衆議院

メインへスキップ



第3号 平成27年4月15日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 坂井  学君

   理事 中村 裕之君 理事 伴野  豊君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    門  博文君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    古賀  篤君

      國場幸之助君    今野 智博君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      鈴木 馨祐君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      野田 聖子君    堀井  学君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    山本 公一君

      荒井  聰君    神山 洋介君

      小宮山泰子君    篠原  孝君

      松原  仁君    宮崎 岳志君

      足立 康史君    下地 幹郎君

      横山 博幸君    北側 一雄君

      中川 康洋君    樋口 尚也君

      穀田 恵二君    本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   防衛副大臣        左藤  章君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   政府参考人

   (沖縄振興開発金融公庫理事長)          譜久山當則君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  孝君     本村賢太郎君

    ―――――――――――――

四月十三日

 水防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

三月二十四日

 タクシー関連法を一部改正する法律並びにその附帯決議の早期履行に関する請願(吉川元君紹介)(第六六〇号)

四月七日

 タクシー関連法を一部改正する法律並びにその附帯決議の早期履行に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第六八四号)

 同(金子恵美君紹介)(第七一九号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七四七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第七六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官山田邦博君、総合政策局長滝口敬二君、水管理・国土保全局長池内幸司君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、鉄道局長藤田耕三君、航空局長田村明比古君、観光庁長官久保成人君、気象庁長官西出則武君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君、防衛省大臣官房審議官武田博史君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省地方協力局次長山本達夫君及び沖縄振興開発金融公庫理事長譜久山當則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。

 太田大臣と議論できることを心から感謝申し上げまして、早速質問に入らせていただきます。

 大臣は、四月十一日に中国、韓国の観光担当大臣と会談をされ、翌十二日には三カ国会合を行って、観光分野における日中韓三国の連携強化を共同声明に盛り込むなど、大きな成果を上げられたと感じております。統一地方選挙の真っただ中でありましたので余り報道は大きくされませんでしたけれども、私としては非常に高く評価をしたいと思っているわけでありますけれども、大臣から、このたびの会合、会談の意義と成果についてお話をいただければと思います。

太田国務大臣 四月十一日、十二日と、中国国家旅游局の李金早局長、韓国の文化体育観光部の金鍾徳長官を迎えまして、これは実に四年ぶりの開催となりまして、七回目の日中韓観光大臣会合を開催できました。

 今回の会合では三つのことについて議論をしまして共同声明としてまとめたんですが、第一に、日中韓三国の相互の交流を拡大しようということが第一点です。規模は、今、二〇一四年に初めて三国交流が二千万人を超えましたが、二〇二〇年には三千万人ということにしようということで合意をしました。

 日本に対しては、中国、韓国両国から旅行者数がかなり増加をしているという傾向にありますが、日本から中国、韓国への旅行者は減少傾向に今ございます。これをどう増加させるかということも含めて議論をさせていただいたところです。

 また、そのための共同プロモーション等々、また交流とか、あるいは五月には、例えば中国には二階総務会長を中心にして三千名のメンバーが行くとかいうさまざまな試みが行われていて、かなり期待をされています。

 第二点目は、日中韓三国以外、欧米とか中東、そうしたところから三国に人を呼び込もうということで、例えば二〇一八年に平昌オリンピック・パラリンピック、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック、こういう絶好の機会もありますから、三国に欧米等からの旅行者を誘致するビジット・イースト・アジア・キャンペーンを共同で推進する、こうしたことについて話し合いました。

 同時に、三番目に、日本でもそうなんですが、海外の方が大勢来ていただいているところなんですが、生活習慣の違いやショッピングに起因するいろいろなトラブル、小さなトラブル、あるいはトイレの使い方とか、いろいろなことがございます。そうしたことについて、まず安全ということが一番大事なんですけれども、安全とともに、観光交流の質を高めるということが大きなことだということで、両国にもここは大変理解をしていただいたというふうに思っておりまして、きちっとこの辺は送り出すときにも指導していくんだということについて話し合いもさせていただいたところです。

 今後毎年、来年は中国の武漢でやるということを決めさせていただいたんですけれども、よく協力関係を積み重ねていくということが極めて大事である上に、そうしたことが外交的な案件におきましても私はいい影響が与えられる、このように思ったところでございます。

中村(裕)委員 日中韓相互の交流についての目標を定められた、日中韓三国が共同して欧米に対するプロモーションを行っていく、また、安全や質の向上を図っていくということは、非常にこれからの日中韓協力のもとの観光振興に大きく期待できると受けとめています。本当にお疲れさまでございます。

 また、尖閣国有化以来初の、四年ぶりの開催ということで、大きな意義があると私も感じておりまして、これからも継続していかれることを望むわけであります。

 さて、次に、観光についても非常に重要な高速ネットワークについて伺うわけです。

 私の地元選挙区では、おかげさまで、昨年、新規の高規格道路の事業化が決定をいたしました。この事業化決定から一年間の間に、ワイナリーが進出をすること、えびせんパークが進出をすること、それから、スマホ工場が新たに建設をされることがもうこの事業化の段階で決定をされたということで、高速ネットワーク、高速道路の整備というのは非常に地域に対する効果が大きいというふうに受けとめています。

 北海道の高速道路は全国より供用率が低くて、こういった高速ネットワーク、高速道路の整備を求める強い要望が北海道内各地にあるわけでありますけれども、太田大臣は、先月、北海道に来ていただきまして、そうした北海道の代表の皆さんの要望を直接聞いていただいたということを伺っております。

 直接要望をした女性の観光業の方から、直接要望できたことに非常に感激をしたという言葉も私はいただいているわけですけれども、北海道を訪れて、皆さんからの要望を聞いて、大臣はどのように感じられ、受けとめられたか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 地元で、北海道横断自動車道の共和―余市間が新規事業化して、すぐそこでいろいろな工場とか企業が進出をしているという話を聞かせていただいて、大変うれしく思いました。

 北海道に行きまして、新幹線とか高速道路の話を常に聞くんですが、この間行きましたところ、高速道路が徐々に徐々に北海道も進展していると。先月、三月二十九日には浦幌―白糠間が開通するということで、初めて道東に高速道路が入ったということで大変喜んでいるということを知りました。しかし、北海道の整備率は、全国平均で約七九%、もう八割になっているというのに、北海道は約五八%にとどまっているという状況だと思います。

 お話をその紋別の女性の方からも聞いて、非常に北海道というのは広いんだよということを大変、地図も示していただいて、言われました。釧路―札幌といっても東京―名古屋、そして、函館まで行くとしたら、もうそれは大阪を越えたところまでが北海道の広さで、広さをよく認識してくださいということを私は指摘されたところでございます。

 と同時に、非常に雪が多いということで、冬の場合に通行どめが発生するというようなこととか、同じ高速道路でも、風雪、暴風雨を防止するというような特別なものも必要だということもお聞きしましたし、災害時におけるリダンダンシーの確保ということも極めて北海道特有の重要性があるということ、あるいは、出産をする、お産をするということにおいても遠距離の病院に安心して通院できるようにというようなこと、北海道特有の広さといい、雪が多い、そうしたことを含めて、高速道路網が極めて生活においても産業においても大事だという指摘をいただいたところでございます。

 道路は非常に重要であるというふうに考えております上に、北海道は、観光という点でも、周遊ルートの拡大の観点から道路は必要だというふうに思っています。

 今後、よく北海道と連携をとりながら、こうした点にも留意しながら、着実に高速道路を進めていきたい、このように思っているところでございます。

中村(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 積雪寒冷で広大な面積を有する北海道にとって、観光面はもちろんですけれども、救急医療ですとかリダンダンシー、防災面ですとかさまざまな面で高速道路の有効性というのは皆さんが認識をしておりまして、それに期待をしているところでありますが、そのことに大臣が十分に御理解をいただいたことに意を強くするところであります。

 さて、予算に関する議論に入りますけれども、赤字国債と建設国債について、その意味や役割について確認をしていきたいと思います。

 国会においても、赤字国債と建設国債を一緒くたにした議論が見受けられます。財政法第四条は、赤字国債の発行を禁止しておりますけれども、建設国債の発行は認めているわけであります。それは、公共投資が生み出す便益、つまりストック効果というものを将来世代も享受することから、世代間の負担の公平を図る観点から認められていると私は認識をしております。

 きょうは、財務省から大家政務官にお越しをいただいていますが、私のこの認識に間違いはないのか、確認をさせてください。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 財政法第四条第一項本文におきましては、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と定めています。いわゆる非募債主義の考え方を原則としています。

 ただし、この第四条のただし書きでは、公共事業費などは建設国債により財源を賄うことを例外として認めています。これは、中村委員御指摘のように、例えば道路や建物といった資産が形成され、将来にわたり便益が生じることから、世代間の負担の公平を図ることも許容されるとの考え方によるものであります。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 国会内で、将来世代に負担を残すという議論の中で、公共投資についても一緒くたに議論されている面があると思うんですね。しかし、私は、それはちょっと法の精神とは違うと思うわけであります。

 財政健全化が重要であることは論をまたないところでありますけれども、現在の我が国の国債残高が増大している主要因というのは、赤字国債の大幅な発行増によるものであります。

 財政改革に執念を燃やした大平総理は、昭和五十四年の講演で次のように述べておられます。桁を間違えないように言いますので、皆さんよく聞いてください。昭和五十四年です。

 巨大な十五兆二千億円にも及んでいる国債発行、そのうち八兆円は赤字国債でありますが、この赤字国債は、来年度を起点としまして、昭和五十九年までになくさせてもらいたいと考えておりますという発言であります。

 つまり、昭和五十四年の我が国の国債発行残高というのは十五兆二千億、もう桁違いでありますし、その当時の赤字国債というのは八兆円だったということでありまして、今五百六十兆円ぐらいなんですかね、もう大幅に二桁違うぐらいの話でしたけれども、それでも、大平総理はこの解消について、赤字国債の解消のみに言及をしているということでありまして、財政法の精神に立ち返れば、財政健全化を進める上で優先すべきは、公共投資の抑制ではなくて、赤字国債に係る歳出の改革になるわけであります。そして、経済再生、地方創生、国土強靱化、そして地域のネットワークの形成という政府の政策目標を考慮しますと、やはり中期的に安定した公共投資を確保する必要があるというふうに私は認識をしております。

 財政健全化を進める上では赤字国債に係る歳出を優先すべきだということと、それから、政府の政策目標を実現していくためには中期的に安定した公共投資を確保する必要があるということについて、財務省の方から所見を伺いたいと思います。

大家大臣政務官 財政法上、建設国債と赤字国債の分類の考え方については、先ほど答弁を申し上げたとおりであります。どのような国債であれ、将来返済しなければならない借金であるという点に違いはありません。

 また、国、地方を合わせたPBの黒字化目標との関係でいえば、建設国債と赤字国債とで本質的な違いがあるわけではありませんで、どちらも同じくプライマリーバランスの赤字要因であると言えます。また、これまでもプライマリーバランス黒字化を国際的にも財政健全化目標としてコミットしてきていますし、また、日本の財政に対する諸外国や市場からの信認を確保する観点からも、御指摘のように建設国債を財政健全化目標から除外するということはできないものと考えています。先生は不本意かもわかりませんけれども。

 したがって、歳出改革に関して言えば、歳出全体にわたり聖域なく徹底的な見直しが必要であり、公共事業だけを特別扱いすることはできないということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、先生が今言われました、社会資本整備を計画的に進める必要があるという点については、同じ認識であります。そのため、政府としては、おおむね五年ごとに社会資本整備重点計画を策定し、計画的な社会資本整備を進めているところであります。

中村(裕)委員 プライマリーバランスの黒字化目標の中で公共投資を外すということは可能だというふうには私も思っておりませんが、赤字国債に係る部分を優先すべきだということについて申し上げたいと思いますし、政府の政策目標を実現する意味では、計画的に安定的な公共投資の予算確保というのが重要だというふうに私は思うわけでありまして、大臣、もしよければ、このやりとりをお聞きになりまして、一言コメントをいただければと思います。

太田国務大臣 御指摘のように、公共事業等は工事が数年に、また十数年にわたるということから、計画的にやっていくということが大事だと思っています。国土のグランドデザイン二〇五〇ということを出させていただいたり、あるいは、私が、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックをゴールにしない、そこを目指して、ばっと息切れするというようなことにしないように、計画的にすっといくようにということを言っているのはそういうことでございます。

 また、メンテナンス元年と一昨年銘打ちまして、老朽化対策についても計画的ということが大事だというふうに思っています。

 つまり、公共事業は計画的、安定的、持続的に進めていかなければならないものである。

 同時に、その担い手である建設企業にとりましても、急に景気対策のためにふえていったり、また急に下落していったりということでは、若い人を雇うというようなことがとてもできないものですから、そうした担い手を育てていくということからも、見通しがきくという予算組みが大事だというふうに思っておりまして、どこまでも計画的、安定的、持続的ということで、財政制約は当然あるわけでありますけれども、進めていくべきものである、このように考えています。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 見通しがきくというところがやはり非常に大切だというふうに思います。大臣のお言葉、大変うれしく思います。

 最後に、時間がありませんけれども、JR北海道について伺いたいと思います。

 四月三日に、青函トンネル内でスーパー白鳥から白煙が出て、百二十四人が避難を余儀なくされ、何とか死傷者は全くなしだったんですけれども、このことを受けて、来年開業される北海道新幹線の安全性に不安はないのか、また、その開業の影響はないのかということについてと、それとあわせて、先ほど大臣おっしゃったように、積雪寒冷で広大な面積を有する北海道の中で、非常にメンテナンスも大変なわけでありますけれども、JR北海道にとって、経営安定基金の七・三%の運用益が全く確保されないままここまで来ました。平成二十三年にはきちんと財政支援をしていただきましたけれども、まだまだ足りないと思っているわけであります。JR北海道からは安全投資と修繕に関する五カ年計画が提出をされたわけですけれども、これを早急に精査されて、さらに追加の財政支援をしていく必要があるというふうに考えますけれども、その点について最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 まず、北海道新幹線への影響でございますけれども、日程面に関しましては、来年春の開業に向けまして、検査や試験の日程に特段の影響はないということで報告を受けております。

 それから、安全対策につきましては、現在、JR北海道社内に検証の委員会を設置しまして、北海道新幹線開業に向けた防災設備、避難誘導について検証を行っているところでございます。

 国土交通省としても、大変高い安全性が求められる新幹線でございますので、しっかり指導してまいりたいと思います。

 それから、支援でございますけれども、現在、五カ年計画がJR北海道から提出されました。三月二十日でございます。この内容を精査しておりますけれども、まずは自助努力を前提といたしますが、必要な資金の確保について国としても検討してまいりたいと思っております。

中村(裕)委員 終わります。ありがとうございます。

今村委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 きょうは、一般的質疑ということで、大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 冒頭、通告をしていないわけでございますけれども、昨日夜に広島空港において非常に大きな航空機事故が発生をしておりますので、この件についての対応、状況をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。お許しをいただきたいと思います。

 昨夜八時五分ごろ、広島空港において、アシアナ航空機の着陸時のバウンド並びにオーバーランによる大きな航空機事故が発生をいたしております。国交省といたしましてもこれは航空事故という認定をしておるということで、具体的には、左の主翼が折れ曲がり、エンジンも破損した、そして二十二人の方がけがをされた、こういった報道がされております。これは一歩間違えると大変に大きな事故につながる可能性もあったというふうに思っておりますし、まだ空港も閉鎖という状況も伺っております。

 国土交通省といたしまして、現在把握しているような状況、さらには今後の対応について、ぜひとも大臣の方から冒頭御答弁いただきたいと思います。

太田国務大臣 昨日午後八時ごろに、広島空港において、アシアナ航空一六二便が着陸時、滑走路から逸脱した事案が発生しまして、乗客乗員合わせまして八十一名のうち、乗員二名、乗客二十五名の負傷者が発生をしました。

 事故との関係につきましては現時点で明らかではありませんけれども、滑走路の端から東側三百二十五メートルの地上にありますローカライザー、計器着陸装置のアンテナが損傷しているとの報告を受けているところです。

 こうしたことも含めて、現在、その原因究明に向けまして、三名の調査官をけさ現地に派遣をしています。今後、運輸安全委員会による調査結果を踏まえながら、国土交通省として、必要に応じて対策を講じてまいりたいというふうに思っています。

 また、事故を受けまして、事故発生後すぐに、アシアナ航空に対しまして、運輸安全委員会の調査に協力するとともに、自社においても原因の究明を行って、再発防止策を策定の上、報告するようにと指示をしたところでございます。

 さらに、韓国の航空当局に対しまして、アシアナ航空の安全運航の確保に向けて適切に監督するよう、強く要請しているところでございます。

中川(康)委員 突然の質問ではありましたが、御答弁をいただきまして、大変にありがとうございました。

 三名の調査官を今派遣して鋭意調査をしているということで、国土交通省といたしまして、これは韓国の方も多く乗られていたということでございますが、やはり国民の命をしっかりと守っていくということは大事であります。

 また、世界各国においても、航空機事故がさまざまな形で今発生をしている状況を考えますと、やはり、その不安をどう取り除くかというところで適時しっかりとした調査また対応をお願いしたいと思いますので、また大臣を先頭によろしくお願いをいたします。

 それでは、予定しておりました質問をさせていただきたいと思います。

 地方の成長に資するインフラ整備、特に道路について、まず冒頭、二点ほどお伺いをいたします。

 一点目は、ミッシングリンクの解消並びに新たな命の道の整備についてお伺いをいたします。

 先日、この委員会でも半島振興法の改正案が可決をしたところでございますが、日本の国土軸全体を見渡しますと、実は、半島地域において、いわゆる高速道路がつながっていないような、ミッシングリンクと言われている箇所が多く存在をしていることがわかります。

 半島地域の自立的発展、さらには地域住民の生活向上等を考えた場合、このミッシングリンクの解消というのは非常に重要な課題でありまして、この整備を着実に進めていくこと、それは、この地域においての防災・減災機能の向上や医療施設との連携、さらには都市部への規制の促進とか、都市部からの誘客によるにぎわいの創出、こういった効果をもたらす意味があるというふうに思っております。

 一例を挙げますと、私の地元であります三重県、ここにも南部に紀伊半島というのが位置をしておりまして、この紀伊半島をぐるっと回る形で、近畿自動車道紀勢線というのがございます。これまでこの道路整備を行っていただいたことにより、従来の国道の代替機能の発揮でありますとか、半島地域への誘客の促進、さらにはコンビニが新たに出店をした、こういったさまざまな効果があらわれております。

 しかし、残念ながら、この近畿自動車道紀勢線、いまだ未事業化区間も抱えておる、いわゆるミッシングリンク状態ということでございまして、この道路がさらにその機能を発揮するには、ミッシングリンクの解消、具体的には、平成二十四年度以降、新規事業化された区間の着実な整備でありますとか、未事業化区間であります熊野―串本間、これがまだ未事業でございますが、この早期事業化が大変重要な課題であるというふうに地元では認識をいたしております。

 そこで伺いますが、この高速道路網等、いわゆるミッシングリンクの解消や新たな命の道の整備、ここについて、国交省としてどのようなビジョン並びにお考えを持っておられ、そしてどのような整備を進めていこうとしているのか、この点、お伺いをいたします。

太田国務大臣 財政制約の中での全国の道路整備を進めていく上で、私は、先ほどの質問に、計画的、持続的と、予算ということについては申し上げましたが、道路というところについても思想性をしっかり持って事に当たることが大事だと思っていまして、私はいつも三つの観点から考えております。

 一つは、大都市では国際競争力強化に役立つ経済戦略道路という位置づけ、そして地方においては医療機関への緊急輸送等に役立つ生活インフラ道路、ここをはっきり思想的に位置づけることが大事だ。

 二番目には、リダンダンシーという、防災・減災という観点を踏まえて災害時におけるリダンダンシーを確保するということが大事。

 三つ目には、コンパクト・プラス・ネットワークという、地方創生ということに絡んで、本格的な人口減少時代において、コンパクトな拠点を結ぶネットワークとしての道路の役割。

 この三つというものを常に考えながらやっていかなくてはいけない。

 そうしますと、近畿自動車道紀勢線につきましては、整備率が六三%と、いまだネットワークとしてつながっていないという状況の上に、あそこは、津波が到達するのがたしか五分とかそのくらいだというふうに記憶しておりますが、そうしたことからいきますと、津波が来てもそこに逃げ込めるようなということで、私も紀北町とかあるいは大紀町に行かせていただきましたが、高速道路を今つくっていまして、そこに階段をつくって、上って、そして道路に膨らみをつけて、そこに避難できるというような工夫もしているところでありまして、つなぐと同時に、そうした役割ということも含めた高速道路というものをつくっていくということが大事だろうと考えています。

 今後とも必要な道路ネットワークの強化につなげていきたいと思いますし、この紀勢線につきましても、整備率が低いということがありまして、重要な道路だと認識を強くしているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。非常に力強い御答弁をいただきました。それと、やはり考え方の観点としての三つの観点、この観点を持って整備をしていただく、非常に重要な視点を今御答弁いただいたかというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いをしたいなというふうにも思っておるところでございます。

 次に、今はいわゆる地方部の質問でございましたが、視点を変えて、今度は都市部、特に、産業構造の高いところにおける地域の成長を支える道路ネットワークの形成、ここについてお伺いをしたいというふうに思っております。

 太田大臣、先月十日に行われました予算委員会の第八分科会、これは国交省所管の分科会でございますが、ここでの自民党の島田佳和委員の、東芝四日市工場が隣接する国道一号北勢バイパスの整備促進を念頭に置いた、地方の成長に資する必要なインフラ整備の質問の中で、今後の公共事業のあり方についてこのような御答弁をしていただいております。

 少し紹介をいたしますと、「公共事業のあり方というものは、私はフローの効果より以上にストック効果というものを見ていかなくてはならない」「公共事業というものは、単にフローの効果で今まで判断されてきたけれども、」今後は「ストック効果というものをこの日本の中に見ていただくという時代をつくっていかなくてはならない、」このような答弁をいただいております。

 私は、今後も、限られた財源の中で、道路等インフラ整備を初めとした公共事業、これをどのように進めていくかという選択と集中の中で、今回大臣が答弁されたこのフローの効果からストックの効果という考え方、大変重要な視点を示していただいたというふうに感じております。

 そこで、繰り返しになり恐縮でございますが、このフローの効果からストックの効果という考え方について、これはアベノミクスの二本目及び三本目の矢でもあります財政出動及び成長戦略にも結びつく考え方でもあると思いますし、それ以上に、今後の地域の成長を支える道路ネットワークの形成のあり方、これに直結する重要な考え方であると思いますので、いま一度、詳しく大臣の方からその趣旨を御答弁いただきたいというふうに思っております。

太田国務大臣 公共事業は無駄であるとかというのは、これは間違いでありまして、無駄な公共事業はやめる、必要な公共事業はやる。公共事業が無駄という乱暴な議論は間違いであろうというふうに思います。無駄な公共事業はやめるということが当たり前で、財政ということはそういうことで考えていかなくちゃいけない。

 そこで、景気対策として従来、三種の神器と言われまして公共事業を位置づけていた一九九〇年代の時期はございますが、そのときからずっと言われているのは、公共投資の効果を論ずる場合に、フローとしての短期的な効果が重視されてきたという嫌いがあったと思います。社会資本のストックとしての本来的な効果を見る視点が欠けてきたと思います。

 フローの経済効果は、いわゆる乗数効果ではかることが一般的でありますが、最新の分析によりますと、公共投資の乗数効果は一・一四であって、減税よりも効果が高いとされているところでありますが、これによって、景気の底割れが懸念される状況のもとで、需要を下支えして、デフレ不況からの脱却の進展に一定程度寄与してきたものではある、こう考えてはいます。

 しかし、何といっても、社会資本整備の本来の効果というのはストック効果であると私は考えています。

 例えば、今議員の御指摘の北勢バイパス整備、こういう道路ができます。そうしますと、三重県に東芝が進出をする、そして関連したところもある。

 先ほど、中村先生の話のところにも、余市のところに、道路がまだできていないのに投資がされるということになると、工場が林立する。

 あるいは、圏央道が最近少しずつつながってきていますけれども、埼玉県や神奈川県に工場や倉庫が物すごくふえているという状況にございます。

 また、東九州自動車道が三月二十一日に、私、開通で行かせていただきましたが、佐伯というところで、佐伯市では過去五年間で二十件の企業立地があった。陸の孤島とかいうようなことが言われたりするということで、非常に腹立たしく思っていたようでありますけれども、企業立地が進んできているということがあって、有効求人倍率がこの佐伯で何と一・四倍へ上がったという話もありますし、あちこちでそういうことがあり、この間の北陸新幹線ができるということによって、観光や企業進出というものが目に見えるような形でできているというふうに思います。

 そういう意味で、このように社会資本整備のストック効果というものは、新幹線や道路整備等で移動時間が短縮される、人流、物流の効率化が図られる、民間投資が誘発される、こういう経済面の効果。ここをよく見ていって、そこに効果があるというところに投資を、整備をしていくということの中で、いわゆるアベノミクスの第二の矢ということ、そしてそれが第三の矢につながっていくということで、実は、公共事業というのは、アベノミクスの中でも極めて重要な役割を、選択、集中をしながらやっていくということだと思います。

 また、逆の面でいいますと、老朽化対策や防災・減災、こういうことで、もしあの堤防があれば、もしあれが整備されていれば、失われた財産というものが守られた、マイナスに行くというのを抑えたということも、またストック効果であろうというふうに思っているところです。

 社会資本のストック効果が最大限発揮される必要があって、選択と集中によってこうした事業に重点的に取り組む、また、それはなぜかということについて解答を示していくということが私は大事なことだと思っています。

中川(康)委員 大臣、大変に心強いというか、力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 このフロー効果からストック効果の視点というのは、今後の公共事業をどう進めていくか、またインフラ整備をどう進めていくか、非常に大事な部分でございまして、今御答弁いただいたように、各企業というのは予見可能性を持ってやはり進出してくるということがございます。ぜひ、この視点から今後も進めていただきたいというふうにも思います。

 そう言いながら、私どもの地元の北勢バイパス、実はまだ進捗は三割でございまして、このストック効果が非常に高い地域だと思いますので、きょうは具体的な部分の答弁は控えますが、ぜひともまたよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 残り五分でございます。

 もう一点、公共インフラの長寿命化対策、ちょっと簡潔にお伺いをしたいというふうに思います。

 いわゆる高度経済成長期に集中的に建設された橋とかトンネル、この公共インフラの老朽化、さらには高齢化が進んでおりまして、ここを適時適切に経年劣化をしっかりと点検して、また修繕、補強していくこと、これは非常に大事でございます。

 しかし、今問題となっておりますのが、この公共インフラを管理している地方自治体で、それを点検できる人材が、団塊の世代の大量の退職等を含めて、足りていないという状況が指摘をされております。

 これは、今後もいわゆる自治体の職員だけでしっかりと点検をしていくことができればそれにこしたことはないんですけれども、やはり今もう足りていないという状況を考えると、今後、いわゆる官だけでその点検をしていくことは大変に難しい状況に来ているのかなと思います。

 そういった意味においては、これからは、例えば、広く現場の知恵とか技術を持った産業界の皆さんとか、また学術的な研究組織である学術機関、こういったところの手もかりながら、産学官の連携で、この人材が足りていない、そして適時適切に点検、補修、補強をしていく、この課題を乗り越えていくこと、これが必要な時期に来ているのではないか、また、そういった取り組みもしていただいているのではないかというふうに思うわけですが、特にこの地方自治体でそういった取り組みができないかどうか。

 また、この具体的な一例といたしまして、今回、一般社団法人であります日本非破壊検査工業会、さらには日本非破壊検査協会が、昨年十一月に創設をいたしました民間資格でありますインフラ調査士の活用、こういったものも、各地方自治体において人材が足りない中、その状況をカバーしていく有効な手段の一つではないかと思いますが、国交省のお考えを伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 社会資本の維持管理、更新のあり方につきまして、国土交通省の審議会で議論いただきまして、平成二十五年の十二月、メンテナンス政策元年のキックオフとして答申をいただいております。その中で、各自治体におけます人材不足の問題は十分に認識されているところでございます。

 例えば、国土交通省が行いましたアンケート調査におきましても、道路については、市町村では技術職員がいない割合が約一四%、一人から五人ぐらいの職員しかいない割合が四九%を占めているということでございます。

 このような自治体の人材不足を踏まえまして、答申では、市町村の体制強化、あるいは国等によります技術的な支援の充実が指摘されているところでございますので、関係者と協力を図りながら対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 さらに、技術的な観点から申しますと、点検とか診断等を効率的に行うことが重要であるということでございますので、レーダーを活用いたしました、例えば河川の護岸の空洞探査といったような民間が開発をいたしました非破壊検査技術などにつきまして、現場での実用化を進めているところでございます。

 また、こういう点検とか診断の質の向上を図るために、これらに携わります技術者の方々の能力を評価して活用するということも重要と考えているところでございます。

 このため、点検、診断に関します一定の技術水準を満たすコンクリート診断士のような民間資格、これを持つ技術者を国あるいは地方公共団体が活用できるような新たな制度を創設しているところでございます。

 今後とも、委員御指摘のように、民間企業の方々などが開発いたしました技術ですとかあるいは民間資格の活用等を図りまして、インフラの安全性の確保とかあるいは長寿命化といったものを進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 大臣も進められております防災・減災、さらには長寿命化は非常に大事な視点でございまして、しかし、やはり現場で今人材が足りないという状況が発生しているというところがあります。

 先ほど後段でお話しいただきました非破壊検査技術は非常に有効な手段だと思いますし、そういったいわゆる資格等が創設している中で、国として民間資格の認定制度を創設、活用していきたい、それを国とか、特に地方自治体で、その認定制度のもとでそれを活用していただくという流れをつくっていただく、こんなお話をいただいております。

 ぜひ、そういった流れを主流化していただいて、やはり適時適切に点検、そしてそれに伴う補修をしていただくような形で、安心、安全な国土を築いていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

今村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主党・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 本日は、前回に引き続きになりますが、免震工法を使ったビルの免震ゴムのデータの偽装問題、いわゆる免震偽装問題について、前回に引き続いて質問をさせていただければと思います。

 前回、三月二十日に当委員会で質問を行いましたが、それ以降、状況が大きく変わっております。特に、問題の五十五棟以外にも、性能基準を満たさないゴムが使われたという可能性が出てきました。

 データの不正操作を行ったとされる社員、五十代の課長補佐という人がほかのビルについても偽装をほのめかしているということでありますし、報道によりますと、会社の検査の中でも、再調査の中でも、全体像はまだわからないながら、操作の形跡というのは出てきているんだという報道が既になされております。

 そして、その中で、私たち民主党といたしましても、国土交通部門会議で三月二十七日に、長妻昭党代表代行を先頭に、当委員会の荒井委員、伴野委員を初めとする委員で、神奈川芸術劇場とNHK横浜放送局等が入ります複合ビルの方を視察いたしまして、そして東洋ゴム工業関係者からもヒアリングを行っているところであります。

 その結果、やはり当初会社が説明した状況とはかなり実態が違うということで、本日、民主党から委員三人がこの問題について質問をいたしますが、私は、トップバッターということですので、まず事実関係を中心にお伺いをしたいと思います。

 まず、一番目の質問なんですが、前回、三月二十日質問以降の状況あるいは取り組み等の全体像をお聞かせ願いたいということが一つでございます。

 特に、五十五棟の安全検証の中で、一〇〇%を超えると建物本体が周囲の擁壁にぶつかって倒壊のおそれあり、倒壊しないまでも大きなダメージを受けるというところでございますが、震度六強あるいは震度七の地震でも一〇〇%を超えない、一〇〇%未満である、問題はない、こういう話であったかと思います。調査結果、安全検証の結果、そういうことであったというふうに言われております。

 私も素人でございますが、現場も拝見をさせていただきまして、免震構造というのは大きなプールの中にビルが建っているようなものなんだなということがよくわかりました。大きなプールのようなものがありまして、そのプールの底に円筒形のゴムを置く、そしてそのゴムを並べてその上に四角い長方形のビルを置きますと、揺れるとゴムでその揺れが吸収される。当然、ビル本体と下のプールのところは動きが違うわけですが、ある程度の幅がとってありますのでぶつからない、そういうものだと思うんですが、これがある程度以上の揺れになるとぶつかってしまう。ぶつかってしまうと、とまっているところに動いているものがぶつかるような形になるわけですから、大きなダメージを受ける。非常に簡単なことだと思うんです。

 この一〇〇%という数字は、ぶつかるところが一〇〇%だ、そしてその手前が五〇%だったり二〇%だったりと。本当に、単純化しまして、一メートルの幅が擁壁とビル本体の間にあるといたしますと、それが百センチということになるんだと思いますが、一番性能が劣っていたものはこれが九九・六%であった。一メートル、百センチあると、九十九センチ六ミリのところまで壁に迫るけれども、四ミリあいているから安全じゃないかな、こういうことだったと思うんですね。私が行きました神奈川芸術劇場のビルは九六・二%、舞鶴医療センターは九五・〇%、こういう状況でございます。これは誤差もありましょうから、本当に安全と言えるのか。

 また、前回の大臣への質問の中でお話が出ましたけれども、今回の免震、特に高減衰ゴムということで、その中でもとりわけ性能の高いゴムだということで伺っておりますが、結局、防災のための施設、県庁、市役所、消防署、警察署、病院、NHKの放送局等に使用されているわけであります。

 ここで、本体は倒壊しないまでも内部の機材が壊れたとか、家具等の備品が倒れて中のものが散乱したとか、ガラスが割れたとか、机や椅子がぶちまけられたというようなことで、中の人がけがをする。中の機材、例えば病院でいいますと、人工呼吸器とかMRIとかいろいろあると思いますが、そういうものが壊れた、あるいは、放送局でありましたら放送機材が壊れた、無線機が壊れた、あるいは、ガラスが飛び散って、中の備品が飛び散って、中の隊員が出動できないというようなことにもなる。

 今回のケース、九九・六%を初めといたしまして基準ぎりぎりのものが幾つかありましたが、これですと、安全と言えるのか、本来の機能を果たせると言えるのかというところが問題だと思います。ここを中心に、前回以降の状況の変化と国交省の取り組み等についてお伺いをできればと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十日以降の対応でございますが、まず、最初に不正が判明した五十五棟の安全性の検証につきまして、東洋ゴム工業に個別出荷検査時のデータによる構造計算のやり直しを行わせました。この上で、国土交通省としても、再度、構造計算専門の第三者機関によるチェックを行いました。その結果として、五十五棟全ての建物について、三月二十六日には震度五強程度の地震に対する安全性を、三月三十一日には震度六強から七程度の地震に対する安全性を確認することができたところでございます。

 今後、この五十五棟につきましては、免震装置を全数取りかえる方針であることを東洋ゴム工業は三月二十五日に表明しております。

 また、三月二十四日には、東洋ゴム工業から、この五十五棟以外にも不正の疑いがある旨、報告がございました。このため、同社に対し、この五十五棟以外についても事実関係をしっかりと調査し、できるだけ早く確認を行うよう強く指示をいたしました。

 国土交通省におきましては、再発防止や原因究明等に向けて、省内の取り組みとして、北川副大臣をヘッドとする省内連絡会議を設け、これまで計四回、この省内連絡会議を開催しておるところでございます。

 また、学識経験者から成る免震材料に関する第三者委員会を設置し、四月三日に第一回委員会を開催いたしました。第三者委員会では、五十五棟以外の安全性確認の進め方のほか、原因の究明、再発防止策について専門的見地から検討いただき、夏ごろまでに一定の取りまとめをしていただきたいと考えておるところでございます。

 なお、積層ゴムを使った免震材料は、東洋ゴム工業以外にも二十六社で認定をとり、製造、販売を行っており、三月十九日にこれらの会社に対して、社内において調査を行い、四月二十日までに国土交通省に報告するよう求めておるところでございます。

 なお、九九・六%の建物というのが本当に安全なのかという御指摘でございます。

 構造安全性の検証は、震度六強から七程度のさまざまな地震動の波形六種類以上を入力して、そのうちで一番揺れが大きいものが、今さっきおっしゃった一〇〇%以内でおさまるかどうかをチェックしております。

 したがいまして、震度六強から七の地震があれば必ず九九・六%になるということではないとともに、震度六強から七の当該波動に関しても、九九・六%になるのは、瞬間そういう九九・六%になるということでございますので、もともと免震構造の建物は上物も相当余裕を持って設計されていることも考えると、安全性は確保されているものというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 安全性は確保されているといいましても、外側の擁壁にビル本体がぶつからないという意味での安全性ということでございますから、結局、内部へのダメージ、これは相当あるんじゃないかというふうに心配をしているところでございます。

 これについては、専門家等もマスコミ等でいろいろ言っていますけれども、九九%を超えるようなものはあり得ないというふうにほとんどの専門家の方がおっしゃっているということもつけ加えさせていただきたいと思います。

 そして、今回、新たに百九十五物件について不正の疑いあり、全てがということではないですが可能性があるということで、実際、何がしかの不正はあったんだろうということだと思います。その調査はどのように進んでいるのか。また、今回の百九十五物件も、従来の五十五物件と同様に、不正なゴムが使われたということが判明した時点で、公共的なものについては物件名もこれは発表すべきだというふうに思っておりますが、この状況はいかがでしょうか。

橋本政府参考人 当初の五十五棟以外で不正の疑いがある案件につきましては、三月二十四日に東洋ゴム工業から不正の疑いがある旨の報告を受けて以降、同社に調査を急がせております。

 東洋ゴム工業は、それぞれの免震材料の出荷先や出荷基数の記録は把握をしておりました。しかし、同一物件、同一の建物に一期工事と二期工事に分けて出荷するような場合に、これを別々の物件として重複してカウントしておるとか、あるいは既に取り壊された物件等の現状について把握ができていなかったということで、最終的に調査対象とすべき物件の数は現段階ではまだ正確に把握をできておりません。

 現在、東洋ゴム工業においては、当初の五十五棟以外に出荷された約三千八百基の免震材料について、既に取り壊された一部のものを除き、不正があったかどうかについて調査を行っておるところでございます。しかし、一部データが欠損しているものもあり、時間がかかっているとの状況でございます。

 五十五棟以外の安全性につきましては、第三者委員会においては、最初の不正な五十五棟の免震材料と比べると性能値のばらつきが少なく、製品の不良度合いが小さいことから、個別の確認は必要であるものの、安全上の問題に発展することは考えにくいとの御意見はございました。

 このため、安全性について大きな懸念が生ずることは少ないとは考えておりますが、なお、五十五棟以外の構造安全性の検証につきましては、第三者委員会の委員の意見を伺って進めてまいる所存でございます。

 次に、不正が確認された場合につきましては、委員御指摘のとおり、最初の五十五棟と同様、不特定多数の者が利用する公共施設等につきましては、その公共性に鑑み、国土交通省から物件名等を公表することといたしたいと考えております。

宮崎(岳)委員 しっかり公表をしていただければというふうに思いますし、私もここで、先ほどの九五、九六が危ないんじゃないかとか、不正があれば、きちんとそれは不正があった段階で安全性があったとしても発表しなきゃいけないんじゃないかということを申し上げているのは、やはり、免震を使っている建物というものが高い免震性を要求される、特に防災関係の施設に多く使われているから、倒れなければいい、中で人が亡くならなければいいというものじゃないでしょうということを申し上げたいわけですね。それを御理解いただきたいと思います。

 それで、資料の方をごらんいただきたいというふうに思います。一枚だけ御用意いたしました。これは、四月三日に国土交通省が第三者委員会というのを行った、そのときに提出された資料でございます。

 特殊な高減衰ゴムの製造ばらつきというものが書いてあると思いますが、いわゆる五十五棟に使われたものが特殊な高減衰ゴムということであります。

 真ん中にゼロ、ゼロという基準がありまして、その周りを長方形の枠で囲ってあります。この枠の中におさまっていれば問題はない、大臣基準に適合したと。本来ゼロ、ゼロを目指してつくるわけですが、製品には不良品が出たり製品のばらつきがあるので、この四角の中におさまるのならよいでしょうというものであります。

 これをごらんのとおり、完全に中心点がこの四角からはみ出ております。つまり、基本的には、正規の、基準内の製品をつくろうとしていない、あるいはつくることができないという状況になっていて、たまたまできがいいものが一割ぐらいこの枠の中におさまっているねというのがこの五十五棟の問題です。

 そうすると、当初の会社の説明がちょっと理解できなくなってくるんですね。その根拠が失われてしまう。なぜかというと、当初不良品ができますが、納期を守らなきゃならない、納期を守らなければならないので、不良なものもデータを改ざんして正規の性能があるというふうに偽造して出荷をした、こういうようなニュアンスの御説明をされていたと思うんですよ。そして、個人的な不正なんだ、こういう話なんです。ところが、そもそも正規品をつくっていないんですよ、この会社は。正規品をつくっていないんです。だから、納期を守るためとかなんとかという説明は全く成り立たないわけですよ。

 私はこれを伺いたいんですけれども、国交省として、では、この真の動機、この不正が行われた理由というのは何なのかと。五十五棟に使われたG〇・三九タイプというのは、もともと正規品が、この図を見てわかるとおり、ほとんどつくられていませんけれども、それをあたかも正規の品を出しているかのようにして、十数年間ですよ、十年以上にわたって出荷を続けてきたというわけですよね。こんなこと、一人でできるんですかと。

 また、調査中の百九十五棟については、当該の五十代課長代理という人が、その部署には最初からいたそうですけれども、まだ責任者になる前のものも含まれているわけですよね。そして、後の方で考えれば、後任の人にこの不正操作の方法そのものの引き継ぎを行っている、ただ、後任の人は不正だとは知らなかった、こういう話なんですけれども、これは、組織的な行為じゃなかったんだ、個人的な不正だということで言い切れるんでしょうか。

 この調査の方、当面、発覚は三月十三日発表だったと思いますが、ここから一月程度で皆さんに公表できるという話だったんですが、既に一カ月以上たちました。どうなっているんでしょうか。

橋本政府参考人 御指摘のとおり、今回の改ざんにつきまして東洋ゴム工業は、データの補正がブラックボックス化され、一人の担当者が改ざんをし続けていたという説明をしておるところでございますが、これにつきましては、まず、同じ製品開発担当部門に四、五名程度の職員がいたのになぜ見抜けなかったのかとか、あるいは品質保証部門においてなぜ見抜けなかったのか、あるいは、全ての製品の出荷時試験を行う際に、試験により得られたデータへの補正のプロセスを確認する手だてはなかったのか等について、東洋ゴム工業に対して原因を究明するよう強く求めておるところでございます。

 ただ、現在、東洋ゴム工業においては、外部の法律事務所に依頼をして、組織、体制の観点から原因究明の調査を行っておると聞いております。この報告が出たところで、国土交通省としても、先ほど申し上げました第三者委員会において、原因の究明及び再発防止策について今後御議論いただく予定としております。

 なお、東洋ゴム工業においては、当初、四月上旬にも法律事務所の調査結果をある程度発表すると申しておりましたけれども、五十五棟以外の不正が出たことで、それも一緒に現在調査をしているので、まだ相当時間がかかるということを東洋ゴム工業が申しております。

宮崎(岳)委員 私も、そのヒアリングの際に、神奈川で会社の方に伺ったときに、交換用のG〇・三九のゴムをつくるという話があったので、これはどうなのかという話をしたら、今つくろうとしているんだけれども、大臣認定の基準に適合するような性能のゴムが今のところできていない、つくれていない、こういう説明です。つまり、このゴムをこの会社はつくれないんですよ。時間をかけたりお金をかけたりすればつくれるかもしれませんが、少なくとも量産できる体制に今現在なっていない、量産できないものを出している、こういう状況であります。

 全くこの全体像をつかめない。当初の会社の説明とは全く違うわけですから、私は、同社が二〇〇七年に耐火パネルで同様の不正を行っていて、そのことも含めて、そして、そのときに全ての製品を調査し、品質を検査し、再発防止策をとったはずなのに、それをまたいで不正が行われていたという現状も踏まえて、これは、当委員会にこの会社の関係者に来ていただいて、きっちりお話を聞くことが必要だと思っております。

 そうしないと、全体像もわかりませんし、全体像がわからなければ、原因がわからなければ、再発防止もしようがないということだと思うので、これは、呼んで集中審議をやっていただくように、委員長の方に御要請をさせていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

今村委員長 理事会で協議いたします。

宮崎(岳)委員 では、ぜひこれは御検討ください。

 そして、G〇・三九ゴムを今つくろうとしてもつくれていない。そして、これまでのケースは、こちらの資料にあるとおり、正規の製品ができていない、中心点が正規の製品の枠内におさまっていないということでございますので、そもそも、東洋ゴム工業は、Gの〇・三九ゴムというのをつくる能力がなかったんじゃないかというふうに疑わざるを得ません。

 当初、自分の会社だけでは間に合わないので、提携先のブリヂストンにも協力をしてもらって、その交換用のゴムを入れるということですけれども、自分のところで全くできない、全てブリヂストンだという話になると、これは製品をそろえるにも相当の時間を要するということになりますよね。当初、自分のところだけでは供給能力が足りないかもしれないから応援をかりますというのに、応援のところに全部やってもらって、自分のところは一個もできないよ、こういう話になっているわけでございますが、これは供給がおくれるということはないんでしょうかね。この点、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 御指摘の、高減衰の〇・三九タイプというものにつきましては、御承知のとおり、ブリヂストンがシェアの八割、東洋ゴムがシェアの二割でございます。ブリヂストンで代替できる商品も相当数ございます。ただ、完全に同じものがないという場合もあろうと思います。こういう場合については、例えば天然ゴムとダンパーを使う別の免震装置にかえるとかということも、対応は可能だと思います。

 いずれにしましても、個々の建物の所有者の意向を踏まえて東洋ゴムが責任を持って是正をすることを我々としても強く指導したいと考えております。

宮崎(岳)委員 先ほどの質問のところですけれども、もう一点伺いました、東洋ゴム工業に製造能力があるのかどうかということについては、今どういうふうに捉えていらっしゃいますか。

太田国務大臣 宮崎先生おっしゃるように、私も、剛性と減衰の定数という、このいわゆるストライクゾーンから外れる、ど真ん中というのと、ストライクゾーンの中にあるというのと、完全にボールという、これは、五十五棟については完全に、ほとんどがボールということだと思います。それで、最初の認定作業をしたというときにはストライクゾーンに入っていたということで、また、ブリヂストンと共同でこの研究開発もしていたということも伺っております。

 それが、結局は、免震性能の高い製品をつくろうとしたけれども、なかなかうまくつくれなかった。だから、そこでストライクゾーンに入るようにデータを改ざんして中に入れたという、これが今回のことだと思います。一番の問題は、その製品がつくれないようになったのではないかというところが一番の今回の問題だと思います。

 それで、それを改ざんしたというのは、工期の問題なのか組織ぐるみなのかとかということについては今弁護士が調べている。そして、その製品ということ、そうした人為的な改ざんの原因ということを含めて、そしてまた技術的なことも含めて、第三者委員会に判断をしてもらう。そして、五十五棟以外のことについても、これは今、まだ途中でありますけれども、ストライクゾーンの中にほとんど入ってきているという状況のようでありますが、まだ発表できるという段階にはございません。

 そこのところで、宮崎先生おっしゃったように、免震性能の高い製品をつくろうとしたが、うまくつくれなかったということが一番の問題ではないかな、私は、まだ結論を出す段階にありませんが、そのように思っています。

 したがって、ここを取りかえるということは、当然ながら、それをつくれないところにまたつくらせても時間がかかるだけということにもなりますから、今局長が答弁したように、違う形のものとかそういうことなのか、あるいは他会社に応援をしてもらうのか、いろいろな形で具体的にやっていかなくちゃならない。

 五十五棟の問題は、いよいよ、それをもう一遍取りかえなくてはいけないという課題に今直面をし始めた。百九十五棟と言われて、もう少し少ないようでありますけれども、その問題については、その性能自体を、今、ストライクゾーンなのかどうかということを調べて、これを急がせて最終段階に大体来ている。

 ただし、そこが全部調べ上げられるかというと、データが欠損をしていたりしてできない部分もありますから、ここは私はお許しをいただいて、ここの部分はデータがないのでできません、この部分はできます、これはストライクゾーンですということを今急がせているという状況にございます。

宮崎(岳)委員 それを会社の方に伺うと、試作段階ではできたんです、それで大臣認定をとりました、その後、量産に入ったんですが、それ以降のことはブラックボックス化されていたのでわからないということですが、今改めてつくり直そうとしてもできません、こういう話であります。

 そうすると、大臣認定のあり方についても問われてくると思うんですね。試作段階で認定をとりました。ところが、量産をできません。常識的に考えると、別に実験室でつくったわけじゃなくて、同じ工場でつくったということのようなんですけれども、同じ材料、同じ製造法であったとしても、試作品と量産では、かける手間も違う、かける時間も違う、それに携わる人も少数精鋭の人が携わるでしょう、機械も違う、コストも違うというようなことで、試作でできたから量産できるということには、イコールとは言えないはずなのに、試作で認定をとったからオーケーだよと言っている今の仕組みに問題があるんじゃないか。

 それからもう一つ、これも関連になるんですけれども、たった一人の人しかわからないというようなことが、これは何らかの、例えば法令とか規則とか通知、通達等に違反するようなことにはならないのか。ここはどうなんでしょうか。

 一つは大臣認定のあり方、今、東洋ゴムが説明しているような、一人の担当者が全て知っていてあとはわかりませんというようなことの体制自体が、これは何らかの基準に違反しているということじゃないんでしょうか。いかがなんでしょうか、これは。

太田国務大臣 免震製品を含めまして製品の技術開発を行う場合には、試作品でできてということではなくて、実験や試作の段階は常にあるわけですが、大臣認定というのは、その製品が試作の段階じゃなくて量産段階で製造されるという完成品について審査する、段階としてはもう一歩現実に近いところで大臣認定が行われています。このために、大臣認定の審査におきましては、審査が行われた製品と同様の性能のものが確実に製造されていることを担保できないといけない。その製品の品質管理体制についてもチェックすることになっています。

 ただし、そのようなチェックを経た上でも、今回は担当者によるデータの改ざんという、想定と異なる事態が発生したため、大臣認定の審査について、ここは御指摘のように検討する必要がある。そこは評価機関が評価をするわけですが、こうした重要な場合は、生産現場、品質管理の現場へ行くというようなことを入れるとか、あるいはチェックの体制ということをさらに加えることがあるのか、そして、段階ということを常にチェックに入っていくということが必要なのか。あるいは、たった一人の技術水準ということで全部そこに集約されると、STAP細胞みたいなときに、実験した、つくっている本人が捏造したのもわからないというようなことではない何らかのオープンな形というものが、二人体制、三人体制とか、複数ということを絡めるのかとか、いろいろなことが必要かと思います。

 大臣認定のあり方自体についても検討の余地がある。また、製造過程の中に、そこは一人だけではないという、独占させて十年とかいうことのないようにとか、いろいろな形を、もうちょっと時間をいただいて、第三者委員会の意見も聞いたりしながら対応したい。

 今はとにかく、百九十五棟というのと五十五棟をどうするかというところに全力を挙げるようにということを私たちも指示しておりまして、第三者委員会の中で夏ごろに結論を出すと言っていますが、その途中でもいろいろ私自身が考えていかなくてはいけない、このように思っています。

橋本政府参考人 チェックをする人間が一人である、あるいは担当者が一人であることだけをもって、例えば法令に違反するというわけではございませんけれども、今大臣からお話ありましたように、品質管理の体制が整っていることは、これは必須要件でございます。そういう意味では、もしそれが一人でできていなかったということであれば、そもそも大臣認定の要件には外れていたということになろうかと思います。

宮崎(岳)委員 済みません。今の、つまり、一人であった、一人しかわからないような状況であったということ自体であれば、担当が一人というのはともかく、一人しかその実態がつかめないような状況であるということであれば、これは法令あるいは規則に違反する可能性ありということでよろしいわけですね、大臣認定の基準に。はい。

 それでは、もう時間になりましたので最後でございますが、不正の方法が当該の課長代理から後任に引き継がれた、そして人事異動から社内での発覚まで一年以上かかっているわけですね、引き継がれてから。なぜそれほど時間がかかっているのかという、ここのところが一つの疑問であります。

 どういう経過でこれが後任者から上司の方に発覚をしたのか。勉強会が云々なんという話も聞きましたけれども、その経過をちょっとお知らせいただきたいというのと、これはちょっと一点聞いておかなければいけないことだと思うんですが、ヒアリングをさせていただいたときに金子洋一参議院議員の方から御指摘があったんですけれども、東洋ゴムから国交省への正式な報告、二月に最初の一報が上がりまして、国交省に正式な報告が上がったのは三月十二日であった。それを受けて国交省が発表したのが三月十三日であった。

 三月十二日の前日、三月十一日というのは、東日本大震災の四周年の日です。そして、防災について、その前十日ぐらい、三月一日ぐらいから十一日にかけて大量の報道が防災に関してなされていた、この時期であります。この時期を意図的に外したんじゃないんですか、まさかそんなことはありませんよねという質問を金子さんはしたわけなんですが……

今村委員長 宮崎さん、時間が来ていますので、手短にお願いします。

宮崎(岳)委員 はい。

 ここのところはやはりはっきり聞いておかなければならないところだと思うんですが、そのような意図はなかったのかどうか。国交省もそうですし、会社もそうですけれども、何らかのことを感じますが、これはいかがですか。

橋本政府参考人 国土交通省に関しては全くそういうことはございません。報告をいただいて、幹部に全部情報を説明した上で、直ちに取り消しの指示をしています。

 会社については、申しわけございません、そのようなことをしたということは会社からは聞いておりませんし、また、例えば第三者がそういうことを調査したという結果も聞いておりません。

宮崎(岳)委員 一点、その前段の方は、時間がもうあれですけれども。前段の方だけ。

橋本政府参考人 一年間、発覚までにかかったということは、これについては今、法律事務所の方で、関係者にヒアリング等をして調査中でございます。この結果を待ちたいと思います。

宮崎(岳)委員 終わります。

今村委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原孝でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 引き続きまして、リレー質問で、免震構造について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、皆様方のお手元に今、資料が配られております。このことから質問させていただきたいと思います。

 残念ながらというか、長野県の長野市の市庁舎、それから芸術劇場、一緒につくっているんですが、そこが今この問題で揺れているわけです。

 なぜこういうことを長野市が気にしているかという理由なんですが、この資料をちょっと見ていただきたいと思います。皆さん、お手元に行ったと思いますけれども、長野、新潟県境地方で大きな地震が頻発しているんです。ちょっと地図に落としてきましたので、見ていただきたいと思います。

 二〇〇四年の中越地震。二〇〇七年、三年後ですね、中越沖地震。そして二〇一一年、東日本大震災のときと同じとき、一日ずれて十二日に、長野県北部地震と言われています。それから一番最近では、去年の年末、選挙が始まるちょっと前ですけれども、神城断層地震というもの。十年の間に四回も震度六の地震が起きているんです。こういうところは、あちこち地震が起きているでしょうけれども、まずないと私は思います。

 だから、長野市は、きちんとした建物にしようということで、免震構造をちゃんと持った建物にしようということでやり出したんです。ところが、とんでもないということになってしまっていて、困っているわけです。

 私は、これは尋常じゃないと思うんですよ。皆さん、地震なんて日本じゅうどこでも起きているんだと。確かにどこでも起きていますよ。だけれども、私が見るに、これだけ頻発している。震度五以上というのがよく言われるんだけれども、震度五以上の地震が世界でどれだけ起きているか、世界全体の地震の一割近くが日本で起きているというのがある。震度五以上というんですけれども、震度六以上がこんなに頻発しているところはないんじゃないかと思います。長野新潟県境地方震度六強頻発地震と言っていいぐらいのものだと思うんです。

 そこの地図のところにちょっとありますけれども、下の方に松代群発地震と書いてあります。これは、一九六五年から五年間、私が高校時代です。木造の校舎がいつもゆらゆら揺れていました。僕は余り乗り物に酔うとかいうのはないんですけれども、相当の皆さんが船酔い現象を起こしました。吐きっぽくなる。そのぐらい頻繁に地震が起きているんです。

 何でそんなのが起きるかというのはわからなかったんですが、今はわかっているんです。大臣もこういうことを専門に勉強をされたのでおわかりいただいていると思いますけれども、地震の原因は、火山性の地震もあるんでしょうけれども、今や、ヴェーゲナーが大陸移動をしていると言い出して、それからマントル対流というのもあって、海洋底も拡大していると。つまり、日本の長野のこのあたりがそうなんですけれども、四つのプレートがひしめき合って押しくらまんじゅうをしている。

 もう一つ、ちゃんと見ていただきたいんですけれども、ここに柏崎刈羽原発というのがあるんです。これは世界最大の原発基地なんです。七基もあって、八百二十万キロワット。出力も世界最大、七基もあるのも世界で一番たくさんあるんです。福井も原発銀座ですけれども、こういうものなんです。

 藤井敏嗣東大名誉教授によりますと、御嶽山の火山の爆発に象徴されるんですけれども、日本は火山地震活動期になっていると。地震とか地球物理学なんてなると、ちょっと時間の観念が我々の感覚と違っちゃうのでよくわからなくなるんですけれども、平安時代と同じだと。そういうことを言われてもぴんとこないわけです。平安時代にいっぱい大きな地震や火山活動があった、それと同じになっているんだ、だから蔵王の火口のところも爆発するかもしれないからというふうになってきて、それから桜島や伊豆大島や三宅島なんかも危ないと言われているんですけれどもね。

 地震は予知できないと言われる。難しいと。大体、この藤井さんというのは、火山噴火予知連絡会の会長なんですけれども、会長なのにもかかわらず、そういうことは予知はできないんだとおっしゃっている。

 だけれども、これだけの過去の地震の頻度からして、私は、このあたりではまた今後引き続きこういう地震が起きるというような気がするんですけれども、この点はいかがでしょうか。

西出政府参考人 長野県北部から新潟県にかけて、委員御指摘のとおり、二〇〇〇年以降、四つの大きな地震が発生してございます。

 この地域を含む全国の各地域につきまして、今後三十年以内に震度六弱以上の揺れが発生する可能性につきましては、文部科学省に置かれました地震調査研究推進本部が全国地震動予測地図を公表しております。これによりますと、活断層の中でも活動度の高い糸魚川―静岡構造線断層帯に沿った長野県北部から中部に至る地域などにおいて確率が高くなっているとされております。

 いずれにいたしましても、委員も御指摘のとおり、いつどこで地震が発生するかを予測するのは現状ではなかなか困難でございますけれども、気象庁といたしましては、この地域を初め全国の地震活動を引き続きしっかりと監視してまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 本題に入る前に、きのう大事な判決がありました。福井地裁ですね。前、大飯原発についても同じような判決がありましたけれども、高浜原発の三号機、四号機の再稼働を認めない仮処分だということです。

 人格権とかややこしいことを言っていますけれども、書き出しは何かというと、三・一一の後、基準地震動が三百七十ガルから七百ガルになったんですけれども、それ以上の地震が二〇〇五年以降だけでも全国の四原発で五回も起きている、だから想定を超える地震が来ない根拠は乏しい、給水ポンプなども破損したりして冷却機能が喪失するおそれがある、重大事態が生じると。やはり地震のことを一番心配しているわけですね。

 福井は原発銀座と言われています。物すごく多いわけですけれども、福井大地震というのがありましたし、ああいうふうに入り組んだリアス式のところは地震活動が盛んなところですよ。だから、地震銀座でもあるんですよ。ですから、私は、耐震構造とか免震構造というのは原発には物すごい厳しいものが必要だと思うんですが、そうなっているんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力発電所の地震対策に対するお尋ねでございますが、原子力発電所につきましては一般の建築物を大きく上回る対策を求めているということが言えると思います。

 具体的に申し上げますと、原子力発電所の安全上重要な施設につきましては、建築基準法の基準の三倍以上の静的な地震力に耐えることを求めております。

 また、発電所で想定される最大級の地震の揺れ、今先生の御指摘もございましたけれども、これを基準地震動として策定するということでありまして、その地震動に対して安全上重要な機能を損なうおそれがないということを求めております。

 基準地震動につきましては、先生の資料にもございます中越沖地震でありますとか、あるいは東日本大震災をもたらした大きな地震、この経験も踏まえまして、新規制基準の中で検討をしまして、基準地震動の策定に当たって、原子力発電所の敷地の地下の構造を三次元にわたって解析してきちんと求めるとか、あるいは、断層やプレートの連続的な連動、こういったものをきちんと考慮した上で厳しく策定するということを新たに追加して求めておりまして、このような基準への適合性について、新規制基準の適合性審査の中でしっかりと確認していくということにしてございます。

篠原(孝)委員 国民はみんな心配しているわけですよね。日本では地震が起きないところなんてないんだろうと思うんです。

 ちょっとしつこく指摘させていただきますと、アメリカに原発が百基以上あるんです。世界一原発が多くあるところですけれども、ほとんどロッキー山脈の東側なんですね。ロッキー山脈の西側にはたった三基しか動いていない。そもそも三基しかないんです。なぜかというと、原発は地震に弱い、だからつくっていないんです、環太平洋地震帯、火山帯のところには。そもそも、アメリカの地質学者に言わせると、日本に原発があるのがおかしい、よくそんなことをしていられるなということなんです。そういうのがあるんです。そこをちゃんと認識していただきたいと思います。

 だから、僕はここのところを物すごく気を使ってやらなくちゃいけないと。もちろん、後で触れます長野市庁舎や芸術劇場も心配ですけれども、きのう判決が下りましたけれども、この問題は私は大問題だと思います。ですから、あの判決も皆さんよく見ていただきたいんです。地震のところから始まっているんです。そこのところのチェックがきちんとできているんですかということ、これを思い起こしていただきたいと思います。

 それで、宮崎議員が質問されましたけれども、私もちょっとよくわからないので、素人なのでちょっとわかりやすく説明していただきたいんですけれども、食べ物の安全性とかいうと、変なものが入っていたとかいうのを、食品添加物だとかいうのを、おかしい、遺伝子組み換えのものが入っているかどうか、そのものをチェックすればいいんです。だけれども、建物ができちゃって、隠れているところは後からチェックできないんです。だから、こういうものの安全性のチェックというのは難しいなと。

 出口規制、出口でチェックする、入り口のチェックと考えると、私は圧倒的に入り口でチェックしなくちゃいけないと思うんですが、国はどのように管理しているのか、ちょっと来て説明していただいたんだけれども、よくわからないんです。

 国が何でもやったら国家公務員が物すごく必要になりますし、それはすべきじゃない、やっちゃいけないと思うんです。すぐ日本では第三者機関、第三者機関と言いますけれども、それをやっていたら人手が多くかかり過ぎなので、ちゃんとつくったりする人をきちんと指導してというか、認識してもらってやってもらうということしかないと思うんですけれども、どこに実際に、誰がチェックして、国は一体何をもってチェックしているんでしょうか。そこのところをわかりやすく説明していただきたいんです。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣認定の仕組みでございますが、まず、大臣認定の申請に当たりましては、あらかじめ指定性能評価機関において、所定の技術的基準に適合するかどうかについて大学の教授等の学識経験者等による性能評価を受けることとされております。

 指定性能評価機関における性能評価におきましては、免震材料などの建築材料については自社試験データの提出を受けて審査を行っており、所定の技術的基準に適合していると評価された場合には、指定性能評価機関から性能評価書が交付をされます。

 申請者は、この性能評価書を添えて国に大臣認定の申請を行うこととされておりまして、国におきましては、指定性能評価機関が評価すべき項目を全て評価しているかどうかについて審査を行い、大臣認定を行っておるところでございます。

篠原(孝)委員 だから、要するに、民間というか団体に任せて、そして国は書類をチェックしているだけということなんですね。そういうことなんでしょうか。

橋本政府参考人 申し上げましたとおり、指定性能評価機関がちゃんと全ての項目を評価しているかどうかという、そういう意味では、書類のチェックを行っておるところでございます。

篠原(孝)委員 ですから、なかなかこれは、皆さんに考えていただかなくちゃいけないことだと思いますけれども、難しいですよね。ですけれども、こういう問題が起きたので仕方がないと思います。

 こういう安全性のチェックとかいうのを、例えばJAS制度とかいうのができたのは何かというと、馬肉なのにもかかわらず牛肉だと言って売っていたわけですね。食べてもわからない。肉なんか食べたことがない人たちだから、見抜けなかったわけです。どの肉かわからなかった。それでJAS制度というのができたんです。大体そういうものなんですね。

 ですから、災い転じて福となすというか、考えていただいて、これを機会に、前に姉歯事件というのがありました。耐震構造計算が間違っていたとか、ああいうのがあります。だから、いろいろなところでこれはあるんだろうと思います。後からチェックというのはできませんし、膨大なコストをかけてまた見直すとか、今、東洋ゴムがやっているわけですが、ああいうことをやっていたら物すごく手間暇がかかり過ぎますから、この体制というのはほかのところにも僕は応用できると思うんです。しっかり考えてみていただきたいと思います。

 それは考えていただくのでいいんですけれども、もう一つ僕が疑問なのは、何でこういうのが見抜けなかったか。

 大体、済みません、私は食べ物のことをずっと追っているので、食べ物のことだったらわかるわけです。いろいろなところでごまかしがわかるんです、見たら。見たらというか、我々消費者が身近で接していますからね。例えば、有名な料理店で、一回出したものをまた出したとか、それからチョコレートの中に変なものが入っていたとかというのはわかるんです。ごまかしを見抜く体制というのを考えたらいいような気がするんですけれども、これがどうもわからない。

 大臣が三月二十日の宮崎議員の質問に対して答えられて、大臣はかんかんになって怒っておられたけれども、僕はそのとおりだと思います。日本の法律は大体性善説だ、みんなちゃんとやってくれるだろうと。アメリカなんかは厳しくて、人を信用していないんですね。規則、罰金、規則、罰金で、ちょっとした交通違反でも物すごい金を取って、ちょっと滞納していたら倍々になっていくんです。私は身をもって体験しているんですけれども。人はインチキをするものというふうにしているんです。

 だから、私は、こういう安全にかかわるルールなどというのは、ある程度そういうことが必要なんじゃないかと思うんです。

 それで、長野市の市長、七十数歳で元気な方なんです。新任の市長なんですけれども、前は長野市の商工会議所の会頭なんです。彼が怒っていまして、民間でずっとやってこられたんですが、建築材なんかの仕事をしてこられたんです。こんななまくらなチェックだったら、そんな変なものを提供していたら、もう信用を失って一回で会社が潰れるぐらいになる、そんななまくらなのがあるか、どうしてそんなことがチェックできないんだ、不思議だと言っておられたんです。

 この疑問にはどうやってお答えいただけますでしょうか。

橋本政府参考人 大臣認定の特に免震材料につきましては、全品の検査を出荷時に義務づけております。実際に、東洋ゴム工業においても、当該免震材料を出荷する際に、工事の施工者、いわゆる納入先の方も一緒に呼んで、目の前で試験をして数値が出る、ただ、その数値をパソコンに入れて最後にお渡しする評価書のところが、その途中のルートがブラックボックス化されてごまかされていたので、結果として、立ち会っていても全く意味がなかったというか見抜けなかったという状況にあると思います。

 実際に、そうやって悪意を持って意図的にデータをごまかそうとする人をあらかじめ全て封じ込めるということは大変難しいと思いますが、しかし、それでも、東洋ゴム工業においては、例えばISO9001の認証を取ってサーベイランスを受けている。実際に、不良品が出たときに、その不良品を峻別する仕組みがないという指摘まではあったんですけれども、不良品を見分ける仕組みがないという指摘がサーベイランスではされなかったということで、そこが落ちてしまっているんですけれども、そういう第三者のチェックというのをこういう例えば大臣認定の製造なんかにも今後生かしていって活用するというようなことも、今後は再発防止策として検討しなければいけないだろうと考えております。

篠原(孝)委員 せっかくの機会ですから、ほかのところにも応用できると思うので、じっくり考えて、いいチェック体制を築き上げてほしいと思います。

 次に、大臣にお伺いしたいんですけれども、二ページ目の資料をちょっと見ていただきたいんです。これは長野市の建設事務局、大事業ですから事務局をつくってやっておるんです。ここが困っているわけです。いろいろ書いてありますけれども、図のところをちょっと見ていただきたいんです。

 実は、ことしの四月にもう完成している予定だったんです。七年に一遍なんですが、善光寺の御開帳というのがあるんです。今その期間なんですが、北陸新幹線が金沢まで延伸したのとちょうど重なって、そのときに合わせて大竣工式もやる予定だったんですが、この免震構造の前に、既にもう、上の方にごたごた書いてありますけれども、人手不足とかいうのでもっておくれていたんです。

 そこへもってきて、今、五割ぐらい建設工事が終わっているんです。この黒いところを見て、五割と書いてありますね。どうなるのか。一番下の方、以上のおくれを踏まえての竣工予定は二十七年十一月末だというんです。どうやって、いつ完成するのか。それで、全部取りかえるというふうになっている。取りかえというのは一体どのぐらいかかるのか。

 これはちゃんと示していただかないとよくないと思うんです。不安な気持ちでみんな見ているんですね。

 大臣も答弁されていたと思いますが、建物をジャッキで持ち上げたりして、何カ月もかかるし、お金も数十億円かかる。お金の方は当然東洋ゴムの方で持つんでしょうけれども、長野市としては、一体いつになったらこれは完成するのかと。今、建設途上のものが五つあるそうですが、ここが一番悩みが深いところじゃないかと思います。

 できたところのものはかえる、かえないでいいんですけれども、五つは建設中で、建設中のところが一番困っているんだと思うんです。この点についてぴしっと何か国の方で指導していただきたいんですけれども、そういうことをしていただけますでしょうか。

太田国務大臣 長野市の第一庁舎、芸術館は、当初の五十五棟の一つでありまして、免震装置を交換しないと竣工できないという状況にあります。

 現地で私も聞いてみますと、おくれている上のまたおくれであると。しかし、本年十一月と言うけれども、それ以上おくれて、来年の諸行事やいろいろな催し物が詰まっている、これはきちっと工期を守ってもらいたいという意向が非常に強い。私はそのとおりだと思います。

 それを具体的に、東洋ゴム工業に対して、製造者としての責任を果たすというんですが、これが、ちゃんとかえるものがつくられるのかどうかという、また違うものを持ってくる、いろいろなことも含めて、早急にここは、他社製品への交換を優先することも含めて、私の個人的な今の気持ちなんですけれども、工事をしている途中のところは優先してやらなくちゃいけないなと。それには、つくっているゼネコンと、それから東洋ゴム工業と、そして、かわるとしたら、同じもので高減衰のゴムでやるというならばブリヂストンとの協力関係ということがありますから、そして市当局と具体的にどうするかということを詰めていかなくてはいけない。

 まず初めに、五十五棟の中で、今建設中のところは急がなくてはいけない、そして、こういうふうにするという方向性をお示しするということが大事だというふうに私は思っておりまして、できるだけ早く動きたいし、また、東洋ゴム工業に対しても強く促したい、このように思っています。

篠原(孝)委員 ありがとうございます。

 常識的に見れば、そのとおりだと思います。建設途上のものを一番優先してやってもらわないと困ります。いや、でき上がったものも、こんなの不安だから早くやれやれと、どこだって早くやってほしいと思いますけれども、建設途上のところが一番問題だと思いますので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 それから、今の資料の続きなんですが、一番下のところ、今度は、合併特例債の適用期限。

 みんなこれは、総務省がずるくてというか、合併特例債で合併、合併とやったわけです。だから、長野市も、僕らが余りよくないなと思うんですが、今さら言ったって始まらないんですが、戸隠というのがあるんですね、これは長野市になっちゃうんです、鬼無里とか。

 僕はそんなの合併しないでその名前を維持しておくべきだと思うんですけれども、そういうことまでしてやったのが、合併特例債の適用期限が一月になっています。これは、平成二十八年の四月供用開始、ここじゃないとだめだとか言っている。これは最初のルールでそうでいいんでしょうけれども、これは長野市がサボっていたわけじゃなくて、東洋ゴムにこんな変なものを使わされてというか、こういうふうになってしまったんだから、こんなのは当然国土交通省が率先して、長野市に汗をかかせるんじゃなくて、ちゃんとやっていただけるんじゃないかな、延期するのを。

 これは、総務省におられたうえのさんが政務官でちゃんとおられるんですから、政務官の仕事としてきちんとやっていただきたいと思うんですけれども、そうなっているんでしょうね。

うえの大臣政務官 第一庁舎と芸術館につきましては、国の補助金の対象となっておりまして、本年十一月、竣工が一旦延期をされております。それから、平成二十七年中に執行ができない場合には再度繰り越しの手続が必要となりますが、その際、合併特例債、御懸念の点につきましても、長野市において予算の繰り越しの手続を行っていただければ、発行することは可能だというふうに伺っております。

 今委員から御指摘がございましたように、国交省としても、総務省あるいは財務省ともしっかり連携をして、調整を進めていきたいと思います。

篠原(孝)委員 ぜひそうしてください。

 それから、せっかくですから、三ページを見ていただきたい。三ページに、長野市の庁舎ですけれども、後ろは第二庁舎で、今使っているもので、前の方の、長野としてはしゃれた建物だと思いますが、左側が芸術館で、右側が新庁舎です。

 そして、どうでもいいことですけれども、芸術館に、久石譲さんという我が方の出身の作曲家、彼を芸術監督にしまして、華々しくここで芸術活動をしていくことにしているんですよ。行政の拠点と文化の拠点、両方にしようということで、長野市のシンボルになっているんですけれども、これの気勢を今そがれているわけです。さすが、どういう催し物をやるかというのまではまだやっていないんですが、予定しているのはいっぱいあったわけです。それが全部先送りになっているわけです。

 チケット販売をしているとかそういうのはないんですけれども、市ですけれども、お金がどれだけ損したとかいうのはないにせよ、こういうものの賠償とかいうのは考えられるんです。一般国民とか個々の住民とかいうんじゃなくて、市全体が被害を受けているんですけれども、こういう賠償というのはきちんと行われるんでしょうか。政務官。

うえの大臣政務官 免震ゴムの交換によって工期がおくれ、損害が生じた場合には、例えば、建築主は、東洋ゴム工業に対しまして、不法行為責任に基づく損害賠償請求を行うことができるというふうに考えられます。

 東洋ゴム工業に対しましては、三月十八日に、北川副大臣より東洋ゴム工業社長に対しまして指示書を手渡し、所有者の意向について丁寧に把握をしながら誠意を持って対応するよう指示をしておりまして、損害賠償に関しましても、本指示を踏まえて適切に対応されるものだというふうに考えております。

 その範囲につきましては、個別具体的に判断されるものだと思います。

篠原(孝)委員 そうしていただくのが普通だと思います。

 それから、最後、これは大臣にぜひお願いしたいんですが、例えば第一次産業の農林水産業なんというのは、一農家や漁家や林家がそんな研究開発はできませんから、みんな国や公的機関がやっている。これは世界じゅう一緒です。

 独立行政法人化云々という議論があったときに、これは余りよくないことですけれども、私がいました農林水産省の試験研究機関は、政策研究機関の農林水産政策研究所以外は全部独法化しているんです。経産省なんかもそうです。そもそも、民間の電機メーカー、自動車メーカーは自分で研究開発しているから、いいんですね。

 ところが、建設関係とかが移行になったらどうなるか。道路だとか橋だとかこういう住宅だとかになるんですけれども、非常に大事で、民間に全部任せていいのかというのがあるんだろうと思うんです。

 それで、国土技術政策総合研究所だけは、技術系の研究所で唯一、国の研究機関のままなんです。僕はこれは理由があると思っているんです。理由は何かというと、大半の部分は民間でやったらいいんだけれども、命にかかわるような、非常に安全なところのは、国がちゃんと研究して、基準をきちんとつくって、きちんとやってくれよということだからだと思うんですね。

 だから、安全にかかわるようなもの、秘密にかかわるようなもの、そういうものからいったら、僕は、伝染病なんかの研究所も絶対、国にしておかないといけないと思うんです、強制が伴ったりするから。

 そっちは別の話なんですけれども、それと似たようなので、国土技術政策総合研究所は国の機関なので、この際、免震構造とかいうのは大事なんです、大事だから、こういったところは国が研究して、国が基準をつくってというようなことをしていって世界にも示すということが必要なんじゃないかと思いますけれども、そういうことについて、大臣、似た分野を研究されたのを思い出して、ぜひ大臣が在任中にこういうことをしていただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。これが最後の質問といたします。

太田国務大臣 基準をつくるということにつきまして、この免震についてずっと制度改善もしてきたところなんですが、この基準をつくるということについては、今後、新たな技術開発の進展や科学的知見の蓄積があった場合には、国として主体的に改善をしたいというふうに思っています。

 そういう意味で、今、国総研のお話がありましたが、国総研というのは非常に大事で、国総研あるいは建築研究所を中心として、積極的にそうした基準ということにかかわっていく、技術開発ということに努めたい、このように思います。

篠原(孝)委員 以上で終わります。

今村委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党・無所属クラブの伴野豊です。

 大臣初め皆さん、よろしくお願いいたします。

 時間が限られております上、押しておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず冒頭、昨晩の二十時五分ころ、広島空港で発生した、先ほどもお話が出ましたけれども、アシアナ航空の事故、負傷された方が先ほど二十五名という御報告でございました。心からお見舞いを申し上げるとともに、航空局におきましては、先ほどは調査官三名がもう現地に行っているということでございますが、極力、大臣の強力なリーダーシップのもと、原因究明、再発防止にお努めいただきたいと改めて要請をしておきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 さて、原因究明と再発防止ということでございますが、きょうも同僚議員が二人、いろいろ質問させていただきました。その前にも宮崎議員がいろいろ質問をさせていただいて、私なりにも、いろいろ漏れ伝え聞くことも含めて、改めて免震の技術的な勉強をやり直してみたり、いろいろ調査をする中で、これは本当にとんでもない事案ですね。

 東洋ゴム工業による免震材料の不正事案、聞けば聞くほど、先ほどのお話にもあったように、いろいろなことが少しずつ漏れ伝え聞けてわかってくるんですが、肝心なところになると何か核心を外れるような、例えば弁護士がどうのこうのとか、そんなようなことになっているような気がしてなりません。一体全体、この事案、どのように把握されているのか。

 単純に考えると、担当者あるいは前担当者、あるいはまたその前の担当者もいるという話ですけれども、そういうところからすぐ聞き取り調査をすれば別段いろいろ聞けるんじゃないかという気もするんですが、弁護士がとかという話になってきたり、どうも靴の上からかいているような感じがしている中で、どんどんどんどん不安が広がっているような気がしてなりません。

 大臣におかれましては、リスク管理の要諦を今さらお話しするまでもないと思いますが、リスク管理の要諦というのは、グレーがどこまで広がっているのか、グレーの領域がどこまでなのか、グレーの範囲がどこまでだということを、大体このあたりがグレーなんだろうということを予断を許さず徹底的に見きわめて、そして、そのグレーの部分を白黒つけていく。できるだけグレーの部分をなくしていって、白は白だ、グレーがここにあって、黒は黒、黒は対策を徹底的にやらなきゃいけない、そしてグレーをどんどん調査して小さくしていく。これがこうした事件、事故、あるいは先ほどもちらっと挙げられました感染症等々、リスク管理をしなければいけないときの要諦なんですね。だけれども、残念ながら、ここへ来てちょっと、グレーの領域が狭まるというよりも広がってきてしまっているんじゃないのかな、非常に残念な感じがいたします。

 これは、私、基本的には、罪を憎んで人を憎まずという気持ちで今回の案件も取り上げたいと思いますが、罪づくりの上に罪尽くしの事柄がいっぱいある事案だなと。こういう地震対策で仕事をする、御商売をする、もっと言うならば飯を食う人たちがこういうことをしていたら、本当に被災された方に私は申しわけない、そんな思いでこの事案をつくづく調べさせていただきました。

 ですから、やはり、そんなのは言わずもがなだと思いますが、徹底的にこれは、大臣、真相究明をまずしていただいて、あの会社で何が起こっていたのか、そしてそれを、どこで悪魔がささやいたのか、どこかで引き戻すことができたのではないか、あるいは原因は一体、実際何だったのか。

 先ほど宮崎議員がいろいろ図なんかも出してくれましたが、あんなのは、多少技術を心得ている人間であったら、右下に偏心しているというのはすぐわかるんです。多分、大臣、実験とかいろいろおやりになっていたら、確率統計学で考えれば、右下に偏心している。つまり、ピッチャーに例えると、投げても投げても右下にドロップしていってしまう癖がある。

 では、この偏心をどう取るか。数字的には幾らでも取れちゃうんです。例えば、変数を勝手に一・二とか、勝手に剛性の方を、あるいは減衰定数どうするんだということをやれば、計算的には、計算的というのは、数字を構うことは、ある程度の確率統計の知識を持っている人ならできちゃうんですよ。だから、ストライクゾーンを外れているのに、さもストライクに持っていくことは可能になっちゃう。だけれども、では、実際、物としてそれができるかというところが、今回、先ほども宮崎議員が指摘されて、大臣も、多分そういったゴムがつくれなかったんじゃないかと。

 つまり、その偏心を直すために、例えば天然ゴムにシリカをどれぐらい入れるとか、あるいは鋼板と重ね合わせるときにこういう操作をもっとした方がいいとか、くっつける粘着剤をもう少しこうした方がいいということを、多分、技術屋ならやるんですよ。いろいろ、偏心をきちっと再現性を高めるためにどうしたらいいかということを本当はやるんです。技術屋というのはそういうものですよ。しかも、それなりの会社であったら、そんなことはもう言わずもがな。だけれども、それが多分できなかったんでしょうね。再現できなかったんでしょう、この偏心を取るということが。

 そんなようなことを考えていく中で、なかなか白、黒、グレーがはっきりしない中で、安全は、先ほど来局長もお話しになられるように、震度の五とか六とか七でもチェックをされているということでございますが、安心という、国民の安心、これは大臣も安全と安心を最優先ということをおっしゃっていますが、安心のところはなかなか緒についていないというふうに感じざるを得ないと思います。

 本来なら、先ほど宮崎議員が指摘をされたように、会社のしかるべき人間、責任者、私はこうなった以上、先ほど言った罪を少しでも軽くしてもらうためにも、担当者も来ていただいて真相を話をしていただくことが必要ではないかと思いますので、まず冒頭、委員長に、しかるべき時間をとっていただいて、関係者を、例えば指定制度の性能判断ができるような組織の長の方や、あるいは学術研究者のしかるべき方とかそういう方々を一堂に会して、ぜひ一定時間をとっていただいて、しかるべき報告書なりが出てきたときには、集中審議をしていただくように、まず要請したいと思います。

今村委員長 理事会で協議させていただきます。

伴野委員 ありがとうございます。

 ぜひ理事会で引き取っていただいて、御検討をいただいて、ぜひ集中審議を実現していただきたい。それだけ国民の関心の高い事案だと思いますし、地震対策でこういうことをやったということが私は許せない。ぜひ、きちっと原因究明、真相究明、再発防止をするためにも集中審議は欠かせないまず一歩だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、時間がどんどん過ぎてしまっていますので、端的に、今までのことを整理する意味でも、数字を中心に確認をさせていただきたいと思います。

 ちょっといろいろ聞いてみますと、五十五棟以外というような表現があるように、何か確定できないのかなというのがあるんですが、まず、この東洋ゴム工業の免震材料の不正事案について、国土交通省が初めて認識をされたのは、平成二十七年二月九日の会社からの報告ということでよろしいですね。

橋本政府参考人 本年二月九日に、東洋ゴム工業から国土交通省に対して、免震材料に関して建築基準法三十七条違反の疑いがあるという報告を受けたところでございます。

伴野委員 では、その際、東洋ゴム工業から第一報を発したのは一体誰で、国土交通省の誰にどのような内容を通達してきたのか。まあ、それは弁護士さんが入っていらっしゃるということでございますので言えない範囲もあるかもしれませんが、表現できる範囲でお願いします。

橋本政府参考人 二月九日には、東洋ゴム工業の担当役員等合計五名が私ども国土交通省においでになりまして、国土交通省の建築基準法関係の担当者に対して、同社の免震材料について、先ほど申し上げた三十七条違反の疑いがある旨の報告を行いました。

 この際、同社代表取締役社長名で国土交通大臣宛てに「当社製造の指定建築材料に係る届出書」というタイトルの文書を提出し、先ほど申し上げた疑いがあるということを報告されたところでございます。

 なお、当日、国土交通省の担当者から、担当役員等に対しては、不正の内容及び対象となる範囲を取りまとめ、至急報告するよう指示をいたしたところでございます。

伴野委員 そして、出てきている数字が、現時点において、大臣認定不適合が判明しているのは五十五棟、二千五十二基でよろしいですか。

橋本政府参考人 不正が判明しておるのは、五十五棟に使用されている二千五十二基でございます。

伴野委員 あとは漏れ伝え聞く話ですが、それがあとまだ百九十五棟あってみたり、いやいや、二百棟あるんじゃないか、いやいや、よくわからないけれども百九十数棟になっているんじゃないかと。だから五十五棟以外という表現をしているんだと思いますが、こうした数字を国土交通省としてきっちり把握されているんですか。

橋本政府参考人 当初の五十五棟以外で不正の疑いがある案件につきましては、三月二十四日に不正の疑いがある旨の報告を聞いて以降、調査を急がせておるところでございます。

 東洋ゴム工業は、当初百九十五棟に三千八百程度の免震材料が使われているということを発表したようでございますけれども、ただし、東洋ゴム工業は、それぞれの免震材料の出荷先や出荷基数の記録は把握をしておりましたけれども、同じ物件に一期工事と二期工事に分けて出荷するなどの物件の重複の状況、あるいは既に取り壊された物件等の現状については把握できておらず、最終的に調査対象とすべき物件の数は現段階でもまだ正確に把握ができておりません。

 現在、東洋ゴム工業において、この三千八百基の免震製品について、既に取り壊された一部のものを除いて、不正があったかどうかについて調査を行っておるところでございますが、一部データが欠損しておるものがあり、時間がかかっているという状況でございます。

伴野委員 一流企業と認識をしていました。四季報を見る限りも立派な会社だと思います。そういう会社が、ビス一本と言ったら失礼ですけれども、いや、一流会社はビス一本でもきちっと管理しますよ、それが大事件につながることがありますから。御案内のように、大きなもので、確かに計画が頓挫したり、中座したりいろいろありますよ、キャンセルもあると思います。材料を変えるというようなこともあるでしょう。

 しかしながら、この時点で、しかもこれだけ大騒ぎになっているのに、過去の伝票すら、台帳すらどうなっているかわからない、データが欠損していると言っているような、これは何なんだという感じですね。それなりの世界シェアの、ゴムのシェアを持っている会社で、本当にちょっとつらい状況ですが、これは五十五棟以外の不正の事実認定、あるいは数字できちっと押さえるというのはいつごろまでにやられるつもりですか。

橋本政府参考人 東洋ゴム工業が調査に手間取っておるのは御指摘のとおりでございます。

 建物の調査につきましては、国土交通省も協力をしてやっておりますけれども、免震材料の出荷データあるいは免震材料の性能については、これは東洋ゴム工業以外にデータの調べようがなくて、一日も早く調査するように言っております。

 当初、三月二十四日に発表して、二週間程度で全容を把握して発表すると東洋ゴム工業は言っておりましたけれども、既に三週間たっております。一日も早く正しいデータを把握して発表するように、引き続き同社を指導してまいりたいと思います。

伴野委員 核心に迫る話、数字を確定しようとすると、どうも弁護士という、知らない人ですけれども、その方が、一生懸命調査をしているからまだわからないんだという回答になってきますが、それは先ほども三週間もおくれているということですが、これはもうここは激怒していただいて、一日も早く出せ、一時間でも早く出せと。だからといっていいかげんな調査をしてもらったらさらに困るわけですが、ここはもう厳しく、もう一日も、一時間も早く出せ、そうじゃないと国民の皆さん方は本当に不安でたまらない。

 ぜひそこは早く出させるようにしていただいて、そうじゃなければ、第三者委員会も夏ごろ報告をしたいという一つのめどを持っていらっしゃるわけですから、それがずるずるおくれるというようなことにもなったら本当につらい話にもなりますし、東洋工業の調査書がおくれたから第三者委員会の調査報告書もおくれる、あるいは時間がなかったんだというような話にはならないと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 期限といえば、他社製品の免震ゴムの調査というのも四月二十日ぐらいに集約されるというふうに聞いていますが、これはめどで結構ですが、集約されてからこれも相当マンパワーをかけて見ていただかなきゃいけないものだと思いますので、そうした上で、いつごろまでに他社の免震ゴムの話は整理されて報告されるおつもりですか。

橋本政府参考人 他社は二十六社でございますので、それほど数は多くないと思っております。

 四月二十日までに提出をいただいて、漏れ落ちがないか、内容に違いがないかをチェックした上で、速やかに結果を取りまとめて公表したいというふうに考えております。

伴野委員 これもぜひ速やかによろしく、ある面、白は白だと言うこともこれは重要なことですから。

 それで、やはりどうしても解せないのは、いろいろな経緯が聞こえてきます。先ほども宮崎議員がいろいろおっしゃった。今、大体二十案件あったと思いますね、お一人でやられたと。私は、仮にAさんとしましょう、この担当者Aさん、本当にお一人でこれだけのことができちゃうのかなと。

 普通これぐらいの会社だったら、役員クラスがプロジェクトリーダーになって新製品を開発するとやるものですよ、どこの会社だって。絶対に、経営者がかかわらなければ、これだけの製品を大臣認定までとって世に出そうなんていうのは、そんなことができるなら逆に教えてほしい。どこの会社だって、そうした新製品をつくるようなときには、役員が先頭になってやはり頑張る。

 これは、二〇〇七年のときにもこの会社は、たしか防火系の材料で一度、耐火材、耐火パネルかな、これで不正認定のデータを出しているんですね。

 そのときの報告書を見る限りでは、やはり役員なるリーダーがいて、その人が正直言ってとんでもない独断専行のリーダーシップで、下位の者をして不正行為の実行の指示、圧力と判断せしめた可能性があるというような報告や、あるいは事業部で隠蔽体質があったというような、こんな報告書まで平気で出しているところなんですよ。もう既にこの時点ではレッドカードですよ。

 この仕組みはやはり性善説でできていますから、これを性悪説に変えようと思ったら、先ほども篠原議員が指摘されたように、社会コストをべらぼうなものにしなければいけない。これは規制社会になっちゃうおそれもあるし、技術屋の新しいものをつくっていこうという気概もそぐ可能性にもなるので、決してそんな性悪説に立ってがちがちにするよりは、性善説をとりつつも、違反をしたらすぐイエローカードをできる仕組み。

 イエローカードが二枚なのか三枚なのか知りませんが、そこはある程度イエローカードが出た時点でもうこういう業界からは退場いただくということをしないと、なかなかこの手の話は私はなくならないような気がしますし、なくすことはやはり、物づくり日本、技術立国日本、科学立国日本、とりわけ大臣の言葉をかりれば、耐震、免震技術世界最高峰を標榜するなら、信頼を回復するための第一歩が、退場制度というものをつくるべきではないか。つまり、たくみの心を持たない人はたくみにはなっていけないということですよ。

 私の友人にも大工さんや建築屋さんがいっぱいいますが、本当の大工さんや建築屋さん、技術屋さんというのは、いいものをお客様につくりたい、場合によっては、できるだけ損はしたくないけれども、経済的に度外視してもいきたいというふうなことを思うのが、これがやはりたくみの心だと思うんですね。それがやはり、物づくり日本、今の技術立国日本の根底にあったと思うんですが、残念ながら、今回かかわった方はそのみじんもないと言わざるを得ないと思います。

 その上でちょっと聞きたいんですが、まず、このかかわったという担当者の方がおやめになったのは、二〇一三年一月でよろしいですね。

橋本政府参考人 不正を行った担当者が他部署に異動となったのは、二〇一三年一月一日と聞いております。

伴野委員 その一年一カ月後に新しい担当者が気がついたということですが、私は、私自身も会社勤めの経験があり、転勤とか担務がえというようなことがあって、違う部署へ行ったら何をやるかといったら、まず、先輩が何をやってきたか、ここ一週間、一カ月をどう自分で乗り切るかというためにクリティカルパスを探して、絶対に間違えちゃいけないことを自分なりにたたき込んで仕事につくものなんですよ。

 今回のこの事案というのは、先ほども宮崎議員がお示しになった、大臣もごらんになった、この減衰定数と等価剛性の表が肝なんですよ。技術屋なら、ここに不正があるというか、何らかのものがあったのではないかなというのは、それは全部とは言いませんが、そうなってもらわなきゃいけませんし、先ほども申し上げたように、右下に偏心があるということぐらいまではわかって、この偏心を取るためにはどういうゴム製品にしたらいいんだ、どういう構造にしたらいいんだ、どういう粘着剤にしたらいいんだということを考えるのが、これがまさに技術開発なんですよ。それをやるのが技術屋の特性というか、こういうことに携わっている人の特性なんですね、まさに。だから、そういうことが全くできていない、やらなかったこの体質は何なんだろうと不思議に思ってしまって。

 私は、新しく担当された方、Bさんと例えましょう、Bさんがたくみの心が少しでもあったなら、多分、新しい人にかわった、前の人から引き継いで、いろいろな引き継ぎ書を見ていて、それは一週間とかすぐとは言いませんが、ある一定の期間の後にはそろそろおかしいと気がついたのではないか。これは推測で言って申しわけないんですが。

 当然、会社だってそれなりの人をこのところに置かなければ、何といっても、専門性が高いから一人でやらせていましたということを平気で言う人たちですから、だから、専門性がある人を置いているはずなんですよ。専門性のある人だったら絶対にこの減衰定数と等価剛性が肝だということもぴっとわかるし、ここでごまかしているというようなこともぴぴっとくるだろうし、これはとんでもないごまかし、裏切りをやっている、大罪をやっているということで、多分、私は、一年間この人は悶々としたんじゃないかと思います。

 あるいは、上司なりに報告していたかもしれないけれども、そんなことは知ったことじゃないとか、あるいは、想定で言うのはなんなんですが、うやむやにしていたのではないかな。社内にも、二〇〇七年のときの不正でいわゆる内部告発制度をつくったみたいですが、そういうことを使って、この一年後にやっと言ったのではないかな。それでも、その五カ月後の調査結果を見ると、何にもなかったような結果になっている。

 いや、これは本当にどんどんどんどん罪を大きくして、二〇一四年二月のときに引き返していれば十二棟は助かった。それから、新担当者になったときに引き返していたらさらに七棟救われた。つまり、十九棟救われた可能性を真っ黒にしちゃったんですね。これは誰の責任だというふうに思わざるを得ないですね。

 そんなようなことを本当は会社の直接責任ある方にお尋ねしたいわけですが、しかるべきときにきちっととっていただいて、ぜひそれは伺ってみたいな、そういうふうに思う次第でございます。

 だんだん残り時間が迫ってきてしまいましたけれども、そうした中で、現在把握されている、いわゆる国土交通省認定をとった二十の案件にかかわっていた社長さんの数は四名で、担当役員の数は六名と認識していますが、ここはいかがですか。

橋本政府参考人 昨日御提出いたしました資料につきましては、東洋ゴム工業に確認の上、作成したものであり、国土交通省としても、そのように認識をしております。

伴野委員 この人たちが何もかかわっていなかったというふうに考える方が私は不自然だと思いますので、ぜひ、さまざまな聞き取り調査や、報告書を見るにつけ、このあたりは今後も、私どもも調べていきたいと思いますし、国交省さんとしてもヒアリング調査を続けていただきたいと思います。

 そうした中で、先ほど篠原議員から長野市庁舎のお話で出ましたように、これは再三、宮崎議員からも指摘があるように、まず、判明した五十五棟の中でも、消防拠点とか警察署とか高度な医療技術を持たなきゃいけないようなセンターが入っているんですね。つまり、防災拠点、あるいは知事さんなり市長さんなりがそういったところですよと指定をするところが現時点においては不法建築物になっている。

 さらに、これも漏れ伝え聞く話ですが、全数取りかえをやって、全部めどがつくのは少なく見積もっても二年だということを考えるときに、そうしたときに、そういう建物を防災拠点としているときの管理者の責任とか首長の責任とか、そんなようなことが問われ出しちゃうと、これはもう本当に国交省の枠を超えた案件になりつつあるのではないかと思いますが、このあたりはどう考えておられますか。

橋本政府参考人 今回の不正事案につきまして、御指摘のとおり、高い耐震性が求められる公益性の高い建築物を含む多くの建物が違反状態になっていることは極めて遺憾であると考えております。

 当然、東洋ゴム工業に対しましては、五十五棟以外の不正の疑いのある事案について、事実確認を行い、速やかな安全性の検証を求める。それから、五十五棟を含む全ての不正事案について、必要な部品の交換等も含めた安全性の確保を図ることにより、個々の建築物が早期に違反状態を解消できるよう、特定行政庁とも連携し、引き続き指導してまいります。

 あわせて、国土交通省といたしましては、このような不正事案が発生したことを重く受けとめ、第三者委員会の提言をいただきながら、必要な再発防止策を策定の上、着実に実行してまいる所存でございます。

伴野委員 時間も来ましたので、最後に大臣にお尋ねしたい。

 大臣も、先般のときにおっしゃっていたように、御自身もそういう耐震のお話を学生時代にも研究されたと。そうした方が今のやりとりを聞いていて、多分じくじたる思いもされたのではないかと思いますが、最後に、先ほど来申し上げますように、免震材料が国民の不安をあおっている、揺れを吸収できないというのが本当に皮肉な案件になっているんですけれども、そうした意味で、真相究明、原因追及、再発防止へ向けての決意をお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 極めてこの案件については遺憾に思っているところです。しかも、世界最高の免震技術を誇っている我が国にとって、その信用が損なわれたことは極めて許しがたいことでもあります。

 五十五棟、それから百九十五棟、もう少し少ないようでありますけれども、ということについて、本当に不安に思っていることがありますから、まず安全と安心ということについて徹底した調査を、大体今週ぐらいに百九十五の、この一週間ぐらいで、概要で少し欠損しているということは欠損しているという報告でいいという、まずそうしてきちっと、わかっているのはここだということを、それぞれの、例の剛性と減衰率のあそこの表の全体像を提出させるということに今力を注いで、そこから、今度は、長野の例もありましたが、直ちに、どういう順番で、どういうふうに交換をしていくかという作業に入りたい、このように思っています。

 私は四つずっとやっておりまして、一つは、今申し上げました安全、安心の確保ということ。二番目には、他社の免震材料の調査、これが四月二十日に期限で出ます。第三には、原因の究明。技術的なことと、私も、たった一人というのはどういうことかなと。偏心を直すというのは本当に当たり前のことで、うそをついて改ざんした人も、これができないということがその人は少なくともわかっていたというならば、どういうふうにそれで日常的にやっていたのか、どういう指令で技術開発というのを努力していたかという経過についても十分じゃありませんから、その辺も原因究明を図り、そして第三者委員会にも判断をしていただくという、三番目。そして、再発防止策ということ。

 これら四点について、徹底的にこれからさらに調査を急ぐようにしていきたい、このように思っています。

 いずれにしても、正直なところ、段取りをそうして整理して決めてきているのが私どもであったりするというような状況が続いておりましたが、一定のそれらについての結論が一つ一つ出てくるという段階で、それを急ぐとともに、次の段階に入れるようにしたい、このように思っています。

伴野委員 時間となりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

今村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として国土交通省国際統括官稲葉一雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 維新の党の下地幹郎でございます。

 我が党も東洋ゴムの事案について少し説明をいただきたいと思っているんですけれども、東洋ゴムは二〇〇七年にも断熱パネルの大臣認定の取得における不正を行っており、再発防止に取り組むこととしている最中に今回の不正がまた起こったわけなんですよね。だから、耐震化の問題だけじゃなくて、この企業の体質そのものが問われなければいけないというふうに私は思っております。

 この東洋ゴムという会社を見ていただきたいと思いますけれども、会社は物すごく大きいんですよ。この会社の売り上げの中で免震というのはどれだけあるかわかりますか。

橋本政府参考人 正確な数字は覚えておりませんけれども、一%未満であったというふうに記憶をしております。

下地委員 この会社は、航空機のタイヤとか、乗用車のタイヤとか、トラック、バスのタイヤとか、そういうものを相当のシェアでやっているんですよね。だから、この業務内容を見ると、一%の免震の問題でこの会社をどうだとかこうだとかというよりも、この会社がつくっているそのもの全部をチェックしないと、この会社の問題点を洗い出せないと思うんですよね。

 だから、この論議の中で、五十五棟の免震の問題を私たちは今論議していますけれども、この会社の体質は、断熱パネルのときもそう、今回のときもそう、そして、必ず誰かに責任を押しつけて、それで会社が乗り切ろうとする体質。全部そうなっているわけですよ。だから、認可を与えている国土交通省が、今後、この会社全体として、どういうふうにこの会社のチェックをしていこうというふうにお思いになっているのか。私は、この五十五棟だけの話じゃなくて、そのことについて大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

太田国務大臣 まず、免震材料、この件についての案件でありますから、これはこれできちっとやる。そして、そこに至ったという経過の中に、そうした原因究明という中に体質問題というのが浮かび上がってくるのではないか、このように思っています。

 そこでの対応ということについては、どの範囲にどうなるかということについては不明でありますけれども、体質問題というものが指摘されれば、それについての対応を明確にしていかなくてはいけない、このように思っております。

下地委員 大臣、私が申し上げたいのは、免震の問題だから免震を明確にする、それはもちろんやらなければいけないことなんですけれども、この会社の場合は先ほど申し上げた断熱パネルの問題もあるので、今この会社がつくっているタイヤだとかは、さまざまなあらゆる業種で使われている。しかも、人が乗っているんですよ、バスにしても、航空機にしても、トラックにしても、全部。一回早急にこの会社に検査を入れて、その他のつくっている製品が認定どおりできているかどうかをまずやった上で、この耐震の話をやって解決していくというのが私は最優先じゃないかと思うんですよね。

 私が申し上げたのも、体質が怖いんですよ。だから、まず、この耐震の話じゃなくて、全体のチェックをもう一回、使われているタイヤに問題がないのかどうなのか。多くのバス会社が、多くの航空会社が、多くの重機メーカーが全部東洋ゴムのタイヤを使っていますよ、これは間違いなく。これは大丈夫だといって、この分野のものは大丈夫だといって、不正でできたものはどうするべきかというような、そういう措置をやられることが会社の体質からすると大事じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 そこについては直ちにその作業に、私としては、今の御指摘を受けて入らせていただきたいと思います。

下地委員 それで、先ほど、これは同じようなメーカーが二十六社あるというんですけれども、これは自社点検をして二十日までに報告しろと書いてあるわけですよね。本当にこれは自社点検でいいんですか。待って、待って、最後まで聞いてから。これは自社点検ではだめだと思うよ。

 僕は、これに関しては、国土交通省が二十六社に対して抜き打ち検査をするとか、第三者委員会をつくって、第三者といっても設計士の皆さんならわかりますよ。こういうふうな公的な設計をやられている皆さんとか、大学の先生とか、そういうところの方々に集まってもらって、この二十六社が施工した仕事の一つか二つでもいいですよ、抜き打ち検査をやって、それでチェックをするというようなことが私は必要じゃないかと思うんです。

 今回の東洋ゴムの事案も、局長おわかりのように、御答弁があったように、東洋ゴムから、みずからが、この問題についての指摘を自分たちで国土交通省に来てお話ししたわけですよね。国土交通省が指摘をして見つかったわけじゃないですよね。そういうことからすると、今、二十六社がそのまま、私のところは大丈夫ですよとか、私のところはちゃんとやっていますとかといっても、そうですかというようなことには、私はなかなかならないんじゃないかと思うんですよ。

 今大臣からもお話がありましたけれども、南海トラフ、これは三十三万人の死者が予想される。そういう中で、どうやって防災対策をしていくか、こういうふうなことに今国を挙げて全力投球でやられているわけです。しかも、自民党は国土強靱化計画という大きな柱を立てて、災害に強い国家をつくろうというその一番の、都市の災害に、直下型災害に強いものをつくるためには耐震化が一番必要だったんですよね。

 これの信頼が揺らいでいる以上は、二十六社のそのままの報告書を待つのではなくて、私が申し上げたように、第三者委員会をつくって、それで二十六社のやられた仕事に抜き打ち的に調査をして、それで結果を出していくという方が、国民からすると安心するんじゃないかと思いますけれども、局長、どうですか。

橋本政府参考人 御指摘をいただきました平成十九年の防火材料の不正の後は、実は、防火材料の抜き打ち検査というか抜き取り検査を、無作為抽出検査をやっております。

 ただ、免震材料につきましては、物を抜いてきて検査するということはできません。しかしながら、ことしの六月一日から、去年の国会で成立いたしました建築基準法の改正案が施行されます。これの中で、こういう建築材料を製造するメーカーに対する立ち入り権限が国に与えられることになりますので、こういうものも使いながら、かつ、今設けている第三者委員会はこの二十六社の製品のチェックもこれは責任として持っておりますので、この第三者委員会の意見も聞きながら必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。

下地委員 この第三者委員会は、工場の視察だとか工場の検査だとかというのも盛り込まれて、おやりになる計画がもう既にでき上がっているんですか。

橋本政府参考人 具体的な、例えば工場のチェックとか、そういうことを予定は入れておりませんけれども、当然、第三者委員会の機能としてそういうこともやり得るというふうには考えております。

下地委員 抜き打ち検査というのは二つあって、今までつくったものの検査をすることも重要だけれども、今工場のメカニズムというのはそう簡単に変えられるものじゃありませんから、今の工場をきょうでもやるぐらいのことをやられないと、なかなか信頼が湧いてこないんですよね。

 今病院なんかで災害病院を認定しようと思ったら、耐震化とか免震化だとか、全国のあらゆるところで今図面に書いておるところが物すごく多いわけですよね。うちの沖縄なんかでも、今、大きな病院をつくろうといったら、災害に強いとなると、こういうふうな免震、耐震をやられているわけですから。

 やはり、この二つの視点、今までのつくったものはどうだったのかというのと、今現在つくっている工場のこの状況はどうなのかということをやるとなると、私は、被害が大きくならないためには、早目にこの二十六社に抜き打ちの工場検査を入れて、それで、いや、大丈夫ですよ、残りのところのつくっている品物は大丈夫ですというのを国土交通省として大臣が明確にお話しした方が、今耐震問題を一生懸命頑張っている人からすると安心するんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 まずは、四月二十日にそれぞれのところから出てきますから。そして、その調べ方というのは、製品については一つ一つ、それはチェックをして出しているわけです。

 今回のことは、改ざんということが行われたということは、係数を掛けたということなんですよ。そういう意味からいきまして、まず、各社、二十六社から提出をしていただくというものを受けての判断だと思います。

下地委員 局長、この東洋ゴムに国土交通省から天下りは行っていますか。

橋本政府参考人 行っておりません。

下地委員 この二十六社にも一人も国土交通省から天下りは行っていませんか。各省庁からでも、これはもう一%だから、住宅局じゃなくても、自動車局とか道路局とか、そういうところからも一人も行っていませんか。

橋本政府参考人 申しわけございません。二十六社については調査をしておりません。

下地委員 これは調査してくださいよ。

 私が今、自主検査じゃなくて、そういうことを申し上げておりますけれども、今は申し上げませんけれども、私は透明性が物すごく大事だと思うんですよね。

 だから、改ざんということでこうなっていますけれども、今からこの調査をして検査をする場合には、非常に国民からわかりやすい、これは国民の命とそして財産がかかわるような話でありますから、そういうのに一点の曇りもないような仕組みをつくらなければいけないというふうに思うんです。

 万が一、天下りが行っているケースが二十六社の中であったとしても、それがこの検査で問題がないというようなことをやっていくためには、自主検査じゃなくて、第三者委員会の力強い指導のもとに検査をすることが大事だというような、透明性が大事だということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。大臣、もう一言だけ御答弁をお願いします。

今村委員長 何をですか、下地さん。質問の趣旨がよくわかりませんが。

下地委員 私が言ったことに対して。透明性を持ってやるためにも、ぜひお願いしたいということについての大臣のお考えをお願いしたい。

太田国務大臣 透明性というのは必要でありますけれども、天下りとか天下りでないというようなことについてはまた別の問題だと私は思いますので、調べてはいない状況ではありますけれども、ここは私としては、この免震の不正事案ということについてより重点的にやってきて、全体の、タイヤがどうだとか、そこまで広げて、そして天下りで誰か関係者が行っているのかというところまで、私が直ちにここで回答はできません。

下地委員 回答はしなくて結構なんですけれども、それぐらいまで国民は興味を持って見ていて、認可を与えている国土交通省がどういうような対応をしていくのかというのには興味も持っているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それで、次の質問にさせていただきたいと思うんですけれども。

 今、沖縄県の中で普天間基地の辺野古移設の問題が大きな問題になっていますけれども、この前、三月二十三日に、海底面の現状を変更する行為というようなものが出されて、そのことについて防衛施設局が指示文書の停止の申し立て書をやって、それで停止が三十日に農林大臣から出されて、行政不服審査法に基づいて審査をなされているというような行為が今スタートしているわけなんです。

 翁長県知事さんは、最終的には埋立認可の取り消しをしたい、破砕の取り消しの後は、最終的には埋立認可を出したことに対する取り消しをしたいというようなことを言っているようでありますけれども、公有水面の埋立法に基づいた承認を行った知事が取り消しをしたというケースはこれまでありますでしょうか。局長。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 公有水面埋立法に基づく承認が、承認を行った都道府県知事により取り消された事例については承知しておりません。

下地委員 これはなかなか今までもないと思うんですよね。自分で、行政の継続性ですから、前の知事がやったにしても、その知事一人の政治判断でやったわけじゃなくて、行政手続上、全部、その認可をしたものが、新しい知事になったからこれを取り消しをするというようなことがないというのは、私は今までの事例としてはそうだと思うんですけれども。これは法律的に取り消せるんですかね。やろうと思えばこれはできるんでしょうかね。

 県知事さんが、前の知事がやったことを自分は認めないといって、これを、まあ、理由はつきますよ、留意事項とかいろいろなこと。埋立承認を与えるときには留意事項がついていますし、民間の企業に対して埋立認可の許可を与えたときには、それに対していろいろな条件がついていますから、この条件でだめだというならば埋立認可を取り消すというようなことはやるかもしれませんけれども、自分が認めたものを、沖縄県が認めたものを取り消すというこの行為そのものが県知事でできるのかできないのか、そのことをちょっとお聞きしたいんですけれども。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現状では、条件等はよくわかりませんので、直ちに仮定の話にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

下地委員 これは大事なことなんですよね、局長。これは取り消せないのか、取り消せるのかというのは、今は法律的な根拠は全くないということね。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 埋立法四十二条に、国において埋め立てをなさんとするときは、当該官庁都道府県知事の承認を受けるべしというふうな条文がございます。

 一方で、取り消しについては、明文上は規定はございません。

下地委員 局長、では、明文上ないということは、翁長知事が取り消しをするという行為は、法に基づいたらできるというように解釈していいわけですね。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現状で、今後いかなる理由でどのようなお考えをお示しになるか不明でございますので、仮定のお話にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

下地委員 局長、何を言っているのか意味がわからないんだけれども、法律に基づいてだめだということがなければ、知事が自分の判断でできるということは大丈夫なんですかと聞いているんですけれども。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって大変恐縮でございますが、今後いかなる理由でどのようなお考えをお示しになるか不明でございますので、現状において仮定のお話にコメントすることは差し控えさせていただきます。

下地委員 私の方で調べたら、これは法律的にはとめるということはできなくて、埋め立てを取り消すという行為は、県知事がやろうとすればできるというような判断になるんじゃないかと僕は思うんですよ。これは、国土交通省がこれをやるなとか、この法律上無理だとかいう根拠の法律が全くないというようなことになってくるんですけれども。

 この埋め立ての取り消しがもし出た場合に、岩礁の破砕の許可の場合には、水産資源法の第四条に基づいて認可をもらって、沖縄県の漁業調整規則の三十九条に基づいて、条件をつけながら沖縄県がその岩礁破砕の許可を与えたということになっているんです。

 その後、岩礁破砕について、沖縄県の方が停止をしました。今工事をしないでくれ、一週間しないでくれという停止をしましたけれども、この停止に基づいて、防衛施設局が行政不服申し立てをして、執行の停止申し立てを行って、これを林農林大臣が認め、審査をするというようなことを今やっているわけなんです。それで、執行停止が今進んでおりますから、翁長知事が停止をするということ自体を停止して、工事は進めながら、今、この問題は審査請求の裁決を待つというような流れになっているんですよね。

 これは、破砕許可の認可は農林水産省にあるから、農林水産省が、この仕組みに基づいて、今こういうふうな県との行政的な訴訟を行っているということになりますけれども、これが、公有水面埋立法の第四十二条に基づいて、埋立承認の留意事項に沖縄県が違反しているというようなことで、留意事項だから、もうこれはとめるといって、埋め立ての承認の取り消しをした場合には、これは、今防衛施設局がやったような形になってくると、不服申し立てに基づいて、防衛省はまた国土交通省に不服申し立てをして、停止を求めてという行為を、先ほど申し上げたようなことになるんですけれども、こういう行政手続になると判断していいんでしょうかね、埋立承認の取り消しが行われた場合でも。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問でございますけれども、現状では、そういう仮定のお話にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

下地委員 局長、私は行政手続の手順の話を聞いているだけなんですけれども。埋立認可が、沖縄県じゃなくてもだめになった場合はこういう行政手続になりますかと聞いているだけなので、仮定の話じゃなくて、行政手続上どうなのかということも答えられないんですか。

池内政府参考人 大変恐縮でございますが、仮定の話にお答えできません。

 ただ、一般論としては、さまざまな行政手続があるのは事実でございます。

下地委員 では、もうこの論議はやめましょう。次に進みましょうね。

 それで、埋め立ての設計変更というのがありますけれども、設計変更について、岩国の飛行場をつくったときに八回の設計変更が出ていますけれども、それは防衛施設局の方から山口県知事に埋め立て変更に関する申請書を出して、八回の申請が行われたということでよろしいでしょうか。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘の岩国飛行場の滑走路移転事業は、公有水面埋立法に基づき、平成七年九月二十二日に公有水面埋立承認願書を山口県知事に提出し、平成八年十一月二十八日に同願書の承認を得ております。

 本事業においては、工事期間中に護岸の位置の変更や埋立土砂の採取場所の変更等が生じたことから、平成九年から二十年にかけて、先生御指摘のとおり、承認願書の変更を計八回行っております。

下地委員 もう一つ、中部国際空港のことですけれども、中部国際空港の空港島の公有水面埋め立て変更ですけれども、この前、航空局長に聞いたら、六回だということなんですけれども、これは六回ですか、空港島の地域の開発だとか空港にかかわる設計変更は。

田村政府参考人 今お尋ねの中部空港の件でございますけれども、公有水面埋立法に基づく設計概要の変更の手続四回、それから免許条件に係る変更の手続二回、合わせて六回でございます。

下地委員 航空局長、この前も安保委員会でそういうふうにお答えになったけれども、愛知県から先ほど資料をいただいたら、中部国際空港株式会社が免許の変更許可を行ったのが六回、空港島の地域開発用地、これはそのまま、この中部国際空港と同じような公有埋立法をやっているものが八回、みんなで十四回という返答が愛知県からあったんですけれども、私と航空局長の認識の違いはどこにあるんでしょうか。

田村政府参考人 一部事業に愛知県の企業庁がやっている部分があって、企業庁が県の公有水面の担当に八回ほど変更の許可等の手続をとったというふうに今聞きました。

下地委員 だから、埋め立ての公有水面法に基づいては、中部国際空港では、企業庁のものも含めて十四回あったというふうな認識でいいわけですよね。

田村政府参考人 そういう意味で、私どもがお答えしたのは国の事業のところだけだったわけでございますけれども、愛知県の部分も含めますと十四回ということだと思います。

下地委員 そこで、ちょっとお聞きしたいんです。

 設計変更、埋め立てにかかわる設計変更が行われますけれども、これは県知事が設計変更に関しても承認をするかどうかを認めるというようなことになるわけですけれども、それでよろしいですか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 承認の判断は県知事になります。

下地委員 これは、県知事が設計変更の承認をしなかったら、埋立事業というのは途中でとまるというようなことの認識でいいんですか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定の話にはコメントは差し控えますが、一般論といたしましては、変更承認が得られなければ変更にかかわる埋立工事はできなくなりますが、これは申請者が適切に対応されるというふうに考えております。

下地委員 やはり、設計変更して、その許可をいただくということがなければ、これは当たり前のことですけれども、工事は進めることができませんよね。そういうふうになることは間違いないんじゃないでしょうか。

 もう一回だけ、この部分、ちょっとお聞かせください。

池内政府参考人 一般論として申し上げますと、変更承認が得られなければ変更にかかわる埋立工事はできなくなりますが、これは申請者において適切に対応されるというふうに考えております。

下地委員 そこで、もう一回、行政手続の話をしますけれども、万が一県知事が承認をしないというようなことになってきたら、これもまた行政的な不服申し立てを行って、破砕処理と同じような行政手続がこの埋め立ての場合でもできるんでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 重複になって恐縮でございますが、仮定の話にコメントをすることは差し控えさせていただきます。

下地委員 行政手続のルールを聞いているだけなので、誰が何をやれと言っているわけじゃないんだけれども、それでも答えられないの。

 北海道の知事がとか愛知県の知事がではなくて、変更を認めないという県知事が出てきた場合には、どういう手続でそれを行政的に手続上やっていくというルールがあるんですかというのを聞かせていただいているだけなんですよ。仮定じゃなくて、あなたがやっている行政のルールを聞いているだけの話。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで、仮定の話にはお答えできませんが、一般論として申し上げれば、公有埋立法のさまざま承認とか許可とかございますけれども、そういうことについて行政不服審査の対象になり得ることはございます。(下地委員「もう一回、行政」と呼ぶ)今おっしゃった不服審査請求等の検討の対象となり得ます。

下地委員 それならば、先ほど言ったように、埋め立ての岩砕処理と同じように、岩砕処理のときにも行政手続法は不服申し立てを行ってやっていくということになるし、埋め立ての取り消しがあっても、また同じような不服申し立てをやって、やる。設計変更が認められなくても、同じようにまた行政手続をやって、不服申し立てをしていくというようなことが何度も続いていくというふうに僕らは認識すればいいのかな。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答えいたしましたのはあくまで一般論の話でございまして、仮定の話についてはコメントは差し控えさせていただきます。

下地委員 これは、なかなか設計変更の印鑑がないと難しいんですよ。いろいろな識者から聞いても、これはもう前にも進みません。また、今回の岩礁破砕のように、埋立申請の変更が承認されないうちに工事を進めるということも、私は、行政的にも、法的にも不可能だというようなお話を聞いておりますから、そういう意味では、今度の普天間基地の辺野古移設の問題についても、この工事の中で設計変更がこれから、岩国の飛行場で八回、そして今、中部国際空港で愛知県を含めて十四回と言っていますけれども、岩国の飛行場と今の辺野古の問題を見ても、もう一般的に見ても、辺野古の方が埋立面積からしても大きくて、設計変更が出てくることだけは確かなんです。設計変更が出てきて、今の翁長さんの姿勢では、設計変更に印鑑を押さないというようになってくると、この問題がこのまま前進を着実にしていくというようなことにならないのではないかなというふうに思っているんです。

 それで、私は、きょうこの質問をさせていただいたのは、四月に安倍総理がアメリカに行って、アメリカ議会で演説をするんですよね。この演説をするときに、この普天間基地の辺野古問題をお話しするのではないかというようにも聞こえているわけです。それは、アメリカ議会で五十四年ぶりに、池田総理以来、演説をするわけですけれども、そのときに普天間基地の辺野古の問題を明確に発言しなければ、アメリカ議会もグアム移転の予算を今凍結していますけれども、この予算を解除することはないのではないかというように言っている。これは、突っ込んだ発言をするのではないかというように言われているんですよ。

 それで、この発言をあの議会でやられると、外交的な約束になられて、これはもうやらざるを得ないというようなことは誰しもがわかることなんですけれども、しかし、私が申し上げたいのは、この国で一〇〇%のまだ確立されていないものを他の国に行って約束するということの発言を僕はアメリカ議会でやるべきじゃないと思うんですよ。

 安保法制度、アメリカでやりますよと高村副総裁が、自民党の副総裁が言っても、この国内においては、自民党と公明党で衆議院、参議院は過半数以上あるわけですから、これは確実に通りますよ。どんなに民主党が反対しても、維新が反対しようと、共産党が反対しようと、これは通る。そういう政治背景ならば、これは一〇〇%できるということならば、私は向こうに行って約束をしてもいいのではないかと思うんです。

 しかしながら、今回の辺野古の件は、進めてはいるけれども、状況が変わって、政治環境が変わって、これだけ不透明になっている中でこれを断定してお話しすることは、将来の長い意味での日米同盟に、辺野古一つではありませんから、私たちの日米同盟の関係というのは。そういうことについては今、私は明確な発言はすべきじゃないというふうに考えています。これは私の考えです。

 質問通告していませんけれども、もし大臣にお考えがあったら、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども。

太田国務大臣 特段コメントすることはありません。

下地委員 これは私が申し上げさせていただいて、これから多くの皆さんが、この訪米前までにどういうような発言をすべきかということについて論議が起こればというふうに思っていますから、そのことをぜひ期待を申し上げたいというふうに思っています。

 それで、もう一つですけれども、空港の周辺の密度というものを、少し基準をいただきたいんですけれども、平成二十五年度の空港別離発着回数の一覧表というのが国土交通省から出ているんですけれども、福岡空港が十七万四千二百四十六回、一日四百七十七回、大阪空港が十三万九千百五十二回、一日三百八十一回、普天間飛行場が年間七万回、一日百九十一回。人口密度は、半径三キロ以内で、福岡空港が十九万六千人、大阪空港が二十七万人、普天間飛行場が十二万人。半径三キロ以内の世帯数が、福岡空港が十万三千戸、大阪空港が十二万一千戸、普天間飛行場が四万九千戸なんです。

 今回の辺野古の論議の中で、普天間飛行場が世界一危険な空港だというような言葉がよく政治家の間からもいろいろな形で出てきますけれども、この世界一危険な空港だというような数値をいろいろ探してみても、伊丹空港や福岡空港のこの数字から見ると、私たちがよく使っていた、普天間飛行場が世界一危険だという根拠的なものが、調べてみるとなかなか見つからないんですよね。

 危険な飛行場だという数値みたいなものを、これぐらいの密集地で、これぐらいの世帯数が固まっていて、飛行回数がこれだけいけば、これは危険な空港だという数値を航空局の方は基準としてお持ちになっていますかね。

田村政府参考人 航空は安全が第一の産業でありますので、人口密度あるいは発着回数でその危険度をはかるというような、そういう基準は持っておりません。

下地委員 私もいろいろと勉強させていただいたら、今局長が御答弁なされたように、私は、この密度で、飛行場の離発着回数がこれ以上は入らないとか入るとかというのはあることはあっても、そのことがそのまま危険な飛行場というレベルに位置するようなものにはならないというふうに思うんですけれども、普天間飛行場は世界一危険な飛行場だというふうによく表現されるわけですけれども、これはどういう理由なんですか。防衛省、来ていますけれども、防衛省はそれに関して何かコメントを持っていますか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間基地につきましては、住宅や学校等に囲まれ、市街地の真ん中にあるということで、極めて危険な飛行場であるということで、その固定化は絶対避けるべく移設事業に取り組んできているところでございます。

下地委員 伊丹空港も周りにいろいろな施設がありますけれども、どこが違うんですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間基地につきましては、住宅等が近接をし、また近くに小学校等が所在をしている、また過去に米軍のヘリコプターの墜落事故等ございましたので、その危険性についてはいち早く除去する必要があるというふうに考えております。

下地委員 答弁を聞いていて思うんですけれども、住宅の密集度からしたら、先ほど申し上げたように、何度も申し上げますけれども、伊丹とか福岡空港の方が多いんですよ。周辺に学校もあるんですよ。老人ホームもあるんですよ。ガソリンスタンドもあるんですよ。

 何で普天間基地が危険なのかというようなことの根拠は、軍用機が飛んでいるということだけの違いですか。飛行機は、離発着機は十七万回と十四万回と七万回ですから、普天間の方が全く飛んでいません。半分以下です。密集地も普天間の方が薄いです。それで世界一危険だと言われるゆえんは、根拠としては軍用機が飛んでいるからこれがだめだというような認識でいいんでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしまして、伊丹空港あるいは福岡空港等との比較について申し上げる立場にはございませんけれども、先ほど申し上げましたように、米軍普天間基地につきましては、その近傍に住宅あるいは小学校等が所在し、市街地の真ん中にあるということで危険性があるというふうに認識をしておるところでございまして、その危険性の除去に向けて最大限努力をしているという状況でございます。

下地委員 これについては、またあした安保委員会がありますから、そのときにじっくりとやらせていただこうというふうに思っていますから、あしたは今のような答弁では私は納得しませんので、ぜひ、きょう一日考えて、合理的な答弁をお願いしたいというふうに思います。

 それで、あと二つだけ質問して終わらせていただきますけれども、きょう沖縄開発金融公庫の理事長が来ていますけれども、沖縄開発金融公庫法は四十七年にできて、公庫の役員は、理事長が一人、副理事長が一人、理事が三名以内というように決まっているんですけれども、今までは、理事長が財務省から出たら沖縄側から副理事長、沖縄側から理事長が出ると、今、譜久山理事長は沖縄側ですから、副理事長は財務省から出てくる。三人の理事も財務省とプロパーと沖縄県が推薦をする人が理事になる、これがずっとこれまで続いてきた背景があるんです。

 今回、理事がお二人かわったんですけれども、そのときに、沖縄県の方が譜久山理事長に、沖縄県として今の沖縄県の平良企業局長を公庫の理事として推薦したいというようなことを譜久山理事長にお話しになり、安慶田副知事もそのことについて公庫に申し入れをしているはずなんですけれども、結果的には、沖縄県の推薦の方ではなくて、前の仲井真県政の副知事を国はある意味一本釣りして公庫の理事にしたというようなことが言われていますけれども、譜久山理事長のところに翁長知事や沖縄県から、自分たちはこういう人を推薦したいというようなことは明確にありましたか。

譜久山政府参考人 お答えいたします。

 今先生のおっしゃった県からの公庫の理事についての要望書等については、提出はございません。

下地委員 理事長は、翁長知事とこの件について意見を交換したことはありませんか。

譜久山政府参考人 電話で数度かはございます。

下地委員 そのときに、翁長知事から具体的な名前や県の推薦する人についてお聞きしていないわけですか。

譜久山政府参考人 お聞きしておりません。

下地委員 全く聞いていないわけですね。それだったら、そのことを近いうちに明確にして、きょう私が話をしたのは、これを明確にしたいんですよね。復帰以来、公庫ができてから、県が推薦する人が断られたケースというのは初めてなんですよ。これは沖縄の枠が初めてなくなったんです。このことは、私は簡単に考えちゃいけないと思っています。やはり、みずからの政治と違う人が県知事になろうとも、これまで財務省やプロパーやそして沖縄県から推薦した方々がずっと沖縄開発公庫の理事や理事長を務められてきたケースが、初めて壊れたケースなんですよ、これは。

 私は翁長さんにも安慶田さんにも話を聞かせていただきましたけれども、そのときには確実に理事長に申し上げたと。理事長は翁長さんと高校時代の同級生でありますけれども、きょう答弁ではっきりと違うとおっしゃいましたので、このことを県から明確にして、聞いていたのか聞いていなかったのか、この答弁が本当にうそか本当か明確にすることは物すごく大事なことだというふうに思っていて、私はそのことについては近いうちにはっきりとさせていただきたい。

 きょう理事長に来ていただいたのは、理事長がどういう答弁をするのかというのを私は聞きたかったというような思いですから、聞かなかったということでありますから、そのことについてこれから明確にさせていただこうというふうに思っています。このようなことをうそをついたら絶対だめですよ、これは。はっきりさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 最後になりますけれども、私も政権下で防災の担当大臣をさせていただいていたんですけれども、最後に南海トラフについて、地震が発生した場合に、農業集落が約一千集落、漁業集落が四百集落、これが孤立化するというようなことを言われております。

 今、和歌山県なんかになると、農業集落が二百七十五、漁業集落が八十七、これが孤立化するというようなことになっています。この前視察で和歌山へ行って見させていただいたんですけれども、道路が今いろいろと工事が進められているんですけれども、この道路を何とか、緊急災害時に道路の一部分、何百キロの道路ですから、そのうちの三キロか四キロをKC130が、自衛隊の輸送機が着陸できるような道路につくることができないだろうかというのが私の思いなんですよね。

 これは防災担当の大臣をしたときも、孤立化するところに、万が一寸断された場合に、ヘリコプターであったり自衛隊の空輸機であったり、そういうようなものが着陸できるような体制、台湾においてはそういう道路は何カ所かあるわけなんですけれども、こういうようなものを国土交通省の方で考えることができないかなという提案なんです。

 これをやるには、なかなか基準は難しいんですよ。やはり高台でつくらないと、道路がずっと回っている中の高台のところでつくらないと津波に対する意味がないというところもありますし。それで、一般の道路だと、アスファルトの舗装だと二十センチぐらいですけれども、飛行場のアスファルトのものだと二メートルから三メートルの舗装が必要になってくるわけなんですね。この部分だけは二メートルか三メートルの舗装をしないと、飛行場としての活用ができないというようなことになるわけなんですけれども。

 こういうふうなことを一回どこかの時点で、特に和歌山と言わせていただいたのは、半島が大きくて、南海トラフ地震の中でも孤立する可能性が非常にあると言われているだけに、この地域の一部をこういうような発想で、それで、何といいますか、車がとまるところ、買い物をするところかな、ちょっと忘れましたけれども……(発言する者あり)そうそう、サービスエリアも、食料の備蓄を行うとか燃料の備蓄を行うとかというようなことはおいて、できればいいなと。間違えたから、迫力がなくなっちゃったね。

 そういうことなんですけれども、道路局長、どうですか、こういう発想を一回。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路を自衛隊などの飛行機の離発着に使用するということを考えたときに、三つの観点から考えなきゃいけないと思っています。

 一つは、委員御指摘のように、衝撃に耐えられる強度であるかどうかということ、二つ目は、空間的に長さが確保できるか、それから幅が確保できるかということ、それから三番目は、平たん性でございます。これらを考えたときに、残念ながら、我が国の高速道路はかなり急峻な地形につくっていますので、トンネルなどの構造物があって、そのような条件を満たすような設計は現在のところなされておりません。和歌山に関しても調べてみましたけれども、一定の区間直線であるというところは、飛行機の離発着のことを考えると、なかなかそういうところがないということが現実でございます。

 それとあわせて、緊急事態の場合、高速道路は輸送としても利用されますので、緊急車両の通行との関係、その辺も含めて幾つか課題があるのではないかというふうに思っています。

 ただし、一方では、緊急時において航空機能の活用はかなり重要な点だと思っておりますので、高速道路会社の管理する高速道路では、平成十三年度から休憩施設などで救急活動支援のヘリポートの整備をしております。平成二十六年度末までに七十一カ所整備させていただいております。

 また今、サービスエリアのお話がございました。サービスエリアは、例えば東日本大震災のときも、サービスエリア、パーキングエリアが被災地に向かう自衛隊の方の基地になったり、いろいろな意味でお役に立ったと思っております。こうした教訓も踏まえまして、サービスエリアには、そういう備蓄、防災の備品、あるいは平時からの訓練とか、そういうことを進めておりまして、高速道路事業会社の一部においては防災の拠点のモデル化の事業もしております。

 これらの観点も踏まえて、議員御指摘のように、これから災害時にもお役に立てるような道路にしてまいりたいと考えております。

 以上です。

下地委員 今度、防衛省は五機のオスプレイを購入することが決まっているんですね。五年計画でこれを買い上げるというようなことになっていて、オスプレイの場合には、今のCH47のヘリコプターより二倍の速さで進みますし、物量的には物すごく積み荷が大きくなるというようなことになりますけれども、物すごく重量が重いものですから、普通のヘリポートのつくり方ではオスプレイの対応というのはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんです。

 私は、これから防災の観点からも、政府としてもオスプレイを五機購入すると。この沖縄のオスプレイが今あらゆるところの防災訓練で活用されていることを考えると、このオスプレイという飛行機を想定したパーキングエリアのヘリポートであったり活用方法であったりというようなことをやはり考えていかなければいけない。

 だから、道路網を整備するというのと同時に、自衛隊の輸送能力を高める、そういうふうなものとあわせた道路構造というものを考えていくことは、これから非常に大事になってくるというふうに思っていますから、そういう横の連携を各省ちょっととって、南海トラフの地震による、三十三万と言われている膨大な、私たちが想定できないような厳しい数字が一万でも二万でも減っていくような体制づくりをやっていくことが大事だというふうに思っていますから、ぜひそのことをやっていただきたいというふうに思います。

 私の方の質問はこれで終わらせていただきますけれども、きょうお話があったことについて、またいろいろとこれからも皆さんから御意見を聞かせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

今村委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、私も免震ゴム偽装問題について質問します。

 国交省は、不正の対象となった五十五棟について、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないとし、さらに、追加で発覚した百九十五棟に関して、建物全体が倒壊することは恐らくない、倒壊まで至るようなことはまずないと言っています。

 国交省は、不正のあった免震ゴム装置を使用した建築物の安全性を強調していますが、大したことはないという認識で対処されておられるんですか。まず、そこを聞きたいと思います。

太田国務大臣 重大な問題であるというふうに思っています。

 それで、改ざんという、こうした不正ということも大変な問題ですが、日本の免震技術については大変すぐれているということは定評があって、しかも、東日本大震災の後、全国でしっかりした耐震性を確保しなくちゃならない、こういう状況ですから、私は本当に怒りにも似た気持ちでいることは事実です。

穀田委員 国交省は、対象建築物については、建築物全体の構造安全性が損なわれているというものではなくて、免震装置によって建築物の揺れを抑える機能が低下していると説明していて、もともと免震装置は揺れを少なくするもので、建物の構造上の安全性には影響がないんだと言わんばかりに聞こえるというのが私の率直な感想です。

 重大性は極めてあるということなんですけれども、建物が倒壊に至らないまでも損傷する。例えば、改修しないと生活できないこともある。そもそも、震度六強から七程度で倒壊しないという基準は、生存できるというごく最低限のものにすぎません。

 報道では、昨年三月に完成した高知県安芸総合庁舎は、問題の免震ゴムが使用されていた件で、建築課長は、南海トラフ巨大地震で死者四万二千人、全壊十五万三千棟と想定し、同庁舎は災害時に救命や救助の司令塔になるべきものなのにという怒りを述べておられます。また、国立病院舞鶴医療センターは、改ざんの疑いがあることがわかった後に同社が装置を納入したと指摘をし、新病棟は今年六月末に完成予定だった、物すごく無責任で不誠実だということで院長は批判をされています。病院はほかにもあって、三重県立志摩病院外来診療棟などがあります。

 これは極めて住民の命にかかわる点で軽視できない。医療施設がこのような医療ができなくなるような事態が招来しかねないわけですから、これに対する対策も順を追ってやるというだけでなくて、この病院の問題については早くやらなければならないと指摘しておきたいと思うんです。

 ですから、私は、抑える機能が低下している程度だというような話では済まぬ問題だと思っています。私どもは、十年前の姉歯の事件のときに、倒れないから壊れないとする耐震基準そのものを厳しくすべきだと当時問題提起しました。

 では、今回の免震偽装不正は何が問題なのか。

 建物の安全上必要な構造については、耐震偽装事件もあって、構造計算の適合性判定など厳しくチェックするようになりました。今回の免震装置は、建物の基礎に当たる部分の材料となるものであります。建物の安全性は、構造計算して安全であると確認するが、そのときには、基礎や柱などの材料の品質も当然基準に適合していることが前提になります。

 今回は、不正、偽装のあった材料が使用され、それをもとに構造計算もされたとすると、構造計算そのものが正しいと言えないんじゃないでしょうか。その辺をお聞きしたいと思います。

橋本政府参考人 当初不正が発覚しました五十五棟につきましては、委員御指摘のとおり、構造計算を全てやり直して、三月二十六日には震度五強程度、三月三十一日には震度六強から七程度の地震に対する安全性を確認いたしました。

 このやり方といたしましては、構造計算をやっているのは当初設計した事務所で、東洋ゴム本体ではございません。中立の第三者の構造計算事務所が、東洋ゴムから正しい免震材料の強度等をもらって、建物全体の計算を全部やり直した結果でございますので、この結果については、少なくとも六強から七では倒壊しないということは間違いないというふうに考えております。

太田国務大臣 そこが安全であればいいというのでは本当はありませんで、免震構造を取り入れたということは、今御指摘のあった病院にしろ、防災庁舎にしろ、特に免震ということが大事なんだ、手術をする、あるいは点滴をしている、いろいろなときでも、あるいはビーカーとかいろいろなものが落ちない、いろいろなことが仕事の上で大事なんだということの中でやったということからいきますと、これは人命にもかかわるし、免震ということをあえてやった人たちの心を完全に踏みにじったものであるというふうに私は思っています。

穀田委員 事の重大性はようやくはっきりしてきた、全く許せないことなわけですけれども。

 問題は、免震装置は建築物の構造部の材料となるわけですから、その品質の基準適合は、耐震性など安全性を確認する前提でないといけないと思うんですね。その材料の偽装、不正というのは、これまでの建築行政として想定していなかったことなのか、あるいは見過ごししていたのか、私は極めて深刻な問題として捉まえる必要がある。だから、そういう認識と覚悟を持って対応すべきだということであります。

 同時に、ここで実態の把握が必要です。

 先ほど、議論の中で、調査段階とありました。問題は、五十五棟に加えて百九十五棟が新たに判明しているわけですが、その建物全てが特定できていないのはなぜなのか、簡潔にお願いします。

北川副大臣 当初、五十五棟以外で不正の疑いがある案件について、三月二十四日に東洋ゴム工業から不正の疑いがある旨の報告を受けたわけです。それで、同社に対しまして、調査を早急にやるように、こういうことで急がせました。

 現在、東洋ゴムにおいては、当初の五十五棟以外に出荷された約三千八百基の免震製品について、不正があったかどうか調査を行っているということであります。

 ただ、その中に、既にもう建物が取り壊されておるものがあったり、あるいはまた、約二十年以前の装置であって、ディスクのデータの読み出しが非常に困難であるというようなものも若干ありますから、そういうようなものの取捨選択ということで若干苦労しておる、こういうようなことであります。

 五十五棟以外の安全性については、第三者委員会において、不正な五十五棟の免震材料と比べると性能値のばらつきが少なく、製品の不良度合いが小さいことから、個別一つ一つの確認は必要であるというものの、全体的な安全上の問題に発展することは考えにくいということで第三者委員会の方から御意見をいただいております。

 いずれにせよ、五十五棟以外の構造安全性の検証については、第三者委員会の委員の意見を伺って進めてまいりたいというふうに思っております。

穀田委員 北川副大臣、私が聞いたのは、建物が特定できていないのはなぜなのかと聞いているんですよ。今お話あったのは、壊されたのもあるとか、二十年前のものがあるとか、そんなもの台帳がなかったということなんでしょう。そう言ってくれればいいんですよ。しかし、この売りは、六十年間もつというものなんでしょう。とすると、二十年間でなくなるようなことは困るという話なんですやんか。

 問題は、先ほど来、この間、話をずっと聞いていると、要するに台帳がないわけでしょう、はっきりしているのは。台帳がないし、そういう納品先の資料が非常に不完全だと。ところが、私が気にしているのは、そういうことがわかってから国交省は何をしていたかということを聞いているんですよ、聞きたいんですよ。

 つまり、事前に報告を聞きますと、東洋ゴムによると、自分のところがひどいことをやったみたいだというふうに、ゼネコンがこれをつくっているわけですから、ゼネコンが資料を出してくれと自分のところにないものだから頼むと、まず謝るのが先だろうとかなんとか言って出さなかったというわけでしょう。そこを言ってほしかったわけ。

 問題は、そういうことで済むのか。ゼネコンはえらい態度が大きいやないかと。要するに、免震のものがおかしくなっているときに、それは何をさておいても、利用者と所有者、そういう方々に対して責任を果たさなならぬし、まず出しましょうというのが筋と違うのか、それを指導することがおたくの責任と違うのかと私は言いたかったわけですよ。おわかり。うんと言ってくれればいいです。

北川副大臣 現在継続しておる建物につきましては、これはデータは皆あるわけです。ただ、それまでにもう取り壊された建物もある。これについてはデータその他が非常にそろわない、あるいはまた、非常に古いもので、そのデータのシステムができていなかったというようなものがあって、それによってデータがそろわないということで、そのデータがそろわないために免震の虚偽というか不正というか、そういうものがあったかどうかということはなかなか把握できない、こういう意味でございまして、今現在ある建物については、これは明確にちゃんと規定どおり行われておるかということはとれるというふうに思います。

穀田委員 私は遅いんじゃないかと言っているわけですよ。わかっているんですよ、そんなことは。

 まず、東洋ゴムがずさんな管理をしている、これは事実だと。そのずさんな管理でその責任をとやかくするのも大事だけれども、納品しているわけだから、納品されている側があるんですよ。それはゼネコンがやっているんですよ。ゼネコンに全部呼んで聞いたら、そうしたら、おまえのところが謝らなかったらそんなもの言えるかいというような話をしているということをつかんでいるわけでしょう。だから、そういうことをつかんだ瞬間に、あほなことを言うな、まず安全だろう、そのためには力をかしてくれと言って、頭を下げてでも何をしてでも、つかむのが人と違うかと言っているわけですよ。そうでしょう。

 その上で聞くけれども、問題は、今回の免震偽装というのはいつからやられていたのか、これは十年前からだと言われている。十年前といえば、先ほど述べましたけれども、姉歯元建築士の耐震偽装事件があり、建築偽装が大問題になっていたころなんですよ。そして、建築物の偽装事件が世間を騒がした時期に、みずからを戒めるのではなくて、偽装や不正を始めたかもしれない。それが一つ。

 もう一つ重大なことは、東洋ゴム工業自身が、二〇〇七年十一月、耐火偽装発覚の最中だったということなんですね。断熱パネルを偽装して大臣認定の取り消しが行われ、再発防止策を国交省に報告していた。同じ会社の中で、性能評価の大臣認定を受けるべき建築材料で偽装が発覚して、会社自身が再発防止策を模索している、一方でですよ。もう一方で同じ会社の中で免震偽装をやっていたことになるわけですね、同じ時期に。そういう驚くべきことなんですよ。

 国交省は、答弁によりますと、品質監査室による全出荷製品の品質検査の徹底、全従業員を対象としたコンプライアンス研修の実施、それから部門間人事異動の徹底ということを平成二十年、二〇〇八年の一月に発表しております、これらのいずれかが確実に実施されていたら、今回の不正事案は生じ得なかったというふうに考えております、こう言っているわけですね。

 だとすると、この事実は、この再発防止策が実施されなかった、あるいは効果がなかったということになるんです。なぜ実施されなかったと考えているんですか。

橋本政府参考人 再発防止策がいかに機能したかにつきましては、午前中もお話をいたしましたけれども、現在、法律事務所において、組織体制上の問題点についてチェックがされておるところでございます。

 この結果を見ながら、我々としても、今後、第三者委員会の意見も聞きつつ判断をしたいと思います。

穀田委員 しかし、このときの再発防止策についての発表は国交省がやっているんですよ、こういう報告を受けましたと。今の話だと、現在、法律事務所がどうのこうのチェックしていますと。私が聞いているのは、なぜ実施されなかったかという問題。

 それでは聞きますけれども、国交省は、その再発防止策の実効についてどのようにフォローアップしていたんですか。

橋本政府参考人 平成十九年に、東洋ゴムそれからもう一社で耐火の試験に関する不正が行われました。

 これを受けまして、各社再発防止策をつくって報告をいただきましたけれども、国土交通省としては、その後、偽装が行われた耐火材料につきましては、毎年、無作為に抽出をして、第三者機関で全部サンプリング調査をするということをずっと続けております。

 この結果、不適合が見つかって認定を取り消されたものが相当数出ておるという状況でございまして、物の方のチェックを厳しくやっていたということでございます。

穀田委員 今回の免震ゴム装置というのは、高減衰ゴム系積層ゴム支承、簡単に言うと高減衰積層ゴムということらしいんだけれども、それが一定、高性能材料の方がある、不正な製品は、幾つかある製品のうちでも高い性能を有していると彼らは宣伝している。

 その性能を出せる技術力が東洋ゴムにあったのかということを私も思うんですね。疑問に思っている方もいらっしゃる。大臣もおっしゃっているように、最初の開発はできたかもしれないけれども、一応クリアしてんねやから、だけれども量産はできなかったのかという意見もある。

 私は、そういう意味でいうと、このときの国土交通省が発表したニチアス及び東洋ゴム工業による性能評価試験における不正受験の原因究明云々かんぬんの報告について、こういう文書の中にあるんですけれども、その中で東洋ゴムのことを書いているんだけれども、その中に、「原因についての報告概要」、「事業化検討の不足」、「自社の人的・技術的対応力を含めた検討が不十分なまま、当該断熱パネルの製造事業を開始した。」と書いてあるように、彼らは、この問題でも、いわば自社の人的、技術的対応力を含めた検討が不十分だったということを言っているわけですね。

 だから、私は、この問題について、単に、何か言うと皆さんは性善説とか性悪説とかと言うているけれども、行った事象との関係で、こっちはどうやということを調べるのが当たり前だと思うんですね。

 しかも、社内で性能検査に携わる人が一人だったなどと報道されています。東洋ゴムは、子会社である東洋ゴム化工品の担当者が十年間一人で免震ゴムの試験データを管理していて、ほかにわかる人がいなかったとも言っていると。それは先ほどもいろいろありました。

 本当に一人だけに任せていたのか。仮にそうだとしても、上司にも誰にも相談せず長年不正を続けていたのか、不正とも思わず当たり前のこととしてやっていたのかどうか、はっきりわからない。東洋ゴムが今回の不正を一人の社員に押しつけようとして、全容を明らかにしていない、隠しているのではとの疑念も湧きます。

 ですから、二つの点で、そういう技術力、立入検査した問題で、その一人はという問題について、国交省としては、立入検査をしているんですから、どうつかんでいるんですか。簡単に。

橋本政府参考人 まず、生産能力については御指摘のとおりでございまして、特にごく初期に出荷したもの以外は全て不適合になっているということを考えると、生産能力を疑わざるを得ないと思います。

 それから、一人がずっと不正をし続けていたということについては、例えば製品の検査を開発部門とは別の部門でデータをとって持って帰ってくるけれども、当該担当者がそれを受け取って不正な補正をする、それを品質保証部門に渡して、品質保証部門がそれをチェックもせずに検査成績書に、証明書に書くとか、そういうことをやっていたと会社は説明をしていますが、これについては当然法律事務所でチェックをされていると思いますし、その結果を見て、国土交通省としても第三者委員会で原因究明をしっかりしたいと思います。

穀田委員 先ほどから聞いていると、どうも国交省が、この報告書に基づいて一つ一つ、その問題以外について、それはそういうことがあった、だけれども、フォローアップの段階で、自社製品の開発能力、それから先ほど三つの点があればと言っていましたけれども、三つのことをどうしていたのかということが常日ごろからフォローアップされていれば、起きなかったかもしれないんですよ。

 問題は、どうしたら防げたか。防げなかったのかということが問われているんですよ。私は常にそういう立場で物を言っている。だから、フォローアップの話は、先ほどの耐火の方はやっているかしれぬけれども、会社全体がそういうことをやっているんじゃないかということの問題なんですよね。

 彼らは、こう言っているわけですね。耐火偽装再発防止策の「原因についての報告概要」というところを見ますと、一はさっき述べました。二のところに「経営判断の甘さと監査機能の不足」と。「製品開発の遅れが市場参入への障壁となるとの判断が、不正をしてでも事業を継続しようとする動機となった。」とあるわけですね。市場競争の中でもうける、利益を上げるためには不正に手を染める体質があったと認めているわけですよ。

 そうすると、会社自身がそういう可能性、体質があるということをみずから反省しているというにもかかわらず、こっちの耐火はやったかしらぬけれども、そのこと全体として、会社に対するフォローアップがされていたのかということなんですよね。

 というのは、なぜかというと、このしゃべっている話は、今回の東洋ゴムの企業体質というのは、免震ゴムの不正問題でも同じことが、多分これは同じ資料が出てきても見間違うような話をしているじゃないですか。だから私は言っているわけですね。

 だから、聞いてみると、東洋ゴムの製品にしても、他製品と比べて品質評価は低いんですよね。ところがコストパフォーマンスは高い。つまり、悪かろう安かろうという見方もあるようなんですね。こうした背景、企業体質まできちっと監査をしていくべきではないかと思うんですが、いかがですか。

橋本政府参考人 大臣認定に係る建築材料等の生産について今後どのようにチェックしていくかということは、単に物だけの、物の基準への適用だけではなくて、品質管理体制、それを会社の中でいかにそのフォローアップをするか、品質管理をちゃんと行っていくかということも含めて、今後我々は審査をしなければいけないと思っております。

 今後、第三者委員会の意見も聞きながら、再発防止策の中で、そのようなちゃんとしたチェック機能が働くような仕組みを考えていきたいと思います。

穀田委員 それはそれで大事なんだけれども、反省が必要なんですよ。

 国交省は何も、こっちは善人であっちが性悪の人だったというわけじゃないんですよ。その問題の会社全体の企業体質の問題に着目をする必要があると、私はJR北海道のときもそう言ったわけですやんか。そういうものをやっているときは必ず二度、三度やるというのは、お互い知っているわけですやんか。だから、フォローアップというとすぐ今後と言うんだけれども、今まで何をしていたんだと僕は聞いているわけですやんか。

 だから、私はその意味で、東洋ゴムに、再発防止策というのは、単なる耐火の問題と違って、全体としての会社としての対応だったという点での国交省の監視、監督責任を自覚すべきじゃないかと指摘しておきたいと思うんですね。

 私は、なぜ見抜けなかった、この点が極めて問われている、その反省がないとだめだと思うんですね。

 大臣は、悪意を持ちデータ改ざんをした場合、見抜くのは難しい、性能評価を受ける際、試験データが正しいという前提と述べておられます。こういう仕組み自身が問題だと私は言いたい。

 確認したいんですけれども、大臣認定は、指定性能評価機関が審査するが、実際は企業が自主検査し、書類を審査機関に提出するだけなのか、元データ、試験データが正しいかどうか実証試験はしないんですか。

橋本政府参考人 建築材料の大臣認定におきましては、自社データを認めております。ただし、その自社データをはかる機器等が正確なものであるか、あるいは測定方法が正しいかということについては評価機関がチェックをしております。

穀田委員 さっき、これを出しましたよね。これの中に、耐火パネル偽装の際に、日本建築総合試験所による「再発防止策についての報告概要」というのが次のように指摘しているんですね。

 性能評価試験の不正受験防止策ということで、試験は、指定性能評価機関職員の立ち会い、試験体の仕様と認定申請の仕様が同一であることを確かめる、無作為に抽出し、予備の試験体も分析する。

 二、認定後の監視というのもあって、認定を受けたものでも、市販されている材料等を対象とした性能確認試験等を実施し、認定仕様と同一のものであることを確認するとともに、仮に同一でない場合には認定を取り消す等の方策が必要だ、こう言っているんですね。

 これは確かに耐火パネルの問題ですよ。でも、そういう問題提起をしているということは、やはり何らかの形でこれに応えて前向きにやる必要があったと私は思うんですね。

 だから、企業の自主検査をした元データをチェックもせずに認定するというやり方、企業任せをこの際やめる必要があると私は考えます。

 大臣認定を取得するときの偽装に関しては、元データまでのチェック、国交省または第三者機関による検査など、体制を考えるべきだと思います。認定基準不足の製品の納入に関しては、設計者など、製品納入、購入事業者などが検査結果等を確認するような仕組みを考える必要がある。

 その意味で、大臣認定制度の見直しは急務だと考えますが、この点は、大臣、いかがお考えでしょうか。

太田国務大臣 大臣認定制度というか、例えば、免震の今回の不正という事案については、大臣認定をするということの中で、評価機関が直接現場に行くとか現場の器具を見るとか、そうした現場感覚というものも加えてやるとか、さまざまチェック体制というものを重ねていくという必要があると思います。

 建築の場合は、大臣認定というのは五千ぐらいあるんですね。ですから、その五千ぐらい、こういうところの全部が大臣認定になって、それを全部国で、現場というわけにもいかないんですが、非常に人命にかかわって重大なものとか、先進的な技術のものとか、対象というものの重さということとか、あるいは評価機関が現場に行くとか、そういうような、幾つか大臣認定にかかわって今回のことで変えていかなくてはならないことがある、このように認識しています。

穀田委員 私も、全部やれと言っているんじゃないんですよ。だけれども、人の命にかかわる大事な部分というのはお互いわかっているわけですから、これはこうだよね、これはこうしようねという話を今後しないと、やはり企業任せにしているとだめだと。

 これは二つ問題があると私は思うんですよね。

 といいますのは、国交省の調査の際に、営業部からのプレッシャーがあったのではないかということを安全調査室長は聞いているわけですよね。だから、もうけが、シェア獲得のためのコスト競争に走って、企業自身の安全軽視、利益優先型経営を推し進める、これが一つやはりある。

 もう一つは、私は、二〇〇六年の四月に、耐震偽装事件の再発防止対策の提案を行いました。そのときに、問題の核心は、規制緩和によって建築確認検査を民間任せにし、チェック体制も整えないままコスト優先の経済設計を可能にした、当時、経済設計というのが問題になりましたよね、ということを私は指摘し、建築行政を安全よりも効率優先に変質させたことにあると指摘をしたわけですね。

 だから、この二つがやはり今後とも大事だと私は思っています。

 ですから、事業者の自主規制に委ね、国による監視ということを弱めた結果、こうなってくる。だから、チェック体制も、やったときは必ずチェック体制と言うんだけれども、大体、事前チェックから事後チェックに変えて、何でも企業任せにするということを改める必要があると考えます。

 最後に一言だけ言いますと、きょうの質疑を通じても、解明しなくてはならぬ問題点は多々あります。東洋ゴム社長や関係者を参考人として当委員会に招致し、東洋ゴム偽装問題の集中審議を要求したいと思います。

今村委員長 理事会で協議いたします。

穀田委員 終わります。

     ――――◇―――――

今村委員長 次に、内閣提出、水防法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 水防法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました水防法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年の多発する浸水被害に対応するため、ハード、ソフト両面からの対策を推進する必要があります。また、下水道施設について、老朽化対策により機能を持続的に確保するほか、再生可能エネルギーの活用促進を図ることが求められています。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、現行の洪水に係る浸水想定区域について、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充するとともに、新たに、いわゆる内水及び高潮に係る浸水想定区域制度を設けることとしております。

 第二に、都市機能が集積し、下水道のみでは浸水被害への対応が困難な地域において、民間の設置する雨水貯留施設を下水道管理者が協定に基づき管理する制度等を創設することとしております。

 第三に、下水道の機能を持続的に確保するため、下水道の維持修繕基準を創設するとともに、日本下水道事業団が管渠の更新や維持管理及び下水道工事の代行をできるようにする等の措置を講ずることとしております。

 第四に、再生可能エネルギーの活用を促進するため、下水道の暗渠内に民間事業者が熱交換器を設置することを可能とする規制緩和を行うこととしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.