衆議院

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第18号 平成27年8月4日(火曜日)

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平成二十七年八月四日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 坂井  学君

   理事 中村 裕之君 理事 伴野  豊君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    池田 佳隆君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    門  博文君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    古賀  篤君

      國場幸之助君    今野 智博君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      白石  徹君    鈴木 馨祐君

      鈴木 憲和君    高木 宏壽君

      津島  淳君    野田 聖子君

      堀井  学君    前田 一男君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    小宮山泰子君

      鈴木 克昌君    福島 伸享君

      松原  仁君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    足立 康史君

      横山 博幸君    吉田 豊史君

      北側 一雄君    高木美智代君

      中川 康洋君    樋口 尚也君

      宮本  徹君    本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        川元  茂君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        金尾 健司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            松原  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     白石  徹君

  津島  淳君     池田 佳隆君

  前田 一男君     石川 昭政君

  小宮山泰子君     鈴木 克昌君

  宮崎 岳志君     福島 伸享君

  下地 幹郎君     吉田 豊史君

  北側 一雄君     高木美智代君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

  石川 昭政君     前田 一男君

  白石  徹君     斎藤 洋明君

  鈴木 克昌君     小宮山泰子君

  福島 伸享君     宮崎 岳志君

  吉田 豊史君     下地 幹郎君

  高木美智代君     北側 一雄君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

八月三日

 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)

七月九日

 巨大防潮堤より避難道を整備することに関する請願(近藤昭一君紹介)(第三三七四号)

 家賃補助制度の創設と住まいの安定確保に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三三八五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三四三〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三四八五号)

 同(池内さおり君紹介)(第三四八六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三四八七号)

 同(大平喜信君紹介)(第三四八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四八九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三四九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四九一号)

 同(清水忠史君紹介)(第三四九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四九三号)

 同(島津幸広君紹介)(第三四九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三四九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三四九六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三四九七号)

 同(畠山和也君紹介)(第三四九八号)

 同(藤野保史君紹介)(第三四九九号)

 同(堀内照文君紹介)(第三五〇〇号)

 同(真島省三君紹介)(第三五〇一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三五〇二号)

 同(宮本徹君紹介)(第三五〇三号)

 海洋の環境と国民生活を守る事業の体制拡充に関する請願(吉川元君紹介)(第三四七二号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(吉川元君紹介)(第三四七三号)

同月二十四日

 巨大防潮堤より避難道を整備することに関する請願(石関貴史君紹介)(第三六八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長川元茂君、総合政策局長毛利信二君、水管理・国土保全局長金尾健司君、道路局長森昌文君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長藤井直樹君、航空局長田村明比古君、観光庁長官久保成人君、気象庁長官西出則武君、運輸安全委員会事務局長松原裕君、内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君、警察庁長官官房審議官白川靖浩君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、環境省自然環境局長奥主喜美君及び防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 週末の夏祭り等々の活動でお疲れのところと存じますが、ぜひ皆様よろしくお願いを申し上げます。

 きょうは一般質疑ということで、少しまとまったお時間をいただきましたので、活火山対策及び先日発生をしました新幹線初の火災事故を中心に、幾つかトピックも織りまぜて議論をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 その本題に入る前に、まず一点だけ、交通標識、道路標識について少しこれはお願いをしたいんですが、今、お手元に鹿の写真がついた資料を一枚配付させていただきました。これはよく見ないと、もちろん、皆様方、日常的にごらんになっている方と、都会で暮らしている方はなかなか見ないかもしれませんが、左下の「動物注意」という鹿の絵があります。私もこれを日常的に見ているようなところに住んでいるわけですが、それまで余り気にしなかったんですが、実は、この週末等々の活動の中でいろいろなお話をいただく中で、ああ、なるほどねという中で取り上げさせていただきました。

 よく見ていただくと、上の鹿、これはニホンジカですが、上のニホンジカは角が前の方に伸びていっています。左下の鹿の絵は、後ろに伸びているんです。

 これは、狩猟関係をやっている方からすると、何でこうなんだというのは実は内部では非常に有名だったというお話ではあるんですが、せっかくいただいたお話なので少し調べてみましたら、後ろに伸びているという鹿は日本にはいない、海外に行くとオジロジカという北米に生息をする鹿では一種類いるらしいんですが、こういう状況になっているというお話でした。

 これは国土交通行政全体を左右するような大きな話でないということは承知はしているわけですが、例えば、これからオリンピックもあるわけです。いろいろな文化の方、言語の方も入ってくるという中で、これがその中の最優先順位とは申し上げませんが、しかし、いろいろな方々に対してやはりきっちりとわかっていただくような形で、標識というのを一旦見直してみるということも大事なのではないかというふうに考えているわけです。

 ちなみに、この標識がこういう形になったのは、国連標準というのをもとにして我が国の交通標識もつくっている場合が多いというお話も伺いましたので、そういう経緯の中でこうなったのかなと思います。

 大きな予算をかけて一気に何かをやらなきゃいけないという話ではありませんが、次に何か見直しをする機会には、ぜひ課題の一つとしてエントリーしておいていただければなというふうに思いまして、この話題をまずは取り上げさせていただきました。

 大臣、まず、この点、御存じでしたでしょうか。

太田国務大臣 いきなり、久しぶりに委員会に出ましたら、相撲の立ち合いでいうと、ぱっと跳ばれたような、そんな感じの質問をいただきました。

 確かに、私はこれは承知しておりませんでしたが、同じように調べてみますと、道路標識のデザインにつきましては、世界各国の標識の統一を図るために定められた国連道路標識を参考にしながら省令で定めている、こういうことです。

 御指摘の、動物が飛び出すおそれありの道路標識のデザインについても、昭和六十一年、一九八六年に国連道路標識を参考として鹿のデザインを定めたということだそうです。

 この道路標識の鹿は日本に生息していないとの御指摘もあるようでありますが、この道路標識によって、道路利用者に対して、動物が飛び出すおそれがあるため注意が必要だという意味は十分に伝わっているのではないか、このように考えています。せっかくの御指摘のことですから、よく留意しておきたい、このように思います。

神山(洋)委員 御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 まず、活火山対策についてということで、これまでも当委員会を含めて数度取り上げさせていただいておりますが、ゴールデンウイーク以降、箱根の大涌谷周辺で火山活動が活発化をしているという件、そして、それに関連をする政策課題についてということで議論させていただきたいと思っております。

 まずは、これは事実関係としてですが、ゴールデンウイーク明け、五月六日にレベル二に上げられて以降、そろそろ三カ月という状況ですが、特にここ直近一カ月の状況に対して、気象庁の方では、火山活動の動き、どういうふうに認識して評価をされていますでしょうか。

西出政府参考人 気象庁では、六月三十日に大涌谷の現地調査を行ったところ、新たな噴気孔の周囲に噴石の飛散や堆積物が見られました。このことから、二十九日の夜から三十日にかけて小規模な噴火があったと判断し、噴火警戒レベルを二から三に引き上げました。

 その後、七月一日までは断続的にごく小規模な噴火が発生していたと考えられますが、七月二日以降は噴火は発生しておりません。

 地震活動については、七月四日以降、震度一以上の地震は発生しておりません。また、体に感じない火山性地震も減少しており、最近では一日当たり零回から五回程度で推移しております。

 しかしながら、火口から噴気が勢いよく噴出する状況が続いているなど、火山活動は引き続き活発な状況であると考えております。

 気象庁では、神奈川県温泉地学研究所を初めとする関係機関と連携し、引き続きしっかりと箱根山の火山活動の監視を行ってまいります。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 地震発生回数のみを見ていると比較的落ちついているなというふうには見えるわけですが、しかし、火山活動そのものの評価を考えると、地震活動のみならず、例えばそれは地面全体の膨張の話であったり等々、いろいろな指標の中で判断をされるということでございます。これは地元の一人として早く収束することを祈るものではありますが、もうしばらく少し様子を見る必要があるというお話は伺っているところです。

 幾つかこれは政策課題の方に入っていきたいわけですが、今長官からもお話があったとおり、噴火にもいろいろな定義がありますし、レベルもありますが、そういう意味でいうと、小規模ではあるけれども小さな噴火はしたという、一つタイミングはあるのかもしれません。

 ただ、五月以降の推移を考えたときに、今回の件で特に我々が政策課題として意識をしなければいけない話は、私は予知ということではないかなと思っております。

 災害対策の中で予知というのは、比較的これまで議論をされたり立法の中にも組み込まれてきたのは、地震の話でした。東海地震という地震に関しては予知ができるのではないかという前提の中で、東海地震の中で予知が行われたときにはどういうオペレーションをするかというのは、法律の中にも組み込まれているという状態だと承知をしています。

 ただ、よくよく考えてみたときに、では、自然災害を予知するということが科学的にどこまで可能なのかということについては、いろいろな考え方、分析方法、評価があるというお話を伺っています。

 その意味で、まず前提として伺いたいんですが、火山における噴火を予知するということ、これがその後の防災行政に対してどういう有効性を持つのかということ。加えて、そうはいっても、予知ということには限界があるという話もされています。この有効性と限界をどう認識されているか、この点をまずは御答弁いただければと思います。

西出政府参考人 気象庁では、全国の百十の活火山について監視をしております。特に、火山活動が活発で監視観測体制の充実が必要と火山噴火予知連絡会によって選定された四十七の活火山については、地震計、傾斜計等の観測機器を整備し、常時監視しております。

 具体的には、火山ごとに、火山性地震や火山性微動、地殻変動、噴気等の観測データ、あるいは過去の噴火の際の観測データ等を総合的に判断することにより、可能な限りの予測を行っております。

 しかしながら、現在の火山全体に関する知見、個々の火山に関するデータの蓄積等の科学的水準から、火山活動に変化があった場合に、噴火に至るか否かの判断が困難な場合もあります。

 気象庁では、火山活動の活発化を示す変化を観測した場合には、地元の火山防災協議会が設定した噴火警戒レベルの考え方に対応して、臨時の火山の状況に関する解説情報を発表して火山活動の状況を伝え、あるいは噴火警報を発表して警戒が必要な範囲を示すこととしております。

 今後とも、気象庁としては、学術研究の成果を取り入れ、また、観測データを着実に蓄積することにより、より適切な火山活動の評価に努めてまいります。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 数ある災害の中でも、まだ、予知という研究の領域をさらに深めて、そして防災行政の中に生かしていく余地というのは、私は、この火山の、火山というか噴火の予知というところが極めて大きいのではないかという理解をしております。

 地震の予知もできるできないという議論はいろいろありますが、なかなか進展が見られないという話。一方で、我が国は今、長官からもお話がありましたが、五十の常時観測の火山と百十の活火山があるという状況にもかかわらず、火山に対しての体制づくりであるとか研究というところがこれまで少しおくれてきたのではないかという指摘もされているわけです。

 その意味でいうと、これは科学的見地の中で、火山、噴火の予知をきちんと研究として進めていくということはこれからも極めて大事であろうと思いますし、そのことは何のためにかといえば、まさしく先般、活火山対策特別措置法が改正をされたわけですが、あれは御嶽山の例を受けて改正をされたわけです。あのときも、予知ができなかったものかという議論はありましたが、やはりあの時点では御嶽山の予知というのはなかなか難しかったという話もある。

 この予知がより正確に、より確度の高い形でできればできるほど、その地域に暮らしている方、たまたまそこに登山をされる方の安全をより確実に守ることができるということになると思いますので、そこはぜひ進めていかなければいけないというふうに思うわけです。

 ただ一方で、今お話しいただいたように、予知の精度をいかに上げたとしても、何時何分どこどこの山からこれだけの噴火がありますということまで予知をするということは、これはなかなか先々にわたっても困難であろうというふうに思うわけです。その意味でいうと、噴火が起こる可能性があるという、その可能性をどれだけ高めることができるかということはできたとしても、では、ばっちりと、ここだけですと、ゼロか一かという形できっちりとその判断をすることはなかなか難しいんだろうなと思うわけです。

 そういう意味で、これは今、噴火の警戒レベルを気象庁が設定するという形で、噴火に対しての警戒が行われているという状況だと思っています。

 現行の制度の中では、これはそういう常時観測をしているさまざまなデータ、さまざまな判断の中から、噴火警戒レベルを、こういう状況になったら、では一から二に、場合によっては二から三にという形で上げていくわけです。それは気象庁が行う。

 同時に、その火山の周辺の地元の自治体では、気象庁が上げた噴火警戒レベルに連動する形で、例えば、それは立入禁止区域を設定したり、通行どめの交通の整理をしたりという形のさまざまなオペレーションが行われるわけです。

 ここで一つお伺いをさせていただきたいのは、噴火に関しての何らかの防災的な観点からの措置をするということは、法律上いろいろなたてつけはありますけれども、実質これは国の判断になっているんじゃないですかということです。

 例えば、大雨、ゲリラ豪雨なんというのは、この夏にもたくさんあるわけです。それは、大雨の警報は気象庁が出されるでしょう。だけれども、実際それで避難勧告を出すかどうかというのは、災害対策基本法上も地元の自治体に委ねられているわけです。警報が出ていたとしても降っていないところは出さない、警報が出ていて、かつ大雨が降っていれば避難勧告を出すという形で、地元の自治体がハンドリングをします。

 ただ、事噴火に関しては、それができるかというと、私はそれは難しいと思うんですね。自治体の防災担当の責任者の中に火山活動をそこまで精緻に予測、判断することができる方がどれだけいるかといえば、それはなかなか難しい。実質的には、日本の中で三十人とか四十人とか、数少ないんだと言われますが、それはやはり、専門家の方々のお知恵と気象庁のこれまでの蓄積の中で、国が一定の判断をして、それに基づいて自治体が一定の措置を行うという形ではないかと思うんです。

 その意味で、確認のためにこれはお伺いをさせていただきたいんですが、噴火警戒レベルを引き上げるというのは国の判断です。一方で、自治体がその判断、国の、警戒レベルを引き上げるということにある意味では従わずに別の対応をするということが果たして可能でしょうかという点、これは内閣府にまずは確認をさせていただきたいと思います。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 災害対応の一義的な対応をとります市町村では、火山災害については、火山防災協議会におきまして噴火警戒体制を事前に定めてそれに応じた防災体制をとることになっておりまして、今御指摘のような噴火警戒レベルの引き上げがございましたら、それに応じて立ち入り規制が必要となれば、警戒区域を設定し、その地域の立ち入り規制を実施してまいります。

 その手段としては、災害対策基本法六十三条に基づく警戒区域を設定することが一般的でございますが、このほかにも、例えば道路管理者による交通規制、道路交通を規制することで立ち入りを規制することも可能でございます。これは最初、箱根もそうでございましたが。

 いずれにいたしましても、噴火警戒レベルが引き上げられた際には、災対法六十三条に基づく警戒区域を設定するか否かについては、地元市町村が判断していくことになると考えております。

神山(洋)委員 法律上のたてつけは、地元自治体が判断をするということになっているのはよく承知をしています。ただ、私が申し上げているのは実質の話です。

 法律上、災害対策基本法上も、そういった規制を最終的に決裁するのは、これは例えば協議会の長である首長さんであるというのは、確かにそうなっています。ただ、その判断は、この噴火の事例でいえば、気象庁が警戒レベルを二に上げます、火山活動が高まっていますという中で、果たしてそれに反するような、それに準じないような判断をすることがそもそもあり得るだろうかというと、物理的に私はこれはないと思うんですね。

 だとすると、結局、実態として、今箱根の事例を引き合いに出していただきましたが、箱根もそうでしたが、気象庁が、やはりレベルを上げます、二にします、三にしますということに対しては、地元ではいろいろな議論はありますよ。いろいろな議論はありますが、しかし、やはりそれに沿って事前に定められた規制措置を実行していくという形に自動的になっているわけです。やはりここは、特に我々政治家の立場からすると、法律論というたてつけはわかりますが、実態としてどうなっているかというところに着目をするべきだと思うわけです。

 結局、この話はどこに行くかといえば、じゃ、実際にそれに必要な、場合によってはそれによって生ずるさまざまな負担であったりとか責任というところを一体誰が担保するのかという話になるわけです。

 先ほど申し上げたように、例えば大雨で、それで避難勧告を市町村が出しますという話であれば、それは市町村の責任によって行われるので、費用も含めて、場合によってはそこから生じた何らかの負担も含めて、自治体で、現場でやるんですというこれまでの原則は、私はそれは正しいと思っています。

 ただ、事噴火に関しては、自治体が判断をするといっても、それはほぼ国の判断に準じた形で行われるにすぎないわけです。だとすると、私は、そこには一定の国の責任も介在をしているのではないかということを申し上げたいわけですが、その点、もう一度内閣府、どういう理解をされていますでしょうか。

兵谷政府参考人 基本的な対応は火山防災協議会等において事前に定めておりますけれども、まず、噴火警戒レベルの引き上げがございますと、噴火警報の発信は気象庁自身が行っていただきます。御指摘のとおりでございます。これに伴う立ち入り規制等の防災対応については、基礎的自治体として、まず第一義的な災害対応への責務を有しております市町村が責任を持って行うということが基本でございまして、これは火山災害に限らず災害対策法の基本ですが、いわゆる風水害等の他の災害においても同様でございます。気象庁の予報に基づいて市町村長が防災対応を実施する、こうなっております。

 ただ、政府としては、災害が発生した際には、災害救助法に基づく各種支援措置を行うことは当然でございまして、発災前の予防措置につきましても、正確かつわかりやすい情報発信に努めるほか、あるいは災害復旧貸し付け、信用保証制度、金融支援といったことも活用して、個々の災害の実情に応じまして、関係省庁と連携し、適切に対応を行っているというところでございます。

神山(洋)委員 何でこの話をしているかというと、ストレートに申し上げれば、非常に大きな経済的な被害が出ているわけです。別に、それを全部国が持ってくださいなんという、そんな乱暴な話を申し上げるつもりはありません。ですが、この状況の中でやはり我々は、経験として、そこから知見を得なければいけないと思うわけです。

 冒頭申し上げたように、火山、噴火の予知をする、そして、その噴火予知に基づいてあらかじめ次善の措置をとって、安全をより確かならしめるということは、私は決して間違っていないオペレーションだと思っています。だとすると、そのことをより実効的に実行できるような仕組みをつくる必要があると思うんです。

 今想定をされる起こり得ること、これは箱根が云々とか、特に個別具体的なところがどうだという話ではありませんが、どういうことかと申し上げれば、噴火の予知が、これから例えば研究の成果が進みました、それでいろいろな山でその噴火の予知をかなり精度の高い形ができるようにはなってきた、そのときに、ではどこどこの山がこれから噴火しそうだということで噴火警戒レベルを事前に上げて、その警戒レベルを上げたことに基づいて地元の自治体が規制区域を設けて、住んでいる方は外に出てください、そこに働いている方はしばらくここを閉鎖してください、道路は通らないでくださいとやるわけです。そうすると、そこには、いろいろな意味で経済的な損失というのは、これは当然ですが発生するわけですね。

 このままの状況だと何が起こるかといえば、規制区域を設けることによってそういうことが発生をするんだということがあるがゆえに、その規制区域を例えば小さくすべきだとか、タイミングは今じゃなくてもうちょっと後にずらすべきだとか、そういう話が地元ベースではどうしても出てきてしまうわけです。

 本来は、これは安全第一であって、人命第一であって、噴火予知に基づいて、それをきちっと信じて、それに基づいて、できるだけ保守的な形で、より広範囲に、場合によってはより早目にという形で安全対策が施されるべきなわけです。ですが、この状況を放置すると、そこに対して、これは恐らく気象庁さんは現場レベルでは非常に悩んでいたり苦しんでいるということは承知をしていますが、いやいや待ってくれとか、もうちょっと縮めてくれとか、いろいろな話が出てきてしまうんではないかと思うわけです。

 だとすると、これは大臣に今までの話も踏まえて御見解をお伺いしたいわけですが、噴火の予知という領域は、これまで我が国では余り深く研究をされてこなかった、場合によっては少し政策的に取り込むのがおくれてきた領域で、これからどんどん取り込んでいくんだと思うんです。そのときに、予知に基づいて発生をするさまざまな損失、被害ということに対して、私は国は一定の支援をしてもいいんじゃないかというふうに思うわけです。

 それは何のためかといえば、先ほど申し上げたように、予知に基づく安全対策をより確かならしめるために、公的権限によってあらかじめ規制をしいて、そこでの一定の私権を制限するということによって生ずる損害というのは、安全対策のために公的な費用が投じられるということに対しては、私は一定の理解があり得るんじゃないかなというふうに思っているわけですが、ここで具体的な言質をいただきたいとは思いません。かなり大きな話だと思いますので、それは方針として確立をするまでにいろいろな検討、いろいろな議論が必要だと思っています。ただ、問題意識として共有をしていただけないかなというところが第一歩だと思っているんです。

 大臣、御見解をいただけないでしょうか。

西出政府参考人 まず、規制の範囲といいますか、警戒すべき範囲についての考え方だけ、済みませんが、私から述べさせていただきたいと思います。

 先ほどからありましたように、警戒レベルの考え方というのは、居住地域に影響を及ぼすか、もっと狭い範囲で、登山に影響があるか、入山自体を規制すると言うべきか、そういう考え方に基づいて、山ごとに、居住地域と火口との位置関係等を考慮しながら、警戒すべき範囲というのを地元協議会と全体で協議して合意して決めているという考え方でやっていることだけを、まずお伝えしたいと思います。

太田国務大臣 非常にこれは難しい問題だと思います。現実的にそこに何らかの補償をするということは、これは難しい問題だというふうに思います。

 これまで、例えば被災者生活再建支援法というのがありまして、これを阪神大震災の後、赤羽先生とかなり中心となって、これをどう拡大するかということをやってきたときも、財産権というようなこととの関係性のもとで、大変な、何年間かかかる議論というものが行われました。

 全体的に、災害に対する方針というものは、現段階で申し上げますと、災害発生前の予防段階での損害ということにつきましては、基本的に補填する制度はございません。それで、中小企業等は、中小企業庁による保証制度というような、融資というもので応援するというようなことが災害発生前の予防措置に対してはあるわけですが、ほかはございません。

 そして、災害が発生します。そして生じた損害ということについては、まず、保険とかそういうことの、自己の資金力によって立て直すようにするということがまずありまして、その上で、一定規模以上の災害については、災害救助法ということに基づいて避難所とか食料とか衣服とか仮設住宅等の現物を給付するということになり、その上で、さらに一定規模以上の災害につきまして、被災者生活再建支援法に基づく支援、こういう損害等に対するたてつけになっているのが現在の状況でございます。

 今回のことについて、私たちとしましては、国交省の立場でいいますと、火山の災害に対しては、噴火警戒レベルごとに必要な規制や避難を行って、人命最優先という対策を講ずるということで地元とも話し合いをさせていただいて、避難ということを適切にさせていただくという体制をとっているという状況にございます。

 今後も、地方自治体との連携を密にしながら、火山活動の厳重な観測や監視の火山防災に取り組んでいきたいというふうに思っているところと、そして風評被害等のそうした被害等については、極力情報発信などについて積極的に実施してまいりたい、このように思っています。

 現段階、箱根という具体的なものについて、御懸念というのは私も心情的にはわかるわけでありますが、現在の法体系というのはさまざまな形態が土砂災害を含めてあるわけで、そうしたたてつけで対応を行っているということを御承知いただければというふうに思います。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 冒頭の、大変難しい問題だという表現の中で、問題意識は共有をいただけたかなと思います。今大臣おっしゃっていただいたように、先ほど被災者生活再建支援法の話が、十年かかって住宅支援のところで突破口を開いてきたんだというお話がありまして、その詳細も私も把握をさせていただきました。

 その経緯を踏まえても、今申し上げた話が例えば今この瞬間に、場合によってはこの一カ月、二カ月の中ですぐぱっと次の方針ができるとは正直思っておりません。本音を申し上げれば、地元の、この夏の一番書き入れどきで夏休みで多くの方々が箱根に集まってにぎわう時期に、五割減の売り上げだとかお客さんが全然集まらない、キャンセルが続いているという話を聞くと、今すぐにでも何とかしたいという思いはありますが、しかし、今の経緯を承知しているがゆえに、そのことについては今大臣のおっしゃっていただいたとおりだと思うわけです。

 それで、もう一枚資料をお配りさせていただいているんですが、ちょっと法律の名前がいっぱい書いたような資料があります。これは私の手元でメモ程度でさっとまとめたものですので、余り厳密さを求めたものではありませんので、そこは御承知おきをいただきたいんですが、災害のステージに対して、どういう法律が逆に対応するものとして存在するだろうかということを少しまとめてみたものです。

 一般的に災害は、災害が起こるまでの予防段階があって、そして発災した直後の応急対処の段階があって、応急対処の数日後、終わった後に復旧というフェーズに入っていくというのがよく言われる話です。それぞれに対応するような法律がいろいろな形でありますし、横断的な法律もあります。

 これは少しわかりやすくまとめてみたものですが、この中で一つブランクがあるところは縦軸のところで、やはり災害を予知したときにどうするのかということが我が国の災害対策の法体系の中では極めて貧弱だなと思うわけです。

 もちろんこれは、予知が可能な災害の領域というのが限られているがゆえにやむを得ないことではあるわけですが、しかし、先ほど来お話があったとおり、火山、噴火に関しては、これからの伸び代も含めて言えば、予知を防災に生かしていく、国民の生命と財産を守るという観点に生かしていく余地は大きいんじゃないかなと私は思うわけです。

 だとすると、災害を予知して、実際に発災をする前の段階でどういう対応がなされるべきか、これは、科学的な意味で噴火の予知をするということも当然ありますし、それを踏まえて防災行政としてどういう対応を準備するべきかという意味で、もっと検討の余地が大きいのではないかと私は思うわけです。

 大臣に先ほど問題意識を共有していただきたいという根っこの話は、実はここでございます。この話は、当国土交通委員会のみならず、例えば経済産業委員会、災害対策特別委員会等々、別の委員会でも同じような話をさせていただいている中で、これは事災害になると必ずそうですが、各種やはりまたがる分野ですので、個々の大臣の方々でああします、こうしますとなかなか言いづらいというのはすごくよくわかりますし、今までもそういうお話しかいただいておりません。

 これは、与党が誰だとか、政権が誰だとか、総理大臣が誰だというお話ではなくて、我が国が百十の活火山を持った世界でも有数の火山国であるがゆえに、やはりどこかで、どこかでというよりできるだけ速やかに埋めなきゃいけない穴ではないかなと思うわけです。

 大臣、この点、言質を得たいという意味ではありませんので、その問題意識を共有していただけますでしょうか。

太田国務大臣 この図表の中で、いわゆる空白になっているということは、これは予知ということの中で、水害があった、台風に襲われた、高波があった、あるいは地震があったというのは、ある意味では一瞬のうちにといいますか、一日ぐらいの中で災害が起き、そして災害が起きたらしばらくは災害がない。ところが、火山の場合だけ、問題を共有していただくということをおっしゃっているわけですが、火山の場合は、危ないぞと言って予知をした、その後、いつそれが解除されるかわからないという中に損害が起きるということをどう考えるかという問題だと思います。

 そういう問題であるということについては、私はこの質疑を通じて共有させていただきますが、現実の問題としては、なかなか今の日本の法体系というのは、一つ一つが、災害列島でありますから、長い歴史の中で、どこを賠償とか補助とか援助したらいいかということについては相当詰めてきている状況でありまして、直ちにどうこうということではないんですが、問題意識があるということについては、私も今申し上げたとおりでございます。

神山(洋)委員 大変誠実な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。行政の長としての御答弁はやはりそういう形にもちろんなるということは重々承知をしていますが、感謝を申し上げます。

 それを踏まえてどうするかということは、やはり立法府の責任だと私は思っております。それは、既存の被災者生活再建支援法を例えば改正することによって対応するべきなのか、場合によっては、予防する、予知をしてから実際に発災に至るまでの、今のブランクの部分を埋めるような別の法体系をつくるべきなのかとか、いろいろな議論があろうかと思います。

 先ほど例示でいただきました被災者生活再建支援法が、いわゆる私有財産に対して一定の支援をするということは今までできないと言われてきたものを突破して、いろいろな紆余曲折はありましたが、さまざまな形で少し援助をできないかという形で門戸を開いてきたわけです。

 全てのリスクを国家が負うべきかといえば、私はそれは違うと思っていますし、これは、現地で話をしていても、やはり火山と我々は共生をしてきたんだという話があります。日ごろ恵みを受けてきたわけだから、いざというときにそれなりのリスクを持っているというのは皆さんよくよくわかっているわけです。

 ただ、一方で、例えば、この国土交通委員会でいえば、観光というこれからの日本の成長産業として極めて大事な産業も抱えている中で、このまま、では極端な話でいえば、危ないところだから、そこを観光開発して多くのお客さんに来てもらうという経済活動そのものに非があって、やめなきゃいけないのかといったら、やはり違うだろう。我が国の自然のすばらしいところを知ってもらった上で、より多くの方々に海外からも日本国内からも来てもらって、その上で地域に雇用が生まれるという意味では、やはり社会的な意義があるだろうという話、私は地元の方々は極めて冷静に話をされていると思います。

 だとすれば、やはり、そこに対して、一〇〇全部支援をすべきなんということを言っているわけではありませんが、現状、かなり厳しいという状況がありますので、何らかの支援ができる、最低限でいえば、この結果、その後の我が国においては、同じような状況が起きたときにそれができるようになっていましたということだけはどうしても実現をしたいなというふうに思っているわけです。

 きょうは観光庁長官にお越しをいただいていると思いますので、一点だけ、今の、先ほど大臣からも言及をいただきましたが、例えばそれは制限区域内での被害であり風評であったりとか、いろいろな要素はあるわけですが、大涌谷における火山活動の活発化によって、これは特に観光中心ですが、実際に周辺地域経済にどういう影響が出ているというふうに認識をされていますでしょうか。

久保政府参考人 先ほど委員からも一部御指摘をいただきましたけれども、箱根町が七月二十二日に発表された調査結果によりますと、大涌谷周辺の火山活動によりまして、例えば宿泊業につきましては、対前年比で五月は二割減、六月は四割減、また、七月、八月における七月一日時点の予約でありますけれども、大きく減少しておるという状況であります。箱根町からは大変厳しい状況にあるとお聞きしているところであります。

 私どもといたしましては、そういった意味での風評被害に対しては、正確な情報発信と需要を喚起していくということを強力に、今後も地元と連携を強化して取り組んでいきたいというふうに思っているところであります。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 そういう状況ですから、これは地元の方も非常に強くおっしゃっているんですが、安全だ安全だということを過剰に言い過ぎて、いざというときの安全がどうでもいいんだ、そういうことになっては逆にまずいという中で、非常に難しい対応を迫られているという状況です。

 今おっしゃっていただいたように、現状行われている具体的な意味での支援というのは二つです。一つは雇用。雇用調整助成金、これは厚労省の話ですが、少し適用基準を緩和していただきました。しかし、なかなか、その適用に至るところはそんなに多くはないというのが実態です。もう一つは、今お話もあった金融です。これは経産省ですが、セーフティーネット貸し付け四号という形になっております。

 箱根町の中にはプラスアルファの融資枠が設けられたということですが、御案内のとおり、観光産業というのは非常に裾野の広い産業です。そうすると、箱根という一自治体の境界線で区切ったところで、意味なくはありませんが、それは余り合理的ではないという実態があります。周辺地域経済にも、それは例えば交通事業者さんだったり、お土産屋さんだったり、クリーニング屋さんだったりという形で、非常に拡散をしているという状態です。

 いずれにしても、少なくとも私の地元を見ている感覚からすれば、現状及び先ほど大臣がおっしゃっていただいた現行法による支援スキームでは、これはやはり倒れるというのが正直なところです。この後ここでそれ以上の具体的なことは申し述べませんが、私自身は、それに対してどうできるかということを、先ほど大臣にも共有をいただいた大きな問題意識も含めて対応していかなきゃいけないなというふうに考えているところです。

 大臣、御感想も含めて、もし何かあれば、最後に活火山対策を含めて一点いただきたいんですが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 箱根という直近のものでいえば、そうした問題意識を地元の先生方がお持ちである、また住民がお持ちであるということについてはよく理解をするところでありますが、現行法は現行法です。

 我々としては、風評被害とかあるいは正確な情報発信とか需要喚起、こういうことでやるわけですが、ここがまた、同じ火山でも、御嶽山も、通常から観光客が山頂まで行っているというのが通例であったというようなことを、こうした事態になったらどう考えていくのか。桜島は桜島で、共存をしていくという町がつくられてきているということ、そしてこれから御嶽やあるいは浅間とか、蔵王というのもこれは解除をさせていただいたんですけれども、一つ一つの山と観光ということで、人々のなりわいというものがどういうふうに火山と接してきているのかというようなことのかなり具体的な問題だろうというふうに思います。

 これ以上私は言うべき言葉がないんですが、確かに、地元の皆様方からとりますと、もう少し何とかならないのかというふうに商売をされている方たちは思っているということについては十分理解をするところであります。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 我が国がやはり活火山を多く抱える国である限り、今大臣がおっしゃっていただいた火山との共生という言葉、これはやはり宿命なんだろうと思うわけです。

 共生できるための仕組みということはまだまだ改善の余地があるという中で、やはり国土交通省、場合によっては気象庁、国土地理院を含めた専門性を持っているところの方々のスキル、これまでの蓄積が生きる部分というのは非常に大きいと思いますし、この間も非常に頑張っていただいているとは思います。関係大臣ともやはりできる限りの調整を必要に応じていただければありがたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 活火山対策が少し長くなりましたが、次に、新幹線の話を少しだけさせていただきます。

 先日、六月の三十日でした。ちなみに、この六月の三十日は、箱根の噴火警戒レベルが、レベル二がレベル三になった日とたまたま同じ日だったんですが、新幹線初の列車火災事故が発生をいたしました。

 いろいろな意味で大きな事件であったなと思います。ちょうど私、新幹線に乗って、小田原の駅にその後おりたわけですが、乗客の方々、メディアの方々、そして何よりもそこで救助活動等々を行う消防関係の方々、物すごい混雑でありました。そこの対応に当たっていただいた関係諸機関の方々には本当に感謝をするところではあります。

 ただ、ここで大臣にまずはお伺いをさせていただきたいのは、大変お詳しい分野だとも思いますので、新幹線で初めて列車火災事故が起きたということの意味をどう考えていらっしゃるかということです。

 これは、もちろん新幹線そのものの安全性も大事ですし、これからオリンピック等々ということも考えれば、やはり人為的に、今回は人為的なものというよりは一個人の自傷によるもの、それによって亡くなる方まで、多くの犠牲者の方まで出たというのは大変残念で悲しいことではありましたが、やはり人為的に起こされる危険性も含めて安全対策をどうするかということが、恐らく議論をされているんだろうと思います。

 この事件をどう捉えて、そしてこれからどう対応されていこうとしているのか、基本的な方針をお伺いできればと思います。

太田国務大臣 六月三十日は、本当に、この新幹線のことがあり、そして箱根が噴煙を上げるということも、水蒸気をということもあり、九州では大変な水害があったということで、私にとりましても大変忘れられない日でございました。

 これを新幹線の事故と呼ぶのかどうかという議論を省内でもさせていただきまして、通常の火災というようなものが発生すること自体が、その原因が何であれ、これは一応事故ということになるんだという表現ということになるようでありますが、いわゆる列車事故ということとは質的に異なる。ここでは常に、そうしたテロとか、あるいは何らかの形でこうした焼身自殺というようなものがあるということでも、それを因として火災が発生するということをどう抑えるかというのが、今回のことの一番大事なことだというふうに思います。

 直ちに警察とJR等々各社と連携をとりまして打ち合わせをさせていただいたというのは御承知のとおりでありますが、その後も具体的にずっと続けておりまして、JR各社は、新幹線駅及び車内の巡回強化、あるいはその際の不審者への積極的な声かけをする、あるいは警戒腕章の着用など見せる警備の徹底をする、あるいは新幹線客室内等の防犯カメラの増設等の方針を決定した。警察官による社内等の巡回強化等、警察との一層の連携をした。そして、火災につきましても、危険物の持ち込み規制のあり方、車両における火災の検知、乗客の避難誘導、消火活動などに係る対応、こうしたことについても、今、鋭意検討を続けて、できることはやっていくという方向に行っているということです。

 国交省としては、何といっても第一の使命は国民の安全、安心というものの確保でありますものですから、安心して今までどおり新幹線を利用していただけるように、連携をしっかりとって取り組んでいきたい、このように考えています。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 安全性ということを考えたときにやはり一つ思い起こされるのは、我々は、飛行機に乗るときには必ず金属探知機も含めたさまざまなチェックを受けた中で入るわけです。外国ではそういうことをやっている国もあるというお話も聞かなくもありませんが、では、そこまで本当にできるのかといえば、やはりそこで利便性が阻害をされるわけです。非常に難しい判断になると思います。

 しかし、今回の一件は、もともと指摘をされていたことではありますが、やはりそのいろいろな意味でのリスクを顕在化させたという意味では大きく捉えなきゃいけませんし、二〇二〇年に向かってさまざまな警戒レベルを上げなきゃいけないという局面の中でも、ここは大変大きな、しかし慎重な検討を要すると思いますので、そこはぜひ引き続きの御検討、対策の強化をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後に一点だけ、同じく電車関係、列車関係でありますが、交通系のICカードの相互利用をこれから深めていくんだというお話がありました。

 相互利用を深めていくということは大変結構なことだと思います。SuicaとICOCAと何とかといっぱいあります。なんですが、電車で交通系ICカードを使う際に、駅にそのICカードを使う、ピッというあの機械がそもそもないところが日本全国まだいっぱいあると思います。数はここではお尋ねしませんが、そこを整備しなければ、相互利用だけを進めても余り意味がないんじゃないですかという一点、この点、鉄道局の方から御答弁をいただければと思います。

藤田政府参考人 ICカードを利用できる駅の拡大、これは大変重要な課題であると思っております。利用者の利便の向上という意味で大事な課題であると思っております。

 他方で、それを設置するためには、当然のことながら、設置のための費用、それから維持管理のコスト、これがかかります。したがって、利用客数あるいは旅客流動などを考慮した上で今は鉄道事業者が基本的に判断する、こういう仕組みになってございます。

 そうしたことを前提にしながら、利用者の利便性の向上に向けて何ができるかということについては、引き続き適切に働きかけをしてまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 引き続き、きょう申し述べさせていただいた論点はまた詰めさせていただきたいと思っております。

 大臣、どうもありがとうございました。

今村委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず一問目に、七月の三十一日の朝日新聞によりますと、間もなく鹿児島県の川内原発の再稼働が見込まれておりますけれども、その川内原発周辺の薩摩川内市が指定しました川内原発に関する避難ルートにおける道路橋の耐震化がどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 薩摩川内市におきましては、この原発に関しまして地域防災計画というものをつくっております。この中で避難計画ということを決めておりまして、広域避難計画としまして、国道、県道、市道の九十一路線が避難経路に指定をされているところでございます。

 新聞報道でもございましたように、また委員今御指摘がありましたように、この橋梁に関しましての耐震補強を一生懸命やってきているわけでございますが、特に、緊急輸送道路を中心に致命的な損傷となるような落橋あるいは倒壊が生じないようなことを目標といたしまして、耐震補強対策を実施させてきていただいているという状況でございます。

 ちなみに、国、県、市ごとにいろいろばらつきはございますけれども、全体でおおむね約六七%程度の耐震補強が行われてきているというふうに理解をしております。

 以上でございます。

本村(賢)委員 橋の耐震性の基準は国交省の方で道路橋示方書で示されておりますけれども、今平均が六七%ということでございますけれども、たしか国道関係の橋は一〇〇%、そして県が九九%、そして、市についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、何%なんでしょうか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 市町村道につきましては、進捗率二四%という低い状況にございます。

 以上でございます。

本村(賢)委員 私自身はこの原発再稼働には反対の立場でありますけれども、これは国策で進める話でありますので、その中で、避難ルートというのはやはり非常に注目をされておりますし、住民にとっても非常に大事な話であります。

 今、市町村道が二四%ということでありまして、非常にまだ低い位置でございまして、万が一、阪神大震災並みの地震が起きた場合に、橋が本当に人命のために役立つ橋となるのかどうかという微妙な立ち位置じゃないかと思いますので、耐震化を促進するために国が薩摩川内市に対応できるような支援は何かございますか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 耐震化を初めといたします道路の事前防災あるいは減災といったようなものに関しましては、私どもの方としても、地域の孤立を防ぐ、あるいは救急救命活動を支援するという意味で非常に重要なものであるというふうに認識しているところでございます。

 特に、今委員御指摘の実際の国からの支援ということでございますけれども、こういった地方自治体の取り組みを総合的に支援するために、平成二十四年度の補正予算から防災・安全交付金というものを創設させていただきまして、この交付金に基づきまして支援をさせていただいているところでございます。

 具体的には、この交付金を受けるためには、それぞれ地域の政策課題を踏まえた整備計画をつくっていただきまして、それに対する支援を行うということで、それぞれ全国の各自治体が行う防災対策を促進させていただいているという状況にございます。

 引き続き、御指摘にございます避難ルートの確保といったようなことにつきましても、この交付金に加えまして、関係省庁とも連携させていただきながら、国土交通省としてもできる限りの支援をしてまいりたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

本村(賢)委員 これから原発の再稼働が川内原発のほかにもございまして、避難ルートの中でこういった耐震化について、今言われた二十四年度から防災・安全交付金ですか、これは自治体が申請しなきゃいけないんでしょうけれども、ぜひそういった国交省からの適切な指導をお願いをしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、七月二十六日に調布で起こりました飛行機墜落事故について一点お伺いしたいと思っております。

 これは、御承知のとおり、五人乗りの飛行機に五名が乗っておりまして、墜落した住宅に住んでいた女性を含め三名の方がお亡くなりになっております。そして三名の方が生存されたということでございまして、この事故の原因究明は、再発防止策について今取り組みを進めていただいていることは報道等で承知をしておりますが、現在の取り組みと今後の見通しはどうなっているのか、運輸安全委員会の方にお聞きしたいと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 去る七月二十六日午前十一時ごろですが、個人機が調布飛行場の近傍南にある住宅地に墜落する航空事故が発生いたしました。

 この事故で、搭乗者二名、住民の方一名の計三名がお亡くなりになり、また、搭乗者三名、住民の方二名の計五名が負傷されました。

 亡くなられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 運輸安全委員会といたしましては、事故発生当日に事故調査官三名を現地に派遣し、そして、現在までに、機体の損傷及び家屋の損傷状況の確認、同乗者の一部、目撃者からの口述聴取等の調査を現在行っております。

 今後の調査でございますが、他の同乗者からの口述聴取、そして、エンジン、計器類等の機体の詳細調査等を行っていく予定でございます。

 引き続き、必要な調査を実施し、早急に原因究明を行っていきたいと考えております。

本村(賢)委員 ぜひ一日も早い原因究明と、おけがをされた皆さんの一日も早い御回復をお見舞い申し上げたいと思いますし、こういった事故が二度と起こらないように国交省としての適切な指導をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入りますが、先ほど神山委員からも新幹線の事故に関して触れられましたが、私も、六月三十日、のぞみ二二五号で起こった焼身自殺に関しまして、今回、これは大臣からお話があったように、事件というふうに捉えていいのかと思いますが、例えば新幹線とかリニア中央新幹線のテロ対策についてどう取り組んでいくのか、大臣から先ほどお話がございましたので、警察庁からお話をお伺いしたいと思います。

塩川政府参考人 お答えします。

 警察庁においては、本事案を受けて、鉄道や駅などにおける安全を確保するため、不審者に対する職務質問を徹底するほか、事業者などと連携し、駅などにおける警察官の立哨、巡回、警察官の新幹線などへの警乗、鉄道事業者に対する自主警備の強化、不審情報の警察への通報の要請などの対策について一層推進するよう都道府県警察に指示しているところであります。

 引き続き、伊勢志摩サミット及び二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をも見据え、国土交通省、事業者などと連携して、必要な対策を推進してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、小島委員長代理着席〕

本村(賢)委員 我が国では、一九九五年の地下鉄サリン事件で、大変痛ましい事件がございましたが、その後、駅構内、デッキなどに防犯カメラを設置したり、警察との合同の訓練などをやられていることは十分承知をしておりますが、例えば、二〇〇四年にスペインで死者百九十一人を出した列車同時爆発テロなどが起きておりまして、改札や車内の警備を増員するなど対応してきているようでありますし、例えば、イギリスやフランスなどを結ぶユーロスター、ここでは、出入国を審査するとともにエックス線による手荷物検査が行われ、中国やロシアでは金属探知機やエックス線を使った検査も行われているようでございます。

 そこまでできるかどうかということも、判断もこれからあるかもしれませんが、これから、新幹線、そして地下を走るリニア、こういった中でのテロ対策というものにも積極的に取り組んでいただきたいことを要望して、この質問を終わりにします。

 次の質問でありますが、次は首都圏の高速道路料金について。

 一月に発表された基本方針の中で示された三原則、これは私も五月の二十日に質問させていただきましたが、七月三十日に中間答申が出たようでございます。

 まず、この中間答申において、一月の基本方針から何か変わったことはあったのかどうか、また、具体的な料金はいつごろまでに決定し、いつから適用されるのか、具体的なスケジュールを示していただきたいと思います。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 首都圏の高速道路料金につきましては、この七月に国土幹線道路部会の中間答申におきまして三つの原則というものが示されておりまして、これは以前からと基本的には変わっておりません。具体的には三点ございます。

 まず一点目が、受益と負担の公平性を確保するという観点から、利用していただいた分について料金をいただくということでの、要は対距離制、距離に基づいての料金をいただくという考え方が一つ。

 そして二つ目に、過去からいろいろ、さまざまな経緯の中でさまざまなばらばらの料金があるわけでございますが、シームレスな料金体系ということで、管理主体を超えたシンプルな料金体系にしていきましょうというのが二点目でございます。

 そして三つ目が、交通流動の最適化ということで、賢く高速道路を使っていただくという意味での戦略的な料金体系を入れていきましょうという、この三つをずっと示させていただいておりまして、この基本的な原則に関しては変わっていないということでございます。

 これを踏まえまして、首都圏の料金をどのようにしていくのかということを今進めているわけでございまして、関係機関ともいろいろ御相談させていただいて、二十八年度からの新たな料金の導入に向けて調整をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。具体的な料金体系をどういうふうにしていくのかというのは、今まだ検討中という状況にございます。

 以上でございます。

本村(賢)委員 五月二十日の質問で当時の深澤道路局長は、料金体系を秋ごろまでには具体的な数字を固めたいというふうにお話しされておりますが、それに関してはいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 前任の深澤道路局長の方からも秋ということで、私どもの方もそれを踏まえて一生懸命今努力をしているところでございます。

 ただ、先ほど申しましたように、料金体系自身をつくってきた経緯の中で、さまざまな料金主体というんでしょうか、管理主体がおるものですから、それぞれの有料道路の主体、そしてまた都道府県等々の皆様方とのいろいろ調整をしていくということでございます。今御指摘のように、秋を目指して頑張っていくということについては変わってございません。

 以上でございます。

本村(賢)委員 この三つの方針、三原則は非常に大事な原点だと思っておりますので、ここに従いますと、きょうお配りの資料でございます、大都市近郊区間の一キロ三十六・六円、ここを基準といたしまして、第三京浜は例えば一キロ十五・七円、ここは値上げの方向で、そして圏央道の一キロ四十三・二円や横浜横須賀道路の一キロ四十四円、こちらは値下げの方向だという答弁を前回もいただいておりまして、ぜひとも国民の皆さんが納得いただけるような料金体系に落ちつくように、また取り計らいをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問でありますが、今お話ししたように、圏央道が私どもの地元に走っておりまして、地元相模原はインターチェンジが二つございまして、非常に市民の期待も高いところでありますが、やはり地域を歩いておりますと、料金が高いな、もう少し安くならないかという声を多くいただいております。前回の答弁でも圏央道の料金は値下げの方向だというお話を伺っておりますが、これから二〇二〇年の東京オリンピックなどを考えた際に、やはり首都圏に自動車が集中をして、渋滞が巻き起こるんじゃないかということもございます。

 この三つ目の原則の中に、都心が混雑している場合に料金を引き下げて混雑緩和を図るなど交通全体をコントロールするための戦略的な料金体系を目指すということもございまして、これを考えると、来年二十八年度から圏央道料金も値下げの方向で変わるんだと思いますが、恐らく、その後、例えば東京にまた一極集中して車が向かう場合、やはり外に逃げる圏央道、ここをもう一段階、料金改定をするべきだなと私は思っているんですが、これに関してはいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御紹介をさせていただきましたように、三つの原則というのを示させていただいておりまして、特に、まず一つ目の、要は使っていただいた分だけ料金を払っていただくという考え方、そして管理主体がばらばらにまたがっているときにもできるだけシンプルな料金体系にしていく、そういう料金制度をまずは入れていく。

 そしてその後、今の料金水準とのばらつきがございますので、部分的に激変緩和をしながら、徐々に最終的な着地に結びつけていくということをさせていただき、そしてまた、一つ目の原則、二つ目の原則を入れていった後、実際にどのぐらい交通に影響があるかというのをある程度見定めさせていただいた上で、いわゆる最終的に三つ目の原則でございます交通流動の最適化ということに対する料金体系を導入していくというふうに考えているところでございます。

 まずは、そういう意味では、先ほども御紹介させていただきましたように、平成二十八年度にその第一原則、第二原則というような形での手続を進めさせていただければというふうに思います。それを踏まえた上で、実際どのような交通の流れの変化があるかといったようなことも見定めさせていただき、また、環状道路もあわせて逐次でき上がってまいりますので、そのタイミングと照らし合わせた上で検討をしていく必要があるのではないかというふうに思っている次第でございます。

 以上でございます。

本村(賢)委員 ぜひ適切な料金体系になりますように、また交通の状況を見て御判断いただきたいと願っております。

 次の質問でありますが、次は、東名高速の、圏央道と東名道を結ぶ海老名ジャンクションの渋滞対策について。ここは、テレビや新聞等々でも非常に大きな関心が持たれておりますし、本年五月一日、国交省が初めて高速道路の渋滞ワーストランキングを発表いたしましたが、御承知のとおり、横浜町田インターから海老名ジャンクションの上り線がワースト第一位、そして、同道路の横浜町田から海老名ジャンクションの下り線がワースト第三位ということでありまして、ちなみに、第二位は上り線の厚木―秦野間ということでございます。この海老名ジャンクションを先頭に前後の道路が非常に混雑をしているということでございまして、平成二十六年の渋滞損失時間の合計は年間十万人分の労働力に相当するであろうと言われております。この点に関して数点御質問してまいりたいと思います。

 まず、五月二十日の国土交通委員会の中で、海老名ジャンクションの圏央道の北向きランプについて区画線を引き直したと答弁をされておりますが、効果はあったのかどうか、お伺いいたします。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 神奈川県内は高速道路が非常に少ないということもございまして、こういう高速道路ができ上がることによりましてそこに車が集中するということで、地域の方あるいは利用者の方々に、渋滞をあちこちで発生させているという、非常に不便を生じさせていること自身をまずはおわびしないといけないというふうに思っておるところでございます。

 それぞれ、渋滞対策に対しまして、短期的にあるいは長期的に対策を講じてきているわけでございますが、今委員御指摘のように、五月二十日に区画線を引き直しましたよということの御答弁をさせていただいたところでございます。その後、実際に調べさせていただいたところでございますが、渋滞の発生日数等々は幾分減ってきておるところではございますけれども、やはりまだ、いまだに渋滞は発生しているという状況にはございます。

 また、その後も、実際に圏央道のインターチェンジ等もいろいろ追加あるいは延伸もされてきておりますので、それによってもどのように変化していくのかということもまた見定めさせていただければというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

本村(賢)委員 海老名ジャンクションは、相模川に隣接しておりまして、御承知かもしれませんが、東名高速から圏央道に入る際に一車線になる関係で渋滞が発生しているということでございます。

 ここで、国交省の皆さんからお話を聞くと、構造上、設計上なかなか難しいというお話もございましたが、河川の上に道路をつくることができないのか、過去の事例はないのか、まず河川を管理する側からの御見識をお伺いしたいと思います。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 治水上の支障がないことを確認した上で、首都高中央環状線の堀切ジャンクションから小菅ジャンクションの区間など、河川の上空の占用を許可した事例はございます。

本村(賢)委員 今の御答弁のとおり、河川の上に道路はつくれるということでございます。

 ここで大臣に御質問したいと思うんですが、首都高の中央環状線東側や小菅ジャンクションから堀切にかけてなど、河川の上空を占用する事例があると承知をしておりますが、海老名ジャンクションの渋滞緩和策の一つとしてこれらが考えられるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 昨年六月に圏央道が接続したということでありますが、海老名ジャンクションを利用する車が確かに増加をして、特に圏央道北向きへ進むランプの合流部を先頭に渋滞が発生しているということでございます。

 これを受けまして、昨年九月に、ランプの合流部の区画線の引き直しなど合流を円滑にする対策を実施しているわけですが、なかなかこれは依然としてその効果が余りはかばかしいものではなくて、休日などは渋滞が発生している状況だ、こう聞いています。

 平成三十年度になりますと、新東名高速と東名高速を連絡する伊勢原ジャンクションから圏央道の海老名南ジャンクションまでの区間が開通をします。このために、抜本的な対策として、圏央道を北向きに進むランプの交通を東名高速と新東名高速に分散させるということを考えています。ただし、この三十年度というのはまだ期間がありますから、この海老名ジャンクションの渋滞状況はこのまま放置できない状況にある、このような認識をしています。

 河川が隣接しているということで、むしろ、その上というよりはその改良に難しい制約があるという認識をしておりますが、他の事例も参考にしながら、関係機関と調整の上で、合流を円滑にするために必要な対策ができないかということを検討していきたい、このように思っています。

本村(賢)委員 その東名と圏央道を結ぶ海老名ジャンクションのところは、車線が一車線でもありますし、また一度一度とまらなきゃいけないような合流地点が二カ所あったり、なかなか複雑な道路構造でございますので、第二東名というお話もございました、ただ、それはまだ随分先の話でございますので、ぜひ大臣の強い指導によって、円滑な道路の環境が進むように御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、小田急多摩線についてお伺いしたいと思います。

 去る七月二十七日に、交通政策審議会で、自治体からのヒアリングが行われたというふうに伺っておりまして、自治体ごとの議事概要が出されるということでございますけれども、いつまでに出されるのか、また、今後の取りまとめの時期までの具体的なスケジュールはどうなっているのか、お伺いいたします。

藤田政府参考人 御指摘のように、交通政策審議会の鉄道部会で、現在、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について議論をいただいております。

 七月から九月にかけまして、関係の都県、政令市、それから鉄道事業者からのヒアリングを実施する予定でございます。ヒアリングの一回目としまして、七月二十七日に東京都、千葉県、千葉市及び相模原市からヒアリングを実施しました。

 ヒアリングが終わった十月以降、ヒアリングの結果を踏まえまして、都市鉄道の課題等について議論を行った上、平成二十七年度末を目途に答申の取りまとめを行うことを目指しております。

 ヒアリングの議事概要につきましては、ヒアリング対象者ごとに国土交通省のホームページで公開する予定でございます。七月二十七日に行われたヒアリングの議事概要につきましては、近日中に公開したいと思っております。

本村(賢)委員 この小田急多摩線は、唐木田駅から相模原の上溝駅までの延伸をまず一番目の目標としているわけでございますが、ここには東京都、そして町田市、神奈川県相模原市といった自治体も関係しまして、特にヒアリングは東京都、神奈川県相模原市が受けております。ぜひとも、この自治体ごとの議事概要を早急に発表いただけるように期待をしてまいりたいと思います。

 また、この小田急多摩線に係る具体的な課題について、太田大臣からも、地元での検討の深度化を図っていただきたいというお話や、地元関係者間における検討の熟度を高めていただくことが重要であるという御答弁も以前いただいておりますが、この小田急多摩線に係る具体的な課題について、一般論としては、需要や採算性、費用対効果、事業費の負担のあり方、それから関係者との合意、こういったお話がございますが、小田急多摩線において、国交省、局長から見られてどの辺が特に課題なのか、御指導いただきたいと思います。

    〔小島委員長代理退席、委員長着席〕

藤田政府参考人 具体的な路線ごとの課題について今後議論を私どもとしても深めていくことになりますけれども、小田急多摩線の延伸につきましては、相模原市、町田市などの地元関係者から成る研究会で検討がなされて、昨年報告書が公表されていると承知しております。

 鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、まず整備に大きな費用がかかりますし、開業後の事業の継続性も確保する必要があります。多摩線に関しましても、この報告書に挙げられておりますとおり、まちづくり等による需要の確保、採算性、事業費の負担のあり方、関係者の合意形成、こういったところが具体的な課題になってくるものと認識をしております。

本村(賢)委員 ぜひ、また国交省の皆さんの御指導をいただきながら、この小田急多摩線の延伸も長年の悲願でありますので、私ども地元市としても市民一丸となって鋭意取り組みを進めてまいりたいと思いますし、太田大臣のところには十八万人の署名も、以前渡されたと思いますので、ぜひとも地元の強い要望ということを御理解いただきたいと思います。

 次に、運輸政策審議会第十八号の答申が平成十二年、今から十五年前に出されておりまして、今答申は十五年ぶりの答申になるわけでありますが、十五年前の第十八号の答申についてお伺いしたいと思うんです。

 答申のランク別着手状況はどうなっているのか。当時は、A1、A2、Bという三ランクのランク分けになっておりましたが、ランクが高くても着手されていない事業はあるのかどうか、着手されていないのはなぜなのか、お伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 平成十二年の運輸政策審議会十八号答申におきましては、まず、ランクとして、御指摘のとおり、A1、これは目標年次までに開業することが適当な路線でございます。それからA2、目標年次までに整備着手することが適当である路線。それからB、今後整備について検討すべき路線。この三つに分類をされております。

 分類ごとの開業あるいは着手の状況でございますけれども、A1に位置づけられた二十四路線のうち二十路線、それからA2に位置づけられた十二路線のうち一路線が、開業または整備着手済みでございます。それから、Bに位置づけられた十二路線は全て未着手という状況でございます。したがいまして、ランクが高いけれども未着手という意味では、A1の二十四のうちの四路線が未着手、こういう状況でございます。

 これがなぜ未着手なのかということでございますけれども、それぞれプロジェクトごとに固有の事情があると思います。主な要因としましては、沿線の開発を想定して鉄道の整備を計画したけれども、その沿線開発が進まずに事業の採算性の確保に必要な需要の確保ができなかった、あるいは、整備費用について地方自治体の財政事情等により確保ができなかった、さらには、関係する鉄道事業者、地方公共団体等の合意ができなかった、こういったことが考えられると思っております。

本村(賢)委員 今局長からお話があったように、例えばA1、目標年次までに開業することが適当である路線のA1であっても、京急久里浜線や横浜ブルーライン、千葉都市モノレール、川崎縦貫鉄道など四路線が未着手でございました。

 私ども地元市としても今回の政策審議会の答申は非常に期待をしているわけでございますが、答申が出たから安心ではなく、答申が出た後の、やはり大臣の指摘がございます地元の深度化、これはしっかりと図っていかなければいけないんだということを、この未着手のお話からも承知をしました。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思いますが、小田急多摩線の延伸、十八万人の署名も大臣のところに届いていると思いますけれども、地元の東京、神奈川、町田、相模原といった市民や都民、県民の皆さんからも大きな期待がございます。この小田急多摩線における大臣の所感について、最後にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 地元から大変な熱意もあり、そして具体的に検討が進められている、このように承知をしています。

 さらに検討を進めていただきまして、いろいろな課題が指摘されて項目が出ているわけですが、それらをクリアしていくことが重要である、このように考えておりまして、さらに、そのあたりについて互いに努力をしていかなければならない、このように思います。

本村(賢)委員 ぜひ地元の念願であるこの小田急多摩線の延伸において、また大臣からも、そして国交省の皆さんからも適切な御指導を地元市や鉄道事業体に対しましてお願いをしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。次は、リニア中央新幹線について御質問させていただきます。

 三月二十日に当委員会におきましても、私ども相模原市には、神奈川県駅から約十三キロ先の緑区鳥屋という地域に五十ヘクタールの関東車両基地ができるわけでございますが、大臣からも、この車両基地、相模原の神奈川県駅からは少し離れるわけでありますけれども、逆に離れるということが、駅となるかなという気もする、世界に誇る最先端の超電導技術に触れることができるという観点から、また観光資源にもなるということから、一考に値する話ではないかという御答弁を、前向きなお話をいただきました。

 あれから五カ月ほどたちまして、いよいよ私ども地元市においても中心線の測量などの工事が始まりまして、リニアがいよいよ工事が始まったなという機運が高まっておりますが、そして、地元市の皆さんからは、車両基地までの回送線の旅客化と車両基地の観光化について非常に期待も高まっておりますが、ここにおいて、大臣のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 私は、三月二十日にそのような答弁をしたところでありますし、一考に値する構想だということも、触れるということも新たな観光資源ということだという認識をお話しさせていただきました。

 また、同時に、車両基地そのものを観光施設とするというのは、セキュリティー上、そういう問題はある、また、車両基地への回送列車を営業用に使用するかは営業主体のJR東海の判断の問題であるということ、まずは、地元関係者におきまして十分に議論いただくとともに、営業主体であるJR東海とよく相談をしていただくことが必要かというふうに思っているところで、そうしたこともお答えしたと思います。

 現段階では、地元自治体からJR東海に対して具体的な相談をされているという報告を受けていないところでありますけれども、地元の関係者におきまして、関係者で開業まで十分議論をしていただいたり、あるいはJR東海ともよく相談をしていただければな、このように思っているところです。

本村(賢)委員 このリニアの問題は、特に、神奈川駅ができる緑区の橋本地区の皆さんが、工事が始まったことによって、期待と不安と、どのようなまちづくりができるんだろうかという大きなお気持ちもございますので、ぜひ橋本地域の住民の皆さんに適切な御説明等をお願いしてまいりたいと思います。

 また、緑区の小倉地区には変電所ができること、そして、先ほど車両基地で触れました鳥屋地区には今言った車両基地ができるわけでありますが、こういった地域において少しまだ住民の理解がいただけていないというお話も伺っておりますので、ぜひ住民の皆さんにこの変電所や車両基地の御理解がいただけるような御努力を国交省としてもお願いしてまいりたいと思います。

 そして、次の質問に入らせていただきます。

 次は、新国立競技場に対する国交省の今後のかかわり方について大臣の意気込みをお伺いしたいと思っております。

 ここは、御承知のとおり、七月二十一日、新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議が行われまして、太田大臣がこの構成員の中に入られたわけでございまして、国交省としても六名の皆さんを推進室に派遣しているというふうに伺っております。

 官房長官からは、七月十七日の記者会見で、秋口までに新しい整備計画策定というお話もございますが、この新国立競技場、国民からも大変、かつての五大会の大会会場を足してもより高かった、二千五百億を超える新国立競技場に対しまして、総理の英断に関しては、ここは評価をしなくてはならないわけでございますが、太田大臣がこの関係閣僚会議に入られたことによって、私ども委員も非常に期待をしているところでございますけれども、大臣の今後のかかわり方に関する意気込みについてお伺いしたいと思っております。

太田国務大臣 新国立競技場につきましては、これまでの整備計画を白紙に戻して、できる限りコストを抑制して現実的にベストな計画を策定することとされました。現実的ということやベストということは、あくまでこの焦点を、国立競技場というのは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに使うということがきちっとできるというところにかなり絞って、そこに焦点を当てるということだと思います。

 関係閣僚会議が先月二十一日に新しく開催をされまして、私もその構成員になったわけでありますけれども、この整備計画の再検討に当たりまして、国交省に対しては、コストあるいは工期、そうしたことに最も詳しいのは国交省であろうというふうに思います。そして、技術的な知見、そうしたことも協力できるということだろうというふうに思っておりまして、これは政府を挙げて、内閣官房を中心に、新国立競技場の整備計画再検討推進室をあくまで軸にして、そこで推進していこう、こういう体制をとらせていただいて、私が構成員の一人になったということであります。

 この推進室を中心にして、作業に派遣した職員、六名派遣しているわけですが、しっかり協力をしていきたい、このように思っています。

本村(賢)委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの際に国民がやはり再考してよかったと思えるような競技場になるように、大臣のリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 日本の物づくりについて、東洋ゴムやタカタのエアバッグなど幾つかの問題がございましたが、東洋ゴムの免震偽装について確認を含めてお伺いしたいと思います。

 五月八日の委員会で、当時の伊藤常務に私が、この免震偽装のいわゆる工事をする際にどれぐらいの日数がかかるんだと質問した際に、延べ四千五百日かかる、五班が同時に進行しても三年弱の日数がかかる、これをいかに縮めるかですというお話をいただいたり、翌週の参議院の委員会では、当時の山本社長が、できれば二年以内に終了したいというお話もございました。

 東洋ゴムの免震偽装について、現在の交換完了までのスケジュールの見通しはどうなっているのか、お伺いいたします。

由木政府参考人 お答えいたします。

 免震装置の交換、改修につきましては、東洋ゴム工業が全責任を持って行うというのが前提でございます。その上で、特に所有者の意向を十分に把握いたしますとともに、設計者、施工者、免震装置を製造する他社等の関係者が密接に連携を図りながら、それぞれの適切な役割分担のもとに対応していく必要がございます。

 このため、現在、東洋ゴム工業では、社長を統括本部長といたしまして、所有者等の方々への説明とか意向の確認、あるいは施工者や免震装置を製造いたします他社への協力の要請等の調整を行っているところでございます。

 現在は関係者間でこのような調整が行われている状況でございまして、交換、改修終了までの具体的な見通しを現段階でお示しすることは難しい状況になっております。

 現在の具体的な状況につきましては、毎週一度、必ず東洋ゴム工業から私ども直接報告を受けることになっておりまして、必要な指導を行っております。

 これまで、百五十四棟全てについて、東洋ゴムからの所有者への説明は終了いたしております。さらに、優先的に取り組むこととしております工事中の物件、十四物件ございますけれども、これにつきましては全ての物件で代替の免震材料を選定済みでございます。うち十二件は免震材料そのものを他社に発注しておりまして、具体的な施工の計画を策定あるいは策定完了しているところもございます。

 また、完成済みの百三十八件につきましては、二十七件で代替の免震材料が選定済みというふうに聞いております。

 引き続き、東洋ゴム工業に対しまして、所有者の意向を十分踏まえた上で、迅速に交換、改修を行うように指導してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 東洋ゴムの免震偽装の前にも、東洋ゴムさんは二〇〇七年にも別の偽装問題がございまして、物づくり立国日本の権威を非常に損ねるような話でございますので、ぜひとも国交省の御指導をいただきながら、適切な対応をお願いしてまいりたいと思います。

 私も、厚木市や箱根町のさくら館、そして地元の民間マンションなど、免震偽装に遭った施設に赴き、そして、地域の住人の皆さんのお声や、市長やそして町の職員の皆さんの声などを聞いてまいりました。一日も早く免震偽装のいわゆる交換の完了のスケジュールがやはり知りたいということでございまして、三年はとても待てない、二年も待てないというお声をいただいておりますので、ぜひ、東洋ゴムには適切な指導をいただき、早い段階で安全で安心な免震ゴムにかわるように御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 そして、七月二十九日に免震材料に関する第三者委員会報告書が取りまとめられ、その中で大臣認定制度の見直しが提言をされておりますが、大臣認定のあり方がどのように変わるのか、太田大臣にお伺いいたします。

太田国務大臣 提言を踏まえまして、七月三十日に、北川副大臣をヘッドとする省内連絡会議におきまして、大臣認定制度の見直しと東洋ゴム工業に求める今後の対応を決定いたしました。

 この大臣認定制度見直しでは、安全に直結する種類の製品、これは見直しということが大事である。市場で検証がなされないという、今回の検討では、まさに市場に行って、それで淘汰されるわけではないということ。それで、過去に不正を行った企業かどうか、この三点に応じてチェックの強化を行うということをさせていただきます。

 まず、免震材料につきましては年内に先行的に見直しを実施します。具体的には、認定段階において生産現場での実地審査を行うとともに、製品出荷段階においても発注者等による性能確認と国等による製品のサンプル調査等を行うことといたします。

 不正を行った企業に対しましても、認定段階及び製品出荷段階のいずれにおいても、重点的なチェックを行うということにいたします。

 免震材料以外の大臣認定品につきましても、今年度中に免震材料に準じた見直し内容を検討して、来年度早期に実施をするということにいたします。

 これらの見直しを通じて、このたびのような不正事案の再発防止に努めるとともに、大臣認定制度の信頼確保に努めていきたい、このように考えております。

本村(賢)委員 大臣認定のあり方についての御検討をいただいたようでございまして、大臣認定という名前がつけば、やはり国民が安心をする。その安心を買って不正があっちゃならないわけでありますので、ぜひ今後とも、大臣認定のあり方について、大臣のリーダーシップによってよい方向になるようにお願いをして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

今村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。坂井学君。

坂井委員 自民党の坂井学でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、先月二十三日に、千葉県野田市にありますコウノトリの野生復帰施設から三羽のコウノトリが野外へ放たれた、こういう報道がございまして、今注目を浴びているということであります。大変夢のある話だな、こうも思っておりますけれども、兵庫県豊岡市での取り組みから十年たって、要は二例目ということであるそうでございます。

 これは、国土交通省による河川を軸としたエコロジカル・ネットワーク形成事業、このシンボルとしてコウノトリとトキの野生復帰が目標として設定をされ、荒川、利根川、江戸川などの流域にある四県に及ぶ約三十の市町村長が、コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムという広域連携組織を結成し、国とともに進めてきたプロジェクトだ、こういうことでございます。

 国交省も、平成二年、多自然型川づくりという方向に踏み出して二十五年、それ以降、平成九年には、河川法の目的に河川環境の整備と保全を加えるといった改正も加え、また、平成二十年に閣議決定をされました国土形成計画では、河川を軸としたエコロジカル・ネットワーク形成を位置づけ、その延長線上の今回の放鳥だったということだろうと思います。

 私も、一昨年、大臣政務官をさせていただいたときに、この首長の皆様方から陳情を受け、いろいろなお話を聞かせていただいたことを覚えておりますけれども、その結果がこういう形になってうれしく思っている一人でございますが、太田大臣も昨年の夏にこの皆様方から直接要望をいただいていると聞いております。

 そこで、大臣はこの事業に関してどのような感想をお持ちで、また、私個人の思いとしては、こういった取り組みを全国に広げていったらいかがか、こう思っておりますが、その点に関しての所感をお伺いさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 坂井先生、一緒になりまして、コウノトリのすみやすい環境づくりにかかわる取り組みに携わっておられることに、心から敬意を表したいと思います。

 七月二十三日、関東では初めてとなるコウノトリの放鳥が野田市において行われたということは、大変意義深いし、うれしいことでした。関東地方におきましては、野田市、小山市、鴻巣市などがコウノトリの舞う地域づくりに積極的に取り組んでいて、要望も承っているところです。

 コウノトリが生息するためには、何といっても餌場となる環境づくりが重要でありますが、国交省では、荒川や渡良瀬遊水地などにおいて、農業部門とも連携して湿地再生等を行い、生息環境の改善に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、こうしたことが具体的に全国各地で展開されるということになれば大変すばらしいことだと思っておりまして、生態系ネットワークの形成に努めていきたい、このように考えています。

坂井委員 また、この方々、今回こういった結果も出たということでございまして、この御報告を含め、また御要望を国交省にということを考えているようでございますので、御対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、私の後の高木先生が現地にまで行きまして細かな質問をされると思いますが、私の方からは、調布の小型飛行機の事故につきまして、一点、今の整理状況を航空局にお伺いしたいと思います。

 今回の事故は、警察等々も含めて、いまだまだ原因究明を行っている最中ということだろうと認識をいたしておりますので、そういったことが全て今の段階でわかるという状況ではなかろうかと思いますが、ただ、いろいろな報道の中で、エンジンの試運転という手順を怠ったというような報道でありますとか、また、エンジンの点火プラグがうまく点火しなかったんじゃないかというような報道も出ております。

 聞くところによりますと、二〇一四年、そしてことし一五年の現在までに、今回の事故を入れて九件も小型機による事故が起きているということも聞いております。九件が多いか少ないかという話もございますが、私は、やはり多いのではないかな、こう考えておりまして、それぞれの事故にはもちろんそれぞれの理由があったりとかそれぞれの状況があったりということではありますが、しかし、これだけ起きているとなると、小型機の運航でありますとかさまざまなルールに関しまして、今よりも一つ二つと踏み込んだ取り組みがやはり必要になってくるんじゃないかな、こう考えております。

 今、航空局も、全体としてこういう対応をとるというところまではいっていないというようなお話ではございましたけれども、ただ、少なくとも、ここのテーマで課題がここにある、これは課題である、ここも課題である、幾つか課題があろうかと思いますので、課題の整理をして今対策を練っているというその課題についてお聞きをしたいと思います。

田村政府参考人 今お尋ねの件でございますけれども、去る七月二十六日午前十一時ごろ、調布飛行場から大島空港に向かう予定の個人機、これが調布飛行場の南側にある住宅地に墜落する航空事故が発生をいたしました。

 この事故で、搭乗者二名、住民の方一名の計三名が亡くなられ、搭乗者三名、住民の方二名の計五名が負傷されたところでございます。

 亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷されました方々、それから被害を受けた方々に心よりのお見舞いを申し上げます。

 現在、運輸安全委員会が事故原因等について調査中でございますので、事故調査の進展も踏まえて必要な対策を講じていくということになります。

 ただ、今先生御指摘のように、ことしに入りまして、例年に比べましても、小型機の事故なり重大インシデントというものの発生がややふえているということも事実でございます。

 御指摘の小型機を取り巻く環境ということについて申し上げますと、いろいろな要素がございますけれども、自家用機の操縦者の技量をどう維持するのかということ、それから、整備の確実な実施をどう担保するのか、そして、その基本的な手順の遵守をどう徹底するのかといったことのほか、自家用操縦士等に対して指導、啓蒙活動を強化するというようなことや、事業許可の取得が必要と考えられる者に対する指導をどうするのか、それから、国と個々の空港設置管理者との空港の運用面に係る安全に関する意見交換というようなこと、これらの要素それぞれについて改善できる余地がないか、実現性や実効性を含めて検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、事故調査の進展も踏まえながら、さまざまな観点から小型航空機の利用実態を把握して、運送事業からレジャーまで幅広い小型機の運航実態に応じたきめ細かい安全対策を検討の上講じてまいりたいと考えております。

坂井委員 今回の事故も、調布飛行場では基本的には禁止をされている遊覧飛行のような用途で今回小型機が運転されたのではないかというようなことも言われておりますが、今航空局長が指摘をされたような観点、それぞれの観点、お互いが密接に関係をしている中身でございますので、これらをやはり総合的に包括的に対策をとっていただくという対応をお願いしたいと思っております。

 続きまして、また別の話題ということでございますが、先ほどもあったかと思いますけれども、かぶるかもしれません。東洋ゴムに関しまして、最終の報告書が出たということでございます。

 この中には、もちろん東洋ゴムの今までの経緯、今回の事件の経緯でありますとか、それから東洋ゴムがこれからやるべきことということでの指摘、それから今度は、国、国交省が行うべきことというようなことでも指摘があったかと思います。これはもちろん当然のことではありますが、同時に、やはりこれらの規格が合っていない東洋ゴムの商品、製品を使ってしまったところがあるわけでありまして、そこへの対応がどうなっているかということをお聞きしたいと思います。

 私たちは、自民党の国土交通部会で、神奈川の湘南鎌倉病院に視察に行ってまいりまして、現場を見てまいりました。そこでは、近々、増設等の計画もあるということでございまして、その計画等にできる限り合わせていただきたいというような要望もあったということを覚えております。また、今後、どういう経緯で実際に、ある意味不良品をきっちりとしたものにかえていただけるのかというようなことも大変心配もしておりましたし、関心もあるということでございました。

 当初の五十五棟、またこれ以外に九十九棟というような棟数が出ておりますけれども、これらに関して東洋ゴムがどのように対応するのか、そして、国はそれに対してどう支援をしたり、また国もどう対応するのかといったことをお聞きしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 免震材料の交換、改修につきましては、去る三月十三日に公表いたしました当初の五十五棟、これは特殊な高減衰ゴム系の積層ゴムを使用しているものでございますが、これにつきましては全ての免震装置の交換を、さらに、四月の二十一日に公表いたしました九十九棟につきましては、免震装置のうち基準に適合しないものの交換を行うということといたしております。

 さらに、特に工事中の物件、十四件ございますが、これにつきましては交換が完了いたしませんと建物の使用ができませんので、優先して対応していく必要があるというふうに考えております。

 当然のことでございますが、交換、改修につきましては東洋ゴム工業が全責任を持って行うということが前提でございます。同社におきましては、社長を統括本部長とする免震ゴム対策統括本部を設けておりまして、そこにおきまして、所有者等の関係者への説明や意向の確認、それから施工者や免震装置を製造する他社への協力の要請といった交換に向けての調整業務を行っているところでございます。

 こういった交換、改修を円滑に進めますためには、まず、建物の所有者の意向を最大限尊重するということとともに、設計者、施工者、免震装置を製造する他社等の関係者が密接に連携を図りながら、それぞれの役割分担の上で、まず、交換方法を決定し、それから、代替の免震材料が必要な場合にはそれを発注、さらに、具体的な施工計画の策定、計画に沿った工事の施工といった手順で対応していく必要がございます。

 そのため、国交省におきましても、我が住宅局内にプロジェクトチームを立ち上げておりまして、特に早急な対応が求められております工事中案件について関係者がそれぞれの役割を円滑に調整できますように、調整支援を行っているところでございます。同時に、その他の全ての物件につきましても、東洋ゴム工業がきちんと対応しているかどうかという点につきまして、毎週一回必ず報告を求めて、必要に応じ指導を行うというフォローを行っているところでございます。

 特に具体的には、まず、施主等に対する取り組みといたしまして、所有者や建築主が建築あるいは法律の専門家に相談できる体制を一つ整備しております。

 また、業者に対する取り組みといたしましては、免震材料を製造いたします他の会社でございますとか、あるいは関係する施工者、専門工事業者への協力の要請をいたしております。

 さらに、工事に関する対応といたしましては、安全性を確保しつつ免震材料を交換する方法に関してガイドラインを発出いたしました。さらに、交換前にどうしても建物を使用する必要があるという場合におきまして、建物の仮使用を認定する取り扱いについても通知を発出したところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、東洋ゴム工業に対しては引き続き速やかな改修を求めるとともに、十四件を初めとして全体、最後の一棟まで、国交省としても実施情報を徹底的にフォローしてまいる所存でございます。

坂井委員 住宅局の皆さんが、時間をかけて、本当に精力的にこの問題に取り組んでいただいているということは聞いております。大変期待をしているところではございますが、追加で、今言っていただいた、全てが対応できるまでということでございますが、大体時間的には何年ぐらいがこれは想定されているのかということをお聞きしてよろしいでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 国会におきましては、東洋ゴムの常務あるいは社長が三年弱とか二年とかという目安を述べておられました。

 現在、先ほど申し上げましたように、関係者の連携のもとで適切な交換が行われるように、今、東洋ゴムを中心に、所有者や施工者、それから免震材料を製造する他社への協力を要請したり、調整業務をまさに行っている最中でございます。

 残念ながら、今の現段階で、そういった調整業務を行っている最中でございますので、具体的な見通しを示すことはちょっと困難な状況ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、国交省といたしましても、最後の一件に至るまできちんとフォローして、全て交換が完了するように努めてまいりたいというふうに思っております。

坂井委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今の東洋ゴムの報告書の中には、国に対しては、大臣認定制度の見直しを含む再発防止策をとれ、こういうような提言もあるということを聞いております。

 しかしながら、東洋ゴムや調布飛行場での事故や最近発生するもろもろの事柄を考えてまいりますと、今まで基本的には、国交省も、こういった言い方がいいかどうかわかりませんが、相手を信頼して、数字を上げてきてくれ、こういう体制をとってきたかと思います。しかし、今度、今上がってくる数字そのものがインチキだった場合には、それをなかなかチェックができない、こういうようなもちろん状況にございまして、近年そういったものも大分ふえてきているのではないか、こういう感じがいたします。

 そうなりますと、今まで基本的に国交省がとってきたそのシステムをやはり変えていかなくてはならないのかな、その岐路に立っているのかなという思いもしないことはありませんが、俗に言う性善説に基づくシステムから変えていくということ、このあたりもしっかり検討しないと、特に東洋ゴムは、昔、防火材料で一度同じような不正を行って、社内でコンプライアンスをきっちり守りましょうと言っているさなかに、今回の不正は同時並行で既に行われていたというようなことも明らかになっておりますが、国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 大臣認定制度の見直しにつきましては、お話ございましたように第三者委員会の報告書が取りまとめられまして、それを受けて、北川副大臣をヘッドといたします省内連絡会議におきまして大臣認定制度の見直しの方針を決定いたしました。

 その中で、大臣認定制度の見直しにつきましては、安全に直結する種類の製品については厳しくチェックをするということ。それから二点目といたしましては、市場で検証がなされないような製品については、これもやはり厳しくチェックをするということ。三点目といたしましては、過去に不正を行った企業につきましては、これも厳しくチェックをするということ。この三点を基本方針として認定制度の見直しを進めてまいりたいと思っております。

 免震材料に関する見直しにつきましては、認定段階の審査の強化と、それから製品の出荷段階の強化がございます。

 認定段階における強化といたしましては、これまで書面のみの審査でございましたが、これに加えまして、工場等の生産現場での実地調査を行うことといたしたいと思います。さらに、認定の際には、品質管理の体制についても、まず責任者を明確化するということとともに、検査の情報が社の内外を問わず広く公開されまして、企業としての説明責任が果たされる形となっているかどうかという点についても審査をすることといたしたいと思います。

 それから、二点目の製品の出荷段階のチェックでございますが、これはまず、工事の施工者等に対して、納品の際にきちんと性能を確認していただくよう要請をいたしますとともに、それを補完するために、国が出荷予定品のサンプル調査を行う、あるいは場合によって基準法に基づく立入検査を行うということでチェックを強化してまいりたいと思っております。

 特に、不正を行った企業につきましては、こういった認定段階、出荷段階の双方におきまして、検査を行う際の試験体の数をふやすとか、審査をより厳格に行うといった形で再発防止を図ってまいりたいというふうに思っております。

 以上のような免震材料の措置につきましては、年内に先行的に実施をするということにいたしたいと思います。その余の認定品等につきましては、それぞれ製品に特性がございますので、今年度中に見直し内容を検討し、来年度早期に実施をしたいと思っております。

 こうした見直しを通じまして、不正事案の再発防止に努めますとともに、大臣認定制度の信頼確保に努めてまいりたいと考えております。

坂井委員 どうもありがとうございました。

 最後のテーマに移りたいと思います。

 先日、横浜市の、私は地元が横浜市でございますが、下水道の視察をさせていただいてまいりました。鈴木馨祐政務官も同じ横浜でございまして、一緒に潜らせていただきまして、老朽化の視察をさせていただきましたが、まさしく硫化水素の発生によって、管の中が、コンクリートではございますが、そこが中和されまして、壁がさわると落ちてくる。中には骨材でれきが入っておりますが、そのれきまでもが外れて落ちてくるような状況でございまして、かなり老朽化が進んでいるし、また、これのメンテナンスが必要だということも、実際に入らせていただきまして、実感をいたしてまいりました。

 今後の下水道の適切な運営ということを考えてまいりますと、予防保全型の維持管理の推進ということでありますとか、それから、新たにやはり更新をしていかなきゃいけない、再整備の計画の策定というようなものがあろうかと思いますが、市町村にはそういった専門家等も抱えられないところもあるということも聞いております。

 今回、下水道法が改正をされましたけれども、この改正を受けて、国がこの下水道法で何ができるようになったのか、また同時に、これを受けて、国が全体としてどのような市町村への支援を想定しているのかということをお聞きしたいと思います。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、下水道の老朽化が急速に進んでいく中で、計画的な点検に基づく戦略的な維持管理、更新を推進していくことが重要であると考えております。

 このため、本年五月に下水道法を改正し、計画的に老朽化対策を進めるための下水道施設の維持修繕基準を設けることとしております。また、執行体制の強化策として、事業の広域化、共同化を促進するための協議会制度の創設、日本下水道事業団による支援策の充実など、下水道法等の改正により本年七月に措置したところでございます。

 今般の法改正も含め、国土交通省としては、地方公共団体に対し、財政面、技術面、体制面について、老朽化対策に対する支援策を講じることとしております。

 まず、財政面では、計画的な更新事業や、これに必要な点検、調査について、防災・安全交付金により支援してまいります。技術面では、点検、調査にかかわるガイドラインを今後作成するとともに、効率的な点検、調査技術を普及してまいります。体制面では、地方公共団体が地域の実情に応じて下水道事業の執行体制を確保できるよう、下水道法等の改正内容をしっかりと周知するとともに、積極的に支援してまいります。

 今後とも、地方公共団体の下水道の老朽化対策に対してしっかりと支援してまいります。

坂井委員 しっかり支援をいただける、こういうことでございますが、横浜市の方からは幾つか支援の中身に関しても要望が来ております。

 一つは、緊急の政策として今取り組んでいただいております下水道老朽管の緊急改築事業、これを継続していただきたいというものがあります。特に横浜市は大都市ということで、大きな管渠、大口径の管渠しか対象になっていないということでございますので、この緊急改築事業は二百五十ミリという管から対象になるということで聞いておりまして、この継続が一つの要望であります。

 もう一つが、実は維持管理、先ほど局長からも維持管理という言葉が出ましたが、維持管理に関して国費の補助対象に充ててもらいたいという希望がございます。

 これは今、下水道長寿命化計画を策定し、また、これに必要なものに関しては国費が対象になっておりますけれども、しかし今、当初とはなかなか思い浮かばないような局地的豪雨というようなものもありまして、一時間当たり五十ミリを超える豪雨によって管渠が傷むというようなこともありますし、また、今、維持管理で、要は傷があるところだったりとか、ここが壊れそうだというところを発見する技術も大幅に進んでおりまして、維持管理にお金を充てて、そこを最初に、要はまだ傷が小さいうちに直せば全体の長寿命化の費用が下がるというようなことも言われております。

 例えば横浜は、今のままでは、努力をして長寿命化して、平準化して努力をしても、この後、平成五十年ごろからは大体六百億円から七百億円、今は大体二百五十億円という予算が、倍以上の予算が下水道の維持更新費にかかっていくという予想になっておりまして、大変大きな額が必要になってまいります。維持管理費を今年間約五十億円充てていますが、これがもし倍になったとするならば、この六百億から七百億という金額が恐らくもっと下がっていくだろう。要は、五十億余計にかける、この点に国費を充てていただくということも、対象にしていただくということをお願いもしていますが、五十億を維持管理に充てることによって全体の工事費でありますとかいろいろな作業料、新規でつくる費用が二百億から下がっていくというようなことも、今実は作業をしてもらっていますけれども、こういったことも考えられるわけであります。

 この維持管理に関して、ぜひとも、そういう計画を立てて、この先、維持管理を充てることによって全体の下水道の費用が下がるということを、計画を立てるような条件をつけて、ぜひこれを交付対象にしていただきたい、このような要望が来ておりますが、これに関しての御意見を伺いたいと思います。

金尾政府参考人 ただいまお話がありました緊急改築推進事業につきましては、布設から五十年以上経過した下水道老朽管を対象といたしまして、緊急かつ集中的に点検、改築等の必要な対策を支援する制度で、これにつきましては平成二十八年度までの措置と現在ではなっております。

 また、下水道施設の長寿命化計画の策定や点検、調査については、平成二十年度に下水道長寿命化支援制度を創設いたしまして、長寿命化計画の策定やこれに必要な点検、調査及び長寿命化計画に基づく改築に対して財政支援を行っているところであります。

 国としても老朽化対策は非常に重要だと考えておりまして、先ほど横浜市からの御要望もあるということでございますので、地方公共団体からの意見等を踏まえまして、これらの事業も含め、今後の老朽化対策に対する支援について検討してまいりたいというふうに考えております。

坂井委員 ありがとうございます。

 時間ですので、申しわけありません、最後に一つだけ質問したいと思います。

 今回、下水道をテーマとしまして、維持管理費や今後の費用に関して話をいろいろ聞いてまいりましたけれども、我々も、与党・政府としても、必要な事業には予算をつける、こういう話をしておりますが、何が必要かということに関しての議論がなかなか難しいところがあろうかと思います。

 今回、横浜市が、こういった下水道の例えば維持管理や今後の費用がどれだけかかるかという予測を今策定しておりますが、こういった一つ一つの市、町、村での費用の積み重ねで下水道全体の費用がどのくらいかかるのか、五十年先、百年先がどのくらいかかるのかといったことを想定しながら、今何をすべきか、何が必要かということを、国土のグランドデザインでありますとか国土形成計画といった国土をつくる上に、実際にこれを実現するということのためには今これだけ必要だというような、基準になるようなものを策定されたらどうか、こう考えますが、これに関して御意見をいただきたいと思います。

毛利政府参考人 社会資本整備をめぐりましては、さまざまな構造的課題がございます。御指摘の加速化するインフラ老朽化も一つでございますが、こういった構造的課題に対しまして、御指摘のとおり、長期的な視点に立ちまして計画的に進めることが何といっても必要でございます。

 その際、長期的にどこまで整備されるべきかということを念頭に置いて、計画期間に達成すべき目標を明示すること、これがまた求められるわけでありますが、それをかつてのような投資規模で表示することは、やはり予算配分の硬直化等を招くといった批判もありますので困難でありますが、そのかわり、現在策定を進めている社会資本整備重点計画におきましては、三環状の道路整備率あるいは汚水処理の人口普及率といった達成成果を具体的に示していくことにしているところでございます。

 また、過去の公共投資の急激な増減がさまざまな弊害をもたらしてまいりましたので、こうした教訓を踏まえて、現場の担い手をきちんと育成、確保し、社会資本が将来にわたって幅広く国民生活や社会経済活動を支える役割を果たしていくために、安定的、持続的な公共投資の見通しをきちんと持って取り組むことが必要でありまして、その旨もこの計画に明記させていただく予定でございます。

 引き続き、公共事業予算につきまして、安定的、持続的な公共投資で必要な額を確保できるようにしっかり努めてまいりたいというふうに考えております。

坂井委員 終わります。どうもありがとうございました。

今村委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、心から御礼を申し上げます。

 私は、七月二十六日日曜日に発生をいたしました調布におけます小型飛行機の事故につきまして質問をさせていただきます。

 二十六日日曜日の十一時ごろ、東京・調布市で小型飛行機が飛行場周辺の住宅地に墜落し、乗っていた二人と住宅にいて巻き込まれた女性合わせて三人の方が亡くなり、五人の方が負傷、住宅火災十棟という事故が発生をいたしまして、住民の方に甚大な被害を与えております。またさらに、多大な不安も与えております。

 亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、関係者の皆様に心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。

 この亡くなった女性の方は引っ越された直後と聞いております。このとき、住民の方たちは懸命に救助活動に奔走されました。操縦士の方を飛行機から引っ張り出したり、手当てをしたり、また消火活動など、閑静な住宅地はパニック状態であったようでございます。

 その翌日二十七日、公明党として私も伺いまして視察を行い、地元の都議会議員、そしてまた五人の市議会議員とともに、現地の住民や、都が管理している調布飛行場から話を聞いたところでございます。原因は今調査中と伺っております。

 この調布飛行場でございますが、昨年の実績では、離発着回数約一万六千回、目的は旅客定期便、特にここは伊豆諸島間の航空便があり、その利用が約五三%、そして事業、公共目的、いわゆる航空写真とか測量等になるわけですが、約三七%、自家使用目的が約一〇%といった利用となっております。

 住民の皆様からは、離島航路は必要だろうけれども、訓練やレジャーなど不要不急のものは、特に自家用飛行機についてはやめてほしい、機体の整備を強化してほしいなどの要望をいただいたところでございます。市からもそのような話をいただいております。

 調布飛行場は都が運営者でございますが、国としても全国の利用実態を踏まえて適切な今後の対応をお願いしたいところでございます。

 まず、太田大臣にお伺いいたします。

 近年の航空機事故の約三割が自家用小型航空機と聞いております。大臣に今回の事故についての御認識と今後の対応策の道筋をどのようにお考えか、御答弁を求めます。

太田国務大臣 事故が起きまして、直ちに国交省としまして航空局内に危機管理対策室を設置いたしまして、職員一名を調布に派遣し、そして運輸安全委員会は事故発生時に三名の事故調査官を現地に派遣しています。七月の二十七日、運航者団体に対しまして運航の安全確保について万全を期すよう指示をしたところです。

 中身は今調査中でありますが、この調査ということの中にも、この飛行の目的が、いろいろな報道がされていて正確ではないかもしれないようなところもございます。遊覧飛行か慣熟飛行かというようなこととか、機体の整備が直前にスルーされたのではないかとか、あるいは運航方法ということで、航空機の重量に直前の油とそして航空機自体と乗っている人の重量、荷物等々がオーバーをしていたかどうかというような問題とか、車輪が格納されたかどうかとか、暑さがどう影響したのかとか、いろいろなことが言われておりますが、やっと乗っていた方の生存されている三名のうち一名に状況を聞いて、どこに座っていたかというようなことはわかるようになってきたという段階でございます。

 小型飛行機、航空機の利用実態をよく見て、そして、地方の管制官のいないような空港ということの安全をどうするかという観点で、総合的に今いろいろな項目に分けて調査をしているところです。小型飛行機の利用実態をよく踏まえて、運送事業からレジャーまでと幅広い小型機の運航形態に応じたきめ細かな対策となるよう検討していきたいというふうに考えております。

 調布飛行場を管理する東京都、運航者団体等の関係者ともよく連携をとらせていただいて、何らかの形でこれはよく分析した上で対応をしていきたい、このように考えています。

高木(美)委員 それでは、今大臣から御答弁をいただきましたとおり、一つ一つにつきましてこの場で確認をさせていただきたいと思います。

 まず、この自家用小型航空機の利用の実態でございます。また使用されている飛行場の実態、そうした中で調布のように住宅密集地にあるものはどこなのか、あわせて航空局長の答弁を求めます。

田村政府参考人 小型航空機というのは全国の空港において利用されております。

 いわゆる単発機という一個のプロペラだけの航空機の登録機数というのは昨年末段階で五百十九機ということでございますけれども、これらを含めまして、詳細な利用実態につきましては、今後小型機の安全対策を検討する中で調査を進めたいというふうに考えております。

 住宅密集地にあり、かつ小型航空機の受け入れが多い空港といたしましては、調布飛行場のほかに大阪の八尾空港、あるいは愛知の名古屋飛行場、こういったところが挙げられるところでございます。

高木(美)委員 先ほど大臣から、こうした総合的な調査に基づいたきめ細かな対策をという御答弁をいただきました。私も、ぜひとも全国の実態調査を求めたいと考えておりました。こうした現場の利用の実態、さらに詳細に検討いただきまして、八尾においてはどうなのか、名古屋においてはどのような安全対策が可能なのか、具体的に一つずつ進めていただきたいことをまず申し上げたいと思います。

 続きまして、これは調布市からの話でございますが、調布飛行場の管理者である都に対して、今まで国として、空港の安全対策について、日ごろからどのような指導管理を行ってきたのか尋ねてほしいというお話がございました。答弁を求めます。

田村政府参考人 いわゆる公共飛行場と言われます公共の用に供する飛行場につきましては、設置時に国の基準に基づき審査を実施して、その基準に適合していることを確認した上で空港の設置許可というのを行っております。

 また、国土交通省では、空港の管理者に対しまして、国の基準に基づき管理の方法などを定めた空港保安管理規程というものを策定させて、この規程により管理を行うよう義務づけております。

 加えて、空港の管理者は、地域の実情に応じて独自に設定した条件につきましても、この規程に関連した要領類に規定しているところでございます。

 国交省では、これらの規程に基づき、適切な管理がなされているかどうかについて、空港の管理者に対して定期的に立入検査を実施しております。

 調布飛行場につきましても、滑走路等の基準適合性あるいは消火救難体制など、空港の保安を確保するための管理の体制や方法について、直近では、平成二十四年度に立入検査を実施して、必要な指導を行っております。

 今回の事案を踏まえまして、国交省におきましては、規程上の管理の実施状況が適切か否かを含めて、さらに空港の管理者を指導していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 重ねて航空局長に伺います。

 またこれも市からの問い合わせですが、調布飛行場の運営に当たりまして、東京都と地元三市との間で協定、覚書等が締結をされまして、それをもとに飛行場運営要綱を策定し、厳しい運航制限等について規定しているところでございます。

 この内容を国として把握をしているのか、また、把握しているのであれば、これらの内容についての国の見解はどうなのかということでございますが、答弁を求めます。

田村政府参考人 調布飛行場の運営に当たっては、東京都とそれから調布市、三鷹市、府中市、この三市との間で、年間総離着陸回数は二万三千回程度を上限とするとか、それから遊覧飛行等のための使用は認めないとか、それから自家用機は積極的に分散させていくとか、そういったことを内容とする協定書が締結されているということは承知をしておりますし、それを反映した要綱ができているということも承知をしております。

 同飛行場の運用については、従来から、周辺住民との協議を踏まえて、設置管理者である東京都により、その使用方法等が定められているところであります。

 国交省といたしまして、そうした使用方法も含め、今後も安全対策を徹底した上で適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 それでは、改善策について伺いたいと思います。

 まず、これは住民それから地元議員からですが、自家用小型航空機の整備点検を強化すべきという強い要望がありました。特に、今回につきましては、どうも二〇〇四年、丘珠空港で着陸失敗事故を起こしているようだ。この事故機については特段の点検強化を図るべきではないか。こうしたことを含めて、この点検整備の強化について、国のお考えはいかがでしょうか。

田村政府参考人 自家用小型航空機の整備、検査を実施する際には、航空法に基づきまして、資格がある整備士もしくは国の認定を受けた事業場による確認を義務づけております。

 また、毎年実施する耐空検査において、日常の航空機の整備点検の実施状況を確認するとともに、航空機の整備点検の確実な実施を指導してきたところでございます。

 今回の事故機につきましても、事故の直後に修理をいたしまして、それを受けた耐空検査というものをしっかりやっておりますし、それから直近も、最近でございますけれども、耐空検査というものを、実機を飛ばして、そういうことも含めてやっているところでございます。そういったことに加えて、日ごろより各種の安全講習会の実施等により事故防止のための取り組みを行っているところでございます。

 今回の事故を受けまして、事故発生翌日、使用者団体等に対しまして、機体の点検整備の着実な実施等を通じて運航の安全確保について万全を期すよう指示しております。

 今後とも、航空機の整備点検の確実な実施について引き続き指導するとともに、さらなる対策の必要性について検討してまいります。

高木(美)委員 どうも、現場の方たちのお話を伺いますと、要するに、整備点検を小まめにやる、それだけの財力がある方、それからまた、最低ラインでそれを維持するという方、それぞれやはり現場でいろいろ差があるようで、その恐らく最低線のところが今局長から御答弁いただいた耐空証明というところになるんだと思います。

 ただ、そうした差のところがどこまで検討するべきものなのか。また、あわせて、先ほど申し上げました、事故機におけるエンジンの耐用年数、これに当然影響はあるわけでございまして、そうしたところをまた今後どのように勘案していくのか。恐らくここはこうした事故の調査結果を待たなければ最終的な判断はできないと思いますので、ぜひともそうしたことをしっかりと勘案した上で検討していただきたいことを重ねて申し上げるものでございます。

 続きまして、操縦士の技能の向上について伺いたいと思います。

 これは、昨年四月、国交省は、特定操縦技能検定を新たに義務づけまして、実地試験も導入していると聞いております。ただ、エンジントラブル等の緊急事態を想定した実技は行われていないようです。緊急時に対応する技能の確保、また離陸可能な航空機重量等の知識など、自家用小型航空機の操縦士の技能の向上を図るべきと考えますが、そのお取り組みはいかがでしょうか。

田村政府参考人 自家用小型機の操縦士に対する安全対策といたしまして、昨年四月から、今先生お話しになられましたように、定期的な技能審査というものを、特定操縦技能審査というものを義務づけたところでございます。また、各種の安全講習会の実施等により、必要な技能の確保、向上の取り組みを行っているところでございます。

 この技能審査におきましては、エンジントラブル等の非常事態における操作手順、それから離陸重量を含む出発前の確認等につきましても、実地による審査というものは行っているところでございます。

 また、安全講習会につきましては、国が主催したりあるいは講師を派遣したりしておりますけれども、最近の事故事例等も紹介しつつ、出発前確認の重要性、適切な操作手順など、運航上注意するべき点についても講義を行っております。

 今後とも、こうした安全対策の効果等も検証しつつ、小型航空機の利用実態をよく踏まえて、先ほどから申し上げておりますように、きめ細かい対策となるように、引き続き、自家用小型機の操縦士について、その技能の確保、向上のための方策を検討の上講じてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ただいまの重量計算そしてまた実地の試験なども行っているというお話でございますが、その中でも、重量計算について重ねてお伺いしたいと思います。

 飛行場は情報をパイロットに提供するだけでございまして、重量計算などは操縦士が全ての運航管理とともに行うということとなっております。

 この重量計算におきまして、今回の事故では、これは仄聞する話でございますが、報道によりますと、どうも離陸可能重量の限界近くまで燃料や搭乗人員を搭載していたという報道があります。

 重量や当日の気温や、また飛行場の滑走路の長さなどから、必要であれば操縦士に事前に警告するようなシステム、こうしたチェック機能が必要ではないかと考えます。

 そこで、フライトプラン、飛行計画書ですが、これをフライト前に、恐らくこれは、調布であれば羽田の空港事務所宛てに提出をする、これは大臣宛ての提出ということになっているわけでございますが、例えばこの中に、小型機に関しては、特に重量計算の、想定重量というところまで欄をつくって、きちんと操縦士が把握した上で書き込むという、このようなチェック機能も必要ではないかと思います。この中には、燃料搭載量とか搭乗する総人数とか、そうしたことはしっかりと書き込むシステムになっております。そこまで書くのであれば、あわせて総重量ということも、当然のことながら意識するべきではないかと思います。

 これが、大型航空機の場合などについてはそれは必要ないかと思いますが、特にこういう自家用小型機につきましてはそのようなチェック機能を盛り込むべきと考えますが、局長、いかがでしょうか。

田村政府参考人 操縦士が飛行を行う場合に、出発前の確認として、離陸重量、それから重心がどういう位置に来るのか、それから当日の気象状況がどうなのか、当然、飛び立とうとする飛行場の特性、そして周辺の地理的条件、こういった必要な情報というものを確認した上でなければ出発してはならない。これは航空法及び施行規則に明記されておるわけでございまして、そういう意味では、その確認というのは、操縦士としてのイロハのイといいますか、基本中の基本ということではございます。

 御提案についてはしっかりと受けとめさせていただきますけれども、今回の事故原因等、これから調査も進んでまいりますので、その進展も踏まえまして、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 イロハのイでございますけれども、やはり事故というのは、イロハのイが守られないところから事故が起こるわけでございまして、ぜひとも、その点につきまして検討をお願いしたいと思います。

 あわせまして、この飛行計画書の中には、使用目的につきましても記入することとなっております。いわゆる慣熟飛行というふうに言われるものですが、私はそれが一体どういう記述になるのかと見ましたら、いわゆるPO、パーパシーズ・アザー・フライト、目的外飛行、直訳するとそういう名称ですが、これがいわゆる慣熟飛行という、こういう名称に当たるという話でございます。

 そもそも、この慣熟飛行の定義というのをどのようにお考えになるのか。また、あわせまして、飛行場において事業許可を取得せずに遊覧飛行や操縦訓練が行われることが常態化しているとも聞いております。対価を得るのであれば、本来、航空運送事業や、また航空機使用事業に当たるわけでございまして、航空法違反ということも想定されます。このような飛行を行う者に対して事業許可を取得させるよう国は指導すべきと考えますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 御質問の慣熟飛行というのは、これは特に航空法上定義されている用語ではございませんけれども、一般的には、操縦者がみずからの技能を維持するために行う飛行を指す言葉だというふうになっております。そういうふうになっております。

 それで、他人の需要に応じて有償で遊覧飛行及び操縦訓練を行う場合には、航空法第百条または第百二十三条に基づきまして事業許可を取得することが義務づけられております。国交省では、事業許可の取得が必要と考えられる者に対しましては事業許可を取得するよう、これまでも指導を行ってまいりました。

 今回の事故につきましても、機長が所属するシップ・アビエーションという会社、これは、事前に事業許可の制度などについて問い合わせをしてきたことはあるというふうには聞いておりますけれども、本来事業許可が必要な運航を実施していたか否かについて運営の実態を調査しているところでございます。

 今回の事故における実態調査を踏まえまして、指導の強化等、今後必要な対応を図ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 それでは、ちょっと時間の関係もありますので、二問、後に回させていただきまして、補償についてお伺いしたいと思います。

 今回のような事故につきまして、地上の被害者に対する支援また補償について、国として保険のあり方を検討すべきではないかと考えております。

 例えば、車は車検のときに確認また契約更新する仕組みがあります。ただ、小型機についてはチェックする仕組みがないと聞いております。事故が一旦発生しますと、機体、乗員のみならず、今回のように第三者の生命財産にも影響するわけでございます。飛行場は、周辺の市町村と安全確保のための協定など取り交わしをしているわけでございますので、空港使用届の提出時に、保険に加入しているのかどうなのか、この有無の確認を求めるべきではないかと私は考えます。これをむしろ空港使用の条件にするぐらいでいいのではないかと思います。

 こうしたリスクに関する適正な補償の確保は急務と考えます。どのように国はお考えでしょうか。

田村政府参考人 航空機の事故等によりまして引き起こされました第三者に対する損害の賠償責任というのは、当該航空機の運航者が負うべきものでございます。

 航空運送事業者あるいは航空機使用事業者につきましては、一たび事故が発生すると甚大な損害が生ずるおそれがあるということで、その許可に際しまして、締結する保険契約の概要についての説明を求めております。事実上、許可の条件になっているということでございます。

 一方で、自家用機につきましては、保険への加入というのはみずからの判断に委ねられておりますけれども、実態としましては、ほとんどが保険に加入しているというふうに聞いております。

 ただ、今般の調布飛行場での事故を受けまして、今先生も御提案になられましたけれども、航空局としましても、自家用機に係る保険の加入実態の把握に努めまして、何ができるのかということにつきまして検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひとも、この件につきましては前向きにお願いをしたいと思います。

 小型航空機、さまざまな活用も行われているところでございますが、やはり空港周辺住民にとりましては、こうした一つ一つの安全の確認というものが、恐らく地域の安全、安心にもつながっていくことではないかと思いますので、特に、いざというときの補償がどこまであるのか、要するに、今回のように事故機が墜落した、この保険についてはまだ確認はできておりませんけれども、いずれにしても、それで誰かが泣き寝入りするとか、そういうことがあってはならないと考えます。ぜひとも、今の御答弁どおりに、前向きな御検討をお願いしたいと思います。

 あと、ちょっと時間がある限りお願いしたいのですが、もとの問いに戻りまして、実は、三市からの緊急要請におきましては、「今後、自家用機の運航停止を視野に、更なる削減を図ること。」というのが都に提出をされております。そのために国の協力を求めたいという話でございますが、その点については、局長、いかがでしょうか。

田村政府参考人 今回の墜落事故を受けまして、七月二十八日に、調布市、三鷹市、府中市より、東京都に対して、「事故の原因究明及び再発防止策の徹底を早期に図ること。」それから「原因究明及び再発防止策の徹底が図られるまで、自家用機の離着陸を自粛すること。」「今後、自家用機の運航停止を視野に、更なる削減を図ること。」等の要請があったと承知しております。

 調布飛行場の管理者である東京都としては、現在行われている運輸安全委員会による事故調査の結果を踏まえ、再発防止策の徹底を含め、安全対策の強化を図る方針であるというふうに聞いております。

 調布飛行場の運用については、従来から、周辺の住民の方々との協議を踏まえて、使用方法等が定められております。国土交通省といたしましては、そうした使用方法も含めまして、今後も安全対策を徹底した上で、適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 実は、三市からは、東京都との協議の中で、将来的には自家用機の使用については廃止をすることということで、都としては最大限努力をする、こういう取り決めといいますか合意もできているところでございます。ぜひともその際には国としてもお力をおかしいただけますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 また、地元の市からですが、これは調布飛行場、平成十八年でしたか、航空管制官が国に引き揚げられたという経緯がありまして、航空管制官の配置を求める声もあります。ただ、ここはそれほど多くの離着陸はないという話もありまして、航空管制官がいなくても安全上問題ないのではないかという専門家の声もあります。

 このことにつきましてどのようにお考えか、答弁を求めます。

田村政府参考人 空港でどのような航空保安業務を提供するかということは、安全の確保というのは当然大前提とした上で、交通量を初めとした各空港の個別の状況に応じて判断しているところでございます。

 中でも、航空管制官は、交通量が多くて、そして多数の航空機がふくそうする場合の交通整理の役割というものを担っております。調布飛行場のように、今先生もおっしゃいましたけれども、交通量が比較的少ないというようなところにつきましては、必要な情報とパイロットの判断により安全が確保されているというふうには考えております。

 実際、年間おおむね一万五千から二万機程度の交通量を下回るような空港、これは航空管制官によりまして航空機同士の安全間隔の確保が行われる、いわゆる計器飛行方式で飛ぶ航空機が少ないところ。つまり、定期便が多いところというのは、単に安全を確保すればいいというだけではなくて、遅延を発生してはいけないという効率の問題もありまして、そういうところで管制官というのが重要になってくるわけでございますけれども、実際には調布飛行場の場合にはいわゆる有視界飛行でございますので、こういったことを踏まえて航空管制官が配置されておりません。

 いずれにしましても、今の運航実態を踏まえれば、航空管制官がいないということで安全上の問題が発生しているというふうには考えておりません。

高木(美)委員 では、最後に大臣から、こうした質疑をお聞きいただきまして、御決意をお願いしたいと思います。

太田国務大臣 調査をしっかりやって、小型機の運航のあり方を含めて、直すべきことがあれば直すというような姿勢で臨みたいと思っています。

高木(美)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

今村委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 太田大臣初め国交省の皆様、一カ月ぶりというか、七月はこの国交委では私は質問に立たせていただいておりませんでしたので、御無沙汰しておりますが、きょうはぜひよろしくお願いします。また、今村委員長、金子筆頭初め皆様には引き続き御指導いただければと思っております。

 七月は、厚生労働委員会だけではなくて、平安特でも質問させていただいておりました。余りここで、安全保障の議論をする場ではありませんが、太田大臣もいらっしゃいますが、私は本当に、この安全保障法制、仕上げるべきだと思っていまして、党内でもいろいろな議論がありますが、とにかく早く我が党の案をお出しして、議論を深めて、しっかりと仕上げていくということが本当に大事であると個人的に思っておりますので、一言申し上げておきたいと思います。

 きょう、太田大臣、通告を一応何かさせていただいているんですが、実は、きのうどうしても地元におらなあきませんでして、ちゃんとできていないんですね。だから、申しわけございませんが、秘書に聞くと、太田大臣にも通告を申し上げているということでありますが、もしかしたら不正確ですので、ちょっと違うなという場合は結構ですので。

 道路局長にきょうはおいでいただいています。後半は道路局長と質疑をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。道路局長も、これはどういう質問かなと、多分よくわからないと思うので、私の質問の場所でしっかり御説明をしますので、その場でお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。

 それから、前半は、まさに太田大臣のリーダーシップで検討会を立ち上げていただきました残土の問題ですね。六月の二十六日に、建設残土の崩落に関する関係省庁連絡会議というものの第一回目の会合を立ち上げていただきました。心から御礼を申し上げたいと思います。

 これは、長らくいろいろな形で各省庁に申し上げておりましたが、行政というか役人だけではどうしても立ち上がらなかったものを太田大臣のリーダーシップで立ち上げていただいたわけでありまして、心から感謝をいたしたいと思います。

 ついては、この関係省庁会議の第一回が開かれたということですので、これはどういう会議で、どういう議論をしていただいているのか、まず国交省から御紹介をいただけたらと思います。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕

毛利政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、六月の二十六日に第一回目の建設残土の崩落に関する関係省庁連絡会議を開催いたしました。メンバーは、国土交通省の関係課のほか、農林水産省、環境省の課長クラスでございまして、警察庁にもオブザーバー参加をいただいたところでございます。

 第一回会議の内容でございますが、過去に発生した残土崩落事案、それから事案ごとに適用される関係法令を確認いたしております。それからまた、今後の事故発生抑止に向けまして各省庁でできる意見交換などでございまして、関係法令を所管する各省庁が過去の事案についてさらに深く調査を行うということを確認したところでございます。

足立委員 今、いろいろおさらいをしていただいて、過去の事案、事件が、事故が幾つも起こっているわけでありまして、その検証等を恐らくしていただくんだと思いますが、スケジュールというか次回の予定は決まっていますでしょうか。ちょっと御紹介をください。

毛利政府参考人 まずは、関係法令によりまして、崩落事故を未然に防止することができなかった原因の究明をしっかり行った上で、再発防止に向けた法令運用の改善案などを持ち寄って総合的な対策を検討する必要がございます。

 したがって、次回の開催につきましては、こういった検討材料の収集ですとか関係省庁の検討が一定程度進んだ段階を見計らってなるべく早期に開催したいと考えているところで、具体的にいつというのはまだ決まっておりません。

足立委員 私も、余りこういう委員会の場をかりて行政の一つ一つのことについて申し上げるのも僣越でありますが、過去の経緯に照らすと、私がこうやって質問した方が円滑に進む部分もあるようですので、きょうはちょっと時間を半分使わせていただきます。

 今御紹介があったように、原因究明また対策等を検討されているということでありますが、これは結論からいうと、例えば農水省さん、きょうは林野庁の本郷部長においでいただいていますが、検討状況はどうでしょうか。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 建設残土崩落に関する関係省庁連絡会議については、先ほど国土交通省から御回答があったとおり、六月二十六日に第一回会合が開催されまして、当省から、担当課長である林野庁の治山課長、それから農村振興局農村計画課長が参加したところでございます。

 本会議での概要については先ほどお話があったとおりでございまして、今後農林水産省として、本関係省庁連絡会議にさらに参加して、引き続き、国土交通省、ほかの関係府省と連携してまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、今、それぞれの関係法令に沿ってできることは何かということを検討させていただいているところでございますし、また、それを国土交通省さん等と連携して検討してまいりたいというふうに思っております。

足立委員 六月の二十六日に会合を開催いただいたわけでありまして、もう一カ月以上というか四十日程度たっていまして、まだ過去の事案と関係法令、今部長がおっしゃった検討というか、これはそろそろ終わっていただいてもいいような気もするんですが、今の御答弁だと、いや、これから検討するみたいな感じですが、これはいつ検討が終わりますか。

 部長、人事が終わったところかもしれませんので、大変各省庁御苦労だと思うんですが、これはしっかりと、もう一カ月たったんだから、各省庁の検討結果を持ち寄って第二回を開いていただきたい、私はこう思うんですが、いかがでしょうか。

毛利政府参考人 これまで二十一件の崩落事案を御報告しておりますけれども、この過去に発生した残土崩落事案に関しまして、これはまだ関係省庁ですり合わせというのをやっているわけじゃありませんけれども、これまでに少なくとも国交省で入手いたしました情報によりますと、例えば崩落に至るまで法令に基づく措置を何ら行っていなかった事案もあれば、あるいは、崩落以前に法令に基づいて注意や指導を行っておりましたけれども、命令や罰則適用までは至っていなかった事案もあります。また、さらには、崩落以前に命令まで行っておりますが、その命令に基づく対策が完全に実施されないうちに崩落に至った事案など、こういった事案が存在することがわかっております。

 さらに、それらの原因についてどういうことかということで、例えば法令担当部局が崩落の危険度を十分に認識できていなかったのではないかと考えられるケースですとか、あるいは、崩落危険度の認識はあったけれども、法令に基づき、残土事業者への対応が結果としておくれたケースではないかと思われるケースなど、これはあくまでまだ感触でございます。

 こういった点について、関係省庁と協力連携いたしまして、認識をすり合わせまして、これから次の会議に備えたいと思いますが、できるだけ早く次の会議を開いて、関係省庁の認識についてすり合わせをしてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 毛利局長、本当に踏み込んでというか、御紹介をいただいて感謝申し上げますが、これは、関係省庁の会議ですから、事務局を国交省が引き受けてくださっている点は感謝申し上げますが、事務的に伺うと、関係省庁にとりあえず宿題を出している、それができればまた集まっていただくということだと思うんですが、なかなか、恐らくそう簡単では、簡単ではというか、私は、やる気になれば一週間でできる、こう思うわけですが、恐らくほっておくとこれは進まないと思っています。

 毛利局長、ボールは国交省が握ってくださっていると思えばいいのか、関係省庁がボールを持っているので、関係省庁がボールを打ち返してこないと事務局として国交省は第二回目を開けないのか、ボールは誰が持っていると理解したらいいですか。

毛利政府参考人 委員よく御承知のとおりでございますが、二十一の事案だけについて見ましても、さまざまな関係省庁の法令の適用がございます。そして、その法令の適用について、今私が踏み込んで申し上げたような課題があるのではないかと思われる点でありまして、それぞれの所管の省庁においてどういった法令の運用において課題があるのかということをしっかりと御検討いただき、御協力をいただかないと、なかなかこれは最後、取りまとめには至らないのではないかというふうには考えております。

 ただ、国土交通省としまして、建設残土による崩落ができるだけ起こらないようにするということは大事な点でありますから、いろいろと各省庁にお願いをして、できるだけ早く次の会議が開けるように努力していきたいというふうに考えております。

足立委員 要すれば、ボールは関係省庁にあるということですね。

毛利政府参考人 国土交通省の所管法令もありますので、先ほど申しましたように、国交省の関係課も含めて、各法令の所管課に今いろいろ検討してもらっているということでございます。

足立委員 関係省庁もボールを持っているということですので一応伺っておきますが、林野庁の本郷部長、そして環境省の奥主局長、ボールを返せそうなタイミングを教えてください。

本郷政府参考人 現時点でいつというふうにここでお話しできるわけではございませんけれども、早急に対応したいというふうに思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましても本検討会議に参加しておりますので、できるだけ早く対応できるようにしていきたいと思います。

足立委員 毛利局長、これはイメージだけでも何かないですかね。済みませんね、こだわって。私も仕事なものですから、ちょっと一応聞いておかぬといかぬので。金子筆頭も、それはそうだと今うなずいていただいています。

 ちょっとイメージ、ぜひ、局長のリーダーシップでいつまでにやろうと。お願いします。

毛利政府参考人 取りまとめを行うためには、先ほど申しましたとおり、やはり個別事案の原因の究明ということについてまずきちっと行う必要がございます。その上で、改善案あるいは有効性の検証を行うということになりますので、取りまとめと言われますと、なかなかいつというのは難しゅうございます。

 ただ、次回につきまして、やはりそもそもどうして崩落事故を未然に防止することができなかったのかといった原因の究明あたり、このあたりをきちんと、できるだけ早目に第二回として開きたいというふうに思っております。その上で、今申しました改善案、有効性の検証に進んでいって、最後の取りまとめにできるだけ早く進めていきたいというふうに考えております。

足立委員 八月中に第二回、お願いできないでしょうか。

毛利政府参考人 関係法令により崩落事故を未然に防止することができなかった原因の究明、まずここを伺いたいと思いますけれども、ここについての認識の共有化というのを何とかできるだけ早目にやりたいということでありまして、残念ながら、ちょっと八月中というふうにお約束はできませんが、とにかくここの点については早目にまとめたい、そして第二回として会議を開催したいと思います。

足立委員 いろいろ時間をとりまして大変恐縮でございますが、これは本当に地域にとって大変重要なテーマですので、ちょっと無理な御質問を申し上げました。

 私どもの方で、いわゆる建設残土の安全確保のための法案を臨時国会で提出させていただいています。一回選挙がございましたので廃案になっておりますが、今国会は九月の二十七まで会期が延びておりますが、今国会中にも、もしこういう検討の場が有効に、迅速に検討いただけないということになれば、またそういう議員立法も含めて対応せないかぬというのが私どもの思いでございます。

 建設残土ということで、もう何度かここで御質問させていただいていますので、関係の皆様には状況を御理解いただいているかと思いますが、本当にこれは人命にかかわるものでございます。私の地元では、仮に府道にバスが通っていたら、もう完全にバスであれ民家であれ埋まってしまうような、大量の、一つの山が崩れるような、そういうことが発生をしておりますし、私の地元の一つの町で五つの人工の山があって大変危険な状態が今も続いているために、こうして質問の機会をいただいているわけでございます。

 既に御紹介申し上げたように、国がそういう法令の枠組みがまだ整っていないという状況の中で、大阪のみならず、全国で条例がつくられております。条例が大阪府はなかったんですが、この事件、私の地元の事件を受けて、大阪府は早速条例をつくってくださいまして、この七月の一日から施行されています。この施行状況ももちろん今見ておりまして、関係の皆様にも、まずその施行状況も見てみようじゃないか、こういうお話も申し上げているわけであります。

 結論から申し上げれば、もちろん条例で対処できることもあるだろう、こう期待をして、今、当局の条例の執行を期待しておるわけでありますが、私の感触では、それで対処できる部分ももちろんあるが、そうでない部分も大変大きく残るというのが私の印象であります。

 ぜひ、この関係省庁連絡会議、大変すばらしい会議をつくっていただきましたので、それは本当に心から感謝しております。でも、形だけではいかぬので、ぜひ第二回、八月中には開催をいただいて、かつ、私は、二十一件の事案の検証なんというのはもう七月いっぱいでできると思いますよ。だって、法令は全部あるんだから。そして、それぞれの関係の出先機関が、行政指導あるいはいろいろなことを、勧告等をやってきた、もう全て事実がそこにあるわけです。別に、宇宙のことを調べよう、深海のことを調べよう、地の底のことを調べようと言っているんじゃないんです。それぞれの関係省庁の行政機関が今までやってきたこと、起こったことをテーブルにのせて整理するだけです。必要があればお手伝いしますので、ぜひ八月中に目に見える形での検討を進めていただきますよう、心からお願いを申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、きょう冒頭申し上げました道路のことでありますが、私もまだ国土交通委員会一年生でありまして、国会議員は二年生でありますが、まだ素人でちょっと恥ずかしいわけですが、これも地元で非常に気になるのは、いわゆる一般国道にも、当たり前のことでありますが、国の直轄の国道と、そしていわゆる補助国道とありますが、本当に私の地元なんかは、三市二町選挙区なんですけれども、半分は町ですけれども、半分は山です。

 例えば私の地元だと、四百二十三とか四百七十七という国道が走っているんですが、要は、京阪神の、阪神地域と京都をつなぐ結構重要な道路なんです。大阪府などは、その道路を、ちょっと名前を忘れましたが、緊急のときにしっかり緊急車両が通る道路として指定をしたりしている道路が、最近、雨が降るたびに、豪雨の話は大臣にも先般質問させていただきましたが、大変な雨が最近降りますが、豪雨が降るたびに、この間台風十一号だったかな、必ずしも大阪に被害をもたらした台風ではありませんでしたが、私の地元の四百二十三、四百七十七は台風十一号でとまっています。必ず台風が来るととまります。そのとまる道路が、地域においては、これは緊急車両が通る道だ、自衛隊も通る道だ、こういうふうに位置づけられているわけであります。

 あるいは、新聞報道等を見ると、例えば二次医療圏ごとに災害拠点病院というのがあります。そのうちの二割、三割の病院が、実は、水害というか雨がたくさん降ると、水没をして、災害拠点病院が使えなくなるんだという報道も以前新聞にありました。

 また、きょう午前中の委員会で、川内原発の避難の話も出ました。

 きょう話を余り広げるつもりはありませんが、要すれば、なかなかお金が入っていない、なかなかお金が入り切らない、自治体もお金がありません、大阪府もなかなかお金がないんですね。そういう中で、なかなか手が入っていない補助国道が、実は地域にあっては、原発の事故あるいは災害があったときの拠点病院、さまざまな重要施設をつなぐ道になっているというのがあるわけでありまして、私は、その点について、何か道路行政について見直しの必要があるんじゃないのかなという印象を持っているわけであります。ちょっと私の話が長くなりましたが、趣旨を御理解いただくために申し上げました。

 道路局長、こういう問題意識を素人でありますが持っているわけでありますが、補助国道というのは、国のお金をしっかりもっと入れて、しっかり整備していく必要がある、特に防災とか緊急時あるいは原発の避難、そういう重要な道路については、補助国道についても直轄の国道並みの国費を入れていくべきじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 国が管理する国道と、それから都道府県が管理をする国道という形に区分されるわけでございますが、今委員御指摘の補助国道というのは、まさに都道府県、委員の地元では大阪府が管理をする国道として機能しているものでございます。

 御指摘のありました国道四百二十三号線あるいは四百七十七号線、まさに確かに、大阪と京都を結ぶ路線、あるいは場合によっては、四百七十七号線に至りましては三重県の四日市まで行っている非常に広域的な道路であるということは御指摘のとおりだろうと思っております。

 また、ちょうど一年前の台風で、雨量が交通規制の規制値をオーバーしてしまいましたので、通行どめになったという事例も確かに御指摘のとおりでございます。

 私どもとしても、できるだけ道路自身は、平常時のみならず、御指摘のございましたような災害時におきましても、しっかりと機能し、地域の救急救命あるいは災害に対する援助、救助といったようなことに対しても当然その能力を発揮できるように整備をしていくということが基本だろうと思っております。

 特に、この国道四百二十三号線、四百七十七号線といったような府管理あるいは府県管理の国道に関しましても、私たち、整備をする際には社会資本整備交付金という交付金という制度を使って御支援申し上げている次第でございます。これも、大阪府さんあるいは国が半分ずつの負担をしながら事業を進めていく、そういうような制度を持っておりますので、大阪府等々の御要請に応じまして、しっかりとそういう整備に関しましては御支援申し上げたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今御紹介いただきましたように、社会資本整備交付金、これは、国のお金、都道府県のお金、大阪府のお金、こういう話がありますが、端的に言うと、なかなか財源的には、釈迦に説法でありますが、必ずしも容易ではない状況があるというのは事実であって、これはもちろん地域で、大阪府なら大阪府がしっかりと地域の防災面も含めて判断をしていく部分が多々ある、これはもちろん承知をしているわけであります。

 ただ、今私が御紹介申し上げたように、例えば、原発の避難の問題、あるいは先ほどの災害拠点病院のようなもの、こういうものも結局は、自治体と災害拠点病院について議論しているのは厚生労働省なんですね。また、原発の避難経路に至っては、国でも、結局、誰が見ているか、一応担当大臣はあるわけでありますが、なかなか法令が整備をされていなくて、責任の所在が明確ではありません。

 ちなみに、原発については、ちょうど再稼働が始まりますので、今維新の党で原発再稼働責任法案というものを、きょう機関決定いたしております。これは、結局、原発に係る、あるいは避難について、一体誰が、いつ、どういうふうに責任を持つのかということを、国と地域とそして電力会社、この責任関係を明確に位置づける。安全保障の法制は十何本ですが、私どもが今回つくった原発再稼働責任法案は五本の法案から成る塊でありますが、そういうものを今整備しています。

 いずれにせよ、申し上げたいことは、関係省庁にまたがる大変重たい課題をそれぞれの地域で、市町村あるいは都道府県が、限られた財源の中で地域の安全を担って精いっぱい今頑張っているところでありますので、きょうは今局長に御答弁いただきましたが、私が見る限り、少なくとも私の目に見えるところでは、四二三、四七七等個別具体の話を申し上げましたが、若干見るにたえない部分があって、我々地元でも、しっかり地元の首長、頑張らなあかぬと思っていますが、国交省においてもまた御支援、御指導いただきたいと思っております。

 きょうは、以上、土砂の問題と道路の問題を申し上げました。土砂の問題については、繰り返しになりますが、目に見える形で八月いっぱいと一方的に期日を切りましたが、国会の会期もありますので、最低でも八月いっぱいで目に見える形でボールを集めていただいて、また承知をさせていただきたいと思います。

 その様子を見ながら、必要があれば、建設残土安全確保法案を維新の党として提出することも視野に、検討、御相談をしてまいりたいということを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 引き続きまして、維新の党の横山博幸でございます。

 連日の猛暑の中、大変御苦労さまでございます。四国もかなり温度が上がっておりまして、これはなぜかというと、四国新幹線の熱い熱でございます。

 きょうは自民党の白石徹議員もなぜか応援に来ていただいたような感じでございますけれども、実はこの新幹線は、白石徹議員の町、新居浜市を通るわけなんですね。ですから、ぜひ、新幹線に限りましては、自民党と維新の党一体となって進めさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、四月に同じ質問をさせていただいたのではございますけれども、きょうの温度と違って、かなりの温度差がございました。こうした中で、その後、地元の期成同盟会も一生懸命になって、何とか具体化しようということで、きょうお越しになっていただいておると思いますけれども、先般、鉄道局長のもとに要望を上げました。

 この件について、受けた局長側の方でどんな見解を持たれたのか、まずお聞きをしたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 四国新幹線でございますけれども、全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和四十八年に基本計画決定をされた路線でございます。

 これにつきましては、全国新幹線鉄道整備法第五条の調査指示に基づきまして、昭和四十九年度から平成十九年度まで、海底トンネル部の地形、地質調査を実施しておりました。しかしながら、当面、早期に着工の見込みがなく、直ちに調査の進捗を図る必要が薄いということから、平成二十年度に調査を中断することとしたという経緯がございます。

 各関係の方々からいろいろ御要望を頂戴しておりますけれども、中断した平成二十年度以降、こうした状況に変化はないというのが基本的な認識でございます。

横山委員 そのときに要望したときにも、地元の商工会議所の会頭も同席をされて、地域経済の活性化に資するということで、特に北陸新幹線の状況を見ますと、かなり地域への貢献度は高いわけでございますけれども、これからかなりの時間をかけて実現に向かって歩むわけでございます。

 過去の事例から見てひとつアドバイスをいただきたいのでございますけれども、これから新幹線実現のためにどのような地元の調査なり動きをしていったらいいのか、参考までにお聞きをしたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 国の立場で申し上げますと、今現在、昭和四十八年に整備計画の決定をいたしましたいわゆる整備新幹線、この整備に力を注いでいるところでございます。まだ、札幌開業、平成四十二年という目標もございますし、いわゆる未着工の敦賀以西の問題もございます。そういった整備新幹線の整備に力を入れているというのが現状でございます。

 各地域、いろいろその他の地域につきましても御要望を頂戴しておりますけれども、少しそういった時間感覚の中で長い課題として、やはり最終的には財源の問題ももちろんございますし、収支採算性、BバイCといったいろいろな課題がございますので、そういった面から勉強をしていただくということは必要ではなかろうかと思っております。

横山委員 大変ありがとうございました。

 恐らくかなりの時間はかかると思いますけれども、継続してその機運を盛り上げていきたいと思いますので、ぜひ御指導いただきたいと思います。大変ありがとうございました。

 続きまして、松山空港の件につきましてお聞きしたいと思います。

 松山空港というのは、非常に利用者が多く、年間二百五十万人ぐらい来よりますけれども、国の地震防災対策推進地域に所在する空港ということで、防災対策が非常に重要な空港であるというふうに認識しております。特に、海岸側の部分につきましては液状化現象、それから、全体で二千五百メーターありますけれども、ちょうど二千メーターの中に、地下に連絡道が入っておるということで、非常に危険性を感じております。

 この件につきまして、耐震化という概念でどのような対策をされていくのか、また、具体的に進んでおる対策がありましたら御紹介をいただきたいと思います。

田村政府参考人 お尋ねの松山空港でございますけれども、今先生がおっしゃいましたように、南海トラフ地震に係る地震防災対策推進地域に所在する空港でございまして、救急救命輸送拠点、それから緊急物資輸送拠点として、地震発生時においても滑走路二千メートルの機能を確保するということとしております。

 このため、平成二十四年度から、今お話に出てまいりました滑走路を横断する地下道というのがございまして、これの耐震対策というものを急いでおるところでございます。そのほかに、基本施設に影響を与えるおそれがある護岸の耐震化というのも今年度から対策を始めております。

 そういったことで、早期の耐震性確保のために引き続き対策を推進してまいりたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 危険な部分については早期に着工されているということで大変安心しておりますけれども、海側の五百メーターにつきましても、海側へ埋め立ててつくったところということで液状化が大変心配されておりますけれども、この海側の五百メーターについてはどのようなお考えでしょうか。

田村政府参考人 今申し上げましたように、地震防災推進地域における滑走路二千メートルの確保、こういうものをしなければいけない空港というのが幾つかございます。これにまず我々全力を挙げたいというふうに思っておりますけれども、その次の段階として、やはりさらなる耐震化の推進ということが必要になってこようかと思っております。

横山委員 大変ありがとうございます。ぜひ早期の対応をお願いしたいと思います。

 引き続きまして、警察施設、これは大変重要な施設であると思います。先ほどの災害の対応の情報の収集拠点にもなりますし、災害に対する対応も含めて非常に重要な施設になります。

 耐震化という概念において、きょう、警察庁の方に来ていただいておると思います。白川官房審議官に来ていただいておると思いますけれども、前段で実は、通告が少し漏れたのかもしれませんが、国交省に、耐震化を計画的に進めるためには長期間にわたる財政負担が必要になることから、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の交付などの交付率のかさ上げや適用期間の延長が必要であると地元でも要望しておりますが、この点については通告をしておりませんが、答弁できる方がいらっしゃいましたら、まずお聞きしたいと思います。出ませんね。

 それでは、警察庁の方にお越しいただいておりますから、警察の関係の施設に限って質問させていただきます。

 耐震化について、愛媛県でも、信号の管制センターそのものが耐震ができていないという現状であります。また庁舎も耐震化できていないところが数カ所ございますけれども、警察庁による補助金の措置状況が現在どのようになっておるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

白川政府参考人 お答えいたします。

 警察施設のうち、警察本部庁舎、警察署等の耐震化につきましては、その重要性に鑑み、警察庁から都道府県に対し、改修や建てかえに要する経費について所要の補助金を措置させていただいているところでございます。

 これによりまして、警察施設の耐震化は確実に進捗しており、平成二十七年四月一日現在でございますが、全国の警察本部及び警察署の耐震化率は約八七%となっているところでございます。

横山委員 大変な進捗率であるということは認めておりますけれども、一部、予算の制約から改修施設数に制限があるということでいずれかが残っていると思いますが、事実関係はいかがでしょうか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、警察庁としましては、各都道府県警察の事業計画に応じまして必要な補助金予算を措置することとしておりまして、御指摘のように、耐震化事業の改修施設数に制限を設けているというようなことはございません。

 引き続き、今後とも警察施設の耐震化の促進に適切に取り組んでまいる所存でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 制限がないということは、各自治体で申請すれば御対応いただけるということで解釈をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、新聞情報でございますけれども、二点、国交省の制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、安全な自転車道の政府認定ということで、非常に明るいニュースでございます。サイクルルートを認定する新制度を検討しておられるということでございます。

 二〇一六年ですから、来年度に全国で数カ所を選んで、地方自治体に道路整備や案内板設置費用などを助成する、あるいは、自転車観光を振興し、地域活性化や健康増進につなげるということで、非常に前向きな制度であると思いますが、まず、制度の内容についてお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 サイクルルートの認定ということでの新聞報道が既にされているところではございますが、これはひとつ、今委員会を立ち上げて議論をさせていただいている途中経過が報道されているというところで御認識いただければというふうに思います。

 具体的には、私たち、この委員会の中で、どういうルートを決めていただくのかとか、あるいはどういう施設整備をこれから行っていくのかといったようなところを具体的に詰めていただいているという実態でございまして、サイクルルートをどういう形にしていくのかというのは、まだこれからもう少し議論を煮詰めさせていただければというふうに思います。

 ただ、今、世上言われておりますように、スポーツサイクルというふうに路上を五十キロから六十キロぐらいで走られる方、そういうような自転車と、通勤で使われるような、駅周辺で、要は家の中にあるような自転車、それと、お子様が使われているような自転車みたいなものも含めまして、安全だとかあるいは快適性をどのように確保していくのかというような、今委員御指摘のような課題を含めた形で、私たちとしては全体的な整理をさせていただければというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 記事によりますと、全国で三十カ所ぐらい選んでおられるということで、私どもの広島から今治の間のしまなみルートも大変高い評価を受けて、世界各国から自転車を乗りに来られるということで、国交省の方にも規制を解いていただいて、専用で走らせていただいたということで、地域経済にとっても効果が大変高い施策であったと思います。

 これは将来的に、今詳しくは決めておられないと思いますけれども、認定要件となるような重要な要件については、どのようなお考えがございますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今の委員御指摘のしまなみ海道におけます実際のサイクリング大会ということ自身は、何十キロという非常に長い区間をたくさんの方に走っていただいた、全国的に見ても極めて優秀なというんでしょうか、非常に良好なサイクリングルートになっているわけでございます。

 これをベースにやり出しますと、ほとんど全国的にはそんな例が余りなかなか見えてこないということもございますので、今私たちの中でいろいろ御議論させていただいておりますのは、ちゃんとしたルートが連続的に確保できるかどうかといったような視点やら、あるいは、交差ルート、交差道路と交わっていないかどうかといったようなところをチェックする。例えばそういうような、もともとの施設の前提条件みたいなところを今委員会の中でもいろいろ御議論いただいているという状態でございます。

 詳細は、まだこれからもう少し煮詰めさせていただきたいというふうに思っておりますので、いましばらくその委員会の中での御議論をお待ちいただければ幸いかと存じ上げます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 これは、どのルートを選定するにしましても、地方自治体との連携が非常に大切だと思います。国が大きな指針をつくった、しかし、それを落とし込んでいくためには自治体の協力というのは非常に大事だし、自治体みずからが積極的に取り組んでいくという姿勢が大切だと思いますけれども、地方自治体の役割についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 今まで、先ほど御紹介しましたように、スポーツサイクルの利用者に対しての手当て、例えばそれは、ある程度の間隔、例えば五キロとか十キロといったような間隔での休憩施設だったり、あるいは少し食事をしたりするような場所等の提供を地方の自治体の方々と連携しながらやっていく、そういうような背景が一つあると思います。

 また、一方で、町の中でのそういう自転車の安全あるいは快適な利活用を促進するということになると、今度は、駐輪場、自転車をとめるといったような場所、あるいは道路を横断するような施設をしっかりとつくってあげるというようなことを、国の方もそれを応援してあげるということに多分なると思いますけれども、やはり自治体がちゃんとしたみずからの計画をつくり、事業を進めていただくということが基本になると思われます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。ぜひ地方自治体と連携して、すばらしいルートをつくり上げていただきたいと思います。

 一点、今答弁にありましたように、スポーツサイクルは、時速が五十キロから六十キロというスピードが出て非常に危険性もありますから、安全面にも十分注意をして対応していかなけりゃいけないというふうに思います。

 最後に、本件に関して、非常にすばらしい施策だと思いますし、健康志向の中で、これは早期に実現をしていただきたいと思いますけれども、総合的な判断から見て、大臣、この件についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

太田国務大臣 サイクリングが、国民の健康増進、観光振興、いろいろな意味で注目をされていると思いますし、実際、スポーツサイクルの販売台数は大きく伸びていると。

 また、この政界におきましても、谷垣幹事長もそうですし、我が党の井上幹事長も、幹事長同士がサイクリングを愛好というか、そういうことで、これだけ多くの方が、国会議員でもサイクリングということを楽しんでいるということを改めて最近知りました。

 サイクリングでの国際大会等もヨーロッパ等では非常に盛んで、この間、さいたま市に行きましたら、ツール・ド・フランスのようなものをやるんだ、こういうことを言っていたりいたします。

 昨年十月に、先生のところのしまなみ海道で、これが高速道路本線を活用して八千人が参加するという大変な盛況であったと聞きまして、これはさらに盛り上がっていくのではないかというふうに思います。

 北海道でも、これはスポーツサイクルということかどうかは別にして、サイクリングで観光ということを大いに盛り上げようという動きも開始をされております。

 この流れを私は、サイクルルートをブランド化して国内外に広くPRすることが大変意義がある、こう思っておりまして、今、森道路局長からもありましたように、ナショナルサイクルルートについて検討を有識者会議で行い、そして、ルート自体で、途中で信号等でとまらないという連続的なものにするとか、あるいは休憩施設が一定の間隔で整備されるとか、さまざま、快適性をどう確保するかというようなことで、幅広く御意見を伺って、できるだけ早く制度を具体化してまいりたいというふうに思っています。

 三月の二十二日だったと記憶をしておりますが、尾道―松江間が通りまして、やまなみ街道からしまなみ海道ということで、島根、広島、愛媛がサイクリングによってつながるというようなことも大きなインパクトがあるのではないか、私はこのように思っております。

横山委員 大変前向きな答弁をいただいて、大変ありがとうございます。

 自公両党の幹事長が楽しまれておるということでございますけれども、維新の党の柿沢幹事長にも確認をしておきたいと思います。ぜひ、自、公、維新で、サイクリングを楽しみながら議論を深めたいというふうに思います。(発言する者あり)ああ、そうですね。選挙のときに乗っていますよね。ありがとうございます。

 続きまして、同じく情報でお聞きしましたけれども、次世代の自動料金収受システム、ETCの二・〇についてお聞かせをいただきたいと思います。

 これは、高速料金を割引する制度を来年度に同じく導入するということでございますけれども、同様、制度の概要についてお伺いをさせていただきたいと思います。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 ETC二・〇、今委員御指摘のシステムでございますが、これはこの八月から既に販売が開始されたというふうに聞き及んでおるところでございます。

 今までのETCというのは、皆さん御存じのように、料金所でただ単純に料金を自動で支払う、そういうシステムだったわけでございますが、それに加えまして、道路交通の状況を実際に把握したものをしっかりと私たちとやりとりし、それをもう一度また道路利用者にお返しのできるようなシステムということでございまして、高速道路上にそういうやりとりができるスポットというのが千六百カ所、既に整備がされているところでございます。

 この結果、今自動車を御利用されている方々の自動車にお持ちのカーナビゲーションシステムと連携して、広域的な渋滞情報あるいは経路別の料金といったようなものを踏まえた上での経路をしっかり選択できる、そういうようなことができますし、また、橋だとかに影響の大きい例えば大型車、これをある程度一定レベルのルートに集約して御利用いただくということでの、インフラに対する負担の軽減といったようなことにもぜひ使っていけるようなシステムではないかというふうに思っている次第でございます。

 特に、具体的には、このETC二・〇を使っていただきますと、例えば渋滞だとか事故だとか、これからの実際の制度の運用にもよりますけれども、例えば一旦高速道路をおりてからまた乗っても、初乗り料金を取らない、そこの部分については割引をしてお支払いいただくような制度といったようなものにも多分使っていけることになるんではないかというふうに思われます。

 また、先ほど申しました大型車につきましても、橋への影響、負担の少ないルート利用をしていただくという前提で、今、例えば重い車が走るときには手続をとっていただくわけですが、そういったものの手続もオミットする、要は省略をしていただくというような形での物流業者へのメリットもたくさんあるんではないかというふうに思います。

 また、行政側としても、そのデータを少し活用させていただくことで、事故がどこでたくさん起こっているかとか、どこで渋滞が起こっているかということに対しての効果的な行政の実施というものにも使えるというふうに理解をしているところでございます。

 ただ、いずれにしましても、できるだけ、このように道路サービスの可能性がどんどん広がっていく仕組みでございますので、利用者にとってわかりやすくて、そしてまた魅力的な機能をしっかりとアピールさせていただく、そういうことを通じまして道路を賢く使っていく、そういう制度に結びつけていければというふうに期待を込めているところでございます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 渋滞対策、それから情報の共有という点で大変すばらしいシステムだと思いますので、これも前向きで早期に進めていただきたいというふうに思います。

 時間も余りないので、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 河川の環境整備についてお聞かせいただきます。少し具体的に申し上げますと、水質日本一の川というのは、私が生まれましたそばの川で、愛媛県から高知に流れている仁淀川というのが水質日本一でございます。また、この仁淀川は、水辺利用ということでも全国一の川でございます。

 こうしたすばらしい川が全国各地にあると思いますけれども、水質の保全あるいは地域の環境整備も含めて、環境整備は、特に地域の方々が一体となってこれを進めていかなければならないと思いますけれども、この観点において、具体的にどういう形で環境整備をしているのかについてお聞かせいただきたいと思います。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 河川管理者として、従来より河川環境に関するさまざまな取り組みを行ってまいりましたが、平成九年の河川法改正により、それまでの治水、利水に加えて、河川環境の整備と保全が法の目的に加えられました。このことによって、現在は、より一層、河川環境の改善を行う取り組みを進めているところでございます。

 河川の水質につきましては、汚濁物質を含んだ川底の堆積物の除去などを実施しております。

 水辺の環境改善につきましては、地域住民との連携による清掃活動や、ごみの分布状況をまとめたマップの作成によるごみを減らす普及啓発等を行っております。

 生物がすみやすい河川環境の創出については、多自然川づくりを全ての川づくりの基本として取り組んでおるところでございます。具体的には、自然の川が有している瀬、ふち、それから水際の植生の保全、河川敷を掘り下げることによる湿地の再生、魚が移動できるような堰への魚道の設置などを実施しております。

 また、多くの人が水辺に親しんでもらえるように、まちづくりと一体となった魅力ある水辺空間の創出にも取り組んでおります。具体的には、川沿いを歩けるような散策路の整備、水辺に近づきやすいような階段状の護岸の整備などを実施しております。

 さらに、地域の皆様とともに、児童に対する自然体験活動や環境教育の場として河川を活用するなどの取り組みも行ってございます。

 引き続き、地域と一体となって河川環境に関する取り組みを推進してまいります。

横山委員 大変ありがとうございます。

 これは、河川というのは一旦汚染されるとなかなかもとに戻りにくいということで、特に上流側の課題が多いと思います。上流側に産業廃棄物の処分場などが出てきたら大変なことになると思いますので、他省庁とも法令を見ながら連携して、水質の保全に努めていただきたいと思います。

 最後に一点、営繕の関係の発注関係事務の件についてお聞かせいただきたいと思います。趣旨は、国交省の営繕業務につきましても、できるだけ地元業者に発注をしていただきたいということでございます。

 本年の一月三十日に出た指針を見ますと、各整備局の判断に任されているというような状況でありますけれども、大手ゼネコンに発注する部分と地元業者に発注する部分との関係でいいますと、具体的にどの程度の発注金額で大手に発注されておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

川元政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の営繕工事の発注における競争参加資格のうち、地域要件設定に当たりましては、極力、当該地域にかかわりを持つ企業を対象要件とするよう努めているところでございます。例えば、工事を担当する都道府県内に本店を有するといった要件を設定しております。

 一方で、適切な競争性の確保の観点も非常に重要ですので、工事の性格や地域の実情を踏まえ、工事の経験等の競争参加資格を満たす企業数が十分でない場合などには、対象地域の拡大、本店のみならず支店や営業所も可とするなどにより、適切な要件の設定となるようにしております。

 一方で、政府調達に関する協定などの適用対象となります工事については、地域要件の設定は行っていないというところでございます。

 今後とも、競争性の確保に留意しつつ、適切な地域要件の設定などにより、地元建設企業の受注機会の確保には最大限努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

横山委員 時間が参りましたので、一点だけ、質問にお答えいただいていないので。

 おおむねどのぐらいの発注金額で県外業者に発注されておるか。他の要件のいろいろな要件はわかりました。その件だけお答えいただきたいと思います。

川元政府参考人 答弁いたします。

 WTO対象になります約六億円程度でございますが、これについては地域要件を課していないということでございます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

今村委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 調布での墜落事故と安全対策について質問いたします。

 一昨日、調布で住民の方にお話を伺ってまいりました。事故機が墜落した家からちょうど家一軒分挟んだ距離にあるお宅に行ってきたんですけれども、その方はこうおっしゃっていました。遊覧飛行だったのではと言われているが、遊びのために住民が巻き添えに遭うのは理不尽だ、個人の遊びだけはやめてほしいと。そして、不時着する場所もない住宅密集地に飛行場があることがおかしい、こうもおっしゃっていました。

 あってはならない事故が今回起きてしまったわけですけれども、太田大臣は、今回の事故の国の責任についてどう考えているでしょうか。

太田国務大臣 二十六日の午前十一時ごろに、個人機が調布飛行場の南側にある住宅地に墜落するという航空事故が発生をいたしました。

 搭乗者二名、住民の方一名の計三名が死亡し、搭乗者三名、住民の方二名の計五名が負傷されるという事態になりまして、亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、負傷された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。

 直ちに国交省としては現地に職員やあるいは運輸安全委員会を派遣して、そして事故原因等々について今調査をしているところでございます。

 この国の責任ということについて御質問でありますが、一般論としまして、航空の安全確保の担当官庁というのは国交省でありまして、その責務に基づいて、原因の究明、再発防止の徹底をやっていく必要がある、このように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 原因の究明、再発防止のために全力を尽くすということですが、とにかく空の安全を守るのは国交省そして国交大臣の責任、これは明確だと思うんですね。ですから、本当に、何が足りなくて今回事故が防げなかったのか、絶対に事故を繰り返さないためには何が必要なのか、深い反省と知恵を尽くした安全対策の抜本的な強化が求められると思っております。

 調布飛行場の運用については、地元自治体との協定で、遊覧飛行は禁止されていたわけです。ところが、遊覧飛行は日常的に行われて、この協定違反が常態化していたと報道されております。四年前には調布市議会でも議論になっているわけですね。住民から、無許可の体験飛行に抗議し、協定遵守に関する意見書送付を求める陳情が出されて、調布市議会で全会一致で趣旨採択もされているわけであります。体験飛行の様子を動画でインターネットで投稿されているというのもあります。

 今回の事故後の報道では、エアロテック社に料金を払ってあの事故機で遊覧飛行をしたという証言まで出ているわけです。今回の飛行は慣熟飛行だと届けられているけれども、事実上の遊覧飛行だったのではないかという指摘が出ているわけです。

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、調布飛行場では、こういうように協定に違反して遊覧飛行が日常的に行われていた、こういう事実は把握されていたんでしょうか。

田村政府参考人 調布飛行場の運営に当たって、東京都と調布市、三鷹市、府中市との間で、遊覧飛行等のための使用を認めない、それから、年間総離着陸回数は二万三千回程度を上限とするというようなこと等を内容とする協定書が締結されていることは承知をしております。

 同飛行場の運用について、従来から、周辺住民との協議を踏まえて、設置管理者である東京都により、その使用方法等が規程類として定められているということでありますので、国交省として、それらの規程類に基づいて適切な管理がなされているかというようなことを立入検査における書類確認や報告徴収において確認しておりますけれども、これまでの検査では、協定等の違反の事実があったということは確認できておりません。

 現在、当該事実の確認を含めて調査を進めているところでありまして、その調査結果を踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 都から上がってきた報告を見て、それでどうかというのを見ていたという話なわけですけれども、実際、ぱっと今インターネットで検索しても、過去にどんどんやられていたということはよくわかるわけですね、これは。「飛行機をチャーターし、さあゴルフ旅へ。」こういうのが、私なんかがぱっと検索しただけでも出てくるわけですよね。ですから、相当常態化してこういうことが行われていた。市議会だって陳情が採択されるということなわけですね。

 ですから、都から情報が上がってくるのを待つということじゃなくて、やはり積極的に、空の安全を守るためには国が乗り出していく。それぞれ、いろいろな自治体で、各空港で、住民の安全を守るための地元ルールというのはあると思うんですよ。そういうものをやはり積極的に国として乗り出して把握する、そういう姿勢が必要だったんじゃないでしょうか。大臣、どう思われますか。

田村政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、都の設置管理する調布飛行場について、その設置管理が適切に行われているかということは、国がもちろん定期的に検査をするということであります。

 今回の事案を受けまして、今御指摘のような事態というものが常態化していたのかということも含めて、調査をしていきたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 調査するということですけれども、これは全国的にいろいろなルールがあると思いますので、調布飛行場以外も含めて徹底した調査をやって、地元のルールだから地元の自治体任せということになってはならないということを強く申し述べておきたいと思います。

 そして、大型機よりも小型機は事故率が高い、中でも自家用飛行機は事故率が高いわけです。住宅密集地にある調布飛行場の特殊性から考えても、自家用機の離発着の禁止を国としても管理者である都に対して働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 調布飛行場の運用につきましては、従来から、周辺住民との協議を踏まえて、設置管理者である東京都によりましてその使用方法等が定められています。

 東京都としては、現在行われている運輸安全委員会による事故調査の結果を踏まえ、再発防止策の徹底を含め、安全対策の強化を図る方針である、このように聞いています。

 国交省としましては、そうした使用方法も含めまして、今後も、安全対策を徹底した上で適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら必要な対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 だから、適切な使用方法といった場合、絶対事故を起こさないというのが一番適切な方法なわけですよ。とりわけ、これは住宅密集地にあるわけですよね。不時着する場所もないわけですよ、南側に限って言えば。全くないですよ、全部住宅密集地の上を飛んでいくということになっているわけですから。そういうことを考えたら、住民を巻き込むような事故を絶対起こさないということを考えたら、これはやはり自家用機はだめという方向で国としても決断をぜひしていただきたいということを強く言っておきたいと思います。

 その上で、小型機の安全対策の強化についてお伺いしたいと思います。

 運輸安全委員会の資料では、小型機の事故は八割が人的要因で起きております。パイロットの個人の自覚任せ、技量任せでない、組織的な安全対策が必要になっていると思います。今回の事故でいえば、エンジンの試運転がちゃんと行われていなかったのではないのか、気温が高い中、過積載になっていたのではないのか、こういうことをいろいろ言われているわけですよね。

 先ほど高木委員とのやりとりの中では、航空局長は、安全に出発するのは機長としてはイロハのイだというお話もありました。ですけれども、このイロハのイがちゃんとやられているのかどうかというのをチェックする仕組みというのはどこにもないわけですよね。安全に飛ぶことができるのかどうか、離陸前に第三者が確認する仕組みなど、個人のミスを組織的に防ぐ対策というのも考えていく必要があるんじゃないかと思っております。

 先ほど田村局長も、航空法で、機長は、運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ航空機を出発させてはならないんだ、こうあるとおっしゃいました。これを実際に担保する仕組み、法律に書いてあるだけで担保になるわけじゃないですから、国のこれまでの監督体制を改めて、この航空法七十三条の二にある規定を担保する仕組みをこの際つくる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 今御指摘のように、出発前にしっかりと点検をするというふうなことはイロハのイであるわけでございますけれども、これまでも、小型機の安全対策について、操縦士個人の技量の確保ということではなくて、ちょっと組織という意味が違いますけれども、操縦士団体等の関係団体とも連携をして、安全講習会の開催など、個人を組織で運航安全の面から支援する取り組みというものも行ってきたところでございます。

 今回の事故も含めまして、ことしに入って小型航空機の事故等が目立って発生しているということもありますので、去る七月二十七日には、運航者団体等に対しまして、機体の点検整備の確実な実施、それから運航にかかわる法令、手順の遵守等を通じて、運航の安全確保について万全を期すよう指示したところでございます。

 また、今先生御指摘のように、第三者がチェックすべきではないかというような御提案もありましたけれども、そういったことも含めまして、今後、事故原因についての調査が進んだ、その進捗を踏まえまして、さらに必要となる対策について検討をしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 事故原因の調査が進んでという話ですけれども、事故原因の調査を踏まえるのは当然ですけれども、現段階でもこれだけ報道があるわけですよね。現に、今、出発前の点検というのはやはり機長任せになって、今回だって、試運転をしたのかどうかというのは最終的にまだ全然わからない状況なわけですよ。そういう状況でいいのかということが問われていると思いますので、国が、本当に安全に飛び立てるような仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。

 さらに、組織的な安全対策という点では、調布飛行場は管制官がいなくなったという問題があります。先ほども議論がありました。

 管制官は、空の安全を守る上で非常に大事な役割を果たしております。管制官のいる空港では、例えば今回問題になっているエンジンの試運転、エンジンランナップコンプリート、こういうやりとりは管制官とやるということになっているわけであります。

 そして、一九九七年に地元三市が都と受け入れ協定を結ぶ際に、その二十七項目の条件の一つが、管制官を引き続き置き続けることというのが、そもそものこの調布飛行場を正式に開設するときの条件になっていたわけですよね。

 ところが、九九年に国が管制業務から撤退したいと言い始めて、二〇〇二年、二〇〇四年、二〇〇五年と、何度も管制官を撤退させてくれと言う。そのたびに、地元市も東京都も、管制官は置き続けてくれと言ってきたわけです。にもかかわらず、国は、二〇〇六年に管制官を置くのをやめた。こういうところに、私は、国の安全に対する姿勢というのがあらわれているんじゃないかと厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 それで、先ほど田村局長は、調布の飛行場は有視界方式の飛行が多いから管制官がなくても安全が保たれているんだという答弁をされておりましたけれども、調布飛行場は二年前から定期便については悪天候の際の計器飛行も行われるようになっております。そして昨年には、三宅島便の空路が羽田から調布にやってきました。それで便数もふえているわけですね。さらに、ことしの十月には羽田―大島便も廃止されて、これでまた調布でふえるんじゃないかということも言われているわけですよね。

 空の安全を守るために、管制官を置く必要性は調布飛行場ではますます高まっているんじゃないかと思いますが、ぜひ調布飛行場に管制官を再配置していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、空港等でどのような航空保安業務を提供するかということにつきましては、安全の確保を大前提とした上で、交通量を初めとした各空港の個別の状況に応じて判断をしているところでございます。

 調布飛行場につきましては、その離着陸回数というのはピーク時の半分以下、三分の一、四分の一というような状況に減少したということ、それから、パイロットの責任のもとに飛行する有視界飛行方式による飛行というものが圧倒的多数である、こういった状況を踏まえまして、東京都と協議の上、平成十八年より、パイロットが必要な情報を得ながらその責任において離着陸する方式として、飛行場管制業務の提供を終了したところでございます。

 現在の調布飛行場における交通量や運航の実態というものを見ますと、この平成十八年当時と比較しても、少しずつふえているとは申しましても、大きな変化はございません。航空保安業務の提供体制というものは、安全の確保のために十分なものとなっているというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 二〇〇六年のときとの比較のグラフを国交省につくっていただきましたけれども、これを見れば、先ほど言いましたように、それこそ管制官が必要な計器飛行が求められる定期便がぐっとふえているんですね。二千九百回から四千八百回にふえているわけですよ。こういうところもちゃんと見なきゃいけないんじゃないかと思います。

 そして、交通量の問題を言われましたけれども、八尾空港、先ほど高木委員への答弁にもありましたけれども、八尾空港には管制官がいますよ。八尾空港は調布よりも離発着回数は少ないです。調布の方が多いですよ。そういうことを考えても、再配置の必要性は明らかだというふうに思います。

 次に、調布飛行場の危険性についてお伺いしたいと思います。

 一九八〇年に、調布中学校の校庭に小型機が墜落したとき、グラウンドでは野球部員二十七人がバックネット付近にいて、練習を始めようというやさきでした。生徒を巻き込んだ大惨事になる寸前だったわけですね。

 そして、二〇〇五年、調布飛行場に着陸目前で田無高校に小型機が不時着をしました。当時、グラウンドでは八十人ほどの生徒が部活中で、一人の生徒は翼の上を飛び越えてよけた、こう報道されております。あわや大惨事だったわけです、このケースも。

 調布飛行場は、先ほども言いましたけれども、住宅密集地である上に不時着する場所もないわけですよね。そして、管制官がいない空港の中では図抜けて離発着回数も多いということになっております。大臣自身は、この調布飛行場の危険性についてどう認識されているでしょうか。

太田国務大臣 空港の設置許可に当たりましては、空港の周辺に航空機の離着陸に支障となる建築物等がないこと、各空港の規模に適合した滑走路、着陸帯及び誘導路を有するものであること等によりまして、空港の安全性を確認しているところです。

 この調布飛行場につきましても、それらの基準により審査を行った上で、東京都からの申請により許可を行っているところです。

 また、運用面におきましても、適切な管理がなされているかについて、空港の管理者に対しまして定期的に立入検査を実施しているという状況でございます。

 国交省としましては、運航の安全の確保を含めて、引き続き、安全対策を徹底した上で適切な運用が図られるよう、東京都とも十分な連携をしながら、必要に応じて対応してまいりたい、このように考えております。

宮本(徹)委員 設置基準を満たしたら安全だということにはならないと思うんですよね。私は、今回ちょっと調べるので専門的な論文なんかを見ましたけれども、住宅密集地にあって不時着する場所がないというのは、飛行場の場所としては最も不適切だというふうに大体何を見ても書いてありますよ。ですから、設置基準を満たしているから大丈夫ということではないと思うんですよね。誰が見ても、こういう場所に空港があるのは適切ではないということだと思います。

 そもそも、調布飛行場は、米軍から返還されるときに、三年以内に代替地を探すというのが国の約束でした。

 そして、一九八〇年の調布中学への墜落事故後、運輸省も当時、今後は選定範囲を関東一円にまで広げると言って探そうとした。当時の塩川正十郎運輸大臣も国会で、必ず移転の適地を探すと答弁していた経過があるわけですね。しかし、この約束は果たされなかったということで、この調布飛行場は存続し続けるということになったわけであります。離島の足を確保しなければいけないというのは当然ですけれども、今回の事故でも、調布飛行場の危険性というのは明らかだと思うんですよね。

 ですから、塩川大臣の約束の原点に立ち返って、定期便の代替空港を確保して、調布飛行場は移転する、こういう根本的な安全対策を国としても検討すべきではないかということを申し述べて、質問時間になっておりますので、質問を終わりたいと思います。

今村委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 空の安全にかかわって、住民の皆さんの安全にかかわって質問をさせていただきます。

 七月二十一日、アメリカ軍のヘリコプターから銃弾、空包三発が静岡県小山町の小山中学校に落下をした事故がございました。当日は、この米軍機は異常なほどの低空飛行で、騒音で赤ちゃんが寝つかれず、ぐずって困ったというお母さんの声も聞いております。この空包落下事故の原因究明と再発防止策はどうなっているのか。

 また、今回落下をさせた米軍機について、厚木基地の監視活動を続けておられる大和市平和委員会の皆さんからの情報で、しんぶん赤旗が報道をいたしました。

 今回の訓練は、アメリカのワシントン州ルイス・マコード統合基地の陸軍第百六十特殊作戦航空連隊第四大隊、通称ナイトストーカーズと言われるそうですけれども、の特殊作戦ヘリコプターMH60Mブラックホーク三機が強襲作戦訓練を行っていたのではないかというふうに指摘をされております。この部隊は、パキスタンでビンラディン暗殺作戦など、強襲作戦に投入されたアメリカ軍の精鋭の部隊だという報道もあります。

 そこで、確認をさせていただきますけれども、空包を落下させたのはどこの基地所属の軍用機か、どういう機種であったか、また、異常な低空飛行をなぜ行っていたのか。東富士演習場の使用計画以上の詳しい訓練内容もお示しいただきたいと思います。まず、防衛省に伺いたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案は、先月七月二十一日、静岡県小山町の小山中学校におきまして空包三発が発見され、米軍に確認したところ、翌二十二日、米側から、キャンプ富士で訓練中の米陸軍のヘリコプターから落下したものであるとの回答があったことから、南関東防衛局から関係自治体等に対し、速やかに情報提供したところでございます。

 米側からは徹底した原因究明を行うとともに再発防止に努める旨の説明がございましたが、原因、再発防止策、当該航空機の所属基地、機種について、現時点では米側からの回答はございません。今後、米側から情報が得られ次第、関係自治体等に対し、速やかに情報提供してまいりたいと考えております。

 また、当日の訓練内容につきましては、米軍の運用にかかわることであり、防衛省として承知をしておりませんが、陸上自衛隊富士学校から関係自治体等に通知した東富士演習場週間使用計画によれば、東富士演習場全域で、空包を使用した訓練及びヘリコプターを使用した発着訓練を予定していたものと承知をしております。

本村(伸)委員 詳しい訓練内容はその使用計画以上のものを述べていただきたいというふうに述べたわけですけれども、使用計画以上のものは出てこない。事故を起こしたときでさえ、なかなか、私たち、住民の皆さんや国会議員に対しても情報が公開されないというのは本当におかしいというふうに思います。

 この小山町や静岡県、裾野市、御殿場市、そして東富士演習場地域農民再建連盟の皆さんが、二十四日、要望書を出されておりますけれども、どのようなものであったか、それに対して防衛省としてどのように対応されたのか、米軍の反応はどういうものであったか。少なくとも市街地は飛ばないと約束させるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 先月七月二十四日、御殿場市長、裾野市長、小山町長、東富士演習場地域農民再建連盟委員長及び静岡県知事から連名で防衛大臣に対し、「1 米側に対し、当該事項に関する原因を早急に究明するとともに、適切な再発防止策を講ずるよう強く求めること。 また、これらについての情報を地元等に開示すること。」「2 航空機の飛行については、厚生施設、文教施設及び居住地上空の飛行を避け、安全性を確保するよう米側に強く求めるとともに、自衛隊においても安全対策に万全を期すること。」との御要請がございました。

 これを受けまして、同月二十九日、南関東防衛局から在日米陸軍司令部に対し、当該要請内容を伝えたところでございます。その際、米側からは、周辺住民の方々に御懸念や御心配をおかけしたことは遺憾であり、今後、米陸軍として適切に対応する旨の回答があったところでございます。

 また、自衛隊におきましては、東富士演習場で定められている規則にのっとり、市街地上空の飛行は極力避けているところでございますが、同要請内容については改めて伝えたところでございます。

 また、米側に対しましては、航空機の運用に際しましては、市街地上空の飛行は極力避けることを含め、住民の方々への最大限の配慮を求めるとともに安全管理の徹底等を求めてきたところでございますが、今後とも機会あるごとに米側に配慮を求めてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 米軍の反応はいかがだったでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 米側からは、周辺住民の方々に御懸念や御心配をおかけしたことは遺憾であり、今後、米陸軍として適切に対応する旨の回答があったところでございます。

本村(伸)委員 この空包の落下事故の原因究明はまだできていないわけですから、私は訓練をとめるべきだというふうに思います。

 しかし、実際には、使用計画を見てみましても、きょうを含めます八月二日から八月八日までの間、空包を使用し、四機のヘリが発着訓練を行うということになっておりますし、その前の週も同じような訓練をやるということが出されております。

 原因究明もなされていないのに訓練を続け、そして住民の皆さんに不安な思いをさせているのに詳しい訓練状況も教えないというのはおかしいというふうに思いますけれども、これは国土交通大臣に認識をお伺いしたいというふうに思います。政治家として。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機からの落下物については、住民の方々に大きな不安を与えるものとして、まことに遺憾でございます。防衛省として、米側に対し、事案の発生後、こうした遺憾の意を伝えるとともに、原因究明と再発防止を申し入れているところでございます。

 今後、米側から情報が得られ次第、関係自治体等に対し、速やかに情報提供してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 在日米軍については、情報がなかなか開示をされない、事故が起こったときでさえ情報が開示されないということが、私は主権の問題として本当にあるというふうに思っております。

 情報を開示させ、空の安全を守らせるという毅然とした対応を求め、質問を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

今村委員長 次に、内閣提出、航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 航空法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 無人航空機は、昨今急速に普及し、撮影、農薬散布、インフラ点検等の分野で利用が広がっています。その一方で、人が密集している場所へ落下する事案が発生するなど、その安全性に対する懸念が生じているところです。

 このため、無人航空機の飛行を禁止する空域及び飛行の方法等の基本的なルールを定めることにより、無人航空機の安全な飛行を確保し、航空機の運航や地上の人等への影響を防止することが必要です。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるものを無人航空機と定義しております。

 第二に、空港周辺等の空域や人家が密集している地域の上空においては、国土交通大臣の許可を受けなければ、無人航空機を飛行させてはならないこととしております。

 第三に、無人航空機を飛行させる際は、国土交通大臣の承認を受けた場合を除いて、日中において、目視できる範囲で、人や物件との距離を保って飛行させなければならないこと等としております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願いいたします。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十五分散会


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