衆議院

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第5号 平成27年4月21日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月二十一日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 坂井  学君

   理事 中村 裕之君 理事 伴野  豊君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      岩田 和親君   うえの賢一郎君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      今野 智博君    斎藤 洋明君

      鈴木 馨祐君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      野田 聖子君    堀井  学君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      山本 公一君    荒井  聰君

      小宮山泰子君    中島 克仁君

      松原  仁君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    下地 幹郎君

      横山 博幸君    北側 一雄君

      中川 康洋君    樋口 尚也君

      穀田 恵二君    本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     菱田  一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 藤井 健志君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            佐藤 尚之君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 松脇 達朗君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            小池  剛君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            岸本 邦夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     青山 周平君

  神山 洋介君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮澤 博行君

  中島 克仁君     神山 洋介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官佐藤尚之君、総合政策局長滝口敬二君、国土政策局長本東信君、土地・建設産業局長毛利信二君、水管理・国土保全局長池内幸司君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、鉄道局長藤田耕三君、航空局長田村明比古君、政策統括官松脇達朗君、国土地理院長小池剛君、運輸安全委員会事務局長岸本邦夫君、復興庁統括官菱田一君、財務省大臣官房審議官藤井健志君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、環境省水・大気環境局長三好信俊君及び防衛省運用企画局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 自民党の秋本真利でございます。

 質問の機会を頂戴しまして、本当に感謝いたします。

 それでは、早速質問に入りたいというふうに思います。

 二〇二〇年、いよいよオリンピック・パラリンピックが日本で開催されるということになりました。非常にうれしく思うのと同時に、それに向けて、国土交通施策もしっかりと充実をさせて、オリンピックをしっかりと迎える準備をしていかなければならないというふうに思っているわけでございます。

 そうした中では、日本の空の玄関口である成田空港と羽田空港、この両首都圏空港の機能強化をしっかりとしていく必要があるという認識は、多分、誰も同じ思いを持っていらっしゃるというふうに思うわけでございます。

 そうした中で、例えば羽田空港であれば、東京上空の飛行も含めてどうなんだろうかということを今議論していただいているようでございますし、成田空港につきましては、カーフュー等弾力的な運用をしていくだとか、あるいは高速離脱誘導路をつくって発着回数をしっかりと伸ばしていくというような、さまざまな施策が展開されているところでございます。

 しかし、これらの施策をしっかりと講じた中ででも、それでも発着回数が、オリンピックをさらに超えた先まで考えたときに、首都圏全体として考えた数字として、キャパをオーバーしているんじゃないか、今ある羽田空港四本、成田空港二本の六本の滑走路では、そもそもその発着回数をさばき切れないのではないかという指摘もされているわけでございます。

 そうした中で、今申し上げたようなあらゆる施策を講じて努力を続けているわけですが、そういう努力ではもう限界を迎えてしまう、物理的な限界を迎えるという中では、今一つの方策として持ち上がっているのが、成田空港に三本目の滑走路をつくったらどうかということが上がってきているわけでございます。

 私は千葉県選出の国会議員でございますけれども、地元千葉県でも、森田知事を先頭に、地元の成田の小泉市長もそうですけれども、三本目の滑走路、どうなんだろうか、必要なんじゃないかということで、今さまざまな形で我々はその運動を繰り広げているわけでございまして、地元の代議士としても機運が高まってきているなというふうに感じているわけでございます。

 その一方、成田空港というのは、過去の経緯、経過の中で、内陸空港ということで、いろいろと地元の方々の御理解を賜りながら進めていかなければならないという面で難しさもあるわけでございますが、そういった地元との丁寧なやりとり、交渉、地元の思いをしっかりと国としても受けとめた上で、丁寧に物事を進めていくということも一方では必要な空港であることは間違いないわけでございます。

 しかしながら、先ほど来申し上げていますとおり、オリンピック・パラリンピックも含めて、その先の航空需要も考えたときに、物理的に三本目の滑走路が必要なのではないかというのは明白な事実でございまして、そこに向けて国交省、国としてもそれなりの準備をしながら進んでいかなければならないのではないかなというふうに思うのと同時に、地元の代議士としてはそれを強く要望したいというふうに思っているわけでございます。

 地元でも、三本目の滑走路をつくってもらいたいということで、皆さんどうですかというふうに署名を集めたところ、十六万五千筆を超える署名がもう既に集まっております。来週あたりに千葉県の自民党の代議士が全員ごそっとそろって太田大臣のお部屋に伺って、三本目の滑走路の建設に向けた署名簿を提出させていただいて、地元の声をしっかりと国交省の方に受けとめていただこうということも今考えているところでございます。

 そうした中で、太田大臣、国交省のトップとして、成田空港の三本目の滑走路の必要性、あるいはその進め方についてどのような考え方をお持ちになっているかということについて、お伺いをしたいというふうに思います。

太田国務大臣 おっしゃるとおり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、外国人の観光客二千万という目標はかなり現実味を帯びてきている状況だと思っておりまして、空港の容量拡大、機能拡大というものは極めて重要であり、そして首都圏空港の重要性、そして地方空港の拡充、こうしたことの努力をしなければならない、このようにまず認識をしています。

 昨年七月に、学者、専門家で構成する首都圏空港機能強化技術検討小委員会におきまして、成田、羽田両空港の機能強化に関する技術的な方策が示されています。

 具体的には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでに実現する方策として、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の管制機能の高度化等による年間七・九万回の増枠、二〇二〇年以降の方策として、成田空港における滑走路の増設等が挙げられています。

 国としましても、今後の国際航空需要の伸びに対応するとともに、我が国の国際競争力向上のためにも、成田空港のさらなる機能強化は必要であるという認識をしています。

 他方、大規模な空港整備につきましては、環境問題のほか、周辺地域のまちづくり等にも密接な関係を有していることから、地元市町や千葉県と丁寧に議論することが重要だと思っています。

 十六万の署名に御努力をいただいたということはしっかり受けとめていきたいというふうに思っておりますし、いずれにしましても、昨年十一月より地元市町を中心として勉強会を開催しているところであり、引き続き地域とともに成田空港の機能強化に力を注いでまいりたい、このように思っています。

秋本委員 大変心強い答弁だったというふうに私は捉えました。ぜひ、地元と丁寧に話し合いを続けながら、実現に向けてこれからもお力をかしていただければというふうに思います。

 次に、鉄道駅における視覚障害者対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 鉄道駅に行きますと、駅によってはホームドアが設置してございます。ある駅とない駅ということがございまして、国土交通省の考え方としては、利用者数が十万人の駅、あるいは視覚障害者からの要望が高い駅については優先的に設置をしていく。二〇二〇年のオリンピックに向けて、全国で約九千五百ぐらい駅がある中で、今現在約一〇%以下、六百駅ぐらいにしか設置していないものを、約一割の八百駅前後までホームドアの設置駅をふやしていきますよという指針を示しております。

 そうした中で、視覚障害者に関する施設がある駅、例えば、視覚障害者が行く盲学校なんかがその駅のすぐ近くにあって、日常時、視覚障害の方がその駅を利用するというようなホームについては、私は少し優先的にホームドアの設置を考えてもよろしいのではないかなというふうに思っているところでございます。

 私が国土交通省の鉄道局のお手伝いもいただきながらいろいろ日本全国の状況を調べたところ、盲学校が七十二校ぐらいありまして、多分駅が近くに二つあるような学校もあるんでしょうから、八十一駅、八十五ホームぐらい、そういう駅が存在しております。

 しかし、ホームドアの設置率というのは非常に低いわけでございますが、そうした駅で視覚障害者に限って転落した事故を数えてみますと、十六件といって、二〇%ぐらいの駅で落下している人が出ているわけですね。これはやはり一般の方と比べても非常に高いわけでございまして、視覚障害者の場合は、特に、駅のホームから転落するだけじゃなくて、電車のドアの位置もたまに思ったところから乗り込めなくて、電車とホームのすき間から落ちてしまうというようなこともあって、健常者では通常ちょっとあり得ないような重大なアクシデントが起きるということも想定できるわけですから、優先的に整備をしてもいいのではないかというふうに思うわけでございます。

 視覚障害者からの要望が高い駅は優先的に整備をしますよということをこの中間取りまとめ等にも書いてありますが、では要望はどのくらい上がってきているんですかというふうに鉄道局さんに各事業者に確認をしてもらったところ、ほとんど地元からの要望というのは出てきていないんですよね。

 私は、おかしいな、自分の感覚がおかしいのかな、視覚障害者のそういうところにホームドアを設置するということはあってしかるべきなのに、何でこんなに地元に要望が出てきていないんだろうと不思議に思って、実は私の選挙区の中にも一つ盲学校がございます。そこの盲学校にも確認をし、地元の市にも確認をしましたところ、何と、この鉄道局に調べてもらった形だと要望が出ていませんといってバツがついているんですが、毎年必ず要望を出しているそうでございます。

 何がどう行き違ってそういうことになっているのか私にはわかりませんが、やはり地元の学校やあるいは地元にそういう学校を抱えている自治体が要望を出していないということは、そうそうないんじゃないかなと思うんですよね。

 ですから、多分いろいろな経緯、経過の中で行き違いがあったり、今回の調査の仕方がちょっと違ったのかもしれませんが、もう一度よく精査していただいて、今私が申し上げたとおり、こういう視覚障害者が往々にして多く利用するような駅については、やはり整備について少し今まで以上に踏み込んだ考え方を持っていただきたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ホームドアにつきましては、視覚障害者が列車と接触をしたり、あるいはホームから転落する、こういったことを防止するために非常に有効であると考えております。したがいまして、視覚障害者の利用が多く、その要望が高い駅につきましては優先的に整備をすることとしております。

 今御指摘の点でございますけれども、今後、地元からの要望をきめ細かく拾い上げるといいますか、感度高く対応するようにということを改めて鉄道事業者の方にも周知をしたいと思いますし、私どももそういう方針で臨みたいと考えております。

秋本委員 ぜひ、アンテナを高くしていただきたいというふうに思います。

 私、こうやって国土交通委員会に立って質問するわけですから、間違いがあっちゃいかぬと思って、さっき、五分、十分前に地元の市長さんにもう一度確認で電話をしたら、間違いなく毎年上げています、自信を持って言ってくださいと言われましたので、改めて。

 どこに出していますかと聞いたら、千葉県に出していますと。千葉県からJRの千葉支社の方に要望を上げていただいているということでありますから、もしかするとその経緯、経過の中で何か拾えなかったのかもしれませんが、少なくともきのうきょう出したわけではなくて毎年要望を出していますということですので、もう一度、鉄道局としてもこの要望のあり方、吸い上げ方についてぜひ検討していただきたいというふうに思うわけでございます。

 次に、鉄道車両へのペットの持ち込みについてお伺いをしたいというふうに思います。

 鉄道車両にペットを持ち込むとき、今、二百数十円ぐらいのお金を払って手荷物として持ち込むということが認められているようでございます。私、不勉強でございまして、そもそもそこについて余り知識がなかったんですが、過日新幹線に乗っているときに、ペットを持ち込んでいらっしゃったお客様とそうでないお客様が私の目の前で言い争いを始めまして、車掌さんがやってきて一悶着というものを、一部始終を目の当たりにしてしまいました。

 そのお客さんの主張です。私ではなくてそのお客さんが声高に車内に響き渡る声で言っていたんですが、グリーン車に乗っていた方が、高いお金を出して時間と空間を買っているのに、自分の隣にペットを連れてこられた方が、椅子の前からがたんと出る机の上にケージを載せてお座りになったわけですが、かなり鳴き声も確かにしておりまして、そういうことについてちょっとクレームをつけていらっしゃいました。

 JRを含めて鉄道局の方にヒアリングをしたら、逆に、ペットをリードをつけた上で放してもいいじゃないか、連れ込んでも、一緒に乗ってもいいじゃないかという要望もかなりあるようでございまして、両論あるようなのは確かなようでございますが、例えば今回北陸新幹線も開通しましたが、例えばグランクラスであるとかグリーン車というのは確かにどうなんだろうなというふうに思う一面が、私も確かにその騒動を目の当たりにして少し感じたところでございます。

 例えば、私は成田ですから、NEXという電車が成田空港に向かって走っていますが、NEXは車両の客席のシートがある部分と荷物を載せる部分が分離されておりまして、同じ車両の中に存在はしていますが、荷物を置くスペースとシートのスペースというふうに分かれておりまして、荷物として持ち込んだものについてはそちらに置くようにというような車両構造になっているわけでございます。

 今からいろいろとそういう部分まで変えるというのは難しいかもしれませんが、ペットの車両内への持ち込みについて、改めてルールを見直すであるとか、あるいは現状のルールをしっかりと周知徹底して、マナーについて、マナーの向上喚起を図るとか、何かしらの対策が必要ではないかというふうに思ったところでございますが、鉄道局として今現在どのような考え方をお持ちになっているか、お考えをお伺いしたいというふうに思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 現在のルールでございますけれども、これは今JR各社、旅客営業規則というもので決めておりますが、猛獣や蛇類を除く、小犬、猫、これらに類する小動物で、一定の大きさの容器に収納し、他の旅客に危害を及ぼし、または迷惑をかけるおそれがない、こういった要件を満たした場合には、グリーン車あるいはグランクラスといった車両を問わず、持ち込みが可能ということになっております。

 鉄道というのは公共交通機関でございますので、その役割を考えますと、ほかのお客様に迷惑を及ぼさない限り、ペットの車内持ち込み自体を禁止するということはなかなか適当ではないのではないかと思いますけれども、具体的な取り扱い、これはマナーともかかわる部分で非常に難しい部分があろうかと思いますけれども、具体的な取り扱いにつきましては、鉄道事業者において、これは双方の利用者の御意見がございますので、そういったことをよく聞いて、それを踏まえて検討をしていただきたいと考えております。

秋本委員 次に、オリンピックへ向けた交通対策を改めてもう一度聞かせていただきたいというふうに思います。

 ついちょっと前に、幕張メッセがオリンピックの会場にということで、大きく千葉県でも報道されたところでございまして、我々県民としては非常に高い期待を持っておりますが、あそこを走っている京葉線がりんかい線とつながったらいいよねというのが、ずっと、千葉県そして千葉市からも、沿線の自治体からも国土交通省の方にもお願いを申し上げておりますし、非常に地元の要望が高いお願い事の一つとして上がっているわけでございます。

 羽田空港との直接的なアクセスも含めて、オリンピック・パラリンピックまでには何とか京葉線とりんかい線をつなげていただければいいなというふうに思うわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

藤田政府参考人 東京オリンピック・パラリンピックに向けまして、千葉県内と東京臨海エリアとの輸送のあり方、これは一つの課題でありまして、現在、JR東日本におきましても、京葉線とりんかい線の相互直通運転の実施につきまして、さまざまな観点から検討を行っていると聞いております。

 ただ、現時点で申し上げますと、京葉線とりんかい線の相互直通運転につきましては、一つは、JRの駅から乗車してりんかい線内を通過して再びJRの駅でおりる、こういった場合に、正規の運賃の収受ができないといった問題がございます。

 それから、京葉線につきましては、朝、ピーク時に増発する余力がないために、りんかい線に直通運転した場合には東京駅方面の列車本数を減らさざるを得なくなる、したがって利便性の低下を招くといった課題があるとも聞いております。

 国土交通省といたしましても、京葉線とりんかい線の相互直通運転、これは首都圏の鉄道ネットワークの充実を図るための重要な取り組みの一つであると考えておりまして、関係者の検討状況をよく注視してまいりたいと考えております。

秋本委員 ぜひ、実現に向けて鋭意取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、高速道路へのオリンピック優先レーンについてお伺いをしたいというふうに思います。

 オリンピック関係者だけ優先的に高速道路を通過できますよというレーンを設けたらどうかということが俎上に上がっているということは周知の事実で、報道もされているわけでございますが、羽田空港と成田空港を結ぶ湾岸線にぜひ設置をしていただきたいなと。晴海、お台場、あの辺が中心の選手村ということになっていくわけですから、そこに向かって両空港からの優先レーンを設けるということは私は必要なんだろうというふうに思うわけでございます。

 ぜひ、検討を重ねていただいて、そういうレーンの設置の実現に向けて鋭意努力をしていただきたいというふうに思うので、現状どうかということをお伺いするのと同時に、鉄道に女性専用車両というものがございます。東京の地下鉄というのは、ネットワークが世界一じゃないかと言われるぐらい非常に細かく駅が配置されていて、ダイヤも正確ですし、すばらしい鉄道だというふうに思うわけでございますが、女性専用車両と同じようにオリンピック専用車両をつくったらどうかというのも私は思っているわけでございます。

 そういうことも含めて、ぜひオリンピック関係者に向かってしっかりと努力を重ねていきたいというふうに思いますので、最後、その点についてお答えをいただければというふうに思います。

今村委員長 深澤道路局長、手短にお願いします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のオリンピックレーンにつきましては、現在、東京都主催の輸送検討会において検討が進められております。

 委員御指摘のように、大会の関係あるいは観客の方のスムーズな輸送というのは大切ですけれども、それとあわせて、地域住民の方とかあるいは経済活動に伴う一般車両との調整も必要だというふうに考えております。

 このような観点も認識しながら、国土交通省としても、大会関係者の円滑な移動に貢献できるよう、引き続き関係者と十分調整を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

秋本委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。

 初めに、きょうは大きな話ですけれども、我が国の国土構造について大臣に伺いたいと思います。

 人口減少社会、人口も世帯も減るという社会に突入をいたしました。四月十七日の総務省の発表でも、四年連続で総人口が減っている、こういうデータも出ているわけでございます。

 こういう時代に入っても、日本が世界の中で世界の平和と安定そして繁栄に貢献をしていく国であること、そして、地域においては若い皆さんが希望を持って自分の人生プランを描き人生を全うするということ、そしてさらに、高齢者の皆様もその地域で安心して老後が迎えられ健やかに生き行く、こういう社会、町をつくらなければいけません。まさに人が生きる地方創生でございます。こういう国をつくることは、私のみならず、政治家にとって永遠のテーマだというふうに思います。

 そこで、我が国がこれからも活力を維持していくためにはどのような国土構造が求められるのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

太田国務大臣 我が国の人口は、二〇〇八年をピークに減少局面に入りました。また、二〇五〇年には、国土のグランドデザインで昨年発表しましたが、六割以上の地域で人口が半分以下になって、二割は人が住まない、人口ゼロになるということが推計をされています。

 このグランドデザインの中で、私どもは、地域が個性を磨くということが大事であるという観点から、活力を維持して新しい価値を生み出すというコンパクトシティー・プラス・ネットワーク、そして対流促進型国土の形成ということをいいました。中山間地では小さな拠点、地方都市ではコンパクトシティーの形成、そして都市間連携をとるというネットワークの連携中枢都市圏の構築、そして大都市郊外部では子供から高齢者まで生き生きと暮らせる多世代対応型の住宅、まちづくり、そして大都市では、都市再生に取り組むとともに、リニア中央新幹線等々によるスーパーメガリージョンの形成、こうした国土形成だと思います。

 その中に、あわせて、二〇二五年問題とよく言われますが、そこでの社会保障のあり方ということ、そして私は、二〇三〇年ごろから団塊の世代が八十歳を超えますから、医療、介護ということをよく考えた上での国土形成というのが大事だと思います。

 観光客二千万を二〇二〇年にということを私は言っておりますが、外国の方が定住をしてくるという時代、これが一体どのくらいの速度で来るかということもよく考えた上で、かなり、外国の方が大勢とどまるということになりますと、景色が変わります。

 そうしたことも含めて、これからの国土形成ということをグランドデザインとして提出したものを常にブラッシュアップしていかなくてはならない、このように考えています。

樋口委員 ありがとうございます。

 その国土形成そして地域を支えるためには、建設産業の担い手の確保、これが重要だというふうに思いますので、お伺いをしたいと思います。

 三月の二十日に日本建設業連合会が、「再生と進化に向けて 建設業の長期ビジョン」というのを発表いたしました。それを読みますと、衝撃的な数字が書いてありまして、我が国の建設業の技能労働者の数、これは長いデフレ時代に極端な高齢化をしており、今後十年間で大量離職時代を迎えます。二〇一四年に三百四十三万人いるものが、二〇二五年には二百十六万人になる。実に百二十八万人減少して、十年間で三分の二以下になるという数字であります。その大量離職時代を乗り切るために、技能労働者の世代交代を図るには、三十四歳以下の入職者、若者を中心に九十万人を確保しよう、こういうふうに書いているわけであります。

 言うまでもありませんが、建設産業は人で成り立つ産業であります。ほかの分野、例えば介護の分野でも、百万人が不足する、こういう見込みがあるわけでありますけれども、今後、我が国の建設投資がこのまま横ばいで推移したとしても、この少子高齢化の中で、建設産業と他産業の間で人材の獲得競争というのが熾烈になっていくということについては容易に想像ができるわけであります。

 大臣におかれましては、いつも多忙な中、現場第一主義の姿勢を貫いていただいて、先日も関西で、専門工事業者の皆様の率直な御意見、率直な声というのに真摯に耳を傾けて聞いていただきました。私も同席をさせていただいたところでありますけれども、今後、この建設産業における担い手、特に現場で働く労働者の皆さんをどう確保していくのか、これが重要な課題だと思っております。国交省としての取り組み、そして決意を大臣にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 実は、ここのところが日本社会の非常に大きな問題で、現場で働く、パイロットであろうと、整備工であろうと、建設労働者であろうと、電力関係で働く人、さまざまなところで、現場で働いて汗を流す人が少なくなる。

 幾らすばらしいグランドデザインを出しても、ビジョンを出しても、それを担う人が育つかどうかというのが極めて大事で、しかも、建設労働者ということからいきますと、実はアジア全体でそうした技術者、技能者の争奪戦が既に行われているということを凝視していかなくてはいけない、このように思っています。

 そういう意味では、かねてから申し上げましたが、処遇の改善ということが大事だと思いまして、そういう意味では、労務単価を三回にわたって引き上げる、そして社会保険への加入促進を常に提起して、より強く今やっているということ。そして、週休二日の実現ということにおいて、若者にとって働きやすい職場づくりをしていくということ。そして、これは経営する側からいきますと、安定した見通しがきくような業種であるということが極めて大事で、予算編成等々も、急に引き下げるとか、あるいは急に上げるということもまたそんなに望ましいことではないわけで、予測ができるような、継続的、平準化ということが予算組みでも必要であるというふうに思っています。また、女性がここに入っていただけるということも極めて大事で、今申し上げましたようなことを、さまざま手を今打っているところであります。

 三百三十一万人まで減ってきた技能労働者が、実にこの四年間で十万人ふえまして、今三百四十三万人ぐらいになっているかもしれませんが、十万人ふえたということは、若い人が働くことが減少する中で、これらの打った手が結実をしてきているのではないかということを思っているところです。

樋口委員 ありがとうございます。

 アジア全体でこれから技能労働者の争奪戦が始まるという御認識を披瀝いただきましたとともに、十万人ふえているといういいお話をいただいたというふうに思っております。

 建設の技能労働者、現場の労働者を確保して、処遇を改善していくということの重要性については十分に理解ができますし、私も全力でそういう道をお支えしていきたいと思っています。

 一方で、技能労働者の処遇を改善するということについては、発注者にとっては大きなコスト増になるということになるわけであります。つまり、官庁工事においては、税金でありますから、あるいは国債、大事なものを、例えば一〇%でも給料を上げるために上げてくれといっても、なかなか理解が得づらいところもあります。そして、民間工事においてはもっと、これまでは百億でできていたのが、給料が上がるから百十億にしてくれといっても、これは事業収支の関係がありますから、なかなか発注者のコスト負担を求めていくということについては理解をいただかなければいけないところであります。

 逆に、建設業界側でも、より効率的な建設工事を施工することができるように、現場の生産性を高めていくための相当な努力、相応の努力を払っていく必要がある、こういうふうに思うわけであります。現に、先ほど申し上げました日建連の長期ビジョンにおいては、二〇二五年までに生産性の向上により三十五万人分の省人化を図る、こういう意欲的な目標が掲げられているところであります。

 国交省として、建設産業における現場の生産性について、その向上について、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。

毛利政府参考人 建設産業におきます生産性の向上を図ることは、担い手の確保、育成と並んで大変重要な課題でございます。

 このたび、御指摘にありましたような日建連におきまして二〇二五年までの具体的な目標が掲げられまして、本格的な取り組みがスタートされたことは、大きな推進力になるものと受けとめております。

 国土交通省としましても、第一に、直轄工事におきまして、国庫債務負担行為の活用等によりまして、公共工事の稼働の少ない四月から六月にかけてもしっかり仕事をしていただけるよう、施工時期の平準化の取り組みを始めたところでございます。

 第二に、新技術、新工法の開発、活用促進や、あるいはプレキャスト製品の活用拡大を図りますとともに、建設生産システム全体で三次元モデルを活用しますCIMの活用も進めております。

 今後、これら直轄工事だけではなくて、こういった取り組みを周知いたしまして、都道府県レベルでの取り組みの拡大も国として働きかけてまいりたいと考えております。

 第三に、行き過ぎた下請の重層化の改善も重要な課題であると考えております。このため、まずは今年度、しっかりと実態を調査させていただいた上で、必要なものだけに絞る、不要な下請次数については削減に向けまして業界団体とともに取り組んでまいりたいと思います。

 今後とも、生産システムにおける生産性の向上を官民一体となって総合的に推進してまいりたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 生産性の向上は極めて重要なポイントだと思います。ぜひ、今おっしゃられたように、調査、そして研究を重ねて、生産性が向上してコスト増に耐え得るものになるように見守ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、先日可決をいたしました水防法の改正に関連をして、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。ちょっとわからない点等がありましたので、可決をしておりますけれども、伺いたいというふうに思います。

 まず一つ目ですけれども、この水防法では、地下街等管理者が避難確保・浸水防止計画を作成していない場合には、必要な指示をできることになっています。その指示に従わなかった場合には、その旨を公表することができるということになっていますが、消防法のような強力な指導権限があるわけではありません。

 地下街等の管理者による確実な避難確保、浸水防止の取り組みを担保するためには、行政に計画内容の審査や訓練の実施状況の確認などの権限を持たせることも必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成十七年の水防法改正によって位置づけられました地下街等における避難確保計画につきましては、平成二十六年三月末現在で、全国の八百九十五の施設のうち約七割に相当する五百九十四施設で作成済みでございます。

 また、平成二十五年の水防法改正によって位置づけられました浸水防止計画につきましても、法施行から平成二十六年三月末までの約九カ月間の間に、百四十一施設で作成されております。

 このように、避難確保や浸水防止については、地下街の管理者等によりまして積極的に取り組んでいただいているところでございます。

 委員御指摘のとおり、水防法では、地下街の管理者等が避難確保・浸水防止計画を作成しておらず、必要があると認めるときには、市町村長は必要な指示をすることができます。その上で、地下街の管理者等が正当な理由がなくその指示に従わなかったときには、市町村長はその旨を公表することができます。

 これまで、この指示や公表が行われたことはございませんが、地下街等の多くが商業施設や駅であり、施設の安全性に関するイメージが重要であることを考慮いたしますと、これらの措置は非常に効果があるものと考えております。

 なお、本改正にあわせまして、地下街等から報告があった計画の内容や避難訓練の実施状況を確認するよう、市町村長に対して施行通知等により周知する予定でございます。

 また、これを支援するために、地下街等から提出された計画の内容について市町村が容易に確認できるようチェックリストを作成し、市町村に提供する予定にしております。

 今後とも、地下街等における避難確保や浸水防止対策が進むよう積極的に取り組んでまいります。

樋口委員 続いて、止水板の設置について伺いたいと思いますが、止水板設置等の技術面の審査については、自治体の危機管理部局や水防担当部局に専門的な知識を有する職員がいません。水防法での対応には限界があるというふうに思います。

 例えば、止水板等を建築設備として設置することを義務づけて、建築確認の項目に追加するなど、関係法令において審査する制度整備が必要ではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど御説明いたしましたように、地下街等の管理者によって、現在、積極的に止水板等の設置については取り組んでいただいております。このため、関係法令の整備による義務づけをしなくても、今後、浸水防止計画の作成が進み、それに伴って止水板等の設置も進んでいくものと考えております。

 また、止水板等の設置の確認につきましては、今後、浸水防止計画に基づく浸水防止対策の実施状況について調査するよう、施行通知等により市町村に周知してまいります。

 さらに、止水板等の浸水防止用の資機材につきましては、既にさまざまなものが製品化されておりまして、実際に多くの現場で浸水に対して十分な止水効果を発揮していると認識しております。

 国土交通省では、これらにつきまして、資機材の種類ごとの特性や、設置に当たっての留意事項等を取りまとめたガイドラインを作成、公表する予定にしております。

 これらの取り組みによって、地下街等における浸水防止対策が適切に推進されていくものと考えております。

樋口委員 時間の関係で、ちょっと飛ばさせていただきますけれども、本改正を受けまして、住民へは周知徹底が行われるわけですが、新たなハザードマップをつくらなければなりません。この新たなハザードマップの作成費用や、配布のための費用というのは多額な費用が見込まれるわけであります。地方公共団体に対して財政的な支援をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

池内政府参考人 委員御指摘のとおり、ハザードマップはこれまで、印刷物を各家庭に配布することを原則としていたために、特に人口が多い自治体では多額の印刷費を要しておりました。

 一方、近年、パソコンやスマートフォン等の普及も踏まえまして、法改正後におきましては、インターネットによる公表や、インターネットが利用できない高齢者等に対しては印刷物の配布や掲示板を活用するなどの多様な方法によって、ハザードマップを周知することとしております。これらによりまして、市町村におけるハザードマップの印刷に要する費用は減少するものと考えられます。

 また、ハザードマップに関する自治体の負担に対しては、防災・安全交付金による財政面での支援、それから、浸水想定区域に関するデータの提供や相談窓口の設置等の技術的支援を行ってまいります。

 国土交通省といたしましては、今後とも、住民等に対するハザードマップの周知を推進していくとともに、市町村の負担の軽減に努めてまいります。

樋口委員 ありがとうございました。

 防災・減災には、個人、企業、そして地方公共団体、国が、主体的に、かつ連携をして対応していくことが大切だというふうに思っております。

 今後とも、現場の声、そして地方公共団体の声をしっかり聞いていただいて、国交省としても御対応いただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

今村委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井聰でございます。

 きょうは、一般質疑ですので、大臣と一般的な議論をしたいというふうに思っております。

 私は、民主党政権時代に、成長戦略づくりの責任者、担当官をやりました。そのときに議論があったんですけれども、新しい概念、理念というものを、これからの日本の成長にとってこういう考え方が必要なのではないかということを導入しました。

 一つは、それまで成長戦略とは思われないような、医療でありますとか、介護でありますとか、あるいは農業でありますとか、これは伸ばせば伸ばすほど財政負担が伴うので、成長戦略ではないというふうに自民党政権時代には言われていたんですけれども、いや、それは違うと。これからその分野に多くの民間企業がつくられてきて、成長戦略の一翼を担うものだということで、それを一つの柱にいたしました。この考え方は、今でも自民党の新しい成長戦略でも引き継がれているというふうに思います。

 もう一つの大きな柱が、社会資本のストックマネジメントという概念を成長戦略の中に取り入れました。これはなぜかというと、この間、中村委員が議論しておりましたけれども、今、日本の全体の国債残高は恐らく一千兆円に近いんだと思うんですけれども、そのうちの四〇%、四割ぐらいの四百兆円ぐらいが建設国債と言われているものの残存価格だと思います。

 確かに、借金という意味では赤字国債も建設国債も同じなんですけれども、しかし、建設国債四百兆円の意味というのは何かというと、これが五十年で償却するとすると、年間八兆円ずつの償却が生じていって、それを補っていかないと過去に投資した社会資本が維持できないということを意味しているわけです。

 八兆円というのは、国費で八兆円ですから、今の国交省の公共事業を全部投入しても間に合わないぐらい、それが将来生ずるだろうと。ここの部分はどうしてもやらないといけないわけですから、その部分を、しっかりと光を当てて、どういう手法で、どういうふうにそれをマネージしていくのかということは十分成長戦略になり得るということで、下水道でありますとか、道路でありますとか、そういうもののストックマネジメントをその中で少し書き込んだんです。

 きょうは、ストックマネジメントの話、公共事業ではインフラのマネジメントなんですけれども、民間部門では中古住宅がそれに該当するだろうと私は思います。全体的な概念として、こういう社会インフラのストックマネジメントというものについて、大臣は今、どんなふうに認識をされ、お考えなのか、お聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 極めて重要だというふうに思っておりまして、私も、一番最初にこの職になりましたとき、ちょうど笹子トンネルの崩落事故等の直後でありましたものですから、インフラの老朽化対策や、あるいはそこでの、具体的に、図面自体がなかなか今、昔の橋梁であれ、また昔の建築の方でも建物の図面がないなんということが随分あるんですが、カルテをやはりつくっておかなくちゃいけないというようなことも思いました。

 戦略的なストックマネジメント、戦略的な維持管理・更新システム、そして長寿命化を図っていくということが大事で、今先生がおっしゃったように、毎年八兆というようなことで五十年ということになりますと、これはなかなかうまくいかない。

 そういうことからいきますと、点検、修理、修繕、情報のデータベース化というのを行って、カルテをつくってメンテナンスサイクルを回すということ、そして、新技術の開発導入や予防保全の考え方に基づいて長寿命化を図って、できるだけこの山を延ばして、そして同時に、技術革新によって山を低くする。ある意味では、メンテナンス工学、メンテナンスエンジニアリングというような、インフラドクターがそれをやって、単打で打音というようなことで検査をするということを超えて、世界の最先端のメンテナンス技術工学というものをつくり上げていく。

 これはできると思うんですけれども、先日、下水道のことで私が大げさにこう言いましたら、帯だということを、先生からありましたが、ああしたことも含めてしっかりやって、このメンテナンスをしっかりやるという以上に、その技術自体が世界に輸出できるというようなところまで持っていくことが急務である、このように思っています。

荒井委員 同じ考えを共有させていただいております。ありがとうございます。

 塩野七生の「ローマ人の物語」という、全二十巻ぐらいですか、その中で、ローマ人が道路を非常に大切にした。道路だけではなくてインフラ。ローマが衰亡していくのは社会インフラが衰亡していくその歴史と同じだということを、彼女はずっとそれを言い続けていました。私もそうだと思います。

 国の衰亡というのは何なのかというと、先輩たちがつくり上げていったそういうものがちゃんと管理ができなくなったという、それは多分、財政的な面もありますし、人の面もありますし、あるいはそういう技術がなくなっていったということもあるんでしょうけれども、国家の衰亡というものはそういうものなんだろうなというふうに思います。

 また、私は若いころ、開発途上国の大使館で勤務をしていたんですけれども、開発途上国と先進国の違いは何かというと、つくり上げたものをちゃんと管理できているかどうかというところに大きなギャップがあるなというふうに思ったことがございます。

 ただ、きょうは中古住宅の話をしたいと思いますので、この社会インフラ全体の話はまたの機会にしたいと思います。

 その前に、皆さんのお手元に新聞記事が行っていると思うんですけれども、「地権者の半数「不明」」、これは福島民友という福島の大きな新聞ですけれども、その中で、中間貯蔵予定地一千二百人分、よくわからないと。全部で二千四百人の地権者がいるんだけれども、一千二百人分わからない。したがって、買収せざるを得ない土地の三割から四割ぐらいは本当に買収できるんだろうかというような記事であります。地権者の中には江戸時代に生まれた人が入っているというようなことさえ書いてあります。

 私は、国土交通省という役所の基本は、国土というものをしっかり捉える、あるいは国土の形がどうなっているのかということをしっかり捉えるということが国土交通省の基本的な役割だというふうに思うんですね。そういう意味からいくと、この地権者の話、それから、後で話をしたいと思いますけれども、地籍の話、これは基本的なものなんですけれども、かなりおろそかにと言うと語弊がありますけれども、しっかり進められていないのではないかという考え方を持っております。

 この地権者の半数不明だという記事について、きょう環境省が来ていると思うんですが、環境省、これは本当なのかどうか、ちょっとお答え願えますか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの記事に関してでございますけれども、中間貯蔵にかかわります地権者の方々の総数は登記簿上は約二千四百人でございまして、その約半数について連絡先を把握しておりますけれども、他方で、残り半数の方につきましては、地権者としての特定ができていないということは事実でございます。

 把握できていない方々につきましては、登記記録に記載されている住居地の市町村に対しまして戸籍簿等の照会をして、地権者の方が存命なのかお亡くなりになっているのかを確認して、お亡くなりになっている場合には、さらにその相続人の戸籍簿等の確認作業を進めているところでございます。

荒井委員 これは一般的な災害の場合もよく生じていて、災害復旧のときに、その地域の地権者が確定しない、あるいは地籍が確定していないということで工事がなかなか進まない。

 今度の東北大震災なんかでも高台移転がなかなか進まないのは、高台移転にかかわる地権者が確定をしていないということ、あるいは地籍が、岩手県なんかはかなり地籍がはっきりしているらしいですけれども、宮城、福島はかなりそこが整備されていないということから、復興の障害になっているというふうに言われているんですけれども、きょう復興庁は来ていますか。復興庁、ちょっとその状況をお知らせください。

菱田政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の被災地におけます防災集団移転促進事業等の高台移転先の用地取得に当たりまして、所有者不明の土地などの取得に時間がかかった事例が一定数あったというふうに承知しております。

 このような課題に対しまして、地方公共団体の負担の軽減、もしくは用地取得手続の期間短縮のための加速化措置を累次にわたって講じてきたところでございます。

 例えば、相続登記未了などの土地の権利者調査に係る地方公共団体職員の負担を軽減するため、法律や登記、戸籍に関する知識に精通した司法書士を復興庁で採用して、市町村で業務に当たっていただいております。

 また、所有者の所在が不明な土地につきましては、家庭裁判所によりまして財産管理人を選任してもらうことで取得可能となりますけれども、この手続には全体で半年以上かかるというふうに地方公共団体の方で懸念されておりましたが、裁判所に取り組みをいただきまして、書類がそろっている場合には最短で三週間程度で審理が可能ということなど、いろいろな迅速化、柔軟化を図っていただいたところでございます。

 さらには、このような措置が市町村の現場で円滑に活用されますよう、関係府省と連携しまして、専門の職員を直接派遣して個別に相談に応じるなど、きめ細かな支援を実施しているところでございます。

 これらの取り組みによりまして、本年二月末時点で防災集団移転促進事業の用地取得率は九四%となっております。

 今後とも、地方公共団体や関係府省と一体となって用地取得に努めてまいりたいと思っております。

荒井委員 そこで、地籍調査が一番基本だと思うんですね。ところが、地籍調査、例えば東京では、港区だとかあるいは渋谷区などというのはほとんど進んでいないんですね。六本木ヒルズという大きな再開発のビルが、あれは港区かな、つくられましたけれども、あれは権利関係を調整するだけで四年から五年かかっているんですね。あれだけ大きな、森ビルという大きな資本を使ってでも、そのぐらいかかっている。

 一方、江戸川区だとかそっち側の方は、そこを整理されているんですね。一体誰が整理したのかというと、後藤新平なんです。後藤新平が東京の市長だったときに、あそこが震災で火事になりましたので、そこのところを全部、六千ヘクタールぐらい区画整理をやっているんです。そういうことが行われたので、あっち側の再開発というのは比較的スムーズだというふうに言われていますけれども、これから、港区だとか中央区だとかそっち側の方に東京の再開発というのは必要性が出てくるんだろうと思うんですけれども、そこの基盤部分がほとんど整備されていないというのが実態なんですね。

 日本は、地籍、それから所有権の部門、それから土地取引の部門という、この三つのそれぞれの役所が別々な登記関係があって複雑に交錯している。それから、住民からいけば、登記をしてどんなメリットがあるのか、大したメリットはないじゃないかということで、そのままほっぽらかしておくというのが実態なんですね。これでは、日本の国は一体どうなっているのか、こう単純な、シンプルな質問をされたときに答えられない。私は、答えるべき責務を負っているのは国交省だというふうに思うんですね。

 その意味で、太田大臣に、この地籍関係がなかなか進まない、いろいろな新しいプロジェクトを進めるために私はぜひ必要だと思うんですけれども、これらについての見解、どうでしょうか。

太田国務大臣 地籍の調査、確定というのは、もう二十年ぐらい前から、これが大事だなということを当時の私たちの仲間同士で言ったりして、動きを開始したりしたんですけれども、なかなかこれは難しく、今日に至っているという状況ではあります。

 しかし、先生おっしゃるとおり、地籍調査の実施によって土地の境界を明確にするということは、これは全ての基本であり、土地取引の円滑化あるいはまちづくりの推進、被災後の復旧復興の迅速化においても、あらゆる点で極めて重要だということは認識されると思います。また、南海トラフや首都直下地震等の大規模災害ということがありますと、事前防災の観点から、地籍調査の重要性はますます高まっているという認識をしています。

 特に東日本大震災の被災地では、岩手県が九〇%、宮城県が八八%、福島県が六一%と、地籍調査が他地域より進捗していたということがございまして、これによって、高台の移転先の方はなかなか難しかったんですが、津波で流された方は案外これができていたということもありまして、土地取得が迅速に進んでいく、あるいは地籍調査の有効性が再認識をされたというように思っています。

 現在、全国平均で五一%、五年前が四九%、十年前が四六%でありましたが、徐々には進んでいますけれども、まだ五一%。東京では二二%、大阪では一〇%というような段階であります。

 このような状況を踏まえて、大規模な災害の想定地域において重点的に地籍の整備を推進するなど、自治体とともに地籍調査のさらなる推進に努めるということが大事だと思います。

 他方、所有者が判明しない土地についても、国交省を事務局にして検討会を設置したところでありまして、関係省庁の協力を得て、所有者を探索するノウハウの取りまとめなどについて総合的に検討したいというふうに思っています。粘り強くやっていく決意です。

荒井委員 ぜひ粘り強く、しかし着実にやるべきだというふうに思います。

 この問題に詳しい方というのはそんなにたくさんいるわけじゃないんですけれども、東京財団で吉原祥子さんという研究員がおられます。その方は、日本には確立された土地情報基盤がない、人口減少に伴う土地の管理放棄などが拡大し、今後、所有権の把握はさらに難しくなるだろうということを警告しております。

 その警告を受けた形で、国交省は、四月の十五日ですか、今大臣がおっしゃったように、省内の中に、関係省庁を入れた、所有権の把握をする手法を確立する、そういう研究会を設けたということですので、まさしく遅きに失しているかもしれませんけれども、その問題意識を共有しているんだなというふうに思いますので、ぜひその部分というのはお進め願いたいなというふうに思います。

 さて、そこで、本番の中古住宅の話をさせてください。

 中古住宅というのは、私は、成長戦略をつくるときに、どういう産業をつくるのかというよりも、どういうマーケットをつくるのかということが成長にとって最も大事なことだという認識を持ちました。

 これは、今からもう二十年ほど前になるんですけれども、当時、介護保険という保険制度をつくることに携わったことがございます。介護保険という保険制度を官が導入したわけですけれども、それを導入することによって、当時、医療保険の中で対応していたものが、外出しをしてちゃんとした制度につくりかえることによって、今や十兆円近いマーケットに成長しているはずであります。こういうものを例えば十ぐらい見つけて、それを成長戦略と位置づけるべきだというのが私の考えでありまして、その中に、先ほどのインフラのマネジメントの話でありますとか、それから、民間の場合には中古住宅が一番大きな可能性を持っているのではないだろうか。

 というのは、中古住宅の研究をしていきますと、二つの大きなサジェスチョンがあります。

 一つは、先ほどのこのペーパーの二枚目なんですけれども、この二枚目に中古住宅シェアの国際比較というのを掲げ、これは国交省の資料なんですけれども、中古住宅のシェアというのは、日本がわずか一四・七%と書いてありますが、アメリカの場合には八九%、それからイギリスの場合にも八八%、フランスの場合だと六八%。住宅関係全体で、中古住宅の占めるシェアというのが新築よりも多いんですね。特に、アメリカなどでは景気の指標になっているぐらいなんです。景気の指標を見るのに、中古住宅と雇用状況、これがアメリカ経済を見る指標になっているんですね。しかし、日本では、中古住宅市場というのがさっぱり伸びません。

 幾つかの原因があるんだというふうに思いますが、これによく似ている現象というのは、自動車の産業が、かつては、中古自動車というのはなかなか売れない、あるいは中古自動車が売れれば新しい自動車が売れないだろうということで、メーカーが非常にネガティブな態度をしたということもあるんでしょうけれども、しかし、あるときから一気に伸び出すんですね。新規の車も伸びるし、中古の車も伸びる、そういう経緯をたどっております。

 このあたり、中古自動車の担当をしております経産省はきょう来ていますか。ちょっと経産省から、この伸び方、伸びる経緯というか、それを全体的に御説明願えますか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の中古自動車販売は、モータリゼーションの進展などを背景として、六〇年代以降、自動車販売の拡大と相まって拡大してまいりました。九七年にピークを迎えておりまして、八百二十四万台、これは過去最高でございます。ちなみに、新車の方は大体五百五十万台程度でございますので、これを超えて一・二倍ぐらいのマーケットになってございます。

 ブレークスルーと先生おっしゃいましたけれども、これは、ある一時点でブレークスルーがあったというよりは、数々の問題を乗り越えてここまで来たということだと思っております。

 まず、中古車の仕入れにおいて、いかにして正確、適正な査定、値づけが行われるかという問題がございます。また、販売において、いかにその状態がきちんと消費者に情報提供されるかという問題がございます。

 前者の査定につきましては、特に六〇年代から走行メーターを巻き戻す問題が起きまして、これを何とかしたいということで、走行メーター管理システムの普及がまず行われました。次に、中古車価格、機能を公正に評価する自動車査定士制度ができました。また、買い取りの専業店の適正化を進めるために、業界団体、自動車購入協会も、二〇一四年になりますが、設立されました。

 逐次こういういろいろな対策をとって、だんだんこの市場がきちんと形成されていった、こういう経緯がございます。

荒井委員 今経産省からの説明がありましたけれども、中古自動車市場というのも簡単に、単純に伸びていったわけではなくて、いろいろな紆余曲折があって、その障害を乗り越えていったんですね。私は、今の説明の中で一番何が大事だったかというと、優良な業者といいますか、良心的な業者が残るようなシステムをちゃんとつくっていったということに尽きるんだろうと思うんです。

 そういう意味で、中古自動車の査定のシステムが一番効果が高かったんだろうと思うんですけれども、このようなことが今の中古住宅市場の中でしっかりと制度設計の中で組み入れられているのかどうか、そこのところは、住宅局、どうですか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、中古住宅市場活性化の阻害要因として三つほど考えられると思います。

 まず一つ目が、消費者が中古住宅の質に不安をお持ちであること、二つ目として、中古住宅を適正に評価しない取引慣行が存在すること、三つ目が、やはり市場の透明性が低いことが考えられると考えています。

 この対策といたしましては、やはり、まず中古住宅の質を向上させること、二つ目に、中古住宅の適切な建物評価を行うこと、三つ目として、安心して取引できる環境整備を図ることが必要であるというふうに考えています。

 具体的にこれらの対策につきましては、例えば中古住宅の質の向上を図るためには、平成二十六年度補正予算として省エネ住宅に関するポイント制度を実施し、特にエコリフォームを推進する等も取り組んでおります。

 また、きちんと手をかけた建物が適切に評価されるよう、不動産鑑定評価等を行う上でのルールの見直しに係る検討を現在行っております。

 また、安心して取引できる環境づくりのために、中古住宅を買う場合に、その住宅の情報や適切な判断基準が得られるよう、住宅の履歴情報を蓄積し、活用する取り組みを推進しております。これにあわせて、建物検査、いわゆるインスペクション、あるいは性能表示制度の普及、定着を図っておるところでございます。

 このような取り組みを続けまして、引き続き、中古住宅市場の活性化に取り組んでまいる所存でございます。

荒井委員 二〇一三年ごろから、住宅局を中心に、中古住宅市場に関するいろいろな検討が具体的に進み出したというふうに私は思います。ただ、まだまだ弱いんじゃないか、もっと強力に進める必要があるのではないか、特にインスペクション、中古住宅に関するインスペクションの制度が非常に弱いんじゃないだろうかというふうに思います。

 その中で、なぜインスペクションが弱くなっていくかというと、どうも一戸建ての木造住宅の耐用年数が余りにも短過ぎるのではないかと。これは、日本は二十年ちょっとなんですね。ところが、アメリカは六十年から七十年ぐらい、イギリスだと八十年以上、そのぐらいの耐用年数ですから、財産として大事に使うとか、あるいは修理をしていこうという意識が働きます。あるいは、今自分の住んでいる住宅がどのぐらいの価値があるのかということを絶えず意識しながら、必要に応じてそういう検査をする機関に検査してもらうというインセンティブが働くんだと思うんですけれども、今の耐用年数二十年では、二十年住んだらもう建物の価値はないんだから、取り壊して新しいのをつくっちゃった方が早いや、あるいは、住宅メーカーも、直すよりも新しいのをつくった方がいいですよ、そういうことを言うことになろうかと思うんですよね。

 ここはとても大きなポイントになっていると思うんですけれども、住宅局とそれから、きょうは財務省もいるのかな、財務省、それぞれお答え願えますか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 税制におきます耐用年数につきましては、課税所得を計算する際の適正な費用配分を行う、こういう観点から、原則といたしまして、資産本来の用途、用法により使用できる年数とするという考え方、それから費用配分の期間として余り長期になり過ぎない、こういう観点から決定されておりますものでありまして、あくまでも税制上の見地から設定するもの、こういうふうに考えてございます。

 建物本来の用途、用法で使用できる年数がどの程度かという点がポイントと考えられますが、例えば国土交通省の推計におきましては、木造、非木造、両方を含めたベースで、取り壊しなどに至った住宅の平均築年数はおおむね三十年前後とされているもの、こういうふうに承知しております。したがいまして、木造住宅に限りますと、これよりも短くなる可能性もあると考えております。

 これまでの経緯を申し上げますと、税制上の木造住宅の耐用年数につきましては、かつては三十年とされていたものでございますが、昭和四十一年度及び平成十年度の税制改正におきまして、建物全般の耐用年数について税制上の費用配分の期間として余りに長期に過ぎないように短縮するということで、木造住宅については二十二年に短縮されたものでありまして、適切な年数ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。

橋本政府参考人 中古住宅を活用するためには、委員御指摘のとおり、やはりいいものをつくって、メンテナンスをして長く使う、何年で価値がなくなるということではなくて、ちゃんと維持管理をされたいいものについては長く価値が評価をされるという仕組みが必要だと思っております。

 まず、私どもとしましては、住宅税制等においては、例えば長期優良住宅に関しては、新築をする場合に、例えばローン減税の最大控除額を拡充する等、いいものに対するまず支援を行った上で、さらに中古住宅の流通を促進するという観点から、住宅金融支援機構が供給するフラット35におきまして、今年度から新たに中古住宅の取得費用とリフォーム費用を一体的に融資する、あるいは、住宅ストックの質の向上を図るため、一定の耐震改修等のリフォーム工事を行った場合に工事費用相当額の一部を所得税額から控除するなどの特例を設けて、まず建物をリフォームして維持管理を正しくしていただく、その場合に税制あるいは融資等のメリットをつけておるところでございます。

 加えて、先ほど申し上げましたけれども、インスペクション、あるいはインスペクションを活用した既存住宅の瑕疵に関する保険とをうまく活用して、安心をして中古住宅を国民の皆様にお買いいただける環境を整えることによって、例えば三十年で価値がゼロではなくて、より長く住宅の価値が評価されるように、また中古住宅の市場が活性化するように取り組んでまいる所存でございます。

荒井委員 私は、財務省の考え方は今の時代から離れていると思いますよ。もう少しちゃんと考えた方がいいと思いますよ。財務省としても、中古住宅市場が大きくなって、そこの流通が大きくなれば、それだけ税収入が入りますよ。そっち側の方がずっと大きいというふうに思います。私の試算では、中古住宅市場は今、全体で十兆円ぐらいだと思いますけれども、もっと小さいのかな、倍から三倍ぐらいにはなるんじゃないでしょうか。そのぐらいのマーケットが見込まれると私は思います。

 そのための障害になっているのが、この二十年ちょっと。二十年だと、中古住宅を十年たって買おうとしても、あと十年しか残存価値がないんだといったら、銀行はお金を貸さないでしょう。きょう、金融庁か、あるいは住宅局はいますか。十年しかないといったら、いや、十年で返してくれればいいですよ、だけれども、十年で返せる、それだけの能力のある人というのはなかなか難しいでしょうから、それはちょっと、金融という意味からいくと、もっと何らかの対応措置が必要なんじゃないかな。何かあるかな。

橋本政府参考人 個別の金融機関の融資に関することについて、個別には申し上げられませんが、実際に、例えば、大手ハウスメーカーが、築後二十年のものを、自分がかつて供給したものを買い取って完全にリフォームをして売り出すと、新築価格の半分以上の価格で売り出して、それにはちゃんと融資がつくという事例もございまして、やはり建物の価値を正しく評価して融資をするという金融機関もあるのではないかと考えております。

荒井委員 そうなんですよね。だから、この中古住宅市場の伸びる大きな原因の一つに、融資とか、あるいは瑕疵保険の話は余りしませんでしたけれども、瑕疵保険という、そちら側の、消費者サイドの方のいろいろな対応策というのも必要だと思うんですね。

 どうも政府なり国の方は、供給サイド、つまりメーカーサイドとか、あるいは売り主側のことを考えるんですけれども、先ほどの中古自動車のところでも、売る業者とそれから買う業者、それから消費者に売る業者。中古車は、集める業者と、それから、それを全部インスペクトして、評価をして価格をつける、それで消費者に売る業者というのはだんだん分かれていっているんですね。私は、中古住宅市場というのもそういうことなんだろうと思うんです。

 そういう意味では、中古住宅をずっと集めていく健全な業者が育っていき、そして、その中をオークションみたいなもので自分の手元に集めていく、それをローンをつけて買い手に売却をするというこの流れが中古住宅市場の場合には整備されていないのではないか、そこが大きな原因なのではないかというふうに思うんですけれども、もう一度、住宅局長、どうですか。

橋本政府参考人 繰り返しになりますけれども、やはりちゃんとメンテナンスをして履歴も残っている住宅については、市場においてもその価値を正しく評価するという動きがだんだん出てきていると思います。

 私どもとしても、そのような活動あるいはそういう動きを応援しながら、中古住宅市場の活性化に努めてまいりたいと考えます。

荒井委員 この中古住宅市場をちゃんとつくっていくためには、金融庁やあるいは財務省、それから、もちろん国交省が中心になって、そちらの方の協力も得ながら、まさしく成長戦略として、私は民主党ですけれども、別に安倍さんの第三の矢を支援するということではないですけれども、国としては、やはりそういうものをしっかりつくり上げていくということが必要だと思いますので、ぜひそこはやっていただきたいというふうに思います。

 その際、一番重要になるのは、インスペクションや検査なんですね。その住宅の価値がどのぐらいの価値があるのか。ハウスメーカーがリフォームに入った場合には、ハウスメーカーはよく知っていますからその評価はできやすいんでしょうけれども、そうすると、ハウスメーカーのものしか中古住宅市場には流れないということになりますね。だけれども、それでは中古住宅市場というのはちゃんと健全に育たないし、大きくならないと思うんです。

 その意味で、インスペクション、あるいは、ちゃんと検査をする人、価値を決める人、そういう人たちの存在が絶対必要だと思うんですね。そういう業界を育てるということが大事だと思うんです。そこは、今の状況はどうなっていますか、住宅局長。

橋本政府参考人 実は、インスペクションの推進につきましては、基礎的なインスペクションに関して共通して実施をすることが望ましいということで、平成二十五年六月に既存住宅インスペクション・ガイドラインというのを取りまとめておりまして、これに基づいて、民間においてインスペクションの実施者を育成する講習会が開催をされております。

 また、長期優良住宅化リフォーム推進事業という、既存住宅をリフォームして長期優良住宅の基準に合わせるものについても、これらインスペクションをうまく活用するようにしておるところでございます。

 これらインスペクションを活用することによって、人材の育成あるいは今後の業界の発展ということに我々も努めてまいりたいと考えております。

荒井委員 私は、相当進み出したな、その芽は非常に大きくなっているなというふうに評価をするんですけれども、ある昔の財務省の高官がこの話を聞いて、三十年前もこの議論をしたよなと言われまして愕然としたんですけれども、なかなか、手を抜くと結局はできないということになるんだろうというふうに思います。

 そういう意味では、業者間の連携のシステムをつくって、全国で十四の協議会をつくったんですか。その協議会をしっかりと育てていく。その中で、インスペクションの組織でありますとか、あるいはローンの組織でありますとか、そういうものも巻き込んでいくということが必要なんだろうと思いますよね。

 その予算がちゃんとあるとき、あるときというか、去年までちゃんとついていたのに、ことし相当削ったんですよね。これはちょっと私は解せないというか、どうしたのかなというふうに思うんですけれども、このあたりを含めて、大臣、お答えいただけますか。いいですか。

太田国務大臣 住宅の価値を正しく評価することなしに中古住宅市場は活性化しない、私も本当にそう思っています。

 安全、安心な中古住宅取引を実現するために、建物検査や評価等の専門家と宅建業者の連携を図ることが重要だと思います。

 このため、平成二十四年度より、十四の連携協議会の設立と消費者へのワンストップサービスの提供の取り組みを支援してきました。

 今年度より、宅建の主任者は宅地建物取引士ということにさせていただいてスタートを切ることにもなりました。

 国の予算による各協議会への直接の支援は昨年度で終了したわけでありますが、引き続いて、公益財団法人不動産流通推進センターから各協議会に対してこれまでと同様の支援を行うこととするとともに、国においては、今までこの十四団体の運営の支援をしてきたわけですが、新たに、関係者の連携による中古住宅の標準的な取引モデルの創設と普及、ここに力を入れるということにしています。

 したがって、今までの十四団体への支援とともに、そうした標準約款を作成するという、これで費用負担のあり方を決めていくということにさせていただきたいと思っているところでございます。

荒井委員 大臣、ありがとうございます。

 ところで、昨年の十一月だったでしょうか、国会の最終日だったですね、空き家法案を超党派の議員立法で通しました。当時、共産党さんまで理解を示していただいて賛成をしていただいたんですけれども、私はあの法案は絶対必要だと思っておりましたけれども、そのほかに、空き家全体で八百万戸あるという話でした。あの法案が直接関係するのは、そのうちの百万戸の特定空き家と言われているものでしたね。

 特定空き家だけでなくて、残りの七百万戸をこの中古住宅市場の中で上手に活用するということがうまくできれば、中古住宅の活性化というのはできるはずなんですね。七百万戸の空き家をどういうふうに、リフォームだとかそういうものも含めながら、中古住宅市場の中に組み入れていくのか。これは国交省の知恵の出しどころ、住宅局の知恵の出しどころだと思うんです。

 最後に、時間になりますので、あの空き家住宅のときに、特定空き家のガイドラインをつくるというお話がございましたね。そのガイドラインの作成状況は今どうなっているのかということを含めて、私が先ほど言いました七百万戸のこの市場、この戸数をどういうふうに扱おうとされているのかということについて御説明願えますか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 特定空き家等に関するガイドラインにつきましては、四月十三日から五月十二日までの三十日間、パブリックコメントを行っておるとおりでございます。

 御指摘のとおり、ガイドラインでは、市町村が特定空き家等の判断の参考となる基準等及び特定空き家等に対する措置に係る手続について参考となる考え方を示しておりまして、具体的には、例えば、特定空き家等の判断の参考となる基準として、建築物に著しい傾斜、例えば二十分の一以上傾いているということがないように、あるいは、シロアリ被害によって土台に大きな断面欠損がある場合等を例示しておるところでございます。

 このパブリックコメントの結果を踏まえまして、五月二十六日の同法の全面施行に合わせてガイドラインとして策定をする予定でございます。

 また、御指摘の、空き家も含めて中古住宅をいかにしていくかということでございまして、八百二十万戸の空き家のうち、四百六十万戸が賃貸用または売却用の住宅とされております。ただ、この中でどの程度が居住可能であるかということは、残念ながらデータとして私どもは今持ち合わせておりませんが、これら使える空き家も含めて中古住宅市場を活性化するということで、例えば、住生活基本計画においては、既存住宅の流通シェア、先ほど議員は一四・七%と御指摘をいただきましたけれども、平成三十二年までにこれを二五%、約倍増させるということで取り組んでおります。

 空き家も含めて中古住宅市場の活性化に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

荒井委員 大臣、今お聞きになったように、中古住宅市場というのは大きな可能性があるだろうと僕は思っています。

 そのための動きも具体的になりつつあるんじゃないかと思いますけれども、しかし、障害は大変大きいものがございます。各省庁との折衝あるいは調整も非常に大きなものがあると思いますので、これはやはり政治の力が必要だと思います。ぜひ大臣のお力でこのあたりをクリアしていただきますように要望いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。維新の党の横山博幸です。

 本日は、新幹線の経済効果と、地域経済の活性化を含めて、将来像についてお聞かせをいただきたいと思います。

 先般、朝日新聞に掲載してありましたけれども、北陸新幹線の実績を見ますと、昨年同期の在来線特急と比べると二・九三倍にふえている、それから、観光客につきましても、名勝兼六園は一・七倍の十五万一千七十八人、隣接する金沢城公園も二・九倍の十四万七千七百人という実績を上げております。また、日銀の金沢支店長は、開業効果は思ったよりも大きい、全国メディアへの露出が多かったため、首都圏だけではなく、関西や名古屋方面からの旅行客もふえていると絶賛をしております。

 こうした中で、日本では、東海道新幹線以来、各地で新幹線整備を行っておりますけれども、この新幹線整備の地域経済全体、日本全体に対する経済効果も含めて、地域での効果あるいは環境に対する配慮などを含めて、ここで大臣に将来予測も含めて見解をお聞かせ願いたいと思います。

太田国務大臣 日本の新幹線は、スタートしてから五十年を経過いたしました。これが人の流れを大きく変え、そして地域間の移動時間を短縮させて、さらに観光客の増加、企業立地の発展を促すなど、大変大きな効果を発揮したと思います。

 最近の、今お話のありました北陸新幹線の開業ということで、もうかなり前からこれを見込んで活性化したり、その後、北陸新幹線ができて、金沢や富山に大勢行くというふうに思っておりましたら、金沢の人や富山の人に聞きますと、長野の善光寺さんにすぐ行けるんだとか、あるいは夏は軽井沢に行って買い物をしたいというような、軽井沢がかなり注目をされるというようなことになっているようでございます。

 北海道新幹線が来年の今ごろはもう函館北斗まで行っていると思いますが、ここも大宮から行きますと約三時間四十四分ということで、私も埼玉県でその話をしますと、選挙戦等でも大勢の人からどよめきが出るほどで、かなり刺激的であるようであります。

 こうした物流、特に人流、観光客、こうした点で、長野新幹線が平成九年開業をしたわけでありますけれども、開業前後で約一・三倍輸送が多くなった、あるいは、九州新幹線新八代―鹿児島中央間が平成十六年開業いたしましたけれども、ここでも開業前後で約一・六倍の人が利用するというような形になりました。

 さまざまな形で新幹線が大きな効果を発揮して、経済成長やあるいは観光、さまざまな点での交流というものの促進になって、日本の景気、経済というものの大きなエンジンになってきたんだと認識をしているところです。

横山委員 大変ありがとうございました。

 新幹線の整備というものが日本全体の経済の活性化につながっているということを実感いたしました。

 次に、本年一月に、ニューヨーク・タイムズのホームページでございますけれども、世界で二〇一五年に行くべき五十二カ所を発表しました。その中で、日本で唯一、私の出身地四国が選ばれ、そして四国遍路や愛媛県松山市の道後温泉が紹介されました。四国にとっては大変ありがたい評価でありました。

 こうした海外での高い評価を受けて、四国では、昭和四十八年でしたけれども、決定しました二つの新幹線基本計画がございました。これをぜひ具体化して、日本で唯一新幹線が整備されていない四国に新幹線整備をし、瀬戸大橋で山陽新幹線と結べば、より多くの外国人旅行客が四国に入ってこれることになります。ゴールデンルート以外に外国人旅行者を誘致することができるということは、過疎地で本当に苦労しております四国にとっては大きな経済効果が発揮できると思いますが、この点について見解をお聞かせ願いたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、四国には、ニューヨーク・タイムズ紙でも紹介されたような八十八カ所霊場あるいは道後温泉といった魅力的な観光地がございます。各地に魅力ある食文化も展開するなど、非常に豊富な観光資源があるものと認識をしております。

 また、ゴールデンルート以外の地域に外国人旅行者を誘致する、これも大事な課題だと思っております。

 新幹線につきましては、地域間の移動時間の大幅な短縮によりまして、人の流れを変える力を持っております。そういった意味では、観光振興にも大きな力を発揮し得るものと考えております。

 ただ、もちろん、新幹線を整備したからといいまして、いわば自動的に外国人旅行者を含めた旅客が大幅に増加するということではなくて、やはり、地域特性を生かしたまちづくり、観光振興をあわせて進めることが大事だと思っております。つまり、一般論になってしまいますけれども、そういった条件が整いませば、新幹線が外国人旅行者の来訪の促進といったことを含めた観光の振興に大きな力を発揮するものと考えております。

横山委員 大変ありがとうございました。

 今答弁にありましたように、新幹線は地域間の移動時間の大幅な短縮をできるという答弁もございましたけれども、現在、四国への在来線での所要時間は、新大阪から松山、高知まで約三時間半かかっております。徳島で約三時間。新幹線が整備されれば、松山、高知、徳島まで約一時間半に短縮されると予測されております。

 このように、鉄道の強みは、都市間の中距離輸送における定時性、速達性で非常に強みを持っている。これを発揮するためには抜本的な高速化が必要でありますけれども、現在のJR四国で高速化ができるかどうか、可能性についてお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの実績についてまず申し上げますと、JR四国におきましては、既存の路線設備による高速化といたしまして、線路の改良、振り子車両の導入等によりまして高速化を図ってきております。これらによりまして、予讃線や高徳線では、一部区間で在来線特急列車の一般的な高速走行である最高速度百三十キロでの運行が行われております。

 全国的に見ますと、一部の在来線において時速百六十キロでの運行が行われておりますけれども、JR四国におきましてさらなる高速化を図ろうとすれば、例えば短絡線の整備、あるいは急曲線区間、具体的には曲線半径が八百メートル未満といった急曲線の区間でございますけれども、こういったところの改良など、既存の路線設備の大規模な改良が必要になるものと考えております。

横山委員 今の関連で、JR四国にその改良をするだけの財源といいますか、経営の背景はございますか。

藤田政府参考人 既存の在来線の高速化につきましては国も一定の助成制度を設けておりますので、そういったことを地元の支援等を含めて活用していただくことは可能だと思っておりますけれども、一般的な状況として申し上げますと、JR四国は今大変厳しい経営状況にございます。

横山委員 今、実態として非常に厳しいということを答弁いただきましたけれども、JR四国のある四国は、全国に先駆けて人口減少と高齢化が非常に進んでおります。こうした環境の中で、将来、経営環境の悪化が予測もされておるわけでございますけれども、これは、つまるところ、最終的に経営悪化になりますと、四国圏内の交通ネットワークが本当に困難になってくるというふうに考えております。

 そこで、地方の鉄道の経営維持のためにも、県都間、四国四県の四つある県都間は新幹線により結び、県内の都市間は在来線と役割分担をすることで、利便性と競争力を図り、高速路線の収益でもって全体の経営が安定するという考え方もあると思いますけれども、この点についての見解をお聞かせ願いたいと思います。

藤田政府参考人 一般的に申し上げまして、高速鉄道の整備は、所要時間の短縮によりまして移動先での滞在可能時間が増加するといった形で、鉄道ネットワークの利便性を向上させ、地域の活性化をもたらすものと期待されております。

 他方で、例えば、現在の仕組みで申し上げますと、整備新幹線を整備する場合には、並行在来線、これはJRの経営から分離して、そのことについて沿線自治体の同意を得る必要がございます。その取り扱いについては地域においてよく御議論をいただく必要があると考えております。

 これまでの実績として申し上げますと、新幹線開業後は都市間の輸送というものは新幹線にシフトいたしますので、並行在来線の中には非常に厳しい経営を強いられ、地元自治体からも支援を受けているケースがございます。

 それから、これから全体として人口が減る中で新幹線の収益性がどのくらいあるんだろうか、こういったことについても慎重な見きわめが必要だと思っております。

 そういったことを考えますと、地域の鉄道ネットワークの維持、それから、それを通じた地域活性化のためにはさまざまな課題がございますので、新幹線を整備すれば直ちにこうしたことが可能になるといったものではないと考えております。

横山委員 では、少し視点を変えます。

 四国は、御承知のように、将来、南海トラフ地震が予測されております。これは、震度七から八、被害総人口が約三十二万人と言われておりますけれども、こうした災害対策への対処の観点から判断しても、交通インフラの強靱化、あるいは交通ネットワークの代替性の確保のためにも、再度申し上げますが、四国には新幹線が必要と考えますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

藤田政府参考人 地震等へ備えて交通インフラの強靱化あるいはネットワークの代替性確保を図る、これは大事な課題であると考えております。

 四国の現状について申し上げますと、現在の在来幹線鉄道、これは中長距離都市間の輸送において重要な役割を担っております。今後予想される南海トラフ巨大地震など巨大災害の発生に備えまして、災害に強い鉄道ネットワークの構築が重要であります。

 このため、JR四国におきましては、南海トラフ地震で震度六強が想定される地域の緊急輸送道路と交差、並行する高架橋の耐震補強等について、国の支援制度を活用しながら現在取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましても、こういった着実な鉄道施設の強靱化対策が進められるように支援をしてまいりたいと考えております。

 他方で、新幹線の整備による代替性確保という点でございますけれども、これは一つの新幹線整備の視点ではあろうかと思いますが、新幹線整備そのものにつきましては、やはりあわせて、例えば輸送需要量あるいは投資効果等といった点を含めて、幅広い観点からの検討が必要であろうと思っております。

 それから、いわゆる代替性ということにつきましては、鉄道のみならず、例えば自動車、海運といったほかのモードも含めて、さまざまな観点から検討する必要があるものと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 それでは、瀬戸大橋の関連についてお伺いいたしたいと思います。

 瀬戸大橋は、一九八八年四月に供用されまして、岡山県倉敷市と香川県坂出市を結んでおります。上部が四車線の道路で下部が鉄道の二層構造になっております。この段階で、下部の二層構造は新幹線と在来線があわせて敷設できるようにということで計画をされ、実行されたわけでございますけれども、こうした将来の新幹線敷設を予測した先人に改めて敬意を表するわけでございます。

 当時、この事業費は、一兆一千三百三十八億円の税金を投下しております。こうした多額の税金を投下して有効活用されていない構造になっておりますけれども、この構造を生かすためにも、新幹線を将来敷設できるということに構造的になっておりますから、これを生かすべきだとも考えますが、この点について御見解をお聞かせ願いたいと思います。

藤田政府参考人 瀬戸大橋の構造につきましては、御指摘のとおり、将来的に新幹線が走行可能なスペースが既に確保されておりまして、現在では在来線のみが走行されている、こういった状況でございます。

 また、御指摘のとおり、一般論として、既に整備されておりますインフラの有効活用を図る、これは大変重要なことであると考えております。

 ただ、他方で、では有効活用を図るためにどういう投資が必要なのか、その投資規模あるいはその効果、こういったことについては十分に検証しながら取り組む必要があるものと考えております。

 特に、新幹線の整備に当たりましては、投資効果、収支採算性といった点の検証が大変重要な点になってくるのかなというふうに考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 投資効果と投資規模の件については、後ほどまた関係させていただきますけれども。

 一方、税金の今の使途に関して、四国の納税者は、今新幹線が四国にだけ敷設されていないということで、本州、九州、北海道には敷設されておるわけでございますけれども、工事も含めてですが、四国では新幹線ができていないと。税の公平性の原則から考えますと、四国の方は、ぜひ新幹線を四国にもつくっていただいて、税金を公平に使っていただきたいという考えもありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

藤田政府参考人 四国における新幹線整備についてまず申し上げますと、四国におきましては、いわゆる四国新幹線、それから四国横断新幹線、これが基本計画として決定されております。これは、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、昭和四十八年に、他の十路線とともに基本計画決定されたものでございます。

 これを行おうとした場合には、手順といたしまして、まず、現在の基本計画路線から整備計画路線に位置づける必要がございます。そのためには、さまざまな調査を行った上で、審議会等の議論を経て、そもそも基本計画路線の整備の方針をどうするのかといった点も含めて多角的な議論を行う必要があるものと考えております。

 新幹線の整備の現状について申し上げますと、既に昭和四十八年に基本計画から整備計画に位置づけられた、いわゆる整備新幹線の整備を今進めております。現状では、北海道新幹線、北陸新幹線、それから九州新幹線の長崎ルート、この三区間について鋭意整備を進めておるところでございまして、このうち北海道新幹線につきましては、平成四十二年度の札幌開業を目指して整備を進めておる、こういった状況でございます。

 国土交通省といたしましては、これらの区間を含めまして、まずは整備新幹線の着実な整備を進めることが重要であると考えております。

 なお、御指摘の、税金の使途の公平性は大変大事な論点でございますけれども、これは整備新幹線というものだけで考えるのではなくて、やはり社会資本整備全体といったことも含めて、より幅広い観点から議論すべき問題ではないかと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 最後に大臣にお聞きしたいと思いますけれども、平成二十六年四月に、四国の鉄道高速化連絡会による、四国における鉄道の抜本的高速化に関する基礎調査の資料に基づけば、四県の経済効果が一年間百六十九億円、それからBバイC、いわゆる費用便益比が一・〇三といった数値を公表しております。

 こうした調査結果を判断して、国交省としてどういう見解を持つのか。先ほどの答弁にもありましたけれども、投資効果とか投資規模について、あるいは路線の計画について、ぜひ調査に入っていただきたいと思いますけれども、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 四国の鉄道高速化連絡会が、四国における新幹線につきまして調査結果を発表したということについては承知をしております。その詳細な内容については伺ってはおりませんが、地元における四国新幹線に関する取り組みの成果の一つというふうに受けとめているところでございます。

 四国新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法第五条の調査指示に基づきまして、昭和四十九年度から平成十九年度まで調査を実施しておりました。しかしながら、当面、早期に着工の見込みがなく、直ちに調査の進捗を図る必要が薄いことから、平成二十年度に調査を中断することとしたところでございます。中断した平成二十年度以降、このような状況に変化はないことから、現在のところ再開すべき状況にないとの認識をしているというのが現状でございます。

 地元の四国の鉄道高速化連絡会が調査をし、非常に熱意を持っているということについては、よく理解をしているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 四国の経済界も含めて、各首長も含めて、非常に強い、熱い思いを持っておりますので、冒頭でお話がありましたように、新幹線の、地域経済の活性化、経済に関する効果は歴然としておりますから、ぜひ調査に入っていただきたいと思います。

 それで、委員長、少し時間が残っておるんですけれども、通告はしていないんですけれども、観光政策についての質問はできますか。よろしいですか。

今村委員長 はい、どうぞ。

横山委員 では、大きな課題を質問させていただきます。

 安倍総理が昨年の観光立国推進会議で、冒頭で、観光立国の推進は私の内閣の重要な成長戦略であると発言をされました。また、そのために同会議は、同年六月、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四を策定しております。一方、さきの国土交通委員会で、太田大臣は、観光立国の推進を大きな柱の一つとして所信を述べておられます。

 それでは、観光立国の実現とは、具体的にどのような状況、状態になったときを指すのか、あるいはまた、具体的な指標はございますでしょうか。

太田国務大臣 アクションプログラムを出させていただいて、まずは観光ということについては、日本の経済成長ということに、いわゆる経済的な側面におきましても極めて重要な位置にあるという位置づけをさせていただいております。そして、現実に、観光に力を入れるということが、同時に各地域の活性化につながっていくという効果というものも考えているところでございます。

 そしてまた、全体的な効果と同様、外国の方々が大勢来ていただけるということは、外国の方とともに住んでいくというか接触をしていくという、この日本のこれまでの社会とはちょっと異なる風景が出てくるという、ある意味では大変いい影響が出てくることではないか、このように認識をしておりまして、目標として、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでに二千万人の外国人旅行者、そして二〇三〇年には三千万人の外国人の旅行者というものを受け入れるという体制をつくっていきたい、このように思っているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 目標数値も明確であり、本当に大きな日本での効果があらわれてくるというふうに思います。

 あと一点だけ、ただ、そういった大きな計画、具体的な計画を進めるにつきましては、二十七年度の観光庁の予算が九十九億円でありますが、概算要求段階では百八十億円要求されておりました。経団連は、二十六年六月に、観光庁の予算は十分とは言えないとも提言されておりますが、観光庁の予算の九十九億円で、先ほど大臣がお話しされた観光立国を目指すことが果たしてできるのかどうか、この点について見解をお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 私としては、予算はもう少し多い方がいいということについては思っています。

 ただ、現実に、そうした予算と体制の中で、この二年間で八百万人台から千三百万人台に外国の旅行者がふえてきていて、そして、一兆二千億であった外国から来た人が使うお金というのが二兆円を超えるというところまで来ているという現実からいきますと、お金というのは、もう少し予算が多い方がいいんですが、そうした成果をさらに上げていくことができるんだというふうに思っています。

 同時に、これから五年後に二千万人ということを申し上げましたが、それには、その後は、空港の容量の拡大であるとか、これは観光庁の予算ではありませんで、そうした航空関係の予算になっていきます。あるいは、クルーズ船が大勢来るようなということを考えますと、これは港湾関係の予算ということにもなっていきます。

 道路やさまざまなものについては国土交通省としてインフラ整備という面が非常に大きいものですから、そうしたことでこれを取り組んでいきながら、さらに、特に人的な面ですね。四国なら四国に行って、この間、四国の例えば徳島に行きました。徳島だけで阿波踊りということを、あるいはワカメがいいとかいうことを世界に発信するには力がないから、ぜひとも観光庁として世界に発信してもらいたいと。

 道後温泉やそうしたところもそうでありましょうし、あるいはまた、しまなみ海道のサイクリングというようなことについても、それを宣伝していくというようなことについては、私は、さまざま予算措置が必要になってくる、このように思っておりますが、限られた財政の中でもしっかりと推進をしていきたいと思っているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 四国の事例を具体的に出していただいて説明していただいて、よく理解できました。また、少ない予算で最大の効果を上げるというお考えに大変共鳴をいたしました。

 本日は大変ありがとうございました。時間は残っておりますけれども、以上で質問を終わります。

今村委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 JR西日本の福知山線の事故から、次の土曜日、四月二十五日でちょうど十年に当たります。大量輸送を担う公共交通の安全の確保という問題で、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 このJR西日本の福知山線脱線事故では、亡くなられた方々が百七名、負傷された方々が五百六十二名、未曽有の大惨事となりました。亡くなられたお一人お一人に謹んで哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様に心からのお見舞い、お悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 御家族の方々、御遺族の皆様は、家族や友人がなぜ命を奪われなければならなかったのか、自動列車停止装置はなぜつけられていなかったのか、疑問は解消されていないということで、JR西日本の歴代社長を訴え、今でも会社の責任を問うておられます。あわせて、原因究明のために、会社との対話も続けておられます。

 事故の背景には、ほかの会社との競争に勝つためということで、もうけが第一で安全は二の次と、安全投資を減らし、利益を優先するJR西日本の企業体質がありました。大量輸送を担う公共交通機関において、利益優先ではなく、安全の確保が大前提でなければならないというふうに思います。このことを徹底しなければならないというふうに思います。

 福知山線の事故から十年が経過し、公共交通の安全の確保を大前提とするために、事故の教訓をどのように位置づけ、どのように対応をしていくのか、改めて大臣の決意をお願いしたいと思います。

太田国務大臣 平成十七年四月のJR西日本福知山線の事故におきましては、百七名という大変多くの方が犠牲となられました。この事故の教訓としまして、一つは、安全を最優先とする企業風土の形骸化、二つ目には、経営と現場の意思疎通、情報共有が不十分であった、これらが挙げられると思います。

 このため、国土交通省では、従来の安全規制及び事後監督では、このような企業の安全文化の問題を背景とする事故を防ぐには不十分と判断をいたしました。このため、法改正をいたしました。鉄道事業法、道路運送法、海上運送法、航空法等各モードの事業法の改正によりまして、安全を現場任せにせず、会社全体で安全管理体制を構築する、そのための必要な措置を講じたというのが法改正の趣旨でございます。

 具体的には、法律では、運輸事業者に対して、安全確保のための運営方針、管理体制を含めた安全管理規程の作成、そしてもう一つ、及び経営の中での安全の責任者である安全統括管理者の選任、これらを義務づけているところでございます。

 運用の改善という面におきましては、国土交通省の評価チームが訪問して確認し、さらに改善に向けての助言等を実施する制度、運輸安全マネジメント制度を創設いたしました。

 これらの見直しは、平成十八年十月より実施をしているところでございます。

 その後、平成二十四年四月の、三年前です、関越道における高速ツアーバス事故の発生を踏まえまして、運輸安全マネジメント制度の適用対象を全ての貸し切りバス事業者等に拡大するなど、充実強化を図っております。

 今後とも、こうした取り組み等を通じて、運輸の安全の一層の確保に努めてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 この四月も、一歩間違えれば大惨事になりかねなかった事故やトラブルが相次いでいるというふうに思います。

 航空の分野では、四月十四日、広島空港でのアシアナ航空着陸の失敗の事故、そして、四月五日には、徳島空港で、滑走路上に作業車両を発見して日航機が着陸をやり直したというトラブルがありました。これは外国の例ですけれども、三月二十四日には、百五十人の方が犠牲となりましたドイツのLCCの墜落事故もございました。

 鉄道の分野では、四月十二日に、JR山手線の神田―秋葉原間の支柱が倒壊するという事故がありました。そして、四月三日には、青函トンネル内で特急列車が発煙をし、乗客百二十四名の方が避難をするトラブルがあるということなど、一歩間違えれば大惨事となるような事故がこの四月でも相次いでおります。

 そこで、まず、この四月以降に発生しました広島空港、徳島空港、青函トンネル、山手線の事故、トラブルの概要と国土交通省の対応について、それぞれお伺いしたいというふうに思います。

田村政府参考人 お尋ねの件で航空関係でございますけれども、まず広島空港でのアシアナ航空機事故でございます。

 今月十四日二十時ごろに、広島空港におきまして、アシアナ航空一六二便が着陸時、滑走路から逸脱する航空事故が発生をいたしまして、乗員乗客合わせて八十一名のうち、乗員二名それから乗客二十五名の方々が負傷されたところでございます。

 また、滑走路の端から東側三百二十五メートルにあります、計器着陸装置の一部を構成いたしますローカライザーのアンテナや進入灯が損傷をしております。

 当該事故に関しましては、十五日より運輸安全委員会が五名の調査官を派遣し、事故原因の究明を進めております。

 航空局におきましては、事故発生後すぐに、アシアナ航空に対しまして、事故調査に協力するとともに、自社においても原因究明を行い、再発防止策を策定の上、報告するよう指示しております。さらに、韓国の航空当局に対しましても、アシアナ航空の安全運航について適切な監督を要請しているところでございます。

 広島空港につきましては、事故に伴いまして閉鎖が続いておりましたけれども、十七日の朝から暫定的に運用を再開いたしました。今後の本格的な復旧に向け、全力を挙げているところでございます。

 それからもう一つ、徳島空港での重大インシデントでございますが、四月五日十一時ごろ、海上自衛隊が航空管制業務を行っております徳島空港で、管制官が、作業車両に対し滑走路上での作業指示を許可していたことを失念し、日本航空四五五便に対して着陸許可を発出いたしました。その際、日本航空便が滑走路上に車両を確認したため、着陸をやり直すという重大インシデントが発生いたしました。

 当該重大インシデントに関しましては、六日より運輸安全委員会が二名の調査官を派遣し、原因の究明を進めております。

 航空局としましては、運輸安全委員会の調査や海上自衛隊からの報告を踏まえ、今後とも同空港における管制業務の適切な運営を確認してまいります。

藤田政府参考人 鉄道関係の事案について御説明いたします。

 まず、青函トンネルの事象でございますけれども、四月三日金曜日十七時七分ごろ、青函トンネル内を走行中のJR北海道の特急列車から発煙があり、乗客百二十四名が避難されたという事象でございます。

 原因は現在JR北海道が調査中でございますけれども、JR北海道では緊急対策として、四日の時点で、当該形式の車両三十一両につきまして、モーターの絶縁測定それから通電試験を実施し、問題がないことを確認したという報告を受けております。それから、あわせて、同型車両において運転席モニターに異常を認めた場合、点検を行うために必ず停止することとしたとの報告を受けております。

 国土交通省では、この事象の発生直後から関係運輸局職員を派遣し、状況調査等に立ち会っておりますほか、徹底した原因究明、再発防止を指導しているところでございます。

 それから、山手線の事象でございますけれども、十二日日曜日朝の六時十分ごろ、京浜東北線北行きの列車の運転士が、架線を支える支柱、電化柱が倒れていることを発見し、山手線、京浜東北線が十五時三十分ころまで運転を見合わせたという事象でございます。

 本件につきましては、十日の深夜、厳密には十一日の午前二時ごろでございますけれども、その時点では工事担当社員が電化柱の傾きを発見しておりましたけれども、十三日に改修工事をすることとしたといった事実が明らかになっております。

 それから、JR東日本は、調査の中で、今回倒壊した電化柱について、はりを撤去したわけでありますけれども、その際、強度計算を実施していないことが判明しましたので、その旨を十七日に公表したところでございます。

 国土交通省としましては、十二日に文書で、工事の施工方法や施工管理など背後要因を含めて原因を究明し、再発防止のための措置を講ずるように指示したところでございます。また、関東運輸局職員二名を現地調査に派遣しております。

 さらに、運輸安全委員会におきましても、十四日から重大インシデントとして調査を開始しております。

 これらの事案につきまして、引き続き、監査等を通じまして状況を把握しながら、再発防止等を指導してまいりたいと思っております。

本村(伸)委員 運輸安全委員会の事故調査などが始められておりますけれども、事故の発生の背景にある利益優先、安全軽視などの企業体質や組織の体質にまで踏み込んだ徹底した原因究明と、それに基づく再発防止策をとるように強く要請をしておきたいというふうに思います。

 四月以降に起こったこれらの事故は、一歩間違えれば大惨事ということになった事故でございます。事故が連続して大変な事態だというふうに思いますけれども、この航空機事故、鉄道事故に対する国民の皆さんの不安もあるのではないかというふうに思います。

 今局長にお答えをいただいた事故について、大臣も、今、どれもが重大な事故、トラブルであったというふうに認識していると思いますけれども、これらの事故について大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 いずれも、これらの事案が発生しましたことは大変残念であり、非常に重大な事態であると認識しております。

 公共輸送機関の安全確保は何にも増して優先されるべきものだと考えています。事故防止に向けまして、事業者、そして国交省を初め関係者は緊張感を持って対応に万全を期しているところです。

 広島空港の事案、徳島空港の事案、山手線の事案、青函トンネルの事案と四つについて御指摘があったところでありますが、それぞれの事案の態様及び、調査中でありますけれども、原因も異なっていると思います。

 それぞれにつきまして原因究明をしっかりした上で、再発防止に万全を期すとともに、日々の公共輸送機関の安全輸送の確保に全力を挙げてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 一つずつ、もう少し具体的なお話をしたいというふうに思います。

 きょうは防衛省にも来ていただいておりますけれども、徳島空港の着陸やり直しのトラブルは、管制は海上自衛隊が担当しているというふうに聞いております。管制業務を一人で担当していて、滑走路上に作業車両がいたということを忘れて、着陸の許可を出したためだというふうに聞いております。

 国土交通省の管制も複数でやっておられるというふうに聞いておりますけれども、なぜ徳島空港では一人の管制でやっておられたのか。その要因と、このトラブルを受けて防衛省としてどのように対応したのか、お伺いをしたいというふうに思います。

 もう一つですけれども、私の地元にも、自衛隊が管制を行っております県営名古屋空港がございます。徳島空港以外の自衛隊と民間が共用している空港で、管制の体制はどうなっているかということ、複数の体制などとられていたかということをお伺いしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 徳島飛行場の御指摘になりました事案、当時の飛行場管制業務でありますが、この管制系は通常四名で行うところでございますけれども、本件事案発生時には一名で行っていたということを聞いております。このような業務体制については問題があったものと認識しております。背景の一つとして、海上自衛隊において管制業務の人数を定めた具体的規則はなく、この点についても問題があったものと認識しております。

 現在、国土交通省からお答えがありましたとおり、運輸安全委員会が経緯や原因について調査をされておりますが、防衛省・自衛隊としても必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

 具体的に、また、我々といたしましても、この調査と並行いたしまして、四月五日から四月十日までの間、徳島教育航空群、管制を行っていた親部隊でございますが、この部隊に対し、臨時安全調査を実施いたしました。また、四月十四日から四月二十一日の間に、海上自衛隊が航空管制業務を実施する全十一航空基地隊に対し、臨時合同部隊監察を実施いたしておるところでございます。

 こうした調査、監察の結果を受けまして、海上幕僚監部において、管制業務の人数の規定等を含む航空管制関連の諸規則の改正等の再発防止策を検討したいと思っております。

 なお、そうした規則の制定を待つまでもなく、既に、海上幕僚監部から、徳島飛行場を含めた全十一の航空基地隊、これは海上自衛隊が管制を行っている基地ですが、複数の管制官による管制業務の実施、基本手順の確実な実施等の対策の指示をいたしたところでございます。

 また、お尋ねのありました県営名古屋飛行場についてでございますけれども、自衛隊が管制業務を実施して、かつ自衛隊と民航機が共用している空港は全部で八カ所ございまして、今回事案が発生した徳島飛行場を除く七カ所は、陸上自衛隊が一カ所、航空自衛隊が六カ所を担当しています。名古屋も航空自衛隊が担当しています。

 陸上自衛隊と航空自衛隊におきましては、飛行場管制業務は二名以上で実施するように内部規則が定められております。そういう状況ではございますけれども、今回の事案の重大性に鑑みまして、海上自衛隊だけではなく、陸上、航空自衛隊に対しましても、航空交通管制業務実施の体制、管制要領等について再確認をして、飛行安全確認に万全を期すように既に指示をいたしたところでございます。

 今後このような事案が発生しないよう、再発防止対策、安全対策を講じたいと思っております。

 以上でございます。

本村(伸)委員 自衛隊に関しましては、航空自衛隊が管制を行っておりました新千歳空港でも、四月十九日に、直前に着陸した別の航空機が滑走路から誘導路に移動し切っていないということで、着陸のやり直しというトラブルもございました。自衛隊も含めて、事故、トラブルの再発防止ということを徹底していただきたいというふうに思います。

 次に、JR東日本の山手線の支柱倒壊の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 マスコミの報道でも、次のように書かれております。想像するだけで恐ろしい、発生が前後に数分ずれていれば電車が衝突、脱線し、大惨事となる可能性もあった、JR東日本は、柱が傾いているのを二日前に認識しながら、補修を先延ばししていた、甘い判断だった、人命にかかわらない事故でよかったでは済まされない、多くの乗客が利用する山手線での事故の重大性をJR東日本は認識してもらいたい、こう書かれております。

 この事故に関して、まず大臣の所見を伺いたいと思います。

藤田政府参考人 本件につきましては、現在、背後要因等を含めまして、原因究明、再発防止をJR東日本に指導しているところでございますけれども、これまで明らかになった事実からいたしまして、一つは、事前に対応する機会があったということ、そこの時点で対応がとられていなかったということ、ここはやはり問題があったと言わざるを得ないと思っております。それから、強度計算を行っていなかったということ、これについても、やはり初歩的な誤りだったというふうに思っております。

 そういったことを含めて、しっかり検証をしてまいりたいと考えております。

    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕

太田国務大臣 今鉄道局長が話したことと同時に、これは危ないと思った人がいる、それを身近なところに連絡をしただけでとどまっている、それが、まさに決定権のある、そして修理をやるなら修理をするという責任者のところに一気に情報が上がって、そして、そこでばっと協議がされて、こうするという方針が出される。会社の中の決定するということと、そして危ないといったことを認識したことの、このルールといいますか、その危機管理で一番大事な点が今回は欠けていたということを加えたいと思います。

本村(伸)委員 大臣のおっしゃるとおりだというふうに思います。このJR東日本の安全軽視という対応は、本当に許しがたいものがあるというふうに思います。原因の徹底解明ですとか企業体質の改善を含めて、指導監督の徹底をお願いしたいというふうに思います。

 先週の金曜日には、JR東日本が社内マニュアルに違反することまでやっていたということが明らかになっております。先月の三月二十五日に今回倒れた支柱から鉄製のはりを撤去する際に、撤去後の支柱の強度を事前に計算しないまま、先ほどもお話がありましたように、工事を行っていたということがわかりました。これは、社内規定違反にも当たり、強度計算をしていれば倒壊を防ぐ措置がとられた可能性がございます。

 この強度計算が必要だとはわかっていながら怠っていたということなわけですけれども、国交省は、強度計算を行っていなかったというこの事実をいつの時点でつかんだのでしょうか。

藤田政府参考人 はり撤去後の強度計算を行っていなかったということにつきましては、今月十七日金曜日の午前中に、JR東日本の安全統括管理者から鉄道局に直接報告がございました。その時点で把握をしたということでございます。

本村(伸)委員 いずれにしても、このことを見ても、安全が軽視をされていたということが明らかだというふうに思います。

 山手線の事故の発生当初ですけれども、国土交通省の鉄道局は、電車の運行が長時間とまった輸送障害で、重大インシデントには該当しないという見解を示しておられました。最初は、国交省は、重大インシデント、危うく大惨事になるところだったという重大インシデントだったとは認識していなかったということだと思います。

 しかし、JR東日本から詳細な報告を受けて、四月十三日の深夜に、重大インシデントだと判断をして運輸安全委員会に通報がされた。運輸安全委員会が十四日の早朝に調査開始を決めたというふうに思います。

 これだけ重大、重要な事故であったにもかかわらず、運輸安全委員会の事故調査がないというのはおかしいなというふうに、調査が当然だというふうに思っておりましたら、国土交通省の判断が変わったわけでございます。

 国土交通省として、重大インシデントには該当しないと判断していたのを変えて、調査が必要だと判断したのはいつで、なぜ変えたのか、お示しいただきたいというふうに思いますし、本来であれば国交省が真っ先にみずから調査を実施することが必要だったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 今回の事案につきましては、山手線、京浜東北線という非常に利用者の多い路線であったことなどから、発生当初、直後の対応といたしましては、まずは輸送障害の早期収拾、旅客の利便性確保、これが大変大事な課題だと認識しておりました。JR東日本におきましても、そういった点への取り組みを行い、かつ、同種構造の電化柱の点検などに全力で取り組んでいたというふうに承知しております。私どもも、そういう観点からの情報収集を行ってまいりました。

 こういった対応がおおむね終了した後に、インシデントの判断に必要な情報の収集、検討を開始し、十三日には、今般の事案の安全性に関する検証を行うために、JR東日本に対してインシデントに該当するのではないかという注意喚起を行うと同時に、詳細な資料の提出を求めたところでございます。

 こうした経過を経まして、JR東日本から十三日夜にその資料の提出があり、あわせてインシデントであるという報告があった、こういう経過でございます。

本村(伸)委員 最初は重大インシデントではなかったというふうに判断したわけですけれども、やはりこれでは監視、監督する責任が果たせないのではないかというふうに思います。現場の調査を含め、責任が果たせる権限を強めるべきだというふうに思います。

 次に、青函トンネルについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 これについても、新聞でもこう書かれております。全員が地上に避難するまで緊急停車してから五時間以上かかった、乗客は体力面でも精神面でも大きな負担を強いられた、暗闇の車内で待つ、手探りでトンネル内を歩く、旧海底駅で待機する、逃げ場のない海底トンネルの中とあっては、通常の立ち往生以上に恐怖と不安にさいなまれる、実際に二人が体調不良を訴えて緊急搬送されたことを軽視してはならないというふうに書かれております。

 多くの皆さんが避難に五時間以上かかったことや、手探りで海底のトンネル内を歩かされていることに問題はなかったのか、お年寄りや障害者の方などがいた場合に、あるいは定員が七百人以上となる新幹線の場合では対応できるのかということで、多くの皆さんが心配の声を上げておられます。

 青函トンネルの地上避難というのは、一九八八年開業以来初めてのことだということでございます。この避難誘導について、JR北海道は想定どおり、手順どおりだったというふうに言っているようですけれども、乗客、利用者、国民の皆さんの声を聞いて、より不安のないものにするべきではないかというふうに思うわけでございます。

 それには、まず、JR北海道の避難マニュアルを公開させるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 今回の避難の経過でございますけれども、列車が停止した後に、乗客が乗務員の誘導により降車を始め、そこから定点と呼ばれるトンネル内の一定の場所まで徒歩で避難し、さらにそこからケーブルカーの乗車場所まで徒歩で移動した後に、ケーブルカーで地上に移動した、こういう経過をたどっております。ケーブルカーでの地上への移動時間、これは十分でございますけれども、最大二十名しか乗車できないために九往復したということで、そのために、最後の乗客が地上に移動したのは二十二時五十九分ごろでございまして、約五時間半かかった、こういうことでございます。

 今回の避難誘導、JR北海道からは、同社の取り扱いマニュアルに定めた手順に沿ったものであるという報告を受けておりますけれども、国土交通省としましては、詳細な状況の確認も含めまして検証を行っているところでございます。

 それから、避難誘導マニュアルにつきましては、非常に想定される事態もさまざまでございますし、利用者に正確に御理解いただけるのかといった問題もございますので、それをそのまま公表することが適切かどうかということについては慎重な判断が必要だと思いますけれども、他方で、異常時の対応としまして、まず乗務員の指示に従っていただくことが大前提でございますが、あらかじめ乗客の皆さんに一定の予備知識を持っていただくということが円滑な避難に有効な場合があろうかと思います。

 こういった観点から、今後、どういうふうな情報提供が必要なのかといったことは検討していく必要があるものと考えております。

本村(伸)委員 JR北海道が、ことしの三月三十一日に、「事業改善命令・監督命令による措置を講ずるための計画」というものの昨年度の第四・四半期の実施状況報告というものを出しております。この中でも、「お客様にご迷惑をおかけした事象が発生した場合は、積極的かつ速やかに情報を開示する」というふうになっております。ぜひ情報開示をお願いしたいというふうに思います。

 この青函トンネルの事故を受けて、私どもの地元では、トンネルが八六%のリニアでは本当に大丈夫なのかと。地元の中日新聞でも、火災がリニアで起きたらという記事を書いております。

 リニアについても、今の時点で避難マニュアルを作成、公表させ、それで説明をさせるということを指導するべきではないかと思いますけれども、最後にお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 リニア中央新幹線につきましても、長大な山岳トンネルあるいは大深度のトンネルがございます。こういったところにおけます、例えば火災発生時の基本的な考え方、これは既に公表されておるところでございます。

 ただ、具体的な異常時の避難誘導等につきましては、これは平成三十九年度の開業を目指しておりますので、その開業までに、それまでの知見等を踏まえまして、ハード、ソフト両面を含めてJR東海で検討されるべきものだと考えております。

 そういった意味で、今の段階で具体的な内容を定める、あるいは、それを公表するといったことではないものと思っております。

本村(伸)委員 そういう点でも安全性をしっかりと国民の皆さんに明らかにしていただきたいということをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

今村委員長 次に、内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 地域公共交通については、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づき、地方公共団体が中心となって、まちづくりと連携した面的なネットワークの再構築を推進しております。このような取り組みを実効性のあるものにしていくためには、事業の特性に応じた支援が可能となるよう、既存の助成制度に加え、民間資金の呼び水となる出資等を行うことによって、支援策の多様化を図ることが必要です。

 また、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、独立行政法人改革に係る閣議決定等を踏まえた措置を講ずることが必要です。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づき、国土交通大臣の認定を受けた事業に対する出資等の業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に行わせることとしております。

 第二に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の業務のうち、高度船舶技術に関する業務、基礎的研究に関する業務等を廃止するとともに、役職員に対し、金融業務に関する守秘義務を課すこととしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十二日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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