衆議院

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第9号 平成26年4月9日(水曜日)

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平成二十六年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      池田 道孝君    泉原 保二君

      岩田 和親君    大西 英男君

      加藤 寛治君    門  博文君

      國場幸之助君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    白須賀貴樹君

      末吉 光徳君    瀬戸 隆一君

      津島  淳君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    後藤 祐一君

      篠原  孝君    三日月大造君

      坂元 大輔君    椎木  保君

      西岡  新君    松田  学君

      山之内 毅君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   内閣府副大臣       関口 昌一君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  持永 秀毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      富屋誠一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            河邉 有二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐々木 良君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            花岡 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        森北 佳昭君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  國場幸之助君     津島  淳君

  谷川 弥一君     加藤 寛治君

  中村 裕之君     井上 貴博君

  寺島 義幸君     篠原  孝君

  岩永 裕貴君     山之内 毅君

  村岡 敏英君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  井上 貴博君     瀬戸 隆一君

  加藤 寛治君     末吉 光徳君

  津島  淳君     國場幸之助君

  篠原  孝君     寺島 義幸君

  椎木  保君     村岡 敏英君

  山之内 毅君     岩永 裕貴君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     秋本 真利君

  末吉 光徳君     谷川 弥一君

  瀬戸 隆一君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、都市局長石井喜三郎君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長田端浩君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、内閣官房内閣審議官持永秀毅君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房地域活性化統合事務局長代理富屋誠一郎君、内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長河邉有二君、内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、厚生労働省大臣官房審議官有岡宏君及び経済産業省大臣官房審議官佐々木良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。

長坂委員 おはようございます。愛知九区の長坂康正でございます。

 本日最初の質問者として質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、先週の土日に地元へ戻りまして、私どもの愛知県は先週が一番花が盛りでございまして、いろいろな地域で桜祭りなんかに参加をいたしました。そこでいろいろな話題が出ました。消費税が上がったねとかアベノミクスとか、いろいろ話題がありましたけれども、一番みんながうれしいねと言った話題は、三陸鉄道が全線復旧したという話題でございました。

 震災復興のシンボルという意味もございます。この委員会でもいろいろな先生方が御心配をされ、質疑をされました。そんなかいもあってか、また、地域の皆さん、そして外国からも応援があり、そして大臣初め国交省の皆さんのお骨折りもありまして、JRの山田線や大船渡線の課題は残っているそうでありますけれども、三陸鉄道が全線復旧した、本当に復興が進むなと。私どもの地域の皆さんは、朝の連ドラの「あまちゃん」というので随分親しんでいたということもあって、みんな喜んでいたわけでありますが、そういう御努力をされた大臣から冒頭にコメントをいただければと思います。お願いいたします。

太田国務大臣 三陸鉄道が全線開通になりまして、現地に行きましたけれども、大変喜びが爆発している。「あまちゃん」で見ているような大漁旗が振られたり、小旗で、本当に、駅や沿線で大きく喜びが爆発している感じを受けました。被災をして、直ちに現場で、動いた線路を直したりいろいろなことをして、少しずつ少しずつ開通をさせてきて、やっとといいますか、ついにここが完成となったということで、非常に、三陸鉄道、そして地元の多くの方々の御努力に感謝を申し上げたいと思っております。

 これが地域のさらなる復興の加速に向けた原動力になると実感をしましたし、沿線の市町村長さんともじっくり、式典の前だけじゃなくて、別に時間をとりまして、要望を聞いたり懇談をしまして、まちづくりの中核として駅を再びつくり上げていきたいとか、あるいは、これで観光に力がより一層入ってくる、地元にもヨーグルトやお酒や海の幸、さまざまありますということで発信をしたいということを意欲的に語っておりました。

 多くの方の御努力に私は感謝をしたいというふうに思っているところです。

長坂委員 ぜひ、こうしていいニュースがどんどん出ますように、さらに復興の加速をお祈り申し上げますし、関係各位の御努力もお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、きょうの都市再生特別措置法の改正案並びに地域公共交通活性化再生法の改正案についてでありますが、コンパクトなまちづくりを推進するとともに、これと連携しながら地域公共交通ネットワークの再編を進めるものだという認識をしております。いずれも、まちづくりのあり方や公共交通のあり方を変えていく非常に重要な法案であると考えておりますが、これまでもさまざまな形で手だてがなされてきたと考えております。

 今回、これらの法案を提出することになった背景や時代認識を承りたいと思います。

野上副大臣 我が国の地方都市におきましては、これまで、人口の増加に伴って町が郊外に拡大をするという状況になってまいりました。また、東京などの大都市においては、高度経済成長以降、人口の流入が続いてまいりました。

 しかしながら、今後は、我が国は、急速な人口減少と高齢化といったことが見込まれております。

 例えば、まず、地方都市におきましては、三十年後の人口は現在から約二割減少しまして、一九七〇年ごろの人口と同じ程度になると予測されております。町が郊外に拡大したまま人口が減りますと、低密度になって地域の活力が低下するということが考えられます。

 一方、大都市におきましては、例えば東京圏では、八十五歳以上の高齢者の人口が三十年後には約三・四倍になると予測されるなど、高齢者の急増が見込まれております。これによって福祉や医療などの需要がふえて施設が不足すると見込まれております。

 このような中で、地域の活力を維持するとともに、福祉や医療が確保された、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するためには、福祉や交通などを含めて都市全体の構造を見直して、コンパクトなまちづくりと、これと連携した公共交通のネットワークを形成することが重要と考えております。

 このため、一つには、福祉や商業などの生活サービス機能と居住を誘導してコンパクトなまちづくりを推進するための都市再生特別措置法の改正法案、もう一つは、地方公共団体が中心となって、コンパクトなまちづくりと連携して、公共交通ネットワークを再構築するための地域公共交通活性化再生法の改正法案、これを提出させていただいたところであります。

長坂委員 よくわかりましたので、ぜひ、しっかりとその施策を推進していただきたいと思います。

 それでは、都市再生法関係についてお尋ねをいたしますが、私も最初の質問でございますので、地域の課題と組み合わせながら質問させていただくことをお許しいただきたいと思います。

 まちづくりの関係では、私の地元、愛知県稲沢市でも、住民の利便性を高める取り組みが行われております。これを御紹介しながら質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、私どもの稲沢市でございますが、名古屋から岐阜へ向かって、東海道線でいいますと大体十分圏内でございます。名鉄、名古屋鉄道の国府宮駅までも特急で大体十分という大変便利な地域でありますし、おかげさまで、二〇一二年に、東洋経済という雑誌で、全国の発展力のある町ベストスリーにも選ばれた町でございます。

 ただ、全体に言いますと、戦前、戦後を通して農業が盛んな地域であります。私どもの地元は、母なる川、木曽川の扇状地から三角州、デルタ地帯、濃尾平野の真っただ中でございまして、山もありませんし、務台先生のところと違って、山はないんです。丘もございません。木曽川の堤防が一番高いところでございます。

 そんな中で、昭和三十年代に入り、農業の効率化を図るべく、土地改良、圃場整備が全国的に進んだわけでありますが、稲沢市は、同時に、国策で進められた、東海道新幹線、名神高速道路の用地確保というのが急務でございまして、それに迫られて土地改良事業も推進に拍車がかかって、旧市街地と一部を除いて、大体市の全域が土地改良が推進されたという地域であります。

 農業にはよかったわけでありますが、昭和四十三年に現在の都市計画法が制定され、四十五年には市街化区域と調整区域の線引きがされたわけでありまして、平成十七年に一市二町で合併をいたしましても、現在、発展力があると言われても、市全域の市街化区域は一一%という状況でございます。

 そんな中で、コンパクトシティーということで今取り組んでいるわけでありますけれども、このポンチ絵も見ていただけるとありがたいんですが、UR都市機構の老朽化した団地を建てかえを実施いたしました。これに伴って発生いたしました空閑地に新しい市民病院を建設するという計画を立て、その周辺に公園を整備し、歩道整備を行っておりまして、今年度中には病院が開院することになりました。

 この病院は、図書館や市民会館にも隣接をして建設されましたために、この地域は市民サービスが集積した拠点となりまして、団地やその周辺の住民にとりましては、身近に病院があることにより安心して暮らせる。市内の住民がこのエリアに来ることによりまして、さまざまな用事を一度に済ませることができるようになる、利便性が高まると期待をしております。

 コンパクトシティーを推進するためには、稲沢市が行っているように、図書館、市民会館、病院などを集約していくということは一つの大きな重要な要素であると考えておりますけれども、例えば病院、福祉施設など必ずしも国土交通省の所管ではないわけでありますけれども、まちづくりを推進するという観点から見れば、このようなコンパクトシティーに資する病院や福祉施設などの整備に対しても国交省からの財政支援を強化すべきではないかと考えるものであります。

 本法案に基づきましてどのような財政支援を行おうとしているかをお尋ねいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の方から、稲沢のUR団地について、大変いい事例の御指摘をいただきました。

 今般の都市再生特別措置法では、都市機能を誘導する区域には、従来の都市局の街路、公園、下水道といった三種の神器だけではなくて、御指摘のような医療施設あるいは福祉施設、図書館などの文教施設等についても、この区域に立地をされる場合には、社会資本整備交付金等を使いながら支援をしていくことといたしております。

 さらに、自治体において財政事情、地元負担が厳しい場合がございます。このような場合に、空閑地が、今般の場合はURの土地ですのでちょっと違いますが、公的な小学校跡地とかそういうところを安く事業者の方にお貸しするといった場合には、市町村が地元負担をしなくても、国が事業者の方に直接支援をできるといった制度を設けて、おっしゃるように機能をこれから集約していくというところに国土交通省としてもしっかり今般の法律で支援をさせていただきたいと考えております。

長坂委員 ありがとうございます。しっかりした支援のメニューがあるということでありますので、よろしくお願いいたします。

 さまざまな機能を集約するためには、財政面での支援に加えて、規制緩和などによりまして整備が行われやすい環境を整えるということも重要だと考えております。

 本法案において、規制緩和という観点から、特定用途誘導地区という制度が設けられているわけですが、この地区を定めることにより具体的にどのようなメリットがあるのかをお伺いしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定用途誘導地域という制度でございますが、特に、稲沢市等、三大都市圏の周辺地域では、今後高齢化に伴って介護施設等が不足することが考えられます。しかしながら、一方で、財政的には比較的豊かな都市も多いというような状況でございます。

 そこで、今般、この地区を使いまして規制緩和を二つ取り入れたいというふうに考えております。

 まず一つは、容積率でございます。

 例えば、老朽化した病院を建てかえたい、しかし、現在の土地の面積では、容積率がいっぱいでなかなか同じ場所に病床数をふやして建てかえられないから郊外に出てしまうといった例が実際起こっております。そのため、病院を例えば誘導施設というふうに位置づけた場合は、病院という用途に限って容積率を上乗せするといったことで建てかえを容易にするといった、いわば隠れた補助金のような仕組みにできないか。

 それから、もう一点は、用途についての規制緩和でございます。

 例えば、現在、低層住宅地の用途規制ではデイサービス等の訪問介護施設というものは認められておりませんが、今後、在宅で介護を進めるということではこういうものが大変重要になってまいりますので、この特定用途誘導地区では、このような用途についてスポット的に規制を緩和していく、こういう二点の規制緩和を進めてまいりたいというふうに考えております。

長坂委員 容積率等、そういう方策があるということはよく承りました。ありがとうございます。

 また、このような生活サービスが集約した拠点までアクセスしやすくすることも重要であると考えるわけでありますが、稲沢市の当該病院の周辺では鉄道と道路が立体交差をしていない。先ほど申しましたように、発展力があるというふうに認められる一方で、土地改良の関係で調整区域が多い。そして、先ほど申しました稲沢市の中心玄関であります国府宮駅というのは一日二万人ぐらいの乗降客がございますが、そこから五百メーターぐらい離れますと調整区域というような課題もあります。

 そして、南北にそういった鉄道がございますので、東西の市内が分断されるというようなこともありまして、これから稲沢市ももう一度そういったことを再整備していかなきゃいけないということになるわけなんですが、こういったまちづくりを進めるに当たっては、さまざまな施設整備とあわせて、連続立体交差を進めることが私は重要だと考えております。

 いろいろな都市でそういったことが進んでおりますけれども、その関係について、今どんな取り組みとか手助けができるかということについてもお尋ねをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 連続立体交差事業は、あかずの踏切を含む複数の箇所の踏切を一挙に除去して、都市内交通の円滑化を図り、分断された市街地を活性化していく、まさに、歩いて暮らせるまちづくりを進める上で大変効果の高い事業でございます。また、稲沢はJRと名鉄と両方通っておりますので、その意味でも大変重要な地域というふうに考えております。

 ただ、この事業につきましては、大都市近郊部、土地を取得するといったこともあり、実は、一キロ平均で約百三十億円という大変多額の事業費がかかる、あるいは、用地の取得についてもなかなか難しい面があるということで、課題が多いのも現状でございます。そのため、連続立体の事業を行う場合には、道路管理者あるいは鉄道事業者の関係者間で事業の必要性や費用負担について十分な検討をまずしていただきたいというふうに考えております。

 国土交通省としては、事業主体の関係者から積極的な相談があれば、これに対して助言や適切な支援をしてまいりたいというふうに考えております。

長坂委員 これから、やはり、まちづくり、再整備はどうしても不可欠だと思いますので、ぜひ、しっかり指導も、御相談にも乗っていただきたいな、そういう要望をさせていただきます。

 稲沢市に限らず、その周辺の一宮市やあま市も、合併をした市町村が多く存在しているわけでありますが、合併した市町村では、規模の大きな拠点地域への一極集中が進み、他の地域の生活が不便になるのではないかという懸念も強まっております。また、この稲沢市でも、祖父江町、平和町と合併をいたしましたけれども、市町村間のアクセス、まだすっきり一本横軸が通っていないというような状況にもございまして、自治体としての統一感に欠けている部分があることも現実であります。

 本法案に基づいてコンパクトシティーを推進しますと、合併市町村においてさらに一極集中が進むことにならないか。そういったことに対して、国土交通省としてはどのように対応していかれるのか、お尋ねをいたします。

石井政府参考人 御指摘のとおり、近年、合併が急速に進みました。大変広域的な合併で、コンパクトシティーで取り上げられる富山についても、日本海側から立山のすぐそばまで富山市ということで、大変大きいということでございます。そういうような場所では、やはり一極集中、例えば富山駅のところだけに都市機能が集中されるんじゃないかというような御不安があるという御意見を伺っております。

 本法案では、このような、一カ所に全ての機能を集中させるという考え方は一切持っておりません。具体的には、福祉、医療、商業など生活に必要なサービスについては、例えば、そのような中心駅のみならず、合併前の旧町村の中心部、あるいはバスのフィーダー線等が交差するような主要なバス停周辺などの、いわゆる生活拠点に集約をしていく。さらに、公共交通の充実を今般の地域交通の法案で図っていきまして、これらをうまく結んでいく。

 そういう意味で、一極集中型ではない、地方における多極ネットワーク型のコンパクトシティーを進めていきたいというふうに考えております。

長坂委員 やはり、そういうことも大事でありますので、ぜひそういう方向でお願いをしたいと思います。

 用意していた質問が多いものですから、少しはしょってまいりますが、私も愛知県議会を六期務めてまいりました関係で、愛知県でいろいろな意欲的、先駆的に取り組んできた課題があるわけなんですが、それについても触れさせていただいて、質問させていただきます。

 愛知県では、新交通システムのピーチライナーというのがあったんですけれども、一九九一年に開業したものの、利用者数が予測を大変大幅に下回って、苦渋の決断で二〇〇六年に廃止となったという厳しい事実もございます。

 また、愛知万博がございました。それに向けて、大変国の御支援もいただいて、超電導ではなくて常電導といいますか、リニモという、リニアモーターカーと似たような仕組みなんですけれども、そういったものをつくりました。万博開催時には年間二千百万人の利用がありましたけれども、万博が終わりますと一挙に年間五百万人に減りました。

 毎年毎年いろいろ改善をして、今、七百万人ぐらいに戻っておりますが、これらの鉄軌道というのは新技術を活用し、先駆的、意欲的な取り組みであったにもかかわらず、結果として利用が低迷してしまったということについて、その原因を分析して今後の取り組みに生かしていくことが必要だと考えております。

 これら鉄軌道の利用が低迷している原因については国交省ではどのように分析しておられるか、また、今後の取り組みにどのように生かしていくかをお聞かせいただきたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘の桃花台線、いわゆるピーチライナーは、平成三年に開業した路線でございますが、開業後、ニュータウン開発が当初の見込みどおりに進まなかったということがございまして、計画人口五・四万人に対しまして、廃線をいたしました平成十八年の段階では二・八万人といったようなことがございまして、利用者は当初予定の三分の一にとどまっていたといったことがございます。このため、委員御指摘のように、十八年に事業を廃止したというふうに承知をいたしております。

 また、いわゆるリニモでございますが、平成十七年に開業した路線でございますけれども、主たる利用者として見込んだ沿線の大学、このあたりは大学が非常に多うございますけれども、大学などへの通学者によるバスから鉄道利用への転移というものを見込んでいたわけでございますが、これが十分進んでいないということがございまして、利用者数は当初予測に比べて三分の二にとどまっているというふうに承知をいたしております。

 こういった鉄道や軌道といったものにつきましては、施設整備に相当額の投資が必要となってまいります。したがいまして、こういったものの整備については、沿線開発に伴う新規の需要、あるいは既存の需要の転移などについてしっかりした見通しを立てていくということが必要となるだろうと思っております。

 あわせて、鉄軌道の場合には、町のあり方を踏まえながら、駅までのアクセスなどの出発地から目的地までの全体の使いやすい交通システムというものを考えていく必要があるだろうと考えております。

 このため、新設のみならず、既設の鉄軌道路線の維持のためにも、地域と一体となった利用方策を検討していくということが必要であるというふうに考えております。

長坂委員 それと、このリニモに関しては、基本的には自動無人運転方式により運行しているわけであります。ただ、一区間、地下走行区間に限っては乗務員の添乗が条件とされているわけでありますけれども、駅の距離も一区間と短く、平常より運転司令室や最寄りの駅から車内を遠隔監視できる体制が確立されております。異常事態発生時には直ちに駅から係員が駆けつけるということを理由に、愛知県が何とか無人化を提案しているわけでありますけれども、この件についてまだ実現していないわけであります。

 開業以来九年が経過して、駅員の習熟度も上がっております。安全性は軽視するものではございませんけれども、どうぞ国交省もそういった方向で御指導いただけないでしょうか。お尋ねをいたします。

滝口政府参考人 鉄道が地下を走行する場合、火災など万一の災害時に、避難する場所が限られているということ、それから、トンネル内に火や煙が充満するため、より迅速に避難誘導する必要がございます。

 このため、地下走行区間につきましては、火災発生時における避難誘導設備の整備、あるいは、乗客の迅速な避難が可能となるような乗務員の訓練の実施、こういったことを求めたわけでございます。

 委員御指摘のリニモにつきましては、地下区間約一・四キロほどございますが、この区間については排煙設備と乗客の避難誘導路が既に整備されておりますけれども、迅速な避難誘導ということが求められるために、この区間につきましては乗務員の添乗を求めている、こういったことでございます。

 従来から、これにつきましては、事業者側から、この義務の緩和ができないかという御相談をいただいているところでございます。私どもも、本省からも課長補佐を派遣いたしまして実態を調べるといったようなことをやってきておりますが、御指摘でもございますので、引き続き、無人とした場合であっても万一のときにどのような迅速な避難誘導ができるか、事業者側の御相談に応じて、何ができるかについて検討してまいりたいというふうに考えております。

長坂委員 ぜひ御指導をいただきまして、もしできることであれば、そういったことを可能にしていただきたいなとお願いをするわけでございます。

 一つ飛ばさせていただきますけれども、愛知県の先進的な取り組みの中で、地域の交通を考えていく上で、生活サービスが集約した拠点までのアクセスをいかによくしていくかというのが重要だ、そういう住民の移動ニーズというのはさまざまでございます。

 豊田市で、こうした人によりそれぞれ異なる目的地にスムーズに移動するための実証実験として、超小型の電動自動車、超小型モビリティーを活用したハーモという次世代交通システムの実証が行われております。

 新しいモビリティーやまちづくりを考えていく上で、こうした超小型モビリティーは大きなポテンシャル、可能性を有していると考えておりますけれども、国交省ではこのような取り組みに対してどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

田端政府参考人 お答えいたします。

 超小型モビリティーは、交通の省エネ化に資するとともに、コンパクトなまちづくりに適した新たなカテゴリーの乗り物でございます。

 地域の手軽な足として、コンパクトなまちづくりと連携することによりまして、高齢者や子育て世代の日常の移動支援、あるいは医療、介護等の生活支援サービスの円滑な提供、あるいは自然や町中を楽しむ観光の発展、こういうことに貢献することが期待されております。

 国土交通省では、平成二十四年の補正予算から、まちづくりと一体的に推進しますこの先導・試行導入を支援することによりまして超小型モビリティーの早期普及に取り組んでおりまして、平成二十六年度におきましても引き続き導入支援の措置を継続してまいります。

 このような取り組みを通じまして、成功事例を積み上げまして国民理解の確立を図るとともに、その状況を踏まえまして、車両区分など関連制度の整備に向けた検討を進めてまいりたいと思います。

長坂委員 ぜひそういった取り組みの応援をしていただきたいと思います。

 都市再生法についても地域公共交通活性化再生法についても、市町村の役割が非常に重要になると考えております。また一方で、小さな市町村では、十分な経験を積んだ職員も不足しておりまして、立地適正化計画や地域公共交通網の形成計画を作成しようとしても十分なノウハウが不足していることもこれは否めない事実でございます。

 そこで、この両法案が円滑に運用されるようにするためには、市町村に対してノウハウを提供していくということを重視すべきだと考えておりますけれども、国交省としてどのような方針でこれからしっかり臨まれるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。

太田国務大臣 この法案はまちづくりということが主眼でありますが、そこでは何といっても、こういう町をつくるぞという知恵と人材とそして合意形成能力というものが非常に大事だというふうに思います。

 そのため、国交省としましては、本省内に都市と交通の合同プロジェクトチームを編成しまして、具体的に計画作成意欲を示した市町村に対しまして、担当職員を、君がこれを担当しなさいということで、窓口を明確にするようにしたいというふうに思っています。

 同時に、地域に密着した地方整備局そして運輸局、ここにおきまして、相談に行ったときにしっかりと対応できるというワンストップの相談窓口を構成する。

 あるいは、富山市などが先行事例としてありますけれども、こうした先進市町村の職員等の人材の紹介を行って、具体的なアドバイスに応ずるというような体制をとらせていただきたいというふうに思っています。

 地域の人材によるコーディネートや両法案に基づく計画作成に対します予算支援も当然行ってまいります。

長坂委員 ぜひそういった人的支援もお願いをしたいと思います。

 時間が限られておりますが、もう一つどうしても触れさせていただきたいのが、まちづくりでは、もう一つの大きな課題は防災対策だと思っております。私どもの地元の南部地域、ポンチ絵を見ていただきたいと思いますが、こういう海抜ゼロメーター以下の地域が大変多うございます。私どもの濃尾平野は肥沃な土地でありますけれども、南の方は海抜ゼロメーター以下という地域もございまして、それが私どもの地元だけで大体二万ヘクタール、山手線の内側が大体六千三百ヘクタールでございますから、山手線の内側の三倍あります。そこに四十万近い人たちが、七市町村、住んでおります。

 それが、皆さんも歴史の教科書で習ったように、鎌倉時代から集落全体を堤で囲むような、輪中というのがこの地域に多くあるわけでございます。そして、近いところでいっても昭和三十四年でございますけれども、伊勢湾台風で大変な被害を受けた地域でありまして、伊勢湾台風は、風水害の中では、阪神・淡路そして東日本の地震を除いては、台風では死者、行方不明者が五千人を超えるという、もう今でも私どもの地域ではみんな本当に忘れることのできないのがそういった水害、水との闘いであります。愛知県では三千三百人の死者、行方不明者、桜井先生の地元、三重県桑名市等、三重県で千二百名を数えるところであります。

 そして、今また津波被害、南海トラフの地震に対する警戒が大変地域の話題でありますが、先ごろ内閣府で南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域ですか、これが発表されました。それは三十センチ以上の津波が三十分以内に到達するところを中心にということでございますけれども、どういうわけか、いろいろ地域の要望を受けながら、この図面にありますような地域が指定されたわけでありますが、今の私どもの地域、海抜ゼロメーター以下の愛知県海部地域や三重県の桑名市、木曽岬町あたりが入っていないということに非常に不安というか戸惑っておりまして、内閣府からもお越しいただいておりますので、これは追加で何とか認めていただけないかという動きになると思いますが、御答弁をお願いいたします。

佐々木(克)政府参考人 ゼロメートル地帯における津波対策といたしましては、堤防の耐震化や液状対策など、地震による堤防の決壊を防ぐための対策を着実に進めていくことがまずは肝要であると考えております。

 南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定に当たりましては、津波避難の困難性等を踏まえつつ、関係地方公共団体の意見を十分伺いながら指定を行ったところでございますが、なお地方公共団体の意見があるような場合には、当該地域の堤防の強化対策や地方公共団体における津波避難対策の実施方針等を含め、その考え方を伺ってまいりたいと思っております。

長坂委員 やはり、この地域は水が一度入ってしまいますと、伊勢湾台風のときは一カ月以上水浸しになって、水が引かないという地域であります。ポンチ絵にもございますけれども、川の河口が広いし、それを例えば日光川だったら川の水を海までポンプでかい出しているというようなのが現実でございます。

 そして、今、堤防がというお話がありましたが、私どもの南の方の飛島村、弥富市ではもう既に津波対策として避難タワー等の計画も今打ち出されているというのが実態でありまして、名古屋市や三重県の想定では、もしかしたら地震によっては水が入ってくるんじゃないかという想定がなされております。

 愛知県はまだ想定が定まっていないということで、早急にその想定をして、そして三重県さんともう一度御相談をして国の方にも要請をしていくということでありますが、防災・減災に大変力を入れていらっしゃる大臣に、この問題についても、これは内閣府が決めたことでありますけれども、コメントをいただけたらありがたいと思います。

太田国務大臣 三十センチ以上の津波が三十分以内に襲来するという地域が今回指定をされたということです。

 私も愛知県出身で、伊勢湾台風の状況は、私は中学時代でありましたが、クラスでも三軒ぐらい家が潰れたというようなこともありまして、また、特にこの海部地域は大変水害も多いということはよく承知をしております。

 中央防災会議、内閣府はそうした基準に基づいてやったわけでありますけれども、私たちは、四月一日に南海トラフ巨大地震対策計画を策定しまして、あわせて、各地域ブロックごとに具体的かつ実践的な地域対策計画を国交省として策定いたしました。

 その計画では、濃尾平野のゼロメートル地帯におきまして、津波による浸水等に備えまして、堤防の液状化対策や緊急排水計画の策定を行うこととしているなど、地元自治体等の関係機関ともしっかりと連携をとって対策を推進していくということを確認しておりますので、御報告をさせていただきます。

長坂委員 ありがとうございました。しっかりとよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 自由民主党の中村裕之でございます。

 愛知県も東京都も桜がきれいな季節を迎えているということでありますが、北海道、私の選挙区では、あと一カ月ほど満開の時期が後になります。そうはいいながらも、三陸鉄道が全線を開通した、桜の時期に間に合って開通をし、太田大臣からは、喜びが爆発をしているというお話がありました。心からお祝いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、通告に従って、本日議題となっている両法案について、順次質問をしてまいります。

 初めに、都市再生特別措置法の一部を改正する法律案についてであります。

 この法律案は、市町村が立地適正化計画を策定して都市機能を誘導する区域を定める、そして、住居を誘導する区域を定めることによってコンパクトなまちづくりを進めようとするものであります。

 しかし、余り過疎が進んでいる地域でこの計画を導入すると、むしろ限界集落などを生み出すようなことにつながるのではないかという感じも持っているところでありまして、本法案が想定をしている都市、その人口規模をどのぐらいで想定していらっしゃるのか、その点について、まず確認をさせていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上は、都市の規模について、特に制限は設けておりませんが、この法案を作成するに当たって、コンパクト化ということで、こういうような仕組みについて活用する意欲というものを確認いたしましたら、地方都市では、県庁所在都市あるいは十万人程度の市から、やってみたいという希望が寄せられております。

 大都市では、やはり中心部ではなくて、高齢者が急増している周辺都市で活用の希望があるということで、これらの都市を中心に当初展開をしていくものというふうに予想をしております。

中村(裕)委員 十万人都市または県庁所在地に意欲的な意見があるということでございました。

 私の地元の小樽市を例にとりますと、五十年前、一九六四年に人口のピーク、二十万七千人あったわけでありますけれども、五十年経過して、今、十二万七千人まで、八万人減少している状況であります。その十二万七千人の人口で、今、高齢化率三四%という状況でありますけれども、小樽は歴史も古いですから、非常に古い家屋が密集している地域もあるわけでありますが、これは、将来とも人口は減少傾向にあって、統計上でいうと、二〇四〇年には、今の十二万七千人が七万人にまで減少するというふうに想定もされているところであります。

 二十万人時代の市街地の広さの中で、それこそ密度が低い高齢化した町になってしまうと、非常に効率的な行政サービスもできないというふうに私も感じているところでありますけれども、市町村がこれから立地適正化計画を立てていく上で、何年ぐらい先の町の姿を想定して立てていくことになるのが妥当と考えていらっしゃるのか、そのあたりの考え方もお聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 今、先生の方から、将来の人口展望の、小樽の例を示していただきました。今般の法案でも、将来人口の予想等を踏まえながら計画を立てていくということになります。

 しかしながら、人が住んでいらっしゃるところから、居所を変えながらコンパクト化を進めていくということでございますから、やはりこれは時間をかけて、インセンティブを講じながら、むしろ行きたいと思うように、徐々にやっていくことが必要ではないかというふうに考えています。

 ちなみに、コンパクトの優等生ということでよく取り上げられます富山市でございますが、平成二十年に、市町村マスタープランの中で居住区域を設定して、コンパクト化を進めようとしておりますが、この目標が平成三十七年ということで、二十年弱ということでございます。

 何年先を目安にするか、強くやるか、ゆっくりやるかというところは、もちろん市町村の御判断ということでございますが、市町村の、いろいろな自治体の基本構想等が十年ぐらいということから考えると、十年から二十年ぐらいの時間をかけてゆっくりと進めていくものではないかというふうに予想をしております。

中村(裕)委員 十年から二十年をかけてゆっくりと、徐々に、しかも、強制的ではなくてインセンティブを持たせて、そちらの区域に住みたいという住民の気持ちを起こさせていくというお話であります。

 もちろん、そういう形の、時間をかけてのまちづくりになるというふうに思いますけれども、昔から、街道沿いや駅周辺に市街地が形成されることを見ても、住民が暮らしやすく、効率的なまちづくりを進めて、そこに住みたいというためには、地域交通の利便性を確保することが非常に重要であります。今、例に挙がった、モデル都市と言われている富山市の例を見ても、地域公共交通網がまちづくりの柱になっておるわけであります。

 地域公共交通に関する法律案では、これまで事業者が主体的に決めていた地域交通網形成計画を、この法律によって、地方公共団体が主体となって計画を定めることとしておりますけれども、まちづくりと交通の利便というのが不可分の関係にあるわけでありますから、両計画を連携して運用を図るべきと考えますが、その連携の仕方、どのように対応していこうとしているのか、国土交通省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木副大臣 先ほど来話になっておりますけれども、これからまさに人口減少、高齢化というのが進むわけでありますけれども、そうであっても、しっかりと暮らしやすい地域づくりを進める、これが大事であります。

 そこで、複数の拠点への都市機能の集約を促進する、これが一つ。それから、その拠点同士を結ぶ公共交通ネットワークを維持、活性化するということが一つ。そしてさらに、その公共交通沿線等に居住を誘導していく、これも大事なことでございまして、これら三つがまさにクロスオーバーして、一体として進めていくことが必要だというふうに考えております。

 今回のこの法案におきましては、まさにこれらの施策を連携して進めることを念頭に置いておりまして、両法案に基づく立地適正化計画と地域公共交通網形成計画は、調和のとれたものでなければならないというふうに書かれているところでございます。

 委員御指摘のとおりでございまして、国土交通省といたしましては、両法案の担当者が合同でプロジェクトチームをつくって、先ほど大臣も答弁いたしましたけれども、市町村ごとに担当職員を指定して、相談にきめ細かく応じるということ、そしてまた、地方整備局及び運輸局の連携を強化して、地域に密着したワンストップの相談窓口を設けるなど、こういった方策を通じまして、市町村等が両計画を連携した形で円滑に運用できるよう国交省として必要な支援を行っていきたい、このように考えているところでございます。

中村(裕)委員 高木副大臣から非常に力強い御答弁をいただきました。市町村ごとに職員を派遣して、ワンストップの窓口を設けていただく、そして合同のプロジェクトチームをつくっていくということでありますので、大いに期待したいと思います。

 地方都市で問題となっていたのは、郊外に大型ショッピングセンターが立地をされて、中心市街地の商店街がシャッター街になっていくというようなことがありました。中心市街地の活性化の法案も今国会で審議をされているところでありますけれども、この都市再生特別措置法の中で、都市機能として市街地に誘導する機能の中には商業施設も含むこととなっておりますけれども、大型商業施設の郊外への立地は、この法案によって困難なものになると考えていいのか、この点について確認をさせてください。

坂井大臣政務官 大規模商業施設などの立地につきましては、平成十八年に都市計画法を改正いたしまして、立地可能な用途地域を商業地域などに限定をする等、都市の拡大に対応するための制度の充実を図り、こちらで一定の効果を上げているということを認識いたしております。

 今般の法案では、市町村が都市機能誘導区域を設定し、都市機能を中心市街地に誘導しようとするとき、商業施設を含めることが可能ということでございます。

 委員御指摘の、中心市街地活性化法の改正も提出されておりまして、これらの両制度を市町村の実情に合わせて活用することを想定しているところでございます。

 なお、大規模商業施設の郊外への立地につきましては、国の制度のみならず、市町村が地域の実情に応じまして特定用途制限地域を設定することにより、制限することは可能になっております。

中村(裕)委員 それでは次に、居住誘導区域外のことについて質問させていただきます。

 都市再生特別措置法により、居住誘導区域に住民を誘導するわけですね。すると、その区域外は、郊外はたくさんの空き家が生まれてくることになるというふうに思います。今、平成二十年度でも全国で七百五十七万戸の空き家があるということで、非常に空き家対策も問題になっているところですが、さらにそういった空き家がふえてくることになると思います。

 こうした区域外の空き家や公共施設などの除却を進めて、その跡地の適正管理や適正利用を考える必要があるというふうに考えます。特に、空き家の除却を個人の責任だと突き放してしまっては、まちづくりは進まないというふうに考えるわけであります。区域外の空き家や公共施設の除却も含め、区域外のまちづくりをどのように進めていこうと考えていらっしゃるのか、国土交通省の所見を伺いたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、居住誘導区域の外から中の方に移ってきてくださると、当然のように空き家が生じます。しかも、その場合に、特に高齢者の方は、将来のことを考えると、なかなか空き家の除却についてお金が出せないといったことが考えられます。

 そのような観点から、今般、このような居住誘導区域を設定して、そこへ移っていくという場合については、住宅局の方で空き家の除却に対する支援措置がございますが、その対象区域を拡充して、その場所に含むということをしていただきました。

 また、施設についても言及がございましたが、病院等がもう一回中心街に戻ってこようという場合は、この施設の除却に対する支援措置、これについても本制度の対象にすることといたしました。

 そうはいいましても、その空き地は残るわけでございまして、これの管理についてもお金がかかるところでございます。本法案では、所有者がNPOなどと協定を締結して管理を委ねるという協定制度を設けております。そうしますと、そういう跡地の管理に対して市町村が財政的な支援をする場合も、単なる個人に対する支援ではなくて、公益を果たすNPOに対する支援ということで、適正な管理が推進されるものと考えております。

中村(裕)委員 除却の国の支援、社会資本整備総合交付金を使って、除却事業タイプの、国の五分の二の支援策が今ありますから、その対象地域に入れていくということでございます。

 それも非常に大切な施策だと思いますけれども、住宅が建っていることによって土地の固定資産税が免除されるという税制ですとか、そうした課題もありますし、代執行によって行政、市町村が個人にかわってそれを行っていくことも必要になろうというふうに思いますので、今後、議員立法も含めて、与党の方でも今協議中でありますので、進めていきたいというふうに考えているところであります。

 次に、都市再生特別措置法では、市街地を形成する都市機能誘導区域や居住誘導区域を地方公共団体が線引きして区域指定を行い、その区域外から誘導するわけですね。そうすると、区域外の土地について、地価が下がるのではないかというふうに、私はその副作用を心配するわけであります。

 区域内には、誘導策や支援策、例えば容積率などの規制緩和もあるわけでありますし、そうしたところの区域内の方が、例えばディベロッパーの方やそういった方々にとって魅力的な土地になるわけでありますから、区域外の土地について、土地の所有者にすると、自分の財産権を侵害されるような気持ちになるんじゃないか、そういう不満の声が出てくる可能性があるのではないかと思いますけれども、どのような考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。

石井政府参考人 誘導区域外になった土地について、地価が下落するのではないかという懸念があるという御指摘でございます。

 まず、この居住を誘導する区域を決める際には、住民の方と十分にお話をしていただくということが、その意味でも大変重要でございます。富山等では、この地域の指定に当たって、市長みずから何十回も市民集会に出て理解を求めたということを伺っております。

 その上で、この居住誘導区域外にどんなところがなっていくかと考えますと、やはり市街化区域内の農地であるとか、あるいは工場跡地で居住には適しない、あるいは交通アクセスが悪い、将来ここに公共交通をなかなか引けないといったところが、いわゆる相対的に住宅開発のニーズが少ないところが指定されていくのではないか。

 そういった観点で、実はこれも富山のデータでございますが、居住推進地区外の地価下落は、実は地方部の平均とほぼ同じでございまして、一方で、居住推進地区内は地価の下げどまり、あるいは、中心部の都市機能を誘導しているところでは地価の反転もあったということでございます。

 いずれにしましても、この区域の設定に当たっては、住民との協議をしっかりしながら進めていただくことが重要だというふうに考えております。

中村(裕)委員 長坂代議士の質問の答弁の中に、大臣から、知恵と人材と合意形成能力というお話がありましたので、その合意形成能力の中で、地域の住民の方と納得のいく進め方をされることが非常に大事なんだろうというふうに思います。

 ただ、小樽市の例でいくと、二十万人の市街地が七万人に将来なるというときに、決して工場跡地などの住宅に適さない地域だけが区域外になるわけではないと思いますので、地域ごとにやはり事情が変わってくると思いますので、そうした点は一つ念頭に置いて進めていただく必要があるというふうに思います。その点、指摘をさせていただきます。

 ちょっと時間の関係で一問飛ばしますけれども、地域公共交通の活性化に関する法案についてであります。

 今後、高齢化がさらに進行し、ただでさえ限界集落が散見される過疎地で公共交通網が疲弊すれば、さらに過疎化が進行していきます。そうした過疎地の公共交通網についても本法律案は想定をしていると考えてよろしいのでしょうか。また、過疎地の地域公共交通網を維持する方策として具体的にどのような考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、人口減少、少子高齢化の加速度的進展によりまして、全国的にまず地域公共交通は厳しい状況にございます。特に厳しい状況でございます過疎地域におきましては、高齢者の方の通院とか学生の通学等のために、公共交通網の確保が極めて重要な課題でございます。当然、本法案の対象地域になるというふうに考えております。

 そうした過疎地域につきましては、一般的に輸送需要が少ないことから、いわゆるバス路線だけではなくて、例えば、予約制で自宅と病院を直接移動するデマンドタクシーの導入など、多様なサービスを組み合わせて公共交通網を確保することが必要となります。

 今回の法案に基づきます地域公共交通網形成計画の中で、このような多様なサービスをまずしっかりと位置づける。その上で、これらが持続可能性を持って運行できるように、地域公共交通確保維持改善事業という予算がございます。こうしたものによりまして、必要な財政的支援もあわせて行ってまいりたいと考えております。

中村(裕)委員 持続可能な体制に支援をお願いしたいというふうに思います。

 我が国全体を見ると、過疎過密の問題があります。大都市一極集中が進み、大都市は大都市で悩みを抱えていて、例えば、子育ての待機児童が多いとか、また特別養護老人ホームなどの入所待ちが多いなど、そういった問題もある中で、地方都市に人口を誘導する施策が必要と考えますが、本法律案は、大都市からの地方都市への人口の移動、誘導を念頭に入れていらっしゃるのか、その点について確認をさせてください。

石井政府参考人 本法案でございますが、これは、地域、地方において直面をしている人口減少や高齢化の中で、何とかコンパクトな町をつくって人口密度を維持して、持続可能な都市、地域を形成したい、そのために、都市機能の集約あるいは居住の誘導ということを、公共交通の再生とも連携をしながらやってまいりたいということで、ある意味で、地方における、いわば何とかして守るという守りの戦略ではないかと思っております。

 今おっしゃいました大都市との関係でいきますと、これに加えて、地域産業の成長や雇用の維持、創出といったことが大変重要でございます。これらにつきまして、政府一体となった取り組みをするため、都市、地域の構造や地域産業を総合的に改革するモデルケースということで、内閣全体で、地元の資源の活用であるとか、地域の産業集積を戦略産業として活用していくといったモデルケースを政府全体で選定をして、関係省庁の関係施策で最大限やってみるということを今後やっていく予定でございます。

 こうした取り組み、守りと攻めの両方の取り組みで地域の活性化を図って、地方都市においても、グローバル化が進展する中で、大都市に負けない居住や産業、雇用の受け皿となることを進めてまいりたいというふうに考えております。

中村(裕)委員 地域資源などを活用したモデルケースをつくっていく、そして、居住や雇用やそういった産業の振興を図っていって、地域におけるモデルケースにしていきたいということであります。大いにそうした誘導策に期待をしたいというふうに思います。

 最近、私、ちょっと一つ気づいたことがありまして、私は昭和三十六年生まれなんですが、私が七十五歳になるのは二〇三六年なんです。例えば、太田大臣は昭和二十年生まれでありますので、昭和のところを二千にすると、二〇二〇年に七十五歳になる。これは全員、昭和のところを二千に直すと、七十五歳にいつ自分がなるかというのが一発でわかっちゃうということなんです。そういうふうになっているんです。

 それになぜ気づいたかというと、地域のお医者さんと話していると、二〇二五年問題に直面しているという話が出てきました。二〇二五年問題というのはどういうことかというと、昭和二十五年生まれまでの人が全て七十五歳以上になる、後期高齢者になるというのが二〇二五年だそうでありまして、二〇二五年になると、医療、介護などの社会保障費の負担が非常に大きくふえていく時代を迎えるわけであります。

 その二〇二五年問題は、二〇二五年だけで終わるわけではないんです。それからしばらくの間継続をすることになるわけでありまして、そう考えたときに、今、人口減少の転換期を迎えた中で、この都市機能再生と地域公共交通の両法案は非常に大切な法律だと私は認識をしておりますし、まさに大臣が所信で述べられた国土のグランドデザイン、それを、拡張する国土ということではなくて、むしろ人口減少に転換した時代の中で、いかにそれぞれの地域の機能や安全性を確保していくかという視点でグランドデザインの策定をしていきたいと。

 そして、骨子を示された中で、その骨子の一行目にも、「二〇五〇年の未来に向けて」、そして、コンパクトな拠点とネットワークづくりというのがあるわけでありまして、私は、大臣がイメージをしている国土のグランドデザインにとって、本日の議題となっている両法案は非常に大切な意味を持つ法案だというふうに受けとめているわけであります。

 そこで、太田大臣から、本法案にかける思いをぜひお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 おっしゃるとおり、人口が拡大をしたり、そして、全国の都市がこれから未来性があるというような時代の国土、そして都市形成ということについて、根本的に人口減少社会というものを迎える。それに備えて、我が国の各地域、都市というものをどう再建していくかということは、今やらないと間に合わない、私はそういうふうに強く思っています。これは五年おくれたら、私も七十五を過ぎて恐らくもう死ぬ寸前かもしれませんが、団塊の世代が、定年後であるとはいえまだ元気なときに、まあ七十を過ぎても元気なんでしょう、そこまでにちゃんと次の構想というものをつくっていかないと本当に間に合わない、私はこう思っております。

 国土のグランドデザインということも、そしてこの二法案ということについても、もうそのことを各地方自治体のそれぞれの人たちは、みんな気づいているというふうに思います。気づいているけれども、どう手を打っていったらいいのかというふうに思っているという中に、法案を二つ投げさせていただいて、そして、一緒に、未来に向けてそれぞれの都市がどう生き抜いていくかということを議論し、具体的に展望を出して、一歩をまず踏み出していくことが大事であるというふうに思っています。

 そういう意味では、国土のグランドデザインについては、先月の末、三月二十八日に骨子を発表したわけでありますが、その一番最初のところ、基本戦略というところに、国土のグランドデザインの中での基本戦略第一項目めに「コンパクトな拠点とネットワークの構築」という項目を掲げさせていただいて、基本戦略の第一歩、一番大事な、まず筆頭、こういうことで、今回の法案を国土のグランドデザインの中にも位置づけさせていただいているというつもりでございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 まさに将来を見据えた、大切な一丁目一番地の両法案になろうというふうに思います。成果が出るまで、やはり十年からそれ以上の期間がかかる内容でありますけれども、本法案のこの国会での成立によって、その一歩がスムーズに踏み出せることを心からお祈りしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

梶山委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 引き続きまして、今回の都市再生特別措置法及び地域公共交通の活性化、再生に関する法律の一部改正、御質問させていただきます。

 私からも、冒頭、先ほど長坂委員からも御指摘をいただいた件について、御要望を申し上げておきたいと思います。

 今般、南海トラフの地震津波避難対策特別強化地域の指定がされまして、伊勢湾湾奥部はその指定の中に入っておりませんでした。先ほども指定の基準を御説明いただきましたけれども、津波により三十センチ以上の浸水が地震発生から三十分以内に生じる地域。伊勢湾奥部はどうなっているかといいますと、一メーター以上の津波が到達する時分が約百分、最大津波高さは五メーターでございます。

 こういった数字を地域の方はよく御存じで、そういった中で強化地域指定から外れると、全く理解ができないわけです。行政の方は、この基準も含めて整理をされた結果、こういうことになっているかと思いますが、地域の方への説明も不十分ですし、我々も、突然この話を聞いております。

 きょう、部局は違いますが、官房の地域活性化統合事務局の富屋事務局長代理にもお越しいただいておりますので、ぜひとも、政府内で、どういうことでこういう指定になっているのか、見直しも含めて御説明をいただきたいと思います。これは要望でございます。

 今回の法案の質問に入らせていただきますが、まず、昨年の日本再興戦略で、その中に「三つのアクションプラン」とありまして、「日本産業再興プラン」というところがございます。その中で、「立地競争力の更なる強化」、この中に七項目ございまして、四項目めに「都市の競争力の向上」ということが出てまいります。

 この「都市の競争力の向上」の中には、先般指定がされました国家戦略特区の話なども出てまいりまして、この中で地方都市についての記述があり、地方都市においても町中への集約化による都市構造の再構築、人口が減少する中でも住宅、医療、福祉等の機能を町中に誘導し、都市の活力の維持向上を図る、そして細目で、コンパクトシティーの実現、中心市街地の活性化などということが出てまいります。

 この地方都市という言葉については、これまで、二十一世紀の国土のグランドデザイン、第五全総、第五次全国総合開発計画の中にも引用されておりますし、第四次全国総合開発計画、第四次全総の中でも定義がさまざまされておりまして、地方の中枢都市、地方中核都市、地方中心都市、これは人口十万人程度、地方中小都市は地方圏において人口五万人程度以下の都市、こういうような定義もされております。

 そこで、まず初めに大臣にお伺いをしますけれども、都市のありようを決める大きなパラメーターの一つが人口であることは論をまたないと思います。国全体として人口減少、少子高齢化という傾向が進む中にあって、人口の大都市部への集中ということも懸念をされておると思いますけれども、大都市部への集中を緩和して、各地方においても同様に適切な人口分布をどう確立していくか、極めて重要かつ大きな命題に国土交通行政からアプローチをする、これが今回の法案の大きな骨格であろうと考えておりますけれども、両法案が解決していこうとする課題及びその目的について、大臣の御所見をお伺いいたします。

太田国務大臣 御指摘のように、人口減少ということと高齢化ということは、まず真っ先に、これからの日本の国土形成、そして、国土形成ということは、そこに住んでいる人の住まい方、生活ということと同時に、もう一つは雇用、仕事という、何をして過ごすかということは非常に大事なことだと思います。少なくなった、だから仕事もあわせてなくなった、やることもなくなったというのではなくて、この人口減少ということを、全体的には六割の地域で人口が二〇五〇年には半減をする、そして二割の地域は人が住まなくなるという現状をよく見た上で、今度は、そこの住まい方というものをどういうふうにしていくのか、雇用というものがどういう形で展開されるのかということを、あわせて考えていかなくてはならないというふうに思っています。

 あわせて、大都市と地方という分け方をしておりますが、人口減少の今の日本の現実を見ますと、大都市近郊というところが、例えばニュータウンをつくったがオールドタウン化しているということがあって、もう一つ、各地方のというよりも、政治家が東京近郊、埼玉の各都市なんかで、朝、おはようございますと街頭演説をしていても、全然十年前とは変わって人が少なくなっている、その大都市近郊のところに昼間もそのままいらっしゃるという方が多くなってきている、ビラをとってくれる人が少ないということがありますけれども、そういうことは極めて重要で、大都市そしていわゆる地方ということと、もう一つ、大都市近郊というのは、また違った様相というものを呈しているというふうに思っています。

 そういう意味では、地域の活力を維持するとともに、福祉や医療の機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するということ、そして、あわせて、大都市の、それぞれの地域を牽引していくという、そうした雇用、仕事ということについても、そうしたまちづくりを形成していかなくてはいけないということ、都市全体の構造を見直して、全体的にはコンパクトなまちづくりと、プラス、ネットワークという形で、今回、問題を提起しながら一緒に考えて、そして具体的に動き出そうという法案を出させていただいたということでございます。

 非常に大事な、今の日本の現状に即してどうするか。その背景には、交通政策基本法を昨年出させていただいたり、さまざまなことをやらせていただいておりますが、今度はまちづくりということを中心にして、人口減少そして高齢社会という二つは、当然、一番、二番の問題として背景にしながら対応するということ。それぞれ地域が違いますから、そこにどういう町をつくっていくかということの起点というものにしたいというふうに思っているところです。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 今、御答弁の中でいただいた、まさに地方都市における仕事、雇用というのも極めて重要で、そういう観点からも、地方における仕事、これは公共投資ということとも切って切れませんし、今後の日本の社会を考えたときに、インフラの老朽化、大臣がずっとおっしゃっておられるメンテナンス元年、メンテナンスの体系的な仕組みの整備は、この大きな命題の解決、地方における雇用を生み出していくという意味でも極めて重要かと思います。

 そういう意味では、国土交通行政が所管をする中に、さまざまな取り組むべき課題があると思いますので、私もしっかりこの委員会の質疑の中で明らかにし、課題の解決に取り組んでいきたい、こういうふうに思います。

 また、地方都市の活性化に関して、昨年十一月末日で要請を公明党として実施しておりまして、この中で、各省庁の施策の有機的な連携を確保する仕組みの導入ということを政府に要請させていただいております。

 これまでも、地方の活性化のため、都市の再構築や地域公共交通の充実、中心市街地活性化といったさまざまな施策が各省庁で講じられてきましたけれども、残念ながら、各省庁がそれぞれに施策を実施していては、なかなか、施策の効果が分散をされまして、地方の活性化が思った以上に進んでいないというのが実情かと思います。

 この地方活性化に関する各省の施策が有機的に連携するような仕組みの導入及びこれらの施策の、各地域の実情に合わせて活用ができるようにサポートをすべきである、こういうふうに要請をさせていただいたところですが、見解及び目下の取り組みも含めまして、内閣官房の地域活性化統合事務局、御答弁をよろしくお願いいたします。

富屋政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域活性化につきましては、関連する省庁が多岐にわたりますことから、これらの関係各省が連携して施策の推進に当たることが大切であるということは、私どもとしても認識をしております。

 そういった問題意識も踏まえまして、地域活性化に向けた取り組みに対して、国として横断的、重層的な支援を行うために、地域活性化プラットフォームを構築いたしまして、地域活性化の推進に関する関係閣僚会合というのをこの一月に設置したところでございます。

 この会合、二回目は三月二十五日に開催されておりますが、そこでは、地域の直面している二つのテーマ、超高齢化・人口減少社会における持続可能な都市・地域の形成というテーマと、地域産業の成長・雇用の維持創出というテーマにつきまして、総合的に改革する取り組みを行う自治体、モデルケースを選定いたしまして、いろいろやっていこうということを決定いたしまして、現在、公募を行っているところでございます。

 この公募を四月二十一日に締め切りまして、五月中には、有識者で構成されますワーキングチームの評価も踏まえまして、選定をしたいと考えております。このモデルケースに対しましては、関係府省の関係施策等で最大限支援をしていくとともに、先進的なプロジェクトとして見える化を図っていきたいということを考えております。

 また、このとりあえずの取り組みは現在の予算等で行うわけでございますけれども、今後のこととしては、必要な税財政上あるいは金融上の支援等につきまして、平成二十七年度の予算とか税制改正等を通じて実現に努めていくとか、あるいは、モデルケースを通じて浮かび上がってまいりました課題を解決するために、法律改正も含めて制度改正を検討するといったようなことも視野に入れております。こういった取り組みによりまして、各地域ごとの取り組みに対して、横断的、重層的な支援を行ってまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 こうした取り組みが、また一つの大きなポイントになってくると思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 では、以下、法案の中身についてお伺いをしたいと思います。

 大変多岐にわたる法律の中身ですので、きょうは特に時間の関係もありますので、都市再生特別措置法一部改正の方についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 この法律は、いわゆる都市計画という意味では非常に新たな取り組みを進めるということになろうかと思います。中でも、まず立地適正化計画というものが非常に重要な要素を占めてくるわけですが、法文を読むと、実際にやるのは市町村長ですね。ですから、この法律を使いこなせるかどうかというところに非常にかかってくると思います。

 国土交通省としてのサポートももちろん重要ですけれども、よく理解して、なるほど、こうすればいいのかということが、自治体がよく理解をできることが重要だと思いますので、この立法の趣旨を明らかにして、今後の計画の策定等に資するために、できれば、議事録を読んだら実際の作業に取りかかれるような、この法律が使いこなせるような、具体的でわかりやすい答弁を以下お願いしたいと思います。

 まず、第八十一条第一項におきまして、市町村は、「都市再生基本方針に基づき、住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るための計画(以下「立地適正化計画」という。)を作成することができる。」ものとしております。これが極めて重要でございます。

 この都市機能増進施設として、先ほど来出ておりますが、「医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。」としております。

 各市町村において、この法文で表現するところの施設は千差万別になると思いますけれども、国交省としてはどういった施設を想定しておられるのか、御答弁をお願いします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、法文上の「都市機能の増進に著しく寄与するもの」ということでは、なかなか市町村の方には御理解をいただくのが難しい面があろうかと思います。そういうことで、私どもとしては、これらの施設につきましては、これからの技術的指針その他で、個別具体にどのような施設が対象になるかをきちっと示していきたい。

 例えば、医療施設でも、通常の病院はなるのか、地域医療支援病院はなるのか等、医療法等でいろいろな区分がございますが、それらの区分をきちっと捉えながら示していきたい。あるいは、社会福祉施設については、社会福祉は大変たくさん法律がございます。社会福祉法、老人福祉法等々、これらの中のどういう施設がなるのかということについても、きちっと示していく。教育文化施設についても、いわゆる学校はいいけれども、認定こども園はどうかといった点も、きちっと示していく必要があろうかと思います。

 なお、そういう中で一つ難しい点は、商業施設というのをここで例示としても出しておりますが、商業施設は一般の収益施設ではないかということがございますので、これらの場合には、もう既に周辺に同様の施設があるといった場合は対象にしないとか、あるいは、市町村がちゃんと必要と判断をするといった要件を加えながら、市町村の方が十分に理解できるような形で指導助言をしてまいりたい、かように考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 また一方で、市町村から、当然のことながら、こういう施設は該当しますか、あるいは、ぜひとも該当させていただきたい等々のやりとりが出てくると思いますので、とにかく前広に、地方都市の活性化につながるように御相談を受けていただければ、こういうふうに思います。

 次に、今、立地適正化計画のことについて触れましたけれども、これの第二項において、その区域等を記載するとしております。これも、都市計画区域、市街化区域、市街化調整区域があって、その中に用途地域、地域地区、こういったものを定めていくわけですが、この立地適正化計画に定める区域はどのような規模あるいは範囲を想定されているのか、市街化区域や調整区域との区別とは無関係なのか、この点についてのお考えをお答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 立地適正化計画の指定する区域についてのお尋ねでございました。

 この立地適正化計画は、居住や都市機能を誘導するということで、まさに都市全体のマスタープランになるものでございます。その意味で、市街化区域、市街化調整区域の区別にかかわらず、都市計画区域全体、これは総人口の九五%ぐらいが住んでおられる区域ございますが、この区域で定めることができる。また、未線引きの都市計画区域でも定めることができるということでございます。

 ただ、先ほどの御質疑でもございましたが、近年、合併で、例えば山の方まで大変市域が広がっているというような場合等もございます。そういうような場合には、都市計画区域の中で、市町村としては、この区域はそういう対象とする必要はないんじゃないかということで、一部除外をして定めることも可能というふうに考えております。

伊藤(渉)委員 個別に順次聞いていきます。

 同条第二項第二号では、都市の居住者の居住を誘導すべき区域、これを居住誘導区域、同条第二項第三号においては、都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域、都市機能誘導区域、及び、それらの区域において市町村が講ずるべき施策に関する事項を、それぞれ立地計画に記載するものとしております。

 それぞれの区域、これも先ほどの立地適正化区域と同様に、どのような規模あるいは範囲を想定しているのか。また、そのために講ずべき施策、これは市町村が講ずべき施策ですから、国交省としてはどういうものをイメージされているのか、これもあわせて答弁をお願いしたいと思います。

石井政府参考人 先ほど、どの程度の都市の規模で計画策定が想定されるかということで、今、希望を持っておられる方としては県庁所在都市とか十万人規模程度以上のところというお話をいたしましたが、都市の規模がさまざまでございますので、都市機能の誘導区域、居住誘導の区域は、地域の実情に応じて、人口や土地利用、あるいは交通の状況、さらには将来の見通し、人口見通し等を勘案しながら設定されるということで、一律の基準を設けるということは困難であるというふうに考えております。

 定性的ではございますが、例えば、都市機能誘導区域は、例えば鉄道駅に近い業務区域、商業が集積する区域、あるいは合併市町村でいきますと、旧町村の役場周辺などは当然対象になるものと考えております。

 居住を誘導する区域は、都市機能誘導区域の周辺の区域は、当然のように便利なところでございますので、なると考えておりますし、あるいは、このような都市機能誘導区域と公共交通で結ばれた区域、このような区域が想定をするところでございます。

 次に、市町村はどのような施策を講ずべきというふうに書いていくかということでございますが、市町村が、例えば学校跡地等の遊休化した公的不動産を持っているといった場合は、誘導施設について事業者の方が検討できるように、このような土地の提供方針を書いていただくことが必要でございます。また、市町村においては、誘導施設に対しての、整備運営費用に対して助成をしていくということでは、これらについても事業者の方にわかるように書いていただくということが必要でございます。

 また、居住を誘導する区域、ここでは居住の利便の用に供するような施設、どんなものを市町村として整備をしていくのか、あるいは、居住を支援するということでありますから、富山市では戸当たり幾らというような支援をしておられますが、このような支援をしていく場合は、こういうようなことがあるということを明示していただくことでインセンティブとなると考えられますので、こういうものについても摘示をしていただきたい、かように考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 もう一つ行きます。

 同じ第八十一条第十二項で、「都市機能誘導区域及び誘導施設は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用及び交通の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な都市機能増進施設の立地を必要な区域に誘導することにより、住宅の立地の適正化が効果的に図られるように定めるものとする。」とあります。

 この将来の見通しというのが、例えば首長の方であれば、これは選挙にかかわってきますので、非常に難しい日本語なんですね。この「将来の見通しを勘案して、」というところを、どのような資料に基づいて市町村は勘案すべきものと国交省は今お考えになっているのか。

 つまり、多分今、日本じゅうでマスタープランを策定していて、人口減少を前提にしたマスタープランを明確に立てているところというのは、そんなにないと思うんですね。これは首長にとっては非常に難しい課題なんです。それを、あえて「将来の見通しを勘案して、」と入れているところが非常にこれは大きな条文でございまして、どういったことを勘案して市町村はこの計画を策定すべきものと現状国交省としてはお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。

石井政府参考人 どのようなデータに基づいて立地適正化計画を立てていくかということでございますが、現状と将来と両方ございます。

 現状の方は、国勢調査、それから都市計画の基礎調査というものを、都市計画を行っている市町村では、人口、産業、土地利用、建物状況、施設等々、詳細に行っております。さらに、人の動き方ということでパーソントリップ、人の旅行の調査というものが使えるというふうに考えております。

 将来の見通しでございますが、やはり今、人口の見通しは大変難しいということでございますが、社人研が将来の見通しを、二〇四〇年までは男女の人口を階層別に出しているところでございます。

 実は、先ほど来、代表的な優等生ということでお示しをしている富山市は、まさに居住誘導区域を即地的に張ったわけでございますが、これを張るに当たっては、先進的な地理の情報システム、カーナビなどに使っている地理情報システムを活用して、人口分布、高齢化の状況等を把握、しかもそれを住民に対して見やすいように可視化をされまして、その結果に基づいて今般の計画等を立てておられます。

 このような示し方を私どもも今現在研究をしておりますが、それらも参考にしながら助言指導をしてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 次は、では少し飛ばしまして、財産権のこともお伺いしようと思いましたが、先ほど中村委員がお聞きいただけましたので、七番目は飛ばしまして、八番目をお伺いします。

 これは第八十六条で、特定住宅整備事業を行おうとする者は、都市計画決定権者に対し、当該事業を行うために必要な都市計画及び景観計画の決定あるいは策定及び変更の提案をすることができるとしております。これも非常におもしろい法文で、要するに、民間事業者の知恵を都市計画に反映していこうという取り組みと考えてよいか。具体的にイメージされているものを、御答弁を国交省にお願いしたいと思います。

石井政府参考人 お答えを申し上げます。

 実は、都市計画においては、従来から土地の所有者が都市計画等の提案をするという制度を持っております。

 今般の特定住宅整備事業というのは、一定規模以上の住宅を建てる事業、まさに民間の住宅事業者の方、この方々が、土地の所有をまだしていなくても、こういうところでこういう都市計画によって住宅を建てていったらいいじゃないかということの提案をする。

 これは、いろいろなものが出てくるので即断はできませんが、例えば、工場の跡地があります、ここにいい住宅を建てていきたいという場合は、それを未来永劫よい住宅地域にするためには、用途の変更をすることが不可欠でございます。そうしますと、現在の工業系の用途地域を住宅系の用途地域にする、あるいは、そこにおいてきちっとした区画街路を入れていくということになりますと、区画整理事業という交換分合をする事業がございますが、それを入れながら、そこに区画街路を入れていくといった提案が考えられます。

 さらに、今回は、景観計画の提案というものを入れております。

 実は、各地方で景観計画、これは所有者の方が今までされておるんですが、例えば、外壁の色を統一したり、道路から少しセットバックをしたり、緑化をしたりということでございますが、このような景観計画をセットした住宅地というのは、地価が余り下がっていなかったり、あるいは住宅地の需要が強いといったことがございます。こういう提案を事前にしていただく。このような知恵を生かしていくと、居住を促進するといった場合に立派なものができていくというふうに期待をしているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 もう少し聞きたいことがございましたが、時間でございますので、終わりたいと思います。

 今、都市局長が御答弁いただきましたように、今回の法改正は、非常に斬新な取り組みというか、今までの都市計画の考え方の枠を超えて、民間の知恵を取り入れて地方都市の再生に資する取り組みをしていこう、そういう意味では大変期待を大きくするものでございます。これらのツールを、繰り返しになりますが、地方都市、地方自治体が使いこなせるように、しっかりと国交省としてのサポート体制を整えていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうはまた六十分もいただきましたので、多岐にわたる法案ですので、ゆっくり審議に臨んでまいりたいというふうに思います。

 まず初めに、法案の審議に入ります前に、沖ノ鳥島の港湾事業中の事故について、先般の委員会でも質疑をされておりましたが、まず、政府参考人の方からで結構です、行方不明の方もいらっしゃる、今捜索中だ、運輸安全委員会も入って原因調査究明中だ、また、捜査の観点から、海上保安庁も一部捜査をされているということでありますが、直近、状況がどういうことになっているのかということについて、まずお願いをいたします。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 直近の状況ということでございます。

 きょうも実は行方不明者の捜索をしているところでございまして、海上保安庁の巡視船あるいは航空機、そして、JVのヘリコプター等々によりまして、現場海域での捜査を引き続き継続しているところでございます。

 また、昨日、有識者から成ります事故の原因を究明する委員会がありまして、事故の状況を把握いたしまして、引き続き検討を進めている、そんな状況でございます。

三日月委員 大臣、まずこれは、私どもが政権を担当させていただいていた折に、排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律というものを、国会に法案を提出し、御審議の上、成立をしていただいた、法律に基づく事業でございまして、先般も御答弁いただいていましたが、排他的経済水域を持つことによって、活動拠点を持つことによって、海洋資源を含め、多大なる国益に資する、こういう事業を、東京から約千七百キロ離れたこの洋上で、極めて難しい工事をされていたものと推察をされます。

 当然、捜査の観点も大事でしょう。原因究明もしなければなりません。再発防止対策は徹底しなければなりませんし、今は何より行方不明者の捜索というものが大事だと思いますが、ぜひ、国益の観点から、こういう難事業に取り組まれているということを十分御勘案の上、やはり政治としても事後の万全の措置、対応が私は必要だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

太田国務大臣 極めて有用な事業であり、安全保障上も、国益、資源等も含めて極めて重要な事業です。

 そういう意味で、もう一つ、今お話があったとおり、東京やこちらから千七百キロというわけですが、負傷された方二名を昨日は那覇の病院の方にも診ていただくということをさせていただいたわけですが、沖縄の那覇の方が近いというような位置関係にございます。ここで働いている人たちが、大変な中で働いて、ずっと船上で泊まり込んで仕事をしているということもよく踏まえて、しっかり対応していかなくてはいけないというふうに思っています。

 事業の重要性、作業が非常に厳しい状況の中で行われているということをよく考え、今回の事故原因もよく調査し、そして設計等も含めて万全の体制で完成させるようにしたいというふうに思っているところです。

三日月委員 事業の重要性、作業の困難性等々を勘案し対応するということでございますので、ぜひそのことをよろしくお願いいたします。

 それでは、法案の審議に入ります。

 まず、地方都市の現状と展望について、先ほど来、人口の問題から、また過疎化という観点からさまざまな御指摘がございましたが、法案の中身に入る前に、地方都市が置かれている現状、及び今後どのような傾向になるのかという展望、さらには地方都市における交通というものの状況、この辺についてお伺いをいたします。

 お答えいただく前に、私の方から、お許しをいただき配らせていただきました資料に基づいて、若干自分なりの問題把握について御紹介したいと思います。

 この資料の表一、ごらんいただければおわかりのとおり、日本全国で人口減少が進んでいるということをさらにちょっと細分化して見てみますと、これは出典を書かせていただいておりますが、地方自治職員研修という雑誌の「地方都市の現状と課題」、北海道大学の石井教授がまとめられたレポートなんですけれども、ただ人口が減る、ただ人口が減るということだけではなくて、市町村の人口規模別にどれぐらい減るのだろうかということを見てみますと、御想像にかたくなく、三大都市圏よりも地方圏ほど、かつ人口規模が小さい市町村ほど人口減少のスピードが早いのではないかということが見てとれます。

 そして、表二をごらんいただくと、これは二〇〇〇年と二〇一〇年を比較したものなんですけれども、三大都市圏もまた地方都市圏も、人口規模が大きな市町村ほど高齢者の比率が高くなってきているということが見てとれる。

 表三を見ていただきますと、これが今回の法改正の一つの前提になるわけですけれども、人口集中地区、いわゆるDID地区というものがどう変化してきているのかというものを見ますと、人口増大に伴って都市が拡大をし、そしてその中で人口が減ってきているという状況の中で、地方圏ほど、より人口規模が小さい市町村ほど人口密度が小さく、すなわち、すかすかになってきている、単位面積当たり居住される方が少なくなってきているということが見てとれます。

 これは、国土審議会で示されたデータにもありますように、人口規模が小さい市町村ほど一人当たりの行政コストが高くなってしまう、そういう有意なデータもあるところであります。

 裏をめくっていただいて、表四をごらんいただければと思うんですが、そういう状況下で、産業はどうなのかということを見てみます。

 これは、小売業に従事される方の従業員数及び売り場面積、二〇〇七年時点がどうなのかということと、過去十年間の増減率、一九九七年に比べてどうなのかというものを見てみますと、従業員も売り場面積も、三大都市圏も地方圏も、小規模都市も大規模都市もふえています。売り場面積も従業員もふえています。

 しかし、その中での販売額が、この表四の右側を見ていただければわかるように、販売額は十年間で顕著に減ってしまっていって、とりわけ地方圏の小規模都市、地方圏の小規模自治体でこの販売額の減少が著しいということが見てとれます。

 そういう状況下で、地方の交通はどうなのかということで見てみますと、例えばバスも鉄道も船も、この十年間で、利用者、輸送人員というのは大きく減少。

 さらには、乗り合いバス事業者は、二十四年度で事業者のうちの七割が赤字、路線系統のうち七四%が赤字。さらには、バスだけで平成十九年度から二十三年度で八千百六十キロも廃止、五年間で八千キロ超廃止なんですね。

 鉄軌道を見てみますと、地方鉄道九十一社のうち六十九社、約七六%に当たる事業者が赤字、平成十二年度以降、十五年間で六百七十三・七キロも廃止という状況があります。

 その中で、自家用乗用車、いわゆるマイカーの台数は、今直近のデータで日本で五千九百万台。しかし、高齢化の進展に伴って、自動車運転免許、資格を持つ方は当然ふえてくるんですけれども、取り消しをされる方、返納される方というのがふえております。

 これは、警察庁のデータで見てみますと、平成十五年には六十五歳以上で自動車運転免許証を持っている人は八百八十万人、それが平成二十五年には千五百三十四万人と、約倍増しております。

 運転免許証の取り消しを申請する人、六十五歳以上で取り消しをする方の人数をとってみますと、全国で、平成十五年は九千八百二十五人だったところが、直近、平成二十五年には十三万一千五百九十五人もいらっしゃるということなんです。一年間で十三万人も、運転免許証をもう返しますという方がふえていらっしゃるんですね。このふえ方は尋常ではなくて、平成二十二年には六万三千人だったんです。二十三年には六万九千人だったんです。それが、平成二十五年には十三万人に倍増しているという状況なんですね。

 るる申し上げましたけれども、人口が希薄になってくる、すかすかになってくる地域がふえてきて、産業も、広げたけれども、もうからない状況がふえてきて、都市において、人の移動を担う公共交通というものの経営が苦しくなり、そして、自分で運転できなくなる人が多くなるという状況下で、都市再生というものと公共交通の活性化というものが、もしかしたら遅きに失している地域もたくさんあるのかもしれませんけれども、極めて重要な課題になっているというふうに私は認識をしております。

 何か答弁を先取りしたような私の質問になったかもしれませんけれども、政府の認識を問いたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方から本当に示唆に富む御発言をいただきまして、ありがとうございます。簡潔に答弁をしたいと思います。

 まず、全国の人口の状況は、まさに表の一に示されたとおり、地方圏、より小さい都市で非常に厳しい状況になっているということでございます。

 ただ、表二にありますように、一方で、高齢化、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、大都市の郊外部とかでもふえていますし、それから、大都市はそもそもボリュームが大きいものですから、ふえ方は、率は違っても、その大きさというものは非常に大きくなるというところの認識は一緒でございます。

 一方、DIDにつきましては、先ほどの審議の中でもるる答弁しておりますけれども、人口が増加する過程で、それ以上に市街地の外縁が拡大し、密度が非常に低くなっている。現状でもそうでございますが、これからさらにその状況が厳しくなっていくということで、密度が非常に低い市街地がさらにふえるという懸念がございます。

 それから、交通につきましては、何といいましても、モータリゼーションの進展ということがありまして、まず、いろいろな施設の立地が郊外部に行ったということによりまして、市街地部の空洞化というのがございますし、このモータリゼーションは、先生が今おっしゃいましたように、公共交通に極めて大きなインパクトを与えておりまして、輸送人員の低下、それからそれに伴う路線の廃止ですとか経営の悪化をもたらしているということでございます。

 それからもう一つ、何といいましても、生活という面におきましては、まさに今、免許証の返納者の数字をお示しいただきましたけれども、高齢者とか、あと学生、それから身体障害者の方とか、マイカーでは自分の足が確保できない層が非常にふえておる、しかもそれが密度の低い地域においてふえておるということで、これは非常に大きな問題だということでございます。

 私、今思いましたのは、いずれにいたしましても、この今お示しされた表を見ましても、全国、いろいろな局面で、いろいろな課題というか数字がございますので、我々政策を担当する者としてはきめ細かい分析が必要だということと、一方で、それぞれの市町村にとりましては、まさにその一つ一つの数字が、突きつけられている深刻な問題をあらわしているというふうに思っておりますので、そうした観点から今回の法案も提出させていただいたところでございますし、引き続き、政策につきましても、そういうことを十分勘案して進めてまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 私は、この地域公共交通活性化法の制定時にも議論に参画をいたしました。そのときは、まちづくりと交通をセットで例えば法改正、法制定をすべきだということを申し上げ、この国会でようやく、都市再生特措法、そして地域公共交通活性化再生法、さらには経済産業委員会でも審議されております中心市街地活性化法、これがセットで審議をされ、制度改善されるということは画期的なことだと思いますし、私たちは、その前段に、先ほど大臣が御紹介いただきました交通政策基本法というものの制定、さらには平成二十四年に、後ほど確認いたしますが、都市の低炭素化の促進のための法律というものも制定をしてきております。

 キーワードは、官か民かだけではなくて、事業者か市町村かということだけではなくて、やはり新しい公共、地域の課題をみんなで議論をし、合意形成をし、解決をしていくという新しい公共という発想や理念、視点が大事なのではないかということで、私たちは政権にいたときからこの制度検討及び法案というものをつくってきたということがございます。

 ここで一点、都市局長にお伺いをいたしますが、先ほど来話題になっております都市再生特措法に基づく立地適正化計画、これによって都市機能を誘導していくんだ、居住の誘導をしていくんだということでございますが、この立地適正化計画にいかに実効性を持たせていくのかということが私はこの制度のまず一つ目の肝であると思うんですけれども、このメニューについてお示しをいただきたいと思います。

石井政府参考人 先生御指摘のとおり、従来の都市計画は、ここに建ててはいけないといったような、マルかバツかという形の強制的なものでございました。それに対して、今回の立地適正化計画は誘導するということでございますので、実効性を担保するためにはインセンティブが極めて重要でございます。

 支援措置でございますが、まず、一番中核となる都市機能を誘導する区域については、国土交通省の所管事業のみならず、今後の都市機能として極めて重要な病院、診療所等の医療施設や、あるいは介護等の福祉施設、さらには学校や図書館等の文化教育施設等について、社会資本整備交付金あるいは民間都市開発機構の出資等の金融上の支援を行うこととしております。

 また、その際に、地方で市町村等が、小学生が少なくなって遊休地化してしまった学校跡地等の公的不動産を民間事業者に安く貸すといった場合には、事業者に直接国が支援するという仕組みも取り入れているところでございます。

 居住につきましては、居住誘導区域外に、いっとき土地が高くなって公営住宅等が外に随分出てまいりましたが、老朽化したものが中心部の遊休地に戻ってくるといった場合は除却費等を支援する。あるいは、居住誘導区域はこれから景観等あるいは緑化が大切でございますので、これらに対して支援をしていく。

 さらに、まちづくりの方でも公共交通の方に支援をして、コンパクトとネットワークをつなげていくということで、交通の結節点における駅前広場の整備あるいはバスレーンの整備等、公共交通に対する支援措置を講じていくこととしております。

三日月委員 今回は、かなり危機感を持って、同時に、それぞれの地域ごとに夢や思想を持って、町のつくり直しをするための、誘導していくためのいろいろな支援措置がセットされているんですけれども、同時に審議しております地域公共交通活性化再生法に基づく交通網形成計画、要は、コンパクト化とネットワーク化をセットでやるんだ、それぞれ計画をつくってもらうんだということなんです。

 今回、同時に提出をされ、今こうやって同時に審議、審査をしておりますが、いっそのこと、町の立地適正化計画というものと交通網の形成計画というものをセットで一本にするという思想を持って、例えば法律も統合してしまう。もう少し市町村が、それぞれ協議会をつくって、それぞれ計画をつくってということがないように、セットで一本化していくということが必要ではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 今先生御指摘のとおり、今回の法案の特徴というのは、まちづくりだけ、あるいは交通だけではなくて、この両法案を一緒に提出させていただき、お願いをして、一緒に審議をしていただくというところに最大の特徴があるのではないかと思っております。

 しかしながら、もう一点は、片や、交通事業者がたくさんいらっしゃって、その中の利害調整を通じて市町村がつくられる計画である。片や、立地計画の方は、どちらかというと住民等と対話をしながら、協議会等を通じて即地的にエリアを決めていくということで、望ましいことではありますが、必ずしも一緒にできるということにならないといった点も御理解をいただきたいと思います。

 そういう中で、この立地適正化計画は、市町村のまちづくりのマスタープランになるということで法案上整理をしております。

 その観点から、地域公共交通網形成計画は、立地適正化計画と調和が保たれたものでなければならない。また、御指摘はございませんでしたが、中活法に基づく中心市街地活性化計画も、都市のマスタープランとなる立地適正化計画に適合しなければならないということで、三者が一体となって進めるように、また、今御指摘もございましたが、協議会等は、同時開催をしたり、あるいは委員を共通化する等を通じて、お互いに同じ土俵の中で議論ができるように指導をしてまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 交通の方は多くの事業者の利害調整がある。一方、立地適正化計画は居住者との対話が要る。現状はそうなんでしょうけれども、それらも全部つないで、例えば居住者、利用者と事業者、そして行政、そして、まちづくりと交通計画というものがやはりセットになって初めて実効性ある計画になってくると思いますので、今回の提出や改正や、またこの審議のあり方は、私は大きな前進だと思いますが、その先を見越して、今回の計画づくりや事業実施の実態をよくよくつかんだ上で、局横断、そして法律統合というものも視野に入れた施策の展開というものが必要だと私は思います。

 調和の規定について、今局長の方から御答弁がありましたけれども、それぞれ、都市再生特措法八十一条に、立地適正化計画は基本構想や都市計画法上の方針と調和、さらには、地域公共交通活性化再生法五条には、交通網形成計画が、都市計画また基本方針、中活、中心市街地活性化の基本計画、バリフリ、バリアフリーやハートビル法等々の基本的構想というものとの調和等々のことが規定されておりますけれども、この調和というものについてはどのように確認、担保されるのでしょうか。

石井政府参考人 この両計画の調和でございますが、具体的な局面といたしましては、いずれも計画の作成に際しましては、先生御指摘のとおり、事業者あるいは商工労働者、住民等、地域の協議会を活用する場面が想定されます。これらの協議会メンバーの相互乗り入れや合同開催をしていくといったことで、計画作成に当たっては緊密な連携を図っていく。

 また、これらを支援する国土交通省側につきましても、大臣の指示で、都市と交通と一体になってプロジェクトチームをつくれという御指導をいただいておりますが、市町村に対しましても、時として、余り小さいところではないかもしれませんが、少し大きくなりますと、交通部局とまちづくり部局は別の部局になりますが、これらにつきましても一体となって検討をしてくれというふうに指導していきまして、その一体性を担保してまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 大事なことだと思います。

 一点、居住誘導区域について、観点を変えて聞きます。

 先ほどもありましたけれども、この居住誘導区域外の方々に対する不利益、こういうものに対する整理、また配慮をどうするのか。居住誘導と言葉にして言うのは簡単ですけれども、例えば農業などを営まれる方々は、この集住、集まって住めということに適さない側面もあると思うんですけれども、こういう産業や産業従事者に対する配慮というものをどのようにとっていかれるおつもりでしょうか。

野上副大臣 御指摘の点は、本法案では大変重要な論点だというふうに思っております。

 本法案では、必要なサービスですとか居住について、これを全て中心部に集約するということではなくて、例えば、合併前の旧町村の中心部ですとか、あるいは主要なバス停の周辺など、そういうところの生活拠点にも誘導していって、これらを公共交通でうまくネットワーク化していくということが重要であるというふうに考えております。その結果、一極集中ではなくて、多極ネットワーク型のコンパクトシティーを目指すということだろうというふうに思います。

 今御指摘の農業のことにつきましても、農業等に従事する方が旧来の集落に居住し続けるということも、これは当然の前提だろうというふうに思っております。全ての者を居住誘導区域に誘導しようとするものではない旨を市町村にもしっかり周知してまいりたいと思います。

 さらに、郊外部においては、農林水産省とも連携をいたしまして、「農」のある暮らしづくり交付金を活用して、農業の六次産業化等の農村振興政策を進めてまいりたいと思います。

 こうした中で、例えば私の地元の富山市におきましても、町中への集積をして固定資産税等の税収を確保して、同時に農山村部への支援をやっていく、市全体の配慮をしていくということを進めておりまして、市町村においても単なる郊外部の切り捨てにならないように、しっかりと周知してまいりたいというふうに思います。

三日月委員 大事なことだと思います。

 市町村にも徹底をし、これはまた市町村の中でそれぞれ戦略的に議論をされ、協議をされ、計画づくりをされることだと思いますので、国としてもそれをよく支援していただくよう求めたいというふうに思います。

 先ほども言葉に出しました、都市の低炭素化の促進に関する法律というものを、一昨年、平成二十四年八月二十九日に成立をさせております。この法律との関係をどのように整理、規定されているのか。

 都市の低炭素化の促進に関する法律というものを見てみますと、例えば、集約都市開発事業計画を認定することになっています。また、その事業の中には、鉄道利便増進事業ですとか軌道利便増進事業、道路運送利便増進事業、貨物運送共同化事業などなど、今回改正する法律とも連動していると思われる事業がたくさんあって、一つ大きく違いますのは、例えば、電気自動車の施設普及の支援ですとか、そういうものはまた違うメニューとして、都市の低炭素化の促進に関する法律には掲載されているんですけれども、この法律との関係についてお伺いをいたします。

石井政府参考人 先生御指摘の都市の低炭素化の促進に関する法律は、名前のとおり、都市でつくられるCO2の削減を目的として、モータリゼーションの中で、自動車依存が大きい、あるいは使用するエネルギーを減らしていく、あるいは建築物の省エネに取り組むといったことを定めているものでございます。

 これについては、エリアを比較的小さいところでもできるということで、市町村にとって極めて取り組みやすいものとなっております。その結果として、今既に十都市で、しかも、その中で北九州市を除くと、比較的小さな都市が積極的に取り組んでおられます。

 一方、今回の都市再生特別措置法の方は、居住、住まいを誘導していく、あるいは生活サービスを、即地的に場所を決めて誘導していくということで、ある意味、都市全体を一般的には見据えてやっていくという制度で、少し仕掛けが大がかりなものになっているのではないかと思います。

 しかし、低炭素まちづくり法案につきましても、先生から集約化という言葉がございました。これは、言葉を直せばコンパクトということでございますし、まさに今回の都市再生特別措置法はコンパクト化のもので、コンパクト化という点ではまさに共通をしていると思います。

 そこで、実際の実用事例等も考えますと、市町村の規模とか狙いに応じてこの両制度を適切に活用していただく。あるいは、場合によっては、そういう居住の誘導なんかとあわせて省エネや何かをやりたいというところも出てくる場合は、この両制度を併用するということも考えられるのではないか。こういうふうに両法案の関係を考えております。

三日月委員 ぜひ両制度が併用できるように、計画をつくる、また取り組む市町村の支援を行っていただきたいというふうに思います。

 それで、これまでの議論とちょっと矛盾するかもしれないんですけれども、今局長からも、コンパクト化、コンパクト化というお言葉が何度もありました。確かに、これまで広がってきました、そしてその中で人口が減りました、したがって、コンパクト化しましょう、これは大事なことだと思うんですけれども、本当にそれだけでいいのか、これはそれぞれ市町村のお考えだと思うんですけれども。

 具体的にどういうことかというと、これまでは狭いところにたくさんの人が住んでいた、でも、これからは、中で住む人が少なくなるんだから、より広いところに住めるじゃないか。これまでは緑も削って田畑も潰して家を建ててきた、でも、これからは、中に住む人が減るんだから、緑も取り戻せるじゃないか。これまでは狭い道路で我慢してきたけれども、住む人が減るんだから、広い道路にすることができるという視点や発想も、私は、この都市再生特別措置法でまちづくりをし直す方々に持っていていただいていい理念、思想じゃないかと思うんですけれども、この点につきまして、どのように政府はお考えでしょうか。

太田国務大臣 一つの、そこも含めてどう考えるかということだと思います。

 コンパクトであっても、その中自体に居住スペースを広げるというような営みも当然あってしかるべきだというふうに、空間というもの、市民がコンパクトでも集まる広場というようなことも私は大事なことだというふうに思います。

 そういう意味では、大都市部においては、子供が多かった時代の住宅というのは、非常に各小さな部屋をいっぱい、子供部屋をつくってということになりますが、これから高齢社会の中では、ゼロエネとか省エネ、ウエルネス住宅というだけでなくて、部屋を切って広くして、高齢者を中心にして住んでいくというような、そこにまた規制があるものですから、そういう住宅の改正ということもやっていかなくてはいけないというふうに思っておりまして、コンパクトにした中でのスペース、空間、商店街の中での空間、そして居住の、住宅の中でも、そこのあり方というものを時代に合わせてつくっていくということが大事だ。

 それから、今度はコンパクトではないほかの地域ということからいきますと、跡地がより多くなるということからいきまして、この跡地をどう利用するか。そういう意味では、新しく緑を豊富にする、あるいは市民農園というように、全部市内に行くというわけではなくて、休日にはそちらに人が動く、そういうような市民農園のある、そうした住まい方というようなものに跡地をどう利用して活用していくか。

 そのためには、都市再生推進法人、NPO等が、居住誘導区域外において、跡地等の管理協定を締結して緑地として適切に管理するということや、あるいは、お隣さんがいなくなりましたという土地の隣の家を借りるとかいうようなこと、借りやすくなって、そのまま家を壊してしまうというんじゃなくて、使えるというようなこともというように、さまざまな意味で、コンパクトな町の中、それから外、この空間というものをどう活用するか、利用するかという観点を常に入れていかないと、居住誘導区域外においては人がいなくなって寂しくなるというのではなく、そこに価値をどう生み出していくかという、そこにはまた観光という面もあろうと思いますが、そうしたことが私は大事な観点で、そこを入れていかなくてはこの都市計画は成り立たないというふうに思います。

三日月委員 考えは同じです。都市空間の再創造だと思います。

 単に小さくなる、少なくなるということだけではなくて、何かそこに夢や理念を持ってそれぞれの市町村が取り組んでいただけるよう、この制度を運用してまいりたいと思うし、また、それをしっかりとチェックしてまいりたいというふうに思います。

 その中をつなぐ、また、その都市と都市とをつなぐ地域公共交通の活性化問題についてお伺いをいたしますが、達成状況の評価の項目を、今回、地域公共交通活性化再生法の中に、例えば五条第二項五号、交通網形成計画、この中には達成状況の評価、二十七条の二、二項の第六号には、再編事業の実施について効果というものをきちんと入れることになっておりますが、これは大事なことだと思います。

 どういうことが目的だったんでしょうか。また同時に、この効果効果、達成状況の評価評価というものだけが強く走り過ぎて、それぞれ市町村や都道府県の意欲をそがないようにすることも大事だと思いますし、数値化されにくい、数値化しにくい評価項目、公共交通の役割というものをどう位置づけるのかということも私は大事だと思うんですけれども、この点、いかがでございましょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、この法案で、持続可能な地域公共交通ネットワークを実現するためには、地域の関係者が知恵を出し合って、合意のもとで、まず実現可能な計画を策定する。それから、計画の達成状況を的確に把握して、例えば利用者の動向とかまちづくりの進展を踏まえながら、適時適切に計画の見直しにそれを反映していくということが求められるということを踏まえまして、このたび、今先生御指摘のように、地域公共交通網形成計画の記載すべき事項として、新たに計画の達成状況の評価に関する事項を追加しております。

 この評価を実施するためには、まず、御指摘ございましたけれども、数値化できるもの、これは逆に、なるべく数値化しろというようなお声もございまして、できるものはまずする。しかし、そうでないものもございますので、そういうものは逆に、なるべくわかりやすく目標を設定したいと思います。

 いずれにしても、この達成状況のものは、計画の見直しと、それから関係者の方に、きちっとその計画がどう動いているかということでございますので、そういう方にわかりやすくする、見える化をするということと、PDCAサイクルをしっかり回すために必要があるというふうに考えているところでございます。

 今、懸念の指摘もございましたので、この評価の的確な運用につきましては、本法に基づきます基本方針の中でも示していきますし、法案が成立した暁には、説明会、研修の場等で市町村に対してもきちっと説明し、お互い問題意識を共有しながら普及に努めてまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 数値化は大事です。数値に基づく評価も重要だと思いますが、数値化されない、しにくい公共交通の役割というものもきちんとその計画の中に反映されるよう、そういうものであっても取り組めるよう柔軟性を持たせておくことも私は重要だと思います。

 それで、一点お伺いいたしますが、この再編実施計画を定めるときに、先ほども大臣からもお話がありました。合意形成がかなり困難だし、それがポイントになってくると。

 例えば、ドル箱路線のバス路線はどの事業者も運行したい。ところが、そこばっかり集中して、なかなか路線の再編がしにくいということがあるんですけれども、例えば、合意形成に協力してくれた事業者には補助金を出すけれども、車両購入補助を出すけれども、そうじゃない事業者には出さないということも含めた、合意形成を可能とするよう、何か支援の枠組みが要るのではないかと思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、本法案は、地方公共団体が先頭に立ちまして、コンパクトシティー化などの地域戦略との連携を図りながら、地域公共交通ネットワークを再構築するということでございますので、今先生御指摘のとおり、この取り組みを進めるためには、まず公共団体、それから交通事業者、場合によっては住民の方など、関係者の合意形成というのが極めて重要ということは当然でございますし、いろいろな問題をみんなが意識しながら、なかなか解決に踏み出せないというのは、その合意形成のところがポイントになりますので、一つは公共団体が先頭に立つということでその役割を担っていただきたいという思いがございます。

 そのために、二十六年度予算におきましては、地域公共交通の再編を実施するための計画の策定費に対する補助制度を創設したところでございます。

 また、先ほどからもお答えしておりますけれども、こういう地域公共交通の再編に関するノウハウというものがなかなか公共団体にない場合につきましては、それを提供するために、本省の部局、地方運輸局の担当者によります策定の支援とか、あと、先進市町村の人材の紹介、また、場合によっては、地域に有識者の方もおられますので、そうした紹介をしたいというふうに思っております。

 その上で、先生が御指摘でございました支援というか補助制度のあり方につきましては、今後、複数の事業者の調整のもとで、地域公共交通の再編を促すためにどういう支援の仕方が一番効果的なのか、しかも全体のバランスもございます。そうした観点を含めて、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 これは私たちのときからいろいろと検討してきましたよね。ぜひ検討を深めて、早期に実施できるようにしていただきたいと思います。

 その上で、私、関連して二点お伺いするんですけれども、バスの路線を維持するための補助金のあり方なんです。

 これは、今、直近のデータで、平成二十五年度で、地域間、市町村間系統で七十八億、そして市町村内系統で約二十八億支出をされております。これは御案内のとおり欠損補助なんです。赤字が出ればそれを埋めるということなんですけれども、従来から指摘されておりますように、ややもすると、補助金をもらうために赤字でいい、赤字がいいというような運用をされているのではないかという指摘があり、黒字になろうという意欲をそいでいるのではないかという指摘があります。

 むしろ、赤字路線から黒字にした場合は、例えば、数年間、運営費補助として充てられるような、何かメリットシステムのようなものがあると、黒字になろうという意欲が湧き、さらなる投資にもつながるのではないかと思うんですけれども、そういう改善について、どのように検討されていますか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 先生今の御指摘の点は、およそ民間事業者に与える財政支援についてどうあるべきかというところについては、いつも頭に置かなきゃいけない論点だというふうに思っております。

 このバス事業者に対する補助も、いろいろ過去の経緯がございまして、今御指摘のとおり、現行では、生活交通のネットワークを維持するために、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、一定の地方バス路線の運行に関し、欠損の二分の一を補助するということになっております。

 ただ、今、支援に当たりまして、どういう基準でやっておるかということを申し上げますと、まず地域ブロックごとに標準的なコストを算定して、これを前提として欠損額を算定しております。それで、毎年度ごとにあらかじめ補助額を内定いたしまして、その上で、経営効率化の努力によって欠損を減らした事業者につきましては、その分を収入として確保できるようにするといった仕組みにしておりまして、一定程度事業者に経営インセンティブを付与するという効果は上げているというふうに認識しております。

 ただ、これが、今の制度でそのまま効果的かどうかということについては不断の見直しが必要だと考えておりますし、また、今回の法改正が成立した場合については、新しい仕組みの中で地域公共交通網の再編を進めますので、そうした全体の中で一層の経営効率化が図られるような法の運用をしたいというふうに思っていますし、御指摘の点につきましては、民間事業者に対する、しかも経営の効率化に寄与するインセンティブが与えられるというような支援のあり方につきましては、引き続きの検討が必要だというふうに思っております。

三日月委員 今ここで結論を出せということでもないし、これが百点満点、一〇〇%だという言い方はしませんけれども、私は、民間事業者が行政がつくる計画にいかに協力をし、かつ、ただ赤字、欠損を埋めてもらえるということだけではない、例えば投資であるとか、路線のあり方だとか、サービスのあり方だとか、その改善意欲を促す、こういう制度づくりというのが私は大事だというふうに思います。

 そういう観点に立って、関連して、もう一問聞きますと、共通乗車船券というのがあるんです。今回の改正法案だと二十七条の八というところで共通乗車船券というものがあって、現行法にもこれはあるんですけれども、どれぐらい利用されているんですか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 現行法に共通乗車船券の規定はございますが、残念ながら、今のところ、この制度に基づきます適用の実績はございません。

三日月委員 何で利用されないんでしょうか。利用者からすると、一々料金を払って、今は、ピッで乗りおりできますから、何となくその大変さは解消されていますけれども、この共通乗車船券というものが活用されないのは何でなんでしょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 的確に調べたわけではございませんけれども、一つは、今の現行法制度の仕組みにおきましては、その共通乗車船券の発行が専ら交通事業者に導入の判断を委ねられていた、それが出てくるのを待っていたということでございまして、恐らく、現行制度における一つの問題点としては、そういうことがあったのではないかというふうに思っております。

三日月委員 それを今回の法改正でどのように改善するんでしょうか。

 私が示した資料に、この裏面、表四の下のところで、これは消費者庁がまとめた日本の公共料金の内外価格差というものの最新のデータでして、鉄道、バス、タクシー、高速道路とあって、これは為替レート換算で日本を一〇〇とした場合、各国の水準とどうなんだということを比較してみました。

 こうやって、さっと一見していただくと、あ、意外に安いやんかというふうに思われるかもしれませんけれども、日本の場合は、例えば鉄道も地下鉄もバスもこれ全て、初乗りなり距離別の運賃を一〇〇としています。一方、例えば欧米では、地域にもよりますが、これらをゾーン運賃にして、初乗りは取らずに、一定地域内の移動についてはこのそれぞれの水準で、例えば固定価格で乗りおりができる、例えば鉄道からバス、バスからトラムというようなものについても一定のゾーン運賃というものが定められていて、それ以上には上がっていかないということがあります。

 何が言いたいかというと、この共通乗車船券をさらに活用することによって、我が国においては、それぞれの事業者に、それぞれの交通モードに初乗り運賃というのがあるじゃないですか、この初乗り運賃というものが、鉄道からバス、バスから地下鉄になったときに全部に乗っかってしまって、トータルとして公共交通による移動の割高感が出てしまっているのではないか。

 例えば、二〇二〇年に東京五輪が開催されるのであれば、そのときに合わせて、東京都内は、地下鉄に乗っても、JRに乗っても、バスに乗っても、ゾーン運賃で移動可能だということを例えば試行してみる、検討してみる。これは事業者間の利益の問題、経営の問題ですから、極めて合意形成は難しいとは思うんですけれども、そういうことも検討してみてはどうかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、基本認識といたしまして、地域公共交通のネットワークの再構築を進めてまいりますと、当然でございますが、運営の効率化から、鉄道とバスの間の乗り継ぎとか、路線バスとコミュニティーバスの間の乗り継ぎというのを活用してくる場面が当然出てまいります。

 その場合には、当然、今先生御指摘のとおり、初乗り運賃を何度も払うということになりますと、割高感ということで、かえって公共交通の利用の促進が阻害されるということでございます。

 現に、ゾーン運賃等につきましては、事業者間の判断によって、全国で例もあるようでございますので、そうしたものが一定の場合効果があるということは認識していると思います。

 先ほどの話に戻りますが、ただ、今の制度で実績がないということは、結局、事業者間との調整がなかなかできない。

 今回は、共通乗車船券の発行というのはそのまま残しておりますが、地方公共団体が策定いたします新たな実施計画の中にそれを盛り込み、その中で導入を促進するということになっていましたので、これはまさに、乗り継ぎが出るということは、異なるいろいろなモード間の調整ということでございますので、何とかこの法律の仕組みの中でそういうものの活用が促されるようにということで、そういう運用ができるように指導するなり、そういうことを考えてまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 指導だけではちょっと不十分だと思うんですね。やはり乗りかえ抵抗というのはあります。乗りかえに伴う初乗り運賃加算に伴う割高感というものが、こういう公共交通の利用をちゅうちょさせるということにもつながると思うんです。

 それが改善できれば、事業者間の調整ができれば、事業者間の調整を促すような仕組みが何かあれば、例えば、そういうものを行う地域、事業者間の初乗りを取らないということによる減収分を公的に一時的に補助する、その結果、損して得とるじゃありませんけれども、その結果利用がふえれば、全体の収益が上がり、事業者にもプラス、乗る人にもプラス、社会もプラスという、公共交通三方よしの、そういう新たな仕組みというものができるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、お聞きになっていて、いかがお考えですか。やはり、初乗りをそれぞれのモード事業者ごとに取るということの割高感を解消することが、公共交通利用促進の一つのポイントじゃないかと私は思うんですが。

太田国務大臣 話を聞いておりまして、私は、そういう方向が望ましいなというふうに思います。また、今度は高齢者という立場に立っても、一々一々いろいろ買っていくというようなことがいかに面倒なことかという抵抗は相当なものがあるというふうに思います。

 ぜひともそうした方向を検討して、いろいろな事業者がいますから、よく検討していくということが大事かというふうに思います。

三日月委員 ぜひ検討してください。

 そのときに、今、情報化がかなり進んでいます。先般出されたグランドデザインの中にも、その方向性なり進展、そのことによる可能性についても指摘をされておりましたけれども、例えばビッグデータの活用、位置情報がとれるということは、公共交通のあり方を根本的に変える大きな変革期だと私は思うんです。

 タクシーに乗せたい人とタクシーに乗りたい人とをつなぐのは例えばスマホであったりするわけで、このことは公共交通の利用可能性というかサービス向上に格段の変革をもたらすと私は考えるんですけれども、このあたり、国土交通省として、どのように捉え、そして備えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まさに御指摘のとおり、情報化につきましては、交通の分野にさまざまな新しい可能性をもたらすものというふうに思っております。

 御指摘のありました新たな国土のグランドデザインの骨子におきましても、ビッグデータが生むイノベーション、それからICTの活用によるストレスフリー社会の実現というのがうたわれておりますし、交通政策基本法におきましても、ICTの活用等の技術開発の普及というものを基本的施策の一つに掲げております。

 現に、例えば、現行の地域公共交通におきましても、携帯電話などのインターネット端末から乗り合いバスの位置情報を確認できるバスロケーションシステムなども導入しておりますので、こうしたものは利用者の利便の向上に大いにつながってまいると思います。

 それから、ビッグデータ等の関係でございますけれども、ICTを用いて細やかなニーズを把握することによりまして、既存の路線をニーズに合った運行に変更するとか、新しい路線を提供するということで、これも公共交通サービスの向上に十分生かしていけるんだというふうに思っております。

 我々としましては、この一層の活用につきまして、例えばビッグデータについては、どういう分野でどういう情報が活用可能なのかというようなことについても検討を始めておりまして、活用をさらに進めるべく努力してまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 これはぜひ世界に先駆けてやりましょうよ。例えば、クラウドコンピューティングによって、バスなんて、そもそも路線なんか要らぬのや、それぞれ乗りたい人が、簡単に、例えばスマホでタッチして、そのデータを集めて、そして、瞬時にしてバスの路線を組み、運行指令を出すことが可能なんだという技術は、もうそれぞれの自治体でも実証されているんですよね。そうすると、乗らないところで空気しか運ばないバス路線ではなくて、乗りたい人のいるところに、例えば日によって変わる、曜日、時間帯によって変わるバス路線を組むことは可能な時代になってきているんです。

 ぜひそういうことを進めることによって、利用者利便を高めていくという取り組みを国として進めていけば、私は世界にも先駆けた公共交通先進国になれると思います。

 最後にお伺いをいたしますが、LRTの導入について。

 私は、余り知られていないかもしれませんけれども、LRT推進議員連盟の事務局長をこの十年やってきておりまして、これは超党派の議員連盟で、共産党の穀田先生も入っていただいております。非常に夢のある議員連盟なんですけれども、世界では、このLRT、ライトレールトランジット、町のトラム、非常にかわいらしい、また、時代の最先端を行っているようなトラムを運行させることによって、町の活性化にもつなげている。

 先ほど来何回も出てきている富山県富山市の事例などは全国垂涎の的でもあるんですけれども、世界では、例えば二〇一三年にフランスのトゥール、また中国の瀋陽を含め、非常にこの導入が進んできていますし、ことしはドバイでも運行が予定されております。

 ところが、日本は、富山市以降、どこか導入できたかというと、既存の路面電車の維持というものはあるのかもしれませんが、なかなか進まない。努力していただいているいろいろな団体はあるんですけれども、このLRT導入促進を国においても進めていくべきだと私は考えるんですが、最後に政府の見解を伺って、私の質問を終わります。

石井政府参考人 LRTは、エネルギー消費も少なく、環境に優しい交通機関で、また、外がよく見えて観光にも役立つ、そういう意味で、市街地の活性化、まちづくりの効果も期待できるところでございます。

 今般の法案で、事業者間の調整を地域公共交通で、また、LRTといっても、やはり需要をつくらないといけませんので、需要を集めるといった点は今般のまちづくりの法案の方でということでございますので、これら両々相まって、何とか、今後、日本でのLRTの普及を進めてまいりたい。

 現在、富山に続いて、具体的には宇都宮で導入を進めたいという機運が高まっております。宇都宮市においては、この場合に、コンパクトなまちづくりと一緒にやっていきたいという希望も持っておるようでございます。今後、これらの希望を受けて、国土交通省として支援をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

三日月委員 長時間ありがとうございました。終わります。

梶山委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十分開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 午前中に各委員の大変に貴重な御意見をたくさん賜りました。それを参考にしながら質疑を続けさせていただきたいと思います。

 本題に入ります前に、航空局の方に一つお伺いをしたいと思います。

 先月の八日に、クアラルンプール午前零時四十一分発、マレーシア航空三七〇便がタイランド湾の上空で急に西へ転進をして、マレー半島を横断した後、突然消息を絶った。それから一カ月以上が経ておりますけれども、いまだにその状況がよくわからないという、前代未聞のこうした状況が生じております。

 我が国においても、このようなことが起きないことを私は祈っておりますけれども、いついかなるときに何が起きるかわからない、こうした中にあって、この事件といいますか事故といいますか、これを参考にしながら、我が国の航空管制の現状、あるいは、こうした航空機の情報を把握する、そのような意味で、どんな状況にあるのか、運輸多目的衛星、MTSATですか、これも含めて御説明を賜りたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のありましたマレーシア航空機の不明事案、これと同様な事案が我が国で起こった場合でございますけれども、まず、航空機が行方不明になった場合に、国土交通省の羽田の事務所に東京救難調整本部というのが置かれまして、これが、我が国が管轄しますかなり広大なFIR、この中で捜索救難活動を実施するわけでございますけれども、警察庁、消防庁、海上保安庁、防衛省と協力しながらそれを実施するということになっております。

 それで、今先生御指摘のMTSATでございますけれども、もちろん、航空機と通信設定がなされておれば、その位置情報というものはそれで得られるわけでございますけれども、マレーシア航空機不明事案のように、航空機からの通信が途絶した状態でございますと、航空機の位置特定に必要な情報というのがなかなか取得できない、こういうことでございます。それで、これは各国とも同じような課題を抱えているということでございます。

 したがいまして、国交省といたしまして、今後、こういう事案が発生した場合に迅速的確に対応できるための方策、これは国際民間航空機関、ICAOの場などを通じまして、技術的観点からの議論を深めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

若井委員 町中でもカメラがある場所というのは限られているということもこれありですから、広い地球の上で、大きいとはいえ航空機を捜すのはなかなか大変なことだとは思うんですけれども、できる限りそれをちゃんとフォローができるような、そういうシステムの構築に向けて御努力をいただきたいと思います。

 ちなみに、内閣官房の方では、今、情報収集衛星、IGSですか、これを実用化しているわけですけれども、この活用状況等についてはいかがでしょうか。今回の事件に限らず、例えば航空管制等との連携についてはどのような運用があり得るのか、その点について教えていただきたいと思います。

河邉政府参考人 お答えいたします。

 情報収集衛星につきましては、安全保障また大規模災害等の危機管理の対応のために必要な情報を収集しているところでございます。

 今般のような航空機の発見、捕捉といいますか、そういうものに関しての状況でございますけれども、一般的には、情報収集衛星のように、地表面を観測するため周回軌道をとっている衛星というものは、特定の地点の上空を通過する頻度というのは限られておりまして、また、その撮像の範囲も限られておりますことから、高速で飛行する航空機を発見、捕捉するというのは困難であるというふうに考えております。

 また、情報収集衛星によりまして航空機の事故現場等の状況を把握しようとする場合につきましても、事故現場等が特定されるなどの条件が整っている場合は格別でありますが、そうでない限り、これもなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

若井委員 今回のような事件が起きる蓋然性というのは低いのかもしれませんけれども、こうしたことが万が一起きた場合にしっかり対応できるように、さらにそうしたシステムの充実をお願いしておきたいと思います。

 それでは、本題に入ります。

 今回の都市再生特措法の改正あるいは地方公共交通活性化法の改正、この法案が提出をされることになったその背景とか狙いについて、少しお尋ねをしたいと思います。

 先般見せていただきました国土のグランドデザイン、その中には、先ほど来議論になっております人口減少社会に対する対応ということがうたわれております。これによりますと、二〇五〇年には我が国の人口は九千七百万人、そして高齢化率が四〇%になる。そして、これから三十五年ですか、その間に人口の地域的な偏在がさらに加速をするだろうということが記されており、これに基づいてのグランドデザインを今後つくっていくということが言われているわけであります。

 これにさらにつけ加えますと、社会資本のストックが現在八百兆円見込まれておりますが、これらが老朽化をしていく。これに対する更新投資というものもしっかり準備をしていかなきゃいけない。八百兆円ですから、グランドデザインにあります更新費の四・六から五・五兆というのが十分なのかどうか、ここら辺についても今後さらに検討していきたいということでありますが、八百兆円、百年で消耗するとしても一年間に八兆円というような試算に単純になるわけでありまして、この更新ということも容易ならざる仕事だなというふうに私なども考える一人です。

 いずれにしても、五十年で五千万人増加をした人口を、とりあえず我が国土の中に、本当に致命的な問題も生じずに、うまく収容してきたといいますか、配置をしてきたということも大変な力仕事だったと思うんですが、二〇五〇年までに三千万人が減ってしまうというこの国土の大きな変貌に対して、どっちへ向けてかじを切っていくのかということが問われており、恐らく、今回の改正案はその第一歩ではないかと思いますけれども、この法案提出の背景と狙いという点につきまして、今私が述べましたようなこと以上に何かそうした目的があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

太田国務大臣 今、若井先生おっしゃったとおり、その上に、大災害そして巨大地震ということに対して私は大変危機感を持っておりまして、その災害列島という中での強靱性というものをどうしていくかということは、人口減少の集落ということからいきますと、ある意味では、そこの医療とか救急体制というようなことの中で、公共交通というもののあり方や道路のあり方というものが極めて重要だというふうに思っています。

 それから、少し出ておりましたが、これから、交通ということについて言うと、インフラ整備は、道路においてもそんなに新しいものが出るわけではありませんが、先ほど三日月先生もおっしゃっておりましたが、どういうふうにバスならバスで運んでいくかというときに、やはりICTを利用して、現在あるものを強靱にするとともに、賢く使っていく。渋滞解消ということを、例えば道路を二車から四車にするというようなこと以上に、上手に車の流れを配置するというような、ICTを利用してのそうしたものにしていく。また、高齢化ということに対しましては、バリアフリーのまちづくりを初めとするさまざまな措置がある。それらを全部加味して、都市をどのように再編し再生させるかという課題だというふうに思っております。

 いずれにしましても、都市のエリアが人口減少によって低密度になっていく。また、大きな都市は、より強い、競争力のある都市にしなくてはいけない。そして、コンパクトシティー・プラス・ネットワークということを具体的に展開していかなくてはならない。公共交通機関というのが軒並み廃止されるというようなことの中で、これをまた新たに再編していかなくてはいけない。

 いろいろな課題の中で、住んでいる人が、地域というものを背景にしながら、いかに生き生きと、そして、安心して安全に住んでいけるかということを確保することを目標にしながら、都市というものを形成するということだと思います。

若井委員 大臣、ありがとうございました。

 お手元に、一枚、資料を入れておきました。裏のページに、「都心部及びその周辺での高齢者密度の増加」というタイトルがついている地図がございます。

 この上の図は、可住地面積当たりの高齢者数でありまして、平成二十二年の現状でありますけれども、これを見ておりましても、六十五歳以上の高齢者、その分布は、あくまでも都心周辺、そして近郊整備地帯においても、比較的大きな都市の真ん中というところに、このように集中をしている。この傾向は、さらに下の図でありますとおり、見通しとして加速をしていくんだということが、これを見るとわかってまいります。このように、高齢者が都心に集中をしていくというようなこともあります。

 ここでなければ交通の確保もできないし、また、生活の利便性も確保できないということもあろうかとは思いますけれども、いずれにしても、それぞれの国民がどの地域でこれから暮らしていくのかということが、地域政策、国土政策上の一番の課題の一つではないかというふうに私は考えるものであります。

 そこで、お尋ねをしますけれども、こうした居住人口、都市機能も含めてですが、これを国土のどこに置いていくのかということをこれから決めていくことが求められているわけでありますが、この間、例えば、その入れ物であります市街化区域、これを設定しながら、国土政策を、都市政策を展開してこられたわけですが、その推移について簡単に教えていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からは市街化区域の設定の面積でお尋ねがあったところでございますが、事前の御相談のときに、ないしはDIDでということでしたので、DIDの面積の方でお答えを申し上げます。

 一九七〇年と二〇一〇年とを比較いたしますと、大都市、例えば首都圏では一・九倍に、中部圏では二・五倍に、近畿圏では一・六倍に増加をしております。

 また、地方部でございますが、便宜上、県庁所在市と人口十万ぐらいの都市と分けますと、県庁所在市で二・二倍、人口十万人の都市で二・一倍に増加をいたしております。

若井委員 失礼いたしました。先ほど三日月委員がDIDの議論はしていたので、私、この市街化区域に着目をしてみましたが、先ほどの資料を見ておりましても、確かにおっしゃるとおり、DIDの面積は倍程度にふえていながら、人口密度の方はどんどん希薄になっている。ある意味でいうと、都市的ではあるけれども拡散をした。それに対して、とにかく、基盤整備も含めて、この人口を収容していく国土づくりですが、その仕事に邁進をしてこられたということであろうかと思います。今後、どこにそうした問題が集約的にあらわれてくるのかということが、次の具体的な方策をつくる上で大事な判断材料だと思うんです。

 これで、先ほど三日月議員が配った資料をお借りしながら見てまいりますと、この表の一のところに、地域別、人口規模別の総人口という表がありますが、二〇一〇年で地方圏に六千四百万人、そして三大都市圏に六千二百万人ということですから、ほぼ大都市圏と地方圏が人口の半分ずつを占めているんだ、こういうことになろうかと思います。その比率は十年たっても余り変わらないというのがこの推計だろうと思うんですけれども、中身は、そうはいっても、大きく変わっていくんだろう。

 それに対して、今回のこの都市再生の特措法であるとか地方公共交通活性化法が有力な手法になっていくんであろう、そのように問題設定がされているんじゃないかと考えるわけでございますが、大都市圏と地方圏が半々というのはともかくとして、大都市圏と地方圏の中のどこで次の重要な問題が起きていくのか。その点について、もしお考えがあれば、ぜひ聞かせていただきたい。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、高齢化が急速に大都市も地方にも進展するわけでございますが、高度成長期に団塊の世代が大量に地方から三大都市圏に流入をしてまいりました。この方々の大きな固まりが、今後十年、二十年という間に高齢化が進んでまいります。多くの方が、マイホームということで、大都市の周辺部、郊外部におられます。この地域が、大変深刻な高齢化ということでは問題を抱えるというふうに予想をしております。

若井委員 まさに大都市圏では、都市郊外、郊外部に広がっているいわゆる住宅ゾーン、ニュータウンもあれば、あるいはスプロールで拡大をした市街地もあるかと思うんですけれども、そうしたところから高齢化が始まり、そして人口の減少が四半世紀後にはどんどん起きるだろうというふうに予測をされるわけで、このように連担をしながら広がって、先ほどDIDの指標をお聞きしたのもそこですが、どんどんどんどん密度の低い市街地が外へ広がっていったものが人口が減るわけですから、その連担が次第に細っていく、薄くなっていく、そういう状況になっていくんだろうというふうに予測せざるを得ないと思うんです。

 今回のこの再生特措法の絵面を見ておりますと、いわゆる居住誘導区域というのは、そうやってちぎれてしまいかねない、そうした中の一つの節をきちっとつくっておいて、真ん中の、コンパクトシティーの都心的な地域とそこの間を何とか結んでいこうかというお話かと思いますけれども、それにしても、この市街化区域、これまで連担して市街化したところを、どういうふうにこれから見ていったらいいのかということも大きな課題になろうかと思うんです。そこについては今回の法律には特に書いていないわけですが、その点についてはどのようにお考えですか。

石井政府参考人 今般の法案は、その適用エリアにつきまして、大都市と地方を区別するものではございません。

 今御指摘の大都市郊外につきましては、行政の方としては、高齢化が急速に進展をし、介護施設等が不足をしてくる、そういう場合に、やはり便利なところに住んでいただいて、かつ、その方々に適切な介護施設を提供できるような仕組みを本法案の中で提供していくことが極めて重要であるという認識でおります。

若井委員 いわゆる居住誘導区域の話はここに書いてありますけれども、そこの間の部分について、今後、もう少し御検討いただかなきゃいけない課題があるんじゃないかと思いますので、その点だけ指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、地方圏の話なんですが、いただきました国土のグランドデザイン、この中にある最も牧歌的な、心温まる「小さな拠点」という絵がございまして、これをどのように進めていくのかという点についても、今回の特措法の肝があるんじゃないかというふうに私は思います。

 この間、都市再生特措法といえば、都心の超高層ビルが建ち並ぶような、かなりぎらぎらした部分が多かったというように思うんですが、今回の改正は、むしろ、こういうようなきめの細かい、国土の、ある意味でいうと末端といいますか、地方圏で暮らしておられる方々の暮らしのありようをどのように束ねていくかというコンセプトだと思いますが、それ以上のことはよくわかりませんけれども、具体的にはどんな方策でここの整備を進めていくというふうにイメージしておられるのか。

野上副大臣 今、先生から地方部のことについての御質問をいただいたわけでございますが、本格的な人口減少時代が到来をしまして、二〇五〇年には、一キロメッシュで見ますと、約六割の地域で人口が半減するということが試算をされております。

 そのような中でコンパクト化を進めていくに当たっては、生活に必要なサービスの全てを中心部のみに集約するのではなくて、例えば、合併前の旧町村の中心部ですとか、主要なバス停周辺などの生活拠点にも誘導していくことによって、そしてこれらを公共交通でつないでいくということによって、一極集中型ではなくて、多極ネットワーク型とすることが重要と考えております。

 さらには、この図にもありますとおり、農村部等々もあるわけでありますので、農村部におきましては農林水産省と連携をしながら、農業の六次産業化を図っていくなどの農業振興策を推進することも重要と考えておりますし、また、こうした市町村においては、町中に人口や生活サービスを集積して固定資産税等の税収を確保しつつ、市町村全体に目配りを行った施策を行って、郊外部の切り捨てにならないようにしていくということが大切だと考えております。

若井委員 先般の平成の大合併、そして、もっとさかのぼれば昭和三十年前後の合併があって、いわゆる旧村中心といいますか、平成でいえば結構大きな町の中心市街地なども、ある意味でいうとこういう状況に近づいてきているというふうに私は想像しております。

 そうした地区が何千かあって、そこを腐心しながら、その周辺の農山漁村の集落、あるいはここで言う多自然居住区域ですか、そうした地域を支えていくということになろうかと思うんですが、実際のところは、この小さな拠点をどうつくるかという具体的な手法というのがなかなかないというのが現状で、この間、それがうまくいかない、あるいはその成果を十分生んでいかないということで、地方圏全体が、ある意味でいうと活力を損なってきたという面もあると思います。一刻も早く、今、農水省とも協力してというお話でしたが、ここについての具体的な方策について御検討を賜りたいというふうに思います。

 この問題はこれぐらいにしておきますが、いずれにしても、目立たないけれども大変に大きな課題であるということを、もう一度確認させていただきたいと思います。

 次に、今回の都市再生特措法の改正につきましても、この間、半世紀の間、人口が増加をしてくるという状況の中でさまざま展開をしてきた都市計画事業、これらの成果の上に、あるいは延長の上にさまざまな方策を講じていくということになろうかと思うんです。

 例えば、下水道事業を例にとって考えてみますと、先ほど申し上げたとおり、連担した市街地がだんだん縮退をしていく、人口が減っていく、供用区域も自然と縮んでいくのかと思いますけれども、現在、この下水道事業区域等については国交省としてどのような対処をしておられるのか、今後どういう方向へ向かおうとしているのか、その辺についてお聞かせいただきたい。

森北政府参考人 お答えを申し上げます。

 社会状況が変化する中で下水道事業をどのように進めていくのか、そういうお尋ねでございます。

 下水道を初めとする汚水処理施設の整備につきましては、人口の密集したところでは集合処理、人家のまばらなところにつきましては個別処理というふうに、都道府県が市町村と連携をいたしまして、地域の実情に応じた効率的な汚水処理施設を選定する、そういうことが基本と考えております。

 国土交通省といたしましては、このような考え方に沿いまして、今後、本格化する人口減少、市街地のコンパクト化等、社会状況の変化を踏まえ、引き続き市町村等における効率的な下水道整備を推進してまいりたい、そのように考えております。

若井委員 下水道事業についても、恐らくそうした見直しの時期がかくも近づいているということであろうかと思いますけれども、これまでに実施をしてきたさまざまな都市計画の事業、例えば街路であり、例えば区画整理であり、その他さまざまな都市計画決定に基づく市街地整備といいますか、都市の整備といいますか、行ってきたわけですけれども、今後、今回の特措法の中にある機能誘導区域あるいは居住誘導区域、これらの線引きも含めて、これらの計画について具体的に見直しをする必要があるんじゃないか。大臣、いかがでしょうか、その点については。

石井政府参考人 下水道を例に、先生の方から、今後の市街地の動向を勘案して都市開発事業等の方向性をどのように見直すべきかというお尋ねがございました。

 今般、立地適正化計画を策定してまいりますが、この立地適正化計画は、当該市町村のまちづくりのマスタープランという位置づけに都市計画上なってまいります。その結果、その後の市町村の都市計画事業というのは、基本的にこの立地適正化計画に沿って実施をされていくということになります。したがいまして、立地適正化計画を策定した市町村においては、このような立地適正化計画に反するような、市街地をむやみに拡大を助長するような施設あるいは開発事業というのは基本的に慎むということになっていくものというふうに承知しております。

 国土交通省といたしましては、市町村がみずから立地適正化計画の中でコンパクトなまちづくりを推進するということを決定された場合には、これらを重点的に支援するということで、その推進を支援してまいりたいというふうに考えております。

太田国務大臣 私たちというか、先生と同級生だと思いますけれども、入ったころは、コルビジェの、都市は人を自由にするというようなことから始まりましたが、下水道とかそういうことについての都市施設というものは、ある意味では、やっと下水道が来たぞとか、やっと水道が来たぞというのが物すごく喜びであったということは、今使っている人たちにとっては忘れられないんだと私は思います。

 今この瞬間に物を考えれば、例えば下水道整備とかいうことを、いや、ここはもう合併浄化槽でいいんだよ、伸ばすという必要はないんだということが言われるんですが、そうしたことも、再編していかなくてはならない方向だと私は思います。思いますが、常にそこに、やっと下水道が来たぞと喜んだ人たちが失望をしないようにしていくということも常に物の考え方の中には入れて、まちづくりというものを、合理的に切り取ればいいというのではないというふうに私は思っているところです。

若井委員 大変に優しい大臣のお言葉でありましたけれども、いずれにしても、こうした特措法を先頭に、近い将来、この都市計画についても見直しをしながら、これまでつくってきたものはさらに有効に、高度に利用ができるというようなシナリオを、ぜひ今回のグランドデザインの中においても具体的な形で御提案を賜りたいと思います。

 次に、地方公共交通活性化法の改正についてでありますが、今回の改正の一番の要諦というのはどこにあるんでしょうか。先ほど来の、人口減少であり、あるいは公共交通の需要減に対して、事業者が今後どのように供給に当たっていけるのか、そこの隘路は何なのか、そしてこの活性化法の改正に至るのは何なのか、そこについて、ごく簡単に御説明いただきたい。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、改正案のポイントは、三点申し上げます。地方公共団体が中心となること、まちづくりと連携すること、それから持続可能な地域公共交通のネットワークを形成することということでございます。

 こうしたことを実現するために、従来の法律では地域公共交通総合連携計画というのがございましたけれども、これを実現する手段というものが不十分だったという認識でございまして、新たに計画策定の予算措置でございますとか法令上の措置というものを設けることによりまして、こうした計画の実現を後押しするということでございます。

 いずれにいたしましても、公共団体が先頭に立つことによりまして、まちづくり施策の連携を図り、一体となって地域の活性化のために資するというような枠組みを提案しているところでございます。

若井委員 けさ、総務部門で説明があったんですが、第四次の分権一括法の中に、自家用の有償旅客輸送の扱いについての法案がございました。生活に必要な輸送がバスやタクシー事業によって提供がなされない場合、これまで国交省がその枠組みを維持してきたわけでございますけれども、今後これを自治体に委ねていこうという御提案だと思うんですが、これできちっとした生活交通を支えることができるのかどうか、国交省とすればどのような対処を考えておられるのか、その点について一言御説明を願いたい。

田端政府参考人 お答えいたします。

 現在、道路運送法に基づいて、いわゆる白ナンバー車両を使用して行います自家用有償運送、これにかかわります事務あるいは権限については、住民生活に最も身近な地方公共団体が、地域の実情に応じた交通ネットワークの形成、充実に向けて取り組むこと、これを促進する観点から、現在、ただいま御指摘ありましたように、国会に提出中のいわゆる第四次分権一括法案において、希望する市町村を基本として移譲することを盛り込んでおります。

 このような地方分権によります地方公共団体への事務事業の移譲と、本法案によります地方公共団体が主体となった地域の実情に応じた地域公共交通再編の枠組み、これ双方が相まって、自家用有償運送につきまして、今後、地域の主体的な取り組みにより、地域公共交通ネットワークづくりの中で、従来以上に効果的に自家用有償運送を活用することが可能になると考えております。

 一方、事務、権限の移譲後におきましても、輸送の安全あるいは利用者の利益保護というのは非常に重要でございます。移譲先となります地方公共団体におきまして、この事務が適切に遂行されますよう、自治体と連携を密にしてまいりたいと思います。

 また、地方公共団体の要望に即しまして、この事務処理に関します知見とかノウハウの継承、あと、輸送の安全の確保にかかわります専門的な人材の育成、こういうものにつきましての支援は国としてしっかりと行って、今後とも交通ネットワークの充実、形成が進みますように取り組んでまいりたいと考えております。

若井委員 しっかりとサポートしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 最後に一つ、先ほど三日月委員からもあったんですが、LRTの導入の話です。

 先ほどの議論の中にそれがなかったと思うんですが、なぜ我が国でなかなかこれが普及をしないのか。一つは、道路空間が狭過ぎるということ、それからもう一つは、資金がないということに尽きると思うんです。

 まず、道路空間について言うと、世界じゅうを見て回ると、物すごく狭いところに通しているところも結構あります。リスボンなんかに行ったら、本当に、歩いている人がさわれそうなところを通ったりするようなところもあります。ですから、これはかなり柔軟な運用によって、もちろん、道路空間を整備しながらこのことを考えていくべきだろうとは思うんですけれども、ぜひ工夫をしていただきたい。

 それから、資金の問題ですが、ドイツなどで、十万都市で今新しくLRTを導入しているところもございます。そういったところの事例で見ておりましても、実は運賃収入で賄えるのはせいぜい二割だ。それ以外の財源、資金については、いろいろな、基本的には税ですが、これに依存をし推進をしている。なぜかといえば、LRTをつくることによって、コンパクトシティーを誘導することができるんだと。

 二十世紀であれば、鉄道を引いてニュータウンをつくるという拡大型の事業をしてきたわけですけれども、この膨らんでしまった市街地を、軸をつくってそこに寄せてくるという意味では大変に有効な手だてだと思います。鎌倉などでもロードプライシングの検討を始めておりますし、自動車を減らし市街地をコンパクトにする、これは総合的な行政コストの削減という意味でも大変に効果がありますから、広い意味でのそろばんをはじけば、ちゃんと計算が合うんだろう。

 私は、LRTそのものにはこだわる必要はないと思いますが、BRTとかそういうもの、要するに、公共交通を具体的に展開することを通じてコンパクトシティーを実現していく、そうした方向性をもっと強く追求すべき時期に来たんじゃないか、そのように考えます。

 時間が来ましたので、お答えは結構ですが、ぜひその点について御検討賜りたいということを申し上げて、終わります。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 これまで、この二法案、改正案に対して、非常に建設的、有意義な質疑、議論が行われてまいりました。私もそれを踏まえた上で御質問をさせていただこうと考えておりますが、何点か重複する点も出てくると思います。改めて確認をさせていただきたいと思いますので、その点、御容赦をいただければと考えております。よろしくお願いします。

 都市をどうつくっていくかということに関して、我が国では、昭和四十三年の都市計画法の制定以降、その時代の課題に合わせてさまざまな制度改革が行われてまいったと理解をしております。

 特に、平成十四年の都市再生特別措置法の制定以降は、午前中からもずっと議論がございました、いわゆる薄く広く広がってしまった市街地をどういうふうにしていくかという点について取り組みが行われてきたわけでありますが、多くの地方都市において、郊外部への転出に伴う中心市街地の空洞化は食いとめられていない現状があります。

 私の選挙区、地元は広島県の福山市でございますが、まさにこの典型例だと思っておりまして、おかげさまで人口は四十七万人、そんなに減ってきている町ではないんですけれども、市街地はどんどん広がって、今も広がっていっておりまして、郊外に住宅ができ、その郊外の住宅に住む方々をターゲットにした大型店舗ができ、そこに車で買い物に行って全てが完結してしまうということで、駅前の中心市街地に関しては、空き家そして空き店舗、シャッター商店街という状況でございます。

 外から福山市にいらっしゃった方が新幹線の駅をおりて、その駅前を見て、とても四十七万の都市には見えないという残念なセリフをよくおっしゃられて、私としても非常に残念な思いをしているわけであります。

 改めて、郊外部への転出に伴う中心市街地の空洞化を食いとめられてこなかった原因というものを国交省としてどのように認識されているのか、確認をさせていただきたいと思います。

坂井大臣政務官 中心市街地の空洞化につきましては、これまで約二十年間も続いたというデフレ、我が国が置かれた経済状況のほか、急速な人口減少、そして高齢化といった、さまざまな要因があったと思われます。

 今、委員が御指摘されましたように、大型の、郊外型の、要は魅力ある店舗ができて、そこに車が乗りつけられるようになった。人が引きつけられたということもあろうかと思いますし、また、幾つか足りない点もあったかと思っておりまして、そのうちの一つが、中心市街地に対する民間投資であったりとか、それからコンパクトシティー化への取り組み、また、中心市街地と居住地域を結ぶ公共交通のネットワークといったようなもの、これらがまだ十分ではなかったというようなことと相まって、空き地、空き店舗化、そして、低・未利用地化というものが食いとめられていないというように考えております。

 こうした状況を踏まえ、コンパクトシティーを進める本法案のほか、中心市街地活性化法、そして地域公共交通活性化法等々に基づく取り組みと一体となって、地域のまちづくりを総合的に支援してまいりたいと思っております。

坂元委員 御答弁ありがとうございました。今の御答弁にあったように、まさにその課題を解決すべく、コンパクトシティー化を目指していくために今回の法改正が提案をされているわけであります。

 私が考えるのは、まず、市街区域というか、市街化区域の広がりを食いとめていくという点も非常に大事なのではないかと。つまり、何が言いたいかといいますと、実は、この市街化区域の広がりを抑えていく、抑え込むということは、現行の都市計画法でもこれは可能だという認識でありますが、午前中からの議論にもあったとおり、大臣からも答弁があったように、運用面といいますか、やはり郊外に家が建って、それが幾つか集まってくる。やはりそこに、下水道を通してほしいという要望が地域の住民から上がってくると、自治体としてはその要望にできるだけ応えていきたい、いかなくてはならないということがあって、結局、市街化区域がどんどんどんどん広がってきてしまったという状況なのかなというふうに理解しております。

 今回の制度改正で、なかなかそうやって食いとめられてこなかった点がある中で、どのような点が今回の制度改正は違うのか、どういう効果を期待して今回の改正案が出されているのかについて御説明をお願いいたします。

太田国務大臣 今までは、ある意味では、これは意識してやった、やらないにかかわらず、拡張型の都市計画であり、都市整備という時代が一九九〇年代まで続いてきたんだと思います。それを今度は食いとめる、線を引いて食いとめようという形が今までであったと思います。

 今回、私どもは、そうした拡張型の都市形成ではなくて、ある意味では、コシノジュンコさんなんかが言っておりますが、足し算の政治から引き算の政治も加えよということを言っておりますが、物をつくっていって、あるいは拡大していく、それを減らしていく、そういうこともまた大事なこれからの役割だというふうに思います。その中で、線を引いて、あるいは厳しい法律で規制するというよりは、誘導しながら町全体をもう一遍つくり直していくという観点に立った。

 この二十年前に私が政治活動をしておりましたが、そのときには、まちづくり三法をつくるということで大論議をしました。中心市街地活性化法、大店立地法、そして都市計画法。どちらかといいますと、都市計画法というよりも、経済産業省の、当時は通産省でありましたが、商店街を活性化しよう、駅前を活性化しよう、そして、そこに大きな店舗、スーパーが入るけれども、そこには環境面で規制をしよう、あるいは、外に出ていく場合でも、それについてはさまざまな規制措置をとっていこう、そういうことであったわけですが、もうそういう部分的な、中心市街地あるいは商店街ということだけを考えても、これはとても、高齢社会になる、そして高齢化が進む、そういう中で、もう一遍やり直さなくちゃいけないという方向性を誘導という措置によって今回はやっていこうというところに、実は大きな転換があろうというふうに思います。

 人口あるいは経済が右肩上がりであって、人口ボーナス、そして経済的なボーナスのあった時代から、そうではないという、逆の時代になったということで、二十一世紀型の日本の都市というものを、強さをさらに増進しながら、新しい形のまちづくりというものを形成するということのスタートが、具体的にはこの法案であるというふうに思っているところです。

坂元委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 実は、この都市再生特別措置法は、平成二十四年にも改正をされていまして、わずか二年足らずでの再びの改正案ということになるんですけれども、今大臣がおっしゃった発想の大転換というものがあっての、今回の二年足らずでの改正だという理解でよろしいのでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 都市再生特別措置法は、さまざまなパーツがございまして、大都市にかかわるもの、それから地方都市にかかわるものと、さまざまございます。折々の社会情勢に触れて改正を行ってきております。

 御指摘の平成二十四年の改正は、実はこれは、東日本大震災の後、ターミナル駅等に備蓄倉庫等を設けて安全確保を図っていくというような安全確保計画の制度を、主に大都市向けにつくったところでございます。

 どちらかというと、今回の観点でいきますと、平成十六年の都市再生法の改正で、まちづくり交付金というのが、まさに地方都市の活性化という面でつくられたというふうに承知をしております。そのまちづくり交付金の制度創設からちょうど十年余りが経過をして、まさに都市全体が人口減少に転じていくという大きな社会情勢の変化を受けて、今般、生活サービスや居住を誘導しながらコンパクトシティーをつくっていくという新たな仕組みの導入に至ったというように承知をしております。

坂元委員 ありがとうございました。理解をいたしました。

 ただ、私が考えるのが、今回の改正案で目的とされている、住宅であるとか居住関連施設の立地の適正化などは、都市計画自体における根本的な、非常に主要なテーマというか、問題になってくるのではないか。その意味で、より強力に推進をしていくためには、やはり都市計画法の改正も含めて考えてもいいのではないかなというふうに思っておりまして、この立地適正化計画自体の考え方を都市計画法に位置づけるのではなくて、都市再生特別措置法の改正によって対応しようというところに関しての理由をお伺いできればと思います。

石井政府参考人 御指摘のとおり、このように大きく時代背景が変わったということであれば、都市づくりの基本法が都市計画法であれば、それでもって対応すべきではないかという御指摘でございます。

 一方、都市計画法は、その構成が線引きあるいは用途地域、例えば用途地域は、建築基準法で確認という制度で、この建物は法律に合うかどうか、マルかバツか、線引きにしても、開発許可を認めるか認めないか、マルかバツかという仕掛けでできております。既に人が住んでいる、あるいは、機能が立地しているものを、できるだけインセンティブで誘導していこうという誘導型という仕組みになっておりません。

 一方、都市再生特別措置法につきましては、これはまちづくり交付金の制度等、予算制度にリンクをしながら誘導するという仕掛けを持っております。そのような観点から、今般、都市再生特別措置法という枠組みで、手段の観点から、このところをとらせていただいたわけでございます。

 一方で、特に強いコントロールをしたいという場合は、今般の法律の中に居住調整区域、あるいは、規制緩和の場合には特定用途誘導地域等を定めることとしておりますが、これらは都市計画法についても位置づけをして、強い仕組みというふうにしておるところでございます。

坂元委員 先ほど大臣の御答弁にもあったとおり、強いコントロールというより、より誘導型というか、誘導に力を入れてやっていきたいということが、今回の都市再生特別措置法の改正という点であるというふうに理解をいたしました。このコンパクトシティー化は、本当にこれからの十年、二十年、いや、もっと先まで考えた大変重要な課題だと思っておりますので、ぜひ成功をしていただきたいと私も考えております。

 その成功事例をつくって全国に広げていくためにも、やはりそのモデルとなる町、都市をいかにつくるというか、成功させていくかというのが非常に大事であるというふうに考えておりまして、国、政府としては、全国の地方自治体の中で、どの程度の市町村が、どの程度の期間でコンパクトシティー化、立地適正化計画を作成することを狙っているのでしょうか。

 御承知のとおり、地方都市といってもさまざまなタイプがあります。何度も例に挙がっております富山市のような県庁所在地の町であるとか、地域というか、そのエリアの中心となるような町もあれば、もしくは、大都市の圏内にあってその衛星都市を形成しているような町もありますし、さまざまなタイプがあるというふうに考えるんですけれども、そういったタイプを理解した上で系統的な先行事例をつくっていく必要があるというふうにも考えます。あわせて、この点についての御見解も伺えればと思います。

石井政府参考人 お答えを申し上げます。

 この法律では、立地適正化計画をつくる都市の規模について、特に制限は設けてございません。

 今、都市計画の市町村マスタープランというものがございます。大部分は言葉だけで即地性のないものでございますが、この文言上でコンパクトシティーを目指したいと言っておられる市は、八百四十四市のうち四百二十三市で、六割近い市がこれを目指したいと言っておられます。したがって、将来的にこれを本当に実施するということになりますれば、この制度を使っていっていただけるのではないか。

 この中には、おっしゃるように、さまざまなタイプの、大きい都市から小さい都市まで、市とはいえ、小さい市もたくさんございます。私どもが本法案の活用見込みを市の方に確認いたしましたところでは、現在、県庁所在都市、数十万のところから十万程度、十万程度が一番多うございましたが、そういうことを考えたいと。あるいは大都市の近郊。しかしながら、数万のものも、わずかではございますが、ございました。そういうバリエーションの中で先行事例を、当面は、ある程度熟度の高い十都市程度を先行的に支援してまいりたいと考えております。

 なお、一つの都市での時間については、先ほどもお答えしましたが、富山では二十年ぐらいかけて、時間をかけてゆっくりとやっていく。一方で、市町村の基本計画等は十年でございますから、大体十年から二十年ぐらいかけてつくっていくものというふうに承知をしております。

坂元委員 ありがとうございました。

 空き家についての質問なんですが、これも重複をしますので、時間の関係もあって、少し飛ばさせていただきます。

 続いて、誘導区域以外の土地をどう有効活用していくのかという点も、あわせて、非常に大事な視点なのではないかというふうに考えております。ある意味、人が住む場所を誘導していって、それ以外の土地は自然を生かすのか、観光資源があるところは観光を生かしていくのか。そういった、今回の誘導区域以外の土地の有効活用という視点を踏まえてこの立地適正化計画をつくるべきだというふうに考えますが、この点について御見解をお願いいたします。

太田国務大臣 その地域に住み続ける人が、誘導といっても、ある人にとりますと、別に誘導されないで、ここの土地が自分の生活に、あるいは農業を初めとする仕事に、あるいは観光というような仕事にいいという人は、それなりの大事な立地点だというふうに思います。それを逆に応援してあげるために、空き地になったところをまとめてあげるとか、そして農業とか、あるいは小規模であったならば市民農園のようなものをつくって逆に土日には来ていただくとか、いろいろな活用の仕方というものがあろうというふうに思います。

 ですから、そこの、出ていったところの住宅をどう再利用するか、あるいは土地をどう再利用するかということをむしろ前向きに捉えて、そこも、今回のコンパクトシティー・プラス・ネットワークというけれども、それは都市全体をどうするかの中に意識として置いて、視野に置いて、コンパクトシティーだからコンパクトなところだけ見るんじゃなくて、我が町全体をどう見るかという視野に置いた上で、残ったところの有効な活用ということに支援をするという姿勢が我々にとっては大事なことだというふうに思っております。

坂元委員 大臣、御答弁ありがとうございました。全く同じ思いであります。

 一つ具体例といいますか、そういった、あいた土地を有効活用する点で、例えば、市街区域であるとかに住まれている方が週末出かけていけるような場所、きれいな自然を見ながらゆっくりお茶したいねというような方々のための例えばカフェといったものをつくりたくても、私がよく御意見を伺うのは、浄化槽法というものが非常に厳しくて、コストがかかり過ぎるので、つくりたいんだけれどもなかなかつくれないんだよという話を伺っております。

 そうした声に対応して地域条件というものを考慮して、例えば大都市につくるカフェと、少し都会から離れた場所にゆっくり落ちついてもらえるような場所につくるカフェというものを、ちょっと分けて柔軟に対応していただけないかなというふうに思っているんですが、この点について、御見解をよろしくお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、浄化槽を設ける場合に、飲食店ですと、平米単価に換算しまして、場合によっては七、八万円上乗せになるということで、負担が大きいのは事実だと思います。一方で、排水をきっちり適切に処理するというのは、これは場所にかかわらず、環境保全の観点からも重要なんだというふうに思っております。

 建築基準法において、これはJISを引用しておりますけれども、建物の用途ごとに床面積に応じた処理対象人員というのを算定しまして、この処理対象人員に応じて浄化槽の容量を選んでいただくというような仕組みになってございます。この基準は、用途ごとに典型的な建物の汚水量とか汚濁負荷等の実態調査を行って決めているということで、いわば仕様基準になっています。

 一方で、この基準によらないで、類似施設の使用水量等の具体的なデータをもとに人員算定するという別の方法も用意をされているところでございますが、飲食店についてちょっと調べてみました。主な公共団体に聞いたわけでございますけれども、なかなか適用事例はなくて、社員食堂、これは大体使われる時間帯と人数というのが限られますので、こういうもので、予想がちゃんとできるということで緩和した事例があったという程度でございます。

 これは、今までそうだということでございまして、具体的に、地域というよりは、使用状況がきっちり予測できるようなデータをお示しいただければ、仕様規定のない方を使って検討するということは可能だというふうに思っております。

太田国務大臣 質問の答弁ではありませんけれども、今度、特区をつくりまして、その中に、都市部なんですけれども、オープンカフェのスペースということを、特区の中での開放に入れるということにしました。当然、特区というのは、そこだけやるというのではなくて、ある意味ではそれが実証されるというようなことになれば、全国展開をするというようなことだと思います。

 もう一つ、奄美に私が行きましたときに、アイスクリーム屋さんにぜひとも立ち寄ってくれということで、行きました。若い御夫婦が奄美の原材料を使って、大変おいしいアイスクリームを空港から町へ行く途中でやっているということで、ある意味では名所のように今なってきているというようなこともありまして、休みの日に郊外でというようなものは、食べ物とか、そうした小さなショップを経営するとか、いろいろなことが非常に私は有効だというふうに思います。

 これからの時代に即して、そこに規制緩和が必要であれば、当然そういうことについては、オープンカフェの例ではありませんけれども、全国的に広げていくということが大事だというふうに思っているところです。

坂元委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 本当にそういった柔軟にというか、今おっしゃったとおりで、そこにしかないものを求めて人が移動していくのかな、人の動きというのは起こるのかなと思っておりますので、そういった意欲のある取り組みをされる方をぜひ支援していただけるような、今、特区でまずやるというお話がありましたが、ぜひこれは、特区で成功したら全国に広げていっていただければなというふうに思っております。

 続いて、地域公共交通の活性化及び再生に関する法案の方に御質問させていただきますが、今回の改正案は、交通政策基本法の理念にのっとって、ほぼ民間事業者任せであった地域公共交通の維持や活性化について、地方公共団体が主体性を持って取り組むという趣旨であると考えております。

 その際に、大きな課題になります、これはほかの分野でも指摘をさせていただいていますが、やはり地方自治体の公共交通を担当する人材の不足であるとか、計画策定に関するノウハウ不足に関して、国交省としてどのように支援をされようと考えていらっしゃいますでしょうか。手短にお願いいたします。

高木副大臣 公共交通の維持だとかあるいは活性化、今委員指摘のとおり、これまで事業者が主にやってきたわけでありますけれども、これから新しい制度を活用するに当たりましては、いわゆる市町村などの地方公共団体に、知恵と人材、それからもう一点、合意形成能力というものが求められるというように考えております。

 これまでも、地方運輸局におきまして、いろいろな知恵や経験を有する地方公共団体の実務担当者など、学識経験者も踏まえて登録をいたしまして、広く紹介をするという、そういった制度はありましたけれども、今後さらにしっかりとした公共交通ネットワークの計画策定ができるように、例えば地方公共団体向けの説明会を開催するだとか、あるいは国土交通大学校などでの研修の実施を行う、あるいは国土交通省の専門家チームによる相談、そしてまた地方へ訪問して応援をするということ、それからまた、計画策定に対する新たな予算支援など、国としてできる限りの御支援をして、スムーズな制度をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。

坂元委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げたとおり、これはやはりモデルケースの成功というのが非常に大事になると思いますので、できる限りの御支援をぜひともよろしくお願いいたします。

 最後に、公共交通の再編について、コンパクトなまちづくり、そこに公共交通を通していくというイメージになかなか当てはまらない地域というのも絶対出てくるわけでありまして、そういう地域においては、やはりマイカーというものが絶対的な移動手段である場合も、今後も継続してあると思います。

 そういう中で、高齢化というものが進んでいて、高齢者がなかなか自分で車を運転して外に出られない、出づらいという状況が来ている中で、高齢者の運転、高齢者だけではないですけれども、主に高齢者の方々の運転を支援する自動運転の技術というものの開発が望まれているのではないかなと考えております。

 先ほどの質疑でも、三日月委員からもありましたICTの活用であったり、そういった技術の進化というものを生かしていくという点で、この自動運転技術、日本は民間主導において世界トップレベルでの研究が行われているというふうに伺っておりますが、国としては、この自動運転技術の開発について、どのような支援、協力を行っていらっしゃるのか、またこれから行っていこうとしているのか、最後に御質問をいたします。

田端政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきましても、「安全・便利で経済的な次世代インフラの構築」という項目の中に、この安全運転システム、自動走行システムの開発、環境整備ということを進めるとされておりまして、国交省といたしましても、世界一安全、快適な道路交通の実現を目指して、この自動走行システムの構築に取り組んでいるところであります。

 具体的には、産学官が連携いたしまして、先進安全自動車、ASVと称しますが、技術に関します開発方針とか技術指針を策定しまして、予算措置も講じて、このASVの開発、実用化、普及を促進しようと、まず進めております。

 また、昨年十月でございますが、オートパイロットに関する検討会を、国土交通省内で検討を進めまして、この中で、自動運転の実用化を視野に入れましたロードマップを作成いたしております。

 また、自動車メーカーが開発しております、この安全運転支援システム搭載車につきましてはナンバーを交付しまして、公道走行実験を実施できる環境も整えております。

 今後とも、産業界あるいは関係省庁と連携しつつ、この自動走行システムの構築に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

坂元委員 ぜひよろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 コンパクトシティー、言われて長い課題ですね。本格的に取り組む法律ができるというのは大変望ましいことだと思っております。

 日本は、言うまでもなく人口減少社会であり、高齢化社会になっていく。そうなっていきますと、郊外に拡大した居住が、だんだん、一人当たりのインフラコストがどんどん高くなっていくという傾向にあります。持続可能性、持続可能な社会をつくっていくためにも、これはぜひやらなければいけないということだと思います。

 社会コストが高まっていく。郡部から人口をだんだん撤退させて、戦略的に都市の中に集住させていく。ただ、そのためには、それぞれの都市が人々を引きつけるだけの魅力ある価値をみずからつくっていかなきゃいけない。そういう意味で、各市町村、コンパクトシティー、それぞれがテーマを設定していくといいますか、それが必要であろう。それもそれぞれが自立的な考え方で、自分たちの将来像をこういうふうにしていくんだということを考えていきながら模索していく。恐らく日本の場合、私権と公権との関係で私権が非常に強い状況ですから、誘導策しかとれないわけなので、やはり誘導して吸引できるだけのものをどうやって組み立てられるか。

 その際に、コンパクトシティーというのは、考えてみると、諸外国の例を見てもいろいろな政策目的があると思います。環境問題もあれば、日本でいえば、環境省、経産省、あるいは厚労省、場合によっては農水省、国交省だけではなくていろいろな政策に横串横断をするような、そういう考え方をして、コンパクトシティーというものについてのいろいろな方向性を示していく、それが国の役割ではないかと思います。

 そういった意味で、各政策分野のコンパクトシティーというのも、この間の海外インフラではありませんが、そこまでとは言いませんけれども、ある程度、国としての戦略性を持った、方向性を持った、横串横断的な、いろいろな政策の上位に来るものとして、恐らく諸外国の例でも、コンパクトシティーという政策を上位に置いて、その中に個別の政策があって、コンパクトシティーを実現していくという事例もあったようなんですけれども、そういった位置づけについての大臣の所見をちょっとお述べいただければと思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 都市をつくったりするということについては、本当に、国土交通省の中でさえも、いろいろな法律が都市計画法を初めとしてございます。総務省もまちづくりということでいろいろなことをやろうとし、経済産業省は経済産業的な角度から、特区から入った方がいいとかいろいろな形で法律があり、総務省は総務省で、厚生労働省は厚生労働省でということがありますから、内容においては、ここは上位法的な存在として束ねていくというか意識を合わせていく必要がありますので、物の考え方としては、これは上位法的な位置づけが大事であろうというふうに思います。

 ただ、上位法でやれというようなことを決めるよりも、ここも誘導的なものだというふうに思っておりまして、グランドデザインも、実は国土のグランドデザインということを国交省として私は先行させて、ほかの省庁も同じようにグランドデザインを、また政府全体でそれをやろうとするような流れが今できているわけでありまして、そういう点では、こうしたまちづくりという点でいろいろな省庁が、この我々の国土交通省の出している二つの法律、今、中心市街地活性化法については経済産業省がやっているわけでありますけれども、それも今までの物の考え方ではない中心市街地ということは、今回のこのことについての物の考え方を、ある意味では横串を通す形ででき上がってきているというふうに思っています。

 そういう意味では、何としてでも成功させなくてはならないと思っておりますし、同時に、的確なモデルを提示する。大きいところ、小さいところ、郊外のところ、いろいろなところのモデルを提供するところまで、形にするところまで持っていくということが大事だというふうに思っています。

 コンパクトシティー・プラス・ネットワーク、グランドデザインの中でも基本戦略の第一にこれを掲げて、そこに、上位とは言いませんけれども、結果的には引っ張っていくという法律にするように努力したいというふうに思っているところです。

松田委員 どうもありがとうございます。その御認識を聞きまして安心いたしました。

 そもそも、これは、都市というのは、一つの社会システムをデザインするというような、そういう発想が相当必要、これもまさに横串横断なんですが、先般、公務員制度改革法案が成立しましたが、私どもは、国家戦略スタッフというのを官邸に置いて、まさにこういう横串横断的な設計のような仕事をやってはどうかという提案をしたんです。残念ながらそれは通りませんでしたけれども、そういう発想がまさに必要な分野だろうと思っております。

 次に、インフラ投資、最近、国土強靱化という言葉がありますけれども、この問題も、今先ほど申し上げたような国土全体の人口の傾向からすると、どこもかしこも防潮堤を全部整えていったら、これは財政的に切りがないわけですから、ある程度、都市に人口を集中させることを想定しつつ、都市強靱化というか、一定以上の人口規模の場所にインフラ投資を集中していくような考え方が非常に重要ではないかと思うんですが、国土強靱化の中でこの考え方というのは明確に打ち出されているのかどうかについてお伺いしたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に議員立法によりまして国土強靱化基本法が成立しております。この法律は、全国各地で発生が懸念されます大規模自然災害を念頭に置いて、その事前防災・減災などを進めるための法律でございます。

 もちろん、法律の実施に当たりましては、やはり実施主体の能力、それから財源に限りがございますので、脆弱性の評価を行って、施策の重点化を図りながらやるということが重要だと思っております。

 また、今、都市の話を御指摘いただきましたけれども、やはり、人口ですとか諸機能が集積する都市部におきましては、国土強靱化の取り組みを進めるということは大変重要でございます。

 昨年十二月には、国土強靱化の考え方ということで政策大綱というものを策定いたしましたけれども、その中におきましても、例えば大都市での建物倒壊だとか住宅密集火災の防止など、都市に関連することを多々盛り込ませていただきました。

 いずれにしても、今後、先ほど申し上げました国土強靱化基本法に基づく基本計画を五月を目途に策定するということになっております。これに当たりましては、今委員御指摘ありましたように、都市部の諸機能の重要性など十分留意しながら計画の策定を進めていきたいと考えております。

松田委員 それから、こういう集住を進めるに当たって、全体的な前提となるのがモビリティーのある社会といいますか、日本人はどちらかというと土地に執着する傾向が強い民族だろうと思うんですが、そういうところから少し社会の考え方というか、その前提となるのが、マイナンバー制度が今度施行されるわけですが、個人個人が番号でアイデンティファイされている。どこに行っても同じような医療サービスが受けられる。自分の住みたいところで雇用され、居住をする、そしてそこで同じような医療、福祉サービスを受けられるという意味では、マイナンバー制度というのは、とりあえず、社会保険と税と防災の三分野で小さく産んでいるんですが、これをもう少しいろいろなシステム、民間といいますかあるいは自治体というか、いろいろな地域拠点なんかを中心としたシステムと接続しながら、移動しても安心できるような、そういう社会の構築というのを視野に置きながらマイナンバー制度の準備をされたらいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー制度は、マイナンバーだけでなく、番号カードあるいはマイポータル等の手段を使った、ITを使ったそういうシステムでございますが、例えば、転居した際に必要となる水道、電気代など公共料金の手続の簡易化に活用するなど、民間への利用範囲の拡大も含め、マイナンバー制度につきましてはさまざまな利用可能性があると考えております。

 マイナンバー法の附則におきましては、法施行後三年を目途として、個人番号の利用範囲等の拡大に関して検討を加えることとされているところ、政府といたしましては、IT総合戦略本部のもとにマイナンバー等分科会を設置しまして、実現に制度改正が必要なもの、制度改正しなくてもできるもの等々の利活用を含めまして、マイナンバー制度のニーズの洗い出し作業から、遠藤CIOのリーダーシップのもと、検討を進めているところでございます。

 今後とも、御指摘の点も含め、さまざまな御意見を伺いながらマイナンバー制度の利活用について検討を進めたいと考えております。

松田委員 実は、先ほど内閣委員会の方で私も質問をさせていただいた際に、今度できる医療の研究開発機構、いわゆる検体情報というもの、ゲノム情報といいますか、あれを国民の番号を振ってというのはデンマークで既にやっているので、今度機構ができるんだから日本でもそういうことを進めるべきではないかという質問をさせていただいて、これも含めて、やはり医療情報が個人ごとにアイデンティファイされている、そういうことは都市への集住を進める上の前提にもなると思いますので、ぜひ前向きに検討していただければと思っております。

 それから次に、先ほど、私、持続可能性の観点から、都市に集住していく、それは大事なことだと申し上げたんですが、もう一つ、経済成長の上でも、我が党は道州制ということを言っているわけなんですが、やはりこれから集積による発展モデルというのを追求せざるを得なくなるだろう。全体的に人口が減少していく中で、都市に人口を集中させていく。そうしますと、いろいろな意味で、規模の経済の利益、収穫逓増とか費用逓減とかよく言われていますけれども、そういうものも生じる、あるいは、福祉のコストも効率化する、技術革新も起こりやすいというようなことが指摘されていまして、日本の経済成長、成長戦略と言われていますが、それは都市にかかっているというふうにおっしゃる専門家もいらっしゃる状況であります。

 稼ぐ都市というのを構築して、地域全体に配分する資源をとにかくふやしていくということがこれからの成長モデルだろう。ばらまきをして分散投資しているようでしたらそれは投資効果が薄いということで、特定都市に集中させていく。

 こういう考え方というのはやはり必要になってくるだろうという中で、私もかつて国土交通省に勤務したことがございますが、当時、多極分散型国土形成という言葉が、本当はもうそろそろ日本も全国一律、どこも平等に分配をしていくんだという時代、ナショナルミニマム達成型から、伸びるところを伸ばしていく、その結果でこぼこがあっても仕方ないという考え方にチェンジしなきゃいけないということを有識者とは議論していたんですが、どうも、いや、うちの方も早く港湾をつくってくれとか道路をつくってくれ、次はうちの順番だと、多極分散型国土形成という名のもとにそういうことが結構あって、調べてみたらまだこの法律が残っているんです。

 そろそろ、国土設計の考え方を、かつてのそういう多極分散型ということを全く否定するわけではないですけれども、思い切って転換するというぐらいのことが、この法律を出すような客観情勢に限っても必要ではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお願いいたしたいと思います。

太田国務大臣 全くそう思います。

 二〇〇〇年の前と後というのは全く違うということだと思います。拡張型あるいは全国ある意味では一律に、東京型とは言いませんけれども都市型のところを目指す、そうじゃなくてこれからはそれぞれの地域がそれぞれの個性というものを生かしてどう生き抜いていくか、そういう観点に立たなくてはいけない。

 そして、冷厳な事実として人口減少とかあるいは高齢社会であるとか、これは何も高齢社会がいい悪いというのは両面があるわけですが、そうした冷厳なる事実を踏まえて、それぞれの個性を生かし、自立的な都市形成ということに向かうべき大きなターニングポイントだろうというふうに私は思っております。

松田委員 力強い御認識をいただきましてありがとうございます。

 全くそのとおりだと思いますが、その際に、道州制については自民党も、将来の道州制という点では我々と立場を同じにしているかと思います。その道州制を考えるときに、やはり多くの反対論の方々がおっしゃるのは、格差を拡大すると。これは、道州制のエコノミクスというのは、よく考えてみますと、中核都市にいろいろなものを集中させていく、集積をつくってそれでグローバル競争にたえられる、広域経済圏の中に一つの集積を選んでいく、いろいろなところに分散投資するんじゃなく、やはり一つにまとめていく。そうなると、中核都市にほかの郡部とかそういうところが、いろいろな機能が吸収されてしまってかえって衰退してしまう。

 郡部が衰退する一方じゃないかというところは結構大きな反対論だと私は思うんですが、その点をどうやって将来の道州制に、まあ実現するかどうかまだわかりませんが、その際に道州内格差といいますかその拡大への対応としてどういう考え方で臨もうとされているのか、御見解を政府の方からいただければと思います。

関口副大臣 御質問いただきました道州制の導入の問題でございますが、住民に対する行政サービスの向上や行政の効率化を図るとともに国家の統治機能を集約、強化することを目的として行うものでございます。

 第一次安倍内閣におきまして、道州制ビジョン懇談会の中間報告においては、東京一極集中の是正など道州制の導入のメリットは掲げる一方、委員がお話ございました地域間の格差の拡大、これについて懸念も出ておるのが現状であります。

 さらに、全国町村会においても、地域間の格差が心配される、懸念される意見もまとめられています。

 この道州制の導入は、国のあり方を根底から見直す大きな改革でございますので、地域間格差の拡大等の対応も含め、国民的な議論が必要であると考えております。

 現在、与党においては、道州制国民会議の設置を含む道州制に関する基本的法案について制定を目指し、今精力的に議論しているところでございますが、国会等における議論も踏まえ、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

松田委員 一つの答えは、私は、集積地にどんどんいろいろなものが集中していくと、ほかの場所はその集積地に戦略的に依存していくというか、依存というのは自立と反するように見えるかもしれませんが、戦略的にうまく集積地の活力を引き出していくということをどうやって考えるかということがこれからの設計じゃないかと思うんですが、そういった観点から考えますと、国土交通省の役割は非常にいろいろな意味で大きいんじゃないかと思っています。

 少なくとも、いろいろな意味でのネットワークを道州の中にどうやってつくっていくか。ちゃんと戦略的に依存できるようにするためには、人も物もどんどん動いていかなければいけない。そういった意味で、国交省として、例えば道州内、今、公共交通の法案も出ていますが、それよりももう少し広いエリアで広域経済圏と捉えた場合、例えば、いろいろな提案もある中で、高速料金の定額化ということをもう言われていますけれども、どんなことが考えられるか、国交省のお考えを聞かせていただければと思います。

徳山政府参考人 今後の国土づくりにおきまして、やはりさまざまな機能をコンパクトな拠点に集約をして、これをネットワークでつなぐ。先ほど大臣も、コンパクトシティー・プラス・ネットワークと申し上げたわけでございますけれども、つないで、あわせて人や物の移動性を高めるというのは、先生おっしゃる点については大変重要なことであると思います。

 こうした中での、御指摘の高速道路の利用料金の定額化でございますけれども、人や物の移動性を高めるための一つの重要な提案であろうと思います。ただ、料金は、常にメリット、デメリットがございまして、考慮すべき課題もあるわけでございます。

 料金を定額にいたしますと、当然、それより短距離の方にとっては値上げになり、長距離の方にとっては値下げになるということでございまして、現在の高速道路利用の距離帯分布を見ますと、短距離利用の方が非常に多うございますものですから、総料金収入を確保する形で料金を定額に設定いたしますと値上げになる方が非常に多くなるというような、利用者にとっての受け入れの問題も一つございます。

 また、平成二十一年から二年間、休日上限千円という料金をやらせていただきました。これは一種の定額化であったと思います。これは、地域活性化の面から一定の有効性も確認されました一方で、激しい渋滞が発生するというようなこともございました。

 高速道路の料金につきましては、本当に大きな利害が絡み、多種多様な意見があるものでございますから、いつも丁寧な議論を審議会などでさせていただいて、一歩一歩これを改善しております。

 いただいた御提案も含めまして、今後とも、幅広く議論を行いまして、時代に即した高速道路料金体系となるように努め、こういう国土構造を有効にしていくという面で貢献をしていきたい、このように考えております。

松田委員 都市に、中心市街地に人が集住していくということで、吸引していくと、それだけの魅力ある価値をつくることが必要だと申し上げましたが、その一つのテーマがやはり超高齢化社会の拠点であるということは間違いないだろうというふうに思っております。

 日本は、先般も課題先進国という言葉を申し上げましたが、まさに超高齢化社会をどうやって活力ある社会としていくか、そういうモデルづくりをするというのが、日本の一番重要な、国家目標ともいうべきテーマであろうと思っています。

 こういった議論をしていると、やはり、前から言われていたのは、高齢者が歩いて回れるまちづくり。これは、ちょっと聞いた話で、正確かどうかわかりませんが、ニューヨークのマンハッタンというのが一番長寿であるという話を聞いたことがあるんですけれども、一番刺激があって、いろいろなところに歩いていくとそれなりにおもしろいというところが一番高齢者が元気になる。よく言われるのは、寝かせれば寝たきり老人、歩かせれば歩く老人、働かせれば働く老人になるということですので、これは、超高齢化社会を成り立たせる、社会保障の負担の問題も解決するという意味で、非常に重要な論点になろうと思っています。

 日本の場合、かつて住宅地域と商業地域というのが分けて発展、特に鉄道の沿線でそういう開発をするときに、駅から三キロメートルぐらいのところ、バスで行ったようなところに住宅地ができて、駅のところに商業地がある。そこの住宅地のところの方々が、だんだん高齢化して、なかなか駅の方には行きづらい。一方で、モータリゼーションが進んで、駅から五キロメートルぐらいのところにいろいろな大型のものができてくるという感じで、車になると、またこれはなかなか高齢者になじまないということで、商業的な場所とかそういう場所にどうやって高齢者を近づけるかというのが大きな課題になっているかと思うんですね。

 そういった中で、都市の中心部に住まわせる施策というのは、まさに超高齢化社会の一つのモデルになろうかと思うんですが、その際に、私は、たまたま、中心市街地の商店街で、結構、シャッター通りと言われているところ、そういう場所にいろいろな、福祉施設だとか病院とか、あるいは高齢者の居住とか、そんなものを誘致すると、地元の商店街も高齢者がお金を使って潤うし、高齢者にとっても、そこに住めば全部安心していろいろなサービスが受けられるということで、ある商店街に対して提案をしたことがあるんですけれども、なかなかこれがうまく進まないですね。

 そういう意味で、これをどうやって促進していくかということなんですが、国交省として、今私が申し上げたような、超高齢化社会の拠点となるようなまちづくりの上で、どのような都市構造というか、そういう設計としてモデルを考えているか、簡単に解説をしていただければと思います。

石井政府参考人 今後の超高齢化社会のまちづくりということですが、実は、柏の豊四季台団地というURのところで、東大の高齢社会研究所、前の厚労次官の辻先生と御一緒に、団地の建てかえとあわせて、高齢社会にどのように対応していくかということを研究してまいりました。

 その中では、やはり、御指摘のように、医療とかそれから商業等と近接をしており、歩いてそれらにアクセスできる。しかも、公共交通等できちっとつながっていく。それから、あわせまして、高齢者だけでは不十分でありまして、むしろ、団地の中の一部を取り壊して、そこには分譲住宅で若い人を入れる。そして、野菜工場を導入いたしましたが、所得は低くても高齢者に働く機会を十分に与えていくといったような、複合用途の、バリアフリーで身近なまちづくりというものが重要であるというのが今までのところでございました。

 今後、これらを平面的にも展開をするようなモデルをきちっと考えてまいりたいと考えております。

松田委員 だんだん時間がなくなってきてあれなんですが、今申し上げたような、医療と福祉を連携させて、商店街を活性しながら超高齢化社会の拠点をつくるというふうに考えていきますと、今回の法案も、そういった医療福祉政策あるいは商店街活性化政策、いろいろな政策の組み合わせ、合わせわざというか、そういうのが必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。

 その中で、私が商店街活性化でなかなか難しかったのが、まちづくり会社というのをつくって、それで個々の商店街の方々が不動産を例えば定期借地権とか、あるいは信託をして、一元的に開発していくということをやると、商店街の人も、自分も潤うし、全体もよくなるということでやってきた。なかなかこれが進まないんですけれども、この辺、どうして進まないのか、これからどうやってそういうことを促進させていくのか、政府の考え方をお聞かせいただければと思います。

佐々木(良)政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、商店街の不動産をまちづくり会社が一元的に活用することは有効であると考えております。

 それで、例えば香川県の高松市などでは、商店街の地権者が、六十二年間の定期借地権により、土地の利用権を高松丸亀町まちづくり会社に集約して、同社がその上に商業を中心とする複合施設を建設し、商業施設、メディカルモール、オフィス、住宅などの大胆なテナントミックスを行って、その結果、中心市街地の魅力を増進いたしまして、小売年間販売額、歩行者通行量の増加といったことに成功しております。

 他方、今委員御指摘のように、各地で同様の取り組みが行われておりますが、なかなか地権者ですとか建物所有者の取りつけといったことに成功しなかったり、それから、民間事業としての収益性の確保に課題がある場合なども多うございまして、必ずしも全国的に幅広くこうした手法の活用が進んでいるといった状況にはございません。

 それで、成功しております取り組みにおきましては、いずれも、地権者を含む地元の関係者が、その地域の置かれた状況ですとか地域資源を冷静かつ客観的に分析されまして、その上で、地域の関係者が一体となって、強いコミットメントを持って事業化に取り組んでいるというところが成功しているということではないかと考えております。

 こうした地域一体の取り組みができるかどうかということが、取り組みが成功するかどうか、そういった鍵を握っておるというふうに考えておる次第でございます。

松田委員 政府としても、音頭をとって、どんどんこういう政策をサポートしていただければと思います。

 時間になりましたので、最後に大臣にお伺いしたいんですが、私もこの都市整備とか都市計画というのは全くの素人なんですが、見てみますと、いろいろな法律が重層的に、建築基準法、景観法、都市計画法、中心市街地活性化法、都市低炭素化法、今回の地域公共交通活性化法案ができて、また、国家戦略特区等いろいろな特区制度もある。いろいろな法律があって、多分、利用者側、一般の国民から見ると、法体系の中で今回の法律がどういう位置づけにあるのか、有権者にもし、今回こういう法律ができたよといったときにどんな説明を大臣はされるか、最後にお答えいただければと思います。

太田国務大臣 人口減少・高齢社会になってきて、だんだん駅前の商店街も遠くへ行ってしまって、郊外に大きな店舗ができて、空洞化してきて、大変だね、もうからないね、こういう状況を、何とかもう一遍、中心地に人が集まったり、あるいは介護や福祉やそういうものの施設を入れたりし、そして、大勢の人が高齢社会になったりしてくると、会社に勤めるための駅に直線的に行くバスばかりになっているけれども、そうじゃなくて、コミュニティーバスとかそういうことで、回るような、昼間もちゃんと回る、そして病院も寄るようなバスというものの交通体系と、両方合わせて、町全体を、この町はどうやって未来に生き抜いていくかということを一緒に考えようじゃないかという法律だというふうに思っております。

松田委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 本日、最後の質問者ということでありますので、しばしの時間、もうしばらくおつき合いをいただきたいとお願い申し上げます。

 私は、きょうも地下鉄千代田線で登院させていただきました。きょうも、残念ながら、東武東上線で人身事故ということでございました。

 ストレス社会であり、うつ病になりがちな方がいて、あるいはお一人お一人、非常にビジネス社会の中で疎外感を持っておられたり、あるいは経済的な理由等があると思いますけれども、地下鉄の電光板に、国交省がキャンペーンをしていて、一声キャンペーンだったか声かけキャンペーンだったかということをやってくださっていると認識しております。さらにこのキャンペーンをより拡大していただいて、一人でも多く命を失わずに暮らしていただけるということをお願い申し上げたく存じます。

 次に、二〇〇〇年以降、ゼネラル・モーターズのリコールが発生して、特にエンジン系統の点火のところとかエアバッグの作動とか、こういったことで事故が起きていて、アメリカで十三名亡くなっていて、訴訟になっているというようなことがCNNで報道されておりました。そして、新しく着任した、再出発後のGMのCEOが苦しい答弁をされておられたのを見ておったんです。

 確認でございますけれども、我が国において、GMの車も輸入しているかと思うんですけれども、そういった問題の事故等が発生していないかどうかを確認させていただきたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘がありましたGMでございますが、エアバッグの不作動などによります、エンジン始動スイッチの問題、この関係のリコールで、米国において、二月と、あと三月に大きな台数のリコールが発表されています。

 日本におきましては、ゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社が、三月二十日に百七十三台、四月七日に二百十一台のリコール届けを行いました。日本においては、本件に関しますふぐあい発生や事故の報告はございません。

 さらに、GMは、その他の問題についても、米国において順次リコールを発表しておりますので、国交省といたしましては、これらに関しても日本で適切にリコールが実施されるよう、関係者を指導してまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 事故がなかったということは大変幸いなことだと思いますけれども、リコールがかかっている車が事故を起こさないように、できるだけ速やかに対応するように御誘導いただければと思っております。

 それでは、今回の二法案の質問に入らせていただきます。

 私が、きょう、また午前中からずっと質疑を聞かせていただいている限り、やはりテーマは、誘導という言葉がメーンにあって、そこから広がりというかネットワークをどうつなげていくかということで、総じて、市町村にとっていろいろなメニュー、選択肢をもらえる。そして、創意工夫さえすれば、富山市の事例ではありませんけれども、いろいろと建設的に、町、あるいは中心、あるいは周囲の発展ができる、あるいは適切な運営ができるということだと理解させていただいています。

 そんな中で、懸念されるようなことを少し質問させていただきます。

 憲法との関係において、ヨーロッパなんかですと、人の住んでいるところでも移動の権利があって、散歩して通ってもいいんだ、こういうような権利が強く与えられているやに感じていますけれども、一方で、今回の法案で、都市機能誘導区域外ないし居住誘導区域外において誘導施設を設置するに当たって、届け出義務を課すこと及び市町村が勧告を行うことは、一種、居住の自由、移動の自由、営業の自由、憲法二十二条との関係において侵害される懸念があるかとも思いますけれども、このあたりの認識、整理のぐあいをお聞かせいただきたいと思います。

坂井大臣政務官 都市機能誘導区域外ないし居住誘導区域外につきましては、届け出を求めるという緩やかな手法がとられるものであることから、これらの区域の設定が、居住や移転、営業の自由を阻害するものではない。つまり、憲法二十二条の侵害とはならないと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 財産権の二十九条の問題については、既に質疑がありましたので割愛させていただきます。

 次に、立地適正化計画の策定、都市機能誘導区域の設定、居住誘導区域の設定及び居住調整地域の設定のいずれの段階において行政行為の処分性が認められるかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。居住調整地域の設定は、同地域内の宅地所有者の法的地位に変動をもたらすことになるかという懸念もありますけれども、この点も含めて御回答いただければと思います。

坂井大臣政務官 一般的に、取り消し訴訟の対象となります処分とは、行政庁の法令に基づく行為の全てを意味するものではありませんで、国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、または、その範囲を確定することが法律上認められているものをいうこととされております。

 この点、立地適正化計画における居住誘導区域、都市機能誘導区域の設定や居住調整地域の決定は、不特定多数の者に対する一般的、抽象的なものにすぎないため、これらの行為はいずれも処分性を有するものではないと考えております。

 なお、建築物の用途規制、容積率、建ぺい率等を規制する都市計画法における用途地域の制度につきましては、最高裁判所の判例では、地域内の不特定多数の者に対する一般的、抽象的な制約にすぎないことから、抗告訴訟の対象となる処分には当たらないとされております。

 あと、宅地所有者の法的地位というお話でありますが、この法的地位というのが、どこまで、何を指しているのか、ちょっと私自身もはっきりはしませんが、ただ、所有者のできること等に関しましては、今申し上げましたように、多少変動を生じせしめる環境があるということではありますが、法的地位そのものは影響がないと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 そこで話はまたかわるんですが、市町村合併の歴史を振り返りますと、明治以来ずっと続いてきて、人口の移動であったり増加であったり、あるいは直近は減少ということでありますけれども、直近の数で私が把握しておりますのが、市が七百九十、町が七百四十五、村が百八十三、合わせて一千七百十八というのが直近の数字かと思いますけれども、現在の数字をどのような位置づけで認識しておられるか。適正な数字と認識していると思うんですけれども、今後またさらに集約化していくべきなのかどうか。今回の法案並びに三月二十八日に発表されました国土のグランドデザインの骨子との関係において、教えていただければと思います。

花岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の、先月末公表いたしました新たな国土のグランドデザインの骨子におきましては、御指摘の市町村数とか市町村の合併のあり方といったようなものについて、直接記述したものはございません。

 ただ、やはり、大規模な商業施設あるいは文化施設といったようなものが立地をいたしますためには、一定規模の人口の集積といったようなものがどうしても必要でございます。したがいまして、このグランドデザイン骨子の中では、例えばということでございますけれども、拠点となります人口十万人以上の都市から交通一時間圏内の複数の市町村が協力をして、人口三十万ないし五十万人程度の都市圏といったようなものを形成いたしまして、その中で機能分担、連携を図る必要があるのではないかといったような提案を行わせていただいているところでございます。

杉本委員 ちょっと禅問答みたいになるかもしれないんですが、市町村合併、してよかっただろうという部分もあると思うんですけれども、一方で、きょうも午前中から議論があって、吸収された方の市、町、村の方は、やはり一種、過疎化的な傾向があって、一極集中化になってしまうというようなお話があったかと思いますが、こういった点の認識はいかがでございましょうか。

花岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の三月に総務省が、第三十次の地方制度調査会に調査結果を報告いたしております。市町村合併に関する調査結果というものでございますけれども、これによりますと、委員御指摘のように、合併後の課題といたしまして、周辺地域の振興、あるいは、そういったところの住民の声の反映といったようなものを御指摘される市町村が多い。特に、合併後、大きな面積を有することとなった市町村においてそういった傾向が強いといったふうに承知をいたしております。

 国土交通省といたしましては、今後、総務省など関係省庁と連携をいたしまして、このような実態につきまして注視をしていきますとともに、必要な過疎対策等を講じるよう努めてまいりたいと考えております。

杉本委員 次に、今御答弁いただいている国土のグランドデザインと今回の二法案との関係なんでございますが、きのうの質疑でも、後藤斎代議士の質問に、大臣は、議論を一緒にしていく、みんなで考える、問題提起型だということをおっしゃいました。きょうの答弁でも、議論をし、そして問題提起、一緒に考えるというお言葉がありましたけれども、改めて、この国土のグランドデザインと今次法案との関係、位置づけ、思いみたいなところを教えていただければと思います。

太田国務大臣 国土のグランドデザインについては、既に三月二十八日に骨子を発表し、数度にわたって委員会でも発言をしてきました。

 このグランドデザインの背景となっておりますのは、二〇五〇年ということを想定して、人口が減少している、高齢化する、巨大地震や災害が来るということ、そして、エネルギーの制約がある、ICT等も対応していかなくちゃいけない、いろいろな制約ということの背景の上にこの国土をどういうふうにしていくのかという角度でございます。

 そういう点からいきますと、特にコンパクトシティー・プラス・ネットワークというのが一つの全体的な鍵の一つになってきている。それが、この法案におきまして、コンパクトシティーをどうつくっていくのか、そして、そこの中の、都市と都市を結ぶネットワーク、そこには、過疎化してきているところの公共交通が衰退をしてきているという事態を受けて、立て直さなくちゃならないということをコンパクトシティー・プラス・ネットワークという表現をさせていただいております。

 そこが、国土のグランドデザインの基本戦略の第一番目に挙げられている、ここが極めて重要であるということを示した上での法案の審議になっているということだと思います。

杉本委員 何度も御答弁いただいているようなことを言っていただいて恐縮でしたけれども、最後に、第一番目で重要な点なんだというお言葉をいただいて、再度認識が深まりました。ありがとうございます。

 次に、コンパクトシティーという言葉を聞くと、すばらしい、やりましょう、我が市にも入れましょうということで、私の地元の一宮市だったり岩倉市だったり江南市、さらに進めていきたいというふうに私は思っておりますけれども、野上副大臣の地元の富山が非常にいい例だというふうに言われているんですけれども、本当に全てが全ていいのかという認識を改めて我々はしておく必要があって、こういう点だけは注意しておかなきゃいけない点なんだという認識の上で、この法案をさらに審議を深めたいと思っているんです。

 光と影という表現がいいかどうかはわかりませんけれども、留意すべき点といったようなことがコンパクトシティーというものにあるかどうかを確認させていただきたいと思います。

野上副大臣 今、コンパクトシティーの光と影というようなお話がございましたが、例えば、コンパクトシティーを進めていくと、市町村内での一極集中が進むのではないかというような懸念などもよく言われることの一つであります。

 このような御懸念につきましては、これは全て中心部のみに集約しようというのではなくて、例えば合併前の旧町村の中心部ですとか、あるいはバス停周辺などの生活拠点にも誘導していくということが大事で、それを公共交通で結んでいくということだろうというふうに思います。

 さらに、富山市、私の地元でございますが、これは居住推進地区外に居住する方々が存在することを当然の前提としております。そのことを前提としつつ、町中に人口や生活サービスを集積して、その集積をすることによって固定資産税等の税収が上がるわけですから、こういうことを活用しながら、市内各地から中心部への公共交通の利用について割引を行うなど、やはり市全体に目配りをした施策を行うということが大事です。郊外部の切り捨てにならないようにするということが大事だと思います。

 それによって、一極集中ではなくて、多極ネットワーク型のコンパクトシティーをつくっていくことだというふうに思います。

杉本委員 先ほどの松田議員の質問の中で道州制の問題がありましたけれども、道州という範囲なのか、それとまた違う領域かはわかりませんが、道州制のような感じでの広域での規模で、都市中心部、周辺都市、中核都市だったり特定市だったり一般市だったり、あるいは、今お話しいただいた郊外の地域、こういった役割分担といったものをいかに位置づけて考えるのか。

 また、先ほどもオープンカフェスペースの例を挙げていただきましたけれども、大都市における国家戦略特区と今次法案との関係、このあたりをちょっとまとめて整理して御答弁いただければと思います。

野上副大臣 まず、広域ブロックにおける都市というのは、例えば、一般的に、政令指定都市などのブロック中枢都市と、県庁所在地などの地方都市、さらには、それらの郊外にある中小都市や周辺の集落などに分けられるというふうに考えられます。

 このうち、政令指定都市などのブロック中枢都市については、ブロック圏域の経済を牽引するエンジンとしての役割を担う。このため、アジアの成長を取り込みつつ、高度な産業の集積ですとか、あるいは知の集積の形成などを図るということが重要だというふうに思います。

 二つ目の、県庁所在地などの地方都市につきましては、地域の中核的な都市として、文化や多様性を生かしながら、ブロック圏域にさまざまな都市機能を提供する役割を担うということが必要だと思います。このため、国際化ですとか都市の高度機能化を通じて人口減少社会でも活力が維持できるように、コンパクトシティーとそれを結ぶネットワークということで形成を図っていくことが重要だと思います。

 最後に、さらに郊外にある中小都市ですとか周辺の集落などにつきましては、地域で生活する上で不可欠な買い物ですとか医療などのサービスを提供する役割を担うことが必要でありまして、例えばデマンドバスなどで結ぶ小さな拠点の形成を図っていくということが重要であろうと思います。

 もう一つ御質問がございました、国家戦略特区と今次法案の関係ということの整理でありますが、国家戦略特区は、産業の国際競争力を強化する観点から、国が定めた国家戦略特別区域内におきまして、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進するものであります。

 一方で、今回の法案は、人口減少、高齢化が進む中で都市の活力を維持していくということでありまして、中心市街地の活性化や地域公共交通の再生の総合的な取り組みを推進するものであります。

 ですから、国家戦略特区は我が国の経済全体を牽引することから進められるものであり、本法案は、活力が低下する都市においてコンパクト化とネットワーク化の推進により活力を維持する。この二つの施策によって持続可能な都市の形成を図ってまいりたいというふうに思います。

杉本委員 次に、立地適正化計画、マスタープランと言われるものでございますけれども、想定してみると、十万人以下の市町村というのは、実は全市町村の八四%にも及んでいるという実態を鑑みたりとか、私の地元でも、私の選挙区外になるかもしれないですが、市と市が連携してごみ処理をするとか、町と連携して、結構そういう動きが、市と市、町とか、そういった複数の自治体が連携していろいろなことを行っていくという中で、この立地適正化計画もまとまって作成するということもあり得るかと思うんですけれども、そういったことは当然想定されておられるのかどうか。その場合の、財政金融支援における地方の負担の各自治体の負担割合というようなものはどんなことになるのか。この点を教えていただければと思います。

坂井大臣政務官 立地適正化計画は、各市町村が作成していただくことが基本となりますけれども、複数の市町村が連携して相互に調整を図りながら計画を作成することも可能となっております。

 この場合、それぞれの市町村が、当該行政区域内において行う財政支援に必要な負担を負うことが原則となっております。

杉本委員 次に、また話がかわって恐縮ですけれども、私の地元の一宮市の駅の横というか中というかに名鉄百貨店が入っているんですけれども、具体的に地元の方から陳情を受けました。歩いて暮らせるまちづくりというような意味で、シニアカーに乗っているんだけれども、シニアカーでデパートに行って、預けるところがあるやなしや、どうしたものかな、杉本さん、こう言われました。デパートにうちの秘書が御相談をして、一時的に預かっていただけるということをしていただいたりしているんですけれども、シニアカーという電動の小さいのがありますよね。あのシニアカーについての位置づけであったり、中心市街地でのユニバーサルデザインへの対応、シニアカーの駐車場、あるいは、さらに言えば、この後議論もしたいかもしれないんですが、自転車を載せられる列車とかというのがヨーロッパでよくありますけれども、シニアカーを乗せられるというか、実際、東京の地下鉄なんかは乗れるような感じがいたしますけれども、こういったシニアカーへの対処、こういったことについての拡充の可能性、検討は今どんな状況か、教えていただきたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 シニアカーなどのハンドル形の電動車椅子は、比較的操作が容易であるということで、主に長距離の歩行が困難となった高齢者を中心に利用が進んでいるところでございます。

 国土交通省としても、交通バリアフリー、今ございましたユニバーサルデザイン等の推進の観点から、公共交通機関の利用がシニアカーによって可能となるような環境の整備に取り組んでおるところでございます。

 具体的に一つ申せば、シニアカー等の鉄道利用における構造上、運用上の課題でございますとか工夫点を整理するために実証実験を一度行っておりまして、その結果を受けて、例えば、一定の機能を有するシニアカーであれば、デッキつきの鉄道車両への乗車が可能であるということが確認できました。条件を満たすシニアカーに対するステッカーを定めて、鉄道事業者に周知を図っております。

 今後とも、これの普及に合わせまして、外出機会の拡大を図るために、利用者の利便向上に向けて、引き続きいろいろ検討を深めて、努めてまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 ちょっと余談になるかもしれないんですが、私、サラリーマンをしていて、札幌に三年近く勤務していました。そのとき、ぎっくり腰になりまして、それで、タクシーに乗りたくても体が曲げられないという状況があったんですけれども、逆に、後ほどLRTの話をしたいんですが、札幌の市電、これは体を曲げずに乗れるというようなことで、実はやはり公共交通というのは便利だと思いましたし、札幌の場合はユニバーサルデザイン的なところが発達していまして、手すりであったりそういったものが完備され、エレベーターも完備されといったような都市でございました。あいにく市電の方は札幌駅に直結していないという難点はあるんですけれども。

 そういった意味で、ユニバーサルデザインといったものもやはり配慮の中に入っていると思いますけれども、ぜひお忘れなくお願いしたいと思っております。

 次に、ちょっと大上段に、首都機能移転、分散、防災・減災ともかかわると思うんですが、バックアップ都市機能、こういった場合に考える代替都市みたいなものは大きな都市をイメージするかもしれないんですけれども、今回議論しているコンパクトシティーといったものを複数考えるというのも、一つの防災・減災、バックアップ都市機能といったことで考えられると思います。

 こういった点について、今回の国土のグランドデザインの骨子の方でも、日本海・太平洋二面活用型国土の観点というような論点もあったかと思いますが、この点と今次法案を勘案すると、どんな点がこの法案を推進する意味があるという理解をしたらよろしいでしょうか。

野上副大臣 国土のグランドデザインにつきましては、三月二十八日に骨子を公表したところでありまして、先生御指摘のとおり、この中に、中枢機能や重要インフラのバックアップを確保するですとか、あるいは東京一極集中からの脱却、日本海・太平洋二面活用型国土などの観点を盛り込んでいるところであります。

 そして、その基盤となる都市の活力を生み出すために、特に急激な人口減少ですとか高齢化が見込まれることを踏まえまして、先ほど大臣からも答弁がありましたとおり、コンパクトな拠点とネットワークの構築を図ることを基本戦略の第一番目として示しているところでございます。

 まさにこの二法案の改正というのは、国土のグランドデザインの基本戦略を具体化する第一歩であると考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、ICTの問題というか、実際、災害が起きて携帯電話がつながらないといったことがありました。その後、携帯電話会社のそれぞれの問題として、つながらないときが、三年前だったか、たしかあったかと思います。

 そういった、いざ災害が起きたときに緊急連絡がつながらないという懸念がまだ残存しているかなという認識を私は持っておりますけれども、実際、WiFiのフリースポットを多くすると、流れる経路がたくさんできて、緊急対策としても効果があると思っております。

 このICT化、WiFiフリースポット化、こういった点について、今回の都市再生と絡めて、今次法案で力点を置くところがあるかどうか、確認させてください。

野上副大臣 まず、本法案に基づいて、市町村から立地適正化計画が国に提出されましたときは、都市再生整備計画の提出があったものとみなして、都市機能誘導区域における例えば医療施設ですとか福祉施設などの誘導施設の整備に対して、財政上の支援を行うこととしております。

 そして、今先生御指摘のありました交通の円滑化ですとかあるいはWiFiフリースポットの整備を含む都市のICT化につきましては、この計画に関連してでございますが、社会資本整備総合交付金の効果促進事業として位置づけられた場合、これは支援を行うことが可能となっております。

 国土交通省としては、このようなケースも含めて、都市機能誘導区域の魅力を高める地方公共団体の取り組みに対して、しっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。

杉本委員 次に、都市再生特措法の関係の容積率の緩和の点なんですけれども、ちょっと確認でございますけれども、これは、病院というか医療施設に加えて、福祉施設、商業施設等も可能性としてあるという認識でいいかどうか、ちょっと御答弁いただければと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定用途誘導地区の都市計画において、誘導施設として位置づけられた施設でありましたら、病院に限らず、例えば先生今例示で挙げられました社会福祉施設等でも容積率を緩和することはもちろん可能でございます。

杉本委員 次に、ちょっと飛ばさせていただいて、順序は変わると思うんですけれども。

 先ほども質疑がございました、今回の法律、非常に意義が大きいというふうに私も思っておりまして、それをいかに各市町村に活用していただくかということで、大臣の御答弁にも、副大臣もおっしゃっていましたね、知恵、人材、合意形成能力ということでおっしゃっていました。

 それで、加えて、地公体への説明会、大学校、訪問説明、もろもろおっしゃられたんですけれども、とにかくこれをきっかけにスタートを切っていただきたいし、成功例を御紹介いただけるというふうなことも伺って、すばらしい準備だなというふうに思っているんですけれども、具体的に、まず初期動作として一番最初に実施される周知徹底策というのは何なのか、これをちょっと確認させていただきたいと思います。

坂井大臣政務官 まず、利用いただくためには法律を知っていただかなくてはいけません。そのためには、ホームページ上を使うことはもちろんのこと、各地方整備局そして運輸局等がこの法律の説明を、各ブロックごとに行うブロック説明会を行っていくことにしております。

 また、都市計画コンサルタント協会等々、民間の関係団体等にも協力依頼を直接行う。それからまた、それぞれの地域でそれぞれの地方自治体の皆さんがもともと持っている勉強会というものもございますので、そういうところにも足を運んで説明をさせていただきたい。その他、専門書でありますとか専門雑誌などにも執筆をして、掲載をして、お知らせをしていきたい、このように考えております。

杉本委員 とにもかくにも、今次法改正を利用して市町村が活発に動かれることを願ってやみません。

 また幾つかちょっと飛ばさせていただいて、地域公共交通の方について質問させていただきますけれども、鉄道、LRT、バスなどで、今、消費税が上がりまして、私もきょう地下鉄で、切符を買うと距離で二百円です。しかし、ICカードで行くと百九十五円ということで、五円得したなといつもおりるときに感じるんですけれども、せこいと言われると寂しいですけれども、節約型だと言われればありがたいということですが、この料金徴収方法として一円単位の設定というのをいかに評価するかということだと思います。

 今回、首都圏では、消費税の上げに対して一円単位のICの対応をいただきました。しかし、私の地元である愛知県では、十円単位の形で値上げということで、一円刻みということはなかったんですね。しかしながら、今後、消費税、また上がるという見通しの中で、切りがいいから計算しやすい、今度はわかりやすいですよということもあるかもしれませんが、日本の財政を考えるとまたさらにということもあるかもしれません。

 こういった点から、この一円単位の設定といったものをいかに国交省さんとしては評価されておられるか、確認させてください。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 四月一日から、消費税率の引き上げに伴いまして、首都圏の鉄道、バス事業者においてICカードを利用した一円単位運賃の導入が行われました。今御指摘のとおりでございます。

 この導入に当たりましては、国土交通省としては、ICカードの利用の普及等を踏まえて、消費税率の引き上げ分をより正確に転嫁する観点、それから、利用者の利便の観点から、事業者から申請が行われればこれを認めることとしたものでございます。

 一方で、一円単位と十円単位の二つの運賃が併存することでございますので、利用者の十分な理解が得られるように、広報など十分な対応を事業者に要請するとともに、ICカードを利用しやすい環境の整備を求めてきたところでございます。

 これを受けまして、事業者においても、各種媒体を通じた広報を行うとともに、チャージ金額の引き下げなどICカードを利用しやすい環境の整備に取り組んでいるものと認識しております。

 現在のところ、そういう取り組みもございまして、一部、プログラムミスによる誤徴収等ございましたけれども、大きな混乱は生じていないというふうに認識しております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 次に、ちょっと地域公共交通の例として、公営と民間の競合というか調整というのが必要になってくるようなケースが、具体的に申し上げますと、九州、福岡の市営地下鉄と西鉄さんといったのがあって、地下鉄とバスになるのかもしれないですけれども、こういった二つの公と民というようなところの中での地域公共交通の存在というものがありますけれども、こういった関係をいかに調整するように考えておられるかを教えていただければと思います。

土井大臣政務官 今お話をいただきました競合関係にある鉄道が存在する場合にも、鉄道事業者が、安定した経営を確保することが可能か、しっかりと見きわめた上で、施設整備の適否を判断することが必要であります。

 一般論といたしまして、公営鉄道である地下鉄については、既に市街地が形成された大都市の中心部において、地下に鉄道を通すことで、ほかの交通モードでは担えない、大量輸送を担う交通機関としての役割を果たしております。

 一方、民営鉄道は、沿線開発と連携させつつ、郊外部から都市の中心部にかけての通勤通学等の輸送需要を分担するという役割を果たしておりまして、この役割分担というか、適切なネットワークが形成されていると認識をいたしております。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問が行ったり来たりで、いつもであるかもしれないんですが、申しわけないんですけれども、ネットワークと今お言葉ありましたけれども、道の駅の存在意義をいかに評価されておられるかどうか、さらにふやしていく意向があるのかどうか、こういったあたりを、ネットワーク、コンパクトシティーとコンパクトシティーの間をつなぐことなのかもしれませんが、道の駅の評価について改めて確認させてください。

徳山政府参考人 道の駅につきましては、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供と地域振興に寄与する施設ということで、平成五年に制度化をいたしました。

 道の駅は、市町村等からの申請に基づいて国土交通省で登録する仕組みでございます。今月十六駅をさらに追加いたしまして、現在一千三十駅となっております。

 お尋ねの評価でございますけれども、当初は、トイレや休憩施設など、通過する道路利用者へのサービスを中心に考えておりましたけれども、その後、地元の農水産品の加工、販売、あるいは観光案内の拠点になっていたり、医療とか福祉の拠点、あるいは防災の拠点になっておるなど、各地で独自の進化を遂げております。

 こうした状況を見ますと、地域の課題を解決する場に成長しておりまして、もはや通過地点というよりも、目的地に近い大きな役割を負っておるのではないか、このように評価をしております。

 今後、このような進化をさらに促進するために、引き続き、申請に基づいて適切に新規の登録を行うことに加えまして、既設の道の駅に対しましても個性ある取り組みを重点支援する方針でございまして、この点につきましては、平成二十五年十一月に、国土交通大臣から、道の駅第二ステージという方針を発表させていただいております。

 今後とも、道の駅が、さらに、通過というネットワークにも寄与し、また地域の魅力を高める拠点にもなるように支援をしてまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 進化、目的地、あるいはネットワークのため、第二ステージである、こういう重要な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。残余の質問については、また一般質疑等でお願いできればと思います。

 今後一〇%になるときに、与党内で議論があった、また今後議論されていくであろう消費税の軽減税率の導入についてでございますけれども、みんなの党としては、この軽減税率というのは、党としては余り賛意を示していないと思うんですが、私個人としては軽減税率というのはぜひ考えていくべきではないかなというような思いも持っております。

 地域公共交通における、やはり交通弱者であったり車を持たない方々にとって、余り高い料金設定だったり高い消費税というのはいかがなものかと思うんですけれども、この軽減税率の採用について、地域公共交通には今後採用すべきではないかというお考えはお持ちかどうか、確認させてください。

土井大臣政務官 消費税の軽減税率制度につきましては、昨年十二月に公表されました平成二十六年度税制改正大綱におきまして、今後、引き続き、与党税制協議会において、対象品目の選定、区分経理などのための制度整備、具体的な安定財源の手当て、国民の理解を得るためのプロセス等々の、導入に係る詳細の内容を検討し、平成二十六年十二月までに結論を得るとされているところでございます。

 国土交通省といたしましても、今後の与党における議論を見守りつつ、適切に対応していきたいと考えております。

杉本委員 地域公共交通は極めて重要だと思いますし、太田大臣を仰いでおられるということでございますので、ぜひとも前向きに検討をお願いできればと思います。

 以上で終わります。

梶山委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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