第14号 平成27年6月9日(火曜日)
平成二十七年六月九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 今村 雅弘君
理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君
理事 小島 敏文君 理事 坂井 学君
理事 中村 裕之君 理事 伴野 豊君
理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君
秋本 真利君 岩田 和親君
うえの賢一郎君 門 博文君
神谷 昇君 木内 均君
工藤 彰三君 古賀 篤君
國場幸之助君 今野 智博君
佐田玄一郎君 斎藤 洋明君
鈴木 馨祐君 鈴木 憲和君
高木 宏壽君 津島 淳君
野田 聖子君 福田 達夫君
堀井 学君 前田 一男君
宮内 秀樹君 宮澤 博行君
山本 公一君 荒井 聰君
神山 洋介君 小宮山泰子君
中根 康浩君 宮崎 岳志君
本村賢太郎君 足立 康史君
初鹿 明博君 横山 博幸君
伊佐 進一君 北側 一雄君
中川 康洋君 樋口 尚也君
穀田 恵二君 本村 伸子君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 西村 明宏君
国土交通大臣政務官 うえの賢一郎君
国土交通大臣政務官 青木 一彦君
国土交通大臣政務官 鈴木 馨祐君
防衛大臣政務官 原田 憲治君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 濱 勝俊君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 亀水 晋君
政府参考人
(消防庁審議官) 北崎 秀一君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 森 健良君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 星野 岳穂君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 黒田 篤郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房物流審議官) 羽尾 一郎君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 滝口 敬二君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 池内 幸司君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 深澤 淳志君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 橋本 公博君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 田端 浩君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 田村明比古君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 松脇 達朗君
政府参考人
(国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長) 小池 剛君
政府参考人
(気象庁長官) 西出 則武君
政府参考人
(海上保安庁長官) 佐藤 雄二君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 深山 延暁君
政府参考人
(防衛省経理装備局長) 三村 亨君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
六月九日
辞任 補欠選任
津島 淳君 福田 達夫君
本村賢太郎君 中根 康浩君
下地 幹郎君 初鹿 明博君
北側 一雄君 伊佐 進一君
同日
辞任 補欠選任
福田 達夫君 津島 淳君
中根 康浩君 本村賢太郎君
初鹿 明博君 下地 幹郎君
伊佐 進一君 北側 一雄君
―――――――――――――
六月八日
独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)
同日
長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(本村伸子君紹介)(第一六五三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○今村委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官羽尾一郎君、総合政策局長滝口敬二君、水管理・国土保全局長池内幸司君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長田端浩君、航空局長田村明比古君、政策統括官松脇達朗君、国際統括官稲葉一雄君、国土地理院長小池剛君、気象庁長官西出則武君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、警察庁長官官房審議官濱勝俊君、総務省大臣官房審議官亀水晋君、消防庁審議官北崎秀一君、外務省大臣官房審議官森健良君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、防衛省運用企画局長深山延暁君及び防衛省経理装備局長三村亨君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井聰君。
○荒井委員 民主党の荒井聰でございます。
きょうは、再び一般質疑でこうしてこの委員会で太田大臣と議論ができることを大変うれしく思ってございますので、きょうもどうぞよろしくお願いいたします。
さて、私は、今、日本の抱えている大きな課題というのは、人口減少に伴い経済成長が停滞しているのではないか、それを打破するために、民主党政権のときに、私が担当したんですけれども、日本の成長戦略というものを新たに、新たな視点からつくりました。
あれをつくるときに、日本は人口減だから大きな成長を望むのは無理だという議論があったんですが、しかし、日本の潜在成長力が大体一%、それに政治の力やあるいは民間の力でもう一%それをかさ上げし、そして物価の上昇が一%だと、大体名目三%ぐらいの成長を達成することができるのではないか。その一%分というのは、日本のGDPの一%ですから大体五兆円ぐらい。五兆円ぐらいずつ何らかの新しい産業をつくっていく、あるいは新しい需要をつくっていく。特に需要をつくっていくということが大事なんじゃないかという視点から、今まで成長分野ではないと言われていた医療ですとか、あるいは農業ですとか、そういうものを成長分野として位置づける、そういう作業をやりました。
今、その作業は安倍政権でも引き継がれていて、農業や医療なども大きな成長産業だというふうにされているということは、私は大変好ましいことだというふうに思っています。
そんな中で、私は、きょう大臣と少し議論をしたいなと思うのは、国交省関係の中にそういう成長分野がたくさんある、宝庫だというふうに思っています。
ところで、話題は全然かわるんですけれども、塩野七生が書いた「海の都の物語」という、ベニス、ベネチアのことを書いた、これは小説というんでしょうか、そういうものがあります。
ベニスという小さな都市国家が、大国トルコを相手にして、数百年間、地中海の覇権を大国トルコと争って、最後まで頑張るわけです。ベニスというのは小さな国で、人口が足りないというか、人口が少ないことにずっと悩み続けてきた国なんですね。大きな戦争も、トルコを相手にしてはなかなかできない。そういう中で彼らが生き残った原因は何なのかということを塩野七生がずっと分析をしているんです。
その中で対照として出てくるのがジェノバというコロンブスが生まれた町ですけれども、そことの対照としてベニスを書いています。
結局、ベニスもジェノバも、地中海の覇権を得るためには貿易立国でしかない、平和な国、貿易をしっかり振興させるために国の総力を挙げるということに気がついてというか、そういう立脚、国の方針を決めるわけです。
最終的にはベニスの方がジェノバに勝つんですけれども、どこが違うかというと、ベニスは国を挙げて組織戦を戦うんですね。組織戦なんですね。いろいろな組織を機能的に使っていくというガバナンスというか、そういう国家運営をやります。これに対して、ジェノバの方は個人主義なんですね。ですから、中にはコロンブスのようなすぐれた人材も出てくるんですけれども、最終的にはベニスに勝てないんですね。そういう歴史をずっと塩野七生は語っているんです。
彼女は恐らく、日本というものもそれに投影しているんだと思うんです。日本の国が本当に繁栄していくのには平和が必要だ、人口が減少するといっているけれども、それを乗り越えた歴史のある国があるではないかということを示唆しているんだろうというふうに私は思います。
その意味で、今、安全保障体制の議論が専門的にやられている委員会が別にありますから、そこはそこなんですけれども、しかし、基本は、日本という国は決して大きな、人口をたくさん抱えている大国ではありませんから、生き残っていく道というのは、かつてのトルコのような、武力やあるいは他国を侵略していく、そういう道ではなくて、貿易をしっかりつくり上げていくという、そこに大きな道があるんだろうというふうに思っています。
そこで、きょうは、貿易を促進させていく、あるいは貿易上でいろいろな障害のあるもの、そこについてもう少し、特に国交委員会ですから、国交委員会として取り上げていくべきものを少し議論させていただければと思っております。
特に、日本はグローバルスタンダードの戦いではしょっちゅう負けているんですね。非常にいいものをたくさんつくっているし、またそういう技術的な革新というものを、特に日本の中小企業は努力をして新しいいいものをつくっているんですけれども、そのスタンダード、標準化ということについては、一敗地にまみれているという例がたくさんあるんですね。
そこで、どんな点で標準化で負けていたのか、あるいは問題があったのか、標準化の重要性の増大というペーパーをお持ちしました。
これは経産省がつくっていただいたペーパーなんですけれども、実は私も知りませんでしたが、実際起きたことが、JR東日本によるソニー開発のFeliCa方式のICカード、つまりSuicaですね、このSuicaのカードを、モトローラが、これはWTO違反ではないかと国際標準化の違反として異議申し立てをしたんですね。日本でつくったすぐれた技術で、しかも日本の極めて大きな企業がSuicaという新しい方式をつくり上げたわけですけれども、それが売れない、使えないかもしれないという事態に立ち至ったことがあるんだそうです。私も知りませんでした。
結局、この申し立ては、モトローラの方も国際標準をとっていなかったということで、両方とも申し立ては却下されて、結局Suicaは使えるようになったんですけれども、一歩間違えていれば、このSuicaという技術は、日本で開発したにもかかわらず、JR東日本は使えなかった、あるいはJR関係が使えなかったという事態が起きていたわけです。こういうことはほとんど知られていませんね。
もう一つ、国交委員会関係でいいますと、右の方でありますけれども、台湾への新幹線、これは日本がインフラ輸出を、最初の輸出なのかもしれません、成功した例でありますけれども、この台湾新幹線の輸出の際にも、日本の国内で安全に利用されているというだけでは相手国の信頼を得られず、国際基準に基づく適合性評価が課題になりました。この課題で輸出できないかもしれないというような事態さえあったんだそうであります。結局、日本の新幹線の技術評価を海外にある第三者に依頼して、それで認めてもらったということで輸出が認められたんだそうであります。
つまり、ここで何を言いたいかというと、戦略的分野については、国際的な認証ということは極めて重要だということであります。
このことは、政府の中でも認識をしている人が結構いて、政府でもそのための機関もつくっているようでありますけれども、これは全体で約二万件ぐらいこういう認証というか、そういうものがあるんだそうであります。そのうち、どこの分野にどのように重点化をして、戦略的に、貿易立国として必要なそういう認証の戦略を練るのかということが必要なのではないか。
認証の一番ポピュラーなものは、日本ではJIS規格ですね。このJIS規格でも約一万件ぐらいあるんだそうでありますけれども、これらの国際標準化の加速化というものが今極めて重要な状況に来ているというふうに私は思います。
そこで、きょうは経産省や外務省、それからもちろん国交省の方も来ておられますので、日本が世界と戦える成長分野を育成する、あるいはそれを保持するというためには、一元的な国家戦略、標準化に向けての戦略というのが必要なんだろうというふうに思いますが、それらについてどのように今考えておられるのか、あるいはその戦略はいかがなものなのかということを、まずは事務局からお話をいただけますか。
○稲葉政府参考人 日本の成長分野の一つには、今後、質の高いインフラの海外展開、これも極めて重要な成長分野であると考えておりますが、インフラ等の分野におきまして我が国の考え方を反映した国際標準の策定を進めるために、国土交通省におきましては、国際機関に職員を派遣して積極的に基準の提案を行うなど、海運、自動車、下水道、建築等の分野で議論をリードしております。
具体的に二、三申し上げますが、国際海事機関、これは海事関係の基準をつくる機関でございますけれども、ここの事務局長は二〇一二年以降、国土交通省出身者が務めておりまして、日本から数多くの提案を行っております。
また、自動車の基準につきましては、国連の一機関でつくっておりますけれども、そこにおきます例えば自動運転技術に関する技術基準の議論を日本がリードしてございます。
それから、国際標準化機構、いわゆるISOでございますが、ここでさまざまな基準をつくってございます。例えば、水の再利用に関する国際標準化について、ISOにおきまして幹事国として主導的立場を担っております。また、建築基準における国際標準化につきましても日本提案が取り入れられる等の成果を上げてございます。
このような働きかけを引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。
○星野政府参考人 国際標準化機構、ISOと国際電気標準会議、いわゆるIECの対応につきましては、経済産業省のもとに設置されました日本工業標準調査会、JISCが日本を代表することになっておりまして、技術分野ごとに関係省庁と緊密な連絡をとりまして、国際標準化に取り組んでいるところでございます。
我が国の技術を広く世界に普及させていくためには、国際標準化への戦略的な取り組みが不可欠でございまして、具体的には、研究開発の段階から標準化に一体的に取り組みまして、我が国にとって非常に重要な技術を早期に見定めて、他国に先んじて標準化の提案を国際的に行うこと、あるいはアジア諸国と連携をして標準化を進めること、さらには、戦略的に重要となる分野におきましては、標準化を支える認証基盤の整備につきまして一体的に取り組むことが必要でありまして、例えばこうした観点から、生活支援のロボットの分野では、ロボットの開発段階から標準化の取り組みに努めておりまして、同時に認証も行えるような体制も整備を進めておりまして、それによって国際競争力の確保に努力をしているところでございます。
引き続き、関係省庁と密に連絡をとりながら、我が国技術の国際標準化あるいは認証体制の整備にしっかりと取り組んでまいります。
○森政府参考人 外務省といたしましては、ただいま御指摘の標準化の努力、これを関係各省がそれぞれの分野で進めております。そうした各省の努力と一体となって、さまざまな国際機関あるいはフォーラムで標準化の努力をしてございます。
また、それに加えまして、各標準の前提となりますような経済面での法の支配を確立するということが重要でございます。先ほど委員御指摘のとおり、WTOのルールをどのように解釈、運用するか、そういった場面で適正なルールづくりあるいはその執行ということで外務省としての役割を果たしている、そういうことでございます。
○荒井委員 そうなんですね。今外務省からお話がありましたけれども、これは一九九五年のWTO、多分ウルグアイ・ラウンドだと思いますけれども、ウルグアイ・ラウンドのときにこういう基準化とか標準化とか認証制度とかそういうものを統一化していこうということがWTOの中でもうたわれ、それを契機として世界的な組織もつくっていこうという動きが強まり、それが貿易全体に大きな影響を与えていくということになった、つながっていったんだろうというふうに思います。
このあたりは、日本は特に、残念ながら外務省がもっと積極的に、WTOのそれぞれの分野については外務省、経産省が中心で積極的な交渉をやるんですけれども、その実務のところで外務省がもう少し前面に出てもいいのではないだろうかというふうに私は思います。
そこで、資料の二番目の基準認証の協力国という、結局、認証やあるいは基準化をするのには、日本一国だけではなかなか難しいんですね。協力国をつくりながらそれを国際的な基準、標準化していくという戦略が必要なわけです。その戦略として幾つか挙げてあります。インドですとかベトナムですとか中国、韓国といったような国との協力関係も一つ一つの標準化の中では具体的に行われ出したんですね。それを経産省やあるいは関係省庁だけではなくて、もっと外務省が前面に出てもいいのではないか、各国における、やはり日本を代表しているのは外務省ですので、そんなふうに思います。
例えば省エネエアコン、これはエアコンのインバーターの性能というのを正しく評価できる評価方法は国際標準に今までなっていないんですね。家電であると同時に、住宅にもはや不可欠な家電、これの標準化ということについて、いろいろな国が日本に対して協力の申し込みというか、そういうものがあるようでございまして、アジア全体との協力関係が、こういう小さなものですけれども、できるのではないだろうか。
あるいは、事例の第三というところにグリーン建材の評価方法というのを例示いたしました。これは韓国ですとかあるいは中国との関係で協力関係ができるのではないかというふうな見通しが述べられています。窓の遮熱、断熱性能評価方法ですね。まさしく前回この委員会で審議をしました省エネ住宅などのそういう技術が、標準化という方向にもう一歩向かっていくということが、今両国との関係というのは必ずしもスムーズな関係ではないんですけれども、こういうところから実務的に一つずつ協力関係をつくっていくということが大事なのではないかというふうに思います。
こういう点、ちょっと今までの議論を踏まえて、太田大臣、感想を聞かせていただければと思います。
○太田国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。
安倍政権が誕生しまして、インフラシステム輸出ということに相当力を入れてきまして、経協インフラ戦略会議というのを設定して、各省庁みんな集まって、私も参加しておりますが、戦略的に司令塔として、世界に向けてのインフラ輸出ということをどうするのかという司令塔の役割を果たすようにということで、ばらばらでやっているというのではなくて、一つのプロジェクトを、鉄道なら鉄道をやるときでも、相手国に行きまして、私も行って、各省庁も一緒に来てもらったり、あるいは民間の企業も来ていただいたり、日本は余りそういうことをしませんでしたが、これだけ我が国として力を総合的に入れているんだということを相手に示して初めて説得力があると思います。
それで、日本は技術はすぐれているけれども高いねというようなことがありまして、技術のすぐれていることと、それからトータルコストということからいくと、鉄道なら鉄道でも日本は決して高いわけではないということを説明すること。そして同時に、最近はAIIBの問題もいろいろあるんですけれども、とにかく、どういうふうにここのお金の面での応援ができるかということをすごく気にしていますから、その辺のことについても、JICAやさまざまなところとも連携をとって、あるいは国交省としてはJOINを設立しましたものですから、そういうことでやっている。
その中で、今御指摘のありましたインフラシステム輸出戦略の中でも、「先進的な技術・知見等を活かした国際標準の獲得」ということは大きな柱でありまして、このところに国際標準を獲得するということが極めて大事な課題だと思っています。
デファクトスタンダードというふうに言われますが、現実に推進をしている、仲間をつくる、そしてその中で、国際会議等々の中で、あるいは機関の中でしっかりそのことを確立するということに、国際標準化の動きにおくれをとらないように、国際社会の中で私たちの主張がしっかり反映するようにということをさらに一層努力していかなくてはならない、取り組みを強めたい、このように考えています。
○荒井委員 今の大臣の御発言は大変心強いと思います。
日本はやはりアジアの中の先進国として数少ない国でありますから、相手国がヨーロッパはたくさんありますので、ヨーロッパの国が共同すると、なかなか日本は、国際標準化とかそういうものについては劣勢、劣後に陥ってしまうというのが今までだと思うんですね。それをどういうふうに改善していくのかということは、政府全体を挙げてその戦略を組んでいく必要があるのだというふうに思います。
そこで、きょうは、一つの例として、日本が誇る大きな産業である二輪車の話をちょっとしたいと思います。
私も大臣も大体同じ世代だと思いますけれども、私の世代に「ナナハンライダー」というコミックがあったんですけれども、これはオートバイ、古いですね。(発言する者あり)だから、古いと言っているじゃない。あのころ、昭和三十年代から四十年代にはやった漫画なんですけれども、七百五十ccのオートバイに乗った主人公が委員長というかわいい女の子を後ろに乗せて走り回るという、これが格好いいんですよね。
そういう漫画がはやったものですけれども、その当時、日本のオートバイがイギリスのマン島で優勝したとか、世界のどこどこで優勝したというたびに僕らは心をわくわくさせたものでありました。考えてみますと、日本の四輪車というのは、この二輪車の活躍から始まっていったんだというふうに思います。
今でも、新興国であるアジアの、自動二輪といいますかオートバイといいますか、それの普及というのは物すごい数ですね。この間もベトナムに行きましたけれども、町じゅうでオートバイがあふれ返っている光景を見ました。
十年前、世界じゅうで三千万台ぐらい、オートバイというか二輪車が走っていたのが、現在では六千万台になっているんだそうであります。この中で、日系のブランドというのが極めて大きなブランドを確立しているようで、六千万台のうちの約四二%といいますから、巨大なシェアを二輪車の市場の中で日本は確立していたということだそうであります。超円高、あるいは、ともすると四輪の陰に隠れてしまって、二輪の強い国際競争力や産業力というのは余り注目を浴びていないんですけれども、今なお強い国際競争力を有してきたわけであります。
それでも、最近は、インドですとか中国ですとかが安い二輪車をつくることで、非常に今の日本の二輪車の、今までつくり上げてきた優位性というものもピンチになっているのではないだろうかというような心配をする人もあります。
この状況について、今、二輪車の状況というものをどういうふうに考えておられるのか、強い国際競争力を維持するためにどんな点が必要なのであろうか、各社の努力だけではない、国としても支援していく政策、施策というのは何かあるのだろうかということについて、国交省あるいは経産省、どちらでも結構ですけれども、御見解をいただければと思います。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、日系二輪車ブランドは、世界の六千万台の中で四割超のシェアを占めておりまして、乗用車のシェアであります三割を上回る水準でございます。
このように、日本の二輪車産業が強い力を持つようになった経過でございますけれども、第一に、戦後復興期には百社を超えた二輪車メーカーが激しい競争を繰り広げまして、現在は四社体制にまで絞り込まれて、技術力を高め、積極的な投資をしているということがございます。
また、海外では、二輪車は、四輪が七〇年代にグローバル展開を果たす以前、六〇年代からいち早く積極的な海外展開をいたしまして、モータリゼーションが開始したばかりの新興国にも先駆けて進出をし、高いブランド力、そして住民の足としての確固たる地位を築いてきております。近いところでの生産、いわゆる地産地消を進め、為替の変動にも柔軟に対応する、こういった努力をされてきた、それに対して政府もいろいろ応援をしてきた、こういう経緯がございます。
このような各社によります技術力を高める動き、市場を果敢に開拓してきた動きをさらに政府としても応援していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○荒井委員 ところが、四輪における相互の認証制度の協定というのはかなり進んでいて、二〇一六年度にもその制度が四輪については運用されるのではないかという見通しが述べられていますが、しかし、いち早く国際化していった二輪の方は少し立ちおくれているのではないだろうか。
二輪の方も頑張っておられるんだと思うんですけれども、ここは四輪並みに頑張る必要があるんじゃないか。そこについては、この認証制度、標準化ということを直接担当している国交省の担当はどうですか。
○田端政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、二輪車につきましても、四輪車と同様、日本は、国連の場において、基準の国際調和活動を積極的に進めているところであります。この結果、これまで、二輪車の基準の約五割に当たります十七項目の基準につきましては、国際基準との調和を図っている状況であります。
一方、御指摘がありました今回の車両単位での相互承認制度の創設でございますが、これは、国連の協定加盟国間での輸出入の多い乗用車を対象として制度構築を始めることが国際的には合意されております。
これに対して、二輪車は、協定に加盟していない中国、インドなどのアジア諸国への販売、輸出が多いため、制度創設について各国の合意には至っていない状況であります。
このため、二輪車につきましては、今後、アジア諸国への協定加盟の働きかけを主導しつつ、制度創設の国連提案を我々としても検討してまいりたいと考えております。
○荒井委員 今、国交省からそういう説明がありましたけれども、まさしく、この認証制度を中国やインド、あるいは需要国であるアジアの国々と連携をしてうまく促進することができれば、二輪車の市場、あるいは日本がリードしていく体制というのはそろっていくんだと思うんですね。
これは、もっと外務省が力を入れるべき、単に通商協定、大枠のところではなくて、こういう細部の点についても、大きなシェアを持っている部門、きちっと日本が守るべきところというのは、政府全体を挙げて外務省を先頭にして私はやるべきだというふうに思います。このあたりは、国交省だけではなくて、政府全体としてぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
そのために、国際認証を進めていくために、予算あるいは体制などをもっと充実させていく必要があろうというふうに思いますので、これは大臣に要望させていただきたいと思います。
ところで、二輪車というと、子供たちが学校の通学に使うことで三ない運動というようなものがあったりしていて、危険だとかそういうようなことから、余りイメージが、かつてのような、僕らが抱いていた、それこそ先ほど「ナナハンライダー」で抱いていたようなあのイメージと少し違ってきたのかなというふうに思うんですけれども、しかし、現実は、二輪車の多様な活用の仕方というのはむしろふえているのではないだろうかというふうに思います。
三・一一の震災のとき、それから阪神大震災のとき、あのときも私は与党側にいたんですけれども、そのときにも、震災地域の現場には自転車か自動二輪じゃないと入れないという状況で大活躍をいたしました。あれがなければ、ライフラインの復活までに命を救うための必要な薬とか、そういうものを運ぶことができなかったというふうに思うんですね。
そういう意味では、警察庁における白バイなどで活用しているというのはわかるんですけれども、消防庁でも相当な活躍をしているのではないかと思うんですけれども、その実態はどうですか。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
平成二十五年二月時点で、全国五十六消防本部におきまして百五十九台配備されております。また、本年四月一日現在、緊急消防援助隊として十三台、既に登録をしておるところでございます。
消防用バイクは、悪路や狭い道路を走行できるために一般の消防車両に比べ機動性にすぐれておりますことから、大規模災害時や道路渋滞時等において迅速な情報収集に有効であると認識しているところでございます。
消防用バイク導入は、地域の実情に応じて各消防本部が判断するものではありますが、消防庁としても、平成二十五年度から緊急消防援助隊設備整備補助金の補助対象に追加しておるところでございます。
以上でございます。
○荒井委員 人口減少地域がふえてくることによりまして、救急車がなかなか行けないとか、そういうところもふえてくると思います。そういうときに、緊急に自動二輪をもっと上手に使えるような体制というものを防災の面からも組み込んでいくということが極めて有効なのではないかというふうに思います。
こんな点を含めまして、最後に大臣から、自動二輪全体について、今まで私が各省庁とやりとりしたことをお聞きいただいて、御感想なりあるいは御決意をいただければと思います。
○太田国務大臣 自動二輪のことについては、外務省等々きょうも来ておりますので、私の方からこの件について、認証を初めとすることについては、各省庁と連携をとって努力をしたいというふうに思っています。
それから、消防バイクの話もありまして、私、実は十年前ぐらいから消防バイク、消防バイクということを盛んに言って、特に首都直下地震等では、密集市街地が多いわけですからなかなか入れないということもありますから、地域のスタンドパイプを置くとか消防バイクをということを盛んに言ってきたんですが、なかなかこれは進んでいない状況で、容量が、消すという作業自体ではなかなか能力が小さいからというようなことが理由のようですが、偵察をするとか連携をとるとかいうことが極めて重要だというふうに思っています。
国交省も、そういう意味では同じように大事だと思っておりまして、今、地方整備局においてバイク隊を設置するとかいうことで進んではきているんですが、金沢とか高田とか、静岡あるいは飯田、こうした結構山の多いところでバイクというものを国交省として先行的に情報あるいは偵察ということでやらせていただいているんですが、都市部を含めて、私はここで、バイクという、二輪車の利用ということが、消防、警察、そして国交省、いずれももっとこれを使うという措置が大事だ、このように努力をしたい、このように思っています。
○荒井委員 大臣、どうもありがとうございます。
きょうはそのほかにも幾つか質問をしたかったんですけれども、国交省が抱えている行政担当分野の中に、国交省というと、どうも公共事業担当省庁というイメージと、あるいは職員もそういうマインドを少し強く持ち過ぎているのではないだろうかな。もっと経済官庁としての役割、そういうものの発想の転換というものをもうちょっと図れば、いろいろな日本の経済成長に貢献できる分野がたくさんあるというふうに思っている。
今後ともそういうことに努力していただければというふうに指摘をいたしまして、私の質問を終えさせてもらいたいと思います。ありがとうございました。
○今村委員長 次に、古賀篤君。
○古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。
本日は、当委員会で初の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。わずか二十分しかございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
最初に、先月二十九日に起こりました口永良部島の噴火についてお聞きをしたいと思います。
まずは、今回の噴火によりまして被害に遭われました皆様方に、心からお見舞い申し上げたいと思います。
まさにこの委員会が開会中のときに第一報が入ってきて、それから十一日が過ぎたわけであります。現在の口永良部島の噴火の最新の状況、そしてその対応についてまず気象庁にお伺いするとともに、その他国土交通省の対応につきまして、海上保安庁また国土地理院含め、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
○西出政府参考人 口永良部島では、五月二十九日九時五十九分に爆発的噴火が発生しました。この噴火に際して、気象庁は同日十時七分に、噴火警戒レベル五、避難の噴火警報を発表いたしました。この噴火は、昨年八月三日の噴火を超える規模と考えられます。また、今回の噴火は、火山灰に新しいマグマと考えられる溶岩片が含まれることから、マグマ水蒸気噴火であったと考えられます。
現在、連続噴火は停止しておりますが、火山性地震は減少しつつも引き続き発生しており、火山活動の高まった状態が継続しております。
五月三十日に開催された火山噴火予知連絡会では、今後も今回と同程度の規模の噴火の可能性があるとの評価を行っており、厳重な警戒が必要です。
気象庁では、五月二十九日の噴火を踏まえ、観測体制のさらなる強化を図るため、地方整備局と県の協力により、気象庁機動調査班が上空からの火口の観測等を随時実施しております。また、六月一日に口永良部島のヘリポート付近に地震計を増設し、二日から監視に活用しております。さらに、屋久島町に職員を常駐させており、地元自治体等に随時火山活動状況の解説を行っております。
気象庁では、今後の火山活動の推移を把握するために、引き続き、地震、地殻変動、火山ガス等について注意深く監視を行うとともに、地元自治体と連携して、適時に、住民に対し、火山活動の状況についてしっかりと説明を行ってまいります。
○佐藤政府参考人 海上保安庁では、本庁及び第十管区海上保安本部に対策本部を設置するとともに、航空機や巡視船などを口永良部島に直ちに向かわせました。
対応中のヘリコプターから、機動救難士二名を番屋ケ峰避難所に降下させ、調査したところ、傷病者二名を発見し、県防災ヘリコプターに引き継ぎました。また、湯向港に避難した住民六名を巡視船に救助した後、ヘリコプターで屋久島まで緊急輸送しました。
さらに、県からの要請を受け、巡視船により、鹿児島港から警察官二十二名及び消防士七名を口永良部島に輸送するとともに、日本赤十字社の要請を受け、医師等七名及び救援物資を屋久島に輸送しました。
なお、六月一日、巡視船により一時帰島の際の伴走警戒等を支援、六月四日、巡視船により気象庁による地震計整備作業及び九州電力による停電対応への支援、六月六日、巡視船により屋久島町から許可を受けた養豚業者の上陸に対する支援を実施したほか、継続して巡視船による島周辺の警戒監視を現在も実施しております。
○小池政府参考人 国土地理院では、噴火当日に新岳周辺の緊急空中写真撮影を行ってございます。
また、宇宙航空研究開発機構、JAXAが運用しております人工衛星だいち二号のレーダーを活用いたしまして、五月二十九日と六月一日に地殻変動と地表の変化の把握をしておるところでございます。
また、これらの対応によって得られましたデータに加えまして、口永良部島の地図等につきましては、関係機関に提供するとともに、国土地理院のホームページに掲載しているというところでございます。
今後とも、関係機関と協力しながら、引き続き状況の把握並びに情報の共有に努めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
○古賀委員 ありがとうございました。
御多用の中、この委員会でも御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。
また、先日、うえの政務官が現地入りをされたというふうにお聞きをしております。その現地入りの模様、そして、これから噴火の対応、御決意について、うえの政務官から御答弁をお願いいたします。
○うえの大臣政務官 発災直後に太田大臣より指示を受けまして、翌五月三十日に現地の状況を確認するため、鹿児島に行ってまいりました。
天候が悪化をしたため、ヘリによる上空からの視察、確認ができませんでしたけれども、県庁におきまして、屋久島町長さんと電話会談、そして知事さんと直接会談をさせていただきました。
今回、現地に赴きまして、初期対応といいますか、避難対応が相当スムーズにいったという認識を持っておりまして、これは昨年八月に噴火をして以来、そういう噴火をしたこともありまして、島民の皆さんの間に、何かあったら番屋ケ峰という避難所に避難するんだ、そういう意識が徹底をされていたということが一つ挙げられると思います。
若干手前みそになりますが、国交省も、九州運輸局で、万が一の全島避難に備えてフェリーの大きさを百二十名乗りから百五十名乗りに変更を誘導するなど、事前の対応というのをやらせていただいておりまして、やはり万が一に備えた事前の準備といいますか、それが非常に大事だなということを認識いたしました。
町長さんからは火山の監視体制をしっかりやってほしいという御要請をいただきましたし、伊藤知事からは、万が一の避難の長期化に備えて、十分意見交換をしていきたいというお話を頂戴いたしました。
こうしたことを踏まえまして、国交省といたしまして、今後とも、地震計やカメラ等による火山の監視を継続して行っていったり、あるいは、ヘリによる火口の観測等々で、そうしたことを踏まえた丁寧な情報提供、これを現地の自治体にもしっかりとやっていきたいというふうに思います。
また、住まいの確保、今後長期化した場合にはいろいろな具体的な問題が出てくると思いますので、そうしたことも地元の自治体からよく御要望なりをお伺いして、国交省としても、万全の対応ができるようにこれからもしっかり努めてまいりたいと思います。
○古賀委員 うえの政務官、ありがとうございました。
これまで国交省の皆様も本当に適切に対応されているということが大変理解できました。
引き続き適時適切に対応していただきたいと思いますし、うえの政務官に代表してお答えいただきましたけれども、太田大臣初め皆様方に御尽力いただきたいと思います。
また、島民の方が一日も早く島に帰れるように願っております。
次に、話題はかわりますが、自動車の点検整備について移らせていただきたいと思います。
自動車につきましては、時間がたつとともに、また運行の距離とともに劣化が進む。ですので、定期的な保守点検が必要だということかと思います。
平成七年に、道路運送車両法の改正によって、検査、車検を先にして、その後に整備をする、これは前検査後整備ということでありますけれども、そういったことが可能になりまして、その結果、車検は受けたけれども整備は行わない、そういう一部の自動車ユーザーの方がおられるというふうに聞くところであります。
やはり安全のためにきちんと定期的に車両の点検整備を行っていく必要があると思っておりまして、国土交通省の方でもさまざまな取り組みをされていると思います。その対応状況につきまして、まずはお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木大臣政務官 お答えをさせていただきます。
やはり車の安全は極めて大事でありまして、恐らく、ほかの国では結構道路の途中で車がとまっていたりしますけれども、日本で余りそういったこともない。まさにこれは、これまでもさまざまな形で点検整備、こういったことをある意味で施策の中でもして、そして、業者の方々にもそういった中でいろいろな活動をされて、その結果ということだろうと思います。
そうした中で、今御指摘のように、前検査のユーザーの一部については、その整備を実施していない、そういった例も実際にあるところであります。まさに自動車の安全ということで申し上げれば、ユーザーが自分の車の状況をしっかりとまずは把握すること、そして点検整備を確実に実施する、この二つが極めて大事なことであろうと思います。
そうした中で、昨年の二月から、一つには、自動車のユーザーが自分の車の状況をしっかりと把握できるように、検査証に車検時の点検整備実施状況の記載を始めました。
そして、あわせて、劣化、摩耗によって基準不適合になった自動車に対して積極的に点検整備勧告を行えるように、これまで基準不適合箇所が二カ所以上、複数なくてはいけなかったものを一カ所以上というふうに、この発動要件を見直しをさせていただきまして、結果として、毎年数件だったこの勧告についても、昨年度八百七十七件というようにかなり増加をした、そういった状況にあります。
さらに加えて、この六月からになりますけれども、点検整備勧告を発動した場合に、自動車のユーザーが勧告を実際に受けている、その事実を正しく把握していかなくてはいけないものですから、そういった認識ができるように、車検証にその旨の記載を開始したところであります。
そして、今月はあわせて、街頭で検査を集中して実施する不正改造車排除運動の強化月間ということでありまして、自動車検査証の記載内容、これは街頭検査においてもユーザー指導にしっかりと活用していく、そういった取り組みを今進めているところであります。
○古賀委員 鈴木政務官、ありがとうございました。
今御答弁いただきましたように、検査証にきちんと記載を、いろいろな情報を入れていくということも大事だと思います。これは、ユーザー自身の認識とともに、街頭検査等、そういうところでも検査証を見ればわかるということかと思いますし、実際に、その街頭検査、今、六月は強化月間というお話もありましたが、九月、十月には点検整備の月間もあるようにも聞いているところであります。そういった機会を見つけて、点検整備が一〇〇%に近づくように、積極的な取り組みを国交省の皆様方にお願いしたいと思います。
この自動車整備につきましては、こうした点検整備の問題以外にも人材確保といった問題があるというふうに聞いております。今、人口がこれから減少していく、また労働人口も減っていくという中で、どの業界も人材確保に苦労しているところでありますけれども、自動車整備士、この整備士を目指す若者というのが激減している、十年間で半減している、そういうお話も聞くところでありまして、整備士の不足が大変心配されるところであります。
こうした人材の問題を含め、自動車整備の体制をどのように充実していくのか、ぜひこの点を太田大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○太田国務大臣 約半数の整備工場で、整備工が、整備士が不足しているというふうに答えているという現状がございます。整備工も建設労働者も、あるいは電力関係、さまざまな現場の労働力、労働者が、あるいは技術者、技能者が不足をする、これはますますこれから日本の社会の大きな問題になってくると思いますが、整備工はその中でも大事な大事な人たちだと思います。
そういうことで、自動車関係団体と協力をしまして、高校訪問などによる整備士のPRをしたり、あるいは日本自動車整備振興会連合会が主催する技能コンテストの優勝者に私みずから優勝杯を授与するとか、いろいろなことで激励をしております。
ただ、非常に、昔、三Kと言われた中の一つでもあったと思います。ただ好きだというだけではならないわけで、そこの処遇の改善を含めて、若い人たちが自動車の整備工場で働くという環境をしっかり整えていくということが人材育成で一番大事なことだ、このように思っているところでございます。
○古賀委員 太田大臣、ありがとうございました。
今、自動車というのは、いろいろな、ハイブリッドですとか電気、さらには燃料電池なども出てきまして、非常に技術も高度なものになってきております。そういった中で、きちんと整備士が育っていくことが我々の安全のためにも大事だというふうに思いますので、ぜひとも引き続き人材育成に努めていただきたいと思います。
最後に、話題がかわりまして、海上保安庁の職員についてお聞かせいただきたいと思います。
先般、新聞の記事で、海上保安庁初の女性署長となられた中林署長の記事を拝見いたしました。この方は木更津の海上保安署長に、女性初ということでなられたということでありました。
こういった女性の登用、海上保安庁は本当に大変な職場だと思うので、難しいとは思いますけれども、ぜひ、中林署長を初め女性の皆様方が活躍する、そういう職場を期待するところであります。
政府としても女性の活躍促進に今、力を入れているということでありますし、先般、法案も衆議院を通過した、関連法案が通っておりますし、そういった中で、海上保安庁の女性の職員の割合ですとか配属先等、また、これからどのような採用をするのかといった点についてぜひお話をお伺いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えします。
海上保安庁では、一九七九年、昭和五十四年より、海上保安学校において女子学生の採用を開始し、近年、募集活動の強化を図ってきました。その結果、ここ数年間、新規採用学生に占める女性の割合は一五%程度となっており、現在では、全職員のおよそ六%に当たる約八百人の女性職員が在籍しております。
当庁は、海上犯罪の取り締まり、海難救助、海上交通の安全確保、海洋調査などの多岐にわたる業務を行っておりますが、現在、女性職員は、巡視船艇、航空機の乗組員等の現場第一線での業務を初め、海洋調査、航行管制等の専門的業務や総務系業務に至るまで、ほとんどの職域で活躍しており、本年四月一日には、委員御指摘のとおり、現場責任者である海上保安署長も誕生しております。
他方、結婚や出産を契機に退職される女性職員も多うございますので、当庁では、女性職員が活躍できる職場環境の整備をより一層推進するため、昨年九月、海上保安庁女性活躍・ワークライフバランス推進本部を設置したところであり、今後ともこの取り組みを進めてまいります。
○古賀委員 御答弁ありがとうございました。
先日、ニュースでも、先ほどの口永良部島の噴火の対応で、機動救難士の方が迅速に対応されたというようなニュースも拝見したところであります。海上の安全、そして治安を守る、日本の海を守る、そういった海上保安庁の皆様方は本当に御苦労が多いと思っておりまして、皆様方のその取り組み、働きに心から感謝を申し上げるとともに、これから、女性に限らず全ての職員の方が働きやすく、そしてより魅力ある職場づくりを国土交通省の皆様方にもお願いしたいと思います。
時間が来ましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○今村委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。
本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
私、前半で質問させていただきたいのは、誘導車について。
誘導車とは何かといいますと、規格外の荷物を運ぶとき、トラックで、物すごい横幅があるとか、あるいは全長が長いとか、こういうものを運ぶとき、あるいは、道路によっては重量制限というのがありまして、あるいは高さ制限というのがある、この制限を超えて荷物を運ぶトラック、トレーラー、こういうときに、通行許可をまず取得しなきゃいけない。その上で、条件に応じて前後に誘導車をつける。これでやっと運行ができる。
ところが、例えば、誘導車をつけて大きな荷物を運んでいる、カーブに差しかかったときに、重い重機が落下するとか、あるいはトレーラーが横転する、こういうような事故が各地で起こっております。これは、規格外の大きな荷物なので大事故につながっていくわけです。
死亡事故も発生しております。信号で待っていた方が横転したトレーラーの下敷きになる、こういうような事故も発生しております。また、大型なので、一回倒れると撤去するのが大変です。非常に時間もかかる。交通渋滞を巻き起こすということで、さまざまな影響があるという状況になっております。
こうした、なぜ横転するか、なぜ荷物が落ちるか。恐らく、言われているのは、速度超過であったりとか、あるいは荷締め、荷物をしっかりととめる、これが不足しているというふうに言われております。
ところが、そもそも、誘導車がついているのになぜ速度超過になるのか。誘導車というのは、そもそも一定の能力が必要なわけです。やるべき仕事がしっかり決まっている。ところが、実は、それがちゃんと担保されているのかどうか。各地でこういう事故が起こっているわけですから、この問題意識で前半質問させていただきたいと思います。
まず、簡潔にお答えいただければと思いますが、そもそも誘導車、これは一体どういう制度で今運用されているんでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
今委員の方からかなり詳細な御説明がございましたけれども、道路は一定の規格の車両が安全、円滑に通行できるように設計されておりまして、道路の構造を保全したり、あるいは交通の危険を防止する観点から、その規格を超える車両は原則通行できないんですけれども、おっしゃっているように、その規格を超える車両につきましては、申請をいただいて、道路の構造の保全であるとか、交通の危険を防止する必要な条件を付して許可しているところであります。
委員御指摘があったように、例えば重い車両が橋を走る場合は、同じような重い車両が同時に橋に乗ると危ないものですから、前後に誘導の車をつけて一緒に車が来ないようにするとか、あるいは、狭い交差点を大きな車が通過するときはどうしても反対車線に出てしまいます。そういう場合は、対向車が来ないようにということも含めて特殊な車両の前後に誘導車を配置するということで、危険防止等を図っているところでございます。
以上です。
○伊佐委員 今、前半に御説明いただいたとおり、結局、これは一つ一つ申請をして、運送一つ一つに個別に許可をして運用しているという状況です。
誘導車を扱っている事業者というのがあります。ところが、この事業者に対しては、規制もなければ、もちろん認可もない。だから、質を担保していくような基準が今ない状況になっております。法令上は、いろいろやらなきゃいけないことというのが決まっています。また、安全のための誘導の仕方も含めて、知識であったり経験であったりというのが必要になっております。ところが、これが担保されるすべがないというのが今、現状だと思っております。
現在、トラック運送業は、物流二法というのが平成二年に施行されまして、それから競争が激化しています。コスト競争が激しくなっている中で、いかにコストを抑えていくか。誘導車が必要なときというのは、別に全ての運送に必要なわけではありませんので、みずから誘導車を運送事業者が抱え込む、あるいは人員を抱え込むということはなかなか難しい。
そうすると、何が行われているかというと、現在、誘導車についてアウトソーシングされているんです。外注されています。運送業者が本来みずからやるようなものを、自分たちで抱えられないので、外に出している事業者が全部で大体四〇%。四〇%の方々が、誘導車を事業、なりわいとしているところに頼んでいる。
ところが、なりわいとしている誘導車の会社というのはいろいろありまして、質を担保する規制というのがないので、悪質なところもあれば、とんでもない運用をしているような会社もある。質が担保されていないというような状況です。
アウトソーシングしていない会社も、これまた大変です。中小の運送事業者はお金もないし、人員もなかなか不足している、こういう状況の中で、誘導車が必要になったときには、そのときにアルバイトを雇って、パートタイムで雇って、専門知識がないような人が、ふなれな方が誘導車に乗っている、こういうような状況です。
だから、いろいろな事故が起こっていまして、トレーラーの運転手と誘導される運転手とトラブルが発生したりとか、あるいは、先ほど申し上げた、スピードを少し出し過ぎてしまって、急ブレーキを踏む、あるいは特殊車両とそのときに激突したであったりとか、死亡事故も発生しております。この質の担保をどうするかというのは私は大事だと思っておりまして、安全確保のための知識であるとか技能であるとか、これを確実にしていく必要があると思っております。
そういう意味で、まず、ガイドラインの作成、こういうものも含めて何らかの手を打って、しっかりと普及、徹底を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
委員おっしゃったように、誘導車の役割というのは大変大事なものだと考えております。国土交通省では、現在、ホームページ、あるいは特殊車両許可に関する各種の講習会であるとか研修会などを通じて、その役割等の周知をしているところです。
ただ、委員おっしゃるように、誘導車が有効に機能するということは本当に大事だと思っておりますので、今後とも、実態をよく把握して、誘導車の課題、それらも明確にしながら、さらなる周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
○伊佐委員 ぜひ国交省は、今申し上げたように、アウトソーシングされて、誘導車を事業として、なりわいとしてしている事業者というのが結構あるわけです。私、レクのときにもいろいろと国交省と意見交換する中で、実態をまず把握してほしいと思うんです。事業者の数は、では、どれぐらいあるかと聞いても、いや、統計がありません、あるいは、では、どれぐらいの運送事業者が委託しているのか、これもデータがない、事故事例は何かありますか、いや、これも押さえていません、今こういうような状況ですので、まずはしっかりと実態を把握していただきたい。
少なくとも、先ほど申し上げたように、重量指定がある道路とか高さ指定がある道路とか、これは今どんどんふえているわけです。全国でこのキロ数がふえているわけですから、ぜひ、まず実態を把握していただいて、そして、誘導車のなりわいとしての事業を認めていく、業として認めていく、こういう選択肢も含めてぜひ御検討いただければと思っております。
少し具体的にもう一点伺いますと、緑色の回転灯、車の上につける回転灯ですが、誘導を行っているということを周りの一般車にも注意喚起するという回転灯です。
現在の制度はどうなっているかというと、トレーラーを一台持っている人にこの緑色の回転灯を四つ持てるというようなルールになっています。つまり、さっき申し上げたなりわいとして誘導車をやっている事業者は、実はこれを持てないということになっております。これだけアウトソーシングが進んでいるのに、専門でやっている事業者は持てない、持てないがゆえに誘導作業中にいろいろなトラブルが発生しています。
例えば、さっき局長がおっしゃった、二車線内に、隣があいていても通っちゃだめよという場合もあるわけです。そのときに誘導車がついていて、これをほかの車が走らないようにする。回転灯もついていないので、一般車両から苦情が来る。一体何の権利があって妨害しているんだ、我が物顔で走るなと空き缶をぶつけられる、こういうようなこともあるというふうに伺っております。
今、さまざま課題はありますが、せめて、誘導をなりわいとして行っている事業者、こういうところもしっかりと緑色の回転灯をつけられる、まずここから変えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田端政府参考人 お答えいたします。
道路運送車両法では、委員御指摘のとおり、回転灯の装着は緊急車両など、こういう点に限定をしております。
一方で、重量物を輸送するトレーラーのような長大な車両を運行する場合にされます誘導車両につきましては、基準緩和制度によりまして緑色の回転灯を装着することを認めております。
これまで、委員御指摘のとおり、長大な車両を運行する者が自前で準備することが一般的でありましたので、基準緩和制度を活用できる者を長大な車両の使用者に限定しておりました。しかしながら、近年、御指摘がありましたように外部委託をするケースが出てきておりまして、ふえてきております。その受託者が必要に応じて、回転灯を装着できるよう措置することが必要であると認識をしております。
このため、今後、制度の詳細を検討しまして、本年の秋までには関連通達を改正し、誘導業務を受託した者が回転灯を装着できるように措置してまいりたいと考えております。
○伊佐委員 ありがとうございます。
非常に前向きな御答弁をいただきました。秋ごろにという具体的な答弁までいただきました。ぜひしっかりと向き合っていただければと思っております。ありがとうございます。
それでは、次に、トラックの現場のドライバーの皆さんが置かれている現状について、残りの時間、質問させていただきたいと思います。
ちょうど私、この場で、一年前、ドライバーの皆さんの環境について質問させていただきました。きょうも資料を一点だけ配らせていただいておりますが、これは過労死のデータなんです。各業種、一番右、十万人当たりでどれぐらい過労死されているかというのを見ますと、この赤丸で囲んでいるところがまさしく運送業の皆さんですが、一番下、合計を見ますと、大体平均、十万人当たりで過労死〇・六六件。ところが、赤丸のところを見ていただくと六・八九。異常な数字です。十倍を超えています。これぐらい過酷な環境の中で、今トラックのドライバーの皆さんは現場でハンドルを握っていらっしゃっている。
きょうはデータは配っておりませんが、例えば事故件数を申し上げても、同じような事業用自動車、例えばバスとかタクシー、ハイタク、こういうものと比較しても、トラックは非常に多いです。また、死亡者数も多い。死亡事故にも結びつきやすい。
こういうような状況で、先ほど申し上げた物流二法が施行されて、過当競争が、過酷な競争が行われて、この中で、今現場のドライバーの皆さんに一番このしわ寄せが行っているというような状況です。
この物流二法、平成二年と比べて、規制緩和されたことによってトラックの数はそんなに変わっていない。ところが、事業者の数が一・五倍になっています。つまり、何を意味するかというと、中小の運送業者がたくさんふえてきた、そこで過当競争が生じている。
私、現場で聞くと、これは何が起こっているかというと、建設業者であれば、例えば、元請から下請、二次請、三次請、大体これぐらいで終わるんです。ところが、運送業者の現場では、七次請とか八次請とか、こういうようなところまで今、下請構造の下層構造ができ上がっている。当然、一番最後、八次請のところが、ドライバー、現場でハンドルを握っているわけですが、この間に水屋と言われる方々、実際に仕事が来て割り振るだけの水屋という方々がいらっしゃってマージンを取っている。だから、下に行けば行くほど、マージンがどんどん抜かれるので苦しい。
私、昨年申し上げたのは、ぜひ、国交省はしっかり現状を調べてほしい、この多層構造の現状をしっかりと調査してほしいと申し上げたところ、わかりましたと言っていただきました。
さて、その後、調査はどうなったでしょうか。
○羽尾政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、昨年、トラック輸送における適正な取引や輸送の安全確保を図るため、貨物利用運送事業者とトラック運送事業者の取引関係や輸送の安全確保に関する実態調査を実施いたしました。
この実態調査の結果、取引関係につきましては、取引の発注手段の面で、ファクス、文書、電子メール等の書面よりも電話の方が多く利用されていることが示されました。さらに、発注内容の明示の面では、車両とめ置き料や燃油サーチャージについては余り記載されていないことが示されました。
また、輸送の安全確保につきましては、発注内容の適切性の確保の面で、一部の貨物利用運送事業者においてトラック運送事業に関連する法令等の理解が不十分であることが示されました。
以上です。
○伊佐委員 調査をしていただいたという結果を今御紹介いただきましたが、私は、その努力はありがたいと思うんですが、少し残念に思っております。もう一歩踏み込んでいただきたかった。なぜかと申し上げると、トラックドライバーの今置かれた環境がどうなのか、ここにしっかりと焦点を当てて調査をやっていただきたかったと思っております。
今の話では、例えば何を調べたかというと、あなたは法令を知っていますか、こういう質問の仕方をされています。あるいは、発注は電話でしていますか、ファクスでしていますか。こういうものじゃなくて、もっとドライバーの皆さんの今の置かれた環境、賃金、こういうものがどうなのかという調査をもう一歩踏み込んでしていただきたかったと思っております。
そういう意味で、実は、私、いろいろデータを探しました。ちょうど業界がみずからした調査というものがございます。これは、ドライバー千六百八人に調査したものですが、四月に出たばかりです。
これを少し紹介させていただくと、例えば、賃金は、月収大体平均二十一万三千円。全産業平均三十万なので、十万ぐらい差があいています。中小企業平均でも二十六万ですから、二十一万というのは五万少ない。あるいは、労働時間を見ましても、月二百六十六時間。全産業平均百五十九なので、百時間多い。中小企業も百五十八なので、百時間ぐらい多いんです。時給換算すると、時給千百六十五円。全産業が千七百円、中小企業が千五百円なので、これも低い。
基準運賃というのが昔ありました。平成十一年、タリフと言われている時代、国が定めた基準運賃がありました。これは、コストを積み上げてつくっていったと伺っております。つまり、車両維持でどれぐらいかかるか、あるいはドライバーの給料はどれぐらい必要か、こういうものを積み上げて、大体これぐらいの運送運賃というのが適正だねというところでつくったものです。
今、時代は事後届け出制になって、価格の規制がなくなって自由になりました。そうなる前の基準運賃なんですが、ただ、積み上げ方式でつくったもの、実は平成十一年とそんなに物価は変わっていませんので、このタリフの運賃と今を比較する、実際に妥当だという運賃と比較すると、今現状どれぐらいかというと四九・三%です。コストを積み上げたものと比較して今は半分ぐらいしか実はもらっていないという状況です。
こういう状況をぜひ考慮していただきたい。調査もしていただいたわけですから、こうした問題をこれから国交省はどういうふうに対応していくかについて大臣に伺いたいと思います。
○太田国務大臣 この問題は、ドライバー不足ということや、あるいは、それはなぜかというと、労働条件の悪化があるという現場の視点でお話をいただいたと思っています。非常に大事なことで、その労働条件の悪化の中には、御指摘の多層構造というものがある。昨年の調査というものをさらに踏まえて、きめ細かく調査をしたり努力をしたい、このように思います。
一つは、去年、多層構造による二つの課題が浮き彫りになったわけですが、一つは、契約内容が不明確であるなど、荷主等を含めた取引の適正化が必要であること、二つ目は、一部の貨物利用運送事業者で関連法令等の理解が不十分であるという、二点が浮き彫りにされたと思います。
一つ目の取引の適正化につきましては、運賃や荷役作業などの契約内容を明確にする取引書面化の普及、定着のためにセミナーやモデル事業を実施する、トラック事業者、荷主、厚生労働省、国土交通省等による協議会を設置して、ロードマップに基づいて計画的に取引環境の改善や長時間労働の抑制を推進する、こうした適正な運賃の収受、手待ち時間の削減等をさらに図っていきたいと思います。
二つ目の貨物利用運送事業者に対しましては、トラック運送事業に関する講習会への参加の要請や監査の強化充実等によって、関係法令の理解の促進及び不当な行為の防止を図ってまいりたい、このように思いますが、冒頭申し上げましたように、ドライバー不足、労働条件の悪化、多層構造、こうしたことにしっかり目を注いでいきたい、このように思います。
○伊佐委員 大臣、ありがとうございます。
もう時間が来たので終わりますが、先ほど、さまざまな手を打っていただいているということですが、例えば、協議会をやっているという一つとってみても、厚労省にいつ結論を出すかと聞くと、三十一年の四月だと。四年後だという話を伺っているんです。四年たつと、恐らく大臣の後ろに座っていらっしゃる方々は誰もここにいないと思いますので、ぜひもっと喫緊の課題として前向きに加速して進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○今村委員長 次に、中根康浩君。
○中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。
きょうは、国交委員会、久しぶりにお時間をいただきまして、質問させていただきます。
もう既にレギュラーメンバーの方々におかれましては議論をされたこともあろうかと思いますけれども、私の立場から質問させていただくということで、御理解を賜りたいと思います。
まず初めは、資料も配付をされると思いますけれども、自動車安全特別会計についてでございますけれども、平成六年と平成七年に、平成六年が七千八百億円、平成七年に二千九百十億円、合わせて一兆一千二百億円が自動車安全特会から一般会計に繰り入れられたということでございます。それがいまだに全額返済されていないということでございます。返還をされたのはこのうち六千九百二十一億円にとどまっていて、未返還の金額が、利子相当分を含めて六千七十二億円ということになっているわけであります。
この返還につきましては、資料の一番右下をごらんいただければわかるんですが、右下というか、順次、平成六年に、当時の藤井大蔵大臣と伊藤運輸大臣が合意をして、返還をしていくという約束をしたわけなんですが、その後、四回にわたって期限の先送りが行われているわけであります。
今の約束は、平成二十二年の十二月の二十二日に、野田当時財務大臣と馬淵国交大臣が約束をして、平成二十四年度から平成三十年度までの間に返還をするということになっているわけでございます。
本当にこの約束が実行されるのかということでございますけれども、実は、このことにつきましては、三月に予算委員会の分科会で取り上げさせていただきまして、竹谷大臣政務官から、平成二十七年度の予算編成過程におきましては、この合意を踏まえて財務省と国交省との間で検討をした結果、一般会計の財政事情は依然極めて厳しい状況にあることから、二十七年度には繰り戻しを行わないことといたしましたという御答弁をいただいていて、結局、二十七年度には一円も返還がなされなかったということでございます。
もう皆さん御案内のとおり、自動車安全特会におきましては、交通事故被害者の方々の救済事業も行われているわけであります。この返還が行われれば、返還されれば、それを有効、有意義に生かして被害者の方々に対するさまざまな施策が展開され得るということでありますけれども、返還されないことによって、本来行うべきことが行われていないということにもつながっているわけであります。
平成二十八年度、一円も返還をしないということはあり得ないというふうに私は思います。アベノミクスで税収が上がっているということを誇らしげに政府は言っているわけでもありますので、二十八年度、約束どおり、改めて返還を始めていくべきだというふうに思いますけれども、国交省のお考えをお示しいただきたいと思います。
○太田国務大臣 平成六年度及び七年度に自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた約一兆一千億円につきましては、法律に基づいて、自動車安全特別会計に繰り戻されることになっています。御指摘のように、いまだに約六千億円が繰り戻されていない状況にあります。
自動車安全特別会計の積立金は、自賠責保険の再保険料の累積運用益を原資としまして、被害者保護対策や自動車事故防止対策を安定的に実施するための財源で、今先生御指摘のとおりです。このため、速やかに法律等に基づいて一般会計から自動車安全特別会計に繰り戻す必要があるというふうに考えています。
国交省として、これまで繰り返し財務省に対して繰り戻しを要求してまいりました。平成二十八年度の予算編成過程においても、適切に協議してまいる所存でございます。
○中根(康)委員 今大臣から、適切に協議をしていきたいという御答弁をいただいたわけでありますので、来年度予算編成過程におきましては、ぜひ財務省に強く御要望をいただけるものと確信をさせていただきたいというふうに思います。
例えば、遷延性意識障害、いわゆる交通事故によって植物状態になった方々、こういった方々におかれましても、適切に、集中的に治療あるいはリハビリ等が施されれば、御家族の方々にとっては、目の玉が少し動くということだけでも大変な朗報であるわけでありますし、場合によっては、絶望的な状況から何か一縷の光を見出すことができるように回復をするという可能性もある。
その取り組みをしているのが、独立行政法人の自動車事故対策機構、いわゆるNASVAと言われているところが運営している療護センター、あるいは、このNASVAが一般の病院に委託をしている病床であるということであります。
交通事故被害者、例えば遷延性意識障害の被害者、御家族の方々からしてみれば、財務省に行ってしまっているお金が返還されることによって、こうした療養病床が充実をして、必要な、集中的な治療、リハビリが行われて、少しでも状況が回復をするというようなことを望んでおられるわけでありますので、ぜひそういった交通事故被害者の方々のお気持ちを、太田大臣、お酌み取りをいただけるものと思いますので、大きな金額ではございますので一度に全て返還ということにはならないと思いますが、改めて返還、返済計画を財務省と国交省とでおつくりいただくなどして、着実な返還をして、交通事故被害者の方々のお気持ちに寄り添うような施策の展開につなげていただければと思いますので、これはもうぜひぜひよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
続きまして、これも交通にかかわることではありますけれども、スマートインターということでございます。
これも資料がお手元に配付をされておると思いますけれども、愛知県の岡崎市に、現東名と、それから来年三月までに開通する予定の新東名が走っておるわけであります。この現東名と新東名、それぞれ地元からスマートインターの開設の強い要望があるということは、国交省におかれましても御理解をいただいているものと思います。
まず、現東名の方でございますけれども、岡崎インターと豊田インターとの間のちょうど真ん中あたりにぜひスマートインターの開設をということでございますが、これは岡崎市阿知和町というところの付近が有力な候補地ということになっておりまして、この阿知和付近は、市街地にも近く、愛知県の企業庁が計画をしている阿知和工業団地にも隣接をするという、物流産業面におきましても大変有意義な、有効なインターということにもなると思います。
それから、新東名の方に岡崎サービスエリアというものができるわけなんですけれども、このサービスエリアにスマートインターを併設する。この場合には、新たに大規模な構造物をつくる必要もありませんし、維持管理に必要な人員も必要がないということになりますので、コストを低く抑えることができるということのメリットがあるということでございます。
そして、この現東名、新東名いずれのスマートインターの候補地におきましても、この地図でいえば右の方なんですけれども、豊田市と岡崎市をまたぐところにトヨタ自動車が世界一の研究開発施設、テストコースを今造成中でございまして、ここには新たに四千人の雇用も生まれるということでもございますし、日本じゅうから、あるいは世界じゅうから関係者が集まるというようなことにもなるわけでありますので、そういう意味では、日本を牽引する基幹産業である自動車産業の極めて大きな拠点がここにできるわけなんですけれども、ここへのアクセスということにおきましても大変利便性の高い位置にあるということでございます。
このスマートインターの設置ということにつきましては、国交省あるいは愛知県、また岡崎市、中日本高速道路、関係者が御協議をいただいているということであろうと思いますけれども、このスマートインターの開設ということにつきまして、国交省のお考えをお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
スマートインターチェンジは、御存じのように、ETC専用のコンパクトなインターチェンジでございますけれども、既存高速道路の有効活用や、あるいは、今おっしゃったように、周辺の商業施設へのアクセス、さらには雇用の創出など、非常に効果が高いものだというふうに考えておりまして、現在、平成二十六年度末時点でございますが、全国で七十七カ所で設置済み、六十八カ所で事業中となっております。
このスマートインターチェンジにつきましては、昨年の法改正によりまして、道路予算による補助制度が設立されたところです。地元の公共団体の要望をいただきながら、国、高速道路会社、地方公共団体等が連携して、インターチェンジの位置とか、あるいはアクセス道路、それから整備効果などについて検討して、計画を取りまとめていくこととしております。
委員御指摘のここの地域におけるスマートインターチェンジですけれども、東名高速道路においては、整備の効果、位置等について、現在、岡崎市の方で検討するというふうにお聞きしています。また、現在建設中であります新東名高速につきましては、岡崎サービスエリアの付近において、これもまた、必要性、可能性について、岡崎市の方で御検討いただいているというふうにお聞きしております。
国土交通省としましても、地元における検討に対しまして、必要な協力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○中根(康)委員 御答弁いただいたように、地元岡崎市の方で検討しているということでございますが、地元での協議がまとまった場合には、ぜひ国交省におかれましても、必要な予算の確保ということにつきまして、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思うところでございます。
現東名の阿知和のところには、高速道路設計上、百二十キロ対応というようなところでもあるので、少しその意味で、若干の検討の余地があるというか、課題が残っている。あるいは、新東名の岡崎サービスエリアに設置する場合に保安林の解除というような問題もあるというようなこともありますので、こういうことにつきましても、関係省庁、関係機関と十分国交省としてリーダーシップを発揮していただいて、産業面におきましても、生活面におきましても大変有意義なこのスマートインターの開設について、ぜひ国交省として指導力を発揮していただければありがたいということでございます。
続きまして、やはり同じように道路の話でございますけれども、お手元に、西三河のものづくりを支える名豊道路整備に関する提案書、平成二十六年の十二月十六日に国交省などに提出をされたものでございます。提出者は、地元ものづくり企業、それから愛知県の西尾市と愛知県幸田町の連名での提案書の提出ということでございます。
これは、自治体からこういう陳情書、提言書などが出るのはごく普通のことでございますけれども、ここに地元ものづくり企業ということが連名して提案書がつくられているということがやはりとても大切なことというか、重要なポイントだということであろうと思います。
資料をおめくりいただければおわかりのように、西尾の地元ものづくり企業からは、アイシン・エーアイ、アイシン機工、アイシン精機、アイシン高丘、オティックス、デンソー西尾、誰でも御存じのような企業名が並んでいるわけでありますし、幸田町からは、アスカ株式会社、エムアールシー幸田、ソニーイーエムシーエス、デンソー幸田、パナソニックエコソリューションズ、これもまたこういう大変有力な企業ばかりが名前を連ねているわけであります。
つまりは、この国道二十三号線バイパス、いわゆる名豊道路沿線には日本の経済の屋台骨を支えるような企業が存在、立地をいたしておるわけでありまして、この道路の早期全線開通あるいは四車線化というものは、愛知県のみならず、全国の産業振興にも極めて意味のあるものであるということが言えるのだと思います。
この二十三号線バイパスにつきましては、昨年でしたか、蒲郡インターまで開通をして、そのことによって東名とのアクセスが便利になったわけなんです。そうすると、豊橋方面から名古屋方面に行く車が、今の東名が結構渋滞するものですから、その渋滞を避けてこの二十三号の方に流れてくるんですが、つながったことによって、この二十三号の渋滞が大変激しいものになってしまって、一度ぜひ御関係の方に御視察をいただければと思いますが、とにかく全く動かないというようなことでございます。
これでは、生活面においても、あるいは経済面においても、大変大きなロスを生じてしまっているということになっておりますので、暫定的に二車線で開通したところの早期の四車線化、そして、ひいては全線開通というものをぜひ早急に実現していただきたいというふうに思っております。
この西三河地域の製造品出荷額は、この提案書にも書いてありますけれども、実は神奈川県を上回るような、愛知県の三分の一程度の面積の地域でありますけれども、その地域が神奈川県の製造品出荷額を上回るような大変物づくりの盛んな地域であるわけでありまして、それだけに、円滑な物流というものはとても重要であるということでございますので、ぜひ、この二十三号線バイパス、早期の四車線化、全線開通というものの実現を図っていただきたいと思います。
この点につきまして、国交省のお考えをお聞かせいただければと思います。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
国道二十三号名豊道路は、名前のごとく、名古屋市それから豊橋市を結ぶ道路でございますけれども、全体で七十三キロの道路でございます。
今お話にありましたように、自動車産業を中心とした物づくりの集積地であります三河地域、それと三河港を結ぶ非常に重要な道路でありますとともに、国道二十三号、一号等の交通渋滞の緩和、これらを目的として整備しております重要な路線であります。地域からも期待の高い道路だと認識しております。
現在、全体の九割が開通しておりまして、そのうち約四割の四車線化が進んでおります。残る未開通区間、一区間あるわけでございますが、豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ、これが九キロあります。現在、用地買収と工事を進めてございますが、用地買収が全体で今七〇%ということで、もう少し頑張って、用地を買いながら工事を進めていきたいと思っています。
また、暫定二車線区間につきましても、順次、四車線化の事業を進めております。
引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、名豊道路全体の早期完成に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○中根(康)委員 この道路につきましては、決して事業が滞っているということではなく、計画的に進められているということではありますけれども、今の道路渋滞状況を見ると、これはもう一日も早くというのが地域からの強い要請でありますし、これは、先ほどから申し上げておりますように、愛知県東海地方のみならず、日本全体の産業ということから見ても極めて有効な道路であるということだと思いますので、できれば現在の計画をさらにスピードアップして、特に暫定二車線で開通した部分の四車線化ということが当然渋滞の解消には有効であるものですから、そういった観点から、事業の一層の推進を図っていただきたく御要望を申し上げるところでございます。
続きまして、今度は鉄道でありますけれども、リニアといっても、きょうはリニアそのものではありません。リニアが二〇二七年に名古屋まで開通をするということで、東京―名古屋間が四十分で結ばれたら世の中はどうなるか、さまざまな夢を描いているわけでありますけれども、このリニアが東京―名古屋間、あるいは将来的に東京―大阪間で開通するということになった場合の東海道新幹線の役割、これがどのようなものになっていくかということでございます。
例えば、東京―名古屋でリニアが開通した場合には四十分です。これが、今の「のぞみ」でいうと約一時間四十分。一時間の短縮ということになります。たしか、料金もそんなに変わらない。五百円だったか千円だったか、その程度の差だということで今想定されているようでございますので、そうすると、ほとんどの方は、名古屋から東京に行くのはリニアを使うということになろうかと思います。そうすると、今の東海道新幹線の役割というのは、おのずと何らかの形で変化があるということであろうと思います。
リニアは、東京―名古屋の間に中津川だとか飯田だとか、こういうところに駅ができるわけなんですけれども、愛知県、あるいは特に三河とか静岡とか、こういったところはなかなか、リニアに乗るということよりも、やはり東海道新幹線を使った方が東京との行き来が依然として便利だというようなところも残るわけであります。
その場合に、「のぞみ」型を使っていた方がリニアに移るということであれば、東海道新幹線は「ひかり」型あるいは「こだま」型の移動をされておられる方が中心になっていくということも想定されるわけでありますので、ダイヤの改正、特に「ひかり」とか「こだま」というものをさらに、特に「ひかり」を増発していただくということを、まだ随分先の話ではありますけれども、ぜひ御検討いただきたいということ。
あわせて、新駅ということにつきましても、もちろんこれは地元負担ということになろうかと思いますが、JR東海はリニアで相当収益が上がっていくということも予想されますので、その収益をうまく活用して、新駅の設置というようなことにもつなげていっていただきたいということでございます。
リニア開通後のダイヤの改正、あるいは新駅の設置ということにつきまして、今現在、国交省として何かお考えがあればお聞かせをいただければと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
中央新幹線の整備計画の策定に際しまして、交通政策審議会で審議をいただいております。その答申が平成二十三年に出ておりますが、その中で、リニア中央新幹線の開業後は、東海道新幹線の「のぞみ」型の旅客輸送が担っている輸送ニーズの多くが中央新幹線に転移することにより、一つは、「のぞみ」型が停車しない駅における東海道新幹線の利用機会の増加、二つには、新駅の設置の可能性が生じ、東海道新幹線利用者の利便性向上及び東海道新幹線沿線地域の活性化に寄与することが期待されるというふうに記載されております。
基本的な考え方はこういうことでございますけれども、開業後の具体的なダイヤ、あるいは新駅の取り扱いにつきましては、現時点では未定でございます。開業までに、あるいは開業後の状況を踏まえて、JR東海によって基本的には判断されるものと考えております。
○中根(康)委員 先ほどから取り上げておりますように、スマートインター、あるいは名豊道路、そしてこのリニア、リニアというか新幹線新駅、いずれの観点からも、愛知県の三河地域が経済の基幹的な産業を担っている地域であるということからして、道路も必要ですし、また新幹線の新駅も地元から求められているということもありますので、まだ時間があることでございますので、ぜひ、愛知県岡崎市あたりに新幹線新駅の設置ということを、地元も当然そうですけれども、国交省としても御検討を始めていただければ幸いであると要望をさせていただくところでございます。
自動車整備工場につきましては、先ほども取り上げられておりましたけれども、もう時間がありませんので、少しはしょります。
自動車保険の料率が事故あり車と事故なし車に分かれたというか区分されたことによって、事故あり車となりたくないために、せっかく保険に入っていても保険を使わないということが起きているようだと聞いております。そのことが自動車整備工場、特に板金とか塗装とか、ちょっとした事故では保険を使わない、修理をしないということになっている。自動車整備工場の仕事が減っている。
一方で、この料率の改定によって、損害保険会社は大幅に収益を改善している。損害保険会社がもうけるために料率を改定して、そのしわ寄せが町の自動車整備工場にもたらされているということになっているのかもしれないと思っております。
町の自動車整備工場、この仕事を確保するために、町からそういうお仕事がなくなってしまってはいけないという観点から、この料率の改定、損害保険会社の収益の改善が町の自動車整備工場に大きなダメージを与えているということについて国交省としてどのようなお考えを持っておられるか、御答弁いただければと思います。
○田端政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、平成二十五年に自動車保険料率制度の改定がなされまして、事故を起こして保険金が支払われた保険契約者について、翌年以降の保険料の負担が従来より割り増しされることとなりました。これによりまして、修理代金が高額でない事故に係る修理を整備工場に依頼することが抑制され、整備工場の経営にも影響が出ているというお声があることは承知をいたしております。
数字で申し上げますと、平成二十六年度の整備事業の売り上げは五・五二兆円で、ピーク時と比べ一割減ですが、特に事故整備の売り上げは一・二三兆円で、前年度比三・四%減という厳しい状況となっています。
このため、国交省といたしましては、中小企業が多いこの整備事業に対します中小企業投資促進税制による設備投資支援、また、整備作業の高度化、効率化に資しますスキャンツールの導入補助などによります支援を行っております。また、先ほど大臣からも申し上げました、人材の確保についての諸対策に取り組んでいるところであります。
これらの施策によりまして、整備事業の維持、活性化を引き続き図ってまいりたいと考えております。
○中根(康)委員 きょうは、お時間をいただきまして、ありがとうございました。
自動車整備工場につきましては、福祉車両の架装部分の法定点検化なども含めて、ぜひ政府としても後押しをしていただければということを最後にお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小島委員長代理 次に、横山博幸君。
○横山委員 おはようございます。維新の党の横山博幸でございます。
きょうは、PFIについて集中的にお尋ねしたいと思いますので、明快な御答弁をお願い申し上げます。
御承知のように、PFIは、公共施設などの建設、維持管理、運営等に民間の資金、ノウハウなどを活用して効率、効果的に社会インフラ整備をする手法であり、平成十一年に、いわゆるPFI法の制定により導入されております。PFIの実施の効果としては、コストの削減やサービスの向上などが挙げられております。
しかしながら、私、四国の高知県、高知医療センターや近江八幡市の市立総合医療センターなどでは経営が行き詰まり、オリックスを初めとする事業主体はPFI契約を短期間で解除し、高知県でも大変な混乱を起こしております。
この件について、当時のオリックスの宮内会長は、民間企業であれば赤字になることはないと豪語されておりましたけれども、この点について、きょう総務省の方と厚労省の方がお越しになっていただいておると思いますので、原因と、それから、その原因をもとに、その後の改善点についてお伺いしたいと思います。
○亀水政府参考人 お答えいたします。
高知医療センターについてでございますが、PFI方式によりまして、平成十七年三月に開院し、平成二十二年三月に事業契約を解除したところでございます。
高知医療センターみずからが行った検証結果によれば、当初PFI事業計画で想定した以上に材料費がかかったことから、その削減等をSPCに求めたものの応じてもらえなかったこと、それから病院企業団、SPC、それからSPCからの受託企業等との間で連携がうまくとれず、業務の効率的な執行ができなかったこと等の要因があったとされているところでございます。
また、近江八幡市の総合医療センターのケースにおきましては、収益について当初計画と実績との間に相当の乖離が生じたこと等によりまして、PFI契約の解除に至ったものと承知しております。
総務省といたしましては、平成十九年に発出いたしました公立病院改革ガイドライン及び本年三月に発出した新ガイドラインにおいて、病院整備に際して、PFI方式の採用を検討する場合には、契約期間中の事業環境の変化に対応したリスクの発生に備え、あらかじめ公民間で適切なリスク負担のルールを定めるなど、相当程度慎重な準備と関係者間の調整を重ねるということを求めているところでございます。
○横山委員 厚労省はお越しになっていないんですかね、きょうは。
そうしたら、大変な問題であったと思いますけれども、後ほど国交省に対して質問をいたしますけれども、この原因とか問題点については国交省は情報共有をしておられますか。
○滝口政府参考人 一般論としては、こういったPFI事業の問題点などについて私どもも勉強させていただいております。
全体の取りまとめをしておりますのは内閣府でございますので、そういったところと情報共有をさせていただいておりますが、個別の一件一件までは詳細に把握しているわけではございません。
○横山委員 大変ありがとうございます。
同じ過ちを繰り返さないように、細やかな御指導をお願いしたいと思います。
それでは、次に、これまでの実績のうち多くは、PFI事業者が整備した施設の費用等を税財源などで賄う延べ払いであるとされており、PFI制度の本来の目的が達成されていないと政府自身も認めておられます。
これまでどの程度のコストを削減できて、そして具体的にどのようなサービス向上があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○持永政府参考人 御説明させていただきます。
御指摘のとおり、これまでのPFI事業につきましては四分の三程度がサービス購入型ということではございますが、一定程度バリューが出ておりますので、御説明させていただきます。
まず、平成十一年度から二十六年度まで、十六年間でございますけれども、件数にすれば約四百九十件、事業規模にすると約四兆五千億円ということになっております。
この中で、通常の公的な事業として行った場合、それから、そうでなくてPFIで行った場合のコストの比較、VFMですとかバリュー・フォー・マネーと呼んでおりますが、いずれにしろ、公的負担の抑制額を、これは公表されているものと公表されていないものがあるんですけれども、公表されているもの約三百件だけを合計しましても約八千六百億円のバリューが出てきておりますので、そういった意味で、サービス購入型が多いのは事実でありますが、一定のバリューが出ているということでございます。
あと、サービス向上についても御関心があるかと伺っておりますが、こちらの方も、例えば、国交省の関連とは離れますけれども、図書館でございますれば、土日休みだったものがサービスが提供されるようになるだとか、五時でおしまいだった図書館が八時まで使えるようになるだとか、そういった効果も出ておりますし、先ほどちょっと病院の話が出ておりましたけれども、病院についても、病院の給食について選択式のメニューになるといったPFIでの事業のサービス的な効果も確認されているところでございます。
○横山委員 大変なコスト削減とサービスが具体的にされたと思いますので、今後ともの期待をしたいと思います。
次に、平成二十五年六月六日に民間資金等活用事業推進会議で決定されましたPPP、PFIの抜本改革に向けたアクションプランでは、平成二十五年から十年間で十二兆円規模の事業を目指すとしております。精査された金額ではないと断っておりますけれども、これまでのPFI事業の実績は、実は十五年間の累計で四兆五千億円程度であります。この三倍の目標を立てておりますけれども、これが可能なのかどうか。
また、このうち、今まで余り実績がない公共施設など運営権制度を活用したPFI事業に二兆から三兆円、それから収益施設の併設、活用など事業収入などで費用を回収するPFI事業を三兆から四兆円と目標を立てておりますが、これは実現可能でございましょうか。
○持永政府参考人 御説明させていただきます。
御指摘のとおり、アクションプラン、こちらは平成二十五年度に策定いたしました。PFI法に基づく推進会議の決定を経て、その後、骨太方針などにも盛り込まれたところでございます。
十年間で十から十二兆円の規模を目指そうということでございますが、残念ながら、初年度でありますところの平成二十五年の規模としてはまだ二千三百億円にとどまっておりまして、これからさらに取り組みを強化しなければいけないということでございます。
特に、御指摘のコンセッションの関係でございますとか収益施設を活用するような形のもの、こちらにつきましては、特に、やはり事業を構想してから実現まで若干、二、三年かかる部分もあって、これから順次出てくるのかなという期待を持っております。
例えば、コンセッションについて言えば、平成二十五年度についてはまだゼロ、二十六年度についてもまだ一件というレベルにとどまっておりますけれども、後ほどまた議論になるかと存じますが、今後、空港関係、それから上下水道、有料道路、さらには国際会議場といったラインナップのもとで事業化が進んでいくのではないかと見込んでおります。
それから、収益施設の活用につきましても、アクションプランが決定されて以降、大きく事業実績が伸びてきております。例えば、平成二十四年に三件でありました収益施設併設型の事業ですけれども、二十五年には十件、二十六年では十七件というふうにだんだん伸びてきておりますので、これをどんどん伸ばすべく努力したいと思っております。
内閣府の事業としては、例えば、地方公共団体へのPFIの専門家の派遣でありますとか、案件形成のための調査、それから、今年度からは地域のノウハウを上げていくための形成促進事業などにも着手することといたしております。
いずれにしても、数値目標の確実な達成に向けて、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○横山委員 ぜひ、目標達成のために具体的に進めていただきたいと思います。
次に、民間資金等活用事業推進会議が、平成二十六年六月に、先ほど申し上げましたアクションプランに係る集中強化期間の取組方針についてを決定して、向こう三年間、平成二十六年から二十八年でございますけれども、集中強化期間として重点分野ごとの数値目標を設定し、十年間の事業規模目標、二兆から三兆円を集中期間に前倒しすることを掲げております。
アクションプランの実行を加速化することとしておりますけれども、重点分野ごとの目標は、空港が六件、そして水道が六件、下水道が六件、道路が一件であります。国土交通省の所管分野が多くを占めておるわけでございますけれども、この目標に向けて現在どのように取り組んでおられるのか、また、その達成の見通しをお伺いしたいと思います。
○太田国務大臣 厳しい財政状況の中で真に必要な社会資本を整備していくというのは非常に大事なことだと思いますし、民間の資金をそこで活用するということも大事なことです。
御指摘の集中強化期間は、いわゆるコンセッション方式によりまして、二十六年から二十八年の三年間に重点的に取り組むこととしています。効果的あるいは効率的なインフラ整備、運営を可能にするものでありまして、これは、民間企業による大きな市場、そして国際競争力強化のチャンスをもたらすものとしております。
このうち、空港、下水道、道路につきましては国交省の所管分野でありまして、コンセッション方式の推進に積極的に取り組んでいます。
空港については、仙台空港と関西空港、伊丹空港において、民間事業者の公募に関する手続を進めております。また、但馬空港では、コンセッション方式を採用したターミナルビル事業者による空港一体運営が行われているところです。
下水道事業については、コンセッション等の実施に関するガイドラインを公表しまして、浜松におきましてコンセッション方式の実現に向けた取り組みが行われている、手続が行われているという状況です。
有料道路につきましては、愛知県道路公社の案件が一つというふうに先ほど指摘したとおりでありますが、この実現に向けまして今検討がされており、協力をしたいと思っています。
十三件の数値目標について国交省は関係しているわけですが、五件については実現または具体化の段階に入っておりまして、それ以外についても、地方公共団体に対する調査費等の助成や助言等を行って、目的達成に向けまして具体的に動いているというのが現状でございます。
○横山委員 大変ありがとうございます。
続いて、国土交通省関係のPFI事業は、庁舎、公営住宅などの建設が中心でありますが、一方、道路や下水道の維持管理活用事例は非常に少ないとされております。
国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会が平成二十五年十二月に取りまとめました答申、「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」では、将来の維持管理、更新費の試算結果が盛り込まれております。その情報を見ますと、平成二十五年度の維持管理、更新費は約三・六兆円、十年後には約四・三から五・一兆円、二十年後には約四・六兆円から五・五兆円と推計しておりますが、今後、毎年見込まれます巨額の維持管理費、更新費のうち、どの程度PFI事業を活用されていくのか、お伺いをしたいと思います。
○滝口政府参考人 委員御指摘のように、インフラの老朽化というのは大きな問題となっております。例えば、下水道や有料道路へ、先ほど大臣の方から御紹介申し上げましたコンセッション方式が導入されたということになりますと、この場合には、そのコンセッションの契約によりますが、機能の拡充のための新たな整備のほか、老朽化に対応するためのインフラの維持管理、更新についてもコンセッション方式によるPFI事業が適用されるということになるわけでございます。
一方、こういったもの以外、インフラの老朽化全般については、先ほど委員御指摘のように、かなりのコストがかかるのではないかということが問題となっております。
これに関しましては、昨年五月に、国土交通省ではインフラ長寿命化計画というものを策定いたしまして、点検、修繕、更新、情報のデータベース化といったメンテナンスサイクルを確立するということ、あるいは、予防保全の考え方に基づきまして長寿命化等を図っていくことによりまして、メンテナンス費用の山を低くして平準化をするといったこと、そしてまた、インフラの大部分を管理いたします地方公共団体に対する財政的な支援、あるいは直轄診断などの技術的な支援を実施していく、こういったことを決めているところでございます。
こういった中で、委員御指摘のインフラの老朽化対策にPFIがどのように使えるのかということにつきましては、委員冒頭お話がございましたが、まず、PFIによりましていわゆるバリュー・フォー・マネーが出てくるのかどうなのか、どういったやり方をしたらいいのか、そしてまた地方公共団体は具体的にどのようなニーズを持っているのか、こういったところについてさらに勉強する必要があるのだろうと思っております。
この課題につきましては、今後、こういったような問題点を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 大変ありがとうございます。
今答弁の中にありました、特に地方公共団体への財政支援、それからアドバイスをぜひ具体的に進めていただきたいと思います。
時間がなくなりましたので、少し飛ばしまして、先ほど大臣からお話がありました空港の関係についてお伺いしたいと思います。
関西空港と伊丹空港を運営する新関西国際空港株式会社は、両空港の事業運営権を一体で民間にアウトソース、いわゆるコンセッション契約する手法を取り入れ、コンセッションへ向けた手続を実施しております。現在の状況、今後の見通し、手続を進めるに当たっての留意点をお伺いいたしますとともに、地元松山空港の件でお伺いしたいと思います。
今現在、非常に利用客も多くて、経営は安定しておると思いますけれども、仮に松山空港がこういった相談をされるときの対応について、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
最初に御質問のありました関西空港と伊丹空港のコンセッションに係る現在の状況、それから今後の見通し等でございますけれども、新関空会社は、昨年十一月の募集要項等の配布後、参加資格審査通過者等と質問、回答を重ねてまいりました。その上で、本年二月には、より一層理解を深めていただくため、直接対話を前倒し、拡大して開始するとともに、第一次審査書類の提出期限を三カ月延長し、五月二十二日といたしました。現在、新関空会社におきまして、この審査を行っているところでございます。
今後は、次のステップであります第二次審査を経て優先交渉権者を選定し、今年度中の事業開始を目指して手続を進めることといたしております。
今後の手続を進める際には、新関空会社におきまして、応募者と引き続きしっかりと対話を行うとともに、公正かつ透明性のある手続を進めることが重要であるというふうに考えておりまして、国交省といたしましては、関空、伊丹のコンセッション手続が円滑かつ着実に進むよう、新関空会社をしっかり監督してまいりたいと考えております。
それから、次にお尋ねありました、仮に、例えば御地元松山空港についてコンセッションの検討をされるというような場合でございますけれども、今、地方空港の先行事例としましては仙台空港の手続が進んでおりますけれども、まずはそういう具体的な成功事例を提示しながら、できる限り多くの空港につきまして、地元の合意を得ながら、運営委託を実現できるように努めてまいりたいと考えております。
松山空港につきましても、御地元で検討が進められる際には、国も積極的に協力、御支援を申し上げたいと思っております。
○横山委員 大変ありがとうございます。
ぜひ、大阪関係、それから地方の空港が具体的になりますよう願いまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
○今村委員長 次に、初鹿明博君。
○初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。
きょうは、こちら国土交通委員会で質問をする機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、高規格堤防整備事業、いわゆるスーパー堤防について質問いたします。
この事業は民主党政権時に事業仕分けで対象となった事業で、当時の進捗状況からいうと完成までに約四百年、そして総事業費が十二兆円にも上る、そういう指摘があって、国民から大変大きな批判の的となって、一旦事業廃止ということになったわけであります。
しかし、その後、国交省における有識者会議による検討によって、整備区間を六河川、八百七十三キロから大幅に縮小して、五河川の百二十キロまで縮小をするということで事実上延命となった、そういう事業であります。
お手元に資料をお配りしていますけれども、スーパー堤防がどういうものかというと、堤防の高さの約三十倍に堤防の幅を広げて、その上に住居や公共施設などが設置できるということで、効果としては、ここに書いてありますとおり、越水しても壊れない、浸透しても壊れない、また地震に強い、そういうことが効果として挙げられております。
ただ、これが全部がくっつけばそういう効果はあるんでしょうけれども、それが進捗状況からするとなかなか進んでいない状況を考えたときに、果たしてこのまま進めていくのが本当にいいのかということで、きょうは質問をさせていただきます。
まず最初に伺いますけれども、五河川、百二十キロに絞り込まれたということですけれども、現在の整備状況はどうなっているでしょうか。
また特に、私は江戸川と荒川が私の選挙区に流れている河川ですので、江戸川、荒川についても、それぞれ整備状況、延長距離また整備率をお答えいただければと思います。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
全国のスーパー堤防整備延長約百二十キロメートルのうち、これまでに整備を行った延長は十二・二キロメートルで、約一〇%となっております。
江戸川では、スーパー堤防整備延長約二十二キロのうち、これまでに整備を行った延長は約一・七キロメートルで、約七・九%となっております。
また荒川では、スーパー堤防整備延長約五十二キロのうち、これまでに整備を行った延長は六・二キロで、約一二%となっております。
○初鹿委員 整備済み、全国で十二・二キロ、一〇%、江戸川は七・九%とほとんどでき上がっていないという状況なんですけれども、ただ、この整備済みの区間、では、完成しているのかというと、実はそうじゃないんですよね。
どういうことかというと、先ほど申し上げましたけれども、高規格堤防事業というのは堤防の高さの約三十倍、三十Hの幅をとるということになっているんですが、実は、整備済み区間の中にカウントされていながら三十Hを達成していない区間が相当数あるんです。
三十Hを確保できている区間は、では実際にはどれぐらいあって、進捗率はどれぐらいなんでしょうか。整備率はどれぐらいなんでしょうか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
全国のスーパー堤防整備延長約百二十キロのうち、堤防の高さの約三十倍の幅を確保しつつ、かつ基本的な断面形状が確保された区間の延長は約三・〇キロメートルで、約二・五%です。
江戸川では、スーパー堤防整備延長約二十二キロのうち約〇・五キロメートルで、約二・三%です。
また荒川では、スーパー堤防整備延長約五十二キロのうち〇・七キロで、約一・四%となっております。
○初鹿委員 では、次に伺いますけれども、荒川は〇・七キロと言っていましたっけ、この荒川の整備ができている、三十Hを達成しているという中に私の地元の小松川地区にあります大島小松川公園のところ、これはスーパー堤防になっているんですけれども、ここも含まれていますか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございました荒川の大島小松川公園付近のスーパー堤防は、約三百二十メートルの区間につきまして堤防の高さの約三十倍の幅を確保しておりますが、そのうち二百十メートルの区間については道路構造の関係で横断面が一部欠けた部分がございます。
○初鹿委員 ということは、含まれていないということ、含まれているということ、どちらですか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
正確に申し上げますと、まず、三百二十メーターございます。そのうち、オープンな形で道路がございまして、一部欠けた区間、それでもスーパー堤防としては立派な堤防を有しておりますが、それが二百十メーター。それからあと、ボックスの形で確保されている、全断面確保されているのが百十メーター。この百十メーターにつきましてはカウントさせていただいております。
○初鹿委員 よくわからないんですけれども。
四枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、これは私が今示したところなんですよ。トンネルが通っているんですよ、堤防のところに。要は、もともと堤防沿いの道があって、そこを大きく囲うことになったので、道路をそのままの高さのまま行っているので、堤防を通っているんですね、見てのとおりなんですけれども。この写真の左側が川側で、右側に三十倍の長さでずっと堤防が渡っていきます。
下の図を見ていただきたいんですけれども、先ほど示した「浸透しても壊れない堤防です。」という説明のところにトンネルの空間を入れてみましたけれども、こう見ると、三十倍の堤防の効果を十分に発揮できているかというと、私はできていないんじゃないかと思うんですよ。このトンネルまでの強度しかないんじゃないか、浸透に強いといっても、ここで終わっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、違いますか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
当該地区におきましては、堤防沿いの都道百二十二号のボックスカルバートが二カ所設置されております。地下のボックスカルバートと地表面の接続区間にございます擁壁につきましては、河川水の浸透による水圧、浮力の影響を考慮して安全性を確保するよう設計されておりまして、高規格堤防として必要な機能を確保しております。
○初鹿委員 いや、これで確保できるんだったら、三十倍しないで、ここまでで全部整備すれば十分じゃないかなと思うんですけれども、違いますかね。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
まず重要なのは、堤防上を超過洪水が来たときに、越水してまずそれで壊れないということ。それからもう一つは、今ございましたように、当然、堤防の上を水が走りますと、水圧あるいは浮力がかかってまいります。よく堤防はその水圧とか浮力で崩壊いたしますが、そういったものに対してもきちんとした安全性を確保しているというのを確認しております。ですから、この区間につきましては高規格堤防の必要な機能を確保しているというふうに考えております。
○初鹿委員 すっきりした方は余りいないと思うんですけれども、これが三十H達成しているというところの区間に相当含まれているわけですよ。そのことも考えれば、では一体、本当に三十Hを確保して全ての区間が接続できるようになるのに何年かかるのかということを私はまず指摘させていただきたいと思います。
では次に、今度は江戸川の例を具体的に質問してまいります。
まず、利根川・江戸川整備計画によりますと、ここに書いてあることを申し上げますけれども、利根川、江戸川は我が国の社会経済活動の中枢を担う首都圏を流れるため、その氾濫域は人口、資産が高度に集積していることから、目指す安全水準は全国のほかの河川における水準と比較して相対的に高い水準である年超過確率七十分の一から八十分の一としているということでよろしいわけですよね。七十分の一から八十分の一なんですよ。これでも全国の河川からすると相当相対的に高い水準なんですね。スーパー堤防の、高規格堤防の年超過確率は二百分の一なんですね。つまり、相当過大だということをまず最初に申し上げさせていただきます。
江戸川は、年超過確率七十分の一から八十分の一を三十年かけて整備をしていくという計画ですよね、この河川整備計画は。
では、現在、この七十分の一から八十分の一の治水安全度がきちんと整備されている堤防はどれぐらいあるんでしょうか。整備状況をお答えください。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のように、利根川・江戸川河川整備計画におきましては、おおむね三十年間で、河道整備や洪水調節施設の整備等を実施することによりまして、七十分の一から八十分の一の治水安全度を確保することとしております。
これらの実施内容のうち、河道整備につきましては、河川整備計画の河道目標流量を安全に流下させることのできる区間の延長は、利根川では八十九キロメートルで、直轄管理区間延長の約四八%、江戸川では十九・五キロメートルで、直轄管理区間延長の約三六%という状況でございます。
また、洪水調節施設につきましては、河川整備計画で整備予定とされている施設でこれまで完成しているものはございません。
○初鹿委員 今聞いていただけたと思いますが、七十から八十を達成しているのが三六%ですよ。六割は達成していないわけですよね。達成していないわけですよ、六割は。
では、北小岩の地区というのがどこにあるのかということなんですけれども、皆さんにお配りをした資料の、今度は五ページ目を見ていただきたいんですけれども、これは江戸川の河道目標流量を描いた図です。五千と書いてあるのが毎秒五千立方メートルで、これが大体七十から八十の水量を示しています。見てのとおり、上流部はほとんど達成していません。
この北小岩地区というのは、大体河口から十三キロメートルの地点です。この一番右側の江戸川分派と書いてあるところのちょっと内側ですから、おおむね一番高いあたりなんですよね。一番高いあたりなんですよ。
そこで、今スーパー堤防をやっているんですが、ここを整備したって、例えば二百分の一の水量の水が流れてきて、ここまで到達するのかといったら、その前に、ここは七十から八十達成していないんだから、全部先に溢水するか、手前で破堤しちゃうでしょう。違いますか。
○池内政府参考人 まず、正確に申し上げますと、利根川水系の河川整備基本方針におきましては、河道整備や洪水調節施設の整備等を実施することによりまして、二百分の一の治水安全度を確保することとしております。
江戸川の北小岩一丁目付近の区間における現況の洪水流下能力は、おおむね五千九百立方メートル毎秒程度でございます。一方、河川整備基本方針で目標としている河道の計画高水流量七千立方メートル毎秒には至っておりません。
また、洪水調節施設につきましても、必要な施設の整備が完了していないという状況でございます。
また、上流の河道は今まさに整備途上でございまして、非常に大きな洪水が来れば、それは当然、利根川、江戸川は整備途上でございますので、上流側であふれる可能性もございます。
○初鹿委員 私は、優先順位はどっちが高いかということが言いたいわけですよ。
だって、七千の整備目標だと言うけれども、七千どころか、五千の流量が来た時点で上流で決壊するわけですよ。それで、上流で決壊した方が被害は大きいわけですよね。その方が、首都圏の全体まで水が広がっていく可能性がある。北小岩だったら、江戸川の、そこから下流に行くわけですよ。
どちらが被害が大きいかといったら、明らかに上流で決壊することの方が被害が大きいわけで、そこの部分を何ら整備をしないで、何らとは言いません、整備をしているけれども整備が進んでいなくてこちらの方にお金をかけるというのは、優先順位からして間違っているということを言いたいわけです。違いますか。(発言する者あり)
○今村委員長 静かにしてください。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
利根川それから江戸川におきましては、本当に全川にわたってまだ流下能力が確保されておりません。ですから、大きな洪水が来れば、どこで決壊してもおかしくない、そんな状況でございます。実際、カスリーン台風時にはあちこちの堤防が決壊して浸水いたしましたけれども、今の河道の整備状況から申し上げましても、まさにどこで決壊してもおかしくない、そんな状況でございます。
今、上流で切れたら被害は大きくて、下流では小さいとおっしゃいましたが、実は下流で切れても非常に甚大な被害がございます。と申しますのは、下流がゼロメーター地帯が広がっておりまして、一旦水がつくとなかなか抜けない、そういう非常に厳しい状況がございます。ですから、上流、下流、両方とも重要でございます。
○初鹿委員 だから、言っているのは、上流の整備が進まなかったら、下流の方で先に決壊するということはあり得ないでしょうということを言っているわけですよ。違いますか。そうでしょう。それは相当な、雨の特殊な降り方をしなかったら、あり得ないですよ。
では、聞きますけれども、もう一枚資料を出しておりますが、これは平成二十四年の江戸川堤防整備推進方策推進検討業務報告書というところなんですが、この報告書を見ると、二百分の一の洪水が来ても現況のままでも破堤しないと書いてあるんですよ。現況のままで破堤しないんですよ、二百分の一で。
これはどう考えますか。二百分の一でも破堤しないんですよ。
○池内政府参考人 まず、正確に申し上げますと、この報告書には、今おっしゃいました、この表自体は掲載されておりますが、北小岩一丁目地区は現況のままでも二百分の一では破堤しないという表現は、今のところ見当たっておりません。
それから、申し上げますと、例えば上流側でハイウオーターを超えて流れてくる場合がございます。堤防というのは、ハイウオーターを超えても水が流れる場合がございます。そういった場合、当然、下流側でもハイウオーターを超えて、そして堤防が決壊する、そういう可能性は十分にございます。
○初鹿委員 まず、そうはいいますけれども、では、都内で今まで、この三十年、四十年の間に、河川が決壊をして水害になったことというのはあるんですか。ほとんどないんですよ。カスリーン台風以降、ないんですよ。
それよりも、今東京で深刻なのは内水の氾濫ですよ。
資料をもう一枚つけてありますけれども、内水氾濫によって東京の被害というのは非常に大きくなっています。ここに書いてありますけれども、内水氾濫した場合、水害の区域の面積に比較をして、資産の被害額が相当になるんですよね。このことを考えたら、私は内水氾濫の対策を優先した方がいいと思うんですよ。
例えば、江戸川でいうと、篠崎に下水処理場のポンプ所があります。雨がたくさん降って下水処理の能力を超えた場合、河川に放流しますよね。では、そのときに、河川の水量がどんどん上がってきたら、放流はどうするんですか、やめるんですか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
まず、後段の御質問にお答えいたします。
委員御指摘のように、排水先の河川の水位が計画高水位を超えるなど危険な状態でポンプの運転を継続いたしますと、排水先の河川の堤防は決壊し、甚大な被害が発生するおそれがございます。
このため、一般的には、あらかじめ河川管理者とそれからポンプの管理者との間で運転調整ルールを定めまして、排水先の河川の水位が一定の水位に達した場合にはポンプの運転を停止することとしております。
また、今、内水が重要じゃないかという御指摘がございました。もちろん内水も重要です。
治水対策を進めるに当たっては、二つの要素がございます。一つは洪水の発生頻度、それから発生した場合の被害の大きさ、この二つを見て対策を講じていく必要がございます。
まず内水、これはもちろん、発生する被害は比較的小さいものの、発生する頻度が大きゅうございます。一方で、発生頻度は小さいものの、甚大な被害が発生するような大河川の洪水に対する対策についても、これは両方とも重要であるというふうに考えております。
例えば、現在でも、昭和二十二年のカスリーン台風時と同規模の降雨が発生いたしますと、利根川、荒川が決壊して首都圏が壊滅的な被害を受ける可能性がございます。ということで……(初鹿委員「だから上流を整備しろと言っているわけじゃないですか」と呼ぶ)だから、引き続き、両方とも、内水対策も、それから河川整備も、スーパー堤防も整備していく必要があるというふうに考えております。
○初鹿委員 今、最初の方の答えについてコメントさせていただきますが、要は、河川の流量がふえてくると、ポンプ所から排出しなくなるわけですよ、処理能力を超えても。つまり、河川からあふれるよりも先に下水処理が間に合わなくて、内水が氾濫するのが先なんですよ。違いますか、そうなりますよね。
○池内政府参考人 今の御指摘につきましては、雨の降り方によってどちらが早いかというのは、それは変わってくる場合がございます。もちろん、集中豪雨があればその地域で内水が発生いたします。
ただ、もう一つ御指摘しておきたいのは、排水先の河川の改修をいたしますと、そこの河川水位は下がります。ですから、内水対策にも河川の改修というのは効果がございます。
○初鹿委員 だから、私が言いたいのは、優先順位をきちんと考えましょうということなんですよ。被害が甚大になるような堤防の決壊が起こらないようにするためには、まず七十分の一から八十分の一の堤防の整備を優先的にきちんとやって、上流部で壊れないようにしましょう。下流部の方でいえば、今申し上げたとおり、河川の流量がふえたときには下水の排水が間に合わなくて内水が氾濫する可能性があるんだから、その下水処理の対策をしっかり行う。
例えば、環八では地下に巨大な貯水池をつくって水をそっちに流すわけですよね。そこで一旦ためて氾濫するのを防いでいる。これと同じようなことをこちらの東京の東部地域でも行ったら、河川の流量がふえる前にちゃんと下水処理水が氾濫しないで済むわけじゃないですか。
それで、スーパー堤防に比べたら、例えば水戸街道の地下とか環七の地下でもいいけれども、道路の地下にでかい貯水池をつくるということを計画すれば、住民をどかさないでいいから迷惑をかけないし、整備もスムーズに進むんじゃないかと思うんですよ。
スーパー堤防を、これは住民にどいてもらってそこで整備をするとなると、同意をとるのは大変でしょう、なかなか進まないですよ。違いますか。だから、私は優先順位をきちんと考えようということを言っているんですよ。
では、スーパー堤防の事業は、これは住民の、地権者の同意は必要なんですか、どうですか。
○池内政府参考人 お答え申し上げます。
スーパー堤防は、河川管理施設である堤防のうち、その敷地である区域内の大部分の土地が通常の利用に供することを前提とした規格構造を有しているものでございまして、完成した後は所有者において通常の利用をすることが想定されております。
そして、河川法上、河川管理者が設置した施設につきましては、河川管理施設になる旨規定されているのみでございまして、河川管理施設を設置すること自体について当該河川管理施設の敷地となる土地の所有者等の同意を得ることは要件とされておりません。
したがって、一般論としては、スーパー堤防を整備するに当たっては、河川管理者は敷地となる土地について盛り土工事のための工事期間中の土地使用権原を取得すれば足り得るため、必ずしも敷地の所有権を取得することや、スーパー堤防を設置すること自体についての地権者の同意を得る必要はないと認識しております。
一方で、スーパー堤防事業は、まちづくり事業等の面的整備がされる地区におきまして、面的整備と共同で実施することを原則としています。すなわち、スーパー堤防を整備する区間において、沿川地域のまちづくり、例えば土地区画整理事業、市街地再開発事業などが行われるタイミングと合わせて、共同事業者との合意形成に基づき実施されることが多くなっております。
○初鹿委員 おかしいですよね、でも。地権者の同意を得ないで勝手に工事をしていいなんという理屈はどこにあるのかなと私は非常に不思議に思いますよ。まず、そのことだけは指摘をさせていただきます。
最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、私はこの限られた予算の中できちんと国民の安全を守るということを考えたら、堤防の弱いところから、きちんと整備を段階的に、きちんと計画的につくっていくべきだと思うんですよ。スーパー堤防の事業は、地元の同意とまちづくりに合わせてやるもので、手が挙がらないと計画的にできないわけですよ。それで進捗状況もほとんど進んでいない。こんな行き当たりばったりの計画に予算をつぎ込むんじゃなくて、きちんと上流の方から計画的に整備していきましょうよ。そっちの方が正しいと思いませんか、いかがですか。
○太田国務大臣 時間が超過しておりますので、私はある意味で専門家の一人と自負しておりますが、水局長がお答えしたことで、全ては私は局長の話したとおりだと思っています。
○今村委員長 初鹿君、時間が来ております。
○初鹿委員 この問題についてはこの後もまた引き続き質問させていただくと思いますが、よろしくお願いいたします。
○今村委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 きょうは、六月三日の那覇空港で起きたトラブルについて質問します。
那覇空港で、航空自衛隊機が前方を横切り、離陸を中止した民間航空機と着陸してきた民間航空機が衝突しかねない重大なトラブルでした。一歩間違えば、人命、財産にかかわる大惨事になりかねないトラブルです。
このトラブルの概要と、那覇空港を管轄する国交省としての事故の重大性の認識、責任について見解を伺いたいと思います。
○太田国務大臣 六月三日の一時二十四分ごろに、那覇空港において、全日空一六九四便が離陸滑走中に、管制官の指示を受けていない航空自衛隊ヘリコプターが前方を横切ったために、全日空機が離陸を中止しました。その際、離陸を中止した全日空機が滑走路から離脱する前に、後続の日本トランスオーシャン航空六一〇便が滑走路に着陸したものです。
現在、運輸安全委員会が調査を行っているところですので、詳細についてお答えすることは控えますが、公共交通機関にとって安全の確保は大前提であり、本件をよく検証し、必要な対策を講ずることが重要だと考えております。
今後、運輸安全委員会の調査の進展に応じて必要な対応を図っていきたい、このように考えています。
○穀田委員 私は重大性と責任ということを言ったんですけれども、もちろん、運輸安全委員会における調査、これはこれとして必要だと私は思うんです。
問題は、重大事故にならなかったのは奇跡としか言いようがありません。下手をすれば二重の大事故にもなりかねない深刻なトラブルだったということを明確にする必要があると私は思うんですね。だから、管制と操縦者とのやりとりなどだとか、これは報告を待たなければならないでしょう。しかし、基本的な問題点は明確なはずであります。
トラブルの概要というのは今報告があったわけですけれども、このトラブルの原因は一体何だったのか、どういうふうに把握していますか、国交省は。
○太田国務大臣 自衛隊機が全日空機への離陸許可を自分に対するものと誤認したことが要因の一つである、このように考えていますが、現在、運輸安全委員会で全容について調査を行っているところであり、その結果を待ちたい、このように思います。
○穀田委員 大臣は、要因の一つとおっしゃいました。
では、防衛省の方に、政務官に聞きたいと思うんですね。
私は、調査中というのは、何回も、いわば管制のやりとりだとか、実際に聞いたとか聞かないとかいうことを含めた、それは聞く必要があるだろうと思うんです。しかし、事実は明瞭なんです。自衛隊のヘリコプターが離陸しようとしていた全日空機の飛行機の前を横切ったわけだから、トラブルの引き金と原因は自衛隊機にあることは明白であります。
中谷防衛大臣は、航空自衛隊のCH47ヘリコプターが滑走路上で離陸待機中の民間航空機に対する管制官からの離陸許可を自機への離陸許可と誤認識して離陸してしまったとして、自衛隊側の非を認めています。
だから、事の重大性をどのように認識し、責任についての見解を伺いたいと思います。
○原田大臣政務官 お答えをさせていただきます。
先生御指摘のように、第一義的には、CH47、航空自衛隊のヘリコプターが離陸許可を自分に与えられたものと勘違いをして、復唱はしたわけでありますけれども、離陸の動作に移ったということにあると思います。
今、太田大臣の方からも御答弁がありましたように、詳細につきましては事故調査委員会の方で調査をしていただいておりますので、私の方から原因が全て自衛隊機にあったと言うことは差し控えさせていただかなければならないと思いますけれども、いずれにしても、第一義的に原因は自衛隊のヘリコプターにあったということは、中谷大臣もはっきりおっしゃっておりますので、そのとおりだと思います。
○穀田委員 第一義的には自衛隊機にある。復唱したと言っていますけれども、それも含めて、大臣がおっしゃっているように、これも検証の対象なんですよね。だから、余りそれは言わぬ方がええのちゃうか、こういうときだけ、復唱した、復唱しない、それ自身が問題になっとんねんから、いかがかと思います。ちょっと口が滑ったんだろうとは思いますけれども、第一義的には自衛隊機の責任である、これは確認した。
那覇空港は、自衛隊と民間飛行機と共同使用なわけですが、那覇空港の滑走路の利用状況は、二〇一四年度でいえば十五万四千六百回だそうです。国内では、羽田、成田、福岡に次いで第四位の過密状態です。
国交省としては、沖縄振興計画を立てて、観光の促進、物流の促進、県内ネットワークの促進、国際交流の促進を掲げていまして、今後とも民間航空機がさらにふえるのは目に見えています。
管制官ホームページを見ますと、自衛隊の基地が併設されていること、飛来する航空機の種類が多いことと述べて、民間航空機を初め、航空自衛隊、海上自衛隊、陸上自衛隊、海上保安庁などの航空機が常駐しており、戦闘機、ジェット機、プロペラ機、ヘリコプターが飛び交うと言って、魅力もあるとは言いつつも、極めて難しさを指摘しています。
しかもその自衛隊機も、F15なんですけれども、十五機配備から三十機へ、E2Cも配備するなど、部隊も戦闘機もふえて、ますます危険な空港になっていく、そういう状況じゃないかと思うんですね。
だから、今回のトラブルというのは、軍民共用空港がゆえの、起こるべくして起きたトラブルじゃないかと私は考えます。だから、安全第一であるはずの空港が危険にさらされることになると、観光どころの話ではなくなるということを指摘しておきたいと思うんです。
パイロットの話を聞きますと、自衛隊や米軍と共用する空港では、軍用機の緊急的な離着陸が入るたびに民間機が待たされ、全体の流れが悪くなる、こう指摘しています。
そこで聞きますが、この那覇空港で事故につながるような自衛隊が関係するトラブルはこれまで何回も起きています。例えば、一九八五年に、自衛隊機と着陸した全日空機が接触し、全日空機のエンジンが一部破損する事故がありました。一九九六年、旅客機と空自のF4戦闘機二機がニアミス。こうした自衛隊機がかかわった、とりわけ滑走路を閉鎖するような事象はどのくらいあって、どんな特徴を持ったトラブルだったのか、御報告いただきたいと思います。
○田村政府参考人 国交省で把握をしております過去十年の那覇空港での事故それから重大インシデント、これは本件を含めまして四件ございますけれども、そのうち滑走路閉鎖があった事例というのは、平成十九年八月に発生した中華航空機による航空事故の一件だけでございます。という意味で、自衛隊機が関与しているものは、過去十年間にはございません。
なお、国交省として、自衛隊機単独での事故やトラブル等について網羅的には把握しておりませんけれども、平成二十五年一月以降の那覇空港における滑走路閉鎖件数を調査したところ、百二十件ございますけれども、そのうち自衛隊機がかかわるものは一件で、これはパンクによるものというふうにわかっております。
○穀田委員 報告を聞いているとえらい少ないような話を聞いて、よく聞いてみると、自衛隊機独自のものは自分のところは掌握していないということなんですね。皆さん、これが大事なんですよね。
私が調べただけでも、今言った二つの事故があって、二〇〇一年には空自の救難捜索機が旅客機と七百四十メートルに接近、二〇〇五年には空自のF4戦闘機がパンク、二〇〇八年には同じくF4戦闘機がパンク、いずれも民間機が四十便や九便おくれる、二〇一〇年にはF15戦闘機がパンクし滑走路が閉鎖される、二〇一一年には空自のF15戦闘機が滑走路を逸脱し閉鎖する、二〇一二年、空自のF15戦闘機が滑走路灯を破損し滑走路閉鎖、二〇一三年、空自のF15戦闘機がパンクし、民間機八便のおくれ。百二十件あるとかなんとか言っているけれども、そのうちほんのちょっとだなんという話じゃないということがこれだけでもわかるんですね。
だから、私は、国交省は民間航空機のトラブルはつかんでおるけれども自衛隊の独自のものはつかんでいないなんというのは、そんないいかげんな話はだめですよ。だって、自衛隊の飛行機がそういうパンクを起こしたり何かしたりしたら、安全とかかわる重大な問題なんでしょう。それはどうでもいいんだったら、そういう話にはならぬでしょう。
空の安全だけじゃなくて空港自身の安全をつかさどるのが航空局の役割でしょう。それを、一部分つかんでいないみたいな話は、それで俺のところは関係ないねんみたいな話をしていたのでは、もしそんなことが事実だとしたら、沖縄県民や飛行機を使っている人たちはどないなりますねん。あれは自衛隊の勝手な事故や、パンクしてはってん、それで閉鎖したんや、そんなの俺らに関係あるかいな、そんな話が通用しますかいな。どこの世界でそんな話が通用するかと思うんですね。
田村さんは本当にそんな感じで思ってはるの。どうぞ、一言あれば。
○田村政府参考人 繰り返しになりますけれども、平成二十五年一月以降の那覇空港における滑走路閉鎖件数、これは百二十件のうち百十九件は民間航空機にかかわるものでありまして、例えばバードストライクでございますとかオイルリークでございますとか、そういうもので、かなり、短時間ではございますけれども滑走路が閉鎖になっているというものはございます。その中で、自衛隊機の一件がパンクによるものであったということでございます。
○穀田委員 二〇一〇年、一一年、一二年度、滑走路は閉鎖しているんですよ。その事実ももしお認めにならないとしたら、それは県民のところに行って白黒つけようやないかということになるじゃないですか、閉鎖されとんのやから。この十年間だけでも三回以上閉鎖されているんですよ。そういう問題を平気で県民に対して、事実は閉鎖されている、飛行機は飛ばなかったということに対して、そんないいかげんな話はあきませんよ。
なぜこれだけ事故、トラブルが多いのか。これは、先ほど述べたように、軍民共用空港だからであります。国交大臣がこれを設置、管理しているんでしょう、この空港は。だから、沖縄の復帰の時点から約半年後に、陸海空三自衛隊が共用する、そういう軍民共用空港になったわけで、今日に至るまで、他の軍民共用空港に比べても事故が多発しているわけですよ。
こう言うと、国交省は、今回のように自衛隊ヘリが滑走路上空を横切るように移動するのも通常の運用で、空港の運用効率を上げるには最短距離で移動することが必要だ、こんなことまで言っているんですから、何をか言わんやだと思うんですね。
局長は平気でそういうことを言っていますけれども、今回のトラブルはやはり軍民共用空港がゆえのトラブルで、那覇市議会ではこの間何回この問題について決議を上げているか、これは十二回も那覇空港の民間専用化を求める意見書を上げています。これが全部それですけれども、十二回上げているんですよね。
だから、少なくともこれにかかわる、つまり、民間空港専用にすべきだと意見は上がっているというのは、ここに事故が起こっている、空港を使っていろいろなことが起きて、結果としてはこういう問題について意見を上げているというところにその深さがあるわけですね。きょうも那覇の市議会ではそのことが議論されて、十五日にもそういう内容について全会一致で決議が上げられる模様であります。
直近のあれを見てみますと、こう言っているんですね。「自衛隊機の事故がたびたび発生しており、今回の事故は軍民共用空港の危険性と限界を示すもので、市民・県民・観光客をはじめ、経済界にも大きな不安を与えている。」ということで、「本市議会は機会あるたびに、沖縄の空の安全確保と同空港の民間専用化を訴え、これまで十一回も決議してきたところである。」というふうに二〇一一年十二月二十一日に出しているんですね。これが十二回目ですから、今度十三回目を出すわけですよ。
だから、それぐらい事故がたくさんあって、閉鎖だとか閉鎖でないとかというような話で、一件だとかなんという話をしているんじゃなくて、本当に大変なことが起きている、その人命の尊重と危険性について、それに心をいたさないようではだめだということを私は言っておきたいと思うんですね。
したがって、今述べました民間専用化を求める声、大臣、これに応えるべきじゃないんだろうかと思うんですが、いかがですか。
○太田国務大臣 安全保障上の観点から、現段階では那覇空港を民間機専用の空港とすることは困難であるというのが現状でございます。
いずれにしましても、安全ということが一番大事なことでありますが、那覇空港の安全の確保及び適切な運用が図られるということ、そのために防衛省ともよく連携を図っていきたい、このように思っています。
○穀田委員 私は、それではちょっと答えにならないと思うんですね。
一九八七年四月二十一日に提出された、喜屋武真栄議員が提出した質問主意書の政府答弁では、「現在のところ那覇空港の共用をやめる考えはないが、一般論としては、自衛隊の使用する飛行場と民間の使用する飛行場は分離されていることが望ましいと考えており、その意味で、那覇空港についても、この問題を長期的には検討することはあり得ると考えている。」
この政府答弁というのは確かですね。
○田村政府参考人 今お尋ねになりました、一九八七年三月二十五日に喜屋武議員から那覇空港の民間空港専用化に関する政府の考え方について質問主意書が出されて、それに対しての回答というのは、今まさに穀田先生がおっしゃったとおりのことであります。
繰り返しになりますけれども、現在のところ那覇空港の共用をやめる考えはない、一般論としては、自衛隊の使用する飛行場と民間の使用する飛行場は分離されていることが望ましい、その意味で、那覇空港についてもこの問題を長期的には検討することはあり得る、こういう政府の考え方をお示ししたものでございます。
○穀田委員 まあ、あり得ると言っているわけですけれども、一九九六年の事故を受けて、これらの問題がまたさらに大きな問題になっているわけですね。そのときの事故というのは、民間航空機が離陸直後に航空自衛隊の戦闘機二機とニアミスする事故です。
この事故を受けて、当時の運輸省安全監察官が発表した調査結果には、原因は、管制官の情報提供や自衛隊機の管制指示の受け方が不適切だったとした上で、民間機と自衛隊機が発着する軍民共用空港の那覇空港の問題点についても言及しているんですね。さらに、運輸省と防衛庁への勧告まで出しています。
だから、検討することはあり得ると言っていて、事故が多発するさまざまな問題について、時期はずれていますけれども、勧告まで受けているということで、どんな検討をされましたか。
○田村政府参考人 先ほど申し上げましたように、那覇空港の共用というのは安全保障の観点から現時点でやめることはできない、こういう前提で先ほどのような一般的な考え方をお示ししたものであります。そういう意味で、現時点においても、引き続き、民間機専用の空港とすることは困難であるというふうに考えております。
○穀田委員 その文書には、そういう話は一般論としても当時は書いてないんですね。その観点から書いたなんて、その答弁書には観点なんか何も一言も書いてないですよ。それだけ言っておきます。
それで、この飛行場というのはどうなっているかというと、もともと政府は、復帰の際に、民間専用空港として返還すると約束をしていたんじゃありませんか。政務官、どうですか。
○原田大臣政務官 今のお尋ねは、私は承知をいたしておりません。
○穀田委員 承知していないというのは、知らへんということなのか、そういうことがあるのかどうかについては残念ながらつまびらかでないということですか。
○原田大臣政務官 昔の話ですので、民間の専用ということじゃなかったのかというお尋ねかと思うんですが、私はその辺のところは、今の時点で、突然のお尋ねだったものですから、存じませんということでお答えをさせていただきました。
○穀田委員 突然の質問だということで、つまびらかでないと。それはやむを得ぬですわな。
ただ、この空港の成り立ちが、ほかの軍民共用の多くの、多くといってもそんなに大したことはないですけれども、飛行場とはわけが違うんですね、設立の趣旨だとか。そういうのをちょっと知ってほしかったわけで、そのことを責めているつもりはないんです。
ただ私は、県民や利用者の安全は実際はこれだと二の次になっているんじゃないか、那覇市議会や豊見城の市議会も決議を何回も上げているんですよね。そういう住民の意見書、決議は知らぬ存ぜぬではならぬと私は思うんですね。
しかも、もう一つ、今安全保障とおっしゃったから一言言っておきますと、この間、私は外務委員会で質問しました。防衛省統合幕僚監部防衛計画部の二〇一二年七月付の資料を示しました。そこだと原田政務官も御承知かと思いますが、その中に、「対中防衛の考え方」には「抑止(平時)」から「対処(有事)」に至る日米の事態への対処が具体的に記されているということも明らかにしました。
防衛省では、対中防衛として、平時から有事までの事態を想定し、南シナ海やインド洋を視野に、既に、日米で共同作戦を展開する、そういう検討を行ってきているわけですよね。こうした日米の共同作戦を展開するために、こんなことをやっていたら、さらに、皆さんが言っているような安全保障というのは一層軍事作戦の強化になるということだけ言っておきたいと思うんですね。
最後に、では、予定されている第二滑走路がどう使われるのかについて一言伺いたいと思うんですね、外務省に。
先日再改定された日米防衛協力の指針の中で、新ガイドラインでは、切れ目のないシームレスな形での日米協力を実現するため、四段階掲げています。その最後のところに位置づけられているのは、日本以外の国に対する武力攻撃として、日本に対する武力攻撃がない事態でも、他国で行われるアメリカの武力攻撃を支援するために協力するとしています。
この協力の中に、後方支援として、「日米両政府は、支援を行うため、中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。」と書かれてあります。これには民間空港及び港湾を含む施設の使用も含まれるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動に際しては、日米両政府による対応が中心となるわけでございますけれども、御指摘いただきました記述については、地方公共団体や民間の協力が得られる場合には、これらの協力を適切に得つつ対応していくべき、そういう場面があり得るという考えを述べたものでございます。新ガイドラインのもとで、具体的な取り組み、これについては今後検討していくということでございます。
また、いずれにせよ、新ガイドラインにおいても明記しておりますとおり、日米両国の全ての行動及び活動はおのおのの国内法令に従って行われることは当然であり、新ガイドラインにおける御指摘の記述についても同様でございます。
○穀田委員 協力が得られればやるということがはっきりした。
結局、新三要件を満たせば、日本への武力攻撃もなくアメリカが他国で行う武力攻撃に対して、日本の民間空港及び港湾を含む施設が基地として使用されるということなわけですね。
そこで、日米のそれぞれの法律に基づいてと言っていましたけれども、では、これを聞くわけですけれども、どんな法律に基づいて活用されるとしているんですか。
○鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘ございましたものにつきましては、このガイドラインにおきまして、いわゆる存立危機事態における日米の協力について記述したものということになります。
そして、その記述にございます「地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。」とは、今外務省の方からお話があったように、地方公共団体や民間の協力が得られる場合に、これらの協力を適切に得つつ対応していく場面があり得るという考え方を述べたものです。
その場面におきまして、この事態、存立危機事態でございますけれども、御指摘のように、仮に我が国の港湾、空港等を利用することになる場合につきましては、これはあくまでも航空法や港湾法といった既存の法令に従って実施されるということになります。
○穀田委員 前半の話は、外務省と一緒に同じ話を繰り返しているだけなんだけれども。
もう一遍聞きますけれども、私は、法律上は航空法ということになると言っているんだけれども、それでは聞きますけれども、実際上、こういう問題の場合、地位協定第五条による一時使用というのもあると思うんですけれども、あり得るというわけなんだけれども、そのほか、地位協定第二条四項(b)、いわゆる二4(b)ですね、一定の期間を限った使用というのがあるんですけれども、この場合も想定されているんですか。
○鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
新ガイドラインにおいては、「日本の平和及び安全に対して発生する脅威への対処」において、我が国政府は、「日米安全保障条約及びその関連取極に従い、必要に応じて、民間の空港及び港湾を含む施設を一時的な使用に供する。」としているところでございます。
日米地位協定は、第五条において、米国の船舶や航空機による、我が国の港または飛行場に出入りすることが認められていることから、米軍が我が国の民間の空港や港湾に出入りする場合には、この第五条に基づいて行えることになると考えられております。
ただし、実際に民間の空港や港湾への出入りを行う場合には、民間機や民間船舶等による使用への影響の観点から、米軍と関係当局との間で必要な調整を行う、そういうことにしており、これは当然のことでございます。
また、我が国の平和及び安全に対して発生する脅威への対処に際して、空港や港湾への出入りにとどまらず、一定の期間を限って米軍の使用を認めることが個別の状況に応じて適当と判断される場合には、日米地位協定第二条4(b)に基づき、その空港や港湾等を日米が共同で使用する施設・区域とするための必要な手続をとることになるものと考えられます。
地位協定第五条または第二条4(b)に基づく使用に当たっては、使用の態様、地元や施設の関係者に与える影響等について十分考慮する必要があると思います。
このような考慮に基づき、地元等との間でいかなる調整を図るかという点を含め、我が国の平和及び安全に対して発生する脅威への対処に際しての日米協力のあり方の詳細については、今後検討していくということになるかと思います。
○穀田委員 今の話を聞いていて、ずらっと読んでいるものやから、聞いている人はなかなかわからへんねんけれども、要するに、今何を言っているかというと、一時使用はある、それは地位協定五条によって行われると。だけれども、一定期間を限った形での地位協定二4(b)によることもあるということを今言ったわけですよね。
そうなってくると、次にまたやりますけれども、これは極めて重大だと言わなければなりません。つまり、一定の期間、民間空港や港湾は事実上米軍の管理下に置かれるということなわけですよね。だから、これは極めて重大だ。だから、その問題の具体的な動きが何かということについては、ではもう一遍次にやるということで、きょうは終わります。
――――◇―――――
○今村委員長 次に、内閣提出、参議院送付、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。
―――――――――――――
独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○太田国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
政府においては、行政改革の一環として独立行政法人に係る改革を推進するため、平成二十五年十二月に独立行政法人改革等に関する基本的な方針を閣議決定したところであります。この閣議決定を踏まえ、所要の措置を講ずることが必要です。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、海上技術、港湾技術及び航空技術に関する研究開発等を総合的に実施し、政策実施機能の最大限の向上を図るため、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所の三研究所を統合することとしております。
第二に、船員教育について、学科と乗船実習の一貫した教育を行うこと等により、効率的、効果的な教育を行えるよう、海技教育機構及び航海訓練所を統合することとしております。
第三に、都市再生機構において、団地の統廃合等を加速するため、賃貸住宅の建てかえを近接地においてもできることとしております。また、民間事業者と共同して建築物の建設及びその敷地の整備等に関する事業に投資できることとしております。
第四に、奄美群島振興開発基金について、ガバナンス強化を図るため、役職員に守秘義務を課すとともに、罰則に関するみなし公務員規定を新設するほか、金融庁検査を導入することとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会