衆議院

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第18号 平成26年5月23日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年五月二十三日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    門  博文君

      熊田 裕通君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    谷川 弥一君

      土井  亨君    林  幹雄君

      原田 憲治君    藤丸  敏君

      堀井  学君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    川端 達夫君

      寺島 義幸君    岩永 裕貴君

      坂元 大輔君    松田  学君

      村岡 敏英君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (林野庁次長)      宮原 章人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        鈴木 千輝君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     藤丸  敏君

  大西 英男君     穴見 陽一君

  中村 裕之君     堀井  学君

  長坂 康正君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大西 英男君

  熊田 裕通君     長坂 康正君

  藤丸  敏君     井林 辰憲君

  堀井  学君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建設業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)

 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、建設業法等の一部を改正する法律案及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君、総合政策局長西脇隆俊君、土地・建設産業局長毛利信二君、住宅局長井上俊之君、内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、内閣府大臣官房審議官豊田欣吾君及び林野庁次長宮原章人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤(博)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、国土交通委員会で初めての質疑でございまして、まことに感謝を申し上げます。

 時間も少ないので、早速質疑に移ります。

 きょうの質疑の対象の法律案は二本。まずは、建設業法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。

 私は、国会議員になる前は、静岡県の磐田市の市議会議員を平成十五年から九年間やっておりました。そのときに、やはり建設業界の方々からいろいろな御意見をもらったんですけれども、どんな意見が多かったかというと、落札価格が低過ぎる、これが一番多かったんですよ。

 そして、中にはこういう意見がありました。調査価格を切っても落札にしちゃうんですよというふうに。これはまずいでしょうと思ったんですけれども、その土地その土地のいろいろな市政運営の方針があるのかもしれません。市会議員としてもなかなかお力になれなかったというのは反省しているところでございます。

 もう一つの言い方があったんです。それは、我々建設業者は災害のときに出動するんだよ、災害時の応援協定を市と結んでいるんだ、それなのにこんなに価格が低かったらもうとてもやっていられない、そういう話が出てきたわけであります。

 これは、私の磐田市、静岡県だけではなく、全国的な傾向であろうとは私は思うわけなんですが、では、そもそもどうしてこういう状況になってしまったか。それはやはり、平成十三年から始まった構造改革、そこに端を発していることは、私は間違いないと思うんですね。

 この構造改革の方針、どういうふうに書いてあるかといいますと、「我が国の公共投資には、「ムダがある」、「高コストである」、「止める仕組みがない」」、こういうふうに書いてある。そして、だからこそ新世紀型の社会資本整備にしていかなければならないんだというふうに書いてあるんです。

 だから、具体的にそこから出てきた政策の方針とすると、公共事業予算を削減する、入札方法を見直していく、こういう主な方向が出てきた、私はそのように把握をしております。しかし、結果としてどうなったかというと、この法律案の提案理由のとおり、競争が激化した、経営環境が悪化した、下請企業へしわ寄せが行った、労務環境が悪化した、担い手が不足した、こういうことになってしまったわけであります。

 実は、もう一つ大事な論点がありまして、それはアベノミクスに対する影響なんです。昨年、皆さんも地元でいろいろ言われたと思いますが、アベノミクスが地方に波及していないということが方々で言われたと思います。

 実は、この波及していないことの要因の一つが公共事業の予算カットにあるわけでありまして、私も地元でこうやって言われたんです、アベノミクスが始まったばかりのときに。人が足りない、ダンプとかの資材が足りない、予算をつけられたって工事できるわけないでしょうと言われたんです。

 もう一つは、人件費が上がっている、資材が上がっている、今までの価格では多分落札できないでしょうね。構造的な問題と経済的な問題があって、こういう問題点も既にアベノミクスの前半で寄せられていました。

 ですので、この大きな問題を一挙に解決する手法として、今回の法律案は私は大変地方にとってもありがたいものだなと思いますし、それに加えて、政策が間違っていたら、ちゃんと反省をして見直していく。私たちは、この十年間で大切なものを学んだと思います。そういう意味でも、この法律案は大変意義のあるものだと私は考えております。

 ですので、今、構造改革の問題点についてはお話をさせていただきましたので、構造改革によって、実際、この社会資本整備にどういう変化があらわれたのか、よい変化はなかったのかどうなのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

 三点ほど絞って申し上げます。

 一つは、ハードからソフトへの政策手段の転換、これが盛り込まれておりましたけれども、これはどのような状態になるのか、まずは御説明をいただきたいと思います。

豊田政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年に発足いたしました小泉内閣におきましては、民間活力が発揮されるための環境整備により、生産性の向上を図るべく、規制改革、金融システム改革、税制改革といった構造改革が進められたと認識しております。

 また、財政につきましては、公共事業を初め、聖域を設けることなく、真に必要な事業に重点化するといった方針のもと、歳出改革への取り組みが行われたと承知してございます。

 経済政策につきましては、その時々の経済状況に応じまして柔軟に運営されるべきものでありますけれども、ただいま申し上げた取り組みもあって、二〇〇〇年代前半から中ごろにかけての景気回復や雇用情勢の改善がもたらされたものと考えておるところでございます。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 ハードからソフトへの政策転換ということについてはちょっとお答えいただけなかったようですけれども、次の論点に移らせていただきます。

 PFI、これも実は構造改革の中で取り上げられていた手法でございました。このPFIというものが、この十年間で普及したのかどうなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 PFIにつきましては、平成十一年に自由民主党の皆様の議員立法で関連の法律ができて、それ以後スタートしたわけでございます。この目的といいますのは、よく御存じのように、公共施設につきまして、民間の資金、それからノウハウ等々を導入して、民間活力のもとで整備していこう、また運営していこうというものでございます。これまで、事業規模にいたしまして約四兆三千億円の規模にまで累積で至っております。

 ただ、今後につきましては、例えばインフラの老朽化でございますとか、インフラにかかわるサービスの向上等々課題がある中で、財政制約もございますので、税財源になるべく頼らない、利用料金等が発生するようなPFIになるべく切りかえていこうということで考えておりまして、昨年の六月には、このような考え方を取りまとめた十年間のアクションプランといったものを策定いたしまして、コンセッション方式などを重点的に推進するということにしておるところでございます。

 ちなみに、コンセッション方式につきましては、これも御存じかと存じますけれども、仙台空港でございますとか関西国際空港、さらには上下水道などにおいても検討が進んでおりまして、内閣府といたしましても、引き続き推進してまいりたいと考えております。

宮澤(博)委員 では、もう一点だけお聞きします。

 入札に関する効率化、特に電子入札等、こういうことに関しては、普及が進んだのかどうなのか、お答えをいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 入札参加のためのコスト縮減、あるいは業務の効率化、また透明化を一層向上させていこうということで、公共事業におきましては、平成十三年から試行を始めまして、現在、国土交通省の行います直轄工事、あるいは建設コンサルタント業務の発注につきまして、平成十五年四月から電子入札の全面的な運用を開始しておりまして、現在、発注の全件につきまして電子入札による入札を可能という形にさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 これまでの時間を使って、構造改革について議論をさせていただきました。

 その構造改革を経て今回この法案が出てきたわけですけれども、この一連の法改正で一体何を目指すのか、何が課題であってどういうふうに業界を持っていこうとしているのか、国民生活にどう影響が与えられていくのか、ここのところを省庁として御説明をいただきたいと思います。

太田国務大臣 問題意識は、実は私がこの職になりまして本当に実感をしているところでございます。

 日本の中で、構造改革というこの言葉自体は、なかなか、四文字熟語に気をつけよという言葉が逆にあるんですが、富国強兵から始まって、四文字熟語で何となくふわっと持っていかれるということが日本の中には明治以来あったというふうに思います。

 この構造改革自体は常に不断にやる、あるいは公共事業において、無駄な公共事業は削り、必要な公共事業はやる、当たり前のことだと思います。

 しかし、近年、公共事業は悪玉だとか無駄だというようなことがかなり敷衍して、乱暴な議論が行われたり、あるいは建設投資の急激な減少ということで将来見通しがきかないというような状況があって、建設業の経営を取り巻く環境が悪化して企業が倒産したり、あるいは赤字でも受注をせざるを得ないというような中で、仕事をしても少しも利益が得られない、そして、若者が希望を失って入るということもない、高齢化が進んでいってリタイアしていく、他業種に行く、こうした現象が悪循環を来していたというふうに思っています。

 しかし、一方、東日本大震災を初めとして、この復興、将来迫ってくる大規模な地震、そしてまたインフラの老朽化が進んできている、極めて重要な仕事であるということで、私は、ここはしっかりとした体制をつくっていかなくてはいけないということを強く思っています。

 そういう意味から、現在の公共事業を担っていく人たち、あるいはまた地域の建設業者ということからいきますと、地域を守っていただかなくては災害等もならないし、同時に、老朽化している構造物を直すというのは、まさに地域の担い手である町医者のような存在の建設業者が健全に仕事を進めていくという体制をつくることが大事だというふうに強く思っているところでございます。

 そういう意味では、安ければよいというようなことではなく、質を確保するという、発注者の意識を変える、そのための法律でもあり、これは議員立法によって品確法の改正とあわせてでありますけれども、そういうこと。そして、ダンピング対策の強化などによって行き過ぎた価格競争というものを排除する、あるいは中長期的な担い手の育成、確保を図る。企業側にとって安定した持続的な予算設定ができて、公共事業が急にふえても困るし減っては余計に困るというようなことで、持続的、安定的な見通しのきく予算というものを確保する。そして、担い手をしっかり確保する、誇りが持てるようにする、そうしたことを含めて、今回の建設業法等の一連の改正ということに乗り出したわけでございます。

 かなりインパクトのある大事な法律だと私は思っておりまして、ぜひとも御理解いただいて、成立をさせていただければというふうに思っているところでございます。

宮澤(博)委員 御答弁ありがとうございました。

 発注者の意識を変える、まさにそこからやっていかないと、地方で、地元で絶対に解決できない問題だと思います。私も大臣の趣旨に賛成、賛同させていただきます。これからもふるさとの発展のため、四文字熟語に気をつけながら、質実剛健でやっていきたいな、そういうふうに思っております。

 さて、法律の内容にもちょっと踏み込んでいきたいなと思うんですけれども、今回この提案理由の中に概要としてポイントが幾つか入っていたんですが、私としては大きく分けて三つ目的があろうかと思うんですね。一つはダンピング受注の防止と適正な施工、二つ目には人材と技術の確保、三つ目に暴力団排除というふうに分けられるのではないかと思われます。

 一つ目のダンピング受注の防止と適正な施工ですが、これは入契法の改正の中で実現されようとしているんだなというふうに私には読み取れました。

 一点目ですけれども、第四章、ここが、「適正な金額での契約の締結等のための措置」と書いてあります。これは具体的な施策としてどういったものが検討されているんでしょうか。

 二点目。一番最初にも触れましたが、調査価格というものがあります。これは低入札価格調査制度というものですけれども、この制度はこの法改正を受けて今後どういうふうになっていくんでしょうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。

毛利政府参考人 ダンピング防止対策の具体的な内容についてのお尋ねでございますけれども、まず今回の入札契約適正化法改正案におきまして、入札契約の適正化の柱としてダンピング防止を位置づけて、さらに具体的には、建設業者に対しまして入札金額の内訳の提出を求める措置をとっております。これによりまして、見積もり能力がないような業者が、例えば最低制限価格で入札するような事態を排除することができるようになってまいります。

 また、ダンピング防止のためには、御指摘のとおり、一部発注者に残る、安ければいい、質よりも価格を重視するという意識を変えて、適切なダンピング防止措置を講じていただく必要がございます。

 このため、改正後の入札契約適正化法に基づきまして、適正化指針によりまして、まず十分な周知徹底、それから発注者の措置状況の把握をしてまいります。それから、国土交通大臣と総務大臣による地方公共団体への要請を法律に基づき行ってまいりまして、ダンピング対策の実効性を上げてまいります。

 低入札価格調査制度についても役割のお尋ねがございましたが、このたびの品確法改正案におきまして、低入札価格調査基準や最低制限価格の適切な設定が発注者の責務として追加されていると承知しております。

 この改正後の法律の適切な運用と一体になりまして、ダンピング対策の強化にしっかり取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 次に、人材と技術の確保ですけれども、これは建設業法の改正で盛り込まれているように私には読み取れました。

 第二十五条の二十七に建設業者の担い手育成、確保、施工技術の確保、第二十七条の三十九に建設業者団体の担い手育成、確保、施工技術の確保、それが定められているわけですが、では、国として具体的にどういう支援策、施策を考えられているのか、お答えをいただきたいと思います。

毛利政府参考人 担い手確保を、今回、建設業法に正式に位置づけて国が支援をしていこうということでございますので、まず、建設業者の取り組み支援といたしましては、賃金の支払いの実態調査を行う、それから社会保険加入を促進するための施策を強化する、あるいは富士教育訓練センターなどの教育訓練機能の強化、こういったものを進めて、個々の業者の取り組みを促進してまいりたいというふうに考えております。

 ただ、個々の業者の方々の取り組み、あるいはそれへの支援だけでは限界もございますので、建設業者団体が組織力を生かして取り組むことを促進することも有効であります。

 このため、建設業者団体によりましては、現在、既に自主的に担い手育成のための取り組みを開始しているものも多数ございますので、国といたしましては、例えば、建設業者団体が独自に実施しておりますモデル的な資格、研修制度を国が取り上げて公表して、その活動の拡大を支援すること、あるいは、必要に応じまして、より効果的な取り組みとしていただくために団体間の調整や助言等を行うこと、それから、熟度の高い取り組みは国の公的制度として位置づけること、こういったことによって取り組みの加速化をしていくことを想定しています。

 改正法の施行後は、このように官民一体となりまして、建設分野におきます担い手育成、確保の取り組みを強化していきたいと考えております。

宮澤(博)委員 最後に、暴力団排除のことについてお聞きしますが、これは極めて常識的なことなものですから、ここで、どうしてこのタイミングで出てきたんだろうか、品質確保とどのように関係があるのか、いや、関係はないけれども出してきたのか、そこの点についてちょっと疑問がありますので、お答えをいただきたいと思います。

毛利政府参考人 まず、昨年の累次の閣議決定におきまして、さまざまな業法について暴力団排除を徹底するため、「法改正の機会をとらえて、法律で欠格要件等に暴力団員等を加える方向で検討する。」などとされたところでございます。

 また、残念ながら、暴力団が資金獲得のために建設業に介入するなどの実態が見られることも踏まえますと、建設業からの暴力団の排除を徹底する必要があると考えております。

 現在でも、運用上、建設業の許可時に暴力団の排除に努めておりますけれども、欠格要件として明確に位置づけられていなかったために、許可後に暴力団員等と判明した場合にも建設業の許可が取り消せないといった法的な問題がございました。

 こういった点を踏まえまして、この法案では暴力団排除条項を整備するということにしたものでございまして、警察などの関係機関とも連携しながら適切な運用に努めまして、建設業からの暴力団排除の徹底と信頼の確保ということを図ってまいりたいと考えております。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 では、もう一点、時間が来ますけれども、一括して質問させていただきます。次の建設基準法についてなんですね。

 この建設基準法、ポイントが幾つかありますけれども、ここでは木材利用の促進に限って質疑をさせていただきたいと思います。

 木材利用の促進、これはもうやらなくちゃいけないということはわかるんですが、では、利用可能になっている人工林の資源は一体どれだけあるんだろう、そして、これから年間どれだけ木材が育成されていってしまうのか、そこのところのデータをまずお聞きしたいと思います。

 そして、それと比べて、比べ物にならないかもしれませんが、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律というものも存在しているわけであって、公共建築物のうちで木材で建築したものの実績、それから今後の目標がどうなっているのか。

 さらには、今回の法改正で可能になってくる三階建ての学校等、ここら辺はどのくらい需要があるのか。では、その需要に対して木材の利用はどのくらい見込まれているのか。

 この木材の利用促進について一括してお聞きしたいと思います。お願いします。

宮原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、荒廃した森林の再生や木材需要の増大に対応するため、戦後、先人たちが営々と努力によりまして一千万ヘクタールの人工林が造成されてきたところでありまして、これらの人工林資源が順次本格的に利用可能な段階を現在迎えているところでございます。

 平成二十四年三月三十一日現在、木材として本格的な利用が可能と考えられますおおむね五十年生以上の林分ですが、面積で見ますと、人工林全体の約五割に当たります約五百万ヘクタール、蓄積で見ますと、人工林全体の約六割に当たります約十九億立方メートルというふうになっております。

 木材として利用可能な人工林は毎年増加しておりまして、国産材の利用が現在の水準で推移したといたしますと、五十年生以上の林分は、五年後には人工林面積全体の六割を超える見込みであります。また、森林資源全体で見ますと、毎年約一億立方メートルずつ増加しているというところでございます。

 林野庁といたしましては、新たな木材需要の創出や国産材の安定供給体制の構築を進めまして、この豊富な森林資源を循環利用することにより、林業、木材産業の成長産業化の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

鈴木政府参考人 目標と実績でございますけれども、まず目標につきましては、法律に基づく基本方針におきまして、災害の応急対策活動等に必要な施設等、木造化が困難な施設を除きまして、低層の公共建築物において木造化を促進することとしております。

 実績でございますが、二十四年度に完成した国の公共建築物のうち木造化したものが四十二棟でございます。一方、木造化が困難な施設もございます。これらは内装の木質化をできる限り行っておりまして、木質化を行ったものが二百五十八棟となっております。

 今後も木材利用のさらなる促進に努めてまいります。

井上政府参考人 細かい計算の過程は省かせていただきますが、大体最低百棟ぐらいは三階建てが建つのではないか。七万二千五百立米の木材、構造用材が新たにできることになります。それから、戸建て住宅に換算すると大体三千棟分ぐらいだというふうに思っております。

宮澤(博)委員 どうもありがとうございました。以上で質疑を終わります。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。

 初めに、建設業を取り巻く最大のテーマの一つ、担い手確保についてお伺いをさせていただきます。

 この担い手確保につきましては、本年一月に建設産業活性化会議を設置し、外国人材の活用のための実習制度の改善などに取り組まれております。

 先月の二十四日、国交省と日建連初め関係五団体とで合同会議が開かれ、五年以内に建設業界の女性を倍増させる目標を掲げたということでございました。

 先日、地元の会合で、若い御夫婦で鉄筋工事業を営む方にお話を伺いました。奥様も、これは私の天職ですと大変に誇りを持ってお仕事に従事されて、自信を持って語っていらっしゃいました。今後、女性が建設の現場で活躍される、また活躍しやすい環境の整備の重要性を改めて実感した次第であります。

 現在、国交省では、女性の力や感性を存分に発揮していただけるモデル工事の実施を検討しているということでございますけれども、この女性活用のモデル工事に向けた取り組み状況について、ぜひ詳しく御説明をいただければと思います。

太田国務大臣 担い手ということで、外国人の活躍の場をということは一つの方策でありますからやったんですが、それ以上に、国内の、高齢者であって一旦リタイアした人たちが戻ってくるように、そして若者がより一層この職種に入ってくるように、そしてもう一つ、女性が参画できるようにということで、国内の建設関係の人材の確保というものが非常に大事だという中で、女性ということについて、この職場はなかなか女性が入ってこないという傾向がありましたから、これを推進していこうという動きを開始したところでございます。

 建築の世界ではかなり女性がふえてきているということはあるんですが、また造園の世界でもあるんですが、土木の世界では少なかったんですね。ところが、最近は、土木の女性、いわゆるドボジョ、そう言われる人の活躍が非常に目立つようになってきました。建設現場でドボジョの方がいらっしゃる、そうすると、何か建設の殺伐とした空気が和らぐとか、いろいろなことが、現実にはいい状況が起きてきているということをさらに推進しようという中で、女性技術者の登用を促すモデル工事ということも提案しようというふうに思っているところです。

 女性の感性や生活者目線という、造園工事ということもそうでしょう、それから環境とか騒音対策とか安全対策という分野での対外調整力が生かされるという市街地での工事、これらについて女性技術者の配置というものがあることを条件の一つとしていくというような、女性技術者の配置を求める工事を試していく、試行をするということを考えています。

 モデル工事につきましては、できるだけ速やかに実施したいというふうに考えておりまして、できれば夏ごろから随時無理のない範囲で実施をしてというふうに考えているところでございます。

 非常に大事な、女性の活躍の場をということは大事なことでありますので、さらに推進をする決意でございます。

佐藤(英)委員 御決意のほどお伺いさせていただきました。ぜひ御推進のほどよろしくお願いします。

 次に、建築基準法についてお伺いいたします。

 今回の法改正では、容積率の制限の合理化についても図られることになります。

 一つは、老人ホームなどの地下室の床面積を延べ床面積に算入しない特例であります。

 もう一つは、エレベーターの面積について、これまで各階ごとの床面積に算入されていましたものを容積率から除外するというものであります。

 確かにエレベーターホールは、居住空間とは違い、吹き抜けと同様、空間的に活用されていると捉えると整理をされ、延べ床面積から除外するということであります。エレベーターだけで一つのフロア当たりおおむね二、三%を占めておりますので、今回の緩和措置が実施されますと、その分を定められた容積率の中でさらに有効に活用することができるわけでございます。

 これから家を建てよう、ビルを建てようという方にとっては、新制度が早く施行されればこれが利用できるようになるというわけであります。ただ、しかし、反対に、この制度が始まるまでは、少し建てるのを先延ばしにしようということになりかねないということもあるのではないかと懸念をいたすところであります。

 このエレベーターの容積率の不算入について、ぜひ大臣の御決断で早期に執行してはいかがと思うのでございますけれども、お考えをいただければと思います。

太田国務大臣 今回、お願いをしております建築基準法の一部を改正する法律案の中で、実は、大変反響がある、そしてまた、動きがかなり加速するであろうというのは、御指摘のエレベーターの容積率不算入ということを今回実施したいという項目でございます。

 エレベーターの設置によって、バリアフリー化の促進あるいは建設投資の増大による経済の活性化という結果が間違いなく期待をされるというふうに思います。では、それを待っておこうということになると時間がかかって、かえって建設が動かないということになってはいけないというふうに考えております。

 この法律では、公布から六カ月以内の施行ということになっておりますが、成立させていただきましたら、公布から四十日程度をめどにしまして、できるだけ早く施行させたい、このように思っているところでございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、参議院で行われました三月六日の予算委員会におきまして、我が党の長沢広明議員が質問をしておりますけれども、グループホームのスプリンクラーの設置の義務づけに伴いまして、住宅を転用してグループホームにする場合の防火規制を合理化すべきであるという内容であります。かつて、私の地元、札幌の北区でもグループホームが火事になりまして、大変な犠牲者が出たという深刻なことがありまして、大変に関心のある問題であります。

 それに関連して、私はシェアハウスについて伺いたいのですけれども、最近、違法シェアハウスという言葉がたびたび報道等で取り上げられます。一つの部屋を蜂の巣のようにカプセル状に仕切って、窓もないような、そもそも住環境にふさわしくないもの、これは当然規制の対象となると思います。もう一方、これとは違う、戸建て住宅を活用しながら、各居室がしっかりと生活にふさわしい環境を整えているにもかかわらず、防火規制によって違法の枠にくくられてしまっているものもあるわけであります。

 窓先空地など、防火規制の適正化により適法となることがわかっており、現在、国土交通省で検討中と伺っておりますけれども、こうしたシェアハウスなど、寄宿舎の防火規制の緩和についてお伺いをしたいと思います。

 特に東京都は安全条例も定めておりまして、国交省にはしっかりと連携して積極的に進めてもらいたいと考えますけれども、御見解を伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 グループホーム、シェアハウスについては、建築基準法上は寄宿舎という扱いになってございます。火災時の安全性の確保、これはもう過去の火災事例を見るまでもなく、大変重要なことだということをふだんから考えているところでございます。

 その中で、東京都では、共同住宅、寄宿舎について、建築安全条例で、窓先の空地の確保という、国の基準とは別途、付加的な基準を設けられているということでございます。

 寄宿舎の規制につきましては、グループホームの火災を踏まえまして、スプリンクラー設置の義務化などの検討が消防庁で行われていまして、私どもも一緒に議論に参加をしてまいりました。

 この過程を経て、一定の場合には安全が確保できることを前提に規制の緩和ができるのではないかということで、具体的に、スプリンクラー設備が設けられた場合、あるいは、各部屋から直接屋外に避難できる、避難が極めて簡単な、容易な構造である場合、こういう場合には、間仕切り壁の防火対策というのを基準法で求めているところですが、これを緩和できるのではないかということで、大臣からも御答弁いたしましたように、検討させていただいております。

 問題は、東京都の窓先空地に関する安全条例でございますけれども、これは建築基準法の寄宿舎の規制と一体で連動する内容でございまして、規制緩和の私どもの検討状況については、逐次、東京都の方に情報提供させていただいております。また、必要な検討をあわせてやっていただけないかということで、依頼してまいりたいと思います。

佐藤(英)委員 ぜひ御検討をお願いします。

 また、本日審査となりました入契法、建設業法及び参議院を通過しております公共工事品確法は、中長期的な公共工事の品質や担い手の確保を実現するために、一体で今国会に提出されているものと認識をしているところであります。

 また、公共工事の品質を確保する上で、特に、発注者の責務の明確化は非常に重要であります。大臣が、昨年来、関係者一体となって魅力ある建設業の構築に努力している中で、大変残念なことに、一部の発注者の間でいまだに歩切りが行われているという実態もあります。

 そこで、歩切りとは何なのか、根絶すべき理由など、歩切り根絶のために、改めてお伺いをいたしたいと思います。あわせて、ダンピング防止への御決意についてもお伺いをしたいと思います。

毛利政府参考人 御指摘の歩切りでございますが、これは、設計書金額の一部を正当な理由なく控除して予定価格を設定する行為であるというふうに認識しております。

 こうした行為は、公共工事の品質を損ない、工事の安全の確保に支障を来す、あるいは公共工事の下請企業や現場の職人へのしわ寄せを招く、こういったことで、建設業の健全な発達を阻害するおそれがありまして、これまでも歩切りを厳に慎むよう公共団体に対して繰り返し要請し、また、これまでの入札契約適正化法に基づく適正化指針にも明記をしてきたところでございます。

 今後は、品確法の改正法案におきましても、予定価格の適正な設定を発注者責務と位置づけていると承知しておりまして、歩切りの根絶に向けまして、公共団体への働きかけをさらに強化してまいりたいと考えております。

 同様に、ダンピング受注につきましても、下請へのしわ寄せ、担い手の確保、育成を困難にいたしますので、その防止の徹底を図るためにしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、建設業法の改正について伺います。

 今回の建設業法の改正で、四十三年ぶりに業種の区分が見直され、解体工事業が新たに建設業に加わることになりました。地元の解体業者の方々も大変に喜んでおられます。また、地元の建設業の方々と話しますと、昨年の四月、ことし二月と二度にわたって設計労務単価が大幅に引き上げられたことについて、社会保険加入と賃金アップにつながったと大変に感謝する声をあちこちで聞かれます。

 市場の労務費の状況を設計労務単価に反映すべく、毎年十月に労務費調査を実施されておるわけでありますけれども、目下の情勢に鑑みて、より一層市場の動向に的確に対応し、機動的に労務単価を見直していくために、この労務費調査についてさらに充実させるべきではないかと思うのでありますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

毛利政府参考人 公共工事の設計労務単価につきましては、昨年度二度にわたり引き上げを行いまして、賃金に反映させるよう、事業者団体とも一体となって取り組んでいるところでございます。こうした取り組みの成果や最近の労働需給の逼迫によりまして、市場での賃金も上昇傾向にございます。

 これまでも、賃金動向につきましては、きめ細かく四半期ごとにその把握に努めてきたところでございますけれども、ことしにつきましては、賞与の状況もしっかり把握しようということもありまして、例年の十月調査の実施以外に、七月に行います調査において一定のサンプル数を充実させて調査をしたいというふうに考えております。

 来週から業界団体に説明を開始しまして、調査の協力を行うというふうにしておりますけれども、なお、誤解があってはいけませんのであえて申し添えますと、こういった二度の調査を行いますけれども、そのことが直ちに単価改定、あるいはその時期はどうなのかということが議論されますが、それについては全くの白紙だということを申し添えさせていただきたいと思います。

佐藤(英)委員 ぜひ、鋭意御検討していただきまして、業界の方、職人の方が喜んでいただけるように進めていただければと思います。

 最後に、地元北海道の通年施工に係る件についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 北海道の冬は大変な積雪寒冷でありますので、少し前までは冬期はほとんどと言っていいほど建設工事は発注されず、ほぼ専ら除雪や排雪などに当たるというのが建設業者の仕事でもございました。

 しかし、現在は施工技術も向上し、養生その他、手間と時間はかかるものの、冬期でも工事を進めることが可能となってまいりました。おかげで冬の工事も徐々にふえてきており、建設業の季節労働者の冬期失業者数の大幅減少にもつながってきているものと思います。しかし、現場の声を聞くと、まだまだ冬の工事量は少なく、特に単価については冬期間に十分対応していただけていないということでございます。

 今回の法改正で、春先の発注が可能となるような取り組みがなされますけれども、北海道では単価の安い春から秋のうちで工期の設定される発注が多いのが現実であります。本来は、春から秋までの工事であっても、冬場、仕事が激減する状況を考慮した単価ということも御検討いただければと思うのでございます。

 今後、北海道などの積雪寒冷地における発注時期の平準化や、冬期の状況を踏まえた施工単価の適正化などを一層推進することによって、地元の建設業を取り巻く環境の確実な改善にもつながっていくものと期待ができるものと私は思っているものでございます。今後の取り組みについてもぜひお伺いをさせていただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 確かに、委員御指摘のとおり、北海道の豪雪地帯を中心にいたしまして、冬期期間の施工あるいは施工量に対して波があるということ自身御指摘のとおりでございます。実際に施工がなかなか難しいという状況でそういうことが起こってきているというわけでございます。

 ただ、先ほど委員の御指摘もございましたように、コンクリートの養生をしなくてよいような、例えば二次製品、既にある製品を現場に据えつけるというやり方とか、あるいは仮囲い、テントのような仮囲いを現場に設置いたしまして、雪でも、あるいは寒いときでも工事ができるような工夫を行ってきているところでございます。一定量の冬期の工事実施をさらに続けていきたいというふうに考えているところでございます。

 あと、加えまして、例えば会社の人材を有効に活用していただくということで、できるだけ会社に裁量を与えるという視点で柔軟な工期を設定するという取り組みも行ってきているところでございまして、これを一層全国規模、あるいは特に積寒地を中心に広げていきたいというふうに考えているところでございます。

 手間の問題に関しましても、既に北海道を初めとします積雪寒冷地におきましては、工事中も当然除雪をしないといけないということになりますので、手間賃、要は経費の割り増しやら、あるいは機械の損料の割り増しといったようなことも行っておりますし、冬期の際の除雪費用も支払っていくということも努めてきているところでございます。

 いずれにしましても、将来のインフラの維持管理、災害対応等で地域の守り手、町医者のような貴重な存在あるいは役割を果たしていただけるように、一層私どもとしても今までの取り組みを拡大していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 ぜひ、積雪寒冷地の状況を踏まえた上で前向きに御検討していただくことを強くお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。日本維新の会、村岡敏英でございます。

 きょうは、建設業法、そして建築基準法の一部を改正する法律案に関して質問したいと思います。さらには、きょう小泉政務官に来ていただきましたけれども、PFIに関して質問したい、こういうふうに思っております。

 二日連続、小泉政務官、申しわけございません。先ほど、委員会の中で小泉元総理の話題も出ておりましたが、聞いていらっしゃらなかったと思います。

 これまで、建設業というのは、ピーク時には八十四兆円あったわけですけれども、それが現在、四十五、四十八と、もう六割近く落ちている。地域の建設会社が本当に力をなくしてしまった。やはり、防災やいろいろな面でしっかりとした機動的な動きができなくなった。

 あの東日本大震災のとき、国交省の今の道路局長が、くしの歯作戦ということで、地元の方にお願いして、あのときにはしっかりと道路網を開いたわけですけれども、現実には本当に、私もずっと歩いていて、建設会社がどんどん減っていくのを見てまいりました。その減り方も、例えば受注しても赤字で倒産。そして、仕事も少ない。

 こんな現状の中、やはり建設業法を変えていくということは大変必要なことだとは思っております。しかしながら、今のこの東日本大震災の需要、そしてオリンピックへ向けての需要、国土強靱化、これがいつまで続くのかということが建設会社にとっても大変な問題であり、そして、地域の安心や安全を守るためにもこれは大変だと思っております。

 そういう意味では、太田大臣には、この継続性、そして、建設会社の地域での役割を考えた国交省としての長期的な視点をお聞かせ願いたい、こう思っております。

太田国務大臣 まず、これからの日本の防災・減災ということを考えますと、大地震も切迫をしている、そして老朽化対策というものもやっていかなくちゃならない。また、町をグランドデザインというか、人口減少であるといっても、それは全国的に人口があるわけですから、生き抜いていかなくてはならない。また、日本海側にも大きく発展する場を、ロシアを初めとするファクターが非常に盛んになるということでもございます。

 そうしたことからいきまして、また、積雪というようなことについては、毎年のように建設の企業が、昔は重機を持っていて人員があってというようなことも現実にはやっていただかなくてはならないというように、いろいろやらなくてはいけないということであったわけですが、なかなかそれが、景気ということがあって、予算が急にふえたり、ふえることはいいんですが、それは逆に、どうやってそれをこなすかということもあったりします。急に減るのも困るが、急にふえるのも困る。

 そこで、地域の守り手、町医者として、本当に持続的に、安定的にこれから予算が設定をされていくということが、これから、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化ということの上からも、また、地域を守るということの上からも極めて重要だというふうに私は思っているところです。

 そういう意味では、いい仕事が、また、手に職のあるというようなことが誇りであった時代を取り戻すというようなこともありまして、地域の建設業者が安定的、持続的に、また誇りがあって、そして、多くの若者もそれによって入ってくるというような誇りある業種に持っていくということが極めて大事であるということで、いろいろな角度から総合的に対策をこの一年有余とってきたというところでありますが、さらに頑張っていきたいと思いますし、東北の復興が成ったら、あるいは二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックが終わったら仕事が急になくなるなんというようなことではなく、長期的な視点に立って持続的、安定的に仕事をしていただくことが大事なことだというふうに私は思っているところでございます。

村岡委員 ありがとうございます。

 建設業界が非常に非難されたという原因の中には、談合問題が、官製談合もあり、業者同士の談合もあり、そして無駄な公共事業と言われて、大変長くたたかれてきました。

 その中で、この法案の中で、ダンピング問題というのがありますけれども、仕事をとらなければ赤字になる覚悟でも回さなきゃいけない、また、仕事だけとって実際には責任を果たさない、手抜き工事もするということで、ダンピングを防止するということは大変大事なことだと思っております。

 しかし、現実に低入で入れたり調整価格とかやっていて、私は、やはり一連の建設の投資が少なくなったことによって、国交省にも、また都道府県にも、見積もりの能力というのが少し下がっているんじゃないか。やはり、人員を少なくする、これはいろいろな構造改革をやった中で、しっかりと見積もりができないということが問題なんじゃないか、こう思っております。その認識は、大臣はどうお持ちなのか。

太田国務大臣 昨今の入札不調というものも、私もいろいろな角度で調べさせていただいておりますが、今御指摘の、見積もりができないという、そういう発注側の人の不足ということが間違いなくあるというふうに思います。そして、今までの例でそのまま見積もりをする、地方議会等に諮っていく、そうした時間的な制約があったりしまして、延長線上でやっているということで、特に建設関係でありますけれども、何回も不調が起きるというようなことが起こったりします。

 ダンピングの防止ということが、これは最悪の事態ですから手を打つというのが今回のことでありますが、今度は、ダンピングということとともに、ある程度仕事が選べるという状況になってきたときの適正価格というようなことも、またよく考えていかなくてはならないことだというふうに思っておりまして、その積算ができるかできないかというようなことについても、私は大変危惧をしているところでございます。

 建設業界に入ってきた若者が、昨今、それがそのまま、実は育てたら役所の方に行ってしまうというような現象も現実にありまして、いろいろな人の動向もよく見て、バランスのいい形で、何とかいい形に着地するようにということを、今懸命に努力をしているところでございます。

村岡委員 大臣言われたように、建設会社で現場も知って、ある程度育った方が、それぞれの自治体とか国交省とかに入っていく。それもこれも、建設会社が適正な利益を得ていないですから、当然給料が低いということの中で、それは公共の方に入った方がいいという、その人の職業の選択ですから、そういう部分もしっかり直していかなければならない、こう思っています。

 それで、担い手の、これがつながることですけれども、建設業界が長く何か悪玉のように言われたので、やはり若い人たちが建設業界を敬遠しているということが続いた結果、人手不足。それから、会社も当然、仕事が少ないわけですから、新しい人を雇うということもしなかったし、またリストラも、ほとんどの地方の会社、リストラをやらなかったら今でも生き残っていない会社がほとんどで、地方の建設会社はほとんどリストラを実行しました。その結果、生き残ってはいるんですけれども、もう一回担い手をふやそうということを国交省や都道府県がやっているわけですけれども、先ほど言った、やはり安定したものがないと、なかなか実際には経営者として雇えないという現実があります。

 その中で、例えば、これだけ今、東日本大震災、東京オリンピック、国土強靱化という中で、いろいろな発注物件がふえています。その中で、今の数でこれがこなせるとは思えないんです。

 例えば、東日本大震災で、不調や不落、たくさんあると思います。その現実に対しては、どのような取り組みの中で、大震災であれば必ず復興復旧をしていかなけりゃならない。それから、大地震に備えるということであれば、一つ一つ早期に完成していかなければならない。そういう部分はどのようにしていくという方針でいらっしゃるか、お教え願いたい、こう思っております。

毛利政府参考人 建設企業がその社会的役割を果たしていかなければいけない、これは今も今後も変わらない命題でございまして、現時点におきまして、これまでの長年にわたる建設投資の縮小の中で、ダンピング受注を繰り返しながら、建設機械を手放し、労働者を手放しという状況の中で、今大きな需要が出てまいりましたので、この需要に的確に対応していかなきゃいけないということでございます。

 実際のところ、例えば被災地の状況を見ますと、不調、不落、発生いたしますけれども、予定価格を適切に設定する、ロットを適正化するということによりまして落札に至っておる、積み残しはないということでございます。このことは、やはり適切な予定価格を設定する、最新の単価を採用するということによって、建設会社が一生懸命人を集めて、そして資材を確保して、受注に対応しているということであろうと思いますし、全国においても同様であろうかと思います。

 今後の民間の投資、あるいは重要な公共投資につきましても、そういったことで、我々としましては、常に資材や労働者の確保の状況などを注視しながらではありますけれども、適切な労務単価の設定を促す、最新の賃金を適用するように促す、そして資材の状況につきましても的確に情報を提供する。あるいは、発注者としても予定工期を示し、そして発注の見通しを統合して発表する。こういった工夫によりまして、建設業者が的確にその役割を果たしていけるというふうに考えております。

村岡委員 それにつなげて、もう一問お願いしたいと思っていますけれども、社会保険の加入というのが大きな、建設会社がこれまで、受注が減って社員を抱えていくときに大変だ、社会保険のお金を用意するのが大変だという中で、リストラしたのもあります。そして、日雇いや工事現場で働く人たちが加入していないのもあります。

 この加入していないのは、やはり労働者の権利であったり、安心、安全のために、これの加入を促進していくのはもちろんいいわけですけれども、現在、元請の会社は別にして、下請の会社なんかで社会保険に加入していない率というのはどのぐらいに把握しているでしょうか。

毛利政府参考人 社会保険の加入状況についてでございますが、簡潔に申し上げますと、やはり三保険の加入状況につきましては、元請の方は非常に高いんですけれども、下請の方は非常に低い状況ということでございまして、特に労働者別に見た場合に、下請の加入状況が非常に低くなっておりまして、平均いたしますと、未加入率で見ました場合に、雇用保険では二五%、健康保険三九%、厚生年金保険では四〇%が未加入という状況にございます。

村岡委員 この下請の未加入というのは、方針では、未加入の会社は発注しても当然工事の参加はさせないという方向性ですけれども、どういうような解決方針を持って、下請の会社の未加入の方々にしっかりと入っていただくということをこれから進めていくのか、お教え願いたいと思います。

毛利政府参考人 まず、ことしの八月から直轄工事におきまして、元請企業につきましては社会保険に加入していないとだめだということと、それから、一次下請企業につきましても、社会保険に加入したところと契約するようにということを求めて、そうでない企業は発注から排除するという取り組みを開始いたします。

 それから、その際、このたびの改正によりまして、施工体制台帳の提出が三千万円以下の工事についても義務づけるようになりまして、その添付書類として社会保険の加入状況もチェックをすることができるようになりますので、下請につきましても私どもは加入状況をきめ細かくチェックさせていただいて、二次以下につきましても、まずは加入するように指導していきたい。そして最終的には、二十九年度におきまして、企業別におきましては一〇〇%加入していただく、労働者別に見ましても製造業並みに九〇%以上加入していただくという目標達成に努めていきたいと考えております。

村岡委員 ぜひ、担い手、若い人たちが入っていく、雇用が今人手不足の中で、建設会社で働くということになれば、やはり社会保険というのは、しっかりと加入していただくということが雇用もふえるということなので、そこの指導はよろしくお願いしたい、こういうふうに思っております。

 先ほど議論の中で、太田大臣が、四文字熟語には気をつけろということで、構造改革であったり財政再建とか、いろいろありますけれども、我々は既得権益の打破ということは言っておりますけれども、その中で、言葉が悪いわけじゃなくて、やはり日本人の、言葉を非常に広げて、そしてそこに熱中してしまう。本来であれば、水を差す人がいなきゃいけない。水を差すというのは悪い意味じゃないので、熱くなったときにもう一回振り返って、これが本当にいいのかどうかということ、これがやはりどの分野の政治にとっても大切なことで、どうしても燃えてしまう、特に国会や県議会や何かはみんな選挙で出てきた人なので、全員熱くなってしまう、そういう中ですから、それは少し気をつけていかなきゃいけない。

 無理やりちょっとつなげますけれども、水を差すの水が出てきましたので、小泉政務官にPFIの水道事業についてお聞きしたい、このように思っております。

 経済諮問会議の中で、これからコンセッションということで、いろいろと安倍総理が語ったと言われていますけれども、まだ議事録もないですし、発表されるのかどうかもわからないんですが、その中で安倍総理は、空港、上水道、下水道、道路の四つを、PFIの一方式であるコンセッション方式についてしっかりと進めていきたい、こう語ったと聞いておりますけれども、それはそのとおりでよろしいんでしょうか。

小泉大臣政務官 村岡先生には、きのうに引き続き御質問いただきまして、ありがとうございます。

 総理の御指示の件でありますが、これは五月十九日の諮問会議、そしてまた産業競争力会議の合同会議の場において、コンセッションを劇的に拡大していきたいと。特に重点分野としては四分野を挙げて、空港、水道、下水道、そして道路、こういった形で、もともと、今、このコンセッションを含めたPPP・PFIのアクションプランという長期目標の中では、十年間で十から十二兆円、そういった目標が設定されておりますが、これを、コンセッションの部分でいえば、当初十年間でやると言われていた二、三兆のものを、三年間で、集中強化期間と位置づけて、大体三倍速ですよね、それぐらいの思いを持って取り組んでいくべきだという民間議員の提言も受けまして、今各省庁で鋭意具体的な案件形成のための努力を促しているところであります。

村岡委員 その中での上水道ですけれども、日本の水の技術というのは、世界各国に自治体が出ていってまで、建設や運営に関して、世界各国に開発、そして援助、いろいろな意味で協力しています。

 その中で、上水道というのは、国民の直接飲む水ですから、当然、命を守る大切なものであり、これは公共性が高いとは思います。しかしながら、これまでの公営企業の中でやってきた水道事業、これに関して安倍総理も、ぜひコンセッションをやりたい、やってくれという形の中で大きな方針を示されたわけですけれども、その中で、今、大阪市が手を挙げていますけれども、そういう大阪市と一緒になって、この方針に従って、いろいろな協力関係、実際にどのようなシミュレーションでやれるか、そういう部分は政府として一緒にやっていくのかどうか、お教え願いたい、こういうふうに思います。

小泉大臣政務官 今御指摘のあったとおり、大阪では水道事業のコンセッション、こういったことで議論がさまざま進んでいると伺っておりますが、とにかく、大阪に限らず、できる限り多くの自治体において、予算の制約、また体制の制約があるような今の現実の中で、新たに、公共施設の運営、そういった部分における民間活力の実施を検討いただきたい。そのために、コンセッション、これをどうやったらより多く具体的な案件形成につなげていけるのかというのが今問題意識ですから、前向きな思いを持って進めてまいりたいと思っております。

村岡委員 ぜひ全国各地でも、水道事業というのは相当進んだ技術であり、そして運営権を民間にやることによって民間のいろいろな活力を使う、そういう意味では、ぜひ検討をこれからもお願いしたい、こう思っております。

 そして、上水道はもちろん国交の管轄ではないんですが、太田大臣は、お聞きしますと、その担当大臣が直接それにかかわるかわかりませんが、水環境政策担当大臣にも任命されている、こういうことですけれども、水の管理ということの中で、内閣としてはコンセッションを進めていくということですけれども、太田大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

太田国務大臣 水循環の議員立法で成立させていただいたものですから、私が担当大臣ということで拝命をいたしました。

 その中には、水全体のことでありますから各省庁にまたがって、上水道は厚生労働省、下水道は私どもというようなことを初めとして、そして、上水道ということからいきますと、地方自治体ということが中心でありますものですから、厚生労働省であるとともに総務省ということになります。そういう意味では、これからかなり上水道事業も、経協インフラ、海外輸出ということでも地方自治体に頑張っていただいて、海外への展開ということが大事だというふうに思っています。

 油が重要であったという争奪戦の時代から、水が大事だという、そうした争奪戦の時代へ入ろうというようなことも現実問題としては起きているというふうに思っておりまして、特に、水道の水がそのまま飲めるなどという国はなかなかなくて、さびが水道管の中で出ない、そして漏水が少ない、しかもその水道水が飲める、こういうのが三拍子そろった国というのはなかなかない。そこの技術水準というのをさらに高めていき、それを運営という点でもコンセッションということで進めていくことが大事で、私も、政府の一員として、また水循環担当としてもこれに取り組んでいきたいと思っているところでございます。

村岡委員 一番、日本が、ベトナムからオーストラリア、マレーシアとかいろいろなところに、世界各国に出ています。ぜひとも、この運営権というのを日本で一つ成功させて、そういう意味でも世界にまた進出していく。そして、水はどの国にとっても非常に大事であり、水に関して一番困っている国が世界的にたくさんあります。そういう意味で、ぜひとも内閣としても、また太田国土交通大臣は水循環担当大臣、道路の下に上水道は通っていると思いますので、ぜひとも下水道も上水道も一緒になって中心でやっていただきたい、こう思っております。

 このことはここで終わらせていただきますので、政務官、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 法案の方に戻りますけれども、建設業法の中で、解体工事業の新設についてということで、解体工事業を業種区分の中に入れたということですけれども、これから、今まで戦後建てた建物やいろいろな構造物というのを壊さなきゃいけない。解体業を改めて位置づけをしたという意味合いは、何かいろいろ、解体業をここにきちんと入れないと、大変困っている問題とか、そういうのがあるということの認識なんでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘のとおり、建設業で許可区分が設けられましてから四十年以上たちましたが、今回新たに、解体工事につきまして、業種区分の追加を行うということでございます。

 その背景といたしましては、今御指摘もありましたように、高度経済成長期以降に建設された多くの建築物が今後の更新等を迎えるということで、解体の工事量の増加がかなり見込まれるということが一点ございます。それからまた、残念ながら、市民を巻き込むような重大な事故の発生も見られるところでありますし、さらには、解体固有のことでございますが、廃棄物の分別や適正処理といった環境への対応の要請ということも強まっております。

 こういった背景を踏まえまして、今回、業種区分を新設いたしまして、必要な経験と技術者を備えた事業者によりまして適正な解体工事の施工の確保を図ろう、これが趣旨でございます。

村岡委員 やはり、解体工事業というのを位置づけたことは大変いいことだと思います。

 解体工事というのが建設工事の中でメーンの仕事じゃなかったものですから、やはり技術的なものも進歩していないと思うんです。産業廃棄物の問題もあります。都市部でもこれから解体しなければならない。環境の問題もあります。例えば、都会なんかでビルの解体をしている途中に大きな資材が飛んだりとか、いろいろな問題が起きています。そこにはやはり、実績をしっかり解体工事業にもつけて、その解体工事業というのも大きな仕事の一つだということで位置づけるためにこれが新設されたということは、非常にいいことだと思っております。

 そして、解体工事業とともに、太田大臣が、維持管理がこれから大切になると。維持管理というのは、これは熟語じゃないですけれども、維持管理という四つの漢字ですけれども、この維持管理が大事だということを何回もおっしゃっております。

 そこで私が考えるに、今まで維持管理というのは、改良工事、新設工事の附属品みたいにちょっと思われていたところがあります。建設会社も、この改良工事をぜひ自分で受注したい、そしてこれを新設したいという中、何となく、維持管理は赤字でもいいからとっておかないと実績にならないな、こういうイメージでずっと来たと思います。ですから、そこをしっかり変えていくという中で、維持管理を、言葉では大臣は、これから大事なことだ、国家のインフラの財産を守るという意味で大事なことだと言っておりますけれども、その辺を、建設会社に明確に具体的なものでやはり示していくことによって、維持管理というのに力が入ってくる、こう思っていますけれども、どのようにお考えでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘のとおり、今後、整備された社会資本の適切な維持管理が非常に重要でございまして、その面でも、建設事業者が果たす役割は大きいと考えております。

 例えば、公共工事に占める維持修繕工事の割合も、平成十四年度は一八%にすぎませんでしたが、二十三年度になりますと二八%にふえてきております。公共工事一件当たりの請負代金額も、こういったことを踏まえて、新設等については七千万円以上でございますが、維持修繕については二千八百五十万円ということで、少額工事もふえております。

 そこで、このたびの建設業法改正案におきましては、従来から施工体制台帳の制度がありましたが、これを下請金額三千万円以上というふうに限定しておりましたが、もう少しきめ細かく、維持修繕工事などもふえてくることを踏まえて、その三千万円の下限金額を撤廃いたしまして、全ての工事につきまして元下関係を明確にしていただいて、その上で、技術者を置いているかどうかということも確認しながら適正な施工を確保していこうというふうに変えているところでございます。

 また、そのほか、維持修繕工事についての歩掛かりを別途設けるといった工夫もしているところでございます。

村岡委員 そこを聞いたことではないんですけれども、維持管理の仕事というのが、今までやはり見積もりがしっかりしていなかったんです。先ほどの見積もりとはまた別で、最初から赤字になることを発注者側はもうわかっていながら発注していたというような状況があります。建設会社にしても、そこの実績を積めば、改良工事や新設工事をとるときに、成績とあるので、我慢してと言うのはおかしいですけれども、地域の維持管理ということでやっていたというのが現実であります。

 その辺のところのしっかりとした見積もりで、例えば一般管理費であったり共通経費であったり、そういうものもちゃんと維持管理にも盛っていかないと、せっかくこれまで積み上げてきたインフラ整備の財産を、建設会社が、しっかりとそれを維持管理していく部門として、これを自分の会社の一つの仕事だというふうに認識しないと思いますので、そのあたりの見積もりに関してはどのような考えをお持ちでしょうか。

毛利政府参考人 先ほど歩掛かりの点を申し上げましたけれども、ことしの四月から土木工事の積算基準を改定したものを適用しておりますけれども、御指摘のありましたような施工実態を反映した積算基準として改正したところであります。

 その中では、維持修繕工事等の標準歩掛かりを新設あるいは見直すということで、橋梁補修関係の三工種の歩掛かりを新設したり、その他維持修繕工事等の歩掛かり見直しを実施して、発注者側でそういった必要経費をきちんと見積もる、特有の事情をきちんと把握した上で見積もるということに転換したところでございます。

村岡委員 その辺をしっかりしないと、この維持管理、これから大切だ。維持管理元年といったんでしょうか、それがしっかりと進んでいくかどうかの部分は、そこは歩掛かりの面、一般管理費、共通経費、いろいろな普通の新設の工事とは率は違うと思いますけれども、その辺のところを見ていただければ、こう思っております。

 維持管理というのは建設工事という認定になっているかどうかという点でも質問したいと思います。

 例えば、経営事項審査だとか、いろいろな発注者の工事実績を出すときに、どうしても改良工事や新設工事というのが点数が高いと私は認識しているんですけれども、維持管理の仕事をやってもなかなか建設工事の点数が高くならない、そうすれば、自分で改良工事や新設工事をとりたいときに、やはり点数が高い方をとりたいというのがあります。そういう部分は、何かこれから変更していく予定はあるんでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘のとおり、時代の要請に合わせて、維持管理の位置づけについてもやはり考えていく必要があるということ、重視していかなきゃいけませんので、まずは、直轄工事におきましては、維持管理というのは一つの工事としてきちんと発注するというところから始めております。

 この維持管理行為について、きちんとした位置づけというのは今後さらに全発注者に向けて広げていく必要があるというふうに考えております。

村岡委員 それはぜひ進めてほしいと思います。

 建設会社の中でも、改良工事、新設工事をする土木屋それから建築屋というのは、やはりエースが行くんですね。ところが、維持管理には、会社の中でエースじゃない人が行っているのが現実なんです。こういう言い方は失礼ですけれども、会社の中でそういう会社が多いです。

 それとともに、これは国交省も、維持管理というのはエースがちゃんと行っていただかなきゃいけない。維持管理局というのをつくるぐらいの、それだけの金額のものだと思うんです、これから。やはり局長がいて、そこに維持管理というのを、これから、維持管理元年だというんでしたら、太田大臣が思い切ってそういう位置づけをしっかりしなければ、一つの部署の中に維持管理を考えるのを課なのか係なのかということじゃなくて、相当大きな部分をこれから占めてくるという認識で維持管理元年をスタートしていただきたい、こう思っているんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

太田国務大臣 防災・減災、老朽化対策、また、その中で維持管理という部門は非常に大事なことだというふうに思います。どういう体制で整理してやるかということについては、研究をさせていただければと思います。

村岡委員 ぜひ検討してください。

 やはり大事なところは位置づけをはっきりしなければ、それは国交省だけじゃない、県、そして市、さらには建設会社、みんな、維持管理というのは、これからこの国のインフラの財産を守るということでは大切だという、この認識を共通するという意味でも大切だ、こう思っております。

 それでは、もう一つ、建築基準法の一部を改正する法律案に関してもお聞きしたい、こう思います。

 耐震構造の検査、確認というのを民間に広げるということで、これは民間に能力もあるし、そしてしっかりと安全性も守られるということで、広げていこうということだと思いますが、私も耐震構造を調べる民間の会社がどのぐらいあるのか、ちょっとわかりませんけれども、これは北海道から沖縄まで、それぞれの都道府県、しっかりと民間に任せられるだけの機関があるのかどうか、お教え願いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、耐震構造を調べる機関というのは、いわゆる適合性判定機関ということだと思います。この機関につきましては、今は各都道府県が個別に指定をすることになっておりまして、地元の機関だけを指定しているところ、ないしは東京の機関なんかも指定をしているところ、こういうものがございまして、一応、仕事が回る程度には指定をしていただいているんだというふうに思います。

 今回は、改正の中で、各県にまたがってやっているような、比較的大きいところについては、国交大臣の方で、まず、この機関は大丈夫ですよということを明らかにした上で、知事さんが指定しやすくするということにしておりますので、現在以上に的確な施行ができるようになると思います。

村岡委員 その辺を、北海道から沖縄まで、各県によって事情が違うと思いますし、そこは県をまたがってブロックでやられるのかもしれませんけれども、その辺はよく把握しながら、せっかく進めることが、この県じゃできないとか、この県じゃ建築基準法の改正が全然役に立たないということじゃなく、進めていただきたい、こう思っております。

 もう一つ、定期調査・検査報告制度ということで、お聞きしますと、報告率が七〇%ということになって、これを向上させていかなきゃいけないということですけれども、これはまた、定期検査とかそういうのはどういう、何か資格をつくるということなのかどうか、ちょっとよくわからないんですけれども。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の定期調査・検査報告制度というのは、例えばホテルとかデパートとか、こういう大規模な、たくさんの人が使う建物、これについては、建築基準法上、ちゃんと維持保全されているかどうかを見なきゃいけません。それから、設備の中でもエレベーターとか排煙設備、これはしっかり動く機能がないといけないということで、これも定期的にチェックをしなきゃいけないということでございまして、所有者、管理者の方が定期的に建築士または一定の技術力を持った方々に調査、検査を行っていただいて、その結果を特定行政庁に報告していただく。問題があれば、行政庁が報告をもってオーナーの方に改善を促していく、こんな制度でございます。

 この場合に、建築士はしっかりとした免許制度でございますのでいいんですけれども、一定の技術力を持った方は、今、民間の機関の方に登録をしていただいて、ちゃんと講習を受けていただいて、その講習結果を、講習の成果が身についたということを、講習修了証というものを発行して、後は機関の方で名簿を管理していただいている、非常に曖昧な仕組みになってございます。一部で資格の詐称のような事件も起こってまいりましたので、今回、この資格について、きちっと国の方で資格者証を発行して、違反等があれば、これの返納を求められるような、きちっと監督ができる体制にしたいという趣旨でございます。

村岡委員 資格の方も、国交省がしっかりと資格試験なり何なりをやって、この定期検査というのを充実させながら防火防災に備えるということで、そこは国がやるということで大変だと思いますけれども、やはり公共施設として安心、安全を守るためには必要なことだと思っていますので、そこはよろしくお願いしたいと思っております。

 最後の質問ですけれども、建築物の雪害対策なんです。

 我が秋田県は、四年連続、雪害が今冬もありました。そして、この豪雪地帯、北海道から東北、北陸というのは、どうしても、屋根から雪おろしの最中に落下して亡くなるという方が、年間、雪の秋田だけじゃない、全国的に見て百人も亡くなっています。年間百人も屋根から落ちて亡くなっている。十年で考えれば千人、大変な災害であります。

 その災害を、なかなか雪というのは台風とか集中豪雨と違って、一瞬に被害があるものですから、比較的目につきやすいというか、すぐ対策ができますけれども、雪は三カ月、四カ月ありますので、長くて、何となく災害じゃないようなイメージが雪国以外の人にはあります。

 そこで、国交省は、雪害の対策ということで、建築物で、屋根やいろいろなことでワーキンググループも設置したと聞いておりますけれども、どんな取り組みをしていくつもりか、最後にお聞きしたい、こう思っております。

太田国務大臣 二月の中旬の大雪で、特に、日ごろから雪が降らないような地域でも相当被害が生じました。

 そこで、専門家の、建築物雪害対策ワーキングチームを三月に設置しまして、大規模建築物について現地調査を行ったりしまして、また、この大雪による建築物被害の把握と原因分析を行っているところでございます。

 設計用の積雪量の見直し、そして雪に対する建築物の安全基準の見直しの方向性について検討をしていただいているという状況にございます。かなり屋根に積もった場合の、重量に耐えられない設計というのがあったかと思いますので、その辺も気象状況等を考えて強度設計をさせていただくというようなことの準備でございます。

 そういう意味では、これらの検討結果を踏まえまして、ことしの夏ごろまでに一つの取りまとめをしていただいて、基準の見直しが必要であれば、できるだけ早く対応していきたいというふうに思っているところでございます。

村岡委員 時間が参りましたので、ありがとうございました。

梶山委員長 次回は、来る二十七日火曜日午後一時十分理事会、午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十七分散会


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