衆議院

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第2号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    大西 英男君

      勝俣 孝明君    門  博文君

      神田 憲次君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    谷川 弥一君

      津島  淳君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      原田 憲治君    前田 一男君

      牧島かれん君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    泉  健太君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      三日月大造君    岩永 裕貴君

      河野 正美君    坂元 大輔君

      西岡  新君    松田  学君

      村岡 敏英君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    中原 八一君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 渡辺 克也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永山 賀久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            花岡 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        森北 佳昭君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 松田 敏明君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 幾度  明君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  白須賀貴樹君     神田 憲次君

  林  幹雄君     赤枝 恒雄君

  原田 憲治君     津島  淳君

  坂元 大輔君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     林  幹雄君

  勝俣 孝明君     牧島かれん君

  神田 憲次君     白須賀貴樹君

  津島  淳君     原田 憲治君

  河野 正美君     坂元 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     秋本 真利君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長武藤浩君、大臣官房技術審議官森昌文君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、土地・建設産業局長毛利信二君、都市局長石井喜三郎君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長田端浩君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、政策統括官松田敏明君、政策統括官幾度明君、国際統括官稲葉一雄君、観光庁長官久保成人君、海上保安庁長官佐藤雄二君、総務省大臣官房審議官渡辺克也君、文部科学省大臣官房審議官永山賀久君及び防衛省大臣官房審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋元司君。

秋元委員 おはようございます。自由民主党の秋元司でございます。

 質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 きょうはまた予算委員会の地方公聴会が行われているということで、兼務されている先生もいらっしゃると思いますので、人数がちょっと少ないのが気になりますが、頑張って質問に立たせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、きょうは大分質問項目を多く設けさせていただきましたから、早速始めさせていただきたいと思います。

 まず、昨年、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの決定をいただきました。もう御承知のとおりでありますが、いよいよことしから、六年後に向けた準備のスタートと言ってもいいと思います。当然、我が国としては、ホスト国として万全の体制で挑む必要がある、これは言うまでもないと思います。

 そのオリンピック・パラリンピック競技施設は全体で三十七施設、新設は恒久施設または仮設として設けていくわけでございますけれども、実は私の地元江東区の臨海部に、この三十七のうち十七施設を整備することになっております。そして、オリンピック競技も、全体で今現在は二十八競技あるわけでありますが、そのうちの十五競技が我が地元で開催されるということもございまして、よく言われるんですけれども、東京オリンピックじゃなくて江東オリンピックじゃないかなんといって時たまやゆされることもございますが、地元としてもしっかり体制を整えて、まさにおもてなしという思いで取り組んでいきたいなというふうに思っているわけでございます。

 この競技をする場所、臨海部でございますけれども、実は、その臨海部に行くための足、公共交通機関の充実が非常に今懸念をされております。

 実は、この江東区の臨海部は、人口が今本当に急増しております。見ていただければわかりますとおり、タワーマンションも軒並み建っておりまして、一つのタワーマンションが建てば、大体、世帯別にしても約五百世帯は優に入ってしまうというタワーマンションでございますから、非常に人口増加、うれしい話でありますけれども、一方で、なかなかインフラが追いついていないというのも現状であります。

 平成十七年には大体六万七千人がこの地域に住んでいたんですけれども、平成二十五年においてはもう十万人でございまして、六割増となっております。予想値として、平成四十一年のときには二倍の二十万人がこの地域に住むという予想値も出ておりまして、東京二十三区の中でも珍しい現象でありますけれども、実は次々と公立小学校を今つくっているという段階でございまして、非常に活気を帯びているということは間違いないと思います。

 その結果、この駅、豊洲駅なんですけれども、連日、朝夕ごった返しているという状況でございまして、非常に、うれしい反面、悲鳴も上がっているというのも現状であります。

 また、さらに、この江東区の臨海部には、築地市場の移転が来年春ごろには予定されておりまして、豊洲新市場ということになっていくわけでございますが、当然、この市場には卸売市場もあり、また、食を中心としたにぎわいの創出ということも、この施設も併設される予定でございまして、今まで以上にまた活気を帯びてくるということでございます。

 昭和六十三年に豊洲駅が開業されたんですが、その当時、この駅のいわゆる乗車人口、当初二・七万人という、そういった推定だったんです。それが平成十六年には五・一万人になり、平成二十四年にはもはや十六万人がこの豊洲駅を使うという状況までなってまいりました。

 そういった中で、実は、この地域、南北の公共交通が大変弱い状況なんです。平成十二年の運政審、ここの審議会の答申の第十八号でありますように、有楽町線を、豊洲から東陽町を経て、そして住吉の駅まで南北につなぐ地下鉄八号線の延伸を行うことによって、この江東臨海部と東京メトロの東西線、そしてJRの総武線、または東武線、京成線とつながり、東京の東部、さらには成田空港とこの臨海部とのアクセスをよくすることが可能となる。これは既に、この運政審の答申にあるわけでございます。

 我が区の、江東区長である山崎区長も、この地下鉄八号線については非常に熱心でございまして、太田大臣のところにも、また高木副大臣のところにも、それぞれ説明にお伺いしたということでございますが、こうした状況を踏まえて、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックもやってくるということも含めて、この地下鉄八号線の豊洲―住吉間の延伸、国としてその重要性をどのように認識されているか、大臣にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 江東区の臨海部は、近年、大きな人口の増加があり、また、今ありましたように、豊洲新市場の開場、そして、オリンピック・パラリンピックの多数の会場ができるということで、輸送力が非常に大事であるというふうに思っています。

 こうした背景のもとで、地下鉄八号線豊洲―住吉間の延伸は、臨海部への鉄道アクセスの充実という機能のみならず、混雑率の高い東西線の混雑緩和にも役立つということが期待をされております。

 こうしたことから、地下鉄八号線豊洲―住吉間の延伸は、東京の鉄道ネットワークの中でも、極めて重要な意義を有する事業であると認識をしています。

秋元委員 大臣からは、今、この路線は非常に大事であるという位置づけをいただきました。

 我々が目指すところ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、このオリンピック・パラリンピックまでに、本来、この地下鉄八号線、ぜひ開業を間に合わせていただきたいなという強い思いが実はございます。

 江東区は、既に、毎年五億円ずつ積みながら、もう既に二十億近いお金をため、何とか事業の実現に向けて、努力をさせていただいております。

 国、そして都がこれから本気になれば、実はオリンピックまでに間に合うんじゃないのかなという声もありますけれども、この件につきましてはきょうは細かく問いませんが、改めて、そういった重要性を大臣として認識をいただいているならば、今後どのようにして具体的に進めようという思いがあるか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 この延伸につきましては、今後、事業化に向けまして、江東区を中心に採算性の確保が可能となる事業計画案の作成などを進めていただくことが必要だというふうに考えております。

 一方で、東京都がその重要性を認識して進めていただくということが必要でありまして、今般、新しい都知事が誕生しました。江東区を初め地元の皆様からも重要性を十分発信していただくことが大事であるというふうに考えております。

 国としては、事業の意義は大変大きいと認識をしておりまして、沿線の関係者の取り組みを踏まえまして、東京都ともよく相談をしてまいりたい、このように思っています。

秋元委員 ありがとうございます。

 仮にオリンピックが来なかったとしても、実は東西線は非常に今混んでおりまして、東陽町、そして木場、門仲と、こういうふうに都心部に向けて線路が流れていくんですけれども、常に朝のピーク時は二〇三%という乗車率であります。この八号線を通すことによって、東西線の言ってみればピーク時の緩和ということもありまして、今、予想値では、この八号線が通ることによって一八〇%まで下がるであろうということが言われておりますので、この事業、大臣、このたび、国がしっかり責任を持って日本の鉄道事業をやろうということで、昨年、交通基本法をしっかりつくったところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 話題をかえます。

 同じオリンピックの関連でありますけれども、やはり私は、せっかくオリンピックが来ていただくんでしたら、木を利用するということをぜひ今後とも検討していただきたいと思うんです。木材の利用、また私の地元で申しわけないんですが、木場の町というのは長年木材の町でございまして、非常に多くの日本人に愛される木の町でございます。

 私が言うまでもありませんが、木材は本当に再生可能でございまして、加工等に必要なエネルギーが低い、そして環境に優しい資材であります。利用を通じて低炭素社会の構築にも貢献できるわけでございまして、私も長年国産材の利用に取り組んでまいりましたが、ようやくこのたび、国交省の方で木材利用に向けた大きな動きがあると伺っております。

 今後、基準法の改正ということになっていくんだと思いますけれども、今予定されていることは大変大事でございますが、今後はそれを超えて、例えば内装材であるだとか構造材、そして外壁材なども、もっともっと耐火基準を緩和してもらって、多くの建物に木材が利用される、そういったことが望ましいと思いますけれども、建築基準法の改正、その必要性も含めて御答弁をお願いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築物における木材利用の促進につきましては、公共建築物の木材利用促進法の中に、科学的知見等を得て、建築基準法をしっかり見直していけというような基準が置かれているところでございます。私どもといたしましても、しっかり安全を確認しながら、木材利用を広げる取り組みをしていきたいというふうに思っております。

 今度、建築基準法改正を提出予定でございますが、この中には、今二階までしか建てられない木造の学校校舎について、三階にするような措置も盛り込みたいというふうに思っております。

 また、CLTという新しい素材がございますけれども、これにつきましても、今、一般基準がございません。幅広く建てていただくために、二十五年度から三カ年計画で、今、技術的検討を、実験も含めてでございますが、進めております。これについては法改正は必要ございませんので、現行法の枠内で、技術的検討が済めば、できるだけ早期に基準を策定して、普及促進に努めてまいりたいというふうに思っています。

秋元委員 私の地元の新木場には、実は都市ビルに木材を使った木材会館がございまして、これは七階建てでございます。大変多くの方に御評価をいただいて、連日、視察のお客さんで満員という状況でございます。ぜひ一度国交省も見ていただきたいなと思いますけれども、今局長から御答弁いただきましたように、ヨーロッパではもうCLTが中高層に大分使われているということをよく聞きます。特に高い断熱性、そして耐火や強度が期待されるCLTを私も早期に一般化していくべきだと思いますので、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 きょうは文科省にお越しいただきましたけれども、せっかく東京オリンピックが行われるわけでございますから、そういった意味において、日本の木の文化を、やはり世界に情報を発信するという意味で、私は、国立競技場も含めたいわゆるオリンピック施設に木を使った施設を一つぐらい、三十七会場の中で一つつくってもらうとか、もう一つは、これは私のアイデアでありますけれども、例えばオリンピックスタジアムのメーンスタジアム、そこの椅子を全部木でつくってもらって、その木、なかなか予算がないよというのであれば、きょうこの委員会でもこれだけの数の先生方がいらっしゃいますけれども、個人とか企業にスポンサーとして入ってもらって、そしてスポンサーになってもらった方に木の後ろにプレートを張る。そうすると、これはマイ椅子とまでは言いませんけれども、そういった椅子が国立競技場にずらっと並ぶと、これはオリンピックに対するいろいろな啓発活動にもつながっていくんじゃないのかなと思うんですけれども、私のアイデアも含めて、文科省、いかがでしょうか。

永山政府参考人 東京大会の主要施設の整備に木材を使用するということにつきましては、国内外の多くの方々に木材のよさを知っていただく大変よい機会になると思います。

 一方で、東京大会の成功に向けましては、国民の皆様方から幅広く御理解、御支援いただくということも大変重要でございまして、そういった意味で、ただいま大変貴重な御提案をいただいたと思っております。

 国立競技場の改築の事業主体は、独立行政法人の日本スポーツ振興センターでございますけれども、文部科学省といたしましても、御提案も踏まえまして、具体的な木材の利用法等につきましてセンターとよく連携を図っていきたいと思ってございます。

秋元委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 また、木材を利用した学校等も、今後とももっともっとふやせるように、公共施設関係をふやせるように改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 話題をかえます。

 オリンピックによって、実は東京湾、非常にこれからにぎやかになってまいります。

 きょう、お手元の資料にこれだけの資料をつけさせていただいたんですが、ここに書いておりますように、一番左上の方の赤い枠、ここが選手村になっていくわけでありますけれども、非常ににぎわいを増す中に、今後、やはり臨港道路の南北線であるとか、会場周辺の例えば臨港道路の無電柱化とか、または大型クルーズ船、最近、大型が進み過ぎまして、レインボーブリッジも通らないんですよ、大型船が。よって、その手前に大型クルーズ客船の港をつくるであるとか、または、やはり江東区、この地域は、地下水を過去くみ上げ過ぎたことによって地盤沈下が生じておりまして、海抜ゼロメーター地点でありますから、常に高潮対策、こういったことを、津波対策も含めて行っていかなくてはいけないわけでありますけれども、水門等の整備も含めて、まだ実は耐震工事が、特に水門は二〇%しか済んでいないという現状もございますから、今、国の計画は十年間の計画だと聞いていますけれども、二〇二〇年までに間に合わせるというそういった思いで、この件、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 まず、臨港道路南北線ですけれども、平成二十一年七月に東京港港湾計画に位置づけられた施設でございまして、東京港周辺におきます渋滞が発生する中、渋滞緩和に向けて極めて重要だというふうに認識しております。

 また、クルーズの話もございました。これにつきましては、レインボーブリッジの外側に位置します青海埠頭地区に、新たな大型クルーズ客船埠頭が昨年の十一月に港湾計画に位置づけられたところでございます。

 この両施設とも、オリンピック開催に向けて必要な施設というふうに、東京都から早期整備の要望をいただいております。国土交通省といたしましては、これらの事業の必要性、緊急性に関して検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、臨港道路の無電柱化の話もございました。まずは東京都から具体の要望をお伺いした上で、必要に応じて検討を進めてまいりたいと思います。

 それから、もう一つ、津波、高潮対策の御質問がございました。

 東京港におきましては、大規模地震が発生した場合、防潮堤等の海岸保全施設が倒壊して、約百五十万人が暮らすいわゆるゼロメーター地帯が冠水し、甚大な被害を受けるおそれがございます。

 このため、東京都におかれまして、平成二十四年十二月に東京港海岸保全施設整備計画を策定し、今後十年間の津波、高潮対策を強化していくというふうになってございます。

 この東京都の津波、高潮対策につきましては、この計画に基づき、海岸管理者でございます東京都におきまして、防災・安全交付金にて実施されております。

 国土交通省といたしましても、この制度を活用して、事業効果が早期に実現できますように支援してまいりたいと考えてございます。

秋元委員 もう余り時間がなくなってまいりましたので、最後に簡潔にしたいと思いますけれども、話題はかわりまして、国際戦略港湾政策であります。

 今回、国がしっかり出資をして、港湾運営会社に対して財政基盤も強化していこうという、そういった趣意のことを聞いておるんですが、実は、残念ながら、東京、川崎そして横浜の京浜港の港湾業者の皆さんから、いろいろな不安の声が出てきております。

 といいますのは、何のために国が今回出資をするのか。国の説明としては、恐らく国の信用力を背景に貨物の集荷とか低利息資金調達ができるということであるんですけれども、今現在でも実はこの体制はできているという声もあって、何のためなのかという、こういった疑問の声が出ております。

 きょうはもう時間がなくなりましたので答弁は要りませんが、今後また法案審査がございますので、次の機会にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

梶山委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之でございます。

 冒頭、このたびの豪雪により亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。北海道開発局のノウハウなども助言として活用しながら、早期の復旧を目指していただければというふうに思います。

 また、日ごろから敬愛する太田大臣に、しかも大臣所信に対する質問の機会をいただいたことに心から感謝を申し上げまして、質問に入っていきたいというふうに思います。

 太田大臣、太田大臣は所信の冒頭で、昨年をメンテナンス元年と位置づけられて、インフラの老朽化対策に取り組んできたというふうに述べられましたし、二年目に向けても強い意欲を示されたわけであります。そこには、私は二つの背景があるというふうに思うのであります。

 一つには、やはり高度経済成長期に整備をしたインフラの老朽化の時期を迎えていること、そしてもう一つは、東日本大震災の発生を受けて、我が国の巨大地震の発生の可能性が高まっていることではないかというふうに私は受けとめております。

 そこで、初めに、巨大地震発生リスクに対する太田大臣の認識について伺いたいと思います。

太田国務大臣 巨大地震が切迫をしているということに対して大変危機感を私は持っておりまして、一七五五年にポルトガルのリスボンで、大きな津波に遭いましてリスボンが完全に破壊され、ポルトガルの時代が終えんへと向かっていくというような事例もございます。

 南海トラフの巨大地震では、全国の面積の三二%を占める三十都道府県の七百三十四市区町村において、震度六弱以上または津波浸水が三十センチ以上等となりまして、二百四十万棟が焼失、全壊する、死者は最大三十二万人であるというようなことが中央防災会議で出ております。

 これを事前に防災対策を進めていくということが大事で、最大限の防災対策を講じた場合には、最大の想定死者が三十二万から六万一千人に減るということからいきまして、これは本当に防災・減災対策をさまざまな角度でやっていかなくてはならないというふうに思っているところです。

 首都直下ということにおいては、密集市街地や老朽化マンションの建てかえ等が大事でありますし、さまざまな対策を講じて、ハード、ソフト両面にわたる防災・減災対策をとっていく、強い意思を持って進めていきたいというふうに考えています。

中村(裕)委員 ただいま大臣からは、巨大地震に対しての強い危機感が示されたところでありまして、二百四十万棟、三十二万人の死者が想定をされているという状況ですから、我が国は今、平時というよりはむしろ本当に厳しい環境にあるというふうに私は思っているわけでありまして、大臣がおっしゃったとおり、国民の命と財産を守る意味で、事前防災や減災対策が本当に必要になってきている時期だというふうに思っております。

 また、巨大地震のみならず、昨年も伊豆大島で大規模な土砂災害が発生をしまして、三十六人の方が犠牲になるということがございましたし、それ以外にも、台風十八号で紀伊半島を中心に六人の方がお亡くなりになるということも発生したわけでありまして、国民の生命と財産を守るという意味で、本当にこの防災・減災事業が必要になってくるというふうに思います。

 加えまして、事前防災というのは、その事前防災に投資をした投資額の数倍の被害を抑えることができるということでありますから、我が国の公的、民間も含めてのトータルコストとして、その投資は決して無駄にならないというふうに私は考えているところであります。

 そこで、防災・減災、老朽化対策を行っていく必要をともに共有をしているわけでありますけれども、維持管理費等の必要額、今後どのように推移していくというふうに見込まれているのか、お伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省所管インフラの維持管理、更新費の将来見通しを含めました今後の維持管理、更新のあり方につきまして、昨年十二月に審議会より答申をいただいております。

 そこでは、審議会で検討されました推計手法を用いまして、国、地方公共団体が管理いたします国土交通省所管施設の維持管理、更新費を示しております。

 具体的には、平成二十五年度で約三・六兆円の維持管理、更新費、これは事業費でございますけれども、十年後には四・三から五・一兆円、二十年後には約四・六から五・五兆円程度になるものと推計されています。

 なお、これは現在の技術でございますとか仕組みを前提としておりますので、今後当然、長寿命化、技術開発を行うことによりまして、なるべく費用を縮減いたしまして、効率的な社会資本の維持管理、更新を図ってまいりたいというふうに考えております。

中村(裕)委員 二〇一三年、平成二十五年に三・六兆円のものが、十年後には一・三倍から一・五倍になっていくというような見込みが示されたところでありますけれども、人間も高齢化をして、社会も高齢化をしていますが、インフラも高齢化をしているので、当然そうした維持管理費が増嵩傾向にあるというふうに思いますし、消費税も上がってきますので、これはやはり国の予算としても、防災・減災に対する予算の確保というのは重要になるというふうに私も認識をしております。

 一方、大臣は、このたびの所信の中で、国土のグランドデザインを策定していくと、その指針を示すことに意欲を示されたところであります。人口減少・高齢社会を迎えた中で、私としては、コンパクトなまちづくりをして、その町をネットワークで結んでいく、そして同時に、大規模災害に備えてバックアップ機能も念頭に入れていく必要があるというふうに思います。

 また、狭い国土で最大の生産性を上げていくためには土地利用も重要な要素であって、その土地利用をしっかりと行うことによって、地域の地方の暮らしを守ることにもつながるというふうに考えるわけであります。

 そこで、国土のグランドデザインをこの時期に策定をする意義と、現時点での大臣のそのイメージとか考えということについて、お示しをいただきたいと思います。

太田国務大臣 災害対応型という、インフラ整備という段階を超えて、これからどういう日本になるかという長期的な展望に立って現在を逆規定して対応していく。そして、持続的に、また平準化したインフラ整備というものをやっていくということが極めて重要だというふうに思っています。

 人口減少が一つ、そして高齢化という社会になるということがまた一つ。そして、グローバル化の進展という、この中には、外国人が、去年十二月二十日に来日外国人一千万人を達成しましたが、これはどんどんふえていく。二〇五〇年ごろにはどれだけの多くの方と共生する日本になるかわからない。町をそれなりにまた変えていかなくてはならない。また、都市間競争が激しくなることに対応して、経済的な面も頑張る必要がある。巨大地震に耐え得る。加えて、エネルギーが制約をされる中で、住宅をつくること自体も、スマート住宅、あるいは、高齢化の中でスマートウエルネス住宅・シティーというようなことも大事になる。また、新情報革命とも言えるようなICTの進展というのは想像を超えるように発展するであろう。これらを視野に置いて、何を優先してきちっとやっていくかということでグランドデザインをつくっていく。

 東京オリンピック・パラリンピックがありますが、そこをゴールにしないで、もっと将来を見据えてまちづくりや国土形成というものをしていかなくてはならないという問題意識を持っているところです。

 先生おっしゃいましたように、コンパクト・プラス・ネットワークを初めとして、いろいろな対応を長期的観点に立ってスタートを切るのが今であるというふうに思っています。

中村(裕)委員 大臣から、少子化、高齢化、またグローバル化、そしてICT化など、さまざまな要素を念頭に入れて、将来の国づくり、日本をどうしていくかということについて、今、指針を示していきたいというお話があったわけであります。そして同時に、持続的に、そして平準化をした建設投資を行っていく必要も述べられたところであります。

 私も同感でありまして、大臣から冒頭、大地震に対する切迫した危機感を述べられたところでありまして、その切迫した状況にある我が国にとって、維持管理というのは、命を守る、暮らしを守る上で非常に重要でありますと同時に、将来に向けて国づくりをしっかりやっていかなければならない。それはもう、国際競争、都市間競争のある中でやっていかなきゃならないということもまた事実であります。

 つまり、やはり公共投資というのは安定的、計画的にやっていく必要があるというふうに私は思うわけであります。

 しかし、そういう中でも、相変わらず、本会議でも予算委員会でも公共事業悪玉論が展開をされていまして、その論拠となるのは、主には日本の財政が逼迫していることであるとかそうした部分であろうというふうに私は思うんですけれども、資料にもあるように、建設国債というのはこの十年間そんなに拡大をしていないわけであります。むしろ赤字特例国債の方が大幅に増額をしていて、つまり、我が国の予算全体の中で、公共事業五兆円、教育五兆円、防衛五兆円、そして社会保障三十兆円という今の状況があるわけでありまして、公共事業の今のレベルというのは、そんなに赤字国債の残高を拡大させるようなレベルにはないというふうに私は思っているんです。

 しかも、日本の財政を逼迫させる原因に建設国債がなっているかというと、建設国債というのはそもそも、供用する期間が何十年もあるので、世代間の負担の公平を図るための考え方のものでありますから、これは決して、財政を逼迫させているというのは、むしろ社会保障を中心とする赤字国債の部分が日本の財政を逼迫させているわけであります。

 加えて、もちろん社会保障はセーフティーネットとして本当に大切でありますけれども、命や暮らしを守るという点では社会保障費も公共事業費も同じでありますから、その点、勘違いをされないようにするべきだと思いますし、公共事業費は、企業にも及びますし、成長をよりつくり出すことができるわけであります。

 そうしたことを考えたときに、私は、先ほど大臣がおっしゃったように、持続的に平準化をした形で公共事業の投資を計画的に進めることが非常に大切であるというふうに思っているわけであります。

 もう一枚の資料の方には、自動車保有一万台当たりの道路延長、上の欄が高速道路の延長でありますが、自動車一万台当たりの延長で見ると、日本はカナダの十五分の一であり、アメリカの七分の一しかないわけであります。加えて、日本の高速道路の総延長を中国ではたった一年で建設をしてしまうという時代を迎えているわけでありまして、さまざまな国際競争も初めとする中で我が国が成長し続けていくためには、こうした整備も私は必要だというふうに考えているわけであります。

 そういう意味で、今のこの日本の置かれている状況において、無駄な公共事業というのは、よっぽどおかしな支出をしない限りは当たらないというふうに考えているわけであります。

 それに加えて、大臣が所信の中で、担い手の確保、育成というのを述べられておりますけれども、こういった面についても安定的な予算執行をしていかなければならない。この十年以上にわたる大幅な予算の削減と変動によって、担い手が本当に少なくなってしまったという状況が生まれているわけでありまして、そうしたことにならないように、安定的な、持続的な予算執行を望むところであります。

 ただ、同時に、同じものをつくるのにできるだけ安い値段で、価格でつくるというのも大事でありまして、いわゆるコストダウンになるわけですけれども、ただそれは、人件費を削減するとか下請にしわ寄せをするということではなくて、新技術を活用することによってコストダウンをなし得ていくというのが技術革新だというふうに思います。

 国交省では、新技術の登録制度としてNETISを推進しておりまして、今、四千五百件程度の登録がなされているというふうに思いますが、この中には革新的な技術もあるのではないかと思うわけですよ。そうした技術を掘り起こして、積極的に標準化をし、設計に盛り込むことによって、今まで一億でできていたものを九千万でできるようにするとかということが、つまり、予算の効率的な執行に努めることが大切だというふうに考えるわけですけれども、国土交通省の所見を伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 建設分野におきましては、例えばGPS、こういった測位技術を用いまして、これは新たな分野の技術の導入でございますが、こういった情報化施工、あるいはアルミ合金メッキといったような新しい材料を使うというようなことに取り組んでまいりまして、省力化、コスト縮減といったようなことに取り組んで、生産性向上を図ってきているというところでございます。

 御指摘のNETISというデータベース、これは、民間で開発されました新技術を国土交通省としてできるだけ幅広く皆様方に広報、広く提供するということで使っていただこうということで、先ほど御指摘あったように、四千五百件以上の登録が既に行われているところでございます。

 とはいいながら、ややもしますと、新技術の情報提供というのがこのNETISの主眼でございますので、なかなか技術の標準化というものにつながらないのではないかというような意見も寄せられてきたところでございます。

 こういう御意見もございましたので、今年度から、新たに、現場のニーズに基づいて、テーマを設定して公募し、そして、現場で積極的に活用していただいて標準化を図っていこうという取り組みを開始したところでございます。

 具体的には、今年度、老朽化対策の一環として、コンクリートのひび割れを遠方から検出可能とするような技術を公募させていただきまして、現在、その試行、評価をしているところでございます。

 今後とも、引き続き、新しい技術、工法あるいは新しい材料といったようなものを活用して、できるだけ生産性向上を図って、コスト縮減に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

中村(裕)委員 新技術による生産性の向上というのは、ある意味、無駄な公共事業的な議論を受けないためにも大切なことだと思いますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、被災地の復興について大臣の思いを伺いたいと思います。

 太田大臣は、被災地の防潮堤のところで開かれた植樹祭に参加をされたと伺っております。これは横浜国立大学の宮脇昭先生が指導されたというふうに聞いておりますけれども、宮脇方式というのは、多くの樹種をごちゃまぜにして植えることによって、木と木が競い合う力、並びに、木の特性によって、根を横に張らせる木もあれば、深くまで根を張る木もあるんですが、そうした木を組み合わせることによって地盤を強固にしていくという働きがあるというふうに私も認識をしております。

 こうした植樹祭の参加経験を踏まえて、被災地復興に緑の防災を活用するとされているというふうに受けとめておりますけれども、そのことに対する大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 緑の防潮堤をつくろうということで力を入れております。これは来年度予算にも入っているということです。

 それで、私は、自然とコンクリートの対立とか、それはもっと言うと、自然と人間との対立ではなくて、自然との共生というような事業というものが大事だというふうに思っていまして、もともと日本の河川工学においては、河川を制御するのではなくて、河川をなだめる、そして自然と折り合う、信玄の霞堤にありますように、そういう考え方で来ているのが、日本の土木工学であったり河川工学だったりします。大いに、そうした点では、緑とか自然との共生というものを考えた防災対策や構造物の建設ということを目指していきたいというふうに思っているところです。

中村(裕)委員 土木工学に基づいて、自然や緑と調和した、けんかをするんじゃなくて、調和した防災を進めていく、大臣の考えに深く敬意を表する次第であります。

 今後も、国民の命と暮らしを守るために、そして、我が国が隅々まで豊かに発展できるようにお取り組みをいただきますことを期待し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

梶山委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 きょうは、大臣の所信に対する質疑ということで、今大臣の御答弁にもあったように、大臣は土木工学の御専門でございます。私も土木工学を学んできた一人として、今の中村議員の観点と非常に類似して、メンテナンス等のことについて、さまざま御議論させていただきたいと思います。

 まず初めに、先週十四日から降り始めた記録的な豪雪によりまして、大変多くの方が被害に遭われ、また亡くなられた方も出ております。この場をおかりして、心から御冥福をお祈りしますとともに、お見舞いを申し上げます。

 また、国土交通省においては、昨日の二十日の零時、高速道路が全面的に開通をするなど、TEC―FORCEも派遣をしていただくなど、さまざまに御活躍をいただいております。一方で、まだ孤立集落も二千世帯ほどあるということも聞いておりますので、引き続き、都道府県そして市町村のサポートをよろしくお願いしたいと思います。

 まずは、もともと鉄道事業にも携わってきたものですから、冒頭は、JR北海道の問題について問いを行わせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、このJR北海道、石勝線の事故、これが平成二十三年五月でございますが、それ以降、たび重なる車両のトラブル、運転士のATSスイッチの破壊、貨物列車脱線事故、整備基準値を超える軌道変位の放置、検査データの改ざん、信じられないような状況がずっと続いております。

 こうした状況を受けて、国交省もさまざまな取り組みを続けていただいておるわけですけれども、それを受けて、ことしに入りまして刑事告訴もしております。

 一つは、ATSスイッチを破壊した運転士、これを道警に刑事告訴。二月に入りまして、二つの保線管理室における、軌道変位の検査データの改ざんに伴う、鉄道局、運輸安全委員会にこれを提出したという虚偽報告、並びに、軌道変位の放置が監査で発覚することから逃れるために検査データを改ざんしたという検査妨害、これらを刑事告訴を道警にしております。

 こうした状況の中で、いろいろな報道ベースでも取り上げられていることがございますけれども、まず私は、鉄道事業に携わってきた人間として、これは大変根の深い問題でございます。一部報道に出てくることがございますが、経営陣の刷新、こういったことでは根治のできない問題だ、こういうふうに考えております。

 ぜひとも、この長年蓄積されてきたあしき体質の改善に向けて、腰を据えた取り組みを大臣にお願いしたい、こう思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

太田国務大臣 今お話がありましたあしき体質を改善する、根の深い問題だ、私も同じ捉え方をしています。

 国交省は、このJR北海道問題に対しまして、問題点を洗い出しまして、抜本的な対策を講ずべく、三回、特別保安監査を実施して、その再生のための対策ということで、一月二十四日、事業改善命令及び監督命令として、JR北海道に対して実施を命じたところです。

 先ほどの、前の先生のお話の中から、人の老齢ということがありましたが、成人病という、成人の健康ということに例えますと、外科的な手術が必要なときもありましょう。しかし、体質改善ということになりますと、漢方療法もあるし、食事療法もあるし、日常の運動というようなこともあります。そうした日々の生活習慣の改善など、抜本的な体質改善には、ある程度時間をかけて根本的にやっていかなくてはならないということがあるというふうに思います。

 考えられるあらゆる対策を総合的に講ずる必要があるということから、この事業改善命令と監督命令を出させていただいて、JR北海道の体質改善を図るために、現時点において考えられる総合的、抜本的な全ての措置を取りまとめて実行するようにということをさせていただいたところでございます。

 この体質改善が確実になされて根づくように、国交省としましては、常設の監査体制を整えて、五年程度という異例の長期間にわたってこれからも監査を実施するということにしております。

 真面目に働く社員が正当に報われ、誇りを持って働けるような会社、そして何よりも、道民そして国民から安全であり安心であると言われる、真の北海道全体を支える基幹的な輸送機関として役割を担う会社に再生してもらわなくちゃならぬというふうに思っているところでございます。

伊藤(渉)委員 大変御理解をいただいて、今の大臣の御答弁の中に全て含まれていたと思いますけれども、念のため確認で。

 この問題のまた難しいところは、すぐに取ってかわれません。鉄道事業というのは公共性が非常に高いので、北海道が、JR北海道がだめだから、では、ほかの会社がやってくれ、こういうわけにはいかない。なおかつ、日々列車は運行しておりますから、このような問題が発覚した状況でもなお、安全をどう確保して、道民の皆さんを中心に輸送事業を継続させるかということが非常に難しい課題です。

 今回、国交省が提示をして、JR北海道が講ずべき措置ということの中にはこういうことが書かれています。日々の輸送の安全の確保、第一歩の改善として改ざんの根絶、安全確保を最優先とする事業運営の実現等々。

 これは、見る人が見れば当たり前のことが書かれています。中には、当たり前のことができない会社に引き続き本当にさせるのか、そういうところから、経営陣の刷新という意見が出てくることも私も理解はできますけれども、繰り返しになりますが、そういう取り組みだけでは改善しない中身ですので、今の大臣の御答弁にあったように、腰を据えて取り組みを行っていただきたいと思います。

 その中で、国交省が講ずべき措置の中で、これも今大臣の答弁の中にありました、私が一つの大きなポイントだと思っていますのは、今後五年間にわたりまして、国交省が常設の監査体制で定期的に、また随時監査を実施するというふうにおっしゃっておられます。これが、緊張感を持って道民の安全を確保するためには、極めて重要な対策の一つになってくるだろう。

 事故があったら最悪ですから、二度とこういうことがないように、この常設の監査体制、現在の取り組み状況についてお伺いします。

滝口政府参考人 JR北海道におきましては、委員御指摘の石勝線の列車脱線事故というのがございました。この事故を契機にいたしまして、安全基本計画などが策定されたわけでございますが、それが実行されなかったといったことが実はあったわけでございます。

 今回、先ほど大臣がお話し申し上げました、三回の特別保安監査を踏まえまして、JR北海道が講ずべき措置というものをまとめたわけでございますが、委員御指摘のように、この実効性を確保するということが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。このため、この常設の監査体制でございますが、本省と北海道運輸局など、五十名規模のメンバーをリストアップしておりまして、こういった体制で今後五年間しっかり監査をしてまいりたいというふうに思っております。

 今後、まず定期的な監査というもの、そしてまた随時に監査を行いまして、現場での取り組みの実態などをしっかり把握してまいりたいと思っております。こういった監査を通じまして新たな安全上の問題が発見できた場合につきましては、これに迅速かつ機動的に対応し、また問題を解決してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、こういった監査体制を通じて、安心で信頼できる、そういった鉄道会社に再生できるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 大変に御苦労の多いことかと思いますけれども、何とぞ、鉄道を利用される方の安全を守るために、よろしくお願いをしたいと思います。

 では、話題をかえまして、インフラの維持管理、更新ということ、問いをさせていただきたいと思います。

 間もなく満三年になります東日本の大震災の発災以降、防災ということに大変関心が高まりました。

 また、さきの衆議院選挙公示日の二日前になりますけれども、笹子トンネルの天井板の落下事故というものが起こりまして、死者が九名、負傷者が二名。これは道路のトンネルですけれども、高速道路ですから、本来、高い技術的能力を持った方々が管理をしているこの構造物でこういう事故が起こったということは、技術の世界に携わってきた人間からすると大変にセンセーショナルな事故でございました。

 それを受けて、いわゆる、まさに中村議員の御質問の中でもあったとおり、インフラのメンテナンスということにも大変注目が集まってきています。

 ちょっと時間の関係がありますので、通告で言うところのQの三は少し飛ばさせていただきたいと思います。

 この事故を受けて、笹子トンネルの事故後に緊急点検とか緊急修繕を実施していただいております。

 先ほどの中村議員の質問にもありましたとおり、こういったことも受けて、太田大臣は、社会資本のメンテナンス元年と銘を打ちまして、二年目の取り組みに入られました。

 私も、先ほど申し上げたとおり、鉄道事業に十一年携わってきましたが、そのうちの約半数をメンテナンスの分野で過ごしてきました。

 例えば、一鉄道事業者ですけれども、年間大体、設備投資額が約三千億ございます。その三千億のうちの半分、約千五百億円は安全関連の投資に投入をされています。さらに、その外側に、日夜、深夜を中心に行われているいわゆる線路の保線、メンテナンスというものが千五百億円の安全関連投資の外側で実施をされている。

 つまり、私が実感として思うことは、何げなく多くの国民の皆様が安全で安心に生活をしていただくためには、かなり大変な労力とコストが発生をしますし、不断の取り組みが極めて重要でございます。

 こうしたことを国を挙げてやろうと思うと、これはまた大変なことで、例えば、多くのインフラは国交省が所管をしておりますが、上水道は厚生労働省ですし、工業用水は経済産業省ですし、インフラの所管省庁は多岐にわたります。各省庁は建物も持っております。

 その一方で、技術者、技術がわかる人間を抱えているという意味では、やはり国交省ということに私はなろうかと思いまして、メンテナンスを確立していく、メンテナンスサイクルというものを確立していく、この責務と使命、国交省は大変重要だと思います。

 昨年の暮れにインフラの長寿命化基本計画というものが制定をされています。そして、取り組みがスタートしていって、目指すべき姿として三つございまして、安全で強靱なインフラシステムの構築、総合的・一体的なインフラマネジメントの実現、メンテナンス産業によるインフラビジネスの競争力強化ということが挙げられています。

 この目指すべき姿に向かう中で、さまざまに蓄積されるノウハウの整理や体系化、メンテナンス産業の育成、こういったことを含めて、メンテナンスの重要性をしっかり認識して、国を挙げて取り組んでいかなければなりません。大変地味な取り組みになりますので、なかなか光が当たりませんけれども、その重要性は極めて高いと思います。

 そういう意味で、その推進に当たって、多くのインフラを所管している国土交通省がやはりリーダーシップを発揮していかなければならない、こう思いますけれども、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 昨年は、メンテナンス元年と位置づけてきました。緊急の点検とか、そういうことはやり、そして意識もある程度変わり、そのスタートだったと思います。

 ことしは、一つ一つについて実行が進むというところに持っていきたいというふうに思っている中の一つに、今御指摘のありましたメンテナンス技術の革新ということがあろうと思います。

 例えば、点検を実施するに当たっては、打音というようなことが行われて、これは非常に有効なんですが、もう少し技術が、経験が浅い技術者でもよくわかるというようなレーザーやセンサーを使った技術や、点検結果というものをデータベースにしておくということが、健康診断と同じで非常に大事で、それもことしからしっかりと始めていかなくちゃならぬというふうに思っています。

 さまざまなそうした蓄積が大事で、私は、土木工学というのはシビルエンジニアリング、こう言うわけですが、メンテナンスエンジニアリングというような学問体系ができるぐらいまでやる、そして、ハイテク、先端というんですが、実はローテク部分の先端というようなことも極めて重要だというふうに思って、その蓄積を体系化するということが極めて重要だというふうに思っているところです。国交省はその先導的な役割を担っていくということが大事であるというふうに認識をしています。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これも大変息の長い取り組みになります。関心が低くなると、また忘れ去られてしまうといけませんので、しっかりこれからも着目をして状況を追っていきたい、こういうふうに思います。

 こうした関連で、国交省は既にメンテナンスサイクルの確立に向けたさまざまな取り組みを進めておりまして、長寿命化計画というものも進めています。これは、社会資本整備重点計画の中にある、長寿命化計画策定の目標値というものも定められていて、例えば、全国の道路橋の長寿命化修繕計画の策定率の目標は、現状、平成二十四年で八九%、二十八年にはまず一〇〇%に持っていこうとしています。

 しかし、残念ながら、私も、ある市にお伺いをして、この取り組みを現場でお聞きしたことがあるのですが、これはもう御存じのとおり、小さい市、町になりますと、そもそも技術がわかる人がいません。よって、長寿命化計画ということで予算がついておりますけれども、残念ながら、それがコンサルタントに発注をされて、役務の成果物は置いてありますが、中身が理解されておらず、生かし切れていない、こういう状況を現認してまいりました。

 そういう意味では、この長寿命化計画の策定に関しては、特に技術的なノウハウの蓄積や、人材が不足している市町村に対するサポートが重要だと考えますけれども、この体制についてお伺いをいたします。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘のとおり、インフラの多くは地方公共団体が管理することになっておりますけれども、一方で、まず財政力、それから技術力、今御指摘がございました人員等の体制が厳しいということで、これも積極的に支援しなきゃいけないというふうに思っております。

 まず一点目、委員も触れられましたインフラの長寿命化計画を各地方公共団体がつくらなきゃいけないわけでございますが、その参考となるようなものを国土交通省もつくることにしておりまして、春ごろまでに示したいと思っておりますし、技術的な支援につきましては、整備局を窓口にいたしまして、技術相談、助言、それから基準とかマニュアルを示して提供しているところでございます。

 あわせて、人材の育成につきましては、研修につきまして受講者の枠の拡大等を行いまして、一層職員の受け入れを図っております。

 ただ、委員御指摘のように、これは非常に市町村が重要な役割を担っているということを十分認識しておりますので、さらに一層努力をいたしまして、地方公共団体の長寿命化対策の促進に努力してまいりたいというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 時間ですので、これで最後にさせていただきますが、今の行政の難しいところは何かというと、時代を経るに従って、公がなさなければならない仕事のボリュームは明らかにふえていると思います。一方で、人員の削減、予算に対する制約、この相矛盾する二つの方向性を実現していかなければならないところが非常に難しいと思います。

 そこで、最後の質問ですが、よって、国も地方も、今後人員配置が劇的に増員されることはなかなかやはり期待しづらい。そう思うと、こういう道路等のメンテナンス、維持管理、あるいは補修、こういうことは、ぜひとも地元の建設業界とタイアップして継続的な保守管理を委託する。実は、鉄道というのはこういうスタイルをとっています。そうすると、実際に行う民間企業も、大体年間どれぐらいの投資がされるかも読めますし、それらの構造物がどれぐらいで寿命が来てつくりかえなきゃいけないかも、ずっと面倒を見ていればわかりますので、こういう体制で民間の力をかりていかなければならない。そのためにも入札の契約方式の工夫や改善が重要だと思いますけれども、これも政府参考人に最後お聞きして、質問を終わりたいと思います。

森政府参考人 委員から今貴重な御提案をいただきました。

 今後増大するインフラの維持管理に対応するためには、地元建設業を初めとします民間のやはり力を活用させていただくことが重要であるというふうに考えております。

 審議会からいただいた答申におきましても、民間の技術力の活用あるいは担い手確保を図るため、新たな入札契約方式を検討すべきだというふうに言われているところでございます。

 現在、省内におきまして、地域のインフラを支える企業を確保するための入札契約方式をいろいろ見直そうということで、例えば災害協定を締結されている地域の建設企業を入札時には評価するというような取り組み、これは今までもやっておりますが、それに加えまして、複数の工種をまとめた発注、あるいは年度をまたがるような契約といったような発注方式を新たに追加すべく、その仕組みについて今現在検討しているところでございます。

 いずれにしましても、委員御指摘のような提案、積極的に取り組んで、私どもとしても万全な体制を整えていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

梶山委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 おはようございます。民主党の三日月大造です。

 質問の機会をいただきました。ありがとうございます。

 今回の豪雪を含め、災害で大変な困難な状況にいらっしゃる方々に心からお見舞いを申し上げ、お亡くなりになった方にお悔やみを申し上げたいというふうに存じます。

 さて、またこの国会も始まりました。唯一の立法機関である、国権の最高機関である国会での審議、この国土交通委員会でも緊張感と使命感を持って頑張ってまいりたいと思いますし、私たちは、私たちの理念そして視点、そういうもので質問に臨んでまいりたいというふうに思います。

 太田大臣初め副大臣、政務官、そして、きょうはたくさん省庁の皆さん、局長初め来ていただきましたけれども、どうか頑張ってください。国土交通省の皆さん、所管も多くて、全国広くて大変だと思います。

 太田大臣におかれては二年目、だんだん疲れてきます。去年に比べると、何となく元気がないなと思うんですよね。高木副大臣におかれては、議運にいらっしゃるときはもっと元気だったのに、何となくしょぼんとして、原稿ばかりに目を通して。また、だんだんおごってきたり、疲れてきて、また緩んでくるということもあるかもしれない。そうないことを信じて、私たちは、私たちなりのまたチェックをしっかりしながら、ある意味では応援もし、ある意味では対峙もしていきたいというふうに思います。

 それで、後ほど私の考えをいろいろ述べるといたしまして、まず復興です。大臣所信の冒頭に、復興について触れられておりました。

 私たちも、先般、委員でもあります泉健太委員を先頭に、福島県の郡山市で党大会を開催し、あわせて、除染の問題、また子供たちの遊び場の問題を含めて視察もしてまいりました。私は、除染の現場に、現場はちょっと雪で見られなかったんですけれども、除染担当者の方から御説明をいただきました。

 福島の再生なくして日本の再生なし、そのためにはまず除染だと。ただ、この除染が、多くの人の御苦労で、多くのお金を投じて行われているんですけれども、なかなか進まないという現状があります。政府も、またそれぞれの省庁も頑張っていただいて、例えば、中間貯蔵施設の選定、お願いの問題についてもさまざま努力をされているようですけれども、私たちの政権のときにも苦労いたしました。もちろん、福島県民の方々が一番苦労なさっておられます。

 それで、まずお伺いしたいのは、この中間貯蔵施設への輸送の問題です。

 今は、それぞれ除染したところに仮保管されています。中間貯蔵施設が福島県内に整備されれば、そこへの輸送が必要です。お聞きいたしますと、二千八百万立米だそうですね。想像もつかない量なんですけれども、これらの輸送対策について、きょう、環境大臣政務官にお越しいただいておりますけれども、まず、検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

浮島大臣政務官 三日月委員にお答えをさせていただきます。

 常日ごろから本当に復興に一緒に御尽力いただいていますこと、まず、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。

 今ございましたように、中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送につきましては、福島県内のほぼ全域から運ぶということで、大量に輸送することになります。

 このため、住民の皆様の健康、そして生活環境や一般交通に対する影響を最小化しつつ、安全そしてかつ効率的に行うことが必要、重要であると認識をしているところでございます。

 このため、環境省といたしましては、輸送に関する安全対策といたしまして、輸送の早期化そして短期化対策、健康及び生活環境並びに一般交通に対する影響の最小化の対策、また、輸送ルートの選定の基本的な考え方等を検討させていただいて、これを取りまとめることを目的といたしまして、中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送に係る検討会を設置いたしまして、昨年の十二月に第一回目を開催させていただいたところでございます。

 この本検討会における検討を十分に踏まえまして、本年の夏ごろを目指して、この輸送基本計画を取りまとめてまいりたいと考えているところでもございます。

 これからも、三日月委員からもさまざま御指導いただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 以上です。

三日月委員 きょうは、所信に対する質疑ですので、これ以上は突っ込みません。私からは二点申し上げたいと思います。

 これは、二千八百万立米というのは相当な量です。そして、先ほど早期化、安全対策とおっしゃいましたけれども、誰が何で運ぶのか。十トントラックでも二百八十万回です。道路は、飛散は、その車両はまた後で使えるのかという問題も含めて、これは夏までに計画を立てられるということですけれども、ぜひ、国土交通省におかれても、今もかかわっていただいているようですけれども、主体的に取り組んでいただくと同時に、今の量でいくと二千八百万立米ですが、現地で減量できるのか、減容できるのかという対策、さらには、これは我が滋賀県でも、福島由来ではないかという木材チップが運び込まれ、その処理に困っておりますけれども、基準以下のものは大丈夫なんだ、処分できるんだということの公表も含めて、ぜひしっかりと取り組んでいただくように両省庁に要請をしたいというふうに思います。

 浮島政務官、どうぞお帰りください。

 二つ目。ちょっと順番を変えます。

 きょうは海上保安庁の佐藤長官にお越しいただいています。いらっしゃいますか。ありがとうございます。ぜひ頑張ってくださいね、海上保安庁。大変だと思いますけれども、現場で仕事をされていた方が初めて長官になっていただきました。大いに期待をしたいと思います。

 私たちの政権のときに、船に乗ったことがない、飛行機に乗ったことのない方が、どこまで指揮できるのかという問題提起をして、これまでの人事から一段上げて、次長にまで、海上保安庁の職員の方になっていただいたという経過があります。

 やはり組織は人事です。組織は人事ですので、どうか長官、現場の皆様方の御期待を背負って頑張っていただきたいと思うんですけれども、国境離島警備、また海難救助、さらには航路、海上交通の安全、これは、大臣所信の中に述べられておりました体制の強化というものは、具体的に、どこを、どのように、どれぐらいの期間をかけて体制を強化されるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 尖閣三島の取得、保有以降、尖閣諸島周辺海域では、中国公船による領海侵入が繰り返されております。

 このような情勢を踏まえ、海上保安庁では、尖閣諸島周辺海域の領海警備に万全を期すため、現在、石垣島等に、大型巡視船十四隻相当による専従体制の整備を、平成二十七年度末を目途に進めているところであり、このうち四隻が平成二十六年度中に就役する予定となっております。

 平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算案においては、専従体制の整備に伴い必要となる海上保安官の大幅な増員、係留施設等の整備等に要する経費を計上するとともに、尖閣諸島周辺海域のさらなる情勢の変化等にも的確に対応できる体制を確保するよう、老朽化した巡視船の代替等、既存勢力の対応力の強化を図るための経費を計上しております。

三日月委員 来年度のことだけではなくて、国境離島を含め、石垣第十一管区の体制強化を含め、どれぐらいの期間をかけて強化されるのかということについてもお聞かせいただく予定でしたけれども、きょうはこれで結構です。きょうはこれで結構ですけれども、年度年度ごとに予算を要求して、とれれば整備できるということではなくて、私は、ある一定の計画を持った、四、五年スパンの計画を持った体制強化というのが必要だと思うんです。ぜひ、この点に、私たちの政権のころから取り組み始めたこの対策に、今後も力を入れていただきたいというふうに思います。

 士気を高め、そして保ち、頑張っていただくことを期待申し上げて、海上保安庁はこれで結構でございます。

 それでは、続いて、国土のグランドデザインについて大臣にお伺いをいたします。

 所信の中に、新たな国土のグランドデザインの骨子を示すというふうにありました。後ほど若井委員からも詳しく質疑があると思いますので、まずは基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 では、おまえたちはどう考えるんだと言われると思いますので、先に申し上げますが、私は、この国は本当にいい国だなと思います。四季があり、そして、それぞれ列島各地、変化に富み、さらには、時に場所により厳しい災害に遭いますけれども、その中から恵みがいただける。そして、生きる知恵が各地にあって、先人の皆様方の御努力のおかげで技術があって、そこに信用があって、そして評価がある。さらには、海外諸国から羨望のまなざしで見ていただいたり、また、日本みたいになりたいと思っていただくこともたくさんあります。私たちは、そのことに誇りを持つ、本当にいい国だなと思う。このいい国である日本を子供や孫の世代に、よりよい形で私たちは引き継いでいきたいという思いで、今、私も政治をやらせていただいております。

 そのときに、さあ、これから国土のグランドデザインを考えるに当たって、私たちが共通認識として持っておかなければならないことは何なんだろうかということなんです。先ほど大臣も幾つか述べられました。私なりには、五つあると思っているんです。

 一つは、さっきもおっしゃいました、人口の減少。豊かになったこともあり、いろいろな要因もあるんでしょう、生まれてくる子供の数が減って、長生きできるようになって、相対的に医療や介護にお金のかかる高齢者がふえてくるというこの現状。都市部によっては、医療、介護が足りないという事態も生まれてきます。

 二つ目は、やはり厳しい財政なんです。さっき大臣の、踏まえなければならない諸条件の中に、財政というものが関連して語られましたけれども、明確に語られなかったというところは、私は足りないのではないかと思っています。

 したがって、この厳しい財政状況の中でどうしても行うことについては選択と集中が迫られる。維持管理なのか新規なのか、また、どの地域に優先して整備をするのか。私たちのときもそうでした。こうやって言うと、総論賛成、各論お願いなんです。それぞれ、大臣、副大臣、政務官のところにも、あまた、全国各地から御要望が届くと思う。しかし、そのときに、それを、ではどこから優先してやるんだということについて、明確な基準と、やはり計画というものが要ると思うんですよね、こういう問題。だから、私たちは、新しい公共という概念であるとか共生という概念も持ちながら、この基準づくりに取り組んできた。

 三つ目は、大臣も言われております、繰り返し強調されております、これまでつくってきたものの老朽化です。この対策をどうやっていくのか。

 四つ目、やはりこれはエネルギーの制約ですね。これは、大臣、さっきおっしゃいましたけれども、原発にこれまでどおり、これまで以上に頼ることはもうできないと私たちは考えています。残念ながら、今の政権はそうじゃないのかもしれない。しかし、それを明確に政府が示すことができるかできないかが、新たな投資を生めるのか、方向性を持っていけるのかということの大きな岐路になると思うんです。いたずらに、これまでどおり原発が使える、つくれる、電力が使えるという立場に立つのか立たないのかというのは、これからの国づくり、まちづくりの大きな岐路です。私は、ここはやはり明確に示す必要があると思う。

 最後、五つ目。大臣もおっしゃいましたが、やはりグローバル化ですよね。外との行き来、人、物、お金、船、飛行機の行き来、このことによって、ある意味では都市間競争、ある意味では成長の成果をいただいて、日本がさらに元気になる。

 この五つのことを踏まえたグランドデザインというものが私は要ると思うんですけれども、この点、大臣、全てお答えいただくと一時間の御答弁になると思いますので、人口減少と、特にそのことによって変容する地方都市の問題、お考えを聞かせていただきたいと思います。

太田国務大臣 かなり人口減少は激しくて、二〇五〇年、一平方キロのメッシュで切りますと、人口が半減以下になるというところが六六%。これは、本当に維持できるかどうか。そして、いろいろな迫り方がありますけれども、そこで、ある意味ではコンパクトシティーという同じ言葉を使って、もう切り捨ててしまおうというような考え方をする方もいらっしゃいますが、私は、今度の雪害でも、孤立するという、ここが象徴的なんですが、こういうことがどんどんどんどん起きてくる。しかし、そこに住んでいる人は、恐らく住み続け、そしてそこで新しい何らかのコミュニケートをとっていくというような集落の再生ということを、再編成ということについて考えていくと思います。

 一番大きな違いは、これまで、国土の均衡ある発展ということを言って、ある意味では東京的なものを全部全国にということから、しかし、もうこれからは違うと。人口が減少するということは、しかし、そこにも、数が少なくなっても住み続ける人が必ずいる。そしてそこで、「里山資本主義」なんていう本を藻谷浩介さんが書いておりますが、違う形の生き方というものをつくるというようなことも大事であると。コンパクトシティー・プラス・ネットワークという言葉の中に、その住んでいる人たちを大事にして、そこで自立してまた生きていける、エネルギーもそこで小水力等で生み出していく、そういうような地方というもの。そして、若干大きくなると、富山市などがやっているような、そこに介護とか医療とかいうことで町をつくり直す。

 そういう意味では、去年、交通政策基本法をつくっていただきましたけれども、そこでの交通というのは極めて重要な、どうするかということもしっかり中心に置いて議論をしていかなくてはならないというふうに思っています。

三日月委員 必ずしも、人口減少は制約要件だけではないと思います。

 これまで狭いところに、たくさんの方が住んでいたところに住む方が少なくなれば、より広いところに住める。これまでは緑地を潰して家を建ててきたけれども、これからは緑地をもう一回広げていくというような発想の転換も、ぜひそれぞれの地域に促していくような政策をつくっていかなければならないと思うんです。

 これから、都市再生特別措置法ですか、さらには、昨年成立した交通政策基本法をもとにした地域の公共交通活性化再生法の改正法案、提出をされ、審議をされると聞いておりますけれども、ぜひしっかりとその点は私たちもともに共通認識を持ちながらやっていきたいと思うし、委員長、新たな国土のグランドデザインの骨子が来月示されると政府の方から言われております。これからこの委員会で審議する予算や法案の全ての基礎になると私は思う。

 したがって、あらゆる法案の審議に入る前に、まずこのグランドデザインについての集中審議をこの委員会で私はやるべきだと思いますので、委員会でのお取り計らいをお願いいたします。

梶山委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

三日月委員 その上で、既存ストックの有効活用についてお伺いいたします。

 大臣所信の中に「機能の転換や廃止も選択肢に入れ、」と、こういう表現を大臣所信の中で見たのは初めてだと思います。

 それで、この点で三点伺います。

 この「機能の転換や廃止も選択肢に入れ、」ということは、継続してきた公共事業の中止も視野、選択肢に入れた検証の必要性が私はあると思いますが、その点についての認識。

 さらには、この国会に総務省から、地方自治体が公共施設を撤去する場合の費用の調達について地方債の発行を認める法律案を提出されておりますけれども、これは国土交通行政においても、こういう地方自治体の撤去支援について私は拡充をすべきではないかと考えますが、この点。

 さらには、三つ目。私たちは政権時代に、ダム事業の廃止に伴う特定地域の振興に関する特別措置法というものを提出いたしました。残念ながら、成立しておりません。こういう長年国の公共事業に協力をしてきた、また、しようとしてきた自治体が再生しようとするとき、その公共事業が中心になって地域振興しようとするときに、私は一定の支援措置が要るのではないかと思いますが、こういった法律の必要性について。

 以上三点、国土交通省の認識を伺います。

太田国務大臣 「機能の転換や廃止も選択肢に入れ、」というのは、計画していたものについても、当然、戦略的に維持管理、更新をするということとともに、公共事業というものは常に事業評価というものをしっかり途中でもしていくということが大事だというふうに思っていますし、UR団地が建てかえに伴って、地域の医療や福祉拠点として、中身がごろっと変わるというようなこともあります。これは文科省にはなるんですけれども、学校が廃校になるというところを、老人福祉施設等への転用ということもありますし、廃止や撤去も選択肢に入れるということが極めて重要だというふうに思っています。

 これからグランドデザインのところでも、三日月先生から話のありましたように、いろいろな角度で長期的に考えるという場合に、その辺の機能の転換や廃止というのは大事な選択肢にしなくてはいけないというふうに思っています。

 そこの撤去支援について、この費用をどういうふうにしていくかということに関しては、個々の自治体が地域づくりと一体として考えていくものではありますけれども、個別施設ごとのインフラ長寿命計画の策定ということについて、助言あるいは助成、支援というものを考えていかなくてはならない、これは研究をする課題があるというふうに思っています。

 また、継続してきた公共事業の中止や選択肢ということにつきましては、今申し上げましたように、事業評価ということをしっかりやっていかなくてはならないというふうに思っておりますし、現実に、再評価を開始した平成十年度から二十五年度までの再評価の結果、四百三十件の事業が中止されているということもありまして、そうしたことも視野に入れていかなくてはならないというふうに思っているところです。

三日月委員 大臣、最後の質問は。

土井大臣政務官 お答えをいたします。

 ただいま御指摘ございましたダムの事業の検証につきましては、現在までに、対象八十三事業のうち六十三事業について対応方針を決定し、四十三事業の継続と二十事業の中止を決定したところでございます。

 御指摘の法律につきましては、ダムの検証の結果、中止されたダム事業の進捗状況、水没予定地であった地域の状況等の実情を勘案し、今回、国会への提出を見送ることとしたものであります。

三日月委員 いや、私たちが大臣や政務官に聞くのはそういうことではなくて、もう少し、答弁書を読むだけじゃなくて、省庁から言われたとおり言うんじゃなくて、今回見送ることにしたけれども、例えば生活再建、地域振興に、長年、半世紀以上ですよ、公共事業に協力してきた地域の地域振興に、これは国土交通省の事業だけではなく、必要なことというのはあると思うんですよ。そういうことに、もちろん予算措置もやっている、いろいろな助言等もやられているんでしょう。しかし、法律をつくって支援をしていくという必要性があるのではないかということに共通理解が持てるかどうか。

 さらには、大臣、地方自治体への支援というところで長寿命化計画だけに言及されましたけれども、そうじゃないんです。実際、撤去をするということについて、私たちは、踏み込んだ支援が、もしくは支援の検討が要るのではないかという問題提起をさせていただいているんです。

 この点は、国土交通省内においても、これまでも事例があると思うし、各地方の現場で困られている自治体はたくさんあると思いますので、しっかりヒアリングをしていただいて、これからは、つくってきたものをただ直すだけではなくて、もう要らないから取り除こうという選択をする自治体が出てくると思うんです。そういったところにどう寄り添っていくのかというこの政策を、ぜひしっかりと御検討いただきたいというふうに思います。

 資料の三ページに、公共事業の予算の執行状況調査、これは財務省から提出をいただいた資料をつけさせていただいております。

 大臣所信の中には、公共事業の早期の執行と円滑な施工の確保ということがあります。もちろんそれも大事なんですけれども、当然のことながら、北陸新幹線の談合問題や何かも発覚しており、国土交通省では、あれは高知でしたか、直轄事業の談合問題もあった。公正かつ適正な発受注また契約、こういうものは大前提にあると思うが、この点についての認識をお伺いすると同時に、三ページの表にありますように、公共事業の執行にそれぞれの現場で御努力いただいていると思うんですけれども、復興もあり、新たな災害もあり、そして雪もありということで、計画した事業がなかなか進まない、用地取得も困難だ、その上にまたさらに、何となく政治的にメッセージの強い予算を多額につけてしまうということもあるのかもしれないけれども、ここに来て、次の年度に繰り越す額、その次の年度に繰り越せない額がふえてきているという現状があるんですけれども、この点についての国土交通省の考えを聞かせてください。

 海上保安庁長官はもう帰っていただいて結構ですから。どうぞ任務についてください。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、平成二十三年度及び二十四年度におきましては、繰越額や不用額が増加をしております。この背景といたしましては、東日本大震災に係る災害復旧事業におきまして、復興計画との調整あるいは住民との合意形成、こういったものにおくれが生じたこと、それから、二十四年度の補正予算につきましては、成立時期が二月末成立ということもございまして、事務処理期間が十分でなかったことなどから繰り越しということがあったためというふうに承知をしております。

 しかしながら、そうした特殊要因は別といたしまして、公共事業の早期かつ円滑な執行を図り、執行率のアップを図っていくことは極めて重要であるというふうに考えております。

 入札不調対策は極めて重要でございまして、二月一日に改定をした最新の労務単価の適用や、地域企業の活用に配慮をした発注ロットの大型化、入札契約手続の簡素化、発注方法の工夫などにより早期執行を行ってまいります。

 また、公共事業の箇所づけに当たりましては、事業の必要性、緊急性、それから、地元地方公共団体の意見、要望などのみならず、用地確保ですとかあるいは地元調整の状況、そういった事業の準備状況をきちんと踏まえて対応してまいりたいと思っております。

三日月委員 これは確かにいろいろな要因があると思うんですけれども、補正予算でついたからと。この一番上にある今年度の予算には、さらに約二兆ですか、補正予算が積み乗せられますよね。二月についたって、なかなか執行できないということがあるのかもしれない。ただ、二兆ですよ。昨年度から六兆ですよ。これだけ財政需要が多くて、かつ財政状況が厳しい中で、国土交通省だけではないですけれども、これだけ積まれ、繰り越され、そしてまた翌年度に繰り越されてしまう。

 予算をつけろと言っているんじゃない、公共事業が悪いと言っているんじゃないですけれども、この要求の仕方、要求をつくる査定のあり方、これは国土交通省内においてもよくよく検討した方がいいと思うんです。繰り越すことが悪いと言っているんじゃない。予算が多いことが全て悪だとは言わない。しかし、これだけ繰り越さなければならない要求のあり方、要求をつくる査定のあり方、これは、国土交通省内それぞれの部局で、もう一回、整備局や地方自治体との関係も含めて、僕は見直すべきだと思うんです。

 うなずいてくださっている職員の方々がいらっしゃいますので御理解はいただいていると思いますが、ぜひ、これからこの委員会でしっかりこの点についても検証していきたいと思います。

 続いての質問、物流について。

 残念ながら、物流について大臣所信の中では言及がなかったんですけれども、私は、建設業ともども、担い手確保という点においては、この物流業界、とりわけトラック運送業も厳しい状況にあると思うんです。アベノミクスの、ある意味では負の影響、マイナスの影響がこの物流業界には出ている。原油価格の高騰、転嫁の難しさ等々で非常に厳しい状況にあるこの物流業界で、いかに担い手を養成していくのか。

 資料につけておりますとおり、トラック業界、資料の四ページにありますように、この間、厚生労働省の告示であります自動車運転者の労働条件改善基準告示について申し上げれば、この赤で印をつけておりますように、労働基準関係法令違反事業場数は毎年八割以上、監査に入っているところの八割以上ですね。改善基準告示、これは労働時間でありますとか運転時間、こういったものの違反事業場数は六割超えという状況がずっと続いております。

 このことで是正されている、このことで安全に保たれていることもあるのかもしれないけれども、守ろう、守ってくださいと言っているものの違反が八割を超える、また六割を超えるという状況というのは、私は尋常じゃないと思う。こういうことも、担い手がなかなか集まってこない、若い人がなかなか就職しようとしない一つの原因にあると思います。

 さらに、資料の五ページにつけておりますように、社会保険等の未加入事業者ですね。建設事業者については省を挙げて今対策に取り組んでいただいておりますけれども、次はやはり物流業界にももっと目を向けて、力を入れて、私は取り組んでいくべきだと思います。

 こういう点も含め、私は二点問いたい。

 一つは中型免許の問題。この資料の六ページにつけております。普通免許で運転できるトラックが、この六ページの上段にありますように、下の二段のトラックに限られている。しかし、今、例えば冷蔵施設であるとか、例えば都市部の小さい狭い路地への物流であるとかで、この黄色い、中型免許の、特に下の方の、総重量六・五もしくは七・五トン以下で運ぶ、そういう事業者がふえているときに、高卒で採用しても二十になるまで免許取得ができないこの中型免許のあり方については、もちろん安全に配慮をした上で、緩和に向けた検討を私は急ぐべきだと思います。

 そしてもう一つは、平成二年に規制緩和をされてトラック事業者がふえた、そのことによって市場が活性化した、そういうこともあるかもしれないけれども、しかし、最低車両台数の問題ですとか価格の転嫁対策、運賃の適正受領の問題ですとか、競争が激しくなり過ぎて、担い手の確保、安全対策に手が回らない事業者がふえている面もあるのではないかと思う。

 だから、私たちは政権にいたときに、トラックの将来ビジョンを検討しようということで検討会を立ち上げて、何とかこの最低車両台数の見直しについても取り組んでいけないかということを検討してきましたけれども、この点、今の政府はどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

高木副大臣 建設業と同様に、物流、とりわけトラック業界、担い手の確保というのは非常に大事な視点だというふうに思っております。

 厳しい労働環境の中にあって、先ほど委員御指摘のとおり、法令違反というのもやはり頻発をしてしまうのではないかというふうに思っておりまして、国交省といたしまして、しっかりと、若い人が物流、トラック運送事業を担っていただけるように、ドライバーになっていただけるように取り組んでいるところでございます。

 本年一月に自動車局におきましてプロジェクトチームを立ち上げて、自動車運送事業者等の人材の確保及び育成に関する課題の抽出に今取り組んでいるところでございます。

 さらに、来月からは、トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会を開始することといたしておりまして、トラック運送業の健全化対策の検討とあわせて、トラック産業の人材の確保等について、有識者、経済界、労働組合等からのさまざまな意見を聞きつつ、今後、具体的な対策を検討してまいりたいというように考えております。

 また、二つ目は、中型免許制度の御質問だったかというように思いますけれども、これにつきましては、全日本トラック協会等から警察庁に対しまして、高卒ドライバーの採用の確保等の観点から、改正の要望がなされているということは承知をいたしております。

 国交省といたしましては、今後、トラック業界と連携しつつ、中型免許制度がトラック運送業界の労働力の確保に与える影響を踏まえて、中型免許問題の解決に向けて、有識者検討会の議論に国交省としても積極的に対応してまいりたい、そのように考えているところでございます。

 また、三つ目の質問でございますけれども、規制緩和の弊害の解消に向けて、いわゆる最低車両台数の引き上げ、あるいはまた転嫁を含む運賃の適正化を図る必要があるのではないかという御指摘でございますけれども、平成二年以降、規制緩和によりまして、新規参入が容易になり市場の活性化が図られたり、あるいはまた宅配便などに見られるように、サービスの多様化や競争により、運賃・料金の低下に利用者の利便の向上が見られたのはそのとおりでございます。しかし一方で、事業者数の増加に伴いまして競争が激化し、事業者は大変厳しい環境にもあるというふうなことも認識をいたしております。

 国交省といたしましては、平成二十二年に設置いたしましたトラック産業の将来ビジョンに関する検討会のもとにワーキンググループなどを設置いたしまして、課題の検討を進めてきたところでございますけれども、この最低車両台数規制につきましては、直ちに基準を引き上げる状況にはないと実は考えております。ただ、不適格な者を市場に参入させないように、新規参入時のチェック等を強化したというところでございます。

 以上でございます。

三日月委員 高木副大臣、大変だと思いますけれども、原稿を読むだけじゃなくて、ぜひ考えを。

 例えば、中型免許のものも、検討会に参加するだけではなくて、やはりある程度、その必要性について同じ土台に立てるのかどうか。規制緩和についても、もちろんいいところもあったけれども、先ほどお示ししたような形で、守ろう、守ってくださいと言っている労働基準が守れない、運転時間が守らせられない事業者がふえているという現状をどう改善するのかということについての認識、これを私は共有したいと思う。

 共有されているとは思うけれども、それをやはり答弁で表現してほしい。それがまた次の質疑につながり、次の制度改善につながると思うんです。

 時間もないので、あと二点お伺いいたしますが、一つは住宅の問題です。

 中古住宅・リフォーム市場の活性化、これは言葉として表現され、今の政権でも引き続き取り組んでいただいていると思うんですけれども、そのときに私は二つ伺いたいと思うんです。

 一つは、原発がこれまでどおり、これまで以上になかなか動かせないという状況下で、さらに省エネというものに取り組んでいく必要がある。とりわけ、住宅であるとか建築物の省エネというものに、もっともっと踏み込んで取り組まなければならないのではないかと思う。だから、私たちも住宅版エコポイントというものを導入して、新築だけではなくて、リフォームも何とか省エネ対策が進まないかということに取り組んできた。それで、特に住宅・建築物の断熱化ということについて、これは政府として、もっともっと力を入れて取り組んでいくべきだと思うんです。

 二点目、日本の有する、日本が持っている地域の資源を有効に活用するという観点からは、先ほども御質疑がありましたけれども、やはり木造さらには木材利用の推進、こういうものをもっともっと国土交通省が、例えば林野庁や経産省とも連携しながら積極的に取り組んでいく必要があると思うんですけれども、この点についてお考えをお聞かせください。

太田国務大臣 原発の依存度を下げる、そのためには再生エネルギーをふやす、そしていわゆる省エネということをさらに進める、そして石炭火力の効率化というものを図っていく、三本の柱だと思います。

 民生部門のエネルギーが非常にかかっているので、そういう意味では、住宅そのものをゼロエネルギー住宅という形に持っていく、太陽光を設置する。そして、外断熱を初めとする断熱、これは非常に、ヒートショックをなくす、そして穏やかな生活環境ということで、バリアフリーとともに、実はエネルギーだけではなくて、お年寄り、高齢社会になりますから、心地よく住宅に住めるということでも断熱というものは非常に大事だというふうに思っています。

 木造は、これは我が国の、これから地方ということとか幅広い観点からも、木造の推進とか国産材の活用というのは非常に重要ということがありまして、今御指摘のあった三点については、確かに角度をつけてまだ具体的にいっていない。住宅については、中古住宅も含めた長期優良住宅化リフォーム推進事業というのを進めているところではありますけれども、より角度をつけて、私は、ここは未来の住宅のあり方ということで大いに進めていかなくてはいけない。省庁をまたぐところがありますから、ここはよく連携をとって推進をすることに努力したいと思います。

三日月委員 そうなんです。新築も大事なんですけれども、リフォームなんです。既存住宅の省エネ化というものにどれだけ踏み込めるか。

 もちろん、規制もしくは義務化ということも選択肢でしょう。その改修を支援する補助金というのも一つの制度だと思う。このリフォーム、既存住宅の省エネ化にどれだけ取り組めるのかというのが、これから、将来の日本の、エネルギーをできるだけ使わずに生活をしていける家が建てられる、住めるということにつながっていくんだと思います。

 そのためには、やはり省庁連携なんです。経産省ともしっかりと連携する、林野庁とも連携する。特に、長期優良住宅という言及がありましたけれども、私たちもその法律を審議するときに、日本の最大の長期優良住宅は木造住宅であるという観点から修正案を提出し、また附帯決議にも盛り込ませていただきました。

 ぜひ、木造推進、木材利用の促進、こういうものを、もっともっと旗を振って、あらゆる政策を総動員して進めていくということが私は必要だと思いますので、これからもしっかり提案をしてまいりたいと思います。

 最後に、観光立国について伺います。

 観光立国の推進ということで、二〇二〇年東京五輪、いいことだと思う。応援もしたい。私たちも参加もしたい。しかし、何でもかんでも東京でいいのかという思いで、日本全国にその波及を及ぼすことができるよう、二〇二〇年に向けて、訪日外国人二千万人の高みを目指すという、このことにも関与してまいりたいと思いますけれども、この点で三点。

 一つは、訪日外国人二千万人を運ぶだけの飛行機の座席があるかどうか。もちろん、需要があったら路線が生まれ、路線があれば座席がふえるということはありますが、インバウンドだけじゃなくてアウトバウンドも含めて、さらにはリピーターも含めて、この航空座席の不足問題について、これからどのように検討し、取り組んでいかれるのかという点が一点。

 二点目は、日本の魅力の発信というものがまだまだ足りないのではないか、この体制強化についての考え方。

 最後は、もちろん訪日外国人をふやすということも大事なんですけれども、やはり観光産業を成長産業にしようと思うと、国内旅行をどう活性化するかということが大事だと思うんです。国内旅行の活性化のためには、やはり時間とお金、特に時間の、休日、休暇の拡大、取得促進、こういうことに取り組んでいく必要があると思うんです。

 私たちも休日分散化というものを検討した。国交省でも、ポジティブ・オフだとか家族の時間づくりプロジェクトだとか、取り組んでいただいていることは理解いたしますけれども、この点、さらに官民、国を挙げて踏み込んで取り組む必要があると思いますが、最後に伺って、私の質問を終わります。

坂井大臣政務官 まず、座席の不足の件でございますけれども、日本は御承知のように島国でございまして、外から入ってくる観光客はほとんどが飛行機、航空機で入ってまいります。

 簡単に申し上げますと、今の状況は、御指摘のように、首都圏空港が、もう成田、羽田、容量がいっぱいということで、まずは首都圏空港対策ということで、さらなる機能強化に向けた検討を行っておりまして、この点に関しては今年度中に技術的な選択肢の洗い出しをしよう、こういうことになっておりますが、それだけではまだまだ十分ではないと考えておりまして、御指摘のように、やはり関西空港や中部空港、そしてその他の地方の空港に直接入っていただかなければいけない。

 しかし、入ってくれと言っても、何も用がなければ入ってこないわけでございまして、需要を喚起しなければいけない。そのためには、当然、便数をふやすとかということもやりますが、飛行場のターミナルビルの使い勝手のよさ、魅力や、それから何よりも観光と連携をしながら魅力を上げていきまして、空港を核としたまちづくりや観光振興等、これで引っ張るようにしなければいけないと思っております。

 また、外国人に向けての魅力を発信する点に関して、まだ拡充が必要ではないかというお話でございますが、まさしくそのとおりだと思っております。二十六年度の予算におきましても、ビジット・ジャパンの予算に関しては増加をさせていただきまして、力を入れていきたい、こう思っておりますし、また、ビジット・ジャパンと親和性の高いクール・ジャパンとの連携を図りながら、効果的な訪日促進につなげていきたい。そして、日本の文化財を活用するなど、これも文化庁とも連携しながら実施をしていきたいと思っているところでございます。これは、とにかく観光庁だけではなくて、いろいろなところと連携をしながら検討し、また実際に行っていきたいと思っております。

 そして、最後でございますが、休暇でございますが、御指摘のように、ポジティブ・オフ運動、家族の時間づくり運動など、今、観光庁、ポジティブ・オフ運動は提唱者が観光庁ということで、経産そして厚労、また内閣府などを旗振り役としてやっておりますが、こういったことを、できることを一つずつやってまいりまして、地域ブロックごとに、地域単位で休暇を与えようというような運動、声もありますが、まだそれには一部産業界等での反対もございますので、それらに関して、まずは機運を高めていくということを進めていきたいと思っております。

 以上です。

梶山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 先般の大臣の所信表明について、幾つか御質問させていただきたいと思います。

 まず、それに先立ちまして、今般のこの二月の雪害についてコメントさせていただきたいと思うんですが、全国で二十五名の方が亡くなられる、いまだに千百余りの集落が孤立をしている、一万一千以上のビニールハウスが倒壊をしたというような大変大きな災害でありました。

 また、国土交通行政にかかわるものとしては、中央本線で長時間にわたって乗客が閉じ込められたり、あるいは中央、新東名、関越がとまって、東名高速では四十八時間以上、数百台の車が足どめになってしまったというような、大変に甚大な被害があったわけですけれども、亡くなられた方には哀悼の意を表しますと同時に、こうした災害に対していかにこれから取り組んでいくかということについて、今後この委員会でもじっくり御質疑を賜りたい。できれば、ある程度実態が明らかになったところで集中質疑を行っていただいてはどうかと委員長に御提案をさせていただきます。

梶山委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

若井委員 それでは、本題に入りますけれども、大臣の所信表明、まず冒頭に、メンテナンス元年、この言葉が出てまいりますし、私も、これが今後の国土交通行政上、大変に重要なキーワードだというふうに同感をいたします。

 ただ、これまでの御説明、先ほどの政府委員からの御説明等も含めてお聞きをしておりますと、このメンテナンスという言葉自体の意味をするところが少しはっきりしていないなというような感じもいたしますので、そこら辺について少し議論ができればと思っております。

 例えば、メンテナンスといえば、よく車のメンテナンスといいますけれども、車を持っていなければ買えばいい、国土交通行政でいえば、つくればいいという話だと思います。

 買ったり、そしてつくって、所有したりすれば、次にそれをいかに最適に使える状態に保っていくかということで大変に意を払うわけでございますが、いよいよその車がそろそろ使えなくなってきた、いろいろあんばいが悪くなってきたということになれば、これを大修理するということもありますし、また、そろそろ買いかえようじゃないかというようなことも起きてくる。

 これは、最初に物をつくるという段階とは大きく異なる使命であるわけでございますけれども、この間議論しております国土交通における社会資本のメンテナンスというのは、この維持管理という話と、今あるものを更新していく、それから、先ほど三日月委員が指摘をさせていただきましたけれども、場合によってはこれを廃止していく。

 勇気のあるお母さんたちは、要らないものはうちの中から処分をするということを通じて暮らしの快適性を保っていっているわけでございますけれども、我が国の場合、現段階で、この国土交通行政においてメンテナンスと言った場合には、どの辺に力点を置いて大臣はお話しになっておられるのか、その辺について一言お願い申し上げます。

太田国務大臣 いわゆる社会資本、インフラが老朽化している、高度成長時代につくった構造物が老朽化を始めて、笹子トンネル等を初めとして天井板が落下したりとか、あるいはコンクリートが落ちたりというようなことが続いている。

 ちょうど、アメリカの一九三〇年代にニューディール政策でつくったものが、一九八〇年代、荒廃するアメリカというふうに、橋が落ちたりさまざまなことがあったりということで、この点検と維持修繕と、そして新しくつくるということとは、それぞれ次元は違うわけでありますけれども、一番の問題点は、高度成長時につくったインフラが老朽化をしている、この老朽化対策をしなくてはいけないということが、このメンテナンスと言っていることの、少なくとも私が言っているのはそういうことでございます。

 あわせて、その中で、財政制約が極めてありますから、技術革新をして長寿命化を図るという中でコストを縮減していくことになるということを考えているということでございます。

 したがって、その過程の中で、廃止をした方がいいという判断も、当然、例えば地域の地方自治体の小さな橋があったりいたしますと、これをどうするか。今かなり、もう渡らないで通行禁止の橋が現実にあるわけで、そこは廃止ということを含めて当然考えていい。

 宮崎県なんかで宮崎市に行ってみますと、老朽化している。しかし、交通量が非常にふえている。だから今度は、更新とは違うんですが、もう一本つくりたいというようなことについては、かなり財政制約ということがあって、それを認めるかどうかということになっていますが、現実に通行しているということになりますと、工事というものが、更新という、新しくつくりかえるということにおいては、新しくつくってこっちを廃止するというようなことになるか、いろいろな個別的事例があると思いますが、財政制約があるということを十分踏まえた上で、老朽化対策を施すということをもって、私はメンテナンス元年ということを言ったわけでございます。

若井委員 今の大臣のお話を聞いておりますと、基本的には、寿命が来たものを更新するということが第一で、その次に長寿命化があり、場合によっては整理統合を含めて廃止をする、こういう感触でお聞きしましたが、そういう整理でよろしいですか。

太田国務大臣 どちらかといいますと、現状を見ますと、橋脚とか橋を考えますと、気象状況にもよって、本当に一部修繕をするということが緊急に必要であるということはかなり重点的に、むしろ、点検、修繕ということがかなり軸にあって、そこをどうするかの中に、廃止という場合と、それから更新という場合がある、そんな感覚でございます。

若井委員 少なくとも、大臣が社会資本のメンテナンスと言っておられるその心については、理解をさせていただいたつもりでございます。

 そこで、これは政府委員にお聞きした方がいいんでしょうか、今の大臣のおっしゃっておられる社会資本メンテナンス、この観点からいって、来年度の予算案の中にそれとおぼしきものが本当にあるのかどうか。どこにそのような考え方に基づいて予算の手当てをしているのか。見ていると、どうもよくわからない面もあるんですが、いかがでしょうか、念のために。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど大臣から御答弁のあったとおりに、社会資本メンテナンス元年ということで取り組みを進めているところでございます。

 平成二十六年度予算案におきましても、このような取り組みをしっかり定着させて、かつ加速させていくための予算を確保するものと考えております。

 具体的に申し上げますと、一つは、インフラの長寿命化ということで、社会資本の戦略的な維持管理、更新の推進ということで、この予算につきましては合計三千百九十九億円を計上しております。

 また、点検や修繕、更新を行った際の情報を統括して蓄積していく、こういったことも極めて重要だと考えておりまして、戦略的な維持管理、更新を進めるために、社会資本情報のプラットホームを構築する予算も計上しております。

 また、インフラの大部分は、実は地方公共団体において管理をされております。こういったところにおける老朽化対策を支援するために、防災・安全交付金を増額いたしまして、合計一兆四百八十一億円を計上しております。この執行に当たりましても、長寿命化ということで、それを計画的に行うなど、そういう老朽化対策を推進する整備計画に対しまして重点配分をする方針としております。

 加えて、メンテナンス技術につきましても重要だと考えております。三次元データやあるいはセンサーなど、次世代技術を活用してインフラの維持管理の高度化を図るとともに、迅速な災害対応にも活用が可能な次世代インフラマネジメントシステムの構築ということで、これにつきましては二十五億円を計上しております。

 もろもろございますが、これらの結果、二十六年度予算案全体におきましては、既存インフラの点検、補強を初めとした防災・減災、老朽化対策につきまして、二十五年度当初予算に比べまして、二・一兆円から総額二・四兆円ということで、公共事業関係費に占める割合につきましても、四七%から五三%ということで増加をさせているところでございます。

若井委員 今の御説明を伺いますと、この社会資本メンテナンス元年、一年を通じて、予算の再編においては、今回三千億円増額をした、そういうふうに理解をしてよろしいわけですね。

 私は、例えば公共事業をすることによって長寿命化をする、そのコストが将来どれぐらいメリットとして及んでくるのかとか、あるいは技術革新やコストダウンによってどれぐらいの額が将来にプラスとしてきいてくるのかとか、そうした部分についてもう少ししっかりした検証をした上で、例えばその三千億円が種金になってあるのであれば、そういう位置づけといいますか、評価をわかりやすくしていくことがこれからは必要じゃないかと考えております。

 これについてはお答えは要りませんけれども、ぜひそうした作業をこれからしていただいて、このメンテナンス元年、メンテナンスに重点を移したということがはっきりわかるような予算編成をしていくべきじゃないか、そんなことを申し上げておきたいと思います。

 話をちょっとかえますけれども、先ほど来、三日月委員からも指摘があったわけですが、人口の様相が非常に変わってきた。

 私の資料の一番目のところにありますこの表を見ましても、二〇一二年と二〇一五年の間に現時点があるわけですが、非常に大きな変曲点が来ている。三日月委員の資料にもこれはありました。この絵を見ていると、何となく牧歌的な推移に見えますけれども、実はとんでもない変化だと私は思っております。

 一九四五年、太平洋戦争直後には、日本の人口は七千二百万だったわけで、現在が一億二千八百万、実にここで五千五百万人人口がふえた。既に一九八五年の段階で一億二千万を超えていますので、四十年かそこらで実は五千万以上人口がふえているという、大変なことです。一年間に百二十万とか、それぐらいの増加をしたという、まさに人口爆発とかロケットスタートと言ってもいいと思うんですが、こうした経験を私どもはしてきたわけです。

 大臣も、そのロケットに乗っていらしたわけだから、御実感をお持ちだと思いますし、国土交通行政というのは、実はとんでもないこの人口増加に対応をしてきた、その歴史だったというふうに考えていいと私は思います。それが日本の場合には大都市への人口集中、あるいは都市化というような、そうした現象で語られ、また、恐らく政治もそちらの方向に誘導してきたということもあるんだと思いますし、また、それがそれなりの成果をおさめたからこそ今があるというふうに思うんですけれども、これがこのままでは続かないということがこれから一番の政治の課題であり、国土政策上の課題だというふうに思うわけです。

 実は、一九八五年から三十年ぐらい、これだけ長い間、一億二千万人のオーダーで、そのロケットが上空で停止をするというような時間にあったわけで、本来であれば、そこで、これから急速に加速をしながら減少していくという今日の状況に備えているべきだったけれども、それができずにここまで来たんだというふうに考えるべきだと思うんです。

 これは人口問題研究所等の推計ですが、これから五十年の間に大体四千万人人口が減るだろうと。これは、今の人口構成を見ていれば、そう簡単に子供がふえるというようなことにはならないわけですから、四千万人減るということは、要するに、あと五十年たつと、関東平野から誰も人がいなくなるくらいのとんでもない変化です。毎年八十万人人口が減る。ことしは二十四万五千人ですか、人口が減りましたけれども、急加速をして人口が減っていくわけです。

 先ほどメンテナンスの意味をしつこくお聞きしたのは実はそこもあるわけですけれども、これまで急速に人口がふえてくるときに備えなければならなかった社会資本、これをそのまま、要するに維持し、あるいは更新していくという意味はどこにあるのかということであります。それにふさわしい再編をし、それにふさわしいメンテナンスをしていくということが今求められているわけで、では、そのメンテナンスは今までどおりのことを繰り返すということでいいのか、技術革新や、あるいはジェネリック医薬品じゃありませんけれども、それを経済化すればいいのか、そうじゃないと思うんですよね。それにふさわしい公共事業、社会資本の整備、維持更新、これを進めていかなきゃいけない、そういう曲がり角に来ている。

 私は、後ほどちょっとまたグランドデザインのお話もしたいと思うんですけれども、人口が物すごく急増しているときにつくっていた国土計画、それなりにシリアスなものだったと思っています。ただ、これから今まで誰も経験したことのないような、そういう状況に対応していくわけでありますから、それにふさわしいしっかりとした準備をこれからしていかなきゃいけないと思うんです。ですから、この議論についてはこれからも委員会の一つのテーマとして続けていっていただきたいと思っているわけですけれども、きょうはちょっとそこの点について問題提起を少しさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げました、五十年で人口が五千万人ふえた、一体その人たちはどこに行ったのか、そのために何をしてきたのか、そのことをちょっと整理していきたいと思います。

 政府委員の皆さんにちょっとお願いしておりましたが、いわゆる都市化の指標、DIDについて、ちょっと簡単に御説明いただけると助かります。

花岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のDIDと申しますのは国勢調査上の概念でございまして、人口密度が一平方キロメートル当たり四千人以上の地域が連続した場所というふうになっております。過去の人口増加する局面では、都市化が急速に進展をしておりまして、こういったDIDの区域というのも大きく拡大をしてきております。

 具体の数字を申し上げますと、全国のDIDの面積というものは、一九六〇年には約四千平方キロメートルだったわけでございますけれども、一九九〇年には約三倍の約一万二千平方キロメートルと拡大しております。その後は、人口の増加が緩やかになったことを受けまして、拡大も緩やかなものとなっておりまして、二〇一〇年にはそれから一千平方キロメートル増の約一万三千平方キロメートルとなっている次第でございます。

若井委員 そこで、資料の下の図をちょっと見ていただきたいと思うんですが、圏域別の人口の推移というグラフを下に掲げてあります。

 右の図の一番下の部分、地方圏の人口の推移というのを見ておりますと、大変に特徴的なことが読み取れると思うんですが、この地方圏の圏域人口は、一九七五年の五三%から二〇〇七年の五〇%と、ほぼ横ばいで推移をしております。これは、普通、田舎は人口が物すごく減っているという議論があるんですけれども、実は地方圏にも人口がふえている中核都市というものもありますし、地方圏の人口というのは、それなりにシェアは横ばいで来ているというのがこの表から読み取れる事実であります。

 それで、今御説明賜りましたDIDの話なんですが、それぞれ、大都市圏が五〇%、それから地方圏が五〇%ずついる人口の真ん中の部分にそのDIDがある。大都市の場合はいろいろなところにコアがありますけれども、要するにそういうふうに読んでいいんだろうと思うんです。

 それで、この間、人口が急増したところを調べてみますと、大都市圏でいえば、都心じゃありません。都心の周りのいわゆる郊外というところでありまして、かつては地方圏と同じような農村的な、そうした田園環境の中に新しい市街地ができていった部分。だから、大都市圏で、昔からコアの部分とそうした部分が二つあって、真ん中のDID、一九六〇年のDIDで千二百万ぐらいいたんだと思うんですけれども、百万人ぐらいしかふえていませんが、周りにどんどんそういう集積ができた。それを、仮に例えば大都市圏Bとしましょう。それから、先ほどの地方圏でいえば、センターの部分、中核都市の真ん中にあるDIDの部分、今これは人口の受け皿になっていますけれども、そこをCとすれば、残りにDID以外、Dがある。

 問題は、どこに集約しているかというと、大都市圏の郊外、ここが今急激に高齢化が進み、これから人口が減少するだろう、人が住めないところになってしまうだろう。これが大都市圏の大体半分ぐらいを占めておりますので、そこについては、ある意味でいうと待ったなしの課題なんですけれども、有効な手だてがまだ見出し切れていないというところだと思うんです。

 それと、もう一つは、地方圏のいわゆる過疎地域、離島地域、そうしたいわゆる町村といいますか農山漁村の部分、この二つのところが大変にこれから待ったなしで急激に危なくなる部分だというふうに思いますし、そこについて、どうした手だてをとっていくのかということが今最大の課題になっているんじゃないか、このことをまず指摘をさせていただきたいと思うんです。

 ちょっと長くなりましたけれども、そうした現状の、これから五十年で四千万人人口がいなくなる、そして、その問題はこうした部分に集約をしているということを前提にした上で、今政府で検討しておられる国土のグランドデザインは何をターゲットとしていらっしゃるのか。二〇五〇年がターゲットだというふうにお聞きをしておりますが、まさにそこの着地点の話です。そこについて、どのような、結論というところまでまだ御検討していらっしゃらないかもしれませんけれども、イメージなりがおありでしたら、大臣ちょっと、ぜひお聞かせください。

太田国務大臣 今までの論議は、先生の指摘された論議という以上に、地方の集落というのを、私先ほども申し上げましたが、そこをもう切り捨ててしまって、コンパクトシティーに、全部真ん中に集めてという話がありますが、私はそういう考えに立っておりませんで、数が少なくてもその集落に住み続ける人を大事にしなくては国は成り立たないだろう。

 そこで、このコンパクトシティー・プラス・ネットワーク。そして、富山で象徴されるようなそういうところもありますが、そこは介護や医療やいろいろなことを考える。

 そして、交通ということからいきますと、都市部でコミュニティーバスとかあるいはディマンドバスというふうに、今までのバスは全部駅に向かって走っていって、乗って会社に行くというような形でありましたが、住んでいる人が高齢者になって多くなってきて、最近、都市部の私の選挙区なんかでは、コミュニティーバスという回るバス、それで必ず病院に寄れるようにというようなことをやる。本当に集落ということでいうと、あした私はここに行きますよというディマンドバスということで回っていくというように、交通体系自体を変えていくということになります。

 先生がきょう御指摘になったのはまた別の話で、大都市圏の周辺のところに人口がふえた、しかし、そこに、人口減少という以上に高齢化という現象があると。この間、民主党の大島さんがお話をしていましたが、駅で街頭遊説を朝やっていると、どんどん通る人が少なくなって、会社へ通わなくなっている、ニュータウンが実はオールドタウン化していると。

 ニュータウンがオールドタウン化していってどうしようもないからということで、UR柏なんかは、豊四季台団地ということで、高齢者ということを考えて、そこに医療や介護やそういうことを組み込み、そして、少しでも仕事が、六十五歳以上七十代でもできるというようなことをあっせんする職業あっせんということを入れて、町をもう一遍つくり上げるというような形。

 それで、ニュータウン、オールドタウンの地域の人たちが高齢化するということは、実は男性にとって極めて恐るべきことで、そこで女性はつながりがあって生き生きと案外動くようなんですが、会社である程度役を持っていた人が、オールドタウンになったところにたった一人でいて、女房までも近くにいなくなるということになった都市周辺の六十五歳以上の男性の孤独化によるストレス、これは実は重要な問題になっております。

 そういう点では、人口の高齢化と人口の減少ということが各地域でどういうふうになっているかという、私たちのことでありますけれども、そういう各地域において、この町は、この地域は、どうやって二〇五〇年を目指して生き抜いていけるかということをかなり考え抜いて、グランドデザインというものを交通体系も含めてつくっていかなくてはならないという問題意識を持っているところでございます。

若井委員 私も大臣と問題意識は全く同じように共有をしているつもりですが、二〇五〇年まで生きていられるかどうかという問題もございます。そのときに、人口が三分の二になっている、その三分の二がどこでどういうふうに暮らしているかという、その答えを見つけることがこのグランドデザインの一番の課題じゃないか、そういうふうに思うわけです。

 今のお話は、まさに今身の回りで起きていることそのものだと思うんですが、非常に平たく言いますと、大都市圏は、それなりの世代がいるにもかかわらず子供が生まれない社会です。ところが、先ほども申し上げた、地方の大変に外れの、客観的に言うと条件不利地域というんでしょうか、そうしたところは、若い人たちは少ないんですけれども、出生率は都会の倍ぐらいあるところがたくさんあります。

 だから、子供を産む世代がいるにもかかわらず人口がふえないというか、要するに、子供が生まれない、そうした地域性をどう克服するのかというのがAのゾーンの問題であり、それから、Bのゾーンでは、これはなぜかということをよく分析してみる必要があると思いますし、それもこのグランドデザインの大きなファクターだと思うんです。

 そうした、地方のいわゆる農山漁村みたいなところは、子供が生まれる、育てられる、そういう条件が客観的に備わっているのであれば、それをどういうふうに涵養をしていくのかということも含めて、これから八千万人になるだろう我が国の人口が、どこでどういうふうに暮らしていったらいいのかということをまずある程度見通さないと、例えば、社会資本をどこへどうつくるんだ、どこでどういうふうに維持していくんだという議論をしても、半分は何となく絵そらごとになってしまいかねないということを申し上げているわけでございます。

 大臣の選挙区の北区なんかも、昭和四十年には四十五万人人口がいたそうですが、今三十万ちょっとだと思います。墨田区なんかも、三十三万が二十五万になっている。

 大変に大都市の真ん中にも問題があるんですが、これは国の戦略特区に委ねることにして、国土全体からすれば、問題はそこじゃなくて大都市の郊外とそれから地方の縁辺部にあるんだということをまず認識し、そして、この八千万の人口が、五千万対三千万になるのか、あるいは六千万対二千万になるのかわかりませんけれども、そこら辺のデザインを描かないと次の作業は進まないと思うんですけれども、その辺、どんな感触でこれを進めておられるのか、この国土のグランドデザインの議論をしておられるんでしょうか。その辺、ちょっと教えていただければと思います。

太田国務大臣 有識者の方といろいろ議論をしてまとめている途中で、きょう、いろいろな形でお話ししている、今の、私、都市周辺のお年寄りの孤独と。暴走老人じゃなくて爆走老人化している、日本の今の一番の問題は、この都市周辺の爆走老人問題だということをその方は言っておりました。

 それは、たくさんのパラメーターを全部入れて、小さな頭の中で今議論をしているということの状況で、何をお答えしていいか、ちょっとよくわかりませんが。

 きょうお話しさせていただいたことや、三日月先生からも財政制約のことやいろいろなのがありましたけれども、そういうのを全部入れたりして、きょう出ていない中では、ITとかICTということが生活を劇的に変えていく。これは予想ができない。生活スタイル自体が全く違う。しかし、これからのお年寄りはそれが使える、スマホも、という人が多くなってくる中で、この準天頂衛星と地上ということの、二次元空間のそうしたインフラ整備ではなくて、三次元の空間の情報、ICT、そしてIT、スマホ等を使ってどうするかというようなことも議論をしているところでございます。

 まだまとまっている状況ではございません。

若井委員 今すぐ答えが出る話ではないと思いますが、恐らく、グランドデザイン、二〇五〇年目標というお話でしたが、そのことを求められているのではないかということを、では、きょうは指摘するにとどめさせていただきます。

 次に、これと関係はあるわけですが、先ほど来、社会資本ストックをメンテナンスしていくお話がありました。これにどれぐらいのお金がかかるのかという先ほど自民党の先生からの質問もあったわけですけれども、お話を聞いていると、今あるものをメンテナンスしていくだけで年間三・六兆円から五・六兆円かかるんだという御説明だったわけですが、まさに維持管理、更新にそれぐらいのお金は当然かかるんだろうと私も思います。総額で四百五十兆円ぐらいはあるというふうに聞いていますが、これが五十年ぐらいで次々壊れていくというような状況になれば、毎年それぐらいはお金がかかるんだと思う。

 そうすると、まさに、これから新しいものにどんどんお金を使うというようなことはできませんし、そういう観点からいえば、景気対策のために公共事業を使うなんということは、これからはもうあってはならないことだというふうに思うわけです。

 今、国交省の使っている公共事業に対する予算というのは、年間五兆円ぐらいですよね。大体それぐらいだと思うんですけれども、この維持管理にかかるお金と、それ以外に振り向けようとするお金、予算、これの関係をどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

西脇政府参考人 まず、先ほど御説明いたしました三・六兆円につきましては、これは事業主体としては国と地方公共団体、しかもこれは国費ベースではなくて事業費ベースとしてのものでございます。それに当たる事業費の総額ということになりますと、今委員御指摘のありました公共事業予算の五兆ということでございますが、これに地方が、例えば交付金とか補助金に裏負担を出していますし、また地方単独事業でもございます。

 ちょっとこれは、なかなか目の子では言えませんが、もし倍だということであれば多分十兆規模の事業費だということの中で、そういう意味では、維持管理、更新費の事業費の中では今のところはもちろん対応できる数字。ただ、それがいずれふえていくというような見通しを示されたということでございます。

若井委員 地方も入れて三・六、五・六という数字は、いろいろなはじき方があると思うんですが、ほかの大学の先生なんかの試算によれば、地方も入れたら毎年八兆円以上かかるという試算もあります。

 そういう意味で、そう簡単な数字じゃないと思うんですが、これについてどういうふうに考えていくのかということを、やはりそのグランドデザインの中で、私はこれは圧縮する以外に手はないと思います。維持管理費、メンテナンスの費用を圧縮する以外ないと思います。そうした答えも含めて、ぜひ議論を深めていただきたい。これからの委員会でもぜひ取り上げていただきたい。

 ついでにといいますか、あわせて申し上げておきますと、今度、道路法の改正で、いわゆる高速道路の更新のための費用を、償却期間を延ばすことで確保していくという法案が出てくるわけですが、有料道路についてはいたし方ないかなという気もするんですけれども、この維持管理の費用という問題は、恐らく、こういう個別の例を普遍化するようなことがあってはならないと思いますし、そこら辺のところをぜひ指摘させていただきたいと思います。

 時間がちょっとなくなってきましたので、先へ進みますが、先般以来、JRの北海道での事故の話が数々出てきております。

 JR北海道という企業自体の体質の問題、大変に大きな改善を要する問題だということは、国交省の皆さんも挙げて今取り組んでいらっしゃるんだと思うんですが、私はあの問題を聞いていて思いますのは、もう一方で、やはりJR北海道が有している社会資本としての鉄道のストック、これがもうどうにもならないところまで維持更新が難しくなっている、そういう部分もあると思うんです。

 先般、大沼の駅で貨物列車が脱線をいたしました。私も現場に行っていろいろお話を聞いたりしたんですが、もう三カ月以上前から、三カ月前の調査でも線路の幅がもう緩んじゃっていて、下手にそこに列車を入れたら落ちるんじゃないかという状況が長い間続いていた。ただ、これはふだん列車が走っている鉄道部分じゃないので、JR貨物、別会社ですが、それが使わせろと言うのでそこに入れたということだと思うんです。

 私は、JR北海道が今の形になる前から持っていた鉄道のストックをそのまま持っていること自体も難しいし、まさにこの維持管理のお金がもう回らないということを示している話だと思うんですが、そうした側面からの対応を国として考えていらっしゃるのか、あるいはJR北海道に指導していらっしゃるのか、その辺についてお聞きをして終わりにします。

滝口政府参考人 JR北海道の問題につきましては、御案内のように、三回の特別保安監査を行いまして、どういったところに安全を確保する上での問題があるかということについて調査を行ってまいりました。

 特に、今委員の方から施設の話についても御指摘がございました。先ほど伊藤委員の方からもお話がございましたが、鉄道の場合には、日常的な線路の巡回や保線を行うといったようなことで、まず日々の健全性を確保するといったような努力が行われるべきでございました。この点において、JR北海道に問題があったという問題がございます。

 一方で、こういったような日常的なチェックでは対応できないような構造的な問題というものも一方でございます。鉄道事業者の場合には、これはいわゆる土木構造物のみならず車両などにもあるわけでございますが、こういった問題についても、JR北海道がどのように対応していくのかということは一つの問題だと考えております。

 今回取りまとめております、改善命令等で指摘しております講ずべき措置の中では、こういったことを念頭に置きながら、PC枕木の導入等の設備投資を行うこと、そしてまた、安全投資等に関する五カ年計画を策定して着実に実施するようにといったようなことを命じているわけでございます。

 そしてまた、JR北海道に対する設備投資につきましては、御案内のように、二十三年度から十年間で六百億円という支援を行っております。

 さらに、長寿命化につきましては、二十五年度の補正予算、二十六年度の当初予算におきまして、国が経営の厳しい鉄道事業者に対しまして三分の一の補助を行うといったような制度も導入しているところでございます。

 こういったものを使いながら、しっかりと取り組んでいけるよう対応してまいりたいと思っております。

若井委員 終わります。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 まず冒頭、今回の関東甲信越地方を中心とした雪害によってお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意をあらわすとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 今回のこの雪害、我々も本当に驚いたわけでございますが、我が国が非常にさまざまな災害に見舞われる国土を持っているということを改めて認識したわけでございます。

 その復旧に関して大きな役割を担うインフラの整備を担う国土交通行政にかかわる一員といたしまして、そして責任政党、日本維新の会の一員といたしまして、ことしも我が国の国土交通行政を一歩でも前に進めていくために、指摘するべきところは指摘をしながら、御協力すべきところは頑張っていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 今回、大臣の所信で、昨年度示された社会資本メンテナンス元年を、ことし二年目ということで、さらに継続をしながら目に見える成果を示していきたいという御所信がございました。昨年の質疑でも、私も、この社会資本のメンテナンスは非常に大事だというところには、もろ手を挙げて賛成をします、協力をしていきたいということを申し上げました。ことしもその姿勢は変わっておりません。

 そこで、まずお伺いをしたいのが、やはり予算との関係でございます。今回、平成二十五年度補正予算と平成二十六年度予算案について、それぞれ、老朽化対策、防災・減災対策の金額と、公共事業関係費全体における割合を教えてください。お願いいたします。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 まず、平成二十五年度補正予算におきます国土交通省の公共事業関係費のうち、防災・減災、老朽化対策は約〇・四兆円、比率としては五七%となっております。また、平成二十六年度当初予算案におきます同様の対策費でございますが、これは約二・四兆円、比率として五三%となっております。

坂元委員 ありがとうございます。

 この質問は、実は昨年もさせていただきました。ことしも補正、当初ともに五〇%を超えているということで、もちろん、この数字が全てではありませんけれども、やはりこのメンテナンス、維持管理、更新というところに力を入れていく上で、予算の配分というのが非常に大事だと思っておりますので、今後とも、この数字は継続して見させていただきたいなというふうに考えております。

 と同時に、先ほど若井委員からも御指摘がありましたとおり、やはり、予算額の圧縮という部分にも同時並行で取り組んで、割合だけではなくて、額の圧縮という部分も取り組んでいかなければならないというふうに考えておりますので、午前中の議論でもありました技術革新を含め、あらゆる手を尽くして、維持管理、更新に関しての額を減らしていくという取り組みも頑張っていただきたいなというふうに考えております。

 続いての質問に移ります。

 午前中の質疑でもやりとりがありましたとおり、インフラに関しては、その多くが地方自治体が管理をしているわけでございます。この戦略的な維持管理、更新をいかに行っていくかというのが非常に大事になるわけでありますが、伊藤委員からも御指摘がありましたとおり、規模の小さな自治体には、まず、そもそも、その技術、知識を持った専門の職員がいないという場合も多々ありますし、財政状況が非常に苦しくて、なかなかそちらに予算を回せないというような自治体もございます。

 そういう中で、これを国交省としていかに支援していくかというところが非常に大事になってくるわけなんですが、昨年三月に作成された、社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置の工程表に基づいて、地方公共団体への支援、助言が行われているというふうに伺っておりますが、現状どこまで進んでいるのか、進捗状況を教えてください。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まさに御指摘のとおり、公共団体が多くのインフラを管理する一方で、財政力、技術力、人員等の体制が非常に厳しい、こうした自治体を応援することが、まさに老朽化対策の鍵だと考えております。

 進捗状況でございますが、まず財政面につきましては、昨年度に防災・安全交付金を創設いたしまして、この活用が相当進んでおります。それから、技術面につきましては、基準とかマニュアルを私どもで整備して公共団体に提供する、それから、地方整備局ごとに相談窓口を設置いたしまして、相談に乗って助言をしております。それから、公共団体の人材育成ということについては、私どもの方の研修に受け入れをしておりまして、その枠を拡大して頑張っておるところでございます。

 いずれにしても、これは非常に厳しい状況の中でございますので、引き続き、この当面講ずべき措置、それから、これからインフラの長寿命化計画をつくってまいりますので、私どもの計画を公共団体にお示しして、公共団体での独自の計画策定支援、それに基づく措置が進むように努力してまいりたいと思っております。

坂元委員 説明ありがとうございました。

 太田大臣からもありましたとおり、インフラの維持管理、更新に関しては、そのデータやノウハウの共有というのも非常に大事になってくると思いますので、加えさせていただくと、先進自治体での事例、もうやっている自治体は、その自治体同士で実はやりとりしたりもしているんですけれども、これを国交省としても、このデータ、ノウハウの蓄積というところにも力を入れていただければなというふうに考えております。

 続いての項目に移らせていただきます。

 都市地域と地域公共交通の再生に関してです。

 この点も午前中の質疑の中で多くの指摘、御意見がありましたが、私も、この点、非常に期待をしております。というのは、私の地元、福山市も、まさに地域公共交通の再生をしていかなければならない地方都市でありまして、いわゆる郊外にどんどん都市地域が広がっていって、中心市街地が空洞化そして高齢化が進んでいっております。

 今はマイカーを中心に動けている、周辺に住んでいらっしゃる方々も、これから高齢化がどんどん進んでいく中で、では、その方々の交通の手段というのをどうするのかという部分がございます。大臣からも爆走老人ですかのお話もありましたけれども、そういった課題を福山市は抱えています。

 これは福山だけではなくて、多くの地方都市においても同じだというふうに思いますが、コンパクトシティー化に向けて、これは国土交通省だけではなくて、経済産業省や総務省、厚生労働省など他省庁との連携が不可欠だというふうに考えていますが、この点について、現状どこまで取り組みが進んでいるか、お答えください。

太田国務大臣 御指摘のとおり、コンパクトシティーを推進するに当たりまして、厚生労働省とか総務省、そうしたことの連携が極めて大事だという認識をしておりまして、このため、先般、地域活性化の推進に関する関係閣僚会合という会議体を、一月二十八日でありますが設置しました。省庁連携をとって、内閣官房を中心にして、モデルケースを構築する、それにどういう支援ができるかということを検討する。そして、既存の施策に加えて、この国会に提出された関係法令等について有機的に連携して展開するという、今回そうしたことも含めて、法案を国交省からも経済産業省からも出しているところでありますけれども、そうしたことの連携をとって展開できるようにという、新しい形での今後のまちづくりに対する協議が開始をされたところでございます。

坂元委員 ありがとうございます。ぜひ、この有機的な連携を進めていただければというふうに思います。

 今、大臣からも御答弁ありましたとおり、こういった取り組みというのは、まずそのモデルケースというか、モデルとなる自治体を選定した上で、必ずそこで成功させて、それを全国的に広げていくという取り組みが必要だというふうに考えますが、この取り組み、基本的にその自治体が計画を策定するという形になっておりますので、日本初の取り組みであったり、新しいことに取り組むということは自治体にとって非常に勇気が要ることですし、なかなかノウハウもわからない部分も多いと思うんですが、今回、今国会に提出されております都市の再生に関する法律と地域公共交通の活性化等に関する法律の法改正で可能となる計画の、この計画の作成について、自治体への支援というのは国交省としてどのように考えておられますでしょうか。

太田国務大臣 この国会に提出させていただいた法案では、立地適正化計画、これは生活機能や居住を誘導していくという計画になります。それから、地域公共交通網の形成計画、これはバス等の公共交通を束ねていくというような計画です。こうした新しい仕組みを導入しているところでございます。これらが円滑に進められていくには、国の積極的な支援体制が大事であるというふうに思っています。

 国としてはそういうことでやっていきますが、今度は、当該の市においては、その市とそれから各省の応援部隊、中には総務省から行っている人もいたりしますが、我が国交省の地方整備局、いろいろな知恵、どういう形でやっていくか。ぱっとコンサルに投げるというんじゃなくて、自分たちが政治的、行政的な立場でどういうふうにするかということを、かなり大きな規模で考える知恵というものが必要だと思いますので、その知恵自体が、実行した結果という以上にモデルケースになるんだというふうに思っています。

坂元委員 ぜひ、国交省の知恵を生かした、自治体の状況に即したサポートをよろしくお願いいたします。

 最後に、地方都市における地域公共交通の再生、このポイントとして、やはり渋滞の解消というものも大きいかなというふうに考えております。

 福山でも、もう本当に郊外から中心地に流れてくる道路は全部渋滞というケースがよくあるんですけれども、地域公共交通の活性化という観点からも、いわゆるロードプライシングにより自家用車の利用を抑制し、公共交通機関の利用促進というものを図っていかないと、なかなか需要と供給が合わない部分もあるのかというふうに考えますが、この点についてのお考えを伺えますでしょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、公共交通の利用促進が重要だということは、認識は全く同じでございます。

 その上で、委員から今御指摘がございましたロードプライシング、いろいろな定義はございますけれども、これが混雑の緩和ですとか公共交通機関の利用促進の観点から有効な場合があるということは事実だと思います。

 ただ、一方で、ロードプライシングにつきましては、例えば、商店街とか市民の方の、地域住民の方のコンセンサスの問題とか、迂回交通による影響をどうしようか、それから、さっきと表裏の関係でございますけれども、公共交通の受け皿がないと交通手段がなくなるとか、あと、きちっと課金ができるかどうかとか、いろいろな課題がございます。そうした課題を、地域の実情を踏まえながら、地元の自治体、あと公安委員会等の関係者の方々できちっと検討していただくという必要があるのではないかなというふうに思っているところでございます。

坂元委員 私も、すぐに取り組むのはなかなか難しいとは思っておりますが、昨年、この委員会でも参考人として来ていただいた両備グループの小嶋社長も、何でもかんでも民間任せでは難しいという御意見もございましたので、ぜひ今後検討していければなというふうに考えております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会が続きますが、短い時間ですので。

 時間が余りないので、私の方からは、基本的に国土交通政策を考えるに当たって踏まえるべき点について、ちょっと大臣に御提案をするということでお聞きいただければと思います。

 お手元に資料を配っていると思いますが、これは名目公的固定資本形成、いわゆるIG、それと建設国債の発行額。これをごらんいただきますとわかりますように、九〇年代に比べて、いわゆる小泉構造改革のときに公共事業を削減して、それからコンクリートから人へということで、かつての半分ぐらい、IGも半分、建設国債も大体半分ぐらい、一旦ここまで縮小して、それが今度、アベノミクスでまた少し盛り返していますが、かつてほどいっているわけではないという状況なんです。

 今、アベノミクスも、経済の状況を見ていますと、ぱっと明るくはなったんですが、実際、実需の状況を見ていますと、IGが支えている部分が相当あって、これが本当に民間の自律的な成長につながるかというのはまだまだこれからの問題なんですが、余りこのIGに頼る経済となりますと、これは長続きしないので、先ほどから更新需要の話も出ていますけれども、いろいろお金がかかる中で、できるだけ将来に、先進国最悪の日本の財政ですから、余りお金を使わないで必要なインフラをどうやって整備していくか、そういった知恵をいろいろ出さなければいけない時代ではなかろうかということだと思います。

 かつて、国土交通省の前身の建設省はトンカチ官庁と言われて、トンカチ官庁から政策官庁への脱皮だということを常に言われていたんですが、今度、国土交通省になっていろいろなものが統合されたので、まさに知恵を出すというところで、設計という言葉がありますけれども、個別のインフラの設計ではなくて、システムの設計といいますか、先ほども国土全体の、二〇五〇年の、若井先生からもそういう話が出ていましたけれども、まさにその設計をする役所という意味合いが非常に高まっているんじゃないかというふうに思っているところであります。

 それで、安倍政権で出てきているのが、国土強靱化ということも、確かにハードな防災インフラというのは、それは最低限やっていかなきゃいけないんですが、ただ、堤防や防潮堤とか公共建築物の関係にしても、やはり切りがないところがあって、最終的に大きなダメージを受けたときにどうやって防災をし、そして復興していくかの仕組みのところ、ここの知恵をもっと出していくというソフトの部分、制度や仕組みとか組織の意思決定とか、そのあたりを平時にしっかりと構築しておく必要があるのではないか。

 そこで、手元にお配りした二枚目の、これはちょっと長い文章なので、お時間のあるときに見ていただければと思うんですが、これは、私が長年懇意にしている日本を代表する経済学者の方から聞いたお話をちょっと書きとめたものなので、分析はあくまで私なんですが、御本人は大変奥ゆかしい方なので、この数字が正しいかどうかチェックする時間がないので私の名前を出さないでくれと言われたので名前を書いていないんですが、実は斉藤誠一橋大学大学院教授ですけれども、ずっと尊敬する学者なんですが、ここに書いてある話は非常に重要なメッセージがたくさんあります。

 例えば、被災地でなかなか市町村の集団移転が進んでいない。防災集団移転促進という事業スキームがあって、このたてつけでは、例えば土砂崩れで山の上の方の家が十戸壊れたら、代替地に、下の方に十戸、一対一対応で、その分のお金を一旦国が出してやるというような、そういう仕組みでやっていると、石巻市のように、数字が正しいかわかりませんが、七千世帯というのが津波によって全壊、半壊して、相当数のものについて一対一対応でやるのはなかなか難しい。例えば集合住宅をつくってやったりとか、空き地、空き家がたくさんある、そういったものを買い上げたり、借り上げたりする。

 今の仕組みだと柔軟な対応がなかなかできない。区画整理や地権の確認とか、土地登記の実態がなかったりとか、そもそも税務手続をどうするか。個別にやっていると、とても行政は回らない。裁判所に持ち込んで司法の判断を仰ぐようなことをやるのか、一戸一戸やるのか、こういった問題があって、結局右往左往してしまってなかなか進んでいないという実態がある。これが石巻市じゃなくて東京で本当に大地震が起こった場合、一体どんなふうになるんだ。考えても想像がつかないような事態になる。

 そういうことに対して、日ごろから、いざというときにどういうふうな規範やルール、制度をつくっていくか、有事の際にはどういうことをやるかという仕組みの方をつくらないと、せっかくいろいろなお金を積んだところで、お金が回っていかないといいますか、それこそが国土交通省に与えられた役割の一つじゃないかと私は思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 ハードだけではなくてソフト、そして同時に、事前にきちっとした仕組みをつくっておく。例えば地籍の確定というようなことが日本はおくれていて、そして今、東北の復興という中でも、誰が権利を持っているのかということで、なかなかそれを探すので大変だというようなことがあります。そういう意味では、事前にいろいろな形で仕組みをつくっておくということ、あるいはまた、ソフトということをハード以上にしっかり対応することということが極めて重要だというふうに思っています。

 三十四メートルの津波がという、黒潮町というのが最大の津波が来るんですが、みんな、三十四メートルだったらもうここに住んでいてもしようがないといったのを、町長さんはずっと回って、全部で一万何千人と懇談をしたということを言っていますが、まず、どうやって逃げるかということで話し合いをして、それぞれの地区でそういうことをして、それで、それをやった後、頑張ろうと。それについても、少しハードも要るよねということで、山を削ったりする、命の山をつくるというような物の考え方が、そういうように、ソフトというものをもっともっと重視しなくてはいけないし、御指摘のように、災害の前にやっておかなくちゃならないシステムづくりというものが、今備えていくということが大事なことだというふうに思います。

松田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、もう一つは、国のお金を幾らつぎ込んでも、プライマリーバランスで政府債務残高の対GDP比、その中に建設国債も入っているわけですから、これも建設国債だったらいいというわけでもない時代に入っているわけなので、いかに民間資金を使うか。

 これは配った資料の三枚目を見ていただくと、これは私がいろいろな講演の場でよく使う資料なんですが、これは日銀の資金循環統計をとったもので、家計の金融資産千六百兆円というのがあるんですが、日本の資金の流れというのは、一部は民間非金融法人もありますが、基本的に預金等が家計から流れて、それが金融部門を通じて国債に運用されている。この国債に運用されているのが、今大半が赤字国債等の借換債であるというのは、これは要するに国民のポートフォリオ、これは家計、民間非金融法人、政府を合わせてもいいんですけれども、これが非常に非生産的な、将来の富を先食いすることになっている、これが日本経済最大の問題じゃないかと思うんです。

 建設国債が生産性があるかないかということになると、これは将来の生産性につながるのならいいんですけれども、やはりどちらかといえば民間の有利運用といいますか、収益性のある運用を通じて、これが公共的なものにも向かう部分をつくっていく、それによってできるだけ日本のポートフォリオの質を改善するということが非常に重要ではないかと思いまして、そういった意味で、民間資金の公共部門への導入というのは非常に重要だと思っています。

 PFIとかPPPだとか、いろいろな仕組みを今どんどん整備もされているんですが、その中で、どうも日本で事例が、ちょっと私は聞いたことが余りないんですが、レベニュー債というのが、これはアメリカでは地方自治体なんかではもうかなり普及していますけれども、これは公共部門が債務を負うというのではなくて、特定の事業の事業収益から返済をしていくというスキームなんです。

 そうすると、投資家にとっても、きちっとその事業をチェックするというインセンティブが働きますし、これは元本保証されているわけじゃないにしても、もし仮に返済が十分でなくても、自分が思い入れしたものに対して投資がなされるという意味でも、投資需要にも応える非常にいい仕組みじゃないかと思うんです。

 日本では、青森県がみちのく有料道路について一時試みたんですが、結局は、地元の地銀から借りることで、これは日の目を見なかったという事例もあったようなんですけれども、このレベニューボンドのような新しい仕組みについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

太田国務大臣 レベニュー債は、防災・減災ニューディール政策というのを我が党で出したときに、結局、このレベニュー債というのは非常に重要だなというような、我が党においては合意が形成されました。

 投資家のチェック機能が働いていくという利点もありますが、やはり、まずやるという方向を模索するということと、案件が大事だなという話になっておりまして、日本でこの試みというものが進んでいくように、少し研究させていただきたいというふうに思います。

松田委員 ぜひ研究していただければと思います。

 それから、先ほども質問に出ていましたが、今度、いわゆる高速道路の料金負担期間を延長するということが、普通のユーザーから見ると突然出てきたという感じなんでしょうけれども、維持更新といいますか、補修というか、それはもう最初から、高速道路をつくるときからわかっていたはずのことではないかという素朴な疑問もあるところなんですね。

 こういうことを見ていますと、そもそも、こういったインフラの整備がどういう思想でなされて、そして、受益者負担で償還していくということをつくった際に、減価償却とか維持補修とか、そういうのはどこまで考慮に入れて計画されたのか。

 もちろん、償却期間、いわゆる耐用年数が過ぎたら、もうそのインフラは要らないんだというふうに、減らしていくという意思決定の可能性もゼロではないのかもしれませんが、その辺が本当にどうなっているのかなという疑問も抱かせないわけでもなくて、またほかのところでも、こういったようなことで、新しい事例、更新需要があるから料金をとるとか、そういうことが次から次から出てくるんじゃないか、そういう心配も抱かせないことでもない。

 それと同時に、我が党は、いわゆる公会計改革というのをかねてからうたっておりまして、これから公共インフラの整備や運営に民間資金を入れていく上でも、どの部分を切り出して、それをどういうふうな収益性のあるものと組み合わせていくと民間にとっては投資ができるのかというのは、やはりまだまだ財務情報の開示が足りないという話もよく聞くんですね。そういうのを見ると、やはり民間と同じような複式会計の方式でいろいろな計画を立てていくとか、そういった発想がもっともっと必要だろうということも一方であろうかと思います。

 それから、後世代に対してどれだけ純資産を我々が残していくかという責務もあるわけで、そういったことを把握するためにも、資産の評価をしっかりしていくというのも、公共部門も必要じゃないか。そういった意味での公会計改革も我々は提案しているんですけれども、今私が申し上げた全体につきまして、大臣の御所見をいただければと思います。

太田国務大臣 見える化ということは極めて重要で、資産の評価というものがあるということは、無駄ということにも、削減ということにつながるというふうに思っていますが、私からはそれだけ申し上げて。

武藤政府参考人 済みません、具体的なことをお話しさせていただきます。

 委員御指摘の視点、あるいはまた、先ほど来お話が出ていますメンテナンスを的確に管理する、こういう観点から見える化を推進する必要があるということで、この一環といたしまして、財政制度等審議会が定めました財務書類の作成基準に基づきまして、国土交通省を含め各省庁が、平成十四年度の決算分から、発生主義、複式簿記の考え方、手法による財務書類の作成、公表ということを行ってきております。

 骨太の方針におきましても、財務書類等の開示のさらなる改善に取り組むということになっておりますので、こうした政府の方針に沿いまして、引き続き財務書類等の充実改善に努めていきたいと考えております。

松田委員 細かい点はいっぱい議論するところがあるんですが、時間が来ましたので、これからいろいろな審議の際に引き続き議論したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

梶山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 このたびは、大臣所信に関する一般質疑ということでお時間を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭にお尋ねしたいことは、今月六日に、愛媛県知事、広島県知事と太田大臣がお会いされた際に、両県を結ぶ本州四国連絡橋の一つであるしまなみ海道、これに、昨年十月に行われた国際サイクリング大会のプレ大会、こういった大会を成功裏に終えたという地元の努力を評価していただいて、両県の長年の要望でありますしまなみ海道の自転車通行料金の無料化について、大臣は無料化が促進できるように本四会社に直ちに指示をしたいとの積極的な発言があったということでございました。

 料金徴収の人件費のコストや、無料化によって得られる経済効果などを考えますと、より多くの観光客が見込まれるわけでございますので、私もこの委員会等々を通じながら無料化についてお願いをさせていただいてまいりましたが、今回の大臣の御決断に改めて感謝申し上げたいというふうに思っております。

 来月、三月二十一日からは、十月二十六日までの間、このしまなみ海道周辺の瀬戸内の島々にスポットを当てた愛媛、広島両県主催の瀬戸内しまのわ二〇一四というイベントを開催させていただきます。これは、地元の民間団体の企画を初め、多くのメニュー、さまざまなイベントがありまして、最終日には八千人規模の国際サイクリング大会というのがメーンイベントとして開かれるというような流れになっております。

 そういった背景を考えますと、自転車の通行料金の無料化については、なるべく速やかに実施をお願いしたいというふうに思っておりますが、その点に関しての実施時期、そして、当然、地元負担というのも考えられることでありますから、その地元負担についてのお考え、どのように考えていらっしゃるのかということを太田大臣にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 しまなみ海道の自転車道については、昨年来、無料化ということについては随分要請もいただきました。

 現実にすばらしいサイクリングロードということで、これは、走った谷垣法務大臣とか、あるいは国交省の足立技監とか、大勢の方が現実に走っておりまして、その感想も聞いております。

 昨年の国際サイクリング大会の開催とか、今お話のありましたさまざまなイベントということがありますと、サイクリングは、私も十分認識をしておりませんでしたが、大変世界的に人気が高いということもございます。我が国を代表するサイクリングコースとなっておりますけれども、さらに観光資源として捉えて有効活用していくことが重要だというふうに思っております。

 無料化につきましては、各方面から御要望をいただいたところでありますけれども、このたび、広島、愛媛両県の御努力をいただいた上で、実現に向けて調整するよう本四会社に指示をいたしました。

 具体的な実施時期や地方負担のあり方につきまして、今後、本四会社及び両県とも調整しつつ、検討していくということになります。できるだけ早ければいいなというふうに思っておりますが、調整をしっかりさせていただきたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 確かに、地元の準備体制も必要だろうと思いますし、昨年、谷垣大臣が走られた際には私も走りまして、これは実はどしゃ降りだったものですから十分にサイクリング大会は楽しめなかったのではないかというふうには思っておりますが、ことしは天気になればいいなというふうに思っております。

 この準備状況は、愛媛、広島両県とともに調整しながら、県議会の議決も必要でしょうし、地元負担については、愛媛県ももともと、道路の維持管理については、例えば一口十万円でスポンサーを地元企業から募って、それを広告看板でPRすることによって賄ってきているというようなこともございまして、こういった事業を参考にしながら、県に聞きますと、この地元負担を賄っていこうというふうな努力もしておりますので、ぜひ、このしまなみ海道の自転車の無料化についてはなるべく早目にお願いをしたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、国と地方が連携をして、これだけ画期的な取り組みでありますから、このしまのわ二〇一四というイベントも、しっかりこのイベントを通じて地域の活性化、そして瀬戸内の島々の活性化に私も取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 それで、続いて、関係になりますけれども、観光についてお話をさせていただきたいと思います。

 昨年の訪日外国人旅行者数は、一千三十六万人と前年より二四%増で、ビジット・ジャパンの事業を開始以来、政府目標を初めて達成したということでありまして、ことし一月の訪日外国人者数も、日本政府観光局の発表によりますと、既に前年同月比四一・二%増の九十四万三千九百人となっているということでありました。円安などの背景もあるとは思いますけれども、非常に順調にいっておって、これは特に東アジア地域の観光客を取り込むことにも成功しているということでございます。

 大臣所信でも、我が国でオリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に向けて、二千万人の高みを目指しますというようなお話もございました。また、観光立国に向けたアクションプログラムの改定を検討するということでもあります。

 今後、これまでの二倍の二千万人を目標とするということでございますが、これはどこをターゲットとしながら、例えばどの部分を強化していくのか、今後の観光戦略についてどのように描いているのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

久保政府参考人 先生今お話しいただきましたように、二〇二〇年に向けて二千万人の高みを目指すということでございます。その観光戦略でございますけれども、今御指摘がありましたように、どういったところを特にターゲットにするのか、これは具体的に言えば、例えば、どこの国とかどの地域から、あるいは日本の中のどのあたりに来ていただくことを想定していくのか、そういったことも考えた上で、各国のどのような層をターゲットに例えばプロモーションを強化するかといったインバウンド政策を考えていく必要があるというふうに思っております。

 その際、いろいろな点を盛り込みながら考えていくことが必要だと思っておりますが、私ども観光庁では、交通政策審議会観光分科会というところがいろいろな御意見を賜る場としてありますが、来週から、今御指摘の点を目指す上での考え方を有識者の方々の知見もおかりしながらまとめていこうと思っておりますので、いろいろな御指摘を踏まえて、戦略をきちんと練っていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 私は、二千万人を目標とするのであれば、例えば、単なる旅行者とかビジネス訪問者だとか、あるいはMICEの参加者だとか、いろいろな分野、種類に区切って、具体的な数値を設定しながら、そこで戦略を描いていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますが、その点もあわせて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 また、今後の訪日外国人数の増加のためには、やはり、先ほど申し上げましたように、MICEの戦略については非常に重要であるというふうに思っております。経済効果についても非常に、一人当たりの単価も、MICEの参加者というのはお金を落としてくれる割合も高いということでありますので、こういった取り組みを通じてさらに人を呼び込み、また経済を活性化するということも重要だと思っております。

 それで、MICEについて、国としての国際会議などの誘致体制、そもそも、海外からどれぐらいの需要があるのか、アジア地域においてはどれぐらいの需要があるのか、こういったものを把握しないと、やはり受け入れ体制、例えば国内の施設など、この整備を行うにも必要となってくると思いますが、今そういった需要に対してどのようなものになっているのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

久保政府参考人 これも、今御指摘のとおり、MICEに参加されます外国人の方が日本国内で消費される額というのは、私どもの調べによれば、通常の観光客の方より数字は高目になっているということの傾向が出ています。その意味で、訪日外国人旅行者数については、数字のみならず、旅行消費額だとか経済波及効果だとか、そういった経済活性化の視点も十分織り込んで考えないといけないということは私どもも考えております。

 それで、国際会議等の動向でございますけれども、この十年あたりを振り返りますと、例えば二〇〇三年ですが、これは一定の要件の国際会議でございますけれども、全世界で六千四百三十七件でございました。これが最新の統計の二〇一二年では一万一千百五十六件まで増加しています。また、アジア太平洋地域の主要な国の会議でありますけれども、これも同じく二〇〇三年では六百四十六件でございましたが、二〇一二年には千二百八十四件まで増加しています。

 今後も、世界全体の国際会議の回数は年々増加する傾向にございますが、特に、急速な経済成長を背景に、アジアの開催件数の伸びは今後さらなる拡大が見込まれるということでございますので、この見込まれる、特にアジアでの国際会議の回数をぜひ日本に取り込んでいきたいと思います。

 ただ、現実には、近隣の諸国のMICE誘致という取り組みが強化されている結果、アジア太平洋地域での国際会議における、日本自身も増加はしておりますけれども、シェア自身は低下しております。そのために、特にアジア関係国の海外競合先との誘致競争力に勝っていく必要があるということであります。

 そのためにどういうことを考えているか、あるいは実行しているかということでございますけれども、ある意味、世界トップレベルの誘致の体制、これはMICE都市と私どもは言っておりますけれども、このMICE都市を育成するため、昨年からでございますが、昨年六月に、特に五都市を戦略都市として選んで、あるいは追加的に二都市を強化都市として選んで、そういった都市に対してはMICEのプロである外国人専門家を派遣して、どういったあたりの対策を打っていくことが効果があるかといったような支援を行っています。

 また、日本に呼び込むという意味で、国内外の影響力のある方々に、日本の顔として、私どもは通称MICEアンバサダーと言っておりますけれども、誘致委員になっていただく、これも昨年十二月にスタートさせました。

 また、同じく昨年十二月に、これは観光庁だけでも不十分な点がありますので、MICE誘致、開催に関する情報共有など、関係府省庁の全体の会議も設置をして取りかかったところであります。

 こういった形で、私どもといたしましては、関係の府省庁とも緊密に協力をして、国を挙げてMICE誘致体制の構築を今後とも強化してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

西岡委員 ありがとうございます。

 確実にMICE市場は拡大しているというような状況でありまして、そのMICEの中でも、MICEのMはミーティング、Iはインセンティブ、Cはコンベンション、Eのエキシビション、イベントということでありますけれども、このEの部分については、私も観光庁からいただいた資料を拝見しておりますと、Eの部分は展示会、見本市、イベントということになっておりますけれども、展示場面積における諸外国との比較を見ると、アジアでの競争国でもありますシンガポールや中国、韓国に対して、こういった国々は総展示面積が十万平米を超える施設があるということでありますけれども、対して日本は、最大の東京ビッグサイトでも八万六百六十平米しかない。

 十万平米を超える施設が日本にはないということが現状でありまして、こういった展示会の開催数や規模というのはGDPと相対関係にあるというような調査報告もありますので、今後、観光戦略の中での展示会の部分について、取り組みはどうしていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

久保政府参考人 MICEのうち、最後のEの部分でありますけれども、イベントとかエキシビションといったものであるのは御指摘のとおりでございます。

 こういったものに対しては、大規模な展示会場が必要な場合がありますけれども、これも御指摘のとおり、諸外国に比べ、不足している面はあると思います。

 一方、ただ、このMICEの、特にイベントも含めて、海外からの集客につながるということから、訪日外国人旅行者数の誘致の観点でも意義は大きいですし、さらに、産業振興、貿易振興といった観点からも、日本の経済にとって重要なものであることは十二分に認識しております。

 私ども観光庁としては、このイベント等につきましても、例えば、日本で行われるそういうイベントに対して、海外において誘致活動、要するに、日本に来てもらうための訪日プロモーション活動を海外現地でも行うなどして、誘致客数の増加という点で努力をしているところであります。

 御指摘のとおり、国際会議のみならず、こういった日本で開催される国際的な展示会等を積極的に活用して、訪日外国人旅行者の拡大という形にも努めていきたいというふうに考えております。

 以上です。

西岡委員 十万平米という話をさせていただきましたけれども、これは、欧米の部分を見ると、ヨーロッパやアメリカでももっとさらに大きな施設を持っているんですね。そういうことを考えてみますと、やはり産業創出にもつながって経済効果もあるこの国際展示会というのは、まだまだ成長の余地はあるのではないかというふうに思っておりますので、やはりそのためにも施設の整備というのは重要になってくると思っておりますので、国としても積極的にこれは支援をしていただきたいというふうに思いますし、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それとまた、このMICE施設単独での採算確保というのは非常に困難だというようなお話もありますが、この点に関しての国の支援というのはどのようになっておりますか。

久保政府参考人 会議場あるいは展示場といったMICE施設というのは、MICE誘致を行うに当たっての最大の要素の施設だと思います。

 日本においても主要都市を中心に多くのMICE施設が整備はされておりますけれども、首都圏の一部施設では稼働率が高くて利用が逆に容易でないという部分もありますが、多くの施設において採算の確保が難しいという点もあるというふうにお聞きしています。

 私どもにつきましては、こういった国際会議場、展示場といったMICE施設の整備については、基本的には自治体さんにおいて積極的に取り組まれてきたものでありますが、今後、海外との競争におくれをとらないためにも、一層の施設整備、改修等に各都市が積極的にイニシアチブをとることを期待しております。

 一方で、観光庁といたしましても、先ほど申しましたような、グローバルMICE戦略都市、強化都市という枠組みを通じて関係都市と積極的に意見交換を行っておりまして、可能な協力を行うということで、特に、数字をふやしていくということが都市としての施設運用でもプラスになるものですから、MICEの誘致開催の促進に一層努力をしてまいりたい、かように考えております。

 以上です。

西岡委員 ありがとうございます。

 おっしゃるように、やはり東京ビッグサイトのひとり勝ちというような形でありまして、例えば千葉の幕張メッセとかは今稼働率が低いというふうな指摘もあります。

 このMICEについては、ソフト、ハード両面から一体に推進する体制が必要だと思いますし、やはり私は、日本はトップクラスの水準に匹敵する大規模な施設というのは整備していくべきだろうというふうに思います。

 この施設整備については、財政的負担というのは、民間事業者にとっては単独で整備するのは非常に難しいというふうに思いますし、やはりこれは国としても何らかの対応をしながら改善していくべきだろうというふうに思っております。

 このMICE施設の採算確保の観点からも、成功例でありますシンガポールなどの事例にも見られるように、やはり総合リゾート化をしていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますし、そのためにも、昨年の臨時国会で我が党も共同で議員立法として提出いたしましたIR法案、これは継続審議になっておりますけれども、これの早急な審議というのも必要ではないかというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、MICEを促進するために、出入国審査の迅速化など、受け入れ環境の整備についてはどのように考えていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 MICEの促進のためには、確かに受け入れ環境の整備ということも大切な点だというふうに考えております。

 例えば、MICEを開催する、国際会議を開催するといった前後の時間に、いろいろな施設、文化施設だとか、これは美術館、博物館ですけれども、歴史的建造物だとか、公共空間を使っておもてなしをするといったような試み、これは各国で非常に活発に行われておりますので、私どもも、これはユニークベニューという言い方をしていますけれども、特別な場所でいろいろな催しを前後に行う、こういった利用促進の協議会も昨年八月に官民関係者で設けました。

 例えば、その後、去年、旅行の博覧会を行いましたが、その前の日に、芝の増上寺で前夜祭を行いましたところ、やはり、海外から参加された方から大変好評でありましたし、その意味で、日本にまた観光に行きたくなるというような御意見も賜りましたので、そういった受け入れ環境の整備も大事だというふうに思っています。

 また、一方で、こういうMICEに出席をされる方の空港での出入国手続の迅速化といったことも大事だというふうに考えていまして、ファーストレーンという言い方をしておりますけれども、そういった方々の出入国手続が迅速に済むような仕掛けについても、これも関係者から成ります検討会を設けて、現在検討を急いでいるところでございます。

 そういう意味で、MICEの誘致、開催については、そういう周辺の受け入れの環境整備ということも非常に大切なことであると認識しておりまして、さらに一層尽力をしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

西岡委員 出入国審査の迅速化というのはもちろん大事だと思いますが、例えば多くの省庁にまたがる規制がやはり障壁になっているというふうにも思っております。例えば、展示場において足場を組みたい場合には消防法がひっかかったり、一カ月未満の宿泊については旅館業法の営業許可も必要だとか、いろいろなケースがあると思います。

 六年後には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるわけでありますから、このMICEを促進するためにも、東京オリンピック・パラリンピックの少なくとも二年前ぐらいまでにはこれらを改善すべき、そして実施すべき、向かうべき方向だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それで、あと、そういった観光戦略の中で、何が必要でどう取り組んでいくべきか、しっかり工程表をつくって取り組んでいかなければいけないというふうに思っておりますし、このMICE戦略でも、旅行とセットにしたり、あるいは他の観光との組み合わせ、これは、例えばゴールデンルートはもちろんですけれども、ゴールデンルート以外の国内の観光資源の開発も必要ですし、やはりばらばらではなくて包括的な観光戦略が今後も重要だというふうに思っております。

 今後、訪日外国人数二千万人の目標に向けて、大臣の決意をお伺いしたいというふうに思います。

太田国務大臣 まず、昨年十二月の二十日でありましたが、念願でありました一千万人を達成することができまして、国交委員会の皆様にも大変お世話になりました。ありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。

 おととしが八百三十六万人でありまして、去年一年間でちょうど二百万人ふえまして、一千三十六万人ということになりました。この二百万人ふえたということの要因は幾つかあるわけですが、それはそのままどうするかということに連なっていくというふうに思います。

 一つは、日本が景気、経済も含めて元気になるということだと思います。そして、もう一つ、観光という点に絞れば、富士山の世界文化遺産登録、そしてオリンピック・パラリンピックの決定、そして和食の無形文化遺産登録、これらが大変大きな要素を占めたというふうに思います。そしてもう一つは、東南アジアを初めとしてビザをかなり去年緩和したということが、東南アジア諸国からすごく大勢の人が来るようになっています。

 こうしたことはそのまま連なると思っていまして、日本ブランドのつくり上げと発信という、富士山にかかわらず、そうしたことをさらに、外国人目線に立った訪日プロモーションを強化していく。海外でも、この間、インドネシアでJNTOの地元の事務所を発足させたのですが、そうしたことをさらに促進したいというふうに思っています。

 ビザの緩和はかなり去年効いたわけでありまして、これはさらに航空ネットワークの充実とともにやっていかなくてはいけないというふうに思っておりまして、同時に、空港容量の拡大、LCCを初めとした航空ネットワークの拡充、これらは大事なことだと思います。

 さらに、三つ目に大きな要素は、外国人旅行者の受け入れ環境の改善ということになります。MICEの話が今ありましたけれども、かなり滞在型の旅行ということもあったりしますし、家族を連れてきてというようなこともありますから、医療や教育ということも含めて、また、成田や羽田あるいは各空港に行きまして、公衆無線のLAN環境の整備というようなことも極めて重要なことだというふうに思っています。

 これらを組み合わせて、一千万人達成したものですから、直ちにもう一遍力を入れようということで、一月に政府で観光立国推進閣僚会議を開かせていただきまして、外国人旅行者に不便な規制や障害の徹底的な洗い出し、そして、工程表、アクションプランというのを策定するということについて総理からも発言があり、一丸となって取り組んでいきたいというふうに決意をしております。

西岡委員 ありがとうございました。

 二千万人に向けてやれることは全てやっていくということで、我々も協力していきたいと思います。

 本来ならばここで終わるところでありますが、私からちょっとお聞きしたいことがありまして、また質問をさせていただくわけでございますが、今国会でも予算委員会で民主党の古川議員が御指摘をされておられましたけれども、国土交通省における政務三役、そして局長以上の部屋に配属されている臨時職員というのは一体何人いらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の臨時職員、いわゆる非常勤のことだと思いますけれども、きょう現在、まず政務三役についてはおりませんが、局長級以上の職員につきましては合計十四名おります。

西岡委員 少し時間もありませんけれども、私も、国会議員になる前というのは秘書を経験しておりまして、長年国会で見てきた現状としては、大臣室を初めとする国家の機密性の高い情報を扱う部署において臨時職員というのが非常に多く見られてきて、昨年、特定秘密保護法の審議の際にも、私は、こういった本当に身近なところから取り組んで、改善していくべきじゃないかというような思いが強うございました。

 臨時職員については、面接とか採用の際にも簡単な面接で終わったりするものですから、そのバックヤードだとか、したがって、国内外の組織や団体や企業あるいは政治家、どういった方々とつながっているのかというのがわからない。

 そういった状況において、機密性の高い部署にいらっしゃると、電子媒体だと足跡は残るかもしれませんが、紙媒体で容易にこういう重要な機密性の高い書類をコピーされてしまうと、持ち出されてしまう可能性もありますから、こういったものについては、私は、もう答弁は構いませんが、臨時職員を配属することについては改善していって、正規職員をしっかりとした機密性の高い部署については配置すべきというふうに思っておりますので、国交省においてもそういった取り組みをお願いしたいと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。

梶山委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 今回、初めて国土交通委員会で質問をさせていただきます。関係各位の御配慮に心より感謝申し上げます。

 まず、きょうは、ちょっと雪の話もしたいと思っておりますけれども、先日来の大雪によりまして、とうとい命を失われた方々、あるいは被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。また、一日も早く復旧復興がされますように、政府の方でも十分な対応をお願いいたしたいと思います。

 さて、本日は、主に航空行政、特に空港の離発着という点を三十分間質問させていただきたいと思います。

 まず、私、ふるさとが福岡県糟屋郡というところにありまして、福岡空港のすぐ隣、道一本隔てたぐらいのところにございます。ここにおられる多くの先生方が、一度は福岡空港を利用されたことがあるのではないかなと思っております。

 福岡空港は、町の中にあるということで、博多の中心部まで車でも十分程度、博多駅まで地下鉄二駅で到着できるということで、非常に便利な空港として有名ではないかなと思います。

 一方で、福岡はアジアのゲートウエーということを自称しておりまして、海外からの航空機乗り入れで多くの外国人旅行客を招き入れております。そういった意味で、外貨獲得にも貢献している地域ではないかなと自負いたしております。

 また、国内線に目を転じましても、いわゆるLCC、ローコストの乗り入れ等もあります。ことしは、私も今バッジをつけているんですけれども、NHKの大河ドラマが「軍師官兵衛」ということで、国内の観光客誘致にも力を入れているところでございます。

 このような中、国際線、国内線の離発着、加えてヘリコプターなども含めて、大変な過密状態にあるというふうに認識いたしております。

 しかも、福岡空港は滑走路が一本しかないということで、お手元に資料も配らせていただいておりますが、上の部分を見ていただきますと、国内主要空港の中では、滑走路一本の中では、旅客数、発着回数ともにナンバーワンという過密状態にあります。現在、国内線一日百九十二往復、国際線が週に二百十五往復ということであります。

 市街地にあることが最大級の長所である反面で、利用時間も七時から二十二時というふうに十五時間に制限されております。そういった町中ゆえの短所もございます。

 こういった中で、私も毎週利用させていただいておりますけれども、慢性的に遅延状態が発生いたしております。出発ぎりぎりに搭乗したにもかかわらず、三十分ぐらいは飛んでいないというようなことも頻繁、珍しくない状況にあります。

 福岡空港の過密対策ということで、現状をどのように認識していらっしゃるでしょうか。定時運航率、収益などについてもお聞かせいただきたいと思います。また、あわせて、福岡空港を利用されたときの感想等もあればお答えいただきたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、福岡空港、非常に福岡市中心部から近い場所にございまして、アクセスにすぐれた空港ということでございます。西日本の中核的な拠点空港として機能しているわけでございます。

 近年、LCCあるいは新しい国際線の就航というようなこともございまして、平成二十四年度には旅客数が千七百万人余り、発着回数も過去最高の十五・八万回ということで、国内の滑走路一本の空港としては、旅客数、発着回数とも第一位であるということでございます。他方で、ピーク時を中心といたしまして、航空機の混雑、あるいは遅延というものが発生する状況にございまして、その解決が喫緊の課題であるというふうに認識をしているところでございます。

 そういう意味で、私ども、まず、国内線側に一本しかない誘導路の二重化の工事というものに着手をしております。これはターミナルビルのセットバックが伴いますので、少しいろいろと手間暇がかかりますけれども、できるだけ早期に実現をしたいと思っております。

 それから、もう一つは、今一本の滑走路ということでございますので、二本目の滑走路を増設できないかということで、今、環境アセスメントの手続に入っている、こういう状況でございます。

 それで、収支の御質問をいただきましたでしょうか。そういう意味では、福岡空港は、その敷地の一部を民有地から借り上げをしておりまして、その借地料が年間八十億円ぐらいかかっているということがございます。それから、周辺の環境対策というものもございますので、そういう意味では、単純にターミナルビル側の収支とそれから滑走路側の収支とを合計いたしましても、ちょっと赤字が発生するというような状況でございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 民有地については後でお聞きしたいと思っておりますので、定時運航率はどれぐらいか教えていただけますか。

田村政府参考人 定時運航率は、到着が八八・一九%、出発が九一・一七%でございます。これは、ちなみに、主要十空港の平均値で見ますと、到着が八九・四五、出発が九二・六九ということでございますから、ちょっと平均よりも下回っているというような状況でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今随分詳しくお答えいただきましたけれども、福岡県では国交省に対して、まず一番目として、福岡空港の滑走路増設に係る環境影響評価、いわゆる環境アセスメントを適切かつ円滑に実施し、早期着工、早期完成を図ることということで、今、環境アセスメント、お話しいただきました。二点目に、これもお話しいただきましたが、国内線側の平行誘導路の二重化を早期に完成させること、この二点を要望しているというふうに思っております。

 今お話しいただきましたように、お手元に配った資料の右下にありますように、せめて、喫緊の対策として平行誘導路を二重化しようと。滑走路があいて、ようやく到着したとしても、ターミナルの駐機部分に入れない、入っていけなくなる。あるいは、到着機が回り込んで滑走路をあけてあげないと出発機が出ていくことができないということで、誘導路が一本しかないということで非常に混乱している、すれ違えないということで混乱しているので、二本にしようということだと思います。

 今、ターミナルを移動させる前段階として、駐車場の工事、駐車場が三つあるんですか、それを一つにして立体化しようということが試みられているというふうに認識いたしております。

 現在審議中の平成二十六年度予算案でも、航空交通ネットワークの機能強化として、これは福岡空港に限らず那覇空港等も含めた数字でございますけれども、前年度三百三十二億から七百三十一億円ということで、大きくなって計上されております。

 福岡空港に関しましては、ターミナル地域再編事業ということですが、この辺について、ちょっと私が詳しく言っていてもしようがないので、取り組みを御説明いただけますでしょうか。

田村政府参考人 先ほどちょっと先走ってお答えを申し上げてしまったところもありますけれども、福岡空港でピーク時を中心に発生している航空機の混雑、遅延を解消するために、国内線側の平行誘導路の二重化事業というものにもう着手をしておりまして、早期完成に向けてビル会社等関係者と密に調整をして、整備を進めております。今後も進めてまいることにしております。

河野(正)委員 こういった中で、昨年、民活空港運営法というのが成立いたしております。現在、福岡空港は設置管理者が国土交通大臣ということになっておりますけれども、昨年の七月二十三日、太田国土交通大臣が福岡県の小川洋知事に対して民営化の検討を促されたというふうに聞いております。この狙いあるいは理由はどのようなところにあるのかを教えていただけたらと思います。

田村政府参考人 一般論として申し上げますと、空港運営の民間委託が実現しますと、民間の創意工夫によりまして、滑走路、それからターミナルビル等を一体的に運営して、利用者利便の向上等に資するというメリットが考えられるわけでございます。

 それから、国の財政事情が厳しい中で、福岡空港の滑走路増設の事業化に当たって、事業スキームを検討する必要があるということでございます。事業スキームの選択肢の一つとして、空港運営権の対価、いわゆるコンセッションフィーを活用するという方法も考えられる。

 そういったこともございまして、利用者利便の向上というようなメリット、それから事業スキームの検討の一助になるというようなことがございまして、福岡県にもその検討をお勧めした、こういうことでございます。

河野(正)委員 ここでお聞きしたかったんですけれども、福岡空港は、その成り立ちからして、空港敷地の相当部分に民有地が含まれているというふうに聞いております。改めて、パーセントと年間借地料、把握されている数字を教えていただけますでしょうか。

田村政府参考人 年間借地料は、ここ最近はずっと大体八十億円ぐらいで推移しております。

河野(正)委員 約三割の部分の面積が民有地であって、報道によれば八十三億程度という数字も出ております。

 この民有地、毎年毎年払っているわけですけれども、国有化していく、土地を購入するという考えはありますでしょうか。

田村政府参考人 当然、地元で土地を所有しておられる方から買い上げの希望があるという場合には、しっかりと予算措置をして、現在でも買い上げをしているところでございます。今後もそういう努力を続けていく所存でございます。

河野(正)委員 これは、例年どれぐらい買っているという実績とかはわかりますか。

田村政府参考人 平成二十三年度が十二・五億、二十四年度が十二億、それから二十五年度の当初で七・八億円でございます。追加があるかもしれませんけれども、一応そういう数字になっております。

河野(正)委員 ありがとうございました。少しずつは買っていっているということだと思います。

 先ほどお話ししましたように、仮に大臣が検討を促されたという民営化を行うとしたら、非常にこの地代というのは重たい負担になりますけれども、仮に民営化になった場合、国が引き続き借地料を払っていかれるのか、あるいはその民営会社に負担してもらうのか、どのように考えておられますでしょうか。

田村政府参考人 これは以前に民活空港運営法案を御審議いただいたときにも御答弁を申し上げているところでございますけれども、この法律の枠組みによりますと、運営権自体は民間に売却をして運営を委託するわけでございますけれども、土地の所有者というのは国であるわけでございまして、そういう意味では、この借地料というのも、空港の敷地の所有あるいは設置管理者という立場で借地料を払っていくということを想定しているということでございます。

河野(正)委員 では、民営化されても法律に基づいて国が払っていくというふうに理解させていただきます。

 続きまして、先ほどからお話ししていますように、福岡空港は非常に市街地に近いというのが大きな利点なんですけれども、一方で、市街地に近いということは住宅街の上を飛んでくるということで、騒音などの環境対策を行わなければならないと思います。

 現状、これらの経費がどれぐらいかかっているのかをお聞かせください。

田村政府参考人 かつては百億を超えていた時期もございますけれども、最近は四十億円程度だというふうに認識しております。

河野(正)委員 これも改めてお聞かせいただきたいんですけれども、四十億ということで、これも経費としては民営化されたとしても国が支払っていくという考えでよろしいんでしょうか。

田村政府参考人 ちょっと訂正させてください。ごく最近は二十億ぐらいまで減っております。

 それで、環境対策費につきましては、基本的に、運営権の考え方からいたしますと、運営権者が環境対策もあわせて行っていくというのが考え方になっております。

河野(正)委員 私も手元の資料が二十億と書いていたので、四十といってちょっとびっくりしたんですが、では、この点は運営会社ということで、これは国の手を離れても大丈夫なのでしょうか、その点、環境に関しての対策というのは。

田村政府参考人 その点につきましては、仮に当該空港の運営権を設定するという場合に決めます実施方針の中でも、しっかりと環境対策を行うことを運営権者に義務づけるというような形で国が監督をしていくということになりますので、そこは遺漏のなきようにしたいというふうに考えております。

河野(正)委員 福岡県の検討会合におきましては、民営化によって、空港が抱える課題にきちんと対応できるのか疑問視する声や、メリットがないのではないかといった声も多いというふうに聞いております。

 これは、太田大臣、思いはいかがでございますでしょうか。

太田国務大臣 昨年、このコンセッションの法律を成立させていただいたんですが、滑走路とターミナル等、さらに周辺施設、これを民間が一体的に空港を運営するということがありますと、まず経営の合理化が図られる、効率化が図られる、それで着陸料の設定等を柔軟に行うことが可能になる。そして、単一の空港運営主体が航空会社との調整機能を一元的、機能的に持つことで、航空ネットワークの拡充等を通じて利用者利便の向上が期待できる。あるいは、周辺施設ということになりますと、駐車場等がそういうことになるんですけれども、さらにそれから膨らませて、地域全体の観光振興も含めた活性化につながっていくということになります。

 福岡空港におきましては、極めて都市部の中に近い、しかし狭いという要素がある。しかし、また逆に、アジアに向けまして極めて重要な位置関係にある。さまざまなことがありまして、より一層効率化を図って、そして合理化が形成できて、周辺も巻き込んだ、そうした観光も含めた交流になるのではないかということを模索することが大事ではないかというふうに思っています。

 ただ、空港の運営委託は地域の実情を踏まえて進めることが前提でありますものですから、この点は地元において、福岡空港固有の課題、今申し上げたようなことや御質問、御指摘のありましたことを含めて、メリット、デメリットをよく検討していく必要があると思いますが、国交省としましては、この議論を、地元の議論をしっかり踏まえまして対応できるように、御相談を申し上げたいというふうに思っているところです。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 ちょっと福岡から離れまして、国内のほかの空港でこういった民営化の検討状況というのは、仙台とかが行われているのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

田村政府参考人 国管理空港の中では、今先生おっしゃいましたように、仙台空港、これは民活空港運営法の適用第一号になるということで宮城県知事が張り切っておられますので、来年度には運営権者の公募、選定作業に入るべく、今作業を進めているというところでございます。

 それから、高松空港、広島空港などにつきましては、国と地元で運営権の導入に向けた準備段階の調査を行っているということでございます。

 さらに、静岡空港、これは地方管理空港でございますけれども、地元で民間委託の検討が進められておりまして、これにも国は協力をしているということでございます。

河野(正)委員 太田大臣から先ほど言っていただいたような、都市にあるメリットを生かして、空港も含めた一大観光地としていろいろメリットが出てくればいいのかなと思う反面、結論として仮に福岡は民営化しないというふうな判断に至った場合、先ほどからお話ししている、滑走路を二本、複数持ちたいという福岡空港の抱える課題の解消に向けて、引き続き国は直轄空港として遅延解消のための整備支援をしていっていただけるのでしょうか。この点をお聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 先ほど大臣から答弁申し上げましたように、空港の民間委託というのを行うか否かというのは、まずは空港を有する地域の合意形成が重要であるということであります。そのため、今年度、地元の福岡県、市で設置した協議会での検討に対しまして、国が協力をしているということでございます。

 それで、いずれにしましても、福岡空港の混雑を解消するために、空港の処理能力向上のための方策を検討するということが非常に重要であるというふうに考えております。今、環境アセスメントの手続に入っておりますので、これは進めてまいります。

 それから、もう一つ重要なのは、財源も含めました事業スキームでございますので、これについても検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 本当にアジアのゲートウエーとして頑張っている地域だと思いますので、ぜひスピード感を持って頑張ってやっていただきたいと思います。

 時間もありませんので次の質問に移りますが、先日来、東京は二週連続週末の大雪に見舞われました。羽田空港の混乱によって、多くの先生方が御地元の日程の変更を余儀なくされたのではないかなと思っております。

 現在、どのくらいの頻度で積雪による滑走路閉鎖が発生しているのか。羽田空港の積雪対策についてお尋ねいたしたいと思います。

田村政府参考人 羽田空港におきましては、航空会社それぞれ、自分の社内で、離着陸を禁止する積雪深といいますか、あるいは、スラッシュと申しまして、シャーベット状になったような雪でございますけれども、そういうものがどれぐらい積もったら離着陸をやめるのか、こういう基準をつくっております。それを参考にいたしまして、路面状況が悪い場合には、滑走路を閉鎖して除雪を開始することにしているわけでございます。

 それで、過去十年間での羽田空港の除雪作業を実施した回数というのは、年平均一回程度でございます。十年間で十一回でございます。最大の除雪回数というのは、年間三回というのが最大でございます。

河野(正)委員 時間もありませんので、先日の大雪についての対応についてお尋ねしたいと思います。

 除雪に関しまして、国とターミナル会社、あるいは航空会社の役割分担がどのようになっているのか。滑走路とターミナル周辺の役割が違うということで、連携が悪くて除雪作業が進まなかったんじゃないかというような懸念、声もありますけれども、国交省の守備範囲、どこからどこまでなのか教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 基本的には、空港の敷地内の除雪というのは、国が実施することにしております。ただ、駐機場で実際に航空機が駐機しているその周辺とか下の部分というのは、これはなかなか、私どもが持っております大型の除雪機械ですと安全上の問題もあるので、ここは航空会社がやるというような役割分担になっております。

 そういう意味で、これは基本的に連携をしてやっているということでございます。

河野(正)委員 最近、アベノミクスということで、非常に公共事業もふえて、景気が回復してきたと評価する方が多いのかなと思っております。しかし一方で、長引く不況によって建設会社や土木会社が非常に疲弊してしまっているということもたびたび耳にするところであります。

 例えば、重機などを既にもう手放してしまって、発注が来たときだけ、必要なときだけリース会社に頼んで借りてくる。そういった意味で、また、作業員もすぐには用意できないというようなことも聞いております。このため、一時的に、こういう豪雪とか積雪でどんと発注が来たときに、受注対応ができていないというようなことを聞いたこともございます。

 今ちょっとお話ありましたけれども、除雪機とかそういった機械を羽田空港が自分で持っているのかどうかということを改めて確認させていただきたいのと、災害時の緊急体制が構築されているかどうか、お聞かせください。

田村政府参考人 そういう意味では、羽田は非常に重要な空港でもございます。降雪時にも航空機の運航がスムーズに行われますように、空港管理者である国、それから航空会社が密接に連携をしております。

 それで、羽田空港の基本的な除雪機械というのは、空港事務所といいますか、国が所有をしております。しかも、これは過去に時々大きな雪が降っているたびに増強をしておりまして、高機能の除雪機械なども入れているということでございます。

 そして、緊急時、これから降雪がありそうだなというときには、関係の作業会社と契約を結んで事前に待機をするというようなこともしっかりとやっているところでございます。

河野(正)委員 ということは、もし雪が降りそうだな、これからちょっとそういう災害がありそうだというときは、きちんと会社と連携ができて作業員も確保できるということでよろしいんでしょうか。はい、ありがとうございました。

 ちょっと余りにも、ここ二週間見ていますと、積雪に弱いような印象を受けたんですけれども、改善に向けた取り組みというのは何か対策が抜本的にはあるんでしょうか。

田村政府参考人 そういう意味で、今お答え申し上げましたように、機械の増強でございますとか、それから待機基準もだんだん厳しくして、最初は三センチの積雪の予報があるときだったものを一センチにしてというようなことで、だんだん増強しておりますけれども、今回の二週にわたる雪につきましては、どういうところに改善点があるのかないのかということについて検証をしっかりとして、必要があれば適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 あともう一問、本当は医療機関、私、医療機関におった人間ですので、そういったこと、防災対策をお聞きしたかったんですが、時間もなくなりました。

 ぜひ、福岡空港、アジアのゲートウエーとして一生懸命頑張っていって、今いろいろな外交上の問題があると思いますけれども、こういうときに民間外交ということでしっかりやっていかなければいけないと思っておりますので、特に滑走路の複数化、あるいは、今取り組みに入りました平行誘導路の二重化というのを速やかにやっていただきたいと思いますし、仮に民営化ということでできないということになった場合は、直轄空港として引き続き国の方でしっかりやっていただきたいなと考えております。

 あわせて、また羽田空港も含めて、移動がスムーズになるように考えていっていただけたらと思っております。

 以上で質問を終わりたいと思います。本日はありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 質問の機会をありがとうございます。

 本日は、太田国土交通大臣の所信に対する質疑ということでございますので、総括的な意味合いの質問と、あとは網羅的に質問をさせていただくということで、順次させていただきますが、ちょっと政府委員の方がたくさんお見えで、全部質問をし切れない可能性が極めて高いので、申しわけないんですけれども、残余の質問は出ると思われますが、そのときにはまた一般質疑等でお世話になると思います。あらかじめおわびをしておきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきますが、まず、大臣の所信の一番最初に、一行目、二年目を迎えた、そして、社会資本メンテナンス元年が昨年ということの中で、老朽化対策を進めるという中で、この二年目は「成果を目に見える形で示す必要があります。」ということで言われました。

 メンテナンスというのは、そう短期間にできるものでもないような気もいたしますし、一年目、二年目という短い期間で顕在化させるというのは意外と大変なことではないかなと感じておりますけれども、この大臣のお言葉にある「成果を目に見える形で」という、具体的な、建造物であったり、あるいは対象物といったものが、目に見える形で予定されているものは一体どういったところなのかというのが、率直なところ、ちょっとイメージできなかったもので、このあたりのことを教えていただければと思います。

太田国務大臣 去年は、どちらかといいますと、こういう意識がなかったものですから、緊急点検をやる、それを七月までにやって、全体の点検をことし三月までにという期限を切ってやるということと、全体的な長寿命化も含めた計画、工程表をあらあら出すということだったと思います。

 それを、具体的にメンテナンスにかかっていく。その場合に、一つは、地方自治体の持っている橋梁を初めとして、そういうところが非常に職員も少なくて、さきの予算委員会でも、穀田先生からも質問いただいたんですが、やはり地方自治体のそういうもののメンテナンスが十分ではない、人も十分ではない。そこの体制を整えて、緊急点検も普通の点検もした上で修繕というところに、補修にかかる、そういう姿を見せるということが一つ大事なことだというふうに思います。

 それから、道路につきましては、これは高速道路でいいますと首都高とか阪高とか、あるいはNEXCO各社ということになりますが、名神というよりは、特に前回の東京オリンピックに対応してつくった首都高、これが非常に老朽化が目立つ。特に橋桁と橋脚との間、支承というふうにいいますけれども、そういうところとか、あるいは、海辺にあって、ここが環境によって悪いというふうなことが明らかでありますので、そうしたことについて、非常に曲がりくねっているようなこともありまして、首都高は大丈夫かなという懸念があろうと思います。ここはしっかり、これまでもやってきてはいるんですけれども、ここもことしは重点的にやってもらうということを初めとして、高速道路はそうしたことをやっていかなくてはならないというふうに思います。

 老朽化が同じように、鉄道の部門では、特に東海道新幹線、これがちょうど東京オリンピックで五十年たちます。JR東海は、これについて研究所まで設けまして、徹底的にやっているところなんですが、あらゆる、今言った鉄道とか、地方自治体にある橋梁であるとか、首都高であるとか、そういうことも含めて目に見える形にことしはする。あわせて、技術というものをしっかり蓄積するということで、メンテナンス技術を高める。ハイテクというよりは、現場のローテクというものの最先端を蓄積するという、メンテナンスエンジニアリングという学問ができるくらいということを私は申し上げているわけですが、そうしたことが具体的に目に見えるように、ことしは進めるように拍車をかけたいというふうに思っているところです。

杉本委員 大変わかりやすく御説明いただいたと思います。ぜひ、有権者というか、庶民というか、町の方々というか、そういった方々が、太田大臣が指揮をとって、ああ、いよいよ本当にメンテナンスというのは始まったんだということで、首都高、あるいは地域、地方の橋、あるいはJRなんかでも、新幹線、どんどんバージョンアップしていますけれども、そういったことが目に見えるということがそれぞれの立場でわかるように、大いにまた力を発揮していただきたいと思います。

 次に、三日月代議士あるいは若井代議士がおっしゃられた国土のグランドデザインに関してなのでございますけれども、ちょっと前提条件が、私の場合は少し変えた方がいいのではないかというふうに実は思います。

 三日月代議士は、重要な点五つと言われて、まずは人口減というふうに言われました。また、若井代議士は、二〇六〇年で八千万人の人口、九千万を割るんだというお話でございましたが、一方で、前の民主党政権のときに、たしか中川さんが文科大臣でいらっしゃるときに、移民政策について少し触れられたと思います。

 そして、直近の実は予算委員会でも、移民というと、保守とかそういう立場の方、私を含めてかもしれませんが、いろいろな議論があって、異論が出るところもあると思うんですけれども、一方で、外国人労働者という切り口に立ちますと、これは考慮の余地というのはかなりあるのではないかと思っております。いわゆる労働人口あるいは納税人口として外国人労働者というのを、現在も受け入れているわけでありますけれども、さらに拡大するという観点、考えてもどうかと思っています。

 予算委員会で安倍総理は、外国人労働者について、専門的、技術的分野の外国人は我が国の経済社会の活性化に資するという観点から積極的に受け入れていく、外国人技能実習制度について、技能などの移転による国際貢献がさらに促進されるよう制度の充実に向けた検討をしていきたい、こう言われて、その上で、外国からの移民の受け入れについて、我が国の将来の形や国民生活全体に関する問題として国民的な議論を経た上で多様な角度から検討していく必要がある、こういうことを言われております。

 いろいろ議論は当然ありますし、議論をしていかなければならないと思いますが、これからまた審議に入っていくと思われます沖縄の振興策なんかについても、かなり特区に近いような形で、いろいろ思い切った政策が打たれるわけです。

 こういった労働人口ということについて考えますと、ちょっと例えとしていいかどうかわかりませんが、香港を皆さんイメージしていただくと、香港は百年たってイギリスに返還されたわけでありますけれども、一方で、香港の観光客であったり、あるいは香港の労働人口というのは、実は、背景にある大中華民国というか、大というのは意味が違うんですが、大きなという意味ですね。中華人民共和国があって、その中国から多くの労働者あるいは観光客が香港にどっと入って、そして香港の繁栄を築いているというような感じを持ちますので、人口減が、厚労省さん等の統計等で考えると、現在のトレンドを延長していくと、確かに、九千万を割って八千万ということかと思うんですが、その前に政策を打つのが我が国の政治であるべきではないかと思っております。

 移民については異論があっても、外国人労働者の活用というところは、総理を初め、余り異論がないと思っておりますので、そういう前提で国土のグランドデザインというのを考えていく必要があるのではないかと思っています。

 国土のグランドデザインについては、三日月代議士からは集中審議というお話もありました。どういう形であれ、これをさらに議論していく必要があると私も思っております。

 午前中の大臣の御答弁をいろいろ聞かせていただく中で、非常に国土のグランドデザインを考える上でいろいろなポイントがあるというのは、改めて私も認識させていただきました。持続的であったり、平準化であったり、あるいはおっしゃっている人口減と高齢化、グローバル化への対応、もろもろあります。しかし、この中で、優先順位をつけるとか力点を置くというのは難しいと思うんですけれども、やはりそこには優劣というか順位をつけていかないと、なかなかグランドデザインの解が出てこないとも思っております。

 三月にはお示しいただけるというふうには聞いておるんですけれども、現時点で教えていただけることを、どこを軸にしていくのかとか、何を優先順位にするのか。例えば、私、生意気なんですけれども、心豊かな日本を引き継いでいく、極めて抽象的ですけれども、そういう一つの思いが極めて重要かと思っておるんですが、こんな点について、現時点で、大臣、何かございましたら御教示いただきたいんです。

太田国務大臣 物事の運動をつくるには、そこにぴたっとはまる言葉が形成されるということが大事だと思います。

 今までこの国土分野については、列島改造論であったり、あるいは大平内閣の田園都市構想、あるいは全総、新全総、そうしたことがあったり、均衡ある国土の発展というようなことがあったりしますが、私は、これからどういう言葉がきちっとはまるか。四文字熟語というのは危険性があって、四文字熟語に気をつけろと。富国強兵から始まって、我が国は四文字熟語で何となくそういうふわっとくくるところがあって、石川好さんは、四文字熟語に気をつけろ、当時、構造改革という四文字でやられたというようなことをおっしゃっているんですが、四文字熟語でもいいし、何かスローガンでもきちっとした言葉というのは、実はこれを見つけることが非常に大事なことだというふうに思っております。

 現在は、私たちは、人口減少それから高齢化、グローバル化、災害のない、首都直下地震等に耐えるエネルギー制約、そして新しい情報革命、こういうことを、そして三日月先生からありましたが、当然そこには財政的な制約というものがあったりする、そういうことの予見というものの条件をつくって、今はそれを言葉化するというところには至っていませんが、今申し上げたようなことをバックにして、どういうネーミングでやるか。もしこれがぴたっとはまれば、かなり意識が高まっていくことができるんじゃないかと、今、非常に七転八倒で苦しんでいるというところでございます。

杉本委員 一応、近いうち、来月にはお示しということなので、七転八倒されておられると思います。ぜひ適切な、四文字じゃないことがいいかもしれませんので、ワンフレーズポリティクスだったりシングルイシューというのも問題がないとは言えないのかもしれないので、わかりやすくはあるんですけれども、わかりやすくしつつ、中身の濃いものをぜひお示しいただきたいとお願いを申し上げます。

 三日月さんもちょっと言われましたけれども、今回、これから予算審議をいろいろしていく、予算に関連する、あるいは非予算関連の法案、いろいろ今常会で質疑をさせていただくんですけれども、国交省さんからいただいた今回の法律案の全体像、十一法案ありますけれども、何となく、日切れだったり、いろいろそれぞれの部署が抱えている今の問題が浮き上がってはきているんですけれども、全体としてのグランドデザインとの整合性というものが、僣越ですけれども、ことしの審議のテーマとしては余り見えてきていないと思うんです。

 これはお願いでございますけれども、来年度以降、まさしく国土交通行政というのは、大きなグランドデザインの上で個別の対応策も必要ではあるものの、長期的に政策を打っていっていただきたいと思いますので、そういった意味で、全体、包括的に法案を考えていくということを、きょう、政府委員の方々が多く、責任のある方々がいらっしゃっているので、ぜひそんな形で法案を提起していっていただければと思っております。

 参考までに、政府委員の方に御答弁いただきますが、今年度は、いや、そうではない、ちゃんとそういうスケジュール感の上であるんだということでも結構なので、ちょっと今年度の法案の全体枠について御説明をお願いいたします。

武藤政府参考人 御指摘のように、全部で十一本、国土交通省からは法案を準備させていただいております。委員から総合的にということではございますが、大きく分けまして三つの分野について、それぞれ必要不可欠な目的を達成するための法案であるというふうに考えております。

 一つは、何はともあれ、まず防災・減災、老朽化対策ということで、国民の安全、安心を確保するための取り組みというのが一番、一つのグループだと思います。それから、我が国の国際競争力の強化など、我が国の経済成長に関する取り組みの推進という分野。それから、最後には、それぞれの地域の問題もございますので、地域の活性化などの取り組みを推進していくというようなことで、それぞれ取りまとめができるかと思いますが、いずれも不可欠な法案でございますので、委員長、委員各位の御指導を得ながら、本委員会での御審議をよろしくお願いしたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 以上、総論的なところをちょっとお伺いして、方向感はよく見えました。ぜひとも国交省さん、私も協力させていただくところは協力させていただこうと思っていますので、大いに頑張っていただきたいと思います。

 次に、各論ベースでまた質問させていただきますけれども、まずはJR北海道の問題についてお伺いいたします。

 午前中の公明党の伊藤議員の質疑で、体質改善が必要であり、根の深い問題なので時間がかかるという答弁のやりとりがあったやに記憶しておりますけれども、この問題に対して、五年間の常設の監査体制を整備と言われております。徹底した指導監督を行うということだと思いますけれども、この点で、先ほどの議論では、経営刷新はそんなに急いで求めないということも伊藤さんは言われておりました。

 しかし、例としていいかどうかは別として、JALの問題があったかと思います。JALは、地域独占ではなくて、ANAという競合相手がある中での再建であったということで、いわゆる経営環境というのは違うということは十分わかっておりますが、一方で、安全運行が第一に求められる運輸の仕事であるということでもあると思います。

 そんな意味で、今後、五年間の期間がありますので、その五年間の中で監査体制をしいていて、まずは彼らに任せておいて、それで総合的に、抜本的に措置をとるようにという指示で今は動いていらっしゃると思いますけれども、やはり、五年丸々待っていて時が過ぎてしまって、なかなか体質改善が進まなかったということでも、これは地域や観光の方々が安心して乗れないという状況が続いてしまうと思いますので、中間的な段階も含めて経営刷新ということを考える必要があると、私はJALのケースを見ながら感じております。

 こういった点について、将来的な見通しも含めて、秀でた経営者が、民間の部門であったり鉄道事業等の部分でもいらっしゃると私は感じておりますので、そういった経営へのかかわり、関与強化、こういったところについて、先の見通しも含めて教えていただきたいと思います。

滝口政府参考人 JR北海道につきましては、問題を洗い出すため、三回の特別保安監査を行いました。そして、JR北海道の再生のための総合的、抜本的な対策というものの検討を行ってまいりまして、それをJR北海道の安全確保のために講ずべき措置ということで取りまとめ、その実効性を担保するために、事業改善命令、監督命令として、一月の二十四日に実施を命じたというところでございます。

 今のJR北海道の立ち位置からいたしますと、安全を確保し、信頼を回復するために、こういった対策を、この命令の中にあります対策を着実に実行するということが何よりも重要だろうと思っております。

 私ども、五年間の常設の監査体制ということでございますが、漫然と五年間見ているというわけではございません。この中には、すぐ着手すべきもの、そしてすぐ実行すべきものがあるわけでございまして、そうしたものについては、直ちに実行し、あるいは着手することが必要だろうと思っております。そういったスピード感を持ってやるべきものと、そしてまた、本日の午前中の審議でもございましたけれども、時間をかけて体質を改善していくべきもの、こういった幾つかのものがあるんだろうと思っております。

 これは、対策の性格に応じて、しっかり取り組んでいく。そのために、現在の経営陣については、このままでやらせるということが必要だというふうに考えているところでございます。

杉本委員 現時点の状況はわかりましたが、将来、やはりスピード感を持って進めていただく部分、あるいは時間をかけて改善していただく部分もあると思いますけれども、備えあれば憂いなしではないので、五年間、緊張感を持って厳しく見ていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、現在、地検が捜査の最中なので、開示できる範囲は限定されるかもしれないんですが、北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件の現在の状況と、監督官庁としての国交省の取り組みについて教えていただきたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、独立行政法人鉄道・運輸機構が発注いたしました北陸新幹線の融雪、消雪設備工事につきまして、談合への関与の疑いがあるということで、二月四日に、機構が東京地方検察庁また公正取引委員会の捜索を受けたというように承知をいたしております。

 この件につきましては、実は昨年の九月の段階で公正取引委員会が、この談合に関係をした会社というようなことで、民間の会社、そしてまた機構に対する調査を実施しておりましたが、先ほど申し上げましたように、二月四日、東京地方検察庁の捜索を受けたといったような状況でございます。言うまでもなく、談合というものはあってはならないものだというように考えております。

 二月四日のこの捜索を受けまして、国土交通省といたしましては、鉄道・運輸機構に対しまして、関係当局の捜索に協力をするということ、機構としても調査を徹底的に行い、不正な入札行為が二度と発生しないように再発防止策を早急に取りまとめるようにという指示をいたしたところでございます。

 本件につきましては、事実関係をしっかり把握した上で、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 こういう事案が起きますと、二度と発生しないようにということの中で、必ずまた二度と発生するというような展開が常に起きているわけなので、特に、大きな予算を扱っている国交省でありますので、こういった点については、なかなか、民間の部分ということも言えるのかもしれないんですけれども、関係の会社さんに厳しく御指導をいただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、この直近の豪雪、雪害について確認をしたいんです。

 私は、今週月曜日の予算委員会の質問に向けて、土曜日、ちょっと国会の議員会館に詰めておりましたところ、同僚の国会議員から、友人が東名高速で缶詰になってしまったということで、沼津の、富士川サービスエリア付近だということを聞きました。聞いてみますと、雪は全くないという状況の中で、四時間、五時間以上とか聞きましたけれども、車が一センチも動かないという状況だったというふうに私は聞いております。事実かどうかはわかりませんが。

 これが、雪の中でとまってしまっているなら私はわかるんですけれども、天下の東名高速でそういう状況であったということを聞いて、その情報を道路局の方に御相談し、関係会社さんに連絡をさせていただいて対処を求めるというような流れになりました。

 一般の方が交通情報で問い合わせをするということで、私も同じルートで問い合わせてみたんですけれども、機械対応で、大勢の方が問い合わせをすれば、どうしても機械対応せざるを得ないと思いますけれども、一方で、大変緊急的な状態でそういうことになっているという部分でもあったかと思いますので、殊に、雪の問題を別として、そういった缶詰状態、立ち往生状態というのが、なかなか生まれにくいと思うんですけれども、現実に生まれているという中で、監督官庁として今回どういう対応をされたかどうかを、雪害の部分とそうでない部分もありますけれども、ちょっと分けてか一緒かわかりませんけれども、どういう対応をされたか、教えていただきたいと思います。

中原大臣政務官 高速道路株式会社に対して今回どのような指示を行ったのかということでありますけれども、東名高速道路におきましては、十四日の日、十五時十五分から順次チェーン規制を行っておりましたけれども、十七時ごろより短時間に降雪量が大変多くなったこともありまして、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤを装着していない車両が十九時ごろに立ち往生となる事象が発生し、これら立ち往生車両を先頭といたしまして、四十キロメートルを超えて高速道路上に車両が滞留をいたしました。

 国土交通省では、中日本高速道路株式会社に対し、立ち往生車両の発生や車両の滞留の報告を受けまして、利用者の安全を第一とする考え方から、立ち往生車両のパーキングエリアへの移動と早期救出、水、食料等の配布、車両の滞留の解消見込みの情報提供等を行うとともに、迅速に除雪作業を行うよう依頼したところであります。

 高速道路株式会社においては、水、お茶、おにぎり等の食料を約一万食配布しつつ、立ち往生車両の救援を除雪作業と並行して進め、富士川スマートインターチェンジも活用しつつ、十六日一時三十分ごろに車両の滞留を解消できたところでございます。

杉本委員 ちょっと今の御説明を聞くと、いろいろ頑張ったんだぞというふうに聞こえるんですけれども、現場の声は、もう五時間もずっと缶詰で水も食料も全く配られないんだけれども、国というのは一体何をしてくれるんだと。余り国に頼っていただくというのも、我が党としては小さな政府を考えているので、限界もあるんですけれども、一方で、今の御説明は非常に頑張ったぞというふうに聞こえるんですけれども、現場はそうではないという実態をやはり知っておいていただきたいとお願い申し上げます。

 それで、ちょっと飛ばすかもしれないんですが、最近、私は東名を走っていて、愛知県内でスマートインターチェンジというのが新しくできて、ただし、ETC専用、こう書いてありまして、このスマートインターチェンジと雪の問題等を考えますと、やはり、いざというときに、禁止にして中に入れないような形で、立入禁止というか、車が入れない状態にするということも一つだと思いますけれども、たまってしまった車をいかに吐き出していって、また、外の道に出て一般道が混むというような事案も静岡の中では今回あったようでございます。

 このスマートインターチェンジが緊急事態において出られないということで、例えば、ETCをつけていない人がおりられないということであってもならないと思うんですけれども、そういったスマートインターチェンジを緊急時にどう活用するか、こういった点の御考慮というのは今されておるか、あるいは今後検討していくのか、この点について教えていただきたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 スマートインターチェンジ、この三月見込みで、全国で七十カ所開通しておりまして、なお五十九カ所が整備中でございます。従来のインターチェンジでありますと多額の費用がかかりますものを、ETCの専用とすることで安価にできるということではございます。

 ただ、今先生から御指摘ありましたように、緊急時にはETCのない車も出るということも臨機応変に必要ではないかと思っておりまして、今回の東名高速の渋滞におきましては、富士川スマートインターにおいて、ここからETCを持っていらっしゃらない車も速やかに出ていただくというような措置をとらせていただきました。

 なお、このあたり、今回の課題につきましては、大臣からもいろいろと課題について改善策を検討せよという指示をいただいておりまして、今後十分整理をした上で、研究をしてまいりたいと思っております。

杉本委員 大臣の検討示唆、ありがとうございます。

 もう終わりますけれども、最後に、豪雪で立ち往生した車が、一酸化炭素中毒で死亡者も出ているという事案がございました。こういった点について、国交省として、警鐘あるいは広報活動、警察庁とのタイアップが必要だと思いますけれども、ぜひお願いを申し上げます。

 以上で終わります。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、東急東横線列車追突事故について質問します。

 それに先立ちまして、今回の豪雪によってお亡くなりになった方々に哀悼の念を表したいと思います。また、被害に遭われ、今でも被害に遭われている方々に、そして今回の東急の事故でおけがをなさった方々に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 二月十五日未明、川崎市にある東急東横線の元住吉駅で、とまっていた電車に後続の電車が追突し、乗客十九人がけがをする事故が発生しました。東急電鉄は記者会見を行い、自動列車制御装置、ATCは作動していたがブレーキが十分に働かなかった、当時、追突した電車の車輪とブレーキパッドという部品とのすき間に雪が挟まって滑り、ブレーキの性能が大幅に低下していた可能性があると説明しています。関東地方が大雪になっていたときで、雪が事故の引き金になったと見られています。

 まず、東急電鉄の側の対応についてです。

 東急電鉄は、追突事故が発生した二月十四日は、ブレーキがきかずオーバーランするトラブルが十件以上発生したとされています。連続してこんなことが起きるとは本来考えられない。東急電鉄は、トラブル発生をつかんでから直ちに運行列車に徐行を指示したのでしょうか。簡単に。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、東急電鉄では、十四日の始発から当該事故まで十一件のオーバーランが発生したと説明しております。

 これに関しまして、東急電鉄の運輸司令所長は特段の減速の指示はしていないという報告を東急電鉄から受けております。

穀田委員 指示していない。ブレーキのききが悪いときに、そういうことがわかれば、徐行を指示すれば、私は、全列車に対してそういう指示を行えば事故は防げたんじゃないかと率直に思うんですよね。

 そこで、では国交省の対応です。

 東急電鉄事故についてどのように対応したのか、東急電鉄や全国の鉄道会社にはどんな指示を出したのか、明らかにしていただけますか。

滝口政府参考人 十五日の午前零時三十分ごろの事故の発生を受けまして、国土交通省では、私どもの関東運輸局の職員二名、それから、事故調査をいたします運輸安全委員会の調査官三名が現地に派遣されております。

 また、私どもの方から東急電鉄に対しまして、事故直後に負傷者の救護の徹底、そしてまた事故情報収集の指示をいたしました。さらに、同種事故の再発防止のため、必要な措置を講じ安全確保を図ること、それから、運輸安全委員会の調査に協力するとともに、自社としても原因究明を行い、必要な措置を講ずることということを指示したところでございます。

 さらに、各鉄道事業者に対しましても、本件事故の状況について情報提供した上で、積雪の状況に応じた適切な運転規制を実施すること等、安全確保に万全を期すよう指示をいたしたところでございます。

穀田委員 東急と各鉄道会社に指示をしたということなんですね。

 報道では、雪が降ったときの電車の速度については特に定めがない鉄道会社もある、これがNHK。また、国交省によると、鉄道会社の多くは降水量や風速に応じて徐行運転する社内ルールも定めているが、雪に関しては明確な判断基準がないという。東急も徐行運転を指示していなかった。さっき、そうでしたよね、なっていると。

 雪に関しては徐行運転の判断基準がなかったということなのかどうか、これを簡単に。

滝口政府参考人 雪を初めといたします運転に影響する気象条件に関する運転規制の基準というものは、私どもの省令、鉄道に関する技術上の基準を定める省令というものがございまして、この百八条で定められております。

 この省令では、暴風雨、地震等により列車に危難の生ずるおそれがあるときは、その状況を考慮し、列車の運転の一時中止または運転速度規制等の危難防止の措置を講じなければならないというふうに規定しているところでございます。

 各鉄道事業者におきましては、これを受けまして、個々の路線、区間ごとに、強風、降雨、そしてまた降雪などの状況、程度別に運転規制などの措置について定め、それに基づいて適切に列車の運行管理を行うというのが法令上の考え方でございます。

穀田委員 法令上の考え方は、今あるように、雨、洪水、風というのがあるんですけれども、問題は、雪のところでいうと、事業者が、雪が降るもとでオーバーランの事態を踏まえて、なぜ事故が起こる前に徐行運転ができなかったのかという疑念があるわけなんですね、一つ。

 それともう一つ、では、この監督官庁の国交省は、事故が起こる前に、当たり前のことをするように、これまでずっと指示してこなかったのかということが問われると私は思うんですね。

 だから、聞いていると、各会社が省令に従って具体化している、簡単に言うとそういうことですわな。そういうことだというと、この問題というのは、ある意味で事業者任せにしているところに問題があると指摘せざるを得ないと私は思っています。

 だから、事業者に安全を守らせる責任はやはり国交省にある。事故が起こってから事後に指示していたのでは、その責任は果たせないということだけは言っておきたいと思います。

 そのことは、実は、次にただしたいJR北海道問題に共通していると私は思っているんです。

 JR北海道の経営の不祥事、ひどさというのは、データの改ざんなど人命と安全軽視も甚だしい、公共交通機関としては全く許されないということだと思うんですね。これは大体論をまたないんです。そこで、この間、国交省が監査に入って経過等をまとめて、JR北海道に対して改善指示、命令などを行ってきました。

 そこで出している文書、JR北海道の安全確保のために講ずべき措置というのですよね、あの文書ですよ。それで、特に、国交省が講ずべき措置ということを書いています、一番下に。

 私は、これを何回も見ているんだけれども、再三再四にわたって、いつも局長は、三度にわたってと割と大きな声で言うんですよね。その大きな声はいいんだけれども、見抜けなかった問題点などの記述が全くないという点では、はっきり言って踏み込み不足ということを否めないと思うんです。

 私は、二つの点で疑問がある。一つは、JR北海道の不祥事を今日まで放置してきた原因をどう考えているのかということが一つ。二つ目は、公共交通機関のかなめとも言うべき輸送の安全をJR北海道に守らせるべき責任は国にあるけれども、その責任はどう果たしてきたのか。この二つが、どうも腑に落ちないと思うんです。

 私は、この委員会が開かれる前の理事懇談会で要求したわけですけれども、また、その前に委員会で要求をしまして、会社と四つの労働組合があるんだから、一緒に会議をやってきちんと現状を照らし合わせたらどうだという提案をしました。会社側は、いろいろありましたけれども、やったということで報告をいただきました。

 そこで、今言った理事懇談会で、どんな話し合いになったんやということで資料をいただきました。それによると、こうなっているんですね。

 二十二年前の交渉で、一部の職場でやむなく偽りの入力がされていると会社側に指摘したが、当時、会社からは、絶対にあり得ないと思うとの回答であったというのが、JR北海道の概要報告なんですね。

 実は、これはメディアでも報道されました。そして私は、この実態について、どうなっているんだということで、多分、この発言をしたのは国鉄労働組合だと思ったので尋ねました。そうしたら、これが当時の文書ですけれども、一九九一年五月十六日提案ということで、線路検査周期の適正化等についてという労使交渉の報告の中にこの問題の記述があります。

 それによると、これまでの合理化で職務が回らなくなっている。巡回についても規程どおり行われていない箇所もある。外部監査も行われているが、職場で実態報告書を改ざんしているのではないか、我々はその報告をも現場から得ている、こう言っているんですね。だから、改ざんは事故以前からやられていたということが、これではっきりしている。だから、極めて重大な告発なんですね。

 国交省は、この告発にどのように対応したのか、お聞かせください。

滝口政府参考人 御指摘の件につきましては、委員御指摘のように、昨年の十二月の二十日に労使合同会議ということで、四つの組合と一堂に会しまして、現在の状況について意見交換を行ったというものでございます。その結果が、委員御指摘のように、一部の報道で報じられておりまして、お話のあったような件があったため、鉄道局の方から直ちにJR北海道に対しまして事実関係の確認を指示いたしました。

 JR北海道の方からは、まず、十二月の二十日に開催されました労使合同会議において、組合側から、二十二年前の交渉で、一部の職場でやむなく偽りの入力がされていると指摘したとの発言があったということは事実である、こういうことを言っております。

 一方、これについて、二十二年前の労使交渉において実際にこのような指摘があったか否かについてということにつきましては、当時の労使交渉の議事録が残されていないということで、事実関係は確認できないということでございました。

 また、当時、このような指摘を受けてJR北海道側で何らかの事実関係の調査あるいは対策を講じたのかということについても、JR北海道側に関係する記録が残されておらず確認できなかったということでございます。

 さらに、この偽りの入力がされたと指摘されている関係の当時の作業記録自体についても、現時点ではそれが残っておりませんで、事実関係等が確認できなかった、こういうことでございました。

穀田委員 ここは、私、JR北海道でいつも思うんだけれども、何か言うと、わあっというところですやんか。もしこういうことが事実でなかったとしたら、当時、とことんやっているはずですよ、あそこは。ですから、どう考えたかて事実だと。

 それで、問題はこれだけじゃないんです。

 これもまた、私、持ってきたんですけれども、国労北海道の動きということで、交渉情報というのがあります。その半年後近くに、一九九一年十一月二十日付で、保線にとって決定的な大事な巡回が省略されていることを会社側にただしているんですね。局長が先ほども言っていたように、一番大事な老朽化対策の問題は巡回といつも言うんですね、一番最初に言うんですよ。それぐらい巡回というのは大事なんですけれども、その文書によると、組合は、巡回業務は安全輸送にとって極めて重要な業務であり、監査項目にも入っている。定められた巡回業務が予定どおり行われていないばかりか、実際にできなかった巡回についても運輸局監査のために虚偽の報告をしているのが実態だ。報告書を作成する段階で、監査があるので指摘されることのないよう書類を作成せよと指示された、ここまで言って告発をしている。

 だから、会社が改ざんを指示していることは、しかも、今言ったように、監査があるからやれということなわけですよね。だから、私は、きちんと聞けばわかることだと。しかも、目のつけどころさえ変えて、巡回の事実と、それにかかわる記録簿をとことん照合すれば、判明した可能性もあったということを私は言いたいんです。

 それだけか。まだあるんです。もう一つ、同じく労使交渉の、一九九八年二月十二日付の同じような資料なんですね。

 これによりますと、これまで厳しく議論してきたが、線路巡回の手抜きがシステム化でも解決していない。要員状況が厳しい中でやむなく、ここなんですね、ここの文章だと思うんですが、偽りの入力がやられている箇所がある。本社としてこの事実を把握しているか。組合は、我々が前回指摘したときは、本社が管理者を問い詰めた結果、現場では犯人捜しが始まり、指摘した者を悪者扱い、異端児扱いにし、それ以降、この問題について触れる者がいなくなった。問題は、保線職場には要員が削減され、作業量がふえていることで起きている現象であるということをもっと真剣に考えるべきだ。ここまで二度三度と告発している。生々しい報告なんですね。

 私は、このように、改ざん問題においても、監査の際に現場の声をきちんと聞くということができておれば、また、労働組合の意見にも真摯に耳を傾けておれば発見できたんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

滝口政府参考人 残念ながら、今委員御指摘の九一年、九八年の段階では、そのような改ざんがあったということについて、我々は情報を得ることができませんでした。

 今のお話というものも、労使の間でそういった議論があったということなんですが、御案内のように、現在、公益通報制度というものがありまして、そういったものを使って、そういった改ざんであるとか、そういう法令違反の事案については、社内あるいは私どもの方に窓口がございますので、そうしたものを活用すると、我々の方に情報を得ることができる。

 今回、そういったような問題意識がございますので、「JR北海道が講ずべき措置」の「第一歩の改善」の「改ざんの根絶」の中の「コンプライアンスの徹底」の中には、「公益通報制度の積極的な活用」ということも一つの講ずべき措置ということで入れさせていただいたところでございます。

 できるだけ実態を把握していくというのが私どもの監査の一つの目的でございますので、こういったことを踏まえながら、必要な検討というものを進めてまいりたいと思っております。

穀田委員 隣の方から緩いぞと言われましたけれども、私が言っているのは、本当にこれほど重大な事態が起こっているわけだし、昨年、私は行って、組合からこういうことを聞いて、少なくとも、これはあるなと思いましたわ。だから、ちゃんと聞いておればわかる、疑問を持つ、それが普通ですよ。

 だって、会計検査院だって、やり方がおかしいということを告発しているわけですやんか。だから、一体全体何をしていたんや、何を見ていたんやということについて、見抜けなかったということを反省する必要がある。そこの問題について何もないということが私は解せぬと言っている一つなんですよ。

 次に、では、先の話をこれからせなあかんからどうするかという問題で、JR北海道が安全確保に必要な鉄道インフラの問題についてどう取り組みをしてきたかということについて聞きたいと思うんですね。

 これまで国として、JR北海道に対して、鉄道施設等の老朽化対策、維持修繕、更新をどのように指導してきたのか、述べてください。

滝口政府参考人 一番端的な事例といたしましては、二十三年五月の石勝線の事故がございました。その際に、安全管理体制をしっかり整えるようにということで改善指示を出したところでございますが、その中で、安全関係の設備投資というものがおくれがちであるという認識を実は持っておりまして、そういったものも含めて計画を立てるようにということでございましたが、安全基本計画の中には、そういった計画も含まれて出されておったところでございます。

 そういったようなことで、老朽化した鉄道施設の計画的な維持修繕、更新を行うようにということで指導してまいったところでございます。

穀田委員 石勝線事故でおくれがちであるという認識を持つというのは、それはあきまへんで。つまり、あそこの安全投資というのはずっと減っているんですよ。二〇一一年の石勝線事故が起きてから、その安全投資を上げたんですよ。その間ずっと減っているという事実があって、何をしてきたんだと言っているんですよ、私は。

 だから、改善指示に基づくJR北海道からの報告によると、こうなっていますよね。いわゆる安全投資及び修繕費に係る平成二十五年度第四・四半期及び平成二十六年度予算計画に示されている、こういうことで次の話は大体やっているんだと思うんですね。あのときにこうした、今はこうしているということなわけだけれども、しかし、私は、この問題を見て思ったんですけれども、この計画というのは、もともと事故に基づいて指示を出し、それに基づいて安全計画を出したという経過なんですよね。

 問題は、国交省として、この間の、いわば国鉄分割・民営化以後と言ってもいいでしょう、過酷な条件にある、そして広い北海道の、そういうJR北海道の老朽化対策についてどのように考えて、どのように指導してきたのかという、まず概括と考え方を聞いているわけです。

滝口政府参考人 JR北海道が抱えている経営上の問題というのは、大きく言って二つあるんだろうと思います。一つは、非常に広い北海道というところで、二千五百キロの営業路線というものを持っております。その中で、当然のことながら、輸送密度の低い路線というものがあるわけでございます。また一方で、委員御指摘の、気象条件というのが非常に厳しゅうございます。北海道では積雪何十センチというのが常時続いておるわけでございまして、こういった中で、保線であるとか、あるいは列車の安全な運行というものを確保していく必要があるわけでございます。

 こういったような問題意識を持って、実は国鉄改革の際に、まず経営の安定をするということで六千八百億円余りの安定基金が積まれたというものも、こういったような問題があることを十分認識した上でなされております。

 基本的には、こういった厳しい気象条件あるいは経営条件の中でどのように安全対策を講じていくのか、これは老朽化したものについての更新も含めてでございますが、更新していくのかということについては、本来は鉄道事業者がまず自分たちの責任としてしっかり考えなければならぬ問題だというふうに考えております。

 我々は、そのような対策が講じられているのかどうなのか、こういったことを定期的な保安監査あるいは特別保安監査を通じて確認をするというのが私どもの基本的な考え方でございます。

穀田委員 それを見ていると、今我々が問題にしている、先ほど大臣もお話ありました老朽化対策、長寿命化という問題意識からしますと、およそ私は、随分段違いでおくれているなと思うんです。

 事業者の責任じゃないんです。もちろん、結果としてそれをやることは事業者の責任ですよ。しかし、それを安全かどうかという問題について担保し責任を持つのは、最終的には国ですよ、この問題は。公共輸送機関なわけだから。それが今どうなっているかということについて、例えば、問題意識として持っていて自分たちがどうやるかだと、そんなあほなことありますかいな。

 それがどうやられてきたかについて点検し指導しなければ、先ほど言ったように、二〇一一年までずっと安全投資が下げられてきた、ATSの設置も悪かった、こういうのをずっとやってきていて、しかも、あなたは言わはるけれども、指示、命令を出して、それに基づいた安全計画が出たと。その安全計画自身がでたらめだったという話なんでしょう、今度の問題は。そういうものに起因しているわけですやんか。だから、たとえ事業者が民間であろうとも、鉄道施設であるトンネルや橋梁、線路、列車、人の命と安全にかかわるいわば公共インフラであって、老朽化対策は必要なんですよ。

 今大臣は、高速道路会社についての問題もいろいろ指摘をして、老朽化対策を出させているわけですよね。ところが、この問題について言えば、JRの老朽化対策についてどう指導してきたのか、さっぱりわからぬということなんですよ。大臣、その辺はどうですか。

太田国務大臣 JR北海道につきましては、私としては去年初めて直面しまして、九一年のそういう事例も後で知ったわけでありますけれども、ここまで、まず経営自体、赤字体質であるということが一つはある。もう一つは、現場でそういう声があるのに、それに応えないで、逆に封じ込めてきた。

 こういうことを初めとして企業体質の問題というものがあり、そして、この事態に対して、まず、毎日毎日運行しているわけですから、日々の運行安全というものを確保しろということを去年の十月から、もう毎日毎日、私も報告を受けながら、そうすると、かなり、車両がちょっとこうなったとか、いろいろなことが毎日毎日あって、保線というのは大変だなということもよくわかったんですけれども、そういう毎日毎日と同時に長期的な老朽化対策、そして、長期的なと言う前に、枕木の問題一つにしましても、PCに非常に、JR東とか東海とかいうのと違って木の枕木が多いというようなこともあって、それを前倒ししてやるようにという指示をしたりということで、まだまだ長期的な、長寿命化というところまで現実に至っておりません。

 そこのところを、まず目の前のことについて対応をしっかりして、安全ということの方に意識をシフトしろ、経営とかいうことにちょっと行ったとかいろいろなことがありますから、とにかく毎日の安全ということにシフトしろということを言ってきて、そして予算もそちらに持っていくようにということを指導してきているのが、少なくともこの何カ月かのことでございます。

穀田委員 それは、私、一番最初に、この問題で事故が起きたときに、まず、今動いている列車が安全なのかということをただしたわけですやんか。その点では、そういう問題意識は当たり前なんですよ。

 しかし、では、今までそういう問題について、起きてきた事態については誰が責任を負っているのか。先ほども申しましたように、例えばJR北海道については、何回も言うように、二〇一一年までずっと減ってきているわけですね。それを容認しているわけですよ、安全投資については。なるほどと言って。その責任はどうなるのか。

 そして、必ず大臣は、この問題について当座のという話をすると、PC枕木の話をするんですよ。大体これはいつもやりますよ、聞いていると。何かと言うけれども、私は、本当に今現実どうなっているかという問題についても、ほんまに大丈夫かという気がしているんですよ。

 というのは、PC枕木化と言うんだけれども、PC枕木化と電化をやったいわゆる学園都市線というのは現状どうなっているか。それはもう、噴泥が後を絶たないで、泥の中を走っているみたいなこと自体も起こっているわけですよ。だから、今言っているようなこと自体が、まともな今のJR北海道の現状に照らし合わせて大丈夫かという問題が一つある。

 それともう一つ、中長期という問題については、単なる五年やその他で済まない問題をはらんでいるわけですね。これは、この間ずっと老朽化している現実があるわけですから、それについても、これを機会に、今申し上げましたように、現状に対する正しい認識に基づく緊急対策と中長期対策について同時に行うということがなければ、今、我々が、老朽化問題について、やはり鉄道施設の維持管理、更新の計画を立てさせなければならない。そういう視野で物事を指導しなければならないと思っていますが、大臣、どうですか。

太田国務大臣 そのとおりだと思います。しっかりその辺は指導をしていかなくてはならないし、していきます。

穀田委員 その決意をしていただいたので了としますけれども、そこでもう一つだけ、ちょっと提起しておきたいのは、全事業者にやはりこの問題、鉄道問題というのは共通する問題ですから、きちんと手を打つ必要があるということであります。

 私は、今、JR北海道を鉄道として再生させる上で、当面する問題についての正しい対処、それは、現状認識をしっかりしながらという問題を前提にしてですけれどもね。だから、今やっていることがほんま大丈夫なのかという問題とあわせて、中長期という問題についての、最低限の、やはり道民に対する責任だと思うんですね。

 同様のことを最後に一つだけ聞きます。

 私は、JR九州についても、鉄道施設の維持管理、更新の計画を立てさせるべきじゃないかと。というのは、JR九州と北海道というのは、この間のそういう安全投資の現状についても、ATSの設置の現状についても、大きなおくれが目立っています。ですから、あえてこの問題についてだけは提起しておきたいと思うんですが、いかがですか。

太田国務大臣 私の方からも、JR九州については、その点に留意してということ、状況を聴取したいというふうに思っています。

 橋梁の塗装などについては、紫外線や雨水等の浸入等を防ぐ膜を数度にわたって塗装するというような重防食塗装が採用されているとか、いろいろ工夫しているというようでありますけれども、再度状況を聴取したいと思います。

穀田委員 終わります。

梶山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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