衆議院

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第11号 平成26年4月15日(火曜日)

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平成二十六年四月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      池田 佳隆君    泉原 保二君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      大西 英男君    門  博文君

      工藤 彰三君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    白石  徹君

      白須賀貴樹君    瀬戸 隆一君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    林  幹雄君

      原田 憲治君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      山田 賢司君    泉  健太君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      三日月大造君    柚木 道義君

      岩永 裕貴君    遠藤  敬君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      松田  学君    村岡 敏英君

      北側 一雄君    佐藤 英道君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   内閣府大臣政務官     伊藤 忠彦君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            花岡 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森重 俊也君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     瀬戸 隆一君

  中村 裕之君     山田 賢司君

  長坂 康正君     小田原 潔君

  三日月大造君     柚木 道義君

  岩永 裕貴君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     白石  徹君

  瀬戸 隆一君     池田 佳隆君

  山田 賢司君     工藤 彰三君

  柚木 道義君     三日月大造君

  遠藤  敬君     岩永 裕貴君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     國場幸之助君

  工藤 彰三君     中村 裕之君

  白石  徹君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、都市局長石井喜三郎君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、自動車局長田端浩君及び海事局長森重俊也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川委員 おはようございます。自由民主党の谷川弥一です。

 公共事業は悪、社会保障は必要不可欠との説が一般的に言われておりますが、予算に占める国債費と社会保障費が、一九六八年には一七・五%、それが二〇一四年には五六・一%になっております。公共事業は、会社でいうと将来に対する設備投資であり、形として残っていきますが、こんなことを言ってはいけないんでしょうが、社会保障費に使ったものは何にも残りません。

 国の借金は一千兆円を超え、東京一極集中が進み、地方の衰退は、この流れをとめることができなくなっております。地方都市の人口減少、高齢化問題を考えるとき、地域の活性化に取り組むこの二法案は、我々が期待した法案であります。この二法案に対する大臣の意気込みをまずお聞かせください。

太田国務大臣 地方の衰退、そして人口減、高齢化が進む。先生の、地方あるいは離島についての取り組みということについては十分私は承知しているつもりでありますし、それから、それぞれの生まれ育ったところ、そこに愛着を持って生きていくというのが人間として自然な生き方であると思います。

 そこを食いとめなくてはならない。そして、地域の活力を維持するとともに、福祉や医療の機能を確保して、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するということが必要であろう。そして同時に、福祉や交通なども含めて都市全体の構造を見直して、コンパクトなまちづくりと、これと連携した公共交通のネットワークを形成しなければ、人口減少、高齢化という課題を乗り越えられないというふうに思っています。

 そういう意味では、従来のまちづくりにおける規制の手法から転換して、福祉やあるいは医療施設、文化教育施設等の整備に対する財政上、金融上の支援等によって、生活サービス施設を居住という中に入れ込む、そして、公共交通のネットワークが本当に大変な状況にありますから、そこをどういうふうに支援していくかというコンパクトシティー・プラス・ネットワーク、この連携を図っていくということが大事だというふうに考えております。

 しっかりと、ぜひともこの法律を成立させていただいて、都市の衰退に歯どめをかける以上に、住んできてよかったなと言われる、地方を中心にしたまちづくりということに全力を挙げるという決意でございます。

谷川委員 私的なことにかかわるので、ある意味恐縮なんですが、私の郷里の近くに佐世保市というのがあるんですが、これが、平成二十六年三月に人口二十五万六千人です。そして同じく大村市が、平成二十六年四月に九万二千人ですが、長崎県内で中核都市である佐世保市と大村市を結ぶ基幹道路は、国道二〇五号のみであります。慢性的な交通渋滞を来し、そのことによって企業誘致もなかなか思ったとおりにいきません。関係自治体が、その町の振興と発展に今度のこの法案が大変な効果を発揮すると期待されております。

 都市機能や居住機能を効果的に誘導するため、都市再生特別措置法を地元でさらに効果的に発揮するため、長年の懸案である東彼杵道路の整備促進が不可欠であります。将来的に、地域高規格道路に活用できるミニバイパスによる整備が何とかできないか、この立地適正化計画をつくり、この政策の実施のため、国の支援を取り入れることができないか、お聞きしたいと思います。

徳山政府参考人 ただいまお尋ねをいただきました東彼杵道路でございますけれども、長崎県の佐世保市と東彼杵町を結ぶ約二十キロの地域高規格道路でございます。地域の活性化あるいは生活機能の向上の観点から非常に重要な路線でもございますし、また観光の観点、あるいは佐世保市と長崎空港が立地する大村市の間のアクセスの観点からも非常に重要な路線であると思います。

 現在、この地域唯一の幹線道路であります国道二百五号、今先生御指摘のとおり、一部区間で交通の渋滞あるいは災害時の通行どめが発生したりしておりまして、課題があるわけでございます。

 本法案、ただいま大臣からも申し上げましたとおり、コンパクトシティーとこれをつなぐネットワークの強化という観点からも、非常に重要な路線であると思います。

 まずは、交通状況や災害の発生状況、利用状況などを調査しました上で、地元の長崎県あるいは沿線市町村と連携しながら、この佐世保市―大村市間の道路ネットワークのあり方について検討してまいりたいと考えております。

谷川委員 もう一つ、今度は離島の件でお願いがあるんですが、交通政策基本法の具体例として、地域公共交通の活性化法が提出されました。交通政策基本法には、交通事業の経営が厳しい離島も日常生活に必要な交通手段を確保することとされています。

 国道の使用料は全国どこでも無料です。ところが、海の国道である航路は有料です。離島はずっとそれを払い続けてきているんです。本土の有料道路は、距離間でほとんどプール計算です。人口が多いところも少ないところも、同じ距離なら一緒ですね。ところが、離島はそうはなっていません。

 ちなみに、福岡・博多を起点にして小倉、博多を起点にして壱岐、偶然同じ距離なんです。それが、小倉までJRは千二百九十円で約一時間。それから、同じようにジェットフォイルは五千百二十円です、やはり一時間ですね。こういう格差を仕方がないと言って放置して、ずっと来ているんです。理由は、JRという大きな会社と、民間の零細の会社の経営によってそうなっているわけです。

 そのことを頭に入れていただくと、人口減少が著しく、国境を守る離島の現状をしっかり考えていただくとすれば、離島航路及び離島地域の公共交通のあり方というのは何らかの施策があっていいんじゃないかな。特に国境の離島が早晩いろいろな面で注目されているこの時期に、今までの考え方を変えることはできないのか。これはぜひ、大きな問題ですので、大臣にお答えいただければありがたいです。

太田国務大臣 離島の航路をさらに低廉化していくということは、私は本当に大事なことだというふうに思います。

 昔、奄美を初めとして、鹿児島から、海も道なりという言葉を出して、十島村をつないだ航路をつくったとか、そうした知恵の中で航路を結んだというような歴史的事実もございます。

 離島地域にとりまして、航路は重要な交通手段であるわけですが、航路事業の多くは、人口減少、高齢化ということで、輸送人員の減少で大変厳しい経営状況にあるというふうに承知をしています。

 国交省としては、地域との連携によりまして、離島航路事業に対する運営費への補助、あるいは最大で地方バス並みへの住民運賃割引補助等の支援を行っているというところであります。

 航路事業における運賃のさらなる低廉化、例えばJR並みの運賃とすること等につきましては、地域内のバス運賃水準との関係性への影響など、検討が必要だろうというふうに思います。

 しかし、私は、離島という非常に大事なところに住んでいらっしゃるということから考えまして、この地域全体、離島全体ということの中でどうするかという、いろいろな意味での支援というものが必要だというふうに思っておりまして、地域全体の交通政策及び離島振興策と連携して、住民の日常生活に必要可能な交通手段の確保にさらに検討を加えていきたいというふうに思っているところです。

谷川委員 お尋ねしたいことはこれだけなんですが、せっかくの機会ですし、時間がもうちょっとあるので、さらに離島の問題をこういう機会にちょっと考えていただきたいんです。

 私は五島列島の出身なんですが、私が小さいときに約十四万強いたんですが、今は六万人を切ろうとしております。統計によると、あと二十年したらさらに半分になるということなんです。

 理由はいろいろあるんですが、一番大きいのは、働く場というのが、一次産業、ちょっとした観光、それ以外に何もないということなんです。親の後を継いで将来の生活をするその見通しが立たないので、百人高校を卒業したら、九十六人ぐらい出ていくんです、ずっとです。私は、そこで後継ぎをしまして、こんなところにおったってどうもならぬわと思って、昭和四十六年に早く本土に出てきたからよっぽどよかったんですが、経営者としてはそれでいいんですよ。

 ところが、地域を代表する政治家としては、このままほっておくわけにいかぬのです。要するに、仕事場がないから、仕事場をつくらなきゃならない。つくらなければならないんですが、その最大のネックが、実は運賃が極端に高い。ですから、本土からなかなか会社はやってこれないんですね。五島に行くぐらいなら、もうベトナムに行った方がいいよということになってくるんです。

 そうすると、その町に責任がある立場としては、少し角が立っても、くどくても、何回も何回も何回もお願いするしかない。今、一生懸命国境離島新法をつくろうとしているんですが、いろいろ公明党の遠山先生ともよく打ち合わせさせてもらっているんです。

 わかっていただきたいのは、ちなみに、五島列島の中に一つの島があるんですが、久賀島というんですけれども、約四千人いた人口が三百五十人強しかおりません。極端な例ですが、椛島もやはり、三千人強いたのが百三十人ぐらいしかいなくなっているんです。

 でも、いいじゃないかと。私が県会議員のころ、当時の大蔵省に陳情に行ったら、君、無理して住んでもらわなくてもいいよと言われました。このやろうと思って、そのうち国会議員になって、こいつ、やってやろうと思ったらもう引退して、おりませんが。

 何とかして、無理して住んでもらわぬでいいよなんて言わないで、やはり経済水域に対する貢献度、それからEEZに対する貢献度、それを考えてみてください。日本地図をじいっと見てください、九州の西の方を。本当に壱岐、対馬、五島、要らないんですか。これは立派な防波堤になっていませんか、やりようによっては。それを防波堤をつくろうと思ったらどのくらいの金がかかると思いますか。そういうふうな観点から考えるときに、もうちょっと戦略的に見ていいんじゃないかなと思っているんです。

 きょうは具体策については余り問いませんけれども、時間の許す範囲で、大臣、もうちょっと具体的に、百円で魚を売ったら漁民には二十四円しか来ません。それほど運賃とか手数料とかいろいろなものがかかるんです。これで、売り上げが三十年前とほとんど変わらないという状況で、後継ぎしろと言ったって無理なんですよ。どうぞ御理解をして、もうくどくど言いません。おまえは自分のことばかり言うのかと言われてもかなわぬのでこれでやめますが、何とか、気合いの部分だけでもいいですから、具体的には担当局の人たちと詰めていきますので、心意気だけでもお聞かせいただければありがたいと思います。

太田国務大臣 離島振興ということについて、特に国境離島ということについて、先生のおっしゃるとおりだと思います。私も、この離島振興というのは我が党は大変真剣に取り組んできて、先生とともにやらせていただいてきているわけです。

 例えば、若者が出ていってしまうということで、先日もここでも申し上げたんですが、それは交通費とかフェリー代とかそういうことが一番ネックになっているんだと思いますが、例えば自動車の車検ということがなかなかできないからこれをどうするかという具体的な問題もあり、あるいは隠岐の島などでは、何とか若者が受験ができてちゃんと行けるという高校をつくろうということで、かなり進学率の高い学校というものをつくってきているとか、あるいは先生のところではないかと思いますが、メロンパンをつくっているところがあって、来る船から戻る船が空っぽで行くとするならば、そこにパンを載せて九州じゅうにメロンパンを送るというシステムをつくり上げたというのも聞いておりますし、いろいろな知恵を出すということのその知恵を一緒になって考えてやっていかなくてはいけない。

 私は大蔵省の方が何と言ったかは承知しませんが、住み続ける、そして愛着を持つ、それ以上にまた、住んでいただくということは大事なことだという観点に立って、運賃を初めとして、どうすれば支援できるかということを財政制約の中でも考え抜いて、常に前に進めていくという行政を展開するというのがこの自公連立政権で大事なことだというふうに思っているところです。

谷川委員 どうもありがとうございました。終わります。

梶山委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速、前回の質疑で通告をしつつも残してしまった質問も含めて、時間の許す限り御質問させていただきたいと思います。

 また今、谷川先生からございましたが、離島振興、私は中部地域からここに籍を置かせていただいておりますが、愛知県でも先日も一つの航路、これは民間事業者が運営をしておりましたが、廃止になりました。離島振興法で定住の促進ということをうたい、これから、国境離島を初め、離島で暮らす皆様方の生活を支えていくためにも我々も全力で頑張ってまいりたい、改めて決意を申し上げておきたいと思います。

 早速ですが、まず、都市再生特別措置法の方で、順次法案の内容について御質問をさせていただきます。

 まず、前回に続きまして、第八十一条、立地適正化計画ですが、この第十五項におきまして、「立地適正化計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表する」としております。居住誘導区域や都市機能誘導区域に指定されることなどによって、資産価値が変動する可能性がございますので、財産権との整合性を整理してきたと思いますけれども、この整合性について、どのように政府内で整理をされているか、まず御答弁を求めたいと思います。

石井政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の居住誘導区域、都市機能誘導区域は、これらの機能とか居住を誘導するということでございますので、恐らく先生の方の御指摘は、これに指定されないところは財産権が落ちるのではないかという御心配ではないかと思います。

 まず、居住誘導区域に指定されないところは、例えば市街化区域の中でどんなところが想定されるのかということでございますが、例えば、市街化区域内の優良な農地であるとか、あるいは工場が出ていった場所で、今まで工場があったところで居住には適しない、しかし、将来的にはまた工場の立地を求めたい。あるいは交通アクセスが、残念ながら、なかなか人口がふえないために十分な発達がしていないといったところで、住宅開発に対する例えばニーズが相対的に低いところ。あるいは都市機能については、都市機能を集積させるには、交通その他を考えると不便であるといったところになるのではないかというふうに思います。

 この区域の指定というのは、あくまでも届け出を求めるということで、極めて緩やかな手法がとられております。その結果、この設定を公表することが、直ちに資産価値に影響するということはないのではないかというふうに考えています。

 ちなみに、実例で、富山の方では、居住を中心部あるいは公共交通の沿道の方に誘導されておりますが、全国の方の地価の下落率と、居住を誘導する区域外の、指定されなかった区域外の数値というものが大体同じでございまして、むしろ区域に入ったところの数字が上がるということで、マイナスというよりは、こういう区域を設定することで、全体としては底上げがされているということでございます。さらに、これは時間をかけてやっていくということで、財産権の侵害ということにはつながらない、かように整理をいたしました。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。大事なお話ですので、丁寧な施策の推進をお願いしたいと思います。

 続きまして、やはりこの居住誘導区域、都市機能誘導区域、参考人の質疑で、富山の市長からも大変有益な、また参考になるお話をるる聞かせていただきましたけれども、今回の法改正とあわせて、施策の推進の上で今後利用することができる予算及び税制上の措置について、わかりやすく整理して御答弁をお願いしたいと思います。

石井政府参考人 まず、都市機能を誘導するための支援措置でございますが、国土交通省は、従来、インフラということで、道路とか公園とか下水ということでございますが、都市機能として今後地方に期待される、例えば医療施設あるいは福祉施設、文化施設等のサービス施設につきまして、社会資本整備交付金等を活用しながら支援をしていく。

 さらに、税制面では、今まで税制は、むしろ中から外へ行くものに対する援助ということが多かったのでございますが、逆に、外から中へ入ってくる場合の買いかえ特例等の税制による支援をしていきたい。

 それからもう一点、自治体によっては大変財政状況が厳しい場合がございます。小学校等の跡地を安く賃貸した場合には、自治体の裏負担なしで国が民間事業者に直接支援するといったものも今回措置をしておるところでございます。

 居住につきましては、居住誘導区域外、かつて公営住宅等が郊外部につくられましたが、老朽化をしてまいりました。これらが中に入ってくる場合の除却費に対する支援であるとか、あるいは居住区域の環境を高めるための緑化や景観形成に対する財政的な支援といったものを措置しておるところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これらも、最終的に自治体がよく使いこなせるように、アドバイスや相談等によく乗っていただきたい、こういうふうに思います。

 続きまして、第八十九条で、宅地化を抑制すべき区域について、都市計画において居住調整地域を定めることができるとしております。条文に、るる細かく書かれていたのですが、少しわかりづらかったので、この地域において抑制される行為について、どういったものが条文上想定をされているか、答弁を求めたいと思います。

石井政府参考人 居住調整区域で抑制される行為でございます。

 これは、都市計画で市街化調整区域という言葉がございます。これは、あらゆる開発行為を抑制するものでございますが、同じように、ここでは居住という言葉がついておりまして、住宅という点に絞って開発行為を抑制したい。特に、事業者が行う住宅団地あるいは集合住宅の新改築、宅地造成等を開発許可の対象に加えて抑制をしていくというふうに、ターゲットを絞っております。

伊藤(渉)委員 都市再生の関係ではこれが最後ですが、百十条で、法律のたてつけが非常にきめ細かく行われておりまして、跡地管理協定等ということの法定をされています。その中で、緑地管理機構や景観整備機構などの都市再生推進法人等の活用が規定をされております。

 この都市再生推進法人等と協定を締結して、跡地管理を自治体が委託することになるだろうと思いますけれども、細かいことですけれども、こういった場合の費用負担等の考え方というのはどういうふうになっているのか、これも政府の方に答弁を求めたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、跡地管理協定は、郊外部の中に移ってきた跡地の所有者の方が、自分では管理ができないということで、都市再生法人である緑地管理機構など、指定されたNPOと協定を締結して管理をお願いするというものでございます。

 当然、民間同士のことでございますので、基本的には所有者が負担をするということが原則でございますが、例えば、この土地を広場等の形で開放して使ってくださいといったことを通じまして、市町村が、その個人の方ではなくて、NPO等に支援をするということも大いに考えられるということで、いわば支援のしやすい仕組みということを考えております。

 これによって、所有者の管理の負担、なかなか高齢者の方は大変でございますが、この軽減が図れるようにしていきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 では、続きまして、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正法律案をお聞きしたいと思います。

 まず、第四条で、これは参考人質疑のときも、この条文を取り上げさせていただきました。大変に重要なことだと思います。第四条には、「国は、地方公共団体、公共交通事業者等その他の関係者が行う持続可能な地域公共交通網の形成に資する地域公共交通の活性化及び再生を推進するために必要となる情報の収集、整理、分析及び提供、研究開発の推進並びに人材の養成及び資質の向上に努めなければならない。」こういうふうに定義をされております。

 参考人質疑のときも話題になったことですが、今回、この両法案の改正によって、まちづくりや公共交通の活性化のために、さまざまなツールが、予算上も、税制上も、また法律上も用意をされるわけですけれども、これらをいかに使いこなしてまちづくりをしていくか。そのためには、これまでの実例の共有等も大事でしょうし、あるいは新しい自治体が、真っさらなところから、こうしたところに取り組み始めるところも出てくるだろうと思います。

 そうしますと、こういったことをきちっと整理して、国が具体的なアドバイスをできるような対応をすることも極めて重要でございますけれども、この法律で課せられている努力義務に従って、具体的に国交省としてはどういったものを想定されておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、本法案では、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、関係者の合意のもとに、持続可能な地域公共交通ネットワークを形成するための枠組みというものを構築するものでございますが、一方で、これまで地域公共交通の維持、活性化につきましては、主に交通事業者の事業運営に任された面があったということから、先頭に立っていただくべき地方公共団体におけるノウハウや人材の不足というのが懸念されているのは御指摘のとおりでございます。

 また一方、条文にございます情報提供等につきましては、効率的かつ利便性の高いネットワークを構築するためには、利用状況についてのデータを活用するですとか、全国各地での取り組みの比較分析手法の開発等が求められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような状況を踏まえ、特に今先生も御指摘がございましたように、全国の地域公共交通に関する先駆的な事例の収集、紹介等によりましてノウハウを普及することがまず重要。それから、人材という面におきましては、自治体の職員とか事業者等を対象とした研修、セミナー、説明会を催しまして人材の育成に努めること。それから、データという意味では、交通事業者もかなりのデータを保有しております。それの活用を促進するとか、これは新しい取り組みでございますが、地域公共交通のサービス水準の見える化に向けた調査研究等の取り組みも進めているところでございます。

 特に、今回の法改正におきましては、まちづくりと連携した上で地域公共交通の活性化及び再生を進めるということから、これらの取り組みに当たりましては、本省でも交通関係と都市局との連携、それから出先では地方運輸局、地方整備局の連携を一層強めることによりまして、対応してまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 同じくこの法案で、先ほどの都市再生の方もそうですけれども、地域公共交通網形成計画、これを作成、実施するに当たって、施策推進上、予算、税制上の措置が準備をされていると思いますけれども、その内容についてわかりやすく御説明をお願いしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 地域公共交通を支援するため、従来から、御指摘のように予算面、税制面におきまして、さまざまな措置を講じているところでございます。

 特に、平成二十六年度予算において、新たに、本法案に基づきます交通再編の実施計画の策定経費を補助する制度を創設しております。また、地方公共団体がバスを購入する場合の補助の創設、それから施設整備でございますが、地方公共団体によります駅前広場、バスの乗りかえターミナル、待合所等の施設整備に係ります補助の拡充等の措置を講じることとしております。各地において作成されました地域公共交通網形成計画の実現に向けて、これら支援措置を最大限にまず活用することが重要だというふうに思っております。

 なお、これからつくられます地域公共交通網形成計画の内容はさまざまなものが想定されますから、その作成及び実施の支援措置についても多様なものになるということが想定されております。国土交通省としては、地方運輸局、地方整備局に相談窓口を設置して、具体的にどのような支援が受けられるかということについて、きめ細やかに地域の相談に応じてまいる所存でございますし、今後とも、地域公共交通網形成計画を実現するための支援のあり方につきましては幅広く検討して、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ちょっと時間にゆとりがあるので、今のに関連して、具体的な通告をしていないのですが、お聞きをしたいことがあります。

 この間の参考人質疑で、森市長の方にも私、確認させていただいたんですが、富山市では、鉄道、JR高山本線の活性化ということで、列車本数をふやすためにお金を投入して、その結果、列車本数がふえて客がふえて、利益が上がったかどうかまで、ちょっとはっきり記憶しておりませんが、仮に民間事業者の利益が上がった場合は、それは民間事業者からいわゆる公の方に戻してもらう。これはなかなか画期的な考え方だなと思ったわけです。

 きょうは特に通告をせずに聞きます。

 今、国が用意しているいわゆる補助金等で、こういったところにも使える、つまり、民間事業者に一旦入れて、何か公共交通、これは先ほどの離島の船も実は同じような話になると思うんですが、国が用意しているメニューで、公共交通に入れて使えるお金というのですかね、そういうメニューというのは現在用意をされているのかどうかというのは、では西脇総政局長、済みません、よろしくお願いします。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域公共交通の支援につきましては、今、地域公共交通確保維持改善事業ということで、二十六年度予算では約三百強のお金を入れておりますが、これにつきましては、離島の航路、航空路とか、あと、地方の、過疎地域のバス路線の維持とか、あとは、地方鉄道の安全施設でございますとかLRTとかというものを一本化して支援しているわけでございます。

 そういう意味では、条件不利地域というか、非常に採算性の厳しいところの欠損の補助ということでございますが、ただ、欠損の補助に当たりましては、インセンティブがなるべくあるように、あらかじめの数値を想定した上で、それをさらに下回った分につきましては事業者の方にメリットが出るようなという工夫をしております。

 高山本線の例につきましては、恐らくこれは鉄道事業向けのということでございますので、地域公共交通のネットワークのとは若干違うかもしれませんが、民間事業者の方にとって経営努力が反映されるような支援のあり方というのは当然でございますし、そういうことによって貴重な財政資金をなるべく効率的に使うという観点は、いずれにしても、こういう財政制度をつくるときには肝要かというふうに認識しております。

伊藤(渉)委員 では、最後の質問をさせていただきます。

 きょうは日経新聞電子版のコピーを資料として配付させていただきましたが、いわゆる日本で唯一の財政再建団体であり、私ども公明党も、総務部会の方で現地に訪問をし、鈴木市長に直接伺ってきたこともございます。この方がまちづくりについて触れられておりますので、これを少し御紹介させていただきたいと思います。

 人口減少に対応したまちづくりの計画。「市長に就任してすぐ、私は人口減少に対応したコンパクトシティーを進める計画を策定しました。これは、今後二十年で夕張の人口が半減することを前提とした全国初のプランです。」

 ちょっと、線が引いてあるところが、資料では何となくグレーでわかると思うのですが、一ページ目の下に飛びまして、「「全国初のプラン」と書きましたが、人口減少社会に突入している今日において、なぜ今まで、どこの地域でも作られてこなかったのでしょうか。」

 次に行きまして、「人気投票、すなわち選挙で落ちてしまうからです。」まあ、この辺はいろいろ意見があると思いますが。「多くの住民が市長にやってほしいことは、人口が増えるような対策をすることです。企業を誘致し、観光に力を入れ、定住人口と交流人口を増やしてください。夕張であれば、最盛期の人口十二万の頃に戻してください、という願いがある」、これも事実だと思います。

 「ところが、逆に人口は半減しますよ、申し訳ないけどあなたの住んでいるところはなくなってしまうのでこっちへ引っ越してください」と。「そうすると、あなたにそんなことはお願いしていません、それよりも人口が増えるように努力しなさい。もしくは、自分の住んできた場所がなくなるってどういうことですか、と責められてしまいます。」

 時間が来ましたので、ずっと飛ばしまして、四ページ目ぐらいに、「住民移転、「総論」では賛成でも各論になると「反対」」というところがあって、「大半の人は「夕張を次の世代につなぐため、市街地を集約し効率化を図る」という「総論」には賛成してくれます。ところが、「それでは、あなたの住んでいる場所が移転の対象なので、引っ越しをお願いします」と各論になると「俺の住んでいる地域だなんて」と反対になる。」

 また二枚ほどめくっていただいて、「感情がとても大切」というところがありまして、「移転を進めるにあたって、忘れてはいけない一番大切なことは「感情」です。四十年前に建てられた老朽化した住宅に住んでいる人に対して、「バリアフリーでピカピカの家を用意したので移ってください。十四万円の移転補償も出ます」などと言ったら、もしかしたら「それは良い条件だね」と思う人もいるかもしれません。けれど、例えば市営住宅で一人暮らしをしている高齢の女性に移転をお願いすることになったとしましょう。話を聞いてみると、彼女はかつて炭鉱で起きた事故で夫を亡くし、厳しい経済状況のなかで息子や娘を育て、札幌に送り出し、いま一人で暮らしている。長く住んでいるので、家族との思い出が部屋にたくさん残っている。「私も年を取ってあと少しで夫のもとへ行ける。私が亡くなるまではここで過ごさせてほしいんです。あと何年生きるかわからない、そんな私から思い出の場所まで奪うのですか」この気持ちに対して「十四万円払うんだし、きれいな家なんだし我慢して移動しなさい」と簡単に言い放つことがどうしてできるでしょうか。」

 最後に、一番下のところで、「以前、国土交通省の審議官の方が、「夕張のマスタープランについて知りたい」と来道されたことがありました。私は「私の説明を聞くより、市職員とともに現場へ行き直接交渉を見た方が厳しさはわかりますよ」とお伝えしました。移転は、机の上でやるパズルではないのです。三人いれば三人のそれぞれの思い、人生があります。この「思い」があることを、まずは制度を作る皆さんにも分かってほしい。心からそう願っています。」というような記事でしたので、少し紹介をさせていただきました。

 大臣に、御決意も含めて最後にお伺いをしたいと思いますが、今これから国が取り組もうとしていることは、人口減少社会の中で都市が活力を失わないために、何としても実現をしていかなければならない大きな取り組みでございます。一方で、そこには一人一人住まう人のドラマもあり、簡単なことではない。そういう意味では、きめ細かな対応を、国がリーダーシップをとって実現していかなければならない大きな国土交通行政の課題でございます。大臣の実現に向けての御決意をお伺いして、私の質問を終わります。

太田国務大臣 御指摘のように、人が住んでいるところを変えるというのは、単に合理的なことではない、容易なことではないというふうに思います。

 規制的な手法ではなくて、インセンティブを与えるという誘導の手法をとるわけですが、ここは住民との合意形成が重要であるというふうに考えておりまして、この法案におきまして、協議会の設置や公聴会の開催について措置をしたり、あるいは地域の関係者間のコーディネートに対する予算措置を整備したりしておりますが、さらに、国交省において、都市と交通の合同プロジェクトチームを組織しまして、担当職員を派遣したり、あるいは人材の紹介をしたり、さまざまな措置をとって、粘り強く、話し合いの中で、この趣旨が貫徹されるということと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

梶山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 今回、コンパクトシティー化を、ある意味、一つ大きな目標として、二つの法案が提出されているわけでございますけれども、この前のときの平成十八年に、いわゆるまちづくり三法の改正というものがございました。私は、その前年まで、経済産業省の流通産業課というところで大店立地法の担当の補佐でございました。そのときも国土交通省と大変議論をさせていただきながら、当時は、いわゆる大規模集客施設、大規模小売店、これが郊外にたくさん立地してしまう、これを何とかできないかという問題意識が中心でございましたけれども、経済産業省のツールでは、中心市街地活性化法で幾ら中を強くしても、外にぼんぼん建ってしまうものはなかなかとめられないということで、都市計画法を小泉政権では数珍しい規制強化法として、郊外に一万平米以上の店は原則建てられない、建てる場合はその市町村がきちんと地区計画をつくってやってください、そのかわり、郊外に建てるという決断をした市町村に対しては、中心市街地にお金をくださいと言ってもだめですよ、こんなような理念で設計をしている途中で私はやめてしまったわけでございますが、では、実際その後どうなったかというのを確認させていただきました。

 この平成十八年の都市計画法改正は、平成十九年の十一月に施行されているんですが、それまでの一万平米以上の立地件数というのは、平成十六年は百七、平成十七年度は百十一、平成十八年度は九十六、平成十九年度は九十一と、全国で百件程度の立地が続いてきたわけでございますが、この都市計画法が施行された後、平成二十年度は三十一、三分の一に減ったわけです。その後も、平成二十一年度は二十六、平成二十二年度は二十九、平成二十三年度は二十二というように、この都市計画法改正は、郊外における大規模小売店舗の立地を抑制するということに関しては効果があったと私は認識しておりますけれども、これについての国土交通省の御見解を野上副大臣にいただきたいと思います。

野上副大臣 平成十八年の都計法の改正では、お話があったとおり、大規模集客施設について、立地可能な用途地域を限定した上で、立地しようとする場合は地区計画を策定するなど、地域の判断を反映した適正な立地を確保する等の都市計画制度の充実を図りました。

 こうした取り組みによりまして、法令上の制限対象となる大規模集客施設の建築が制限された用途地域、第二種住居、準住居、工業地域でありますが、この立地件数は、平成十八年は年間十三件だったものが、改正法施行後の五年間の平均で、年間一件弱に減少をいたしました。また、商業地域及び近隣商業地域以外の地域、いわゆる郊外で立地する割合は、平成十八年には五一%であったものが、改正法施行後の五年間の平均で三四%に減少しております。また、まちづくりの主体である市町村に対するアンケートでは、全国の約八割の市町村から、平成十八年改正の内容は現行制度の維持でよいという旨の回答をいただいております。

 このようなことから、平成十八年の都計法の改正については、地域の判断を反映した大規模集客施設等の適正な立地を図る上で一定の効果があったものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、それでも郊外に立地を選んだ市町村もあるんですね。特に、地区計画を作成しない場合は立地できない第二種住居地域、準住居地域、工業地域、市街化調整区域、いわゆる白地地域、ここは原則立地できず、ですが、市町村が地区計画をつくったら立地できることになっているんですが、それでも地区計画をつくって立地したような市町村に対しては、もうこれは外に展開するという決断をしたわけですから、中心市街地の関係の支援策は講じるべきでない、つまり、具体的に申しますと、中心市街地活性化計画の認定をすべきでないというふうに考えます。

 これに関しては、この計画認定の基準の中に、準工業地域については、そのようなことをした場合には、もともと準工業地域は規制がそのとき変わらなかったんですけれども、準工業地域に大規模小売店を立地した場合には中心市街地計画を認定しませんよという運用でやるというルールがございます。

 今申し上げた、その他の地域で地区計画を作成した場合は立地ができてしまうような、そういった郊外展開型を選んだ市町村に対して、中心市街地活性化計画を認定すべきでないというふうに考えますが、これについて、これは内閣官房の方になると思うんですが、きょう伊藤政務官、この前も来ていただいて、ありがとうございます。このような外を選んだ市町村に対しては認定すべきでないという運用をすべきだと考えますが、これについての御見解をいただきたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 中心市街地活性化は、単に疲弊した中心商店街の活性化を目的とするものだけではございませんで、人口減少、高齢化等、社会経済状況の変化の中で、コンパクトなまちづくりを目指して都市構造の再構築を図って、町全体の活性化を図る取り組みの一環として取り組まれていくべきものと私どもも認識をいたしております。こうした観点で、現行法制上、市町村が策定をする基本計画は、都市計画及び市町村マスタープランとの調和が保たれている必要があると考えているところでございます。

 御指摘の、郊外部における大規模集客施設の立地が、直ちに中心市街地活性化の取り組みと矛盾をするということにはならないと考えておりますけれども、一方で、無秩序に大規模集客施設が郊外部に立地することは、これから進めてまいりますコンパクトなまちづくりの観点では望ましくないと考えているところでございます。したがって、基本計画の認定に当たっても、地方都市の準工業地域における大規模集客施設の立地規制を条件に認定を行うなど、都市計画との調和と申しましょうか、バランスと申しましょうか、しっかり考慮して運用してきているところでございます。

 引き続いて、基本計画の認定に当たっては、都市全体のまちづくりの方向性や、その中での中心市街地活性化のあり方について市町村と密接に意見交換をさせていただき、実効ある中心市街地活性化の取り組みが効果的に実行されるように適切な運用を行ってまいりたいと考えております。

 以上です。

後藤(祐)委員 ぜひ、外を選んだ市町村に、中を応援することのないような運用をお願いしたいと思います。

 伊藤政務官、多分これだけだと思いますので、もしお忙しかったら結構でございます。

 引き続きまして、都市再生特別措置法改正案についてお伺いしたいと思いますが、今回の地方都市における集住、そして都市機能の集約立地という方向性は、コンパクトシティーの考え方からしても基本的に私も賛同するところでございますが、先日の参考人質疑で、浅見教授から資料が配付されていて、その二枚目に、市街化区域と市街化調整区域が分かれていて、今回は、その市街化区域の中をいわば第二線引きするような話なんだというような御説明がありました。この法律の本質はそこにあるのではないのかなと、私もいろいろ御説明を伺っていて感じたわけでございます。

 いわば、中心部の方からしますと、一番真ん中にあるのが、都市機能誘導地域が設定されます。その外側に居住誘導区域が設定されます。その外側に、これは明確な定義はありませんが、居住誘導区域に指定されなかったエリアというものが不作為的にあるわけでございます。そしてその外側、外か中かは別として、より人が住むべきでない地域として居住調整地域、これは義務ではありませんが、設定することができるようになるわけでございます。そして、より厳しい規制のかかる市街化調整区域がある。第二線引きという言葉がいいかどうかは別として、五段階ぐらいのエリアに分ける、その意思を明確にしたというのが、実はこの法案の本質ではないか。

 特に、これは実際に土地をお持ちの方に対して非常に影響がありますので、いろいろな配慮が必要だとは思いますけれども、この居住誘導区域に指定されるところとされないところが分かれていくということをもって、この集住というものが具体的なイメージを持って進んでいくんだ、こういう法案だというふうに理解しますけれども、今のような、五段階ぐらいのエリアの色分けが進んでいくんだというような理解でよろしいでしょうか。野上副大臣の御見解をお願いします。

野上副大臣 まず、現行制度上は、線引きが行われている都市計画区域では、市街化調整区域では全ての開発行為について許可が必要であります。市街化区域では、原則として許可なく開発行為を行うことが可能となっております。

 その上で、本法案の居住誘導区域は市街化区域で定められることとなりまして、居住誘導区域の外では住宅の立地について届け出が必要ですが、同区域の中では届け出は不要ということになります。

 また、居住誘導区域の中に都市機能誘導区域が定められ、同区域の外では誘導施設の立地について届け出が必要ですが、同区域の中では届け出は不要ということになります。

 また一方、居住調整地域では、居住誘導区域の外で、特に住宅の立地を制限することが必要な地域について、都市計画で住宅の立地をこれは許可制とすることができます。

 したがって、このように、委員御指摘のとおり、本法案では数段階の区域概念を用いて集住を図っていくということになります。

後藤(祐)委員 そういうことなんだと思います。その中でも、居住調整地域については、市街化調整区域に近い、厳しい規制が適用される部分があるわけでございますけれども、これを新たに引くというのは大変な困難を伴うというふうに予想されますが、現実に、この居住調整地域を引ける場合というのはどんな場合でしょうか。ちょっと具体的なイメージを教えていただければと思います。

石井政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の法案の地域指定の中では、居住調整地域が、人口が減少しているにもかかわらず無秩序な住宅開発のおそれが強いということで、住宅について立地を規制していくというものでございます。

 一方で、これは市街化区域の中にスポットで設定をしていくものでございますが、むしろ、住宅の立地は抑制したいけれども、地域経済の観点、環境の観点あるいは農業の土地利用などの観点から、こういうものには使っていきたいといったエリアを想定しております。

 具体的なイメージでございますが、例えば、市街化区域の中にも従来から残っている里山、いい環境がございます。これについては、無秩序な住宅開発は防ぎたい。あるいは、市街化区域内にあった工場等の跡地がございます。工場は出てしまったけれども、将来的に、この工業地域といいますか、ここはやはり住宅が入ってしまうと立派な工場、しっかりした工場が来にくくなるということもございますので、ここについては住宅開発が進まないように指定をしたい。このような場合を念頭に置いて、この地域を想定いたしました。

後藤(祐)委員 うまく生かしていっていただければと思います。

 先ほどの話にちょっと戻りますが、居住誘導区域になるところと居住誘導区域にならないところに薄い線が引かれるわけでございますけれども、立地適正化計画をつくって、都市機能誘導区域における支援措置をぜひいただきたいという市町村がたくさん手を挙げてくると思うんですが、居住誘導区域を設定しない、つまり、厳しい方の措置を全くやらないで、あめだけ下さいというような市町村に対しては、私は支援措置を講じるのはいかがなものかというふうに考えます。

 居住誘導区域を設定することで、この町のコンパクトシティーのあり方というのはこういう方向なんだということをきちっと示すような市町村に対しては、都市機能誘導区域における支援措置はあってもいいと思うんですけれども、居住誘導区域を設定しない立地適正化計画、これについては、都市機能誘導区域における支援措置はしないという理解でよろしいでしょうか。

 また、そうなると、居住誘導区域を設定しないような立地適正化計画というのは、そもそも、つくる意味が恐らくないのではないかという意味で、そういった立地適正化計画は事実上つくられないと想定されるという理解でよろしいでしょうか。これは大臣に伺いたいと思います。

太田国務大臣 御指摘のように、コンパクトシティーを推進するためには、福祉や医療等の生活サービス施設のみではなくて居住も誘導するということが重要でありまして、居住誘導区域と都市機能誘導区域は、双方を設定するということが必要だというふうに考えます。

 このために、原則として、居住誘導区域を設定しない場合には、都市機能誘導区域における支援措置は講じられず、また、居住誘導区域を設定しない立地適正化計画が作成されることは想定していないということでございます。

 ただし、特に居住誘導区域の設定には、先ほどの質問にも出ておりましたが、なかなか合意形成ということが簡単にはできないということも想定されるものですから、制度導入当初におきましては、先行的に都市機能誘導区域を設定して、その後に居住誘導区域を設定する。導入当初でありますけれども、そのように、必ずしも同時に設定せず時差があっても、支援措置を講ずることを予定しているというところでございます。

後藤(祐)委員 今のは大変重要な答弁だと思います。

 時間差については柔軟な対応があっていいと思いますけれども、居住誘導区域を設定するということが支援措置の条件だということは、この法律の重要な部分だと思います。

 今の御答弁を前提にしますと、形だけ居住誘導区域を設定して、ちょっとだけやったふりをするというようなところがないように、実質的に意味のある、実質的にコンパクトシティー化に役に立つような、そんな居住誘導区域が設定されているところに絞って支援措置を講じていただくよう、お願いを申し上げたいと思います。

 それと同時に、より大変な居住調整区域、これを先ほど、こういった場合じゃないかという御答弁がありましたけれども、この居住調整区域を設定したような市町村に対しては、むしろこの支援措置を手厚くしてあげるべきではないか。補助率を上げるとかは難しいでしょうから、要望をしていることに対して、満額回答に近いような形でやってあげるべきではないか。そのぐらいにしないと、居住調整区域をわざわざ設定しようというインセンティブが市町村にないのではないかというふうに考えますが、この居住調整区域という大変難事業にトライした市町村に対しては、あめも厚い、こういう形でこれを促していくということはお考えではないでしょうか。大臣、お願いします。

太田国務大臣 御指摘の趣旨は、もっともだというふうに思います。

 居住調整区域を設定することにより、一定規模以上の住宅の整備は許可が必要となります。このように厳格な規制措置であることから、御指摘のように、居住調整区域の設定は、都市計画手続にのっとって行うものであり、居住誘導区域の設定よりも困難となることが予想されます。

 このため、居住調整区域を設定した市町村に対する支援措置の重点化等についても、今後の本制度の運用状況を見つつ、検討してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 重要な答弁、ありがとうございます。

 一問飛ばさせていただきまして、八十七条に、特定住宅整備事業を行う者による景観計画の提案というのがございますが、これは、町並みをきれいな景観で統一するような景観計画を、ディベロッパーですとか住宅メーカーですとか、そういった方が提案できるというような話だと思います。

 これは、今回の立地適正化計画を策定した場合が該当するのはいいんですけれども、この話自体は、景観計画を民間事業者が提案できるようにするということ自体は景観法の方の話であって、立地適正化計画を策定した場合に必ずしも限定しなくても、もう少し、今回で一つ、一歩前進して、その先のこととしてでもいいんですけれども、必ずしもこれに限定せずに、この景観計画の民間事業者による提案を広く認めていくべきではないかと考えます。今回の法案でということではなくて、将来的な課題としてそうすべきでないかと思いますが、いかがでしょうか、石井局長。

石井政府参考人 先生の方から、景観計画の区域の中でも住宅事業者に提案権を認めてはどうかということでございます。

 現在の景観計画が定められた区域、この中では、例えば色であるとか高さであるとか、土地利用制限が課されます。そのため、一番影響を受けるのは、その土地の所有者でございます。その土地の所有者あるいは借地権者の財産権が制約されるということから、これを補うという意味から、現在、当該土地所有者からの提案制度を設けております。

 この法案では、居住誘導区域における住宅開発の促進、良好な景観、環境を有する住宅地の形成が重要だということから、土地所有者だけではなくて、一定規模以上の住宅整備事業者に対して創意工夫を促すという観点から、初めてこの景観計画に対する提案権を与えたということで、いわばインセンティブという形で措置をしたものでございます。

 今回は、こういうインセンティブをどうつくっていくか、何とか居住誘導区域に住宅事業者の事業を引っ張ってくるという観点から措置したものであるということを御理解賜りたいと存じます。

後藤(祐)委員 運用を見て、うまく機能するようであれば、広げることも将来考えていただきたいなと思います。

 それでは、ちょっと細かい話になるかもしれませんが、居住誘導区域外においては、一定規模以上の住宅開発を、三十日前の届け出義務というのを八十八条で課しておりますけれども、この一定規模以上とは、どの程度の規模なんでしょうか。

 これは、いわゆるミニ開発、例えば相続なんかが発生して、土地を幾つか分けて、家を三、四軒建てて相続税を払うのに充てるですとか、あるいはキャッシュを手に入れるとか、そういったものが郊外にぽこぽこぽこぽこ発生してコンパクトシティーを阻害するというようなことのないようにするためのものだと理解しておりますが、いわゆるそういう数軒のミニ開発を抑制するというようなことに使える制度にするためには、この一定規模以上の住宅開発を非常に大きなレベルだけのものに限ってしまうと、これは機能しなくなってしまうわけでございます。

 いわゆるミニ開発を抑制するのに資するような、例えば数軒レベルも含めた一定規模以上という解釈でよろしいでしょうか。これは政令でどう書くかということを含めて、今の時点で言えることを答弁いただきたいと思います。

石井政府参考人 御指摘のように、今回の届け出対象は、住宅開発事業者が整備する住宅団地や集合住宅など、一定規模以上の住宅、さらには、居住の用に供する建築物としての企業の寮や有料老人ホーム、これはこれから大変重要になってくると思いますが、市町村の条例で定めた場合には届けの対象にしていこうというふうに考えております。一方で、全くの個人が自分の土地に一軒、家を建てますといったものについては、自己居住用の住宅というのは対象にしない方針でございます。

 先生の方から、この規模について、ミニ開発はよろしくないということで、これを規制する趣旨からどの程度に持っていくかということですが、これは今後詳細について検討していく予定でございますが、先生御指摘のとおり、ミニ開発は、相続ということが絡むとはいえ、必ずしも適切なものではございませんので、このようなミニ開発を含めて、個々人への分譲を目的とした事業者による宅地造成も視野に入れながら、政令の規模等を検討してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 自分の息子が住むですとか、そういったものはしようがないと思うんですけれども、今の分譲を前提とした、要は、親族と関係ない方に売って、そのお金でというようなところ、だから三軒とか四軒とかのものもいっぱいあると思うんですね。そういったものもこの対象となるような政令を指定していただくようお願い申し上げたいと思います。

 それでは、ちょっと一問飛ばさせていただきまして、今回は居住誘導地域の設定というので、その設定されたところとそれ以外が、第二線引きという言葉はともかく、非常に長い目で見たときの第一歩としては私も評価するものでございますが、この届け出、勧告というものでは、なかなか本来のコンパクトシティーというところの目的に達するには不足なんだと思います。

 本来は、居住誘導地域以外のところで届け出をしなきゃいけないような開発行為をした場合には、例えば相続税が重くなる、あるいは固定資産税が重くなる。今、住宅に関しては住宅特例六分の一というのがございますが、こういったものが重くなる。あるいは、その土地に家が建って、その家を買う方が住宅取得促進税制なんていうのが使えなくなる。こういった、どれもすごく厳しい話です。ですが、こういった税制におけるディスインセンティブを与えることによって今のようなミニ開発を抑制していくということが、一番ストレートに効果を発揮すると思うんです。

 ぜひ、この法案で直接ではないんですが、今後の税制改正において、この法案を機能させていくためには、今の届け出義務が発生する開発に対し、居住誘導区域外の開発で届け出が必要とするような開発に対しては、税制を含めた経済的なディスインセンティブを与えるべきだと考えますが、これについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 インセンティブを与えるという誘導型の法案になっています。そこの、居住誘導区域外の開発の規制については、住宅の開発行為を届け出、勧告の対象としているわけですが、居住誘導区域外において勧告を受けた者が、勧告にもかかわらず居住誘導区域外に立地した場合、何らかの経済的なディスインセンティブを課すことも一つの手法であるという後藤先生の考えだと思います。

 私は、ここは検討課題というふうに思っておりまして、とにかく基本は誘導という、インセンティブを与えて誘導するということなんですが、先生の意見も踏まえつつ、居住を誘導するための経済的な手法についても検討していきたい、このように思います。

後藤(祐)委員 大臣の率直なお気持ちをいただきました。重要な答弁だと思います。

 私自身、仕事をしていて、冒頭申し上げましたが、中心市街地を活性化するのに、中を応援するだけだとやはり難しいということで、外に対して厳しい規制を導入するということをパッケージにして冒頭のように効果を発揮したわけでございますので、やはり、本来あるべきでない行為に対して厳しい行為をするというのは政治的にも大変な決断が必要だと思いますが、これについてはぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、今のディスインセンティブの話は、もう一つございます。

 都市機能誘導区域外で誘導施設を立地する場合、これも百八条で新たに届け出義務が課されるんですが、この届け出義務自体も第一歩としては評価するものでございますけれども、同じように、ディスインセンティブを含めた効果というものを今後検討すべきではないでしょうか。大臣、お願いします。

太田国務大臣 ここの都市機能誘導区域においては、同じように、インセンティブはあるけれども、ディスインセンティブがない。

 基本的には、予算や金融や税制上の支援のほか、容積率など制度の特例もこの都市機能誘導区域には設けておりまして、事業者の経営判断に対するインセンティブは間違いなく働くというふうに思っています。

 しかし一方、都市機能誘導区域外において勧告を受けた者が、それにもかかわらず誘導区域外に立地した場合には、何らかの経済的なディスインセンティブを課すことも一つの手法であるという後藤先生の言われていることについて、ここはさらに検討を深めてまいりたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 来年度税制改正に向けての御検討というのはまだこれから十分時間がございますので、今の二つの点、これは難しい検討もあると思いますけれども、コンパクトシティー化を進める上では非常に効果が直接的に発生する部分でございますので、ぜひ積極的な御検討をお願いしたいと思います。

 それでは、百十一条で、跡地等管理協定というものが結べることになっておりますが、この締結できる主体というのが限定されているんですね。都市再生推進法人と緑地管理機構と景観整備機構、これはそれぞれのところにあるものだと思いますけれども、跡地等管理協定というと大変難しい話のように聞こえますが、雑草が生えちゃっているのを草を刈ったりとか、比較的ちゃんとしたNPOであればできるぐらいの話もあったりします。この跡地等管理協定の締結先は限定せずに、いろいろな主体ができるようにすべきではないかと考えております。

 私は、条文ベースでちょっと気になるなというのはこの百十一条なんですが、なぜこれは限定したんでしょうか。そして、今後の運用を見てなのかもしれませんが、もう少し広い主体に、草刈りぐらいお願いしてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、今後の検討についての御見解をいただきたいと思います。これは坂井政務官、お願いします。

坂井大臣政務官 跡地等管理区域に指定された区域におきまして、跡地の所有者は、市町村や都市再生推進法人等として指定されたNPO等と協定を締結し、管理を委ねることができます。

 跡地等管理協定を締結するに当たっては、所有者等の合意を、後々苦情が生じないように明確な手続をとること、落ち葉や砂ぼこりなどについての苦情などが生じないよう管理することなどを適切かつ確実に行うことができる者が締結主体となることが必要となります。

 都市再生特別措置法により都市再生推進法人等と指定されたNPO等については、市町村等は、業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、業務の報告や運営の改善を求めることができるとしております。

 一方、一般のNPOにつきましては、特定非営利活動促進法、この法律によって、法律に違反すると認めるなど、相当の理由が必要とされまして、都道府県や政令市は業務の報告や運営の改善を求めることができるということになります。

 そのため、跡地等管理協定においては、トラブル防止等の観点から、市町村等が十分な指導を行うことができるよう、都市再生推進法人等として指定されたNPO等と協定を締結できるというふうにしております。

後藤(祐)委員 何とか法人に指定できるかどうかというと、物すごく、いろいろな要件だとか、過去の実績だとか、財務諸表だとか、そういったところで、現実には地域では認められているような方が排除されることのないように、柔軟な運用をお願いしたいと思います。

 それでは、地域公共交通活性化法に行きたいと思います。

 この法案の実質的な意味での法律事項は一体何なんでしょうか。つまり、予算の関係が大きく二つあります。地域公共交通確保維持改善事業三百六億、これは重要な予算だと思いますし、社会資本整備総合交付金で公共交通なんかに支援を強化する、これも大事なんでしょう。ただ、これら二つは、いわば予算の査定方針であって、法律で書かなくてもできる話だと理解します。

 また、いろいろな運賃の許認可の審査基準の緩和とかといったものも、結局、大臣認定をすればそういったものは要りませんよということなので、一回は大臣に上げなきゃいけないので、これもそれほどの実質的な意味はないという気がします。

 その中で、先日、参考人質疑で浅見先生から出された資料の中で、これはいわゆる撤退規制、規制という言葉は強いのかもしれませんが、公共サービスの継続保証ができない問題をどうするかとか、民間の公共交通を担っていらっしゃる事業者と地域公共交通再編実施計画を同意するという形で、できるだけ撤退されないように担保していくんだというような趣旨のことがありました。

 この法律は、撤退していただかないようにするために、ふわりとした合意をつくっていくというところに、この法律の一番の法律効果のある部分なのかなと私なりに理解をしたんですけれども、今後の地域の公共交通をきちっと担っていただく民間事業者が安易に撤退しないような、先ほど、補助のあり方との関係もありました。この補助を出す条件として、何年間は少なくとも撤退しないでくださいねですとか、お金を渡してやるのであれば、なおさらそこの合意というのはやりようがいろいろあると思うんですね。

 ぜひ、事業者が安易に撤退しないような合意形成として、どういうやり方をしていけば機能するのか、これについて、高木副大臣からの御見解をいただきたいと思います。

高木副大臣 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、委員御指摘でございますけれども、地方公共団体と公共交通事業者が合意をして地域公共交通再編実施計画というのを策定する、そして、それに沿って関係者がしっかりと持続的に取り組みを進めていくということになるわけでございます。具体的には、地方公共団体の側は、事業の実施条件や、それに見合う公的支援の内容等について明確にする、一方また、事業者は、具体的な事業実施内容について、それぞれ計画期間全体にわたって明確にすることが必要だというふうに考えているところでございます。

 こうしたことをしっかりと活用することによりまして、公共交通事業者は先を見越した事業運営というものが可能になるというふうに考えますし、安定的な交通サービスの提供につながるというふうに考えているところでございますが、しかし、それでも一方で、合意した公共交通事業者が、正当な理由なく計画に定められた事業を実施しないという場合も想定されないわけでもないというふうに思いますけれども、そうした場合は、国土交通大臣の勧告、命令というものによりまして、事業の確実な実施を担保するということにしているところでございます。

後藤(祐)委員 クリームスキミング、おいしいとこ取りをされると、コンパクトシティー化が進んでいくと、よりおいしいところがはっきりしてしまうので、その結果、苦しいところの交通がなくなってしまうということでは本末転倒なわけですね。

 おいしいとこ取りをしないことを条件に、みんなで支えていくんだ、場合によっては補助を出していくんだというところを、現実の契約の中でうまく機能するような、先ほどそんな工夫をされているようなお話もございました。ぜひそれを広げていっていただきたいなと思います。

 そのような中で、いわゆる過疎地域ですとか、なかなか路線バスがないようなところ、私も、山の中の限界集落まである選挙区でございますけれども、こういったところにバスが欲しいという声はいっぱいあるんですけれども、一日三本バスがありますといっても、乗る人がなかなか少なくて、空気を運んでいるという状況になっているのも、たくさんいろいろなところで見ます。

 むしろ、それよりはディマンドタクシー、あるいはバスの場合もあるかもしれません。一般の方が、何時に来てくださいという形で呼ぶことで、そういったものを幾つか集めて機能させていくというディマンド交通に対して、今回、補助があるわけでございます。地域公共交通確保維持事業というものがあるわけでございますけれども、このディマンドタクシー、バスも含めて、ディマンド交通の重要性、そして、この支援措置の重要性について御見解をいただきたいと思います。

 それと同時に、今の対象がやや狭いのではないか。要は、交通結節点みたいなところに行く場合はいいんだけれども、例えば、そういったところとは全く遠いスーパーにちょっとお買い物に行きたいんだけれども、車を運転できないのでお願いできませんかとか、いろいろなケースが過疎地なんかではあると思うんですが、その需要を余り制限してしまうと、また使われないということになってしまうので、比較的バスがあるところまで認めるかどうかはともかく、どういうニーズで移動したいかというところは余り絞らずに、広く補助対象を認めていくべきだと思います。

 ぜひ、このディマンド交通の重要性とその支援措置、その支援措置が、できるだけ絞らない形で運用できるようにということについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 ディマンド型のバス、小さなバスあるいはタクシー、こうしたものはこれから物すごく大事になるというふうに思います。私も先般、高知の黒潮町に行ってきたときも、百四十四人しか住んでいない三つの集落を結ぶということで、これが有効に動いているということを見ましたけれども、現在、これが重要であるということは間違いない。

 それで、国交省として、現行制度は、幹線ネットワークの補完や交通不便地域の移動手段の確保の観点を踏まえながら、ディマンド型タクシーについて、その運行について欠損の二分の一を補助する等の財政的な支援を行っているところでありますが、私は、これから、相当ここは工夫していく余地があるところだというふうに思います。地域の実情、そしてこのディマンドバスあるいはタクシーの重要性を認識して、どういうふうにこれを支援していくかということについて、必要な支援をしっかり講じたいというふうに思っておりまして、さらに中身を検討したいというふうに思っているところです。

後藤(祐)委員 道路をたくさんつくっても、車が上を走らなきゃしようがないわけです。社会資本整備が必要なのも理解しますけれども、このディマンドタクシー、ディマンドバスの重要性は、もう皆さん共通だと思いますので、限りあるお金をそこに重点的に使っていただけることをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 本日は、コンパクトシティーということで、質問をるるさせていただきます。

 この法案の背景になっております、日本の社会が抱える、直面するさまざまな課題、これは皆さん共通の認識があろうかと思います。人口が減少している、高齢化が進んでいる、そして環境の問題も一方で抱えている。そうした中で、住居の集積または都市機能の再配置というものが喫緊の課題になっているというような中で提出された法案であります。

 ただ、地域というものは、かなり多様な要素で成り立っていることも一方で事実で、きょうは、その多様な視点で、できるだけ生活の現場からの視点で、以下、るる御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、都市再生として都市計画法、過去にもずっとこれまで取り組んでこられた経緯があろうかと思いますけれども、そうした取り組んでこられた内容と、そして、今も現在、中心市街地がどんどん疲弊をしていっている、そのあたりについて、どういった課題を認識していらっしゃるのかということを、少し詳しく教えていただきたいと思います。

坂井大臣政務官 今の御質問につきましては、都市再生特別措置法、今回の法律でありますが、これは平成十六年に、いわゆるまちづくり交付金というものを創設いたしまして、地方都市を中心に都市整備を進めてまいりました。また、都市計画法がございますが、これは平成十八年に、大規模集客施設の立地に当たって都市計画手続を経ることとする等の改正を行ってまいりました。しかしながら、現状、御指摘のように、県庁所在都市の人口などにつきましても、従来想定していたよりも急激な減少が見込まれるなど、より厳しいということになっております。

 このような中におきまして、居住や福祉などの民間の施設や活動を重視し、都市全体を見渡しながらその誘導を図るとともに、単に都市の拡大を抑制するのみではなく、拡大した都市を積極的にまたコンパクトに、小さくしていくことが必要だということで、このため、福祉、商業などの生活サービス機能と居住を誘導するための本法案を提出させていただきました。

岩永委員 ありがとうございます。

 私も、法案の中身そして提出の背景については必要なものだと考えておりますし、先ほども出ておりましたけれども、ある意味、政治が大きな意思と決断を持って取り組んでいかなければならない分野であろうかというふうに思います。

 具体的な質問に入らせていただく前に一つ、私も海外でずっと生活をしておりました。アメリカで約七年間生活をしてきたんですけれども、感覚的に、日本の社会というのは既にかなりコンパクトなんじゃないかなというふうな意識も持たせていただいております。

 カリフォルニア州と同じぐらいの国土の中に千七百以上の自治体があって、そして、合併前は三千以上の自治体があって、今回のコンパクトシティーの法案についても、そういった旧町村単位の核になる部分をつくっていかれるというような方向性もお伺いをしているんですが、これは大臣でも結構なんですが、そういった私の感覚についてどのようにお感じになるかということを一言、御見解をいただければと思います。

太田国務大臣 我が国の都市の形成というものを歴史的に考えてみますと、一つ特徴的なのは、人口が急速度にふえた、そしてこれから急速度に減ってくる、そして東京一極集中というような状況がある、そしてかなり国土全般にわたって人が住んでいてというような、非常に特徴があったと思います。

 ヨーロッパの都市などは、もうかなり伝統的に古くて、全ての道はローマに通ずというふうに、この間ありましたけれども、同じように、この道路というようなものの中で町が形成されて、城壁都市というのが形成されてきた。伝統が非常に長いです。アメリカは非常に広い土地の中なんですが、例えばニューヨークと東京を比べてみますと、ニューヨークの位置というのは非常に狭いんですね。東京二十三区の方がはるかに広いというような状況にございます。

 ですから、私は、コンパクトであればいいとか悪いとかいうお話ではなくて、それぞれがどうやって、この激しい人口減少や、そして激しい都市間競争の中で生き抜いていくためにはどういうふうにしていくのかという観点からいって、他国との比較ではなくて、どう生き抜いていくのかということが一番の焦点で、それに対応して、今回こうした措置をとらせていただいているということでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 私も、日本の国内を語るときに、余り他国と比較をするというのが好きな方ではないんです。もちろん、日本には日本の伝統、歴史、文化があって、人と人とのつながりがある中で、やはりさまざまな施策を考えていくということを基本にさせていただいているんです。

 そういった質問に至った理由というのが、例えば、秋田県の赤十字病院の移転例なんかを拝見していると、これまで駅から一キロぐらいのところにあったその病院が、四・六キロ、バスで十五分かかってしまう郊外へ移転をされたことによって、住民の皆さんからさまざまな問題意識が発生をしているというようなこともありまして、一キロが四キロになった、それで地域が、大きくさまざまな課題を、そこにあるんだというようなことをおっしゃるその意味はよく理解できるんですけれども、果たして、その三キロという距離感が、一体私たちは、これから町をつくっていく中で、どう捉えていったらいいのかなというような単純な疑問もありまして、そういったお話をお伺いさせていただいたわけでございます。

 続いての質問も関連なんですけれども、これも地域によってさまざま違うと思うんですけれども、一体、このコンパクトシティーというのは、どのぐらいの規模、面積の中に、どのぐらいの人口密度があればコンパクトと呼べるのかなということ。これは、先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、地域地域の中でそれぞれに協議をして決めていくものだということでございますけれども、何かそういった一つの指標というか、イメージみたいなものがあれば、ぜひ教えていただきたいんです。

石井政府参考人 この法案では、まず、法律上でございますが、どれくらいの規模の都市であるとか、どれくらいの面積であるとかという制限は一切ございません。

 現在、コンパクトシティー化を目指すというふうに言っておられる市でとったところ、約六割の市が、その市のマスタープランの中でコンパクトシティーを目指すというふうに言っておられますので、恐らくその六割の市は、今よりももう少し面積を縮めて、少し先ほど後藤先生の方からありましたが、集住をしていくということを目指しておられるんだろうと思います。

 私ども、この法案を計画するに当たって、こういう形のようなものができた場合に、具体的にいわゆる届け出、勧告の立地制限を打って、それにすぐでも取りかかりたいですかということをお聞きしましたら、数万人ぐらいから数十万人の市から、そういう要望が上がってまいっております。

 そういう意味でいきますと、行政の能力であるとかそういう点から、当面は十万人ぐらいの市のところ、あるいは、先ほど大臣からも申し上げましたが、大都市周辺の高齢者が増加している郊外のエリアとか、こういうところが非常に要望が強うございますので、そこを中心に展開されていく、その中で徐々にイメージがつくり上げられていくのではないかなというふうに考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 本当に、地域ごとにそういった部分というのは全く違ってこようかと思うんですけれども、私もまちづくり団体にも所属しておりまして、十年ぐらいずっと、地域の過疎であったりとか、いかにして地域を盛り上げていくのかというようなことを、まちづくり活動の中で約十年間取り組んでまいりました。

 先ほど、伊藤委員からの質問にもございましたとおり、御発言にもありましたが、総論としては、みんな賛成なんですね。そして、強い市街地をつくっていこう、盛り上げていこう、そしてシャッター街をもう一度人があふれるような町にしていこうというような中で、それぞれが頑張っていくんですけれども、やはり各論になったときには地域の中で合意を形成していくのがなかなか難しいということも、実感として持たせていただきました。だから、そういった、今後、いかにして地域の中でコンパクトシティー化、市街地の活性化を進めていくのかということについて、かなりの政治的なリーダーシップも一方では必要になってくるんだろうというふうに思います。

 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案が、経済産業省、閣法として提出をされて、今国会でもう通過をいたしておりますけれども、まず、この法案との関連について、コンパクトシティーのこの国交省の法案と、そして経済産業省の中心市街地の活性化というものがどのように連携をとっていくのか、その関連性についても御説明をしていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答えをいたします。

 今般、経済産業省の方で、中活法の改正によりまして、都市中心部における特定民間中心市街地経済活力向上事業ということで、都市の中心部において、大規模な商業施設につきましても、これがその地域の活性化に資するといった場合には、大規模店舗の立地促進等について手続の簡素化あるいは支援を行っていくといったものがポイントとして、その他規制緩和等ございますが、行われております。

 一方、私どもの今回の法案というのは、そのような中心部を含んで、都市全体の構造、駅前だけではなくて、先ほど先生からも御指摘がありましたが、旧集落の中心地、生活拠点等についても商業や福祉の機能を集約して、大きい拠点、小さい拠点、これらを公共交通でつないでいく。大臣が申し上げたコンパクトシティー・プラス・ネットワークの考え方で法案を作成しているところでございます。

 その際、当然のことながら、今回の中活法で対象としている中心市街地は大きな拠点ということで、商業はもちろん、医療、福祉、その他さまざまな機能を集約する中心部の役割を果たす重要な区域と考えております。

 そうしたため、今般の中活法の改正の、中心市街地への集積の重点支援と連携をしながら、私どもは、都市全体の中で商業機能を集約していく、あるいは小さな拠点でも商業機能が一部は使えるようにしていくといった点で、連携をとりながらやってまいりたい、かように考えております。

岩永委員 ぜひ、他省庁ともしっかりと連携をとっていただいて、中心市街地の活性というものに努力をしていただきたいんです。

 今法案で、福祉、医療、商業、こうしたものをコンパクトにしていこうという一定の方向性はよく理解をできるんですけれども、居住の誘導というものを入れられた理由について御説明ください。

野上副大臣 我が国の地方都市におきましては、過去四十年間で人口が二割増加いたしましたが、町の面積が二倍に拡大をしてまいりました。そして、三十年後には人口が現在から逆に二割減少しまして、一九七〇年ごろと同じような人口ということも予測をされております。

 この結果、町が郊外に拡大したまま人口が減るということになりますので低密度になる。そうしますと、生活サービスですとか行政サービスなどの提供が難しくなって、地域の活力も低下するというおそれがあるわけであります。

 このような観点から、人口減少の中にあっても、一定のエリアにおいて人口密度を維持することによって地域の活力を維持していくためには、居住を誘導することが必要だというふうに思っております。

 私の地元の富山市などにおきましても、公共交通沿線に居住推進地区を設定しまして、当該地区に住宅を誘導することによって固定資産税等の税収を確保して、そして市内各地から中心市街地への公共交通の利用について割引を行うなど、やはり市全体に目配りをした施策を行うということが大事で、郊外の切り捨てになっていかないようにしなければならないというふうに思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 この居住というのがやはり大きな課題になってくるし、問題にもなってくるし、地域の皆さん方に、いかにしてそこを御理解いただくのかということが非常に難しいんですね。

 先ほど大臣おっしゃいましたように、こういったことを強引にするのではなくて、やはりインセンティブを与えて、穏やかに、地域との協調、協議の中でそういったことを進めていくんだというようなお話がございましたが、一方で、こういった居住の誘導を進めていくとなれば、やはり、そこから出てくる課題についてもしっかりと認識をしておかなければなりませんし、そういった点についてもしっかり今の時点で議論をしておかなければならないというふうに考えております。

 そこで一点、今、地方公共団体、恐らく委員の皆様方の地元でもそうだと思いますけれども、自治振興会とか、そういった小学校区単位で自治をしっかりとおさめていこうというような流れがあります。

 この自治振興会というのは、私の地元でもそうなんですけれども、行政に頼らずとも、できるだけ自分たちの課題は自分たちで解決をしていこう、そして集落を守っていくんだというような中で、小学校区単位の取り組みというものを非常に積極的に展開されております。地域のまちづくり、そしてお祭りなんかもそうなんですけれども、この自治振興会単位でされているというところもございますし、結構、小学校区単位でさまざまな地域づくりを行っている地域がほとんどだと思うんですね。これは文化祭についてもそうですし、例えば消防なんかも、小学校区単位でやっているところがほとんどです。

 そういった、今ある自治振興会とか小学校区単位の自治会というものについて、どういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか。それで、こういった都心部への、市街地に居住を誘導していくことによって、そういうところへどういった影響が出てくるのかということについて、御見解をお伺いできればと思います。

石井政府参考人 先生御指摘の自治振興会、町内会等は、小学校単位で、独居老人の見守りであったり、あるいはお祭りの維持ということで大変重要な活動をしておられると思います。

 一方で、今後、地方都市は、大変急速な人口減少に見舞われるということが予想をされております。先ほど夕張の例がございましたが、小学校が六校から一校になっていくといった中で、郊外に拡大したまま人口が減ると低密度になって、いわば、このような自治活動そのものも維持をすることがなかなか難しくなっていくといったことも懸念がされます。

 こういう中では、やはり地域の活力を維持するとともに、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するということから、駅前等の中心部だけではなくて、旧集落全部というわけにはなかなかいかない場合もあろうかと思いますが、旧集落の生活拠点等の小さな拠点も維持しつつコンパクトにしていく、これと公共交通のネットワークを形成してそのような活動も支援していくといった、そんな趣旨が本法案の狙いとしているところでございます。

岩永委員 先ほど申し上げましたとおり、小学校区単位の自治というものをかなり積極的に進めていらっしゃる地域がふえてきておりますし、頑張っていらっしゃいます。

 人口減少の中で、そういったところを全て守っていくということはなかなか難しいということは十分に理解をしているんですが、国の示す方向性と、自治体が今生活の現場の中で進めていらっしゃる自治の仕組みというものについて、やはり考え方のギャップがあってはならぬというふうに思いますし、そういった部分を丁寧に自治体に説明していくこと、そして、自治体との合意形成の中で、この法案を有意義に、前向きに使っていただけるように、これも人と人との関係ですので、丁寧な運営をぜひお願いさせていただきたいというふうに思います。

 それと、あと二点、少し整合を図らせていただきたいのが、厚生労働省が今、地域包括ケアシステムということに取り組んでおります。この内容を簡単に読み上げますと、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住みなれた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、地域の包括的な支援、サービス提供の体制の構築を推進していくというような方向性でございます。

 これも、在宅医療、在宅介護を進めていこうというような中で取り組まれているシステムの一環ではありますけれども、可能な限りその地域に残っていただいて、そこで最期を迎えていただくというような方向性と、今回の住居、居住の移動、誘導というところの、ここの説明というものをどういうふうにされるのかということについて、見解をお答えください。

石井政府参考人 先生御指摘のとおり、地域包括ケアシステムは、生活上の安全、安心、健康を確保するために、医療、介護など、さまざまな生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供される体制を目指すものです。

 昨年八月の社会保障制度改革国民会議におきましても、その中で、「コンパクトシティ化を図るなど」、途中飛ばしますが、「人口減少社会における新しいまちづくりの問題として、医療・介護のサービス提供体制を考えていくことが不可欠である。」という提言もされているところでございます。

 本法案の作成に当たりましては、当初から老健局と綿密な打ち合わせをさせていただきながら、今回、生活拠点、駅前だけではなくて小さな生活拠点も含み、そういうところに対しまして、国土交通省では、福祉施設や医療施設、これらについて財政上、金融上の支援の拡充をするということを始めたところでございます。

 このように、本法案は、でき得る限り住みなれた地域において、コンパクトシティーと並行しながら、医療や介護などサービスを受けながら住み続けるという地域包括ケアの考え方と整合をとっていこうというものでございます。

 今後、より一層の連携を図っていくために、市町村の都市部局と福祉部局が一体となってこの立地適正化計画が作成されるよう支援をしてまいりたいと考えております。

岩永委員 もう一点、あとは、農林水産省の考え方と今回のコンパクトシティーの考え方がどのように整合をとれているのかということも質問をさせていただきたいと思います。

 今、農水省は、日本型直接支払いということで、地域の多面的な機能を維持していこうというようなことで法案が審議をされているところでございます。私も、この後、また十一時過ぎから農林水産省の方でも質問を四十分間やるんです。

 それで、農水省の質問を考えているときにこのコンパクトシティーの質問も同時に考えているんですけれども、頭が混乱してくるんですね。

 農水省は、とにかく集落を守っていくということを徹底的におっしゃっておりまして、そこに予算をかなり投入しているわけなんですね。それで、林大臣も、この日本型直接支払いというものは、面積要件というものを解除して、これから中間管理機構という、農地を集約化していくんですけれども、それによって、農業に携われなかった人も、ある意味、側面的に農家を応援できる、農業を応援できるような仕組みをつくっていくんだ、そのことによってその人たちが集落から離れないように、とにかく集落の中にいていただくということが大切なんだということを答弁されているんですね。

 私も、そういったことが大切だということで、これから質問に行くんですけれども、このコンパクトシティーの、今回の居住の誘導ということと、農業、これは中山間地だけに限ったことではないんです、都市の中でも農地というのはたくさんありますし、都市の周辺にも農地というものはたくさんある。その集落をしっかり守って、そこに住んでもらおう、できればそういったところにも人を呼び込んで新しい地域の形というのをつくっていこうというこの考え方は、どうなんですかね、整合というか、目指すべき方向は、本当に足並みそろって同じ方向を向いているのか、ベクトルはどうなのかということについて、少し御説明をいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答えを申し上げます。

 コンパクトシティー化を図るということになりますと、どうしてもそこのところが前面に出ますので、誘導区域の中に全ての人が住むといったイメージを与えがちでございますが、例えば、先ほど副大臣から例を出していただきましたが、富山市で沿線の居住推進区域内に住まれる人口、二八%のものが今三八%ぐらいまで上がってきたと思いますが、将来的にも平成三十七年で四二%ということですから、逆に言うと、六割の方はそれ以外のところに住まわれる。その代表が農業という、土地に密着をした方々は中山間地の旧来の集落に住み続けられるということは、当然の本法案の前提というふうに考えております。その意味で、私どもは、直接支払いによる多面的機能の維持の今回の法案とコンパクトシティーの法案というのは、決して方向性がばらばらではないと。

 また、農林水産省には、コンパクトシティー化に伴って、郊外の土地、この積極的な活用はやはり農業が第一でございますので、これについては予算面での支援を賜るよう連携をしておるところでございます。

岩永委員 同じ質問を、この後、農林水産委員会でもやってまいります。向こうの答弁が同じようなことであることをちょっと期待はしているんですけれども、しっかり足並みをそろえていただきたいなということなんです。

 法案を見て考えれば考えるほど、やはりちょっと頭が混乱をしてくるというか、地域というものを考えたときに、一体、どういった地域づくり、これからのまちづくりというものを目指していらっしゃるのかなという、ビジョンがどうも頭の中に明確に浮かんでこないというところを一点指摘させていただきたいと思います。

 時間となりましたので最後の質問にさせていただきますけれども、この法案、いつくらいまでに、どのぐらいの自治体で立地適正化計画の作成に取り組むことを目標にしていらっしゃるのかというようなことについてお答えをいただきたいです。そして、その目標を達成するために、どういった支援、推進をしていかれるのかということについて、最後、簡潔にで結構ですので、御答弁をよろしくお願いいたします。

石井政府参考人 先ほど申し上げましたが、現時点で具体的に視野に入れて、もう実際に取りかかれそうだというところは十都市程度の市でございます。これらをまず手始めとしてまいりますが、今、マスタープランをつくっている八百四十四の市の中で、コンパクトシティーの位置づけをしておられる方が約六百弱ございます。そういう方々には何とか支援をして、ぜひともコンパクトシティーの具体的な取り組みまで御支援をしてまいりたい。

 一方で、いつまでにということで、これはなかなか難しい話でございますが、今後、二、三十年の間に人口が急速に減っていく、この過程を考えると、でき得る限り早く、もう取り返しのつかない事態になる前にそういう計画を立てて、市町村に施策に取り組んでいただきたい、かように考えております。

岩永委員 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 きょうは、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案並びに地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案ということで質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の人口は二〇五〇年に一億人を切って、少子化、高齢化、地方によっては、あるいは急速に進む過疎化という状況の中にあって、町全体をつくり直して効率的なまちづくりへ、コンパクトシティー化ということは非常に重要だと思っております。

 私の地元の今治市でも、愛媛県下の第二の都市でございますが、十年前に合併のときには十八万人いた人口が今十六万六千人というふうになっております。中心部に商店街があるわけでございますけれども、この商店街に私も小さいころ行くのを楽しみにしておったようなところがあったものが、今や、その入り口の店舗などはずっと空き店舗になったままでありますし、商店街の中も既にもう空き店舗が幾つか見られるというような状況であります。しかも、この商店街の入り口にあった大手デパートが平成二十年に閉店してから、その跡地はとりあえず更地にしたものの、その後の跡地利用をどうするかというのはまだまだ思案されているような状況でございます。

 商店街の方々もいろいろなイベントを通じて何とか中心市街地の商店街を再び活性化させようというような取り組みをしておるわけでございますけれども、隘路に入ってしまって何か八方塞がりのような状況になっておるのが現状であります。

 そういった状況の中、一方では、今治の新都市開発事業というものがあって、これは、都市再生機構が事業主体となって、愛媛県と今治市と協力し合って新たな都市をつくるということで、住む、働く、学ぶ、遊ぶという四つの機能を持つ新たな都市をつくってさらに活性化させようというような取り組みをしておるわけでございます。

 この事業は、平成十四年に着工されて、約十五年間の中にこれをつくろうというようなことでございまして、来年ここに大型ショッピングセンターが進出してくるというようなことになっております。先ほどの都市計画法の効果の話もございましたが、そういった大型ショッピングセンターが出てくることによって、さらに中心市街地の商店街というのが厳しい状況になってくる、死活問題になってくるというのが現状であります。

 たしか、前回、中心市街地活性化法の改正をした際にも、私は当時は自民党議員の秘書でありましたけれども、とりあえず、生き残ることができる商店街を先に助けようというような雰囲気の中で議論があったというふうに思いますけれども、コンパクトシティーを目指すならば、やはり人を呼び込める中心市街地の商店街、魅力的な商店街づくりというのが大事だというふうに思っております。

 この両法案と、中心市街地活性化改正案が今回提出されますけれども、この中心市街地、商店街のあるべき姿、目指す方向などがどういうものであるべきかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法律でございますが、人口減少、高齢化の進展の中で、都市の活力を維持しつつ、高齢者等が安心して暮らせるまちづくりの推進、ポイントは都市全体の構造を見直していく、その上で中心部の位置づけ、あるいは小さな生活拠点の位置づけ、商業や福祉の機能の集約、そして、これらをネットワークでつないでいくというコンパクトシティー・プラス・ネットワークの考え方ということでございます。

 その際、先生からるる御指摘のあった中心市街地は、商業機能はもちろん、医療、福祉等、さまざまな機能を集約する中心部の拠点でございます。この中心部の拠点をどのように再生をしていくかというのは、中活法並びに今回の法案の共通の課題でございます。

 その中で、今後の商業のあり方あるいは広域経済圏のあり方の中で、この中心部の位置づけをどのように持っていくのかということを、まさに立地適正化計画、これは一市町村だけでつくる場合もございますし、数市町村が連合してつくっていただくことも結構でございます。その中で位置づけをしっかりさせていただく。

 そのような中で、今般の法律は中活法による商業活性化政策ともきちっと連携をしながら、その位置づけを都市全体の構造の中に位置づけて、中心市街地にさまざまな機能が集約するように支援をしてまいりたい、かように考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはり、中心市街地に再び人を集めてくるというのは、よっぽど工夫をしてやらないと難しいと思いますし、そういった点では、この法律でつくられる立地適正化計画、これは市町村が作成するわけでございますけれども、そういったものが非常に重要になってくるというふうに思っております。

 今回、そういった方向に誘導するようになると思いますけれども、居住誘導区域や都市機能誘導区域はどのような地域に設定するのが望ましいのかというのが一点ございまして、また、この両地域の設定に当たっては、既存の居住者や事業者の方々の意見というのをどのような形で反映することができるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 都市機能誘導区域、居住誘導区域、この設定の仕方は、地域の実情に応じてさまざまでございます。当該地域の人口や土地利用、交通の現状、あるいは将来の人口見通し等々、これらを勘案しながらそれぞれ設定されるべきと考えておりますので、法律上一律の基準は設けてございません。

 ただ、イメージとしましては、都市機能誘導区域は、先生御指摘のとおり、鉄道駅に近い、業務、商業などの集積する地域、あるいは旧町村の役場周辺などの地域が想定をされます。また、居住誘導区域は、今の都市機能誘導区域の外側の区域、あるいは都市機能誘導区域と公共交通により結ばれた小さな拠点との間の、公共交通の便利なところ、沿線の区域等が想定をされます。

 この両区域の設定でございますが、都市機能誘導区域の場合には、特に事業者の方との協議が大変重要でございますし、さらに、居住誘導区域の場合には、住民の方、住まわれる方との意見の調整が大変重要でございます。

 そこで、本法案では、立地適正化計画の設定に当たって、協議会を設置することができるというふうにしておりまして、そのメンバーに住民や事業者の代表者を含めて議論を行うことが可能としておるところでございます。

 また、当該計画を作成する場合には、代表者だけでなく、広い意見を求めるということで、公聴会を開催するといった形で、住民の意見が広く反映される措置をするということになっております。

西岡委員 ありがとうございます。

 都市機能誘導区域というのは旧町村を想定しているというような話でありますけれども、平成の大合併によって、私どもの愛媛も、七十あった市町村が二十まで減ったわけでございます。この中で、今治市は、島嶼部も含めて一市十一町村が新たに合併して、平成十七年にスタートを切ったわけでございますけれども、こうした地域では、コンパクトシティーという方向性には賛成しながらも、都市計画マスタープランなどを拝見していると、どうしても、合併前の旧町村の歴史や文化があるわけでございますから、こういったところに気を使った都市づくりを進めておられます。

 もちろん、旧町村の中心部や公共交通で結ばれるようなところは、日常の生活の拠点になるわけでございますから、配慮しなければならないというふうには思いますけれども、実際、そういったところを歩いて見てみますと、かつて旧町村の中心部であったようなところが、そういったところでさえ既に空洞化が進んでいるというのが現状でございます。想像以上に過疎化が加速しているというのが実態ではなかろうかと思います。

 こうした地域においては、計画を策定する当事者が、市町村合併などの経緯があるために、やはりある程度平等に進行していかなければいけないというような取り組みにどうしてもなってくるかと思います。そういった点を改善するためにも、私は、やはり国なり都道府県がアドバイスなり支援をするような体制も必要じゃなかろうかというふうに思っておりますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

石井政府参考人 今の都市計画法、昭和四十三年の都市計画法で線引きが導入をされました。そのときも、初めてまちづくりの中に線引きというものを入れるということで、市町村の方は大変苦労をされて、国土交通省、当時の建設省は、専門家を派遣したり、いろいろアドバイスを行って、何とか線引きの実現にこぎつけた。

 先ほど来、今回のものは、誘導という形ではありますが、第二の線引きのような価値もあるということで、その上でいいますと、極めて専門的な知識あるいは先進事例を共有することが大変重要でございます。

 そこで、大臣の指示で、本省内の方で都市と交通部局の合同プロジェクトチームをつくって、具体的に、こういうふうで計画をつくりたいというところについては担当職員を指定する。さらには現場に密着した、東京だけではなくて地方整備局、運輸局、そのいずれに行ってもワンストップで相談に乗れる。さらに、富山市等、森市長のお話がございましたが、先進市町村の職員等の人材あるいは経験を御紹介するなど、立地適性化計画の策定に当たって市町村を積極的にアドバイスをしてまいりたい、かように考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 都市と交通が一体となってやるということはよくわかります。

 いつも思っておるんですけれども、よくコンパクトシティーというと例が富山しかないというのが、どうなのかなというような思いがございますけれども、これまでの審議の中でも、この法案が想定している自治体の人口規模というのが大体十万人規模だというふうな話がございましたが、平成二十二年だと十万人以下の都市は八三%にも上っておりまして、これが三十年後には八六%までになるというようなことが推計されております。

 いずれ集約された都市に吸収されていくようなことも十分考えられることではあろうかと思いますけれども、こうした中、やはり私は、自分の選挙区でも、十万人を超える都市というのは今治しかございませんでして、それ以外の都市はやはり三万人とか、そういった規模の都市でございますので、こういったところが将来的にはどうなるんだろうかというようなことを非常に危惧をしております。

 今回法律が想定されている規模よりも小さい都市の生き残りというか今後のあり方について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 私は昨年、四国に行きまして、黒潮町を訪ねました。三十四メートルの津波があるということで、もうとても住めないと。

 ところが、町長さん、大西さんとおっしゃるんですが、何とかここで住み続けられるようにということで、徹底的に防災ということを中心にしながら、そして漁業ということをして、花とかそうしたこともどういうふうに配置してという、町全体を考えるということをやりまして、それでずうっと回って、一万二千人の町なんですけれども、実に二万人の方とお会いして、話をして、みんなで、では災害があったらこう逃げよう、ああ逃げよう、そして仕事はこういうふうにしていこう、そして山を削って命の山をつくろうというような、そういうことをやる。

 その奥のところに百四十四人の集落がありまして、真ん中に、廃校となった学校を利用してディマンドバスを回して、そしてそこに、小さな一つの教室だったところがデパートと称していろいろなものを売って、そしてカラオケがあったり、お年寄りが非常に元気に集ってきている。黒潮町から職員が一名朝派遣されて行っているというような、それぞれのところが生き抜いていくということを考えるということが一つこれは大事だと思います。

 モデルといっても地域性が全然違います。私の生まれ育った愛知県東三河の新城市なんというのは、誰も知らない市だった。豊橋から相当奥地に入っていったところに市が三万人ぐらいあるんだというところで、ところが、突然、南の方に、東名が豊川というところにインターチェンジができて、今度、北の方には新東名がインターチェンジができるということで、高速と高速の真ん中のところという最大の条件のところに位置することに偶然なりまして、急いでここはまちづくりということを戦略的に考えなくてはならないという話し合いが今行われています。私も十九日には行ってこようというふうに思っています。

 それぞれのところにはそれぞれの持ち味というものがあるし、どうやってこれを、自然状態ではなくてまちづくりを本格的にどうするのかということを、それぞれの地域性と、そして、何でも東京型なものじゃなくて、どう生き抜いていくかということを本格的に考えるということは、この法律が想定している十万人を超えるようなところをモデルと一応言いますけれども、そこでもいろいろ違ってくる。

 私は、ぜひとも、こういう法律によって、我が町はどうやって生き抜いていくのかということをどの町もみんな考えていく、そのためには応援するよということが一番根っこにはあるということを御理解いただいて、千八百の市町村が、それぞれ自分たちがどうこれから生き抜いていくかということを考える、そうした機運にもしたいし、応援をしていくというふうにこの法律をしていきたいと思っているところです。

西岡委員 大変示唆に富む話をありがとうございました。地域が努力して、それぞれの地域の多様性も大事だということであります。私も、地元の地域に対してもしっかり協力していきたいと思っております。

 一方で、もう一つ大臣の肝いりでおつくりになられた新たな国土のグランドデザインという中で、大臣は、東京一極集中からの脱却ということを目指すというふうにおっしゃられておることもありますけれども、一方で、グローバリゼーションの進展の中で、大都市の国際競争力強化の必要性も説かれておられます。

 一見相反するような方向性だと思いますけれども、この点について、大臣の御見解を確認させていただければと思います。

太田国務大臣 自然の流れの中で続いてきた東京への一極集中を脱却して、それぞれのところに拠点があって、維新の会は特に地域主権型道州制ということを言っておりますが、それぞれにエンジンができるということが大事だというふうに思っています。

 地域主権という言葉はおかしい言葉で、地域主権なんというのはなくて国民主権なんですが、あえて、江口さんを初めとして私は一緒にやらせていただきましたが、地域が自立的に自分たちで物を考えるという意味を込めて、強調するために地域主権ということを言っているんだというふうに言われていますけれども、私は、それぞれのところが自立的にどういうふうに地域を守り立てていくかという、そうした主体的なエンジンが各地域にできるということが大事だというふうに思っているところです。

 しかし、東京の一極集中ということがこのまま進みますと、いろいろな弊害が出てきます。ですから、首都圏を初めとしてそれぞれにエンジンができる、そして都市間競争にたえ得るということが大事なんですが、同時に、依然として続く東京への一極集中からの脱却を図るということは、一方では大事なことだというふうに思っています。

 例えば、昔の、東京から一極集中を打破するといって首都移転とかいうこととは違うんですが、最近になって特に、増田寛也さんを初めとして多くの方がみんな強調しているように、地方で人口が減少して、どんどん若者が東京、首都圏に流入していくと、地方が、地域社会がますます衰退をしてしまうということがありますから、それを食いとめるためには一極集中からの脱却が大事である。

 また、増田さんが言っているように、出生率を考えると、東京の出生率と地方の出生率は違って、地方の方がはるかにゆとりがあるというんでしょうか、そうしたことで、お子さんも生まれるということは明らかで、ますます東京に来ていって、お子さんが生まれないということになると、全体の日本じゅうの人口減少というのに拍車がかかってしまうということで、東京の一極集中を脱却しなくてはいけない。

 また、もう一つ、幾つもあるんですが、東京にそうしたことが流入しますと、東京は大変な首都直下地震というものが切迫しているというリスクがございます。そうしたことから、これまで以上に東京に人口や経済機能が集中することは、災害のリスクが高まっていく。また、代替機能を持つというようなことの都市も当然必要であるというような幾つかの点から、国際競争力を持つようなそうした大都市を、道州ということでいったら、それぞれのところに一つは中核的なものをつくるとともに、東京だけに一極集中していっているということを脱却して、日本全体の中でバランスのとれた強い日本全体をつくっていくといういろいろな要素があって、私は東京の一極集中からの脱却ということは日本を強くするためにも必要だというふうに思っているところです。

西岡委員 ありがとうございます。

 私の地元の四国も、本当に、東京や大都市圏に人口が流出してしまってなかなか厳しい状況ではありますし、三%経済と言われるぐらい、経済的観点から見ても、将来の展望がなかなか開きがたいというところがございます。こういったところは、私の政治家としてのライフワークとしてもしっかりやっていきたいと思いますので、どうぞ今後とも御指導をお願いいたしたいと思います。

 次に、地域公共交通活性化再生法改正案についてお尋ねしたいと思います。

 この法律で、地域公共交通網形成計画は原則市町村がつくられるということでありますけれども、国交省が作成している資料の中に「市区町村における公共交通専任担当者数」というものがありまして、それを見ると、十万から二十万人規模の都市でも、専任の担当者が一人もいないというところが五五・九%もあるんですね。これが人口規模が小さくなればなるほど増加しておりまして、三万人未満の都市でありますと九割を超えているというような状況であります。

 過疎化に直面している市町村の市役所や役場では、そもそも部や課の数が少なく、総務課がすべてやっているような状況もあると思います。本来、住民の方々の生活の足を守るというのは重要な役割であるというふうに思いますけれども、なぜこういったところに専任の担当者がいないのか、そういった理由について国交省がどういうふうに思われているのか、お教えいただければと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今の先生御指摘の数字は、私どもの現況調査の数字でございます。

 全国的に見ると、地域公共交通を担当する職員が全くいないというところはないのでございますが、御指摘のように、一部の大都市を除いてほとんどの市町村では、例えば総合企画の部門ですとか、まちづくりなどの他の部門との兼任によりまして地域公共交通の担当職員を配置しているのが実情というふうに承知しております。

 事情はさまざまだと思いますけれども、これまで地域公共交通の維持、活性化については、主に交通事業者の運営に任されていた側面があるということで、そういう担当者がいなかったのではないかと思います。

 最近では、多くの市町村がみずからの問題として積極的に公共交通に取り組まれておりますけれども、やはり厳しい財政事情でございまして、職員をふやしてまで専属の職員を配置するというのはなかなか難しい状況にあるというふうに聞いております。

西岡委員 財政事情もあって兼職しているところが多いというようなお話でございましたけれども、であるならば、今回、市町村がそういった計画をつくるに当たって、やはり国がそれぞれの市町村の規模や地理的条件に合ったメニューをまず提示してあげるということをして、市町村が一から考えるといったものではなくて、国が提示したメニューから選択をしていくというような、そういう仕組みをつくるのがよいかと思いますけれども、今後の法改正後の市町村への支援体制についてはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 市町村が地域公共交通網形成計画を策定する際には、当該市町村の人口や規模や地理的条件の地域特性に応じて、多様な交通サービスを組み合わせていかなければならないと思います。

 御指摘のように、市町村は人材が限られておりますので、このような取り組みを進めるに当たりましては、同じような地域特性を有する他の市町村での成功事例を参考にすることが極めて有益と考えております。市町村がみずから考えるということですが、その考える際にはこうした方法が極めて有益だと思っております。

 従来から、先進的な事例というものを収集して、ホームページ、またシンポジウムにおいて広く紹介するとともに、研修の場も活用しているわけでございますけれども、こういうような取り組みは引き続き進めますが、今後は、先ほどからも答弁がございますように、本省における都市と交通の合同プロジェクトチームの設置、それから地方整備局、運輸局によりますワンストップ相談窓口の設置、それから計画策定支援の予算措置もしております。こうしたことを通じて、前向きに取り組む市町村を積極的に支援してまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 国土交通省の交通政策審議会の交通体系分科会地域公共交通部会は、昨年十二月に中間取りまとめということで、取りまとめを発表されましたけれども、私の選挙区の松前町、これは松前と書いてマサキと読むわけでございますが、きょうは元松前(まつまえ)町長の前田委員もいらっしゃいますけれども、ここの町と姉妹都市の関係を結ばせていただいておりまして、松前(まさき)町の白石勝也町長もこの臨時委員でありました。大変アイデアマンで、確固たる信念を持つ政治家でございまして、私も大変尊敬しておる政治家であるわけでございます。

 この松前町で、松前町ひまわりバスというコミュニティーバスを走らせておりまして、住民から大変好評なわけでございますけれども、こういったものを新たに設ける際にどういった苦労話があったかということを白石町長にお聞きすると、バス停の位置だとか距離だとか経路だとか、国といろいろやり合って、手続が大変で時間と手間がかかり過ぎるということが一番おっしゃられていたことでありまして、利便性を図るには市町村に権限を持たせて任せた方がいいのではないかということを申されておられました。

 あとは、私もいつも言わせていただいておるんですけれども、現在の国の補助制度がやはり実情と合っていないという部分もございまして、そういったところを鑑みますと、住民の足の確保ということが非常に重要なわけでございますから、住民に近い市町村が主体的に取り組むことができるような体制づくりというのが何より肝要なのかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 あと、次の質問は飛ばさせていただいて、自家用有償旅客運送についてちょっとお聞きしたいんですけれども、第四次分権一括法案において、自家用有償旅客運送の事務、権限を地方公共団体に移譲されるということでございます。

 山間部や島嶼部の交通空白地域においては、高齢者などが日常に欠かせない買い物をするにも不便だったり、病院に通院するのも不便であったり、選挙の投票に行くにもなかなか大変だというような話もございました。こうした地域では自家用有償旅客運送というのは非常に有効であるというふうに思いますけれども、市町村やNPOやボランティア団体などがこの役割を担ってきているということは、非常に評価したいというふうに思っております。

 しかしながら、住民の足を確保するために、地方公共団体としては、バスやタクシーなどの公共交通事業者よりもコストを抑えることができることから、自家用有償旅客運送を優先してしまうのではないかというようなことも、そういった懸念も事業者からお聞きしております。もちろん、運営協議会のメンバーには入っておりますから、一定の歯どめはきくんだろうと思いますけれども、公共交通事業者が存在する地域での役割分担を明確にしなければ、結果的に公共交通事業者の撤退を招くおそれがあるというふうに考えておりますが、その点に関してはいかがでございましょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘の自家用有償運送でございますが、この導入に際しましては、現在も、地域の協議会におきまして、地方公共団体あるいは地域のバス、タクシー事業者、住民などの関係者が、バス、タクシーによることが困難であって、かつ住民の生活のために必要な旅客輸送を確保するために必要だ、こういうことについて合意をしていることを要件にしてございますので、適切な役割分担を担保しているところであります。

 現在、国会に提出中の第四次分権一括法案におきまして、この事務、権限につきまして、希望する市町村を基本として移譲することなどを盛り込んでおりますけれども、移譲後におきましても、タクシー、バス事業による輸送が提供されない場合の補完という位置づけ、これは維持されると考えております。引き続き、協議会におきます適切な役割分担、連携ということが図られるように、地方公共団体に周知をしていきたいと思っております。

 また、今般、本法案におきまして創設します地域公共交通再編事業、これにおきましても、地域公共交通ネットワークの担い手として自家用有償旅客運送を位置づけておりますけれども、この場合、自家用有償運送の必要性につきまして、やはり関係者が合意をしていることを認定の要件とすることといたしておりますので、こういうことで、地域の住民のニーズあるいは交通事業者の実情などが十分反映されるように担保をすることとしております。

 国交省といたしまして、引き続き、自治体あるいは地域の交通事業者に必要な助言をしてまいりますし、また、協議会での建設的な議論を通じまして、このベストミックスが実現するような、こういう交通の体系になっていくように取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西岡委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 コンパクトシティーの関係で質問します。

 いわゆるコンパクトシティーは、市街地の郊外への拡散に対する抑制したまちづくりという意味で使われていたと思います。

 つまり、大型店の立地を商店街への影響などを勘案して規制していた大店法を廃止するなど、規制緩和によって、大型店や公共施設など大規模集客施設が郊外立地を加速して、市街地が拡散されていきました。片や、中心市街地の商店街がシャッター通りになり、町中に住む人も出ていったりして、中心部が空洞化していった。

 こうしたことがあったために、〇六年のまちづくり三法の一つ、都市計画法の改正で、店舗面積一万平米以上の郊外立地の規制など、ゾーニング規制が行われました。その後、大型店の郊外立地がどこまで抑えられているかという問題があります。

 四月二日の衆議院経済産業委員会で、我が党の塩川議員の質問に答えて、国交省は、効果はあったとしています。一万平米以上は少なくなりましたが、一万平米未満五千平米以上の大型店の郊外出店は相変わらず減っていません。大型店の郊外進出は変わらずふえていることを塩川議員は指摘しています。

 改めて聞きますけれども、コンパクトなまちづくりを進めるためには、やはりゾーニング規制を強化する、例えば規制対象を三千平米以上にするとか、準工業地域も規制対象に加えるとかすべきじゃないかと思うんですが、いかがでありましょうか。

野上副大臣 平成十八年の都計法改正によりまして、今お話がございましたとおり、法令上の制限対象となる大規模集客施設の建築が制限された用途地域における立地件数は、平成十八年は年間十三件であったものが、改正法施行後の五年間の平均で約一件弱に減少をいたしております。

 また、商業地域及び近商以外の地域、いわゆる郊外で立地する割合というものは、平成十八年は五一%であったものが、法施行後の五年間の平均で三四%に減少しておりまして、一定の効果があったものと考えております。

 また、まちづくりの主体である市町村に対してアンケートを行いましたが、これは全国の約八割の市町村から、十八年改正の内容は現行制度の維持でよい旨の回答をいただいております。

 したがいまして、今お話のありましたとおり、全国一律で土地利用規制を強化することが必要という状況ではなくて、地域の課題については地域の実情に応じて、地方自治体が特別用途地域を指定すること等を通じて、きめ細かく対応することが重要であると考えております。

穀田委員 アンケートを行ったことについては、この間も経済産業委員会でお答えになっていました。そのときにも、各地方自治体において制限を課せる、そういう法律もいろいろあるということもおっしゃっていたことだと思います。

 そこで、私どもは、本改正案と並んで、先ほど言いましたけれども、改正都市計画法によるゾーニング規制というのが強化が必要じゃないか、これは言ったところです。つまり、そういうゾーニング規制をしなければ、結局のところ、郊外立地など規制してやらないと、コンパクトなまちづくりというのは進まないんじゃないかということを私どもとしては考えています。

 郊外立地だけでなく、中心市街地や町中に大型店を仮に誘導するとしても、企業の身勝手を規制するものがなければなりません。中心市街地にいた大型店が、郊外立地するため、周辺への影響も考えず一方的に撤退していった身勝手なやり方も各地で起きたことは事実であります。大型店や商業施設、あるいは不動産ディベロッパーによる開発ビルなど、町中に仮に誘導するとしても、近隣周辺の住民や商店など地域に対する社会的責任を果たさせるルールが、そのための規制が私は必要だと。

 例えば日影障害や風害を引き起こす超高層ビルやマンションなど、周辺住民の生活環境を脅かすような建築物を野方図に認めるようなことをすれば町壊しにもなる。これはこの間、当委員会で参考人質疑があった際に、土居参考人も陳述で懸念を表明されたところであります。つまり、誘導だけではだめで、一定の規制がないとあかんのじゃないかというのが全体の土居参考人の意見でもありました。

 今回は規制法である都市計画法ではなくて都市再生法の改正になっているという点はなぜなのかということについて、お答えいただきたいと思います。

石井政府参考人 今先生の方から、中心部に大規模なものを持ってくると、日影あるいは高さ等、誘導はした結果、周辺住民に影響があるのではないかというお尋ねがございました。

 この点につきましては、都市の中心部におきまして、商業地域その他都市計画の規制が現在決まっております。これをこの誘導でもって、今回のは財政上、金融上の誘導あるいは税制上の誘導でございまして、この都市計画を変えるものではございません。

 この都市計画を変える際には、当該都市計画の変更を、公聴会あるいは都市計画審議会等の手続をきちっと踏んでやっていただく必要がございます。

 その意味では、先般の土居先生の御指摘は、少し、私どもも説明を十分に先生に申し上げていなかったのかなというふうに、ちょっと懸念をしているところでございます。

太田国務大臣 都市計画法は規制の手法によってまちづくりを実現するものです。一方、今回の制度改正は、計画制度と税財政上の措置を組み合わせた誘導という緩やかな手法によって、特に、大店という以上に、生活に必要な施設の、医療とか介護施設等々の立地の適正化を図り、コンパクトシティーを進めるというものです。このため、都市計画法の改正ではなくて、新たに都市再生特別措置法において位置づけることとしたものでございます。

 なお、都市再生特別措置法におきましては、これまで、いわゆるまちづくり交付金制度など、地方都市等の活性化のための支援措置が位置づけられているところでありますが、このため、主に地方都市を念頭に置いてコンパクトシティー化を進める内容を盛り込むことになじむと考えております。

穀田委員 後で規制の問題や生活に必要なという問題についても少し、現実問題を指摘しながら触れたいと思います。

 そこで、この間、私も参考人質疑で触れたんですが、大都市の国際競争力とは一体何なのかということについて少し議論をしたいと思うんですね。

 法案のもとになった考え方は、都市再構築戦略検討委員会で議論されて昨年七月に中間取りまとめが出されています。その委員会では、このように述べています。「都市整備に関しては、従来から地方都市の中心市街地の整備、大都市の都心部における民間都市開発の促進などの施策が講じられてきたが、今後は、個別の政策課題への対応と併せて、中長期的観点に立って、経済・社会の変化に対応して、都市構造そのものの再構築が必要となっている。」として、さらに、「地方都市・大都市のそれぞれの再構築に向けた取組みを促すこととし、その指針となる総合的な都市再構築戦略」、リノベーションプランと言っているものですよね、を策定したと認識しているわけですね。

 中間取りまとめでは、今言ったように、地方都市と大都市と分けて、大都市をさらに、郊外部等における高齢者の増加への対応と国際競争力の向上ということに分けて提案しています。

 そこで、今言ったように、国際競争力の向上の部分について聞きます。

 まず、大都市部の都市政策、都市のあり方に関して、国際競争力の向上、国際競争力を備えた町とあるわけですけれども、そもそも国際競争力を備えた町というのはどういうものとして考えておられますか。

太田国務大臣 国際競争力というのは、いろいろな言い方があるんでしょうが、国際的な都市の競争が激しくなる中で、海外の企業やそこで働く人材をその都市に呼び込んでくる力であると言うことができるかと思います。

 世界から見て魅力のある都市である、世界の激しい都市間競争の中で、日本の誇れる人材と資産を生かして世界から人、物、金を呼び込む、そうした力。

 したがって、例えば国際空港へのアクセスがすぐれているなど都市の基盤が整備されている。港湾もそうです。円滑なビジネス活動を支える質の高いオフィス環境が整っている。さらに、国際的な企業に勤務する外国人が快適に暮らせる居住環境や良質な医療、教育などを安心して受けられる生活環境ということが整っている。このような都市であろうと思います。

 東京という例をとりますと、港湾あるいは空港、そこの規制、さまざまなもの、また、外国の方々が住み続ける、あるいは住んで企業活動をするということで、家族も抱えているわけでありますが、そこの対応が十分ではないというのが今の現状ではないかというふうに思っているところです。

穀田委員 聞きますと、企業活動が十分にできる環境整備ということですな。国際的な方々が住んで、日本人がどこかに追い出されてしまうというようなことがあってはならぬと私は思っています。

 今回の法案では、この国際競争力を備えた町をつくるという視点がどこに入っているのか、お答えください。

坂井大臣政務官 本法案の第二十九条におきまして、民間都市開発推進機構による金融支援の限度額として、その他公益的施設で政令で定めるものの整備費を追加する措置を講ずることとしておりまして、本政令において外国語対応医療施設、外国語対応教育施設等を定めることを想定いたしております。

 金融支援の拡充につきましては、平成二十三年に創設されました、都市の国際競争力を図る上で特に有効な地域であります特定都市再生緊急整備地域において措置することを考えているところでございます。

穀田委員 二〇一二年の都市再生特別措置法に書かれてある決定にあるということで、今回は政令で書いている、こういうことですな。だから、今回の中身では、文脈にはもう一つないと。

 それから、では、大都市部の国際競争力の強化については、今言いましたように、この法案に関係なく、既に都市再生緊急整備地域などで支援できるということになっているんじゃないか、それはどうですか。

坂井大臣政務官 平成二十三年の法改正でこの制度が創設されておりまして、成長の著しいシンガポールや香港等と比べて国際競争力が相対的に低下をしている日本において、我が都市のこれからの強化につきまして、これまでの施策に加えて、日本再興戦略等においては、先ほど申し上げたような外国語対応医療施設等々の提言がなされております。これらも踏まえて、国土交通省におきましては、この特定都市再生緊急整備地域を利用して、先ほど申し上げたような施設の金融支援、またシティーセールスなどの支援などを行うこととしたところでございます。

穀田委員 簡単に言うと、従来からある都市再生緊急整備地域、六十三地域ですね。それから、そのうち特定都市再生緊急整備地域、十一地域、こういうことで支援できるようになっている。だから、今回の法案というのは都市再生基本方針を前提としておって、どういったまちづくりを目指すのかということについて言うならば、その一部として想定されている国際競争力の強化について言うならば、他の都市再生政策で推進することを想定したものだということがはっきりしたと。

 そこで次に、大都市部においても都市機能誘導区域は設定できるのかということについてお聞きします。

 今でも各地で大規模再開発事業が行われています。コンパクトなまちづくりを目指すという事業も多いんです。例えば、川崎市中原区の武蔵小杉周辺の再開発事業についてもそれです。

 そこで、皆さんに小杉駅周辺地区の開発動向という資料を、A4なので少し見にくいかもしれませんが、配付しています。

 武蔵小杉周辺は、資料の図でもわかるように、超高層ビルが乱立しているということになっています。二〇〇六年から二〇一二年の間に、小杉駅南側に、最高百九十八メートルの超高層マンションなど十二棟が建設され、たった六年間で四千二百七十六戸、約一万三千人の町が出現しています。さらに、今後も建設される超高層マンションは八棟、四千四百十二戸、計画人口は一万三千二百人に及ぶとされ、全て完成すれば、超高層マンションは二十棟、八千七百世帯、既建設マンションと合わせると、計二万六千人を擁する超過密都市が生まれるということになりますし、巨大な商業施設も建設中であります。

 右の上の方に、小さい字で申しわけないんですけれども、「小杉駅周辺地区のまちづくりについて」というのが囲ってありますよね、コメントが書いてあります。最後の方に「商業・業務・文化交流・医療・文教・都市型居住等の機能を集積させた「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」を推進しています。」と書いてあります。

 コンパクトなまちづくりと書いていまして、こういうこと、つまり、今回の法案はこういうまちづくりというのを想定しているんですか。

石井政府参考人 今回の法案でございますが、先ほど二十九条の話はございましたが、主として、地方都市あるいは高齢化が進む大都市郊外部を念頭に置いてコンパクトシティーを進めることを念頭に置いたものでございます。

穀田委員 念頭はいいんやけど、こういうふうなことも想定しているのかと言っているわけですね。

 この超高層マンションなどは、本来、ここの近辺というのは低層住宅地域ですね。高さが二十メートル、それから、二〇〇%が限度だった容積率を六〇〇%にまで引き上げる。都市計画法に規定された再開発等促進区としてやっているわけですね。それで建設できるようにした。今でも、こういう大規模再開発事業を再開発等促進区にしてやることで、超高層ビルやマンションが建てられる。都市再生総合整備事業として予算補助も使って進められている。

 そこで、法案との関係で確認しておきたいんですが、容積率の緩和ができる特定用途誘導地区は、武蔵小杉駅周辺で設定している再開発等促進区の周辺で設定できるのか、また、都市再生緊急整備地域の都市再生特別地区や、都市再生整備計画事業の地域などの区域にもできるのかということについてお聞きします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の特定用途誘導地区でございますが、例えば地方都市等では、今後、介護、病院あるいは介護つきの住宅等が不足することが見込まれます。特に大都市周辺の郊外でございますが、このような場合に、その地域の容積率を一律緩和するのではなくて、そのような用途に限って容積率を緩和することができるという初めての制度でございます。

 これらについては、さまざまな場所で適用が想定されますので、本法案において、今御指摘のあった例えば武蔵小杉駅周辺で使えないのかと問われました件につきましていいますと、本法案で禁じられているものではございません。

 しかしながら、先生の方から御指摘がございましたように、大変大規模な再開発等については、再開発を促進するという観点の、まさにそれに合った形の再開発等促進区で容積率の緩和ができる。これによって、るる小杉駅周辺についてはまちづくりが進められてきたところでございます。

 また、先ほど来御指摘の都市再生緊急整備地域等は、このような大規模な再開発が念頭に置かれた地域でございます。

 したがいまして、このような地域においては、従来と同様、再開発促進区あるいは都市再生特別地区等の手法を用いることが一般的ではないかというふうに考えております。

穀田委員 今、石井都市局長からあったように、一般的にはそういうことでやるんだけれども、最初の方にありましたように、これも排除されない。ですから、これでやってもできるということだと思うんですね。だから、私は、こういう形で巨大開発事業に活用されるおそれがあるということを指摘しておきたいと思うんですね。

 そこで、この開発計画を位置づけたのが、川崎市の都市計画の基本であります都市計画マスタープラン、小杉駅周辺まちづくり推進地域構想なんですね。背景には、建設、不動産ディベロッパー、この思惑が色濃く反映されています。

 小杉駅周辺は、東急東横線や目黒線、JR南武線、横須賀線が交差するターミナル駅で、東京にも横浜にも近く、これだけアクセスのよい場所は首都圏でもまれだというふうにディベロッパーが言っているぐらいなんですね。地価の高騰も追い風になっていて、まさに彼らにとって最適の開発地域であります。もともと、日本電気、東京機械製作所、不二サッシといった大企業が立地していた場所で、これらの企業が移転したために広大な遊休地が生まれました。そこに目をつけたのがディベロッパーで、日本の建設、不動産業界の主なゼネコン、不動産大企業が開発に乗り出しています。

 この再開発事業では、周辺に古くから住み続けている地域住民の生活環境に多大な悪影響が起きています。開発区の一つ、小杉二丁目の開発では、川崎市の都市計画審議会の審議の際に、計画の見直しを訴える、そういう意見書が三万九千二百九十七通、約四万通もの提出があったほどであります。

 先ほども、住民の意見を聞くということなども一つの大事なことだとありましたけれども、周辺地域住民の意見や要望、声を事実上無視して、建設、不動産ディベロッパーが身勝手にも都市再開発事業を進めるやり方を放置していいのかということが問われます。

 もちろん、地方自治体の開発推進姿勢にも私は問題があると思います。先ほどもありましたけれども、国交省は社会資本整備交付金を交付して支援していますけれども、こういう住民の合意形成が不十分な案件を無条件に支援するのか私は疑問に思うし、やはりこういうものについては調査、検証して、アドバイス、指導すべきじゃないのかと思うんですが、いかがですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 市街地再開発事業などのまちづくりで地域のあり方が大きく変わるという御指摘なんだと思います。そういう事業においては、とりわけ地域住民の方々、地権者の方々の理解を得るための合意形成をしっかり丁寧に行っていくということは大変重要だというふうに思っております。

 一方で、まちづくりでございますので、きちっと手続を踏んで、決めるところは決めて進めていかなければいけないという側面もあることでございまして、例えば、再開発事業につきましては、都市再開発法におきまして手続が定められておりまして、事業に関する都市計画決定を経て、例えば組合施行であれば地権者の方々が三分の二以上の同意で組合を設立する、こんな手続が定められているところでございます。

 どういう段階で次の手続に入るのか、それに補助をしていくのか、これにつきましては、地元のことを一番御存じの公共団体、この場合ですと川崎市がまず主体的に判断をされるべきだというふうに思っております。私どもの方は、そういう市の判断を尊重して交付金等については手続を進めてまいりたいと思います。

穀田委員 そこで、手続を踏んでおればということなんですけれども、決めることは決めると。でも、ここの都市計画審議会の採決では、賛成多数で可決されたものの、都計審の会長が、プロセスが一番問題だ、市が市民とともに歩んでいないことが問題を複雑にしている、市が今後考えるべき大事なことだと厳しい意見をつけたほど異例だったんですね。

 そして、今、住民の意見という話がありましたけれども、計画地から半径五百メートルの地元の方々は住民アンケートをとっていますが、回答五百五十九のうち、超高層反対というのは九三%なんですね。もともとここは、建てるときは二十メートルの高さ制限があるわけですよね、自分のところでいえば。二十メートルの高さ制限を遵守すべきだというのは六三%にも上っているわけですね。

 さらに、小杉三丁目東地区の開発では、先ほど地権者という話がありましたけれども、三名の地権者が、市当局や準備組合から何の相談もなく立ち退き、明け渡しを伴う再開発手続が進められるなど、地上げ的やり方まで行われているんですね。だから、決めるところは決めるなんということで、問題点が多々あることについて見過ごすわけにはいかないということは一つ言っておきたい。

 そこで起きている影響は何かということについて少し触れたいと思うんです。

 小杉・丸子まちづくりの会など、地域住民が立ち上げた団体のアンケート結果によりますと、小杉駅周辺七棟の複合的な日影被害を二千六百戸、約四千五百人が受けることになることが判明しています。さらに、壁のように建ち並ぶ超高層マンションによって、午前午後、わずかの日照しかない住宅も出ることが予想されています。

 地元の意見では、個別規制、一つずつ建てますわね、そういうものの個別規制が守られても、複数の建物の日影が重なることによって深刻な日照被害が起こされる危険がある。日影は、用途地域ごとに規制基準が定められているが、超高層建築物では、その後は、当該用途地域をはるかに超え、一キロメートル前後に達する。影を落とす時間は短いが、複合すれば、複合的日影というんですけれども、多数の住宅が日照を脅かされる。超高層ビル、マンションの時代、日影規制の考え方を根本から改めなければならないんじゃないかという意見が出ています。

 また、風の被害もそうなんですね。さっきのアンケートで聞き取った人の約八割が、この風害を受けている。転んで、けがや骨折した人も多数出ている。周辺の商店やコンビニでも、ドアが壊れるだとかガラスが割れるなどの被害が出ている。自転車置き場では自転車が倒れるなどの被害が出るなど、広範囲に及んでいる。

 昨年の五月七日には、武蔵小杉駅近くの街路樹が強風で倒れ、住民団体が市長に風害対策を緊急に申し入れるなどの事態が発生しています。市は、街路樹の剪定を行うなど、当面の糊塗策を講じざるを得なかった。

 先ほど井上住宅局長が答弁したように、もちろん、川崎市が第一義的に調査、検証し、改善策を講じるべきことは言うまでもありません。しかし、今述べたように、国交省としても、こういう超高層ビル、マンションの環境被害を調査、検証し、市や事業者に対して改善措置をとるように指導すべきじゃないんでしょうかね。答弁願います。

坂井大臣政務官 川崎市におきましては、川崎市環境影響評価に関する条例に基づきまして環境アセスメントが行われておりまして、この中で、御指摘の風や日照への影響についても評価が行われておりまして、そこには、複合的に評価をするという方向で評価をしているということを聞いております。

 また、川崎市におきましては、この中で、平成十二年以降に環境アセスメントを行った事業につきましては、建設後の事後的な評価もあわせて義務づけるとともに、必要に応じて勧告を行えるものであると聞いております。

 例えば、風の影響が大きいと判断された場合には、植栽を行う等の対策を講じるよう指導しているということでございます。

 したがいまして、議員御指摘の調査につきましては、この事後的な評価制度によって把握されるものと考えておりまして、川崎市における取り組みを注視してまいりたい、こう考えております。

穀田委員 行えると書いているので、行ったという話じゃないんですよ。

 だから、今、注視していきたいとありましたので、これは、こういう問題が、今後、複合的な超高層ビルがつくられて、一つ一つでいうとそれはアセスをやるんだけれども、複合的なという問題については、新しい問題としてきちんとそれは国交省としても考えなくちゃならぬと思うんですね。

 ですから、私、都市再生政策によるコンパクトなまちづくりという名前で行われている市街地の再開発事業はかくのごとしだということで、町壊しを誘発することについて、土居参考人もおっしゃったわけですけれども、懸念されるということを事実として私は言っているわけです。

 だから、こういう現実があるもとで、大型店だとか不動産ディベロッパーなどの身勝手なやり方について規制することなしでは、容積率緩和などによる誘導策を進めれば、さらに町壊しを助長することが危惧されるということを指摘しておきたいと思います。

 あと、最後に、地域公共交通について一、二質問したいと思います。

 地域公共交通を担うバス事業の問題です。

 この間、重大な事故が相次いでいます。二〇一二年五月の関越道高速ツアーバス事故を初め、ことしも三月三日に北陸自動車道で高速バス事故がありました。

 報道その他によっても、運転手は、十一日連続勤務、二月の休みは三日、昨年十二月からことし一月にかけ、十三日連続勤務を一日の休みを挟んで三回繰り返していたということが言われています。高速バスの運転をする前は定期バスの運転までしていた、背景にはバス運転手の人手不足があったのではないかと言われています。

 バス運転手の人手不足の状況はどうなっているのか、お答えをいただきたい。

田端政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のバス運転者の人手不足につきましては、近年、バス事業において、厳しい経営環境や他業種より長い労働時間、あるいは大型二種免許取得者の高齢化などを背景としまして、乗り合いバス事業者などで運転者の確保が難しくなっている状況があるものと認識をしております。

 例えば、日本バス協会加盟のバス事業者を対象としました昨年のアンケート調査によりますと、中規模ないし大規模の事業者のうち約七割が現在不足していると回答しております。また、所在地の都市規模を問わず、半数以上の事業者がやはり不足と回答してございます。また、十八年度以降に採用された運転者のうち、五年以内の離職者が三割を超えたなどの回答も寄せられているところでありまして、このような傾向が継続いたしますと、将来的にバス輸送の安定的な継続にも支障が生ずる事態が懸念されますので、早急な対策が必要不可欠であると認識をしております。

 このため、昨年十二月、労使関係者からも御要望がございますし、学識経験者、教育関係者にも参加いただいて、自動車局内にバスの運転者の確保、育成に向けた検討会を設置いたしまして、現在、鋭意検討作業を進めております。

 本年六月を目途に検討の成果を取りまとめてまいりたいと考えております。

穀田委員 今あった検討会でも、事故を起こした宮城交通の社長が委員として出席し、資料を提出しています。

 見ますと、要員確保が困難だというのは、三大都市圏でも七二%、政令指定都市でも六七%、地方都市でも六一%といって、本当にこれはえらいこっちゃなんですね。

 結局、運転手不足によって、高速路線の運行回数の削減をしたり、それから休日出勤率が高どまりするなどについて、こういったことも宮城交通は報告しています。

 人手不足の背景として、国交省も、今ありましたけれども、経営状況、それから労働時間の長時間化、それから二種免許取得者の減少、高齢化と挙げているわけですよね。

 今、田端自動車局長からお話があった日本バス協会も、運転手の待遇が労働条件に対して魅力的でなくなっていることが運転手の確保を困難にしているということを言っています。

 路線バスの運転手の年間の労働時間は二千五百四十四時間、全産業と比べて四百時間も長い。それに対して年収は四百四十六万と、全産業男子の平均五百三十万円を大きく下回っています。

 ですから、労働条件の低下が人手不足を生み、人手不足でさらに長時間労働を強いられるという悪循環に陥っているんじゃないかということが一つ。

 もう一つは、人手不足は、この業界における、市場競争を優先したコスト削減、リストラ一本やりの経営が大きな要因でもあると私は考えるんですね。

 したがって、経営のあり方を含めて指導監督をする段階にあるし、そういう必要があるんじゃないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

高木副大臣 人手不足あるいはまた労働環境などを含めて、安全運行という質問かというふうに思いますけれども、関越道の事故、先ほど御指摘ございましたけれども、それを踏まえまして、昨年八月に運転者の乗務に関する安全基準を強化いたしました。現在、六千社以上事業者があるわけでございますけれども、新基準の遵守徹底を国交省で図っているところでございます。

 また、乗り合いバスの運賃に関しましては、事業者が申請する運賃の上限を国土交通省が審査して認可する制度となっておりますけれども、人件費は適正なのかどうか、あるいはまた人数がしっかりと反映されているのかなどの審査もしっかりと行っているところでございます。

 また、委員御案内かと思いますけれども、赤字系統の路線バスにつきまして、この運行費に対しましては、いわゆる地域公共交通確保維持改善事業によって国費補助を行っているところでございまして、これらの政策を今後とも引き続き行っていって、しっかりバックアップしていかなきゃと思っております。

 また、先ほど局長がお答えいたしましたけれども、検討会でございます。この検討会において今種々検討しているところでございますけれども、六月に予定する取りまとめに向けまして、経営のあり方という委員の御指摘でございますが、こういった観点も十分に踏まえた形で取りまとめをしていきたいというふうに考えているところでございます。

穀田委員 今、私言いましたけれども、経営のあり方という点ではそういうことを含めてやっていただけるということなんですが、考え方なんですけれども、住民の足である、地域公共交通のバス運行を支える労働者の育成、確保、これは決定的な問題なんですね。

 それで、これはこの間この委員会でも議論になりましたけれども、建設業の技術・技能労働者の育成確保対策が議論になりましたよね。それと同様に、適正な賃金、労働時間などを改善する具体的な対策が必要だと思っています。国交省も、文書によりますと、輸送人員の減少による収入減を人件費削減によりカバーしてきた結果だ、こういうふうに指摘しているわけですね。

 だから、これを逆転させるという意味では、末端における労働条件、労働時間、適正な賃金、こういった点の改善を図るための手だてをしっかりとる、それをきちんとフォローするということが必要だということを述べて、終わります。

梶山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本法案は、住宅や医療や福祉、商業施設などを町の中心に誘導するため、当該施設の容積率や用途制限の緩和などを行うことにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援するというものであります。

 いわゆるコンパクトシティーは、大店法廃止など規制緩和によって大型店などの大規模集客施設が郊外への立地を加速して、市街地が拡散し、中心市街地が空洞化していったことから、郊外拡散を抑制した集約型のまちづくりという意味で使われてきました。

 市街地の拡散を抑制するため、二〇〇六年に、改正都市計画法により、大型店の郊外立地を抑制するなどのゾーニング規制が強化されてきました。しかし、大型店の郊外立地は依然として続き、大資本の商業、不動産事業者は、利益最優先で、所構わず郊外、市街地に大規模施設の出店、建設を進めています。

 本法案は、こうした事業者の身勝手を規制する仕組みが弱く、これまでの規制緩和路線への反省も、住民、商店主らの生活への影響に対する配慮も不十分なままです。これが反対する第一の理由です。

 反対の第二の理由は、特定用途誘導地区における容積率緩和による立地誘導策を導入することは、高層ビル等が乱立する大規模再開発事業を促進し、無秩序な都市再開発を招くおそれがあるからです。

 これまでも、コンパクトなまちづくりの名で、都市の中心部に超高層マンションや業務ビル、大型店などを誘致した大規模再開発事業が実施されてきました。大都市部では、都市再生の名による大規模再開発事業が住民不在のまま進められており、これと連動、誘発することが懸念されます。

 以上で反対討論を終わります。

梶山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。若井康彦君。

若井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 地方都市における人口減少や高齢化の進展など、我が国の都市を取り巻く環境が厳しさを増している状況に鑑み、本法に基づく立地適正化計画が適切に活用され、地方都市におけるコンパクトシティの形成や中心市街地の活性化が円滑に進められるよう、地方公共団体と連携しその対応に万全を期すこと。またその際には、社会資本の老朽化や財政制約にも留意し、選択と集中によりつつ縮減・集約を促すよう地方公共団体に対し助言を行うこと。

 二 コンパクトシティの形成に向け、郊外に拡散した市街化区域の段階的な縮小方策について検討を行うとともに、都市計画道路や下水道事業などについても、見直しや事業区域の縮小方策等について、地方公共団体に対し助言を行うこと。また、過疎地域や離島地域における多自然生活圏や安定定住ゾーンの形成方策等についても引き続き検討すること。

 三 都市のコンパクト化に伴い、今後一層の増加が予想される空き地や空き家に関する対策の具体化を図ること。

 四 地方公共団体の厳しい財政状況に鑑み、医療施設、福祉施設などの誘導施設の立地等に対して、社会資本整備総合交付金等の活用により最大限の支援を行うとともに、集落の中心地域における「小さな拠点」についてもその整備に向けた支援を行うこと。また、地方公共団体の人材の確保及び育成に関し必要な支援を行うこと。

 五 都市機能誘導区域における事業に国が支援措置を講じるかどうか検討するに際しては、支援対象を少なくとも居住誘導区域が実質的にコンパクトシティ化に資する形で設定されている市町村における事業に限ること。また、居住調整地域を設定している場合には他と比べて要望により沿った支援を講じること。

 六 立地適正化計画の作成に当たっては、居住誘導区域外の住民が著しい不利益を被ることのないよう居住誘導区域外の住民の生活環境についても十分配慮するとともに、都市機能誘導区域や誘導施設についても、医療施設、福祉施設等の利用者の利便を考慮し、関係者との十分な調整を図った上でその指定がなされるよう、地方公共団体に対し助言を行うこと。

 七 居住誘導区域外における、本法第八十八条の届出を要する開発行為に対しては、ディスインセンティブ等のあり方についても検討すること。

 八 都市機能や居住の立地適正化による都市の再構築には、地域公共交通ネットワークの整備や中心市街地の活性化が不可欠であることを踏まえ、立地適正化計画の作成に当たっては、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案」に基づく地域公共交通網形成計画や、「中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案」に基づく基本計画との連携と調和が十分に図られるよう、地方公共団体に対し助言を行うこと。また、立地適正化計画等と「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく低炭素まちづくり計画についても、相互に適切な連携が図られるよう地方公共団体に対し助言を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 次に、内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。若井康彦君。

若井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 地域公共交通網形成計画の作成に当たって、市町村が主体的、積極的に取り組むことができるよう、地域公共交通に関する知見・ノウハウの提供、人材の確保及び育成、有識者の紹介、財政的支援等、必要な支援を十分に行うこと。また、地方公共団体が協議会を組織する場合においては、住民、利用者、公共交通事業者その他の関係者の意見が適切に反映され、円満に合意形成が得られるよう、必要な助言・支援を行うこと。

 二 地域公共交通網形成計画に基づく地域公共交通再編事業が効率的・効果的に実施されるよう、基本方針を見直すとともに、円滑な合意形成が可能となる諸施策、公共交通事業者に対する予算措置、融資制度等の支援措置の拡充について幅広く検討を行うこと。また、地域公共交通ネットワークの充実のため、運転者等交通手段の担い手である公共交通事業に従事する者の確保及び育成に十分に配慮すること。

 三 地域公共交通再編事業を効果的に実施する上で、自家用有償旅客運送の役割が増大すると見込まれることから、自家用有償旅客運送の登録、監査等についての国の事務・権限を希望する市町村に移譲するに当たっては、輸送の安全と利用者利便の確保に支障が生じないよう、市町村に対し、助言その他の配慮を行うこと。

 四 コンパクトシティの形成への誘導方策及び自動車交通量の削減方策として、LRT、BRTの導入の促進に努めるとともに、導入の検討に当たっては、道路空間の有効活用等の措置についても十分に検討すること。

 五 公共交通の活用を促進し、CO2の削減等環境への負荷の低減を図るための方策について検討すること。

 六 地域公共交通網形成計画の達成状況の評価に当たっては、地方公共団体が数値化しにくい公共交通の役割も含めて柔軟かつ適切に達成状況の評価を行えるよう、評価に関するガイドラインを作成するなど適切に対応すること。

 七 地域公共交通の利用を促進するため、乗継ぎ時に公共交通の利用者に対し運賃の割高感を与える初乗り運賃制について検討を行い、共通乗車船券やゾーン運賃等の導入を行うことができるよう、必要な環境整備に努めること。また、情報化進展の成果を最大限に活用するとともに、新たな情報通信技術のさらなる開発・導入を、安全面での検証を前提に、積極的に進めること。

 八 地域公共交通が十分確保されていない地域においては、高齢者等の移動手段を確保するため、地域の特性に応じたデマンド交通が有効であることを踏まえ、デマンド交通の導入・普及に向けた支援の拡充について検討すること。

 九 交通の機能と都市の機能とは、相互に密接に関連することを踏まえ、地域公共交通網形成計画の作成に当たっては、「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」に基づく立地適正化計画や、「中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案」に基づく基本計画との連携が十分に図られるよう、地方公共団体に対し助言を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 次回は、明十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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