第4号 平成28年3月30日(水曜日)
平成二十八年三月三十日(水曜日)午後二時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 秋元 司君 理事 秋本 真利君
理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君
理事 鈴木 憲和君 理事 津村 啓介君
理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君
井上 貴博君 今村 雅弘君
岩田 和親君 大隈 和英君
大塚 高司君 大見 正君
加藤 鮎子君 門 博文君
金子万寿夫君 神谷 昇君
木内 均君 工藤 彰三君
小池百合子君 國場幸之助君
今野 智博君 佐々木 紀君
斎藤 洋明君 瀬戸 隆一君
武井 俊輔君 津島 淳君
中谷 真一君 中村 裕之君
丹羽 秀樹君 西村 明宏君
根本 幸典君 堀井 学君
堀内 詔子君 前田 一男君
宮内 秀樹君 宮澤 博行君
山本 公一君 荒井 聰君
緒方林太郎君 神山 洋介君
菊田真紀子君 黒岩 宇洋君
小宮山泰子君 田嶋 要君
横山 博幸君 岡本 三成君
北側 一雄君 中川 康洋君
穀田 恵二君 本村 伸子君
井上 英孝君 椎木 保君
野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 山本 順三君
防衛副大臣 若宮 健嗣君
国土交通大臣政務官 宮内 秀樹君
国土交通大臣政務官 津島 淳君
政府参考人
(内閣官房水循環政策本部事務局長) 北村 匡君
政府参考人
(消費者庁審議官) 井内 正敏君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 正朗君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長) 福田 祐典君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 金尾 健司君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 森 昌文君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 菊地身智雄君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 佐藤 善信君
政府参考人
(国土交通省北海道局長) 岡部 和憲君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
政府参考人
(気象庁長官) 西出 則武君
政府参考人
(原子力規制庁次長) 荻野 徹君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
野間 健君 山井 和則君
同日
辞任 補欠選任
山井 和則君 野間 健君
同月三十日
辞任 補欠選任
大西 英男君 佐々木 紀君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
佐田玄一郎君 中谷 真一君
中村 裕之君 大隈 和英君
前田 一男君 根本 幸典君
望月 義夫君 堀内 詔子君
泉 健太君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
大隈 和英君 井上 貴博君
佐々木 紀君 金子万寿夫君
瀬戸 隆一君 工藤 彰三君
中谷 真一君 佐田玄一郎君
根本 幸典君 前田 一男君
堀内 詔子君 丹羽 秀樹君
緒方林太郎君 菊田真紀子君
同日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 大見 正君
金子万寿夫君 大西 英男君
丹羽 秀樹君 國場幸之助君
菊田真紀子君 田嶋 要君
同日
辞任 補欠選任
大見 正君 中村 裕之君
國場幸之助君 武井 俊輔君
田嶋 要君 泉 健太君
同日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 望月 義夫君
同日
理事野間健君同月二十八日委員辞任につき、その補欠として水戸将史君が理事に当選した。
同日
理事泉健太君同日委員辞任につき、その補欠として津村啓介君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○谷委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に
津村 啓介君 及び 水戸 将史君
を指名いたします。
――――◇―――――
○谷委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長金尾健司君、道路局長森昌文君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、北海道局長岡部和憲君、観光庁長官田村明比古君、気象庁長官西出則武君、内閣官房水循環政策本部事務局長北村匡君、消費者庁審議官井内正敏君、文部科学省研究開発局長田中正朗君、厚生労働省生活衛生・食品安全部長福田祐典君、原子力規制庁次長荻野徹君及び防衛省大臣官房審議官山本達夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。
○堀井委員 自由民主党の堀井学でございます。
質問の機会を与えていただきました谷委員長を初め筆頭理事、理事の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
では、早速質問に移らせていただきたいと思います。
我が国では、近年、大型化する台風や低気圧によってもたらされる高潮や越波による災害が日本各地で頻繁に起こっております。
北海道の根室市では、一月十九日に発生した大型低気圧によって、四千六十九世帯、九千七百人が避難するという事案が起こっており、当市においては、二十六年十二月、さらには二十七年十月と、毎年のように高潮による災害に見舞われております。
このほか、北海道の太平洋沿岸地域においては、高潮により国道の通行どめ、鉄路の破損、防波堤の破損、海岸線の侵食、越波による漁場や住宅破損の事案が増加傾向にあります。
この近年の日本全体で頻繁に起きている高潮の状況に対して、気象庁はどのように把握しているのか。また、あわせて、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCでありますが、国際的な組織で数千人の専門家により世界の気候変動について最新の研究成果を評価していますが、このIPCCにおいて地球全体の海面水位についてどのように予測されているのか、最初にお伺いします。
○西出政府参考人 根室市を中心とする北海道東部沿岸においては、近年、台風や発達した低気圧による高潮が相次いで発生いたしました。
委員御指摘のことし一月十九日の事案では、根室市において平常の潮位よりも八十五センチ高くなった高潮が発生しました。また、平成二十六年十二月の事案では百四十二センチ、平成二十七年十月の事案では百十四センチ高くなった高潮を観測しております。
一方で、我が国全体の高潮の発生傾向については、平成十六年には、多数の台風により五十センチ以上の高潮を百十回程度観測しておりますが、それ以外の年はおおむね四十回以下であり、これまでの観測データからは、必ずしも増加している状況ではありません。
他方、委員御指摘のIPCCの報告によれば、地球温暖化の進展に伴い、世界の平均海面水位は、一九八六年から二〇〇五年の二十年平均を基準として、二〇八一年から二一〇〇年の二十年平均で、二十六センチから八十二センチの範囲で上昇する可能性が高いと予測されております。この結果、極端に高い潮位の発生が将来大幅に増加すると予測されております。
○堀井委員 私も海岸線に住んでいるわけでありますけれども、選挙区が海岸線に面して幅が約三百キロ近くもあるものですから、国道を使って車で移動することがよくあります。その際、今まで感じたことのない恐怖を感じる高潮に遭遇することもあります。年々潮位が高くなっているのではないか、これは私だけが感じているのではなく、海岸線に暮らしている地域住民はそれ以上に恐怖を感じているものと思います。
今後、IPCCの将来予測が、未来に向かって海面上昇が最大で八十二センチも上昇する可能性があるということでありますから、四方を海に囲まれている我が国においては、これからより一層、海岸線の国土強靱化を図ることが急務である、重要であると考えております。
海岸線強化の予算措置はこれまでも迅速に行っていただいておりましたが、そのスピードを上回る速さで自然の猛威は我々に襲いかかってきております。早急に対応していく政策の推進と予算の拡充を図るべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
四方を海に囲まれた我が国におきまして、近年、局地化、集中化、激甚化している水災害や、南海トラフ地震を初めとする切迫する巨大地震への対応など、国民の安全、安心の確保につきましては我が国の重要な課題の一つと認識しております。
海岸線の強靱化に向けましては、海岸保全施設の整備等のハード対策に加えまして、水門、陸閘等の操作規則の整備あるいは防災訓練の実施等のソフト対策もあわせて進める必要がございます。
国民の生命財産を守り、我が国の経済成長にも資する海岸保全施設につきましては、全国の海岸管理者から整備促進の要望が多数寄せられております。
そのような地元の声も踏まえながら、限られた予算の中でコスト縮減を進め、海岸事業の効率的、効果的な執行に努めながらしっかりと対応してまいりたいと思っております。
○堀井委員 ありがとうございました。
私も、国土交通省総枠の予算の確保に向けて努力してまいりたいと思います。
次に、ビッグデータの活用についてお伺いいたします。
日本の天気予報は、世界からも注目され、その緻密な予測と精度の高さに関心が寄せられているとお聞きをしております。そこには、これまでの気象にかかわる全ての情報が集積されたビッグデータが大いに貢献していると伺っております。近年の気候変動による異常な災害が発生しており、国民に対して、早い段階で危険を回避するための正しい情報の伝達がこれまで以上に求められております。
そこで、文部科学省の予算の中で、我が国が誇る最先端のビッグデータと人工知能の研究が進められていると承知をしております。DIASというものでありますが、この活用を政府全体で取り組みを進めることが必要と考えますが、このDIASについて文部科学省から御見解をお伺いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、近年、地球温暖化等の影響によりまして、台風や豪雨に伴う洪水被害等が増大していると言われております。
文部科学省におきましては、最先端の科学技術を活用いたしまして、地球観測・予測情報などのビッグデータを統合、解析して、さまざまな課題の解決に貢献する社会基盤といたしまして、データ統合・解析システム、略称DIASの研究開発を進めております。
このDIASを活用するアプリケーションの一つといたしまして、気象観測データや土地利用データ等のビッグデータをリアルタイムで統合、解析し、河川の流量を高精度に予測することで、河川管理に活用するシステムの研究も行っております。この研究成果が実装されていけば、洪水被害の軽減にも貢献できるものと考えております。
平成二十八年度からは、このDIASを中核とした地球環境情報プラットフォームを構築いたしまして、ユーザーニーズを踏まえた産学官の利用拡大、長期運用体制の構築を図るプログラムを開始する予定でございます。
この中で、国土交通省等の関係府省とも連携をしながら、防災に貢献する河川管理アプリケーションの研究開発及び社会実装に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○堀井委員 国土交通委員会で文部科学省にもお越しいただいて御答弁いただきました。ありがとうございました。
どうしてもこのDIASのすばらしさを皆様にも御評価いただきたく、また、政府一体の取り組みとして、国交省または各省庁が連携をして日本で起こり得るあらゆる災害に対応し、国民の生命財産を守っていただく活用を、我が国の最先端の英知の結集であるDIASを通してつくり出せるようお願いをするものであります。
大臣が戻ってこられましたので、次の、北海道新幹線について質問させていただきたいと思います。
御存じのとおり、先週、三月二十六日土曜日、北海道民の夢、待ちに待った北海道新幹線が開業いたしました。当委員会所属の前田委員のお膝元でありますが、開業後すぐの一般質疑でありますので、今回は私からお伺いさせていただきたいと思います。
北海道新幹線は、東京から新函館北斗を最速四時間二分で結びます。来訪者数が年間約十三万人増の約六十二万人となり、約百三十六億円の経済波及効果と試算をされております。
完成に至るまでの歴史を顧みれば、一九五四年、昭和二十九年の青函連絡船の洞爺丸事故の発生から青函トンネル建設計画が本格的に動き出しました。その後、一九六四年、昭和三十九年に工事を開始、一九七一年、昭和四十六年に新幹線が走行できるように計画変更、そして一九八七年、昭和六十二年、二十三年の歳月をかけて青函トンネルを完成させました。
先人たちが今から四十五年も前に、北海道にいつか必ず新幹線を開通させるという壮大な計画に挑戦されたことによって今を迎えることができております。開業に至るまでの険しき長き道のりを歩み続け、幾多の困難を乗り越え、今日の北海道新幹線があります。長年にわたって御尽力いただいた全ての方々に心から感謝するものであります。
大臣からもぜひ、北海道新幹線開業の祝意とこれからの期待、先人たちの労をねぎらっていただければと思います。
○石井国務大臣 三月二十六日に北海道新幹線新青森―新函館北斗間が開業いたしました。
私も当日、新函館北斗駅におきまして一番列車を地元の皆様と一緒に見送らせていただきまして、地元の皆様からは、本当に長い間待ちに待った悲願の新幹線が出発するということで、大変熱気あふれた歓迎ぶりでございまして、私も大変感動したところでございます。
今回の開業によりまして、例えば、最速でいいますと、新函館北斗駅から新青森駅までは一時間一分、仙台までは二時間三十分、大宮までは三時間三十八分、東京までは四時間二分ということでございますので、青函エリアや道南地域と東北地方、関東地方は大きく近づくことになり、各地域における取り組みと相まって、観光面を含めた交流が活発化し、地域経済が活性化するものと期待をしております。
北海道新幹線は、昭和四十八年の整備計画決定以来四十年以上にわたりまして、途中いろいろな紆余曲折はございましたけれども、整備が進められてまいりました。
この間、青函トンネルは、掘削開始以来二十三年間の工事の後、昭和六十三年に開通をいたしまして、その後、議論を重ねた上で、平成十六年に北海道新幹線の着工が決定され、ついに青函トンネルを活用する形で今回の開業に至ったものでございます。
こういった経緯を踏まえますと、このたびの開業は、まさに長年整備に携わってこられた方々の御苦労、御尽力のたまものであり、関係者の方々には深く敬意を表するとともに、改めて新幹線を待ちわびてこられた皆様に心からお祝いを申し上げたいと存じます。
○堀井委員 石井大臣におかれましては、三月二十六日の開業セレモニーに御出席いただいて、北海道新幹線開業に花を添えていただきました。今後は、開業の経済効果を最大限に引き出せるように我々も取り組む所存でございます。
北海道の新幹線、夢はまだまだ続いてまいります。先人たちの先見の明によって津軽海峡を越えて新函館北斗まで開業いたしたわけであります。先人からのバトンは我々に託されたのであります。これからは、私たちが五十年後の未来を担う世代に誇れるものをつくり、残し、引き継ぐ使命がございます。
そこで、札幌延伸までのことについてでありますが、昨年一月に、従来の二〇三五年開通予定を五年前倒しで決定をしていただきました。二〇三一年春開業予定となったわけであります。これには大変感謝をするところであります。
その一方で、北海道では、二〇二六年または二〇三〇年に冬季オリンピック・パラリンピックを招致する方向で北海道知事、札幌市長との間で合意が図られているのであります。まだまだ開催招致に向けて取り組みがスタートしたばかりでありますが、仮に招致が成功した場合には、北海道新幹線のさらなる工期短縮がもちろん望まれることになります。
また、沿線自治体を初め北海道を代表する経済界の方々からは、札幌駅周辺の工事に多くの時間を要するとして、中間地点である、ニセコリゾートのある倶知安を適時開業してほしいという声が高まっております。特にニセコ町は、世界のリゾートホテルが近年相次いで開業を予定しており、北海道の冬の魅力とウインタースポーツを楽しむ観光地として世界の旅行者から大変大きな注目を集めているところであります。
また、札幌とニセコを結ぶ高速道路の延伸も、当委員会所属の中村代議士のもとでスピード感を持って順調に着々と進んでおりまして、新幹線札幌開業予定の中間年となる二〇二六年ごろの開通を目指しているわけであります。日本で一番新幹線の駅から近いインターになるという予定であり、ストック効果も大きく期待できるものとなります。我が国の重要課題である地方創生の観点から考えても、沿線自治体を活性化する国の取り組みと評価に値するものだと考えております。
中間地点となる倶知安、ニセコ早期開業について、また、あわせて、札幌延伸への国交省の決意をお伺いしたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
北海道新幹線の新函館北斗―札幌間、工事延長二百十一・七キロの事業でございますけれども、これにつきましては、ただいまお話がございましたように、昨年一月の政府・与党申し合わせにおきまして、完成、開業時期を従来の計画から五年前倒しして平成四十二年度末の完成、開業を目指すということにしたところでございます。
北海道の関係の皆様からは、さらなる早期開業などを求める大変大きな期待、お声があることはよく承知しておりますけれども、国土交通省としましては、まずは予定どおりに完成、開業を迎えるということに向けて着実に整備を推進してまいりたいと考えております。
○堀井委員 札幌延伸の決意をいただきまして、ありがとうございます。これも先ほどと同じ話になりますけれども、我々も引き続き予算獲得にしっかり頑張ってまいることをこの場をかりてお誓い申し上げたいと思います。
新たな工期短縮に向けては、二〇二六年または二〇三〇年冬季オリンピック・パラリンピックの招致成功が鍵を握っていると私は考えております。倶知安、ニセコがスキー競技のメーン会場となるわけでありますから、その際はまた改めて御質問させていただきたいというふうに思います。
次は、北海道新幹線の運行を担うJR北海道についてであります。
北海道新幹線の開業の明るい話題の一方で、JR北海道の厳しい経営状況と関連する諸問題についても伺わなくてはなりません。
現在、JR北海道は、地方の市や町を結ぶローカル線の列車の減便や駅の廃止の検討を進めております。また、特に経営上厳しい、採算の合わない路線に関しては、公表するなどして、対象となる区間は廃線の危機にさらされており、沿線住民より存続を望む声が数多く寄せられているところであります。
国においては、平成二十五年に交通政策基本法が制定されており、この法律に基づいて、政策の推進、予算措置がなされているものと考えております。もちろん、交通政策基本法は、これから近い将来、日本の交通全般にわたって起こり得る諸問題を解決するために制定されたものであります。これにより、地方公共団体が中心となって持続可能な地域公共ネットワークの形成を進めていくための法律や予算が設けられております。
JR北海道に対しては、一千二百億円の安全投資と修繕に対する追加支援を行っていたところであります。法律にのっとり、これを国の責務を果たしていると考えるならば、次は地方公共団体の責務を問うこととなります。
バス路線の維持とは違い、鉄路の維持には多額の費用が必要となります。地方公共団体の厳しい財政状況、またJR北海道の厳しい経営状況を踏まえた上で、北海道における地域の公共交通をどのように確保していくべきか、国土交通省の見解をお伺いいたします。
○藤田政府参考人 JR北海道の鉄道でございますけれども、路線によりましては、人口減少あるいは道路整備の進展を背景といたしまして、需要が大きく減少しておりまして、特に輸送人数の少ない路線で大きな赤字となっております。会社全体としても大変厳しい経営状況にございまして、今後より一層の収支改善に取り組む必要がございます。
鉄道は、大量の旅客を高速で輸送できる反面、線路や土木構造物などのインフラを維持するために多額の固定費用が必要な輸送機関でございます。こうした特性を踏まえながら、北海道の各地域におきまして、鉄道をどうやって維持するのか、あるいはまた別の選択肢があるのか、こういったことにつきまして、JR北海道のみならず、地域の関係者が一緒に考えていただく必要があるものと考えております。
その際、重要なことは、持続可能な公共交通の体系を構築していくということでございまして、国交省としましても、そうした地域の議論を促進しながら、また必要に応じて参画をし、さらに必要な支援をしてまいりたいと考えております。
○堀井委員 まずもって、JR北海道に対しての一千二百億円の追加支援には感謝するところであります。
地域の公共交通をどのように持続可能なものにしていくか、地域の関係者と一緒になって検討していくということであります。
そこで、このほどJR北海道は、平成二十六年度の線区別の収支状況を公表されました。JR北海道の全ての路線において赤字運行になっていることが明らかになったのであります。
特に一日利用五百人未満十二路線については、営業収益が少ない中で営業費用が膨大になっており、十二路線の合計は年間百億円のマイナスであります。私が驚いたのは、一日利用客八千人以上の路線、これは札幌市と近郊都市を結ぶ路線でありますが、この輸送密度の最も多い路線においても収支約五十一億円のマイナスとなっているところであります。今後の経営においても年間約四百億円、マイナス経営になることが予測されており、状況は極めて深刻であります。
冒頭申し上げたように、JR北海道においては、収支改善のため、減便、駅の廃止等検討を進めており、加えて、線区別の公表をされました。この五百人未満十二路線の対象となる地域の方々からは、廃線の対象となっているのではないかと不安や心配の声が寄せられております。
そこで、私は、北海道の路線維持の問題に関しては、主導権を変えるべきだと考えております。今後もJR北海道の主導のもとに収支改善を目指す方針で関係者間、地方公共団体との協議を重ねていくことは難航することが予測されます。ここは、国土交通省の主導のもとに、他省庁間連携を図り、あらゆる政策を動員させて地方を支援していく方針を示した上で、地方公共団体の責務を果たすことのできる持続可能な公共交通のあり方の判断を仰ぐ必要があると考えますが、主導権を国が受け持つことについて御見解を伺いたいと思います。
○藤田政府参考人 JR北海道の路線のあり方につきましては、まずはJR北海道自身が、路線ごとの利用状況や収支の状況、あるいは鉄道に求められる役割などを考慮した上で、地域の関係者の方々と十分に話し合っていただくことが必要であると考えております。
国といたしましては、交通政策基本法で考え方を示し、また、地域公共交通活性化再生法といった法律によりまして、こういった協議の枠組みを整備してまいっております。こうしたことを通じまして、JR北海道と地域の関係者の話し合いをまずは促進するとともに、その結果に応じて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○堀井委員 これは質問にはしませんが、今の御答弁を受けて、今の北海道の、JR北海道のさまざまな問題に対して、我々の胸中というか気持ちというものもちょっと伝えさせていただきたいなと思います。
まず第一に、本来は、今ある全ての路線をJR北海道には責任を持って運行していただきたい、それが現状厳しい経営状況でかなわぬのなら、国に路線維持をお願いしたい、これが地方で暮らす人々、地方公共団体の正直な気持ちであります。これから、交通政策基本法をもとに、JR北海道が、経営状況、運行収支を踏まえて、路線維持の判断を地方公共団体と合意形成を図って進めることになりますが、ここで言っておかなければならないことは、地方公共団体や路線沿線住民にとっては、路線を維持するための経費負担の責任と覚悟、鉄路からバス転換させ廃線を了承する大きな決断も、国からの政策支援が受けられる約束や対案なしに結論を出すことはできないものと私は考えております。
例えば、関係する沿線自治体が廃線を受け入れたとしましょう。バス転換を決断することで、例えば、高規格道路、五年前倒し開通され、利便性が今より充実する、こうした交渉はJR北海道にはできないということになります。国土交通省全体、国全体で地方を守るという責任のもとで、地方創生や一億総活躍社会につながるものとならなければならないと考えております。
地方路線、公共交通を維持することで地方の負担がふえることは、政府の取り組みと相反するものとなりかねません。そこで、主導権をJR北海道ではなく国に変える提案をさせていただきました。国鉄に戻れという意味ではないのであります。国が交渉の先頭に立って、地方公共団体、地域住民に寄り添って対応していただきたいのであります。
これは、JR北海道のより一層の収支改善を進め、経営を安定化させるため、地方の持続可能な公共交通のあり方に対する提案だと思っております。北海道全域の路線にかかわる北海道民の重要案件でありますので、今後も、この問題の解決を図るために多くの公的資金が必要となる事案になることが予測をされております。
委員長初め理事、各委員の皆様にも、この件については、今後、御支援、御協力をいただかなくてはならないものと考えております。
今後、経営改善、さらには路線維持、廃線やバス転換など、合意形成に至らない、または進展が見られない、長期間の問題になりかねないと想定される以上、一刻も早く法改正することや、または特区に指定するなど、そういった検討も視野に入れて政府全体で取り組む必要があるものだと考えております。
このことが、現状厳しいJR北海道の経営を助け、地域住民の公共交通の確保、地域住民の安心につながるということを指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
きょうは、時間をいただきましたので、三十分にわたり石井大臣初め国交省の皆様に御質問をさせていただきたいと思っております。
五問用意をさせていただきましたので、コンパクトに質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず初めに、これは事故後初めての委員会でございますのでお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、先般十七日に発生をいたしました山陽道八本松トンネル内での車両多重追突事故についてお伺いをさせていただきます。
この火災を伴う事故については、二名の方がとうとい命を失われるとともに、約七十名の方が負傷するという大惨事となりました。
公明党といたしましても、これまで現地調査や、さらには部会での議論を重ねてまいりましたが、昨日、石井大臣に対して、スプリンクラーなどトンネル非常用施設の設置基準の適切な見直しや、さらには衝突被害軽減ブレーキ搭載車への税制特例や購入補助制度の周知による新たな車両購入の促進など、五項目にわたる提言を提出させていただいたところでございます。
そこで、冒頭、大臣に伺いますが、今回の事故について、我が党からの提言の内容も含めた受けとめにつきましてお答えを願いたいと思っております。大臣、よろしくお願いいたします。
○石井国務大臣 まずは、この事故でお亡くなりになられたお二方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
また、このようにトラック輸送に対する信頼性を揺るがしかねない事故が発生したことは、まことに遺憾であります。
事故原因については警察において捜査中でありますが、国土交通省といたしましても、二十三日に事業用自動車事故調査委員会に調査を要請し、同委員会が調査に着手をしたところであります。
昨日公明党より御提言いただいた、道路トンネル非常用施設設置基準については、トンネル内で火災その他事故などが発生した場合の被害を最小限にとどめるために昭和五十六年に定めたもので、交通量とトンネル延長で決まる等級に応じて設置する設備を決定しております。
国土交通省といたしましては、今後の基準の取り扱いにつきましては、今般の事故原因や事故発生後の避難状況等を踏まえ、非常用施設の性能なども勘案しつつ、よく見きわめてまいりたいと考えております。
また、公明党よりいただいた提言も踏まえまして、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術の普及を図るため、税制特例や購入補助などの支援を行うとともに、その周知を図ってまいります。
いずれにいたしましても、原因究明や再発防止に向けまして、関係機関と連携をしながら適切に対応してまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
我が党といたしましても、何度か部会を重ねながら、昨日、この提言を出させていただいたわけでございますけれども、例えばこの非常用施設の設置基準につきましては、三十五年変更がされていなかったということで、やはり適切な見直しをぜひともお願いしたいと思っておりますし、先ほど大臣から答弁がありましたさまざまな安全性能につきましては、既に税制特例とか購入補助制度があるわけでございます。これの周知を図ることによって車両購入の買いかえ促進が進むようにお願いをさせていただきたいというふうにも思っております。
続いて、大臣、この件についてはちょっと通告をしていないんですが、同じ自動車事故関係ということで、ぜひお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
といいますのも、昨日、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきまして中間整理が取りまとめられたというふうに伺っております。私も昨夜、その中身につきまして国交省のホームページで拝見をさせていただいたところでございますが、この軽井沢スキーバス事故につきましても、十五名の方が亡くなるという大変に重大な事案でございました。
この機会に、ぜひ、この中間整理に対する大臣のお考え、さらには今後の再発防止に向けた大臣の決意についてお聞かせを願いたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○石井国務大臣 軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきましては、十三人の未来ある若者の命を一瞬にして奪った今回の事故発生から二カ月間、このような悲惨な事故を二度と繰り返さないという決意のもとに、七回にわたり議論を重ねていただきまして、中間整理を昨日まとめていただきました。山内委員長を初め、委員の皆様の御苦労に改めて感謝を申し上げたいと思います。
国土交通省といたしましては、今回の中間整理に掲げられた対策につきまして、悪質事業者に対する厳格な処分、新規雇い入れ運転者等への実技訓練やドライブレコーダー装置の義務づけ、利用者への貸し切りバス事業者名の提供、下限割れ運賃等の通報窓口の設置等、実施可能なものから速やかに実行に移してまいります。
対策の実効性を確保するためには、中間整理に示されたように、平成二十四年の関越道事故以降の対策を含むこれまでの安全対策を徹底的に再検証すること、関係事業者に法令遵守を改めて徹底をし、悪質事業者には市場からの退出を含め厳しい態度で臨むこと、利用者の視点に立ち、ソフト、ハード両面の施策を多面的に講ずることが重要であると考えております。
今後、検討委員会におきましては、このような具体的な考え方のもとに、再発防止に向けた総合的な対策の取りまとめに向け、引き続き御議論をいただくことになっております。
国土交通省といたしましては、検討の結果をしっかりと受けとめまして、速やかに実施に移すことによりまして、貸し切りバス事故の再発防止に万全を期してまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
大臣から具体的なお話をいただいたところでございますが、今回、中間整理ということで、特に速やかに実施できるものを中心におまとめをいただいたかというふうに思っております。
非常に短時間で具体的な内容をおまとめいただいたというふうに思いますが、今後さらに、総合的な対策ということで全てのものを細かく見直していただいて、そして、この事故が本当に重要な教訓になって次につながっていくような形をおとりいただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、グライダー及び小型飛行機の墜落事故、ちょっと前半、事故が続いて恐縮ですが、この件についてお伺いをしたいと思っております。
先般、千葉県において発生したグライダー墜落事故、及び、先日二十六日、これはまだ最近でございますが、大阪の八尾空港で起きた小型機の墜落事故について伺います。
このように、最近小型機の墜落事故が頻発をしておるわけでございますが、このグライダー墜落事故についてはまさしく民家に墜落をしたものでありますし、さらには、この小型機が墜落した八尾空港においても、この八尾空港、住宅地と非常に隣接した場所にあるわけでございます。今回は、両事案とも直接住民の方が負傷するということはありませんでしたが、これは一歩間違えれば、どちらも住民の方を巻き込んだ大惨事になりかねない事故でございました。
特に、少し統計を見てみますと、グライダー事故については、近年、その事故数が増しておりまして、平成二十六年には全国で五件、そして平成二十七年には八件という、大変多い状況がございます。
そこで伺いますが、これら航空事故については、まずは、地元住民の不安に応えるためにも早期の原因究明が必要になってくるわけでございますが、それに加えて、国は、早急にこれら事故に対しての再発防止策に取り組んでいただく必要があるのではないかというふうに思っておりますが、国交省のお考えを確認させていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
グライダーを含む小型航空機の安全対策につきましては、操縦士に定期的な技能審査を求める制度を平成二十六年四月に導入したほか、運航安全講習会を全国で主催するなどの取り組みを進めているところであります。
委員御指摘のとおり、小型航空機による事故が目立って発生していることから、昨年より、運航安全講習会におきまして、基本手順を遵守することの重要性を徹底する、定期的な操縦士の技能審査の際に運航の安全確保について指導する、整備に関する講習会を新たに開始するといった幅広い対策を推進しているところであります。
加えて、千葉のグライダー事故や八尾空港での事故も踏まえまして、国土交通省より、グライダーや小型航空機の運航者団体に対しまして、機体の整備点検の確実な実施、運航にかかわる手順の遵守等を通じて、運航の安全確保に万全を期すよう改めて指示をしたところであります。
また、八尾空港につきましては、空港管理者の立場から、空港に常駐する航空機の運航者等に対し一層の安全確保を求める指示を行っております。
その上で、八尾空港において運航者等が講じた措置について、国の職員により随時確認するということといたしております。
また、個別事案につきましても再発防止を図る観点から、千葉のグライダー事故につきましては、運航者に対し原因の究明と再発防止策の検討を指示しているところです。
今般の事故も踏まえまして、引き続き、運航者団体等の関係者とも連携し、運航の安全確保に向けて必要な措置を講じてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の千葉のグライダー事故についても、また八尾空港についても、どちらも民家に近いところに飛行場とか航空基地があるということで、一歩間違うと非常にやはり大惨事になる可能性があったと思っております。
八尾空港につきましては、私どもの樋口理事に現地調査をしていただきまして、また、千葉においては同僚議員が現地調査をさせていただきました。そんな中で、八尾空港においても、先ほどの答弁にも一部ありましたが、例えば、航空機の飛行計画の確認のあり方を見直す必要があるんじゃないか、こういった具体的な話も出たところでございます。
さらに、こういった具体的なところを鋭意検討していただいて、やはり大きな事故につながらない、今回の教訓を本当に、さらに安全が高まるような方向に持っていっていただきますように、よろしくお願いをしたいというふうに思っております。
続きまして、がらっと内容を変えさせていただきたいというふうに思っております。
続いては、この前、大臣が宣言をされました生産性革命元年、さらには昨年から国交省が非常に力を入れておりますインフラストック効果、この内容に関連して二点ほどお伺いをさせていただきます。
石井大臣は三月七日に開催されました国土交通省生産性革命本部第一回会合におきまして、本年を生産性革命元年と位置づけ取り組むことを宣言されるのとともに、その最重要課題として、社会のベースの生産性を高めるプロジェクトとしてのピンポイント渋滞対策を挙げられております。私は、今回のこの大臣のお考えに全く同感をする一人でございます。
ここで、その一例を挙げてみたいというふうに思っておりますが、私の地元四日市市は国内でも有数の産業集積都市でありますが、その物流を担う東名阪自動車道、さらには市内中心部を走る国道一号、国道二十三号は常に慢性的な渋滞が発生をしておるポイントでございます。その経済損失及び労働力の損失は著しいものがあるというふうに認識をしております。
そこで、現在、三重県内の北部におきまして整備が進んでおるのが、この国道一号のバイパスであります北勢バイパス、また国道二十三号中勢バイパスでありますが、この両バイパスの整備促進はその結節点であります鈴鹿市内にある未事業化区間も含め、この東名阪道及び国道一号、二十三号の渋滞解消及び経済損失の解消に多大な効果を及ぼすものであるというふうに私は考えておりますが、それに対する国交省のお考え並びに見解を伺いたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のように、人流、物流はあらゆる生活活動の根幹でございます。効果的な渋滞対策によりまして、渋滞により費やされている無駄な浪費時間というんでしょうか、そういったものを解消する、いわゆる生産性の向上、ひいてはこれが有効労働時間をふやすということになってまいるわけでございます。
今御指摘のありました三重県の北勢地域、中勢地域、この周辺は、四日市市あるいはまた津市を中心としまして、石油化学工業あるいは自動車産業が企業立地しております。周辺ネットワークにおけます渋滞の緩和あるいは解消といったようなことが必要になっているわけでございまして、今、抜本的な対策といたしまして、必要なネットワークの整備を進めさせていただいているというところでございます。
そのうちの北勢バイパスについては、全体二十一キロの非常に長いバイパスでございますが、今約四割が開通をしておりまして、残る区間についても本格的な工事を今実施しているところでございますし、それにつながります中勢バイパス、中勢道路につきましても、これも全体三十四キロという非常に長い区間のうち八割までが開通はしてきておりますが、残る区間についてもできるだけ早く、そのうちの三キロについては平成三十年度の開通予定を目指しているところでございます。
いずれにしましても、当地域の早期の渋滞緩和を目指すということを目標に、また、その両箇所をつなぎます未事業化区間についても、事業中区間の進捗状況を踏まえながら、順次事業を展開できるように検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
いずれにしましても、当地域の生産性の向上に向けての対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますし、また短期的対策、先ほど御紹介いただきましたピンポイント対策として、右折レーンの設置等々さまざまな交差点の改良といったものについても、三重県あるいは周辺の市町村の方々と連携しながら事業を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
以上でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
本当に鋭意御努力いただいて、感謝を申し上げるところであります。
今回のところにおきまして、いかに経済損失、さらには労働力の損失を減らしていくのか、この生産性革命元年に立っても、さまざまな施策をよろしくお願いしたいというふうに思っております。
また加えて、インフラストック効果についても、この必要性や有用性を本当に国交省は強調されておりまして、ここの部分につきましても、引き続き、ぜひ力強く推進をしていただきたいというふうに私は思っております。
ここにつきましても一例をちょっと挙げさせていただきますと、東海地方におきましては東海環状自動車道というのが整備をされております。この東海環状自動車道、愛知県から岐阜県に及ぶ、いわゆる東回り区間については既に全て開通をしております。そして、その沿線には既に延べ百二十二もの企業が進出を果たしておりまして、この道路整備による高いストック効果が生まれておる現状がございます。
しかし、三重から岐阜につながる、いわゆる西回り区間については、いまだ未開通区間も多く、現在鋭意準備を進めていただいている状況にございます。
環状線というのは、読んで字のごとく、リングがつながって初めて意味あるものになりまして、そしてこの東海環状におきましても、つながることによって本来持つインフラストック効果のポテンシャルをさらに高めていくのではないかなというふうにも思っております。
今後、この西回り区間の整備を着実かつ早期に進めていくことが、このインフラストック効果を高める意味においても大変重要であるというふうにも思っておりますが、この点につきましても国交省の御見解を伺いたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
今御要請ございました東海環状自動車道は全体として百六十キロの環状道路でございまして、愛知県、岐阜県、三重県のそれぞれの主要都市を連絡いたします高規格幹線道路でございます。
今、まさに御紹介ございましたように、東回り区間七十六キロというのがもう開通をしておりまして、特に自動車産業が盛んな豊田市を中心としまして、周辺との所要時間が大幅に短縮されたことによりまして、さまざまな自動車関連企業が沿線に進出するといったストック効果が発現しているところでございます。
西回り区間、残り七十七キロございますが、この区間につきましても、現在、沿線に整備、計画された工業団地が、この十五年間で、東海環状が来るという整備を見据えて二倍に増加するといったような効果が既にあらわれておりまして、今後、三県で年間約八千億円の生産額の増加が見込まれるという試算も聞いているところでございます。
現在、この残る未開通区間七十一キロにつきまして、二十七キロについては既に開通予定というのを明らかにしております。残りについてもしっかりと用地買収、工事等を進めてまいりたいと思っておりますが、この道路の開通見通しの公表を行うことによりまして民間投資を促すことが実際に可能となると思われます。そういった事業に対しましての重点投資を私どもとしても選択と集中という形で行いながら、東海環状沿線のストック効果の早期発現を目指してまいりたいと考えておる次第でございます。
以上でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
先ほど御答弁もいただきましたとおり、企業でありますとか民間投資というのは、予見可能性を持って計画をしていくものであるというふうにも思っております。それに対応できる施策の推進、こういったことをぜひともよろしくお願いしたいというふうに思っております。
四点目、洪水対策について少しお伺いをいたします。
特にタイムラインの取り組みについてきょうはお伺いをしたいと思うんですが、国交省は、昨年九月の関東・東北豪雨による災害を踏まえ、石井大臣陣頭指揮のもと、社会全体で洪水に備えるための水防災意識社会再構築ビジョンを策定されました。
私は、今後の洪水対策については、着実なハード整備を進めるのとともに、現在、三重県の紀宝町などで取り組んでいる、タイムラインを初めとしたソフト対策の充実を図るべきではないかというふうにも思っておりますが、まずは、この点につきまして国交省の見解をお伺いしたいと思います。
○山本副大臣 昨年の九月、関東・東北豪雨により大きな災害が起こりました。石井大臣は即座に現場に赴かれましたし、私どもも鬼怒川の決壊現場に後ほど足を運ばせていただきましたけれども、施設では守り切れない大洪水というのは必ず発生するんだというような観点に立って、社会全体で洪水に備えるため、水防災意識社会再構築ビジョンを策定いたしました。
このビジョンに沿って、全ての国管理河川と、その氾濫により浸水のおそれのある市町村、七百三十というふうに聞いておりますけれども、その市町村において、おおむね五年間でハード対策とソフト対策が一体となった取り組みを行ってまいります。
特に、このソフト対策は大変重要でございまして、住民等の行動につながるハザードマップの作成や避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供するなど、より実効性のある住民目線のソフト対策への転換を図ってまいります。
とりわけ、タイムライン、先ほども中川先生おっしゃいましたし、紀宝町の方にも何度も足を運ばれているということをお伺いいたしておりますけれども、このタイムラインというのは、関係機関があらかじめ時間軸に沿って防災行動を定め、円滑に災害対応を行うことにより、住民みずからが早目早目に行動できるようにする極めて重要な取り組みであると考えております。
今後とも、洪水に備えるハード、ソフト対策をスピード感を持って推進し、地域の安全、安心の確保に努めてまいりたいと存じます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
ソフト対策におけるタイムライン、私は非常に有用性が高いというふうにも思っております。紀宝町も、いわゆる水害の、被害の反省からこのタイムラインの策定に入ったわけでございまして、これの横展開をぜひともお願いしたいと思っています。
このタイムラインにつきまして、国交省は現在、二つの考え方で進められているんじゃないかなというふうにも思っております。
その一つが、洪水時、避難勧告の発令に着目したタイムライン、私はこれをいわゆる簡易型タイムラインというふうに呼んでおります。そして、もう一つは、既に荒川下流とか名古屋に隣接した庄内川、また先ほどの紀宝町などで取り組みが進められております本格的なタイムライン、いわゆるリーディングプロジェクト、この二つがあるというふうにも思っております。
そこで、そこの部分で具体的にお伺いしたいんですが、私は、この簡易型タイムラインについては、今後この策定をいかに対象市町村に広く進め、それぞれの自治体でどう機能させていくかということが重要であるというふうにも思っております。
また、このリーディングプロジェクトにつきましては、今後さらなる訓練や検証を加えながら、それぞれのタイムラインをいかに深めていくか、これが重要になってくるのではないかなというふうに思っておりますが、そこにつきましての国交省の御見解を確認させてください。
○金尾政府参考人 先ほどありました水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みの一つとして、地方整備局の河川事務所、気象台及び市町村が連携し、市町村長による避難勧告等の発令に着目したタイムラインの策定を進めております。
このタイムラインは、国管理河川の氾濫により浸水のおそれのある七百三十市町村を対象として、洪水が発生しやすくなることしの梅雨時期までに約四百の市町村で策定を行いまして、残りの市町村につきましては平成三十二年度末までに策定することとしております。
また、御指摘のタイムラインを本格化することにつきましては、例えば、地下街の浸水対策や高齢者の円滑な避難などのためには、河川の特徴に応じた多様な防災行動を対象として、多くの関係機関と連携したタイムラインを策定する必要がございます。
このようなタイムラインは、関係機関が多岐にわたり調整にも一定の時間を要することから、まずは、各地方整備局の管内で一河川を基本に取り組んでおるところでございます。
国土交通省といたしましては、これらのタイムラインの策定を進めるとともに、訓練や洪水時の実践と洪水後の振り返りを通じて検証と改善を行い、より実効性のあるタイムラインとするように努めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
この洪水時、避難勧告の発令に着目したタイムライン、私はこれを簡易型と言っていますけれども、これの対象市町村が七百三十ある中で、梅雨の時期までに今四百の市町村が策定を進めたいというお話をいただきました。これを横展開していくことは非常に大事だと思いますので、着実にそのタイムラインの策定が広がるようにお願いをしたいと思っております。
最後に一点、このタイムラインについては、現在、洪水災害対策についてその取り組みが先行しておりますけれども、私は、この取り組みは、洪水災害だけにとどまらずに、例えば地震とか津波、さらには豪雪地帯における雪害対策、こういったものにも活用できるんじゃないかなというふうにも思っておりますが、今後の取り組みとしてそのようなお考えがあるのかどうか、ここをお伺いさせてください。
○金尾政府参考人 現在、国土交通省では、先ほど申しましたように、洪水を対象としたタイムラインを全国展開しているということでございますが、これに加えまして、降雪を対象としたタイムラインを策定し、本年一月の全国規模の大雪への対応に活用したところでございます。
また、地震、津波についても、南海トラフ地震に加え、首都直下地震を対象としたタイムラインを昨日、三月二十九日でございますが、政府全体で策定したところでございます。
タイムラインは災害への備えを万全にするために有効なツールでございまして、引き続き、さまざまな自然災害に対して関係機関と連携して、その策定、普及を進めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今後も、国交省が中心となりながら、関係するところ、例えば内閣府等も関係するかと思いますが、連携を図りながら、このタイムラインの策定を広げていっていただきたいと思っております。
残り時間、一点、図柄入りのナンバープレート制度の検討状況を確認させていただきたいと思います。
この図柄入りナンバープレートについては、昨年の六月に、この委員会で法案審査が行われまして、私も何点か質問をさせていただいたところであります。特に、二〇二〇年東京オリパラ開催記念のナンバープレートについては、当初予定では、昨年秋にはその図柄の公募を始め、一五年度中には、あと二日ですけれども、交付を開始する予定でありました。しかし、その大もとでありますオリンピックエンブレムの決定が当初想定よりも大きくおくれているために、いまだ、この東京オリパラのナンバープレートは交付に至っておりません。
そこで、この東京オリパラナンバープレートの例えば図柄の公募、決定、またこの交付についてはいつごろを想定しているのかを伺いたいと思います。そして、そのときに、私、これに伴うナンバープレートの色も具体的に検討すべきじゃないか、具体的には、登録自動車の事業用の緑ナンバー、また軽自動車の黄色ナンバー、これはもうなくすか、ないしは縁取りぐらいにしたらどうか、こんな質問をさせていただいたわけですが、その辺のところの検討状況をあわせてお教え願いたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
五輪のエンブレムにつきましては、その図柄について改めて検討するということを私どもは報道で承知をしているところでございますけれども、それを踏まえた形で、私どもの特別仕様のナンバープレートにつきましては、エンブレムがその図柄の一部に使用されるということがありますので、それを踏まえた検討を改めて今行っているところでございます。
今のところ、報道では、新しい五輪エンブレムは本年四月中の決定を目指しているということを承っておりまして、それを踏まえた形で、私ども、なるべく早期の交付に向けた検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
なお、ナンバープレートの色につきましては、道路運送車両法の改正の際に委員から御指摘もいただいたところであると承知をしているところでございます。
軽自動車につきましてはナンバープレートの色が黄色、それから事業用については緑色でございますけれども、こういった下地の色を前提としますと、図柄をそれにはめた場合にはその図柄自体に制約が生じる、そういった問題があるものと考えております。
このため、東京五輪特別仕様ナンバープレートの下地につきましては、自家用の軽自動車であれば白地を、さらに事業用の登録自動車であれば緑の縁取りをした白地を、こういった方向で今検討を進めているところでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
五輪エンブレムが予想よりもまだ決定していないということで、私は非常にショックだったわけですけれども、二〇二〇年までと、このオリンピックナンバーはもう決まっておるものですから、ぜひ遅滞なく準備を進めていただきたいというふうに思っています。
最後、ちょっと地方版のナンバープレートについても聞きたいんですが、今後の地方創生とか地域振興を考えると、私、長い目で見ると、この地方版の図柄入りナンバープレート、こっちの方が大事なような気がします。
全体が今おくれているものですから、この地方版もおくれるんじゃないかというので、結構地方から心配の声が上がっていまして、当初予定では二十八年度以降に交付予定ということでしたが、ここの部分、おくれないですよね、大丈夫ですよねというところをちょっと最後に確認したいと思いますので、具体的な検討の進みぐあい、ここをお願いしたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
地方版図柄入りナンバープレートにつきましては、先ほど申し上げました東京五輪向けの特別のナンバープレートとあわせまして、今、省内の検討会におきまして制度設計を行っているところでございます。
現在、その図案の提案を原則として地域の市町村が単独ないし共同して行っていただくこと、さらには、図柄の数というのを、寄附金を募集しない場合には一種類、寄附金を募集する場合には寄附金なしとありの二種類にする、そういった大きな方向性が定まりつつあるところでございます。
これにつきましては、東京オリンピックの特別ナンバープレートとあわせた形で制度設計をさせていただき、その発行に向けた準備を進めたいと思っておりますけれども、地方版の図柄ナンバープレートの交付というのは、順序としては、東京五輪のナンバープレートを出させていただいた後にしたいというふうに考えているところでございます。
○中川(康)委員 遅滞なく後に出していただきますことをお願い申し上げまして、公明党を代表しての質問を終わります。
大変にありがとうございました。
○谷委員長 次に、荒井聰君。
○荒井委員 民進党の荒井聰でございます。
新しい党として私が初めて質疑に立つことになります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
また、引き続き、党の国土交通関係の政策の総括取りまとめ責任者ともなりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
さて、前回、石井大臣と論戦をして約一週間しかたたないんですけれども、そのとき余り時間がなかったので、大変失礼だったのですけれども、通告なしに普天間問題について若干触れました。きょう、事務方に連絡をして、普天間問題についてもさわりだけですけれども質疑をしたい、そういう申し入れをしましたら、答弁は、大臣ではなくて防衛省が答弁をするということでありました。
内閣のこと、所掌のことですから、それは内閣に委ねますけれども、この間の普天間問題の訴訟について、そして和解案が提出をされている、それらの経緯を見ると、沖縄県と国土交通大臣しか出てこないんですよね。そういう形の中で、全部防衛大臣が所掌をするというか責任を負うというか担当するというのは、私は大変不思議だなという気もいたします。
しかし、そこは一つそういうことで譲ったとして、和解案が、A案とB案とが出されたようでありますが、そのA案、B案の内容はいかがなものなのでしょうか。そして、それの検討状況は今どうなっているのでしょうか。お答え願えますか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
和解案につきましては、和解勧告文ということで、裁判所からA案、B案、二案が提示をされたところでございます。
A案につきましては、被告は埋立承認取り消しを取り消す、原告、国でございますけれども、新飛行場をその供用開始後三十年以内に返還または軍民共用空港とすることを求める交渉を適切な時期に米国と開始するというのが主な内容になってございます。
B案につきましては、原告は、本件訴訟を、沖縄防衛局長は原告に対する行政不服審査法に基づく審査請求をそれぞれ取り下げる、沖縄防衛局長は埋立工事を直ちに中止する、原告と被告は違法確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行うというのが柱になってございます。
今回、政府と沖縄県におきましては、この和解勧告文のB案をもとに合意をしたところでございます。
その和解条項でございますけれども、国と沖縄県との間で係属している三つの訴訟を、翁長知事による埋立承認の取り消しの是非を争う訴訟一つにした上で、判決が確定するまで普天間飛行場の返還及び埋立事業の解決に向けた協議を行い、判決で司法の判断が示された場合には、国も沖縄県も判決に沿った手続を進めるとともに、その後もその趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを確約するという内容でございます。
政府といたしましては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であり、平成二十五年末に仲井真前知事からいただいた普天間飛行場の辺野古移設に必要な埋立承認は何ら瑕疵がなく、行政判断は既に示されているという考えに変わりはございません。
しかしながら、国と沖縄県とが訴訟合戦を延々と繰り広げるような関係のままでは、結果として、膠着状態が続き、学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場を初め、沖縄の現状がさらに何年も固定化されることになりかねないと考えられます。
このような状況は、国、沖縄県双方にとって望ましい結果ではない、そうした裁判所の意向に沿って熟慮した結果、国と沖縄県との将来にとって最適な選択であると判断し、沖縄県と和解することを決定したところでございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
A案では協議はしない、B案で協議をするということですね。
裁判所の和解勧告文というのはとてもよくできていますね。できているというよりも、情がこもっている。読んでみて、平易な文章なんですけれども、大変情がこもっていますね。ちょっと読みますね。
本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となり得る。それから、そのようにならず、今後も裁判で争うとすれば、国が勝ったとしても県が勝ったとしても、それぞれ実現するのに大変な困難を伴うだろうというような、そういう文章です。
この文章は、この普天間問題にかかわった人たちがひとしく心の中に入れておくべき文章だと私は思います。
ところで、今、北海道五区で補欠選挙が行われております。与野党が戦い合う選挙戦であります。まさかその選挙によかれと思って和解勧告に応じたのではないと思いますけれども、和解の最終的な出口というものは一体どのあたりになるのか、あるいはその見通しというものについてどうお考えなのか、防衛省の副大臣が来られているのかな、お答え願えますか。
○若宮副大臣 荒井議員にお答えさせていただきます。
非常に愛情のこもった、人情味のある和解案だということで御指摘をいただきました。
その和解条項の第八項でございますが、国と沖縄県とで、是正の指示の取り消し訴訟の判決確定まで普天間飛行場の返還及び埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行うという旨が示されてございます。政府と沖縄県とが、今後、政府・沖縄県協議会の枠組みを活用しながら、事務方による協議、あるいは知事と閣僚とによる協議を実施してまいるつもりでございます。
ちょうど先日、三月の二十三日でございますけれども、政府・沖縄県協議会が開催をされまして、和解条項に基づく協議について政府・沖縄県協議会のもとに作業部会を設けさせていただいたところでございます。
また、二十六、二十七日につきましては、私どもの中谷大臣が沖縄県を訪問させていただきまして、和解後の協議の一環として翁長知事とも面談をさせていただきました。面談の中では、沖縄における米軍施設・区域が所在することによる諸懸案に対しましてどういった形で対応していくか、幅広く率直な意見交換ができました。普天間飛行場の辺野古移設については、移設の意義などにつきまして、改めて大臣から知事の方にいろいろとお話を申し上げたところでございます。
この和解内容に従いました手続、これはまだ本当に始まったばかりでございまして、今後の見通しについては、どういった形になるかというのはお答えはなかなか難しゅうございますけれども、沖縄県との協議におきましては、普天間飛行場のまずは危険性の除去というのが第一でございます。
それからまた、辺野古移設に関する私ども政府の考え方、それから沖縄の負担軽減、これを目に見える形で実現をしていくという安倍内閣の、政府の取り組みにつきまして、改めてきちっと丁寧に説明を申し上げまして、御理解をいただけますよう粘り強く取り組んでまいりたいと思っております。
○荒井委員 ありがとうございます。
期限はまだわからないということでありましたけれども、間違えても、参議院選挙が終わった直後に和解決裂というようなことがないようにお願いをいたします。誠実な協議をお願い申し上げます。
ところで、石井大臣、私も公共事業に携わったことがあるんですけれども、このように公共事業にかかわるような、関係するような、あるいはそれに近いような事業について、地域住民あるいは地方自治体とがっぷり四つになったような例というのはそれほど多くないんですね。私は現実的には初めてじゃないかと思うんです。
そういう場合には、ほとんど実行は不可能だ、つまり、国と県が協力し合って初めて大きな公共事業的なものが、事業ができるにもかかわらず、こういう事例というのは、不幸な事例ですけれども、ほとんどないと思うんですね。
それを一つずつ解きほぐしていくのは、私は、国交省の用地補償をしている人とかあるいは補償交渉をやっている人とか、そういう人たちがそのノウハウを持っていると思うんです。
こじれにこじれたこの普天間の辺野古問題、せっかく国交省が乗り出すような、そういう形になったわけですから、私は、国交大臣がもう少し前面に出てもいいんではないかなというふうに思うんですけれども、何か御意見がございましたら、御見解がございましたら、石井大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 沖縄との訴訟の関連では、国交省としては、公有水面埋立法を所管しているという立場からかかわっておりますけれども、現実の工事そのものは防衛省の方でやっておられるということでございますので、直接的な工事そのものに国土交通省がかかわっているというものではございません。
以上でございます。
○荒井委員 私は、国交省のノウハウというのは非常に大きなものがあると思いますね。今、環境省が非常に苦労している除染の中間貯蔵施設をつくるのでも、恐らく環境省だけではできないというか、そのためにも国交省がいろいろな形で応援をしているんだと思いますけれども、そういう類いのところについては、もっと国交省は前面に出てやっていくべきなのではないかなというふうに思います。
ところで、前回、地震の話をやったんですけれども、それが少しやり切れませんでしたので、もう一度ちょっとやらせてください。
私は、与党時代に二つの大きな地震災害を経験しています。一つは神戸の地震でありますし、もう一つはこの間の東北の大地震であります。いずれも大きな災害が出ました。
大変な予算を使って気象庁は予知の研究なりあるいはその作業をしているにもかかわらず、いずれも予知ができなかった、どうしてなんだろうか。そういう地震の予知とか予測とかということに関して一体どのぐらいの予算をかけているのかということと、なぜ見逃してしまったのか、予測できなかったのかということについて、これは気象庁がおりましたらお答え願いたいんですけれども、いかがですか。
○西出政府参考人 今御質問の中の東北地方太平洋沖地震の前兆はつかまえられなかったのかという点について、お答え申し上げたいと思います。
東北地方太平洋沖地震に関しましては、中央防災会議の下に設置された南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会というのがございまして、この部会が平成二十五年五月に取りまとめた報告書において、東北地方太平洋沖地震で見られたとされる前兆的な異常に関する知見を収集、整理してございます。その中で、「東北地方太平洋沖地震発生の直前には、加速するような明瞭な前駆すべりは観測されなかった。」とされております。
なお、一般的に地震の発生の予測は困難であるということから、気象庁では、地震災害の軽減を目的に緊急地震速報の発表を行っております。東北地方太平洋沖地震の際も、地震の検知の八・六秒後に緊急地震速報の警報を発表したところでございます。
○荒井委員 地震予測はできないんだ、恐らく地震学者はそういうふうに考えているんだと思いますけれども、いや、地震予測はできるんだ、あるいはやってきたんだというようなことを主張する人もたくさんいるんですね。
私は、民間の力というか、あるいは民間の会社といったものをこういう気象関係についてもどんどん育成していったらどうだろうと。かつては天気予報の会社なんてありませんでしたよ。天気予報というのは気象庁だけがやるものでした。しかし、今や天気予報の会社がどのぐらいあるのか、後で気象庁に教えてもらいたいですけれども、たくさんあるでしょう。
それは、気象庁のデータを公開し、そして異常気象だとかあるいは長期の気象だとかということを研究する人たちがそういう会社に参入をしていって、新しい技術を開発していった、それが民間会社の需要に応えていったということから、天候を観測するとか予測するとかという会社が多く生まれたんだと思うんです。
私は、地震だとかあるいは火山の予測だとかそういうものも、今の地震学者に任せていたら、地震学者はできないと言うんだからできないんですよ、やらないんですよ。でも、できると言う民間人もいるんですね。ならば、そういう人たちに会社をつくってもらって、後押しをして、そういう人たちに予測してもらったり予知してもらったりということを積極的にやってもらったらいいじゃないですか。それが間違いであるならば、市場で、マーケットの中でネグレクトされてしまいますよ、なくなってしまいますよ。でも、実際にそれがうまくいっている例がどうもあるらしい。
例えば、私の調べたところで、村井俊治さん、この人は東京大学の土木工学の博士、名誉教授です。ただ、専門は地震ではないんですね、測量学です。おそらくこのあたりで東大の土木の測量を出た方は結構いるんじゃないかと思うんですけれども、その人たちの大先輩です。GPSを使って地面の高さの高低の変化を測定して、それを地震の予知に結びつけていく、そういう手法をどうも開発したようでありますし、またもう一人、早川正士さんという方、この方は電磁波の研究者です。大学は電気通信大学です。電離層の電波の変化を観測して地震予知ができるという学説を発表しております。
後者は実際にギリシャで行われているようでありますし、できないということを頭から思ってやらなかったら、いつまでたってもできないんですよ。できる可能性があるかもしれないと思ったら、それをやった方がいいと思います。
ただし、これは学者にできないんです。なぜか。学者は、学説あるいは自分の学説の正当性というかそういうものを大変大事にしますから、もし予測して失敗したら、それは学界から葬られてしまうというおそれを持っているからなんですね。
だから、技術者とかあるいは会社を経営する人にやってもらうのが一番いいんだと思うんですけれども、そういうことを後押しするのが気象庁だと私は思いますよ。気象庁は、自分でやって自分でできるものとできないものだけを判別しているけれども、人にやってもらうものが効果があるかどうかということを判別して、その業界を育成していくというのは大きな仕事だと思うんですよ。長官、どうですか、もう一度。
○西出政府参考人 まず、民間の気象会社で一定の技術基準を満たし、気象庁が予報業務の許可を行っている会社というのは、年々変動はございますけれども、約百社程度ございます。
今議員が指摘された、民間で地震予知に取り組んでいる方がいらっしゃるということは把握してございますけれども、その総数については承知してございません。
一方、地震の発生の予知というものではないんですけれども、先ほど申しました緊急地震速報でございますけれども、気象庁以外の者が地震発生後に特定の地点の震度や到達時刻を予報する場合には、やはり気象庁が定める技術上の基準に適合する必要がありますから、気象業務法に基づいて予報業務の許可を……(荒井委員「長官、もういいです」と呼ぶ)いいですか。
○荒井委員 先般、この委員会で視察をいたしました。これは委員長を初め理事の方々が企画したんだと思うんですけれども、すごくいい企画だったと思います。
一つが、国営東京臨海広域防災公園の視察をいたしました。これは実際地震が起きたらどういう状況になるのかということをモデル的な街路をつくって、そこを視察できるようになっています。これは子供に見せるべきですね。通学路にいる子供たちが地震が一旦起きたらこういうことになるんだということを見せてやるということはとても大事だと思います。あそこを修学旅行かそういうものにもっと使ったらいいと思います。
それからもう一つは、横須賀にありました港湾空港技術研究所であります。ここでは津波をつくっていました。私は、津波というのは単なる波の大きいもの、あるいは波の振幅が少し広いものなのかなというふうな程度にしか思っていませんでしたけれども、波と津波とは全く違いますね。大臣、一度見られたらいいと思います。
わずか四十センチぐらい、膝下ぐらいの津波が来ただけでひっくり返ります、吹っ飛ばされてしまいます。津波の力はそのぐらいなんですね。あるいはコンクリートのブロック、四十センチ四方ぐらいのブロックが置いてあるんですけれども、そこに津波が当たりますと高さ五、六メートルぐらいまで波しぶきがぶわっと上がって、そのそばにいる人たちは吹っ飛ばされます。それが津波というものの威力なんですね。
それは見てみないとわからないですね。そういうものをもっとビデオとかそういうものに撮って、津波とか地震とかというものはこういうものなんだということを子供たちや、あるいはそういう人たちに見せるべきだと思います。
それからもう一つ、これも時間がありませんから私の方から言いますけれども、コンピューター「京」というのがあります。世界最大のスーパーコンピューターですけれども、このコンピューター「京」で直下型地震の予測を行うプロジェクトが行われている。これは内閣府のプロジェクトでもあるんですね。このプロジェクトで、ゴードン・ベル賞というスーパーコンピューターを使ったソフトの開発の最高賞を、東京大学を中心とするメンバーが行ったようでありますけれども、それが世界最高賞をとったんです。
三十キロ四方の一軒一軒の家がどういうふうに揺れるか、その家が倒れるか倒れないか、それから、その近くにあるさまざまな構造物がどういう変化を来すかということを全部シミュレーションしたんですね。これがあれば、直下型地震が来たときにどういう状況になるかというのをあらかじめ推定しておくことができ、それに対する対応をすることができると思うんです。私は、国交省や消防庁が、内閣府の研究としてほっておくんじゃなくて、もっとどんどんこういうのを使っていったらいいと思います。
次に入ります。ちょっと時間がなくなりましたので、急ぎます。
今度、第八期の総合開発計画をつくられましたね。この第八期の総合開発計画、私は第三期、四期の総合開発計画をつくるのに携わったんです。当時、北海道庁の企画室長というポストにいまして、北海道の総合開発の総責任者になりました。あれは当時の国土庁だったか建設省だったか、そこと打ち合わせをしながら、かんかんがくがくの議論をしながらつくった覚えがあります。
あの当時は、もう少し具体的な議論をいろいろしたように私自身は思っているんですけれども、この八期の計画を見る限り、非常に具体性に欠ける。なぜ七期の計画を二年間前倒しでやめてしまって八期をつくるのか。八期の目玉は一体何なのか。北海道の人がわくわくするようなものというのは一体何なのか。それがなかなか見当たらないというふうに私には思えます。
この八期の具体論あるいは目玉というのは一体何なのか。つくった方に答弁してもらうのが一番いいんですけれども、どうですか。
○岡部政府参考人 お答えいたします。
新たな北海道総合開発計画についてのお尋ねでございます。
北海道総合開発計画は、北海道の資源、特性を生かし、その時々の国の課題解決に貢献するため、北海道開発の基本的な方向性を示すものとして策定されてきております。
広大な土地と豊かで特徴的な自然環境を有する北海道では、近年、食の輸出や来道外国人旅行者が急増するなど、アジアの成長も背景にその強みが顕在化しつつあります。
一方で、全国に先行して人口減少が進行しており、北海道において、食や観光を強みとして伸ばしていくためにも地域の持続性を高めることが求められております。
このため、新たな計画では、北海道の強みである食や観光を戦略的な産業として振興するとともに、それらを生み出し、担っている地方部の生産空間、生産空間というふうに呼んでおりますが、その生産空間に人々が暮らし続けることができるようにするための今後の十年間の取り組みの方向性を取りまとめたところでございます。
具体的には、生活空間を支えるための機能分担と交通ネットワークの整備、農林水産業や食関連産業の競争力、付加価値の向上と世界水準の魅力ある観光地づくり、加えて、これらを担う地域づくり人材の発掘、育成、このような点を主要事項として重点的に推進し、二〇五〇年の長期も見据えながら、いわば世界の北海道の実現を目指してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○荒井委員 局長、今の答弁を北海道の人が聞いても、わくわくしないですよ。
もっと、本省にいる人たちの英知と、それから、北海道庁の、多分企画部だと思いますけれども、その連中が頭を絞ってつくった、せっかくつくったのなら、それを読んだら北海道の人が、よし、やるぞ、いくぞ、そんな気持ちになるような計画でなければいけないと私は思うんですよ。
私が道庁のこの担当者であるならば、つくり直させますね。それは言い過ぎだと思いますけれども、もう少し、北海道庁、北海道の人たちの気持ちになるような、そういう計画であるべきだというふうに思います。
その中で、恐らく北海道の人たちがこの計画の中で何となく気にかけているというか気になっているのが千歳空港を中心とする空港の民営化だと思います。
この空港の民営化について、進んでいるんだか進んでいないんだか、北海道庁とうまくいっているんだかいっていないんだか、何だかよくわからないというのが実態です。
余り時間がないので、結論を言います。
この飛行場は、国営の飛行場六つを全部一体化して一つの民営化した千歳飛行場にしようとしているんだと思います。
千歳の飛行場というのは非常にポテンシャルの高い飛行場です。恐らく東アジアの中で最も高い飛行場だったと私は思うんですけれども、いつの間にか韓国の仁川に抜かれてしまいました。それは、私は、国交省あるいは運輸省の戦略ミスもあったのではないかというふうに思うんですけれども。
今度、六つの国営の飛行場を全部合わせて云々というふうに言っています。しかし、民営化というのは、黒字化するということですから、赤字のものをみんな集めて黒字になるなんということはあり得ないんです。どうやったら一つ一つが黒字になるのかということの議論がなくして、六つ全部集めて黒字化などという議論はあり得ようがないと私は思うんですよ。
そしてさらに、北海道庁は、そのほかにも、市管理の空港を一緒にしてほしいというような意向を持っているというふうに聞いています。これは、北海道庁から見たらそうですよね。地方のお荷物の空港と言ったら怒られちゃうかな、それをみんな千歳に集めたいということなんでしょうから、むべなるかななんです。
だけれども、これはますます、かつて国鉄、あるいはいろいろな官営の、官にかかわるような企業あるいは事業体がどんどん赤字体質になっていったとき、その最大の原因は、赤字のものをどんどん護衛船団という方式で抱え込んでいったんですよ。この方式でいけば、民営化というのは失敗すると私は思うんです。どうですか。航空局かな、これは。
○石井国務大臣 国土交通省としましては、空港サービスの向上や航空ネットワークの充実を図るため、滑走路とターミナルを民間企業に一体経営させる空港経営改革を進めているところでございます。
現在、北海道内の空港のうち国が管理する新千歳、稚内、釧路、函館の四空港について、一体的な運営の民間委託に向けて検討を進めているところであります。その際、旭川、帯広などの空港についても、一体的な運営が可能となれば観光の活性化の観点からより大きな効果が得られるものと期待をしております。
この取り組みの狙いは、新千歳空港の黒字でほかの空港の赤字を補填するというよりは、むしろ、北海道全体の観光の発展や地域活性化を図るため戦略的に空港間の連携を図るところにございます。
具体的には、新千歳と道内のほかの空港を一体的に運営することで、それぞれの空港のマーケティング力の底上げや空港間の機能補完等が可能になると考えております。また、例えば新千歳で入ってきて釧路で出ていくといった広域的な観光周遊ルートの形成にも大いに効果があるものと期待をしております。
いずれにいたしましても、国土交通省としましては、地域の関係者とも連携しながら、道内の空港運営のあり方について引き続き検討してまいりたいと考えております。
○荒井委員 石井大臣としてはそう答えざるを得ないんだと思うんですけれども、それでは、航空局に答えてもらいたい。今の六つの飛行場で黒字になっている飛行場というのはどれとどれですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
北海道内には、国が管理する空港が五空港、市が管理する空港が二空港、道が管理する空港が六空港ございます。このうち国が管理する空港につきましては、空港運営の効率化を図る観点から、企業会計の考え方を取り入れまして空港別に収支を公表しているところでございます。
平成二十六年度の道内の国が管理する新千歳、稚内、釧路、函館、丘珠の五空港の収支状況につきましては、営業損益ベースで新千歳空港は黒字でありますが、他の空港は赤字となっております。
それから、市が管理されておられる空港、道が管理されている空港につきましては、これは管理者が違いますので、収支の算出方法についてどういった計算をされておられるのかは私どもは承知しておりませんけれども、ホームページなどで公表されているところを拝見いたしますと、全ての空港が赤字という状況になっております。
○荒井委員 大臣、今お聞きになったと思うんですけれども、千歳以外全部赤字ですよ。赤字のところを一生懸命まとめてネットワークをつくって営業力をふやすというのは、私は言っているだけのような気がします。もう少し一つ一つの空港の体質をしっかりと強めていく、そのための対策をまず打つということが本来あるべき形ではないかなというふうに私は思います。
次に、民泊の問題を少しやりたいと思います。
二〇二〇年のオリンピックが参りますから、インバウンドが非常な数でふえております。二千万人は軽く超えて、民泊の需要というものもどんどんふえて、これからもふえるんだろうというふうに思います。政府も、それに合わせて民泊の法整備などを整えているようであります。
民泊サービスのあり方検討会というのを政府はやっておりますけれども、その検討状況というのは今どういうふうになっているでしょうか。また、民泊のトラブルや無許可営業に関して、どのような内容でそれらの実態について把握をしているんでしょうか。お答え願えますか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
昨年十一月から観光庁と共同で開催しております「民泊サービス」のあり方に関する検討会におきましては、民泊サービスについて、宿泊者の安全性の確保や近隣住民とのトラブル防止などの課題に対応しつつ、その活用が図られるよう、ルール整備の検討を進めているところでございます。
具体的には、民泊サービスの健全な普及を図る観点から、一定の要件を満たす民泊サービスについて、一定の規制を課すことを前提とした上で、その規制の程度をどう考えるか、近隣住民とのトラブル防止や、トラブルがあった際の対応措置をどのようにすべきか、また、仲介事業者や管理事業者に一定の義務を課すべきではないかなどについて検討を進め、三月十五日に中間整理を取りまとめたところでございます。
また、無許可営業等の実態把握につきましても、この第一回の検討会の場で報告をさせていただきました。その内容につきましては、平成二十五、二十六年度の二年間において、保健所が把握した旅館業法の無許可営業件数は百九十三件、このうち近隣住民や宿泊者等からの通報が八十八件、無許可営業件数百九十三件のうち、無許可営業施設への指導の結果、営業許可を取得したものは四十三件、また営業を取りやめたものは百九件となってございます。
今後は、六月中をめどに取りまとめられます最終報告を受けて、関係省庁とともに必要な制度設計に取り組んでいくこととしてございます。
以上でございます。
○荒井委員 時間がないので、少し質問の中身をまとめてしまいますので、お答え願えますか。
一つは、旅館業法で今対応していると思うんですけれども、旅館業法では、第一種低層住宅では民泊の簡易宿泊所の許可はおりないんでしょう。おりるんでしょうか、おりないんでしょうか、それを明らかにしてください。
それから、簡易宿泊所の許可に当たって、賃貸物件の場合には賃貸契約の転貸が可能なんでしょうか。ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、わかればお教えください。
それから、この種の民泊の場合には仲介業者が絡んでくると思うんですけれども、仲介業者は、民泊を仲介する場合には旅行業法の登録が必要だと思うんですけれども、これはどうなっているんでしょうか。
以上三点、わかりましたらお答えください。
○福田政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘のあった点は、今、検討会の中でも検討している重要なポイントと認識をいたしてございます。
そのうち、例えば、いわゆる旅館業法におきまして、第一種の住居専用地域においての旅館業というのが一応認められてございませんといった事実関係なども含めて、今後のあり方について検討をしているという状況でございます。
以上でございます。
○田村政府参考人 ただいま民泊の仲介業者の旅行業法上の御質問がございましたけれども、本来は、旅行業法に基づく登録をしていなければいけないわけでございます。現実には、海外に本拠を置いたりして、そういう登録がなされずに行われているケースがあるということを認識しております。
○荒井委員 民泊に関しては、各国も最近いろいろな形で法整備をし出したんですね。二〇一四年にはフランス全土で主たる住居の短期賃借を許可する法律が成立しております。二〇一五年にはロンドンやポルトガルでも同様の法律を制定しています。世界各国、特にインバウンドの多い国々にとっては緊急に法整備をし出す、そういう状況にあります。
日本も、二〇二〇年にオリンピックを迎えるわけですし、また、観光庁の大変な努力でインバウンドが急速にふえているわけですので、その需要も高いですし、あるいは、これらの整備が必要だろうと思います。
しかし一方、この間の、パリでありますとかあるいはブラッセルでありますとかそういうところでのテロの騒ぎで、こういう旅館業法に載らない形での旅客の把握というものについては、大変難しい問題を抱えることになるんだろうというふうに思います。
したがって、民泊問題については、単なる法律の簡単な手直し、何か政令を改正したようですけれども、そういうものではなくて、やはり抜本的なしっかりとした法律が必要なのではないだろうかというふうに思います。大臣、このあたり、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 民泊につきましては、多様化する旅行者ニーズへの対応や都市部での宿泊需給の逼迫状況の一定の改善等、観光立国の推進の観点から、新たな宿泊モデルとして期待をされているところであります。
しかし、一方でさまざまな問題が発生をしているため、安全面の確保、トラブルの防止等、日本の実情に合った民泊のルール整備のため、厚生労働省と共同で立ち上げた有識者検討会において、先日、中間整理を取りまとめていただきました。
この中間整理におきましては、中期的な検討課題としまして、現行制度の枠組みにとらわれず、仲介事業者、管理事業者への規制を含めた新たな制度体系を構築すること等、必要な法整備に取り組むこととしております。
具体的な対応方法については今後議論してまいりますけれども、その法整備においては、今御指摘がありましたようなテロ等の安全面にも配慮いたしまして、宿泊者の把握のための宿泊者名簿の備えつけ義務、近隣住民とのトラブル防止のための措置、行政による報告徴収、立入検査等が可能な枠組み等についての検討が必要であると整理がされております。
国土交通省としましては、引き続き、今後の有識者検討会での議論を踏まえまして、関係省庁と調整の上、本年六月中をめどに最終的な結論が得られるよう検討を進めてまいりたいと存じます。
○荒井委員 私は、約三十年ほど前、非常に若かったころ、スリランカというところの大使館の職員を、一等書記官をやっていたんですけれども、そのときにスリランカで、日本の古都京都に相当するような古い町、キャンディという町があったんですけれども、そこにイギリスの植民地時代のイギリス貴族の別荘地がありました。そこを開放して、いわゆる民泊をやっていたんですね。
そこに時々滞在をしました。オーナーが出てきて、五つか六つぐらいしか部屋はないんですけれども、その部屋に旅行者を泊めて、オーナーと一緒にディナーを楽しみながらいろいろな話をする。スリランカという地域についての説明もそこで行われる。民泊というか、今考えたら民泊なんですけれども、大変いいものだな、その地域を理解するためにこんないいものはないなというふうに思いました。
日本も、古民家でありますとか、あるいは旅館でありますとか、そういうところでのおもてなし、これは日本の文化をしっかり伝えていく大きな手段となるだろうというふうに思います。ぜひ、法律の整備の際にそういう点についても御検討の上、しっかりとした法律をつくっていただきますようにお願いをして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。
民進党になりまして初めての質疑でもございます。多岐にわたっておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、一番最初は、水循環基本法に関してでございます。
水は生命の源であり、人の生活に潤いを与え、また産業や文化の発展に重要な役割を果たしてまいりました。
一昨年七月一日に水循環基本法が施行され、同年七月十八日、水循環政策本部の第一回会合が持たれたそうです。昨年七月十日には水循環基本計画が閣議決定されております。平成二十七年度中に先行的に幾つかの流域で流域水循環協議会を立ち上げ、その後、速やかに当該流域で流域水循環計画を作成していき、それらを受けて計画の作成を全国に水平展開していくという予定が示されております。
ここでまずお伺いいたしますのは、流域水循環協議会の設置状況など、現在の取り組み状況及び今後の取り組みとスケジュール感について御説明をいただきたいと思います。
○北村政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年七月一日に施行されました水循環基本法につきましては、流域連携の推進、水の適正かつ有効な利用の促進、健全な水循環に関する教育の推進、国際的な連携の確保等が基本的施策として位置づけられ、各府省庁が連携して取り組んでいるところでございます。
これらの水循環施策を総合的かつ計画的に推進するため、昨年七月十日に水循環基本計画が閣議決定されました。
中でも主要な施策である流域連携の推進については、個別の流域において水環境や地下水等、水に関する課題を解決するため、関係する行政機関、事業者、団体、住民等が連携して活動する流域マネジメントに取り組むこととしています。
具体的な取り組み状況といたしましては、例えば福井県大野盆地に係る流域や千葉県印旛沼の流域において、水循環基本計画の趣旨を踏まえて、既存の協議会の改組や新たな計画策定が検討をされています。
このような取り組みを広めていくため、現在、内閣官房を中心に、協議会運営や計画策定のための手引や先進的な取り組みを集めた事例集を作成しているところです。
また、健全な水循環に関する教育の推進については、水循環基本法において、国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、八月一日を水の日として定めているところです。
水の日の中央行事である「水を考えるつどい」を初め、各府省庁においてさまざまな行事を開催しており、より多くの国民の皆様に参加していただくことが重要であると考えているところです。このため、なお一層、各府省庁とも連携して、PRの方法についても工夫してまいりたいと思います。
さらに、これら政府が水循環に関して講じた施策や地域の取り組み状況については、水循環基本法に基づく最初の白書として本国会に報告する予定です。
今後とも、各方面の声や地域の実情をよく把握しながら、水循環施策のさらなる推進のための取り組みを進めてまいります。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○小宮山委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。
国交大臣におかれましては、さまざまな機会で接することもあるかと思いますが、なかなか水循環担当大臣としての答弁というのは少ないのかと思っております。また、所信のときにも余りこの分野に関しては話される時間もなかったのかなというふうに感じております。
八月一日は水の日でもございます。また、つい先日、三月二十二日は世界水の日であります。また、最初に触れましたけれども、水というのは全ての源になっていく、経済やそして文化など、さまざまな潤いをもたらし、発展に大変重要な要素だと思っております。
そういった中におきまして、水は公共のものであることなどを含め、今後の取り組みについて、この水循環基本法を通じ、水循環政策担当大臣としての御決意、また、今後の活動につきましての御見解をお聞かせいただければと思います。
○石井国務大臣 水は人々の生活に潤いを与え、産業や文化の発展を支えているものでありまして、水のもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう、健全な水循環を確保することは非常に重要であると認識をしております。
水の問題は多岐にわたることから、水循環にかかわる施策の実施に当たりましては、各府省庁が一体となって、また、地域レベルでも連携体制をしっかり構築しながら進めていくことが必要です。
このため、昨年七月に閣議決定をいたしました水循環基本計画のもとで、内閣官房が中心となり、流域マネジメントの推進、水循環に関する普及啓発の促進など、さまざまな施策に取り組んでまいります。
今後とも、各方面の声を聞きながら、水循環施策の積極的な推進に努めてまいります。
○小宮山委員 今大臣も触れられましたが、大変多岐にわたるのが、水循環基本法に携わる、この問題の難しいところかと思います。
一例でいえば、下水道、生活排水の処理であります。
これは以前より、国交大臣、また農水大臣、環境大臣、そういった連携のもとで行われています。しかし、現実に現場に行ってみれば、各地方自治体、そういう意味では、交付金の関係がございます。総務省も入らなければ、起債の問題等、解決できないところもあります。
やはりこの点に関しましては、水循環政策担当大臣として、さまざまな省庁と連絡調整をし、そして本当の意味で豊かな国、そして自然とともにある、蛇口をひねれば水が飲めるという、技術等、水を大切にしてきた私たちの暮らし方、こういったものをさらに守っていただきたいと思いますし、この政策に関しましては、さらなる推進をしていただきたいと思います。
あわせて、八月一日の水の日、華やかというわけではないですけれども、もう少し広報にも努めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。こちらは要望であります。
さて、私自身、水というものに大変興味を持ったのは、もともとは、父が長年、下水道の整備を進めるということでありました。農村にいても都会にいても、同じような化学的な洗剤を使い、洗濯をし、下水道やそういった生活排水で汚れる、それをしっかり直して自然に戻すことというのがやはり文明国家として必要であろうということで努力をしてまいりました。
私自身も、埼玉県議会議員のころに、埼玉は海はございません、しかし、そちらを正すためには、水源涵養の問題ということも大変必要で、そういう意味においては、山を守り、木をしっかりと育てるということが大変重要であるという流れの中で携わってまいりました。
そこで、私自身も、木造住宅、そういった、木を守るということが、ひいては水を守るということにつながるんだという思いで、つながった政策の延長上にいる者でもあります。
そこで、現行の伝統的構法による木造建築物についての質問をあわせてさせていただきたいと思います。
現行の建築基準法では、原則、土台の設置、つまり土台の基礎への固定などが求められており、石場建てなど古くからの伝統的構法による建築が実現しにくくなっていると伺っています。
一応は、限界耐力計算を行うことで、土台の基礎への固定という求められる仕様規定を外すことは可能となっておりますが、計算に多大な時間と経費がかかるということがあり、実用性は極めて低いというのが現状ではないでしょうか。
伝統的構法は、もともと、それぞれの地域の職人の間で長年の経験から伝承された技術により受け継がれてきたものであり、建築基準法の中に明確に位置づけられることはまた難しく、そして、現代における工学的研究としての進化は非常に難しいものがあったという背景があると考えられます。
埼玉県内の大工さん、工務店さんなどが中心となって呼びかけ、全国の木造建築の実務者が年一回集まって意見交換する、伝統的な木造軸組住宅等に係る意見交換会が数回にわたり開催が重ねられております。このような活動があり、国土交通省木造住宅振興室もかかわって、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会が設置されたとも聞いております。
一期は平成二十年度から二年間、二期は平成二十二年度から三年間。研究者だけでなく、大工さんや工務店関係者、建築士など実務者も参加する画期的な委員会で、伝統構法にかかわる者からの期待も大変大きいものでありました。
検討委員会第一期で実施された要素技術実験の幾つかは評価書としてまとめられており、設計実務に利用できる状態にあると伺っています。
しかし、検討委員会二期については、分厚い報告書は作成されたにもかかわらず、参加した委員などにこれらは配付はされているそうですが、委員会で実施された要素技術実験のデータは評価書といった形にはまとめられておらず、実際の設計に利用できる状態にはないとの声が伝統構法にかかわる方々から聞こえてまいりました。大変費用もかけ、委託をし、データを出したにもかかわらず、実際に使えないというものであれば、もったいないという気もいたします。
そこで、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会の目的を確認するとともに、目的が達成されているのかどうか、この点に関しまして、国交省の評価をお伺いいたします。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○由木政府参考人 お答えいたします。
伝統的な構法によります木造の建物につきましては、地震に対する安全性の確認のために、お話にございましたように、建築基準法により、限界耐力計算と呼ばれております精緻な構造計算が事実上要求されております。
お尋ねの委員会でございますけれども、こういった伝統的構法による木造の建物をより建てやすくするために、実験などにより性能を検証いたしまして、伝統的構法の設計方法について作成できるように検討を行うことを目的に設置をされたものでございます。
お話ございましたように、平成二十年度から二十四年度の五カ年間にわたりまして、建築物の実大振動台実験、あるいはそうした構法に用いられる材料の強度等に関する実験などが行われたところでございます。
こうした検討によりまして、実験を行いました建築物について、地震のときにどのような変形が生じるのか、あるいは伝統的な構法に用いられます部材がどの程度の強度を有するのかといったデータが蓄積されるなど、伝統的に用いることができる仕様を開発していく上で、ベースとなる知見が相当程度得られたというふうに考えております。
また、これらは、今回、告示案を二つ出しておりますけれども、そういったものも含めまして、個別の仕様の告示案の提案につながる基礎となっているというふうに考えております。
このように、伝統的構法の仕様を建築基準で位置づけることにつながっているという意味で、事業者が行いましたものに対する補助事業として所要の成果を上げたものというふうに評価をしているところでございます。
○小宮山委員 第一期のデータは大変わかりやすい評価書という形でまとめられておりますが、第二期の方は現実的には大変使いづらい形での報告書のみとなっております。
この点に関しましては、三年間にわたって同じところが受け持っているようでもございますので、実用面で使える評価書という形に落とし込んで第一期と同じように提出をするのが、やはり補助事業としては正しいあり方ではないかと私は思うところであります。この点に関しまして、今後どのようにされるのか、現在どういう状態になっているのか、お聞かせください。
○由木政府参考人 お答えいたします。
いわゆる第一期の平成二十年度、二十一年度の成果につきましては、報告書を作成いたしましたほかに、住宅を構成いたします各部材の構造実験の結果を評価書という形で取りまとめて、お話しいただきましたように、いずれも事業を実施いたしました事業者のホームページで公表がなされております。
第二期の平成二十二年あるいは二十四年度の成果につきましては、報告書についてはホームページで公表がされております。ただ、一期と同じような評価書という形につきましては、もともと事業計画になかったこともございまして、作成、公表ということには至っておりません。
現在データがどうなっているかということでございますが、専門的な知識のある研究者であれば理解し活用することができるというふうに判断されます実験のデータそのものにつきましては、事業者に申し出た研究者等がインターネット上で閲覧ができるという仕組みにはなっております。
ただ、お話しいただきましたように、調査の成果を実務者を初めとして広く活用することができるようにすることは大変重要な問題であるというふうに認識しております。今後、さらに私どもの方で事業者とも調整を行った上でデータを整理して幅広く公開できるように、その手法等について検討してまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 かなり膨大なデータになっているそうですので、早急にこれは多くの方が実用可能な形にしていただくことを要望いたします。
さて、国土交通省における伝統構法の構造設計に関連した取り組みとして、平成二十六年度建築基準整備促進事業における垂れ壁つき独立柱、だぼ入れにより水平方向のみ拘束した柱脚等で構成された木造建築物の設計基準に関する検討による成果をもとに、伝統的構法の利用促進のための規定の合理化を趣旨とした建築基準法施行令改定に関して、ことしの一月に締め切りになりますパブリックコメントが行われました。同様に三月にもパブリックコメントが行われております。この結果を受けて、二点の施行令、告示改定にもつながったと認識をしております。
そこで、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会のメンバーと、今回の建築基準法施行令、告示改定のもととなる平成二十六年度建築基準整備促進事業の関係者は重複する委員も見受けられますが、これらの関係性について、またその意義についてお聞かせいただければと思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
先ほど御紹介をいただきましたいわゆる検討委員会、五年間やりました検討委員会でございますけれども、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、伝統的な構法の安全性を確認するために、建築物の実大振動台実験や、あるいはその材料の強度等に関する実験等を行ってまいっております。
こうした実験等によりまして、伝統的な構法の建築物について、先ほど御説明しましたような、地震のときの変形のぐあいでございますとか、あるいは部材の強度、こういったものについての知見が得られたところでございます。
御紹介いただきました今般の建築基準法の施行令の改正及び告示案につきましては、こうした伝統構法で用いられます基礎と柱との接合方法、それから床の仕様のうちで、こうした実験の成果を活用しつつ、安全性が確認をできたものについて規定をしようとしているものでございます。
この具体の二つの方法についての安全性の確認につきましては、想定をいたします具体の仕様ごとにさらに詳細な実験や解析が必要であったことから、別途、学識経験者から成る委員会を設置して検討していただいたところでございます。
当初の五年間の委員会の委員長と重複をしているかどうかという点でございますけれども、後で設置をいたしました委員会の委員長及び委員、九名いらっしゃいますけれども、そのうちの七名がさきの五年間の検討委員会のメンバーと重複をしているところでございます。
そうした意味でも、十分この成果が受け継がれる形での検討がなされているものというふうに認識をいたしております。
○小宮山委員 ぜひ、よき部分というものには引き続きかかわっていただければと思っております。
そこで、実務者がかかわっていない研究者だけによる改定では実用性の薄いものしか提示されないのではないかという危惧もよく聞くところであります。今回のわずかなというんでしょうか、資料の厚みからすると、二点だけという仕様の提示となる告示改定を実用的なものと考えているのか、この点に関して所見を伺いたいと思います。
あわせて、施行令、告示改定のパブリックコメントの結果について、その内容、及びいかに対応していくのか、今後の予定についても御説明いただければと思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
ちょっと細かい話になりまして恐縮でございますけれども、今回、二点の内容、すなわち、だぼ継ぎ等による水平方向のみに結束をいたしました柱と、それから、木板というふうに言っておりますが、いわゆる板張りの床でございますが、これについて告示案で仕様提示をさせていただいているところでございます。これはいずれも伝統的な構法で、かねてより用いられている仕様でございます。
こうした仕様について、構造安全性につきまして、実験や解析を行うことにより、その安全性が確認できましたので、この仕様を基準として位置づけるという告示案の今意見募集を行ったというところでございます。
これまでは、冒頭申し上げましたように、こうした仕様を用いるためには、建築確認の際に限界耐力計算という非常に精緻な構造計算をして検証する必要がございましたけれども、これが告示化された暁には、今申し上げました二点につきましては、そうした精緻な計算、検証を経ることなく採用できることになりますので、十分実用にたえ得るものというふうに考えているところでございます。
また、この施行令案それから告示案につきましては、それぞれパブリックコメントを行っております。
特に、まず一つ目の、いわゆる柱とそれから基礎との緊結の部分でございますけれども、これにつきましては、告示案で示された仕様だけでなくて、もっと多様な仕様を認めてほしいという御意見があった一方で、告示案で提示された仕様のままでは、地震時は非常に挙動が複雑でございますので、もう少し安全確保上の余裕を持たせる必要があるのではないかといったような意見もいただきました。
それから、板張りの床の方でございます。これにつきましては、特に構造安全にかかわるような御意見はございませんでしたけれども、これまでも一般的に運用で認められてきました構造用の合板が使えるのかどうかといった確認を求めるような意見が寄せられております。
現在、こういったいただいた意見も踏まえた上で、最終的に告示案に関しまして検討を行っているところでございます。できる限り速やかに成案を得て、告示をつくってまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 今回も、実務者の方々からは、伝統的構法の発展性が期待できるという声もあるのは事実であります。しかし、この改定はごく一部で、限定的な内容について扱われておりまして、伝統構法を網羅するものではないと私は認識をしております。
今後も、ほかの内容について検討が継続されるのか否か。より積極的に取り組んでいくには、研究者だけではなく実務者も加えた、場合によっては新たな委員会を設置し直すことも必要かと考えます。国交省の見解をお聞かせください。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
五年間続けてまいりました検討委員会によります実大振動台実験の結果等、たくさんの実験等を踏まえまして、地震時の挙動等に関するデータはかなり蓄積をされております。伝統的な構法に関しまして一般的に用いることができる仕様を開発していく上でベースとなる知見は一定程度得られたものというふうに考えております。
今回、この知見を踏まえた上で、二点について告示案を提案いたしましたが、お話しいただいたような、さらにほかの部分についても伝統的な構法の仕様がございますので、そういった点についても個別の実験や検証の検討を続けて、できるものから告示化を進めていくということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
その検討に当たりましての体制でございますが、例えば実験データや解析データの分析を行う際には、当然、関連分野の研究者の方の御意見を聞くということが必要になってまいると思っております。また、現場での施工方法を踏まえて、具体的な仕様を設定する場合には、実務者の方から御意見を伺うということが必要だと思っております。
それぞれ、検討の内容に応じて適切に検討体制を構築して検討が進められるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 建築現場においては、時間と手間をかけて本当によい建築物、居住して満足感のある建築物をつくろうと職人と施主が努力をしております。しかし、時間と費用で大きな負担も伴う限界耐力計算が必要となるなど、一軒ごとに違う伝統的構法を活用した建築に係る手続は大変高いハードルとなるのが現状であって、これを改善していくことも建築物にかかわる行政の役割ではないでしょうか。
日本の文化、風土の中で育まれた建築技術が、西洋文化の普及とともに例外規定として建築が可能になっていることにも私自身は違和感を感じているところであります。
そこで、湿度などさまざまな点においては、伝統構法というのはやはり日本の風土に合った建築物であるということで、昨年も建築物省エネ法の際に質疑をさせていただきましたけれども、この点に関しまして、引き続きお聞かせいただければと思います。
昨年十二月十八日、社会資本整備審議会建築分科会第十四回建築環境部会において、外皮基準の適用を除外できる住宅の判断に関するガイドライン案が示されております。
国交省の全国共通のガイドライン作成の進捗状況はいかがでしょうか。あわせまして、指針作成を行わない地域における、ほかの自治体などで作成された指針の活用はどのような基準で選択するのか。例えば都道府県内でいくのか、距離でいくのか、気候風土にするのか、この点に関しましての御見解を御説明いただければと思います。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
現在、三百平米を超えます新築住宅につきましては、省エネ基準への適合の有無など、届け出をしていただくことになっております。
しかしながら、お話しいただきました、いわゆる伝統的な木造の住宅につきましては、土塗り壁や縁側などの大きな開口部を有するという特徴もございますので、一般的に、高い断熱性を確保するということが非常に難しい面がございます。
このため、こうした住宅につきましては、所管の行政庁、建築担当部局でございますが、ここが地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切というふうに認定をいたしました場合には、こうした基準のうち、外皮、いわゆる壁とか屋根とかの基準でございますが、こういった基準は適用除外にできる。また、一次エネルギー使用量に関する基準についても緩和ができるという緩和規定を置いているところでございます。
この認定を地方公共団体でございます所管行政庁が円滑に行っていただけるように、有識者の御意見も伺った上でガイドラインを策定いたしておりまして、明日にも公表できる運びでございます。
所管行政庁はこのガイドラインを参考に認定を行っていただくということになりますが、地域固有の構法の場合には、それぞれの地域独自の認定指針を別途おつくりいただくということも当然できることにいたしております。そうしたガイドラインに基づく認定、それから地域独自に策定をいたしました認定指針に基づく認定、いずれでも、公共団体の判断でやっていただければと思います。
その際に、御指摘をいただいた、他の地域でつくった指針を参考に認定をするということ、これは当然あり得るというふうに思っております。例えば気候が似た地域でございますとか、あるいは同一の文化圏を歴史的に持っているような地域であれば、建築の構法についても同一の構法がとられているというケースがございますので、そういった場合には、認定に当たって、あくまで特定行政庁の判断ではございますけれども、他の地域でつくられた指針を参考に認定を行うということは当然あり得るものというふうに考えております。
そのため、国としては、やはり各自治体がきちんとした判断が下せるように、各地域でどんな認定指針がつくられているのかといったことや、あるいは具体にどんな認定が行われているのかといった情報について、できるだけ幅広く、公共団体の皆さんや、あるいは実務者の方に対しても周知を行うことが大切だというふうに思っておりますので、そうした円滑な認定が行われるような環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
この法案でのキーとなるのは、高断熱、高気密を基本としているということであり、部屋全体、家全体を暖める、あるいは冷却するなどして室温を均一にしようとするような建築物省エネ法であります。
例えば、こたつのある生活などで、室温を均一にしないままの住まい方というのは、エコではありますけれども、建築物省エネ法では評価されるものではありません。ヒートショックの予防といったような、健康に害を及ぼしかねないことについては十分配慮されることは必要だと思いますが、こたつを活用するライフスタイル、夏季における密閉された室内で起きる熱中症などの防止、高気密、高断熱とともに、開放型の建築に関しても丁寧な対応が必要だと考えております。
法は、大規模の非住宅建築物からの規制であって、小規模の住宅については二〇二〇年に向けての検討にとどまっており、国土交通省からも、その部分への規制は難しいと以前の審議においても伺っております。これは、前の太田大臣のときの質疑だと思います。
改めて大臣に、戸建て住宅などへの省エネ基準に対する現在の国交省の考え方を確認させていただきたいと思います。
○石井国務大臣 日本再興戦略におきましては、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する方針が閣議決定をされているところであります。
住宅の省エネ基準適合義務化については、慎重な検討が必要と考えておりまして、基準への適合状況の推移を見ながら、規制による費用負担と効果のバランス、規制の必要性に対する国民の理解、建築主などの申請側と審査側の体制整備の状況などを総合的に勘案しながら検討を進めていきたいと考えております。
○小宮山委員 建築基準法、省エネ基準などを優先したために、伝統的な構法の町並みが少しずつ変化していくのではないかと心配しております。それは、伝統構法が例外規定のため、王道の、基準法を学んで常識としている設計や建築許可をおろす側からは遠い存在となりつつあると感じているからです。
私の地元も、小江戸川越といって、江戸時代の風情を残した古い町並みが整っております。この中にも新しい建築物ができるたびに、何となく軒が合っているようですけれども、現代の建築であるというのが明らかにわかる、そんな建築物がちらほら見え始めてしまっています。
古きよき景観や構法を次世代へ引き継ぐことへの配慮について、国交大臣の御所見をお聞かせください。
○石井国務大臣 構造安全性の確保及び省エネの推進を図りつつ、町の景観に配慮した伝統的な構法を継承するという課題に対応するためには、まず第一点には、伝統的な構法の特性を踏まえ、省エネ性能を適切に評価すること、二点目には、伝統的な構法を用いた上で、構造安全性の確保や省エネの推進を図ることができる技術を開発すること、三点目には、景観上もすぐれた伝統的な住まいを継承することの三つに取り組むことが必要と考えております。
まず一点目の省エネ性能の評価につきましては、土塗り壁などを用いた伝統的な構法の住宅には、高い断熱性能を確保する上で難しい面がございますので、所管行政庁が地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切と認定した住宅に対し、省エネ基準を一部緩和できることとしております。この認定を円滑に行うためのガイドラインを策定し、あすにも公表する予定であります。
二点目の技術開発につきましては、構造安全性について実験や解析により性能が確認された仕様について、建築基準法上、一般に用いることができる構法として位置づけ、伝統的な構法が使われやすい環境を整備しているところであります。省エネ性能につきましては、伝統的な構法を用いた上で一定の性能を確保した住宅を整備する先導的な取り組みに対する新たな補助事業の創設を平成二十八年度予算に盛り込んでいるところであります。
三点目の、景観上もすぐれた伝統的な住まいの継承については、関係省庁と連携してPRのための冊子「和の住まいのすすめ」を取りまとめ、各地域でシンポジウムを展開する等、日本の住まいの知恵や美しさの普及を図っているところであります。
これらの施策により、町の景観にも配慮した伝統的な構法の継承に取り組んでまいります。
○小宮山委員 省エネ基準に関しては、仮に設計基準に適合しない建物であっても、実際の一次消費エネルギー量は基準値を下回る事例が多くあることは昨年の委員会でも紹介させていただきましたし、本年二月十六日に議員会館内で開催されたJIAの建築士などからの報告会でも紹介されております。
ぜひとも、長年、それぞれの町の歴史やその土地土地の風土を育んできた、そして、景観が損なわれることにつながってしまうことのないように配慮しつつ取り組んでいただきますよう御要望いたします。
さて、最後に、時間がなくなってきて駆け足になってまいりますが、日本の観光戦略についてお伺いさせていただきます。
訪日旅行の内容の質にも視点を向けた戦略的プロモーションに取り組んでいくべきと考えておりますけれども、この点に関しまして、観光庁の取り組みと見解についてぜひお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○田村政府参考人 お答えいたします。
観光庁といたしましては、質の高い観光立国を目指すことは非常に重要であって、そのために戦略的な訪日プロモーションを行っていくということが必要であるというふうに考えております。
このため、従来のように訪日数の増加を目指すだけではなくて、訪日外国人旅行者の長期滞在あるいは消費拡大、こういうことを促進し、質の高い旅行サービスを実現していくために、政府を挙げて諸施策を講ずることとしております。
特に、訪日プロモーションにつきましては、欧州や米国、オーストラリア、こういったところ、あるいは富裕層などをターゲットにすることによりまして新しい市場を開拓してまいります。
観光庁といたしましては、データ分析に基づいた戦略的訪日プロモーションを実施するとともに、関係省庁と連携し、政府一丸となって質の高い観光立国の実現を目指して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○小宮山委員 ぜひデータ分析を通じてというところは支援をしたいと思います。
実は先週末、三月二十六日、私の地元、小江戸川越におきまして春祭りの開会式が行われました。同日の午後ですけれども、一番街商店街振興会におきまして、二升五合市、ますます繁盛とは二升五合と書いていますけれども、この取り組みの中で「小江戸川越 江戸の日」というイベントが行われました。これは、地元の皆さんが江戸の町並みを楽しむのに対し、迎え入れる側もやはり江戸時代の扮装、中にはかつらでちょんまげの方がいたり日本髪の方がいたり、途中で捕り物とか人情話の時代劇が突然町の角で行われる、時の鐘のそばの角には人相書きで立て札が上がっていたりと、大変おもしろい、実験的な挑戦を地元の若い人を中心に行われたと聞いております。私自身も着物を着てこの中に入り、多くの方とさまざまなお話もさせていただき、こういったソフトの面で観光というのは大変重要だなということ、そして、これにおける可能性というものを多く感じたものであります。
しかし、実際、いろいろ日本文化というものを多くの海外の方も楽しむ、そして日本人も楽しむということではありますが、残念ながら、今、日本の伝統文化というものにどれだけ日本人が精通をし、理解をし、そして自分のものとしているのか疑問に思うところもあります。
簡易宿泊所の新しい形態であれば、映画に出てくるような富士山の絵が描かれたふすま絵があったりと非常に派手派手しいものがあって、日本人の考えるというか、日本の本来の伝統文化にはないような色彩とか絵柄、そういった室内装飾のものが随所にあり、これが日本であると思われてもいけないし、海外の方にはたまに、いまだに、おいらんが町中にいるのではないか、忍者はどこかにいるのかというようなことを言われるということも聞いたこともございます。
そして、それを迎える側においてもなかなか伝統というものを理解していない。結局のところ、日本の本来、携わられてきた伝統というものが提供できないという、資源を失っているのではないかという心配をしております。
そこで、最後になるかと思いますけれども、日本の伝統文化、日本らしさの継承について、観光振興の面から大臣の基本的認識をぜひお伺いさせてください。
○石井国務大臣 本日、委員会出席、若干遅参をいたしましたが、きょう午後、官邸におきまして明日の日本を支える観光ビジョン構想会議が開催をされまして、新たな観光ビジョンが取りまとめられたところでございます。この観光ビジョンにおきましては、観光資源の魅力向上、観光産業の革新、快適な旅行環境の実現の三つの視点から、さまざまな施策を取りまとめております。
今御指摘がありました日本の伝統文化につきましては、我が国の魅力を世界に伝える上で重要な観光資源でありまして、外国人旅行者にとって、我が国への訪問を動機づけるものとなると思っております。そして、伝統文化は、鑑賞する人にその歴史や意義もあわせて理解してもらうことにより、一層魅力が高まるものと考えております。
このため、国土交通省におきましては、外国人旅行者が我が国の文化財やお祭り等の伝統文化を正しく理解でき、旅の満足度を高められるように、地域の観光資源の掘り起こし、磨き上げ、魅力の発信、また、文化庁と協力して、ソフト、ハード両面ありますが、文化財の本来の価値、魅力をわかりやすく外国人旅行者に伝えるための英語解説の改善充実等に取り組んでまいりました。
今後、我が国の伝統文化を観光資源としてさらに積極的に活用するため、伝統文化を活用した観光拠点の整備や、わかりやすい多言語解説の充実等を推進することとしております。
国土交通省といたしましては、関係省庁と連携をして、これらの取り組みを推進し、我が国に継承されている伝統文化を用いた質の高い観光立国の実現を目指してまいります。
○小宮山委員 質の高い伝統文化を含めた文化の提供というもののために、まず日本人がその文化を理解しなければいけないなと感じております。
それは、例えば、着物をレンタルして町歩きをするのが随分あちらこちら、はやってはおります。しかし、真冬に浴衣を着て出させたりという会社もあるようで、また、それを見て何も感じない日本人もいるということもあります。また国会においても、開会日に着物を着られますが、御自身で着物が着られる議員がどれだけいるんでしょうか。
やはりさまざまなところで日本文化というものが失われている。そのよさ、そして気候風土から育った文化というのを日本人自身が大切にしなければいけないと思います。
本日予定していた質疑、文化戦略についてはまた今後引き続き質疑させていただきますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子と申します。
リニア問題について質問をさせていただきます。
私は、名古屋から品川まで、リニア沿線七都県を訪ねてまいりました。沿線住民の皆さんから、静かに暮らしているのに、その暮らし、生活が壊されることや環境が壊される、このことに対して悲痛な声や切実な声が各地で上がっております。
きょうは、その中でも、岐阜県のウラン鉱床の問題について伺いたいというふうに思います。
まず国土交通省に伺いますけれども、リニアルート近くにウラン鉱床がある、このことを確認したいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
JR東海が作成した環境影響評価書におきましては、リニア中央新幹線の沿線においては、岐阜県の東濃地域にウラン鉱床があることが示されております。
この鉱床は、旧動力炉・核燃料開発事業団が実施した調査により把握されたものでございます。リニア中央新幹線のルートは把握されたウラン鉱床を回避して設定されておりますけれども、その沿線にはウラン鉱床があるということでございます。
○本村(伸)委員 リニアの環境影響評価の準備書に対する岐阜県の知事意見では、ウラン含有土壌に関しては次のような措置を講ずることということで、文献調査で把握をしたものとは別に、「事前のボーリング調査等においてウラン含有土壌の存在を含む地質の状況把握を」と書かれております。
そこで伺いますけれども、環境影響評価書が出される前に、JR東海はリニアルートの放射線量をはかるボーリング調査は行っているのでしょうか。
○藤田政府参考人 JR東海が作成しました環境影響評価準備書に対しまして、平成二十六年三月に岐阜県知事意見が出されております。
その中では、文献調査で把握した計画路線上のウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域にあっては、事前のボーリング調査等におけるウラン含有土壌の存在を含む地質の状況把握を行い、工事計画を定めることといったことが示されております。
この知事意見を勘案した環境影響評価書は、平成二十六年四月に作成されました。JR東海によれば、この間に、ウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域においてボーリング調査は行われていません。
○本村(伸)委員 JR東海は、アセスで、岐阜県内三十七本のボーリングを国鉄時代、そしてJR時代にやっているというふうに出しておりますけれども、この出てきた土壌について、ゲルマニウム半導体検出器ですとかウラン分析法などによって何が含有されているのかということをはかっているのでしょうか。
○藤田政府参考人 まず、ボーリングの状況でございますけれども、環境影響評価書の作成以後、JR東海におきましては、ウラン鉱床と地質が類似した箇所で平成二十七年度後半にボーリング調査を実施しております。それから、ウラン鉱床に比較的近い地域でも、今後ボーリング調査を予定しているというふうに承知をしております。
そのボーリング調査によりまして、放射線量やウラン濃度を測定しているということでございます。ウラン濃度を測定する手法として、ウラン分析法を用いてウラン濃度を測定しているというふうに承知しております。
○本村(伸)委員 アセスの評価書の後、ボーリングをやっているというお話でしたけれども、今何本やっているのか、今後何本やる計画なのかということと、ゲルマニウム半導体検出器とかウラン分析法によって何が含有されているのかということをはかって、ちゃんとそれは公表されるのかということを確認したいと思います。
○藤田政府参考人 補正後の評価書の公告が二十六年八月になされておりますけれども、それ以降、すなわち二十七年度後半と申し上げましたけれども、その時期にボーリングが一本行われているというふうに承知をしております。その結果につきましては、現在、ウラン分析法を用いてウラン濃度を測定、分析しているところというふうに承知をしております。
JR東海におきましては、環境影響評価書に示されているように、放射線量やウラン濃度を含む地質の状況把握の結果につきましては、県及び関係市町に報告するとともに、関係する地域における工事説明会等において地元の方々に御説明していくと聞いております。
○本村(伸)委員 結局、今現在、ボーリングをしている最中だ、それで分析をする最中ということだというふうに思うんですけれども、これでどうして今の段階で安全だというふうに言えるのかということを私は思うわけです。
リニアルート近くにはウラン鉱床があって、非常口あたりにも住民の皆さんが住んでおられまして、そこから土砂を搬出するということもありまして、住民の皆さんが本当に大変心配をされている。トンネルを掘る、働く皆さんの健康と命の問題でもあるというふうに思います。
JR東海が放射線量をはかるボーリング調査をアセスのときにはやっていないということだというふうに思いますけれども、それはそもそも、丁寧な説明ですとか、あるいは住民の皆さんの理解と納得の前提がないということだというふうに思うんです。
環境アセスは事業者がやらなければいけないということになっているわけですけれども、こういうこともやられていないアセスのやり方そのものがおかしいと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線の環境影響評価は、JR東海によりまして、平成二十三年から二十六年にかけて実施をされました。当時の環境影響評価法では、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染については適用しない旨が規定をされておりました。したがって、放射性物質に関する現地調査は、この環境影響評価の中では行われておりません。
一方、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けまして、環境影響評価法が改正されまして、放射性物質に関しては適用しない旨の規定は削除されました。これにより、現在は、放射性物質が相当程度拡散、流出されるおそれがある場合には、放射線の量も測定されることとなったものと認識をしております。
なお、JR東海は、この東濃地域において旧動燃により実施された調査結果を確認するため、環境影響評価とは別に放射線量の計測を行ったということでございます。
○本村(伸)委員 環境省に伺いたいというふうに思いますけれども、追加被曝線量の問題で、年間一ミリシーベルトという数値には根拠がないと環境大臣が言明をされ、そのことが大問題になりましたけれども、この追加被曝線量年間一ミリシーベルト以下にしようという根拠をお示しいただきたいと思います。
○荻野政府参考人 お答え申し上げます。
国際放射線防護委員会、ICRPの勧告についてのお尋ねがございました。
ICRPは、原子力施設の運用等による追加的な公衆被曝の実効線量限度を年間一ミリシーベルトと勧告をしております。すなわち、自然環境中に存在する天然ウラン鉱石による被曝については、本線量限度の適用対象外とはしております。
ICRPの文書等によりますと、その根拠といたしましては、変動しやすいラドンによる被曝を除けば自然放射線源からの年実効線量は約一ミリシーベルトであるということから、本勧告が発出されたということでございます。
○本村(伸)委員 やはり、健康や命を考えれば、追加被曝線量がないことが一番いいわけでございます。住民の皆さんや、リニアトンネルを掘る、そういう働く皆さんが追加被曝することがないように、万全に対策をとらなければならないというふうに思います。年間一ミリシーベルトを超えるような基準でやることがないようにということも強調をしたいというふうに思います。
JR東海は、東濃地域のウラン鉱床については、独立行政法人日本原子力研究開発機構、旧動燃からの資料収集を行い、「旧動燃は、約千四百本のボーリング調査を行い、ウラン濃度を確認し、ウラン鉱床の位置を把握している。計画路線はウラン鉱床を回避している」というふうに言っております。
資料の一ページ目を見ていただきたいんですけれども、ここでお示しをしておりますリニアルートの中で、リニアルートは点線であったり、実線の部分もあるんですけれども、その部分の四角に囲った三キロの区間は、「念のため線量計などにより掘削土の状況を把握するほか、排水中のウラン濃度や大気中のラドン濃度についても把握する。」というふうに書いてございます。
そこで、旧動燃が調べたウラン鉱床とはということでお伺いをしたいというふうに思いますけれども、文部科学省さんにお伺いしたいと思います。
掘削をして採算がとれる量が出るところをウラン鉱床というふうに言うと思いますけれども、ウラン鉱床の概念について正確にお示しいただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
旧動力炉・核燃料開発事業団は、国内のウラン資源調査の一環といたしまして、昭和三十八年から昭和六十三年の間、岐阜県の東濃地域におきましてウラン鉱床調査を実施しております。
その際、重量比において元素が比較的凝集している〇・〇一%以上の酸化ウランを含む場所をウラン鉱床としたところでございます。
○本村(伸)委員 ちょっと確認したいんですけれども、一定量ないとだめということだというふうに思いますけれども、確認したいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
基本的には、動燃は、今申し上げましたように、酸化ウランの濃度に着目をいたしまして、〇・〇一%以上の酸化ウランを含む場所をウラン鉱床と指定したところでございます。
○本村(伸)委員 ウラン鉱床がない、回避しているということが、必ずしも、ウランや、あるいは通常よりも高い放射性物質がない、回避しているということを示すものではないというふうに今のお答えからもわかると思うんですけれども、旧動燃は、採算性のあるウラン鉱床を求めてボーリング調査をした、リニアトンネルを掘ることを想定してボーリング調査をしたわけではない、命や健康のためにボーリングをしたわけでもない。そもそも目的が違うボーリング調査をもって、約千四百本掘ったから大丈夫とはとても言えないというふうに思います。
資料の一を見ていただきたいんですけれども、この緑の粒々の部分が旧動燃が掘ったボーリング調査の場所なわけですけれども、千四百本掘ったといっても、リニアルートはほとんどボーリングされていないということがわかるというふうに思います。
この旧動燃の目的が違うボーリング調査の資料を使って、回避しているとかトンネルを掘ってもいいとなぜ言えるのか、なぜ安全だと言えるのかということをお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 今委員御指摘ありましたように、リニア中央新幹線が通過する予定の岐阜県東濃地域におきましては、JR東海が実施した環境影響評価書の中に示されているように、旧動燃により約千四百本のボーリング調査が行われまして、当該地域の地質や鉱床分布の状況等が把握されております。
また、JR東海は、旧動燃の調査に基づき、ウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域において既に独自にボーリングを実施しており、今後も必要な調査を行い、地質の状況を把握するということでございます。
国土交通省としましては、このような取り組みが適切に実施されるようJR東海を指導してまいります。
○本村(伸)委員 住民の皆さんには説明もちゃんとされていないわけです。住民の皆さんの不安に応えて、JR東海はほとんど何もやっていないというふうに私は思います。
こうした健康や命にかかわることはいいかげんにして、その一方で、リニア工事に着手したんだと大々的に報道して、南アルプスの方は穴をあけるんだ、こんな進め方で本当にいいと大臣はお考えでしょうか。
○石井国務大臣 JR東海は、平成二十六年八月の環境影響評価書の中で、ウラン濃度が高い発生土が判明した場合については、県及び関係市町に報告するとともに公表する、対応方法等の詳細については専門家の意見を踏まえながら検討を進めていく、その内容については工事説明会において地元の方々にも説明するなどとされております。
JR東海によれば、ウラン濃度の高い発生土等が判明した場合の対応方法については既に専門家からの意見聴取を開始したということでございますので、国土交通省としましては、環境影響評価書の中で示された取り組みが適切に実施されるよう、すなわち、リニア工事に伴う放射線に対する安全対策がきちんと適切に実施されるようにJR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 そもそも通常よりも高い放射性物質が出てきた場合、あるいは、放射性物質であるんですけれども気体のラドンも問題でありまして、この高いラドン濃度がある場合に何法に基づいて対応するのか。どのくらいの線量の残土が出てきたら、あるいはどのくらいのラドン濃度で対応をとるのか、お示しいただきたいと思います。
○藤田政府参考人 これにつきましては、国土交通省といたしまして、原子力規制庁の方に照会をいたしました。
原子力規制庁によれば、ウラン鉱石等の核原料物質につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、いわゆる原子炉等規制法でございますけれども、その法律及びこの法律の施行令に基づきまして、放射能濃度が一グラム当たり三百七十ベクレルを超え、かつウランの三倍の量とトリウムの量との合計が九百グラムを超える核原料物質を使用する場合は届け出が必要となるというふうに承知をしております。
ラドンにつきましては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に従って取り扱われることとなりまして、関連告示におきまして、例えば、ラドン220であれば、数量が一・〇掛ける十の七乗ベクレル、濃度は一・〇掛ける十の四乗ベクレル以上であれば、これは一グラム当たりでございますけれども、届け出等が必要となりますが、存在状態が天然のままのラドンを取り扱う場合についてはこの法律の規制の対象外であるというふうに承知をしております。
○本村(伸)委員 もう一つ確認をしたいんですけれども、通常よりも高い残土が出てきた場合はどのような対応をとるのか、残土をどのように運ぶのか、処分場所はどこになるのか。専門家の意見を踏まえてというふうに言いますけれども、その検討状況から情報公開をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○藤田政府参考人 原子力規制庁によりますと、原子炉等規制法に規定される基準値以上の核原料物質を含むものにあっては、この法律の規定によって取り扱われるということでございます。
具体的には、容器に封入等をしまして、放射線障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄することといったことがこの法律に規定されているということでございます。
専門家の検討状況等につきましては、状況に応じまして、適切な時期に情報公開がされるものと考えております。
○本村(伸)委員 情報は公開されるんでしょうか。検討状況。
○藤田政府参考人 必要な場合には情報が公開されるように指導してまいりたいと思います。
○本村(伸)委員 もう一つ心配なことは、ウラン鉱床で働いていた方は、坑内のラドンの濃度が高くなって、そこで内部被曝をして肺がんになるという危険性が指摘をされております。
このことは、リニアルートのトンネル坑内で働く人たちもこのようなことになるのではないかというふうに心配をされますけれども、リニアのトンネルで働く人たちの外部被曝や内部被曝の防護、このことはどのような対策が考えられているのか、お示しいただきたいと思います。
○藤田政府参考人 JR東海によりますと、鉱山保安法などの法律を参考にしまして、放射線が比較的高い掘削土が確認された場合などの対応方法等の詳細について、放射性物質及び地質に精通した専門家の意見を踏まえながら検討を進めているところであるというふうに聞いております。
○本村(伸)委員 今も、トンネルじん肺で亡くなられた方の御遺族や苦しんでいる方々は、被害者全員の救済を求めて闘っておられます。そして、救済法や基金の創設を求めておられます。
これから、品川から名古屋まで二百八十五キロ以上、トンネルが八六%、こういう制度もつくらずにリニアをどんどん進めるやり方についても、働く人たちの問題でこれは大問題だというふうに思います。
私は先日、ウラン鉱床がある岐阜県の東濃地域に行ってきたわけですけれども、岐阜県の御嵩町、土岐市、瑞浪市、ここの地表面の放射線量を住民団体の皆さんや住民の皆さんや地方議員の皆さんとはかってまいりました。その結果が資料の二になるわけですけれども、二と三を見ていただきたいと思います。はかった地点が三枚目の資料の1、2、3、4、5、6のところになりますけれども、ここの六つの地点をはかってまいりました。
JR東海は、資料三の中にある、瑞浪市内の四角に囲ってある部分だけは線量をはかりながら掘削するというふうに言っております。しかし、三キロだけだというのは根拠がないというふうに私は思うんです。
地表面の部分ですけれども、資料三の5の地点、つまりは、JR東海が放射線量をはかりながら掘削すると言っている三キロの部分ではかった数値よりも、資料三の1の地点、リニアルート、二百四十五キロのところではかった数値の方が高かったわけです。
私は、数年前ですけれども、別の日に、資料三の6の地点、瑞浪市の超深地層研究所というところに行ったことがあるんですけれども、ここは、地下三百メートルよりも深く穴を掘って原発の核のごみを地層処分できないかというような研究をしているところです。ここは、放射性廃棄物、核のごみは入れないということで、協定があり確約をしているわけですけれども、そこの地下に行きましたけれども、放射線量をはかる線量計を持っていったんです。
地下に入る前は〇・〇三四マイクロシーベルトだったんですけれども、地下に入ったら〇・二〇六マイクロシーベルトということで、地下に入ったら六倍も放射線量が高くなったわけです。ですから、地表面の数値だけでは地下の数値ははかれないということは、このことからも実感をしてまいりました。
また、資料の三の四角い赤い部分の三キロのところだけ、はかりながら掘削すると言っているんですけれども、例えば一九五六年に、今でいう経済産業省の産業技術総合研究所地質調査所というところが行った、岐阜県、愛知県、長野県の各地で自動車による放射能測定の調査、この報告を見てみますと、リニアルートである岐阜県の中津川や長野県の南木曽あたりでも高い放射線量が検出されたというふうに書かれております。
今のJR東海の計画では、中津川とか南木曽とかこういう地域は放射線量を何もはからずに掘削するというふうになっているんですけれども、やはり住民の皆さんの不安に応えていくためにも、この四角に囲った瑞浪市の三キロの部分に限らず、きっちりとはかることが必要だというふうに思います。
事前にちゃんと沿線ルートをボーリングし、放射線量をはかり、どんな放射性物質が含まれているのかをちゃんと調べるべきだというふうに思いますし、掘削箇所の湧水とか発生土の置き場の流出水を含めてウラン濃度はどうなるのかということや、放出されるラドンの濃度はどうなるかとか、地下にラドンがたまっているような場所がないかなどもしっかりと調査をして情報公開をするべきだと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 今委員が御指摘された約三キロメートルの区間とは、東濃地域のウラン鉱床と地質が類似している地域を指していると思います。
JR東海は、環境影響評価書の中で、ウラン鉱床に比較的近い地域や地質が類似している地域においてボーリング調査等により地質の状況を把握し、その結果については、岐阜県及び関係市町に報告するとともに、関係する地区における工事説明会等において地元の方々に説明していくとしております。
このように、JR東海は、知事意見も踏まえまして、地質が類似している約三キロメートルの区間以外でも、ウラン鉱床に比較的近く、放射線量の高い掘削土が発生する可能性のある区域について地質等の状況を把握する取り組みを行い、地元に説明することとしております。
国土交通省といたしましては、このような取り組みについて、地元住民への丁寧な説明を通じて地域の理解と協力を得ながら進められるようJR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 ちょっと大臣に確認したいんですけれども、今の御答弁は、三キロ以外のルートの部分で放射線量と放射性物質をはかるんだ、ボーリング調査をするんだ、ラドンの調査もするんだ、情報公開もするんだということでよろしいでしょうか。イエスかノーでお願いします。
○石井国務大臣 知事意見も踏まえて、JR東海においては、約三キロの区間以外でも、ウラン鉱床に比較的近く、放射線量の高い掘削土が発生する可能性のある区域について地質等の状況を把握する取り組みを行い、地元に説明することとしております。
○本村(伸)委員 ウラン鉱床に近いというのは、どこまでを言うんでしょうか。中津川や南木曽も含まれるんでしょうか。
○石井国務大臣 詳細については承知をしておりません。
○本村(伸)委員 放射性物質や有害物質が出てきた場合の問題なんですけれども、JR東海が本当に正直に報告してくれるのかも心配になるわけでございます。
二月二十二日に、JR東海から、リニア中央新幹線建設工事に先立ち行った地下水調査において環境基準を超える鉛が検出されたにもかかわらず、岐阜県に報告していなかったという問題が明らかになりました。
この問題について、概要の説明を端的にお願いしたいと思います。
○藤田政府参考人 本年二月二十二日に岐阜県が公表した資料によりますと、同日、二月二十二日に、JR東海から、リニア中央新幹線建設工事に先立って行った地下水調査において、中津川市山口地区や瑞浪市日吉町地区で地下水環境基準を超える鉛が検出されたとの報告を受けた。また、JR東海が平成二十四年から二十六年に行った調査において、基準値超過が確認された地下水調査及び土壌調査の結果についても報告漏れがあったとの報告を受けたということでございます。
岐阜県の要綱では、地下水調査等の結果、有害物質による汚染を新たに確認した場合は、その旨を速やかに報告することとされております。
一方、JR東海からは、当時この要綱の存在を知らずに、その存在に気がついた本年二月、岐阜県に報告したものと聞いております。
○本村(伸)委員 今もお話がありましたように、中津川市の山口の地内と瑞浪市の日吉町の地内で井戸水から鉛が出たわけですけれども、JR東海は、わかった時点で周りの住民の皆さんに知らせたんでしょうか。
○藤田政府参考人 JR東海によれば、地下水調査を実施することにつきましては、実施箇所の地権者に対し、事前にどのような調査を行うか説明し、了解を得た上で調査を実施しているということでございます。
調査結果につきましては、地権者や地元の方に対し、お問い合わせがあった場合には個別に報告を行うこととしておりますけれども、今回の箇所では事前のお問い合わせがなかったために、確認した段階では報告していないというふうに聞いております。
なお、その後二月に、JR東海は地元の方に本件を報告したというふうに承知をしております。
○本村(伸)委員 井戸水の中から鉛が出てきたのがわかったのが、この二つの地内では、二〇一三年と二〇一四年、そして二〇一六年の一月にわかったわけですけれども、全く住民の皆さんに知らせないというのは人道上も問題だというふうに思います。鉛や水銀など、その水を飲み続けていたらどうなるのかということはわかるはずだというふうに思います。
命にかかわる、危険だとわかっていたのに住民の皆さんにお知らせもしない、これは大問題だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 環境調査におきまして、調査結果が環境基準値を超過していることを確認した場合は、地元に対する報告の義務づけがない場合においても、必要に応じて、その情報を沿線自治体に伝えるようにすることが望ましいと考えます。
国土交通省としましては、このような環境調査も含めて、引き続き、JR東海に対して、地元の理解と協力を得ながら事業を進めるよう指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 鉛や水銀が入った水がある、地下水があるとわかっているのに報告しないというのは、やはりJR東海は何か感覚が麻痺しているのではないかというふうに恐ろしくなります。
今回は、岐阜県に、岐阜県地下水の適正管理及び汚染対策に関する要綱があったから報告漏れということになりましたけれども、JR東海の事業で有害物質が出てきたとき、あるいは放射性物質が出てきたとき、七都県全ての自治体で本来は把握しなければいけないというふうに思うんですけれども、七都県全ての自治体の条例や要綱などどうなっているのか、国交省はつかんでおられますでしょうか。
○藤田政府参考人 私どもとしては、現時点で承知をしておりません。
○本村(伸)委員 リニアは今世紀最大の事業で、政府は国家プロジェクトだというふうに言っております。各都県任せではいけないというふうに思いますし、やはり、有害物質が出てきたとき、放射性物質が出てきたとき、JR東海に対して、国交省にまず報告させるようにするのが当然だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線の事業における有害物質や放射性物質への対応につきましては、目的に応じた個別の関係法令に基づき、適切に措置される必要がございます。
また、有害物質等が環境基準値を超過していることを確認した場合は、地元に対する報告の義務づけがない場合においても、必要に応じて、その情報を沿線自治体に伝えるようにすることが望ましいと考えております。
国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線事業が、関係法令に従い、環境の保全を図りながら適切に進められるよう、JR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 結局、こういう有害物質が出ても、未報告、知らなかったというふうな回答をJR東海はしたわけですけれども、またこうしたことが起こり得るということだというふうに思います。
やはり、JR東海任せでは住民の皆さんの心配は尽きないというふうに思います。とりわけ、放射性物質にかかわることや有害物質に関することは、第三者で調査をして、しっかりと報告をさせるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 有害物質や放射性物質への対応につきましては、アセス法の枠組みや目的に応じた個別の関係法令に基づき、事業主体により適切に措置される必要があります。
また、有害物質の対応等を検討するに当たっては、必要に応じ、その分野の専門家の知見、いわゆる第三者の知見も積極的に活用することも重要と考えております。
国土交通省としましては、JR東海に対し、関係法令に従って、環境保全に適切に配慮するよう指導してまいります。
○本村(伸)委員 命や健康にかかわる問題ですから、国交省として責任を果たしていただきたいというふうに思います。
別の問題にかわりますけれども、先日、私は岐阜県の恵那市の方に行きまして、リニアルート直上のところにお住まいの皆さんからお話をお伺いしてまいりました。中心線測量をまだやっていないんですけれども、JR東海の職員が一軒一軒回ってきております。そういう中で、JR東海の職員が最初に一人で回ってきました。しかも、口約束で済ませようとして、何の承諾書などの書類もなく突然来て、住民の方が、信頼できないというふうに言っておられました。
国交省では、二〇一一年三月に用地交渉ハンドブックというものを発行されておりまして、そのときに、「公共用地交渉は、二人以上で行います。」というふうに書かれ、交渉従事者の一方が説明して、他方が記録するなど、トラブルの防止ですとか、そのために二人以上で行おうということが書かれております。職員が一人で一軒一軒訪ねるということはだめだと思いますけれども、その点、確認したいと思います。
○藤田政府参考人 御指摘の用地交渉ハンドブックでは、ただいま御説明のありましたとおり、交渉従事者の一方が説明し、他方が記録する等、役割を分担したり、説明を互いに補完し合うことで、トラブル発生を防止し、適正かつ公正な公共用地交渉を担保する観点から、公共用地交渉は二人以上で行うこととされております。
リニア中央新幹線における用地は、このハンドブックの対象としている、いわゆる公共事業に必要な用地ではございませんけれども、JR東海は当該交渉を二人以上で行う方針というふうに聞いております。
なお、御指摘の事案につきましては、JR東海によれば、用地交渉ではなくて中心線測量のお願いに行ったというふうに聞いておりますけれども、詳細については承知をしておりません。
○本村(伸)委員 だから、先ほど中心線測量のことだと申し上げたんですけれども。
もう一つ確認をしたいんですけれども、今度は消費者庁に伺いたいと思います。
このJR東海の用地交渉というのは消費者契約法の対象になると思いますけれどもいかがでしょうかという点が一点、そして、契約取り消しとか無効になる事例が書かれてあるというふうに思いますけれども、その説明をお願いしたいと思います。
○井内政府参考人 お答え申し上げます。
消費者契約法におきましては、消費者と事業者との間で締結される契約が適用対象となります。したがいまして、今回の事案である工事に係る用地買収において事業者が消費者から土地を購入する契約を締結した場合は、当該契約については消費者契約法が適用されると考えられます。
また、消費者契約法が適用される場合とは、事業者が消費者契約の締結について消費者に勧誘をするに際し、消費者契約法に規定する勧誘を行ったことにより消費者が契約を締結したときでありまして、その場合は消費者は当該契約を取り消すことができることになります。
一般的に申しますと、事業者が消費者に対して不実告知を行ったことにより誤認させた場合や消費者の自宅から退去しなかったことにより困惑させた場合などは、契約の取り消しがなされることがあると考えております。
○本村(伸)委員 今御説明いただいた中身は、重要な事項について事実と違うことを言ったり、あるいは、将来変動が不確実なことを断定的に言ったり、利益になることだけ言って重要な項目について不利益になることを言わないことがあったり、帰ってほしいと言ったのに帰らなかったり、帰りたいと言ったのに帰してくれない、これはだめだということだというふうに思います。
岐阜県恵那市のリニアルートの直上のある人のところでは、最初、JR職員の方が一人で回ってきて、一人なんて信用できないということで追い返しました。そうしたら、今度はJR東海の職員の方が四人来た。その方が、この地域はウランがあるんだ、ウランが出てきたらどうするのかという質問をされました。そうしたら、JR東海の工事課長という方が説明をされたそうなんですけれども、ウランを避けて、ルートがこのように直角に曲がるような説明をされて、ルートが直角に曲がって、これを二回やったそうなんですけれども、こういう図を空中に描いて説明をされたそうです。
この説明は、先ほども消費者契約法の対象だということで言われたと思うんですけれども、不実告知、重要な事項について事実と違うことを言うということだと思います。JR東海がこういうことをやっている。
リニアは直角に曲がることなんてできません。そういうでたらめな説明を、住民の方をばかにしたような説明をしている。その方は、ばかにされた、不誠実だと本当に怒っておみえになられました。現場ではJR東海の工事課長という方がこんなごまかしの説明までしているわけでございます。
別の恵那市内の方なんですけれども、体の中にペースメーカーとは別の脊髄神経刺激装置という痛みを軽減する医療機器を埋め込んでおられます。家の直下にリニアが通る計画で、しかも、以前に聞いていたのとは違って、より浅くなって、地下十七メートルのところをリニアが通る計画になっております。工事の際の機械によって、あるいはリニアが通過したときの電磁波などによって誤作動が起こるのではないかということを心配されておられます。医療機器メーカーさんに聞いても安全かどうか確認できないということで、不安に思われております。ですから、納得できないということで中心線測量も拒否をされておられます。
このほかにも、沿線ルート各地で中心線測量やさまざまな調査、測量を拒否されていたり、あるいは、いまだに事業説明会も山梨の地域では拒否している地区がございます。
JR東海にも、重要な事項について事実と違うことを言ったり、あるいは帰ってほしいと言ったのに帰らない、こういうしつこいやり方はだめだということは徹底していただきたいというふうに思いますし、私は、この七都県のリニアルート沿線を回ってみまして、やはり住民の皆さんの不安とか心配とか、それは本当に大きいものがあります、問題はまだまだ本当に山積しているということを痛感してまいりました。
東京でも神奈川でも山梨でも静岡でも長野でも岐阜でも愛知でも、たくさんの問題がまだございます。JR東海の追加予算ももっとふえるだろうということを実感してまいりました。
こういう段階で、さまざまな住民の皆さんが問題を出されている、こういう問題を解決、全く誠実に説明もしていない段階で、南アルプスの工事に着手するとか、トンネルで南アルプスに穴をあけるですとか、日本の宝に穴をあけるというのは本当にとんでもないというふうに思います。こんな段階で事業を認可した国土交通大臣の責任は重大だというふうに思います。工事をどんどん進めるやり方、立ちどまらせるべきだというふうに思います。
事業取り消しも含め、リニア計画そのものを見直すべきだと思いますけれども、大臣、住民の皆さんの声を聞いていただきたいと思います。お答えいただきたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線につきましては、平成二十六年十月の工事実施計画認可以降、市区町村単位や地区単位での事業説明会を経て、現在、沿線各地で用地説明会等が開催をされております。
また、工事に関しては、品川駅や南アルプスの山梨工区、長野工区において起工式が開催される等、事業が次第に本格化してきているところであります。
このような中で、事業が円滑に実施されるためには、これまで以上に地元の理解と協力を得ることが不可欠と考えております。
一昨年十月の工事実施計画認可の際にJR東海社長に対して指示しましたように、地元住民への丁寧な説明を行い、環境の保全の措置を講じながら、安全かつ確実に事業が行われるようJR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 住民の皆さんの声を聞かずにどんどん進めるやり方はやめるべきだということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次回は、来る四月一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十三分散会