第15号 平成27年6月12日(金曜日)
平成二十七年六月十二日(金曜日)午前九時四十八分開議
出席委員
委員長 今村 雅弘君
理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君
理事 小島 敏文君 理事 坂井 学君
理事 中村 裕之君 理事 井上 英孝君
理事 赤羽 一嘉君
青山 周平君 秋本 真利君
岩田 和親君 うえの賢一郎君
門 博文君 神谷 昇君
木内 均君 工藤 彰三君
古賀 篤君 國場幸之助君
今野 智博君 佐田玄一郎君
斎藤 洋明君 鈴木 馨祐君
鈴木 憲和君 瀬戸 隆一君
田野瀬太道君 高木 宏壽君
武村 展英君 中谷 真一君
野田 聖子君 古川 康君
前田 一男君 牧島かれん君
宮内 秀樹君 宮崎 謙介君
宮澤 博行君 務台 俊介君
山本 公一君 足立 康史君
落合 貴之君 横山 博幸君
吉田 豊史君 北側 一雄君
中川 康洋君 樋口 尚也君
…………………………………
国土交通大臣 太田 昭宏君
国土交通副大臣 西村 明宏君
国土交通大臣政務官 うえの賢一郎君
国土交通大臣政務官 青木 一彦君
国土交通大臣政務官 鈴木 馨祐君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 青木 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 稲山 博司君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 富永 昌彦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術総括審議官) 森 雅人君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 本東 信君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 小関 正彦君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 深澤 淳志君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 橋本 公博君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 森重 俊也君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 大脇 崇君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君
参考人
(独立行政法人都市再生機構理事) 内海 英一君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 中谷 真一君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
國場幸之助君 武村 展英君
津島 淳君 務台 俊介君
堀井 学君 青山 周平君
宮内 秀樹君 田野瀬太道君
下地 幹郎君 吉田 豊史君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 堀井 学君
瀬戸 隆一君 工藤 彰三君
田野瀬太道君 宮内 秀樹君
武村 展英君 國場幸之助君
中谷 真一君 岩田 和親君
務台 俊介君 宮崎 謙介君
吉田 豊史君 落合 貴之君
同日
辞任 補欠選任
宮崎 謙介君 牧島かれん君
落合 貴之君 下地 幹郎君
同日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 古川 康君
同日
辞任 補欠選任
古川 康君 津島 淳君
―――――――――――――
六月十二日
長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一七六二号)
同(菅直人君紹介)(第一九二四号)
同(近藤昭一君紹介)(第一九二五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)
――――◇―――――
○今村委員長 これより会議を開きます。
開会に先立ち、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
内閣提出、参議院送付、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事内海英一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房技術総括審議官森雅人君、国土政策局長本東信君、都市局長小関正彦君、道路局長深澤淳志君、住宅局長橋本公博君、海事局長森重俊也君、港湾局長大脇崇君、総務省大臣官房審議官青木信之君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、総務省総合通信基盤局電波部長富永昌彦君及び環境省大臣官房審議官小川晃範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○今村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内均君。
○木内(均)委員 おはようございます。自由民主党の木内均です。
冒頭、大事な法案審議に維新の委員の先生方が御出席をいただいておりますことに感謝を申し上げながら、質疑をさせていただきます。
議題となっております法案につきまして、順次お聞きをいたしてまいります。
最初に、独立行政法人の統合についてお聞きをいたします。
平成二十五年十二月二十四日の安倍内閣の閣議決定では、独立行政法人改革等に関する基本的な方針といたしまして、今回の改革の目的については、「数合わせのための組織いじりではなく、真に政策実施機能の強化に資する統廃合のみを実施するとともに、きめ細やかに事務・事業を見直す」と明記されております。
今回は、東京都三鷹市にあります海上技術安全研究所、調布市の電子航法研究所、さらには神奈川県横須賀市の港湾空港技術研究所、この東京都三鷹、調布地区と神奈川県の横須賀地区に分かれている三研究所を統合し、海上・港湾・航空技術研究所に一本化することが提案をされております。
そこで、まずお聞きをいたしますが、現在、三百八十名の職員、そして五十八億円の国庫支出が投入をされているわけでありますが、これに関してどう合理化、スリム化することができるのか、まずお伺いをいたします。
○森政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今回の統合は、政策実施機能の最大限の向上を図る観点から実施するものであります。
三研究所の統合によって、海上、港湾、航空に関する技術の研究開発を総合的、一体的に実施し、運輸産業の国際競争力の強化あるいは海洋の利用推進に貢献することが期待されております。
このため、これまで内外から高い評価を受けてきた三研究所の研究業務、これを引き続き的確に実施するとともに、統合後は、それぞれの研究所の知見を活用した連携業務を推進し、研究開発成果の向上を図っていく必要があると考えております。
今般の統合に当たりましては、従来以上に研究成果の向上を図る必要があるとともに、研究分野について三研究所間では全く重複がございませんので、統合法人の核となります研究部門、研究者ですね、こういった人員あるいは予算を縮小することは考えておりません。
他方、先ほど引用されました閣議決定においては、「統合直後には拙速な組織のスリム化は控える一方、統合が定着した後は、適切に組織の合理化に取り組む。」それから「統合が定着した後は、経費の合理化に積極的に取り組む。」とされております。
三研究所の場合は、人事関係、庶務等の総務部門は、全体の三百八十名の職員のうち五十名強ということで、比較的少のうございます。また、経常費用についても、研究業務費以外は全体の経費の約一割程度ということで、もともと非常に低い水準に抑えられております。
そういった意味では、削減余地は極めて限られておるというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、閣議決定を踏まえて、統合定着後は組織あるいは経費の合理化に努めてまいりたいと思います。
○木内(均)委員 今、合理化に関しまして所見を述べていただきました。
さらに、研究成果についても触れていただきましたが、改めてお尋ねをいたします。
海上技術安全研究所は、海難事故解析や安全基準の策定、港湾空港技術研究所は、沿岸域における地震、津波、高波、高潮による災害の防止、軽減、電子航法研究所は、安全基準策定への貢献など、それぞれが安全分野において高度な研究レベルを今まで維持してまいりました。
この三研究所の統合によって、これらの機能維持は図れるのかどうか、あるいはもっとそれが強化されるのか、研究成果達成のための環境整備を整えることができるのかどうか、お伺いをいたします。
○森政府参考人 お答えいたします。
三研究所においては、委員から今御指摘がありました安全分野を中心といたしまして、交通の高度化、あるいは海洋開発、環境保全等に関する研究開発について、その研究水準の維持向上や成果の発揮に努めてまいりました。
その結果、三研究所が行ってきた各分野の研究開発については、例えば民間等からの受託研究が五年間で千七百件に及ぶなど、国内外において非常に高い評価を受けております。
また、重大事故等の発生時には、これらの研究所の専門的な知見を生かしまして、原因究明あるいは再発防止対策の策定等に寄与しております。また、災害発生時には、研究者を派遣いたしまして、被災状況の調査あるいは復旧のための技術協力を行うなど、事故、災害対応にも貢献しております。
三研究所統合後も、こういった引き続き内外から高い評価を受けた分野の研究を継続的に進めるとともに、今回の統合によって海上、港湾、航空といった研究開発を総合、一体的に実施することが可能となりますので、そういった意味では、研究水準の維持さらには向上というのを目指しまして、研究開発成果の向上が図られるように、必要な組織、マネジメント体制あるいは研究施設の確保をするなど、環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○木内(均)委員 三研究所統合によりまして、今まで以上の成果が上がることを御期待いたします。
引き続き、海技教育機構と航海訓練所の統合についてお聞きをいたします。
現在、中学校卒業を対象といたしました海上技術学校が四校、そして高校卒業を対象といたしました海上技術短期大学校が三校、そして海技大学校一校の計八校が、学科教育を担う海技教育機構としてございます。これと乗船実習を担う航海訓練所を統合して海技教育機構に一本化をするということでありますが、学科と乗船実習の一貫教育、施設、教員等の相互活用による効率化がメリットとして強調されております。
その他、運営面での期待される効果は何か、お尋ねをいたします。
○森重政府参考人 お答え申し上げます。
統合によりまして、船員の養成を行うために必要な学科教育、そして実習訓練を一体的に行います最大の船員教育機関が誕生いたしまして、政策実施機能の向上や業務の質と効率性の向上を図ることができると考えております。
期待される効果でございますけれども、まずは、委員御指摘のとおり、学科と実習を通じまして、一貫したカリキュラムの策定や、教員、練習船、シミュレーターなどのリソースを相互に活用することによりまして、教育を効率的に、効果的に実施してまいります。
それらに加えまして、御指摘の運営面で期待される効果でございますけれども、まず第一に、広報など発信力の強化が挙げられます。
統合いたしました後は、帆船二隻を含みます五隻の大型練習船を擁します魅力を増した学校であることを最大限活用いたしまして、学生募集を強化いたします。
具体的には、海上技術学校のオープンキャンパスにおきまして、教室や寮など学校施設の開放に加えまして、統合後は、練習船を寄港させまして、船内の見学などによりまして、その生の魅力に触れていただくようにしたいと考えております。また、中学校、高等学校の先生方を練習船に招待いたしまして、魅力を実感していただいた上で、海上技術学校などへの進路指導をしていただくようにしたいと考えております。
第二に、柔軟な組織運営でございます。
規模の大きい組織になることによりまして、重点的、弾力的な予算配分を行い、教育環境をより計画的、効率的に整備してまいります。
以上をもちまして、統合後の法人は、船員養成の核となりまして、海洋立国日本を支える若手船員の確保、育成をしっかりと推進してまいります。
○木内(均)委員 今、期待される効果について、広報の発信力の強化ということをまず最初に答えていただきましたが、これは大事なことだと思っています。
私自身は、海なし県の長野県でありますので、お恥ずかしい話、遠洋漁業と商船の区別もつかなかったぐらいですけれども、この海なし県長野でありながら、実は豪華客船の船長になった方がいらっしゃるんです。ところが、今その方はもう亡くなってしまいましたので、なぜそういう選択肢、進路が選べたのかということをお聞きできないんですけれども。
今、答弁の中で、中高の教員の皆さんを招待して具体的な進路指導にも生かしていきたいという答弁がありました。ぜひ海のない県にまで積極的に働きかけていただいて、さまざまな職業選択があるということも知らしめていただきたいと要望させていただきます。
次に、今の船員確保とも関連をしてくるのでありますけれども、海洋基本法では、船員の育成、確保を国の責務としてうたっております。
内航船の船員の現状というのは、五十歳以上がもう約五割ということであります。そういった意味では、この内航船員の養成に関する具体的な取り組みはどうされているのか、お伺いをいたします。
○森重政府参考人 内航船員につきましては、委員御指摘のとおり、五十歳以上が約五割と高い割合を占めております。今後は、さらに順次、高齢船員の退職が見込まれますことから、新人船員をふやす取り組みを進めていくことが重要となってくると考えております。
このため、国土交通省といたしましては、まず、内航船員の主要な供給源でございます海上技術学校、海上技術短期大学校、これらの養成定員の拡大に取り組んでおりまして、来年度も定員の拡大を予定しているところでございます。
また、これらに加えまして、新人船員の供給源の拡大を図るために、水産高校生を対象といたしましたインターンシップの実施でありますとか、一般高校の卒業生の方々を対象として、これはいわゆる船員養成機関を卒業していない方でございますけれども、これらを対象といたしました短期の船員養成、こうした対策に取り組んでおるところでございます。
これらの施策を着実に進めまして、内航船員の確保、育成にしっかりと取り組んでまいります。
○木内(均)委員 引き続き、大きな二項目めの法律改正についてお伺いをいたします。
都市再生機構、URの業務の実施方法の見直しについて順次お伺いをいたします。
居住者の居住の安定に配慮した上で、収益性が低い団地の統廃合等が加速される、そして、近接地建てかえ等を今回は可能にしていくという法改正でありますが、期待される利点、メリットについてお伺いをいたします。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
UR賃貸住宅を建てかえることによりまして、居住されている方々が、バリアフリー化されて、間取りや設備などが現代のライフスタイルに合った新しい住宅にお住まいいただくことが可能となるところでございます。
さらに、今回の法改正で近接地への建てかえが可能になることによりまして、まず、建てかえに伴う仮移転が必要なくなることにより、居住者の方の負担を軽減できること、また、事業期間を短縮できることがございます。
それから、居住者が同じ団地に同じ時期に移転をしていただけるので、コミュニティーの維持が図りやすくなります。
また、居住者の生活環境に配慮しながら、団地を同一日常生活圏などの交通利便性のよい地域に建てかえることにより、居住者の生活利便性が高まることになります。これらのメリットがあると考えております。
ただし、これを遂行していく上では、所得の低い高齢者や子育て世帯の方が建てかえ後の新しい住宅に現在の家賃水準で住み続けられるよう、お住まいの期間を通じて家賃を最大三・五万円引き下げる措置を講ずることとしております。
あわせて、建てかえ先や、もとの敷地において医療施設や高齢者向け施設を誘致することなどによりまして、地域の安心やまちづくりに貢献することが可能になるものと考えております。
○木内(均)委員 今答弁していただきました家賃の問題というのは、大変な課題になってくると思いますので、住んでいる方に誠意を持って対応していただきたいと思います。
さらに、今回は、都市再生事業について、開発型特別目的会社、SPCの活用を可能といたしております。民間からの要請によりまして、URと民間が共同出資をしてSPCを組成し、URが公正中立な立場で合意形成を図ることで共同事業を実現させることが可能となってまいります。
このような法改正を目指す背景と、それから期待される効果をお尋ねいたします。
○小関政府参考人 都市再生事業を行う場合におきまして、初期投資が大きく、かつ複雑な権利調整に長い期間を要する事業等につきましては、民間事業者のみでは取り組みが期待できない場合がございます。こうした場合に、民間事業者の中には、構想、計画策定あるいは権利調整、まちづくりに関するノウハウといったものを有しているURと共同出資した開発型SPCを活用して共同事業を行いたいという要請がなされる場合がございます。
今回の改正は、このようなニーズに応じまして、初期の段階から共同出資を実施できるように措置するものでございまして、民間との連携手法の多様化、民間支援の強化ということを行うものでございます。
これによりまして、URは、民間事業者から要請があった際に、民間との適切な役割分担のもとで、公平中立な立場での調整力、ノウハウの提供を行いまして、政策的に意義の高い都市再生事業を行うことで、質の高い都市再生を推進することが可能になると考えているところでございます。
○木内(均)委員 最後に、奄美群島振興開発基金のガバナンス強化についてお尋ねをいたします。
今回の法改正で、金融業務の高い公共性に鑑みた役職員の守秘義務の新設と、それから金融庁検査の導入が予定をされております。法改正の目的、そして期待される効果をお尋ねいたします。
○本東政府参考人 御答弁申し上げます。
まず、法改正の目的ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、ガバナンスの強化ということでございます。
次に、効果ということでございますけれども、まず、役職員の秘密保持義務規定、この効果につきましては、基金におけるコンプライアンスが強化されまして、基金と奄美の事業者の方々との信頼関係がより強固なものになるというふうに考えているところでございます。
次に、金融庁検査の導入でございますけれども、金融庁は民間の金融機関の検査によりましてさまざまなノウハウ、専門性というものを蓄積いたしております。こういった金融庁の検査の結果を踏まえることによりまして、基金のリスク管理体制の強化にもつながるというふうに考えているところでございます。
基金は、奄美の事業者の方々に対するコンサルティングなど、政策的な取り組みを強化するということが重要であるというふうに考えております。今回の法改正を踏まえまして、事業者にとりまして頼れるパートナーとして、これまで以上に奄美の振興に貢献できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○木内(均)委員 この基金は、もともと、昭和二十八年の十二月に奄美群島が日本に返還をされてから、二十九年六月に奄美群島復興特別措置法が制定をされ、そして保証協会、基金が設けられ、平成十六年の十月には独法の奄美群島振興開発基金となってきた経緯があります。
その目的として、一次産業への保証や信用力に乏しい中小規模事業者など地元産業の育成強化、さらには大島つむぎ等の特産品や観光業などの地場産業支援に関しての保証業務、融資業務、こういったものを通じて、答弁にありましたような、所期の目的達成のための基金ということでありますので、それに向けて引き続き尽力をしてほしいと要望いたします。
沖縄が梅雨明けをいたしましたけれども、九州南部で土砂災害が発生をしております。また、私の地元であります浅間山も火山レベルが二へ引き上げられました。こういった状況がありますので、国土交通省におかれましては、万全の災害対応をとっていただきたいとお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○今村委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。
きょうは少しおくれての開会でございますが、大臣初め皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今回は、特に、UR賃貸住宅の改革に関する件と、海技教育機構及び航海訓練所の統合に関連する件について質問をいたします。
まず初めに、UR賃貸住宅の改革について大臣にお伺いをいたします。
太田大臣は、二月十九日の衆議院予算委員会並びに三月十七日の参議院予算委員会におきまして、UR賃貸住宅に関する、我が党の上田勇議員並びに西田実仁議員の、居住者が今後も安心して住み続けられるようにとの質問に対して、改革という名のもとに居住者を追い出すようなことは絶対にあってはならないとの御自身の信念を披瀝していただくとともに、団地の建てかえに伴う家賃減額制度を拡充する考えを表明していただきました。
また、同じタイミングで、三月十二日に我が党の国土交通部会が大臣に対してUR改革の要望をさせていただいた折にも、大臣からは、居住者が安心して住み続けられるようにすることが何よりも大事だとのお答えをいただいたところでございます。
現在、UR住宅にお住まいの方はその多くが御高齢の方でありますが、建てかえ等に伴う不安の中、今回のこの大臣のお考えと御答弁は、その方々の今後の生活に対して大きな安心感を与えたのではないかと思っております。今後、この大臣が表明された支援措置が確実かつ着実に実施されていくよう、私自身、期待をするものでございます。
その上で、きょうはさらに二点ほどお伺いをさせていただきたいと思いますが、今後のUR賃貸住宅の再編、再生に当たっては、既にお住まいの方のさらなる高齢化が進んでいる現状を踏まえ、今後は地域の医療福祉施設の拠点としての団地整備を進めていくことが肝要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
またさらに、団地の活力やコミュニティーの維持増進の観点から、今後再編、再生する団地の居住者については、若年夫婦世帯や子育て世帯、さらには高齢者世帯や障害者世帯など、多様な世帯が共生をしていくこと、これが大事であると思いますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○太田国務大臣 御指摘のように、公明党から国会での質問また御提言もいただいて、また自由民主党からも御提言をいただいて、UR賃貸住宅、これは七十五万世帯あるわけですが、その居住者の居住の安定についてさまざま御提言をいただいております。
私も二十年ぐらい、UR賃貸住宅については、直接現場を見たり、あるいは話を聞いたり、一緒に悩んだりしながら、制度もいろいろ、住宅・都市整備公団の時代から都市公団、都市公団からUR、それぞれのときに当たりまして働かせていただいて今日に至りました。
私は、UR賃貸住宅につきましては、まず、居住者が安心して住み続けられるということを根本にしなくてはいけない、そして、UR団地は地域の貴重な財産として地域全体の安心に貢献するということが大事である、そして、今お話のありましたように、改革という名のもとに居住者を追い出すようなことは絶対あってはならない、このことを信念として今日まで来ました。
UR団地の建てかえの際に、家賃の減額につきましては、これまでも、所得の低い高齢者や子育て世帯等が建てかえ後の新しい住宅に入居して十年は家賃を最大二万円引き下げていました。これを今年度から最大三万五千円まで拡大するとともに、期間についても、十一年目以降も家賃の引き下げを継続することといたしたところです。
また、今後のUR団地というもののあり方等についてお話がありましたが、居住者の高齢化が非常に進んでいます。また、空き室というものもふえてきている状況もあります。
そうした中で、私は、新しい医職住という、住まいということは基本なんですが、イというのは衣ではなくてお医者さんの医、そしてショクというのは食べ物ではなくて雇用ということ、新しい職業が得られるという、高齢者にも職業が見出されるというような、新たな医職住のことに十分配慮したUR団地でなくてはならないというふうに考えています。
昨年度は、地元自治体の理解が得られた二十三団地で、UR団地を地域の医療福祉拠点とする事業、これに着手をいたしました。UR団地の中に医療や介護ということが十分配慮されたということの事業です。
今年度は、新たに二十団地程度で事業に着手する予定でありまして、平成三十二年度までに百団地、このぐらいを地域の医療福祉拠点とするということとしています。
あわせて、子育て世帯や若い世帯の入居ということが、高齢者ばかりというわけにはいきませんから、活力とか子供の声が団地に響くということがどれだけ力強いかということを考えますと、子育て世帯や若い世帯の入居を促進する取り組みを進めているところです。
今後も、地域の財産であるUR団地を最大限に活用して、高齢者世帯から若い世帯まで、幅広い世代が安心して住み続けられる住まいを提供してまいりたい、このように思っております。
○中川(康)委員 大臣の非常に力強い、さらには具体的な御答弁をいただきまして、大変にありがとうございました。
やはり大臣が、大臣におなりになる前から肌で感じてきた、また、ともに取り組みを進めてきた、そのゆえのきょうの御答弁をいただいたのかなというふうに思っております。
きょうの御答弁をいただく中で、今お住まいになっている方が、さらにはこれからお住まいになる方が、本当に、ここに住んでよかった、さらにはこのUR団地で子供を育ててよかった、このように思っていただける、そのような前向きな御答弁をいただくことができたのかなというふうに思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、海技教育機構及び航海訓練所の統合に関連して、幾つかお伺いをいたします。
まず初めに、外航海運の重要性について伺います。
海洋国である我が国の経済の維持発展や国民生活にとって、海上における安定的な物資輸送や旅客輸送は必要不可欠な産業であり、我が国総貿易量に占める海上輸送量は、トン数ベースで九割以上にもなります。また、我が国の経済安全保障の確保の観点からも、外航海運が担っている役割は近年大変に大きいものがあります。
そこで伺いますが、大臣は、我が国におけるこの外航海運の重要性について、どのような御認識をお持ちなのか、お伺いをいたします。
○太田国務大臣 四面を海に囲まれた海洋国家たる我が国において、エネルギー、食料等の輸入を初めとしまして、貿易のほとんどが海上輸送により行われているという状況です。飛行機で海外の外国人の観光客が大勢来られるということが話題になっておりますが、こうした貿易のほとんどが海上輸送であるということを考えますと、外航海運は、我が国の経済と暮らしを支える重要な役割を担っている、このように思います。
日本商船隊の国際競争力の強化を図るということは極めて重要であるというふうに考えておりまして、国交省では、日本商船隊の中核を担う日本籍船の確保について、トン数標準税制の創設や拡充等に取り組んでいるところです。
今後とも、こうした施策を通じまして、安定的な海上輸送の確保に取り組んでいきたいと思いますし、物流もこれから大きな変貌期になっておりまして、パナマ運河がことしには拡充をされます。シェールガスを初めとする海上輸送というのは大きな変化もあり、また、昨今は、北極海航路が始まったというようなこともあります。世界の物流環境が大きく変わるというような節目で、日本のそうした商船隊の日本籍船の確保を初めとする海上輸送の確保ということに力を注ぎたいと思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
外航海運の重要性、ともに、本当にその大事さを共有させていただくことができたのかなというふうにも思っております。
次に、日本人船員の現状と今後の対策について、何点かお伺いをいたします。
その重要性の中で、やはり非常に厳しい状況があるというところも少し御紹介を申し上げながら、お願いをしたいと思います。
日本人船員は、昭和四十九年、二十七・八万人をピークに、それ以降、実は減少を続けており、平成二十四年では、六・六万人にまで減少しております。特に、外航海運では、外国人船員の増加により、昭和四十九年の五・七万人をピークに、平成二十五年には何と二千二百人まで激減をいたしております。また、内航船員については、今、木内委員からも御指摘がありましたが、五十歳以上の割合が約半分ということで、後継者不足が深刻化をしてきております。
そこで伺いますが、国交省としては、この日本人船員の激減、高齢化という現状をどう認識されているのか、また、この現状に対して、内航船員は今御答弁がありましたので、それ以外、どのような取り組みを行っているのか、簡潔にお答えを願います。
○森重政府参考人 お答え申し上げます。
まず、外航日本人船員についてでございますけれども、委員御指摘のように、大きく減少してまいりました。
こうした中で、国土交通省といたしましては、安定的な海上輸送の確保を図るために、海上運送法に基づきます日本船舶・船員確保計画、これをつくりまして、その着実な推進を図るとともに、船員教育機関卒業生のスキルアップ教育などを通じまして採用の促進を図っております。
これらの取り組みによりまして、外航日本人船員数は近年では横ばい傾向となっております。しっかりと進めてまいりたいと思います。
一方、内航船員につきましては、御指摘のように、高齢化が大変進んでおります。こうした中、新人船員をふやす取り組みをしっかりと進めていくことが重要と考えております。
このために、国交省といたしましては、新人船員の供給を拡大するために、主要な供給源でございます海上技術学校、短大の養成定員の拡大でございますとか、水産高校生を対象としたインターンシップの実施、一般高校卒業生を対象とした短期の養成など、さまざまな取り組みを進めてまいってきております。
この結果、内航船員につきましては、五十歳以上の船員の割合は平成十九年の五一・六%から平成二十五年には四九・七%に減少する一方で、若手船員でございますけれども、三十歳未満の割合、これが一一・三%から一四・二%に増加し、改善傾向が出ているというふうに認識しております。
今後も、海運業界など関係者との連携を深めながら、将来を担う若手船員の確保、育成にしっかりと努めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
海運産業の非常に重要性を認識されながら、やはり日本人船員が減ってきている、これは非常に厳しい問題だと思っています。今後もさまざまなお取り組みを重層的に行っていただきたいというふうに思っております。
そんな中での、今回、海技教育機構の統合でありますが、この募集定員について、これも木内委員からも少し御指摘がありましたが、私も少しお伺いをさせていただきたいと思います。
これまで、海技教育機構さらには航海訓練所は、船員、海技者の教育、養成、訓練機関として多大な成果を上げてまいりました。今回統合により新設される新海技教育機構といいましょうか、これも、船員後継者の確保が深刻な状況のもと、ぜひとも海事産業に対して多大な貢献が期待されるところから、海技教育機構の機能はそれぞれの機能を維持しつつ、募集定員はぜひ増加を図っていただきたいというふうに思っております。
先ほど木内委員への御答弁で、その方向でいくという御答弁がありましたが、具体的な数も含めて、この辺のところをどのように考えているのか、御答弁を願えればというふうに思います。
○森重政府参考人 海技教育機構の入学定員についてでございます。
入学定員は、幾つかの要素を勘案して設定してきております。学生の応募状況、船会社による採用の状況、あるいは物理的な要素として教室、寮などの学校施設、練習船の収容人数、そして先生といいますか教員の数でありますとか、それらを考えて設定してきております。
御指摘のように、応募倍率といいますか、船員になる方々を、いろいろお声がけをすることによって手を挙げていただく方もふえてきておりまして、近年、応募倍率も二倍を超えております。また、船社の採用意欲も高まってきております。それによりまして、入学定員をこれまで、ちょっと数字で申し上げますと、平成二十五年度、全体で三百五十名でございました。それを二十六年度には二十名増員、それから二十七年度には十名増員いたしまして、三百八十名としてきております。
今後、来年度、二十八年度の入学定員につきましては、さらに十名ふやしまして三百九十名とすることとして募集を開始しているところでございます。これは、これまでの最高であった三百八十名を上回る規模でございます。
さらなる増員につきましては、受け入れ側の、冒頭申し上げましたような諸要素を勘案しまして、どういった工夫ができるか、産業界など関係者の意見も伺いながら検討してまいりたいと思います。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今やはり応募される方は少しずつふえてきているというところで、そこに対応できる募集定員、ぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
それでは最後に、船員職業の魅力向上を図り、もって船員志望者の増加を促すという意味から、海上労働の特殊性緩和に向けた具体的な環境整備について、これは総務省に対して三点まとめてお伺いをしたいというふうに思います。
最初は、船上デジタルデバイドの解消についてでございます。
この船上デジタルデバイドにつきましては、料金の低廉化に関する調査や通信高速化に関する実証や制度整備を、総務省の方で平成二十六年七月に行っていただいております。海陸間の通信高速化は、船員の無線医療の充実や海難の防止など安全な労働環境の確保にも資することから、この総務省の取り組みについてはこれまで以上に強化、加速をしていくべきであると思いますが、その点、お伺いをしたいと思います。
二点目は、船員の選挙権の行使に関する環境整備についてでございます。
今やネット選挙も解禁をされまして、船員につきましても一九九九年から洋上投票が実現をしておりますが、いわゆるFOC船や日本人船員三人未満の日本籍船ではいまだ選挙権の行使はできない状況にございます。また、国政選挙以外の選挙は、洋上投票であってもできません。
私は、本来、投票権の平等という観点から考えた場合、これら船員にかかわる選挙制度についても、ぜひその環境整備に向けた取り組みを進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
そして三点目には、船員税制等優遇措置の検討についてぜひ御検討をいただきたいと思っております。
一般的に船員の皆さんというのは、特に外航船の船員は、船上で生活を余儀なくされることから行政サービスの享受が困難な状況にございます。他の海運先進国では、自国船員確保に向けた政策として船員の社会保障や税制の優遇を行っている国もございまして、我が国としても船員後継者の確保は喫緊の課題であることから、これら船員に対する税減免の措置や税還付の仕組みなど、何らかの優遇措置を検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
以上、総務省に対して三点御質問をさせていただきました。
○富永政府参考人 船上で長期間活動する船員と家族とのコミュニケーションの確保、緊急時の通信の確保など、海上においても陸上と同等のICT利用環境の実現を求めるニーズが高まっているということから、海上におけるデジタルデバイドの解消は重要な課題と認識しております。
海上におけるデジタルデバイドを解消するためには、広域なサービスエリアを確保でき、災害に強いという特性を有する衛星通信システムを活用することが重要と認識しております。
これまで、総務省といたしましては、海上における通信環境の整備といたしまして、世界的サービスエリアでの通信を可能とするインマルサットシステムの通信速度の高速化ですとか端末の小型化、それから、小型端末による通信を可能とするイリジウムシステムの導入、船舶において高速ブロードバンドサービスを利用可能とするための新たな周波数帯の利用、こういったものにつきまして、他の無線利用との共用を可能とするための技術実証ですとか技術基準の整備を行ってきております。
また、今後につきましては、より高い周波数帯を活用した、海上において現行の十倍以上の通信速度を実現するため、今年度から三カ年計画で、技術実証を実施し、技術基準を策定する取り組みを進めております。
総務省といたしましては、国土交通省等の関係府省と連携いたしまして、今後も、技術の進展に対応した新たな無線システムの導入ですとか、既存の無線システムの高度化のための制度整備などの取り組みを進めることによりまして、海上におけるデジタルデバイドの解消に向け、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○稲山政府参考人 洋上投票についてお答えを申し上げます。
現行の洋上投票制度につきましては、平成十一年に議員立法により導入されたものでございます。外洋航行中の指定船舶に乗船する船員につきまして、厳格な手続のもとで、ファクシミリ装置を用いて投票するといったものでございます。
したがいまして、この制度の対象でない、いわゆる便宜置籍船のような外国籍の船舶につきましては、国際法上、我が国の管轄権が原則及ばず、想定される不正等に対して実効ある規制を行うことが難しい、こういったことなどから、現状では困難とそのときも考えられているところでございます。
また、投票を実施する際には、本人のほかに、不在者投票管理者あるいは立会人の二名が必要となります。役割がそれぞれ異なりますので、兼ねるということにつきましては、投票事務の適正な執行、選挙の公正確保の観点から、十分検討も必要であるし、なかなか困難があるのかなというふうに考えております。
さらに、洋上投票の対象を地方選挙に拡大することにつきましては、船員の名簿登録地の市町村が全国にわたる場合がございますので、それぞれの選挙の日程も異なります。個々に対応する必要がございますので、船長でございますとか選管の事務負担が過大になる等の課題もあるところでございます。
投票することが困難な方々の投票機会をどう確保していくかについては大変重要な問題と認識しておりまして、洋上投票制度につきましては、外洋航行中の船舶内での投票というかなり特殊な環境下のものでございますので限界もあるところではございますけれども、その実情や課題などをお聞きするなど、洋上における船員の方々の選挙権行使がより進むよう、幅広い観点から検討してまいりたいというふうに考えております。
○青木政府参考人 船員の個人住民税について御質問をいただきました。
個人住民税は、地域社会の費用の負担を住民が広く分かち合う地域社会の会費的な性格を有する税でございまして、一月一日に住所を有する者に対し当該住所地の団体が課税するものでございます。
住民の方々には、船員の方々あるいは長期の出張をされている、あるいは離れたところに長期入院を余儀なくされた方々等、住所地にいる期間が短い方もおられます。一方で、家族の方は住所地にずっとおられるなど、いろいろな住民の方々がおられる中で、個人住民税は、当該団体に住所を有して一定以上の所得のある住民に所得に応じて納税をいただく仕組みになっております。
船員の方々についても、国内のいずれかの地方団体の住民であることに基づきまして、所得に応じた税を地方税法、当該団体の条例に従って納めていただいておるわけでございまして、船員であることによる税制上の特例的な措置を講ずることについては、慎重に考えなければいけない課題だろうというふうに考えております。
○中川(康)委員 以上で終わります。大変にありがとうございました。
○今村委員長 次に、本村賢太郎君。
これより本村賢太郎君の質疑時間に入ります。
これにて本村賢太郎君の質疑時間は終了いたしました。
次に、小宮山泰子君。
これより小宮山泰子君の質疑時間に入ります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時八分休憩
――――◇―――――
午前十一時二十二分開議
○今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
これより足立康史君の質疑に入ります。足立康史君。
○足立委員 維新の党の足立康史でございます。
先ほど厚生労働委員会で総理に僣越ながら御質問をさせていただきまして、大変な騒々しい中でありまして、本当に国土交通委員会はいいなと思います。
しかし、きょうの法案、きょうも傍聴されている方もいらっしゃいますが、大変重要な法案ですので、いただいた時間、二十五分、しっかり御質問させていただきたいと思います。
きょうは主にURの話を中心にいたしたいと思いますが、まず、その前に、独立行政法人の統合の内容が今回出てございます。
私、独立行政法人については政治に翻弄されてきた歴史が若干あると個人的には思っていまして、政治が行政改革をやるというときに、かつての特殊法人をいろいろ統廃合したりするわけですが、これは役所もそうですが、統合した方が何か国民の皆様というかマスコミから評価される局面もあれば、分割した方が何か喜ばれる局面もあって、若干政治的な色彩を帯びることが多々あります。
しかし、今回の政府案は、そういうことではなくて、しっかりと独立行政法人のそれぞれの内容を踏まえて今回お取り組みである、こう思っています。
今回は大きく二つの柱があると思いますが、担当の局長さんも違うということですので、それぞれで結構ですので、今回、統合することによってどういうメリットがあるのか。デメリットはないのかもしれませんが、きょうは都市局長も別途おいででいらっしゃいますが、お世話になります。かつて、ここで大阪都構想の話をして大変申しわけないことをしたわけでありますが、大阪都構想のときも、自民党、公明党さんから、デメリットも言え、こういうことをよく言われましたので、きょうは、デメリットも、もしあれば、あわせて御答弁をいただければと思います。
○森重政府参考人 お答え申します。
船員教育機関の統合によりますメリット、デメリットについてお答え申し上げます。
まずは、デメリットでございますけれども、私どもとして、今回の統合によりまして特段デメリットを想定しているものはございません。
次に、メリットでございますけれども、この統合のメリットとして、船員の養成を行うために必要な学科教育と実習教育を一体的に行う最大の船員教育機関が誕生いたしまして、独立行政法人としての政策実施機能の向上や業務の質と効率性の向上を図ることができると考えております。
具体的には、まず第一に、教育内容の高度化でございます。学科と実習を通じて一貫したカリキュラムを策定するとともに、教員、練習船、シミュレーターなどのリソースを相互に活用いたします。
第二に、広報など発信力の強化でございます。大型の練習船を擁する魅力を増した学校であることを最大限活用いたしまして、学生の募集であるとか、あるいは海事思想の普及を強化いたします。
第三に、柔軟な組織運営でございます。規模の大きい組織となることによりまして、重点的、弾力的な予算配分を行い、教育機関をより計画的、効率的に整備してまいります。
統合後の法人はこのようにさせていただきまして、海洋立国日本を支える若手船員の確保、育成を着実に推進してまいりたいと思います。
○森政府参考人 引き続き、三研究所の統合のメリットとデメリットについて御説明します。
まず、メリットについてでございますけれども、三研究所は、海上、港湾、航空に関する技術の研究開発等を実施しておりますので、今回の統合によって、これらの研究開発等を総合的、一体的に実施することが可能になります。これによって統合のメリットとして私どもが期待しているのは、海上及び航空交通分野、これは大変国際競争が厳しい分野でございますので、こういった国際競争力の強化に資するとともに、まさに日本として進めなくてはいけない海洋の利用推進への貢献、これがメリットだというふうに考えております。
他方、デメリットと言えるかどうかはわかりませんけれども、私ども、当初、今回の統合によって、まず、研究所の名称が変更されて、今まで研究所が積み上げてきたプレゼンスと申しますか、こういったものが失われることを懸念しておりました。また、この問題というのは、職員の士気の問題にもかかわる問題だと私は考えております。
また、御存じのとおり、三研究所は、立地が三鷹、調布、それから横須賀と離れております。それぞれの研究施設は大型の研究施設を持っておるものですから、統合後もそれぞれ現在の場所で研究業務を行わざるを得ないものですから、離れた場所で一つの組織としてマネージしていかないといけないということで、当初は、迅速な意思決定とかマネジメント機能の低下ということを懸念しておりました。
ただ、この点についても、今回の閣議決定の中では、各研究所が有する研究開発業務上の特性、プレゼンスを損なうことがないように、各研究所の名称を継続的に使用してもよろしい、それから、重大事故、災害発生時等の緊急時の柔軟な対応及び迅速な意思決定を確保するという形で、閣議決定の中で一定の配慮がなされておりまして、そういった意味では、結果的には特段の支障は生じないというふうに考えております。
いずれにしましても、統合後も、従来、三研究所は大変高い評価を受けておりましたので、こういった高い評価やプレゼンスを維持向上していくとともに、三研究所の知見を活用して新たな連携業務を進め、統合効果を確実に発揮してまいりたいというふうに考えております。
○足立委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。デメリットも含めて丁寧に御説明をいただきました。
大阪都構想も、今局長がおっしゃったような形で、もう少しわかりやすく説明しておけばよかったかな、こういうふうに思うわけでありますが、まあ、ともかくとして、独立行政法人の話はこれぐらいで終わらせていただきます。
何といっても、今回の法律改正の話の中で非常に大きな、傍聴の方もいらっしゃいますが、URの業務の話、関係者も多いわけでありまして、その話に移らせていただきたいと思います。
近接地建てかえがこれから可能になるということでありまして、私は、よく制度改正の提案を政府からいただいたときにいつも思うんですが、なぜ今までそもそもできなかったのかということが、まず最初、そこから押さえないと、実は、なぜ今そういう制度になっているかがわからないんですね。
だから、今回も、近接地建てかえを可能にするということですが、まず、なぜ今までそれをできない、認めないということにしていたのか、御答弁をいただければと思います。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
現行の制度、現在の法律の規定では、現在地とその隣接地のみで建てかえが認められている、これは御指摘のとおりでございます。これは、建てかえという性格上、現在建物がある場所に新たな建物を建設して賃貸住宅を存続させることというのを法律上想定していたということでございます。加えて、隣接地というのは、今の法律の規定にございますが、新たに建設する住棟の配置計画等に応じて敷地の確保に柔軟性を持たせるためということで、あくまで現在ある賃貸住宅を存続させるということを念頭にしたものでございます。
しかしながら、この制度では、建てかえに伴って居住者に往復の引っ越しという二度の負担をおかけすることになる、あるいは移転先や適地の確保に長い時間を要するなどの課題がございます。
それから、最近は特に郊外の利便性の悪い団地等については空き家が大変ふえてきたということで、複数の団地をまとめて再編するということを考えざるを得なくなったという状況がございまして、老朽化が進んで空き家が多くなっている郊外の団地等につきまして、居住者の同意が得られることを前提といたしまして、コミュニティーが一体的に、より利便性の高い土地に移転をしていただくことが可能となるように、新しく近接地での建てかえという手法を導入する必要性が生じてきたということでございます。
○足立委員 私自身は、今局長がおっしゃったような状況の変化というか、当然今、日本の社会は大きな変化にさらされているわけでありまして、その中で国民の皆様の生活をしっかりとお守りしていくために、必要な取り組みについては私はやむを得ない、こう思うわけであります。
これはちょっと通告をしておりませんが、きょうは傍聴の方もいらっしゃいますので、局長、住民の同意を前提に進めていくというお言葉もありましたが、恐らく今住んでいらっしゃる方々はこの問題について関心が当然高いわけでありまして、そういう方々に対する配慮というか、今、同意をしっかりとっていくんだということもそうだと思いますし、特に、今住まわれているそういう方々への配慮という点で何かもしございましたら、ちょっと通告しておりませんが、お願いします。
○橋本政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、URの団地の建てかえ、これは借地借家法の適用を受けますので、居住者の同意がなければ、まず建てかえができません。まず、それは大前提でございます。したがって、同意をいただくために丁寧に説明をする、あるいは皆様方にさまざまな選択肢をお示しした上でお選びいただけるようにすることが大事でございます。
それと、やはり、郊外の不便なところの団地から例えば駅の前の団地に移れば、しかも新築であれば、通常のいわゆる近傍同種家賃でいいますと家賃は上がります。しかし、URのある意味都合でお移りをいただくわけでございますから、家賃の負担については現在の水準のままでお移りをいただけるように、先ほど答弁にもございました最大三万五千円の家賃の減額というのを続けさせていただいて、その範囲内でお移りいただけるようなところを近接地建てかえにしていくということで、家賃負担の水準についても当然に配慮をするということを考えております。
○足立委員 わかりました。
近接地建てかえが可能かということについては、今おっしゃっていただいたことで私は一定の理解をいたしますが、先ほど冒頭も申し上げましたように、URを含め、独立行政法人の業務追加等については、私も役人をやっていたのでよくわかるんですけれども、もうしょっちゅう、法改正だということになると業務追加、こうなっていくところがあります。
私は、ニーズがあるものはというか、合理的に説明ができるものはどんどんやればいいと思うし、そうでないものはやめていけばいいと結構合理的に考える方なんですが、ところが、世の中はそんなに激変しない、大きなトレンドで、少子高齢化を初めとして大きな流れであるわけですから、余りこれは毎年やらなくてもいいよななんて自分でいつも思っていたわけであります。
ちょっと忌憚のないところで、もし御答弁いただければと思うのは、今回はURについてこういう措置が出ているわけでありますが、本当はこれをやりたかったんだけれども、大変だからちょっと来年にするとか、実はもう局長の頭の中にあって、局長だけじゃないか、いろいろな局もあると思いますが、例えばURについて言えば、そういうものがほかにあれば、ちょっと挙げておいていただいたらありがたいかなと。ちょっと変な質問ですけれども、済みません。
○橋本政府参考人 URの関連する制度でやるべきことは全て出し切っておるつもりでございます。
しかも、URにつきましては、一つは、法律改正を何度かやっておりますが、相当部分が行革に伴う、ある意味URに対する制約をかけるものが大変多うございましたけれども、最近で申し上げますと、例えば東日本震災復興支援の拡充に必要な法改正をやったり、あるいは都市再生事業において民間事業者との連携手法の多様化に必要な内規の改正、こういうことをやっております。
また、今回の法改正は、平成二十五年十二月に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づいてやっておりますけれども、近接地建てかえは法律改正が必要でございましたけれども、これ以外にも、例えば高額家賃物件をサブリースにして民間にお任せをするとか、あるいは既存団地における福祉医療拠点の誘致を行う等、これは法律改正が必要でございませんので、内規なりあるいは業務の運営の仕方を見直すということで、そういう業務も新しく取り組んでおります。
そういう意味では、やらなければいけないこと、新しいニーズに対応することは適宜適切に取り組んできたつもりでございますし、現在のところは新たなテーマはないのではないかというふうに考えております。
○足立委員 ありがとうございます。よくわかりました。
今、局長がいみじくもおっしゃったように、実は、いろいろ政権交代もあって、あれをやるな、これをやるな、あるいは採算性についてより厳しくなっていったりとか、URの皆さんは結構御苦労も多いと思います。特に、民主党政権の時代に民業圧迫という話が大きく取り上げられて、何でもそういう事業の見直しということがいろいろ行われたわけであります。
私は、やはり民主党政権の時代から、今、太田大臣は自公政権、安倍政権で国交大臣をお務めでいらっしゃいますが、大分変わったと思うんですね、雰囲気が。私はどちらかというと太田大臣の側であります、余り強調しても仕方がないかもしれませんが。ただ、とにかく政権交代の中でやはり変動しているのは事実だと思います。合理的なものであれば、私はそれは積極的に採用していったらいいと思いますが、少なくとも余りぶれるのは現場は大変だろうな、こう思うわけであります。
大臣にぜひ一言御見識をまた開陳いただければありがたいのは、そういう民業圧迫論、民主党政権のときに言われていた民業圧迫論の中に、それはそうだよなという、もし一理あるということがあればそれも教えていただきたいし、また、今、むしろ自公政権では余りそういうことを言わない、要は、民業圧迫というのはちょっとそれは違うんだということで、一定の業務についてはやっていらっしゃるわけでありまして、民主党政権のときの議論、また自公政権のときの議論を両方にらみながら、大臣、その辺、民業圧迫論をどう捉えておられるか、ぜひ御教示をいただければと思います。
○太田国務大臣 私は、政治を担う以上、リアリズムということは絶対変えてはいけない、現場主義といいますか、あるいは、私の立場からいうと庶民の側に立つということだと思います。
四文字熟語に気をつけろということを私は心がけてきました。富国強兵というような四文字熟語にふわっと行ってしまったり、構造改革ということでずっと行ったり、政権交代という四文字で行ったり、さまざまなもので四文字熟語、その中に民業圧迫ということもあったと思います。そこの中で、常に政治はリアリズムが大事であるという、私はそのように、そういう意味では、石川好先生が言う言葉ですが、四文字熟語に気をつけろと。
その中の本当のリアリズムという、あるいは現場というか、URについては行政改革というような四文字熟語とか民業圧迫ということが言われてきたわけですが、私は、URのことについては、住み続けられるということ、どういうことであろうと、改革の名のもとに住んでいる人を追い出すというようなことがあってはならない。そして、居住者が安心して住み続けられるということを常に基本にして考えなくてはならないわけで、民業圧迫とか民営化ということについて、私は、UR団地の方たちとずっと一緒に活動してきまして、そういうことで本当に十数年大変だった、民主党政権の時代という以上に、さまざま、そうしたことで大変な不安の中にあったということで、何とか住み続けられることが大事だ。
そして、高齢者がふえてきている。そして、ついの住みかとしてずっと住み続けていくという、昔は移っていくということがあったんですが、そういう人が多くなってきている。あるいは、空き家が増加している。現実をしっかり踏まえて考えていかなくてはならない、こういうふうに思い続けてきました。
UR団地は、地域の貴重な財産として地域全体の安心に貢献するということが大事なんですが、同時に、少しでも住み続けられるということの観点から立つ行政というものが、URということについては、きょう大勢の方も来ていらっしゃっていますが、私は、そこのところに原点を置いてURというものの方向性を出すということが大事だということの中から、高齢者であっても、また、住む方が住み続けられる。改革だとかいう名のもとに、それは住んでいる人とは余り関係ない話です。
その観点に立って、そして現実には空き家がふえているとかいうことがありますから、そうしたことの中でどういうふうに住み続けられるということ、そして家賃ということで大変気にされているということもあって、そして耐震構造を施さなくてはいけない、さまざまなものを勘案して、今回この措置をとらせていただいているということをぜひとも御承知いただきたいというふうに思っているところでございます。
○足立委員 ありがとうございます。
大変大事なお話をいただきました。四字熟語に気をつけろと。大阪都構想は、三字、五字ですから、違ってよかったなと思いましたが。
本当に、リアリズム、現場主義、庶民の側、大臣のお考え、きょう傍聴されている方もいらっしゃいますが、大変貴重なお話を伺えたと思います。私もきょうより、リアリズムを肝に銘じて、政治活動に邁進をしてまいりたいと思います。決意発表しても仕方がないですね。
最後に、もう時間がなくなってまいりましたので、開発型SPC。
これも大変大事な話で、きょうは都市局長がおいででありますが、本当に以前は失礼しました。ぜひまた御指導いただきたいと思いますが、開発型SPCで一つだけちょっと気になることは、今までも認めてきた開発型SPC、開発型SPCというよりは、一定の、要は、民間を公募して、それで民間が見つからないときのSPCへの出資、これは今までもできたということでありますが、今回はさらに初期段階からできるようにする、こういうことであります。
私は、やはり、大臣がおっしゃったように、民業圧迫というようなことを申し上げるつもりはありませんが、しかし、URが都市開発において一体どういう役回りを果たしていくかというときに、一定の規範は当然あるんだろう、こう思います。そのときに、URが参画をしなくても同じような開発ができる場合には、わざわざ公的なURが関与する必要がないわけであります。
ところが、今回の見直しによって私が一つだけ危惧をしているのは、結局、URがなくてもできる開発と、URが一緒にSPCを組成してやる必要がある開発、これはどこでそれを峻別できるんだろうか。民間は、大抵の場合はURがいてくれた方がうれしい。
自分たちだけでもできるが、URがぜひ入ってくれというケースをどういうふうに峻別できるのかという点だけ、ちょっと不明な点でありますので、答弁をいただければと思います。
○小関政府参考人 お答えいたします。
URによる都市再生事業でございますけれども、初期投資が大きくて、かつ収益の発現までに長期間を要するような事業、あるいは複雑な権利調整に長い期間を要する事業などについて、民間のみでの取り組みが期待できない場合に行うということにしております。
実際に、民間の事業者と行った意見交換におきましても、ただいま申し上げたような、まちづくりに関するノウハウを有するURと共同出資した開発型SPCというのを使って共同事業を行うことをURに求めたいという声もいただいているところでございます。
今回は、法律上、URと共同して事業を実施したいと考える民間事業者からのまず要請があるということを法律上の明文で置かせていただいております。
加えて、URが都市再生事業を行う場合には、個別の案件ごとに、学識経験者等から成る第三者委員会の審議におきまして、民間のみでは実施困難かどうか、あるいはURが行う政策的意義が高いかどうかということも御審議をいただいて確認するということにいたしております。
したがいまして、民間事業者の具体的なニーズや意向を踏まえて対応するということで、民業補完という考え方のもとに適切に運用してまいりたい、このように考えているところでございます。
○足立委員 ありがとうございました。
時間を超過いたしまして、失礼しました。大変にありがとうございました。
○今村委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 維新の党の井上英孝です。
きょうは、朝から本当に、波静かなこの国交委員会では珍しくばたばたといたしまして、太田大臣初め政府三役、それから参考人の皆様方、また、傍聴席の皆様方も大変たくさんきょうは来ていただいております。ばたばたしまして、運営を担っている理事の一人として改めて皆様方におわびを申し上げるとともに、御理解をいただいて御容赦いただければというふうに思います。
やはり、さまざまな各会派の思いもありますので、こういうことも時にはあるんじゃないかというふうに思いますけれども、まずは、先ほどから言われているような、法案審議をしっかりやっていくというのが何よりも我々の責務だというふうに思っておりますので、質疑に入らせていただいて役目を全うさせていただきたいと思います。
二十分と非常に限られた時間で、これが終われば本会も散会するということですので、最後の時間をしっかりと締められるように頑張りたいと思います。
まずは、海上技術安全研究所それから港湾空港技術研究所、電子航法研究所というこの三研究所を統合するという今回の法案でありますけれども、参議院では、先議ということで、去る四月十六日の参議院の国土交通委員会ではもう本法が審査になり、可決をされております。その三研究所の統合による効果ということについて質疑がされております。
政府からは、統合により、海上分野、航空交通分野の研究開発を一体的に実施することが可能となり、これらの分野における運輸産業の国際競争力の強化や海洋の利用推進への貢献が期待されるという答弁がありました。
先ほど森重局長からも、デメリットはない、メリットしかないという答弁がありまして、局長のおっしゃっていることを信頼しておりますし、信用しますけれども、では、なぜ、メリットしかないということであるのなら、今日までなかなかこの研究所の統合というのが進められてこなかったのか。
後ほど船員の教育養成機関についても統合の議論がありますけれども、まずは、もっと早い段階でこの統合が進まなかったのはなぜなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
我が国が持続的な成長を遂げていくためには、やはり我が国の産業競争力を強化せぬといかぬ、あるいは新たな成長分野を創出しないといけないというふうに考えております。
こういった観点からは、国際交通ネットワークの基盤である海上交通あるいは航空交通は非常に国際競争が厳しい分野であります。まさに胸突き八丁の時期にあると思います。そういった意味で、より一層の競争力の強化を図っていく時期だというふうに考えております。
また、四方を海に囲まれた我が国において海洋の利用推進を図ることは、新たな産業や雇用の創出に大きく寄与します。まさに、海洋については今取り組むべき時期だというふうに私は考えております。
そういった意味で、三研究所を統合することによって、先ほど委員御指摘のとおり、総合的、一元的に研究開発を実施することによって、今申し上げたような、海上・航空交通分野における運輸産業の国際競争力の強化、あるいは海洋の利用推進に貢献するというふうに考えております。そういった意味で、今まさに手がけるべき時期ではないか。
一方で、委員の思いとしては多分、遅いんじゃないの、こういうことなんでしょうけれども、先ほど来いろいろと御議論があったように、いろいろな閣議決定がなされていったような歴史がある分野でございます。
今回の閣議決定は、特に、政策実施機能の最大限の向上を図るという観点から統合するんだということが明確に述べられております。また、合理化等についても、時間軸を持った対応が求められるなど一定の配慮がなされております。統合する三研究所にとっては、そういった意味では、統合しやすい環境整備をいただいた、だからこそ今だったというふうに私は考えております。
○井上(英)委員 審議官、ありがとうございます。
先ほど、遅い、そこまでは正直申し上げる気はありませんけれども、もちろん、拙速な組織のスリム化、合理化というのは進めるべきではありませんし、そのニーズが合致したような状態で、満を持した環境でのこういう合理化というのがやはり一番理想でありますので、決して遅いと言っているわけではありませんけれども、さまざまな面で、もちろん、役割が三研究所に今まであったわけですから、それぞれの研究所としての役割があって、なかなか全てがすぐに統合できるという結論になるわけではありません。
研究所を運営する上においても、管理コスト、そういった研究所を維持、運営、管理する、そういうようなコストは少なくとも削減もできるわけですし、また、三つの研究所が一緒になることでプライオリティーに差がついて、やはり重要だと思うところについては今まで以上に予算を組み込めるようなこともできますし、そういう意味での、一定の限られた予算の中ではありますけれども、自由度が増す運営というのができるのじゃないかというふうに思います。そういう意味では、今回の統合する法案というのは非常に我々も賛成をしております。
その中で、一方で、先ほど申し上げたような管理等のコスト削減というところについて、余り触れられていないように思うんですけれども、やはりそういった面でどれぐらいのメリットがあるのかというのをお聞かせいただけたらと思います。
○森政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今回の統合は、政策実施機能の最大限の向上を図る観点から実施するものであります。三研究所の統合によって、運輸産業の国際競争力の強化とか、海洋の利用の推進に貢献することを期待しております。
このため、今般の統合に当たりましては当然研究成果の向上を図る必要がある、かつ、この三研究所は、研究分野については全く重複がございませんので、統合後の研究所の核となる研究部門の研究者の人員とか予算を縮小することは全く考えておりません。
一方で、三研究所の人事、会計、庶務等の総務部門は、委員おっしゃるとおり、統合による効果というのは当然期待されるわけなんですけれども、先ほどちょっと述べましたように、三研究所の場合は、総務部門の職員数全体で五十名強という非常に少ない人数でやっております。また、経常経費についても、研究業務以外の支出は全体の支出の約一割と、多分かなり低い水準ではないかというふうに考えております。
そういった意味では、統合後の間接部門の削減余地というのは限られておりますけれども、閣議決定の中では、統合が定着した後に間接部門の組織や経費の合理化に取り組みなさいということが明記されております。三研究所では、現在三研究所が集まりまして、間接部門の体制をどうしていくか、これは特に二地区に分かれますので、どういう形で間接部門を支えていくかとか、非常に難しい問題でございます。それから、会計等のシステムがそれぞれ三研究所で違いますので、これを統一することによって会計部門の業務の合理化ができるんじゃないかということで、そういったことについて三研究所で検討を行っております。
引き続き、この検討を深化させて、業務の効率化のための具体的方策あるいは目標を、本年中あるいは今年度中には策定したいというふうに考えております。
○井上(英)委員 今お答えいただいたように、幾ら削減できるとかいう議論ではありませんので、ただ、統合する以上は、そういう意味でのコスト面での統合効果というのもやはり出していただかないとだめですし、ただ一方で、よく公共工事でも言われますけれども、安かろう悪かろうにならないように、そういう面でのコスト管理が低くなったために、それぞれの担っている研究分野が落ちるようなことがないように、ぜひとも三研究所で、何度も言いますけれども、限られた予算の中で最大限の効果を何とか発揮できるように、職員の皆さんも含めて頑張っていただけたらというふうに思います。
やはりコスト削減というのは、これはもう一過性のものではなくて、今のこういう時代、御時世、コスト削減が求められているというのは、これはもう当然のことでありますし、永遠のテーマだというふうに思っています。
そういう中で、また、昨年度まで、平成二十六年度までにはフォローアップということで、今までやれることをやってくるようにという形のものがありました。三研究所に、間接部門の余剰人材の事業部門への振り分けを可能にし、業務の最適化を図るという目的といいますか、明記されておりまして、引き続き対応方針を検討するというふうにしてきているわけであります。
そういった進捗も含めて、一度、どういう状況になっているのかというのをお聞かせいただけたらというふうに思います。
○森政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十五年十二月の閣議決定においては、各法人の効果的かつ効率的な業務運営のため、法人間における業務実施の連携を強化し、共同調達や間接業務の共同実施を進めなさいということと、これにより、間接部門の余剰人員の事業部門への振り分け等を可能にし、全体としての業務の最適化を図りなさいということが明記されております。
三研究所では、従来、近隣の研究所と事務用品の共同調達をしたりとか、あるいは施設の守衛業務の契約とか電力の契約等を共同実施したりとか、効果的かつ効率的な業務運営を図ってきているところであります。統合後も、引き続きこのような取り組みを進めるとともに、例えば、先ほど言及しました会計システムの一本化とか、それから保険契約の集約等についても検討をしてまいりたいと思います。
また一方、今般の統合は、政策実施機能の最大限の向上を図る観点から実施するものでありますので、統合効果を適切に発揮するためには、連携のための企画部門、間接部門の中でも企画部門の強化が必要になります。また、三研究所は離れておりますので、効率的な運営を実施するために、適切な間接部門を整備することも必要であります。
現在、三研究所におきまして、企画部門を含めて間接部門の体制をどうするかということについて、真摯に検討を行っているところであります。引き続き、統合に向けて業務の最適化のための取り組みを深めてまいりたいというふうに考えます。
○井上(英)委員 本当に、こういう議論になったときには、やはり必ず研究所だとか、萎縮をしてしまって小さくなってしまったりするようなことがありますので、そういうことのないようにぜひ職務に精励していただけたらというふうに思います。
次に、船員養成機関の統合、海技教育機構それから航海訓練所の統合についてお聞きをさせていただきます。
この統合につきましても、先般参議院での国土交通委員会でも審議がされて、質問がされていたというふうに思います。その中で政府は、統合により、学科教育と実習訓練を一体的に行う最大の船員教育機関が誕生しという、先ほどの局長の答弁もありました。
同じことを聞きますけれども、やはりそれがあったのなら、もっと早くやっていてもよかったんじゃないかという思いもいたしますけれども、そういうことも含めて、何かこの統合によるメリットというのを改めてお答えいただけたらというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○森重政府参考人 お答え申し上げます。
今委員より、統合の時期の関係とそれからメリットという御指摘がございましたので、お答え申し上げたいと思います。
まず、時期の問題でございますけれども、今回御審議をお願いしております法案では、海技教育機構とそれから航海訓練所の統合を行おうとするものでございますけれども、このうち、海技教育機構につきましては、平成十八年に、新卒者に対する学科教育を行う海員学校と、船員に対して、既に船員になっている者に対して学科を再教育する海技大学校、二つを統合してできた法人でございます。
この平成十八年の統合によりまして新たに教育機関が誕生したわけでございますので、生徒さんを預かる教育機関として、その教育効果を生み出しながら、一定期間その定着を図ってまいったわけでございます。
その後、船員教育を取り巻く状況も変化してまいりましたし、さらに政策実施機能の強化を図るという観点もございますので、今回の統合を行うに至った、そういうことでございます。
メリットといたしましては、委員も御指摘のように、最大の船員教育機関が誕生いたしまして、しっかりとその効果を図っていく。第一に教育内容の高度化、第二に広報など発信力の強化、第三に柔軟な組織運営、それらのメリットをしっかりと発揮いたしまして、統合後の法人は、船員養成の核となりまして、海洋国家日本をしっかりと支える若手船員の確保、育成を着実に推進いたしまして、海上輸送の確保にさらに貢献してまいりたいと思います。
○井上(英)委員 今局長から答弁いただいたように、ぜひ統合効果を発揮していただきたいというふうに思います。
それと、やはり一番の問題は、今局長の答弁にもあったように、海洋国家日本で日本人の船員さんというのが不足してきている。かなり世代に偏りがあって、若い方がなかなか船員になってくれないという現状がある中で、そういうPRイベントを含めてお考えをいただいておるということでありますけれども、やはり抜本的な解決というのを本当にこれから真剣に考えていかなければならないんじゃないかというふうに思っていますけれども、その点を、局長、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
○森重政府参考人 お答え申します。
若手船員は海洋国家日本を支える大事な担い手という観点で、今回の統合の効果も含めまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
そのためには、まずは、海のすばらしさであるとか、あるいは船乗りになりたいという気持ちをしっかりと持ってもらうということが大事だと思っております。そういう船員を志望する若者の拡大、これが重要だと認識しております。
さまざまな取り組みをいたしておりますけれども、いろいろな、練習船を活用した一般のPRでありますとか体験乗船、一般公開、そういったことも含めてやっております。いわゆる学校を志望する、船乗りの道を選択していただくという観点で申し上げれば、進路の選択段階にある若者にすばらしさを伝えるというのが特に効果があるというふうに考えております。
したがいまして、そういう進路選択段階にある学生さんであるとか生徒さんであるとか、あるいは学校の関係者に対しまして、海技教育機構の職員みずからが各学校を訪問しての募集活動、それから、現役の船長が海運であるとか船員の仕事をPRする、学校に出かけていって出前講座をするということでありますとか、あるいは実際の民間船に乗船して職場を体験してもらうというインターンシップ制度、こういったさまざまな船員という職業の魅力についての認識を深めていただく取り組みを進めているところでございます。
これらに加えまして、統合後は、統合効果を生かしまして、海上技術学校のオープンキャンパスの際に練習船を寄港させまして、船内を実際に見ていただく、船員の魅力に直接触れていただくことでございますとか、中学校、高等学校の先生方を練習船そのものに御招待して、魅力を実感していただいた上で進路指導をしていただくとか、より効果的、あるいは広い対応の仕方を工夫して取り組んでまいりたいと思っております。
○井上(英)委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただいて、また、URはコンパクトシティーもぜひ実現させていただいて頑張っていただきますように、よろしくお願いします。
以上です。
○今村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会