衆議院

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第6号 平成26年11月14日(金曜日)

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平成二十六年十一月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 泉原 保二君 理事 金子 恭之君

   理事 坂井  学君 理事 土井  亨君

   理事 ふくだ峰之君 理事 荒井  聰君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋元  司君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    伊藤 忠彦君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    大塚 高司君

      大西 英男君    大見  正君

      梶山 弘志君    門  博文君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    佐々木 紀君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      桜井  宏君    白須賀貴樹君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      根本 幸典君    野田 聖子君

      前田 一男君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      山本 公一君    泉  健太君

      後藤 祐一君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    足立 康史君

      岩永 裕貴君    村岡 敏英君

      百瀬 智之君    北側 一雄君

      樋口 尚也君    坂元 大輔君

      西野 弘一君    佐藤 正夫君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    大塚 高司君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       土屋 喜久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        川元  茂君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  大脇  崇君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 松脇 達朗君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 笠原 俊彦君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     石川 昭政君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  中村 裕之君     根本 幸典君

  長坂 康正君     大見  正君

  林  幹雄君     伊藤 忠彦君

  務台 俊介君     田野瀬太道君

  村岡 敏英君     足立 康史君

  杉本かずみ君     佐藤 正夫君

  穀田 恵二君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     林  幹雄君

  石川 昭政君     菅家 一郎君

  大見  正君     長坂 康正君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  田野瀬太道君     工藤 彰三君

  武井 俊輔君     牧島かれん君

  根本 幸典君     中村 裕之君

  足立 康史君     村岡 敏英君

  佐藤 正夫君     杉本かずみ君

  宮本 岳志君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     大西 英男君

  工藤 彰三君     務台 俊介君

  牧島かれん君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     國場幸之助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 空家等対策の推進に関する特別措置法案起草の件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長川元茂君、総合政策局長滝口敬二君、土地・建設産業局長毛利信二君、水管理・国土保全局長池内幸司君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長田端浩君、港湾局長大脇崇君、政策統括官松脇達朗君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長土屋喜久君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長三好信俊君及び防衛省大臣官房審議官笠原俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず、本日、空家等対策の推進に関する特別措置法について、与党、野党、これまで長い協議を進めてきた結果、合意が相なりまして、全ての政党の賛意をいただいた中で、本日、この質疑の後、採決が行われるという運びになったことについて、委員長、そして各党の理事の皆様、そしてこの問題に最初から取り組んでおられた自民党の宮路先生、あるいは交渉の担当をされておられた山下先生、そしてもちろん太田大臣、そして本当に汗をかいていただいた西村副大臣、その他関係の皆様に深い感謝をまず申し上げたいと思います。

 その上で、内容について幾つか確認したい点がございますので、本日はその確認をまずさせていただきたいと思います。

 まず第一に、特定空き家というものがこの法律の中で定義されるわけでありますけれども、実際に市町村で運用する上で、このおうちは特定空き家に該当するのかどうか微妙だなといったときに、国土交通省のガイドラインなりをきちっと示して、これを読むと確かに該当するなという、現場での明確な運用をサポートする意味でも、かなり具体的なガイドラインがないと実際に市町村が困るというふうに考えます。実際、市長会あるいは町村長会などからも、この明確なガイドラインを国土交通省さんに示していただきたいという御要望をいただいております。

 また、当委員会でも、三月二十六日に井上前住宅局長から、本件に関して、「物的にこういうものが危ないんだということの判断基準、それから、周りとの関係で、こういう場合には何としても除却しなければいけないというような判断基準、こういうものについてはお示しはまだしておりません。 御指摘でございますので、まず事例収集、現場の意見をよく伺いながら、ガイドラインのようなものを検討したいと思います。」という御答弁をいただいております。

 その後の事例収集、現場の意見聴取がどんな状況になっていて、そして、今後どういった具体的な明確な、できるだけ現場で運用が簡単になるような、そんなガイドラインをつくっていただきたいと思いますが、現在の状況と、今後の、しっかりこういったものをつくっていくという意思をぜひ太田大臣から示していただきたいと思います。

太田国務大臣 空き家の問題についてはかねてから一つ大きな問題になっておりまして、後藤委員には大変真剣に取り組んでいただいたことに心から敬意を表したいと思います。

 空き家につきましては、都市部でも地方部でも増加をしておりまして、対策の強化が必要です。使える空き家は、利活用も含めまして、都市部では住宅としての流通を促進するとともに、地方部では地域活性化の拠点などとして活用することも可能だと思います。また、放置されて周辺に悪影響を及ぼす空き家については除却を促進する必要がありますし、条例等でも随分多くこれについて取り組んでいただいているところでございます。

 居住環境の整備改善を図る観点から、空き家の活用、除却について、地方公共団体を支援するなど、必要な施策を積極的に展開することが必要だと思います。

 御指摘のように、地方公共団体が空き家対策を推進する上で、参考になるガイドライン、指針を国で作成することは極めて重要だと考えておりまして、御審議をしていただいた上で、さらに早急に、これについては取り組んで、提示をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ市町村の御意見を、現場で実際に条例などをつくって既に運用されているところもございますので、その現場でどういったところが限界事例になっていて困っているのかといった実態も国土交通省としてよく把握していただいた上で、具体的にその場で使えるようなガイドラインになるよう、ぜひお願いをしたいと思います。

 続きまして、固定資産税の居住特例、六分の一特例の件に移りたいと思います。

 現在、人が居住している住宅については、固定資産税が、ある一定規模以下については六分の一という居住者特例というものがございます。ですが、空き家の場合は、これを本来適用していいのかどうかという議論がございまして、これは適用してはいけないんじゃないかというような方向で今回議論がなされていると伺っております。

 今回、この後採決される法案においても、第十五条というところで、「市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」というふうにされております。

 これは、実際、居住の用に供していない場合は、現在でも総務省の通達で六分の一特例を適用しないということはできるわけでございますけれども、これについても三月二十六日の当委員会において、では、どういった場合に六分の一特例を非適用にできるのかということについて質疑をさせていただきました。

 そのときに、こういう質疑をしました。

 建築基準法で、現に著しく保安上危険な既存不適格建築物、これは間違いなく入る、次に、空き家再生等推進事業(除却事業タイプ)、この対象になっている不良住宅あるいは空き家住宅、空き建築物、これについても入れるべきではないか、こういった質問を私からさせていただきました。

 これが最低限であって、プラスアルファどこまで入るのかというのは、もちろんこれからの議論じゃないかというお話がございまして、答弁としては、伊藤総務大臣政務官から、「なかなか適用に踏み込めないということは、やはりそれだけ、確信を持ってこれはやらなきゃいけないということをわかっていただけるようにするには、例えば政省令で、もう一度きちっと示すかどうかというようなことも含めて、」ちょっと途中省略しますが、「全ての所管官庁と、御要請、要望を伺いながら、地方団体の意見も踏まえて、税制改正のプロセスの中で十分議論して実行してまいりたい、」という御答弁をいただきました。

 今回、この法律ができることによって、特定空き家が定義されて、先ほどの質問にもありましたように、ガイドラインでかなり精緻なところが決まります。

 この特定空き家、正確に言うと特定空き家等の定義と、固定資産税の六分の一特例の適用というのは若干ずれがあるのかもしれませんが、この関係なども考えながら、先ほど申し上げたような、少なくともさっき言った二つのところは含まれる、プラスアルファどこまで含まれるのかということについて、これもかなり具体的な現場での適用ができるようにする必要があると思うんですが、これについては、きょう総務省からあかま総務政務官にお越しいただいておりますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

あかま大臣政務官 後藤委員にお答えいたします。

 今、空き家の除却を進めるための、例の六分の一特例という件でございます。

 除却を進めるためという部分とともに、そもそもの空き家の発生、放置、それらの原因等、これらを踏まえた部分も加味しなければならないというふうにも理解をしております。

 その意味では、空き家対策は重要な課題でありながらも、全体の方針を決定し、それらを踏まえて施策を講じていく必要があるというふうに考えております。

 また、今回、この国会において、先ほどお話もありましたとおり、議員立法を検討されている。また、二十七年度税制改正に向けて、国土交通省等より、空き家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税に関する所要の措置が要望をされております。

 それらを踏まえて、国会での議論というものをしっかり捉まえて、関係省庁からの空き家対策全体の方針、施策との整合性、これをもって、具体的な税制要望やまた地方団体からの意見を伺いながら検討を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

後藤(祐)委員 今、税制要望のやりとりの最中だと思いますので、確定的なことはなかなか答弁いただきにくいということはわかりますけれども、ここでの質疑の結果を踏まえて、そして特定空き家等の定義が明らかになっていく中で、それとの関係がわかるような形でやらないとなかなか市町村は難しいと思いますので、特に税務当局はまたちょっと部署が違ったりもするものですから、ぜひわかりやすい形で、これは当然国土交通省とよく連携をとりながら運用できるようなものをつくっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 あかま政務官は、選挙区は違いますが、私と同じ相模原市でございます。相模原市にもいっぱい空き家がございますので、相模原市からも空き家法をしっかりやってほしいという御要望を私、市役所からもいただいておりますので、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、空き家法の運用というのは基本的に市町村が主体となるわけでございますけれども、市町村の中には大変小さい町や村というものもございます。役場の職員が数十人といった村もございます。私の選挙区にも村がございます。

 こういったところでは、この特定空き家の立入調査ですとか除却ですとか行政代執行、こういったことは相当丁寧な手続が必要だったり専門家の知見が必要だったりしますので、既存の職員で全て対応するというのはなかなか難しい場合もございます。現実に、ただ、そういった町や村では本当に困ってしまうような空き家もたくさんございます。この矛盾を解決するためには、どうしても都道府県が助けてさしあげるということが不可欠になってくると思います。

 この法案では、八条というところで「都道府県による援助」というものを規定しておりまして、「当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならない。」として都道府県知事の援助規定を置いておりますが、この規定を使うなり、あるいは、ちょっとうちは人がいないので都道府県でかわりにやっていただけないかというような場合には、これは地方自治法上の代行ですとか委託ですとかさまざまな規定が一般規定としてございます。こういったものも活用しながら、ぜひ、なかなか職員が少なくて対応が難しいところに対して都道府県として助けてさしあげる、これを積極的に行っていただきたいと思いますけれども、これについて、これは太田大臣でしょうか、御見解をいただきたいと思います。副大臣でも結構です。

西村(明)副大臣 委員御指摘のように、人材の不足やノウハウの欠如などの観点から、市町村のみで空き家対策を実施することが困難であることも予想されます。

 このため、国におきましては、市町村の負担を軽減するように、ガイドラインの策定や空き家再生等推進事業などによりましてしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。また、所有者の特定に要する経費なども対象とすることが可能であります。

 都道府県におきましては、建築物の構造に係る技術的な助言や他の市町村における空き家対策の情報提供を行うことなどが期待されます。

 国土交通省といたしましては、都道府県知事としっかりと連携をとりながら、市町村による空き家対策が円滑に進むように努めてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 県の方には専門家がおられると思いますので、そこの活用をしていただくよう、国土交通省からもぜひ働きかけをしていただきたいと思います。

 続きまして、支援措置について確認をしたいと思いますが、これについても三月二十六日の当委員会でやりとりをさせていただきました。

 国としての支援措置につきましては、空き家再生等推進事業(除却事業タイプ)というものが社会資本整備総合交付金の基幹事業として行われておりまして、これは全国で実際活用されております。

 ところが、これは一つ問題がございまして、ぽつっと一軒だけ飛んで空き家があるような場合、なかなかこの適用対象にしにくいという問題がございまして、これについて、三月二十六日、私も質問させていただきましたが、当時の井上住宅局長から次の答弁をいただいています。

 「住宅がある程度連担した中で空き家がある程度あるということが要件になってございます。」途中省略しますが、「今の要件でほぼ対応できているというふうに思っておりましたけれども、せっかくの御指摘ですので、もう一回、よく地方の実情を調べて、対応を検討したいと思います。」という御答弁をいただいております。

 この法律が通ったことによって、より格段の支援が必要になってくると思うんです。実際、この法律の十五条というところで、「国及び都道府県は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。」というふうにされておりますので、この条文を受けて、この法律が成立した場合には、今まであるものからもう一歩プラスして支援措置が必要だと思います。

 この制度そのものは割合柔軟に運用されていると聞いていますので、新しいものをつくるのもまあいいと思いますけれども、この除却事業タイプの対象を広げるということがやはり足元では大事なことだと思っておりますので、ぜひ、ぽつんと一軒離れているような場合も対象にしていただきたいと思います。

 地方の実情を調べて対応を検討という答弁を踏まえて、今の状況と今後の姿勢について国土交通省にお伺いしたいと思います。

西村(明)副大臣 御承知のように、空き家再生等推進事業というのは、居住環境の整備改善などを図る観点から、空き家の除却や利活用を図る事業でございます。

 この事業によりまして、防災上危険な空き家を除却して、跡地をポケットパークとして利用するなど、跡地の有効活用が図られているところであります。

 国土交通省におきましては、地方公共団体に対しまして、空き家対策に関する取り組み状況の調査、ヒアリングを行っておりまして、その要望を伺ってきているところでございます。

 事業の制度趣旨を踏まえつつ、空き家再生等推進事業が効果的に活用され、委員御指摘のように、地方公共団体による空き家対策が進むよう、しっかりと取り組んでまいります。

後藤(祐)委員 ぜひ、西村副大臣、これを中心としてやってきたので、もう一歩ちょっと、一軒の場合についてお答えいただけないでしょうか。

西村(明)副大臣 連担したものと一つのものという御指摘でございますが、現状のところ、一つでという要望が来ていないという状況もございますが、それも踏まえて、そういった状況が自治体の方から上がってくれば、それも含めてしっかりと検討してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 これは実際の要望はあると思います。ただ、今の基準が満たされないから手を挙げていないだけだと思いますので、そういうニーズがあるかどうかはむしろ国土交通省の方でお調べいただいて、これはニーズは必ずありますので、柔軟に対応できるように、これは西村副大臣だからこそできる、場合によっては政治主導で御決断いただくべきところだと思います。

 実際、これは社会資本整備総合交付金の内数ですから、予算として全体がぷくっと膨らむ話じゃないと思います。市町村の、どこに予算を振り向けるかという判断の話でございますから、そこについて要件をいたずらに厳しくする必要はないと思います。これは、副大臣の御決断、大臣の御決断でできる話だと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、支援措置については、地方交付税がございます。この法案の先ほど紹介した条文にも、地方交付税についてもしっかりやるべしという条文がございました。

 今申し上げた除却事業タイプという、国から来るお金の市町村の負担分というのがございます。この市町村の負担分を地方交付税でカバーするという形で支援を強化すべきだというふうに考えます。現在、交渉中というふうに伺っておりますけれども、これはぜひ実現すべきというふうに考えますが、国土交通省としての決意を聞きたいと思います。

西村(明)副大臣 御指摘のように、空き家の利活用や除却を促進するためには、所有者等に対して、その利活用や除却に要する費用を補助している地方公共団体がございます。

 国土交通省といたしましては、居住環境の整備改善などを図る観点から、こうした地方公共団体の取り組みを、社会資本整備総合交付金の基幹メニューの一つであります空き家再生等推進事業によって支援しているところでございます。

 現在のところ、空き家再生等推進事業における地方公共団体負担分につきましては、御指摘のように、地方交付税措置はございません。一方、耐震改修事業における地方公共団体負担分につきましては、その五〇%が特別交付税によって措置されております。

 地方公共団体による空き家対策の取り組みを促進する上で、その負担を軽減することは大変重要であるというふうに認識しておりますので、このため、空き家再生等推進事業における地方公共団体負担分に係る地方交付税措置を現在のところ要望しているところでございます。

 要望の実現に向けまして、総務省としっかりと連携して協議してまいりたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 これは通告をしていなくて大変申しわけないんですが、せっかくあかま総務政務官が来られていますので、今の御要望をぜひ実現していただくよう、決意を示していただければと思いますが、いかがでしょうか。

あかま大臣政務官 後藤委員からも今お話がございましたとおり、国交省とともに、しっかりと我々総務省も捉えてまいりたい、取り組んでまいりたい、そう思っています。

後藤(祐)委員 ぜひ、連携の上、総務省もよろしくお願いします。

 この空き家法、この国会、来週にも解散と言われている中で、何としても参議院まで含めて成立をしていただきたいと私どもは考えておりますけれども……(発言する者あり)今、そうだという声も与党側から上がりました。ぜひ、この法律が成立した暁に、国土交通省としてこの空き家対策に全力で取り組んでいくという御決意を国土交通大臣からいただきたいと思います。あわせて、私は、ぜひこの国会で成立させていただきたいと思いますが、これについても含めて、大臣の御決意をいただきたいと思います。

太田国務大臣 各党そして議員の皆様に大変取り組みを真剣にしていただいて、敬意を表したいと思っておりますし、これが成立させていただくということを望んでいます。それができたならば、直ちに、先ほどありましたガイドラインを初めとする諸措置について、対応できて、現場に行くように、力を入れて取り組んでいきたい、このように考えています。

後藤(祐)委員 ぜひ大臣の督励でよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、空き家法以外の案件を幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、タクシーの特措法の問題、これについては、滋賀県知事になった我が党の三日月当時委員が中心となって与野党でまとめていただいた、タクシーの供給過剰に関する特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律、これが昨年十一月二十日に成立、本年一月二十七日に施行されています。

 ところが、この法律で可能になった新しい特定地域、これについては、新規参入や増車が禁止されて、強制力のある供給削減措置、あるいは公定幅運賃の下限割れに変更命令がかけられるという画期的な法律であるわけでございますが、残念ながら、まだ指定が一つもされておりません。

 これは運用するための基準がまだ定まっていないからだというふうに聞いておりますが、ぜひこれは、供給過剰による労働条件の悪化ですとか、利用者にとっても安全性が向上するというメリットがあるということで成立させていただいた法律でございますので、この特定地域の指定、その前提としての運用基準を早期に制定すべきだと考えますが、太田大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 昨年の臨時国会におきまして、ちょうど一年前、議員立法によりましてタクシー特措法が改正されまして、本年一月から施行されました。

 現在、国交省では、改正タクシー特措法が定める特定地域、すなわち、供給過剰の解消のための対策を講ずる地域の指定基準の策定作業を進めています。

 引き続き、運転者の賃金を効果的に引き上げていくなどの議員立法の趣旨を尊重するとともに、特定地域の指定については、その法的効果に鑑み厳格に行うなどの両院の附帯決議、また、規制改革会議からいただきました、安易な指定が行われないよう慎重に設定すべきとの御意見、これらを勘案しながら、基準づくりを進めていきたいと考えています。

 運転者の労働環境の改善と安全性やサービスの維持向上という改正タクシー特措法の趣旨は十分に認識をしておりまして、もうかなり時間がたっておりますので、できるだけ早く基準づくりを進めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 ぜひお願いします。

 この基準の案として、今、運転者の賃金水準ですとか車両の稼働効率、赤字事業者の割合など事業者の収支状況、利用者代表を含む地域協議会の合意あるいは地方公共団体の長の要請といった地域の意向、こういった指標が検討されていると伺っておりますけれども、実際、供給過剰でおかしなことになっているかどうかというのは、ある程度総合判断的な面もあると思います。

 運転者の賃金水準ですとか稼働効率というのは数字がぱっと出てくるものかもしれませんが、後ろの方の地域の意向ですとか、こういったものも含めて指定基準を定めるべきと考えますが、これについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 ことしの六月の規制改革会議におきまして、国交省より、特定地域の指定基準に盛り込む主要な指標案をお示しいたしました。

 今、御質問の中でも指摘がありました、運転者の労働環境を示すものとして賃金水準に関する指標、供給過剰の状況を示すものとして車両の稼働効率に関する指標、あるいは赤字事業者が過半を超えているとか、地域協議会の合意があること等などをお示ししたところであります。

 これらにつきましては、規制改革会議の場、あるいは関係者の方々からさまざまな意見をいただいております。

 繰り返しになりますけれども、国交省としては、引き続き、運転者の賃金を効果的に引き上げていくなどの議員立法の趣旨を尊重し、特定地域の指定について、その法的効果に鑑み厳格に行うなどの両院の附帯決議、それらをしっかり勘案しながら、基準づくりを適切に進めていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 これは利用者の方の安全にかかわる話でもございます。ぜひそこは、総合判断が可能になるような指標を早く決めて、一件目の指定を早くしていただくよう、強く申し上げたいと思います。

 続きまして、小田急多摩線の延伸についてお伺いしたいと思います。

 交通政策審議会、東京圏における今後の都市交通のあり方に関する小委員会においては、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方(具体論)」という中で、「国際競争力強化、オリンピック・パラリンピック大会に向けた具体的あり方」について「二十六年度中に、必要に応じ、中間とりまとめ」というふうにされています。あるいは「整備すべき新線、新駅等の具体的あり方・方策」について「二十七年度中に、答申をとりまとめ」とされています。

 オリンピック、パラリンピックが重要なのはもちろんでありますが、これだけ重視すると、どうしても都市部に集中投資することになりかねません。ぜひ、首都圏全体、東京圏全体のバランスをよく見ながら、郊外部もおろそかにならないように留意されたいと思います。

 具体的に申し上げますと、小田急多摩線の延伸につきましては、相模補給廠の返還というものがことしの九月三十日に行われました。これを踏まえて、現在の終着駅である唐木田からJR相模線の上溝駅までの延伸について、前回の答申である平成十二年の答申ではB登録という形になっておりますけれども、今度、平成二十七年度に予定される交通政策審議会の答申においては、ぜひともA登録に格上げしていただきたいと思います。

 また、上溝駅から先、愛川町を通って本厚木駅に至る延伸という構想もございます。これについては、平成二十一年七月から小田急多摩線の延伸に関する連絡会というものを設置して、この交通政策審議会の答申に位置づけていただくよう、私も含めて活動をさせていただいているところでございますけれども、この延伸に関する基礎資料の整備というものに地元の自治体が今取り組んでいるところでございます。

 ぜひ、国土交通省としても、後段の方については、上溝以降の延伸については、地元自治体と基礎資料の整備ということに関してよく協議されて、これについても次の二十七年度の交通政策審議会の答申の中にきちんと盛り込まれるよう、登録されるようお願いしたいと思いますが、あわせて、上溝駅までのA登録、そして上溝から先のきちんとした登録、これについての太田大臣の御見解、意思を示していただきたいと思います。

太田国務大臣 小田急多摩線の延伸につきましては、地元関係者において要望があり、検討が進められていると承知をしております。

 プロジェクトの推進に当たっては、需要、採算性、費用対効果等についてしっかりと見きわめていただく必要がありますので、地元での検討の深まり、深度化を図っていただきたいと思っています。

 交通政策審議会におきましても、こうした地元関係者間における検討の熟度等を踏まえた上で審議が進められるものと考えておりまして、地元の熟度はかなり増しているのではないかなという感じはいたしますが、そこが大事だというふうに思っておりまして、熟度等も含めまして審議が進められるものと考えているところであります。

後藤(祐)委員 地元の熟度も増しているのではないかなという大変力強い御指摘がございました。地元の熱意は大変なものでございますので、そこも踏まえて、都心部に集中させることなく、もちろんそれも重要なんですが、ぜひこの小田急多摩線延伸に国土交通省としても積極的に取り組むよう、改めてお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、JR相模線の複線化について質問いたしたいと思いますが、今のまま、予定ですと平成三十九年に橋本駅にリニアの駅ができる予定でございます。そうなりますと、沿線人口も大幅に増大されるということは確実でございます。

 ぜひ、先ほど申し上げた平成二十七年度の交通政策審議会の答申の中に、この相模線の複線化についても、これは段階的なステップという面もあるかもしれません。フルの複線化というのはもちろん一番大事なんですが、まずは交互通行ができるようなところをふやしていくですとか、いろいろなやり方がまずはあるかもしれません。ぜひこの答申の中に盛り込んでいただきたいと思いますが、太田大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 この点も、JR相模線の複線化ということにつきましても、ただいま述べた答弁と同じようになりますが、交通政策審議会において、地元の関係者間における検討の熟度等を踏まえて審議が進められるものと考えているところでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、これに対しても、大変な期待がありますし、リニアによって爆発的に変わるということも踏まえて御決断をいただきたいと思います。

 続きまして、伊勢原市の下水道事業の支援についてお伺いしたいと思います。

 今、伊勢原市では、神奈川県ではなくて単独で上下水道事業を行っております。その結果、大変な設備投資負担が発生しておりまして、累積赤字に苦しんでいるわけでありますが、幾つか国の支援措置をお願いしたいと思います。

 これはあかま総務政務官にお願いしたいと思いますが、まず、過去非常に高い金利で借りている起債の残というものがたくさんございます。かつては、こういった高い金利で借りたお金を繰り上げ償還して借りかえるという形を進めるために、平成十九年に公的資金補償金免除繰り上げ償還制度というものができたんですが、これは終了してしまっています。これは日本全国の自治体がよく利用されたと聞いておりますけれども、乗りおくれたという言い方はよくないかもしれませんけれども、現時点でこれを使いたいというところは伊勢原市以外にもたくさんあると思います。

 高金利で借りてしまったお金の借りかえということを進めさせていただくだけで、自治体の負担というのは随分変わってくると思います。特に伊勢原市では、下水道、上水道も含めて、この料金が一〇・五%値上げという大変苦しい決断をしたばかりで、市民の負担も相当になっておりまして、またこの先大幅な値上げというものが起きないようにするためにも大変重要だというふうに思いますが、この償還優遇金利、これを考えていただけないかということと、もう一つ、公共下水道の事業債というものの償還期間は三十年ということになっておりますけれども、施設の耐用年数は四十五年であります。ぜひ償還期間も四十五年にしていただきたいと思います。

 この差を埋めるための平準化債という制度があって、いろいろな工夫があると思うんですけれども、償還期間を延ばすということもあわせて御検討いただきたいと思いますが、この下水道事業の支援について、総務省としての御見解を伺いたいと思います。

あかま大臣政務官 後藤委員にお答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、補償金免除繰り上げ償還制度、これは大変意義のあったものであったというふうに理解をしております。

 今委員から、伊勢原は乗りおくれてしまったのだというお話がございました。確かに、この繰り上げ償還制度は、公債費負担が重い地方自治体の早期財政健全化や地方行革の推進のため、臨時特例措置として、五%以上の公的資金を対象に、財政投融資特別会計の積立金を活用するなどして、平成十九年から二十一年度の三年間に五兆円規模で、さらには、二十二年度から二十四年度の三年間に一・一兆円規模で実施をいたしました。結果的に、八割以上の地方自治体が本制度を活用して、五%以上の公的資金残高は、措置を講じる前と比較して、十分の一まで減少いたしました。確かに、効果またメリットがございました。

 では、さらに復活せよという話になったときに、この新たな補償金免除繰り上げ償還の実施については、財政投融資特別会計から一般会計への累次の繰り入れや、復興財源への活用によって、積立金が枯渇しておる現状がございます。さらには、平成二十七年度までの間、剰余金を復興財源として活用する予定となっております関係上、復活については大変厳しい、困難な状況にあるというふうに思っております。

 一方で、下水道事業債の償還期間についてのお尋ねでございますけれども、現在、地方債の中では最長三十年となっておりますが、施設の耐用年数が償還期間よりも長いことによって生じる資金不足を解消するためには、資本費平準化債を発行することができるというふうにはしておりますし、総務省としては、施設の耐用年数を勘案して下水道事業債の償還期間を延長するよう、引き続き財務省と協議をしてまいりたい、そう思っております。

後藤(祐)委員 前者については意義があったという御指摘もございました。そして、後者については今要求中ということで、そこもしっかりとかち取っていただきたいと思いますが、今後、地方創生をしっかり進めていくというのは安倍政権の最重要課題だと伺っておりますし、ここのところ、景気対策、経済対策の検討という話もございます。

 これはちょっと地味な話かもしれませんが、特に財政面で苦しんでいる市町村にとっては物すごく効果がある話だと思いますし、長い目で見た場合、市民にとって、料金値上げを食いとめるという意味において、非常に市民からも支持されやすい政策だと思いますので、ぜひそういった対策の検討の中でもこういったものを入れていっていただきたいこともあわせて御指摘をさせていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと通告にはないんですけれども、地域におけるディマンドタクシーですとかコミュニティーバスですとか、こういったものについての重要性を少し再確認させていただきたいと思います。

 さきの通常国会で、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正案が通りました。そのときにもこの場で御指摘をさせていただきましたけれども、地域の公共交通が十分でないところについて、「デマンド交通が有効であることを踏まえ、デマンド交通の導入・普及に向けた支援の拡充について検討すること。」という附帯決議もつけていただきました。

 ディマンドのものに限定する必要はないと思いますけれども、実際、これは私のいるところでも大変広がってきております。ただ、運営が大変厳しくなっているところが多くございまして、バスの形、タクシーの形、いろいろあると思いますけれども、先ほどの地方創生を具体的な玉としてどうするのか、これは今ちょうど探している最中なんだと思うんですね。確実に、交通過疎地域における対策としては、都会の中でもそういった地域がございますが、比較的安いお金で効果が大きい施策だと思いますので、国土交通省としてさらなる支援を検討すべきだと思いますが、ちょっとこれは通告していなくて申しわけないんですが、これについて大臣にちょっと御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 昨年の臨時国会で交通政策基本法を制定していただきまして、そして、ことしは、七月四日には国土のグランドデザインということも発表させていただいて、今、交通政策基本計画の作業を進めているところです。

 その中で、地方の創生という角度からいきましても、あるいは交通政策基本計画ということからいきましても、ディマンドバスとかタクシーということについては非常に大事なツールだというふうに思っています。

 そういう点では、御指摘のように、ここは非常に大事であるから、そこへの支援ということについては、十分、地方創生、そしてまた高齢者が多いという時代にあっての大事なものだというふうに思っておりまして、さらに議論を詰めて検討を深めていきたいというふうに思っているところでございます。

後藤(祐)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、ちょうど玉を探しているところだと思いますので、ぜひ政治主導でこれをやっていただきたいなと思います。

 続きまして、河川における樹林化問題を伺いたいと思います。

 相模川、中津川、小鮎川、私の地元の川はもちろんなんですが、全国で起きていることだと思います。特に、上流にダムができて流量が制限されるようになりますと、ニセアカシアとかそういった立ち木が大変生えてきて、樹林化が河川流域の中で進んでいく。そうしますと、水源の環境が大変悪化していく、あるいは不法投棄が行われる。私の地元なんかだと、火事が起きる。いろいろなことが起きております。

 ところが、これを県なんかが管理者としてやっている場合でも、予算がなかなかないということで対策が進んでいないというのが実情であります。

 また、あわせて、流量制限が進みますと、河口部、海に面したところでは、例えば相模川の水系なんかですと相模湾に注ぐわけですけれども、海岸における侵食が進んで、砂浜が大変狭くなってしまうというような問題も発生しております。

 こういった立ち木の樹林化を、伐採すればいいわけですけれども、これなんかも既にある交付金なんかの対象にすれば、ある程度、国の支援措置は今ないというふうに聞いておりますので、国の支援措置の中の対象に含めていただきたいということを含めて御検討いただきたいと思いますし、また、もう少し大きな話として、ダム、河川、そして海岸というところまで念頭に置いた包括的な対策ということも検討すべきだと考えますが、国土交通大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 樹木の問題については、水局長から後から話をと思っておりますが、御承知のとおり、また御指摘のとおりだと思います。

 海岸の侵食ということが相当進んでおりまして、これは全国どこでもという形になっています。土砂の供給が減少したことというのが一番の原因だと思いますが、そういう意味では、その要因として、ダムへの堆砂、河川での砂利採取、あるいは沿岸部での土砂の移動阻害などが考えられておりまして、各地の海岸で侵食がある。上流と中流と下流、そしてダム等々ということをよく考えて、一体として考えていかなくてはならない。

 神奈川県の西湘海岸を何とかしよう、あるいはまた三保の松原の侵食を阻止していこうという営みも、一つ一つ、私も現地に行ってやらせていただいておりまして、今後とも、関係機関と連携、調整を図りながら土砂管理というものをしていきたいというふうに考えているところでございます。

池内政府参考人 委員御指摘の樹林化、そして不法投棄等に関する維持管理費の問題についてお答えをいたします。

 維持管理に関する費用につきましては、各河川を管理している者が負担することとなっておりまして、都道府県が管理する河川につきましては、樹林化対策あるいは不法投棄などの維持管理費に対しては国費を支弁することは困難でございます。

 ただし、河川改修に合わせて樹木伐採を行う場合につきましては防災・安全交付金の対象となっておりまして、現在も国として支援させていただいております。

 また、不法投棄に関しましては、国を含めた関係機関が連携して対応する体制を整えているところでございます。

 さらに、各地方整備局に維持管理に関する相談窓口を設置しておりまして、都道府県等に対してさまざまな助言を行っているところでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、これは全国で困っている話だと思いますので、運用を柔軟に対応できるようお願いしたいと思います。

 ちょっと順序が前後しましたが、アスベスト対策について、十月九日、最高裁判決で、国が速やかに規制をしなかったのは著しく合理性を欠き違法だという判断がございました。これ以外にも、アスベスト対策はいろいろやりようがあると思います。

 実際、アスベスト対策がきちっと徹底できていないような事業者については、アスベスト除去が必要な公共事業の入札には参加させないといった厳しい対応が必要だと思いますが、こういった対応、あるいは、既存の民間ビルなどのアスベスト使用状況の調査については、全額国費負担、資格制度というものが既に実施されておりますが、これについても周知を徹底すべきではないかと思いますが、国土交通省の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 アスベスト、石綿障害予防規則に定める事業者の責務違反が認められた場合には、重大な法令違反として指名停止措置や建設業法に基づく監督処分の対象になります。こうした処分等を厳正に行って、御指摘のような業者は排除しなければならないと考えています。

 また、調査の必要性についての御指摘がありましたが、これは非常に大事なことだというふうに思っておりまして、補助制度につきましては、社会資本整備総合交付金による調査等による支援、そして、資格者ということについては、建築物石綿含有建材調査者制度を昨年七月に創設しまして、現在百八十六名が取得をしているところでございます。

 今後、さらに周知等を行って、補助制度の活用、資格者の育成を図ってまいりたいと考えています。

後藤(祐)委員 ぜひ徹底をしていただきたいと思います。

 それでは、時間が来ましたので、最後に一問だけ。

 これから円安対策をどうするのかということを含めた経済対策を御議論になると思うんですけれども、ガソリンが高くて困る、軽油が高くて困るというお話をたくさん伺っております。ガソリン税の引き下げというものを少し検討すべきでないかということは我が党内でも議論しているところでございますが、これとあわせて、高速料金を何とかしてくれ、これは一部の割引制度がなくなってしまって困っているですとか、そういったお話もございます。ぜひこの高速料金の引き下げについて少し検討すべきときではないかなというふうに思いますけれども、これについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 高速道路の料金ということについては、この数年、無料化あるいは永久有料含めてさまざまな議論がございました。国土幹線道路部会の中間答申などを踏まえまして、観光振興、物流対策など実施目的を明確にしまして、高速道路利用の多い車に配慮するなど、ことしの四月に新たな料金体系を整理させていただいたところです。

 さらに、更新のための料金徴収期限の延長を国会で決定していただいて、ようやくこの問題については一つの結論というものが出たという段階にございます。

 高速道路の料金引き下げについては、財源確保という課題もありますが、このような経緯を踏まえまして、さまざまな意見をいただきながら、まず一旦ここで決めさせていただいたということを踏まえた上で、今後研究をさせていただく課題だというふうに思っております。

後藤(祐)委員 景気対策としては即効性があり、かつ物流のコストを下げるという意味でも意味があると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それでは、この後の空き家法の採決における委員各位、理事各位の御協力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今村委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、きょうは空き家問題について質問したいと思います。

 老朽化による倒壊やごみの不法投棄、放火のおそれがある等、危険な空き家が今全国的に社会問題となっています。

 私は、きょう聞きたいのは、大臣に、基本的認識の問題で、なぜそういう空き家が増加したのか、ふえているのか、そしてその実態はどうなっているのか、この問題にどのような問題意識で対応しようとしているのか、その辺の基本的考えをまず聞きたいと思います。

太田国務大臣 空き家がふえておりまして、五年に一度の住宅・土地統計調査によりますと、我が国の空き家の総数は、平成二十年の七百五十七万戸が平成二十五年は八百二十万戸、このように六十三万戸増加しています。

 空き家につきましては都市部でも地方部でも増加しておりまして、特に都市部におきましては、この空き家が、持ち主がわからない、あるいは非常に危ない、防災上も危ない、悪影響を周辺にさまざまな形で及ぼしていて、除却できないものかという声が非常に出ているという状況にございます。また、地方におきましても、これは使えるというところは活用しなくては、都市部も含めてなんですけれども、さまざまな利活用、そしてまた除却、こうしたことが治安や環境という点でも大事になってくると思います。

 これは、人口減少などの日本社会全体の構造的な問題、また日本の住宅の寿命が短いとされているような原因の問題、中古住宅市場整備の緊要性、マンションの劣化や耐震性というようなこと、さまざまな現在の社会全体の大きな結果として、そうした空き家が問題になっていると認識をしています。

 住宅政策の方向性ということもあわせて考えていきながら、まず、現場にありますこの空き家対策ということについて力を注ぐということが大事だ、こう認識をしております。

穀田委員 原因その他について、後で、一番最後に、私、少し問題提起はしておこうと思うんですけれども、今お話ありましたように、現場にということで、実際起こっている問題を中心に少し議論をしておきたいと思っています。

 今ありましたように、危険な空き家をそのまま放置することは、まず防犯、それから防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことになります。そういう意味では、地域住民の安全や住環境を守るためには緊急の対策が求められていると思います。

 全国では、危険な空き家を何とかしようということで、二〇一四年四月時点で三百五十五の自治体が空き家対策条例を設けるなど、その意味で広がりを見せていますし、国政にとって重要な課題となっていることは共通の認識だと思うんですね。

 そこで、少なくない自治体が条例を設けて対処せざるを得ない深刻な状況のもとで、政府としては、空き家対策、これから後で法案がまた議論されますけれども、危険空き家対策にどのように取り組んできたのか、そして、そこでの解決すべきかなめといいますか、そういう点はどうだと思っていらっしゃるのか、副大臣にできればお答えいただきたいと思います。

西村(明)副大臣 今、委員御指摘いただきましたように、全国で三百五十五の地方自治体が空き家条例を制定して、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているという認識を示して、その解決を図っているところでございます。

 空き家の適正な管理というものは、一義的にはその所有者の責務だというふうに考えられますけれども、住民に最も身近な行政主体でもあり、地域の状況に精通している市町村が、それぞれの地域の実情に応じて空き家対策の計画を策定する、そしてこれを推進していくということがまず重要であるというふうに考えております。

 市町村が空き家対策を推進するに当たりましては、空き家の所有者の特定が困難な場合があること、そしてまた、空き家の除却や再利用に当たりましては、所有者の経済的な負担を軽減する必要があることなどが課題であると認識しております。

 国土交通省といたしましても、関係機関としっかりと連携をし、こうした課題を踏まえて、市町村が空き家対策を円滑に推進することができるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 突然副大臣に言いましたので少し失礼かと思いましたけれども、問題意識と、それから方向性について、大枠はそのとおりだと思うんですけれども、ただ、それらの対策では対処し切れない事態に直面しているんじゃないかということで、今度、議員立法も含めたいろいろな形の動きがずっとあったんだろうと思うんですね。その点で、副大臣は御努力なすったんだと思うんですけれども。

 私は、ふえ続ける空き家問題に対してどういう対策をとっていくのかということで、大きく言って二つあると思っていまして、一つは、危険な空き家、いわゆる特定空き家に対する対策と、二つ目は、特定空き家まではいかない空き家の活用をどうするのか。先ほど、大臣も一番最初に、使用できるものはということでお話がありましたけれども、この二つの問題でさらに具体的な対策を考える必要があるんじゃないかと私は考えているところです。

 そこで、危険な空き家についてまず聞きます。

 秋田県湯沢市は、空き家の中で、その腐朽、破損率が全国一高いとされています。豪雪による積雪や台風によって空き家が倒壊したり、家屋の建築資材が隣家に飛んだり剥げ落ちたりして、人や建物に被害を与えるおそれがあり、放置できない、解決を急ぐ課題だとしています。

 私どもも、現地にスタッフを派遣して、地元の我が党の議員と協力して調査を行いました。空き家の隣に住むAさんは、強風のときにはバタバタと音がして夜も眠れない、犯罪や火事も心配で頭が痛くなると被害を訴えています。

 この隣家は、六年前に所有者が亡くなったため空き家となって放置された。相続人が解体撤去に同意しなかったため、市当局が解体撤去処分を決めましたけれども、実際には解体費用をどうするかという問題があって、それが実行されず放置されているという事例です。

 危ないけれども、所有者によって撤去されないまま放置され、かつ、行政が手を出せない。この場合、隣に住むAさんはいつまでも危険な状態に置かれることになる。こういう場合を含めて、空き家周辺の住民が命を守るためにこんな状況を何とかしなくちゃならぬのではないかというのが率直な思いだと思うんですね。その辺が出発点だと思うんですが、この辺に対する対応をお聞きしたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家の撤去等は、一義的にはその所有者の責任において行う必要があり、まずは空き家の撤去等を所有者に働きかけることが必要でございますが、その際に、空き家の所有者が撤去等の費用を負担することが困難ということも考えられると思います。この点につきましては、交付金等によりましてその費用を支援することで、従来から撤去を促してきたところでございます。

 しかしながら、そのような措置を講じてもなお所有者が空き家の撤去等を行わない場合で、かつ、その空き家をそのまま放置すれば周辺に危害を及ぼすことが明白である場合には、建築基準法あるいはその他の法令、それから地方公共団体の条例に基づいて、まずは、空き家の所有者に対して、周辺に害悪を及ぼす空き家の撤去等の命令をする。さらに、その命令に従わない場合においては、地方公共団体において、行政代執行法の規定に基づき、命令措置を所有者にかわって執行するといった措置を講ずることが可能であるというふうに考えております。

穀田委員 流れはそういうことだと思うんですけれども、私は、最終的には行政代執行をしないといけない場合があることを否定するものではありません。しかし、それは厳格で抑制的でなければならないと考えます。

 したがって、特定空き家と判断するとき、今お話があったように、ずっと経過の問題がありましたけれども、その判断基準が重要だと思うんですね。原則は当事者が撤去費用を出すべきなのに、空き家という個人財産に公的資金を投入することに対し、所有者のモラルハザードを招くのではないかという意見があると同時に、本当にお金がなくて撤去ができない人もいるのも実情なんですね。

 だから、この後提出されようとしている空家等対策の推進に関する特別措置法には、先ほど来ずっと述べていますように、特定空き家等という危険な空き家の定義が書かれています。その定義では、そのまま放置すれば倒壊などの危険のある空き家以外にも、衛生上有害な状態の空き家、不適切管理によって景観を損なっている空き家、周辺環境の保全に不適切である空き家を特定空き家等にするとしています。

 ですから、今、橋本局長からお話があったように、建築基準法上の著しく危険だとする空き家だけではなくて、特定空き家等として判断されれば行政代執行の対象になるということになりますわな。だとすれば、特定空き家等とするには慎重な判断が一方ではやはり必要だと私は考えます。

 法案では最終的に市町村が判断するとしているけれども、例えば、協議会や懇談会などを設置し、所有者の意見はもちろん、周辺住民や有識者などの客観的意見を聞く場を設けることが私は必要だと思うんですね。その辺の点について、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、市町村が空き家対策を行うに当たりましては、どのような管理状態の空き家に対してどのような対策を講じるか、一件一件、個別の事情をよく判断する必要があろうと思います。そのために、この判断の一助とするための指針、ガイドラインをあらかじめ示すということは、市町村にとっても大変有効なことではないかというふうに考えております。

 国土交通省としては、従来から、先進的な地方公共団体の取り組みについて、さまざまな事例収集等も行っております。

 具体的には、建築基準法の規定に基づき地方公共団体が除却、改修等の必要な措置を命令した事例はどのようなものがあったか、あるいは、既に地方公共団体において制定されている空き家の適正管理に関する条例の措置の事例等を今までいろいろ収集してまいりましたし、また、あわせて地方公共団体の意見も伺ってまいりました。

 その上で、今後、空き家対策に対する指針というものを策定することが有効であろうというふうに考えておりまして、具体的には、空き家の管理状態が不適切であるか否かを判断する際に参考となる基準、例えば、今御指摘になりました、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態というのは、例えば基礎の不等沈下や柱の破損などにより建物が著しく傾斜をしている、あるいは衛生上有害となるというものは、例えば土台にシロアリが発生をしている、それから著しく景観を損なっているということでは、外壁や看板が大きく傷んだり汚れている、それから、その他、空き家の敷地内の樹木が道路等にはみ出して歩行者の通行を妨げているなどの事例を、現実にさまざまな市町村が条例で規定をされております。また、そういう事例もございます。こういうところをガイドラインに入れることが可能ではないかと思っております。

 それから、手続に関しましては、やはり所有者からの報告徴収のあり方、また第三者機関からの意見聴取の機会を設ける等の手続についても、参考となる指針を定めることが必要ではないかと考えております。

穀田委員 私は、ガイドラインは当然必要だと思うんです。同時に、今、最後の方で橋本局長からお話があったように、第三者といいますか、そういうのを含めてきちっとやっておかないと、何分にも問題が、個人の財産にかかわる問題でもあるし、代執行という最終的手段を実行する場合のやはり抑制的という意味からいっても、私は大事じゃないかと思っているんですね。

 そこで、今あった、行政代執行を行わなければならないという段階に行く前に所有者が空き家を何とかすることが本来望ましいわけですよね。当然、これはそうなんですよ。問題は、所有者本人が対処すべきものなのに、なぜ進まないのかということなんですよね。

 そうすると、なぜ進まないかというあたりについての基本的な問題といいますか、中心問題を、どのように把握しておられますか。

橋本政府参考人 空き家が適正に管理をされない、あるいは活用されないということについては、一つはやはり、売れない、あるいは貸せない空き家というのが相当数がふえているということになろうと思います。

 まず、売れない、貸せないというものでも住宅用途以外に転用することは可能でございますので、今まで交付金等を使って活用に関して支援をしてまいりました。それから、先ほども申し上げました、除却をしようと思っても、費用がないということで、ためらわれる方あるいは断念される方がいらっしゃいますので、除却に関する補助もしてまいりました。

 加えて、実は、今は空き家でも何でも住宅とみなせるものが建っていたら固定資産税の減免措置があるということで、このあたりがネックになってという御指摘もあるというふうに承知をしておるところでございます。

穀田委員 要するに、空き家の撤去が進まない要因という大きな点は、今答弁ありましたように、解体そして撤去の費用がかかるということだ、そしてもう一つは、先ほど来も議論になっていますけれども、撤去した後に固定資産税が六倍になるという税負担が重いこと、この二つが中心的な問題なんですよね。

 先ほど私が皆さんに紹介した湯沢市の市役所では、現に、積雪による被害は切実で、防災、防犯、生活環境上からも行政として見過ごせない課題であるが、市の対応にも限界がある、空き家を撤去し、更地にすると固定資産税が六倍になるなど税制の問題がネックとなっている、こういうふうにやはり言っていました。

 相続などをした所有者が特定空き家を撤去しようと思ったとき、更地にすれば税金の負担がふえるとなると、所有者みずからが進んで撤去することにならない。ただ、一方、放置しておけば六分の一で済む。そうすると除却が進まないことになる。だから、それら全体を踏まえて、特定空き家などをなくしていく場合、税制上のインセンティブを国としてどのように考えておられますか。

橋本政府参考人 御指摘の適正な管理が行われていない空き家の税制上の問題でございますけれども、地方税法におけるいわゆる固定資産税の住宅用地特例ということで、二百平米以下の小規模宅地については、住宅とみなせるものが建っていれば六分の一に減額されているという問題があるということでございます。

 このため、平成二十七年税制改正要望におきましては、空き家の除却、適正管理を促進するため、土地に係る固定資産税について必要な措置を講ずるということで要望しております。ただ、この内容につきましてはさまざまな御議論がございましたので、具体的な内容についてはまだ総務省と詰めるまでには至っておりません。

 それから、今御指摘の点は、特定空き家と呼ばれるような程度の悪い空き家を除却した場合に、例えば一定期間、固定資産税が六倍になるのを少し猶予するとかいうことを御指摘になったのではないかと思いますが、同時に、むしろもっと早目に、明らかに適正に管理されていないとみなされる空き家については六倍の原則に早く戻すべきだという、逆の、いわゆるむちのような御議論もございます。市町村長さんの御意見は、どちらかというと、むちを早く入れるべきだという御意見の方が非常に強うございます。

 そういうことも含めまして、今後、また議員立法等の御議論もあろうと思いますので、その経過を見ながら、私どもとしては必要な措置を具体的に検討してまいりたいと考えております。

穀田委員 これはいろいろ議論はあるところでして、いずれにしても、問題は、多数の意見、市町村なんかでいいますと税収の問題もありますし、それに対して金をかける場合にどういう見返りがあるかということで、結果としてはなかなか逡巡しているわけですけれども。

 ただ、問題の中心は、税負担をそんなにかけずになおかつ除却できる、そういうことのために知恵を絞るという必要があると思うんですね。もちろん、それで不公平感という問題があったりしてはなりませんし、そういう問題もきちっと考えなあかんわけだけれども、やはり最終的には除却できる、それが一番進むという上で、負担なく誘導するという観点が必要だと私は考えています。

 もう一つ、空き家撤去の進まない要因の一つは、解体撤去費用の問題についてなわけですけれども、それはちょっと、きょう時間がもうありませんので省いて、それを聞こうと思ったんですけれども、空き家の活用についてだけ最後に聞いておきたいと思うんですね。

 私、質問の初めに、全国の空き家が増加したのは、ある意味では地方の人口流出ということなんかも、大臣も答弁ありましたけれども、なぜ地方から人口が流出するのか、ここをきちんと見ておく必要があると思うんですね。

 東京一極集中で地方に仕事がなくなり、若い方々が大都市に流出していく、これまでのそういう地域政策が原因で家を相続する若い方が今いなくなったりして空き家となる。こうした空き家が生まれている原因の根本をきちんと見る必要があると私は思うし、今後、空き家が生まれないための対策が必要だと思っています。

 空き家を生まないためには、IターンやUターンなど、地方に若者や永住者に戻ってきてもらって継承していくことが必要です。そのためには、今ある空き家を活用すべきだというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、使える空き家を利活用していくことは、何よりも有効な空き家対策だと思っております。

 従来から、居住環境の整備改善を図る観点ということで、空き家を改修して体験宿泊施設など地域活性化の拠点として活用する地方公共団体の取り組みに対しましては、空き家再生等推進事業ということで補助をしてまいっております。

 この際、所有者が空き家を改修して活用するために、例えば、国三分の一、地方公共団体三分の一、所有者御自身の負担が三分の一という負担割合を限度で支援を行っておるところでございます。

 また、空き家が発生している住宅団地において、民間事業者等が空き家をリフォームして売買あるいは賃貸化するというモデル的な取り組みにも支援を行っております。

 さらに、住みかえ支援制度として、高齢者等の所有する戸建て住宅などを広い住宅を必要とする子育て世帯へ賃貸するという取り組みも、従来から支援をしてまいっております。

 一方、総務省におかれましては、過疎地域の定住を促進する観点から、居住のために必要な空き家の改修に係る地方公共団体の取り組みに対して、過疎地域等自立活性化推進交付金の定住促進空き家活用事業あるいは過疎対策事業債により支援をされておるところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、総務省とも連携をとりながらこうした取り組みに対して支援をするとともに、地方公共団体が地域の実情に応じた支援制度を選択できるよう周知をしてまいりたいと考えております。

穀田委員 全国では、NPO法人を中心に、地方の空き家を利用して、高齢者の共同生活の場などがふえています。

 私、八月に調査で行ったんですけれども、高知県の檮原町では、しあわせ田舎移住計画ゆすはら暮らふと、こういうプロジェクトを立ち上げて、檮原町移住定住促進住宅としまして、空き家を借り上げてリフォームし、十年間という期限つきで一万円から一万五千円で賃貸し、田舎暮らしの魅力を知ってもらって定住を促進しているということをやっていました。

 お聞きしますと、空き家所有者にとっても、固定資産税の免除をするということをやり、それからリフォームを四百五十万円、そして耐震を百二十万円を上限に改修するということができるというメリットもある。それだけでなくて、役場に定住専門窓口をつくって、空き家活用とあわせて、若者から高齢者まで働ける場を紹介しているというのが特徴でした。

 だから、家があって、それから仕事があって、それで暮らせるわけでして、どっちかないとだめなわけですから、その意味では、その土地で暮らしていけるようサポートを、自治体が努力し、行っていました。しかも、いろいろな協議会をつくりまして、窓口相談を地元の住民が一緒に行うということまでやるような取り組みをやっていまして、私は、なかなかだなと思ったんですね。

 こうした自治体の努力は、檮原町だけではなくて全国で多くの自治体が、方策はいろいろですが、空き家を生まない、ないしは危険空き家に落ち込ませないという努力を開始しているんだと思うんですね。こうした自治体の努力に対して国としてどう支援するのか、お聞きします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体が空き家を借り上げてリフォームした上で、公的な賃貸住宅として、例えば高齢者の方、子育て世帯の方等に賃貸をするという取り組みに関しましては、国は、リフォームに必要な費用の一部について、地域優良賃貸住宅制度により支援を行ってきておるところでございます。

 従来は、共同施設整備費、それから加齢対応構造等整備費、いわゆるバリアフリー化の費用について補助をしておりましたが、加えて、二十七年度概算要求におきましては、住戸専用部分における子供の事故防止対策等のためのリフォーム、いわゆる子育て世帯のためのリフォーム費用についても支援対象とすることを要求しておるところでございます。

 檮原町の取り組みは、先進的な事例として、私ども大変注目をしております。今後、こういう先進的な事例をよく研究させていただき、また、地方公共団体の要望を踏まえまして制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

穀田委員 この機会に副大臣に、せっかく御努力いただいたので、聞いておきたいと思うんです。

 私が言っている話は、国としてどう支援するかという問題でいうと、先ほど橋本局長から総務省の話もありました。でも、よく聞いていると、国交省の中でもいろいろな部局でこういう問題を支援しているわけですね。総務省とありましたけれども、農水省もいろいろやっているわけですね。

 全体として、間口をもう少し広げて、なおかつ総合的に、そういうものが全体として管理できるようなシステムを含めてやっておく必要まで、西村さんがせっかく御努力なすったんですから、その間口を広げ、なおかつ、広くすると同時にわかりやすくという点の努力が必要じゃないかということを提起しているんですけれども、どうですか。

西村(明)副大臣 空き家の問題は全国の自治体が抱えている大きな問題でございまして、いろいろな話を自治体からヒアリングした中で、今、穀田先生御指摘いただいたように、国交省にかかわる問題、総務省にかかわる問題、そして農水省にかかわる問題、さまざまございまして、そうしたものが法体系としてきっちりとサポートできないというところが、この法案、議員立法を作成する上での一番根っこのところにございました。

 今回、国土交通省のみならず総務省と共管の形で、そしてまた、恐らくこれから出てくるであろう議員立法に関しましては農水省も含めたような形で、空き家対策を支援していきたいというふうに考えているところでございまして、まさしく、御指摘のとおり、国を挙げてしっかりと連携を組みながら各自治体をサポートする、これが非常に重要なことであるというふうに認識しております。

穀田委員 副大臣に今答弁いただきましたので、ぜひ御努力願いたいと思うんですね。

 自治体にとってみれば、それぞれの省がやっている、それから省がやっている一つ一つというのは、全部、もちろんわかっているんだけれども、実際に空き家問題を抱えている人たちとその自治体にとっては、総合的になおかつ窓口を広げてということは改めて、再度言っておきたいと思うんです。

 私は、最後に、一番最初に大臣が言っていたことについてだけ、一言私どもの考え方を言っておきますと、人口減少と高齢化が進む、そういう意味では、当面は住民生活に悪影響を与える空き家問題の対策を講じることが必要だ、それは当然なんです。現象としてあらわれている空き家問題の背景には、地方都市の過疎化、人口減少、急速な高齢化があります。大臣も、大都市の問題を触れ、地方都市の問題も触れられましたけれども、何でこういう形が、疲弊や東京一極集中が進んだのかという問題の根本も掘り下げる必要があると思っています。

 私は、この間の自民党政権が行ってきた東京一極集中、雇用と社会保障の改悪、それから大合併などによる地域破壊がつくられたということは言っておきたいと思うんですね。これを根本から是正することが求められていて、地域経済の振興を基本に、先ほど述べたように、雇用の確保、そして元気な地域づくりを進めるということが今後の空き家問題の確かな解決の道だ……

今村委員長 時間が来ております。

穀田委員 ということを述べて、終わります。

今村委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 おはようございます。次世代の党の坂元でございます。

 風というか嵐のような状況になってまいりましたので、ひょっとすると今国会最後、もしかすると今任期中最後の質問になるかもしれないということで、いろいろ伺いたいことを盛り込んで質問をさせていただきますので、ちょっとさまざまな領域にわたりますこと、御容赦をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 まずは、先日視察に行かせていただきましたリニア中央新幹線についてお伺いをさせていただきます。

 十二日水曜日に山梨県まで視察に行かせていただきました。委員長初め皆様に感謝を申し上げます。

 視察に行かせていただきまして、私もリニアでの時速五百キロというものを体験させていただきました。私ももともと乗り物が好きでございますので、童心に返ったような気持ちで、楽しく体験をさせていただいたんですが、周りを見渡すと、ベテランの先生方も含めて、皆さん大変興奮をしておられたとお見受けしました。私は、これってすごく大事だと思いました。やはりリニアには夢があるなというふうに、実際に乗らせていただいて、私自身も思いました。

 少し話が飛ぶんですけれども、私は、アベノミクスに必要なのは、こういう夢というか、次の世代の日本というものを明確にイメージさせるようなビジョンがやはり足りなかったのではないかなと個人的には率直に思っております。そういう中で、やはりこのリニアというものを、国として、国交省として積極的に支援をしていくべきなんじゃないかなと、視察に行かせていただいて改めて感じました。

 視察の中で、JRの説明で、もともと、リニアではなくて、新幹線が開業する際にも、当時の佐藤栄作首相が世銀の支援も求める中で、これは国家的なプロジェクトとしてやっていくんだということを、かなり強力にリーダーシップをとられたという話も伺いました。やはり、次の時代の日本というものをつくっていくためにもこのリニアというのは大変大きな役割を果たすのではないかなというふうに感じて、それに対して、国、国交省として積極的な支援を行っていくべきだというふうに思いました。

 現状、JRの自己負担では、まずは二〇二七年、平成三十九年に名古屋まで、次いで二〇四五年、平成五十七年に大阪までという二段階方式が率直に言って限界ですという御見解でありました。

 我々次世代の党は、世界最先端の技術開発など、未来に向けた投資を国家主導で推し進めていくために、日銀に百兆円規模の基金を設けるべきだということを提案、提言させていただいております。これ以上、見せかけの株価を上げるだけの金融緩和を行っていくよりは、こうした未来に向けての基金というものを、かなり画期的な提案ではありますけれども、行っていくべきではないかなというふうに提案をさせていただいております。

 大臣にお伺いしたいのが、こうした基金という方法も含めて、国交省、国としてリニア中央新幹線を強力にバックアップしていくべきだというふうに考えておりますが、認識をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 人が生きていく場合に、夢というお話がありましたが、私は、わくわく感というのが、食べ物にしましても、人に会うときにも、人間にとって幸せをつくるために大事なことだというふうに思っています。リニア新幹線がそうなるようにということについて、私は大事なプロジェクトであるという認識をしています。

 東京―名古屋間が四十分、そして東京―大阪間を一時間強で結ぶ。三大都市圏の人の流れは劇的に変わって、国民生活や経済活動にも大きなインパクトがある上に、わくわく感というものもあろうというふうに思います。

 JR東海が、民間企業としての経営の自由や投資の自主性の確保を貫徹することが大原則との前提のもとで、全額自己負担で整備するとの意向を示したことを受けまして、そのときまでには随分経過があったわけでありますけれども、このことを受けまして建設の指示は行われた。二十三年の五月のことでございます。

 JR東海は、このような前提に基づきまして、同社の財務や現場の工事の見通しを踏まえて、東京―名古屋間の開業目標を二〇二七年、大阪までを二〇四五年と設定しているわけでありますが、リニア中央新幹線の東京―大阪間の早期開業ということについても強い要望があることは十分承知をしております。

 日銀を活用したリニア中央新幹線への投資の御提案ということでありますが、この点はJR東海の考え方というものを踏まえなくてはならないと思っておりますが、これは金融政策の問題でもありまして、日銀において検討されるべきものであると思います。

 いずれにしましても、東京―大阪間の早期開業、そして二七年の東京―名古屋間、こうした予定を少しでも早くという国民の声を受けて、建設主体であるJR東海の考え方をよく踏まえながら対処していきたいと考えております。

坂元委員 御丁寧な答弁をありがとうございました。

 JR東海さんも非常に頑張ってくださっていて、名古屋での乗り継ぎ、リニアから新幹線、新幹線からリニアへの乗り継ぎもかなりスムーズに行えるようにといった工夫もされるというふうに伺っておりますが、やはり一本で大阪まで行けるのと行けないのとでは全然効果が違ってくるんだろうというふうに感じます。

 当然、日銀の基金の話は金融政策の面もありますので、太田大臣からもぜひ政府の中で積極的に働きかけていただきますようにお願いを申し上げます。

 続きまして、小笠原諸島周辺海域の中国サンゴ船違法操業についてお伺いをいたします。

 この問題、私も、地元福山市に戻りましても、多くの方から、これを何とかしなさい、してくれという率直なお叱りというか御意見をたくさんいただきます。恐らく、多くの議員の皆さんもそうではないかというふうに感じますが。

 率直にまずお伺いをしたいのが、海上保安庁長官、きょう、いらっしゃっていただいていますが、海上保安庁の現有体制で対応できている、もしくは今後もできるというふうに率直にお考えでいらっしゃいますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 ことしの九月中旬以降、小笠原諸島周辺海域等におきまして、中国のサンゴ漁船と見られる漁船が多数確認されております。

 これに対しまして、海上保安庁では、全国規模での運用調整を行い、同海域において大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を整え、違法操業を行う中国サンゴ漁船の取り締まりを行っております。

 その結果、十月五日以降、昨日逮捕した一人を含め、これまでに六人の中国人船長を逮捕しております。

 引き続き、水産庁及び東京都が派遣している漁業取り締まり船等とも連携し、法令にのっとり、厳正に対処してまいります。

坂元委員 最も多かった時期に比べると減ってきていて、現状、百二、三十隻ぐらいですかね、というふうに伺いましたけれども、やはりまだそれだけ居座っているわけで、率直に言って、やはり海上保安庁だけでは難しいんじゃないかというふうに感じざるを得ません。

 きょうは、防衛省原田政務官、いらっしゃっていただいていますけれども、先日の安保委員会でも我が党の中丸啓代議士から御提案させていただいたと思いますが、一つ我が党から御提案として挙げさせていただいておりますのが、やはり自衛隊の協力は絶対必要だというふうに思います。そういう中で、小笠原諸島周辺海域で海上自衛隊が実弾訓練を行ったらいいのではないかという御提案でございます。

 訓練は、当然、現行法下でもできるわけです。日本の領海内であればどこでやってもいいわけであって、そして、実弾訓練を行うとなれば、当然、周辺の海域にいる船に対して退避しなさいというアナウンスも行わなければなりませんし、大きな威嚇、抑止力になるのではないかというふうに思いますけれども、防衛省としての御見解をお伺いさせていただきます。

原田大臣政務官 坂元委員の御質問にお答えをいたしたいと思います。

 貴重な御提案をいただいたわけでありますけれども、御意見としてお受けをさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論と申しますか、海上における外国漁船の監視、取り締まりについては、水産庁、海上保安庁等において実施しており、御指摘の事案についても、水産庁、海上保安庁等の関係機関が連携しつつ対応いたしておるところでございます。

 坂元委員の御指摘もありまして、貴重な意見としてお受けをするということで、今後とも、防衛省・自衛隊としては、必要に応じ、海上保安庁等の関係省庁と連携の上、適切に対応してまいりたい、本日はこのような答えをさせていただきたいと思います。

坂元委員 原田政務官、本当にありがとうございます。

 私、海上保安庁も本当に全力を投入してやっていただいていると思っております。ただ、やはり現状、これだけまだ居座っている、居残っているという状況の中で、では国としてどうしていくんだという判断が必要になっている状況だというふうに思います。ですので、伺うだけではなくて、せめて検討ぐらいはしていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。

 原田政務官、どうもありがとうございました。

 続きまして、八月に広島市内で発生をいたしました豪雨災害に関する支援についてお伺いをさせていただきます。

 道路、河川、砂防など、このたびの災害で被害を受けた施設の早期復旧のために、災害査定を早期に実施していく必要があります。この点の対応について、現状どうなっているかと今後の見通しについてお伺いをさせていただきます。

池内政府参考人 お答えいたします。

 広島豪雨災害におきましては、道路、河川、砂防等の公共土木施設の被害が、広島県、広島市、それから安芸高田市の所管施設において発生しております。

 広島県、安芸高田市の補助災害復旧事業につきましては、十月末に災害査定が完了しておりまして、被害額は広島県で約十一億二千万円、安芸高田市で約一億四千万円となっております。

 また、広島市の補助災害復旧事業につきましては、被害額は約四十一億四千万円という報告を受けておりますが、十月末から災害査定を実施しておりまして、十二月中旬ごろまでには査定が完了する見通しとなっております。

坂元委員 十二月中旬にというお話がございました。ぜひ年内に査定を終わっていただけますように、現状やっていただいているのは理解していますので、ぜひとも努力をお願いしたいというふうに思います。

 続いてでございますが、甚大な土砂災害、山地災害をこうむった多数の箇所の早期復旧のために、直轄事業であります砂防災害関連緊急事業の大幅採択に関して、格段の御配慮をぜひともお願いしたいという声が地元から上がっております。

 また、高度な技術や集中投資が必要な箇所というのもたくさんありまして、そうしたところに関しても、できるだけ早期に、直轄事業として積極的に国がリーダーシップをとって、国交省がリーダーシップをとって行っていただきたいというふうに思っております。

 この二点について、御答弁をよろしくお願いいたします。

池内政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、現在、今回の災害で大きな被害が発生いたしました緑井・八木地区を中心に、二十四渓流におきまして砂防堰堤の緊急事業に着手したところでございます。

 これらの渓流におきましては、現在、応急的な安全対策としての、来年一月末ごろの完成をめどに、強靱ワイヤーネット工の整備を進めております。

 今後、砂防堰堤の早期完成に向けて整備を推進してまいります。

 また、このほかの渓流につきましても、関係機関と検討、調整を行いまして、必要な箇所につきましては直轄事業として砂防堰堤等の整備を進めてまいります。

 引き続き、被災地の一日も早い復旧復興のために、土砂災害からの安全確保に全力で取り組んでまいります。

坂元委員 御答弁ありがとうございます。

 先日、この件に関して説明を受けた際も、仮の対策ということで防護ネットのようなものを張っていただいたり、かなり臨機応変に、とにかく、まずは応急処置をするんだという部分も含めて、柔軟にやっていただいているということも理解をいたしましたので、今後とも、さらなる力を入れて取り組んでいっていただきたいなというふうにお願いをいたします。

 続きまして、先日、本委員会でも議論がされました、土砂災害防止法の改正の際にも上がっておりました土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定を加速していくために、やはり、大きな問題として費用面の部分があるというふうに率直に広島県からも伺っております。警戒区域の指定の加速のために必要な費用の助成であったり、指定に係る交付金の補助率のかさ上げなど、財政的支援を中心にやはり配慮が必要なのではないかというふうに思っております。

 この点に関して、御答弁、御見解をお伺いいたします。

池内政府参考人 お答えいたします。

 警戒区域等の指定を加速するためには、まずは基礎調査を促進することが重要だと考えております。

 基礎調査につきましては、調査を推進する都道府県に対しまして、防災・安全交付金による積極的な支援を行ってまいります。

 また、国費率のかさ上げにつきましては、現行制度のもとで既に基礎調査を完了した都道府県とのバランスも踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。

 また、基礎調査の実施に当たりましては、詳細な地形データが必要となるため、国が所有しております地形データの提供などによって都道府県の実質的な負担軽減を図ってまいります。

 さらに、区域指定が進んでいる県の事例を見ますと、若干名の専任職員の配置やOBの活用、自治会単位での住民説明会の開催、地元区長会への事前説明で地域の理解を得やすくするなどの工夫を行って、負担軽減を図っておられます。

 国においては、このような先進事例を各都道府県に周知することなどによりまして、区域指定の促進を図ってまいります。

坂元委員 費用面以外の、情報の共有であるとか知恵を使ったいろいろな工夫をしていただいていることは本当に理解をしております。そして、これまで取り組んでこられた自治体とのバランスというものも見られているということも理解をいたしました。

 ただ、これだけ激甚災害がふえてきている中で、積極的に進めていく、警戒区域の指定を促進していくためには、やはり費用面というのも今後の検討課題としてはあるのかなというふうに思っておりますので、まずは基礎調査からというところではありますけれども、今後の推移を見て、検討の課題の一つにぜひとも入れておいていただきたいというふうにお願いをいたします。

 続きまして、今回の災害では、大規模な土石流による土砂の流入や周辺道路の崩壊で、住居の全半壊を問わず、実質的に帰宅が困難となった被災者の方が相当数いらっしゃいます。こういう方々も含めて仮住宅などでの避難がさらに長期にわたることが想定をされますが、こうした被災者の方々に対して災害救助法の弾力的な運用をお願いしたいというふうに考えますが、御見解、いかがでしょうか。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法に基づく応急仮設住宅につきましては、自宅が全壊し、みずからの資力では住宅を得ることができない方に提供するということが原則でございますが、全壊でなくとも、住家の損傷が激しく、実質的に居住することが困難と認められる場合や、住家には直接の被害はなくとも、行政からの避難指示等を受けているために長期にわたりみずからの住居には居住できないといった、いわば全壊と同等とみなせる場合には応急仮設住宅の供与が可能でございますので、被災者の個別の状況に応じまして適切に対応をしてまいります。

坂元委員 今回、土石流の災害でありましたので、全壊とか半壊していなくても、いわゆる泥が家の中に入ってしまって実質的に住めないという状況の方もやはりいらっしゃるわけでありまして、ぜひとも弾力的な運用をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、私の地元であります広島県福山市の課題について幾つか御質問をさせていただきます。

 先ごろ発表されました国土のグランドデザイン二〇五〇の中でも示されている、そして太田大臣がよく御答弁の中でも使っておられますコンパクト・プラス・ネットワークという手段で、地方都市が連携をして圏域を拡大していくという方向性を打ち出しておられますが、その中で、私の地元福山市は、地方中枢拠点都市にも指定をされておりまして、広島県東部、備後地域のまさに拠点として、中心となってやっていく必要があるというふうに思っております。

 そのために大きな課題となっておりますのが、直轄国道バイパスとしての福山道路の整備、そして松永道路、これは尾道に向かっていく側の道路なんでありますが、これの四車線化ですね。今、片側一車線ずつの二車線で非常に渋滞するんですけれども、この四車線化が必須であるというふうに思っております。

 これらの促進について、国交省の御見解をお伺いいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本格的な人口減少社会を迎える中、委員御指摘のように、コンパクトな拠点を結ぶネットワークとして道路の果たす役割は重要だと考えております。

 御指摘の福山市周辺の国道二号に関しては、二車線区間に約四万台の交通が集中し、朝夕を中心とした渋滞や交通事故等の課題が生じています。

 物づくりを特徴とする広島県東部、備後圏域におきまして、重要港湾福山港から尾道市への鋼材の輸送、さらには、これらの物流を支えるとともに、観光振興や医療など地域サービスの連携を図るためにも、国道二号の強化が重要と考えております。

 国土交通省では、当該地域におきまして、委員御指摘のように、国道二号松永道路、福山道路の整備を進めております。

 まず、松永道路でございますが、暫定二車線区間、二・五キロありますけれども、この四車線化につきまして、現在、改良工事とトンネル工事を進めておりまして、平成二十八年度の完成を予定しております。

 また、福山道路、三・三キロメートルにつきましては、現在、用地買収を推進しております。

 引き続き、地元の御協力をいただきながら、早期整備に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

坂元委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、今お話にも上がりましたが、福山港についてでございます。

 国際バルク戦略港湾に指定された福山港について、開発保全航路の計画水深十九メートルを確保することなど、やはり国家戦略として、というのは、福山港はJFEの日本最大の粗鋼生産量を誇る工場がございまして、やはり国家戦略として国際競争力アップに必要な対策というものを講じていただきたいというふうに思っております。

 さらに、福山港と水島港を港湾法に基づく特定貨物輸入拠点港湾に指定をして支援措置の拡充を図っていただきたいというふうにも考えておりますが、以上二点についての御見解をお伺いいたします。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、福山港には、単一製鉄所としまして国内最大となります製鉄所が立地をしてございます。鉄鉱石の輸入拠点として極めて重要でございまして、御指摘のように、近接する水島港との連携の取り組みも進められ、国際バルク戦略港湾として選定をしているところでございます。

 委員御指摘の、福山港にアクセスします開発保全航路の備讃瀬戸北航路につきましては、航路埋没により計画水深十九メートルが確保されていない浅い場所が存在しておりますことから、既にしゅんせつ工事に着手しているところでございます。

 また、港湾法に基づきます特定貨物輸入拠点港湾の指定につきましては、国際バルク戦略港湾を念頭に、法令に基づく一定の要件を満たしたものから指定をしていくことを考えてございます。

 国土交通省といたしましては、地元からの御要望、荷主企業の連携状況、並びに個別の事業の必要性、緊急性などを勘案しながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上です。

坂元委員 やはり、熾烈な国際競争の中、日本の鉄産業を背負って戦っておりますので、ぜひとも国家として御支援をお願いしたいというふうに思います。

 最後の御質問でございますが、本年五月三十日にこの国土交通委員会で私、質問をさせていただきまして、太田大臣からも前向きな御答弁を頂戴いたしましたETCの大口・多頻度割引制度の見直しについて、御質問から約半年が経過をいたしましたので、あのときは研究をするというふうにおっしゃっていただきましたので、どの程度研究が進んでいるのか、現状をお伺いしたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路の大口・多頻度割引につきましては、御存じのように、後納制度となっております。これは、未収に対するリスク回避をするため、申し込み時に保証金の預託等をお願いしているものであります。

 今年五月、議員からの御指摘を踏まえ、利用実態を調査するとともに、利用者の意見を確認するなど、さらに利用しやすい制度となるよう高速道路会社に検討を指示いたしました。

 これを受け、高速道路会社が調査したところ、請求された期限までにお支払いいただけず、督促状の発送後にお支払いしていただいている実態もあり、また、現行の保証制度について利用者から一定の御理解もあるということがわかりました。

 本日改めて委員から御指摘もあったわけですが、高速道路の料金につきましては、利用者の皆様に確実にお支払いしていただく必要があります。今後とも引き続き利用実態を丁寧に調べながら、どのような保証金の額がよいか、引き続き検討してまいりたいと考えております。

坂元委員 利用者アンケートを私も見させていただいたんですけれども、ちょっとこれは問題があるかなと思いました。ですので、やはり利用者が利用しやすい制度となるように改善をぜひともお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 ふだんは別の委員会で活動させていただいておりますが、きょうはまとまった時間を頂戴しまして、井上理事初め同僚の皆様に感謝申し上げたいと存じます。

 きょう私は、土砂、建設残土の話を中心に御質問申し上げたいと思います。

 きょうテーブルにものっております空き家対策の特措法案、横から拝見をしていたわけでありますが、本当にすばらしいお仕事だと感服をしております。敬意を表したいと思います。宮路先生、山下先生、そして西村副大臣を中心にお取り組みであったというふうに承知をしておりますが、御苦労も多かったと思います。大変敬意を表するところでございます。

 また、冒頭、きょう後藤祐一委員の方からも質問されておられましたが、後藤先生も、地元のあるいは現場の自治体の状況を非常によく調べておられて、私もふだん地元で感じておることがそのままこの委員会で議論されておるということで、非常に有意義な内容であったというふうに思います。

 土砂の話に入る前に、この空き家の話に一言ちょっと触れさせていただきたいと思います。

 実は、私がふだんずっと、何とか対策をとらないといけない、こういう思いで土砂の問題に取り組んでおる中で、私自身、なかなかこれは大変だなと思ってやってきた問題と同じ問題が、きっとこの空き家の問題にもあったんだろうなと思います。

 それはどういうことかというと、一つ同じ共通の特徴というのは、自治体の条例がある意味で先行しているわけであります。この空き家の問題も、三百を超える条例が各地でつくられておるということでありますし、実は建設残土、土砂の問題も、大変多くの都道府県、市町村で条例がつくられています。

 これはどういうことか。私の理解でありますが、現場でもうとにかく問題になっているんですね。現場の自治体の住民、国民の足元、手元においては、もうそれは、空き家の問題、あるいは、またちょっと別の問題かもしれませんが、維新の党の私どもの小沢幹事長などは、ごみ屋敷ということで、また別の問題を別の角度から取り上げているわけでありますが、いずれにせよ、現場ではもう明らかな問題なわけですね。

 私が今申し上げた建設残土の問題も、現場では事故が起こって明らかな問題なんですが、これが、いざ、では国のどの部署に御相談をすればいいかということを議論しても、なかなか、窓口もよくわからないということが実は続いてきたわけであります。

 何か、伺うところによりますと、空き家の問題も、条例については、建築、景観、あるいは廃棄物、ごみ、さらに言えば危機管理、さまざまな観点から条例がつくられていますので、必ずしも条例の内容については一律では当然ありません。

 こういった問題をどういうふうに捉えて今この特措法案に至ったのか、その問題認識と経緯について若干御紹介をいただければ幸いでございます。

西村(明)副大臣 今御指摘ありましたように、空き家の問題に関しましては、さまざまな現場の課題が提起されてまいりまして、それをいかに解決するかということで各自治体が独自に取り組んでいたわけでございますけれども、そうした取り組みを国としてしっかりと支援していく方法はないのかというのがスタートでございました。

 各自治体から細かに現状、そしてまたそれに対する取り組みの内容につきまして数多くのヒアリングをしていく上で、国土交通省、総務省を中心とした、政府が連携した体制が必要だということで、今回の議員立法の動きになったというふうに承知しているところでございます。

 御指摘の、さまざまなほかの課題に関しましても、当然、それぞれの持つ課題とそして現状についてヒアリングをしっかりと積み重ねて、この空き家の議員立法がこれから採決されるというふうに伺っておりますけれども、そうしたものと同じようなものなのか、そしてまた独自に解決できるものなのか、これはしっかりとそれぞれ検討して、解決に向けて取り組んでいかなければならないというふうに思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 今まさに御紹介いただいたようなことで、本件については、空き家対策については、空き家対策の特措法案という形で問題を確定し、その確定した問題についてはこういう対応をとるということで、まさにこの国会で、立法府で対応するということに相なったと承知をしているわけでありますが、今申し上げたように、空き家問題というものを確定したので法律ができるわけですが、当然、この法案からは外れるものがあります。

 先ほど小沢幹事長の話を御紹介申し上げましたが、例えば、いわゆるごみ屋敷という問題ですね。私が伺っている限りでは、例えばこの空き家対策も、対策を講じていったその先に、何かごみ屋敷のように見える、あるいは空き家のように見える、そこに立ち入っていったときに、人が住んでいた。住んでいる方がいたら、これはこの特措法案の対象からは外れる、これはこういう理解でよろしいですか。

松脇政府参考人 お答えします。

 いわゆるごみ屋敷、ごみ空き地の問題につきましては、住宅や土地の所有者による管理が適切になされていないために、周辺の生活環境に深刻な影響を与えてしまっている問題の一つであるとともに、現場によってさまざまな状況、課題があると受けとめております。

 例えば、住人不在の住宅や不動産において第三者がごみ、廃棄物を不適正に処理している問題であれば、環境行政の問題として対応されるべきものと考えられます。

 一方で、今議員が御指摘になったように、所有者本人がいわゆるごみ屋敷をつくってしまうような場合の中には、周辺の住民からはごみと見えるようなものでも、本人にとっては大事な財産であると主張されるケースもあって、財産権保護の観点等で難しい課題もあると考えられます。その背景には、ひとり暮らしのお年寄りの問題であるとか、近所の関係が疎遠になってしまっているとか、あるいは認知症が疑われる場合もあるとかというような指摘もあるというふうに聞いております。

 このような状況の中、御指摘もありましたように、幾つかの地方自治体においては、既にこの問題に関する条例を策定している例もあると聞いております。また、環境委員会には、お話がありましたように、議員立法が現在継続審査になっているというふうに承知しておりますので、このような動向を十分注視してまいりたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたのは滝口局長ですか。

今村委員長 松脇政策統括官です。

足立委員 松脇さんですね、松脇政策統括官。

 これは、済みません、今どなたに御答弁をいただいたかということを確認しましたが、実は、ごみ屋敷というのは小沢さんが一生懸命取り組んでこられているわけですが、まだ法案の形、法案にはなっているわけですが、その法案は、野党でもありますので、実現をしておりません。

 でも、空き家と同じように、ごみ屋敷についても、実は、報道、マスコミなんかも取り上げられていますように、現場では問題になっているわけですね。空き家対策でも御理解いただけますように、市町村によっては、知見が十分ではなくて、なかなか対応をどうしたらいいかわからないというようなことがあって、相談をしたいと。

 行政が、それぞれ、市町村は市町村、都道府県は都道府県、国は国で、当然、地方自治のあり方の中で別の主体なわけでありますが、仮に、ごみ屋敷問題、これは人が住んでいるケースですね。このごみ屋敷問題について、国のレベルで相談をしたいという者があった場合、これはどこの部局になるか。もし御答弁いただけるようでしたら、松脇統括官でも結構ですし、そこで譲り合っていらっしゃるわけですけれども、ちょっと御答弁いただければと思います。

鎌形政府参考人 いわゆるごみ屋敷の問題についてのお尋ねでございます。

 直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、私ども、ごみ屋敷の問題は、悪臭、害虫、火災等の生活環境保全上の支障を及ぼし得るもの、こういうふうに考えておりますけれども、廃棄物を所管する立場から申しますと、個人の住宅に集積されたものにつきまして、廃棄物処理法上の廃棄物と捉えて対処していくということについては、いろいろと難しい問題がございます。

 かみ砕いて申しますと、それらのものが廃棄物に該当するか否かということは、廃棄物処理法の考え方で、その物の性状のほか、占有者の意思などを総合的に勘案して判断するということとしてございます。そこで住人の方が廃棄物ではないというふうな主張をされるような場合には、同法に基づく、廃掃法に基づく対応が困難になるといった課題が考えられてくるというところでございます。

 御指摘のとおり、一部の自治体では、ごみ屋敷が生活環境保全上の支障を及ぼしている、こういう場合に、例えば調査、指導、勧告、命令、代執行などを行うことができるような条例を制定しているということでございますので、私ども環境省といたしましては、そうした自治体の動向も見ながら必要な対応を考えてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

足立委員 おっしゃっていることはよくわかります。

 ちょっと更問いというか、こだわって恐縮ですが、地域で、いわゆるごみ屋敷、あえてごみ空き地と申し上げましたが、ごみ屋敷というのは家が建っていて、それがごみでいっぱいと。猫屋敷と言う方もいらっしゃる。それから、何か党内でよく議論をしていると、空き地はもうごみ箱になっちゃうんですね。だから、空き地の隣に住んでいる方も、隣の空き地が要はごみ箱になっちゃうので大変だというような問題もあるそうでありまして、この問題は非常にささいな問題のように思われるかもしれませんが、住民の方々にとっては大変な問題であります。

 このいわゆるごみ屋敷、ごみ空き地と言われる問題が問題だというときに、いや、これは自治体の問題だから自治体でよきに計らってくれということかもしれませんが、仮に、国で、問い合わせをしたい、これは環境省の廃棄物・リサイクル対策部にお問い合わせをすればよろしいかどうか、確認させてください。

鎌形政府参考人 私ども環境省では、廃棄物の適正な処理というものを確保することを所管して、事務を進めてございます。

 そういう意味で、廃棄物に該当するかどうかという判断、そのもとに廃棄物であれば適正な処理が求められる。そういうことについては、御相談があれば、個別の事例について、廃棄物に該当するかということも含めて、御相談は受けるということはあり得る、こういうふうに思います。

足立委員 私も役人でしたのでよくわかるんですが、恐らく、これは現実に何が起こるかというと、いわゆるたらい回しということが起こるんです。多分そうだと思うんですね。

 地方分権を主張している党として、いや、それは自治体でしっかりやれということに対して、いろいろ課題もあるわけですよ。国レベルでも、私、以前もこの場で申し上げたかもしれませんが、私は役人でしたので、基本的には、森羅万象、何か問題があれば霞が関で一応担当者はいると。農水省を見ても、細かく、トウモロコシ係長さんまでいるわけですね。あらゆる森羅万象について霞が関には担当者がいる、こういうふうに実は理解をしていたんですが、なかなか実態の運用上、問い合わせをしても、実は結局着地をしないという問題がたくさんあるわけであります。

 今、環境省の方から、廃棄物についてはアドバイスするよ、端的に言うと、そういう御答弁がありました。いわゆるごみ屋敷、ごみ空き地と言われているもの、これは角度によっては国交省に落ちるケースもあると思います。国交省においてはどの部局が担当だと思われるか。

 そもそも私が、ごみ屋敷、ごみ空き地についてその定義をせずに質問していることについては謝りますが、一般にごみ屋敷、ごみ空き地と言われているものについて御答弁いただければと思います。

松脇政府参考人 国交省の中におきましては、私は政策統括官でありますけれども、国土や土地、特に適正な利用がなされてない土地の問題については局をまたがって見ることになっております。そういうことで本日は私が答弁させていただきましたが、霞が関全体の中では、現在、法案も環境委員会で審査されておりますので、環境省の関係が強いのではないかというふうに私は考えております。

足立委員 国土交通委員会の先輩方、また大臣初め国土交通省の皆様方も、きょう私がここで申し上げている問題、なかなか解決はしないわけでありますが、ぜひ御理解をいただいて、私がこういう質問を申し上げている理由は申し上げるまでもないと思いますが、たくさんこういう問題があるわけです。

 だから、社会の中で、それこそ条例が、空き家の場合は西村副大臣初め皆様方が立法府で汗を、これは立法府の役割ですから当たり前のことでありますが、議員立法で問題を確定し対策を確定することによって初めて動くという問題が実は山のようにあって、特に経済社会のあり方が変わる中で、今までは無視できた問題が非常に大きな問題として脚光を浴びてくる。

 ところが、順番としては、問題が起こったときにまず何が起こるかというと、条例ができるわけです。それは足元で困っているわけですから、市町村が条例をつくるところから始まるわけですね。三百五十五もの条例ができた中で、心ある政治家の先輩方が、これはいかぬということで汗をかいてここに至っているということで、私は、本来あるべき手順、すなわち、問題がある、それを現場で認識した市町村が条例をつくる、たくさんの条例ができる中で立法措置が必要だということで立法府で措置がされる、これが順番であり、しかるべき形で来たということなわけです。

 申し上げたいことは、ほかにもあるぞということが言いたいわけでありまして、例えばその問題の一つが、手前みそながら、私が今立法活動をしております建設残土の問題、これは建設残土あるいは建設発生土といえば国土交通省になるわけでありまして、先般も同僚の岩永議員の本会議での質問に対して太田大臣の方から非常に前向きな御答弁もいただいて、感謝をしているところでありますが、これも問題を確定しないと実は所管は決まらないということであります。

 建設残土の問題については、環境省も実はいろいろアンケート等で調査をされておられます。これは、まず、あえてここでは建設残土と申し上げます。土砂と言ってもいいし、建設残土と言ってもいいし、あるいは建設発生土と言ってもいいわけですが、その言い方によって、実は私が御相談しても来られる役所が変わります。これは御理解くださいね。

 あえて、ここでは一般的に建設残土と申し上げるわけですが、この不適切な取り扱いが全国で多発をしている現状、これを捉えて私はここに立っているわけでありますが、この不適切な取り扱いが起こっているこの現状について、あるいは条例が全国でたくさんできているということについて、国交省、環境省からそれぞれ状況を御答弁いただければと思います。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

滝口政府参考人 建設工事に伴いまして、委員御指摘のように、いろいろな土が出てくるわけであります。私どもはこれを発生土と言っておりますが、これにつきましては、他の建設工事で、例えば資材に使えるといったようなことがあるわけでございまして、できるだけこのような有効活用をするということを私どもは進めてきております。

 しかしながら、当面有効活用されずに、残土の受け入れ地といったようなところに持ち込まれる例があるわけでございます。この受け入れ地に搬入された残土が崩落をするといったような事案が起こっております。

 委員御指摘のとおりでございまして、私ども、新聞などをこれについて検索いたしましたところ、平成十三年以降に全国で十七件という数が確認をされております。建設残土の受け入れ地等における崩落案件ということでございます。この中には、既に委員が本委員会においても御指摘をされておられます、二十六年二月に大阪府の豊能町で発生いたしました事案も含まれているところでございます。

三好政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、環境省では、有害物質に汚染されている土壌という観点で、土壌汚染対策法に基づいた対策を行っているところでございます。

 具体的には、土地の所有者等による土壌汚染の状況を把握するための土壌汚染状況調査、調査の結果を踏まえた区域の指定及び汚染の除去、都道府県知事等の許可を受けた汚染土壌処理業者による汚染土壌の適正な処理などを行っておりますが、これは、先生御指摘の観点からいいますと、建設残土となるものも含めまして土壌汚染の観点から対策を行っているということでございます。

 それから、地方自治体の取り組みについてのお尋ねがございました。

 私どもでは、そういう意味で、土壌の堆積、埋め立て等々、土壌汚染の防止という観点、各自治体においてその捉え方はさまざまでございますので、一概には申し上げられないところもございますけれども、条例や要綱が制定されておりますのは都道府県等二百四十五の自治体ということでございまして、そういうところで対応がなされているというふうに承知をいたしているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 国交省と環境省の関係等について改めてここでお話をするつもりはもうありませんが、同じような問題だということは御認識をいただけるかと思います。

 今あったように、空き家対策に関する条例が三百五十五、この土砂の問題、いわゆる土砂条例、ネットで土砂条例と検索するとウィキペディアでも何でも出てきます、二百四十五の条例が確認できているという御答弁がありまして、私は、もう既にこれは立法府でしっかりと対応していく必要がある、こう思っているわけであります。

 もちろんこの国会も、諸説ありますが、場合によってはもう法案を審議できる時間もないかもしれませんので、また次の会期ということになるかもしれませんが、建設残土の安全に係る、いわゆる住民の安全を確保するための法案を検討しておりますので、ぜひまた御協力、御指導をいただきたいと思っている次第であります。

 この問題については十月二十三日の本会議でも岩永議員の方から取り上げさせていただいて、太田大臣の方から御答弁をいただいて本当に感謝をしておりますが、その出口のところというか、御答弁いただきました中で、既存の法制度の活用も含めて、関係者と調整して、適切に検討していくという御答弁をいただいたわけであります。

 これは、私もいよいよ地元に戻るかもしれませんので、みんなこの答弁を非常にありがたいと。私の地元だけではありません。全国の、これは実は関西では、一カ月ほど前かな、ちょっと失念しましたが、NHK大阪がこの建設残土の特集を組んでいます。その特集でも、今先ほど平成十三年以降という御答弁がありましたが、NHKの調査では、もっと足元だけで、ことしに入ってから、ことしだけでも、大阪の豊能町、群馬の高崎、福岡の久留米で崩落が起こっております。また去年は、滋賀の大津市で崩落。それからさらに、埼玉の皆野町というところで崩落をしております。もうことし、昨年だけを取り上げても大変な事故が起こっているわけであります。

 そうした中で、大阪府でも、これは条例をつくろうということで取り組んでいるわけでありますが、恐らく十二月議会にかけられると思います。

 ぜひ、太田大臣、これは本当に国交省だけの問題ではないのは承知をしておるわけでありますが、御検討いただけるというそのお言葉に甘えて、どのような形で今後御検討いただけるか、もし一言でも補足をいただければ幸いでございます。

太田国務大臣 十月二十三日の衆議院本会議におきまして、私の方から、これは土砂災害の審議であったわけですが、同じように町中においてもそうした崩落があるということについて、不適切な取り扱い状況については把握して、既存の法制度の活用のあり方も含めて、関係者と調整を図って、適切な対応のあり方について検討する、こういう発言をさせていただきました。

 国の公共工事を初めとする大規模工事から発生する建設発生土については、国は、発注者に対して取り扱い管理を徹底させるということが大事で、公衆災害の防止について通達による指導を行っているところです。さらに、土地改変を規制する砂防法などの既存法令に基づいて適切に措置すべきところでございます。

 しかしながら、この間の、委員御指摘の大阪府豊能町におきまして、建設発生土の不適切な取り扱いにより崩落事故が発生した。これについては、発生後、大阪府が関係者を告発するとともに、砂防指定地内の行為許可の取り消しを、これは砂防法に基づくわけですが、行ったところです。国交省としましては、全国の砂防部局に対し、砂防指定地内の管理強化の要請をいたしました。

 そのほかに、全体的なお話ですが、同様の事案が発生していないか確認をしたところ、局長が答弁しましたが、現在把握できる情報によりますと、平成十三年以降約十七件の残土崩落があったものと承知をしており、今、足立委員からも御指摘の五件については、御指摘をいただいたところでございます。これをしっかり私としては把握をしたいと考えております。

 これら十七件の残土崩落事案は全て砂防法などの既存法の対象区域に存しておりまして、中止命令や許認可取り消しなどの措置がどのように機能してきたか等についても検証を行う必要があると考えております。

 省庁にまたがるという話がありましたが、私は、国交省がこれは中心となってまとめる。どこがやるかということについては、これは議員立法というような方法もあり、また行政側が、我々政府という側はむしろ、そういうようなまたがることについても我々がほかの省庁にも働きかけたりしながらという、どこが主導していくかということが大事だというふうに思っておりまして、国交省が中心となって、関係省庁に働きかけて取り組みを進めていきたいと考えております。

足立委員 太田大臣、丁寧な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 先般も申し上げましたが、大学の後輩でもありまして、尊敬をしておりまして、二期目はぜひ同じ側で仕事をいたしたいなというふうに、こういう話は、ほかの委員会ではよくやるんですが、なかなか国交委員会では受けないんですが、失礼しました。

 今御答弁いただきましたように、国交省が中心になって取り組んでいただけるということで、本当にありがたい。

 実は、きょうもこの後、本会議の後、私、地元に戻りますが、豊能町の方々が私の事務所においでになります。別に、きょうの質疑とは全く関係ありません。

 しかし、豊能町、このように注目をされる、テレビ等でも報道されるようになって、よく知られるようになったわけでありますが、大臣、実は問題は全く解決しておりません。

 豊能町で今、土砂が積まれている山が、大きな山が四つ、五つあります。今御答弁もいただきました、大阪府が告発をした案件については、もうその事案のいわゆる刑事処分、起訴されて終わっている案件なわけですが、実は、その案件、その処分が終わった後、その山はまだ土砂が積み上げられる作業が続いております。

 それから、その告発があった山と別の山が崩落をしたわけですが、その崩落をしたのも、二百メーターにわたって大変な山崩れが、山崩れというのは、くれぐれも皆さん、これは自然災害ではないんですよ、人為的に積み上げられた土砂が崩れているわけであります。たまたまそこに人が通っていなかった、府道にバスが通っていなかったからよかったんですが、もしその場にバスが通っていたら、十数名の方の命が奪われたかもしれない事故が起こったわけであります。

 実は、その山も、大阪府が入ってやっていますが、あるいは土木事務所が入ってやってくださっていますが、その山の奥はまた新しい山が積まれています。それから、別の、ある小学校の裏山も今積まれています。豊能町においては、そういう四つ、五つの山が、依然としてトラックが走り回っているという状況をとめることができないでいるんです。

 今大臣も御紹介をいただいた砂防法、これは砂防部局の方々が本当によく頑張っていただいている、あるいは大阪にあっては池田土木事務所、所長さん御みずから走り回ってこれに対応いただいているので、感謝を申し上げたいわけでありますが、地元からよく聞く話、ちょっと通告、ずっと後ろに飛びますが、やはり罰則が低いということのために抑止効果がないんだという指摘があります。

 これは国交省、砂防法の罰則は条文にはどう書いてあり、運用上、今どうなっているか、御紹介をください。

池内政府参考人 お答えいたします。

 まず、条文上は、これは古い法律でございまして、「此ノ法律ニ規定シタル私人ノ義務ニ関シテハ命令ヲ以テ二百円以内ノ罰金」とされておりますが、一方、罰金等臨時措置法がございまして、この中で二万円というふうになっております。

足立委員 太田大臣、御質問じゃないんですが、これは実はみんなびっくりするんですね。二万円でもまだびっくりするわけですが、実は住民が、住民というか皆さん、これは砂防法しかないんだと。もちろん、これは砂防地であればの話ですから、砂防地でなければ、砂防法というのは、釈迦に説法ですけれども、別の法域がある法律ですから、私が今、きょうここで取り上げているような問題を確定して対応した法律ではありません。砂防法というのは河川を守るための法律でありますから、全く違う法律であります。その法律を援用して対処するしかないが、その砂防法の罰則を住民の方がひもといてみると二百円と書いてあって、みんな驚くわけです。それに対して私の方から、いや、それは違うよ、法律で引き上げがなされていて、実態は二万円なんだと。でも、これはしゃれにならない私の答弁でありまして、それを私が言うと怒られるわけですね、ふざけるなと。

 この商売、これを業として行っている、それは不法なものも含めてですよ、土砂を、建設残土を運んできて置くという、それをなりわいとされている方々は、大変な利益を上げるそうであります。特にこの豊能町のケースでは、不法な、すなわち安全対策を講じない不当な形で積むわけでありますから、言えばそれは利ざやがぐんと上がるわけでありまして、何億という利益がポケットにどんどん入っていく業者にとって、二万円という罰則が意味があるかということでありまして、これはどうお感じになられますか、国交省。

池内政府参考人 お答えいたします。

 まず、前提といたしまして、砂防指定地の管理につきましては都道府県が条例に基づいて実施されておられます。違反行為があった場合には行政指導を行って、それでも是正されない場合は改善命令を行います。さらに改善されない場合には条例違反として告発いたしまして、違反者が逮捕された事例もございます。

 したがって、罰金の額の問題というよりは、むしろ、条例の的確な運用を行うことによって違反行為を抑制できるものと考えております。

足立委員 役所の答弁としては仕方ないですが、私は、もし砂防法を援用してやっていくんだということであれば、あの罰則は低過ぎると思います。

 一方で、今、全国で、先ほど御紹介があった数字でいうと二百四十五の条例があるということで、当然これは罰則がついているものが多うございます。今度、十二月議会に大阪府が上程するべく、今、大阪維新の会も含めて取り組んでいる大阪府の条例、これはいわゆる地方自治法上、条例で定めることができる罰則の上限に張りついています。百万円、二年ということでありますが、これを引き上げられないのかという声が、今、この土砂問題に取り組んでいる全国の自治体から、地方自治法上のこの上限がもうとにかく無理があるんだ、百万円なんというのは払えば済むんだ、事業者にとっては何の抑止効果にもならないんだという指摘がありますが、これは通告は総務省に出しているわけですが、総務省に聞くのはもうやめます。総務省に聞いても、そうだということだと思います。

 国交省、これはちょっと通告しておりませんが、国交省として、何か地方自治法の特例というようなことで、この分野でこれを抜いていく、そういうお考えはないでしょうか。ちょっと通告から外れていますが、御答弁は難しいと思いますが、ちょっと一言下さい。

滝口政府参考人 条例に関します罰則については、これは地方自治法が定めるべきことでありまして、基本的に総務省の方で御判断されることだろうと思います。

 一方、先ほど私の方で申し上げました建設残土が崩落をしているところが、報道などを調べますと、十三年以降十七件でございますが、いずれのケースも、ただいま御説明申し上げました砂防法であるとか、あるいは森林法であるとか、いろいろな法律に基づく行為規制のかかっている地域のようでございます。

 そのために、砂防法のみならず、いろいろなそういった法律に基づく運用がどのようになされているかということについて実態をまず十分把握した上で、どのような措置が必要なのか、このあたりを検証していく必要があるだろうというふうに考えております。

足立委員 時間が参りましたので終わりますが、私はこの問題をこういう形で取り上げさせていただいておりますが、私が今申し上げた罰則の問題、やはり抑止効果のあるレベルまで罰則を講じる。これは二つの方法があって、地方自治法の問題、あるいは個別の法律でそこを抜いていく、それは国の法律として罰則を措置する、この二つに一つしかないと思っています。

 それから、さらに言えば、砂防地ではないところについても、物理的形状、すなわち技術的な基準、土を積むときにはこう積め、この基準が、今は一切の規範がない状態が続いているわけでありますので、幾らでも私有地に積めるわけであります。このナショナルミニマムを設定していくことが不可欠である、それが二点目。

 三点目は、これからリニアだ外環だということで大規模な土砂が出てまいりますので……

今村委員長 時間が来ています。

足立委員 それについては、大規模な排出者については排出者責任についても規定していく必要がある、こう思っておることを申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 エレベーター問題は大臣も積極的に取り組んでいただいておりまして、心から感謝を申し上げたいと思います。この委員会でも何度か、このエレベーター問題、指摘をさせていただきました。きょうは、それを踏まえながら、まだまだ残っている問題点について質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず最初に、これまでエレベーターは、皆さんのお手元に資料をいろいろ置いておりますけれども、一ページ目の資料を見ていただければおわかりだと思いますが、赤く色を塗っているところは一者しか入札に入っていないというようなデータであります。

 一ページ目の国土交通省に至っては、二〇〇八年から二〇一三年までの間で約百五十七件発注をしていますが、そのうちの四十八件が、実は落札率が九六%以上だというデータであります。その右隣の方は、文科省が所管をしております国公立大学でありますが、こちらに至っては、四十八件を抜き出しますと、何と九九・四一五%ということであります。

 これを見ていただければ、おのずと談合に見られてもいたし方がないような数字ではなかろうかと思います。さらには、落札率が一〇〇%というのが、まだいまだにあるという現実であります。こういう点をこれまで指摘させていただきました。

 そこで、まず国土交通省の方にお尋ねをさせていただきたい点がございます。

 それは、資料の五ページ目をめくっていただきますと、この件についてのお尋ねでありますが、いわゆる公共工事に至って、安ければよかろうということではなくて、品質管理をやはりしなきゃいけないということで、総合評価方式というのが取り入れられております。

 そこで、この五ページの問題点なのは、まず、入札金額が安いにもかかわらず実は総合評価点数が低い、入札金額が高いにもかかわらず総合評価が高いという案件が二案件、同じ中央合同庁舎の案件であらわれております。

 そこで、まず最初の分で、応札した三菱とフジテックという企業がありますけれども、この数字を見ていただいたら、どうして安い金額の三菱の方が総合評価が低いのか、さらには、その下の段の、三菱とオーチスも同じような状況でありながら、今度は三菱が総合評価点数が高いということであります。

 この点について御説明を願いたいと思います。

川元政府参考人 お答えいたします。

 公共工事の品質を確保するためには、価格と品質が総合的にすぐれた契約を行うことが重要です。

 このため、国土交通省では、工事発注において価格と技術力などを総合的に評価して落札者を決定する総合評価落札方式を実施しております。

 エレベーター工事の発注においても、総合評価落札方式を実施しておりまして、これまで、使用部材の品質確保などに関する技術提案を求め、それを評価してきたところでございます。

 委員御指摘の二事案につきましては、平成二十四年度に入札公告を行ったものでありまして、すぐれた技術提案がありましたために逆転が生じたものでございます。

 しかしながら、現在では、こうした技術提案の内容が広く一般化してきたことなどから、大半のエレベーター工事においては、技術提案を求めておらず、企業や技術者の施工実績等をもとに総合評価をすることとしております。

 エレベーター工事の総合評価落札方式の実施に当たりましては、引き続き、事業の目的や工事の性格等に応じ、適切な評価を行うように取り組んでまいります。

佐藤(正)委員 今いみじくも言われましたが、今はこの評価が変わりましたということですよね。それは当然ですよね。天下の三菱電機がつくっているエレベーターが、そんなに技術評価が低いわけがないんです。エレベーターでは、日立、三菱、東芝、これが三大大手メーカーです。変わりませんよ、品質は。

 この点も考慮すると、この表で見て物すごくわかりやすいのは、実は、既設のメーカー、それまでついていたメーカーがそのまま同じように横並びで落札をしているということなんです。しかも、高い金額で落札をしているというのがこの実態なんですよね。これは、今御答弁になった技術提案等も、今では皆横並びだということであります。当然そうでなきゃいけないんですが、この時点でなぜこういうことに気づかなかったのか、不思議でなりません。

 きょうは、だからといって、どうのこうのということを私は言おうとは思いません。これまでもこういう指摘をしながら、太田大臣が真摯に受けとめていただいて、改革を進めていただいているということを自覚しておりますから。そして、そのことによって、多くの市町村、都道府県も含めて、国土交通省が今やっている、取り組んでおることがいかにプラスになるか。いわゆる税金ですから。地方ではできないことを今国土交通省が取り組んでおられます。

 それは一つは、地方から含め、文科省も含め、全庁横串を刺して、かなりの数のデータ整理を今実施していただきました。そうすることによって、本来のエレベーターの価格はどの辺が適正なのかということを今国土交通省がやっていただいていますから。

 この一点をとっていくと、実は、これまでの何百件のエレベーターのデータを私は全部調べました。こういうことが多々あるんです。たまたま私はこの二件だけを出しましたけれども、それはなぜかというと、金額が大きいから出したんですよ。四億一千六百万と四億三千五百万ですよ。まず、フジテックと三菱。さらには、三菱とオーチスは四億八千五百万と四億五千万。一つの案件で二千万、三千万違う。そんなところに、三菱がつくった方が技術点が低いなんというのはあり得ないですよ。

 ここは、ぜひ今後、こういう留意点をしっかりと踏まえて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川元政府参考人 委員の御指摘のありましたとおり、今後とも引き続き改革、改善に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 要するに、例えば、こういうすみ分けができているというデータが、この文科省の資料でいいますと、資料二ページ目を見ていただければ、これが私が精査した分で、いわゆる以前やったところが同じように工事を受注しているというデータなんです。これは、大学も、私は現地を見てまいりました。九州に至っては全部、全大学、全エレベーターを調査してきました。そうすると如実にあらわれてくるのは、こういうすみ分けができているということです。これも一つは談合の温床なんですよ。と言われてもしようがないということを指摘させていただきたいと思います。

 ぜひ、こういうデータをもとに、まだまだ改革しなきゃいけない点が多々あろうと思いますので、しっかり国土交通省が旗を振ってやっていただきたいということをまず要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは次に、エレベーターの価格はどうやって決めているんだろうかという点であります。

 資料三ページを見ていただきたいと思います。この資料三ページで、例えば大阪第三地方合同庁舎、カラーで、赤字で抜いておりますけれども、これは日立というメーカーです。これもすばらしいメーカーですよ。ここが見積もりを出したら何と十九億六千万余の見積もりが出たのが、この日立が落札したら四億五千万になりました。これは余りにも極端過ぎる。誰が考えても不思議ですよ。こういう見積もりに頼ると、業者の言いなりの見積もりになってしまいますよね。

 実際、エレベーターは、例えば、やろうと思えば、設計事務所、コンサルにいろいろお願いするんでしょうけれども、ここでも建設関係のお仕事に従事されたりしている方もいらっしゃると思いますので詳しいと思いますけれども、いわゆる設計事務所にお願いをしても、エレベーターというのは、エレベーターメーカーが図面を描いちゃうんですね、全て。そうなっている。要するに、丸投げでお任せするような状況なんです。だから、こういう見積もりが出てきても不思議ではないとは思います。

 しかし、余りにもこの案件は、約二十億が四億五千万になったというのは、考えられない数字ですよ。こういう見積もりを出してくること自体がおかしいと思わないのかどうなのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

川元政府参考人 お答えいたします。

 エレベーター工事の予定価格の設定に当たりましては、まず、エレベーター製造業者から参考見積もりを徴取してヒアリングを行います。加えて、類似工事の予定価格や落札価格を参考にして実勢価格帯を把握します。そして、最低金額の見積もりを補正し予定価格を設定する、このような方法で行っているところでございます。

 ポイントは、この予定価格の精度をより高めることだと考えております。昨年六月に委員からの御指摘を受けまして、また太田国土交通大臣のもと改善に取り組んでおります。

 具体的に申し上げますと、予定価格を適正に設定するためには、類似工事について、多くの発注事例を、他の発注機関と情報を共有することが重要でございます。そのことから、エレベーター設備工事価格等情報データベースを整備いたしました。現在、国、地方公共団体等の九十七機関の協力を得まして、千九百九件、四千七百二十九台のデータを収録し、今年度から運用を開始したところでございます。

 また、このデータベースの運用に当たりましては、国、地方公共団体等に対して活用方法や分析方法についても情報提供を行っております。

 引き続き、このデータベースの拡充を進め、その適切な活用に取り組んでまいります。

佐藤(正)委員 それを今進めていただいているということはすごいことだと思います。それだけのデータを横串を刺してデータ整理をしていただいて、そして、各省庁にも、各都道府県、市町村にもそのデータをお渡ししていただけるということであります。これについては本当に随分前に進んだと感謝をしていますし、そのことによって公共工事の税金の無駄が削減できると私は信じております。

 そこで、国土交通省はこれまでいろいろ取り組んでいただきました。その取り組みに対して、例えば文科省はどうしたのか、それを活用してこられたのかどうなのか、そういう点について前回の予算委員会で質問をさせていただきました。

 当初、文科省は、国交省に最初に私が質問したときに、太田大臣が最初のころ答弁をされてきたことと全く同じような答弁を繰り返されていたんですね。それは、一者応札については技術者がいないんだとか。それは、国交省がもう緩和してやっているんですね。だから、そういう言いわけは、業者の言いわけをそのままうのみにした答弁をされておりましたが、質問をさせていただいたときに、文部科学大臣が、事務方から説明を受けたのと佐藤委員から受けた説明を聞くと、どうも佐藤さんの方に義がある、だから調査をするという答弁をいただいて、早速調査に入っていただいたということであります。

 これまで、国立大学については本当にガードがかたかったんですよ。文科省は、直接発注しないからなかなかできませんと。例えば、こういう資料をいただくときは、国土交通省はすぐくれるんです。早いんですよね。ぱっと対応していただけるんですよ。ところが、文科省は何カ月もかかるんですね。国土交通省が例えば十日で出していただける資料が、三カ月かかったりする。同じものが。これはまさに、かたくなに拒んでいたと言ってもしようがないんだろうと思います。ところが、今回、大臣がそういう答弁をいただいて、すごくスピーディーになってまいりました。

 そこで、文科省として、どういう取り組みに変わったのかをお尋ねさせていただきたいと思います。

 まず、一者応札についてどのように対応していこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。

関政府参考人 御指摘を踏まえまして、文部科学省では、国立大学法人が発注するエレベーター工事の一者応札の回避に向けまして、平成二十五年のデータを分析し、検証することとしております。

 一者応札を回避するための対応方策といたしまして、具体的には、工事の内容によりまして、建築工事等が主体となる工事にエレベーター工事を含めて発注する、いわゆる包含発注をすること、また、他のメーカーが実施することが技術的に難しい部分改修工事を随意契約とすること、そして、単独でエレベーター工事を発注する工事につきまして、工事希望型競争入札により実施をするということを考えているところでございます。

 今後、これらの対応方策につきまして、文部科学省に設置をしております入札監視委員会の意見をお聞きし、それを踏まえ、平成二十七年一月発注事業から適用するよう各国立大学法人等に周知する予定でございまして、このような取り組みを進めてまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 これまでの答弁とがらっと変わったんですよね。前へ進んだと思いますよ。

 ただし、残念なのは、入札監視委員会というのが今までもあったのに、なぜそこに、一〇〇%応札がこれだけあって、先ほど申し上げましたように、一ページ目の資料で見ますと、五百三十三件のうちのベスト四十八と言ってもいいと思いますが、ベスト四十八を九九・四一%で落札されている。これを不思議と思わなかった方が不思議なんですよ、実は。ですから、今回は、そういうことも踏まえながら進めていくということでありますね。

 それから、単独で発注する工事を工事希望型競争入札。ということは、多くのところに声をかけるんでしょうね。最終的にそれでも一者になったら、どうなるんでしょうか。

関政府参考人 工事希望型競争入札は、あらかじめ、発注者が選択した十から二十程度の業者に工事受注希望を確認し、技術資料の提出を求めた上で、条件を満たす全ての業者による競争入札を行う契約方法でございます。

 この方法におきましては、受注希望が一者のみの場合は入札の執行ができないこととなっておりまして、再度の入札手続を行わなければならないとされております。

佐藤(正)委員 いわゆる一者しかなかったら、もう一回入札をやりかえるということですね。ぜひそうやって取り組んでいただきたい、このように思います。

 それから、一〇〇%入札が国公立大学はすごく多いんですね。これについて、どういうふうに考えて、どのように対策をしようと思われていますか。

関政府参考人 文部科学省では、競争性確保の観点から、改めて、この一〇〇%落札となった事業につきまして、入札回数や応札者数などを調査いたしまして、その原因の分析を行いたいと考えております。

 そして、この分析結果を踏まえた対応策を、一者応札回避への対応に加えまして、平成二十七年一月発注事業から適用するよう各国立大学法人に周知をしたいと考えております。

佐藤(正)委員 意識を変えていただけたんだろうと思います。

 一〇〇%応札は、予算委員会でお尋ねしたときはこういうふうな答弁でしたよ。偶然ですと。偶然がこんなに続くはずがないんですね。そこは真摯に認めてくれたんだろうと僕は思いますよ。やはり、ちょっとおかしいということだろうと思いますよ。

 最初は本当にそう言われたんですよ。一〇〇%応札ってどうなんですかと言ったら、それは偶然じゃないでしょうかと。偶然がこんなに長く何回も続くわけがない。一〇〇パーですからね。

 では、予定価格の作成についてはどのように対応されるおつもりでしょうか。

関政府参考人 公共工事でございますエレベーター工事の入札に当たりましては、取引の実勢価格や需給状況等を考慮して、適正な予定価格を設定することが重要でございます。

 そのため、国立大学法人におきましては、各省庁間で統一化された基準に基づきまして適正な予定価格の設定に努めているところでございますが、エレベーター工事につきましては、先ほどお話のございました、本年四月から、国土交通省が構築したデータベースの活用を要請しているところでございます。

 さらに、これから十二月上旬までに、このデータベースを活用した見積書の審査方法等につきましてより具体的に示して、各国立大学法人等に周知することによりまして、予定価格をより適正に算定するよう要請してまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 ここで、太田大臣が取り組んでくれたことが生きてきたわけです。

 それまでは、文科省に私がそういう質問をすると、こういうことでした。自分の大学の実績を見て見積価格をある程度精査する、それで足らないのであれば近隣の大学の価格を見て精査する。ところが、では、それはどうやって精査したのか、どことどういうふうに比べたのか、データはありますか、参考資料はありますかとお尋ねしたら、ないんです。大臣、ないんです。

 要は、その一つの事例として、前回挙げさせていただいた大学が二つほどあります。例えば秋田大学について、文部科学省はそういうふうに言われるので、私は秋田大学のエレベーターを精査させていただきました。資料六ページを見ていただきたいと思います。

 この資料六ページを見ますと、同じ機能、同じ性能、何人乗るか、どのスピードで上がるか、全く同じエレベーターでありながら、実は、九階まで上がっていくエレベーターと五階までしか上がらないエレベーターを比べると、何と九階に上がるエレベーターの方が安いんです。これはあり得ないんですね。しかし、それは、同じ大学の中で精査をしたのであれば、こういうことにはならないんですね。

 だからこそ、文部科学省にお願いをしたいのは、これまで、大学がそれほど、エレベーターについては安易に考えていたのかなと。しかし、これは税金ですから、すぐ何億というお金になってしまいます。

 そこで、何度も申し上げますが、国土交通省が取り組んでくれたそのデータベース化を見ていただければ一目瞭然で、どの程度のどの性能の規模であれば、このエレベーターは平均値がこれぐらいだというのが見えてくるわけです。そうしたら、こんな、五階建ての、五層しかとまらないエレベーターの方が九層とまるエレベーターよりも高いなんというのはないんです、そんなことは。誰が考えたって、常識的に考えたらわかるんです。ぜひ、文部科学省においては、しっかりとこういうものを踏まえながら各大学に指示をしていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、またあと数点、あと五分ぐらいしかありませんのでちょっと飛ばすことになりますが、例えば、この入札予定価格をつくる場合に、メーカーから見積もりをもらいます。そして、最低の見積金額に対して、先ほど国交省のお話があったように、掛け率を掛けて予定価格を出すんですね。そうなっていると思います。文科省もそうです。

 ところが、文科省の場合は総合評価方式はやりません。やっていません。価格帯だけで決めています。それは、本来なら総合評価方式をやるべきだとは思います。しかし、エレベーターの大手五社、さっき三社と言いましたが、大手五社だったら総合評価は変わらないんですよね。そういう観点もあって、文科省は、実は文科省のエレベーターというのは、ほとんど大手五社が独占してやっています。

 そこで、例えば、そのエレベーターのいわゆる見積もり、下見積額を情報開示したら、国交省は出すんです。ところが、文科省は出さないんですよね。全く不思議なんですね。それを指摘させていただきましたが、そのことに対してどのように対応されますか。

関政府参考人 現在、国立大学法人に対しまして、エレベーター工事の参考見積もりなどの文書につきまして情報公開請求が行われておりまして、一部の国立大学法人では、予定価格が類推され、発注機関の利益を不当に害するおそれがあるとして、情報を非開示としていると承知しております。

 非開示としている事例のうち、既に、大分大学等につきましては、開示請求者からの異議申し立てに対しまして、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会におきまして、当該文書を開示すべきとする答申がなされております。

 文部科学省といたしましては、十一月六日付で各国立大学法人等に対しまして答申内容を周知いたしますとともに、この答申を踏まえ、エレベーター工事に係る予定価格内訳書等の情報公開について適切に対処するよう要請したところでございます。

佐藤(正)委員 それについても、お手元に資料をたしか配付はしておったとは思いますが、要は、この国会で太田大臣と私がやりとりをやった、一〇〇%応札だとかいろいろなやりとりをやったことによって、文部科学省の所管の国公立大学が拒否する理由はないというのが内閣府から出たんです、答申が。それにもかかわらず、いまだに開示をしていなかった。ですから、せんだってその質問をさせていただいたら、早速、各大学に開示をするべく通達をしていただいたということであります。

 隠しちゃだめなんですよ。そんなもの見せたって誰も問題ない。なぜ大学がそんなに固辞して隠すのか、全く理解できない。ぜひ、全ての大学に、それを国土交通省と同じレベルにやってくださいよ。そのことは強く求めておきたいと思います。

 もう時間が来ましたので、最後に太田大臣に、今のやりとりも含め、これまでの取り組みについて、また感想があれば、大臣の答弁を願いたいと思います。

太田国務大臣 佐藤委員には、昨年来、エレベーター工事に関しまして、重要かつ有意義な御指摘を、データをみずから足で運んで稼いで、そして提示をして、御提言をいただきました。

 私は、これは本格的にきちっと対応をすべきだということで、チームをつくりまして改善に努力をしてきました。

 エレベーター工事は、業者数が少なく、単品受注生産といった特殊な面はありますけれども、とにかく競争性の確保をしなくてはいけない。予定価格の精度、客観性の向上、これは極めて重要であるという認識をしています。

 昨年十月、委員からの御指摘を受けまして、エレベーター価格等情報データベースの構築、建築工事との一括発注の試行などの対応策を取りまとめ、国交省としても取り組んできたところであります。

 今後、これらを政府全体に取り組みを広げていくとともに、各発注機関に対しても同様な取り組みを進めるよう要請していきたいと考えております。

佐藤(正)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 最後の一点だけ、ちょっと要望して終わりたいと思います。

 エレベーターは、実は、欧米ではエレベーターコンサルタントというのがあるんですよ。ぜひ、その点を踏まえてまた検討していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

今村委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 空家等対策の推進に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等での御協議を願い、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 近年、全国的に空き家等が増加しており、適切な管理が行われていない空き家等が、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしています。そのため、空き家等の所有者等に対し、空き家等の適切な管理、除却等を行わせるための実効性のある仕組みの整備が喫緊の課題になっています。

 空き家等の適正管理に関する条例を制定する地方公共団体も増加しておりますが、空き家等の問題の全国的な広がりと今後のさらなる深刻化のおそれを踏まえ、国としてもこれに積極的に対処することが求められています。

 本起草案は、このような状況を踏まえ、地域住民の生命、身体または財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空き家等の活用を促進するため、空き家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、「空家等」とは、建築物またはこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいうこととし、「特定空家等」とは、そのまま放置すれば著しく保安上危険または衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家等をいうこととしております。

 第二に、空き家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家等の適切な管理に努めるものとしております。

 第三に、国土交通大臣及び総務大臣は、空き家等に関する施策の基本指針を定めることとするとともに、市町村は、基本指針に即して空き家等対策計画を定め、その作成等及び実施に関する協議を行うための協議会を組織することができることとしております。

 第四に、市町村長は、固定資産税の課税等のために保有する空き家等の所有者等に関する情報について、この法律の施行のために必要な限度において、内部で利用することができることとしております。

 第五に、市町村は、空き家等及び空き家等の跡地に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとしております。

 第六に、市町村長は、特定空き家等の所有者等に対し、除却、修繕等の措置をとるよう助言または指導し、改善されない場合は勧告し、なお所有者等が措置をとらない場合は命令ができることとしており、これらに必要な限度において、職員等に空き家等の立入調査をさせることができることとしております。また、所有者等が命令を履行しないときまたは命ずべき所有者等が不明のときは、行政代執行ができることとしております。なお、国土交通大臣及び総務大臣は、特定空き家等に対する措置に関し、必要な指針を定めることができることとしております。

 第七に、国及び都道府県は、市町村が行う空き家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるとともに、国及び地方公共団体は、そのほか必要な税制上の措置等を講ずることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 空家等対策の推進に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

今村委員長 これより採決いたします。

 空家等対策の推進に関する特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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