第5号 平成28年4月1日(金曜日)
平成二十八年四月一日(金曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 秋元 司君 理事 秋本 真利君
理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君
理事 鈴木 憲和君 理事 津村 啓介君
理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君
池田 道孝君 今村 雅弘君
岩田 和親君 加藤 鮎子君
門 博文君 神谷 昇君
神田 憲次君 木内 均君
工藤 彰三君 小池百合子君
今野 智博君 佐田玄一郎君
斎藤 洋明君 武部 新君
津島 淳君 中谷 真一君
中村 裕之君 西村 明宏君
堀井 学君 前田 一男君
宮内 秀樹君 宮澤 博行君
望月 義夫君 荒井 聰君
神山 洋介君 黒岩 宇洋君
小宮山泰子君 福島 伸享君
横山 博幸君 岡本 三成君
北側 一雄君 中川 康洋君
穀田 恵二君 本村 伸子君
井上 英孝君 椎木 保君
野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
内閣府副大臣 福岡 資麿君
国土交通副大臣 山本 順三君
国土交通大臣政務官 宮内 秀樹君
国土交通大臣政務官 津島 淳君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局次長) 川上 尚貴君
政府参考人
(国土交通省大臣官房物流審議官) 羽尾 一郎君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 毛利 信二君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 谷脇 暁君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
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委員の異動
四月一日
辞任 補欠選任
大塚 高司君 中谷 真一君
大西 英男君 池田 道孝君
山本 公一君 武部 新君
泉 健太君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 神田 憲次君
武部 新君 山本 公一君
中谷 真一君 大塚 高司君
福島 伸享君 泉 健太君
同日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 大西 英男君
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三月三十一日
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○谷委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官羽尾一郎君、総合政策局長毛利信二君、土地・建設産業局長谷脇暁君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長藤井直樹君、観光庁長官田村明比古君及び内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋君。
○黒岩委員 民進党の黒岩宇洋でございます。
せんだって、三月九日に一般質疑をさせてもらいました。そのときには、いわゆる自家用有償旅客運送、この制度がさらにいわゆるライドシェアに拡大していくことについての、特に安全性などを含めて、そういった懸念を質疑させてもらいました。
その際に、国家戦略特区で道路運送法の特例を認めよう、こういう方針が出ていました。ただ、三月九日の時点ではまだ正式には提出されていなかったわけです。結果として、その後、十一日に提出されまして、そのときは概要しか我々も手にしておらなかったんですけれども、さらに、内容、法案というものを我々が把握することができたということで、この点について少し、さらに具体的、詳細なことを聞いていきたいと思っております。
ライドシェアの拡大については、せんだっての大臣答弁でも、ある意味これは慎重にしていく、こういう御答弁をいただいた、このことについては私もまさに同感でありますし、その方針は国交省としては貫いていただきたいと思っております。
ただ、今回の国家戦略特区のこの法案、例外を見ますと、これもせんだっての質疑で、ある程度、これは副大臣の方からもお答えいただくと、どうも現行の制度とさほど変わりがないのではないか、そういう懸念が浮かび上がってきた。
そこで、私はライドシェアの拡大について大きな懸念を持っていることは繰り返させてもらいますけれども、もう一つ、安倍政権、この国家戦略特区、一つの看板がけをしたはいいが、その看板、メニューに見合うだけの中身になっていないのではないか。
これは過去には、古い話になりますけれども、小泉政権時代に構造改革特区、これもばあんとぶち上げて、確かに、何十年も昔の法律がそのまま、現在には不必要な規制事項等、こういったものを見直していく、こういう方向性には私も期待をした一人ですけれども、今ほとんどこの構造特区についても聞かれなくなりましたね。
そして、安倍政権になって、地方創生という看板も掲げられました。しかし、今現状で、では実務者は一体どういった組織でこの国家戦略を担当しているかといえば、実は、内閣府の地方創生推進室が構造特区についても国家戦略特区についても結局どちらも兼務で担当している、こういう状況なわけですよ。
私は、今回新たに、今申し上げた国家戦略特区、これも華々しく打ち上げましたけれども、これが残念な、竜頭蛇尾のような、有名無実化するような中身になる、でも看板だけはきらびやかに掲げている。こんなことで国民の皆さんの期待だけをあおるような状況はやはり改善をしていただきたい、こういう趣旨から、少しずつ、前回よりも具体的に聞いてまいりたいと思います。
まずは、これは国交省の方に聞きますけれども、現在の自家用有償旅客運送、特に空白地域、過疎地、福祉ではなく空白地に限定しますけれども、実際どういう運用で行われているのか。これはまだまとめて答えなくて結構ですよ。区域だとか対象とか、そういったものは徐々に聞いていきます。
実際に、ドア・ツー・ドア形式とか、そのほか定時定路線方式とかあるわけですけれども、多くの皆さんも、多分ある程度はイメージできても、実際の詳細なところというのは実はイメージし切れていないところがありますので、現実には、今の自家用有償旅客運送というものはどういうスタイル、どういうシステムで運用されているのか。これは自動車局長の方で、多分ツーパターンになると思うんですけれども、説明をしていただけますでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
自家用有償旅客運送は、バスやタクシー事業によることが困難である場合に地域住民の生活に必要な旅客輸送を確保するための制度として認められているものでございます。
今委員御指摘のいわゆるスタイルということでございますけれども、大きく分けると、委員御指摘のとおり二つあると思っております。
一つは、いわゆる路線、時刻を定めて行う。これは、バス路線がかつてあった場合に、それが廃止されたものに対してその代替として行われている、そういったケースが多いと思っております。もう一つは、ディマンド型と言っておりますけれども、一定の地域につきまして、利用者の方々の要望に応じて、路線を定めずに、あるいは時刻も定めることなく輸送を行う。そういった二つの形で今運用されているものと承知をしております。
○黒岩委員 確認させていただきました。もともとあった路線が廃止になったようなところを白ナンバーで定時定刻に回るという路線バススタイルと、今おっしゃったディマンド型、ドア・ツー・ドアで運ぶというこの二つのスタイルがあるということなんです。
そこで、厳密に、では利用する地域はどういうふうに定められているのか。原則的なものと、それ以外の部分があったら、これもわかりやすくちょっと説明していただけますか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、この自家用有償運送につきましては、路線または区域を定めて行うということでありますけれども、これにつきましては、基本的に、バスやタクシー事業によることが困難である場合、逆に言うと、そういった地域について認められるということになっております。
区域の範囲としては、原則として市町村の単位ということとされているところでございます。
○黒岩委員 わかりました。
最後の部分が重要で、運営協議会、市町村や自動車関連事業者などから成る運営協議会が決めるということになるわけですけれども、基本的には一自治体、何々市なら何々市、何々町なら何々町だと。ただ、運営協議会が近隣市町村にまたがるという場合だったら、イメージですけれども、何々市と何々町というような区域が限定される。あくまでも、基本的には自治体ごとなんですよね。何々町なら何々町の範囲だけ、先ほど言ったツーパターンでも使えるということだとわかりました。
この次が肝心なんですけれども、では利用できる対象者というのはどうなっているのか、この点についてお聞かせいただけますか。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
自家用有償旅客運送の旅客の範囲につきましては、地域住民あるいは当該地域で日常生活に必要な用務を反復継続して行う者、こういったものが対象ということにされております。
○黒岩委員 それだけですか。これは、特に二十七年の省令改正で対象を拡大しましたよね、地域住民に限らなくていいと。これについての説明を加えていただかないと。お願いいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
平成十八年にこの自家用有償の運送制度が発足をいたしまして、その際、旅客の対象を、先ほど私の方で申し上げた地域住民その他ということで始まっているところでございます。
その上で、今委員から御指摘ございましたけれども、平成二十七年四月より、地域の実情に応じた運送を可能とするために運送対象の拡大を行ったということでございます。これにつきましては、地域外からの旅行者等の来訪者も旅客の対象に含めたということでございます。
○黒岩委員 それで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今のお話ですと、地域外ということは、すなわち、例えば観光客であろうと外国人であろうと、こういう方たちは含まれているわけですよね。そういう方たちでも現状の有償旅客運送のサービスを受けられるということでよろしいんですよね。お答えいただけますか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘の点につきましては、対象として地域外の者を対象とするということでございますので、その範囲に制約があるというわけではございません。そういった輸送を行うことが必要であると市町村長が認めたときに、そういった対象範囲を拡大することができるということに制度的になっているところでございます。
○黒岩委員 ここで改めて整理しますけれども、先ほど、運用のスタイルがツーパターンあると。
要するに、定時定刻に回っている路線バス型ですと、事前登録も事前予約も必要ないですから地域住民を想定しますが、これは二十七年改正の拡大がなくても、実際には、定時定路線型のバススタイルだったら、観光客だろうが外国人だろうが、もともとどなたが乗るか、これは排除できないということだと。ですから、二十七年の省令改正は関係ありませんよね。
もう一つ、ディマンド型の場合ですと、これは事前登録をして、当然、事前に電話等で予約をして、A地点からB地点に運んでくださいとなるわけですから、この事前登録については、先ほど局長がおっしゃったとおり、そこの地域の住民またはそこで働いている方など、これは運営協議会でしかと線引きをして、基本的には地域住民だということだ、ディマンド型だ。
そこで、二十七年の省令改正では、ディマンド型であろうが、市町村長が認める場合は観光客でも外国人でもオーケーだということだと理解してよろしいですね。要するに、事前登録自体がない、確認もしない、そこで今言ったディマンド型の有償旅客運送も使えるという理解でよろしいですね。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
先ほど、二つのスタイルがあると申し上げました。
いわゆる路線型のものにつきましては、主に市町村が主体となって行っているものが多うございますけれども、こういったものに対しては旅客の対象を名簿等で提出させるということを特にさせておりません。
もう一つの形のディマンド型が中心になると思いますけれども、主体がNPOその他の非営利法人であるものについては、その対象となる者、ニーズを把握するといった点も含めて、名簿を出していただいた上で運ぶ、これが地域住民を対象としたもともとの制度の骨格でございます。
その上で、平成二十七年の対象の拡大に当たりましては、外からの来訪者を旅客の対象に含めるということでございますので、これらの方々を乗せるという場合については、その二つのスタイル、いずれの場合につきましても、名簿については特に求めないということにしているところでございます。
○黒岩委員 念押しをしましたけれども、やはり事前に登録が求められませんから、ディマンド型についても、外国人でも観光客でも現状でも使えるということですね。
そこで、今現行、この二十七年の省令拡大によって、では、実施主体、今言ったディマンド型、また定時定路線型バス、これは実際に、今言った来訪者、対象者を広げた、地域住民以外の方のサービスは、具体的に今どのような状況で行われているか、これについて教えていただけますか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年四月に旅客の対象を拡大いたしましたけれども、その後、私ども、本年二月までの時点を確認しておりますが、これにつきまして、この新しい制度を活用して域外からの旅客を運んでおられる、そういった自家用旅客運送は全国で七カ所というふうに把握をしております。
なお、いずれも、その七カ所については、先ほどの二つのスタイルでいいますと、路線、時間を定めて運行する、そういったスタイルで運行されているものと承知をしております。
○黒岩委員 今の説明、皆様もおわかりになったでしょうか。
二十七年省令改正以前でもできる定時定路線型バス、これはもともと、事前登録がありませんから、外国人でも観光客でも乗れるんですよ、実際上は。そして、省令改正をしたけれども、実際にディマンド型で行っている運行主体はない。結局、今七カ所と言いましたけれども、これは定時定路線型ですから、実は省令改正によって改めて訪日外国人や観光客が対象になる必要がない、十八年の法律改正の時点で可能であるという、今その運用がなされているということがわかりました。
これは大臣にもお聞きいただきたいんですけれども、今のことで二点わかったのは、くどいようですけれども、外国人でも観光客でも現状で自家用車による有償旅客運送が使えるということと、そして、省令で拡大したけれども、実際の効果としては今時点で何ら違いを発揮していないということがよくわかったと思います。
では、これを基礎に、基礎がちょっと長くなりましたけれども、国家戦略特区、今回、道路運送法の特例だと。これは、今の現行のシステム、サービスと何が違うんですか、そうしたら二つ違いがあると。これは、主たる目的が訪日外国人を初めとする観光客ですよ。そして、合意形成を図る組織体が、今までは当該市町村やその市町村にあるバス事業会社や、また関連者といった運営協議会であったけれども、合意形成を図るためには国家戦略特区会議、特区会議が合意形成を図る主体になる。この二点ですよということをお聞きしました。
ここで、これは前回副大臣にも改めて確認したんですけれども、この二つの違いだというんですが、では、この主たる目的である訪日外国人を初めとする観光客であることを、例えば事前登録の必要はあるんですか、そして確認をすることはできるんですか、するんですか。これについて、もう法案が提出されていますから、はっきりと副大臣のお口からお聞かせください。
○福岡副大臣 今委員御指摘の点につきましては、事前にその方々がどういう方かということを確認するということは想定しておりません。
○黒岩委員 そうですよね。事前登録も要らないということですよね。
確かに、確かめようといっても、皆さん、よくパスポートで、在留資格で、何か観光ビザというイメージがありますけれども、実際に在留資格というのは短期滞在、こういう在留資格しかないんですね、九十日以内。ですから、短期滞在の資格というのは、観光で来ようが商用で来ようが区別がつかないわけですから、実務上確認しようがないはずなんですよ。だから、結果として、運用上確認できないということになっているわけですよね。
では、今言ったように、主たる目的と言いながら全く確認しないわけですから、これは観光客であろうが訪日外国人でなかろうが、一般の人でも誰でも、日本人で乗りたい人でも、どんな人でもこの国家戦略特区で乗れちゃうということがわかりました。
また、これは改めてですけれども、運用上、今言ったように、主たる目的と合意形成の組織体が違うんだと。では、運用の仕方、先ほどディマンド型とか定時定路線のバススタイルと言いましたけれども、この運用は今までと違いは何かあるんですか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
今回の国家戦略特区法案における道路運送法の改正法案におきましては、先ほど委員が御指摘になりました国家戦略特区の区域会議で認定を受けた場合には、その運送を自家用有償旅客運送とみなして今の道路運送法を適用するとなっておりますので、先ほどおっしゃったような、そういった運行についての規律につきましては、現行の自家用有償運送と同様になるものと考えております。
○黒岩委員 さあ、皆さんおわかりいただけましたか。運行に対する運用上は、またこれも何の違いもない。主たる目的が違うと言いながら、主たる目的の確認はもうしない、しようもない。
そうなると、現状で違うのは、合意形成を図る組織体が国家戦略担当大臣、大臣まで含む、こんな大仰な組織体で、さまざまな協議、エリアとか、どういった人を乗せるとか、こういった中身が今言ったように何ら変わりがないのに組織体だけ変わってしまう。これについても私は非常に不合理だと思うんですが、副大臣、いかがですか。
○福岡副大臣 今先生が問題意識としておっしゃいましたように、合意形成の部分につきましては、その地域の実情を踏まえた上で区域会議で決定をさせていただくということになっておるわけでございます。
○黒岩委員 それは、なっているということをなっているとお答えになっただけであって、今もう何百という自治体で自家用運送、これはさまざまな問題があるかもしれませんけれども、運営協議会で実施している。国家戦略ですよ。中身も何も変わらないけれども、担当大臣が入って、一々協議体をつくって、運用上何の違いもないものを掲げていく。
そこで、改めてちょっと確認だけしておきますけれども、これは内閣府の方。では、実際にそういう需要、この国家戦略特区の、わざわざ道路運送法の特例を認めてくれという、しかも今言ったように運用上何も変わらない、今でもできる、その中で需要というのはどれほどあるんですか。
○福岡副大臣 今御質問ありました国家戦略特区の枠組みを使った運送の議論がされておるのは、秋田県仙北市、兵庫県養父市等で議論をされているということでございます。
ちなみに、仙北市長さんのお言葉をかりれば、二万八千人の町でございますが、年間約六千万人の観光客がある町だということで……(発言する者あり)ごめんなさい、二万八千人の町に対して年間六百万人の観光客があるということでございまして……(発言する者あり)ええ、年間六百万人の観光客、そこは田沢湖であったり乳頭温泉、玉川温泉、いろいろそういったところがあるところに対してお客さんがふえていらっしゃるということでありまして、そういったところから二次アクセスの充実を求める声が実際上がっているということでございます。
○黒岩委員 これは、皆さん、イメージできますか。くどいようですけれども、現状の過疎地、空白地なんですよ、バスやタクシーの。
それで、これは国家戦略特区でも一緒ですよ。その合議体が、市町村長が実際にその地域のバス、タクシー事業者に来訪客を運送する意思の確認をするということが前提になっていますね。
すなわち、地域のバス会社やタクシー事業者が自分たちでは運送しませんといった意思を示したときに限って認めるといったときに、今、副大臣が華々しく、二万八千の町に六百万人も来る、それだけの需要があるところでわざわざ白ナンバーの自家用車を使う必要性があるとお感じになる方がいるでしょうか。どう考えたって、それだったら、利益が成り立つんだったら現状の運送事業者が、運行事業者が行うはずですし、そう考えると、今の議論を積み重ねて多分おわかりになると思いますけれども、どう考えたってそんな需要はないですよ。現状で行えるじゃありませんか。違いますか。
○藤井政府参考人 今委員の御質問にありました、現状で行えるかどうかということについて多少補足的に申し上げたいと思います。
まず、制度的なことを申し上げますと、今の自家用有償運送制度といいますのは、まさにそういった公共交通のサービスが不十分である地域におきまして、地域の住民の輸送を行うことを目的に認めるということとされているところでございます。私どもは、それを踏まえた上で、自家用有償運送についての登録を行い、それを二年ごとに更新をしているということでございます。
今回、国家戦略特区につきましては、その主たる目的が外国人観光客を初めとする外部から来られた方々の輸送ということでございますので、今ある路線に外からの方を乗せるという話と、今回国家戦略特区が目指している、外から来訪者を呼ぶことを目的として新たにこういった自家用車を活用する、その路線をどう引いていくかという話につきましては、それは異なるということであろうかと考えているところでございます。
○黒岩委員 これは自動車局長が前回、三月九日でも繰り返す答弁ですけれども、要約すれば、主たる目的が違うからというところに力点を置いていますけれども、きょうはそこを解きほぐしたわけですよ。主たる目的が違うといえど、現状の運行では、実際、それは確認をするすべもないし、登録をすることも法律上、何も求めていない。しかも、今申し上げたように、その地域のまさに本当に空白地で、そこのバス事業者、タクシー事業者が、自分たちはこの事業を行わない、だから来訪者についても白ナンバーでもオーケーですよという確認をとることが前提だ、こういう運用面のことがきょうもつまびらかになったわけです。その条件のもとで、どう考えても、これが、ニーズとして多くの声が、期待が上がってくる規制改革だとはとても思えない。
私が冒頭申し上げた問題意識、大きな看板を掲げ、国家戦略特区だ、そのこと自体を否定しませんよ、中身がよければそれは戦略的に政策を進めていってほしいと思いますが、結局もう中身がなく種切れになってきた、でも看板のメニューは必要だ、いざメニューをつくってみた、結局は今までのメニューと実際上は何も変わらないというのが今の議論でわかったと思います。実際上、実質上、実務上は何も変わらないんだと。しかも、ともすれば、今言ったように、全く手を挙げるところもないかもしれない。これでは、特区といっても、構造改革特区のときにも、やったふり特区という言葉が国会の中では出てきました。やったふりやったふり、手を挙げてもらうというようなことばかり、最後はもう構造特区という言葉も残念ながら聞かれなくなった。
ここで石井大臣、これはもう大体の内容が多くの委員の皆様にも御理解いただけたと思いますので、こういう看板のために、本来はきちんと緑ナンバーで第二種免許を持った人が安全性を図って旅客運送する、私はこれが原理原則だと思っていますよ。どうしても特例を認めなければいけないという特段の要請や事情や合理的な理由があるのならば、私もそれは一定以上の理解をしないわけでもありませんが、しかし、今この議論の中でそういった合理性がとても見出せたとは思えません。
少なくとも、この旅客運送を所管する国交大臣として、このような国家戦略特区だという看板のもとに、国交省の政策の原理原則がゆがめられてはならないという私の問題意識について、御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 従来の自家用有償運送制度は、あくまでも主な運送対象は地域住民でございます。地域住民を運送するということが前提で、さらに規制緩和をしまして、地域外からの来訪者も可能とするということでございますから、およそ地域住民を運ぶというニーズのないところには従来の自家用有償運送制度は適用されないものと理解をしておりますが、今回の国家戦略特区は、主な運送対象が訪日外国人を初めとする観光客でございますので、地域住民を排除するわけではありませんけれども、仮に地域住民の運送のニーズがなかったとしても、この今回の国家戦略特区はなり得るものというふうに理解をしております。
この制度は、国家戦略特区の方ですが、交通の不便な地域においても、輸送の安全をしっかりと担保しながら、訪日外国人等の観光客の足を確保し、地域の観光振興を図るきっかけになるものというふうに考えてございます。
一昨日策定をされました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても、地方を訪れた訪日外国人が快適な旅行を実現することが重要となっておりまして、今回の特例措置によりまして、安全、安心の確保を十分に図りつつ、地域における訪日外国人を初めとする観光客の移動ニーズに応えていきたいと考えております。
○黒岩委員 最後に、これは指摘にとどめさせてもらいます。大臣、しつこいようですけれども、今おっしゃった観光客や訪日外国人、確かに昨年十月二十日、国家戦略特区諮問会議の議長である総理がおっしゃったのは、訪日外国人の利便性を高めてください、そのための自家用車の拡大だと言ったわけですけれども、何せ現状の今の制度でこれが可能なわけですよ。
しかも、なおかつ、戦略特区といっても、先ほどの仙北市のように六百万人も来るところだったら、到底、そこにあるバス事業者やタクシー事業者がみずから行うであろうということは容易に想定されるわけですから、やはり国家戦略特区という看板のもとに、かなり無理やりメニューとして落とし込まれるというようなことは、どの省庁の所管行政、また法律においても、私は余りにも特例をふやしていくことは慎むべきではないかということを強く指摘させていただきたいと思います。
済みません、私、きょうはこの後、交通政策基本法についてお聞きしたかったんですけれども、時間がもうかなり制約されているので、総論的なところだけお聞きしたいと思います。
二〇一三年の末に交通政策基本法が制定されました。私どもが政権時代に交通基本法を制定しよう、こういう議論をかなり深めておりました。私も当時は国会側、国交委員でございましたけれども、政府と連携しながら、政府・与党としてこの交通基本法、特にそのときには、移動の権利というものを明記したいと。国民にとってさまざまな重要な権利があります。その中でも、やはり移動することの権利というものは大変重要な権利である、そういう認識のもとに立って、その議論をかなり積極的にやってきました。
ただ、結果的には、この交通政策基本法には移動の権利、移動権というものが規定されることはありませんでした。その理由について、これは大臣の方から御説明をいただけますでしょうか。
○石井国務大臣 移動の権利につきましては、交通基本法案の基本的な論点について審議を行いました平成二十二年の交通政策審議会及び社会資本整備審議会において取り上げられております。
その中で、移動権については、権利の内容について国民のコンセンサスが得られているとは言えない状況にあること、本来交通は利用者、運輸事業者等の関係者が協働してよりよいものにつくり上げていくべきものであり、権利として規定することは交通サービスの向上の妨げになるおそれがあること等の問題が指摘をされているところであります。
このため、平成二十三年の二月に交通政策審議会及び社会資本整備審議会は、移動権の法定化は時期尚早であるとの報告を国土交通大臣に対して行っております。これを受けまして、平成二十三年の三月、当時の民主党政権下で国会に提出をされました交通基本法案におきましても、移動権の保障規定はなかったというふうに承知をしております。
こういった経緯を踏まえまして、移動権の保障については、平成二十五年に成立をした交通政策基本法においても盛り込まなかったところであります。
○黒岩委員 今の大臣の御説明、私も一定の理解は示すところです。
ただ、社会的なコンセンサス、移動の権利というのは例えばどこまでの範疇なのか、なかなかこれが図れないとか、そのほか、今の大臣の説明の中にも若干触れられていましたけれども、やはり権利を明記すると、それに対して行政側もきちっとした義務を負うことによって財政的な負担もある、ないしは、民間においてもそういった経済的な負担があるのではないかというような、これもある意味、なかなかコンセンサスが得られなかった、得られていないということが理由だということでしょう。
実は、二〇一六年四月一日、きょうは一体何の日かというと、障害者差別解消法がきょうから施行されるんですね。私どもは、障害者差別禁止法ということで、当然障害者の差別はあってはならない、そして、これは禁止または解消していこうというこの議論も、実は非常にその経緯は今大臣がおっしゃったような内容と類似しているんですね、差別とは一体何ぞや、こういったコンセンサスがなかなか図れない。
私どもは、合理的な配慮義務があればいい、これは若干言い回しが、難しそうな言い方をしましたけれども、今言った財政負担とかかわってきます。例えば、一つの商店が、入り口が二階にある、一々そこにエレベーターを何百万でつけるのかという話ではなく、下から呼び鈴というか鈴を置いて聞こえるようにすればいいじゃないかとか、そういうような議論を重ねて、差別の範疇や、または、実際にはどこまでの負担が必要なのかというようなことが整理されて、ようやくこの法律ができて、この四月一日に施行するわけです。
ですから、こういう手順を丁寧に追っていけば、やはり移動していく権利というものは、これは決して大臣も否定されないでしょう。また、今あえて障害のある方について言えば、例えば、自分からはベッドから車椅子に移れない、これは移れなかった時点でもう生活が成り立たないわけですよね。では、その車椅子から何かの乗り物に乗る、このアクセスもなければ豊かな生活が築けない。やはり移動していくことができるということは、その人にとって、物すごく重要な権利だと私は認識しておりますし、これは大臣も変わらないものだと思っております。
もう時間がないということですので。
大臣、今あえて障害のある方ということを一つの例にとりましたけれども、これはあまねく国民にとって同じだと思います。移動していく権利、過疎地であろうが、どういう地域であろうが、しっかりとこの権利を推進していくことが国交省そして国交大臣に求められる行政の考え方だと私は思いますが、これについて、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 移動権につきましては、国民のコンセンサスが得られているかどうか、そういった状況も踏まえながら今後検討すべき課題だというふうに認識をしております。
○黒岩委員 ちょっとあっさりした御答弁で少し拍子が抜けたんですけれども、ただ、誠実な石井国交大臣でございますので、今後も国民生活に資する交通政策をさらに推進していくことを強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○谷委員長 次に、水戸将史君。
○水戸委員 民進党の水戸将史でございます。
委員会としては、十二月三日以来のマンションの問題ですね。
私も横浜でございますから、あの横浜の都筑区のくい打ちの問題に端を発して、また新たな形でこの問題が浮上してまいりまして、後ほど横浜市西区の話にも触れてまいりますけれども、いずれにいたしましても、横浜市が二つもこういうような形で不祥事を全国に、横浜市ここにありみたいな話になってしまっておりますから、やはりそういうことを含めてこのマンション問題について改めて問いただしていきたいと思っておりますので、ぜひ大臣を初め皆さんの真摯な御対応をよろしくお願いしたいと思っております。
もちろん、十年以上前になりますけれども、あの姉歯事件以来、このマンション問題につきましては、いろいろと業界を取り巻く構造的な問題も含めてそこにメスを入れながら、いろいろな法改正もあり、また、今回も国交省を中心として小委員会を設けながらガイドラインを設置して、それに対応すべくやってきたことについては私も多としたいと思うんです。
しかし、そうはいうものの、今言ったように、構造的な問題はまだまだ尾を引いていくのではないかということも懸念をしつつ、以下の点について御質問させていただきます。
今申し上げましたとおり、こうして姉歯事件からはや十年がたちまして、そして、きょうも資料一をお配りしていますけれども、このような住宅の着工件数の推移なんですね。
総論的にちょっと大臣の見識をお伺いしますけれども、姉歯事件を契機にして検査体制の強化を図った、そのおかげで、それがまた逆の意味において確認申請に関する審査の遅滞を招いてしまいまして、それが新規住宅着工の件数のダメージになった。
この棒グラフからすると、ちょうど平成十九年の落ち込みが姉歯事件じゃないか。また、その二年後の平成二十一年はリーマン・ショックではないか。また、平成二十六年は消費税の増税ではないか。住宅の着工件数のその推移というものは、その時々の経済状況とかいろいろな事案の状況において、かなり直接的な影響をこのような形で受けるのかなという気がするわけであります。
この姉歯事件を振り返っていただいたそのときと、また、今回のマンションのくい打ちの問題が表面化して以降、この住宅着工件数に対してどのような影響があるか、どのように大臣は把握をされていますか。
○石井国務大臣 平成十七年に発覚をいたしました構造計算書の偽装問題では、工事前に作成する構造計算書が偽装されたもので、設計段階において不正が行われたものであります。
このため、再発防止策といたしましては、平成十八年に建築基準法を改正し、鉄筋コンクリートで高さ二十メーター以上の建築物等について、工事前の建築確認の段階で第三者機関の構造専門家による構造計算の審査を義務づける等の措置を講じました。
平成十九年六月の施行以降、審査の急激な厳格化が行われた結果、審査期間が長期化するとともに、建築確認申請が減少するという事態が生じました。この結果、平成十九年の住宅着工戸数は前年比一七・八%減と大きく減少をいたしました。
一方で、今般の基礎ぐい工事問題、これは昨年の十月に発覚をいたしましたが、その後、住宅着工への影響が出ているのではないかという報道もありましたが、昨年十一月から本年二月までを通して見ると、住宅着工戸数は前年同期比で二%増となっております。
したがいまして、この事案に直接関係した企業の受注に落ち込みが見られた以外は、今般の問題の影響はなかったのではないかというふうに考えております。
○水戸委員 この影響というのはやはりタイムラグがありますから、現時点においては二%ぐらいの増であるということで、これは別に、むしろ喜ばしいことでありますよね、ふえているわけでありますから。しかし、いずれにいたしましても、このくい打ちの問題等々含めて、これからまた西区の問題も触れますけれども、ああいう事案が、これから買おうとする方々、これから建てようとする方々に対して、一定の心理的な影響をもたらすのではないかということを私も懸念しております。
大臣、これは総論的でいいんです、このグラフを見ていてわかるとおり、平成十三年から平成十八年、まあ若干の落ち込みはありますけれども、これは順調に伸びているんですね。あの姉歯事件を契機にがたんと落ちますよね。リーマン・ショックを契機にまたがたんと落ちるんですけれども、この平成十八年度以前のレベル、水準まで、今後、いろいろな経済対策をやれば新設の住宅着工件数というのはふえると、これは予測で構いません、大臣の思いで構いませんけれども、大臣はどう思いますか。
なかなかこれは、平成十八年以前にまでは全部戻っていませんよね。ちょっと上向きつつあるとまた何かあって落ち込む、また上向きつつあるとまた何かで落ち込むという形で、総論的に言えば、平成十八年以前のこの住宅着工件数は百二十万等々、そこまでこれからいくようなことを大臣は期待されていますか。どうですか。
○石井国務大臣 現在、住宅は量的には充足をしている、空き家問題も目立っているという状況でございますので、過去のように大幅に住宅着工件数がふえるという状況にはなかなかなりにくいのかな、こういうふうに思っております。
○水戸委員 本当にこれは、時代の流れというか、人口減少でまた空き家もふえているという状況でありますから、過去みたいに戻るということは期待したいんですけれども、私も、大臣のおっしゃるとおり、私の思いも、なかなか今後、昔の水準に戻ることはまずあり得ないのかなと。こんなことは余り言っちゃいけませんけれども、だからこそ、こうした現状を踏まえてのいわゆる住宅政策というのは、やはり国も本腰を入れて、前とは違うんだ、経済状況も違うし人口構成も違う、そうした需要も違うということを前提として、僕は、釈迦に説法でありますけれども、住宅政策を進めていただくことを強く要望したいと思っております。
そういう中において、この姉歯事件を契機にいたしまして、申し上げるまでもないことでありますけれども、建築確認制度におきましては構造設計が独立した業務として位置づけられました。そして、構造計算できない意匠設計事務所が構造計算に係る契約を構造計算事務所に丸投げできなくなったんですね。さらに、平成二十六年には建築基準法が改正されまして、建築主が構造計算適合性判定を直接申請できる仕組みが措置されております。
しかし、そうはいうものの、やはりいまだに構造設計というものが意匠設計の下請的な存在になっているのでないか、まだそこにとどまっているのではないか、あれほどまでに構造計算、構造設計が社会問題化されたにもかかわらず、いまだに構造設計がいわゆる意匠設計の下に置かれているというような事態が続いているのではないかと私は懸念しているんです。
今、事務局、どうでしょう、いわゆる意匠設計事務所と構造設計事務所の元請、下請の割合とか設計事務所間の請負契約の現状について、どのような形で把握をされていますか。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
建築主から設計業務を受託した建築士事務所が、例えば、構造設計でございますとかあるいは設備設計等の一部の業務を他の建築士事務所に再委託するということは一般的に行われているところでございます。その状況を量的に必ずしも私ども把握しているわけではございませんが、これは、それぞれ得意とする分野が異なります建築士事務所が、それぞれの強みを生かして協力して設計を行っていくというものでございまして、一概に否定されるものではないというふうに考えております。
他の事務所に再委託される場合にあっても、適正に設計業務を行っていただくということを確保することが大切だというふうに思っております。そのためには、それぞれの建築士の事務所ごとにおいて、責任を持って設計図書を作成していただくということが必要であるというふうに考えているところでございます。
○水戸委員 普通の建物の外観とか間取りなどをデザインするのがこの意匠設計でありますけれども、これが一応、一つのベースとなって家が建つ、マンションが建つわけであります。
今までの慣習上、このような意匠設計をベースにしてその下に構造設計というものが、構造設計が行われている家、柱の太さとか鉄筋の数とかそういうものを設計のところに入れ込んで計算する話でありますから、どうしても意匠設計がベースとなって構造設計がされるということになってしまいますから、何か元請、下請みたいな形になって、どうしても下に置かれてしまうのではないかということをいまだに引きずっておると私も強く懸念をしていますから、今後そういうことが極力ないような形で業界に対しても指導を徹底していただきたいと思っております。
そういう中において、やはり設計士みずからが適正な報酬のもとで適正な業務を遂行できる環境にある、国土交通省はそう思っているんですか。また、設計事務所の選定が適切に行われるためには、建築主に対して必要な情報を提供する仕組みが必要だと思うんですね。そういうことについて、国交省はどのような御見解でありますでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げましたけれども、建築士の事務所が他の事務所に再委託するということは一概に否定されるものではないというふうに思っておりますが、それぞれの建築士事務所が責任を持って設計図書を作成するということが重要であると考えております。そのためには二つの点が重要であると思っております。
一つは、設計に関する責任の所在というものを明確にするということでございます。二点目は、適正な契約のもとに業務が行われる関係にあるということだというふうに考えております。
まず、一点目の設計に関する責任の所在の明確化につきましては、設計を行いました建築士を明示するという観点から、設計図書には設計をいたしました建築士の記名及び押印をすること、また、建築確認の申請書におきましては、設計を行った全ての建築士の氏名を記載するというようなことが制度として求められているところでございます。
一方で、適正な契約を確保するという観点からは、ちょっと御紹介もいただきましたけれども、平成二十六年の建築士法の改正におきまして、三百平米を超えます建築物の設計業務につきましては書面により契約をしなければならないという義務でございますとか、一括で再委託に出してはいけないという一括再委託の禁止でございますとか、あるいは、報酬につきましては、国土交通大臣の定めます業務報酬基準に準拠して適正な委託代金での契約を締結するような努力義務というものが法律上課されているところでございます。
こうした措置によりまして、適正な業務の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○水戸委員 もちろん、やはり設計をスタートして、その後施工という話になりますから、設計士間のそうした適正な業務が遂行できるような環境に、なるべくこういう改善をしていただいて、そして、今言ったように、意匠設計、構造設計、また設備設計というものがありますけれども、設計事務所間のこうした有機的な連携を図っていただきたいということをやはり私も強く強く要望していきたいと思っていますし、それに対して国交省も一定の支援をしていただきたいということを強く要請しておきたいと思っています。
今回の事案もそうでありますし、マンションに対するいろいろな不祥事が起こるたびによく言われる構造的な問題、特に、今回検討委員会でも課題となりました元請と下請の重層的な関係、これが今回の不祥事を招く一因であったことは言うまでもないことですね。
実際に、元請サイドから工期短縮やコスト縮減というような圧力が生まれやすいんですね。下請にそういうことを強く要請する、その結果として、下請にそういうような形で負担がしわ寄せされるということで不正が生じる危険性が生じるんですね。したがって、やはり過度な重層下請構造を改善していかなきゃいけないことは言うまでもないことなんですね。
ですから、元請に対して、不正に対しましては、さらに罰則の強化を図るべきということはいろいろな形で指摘されているんですけれども、こうしたいわゆる過度な重層下請構造を改善することとか、こうした罰則の強化を図る、規制の強化を図ることについては、どのような姿勢で国交省は取り組んでいくつもりですか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
建設工事の場合には、いろいろな現場がございますし、あるいはまたいろいろな技術が必要になるということで、元請の企業と専門工事を行っている企業がそれぞれ役割分担をして工事を施工するということ自体は合理的なことであるというふうに考えております。
そういう中で、行き過ぎた形での重層構造があるということになりますと、いろいろな弊害が出てくるということでございまして、先ほど御指摘ございましたように、そういう行き過ぎた重層構造を是正していくためにどういう点が必要なのかというところにつきまして、中央建設業審議会の基本問題小委員会の中で議論をしているところでございます。
もう一点、罰則等々のお話がございましたけれども、建設工事の適正な施工を確保するという建設業法の目的を踏まえまして、建設業者の不正行為につきましては厳正に対処するということが重要でございます。
このために、建設業法には、建設業者の不正行為等について監督処分、罰則規定などが設けられているわけでございます。罰則規定のほかに、例えば、許可の取り消し、営業停止、指示等々の処分、あるいは建設業法に基づく勧告といったようなものもあるわけでございます。
いずれの場合も、その内容、程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案して処分等を行っているところでございます。
○水戸委員 元請に対する適切な処分というか、今回も一応処分はしておりますけれども、もっともっと強化を図りつつ、その抑制に努めていただきたいということを強く要望したいと思っています。
この都筑区のマンションは特にそうですけれども、やはり元請があって、第一次、第二次下請があった。第一次下請であった日立ハイテクノロジーズ、第二次下請が旭化成建材でありましたから、元請から、三井住友建設からいわゆる第一次の日立ハイテクノロジーズに行って、それからまたその下に旭化成建材がありました。
結局、この日立ハイテクノロジーズという第一次下請は、一括下請負、丸投げをしたんだということで、いわゆるトンネルみたいなものですよね。上から、元請から仕事が発注されて、それを下に流した、本当に何もしないような形で丸投げしたということで監督処分の対象になっていました。
ですから、こういうことが常態化しないような形で、やはりこれは構造的な問題でありますから、施工過程においての排除の徹底化をもっともっと図る必要があるんですけれども、第一次下請等々へいわゆる丸投げするような業者がはびこらないような形で、国交省はどのような姿勢で取り組む予定ですか。
○谷脇政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、今御指摘ございました一括下請負、いわゆる丸投げでございますけれども、こういう違法行為にしっかりと対処するために、一つは、各地方整備局に建設業法令遵守推進本部というものを設置しております。また、駆け込みホットラインというものを開設するというようなこともしてございます。また、公共工事の発注者に対しましては、受注者である建設会社が一括下請負などの建設業法違反の事実がある、こういうときには、公共工事の発注者が許可行政庁に通報する義務を課すというようなこともしてございまして、法令違反情報を積極的に収集するための取り組みを行っております。
こういうようなものを活用いたしまして、違反情報を把握した場合には、当該建設会社への立入検査を行うというようなことも通じまして、違反行為があった建設会社に対しまして厳正に対処をしているというところでございます。
○水戸委員 今、駆け込みホットラインについて触れていただきました。建設業違反通報窓口として、こういう窓口、ホットラインがあるんですね。これはこれでいいんですね。しかし、今後、この駆け込みホットラインのあり方も、もっともっと精度を増していく必要があるかと思っているんです。
この国民への周知徹底とか、施工不良の実態を知る工事関係者からの通報を受ける窓口の設置について、今、駆け込みホットライン、現状の話をしましたが、もっともっとこれの機能を高める必要があると思うんです。これについてはどうですか。
○谷脇政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ございましたように、駆け込みホットラインを開設いたしまして、法令違反情報の積極的な収集に努めているところでございまして、この利用の件数でございますけれども、平成二十六年度にはこの駆け込みホットラインへの通報の件数が千六百十三件ございました。
こういうものを活用して、先ほど申し上げましたように、指導監督を行っているところでございますけれども、さらにこのホットラインの普及のためにさまざまな講習会、研修会、こういったようなものを実施いたしますとともに、パンフレットの作成、配布、こういったようなこともいたしまして、周知を図っているところでございます。
今後とも、このホットラインが活用されるように、一層周知、普及に努めてまいります。
○水戸委員 ぜひそれが前進するように、さらに一層利用率を高めるような形で周知徹底を図っていただきたいということを強く要望します。
今回のこのマンションの事案では、いわゆる元請である三井住友建設が設計も施工も行った、施工主でありますから、建設工事も行ったし、設計業務もやったということなんですね。いわゆる設計事務所は工事監理業務をするという立場でありますから、いわゆる三井住友建設の内部の人間が、その一級建築士が工事監理人というものになってしまったということが、こうした不祥事を招く一つの要因にもなっているのではないかという指摘もあるんですね。
やはりこの設計と施工についての中立性を確保する必要性があると私も考えているんですけれども、いわゆる現場での検査体制の強化と建築士が行う工事監理との関係に関して、国土交通省は今どのような御認識でしょうか。また、現場での建築士の活用については、国交省は業界に対してどのような指導を行ってきたんですか。
○石井国務大臣 工事監理者の役割は、工事が設計図書のとおりに施工されているかを確認することであるため、設計者と同一の者が行うことが一般的であります。
設計・施工一括の発注方式については、例えば施工方法も含めて設計を検討することによりまして適切な建築計画となることが期待できる場合など、工事の性質等から建築主が総合的に判断をして選択するものでありまして、この場合、工事を施工する建設会社に属する建築士が設計者と工事監理者の役割を担うことが通常であります。
発注方式のいかんにかかわらず、工事監理者は、工事施工者の立場ではなく、建築主の立場に立ってその責務を果たすことが必要であります。
このため、建築主が工事監理者を定める、工事監理者は、工事が設計図書のとおりに施工されていない場合には工事施工者に対して設計図書どおりの施工を指示し、工事施工者が従わないときは建築主に報告をする、工事監理者は実施した業務の内容や実施方法について建築主に報告するなど、所属する会社にかかわらず適切な工事監理の実施を求めているところでございます。
今般の基礎ぐい工事問題を受けて策定をいたしました基礎ぐい工事における工事監理ガイドラインにおきましても、設計どおりに工事が施工されない場合の工事施工者への指示や建築主への報告という工事監理者の役割を改めて明記しておりまして、適切な工事監理が行われるよう、より一層指導を行ってまいりたいと思います。
○水戸委員 もう一度聞きます。簡潔でいいんだけれども、建築主がいて施工者がいて設計者がいる、では、今の大臣の御認識は、いわゆる施工者、ゼネコンがその工事を受注した際に、設計者もゼネコンの中の一部の社員で構わないというような御認識なんですね。
○石井国務大臣 発注方式が設計・施工一括の場合はそういうことになるということであります。
○水戸委員 理論的には、同じ同心円にいる人間でも牽制し合うことはできる。でも、そうはいうものの、皆さん、施工主の中に入っている一部の社員が設計した場合に、その設計者がいわゆる工事監理、工事が適正に行われるかどうかに関しましてチェックをしなきゃいけない第三者的な立場を担うわけなんですよ。
会社の一部の人間が幾ら中立性を確保しようと思ったといたしましても、雇われている立場でありますから、施工主が仮に不祥事を起こすみたいなこと、いろいろな手抜き的な工事をした場合に、それに対して指摘をして一からやり直すなんということは、私は、あり得ることかな、本当に現実的なのかなということも考えます。
ですから、こうしたいろいろな設計・施工一括とかいう話もありますけれども、やはりこれは分離をさせた方がいいんじゃないか。やはり設計と施工の業務は、これは建築基準法も含めてでありますけれども、ここに踏み込まなければ、こんな構造的な、いわゆるこうした業界を取り巻く問題が根本的に解決しないんじゃないかと思うんですけれども、建築基準法も含めて、大臣、これは見直しをした方がいいんじゃないですか。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、設計・施工一括の発注方式というのは、あくまで発注者が工事の性質等から総合的に判断をして選択をするという形式でございます。
それがなぜ選択をされることがあるかと申しますと、設計に当たりまして、施工方法も含めて最初から検討することによりまして全体として適切な建築計画になるということが期待できるような場合、あるいは工事監理や施工に当たりまして、設計図書を十分に理解しながらそういったことが実施されることが期待できるような場合、そういったメリットがございますので、あくまで工事の性格に応じて発注者がどういう形式がいいかというのを判断するということでございます。
その判断をされた設計・施工の一括方式の場合でも、先ほどございましたように、あくまで工事監理者は工事監理者の立場から適正に業務を行うということが法律上も、また今回つくりましたガイドラインにおいても定められているということでございます。
○水戸委員 形式的なことはいいんですよね。それは法律に定めているからそうすべきですし、そうしなきゃいけないのは当たり前なんです。しかし、それは現実的ではないという話をしているんですよ。
結局、コストの問題とか工期の問題がありますから、なるべく設計と施工は一緒の方がお互いにやりとりができますし、コストもかなり安くできるかもしれないんだけれども、やはり安全性という話ですね。安全面からいえば多少のコストがかかることはやむを得ないということを前提としなければ、こういう問題というのは根本的に解決しないんですよ。
だから、今申し上げましたとおり、やはりあくまでも、設計する者が工事が適正に行われているかどうかを監理する立場ですよ。その人間が会社の、いわゆるゼネコンの、施工する側の、施工業者の一社員では、そのことに対して中立な立場から指摘することはなかなか私は現実的に難しいんじゃないかと思います。
やはりこれは、建築基準法も含めて、まずそこのいわゆる入り口から変えていけば、今現状はともかくといたしましても、その方が安全面は一定確保することができると私は思うんです。その安全面からいってどうですか。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
設計・施工一括方式、そういった発注方式をとるかどうかにかかわりませず、工事監理者は、工事施工者の立場ではなくて、あくまでも建築主の立場に立ってその責務を果たすということが法律上求められております。先ほども御説明ございましたように、そもそも工事監理者は、建築主がふさわしい人を選定いたします。発注方法も当然建築主が選定をするものでございます。また、設計図書のとおりに施工されていないような場合には工事の施工者に対して指示を出す、またその状況を建築主に報告するというような義務も課されております。
こうしたことを適切に行っていただければ、安全面も確保できるというふうに考えているところでございます。
○水戸委員 幾ら言ってもこれは禅問答で水かけ論になりますからあれなんですけれども、建築主だって、それだけ情報があって、どういう設計事務所を、何も情報がない建築主だって、大体ゼネコンに任せて、では、お願いします、設計士もそちらで見つけてくださいという話になるんですよ、結局は。だから、今おっしゃる話は、一見現実的なように見えても現実的じゃないんですね。
建築主が設計者を選ぶ、施工主を選ぶから、建築主の目ききがきけば、それは適正な形でお互いに牽制し合って、設計と施工がある程度中立的なバランスがとれて安全面に寄与するということは、それはそれでいいんですよ。しかし、今言ったように、建築主自身が、では、どこに適正な設計事務所があって設計者がいるかなんというのはなかなかわからない。だから、もうしようがないから、いずれにいたしましても、そういう形である程度ゼネコンとか施工主に委ねるケースもあると思うんですよね。
こういうことが現実に起こりますから、やはり今言ったように、入り口から建築基準法を改正して分離をして、こうした中立的な立場を設計士に任せるならば、工事監理を任せるならば、最初から設計と施工を一括したような発注の仕方はしないということをこれから深く深く追求していきたいと思っていますし、そういうことを強く要請していきたいと思っております。
規制をどう強化しても、最終的には人間が取り扱うことでありますから、幾らでも手抜きとか不正が生まれる素地があるというふうに言われているんですね。ですから、何よりもやはり、行うその人間の育成とか教育とか、そういうものにもっともっと力を入れるべき必要があると私は思っております。
例えば、いわゆるこうした技能者に関しましても、登録基幹技能者の能力向上を目指すべきという考え方について、こういう制度があるんですけれども、いわゆる登録基幹技能者の能力向上に対して、いろいろな形で、再教育とかまた講習のあり方についてもっともっと精度を増してやっていく方が人材の育成につながっていくのではないかと私は思っているんですけれども、こうした登録基幹技能者に対する能力向上に向けて、国交省はどのような取り組みをこれからやっていくつもりでありますか。
○谷脇政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ございましたように、建設工事は、現場で実際に作業に従事する技能労働者の皆さんの仕事ぶりが完成するものの品質を大きく左右するということでございまして、それぞれの仕事に誇りとやりがいを持っていただいて、工事の品質に対して高い意識を持って働いていただくことが非常に重要だというふうに思っております。
今御指摘がございました登録基幹技能者につきましては、技能者の中でも長い経験と技能を持って現場で中心的に働いていただく方々でございます。例えば、こういう登録基幹技能者の講習というものも行っておりますけれども、こういう中でも、工事の品質を確保する上での仕事の重要性でございますとか倫理的な取り組み、あるいはコンプライアンスについての考え方等々といったようなことを登録基幹技能者の方にも研修していただくといったような取り組みもしているところでございます。
○水戸委員 時間がないので、この辺で人材育成については触れるのをやめますけれども、やはりこうした現場の技能者の技能の向上、再教育も含めてもっともっと徹底的にやっていただいて、そういう人材が何よりも、こうした業務に携わった場合に不正を行わないとかそういう抑えになっていくと思いますので、ぜひそれをさらに一層遂行していただきたいと思っています。
いろいろな事案がありまして、工事延長とか追加費用が必ず必要になってくるんですね、いろいろなトラブルが発生した場合、いろいろな不祥事が発覚した場合。実際に、発注者と施工業者の間の責任や費用負担についても、いろいろなルールも一応はつくっているんですね。
例えば、建設業法令遵守ガイドラインを見れば、元請と下請の間の工期延長等の協議が円滑に行えるよう、工期が延長になった場合のその工期のあり方や請負金額の変更の算定方法をできる限り具体的に詰めておくことが望ましい、いわゆるガイドラインではそう言っているんですね。
しかし、実際に、元請、下請も先ほど若干触れましたけれども、では具体的にどの程度費用負担を分担するのかということは明示されていませんから、どうしても下請にしわ寄せが行くのではないかということも常態化しているんじゃないかという指摘もあるんです。
これについて国交省はどのような御見識でしょうか。大臣、どうですか。
○石井国務大臣 建設工事は、発注者と受注者の間で請負契約を締結し、契約に従って建築物等を完成させるものでありますが、建設工事の特性上、現場の状況に応じて工期や設計を変更することが必要となる場合があります。
その場合、請負契約等に基づき受発注者間で必要な対応を協議することが基本となりますが、受発注者間での意見の食い違いや協議が難航するといったケースも生じております。
この点につきましては、昨年の基礎ぐい工事問題を受けた対策委員会の中間取りまとめにおきましても、「民間工事における関係者間の役割・責任の明確化と連携強化」が建設業の構造的な課題の一つとして指摘をされたところであります。
この中間取りまとめを受けまして、中央建設業審議会に設置をされております基本問題小委員会におきまして、本年一月より、建設業の構造的な課題について本格的な議論を開始しております。
これまでの基本問題小委員会の議論では、工事着手後に生じ得るさまざまな施工上のリスク、例えば、支持地盤がどれだけ深いかといった問題、あるいは地中埋設物が発見された、そういったリスクを具体的に想定した上で、関係当事者間で協議の基本的な考え方をあらかじめ明確にしておくことが重要ではないかといった議論をしているところであります。
国土交通省といたしましては、六月の中間取りまとめに向けまして、この民間工事における関係者間の役割の明確化も含めまして、建設業の構造的な課題への対応策について議論してまいりたいと存じます。
○水戸委員 また具体的に現場の状況を踏まえて、これが常態化しないように、下請にしわ寄せが行かないような形でしっかりとしたものをつくっていただく、ルール化していくことを強く要望します。
もう時間がありません。最後になりました。西区のマンションの問題。先ほどずっと言ったのは都筑区のマンションなんですけれども、西区のマンションも、最初はくいの施工不良が表面化して、いろいろと住民とのトラブルがあったんですね。これはずっと尾を引いていました。
これは都筑区のマンションが出る前からあったんですが、今回は同じマンションでまた別の、結局、二月からの調査によって鉄筋切断の疑いが浮上したという形で、これは全面的に建てかえになるんですけれども、住民サイドがこれに非常に怒っているんですね。
同じマンションで、くい打ちの不良もあったし、鉄筋切断も疑いが浮上してきたというわけでありますが、現状、国交省はこれについてどのような把握をしているのか、簡潔に。また、これが法律に抵触することなのかどうなのか。どうなんでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの西区のマンションの鉄筋の切断事案につきましては、建築行政を所管します横浜市におきまして、事業者に対し、構造安全性の検証の結果及び原因究明の報告を求めたところというふうに承知しております。
このうち、構造安全性につきましては、鉄筋が切断をされたり、あるいは補強筋がないという条件を置きまして構造計算を再計算いたしました結果、建築基準法上必要な耐力を満たしているということを確認したとの報告が、三月十八日に横浜市に対し事業者からなされております。この結果につきましては、横浜市においてもその妥当性を確認したところというふうに聞いておりますので、構造安全性に係る建築基準法違反はないものというふうに考えております。
一方、原因究明につきましては、四月中旬を提出期限としているというふうに伺っておりますので、まだ現段階では事業者からの報告がなされている状況ではないというふうに伺っているところでございます。
○水戸委員 もう時間が来ました。マンションをめぐるこうしたトラブル、不祥事というのはもう枚挙にいとまがないわけでありますから、また再度、この都筑区のマンション、また西区のマンション、横浜市も、この事案、二つあります。また、全国にもいろいろなものがあるかもしれませんから、もう一度具体的にこういうものを取り上げながら、これからの論議の対象としていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
本日は、これで終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 おおさか維新の井上英孝です。
最後の質問ということで、限られた時間ですので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。
きょうは、また民泊を少しやらせていただきたいなと思っています。
先般、大臣所信に対する質疑をやらせていただいたときにも、我が党の椎木議員から民泊については触れさせていただきました。そのときには厚生労働省の参考人にお越しをいただいて議論をやらせていただきましたけれども、きょうは内閣府からお越しをいただいております。国交省を含めて質疑をさせていただきたいと思います。
大臣所信でも民泊に触れられたように、今年度、少なくとも、大臣も含めて民泊には非常に積極的に取り組んでいこうというのが政府の姿勢じゃないかなというふうに思います。そういう中で、種々確認も含めて質疑をやらせていただきたいと思います。
まずは、昨年、二〇一五年の訪日外国人旅行者は過去最高の一千九百七十四万人となり、二〇二〇年に二千万人とする政府目標の到達も目前に迫ってきましたし、もっと早い段階で二千万人を超えるんじゃないかなというふうにも予想されますけれども、特に、中国人の観光客が前年比二倍増となるなど、アジア地域からの観光客というのが大幅に増加をしているというのが現状であります。
ことしの一月の訪日外国人の数も百八十五万人ということで、前年度の同時期、同期比よりも五二%増、続く二月も百八十九万人、前年同時期比より三六%増と、伸びは本当にとどまるところを知らないということで、外国人旅行者の方々も多く日本に遊びに来ていただいております。
一方、現在の世界経済は、中国株や人民元の相場が不安定になるなど、やはりその見通しが不透明というふうにも言われております。今後、訪日外国人の数の伸び悩みというのも懸念をされるかと思いますけれども、このような状況のもとで、観光庁としては、今後十年程度の中期的な訪日外国人旅行者数の伸び、中国人に限らず訪日外国人、どのように想定しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
訪日外国人旅行者数、先ほど先生おっしゃいましたように、昨年、二〇一五年の年の合計が対前年比四七・一%増の千九百七十三・七万人、そして、ことし、二〇一六年になりましても、一月から二月までで対前年比四三・七%増の三百七十四・三万人となるなど、引き続き好調となっております。
一昨日、安倍総理が議長となって取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョンでは、訪日外国人旅行者数について、二〇二〇年には二〇一五年の約二倍となります四千万人、それから二〇三〇年には約三倍となる六千万人を目指すこととされました。
昨今、中国を中心とした世界経済の先行きについて不透明感が高まりつつあることは認識しておりますけれども、世界全体の旅行需要というのは拡大傾向にございます。そして、我が国は、もともと豊かな観光資源に恵まれておりまして、魅力的な旅行先として高いポテンシャルを有しているというふうに考えております。
このため、今後、世界経済の動向等によりまして、その年々の訪日数については波動があるものと思いますけれども、今回のビジョンに盛り込まれた施策を官民一丸となって実施して、このポテンシャルを伸ばしていくことによりまして、中長期的に見れば目標達成は可能であるというふうに考えております。
○井上(英)委員 今お答えいただいたように、単年度単年度は多い少ないというのはあるかもわからないけれども、堅調にといいますか、多分ふえていくだろうというふうにお話しであります。
本当かどうかはちょっと細かい数字をよく確認していないのであれですけれども、中国の人口から見たときに、富裕層は日本の国民の数ぐらいはいるというふうによく言われますけれども、そういうふうなことも踏まえて、特に私の地元大阪なんかではアジアの方々が非常にたくさんお越しをいただいて、今ですとユニバーサル・スタジオ・ジャパン、そういったところに本当にたくさん行かれている。こちら東京でもたくさんの外国人が町に出ればおられますし、国際都市東京といいますか、そういう国になりつつあると思います。
そういう訪日、日本を訪れていただける外国人がもちろんふえていただいて、この日本に来て懲りることなくよかったと思って帰っていただけるような環境というのをやはりしっかりと整えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
そういう中で、各ホテル、旅館といったインフラ施設は限りがありますから、今民泊という議論が熱を帯びてきているんじゃないかなというふうに思います。
そういう中で、国土交通省と厚生労働省は、昨年十一月から「民泊サービス」のあり方に関する検討会というのを開催して、民泊に関するルールの整備に向け、検討が始まったというふうに聞いております。
もうきょうは四月一日ですから、先月開催された第七回検討会では中間的な論点整理というのが取りまとめられたというふうに聞いています。
その中では、「当面、「民泊サービス」について、簡易宿所の枠組みを活用し、旅館業法の許可取得を促進すべき」とされ、さらに、簡易宿所の客室面積基準を見直し、宿泊者数が十人未満の場合については三・三平米掛ける宿泊者数以上とし、三十三平米未満の物件についても、その規模に応じて活用できるようにすべきというふうにされたと聞いています。
この中間整理に示された簡易宿所の枠組みによって行われる民泊については宿泊者の滞在日数による制限はないものと認識をしておりますが、国家戦略特区で行われる民泊につきましては六泊七日以上とされていることから、実際、特区の方が厳しい規制になっているというふうに思います。
本年一月末からスタートした大田区の特区民泊においては、三月一日時点の許可申請はたった三件のみにとまり、多くの無許可営業が従来のまま行われているものというふうに推測されます。
民泊サービスのあり方検討会の中間整理では、今後の特区民泊に関して、まずは実施状況の検証結果を踏まえることが必要ではないかとされていますけれども、国家戦略特区の趣旨からしますと、やはりこのような事態というのは腑に落ちないというか矛盾しているというふうに言わざるを得ない状況であります。
まずは国家戦略特区の滞在日数の規制を緩和すべきだというふうに思いますけれども、内閣府としていかがでしょうか。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
国家戦略特区での民泊の滞在日数についてのお尋ねでございますけれども、国家戦略特区における旅館業法の特例は、七日から十日までの範囲内で条例に定める期間以上使用させる一定の宿泊施設について旅館業法の適用を除外するものでございます。
本特例が施行されました平成二十六年四月から事業実施まで約二年が経過しておりまして、本年一月より先行的に事業を実施しているのが大田区でございますけれども、大田区からは、事業者等より滞在日数の短縮を求める声があるというふうに伺っております。
また、国家戦略特区の諮問会議におきましても、有識者議員より、滞在日数の短縮についての御提言もいただいているところでございます。
今、観光庁から答弁もあったとおりでございまして、インバウンドも急増する中でございます。これら諸点を踏まえまして、今後、内閣府といたしましても、厚生労働省等の関係省庁と連携をして、規制緩和の実現に向けて努めてまいりたいと考えている次第でございます。
以上でございます。
○井上(英)委員 すぐにやりますと本当は答えていただきたいんですけれども、特区でやる民泊は六泊七日、要は七日以上十日未満という制限があって、旅館業法の政令改正で、特区以外の地域は一泊から民泊ができるという現状になっている。いろいろな、弾力的にやれる特区のよさというのはもちろんわかった上で、日にちだけで考えると、明らかに特区の中の方が硬直している現状にあるというのがわかっていただけるかと思います。ぜひとも前向きに、早急に滞在日数の規制というのを緩和していただきたいなというふうに思います。
今も触れましたように、厚生労働省が、四月一日、本日から旅館業法というのを政令の変更によって、玄関帳場それからフロントなどの設置義務の緩和というか一部免除というのを決めて、もう自治体に通知をしているというふうに思います。これは恐らく、現況を踏まえて門戸をきっちりと開いて、これこそまたきっちりと許可をとってもらって営業してもらおうというのが多分厚生労働省の考え方だと思うんですね。
でも、実際は、今、これはある新聞で、三月二十六日土曜日に記事になったのでは、飲食店裏で違法民泊とか、そういうふうな記事が出ています。新たな違法民泊が横行というふうになっていますので、ぜひともそういうイリーガルな営業をしているところにはきっちりとメスも入れていかなければなりませんし、そういう意味で、ある程度規制を緩和して門戸を広げて、しっかりと許可をとってもらうという体制をとっているんじゃないかなというふうに思います。
ただ、規制緩和も非常にいいんですけれども、一方で、台東区では、宿泊する外国人観光客と近隣住民とのトラブルなどが懸念されることから、営業時間内は従業員を常駐させることなどの条件を課す区の旅館業法施行条例を、おとつい、三月二十九日に改正をされました。その内容は、国の規制緩和に関して、地域の実情に応じて自治体が独自の規制を導入するというものであります。
国と地方の関係のあり方という点では非常に進んだ、いいことやと思うんですけれども、国の思いと地域の実情というのに違いが出ているという、それを如実にあらわす一例でもあるというふうに思います。そういう状況も踏まえて、検討会でしっかりとした議論をしていただきたいというふうに思います。
また、民泊サービスのあり方検討会の整理では、民泊サービスが適正に行われるよう一定の規制を課すことを前提とした上で整理がなされるということが必要とされ、一定の要件について、分譲マンションについては、管理組合に確認を求めるべきではないかという指摘を踏まえ、検討を進めるべきであるというふうにされております。
マンションの一室を民泊として活用する場合もあるかと思いますが、その場合はマンションの管理規約の改正というのが必要なのか、また、その管理規約の改正が必要であるなら、管理規約の改正に住民の同意が得られない場合はマンションでの民泊というのは営むことができるのか、お答えいただけますでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
いわゆる区分所有の分譲マンションにおきましては、建物の管理、使用に関する区分所有者間のルールは管理規約に定めるということとされておりまして、この内容は、定めました区分所有者はもちろんでございますが、例えば区分所有者から譲り受けた者あるいはそれを借りている者も、区分所有法上、規約のルールに従うという義務が課されております。
お話がございましたあり方検討会の中間整理において、「中期的な検討課題」とされております新しい民泊サービスのあり方と管理規約との関係につきましては、その新しい制度設計をどのようにするのかという要件や性質を踏まえて検討していくべきだというふうには考えておりますが、例えば、御紹介いただいた、本日から要件が緩和された簡易宿所の事例で申し上げますと、これはあくまで旅館業の許可を得て行われるものでございますので、一般の住居専用のマンションでは、標準管理規約どおりに、専ら住宅として使用する、他の用途に供してはならないというふうに規定されている場合がほとんどかというふうに思います。このような規定がされている場合には、この宿所は旅館業の営業の場合には抵触をするおそれが非常に大きいものというふうに我々は考えております。
ただ、個々のマンションは利用形態が非常にさまざまでございますので、あくまでも、それぞれの管理規約に違反するかどうかについては、一義的には管理組合の方で御判断いただくべき問題だというふうに考えております。まず、こういった新しい形態でございますので、区分所有者間でよく取り扱いを御議論いただくということが何よりも重要ではないかというふうに考えております。
その結果といたしまして、仮に民泊を実施するために管理規約の改正が必要であるというふうに判断をされた場合には、四分の三以上の区分所有者の同意によりまして、規約の改正を行う手続がなされるものというふうに認識をいたしているところでございます。
○井上(英)委員 そういうことになるかと思います。
では、今度は、先ほどの場合は一室という話でしたけれども、民泊を事業として考えた場合、マンションのオーナーがマンションを一棟ごと丸々民泊として貸し出すといいますか、利用していただくという形態というのも考えられます。その場合は、マンションに定住する方が一人もいないという状態となります。
一方、民泊サービスのあり方検討会の中間整理では、「共同住宅の空き室・空き家等家主不在の「民泊サービス」についても、管理事業者を介在させ、家主に代わって一定の責務を担わせることにより、緩和の対象とできないか。」という指摘を踏まえ、検討を進めるべきであるというふうにされていますが、マンションを一棟丸ごと貸し出す場合というのは、この管理規約の扱いも含めてどのようになるのか、お答えいただけますでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
お尋ねがございましたマンション一棟を丸ごと民泊に使用するケースについては、大きく二つのパターンが想定できるのではないかというふうに考えております。
一つ目は、いわゆる投資用マンションなど、区分所有者全員が住んでいないで、みずからは居住しないで、その部屋の全てを他人に貸し出しているような場合でございます。この場合でも、あくまで区分所有マンションでございますので、法律上、区分所有者で構成される管理組合が存在をして、ほとんどの場合、管理規約が定められているというふうに承知をしております。
したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、一義的には、この管理規約との関係は、管理組合で御判断いただくべき問題というふうに考えておりますので、民泊実施のための規約改正が必要ということになれば、四分の三の同意で手続をとっていただくということになると思います。
ただ、投資用マンションは、区分所有者は一人もみずから居住していないという非常に特殊な形態のマンションでございます。専ら収益最大化を目的として利用がされているというものでございますので、例えば標準管理規約が想定しておりますような一般の住居専用の分譲マンションとは、利用形態や所有者の意思が異なるというふうに思います。実態にふさわしいルールはどうあるべきかということについて、この場合は投資家ということになるんですが、やはり区分所有者間でよく御議論をいただくことが望ましいというふうに私どもは考えております。これが一つ目の場合でございます。
それから二つ目の場合は、一棟全体を一人で所有するという場合でございます。この場合は区分所有ではございませんので、区分所有法の適用がなく、管理規約は存在をいたしません。したがいまして、使用方法そのものは、その所有者御自身の意向によるということになろうかというふうに考えております。
以上でございます。
○井上(英)委員 今お答えいただいたように、一棟、オーナーが一人の場合はほぼ問題はない。住んでいない投資用の場合もまあまあ可能じゃないかなというふうに思うんですね。
問題は、その前に聞きましたけれども、お住まいになっている、実際に本当に区分所有で、それぞれが分譲マンションで権利を持っておられて、その一室を民泊に利用してもらうというふうにするときには、やはり非常にハードルが高いんじゃないかなという気はします。
先ほどの議論にもありましたけれども、一方で玄関帳場とかフロントというものの設置義務を緩和するというふうに今なりながら、一方で、台東区で出てきたように、人を常駐させて監視をするというような、相反することになってくるかと思います。
民泊をやられるという方は民泊をしようと思いますけれども、当然周りの方々は、近隣トラブルも含めて、その懸念で、なかなかこの同意というのが簡単に得られるものではないのじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺も含めて、検討会等で、どういうふうな方法がいいのか。
先ほども言いましたけれども、多くの外国人の方々が来ていただいて、ホテルや旅館といった当たり前のそういう施設にお泊まりになるのはもちろんですけれども、こういう民泊を利用しても、来ていただいた方にも心地よくなっていただきたいですし、いい思い出を持って日本を去っていただきたいとも思いますので、ぜひその環境を整えるためにしっかり議論をしていただきたいなというふうに思います。
結果的には、やはり住民相互の監視というのが行き届かないというのが非常に心配をされるところでありますし、これがまた外国人ということになると、言葉の問題等も含めて、何げないことがトラブルになってしまうというようなことになってしまいますので、配慮いただきたいと思います。
こうやって外国の方が日本の民泊を利用するというのに、世界的に非常に有名なエアビーアンドビーといった民泊を仲介するサイトがありますけれども、このサイトについての問題点というのも指摘をされています。
具体的には、利用者、ゲストがサイト上で民泊先を探す。実際の位置と違って表示されていて、誤って表示されたマンションの管理組合が実際のホストの管理組合に通報しようとしても、管理組合自体が実際存在していなかったり、仲介サイトに第三者からの問い合わせ窓口がない上、利用規約上も責任の所在というのが仲介サイトではなくホストにあるというふうにされているということなどが挙げられています。
そもそも、このような民泊仲介サービスは、日本の旅行業法に該当しないということになっているんでしょうか。また、該当しないというのであれば、きちんと規制ができるように旅行業法等を見直すべきではないかと考えます。
また、旅行業法を改正して民泊仲介サービスのルールをつくったとしても、実際には海外の、ちょっと言い過ぎかもわからないですけれども、えたいの知れないサイトを取り締まるということは決して容易ではないというふうに思います。
規制の実効性を上げるために、やはり各国の所管当局と協力して取り締まりができる仕組みを構築すべきではないかと考えますけれども、観光庁の認識はいかがでしょうか。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
観光庁では、厚生労働省と共同で有識者検討会を立ち上げて、本年六月中をめどに最終的な結論を得られるように検討を進めております。
検討会では、今御質問にもありましたように、先月、中間整理を取りまとめて検討課題を整理しましたけれども、その中で、仲介事業者や管理事業者等の関連事業者への実効的な規制についても課題として盛り込んでおります。
現在、宿泊サービスの仲介事業者を規制する法律としては旅行業法がございますけれども、これは、取引条件の説明義務等を設けまして、仲介取引における消費者保護を保護法益としているものでございます。
そして、そもそも仲介事業者規制については、国内に実体がない事業者の場合には実効的な取り締まりが困難であるというふうなこともございます。そういった課題がございますので、仲介事業者だけではなくて、宿泊サービスの営業行為に直接関与する管理事業者等に対する規制についても検討することが必要であるというふうに考えております。
観光庁といたしましては、これらの課題を踏まえまして、仲介事業者や管理事業者等の関連事業者への規制のあり方につきまして、委員御指摘のような点も含めまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○井上(英)委員 やはり非常に難しいと思うんですね。ですから、今おっしゃっていただいたように、仲介だけではなくて、事業者を直接取り締まるという方法も踏まえてしっかりと検討いただけたらというふうに思います。
民泊につきましては、旅館業法の範疇ということで実施されることから、それによるトラブル防止策をとかく厚生労働省の所管というふうに片づけられがちですけれども、観光庁や住宅局というのを所管しているのは国土交通省でありますし、やはり主体的に取り組むべきであるというふうに考えますけれども、石井国土交通大臣の思いをお聞かせいただけたらというふうに思います。
○石井国務大臣 民泊につきましては、日本の実情に合ったルールの整備のために観光庁と厚生労働省が共同して立ち上げた有識者検討会において、先日、中間整理を取りまとめております。
この中間整理におきましては、「中期的な検討課題」としまして、現行制度の枠組みにとらわれず、仲介事業者、管理事業者への規制を含めた新たな制度体系を構築すること等、必要な法整備に取り組むこととしております。
具体的な対応方法は今後議論してまいりますけれども、その法整備においては、安全面を確保し、トラブルを防止できるよう、近隣住民とのトラブル防止のための措置、一定の衛生管理措置、宿泊者名簿の備えつけ義務、行政による報告徴収、立入検査等が可能な枠組み等についての検討が必要であると整理をしております。
国土交通省といたしましては、今後の有識者検討会での議論を踏まえまして、関係省庁と調整の上、本年六月中をめどに最終的な結論が得られるよう検討を進めてまいります。
○井上(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
また、去る先月十八日には、新たな住生活基本計画というのが閣議決定をされました。その中で、急増する空き家対策の一つとして、介護、福祉、子育て支援施設、宿泊施設等の他用途への転換の促進を図ることとされております。
国家戦略特区では、空き家を民泊施設へ転用するということは可能でありますけれども、それ以外の地域では現在のところは認められていないというのが現状であります。一方、大阪などでは、空き家をゲストハウスなどの宿泊施設、旅館業法に基づく宿泊施設へ転換したという事例もございます。
住生活基本計画では、空き家の宿泊施設等への転換というのを促しておりますが、この点について国土交通省としてはどのような認識なのか、また具体的取り組みを検討されているのか、また、されているのであれば、ぜひその内容について、大臣、お答えいただけますでしょうか。
○石井国務大臣 少子高齢化の進展、世帯数の減少によりまして、今後空き家の増加が加速するおそれがあります。昨年度末に閣議決定をいたしました住生活基本計画の目標といたしまして、急増する空き家の活用、除却の推進を掲げ、その基本的な施策の一つとして、介護、福祉、子育て支援施設、宿泊施設等の他用途への転換の促進を位置づけております。
これまで、社会資本整備総合交付金を活用して、将来の移住を希望している人が滞在しながらその地域の魅力を体験できる宿泊施設として、市町村による空き家の転用が行われた事例があるなど、宿泊施設等への転用は空き家の活用を促進するための有望な方策と考えております。
このため、平成二十八年度予算におきまして、空き家法に基づく計画で市町村が空き家の転用を促進する方針を定める場合には、宿泊施設を含めた他用途への転換について、その計画に基づく取り組みを支援する補助制度を交付金とは別枠でつくったところでございます。
なお、民泊につきましては、例えば、本日から要件が緩和された簡易宿所としての民泊に、空き家を活用することもあり得ると考えております。
いずれにいたしましても、空き家の宿泊施設への転用は、制度上認められる範囲で行われるということが当然の前提というふうに考えております。
○井上(英)委員 もう時間も来ましたので終わりますけれども、いずれにしても、そういう空き家対策というのは国交省としても非常に大事だ、重要と位置づけされていることですし、ウイン・ウインでやれる中身じゃないかなと思いますので、ぜひ積極的にお願いをしたいと思います。
民泊に関しましては、冒頭から申し上げているように、やはり日本に来ていただいた方々にすばらしい宿泊環境を整えて提供できるように、何とか関係省庁とも連絡して、ぜひとも前向きに検討いただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
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○谷委員長 次に、内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。
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流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○石井国務大臣 ただいま議題となりました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
近年、物流分野においては、労働力不足が顕在化しており、特に中高年層への依存度が高い貨物自動車運送等の事業は、今後、深刻な人手不足に陥るおそれがあります。また、インターネット通販の拡大等による貨物の小口化や配送の多頻度化が進む中で、質の高い物流サービスの提供が求められるようになってきております。このため、流通業務の省力化並びに消費者の需要のさらなる高度化及び多様化への対応を図る必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、流通業務に必要な労働力の確保に支障が生じつつあることへの対応を図るものである旨を法の目的として追加することとしております。
第二に、輸送、保管、荷さばき、流通加工等の流通業務を総合的、効率的に行う事業である流通業務総合効率化事業について、一定の規模及び機能を有する流通業務施設を中核とすることを求めないこととした上で、二以上の者が連携して行うものに限るとともに、流通業務の省力化を伴うものであることとする要件の変更を行うこととしております。
第三に、主務大臣の認定を受けた流通業務総合効率化事業について、海上運送法、鉄道事業法等に基づく許可等を受けたものとみなすといった関係法律の特例を追加することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会