第8号 平成26年4月8日(火曜日)
平成二十六年四月八日(火曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 梶山 弘志君
理事 赤澤 亮正君 理事 秋元 司君
理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君
理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君
理事 井上 英孝君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 井林 辰憲君
泉原 保二君 岩田 和親君
大西 英男君 勝俣 孝明君
門 博文君 國場幸之助君
佐田玄一郎君 斎藤 洋明君
坂井 学君 桜井 宏君
白須賀貴樹君 関 芳弘君
谷川 弥一君 土井 亨君
中村 裕之君 長坂 康正君
林 幹雄君 原田 憲治君
前田 一男君 宮澤 博行君
務台 俊介君 泉 健太君
後藤 斎君 後藤 祐一君
寺島 義幸君 三日月大造君
岩永 裕貴君 坂元 大輔君
西岡 新君 西野 弘一君
松田 学君 村岡 敏英君
北側 一雄君 佐藤 英道君
杉本かずみ君 穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 高木 毅君
国土交通副大臣 野上浩太郎君
国土交通大臣政務官 土井 亨君
国土交通大臣政務官 中原 八一君
国土交通大臣政務官 坂井 学君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大西 康之君
政府参考人
(国土交通省大臣官房官庁営繕部長) 鈴木 千輝君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 西脇 隆俊君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 花岡 洋文君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 毛利 信二君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 徳山日出男君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 井上 俊之君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 山縣 宣彦君
国土交通委員会専門員 宮部 光君
―――――――――――――
委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 勝俣 孝明君
林 幹雄君 関 芳弘君
寺島 義幸君 後藤 斎君
村岡 敏英君 西野 弘一君
同日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 秋本 真利君
関 芳弘君 林 幹雄君
後藤 斎君 寺島 義幸君
西野 弘一君 村岡 敏英君
―――――――――――――
四月七日
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)
同日
タクシー適正化及び活性化特措法等の一部を改正する法律に基づく厳格な運用並びにその附帯決議に対する履行に関する請願(近藤昭一君紹介)(第五四七号)
同(若井康彦君紹介)(第五四八号)
同(吉川元君紹介)(第五八七号)
同(松本剛明君紹介)(第六五六号)
不要不急の大型開発事業をやめ、防災・老朽化対策を優先することに関する請願(笠井亮君紹介)(第五八六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○梶山委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、土地・建設産業局長毛利信二君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、港湾局長山縣宣彦君及び厚生労働省大臣官房審議官大西康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。
○関委員 おはようございます。兵庫県第三選挙区選出の自由民主党、関芳弘でございます。
本日は、私の地元であります神戸と切っても切り離せない、港湾をめぐる課題につきまして、幅広くお伺いをしてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
近年、港湾をめぐっては、国際競争力の強化という点が非常に重要な論点となっております。その代表選手が、国際海上コンテナ輸送を対象とします国際コンテナ戦略港湾の政策となっているわけでございます。この点、神戸港も国際コンテナ戦略港湾となっておりますので、大臣がお見えになってから伺いたいと考えておりますが、我が国の産業構造やそれを取り巻く環境変化ということをいろいろ考えてまいりまして、決してコンテナ輸送だけが重要ではないということが今は考えられると思います。
具体的に言いますと、ばら積み貨物を安価に輸送することも重要です。コンテナ船だけではなくて、ばら積み貨物船の大型化も急速に進んでいると聞いております。このような中、昨今、港湾法を改正するなど、国際バルク戦略港湾の取り組みが進められているものと認識をいたしております。
東日本大震災以降、化石燃料の輸入が急増しており、日本の貿易収支は、二〇一一年では三十一年ぶりに赤字に転落をいたしました。また、二〇一三年には過去最大となる十一・五兆円もの貿易赤字を記録いたしました。このままでは、日本の所得はますます海外に流出することとなってしまいます。こうした観点からも、エネルギーの安定的かつ安価な供給は喫緊の課題となっております。
加えて、農林水産の成長産業化も我が国において重要な課題でございます。昨年閣議決定されました日本再興戦略におきましては、農業の六次産業の市場規模を現在の一兆円から二〇二〇年に十兆円まで増大させよう、また、農林水産の輸出額を現在の四千五百億円から二〇二〇年には一兆円にするとの目標が掲げられました。
こうした中で、農業の出荷額の約三割を占めます畜産業の競争力強化は重要でございまして、畜産業にとって必要不可欠なトウモロコシなどの飼料原料を安定的かつ安価に確保していくことは大変重要な課題でございます。一方、中国などの穀物需要の増加などに伴いまして、世界の穀物価格が上昇していると聞いております。
私の地元の神戸港も、国際バルク拠点港湾と連携を図りまして、安価で安定的な輸入を実現していくための連携港として位置づけられております。これらの動向に非常に関心を持っているところでございまして、この点についてまずお伺いをさせていただきます。
国際バルク戦略港湾が対象とします石炭やトウモロコシを安価に安定的に輸入していくことは重要な課題となっておりますが、その後、この取り組みは進んでいるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
石炭やトウモロコシなどのほぼ一〇〇%を輸入に依存している我が国におきまして、先生御指摘のとおり、安定的かつ安価に輸入することは大変重要でございます。
このため、国際バルク戦略港湾の選定後、昨年港湾法の改正を行いまして、企業間連携による大型船を活用したばら積み貨物の共同輸送の促進に資する新たな支援措置を創設いたしました。
また、石炭の輸入拠点として国際バルク戦略港湾に選定されました小名浜港におきましては、昨年度に企業間連携による大型船を活用した共同輸送の促進に資する水深十八メーターの国際物流ターミナルの整備に着手いたしまして、改正港湾法に基づく全国初の特定貨物輸入拠点港湾として指定をしたところでございます。
小名浜港におきましては、この大水深ターミナルの整備によりまして、例えばオーストラリアからの石炭の輸入におきまして、輸送船八万トン級から十二万トン級に大型化されることによりまして、石炭の海上輸送コストが約四割削減されると見込まれてございます。
また、同港周辺には世界最新鋭の石炭火力発電所の新設が検討されるなど、地域の雇用や所得の創出に大きく貢献することが期待されております。
一方、北海道、東北地方等の畜産業の競争力の強化に貢献するために、穀物の輸入拠点として国際バルク戦略港湾に選定されました釧路港、これを本年度より企業間連携による大型船を活用した共同輸送の促進に資する水深十四メーターの国際物流ターミナルの整備に着手することとしております。
引き続き、荷主企業や港湾管理者からの要請等を踏まえつつ、地域産業の競争力の強化にも資する資源、エネルギー等の安定的かつ安価な海上輸送ネットワークの形成に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○関委員 ありがとうございます。ぜひ、このような取り組みを今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
ところで、石炭の安価な輸入にかかわる取り組みにつきましては理解が今できたわけでございますが、昨今重要性が高まっておりますLNGの輸入につきまして、船舶の大型化や需要の増加に対応して早急に整備を進めることが必要ではないかということが考えられます。その点につきまして、政府の取り組みをお伺いしたいと思います。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
昨今の電力事情を踏まえますと、LNGの安定的かつ安価な輸入は非常に重要であるというふうに認識しております。
LNGの輸入に係る船舶でございますが、二〇〇〇年ぐらいのときには積載量十三万立方メーター未満の船舶が主力でございました。現在はこれが十四万立米以上から二十万立米未満の船舶が主力となってございまして、最大では積載量二十六万立米の船舶が就航するなど、大型化が進展してございます。
加えまして、我が国におきましてはLNGの輸入が急増していることから、民間事業者と連携しつつ、本年度、福島県の相馬港におきまして水深十四メーターのLNG輸入拠点の整備に着手するなど、必要な港湾機能の確保に努めているところでございます。
引き続き、シェールガス革命、あるいは二〇一五年に予定されておりますパナマ運河の拡張等を踏まえつつ、LNG船のさらなる大型化の進展を注視しつつ、所要の措置を検討してまいりたいと考えております。
○関委員 ありがとうございます。ぜひ、対応が後手後手に回りませんように、よろしくお願いいたします。
では次に、観光立国と港湾との関係をお伺いしてまいります。
政府は、国家戦略としまして観光立国の推進を重要な成長戦略として掲げているところでございますけれども、近年、世界のクルーズ市場が急速に成長しまして、例えば、私の地元、神戸港にはボイジャー・オブ・ザ・シーズが昨年来五回も寄港しました。当日は、市内の商業施設に商品を求める外国人観光客が多数押し寄せました。また、先月中旬に海の女王とも言われますクイーン・エリザベスが初寄港した際には、大勢の市民が見物に訪れたところでございます。
一方、外国人旅行者が日本訪問で実施しました活動動向を調べた調査結果では、第一位が日本食を食べること、第二位がショッピングとなっております。
一度に多くの旅行者が訪れるクルーズ船の寄港は、地域に大きな経済効果をもたらすものと期待しております。このテーマにつきまして質問をさせていただきます。
まず、近年の世界のクルーズマーケットの動向や、我が国へのクルーズ船の寄港の状況とその経済効果につきまして、国土交通省はどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと存じます。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
世界のクルーズ人口は、二〇〇〇年の約一千万人から、十年後の二〇一〇年には二倍の約二千万人に増加しております。また、世界のクルーズマーケットの約八五%は、カジュアルクルーズと言われております一泊一万円程度のクルーズが一般的となっております。
特に、成長が著しいアジアのクルーズマーケットは、今後急成長すると見込まれておりまして、外国の大手クルーズ船社によりますと、二〇二〇年には五百万人にも達するというふうなことも言われてございます。
我が国へのクルーズ船の寄港も、このクルーズ人口の増加に伴いまして増加しておりまして、二〇一二年には、外航クルーズ船は地方の港も含めまして五十港に寄港しておりますし、内航クルーズ船も含めますと九十七港に寄港しております。
また、経済効果についての御質問ですが、三千人乗りの外航クルーズ大型船が寄港した際のアンケートの調査結果によりますと、乗客一人当たりの平均消費額は三万円から四万円程度となっておりまして、一寄港で一億円程度の消費が見込まれているところでございます。
以上です。
○関委員 ありがとうございます。
このような中、韓国などの近隣の諸国は、急成長するこのクルーズマーケットに注目をいたしまして、国家戦略としてクルーズの振興に取り組んでいると聞いております。
クルーズ船の寄港を通じた地域の活性化に取り組みますことは、我が国の成長戦略としましても極めて重要なことだと私は考えております。国土交通省の取り組みにつきまして、詳しくお伺いしたいと思います。
○野上副大臣 先生御指摘のとおり、急速にこのクルーズ船の需要というのが高まっておりますので、これを取り込むことは地域活性化につきまして大変重要な課題となっております。
このため、全国の港湾管理者ですとか地方自治体など九十九団体の長が参加します全国クルーズ活性化会議、これは先生の御地元の神戸市も当然御参加をいただいておりますが、この設立を支援するとともに、同会議と連携をして、外国クルーズ船社と全国の港湾管理者等の商談会を昨年の十二月に沖縄で開催をいたしました。
さらに、本省内に外国クルーズ船社に対するワンストップ窓口を設置いたしまして、CIQ部局との連携など、ソフト面の取り組みなども進めてきているところであります。
また、クルーズ船の寄港の増加ですとか、これは大変大型化してきておりますので、既存の港湾施設の利活用を図りつつ、必要な旅客船ターミナルの整備、これはハード面の強化にも取り組んでいるところであります。
引き続き、関係省庁と連携して、クルーズ船の寄港を通じた地域の活性化に向けて、ハード面、ソフト面、両面から支援してまいりたいというふうに思っております。
○関委員 ありがとうございます。
ぜひ、こうしました取り組みを進めていただきまして、クルーズ船の寄港を通じまして外国の需要を取り込む、そしてそれが地域の経済がよくなることにつながっていくことを期待したいと思います。
次に、港が国際インフラとしまして国内と海外を結んでいることを踏まえまして、視点を国内から海外に向けまして、アベノミクスの成長戦略で打ち出しました三つのアクションプランの一つでございます国際展開戦略につきましてお伺いをしてまいりたいと存じます。
戦後、我が国は、国を挙げて港湾を核とした臨海部の産業立地を促進しました結果、全国津々浦々に産業拠点が形成されました。そして、地域に多くの雇用と所得をもたらしてくれました。これらの産業は、我が国の高度成長期から現在に至るまで日本経済を根幹から支えております。
一方、世界に目を向けましたら、新興国を中心に世界の市場は急速に拡大しまして、この成長市場の獲得に向けまして世界各国が激しい競争を今繰り広げております。
私は、これらの国に対しまして、我が国の港湾開発で培った豊富な知見や技術等を活用しまして支援することができれば、相手国の人々の暮らしが豊かになるとともに、日本企業の受注の拡大にも貢献することができるのではないかと考えておる次第でございます。
そこで伺いたいと思います。
アベノミクスでは、国際展開戦略の実行によりまして、拡大する国際市場を獲得することを目指しております。特に、港湾を中心としました海外展開につきましては、現在、国土交通省が実施しております取り組みはどのようなものか、お聞かせ願いたいと思います。
○野上副大臣 政府では、昨年五月にインフラシステム輸出戦略を策定いたしました。これは六月の日本再興戦略にも位置づけられているわけでありますが、インフラ輸出を二〇一〇年の約十兆円から二〇二〇年には約三十兆円に拡大する、こういう受注目標が設定をされたところであります。
これを踏まえまして、国交省としては、今御指摘のありましたように、臨海部の企業立地ですとか港湾インフラをあわせて開発をした、例えば鹿島港などのああいう知見ですとか技術等を生かしながら、トップセールスも含めて川上から川下まで、川上では案件の発掘や形成等のこと、さらには川下では施設の運営、維持管理や、サービスの対価徴収といったこと、こういうことについて官民が連携した取り組みを進めているというところであります。
具体的には、ミャンマーのティラワ港ですとか、あるいはケニアのモンバサ港におきまして、港湾ターミナル背後の産業立地と一体となった港湾開発への支援ですとか、あるいはモザンビークにおきましては、港湾開発と連携したマスタープランづくりの支援ということも実施をしているところであります。
また、ベトナムにおいては、ラックフェンなんですが、ODAと連携しつつ日本企業とベトナム企業との合弁でターミナル運営を行うことにしましたほか、本年三月に、日本の港湾の技術基準をもとにしましてベトナムの港湾の設計、施工、維持管理に関する新しい国家基準を協力して策定する、このことを目的として国交省とベトナム交通運輸省との間で覚書を締結したところであります。
引き続き、我が国の港湾開発で培った知見ですとか技術等を生かして相手国の経済発展に資するとともに、日本企業の受注の拡大につながるよう、官民が連携した取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。
○関委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
続きまして、少し話をかえたいと思います。港湾の災害対策につきましてお伺いをしたいと思います。
私の地元の神戸港では、平成七年の一月十七日に発生をしました阪神・淡路大震災によりまして、まさに壊滅的な打撃を受けました。そのことが、神戸港の世界の中での地位を低下させることに大きなきっかけをつくってしまったと考えております。この災害対策につきましては何としてもしっかりと進めていかなければならない、そのように考えているところでございます。
三年前の東日本大震災におきましても、地震に加えて津波による甚大な被害が発生いたしました。今後、さらに我が国では、南海トラフの巨大地震や首都直下地震等の発生が懸念されているところでございます。
これらの地震や津波によりまして、我が国の人口、産業が集積しております三大湾の地域に大きな被害が発生するおそれも考えられております。特に南海トラフの巨大地震におきましては極めて広域的な被害が想定されておりまして、対応を誤りますと、まさに国家的な危機に直結するものと懸念がされていると思います。
そこで、まず、南海トラフの巨大地震によりまして神戸港を含む阪神港にどの程度の被害が発生すると予想されているのか、想定されているのかをお聞かせください。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
昨年五月に中央防災会議が発表いたしました我が国全体の被害想定では、マグニチュード八から九クラスの南海トラフ地震の発生確率は今後三十年間に七〇%程度とされておりまして、その際、阪神港では最大震度は六強、最大津波高は神戸市では三から四メーター、大阪市では四から五メーターと発表されております。
これに伴う阪神港の被害内訳は公表されておりませんけれども、我が国全体の被害といたしましては、死者、行方不明者数は最大で三十二万三千人、被害額は最大で約二百二十兆円とされております。
以上です。
○関委員 阪神港におきましても被害が大きく発生するということだと受けとめました。当然のことながら、被害を最小限に食いとめるための対策を講じることが本当に重要になってくるわけでございます。これだけ想定される被害が甚大でありますことから、ハード、ソフト一体となりました対策が必要になるものと思います。
そこで、南海トラフの巨大地震に対しまして、阪神港につきましてハード、ソフト一体となってどのような対策が講じられているのか、伺いたいと存じます。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
阪神港における取り組みですけれども、ハード対策といたしましては、岸壁の耐震化や免震ガントリークレーンの整備、堺市にございます基幹的広域防災拠点の運営、津波、高潮対策等、引き続き着実に進めてまいりたいと思っております。
次に、ソフト対策でございますけれども、本年三月に、国及び関係機関が協働して、大阪湾港湾のBCP、いわゆる事業継続計画ですけれども、これを作成したことに加えまして、昨年の港湾法改正に基づきまして、ことしの一月に、大阪湾においても緊急確保航路を指定して、発災後の航路の確保体制を整備したところでございます。
また、本年三月には、改正港湾法に基づきます大阪湾港湾広域防災協議会を設置いたしまして、平時から災害時の関係行政機関の連携体制を強化することによりまして、非常災害時にも迅速な対応がとれるように取り組んでいるところでございます。
緊急物資等の輸送や産業にかかわる物流を支える港湾機能を維持するために、引き続き、関係機関、都道府県、市町村と連携しながら、ハード、ソフト一体となった防災・減災対策を講じてまいりたいと考えております。
○関委員 ありがとうございます。しっかりと対策を講じていただきたいと思います。
先般の東日本大震災でも経験いたしましたように、災害時において、港湾は、被災した方々の物資の供給などにおきまして極めて重要な役割を果たしたところでございます。このようなことからも、港湾におきましては、防災対策の重要性は論をまたないところでございます。
また、東日本大震災の際には、千葉県のコンビナートにおきましても、製油所のタンクが炎上しまして大きな被害をもたらしました。神戸港におきましても、コンビナートが立地しておりまして、コンビナートの防災も非常に重要であると考えております。
そこでお尋ねしたいのですが、これまでの阪神大震災や東日本大震災の教訓を踏まえまして、港湾におけるコンビナートの防災につきましてどのような対策が取り組まれているのでしょうか。
○中原大臣政務官 委員御指摘のとおり、阪神・淡路大震災におきましては、神戸港のコンビナートの民有護岸が被災し、危険物が漏出したところでございます。また、東日本大震災でも、航路沿いの民有護岸等が被災し、航路に土砂が流出したことで船舶の航行が困難となりました。
このため、昨年の通常国会におきましては、港湾法を改正し、航路沿いの民間保有施設の維持管理状況について港湾管理者が立入検査等を行うことのできる制度を創設したところであり、施設管理者による適切な維持管理を促すこととしております。
さらに、災害時に、特に船舶の交通を確保する必要性があるわけでありますけれども、航路沿いの民有護岸等について民間事業者が改良を行う場合に無利子貸し付けを行う制度を盛り込んだ港湾法の改正案を本通常国会に提出しており、施設の改良を促すこととしております。
一方、資源エネルギー庁におきまして製油所内の耐震化等への対策を講じることとしており、国土交通省といたしましては、資源エネルギー庁における製油所の災害対応力の強化に向けた取り組みと連携し、対策を講じていくこととしております。
引き続き、関係省庁とも連携しつつ、港湾におけるコンビナート防災対策に取り組んでまいります。
○関委員 ありがとうございます。
コンビナートにつきましても、しっかりと対策が進められることを確認させていただきました。国としましても、民間事業者ともお話をしながら、しっかりと対策を進めていただきたいと存じます。
たくさんお伺いしたいことがあるんですが、質問を二つ飛ばさせていただきたいと思います。大臣もお見えになってくださいましたので、重要な国際コンテナ戦略港湾について質問をしてまいりたいと存じます。
かつては世界第一位のコンテナ取扱量を誇っておりました私の地元の神戸港が、今では釜山港などアジア主要港の後塵を拝していることはまことに残念なことでございます。神戸市は、まさに神戸港を核としまして地域全体が発展してきました町でございます。さらには、神戸港は、神戸市の地域のみならず、西日本全体の経済産業インフラとして機能を果たしているとも言えます。
このような中、まずお伺いしたいのは、神戸港がこれまでに果たしてきました歴史的な役割や経緯、それから現在の状況につきましてどのように捉えられているのか、お伺いしたいと存じます。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
神戸港は、開港以来、我が国を代表する港湾として大きく発展し、西日本各地の産業や国民生活に必要な貨物の輸出入を行う広域インフラとして機能してまいりました。
神戸港のコンテナ取扱量ですが、一九七〇年代に世界第一位を記録した後、九〇年代前半までは六位以内を保持しておりました。当時は、取扱量のおおむね四分の一以上が神戸港で積みかえられるいわゆる国際トランシップ貨物でございまして、世界各地に航路網が張りめぐらされた世界有数のハブ港として機能しておったわけでございます。
その後、一九九五年の阪神・淡路大震災によりまして壊滅的な打撃を受け、さらに、アジア主要港の港勢の拡大に伴いまして相対的な地位の低下が進行し、二〇一二年にはコンテナ取扱量で世界第五十二位となってございます。特に北米、欧州等への基幹航路の寄港数が年々減少しておりまして、西日本各地の荷主の利便性、ひいては我が国の産業の国際競争力が大きく低下する等の深刻な事態と認識しております。
○関委員 ありがとうございます。
皆様お聞きのとおり、もう大変厳しい状況に置かれていることがわかります。こういったことは、何も神戸港に限らず、京浜港、阪神港といった我が国の主要港全体に当てはまることでございまして、基幹航路の寄港減少は、我が国の港湾が直面する最大の課題ということになります。
そのような中、阪神港と京浜港を国際コンテナ戦略港湾に選定していただきまして、港湾法も改正し、選択と集中ということで競争力強化に取り組んできており、また、昨年には、国際コンテナ戦略港湾政策の深化と加速ということに取り組まれたとお聞きしております。
梶山国土交通委員長が国土交通副大臣の在任時に国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会を設置していただきまして、みずから座長としまして中間取りまとめをおまとめになるなど、大変御尽力いただいたとお伺いいたしております。
そして今、この国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会でどのような議論がなされたのか、また、今後、国として全体的な施策展開をどのような考え方に基づいて進めているのか、お伺いをしたいと存じます。
○中原大臣政務官 お答えをいたします。
国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会では、委員として、学識経験者、港湾関係業界に加え、港湾管理者、港湾運営会社、荷主にも参画いただいたところであり、委員の皆様からは、我が国への国際基幹航路の寄港の確保、拡大が必要であること、また、国際コンテナ戦略港湾への貨物の集約や港湾背後における貨物需要の創出を図ることが必要であること、また、国が前面に立ってスピード感を持って取り組むべきといった多数の意見をいただいてきました。
こうした議論の結果を踏まえ、最終取りまとめにおきまして、おおむね十年以内に我が国立地企業のサプライ・チェーン・マネジメントに資する多方面、多頻度の直航サービスを充実する等の政策目標を掲げたところでございます。
国土交通省といたしましては、港湾運営会社に対する新たな集貨支援制度の創設などによる集貨、戦略港湾の近傍に立地する倉庫の整備に対する無利子貸付制度の創設などによる創貨、港湾運営会社への国の出資制度の創設などによる競争力強化の三本柱の施策を強力に進めてまいる所存でございます。
○関委員 ありがとうございます。
まさに副大臣みずから国際コンテナ戦略港湾の政策の深化と加速に向けまして先頭に立って取り組まれているということで、大変心強く思っている次第でございます。
しかし一方で、お隣の韓国では、釜山港の競争力強化にまさに国を挙げて取り組んでいるとお聞きしておりまして、この結果、現時点では、釜山港は日本の港のはるか先を走っているという状況でございます。私は、これまで国が港湾運営の前面に立たなかったことが国際競争を行う上で大きな課題であったと考えております。
神戸港では、平成二十三年に神戸港の埠頭公社を株式会社化しまして、同時に、神戸製鋼所の社長も務められました犬伏氏を社長に迎えるとともに、平成二十四年十月には特例港湾運営会社の指定を受けまして、まさに民の視点での港湾運営が始まっているところでございます。国内各地への集貨のための営業や、また東京、大阪でのセミナー開催など、これまで以上に積極的な取り組みが具体化してきております。
私は、国際コンテナ戦略港湾を国策として進めるためには、港湾運営会社への国の出資がぜひとも必要なことだと考えております。国際コンテナ戦略港湾政策の推進委員会におきまして、日本港運協会からも、港湾運営会社への国の出資はぜひ行うべきとの意見も出されていると伺っております。
そこで伺います。
国の出資の意義、必要性につきまして、国としてどのようにお考えになっているのでしょうか。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
近年、コンテナ船の急速な大型化や船会社間の連携の進展等によりまして、北米、欧州に直行するいわゆる基幹航路の寄港地の絞り込みが進んでございます。
また、近隣諸港にコンテナ船寄港コストの面で劣ることから、我が国港湾への基幹航路の寄港の減少に歯どめがかからない状況となっております。これを放置すると、我が国の産業立地競争力が低下するおそれがございます。
こうした中、国土交通省では、基幹航路の維持拡大のため、国際コンテナ戦略港湾政策を深化、加速化することといたしまして、その一環として、国際コンテナ戦略港湾の港湾運営会社に対する国の出資を可能とすることとしております。
委員から御指摘のございました出資の意義と効果についてでございますが、まず、国際コンテナ戦略港湾の港湾運営会社の財務基盤が強化されまして、コンテナ船の寄港コストの低減に資する設備投資の促進が図られることが挙げられます。
また、国、港湾管理者、そして民間事業者の協働体制を構築することで、基幹航路の維持拡大のための全国からの貨物の集約、あるいは海外の船会社誘致のための国際的なセールス活動等に重点的に取り組むことが可能だというふうに考えてございます。
○関委員 ありがとうございます。
まさにオール・ジャパンで取り組むための今回の制度は、国際競争に勝ち抜くための最も大事な要素だと思います。ぜひ、国の出資によりまして基幹航路の維持拡大に向けました取り組みが進むことを期待申し上げたいと思います。
他方、世界の物流をめぐる状況は日々刻々と変化をいたしております。最近では、パナマ運河の拡張や北極海航路の活用などによりまして世界の物流が劇的に変化するとの情報もよく聞くところでございます。
そこで、パナマ運河の拡張や北極海航路の活用の現状につきましてお伺いしたいと思います。また、これらが実際に動き出した場合の日本の物流に与える影響につきましても、国土交通省としてどのように認識をしておられるのか、聞かせてください。
○山縣政府参考人 お答えいたします。
南北アメリカ大陸の結節点に位置しまして太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河では、二〇一五年の完成を目指して拡張工事が進められております。
これまでのパナマ運河は、幅三十三・五メーター、深さ十二・六メーターでございまして、コンテナ船は四千五百TEUクラス、ばら積み貨物船では六万トンから八万トンクラスの船舶しか通航できませんでした。
パナマ運河の拡張後でございますけれども、幅が五十五メーター、それから深さが十八・三メートルとなりまして、コンテナ船では一万四千TEUクラス、ばら積み船では十二万トンクラスの船舶が通航可能となっております。
このパナマ運河の拡張によりまして、例えば、ニューオーリンズなどアメリカ南部のトウモロコシの我が国への輸送ルートに投入されますばら積み船の大型化が図られ、輸送コストの二割削減が可能となるということも言われております。また、従来パナマ運河を通航できずに米国の東側から大西洋回りとなっておりました大型コンテナ船が、拡張後のパナマ運河経由で太平洋回りに変化することが見込まれまして、そうなりますと、日本は北米東岸航路のアジアにおけるファーストポートとしての重要性が高まります。
他方、近年、北極海の海氷が減少しておりまして、通航船舶が増加しているなど、北極海が国際貿易航路として活用される可能性が高まっております。
現在、日本からヨーロッパへの航路はインド洋経由が主流でございまして、その航行距離は約二万一千キロメートルでございますけれども、北極海航路を経由した場合に約一万三千キロメートルとなりまして、約六割に大きく短縮されることになります。輸送距離の短縮によりまして、輸送コストも約四割削減されるとの試算もございます。
さらに、北極海航路が主流となりますと、日本が欧州航路のアジアにおけるファーストポートになるわけでございます。
以上のように、今後、世界の物流を取り巻く環境は劇的に変化することが見込まれておりまして、これに対し、我が国としてもおくれをとることなく、先手をとって戦略的に対応していくことが必要であるというふうに認識しております。
○関委員 ありがとうございます。
まさに、世界の物流が大きく変化していく状況の中で、臨機応変に施策を打ち出していくことが非常に重要だと思いました。
港湾法の改正を初め、我が国港湾の国際競争力強化に向けまして、総合的な取り組みが今まさに大きくギアチェンジをして進められようとしております。
私の地元では、阪神港関係者が一丸となりまして、阪神港の統合港湾運営会社の設立に向けまして懸命に協議を進めております。御案内のとおり、阪神港においても、これまで神戸そして大阪ということで六十年以上にわたって別々に運営を行ってきたのですから、それを統合するということは生半可なことではございません。
それでも、今回の国の出資を初めとする新たな取り組みを、足並みをそろえて、当初平成二十七年中としておりました経営統合の時期を一年前倒しするなど、危機感を持って取り組んでいるところでございます。地元神戸におきましても、今回の国のこの対応には非常に強い期待を持って見ております。
これを踏まえまして、最後に、ぜひ大臣に決意をお伺いしたいと思います。
私は、国際コンテナ戦略港湾政策は国がしっかりとしたリーダーシップをとりまして、国の出資などの施策を直ちに実行に移していくことが重要と考えております。太田大臣の決意を伺って終わりにしたいと思います。
○太田国務大臣 今、議論の中にありました、パナマ運河の拡張、あるいは北極海航路、今は夏場といいますか数カ月しか通れませんけれども、ここはかなり有効なものであり、そして、世界の物流は劇的な変化を迎えようとしているところでもありますし、エネルギーというものをどこから得るかということは極めて重要な世界的課題だというふうに思います。
神戸港の話をずっとされておりましたが、私は本当に、シンガポールや釜山や上海に比べまして、日本の神戸、横浜、大阪、東京、こうしたところが非常に劣後してきている。一九七三年に神戸港は、六十九万TEUで世界第一位、それが今、二〇一二年には五十二位になっている。しかも、八二年のときには四位であった。そして、阪神大震災というのはかなりの打撃であったというふうに思います。
そういう意味では、これから、この阪神港ということを大きく前進させるためには、港湾は歴史的経過とかがありますけれども、それを乗り越えて、危機感というものを持って乗り出していかなくてはいけない。全ては、危機感というものの共有の中で、強い港をつくっていこうという意識の中で、今回、私どもは、国際コンテナ戦略港湾の政策の推進ために港湾法の改正ということも含めてさせていただいているところでございます。
長い論議の中で、集貨、創貨、競争力強化の三本柱の施策を、国が前面に出て、総動員して、ハード、ソフト一体となった政策を推進していくということに強い意識を持って臨みたいというふうに思っているところです。
○関委員 太田大臣、熱い御決意を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。
私は常々申し上げるんですが、国際機関でございますIMDという機関が発表しております日本の国際競争力、二十年前は世界第一位から今はもう二十六、七位まで落ちております。そして、一人当たりのGDPの数値も、世界第三位から今や二十三位まで落ち、国際貿易におけます額も一五・七%から今や八・三%、半分に落ちてきている。日本のこの状況をこれから世界にまたトップに返り咲かせるのは港湾だと思います。
大臣、またよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。
○梶山委員長 次に、後藤斎君。
○後藤(斎)委員 大臣、お疲れさまでございます。
いつもこの委員会で我が党の関係者が大変お世話になっていることを、心から感謝を申し上げたいと思います。この委員会、ちょうど一年ぶりで質問をさせていただきます。
この一年でいろいろな仕組みが、法律の制定も含めて変わってまいりました。特に、昨年の秋から大臣のもとで新しい我が国国土のグランドデザインという議論をする場をつくって、三月の二十八日にその骨格、骨子というものがまとめられました。当初、私、もう少し何となくどきどきするようなものが出てくるのかなというふうに実は思っていたんですが、かなり具体的な施策と関連をして整理されています。
大臣も御案内だと思いますけれども、以前、十一年前に、扇大臣のときに国づくりの百年デザインの提案というのを、これは、当時は有識者ということではなくて、むしろ国交省の若手の役所の皆さん方がいろいろな提案をなさいました。私、こういうイメージかなとちょっと実は思っていたんですが、そうではないんですが、いわゆる時代の潮流をきちっと捉え、課題を整理し、理念を整理し、そして具体的な施策を整理するということは非常に大切なことだと思っています。
ややもすれば、法律や制度というのは、それぞれの局や課が所管をし、有機的な連携というのがなかなか見えにくい部分があるので、私、この国土のグランドデザインをこれからもっと深化し、より具体的なものに大臣はしていくと思うんですが、やはり人口減少というのは、特に都市部と地方とでは全く違いますし、その辺の時代の潮流というのは、人口減の時代に入る、少子化、高齢化のスピードが速いということが、この「時代の潮流」の一番冒頭に記載をしていただいて、これをどう展開するのかというのが、実はまだ骨子を見ただけでは十分その解決の手法というのが見えません。
大臣、このグランドデザインをもっと具体化する中で、今地方が抱えている課題、我が国が全体としている課題、そして、やはり格差というのはできるだけ少なくしていく方がいいに決まっていますから、そういうふうなことも含めて、ぜひ、このグランドデザインというものが大臣のもとできちっと取りまとめられていくことでありますから、国交省で、大きな指針になっていくという前提の中で、改めてこのグランドデザインのこれからの位置づけと、国交省の中の位置づけ、政府の中の位置づけ、そしてさらには、これをどういうふうに具体化していくのか、大臣の御見解を冒頭お伺いしたいというふうに思います。
○太田国務大臣 これまでの国土のグランドデザインというのは、どちらかというと拡張的といいますか、あるいはまた、全国を、東京型の都市をばらまくというのではないといいながらも、同じような意味で均衡ある発展というようなことであったと思います。
しかし、現実には全く逆で、この人口減少社会というのはもう大変な状況になって、地域が消滅の危機にある、コントロールできない。それを単に今までの延長線上の気持ちで、何となく拡大型、そして全体的に右肩上がり、こういうことであってはもう本当に各地域が生きていけない。この中には、分権とか道州制ということも当然あり、エネルギーの制約というものもあるんですが、それぞれの地域が生きていくには、また生活をきちっとしていくにはどうしたらいいか、そうした観点に立っていかなくちゃいけないというふうに思っておりまして、本格的な人口減少社会、そして急速な高齢化、グローバリゼーションの中で、ある意味では、大都市を中心にして、国際経済戦略都市というようなものにもっと高めていかなくてはいけないという課題も一方ではある。
しかも、私は大変危機感を持っていますが、首都直下や、あるいは南海トラフ地震ということは、国を本当に滅ぼす。南海トラフの地震なんかは二百二十兆円の被害というんですから、こんなことを、本当に二百二十兆円の被害のままで終えていたら、これはもう国は成り立たないということにもなる。
こうしたことで、さまざま対応をとらせていただくということの、今回、骨子ということを出させていただいたのは、あえてこういうものを出して、ぼこぼこにされてもいいから、大きくむしろ議論を一緒にしていただくということで、みんなで考えて、この国をどうしていったらいいだろう、各地域をどうしたらいいのかということを、あえて問題提起型に、グランドデザインの骨子というものを他の省庁や政府に先駆けてやらせていただいたということでございます。
この後、この煮詰め、そして具体化、それを法律に落としていったらどういうことになるのか、あるいは、幅広い、これを提起することによって、ほかのエネルギーやあるいは厚生労働、社会保障関係から見たらどうなるのか、財政ということからいったらどういうふうになるのか。いろいろなことを大きく論議を巻き起こしていく中で、法的には、例えばこの国会においては都市再生特別措置法等の改正や地域公共交通活性化法、昨年、民主党政権の時代からずっと議論していただいておりました交通政策基本法というものも、当然これに絡んでくるということで、その具体的な計画も出させて、これは年内に閣議決定まで持っていこうとしております。
そうしたことや、昨年できました国土強靱化基本法というもののもとで、政府全体では五月をめどにして基本計画を策定するということになっておりますが、全てを包含して、またリード役になるような基本計画の骨子というものを、今度のグランドデザインの骨子を出させていただいたものですから、大いに議論をし、そしてまた意見も寄せていただきたい。議員間の議論も、党派を超えて行っていければというふうに思っているところです。
○後藤(斎)委員 ぜひ、大臣がおっしゃったように、提案型という形で国民各層の意見も踏まえて最終盤まで持っていくというお話で安心していますけれども、実は先ほどちょっと触れさせていただきました、当時の扇大臣のもとでおつくりになられた国づくりの百年デザイン、これも実は、将来の国土づくりに関する国民的な議論が喚起されることを期待するという巻頭言があるんですけれども、実はなかなかそれ以降、財政の制約や、また、建設業全体が非常に元気がなくなったということもあって、それが語られることがなくなってしまったというのも現実だと思います。
それで、大臣がおっしゃられたように、法律や既存の制度、また予算も含めて、どういう形で、有機的に、今の課題を、国交省というお立場は大前提ということはありますけれども、やはりやっていただきたいと思いますし、ちょうど先週、関東経産局が、国交省の課題も含めて、関東地域全体の連携で産業競争力を強化するという中の一つに、交通インフラ等の整備の方向という提案をなさっています。そういう意味では、これから具体的に各省ともいろいろな御議論をなさるという前提の中で、やはり国土のグランドデザインというものが、ひいてはそれが国民生活やそれぞれの地域にとってプラスになっていくということが前提にないと、なかなか難しくなってしまうのではないかなというふうに思います。
ちょっと質問の順番を変えさせてもらって恐縮ですけれども、実は去年も大臣に、リニアモーターカーの問題について、提案と御質問をさせていただきました。
当時、新山梨甲府駅も含めて大体こんな感じというイメージの図がJR東海から出され、それ以降、いろいろなアセスを含めて対応をしています。そして、一番私が気になったのは、全部土管になってしまうというのがあって、これがもう既定の事実になりそうであります。特に騒音の問題を考えると、やはり地上の部分でも、いわゆる土管でトンネルを結んでいかなければいけないということであります。
そして、このリニアの問題を今考える際に、地元の説明会を、去年、ことし、いろいろな角度でJR東海や各自治体がやっていますけれども、なかなか総論から各論になってくると、やはり地元の反対論も実は非常に多いです。それを解決するには、一つは、当然、全国新幹線鉄道整備法という法律に基づいて、このリニアの建設もこれから進めていくわけでありますけれども、その際に、全幹法の目的にもありますように、地域の振興に資する、そして第三条にも目的というものが書いてありますけれども、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結する鉄道網の整備を図るという、この二つ、三つの目的というものがやはりきちっと理解をされていかないと、なかなかリニア、アセスが終わると、用地買収にこれから形が、それに具体的に入っていきますけれども、実は山梨の中でも、一部の地域では既に反対運動が起こっています。
そういう意味からすると、これからリニアの問題も、実はこのグランドデザインの中にも入っておりますし、また、先ほどちょっと触れさせていただきました経産省の部分でも、いろいろなそういうアクセスの強化というものがあります。そういうふうに考えると、まずこのリニア中央新幹線を既存の鉄道網とどういうふうに有機的に連携をさせるかということが実は全く今なくて、それと接続の部分というのは全く考えられていません。
あわせて言えば、これも指摘をさせてもらいましたけれども、JR東海一社に一番大きなプロジェクトの一つ、要するに、二十一世紀の中では、ある意味では一番大きなプロジェクトの一つですから、私は、やはり国がもっときちっと関与をすべきだと。これは財源の問題も含めて、少なくともこの全幹法でするのであれば、財政の負担を、国もこの全幹法ではきちっと負担をすることになっています。そういうことをもろもろ考えて地方の理解をきちっと得なければ、二〇二七年という目標を私は前倒ししてほしいということは再三お願いをしていますけれども、そうでなくても、まず前提の地域合意という中で用地買収ができなければ、それがさらにおくれてしまうという可能性もあるわけですから、ぜひ私はこの二つの点について、まず国交省の方に確認をさせていただきたいというふうに思います。
○滝口政府参考人 まず、第一点の、リニア中央新幹線と既存の鉄道網の関係でございます。
言うまでもなく、リニア中央新幹線は、東京、名古屋、大阪という三大都市圏を一時間強で結ぶというものでございまして、こういった大都市圏のみならず、中間駅を含めまして、人の流れを劇的に変えるものであるというふうに考えております。このようなリニア中央新幹線の整備効果を十分に発揮させるためには、委員御指摘のとおり、中間駅を含めて、各駅へのアクセスの強化を図っていくということが非常に重要であるというふうに考えております。
一方、中間駅へのアクセスにつきましては、設置される位置や既存の交通ネットワークの状況も念頭に置いて、地元自治体が個々の事情を踏まえて検討することが非常に重要だろうと思っております。例えば、山梨県の場合でございますが、中央自動車道との連携を重視するということが一つのポイントだったというふうに聞いておりますが、現在の中央自動車道の南側に駅が置かれるといったようなことに実はなっております。
一方、鉄道との関係では、最寄りの甲府駅までは約八キロぐらいの位置になるというふうに考えておりますが、山梨県のアクセスあるいはまちづくりの検討の中では、甲府駅までにつきましてはBRTの整備などについて検討を進めていこうではないか、こういったような提案がなされておるというふうに伺っております。それぞれの地域におきまして、地域振興を念頭に置きながら、それぞれの実情に応じたアクセスを検討していただきたいというふうに考えております。
それからもう一点、建設主体の問題でございますが、これは昨年も委員から御指摘をいただいたところでございます。
今回の中央リニア新幹線の建設指示に当たりましては、建設主体をJR東海ということにしたところでございますが、これは、まずもって、JR東海が自己の負担で整備をする意思というものを表明したということが大きなポイントとなっているわけでございます。これを踏まえて、技術力であるとか、あるいは既存の東海道新幹線との関係であるとか、そういったものを踏まえてJR東海というものが建設主体となったところでございますので、この考え方は維持をしてまいりたいと思っております。
一方で、委員御指摘のように、円滑な建設を進めるためには、地元の協力というものは不可欠だろうというふうに思っております。環境問題を初め諸々の問題につきまして、JR東海に対しまして、地元との連携を図っていくように指導しているところでございます。
○後藤(斎)委員 今局長がお答えいただいたように、地元の高速道路も含めた連結をすることについては、地元の発意の中で議論をし進めているというお話でありました。
大臣、一つ、一番私が最近気になるのは、環境アセスの中でも、いろいろな騒音問題を含めて、各自治体からJR東海の方に意見書が出されています。それの精査を鉄道局の方でなさるというふうに承知をしていますけれども、昔でいえば、電力も、五十ヘルツ、六十ヘルツの壁がいまだにあり、そして、旧来の在来線と新幹線の部分で、鉄道でも今二つの基準が大きく分けてある。線路の幅も広いか狭いかということで対応がなされ、そしてもう一つ、今度はリニアという新しいものが入るという形で、これを鉄道政策、鉄道行政の中でどういうふうな位置づけにするかというのは、この国土のグランドデザインの中には、その点は詳細には現時点では語られておりませんけれども、これからのリニアというものを、将来、これは二〇五〇年に向けてのグランドデザインですから、やはりそういう中に、リニアというものはJR東海という部分で、例えば閉じた世界でなっていくのか、それとも、ほかのJR東や西日本や九州や、そういうところにもいずれの時点でリニアという形の新幹線が走っていくのか。
それはやはり、今、本格的に建設がスタートをし、少なくとも建設主体はJR東海ということをお決めになったわけですから、そういう部分で進むことは、私は、当然、できるだけ早く安全につくられてほしいというふうに願う一人なんですが、その基本的な部分をもう少し、国交省の中また政府全体できちっと御議論をしていく必要があると思うんです。
ある方によると、五十、六十ヘルツの次に四十ヘルツの新しい新幹線をつくるみたいなことをおっしゃっている方もいらっしゃいますけれども、そういう分散ではなくて、やはり大臣が先ほどおっしゃられたように、これから人口を前提にするというのは余り考えたくない部分でありますけれども、そういう部分が仮にこのグランドデザインの大前提であるとすれば、そこをもっと底上げしていくということを、先ほど局長がお答えになったように、東京圏と名古屋圏と大阪圏、圏では確かに全て包含をしますけれども、やはりそれは、主要都市を結ぶだけの手段ということがどうしても強調され過ぎると思うんです。
そういう意味で、国として、政府として、きちっと今まで以上に関与していただく、そして地域の方にとっても、やはり国の関与というのは、もちろん、関与し過ぎるとJR東海も嫌がるかもしれませんけれども、先ほども大臣がお話をしたように、地元の理解を得られていく。リニア中央新幹線が、これから鉄道行政の中で将来的にわたってどういう位置づけになるかも含めて、やはり、きちっと精査と議論をもう一度、本格的な工事までまだ若干時間がありますから、地元の皆さん方の合意形成、特に土地収用という部分ではたくさんの地権者の方に合意形成をしなければいけませんから、そういう部分も含めて、もう一度、大臣の御意思と、そして、地域の振興ということについては、全幹法にあるような趣旨は最大限体していくんだという御見解を、ぜひこの場でお述べになっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 前段のお話は、全く私もそう思っておりまして、ある意味では、経過の中で、JR東海がこれを推進するということについて、国民あるいは国会でも認めたということだと思います。
それはそれで結構なんですが、おっしゃるとおり、これが日本の国土づくり、あるいは日本国というものを世界にどう発信するかということにもかかわってくるということからいきますと、これは新幹線が通ったときもそうでしたが、反対運動が相当あって、そんなものは要らないんだというようなことを言っていましたが、新幹線とは一体何であるかということを歴史的にも振り返って判断する中で、もう一度、リニアとは一体何であるかという思想性と考え方というものを、強い骨格がなければこの大きな事業というのは推進できないなというふうに私は思います。
そういう意味では、このリニア新幹線をJR東海がやるということは、それはそれで、やっていただくということを経過の中でもしっかり認めながらも、それを包含する思想的考え方、そしてまた地域全体がそれを支えなくてはいけないということ、そして、私は、国民にとってリニア新幹線とは何であるかということを明確にすることが大事だと。後藤先生がおっしゃるように、そこは国土交通省がかかわっていくということが大事だというふうに思います。
あわせて、今度はやる中で、我が国におけるリニアとは何かということと同時に、我が地域において、また、ここに住んでいる私にとってのリニアとは何であるかということを、これは具体的な、あれも心配、これも心配ということがあるのは事実でしょう。私も、後藤先生とここで向かっていると、もう土管というのが、本当にいまだに、いつも会うたびに、黒い土管という、少しでもこれは黒くなくて風景と合ったような、どこまで技術的にできるかというようなことを含めての合意というものが必要だというふうに私は思って、JR東海に会うたびに土管という言葉を使いながらも話をし、今回、環境評価ということについても、もっともっと丁寧に、一人一人のさまざまな不安というものをないがしろにしないで、自治体の不安、そして一人一人の住んでいる人の不安というものを、丁寧に、説得力を持ってお話をしていって、また、直すべきものは直さなくちゃいけないということが大事なことだというふうに思っています。
きょう御指摘のあったことは、私は同じ考え方でありますものですから、さらにこの辺は、全体的な国土の形成の中でのしっかりした骨格と、そして地域の人から見た対応、そして、山梨なら山梨は、今までとは劇的に変わるリニアというものを、駅もあって迎えるというところからいきますと、この優位性をどういうふうに、山梨県全体の、また住んでいる人にも喜びで迎えられるようなものにするかということの議論と、そして説得力、納得、こういうものを得られるように私たちも努力をしなくてはいけないということを強く思っているところです。
○後藤(斎)委員 大臣が今細かく御指摘というか御答弁いただいたように、本当に不安というものは、確かに一部ございます。
私も、繰り返し発言をさせていただいていますけれども、できるだけ早く、山梨という地域だけではなくて、日本全体がこのリニアという技術と実用化を通じてもっと元気になってもらいたいということですから、そのまず前提である地域の方の不安というものはやはり丁寧に解消してもらいますように、ぜひ、心から重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
先ほど鉄道局長が若干触れていただいたように、山梨だけではありませんで、やはり、日本がこれから、このグランドデザインの中にも入っていますけれども、日本海、太平洋の二面活用型国土というのが一つの切り口になっています。そういう意味では、太平洋と日本海の連携ということが、災害を考えた場合でも、非常に位置づけが従来よりも強くなっていると思います。
そういう意味で、昨年も大臣に御確認をさせていただきましたけれども、今まで、縦軸の高速道路網というのはなかなか少なかったです。そういう意味で、今、建設途上になっております中部横断自動車道についても、いわゆる南側の地域はことしも新直轄の部分で三百九億円の予算を計上していただいて、二十九年度に向けてきちっと進んでおりますけれども、日本海とつなげていくということを考えますと、今度は北部区間がどうなるのかということも非常に大きな課題になってくると思います。
この二つの、南部区間、北部区間について、現状について、ぜひ、南部区間については特に二十九年まで確実に整備をしていただきたいという部分と、そして、北部区間については今後どのような形で進んでいくのか、あわせてお答えをいただきたいというふうに思います。
○徳山政府参考人 中部横断自動車道について御質問いただきました。
先生おっしゃるとおり、広い意味では太平洋側と日本海側の連携を強化する、あるいは災害時にも大変な期待がある重要な道路でございます。
南側区間でございますけれども、この区間は中央道と東名、新東名をつなぐ重要な区間でありまして、現在、国及び中日本高速道路株式会社におきまして、平成二十九年度までの開通を目標に、橋やトンネルの工事を進めているところでございます。引き続き、地元の御協力を得ながら、早期開通に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
また、北の区間、これは長坂―八千穂間と申しまして、長野県と山梨県の県境に当たる区間でございます。平成二十二年の十二月から、おおむねのルートを決めるための計画段階評価の手続を実施しておるところでございます。
このうち、まず長野県側のルートにつきましては、平成二十四年十月四日に社会資本整備審議会道路分科会の関東地方小委員会を開催いたしまして、こちらの意見を踏まえまして、ルートがおおむね取りまとまったというところでございます。
一方、山梨県側につきましては、清里高原を通過するルートについて反対意見がございましたことから、同日の小委員会におきましては結論を得るに至りませんでした。結局、ワーキンググループを設置するとともに、これまでのルート案にかかわらず、清里高原の南側のルートを含めまして、地域と丁寧なコミュニケーションを行っていく必要があるとの指摘をいただいたところでございます。
これを踏まえまして、ワーキンググループを三回開催いたしました。また、北杜市によりまして、北杜市中部横断自動車道活用検討委員会を五回開催いただきました。地元関係団体との直接の意見交換を行うなど、地域の意見集約を進めてきたところでございます。
今後は、山梨県や北杜市と連携をして、ルート案に対する意見の集約を図りながら、早期にルートを決定してまいりたいと考えております。
○後藤(斎)委員 今、局長が御答弁いただいたように、ある意味では、この北部区間については、もう四年以上、計画段階評価から議論が進められております。いろいろな地域の事情説明も、北杜市を中心にしているというのは私も承知をしているんですが、そろそろ一つの結論を出す時期に差しかかっているのかなと。これも、いろいろな多様な意見がありますけれども、やはり遅くすれば遅くするほど、また議論が拡散するということもありますから、大きな課題というものは、当然、決定をした以降の部分でも、それを是正する手段というものは幾つもあると思うので、南部区間が二十九年度目途ということは以前からお答えをいただいていますけれども、北部区間についても、連結をしないとこれは意味がないということも当然のことなので、ぜひ早目の意思決定をお願いしたいということであります。
これも先ほど鉄道局長が若干触れていただいたように、もう一点、今、二十九年に、中部横断道の少なくとも南部区間が山梨県の部分を通って新東名につながっていくという話であります。
あわせて、リニア新甲府駅のすぐ北側の方に中央道が走っています。中央道の部分にスマートインターをつくって、地域によりプラスになる。その時期はできるだけ、地元の方からは、中部横断道の少なくとも南部区間がきちっと通る平成二十九年度を目途に完成をしてほしいという要望も実はあります。
そういう意味で、地元合意形成が最終盤まで詰まっていないということは承知の上なんですが、先ほども、リニアという国家プロジェクトを、特に明かり区間がほとんどである山梨の人たちの理解を得るためにも、ぜひこのスマートインターの部分は早期にやはり意思決定をしていただきたいというふうに考えておりますけれども、国交省はどのようなお考えでしょうか。
○徳山政府参考人 スマートインターチェンジにつきましては、既存の高速道路の有効活用あるいは地域の活性化に大変重要な施策でございまして、平成二十五年度末時点で七十カ所で開通済み、なお五十九カ所で事業中となっております。
御指摘の甲府中央スマートインターチェンジにつきましては、昨年十二月に、地元の甲府市や山梨県、国、高速道路会社等によりまして地区協議会を設立しております。国交省も参加、協力をさせていただいておりまして、現在、計画の具体化が進められているところでございます。
一方で、これまでスマートインターチェンジの整備で活用してまいりました利便増進事業の財源がなくなりますために、これにかわる補助制度の創設を含む道路法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいております。今後、本法案につきまして国会の御審議をいただくわけでございますけれども、お許しをいただければ、この制度を活用して、引き続き、スマートインターチェンジの整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○後藤(斎)委員 今お答えをいただいたように、これからの道路法の改正の部分にも当然関係するということは承知をしています。
別途、私、最近非常に気になっているのは、この一年余りで公共事業というのが復興事業も含めて非常に増大をし、あわせて東京五輪というものが正式に決定をし、いろいろな工夫をしながら、現場の入札がうまくいって事業が執行できるようにという工夫はしていただいているのはわかるんですが、やはり、人件費や資材費が高騰し過ぎて、ある意味では、公共事業の場合でいえば、人件費、労務単価や資材単価というものが、若干タイムラグがあるかもしれませんが、反映される仕組みになっていますけれども、そのあおりを受けて、民間の資材、人件費も当然大きく上がっています。この一週間ほどでは、特に人手不足というところに対応するために、外国人労働者の方の受け入れをお考えになっているというふうなお話を聞いています。
ただ、私、これは緊急避難的、緊急措置だということではありますけれども、もっと本質的に、なぜ今、この間、建設業という部分に携わる方が人材的に減り、そして一方で、円安ということもあるんでしょうけれども、資材が上がったか、この二つを上手に工夫していかなければ、先ほどちょっと具体論でお話をさせていただいた、あらゆる公共事業、民間事業も含めて、やはりコスト増というところにどこまで耐えられていくのかということが、大臣、本当に問われていると思うんです。
確かに、たくさんの売り上げは伸びているものの、本当にその会社にとって利益になっているのか。あわせて、労務単価は引き上げたものの、やはり入札という行為をして競争するわけですから、結局、競争し過ぎたことで、不落ということもありますけれども、事業額が抑えられていくという、当然これは仕組みとしてあります。それを、どういうふうに今の実際の仕事をやり遂げるかということと、中長期にわたってそれをどういうふうに、人という人材の部分と、あわせて民間というものを考えた場合、どういうふうに資材の問題も対応していくのか。
あわせて、これはグランドデザインの中には、まだ細かくは書いてありませんけれども、やはり建設業というものをどういうふうに、地域では確かに、私の地元もそうですけれども、非常に大きなというか、主要産業の一つでもあります。グランドデザインを実施されるためには、人や機材がなければそれは達成できませんから、それをどういうふうに位置づけるのかということも含めて大臣がどのようにお考えになっているのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○太田国務大臣 これも非常に大きな問題で、私の中には、二〇五〇年の国土グランドデザインというものを考える中に、実は、それを担う人材というものが一体どうなっていくのかといいますと、だんだんだんだん、この業界に限らず、運転をする人もそうですし、自動車の整備工もそうですし、機械を扱うという人もそうですし、電気ということで、今も、例えば原発なら原発で必死に汚染水対策やさまざま対応するという現場の人、こういうところに若い人がこれから入らなくなってきている。しかも、工業高校はなくなっている、そして大学もそういうものはないということになってくると、一体どうなんだろうと。
ホワイトカラーの若者というのは多い、あるいはサービス業に従事するのは多い。しかし、体を使って、おてんとうさまのもとで働いていくという、この現場力の強さが日本の強さであったんですが、それが構造的になかなか展望が見えないという、ここのところに手を打つということが極めて重要だというふうに思っています。
そして、この一年間、私は国土交通行政を担当してきましたけれども、建設業界については、これほど疲弊しているのかというような思いでした。それは、ある意味では、瀕死状態とは言いませんけれども、少なくとも入院しているぐらいの感じで、それを治して普通に働いていけるというようなところまで、業界といえば戻していくということが、この一年間、私の課題でもありましたし、また、東北の復興ということに全力を挙げる。そして、南海トラフや巨大地震に対してどうするかという、防災ということを強化しなくてはならないということもある。それに加えて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが決定した。
うれしいことではあるし、やらなくてはならないことであるんですけれども、そうしたことを、入札不調というものをできるだけ抑えながらどういうふうに推進していくかということで、現実には、この一年有余、私は、入札不調や資材の高騰、人材不足、こうしたことに対して、労務単価の引き上げを初めとして、きめ細かな手を打ってきたつもりでありますけれども、なおここは、長期的には私は本当に問題意識を持っている上に、直近の課題についても、そうした、しっかり執行できるようにということを、本当にこれは真剣に取り組んできているところです。
予算ということとアベノミクスの関連でいっても、執行がちゃんとできるかどうかというのは大事でありますものですから、それについても機敏に反応できるということをやってきましたが、なおかつ、そうした観点で事態を注視して努力をしたいというふうに思っているところです。
○後藤(斎)委員 大臣、一昨日の報道でも、「五輪競技場の整備費倍増」という報道が載っていました。当時の東京都の招致委員会が昨年の一月のIOCに提出した開催計画というのでは、国立競技場を初め、建てかえの部分で一千五百三十八億という見込みが、少なくとも一千億増加をする、さらには、いろいろなもろもろの消費税も含めた部分で三千八百億、約二倍まで五輪施設の整備がかかってしまうと。
これだと、道路が一キロつくれるものが五百メートルしかつくれなくなるというのと同じですから、ぜひ大臣、こういうことをもろもろ、資材というのは輸入するものもありますし、国産でつくるものも当然あると思います。そういう資材のきちっとした生産体制の問題も含めて、あわせて、何よりも若い人たちが建設業という中に入ってこられるような、これは高等学校教育や大学教育も含めてだと思いますし、あわせて、働く環境、特に、当然、誰でも生活するために仕事をするという裏返しの部分もありますから、そこできちっとした生活できる所得が取れるという、もろもろの課題が本当にたくさんあると思います。
それについては、大臣がお答えいただいたように、その点も含めて、中長期の視点から担い手確保、育成に努めるというふうなことも、国内人材の確保のパッケージであるようでありますから、そういう点については、ぜひ今後詰める段階で、今御指摘したことも含めて対応していただくことを御要請し、時間が来ましたから、質問を終わります。
ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、西岡新君。
○西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。
きょうは、改正耐震改修促進法の施行の状況について幾つかお尋ねをしたいと思います。
昨年の通常国会で同法律が成立して、十一月二十五日に施行されたわけでございますけれども、この改正法によって、不特定多数が利用する五千平米以上の大規模建築物、要緊急安全確認大規模建築物について、耐震診断の義務づけがなされましたが、この耐震診断の周知活動の状況というのはどのようになっておりますでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
所有者の方々に行政庁の方から、あなたの建物は対象になりますよということをお知らせしていただくというのが、この制度の基本ということになります。
一方で、どういう建物が本当に対象になるかというのは、増築をされておりましたり、あるいは複合ビルで、旅館の用途の面積がどのぐらいあるか、こんなことも調べなきゃいかぬ、こういう事情もございまして、作業に少し時間がかかってございますが、一月十五日現在で、自治体数という単位でございますけれども、八割の所管行政庁において、所有者の方々に、あなたの建物は診断の対象であるということを御通知しているところでございます。
今後とも、引き続き、できるだけ早く周知していただくように、まだ残りのところがどのぐらいになっているかということは今調べているところでございますけれども、努めてまいりたいと思います。
○西岡委員 この耐震診断の報告期限というのは平成二十七年末ということでありますけれども、昨年この法律を審議させていただいた際にも、既に、先ほどおっしゃられたように、都道府県の担当の部長とか課長とかとお話をされていらっしゃるというような答弁があったと記憶しておりますけれども、この制度を見ると、国の補助というのは比較的充実していると思いますけれども、やはり地方公共団体による支援制度が重要となってくると思います。
地方公共団体の支援制度の制度化というのは、地方議会での決議が必要なわけでございますから、十一月末の施行後、十二月議会、そしてことしに入って二月、三月議会というのがあるかと思いますけれども、その結果、全国での地方公共団体によるこの支援制度の制度化についてはどのような状況になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘をいただきましたように、この耐震診断の義務化に伴いまして、国の予算制度は大幅拡充を図ってございます。従来より補助率を上げるとともに、場合によっては国だけの補助も可能とするような措置をしたところでございます。
一方で、所有者の方々の負担を本当に減らしていくためには、公共団体にできるだけ充実した補助制度をつくっていただくということが肝要でございまして、このため、今御指摘もございましたように、全国に職員を派遣しまして、ブロック別の課長会議、これは八ブロック、五回開催をしておりますけれども、そこにおいて要請をするでありますとか、あるいは個別の、都道府県、市町村の首長への、幹部への要望ということもさせていただいております。
実は、昨年の当初、旅館、ホテルに限ってでございますけれども、耐震診断の補助制度は十二都道府県、それから十政令市、市町村はちょっと細かくなりますのでまだ調べ切れておりませんが、こういう状況でございましたが、今年度の当初予算の状況で、四十七都道府県、十八政令市において診断の補助制度は確立をしていただいております。
なお、政令市が二つ抜けておりますが、これは管内に対象建築物がない等の理由でございますので、少なくとも都道府県、政令市については、耐震診断は全て一応補助制度をつくっていただいたというところまで行ってございます。
あと、市町村は、場合によっては、件数が少ないので所有者の方の意向を確認してから予算を組むというようなところもございますが、漏れがないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○西岡委員 ありがとうございます。
診断については各地方も理解をいただいているようでありますけれども、やはりこれは耐震化しないと意味がないわけであって、診断の結果、耐震改修工事が必要となった場合は、診断よりもより多くの費用がかかってくることが考えられますし、地方公共団体による耐震改修における支援制度の創設というのが、やはり働きかけが何より重要になってくるというふうに思っております。
もちろん、地域によって、それぞれの背景とか事情が異なることもありますし、施策の優先順位や支援の制度化の判断というのは地域の自主性に委ねるべきであろうというふうに思いますけれども、地方公共団体による耐震改修の支援制度の制度化ということについては、今現在どのような状況になっていますでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
耐震診断がこの問題の入り口であるとすれば、耐震改修の方は、これは費用的には非常に多額になるケースもございますので、ある意味では、効果をあらしめるためにはここまで行かなければいけないということでございまして、御指摘もそういう趣旨で、ちゃんと診断、改修まで補助するようになっているかどうかということなんだと思います。
改修につきましては、今の数字で申しますと、二十五年当初、旅館、ホテルに関して、五都道府県、七政令市で制度がございました。二十六年度当初は、十五都道府県、十二政令市で制度を確立していただいております。
診断に比べますと少し少ないのですが、実はこれも、管内で診断をしてみて、そしてバツが出て、では本当に改修をするのかどうかということをちゃんと確認してから補助制度をつくりたいというところが非常に多いというふうに報告を受けております。これからも、きめ細やかに公共団体と連携を図って、制度の確立をしていただくようにお願いしてまいりたいと思います。
○西岡委員 ありがとうございます。
改修に関してはこれからということでありますし、改修工事が必要になれば、国及び地方公共団体の補助を受ける場合に、この補助制度が決定していない段階で、例えば診断の結果、耐震補強が必要な場合にみずからやった場合に、国のみの補助になるということでありますし、後から地方公共団体が補助制度、支援制度をつくっても、遡及効果もないというわけでありますから、なるべく速やかにこういった作業に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
それと、ちょっと通告はしていないんですけれども、診断結果の公表について、これは所管行政庁に任せられておりますけれども、この公表時期については、所管行政庁からの反応といいますか、国交省はどのような形で指導しているのかというのをお聞かせいただければと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
この公表の時期につきましては、昨年の法改正案の御審議のときにも、いろいろと御指摘を頂戴したところでございます。
結果としては、公共団体、所管行政庁が診断結果を受け取っても直ちに公表するということはしなくていい、ある意味の公平性担保のために、早くやった方が早く公表されるというようなことがないように、用途ごとに整理をして出していただくというような形をとれるようにしてございまして、公共団体の方でいつごろ公表するということは、診断結果もまだまだ出そろっておりませんので、これからの状況でございますけれども、そこのところは、御審議の趣旨も踏まえて丁寧に対応していただくようにお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
○西岡委員 ありがとうございます。
この公表の時期というのは、やはり旅館、ホテルなどの、こうした営業を営むところにとっては非常に死活問題にもかかわってきますので、また引き続き、いろいろ議論をさせていただければと思います。
平成七年の阪神・淡路大震災や平成十六年の中越地震によって、平成十七年に耐震改修促進法ができて、これは平成二十七年度までに耐震化を九割に図っていこうというような法律であったかと思いますけれども、これは主に建物の倒壊による被害を問題としているというふうに思っております。
東日本大震災において、建物倒壊における人的被害というのは、これは国交省はどういうふうに把握しているのか。また、今後発生が予想される南海トラフ地震においては、建物倒壊による人的被害についての予測というのはどのように予測しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、東日本大震災でございますけれども、これはちょっと時点が異なるのでございますが、最新の死者数の情報、三月十一日現在で一万五千八百八十四名ということになってございます。
一年ほど前になるのですが、岩手、宮城、福島三県で死因の分析をした警察庁の資料がございまして、これによりますと、溺死が一万四千三百八人、九〇・六%、圧死・損壊死・その他、これが六百六十七人、四・二%という内訳になってございます。
圧死・損壊死・その他については、建物倒壊だけではなくて、例えば津波によって倒されたような場合も含めて、さまざまなものが含まれると思いますけれども、内陸市町村で住家被害が相当発生しておりますので、建物倒壊の被害というのも、この内数にはなると思いますけれども、相当程度に上っているのではないかというふうに思っております。
また、南海トラフ地震における建物倒壊による死者については、中央防災会議のワーキンググループが二十四年の八月二十九日に被害想定を発表しておりまして、これは想定の幅がございますけれども、震源が海側の基本的な位置での地震動ということで夏の昼の場合、これが一万七千人でございます。それから、震源が陸側の地震動で冬の深夜の場合、これが一番最多でございますけれども、八万二千人、こういった建物倒壊による死者数が予想されているところでございます。
○西岡委員 ありがとうございます。
東日本大震災においては、やはり津波が大きな被害の要因であったというふうなことでありました。今後の南海トラフにおいても、建物の耐震化ももちろんなんですけれども、津波の対策ということもあって、地域それぞれによってやはり異なってくるというふうに思っております。その点に対しても、しっかり地域性の違いを見ながら、この法律を進めていっていただきたいというふうに思っております。
次に、耐震の義務化の対象になる建物は全国でおよそ四千件というような話でございました。地域によっては、適切な耐震診断を実施できるコンサルタントが不足しているというところもございまして、さらに改修まで考えると、先ほど来よりお話がありましたが、人員の確保というのは非常に厳しい状況でもありますし、先週安倍政権が、外国人労働者の受け入れというようなことも話がありました。これは二〇二〇年までの限定措置として、技能実習修了者に別の在留資格を与えてプラス三年というような報道がありましたけれども、東日本大震災からの復旧復興や、しかも東京オリンピック・パラリンピックという準備もございます。
そういった中にあって、耐震診断や改修に当たって、果たして十分な人員の確保が可能なのであろうか。しかも、人件費や資材の高騰も考えられますけれども、そうした影響について国交省はどのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、耐震診断、こちらの方は、専門の技術者がどれだけいるかということに尽きるんだと思います。今回の対象がおおむね四千棟。過去、公共団体が補助し、あるいはみずから実施したもののデータがございますけれども、二十一年度には、学校中心ですが、六千六百棟の診断をした実績がございまして、総数では足りているのではないかなというふうに思っておりますし、また、新たに資格といいますか、能力を身につけていただくための講習もやっておりまして、昨年、約二千人が受講していただいたというようなことでございます。
御指摘のような地域偏在につきましては、よその地域の事務所に頼むということも多々あるとは聞いておりますけれども、そういうことがないように、できるだけ私どもの方でも状況把握をして対応してまいりたいというふうに思っております。
次に、資材でございますけれども、耐震改修の場合はそれほど多くの資材を要しませんので、資材についてはそれほど心配することはないのではないかというふうに思っております。
問題は、人員の確保でございまして、これは建設業全体の問題として、公共事業におきます設計労務単価の引き上げなどを行ってきたところでございますけれども、耐震改修の工事をやはりやりやすくする、できるだけ経済的にバックアップをするということが最終的には一番のポイントになるのではないかというふうに思っております。
そういう意味で、先ほど御指摘いただきました改修の補助制度の充実、それから、事例集のようなものをつくっておりまして、できるだけ合理的な改修方法を選んでいただく、これも大事なことだと思いますので、そういう情報提供もしっかり行ってまいりたいというふうに思っております。
○西岡委員 ありがとうございます。
私の地元の愛媛県で、耐震診断の義務化の対象施設の一つである、愛媛県市町村職員共済組合が運営する、えひめ共済会館という施設があります。ここは、平成十三年に発生した芸予地震を受けて、平成十八年にみずからが率先して耐震診断を約五百万ほどの費用をかけて行った。それで強化不足がわかって、その後、耐震改修も引き続き行って、これは約三億の費用がかかったということでありました。
ここに先般訪問させていただいて、診断から改修工事まで、いろいろな話を聞かせていただきましたけれども、改修工事後は、よく言われるかもしれませんが、耐震補強のために、筋交いというか、ああいったものをつけることによって、もともとこの場所は松山城を見渡すことができる部屋、客室というのを売りにしておったわけでございますけれども、そこの眺望が悪くなっただとか、そういった筋交い装置をつけることによって、部屋のスペースが狭くなったり、ツインをシングルルームにしなくちゃいけなくなったり、しかも、これは全体で五部屋分減ったというような話がございました。
そういった話をお聞きしている中で一番驚いたのは、平成十八年に診断を開始して、改修が終えるまで約四年間かかったということでありました。診断における建築士の確保だとか、一般競争入札をしましたから、それの準備だとか、工期の期間だとか、一年先までの宿泊の予約というものもございましたから、その間の代替施設の確保だとか、営業をどうするか等々あって、想定よりも長く時間がかかってしまったということでありました。
こうしたところは、市町村職員の共済組合ということで後ろ盾があるというようなものでありますけれども、これが民間業者が営む旅館やホテルということになりますと、なかなか同じようなことにはならないというふうに思っておりまして、耐震改修でお金をかけていいものになるのであれば、それは投資する価値はあるのでありましょうが、眺望が悪くなったり、部屋を潰したり、スペースの問題もあったり、観光を目的とした宿泊施設では、施設の価値が下がってしまうという側面もあります。松山の道後温泉も、ことしで道後温泉本館が改築百二十周年を迎えるわけでございますけれども、個々の旅館業を営む方々からも、こういった懸念の声を聞かされておるのであります。
平成二十七年末までに、あと二年もありませんけれども、耐震診断、改修に対する国の支援は、基本的には地方公共団体の支援に乗っかる形であると思いますし、各地方公共団体における支援制度の状況はさまざまであって全国一律ではありませんけれども、全国一律に平成二十七年末までの耐震診断を求めることは、やはり法の趣旨からしてもやむを得ないとしても、この公表時期については、地域の状況に応じた柔軟な対応が容認されるべきではなかろうかというふうに思っておりますが、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 観光ということを主眼にする旅館、ホテル、道後なんかもそうですが、そこでいろいろ改築をしていかなくてはならないという課題もあろうというふうに思いますね。昔は畳で全部寝ていたりしたのに、最近は、足が、何というんですか、普通の畳だけじゃない、掘りごたつのようにしなくちゃいけないとか、いろいろな時代に沿っての対応というのはあるし、私は技術屋の端くれとして申し上げると、いろいろなやり方が、耐震でも工法というのは物すごくあるわけですね。その辺は十分よく現場と実情に合わせて、我々としては対応したい。
耐震改修をすれば価値が上がるということは間違いないというふうに私は思っています。ただ、そこに至ることについては、予算のこと、いろいろなことでなかなか大変なこともあるということをよく理解しておりますので、昨年、改正法案の審議でもいただいておりますけれども、公表を初めとして、硬直的な対応とならないように、さらに配慮したいというふうに思っています。
○西岡委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
○梶山委員長 次に、西野弘一君。
○西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。
まず、先ほども議論がありましたけれども、公共事業における労務単価について質問させていただきたいと思います。
震災以降、いろいろな入札不調なんかもあって、これは人材難というものが一つの大きな要因だというふうに言われておる中で、去年とことし、大臣の強力な指導力のもと、公共事業における労務単価の引き上げがなされたことというのは、私はよかったなというふうに思っております。
ただ、今の単価、引き上げられた後の単価であっても、では、これで十分なのかというとまだまだだなというふうに思っておりまして、その点について質問させていただきます。
引き上げられた後であっても、ピークの平成十年に比べると、型枠工であったりとか鉄筋工であったりとか、いわゆる技術職の分野では、大体二〇%ぐらい平成十年度よりも少ないということでございます。特に、今、人材難と言われているのは、いわゆる普通の作業をされる方ではなくて、こういった技術職の方々の人手が足りていないというふうに言われております。一番単価の高い型枠工で一万九千六百三十四円の設定がなされているんです。
一万九千六百三十四円、一日に二万円もらえるんやったら、まあまあええ給料をもろうてはるやんかということもあるかもわかりませんが、資料二でお配りさせていただいておりますが、建設技能労働者の就労状況等に関する調査によれば、建設現場で働いておられる方の約七割はいわゆる日給制で働いておられます。要するに、働いた日数しか給料がもらえないという状況の中で働いておられるので、たとえ一日に二万円もらわれたとしても、毎日仕事がなければ、とても一家を養っていく大黒柱として安定した収入とは言えないわけでありまして、まだまだ、労務単価が引き上げられたとはいえ、私は、この点においても十分ではないのではないかなと思っております。
また、あわせて、先般、大変痛ましい事故が起こりましたけれども、公共事業で調べましたら、資料三でお示しさせていただきましたけれども、年間約百名ぐらいの方が残念ながら事故に遭われて亡くなられておりまして、これだけ危険を伴う仕事につかれるということを考えても、先ほどの、ほとんどが日給制だということを考えても、まだまだ今の状況では単価としてそれに見合っていないのではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
○太田国務大臣 設計労務単価を昨年四月とことしの二月から引き上げさせていただいて、これは十六年ぶりのことです。それで、いただいた資料にあるとおりです。ピーク時の平成九年の段階の八五%の水準に今やっとなってきたという状況です。
私が大学を卒業したころには、昭和四十年代なんかは、私の土木工学科を出た仲間が、ある意味ではホワイトカラーということになると思いますけれども、職人さんの方がはるかに給料がよくて、職人がベンツで来ているよなんというような時代もありました。
そして、働ける期間ということや、相当激しいものであったりしますと、五十歳ぐらいまでが一つのピークということもあったりしまして、普通の感覚でこの人たちの給与というものを見てはならないというふうに思っています。
生活でき、適正な価格という給与が得られるということ、プラスして、社会保険に加入というような安定的なものが得られるように、さらに事態を注視していきたいというふうに思っているところです。
○西野委員 大体、この労務単価は、民間の建設にかかわっておられる人件費も含めていろいろなものを見て、実勢のものに照らして設定されているというふうなことなんですが、はっきり申し上げて、この建設業というのは、民間の部分と公共の部分というと、公共の部分がかなり大きなウエートを占めていまして、公共でどういった設定がなされるか、民間の後追いで公共が設定されるんですけれども、そうではなくて、むしろ、そういうことをしているからこそ、こういった建設事業に従事されている方のそういったいわゆる労働市場が僕は逆にゆがめられているのではないかなと思っていまして、もう少し安定できるように、ぜひ引き続き指導力を発揮いただきたいなというふうに思っております。
あわせて、先日、外国人の技能実習生の活用を推進するということの方針が示されたんですが、以前にもいろいろと問題になりました。余りにも外国人の技能実習生を要は単なる安い労働力とみなして酷使をされて、結果、その方が、いろいろな不満がたまったんでしょうね、殺人事件を起こしたりというような事件もあって、以前も、そもそも外国人の実習生というのは国際貢献で、日本の技術、すばらしい建設の技術を海外に移転することによる国際貢献の一環としてやっているんですよということも、これは国交省から指針というか指導もされているぐらいなんです。
今回、これを、政府として、外国人の実習生を労働力として認めるようなことがされてしまうと、またそういったことにつながってしまって、結果、この国の社会資本、インフラを整備していく大切な日本人の若い人材を確保してまた育成していくということにはつながらないのではないかなと思っているんですが、この点について、大臣、いかがですか。
○太田国務大臣 おっしゃるとおりです。建設業界から、高齢化が進んできているゆえに、あるいは若者にとっては処遇が悪いゆえに、この業界から離れていった人たちというのはかなりいるわけです。やっとこの二十二年から、三百三十一万人、技能労働者はぐっと落ちてきまして、東日本大震災の需要の高まりということもありましたものですから、三百三十八万人に七万人ふえたという傾向にはありますけれども、そこはこれから、離れた人が戻ってくる、処遇を改善等しながら、若者が入ってくるということで、まず大事なのは国内の人材をしっかり確保するということが一番大事だというふうに思っています。
そして、外国人の研修生ということについても、いろいろ待遇とか、送り出す方、ピンはねされたりいろいろなことがあったり、今度は受け入れる方ということについても、もう少ししっかりした受け入れ体制をとらなくちゃいけないという課題が山ほどありますから、それらを精査した上で、そして限定的に今回は五年間あるいは六年間という形に合計してなるようにということをさせていただきましたが、まず国内の人材を確保することが大前提、その上で、丁寧に外国人の研修生ということの活躍というものを受け入れるという体制をとったということでございます。
○西野委員 限定的にということですけれども、これは、限定という範囲というのは何をもって限定かということも出てくると思いますが、本当にこれはもうごくごく限定的に行われないと、大臣も先ほど御答弁がありましたけれども、私の周りでも、もう学校に行くのはちょっと、いい学校に行くのはようせぬ、だけれども、自分はおてんとうさまのもとで働くことは誰よりも負けへんのやと。だから一生懸命働いて、今、起業して、同じような若者をたくさん雇って建設業を営んでいる友達がたくさんいますけれども、そういった方がこれからも出てこられるような、いろいろな方が夢を持てる、単に勉強ができて、いい学校に行けて、大手のいい会社に勤めてというコースしか道がないというのではなくて、いろいろなコースがある夢のある国にしていくということの一環で、ぜひ大臣、引き続きよろしくお願いいたしたいと思っています。
あわせて、先ほど、労務単価の引き上げがされましたけれども、積算上単価が引き上げられているだけでありまして、では、実際そこで働いた方に本当にそれが給料として反映されているのか、どうやって担保されているのかということを一度伺いたいと思っています。
それで、役所は、発注をするときに、例えば低入札があったときに、低い値段で入札をされたけれども、実際にその低い値段で仕事ができるんですかということを調べられます。ですから、調査する能力があると私は思いますので、人件費を今回積算上は引き上げられましたけれども、それに見合った給料が実際にそこで働いた方に人件費として払われているのかどうか、これは調査する能力は十分あると思いますので、これからいろいろな形で、入札のときに例えばしっかりと人件費に反映されていないところは点数をちょっと落とすとか、いろいろなやり方があると思いますので、そういったことも含めて、具体に人件費としてしっかりと反映できるような制度をつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○毛利政府参考人 御指摘ありましたように、設計労務単価を引き上げても、それが実際の賃金にはね返ってこないと、これはせっかくの若者の入職につながらないといった大きな問題が出てまいります。
私どもとしましては、御指摘ありましたが、まず、公共工事の設計労務単価の設定に当たりまして、全国の公共工事に従事する技能労働者約十六万人の賃金につきまして、賃金台帳等を確認して調査しまして、実際どう支払われているかまで調べた上で、ことしの二月に、その状況を反映した上で七・一%の引き上げを行いましたので、こういった市場の動向というのをしっかり把握してまいりたいということを思っております。
加えまして、実際の賃金支払い額をどう確認するかということでございますけれども、基本的には、賃金の支払いというのは、申すまでもありませんが、民民の交渉で決まってまいりますので、これをしていないという企業を特定するというのはなかなか難しいかなというふうに思っております。
しかし、このたびの設計労務単価の引き上げに当たりましては、その所要額まで含めて引き上げたはずの社会保険、この社会保険料の支払いをしていない、すなわち未加入企業というものにつきましては、これを入札から排除するというペナルティーが発動できると思っておりまして、これは十分な周知期間を置きまして、この夏から適用するということで、賃金の支払いの中で、特に社会保険の支払いについてはしっかりと確認をしていきたいと思っております。
また、このたび、建設業法の改正を提案させていただいておりますけれども、その中で、施工体制台帳の作成をしていただくということになっております。そこでも社会保険の加入状況をしっかり確認していける仕組みをつくってまいりますので、改正法をお認めいただければ、その施行後はこの指導を強化していきたい、こういうふうに考えております。
○西野委員 一歩前進だと思っておりますが、もう本当に能力は絶対あるはずですから、だって、低入札があったとき調査されるわけですから、どういうふうな人件費が払われているのか、全部わかるはずですから、ぜひその辺を見ていただきたいなというふうにお願いをさせていただきたいと思っております。
少し時間がなくなりましたので、次に、厚労省の、労働基準法第六十二条に年少者の労働基準規則というのが決まっておりまして、きょう、せっかく厚労省から審議官までお越しいただいているんですけれども、質問する予定でしたけれども、要するに、年少者、十八歳未満の方には、例えば、五メートル以上の高いところで業務や足場の組み立てとかをやったらいかぬというような法律があるんですが、これについて聞こうと思っていたんですけれども、こういうのが実際にあります。
私の知り合いでも、建設業を営んでおられて、若い方をたくさん雇用しようと思うんですが、実際、十八歳未満の方にはいろいろなそういう制約があって、いろいろな作業についてもらおうと思うんですけれども、できない、だから十八歳未満の人とかは雇えないんだというような御意見もありますので、大臣、これは要望にさせていただきますけれども、厚労省のその規則というのは何かおかしいんですよね。
今、高齢化していって、結局、いろいろな事故に遭われる方も、比較的年齢の高い方が多いと言われています。では、どっちが危ないんだ、危険のリスクがあるんだということも踏まえて、このあたりのことも厚労省とぜひいろいろと検討いただいて、実態に見合ったような改正というか、実態に見合ったような状態にしていただきますように、これは要望させていただきたいと思います。
最後に、一つ質問させていただきますが、亀岡の痛ましい事故もありました。実際に身内を亡くされた方、私はよく存じ上げておりますが、先般も事務所に来られて、いろいろな法の不備、被害者の遺族のそういった思いをまだまだ反映されたものではないということを訴えられました。
先般も、そういった運転をする側の、例えば、今回、この場合でしたら無免許運転でありましたけれども、そういったことの法改正が、十分ではなかったけれども、なされました。
一方で、国交省が先頭を切って、文科省であったりとかまた警察であったりとかと連携して、全国七万四千カ所でしたか、七万五千カ所に近い箇所を一斉に点検して、そういった通学路で同じようなことが起こらないようにということで頑張っておられます。これは被害者の遺族の方も評価をされていました。
実際にいろいろな点検がなされましたけれども、上がってきたデータをこの前拝見させていただきましたら、同じような規模の自治体でも、たくさんの箇所、危ないというところが上がってきているところと、上がってきていないところがあったりとか、小さい自治体でたくさん上がっているのに、大きな自治体で全く上がっていなかったりとか、いろいろばらつきがあります。
これは、今までに安全について取り組んでおられるのか、おられないかという差であれば僕はいいと思うんですけれども、そうではなしに、もしかしたら、数を上げていない自治体は、余りこれを、危ないところがうちの市にこれだけありますねんということを言うてしまうと、何も今まで取り組んでいなかったんかという批判が出ることを恐れて上げていないのではないかなということも心配をしております。
あわせて、今回いろいろな点検がなされましたけれども、危ない場所というのは、来年になったらまた違うところが出てきたりとか、来月になったら出てくるかもわかりません。例えば、大きいスーパーができたら、交通量の流れが全然変わってきます。危ないところの危険箇所も変わってくるでしょう。ですから、今回点検をして、ある程度その対策を打った、ではこれで終わりということではなくて、しっかりと継続して、通学路の安全対策というのはやっていかなければいけないと思うんですが、この点について、いかがでしょうか。
○徳山政府参考人 先生御指摘の通学路の安全確保につきましては、まさに御指摘のような経緯をたどりまして、全国で約七万四千カ所の対策を進めております。
この中で、道路管理者分といたしましては、歩道整備やガードレールの設置というのが担当でございますけれども、四万五千カ所ございまして、昨年度末までにおおむね八割の対策を完了いたしております。
ただ、先生まさに御指摘のとおりでありまして、緊急合同点検に基づいて行っておりますのは、特に即効性の高い対策が中心でございまして、これを一過性にせず、これからも継続した取り組みが重要であるというふうに認識をいたしております。
このような考え方は、文科省さん、警察庁さんとも共有しておりまして、昨年十二月から、こういう学校や警察さんとの、一緒にこういうものを進めていく推進体制、これは解散してしまわないで常設にしていこうというような問題、あるいは、引き続き定期的に合同点検を行っていこうじゃないかということ、そして、行った箇所についても、効果を把握しながら対策をさらに改善充実をしていこう、こういう取り組みを進めることとしたところでございます。
国交省といたしましては、こうした関係省庁とも連携しながら、歩道の整備、ガードレールの設置あるいは速度を抑制するためのハンプとか狭窄というようなものをつくるなど、こういった整備によりまして、引き続き通学路の安全確保を図ってまいりたいと考えております。
○西野委員 時間が来ましたので、ぜひ、一遍やったらもうおしまいということではなくて、継続して点検して、また対策を打っていただきますようにお願い申し上げて、またあわせて、きょうはトンネルと橋梁のことについても質問をする予定でしたけれども、時間が切れました。
これは、たくさん全国に問題のあるところもございますので、そういった点も踏まえて、とにかく、こういったものは、インフラは定期的に検査する。虫歯と一緒ですよ。定期的に検査して、できるだけ悪いところが見つかったらすぐ直すというのが一番だと思っておりますので、ぜひよろしくお願いして、質問とかえさせていただきます。ありがとうございます。
――――◇―――――
○梶山委員長 次に、内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
―――――――――――――
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○太田国務大臣 ただいま議題となりました都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
まず、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
我が国の地方都市では拡散した市街地で急激な人口減少が見込まれる一方、大都市では高齢者の急増が見込まれる中で、健康で快適な生活や持続可能な都市経営を確保することが重要な課題となっております。この課題に対応するためには、都市全体の構造を見渡しながら、住宅及び医療、福祉、商業その他の居住に関連する施設の誘導と、それと連携した公共交通に関する施策を講じることにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援していくことが必要です。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、市町村は、住宅及び医療、福祉、商業その他の居住に関連する施設の立地の適正化を図るため、立地適正化計画を作成することができることとしております。
第二に、市町村は、立地適正化計画に都市機能誘導区域を定めることができることとし、この区域内に誘導すべき施設について容積率規制等の緩和や民間都市開発推進機構による民間事業者に対する支援を措置することとしております。また、この区域外において当該施設の建築等を行おうとする者は、事前に届け出をしなければならないこととし、市町村長は必要な勧告をすることができることとしております。
第三に、市町村は、立地適正化計画に居住誘導区域を定めることができることとし、この区域内において住宅を整備する民間事業者による都市計画、景観計画の提案制度を創設することとしております。また、この区域外において一定規模以上の住宅の建築等を行おうとする者は、事前に届け出をしなければならないこととし、市町村長は必要な勧告をすることができることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
次に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
我が国においては、人口減少、少子高齢化が加速度的に進展することにより、公共交通事業を取り巻く環境は年々厳しさを増しております。特に地方部においては、公共交通機関の輸送人員の減少により、公共交通ネットワークの縮小やサービス水準の一層の低下が懸念されております。一方で、人口減少社会において地域の活力を維持し、強化するためには、コンパクトなまちづくりと連携して、地域公共交通ネットワークを確保することが喫緊の課題となっております。
このような状況を踏まえ、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、関係者の合意のもとに、持続可能な地域公共交通ネットワークをつくり上げるための枠組みを構築することが必要になります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、法律の目的において、昨年末成立した交通政策基本法の基本理念にのっとり、地域公共交通の活性化及び再生を推進していく旨を追加することとしております。
第二に、地方公共団体は、国が策定する基本方針に基づき、持続可能な地域公共交通ネットワークを形成するための計画を作成することができることとしております。
第三に、地域公共交通の再編を促すため、地方公共団体の支援を受けつつ、路線や事業内容の変更等を行う地域公共交通再編事業を創設することとしております。国の認定を受けた地域公共交通再編事業については、関係法律の特例措置等各種の支援措置を講ずることとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案を提案する理由であります。
これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○梶山委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○梶山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、来る十一日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会