第10号 平成27年5月20日(水曜日)
平成二十七年五月二十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 今村 雅弘君
理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君
理事 小島 敏文君 理事 坂井 学君
理事 中村 裕之君 理事 伴野 豊君
理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君
秋本 真利君 岩田 和親君
うえの賢一郎君 鬼木 誠君
門 博文君 神谷 昇君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 古賀 篤君
國場幸之助君 今野 智博君
斎藤 洋明君 鈴木 馨祐君
鈴木 憲和君 高木 宏壽君
津島 淳君 堀井 学君
前田 一男君 宮内 秀樹君
宮澤 博行君 山本 公一君
荒井 聰君 神山 洋介君
小宮山泰子君 松原 仁君
宮崎 岳志君 本村賢太郎君
足立 康史君 下地 幹郎君
横山 博幸君 中川 康洋君
樋口 尚也君 真山 祐一君
穀田 恵二君 本村 伸子君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 北川イッセイ君
国土交通副大臣 西村 明宏君
国土交通大臣政務官 うえの賢一郎君
国土交通大臣政務官 鈴木 馨祐君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理) 高原 剛君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 樹下 尚君
政府参考人
(復興庁審議官) 北村 信君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 鈴木 哲君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 苧谷 秀信君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 長谷部正道君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁増殖推進部長) 長谷 成人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 山田 邦博君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 小関 正彦君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 池内 幸司君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局水資源部長) 北村 匡君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 深澤 淳志君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 橋本 公博君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 田村明比古君
政府参考人
(観光庁長官) 久保 成人君
政府参考人
(気象庁長官) 西出 則武君
政府参考人
(環境省総合環境政策局長) 小林 正明君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 三好 信俊君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 塚本 瑞天君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十日
辞任 補欠選任
前田 一男君 熊田 裕通君
北側 一雄君 真山 祐一君
同日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 鬼木 誠君
真山 祐一君 北側 一雄君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 前田 一男君
―――――――――――――
五月十九日
道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○今村委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官山田邦博君、総合政策局長滝口敬二君、都市局長小関正彦君、水管理・国土保全局長池内幸司君、水管理・国土保全局水資源部長北村匡君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、鉄道局長藤田耕三君、航空局長田村明比古君、観光庁長官久保成人君、気象庁長官西出則武君、内閣官房二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理高原剛君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、復興庁審議官北村信君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官鈴木哲君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、農林水産省大臣官房審議官長谷部正道君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、水産庁増殖推進部長長谷成人君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省水・大気環境局長三好信俊君及び環境省自然環境局長塚本瑞天君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。
○小宮山委員 おはようございます。民主党、衆議院小宮山泰子でございます。
本日は、トップバッターということで御質問させていただきます。
さて、本日は、観光政策、そして二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに対して交通政策など伺わせていただきますが、その前に、十七日未明に川崎市内の簡易宿泊所から火災が発生いたしまして、多くの高齢者の方が被害に遭われました。大変痛ましいことではございますが、このニュースを見ながら、二〇〇九年三月には群馬県内での高齢者施設「たまゆら」で火災が起こり、多くの高齢者の方が被害に遭われました。本当にこのような形で命を落とされるということは痛ましいことでもあり、また、その社会的背景というものが随分と取り上げられたものでもございます。
国土交通大臣は、十九日の閣議後の記者会見で、各地の簡易宿泊所が違法に建築されていないかどうか、自治体に対して確認や是正を徹底するように早速に御指示されました。その表明を受けまして、応じる形で、簡易宿泊所がある自治体では、今回の火事を受けて早速立入検査などをする旨というものも行われているというふうに伺っております。
安全性の確保、確認は大変重要ではございますが、もちろん、確認で重大な欠陥や問題点が見つかる場合は是正しなければならないのは当然ですが、そうした安全確保の取り組みの中に、ほかに行き場がなく、事実上自宅として居住している方々が追い出されてしまい、本当に行き場を失ってしまうようなことにならないように注意していくことが必要かと思っております。
ぜひ大臣におかれましては、関係省庁と連携をしていただき、安全な、もちろん簡易宿泊所、昔は日本の高度成長を支えた方がついの住みかとしていなければならない、そういった方々に対して、やはりまだまだ日本は、単身になったりする方、そういったところに対しての対応がなかなかできていない。国交省におきましても、そういった高齢者向けの住宅など、さまざま努力をいただいておりますが、ぜひ、関係省庁とともに、この点に関しましても御配慮いただきますよう要望したいと思います。
何か大臣の方からございましたら、ぜひ御見解をお聞かせください。
○太田国務大臣 日曜日に発生しました川崎市の簡易宿泊所の火災につきまして、五名の方が亡くなられて、十九名の方が負傷され、まことに遺憾に思っておりますとともに、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げているところでございます。
御指摘のように、まずは建築物の安全確保が急務だと思いまして、十八日に全国の特定行政庁に対して通知を発出しました。消防部局や旅館業の担当部局と連携をしまして、簡易宿泊所に関する違反建築物の確認や是正を行うように徹底したわけであります。
今、小宮山先生おっしゃるように、私も記者会見のときにも言ったんですが、そうしたところに宿泊を続けなくてはならないということを余儀なくされている方たち、この方たちに居住の安定をどうするかということを常に考えていかなくてはいけない。
建築確認をするということは非常に大事なことであり、そして、この建物自体も、まだわかっておりませんけれども、こうした類いのものについてはその後に増設することがあったりというようなことで、極めて不十分というところも多いということを現時点で聞いていますけれども、どうすれば住居を確保してさしあげられるか。
生活保護の方もいらっしゃいますし、一般のマンション、アパートに住むという場合でも保証人の問題で難しいということもあったりしますものですから、よくその辺を、行き場を失うようなことがないように、各省庁あるいは地方公共団体の福祉担当部局あるいは住宅担当部局と緊密に連携して、住宅の確保ということについて配慮が行くように、届くようにということを検討していきたい、このように思っているところです。
○小宮山委員 ありがとうございます。
居住の安定化、その法案も確かに私どもも審議もさせていただきました。そして、何よりも、厚生労働省が中心かと思いますが、標準的な家庭のモデルというのが夫婦二人に子供二人、そういった家庭を中心にさまざまな施策はされています。しかし、今回の問題でも明らかになったのは、必ずしもそれが主流でもなくなってきているんだろうという思いもありますので、そういう意味においては、ついの住みかとなる、安心して居住ができる場所の提供、そのための、国、地方行政等が支援できる、そういった住宅政策というものもぜひ進めていただきますことをあわせてお願いしたいと思います。
さて、今回の一番大きな私のテーマでありますが、首都圏の交通網の整備についてお伺いしたいと思います。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を念頭に質問させていただきます。
私のおります埼玉県下、特に私の地元川越におきましては、霞ケ関カンツリー倶楽部ではゴルフ、埼玉スタジアムでのサッカー、自衛隊朝霞駐屯地での射撃、また、ここはパラリンピックでの競技も予定されています。さいたまスーパーアリーナでのバスケットというふうに、さまざまな競技もされるところでもあります。
当然、東京圏というのは大変広うございますし、その中にもさまざまな魅力があるし、また、今現在ある施設の活用という意味においては、こういった東京都下以外の施設を使うというのは、千葉県もしかりですけれども、大変いいことだ、大変妥当なことだと考えております。
しかし、各競技開催に当たっては、選手初め選手の関係者、大会スタッフ、報道関係者、そして国内外、全世界から来訪する観客の安全かつ確実な移動の確保は重要なテーマだと思っております。
埼玉県内を例にとりますと、主に使用することとなりそうな交通網というのは、JR、私鉄などの鉄道網、首都高速五号線や関越道、東北道、外環道、圏央道などの高速網、また川越街道、国道二五四などの主要幹線道路の利用も相当あると考えております。
また、利便性ということで考えますと、近年、JR東日本のSuicaの導入以降、JR各社のICカード乗車券、在京民鉄、バスのPASMO、それらの相互利用の推進などの取り組みにより、電車やバスの乗りおりがスムーズになり、利便性の向上が図られてきたところでもあります。今後も一層の相互利用路線の拡充が図られることによって利便性は上がるものかと思っております。
便利なICカードの乗車券の周知の努力とともに、一日乗車券や数日にわたる乗車券、また、東京地下鉄だけではなく、民鉄の一部を含んだ形で、空港からそのまま都内へ入り、または首都圏、東京圏、開催地などをつなぐ、そういったことも、一般利用者だけではなく、訪日外国人向けなどにも大変有効な手段なのかと考えております。
国土交通省の二十五年度の国際航空旅客動向調査によると、出国外国人に対する調査で、空港までの移動に利用した代表的なアクセス交通手段を尋ねた結果としては、一番多い割合は、鉄道がバスとともに大きな利用手段となっているというふうに出ております。
そこで、今後なんですけれども、ICカードの乗車券、及び、民間企業主体で行っているものがありますけれども、期間を定めた乗り放題乗車券などについて訪日外国人などへの周知のための取り組みについて、監督官庁である国交省から今後の所見、見解を伺わせていただきたいと思っております。
この質問をするに当たり、私も埼玉の川越から日々電車通勤、通勤というのかな、永田町へ通わせていただく中、駅に行きますと、高齢者の方だけではなくて、実は、外国人の方が、駅の料金表の前で、どうやって乗るんだというのをよく話されている姿を見かけます。日本語で書いてある、もしくは英語表記、ローマ字表記などは大変字が小さいので、どうやって行くのかというのもなかなか難しいこともあるのかなと思います。
そのときには、パスで乗り放題、また、日本の場合は、営団地下鉄、都営地下鉄、JR、さまざまな民間企業が乗り入れをしていることによって、そのたびに料金の差が随分変わってきますので、この点に関しましても、ICカードのさらなる普及というのは重要なポイントになるかと思いますので、ぜひこの点に関しましてお聞かせいただければと思います。
○藤田政府参考人 ICカード、それから訪日外国人向けの企画乗車券、この周知に関する取り組みとしましては、まず、その発行主体であります鉄道事業者の方におきまして、空港や主要ターミナル駅でポスターを掲示したり、パンフレットを配布したり、あるいはこういったところの観光案内所で案内をするといった取り組みを行っております。それから、もちろん、各鉄道事業者のホームページでの案内も行っております。
ただ、それだけではなくて、やはり鉄道事業者に任せるだけではなくて、国土交通省としましても、日本政府観光局と協力しまして、各鉄道事業者が発売する企画乗車券を英語で一覧化して紹介する、こういったパンフレットを作成して、海外でのPRなどを行っております。
御指摘のとおり、こういった便利なものがあるということ、まずはこれを広く知っていただくことが大変大事なことだと思っております。今後とも、鉄道事業者、日本政府観光局と協力して、周知に関する工夫、取り組みを強化してまいりたいと思っております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
ぜひ、関係の企業等ともお話をいただきまして、外国人向けには複数日間のパスなども発行されているようでありますが、やはり、今後二千万人からの訪日外国人観光客を呼び込むという意味においても、長期滞在をしていただき、日本の各地を回っていただくというときにおいても、日本国内でやはりもっと多くの方が買えるということも重要でしょうし、これ自体は、恐らく日本人の観光客、特に国内観光に関しては日本人観光客が大変多い現状を鑑みますと、一日一日買うのではなく、数日間でゆっくりと好きなだけお回りいただくということもぜひ念頭に考えていただいて、協議を進めていただければと思います。
さて、オリンピック、パラリンピック、二〇二〇年は随分先のような気がしていたんですけれども、ふと思えば、もうすぐに来るんだなという思いがいたします。
というのは、私も、つい先日、新川越越生線促進期成同盟会の会議に出ておりまして、当然、このエリアは霞ケ関カンツリー倶楽部がエリアに入っているところでもありまして、担当の地方行政の部局の方たちも、もう五年しかないけれども、道路網などそういったところはどうするんだろうということ、早くその計画というものがやはり決まっていただき、それに合わせて実行ができるようになりたいというような思いが強く感じられたわけであります。
ぜひ、そういう意味においては、二〇二〇年東京オリパラ開催時の円滑な輸送の確保に向けて、国土交通省におきましては、恐らく、全国、オリンピック・パラリンピックを機会に地元に誘致をしたい、そういった地方行政、地方がたくさんあると思います。そういうことも含めまして、どのような検討をされているのか、その取り組みについてお聞かせいただければと思います。
○滝口政府参考人 まず、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会がスムーズに運営されるということのためには、委員御指摘のように、関係者の輸送を円滑に行っていくということが極めて重要だろうというふうに思っております。
同時に、この大会関係の輸送ということをしっかり確保するということと同時に、特に東京圏などにおきましては、地域住民の日常生活や経済活動などに伴います通常の一般の輸送との調和をしっかりさせていかなければならないという問題がございます。
こういうような問題意識のもと、オリンピック・パラリンピックに向けましては、東京都が、民間企業、関係行政機関から成ります輸送調整会議というものを設置いたしておりまして、ここで具体的な輸送計画などを検討することになっております。検討対象をさらに大会関係者と観客、会場スタッフに分けて具体的な内容を検討するということになっております。
この会議には、国土交通省も、私ども全体を取りまとめる総合政策局の立場、道路、自動車、鉄道と、各般の担当者も実は参画をいたしておりまして、早期の輸送計画の作成に向けまして、大会組織委員会や東京都等の関係自治体、交通事業者等と積極的に連携をとってまいりたいというふうに思っております。
また、これを機会に、観光も念頭に置きながら、全国にも行っていただくということも必要だろうと思っております。これにつきましても、観光行政の一環として十分検討してまいりたいと思っております。
○小宮山委員 オリンピック・パラリンピックに向けて、また今、北陸新幹線が開通して、先般も太田大臣の答弁の中で、大宮から乗られたんでしょうか、わかりませんが、三時間半で移動されると。そういう意味では、観光のあり方も随分と日本国内は変わっていくんだなというのを私自身も実感いたしました。
ただ、私の地元は実は大宮駅とは川越線でつながっておりまして、大体約十九分ほどで走るんですが、残念ながら途中区間に単線がございますので、それによって、一時間で走れる本数が三本ほどになってしまう。
また、北関東では、歴史的遺産としては残すべきなのかもしれませんが、大変古い橋脚、橋の上を走っているものですから、なかなか近代化というのも難しいのかなという思いもしておりますが、地元といたしましては、複線化をすることによって、恐らく、東北の方、北陸の方からも、今現在ですら私の地元は観光客は年間六百六十万人ほど来ます。それをしっかりと呼び込むこともできるんでしょうし、また、東京に来られた方々が、小江戸でございますので、そういう観光、江戸の文化、日本の古きよき時代を味わっていただく、感じていただける、そういう意味においては、まだまだビジネスチャンスというか観光のチャンスというものを生かし切れていないのではないかという思いもあります。
ロンドンのオリンピックのときには、やはりそういった交通網に関しましてもプロジェクトを組まれて推進をする、また、各地方におきまして、日本ではビジット・ジャパンというオール・ジャパンの形ですけれども、ロンドンのオリンピックのときには、観光局、各地域ごと、例えばビジット・スコットランド、ビジット・北アイルランド、ウェールズ、そういったような形をとって、エリアごとでの観光政策、戦略というものをとったというふうにも聞いております。
それによって、結果として、オリンピックが終わってみれば、これは国立国会図書館の資料にもございましたけれども、地方への波及というものが得られたというような結果に結びついたんだと思います。ということは、やはり事前にしっかりと地方に結びつける、交通網というものを含めて、また観光政策というものも含めて計画をするということは大変重要なことがわかるかと思います。
そこで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにおける国内の観光などへの経済波及効果について、どのように試算を行っているのか、また行っていくのか。あわせて、観光などへの経済波及効果を増大させるためには、どのような施策をとるべきかといった連動した検討を行い、また、設備などはレガシーと言われますけれども、その後の観光政策などに大きな影響がございます。そういったことを含めて、将来展望等について御見解がありましたら、内閣官房また国交省の方からお伺いしたいと思います。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
招致決定前の平成二十四年に、当時の東京オリンピック・パラリンピック招致委員会が試算したところによりますと、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う経済波及効果は約三兆円、うち東京都が約一兆七千億円、その他の地域で約一兆三千億円が見込まれるということでございます。
以上でございます。
○久保政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、私どもといたしましても、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催効果を広く日本の各地方に波及させて経済の活性化につなげていくことが重要であると考えています。
現行の政府のアクションプログラムでも、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興を重要な柱として位置づけて、国内外の観光客を地域、地方へ誘客するための施策を推進しているところであります。
具体的には、まず、このオリンピック・パラリンピック開催国の日本という国際的に極めて高い注目度を生かして、今後、今検討が進んでいますけれども、文化プログラム等の機会を利用して、あるいは直前には聖火リレー等が行われるわけでありますけれども、そういった機会を利用して、日本各地の多彩な魅力を海外に強力に発信してまいります。
そのためにも、まずは、各地各地の観光資源を掘り起こして磨き上げるとともに、これらをつないで、地域ブロックを念頭に置いておりますけれども、多様な広域の周遊ルートを開発して、世界各国に発信してまいりたいと考えています。
また、一方、ことしの三月に各地域、地方ブロック別ごとに、私どもの運輸局あるいは自治体あるいは関係事業者で地方ブロック別連絡会というものを構成いたしまして、スタートさせました。外国の方を受け入れる上での現状と課題をしっかり把握して、地域の実情に沿って、インバウンド施策をきめ細かく迅速に対応するということもやり始めているところであります。
今後とも、二〇二〇年のオリパラ開催というもの、これは本当に絶好の機会でございますので、その後の、オリパラ後の展望をも見据えた上で、オール・ジャパン体制をとって観光施策あるいは地域への波及に対して全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 ぜひそこはよろしくお願いいたします。
また、オリンピック・パラリンピックのうちパラリンピックでありますけれども、北京大会のときのチケットの売り上げは約百八十万枚、前回のロンドン・オリンピックでは二百七十万枚が完売をしたということがございます。
残念ながら、日本ではパラリンピックのテレビ等の放映がほとんどない。また、冬季のソチのパラリンピックのときには、やっと日本でも文科の副大臣が開会式に公式に行くという状況でありまして、まだまだこの面に関しましては、日本の関心、また、マーケットとして企業等が見ていないのではないかと思わざるを得ません。しっかりとこの点も喚起をすることによって、日本のバリアフリー、そういったものが進んでいくいい機会に捉えていただければと思っております。
そこで、お伺いしたいんですけれども、パラリンピック大会当日、今までの実績で、今、相当数のチケット販売数から見ても、日本各地に移動される、また、競技をするエリアでの移動等があります。その中において、新幹線また各鉄道車両の利用において、車椅子利用者が乗車できる人数の確保は十分なのか。
十年ほど前の質問のときには、実は、御夫婦で一緒に車椅子で旅行したいといっても、新幹線で乗れる台数が当時は少なかったので、別々の新幹線で日本国内は移動した。それに引きかえ、海外では、車椅子に乗っていても、内部疾患からくる方でも、多くの方が支援もしてくれるし、また、旅行がしやすいんだ。だから、国内よりも海外の方が障害を持ったときには大変旅行がしやすいというお話も随分聞こえてまいりました。
あれからは相当改善もされたかと思いますが、現状どのようになっているのか。十分、選手ももちろんでありますが、観光客も含めて移動が可能なのか。この点に関しまして、現状を教えていただければと思います。国交省の対応についても教えてください。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
現状でございますけれども、鉄道車両における車椅子スペースの設置につきましては、バリアフリー法に基づく移動円滑化基準において、一列車には少なくとも一カ所以上、車椅子スペースを設けるという基準が定められております。各事業者、これに基づいて取り組みを進めておりまして、今、車椅子スペースのある編成数全体としては、七割近くになっております。
オリンピック・パラリンピックの際にどのくらい車椅子で鉄道を利用される方がいらっしゃるのかといったこと、あるいはその輸送方法をどうするのかといったことにつきましては、大会組織委員会が主催する輸送連絡調整会議で検討を行っていくことになっております。
今後、この検討を踏まえまして、必要な対応をさらに行ってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 昨年秋から、副大臣をヘッドとしたバリアフリーワーキングチームも立ち上がったと伺っております。ぜひ、この点に関しましてもさらに審議を進めていただきたい。
特に、おととし私、足を骨折したときに、松葉づえで電車で国会に来るのは大変難しかったのと、初めて実感をしたのは、例えば永田町の駅でいえば、エスカレーターはなかなか怖かったのでエレベーターで上がろうと調べていきますと、国会側ではなく都道府県会館側まで行かないとエレベーターに乗って地上に出られない。そして、そこからタクシーに乗ろう、自動車に乗ろうとすると乗る場所がない。また、例えば、ちょっと新潟に行かなければならなかったので、新幹線に東京駅から乗ろうと思って行きましたら、なかなか車両が改札の近くにつけられるところが見当たらなかった。かなり歩かなければいけない。また、エレベーターの設置箇所というのも大変わかりづらかった駅も随分あちらこちらに散見されました。
やはり、現実に使いやすい、できることなら自力で移動ができる、そういったことがバリアフリーという中でできること、また、多くの方がそれによって町に出て活動される。特に、パラリンピアンなどの試合を見ていますと、障害があってもすばらしい能力を発揮される、そういった自分の可能性というのが見出せるというところに、今、パラリンピックのチケットの販売数を見れば、皆さん、多くの方の共感を得、そして感動が与えられる。そういう意味においては、日常の交通政策というのは大変重要なんだというふうに実感をしております。
そこで、国交省の取り組みとして伺いたいのは、昨年、障害者権利条約がやっと日本も批准をされました。この点に関しまして現在どのように取り組まれているのか、伺わせていただきます。
○滝口政府参考人 障害者権利条約では、第九条におきまして、「施設及びサービス等の利用の容易さ」というタイトルのもとに、代表的には、交通機関や建築物、道路のバリアフリーに関する基準や指針の作成、公表といったことを求めているところでございます。
委員御案内のように、国土交通省におきましては、障害者等の円滑な移動の確保を図ることが重要であるという認識のもと、バリアフリー法に基づきまして基準や指針を定め、公共交通機関などのバリアフリー化を進めているところでございます。
この中では、ただいま委員御指摘がございましたが、公共的な施設とルートとを合わせた面的なバリアフリーというものが極めて重要だということで、こういった面での取り組みも進めているところでございます。
異次元の高齢化が進む中、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けましては、特にパラリンピックに向けましては、交通分野のバリアフリー化というのは非常に重要だというふうに認識をいたしております。
本年の二月十三日に、交通政策基本法に基づく交通政策基本計画を閣議決定させていただきました。三つの基本方針を定めておりますが、最初の柱でございます生活交通の目標の一つとしてバリアフリーを位置づけているところでございます。具体的には、一日の乗降客数が三千人以上の旅客施設などにつきまして、二〇二〇年度までに原則全てバリアフリー化する、こういったような数値目標を定めて推進を進めております。
さらに、パラリンピックに向けましては、競技会場等の大会関連施設やアクセス関係の経路などにつきまして、整備指針をつくるようにということが求められておりまして、アクセシビリティーガイドラインの作成ということが行われております。
このガイドラインの作成に当たりましては、大会組織委員会が中心でございますが、関係者と十分協議しながら、私ども国土交通省も、交通、建築物の観点から協議に参加いたしております。
また、国土交通省では、東京オリンピック・パラリンピックの開催の機会を捉えまして、全国に及ぶバリアフリー化を推進する、このような問題意識を持ちまして、省内に副大臣を座長とするワーキンググループを設けているところでございます。
今後とも、関係者等とも緊密に連絡をしながら、ハード、ソフト両面にわたるバリアフリーをしっかり進めてまいりたいと思っております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
ぜひ、障害をお持ちの当事者の方の意見も取り入れていただき、バリアフリー化を推進していただきたいと思っております。障害をお持ちの方々、さまざまな多岐にわたる障害がございます。車椅子の方、目の見えない方、それによって、町の道のつくり方も随分と意見が違うようでもございますので、ぜひ当事者の話も聞いていただき、そしてそういう施策に取り組んでいただければと思います。
そこで、最後になりますけれども、つい先日からニュースになっておりますが、オリンピックの施設の競技場の屋根があるかないかなどと、さまざまなニュースが出ております。施設の準備というのは、そう簡単にすぐに、きょう企画ができたからあしたできるというものではインフラ整備はできません。また、オリンピック・パラリンピックはありますが、そのためだけではなく、それからもそのインフラ整備等は残っていくものであります。
そういった意味においては、交通行政、まちづくりを主導する、そういった立場にあるのが国土交通省かと捉えておりますが、そのことにいかに取り組んでいくのか、ぜひしっかりと、さまざまな観点を盛り込んだ形でのリードを国交省にはしていただきたいと思います。
ぜひ大臣の御決意をお聞かせいただければと思います。
○太田国務大臣 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは非常に大事であり、そして、東日本大震災からの復興の力強い状況を世界に示し、また、日本は非常に美しいすぐれた国であるという、そうした発信をするということだと思います。
きょうずっと質問を聞いておりまして、その中でも、会場と会場との道路アクセスの問題をきめ細かく、また、川越、大宮の話もありましたが、観光ということも踏まえて、整備をするということに着実に努力をするということが大事だということを改めて感じているところでございます。
アクセス道路というだけでなく、やはりパラリンピックがあるということは非常に大事なことで、これは高齢者への対応という、これからの日本の社会の仕組みのあり方ということにも関連するものだと思っておりまして、バリアフリーのまちづくり、あるいはまた、外国人への対応ということからいきますと、案内標識や多言語対応、あるいは、たしか一番最初に質問されました、どこにどういう切符を買って行ったらいいんだろうということをスルーで行けるようなICカードの仕組みをつくるとか、説明をするとか、そうした丁寧な対応が必要だと思いますし、また、ちょうど夏でありますものですから、台風があるということも予想して、それへの対応をしていかなくてはいけないというふうに思っています。
東京都と連携をしっかりとるということをさせていただいておりまして、文科省は当然なんですけれども、東京都とよく連携をとって、まちづくり等々について、また、大会がスムーズに展開されるように努力をしたい、このように思っています。
○小宮山委員 地方自治体は東京都が中心になると思いますけれども、ぜひ、関係する東京圏、埼玉であったり千葉であったり、そういったところとも深く協議を重ねていただければと思います。
あと、時間がなくなってまいりましたので簡単に、ハラルフード、宗教食に関して質問させていただきたいと思います。
イスラム教徒は全世界に十五億人以上います。一方、ユダヤ教徒は全世界で千四百万人ほど。また、ベジタリアンなど、さまざまな宗教に関するものがありますが、ユダヤ教に関してはコーシャでありますけれども、この点に関しましては、最近、大変ヘルシーなフードだということで人気が出ているとも伺っております。また、ベジタリアンの方が日本に来て、なかなか食べられるものを見つけられないなんという話も聞いております。
オリンピックにおいては、障害がある方、ない方、さまざまな方が来られます。もちろん宗教食というものにおいても、現在さまざまなビジネス展開が図られているところでございますが、この点に関しまして、ハラル、コーシャ、ベジタリアンなど食習慣への対応状況について、訪日外国人への提供、取り組みについて、簡潔にお聞かせいただければと思います。
○太田国務大臣 ハラルフードやコーシャフードなど、国や宗教等で分類した外国人の食文化、食習慣の特徴や基本マナーを解説した飲食店、宿泊施設などに向けた対応マニュアルを取りまとめ、発信をしているという状況にあります。
特に、ビザの緩和によるインドネシア、マレーシアなどのイスラム圏からの旅行者の急増に対応して、ムスリム旅行者に配慮した飲食店についての情報を冊子として取りまとめています。これを、海外旅行会社と連携を図りながら、現地で開催される旅行博覧会の場においても、旅行者に配布するということを行っております。
これからますます外国人旅行客がふえるということからいきまして、しっかり満足度を高められるように努力をする決意でございます。
○長谷部政府参考人 お答えいたします。
農林水産省は、官公庁や関係団体と連携しながら、国内の飲食施設、宿泊施設等を対象にいたしまして、訪日外国人対応に関する講習会の開催等を行い、訪日外国人旅行者による市場が拡大している状況を伝えてきまして、これらの需要を受け入れていただくための前向きな対応を事業者の皆様に促すとともに、ムスリム、ユダヤ教観光客を含めたさまざまな食習慣を有する訪日外国人を受け入れるための環境整備を促進していくこととしているところでございます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
○今村委員長 次に、本村賢太郎君。
○本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。
一般質疑、きょうは道路部門、鉄道部門と質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、全国的に一の道路というのが、一の路線というものがあるんですが、そもそもこの一の路線とは何か、お伺いいたします。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
東名高速あるいは中央道などといった全国的に一体としてネットワークを形成する高速道路につきましては、その全路線の建設債務を全路線の料金収入より償還するという全国のプール制を導入して整備を進めております。
一方、全国の高速道路ネットワークにつながっていない有料道路、これを一の路線と言っておりますけれども、これにつきましては全国プール制に含まれません。建設による債務をそれぞれの路線の料金収入のみで償還するということになっておりまして、償還満了期限はそれぞれ個別に決められておるところでございます。
以上です。
○本村(賢)委員 一の路線、今説明を受けまして、ほかの高速なんかとつながっていない単独の道路ということでありまして、たしか九路線ありまして、今五路線が無料開放というんですか、なっていると思うんです。
私どもの地元相模原の国道十六号線の北側にあります八王子バイパスもこの一の路線という位置づけがございまして、一九八五年十月三十一日に供用が開始しまして、民主党政権時代もこれは高速無料化の社会実験なども行っておりまして、実験中の交通量は一・三倍になりましたが、並行する国道十六号は二割減少という効果も見込めたわけでありまして、地元相模原やそして東京都の皆さんからも、この八王子バイパスの一の路線の無料開放について非常に関心が高くございます。
ちょっとここで無料開放の時期について確認をしたいと思うんですが、お願いいたします。
○太田国務大臣 お尋ねのありました八王子バイパスにつきましては、八王子市内の渋滞緩和を目的として、御指摘どおり、昭和六十年十月に開通をしました有料道路、いわゆる一の路線でございます。
八王子バイパスにつきましては、ことし十月三十一日に無料開放される予定となっております。
○本村(賢)委員 十月の三十一日に無料開放ということでありまして、本当に地元の念願でもありました。
また、ほかに、広島呉道路、南阪奈道路、中部縦貫自動車道、安房峠道路というんですか、この三路線もございますので、これらも料金徴収期間が満了しましたら、ぜひ無料開放の方向で引き続きお願いしてまいりたいと思います。
次の質問であります。
八王子バイパスを下ってまいりますと、私どもの地元相模原市の国道十六号というのがございまして、市内を十五・四キロ横断しております。ここは、平成二十二年度の道路交通センサスによりますと、国道十六号の平日の昼間十二時間交通量は日本一の交通量ということでありまして、渋滞が非常に多く指摘をされているところでありまして、相模原市の加山市長からも、十六号を立体にした方がいいんじゃないかという御提案も太田大臣の方に昨年の四月二十二日に行っていることも伺っております。
御承知のとおり、東京都区間、八王子バイパスは十月三十一日に無償化になり、そして、今現在進行中の保土ケ谷バイパスの町田立体というのが南側にございます。しかしながら、私どもの地元相模原の市内区間のみがバイパスや立体交差などの対策がないわけでありまして、例えば加山市長が提案した十六号連続立体の推進なんかについてはどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
国道十六号の渋滞の状況につきましても、我々としては大きな課題だというふうに考えております。
一つは、現在、今委員御指摘のあったように、町田市内におきまして立体の工事を進めておりまして、これは今年度完成することとなっております。それから、昨年圏央道が開通しまして、その効果もありまして、市内の一般道路は交通転換が進んでいるということもあります。
ただ、そうはいっても、おっしゃるように、国道十六号の渋滞はまだまだ激しいわけでございまして、おっしゃるように、市長の方からも御要望をいただいております。
ただ、立体ということになりますと、新しく都市計画をする、それからさらには用地の買収を伴う、いろいろな課題がある中で、今後、今進めております事業の結果も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○本村(賢)委員 町田立体についても、これは、東京都町田市や、そして横浜市の一部がかかるんじゃないかと思いますが、保土ケ谷バイパス延長十二・九キロの中の町田立体二・一キロ区間でありまして、昨年度、二十六年度供用開始予定だったのが残念ながら一年延びたということでありまして、一日も早い供用開始に鋭意取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。
次の質問に入ります。
次は、圏央道を初めとする料金体系についてお伺いします。
きょうお配りしました資料の一ページ目、三ページ目をごらんいただきながら、質問させていただきたいと思います。
私どもの地元の加山市長も、首都圏の三環状道路の早期整備及び一体性のある料金体系の構築を大臣に要望されておりますし、また、私ども神奈川県の黒岩知事が会長となります圏央道建設促進期成同盟も、環状道路機能の発揮、公正妥当の観点から料金を軽減することということで、太田大臣に要望しておりまして、大臣も、過去の答弁からも、圏央道の料金が首都高速を経由する料金を上回らないようにしていくことが大事だという答弁を何度かお聞きしておりますけれども、さらに大臣の方から、夏の暑くならないころまでにこの料金体系の答申を出すというお話もございます。
この高速料金の見直しの時期について、どのような方向に今後向かっていくのか、お伺いしたいと思います。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
圏央道も含めた首都圏の高速道路の料金につきましては、ことしの一月に、社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会から中間答申をいただいております。
その中で、三つの原則が示されていまして、一つは、路線ごとにばらばらとなっている料金を走行距離に応じた公平な対距離の料金に整理統一していくということ、二つ目は、環状道路の利用を妨げないように、起点と終点が同じ場合は都心経由と環状経由の料金をそろえるということ、それから三番目として、都心が混雑している場合、料金を引き上げて混雑緩和を図るなど、交通全体をコントロールするための戦略的な料金体系を導入するというふうに示されております。
首都圏の高速道路をより賢く使うという観点からいいますと、この原則は非常に大事だと思っておりまして、首都圏の国際競争力の強化も含め、しっかりと実現していく必要があると考えております。
委員の方から、今後のスケジュールにつきまして御質問がございましたけれども、現在は、この示されました基本方針に従って料金を見直していく方向でございますが、パブリックコメント、それから、関係する経済団体等の御意見を今聞いておるところでございます。夏ごろまでには答申をいただけるということでございますので、それを踏まえまして具体的な料金の検討をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○本村(賢)委員 今後、高速料金の見直しがありまして、恐らく、圏央道は今よりも料金設定がこの資料一の一キロ四十三・二円というものから下がっていくという方向でよろしいでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
委員の方からお示しいただいたこの資料にあるように、現在、路線によって料率がかなり異なっております。これを公平な料金にするということで、ここには概念図で書いてございますように、高いところは少し安くなる、それから低いところは上がるということで、全体のバランスをとっていくということになろうかと思います。
以上です。
○本村(賢)委員 ぜひ整理統一をしまして、例えば第三京浜は一キロ十五・七円、それに対して横浜横須賀道路は四十四円と、約三倍近い料金の違いもありますので、この辺の整理統一をしっかりとお願いしてまいりたいと思います。
次の質問ですが、資料二ページ目に、今申し上げた横浜横須賀道路ですか、この道路に関して、菅官房長官が一月に、自民党県連の皆さんに対しまして、要望をいただいてきた横横道路は政府として九百五十円に下げる、既に具体的な作業に入っているというお話をされたようでありまして、こういう記事が出ているんですが、本来これは答申をされているという話であったと私は記憶しておりますが、この菅官房長官の発言はいかがなものなんでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
本件につきましては、地域の方から、官房長官を含め、さまざまな方から御要望をいただいております。しかし、先ほど申し上げましたように、最終的な具体的な数字が決まるのは夏の答申をいただいてから決まるわけでございますけれども、私どもとしては、このような強い要望、さらにはその答申の中身を含めまして、秋ごろまでには具体的な数字を固めてまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 それでは、この菅官房長官の発言はフライングということでよろしいですか。答申が出る前の発言ですから、これはフライングとして捉えてよろしいですか。
○今村委員長 フライングということですが……(本村(賢)委員「これは金額まで言っているんですよ」と呼ぶ)はい。答えてください。
深澤道路局長。
○深澤政府参考人 これは私、直接聞いたわけではございませんけれども、官房長官を含め、知事からもこのような御要望はいただいております。
ただ、最終的に決まるのは、先ほど申し上げましたように、夏の答申を受けてからということになろうかと思います。
○本村(賢)委員 どんなに立派な官房長官であったとしても、答申が出る前に、金額を具体的に、知事や、そして自民党県連の皆さんに発言していることは非常に遺憾な話だと思いますので、そういったことがないようにしっかりと、私どもは太田大臣を中心にこの答申を期待しているわけでありますので、そのことを一点注意申し上げたいと思います。
次の質問でありますが、圏央道の海老名ジャンクションの件でございます。
五月一日に国交省が発表した高速道路の渋滞ワーストランキングのワースト一位になっている箇所が横浜町田インターから海老名ジャンクションというところでありまして、ここは、ゴールデンウイーク中もフジテレビで「みんなのニュース」で報道がされたほか、さまざまな皆さんから、海老名ジャンクションの混雑について、せっかく圏央道ができたんだけれども、このジャンクションの合流地点が一車線であることなどから、設計上の欠陥があるんじゃないかという御指摘が随分聞こえてまいりますが、これに関してはいかがでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の海老名ジャンクション、これは圏央道と東名高速を連絡しているジャンクションであります。
圏央道につきましては、昨年の六月二十八日に相模原愛川から高尾山の間が開通し、東名、中央道、関越道が接続いたしました。それから、ことしの三月八日には寒川北から海老名ジャンクションまでが開通するなど、整備が進んでおります。
これらの整備の進捗によりまして、海老名ジャンクションを利用する車が増加し、渋滞が発生しております。特に東名高速道路の東京方面、名古屋方面からそれぞれ圏央道の北側に向かって進む合流部を先頭とした渋滞というものであると認識しております。
これを受けまして、圏央道の北向きのランプにつきましては、実際の交通状況を考えまして区画線の引き直し、これは主方向、従方向、ちょっと実態と合わない部分がございましたので、区画線を引き直して、それぞれからの交通の合流が円滑に進むように実施したところでございます。
実際、海老名ジャンクションのところは、相模川に隣接しておりまして、非常に地形的に厳しい状況でありますので、それらも考えながら、これから必要な対策を検討していきたいと思っております。
一方、海老名ジャンクションに対する抜本的な対策としましては、周辺道路の高速道路ネットワークの整備、これが大事だと思っておりまして、具体的には、新東名高速道路が東名高速道路から圏央道の区間まで平成三十年度に開通する予定であります。そうしますと、圏央道の北向きに進む車、これは東名から来る車ですけれども、分散するということで、渋滞が大きく緩和するのではないかというふうに期待しているところでございます。
以上です。
○本村(賢)委員 次に、ETCに関して一点質問させていただきます。
資料四ページに、これは産経新聞の記事でありますが、ETC非搭載なら通行料アップということでありまして、ETCの義務化について記事がございました。
これは、先ほどからお話がございました高速料金の、九割がETC利用者でありますけれども、国内の保有台数ベースでは五、六割にとどまっているという実情の中で、全ての皆さんがETCを搭載しているわけではございません。
そういう中で、こういった記事がございまして、ETC非搭載車ならば料金がアップするとか、義務化を行うとか、この点に関して社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会「高速道路を中心とした「道路を賢く使う取組」の基本方針」で示されているわけでありますが、これについてはいかがでしょうか。
○西村(明)副大臣 委員御指摘のETCの義務化につきましては、今御指摘ありましたように、本年の一月に社会資本整備審議会の道路分科会国土幹線道路部会におきまして方針が示されたところでございます。その方針の中身は、高速道路の利用頻度の低い車両やクレジットカード契約をしない利用者の皆様へどのように対応するかなどについて議論を重ねた上で検討を進めるべきということでございます。
国土交通省といたしましても、この方針を踏まえまして、法制上や運用上の課題についてしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
○本村(賢)委員 ETCを取りつけられない方々もいらっしゃるわけでありまして、カードを持てない方々のためにETCパーソナルカードの普及が今後必要ではないかと思います。今九万人ほどいらっしゃると思いますが、これはデポジットの最低金額が四万円ということでありまして、非常に高い金額でありますので、そういった点をぜひ見直していただきたいことを要望して、次の質問に入らせていただきます。
次は、東京圏の鉄道についてお伺いいたします。
大体十五年に一回、交通政策審議会の答申が出るわけでありまして、昭和六十年にA、Bランクの二ランクが出たり、平成十二年、前回は三ランクの答申が出ておりますけれども、ことし平成二十七年に交通政策審議会の答申が出ると思いますが、提出時期はいつごろか。また、答申のランクづけが昭和六十年と平成十二年と変わりましたが、ここはどうなるのか、お伺いいたします。
○藤田政府参考人 東京圏の今後の都市鉄道のあり方につきましては、平成二十六年四月に交通政策審議会に諮問されて、六月から鉄道部会のもとに設置された小委員会で議論が行われております。
小委員会の今後の進め方でございますけれども、本年七月から関係都県、政令市及び鉄道事業者からのヒアリングを実施する予定でございます。その後、ヒアリング結果等を踏まえまして、都市鉄道の課題等について議論を行った上で、平成二十七年度末を目途に最終取りまとめを行うことにしております。
それから、最終取りまとめにおきまして、具体的な路線をどう扱うか、いわゆるランクづけ等につきましては、関係者からのヒアリングの結果等を踏まえながら、今後、審議会の中で決定されるものと考えております。
○本村(賢)委員 そうした中で、小田急線の唐木田駅から私どもの地元のJR相模原駅、JR上溝駅に向かって八・八キロの小田急多摩線延伸というお話もございまして、平成十二年の運輸政策審議会の答申第十八号では、唐木田駅からJR横浜線、JR相模線方面への延伸について、今後整備について検討すべき路線ということでB路線という評価がなされまして、この小田急多摩線について、大臣のところにも加山市長初め地元の議員さんたちが要望に伺っているというふうに伺っております。
私ども、平成二十六年五月、町田市長と相模原市長の間で、小田急多摩線延伸の推進について覚書が交わされておりまして、平成三十九年を目途に小田急多摩線の開業を目指してまいりたいという町田市と相模原市の市長の覚書もございますし、また、昨年の九月には相模原総合補給廠の一部が返還をされまして、道路、鉄道用地二ヘクタール部分が無償返還をされております。
そういったこともありまして、地元の期待も大変高まってきた中で、この小田急多摩線について質問をしてまいりますが、まず、一般的な観点として、延伸における課題は何か、お伺いいたします。
○藤田政府参考人 一般に、鉄道というのは、非常に日常の足として大事な機能を果たしますし、それから、地域のありようにも大きな影響を及ぼします。そういった意味で、鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、開業後に安定的な経営を確保するという観点が大変大事だと思っております。
そういった事業の継続性を確保する観点等から、一般論としましては、需要、採算性、費用対効果、事業費の負担のあり方、それから関係者の合意、これらのことにつきまして、しっかりと見きわめていく必要があると考えております。
○本村(賢)委員 この小田急多摩線に関して、今回、鉄道・運輸機構が都市鉄道利便増進事業の形で活用を考えているんですけれども、都市鉄道利便増進事業は、国三分の一、地方三分の一、事業者三分の一という形で、原則三十年以内の償還を求めているわけでありますが、第三セクターなど自治体が出資する場合は四十年を認めているということであります。現在、人口が減少する中、原則三十年を緩めることも望む声が出ております。
この小田急多摩線における黒字転換年次については、現在、原則三十年というようなことでありますけれども、一部認められている四十年にはできないか、お伺いしたいと思います。
○藤田政府参考人 都市鉄道の整備に当たりましては、地元負担も含めて膨大な建設費で整備され、その上で、開業後の経営を安定的に維持していくことが必要だと考えております。このため、鉄道事業の許可を行う際には、原則として三十年以内の累積資金収支の黒字転換を判断要素としております。
先ほども申し上げましたけれども、地域の足として欠くことのできない鉄道、その安定的な経営を確保する観点からは、事業開始の際に採算性が確保できることを確認することは不可欠であります。そういった意味で、事業採算性の基準を緩和することは考えておりません。
したがいまして、相模原市等において行われている調査検討において、例えば事業費の圧縮でありますとか沿線のまちづくりによるさらなる需要の創設等、事業採算性の向上のための取り組みについて、さらに検討の深度化を図っていただくことが重要であると考えております。
○本村(賢)委員 今までの小田急多摩線のお話を聞く中で、ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、五枚目の資料に、私どもの小田急多摩線延伸推進協議会、これは編集は相模原市の交通政策課が行っているんですが、太田大臣に対しまして、私どもの加山市長と佐々木さやか参議院議員を初め、地元の公明党の県会議員さん、市会議員さんが、要望書を、十八万人の署名を持って大臣のところに伺ったようであります。
小田急多摩線は、東京圏の鉄道ネットワークを構築する路線の一つであり、延伸によって広域的な交流の促進や利用者利便の増進、災害時の代替経路の確保など、鉄道ネットワーク機能が大幅に高まることが期待をされております。
そういった中で、市の要望でも、平成十二年のB路線、検討すべき路線から、整備を推進すべき路線へ格上げが期待されているところでありますが、こういった相模原市の皆さんの思いを受けながら、ここは、東京都町田市、こういった皆さんもともに活動しているわけでありますが、平成二十七年度の答申における位置づけについて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○太田国務大臣 要望が強いということは、きょうの質疑でも、先般の市長を初めとする方々の要望でもお伺いをしたところでありますが、今、地元関係者、相模原市と町田市を中心にして検討が進められているというふうに承知しています。
プロジェクトの推進に当たりましては、需要、採算性、費用対効果等についてもしっかり見きわめていく必要があると思いますので、地元での検討の深度化を図っていただきたいと思っているところです。
交通政策審議会では、今後、都県、政令市からも御意見を伺った上で検討が進められる予定となっておりますので、地元関係者間における検討の熟度を高めていただくことが重要であると考えております。
○本村(賢)委員 東京都、町田市、そして神奈川県、相模原市といった自治体が今中心となって小田急多摩線の延伸の取り組みを進めておりますので、ぜひ大臣、強い御支援をお願いしてまいりたいと思います。
最後の質問にいたしますが、電車の遅延について、昨今の公共交通の法案審査のときにも質問させていただきましたが、今年度あるいはもう少し遅くなるかもしれないが、この遅延の対策計画を審議会で取りまとめていくという答弁を藤田局長からもいただきましたが、太田大臣も東京都十二区選出でありますし、公明党の綱領は庶民の党ということでありまして、こういったことを受けまして、電車の遅延について、大臣の意気込みについて最後にお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 遅延がかなり、これは首都圏が多いわけですが、発生をしています。改善が大事だと思います。
交通政策審議会鉄道部会の小委員会のもとに設置されております遅延対策ワーキンググループにおきまして、遅延改善に向けた検討の方向性が出されていると承知しております。
その方向性として、ハード、ソフト両面の対策やダイヤ改定のあり方、利用者の協力などの必要性について挙げられているわけですが、検討を深めてより具体的な方策を取りまとめていただきたいというふうに思っておりまして、遅延の改善が図られるよう国交省としても取り組んでいきたいと思います。
○本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
○今村委員長 次に、横山博幸君。
○横山委員 皆さん、おはようございます。維新の党の横山博幸でございます。
本日は、高齢化対策並びに観光政策についてお伺いしたいと思いますので、明確な御答弁をお願い申し上げます。
それでは、まず高齢化対策についてお伺いをいたします。
厚生労働省が国土交通省を含めた関係府省庁と共同して策定をしました認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランでは、生活しやすい環境の整備、ハード面の観点から、「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進に取り組む。」とありますが、国土交通省としてどのような立場で具体的に取り組んでいくのか、お聞かせを願いたいと思います。
○滝口政府参考人 委員御指摘のように、認知症の方を含む高齢者の問題というのは極めて重要な問題だというふうに認識をしております。
委員御指摘の、本年一月に厚生労働省を中心として策定されました新オレンジプランでございますが、国土交通省関係の分野といたしまして、「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進」というところに、国土交通省関係の三つの施策が掲げられているところでございます。
一点目は、サービスつき高齢者向け住宅の整備など多様な高齢者向け住まいの確保、二点目が、公共交通施設や建築物などのバリアフリー化の推進、そして、高齢者みずからが運転する自動車にかわる移動手段となる公共交通の充実、こういった三点が挙げられております。
いずれも異次元の高齢化社会を迎える我が国の重要な施策でございまして、関係省庁とも連携しながら、この分野についてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 ありがとうございました。
続きまして、今第一番目にお話がありましたサービスつき高齢者向け住宅の整備は、高齢化が進む、高齢者が急増する中で、大変重要な役割を国土交通省として担っておると思います。
これは特別養護老人ホームだけでなく、このサービスつき高齢者向け住宅の整備をこれからさらに推進すべきと考えておりますが、国交省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○橋本(公)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、高齢者が安心して生活できる住まいを確保するためには、安否確認等のサービスを行うサービスつき高齢者向け住宅の整備を進めていくことが大変重要だと考えております。
このため、住生活基本計画におきまして、サービスつき高齢者向け住宅あるいはシルバーハウジング、有料老人ホーム等を含みます高齢者向け住宅の整備につきまして、平成三十二年までに高齢者人口に対する比率を三から五%にすることを目標としております。平成十七年が〇・九%でございました。
現在、このサービスつき高齢者向け住宅については、整備費の補助等を通じてその整備を推進しているところでございまして、平成二十七年四月末時点で約十七万八千戸のサービスつき高齢者向け住宅が登録をされております。これにその他の高齢者向け住宅の整備を合わせますと、ほぼ三十二年までの目標は達成できる見込みでございます。
今後とも、サービスつき高齢者向け住宅の整備を着実に進めてまいる所存でございます。
○横山委員 ありがとうございます。さらに強力に推進をしていただきたいと思います。
きょうは、厚労省の方においでいただいておりますので、関連して、老朽化した特別養護老人ホーム、特に耐震化はかなり進んでおられると思いますけれども、耐震もできない、かなり古いところ、その中でも、盲老人ホームといいます障害者を抱えたところもございます。こういった本当に老朽化した施設の再整備について、厚労省としてどのような取り組みをされていくのか、お聞かせを願いたいと思います。
○苧谷政府参考人 お答え申し上げます。
特別養護老人ホームにつきまして、耐震化等を図ることにつきましては極めて重要でありまして、国といたしましても、定期的に耐震化状況を調査するとともに、全国課長会議等におきましても耐震化の必要性等につきまして繰り返し周知を行ったところでございます。
特別養護老人ホームの耐震化費用の補助等につきましては、定員三十名以上の広域型の場合につきまして、これは平成十八年度に一般財源化されておりまして、各都道府県等で支援を行っているほか、定員二十九名以下の地域密着型の場合につきましては、耐震化整備も含め、国からの交付金を活用し、整備を促進することとしておりまして、平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度当初予算において所要の経費を計上しているところでございます。
これに加えまして、独立行政法人福祉医療機構の融資におきまして、融資率等の優遇措置を講じておりまして、これにはもちろん建てかえも含めたものでございまして、通常ですと七五%の融資率のところを九〇%にするなどの優遇を行っているところでございます。
このような施策を通じまして、厚生労働省といたしましても、特別養護老人ホームにおける安全、安心の確保に引き続き努めてまいりたいと思っております。
○横山委員 大変ありがとうございます。
今御答弁ありました一般財源化ということでございますけれども、地方自治体に財力はかなりありません。ですから、今後とも、この件については御支援をいただきたいというふうに思います。
続きまして、観光政策についてお伺いをいたします。
二〇一四年の訪日外国人旅行者数は千三百万人を超えて、同年六月に開かれました観光立国推進閣僚会議では、二〇二〇年に向けて二千万人を目指すこととしておりますが、本年の訪日外国人旅行者数はどの程度を見込んでおられますか。また、近年のこのような状況を見て、二〇二〇年の二千万人は達成可能でございましょうか。見解をお聞かせ願いたいと思います。
○久保政府参考人 ただいま委員から御指摘いただきましたけれども、日本を訪れる外国人旅行者数、昨年、二〇一四年は、年計で、前の年から比べて二九・四%増の千三百四十一万人でございます。ことしに入って、二〇一五年ですが、一月から三月までで、これは前年同期比四三・七%増、四百十三万人となっています。大変数字的には好調となっております。
お尋ねの、本年の訪日外国人旅行者の見込みでございますが、現時点では、年初からまだ短期間しか判明していない状況でございますので、一年を通じた具体的な数字を申し上げることは難しい状況ではございますが、千五百万人をはるかに超える数字になることを期待しているところでございます。
目標達成についてでございますが、現在の好調なインバウンドの状況を私どもとすれば一過性のもので終わらせずに、確実に二千万人を達成するために今後さらに取り組みを加速させていきたい、かように考えているところであります。
○横山委員 大変ありがとうございます。
順調に目標達成に向かっていっているということで、今後とも、地方経済の活性化のためにも、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、二〇一三年の日本再興戦略では、二〇三〇年に訪日外国人三千万という目標を掲げております。一方、二〇一三年の諸外国の外国人訪問者数はフランスが最も多く八千三百一万人で、三千万人を超える国は八カ国ありました。
当面の目標であります訪日外国人が二千万人を超えたとき、先ほどの答弁では順調に進展しておると思いますが、あるいは目標達成が見えたときに、次にどのような具体的な目標をさらに掲げていくのか、見解をお聞かせ願いたいと思います。
○久保政府参考人 私ども観光庁としては、先ほど御答弁させていただきましたけれども、二〇二〇年の二千万の実現に向けて全力で取り組みを推進しているところですが、まずはこの目標達成に向けて、政府、民間一体、あるいは政府も各部門一体となって努力をしておりますし、今後も努力をしていきたい、かように考えているところであります。
○横山委員 ぜひ目標に向かって進んでいってほしいと思います。
それでは、観光戦略での大局論をお聞かせいただきたいと思います。
安倍総理は昨年の観光立国推進会議の冒頭で、「観光立国の推進は、私の内閣の重要な成長戦略であります。」と述べておられます。また、そのために同会議は、同年六月、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四を策定しております。一方、さきの国土交通委員会で、太田国土交通大臣は、観光立国の推進を大きな柱の一つとして所信を述べておられます。
それでは、観光立国の実現とは、具体的にどのような状況、状態になったことを指しておられるのか、具体的な指標もありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○太田国務大臣 観光立国を一律にこれだと定義づけることは難しいと思いますが、まず第一に、私は、日本は大変美しい国である、そして、よく言うんですけれども、見るもの、食べ物、買い物がそろっているという、観光に必要な三つの魅力がある国だ、こうした日本のよさ、魅力が海外の人々に多く知れ渡って、世界じゅうに広まっているということが一つは観光立国の姿だと思います。
また、観光は大きな経済効果をもたらします。昨年の訪日外国人による旅行消費額は、二兆二百七十八億円となりました。昨年度の国際旅行収支は、何と五十五年ぶりに黒字ということになって、二千九十九億円でありました。諸外国との交流規模が拡大をして、国内経済に一定の効果をもたらすようになった状態もまた観光立国だと思います。
さらに、経済的効果だけでなく、海外からの旅行者が地域を行き合い、互いの文化を理解して闊達に交流することを通じて、世界に開かれた国、活気ある地域社会を築き上げることも観光立国の姿であるというふうに思っています。
外国人の数が多いということが当然大事でありまして、今は二〇二〇年二千万人という目標を掲げて、政府一丸となって取り組み、さらに加速をしたいと考えています。
○横山委員 大変ありがとうございます。
それでは、外国人観光客の入国によって問題点もあると思いますので、二点、その件についてお伺いしたいと思います。
訪日旅行促進の観点から各国のビザ要件を緩和してきているところでありますが、新聞報道によりますと、昨年、不法残留で摘発されたタイ人は九十一人で、前年の二倍を超えております。また、タイ、中国など、ビザ要件緩和の国籍の者が覚醒剤を密輸するといった犯罪が増加しているとも聞いております。
観光立国の推進とあわせて、入国審査時の水際対策、あるいはテロなどの治安対策の重要性がさらに増してきていると思いますが、現在の取り組みで十分と考えておられるのか、また、さらに厳格に対応していくのか、見解をお聞かせ願いたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
法務省といたしましては、問題のない外国人に対しましては、可能な限り円滑な入国審査を行って観光立国の実現に資する一方、テロリストを初めとする問題のある外国人に対しては、厳格な入国審査の実施等によりまして、水際で確実に阻止をするため、指紋等の個人識別情報、いわゆるバイオメトリクスを活用した入国審査、ICPOが構築いたします紛失・盗難旅券データベースの活用、空海港におけるパトロールの実施、偽変造文書対策などの水際対策を警察等関係機関と協力をしながら行っているところでございます。
今後でございますけれども、引き続きこうした水際対策を推進してまいりますとともに、本年十月には入国管理局内にインテリジェンスセンターという情報拠点を設けまして、情報分析に関する専門的な知識を有する職員を専従させ、ことしの一月から取得が可能になりました航空機の乗客の予約に関する記録、PNRと申しますが、これを含めまして、入管局が関係機関から入手した情報の分析等に当たらせることとし、情報収集及び分析機能の強化を図り、水際対策の強化にも役立てていくこととしております。
これらの施策を通じまして、観光立国の実現に貢献するとともに、安全、安心な社会のための水際対策に全力を尽くしてまいります。
○横山委員 大変ありがとうございます。ぜひ厳格な対応をしていただきたいと思います。
もう一点、問題点、気になるところがございますけれども、今年一月のパリでのイスラム過激派による出版社襲撃事件や三月のチュニジアでの博物館襲撃事件など、今や比較的安全とされている国におきましても、日本人がテロ事件などに巻き込まれる可能性は非常に高くなりつつあります。
外務省は、海外安全ホームページを開設し、海外への旅行者への注意を喚起しておりますが、これで十分と言えるのかどうか。また、特にフランスは渡航情報、危険情報すら発出されていなかったと思います。今回の一連の事件を踏まえ、海外での日本人旅行者への安全確保をどのように検討されておるのか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘がありましたとおり、今や世界じゅうどこでも日本人がテロの被害に遭う可能性があるということも踏まえまして、外務省としても、邦人旅行者を含む在外邦人の安全対策をしっかりと検討していくことは極めて重要な課題であると認識しております。
ことしに入りまして、パリにおけるテロ事件、シリアにおける邦人殺害テロ事件、さらにチュニジアでの事件が発生いたしましたが、それぞれの事件を受けて、邦人に対する注意喚起のためのスポット情報あるいは危険情報を発出しております。
これに加えまして、外務省においては、岸田大臣の指示によりまして、シリアにおける邦人殺害テロ事件を受け、海外邦人安全対策について議論するため、中根大臣政務官を座長とする検討チームを二月三日に立ち上げて、安全対策について検討を行ってきております。
この検討チームにおきましては、既に二月六日に、直ちに取りかかるべき措置ということで五項目を発表しておりまして、この中では、例えば、携帯電話のショートメッセージサービスによる緊急一斉通報システムの運用開始、あるいは、短期旅行者のための登録システムであります、たびレジの利便性の向上などが含まれておりまして、これらは既に実施に移したところでございます。
さらに、この検討チームは、引き続き検討を行ってきておりまして、安全対策強化のため、とり得べき措置の内容を近く提言にまとめる予定でございます。
○横山委員 大変ありがとうございます。
時間もなくなりましたので、最後に一点だけ、地方からの観点でお伺いしたいと思います。
先ほども出ておりましたけれども、オリンピック、パラリンピックを契機に、観光客を地方にもふやすことが重要であると考えております。英国では、オリンピック、パラリンピックを契機に、地方に観光客をふやすことにも成功したと聞いております。
現在、我が国への外国人旅行者は、東京、京都、大阪という、いわゆるゴールデンルートに集中し、当該地域のホテルでは予約が非常にとりにくい、あるいは観光バスが足りないということも聞いております。二〇二〇年に二千万人という目標を持っておりますが、このままゴールデンルートのみに観光客が集中しては受け入れが難しいと考えられます。
こうしたことから、観光客を地方へ誘導する必要があると考えておりますが、現在、この点についてどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○久保政府参考人 委員に御指摘いただきましたとおり、二千万人を達成するためには、いわゆるゴールデンルートや東京周辺に現在は集中している外国人旅行者を、全国津々浦々、各地域に呼び込んでいくことが極めて重要であります。そのためには、複数の地域が、点ではなくて、点から線、線から面へと結びついた広域の観光ルートを形成することが必要だというふうに考えています。
私ども、本年度から、地方公共団体あるいは観光関係団体と連携して、広域の観光ルートを形成していくという取り組みに対して支援を行っていくことを考えております。
地域の魅力のブラッシュアップと、またそれの海外への発信、あるいは、受け入れの環境になります無料WiFi環境だとか多言語に対応した表記の充実等を支援していければと思っています。現在、支援の対象とするルートについて、全国各地からの応募を目指して公募を実施しているところであります。
こういった取り組みを通じて、地域、地方にも多くの外国人観光客が行っていただくことを進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
○横山委員 大変ありがとうございます。
以上で、私、横山の質問を終わります。大変ありがとうございました。
○今村委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 維新の党の足立康史でございます。
住民投票も終わりましたので、改めてしっかり、これまでもしっかり国会活動をしてまいりましたが、きょうよりは、また心機一転、気合いを入れて仕事に邁進をしてまいりたいと思います。今村委員長のもとでしっかり頑張ってまいりたいと思います。
今国会、いろいろな委員会で、さまざまなテーマが取り上げられています。私は厚生労働委員会にも所属していまして、今労働法制が一つ下の階でえらい騒ぎになっていますが、この委員会は本当に和やかなムードで、大変すばらしいと思います。
私、個人的に、野党であるし、まだまだ若輩者でありますので、何かまだまとまった仕事ができるとは思っていませんが、どうしても、これまでも大臣に御相談をしてきております建設残土の問題は、私がというよりは、先輩議員の皆様のまた御支援というか御協力もいただきながら、何かやはり一歩前進をしていきたいなというふうに、希望というか、頑張っているところであります。
きょうは時間が限られていますが、建設残土の問題というのがどういう問題なのか、改めて私の方から簡単にちょっと申し上げたいと思うんです。
きょうはちょっと資料をお配りしていませんが、建設残土が崩落をする事故というのがふえてきています。
実は、関西のNHKが、NHK大阪が特集を以前組んだときに報じられた一連の経緯がありまして、平成二十一年に東広島で建設残土が崩落をして、住民一人が亡くなられた。それから、若干間をあけて、おととし、二十五年には、滋賀と埼玉でそれぞれ崩落事故があって、埼玉では住宅二棟が全壊をした、そんなことがありました。
さらに、去年になりますと、平成二十六年の二月に、私の地元大阪の豊能町で大変大規模な崩落事故がありまして、府道が半年にわたってストップするということで、大変な被害が出ております。たまたまそこにバスが通っていなかったり、あるいは人が歩いていなかったということで人身にかかわる事故にはなりませんでしたが、もしそこにバスが通っていたら大惨事となったわけであります。
同じ去年の三月には、福岡の久留米で崩落をする。それから、七月には、群馬の高崎で崩落のおそれが高まって応急安全対策が実施された。そんなことが報道されておるわけであります。
こうしたことを受けて、大阪では、松井知事のリーダーシップのもとで条例を制定いたしました。ただ、松井知事といろいろ話をしているんですが、これはちょっと事前に申し上げていませんでしたから復習していただいていないと思いますが、ことしの二月の十九日に、知事の名前で、国交大臣、農林大臣、環境大臣宛てに、法律制定の要望を出させていただいています。
背景には、今こういう事故が起こっているということもありますが、改めて現在の法律、法令の枠組みを見ると、建設発生土に係る土砂の埋め立てがいろいろ日本じゅうで行われているわけですが、その安全確保を主目的とする法令がないんですね。
したがって、私の地元の豊能でもそうでしたが、結局、砂防地であれば砂防法を援用する、森林法を援用できるところは援用する。あるいは白地、要は、そういう法律の網がかかっていないところは、端的に言うと何もできないというような、そういう状況にありますので、何らかの立法措置が要るのではないか。条例をつくっていますが、条例をつくった当事者として、その条例で全てが解決するとは思えないということで要望を申し上げているわけであります。
また、その中には罰則の規定もあって、砂防法が、罰金が二万円だという問題は以前も大臣に申し上げて、ああ、そうかということで御認識を改めてしていただいたと承知していますが、例えば、地域が条例をつくるとしても、地方自治法の上限があって、どうしても懲役は二年、罰金は百万以下ということで、条例はその上限に張りついているというのが、大阪の条例もそうですし、全国の数ある、何十、何百、何百はちょっとどうか忘れましたが、何十とある条例で上限に張りついているわけであります。そうしたことを考えると、やはり早急な対策が必要であると私は思っているところであります。
もう一つだけ、ちょっと最新の状況を申し上げると、私の選挙区は大阪の北摂の茨木市以西なんですけれども、東側に高槻市というのがあります。そこで、ある事業者さんが土砂の埋め立てを計画していたんですね。これは非常に適正に、大阪府とも協議をし、市役所とも協議をし、適正な土砂の埋め立てはたくさんありますね、当たり前ですけれども。
ところが、高槻市議会が、隣の豊能町で大変なことになったというものだから、全会一致で反対という決議か何かをされまして、本来適正に進んでいたはずの事業が地域の政治的な動きでとまってしまって、その事業者さんは、当たり前ですけれども、大変な借り入れをしておられて、それが今申し上げたような経緯でとまっていて経営の危機に陥る、経営の危機かどうかわかりませんが、その会社はしっかりした会社ですから大丈夫だと思いますが、大変御苦労されておられる。
何でこういうことになるかというと、先ほど申し上げた規範がないということですね。日本に今、建設残土にまつわる規範がないんです。だから、ほかの目的でつくられた法令を援用するしかない、びほう策で対処している。
こうした中で、大臣の方にも、ぜひこれは何らかの検討をしていただきたい、こう申し上げていますが、これは事務方に伺うと、関係省庁での検討のテーブルをつくろうという議論があるということは聞いておるんですが、進捗はいかがでしょうか。ぜひ大臣の方から御紹介をいただければと思います。
○太田国務大臣 建設残土の問題につきましては、昨年の十一月にも、またことしの二月だったと思いますが、足立委員から質問がありまして、答弁をさせていただきました。
これが崩落をして人身に及ぶということは避けなくてはならないことだというふうに認識をしておりまして、適切に対処していく必要があるという問題だと認識をしています。
これは、各省にまたがっていろいろな法律が、本当に多くの法律があって、それぞれに、規制の対象規模とか罰則とか、事前の許可が要るとか届け出が要るとかいう形になっているわけでありますが、ここは国交省が中心となって、関係省庁に働きかけながら取り組みを進めたいという答弁を私はしたと思います。
現在までに、正式な政府のいわゆる検討会という形ではないんですけれども、関係省庁の協力をいただいて、過去の残土崩落事案等についての情報交換も行って、実態の把握に努めているところです。
前回、二月でありましたが、お答えしたとおり、平成十三年以降二十一件の残土崩落事案を確認しておりまして、このうち、既存法令等に基づいて指導や命令を含めて改善を求めていたものが十六件ございます。
前回の答弁の後に新たに判明したところでは、この十六件の経緯について、指導に対し一部改善が見られた後、引き続き指導を行っている間に事故に至ったものは七事例、指導を受けた後に、場外処分地を模索中に事故に至ったものが一事例ということを現在のところ把握しました。これを踏まえて、指導のあり方についてさらに検討することが必要だと考えています。
また、残土問題を早期に把握して対応することが必要であると認識していまして、既存法令等に基づいて届け出とか許可が求められているという場合がありますので、検討は検討すると同時に、事前の許可、事前の届け出という事項がありますから、その段階で業者に対してどのように指導ができるかということを検討したいというふうに思っていまして、ここはこうだよということをしっかり届け出をしたときに私は言う必要があるのかなという感を持っております。
このように、議員からの指摘を受けて以降、関係省庁とも調査検討を進めているところでありまして、今後もさらに、かなり幅広い法律体系になっておりますものですから、関係省庁と連携しながら本件問題に対して検討を深めてまいりたい、このように思っています。
○足立委員 ありがとうございます。
まさに今おっしゃっていただいたように、一連の質疑を通して、あるいは大臣のリーダーシップでここまでいろいろ検討を進めていただいていること、調査を進めていただいていることについては、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
大臣、ただ、いわゆる検討会とか、私はよくテーブル、テーブルと言うんですが、これは私、実は国会質問をする過程でこの問題の根深さを改めて痛感をしています。
要すれば、質問通告するときに大変もめるんですね、事務方で。どこの省庁にその質問を申し上げるかということについて、事務方でえらい騒ぎになるわけであります。それは今でもそうです。
したがって、だからこそ立法府がしっかりと頑張らなあかんテーマだと思っていますが、少なくともテーブルはちょっとつくっていただきたいんです。名前は、検討会であれ何であれいいと思うんですが、大臣のリーダーシップで、ステージはまだ最初のステージだと思いますのでローキーで構いませんが、ぜひ事務方に御指示をいただいて、何らかの、もちろん関係省庁がありますから、国交省としては、まず、テーブルに関係省庁に着いていただくように速やかに御努力をいただけないでしょうか。
○滝口政府参考人 本問題につきましては、たびたび委員から御指摘をいただきまして、また大臣からの指示を受けまして、関係省庁との調整を今まで図ってきたところでございます。
御指摘の検討の場については、大臣の指示を受けまして調整に入っております。先ほど大臣の方から御紹介申し上げましたように、関係する法律が非常に多いものですから、本件について網羅的に検討するためには、できるだけ多くの関係者の方々に御参加いただければというような思いで調整を進めております。
一方で、この検討の場で一体何をするんだ、どういったことを目指すのかといったことについて、関係省庁の担当者の方々はいろいろな行政上の立場というものがあるものですから、そういったことを踏まえながら、どういった性格の検討の場あるいはテーブルにするかといったことも含めて、今調整を引き続き進めさせていただいております。
一方で、たびたび委員が御指摘をいただいたこともありまして、国会でこういったことが問題となっているんだということで、先ほど大臣の方から御紹介申し上げましたように、二十一件の具体的な内容について、私どもの持っております問題意識のもとで、できるだけ実態を把握していこうということで、指導の過程と崩落事案が起こったタイミングといったようなことについて、関係省庁とも情報交換をやりながら、まず事実関係についてできるだけ把握していこうという努力を引き続き進めているところでございます。
○足立委員 今局長の御答弁を聞いていただいて、委員の皆様もこの問題の雰囲気は御理解いただけると思いますが、とにかく、テーブルをつくろうと思っても、では、それは何のテーブルだというところで大議論になるわけでありまして、ただ、繰り返し申し上げますが、私は、太田大臣、最初は、これはそもそも、どの役所が音頭をとってこの問題にフォーカスを当ててくださるかということも決まっていなかったんです。その中で、太田大臣のリーダーシップで、国交省がとりあえず真ん中に立って、今局長もいろいろ御努力をいただいているというところについては、大変前進をしてきているというふうには思っております。
局長、これは準備にいろいろ手間取っているというのはわかりますが、何か期限は切れませんか。
○滝口政府参考人 多くの関係省庁、それぞれお立場が実はあります。ということで、中には、こういったことであれば参加できるといったことを言っていただいている省庁もありますので、そういった関係省庁の方だけでもまず集まっていただくということも一つの方法かなと思っております。
まず、立候補をすることが重要ではないかと思っておりますので、そういったような問題意識を持って本件について対応いたしたいと思います。
○足立委員 大臣、ありがとうございました。
きょうは環境省、農水省もお越しをいただいていますが、これは、手間取っているのは、環境省、農水省、いらっしゃいますよね。国交省がテーブルを用意すれば、建設残土の安全確保について国交省が何らかの場をつくれば、参加していただけますね。ちょっと御答弁ください。
○本郷政府参考人 関係省庁の情報共有とか連携を強化することは非常に重要であるというふうに考えておりまして、国土交通省を中心とした調査検討に協力してまいったところでございます。
検討の場の設置ということにつきましては、国土交通省から具体の提案があった場合には、連携を深める観点から参加を検討してまいりたいというふうに考えております。
○塚本政府参考人 環境省といたしましても、建設残土の管理に関しましては、国土交通省から検討会に関するより具体的な御提案があれば、連携を十分図ってまいりたいというふうに存じております。
○足立委員 局長、具体的な提案をぜひ、今月中にできませんか。
○滝口政府参考人 ただいまお答えいただきました二省庁については、前向きに御検討いただけるということを今伺いましたので、ぜひともできるだけ早いタイミングでこういったものについて考えたいと思います。
○足立委員 ありがとうございます。
もう本当に、私たちも政治生命がいつまであるかわかりませんので、ぜひ早いタイミングで、できれば、ずっと時間がたっています。先ほど大臣からも御紹介があったように、去年から問題提起をさせていただいて、二月にも御答弁いただいています。もう五月ですから、ぜひ今月中に結果を出していただきたい、こう御要望申し上げておきたいと思います。
あと残る五分で各論にちょっと入りたいんですが、先ほど罰則の話を申し上げました。その罰則の話に入る前に、では、何を守らないといけないのかというのは、結局、土砂を盛り土をしたりするときに技術基準が普通はありますね。でも、今申し上げたように、砂防地については砂防法の技術基準が適用されます。森林法が適用されているところは農水省がつくっている技術基準。国交省の中でも局によってまた違います。あるいは、白地であればそもそも技術基準がない。
もうすごいんですよ。私の地元であれば、例えば、砂防法に基づいてだったかな、逮捕者を出しました。その逮捕者を出した山、今も城壁のような形で石が積み上げられて、それが崩れないように、崩れないようにしながら土砂のお城が今できつつあって、今も動いています。結局、何もとまっていません。
それは、技術基準の問題も含めて、結局、ほかの目的のものを援用しているからです。私は、土砂の崩落事故がこれだけある中で住民の安全確保をしていくためには、要すれば建設残土に係る安全確保をするための統一的な技術基準が要る、こう思いますが、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
建設残土を公共事業で活用する際、建設残土を使う場合ですけれども、環境基本法などに基づきます環境基準を満たすということ以外に、やはり、河川ですとか道路とか、そういう用途に応じた土質であるという必要があります。
具体的に申し上げますと、例えば、環境基準に適合した土を使う場合に、これは建設残土以外も同じなんですけれども、それぞれの構造物の目的ですとかあるいは機能に応じて求められる材料としての基準、これに適合させる必要がございます。
例えば、河川堤防の場合ですけれども、洪水とか大雨のときに水が堤体に入らないように、入りますと不安定になりますので、そういうふうにならないようにするために、主として、透水性と申しまして、水の通しやすさ、これの低いものを使うということになります。一方で、道路に関しまして言いますと、自動車とか降雨に対して安定性確保ができるために、今度は透水性が高い材料が求められる。
このように、各構造物で求められる基準につきましては、求める性能に応じて定めなきゃいけないということでございますので、統一するということは困難というふうに考えております。
○足立委員 今御答弁いただいたのは、土木構造物についての技術基準だと思いますが、私が申し上げているのは、建設残土を置いておくときですね。ごみではないです。廃棄物ではないわけです。構造物をつくっているわけじゃないんです。
発生した建設残土を次に何か活用することがあるのかないのかわかりませんが、いろいろなケースがありますが、それを置いておくときの技術基準がないからこうなっているわけです。その法令、規範がないから、他の法律を援用しているだけなんです。そこに規範は要るんじゃないですかと言っているんですけれども。
○滝口政府参考人 御指摘のように、先ほど来御紹介を申し上げております多くの法律というのは、建設残土自体の盛り土について規制をするものではないというのは事実でございます。一方で、それぞれの法律が何らかの目的を持っておりまして、その保護すべき空間において建設残土の盛り土のような行為が行われる場合には、届け出あるいは許可の対象としているということでございます。
当然のことながら、そうしたものが崩落した場合には、その法律によって守ろうと思っているある目的、価値、実現しようと思っているもの、これが損なわれるということでございますので、それぞれの法律に従ってどういったような行為が規制されるのかというのは、それぞれの法律に従って考えられるべき問題だろうと思います。
しかしながら、いずれにしても、人命を失うというようなこと、あるいは財産を失うということは、どういった法律でも、それは予定をしていない制限すべき行為だというふうに考えているのではないかと思っております。
このあたりがどういったような技術基準になっているのか、こういったことについても私どもは考え方を把握して、どういった考え方を私どもは持つべきなのかということについて検討を進めてまいりたいと思っております。
○足立委員 時間が参りましたので終わりますが、今おっしゃったのは、既存の法令です。当然、既存の法令の統一性の話もありますが、白地もあります。私は、必ず自分の任期中に、私一人では何もできませんが、何らかの規範をつくっていく、技術基準もそうだし、罰則もそうだし、そのためにしっかり力を尽くしてまいりたいと思いますので、委員各位におかれましては、また引き続き御指導をいただければと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございます。
○今村委員長 次に、門博文君。
○門委員 自由民主党の門博文です。
このたびは質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。
本日は、観光、特に訪日外国人旅行客について質問をさせていただきたいと思っております。
皆さんも報道等でごらんいただいたかと思いますけれども、先週の土曜日、日曜日、安倍総理が、私ども地元の和歌山県をお訪ねくださいました。世界遺産であります高野山、そして熊野古道を回っていただきまして、改めて日本の、そしてこの地域の世界的観光価値を感じていただいたことと思います。
その場で、地方の消費税免税店をふやすことや、CIQの充実に取り組む意向を表明され、そして、それらを盛り込んだ観光立国アクションプログラム二〇一五の策定を関係閣僚に指示することを明言されました。まさに観光地の現場で外国人旅行客の動向をかいま見られた、また、地域の期待の声に応えての御対応だったかと思います。
地方創生の柱として、観光は各地域で大変期待されております。しかし、絵に描いた餅ではなく、実際の果実が得られるように取り組んでいかなければなりません。私も民間で観光の仕事をしておりましたけれども、観光というのは、全国各地、津々浦々、どこの自治体に行きましても、これで地域がよみがえるとか盛り上がるというようなことを皆さんおっしゃるんですけれども、なかなか絵に描いた餅を果実にするのは、実際のところは大変難しいというふうに思っております。
そこで本日は、訪日外国人について質問をさせていただきたいと思います。それでは、質問に入らせていただきます。
訪日外国人旅行客については、昨年、これは皆さん御承知のとおり、一年間で一千三百四十一万人を達成いたしました。改めてこの実態と、そしてまた、もうことし、本年に入っておりますけれども、それ以降の展望について観光庁にお尋ねをいたします。
また、今冒頭触れましたけれども、先日の総理のアクションプログラム策定の御指示について、観光庁としての意気込みなどありましたら、一言添えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○久保政府参考人 お答えいたします。
訪日外国人旅行者数でありますけれども、ことしに入ってからも、一月から三月までで、前年同期比ですけれども、四三・七%増の四百十三万人となっておりまして、さらに四月も継続して好調となっております。このため、二〇一五年、本年の年計では千五百万人をはるかに超えることが期待されているところです。確実に目標の二千万人を達成するためには、さらに取り組みを加速化させていくことが重要であるというふうに考えております。
また、急増いたします訪日外国人旅行者に対応するため、無料のWiFi環境だとか、空港、港湾のCIQ体制の充実、空港容量、宿泊施設等の供給確保、地方における免税店の拡充などの受け入れ環境の整備が急務だというふうに考えています。
これらの施策を含めまして、現在、改定に向けた議論を行っておりますアクションプログラムについて、総理からの御指示をも踏まえまして、関係省庁と連携し、速やかに取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○門委員 ありがとうございました。
今長官から、ことしに入ってからの訪日外国人旅行者の伸びについてお話をいただきまして、長官からはちょっと控え目な言葉だったかと思いますけれども、私はこの調子で、よっぽど隣国といろいろなことが起こらない限り、限りなく二千万人に近づくような数字がこの二〇一五年で実は達成されるのではないかなというふうに期待をしております。
御承知のように、政府は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの年に二千万人を目指す、そしてまた二〇三〇年に三千万人の高みを目指すということですが、本当にこのペースをさらに上回って推移をしそうだということで、大変期待も膨らんできております。また、そうなるように、私たちもしっかりと取り組んでいかなければならないと改めて感じました。
さて、今は旅行者の人数のことをお伺いさせていただきましたけれども、今度はちょっと別の観点からお伺いをさせていただきたいと思います。
地方創生、地方の経済に影響を与えますのは、何といっても売り上げです。円、お金であります。たくさんの人にお越しいただくこと自体は大変ありがたいことですけれども、人はいっぱい来ましたけれども、その地域にお金が全然落ちませんでしたということでは、我々が期待していることから、ちょっと残念なことになります。やはりその地域に幾らお金が落ちたか、どれぐらいの経済効果があったかというのが、これが一番の肝になるんだと思っております。先ほどの総理の地方の免税店をふやす御指示も、やはりたくさんの人に来てもらって、その上で地域にお金を落としてもらうことの重要性をお感じになられてのことだと思います。
そこで、外国人旅行客の皆さんからもたらされている売り上げ、消費について、現在観光庁が把握されている現状を御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○久保政府参考人 お答えいたします。
昨年、二〇一四年の訪日外国人、日本に来られた外国人の旅行消費額、これは前年と比べて四三・一%増の二兆二百七十八億円となって、過去最高額となりました。
国籍、地域別で見ますと、中国の五千五百八十三億円、次いで台湾の三千五百四十四億円、韓国の二千九十億円等の順となっております。
費目別で見ますと、いわゆる買い物代が七千百四十六億円と最も高く、次いで宿泊費六千九十九億円、飲食費四千三百十一億円となっております。買い物代の支出額は、中国の方が一人当たり十二万七千四百四十三円と、他の国籍、地域に比べて大変高くなっている、そういう現状でございます。
○門委員 ありがとうございました。
今、お手元の方にも、資料二、資料三ということで、外国人旅行客の消費についての資料をお配りさせていただいております。
昨年は外国人旅行消費額が二兆円を超えたとのことでしたけれども、さまざまな国の傾向も含めて今資料の中にお示しをいただいておりますが、この中でやはり今注目すべきは、例えば中国からの旅行客の買い物代だというふうに思います。
これもテレビや新聞等で皆さんもお聞き及びのいわゆる爆買いという言葉も、巷間よく聞かれるようになりました。また、銀座とかそれから大阪の心斎橋付近を我々が歩いておりましても、中国を中心とした外国人旅行客で大変にぎわっております。
先日も、個人的にですが、在日本の中国大使館の方とお話をする機会がありましたけれども、中国人の消費総額は、今の資料にもありましたけれども、五千億を一年間で超えて五千六百億円を昨年は記録したということですけれども、大使館の方がおっしゃるには、ことしは間違いなく一兆円に到達しますと。随分、銀聯カードというものの普及であったり、日本側の受け皿も充実されていることもあって、中国大使館としても、この一年間で中国人の買い物は一兆円を超えるということを自信を持っておっしゃっておりました。
そんな状況でありますので、私たちは、買い物をしてもらう外国人旅行客のために、ここは国を挙げていろいろな努力とか工夫をこれからしていかなければいけないのだというふうに思っております。
ただ単に免税店をふやすということだけでなくて、それに加えて外国人に対するいろいろなツールを備えていく。例えば、お店に通訳を配置するとか、それから外国語の看板やパンフレットをつくるとか、これは大手の資本はそういうことは自前でできると思うんですけれども、中小企業や中小の商店、そして地方は、なかなかそういうことにたけているスタッフが社内におりません。そういうところまで観光庁としてぜひ私はサポートしていただきたいなというふうに思います。
私も自分が民間でおった経験からいいますと、やはり通訳の人を一人売り場に配置すると、売り上げが倍になったり三倍になったりするようなことも自分で経験をしてまいりました。これは、免税店だけをつくっていくということではなくて、売るすべも国を挙げて講じていくことが私は必要だと思います。そして、その上で、ほとんどの地域が今観光で地方創生と期待を寄せておりますので、ぜひとも、手とり足とりになるかもわかりませんけれども、観光庁から手厚いサポートをお願いしたいと思いますが、そのあたりの御見解ないしは取り組みについてお聞かせください。
○久保政府参考人 確かに、御指摘のとおり、免税店の、これは税務署への申請が要りますけれども、申請の段階での支援をやっておりますけれども、それに加えて、免税店になっていただいた後の支援も大変重要だというふうに私どもも考えております。
この観点から、観光庁としましても、例えば、免税店の事業者の方が店頭、お店のところで円滑に免税手続を実施できますように、多言語での説明シートを私どもで用意しています。また、観光庁のホームページに掲載しておりまして、そのまま使っていただくことができる、御利用していただいているところでありますが、一層の普及と利用促進を図っていきたいというふうに考えています。
また、私どもの出先の地方運輸局に免税の相談窓口を設置しております。地域の免税店の事業者の方々、お店の方々の相談にもしっかりと対応できる体制を整えております。
また、その際、経済産業省あるいは地域の商工会議所との連携が非常に重要でありますので、経産省そして地域の商工会議所等ともよく連携して、免税店の事業者の方々、お店の方々をしっかり支援していきたいというふうに考えております。
○門委員 ありがとうございました。
ぜひ、観光庁が先頭に立って、そのことに取り組んでいただきたいと思います。
先ほど冒頭にもお話をしましたけれども、どこの地方自治体も観光で地域を活性化するとおっしゃっています。しかし、そこにたくさんのお客さんが来てくれることも大事ですけれども、やはり、来てくれたお客さんによってその地域に売り上げが落とされる、消費が落とされる、それによって初めてその地域の経済が潤っていく、活性化していくということなので、ともすれば、来てもらうことだけに目が行って、それで自己満足に終わってしまうということもあると思いますので、商売人の感性という言葉がいい言葉かどうかわかりませんけれども、そういうものをみんなが持っていく先頭に観光庁もぜひ立っていただけたらなというふうに思います。
先週は、上場企業の決算報告もありました。各企業とも非常に好調な推移をしているというふうに聞いております。その中でも、報道を通じて拝見していますと、例えば百貨店とか、それから化粧品メーカー、それから鉄道会社、そういうようなところは、外国人による消費で極めて好業績を記録している会社もたくさんあるということでした。そして、今申し上げたように、地方も大変期待をしておりますので、観光庁、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、少し角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。
委員の皆さんも、選挙区と東京の間を鉄道や航空機で毎週、毎日移動されていると思います。私も、関西空港から飛行機であったり、また、新大阪から新幹線を利用して移動させていただいておるんですけれども、最近気づきますことは、何に乗っても外国のお客さんがふえたなということなんです。新幹線でいいますと、同じ号車に大きなスーツケースを携えて乗っていらっしゃる外国人の方がほとんど必ずいらっしゃいます。飛行機もしかりです。
先日、地元のJR西日本の支社に伺いますと、外国人の利用は年々倍々ゲームだと聞きました。今まで、鉄道のみならず、我が国の交通インフラは日本人のためのものと思っておりましたが、これからは、整備計画やサービスの提供など、外国人旅行客の利用という視点を大いに取り入れなければならないと思います。
そこでお伺いいたしますが、鉄道について、現在、外国人の利用の現状を把握されている限りで鉄道局からお話を聞かせていただきたい、そしてまた、今後の取り組みもあわせてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
訪日外国人がどの程度鉄道を利用しているかということにつきましては、これは技術的になかなか難しい部分がございまして、実数として把握しておりませんけれども、各鉄道事業者が訪日外国人向けの企画乗車券を発行しております。
その代表例として、JRの全国の路線に乗車可能なジャパンレールパスというものがございます。この発売枚数を見ますと、最近三年間を少し申し上げますと、平成二十四年度三十二万枚、二十五年度四十三万枚、二十六年度六十万枚ということで、この二年間でほぼ倍増しております。こういった環境の中で、やはり外国人も日常的に幅広く鉄道を利用するということを前提に、利用しやすい環境をつくっていくことが大事だと思っております。
具体的には、現在、鉄道事業者におきまして、主な駅、ターミナル駅等において案内所の充実を図っております。それから、情報をわかりやすく伝えるために、案内表示、案内放送の多言語化や駅のナンバリング等を進めております。さらに、公衆無線LANの整備といった形で情報提供の仕組みを進めておるところでございます。
今後とも、こういった対策を進めまして、外国人の利用しやすい環境整備に努めてまいりたいと思っております。
○門委員 ありがとうございました。
引き続き、その観点も重視してお取り組みをいただきたいと思います。
次に、道路についても御見解をお聞かせください。お願いします。
道路整備についても、今までは費用便益分析、いわゆるBバイCなどの今までの事業評価手法に加えて、これからは、私は、観光を通じて地域の発展を図っていくという観点も事業評価には必要でないかと思っております。
走行時間の短縮、そして走行経費減少、交通事故減少など、現実に目を向けることは大変重要ですけれども、これからの発展性や、特に、今まで触れてまいりましたように、外国人旅行客の移動というものも大きな可能性だと思います。
これまでの取り組みで、道路の整備が観光の面で大きな成果をもたらしたなど実績がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。あわせて、外国人旅行客、外国人を意識した取り組みなどもございましたら、よろしくお願いいたします。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
道路整備の観光面での効果の事例ということでお尋ねがありました。
二つほど申し上げたいと思います。
一つは、委員御地元の和歌山県白浜町でございますけれども、約十年間で外国人観光客が約七倍になったというふうにお伺いしていますが、これは、阪和自動車道整備による関西国際空港からのアクセスの改善が寄与していると考えております。
また、昨年六月の圏央道の開通により、富士山と富岡製糸場という二つの世界遺産を結ぶ新たな観光ルートが形成されました。その結果、観光客の増加に貢献しているものと考えております。
あわせて、道路整備の中で、外国人観光客の受け入れ環境というお話がございました。
一つは、平成二十六年四月に改正した標識令に基づきまして、道路案内標識の英語表記の改善。それからもう一つは、道の駅の拡充でございます。全国に千五十九、道の駅がございますけれども、そこにおきまして、外国人のニーズに対応いたしまして、外国人観光案内所の設置であるとか、あるいは地域の特産品が購入できる免税店、さらには無線公衆LANの整備など、これらも通じて外国人の受け入れをさらに進める環境整備を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○門委員 ありがとうございました。
ぜひ、日本の道路ですけれども、外国人のお客さんが乗った観光バスが走るとか外国人の方が運転するレンタカーが走るとか、そんな想像力を持ってこれからも御対応いただきたいと思います。
最後に、鉄道と道路をお伺いしましたので、航空行政についてお尋ねをいたします。
日本には大変空港がたくさんありまして、例えば地方空港は百近くあって、必要以上に空港をつくり過ぎたという御意見もあります。私たちの地元の関西では、関西空港、伊丹空港、神戸空港と三つの空港があって、無駄だという意見もありました。かつては、そういう考えや、そう考えることもやむを得なかったと思いますが、私は、今、訪日外国人旅行客が二千万人、三千万人時代を迎えるに当たっては、その考えは全く当てはまらなくなってきたのではないかと思っております。
先日は議連の関係で、成田空港にもう一本滑走路を整備してほしいという千葉県の地元の皆さんの陳情にも同席をさせていただきました。これまでは、多くの外国人旅行客の皆さんに日本に来てほしいと思っていましたけれども、来てくれるかなという不安があったと思うんです。しかし、現実は、この伸びを見ていますと、今度は逆に、果たして今の空港事情で来たいお客さんを十分に受け入れられるかなという不安が私たちの目の前に存在しているような気がいたします。
そこで、改めて航空局にお尋ねいたします。
将来の需要、交流の拡大を視野に、これからの航空行政の課題と展望を簡便にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○田村政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたように、我が国内外の交流人口をどんどん拡大していかなければいけないということでございますので、増大する航空需要に適切に対応していく必要があるというふうに考えております。
特に、我が国の航空利用客の約三分の二、そして、訪日外国人の約半数が首都圏空港を利用しておりまして、訪日外国人の受け入れに万全を期すためにも、さらなる機能強化を図る必要があるというふうに考えております。このため、羽田空港における飛行経路の見直しでございますとか、成田空港における高速離脱誘導路の整備等によります空港処理能力の拡大を目指しまして、今関係自治体と協議を進めているところでございますし、その先の中長期的な機能強化策の検討についても進めてまいりたいというふうに考えております。
また、関西空港ではLCCターミナルの整備でございますとか、中部空港でエプロン整備をやっているとか、そういうことで航空会社が就航しやすい環境整備を進めております。また、那覇でございますとか福岡でございますとか、滑走路の増設にも取り組んでまいります。
その上で、やはり全国の空港の受け入れ体制の機能強化、受け入れ体制の強化充実というのが非常に重要だというふうに認識をしておりまして、エプロン整備だとか、それから関係省庁と連携したCIQ体制の充実、こういうものを速やかに推進してまいります。
これらの取り組みに加えまして、ターミナルビルにおける多言語化対応等を進めるなど、利用者の目線に立ってハード、ソフト両面から必要な取り組みを推進しまして、空港の受け入れ体制の充実強化に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○門委員 ありがとうございました。
ぜひ、この国を挙げて、観光立国、外国人旅行客の皆さんにもたくさん訪れていただいて消費をしていただいて、この国がまた発展をしていく、その思いで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○今村委員長 次に、真山祐一君。
○真山委員 公明党の真山祐一と申します。
本日は、本委員会におきましてこのような貴重な質疑の時間をいただきましたこと、委員長を初め理事、委員の皆様に心より感謝申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、火山対策についてお伺いをさせていただきます。
現在、箱根山初め、さまざま各地で活動火山に対して世間を騒がせているところでございます。私は比例東北ブロックの選出でございまして、東北地方でも、宮城県、山形県にまたがる蔵王山、そして福島県の吾妻山、こういった山が警戒が必要な状況になっている状況でございます。
そして、私も、四月二十九日に蔵王山を訪問させていただきました。
蔵王山は、宮城県と山形県にまたがる山でございまして、その中央部には火口湖でございます御釜が有名でございまして、東北でも有数の観光スポットでございます。この蔵王山では、四月の七日以降、御釜付近を震源とする火山性地震が増加しておりまして、四月の十三日に、気象庁は、想定火口域からおおむね一・二キロメートルを警戒範囲とする火口周辺警報を発表いたしました。現地では、関係行政機関を中心に蔵王山火山防災協議会を開き、対策に当たっているところでございます。
私がお伺いさせていただいた折には、蔵王町役場でさまざまな自治体としての対策、取り組みをお聞きするとともに、温泉地でございます遠刈田という場所に行かせていただきました。この遠刈田という場所は、想定されております一・二キロの範囲からすれば、十キロの距離にございまして、噴石が飛んでくることは考えられない地域ではございますが、やはり各旅館におきましては、噴火、噴石に関する問い合わせが殺到している状況でございまして、そういったことに対する宿泊客のキャンセルということも起きているようでございます。私がお伺いさせていただきました旅館では、この秋口の団体の観光客が百五十名、一気にキャンセルになったというお話もお聞きしたところでございました。
こうした宿泊キャンセルにつながる要因として二つの側面があると思っております。
一つには、実際の地理的関係がわからないことでございます。先ほど申したとおり、想定される火口域からは十キロの距離にありまして、噴石等の心配はそれほど考えられないわけでございますけれども、やはり心情としては不安を感じてしまう点でございます。
もう一つの側面は観光でございます。今回、警報が発表されました地域はまさに観光スポットでございまして、この時期は、雪の回廊で有名な蔵王エコーラインを通過して宮城県と山形県を行き来する、そういった東北の観光ルートになっております。
この蔵王エコーラインが先ほどの一・二キロの範囲にかかっておりまして、例年であれば、除雪を済ませて観光客が行き交う時期でございますけれども、今回の警報によって除雪もできず、エコーラインは不通のままになった状態でございます。
こうした状況の中で、周辺の温泉地にだけ宿泊しようというお客様はやはり激減してしまうのが現実でございます。この蔵王山周辺の観光業も大変厳しい状況になっておりまして、各旅館や自治体、さまざま対策を講じているところでございます。
そうした中で、特にこの蔵王山におきましては、当然、人命救助、人命が第一でございますけれども、必要な対策を講じた上での話ではありますけれども、この蔵王エコーラインについてだけは通してほしい、こういった要望もいただいておるところでございます。
この想定火口域に関しまして一点お伺いをさせていただきます。
火口周辺警報発令時における警戒区域の範囲設定について、その基本的な考え方について気象庁にお伺いをいたします。あわせて、先ほど申したとおり、人命救助が第一としながらも、万全な防災対策を講じた上で、そうしたことを前提に、この区域について弾力的な範囲設定が可能かどうかお聞きしたいと思います。
○西出政府参考人 火山噴火による警戒が必要な範囲につきましては、過去の噴火事例等に照らしまして想定される噴火現象に基づきまして、国の関係機関、火山専門家が参加する火山防災協議会におきまして地元自治体と協議を行い、設定しているものでございます。火山防災協議会が設置されていない場合でも、おおむね同様な形で会議を開催して設定しているところでございます。
蔵王山につきましては、今委員から御指摘がありましたように、御釜を含むカルデラ内のどの場所からでも水蒸気噴火が発生する可能性があるということから、噴石が飛ぶ距離をシミュレーションで求めた結果に基づいて、このカルデラの外縁からおおむね一・二キロメートルを警戒が必要な範囲としております。
この警戒が必要な範囲は、今申し上げましたように、科学的知見に基づいて設定するものであります。一方、現実の立ち入り規制等につきましては、地域の事情等を勘案して、地元自治体において定められております。
○真山委員 ぜひ地元の意見に耳を傾けていただいて、善処をお願いしたいと思います。
この火山対策に関連してもう一つお聞きをさせていただきます。
地方自治体が活動火山対策等を行う経費についてでございますけれども、特別交付税措置が行われておりまして、降灰除去事業、避難のための施設や災害備蓄用品の整備などがこの交付税の措置対象になっていると承知しております。
今回の蔵王山の火口周辺警報のようなケースにおいて、人命救助が第一義である一方、観光客の落ち込みによって地元観光業者にとって大きなダメージをこうむっており、実際に周辺自治体では観光対策のための補正予算を講じるなど、その対策に懸命に努力しておりますが、財政力の乏しい小さな町にとっては大変重い負担になってございます。
こうした火山活動による副次的な影響の対策に要する経費に対しても特別交付税措置を講じるべきと考えますが、見解を総務省にお伺いいたします。
○橋本(嘉)政府参考人 お答えいたします。
噴火等に伴う降灰除去事業など、活動火山対策に要する経費に係る地方公共団体の財政負担につきましては、補助事業の八割、単独事業の五割を特別交付税により措置することとしております。この特別交付税措置は、活動火山対策特別措置法に基づき、火山現象によって直接必要となる活動火山対策事業に要する経費を対象としております。
委員御指摘の、観光対策など副次的な影響への対策に要する経費につきましては、その内容がさまざまでありますことから、一律に活動火山対策事業として措置することは困難ではありますが、関係地方公共団体が実施する事業の内容、その財政負担等をお伺いした上で、必要に応じ、財政運営に支障が生じないよう、特別交付税による支援を検討したいと考えております。
○真山委員 地元自治体にとりましては、当然必要な対策ではございますけれども、臨時的な防災対策、そして観光業対策、この二つの対策を迫られているわけでございまして、まさにダブルパンチを受けている状況にございます。そうした自治体をしっかり支えていただきたいというふうに思います。
また、そういった対策を講じる中で、さまざま課題もいただいておりまして、先日は、自民党の宮城県連、山形県連、そして公明党の宮城県本部、山形県本部合同で、国交大臣に火山対策の要望をさせていただきました。監視体制の強化、また、それに伴うさまざまなインフラ整備、そういった細かいことも含めて要望をさせていただいた次第でございますけれども、関係する皆様は、人命救助のための防災対策、そして、風評と言っていいのかわかりませんけれども、観光業の落ち込み、こういったことに対する対策に日々全力で取り組んでいるところでございまして、活動火山対策、特に蔵王山の対策について国交大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○太田国務大臣 箱根についてはかなり報道等でも扱われていて、どこが入ってはいけない地域であるかという、三百メーターのところが指定されたりして、ほかは大丈夫だ、ぜひとも観光も使ってください、ルートも変更したり十分できますということが発信されているというふうに思います。
ところが、蔵王については、私も、まずここはしっかりそうしたことを支援しなくてはいけないと強く思っています。要望も受けまして、ここのまず監視、どこが入ってはいけない地域なのかということの測定、特定ということをしっかりやる必要があります。
そこで、御釜のところに監視のカメラができなかったという状況でありますものですから、日曜日の日にそれを、決死隊ではありませんけれども、十分注意をしながら入って、そして監視のカメラを設置いたしました。そこで情報がさらに詳細にとれていくというふうに思います。
それから次には、地元と科学者を含めた対策を協議する協議機関というものをしっかり動かしていくということが大事でありまして、地元自治体と火山防災協議会の準備というものを今進めているところでございます。
そうした基本的なことをやらせていただいた上で、私たちとしては、ここがどういうふうに今危険な状況にあるのかというものを正確に多くの方々に周知徹底し、そして、そのほかはどのように大丈夫かということについてやるということをさせていただいているところでありまして、今、一・二キロの範囲でこの規制がされているわけですが、それすらもより厳密にすると同時に、それ以外の区域にはたくさんの温泉旅館等があるわけでありまして、そこも大丈夫であるということについてわかりやすく情報を発信したい、このように思っています。
カメラの設置は、日曜日と申し上げましたが、月曜日に行わせていただいたところでございます。訂正します。
○真山委員 要望させていただいてから即迅速な対応をいただいておりますことに、心より感謝申し上げる次第でございます。引き続き、力強い御支援をお願いさせていただきたいと思います。
続きまして、東日本大震災からの復興についてお伺いをさせていただきます。
現在、復興集中期間以降の取り組み、財源について議論がなされております。国交省におきましても、これまで、被災者の高速道路無料化措置や常磐自動車道の前倒し開通、さらには災害公営住宅建設など、重要な復興の事業を担っていただいておりました。
さて、今般、復興庁が復興集中期間以降の方針について発表いたしました。これまでの事業を精査し、一部地元負担を求める内容でございます。確かに不要な事業の精査は必要でございますが、その結果が、復興をおくらせる結果になってしまっては絶対になりません。
国交省関連の復興事業として大きなものは、やはり道路でございます。私は福島県在住でございますが、相馬福島道路といった復興道路について、地元負担による事業遅延、財政負担が発生することが大きな不安の種になっております。この復興道路は、三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、東北横断自動車道、東北中央自動車道の四路線が指定になっておりまして、復興事業に位置づけ、加速度的に進んでいる事業でございます。
また、そのほかに、福島県内におきましては、ふくしま復興再生道路として重要八路線が定められておりまして、整備が進捗しているところでございます。この路線の多くは浜通りと中通りをつなぐ重要路線でございまして、避難者の皆様が一時帰宅等で往来する重要な路線でございます。
また、いわき市内を走る小名浜道路は、いわき市は多くの避難者を受け入れております自治体でございまして、居住人口がふえたことによって道路渋滞も大きな課題になっているところでございます。その渋滞解消の意味でも、この道路整備が求められているわけでございます。
いずれの路線も復興に大きな影響を与える事業でございまして、福島県にあっては、まさに原発事故由来と言って差し支えないと思いますが、そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。
この復興集中期間以降の復興事業における道路整備について、復興庁に基本的なお考えをお聞きいたします。
○北村(信)政府参考人 お答えをいたします。
平成二十八年度以降の復興事業に関する自治体負担のあり方につきましては、災害復旧事業や被災者支援、高台移転や災害公営住宅など、復興の基幹的事業として実施されるもの、あるいは原子力災害に由来する復興事業につきましては、自治体負担をゼロとすること。他方、震災からの復興に資する事業であり、かつ、地域振興や将来の災害への備えといった全国共通の課題への対応との性格もあわせ持つものにつきましては、自治体負担を導入していくこととする方針をお示ししたところでございます。
御指摘の道路事業につきましては、地域振興や将来の災害への備えといった全国共通の課題への対応との性格もあわせ持つものでありますことから、この方針に沿って自治体負担を導入していくものと整理をしております。
また、自治体負担を求める程度につきましては、全国における一般事業の負担の程度と比べて十分に軽減された、自治体の財政負担に配慮したものとすることとしておりまして、事業の進捗に大きな影響を及ぼすようなものにはならないと考えております。
今後、被災自治体の意見を十分に踏まえながら、自治体負担の対象事業や程度につきまして、六月中に政府部内で最終的な整理をしてまいりたいと存じます。
○真山委員 ただいま復興庁より答弁いただきましたけれども、国交省としてのお考えはいかがでございましょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
復興道路、それから復興支援道路につきましては、東日本大震災からの復興の基本方針に位置づけられました道路でありまして、復興を支援する大変重要な道路であると認識しております。
これらの道路につきましては、地域の全面的な御協力のもとで、異例のスピードで事業が進められております。
復興道路、復興支援道路は、全長五百八十四キロメートルございますけれども、既に開通済みの区間、それと開通予定を公表済みの区間、これらを合わせますと全体で四百七キロということで、全体の約七割に相当いたします。
国交省としても、非常に重要な復興を支える道路と考えておりまして、早期に機能が発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○真山委員 ぜひ、この道路事業、地元の要望も強い件でございますので、支えていただきたいというふうに思います。
もう時間がなくなってまいりましたので、通告していた質問を飛ばさせていただきまして、最後の質問をさせていただきたいと思います。
先ほどの道路事業、これは復興に関して大きな事業でございます。そのほかにも、JR常磐線の早期開通、こういったことも要望としていただいておるところでございますけれども、さまざま、復興事業に関して、復興庁が先頭に立ちながらも、国土交通省に担っていただく役割は非常に大きなものがございます。
この復興集中期間以降、つまり復興・創生期間におきまして、国交省の力に期待するところは大きいわけでございますけれども、最後に、東日本大震災からの復興にかける大臣の御決意をお伺いさせていただきます。
○太田国務大臣 道路を初めとする基幹ということについては、全力を挙げてきまして、ほぼ順調に進んできたと思いますが、おくれてきたというまちづくりやあるいは住宅、こうしたことについては、かなり予定どおりの工程の中で来ていると思います。
予算の問題等については復興庁の管轄でありますけれども、我々としては、早く復興ができたなという実感が得られるように一生懸命進めていきたい、このように思っています。
○真山委員 時間となりましたので、以上で終わりますけれども、ぜひ被災者に寄り添う復興のさらなる加速をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○今村委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。よろしくお願いを申し上げます。
きょうは、愛知県の設楽町に建設が計画をされております国土交通省中部地方整備局の直轄ダム、最大の直轄ダムである設楽ダム事業について質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、資料の一、パネルをこちらに持っておりますけれども、このダムというのは、豊川河口から七十キロの上流の地点につくられようとしております。
この愛知県東三河というのは太田大臣のふるさとでもあるというふうに思いますけれども、太田大臣はこの設楽ダムの建設予定地に行かれたことがございますでしょうか。
○太田国務大臣 私は、予定地そのものに足を運んだことはありません。
しかしながら、私はこの地域で生まれ育ち、新城市というところで生まれたわけですが、ダムがつくられる寒狭川で魚をとったり、あるいはアユをとったり、あるいは湯谷に行ったりとかいうことで、この辺については大変私は詳しいと思います。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。そういう大臣と議論ができるということは大変ありがたいことだというふうに思っております。
資料の二枚目、パネルの方も見ていただきたいんですけれども、大臣もこういう環境を見たことがあるというふうに思いますけれども、大変美しい自然環境が残った地域でございます。この自然環境を壊してダムをつくろうとしているわけですけれども、この設楽ダム事業の総事業費、水源地域の対策事業も含めてお示しいただきたいというふうに思います。
また、水源地域対策事業を含めて、国の負担、愛知県の負担、設楽町の負担、下流の市町村の自治体の負担額をそれぞれお示しいただきたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
設楽ダム建設事業の基本計画におきまして、総事業費は約二千七十億円、うち、国の負担額は約一千二百七十三億円となっております。また、愛知県の負担額は、治水及びかんがい分として約五百六十九億円、それから愛知県企業庁の上水道分として約二百二十八億円、合わせますと、愛知県の負担額は約七百九十七億円となっております。
○北村(匡)政府参考人 水源地域整備事業について御説明いたします。
平成二十一年に決定をいたしました水源地域整備計画では、水源地域整備事業の総額は約五百六十億円としております。
国、愛知県、関係自治体の負担額につきましては、この計画を決定するに当たりまして、国の負担額を二百七億円、愛知県の負担額を二百六十五億円、設楽町の負担額を八十七億円と想定をいたした上で、設楽町の負担額の八割、約六十九億円をダム下流の関係自治体が負担するということとされております。
○本村(伸)委員 丸めて言わせていただきますと、大体、総事業費、水源地域対策事業も含めまして約三千億円だと。そして、愛知県民の皆さんの負担は一千四百億円ということに私どもは認識をしております。
二〇一〇年の十一月二十六日からスタートをいたしました、国土交通省中部地方整備局が開催をいたしました検討の場では、もっと予算が膨れるのではないかということも言われておりましたので、総事業費というのはもっと膨れる可能性もあるわけでございます。
物すごい金額で、これから人口減少だ、国、地方、巨額の借金を持っている、これから団塊の世代が高齢期に本格的に入る中で医療や介護や年金やそういったところに予算をもっと振り向けなければならないというときに、四十年以上も前の計画であるこの設楽ダム事業を進めようとしているということに対して、私は大変強い疑問を持っております。
このパネル、皆さんの資料の二になりますけれども、見ていただいてもわかりますように、この設楽ダムの現地というのは、私も何度も訪問をさせていただいております。この間の日曜日と月曜日にも調査に行ってまいりましたけれども、愛知県の一級河川の上流の中で唯一ダムがない地域で、美しい貴重な自然環境が残っている地域でございます。この設楽の自然というのは、私たち愛知県民、私にとっては本当に愛知の宝物だというふうに思っております。
きょうは環境省さんにも来ていただいておりますけれども、この設楽ダムの建設予定地には何種類ぐらいの動植物がいて、何種類ぐらいの重要と言われる生物が、動植物が生息していると環境影響評価書で書かれていますでしょうか。
また、とりわけ、国の天然記念物で、環境省と愛知県のレッドデータブックの中でも絶滅危惧1のB類とされておりますネコギギについてですけれども、ネコギギはこういう魚でございます。これは大きい写真ですけれども、本来は十三センチぐらいのかわいい魚でございます。
この国の天然記念物のネコギギについて、建設予定地がネコギギの生息域にとってどのくらい重要な場所であると認識しているかという点と、ネコギギの生息域が何ふちあって、何ふちが改変されるのか。そして、環境アセスの評価書の中ではどういう対策をとるべきだと書かれているのか、二〇〇七年四月十九日の環境大臣の意見も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
○小林政府参考人 設楽ダムの環境影響評価書の内容に基づいてお答えをさせていただきます。
平成十九年二月に国土交通省の中部地方整備局から提出されました設楽ダム建設事業環境影響評価書におきまして、同地方整備局の調査した動植物の分類を足し合わせてまいりますと、事業実施区域、またはその周辺地域も含むのでございますが、調査範囲内に五千七百八十二種の動植物が生息するというように記述されております。
また、そのうち調査予測の対象となった重要な種は百八十一種というようにされているところでございます。
また、ネコギギについてのお尋ねでございました。これも、今申しました環境影響評価書によりますと、調査範囲内でネコギギが確認されたふちは五十三カ所である。そのうち、この対象事業の実施によりまして十八カ所が改変されるというようにされているところでございます。
この平成十九年の環境影響評価に関します環境大臣意見といたしましては、この計画の実施により、豊川上流に生息するネコギギの重要な生息域のうち、事業実施区域における生息域を消失させる影響があるということから、移殖が事業者において検討されております。現段階ではネコギギの移殖に関する知見及び移殖の事例は少なく、措置の効果に係る知見が十分に得られているとは言えないことから、移殖については十分慎重に実施するとともに、事後調査を行い、移殖した個体群が安定して生息していることを専門家の意見を聞くなどにより確認することなどの措置を講じる必要があるということを申し上げたところでございます。
○本村(伸)委員 この設楽ダム事業で、ネコギギの生息地域として把握をされていた五十三ふちの中で、十八カ所が改変されてしまう、すむところを失ってしまうということも指摘をされているわけです。
先ほど移殖実験のお話もありましたけれども、国土交通省さんにお伺いをしたいんですけれども、この間、ネコギギの移殖実験で使った予算についてお示しください。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
ネコギギの生息環境ですとかあるいは飼育環境に関する調査、移殖実験等の費用につきましては、平成二十年度から二十六年度までの間に実施したもののうち、業務が完了しているものの総額は約八・七億円となっております。
○本村(伸)委員 八・七億円、資料があるだけでということですから、それ以外の年もまだあるわけでございます。
もう一問お伺いしますけれども、ネコギギの移殖実験は成功しているのでしょうか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
ネコギギにつきましては、環境影響評価のための調査で把握いたしました生息地五十三カ所のうち、本事業により改変される十八カ所のネコギギを生息適地に移殖することとしております。ネコギギに関する知見が少ないことから、移殖や生息環境の整備のための放流実験に取り組んでいるところでございます。
これまでに、実験放流用に三百八十四個体を飼育繁殖し、二百七十七個体の実験放流を行いました。平成十九年に放流した百個体は、約十カ月後に一個体を確認、平成二十年に二回に分けて放流した百個体は、二回目の放流から約九カ月後に三個体を確認、平成二十一年度に放流した四十個体は、約半年後に一個体を確認という結果を得ております。
これらの実験の結果、出水時に流速が速くならないふちがネコギギにとって適地であることがわかったことから、平成二十五年度には、新たなふちで、環境改善を行った上で放流実験を行いました。
実験放流いたしましたネコギギの確認調査につきましては、ネコギギが夜行性であること、それからネコギギは横穴に隠れている魚であることなどから、全数を確認することは困難です。例えば、天然個体のネコギギをマーキングして約一年半後に確認調査を実施した場合の再確認率は約六%です。
そのような中で、平成二十五年三月に実験放流いたしました三十七個体につきましては、約一年半後の調査で四個体につきまして生息を目視で確認、すなわち再確認率約一〇%となっておりまして、出水期二シーズンを超えたことも確認いたしました。
国土交通省といたしましては、これまでの移殖実験の結果につきまして、ネコギギの移殖が保全措置として有効である可能性を示していると考えております。
今後とも、専門家の指導助言を得ながら移殖実験に取り組み、ネコギギに与える影響をできる限り回避、低減するよう努めてまいります。
○本村(伸)委員 先ほどもありましたように、七年間で八億七千万円以上使ったわけですけれども、きょう資料三というものをお示ししております。
その資料を見ていただきますと、二〇〇七年に百匹放流をした、三百十九日後にはゼロ匹になった。二〇〇八年、二十匹放流して、二百六十九日後に三匹になっている。その後、その三匹はどうなったかは何も調査をしていない。二〇〇九年、四十匹放流をしまして、百九十日後にゼロ匹になった。二〇一三年、三十七匹放流をしまして、昨年の九月、五百五十五日後に四匹確認をしたけれども、その後、その四匹はどうなったのかということについては何も調査をしていないということだというふうに思います。
この結果を見てみましても、どう見ても成功しているということは言えないというふうに思います。ネコギギが生息し続けることができる生態系が守られる保証がどこにもないというふうに思います。
愛知県は、二〇一〇年に生物多様性条約締約国会議というものが開かれました。この生物多様性条約というものは、生物多様性の保全、そして生物多様性の現在の損失速度を顕著に減少させるということが目標とされております。そのホスト国、ホスト県である国と愛知県が率先して、生物多様性の象徴である、絶滅危惧1のB類であるネコギギの生息地域に壊滅的に打撃を与えるということが許されるはずがないというふうに思います。ネコギギがすむことができる生態系全体を守るべきだというふうに思います。
この貴重なネコギギが守られる、国土交通省のパンフレットの中にも、世代をわたってネコギギがすめるような環境をと書いてございます。そういう保証がない中で、設楽ダム事業をどんどん進めるというのは、今、工事用の道路など現地では進んでおりますけれども、どんどん工事を進めるというのはやはりおかしいというふうに思います。一旦立ちどまって見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
豊川流域におきましては、水害がしばしば発生するとともに、渇水が頻発している状況にありまして、設楽ダム建設事業は愛知県東部地域にとって治水上、利水上非常に重要な事業です。
ネコギギを含む環境影響評価につきましては、水質や魚類等の分野の七名の学識者から成る委員会を計八回開催し、御意見を伺いながら、平成十九年六月に環境影響評価法に基づく必要な手続を経て評価書を取りまとめました。
この評価書におきまして、ネコギギについては、改変区域内に生息する個体を採集し、生息適地に移殖する等の環境保全措置を実施することとしております。そして、ネコギギも含めまして、動物に係る環境影響が事業者の実行可能な範囲内でできる限り回避、低減されていると判断するとの評価となっております。また、事後調査につきましては、専門家の指導助言を得ながら実施し、その結果は事後調査報告書として公表することとしております。
今後とも、設楽ダム建設事業を進めるに当たりましては、専門家の指導助言を得ながら移殖実験に取り組み、ネコギギに与える影響をできる限り回避、低減するよう努めてまいります。
○本村(伸)委員 環境を破壊するという点で、ネコギギだけではないということも指摘をしておきたいというふうに思います。
一九四一年に設立をされました日本海洋学会海洋環境問題委員会という歴史あるところがあるわけですけれども、そこが二〇〇七年に次のような意見を出しております。
設楽ダムの建設というのは、一つ目に、取水によって内湾の環境形成に本格的なエスチュアリー循環、これは河口部の循環のことですけれども、このエスチュアリー循環の減少をもたらすという点、そして二つ目に、停滞したダム湖の汚濁した底層水と底泥が洪水時に流出することで海に多大な負荷がかかる点、三つ目が、ダム湖の堆砂に伴って海岸侵食を加速し、干潟、浅瀬を消失させる点に関して、三河湾への影響が強く懸念されるというふうに指摘をされ、海までの環境アセスを行うべきだという意見も行っているわけでございます。三河湾までも甚大な影響があるわけです。
きょうは、農水省さんにもこちらに来ていただいておりますけれども、豊川の河口には日本一アサリの稚貝が湧く六条干潟というものがございます。愛知県の漁業にとって、日本の漁業にとって六条干潟が果たしている役割は大変大きいと思いますけれども、農水省さんの認識をお伺いしたいと思います。
○長谷政府参考人 お答えします。
愛知県は平成二十六年で一万六百トンのアサリの漁獲量がありますけれども、これは全国のアサリの漁獲量一万九千三百トンの約五五%を占めて、国内で第一位のアサリ生産県となっております。
三河湾の奥に位置する六条潟では、アサリの稚貝が多く発生することから、愛知県においては、六条潟の稚貝を県内のアサリ漁場に移殖、放流する取り組みが継続的に行われておりまして、平成二十六年には三千八百二十八トンの稚貝が放流されたと承知しております。
○本村(伸)委員 設楽ダムができれば、この六条干潟もだめになってしまう。愛知県の漁業者の皆さんも大変心配しております。愛知の漁業の中で、このアサリというのは愛知の漁業の生命線だとも言われております。そういう意味で、漁業者の皆さんも大変心配をされております。
そもそも、このダムの目的についても少し議論をしたいんですけれども、この設楽ダムの有効貯水量は九千二百万トンでございます。その中で、流水の正常な機能の維持容量は何万トンありますでしょうか。それは有効貯水量の何%に当たるか、お示しいただきたいと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
設楽ダム建設事業の目的は、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい、上水でございます。
具体的には、洪水調節につきましては、豊川流域の豊橋市、豊川市、新城市の洪水被害の軽減。流水の正常な機能の維持につきましては、下流の既得用水の補給や河川環境の保全。かんがいにつきましては、愛知県東三河地域の農地約一万七千二百ヘクタールに対するかんがい用水の補給。水道につきましては、愛知県東三河地域の水道用水の補給を図ることとしております。
そのうち、流水の正常な機能の維持のための容量、いわゆる不特定容量と申しておりますが、これは六千万立方メートル、有効貯水容量は九千二百万立方メートルでございまして、有効貯水容量に占める不特定容量の割合は約六五%となっております。
○本村(伸)委員 資料の四をごらんいただきたいというふうに思いますけれども、この資料を見ていただいてもわかるように、この設楽ダム事業というのは、流水の正常機能の維持の容量が一番多い目的になっているわけでございます。
国土交通省にお伺いしたいんですけれども、流水の正常機能の維持容量がこんなにも多いダムというのは、全国でどこかありますでしょうか。
○池内政府参考人 まず、先ほど御説明いたしましたように、設楽ダムにおける有効貯水容量に対する不特定容量の割合は約六五%となっておりますが、信濃川水系の三国川の三国川ダムにおきましては、非洪水期において、有効貯水容量に対する不特定容量の割合が約七七%となっておりまして、設楽ダムの割合よりも大きくなっております。
○本村(伸)委員 全国的にもやはり、設楽ダムというのは、ほかに一カ所あるのみということで、大変多い異常なダムだというふうに私は思っております。
国土交通大臣、太田大臣にお伺いをしたいんですけれども、そもそも流水の正常機能というのは、本来、自然の川が流れている、これが一番の流水の正常機能の維持ではないかというふうに思いますけれども、大臣の認識をお伺いいたします。
○池内政府参考人 まず、今委員の方から一カ所というお話がございましたが、一カ所ではございませんで、有効貯水容量に対する不特定容量の割合が設楽ダムより多いダムは、三国川ダム以外にございます。
ただし、ちょっと施設の運用の仕方が、通年において発電のみのために不特定容量の一部を活用することが可能ということで、三国川ダムとは異なった形態でございますが、物理的には不特定容量の割合が設楽ダムより高いダムはございます。
それから、今御指摘の、流水の正常な機能の維持についてお答え申し上げます。
流水の正常な機能を維持するために必要な流量というのは、水利流量、すなわち既得用水の安定的な確保のために必要な流量と、それから、動植物の保護、漁業、景観、流水の清潔の保持、塩害の防止等を考慮して定める維持流量から成る流量でございまして、低水管理上の目標として定める流量でございます。
豊川水系におきましては、過去二十年間に十五回の取水制限が実施されておりまして、全国的に見ても、本当に水不足が頻発しておる地域でございます。
例えば宇連川では、寒狭川からの導水を含めましても、大野頭首工におきまして農業用水などの既得用水の取水にたびたび支障を来すとともに、大野頭首工下流では年間の大半が水がれの状態となっております。
設楽ダム建設事業は、こうした現状に対して、豊川や宇連川におきまして安定した取水を可能にするとともに、河川環境の保全を図るための重要な事業というふうに考えております。
○本村(伸)委員 今も少しお話がありましたように、設楽ダムというのは、豊川、豊川というのは、河口から登っていきますと、東側の宇連川と、西側の寒狭川、豊川の本流ですけれども、寒狭川に分かれるわけでございます。
この寒狭川側は、今は上流というのはダムがないわけですから、自然が残った、生きた川が残っているわけでございます。この川にダムをつくって、そして寒狭川導水路というものがございまして、東側の宇連川に持ってきて水を流すという計画でございます。
本来の川の流水の正常機能というものを壊して、生きている川を壊して、もう既に環境が壊滅的な打撃を受けている、豊川総合用水事業で壊滅的な打撃を受けている宇連川側に水を持ってくるためにダムをつくるという発想自体がおかしいのではないかと思いますけれども、大臣、お願いいたします。
○太田国務大臣 子供のころから豊川というのは、豊かという字とは違って洪水にも随分遭っている地域です。最近も、この二十三年九月にもそういうものがあって、その支流の、私の通っていた中学校の手前の川も氾濫をしたりということもありました。
特に、渇水がずっとここは多いところなんですけれども、二年前は、日本の中で三カ所です。利根川、そしてこの豊川、そして四国の吉野川、早明浦ダムです。随分ここが渇水だ、渇水だということで、何とかならないかということを私は常に思ったのが二年前のことです。
そうしたことの中からこの設楽ダムというのが建設事業が計画されて、そして再度ここを検証作業も行って、これはやるのが適当であるという結論をいただいて、そして、愛知県知事も、関係する市長、町長さん、東栄町であれ、あるいは豊根村という北のところにありますけれども、あるいはこの設楽町、新城市、豊川市、田原町、今は田原市です、蒲郡、豊橋、そして関係するところでは静岡県の湖西市、こういうところからも、早くこれをぜひともやってくれという要望をかなり受けて、そして検証作業を受けて、そしてこれを実施しようということにまとまったというのがこの設楽ダムということの最近までの経過だと私は思います。
この本事業は、治水、利水上重要であるとともに、地元自治体からの推進要望も踏まえて、引き続き着実に事業を進めてまいるということが地元の意見に応えることだと私は思っています。
○本村(伸)委員 治水、利水については、また機会をつくっていただきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。そして、検証の場も、第三者性のない検証の場であったということも申し述べておきたいというふうに思います。
そして、大野頭首工の直下にそんなに水を流したいのであれば、毎秒一・三立方メートルを大野頭首工から取水せずに魚道に流して、牟呂松原頭首工経由で森岡導水路を活用して豊川用水の東部幹線に流せば、設楽ダムと無関係に、国交省の言う流水の正常機能の維持流量が確保できるということを市民団体の皆さんも提案しております。
ぜひこうした提案に耳を傾けていただいて、水利権を持っている方々や関係省庁を調整しながら、建設ありきではなく、本来の流水の正常な機能の維持ができるようにということで検討するべきだと思いますけれども、最後にこの質問に対して答えていただきたいと思います。
○池内政府参考人 このダム、流水の正常な機能の維持というのは、あくまでも既得水利の確保とそれから環境の保全、この二つが目的です。
この地域につきましては、しばしば本当に渇水も頻発しているということでございます。
設楽ダムの不特定容量は、大野頭首工下流の流況を改善するだけでなく、豊川水系における全体の安定した取水を可能にするために必要でございまして、御指摘の方法だけでは安定取水に必要な水を確保できないため、代替案とはならないというふうに考えております。
○本村(伸)委員 貴重な自然環境を残していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○今村委員長 次に、内閣提出、道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
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道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○太田国務大臣 ただいま議題となりました道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
我が国の自動車保有台数は、今日、八千万台を超え、自動車は国民各層に普及し、まさに国民生活に欠かすことのできないものとなっています。また、自動車産業は、製造業の国内総生産の約二割を占める基幹産業であります。このため、自動車を取り巻くさまざまな状況の変化を踏まえつつ、自動車産業の国際競争力や自動車の安全の確保、国民や地域の多様なニーズへの対応に取り組むことが不可欠であります。あわせて、閣議決定を踏まえた独立行政法人改革を的確に進めることが必要であります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、自動車の基準などに関する国際協定の改正に対応し、自動車の車両単位での基準適合性を各国間で相互に承認するための制度を創設することとしております。
第二に、東京五輪特別仕様ナンバープレートなどの図柄入りナンバープレートを導入するため、自動車の所有者からの申請により、ナンバープレートの交換を可能とする制度を創設することとしております。
第三に、昨今のリコール事案を踏まえ、より迅速かつ確実なリコールを行うため、リコールの実施に必要な報告徴収や立入検査の対象に装置メーカーを追加することとしております。
第四に、自動車関係の独立行政法人に係る改革を推進するため、自動車検査独立行政法人と独立行政法人交通安全環境研究所を統合することとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会