第12号 平成26年4月16日(水曜日)
平成二十六年四月十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 梶山 弘志君
理事 赤澤 亮正君 理事 秋元 司君
理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君
理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君
理事 井上 英孝君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 井林 辰憲君
泉原 保二君 岩田 和親君
大西 英男君 門 博文君
國場幸之助君 佐田玄一郎君
斎藤 洋明君 坂井 学君
桜井 宏君 白須賀貴樹君
助田 重義君 谷川 弥一君
土井 亨君 中村 裕之君
長坂 康正君 林 幹雄君
原田 憲治君 ふくだ峰之君
前田 一男君 宮澤 博行君
務台 俊介君 泉 健太君
後藤 祐一君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 中根 康浩君
岩永 裕貴君 坂元 大輔君
鈴木 義弘君 田沼 隆志君
松田 学君 村岡 敏英君
北側 一雄君 佐藤 英道君
杉本かずみ君 穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 高木 毅君
国土交通副大臣 野上浩太郎君
国土交通大臣政務官 土井 亨君
国土交通大臣政務官 中原 八一君
国土交通大臣政務官 坂井 学君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 濱 勝俊君
政府参考人
(復興庁審議官) 北村 信君
政府参考人
(文化庁文化財部長) 山下 和茂君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 古都 賢一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 森 昌文君
政府参考人
(国土交通省大臣官房官庁営繕部長) 鈴木 千輝君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 西脇 隆俊君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 花岡 洋文君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 毛利 信二君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 石井喜三郎君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 森北 佳昭君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 徳山日出男君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 井上 俊之君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 田端 浩君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 田村明比古君
政府参考人
(気象庁長官) 西出 則武君
政府参考人
(海上保安庁長官) 佐藤 雄二君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 片山 啓君
国土交通委員会専門員 宮部 光君
―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 助田 重義君
寺島 義幸君 玉木雄一郎君
三日月大造君 中根 康浩君
西岡 新君 田沼 隆志君
村岡 敏英君 鈴木 義弘君
同日
辞任 補欠選任
助田 重義君 國場幸之助君
玉木雄一郎君 寺島 義幸君
中根 康浩君 三日月大造君
鈴木 義弘君 村岡 敏英君
田沼 隆志君 西岡 新君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○梶山委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長花岡洋文君、土地・建設産業局長毛利信二君、都市局長石井喜三郎君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長田端浩君、航空局長田村明比古君、気象庁長官西出則武君、海上保安庁長官佐藤雄二君、警察庁長官官房審議官濱勝俊君、復興庁審議官北村信君、文化庁文化財部長山下和茂君、厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君及び原子力規制庁長官官房審議官片山啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。
初めに、建設分野における担い手の確保についてからお伺いをさせていただきます。
建設の需要は、二〇〇〇年代に入りまして、右肩下がりに下がりました。建設分野の労働力も調整を余儀なくされ、建設業で働く人も減ってきたわけであります。
ところが、震災復興という重要な建設需要が起き、アベノミクスによる景気好転のために急速に建設需要が増大をしているわけであります。建設業の担い手不足が大いに懸念されましたが、大臣がリードをされて行われた労務単価の引き上げなどさまざまな努力によって、建設業を取り巻く労働力の需給バランスは何とか保たれているのではないかと思うところであります。
今後は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、いわゆる東京オリパラに向けて、建設需要はさらに増大すると見込まれることから、その対応策として、まず、技能労働者の確保策を打ち出しをされたわけでございます。
例えば、外国人人材の活用という新たな試みに踏み出すことになりましたが、大胆な試みとして私は評価をさせていただきます。また、女性技能労働者の拡充にも取り組みを開始するということでありますけれども、新しい試みとしても、この点についても大いに評価をされるべきものであると思うわけであります。
一方で、東京オリパラが終われば、一時的な建設需要の増加も落ちつくであろう。国交省として、ダンピング対策を初め、需要減の局面を見越した対応策を打っておられるけれども、こうした中長期的な視点からの施策は非常に大切なことであると思います。中長期的に見れば、景気動向によって建設需要の増減があることはどうしても否めないのも現実でありますけれども、こうした変動に対応できるよう、さらなる方策が不可欠であると思います。
まず、目下、担い手対策、技能労働者の確保策が重要であると考えますけれども、どのような施策を打っていかれるおつもりなのか、御見解をお伺いさせていただきます。
○毛利政府参考人 担い手確保についてのお尋ねがございました。
御指摘のとおり、建設投資の急激な減少の中で、残念ながら、仕事がなく、賃金も払えないといった要因から、多くの技能労働者が離職していきました。しかし、この数年は、一旦離職した人が再び戻りつつありまして、技能労働者の数は、平成二十二年の三百三十一万人を底にしまして、二十五年には三百三十八万人まで回復をしております。
建設分野におきます担い手の確保、育成を図るためには、こうした離職者の復帰を促すとともに、若者の入職を促すこと、そして、女性や外国人にも活躍していただけるということが大事だと思っております。
そのためには、まずは、技能労働者に対しまして適正な賃金が支払われるようにすることが何といっても重要であるというふうに考えております。
このため、御指摘ありましたように、公共工事設計労務単価を昨年四月と本年二月、二度にわたりまして大幅に引き上げさせていただき、さらに、社会保険への加入徹底の取り組みを進めさせていただいております。
また、建設産業は、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化といった重要な事業の担い手でありますし、地域にとっては守り手でございます。その誇りと自信を持って、特に若い方が仕事に取り組んでもらえるように、資格や経験等に応じて処遇が改善されるような仕組み、こういった仕組みも若者の入職促進にとって大事だと思っております。
また、仕事につきましては、将来にわたる安定的な見通しを示すことも重要でありまして、これによって企業が将来を見通せるようになりますと、雇用をふやしていくことにもつながると考えております。
御指摘ありましたように、さらに、技能労働者の現在二・七%にとどまっております女性がもっと活躍できる建設産業にもしていく必要があるため、そのための環境整備も必要だと考えております。
こうした認識に立ちまして、現在、ダンピングの防止や担い手の確保、育成を総合的に進めるための建設業法等の改正法案を国会にお願いしているところでございます。
また、御指摘ありました中長期的な視点も含めました建設技能労働者の担い手確保、育成を総合的に進めるための方策につきましては、全国の工業高校の代表者なども入りました関係機関の代表者を交えて、建設産業活性化会議で検討を重ねております。
この夏を一つの目途に、総合的な担い手確保、育成の方策につきまして取りまとめて、強力に推進してまいりたいと考えておるところでございます。
○佐藤(英)委員 御答弁ございましたけれども、ぜひ一歩でも二歩でも前進できるように取り組んでいただければと思います。
また、今御答弁もございましたけれども、建設業の人材確保、このためには、処遇改善とともに、私はやはり、建設業にしかない魅力を広くアピールし、若者などに建設業への夢や希望をはせてもらうことが大切であり、そうしたイメージづくりも大事ではないかと思っております。
建設の魅力はさまざまあると思いますが、地図に残る仕事、歴史に残る仕事ができるのも建設業の魅力の一つであると思います。
二〇一〇年に奈良平城京大極殿が完成し、往時の姿そのままに復元をされました。こうした文化的意義のある建造物を、伝統的な特殊工法や技能を用いて復元するプロジェクトを立ち上げてはどうかと提案を申し上げる次第でございます。
全日空でかつて機内誌で「翼の王国」がございますけれども、日本の城の連載を特集されていた記事を、私も大変に、魅力とそして夢のあるその連載に心を弾ませて読んだ記憶がございます。
こうした築城にかかわる技術についてもいかがでしょうか。天守閣を失ったまま城郭だけが残っているものを、なるべく古来の伝統的工法を使って復活させていく。若い世代の方々も、将来自分もかかわってみたい、自分も参加したいというような知的好奇心、生産的な好奇心を呼び起こしていくことにつながるのではないかと思うのでございます。
スペインのサグラダ・ファミリアの建築に携わる日本人として有名な外尾悦郎氏がたびたびメディアなどで紹介されておりますけれども、建築、建設の世界に夢を求めた象徴的な方ではないかと思います。
日本にも、文化的に世界レベルの価値を持つ立派な建設の仕事があるはずであります。こうした夢のある建設を始めてもよいのではないかと思います。御見解をお伺いしたいと思います。
○坂井大臣政務官 個人的に、委員の御提案はすばらしい御提案だと思います。
歴史的、文化的建築物を復元していく施策といたしまして、国土交通省は、平成二十年に、文化庁及び農林水産省と共同で、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律、歴史まちづくり法、歴まち法と言われるものを施行し、市町村の計画の実現に対して支援する仕組みを設けました。
平成二十年からの五年間で全国で四十四市町村において計画が認定されておりまして、その中で、伝統的な特殊工法や技能を用いた歴史的建造物の保存、再生が取り組まれております。
私自身も、三月の終わりに、この歴まち法の発祥の地と言われております犬山市というところに、これは政府の車座ふるさとトークの企画でお邪魔をさせていただきまして、大変エネルギッシュな市長さんやさまざまな取り組みをしている現地の方々からお話を伺ってまいりましたが、まさしくおっしゃるように、本物の天守を持つ犬山城を中心に、その周りの歴史の町をさまざまな技能、技法を通じて復元することで、市民にも誇りが戻り、そこに夢や希望が生まれてきているということで、観光でもっと頑張ろうということで、本当にエネルギーを感じて帰ってまいりました。さまざまな波及効果を感じてきたところでございます。
ほかにも、金沢市におきましてもいろいろな取り組みが行われてきておりまして、社会資本整備総合交付金による支援を実施してきているところでございます。
このような取り組みは、地域の活性化、我が国の観光振興に資するものでございまして、委員の御指摘、そして視点も十分踏まえてまいりたいと思っております。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。ぜひ取り組んでいただければなと思っております。
次に、建設業は何といっても裾野が広い産業であります。建設業を川下とすれば、その川上ではたくさんの部材が供給されるわけであります。
国土交通省におきましては、地域材の活用という川上の対策と、地域の工務店の活性化という川下の対応をマッチングさせる、すばらしい事業をやっておられます。平成二十四年度から始まったブランド化事業でありますけれども、この事業は一応二十六年度でサンセットとなります。二十七年度からはさらに充実強化して実施すべきと考えます。地域材の活用拡大並びに地域の工務店のサポート体制の一層の充実を実現すべく、予算面での強化も大いに期待をしたいと思います。
また、地域材の活用という観点でいえば、木造建築について、日々技術革新が進んでおり、特に木材の耐燃、耐火が進歩しております。三階建ての木造校舎の耐火実証実験が終わり、建設可能であることも確認されました。実用化が待たれるわけであります。
一方で、国の建てた公共建築物には、木造がまだ一つもないそうでございます。積極的に木材、特に地域材の活用を進める上で、国が取り組む必要性があると思いますけれども、いかがでしょうか。ブランド化事業の今後とあわせて御見解をお聞かせいただければと思います。
○井上政府参考人 まず、ブランド化事業についてお答えを申し上げます。
御指摘のように、平成二十四年度から、地域の原木供給、製材などの川上、それから設計、施工、工務店ですね、ここの川下まで連携して取り組みます、地域型住宅ブランド化事業というのを始めてございます。これは要件がございまして、長期優良住宅の認定を受けていただく。そういう意味では、一定のすぐれた性能を有する住宅をつくっていただくという要件もかかってございます。
この事業、御指摘のように、二十六年度で一応終期を迎えます。まず、二十六年度、しっかり実効を上げるように頑張ってまいりたいと思います。
その上でですが、これまでの事業の実施を通じまして、地域材をしっかり活用していただくということ、それから、川下、川上が地域で連携をしていただくこと、さらに言えば、大工さん、非常に施工技術はいいんだけれども、性能の説明なんかはなかなか難しいみたいなところがございましたけれども、そういうことも含めて、大工さん、工務店に力をつけていただくこと、一定の成果があったというふうに思っております。
二十四年度、五年度、この二カ年の成果というのは、調べますと、それなりに地域のこういった住宅供給業の実情がわかるデータでもありますので、これをしっかりもう一回分析して、それを踏まえて、二十七年度以降どういう取り組みが有効なのかということをしっかり考えてまいりたいと思います。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。
私の妻の父、私にとっては義父でありますけれども、大工であります。自分はやはり大工の息子であるという思いできょうは質問させていただきました。本当に、今では余り使われておらないような大工の工具を、なぐり、それからのこぎり等々を今でも大切に宝物として持っております。
そうしたやはりたくみの技術というものもしっかりと残すためにも、そしてまた、私自身、学生時代は演劇部に入って、演技というよりは大道具をつくっていたことがありまして、それこそ腰袋を使いながら、なぐりを持って、いろいろな建造物をつくることにすごく関心を持っていた一人でありまして、国土交通委員会でこうした質問をさせていただけることができることは本当にうれしく思います。ぜひ、きょうの御答弁を踏まえたさまざまな取り組みを心からお願い申し上げたいと思います。
さて、次は、がらっと変わりまして、バリアフリーについてお伺いをさせていただきたいと思います。
さきの委員会で太田大臣も、心のバリアフリーについてしっかりと取り組んでいくというお話がございました。以前、心のバリアフリーについて大臣に質問をさせていただいたときを踏まえて、最近、大臣も御推進をされていましたベビーカーマークが交通機関にいよいよ適用がされたわけであります。
これは皆様方もごらんになった方もあるんじゃないかなと思うのでありますけれども、世論調査でも九割の利用者の方が、ベビーカーを畳まないで使用してよいと答えております。そのまま畳まないで乗り物に乗ることができますよ、エレベーターにも乗ることができますよということを示す、そうしたマークでございます。
このパネルをごらんいただくとわかりますけれども、「ベビーカーは大切な命を乗せています ちょっと気づかう、そっと見守る」。このベビーカーマークは、ベビーカーを畳まず利用することに反対する一部の方々の意見に対し、ベビーカーを見たら御配慮いただくよう求めるという意味でもつくられたとも伺っております。この気遣い、見守りについて少々考えてみさせていただきました。
心のバリアフリーについて、例えばエレベーターの利用について、健常者は原則、車椅子利用者にスペースを譲りましょう。ほんの数分、次のエレベーターを待ってあげれば済む話でございます。朝のラッシュ時に走る満員電車、通勤電車とよく言われますけれども、最近は通学の小学生も乗っております。小さな子には席を譲ってあげてほしいが、朝のラッシュ時にはそうした光景はなかなか見られません。小さな子連れの親子に対しても通勤ラッシュの中ではなかなか配慮されない、しにくいというのも私は感じます。効率を求める一方で、思いやりや気遣いが捨て去られていってはならないし、配慮に欠ける場面を見るのも大変に残念であります。
また、日本人の特徴として、助けを必要とする方から求められれば喜んで手を差し伸べますが、ほんの少し声かけができないという、ちゅうちょするという私たちの心の内面もあるというのも事実じゃないかなと思うのであります。原因は、恥ずかしさもあると思いますし、声のかけ方がわからないということもあります。こうしたマナーや実践方法というものを国民全体に広く根づかせていくことも、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、オリパラの成功につながるのではないかと私は信じておる一人であります。
今後、国民運動として取り組みを開始すべきではないでしょうか。ロンドンも、オリンピック・パラリンピックの前には、有名な俳優などがテレビコマーシャルに登場して、呼びかけられたり、実践する姿を見せたりと大変に力を入れて取り組んでこられました。その結果、大成功に導いたというふうにも私は思っております。所管が多岐にわたるであろう内容でございますけれども、省庁横断的に取り組むための連絡会議などを早急的に立ち上げてスタートしてはいかがでしょうか。御見解をいただければと思います。
○太田国務大臣 三月にベビーカーの統一マークを発表させていただきました。有識者に去年の六月からずっと検討していただいて、さまざまな取り組みをいただいたんですが、そこにベビーカーを押している絵がありますけれども、それは、今までは全国で十幾つもばらばらであったんですが、いろいろ議論しまして、それに決定をさせていただいて、今、交通機関には特に出ているということになります。
右の押している人が、知られていないのできょう申し上げますが、スカートにするかどうかということで相当議論がありまして、そうじゃなくて、男性もやるんだと。男性なのか女性なのか共通してよくわからないようなマークにわざわざさせていただいているというようなマークです。地元でお話しいただくときには、ぜひとも講演会のときにはそうしたことを、女性が多い会合でも、男性のときでも、御紹介していただくと助かります。
そんなことで議論していただいて、その統一マークができまして、全国の交通機関やいろいろな大勢の人が集まるところには、ここはそれで使っていいんですよということをさせていただくようにいたしました。
また、昨年は、ちょうど今ごろでありますけれども、マタニティーマーク、これもばらばらであったんですが、マタニティーマークが、これは私どもがやったわけではありませんが、五、六年前に決定をしまして、それを広めるということをさせていただいて、去年四月でありましたが、高速道路のサービスエリアには全部、ここに駐車していいという、トイレのできるだけ近いところにマタニティーマークというそうしたマークを全部つける。去年の四月と五月、一カ月半で全国の北海道から全ての高速道路のサービスエリアにそういうことをさせていただいたり、去年の六月には、首都圏の交通関係機関に全部集まっていただいて、そのキャンペーンをさせていただいたりいたしました。
その高速道路のときに、アグネス・チャンが来てくれまして、大変すばらしい、これは単にここでとめられるというのじゃなくて、このマークには愛が詰まっている、世の中の人がみんなお子さんを大事にしようという愛が詰まっている、愛情のマークだと私は思うという感動的なお話をアグネス・チャンがしてくれまして、愛で包む、子供を育てよう、あるいは、おなかの大きいお母さん方が、バリアフリーではないいろいろなところで、満員電車とかいろいろなところで非常に苦しんでいるということをみんなで支えていこう、愛が詰まった社会にしていくというのが、実は、バリアフリーということを構造物でするというだけでなくて、まさに心のバリアフリーというものをどうつくっていくかということが、東京オリンピック・パラリンピックを前にして、六年間、日本人の意識をそういうふうに変えていくということも、パラリンピックを前にして大事なことであるというふうに思っています。
そういう意味では、いろいろな意味で、思いやりのある社会の構築、心のバリアフリーの推進に向けた取り組みをさらに進めて、パラリンピックの前までには、東京あるいは全国でそういう心のバリアフリーというものが相当でき上がっていく、これは厚生労働省だけでなくて文科省でもあるし、全政府挙げて、そうした方向に連携を緊密にしてやっていきたいというふうに思っているところでございます。
○佐藤(英)委員 大臣、ありがとうございました。
私の知らないマークの深い意味も教えていただきました。本当に、ぜひ、私自身がまずはベビーカーを動かすことにやはり先駆をなしてまいりたいと思っております。
では、次の質問に移ってまいりたいと思います。
最後に、下水汚泥バイオガスの活用についてお伺いをしてまいりたいと思います。
下水は汚泥を取り除き、きれいにした水を自然の循環の中に返すという処理をしているわけでありますが、その過程で汚泥を取り除かねばなりません。取り除かれた汚泥は、脱水され、そのまま処分されたり、あるいは焼却され、灰にしてから処分されるわけであります。その大半は有償で引き取られ、セメントの原料になったり、固形燃料化されたり、肥料化されたりと、さまざまな方法で処理されているわけでありますけれども、いずれもコストだけがかかることになるわけであります。
現在、全国に二千カ所の下水処理施設がありますが、そのうちの三百の処理施設では、汚泥を発酵させることによりメタンガスを発生させ、このメタンガスを有効活用しているわけであります。
国土交通省も、本当に先駆的な取り組みをしながら、こうした取り組みに対して先駆をとる事業をされているわけですけれども、特に、平成二十五年度におきましては、私の地元北海道の恵庭市の下水終末処理場が、循環のみち下水道賞、国土交通大臣賞を受賞いたしました。下水汚泥を発酵させたメタンガス、バイオガスで発電をしている処理場であります。
こうしたバイオガスを活用し発電する処理場は現在四十一カ所あるということでありますけれども、環境負荷の少ない再生可能エネルギーであり、汚泥処理のコストの面でも大変に有効な方法であると思います。
二千分の四十一カ所でありますから、まだまだ広がっていってほしいと思うのでありますが、この北海道恵庭市のような下水汚泥バイオガス発電方式について、特筆すべきメリットは何か、また、さらなる下水汚泥バイオガス発電の普及に向けて、今後の課題は何なのか、教えていただければと思います。
○森北政府参考人 下水汚泥バイオマス発電のメリットと今後の課題についてのお尋ねでございます。
下水汚泥の主成分は有機物、いわゆるバイオマスでございますが、メタン発酵させることによりましてバイオガスを得ることができる、そういうことで、このバイオガスは再生可能エネルギーの一つでございまして、燃料として発電する、そういったことが下水汚泥バイオガス発電ということでございます。
この発電により得られます電力で、下水処理場で使う電力の一部を賄うことができます。下水処理場からのCO2排出量削減もできるということで、地球温暖化対策に貢献できるということでございます。さらに、電力購入量を低減できるということになりますので、下水処理場の維持管理費の低減にもつながる、こういったことがメリットというふうに考えておるところでございます。
今後の課題についてでございますが、現在、このバイオガス発電等によりましてエネルギーとして有効活用されている下水汚泥の割合は一三%でございます。これをさらに向上させてバイオガス発電の普及を進めていくためには、何といっても、建設コストの削減、さらにはガス発生効率の向上、こういったことが課題であるというふうに認識をいたしております。
このため、国土交通省といたしましては、平成二十三年度から、従来と比べて低コストで効率的に下水汚泥を発酵できる新技術の実証事業、これはB―DASHプロジェクトというふうに申しておりますけれども、これを行いまして、この技術の普及、展開を図ることといたしております。
いずれにいたしましても、国交省といたしまして、今後とも、この下水汚泥バイオガス発電を導入する地方公共団体に対しまして積極的な支援を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。
特に、北海道の北広島市では、下水に生ごみ、し尿、浄化槽汚泥を混合させて一緒に処理しているという珍しい例でもございます。生ごみなどを混合すると、下水単独よりもメタンガスの発生量が増加して、効率もよいと言われております。メリットとして、省エネ、温室効果ガスの削減、生ごみ減量による一般廃棄物焼却施設の建設コスト削減、燃料費の削減、処理施設統合による維持管理費の削減、肥料の生産、ざっくり計算しても、費用対効果がプラスと言われます。そして、輸入に頼る重油の使用量が減り、その分は、設備や機器の工事代にも置きかわるのではないかと言われておりますし、日本国内の産業、雇用にも大きくプラスになるのではないかなと思っております。
ますますこの取り組みの前進されることを祈りまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、中根康浩君。
○中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。
本日、二十分間、当委員会でお時間をいただきまして、質問の機会を与えていただきました。
まず初めに、まさに福祉の党、公明党出身の太田大臣にお伺いをいたします。
御案内のとおり、平成二十五年四月、一年前から、いわゆる障害者優先調達推進法という法律が施行されております。これは、今の田村厚生労働大臣、あるいは公明党さんでいえば古屋先生や高木美智代先生、そして私、民自公で当時成立を推し進めさせていただいたということで、思い入れがある法律の一つでございますが、これについて、全ての省庁において調達方針をつくって、もちろん、サービスの内容、製品の品質ということも十分吟味されなければいけないということではございますが、その上で優先的に障害者施設からのサービスや製品を調達するということでございます。
これは、法律施行前の平成二十四年度の実績ということでいうと、国交省においては、四十九件、合わせて九百十五万一千円余りが、こういったものに該当する額として契約されておるわけでございます。これは、法律施行前ということでございますが、二十五年四月の施行後、調達方針を決めて優先的な調達が推し進められているということであろうと思います。
この法律に対する大臣の思い、あるいは、積極的に障害者施設からのサービスや製品を調達していくということに対する大臣の思いというもの、ぜひお聞かせをいただければと思います。
○太田国務大臣 先生がこの障害者優先調達法に力を注いでいただいて、我が党もかなり力を入れてきたということでありますので、まず、頑張ってこられた先生に対しまして、敬意を表したいというふうに思っております。
この法律が施行されることで、作業所等で働かれる障害者の方がいろいろつくっていらっしゃいますけれども、それが調達されて普及していくということになりますと、賃金が上がるというようなことにもなります。八千円を一月もらったとか、あるいは一万二千円だとかいうことで、わずかではありますけれども、それをお子さんが稼いできた、それを本当に大事に、その子のためにも使ったりというような御家庭があるということを私は十分承知をしておりまして、ここのさらなる調達が普及していくということを努力しなければならないというふうに思っています。
ただ、事業所の規模が小さかったり、あるいはまた時間がかかって、納期というようなことが十分可能ではないという場合があったりしまして、なかなか調達が進んでこなかったという点があろうかというふうに思いますが、この点、これは国交省全体のことでもありますが、地方整備局等に私の方から申し上げまして、法律施行前の平成二十四年度は、今先生言ったように九百十五万円ということでありましたが、内容を見ますと、封筒を印刷するとか表彰状を印刷する、あるいは防災服などの洗濯、あるいは防災用の非常食であるとかゴム印であるとか、いろいろなそういうことで調達を始めてきているという状況にございます。
私はきょうも、地方整備局にもう一度、これをしっかり徹底して、できるだけ調達をしていくように、されるようにということを言わせていただいてきたところでありますけれども、二十五年度の実績はまだ、あと一カ月ちょっとたたないと、出ておりませんが、それは間違いなく上回るというふうに思っています。
さらにこれが上回っていくようにということで、きょうの御質問も受けまして、さらに地方整備局を初めとして、一番最前線のところでそうしたことが行われるというふうに思いますので、本省のみならず、そうしたことについて、さらに出先機関も含めて、全省を挙げましてきめ細かな対応を心がけて、努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○中根(康)委員 きめ細かく対応していただけるということで、ぜひよろしくお願いいたします。
二十五年度の調達方針におきましては、前年度の実績を上回るということを目標とするということにおいて、あと一カ月後にその結果が集約をされるということで、上回る実績が示されるということは確信をしておりますが、引き続き、二十六年度においても、さらにこの二十五年度を上回るということを目標として、積極的なお取り組みを重ねてお願い申し上げるところでございます。
続きまして、道路法の改正案に関係して質問をさせていただきたいと思いますけれども、この改正案の中には、高速道路利便増進事業終了後も、高速道路の有効活用や地域活性化を図る観点から、スマートインターの整備というものが引き続き含まれているということでございます。
例えば、愛知県を走る、愛知県だけではありませんが、太平洋沿岸を走る東名高速道路、昭和四十一年からつくられたわけでありますので、もう五十年近くなっているわけで、当時のインターの必要な箇所と、そして、沿線の開発が進んで、今考えれば、さらにインターチェンジが必要な箇所というものがふえているのは当然のことであります。
こういった中において、整備費用あるいは維持費用が低廉で済むようなスマートインターの整備というものが各地で求められているところでございます。このスマートインター整備に対する国の財政支援として、平成二十六年度予算においても約一・六億円が計上されております。
まず、これまで全国で約七十カ所設置をされたということでありますが、このスマートインターチェンジの効果はどのようなものであったか。あるいは、今現在整備中のものはどれぐらいあるか、幾つあるか。また、スマートインター整備に向けた手続はどのように今進められているかということ。
あわせて、愛知県の岡崎市内では、今、現東名の方で一般道から直接乗り入れるタイプのもの、そして、来年の三月までに開通をする予定の新東名の方におきましても、岡崎市内にできるサービスエリアから出入りするものがそれぞれ一カ所ずつ建設が期待をされて、地元の岡崎市においても、本年度、調査費が約三千万円ほどだったと思いますけれども計上されて、さまざまな調査が進んでいくということでございますが、この岡崎市内の現東名、新東名、それぞれのスマートインターの設置に向けての検討状況がどのようになっているか、あわせてお尋ねをいたします。
○徳山政府参考人 スマートインターチェンジにつきまして、総合的にお尋ねがございました。
まず、現在の事業中箇所でございますが、平成二十五年度末時点で七十カ所開通済みの上で、さらに、現在五十九カ所で事業中となっております。
既存の高速道路の有効活用あるいは地域活性化という面で非常に期待の大きな事業でございまして、効果についてもお尋ねがございましたけれども、例えば、周辺の交通渋滞の緩和に寄与しておりましたり、高次の医療機関までのアクセス時間が短くなったというお話、周辺に工場や商業施設の誘致に成功したというような例、あるいはこれに伴って雇用が創出されたというような効果を各所で伺っております。
手続についてもお尋ねがございました。
スマートインターチェンジの整備では、地元の地方公共団体の要望を踏まえながら、国、高速道路会社、地方公共団体が連携して協議会をつくりまして、インターチェンジの位置やアクセス道路、整備効果などについて検討して、計画を具体化させていく、こういうやり方をいたしております。
岡崎市内のスマートインターチェンジでございますけれども、現在、東名高速そして新東名高速それぞれにおいて設置についての御要望があるということは、よく承知しております。現在、地元にもたらされるさまざまな効果等について岡崎市が検討されているところでございますけれども、具体化する中で、国としてもこれに対して応援をしてまいりたいと思っております。
なお、先生からも御指摘ございましたけれども、これまでスマートインターチェンジの整備で活用してまいりました利便増進事業の財源がなくなりますために、これにかわる補助制度の創設を含む道路法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいております。
今後、御審議をいただくわけでございますけれども、お許しをいただければ、この制度を活用して、引き続き、スマートインターチェンジの整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○中根(康)委員 岡崎市内から二カ所のスマートインターチェンジの設置要望があるということは御承知をいただいておるということで、大変心強く思います。
地元のさまざまな協議が調えば、この一・六億円、今年度でいえばということですが、こういった予算を活用して、その設置、建設に向けて、国としても強力に御支援をいただくというお約束をいただいたものと理解をさせていただきます。
ちなみに、現東名の方の、新東名の方でもそうなんですけれども、岡崎市周辺というのは、当然、トヨタのお膝元といいますか、自動車産業の盛んな地域でもありますし、あるいは、愛知県というのは、意外にもというふうに受けとめられるかもしれませんが、農業も大変盛んな地域でありまして、そういったさまざまな面で、物流の円滑化というものは極めてニーズの高いといいますか、求められているものでございます。人口もふえております。
さらには、いずれこの二カ所のスマートインターチェンジがもしできればですけれども、ここからアクセスが期待をされているものに、トヨタ自動車のテストコースというものがあります。今、愛知県の企業庁が造成をして、そこにトヨタが研究開発施設、テストコースをつくる。世界一の規模、内容のものになるということで、ここで開発された車が世界じゅうを走り回る、そしてまたここにおいては四千人程度の雇用も創出をされるということが期待をされているわけであります。
いずれの面から見ても、インターチェンジの開設が望まれる適切な地域であるということを、改めてぜひ御認識を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。
高速道路の有効利用ということで申し上げますと、例えば、新東名が来年の三月に開通をする、そのオープニングイベントといたしまして、今、地元ではさまざまな企画がなされているわけであります。供用が開始をする前は、そういうふうに高速道路上に人が上がっていろいろなイベントを行うことは当然できるわけなんですが、一旦供用が開始をすると、未来永劫そこに上がることはできない、当然、車でしか利用することはできないということになってしまうのが、これまでの考え方であるわけであります。
例えば、愛知県の方でいえば、現東名と新東名がほぼ並行して走る、これは当然、交通量が多いから、必要があるからそうなるということなんですけれども、並行して走るということになりますからということなんですが、時には、どちらかを一旦、一日だけ利用者の方に通行をお控えいただいて、高速道路を活用して高速道路に親しんでもらうというような意味合いも含めて、マラソン大会などを行わせていただくことはできないかというような地元からのさまざまなアイデアが、特に若い人たちから出されているわけでありますが、この点については可能性は全くないものなのかどうかということについて、お伺いをしたいと思います。
○徳山政府参考人 これまで、開通後の高速道路におきまして通行どめをしてイベントを実施する例というのは、極めて少のうございます。先生おっしゃるとおり、自動車の専用道路でございまして、役割が重いものですから、ほとんど例がないのでありますけれども、例えば昨年十月二十日に、西瀬戸自動車道、いわゆるしまなみ海道の一部を使いまして、サイクリングしまなみ二〇一三というイベントを開催した例などがわずかにございます。
こうしたイベントの開催に当たりましては、まず第一には、国の根幹になります重要な幹線を通行どめにする影響がどれほどのものであるか、そして、その影響が仮に小さいといたしましても、利用者の皆さんの理解を得られるのかどうか、周知が適切にできるのかどうか、そういうことに加えまして、高速道路会社は建設債務を料金によって返済いたしておりますものですから、通行どめによります会社の減収相当額を補填していただくことなど、こういういろいろな条件がクリアできる場合には開催ができるということなんだろうと思います。
高速道路は、物流、医療、生活、いろいろな面で毎日大きな役割を果たしておりますものですから、一般論として申し上げれば、可能性はゼロではないということではありますけれども、高速道路の役割とイベントの地域振興の意義とを比べながら、適切に判断をする必要があるというふうに考えております。
○中根(康)委員 可能性がゼロではないという御答弁をいただいたことに、少し希望が見えたような気がいたしております。本当にお願いをするときは、当然、さまざまな課題を地元としてもクリアしながら、いろいろな方面に御迷惑のかからない、御迷惑が最小にとどめられるような範囲の中でそういったものを企画していくということであろうと思いますので、その際はぜひ前向きに御検討を賜りたい、このようにお願いを申し上げるところでございます。
また、高速道路上の案内標識あるいは看板、特に新東名なんかがそうなんですけれども、橋脚が大変高い、その高いことそのものが、ある意味、地域においては名物、観光資源とまでは言いませんけれども、一つの見どころとなっている。あるいはまた、その高いということを活用して、地元からスポーツの全国大会に出場した選手をたたえるというか激励をする意味で、あそこから垂れ幕でもぶら下げたいねというようなことも話題としてあるわけであります。
そういった観光振興のための看板、標識といったものの活用、交通安全上、一定の限度はあろうかと思います。あるいは、高さを利用した地元での活用といったものについても、これは要望にとどめさせていただきますが、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
時間がありませんので、最後に一つだけ。
愛知県地方におきましては、特に三河湾沿岸地域においては、南海トラフ地震における津波の被害の危険性が高い。その一方で、低地帯が続いて高台などがないものですから、いざ逃げるときに逃げ場所がないということになります。そのときに、かねてから計画をされている、いわゆる名浜道路というものが建設されれば、そこが一定の逃げ場所になる、あるいは災害が起きたときの救助の一つのルートになるということであろうと思います。
この名浜道路というものについて、今、国交省としてどのような位置づけになっているか、お聞かせをいただければと思います。
○徳山政府参考人 御指摘の名浜道路でございますけれども、港湾を結ぶ物流の幹線、そしてゼロメートル地帯を通る、津波のときのことを考えましても重要な路線であると認識をしております。
現在、愛知県におきまして整備方針等の検討を実施しているところでございまして、国としても引き続き必要な支援をしてまいりたいと考えております。
○中根(康)委員 そういう意味で、必要性の高い道路の一つだということは間違いないと思います。ぜひ、引き続き積極的な推進方、よろしくお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
早速質問をさせていただきたいと思います。
太田大臣には何度もこの質問をさせていただきまして、大変前向きな、建設的なお答えをいつもいただいておりまして、感謝を申し上げたいと思います。
坂出の北インターチェンジのフル化の問題であります。これは、スマートインターチェンジの予算と絡めて質問させていただきたいと思います。
四月の二十五日に坂出の商工会議所が坂出市長に申し入れを行いまして、なかなかこの設置についてこれまで紆余曲折があった地域の協議の場が、ようやくこういった申し入れを受けて発足をする見込みとなってまいりました。こういう地域でこれからインターチェンジのあり方をどうするのかという場ができた場合には、ぜひ各般の御支援をいただきたいということをこれまでも申し上げてきましたけれども、今後の国としての取り組み方針ということについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。
特に、先般大臣から御答弁をいただきましたけれども、これから出てくる法案にも関係しますけれども、スマートインターチェンジの整備予算の柔軟適用について、特に大臣の御所見、思いをいただければというふうに思います。
○太田国務大臣 二月の予算委員会におきまして先生から同様の質問もいただいたところでございますし、その後の動きもございます。
既存のハーフインターチェンジのフルインターチェンジ化に当たりましては、スマートインターチェンジ制度を活用していただくのも、これは可能であるというふうに考えています。
ただ、スマートインターチェンジ整備については、道路予算による補助制度の創設を含む道路法等の一部を改正する法律案を今国会に、今提出をして、これから御審議をいただくということになります。そうした点では、法案の成立が今後のスマートインターチェンジ整備の前提ということになることを御承知いただければと思います。ただ、ここは、スマートインターチェンジ制度を活用していただくことは可能だということを明言しておきたいと思います。
それから、坂出北インターチェンジのフルインターチェンジ化につきましては、委員会のやりとりの中でも、きょうも玉木先生から、坂出市も参加した協議会が四月ぐらいからいよいよ動き始めると。何といっても地元が決意をしていただいて、ぜひともということでなければ事はかないませんものですから、また負担という面も当然あって、その辺、ちゅうちょしたり、いろいろなこともあろうかと思いますが、我々としては、この協議会がいよいよ動き出し始めるということを受けまして、国土交通省としましては、地方自治体における検討に対して必要な協力は行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
○玉木委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ御支援、御協力をいただきたいというふうに思います。
これからまた法律の審議になると思いますけれども、閣議決定をされております道路法等の改正案、見させていただきました。この中の、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案の中の改正の文案の中に、いわゆる高速道路と高速道路以外の道路を連結する部分について、「国土交通省令で定めるものの整備に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けること。」というのが、新しい機構の業務として追加をされております。多分こういったことが、法律が成立すれば根拠となって、今大臣がおっしゃったような整備にも使っていけるのかなというふうに思っておりますので、省令で決めるというようなことが今の法案の中には書かれていますけれども、こういったところも、ぜひ、今大臣がおっしゃったことを踏まえて、事務方としてもしっかりと対応していただきたいなということを、これはまだ法案の審議は始まっておりませんけれども、前もって申し上げておきたいというふうに思います。
次に、今、道路の話をしましたので、今度は鉄道の話をしたいと思います。
大臣、御存じかどうかと思いますが、日本列島の中で唯一新幹線が走っていない、また開通のめども立っていない唯一の地域が、実は四国であります。先月、ゼロ系の、一番最初の新幹線、あの新幹線を模した、張りぼてのようなものを在来線に張りつけたような、なんちゃって新幹線が先月から走り始めておりまして、実は大変多くの観光客を集めておるんですけれども、ただ、やはり新幹線、高速鉄道を何とか四国にもという声は長年あります。
ただ、財政状況が大変厳しい折、BバイC、つまり費用対効果で一を超えないようなものについては私も当然やるべきじゃないと思いますし、また、例えば海峡をまたぐような非常に大規模なものというのも正直言って難しいのかなというふうには、新たに橋をつくってというのは難しいと思うんですが、既存の本四架橋等を生かした新幹線、あるいは、そういったことを生かした観光の振興や経済の発展ということは、私は、九州新幹線を見ていて、九州で新幹線を通して大丈夫なのかなと思ったんですが、やはり地域に夢と希望を与えているのは事実だと思います。私、乗りましたけれども、トンネルが多いなというような、いろいろな批判もある一方で、木を使った独特の車両をうまく導入したりとか、本当に、私、起爆剤になっているとは思います。
質問は、実は、四国の鉄道高速化検討準備会というものを、地域の経済界やあるいは県等も入って立ち上げまして、基礎調査というのを、この間、実はやってまいりました。三月末にこの基礎調査の結論が出るということで進めてきたんですが、まだ出ていませんが、近々出ます。これが出て、仮にこの基礎調査が、BバイCが一を超えるようなものだった場合には、国としてもこれを検討していただきたいなと。もっと欲を言えば、来年度の予算の調査費の計上ぐらいは検討していただきたいかな。なんちゃって新幹線だけではちょっと寂し過ぎるので、そういった基礎調査の結論が出た際には、調査費の計上等についての検討を国交省としても行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○高木副大臣 四国新幹線のお話、今いただきましたけれども、言うまでもなく、四国新幹線というのは、全国新幹線鉄道整備法に基づいて昭和四十八年に基本計画が決定された路線の一つでございまして、同法第五条の調査指示によりまして、四十九年から十九年度まで調査を実施してきたわけでありますけれども、二十年度には、当面早期に着工の見込みがなく、直ちに調査の進捗を図る必要が薄いということで、中断をしたところでございます。
委員は、四国の鉄道高速化検討準備会ですか、これがこういったことをやっているので、ぜひ国としてもということなんだと思いますけれども、今のところ、二十年度に中断をしてから状況に変化はないというふうに考えておりまして、今はそういう状況にはないというふうに考えているところでございます。
また、BバイCの話も出たわけでございますけれども、もちろん、まだ私ども内容等を存じ上げておりません。基本計画を前提に、全国的な高速鉄道ネットワークをどのようにつくるかという観点から、対応の要否について検討するということになると思いますけれども、現時点においては調査をする状況にはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○玉木委員 いや、厳しいですね。
私、なぜこの話をしているかというと、財政の厳しい中で、夢と希望だけで事業を進めていくというのは私も余り賛成しないんですけれども、実は、この整備新幹線のスキームというのは、東海道・山陽新幹線の収益の一部を建設費に回す仕組みになっております。
JR四国のある四国の立場から見ると、例えばJR東海なんて非常にいいところだけ切り取って、誰がやったってと言ったら失礼になりますけれども、それはもうかるわけですよ。山陽新幹線についても、東海道新幹線についても、四国の方も大変多く利用しています。私も時々利用します。その収入の一部は四国に住んでいる人も払っているわけですね。
そうすると、整備新幹線のスキーム、現行を前提にしますと、そういったお金の一部が、北陸、北海道、また九州といった地域には回りますけれども、四国の人の払った新幹線の利用料は、結局、四国には一切回ってこないというのは、ちょっと、公平性の観点からどうなのかなというところもあって、せめて調査ぐらいやってほしいな、調査費分ぐらいは四国の人は払っているんじゃないのかなというところもありまして、御提案を申し上げた次第であります。
大変難しいことは重々承知しておりますけれども、この高速化検討準備会の基礎調査が、BバイCが一を超えるものが仮に出た場合は、門前払いにせず、見るぐらい見てもらいたい。せめて調査内容の分析だけでも鉄道局なりで行っていただきたいと思うんですけれども、大臣、ちょっとこれ、見るぐらい見ていただけませんか。
○滝口政府参考人 全国新幹線鉄道整備法に基づくいわゆる新幹線でございますが、先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、これは全国の中核都市を結ぶということでネットワークが実は組まれております。委員御指摘の四国新幹線につきましても、大阪を起点とし、徳島市、高松市、松山市付近を経過して大分市に至る、こういったような計画でございます。
こういった幹線的なものにつきまして、どういう効果があるかということについては私どもも関心がございますけれども、新幹線の意義というものを十分考えながら、どういった対応をすべきかということについては検討の要否を考えてまいりたいと思います。
○玉木委員 今、大分の話がありましたけれども、多分、いろいろなパターンを検討していると思うんですよ。昔は、徳島と和歌山を橋でつないでそこを通すようなことも踏まえてやっていたので、さすがにそれは、もう二十一世紀の今、ちょっと夢はありますけれども、夢過ぎるというところがありまして、ただ、現在あるものを使って、例えば徳島と松山をつなぐものとか、四国の橋は、坂出と児島を結ぶ橋は、一応、新幹線は今もう通れるようにつくっていますので、新大阪と松山をつなぐとか、収益が出るところだけを切り取ってやるようなことも、多分、調査で今回やっていると思うんです。
繰り返しになりますけれども、ある区間を切ったときにBバイCが仮に一になっていたら、本当にそれはちゃんとした前提でやっているのかも含めて、大臣、検討だけはしてもらいたいんですけれども、これは大臣の口からぜひ一言、今局長からもありましたけれども、見るだけ見てほしい、分析だけしてほしいんですけれども。
○太田国務大臣 当然、見るものは見ます。それがどういう展開をするかということについては、かなり厳しい状況にはあるということだけは御理解いただきたいんですが、当然、地元の方たちの御努力というものについては、私としては、真摯に見るということだと思います。
○玉木委員 ありがとうございます。
いつも無理難題な質問なんですが、ただ、私も前提を申し上げて、BバイCが一だったら、例えば〇・七とか〇・五とか、そういうことが仮に出てきたら、幾ら基礎調査であってもその先は難しいかなと思うんですが、仮にいろいろな組み合わせの中でBバイCが一を超える基礎調査が出たら、ぜひ国土交通省としても、国としても、そこは一定の分析を行っていただきたいなというふうに、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。
続きまして、これは最近、全国で話題になっておりますけれども、公共事業等の入札不調について一点お伺いしたいと思います。
実は、地元の香川県で調査がありまして、これはある新聞社が行った調査でありますけれども、県内の事業を調べたところ、昨年度の入札不調率が八・七%、全体の事業のうちの約九%が入札不調になっておりまして、対前年度でいうと一・五倍です。件数でいうと三百七十五件であります。特にこれは、大手さんが入ってやる大型工事にこういった不調が目立つということであります。多分、大手さんだと全国で出ていますから、利益の低いものが四国で出ても、わざわざ四国まで来てやらないというのが正直なところなんだと思うんですね。
それで困って、例えば地方公共団体も、では事業費を少し上げて、例えば屋島、高松市にありますけれども、屋島の陸上競技場の建てかえ工事なんかは事業費を一・六倍にふやして、七十五億六千万に増額して来月に再入札をするということになっておりますし、私の地元の坂出市の市立病院も二回連続不調になって、ここにさらに事業費を五億七千万アップして、三回目でやっと何とか落札したというようなことでございます。
いろいろ国土交通省でも、労務単価を見直したり、あるいは、特にそういった最近の資材や人件費の高騰をできるだけ速やかに反映されるような仕組みが導入されていることは承知をしておりますけれども、それぞれ各地域で見ておりますと、具体的な問題点が生じてきているというふうに思っておりますので、こういった点について、やはり毎年度の事業費がある程度見通せるような、これから維持更新もふえてまいりますから、平準化していくというような工夫を何らかの形で入れて、多く出るのはいいけれども、減るのもだめなので、ある程度の予測可能性を与えるような仕組みを何とか入れられないのかなというふうに思いますけれども、改めて、この点の対策方針についてお伺いしたいと思います。
○毛利政府参考人 入札不調とその対策ということでございます。
御指摘ありましたが、全国で入札不調の状況を見ますと、やはり土木工事より建築工事が中心となり、また、特に公共団体発注の大型の建築工事で繰り返し不調となるものが多く見られるところでございます。
私どもで把握している香川県全体の発注におきます入札不調の状況につきましては、二十四年度が三・四%で、二十五年度は、二十六年の二月まででございましたが、四・二%という数字になっております。これは県の発注の工事でございます。
その一番の原因につきましては、先生よく御承知のとおり、やはり予定価格が実態に合わない、合っていないということでございまして、御指摘がありましたように、予定価格の積算方法につきまして、労務単価をまず見直していただくように、香川県では昨年四月に一三・三%、二月からは七・二%の引き上げをしていただいております。
また、積算基準も、新たな歩掛かりの導入といったようなことも図っておりますし、さらには、公共団体と意見交換しながら、最新単価の適用ですとか、見積もりを徴集する方法なども活用するようにということで、こういった総合的な対策の活用を公共団体に促しておるところでございます。
こうした対策によりまして、一旦不調、不落があった案件につきましても、その後調べてみますと円滑な執行ができているという状況にはありますけれども、やはり建設業が復興とか防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化といった重要な仕事を持続的に果たしていくためには、中長期的に、その先の見通しというのが非常に重要でございます。このために、まずインフラの老朽化対策とか防災対策といった重要な仕事が今後確保されていくということを示すということと、それから事業の平準化ということも非常に重要だと思います。
私どもは、今国会に建設業法、入札契約法の改正を提案させていただいて、まず基本となるダンピングの防止を盛り込んでおりますけれども、あわせて、議員立法で品確法の改正におきましても、計画的な発注を発注者の責務として新たに求めているというふうに伺っております。
さらには、先の見通しということで、中長期的な視点も含めて、技能労働者の担い手確保、育成も含めまして総合的な対策を、現在、建設産業活性化会議において検討を行っているところでございまして、この取りまとめを、この夏を一つの目途にして取りまとめていきたい、そしてその対策を推進していきたいというふうに考えているところでございます。
○玉木委員 ぜひ実態を見て的確な対策を打っていただきたいと思いますが、二つ、ちょっと提案しておきたいと思います。これは提案です。
公共事業、私も予算の担当をしていたので、補正も含めて、予算ベースの公共事業というのはでこぼこするんですね。ただ、ぜひ分析してもらいたいのは決算ベースの公共事業です。つまり、この国で一年間、一体どういう公共事業が実態として行われたかという決算ベースで見ると、実は余りでこぼこしていなかった印象があります。つまり、国全体で見たときの執行能力というのは、ある種の限界と幅があって、いろいろ出すけれども、年間を通じてやると同じ幅におさまっていっているようなところはあると思うんです。これが、ある種基礎体温というか、我が国の平均的な執行能力というのがあれば、それに合わせて、余り多くならない、余り少なくならないというふうに、決算をよく分析して、全体としての事業量を考えていくということをまず一点やっていただきたい。
もう一つは、これは旧自治省というか総務省とも関係しますけれども、例えば高松市であると、合併特例債の期限が二〇二〇年、オリンピックの行われる年に切れるわけですね。そうすると、事業費の多くを合併特例債で確保しようとすると、そこまでに、まさにオリンピックのタイミングと合わせて一生懸命前倒しでやろうとするんです。そうすると、あわせもって資材価格の高騰等につながっていくので、こういった期限を少し緩和するとか、オリンピックが終わってから山をつくるとか、こういったことも各省連携してやればできると思うので、こういったことも含めて、国交省の中で考える範囲と、それから少しはみ出て考えるものがいろいろあると思いますので、総合的な対策をぜひ考えていただきたいと思います。決算の話でいうと財務省も関係しますし、いろいろな総合的な対策を打っていただきたいと思います。
最後に、人材の確保の話であります。
香川県でも、ではなぜ入札不調がふえたのかということで、複数回答で聞いてみますと、イの一番に来るのが、七二・三%で建設業者の人手不足ということですね。
今度、いわゆる外国人の技能実習生を、少し長く、あるいは拡充して入れるようにするという方向性、私は、これは正しい方向だというふうに思っております。ただ、単純労働者がふえてしまったり、あるいは技能実習に名をかりた移民のようになってはいかぬというのもそのとおりだと思っておりまして、やはり、途上国に対しての技術移転とか、彼らの能力を高めていくんだという大きな方向性を外してはいかぬと思うんですね。
その意味では、実は、中堅の建設会社がベトナムに設立をした職業訓練校に対する支援をJICAさんがやっているというような報道を私は見たんですけれども、こういう取り組みは非常にいいと思うんですね。こういうことを他国にも広げてやりつつ、かつ、我が国の人材不足といったようなことにも対応していけるという意味で非常に効果的だと思うんです。外務省とも連携して、そういった我が国の建設関係の企業等が途上国で職業訓練事業を行っていくようなことを支援していく、こういったことを今回拡充した外国人技能実習生の政策と組み合わせていく、これは非常に私は意味があると思っているんですけれども、こういった点についてどうお考えなのか。他国への適用の拡大といったようなことについてお答えいただきたいと思います。
○毛利政府参考人 まず、一般論といたしまして、外国人技能実習生につきましては、やはり就労環境等のさまざまな課題がありますので、この点をしっかりと管理していくということを前提にした上で活躍をいただくということは、今後の担い手確保の観点からは重要であるという認識でございます。
御指摘がありましたベトナムの職業訓練校につきましては、日本のある企業が現地の企業と協定を締結いたしまして、約四カ月間、入国前に日本語そして基本的な技能について研修を実施しているという非常に先駆的な取り組みであると認識をしております。
ただ、この取り組みにつきましては、目的をリーダークラスの技能者を育成するということに置きまして、ベトナムにおきます日本企業の建設現場での活用につなげられるというメリットが具体的にあるものですから、日本の企業側が、これはその企業に限らず複数が、元請も含めて複数が取り組んでおりますが、現地での職業訓練を初めとする充実した研修費用等の諸費用を負担いたしまして、技能実習生を受け入れているというのが実情でございます。
したがいまして、ベトナム以外へのこのような取り組みの展開につきましても、まずは個別の日本企業側のニーズが存在するということ、かつ、受け入れ体制等が整備されるということが前提になるというふうに理解しておりますが、その前に、個別に、戦略的に、当該国においてどういったニーズがあるのかということも、国内において元請、下請、関係企業、関係団体との情報交換を行う必要があると思っております。
その上で、民間においてそういったニーズ、動きが生じた場合には、国土交通省としましても、送り出し国政府との調整など、ベトナムと同様の官民一体となった必要な支援は行っていきたいと考えております。
○玉木委員 ニーズが確認され、受け入れ体制がしっかりできる、こういった環境を整備すれば、ぜひほかの国でも進めていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 日本維新の会、鈴木義弘です。
貴重なお時間を頂戴して質問させていただきますことを、厚く御礼を申し上げたいと思います。
まず初めに、車両の検査制度について何点かお尋ねしたいと思います。
自動車が社会の必需品として私たちの生活を豊かにし、潤いのあるライフワークを満喫しているきょうこのごろだと思います。軽自動車を含む自動車の新車の登録台数は、平成二年の約七百八十万台をピークに年々減少傾向が続いています。平成二十四年度で約五百二十万台。地価の高い都市部は別としても、少し地方に行けば一家に三台、四台が当たり前の時代です。自動車の継続検査数は、平成十三年度約二千三百三十五万台をピークに減少しているとはいえ、平成二十四年度は約二千百六十万台と、減少率は七%の減少でとどまっております。
今後、人口減少が顕著にあらわれるとはいえ、まだまだ自動車のニーズは、すぐには急降下するとは考えられないと思います。規制改革の一環として、自動車の継続検査にユーザー車検というものが導入され、平成十三年度の二百十七万台をピークにユーザー車検の台数は年々減少しているようでありますが、車検割合で見ると約七%で推移しております。
ところで、このユーザー車検のうち、プロの代行業者の割合はどのぐらいを占めているのか。道路運送車両法では、使用者が点検整備を行うとなっておりますが、代行業者が行っているのか、使用者が行っているのか、お尋ねしたいと思います。
○田端政府参考人 お答えいたします。
自動車ユーザー本人にかわりまして車検を代行する、いわゆる車検代行業者の車検の割合は、全体の七・四%となっております。
点検整備につきましては、基本的にはユーザー本人が実施をしております。
○鈴木(義)委員 国土交通省は二月の十七日から、自動車検査証の備考欄に点検整備実施状況の記載を開始するとともに、点検の勧告発動要件を見直すと発表しました。
定期点検整備の実施時期は、車検、継続検査前または車検後に実施することを自動車ユーザーが選択できる。しかし、車検後に行うとしたユーザーの中には点検整備を実施していないケースもあるというのは、これは国土交通省が出しているホームページに記載されてあることなんですね。
では、このユーザー車検のうち、点検整備を行っていない割合はどのぐらいあるのか、お尋ねしたいと思います。
○田端政府参考人 ユーザー車検のうち、先に検査を受け、その後に点検整備を実施いたします、いわゆる前検査の割合は、全継続検査件数二千百六十六万件のうち、一・六%の三十四万件となっております。
○鈴木(義)委員 この定期点検整備の実施を促進するために、今回、継続検査時の点検整備実施状況などの情報を自動車検査証の備考欄に記載するということが、情報を確実に自動車ユーザーに伝える。
また、自動車検査証備考欄への記載には、受検種別、検査時の点検整備実施状況、受検形態、また、街頭検査などで、自動車検査証でこの情報を活用するとともに、整備命令書や限定自動車検査証を交付する際、自動車の劣化や摩耗による保安基準の不適合箇所数について、一カ所でも不適合箇所があれば勧告を行うことに点検勧告の発動要件を見直し、点検整備の指導を強化すると、これもホームページで出している案件なんです。
百九十七万台のユーザー車検のうち、街頭検査だけで指導が徹底されるのかどうかということなんですね。そこについてお尋ねしたいと思います。
○高木副大臣 大事なことは、しっかり自動車ユーザーが点検整備をしていただくということかというふうに思いますけれども、今、街頭検査だけでは不十分ではないかと。
これにつきましては、先ほど来お話しのように、二月十七日より新たな対策として、車検時に自動車検査証の備考欄に、御指摘のとおり、点検整備の実施状況を記載することとした。そしてまた、これによって、ユーザーが御自身の車両の保守管理の状況を正しく把握して、点検整備の推進につながることを期待しているわけであります。
もちろん、その後、しっかりとその状況、効果を注視いたしまして、その状況も踏まえて、さらに点検整備に係る指導の履歴、これも御指摘いただきましたけれども、自動車検査証の備考欄に記載するという新たな対策を検討していきたいというふうに考えてございます。
一つ、そもそもというんでしょうか、ユーザーの方は、車検代行を整備会社と誤解している方もいらっしゃるようでありまして、今後しっかりと、それは違うものだ、整備をする者ではなくて、あくまで車検を代行するだけなんだというようなことを、誤解のないようにユーザーの方々に周知徹底をしていくというようなことも、国交省としてやっていくべきだというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 国土交通省の方から資料をいただきますと、整備不良で年間に八十五件ぐらいの、それが一義的な要因によって事故が起きたというふうなデータをもらったんですけれども、全体で約七十万件ぐらい交通事故がある中での八十五件というのは少ないかもしれないんです。でも、それは事故が起きたからわかっただけの話であって、それに起因するような事故が、もしかしたらもっとたくさんあったのかもしれないんです。街頭検査だけやっていたのでは、ではそれを、今まで百九十七万台ある中で、一般の車も、どれがユーザー車検でどれがユーザー車検じゃないのかわからないと思うんですけれども、でも、徹底していかなければ同じようなことが繰り返されると思うんです。
次に、インターネットのホームページに次のような広告を出している業者がいるんです。
「ご要望により、同行指導・代行お引き受けいたします。点検につきましては、お客さま立ち合いのもと、厳密に行ないますのでご安心下さい。点検の結果、整備・部品交換が必要な場合には、整備工場をご紹介いたします。懇意にされている整備工場がある場合には、そちらを優先させて下さい。当代行サービスの趣旨は、いかにお金をかけないで車検を通すかにあります。過去実績で八〇%の車が現状にて、合格しております。同行指導・完全代行共に九千八百円にてお引き受け致します。(含む点検費)他の代行業者と比較してください。いかに良心的な価格か判ります。二回目からは、独りで通すことが出来ますよ。」米印があって、「ご不明の点がありましたら、メールにてお願い致します。」というものなんです。
車検代行業者は、認証工場や指定工場の業者さんではないと思うんです。とりもなおさず、整備士の資格はお持ちでないと思います。しかし、「(含む点検費)」というふうに記載されているんです。他業種の方も同じように、行政書士の方も同じようにコマーシャルはしています。ただ、点検云々という広告は出していないんですけれども。
自動車の性能が上がったんでしょうが、でも、ブレーキオイルの劣化が指摘されていて、制動力が低下するため、整備振興会では、ブレーキオイル交換を徹底してほしいというような通知を出したり、講習をしています。
本当にこれで、ユーザー車検の方は、検査後の点検整備をするのかどうか。そこをもう一度お尋ねしたいと思います。
○田端政府参考人 ただいま御指摘ございましたホームページでの御案内、まさに、代行事業者はいわゆる認証工場ではございませんので、そういうような間違った案内というのは法律にも違反いたしますので、私どもとしましては、そういう点はきちっと対応をとっていきたいと考えております。
また、御自分が点検整備をきちっとしていくというのは、もともとユーザーの法律上の義務でございますから、ここをきちっと徹底ができるように、いろいろな各種の対策を二十六年度の予算においても措置しておりますので、これを徹底してまいりたいと考えております。
○鈴木(義)委員 現行の制度では継続車検だけが通れば安い方がいいというものです。車検制度の意味は、車両の安全な運行に帰するとともに、環境保護の観点も大事な点だと思います。自動車の登録台数が減少する中、検査業務の民業圧迫にならないように、簡単に言えば、陸運事務所で継続検査を受けるよりも、指定工場をもっと活用した方がいいんじゃないかという考え方です。
資料もいただいておりますので、陸運事務所の方で、独法化した後に、検査レーンの数を減らしたり、直接の検査員を減らしたり、努力はされていると思います。独法の財務内容を見ても、約九十億ぐらいで、収入と支出の帳尻が合うようになっているんです。でも、それは、あくまでも検査をするときの手数料をいただいて検査を行っているわけですから、それは別に独法じゃなくてもいいんだと私は思うんですね。指定工場を、もっときちっとした検査体制にすればいいだけの話で、これから車が減っていくのであれば、やはりどんどん指定工場を活用していった方がいいんだと思うんですけれども、大臣でも副大臣でも結構ですから、その辺は。これは政府参考人ですか。
○田端政府参考人 ただいま先生御指摘の、いわゆる指定整備事業者の拡大ということの御指摘でございます。
これは、平成二十二年十二月の閣議決定におきましても、自動車検査業務について、民間でできるというところへの業務の移管ということで、指定工場の活用というものがうたわれております。
具体的には、指定整備工場の指定要件の緩和でありますとか、あるいは認証工場への周知、働きかけの強化ということで、指定整備率の向上というものを図っていくということを考えているところであります。
今後、安全、環境レベルの低下をさせない、あるいは点検整備の実施率の向上ということが図られるということ、あと、ユーザー利便向上、全体としてここは大事でございますので、自動車の整備業界の健全な発展、こういう点も重要かと思います。こういう点を考えながら、整備業界の意見なんかもいろいろ踏まえながら、検討をきちっと進めてまいりたいと考えております。
○鈴木(義)委員 今の御答弁で議論をさせていただく機会がありましたら、またお願いしたいと思います。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
公共施設のアセットマネジメント、これも何年か前から取り組んでおられると思うんですけれども、国債の残高が一千兆円の大台に乗ったという話であります。地方自治体の地方債の残高も平成二十六年度で約二百兆円、名目GDP比で約三九・九%になると言われています。各自治体も、都道府県が中心になって各市町村と連携して、公共施設アセットマネジメント推進会議を開催し、対応を始めたと伺っています。
しかし、全国で統一の財産目録、民間でいえば固定資産税台帳が整備されているとは聞いたことがありません。東京都は、五年の歳月と数十億円の予算を投入して財産台帳を整備したとお聞きしています。日本の中で一番税収がある東京都ですから実施することができたんだと思うんですが、私の地元の町では、年間の土木費が二億円を下回っている自治体もあるんです。
そこで、アセットマネジメントをつくる一つのもとになる財産目録みたいなのは、つくるに当たっても、すごくやはりお金がかかるんだと思うんです。高度成長期から公共インフラが数多く整備され、そのおかげで私たちは豊かな時代を過ごすことができているんだと思います。
まず初めに、国土交通省として、これらの公共インフラの維持管理をどう考えていくのか、お尋ねしたいと思います。
○太田国務大臣 昨年をメンテナンス元年と位置づけまして、老朽化対策とか、その資産を高めるということになるんでしょう、長寿命化とかいうことについて国が積極的にかかわってきたことが今までなかったということがありまして、メンテナンス元年と位置づけまして、老朽化対策に重点的に取り組むようにしました。
まず第一に、定期的に点検を行って、必要な修繕、更新を行う。そして、その情報が、土木構造物を初めとして、いつつくったのか、どういう状況であるのかという、医者でいいますとカルテというものが全くない、そういうことからいきまして、この情報をカルテとしてデータベース化する、そして、それに基づいてメンテナンスのPDCAサイクルを回す。
具体的には、重要な施設の集中点検を昨年度末までにほぼ終えまして、道路については、これは橋梁も当然含まれるわけですが、五年に一度の近接目視をルール化することにいたしました。
第二に、橋梁ですと、一九六五年ぐらいから毎年一万ぐらいつくっていたんですが、最近は千を切るという状況になっています。これは完全に、これからそのメンテナンスの山が来るということからいきますと、その山をできるだけ技術革新によって平準化し、抑え、そして早い目に予防措置をとることによって、長寿命化を図るということに具体的に動き出したいというふうに思っているところです。
第三には、インフラの大部分を管理する地方自治体が、人員の問題、技術力の問題でなかなか進まないという状況がありまして、防災・安全交付金というのを昨年から設置しまして、財政的に支援をする、そして技術的な支援も行う。
こういうような、大きく言いますと、きょう三つ申し上げたんですが、そういうことで、公共インフラの維持管理というものについては戦略的に進めていきたいというふうに思っているところです。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
そもそも、公共施設の耐用年数をお尋ねしても明確な答えが返ってこないんです。では、コンクリートの躯体が何年で耐用年数を迎えるんですかというふうにお尋ねしたときに、通常、私たちが五十年だとか六十年だとかというふうに使っているのは、財務省が制定している減価償却の年数を代用しているだけなんだと思うんですね。橋梁一つをとってもそうだと思います。
ですから、PCでつくった橋梁なのか、木造橋なのか、鉄橋なのかわかりませんけれども、メンテナンスの仕方で確かに寿命が延びるというのはわかるんですけれども、では何年で本当にかけかえなくちゃいけないのかというところの判断を、やはり一番技術的に今までのノウハウを持っているのは国なんだと思うんです。
だから、そこでお尋ねしたいのは、全国一律といっても、気象条件が違うところ、確かに、海っぺりで塩水、潮風が当たっているところのコンクリートと山合いにあるコンクリートでは劣化の年数が全然違うんだというのは承知します。でも、ある程度の基準をやはり示してやらなければ、アセットマネジメントをやっていったときに一番問題になってくるのは、どこをやめるかという話になっていくんだと思うんです。
橋梁でいえば、百橋梁ある中で、どうしても財政的に逼迫していて、いつも国が、二分の一だとか、それ以上の補助金を出してもらって、長大橋をかけかえるといったときにお金を出してくれるんだったら、それはそれで百橋梁全部かけかえることは可能なんだと思うんです。埼玉県の予算でいえば、年間二百八十億ぐらいしか河川に関する予算がない中で、それでも直轄負担金をその中からまた出さなくちゃいけないというのも現実あります。それを百五十橋梁、百六十橋梁をかけかえていくのに、どうしてもかけかえができないところは落としていくしかないという話も出ているんです。
そのときに、こういう構造的な基準だとか耐用年数をきちっと自治体に示してやることによって、自治体の職員さんは安心して、これは申しわけないんですけれども、かけかえが難しいんですというふうに、地元に対して説明ができるんだと思うんですね。それを国として一つの基準をつくったらどうでしょうかというので今お尋ねを申し上げたいというふうに思っております。
ぜひ、これから一つ基準を出していただけるものなのか、大臣にお尋ねさせていただければありがたいんですけれども。
○森政府参考人 お答えいたします。
今、まさしく委員御指摘のように、一個一個のインフラの施設に関しましては、周辺環境あるいは使用資材といったようなことによりまして、耐用年数というのが一律に決まっていないというのが実態のところでございます。その結果、財務省さんがお持ちの減価償却にかかわる基準といったものを一つの目安に今いろいろな作業をさせていただいているというところが、確かに実態のところでございます。
先ほど大臣が答弁させていただきましたように、いわゆるカルテをできるだけたくさん集めて、それを集積させることによりまして、ある一定の処方箋というんでしょうか、町医者が診る、お見立てをするときの処方箋、こういったものをつくり上げていく。そのためにも、やはりデータを蓄積して研究を進めさせていただくということが大事だろうと思っております。
そこの中で、実際に施設の劣化予測あるいはトータル的なアセットマネジメントのやり方、そういったものを国としてもある程度研究を進めた上で、さらにまたハードな、複雑な施設の処方箋をするときには、やはり国が、技術的な知見を持った国の方がその予測をしてあげるというようなことを今後とも考えていかないといけないというふうに考えているところです。
以上でございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
自分も、質問しながら、どういう答弁をしようかなというふうに考えていつも質問はつくっているつもりなんですけれども、難しいなとは思っています。ただ、早いうちに基準を出してもらえればありがたいと思っています。
公共施設の維持に一つ悩ましい問題が私はあるんだと思っています。
今まで、地域格差の是正のもと、中山間地域や地方に行けば行くほど、いろいろな公共インフラが整備されています。野球場だとかサッカー場というようなスポーツ施設も、そのうちの一つだと思うんですね。今後、それらを維持していくのに、都市部で納税した税金を投入することに納税者が理解を示してくれるのかどうかという時代に入ってこざるを得ない。
先日、国土交通省が国土のグランドデザインを発表した中で、二〇五〇年には国土の三分の一が無人になってしまう。今、二〇一四年ですから、あと三十六年で三分の一の地域は人が住んでいないんだというグランドデザインを示されたんです。ということは、これからアセットマネジメントを進めていったとしても、誰も住んでいないところに野球場がぽつんとあったり、サッカー場がぽつんとあったり、学校がぽつんとあったり、誰も通らないとは言わないんですけれども橋梁があったり、それを何年もかけてまたメンテナンスしていくのかというのは問題になってくると思うんです。
もう一度、再度総括で、もう時間がないのでお尋ねしたいんですけれども、今後の公共施設の維持管理の方針は、今私がお話ししたように、地方は地方でいろいろな問題を抱えていると思います。私の地元でも同じです。でも、それをやはりきちっと国が方向づけをしてあげることが、住民また有権者の理解を得られるんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ指針をお示しいただければと思います。
○西脇政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の、国土のグランドデザインの骨子におきましては、二〇五〇年、六割の地域で人口が半分に減る、その六割のうちの三分の一の地域で人が住まなくなるという人口推計をしております。
委員御指摘のとおり、そういう非常に厳しい状況でございますが、グランドデザインの中では、そうはいいながらも、それぞれの地域が生き生きと個性を発揮しながら活動していくというような場を提供するという視点もまず必要かと思います。
一方で、国土のグランドデザインの骨子の中でも、基本戦略で、インフラを賢く長く使うということがございまして、具体的推進方策の中では、まさに利用状況とかその地域の抱えている課題、それからインフラの状況、そういうことも含めて、インフラを継続使用するのか、管理水準を見直すのか、場合によっては統合するのかというような選択を行うことが必要だということでございまして、これから、厳しい財政状況の中でございますので、そうしたことも含めて、地域の中できちっと選択されていくことが必要だというふうに認識しております。
○鈴木(義)委員 最後に、もう一点だけお尋ねしたいんです。
今までとはちょっと相反しているかもしれませんが、今までの考え方を踏襲せず、斬新的なアイデアで耐用年数を延ばすようなことができる知恵と汗を流せるような自治体に対して、インセンティブを与えられるような制度をつくった方がいいと思うんです。
統一的な見解は必要なんですけれども、でも、自治体自治体でいろいろ創意工夫したら、三分の一、二分の一の補助金で、ただ金額に対しての国の補助を出すだけじゃなくて、そこにプラスアルファの部分をすれば、みんないろいろ創意工夫するんじゃないかと思いますが、ぜひその制度をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○西脇政府参考人 先ほど大臣から答弁がございました防災・安全交付金等、これはまさに、これをつくるということが、国としては公共団体全体に老朽化対策のインセンティブを与えるものだというふうに思っております。
御指摘のとおり、いろいろな創意工夫によりまして長寿命化を図るということは非常に重要でございますが、私どもの思いとしては、これはインフラを抱えている自治体全ての共通でございますので、知恵を出していただきたいと思っております。一つの委員の御提案ということで、検討なり研究をさせてもらいたいというふうに思っております。
○鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、田沼隆志君。
○田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。ありがとうございます。
本日は、国土交通委員会、初めて質問に立たせていただきますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
初めてと言っておきながら、急に自己紹介としてあれかもしれませんが、私、ビールが大好きでございまして、もうすぐ、暖かくなってきたので、大変楽しみなシーズンなんです。
私、千葉市議会議員だったんです。千葉市に今も住んでいます。きょうも電車で来ましたが、千葉市で、夏になるとビアガーデンが盛んでございまして、大好きでございまして、よく行くんですけれども、このビアガーデンの上をわんわんわんわん通るものがあるんですね。それが航空機の騒音なんですよ。
千葉市の上空は、今まで国交委員会でもいろいろ議論になったと思いますけれども、騒音が非常にうるさくて、特に、ビアガーデン、例えば六時とか七時でおいしく飲んでいると、上をわんわんわんわん通って、何をしゃべっているかわからないという状況に何度も陥っていまして、この航空機騒音問題は、私も市議会議員でもすごく問題になっている。大臣はもう十分御存じと思うんですが、これはD滑走路ができて突如ふえたんですね。急にふえたわけです。なので、千葉市民としては、実は、この騒音を何とかしてくれという苦情が大変多いんです。
今皆さんのお手元に資料が行っていますでしょうか。千葉市作成の資料なんですけれども、経緯は読んでいただければと思いますが、南ルートと北ルートがこういうふうに地図にありますけれども、それぞれが、南風がいいときには、全国の飛行機が千葉市の上空を通って羽田に着陸するということで、それが相当うるさいんです。なので、この騒音問題を何とかしたいという思いできょうは質問させていただきたいと思います。
皆さんも御存じと思うんですけれども、特に千葉市に集中しちゃっているんですよね。特に北ルートが今問題になっている。
ことしの三月六日、資料でいうと、裏面の二の下の方で、「南風好天時における北側ルートの高度引上げ」ということで、国交省で騒音軽減策として、ことしの三月六日から「北側ルートの高度引上げを四千五百フィートとする試行運用を開始しました。」ということで、非常にこの取り組みを期待しておるものであります。
まずお尋ねしたいのは、この試行運用の状況がどうなっているか。もし一体で答えていただくならば、試行ですから、その後、本運用に移っていただきたいわけですけれども、それはいつごろにそういう判断ができそうなのかというのも、もし可能でしたら、あわせてお答えください。
○田村政府参考人 ただいま御質問の、羽田空港への到着ルート、南風好天時の北ルートの飛行高度引き上げの件でございますけれども、これは技術的に非常に困難を伴うものであるということがございます。安全を確認しつつ段階的に進めることが必要であるというふうに考えております。
それで、試行運用の実施状況というのを継続的に検証して、安全上問題がないことが確認されてから本運用に移っていく必要があるというふうに思いますけれども、今先生おっしゃいましたように、この三月六日から試行運用を開始したばかりでございますので、本運用の開始時期を現時点で明確にお答えすることはなかなか難しい状況にございます。
○田沼委員 局長、今のところ問題は特に報告はされていないということでよろしいですか。
○田村政府参考人 まだ一月ほどのものでございますけれども、その過程では、特に問題を報告されているということはございません。
○田沼委員 いつごろ判断できるかわからないというのはわかりますが、非常に期待をして、注目しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
また、関連して、資料にはないんですが、千葉県内の二十五自治体で、羽田再拡張事業に関する協議会という、国交省に対して騒音軽減策を求めている協議会がございます。大臣もうちの千葉市長と会っていただいたりとか、お礼を申し上げます。
この協議会が、発着回数がまた三万回ふえることに対しての軽減策を、緊急要望を昨年いたしまして、それに対して国交省から、ことしの一月八日に、この羽田再拡張後の騒音軽減に関する緊急要望に対する国からの回答ということでいただいております。この中で、特定地域に集中している騒音負担を首都圏全体でどのように分担するか検討を進めるという御回答をいただいているんですね。ですので、この御回答は非常に期待をしておるものであります。
これについても、今、一月から検討を進められていると思いますので、どのような状況にあるか、お答えいただければと思います。
○田村政府参考人 現在、交通政策審議会航空分科会基本政策部会の下に、学者あるいは専門家で構成いたします首都圏空港機能強化技術検討小委員会というものを設けて、首都圏空港の機能強化に関する技術的な選択肢の洗い出しを行っているところでございます。
この小委員会におきまして、飛行経路の見直しを含めまして、あらゆる角度から可能な限りの方策を総合的に検討しているところでございます。
特に飛行経路の見直しに当たりましては、環境基準、それから騒音の総量というようなものに加えまして、千葉県側に集中している騒音による負担というものを首都圏全体でどのように分担すべきかというようなことについても、環境面での検証の視点として位置づけまして、検討を行っているところでございます。
○田沼委員 ぜひその検討を期待申し上げますので、よろしくお願いいたします。
ちょっと実態的に、お配りした資料の裏面の上の方に苦情の件数をお載せいたしました。平成二十二年度から急に苦情がふえていまして、二十三年度は二百二十四件、二十四年度は五百五十件、二十五年度は三百二十七件ということで、千葉市議会議員であった私にも随分苦情が来ておりましたので、やはり何とかしたいという思いがどうしてもございます。
ちょっとお尋ねしたいのは、騒音対策はこれまでほかの空港でもいろいろ議論になっておったと思いますが、例えば福岡とか大阪、伊丹とかだとさらに近接していると思いますので、こういった地域での苦情の件数というのはどれぐらいなのか、ちょっと教えていただければと思います。
○田村政府参考人 今御質問のありました大阪、伊丹空港、それから福岡空港でございますけれども、これは長いいろいろな騒音をめぐる歴史というものを経て、いろいろな対策が講じられてきたという現状でございますけれども、現時点で、平成二十五年の騒音に関する苦情件数というのをお答え申し上げますと、伊丹空港につきましては二百二十五件、それから福岡空港については百十六件の件数というふうになっております。
○田沼委員 福岡よりも千葉の方が多いからということで何か言うわけではありません。おっしゃるとおりです。歴史といろいろな今までの経緯もあろうと思いますから。
ただ、表の資料の下の方に騒音測定結果ということがございますけれども、これだと、環境基準の七十W値よりも千葉は少ないんですね。この少ないということの一事をもって、ばさっと切ってほしくないということだけはお願いしたいんです。
基準値に満ちていないから対策する必要はない、実際、騒音対策の事業も、事業費は一回も千葉はもらっていないということですけれども、ただ、苦情はやはりあるわけですから、ぜひそのことは御考慮だけはいただきたいなということでお願いいたしたいと思います。みんな我慢しているという声もありましたけれども、千葉も我慢していますので。特に特定の地域に集中しちゃっているというのが問題でありますから、ぜひ、国家国民全体が公平にいけるようにとお願いいたしたいと思います。
ちょっと次の質問に移りたく思います。
今度は液状化の問題でございまして、これも私が千葉市議会議員のころに非常に頭を痛めた問題であります。
皆さんも御存じかと思うんですが、液状化は、二万七千件の住宅被害があったんですけれども、その七割がほぼ千葉県に集中しているんですね。特に沿岸部がやられました。私は千葉市出身の人間ですが、選挙区もそうなんですけれども、埋め立てで、一つ丸々埋立地の区があるんですよ、美浜区という区なんですけれども。これは区全体が埋め立てで生まれた区なんです。そこは、道路とかは直っていますけれども、塀が傾いたままだったり、非常にまだまだ傷跡が残っています。
この液状化対策がきちんとできるかどうかが今やはり千葉では悩み、これは千葉市じゃなくて千葉県全体もそうだと思いますし、被害があった地域の七割が千葉県ですから、非常にまだまだ問題として大きく残っております。
まずお尋ねしたいのは、液状化対策のために地盤改良をしていく必要がある地域が随分あるわけですけれども、特に公共施設、道路とか下水道とか、そういう施設と宅地を一体で改良していく市街地液状化対策事業というのをやっているんですけれども、そういう地域があるんですが、これは住民の負担が発生するものですから、なかなか進捗が思わしくない事業でもあります。
私の地元でも住民説明会などもありましたけれども、お尋ねしたいのは、住民からの同意が得られて、今のところ市街地液状化対策事業がスムーズに進んでいる地域というのは何カ所ぐらいあるのか、お答えいただければと思います。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
今回の東日本大震災では、東京湾沿岸、利根川流域に広い範囲で液状化が発生をいたしました。調査の結果としては、関東、東北地方の一都八県で二万七千件、先生から御指摘のとおり、千葉県は一万八千六百七十四ということで、一番被害の多いところでございます。
現在の進捗状況でございますが、三県十二市において、御指摘の市街地液状化対策事業を活用しまして、調査経費等の支援もしております。ボーリング調査、地盤調査等を行いながら、再度の液状化発生を抑制する実証実験を行いながら、対策工法について、これは地域地域によって違うものですから、地域ごとに学識経験者による検討を重ねております。
これまでのところ、茨城県の潮来市と神栖市の二市の一部の地区では、対策工法として地下水位低下工法をとるということを決められました。その上で、住民の同意を得て対策工事が着手をいたしました。平成二十七年度までの事業の予定でございます。
また、先生御指摘の千葉県につきましては、千葉市、浦安市の一部の地区においては、地盤条件、これは液状化を起こしやすい層の厚さであるとか下の地下水を遮水する粘土層、こういうような地盤条件を踏まえて、こちらでは格子状地中壁工法というコンクリートの枠をつくっていくといった工法を採用し、これも住民の合意形成のための説明会が進められております。
実は、この工法の実施には街区全ての住民の合意形成が工事の効果を上げるために必要でございます。現在、十六地区で説明等を進めております。うち五地区では、九割以上の賛成ということで、ほぼ住民合意に近づいているということでございます。
ただ、これは、九割以上近づいているということではありますが、住民が個別に宅地の対策を実施した場合に比べますと相当程度住民負担が軽減されるものの、地下水位低下工法は公共施設の中だけでやりますので、それに比べますと負担増となるため、十分な説明ということが課題になっております。
○田沼委員 よくわかりました。
五地区は九割以上の賛同があるということですけれども、その五地区に多分千葉市の幾つかは入っていないんだと思いますね。私の地元も、局長が言われたとおり、非常に負担が大きいですから、試算によると、補助金があっても一戸当たり百万、二百万かかるという試算もあるということで、非常に住民合意が難しいということを問題視しております。
地元からちょっと、その中で、生の声でなるほどと思ったのは、今、この復興交付金を使っての事業で、五年間の集中復興期間の中で進めるということですけれども、今、住民合意が難しいと局長も言われましたけれども、だから二十七年度までの事業着手が難しいかもという声が出てきています。
最近、先月の報道で、復興交付金、二十七年度末までというのを延長するというふうにちょっと報道が出ておりました。政府がこの枠組みを見直していって、延長する、この二十七年度までという集中復興期間というのを見直していくことがあり得るという議論がありましたので、これは本当にそうなるのか、全く報道でしか記事がないものですから、ちょっと詳しく教えていただきたいと思うんですけれども、これは復興庁さんでしょうか。お願いします。
○北村政府参考人 お答えいたします。
東日本大震災からの復興につきましては、復興の基本方針におきまして、「復興期間は十年間とし、被災地の一刻も早い復旧・復興を目指す観点から、復興需要が高まる当初の五年間を「集中復興期間」と位置付ける。」とされております。まずは、平成二十七年度までの間に復興交付金を活用して速やかな復興を進めていただきたいと存じます。
その上で、御質問のありました集中復興期間後の平成二十八年度以降の復興交付金の扱いにつきましては、これも復興の基本方針を踏まえまして、他の復興事業とともに、それまでの進捗状況等を踏まえ、財源を含めてそのあり方について検討する必要があるものと考えております。
○田沼委員 これは別に千葉だけじゃなくて、全体的になかなか進捗が進まないというのは今の復興事業の実態と思いますし、ぜひ検討をしていただきたい、そういう声が既に上がり始めているということを復興庁さんには理解していただければと思います。
最後に、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり住民の負担が、特にこの格子状地中壁工法だと非常に大きいわけでありまして、こういう地盤の土地を買ったあなたの責任ですよと言われてしまうのはやはりちょっとさすがにかわいそうという思いもあります。ですので、地下水位低下工法だとそれはすごく負担は少ないですけれども、やはりこの地中壁工法だとかなり大きいという実態を踏まえて、何かしらの住民負担の軽減のために国交省としてできる取り組みもあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 液状化現象は非常に難しゅうございまして、私が三十九年に大学に入って土木工学科に入ったんですが、そのときに、六月に昭和大橋が新潟で崩れた。そのときに初めて日本で液状化というのがありまして、これは、地盤とともに、入力加速度との関係性とか、砂地盤と粘土地盤という、この摩擦というのがどの程度あるかという中に水がどのように浸透してくるかというようなことなんです。したがって、地震の入力の方向性や入力加速度によってかなりその影響が出てくる、違いが出てくるというような難しさがあります。
ただ、既に建っていることでこの間地震によって浦安を初めとしてそうなったということについては、住民合意というのはなかなか難しいということは確かなんですが、こういう工法によって幅広くやれば、公道、いわゆる道路とかそういう公有のものがあって、そこの措置をこうとっていき、共同でそういうことを囲んでやっていって、そして、中のところについてはこれは自己負担ということになっていくけれども、地方自治体でそこにはまたお金を入れますというような丁寧な説明をして、どうすれば買った建物というのが安くその工法によって行われるか。
要するに、わかりやすいということは、お金がみんなが協力すると安くなるからということをよく理解をしていただくということがすごく大事なことだというふうに思います。
そういう点では、道路等の公共施設も一体的に液状化対策を行うことで、実は個別に対策を行うよりも事業費を軽減することができるし、そして個人負担の軽減も図ることができるということを、技術的なことも含めてよく説明するということが大事だと考えまして、そうした技術的な知見も取りまとめたガイダンスを、ことしの三月に被災自治体に情報提供をしたというところでございます。
今後、民間企業での施工技術開発ということも大事だというふうに思いますし、コスト軽減対策を全体的にどう進めるかということにかなり絞り上げて全体的にはやりたいというふうに思っておりますし、また、個別的にも、その方が得なんだということをよく理解できる、そうした形をどうつくるかということのアドバイスをさせていただきたいというふうに思っているところです。
○田沼委員 時間ですので、御期待申し上げて、これで終わります。ありがとうございます。
○梶山委員長 次に、杉本かずみ君。
○杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。
きょうも多くの方に御回答の準備をいただいて、改めて感謝を申し上げたく存じます。
きょうの冒頭の佐藤議員の質疑とかあるいは次の中根議員の質疑で、福祉に関するお話が続きました。中根議員からも、福祉の党でいらっしゃる公明党の太田大臣というお話がありましたので、ちょっと厚生労働関係の福祉のことをまず質問させていただきたく存じます。
昨夜半というか、昨日の零時過ぎだったかな、ということで、二晩前ということになるかもしれないんですが、NHKの再放送があって、ホームレスの自立支援をしているNPO法人が私の地元にあって、知ってはいて、何度かお話も聞いてはいるんですけれども、そこが特集されていて、その映像の中ではシェルターという表現だったんですけれども、シェルターという言葉も定義づけが難しいので、むしろ矯正施設なのかもしれないんですが、そこが不足しているというような話がありました。
それで、ちょっと法律を調べてみたところ、ホームレスの自立支援等に関する特措法というものがあって、この二条に、「「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者をいう。」とあり、そして十一条に、「都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする。」こうありまして、ちょっと相前後しますが、第八条に、基本方針のところで、「厚生労働大臣及び国土交通大臣は、」飛びますけれども、「全国調査を踏まえ、ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定しなければならない。」こうありまして、去年の夏の時点で、大臣も御担当でいらっしゃったと思うんですけれども、昨年の七月三十一日に基本方針といったものが出されております。
このホームレスが最近どういう状況にあるかということをまず確認させていただき、そしてできれば矯正施設等をふやす策はないのかといったことを伺ってみたいと思うんですが、まず、ホームレスの現状について教えていただければと思います。
○古都政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員から御指摘がありましたように、ホームレスとは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設をゆえなく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者と定義されているところでございますが、例えばネットカフェなど、終夜営業店舗で起居している方々は、実はこの定義には含まれておりません。
しかしながら、私ども、ホームレス対策としましては、こうした方々も含めて、各自治体において、緊急一時的な宿泊場所の提供など、支援を実施しているところでございます。
具体的には、この施策の取り組みの結果といたしまして、全国のホームレス数は、平成二十五年一月に実施した全国調査で八千二百六十五人となっておりまして、十年前の二万五千二百九十六人と比べまして、およそ三分の一の水準にまで減少しているという状況にございます。
○杉本委員 ありがとうございます。
今御説明にあったとおり、ホームレスといっても、今お話があったネットカフェであったり、あるいは脱法ハウスなんというところも、ホームレスじゃないですけれども、そういったところにお住まいを持っている方というのは、一種、ホームレスの予備軍ということも言えるかもしれないと思っております。
二〇〇二年に法律ができていますけれども、それ以降、またリーマン・ショックを受けて、景気動向によってホームレスの立場にならざるを得ない方々というのはいらっしゃると思うので、そういった観点からすると、今お話があったとおり、三分の一に減って、一部新聞記事等によると、川崎はまだ半分にしか減っていないのでどうなっているのか、こういうようなことも記事にはありますけれども、将来に備えて、我が国に財政的な問題があって、太田大臣、よく、足し算の政治から引き算の政治にということでも言われるので、財政的な問題というのは私も十分意識をしているんですけれども、一方で、やはりセーフティーネットというか、あるいは病気であったり、いろいろな家庭の事情であったり、あるいは人間関係であったりということで、即座に社会復帰ができないというような方に対してきめ細かく手当てをするようなNPOの方々の活動というのをぜひ支援していただきたいと思うんです。
現在、私の地元の「のわみ相談所」というのが、テレビにも出てきたんですけれども、野宿者が輪になってみんなで仲よくというところから「のわみ」という名前をつけたとありますが、そこは、職業紹介というか職業訓練みたいな形で、便利屋というようなところ、お仕事もタイアップしているところがあって、教育を一生懸命して社会復帰を手伝っていたりします。また、就職支援で住み込みの会社を紹介したりということをしていたりして、しかしながら、ホームレスに一度なるとなかなか抜けられないという方で、また同じ状況に、一日だけ働いて戻っちゃったというようなケースが紹介されておりました。
そののわみ相談所を一つの例にとりますと、女性専用の宿泊ができるところが五名分、それから男性は八室あって、延べ六十名がおった。ただ、それでも私の地元ではもう不足の状況になっていまして、地元の市議会の議員と懇談を設けたいということで、三十八だったかと思いますが、そのうちの四名だけが話し合いに応じておりました。
こういった、シェルターという表現だと一時避難場所なので、食事とかの手当てがなくて、こののわみ相談所さんの場合は、食事も一食二百円で、お金のない方は無料でということで食事を手当てしているということで、むしろこれは、私の解釈が正しいかどうかわかりませんが、矯正施設であるかとも思うんです。
こういった施設を、将来の景気変動、不景気に備えてもそれなりに拡充していく必要があると思うんですけれども、こういったことに対する地方公共団体の取り組みといったものが、先ほどの国交大臣が所管されている基本方針にも示されていると思うんですけれども、地方公共団体のこういった施設に対する対応状況といったものはどんな形になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○古都政府参考人 お答え申し上げます。
ホームレスの支援におきましては、大都市を中心とした自治体で対策を進めておるところでございますが、具体的な対策には、まずはホームレスの生活する場所を巡回して相談を行う巡回相談事業、それから、今委員から御指摘ありました緊急一時的な宿泊を提供するような緊急一時宿泊事業、さらには、まさに衣食住の提供とあわせて、職業相談などを行うホームレス自立支援センターの運営、こういった事業を各自治体におきましていろいろ取り組んでいただいている。
実際、シェルター事業につきましては、独自に建物を設置しておられる自治体もあれば、さまざまな施設を借り上げておられる。現在、全国で五十四自治体で取り組んでおられるということでございますので、今後、地方自治体とよく協議しながら対策を続けていきたいと考えております。
○杉本委員 どうもありがとうございます。引き続きの対応強化をお願いできればと思います。
一言、私もちょっと耳なれない言葉で、住居喪失不安定就労者あるいは住居喪失離職者、こういう表現があって、ホームレスという言葉は耳なれておるんですけれども、お役所の言葉なのかもしれませんが、こういった表現もあります。そういった住居喪失不安定就労者がいらっしゃるということも踏まえての対応をお願いしたいと存じます。
法律上の立て方としては、国交省の立場というのは、現在は、河川であったり公園であったり、そういう保全という方、あるいは管理という意味から関与されておられると思うんです。むしろ厚労省の主管のマターではあると思うんですけれども、大臣のお立場から、こういった方々への支援について、御感想というか思いをちょっとお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 十年ほど前だったと思いますが、我が党も、公園とか河川敷でブルーテントが張られてということに対してどうするかと。かなり急激にふえましたものですから、そこでは、就業のあっせんというのをどういう仕組みでやるかとか、NPOの人に頑張ってもらうんだとか、いろいろなことをやらせていただいたりして、また、巡回して、地方自治体から話をずっと聞いてもらって、立ち直りの機会というものを与えるとか。
国交省の流れでいきますと、安定した居住場所の確保ということで、公営住宅の優先的な入居とか、低廉な家賃の民間賃貸住宅に関する情報提供とか、そうした住まいということ等をさせていただくのと、洪水時等の災害時に備えた、平時からの公共施設管理者と福祉部門との連携、掌握自体ができなかったようなことがありましたものですから、そうしたことを今もなお注視してやらせていただいているという状況にございます。
この問題は、幅広い我が国の貧困、あるいは貧困ビジネス、あるいは身元保証というようなこと、就業機会というものが得られないということ、あるいは精神的ないろいろなストレスが非常に高まる中で起きている、家族の人との接触をあえて断つというような状況に追い込まれる。いろいろな幅広い場面から総合的にやっていかなくてはいけないことだというふうに思いますが、三分の一までまずは減ったということを、さらに少なくしていくという努力を、これは政府挙げてやることが大事かというふうに思っているところです。
○杉本委員 どうも御答弁ありがとうございます。ぜひとも、三分の一がゼロに極力、限りなく近づくことを、お仕事として進めていただければと思います。
次に、海上保安庁、あとは原子力規制庁絡みの質問に移らせていただきます。関係の政府委員の方、どうもありがとうございました。厚労省、外していただいて結構でございます。
これもテレビの番組で、私はテレビっ子なもので、BSも含めてよく見ているんですけれども、たしか民放で、元か前か、防衛大臣が出演されて、集団的自衛権の議論をされておられる中で、尖閣の問題について触れられました。
それで事実関係をちょっと確認したいと思っていろいろ調べてみたんですけれども、正確な答弁をいただいた方がいいということがありまして、お伺いしたいんですけれども、そもそも、今、原子力発電所、再稼働をどうするんだ、川内原発どうなんだというような議論があります。私は極めて慎重であっていただきたいと思っておりますけれども、そういう議論が進む中で、済みません、ちょっと話がそれました。
尖閣の問題がまず先で、集団的自衛権なんですけれども、集団的自衛権の関係で、尖閣の資産状況を確認したいと思っております。
それで、言える範囲と言えない範囲があり、国防上の問題もあるかと思うので、言える範囲で結構でございますので、費目と簿価、元防衛大臣の表現ですと、海上保安庁の行政財産ということを言われておりましたけれども、この点について確認をさせていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えします。
尖閣諸島の魚釣島、北小島及び南小島の三島は海上保安庁の行政財産であります。国有財産台帳上の区分は土地でありまして、その価格は二十億五千万円となっております。
○杉本委員 ありがとうございます。
国交省の所管のところでの土地ということを確認させていただきました。長官、どうもありがとうございます。質問は以上で終わります。
次に、済みません、話が先へずれちゃって恐縮だったのでございますけれども、原子力発電所の問題にかかわる再稼働、そして川内原発、まず再稼働を始めるのかどうかといったような議論がかまびすしく行われております。
そんな中で、ちょっと地元愛知県のケースでいきますと、NHKさんが、いい放送もしてくれるんですけれども、困ったこともあったりして、NHK名古屋放送局が名古屋の降水確率を長野県という形で表示をしてしまっていたという事実が判明して、幸い長野にお住まいの方には放送はなされていなかったので影響は軽微だったと思いますけれども、気象庁の情報が正確に使われていないというケースが、NHKの入力ミスというようなことで惹起してしまいました。
そんな中で、SPEEDIの予測値との関係で気象庁のデータが活用され、日本気象協会経由で原子力規制庁が風向きや強さなんかを活用しているというふうに聞いておりますけれども、この点は事実関係として確認できるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
○片山政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、原子力規制庁が実施をしております委託事業の中で、日本気象協会から必要な気象データを購入いたしまして、SPEEDIの計算に利用しておるところでございます。
○杉本委員 そこで、ちょっとSPEEDIの活用の問題なんですけれども、三年前の東日本大震災を受けて、SPEEDI情報が的確に開示されなかったということがありまして、万が一がまた起きてしまったときにSPEEDIの開示が効果を生むようなことにしていかなければならないというふうに思っています。
参議院の内閣委員会での政府参考人の黒木さんという方の答弁で、SPEEDIの活用については、原子力災害対策指針におきまして、地域防災計画作成の際にSPEEDIを活用するよう位置づけられておりませんという答弁がありました。同じ答弁がまた続いた後、緊急時につきましては、原子力災害対策指針で放射性物質放出後の防護措置の実施について、SPEEDIを活用した拡散計算による予測でなく、緊急時モニタリングを行った結果として、実測値等に基づいて判断することとされる、こういう答弁があったんです。
私も一素人であり、一市民であり、一国民として、SPEEDIというのは、もし次の原発事故が万が一起きてしまったとき、あるいはその備えとしての防災対策といった意味からすると、事前に気象庁の情報としての風向きだったり、あるいは天候によって風向きが違ったりするかもしれないし、季節によって違ったりするかもしれませんけれども、こういったものを十分生かしていただいて、避難訓練や避難計画といったものに利用されるべきだと思っておりますので、SPEEDI自体をかます、かまさないの問題はあるかもしれないんですけれども、いずれにしろ、気象庁の情報がこの避難の問題あるいは訓練について利用される必要があると私は思っておるんです。
そういった点について、ハザードマップを作成する等、自治体へ情報提供を、むしろSPEEDIをかまして、可能性として予測値みたいなのを開示して訓練に使われるべきだと考えておりますけれども、この点について政府側から御答弁いただければと思います。
○片山政府参考人 お答えいたします。
事故が実際に万が一発生した場合に影響の及ぶ地域といいますのは、どういった事故が起きるのかという事故の態様でありますとか、その時々の気象条件などによって大きく左右されるというふうに考えております。したがいまして、原子力規制委員会といたしましては、例えばSPEEDIを活用してより危険性の高い場所をあらかじめ特定をし、地域防災計画を策定するということは現在想定はしていないところでございます。
原子力災害対策指針におきましては、緊急的に防護措置を準備する区域、いわゆるUPZでございますけれども、これにつきましては、IAEAの国際基準におきまして最大半径が原子力施設から五キロから三十キロの間で設定されているといったようなことを踏まえまして、原子力施設からおおむね三十キロを目安としてこのUPZを指定し、そこに含まれる自治体にあらかじめ防災計画をおつくりいただくということをやってございます。
○杉本委員 なかなか正しく、すっと入らないんですけれども、半径五キロから三十キロ、原子力災害対策重点区域ということになるかと思いますが、ぜひとも、SPEEDIをかます、かまさないがちょっと問題としてあると思いますけれども、それをおいておいても、気象庁の情報等をもう少し避難の準備といったことに活用されることを心からお願いしたく存じます。
以上、SPEEDIについての質問は終わらせていただきます。
次に、気象庁の予報における特別警報のことで、二月の十四日、豪雪がございました。その後、太田大臣からも、その運用を少し考えるべきではないかというような御指示があったやに記憶しているんですけれども、特別警報の運用の仕方について、さきの豪雪を受けて何か変えたところがあったりとか、あるいは今検討中であるとか、そういった二月十四日以降の豪雪に対する教訓を生かしていることがあるかどうか、教えていただければと思います。
○西出政府参考人 関東甲信の大雪についてでございますけれども、現在、関東甲信の都県の関係市町村に訪問いたしまして、御意見を伺っているところでございます。
今後、そのいただいた御意見をもとに、防災気象情報全体についての改善の方策について、今後十分時間をかけて検討していくこととしているところでございます。
○杉本委員 今ヒアリングをされているということを伺いました。梅雨の時期であったり、夏場にかけてまた豪雨等も予想されるかと思います。そういった備えという意味では、ヒアリングを早目に進めていただいて、この特別警報の、広域なので区域を区切ってとか、こういう問題についてもぜひ柔軟に対応というか、警報というかを出していただければというふうにお願い申し上げます。
以上で気象庁関連の質問は終わらせていただきます。
次に、JR北海道の問題について質問を移させていただきますけれども、四月一日に経営陣が交代されました。まだ二週間半といったところでございますけれども、これまでの二週間半を振り返って、改善された点がどんな点なのか、国交省の管理監督状況はどんな状況で今進められているのかを確認させてください。
○土井大臣政務官 ただいまお話をいただきましたとおり、新しい事業年度が始まるのを機に、JR北海道の代表取締役である社長と会長を一新するとともに、副社長につきましても、JR東日本の協力を得まして選任をいたしたところでございます。新たな体制のもとで、総合的かつ抜本的な安全対策を策定の上、これらを確実に実施し、新生JR北海道としてスタートを切ってもらうことといたしております。
また、島田新社長、須田新会長及び西野副社長に対しましては、就任後に、太田大臣から直接、まずは日々の運送の安全の確認と確保、そして命令した安全対策の確実な実行についてしっかりと取り組み、会社の再生と利用者の信頼回復を図るよう、改めて指示を行わせていただきました。
また、新体制が発足して半月でありますけれども、例えば、社長、会長は、先週まで苗穂駅、苗穂運転所、札幌運転所など、札幌近傍の現場を巡回いたしておりますし、今週は、社長が旭川方面、会長が函館方面を巡視をいたす予定になっており、現場の状況をしっかりと把握を開始いたしていると聞いております。
国土交通省といたしましても、定期的な報告、常設の監査体制などを通じて、JR北海道が講ずべき措置を確実に実行するよう監督し、また指導することといたしておりまして、三月十一日から十四日まで、その第一弾として監査を行っております。
JR北海道の取り組みを今後とも監視するとともに、強力に指導、支援をいたしてまいります。
○杉本委員 日々の点検を大臣が厳しく見てくださっていると思いますし、また、現場を、旭川、函館に出張の予定もあるということで、現場第一主義ということで、経営の方、現場の声を的確に拾っていただきたいとお願い申し上げますし、引き続きのフォローをお願い申し上げます。
次に、国土のグランドデザイン骨子が発表された関係もあって、また、昨日、当委員会を通過した法案等の関係もあって、あえて言ってみたいなということなんです。
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案、当委員会を通過した法で、これを活用して、将来的な考え方として、経営安定化基金のあり方を見直しして、都道府県の方の北海道が地域公共交通網形成計画を策定し、地域公共交通再編事業としてJR北海道を支援するといったことは展望として考えられないのかどうか。この場合、北海道自身がJR北海道のインフラを取得し、いわゆる上下分離といったことを行うということでございますけれども、今は検討されていないと思いますけれども、今後、検討の余地がありやなしや、このあたりを教えていただければと思います。
○土井大臣政務官 今回の改正は、路線バスや地域鉄道から成る地域公共交通が市町村のエリアをまたがるときに、都道府県が市町村の連携、調整を図ることが適切である場合も想定されることを踏まえたものでありまして、北海道全域の幹線交通ネットワークを担うJR北海道を対象として、北海道が地域公共交通再編事業を実施することは、本法案では想定をいたしておりません。
JR北海道におきましては、新しい経営陣のもと、全社一丸となりまして鉄道事業者としての再生に向けて取り組んでいただくことが今の喫緊の使命だというふうに思っておりますし、国土交通省といたしましても、先ほど申し上げましたとおり、監査体制等々を通じて、事業改善命令及び監督命令を確実に実行させることが重要である、その認識でおります。
○杉本委員 ありがとうございます。
次に、また昨日通過した法律並びに観光といった点からちょっとお伺いしておきたいんですけれども、宇都宮が今一番LRTを研究されて導入する可能性があるというふうに聞いておりますけれども、この導入に向けての現在の状況をどう国交省として把握されておられるか。あと、BRTについてなんですけれども、先行例としては新潟、岐阜というようなことが政府参考人からかお話があったやに記憶がありますけれども、このBRTの活用状況、この二点をまとめて教えていただければと思います。
○石井政府参考人 まとめてということですが、ちょっと、LRTだけ簡単に私の方から。
宇都宮市は、平成二十二年度に、宇都宮市の都市計画のマスタープランで、ネットワーク型コンパクトシティーの実現ということで、新しい基幹公共軸の導入を位置づけられました。
平成二十四年度には、宇都宮市において、新しい基幹公共交通の基本方針の中で、LRTの導入を決定されました。
平成二十五年には、宇都宮市を中心に有識者、交通事業者などで構成をいたします芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会を設置し、LRTの導入のルート、並びに軌道法等の許認可に必要となる事項の検討を行っておられる。
宇都宮市は、平成二十六年度より、社会資本整備交付金を活用して、事業実施のための必要な詳細調査を始めておられまして、平成二十八年度から事業に着手したい予定というふうに聞いております。
○田端政府参考人 BRTの導入状況につき御説明いたします。
まず、最近では、岐阜市でございますけれども、岐阜におきましては、二十三年の三月よりいろいろ運行を開始いたしております。本年三月二十八日に、また連節バス二両を拡充いたしまして、清流ライナー下岩崎線の運行を開始しております。
一方、新潟市も、基幹公共交通軸の強化に向けましていろいろ進めておりまして、これまで、新しいバスシステムの説明会あるいはシンポジウム、あるいは、バス試乗体験などをやって市民の機運醸成を図るということとともに、バスの製造の手続、あるいは新潟交通との協定を市が行いました。これは、四月十五日、昨日、締結もなされております。今後、このような機運醸成を図っていくとともに、第一期の運行開始は平成二十七年夏前を目指すということとされております。
BRTは、大変重要、有用な輸送手段でございます。私どもも積極的に支援してまいりたいと思います。
○杉本委員 時間となりました。ちょっと残余の質問があって、御準備いただいた方々に御迷惑をおかけしたことをおわびしつつ、終了させていただきます。ありがとうございました。
○梶山委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 きょうは、航空業界におけるパイロット、整備士、客室乗務員の不足とその対応について質問します。
建設業の人手不足、バス運転手の人手不足など、きのうも言いましたけれども、深刻になっている。将来の産業を担う若年労働者の育成、確保対策は当然ですけれども、現時点でも現場にさまざまな弊害や悪影響があらわれ始めています。
そこで、まず最初に、パイロット、整備士不足の現状と課題について、国交大臣の認識をお伺いしたい。
○太田国務大臣 我が国の航空会社では、今後の航空需要が増大します、それに対してパイロットの需要、パイロットを初めとする方々の需要が増大する。全体の四三%を占める四十代のパイロットが、十五年から二十年後になりますと、六十五歳の定年ということで退職を余儀なくされる。ここはどうするかという点があるんですが、そこの大量退職するということが見込まれている。このために、我が国における新規パイロットの需要が供給量を大幅に上回り、中長期的なパイロット不足が発生するおそれがあると思っています。特に、中小の航空会社やLCC、これからふえますので、機長の中で三二%を現在六十歳以上のベテランパイロットが担っている、これが数年で退職するということが見込まれて、短期的にもパイロット不足に直面すると思います。
整備士につきましては、航空需要の増加が単純に整備士の増加には結びつかない面があるとはいうものの、今後、中長期的には整備士の需要が増大するということは必至だというふうに思います。さらに、LCCにおいて、同じようにこの数年でベテランの整備士が退職するということからいきまして、短期的にも整備士不足に直面しているという状況だと思います。
パイロット及び整備士は、安全かつ安定的な航空輸送に不可欠な人材であり、その不足は航空ネットワーク充実のボトルネックになるおそれがあるというふうに思っています。そのためには、パイロットや整備士の養成、確保のために対策を講ずることが極めて重要な課題になっているという認識をしております。
○穀田委員 最後にお話ありましたけれども、不可欠な課題で、それを国としてもきちんと関与してやらなくちゃならぬ、こういうことですな。大臣も、うんと言っておられるので、大体そんなことだと思うんですね。
そこで、建設業だとかバス運転手などでは、低賃金、長時間労働が、事故の多発など労働安全それから運輸安全に直結している。さらに、若者の就労意欲をそいで、技術継承ができない、後継者がいないなどの事態を生んでいます。問題は、なぜ低賃金や長時間労働がはびこってきたのかということなんですね。
市場競争優先のコスト削減、リストラ至上主義とも言える経営がまかり通ってきたことが背景にある。運航の安全を直接担う労働者を単なるコスト削減の対象にして、大量の人員削減などリストラを進めてきたということが大きな原因になっているんだと思うんですね。
一方、今大臣からもお話あったように、LCCの参入や、さらには、路線の拡大ということで事業を急速に拡大していったために人員確保が追いつかない、これが現状じゃないかと思うんですが、いかがですか。
○田村政府参考人 今御質問の件でございますけれども、もちろん、先生御指摘のように、乗務員というものが安全の確保に非常に重要な役割を果たしているということは事実でございます。他方で、我が国の航空業界というものを国際的に比較してみますと、非常に高いコスト構造になっているということも事実でございます。
そういう意味では、航空企業の自主的なコスト低減努力というものも、今後の航空業界の発展のために非常に重要であるというふうに考えております。
○穀田委員 ちょっとかみ合わへん一般論になっているんだけれども、要するに、先ほど大臣からお話あったように、いろいろな現実の条件、つまり、簡単に言うと、二〇三〇年問題と言われるぐらい、そのころ六十歳ぐらいを迎えるだとか、そういう問題はありますよ。しかし、これらは、人員不足とかそういう問題については、前からそれはわかっていたことなんですね。きのう、きょうに何かわかったことじゃないんですね。
問題はそういうことにあって、今、田村航空局長は、コストが国際的にも高いというような話をしていますけれども、それは、しかし現実は、この間の乗務員のさまざまな給料の削減によって、およそそんなことが通用しないということは明らかだと思うんですね。
そこで、私は、自衛隊のパイロット民間転職問題について少し聞きたいと思うんですね。
国土交通省は、五年前から中断していた定年前の自衛隊パイロットの航空会社への転職、いわゆる割愛制度の活用をこの四月から再開すると発表しました。二〇〇九年九月、当時の民主党政権が、公務員の再就職を府省庁があっせんすることを禁止したことを受けて、防衛省も国交省も、自衛隊パイロットの民間航空会社への転職についても自粛してきました。今回の再開の理由は何ですか。
○坂井大臣政務官 先ほどから議論いただいておりますような現状の状況を踏まえ、自衛隊パイロットは飛行経験が長く、航空会社において即戦力としての活躍が期待されるため、まず、航空会社からその活用について要望が寄せられていたところでございまして、この要望も踏まえて、そしてまた防衛省の協力も得て、特に短期的なパイロット不足への対応として、今般、自衛隊パイロットの民間における活用を再開いたしました。
○穀田委員 簡単に言うと、即戦力だ、航空会社からの要請だ、それで短期的な不足を解消する、こういうことですな。
私は、不足するから自衛隊のパイロットからの供給を再開する、一方で、JALで不当に解雇された自衛隊出身のパイロットがいる、こんなあほなことはないと思うんですね。
不当解雇撤回の裁判を行っている自衛隊出身の原告の斎藤晃さんは、次のように意見陳述を行っています。聞いてほしいんですね。
私は、一九七三年に海上自衛隊に入隊して、二十一年間、海上自衛隊で任務に当たり、九四年に防衛庁割愛制度で日本エアシステムに入社した。二〇〇六年には日本航空と経営統合し、副操縦士として乗務。ところが、思いもよらず、二〇一〇年十二月三十一日、年齢基準、これは四十八歳以上の副操縦士、機長は五十五歳以上ということで、解雇されました。解雇された副操縦士に自衛隊出身者が多いのは、三十代後半に民間に移籍したため、機長昇格年齢が高くなってしまったのが大きな理由の一つです。この裁判で、原告に二十四人の自衛隊出身者がいる。これほど多くの自衛隊出身者が裁判を起こした事例がこれまであったでしょうか。日本航空の整理解雇がいかに理不尽きわまるものであるかということのあかしであります。航空会社は、需要の拡大から来るパイロット不足を補うために、訓練期間が短く、訓練費用も大幅に削減できることから、自衛隊出身のパイロットを欲しがってきた。一方、防衛省側とすれば、年齢の高いパイロットの人事上の解決として、民間への割愛制度を積極的に受け入れてきた。自衛隊からのパイロット割愛制度は、航空会社、国土交通省、防衛省、三者合意のもとに進めてきた制度です。そもそも、日本航空の経営破綻と再生は政府が進めてきました。解雇された私たちは、会社にも国にも裏切られた思いです。
このように語っているんですね。
私は、自衛隊操縦士の割愛制度に応じた自衛隊員をJALのように不当に解雇したら、政府として、本当にこれに協力していいのかということの姿勢が問われるんじゃないかと思うんですね。JALみたいに経営悪化を理由に首を切る、JALが不当解雇した八十一名、そのパイロットの中に、今陳述で明らかなように、自衛隊パイロットが二十四人もいた。この比率の高さ、こういう実態があるということ、そして一方、今言ったように、割愛制度を復活する、こんなことは私はおかしいと思うんですね。
だから、史上最高の利益を上げながら不当にも解雇しておいて、今度は足りないから自衛隊から融通してもらう、余りに身勝手じゃないか。本来こんなことは、解雇を撤回させて、現場復帰させたら済むことじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○田村政府参考人 先ほど、今後のパイロットの不足につきまして、どういう見通しであるかということについて大臣から御答弁申し上げましたけれども、いわゆる大手の航空会社につきましては、全体の四三%を占める四十代のパイロットというものが十五年から二十年後に大量に退職するという見通しであり、そういう意味では中長期的なパイロット不足というものが予測される。それから、中小の航空会社あるいはLCC、ここは六十代のパイロットが非常に多い。これが数年で退職するという見通しがあるので、これは短期的にもパイロット不足に直面している。こういう状況の一つの対応策として、割愛制度の再開というものを始めたということでございます。
○穀田委員 そういうものを身勝手ということに思わない考え方というのは、ようわからぬね。副大臣は、さっき言ったように、航空会社の要請だ、短期にも不足しているということを言って、もちろん、こういう方々というのは、私はお聞きしましたけれども、この斎藤さんという方は、もともと教官でもできるわけですよ。だから、そういう話にすると、すぐ話を細かくするけれども、どういうふうに人を育てていくかということを含めて、全体としての人員をどう確保していくか。そのときに、一方で首切りをやって、一方で再開するというのはいかがなものか、そういうやり方がええのかということを言っているわけですよ。
ですから、防衛省だって、この問題について公式的にはいろいろ言っていませんけれども、やはり調整機関を置いているんですよ。そうしたら、そういう調整機関の中で、先ほど副大臣からありましたように、航空会社から要請があると、その要請に従ってどうするかとやるわけでしょう。確かに個別の人間が対応するわけだけれども、そういうことをやっていないはずはないじゃないですか。先輩、後輩の関係を初めとして、あそこは一番そういうところなんだから、みんな、どないしたら就職があるかなといってやるわけでしょう。そういうことからしても、私は、きちんとこれは改めるべきだと思っています。
そこで、私は何度も質問したから皆さんも覚えておいでかもしれませんけれども、何せ、JALは二〇一〇年の十二月三十一日の大みそかに乗務員や客室乗務員を不当にも整理解雇しているんですよね。その時点で何人のパイロットを削減したのか。そして、早期退職によるものは何人なのか。整理解雇によるものは何人なのか。ちょっと数を言ってください。
○田村政府参考人 御質問の数字でございますけれども、パイロットとしての内訳の数字につきましては、これは日本航空にも問い合わせておりますけれども、非公開の情報ということで、この場でお答えできる状況にはございません。
ただ、職種を問わなければ、整理解雇が行われた二〇一〇年十二月末より前までに、八回にわたって行われた特別早期退職及び希望退職募集によりまして、総計五千三百二十名が退職をされた。また、二〇一〇年十二月三十一日付で、整理解雇により百六十五名が退職されたというふうに聞いております。
○穀田委員 そういう数字が、聞いたけれどもわからぬというような話を平気でしているようではあきまへんで。だって、皆さん、これは国の金を投入しているんですよ。
そして、大臣は、当時の、たしか平野官房長官の時代だったと思いますけれども、JALの問題についてのそういう破綻や再生をめぐって、これは国民にもすべからくいろいろな情報は公開すると言ったんですよ。
客室の乗務員、それから今の乗務員、これらの方々が安全を担保する前提であり、それを行っている人たちであります。その数がわからないなどと言うのは、それをそのまま、聞いたけれどもわからへんかった、相手も言えぬと、そう言って帰ってきているようでは、何のための国交省なのかと私は思いますよ。
では、ついでにもう一つ聞きましょう。これもわからないのかな。
パイロットの退職者は、その後も出ているはずですよ。二〇一一年の一月から現在まで、退職者は何人なのか。
そもそも、JALのパイロットは何人在籍しているのか。これだったらわかるでしょう。二〇一一年、一二年、一三年の一月一日現在での在籍数を答えてください。
○田村政府参考人 お尋ねの、パイロットの在籍数につきましては、聞きまして把握をいたしました。
それで、二〇一二年一月一日現在でよろしゅうございますか。機長九百二十名、それから副操縦士六百九十名、合わせまして千六百十名であったというふうに……(穀田委員「二〇一一年と一三年も。全部」と呼ぶ)一一年と一三年もですね、はい。
では、初めからもう一度申し上げますが、二〇一一年一月一日現在ですと、機長は一千六名、副操縦士七百四十五名、合わせて千七百五十一名であったと。
それから、二〇一二年一月一日は先ほど申し上げた数字でございます。
それから、二〇一三年一月一日現在では、機長八百二十五名、副操縦士六百六名、合わせまして千四百三十一名というふうに聞いております。
○穀田委員 それは逆に言うと、その一日は出るわけだから、その中でどれだけ削減したのかとか、早期退職による者は何人かというのは、出て当たり前なんですよ。
私が調べているので見ますと、少なくとも更生計画案の八百二十九名、これに対して八百四十九名、当時、早期退職だとか希望退職だとか、訓練生や航空機関士の地上職へ編入する等々でやっているんですね。だから、当時だって、いわゆる更生計画案を超えてやっていることは確かなんですよ。ですから、そういう実態を知られたくないから答えないわけですやんか。そういう問題について、どうなっているんだということを調べなくちゃなりませんよ。
では、もう一つ聞きますけれども、二〇一〇年末の不当な整理解雇実施後、パイロットの中途採用はありますか。
○田村政府参考人 日本航空において、二〇一〇年末以降にパイロットの中途採用は行っていないという報告を受けております。
○穀田委員 行っていないと。
次に、客乗について聞きます。
二〇一〇年十二月三十一日時点で何人の客室乗務員を削減したのか。早期退職による者は何人か。そして、不当解雇、整理解雇、それは先ほど若干ありましたけれども、それは省いていいです。
二つ目に、二〇一〇年末の解雇実施後もJALの客室乗務員が退職しています。退職したのは何人か。
三つ目、一方で採用を始めていますけれども、何人採用していますか。
三つ答えてください。
○田村政府参考人 最初のお尋ねの、客室乗務員としての内訳の数字、これはパイロットと同様でございまして、日本航空に聞きましたところ、非公開の数字であるということでございまして、この場でお答えできる状況にはございません。それで、職種を問わない合計の数字というのは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
それから、二〇一一年一月以降の退職者数というのも、ちょっと私ども、把握をしておりません。ただ、直近三年間の採用数というのは把握をいたしました。
これにつきましては、申し上げますと、二〇一一年度は採用の実績がないということでございます。そして、二〇一二年度から再開をしておりまして、二〇一二年度に約六百五十名、二〇一三年度は約六百六十名を採用しているというふうに聞いております。ただ、これは、日本人とそれ以外というのが合わさって入っておりますけれども。
○穀田委員 こういう問題について、私、何回も質問をしているんだけれども、本当に国交省というのは、もちろん、相手に聞いてはいるんですよ、聞くまではやるんですよ。その後、わからへん、答えられませんといって、引き下がるのがようわからぬのやね。だって、国民の税金を投入しているわけだし、しかも情報公開をやっているんだし、やるんだという話をしていて、自分たち、国民の税金を預かってやっているんだから、それを投入しているわけだから、結果ぐらい明らかにしろというのは当たり前じゃないかと私は思うんですよね。
なぜ私はこのことを一生懸命聞いているかというと、客乗も乗務員もそうなんだけれども、問題は、あの更生計画、それとの関係でどれだけ首を切っているのかということをやはり国民に明らかにする必要があるからなんですよ。これだけやめてもらうなんていう話を、どうなっているのかということを国民が知る権利があるわけですよ。そして、あなた方は知らせる義務があるんですよ。
ですから、では裁判でどうなっているかというと、十二月三十一日の時点で客室乗務員の有効配置数は四千四十二名となっており、計画における二〇一一年度末時点での必要稼働数四千百二十名を下回っている、こういうふうに指摘して、そのことに対しては何ら反論がないんですね。だから、国交省は、ここもひどいけれども、ここよりもひどいという感じがしますよね。
それで、先ほど、合計すると千三百十名になるんだけれども、聞きますと、八十四名の首を切っておきながら、千五百八十名の採用が確定しているというのが私がつかんでいる数字です。
結局、そうなりますと、三人に一人が新人。先ほど田村局長からありまして、外国人も採用していますから、外国人のクルーもある。それはもう労働者では二人に一人とも言われているという現実ですよ。新人がふえたことによってトラブル多発、安全保安要員としての未熟さが原因になっているということが言われている。新人の比率が高いことは、退職者が多いことのあかしでもあるわけですね。
だから、安全確保に責任を持つべき国交省が、企業の状態や出入りすら把握せずに、どうしてそれを担保することができるのかと私は思わざるを得ない。だから、そういうのは、企業任せにしているとか、企業が言わないからといって、はい、そうですというようなことを言って引き下がっちゃだめだと私は思います。
そこで、先ほど、なぜ自衛隊のそういう割愛ということになるかといったときに、副大臣のお答えにありましたけれども、ベテランのパイロットは即戦力なんですね。そして、客室乗務員も、もともとこれは、解雇された方々も含めてなんですが、即戦力なんですね。だから、不足するパイロットや客室乗務員を、単に今の事態に備えるだけじゃなくて、先ほど言いましたように、今後の育成、確保する上で重要な役割を果たすということだと思うんです。
だから、一番最初に言いましたように、現状と課題といいますか、その点で大臣のお答えにありましたけれども、政府が航空産業従事者の育成、確保についてきちんと責任を負うということならば、JALにもこの立場で指導を要請すべきだと考えます。
歴代大臣は、太田大臣もそうですけれども、この一連のJALの不当解雇をめぐる問題について、円満解決を望むと述べてこられました。だとすると、航空業界における人員不足への対策のアプローチとしても、何らかの指導力を発揮すべきじゃないんでしょうか。その点での見解をお聞きしたいと思います。
○太田国務大臣 パイロット、整備士の不足全体についての現状、課題ということについては、冒頭、私が申し上げました。
ただ、JALを整理解雇されたパイロットや客室乗務員という問題については、これは現実には個別企業において雇用関係にかかわる問題でありますので、これは日本航空において適切に対処すべきものであると私は考えています。このため、行政として関与することは適切ではない。
いずれにしましても、日本航空の整理解雇については、現在、司法の場で争われているということでありますので、その推移を私としては見守りたいというふうに考えております。
○穀田委員 個別企業だから行政として関与するのは適当でないと。私は、そうは思いませんね。ILOだってこの問題について憂慮を表明し、すぐれてこの解雇の問題は、その対象者が、労働組合の役員が中心にやられているという問題に着目して、そうなりますと、解雇問題について労働組合の代表と経営者が話し合うべき、そういう形をつくるのが本来の役割であるにもかかわらず、それを除外することになる。そういう意味からいっておかしいじゃないかということで、双方の話し合いをきちんと指導すべきであるということをわざわざ勧告しているわけですやんか。それが事実ですわね。ですから、その意味では、政府はその役割を果たすことが求められていると私は思います。これが第一です。
もう一つ。この間、パイロット不足、それから乗務員、整備士の不足という問題を含めて、政府は規制緩和をやっているわけですよね。それは、年齢制限だとか同乗の条件だとか、機長と副操縦士が同乗する、そういう条件の緩和だとか、それからフライトの時間を延ばすなどをやっているわけですね。それでも、将来にわたっていうと不足するからというので、対策を講じようとしているわけですね。
ビジネス誌はこう言っているんですね。航空関係に関連するビジネス雑誌は、団塊の世代の大量退職などでパイロットが足りなくなっている。ところが、六十歳以下の首を切っている会社がある。再生中とはいえ、史上最高の収益を上げて大もうけしているのに首切りを強行した日航だ。政府が主導し、公的資金を入れた、これは政府の責任もある。片や首切りしておいて、パイロットが足りない、何かおかしい、こう述べて、パイロットが足りないというなら、まず首切りしたパイロットを職場に返してからだろう、こう述べて、記述しています。私は、これが普通の感覚じゃないかと思うんですね。
そこで、それは確かに、今裁判の進行中だという問題はありますよ。だけれども、この問題については最低限、解決の話し合いのテーブルをつくるとかを含めて、やはり何かしら大臣ができることはないのかということを探求すべきじゃないでしょうか。いかがですか。
○太田国務大臣 労使で話をするということは、私は必要なことだと当然思いますが、現在、司法の場で争われているということでありますので、私としては推移を見守りたいというふうに申し上げているところでございます。
○穀田委員 労使の話し合いがこの問題についてなかなかできる実態にないということを、わざわざILOが勧告しているという事実を見てくれなあきまへんで。
やはり、この問題についての解決は、先ほど言いましたように、一連の、何回も私はこの問題についてずっと質問してきました。今、新しく、パイロットの不足という問題からやりましたけれども、そういう、いわば自衛隊の方々に退職をしてでもやっていただくということまで、割愛制度まで復活させる、こういう事態を考えたときに、それだったら、もともとの人を入れたらええやないかということぐらい、それは普通の常識でっせ。それが普通の人間の感覚だということを述べて、終わります。
――――◇―――――
○梶山委員長 次に、内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
―――――――――――――
道路法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○太田国務大臣 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
高速道路の建設開始から半世紀が経過し、今後その老朽化対策として計画的な更新を推進する必要があります。また、都市再生や地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が高速道路株式会社と締結する協定や、機構が作成する業務実施計画に、更新事業に関する事項を定めなければならないこととしております。また、高速道路の更新財源を確保するため、建設債務の償還満了後の一定期間において、継続して料金を徴収することができることとしております。
第二に、道路の上部空間を活用し、都市再生事業と高速道路の維持更新事業との連携を図るため、立体道路制度を既存の高速道路にも適用できることとしております。
第三に、高架の道路の下部空間の活用を図るため、占用の許可基準の緩和や、占用者を公平に選定するための入札制度を創設することとしております。
第四に、地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、スマートインターチェンジの整備に対する新たな財政支援を行うこととしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会