に大きな問題を感じております。地方から見ると、このままどんどんやっていって、そして、オリンピックもどんどん私どもは応援をしてさしあげたいんだけれども、では一体どうなっちゃうんだろう、地方は一体どこにいっちゃうのというのが非常に心配なところでございます。

 したがって、歴史を見ると、奈良から平安へ、そして鎌倉へ、そして江戸に移って、明治政権のときに本当は移るべきところが移らなかったんですね。移らずにそのままお江戸が東京になっていったから、ずっといってしまって、世界の巨大都市になってしまったんですけれども、いずれかの時期において、いわゆる日本全体がやはりひとしくわかるような政治や行政ができるようなシステムのところ、そういうところにもやはり、国会を例えば東京だけで開催するのではなくて、大阪でも開催をする、札幌でも開催する、できれば岡山でもやってほしい。そういうふうな形で、地域に年間幾つかやはり場所を移して見ていただく。国会が無理ならば各委員会はそこでやっていただくとか、やはりそういうことによって、ひとしく地域の問題が共有できるような仕組みというものをする、それをまた交通というものができるようにするということにしていただくと、忘れ去られていく今の地方というものの現実が本当にみんな体でわかっていくんじゃないかと思っています。

 先ほど、地元党というお話をいたしました。地元は、実は国会で議論されているようなことじゃないんですね。基本的にはみんな、地域の人たちのために何とかしなきゃいけないということでやっているのであって、極めて真っ当な議論が毎日行われております。

 したがって、やはり地方のよさというものも含めたような、首都移転というよりは首都機能の移転というものは進めることがよろしいのではないかというふうに思っております。

秋山参考人 昔、私、分析をしていたときに、東京の三地域、港、中央、千代田に集中する人口が三百十万人、ある時点であったんですが、さらにそれがふえていって、相当の人がふえていった。鉄道も、当時、計算したら十三本ぐらい足りないとか、そういう状況でした。

 八十島先生が首都機能移転をしたときに、百万人を移動するとどういう効果があらわれるかという計算では、二%の人口が減ると、多分、鉄道は楽にならない、道路は二%減るとすごく楽になって、渋滞がかなり軽減される可能性があるというところまでわかりました。

 最近、私は、分散型コンパクトシティーという言い方をしているんですが、集約型だけではだめで分散が必要だろうと。たとえ三十万、四十万の都市でも、幾つかに分散をして都市をつくることによって、市民の移動距離を最少にしていくというやり方をとっていくべきだと思っています。

 東京は、経済的に豊かになるためには一極集中が最適ですので、それを今までずっと推し進めてきた。そういう意味で、これからもう少し機能分散、分散型というような構造をとらないと、例えば五十キロぐらい離れないと震災では同時にやられてしまう可能性があると思いますので、そういう意味で、分散型の都市をどうやってつくるかというのはこれからの課題かなというふうに思っております。

 ということで、一極集中はやはり是正がある程度必要ではないかと思っています。

 以上です。

杉本委員 大変示唆に富む御意見をいただきました。

 大臣出席が必要な委員会というのは東京でやらざるを得ないかもしれないんですが、まさしく議員提案であれば、それこそ岡山でやらせていただければということを、委員長にもちょっと御検討賜れればと思います。

 次に、私の問題意識としては、日本の借金が、財務省に踊らされているつもりは全くありませんし、日本も資産を持っていると思っておりますが、一方で、やはり数字的には借金が一千十一兆になったとかというような速報値が新幹線の中の電光板に出ていたというのが数日前だったか一週間前なんですが、そういった意味から、アメリカで今問題になって、私はいい問題だと思っていますが、議会がもめました。財政の壁の問題意識というのは必要だと思っていまして、そういった意味から将来の日本を展望すると、やはり物質重視の時代から次のステージの時代に我々はもう入っているんだという問題意識でございます。

 一方で、私の地元を通って大阪方面に行くリニアという話があって、それもまた喜ばしい話でもある一方、やはり五兆とかかかるというふうに聞いていて、JR東海さんは本当にそれを返済可能なのかなとかという心配をしてしまうんですが、そういった意味から、交通というものについて、スピードやコストというのはやはり考慮すべきだと思っておりますけれども、そもそも論で、先生方は、お三方ともに伺いたいんですが、スピードとコストというこの点についての問題意識を教えていただければと思います。

家田参考人 スピードと先生がおっしゃっている意味は、走行速度のことと思えばいいわけですよね。そういう意味でいうと、交通の歴史はスピードを上げる歴史であったことは事実です。だけれども、スピードを上げるだけの歴史でなかったことも事実でありまして、コストを下げる歴史であったり、快適性を上げる歴史であったり、安全性を上げる歴史であったり、環境負荷を下げる歴史でもありました。したがって、スピードを上げるだけが目的じゃないというのは、これからその度合いはもっとふえますね。

 それから、財政について申し上げますと、どこまでのサービスを目標にするのか、それをいつまでにやるのかというのは、財政制約の中でしか当然できないことであります。日本の高度成長期にはそこのところがややないがしろにされた嫌いがありますけれども、長い日本の歴史、あるいは世界の歴史の中では、常にそのときそのときの財政制約の中でやれることをやってきているんですね。我々の国も、これからの時代はそういう普通の考え方をせざるを得ないというか、すればいいというふうに考えております。

 以上です。

小嶋参考人 スピードとコストということでございますけれども、私は、交通で一番大事なことは、これは国民経済的に考えてみると、やはりあまねくネットワークをどうするかということが第一だというふうに思います。したがって、ネットワークができてくると、今度はスピードの問題になってくる。快適性の問題になってくる。いわゆる優先順位があるのではないかというふうに思っています。

 一方においては、地方の路線がどんどんどんどん失われていく。片っ方においてリニアが進んでいく。基本的にはリニアができることも、私は交通運輸業者として望むところではありますけれども、それよりもまだ先にやらなきゃならないことがあるんじゃないんですかということを非常に感じるところでございます。

 そして、スピードが高くなればなるほどどうなっていくかというと、基本的には、地方が過疎化が進んだということでございます。通過県になっちゃった。だから、基本的には、やはりスピードの問題というものも、非常に最適化をつくるということについて配慮をしていかないと、結果的には、先ほども、バイパスができて古い町がどんどんしぼんでしまったということもありましたけれども、やはり、国土全体というものを、どういうような国をつくっていくのか、どういう国民生活を果たしていくのかということの流れの中から、交通というのをしっかり見ていかなきゃならぬと思います。

 例えば、私は全国でいろいろなお話があるんですけれども、この前、信越本線の話があったんですね。昔懐かしい碓氷峠でもって釜飯を食うのが楽しみだったんですけれども、もうつながっておりません。つながっていないということを知っている方は恐らく少ないと思います。

 基本的には、やはり、ネットワークがどんどん失われていって、高速交通と地域の交通というものが同じ次元で論じられてしまっている。まずは生活路線の確保というものをしっかりやって、その上に近代国家としての高速交通というものを一様に論じていかなきゃならない、そこにこの交通政策基本法というものの必要性の根拠があるのではないかというふうに私は思っております。

秋山参考人 秋山です。

 恐らく、スピード社会とスロー社会と二つ対極にすると、スピード社会というのは、一極集中を進めて、そして同時に、経済的には地方がだめになっていく構造をつくる、そういう方向になるだろうと思います。それから、スロー社会をつくるためには、人の心とか健康とかそういったところを重視していく世界ですけれども、どういうバランスで併存していくかというのがこれからの課題というふうに思います。

 以上です。

杉本委員 そうですね、ちょっと感想めいた話になるかもしれないんですが、きのう夜中に、国東半島の、段ボールをベースに時計をつくっているある会社のお話がありましたけれども、国東時間というお話で、週休三日だそうでございます。

 そういう意味で、ちょっと私、この間、ヘルシンキに行ったときに、トラムというかLRTが走っているんですが、私が泊まった宿は郊外の方なので、そのトラムは土日、走らないんですね。スケジュール表を見てびっくりしたんですけれども。そんな時間の運営をされているということをちょっと御披露したいなと思いますし、一方で、フェリーでエストニアに渡れるんです、二時間くらいで。そうすると、料金が、幾らですかと聞いたら、日にちと時間によって全く決まっていない、こういう料金設定があったりしました。

 そんな意味からすると、やはり、スローライフ、スロー社会というものも、これからは交通政策基本法の中で考えていくことによって、むしろ国民の心だったり体の健康といったものが築けるのではないかな。先生方も同じ考えを共有してくださっているということを確認できたと思っております。

 時間が参りました。以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 お三方の参考人の皆さん、貴重な御意見、ありがとうございます。私は日本共産党の穀田恵二です。

 まず、秋山参考人にお聞きします。

 交通基本法の出発点は何かという問題です。

 お話ありましたように、交通権という用語は、いわゆるフランスの国内交通基本法第一条、第二条に明記された、交通にかかわる権利に由来するということがありますね。

 今回、政府提出法案、交通政策基本法というのは、二〇〇二年と二〇〇六年の二回、民主党と社民党が共同で衆議院に提出したことに端を発しています。その当初法案には「移動に関する権利を明確にし、」と記述がありました。

 二〇一〇年六月、国土交通省は、「交通基本法の制定と関連施策の充実に向けた基本的な考え方(案)」の中で、交通基本法の根幹に据えるべきは移動権であり、全ての人々が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動権を保障されるようにしていくことが交通基本法の原点であるとまで言って、「とりわけ、お年寄りや体の不自由な方々にとって、移動権は極めて重要です。」としていました。

 秋山参考人は、先ほどお伺いすると、いろいろな、法案それ自身の内容についても、こういうふうにして書いたらどうやというような話を書いていましたので、私は、特に、交通基本法の原点とまで言っていた移動権の保障が政府案にも民主案にも明記されていないわけですが、この点どう思われますか。

秋山参考人 やはり文化の問題で、かなり文化的にまだ日本が、十年二十年、欧米諸国とおくれているのかな、そういう認識を持たざるを得ないなというところが第一点です。

 第二点は、もうそろそろ、この辺に腰をちゃんと上げてしっかりと考え直す時期に来ているのではないかということで、ぜひ、どこかでしっかり考えていただきたいというふうに思っております。

穀田委員 今お話ありました、文化の問題でおくれている。私どもも、そういう内容に即して、文化の発展に寄与する修正案を出したいと思っています。

 そこで第二番目に、家田参考人と秋山参考人にお聞きします。

 国際競争力の強化とは何かという問題ですね。交通政策基本法における文章、法案の概要でいいますと、国際競争力の強化が、背景説明、計画で中心になっています。もう既に、そのことを踏まえ、先ほどは道路づくりの陳情まである始末で、なるほど、そこにあったかということを改めて知った思いがしているわけですけれども、結局、旧交通基本法案の概要にある国民目線、利用者目線に立った行政への転換という文言はいつの間にか消えているんですね。このような規定ぶりの変化をどう思われますか。

家田参考人 交通というのは、どう言いましょうか、先生おっしゃるように、個々人が動くということが一つの非常に大きなジャンルではありますね。だけれども、もう一方で、物が動いて、そしてそれによって暮らしが豊かになったり、あるいは、生産する側に立てば、材料が上手に運ばれて、自分のところの製品が上手に港から搬出されて、そして国際競争力にふさわしいような価格で売られていく、それによって日本が食っていく、こういう面もございますね。あるいは、地域が活力を持つために、何とか観光客に来てもらわなきゃいけない、そういう面もございますよね。

 つまり、地域公共交通的な世界は非常に重要な話ではあるのですが、交通という一般ワードでいった場合には、やはりワン・オブ・ゼムになろうかと思います。すなわち、全体的に見たときには、私自身の感想からすると、今のこの法案が著しく偏っているものというふうには感じません。

 以上です。

秋山参考人 国際競争力という部分とそれから生活者という、大きく二つあると思います。

 国際競争力というのは、例えば空港など、ハブ空港では、もう既に香港国際空港とかチャンギ空港あるいは仁川空港に負けている状態、羽田国際空港は旅客関係では既に負けていて、とても追いつけないという状況にある。

 では、国際をどこでどのように争うのかという部分もあるんですが、私は、生活者の視点で、きのうテレビを見ていましたら、生活習慣を海外に輸出するという部分があるんですが、高水準の公共交通だったり、あるいは交通のさまざまなシステムをアジア、アフリカに支援するということは十分できると思いますので、こういうことをやることによって国際競争力を別の意味で上げていく。つまり、生活者の視点で交通をフレームアップしていくことによって、それが海外のところにかなり役に立つ可能性を持っているのではないかという、そこを期待したいところです。

 以上です。

穀田委員 よくわかりました。貴重な御意見を本当にありがとうございます。

 小嶋参考人にお聞きしたいと思うんです。

 私は、先ほど来、交通とは何ぞやという話で、ネットワークという話もございました。私は、この間、高速バスツアーの事故や、それからJR北海道の相次ぐ事故と不祥事などについていろいろ質問をしてまいりました。公共交通機関の事故が相次いでおりまして、私は、そこに安全が二の次となっていることを当委員会で主張してきました。

 小嶋参考人は、「交通運輸業・現業職の人材確保と人材育成」ということで、私どもが頂戴した調査室からの資料によりますと、交通運輸会社の経営理念として、「すべての基本を安全第一に置いている。」と記述されています。私は、本当に偉いことだなと思って感心しております。

 法案には、交通安全対策基本法を並行的に捉え、交通の大前提に置くべき安全確保が、目的と基本理念に明記されていません。基本理念に規定されていないものですから、基本理念に基づく国等の責務、交通の施策から安全確保が抜け落ち、先ほど秋山参考人もおっしゃっていましたけれども、交通安全対策基本法との関係もありまして、そっちに委ねる形になっています。これでは、交通における安全確保の位置づけが曖昧にされてしまうと私は考えるんですね。安全に対しては国等の責務として明記する必要もある。また、事業者の責務として安全確保を大前提にすることを明確にすべきではないか、こう思っているんですね。

 その辺の考えと、なおかつ、わざわざ人材確保と人材育成という問題で触れておられますから、私自身は、交通運輸の現場では、安全確保のため、運転者等の運行従事者の賃金、労働条件の適正化に配慮する必要があると考えます。その点では、小嶋参考人の文書によりますと、グループの方では全て正社員とされているということも若干見たように私も思っています。

 JALなどはそうなっていませんし、ANAは、正確に言いますと、日本航空はそうなっていませんし、全日本空輸の方は正社員にしているようですけれども、それはさておいて、そういった点も含めて御意見を承れればと思います。

小嶋参考人 今、安全の問題がございました。これは、交通に携わる者にとって、実は安全というものがなければ経営はないということでございます。安全があって初めてサービスがある、安全とサービスがあって初めて生産性があるということであって、実は生産性を前に持っていってしまうといろいろな問題が起こってしまうということは、今御指摘のとおりでございます。

 今一番の問題は、規制緩和によってどういうことが起こったかというと、管理ができない会社がたくさん許可されるようになってしまった。また、雇われる人たちも、生計が十分にできるような状況ではなくなってきたということは、これは私ども事業者の方からも言えることだというふうに思っております。

 したがって、衣食足りて礼節を知るという言葉がございますが、結果的には、何とか経営をやっていこうというために安全が阻害されかかっているということがございますので、基本的には、やはり、もちろんもともとの運送法の基本というものは、事業のなりわいというものもきちっとさせて、その前提において、利用者というものの利益を極大にしていこうじゃないかということにあるというふうに思っております。

 ところが、今の法律は、利用者の利益を考えるという形でもって、業界の健全なる発展というものが極めて薄くなったということは事実だというふうに思っております。

 したがって、この交通政策基本法の中に安全を含めるかどうかですけれども、基本的には、道路運送法も、いわゆるタクシー運送法も含めて見て、交通については、もうこれは安全というのは、極端に言うと当たり前であって、本来、もしそれをわざわざ書かなきゃならないというぐらいになったとすると、そのこと自体が実は大きな問題になってくるだろうというふうに思っています。

 したがって、安全なくして交通なしという考え方の中で、やはり当然のことながら、この交通政策基本法というものの関連法規、関連の政策とともに、全体の総合的の中で最も位置づけられるものは安全であるというふうに、これがもう前提になってできているというふうに私自身は考えております。

穀田委員 最後にもう一度、小嶋参考人にお聞きしたいと思うんです。

 市場競争原理主義とか規制緩和路線というのは、二〇〇〇年のときの議論、それから二〇〇二年のいわば交通運輸に関するやり方について、私どもは、これはおかしいということで、この問題について明確に異論を唱え、反対をしてまいりました。

 そこで、もともとの地方路線の廃止ということなどについて見ますと、二〇〇〇年の初めの、許可、認可制を届け出制に規制緩和したことによって加速されました。

 地方の過疎化が進み、赤字路線がふえ、事業者の努力だけでは維持できなくなった。ところが、地方公共団体などが、財源投入も含め、支援、援助することなしに、事実上、住民の足を守れなくなる。もちろん、法的にも、国も援助をするという体制はとり出したわけですけれども、市場競争だけではもはや住民の足を守れないということじゃないのかと私は思っています。

 私自身は、高速ツアーバスの事故についても、新規参入を容易にした規制緩和が背景にあったことをこの間質問してまいりました。この点は、高速バスツアー問題の参考人質疑で、バス協会の会長も指摘していました。

 事業者の競争に任せていては、住民の足を守るという公共性、それから安全性ということは守ることができないと私は思うんですが、その辺のお考えを最後にお聞かせいただければと思います。

小嶋参考人 私どもは、国民の生命を預かる大事な仕事をしているというふうに思っておりますし、それに誇りを持っております。したがって、先ほども言いましたように、安全を第一とする視点というものは大事であって、単なる競争に任せるべきではないというふうに思っています。

 基本的には、先ほど言いましたように、事業者が発展するだけでもこれはいけない、利用者の方も、当然のことながら、利益があるような形にならなければいけない。

 望ましい形としては、基本的には、両方法律の中に明記をされ、それがやはりきちっと認可という形で審査されるという形が本来は望ましいだろうというふうに思っております。

 基本的には、やはり、公共という名前の中にある意味というのは、単にお互いにいわゆるプロキシーファイトしていって、お互いを倒し合うということでは済まない。交通というものは、なくなってしまうと、それをつくるのは実は極めて難しい産業のうちの一つでございます。

 したがって、その辺のところをしっかり踏まえていただくような形で、この交通政策基本法というものを一つの足がかりにしていきながら、規制緩和であるとか、費用対効果であるとか、本来公共財の中に入れてはいけないようなことがどんどん入ってきたものについては、きちっと仕分けをして正していく。ただし、国民の利益をほっておいてもいいということではないので、国民の利益というものも両輪としてきちっとやっていく。そういうふうな形の政策、また法律という形に運用されていくことが正しいのではないかというふうに思っております。

穀田委員 貴重な御意見、本当にありがとうございました。

 終わります。

梶山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、交通政策基本法案及び第百八十三回国会、三日月大造君外三名提出、交通基本法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、道路局長徳山日出男君、鉄道局長滝口敬二君及び港湾局長山縣宣彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田一男君。

前田委員 北海道八区選出の前田一男でございます。

 交通政策のことを考えたときに、今私の頭をもたげるのはやはりJR北海道の問題であります。前半、しばしお時間を頂戴いたしまして、JR北海道について質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 このJR北海道の問題、根本的に立て直していかねばならないというふうな考えでありますが、今、九月と十月に行われました国土交通省による特別保安監査、その結果が間もなく、恐らくは改善命令という形で出るところだというふうに思いますが、そういった段になりまして、昨日にはまた、その監査の前段であったところのデータに改ざんがあったかもしれないという報道もありまして、これは前途多難だなというふうに感じているところでございます。

 北海道選出の国会議員として、全国の国民の皆様に大変な御迷惑そして御心配をおかけしていることを、私からもおわび申し上げたいと思います。

 先ほど小嶋参考人から、安全なくして交通なしというお言葉がありました。JR北海道は、この前提であるところの安全ということをないがしろにしていたと言われても仕方がないというふうに思います。

 鉄道事業の最大のサービスは安全性であり、その安全性の向こうにあるものは乗り心地のよさ、保線においてレールが、レールの幅だけじゃなくて、それが同じ高さであって、乗っていて心地よい、さらには切符を買ったところから、車内もきれいで、そして接遇も立派で、本当に気持ちのよい、そのようなJRであるべきだというふうに思いますが、この安全性と乗り心地のよさ、それを全ての価値基準の中心に据えるという文化、考え方が、いつの間にかなくなってしまっていたのではないかというふうに思います。

 ATSを破壊した社員が十五日間の出勤停止で、その後また職場に戻るという状況、本当に安全第一というふうな考え方があるとすると、もっと私は厳罰に処されてやむを得ないものだというふうに思います。また、アルコールの検査、これもしないというふうな判断をJR北海道はしたそうでありますけれども、それが本当に安全第一の考え方かどうか。また、枕木も、予算の関係もあったのでしょうけれども、これを交換を渋るというふうなこともあったようでございます。経営側から労働組合、そして七千人の全社員、もう一度、全ての価値基準の中心に安全性の確保ということを据えていく必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。

 また、このJR北海道においては、労使の問題、さらには労労問題、そういったことがよくマスコミなどでは言われております。この期に及んで四つの組合は、機関紙などで明らかでありますが、まだ牽制をし合っていて、さらに、その上部団体であるところのJR総連やJR連合、こういったところもまたこの争いをあおっているような、そういう状況も見受けられます。

 私も、これまで、JR北海道の幹部の方々はもとより、OBの方々、また複数の若い社員の方々、さらにはJR東日本の経営に携わってこられた方々ともいろいろとお話をさせていただいてきました。さらには、労働組合の、最大労組の執行委員長とも膝詰めで三時間ぐらい話をさせてもらいました。

 意外だったのは、イデオロギーで凝り固まって、なかなか話が通じない人なのかなというふうに思ったんですけれども、意外と血の通った方でありまして、その中でも、今回のこの不祥事、事故は、JR北海道ができてから二十七年目にして最大の危機であるという、そのような危機感を持っておられることを感じました。

 JR労働組合の幹部の方々も、今こそ鉄道マンとしての誇り、そして矜持、そういったものを持って、もう一度、経営側と一緒にJR北海道の再建に取り組むべきだというようなことを感じています。しかし、労働組合の問題ばかりを取り上げても問題は解決しません。それも含めて、やはり経営側のガバナンス、そしてコンプライアンス、この徹底をしていかねばならないというふうに思ったところでございます。

 さらには、JR北海道の技術の継承、そして人材の問題ということも言われておりました。今回、この緊急事態に対して、国土交通省は、JR東日本からの技術者の派遣という英断を下され、また東日本も、自社のエース級をJR北海道に投入してくれました。JR北海道は、このノウハウの習得に全力で向かって、謙虚にその教えを受けなければいけないというふうに考えているところでございます。

 しかし、将来的には、この社員方も帰っていきますので、若いJR北海道の社員を研修に出していくことも必要だというふうに思います。JRの他社、ここにはさまざまなノウハウ、蓄積もあるわけでありますから、ぜひ、JR北海道の若い社員を他社へ異動させるということも必要だというふうに思いました。

 また、JR北海道は、ほかのJR各社と同じように多くのグループ企業を持っているわけでありまして、連結決算で黒字になるように、そういった収益を得る、そのようなグループ経営であるわけでありまして、それは決して否定するところではありませんけれども、しかし、もっと人材とお金を本業に集中させるということもあっていいのではないかなというふうに感じました。

 グループ会社の中では、ほとんど多くがJRの本社から出向やまた退職後に出ていっている人たちであります。例えば、民間のそういうそれぞれの業種に精通した人をその会社の中心に据えるとか、また資本提携などで、JR北海道の本業にお金をもっとつぎ込むということも十分できる。もっとレールをしっかりさせる、そして本業をしっかりさせるということに向かうべきではないかというふうなことを私は感じたところでございます。

 以上、申し上げた点について、滝口局長、大変今御苦労されているというふうに思いますけれども、どうぞ、所見を伺いたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、輸送の安全確保というのは、公共交通機関の最大の使命であります。JR北海道において、この輸送の安全を確保し、道民や利用者の方々の信頼を取り戻すということが、何よりも大切な時期になっているんだろうというふうに考えております。

 御案内のように、残念ながら、さまざまなトラブルが実は明らかになっております。このようなJR北海道に対しまして、国土交通省では、JR北海道の問題点を洗い出し、抜本的な対策を講じさせるために二回の特別保安監査、これは、一回目は九月二十一日から二十八日、そしてまた二回目は十月九日から十二日までの二回ということでございますが、こういった特別保安監査を実施いたしております。

 ただいま委員、いろいろな問題があるじゃないかということで、非常に幅広い点についての御指摘がございました。今回、九月二十一日に特別保安監査に入りました際には、当初、軌道分野、これは当初の問題というのが実は軌道分野にあったために、軌道分野を中心に特別保安監査に入ったわけでございます。通常、私どもが保安監査に入るときには、技術四分野と言われる分野、すなわち土木、電気、車両、運転、こういった四分野を中心に監査を行うわけでございますが、今回は、ただいま委員御指摘がありましたように、経営体制というものも我々は十分監査をする必要があるだろうということで、これを含む幅広い観点から監査を実施いたしております。

 また、現在、同社の安全関係の問題について、全体の整理を急いでおりますが、大臣から、緊急に改善を要する事項につきましては直ちに改善指示を出すようにということがございました。

 このため、安全統括官に関する問題、あるいは軌道分野に関する問題、あるいは毎日の点検の問題、安全の確認の問題、それから安全推進委員会の問題、枕木の問題、これは委員も御指摘でございました枕木の問題、それから予算編成、特に来年度の予算編成に今入ったところでございますので、こういった問題についても改善を促すために、二回の改善指示というものを出したところでございます。

 大臣からは、この特別保安監査の整理、分析を進める過程で、また問題があるんだったら、さらに改善指示というものを考えるべきだということを指示いただいております。

 現在、そういったような問題意識で、この広範な問題につきまして整理、分析を進めているところでございます。こういった整理、分析を進め、抜本的な安全対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

前田委員 どうもありがとうございます。

 まずは、いろいろな支援をいただきながら、JR北海道が自助努力でもって自己改革を進めていく、体質の改善を図っていくということが大切なことだろうというふうに思います。そして、体質の改善が図られましたら、私は、その上で次にしなければいけないのは、体力、これをもう一度つけ直すことだというふうに思います。具体的に言えば、財務体質の強化であります。

 分割・民営から二十七年、四半世紀がたちました。当初から、三島会社、特にJR北海道は、その経営において約五百億円程度の赤字が見込まれるのではないかということが言われておりました。そして、それを補填するに十分な基金の造成をして、それを充てていたのでありますけれども、金利が低くなっていく中で、十分な財源が生み出されてこなかったということであります。

 四半世紀がたって、例えばJR東海、こことJR北海道は大きな差がついてしまいました。給与でいえば、平均給与で、東海は七百万、そしてJR北海道は五百五十万、二百万の差がつき、東日本とJR北海道も平均で百五十万の差がついている。それはその地域だから、地域ごとの経営だから仕方ないだろうというふうに言われればそれまででありますけれども、給与もそれぐらいに抑えながらやっているということであります。

 東海は自前でリニアを走らせるような、そういうふうな強い体力をつけました。片やJR北海道は、保線の問題ばかりじゃなくて、今や保線の下の路盤、そこが崩壊するような、そういうふうな事案も多数発生しているところでございます。

 そうしたことを考えたときに、今、この四半世紀たったこの時点に立って、これからの二十五年、また三十年、それを考えたときに、もっと大きな視点での投資、そういったものも、これまでの枠組みとは違った投資というものも必要なのではないか、JR北海道の自助努力だけではいかんともしがたい壁があるのではないかというふうに私は感じているところであります。

 例えば青函トンネルの修繕費、これはJR北海道がその三分の一を見るということになっていますけれども、青函トンネル、北海道の責任だと言われれば、そうなのかもしれませんけれども、これを全額国費ということはあり得ないのかどうか、そういったことも検討していただきたいというふうに思いますし、例えば、これからの毎年の修繕は今のスキームの中でやるとして、路盤の大改修、そういったことなどについては別の枠組みを考えていただく、そういうこともあっていいのではないかというふうに思うのであります。

 以上申し上げた、JR北海道の財務体質の強化、また、これから先を見据えた中長期的な全国鉄道網の再整備、大臣は所信表明の中で、ちょうどトンネルの崩壊、その事故も踏まえながら、ことしをメンテナンス元年にするんだということをおっしゃってくださいました。鉄道においても、このメンテナンス元年という言葉は当てはまるのではないかというふうに思うのでございます。どうぞ所見をお聞かせください。

太田国務大臣 メンテナンスが必要であるということはもちろんで、JR北海道の件について論及がありましたが、国全体として、切迫した地震があり、そして、高度成長時につくった構造物が劣化をしてきている、これも今回の交通政策基本法の大事な観点の一つでございます。

 JR北海道に論及がありましたが、私は、病気があるならば手術もしなくちゃならない、また、治すための環境をしっかり整備するということも大事、体質改善というようなことも大事、いろいろなことを総合的にかなり手を入れないといけないというふうに強く思っています。今、前田先生から御指摘のありました要素は、何から何まで全部、一手は最低打っていかなくちゃいけない項目ばかりだというふうに思います。

 しかし、幾ら環境が厳しくても、財政がどうであっても、鉄道マンは、とにかく安全で走らせるんだという誇りがあり、執念があったというその一番の背骨の部分、魂の部分というものも、もう一遍立て直さなくちゃいけないということを私は強く思っています。

 その部分としてのメンテナンスということについて言うならば、木の枕木の比率が高い、これを全部変えなくても、五本に一本PCというものを入れればというような、科学的なそういう見地もあり、緊急にやらなくてはならないメンテナンスというものをよく見てということも、今、検討材料の一つにしています。

 それから、冬になりますから、レールの下の土が浮き上がって凍上という現象になりますが、そこに、真ん中に板を入れるとか、いろいろな手も施さなくてはいけないという部分もあります。車両について、新しいディーゼルということだけでなくて、なかなかそれが修理できないというようなことがあったりいたします。また、護岸侵食による電柱の傾斜というのがこの間ありましたけれども、そうしたことの整備というものも必要です。

 一言でメンテナンスという中には、点検、修理、修繕、更新、あらゆることで、JR北海道についてどうすればいいか、また、その優先順位はどういうものかというようなことについて、今、私としては、検討もし、随時、指示すべきタイミングでは指示するということをさせていただいておるところです。

 きょう先生から御指摘のありましたいろいろな項目については、よく分析されて、貴重な御意見だろうと思いますから、一つ一つ、もう一度、国交省としても参考にして吟味をして、手を打ちたいというふうに思っておるところです。

前田委員 北海道新幹線まで、あと二年半となりました。その前にJR北海道は、さまざまな人の力を得て立ち直った、いい会社になったというふうに言われるようにならなければならないと思います。時間がありません。

 ぜひ、JR北海道七千人の全社員の一致協力と大臣の引き続きのリーダーシップをお願いして、JR北海道の質疑は終わりにしたいと思います。

 次に、交通政策基本法についてでありますが、私は、昨年まで過疎地の町長を八年務めていた経験から、このわずか八年の中でも、たった一つだったタクシー会社が撤退をし、そして、バス路線も大きな減便で本数が半分ぐらいになったりと、公共交通の減衰というのでしょうか、そういった中で闘ってきた者の一人として、今回、交通政策の基本法がつくられることを心から歓迎するところであります。

 しかし、法案を読ませていただいて懸念する点は、国及び地方自治体の地域住民の交通移動に対する責務、それが重くなり過ぎはしないかというところが懸念するところであります。例えば、憲法十四条の法のもとの平等とか、二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、このあたりと結びつけられて、先ほど参考人から移動権の話もありましたけれども、過度な要求、これに国及び地方自治体が応えねばならない、そういうことになりはしないかと懸念するのでありますけれども、この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、この法案におきましては、国は基本理念にのっとりまして、交通に関する施策を総合的に策定して実施する責務を有しております。一方、地方公共団体は、基本理念にのっとり、交通に関し、国と適切な役割分担を踏まえて、その公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施するというふうに責務を規定しております。

 このように、国は全国的、広域的な見地から、制度の創設とか財政上、税制上の支援を行う。一方、公共団体の方は、地域の実情を踏まえた具体的な施策の実施を担うということになっておりまして、例えば、今実施しております地方バスの路線や離島航路、航空路の維持につきましても、同様に、公共団体が協議会と中心となって策定した計画に基づく取り組みについて支援をするということになっておるわけでございます。

 一方で、法案の中では、国民に関しましても、基本理念について理解を深めて、実現に向けてみずから取り組むことができる活動に主体的に取り組むように努めるということと、国または地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力するよう努めることによって基本理念の実現に積極的な役割を果たすというようなことも書いてございます。

 いずれにしても、本法案では、交通に関連するさまざまな主体が相互に連携を図りながら協力して、最終的には施策の効果的な推進を図るということになっておりますので、特定の主体だけが過度な責務を負うことにならないように留意していかなければいけないというふうに考えております。

前田委員 ぜひ、その点、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、交通手段の確保についての、今度は国と市町村の役割分担についてであります。

 法案の八条そして九条を読みますと、交通に関しては国と地方公共団体がそれぞれに役割分担を果たしていくんだとし、そして第十六条では、「国民が日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院その他の人又は物の移動を円滑に行うことができるようにするため、」途中略しますが、「交通手段の確保その他必要な施策を講ずる」と、国の積極的な関与、これを明示しているところであります。

 しかし、公共交通の確保ということになりますと、現実問題は、その地域に対して責任を持つ市町村がこれを担っているという現実がありますし、また、他方でもそのようなことになっていると思います。

 道路運送法の見直し、これもまた先ほど参考人のお話にもありましたけれども、道路運送法の見直しで、事業者の参入、そして撤退が容易になった結果として、自治体の公共交通の確保に対する責務が強くなりました。

 また一方、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律、これで、国の役割は情報の収集などの側面支援、そして、都道府県は広域的な見地からの助言や援助、こういったサポートする役割にとどまっています。そして、市町村は主体的に地域公共交通の活性化及び再生に取り組む、地域公共交通の確保の責務は市町村であるというふうになっているのが、この地方分権の流れの中で出てきた今の形だというふうに思います。

 この法律においては、国はこれに対しての責務を負うということが、私は強く打ち出されているというふうに思います。先ほど、国と地方公共団体の役割分担だというふうなことが言われましたけれども、この点、もう一度、この責務、どういう責務が国で、市町村はどういうものなのか。また、この法案と他の法律では整合性は十分とれているというふうに考えておられるのか。その点、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域公共交通の確保に当たりましては、その地元の地域のニーズに的確に対応したきめ細やかな施策を推進するということがまず非常に重要だと思いますので、今委員から御指摘もございましたように、地域の総合的な行政主体であります市町村なりが中心になりまして、特に地域住民や事業者等、地域の方々が一体となって取り組むべき課題だということがございます。

 そういう考え方に基づきまして、今、例として引かれました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の中におきましては、市町村によって計画を作成する制度及びその計画作成に当たりましては協議会の制度というものを法定化したところでございまして、それは地域のニーズにきめ細かく対応する施策の必要性からということでございます。

 一方で、先ほども御答弁いたしましたけれども、国としても、当然、全国的、広域的な見地から、そういう地域公共交通に関する制度の枠組みを創設したり、財政上とか税制上の支援措置を講じるというようなことも行いまして、地域が中心となって取り組んでおります、そういう課題解決に向けて支援をしていくという、これは両者が共同して解決すべきものだというふうに考えておりますし、実際、今、具体的な施策として予算制度で取り組んでおります地域公共交通確保維持改善事業によりましても、地域の主体的な取り組みを前提としながらも、地方バス路線や離島航路、航空路線の維持に関しまして、補助するような財政的支援を行っているわけでございます。

 ただ、そういうような支援をしておりますが、今回、第十六条で、その中でも特に日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保については国が必要な施策を講ずることということを書きまして、そういう地域の取り組みに対して国が支援するという姿勢、それを明確にしたというふうに思っております。

 ただ、いずれにしても、その他、十二条等で、交通につきましては、国とか公共団体、関連事業者、施設管理者等、それから住民、関係者が相互に連携協力することが必要だということが規定されておりますので、こうした関係者の相互の連携、協働によりまして問題を解決していくということだと思っております。

 いずれにしても、地方公共団体のきちっとした適切な役割分担を国としては図りながら、地域の実情に応じた交通ネットワークの構築に向けて、各種の支援に着実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

前田委員 その連携協力というのが、責任の所在が曖昧になりがちでもありますので、ぜひその点、実務を進めていく上で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 バス路線が難しくなったとき、私は、有効なのは、例えば通院、通学、そして一般の方々の買い物などの足、そういったものを混乗の形で乗せるコミュニティーバス、これが有効だというふうに思います。

 ただ、スクールバスだと、地方財政計画の中でこの算定の根拠があるわけでありますけれども、これに一般の方も乗せるとなると、それは該当しなくなったりもするんですね。ですから、この地方交付税の出し方、そういったことについても、スクールバスとか、またコミュニティーバス、通院バス、そういうところに差が出ないように、市町村が主体的に自由な選択ができるように、そのような配慮もしていただきたいというふうに思います。

 時間になりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 本日は、貴重な質問の機会をありがとうございます。沖縄一区の國場幸之助です。

 交通政策とは、人と人、人と町を結ぶ大切な社会活動でありますから、交通単体で語ることはできないと思います。その前提には、道路や鉄道、空港、港湾といった社会資本の整備が必要であるからでございます。ハード面の計画である社会資本整備重点計画は存在しておりますが、交通というソフト面での総合計画はありませんでしたので、本法案の成立の必要性は高いと考えます。

 しかし、社会資本の整備や交通政策といったものの大前提には、我が国の国土のグランドデザインがなければならないと私は考えます。

 世界で最も災害が多発し、有史以来の人口減少と少子化、そして高齢化が急速に進む中、限られた財源と人材と可住地面積の中で、先祖から継承した国土を守り、育んでいかなければなりません。さらに、家族の世帯も一人世帯が第一位となり、二〇五〇年には日本の六六・四%の地点で人口が半分以下に減少すると言われております。認知症の増加や社会的孤立や介護に対応できる共同体の形成も含め、国民の衆知、英知を結集した地域づくり、国づくり、国土形成論議が今ほど求められる時期はないと思います。

 昭和三十七年以来、全国総合開発計画は五回にわたってつくられてまいりました。現在は平成二十年につくられた国土形成計画の途中ですが、東日本大震災を経験したにもかかわらず、その見直しは行われておりません。また、政治の分野でも、かつては日本改造計画論や田園都市構想といった大局的な国土論議がありましたが、今はありません。

 私は、国土交通省の使命というものは、その名称のとおり、国土と交通を構想し、また、その二つの連携を踏まえた政策を立案し、その成果を国民に還元することにあると考えます。

 そこで、最初の質問です。

 交通に関する基本的な計画は、日本の国土のあるべき姿と密接に連携してこそ有機的な計画たり得ます。二〇〇八年につくられた国土形成計画は、東日本大震災や、今後予想される首都圏直下型地震、南海トラフ地震を初めとした防災対策を見据え大幅に見直し、新たな計画作成をしなければならないと考えますが、どうでしょうか。

 また、国土交通省内でも国土のグランドデザインを検討していると聞いておりますが、その進捗状況と大臣の御所見を伺います。

太田国務大臣 認識は全く同じです。

 国土のグランドデザイン、それから、我が国が二〇四〇年、二〇五〇年にどういうふうになっていくかという、かなり想像力を発揮して、強い、そして穏やかで人の関係もよい、豊かといっても、経済的な豊かさだけではない豊かさというものを、幅広い豊かさを持つ、そうした国土をどうするか。

 けさの参考人の質疑の中でも家田先生が言っていらっしゃいますけれども、人口減少、国際競争力の強化、そして巨大地震への備え、戦略的な交通というものをつくる必要がある。個別法でやってきたけれども、総合的にやるということが大事だということは、イコール、この国土をどうするのかということと交通ということを総合的にやるということはリンクをしている問題だというふうに、私は先生と同じ認識を持っています。

 地方においては人口減少、この人口減少というものをなすままにしておいてはいけないので、少子化対策というものをしっかりやらなくてはいけないんですけれども、二〇五〇年には人口が九千七百万人ぐらいになるとも予想されている。そして、地方においては、特に人口が半減するという地域が六六%を占めていく。そうしたことの中でコンパクトシティーというものをつくる。そして、そのコンパクトシティーとコンパクトシティーを結んでいく交通網というのをどうしていくのか。過疎と言われるところを幾つか並べて、真ん中のところに、道の駅というようなことをさらに膨らまして、結節点をつくって医療とかいうことができるようにする。そこも、交通というものと道路というものが一緒に考えられて整備をされていかなくてはならない、こういうふうに思っています。ですから、コンパクトシティー・プラス・ネットワーク。

 そして、大都市部においては、スマートシティーあるいはスマートウエルネスシティーというものをどういうふうに連結し、この都市部においては経済活性化というものがあわせて大事だという、その戦略性をとっていかなくてはいけないと思っています。

 先生おっしゃるように、国土形成計画ができて五年たちました。この五年の間に東日本大震災があり、そして切迫する首都直下や南海トラフの地震があり、災害の起き方が、五年前は竜巻なんていうのは余りなかったんですが、そういうことが起き、島ということについての、これは航路ということも含めて、物すごく大事だという、フェリーや航路、島というところがどういうふうに生活をしていくのかという、そうしたことも含めて、二十年の閣議決定というもののままではなくて、この五年間の間に相当世の中が変わってきているという状況があると思います。また、切迫性もあると思います。私は、そういうことで、必要に応じて国土形成計画の見直しについても検討していきたいというふうに考えているところでございます。

國場委員 大臣、大変御丁寧な答弁、ありがとうございます。あるべき地域の姿、そして共同体のあり方、国土づくり、そこと連動した交通政策基本法の策定を、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、法案の中身を質疑していきたいと思います。

 交通政策基本法は、交通に関する多岐にわたる内容が盛り込まれておりますが、プログラム法ということもありまして、中身が見えにくいという声も聞きます。そこで、本法案が成立をすると、日本の交通の姿が具体的にどのように変わっていくのか、その点を例示していただきたいと思います。

 また、第十五条には、交通政策基本計画を定めるとありますが、その作成スケジュールを明らかにしてください。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、本案は、基本理念を定めまして、これを踏まえた国の施策の基本的な方向性を定めますとともに、交通政策基本計画を閣議決定して、政府が一丸となって施策の実現を図るということで、今お尋ねの、どういうふうに交通の姿が変わるのかということを申せば、この法案の中にあります課題に沿って若干申し上げますと、例えば人口減少、それから少子高齢化が加速度的に進展する中で、特に地方のバスなど運輸事業の経営が非常に深刻化している中で、地域における生活交通の確保を図るとか、国際的な競争がますます激しくなる中で、経済成長が著しいアジア太平洋地域の活力を取り込むために、国際的な人流や物流のネットワークを充実させる。また、近い将来、大地震に見舞われる可能性が高い中で、東日本大震災の経験を踏まえた巨大災害への対応を万全なものとすることというふうなことで、幾つかの施策を考えております。

 もう一つは、交通政策の推進というのは、今大臣が答弁申し上げましたように、国土全般にわたる状況の変化を見据えつつ長期的に行うわけでございますが、その際には、社会資本の整備とも密接に連携しなきゃいけないというふうに考えております。

 今答弁がございました国土のグランドデザインの中では、コンパクトな拠点とこれを結ぶネットワークを進化させて、人口減少社会においても地域の活力が維持された安全、安心な社会を構築していくということを目指しているところでございますので、そういたしますと、交通というのはこのネットワークの根幹を担うということでございますので、そうした国土の全体を見据えた施策の実現ということにもしっかりと貢献できるものというふうに考えているわけでございます。

 もう一つ、基本計画策定のスケジュールについてのお尋ねがございました。

 これは、新しい法律でございます。今まさに委員からの御質問にもありましたように、交通に関する施策は非常に多岐にわたっております。そうした中で、法律の中に、例えば、国民等からの意見の公募でございますとか、交通政策審議会及び社会資本整備審議会への意見聴取、また、環境大臣への協議等、いろいろな手続がございまして、最終的に関係省庁と意見調整した上で閣議決定するということになっております。

 それなりの時間はかかると思いますが、我々の思いとしては、なるべく施策の効果を早期に実現するために、そうした手続は当然経た上で、一つは、平成二十七年度の予算要求の時期、来年の夏になろうかと思いますが、それを念頭に置きながら、できるだけ早期の閣議決定を目指すということで、今、いつとはなかなか言えないんですが、なるべく早くという思いで取り組めればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

國場委員 ぜひとも多くの国民の意見を踏まえて、すばらしい交通政策基本計画の策定をよろしくお願いします。

 続きまして、計画作成に関する省庁間の連携に関して質疑を行いたいと思います。

 基本法第十五条の七に、交通政策基本計画の作成に関しては、内閣総理大臣、国土交通大臣、経済産業大臣が案を作成し、環境大臣と協議するとあります。しかし、交通政策は各省庁と密接な関係がありますから、連携をする大臣というものを経済産業大臣や環境大臣に限定することはできないと思います。

 例えば、認知症高齢者の増加を見据え、住まいと医療と介護と予防と生活支援が一体となった地域包括ケアシステムを推進する厚生労働省の連携も求められてくると思います。交通は人と人をつなぐ手段である以上、暮らしや地域の行方や、あるべき共同体の姿にも配慮する必要があると考えるからです。

 また、第三条の二には、大規模災害の際に移動が円滑に行われることの重要性や、第十六条の、離島に係る交通手段の確保とありますが、例えば、私の沖縄県の方では四十一の有人離島がありますけれども、夜間等の緊急搬送を行っているのは自衛隊でございます。つまり、災害や多くの離島を抱える我が国の特性を踏まえた交通政策を描くときに、防衛省との連携というものも不可欠になってくると考えます。さらに、通学路の安全確保も、文部科学省に関係します。

 基本計画作成の際には閣議決定を求めると第十五条の四にあるものの、法案の中に、関係大臣と連携をとるとか協議するという文言がありませんでしたが、必要ではないでしょうか。もしくは、基本計画に盛り込んでいくという考えでありますか、伺います。

西脇政府参考人 まず、本法案におきましては、交通警察の観点からの内閣総理大臣、商務流通等の観点からの経済産業大臣と案を共同で作成するということになっておりますし、今委員御指摘のありましたように、環境大臣との協議は、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和を図る旨、第十五条の三項に規定しておりまして、その観点から協議することとしておりますけれども、まさに今委員御指摘のとおり、交通政策については、非常に広い分野で各省庁と関係しております。

 若干例を申し上げますと、例えば、病院や社会福祉施設による患者等の送迎については厚生労働省でございます。今、防衛省の話がございましたけれども、大規模災害発生時の物資の緊急輸送なんかも、これはまさに防衛省との連携でございます。先ほどの議論にございました、スクールバスによる児童の輸送につきましては文部科学省。それから、あと、国際空港、港湾で出入国管理は法務省、それから、税関で財務省とか、検疫で農林水産省、輸出入手続で経済産業省。とにかく非常に多岐にわたる省庁と関係しておりますので、これは当然、密接に取り組んでいくということでございます。

 ただ単に計画を閣議決定するということではなくて、その前段の、いろいろな施策の推進だけではなくて、計画策定のかなり早い段階、前広に、いろいろな関係省庁とはお話をしながら、いいものにしていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

國場委員 ありがとうございます。

 続きまして、先ほど前田委員からもありましたが、地方公共団体との連携についてお尋ねをしたいと思います。

 交通政策は、三大都市と地方、山間地域、そして離島、いろいろな特色を踏まえた千差万別の交通政策をつくっていかなければならないと考えます。奈良県や福岡市の方では、交通政策にかかわる基本計画を独自に条例として制定しております。本法案も、第九条に、地方公共団体との役割分担、責務などが盛り込まれておりますが、具体的にどのように連携をとっていくのか。

 特に、過疎化、高齢化で疲弊する地方の路線バスなど、地域交通の維持存続も切実な問題です。本法案の最大の肝の一つが、地域交通の持続可能性にあると言っても過言ではないと思います。法案第十条に、「交通関連事業者及び交通施設管理者の責務」とありますが、交通施設の老朽化や赤字を抱えながら、存続するだけでも困難な状況下にある地方交通事業者へ、法案第十三条にも示していますが、財政上の措置に関してどのような取り組みを考えておりますか。地域の活力向上を図る趣旨の第二十条、第二十一条とも絡めて、答弁をお願いします。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 幾つかの論点を御質問いただきました。

 まず、交通に関する課題につきましては、委員御指摘のとおり、例えば大都市部では渋滞とか環境問題、一方、地方部とか離島等では、まさに今ありました生活交通の維持確保等、地域によって抱えている課題がかなり異なっております。

 そういう意味から、交通に関する施策を進めるに当たっては、地域の事情に精通しております地方公共団体とか地域の交通関連事業者の役割が非常に大きいというふうに考えておりまして、そうしたさまざまな関係者の連携が非常に重要だというふうに考えているわけでございまして、今委員御指摘がありました第十二条にその旨を書かせていただいているところでございます。

 特に、地域公共交通のことについてお答えすれば、非常に過疎化を背景として利用者の減少が進み、交通事業者が厳しい経営を余儀なくされております。こうした中で、地域の公共交通を確保するというのは非常に難しいし、重要な課題だというふうに思っております。

 今、現行の制度を若干申し上げますと、国は、地域の主体的な取り組みを前提として、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、一定の地方バス路線とか離島航路、航空路線の維持に関して、運行費の欠損の二分の一を補助するなどの財政的支援を行っているわけでございます。

 我々の思いとしては、地域公共交通は非常に重要な問題でございますので、さらに地域の関係者間の役割分担と合意のもとで、望ましい地域公共交通のネットワークを形成していくための新しい枠組みづくりが必要なのではないかというふうに考えておりまして、現在、そうした制度について検討しているところでございまして、もし、その検討結果が出た場合につきましては、関連の法制度なんかについても検討していきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、地域の公共交通につきましては、非常に重要な課題ということでございますし、関係者の御意見も聞きながら、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

國場委員 地域の抱える問題というものは多岐にわたりますので、地方分権でありますので、国が地方の方に条例制定というものを強要することはできないにしても、連携をとっていきながら、地域の抱える交通の諸問題を解決できるような取り組みを、国としてもよろしくお願いします。

 続きまして、交通の国際競争力に関してお尋ねをしたいと思います。

 基本法第三条には、「交通の機能の確保及び向上」がうたわれております。その中に、「我が国の産業、観光等の国際競争力の強化」とありますが、アベノミクスの成長戦略にも資する交通政策基本法でなければならないと考えます。

 具体的に、交通の国際競争力の強化というものはどのような事業や政策に取り組むことであるかをお示しください。

高木副大臣 国際競争力の強化、その基盤となります国際交通ネットワークを形成するということが、我が国の世界あるいはまたアジアの中における位置づけというものを高めて、そして都市間競争、産業間競争などを勝ち抜くことにつながって、そして、それが成長戦略の実現に資するというふうに考えているところでございます。

 このため、本法案においても、国は、国際海上輸送網あるいは国際航空輸送網の形成、さらに、その両者の結節機能の強化などを行い、そしてハブ港湾、ハブ空港の整備、こういったことを行わなければならない旨を第十九条によって規定しているところであります。

 具体的には、我が国に寄港する国際基幹航路の維持拡大を図るため、老朽化した物流施設の再編や高度化支援、あるいは、コンテナ船の大型化に対応した施設整備等による国際コンテナ物流網の強化、さらに、資源、エネルギー等の安定的かつ安価な輸入の実現を図るために、大型船に対応した国際物流ターミナルの整備、これは、深さであったり、あるいはまたクレーンの能力の向上などでございますけれども、さらには、企業間連携の促進を図る荷さばき施設等の整備に対する支援、大型船を活用した企業間連携による共同輸送の促進に資する取り組みへの支援など、そういった効率的な海上輸送網の形成に努める。

 そしてまた、空におきましては、例えば、首都圏空港の平成二十六年度中の年間発着枠七十五万回化と、あるいはまた、七十五万回化達成以降、さらなる機能強化の検討などの施策を実施していくということになります。

 本法案に基づく交通政策基本計画にこれらの取り組みをしっかりと位置づけることによって、成長戦略の実現を目指していくということになります。

國場委員 ありがとうございます。

 空港、港湾の国際競争力というものは、日本の国力そのものであります。ぜひとも、本法案を通して、日本経済の復活にも資するような内容として、よろしくお願いします。

 続きまして、歩行者の安全に関して質疑をします。

 第五条には、徒歩も交通手段として明示をされております。しかし、我が国は、歩行者、特に高齢世代の歩行者の交通事故による死亡事故が、世界でも類を見ないほど高いという残念なデータがあります。通学途中の児童が犠牲になるという痛ましい悲劇もありますが、単にドライバーの問題のみならず、日本の歩道設置や道路政策そのものの構造的な問題もあると私は見ております。

 第七条で、交通安全確保に関しては、「交通安全対策基本法その他の関係法律で定めるところによる。」としておりますが、交通政策基本法でも交通安全、特に歩行者の安全を理念として前面に掲げ、必要な施策に取り組むべきではないでしょうか。また、基本計画でどのように位置づけていくのかを明らかにしてください。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、我が国の平成二十四年度の交通事故死者数は全体で四千四百十一人、十二年連続で減少しているものの、依然として多くのとうとい命が失われております。そのうち、御指摘がありましたように、歩行者が千六百三十四人ということで約四割を占めているという、非常に痛ましい状況になっているわけでございます。

 全ての日常生活の基礎であります徒歩につきましては、今委員御指摘ございましたように、交通政策基本法案においても重要な交通手段の一つとして位置づけております。安全で安心な社会の実現を図るためには、人を優先するという考え方のもとに、自動車と比較しますと弱い立場にあります歩行者の安全を確保するということは、非常に重要な課題というふうに認識しております。

 国土交通省といたしましては、関係省庁とも連携しながら、従来より、例えば、歩道、横断歩道橋等の整備とか、無電柱化でございますとか、路側帯の設置とかカラー舗装等、各種の施策を講じることによりまして、歩行者の安全確保を図っているところでございます。

 今後、この法案に基づき、基本計画を策定する場合におきましては、当然、これらの歩行者の安全確保ということも十分配慮しながら策定に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

國場委員 交通政策基本法は、徒歩、歩いて、そしてまた、公共交通を活用した、顔の見えるコミュニティーを形成していくという、共同体の育成にも資する内容でなければいけないと考えます。その際には、四割が交通事故、歩行者でお亡くなりになっているという、この現状を改善するための内容にも仕上げていただきたいと強く要望します。

 続きまして、基本計画は、施策の実施状況や事業評価並びに成果を踏まえ、社会資本重点計画とも連動し、必要に応じ見直しをする必要もあると考えますが、法案の中には、計画、評価に関する内容が盛り込まれておりませんでしたが、この点をどのように考えておりますか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、この法案に基づきます交通政策基本計画につきましては、平成二十七年度予算の概算要求の時期を念頭に置きつつ、できるだけ早期の閣議決定を目指したいというふうに考えているところでございますが、当然、計画の策定に当たりましては、国土のグランドデザインとか社会資本整備重点計画との整合性を図る必要があるということも考えておりますし、今ございました評価ということでもございますけれども、全ての計画、まず最初にいろいろな方の御意見を聞きながら、手続を経て作成するわけでございますけれども、当然、その中には、計画をつくった後に、フォローアップとか、ましてやいろいろな状況変化のときには見直すということがございますから、我々といたしましては、そういうことも当然視野に入れながら計画の策定に取り組み、その後のフォローアップについても努力をしてまいりたいというふうに考えております。

國場委員 ぜひともよろしくお願いします。

 それでは、最後の質問を行いたいと思います。

 交通政策基本法は、日本国民であれば、誰もがひとしく交通政策の恩恵に浴することがなければならないと考えます。

 私は沖縄県の選出でありまして、私たちの県には六十八年前に軽便鉄道という鉄道がありました。沖縄の戦前の平和な時代の原風景というものは、青い海と青い空、そして赤い赤瓦、空手、三線、泡盛といろいろありますけれども、その中の一つには鉄道というものもあります。

 ですから、結びに大臣にお尋ねしたいんですが、今、国も一億九千万で、内閣府の方が沖縄に対する鉄道の可能性調査を継続しております。ところが、沖縄県も五千万近い予算をつけまして、鉄道復活の取り組みを行っているわけでございます。沖縄にとっての究極の戦後補償の一環でもある本県における鉄道の復活に関して、大臣のかたい決意を結びに伺いまして、ラストの質問とします。お願いします。

太田国務大臣 沖縄に五十回以上ぐらい行っておりますけれども、鉄軌道の整備について非常に熱意を持っているということについては十分承知をしています。

 鉄道というのは、「あまちゃん」もそうですし、この四月に南三陸鉄道が通ったときに、みんな沿線で旗を振って非常に喜んでいるという光景を見ました。道路も大事です。いろいろなものが大事なんですが、鉄道というのはまた違った意味で、復興を実感したり、あるいは一人一人の心を躍らせたりという要素があるんだというふうに思っています。

 沖縄振興特別措置法第九十一条で、鉄軌道を含む公共交通機関に関して、整備のあり方についての調査、検討を行うよう努める、こういうことが書いてあり、内閣府で二十二年度から鉄軌道等の導入可能性調査が実施をされております。採算性のこともありますし、需要もありますし、私が今申し上げたように、沖縄県民意識が心の中で盛り上がるというような、単なる数字だけにあらわれないものもあろうというふうに思います。

 沖縄については、内閣府が第一義的な主体でありますけれども、国交省としましても、内閣府による調査結果等を踏まえまして、必要な助言とか協力等を行ってまいりたい、このように考えているところです。

國場委員 大臣、本当にありがとうございました。

 沖縄の鉄道の復活は超党派でやっていただきたいと思いますので、民主党の三日月先生も含めて、ぜひとも、今後の日本の政治体制がいかなることになっても、持続可能性のある御支援をよろしくお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。

 あっ、答弁を求めてもいいんですか。

梶山委員長 いや、もう時間が来ておりますので、次回にしていただければ……。

國場委員 わかりました。申しわけありません。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 国土交通委員会で太田大臣に対する質問は初めてでございます。ふなれな点もございますけれども、お許しをいただければと思います。

 特に大臣におかれましては、北海道におきまして、豪雪対策や国道の土砂崩れの災害などについてスピーディーかつ的確に対応していただいていることに関し、心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 そして、まず初めに、私も先ほどの前田議員と同じように北海道でございますので、JRの問題からまず御質問させていただきたいと思います。

 北海道で大きな問題であるJR北海道問題、この十一月一日についにJR東日本から八名の応援を入れていただいて、恐らく今後まず一年をかけて抜本的な体質改善を行っていくのではないかなと思うのでありますけれども、国の重要な交通インフラ、そのかなめをなすJRであります。

 北海道におきましても、JRが担う役割が非常に大きく、JR北海道がしっかりすることによって生まれる道民の安全、安心、北海道経済の発展、地域の経済活性化が期待できるわけでありまして、大臣にはその陣頭指揮に立っていただいております。何としてもJR北海道を復活させていかなければならないし、私もでき得ることから何でもさせていただきたいという思いでございます。

 まず大臣におきまして、このJR北海道の件について御所見をいただきたく存じます。

太田国務大臣 JR北海道は幾つかのトラブルが発生しまして、事故が起きないまでも、どうも中が揺らいでいるような感もあるわけですが、いろいろな意味でJR北海道が立ち直って、安全で安心して多くの方に乗っていただけるようにというところまで懸命に努力をしたいというふうに思っているところです。

 JR北海道は、今申し上げましたけれども、鉄路というのは非常に心を躍らせるという、鉄道を本当にカメラを持って追いかける人も大勢いらっしゃったりするように、非常に違った、ほかの交通機関以上の心躍らせるものがあるんだというふうに思います。

 特に北海道におきまして、JR北海道の位置づけは物すごく大事だというふうに思います。札幌近郊を中心とした通勤通学あるいは新千歳空港へのアクセスなど都市圏の交通機関として重要でありますし、豪雪地帯において安定した地域の輸送や都市間輸送を担う交通機関という点でも大事でありますし、観光資源の豊かな北海道における内外からの観光客の足としても大事ですし、また豊かな自然の恵みを運ぶという上でも物すごく大事な役割を果たしているんだというふうに思っています。

 いろいろなトラブルがありますけれども、JR北海道自身がみずから屹立として、毅然と立ち上がって、鉄道マンとしての誇りも外に見えるような形で、中からJR北海道は安全で安心ですばらしいんだぞということが外ににじみ出てくるようなところまで私は何とか立ち直らせなくちゃならぬということを強く思っています。

 引き続き、安全問題の全体の整理、分析も含めまして、抜本的な対策を検討しているというのが現状でございます。

佐藤(英)委員 力強いお言葉をありがとうございます。私も北海道の一員としてでき得る限り取り組んでまいりたいと思っております。

 さて、このたびの交通政策基本法案並びに交通基本法案の二案の件でありますけれども、この交通のあり方に関する基本法については、最初に、平成二十三年三月八日に政府が交通基本法を提出されたのを皮切りに、本日に至るまで、二年八カ月の歳月を要しているわけであります。提出のわずか三日後には東日本大震災が発災し、防災、減災に資する観点がこれまで以上に重要だと再認識され、現在、閣法の交通基本政策法案となっているわけであります。

 そこで、内閣提出の法案名について、あえて政策という一言を入れたのはなぜか、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

 また、この交通政策基本法案、前身の交通基本法案の作成段階で、国土交通省は多くの識者の方々から交通権もしくは移動権を保障すべきと伺っているようであります。しかし、今回提出の両法案では交通権そのものの定義づけや交通権の保障について明文化はしていないわけでありますが、アクセシビリティーの保障について、国民的なコンセンサスが形成されていない状況で無理に移動権の保障を書き込めば、かえって不要な混乱を招く危険性もあるだろう、そういうことだと私は認識をしております。

 そもそも、憲法でうたわれている移動の自由、これを保障するために、私は、この交通政策基本法案並びに交通基本法案には、移動の自由をいかに実現していくかという精神が既にしっかりと盛り込まれているのではないかと思っております。そして同時に、今後の交通権に対する社会的コンセンサスの形成に向けての取り組みこそ加速をしなければならないと考えます。

 国交省としては今後どのように取り組んでいかれるのか、決意とあわせて、具体的に予定している取り組みがあれば、お答えをいただければと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、最初の御質問でございます法案の名称についてでございますが、この法案では、交通に関する施策についての基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めることによりまして、当該施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを目的とする、そういう趣旨を法案の名称上も明確に示すために、交通基本法案から交通政策基本法案へ改めることといたした次第でございます。

 それから、その次に、アクセシビリティーについての御質問がございました。

 御指摘のように、平成二十二年に交通政策審議会及び社会資本整備審議会に設置されて合同で開催されました交通基本法案検討小委員会においてさまざまな議論が重ねられまして、当時、交通権を規定することにつきましては時期尚早であるとの報告がなされて、それを受けた形でございます。

 この移動権ということを検討する必要性なり、その検討する背景で起こっております問題は、まさに委員の問題意識と同じだと思いますけれども、例えば、離島や山間部等の地方での公共交通の維持が非常に困難になっておるということで、例えばマイカーなくしては住民が移動できなくなっているとか、公共交通事業者を取り巻く環境というのが非常に厳しいというような、そういう認識があるわけでございまして、そうしたものはきちっと解決しなきゃいけないということで、第二条におきまして、国民その他の者の交通に対する基本的な需要の充足が必要だということと、まさに施策のところでは、十六条で、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保、それから十七条で、高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動というような規定を設けまして、法案の中にはそういう精神を盛り込んだつもりでございます。

 今後は、これらを具体化していきます計画、それからその計画を実現する具体的な施策というものに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐藤(英)委員 今お話しになったアクセシビリティーの向上についてですけれども、都市化の進展と都市集中という大きな流れの中で、地方、特に離島や山間部においては、どんどん過疎化と高齢化が進んでいるという大変厳しい現実があります。買い物困難者、医療へのアクセス困難など、その対策の必要性は日常生活に支障を来すレベルまで達しており、さらに、地方と都市を結ぶ足は年々失われていく一方でもあります。

 国交省の地域交通確保事業や過疎債のソフト対策事業など、国も地域の足を確保するためにさまざまな対応を行っておりますが、こうした公助に加え、最近は、地域においても、流通事業者や大規模小売店、NPOなどによる自助、共助の取り組みもふえております。

 北海道の利尻島や礼文、天売、焼尻、奥尻島なども幾度も訪問しておりますが、離島のおかげで守られている領土、領海、排他的経済水域があることも忘れてはならないと思います。また、山間部は水源として、景観として、国土形成のためにも欠かせない地域であります。

 この交通政策基本法が可決、成立することにより、こうした地方のアクセシビリティーの向上にどのような効果が期待できるのか、お伺いをしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域の公共交通の状況は、先ほどからも答弁しておりますが、全国的に利用者の減少が進んで厳しいですが、とりわけ、今御指摘がございました過疎、それから離島、山間部、国土を守る上で非常に重要な役割を担っている地域の公共交通がさらに厳しい状況になっておりまして、例えば高齢者の通院とか子供の通学というような、生活の足を確保することが非常に重要だという認識でございます。

 今委員からも御指摘ございました、従来から地域公共交通確保維持改善事業は、当然これは条件不利地域も対象に、地方バスの路線維持や離島航路、航空路の維持に関しまして財政的支援を行っているわけでございますけれども、先ほども答弁いたしました、さらに地域の関係者間の役割分担と合意のもとで望ましい地域公共交通のネットワークを形成する新たな枠組みの構築について検討を進めております。

 この法案が成立し、また計画をつくる中で、特に、そういう新しい法律なり財政上の枠組みというものを後押しするという意味でも、この法案の役割というのは大きいというふうに思っておりますし、基本計画に基づきまして、制度の具体化にさらに努力したいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 次に、高齢者の方々や障害者の方々など、いわゆる社会的弱者と言われる方々の権利の再認識、再構築の必要性に対する認知度がどんどん高まっているわけであります。

 これまで、我が国では、ハートビル法や交通バリアフリー法、新バリアフリー法と、高齢者や障害者など交通弱者に対するアクセシビリティーの向上を具体的に、かつ積極的に図ってまいりました。ところが、二〇二〇年にはオリンピック、パラリンピックが我が国で開催されることが決定をしたところであります。私は、この二〇二〇年は、世界に対し、日本が世界一、障害者などのハンディキャップのある人に優しい、ユニバーサル化の進んだ国だと世界へアピールする絶好の機会ではないかと考えます。

 したがって、私は、このたび策定する交通政策基本計画には、二〇二〇年の東京オリンピック、東京パラリンピックに向けて、これらアクセシビリティーの問題に対して具体的かつ野心的な目標を盛り込み、その実現に全力を挙げていくべきではないかと考えます。御所見を伺います。

太田国務大臣 バリアフリー法やハートビル法、それを推進するということで、私は一生懸命政治活動の中でやってきた一人でございます。

 ことしに入ってからも、ベビーカーを駅で使えるようにということで、首都圏の交通関係者全て、社長さんに集まっていただいて、ベビーカーが使えるようにということで、マークの統一を初めとしてやらせていただいたり、あるいはホームドアの設置を推進したり、そして、ことしの五月、六月で、全国のサービスエリア全部、全てにマタニティーマークをつけさせていただいて、おなかの大きい方がそのままトイレが近いようにというような措置もとらせていただきました。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックというのは、オリンピックで切られるところがあるんですが、実はパラリンピックというのが非常に大事で、内閣参与の平田先生は、パラリンピックが切られるから、二〇二〇東京オリパラというふうに、そういう言葉にしようということで、パラリンピックは五十年前になかったが、今回はパラリンピックが行われるということが大事だ、私もそれを一気に進める一つのチャンスにしたいというふうに思っています。

 ハートビル法と交通バリア法を統一して新バリアフリー法で、駅であれあるいはエレベーターやいろいろなところであれ、道路もそうなんですけれども、さまざまな手を打ってきましたけれども、もう一つ、心のバリアフリーということも含めて、車椅子を坂を押して上げて、手伝ってあげるのはいいんですが、上げたらすぐ手を放す人がいるそうでありまして、一気にそれで落ちてしまうというようなことがあって、どこまでどうすればいいかとか、前田先生がここに座っているけれども、立たせるにはどうしたらいいかというと、ちょっと手を握って引っ張るというふうにすると簡単に人は立ち上がることができるというようなことも含めて、一人一人が、全国民がバリアフリーに、そして心のバリアフリー、そして介護とかいろいろなことにも役立つ、人の体の構造ということで、どういうふうに力を注いだら簡単に手助けができるかというようなことも含めて、全体的に、ハードの面とソフトの面両方で私はバリアフリーというものを進めていかなくてはならない、また啓蒙とか学習とかいうことに努めていかなくてはいけない、各省とも連携をとって頑張っていきたいと思っているところでございます。

佐藤(英)委員 本当に大変前向きなお話、大変にありがとうございます。今後はやはり切らないで、オリパラという言葉を訴えてまいりたいと思っております。

 次の問題に移りますけれども、北海道は、御存じのように、大変に広大な面積を誇っております。したがって、北海道の経済の活性化には、分散した地方都市間における相互交通の充実も絶対に必要な要件であります。

 しかし、二〇〇六年の国幹会議で当面着工しないと凍結された路線により、北海道は一部分断を余儀なくされております。北海道縦貫自動車道の士別多寄町―名寄間、そして北海道横断自動車道の足寄―陸別小利別間であります。

 この路線の復活、凍結解除については、北海道の悲願でもあります。ぜひとも命の道路をつなぐ凍結解除について前向きな御検討をお願いしたいと思います。二〇一一年の東日本大震災以降、命の道路の重みは全く違ったものになっております。ぜひとも地方からの再興を願う声をお聞き入れいただきたいと思います。

 あわせて、北海道横断道の黒松内―余市間、帯広・広尾道の忠類大樹―広尾間についても、早期着工を求める声がございますので、何とぞ早期かつ前向きな御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。いかがでしょうか。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路につきましては、平時におきましても、地域の活性化や物流の効率化、あるいは医療機関へのアクセスという生活の面でも大変役立っておりますし、また災害時にも、地域の弱点を克服するいわゆる委員御指摘の命の道という大きな効果があり、必要なものと認識をしております。

 特に北海道の高速道路につきましては、農業を中心とする産業の競争力を高め、あるいは冬期の地吹雪などの大変厳しい状況にも対応するため重要であり、幅広い検討が必要と考えております。

 委員御指摘の北海道の二区間につきましては、平成十五年に、整備のあり方を抜本的に見直す区間とされたところでございますけれども、現在、その一部を緊急に整備すべき区間として事業を進めておるところでございます。

 残る区間につきましても、地元から熱い期待があることはよく承知をいたしております。整備中区間の事業の進捗や現道の交通状況等を見きわめ、現道活用も含めたコスト縮減などを検討してまいりたいと考えております。

 その他の区間についても検討させていただきます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、交通における国際競争力の強化は我が国の成長に絶対不可欠な要素でありますが、このたびの政策基本法の中にもその重要性を踏まえた記述が多く見られますが、その中で、特に港湾整備について触れさせていただきたいと思います。

 平成二十二年に、国は、バルク港湾戦略を打ち上げて、それぞれ各地域の港湾から応募を募り、その整備に着手し始めております。北海道でいえば、釧路港が穀物、殊に畜産、酪農向けの飼料のバルク港として指定されました。一昨年、昨年と国交省も随分御努力をしていただきましたが、残念ながら予算計上には至りませんでした。

 バルク港湾として釧路港が整備されますと、どのような効果が期待できるかという点についてお教え願いたいと思います。あわせて、現在、平成二十六年度予算に要望を上げていらっしゃると聞いておりますが、この取り組み状況と今後の御決意についてお話を伺わせていただきたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 近年、穀物などのばら積み貨物船の大型化が進展しておりまして、これに対応した港湾機能の確保や海上輸送ネットワークの形成が重要だというふうに認識しております。

 釧路港は、我が国を代表する食料供給基地であります東北海道一円を背後圏とし、また、世界最大の穀物生産地である北米からアジアで最も近い穀物取扱港でございます。

 このため、こうした地理的優位性を有する釧路港を拠点として、大型船を活用した海上輸送ネットワークが形成されることで、穀物の安定的かつ効率的な輸入に大きく貢献するものと考えております。

 また、昨年七月には、アメリカ穀物協会からも、釧路港を初めとする国際バルク戦略港湾の機能強化に向けた要望をいただいているところでございます。

 御質問の釧路港でございますが、今年度は、穀物輸送船の動向、あるいは事業実施計画等に関する調査を現在実施しているところでございまして、この結果を活用しながら、釧路港の機能強化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

佐藤(英)委員 何とぞよろしくお願いします。

 さて、北海道において交通を論じる際に欠かせないキーワードの一つは雪であります。

 近年、豪雪、暴風雪など、ここ数年、雪による直接的な被害が相次いでおりますが、この三年はそれぞれ百名以上の方々のとうといお命が雪によって失われております。改めて、被害に遭われた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御家族、御関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 雪によってお亡くなりになられた方々、平成二十二年、百三十一名、平成二十三年、百三十二名、そして昨年が百三名、屋根の雪おろしなど除雪作業中に転落するなどして御不幸にもお亡くなりになってしまうケースが最も多く、次いで落雪による事故、雪崩と続いておりますけれども、私は内閣府防災発表に含まれていない数字があると思います。それは雪による交通事故でございます。

 雪による交通事故や車線減少は、時には大変な渋滞を引き起こします。積雪による通行どめや速度低減などさまざまな影響も考慮した試算によれば、北海道が雪でこうむっているという経済的損失は、実に約三千億にも上るという試算もございます。

 こうした積雪への対応について、これまで除排雪の課題解決を叫ぶ声も大変に多くございました。そして、本日、大変にうれしいニュースが飛び込んでまいりましたけれども、実に二十一年ぶりに雪寒道路の指定の見直しが行われました。北海道初め雪の多い地域は大変に喜んでおります。この場をおかりしまして、心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 当然、本年度の社会資本整備交付金については、この新たに追加指定された道路分の除雪、防雪等の費用も含まれていると思っておりましたが、聞くところによりますと、まだ入っていないそうでありました。

 この費用は、従前から、大雪等で臨時的に追加が必要となったときには、予備費や未執行額から必要額を手当てしていただいておりました。しかし、指定道路が追加されたことを踏まえて、来年度からは社会資本整備交付金が多少なりとも増額される、このような認識でよろしいのでしょうか。御見解をお聞かせいただければと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま佐藤委員から御指摘をいただきましたとおり、本日、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法でございますけれども、雪寒法に基づく五カ年計画につきまして閣議決定をいただきました。あわせて、市町村からの要望が強かった雪寒指定道路の見直しにおきましても告示を行いまして、国及び自治体が管理する道路約十四万八千キロメートルを指定したところでございます。この雪寒法に基づいて、雪寒指定道路に指定されることで、除雪費補助及び社会資本整備総合交付金による支援が受けられることになります。

 委員お尋ねの、来年度の予算ということでございますけれども、これは来年度の予算編成過程において議論されることでございまして、直ちにこの場でお答えを申し上げるわけにまいりませんけれども、私どもも雪寒対策の重要性というものは強く認識をしておりますので、こういう観点に立って訴えてまいりたいと思いますし、また、社会資本整備総合交付金につきましては、総額の中で、自治体の裁量によっても措置をすることができるわけでございまして、このような部分を自治体の方で反映されるものと理解をしております。

 いずれにしましても、国といたしましては、これらの制度を通じて、自治体の支援を行い、冬期の道路交通の確保に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 このたびの交通政策基本法の早期成立を心から念じまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 この際、お諮りいたします。

 第百八十三回国会、三日月大造君外三名提出、交通基本法案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十七分散会


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