衆議院

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第10号 平成28年4月22日(金曜日)

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平成二十八年四月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 秋元  司君 理事 秋本 真利君

   理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君

   理事 鈴木 憲和君 理事 津村 啓介君

   理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      大塚 高司君    大西 英男君

      大西 宏幸君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小池百合子君    今野 智博君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      田野瀬太道君    田畑 裕明君

      津島  淳君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    根本 幸典君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      望月 義夫君    山本 公一君

      荒井  聰君    神山 洋介君

      北神 圭朗君    黒岩 宇洋君

      小宮山泰子君    横山 博幸君

      岡本 三成君    北側 一雄君

      中川 康洋君    穀田 恵二君

      本村 伸子君    井上 英孝君

      伊東 信久君    野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       加藤由起夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           林  俊行君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           米津 雅史君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    福岡  徹君

   政府参考人

   (消防庁審議官)    熊埜御堂武敬君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        金尾 健司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  坂下 広朗君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            越智 繁雄君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

            補欠選任

             北神 圭朗君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     小倉 將信君

  岩田 和親君     田畑 裕明君

  大塚 高司君     西銘恒三郎君

  中村 裕之君     大隈 和英君

  西村 明宏君     田野瀬太道君

  堀井  学君     根本 幸典君

  前田 一男君     大串 正樹君

  椎木  保君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     今村 雅弘君

  大串 正樹君     前田 一男君

  大隈 和英君     長坂 康正君

  田野瀬太道君     西村 明宏君

  田畑 裕明君     岩田 和親君

  西銘恒三郎君     大塚 高司君

  根本 幸典君     大西 宏幸君

  伊東 信久君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     堀井  学君

  長坂 康正君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

四月二十一日

 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長金尾健司君、道路局長森昌文君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長藤井直樹君、海事局長坂下広朗君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、国土地理院長越智繁雄君、観光庁長官田村明比古君、気象庁長官橋田俊彦君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長加藤由起夫君、内閣府政策統括官付参事官林俊行君、同じく参事官米津雅史君、消費者庁審議官福岡徹君、消防庁審議官熊埜御堂武敬君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官樽見英樹君、大臣官房審議官浜谷浩樹君、職業安定局次長苧谷秀信君、農林水産省大臣官房審議官大角亨君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君及び環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 自民党の秋本真利でございます。

 質問の機会をいただきまして、感謝いたします。

 二十分しか時間がありませんので、早速質疑に入りたいと思います。

 初めに、質問ではありませんけれども、ちょっと苦言を呈しておきたいと思います。

 熊本の大震災の裏で、成田空港でバニラエアによる、起きてはならない事故が起きてしまいました。こういったことにつきましては、厳重に注意をしていただいて、二度とこういった事故が起きないように再発防止に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 最初の質問ですけれども、風力発電について、先般、港湾法が通過いたしましたけれども、質疑の中で私が疑問に思っていた点がありませんでしたので、みずからちょっと質問をしたいというふうに思いますので、通過した法案について、申しわけありませんが、お答えいただきたいというふうに思います。

 港湾法の中で、三十七条の三第一項で、要は、二十年の占用期間を認めるのは再エネエネルギー源だというふうに記載がありますけれども、この再エネエネルギー源については、再エネ特措法の中に規定されている再エネ源というような書き方になっておりますので、FITに乗っかっているものだけが対象なのかというふうな読み方もできるので、ここについては、確認ですけれども、FITに乗っていない、そういう再エネであっても、この二十年の占用の対象になるんだということについて、改めて確認をしたい。

 そして、再エネ特措法ですから、もしかするとこの特措法はなくなってしまうかもしれない。その場合、特措法の中にあるこういう再エネですよというところから港湾法は引っ張ってきていますから、再エネ特措法そのものがなくなってしまった場合、再エネをもう一度再規定しなければならないというふうに思いますけれども、この辺の整理についてはどのようにお考えか、お答えいただきたいというふうに思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 今般の港湾法改正案における占用公募手続の対象となる公募対象施設等については、公共の利益の増進を図る上で有効である施設または工作物としており、公共の利益の増進についての例示として、再生可能エネルギー源の利用を規定しております。

 この際、再生可能エネルギー源の定義といたしまして、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、いわゆる再エネ特措法の第二条第四項を引用しております。

 これは、あくまでも定義規定の引用でございますので、再エネ特措法による固定価格買い取り制度の対象となることは、港湾法における占用公募の対象の要件とはいたしておりません。

 なお、仮に再エネ特措法が廃止等になった場合におきましては、同法の定義規定が引用できないことから、港湾法の改正を行い、他法令の引用を行うか、または港湾法において定義規定を置くこととなります。

秋本委員 わかりました。FITに限らず、ほかの再エネについても対象になるよということなので、確認をさせていただきましたので、どうもありがとうございます。

 次に、認定の有効期間でございますけれども、占用期間が二十年ということになっています。FITも、再エネ、風車を建ててFITに乗せて固定価格で買い取っていただこう、これも二十年なんですが、風力の場合は、アセス等あるいは建設等に時間がかかってしまって、港湾管理者から二十年の占用許可をいただいたスタートの時点とFITで発電を開始するスタートの時点が、どうしても何年間かずれてしまいます。つまり、二十年の占用許認可をいただいても、FITに乗せて二十年間買い取ってもらおうと思った、そのFITのエンドが、どうしても二十年の占用期間から飛び出してしまうということになります。

 事前にいただいた法案の説明等の資料を見ると、その後ろの何年間かについては、今現在あるような一般の占用手続をとってもらってカバーをするんだということが書いてありますが、どうせこういう法案をつくって長期にわたって占用を認めようぜということであれば、再エネ以外のものについても想定しているわけだから、再エネだけじゃないよと言うかもしれませんけれども、同じ政府が、国がやっているFITの制度が二十年間なわけですから、これは同じ国が、政府がやっているわけだから、ここの後ろはぜひ合わせてもらいたかったな、事業の安定性という観点からいうと、後ろを合わせるということが私は必要だったんじゃないかなというふうに思いますので、二点お伺いをしたいと思います。

 一つは、後ろが合っていないわけですから、二、三年間について別途、十七、八年間FITで発電した後に、残りの二、三年間をもう一度占用をとり直すということになりますけれども、この占用というのは、この事業者に対してほかの事業者に優先して占用許可を出すということが法的にあり得るのかどうか。一般常識としてそうだよねということではなくて、法的な安定性というものを私は聞きたいわけでありまして、この残りのずれている二、三年間、ほかの事業者に優先して占用許可が出るのかということが一つ。

 それともう一つは、先ほど言ったとおり、どうして後ろを合わせなかったのかということについて国土交通省にお伺いをしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 占用公募の有効期間の終了後、洋上風力発電施設を引き続き設置いたしまして港湾区域内水域等の占用を行おうとする場合につきましては、事業者は、港湾法第三十七条第一項の規定に基づき、港湾管理者に対して改めて占用許可の申請を行うこととなります。

 港湾管理者は、申請を受け、港湾計画との調和や現在の施設の状況等を勘案しつつ、港湾区域内の水域等の有効活用の観点を踏まえまして、占用許可の判断を行うこととなると考えております。

 また、今般の港湾法改正案に基づく公募占用計画の認定の有効期間を二十年を超えないものとしておりますが、これは、目標期間を十年から十五年とする港湾計画との整合性を図る必要があること、類似の制度である道路法の占用入札制度における入札占用計画の認定の有効期間も同じく二十年を超えないものとされていること、洋上風力発電施設の法定耐用年数が十七年であること、占用公募による事業期間終了後にあっても港湾管理者による占用許可を行うことが可能であること、こうした理由を総合的に勘案したものでございます。

 国土交通省といたしましては、洋上風力発電施設の円滑な導入に向けて、運用指針を示すなど、港湾管理者に対しまして技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。

秋本委員 おっしゃることはよくわかるんですけれども、いろいろ、これが何年、これが何年とありましたけれども、FIT法は二十年でございますので、ぜひ、同じ政府がやっていることですから、残りの何年間かというものについて法的安定性がちょっと損なわれている。何百億円も投資して、残りの二、三年がほかの事業者に対して優先されないよねということがあると、やはりファイナンスの問題あるいは事業者の投資意欲の問題というところで、私はそこは改善すべきポイントではないかなというふうに思っております。

 きょうは経産省にも来ていただいておりますので、経産省としては、所管している再エネ、FIT法が二十年ということですから、ぜひ国交省と協力して、このお尻がFIT法のエンドにぴったりかかるように、やはり所管省庁ですから、それを国交省に強く求めていきながら、国交省と協力をして、次の法改正があるかどうかわかりませんけれども、何かの機会にここを改正して、二十年というものが後ろまで担保されるような形をとるように要請していただきたいと思いますけれども、どういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電は、再生可能エネルギー導入拡大の上で極めて重要な役割を担うものでございまして、秋本先生が御指摘のように、多額の投資を要しますので、事業者の予見可能性の確保ということは大変重要な課題だというふうに考えております。

 今回の港湾法の改正は、その意味では大変大きな前進であるというふうに思っておりますが、これが有効に活用されますよう、今御指摘の占用の有効期間ということに関しまして、洋上風力発電の導入促進ということでフルに活用されますように、具体の運用等をめぐりまして国土交通省とよく相談して、協力して前へ進んでいきたいと思っております。

秋本委員 ありがとうございます。前向きな答弁だったというふうに受けとめます。

 この法律は大変いい法律で、二十年間という形で長期に占用許可を出していただけるということで本当に大きく前進したと思いますし、国交省の御努力に敬意を払いたいというふうに思いますが、積み残した課題として、経産省と協議をしながら、後ろ何年間かもうちょっと担保されるように御努力を積み重ねていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 先に進みますけれども、そういうふうに、洋上風力をどんどんやっていこうぜという形で、政府でも洋上風力をもっと導入していこうというふうになっていますが、洋上風力を導入していくと、当然SEP船が必要になってまいります。しかし、残念ながら、我が国内にSEP船がございません。でも、SEP船が必要になる。鶏か卵かの議論になりますけれども、このSEP船をしっかりと我が国として考えていかなければならない問題だというふうに私は思っています。

 民間に任せておけばいいや、丸紅さんが海外の会社を買収して、このSEP船事業に乗り出そうかなという姿勢が少し見えなくもないですけれども、まだ国内にその船がやってきたという実績はありません。

 仮にやってきたとしても、外国船に乗っている外国籍の熟練工がそのまま日本でSEP船で作業ができるのかという点についても、過日、問取りのときに省庁と打ち合わせたときは、まだその辺の整理ができていないのでちょっとわかりませんという話でしたので、ぜひ国交省、経産省、そして海洋本部の方で、あるいは外務省あるいは入管、その辺と協議をして、しっかりと交通整理をしていただきたいというふうに思っております。

 あるいは、国が少し出資をして会社を民間と共同してつくるであるとか、あるいはPFIをうまく使うだとかでSEP船のそういう会社をつくって、とにかく先鞭をつけていくということが国としても求められるのではないかなと。国が前面に立ってという言葉がよくエネルギーの世界では使われますけれども、SEP船についても国が前面に立ってこういう措置をしていく、そういう必要があるというふうに私は思います。

 所管しております一つである経産省に、このことについてどのようにお考えか、お伺いしたいというふうに思います。

藤木政府参考人 今御指摘ございましたように、洋上風力の建設や保守ということを行う上で、専用の作業船、さらにはその作業船を使って具体の作業をするその環境を整備していくということは、大変重要な課題であるというふうに考えております。

 これから発電事業者の方々と、具体的にどういうニーズがあるのか、どういった課題があるのかということをよく伺いながら、今御指摘ございました乗務員の技能の問題ということも含めまして、どのような課題があって、どのように解決可能かということについて関係省庁とも連携して検討してまいりたいと思っております。

 今御指摘ございましたイギリスの会社でございますが、これに関しましては、産業革新機構も参画する形で事業展開をするということになっておりまして、こういったものの活用も含めていろいろな形で検討してまいりたいと思っております。

秋本委員 省庁横断でしっかりと国策として前に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、私、千葉県選出ですけれども、千葉県は三方を海に囲まれていますから、千葉県で洋上風力をやったら結構ポテンシャルがあるんじゃないかということで、千葉県は結構取り組んでおります。昨年度、県で二千万円ぐらいかけてポテンシャルの調査研究をしようということで事業を行っております。その前に百万円ぐらいかけて風況調査、状況概略図というものもつくって、私の手元にもございますけれども、千葉県の房総、九十九里沖、色が濃い方がポテンシャルがあるんですけれども、結構ポテンシャルのある地域がたくさんございます。

 そうすると、今回、港湾法で港湾区域を定めて、その中で二十年間占用してもいいよということになると、北九州市なんかさらに港湾区域を広げようという取り組みを今しているわけでございます。千葉県も風況がすごくいいよねというところがあったら、港湾区域をぐっと広げて、そういうことも視野に二十年間占用をとって、洋上風力をもっとばんばんやっていこうということができるんじゃないかと私は思っております。

 千葉県がこういう意欲を持っていますので、もし前に出ようという施策を取り込もうとしたときに、国土交通省としても、国交省、国土交通大臣に対して申請が出てきたときにぜひ前向きな回答をしていただきたいし、後押しをしてサポートしてもらいたいなというふうに思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 洋上風力発電のポテンシャルが高い海域が港湾の近くにある場合、港湾区域を拡大して、港湾機能との調和を図りつつ一体的に管理していくことは有効な方策であると考えております。

 港湾区域の拡大については、港湾の一体管理の必要性等から港湾管理者において判断されることとなります。

 このような観点から、港湾管理者が港湾区域の拡大を行おうとする場合は、国土交通省といたしましては、その考え方を踏まえ、港湾区域の拡大について迅速に対応していきたいと考えております。

秋本委員 大変心強い答弁だったというふうに私は捉えました。千葉県が事業を展開しようとしたときに、国土交通省としてぜひしっかりとサポートいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、先に進みます。

 軽井沢のスキーバス事故についてでございますけれども、いろいろと改善が行われようとしていますが、貸切バス選定・利用ガイドラインというものがありまして、そのガイドラインの中にこういう一言がございます。公示運賃の下限を下回る運賃での落札については、運行に必要な安全コストが計上されておらず、当該運行において利用者の生命、身体の安全が十分に確保されないおそれがあることに十分御留意くださいとありますが、これは残念ながら旅行業者に対して、あるいは学校、公共団体等が入札にかけるときにこういうところに留意してくださいというだけで、今回亡くなったいわゆる一般のエンドユーザーの方々に対してのガイドラインではないという位置づけだと私は認識しております。

 たばこに、吸い過ぎるとあなたの健康を害するおそれがありますとか、発がん性がありますというような記載がありますけれども、あのパッケージに記載があるように、この貸し切りバスについては、下限運賃を下回るようなそういう発注形態ではあなたは死ぬかもしれませんよとガイドラインに書いてあるわけですね。あなたの生命、身体の安全が確保されませんと書いてあるわけですから、たばこにある記載のように、ぜひしっかりとエンドユーザーに伝わるようにしていただきたいというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

田村政府参考人 御質問のガイドラインでございますけれども、この目的は、旅行業者等に対しまして、貸し切りバス事業者の選定に際し、運行の安全面のポイントをわかりやすく示すことにより、単純な価格比較のみならず、安全にもより留意した選定を促すことにございます。

 一方、一般利用者に対しましては、現在、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきまして、バスツアーのパンフレット等へのバス会社名の明示、バス会社の過去の行政処分情報をより容易に調べることができるサイトの構築、旅行商品に係る貸し切りバスの安全情報を提供する仕組みの構築といった方策を検討しているところでございます。

 観光庁といたしましては、検討委員会における議論を踏まえて、旅行業者を通じ貸し切りバスの安全にかかわる適切な情報を消費者に提供していく所存でございます。

秋本委員 旅行業者、旅行業者というのもわかるんですけれども、やはりエンドユーザーに伝わってこそ何ぼじゃないかなと私は思いますので、きょうは消費者庁も来てもらっていますので、消費者庁はどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

福岡政府参考人 御指摘のございました貸切バス選定・利用ガイドラインで記載されました安全に関する御指摘の趣旨でございますが、御指摘のように、消費者の方々に広く周知することは重要なことだと考えてございます。

 消費者庁といたしましても、観光庁等と密に連携をいたしまして、こうした内容がしっかりと消費者に伝わるように取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。

秋本委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 安い運賃で発注、そういうところのバスに乗るとあなたは死にますよとガイドラインに書いてあるわけだから、ガイドラインをエンドユーザーにきちっとお知らせしてくださいと言っているわけで、私は、新たに何かやれと言っているわけではないと思っておりますので、ぜひエンドユーザーにこういう情報が伝わるようにお願いをしたいと思います。

 最後に、スキーバスの事故検討委員会で、引き続き検討すべき事項として、学校や官公庁等による適切な貸し切りバスの発注、選定について検討すべきだとありますが、ぜひ事前にアンケートをとってもらいたいと思うんですね。今現在どうなっていますかということをアンケートをとって、数年後にどのように変わったかというふうに見ていかないと私はいけないというふうに思います。

 私、自分の選挙区の中の小学校にお願いをして、アンケートをとって、五十九校から回答がありましたけれども、五十九校の学校が私のアンケートに対して、私は幾つかチェックボックスをつくって、どういう点に発注時に気をつけていますか、例えば公示運賃の下限を下回っていないか、バス協に加入しているか、セーフティーマークを持っているかというようなことについて、どのような点についてといったら、一番答えが多かったのが留意点なしなんですよね。

 ですから、こういったものについて、もうちょっと末端の学校にまで周知徹底できるように、教育委員会発注の修学旅行なんかはちゃんと入札にかけているんですが、学校単位にお金を落として、社会科見学、やってもやらなくてもいいですよというものについては、結構、学校単位で随契だとか見積もり合わせで発注しちゃっているんですよね。ですから、こういうことが起こるんじゃないかなと思いますけれども。

 事前に末端の学校までアンケートをとって、こういう状況が国交省の通知によってこのように変わったというふうに把握する、そういう状況をコントロールする必要が国交省にあるというふうに私は思いますけれども、どのようにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 現行の貸し切りバスの運賃・料金制度は、人件費や車両更新など安全運行に必要なコストを適正に運賃・料金に反映するものとして、貸し切りバスの安全運行の確保のためにはこの徹底が非常に重要なものであると考えております。

 貸し切りバス事業者に対して国交省が昨夏に行った調査におきまして、学校あるいは地方公共団体等の関係者によるこの運賃・料金制度の理解は一定程度進んでいるという結果が出ておりますけれども、一方で、学校が貸し切りバスを発注する際に、入札において下限を下回る運賃・料金で落札している例が監査により複数明らかになっているところでございます。

 委員の御指摘も踏まえまして、学校や地方公共団体等による貸し切りバス発注、選択の現状について、関係行政機関の協力を得て実態調査を実施し、さらに実態を正確に把握した上で適切な貸し切りバスの発注、選択の普及を図ってまいりたいと考えております。

秋本委員 時間になりましたので、道路局、準備してくれていたと思うんですけれども、一問届かなかったので申しわけない、おわびを申し上げまして、これで終わりにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。

 初めに、熊本そして大分での大震災で被災された皆様にお見舞いを申し上げ、お亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 石井大臣初め国交省の皆様、また行政の皆様におかれましては、不眠不休で迅速な対応を行っていただいておりますことに心から敬意を表したいと思います。

 課題となっていますライフラインの復旧、そして安全な住まいの確保、この二点についてなお一層御尽力をいただきますように心からお願いを申し上げます。

 また、金子恭之筆頭理事におかれましては、御自宅、御自身も被災をされる中で、この円満な委員会の運営に御尽力をいただいておりますことに心から敬意を表したいというふうに思います。

 質問に入ります。

 初めに、建築物の耐震化について伺います。

 市役所、町役場など防災対策拠点の耐震化の現状について、まずは総務省消防庁にお伺いをしたいと思います。

熊埜御堂政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が所有または管理する防災拠点となる公共施設等の耐震率は、平成二十六年度末時点で、全国では八八・三%、熊本県では八八・五%となっております。

 また、これらのうち、庁舎の耐震率は、全国では七四・八%、熊本県では八三・四%となっております。

樋口委員 ありがとうございます。

 全国で八八・三%、熊本では八八・五ということでございます。庁舎については七四%ということでございまして、要するに、四分の一は耐震化されていない、こういうことでございます。

 次に、防災対策拠点を含む全ての建築物の耐震化の現状と国交省の取り組み方針について、国交大臣にお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 今回の熊本地震の状況を見ましても、防災拠点を含む建築物の耐震化を一層促進することは大変重要であると考えております。

 全ての建築物の耐震化率は把握をできておりませんけれども、多数の者が利用する建築物の平成二十五年時点の耐震化率は八五%と、目標に比べて進捗がおくれている状況にあります。

 耐震化を進めるためには、所有者の方々に必要性を御理解いただくこと、コスト負担を軽減することが重要であります。

 このため、地方公共団体と連携して、耐震化の必要性についてパンフレット等を通じた周知を積極的に進めるとともに、コスト負担の軽減のための施策を推進しております。

 こうした耐震化の取り組みにつきましては、耐震改修促進計画等において防災拠点として位置づけられた庁舎等の建築物及び緊急輸送道路や避難路として位置づけられた道路沿いの建築物、ホテル、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物や小学校、老人ホーム等の避難弱者の利用する建築物であって大規模なものに関し、優先して進める必要があると考えております。

 このため、こうした建築物については、平成二十五年の耐震改修促進法の改正により耐震診断の義務づけを行うとともに、改修工事に対する補助率引き上げ措置等により重点的な支援を行っており、平成二十八年度予算において同措置の三年間の期限延長を行っております。

 今後とも、建築物の耐震化率のさらなる向上に向け、積極的に取り組んでまいります。

樋口委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 先ほどの消防庁の調査でも、防災拠点となる公共施設の耐震化率について、庁舎は七四・八%というふうになっているわけでございます。

 今回の熊本でも、町役場や市役所が立入禁止となりました。防災拠点、そして司令塔機能、またキーステーション、こういうふうに役に立つことができないというケースも見られたわけでございます。

 防災拠点の耐震化や建てかえは喫緊の課題であります。しかしながら、地方公共団体を取り巻く環境は非常に厳しいものがございまして、人口は減少していますし、雇用も減っておりますし、税収も交付金も減っている。財源不足は明らかな状況でございます。

 そこで、民間の資金とノウハウを活用した施設の整備、すなわちPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップ、公民連携が重要になってまいります。これにより財政負担を軽減して、そして公共サービスを向上させることができる、こういうふうになるわけであります。

 私はきょう、防災の司令塔機能を果たす市町村の庁舎の耐震化や建てかえのために民間の資金とノウハウを活用するべきだと思うが、いかがだろうかという質問を用意したわけでございますが、実は、答弁をしてくれる役所がないということで、質問を落としました。

 かかわりのある省庁は三つでございます。参考のために、総務省消防庁と内閣府PFI推進室と内閣府防災担当、この三つでございました。

 消防庁さんは、民間の資金とノウハウとなると、所管がPFI推進室なので答弁ができない。そして、民間の資金とノウハウということになると内閣府PFI推進室でございますが、防災というふうにつくと、防災の所管ではないのでお答えになられない。そして、防災の司令塔機能という意味では内閣府防災担当ですけれども、市町村の庁舎を使うということは念頭にない、中学校などにその機能を持たせるんだというお立場で、これもお答えになられない、こういう現状がわかったわけでございます。地方公共団体が庁舎の耐震化または建てかえに民間の資金やノウハウを利用したいと思っても、国には窓口がないということもよくわかりました。

 私は、市町村においては、庁舎の建てかえなど、どうしても優先順位が市民の皆様から見ると低くなってしまう、後回しになりがちだということもよく理解をしております。それゆえに、民間のノウハウを使って、市民の皆様にとっても司令塔として納得のいく庁舎をつくることが大切だというふうに考えますけれども、残念ながら、きょうは聞くに及びませんでしたので、今後の課題として問題提起をさせていただいて、このPPPについては、公民連携で建てかえを進めていく、民間の資金とノウハウをしっかり使っていこうということを課題にしてこれからまたやってまいりたいと思いますので、そういう意見だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 次に、住宅について伺います。

 全国の住宅の耐震化の状況と国交省の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 住宅の耐震化率につきましては、目標としては、平成三十二年に九五%とすること、また平成三十七年までに耐震性を有しない住宅ストックをおおむね解消するという目標を持っておりますが、平成二十五年時点では耐震化率は八二%にとどまっており、進捗がおくれている状況にございます。

 このため、大臣から先ほど御説明ございましたような建築物に対する取り組みと同様に、地方公共団体と連携をいたしまして、所有者に必要性の理解を進めていただく観点からの周知活動や、あるいはコスト負担の軽減のための施策を推進しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、防災・安全交付金等を活用いたしまして、地方公共団体を通じて、耐震診断、改修に対する助成を進めております。平成二十八年度、今年度予算には交付率の引き上げ措置の延長等の拡充措置を盛り込んだところでございます。

 また、税制におきましても、耐震改修を行った場合に所得税や固定資産税を減税するという措置を講じることによりまして耐震化を促進しております。同じように、二十八年度の税制改正におきましては、耐震改修に係る固定資産税の特例措置の延長を盛り込んだところでございます。

 こうした措置を活用することによりまして、今後とも住宅の耐震化率のさらなる向上に向け、積極的に取り組んでまいります。

 以上でございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 住宅の耐震化は極めて重要な課題でございます。今お話がありましたとおり、防災・安全交付金で国と地方を合わせて、改修で一一・五ずつですから、二三%ということになりますし、税制の特例もあります。しかし、なかなかこれでは進まないということも現実ではないかというふうに思っています。

 やはり一番基礎となる住宅の耐震化、この点について強くこれを推進していくためには、例えば、住宅エコポイントのようなものがありましたけれども、それに類似をした、時間や場所を限って、住宅耐震化ポイントのような制度が有効ではないかというふうに思いますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 住宅の耐震化を進めますためには、やはり建てかえや改修にかかるコスト負担を軽減することが重要でございます。

 その耐震化に係る支援につきましては、やはり住宅問題は全国的な課題でございますので、できるだけ地域を限定せずに進めてまいりたいと考えております。

 一方で、耐震化の支援の期間を限定して講じるということにつきましては、早期に耐震化を促す上では有効なアプローチではないかというふうに考えております。

 平成二十七年の三月から十月まで受け付けを行いました省エネ住宅ポイント制度におきましては、省エネのリフォームとあわせて耐震改修を行っていただいた場合には、特別のポイント加算を行ったところでございます。通常三十万ポイントのところに、さらに十五万ポイントを加算するという措置をとっております。

 また、先ほど御説明申し上げましたとおり、防災・安全交付金による支援につきましても、五年間に限定でございまして、交付率の引き上げの措置を今年度予算に盛り込んだところでございます。

 今御指摘をいただきました点も踏まえながら、効果的な耐震改修の促進のあり方について工夫をしながら、住宅の耐震化について一層促進してまいりたいと思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 ぜひ思い切って期間を限定して、そして、住宅の耐震化をするための住宅耐震化ポイント制度、この創設を強く求めたいというふうに思います。

 続きましての質問は、この地震でエコノミークラス症候群を発症される方が多くなっているというふうに伺っております。厳しい余震のために、車中泊の方々、また、避難所生活が続き、運動する機会も減っていらっしゃるわけでありますが、予防の三カ条と言われております、私たちもお話をするときに、一、長時間の同じ姿勢を避ける、二、歩くなどの運動をする、三、適度に水分をとるということをぜひ心がけてくださいとお話をしているわけでございますが、加えて、我が党が提言として総理に出させていただきました中にも、避難者の血栓予防のための弾力ストッキングを配布するということを提言させていただいているところであります。

 課題はさまざまありますけれども、問題の一つは、やはりこの三番の水分をとるということでありまして、近くにトイレがない、トイレが混んでいる、トイレが衛生的ではないといった状況でございますので水分をとるのを控えてしまう、こういう現場の声があるわけでございます。そこで、携帯型のトイレ、簡易型のトイレ、仮設トイレを被災地に早急に届けるということが重要でございまして、お取り組みを続けていただいているところであります。

 きょうはマンホールトイレについて伺いたいと思います。

 このマンホールトイレは、仮設トイレに比べて迅速な組み立てが可能で、下水道につながっていることからくみ取りの必要がなく、日常生活に近いトイレ環境を確保できる点が特徴だと。また、段差がないために高齢者や障害のある方でも利用しやすいとされているわけでございますが、今回の震災での現状と、このマンホールトイレの普及に向けての課題と国交省の取り組み方針についてお伺いをしたいと思います。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 マンホールトイレは、避難所等において平時に小口径のマンホール、排水管等を整備しておき、災害時にマンホールのふたをあけ、その上に便器等を設置するものであり、全国で約二万基が設置されております。

 マンホールトイレは、災害時においても、し尿を下水管に流すため衛生的で、入り口の段差がなく高齢者等が使用しやすいという特徴があります。東日本大震災では、宮城県東松島市で設置され、被災者から大変好評でした。

 今回の熊本地震においても、四月二十日時点で、熊本市内の中学校等の四カ所で合計二十基のマンホールトイレが使用されております。

 お尋ねのマンホールトイレのさらなる普及に向けた課題といたしましては、マンホールトイレの整備に一定の費用を要すること、マンホールトイレの有用性や整備の考え方が広く知られていないことなどが考えられております。

 このため、国土交通省といたしましては、平成二十一年度より、マンホールトイレの整備に対し、防災・安全交付金等により支援するとともに、平成二十八年三月には、マンホールトイレの有用性や整備の際の配慮事項等を示した、マンホールトイレ整備・運用のためのガイドラインを策定し、周知を図っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした財政支援や市町村等関係者に対する啓発を通じ、今後ともマンホールトイレの普及に取り組んでまいります。

樋口委員 よろしくお願いを申し上げます。

 次に、十六日の本震で、熊本県の甲佐町、九州自動車道をまたぐ跨道橋の一つが崩落をいたしました。前例が余りないんではないかと言われるほどの崩落だったというふうに聞いて、報道で知っておりますけれども、地震による崩落のおそれのある跨道橋、また線路をまたぐ跨線橋などの現状と国交省の取り組み方針についてお伺いをしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 地震によりまして跨道橋あるいは跨線橋といったものが崩落いたしますと、救命救急あるいは緊急物資の輸送といったようなことに対する障害になってまいりますし、公共交通の途絶といったような重大なインシデントになるわけでございます。

 委員御指摘のありました、平成二十六年七月に施行されました省令によりまして、私どもの方、橋、トンネルにつきましては五年に一度の近接目視の点検を行うということをさせていただいておりまして、これを各道路管理者の義務という形で明確化させていただいたところでございます。

 特に、橋梁につきましては、非常に施設数が多いということもございまして、第三者被害の予防並びに路線の重要性の観点といったようなところから、緊急輸送道路をまたぐ跨道橋、道路をまたぐ橋でございますが、あと跨線橋、線路をまたぐ橋、そして緊急輸送道路そのものの橋梁といったようなところにつきまして、特に老朽化に対する点検を最優先で実施させてきていただいておりまして、実施から二年ということではございますが、おおむね一般的な点検の実施率の約二倍ぐらいの割合で、重点的にそこの部分に関しては点検が進んでいるというふうに御理解いただければというふうに思います。

 当然、この点検の中で要補修の場所が見つかれば直ちに手当てをするということになっておるわけでございまして、今後とも、最優先で点検すべき橋梁につきましては、私どもの方としても、各自治体、道路管理者に対しまして、スピードを上げて点検をしていただけるよう促していきますとともに、御協力もいただきながらしっかりと修繕も進め、このような事態を招かないような形でしっかり取り組んでまいりたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

樋口委員 ありがとうございます。しっかりとお願いをしたいと思います。

 最後に一問だけ、関連をいたしまして、道路の路面下の空洞探査について伺いたいと思います。

 東日本大震災のときにも路面下の空洞が多発して、陥没による道路ネットワークの分断が生じました。

 政府も、昨年六月十六日に閣議決定をいたしました国土強靱化アクションプラン二〇一五の中で、路面下空洞調査の実施を明記しているところであります。

 未然に防ぐためには、目視だけではわからない路面下の空洞を見つけ出すための路面下空洞調査が必要でありまして、徐々にでありますが、現在、全国で実施をされているというふうに聞きます。

 路面下の空洞を見つけるための調査でありますけれども、道路陥没を防止するためには有効な手だてであり、国のみならず地方でも積極的に推進をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。予算的な面も含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

 加えて、この分野では全国に二十社か三十社、会社があるというふうに聞いておりますけれども、質の高い調査を行うためには技術力の向上が必要ではないかというふうに思いますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 路面の下にできます空洞といいますのは、下水道などの埋設管路が破損いたしまして、そこから道路の下の土を吸い出してしまうというようなこと、あるいは、私たちがつくっております道路本体の土の構造物と、橋といったようなかたいもののちょうど境界部に当たるところから、雨あるいは振動等によりまして土砂が流出してしまうということで発生するということが一般的に言われているところでございます。

 また、実際に、詳細なメカニズムというのはまだ研究途上ではございますけれども、大きな地震の後に、液状化以外にも路面下に空洞が数多く発見されるという事例も報告されております。

 今委員御指摘のように、東日本大震災のときにも各方面で路面下に同じような空洞が発生した、また、それが大きく穴があいたというような実際の事故も報告されているところでございます。

 このような、実際に穴があいて路面が陥没をする、そしてそれがまた事故につながるというおそれもございますので、私たちも、パトロール、あるいは、必要に応じまして機械によります空洞探査といったようなものを実施してきているところでございます。

 国土交通省といたしましても、自治体に対しまして、特に各都道府県ごとに設置をしております道路メンテナンス会議というような組織体を通じまして、空洞探査の必要性、そしてまた空洞探査の技術提示、これは具体的には、例えば各種探査技術の募集とか、あるいはその特徴の整理といったようなことも含めて情報の開示をさせていただいて、空洞の研究をしやすくする。

 そしてまた、空洞の発生しやすい場所に関する情報、今冒頭で御紹介したようなことは、非常に漠然とした言い方をさせていただいたわけでございますが、空洞の発生しやすい場所に関するもう少し細かな情報提供、そして、実際に資金的にも、要望に応じて交付金による支援といったようなものも行ってまいりたいというふうに考えております。

 特に、探査をされる会社は全国にもたくさんあるというふうに聞いているところでございまして、適切に試験をするフィールドを私どもとしてもしっかりと提供させていただいて、その中で、どういった技術の特徴があるのか、そしてまたどのようなコストがかかっていくのかといったようなこともできるだけ率先して自治体に御提供させていただき、路面下探査等がしっかりと進んで交通の安全に寄与できるよう頑張っていきたいというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

樋口委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の水戸将史でございます。

 国民の健康と命を守るという観点から、アスベストを私もライフワークとしていろいろとやってきたわけでありますので、前回も一般質疑でさせていただきましたけれども、第二弾という形で、しつこいようでありますけれども、改めてまたこのアスベスト対策についての御見解を求めていきたいと思っております。

 国交省だけでこのアスベストの問題が片づけばいいんですけれども、やはりこれは多岐にまたがっているわけでありまして、きょうは、大変お忙しいところ恐縮でありますけれども、内閣府からは松本副大臣、また文科省からは義家副大臣等々、他に環境省の方も見えていただいていますので、順次この問題についてぜひ皆さんの御見解を求めていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたしたいと思っています。

 せっかく十一年ほど前に国交省が、このアスベストの調査、改修につきましては、補助金という形で国が全面的にこれに対しては取り扱っていくんだ、国家を挙げてというような、そういう姿勢を見せてスタートしたにもかかわらず、その後、紆余曲折があったんでしょうけれども、財務省にばっさり切られてしまった。私は、国交省に成りかわって、非常にじくじたる思いをしているんです。

 このアスベスト対策に関して、そうはいうものの、国交省もいろいろな形で取り組みをしていることに対しては私も評価していいと思っているんですね。

 その一つのものとして、こういう制度を設けました。前回も若干触れましたが、建築物石綿含有建材調査者、こういう資格制度をつくったんですね。この制度は制度として、これは平成二十五年度からスタートした制度。スタートしてからまだ二、三年程度しかたっておりませんけれども、この制度がなぜこの段階でできてきたのか。

 先ほど言ったように、十一年ほど前からアスベストに対しては本腰を入れて、補助金までつけて期限を決めずに含有調査をしていく、また、調査してありと認められるならば、改修工事をしていこうということに対して国と都道府県がタイアップして補助金を出していこうという制度を設けていたにもかかわらず、その段階じゃなくて、あえて平成二十五年度からと、かなりタイムラグもあった。

 なぜ平成二十五年度からこのような制度を設けてきたのか。いわゆるこの制度の創設された趣旨というのはどこにあるんですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねをいただきました建築物石綿含有建材調査者制度につきましては、平成十九年の総務省の勧告におきまして千平米未満の小規模の民間建築物の把握方法の検討が求められましたことを契機に、社会資本整備審議会のアスベスト対策部会において対策の検討が開始されたものでございます。

 この部会におきましては、一千平米未満の民間建築物の調査を本格的に実施するためには、多数の建築物を対象として適切な調査を行うための環境整備が必要であるとされまして、その一つとして、建築物とアスベストの双方について知識と技能を有するアスベスト調査者の育成が求められたところでございます。

 これを受けまして、国土交通省におきまして、調査者の育成のための講習のあり方などについて検討を行い、平成二十五年に、アスベスト調査者を育成するための制度として、この建築物石綿含有建材調査者制度を開始したところでございます。

水戸委員 先ほど言った補助制度は平成十七年からスタートして、その二年後に、総務省勧告が平成十九年にあるんですね。端的に言えば、手ぬるい、もっともっとしっかりやれというような、そういう意味を込めての勧告だったんですね。それを受けて、国交省は、これは平成二十五年で、平成十九年から平成二十五年にいろいろな検討をしたんでしょうけれども、かなり時間がかかっているような気がしますけれども、実際この制度ができてきた。よちよち歩きで今やっているような感じでありますけれども。

 現在において、いわゆる有資格者、石綿を調査する、そうした一定の見識を持った、一定の研さんを積んだ有資格者はどの程度いらっしゃって、そして今後どの程度これを確保していくつもりなのか、また、有資格者の人たちの審査、調査というもののいわゆる社会的な評価というんですか、これをどの程度担保することになるんですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、この調査者制度は、一千平米未満の小規模な建築物を含めまして、民間建築物のアスベスト調査を行う専門家を育成するために開始をされたものでございます。

 このため、この制度におきましては、建築関連の実務経験を有する者に対しまして、調査に関する基礎知識のほかに、建築図面調査や現場調査の際の留意事項等多岐にわたる内容について講習するとともに、現場での実習を行っているところでございまして、アスベストの使用実態を把握するために十分な知識と能力を備えた専門家を育成するという意義を有し、また評価を得ているものと考えております。

 また、この調査者は、本来業務としての通常利用時の飛散性の観点からのアスベスト使用状況調査だけではございませんで、大気汚染防止法に基づき解体等の際に届け出を要する建築物の把握など、関連制度での活用も可能な制度となっているところでございます。

 お尋ねいただいた人員確保につきましては、特に特定の地域に偏らず、全国において育成が図られるよう資格者の少ない地域において講習会を重点的に実施するなど、講習の開催地域を工夫してきており、結果的に調査者の数は、初年度は百十二名でございましたけれども、現在はその約六倍の六百五十七名になっているところでございます。

 以上でございます。

水戸委員 もう一つ聞いているのは、今後どのようなスケジュール感を持って、もっともっとこれを拡大、ずっとやりたい人はどんどん受け入れていくというような、どういうような計画性というか、この有資格者に対しての今後の展望です。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査者につきましては、数的に幾らにしたいという数値目標を必ずしも有しているわけではございませんが、できる限りこういった調査者が十分に行き渡るように、さらに普及、それから講習を受けていただく方の数をふやしてまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 だから、だめなんですね。

 結局、この間も若干触れましたけれども、総務省勧告は、確かに、先ほど局長がおっしゃったように、床面積一千平米未満のところもやれという話で、これは幾らあるかというと、二百八十万棟もあるんですよ。

 こういうところに対してきめ細かな形で調査をしていくんだということになるならば、それ相当の数は確保していく必要があると思うんですが、その数の確保の必要性についてはどう思っているんですか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、特別に数の目標値等を今有しているわけではございませんけれども、まだまだ育成してまいりたいということで、できる限りの講習の円滑化等に努めてまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 私は、国交省を後押ししたいという気持ちで言っているんですよ。せっかくこういう形で、ある程度社会的な評価を得られるようないい資格制度をつくった。この一定のスキルを磨いていただいて、こういう人たちに実際の現場を調査していただいて、そして、しっかりとした形で現状把握をして対処してもらおうということはいいことなんですね。

 ですから、初年度に比べれば次年度は五倍ぐらいふえたということをおっしゃったけれども、やはりある程度計画性を持ってこれをふやす。結果的にふやせるかどうかということはまた別問題かもしれませんけれども、国交省自体がこの制度を創設されてやろうとしているわけでありますし、また総務省勧告に基づいて、二百八十万棟、それ以上あるかもしれませんけれども、そういうところに調査をかけていこうという話になりますから、やはり一定の数は必要だと思っています。

 では、逆に聞きますけれども、これは昨年度で残念ながら、県有、都道府県の公共施設の建築物の調査は一応終了となっているんですよ。終了というのは、いわゆる補助金を出すことは終了となっているんですね。また公共の建物に関しましても、市町村有、市町村が持っているものに関しても来年度で廃止なんです。その調査した場合の補助金の制度を廃止ということですよ。

 実際、今までいわゆる公有、公共の建物に関して、県でも市町村でもいいんですが、この有資格者を使ってどの程度調査をされているかは把握をされていますか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました公有の建物について、有資格者が実際どの程度使われているかという実態調査はしたことはございません。

水戸委員 もちろん、過去のことについてとやかく言っても詮なきことでありますから、あれなんですけれども、せっかくこういう一定のスキルを磨いて知識を習得して、もちろん今までもこの調査は、ある意味、言い方が悪いけれども、素人がやっていたわけですよね。アスベストがあるかないかについての調査は素人がやっていたにもかかわらず、今回、二十五年度からはこういう有資格者制度を設けて本腰を入れてやっていこう、そういうことでありますから、二十五年度以降のこの姿勢は私は是としたいんですが、それ以前の話なんですね。

 では、本当に、それ以前の含有調査、アスベストがここにあるかないかを調査した人間たちがどの程度の知識とスキルを持ってやっていたかということに関しては、私は、前も言ったけれども、非常に疑いがある、疑われても仕方ないと思っているんです。

 だからこそ、やはりもう一度、特に公共施設、人が多く使うとか行き来するような場所の公共施設等々を含めて再調査をする必要があるんじゃないですか。どうでしょうか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省におきましては、平成十七年度から一千平米以上の大規模な民間建築物を対象に、吹きつけアスベストの使用状況等の調査を行っております。この調査につきましては、今お話ございましたように、二十五年度に創設された調査者制度で育成された調査者以外の者による調査結果も当然含まれております。

 その場合におきましても適切な実施を確保するため、調査が行われる具体的な方法を示しました指針あるいはその解説を作成しておりまして、それに基づき適切な調査、指導が行われますよう、地方公共団体に対し、建築物所有者への指導を要請してきているところでございます。

 この指針あるいは解説におきましては、設計図書等による書面調査を行った上で、現地での調査、サンプリングを行い、アスベスト含有建材の分析を行うなどの調査の手順を示しているところでございまして、この解説あるいは指針に基づきまして適切に調査を行っていただいているものというふうに認識しております。

 なお、今年度から、社会資本整備総合交付金を活用する場合には、調査者がアスベストの含有調査を実施しなければならないというふうに制度を改正したところでございまして、こうしたことを通じて、この調査に対してアスベストの調査者がきちんと利用されるように努めてまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 いずれにいたしましても、せっかくこの制度をつくったんだから、その制度に基づいてこういう人たちがしっかりとした調査をすることを強く要望して、時間がないので次に入ります。

 国交省として、建築物防災週間というのがあるんですね、年に二回この週間をつくって、上期は八月から九月にかけまして一週間、下期はその翌年の三月一日から一週間、年二回、この建築物防災週間において調査をされているわけですね。

 この中で、これはいいということなんですよ、国交省は吹きつけのアスベスト飛散防止体制に対する調査をやっているんですね。これはこれとして非常にいいことをやっているなと思うんですが、いわゆる飛散性の高いレベル1、吹きつけが露出している建築物に対して、どの程度あるのかに関しまして、防災の観点から、災害を防ぐ、いろいろな健康被害にもかかわってくる話ですから、その防災の観点からアスベスト調査をしているんです。

 簡潔にお答えしていただきたいんですけれども、この調査は今どのような成果を上げられているのか。また、積み増し、いろいろと毎年毎年、これだけの含有している建物がある、だからそれは速やかに除去すべきだとか改修すべきだということを言っているんですが、しかし、いずれにいたしましても、調査して把握をした数値と、実際に、その調査の結果、では除去しようとか改修しようということがなかなか追いつかない状況となっています。ギャップがあるんですね。

 全体的なものとして、単年度ベースで除去、撤去、改修できる数というのは限られていますから、今後この取り組みをどうしていくのか。まとめて簡潔にお答えください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 大規模建築物について行っております吹きつけアスベストの使用状況調査及びそれに基づく対策の状況につきまして、毎年、お話しいただきました建築物防災週間の機会を捉えて、それまでの一年間に行った結果について特定行政庁から報告をいただき、それを公表しているところでございます。

 直近の報告、二十七年の七月に公表いたしておりますが、調査対象約二十六万七千棟のうち、アスベスト調査を終了したものとして報告があった建築物は二十三万七千棟、約八八・五%でございます。調査報告があった建築物のうち、露出してアスベスト等が吹きつけられている建築物が一万五千七百棟、このうち、除去、封じ込め等の対応が完了している建築物は一万千三百棟となっております。したがいまして、この差、約四千四百棟が依然として対策がとられていない状況で残っているということになっております。

 これらの建築物におきまして除去等の対策が進まない要因としては、やはり建物所有者の理解がなかなか進まないということや、対策について一定の費用負担が生じるということがあるというふうに認識しております。

 このため、私ども国交省といたしましては、地方公共団体に対しまして、所有者への指導を継続的に実施するよう要請いたしますとともに、先ほど御説明しました社会資本整備総合交付金によりまして、アスベストの調査及び除去等の対策に対し補助を行うなどの対策を講じてきているところでございます。

 引き続き、地方公共団体と連携して、適切な対策が講じられるように努めてまいりたいと考えております。

水戸委員 速やかにこういうものに対して対応していただくことを強く要望したいと思っています。

 それで、これは東日本大震災以降、いわゆる震災後の対応について、家屋が倒壊してしまう、そのときにアスベストが飛散するかもしれません。また、そうした瓦れきのものを解体撤去するときもアスベストが飛散する危険性がありますからこそ、防災の観点からもこれをやるべきであると私もそのときも申し上げてきた経過がありました。

 一応改善点があるんですけれども、今実際、熊本は本当に痛ましいような状況でありまして、心からお悔やみ申し上げたいと思うんですけれども、熊本の今回の地震の現状において、このアスベスト対策についてはどのような形で取り組むおつもりですか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 被災地では、今後、建築物の解体に伴いましてアスベストの飛散が懸念されますことから、その飛散防止対策を適切に行うことが重要でございます。

 環境省では、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルというものを作成しております。環境省では、この内容に基づきまして、今般、応急措置として現場でとるべき行動が周知されますように、関係省庁などにまず情報提供を行いました。

 また、解体時等のアスベストの飛散防止を図るように、熊本県、熊本市に通知をしたところであり、また、熊本県からも、関係団体、市町村に対しまして、飛散防止対策を適切に行うよう通知をされたと聞いております。

 さらに、現地の状況を見きわめながら、アスベスト濃度の調査など追加的な対応を検討してまいります。

 今後とも、県や市と連携をしながら、アスベストの飛散防止対策に取り組んでまいります。

水戸委員 五年前も、そういう話でいろいろと対策をする、環境省も率先垂範してやるという話をされましたので、こういうものに引き続いてぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思っています。

 そこで、松本副大臣、お忙しいところ、本当にありがとうございました。きのうも総務委員会でいろいろとスキャンダラスな話で御苦労されておりましたけれども、きょうはその話はいたしません。

 防災の観点から、せっかくお見えいただいたものですから、確かに現状、本当にあすをも知れぬ命という人もいっぱいいますから、数十年後に健康被害に至るアスベストに関しては、いわゆる今緊急性がないからという話でありますけれども、しかし、そうはいうものの、今後、健康と死に直結するようなアスベストの話でございますから、いろいろなところで、もちろん今回の熊本の地震が鎮静化した後でも構わないんですけれども、やはり防災計画の中にアスベスト対策はもうちょっとしっかりと位置づける必要があると思っているんですね。

 五年前の東日本大震災のときにもそうだったんですけれども、やはりどうしても、アスベストに関しましては、発災後、地震が発生して、そしてアスベストの測定をしたりとか、労災を防止する、そういう労働災害に対する防止という観点からでしか取り上げていないんですね。あくまでも、今後、何というんですか、未然に防ぐというようなことを含めて、防災計画にこういうもののアスベスト対策をやはり組み込んでいく必要があるんじゃないか、私はそう思っているんです。

 ですから、防災計画というのはあくまでも、御案内のとおり、防災基本計画をつくって、その後の防災業務計画、さらには地域防災計画とトップダウンで、だんだん地域の方にこの計画がより具体化していくわけでありますけれども、やはり、この大元締めである中央防災会議において、しっかりとした形で防災計画に盛り込むということをやっていく必要があるかと。これがいわゆる二次被害、三次被害を防ぐ、このようにつながっていくと思うんですけれども、どうでしょうか。

 副大臣、この防災計画に対してアスベストを明確に位置づけることについてはどのような御認識でしょうか。

松本副大臣 先生御承知のとおり、飛散防止対策等々が関係各省において既に専門的な知見から検討が行われて、その作業手順が確立をされております。加えて、それに対応した適切な見直しというものが行われております。こうした見直しが現実に現場でどう生かされるかという課題がある。

 とりわけ、今回のような大災害時において地方自治体が大変に多くの課題を抱えて、人が足りない、こういう状況の中においてもなお確実に行われるというようなことは必要だ、こう思っております。

 ただ、安全衛生という専門的な観点から検討がなされている、引き続いてこの枠組みの中で取り組みが推進されていくということが重要だ、こう考えております。

水戸委員 時間がないものですから要望にとどめますけれども、やはり、枠組みも必要でありますし、確かに、具体的にどう取り扱っていくかという現場現場の対応というのは大変必要なんです。

 しかし、そうはいうものの、その前に体系的に防災計画に盛り込んで、そして中央防災会議においてそうした専門的な組織もつくって、今言ったように地震に対する直接的なものではありません、しかし、それに対して携わった人たち、そこに一緒にいる人たちが、瓦れきの山となったそういうところにアスベストが飛散することによって、それを吸い込んで何十年後かに自分が死に至ってしまうということになってしまいますからこそ、こういうことは、やはり防災の観点から、アスベスト対策を第一に念頭に置いて、ぜひ盛り込んでいただくことを強く要望したいと思っております。

 最後になりますけれども、義家副大臣もお見えでございますので、文科省に対して若干お聞きしたいんです。

 というのは、文科省は当然学校の施設を持っているんですね。以前も、学校パニックというのが昭和六十一年にありました。あのときも、いわゆる飛散性の高い順からレベル1、レベル2、レベル3になるんですけれども、レベル1、いわゆる吹きつけているそういうものが学校の施設にあって、知らず知らずのうちにそれに近づいてしまった教師や生徒たちが被曝しているんじゃないかというような疑いが非常に高くなりまして、あのようなパニック状態になりました。

 あれから随分、もう三十年近くたっているんですけれども、そういうような過去の経過を含めて、文科省は平成二十六年、ちょうど二年前ですか、石綿障害予防規則が改正されたことに伴って、平成二十六年七月の段階で、学校施設等における石綿含有保温材の使用状況について、全国の学校施設に対して、特にレベル2、レベル1ではなくてレベル2建材の一斉調査を行いました。その調査結果を一応公表しているわけでありますけれども、この調査結果をどういうふうに捉えているか。

 というのは、これに対して私が見るには、余りにもその結果が、こちらが見るとずさんではないのかというところがちょっとかいま見られるものですから、今、文科省としてはこの調査結果をどういうふうに捉えていらっしゃるか、まず簡潔にお答えください。

義家副大臣 お答えいたします。

 本調査については、教室、廊下、階段、便所、管理諸室など、児童生徒、教職員等が通常立ち入る場所及び煙突を対象として、保温材等の劣化、損傷の状況について調査したものでございます。

 本調査においては、昨年十月十六日に公表したところでありますが、劣化、損傷等がある保温材等を保有する学校等は、十三万三千五百十六校のうち百五十五校、〇・一%、石綿を含有し、劣化がある煙突、断熱材を保有する学校等は、十三万三千五百十六校のうち三百八十校、〇・三%であります。

 本調査結果を踏まえて、学校設置者に、まず一つ目、調査が未完了の機関においては早期に調査を実施。劣化、損傷等が生じていることが明らかになっている保温材等については、専門家に相談の上、直ちに応急処置及び速やかに囲い込み等の処置をする。三つ目として、煙突用断熱材については、専門家に相談の上、速やかに必要な対策を講じるよう要請したところでございます。

水戸委員 先ほど若干触れましたように、昭和六十一年の学校パニックは、レベル1、吹きつけ材がかなり使用されておりまして、それの飛散しているアスベストを吸ったのではないかということでパニックになったという話をいたしました。それで、六十二年に調査するんですね。昭和六十一年の学校パニックを受けて、翌年、六十二年には調査しているんです。

 この調査のときも、結局、結果報告としてこういうことを言われているんですね。要するに、総合的な対策を早急に講ずるための、これはあくまで一般的な傾向を総括するための調査であったと。だから、いわゆる学校パニック、もう三十年近く前の調査も、結果的には対策の範囲を限定する方向に作用したことは否めないということで、結局、具体的な形で本当に細部にわたって調査が行われたかに関しては確実性がある程度疑われる、そんなような総括をしているわけであります。

 そのときも、そういう形で、その当時文部省がやった。まさに今回、文科省も、二十六年にやったことに関してかなりお茶を濁しているようなところもあるんじゃないかな、過去の同じような轍を踏んでいるんじゃないか、私はそう疑ってやまないんですけれども、これに対しては、副大臣、どのような御見識でしょうか。

義家副大臣 お答えいたします。

 生徒児童等の安全対策に万全を期すため、平成十七年から吹きつけアスベスト等の使用実態調査を実施したところでありますが、平成二十六年三月、石綿障害予防規則の改正により、これは、委員既に御指摘のとおり、アスベストのレベル1に加えて、石綿を含有する保温材や断熱材等レベル2が新たに規制対象になったことから調査が行われたわけであります。

 本調査については、子供たちなどの安全対策に万全を期すという目的のもと、まず、室内露出に対して飛散防止を図るという観点から、児童生徒及び教職員が立ち入る教室や廊下等を対象にして、目視により、室内等の露出、設置されている保温材等の劣化、損傷の状況調査を実施したところであります。

 また、煙突用断熱材については、専門家または専門業者等により、石綿含有の有無も含めて劣化、損傷等の状況調査を実施したところであります。

 まずは、本調査において、生徒児童の安全を早期に確保するという観点からでございましたが、その観点からは有効な調査であったと認識しております。

水戸委員 副大臣は、結果からしてということで有意義だというお話をされるでしょうけれども、実際、先ほども何度も触れていますとおり、では、誰が調査したかという話なんですね。

 いわゆる調査の結果は非常にまずまずだと。しかし、では実際調査した人間が誰だったかということに関しては、副大臣、把握されていますか。

義家副大臣 お答えいたします。

 何分、十三万の施設への緊急調査でありましたので、当然マンパワーは足りません。調査に当たっては、従来の建築士、施工管理技士、施工業者に加えて、平成二十五年度から創設された建築物石綿含有建材調査者等の専門家、有識者の活用を要請し、一部入っておりますが、二十七年十二月現在ですけれども、全国で五百六十名の調査者しかおらないために、総合的に調査を行った次第でございます。

水戸委員 本当に真摯な御答弁だと思うんですね。結局、相当対象が多いわけですね、これも。

 では、誰がやるんだ、それだけのスキルと専門的な知識を持っている人が本当に調査に臨んでくれたのかと。何となくマニュアルを見て、はっきり言って、素人的な感覚でやってしまって、でも、報告書は書かなきゃいけないから、その報告書は何となくやったような形で体裁を整えたということがうかがい知れるような、私は、そういうのが多分に含まれているんじゃないかと。

 もちろん、一生懸命やったことに対しては、それはそれとして敬意を表したいと思うんですけれども、既に御案内のとおり、いわゆる三十年前の学校パニック、このアスベストというのは、潜伏期間は三十年から四十年と言われておりますから、結局、それを吸い込んだ後の三十年後、四十年後に発症してくるんですね、がんとして。

 そういう危険な物質であることを私自身もこれは受けとめさせていただいて、昨今も、既に学校の教員がアスベストが起因で労災認定が認められたり、もう既にそれ以外でも二十名程度の学校の教員がアスベストが起因で亡くなっているんですね。こういう調査報告があります。

 だから、結局、今後これが顕在化してくる。もちろん、教員のみならず、そのときの子供たちですよ。ですから、もう既に立派な中年ぐらいになっている、そういう大人たちになりますけれども。だからこそ、学校におけるレベル2、レベル1は先ほど言ったように三十年前に調査もしましたが、レベル2、飛散性が若干薄いかもしれない、可能性が小さいかもしれませんけれども、やはり飛散の可能性は否定できない、そういう建材です。

 こういう建材が学校に使われているわけでありますから、やはり早急に専門家を含む調査委員会を立ち上げて、もちろん、それには一定の予算も必要になりますから、予算化もしながら、ぜひ全面的に総力を挙げて、文科省として、学校、特に子供また教員の健康と命を守るという観点から進めていただきたいと思うんですけれども、それに対して、最後に副大臣、ひとつ決意のある御答弁をよろしくお願いいたします。

義家副大臣 子供たちの命や健康に対して非常に強い思いを持って取り組んでこられてきた委員の姿勢を私は大変尊敬いたします。

 その上で、今後とも安全確保のためにこうした調査を進めるとともに、あわせて国土交通省において創設された建築物石綿含有建材調査者のさらなる活用を促して、適切な対応を引き続き指導してまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 鋭意努力していただくことを強く要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 まずは、先ほど来お話がありますとおり、今般の平成二十八年熊本地震においてお亡くなりになられた皆様方に心からのお悔やみを申し上げると同時に、被災された皆様方にもお見舞いを申し上げさせていただきます。

 この一連の地震に関して言えば、発災から本日をもって九日ということになるわけですが、いわゆる災害のフェーズの推移、当初、応急対処があって、その後復旧フェーズがあって、また予防フェーズに戻っていくというこのフェーズの話でいえば、現時点は残念ながらまだ復旧フェーズに入ったとまでは言い切れず、さまざまな意味で応急対処を続けなければならない部分もたくさん残存しているという状況ではないかというふうに私は認識をしております。

 その意味でいえば、やはり当国土交通委員会、また国土交通省におかれては、インフラの話であり、また居住環境、住居の話、さまざまな意味で現地に対してのニーズをきちんと満たしていくという大きな責任があろうかと思いますので、そこは私もその自負を持って行いたいと思いますし、大臣初め国土交通省関係者の皆様方にもぜひそんな観点での御尽力をこの場をおかりしてお願い申し上げさせていただきます。

 まず冒頭、これは大臣にお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、今申し上げた観点でありますので、今回の地震に関しては、現時点で全てを総括するということはもちろんできないと思っていますが、今回の一連の九日間の熊本地震について、大臣がどう受けとめられているかというところをお伺いしたいと思っています。

 特に、今申し上げた、その進捗状況であり、また大臣の所掌の観点でさまざま現地への御対応をいただいているかと思いますので、その進捗状況を含めて、現時点でどういう受けとめを抱いていらっしゃるか、この点をまずは御答弁いただければと思います。

石井国務大臣 今回の平成二十八年熊本地震におきましては、政府におきましても、また国土交通省におきましても、いち早く非常災害対策本部を設置いたしまして、政府においては総理を先頭にいたしまして、また国土交通省におきましては私を先頭にいたしまして全力で対応しているところでございます。

 インフラの状況でございますけれども、例えば高速道路につきましては、一時期、ピーク時では五百九十九キロメートル通行どめの区間がございましたが、現状では七十五キロメーターまでそれが縮まっております。

 さらには、来週前半には九州自動車道の八代インターチェンジから嘉島ジャンクションまでの三十三キロが一般開放の予定、見込み、こういう状況でございます。

 また鉄道につきましても、一時期、相当の路線が運行を休止してございましたが、JR九州の鹿児島線が熊本から新八代駅間が運転再開をいたしまして、福岡から熊本を経て鹿児島に至る鉄道網は確保されました。

 九州新幹線につきましては、新水俣―鹿児島中央間が運転を再開いたしまして、また、本日も、熊本駅から一つ北側の新玉名駅までの間、応急復旧工事を実施しておりまして、本日中にも終了の可能性がございます。早ければあすにも博多から熊本間の試験走行が行われる見込みというふうな状況でございます。

 また、熊本空港につきましては、一時期、ターミナルビルが損傷したため民間旅客便は全便欠航しておりましたが、十九日に一部運航が再開をいたしまして、二十日以降は通常の七割の五十便程度が運航しているという状況でございます。

 このように、交通インフラにつきましては順次復旧が進んでおりますが、引き続きしっかりと復旧に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 一方、被災地では現在でも約十万人の方が避難をされております。避難所での不自由な生活等による影響でお亡くなりになっている方も出ておりまして、二次的な避難場所、さらには応急的な住まいの確保が急務でございます。

 このため、二次的な避難場所の確保としてホテル、旅館ということで、九州全域のホテル、旅館の受け入れを全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会に要請いたしまして、昨日から、熊本県内においては、高齢者、体調の悪い方を中心に順次受け入れを開始したところでございます。

 また、応急的な住まいの確保について、まず自宅が安全かどうかということで応急危険度判定を行わなければなりませんが、この判定士につきましては順次増員をしておりまして、二十三日以降は六百名に増員をする予定でございます。

 また、公営住宅におきましては、九州七県において今二千七百戸以上確保しております。熊本県においては昨日から受け付けを開始しておりまして、熊本市においてもあすから受け付けを開始するというふうに聞いております。

 そのほか、国土交通省におきましては、被災した市町村に連絡員、リエゾンを六十一名派遣しております。また、緊急災害対策派遣隊、TEC―FORCEを北海道から沖縄までの全地方整備局から現在四百三十四名派遣しておりまして、危険箇所の調査、あるいは自治体所管施設の被害状況調査の代行、また、応急復旧のための技術的な支援、また、一千百カ所の土砂災害危険箇所の点検など、全力で被災自治体の支援に取り組んでいるところでございます。

 今後も、国土交通省といたしましては、被災状況の把握や救命救難、被災地の復旧復興に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 今大臣が後段いろいろおっしゃっていただいた点については、この後議論をさせていただきたいと思っておりますが、まず冒頭、この地震そのものについて少し議論をさせていただきたいと思っております。

 この一連の地震について、報道であるとか専門家の方々からの御指摘、分析というところを読んでいると、初めてであるとか、まれであるとか、そういう表現が散見をされるわけです。

 御案内のとおり、東日本大震災はプレート型の地震でありました。そして、今回の熊本地震はいわゆる活断層型の地震であります。横ずれ型です。阪神・淡路大震災も活断層型の地震であったわけです。そういった観点であり、また、この後も少し議論させていただきますが、断層帯も複数にわたるという意味でも極めてまれであり、これまで類似の経験がどれだけあったかというと、ある意味ではそこに対しての知見、我々の蓄積というのは少なかったのかもしれないというふうにも思っているところであります。

 まず、この地震そのものについて、先日、地震調査委員会の方がレポート、分析をされているかと思います。気象庁であり、国土地理院の観測データというところも踏まえているかと思いますし、その点、それぞれきょうはお越しをいただいていますが、まずは、地震調査委員会の方でどういう分析をこの地震に対してされているかということを、簡潔にで結構なんですが、御答弁いただけますでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査委員会での評価でございますけれども、四月十五日、十七日に臨時会を開催いたしまして、熊本地震の発生メカニズムなどについての評価を行っております。

 その際、今回の地震の震源の深さ、また観測された地殻変動、現地調査による地表面の状況などを踏まえまして、四月十四日に発生をしたマグニチュード六・五の地震は、日奈久断層帯の高野―白旗区間の活動によるものと評価をし、また、四月十六日に発生をいたしましたマグニチュード七・三の地震は、主に布田川断層帯の布田川区間の活動によるものと評価をしているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 これについては、気象庁、国土地理院の情報も含めてということかと思いますので、済みません、きょうお越しいただいていますが、あえてそこについてはここで御答弁をいただくような形にはしませんが、今回の件、発災以来というところでいうと、一つ確認をさせていただきたいのが、まずは四月の十四日に第一の地震が発生をしたわけです。二十一時二十六分でした。マグニチュードが六・五。そして、震度でいえば、益城町、震度七ということが確認をされたわけです。

 これは、大きな地震が起きた際に、NHKを含めた報道機関を見ていても、ラジオでもそうですが、大体その後に気象庁の会見があって、そしてそこでは大きな地震が発生をしてこういう状況であるということが説明された上で、これは大体そうなりますが、大きな余震がこの後起こることも大きく想定をされるので、そこについては留意をしてくださいという話は必ずあるものですし、今回もそういう形で報道されてきたかと思うわけです。

 今回は、十四日の第一震、結果的にはこれが前震ということになるわけですが、それから二日たって、四月の十六日に今度はマグニチュードが七・三に上がって、そしてこれは事後的に同じく震度七が観測をされたということにされていますが、そこで最終的にはこちらが本震であったという形になりました。

 まず、ここでお伺いをさせていただきたいのは、前震、本震、余震と言われますが、これをそれぞれどう定義して、どう決めているか、この点、まずは御答弁をいただければと思います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 前震、本震、余震という用語についてのお尋ねでございます。

 地震学において使われるのが一般的でございまして、一連の地震活動におきまして最も規模の大きな地震に先立って発生する地震、これを前震と呼んでおります。また、最も規模の大きな地震を本震、本震に引き続いて起こる地震を余震としておるのが地震学では一般的に用いられている使い方でございます。現実には、前震を伴う地震は必ずしも多くないという状況がございます。

 以上でございます。

神山(洋)委員 私、ここは大きな、今回の熊本地震全体に対しての、場合によっては現地のオペレーションにもかかわるような意味で本質的な話であるという認識を実は持っております。

 これは、私自身も反省をしなければなりませんし、ある意味では社会全体の認識もそうだったのかなというふうに考えておりますが、一般的にこうした大きな地震災害は、最初にぼんと大きな地震があって、それが本震であるという認識をして、そこから当然余震もある可能性があるという中で、スピードはいろいろあると思いますが、徐々に右肩に下がっていくような、そういうイメージで我々は認識をしているんじゃないかと思うわけです。当然そのことを前提に、さまざまな現場オペレーションをするということです。今回も、ある意味ではそういう状況があったのではないかと思うわけです。

 今御答弁ありましたとおりの話ですし、これは常識論で考えてもそうなんですが、一つの大きな地震があったときに、その後に幾つかの揺れがあるであろうということは当然想定をされる。だけれども、その一発目のものが、最初は一つしか起きていない段階で、果たしてそれが前震であるのか本震であるのかというのは区別がつかないはずだと思うわけです、科学的に。

 しかし、我々の認識であり、ある意味では災害対策全般のオペレーションの体系もそうなのではないかと思っていますが、一つ目、最初にどんと起きたものが本震であるという前提ないしはそうである可能性が極めて高いという中で、その後のいろいろなオペレーションが組み込まれているのではないかと思います。

 今回も、事実、十四日も結果的には前震でありましたが、当初は、本震もしくはそれが最初の地震であってその後は余震であるという前提の中で、いろいろな情報提供が行われてきてしまったのではないか。私はここは、現時点で全てを検証することはできませんが、おいおい、応急対処のフェーズが終わった後の段階ではきちんと検証をしていかなければならないんじゃないかなというふうに考えているわけです。

 この前震、本震、余震ということについて、では、一体科学的にこれからどうできるのかというのはまさにこれから検討していかなければなりませんが、少なくとも今後は、大きな地震が起きた後にさらに大きな本震が起きる可能性があるという意味で、いろいろな意味で見直さなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。

 具体的なところを申し上げれば、事実関係をきちんと整合できるかどうかはこれからの検証ですが、十四日の地震があって、前震があって、その後一旦避難をされた方々が熊本の現地にはたくさんいらっしゃったわけです。一日半ないし二日ぐらいたって、少し落ちついてきたんじゃないかという感覚を持つのは人間としてはやむを得ない。その中で、崩れてしまった、もしくは散らかってしまった自宅をどういう状況だろうかというふうに確認に行きたくなる、これも人間としてはやむを得ないことだと思うんです。

 二回目の本震で最終的に自宅が倒壊をして、そこで圧死という形で亡くなってしまった方が事実としていらっしゃるというふうに伺っております。この前震、本震の区別があったからなかったから、そういうたらればの話を今検証すべきではないし、できることではありません。しかし、そういう可能性まで考えると、私は、もう一度ここは深く検証すべき大きなポイントがあるんじゃないかというふうに考えているんです。

 大臣、この点はどうお考えですか。私はここは極めて大きな本質論だと思っているんですが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 恐縮ですが、私は地震学の専門家でもありませんので、そういった点は、今後、専門家によってしっかりと検証していただきたいと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 私も地震学は全く専門ではありませんが、しかし、そこはぜひ検証するべきポイントとして今から強く念頭に置いておいていただきたいということを、この場をおかりして要請させていただきます。

 続いて、これまたさらに調査委員会にお伺いをしたいわけですが、今回の、先ほども御説明をいただきましたが、結果的には前震であった十四日の地震、これは日奈久断層の方で発生をしていた、二日置いての本震、これは布田川断層の方で発生をしているということでありました。

 活断層の発生リスクというのは、さまざま、あっちこっちの分析がなされておりますが、当然、活断層は、一本で単独であるというところもありますけれども、大体の場合は複数が重なっていたり、断層帯という中に幾つかの部分で分かれているということになるわけです。

 今回でいえば、日奈久断層、布田川断層の二つでしたが、この二つが連動するということ及び連動する可能性が高いということは、どれほどあらかじめ想定をされていたんでしょうか。この点、まずは御答弁いただけますでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査委員会におきましては、今御指摘のございました今回の二つの地震の震源となった断層帯について、それぞれ長期的な地震発生確率、また規模の評価を行うとともに、それをもとに九州地域の活断層の長期評価というものも公表しております。

 これにおきましては、布田川断層帯の布田川区間から日奈久断層帯の全体に至る広い範囲が同時に活動する場合の地震の規模、これをマグニチュード七・八から八・二程度というふうに評価をしているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 きょうは、一枚だけ参考資料としてお配りをさせていただきました。お読みをいただければと思うんですが、アンダーラインが引いてあるところだけ少し確認をさせていただきます。

 布田川区間について政府の地震調査委員会が予測していたのはマグニチュード七・〇の地震であった。調査委員会が想定をした断層の長さは十九キロだったが、実際には三十キロ近くが動き、マグニチュードは七・三になったということ。

 加えてその後段ですが、当初の予測はマグニチュード七・二だったが、地下構造調査などを踏まえて二〇一三年に区間を見直し、マグニチュード七・〇に引き下げられた。一方、今後三十年以内の地震発生確率は、ほぼ〇から〇・九に引き上げられていた。

 そこの後段なんですが、〇・九%は活断層としては発生確率がやや高い分類になる、一般的な感覚では起こらないと思う確率の数字だ、防災に役立つ情報提供のあり方を考えた方がいいという専門の方の御指摘があったということであります。

 つまるところ、活断層に関しては、どこまで現在の科学で人間がきちんと把握をし得るかといえば、そこそのものに大きな限界があるものだというふうに私は思っております。しかし、その前提の中で、わかっている限りの情報を踏まえて、それぞれの地域のリスクを、これは行政側もそうであると思いますし地元の方々も、特に活断層付近に住んでいる方というのは、かなりやはり意識を強く持っていらっしゃる方が多くて、こういったところに対してはシビアにウオッチをしているという状況があると思うんです。

 ただし、この後段の指摘にあるとおり、〇%が〇・九%に引き上げられて、発生確率が活断層としては高くなったということではあるわけですが、ある意味では、何万年スパンという流れの中で物を考えるということを専門とされている方にとっては恐らくそうでありましょうが、それをやはり、我々、何十年、せいぜい百年の人生を生きている人間にとって、これをもってそのリスクの大小を認識するというのは私は極めて難しいことなんじゃないかと思うわけです。

 今回の日奈久断層そして布田川断層の両方についても、先ほど御答弁いただいたような事前の検証があったという話ではありますが、では、実際それがどこまで今回の熊本地震の発災であり、そこに対しての予防措置に役に立ったのかというところが大事であって、私は正直言って、そこには大いにやはり疑問があるわけです。

 これは、今現地の応急対処が重要であるという局面においては、優先順位としては二番目以降だと思っておりますが、しかし、今回の経験を踏まえて、さまざまな教訓を今後に生かすという意味では、この数字の出し方もしくは伝え方、情報提供のあり方というところについては一工夫、二工夫、やはりきちんとすべきじゃないかと私は思うんですが、この点、いかがでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました点についてでございますが、地震調査研究推進本部では、これまで、地震に関する調査研究の成果を十分に社会で活用していただけるようにということで、最新の知見に基づきまして、長期的な発生確率、また、規模の予測等を行って公表してきております。その際、自治体の方々に対して丁寧に説明をする機会を設けたりですとか、また、わかりやすい基礎知識を含めましたパンフレットを作成するなどして、広報活動の工夫をしてきているところではございます。

 しかしながら、今御指摘のございましたように、例えば、地震の長期的な発生確率については、その意味がわかりにくいという御意見もあるということは承知をしておるところでございますので、引き続き、発生確率などの理解をどうしたらよりしていただけるかですとか、あるいはそういったことの伝え方、情報提供のあり方について工夫に努めてまいる必要があると考えているところでございます。

神山(洋)委員 よろしく御検討のほどお願い申し上げます。

 現在の被災地の状況は、毎日いろいろな形で聞かせていただいており、また、報道等でもなされているところでございます。ようやくと言ってはなんですが、ようやく水であるとか米という、もう本当の初歩の初歩の最低限のところについては、まだいろいろ課題はあるとは伺っていますが、それなりに行き渡りつつあるのかなという理解はしておりますが、先ほど来、当委員会の中での議論にもあるとおり、これから長期化が想定をされるという中では、やはり居住環境、避難所のみならず、二次避難、場合によっては広域避難という形での居住環境を、いかに中長期化に対応できる状況をつくるかというところが大きな課題になっていくと私は考えております。

 その前提として、まず確認をさせていただきたいんですが、今回の熊本地震によって、全壊、半壊、一部損壊、さまざまな住宅への被害があろうかと思いますが、直近の数字で、今、全半壊戸数はどういう状況になっていますでしょうか。

熊埜御堂政府参考人 お答えいたします。

 住宅の被害につきましては、被災した各県からの報告を受けて、消防庁が本日六時四十五分時点で取りまとめた公表資料によりますと、熊本県が全壊千四百九十五棟、半壊千三百七十七棟、大分県が半壊三棟、宮崎県が半壊一棟であり、合計では全壊千四百九十五棟、半壊千三百八十一棟となっております。

神山(洋)委員 今のおっしゃっていただいた数字だけを足し込むと、二千八百とか三千とかそのぐらいの数なわけです。ここがちょっと、この場で細かいことを詰めようとは思いませんが、報道ベースでいえば、何千件とか万のロットだという話もありますし、もちろん、どのラインで線を引くかということによっても変わってくるかと思うんです。

 あえてこの点を確認させていただいたのは、先ほど申し上げた、今後、被災者の方々が、当座、例えば家に帰れるのか、一方で、もう家に帰れないから、しばらく二次避難をしなきゃいけないのかという判断をしていかなきゃいけませんし、当然、それに対応して、場合によっては仮設なのかもしれませんし、一方では、既存の公営住宅等で間に合うのか間に合わないのかというさまざまな判断、算段をしていかなきゃいけないと思うんですが、その辺の数字がまだ極めて緩いなというふうに私は思っているわけです。

 加えて、この後確認をさせていただきたいのは、そもそも、今回、十万人を切ったと言われていますが、多くの避難者の方々が出ているという状態であります。

 これは発災以来ずっと言われ続けてきたことでありますが、もちろん自宅に入れないから避難所に移ったという方もたくさんいらっしゃるでしょうし、食事の問題等でそういったところに移られているという方もいらっしゃいますが、今までの災害と少し違うのは、余りにも余震の回数が多い。今まででいえば、多分、中越地震が一番発生回数が多かったと思うんですが、そのペースをも超えて既にもう七百回オーバーだと聞いております。

 その状況の中で、家が特段壊れているというわけではないんだけれども、家にいると、余震があって、もしかしたら壊れているかもしれない、家の中で圧死をしてしまうかもしれないということも含めて、怖いから避難所に移っているんだという方が非常に多いというのが、今回の地震の大きな特徴であり、留意点だと私は思うんです。

 そのことを考えたときに、もちろん余震の回数そのものは人間がコントロールできるものではありませんので、そこは待つしかないという状況かもしれませんが、仮に今後、余震がおさまってきた、少し減ってきた、場合によってはなくなったというときに、自宅に帰りたい人はたくさんいらっしゃると思うんです。

 問題は、そこで帰れるか帰れないかということを左右するのが、まさに大臣が冒頭おっしゃっていただいた被災建築物の応急危険度判定というものだと思うんです。

 私は、ここは少し今回おくれているんじゃないかと思って危機感を抱いています。この応急危険度判定がきっちり早期に行われないと、そもそも私の家は帰って大丈夫なのか、だめなのかという判断ができません。

 御案内の方は多いかと思いますが、この応急危険度判定は、信号と同じで、赤、黄色、緑に分かれるわけです。緑は、確認をして当面安全でしょうという話です。黄色は、確認をして要注意ではありますと。そういう意味でいうと、赤は、もう危険だから入っちゃいけません。この三つに大別をするわけです。

 黄色と区分された方がどう判断するかというところは極めて難しい問題ですが、少なくとも、緑であれば家へ帰れるじゃないか、でも赤だったら中長期化に備えなきゃいけない、こういう判断をやはり早くしないといけないと思うんですね。

 先ほど大臣から、あす以降、六百名体制だというお話がちょうどあって、これは大変喜ばしいことではありますし、ぜひここはスピードアップをしていただきたいと思うわけですが、まず、この応急危険度判定、自治体によっては、いまだ実施体制が整っていないところもあるというふうに伺っているんですが、どういう体制で、どういうスケジュール感で進めようとしていて、現時点でどの程度の進捗状況なのかというところの概略をまずは御答弁いただければと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 二次災害を防止するとともに、被災した自宅を使用しても大丈夫かどうかということを確認いたしますために、被災した住宅や建築物について、倒壊の危険性や外壁、窓ガラスの落下などの危険性を判定する被災建築物応急危険度判定を実施している、今お話しいただいたとおりでございます。

 現在、熊本県の益城町と熊本市において、地震発生翌日の四月十五日から判定活動を開始いたしておりまして、他県からの応援やあるいは民間の判定士の応援も受けて取り組んでいるところでございます。

 国交省といたしましては、この判定士の人員確保に向けまして、特に九州地方以外の、全国からの広域的な応援に関する調整を行っているところでございます。

 この調整を行っております中で、本日までは百五十名の体制ということでございますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたとおり、あす以降は約六百名の体制に増員をして判定を促進する予定といたしております。

 お尋ねいただきました進捗状況でございますけれども、一昨日、四月二十日までに、延べ四百十四人の体制で、先ほど申しました二市町において合計で三千百十九件について判定が行われたところでございます。

 昨日は、雨のために益城町においては判定が行われませんでした。熊本市については行われたと聞いておりますが、今集計中でございます。

 益城町と熊本市以外でも、今後、この応急危険度判定の実施を検討している市町村があるというふうに私ども承知しておりますので、人員の確保に向け、その円滑な実施を最大限サポートしてまいりたいというふうに考えております。

神山(洋)委員 避難者の方が十万人を切ったぐらいだということで、ざっくりですが十万人だとすれば、一世帯、二よりもうちょっと多いと思いますけれども、仮に二だとしたときに五万世帯ぐらいあるわけです。アパートの方もいらっしゃるかもしれませんので、必ずしもその件数とは符合しないかもしれませんが、五万ないし数万のロットで確認をする必要が恐らくあるんだと思うんです。

 そういう意味でいうと、今お話しいただいたように、三千百十九件だとすれば、これはまだ一割とか、せいぜい二割なのかわかりませんが、せいぜいそういう数字なのだとしたときに、これはとにかく急ぐべきだと思うんです。応急危険度判定の資格を持っていらっしゃる方は、今お話もあったように全国各地にいらっしゃるわけですし、ある意味では被災地での知見を持った方も、東日本大震災のみならず、これまでの災害の中でたくさんいらっしゃると思います。

 そういった方々も、私、二、三お話をいただきましたが、そういった形で協力ができるものは協力をしたいという御意向もあろうかと思いますので、いろいろな方々の力をできるだけ結集して、ここのスピードを上げるということにぜひ力を尽くしていただきたいと思います。そのことが、最終的に個々の被災者の方々がこの後の生活の姿を描くことの基本になると思うんです。家に帰れるのか帰れないのか、そして、ある意味では、それが回り回って、今問題となっているような、例えば物流の話等というところにもかかわってくるんじゃないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間もあと残りわずかとなりましたので、もう一つ、物資の搬入ということに関して幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 発災当初から、なかなか水、米を含めたそういう生活物資が届かないという中で、現場の状況、なかなか個々の自治体の災害対策本部と政府側との意思疎通というところで難しいものがあるというお話を伺いました。

 先ほど、これは大臣からもお話があったんですが、国土交通省であれば、もともと、各自治体、被災地の方にリエゾンを派遣するということで、先ほど七十何人というお話もあったかもしれませんが、もう既に現地に行っていますと。本来は、それは国土交通省マターの連絡調整をするということが機能なんでしょうけれども、そうも言っていられない状況なので、避難所の食料であるとか、そういったことももちろんやるようにしているんですよという話は当初から伺っておりました。

 現時点でこれがどうなっているかということをまず確認させていただきたいんです。私は、のりを越えていろいろなことをやるべきだという観点で確認をさせていただきたいんですが、ある意味では、現時点ではもうその必要性がなくなってきているということなのかもしれませんので、実態をまず確認させていただけますでしょうか。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の現地リエゾンは、地震等の災害発生直後から被災自治体等に派遣される職員であり、被災状況や支援ニーズの把握とともに、自治体に対して国土交通省が行う支援活動の連絡調整等の役割を担っております。

 四月二十二日現在、九州地方整備局等から熊本県及び大分県の十三市町村等に六十一名が派遣されておりまして、この現地リエゾンからの情報をもとに、国土交通省では、自治体所管施設の被害状況調査や、救援ルートを確保するための道路啓開、土砂災害危険箇所の点検等、インフラ関連を中心とする支援活動を実施しております。

 また、物資搬入等にかかわる支援要請があった場合には、九州地方整備局を通じて関係機関に伝えることとしております。

 引き続き、現地リエゾンから得られた情報をもとに、早期の復旧に貢献するとともに被災地のきめ細かな支援を行ってまいります。

神山(洋)委員 現地の状況がどうなのかというのはいまいち今の御答弁ではよくわかりませんでしたけれども、引き続き、そこは現場のニーズが優先だと思いますので、ある意味ではのりを越えて頑張っていただきたいなということを申し上げさせていただきます。

 ただ、今回、そういう形で現場の、特にこれは、個別の基礎自治体の災害対策本部及びそこの倉庫から千ぐらいある避難所への物資搬入というところがなかなか大変であった、もしくは今でも大変な状況にあるという話の中で、水や食料というところが最初に大きく取り上げられたというところは、ある意味でこれからまた検証して、反省をしていかなければいけないかもしれません。

 その意味で、きのうあたりですか、政府の方でも、ツイッターであるとかホームページ上というところも含めて専用のページを立ち上げて、いろいろな形で情報提供も強化をしていくんだという報道等もありまして、私、それはそれでいいことだろうなというふうに思っております。

 念のためちょっと確認をしてみました。これは資料としてお配りはしていませんが、官邸のホームページに「熊本地震被災者の皆さまへ」ということで政府の応援情報ということのポータルがあって、そこから食料の話とか住宅の話とかいろいろ入っていけるようになっているわけです。

 食料の話に入っていくと、これは農水省のホームページにリンクをしていきます。きょうは農水省さんにも来ていただいていると思うので、確認をしたいんです。

 実はぜひこれを皆さんに見ていただきたいんですが、見ていると、何日にどういうものがというところで幾つか情報は入っていて、細かい情報等もあるんですが、PDFの細かいところに行くと、どこどこ流通センターにどこどこ会社からどのぐらい物が届いているということが書いてあるんです。ただし、確認をしたいのは、一体誰のための情報提供なんですかということを申し上げつつ、改善をしていただきたいんです。

 被災者の方々が、今のこの官邸から入っていった情報提供の内容を見ても、例えばパックの御飯が福岡県の何とか食品さんから何万食、寄附か、もしくは何かあったんだなということはわかりますが、自分がその御飯をどこに行ったらもらえるのかもわからなければ、それがどうなっているのか、自分とはこれは関係ないというふうにすら思えるような情報なわけです。ぜひ、これはユーザーフレンドリーに情報を変えていただきたいんです。いかがですか。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、御依頼をいただきました食料、水等を近隣の集積所までお届けするという形の役割を担っておるものでございます。

 その情報につきまして、その配送しました食料供給量につきましてホームページ等で情報を提供している、こういった状況にございます。

 あとは、実際の各集積所への配送状況につきましては、それぞれの関係機関の方と連携しながら検討していく、こういうことになろうかと思っております。

神山(洋)委員 もう時間もないのでこれでやめにしますが、そういうスタンスの中でやっているのはわかっていますが、必要な情報を必要な方にユーザーフレンドリーに伝えるという観点に立っていないということだけは、改めてここで指摘をさせていただきたいと思います。

 まだまだ申し上げたいことはたくさんありますが、引き続きさまざまな形で被災地のためにぜひ御尽力をいただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を以上とさせていただきます。

 終わります。

谷委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 まず最初に、九州地方地震の被災者の皆さんの支援について質問をさせていただきます。

 改めて、甚大な被害によって亡くなられたお一人お一人に心からの哀悼の意を表したいと思います。そして、被害に遭われた全ての皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 まず最初に被害の状況について伺いたいと思いますけれども、十四日の夜から、震度一以上が七百八十三回、一時間に四・三回揺れている、震度四以上が九十二回、二時間に一回大きな地震があるという状況でございます。

 本日、二十二日現在どうなっているかということをお伺いしたいんですけれども、一つ目に、避難指示、勧告発令状況、二つ目に、避難所の状況、箇所数、人数、そして、避難所以外でお過ごしの方の状況、箇所数、人数をお示しいただきたいというふうに思います。

 また、避難所や避難所以外の状況、避難者の方々の状況を具体的にどこが把握をして対応の指示を出しているのか、お答えをいただきたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねのありました点のうち、まず避難所の数、避難者数についてお答えをさせていただきます。

 まず、四月二十一日十三時三十分現在の数字でございますけれども、県、市を通じて内閣府で把握しております避難所の数は、熊本県全体で六百五十カ所となっておりまして、避難者の数は八万九千五百十三人でございます。

 それから、避難所外で、車中などで避難をされている方につきましては、現対本部を通じまして県、市に問い合わせを行っておりますけれども、現段階では把握できておりません。

 それから、避難勧告、避難指示の状況でございますけれども、避難指示、避難勧告につきましては、避難指示が、対象世帯数が二千六百十七、それから対象人数が、六千六百二十六人に対しまして避難指示が出ております。これは、昨日、二十一日十一時四十五分の時点でございまして、市町村数が七市町にわたっております。

 それから、避難勧告でございますけれども、十九の市町村におきまして、九万六千四百八十七世帯、二十三万三千七百八十二人に対して避難勧告が出されております。

本村(伸)委員 どこで把握をし、どういう指示系統なのかということもお伺いしたいんですけれども、お答えをいただけますでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今般の熊本地震におけます避難状況や現場のニーズなどにつきましては、発災後、翌日に熊本市内、県庁の中に現地対策本部の立ち上げをいたしました。また、現場の声を速やかに国に伝えていただくために政府の職員を各被災市町村に派遣しております。こうしたことを通じまして、現場のニーズを把握するとともに、現地対策本部に情報を集約することで国との連絡を的確に果たすということにしております。

 このようなことを通じまして、避難の状況あるいは現場のニーズというものを把握しながら、熊本県とも緊密に連携をとり、各府省庁の持てる力を十分に発揮して、生活環境の改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 先ほど避難所以外の方々の状況はつかんでいないという御答弁だったんですけれども、ぜひ応援人員も派遣して、確保していただいて、把握をして、支援が行き渡るようにということでお願いをしたいというふうに思います。

 避難所や避難所以外の状況についてですけれども、先ほども議論がありましたように、トイレが足りない、あるいは、洋式でないので我慢をして水分をとるのを控えているというお年寄りの方がいらっしゃいます。バリアフリーを確保した洋式のトイレの増設が避難所に必要でございます。

 また、お風呂も、お年寄りや障害を持った方々は並ぶのが困難であるということでお風呂に入れない。お風呂に入れないことが一番困っているというお声もございます。

 無料開放されている温泉などの浴場は、長時間待たなくてはいけないということで行くのをためらっている、こういうお声もございます。そして、車が運転できないので浴場には行けないんだと。皆さんが入っていただくようにお風呂を身近なところにつくることも必要だというふうに思います。

 また、避難所で車椅子に座って寝ている方もおられまして、簡易ベッドも早急に必要でございます。また、自主避難所のところでは水や食料の配給はほとんどないというお声がございます。

 また、地震が続く中で、家の中にはいられないんだと。家で寝ることができない方々へ、エコノミークラス症候群などを防ぐためにも足を伸ばして寝ていただけるように、テントを自衛隊やアウトドアメーカーの協力も得ながら最大限活用することも必要だというふうに思います。

 避難所や避難所以外でこういうお声がございます。現場で必要なこと、必要なもの、柔軟に対応した場合、国がその財源について保障していただけるということだと思いますけれども、確認をしたいというふうに思います。

 また、これから仮設住宅ということになってくるというふうに思います。構造上のバリアフリーはもとより、入り口までスロープがちゃんとあって、障害者の方や高齢者の方が利用しやすいものにすることも大切だと思いますけれども、バリアフリーの確保も当然やりますねということを確認させていただきたいと思います。

谷委員長 財源の問題とバリアフリーの確保が御質問でよろしいですか。(本村(伸)委員「はい」と呼ぶ)

 では、最初のあれは、内閣府林参事官。

林政府参考人 お答えをさせていただきます。

 内閣府におきましては、発災当初から避難所の生活環境の整備に係る通知を熊本県に発出させていただきまして、委員御指摘の仮設トイレや仮設のお風呂、あるいは簡易ベッドの設置といったことに配慮をお願いしてまいりました。また、これらについては災害救助法での手当てということもいたしておるところでございます。

 さらに、政府におきましては、政府で、水、食料あるいは毛布といった当面の生活必需物資につきまして、直接調達をして輸送するという取り組みもさせていただいているところでございまして、こうした中で仮設のトイレや簡易ベッドの調達や輸送なども取り組んでおるところでございます。

 また、車中に避難されている方、この方たちが多数いらっしゃるということで、また、これがエコノミー症候群の原因にもなるということもございますので、御指摘のありました仮設テントの設置に要する費用につきましても、救助法による国庫負担の対象とさせていただいているところでございます。

 また、これはまだ調達できておりませんけれども、東日本大震災の際に有効だというふうに御指摘をされております弾性ストッキングという加圧性のストッキングも調達をする方向で今準備を進めているところでございます。

 また、応急仮設住宅のバリアフリーの件につきましては、もともと応急仮設住宅につきましてはバリアフリー仕様となるように配慮してくださいということにしておりますけれども、段差解消のためのスロープですとか生活援助員室を設置するといったいわゆる福祉仮設住宅についても、応急仮設住宅として設置することも可能とさせていただいておるところでございまして、これらについても、災害救助法の仕組みの活用によりまして、被災されて避難をされている方の生活環境や住まいの確保ということが適切に図られるように、県とも連携をとって対応してまいりたいと思っております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 東日本大震災では、障害を持った方々の死亡率が二倍であったというふうに調査もされておりますけれども、なぜそのような状況になったのか。また、東日本大震災の教訓は必ず生かさなければならないというふうに思いますけれども、今回生かさなければならない点、内閣府にお伺いをしたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災におきましては障害者の死亡率が被災住民全体の死亡率の約二倍となったということがございまして、これは、災害弱者への対応が大きな課題だというふうに認識をしております。

 この教訓を踏まえまして、平成二十五年の六月に災害対策基本法を改正いたしました。この中で、災害時にみずから避難することが困難な高齢者や障害者の円滑かつ迅速な避難を確保するために、あらかじめ、避難行動要支援者名簿、こういった名簿の作成を市町村に義務づけいたしまして、その情報を避難を支援していただく方と共有できるということといたしました。

 また、あわせまして、この災害対策基本法の改正によりまして、市町村が避難所を指定するとともに、障害者などの要配慮者にも配慮をして避難所における被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるように規定をさせていただきました。

 こうした規定を踏まえまして、内閣府におきましては、具体的に、避難所の運営など、あるいは避難行動の支援について取り組みを進めていただくために、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針、この指針と、もう一つは、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針、この二つの取り組み指針を、それぞれ二十五年八月に示させていただいておりまして、内閣府としましては、関係省庁とも連携しながら、地方公共団体に対しましてこの取り組み指針の周知を徹底させていただいて、今回の熊本地震におけます避難行動の支援であるとか避難所におけます要配慮者への適切な配慮、こういったことがなされるように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 現場では、やはり病気を持った方や障害を持った方々がさまざまな困難を抱えているということでございます。

 熊本市東区のAさんという方は、腎臓病、高血圧などの複数の疾患を抱えて、車椅子を利用しておられます。靴下をはくのにも介助が必要な方でございます。一緒に避難をしているパートナーの方は知的障害を持っている方なわけですけれども、このAさんの御自宅は、アパートは、水道がとまり、壁にひびが入っているということで、戻ることができずに、最初は障害者施設に避難をされました。しかし、最近になって、二、三日中に移動してほしいというふうに言われました。避難所では段差やトイレなど、障害を持った方には困難が大変多い、車椅子の利用者にはやはりベッドが必要だ、どうすればいいのかという切実なお声がございます。

 病気や障害を持った方々が、本当にさまざま現地では困難がございまして、特段の配慮が、本当に切実な要望になっております。九州地方地震によって被災した障害者とその御家族、そして障害関連の事業所などの実態把握はどうなっているのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

 また、障害をお持ちで、特に自閉性の障害や発達障害や重度・重複障害の方々に不利益が生じないような特段の配慮、服薬が必要な障害者の方への医療機関との連携、視覚障害者や聴覚障害者などへの情報保障、この点にも特段の配慮をしないといけないと思いますけれども、厚生労働省に御答弁をお願いしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省といたしましては、熊本県全域の全七十八の障害のある方の入所施設についての状況を確認いたしまして、随時公開いたしております。現時点では、全施設に人的被害はないことを確認いたしております。また、建物につきましては、一施設で施設の一部の建物が損壊等の物的被害を確認いたしております。

 また、御指摘のとおり、避難所等での生活を余儀なくされている障害のある方々につきましては、地方自治体におきまして、ケアマネジメント等の支援を行う相談支援事業所や障害福祉サービス事業者等と連携しつつ、個々の状況の把握に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、自治体や関係団体などを通じまして、障害のある方々の状況を把握するとともに、障害のある方々の支援に適切につなげられるよう、把握した情報の公開にも十分配慮しつつ、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 また、自閉症などの発達障害の方々についての御指摘がございましたけれども、御指摘のとおり、避難所等におきまして不利益が生じないようにすることは重要な課題であると認識をいたしております。

 このため、厚生労働省といたしましては、避難所等における発達障害児あるいは発達障害者の方々への支援に関する事務連絡を自治体に発出いたしておりまして、避難所等の支援に携わる職員や心のケアを担当する職員に対しまして、災害時の発達障害者等への対応の仕方の周知を促すとともに、発達障害者等の状況、ニーズなどの把握に努めまして、ボランティアや当事者団体等と連携しつつ、適切な支援がなされるよう要請をしたところでございます。

 また、障害福祉関係団体に対しまして事務連絡を発出いたしまして、被災した障害者等の受け入れや被災地域における障害福祉サービス事業所等への職員の派遣及び物資等の確保についても、必要な対応をとるよう要請したところでございます。

 このような取り組みを通じまして、引き続き発達障害者等に対しまして適切な支援が行われるよう、関係自治体や発達障害者支援センターなどと連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 被災した障害者関連の事業所の復旧に向けても予算の確保を含めぜひ万全の対策をとっていただきたいというふうに思います。

 次に、安全、安心な宿泊場所の確保についてお伺いをしたいんです。

 国交省はフェリーですとか、観光庁がホテル、旅館、厚生労働省もかかわるんですけれども、などの話が出ておりますけれども、現在、どこにどれだけ確保されているのかをお示しいただきたいと思います。

 また、対象要件はどうなのか、費用の負担はどうなのか、それを被災者の皆さんに伝える告知、案内を強化していただき、少しでも早く安心していただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

坂下政府参考人 私からフェリーの準備状況についてお答えをさせていただきます。

 避難されている方に十分な休息をとっていただく場所としての民間フェリーの活用について、熊本県の御意向を伺ってまいりました。

 熊本県からは、防衛省が手配したフェリーを活用なさりたいとの御意向でございました。これに従いまして、本日、八代港に入港いたしました「はくおう」というフェリーを用いまして、入浴、食事、宿泊の提供を開始する予定としております。

 現在、国土交通省、防衛省それから地元の自治体で連携して被災された方々への御案内など受け入れの準備を行っておるところでございます。

樽見政府参考人 旅館、ホテルという関係でございますけれども、災害救助法に基づく避難所の取り扱いの弾力運用ということで、旅館、ホテル等に避難者の方々に入っていただいて、県が費用を負担するということが可能になっているわけでございます。

 このたびの震災の発生を受けまして、私ども厚生労働省から、四月十五日付で、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会というところに、被災自治体から宿泊支援に関する要請があった場合に積極的に協力してほしいということを文書で要請したところでございます。

 これを受けまして、熊本県の方で、熊本県旅館ホテル生活衛生同業組合の協力を得て、被災された方々のうち、高齢者、障害者、妊産婦など特別な配慮を要する方を対象に、無料で受け入れを進めるということでの取り組みを進めていただいているところでございまして、四月二十一日現在、県下の四十施設、七百九十人分の受け入れが可能という状況になっているということで承知しております。

 具体的な受け入れとしても、きのうの段階で一組三名の方を受け入れていただいたということで、本日以降も、今のところ二組四名の方の受け入れ手続というものが進んでいるところというふうに承知をしております。

 また、周知ということでございます。

 旅館、ホテルを緊急避難場所とするということについては、熊本県庁のホームページに情報掲載するということをやってございますほか、避難所を市町村職員が巡回しております。

 それから、私どもの方も、保健師が巡回するということで県と御協力しながらアレンジをして回っているわけでございますけれども、そういうところで周知を行っているということでございまして、こういう方々の安心していられる場所ということで旅館、ホテルを活用していただくということについて、引き続きしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 ぜひ告知、周知の徹底をお願いしたいと思います。

 総理は、四月十九日、避難所から移動先として、既に約千五百の宿泊施設、二千戸を超える公営住宅や約千五百戸の民間賃貸住宅を確保していますと述べておられますけれども、既に仮設、公営など一定の長期間の住まいを確保して、いつでも入れるかのようなお話がございました。

 先ほど、緊急に入れるホテル、旅館については、被災者の皆さんのためには七百九十ということでしたけれども、あとはインフラ整備の皆さん方が使うということだというふうに思いますけれども、そういう状況だと。

 その他の部分でお答えをいただきたいんですけれども、二千戸を超える公営住宅、約千五百戸の民間賃貸住宅というのは具体的にどこのことかということと、それ以外でも、被災者の皆さんが安心できる住まいの確保は広がっているのかということ、また、UR賃貸住宅はどうなっているのか、雇用促進住宅はどうなっているのか、どういう受け入れ体制になっているのかという点をお伺いしたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 私からは、公営住宅、UR賃貸住宅、それから民間賃貸住宅の状況につきましてお答えを申し上げます。

 昨日時点でございますけれども、公営住宅の空き住戸の提供につきましては、熊本県が七十戸程度、これは昨日から入居の受け付けを開始されているというふうに伺っております。熊本市は二百五十戸程度、これは明日から入居の受け付けを開始するというふうに伺っております。こうした戸数を初めといたしまして、その他の県内の市町村も含めて、県内の公営住宅について入居の受け付けが順次開始をされてきております。

 また、熊本県以外の都道府県に対しましては、提供可能な公営住宅等の空き住戸の情報提供と被災者への入居の協力を私どもの方から要請をいたしております。これを受けまして、福岡県の四百二十五戸を初めといたしまして、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、それから昨日からは大分県も加わりまして、こういった県やあるいは県内の一部市町村の公営住宅につきまして受け付けの開始が始まっております。およそ現在二千戸の住宅が九州内で受け付けを開始しているというふうに聞いております。

 また、お尋ねいただきましたURの賃貸住宅でございますが、これは鹿児島県内に五十戸、それ以外は全て福岡県内でございますけれども、合計で三百六十七戸を確保して、これも提供を開始したものというふうに聞いております。

 こうした公的な住宅によりまして、九州全体では、先ほど大臣がお話をされたかと思いますけれども、二千七百戸を上回る住宅を確保しているという状況にございます。

 それから、民間賃貸住宅につきましては、四月の十七日に不動産業界の団体に対しまして、熊本県等からの依頼に基づいて、民間賃貸住宅の情報提供等に関して必要な協力をしていただくように要請をいたしたところでございます。

 これを受けまして、現在、県と災害協定を締結しております三つの不動産業界団体がございます。これが、別々ではなくて窓口を一本化しようということで既に窓口の一本化がなされ、現在、熊本県内の物件、本震、余震によりましてかなり損傷しておるという状況のようでございますので、提供できるものがどのぐらいあるのか、今その損傷の状況を確認している状態であるというふうに伺っているところでございます。

 私からは以上でございます。

苧谷政府参考人 続きまして、雇用促進住宅についてお答え申し上げます。

 震災の発生を踏まえ、被災者の一時的な緊急避難のために必要な雇用促進住宅を熊本県に百十数戸確保いたしまして、必要な修繕をした上で提供することを予定しておりましたが、十六日未明に発生しました地震の影響で、住宅に地盤沈下や建物の亀裂など損傷が発生していることから、現状について今急いで確認をしているところでございます。

 速やかに安全性の確認を行った上で、地方公共団体と連携しながら、被災者の方々に提供できるように準備してまいりたいと考えてございます。

本村(伸)委員 ぜひ、被災者の皆さんが入居するにはどこに連絡したらいいのかとか、どのように手続したらいいのかというふうに、わかりやすくしていただきたいと思うんです。

 東日本大震災のときは、三月二十二日、発災後十一日後には、国土交通省の住宅局が被災者向け公営住宅等情報センターというものを設置し、被災者の皆さんの住まいの支援を行いました。被災者の皆さんがここに相談すれば今後の住まいのことを何でも相談できる、縦割りではなくて横断の被災者の皆さんへの住宅支援情報センターを今回開設するべきだというふうに思います。

 被災者の皆さんの住まいに関して、国交省が中心になって状況を把握し、対応する体制をとるべきだと思いますけれども、大臣の御決意をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 被災された方々が安心して過ごせる場所を確保することは重要な課題でありまして、これまでも関係府省やURと連携をして取り組みを進めております。

 被災者に対する住まいについての情報の発信や募集、マッチング、これは熊本県等地元自治体に行っていただくわけですが、今後とも、関係府省やURと連携をして熊本県等の地元自治体を支援いたしまして、被災者の方々の住まいの確保に努めていきたいと思っております。

 なお、東日本大震災の際には、津波等によりまして自治体の機能そのものが失われてしまう、あるいは原発の事故等によりまして避難を余儀なくされまして、自治体の施設等が当該にはとどまれない、そういう特異な状況にあったわけでありますが、今回の熊本地震につきましては、まだ自治体の機能があるということでございまして、地元自治体としっかりと連携をしながら取り組んでまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 やれることは全てやるということでしたので、被災者の皆さんの立場に立って、ぜひ安心、安全な住まいの確保のために国交省としても全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 次に、タクシーの安全運行、それを支えるタクシーで働く人たちの雇用と労働条件を守る立場から、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 従業員の皆さんに何の予告もないまま突然に会社を解散させたタクシー会社がございます。富士急グループの、静岡県にありました石川タクシー富士宮についてです。この石川タクシー富士宮は、二〇一〇年二月九日、前日まで通常どおり営業をしていたのに、事前に働く人たちにも労働組合にも何の相談もなく、告知もなく、会社が解散したということを理由に、四十人もの方々の全ての従業員を解雇いたしました。社長が金策に走っていたとか手形が不渡りとか、そうした状況は全くありませんでした。

 この会社は、解雇当日の未明に、従業員の方々にも一切秘密にしたまま、三十台ものタクシーをどこかに運び去り、しかも、会社の敷地をバリケードで封鎖して、働く人たちが入れないようにいたしました。働く人たちの、労働者の私物は全部外に放り出されました。そして、本日十時より説明会を行うという張り紙を残し、説明会では、昨日の株主総会で会社解散が決議された、本日付で全員解雇すると会社代表が通告をいたしました。

 本来、雇用対策法二十四条、二十七条で、三十人以上の大量離職者が発生する場合には、再就職援助計画や大量雇用変動の届け出をハローワークに一カ月前に出さなければならない。それをやっていない。そして、働く人たちには、三十日前の解雇予告もしていない、再就職のあっせんもない、生活保障もない。住宅ローンを抱えたままの働く人たちもおりました。

 そこで、伺いますけれども、公共交通を担うタクシー事業者がこんな勝手なやり方をやっていいのかということが問われているというふうに思います。タクシー事業者は、事業を廃止する場合に、それを事前に働く人たちや一般のお客様、そして取引先に知らせるべき義務があると思いますけれども、道路運送法三十八条四項、そして旅客自動車運送事業運輸規則第七条には何と書いてあるか、お示しいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の道路運送法の第三十八条第四項でございますけれども、「一般旅客自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。」というふうにございます。

 これを受けました旅客自動車運送事業運輸規則、省令でございますけれども、今申し上げました法第三十八条第四項の規定により掲示をするときは、「緊急やむを得ない理由がある場合を除くほか、休止し、又は廃止しようとする日の少なくとも七日前までにこれをしなければならない。」このようになっております。

本村(伸)委員 本来なら、会社が道路運送法上の告知をしていれば、少なくとも七日前までに働く人たちは会社が事業廃止になるということはわかったはずです。それなのに、この石川タクシー富士宮は、何も知らせないまま事業をやめ、突然働く人たちを解雇いたしました。少なくとも、道路運送法に明らかに反する違法なやり方だというふうに思います。

 このような違法なやり方、違法な解雇、国交省としても許してはいけないと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 会社の解散でございますけれども、労働者への告知については労使間において適切に行われるべきものと認識をしております。

 一方、会社の解散等に伴いタクシー事業を廃止する場合は、利用者利便の確保の観点から、あらかじめ、廃止する旨を営業所に掲示することを義務づけております。

 こうした中、タクシー事業の廃止により当該地域の移動手段に支障が生じるおそれがある場合は、地方公共団体を中心とした地域の関係者により代替手段についての議論が行われることが望ましいと考えております。

本村(伸)委員 タクシー事業者が道路運送法など安全運行のために法令を遵守するというのは大前提だというふうに思います。

 この石川タクシー富士宮では、自交総連静岡地連石川タクシー富士宮支部の皆さんが声を上げ続けてきました。その結果、乗務員の方々の拘束時間の限度は、こちらの資料を見ていただいてもわかりますように、石川タクシー富士というところが系列、同じ富士急グループであるんですけれども、この石川タクシー富士は一カ月三百六十六時間の拘束時間だ、富士宮は二百九十九時間と、声を上げてきた石川タクシー富士宮の方が拘束時間が短くなっております。

 拘束時間が短いということは、先日も議論いたしました貸し切りバスの問題やトラックのことでも取り上げておりますけれども、命を預かるタクシーの安全運行にとってはよいことだというふうに思います。

 労働組合の執行委員長の女性はこうおっしゃっております。組合は、富士宮の乗務員が過労労働にならないように気をつけ、会社と交渉を行っていました。会社は、安全より利益を優先し、体に負担がかかる無理な交番の変更をたびたび組合に提案してきました。しかし、事故の危険性が高まるため、組合は断固反対し受け入れませんでした。組合は、安全を考え、事故につながる長時間残業がないよう、会社に対し監視もしてきました。それは、組合が、法令違反のない健全で安全なタクシー、お客様に安心して乗車していただけるタクシーを目指していたからであり、組合の役目として当然であると考えていたためです。無理な残業で長時間労働をしている富士は、富士宮に比べ事故が多く発生し、そのため、労働基準監督署から指導も受けていましたというふうに書いております。

 もともと、富士急によるこの会社解散は、会社に法令を守れと声を上げる労働組合を潰し、労働者を解雇するための偽装解散ではないかという疑問の声が上がっております。タクシーの安全運行のために法令を守れと声を上げてきた従業員の方々がそのことを理由に不当な取り扱いを受けることがあってはならないというふうに私は思います。法令を守れと当たり前の声を上げていただけなのに嫌がらせを受ける、こんな前近代的なあり方を許しておけば、安全運行や法令遵守など、確保はできないというふうに思います。

 大臣に伺いますけれども、働く人やタクシーの運転手の方々が事業者に対して法令を守らせるために声を上げる、これは安全運行を確保するためにもとても大事な役割だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 タクシーを含む旅客自動車運送事業におきまして、輸送の安全を確保することは大変重要であります。国土交通省といたしましては、監査等により安全運行に係る経営者及び運転者の法令遵守状況をチェックしているところであります。

 運転者が経営者に対して提案を行うかどうかというのは、それぞれの会社の状況次第だと思いますけれども、経営者と運転者の意思疎通が円滑に行われることは、会社全体における安全に対する意識を高めるためには重要であるというふうに思っております。

本村(伸)委員 この石川タクシー富士宮も石川タクシー富士も、資料の一、二を見ていただきたいんですけれども、富士急の孫会社でございます。そういう意味でも、トップにいる富士急の責任は大変大きいものがあると思います。

 資料の一ですけれども、石川タクシーは、従来一社だったものが、二〇〇三年四月十六日、持ち株会社静岡ホールディングスと石川タクシー富士、石川タクシー富士宮の三社に分割をされました。

 資料の二を見ていただきたいんですけれども、どの会社の役員も富士急からの出向でございます。静岡ホールディングスは、石川タクシー富士、石川タクシー富士宮の株式を一〇〇%保有しております。持ち株会社の株式は富士急とそのグループ会社が持ち合っております。

 一方で、タクシー会社の利益は、会社が赤字のときでも事務委託料の名目で千百万円以上も持ち株会社が吸い上げ、今度は持ち株会社から富士急本社へ毎年数千万円の経営指導料という名目で上納金を得ておりました。意思決定の権限を全て富士急が握り、もうけも富士急に入っている。まさに一体のグループ企業だというふうに思います。

 ですから、富士急は、親会社として法令遵守をさせ、グループ会社に対して指導する社会的責任があるというふうに思います。今回の解散についても、富士急の指示やそういう意向なしに解散なんてできないというふうに思います。

 こういうめちゃくちゃな石川タクシー富士宮の会社解散に対して、公共交通機関の安全確保の運行を任務としている国土交通省としても黙っていてはいけないというふうに思います。労働者が納得できるような解決のために、公共交通機関を担う事業者が集まるグループのトップである富士急に、親会社として働く人たちが納得できるように責任を果たさせるべきだというふうに思います。

 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、公共交通を担っている富士急に対して、しっかりと社会的責任を果たさせるように指導するべきだと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 労働者の不当解雇など、労使間における問題については、労働関係法令に基づき適切に指導等が行われるものと認識をしており、国土交通省としては、こういった事案について調査、指導する立場にはないと考えております。

石井国務大臣 同じでございます。

本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊東信久君。

    〔委員長退席、秋元委員長代理着席〕

伊東(信)委員 おおさか維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 本日は、国土交通委員会の質疑ということで、防災、救急の観点からまず質問をさせていただきます。

 熊本地震の復興に熊本県並びに周辺自治体、政府も一丸で取り組んでおられるということに、まずは敬意を表したいと思います。

 さて、大阪府の震災対応についても、本当に近い将来訪れると言われているであろう南海トラフも含めまして、今改めて見直しが必要になっていると思います。

 私の地元の、枚方市と交野市があるんですけれども、枚方市と高槻市の間を流れる淀川の橋梁が現在は枚方大橋しかありませんで、交通が集中し、渋滞が慢性化しているという話は、今までに何度か委員会で議題で上げてまいりました。防災、救急の観点から考えまして、このような事態は早急に解消していただきたいと思います。

 ちなみに、枚方大橋が今現在かかっているわけなんですけれども、これは国道百七十号の淀川を渡る橋でして、大阪府が管理いたしております。一日当たりの交通量が約四万九千台に及びまして、混雑度が二・一六。一般的に混雑といっても一・七五以上なので、二・一六というのはかなり慢性的な混雑状態を発生させている。

 そして、枚方市役所から高槻市役所、ここまでは通常十五分で通過できるところが、慢性的に二十五分はかかっております。路線バスでありましても、夕方はダイヤ所要時間が約五分で設定されているのに、この区間では二十五分かかるということです。

 こういった状態におきましては、防災とか、震災が起こったときにかなりゆゆしき状態になるのではないかと想像できます。

 防災、救急だけではなく、通勤通学という市民の日常にまで慢性化した渋滞は悪影響を与え続けておるんですけれども、この淀川の渡河橋の問題、石井国土交通大臣としてはどのような御見解でしょうか。

石井国務大臣 大阪の北東部の地域は、大阪と京都を結ぶ交通の要衝であり、交通の円滑化を図るため、新名神高速道路等の道路ネットワークの整備が進められております。

 こうした中、当該地域の幹線道路は交通渋滞が慢性化をしておりまして、国土交通省と大阪府は、地域の道路網の課題や、淀川を渡る橋梁も含めた道路ネットワークの整備のあり方について検討を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、大阪府、枚方市、高槻市などの御要請も踏まえながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。検討されているということで。

 今の御答弁の中に新名神のお話もありましたけれども、淀川の渡河橋の計画の一つに、新名神の高速道路に併設橋という形で橋を通す計画があったと思いますけれども、前回の御答弁、いろいろな委員会での御答弁でも、その新名神との併設橋というのは計画としては断念されたと。その中で、専門知識がない市民の皆さんにもわかるような形で、なぜ計画が断念されたかというのをいま一度御説明をお願いいたします。

森政府参考人 今大臣がお話しさせていただきましたように、淀川を渡る橋の場所、あるいは橋の構造といったものを経年的に地元の自治体の方々、そして国、府といったメンバーで議論をさせていただいているところでございます。

 その際の一つの案として、今委員から御質問がありましたように、新名神の高速道路に、これからつくるのであるから、その横に橋をくっつければいいではないか、それが淀川を渡る橋の一つとなり得るのではないかという御提案を地元からもいただいたということでございます。

 実際に、枚方あるいは高槻、そして大阪府といったようなメンバーで議論をしてきていただいているところではございますけれども、特に新名神と併設をすることによりまして、まずは、今、新名神の橋梁をかけるための用地買収を既に行ってきているところでございます。

 そうしますと、横に橋をかけますと、高いところの構造になるものですから、それを下の道路におろしてくるための例えばループ橋をつくったり、あるいはそれの乗り入れ口をつくったりということをしないといけない。そうしますと、今既に用地買収が終わってしまって移転もしていただいているところ、また再度用地買収をするというような事情が現地で発生する可能性があるということ。

 そして、当然、新名神の高速道路という、高速道路の橋を渡る構造というのは非常に大規模な構造になります。高速道路の橋脚、要は柱と柱の間の、スパンと言っておりますが、それ自身も非常に長く今かけておりますので、それと同一のものをつくっていくということになりますと、単独でかけるよりも予算が倍半分違ってしまうというようなこと。

 先ほど高次の医療の話をされたところではございますが、この高槻、枚方のエリアではさまざまそれぞれ、枚方にも三次救急医療がございますし、高槻にもあるわけでございますが、一般的な容量は高槻の方が多いというふうに言われておりまして、枚方の三次救急医療がいっぱいになったときには、高槻の三島救急医療センターというんでしょうか、そういったところに運ばないといけない、そういう事情がある。

 そうしますと、そういうアクセスを考えたときに、大きな迂回をするよりも、枚方市あるいは高槻市の市役所を短絡的に結ぶネットワーク、そういったものを形づくっていくことが淀川の両側の住民の方々にとって利便性が高いのではないかというような結論があったというふうに聞いているところでございます。

 以上でございます。

    〔秋元委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 この質問は何回かさせていただいているんですけれども、本日が一番よくわかりました。ありがとうございます。

 さて、一つ確認なんですけれども、淀川の架橋における新名神の高速道路部分、一般道じゃなくて新名神の高速道路部分で淀川を渡る部分に関しまして、鵜殿ヨシ原の環境問題などがあり、いろいろ調査されてきたと思います、NEXCO、大阪府、そして国とあるんですけれども。

 これは単なる確認です。なければないでいいんですけれども、国としてその調査費用を負担するなどの関与はされていたのでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の鵜殿のヨシ原は、貴重なヨシがそこでとれるということで、地域でも非常に有名な淀川の河川敷でございます。

 ここを新名神が横切るということで、その影響に対する調査をしてきているという状況にございまして、先般、新名神高速道路の建設を担当いたします西日本高速道路会社が調査の方向づけをしていただいたということを聞いておるわけでございますが、国としての予算は、それに投入しているということはございません。

 もともと新名神のルートを決める議論の中でのルート調査等々、これはかなり古い時代に行われておりますが、それは国が行っておりますけれども、その時点でヨシ原というようなことについては言及されているわけではございませんでしたので、あくまで、今のヨシ原の保存、あるいはそれにどのようにこれから対応していくのかということに関しましては、一義的にはこの事業者でございます高速道路会社が手当てをしているということでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 NEXCOがその調査費用を負担されているということで。

 ちょっと時間もあれなので、併設橋を含むか否かの調査に関して、国として予算を負担されたということはなかったということでいいんでしょうか。

森政府参考人 淀川を渡ります橋を新名神と併設にするか、単独にするのかという構造の検討に関しましては、ネットワークのあり方を議論する際の費用として国も調査費を計上しております。

 ただ、先ほど御紹介させていただきましたように、新名神が渡ります工事にかかわる環境対策といったようなところに関しては、NEXCO西日本が実際に分担をして調査をしている。

 ただ、先ほども言いましたように、ネットワークのあり方の議論の中には、国も当然応分の負担をさせていただいておりますが、大阪府、枚方市さんあるいは高槻市さんといったような地域のメンバーにも入っていただいておりますので、それぞれ応分の負担をしていただいているというのが実態ではないかというふうに思います。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 それでは、単独橋での方向で検討を進めていくとともに、大阪府とともに検討するということなんですけれども、大阪府、枚方市も含めてなんですけれども、その検討の現在の進捗状況というのを教えてください。

森政府参考人 現在、地域においてその検討を行っていただいているわけでございますが、具体的には、その渡河をしていく部分、橋を渡っていく場所をどういうふうにしていくのかといったようなところのルート検討をされているということを聞いているところでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 通常、事業計画を練る上で、費用や工期などを比較した上でよりよい方法を選択するんだと思います。

 淀川の渡河橋はまだ計画が具体化していないようなんですけれども、同規模の渡河橋を建設する場合の費用とか工事期間などを参考にさせていただきたいので、一般的な話でよろしいので、どれぐらいのものなのか、費用、工事期間などをお示しいただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 淀川を渡る橋の構造が決まりませんと、なかなかその費用が出てくるわけではございませんが、一般的に、その周辺の同規模の橋梁の過去の数字を申しますと、これは大阪府の公社が約七百メーター程度の橋梁をかけておりますが、その際には、事業費が百億円、工事期間としては大体八年という状況になっております。

 ただ、ここの部分に関しましては、橋だけをつくるということではなくて、両側、枚方市側あるいは高槻市側のアクセス道路の整備も同時に行っていかねばならないというふうに思っておりますので、多分、百億をかなり上回る費用がこの地区で必要になってくるのではないかというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 また新名神の話に戻りますけれども、新名神道路の用地買収の話がございまして、ちょうど八幡から枚方市を通るときに地下に潜っていくわけです。といった観点からも、その用地買収のところで苦労されたのはよくわかるんですけれども、ちょうど八幡から高槻の間だけ、大体、事業計画としては平成三十五年度ということになっております。その他のところが平成二十八年度ということで、およそ七年間のギャップがあるわけなんですね。

 そういった場合はやはり高速道路として意味をなさないと思うんですけれども、そういった計画に対して、進捗状況、何回かの答弁で検討しますと言っていただいたわけなんですけれども、少し早くなるとか、そういった事業計画の見直しとかはあるのでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、八幡から高槻の間に関しましては、供用予定目標を一応平成三十五年という形にセットさせていただいておりまして、その前後区間に比べるとかなり時間があいているということだろうと思います。

 もともと原因になりましたのが、どうしても着工が、NEXCO西日本といいますか、これが動き出したときの道路公団の民営化等々のあの議論の中で、この区間の事業が少し進捗が遅くなってしまったということで、それぞれの区間の供用目標がずれてしまっているということにございます。

 実際に、私どもとしても危惧しておりますのは、例えば神戸から高槻の間が平成二十八年を目標にということで、今地域でもいろいろ議論していただいているところではございますが、その端末の交通が高槻の市内に流れ込んでしまうようでは非常にまた渋滞が発生してしまうということもございますので、アクセス道路の対応等々、しっかりとやらせていただくということを考えておりますし、八幡から城陽までの間に関しましても、例えば京奈道路という他の道路のネットワークを強化することで渋滞をあちこちで発生させることのないようにやっていきたいと思っております。

 そもそも工程が今一部おくれているこの当該区間、八幡―高槻の間につきましては、ぜひとも早期に事業を進めていけるように、地域の方々にも御支援、御協力いただいて事業を進めていきたいと思っておりますので、何とぞぜひ御協力いただければと思います。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。時間ですので、終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 それでは、十五分という限られた時間ですので、早速質疑に入らせていただきます。きょうは、航空局に聞かせていただこうと思っています。

 先月二十六日に、大阪の八尾空港で小型航空機が空港内に墜落をした、搭乗者四名が亡くなるという事故がありましたが、このところ、小型航空機による事故が相次いでいるように思います。昨年七月には、調布飛行場で小型航空機が墜落をして住民の方を含む三名の方が亡くなられている。八尾の事故の直前の先月十七日には、千葉県でグライダーが墜落して搭乗者二名が亡くなったという事故が起こっている。これらの事故で亡くなられた方々に本当に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。

 こういった自家用飛行機で発生する事故というのは、飛行機の免許を持っておられる方はなかなかここでもちょっとおられないかなとは思うんですけれども、自動車ですとよくわかるかなと思うんですけれども、自動車に例えたら自家用車の事故ということになってくる。要するに、身近に起こる交通事故だというふうに整理することができるのではないかなと思います。ただ、八尾空港のような住宅が密集した内陸空港で事故が頻発するというのは、やはり近くにお住まいの方々にとっては、いつ何どき飛行機が落ちてくるのかということで非常に不安に思っているんじゃないかなというふうに思います。

 これまでの経緯上、どうしても自家用飛行機は内陸空港を利用する、離着陸をすることが多いというふうには聞いておりますけれども、したがって、その安全性をしっかり担保するということは非常に重要なことでありますし、しっかりとした取り組みというのがなされるべきだというふうに考えます。

 それで、小型飛行機の事故発生件数の経年推移を見ますと、過去十年間では年間で十件前後というふうに聞いております。それがずっと推移しているわけですけれども、昨年、平成二十七年に限っては二十件と一気に倍増となっています。その原因について答弁いただくとともに、小型飛行機の事故の確率が中・大型機の事故の確率より高いのか低いのか、また自家用機と事業用機はどうなのか、そしてまた、自動車や鉄道、単純に比較はできないですけれども、そういったほかの運送手段と比べてどうなのか、お答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、小型航空機の事故が昨年、平成二十七年は二十件に増加した原因についてでありますけれども、現在、昨年発生いたしましたこの二十件の事故中十六件が運輸安全委員会で事故原因調査中でありまして、全体の事故件数の増加原因についてはまだ分析できる段階に至っておりません。

 次に、小型機と中・大型機、あるいは自家用機と事業用機の事故発生率の比較についてでありますけれども、委員の御指摘とは少々区分が異なっておりますが、平成二十七年の百万飛行時間当たりの航空事故発生率を見てみますと、定期便を運航している本邦航空運送事業者についてはゼロ、それ以外の航空事業者につきましては三十二・一〇であるのに対しまして、その大部分が小型機と考えられます国、自治体、個人が運航する航空機につきましては百・三四となっているところでございます。

 次に、自動車や鉄道といった他の輸送モードとの比較についてでありますけれども、それぞれの輸送モードで事故の定義が異なっており、事故発生率の高い低いを比較、評価することができていないというのが実情でございます。

井上(英)委員 そうですね。ほかの交通運送手段との比較というのはなかなか難しいかなと思うんですね。ただ、小型と中、大型ですと、やはり小型の方が少し事故が多いということになっているかと思います。

 先ほど紹介した三件の事故の発生も受けて、やはり、航空局や事業者団体において本当に何らかの具体的措置がとられているのか、また検討されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 小型航空機の安全対策につきましては、これまで、操縦士に定期的な技能審査を求める特定操縦技能審査制度を平成二十六年の四月に導入したほか、運航安全講習会を全国で開催するなどの取り組みを進めているところであります。

 また、小型航空機による事故が目立って発生していることから、昨年より、運航者団体への指導、安全講習会の開催、特定操縦技能審査の機会を通じまして、基本手順を遵守することの重要性の徹底、整備の重要性の周知等を行っているところであります。

 加えまして、千葉のグライダー事故や八尾空港での事故も踏まえまして、国土交通省より、グライダーや小型航空機の運航者団体を通じ、運航者に対し、機体の整備点検の確実な実施、運航にかかわる手順の遵守等を通じて、運航の安全確保に万全を期すよう改めて指示したところであります。

 また、八尾空港につきましては、国土交通省が空港を管理しているという立場から、空港に常駐する機体の運航者に対しまして一層の安全確保を求める指示を行っているところでございます。

 さらに、運航者団体の取り組みといたしましては、会員に対しまして法令や運航マニュアルの遵守等を徹底したほか、一層の安全確保のための講習会を今後実施するとの報告を受けているところでございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 平成二十六年から、小型飛行機の操縦者に対して特定操縦技能審査というのを義務づけたというふうに今答弁がありました。逆に、二十六年から義務づけたのに、二十七年に、経年で見ると十件ぐらいの年間事故数だったのが、倍増、二十件になっているというのは、ちょっと裏腹な結果になっているんじゃないかなという気は正直いたしますので、特定操縦技能審査について少しお聞きをさせていただきたいと思います。

 答弁にあったように、知識審査、飛行前作業審査、実技審査、その後のレビューを経て合否が判断されるというふうに伺っているんですけれども、まず最初の知識審査では、最新の航空法令の知識や航空事故を踏まえた留意事項などを口頭試問で審査するということでありますけれども、口頭試問といえば聞こえはいいんですけれども、知識と実技というのが必ずしも一致しているのかどうかという懸念があります。

 私も自動車の免許を持っていますけれども、我々が自動車の免許を更新する際にも一定の座学が必須ですし、いろいろなビデオを見せていただいたりとか、やはり危険運転をしたらいかぬなとか、また性格診断をやったり、あなたの運転は多分乱暴じゃないですかとかというような審査を受けたりとか、そういうふうな一定の座学もあります。

 そういう中で、やはり危険認識をする機会というのがそういう自動車の場合は徹底されているように思うんですけれども、航空安全講習会のようなパイロットが参加する自発的な機会なんかで、そういう啓発活動というのが行われているとは思うんですけれども、やはりまだまだ不十分じゃないかなというふうに思います。

 技能をしっかり担保するというのであれば、やはりそういった座学は効果があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 特定操縦技能審査におきましては、対面による口述審査の際に昨今の航空機事故を踏まえました再発防止策について質問をするとともに、委員御指摘の啓発の観点から、事故事例や再発防止のための注意点を記載したパンフレットの配布を行っているところでございます。

 一方で、今般の八尾空港の事故等を踏まえまして、小型航空機の安全対策につきましてさらなる強化を図れないか、有識者の意見も聞きながら検討を行うということにしておりまして、この中で、委員御指摘の座学の活用についても参考とさせていただき、特定操縦技能審査の審査内容の充実について検討を行ってまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひお願いをしたいと思いますし、また、その後に行われる実技審査もやはりエアラインのパイロットと小型航空機、全てが一緒にというふうには語れないとは思うんですけれども、やはりエアラインのパイロットさんなんかは非常に厳しく、それから、実技試験もシミュレーターを使って徹底した、国の認定のそういったシミュレートをしっかりと受けてやっている、そういうときに緊急時、非常時も含めた訓練というのを日ごろからやっているというふうにもお聞きをしています。

 そういう意味では、今度は、実技審査の面に至ってはそういったシミュレーターを受験できるように義務づけた手法がいいかと思うんですけれども、これは限られた時間ですので要望とさせておいていただきますので、ぜひお願いをしたいなというふうに思います。

 それからまた、機体の安全性の確保についてもちょっとお聞きをさせていただこうとは思っていたんですけれども、時間の関係があるのであれですけれども、車でいうと車検のような、航空機の機体の安全性を確保するというのがあるんですけれども、一定の大型の事業用の飛行機に関しては有効期限まで耐空証明というのは更新をする必要がない、でも、そのかわり、非常に日常から細かく整備をして、要はチェックしているということが課されているというふうに聞いています。

 小型飛行機の場合は、もちろん、耐空証明の更新までの間に随時、国家資格を持っている整備士さんが確認してやる。だから、要は、車を運転している我々からしたら、ちょっと調子が悪いなといったときに工場に持っていったり、メーカーに持っていったり、ディーラーに持っていったりする以外は普通に車でも乗っているのと同じで、恐らく必要性があったときということになっているんだと思うんですね。

 だから、そういう意味では、そういう機体の安全性を確保するためにも、やはり一度事故が起こると飛行機は影響が大きいですから、そういった安全対策の強化というのもぜひお願いをしたいというふうに要望しておきたいと思います。

 最後に大臣に、安全意識の啓蒙ということについてどのように意気込みを持っておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

石井国務大臣 安全に関する情報の共有や、いわゆるヒヤリ・ハットの自発的報告、航空安全マネジメントを含む航空の安全向上の取り組みといたしまして、国際民間航空機関が航空安全プログラムを提唱しております。

 我が国におきましても、平成二十六年四月からこの航空安全プログラムを導入いたしまして、航空の安全に関する情報を収集、分析し、個人パイロットを含む関係者に共有する等の取り組みを進めております。

 この航空安全プログラムには個人が操縦する小型機に対する安全対策も含まれておりまして、安全運航セミナー、小型航空機セーフティーセミナー、航空安全講習会、航空スポーツ連絡会を関係団体と連携して開催しているほか、特定操縦技能審査等を通じ、安全意識の啓蒙に努めているところでございます。

 今後もこれらの対策を一層推進することによりまして、小型航空機を含めた我が国の航空安全のさらなる向上に努めてまいりたいと思っております。

井上(英)委員 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国が本格的な人口減少・少子高齢社会を迎える中、国民資産である住宅ストックの有効活用、既存住宅流通市場の拡大による経済効果の発現、ライフステージに応じた住みかえの円滑化による豊かな住生活の実現等は重要な政策課題であり、既存住宅の流通の促進を図るための市場環境の整備が必要です。

 また、近年、不動産取引に関連する制度等が専門化、高度化していることに鑑み、宅地建物取引業の業務に従事する者の資質の向上や、消費者利益の保護の一層の徹底を図ることが必要です。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、既存の建物の取引における情報提供の充実を図るため、宅地建物取引業者に対し、媒介契約の締結時に建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付すること、買い主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明すること、売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面を交付することを義務づけることとしております。

 第二に、消費者利益の保護の強化を図るため、営業保証金等による弁済の対象から宅地建物取引業者を除外することとしております。

 第三に、宅地建物取引業の業務に従事する者に対する研修の充実を図るため、事業者団体は体系的な研修を実施するよう努めなければならないこととしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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