衆議院

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第13号 平成28年5月11日(水曜日)

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平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 秋元  司君 理事 秋本 真利君

   理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君

   理事 鈴木 憲和君 理事 泉  健太君

   理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君

      井上 貴博君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    小池百合子君

      今野 智博君    佐田玄一郎君

      武部  新君    津島  淳君

      中村 裕之君    西村 明宏君

      原田 憲治君    堀井  学君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    望月 義夫君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    黒岩 宇洋君

      小宮山泰子君    津村 啓介君

      横山 博幸君    岡本 三成君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      穀田 恵二君    本村 伸子君

      井上 英孝君    遠藤  敬君

      野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      土井  亨君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    江島  潔君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (消防庁審議官)    熊埜御堂武敬君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    水田 正和君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        金尾 健司君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  坂下 広朗君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省海難審判所長)            松浦 数雄君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           笠原 俊彦君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     武部  新君

  大塚 高司君     原田 憲治君

  斎藤 洋明君     勝沼 栄明君

  椎木  保君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     井上 貴博君

  武部  新君     今村 雅弘君

  原田 憲治君     大塚 高司君

  遠藤  敬君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     斎藤 洋明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海上交通安全法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長毛利信二君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長金尾健司君、海事局長坂下広朗君、港湾局長菊地身智雄君、海難審判所長松浦数雄君、海上保安庁長官佐藤雄二君、消防庁審議官熊埜御堂武敬君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、水産庁漁政部長水田正和君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官笠原俊彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 皆さん、おはようございます。自民党の宮澤博行でございます。

 まずは、熊本の大地震、被災された皆様方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、来週には補正予算、国会で審議されるということでございますが、私たちも全力でサポートをさせていただく、そのことをお伝えさせていただき、早速審議に入ってまいりたいと存じます。

 本日は海上交通安全法等の改正法案を質疑させていただくわけですが、今回、この質疑に臨んで、法の条文をつぶさに拝見させていただきました。非常に複雑に入り組んだ法改正だった、そういうふうに私は思えてなりません。

 今回の法改正の主な目的は、東京湾における一元的な海上交通管制の構築、平時、非常時両方ということでございますけれども、それをするに当たって非常に複雑な法改正をせざるを得なかったんだなということを感じました。

 というのは、今回対象となっている港則法、この港則法が特別法なんですね。そして、海上交通安全法も特別法。一番最初にできているのが、港則法ですね。港則法が昭和二十三年、海上交通安全法が昭和四十七年、その一般法である海上衝突予防法が昭和五十二年ということで、特別法の方が先にできて、一般法の方が後にできる。時々こういうケースはあるかもしれませんが、珍しいと思います。

 そして、何といっても、港の中だけ交通整理をしていれば何とかなった港則法の時代から、だんだん交通量がふえてきて、いろいろな規制をしなくちゃいけなくなった、この日本の海運の発展状況もこの法の制定過程から読み取れるな、そういうことを感じながら今回の質疑をつくらせていただいたわけでございます。

 そんなわけで、今回の法改正なんですけれども、条文ではやはりどこが改正の対象になっているのかが読みにくいんです。海上交通安全法ですと、この法の適用範囲が大体、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海ということなんですけれども、今回の法改正では、指定海域は政令で指定されるということ。港則法によりますと、適用港という言葉があったり、特定港という言葉があったり、今回、新しく指定港というものが出てきた。これも政令で指定される。

 では、端的に聞きます。この法改正、一体どこの海域が対象となっているのか、端的にお答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 今回の改正により、湾内における一体的な海上交通管制を行う海域を指定海域、指定港として政令で指定することとしております。

 指定海域は、非常災害発生時に船舶が著しくふくそうすることが予想される海域であって、レーダーその他の設備により当該海域における船舶交通を一体的に把握することができる状況等にあるものを指定することとしており、法改正時には東京湾を想定しております。

 また、指定港は、指定海域に隣接する港のうち、レーダーその他の設備により当該港内における船舶交通を一体的に把握することができる状況等にあるものを指定することとしており、法改正時には京浜港、横須賀港、千葉港、木更津港及び館山港を想定しております。

宮澤委員 今回の指定ではそういうことでしょうけれども、今後、伊勢湾とか瀬戸内海とかがこの指定の対象になってくる可能性があるのかどうなのか。そこら辺の検討状況はどうでありましょうか。

佐藤政府参考人 他の海域につきましては、今年度以降調査を開始していくこととしております。

宮澤委員 それでは、東京湾が今回の対象ということで質疑を進めさせていただきますが、今回、湾内における一元的な海上交通管制の構築、これが大きな目的であって、非常時も、平時も機能するようにしていくというのが実質的な政策の目的だと思います。

 では、まず、平時における安全性の向上と国際競争力の強化についてお聞きしていきたいと思います。

 その必要性はわかるんですが、今、東京湾がどういう状態で、そして、今度この改正を行い、体制を変更することでもってどういうような整理、効果が期待できるのか、そこのところをお話しいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 東京湾では、平時においては、信号待ちや渋滞による船舶交通の混雑が発生していることから、混雑を緩和し、安全かつ効率的な船舶の運航を実現することが求められております。

 今回の改正により、新海上交通センターにおいて、海上交通安全法の航路と港則法の航路を一体的に見て管制計画段階から調整を図ること、新たに港則法の航路への入航時刻等の指示制度を創設し、航路の入り口付近に船舶が集中する状況を回避すること、新たなシステムなどの運用により、実際の運航状況に応じた港内の信号の柔軟な切りかえが可能になることなどにより、渋滞や信号待ちの解消を図ることとしております。

 例えば、東京湾口から京浜港の東京西航路までの航行時間が、現在の約百八十分から平均約二十五分程度短縮されることとなります。

 以上のことから、物流の一層の効率化が図られ、東京湾における国際戦略港湾を初めとする港の国際競争力の強化に資することとなるものと考えております。

宮澤委員 世界的にも有数なこの東京湾がそういう渋滞になっていたというのは、実はゆゆしき問題だったんだろうなというふうに思います。これは早くやらなくちゃいけないと思います。

 では、実際、この東京湾の中に入ってくる船、一日どのぐらいなのか、一時間どのぐらいなのか。どういう状況なのか、我々も現場を上空等から見るときが時々あるんですけれども、データでこういう状況ですよとある程度お示しいただけると議論はわかりやすくなってくると存じますが、そこら辺のデータはどのようになっているでしょうか。

佐藤政府参考人 現在、我々は二百メートル以上の船を巨大船というふうに定義しておりますけれども、この巨大船の、東京湾にあります浦賀水道航路の通航量、一年の通航量でございますけれども、八千六百三十七隻というふうになっております。

宮澤委員 一日に換算すると、これはどのくらいになるものなんでしょうか。割り算すれば簡単かもしれませんけれども、およそ三十隻ということになるんでしょうか。

 そうすると、それが時間的にどのような時間に集中するかわかりませんけれども、その渋滞というのがどういう状況なのか、もう少し細かい割り算で御説明できるでしょうか。

佐藤政府参考人 もう少し丁寧にお答えいたします。

 東京湾におきましては、通常時から通航船舶が多い状況にありまして、レーダー映像の分析などから、港内入港船舶数は合計約五百隻程度となっておるところでございます。一日当たりでございます。

宮澤委員 今回のこの法改正と体制の変革でもって新しい海上交通センターができる、そこで一元的に管理していくということでございますが、大きい船でも、ならして一日に三十隻ぐらい、レーダーで把握できるものが五百隻となると、管制の能力というのは十分なんでしょうか。飛行機とは大分様子は違うと思いますけれども、その処理能力について、ちょっとお話をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 新海上交通センターでは、船舶動静を監視する海域が港域へも広がりますことから、監視対象船舶も増加し、また、船舶の動態予測機能が高度化されるため、情報処理システムの処理能力を倍増するなどの対応を図った整備をいたす所存でございます。

 新海上交通センターに当初配属される運用管制官については、平成二十九年度の運用開始までに新たな業務を確実に実施できますよう、新たに策定される業務処理手順を踏まえたさまざまなシミュレーション訓練、実機操作の慣熟を含めた実践訓練を積み、万全を期すこととしております。

 また、現在、新人運用管制官の育成は、研修及び資格認定審査を経て行っているところでございますけれども、こうした研修等のカリキュラムについても新たな業務内容を反映して対応していきたい、このように考えております。

宮澤委員 それでは次に、非常時における海上交通の機能維持のための方へ移っていきたいと思います。

 非常時には、船へ、あっち行って、こっち行ってというふうに管制する、雑駁に言うとそういうことなんでしょうけれども、このような措置を用意した経緯、東日本大震災を経てということもあるかもしれませんが、どういう経緯があり、どういう検討がなされてここにたどり着いたのか、御説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 東日本大震災発生時には、東京湾の中央部における錨泊隻数が直前の約百隻から、震災発生後には、各港や湾外からの避難船舶などにより約四百隻まで増加したところでございます。

 このため、東京湾では、平時と比べ湾内が非常に混雑した状況となり、船舶の衝突などの危険性の増加、船型に応じた適切な錨地の不足など、船舶交通の危険な状況が発生したところであります。

 今回の改正により、避難可能な海域の広さ、避難船舶の大きさや隻数などを考慮し、湾内の混雑を抑えるため、入湾制限、湾に入ってくる船の制限を行うこと、避難船舶の安全な海域への移動を命じることなどができることとなり、東日本大震災の際に東京湾内で生じた危険な状況を解消できるものと考えております。

宮澤委員 そのときに気になるのが、今回の法律を読んでいて、船の種類がいっぱい記載されているわけなんですよ。

 まず、海上交通安全法、この第四条等々によりますと、五十メートル以上の船が対象となっている。ところが、三十二条から三十三条、三十四条、三十五条、非常災害発生周知措置の対象、情報の聴取、航行制限等々は、これは、指定海域内船舶と読めるものと、限定されていないような条文の書き方だったり、まちまちなんです。

 非常時の避難の対象が大きい船に限られてしまったら、それで本当にいいんだろうか。小さい船は一体どうするんだろうか。ここのところは、やはり整理しておかなくちゃいけないんじゃないんでしょうか。

 さらに、もう一つの改正の対象である港則法においては、雑種船から今度名称が汽艇というふうになったわけです。汽艇というのは総トン数二十トン未満、小型船が総トン数五百トン未満、また港則法の中には特定船舶という言葉も出てくるわけなんです。

 この非常時、何がどのように対象となっているのかは、ちょっと整理してお話をいただかなければいけないと思います。よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 お答えします。

 非常災害時における船舶に対する移動命令は、船舶交通の危険を防止するため、船舶を安全な海域に避難させたり通航路を確保するために命ずるものでありまして、小型船舶を含む全ての船舶に適用することとしております。

 また、新海上交通センターが提供する情報の聴取を義務づけられる船舶と入湾通報の対象船舶は、運動性能に制約があり、船舶交通がふくそうする状況下での操船が困難であること、それから、喫水が深く可航水域が限定されること、沈没等の海難が発生した場合、他の船舶の可航水域を減少させるほか、油の流出などによる影響が大きくなる蓋然性が高いことなどから、航路航行義務のある長さ五十メートル以上の船舶に適用することとしております。

 長さ五十メートル以上の船舶を湾外や水深の深い錨地に速やかに移動させるなど、大型船舶の流れを整理することによって、小型船舶を含めた海域全体の安全性の向上を図るところでございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 ふくそう、渋滞ということでしょうけれども、この法改正のもととなったというわけではないでしょうが、第三次交通ビジョンというのがあるわけですね。この中には、震災への対応も書かれているわけでございますが、その中に準ふくそう海域というものがございます。

 この準ふくそう海域というのは、東京湾から石廊崎、伊勢湾、潮岬、室戸岬、足摺岬、こういったところの、船がたくさん通っている地域ということでございますね。私の地元、御前崎港がございますので、これは人ごとではございません。

 この準ふくそう海域、衝突事故等々もたくさん起きているということでございますが、この準ふくそう海域において、今後どういうような海上交通管制を行っていく用意があるのか、ここのところも加えて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

佐藤政府参考人 お答えします。

 準ふくそう海域については、平成二十八年一月の交通政策審議会の答申におきまして、現行制度を活用した取り組みとして、AIS航路標識等を活用した航路設定と航行の励行を図る安全対策が盛り込まれております。

 具体的には、伊豆大島西方海域におきまして、中心線を設定し整流化を図るため、IMOの採択を目指すとともに、海図への記載、AIS航路標識による明示を行うことにつき各団体と調整して検討を進めていくこととしております。

宮澤委員 最後にお聞きいたします。

 今回のこの東京湾、一元的な海上交通管制の構築をするということは、やはり国際的に魅力ある港でなければならないということ、それが一番の目的だと思うんですよ。

 では、これをやって、実際、何を東京湾の売りにしていくのか、国際競争力向上をどのようにアピールしていくのか。それについては、国家的な政策の観点でどのようにこれを捉えていらっしゃるのでありましょうか。これを最後の質問とさせていただきます。

石井国務大臣 今般の法改正によりまして、東京湾におきまして一元的な海上交通管制が構築されることによりまして、東京湾口から東京西航路までの船舶の航行時間が平均約二十五分短縮することが見込まれております。

 航行時間の短縮により、東京湾内の港湾への到着時間が短縮をされまして、国際戦略港湾である京浜港を初めとした港湾の利便性が向上し、国際競争力の強化に資することを期待しております。

 特に、京浜港につきましては、本年一月に横浜川崎国際港湾株式会社、これが新たに運営主体として設立をされまして、三月に国から五億円の出資を行い、国、港湾管理者、民間の強みを生かした協働体制が整えられたところであります。

 今般の法改正による船舶の到達時間の短縮効果を生かしつつ、国際コンテナ戦略港湾政策による集貨、創貨、競争力強化の取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、港湾管理者、民間との協働体制のもとで、海外の船社等に対して京浜港のトップセールスを行ってまいりたいと考えております。

宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 今回の法改正、大きく分けまして二つの目的があるというふうに理解をしております。一つは、平時における港湾内の交通の渋滞を緩和するということ。もう一つは、有事、災害等の際にそれぞれの船舶の安全の確保をしていくということだと思いますけれども、きょうは、時間の関係で後者の、有事の際にどのように船舶の安全を確保していくかというところに焦点を当てて質問をさせていただければと思います。

 まず、今回の改正の立法事実になったのではないかと思っておりますけれども、東日本大震災の折に、実際に、例えば東京湾の中でどういうことが行われたかということに関しまして確認をさせていただきたいんです。現在も熊本で余震が続いているような状況でありますし、国民の皆さんの関心も非常に高いと思うんですね。

 それで、実際、三・一一の際に、あの震災を受けて、各船舶に対してどのように情報を連絡して避難誘導をしたか、その際に不十分だと感じたような反省点はどういうところであったか、そして、その教訓が今回の改正にどのように生かされているか、御答弁をいただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 東日本大震災発生時には、各港内及び湾外から船舶が避難してきたため、東京湾の中央部における錨泊隻数が直前の約百隻から約四百隻までに急増いたしました。この結果、東京湾内は平時と比べ非常に混雑した状況となりました。

 臨海コンビナート火災が発生し消火活動を行った事案があったものの、海上交通センター等の情報提供等により、海上における大規模な船舶事故の発生は未然に防止されたところであります。

 しかしながら、震災時のような非常災害時においては、海域が混雑することによる衝突の危険性の増加、船型に応じた適切な錨地の不足といった船舶交通の危険な状況が発生したことも事実でございます。

 今回の改正により、非常災害が発生した場合に、新東京湾海上交通センターが、海域の広さ、あるいは避難船舶の大きさ、隻数など、海域の状況を一元的に把握しつつ、湾内の混雑を抑えるため入湾制限を行うこと、船舶を迅速かつ円滑に安全な海域に避難させることなどの措置を新たに講じることにより、非常災害時の海上交通機能を維持することができるものと考えております。

岡本(三)委員 三・一一のとき、私は議員になる前は会社員で、都内の高層ビルのオフィスから、実際にあのときは千葉コスモ石油の製油所が爆発して燃えているところを見ていたんですね。

 実際、あのときは、海上保安庁の船が放水をして大きく拡大するのを防いだというふうなこともその後伺いましたので、いざというときには、湾内にいる船の安全確保だけではなくて、その地域のさまざまな被害の拡大のためにも湾内の安定した状況を保つことは重要だというのをその目で見たときに改めて感じたんですけれども、今御答弁いただいていたことをベースに、今回の法改正がなされたときに、例えば、残念ながら想定されているような首都直下が今後起こったとき、どういうふうな情報の伝達の仕方をするかということを確認したいんですね。

 例えば、三・一一のときにも四百隻もいたわけですから、個別に連絡するなんということは物理的に無理なわけで、例えば、どういう情報を全ての船で共有して、その中で危険性があるものを幾つかピックアップしながら、その船には個別にさまざまな指示も必要になってくると思うんですが、この法律が改正された場合に、具体的なオペレーションとして、非常時にどういうふうな情報の伝達、命令を下すかということを教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 万一、地震等の非常災害が発生し、これにより湾内における船舶交通の危険が生じるおそれがある場合は、具体的な事故の情報や湾内の混雑状況など、船舶交通の安全を確保するためのさまざまな情報について、無線、インターネット、中短波放送、巡視船艇による直接の呼びかけなど、あらゆる手段を通じて提供することとしております。指定海域及びその周辺海域に所在する船舶は、これらの情報をもとに自主的に安全な海域に避難するなどの対応を行うこととなります。

 このような情報提供を行うほか、例えば多数の船舶により、湾内が著しく混乱し、船舶の乗り上げ、衝突など海難発生の蓋然性が高まることが予想されるときは、海難の状況や浮遊物の状況を考慮した湾内の避航可能な海域の広さ、避難船舶の大きさ及び隻数、湾外から入湾しようとする船舶の大きさ及び隻数などを考慮して、指定海域に進行してくる船舶の航行を制限したりあるいは禁止するなどの命令を行うこととしております。

岡本(三)委員 非常時に情報を提供するところがさまざまな違う情報を提供して、湾内にいる船に混乱を及ぼすようなことがあってはいけないということで、今回、新しく、平成三十年に横浜に新設される海上交通センターに関しては、その海上交通センターとそれぞれの港にある交通管制室を統合するというふうに伺っているんですね。

 いいことだと思うんです。いざというときに情報の出どころを一元化することによって混乱なく統制を図るというのは非常に重要だと思うんですけれども、万々が一、新しく統合した新海上交通センター自体が被災をしてしまって、さまざまに指示ができなくなったときのバックアッププランというのはどうなっているかということを教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 新東京湾海上交通センターが整備される横浜第二合同庁舎にありましては、大規模地震にも十分耐え得る構造となっております。

 同センター内に設置する管制データを処理する装置などについても、機能喪失防止のため二重化整備をするとともに、電源についても非常用電源装置を整備します。

 また、船舶交通の動静を把握するためのレーダーやAIS信号の受信設備、船舶との通信を行うためのVHF無線電話の送受信所についても、東京湾周辺に分散して設置し、カバーエリアを二重化することなどによって、万が一被災した場合でも必要な機能を維持することが可能となっております。

 それでも、万々が一機能が完全に喪失した場合には、現在の観音崎における海上交通センター内に残される設備を使用した管制業務を実施することも想定しておりますし、また、必要に応じ、AIS受信機等の仮設や、レーダー、VHF送受信設備を搭載した巡視船艇の活用などにより、管制業務の維持に努めていきたいと考えております。

岡本(三)委員 これはぜひ、さらに非常時にも完全に対応できるように御検討いただきたいと思うんです。

 新しくつくるところは、物すごく強靱な建物ですよ、万々が一電源が落ちても自家発電もあります、二重三重のブロックをしていますよ、いざとなったら、観音崎もそのまま残すのでそこで対応しますよとおっしゃっているんですが、ちょっと役所の方にお伺いしますと、観音崎に人はいるんですかというふうに言ったら、いや、人は置かないつもりですと。どうするんですかと言ったら、一大事になったらそこに人を集約させますというふうにおっしゃるんですけれども、首都直下の地震が仮に起こったとして、津波が来るまでにそんなに時間がなかったとして、そこに人が移るまでの間に津波が来たらどうするんだというふうに思ったんですね。

 民間の企業も、いざというときのためのバックアップとして、例えば、関東に本社があるお会社さんですと、比較的地盤がいいと言われているような、例えば群馬にバックアップのデータ施設等のオフィスを保険として持っていらっしゃるところが多いんですね。ほとんどのところは人も置いています。いざというときのためにしか使わないんですけれども、保険代なんですね。というのは、いざ何か起きてそこまで人を移動させようと思っても、交通手段がなかったら、ハードはあっても使いこなす人がいないので、実際はワークしないわけです。

 ですから、そういうときには、実際には湾内に展開をしている船等も情報網として発信の拠点にするというようなこともおっしゃっていたので、今の想定の中ではそれで十分カバーがされるのではないかというふうに思っていらっしゃるのではないかと思うんですけれども、やはり民間の企業がいざというときのために二重三重のバックアッププランを考えている、そのことと考えると、万々が一のための準備としてはちょっと手薄ではないかなというふうに私は思っておりますので、今御検討されて決めていらっしゃることに加えて、今後さらに、想定外のことがないぐらいの、二重三重の御検討をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、今回の改正案が通ったとして、内容自体はいざというときのために必要なことですので、その法改正に関しては全く異論がなく、やるべきだというふうに思っているんですが、実際に今まで御答弁いただいたようなことが非常時に実行できるかどうか、その実効性の担保をどうするかということについて御質問をさせていただきたいんです。

 現状は、いざというときの訓練で何をしていらっしゃるかというと、海事関係者の方を定期的に集めて、こういうときにはこういうふうに対応していますというふうな情報共有をしていますというようなことを事前のレクで伺っているんですけれども、現場でいざというときのための訓練をすることの重要性というのをすごく感じるんですね。

 ただ、海ですとそれが難しいこともよくわかるんです。いざというときに、誰が、どの船がそこにいるかということも想定しづらいですし、日本国籍の船だけではなくて外国船籍の船もたくさんあるわけですし、日本の国内船といっても、交通を主にやっているような船もあれば、漁業関係者の船もあれば、いろいろなことがあるので、なかなかその方々を束ねて訓練をするというのは難しいんですけれども、本当に机上の情報確認だけで、やらないよりましだと思いますが、いざというときのために十分なのかということに対してすごく高い問題意識を持っております。

 どういうやり方をするかというのはぜひ知恵を出していただきたいと思うんですけれども、現場の実地訓練というのをやっていくということの重要性をすごく感じておりますので、その点について、今後お取り組みいただけるような議論がされているのか、どのように検討されているのか、御答弁いただければと思います。

石井国務大臣 一元化後の海上交通センターにおきましては、湾内の船舶交通を一体的に把握し、非常災害時において、大型船等を港内から湾外まで速やかに退避させることなどの新たな業務に取り組むこととなります。

 こうした新たな制度が確実かつ円滑に実施できるよう、関係機関及び海事関係者等に対する事前の説明会の開催、パンフレットの配布、ホームページによる紹介等のさまざまな方法により周知徹底を図ることとしております。

 湾内で発生することが予想される災害への対応につきましては、関係自治体や海事関係者の理解や協力が不可欠であることから、今後、新たな取り組みといたしまして、さまざまな事態を想定したシミュレーションや、その結果を反映した関係者との連携訓練などを計画的に実施することといたします。

岡本(三)委員 ぜひ、どこまでやれるんだということを常に知恵を働かせていただいて、訓練等もお取り組みをいただければと思います。

 最後に、今実は、海上における人命の安全のための国際条約、セーフティー・オブ・ライフ・アット・シー、SOLAS条約というものの中で、国際的に従事をする三百トン以上の船舶であったり、または国内においては五百トン以上、あと全ての旅客船、ここに船舶自動識別装置、AISが義務づけられているんですね。

 これは、よく中身を調べていきますと、大変に有用な装置でありまして、車のカーナビ以上のもので、例えば、その装置をつけていると、その船舶の位置のみならず、針路、スピード、そしてその船舶の個別の認識番号、いろいろな情報が共有できるということなんです。

 非常時においては、それぞれの船が自分の身を守って事故を防ぐために、周りにどういうふうな船があって、状況になっているかということを認識することも意味がありますし、新海上交通センターからさまざまな避難指示をするときに、その船がどこの誰の船でということを認識した上でさまざまな指示をするということができますので、AIS、船舶自動識別装置がより多くの船に設置されるような努力というのは非常災害時には極めて有効ではないかなというふうに思っているんですね。

 それで、実際には、義務化されているところの船が余り多くないということの現状ですから、例えば、今五百トン以下の船舶には義務化されていないわけですけれども、これから三十年以内に首都直下の可能性も非常に高いというふうに言われている中ですから、義務化するその船の対象範囲を拡大するということも有用ではないかなというふうに思っているんですね。

 ただ、実際にはコストがかかりますので、ただ単に拡大をするような義務化の幅を広げるというだけではなくて、AISをつける船に関してはさまざまな財政措置を施して、その方々に対する財政支援をしていくことも重要だと思っているんです。

 実際、今は何をやっているかというと、義務化をして、そして、AISをつけているところに関しては、それぞれの船が加入する保険に関しまして二十万円までその保険料を助成したりとか、AISをつけるときに公的機関からお金を借りたときには、その金利を最大二%まで公的な負担をするというようなことをやっていらっしゃるんですけれども、これは予算措置が本年度で切れるということも聞いております。

 したがいまして、いざというときのために本当に有用なAISに関して、義務化の船舶の対象を広げるということの提案をさせていただくと同時に、その財政的な負担を軽減するための予算措置を今後拡大していくということを御提案させていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

坂下政府参考人 私の方からは、まず、AISの適用の拡大についてお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、現在、我が国では、総トン数五百トン以上の内航船にAISの搭載を義務づけておるところでございます。

 御議論いただいております一元的な海上交通管制の効果を最大限に発揮させていくとともに、さらなる海上交通の安全性の向上を図るために、国交省で今AISの搭載を義務づける対象船舶の拡大を検討しておるところでございます。

 また、AISを搭載した船舶が大幅に増加した場合には、ふくそう海域では通信が混雑をしまして適切に情報を送受信できなくなるおそれがあるということも指摘されておりまして、本年度、このような影響に関する調査も行いながら、AISの搭載義務の対象船舶の拡大について検討を進めるということにしております。

水田政府参考人 お答えいたします。

 AISに対します支援ということでございますけれども、AIS、先生御指摘のとおり、船舶の位置、針路、速力等の情報を周囲の船舶との間で自動的に送受信するということでございまして、天候が荒れたときにおきます漁船の安全を確保する上で非常に有効であるというふうに考えているところでございます。

 AISの具体的な普及促進策といたしましては、その設置費用に対します漁業近代化資金による低利融資のほか、漁船保険中央会におきましても、AIS搭載漁船に対しまして漁船保険料を二十万円を上限に助成する優遇措置を講じているところでございます。

 また、安全な漁業労働環境確保事業というものを実施しておりますが、これにおきまして、漁業者を対象といたしました安全対策の講習会を実施しておりまして、ここでAISの導入を呼びかけておりますほか、毎年十月、全国漁船安全操業推進月間の期間におきましても、AISの導入促進に関しますパンフレットを作成、配布いたしまして、その普及を推進しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、漁船保険中央会が実施しておりますAISに対します保険料助成措置でございますが、時限的な措置でございまして、二十八年度で終了するわけでございますが、漁業者に対する普及啓発や低利融資による支援を通じまして、AISの普及というものをしっかりと推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

岡本(三)委員 ぜひ御答弁のままにお願いします。

 これは、助成の予算、一億円以下で約千隻の漁船にAISを搭載可能となっておりますので、費用対効果が物すごくいい安全施策ですので、さらなる拡大をお願いしたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

谷委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 きょうは、引き続きまして、海上交通安全法についての質疑ということで、幾つか議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、先ほど来お話がございますが、今回の熊本地震に際しては、これはほかの関係各省庁及び各自治体もそうではありますが、きょうの法案に際していえば、海上保安庁の皆様方にもさまざまな形で現地への御配慮、御対応をいただいていること、この場をおかりして敬意を表させていただきます。ありがとうございます。

 前段にも、もう既に幾つか主要な論点について議論がありましたので、その内容も踏まえながら、少し修正を加えながら質問させていただきたいと思いますが、まず、今回の改正に至った、または今回の改正を行うに当たっての、これまでの法案についての総括をきっちりとすべきであると私は思っています。

 実は、先日は、同じような議論を物効法についてさせていただきました。新法を立てる場合も、改正案をつくる場合も、いろいろなものがありますが、基本的には類似の問題意識に基づいて複数回のレベルアップを重ねていくという法案の類いかなというふうにも思っておりますし、だとすると、先日の物効法の際にも申し上げたわけですが、これまでの法律、制度において何が課題であって、また、何が逆に達成をされたのかということをきちんと総括し、検証していくということは、今後に対しても非常に大きな意味を有するのではないかなという観点から、幾つか具体的な確認をさせていただきたいと思います。

 まずは、前段、これは大臣にですが、前回の改正及び施行が二十二年ですから、大体五年間ほど運用されてきたことになりますが、この約五年間の中でどういう形で前回の改正法が生かされ、ある意味ではどういう課題が残っているのかという観点で、包括的に総括をいただければと思います。

石井国務大臣 平成二十二年の港則法及び海上交通安全法の改正におきましては、海難を防止するため、一定の大きさの船舶は海上保安庁長官が提供する船舶交通の安全に関する情報等を聴取しなければならないこと、また、港内における異常な気象、これは台風等でございますが、異常な気象等による危険を防止するため、船舶に対し港内からの退去等を命ずること等の新たな制度を設けたところでございます。

 これらの措置によりまして、航路及びその付近の海域におけるAIS搭載船舶による衝突、乗り上げ等の事故が半減をしたところでございます。そういった意味で、平成二十二年の改正は大きな成果を上げてきたというふうに思っております。

 一方、平成二十三年に東日本大震災が発生をいたしまして、東京湾内が非常に混雑したことによりまして船舶交通の危険な状況が発生をいたしました。

 この東日本大震災の教訓を踏まえまして、本法案におきましては、船舶交通が著しくふくそうする海域全体において、船舶交通の危険を防止するための措置を講ずることとしているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 今大臣から御答弁をいただきました前回改正の包括的な評価といいますか総括を踏まえて、この後、幾つか掘り下げて質疑をさせていただきたいと思っております。

 今大臣からも言及がございましたが、前回の改正、特にこれは港則法の改正においてでありますが、港湾内の聴取義務が課されたわけであります。後段、この後議論させていただきますが、今回は、それが港湾内ではなくて、海上交通安全法の方のもう少し外の方にも広がったということであるわけですが、前回付されたこの聴取義務が一体どのぐらい徹底をされて、いかなる効果があったのかということを確認させていただきたいと思っております。

 つまりは、これはこの後もう一度議論させていただきますが、今回は、それが港湾というところからまたさらに外側にもはみ出しているわけですが、実際これはきちんと効果があったのかなかったのかということは、恐らく、これから効果がどの程度見込めるかということにも非常に大きく関与してくるかと思いますので、そういう観点で、どの程度効果があって、またどの程度聴取義務が実際に運用されたのかという観点でお答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 港内及び湾内における情報提供は各海上交通センター等がVHF無線電話により行っておりますけれども、VHF無線電話による船舶への呼びかけに対する応答に関するサンプリング調査を昨年一月から三月に実施したところ、ほぼ全ての船舶が聴取しておりました。

 このように、情報聴取の対象となる船舶につきましてはVHF無線電話を聴取する環境が醸成されていること、非常災害時に海上保安庁が提供する情報は有益なものであることなどから、今回の法改正によって行う情報提供につきましても、その実効性は確保されるものと考えております。

神山(洋)委員 今のお話を踏まえれば、聴取義務というのは大方実行されていて、実際にそれが必要なときには有効な機能を有しているということが、サンプリング調査かもしれませんけれども、ある程度検証されているということかなというふうに思います。

 その意味でいうと、この後一つおいた上で、先ほど来お話がある、東日本大震災の際に東京湾で起きた際のことをお伺いしたいわけですが、まず、これは事実関係として、前段でもお話がありましたが、震災の際に、四百隻ぐらいとおっしゃいましたか、多くの船が密集をして非常に危険な状態もあった、前回の法改正の中では対応し切れなくて課題として残り、今回の法改正の中で解決をしようとしている課題はまさにそこに一点あるのだというお話で伺っているわけです。

 先ほど長官からの前段の御答弁の中でも、事故は未然に結果的には防ぐことができたがというお話はあったわけですが、その四百隻がわあっと集まってきてしまったときに一体どの程度の切迫感があったのかというところをもう少し具体的にお話をいただければなと思っております。

 これは、幾つか当時の参考資料であるとか報道ベースのいろいろな情報を調べていった中で、どこまで事実かわかりません、報道ベースですが、港から沖合に避難をしていったわけですが、沖合に避難をしていった船が実際どこに停泊したらいいかというところのコミュニケーション、適切な指示が、これは船の側からしたときでしょうが、受けられないケースもあったというような話が日本船主協会さんの方のコメントとして載っていたようなケースもありましたので、実際、どの程度の切迫感があるような危険な状況だったのかということを少しつまびらかにしていただければと思います。

佐藤政府参考人 先ほども答弁で何度かお答えしましたけれども、通常は湾内の中央部には大体百隻ぐらいの船が錨泊、いかりをおろして錨泊しているという状況でございました。

 しかしながら、震災が発生したときに一斉に各港から船が出港して、要するに、係留したままでございますと船が転覆してしまうおそれがあるということで、その恐怖に駆られました船が一気に出てきて、湾内に多数の船が密集したような状況になりました。また、湾外からも東京湾内に避難してくる船がございまして、それが約四百隻、トータルで四百隻ぐらい増加した。

 これは一体何を意味するかというと、ある一定の広さの海域において、船がぶつからないで安定的にそこで漂泊あるいは錨泊できる海域というのは、それぞれの船の大きさによって異なるわけでありますけれども、一定の空白域が用意されていなければ非常に危険な状態となります。

 ましてや、万一、湾内に津波が押し寄せた場合には、自船の運航の能力というのが著しく低下してしまうわけでございますので、その際に、船舶同士の衝突などの危険性が増加したり、あるいは大型船などに適した錨地が不足するといったような大変危険な状況が発生したということでございます。

神山(洋)委員 前回の法改正において、これも港則法の観点でありますけれども、港長というものが、船舶への退去命令といいますか、移動命令を下すことができるようになったというふうに伺っているわけです。その意味でいうと、今長官にお話をいただいた東日本大震災の際は、この規定に基づいての対応が行われたのかなというふうにも考えます。

 その際、どういう形で、現時点での港則法に基づいてどのような命令等が発出をされて、実際に海上でどのようなオペレーションが行われたのかというところもあわせて質問させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 東日本大震災発生時に、東京湾においては、各港の港長が、港則法第三十七条第四項に基づく避難勧告を発令し、船舶に対し港から避難するよう呼びかけました。

 これらの措置により、各港から船舶は避難をいたしましたけれども、東京湾の中央部における錨泊隻数が、先ほど申し上げましたとおり、約四百隻まで増加し、湾内が非常に混雑をした状況となり、船舶交通の危険な状況が発生したところでございます。

 このような状況を踏まえ、本法案では船舶に対する移動命令等を新たに創設することとしており、これにより、湾内の一定以上の大きさの船舶の総数を把握し、それぞれの船舶の性能に適した泊地へ誘導すること、大型船などについては、可能な限り港内から湾外まで速やかに退避させることなどが可能となり、東日本大震災の際に東京湾内で生じた危険な状況を解消できるものと考えております。

神山(洋)委員 港内、湾内というところの違いがあって今回の改正に至っているというその意義は大変よくわかります。今回の法案、基本的には全くそのとおりだなと思っておりますので。

 いずれにしても、海上の安全性、これは平時はもちろんでありますけれども、緊急時の対応というところはやはり極めて大事でありますし、東京湾、先日、国土交通委員会としての視察に私も参加をさせていただいて、海上から、そして陸上から改めて現場を見させていただいても、これはかつての、それこそ戦時中から言われている話でありますが、閉塞状況に陥ったときの、ある意味で想定をされる非常に甚大な被害というところも大きな問題意識としてこれは共有をさせていただいているつもりですので、ぜひそこは引き続きの安全確保をよろしくお願い申し上げます。

 その観点ではあるんですが、前段もお話がありましたが、今回の改正案、東京湾が想定をされているということでまずは今回の法改正に至っているわけですが、では、伊勢湾であるとか、大阪湾を含む瀬戸内海はどうなんだという議論はあります。先ほどの長官のお話でいえば、今年度以降、調査をして、確認をしていくというお話でありました。

 何でもかんでも規制を強化すればいいというものではないと思いますし、船舶といっても、先ほど来お話がありますように、喫水の深い非常に大きなタンカーのような船もあれば、漁船のように小回りのきく船もあればというところでしょうし、海域ごとにいろいろな特性があることでしょうから、そこはぜひそういった観点で緻密な調査をしていただきたいとは思うわけです。

 しかし、逆に我が国にとっての大きなリスクという観点からすると、やはり、例えば伊勢湾であれば、車がそこはいっぱい運ばれていくだろうなということであるとか、原材料の輸出入ということもあるでしょう、非常に大きなリスクはあるわけですから、その安全性を確保するという観点でいえば、私は類似の規定はあってもいいのかなと正直考えているところではあります。

 長官、この点は前向きにやるつもりで、やる方向で考えているという理解でよろしいでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 先ほど述べましたとおり、東京湾については指定をする予定にしておりますけれども、その東京湾は、現在、船舶交通が著しくふくそうしていること、港内の信号待ちや渋滞が発生していることから、これまで、海上交通管制の一元化のためのレーダー、監視カメラ、無線機器等の設備の整備を順次、今進めてきたところでございます。

 今般の移動命令等の措置は、これらの設備の整備により湾内の船舶交通を一体的に把握することが可能となる東京湾に適用することとしたものでございます。

 伊勢湾及び大阪湾については、今年度から、船舶交通の状況や安全上の問題について、地元自治体、海事関係者の意見を聞きつつ、所要の調査を実施していく予定にしておるところでございます。

神山(洋)委員 続いて、先ほど少しこれも議論があったので、少し聞き方を変えたいと思うんですが、AISの話です。

 前段のお話で、これについても具体的な促進策を考えていきたいというお話がありましたので、そこはあえて問いません。

 ただ、この点を聞かせていただこうかなと思ったところは、実は、先ほども少し申し上げましたが、先日の委員会での視察で各所お伺いをさせていただいた際に、海上交通センター、観音崎の方に伺ったときに、耐震化とか大丈夫なのかなという思いも含めて、大変施設的には古いまま頑張っていらっしゃるんだなということはよくわかりました。

 実際に各船舶及び船舶を有する会社とのやりとりをする場面も見させていただいたときに、一点、実は私はびっくりしたのは、たまたまその場でサンプルでもらってきて、資料としては別にお配りはしていませんが、航路通報記録という、各会社とやりとりをするような、これは定型のフォーマットだと思うんですが、これに要は記載をしてファクスでやりとりをするんですというお話があったわけです。

 正直言ってちょっとびっくりしまして、デジタルが全てよくてアナログが全部悪いわけではないんですが、もうちょっと機械的な形で私はやっているんだろうと実は想像していまして、そこにあるモニターなんかは素人には何があるのかよくわからないような非常に立派なものではありましたけれども、意外と現場のオペレーションというのはマニュアルな形でやられているんだなというふうに思ったわけです。

 マニュアルが悪いわけではないとはいいながら、ただ、やはりこういったマニュアルの作業というのは、手作業で介入をするがゆえに、これは海上保安庁だけの話ではなくて一般論ですけれども、どうしてもそこには人的な間違いというもののリスクは排除し得ないという問題もありますし、作業効率であるとか、あとはその処理スピードとか、いろいろな意味での限界も実際にはあるということも一方であるのかなというふうに思うわけです。

 先ほど、新海上交通センターをつくっていく中で情報処理システムの更新もされていくのだという話がありました。このペーパーがどうなりますかという具体的な話はそれはそれとして、そういった意味でのレベルアップも図られていく、そういう理解でよろしいですか。

佐藤政府参考人 新海上交通センターでのシステムのレベルアップと申しますのは、例えば、海上交通安全法上の航路と港則法上の航路の一体的な管制を行うために、システム的にスムーズに船が流れをつくれるように事前に管制計画をつくるといったようなことができるような新しいシステムにしていくということでレベルアップを図っていきたいと思います。

 今お示しのありました船舶とのやりとりでございますけれども、これは、もちろんインターネットなどを活用したりすることもできますし、あるいは無線で通報することもできます。あるいは電話ですることもできます。

 実は、これは我々本位というよりは、利用者、いわゆる船舶の方の情報通信化がどこまで進んでいるかということでございまして、例えば船によっては通話とファクスしかできない船もございます。

 そういった船に対してはそれ相応の対応をしていかなければならないということで、さまざまなメディアを使って我々としては情報を入手し、あるいは提供していく、このことについては新海上交通センターになっても引き続き行ってまいりたい、このように考えております。

神山(洋)委員 ユーザーの問題というか、ユーザーの方にフレンドリーにするがゆえにそういう多様な形になるというのは重々承知をしておりますが、AISの導入の促進をするということも含めて、可能な限りある意味では省力化をし、効率化をし、間違いが起こらない形にするということは、私自身もそれは極めて大事なことだと思いますので、ぜひ御推進をいただきたいというふうに思います。

 時間的にはあと一つ二つかなと思いますので、航路標識法について数点お伺いをさせていただきます。

 今回の法改正で、非常災害時における緊急措置としてということではありますが、非常災害が発生をし、指定海域において船舶交通に危険が生ずるおそれがある場合に、指定海域または指定港内の危険を防止するための航路標識を設置する緊急の必要がある場合に限り、海上保安庁長官は、現場の船舶に対し航路標識の設置を命じ、または、その際に船舶、船舶用品その他物件の使用や収用、もしくは処分ができるという項目が入っているわけです。

 ここまでの災害時の対応とかいろいろなお話をこれまでも前段伺わせていただきましたので、その必要性は非常によくわかるわけですが、一点気になるのは、これが指定海域、指定港内に限定をされているということについてであります。

 もちろん、先ほど来お話のあります、ふくそうの起きやすい港湾内というところが当然優先度の高いところではあると思うわけですが、しかし、実際にほかの港湾内で、しかも、まさにその地域を直撃するような災害、これは地震のみならずかもしれませんが、例えば地震が発生をしたときに、可能性として、こういうオペレーションが、今回の法改正の中に規定をされているような対応が果たして本当に不要だと今言い切っていいのかなというところが若干疑問が残りました。

 まず、東京湾というところでそういったことに対応する、何といいますか、試行作業をしてみようというのであれば、それはいいわけですが、現時点で、指定されているという意味でいうと、東京湾限りなわけですね。

 逆に言うと、東京湾以外ではこういうことは必要ないというふうに考えているのか、それとも、今後、修正をしていく、またはレベルアップをしていくような余地があるというふうに考えているのか、この点はどちらでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 非常災害発生時、船舶交通が著しくふくそうする指定海域及び指定港においては、多数の航路標識を短時間のうちに復旧し、また新たに設置しなければならない場合が想定されます。

 しかしながら、海上保安庁は海難救助などの他の業務もあわせて行う必要があります。航路標識の設置業務に従事する体制が不足することも想定されることから、今般、航路標識の設置業務を行っている現場付近にいる船舶を当該業務に従事させることができることとしたわけでございます。

 一方、指定海域及び指定港以外の海域についても、非常災害が発生した場合において、航路標識の復旧、設置が必要となる場面が想定されますが、対象となる航路標識数が指定海域ほど多く想定されず、海上保安庁で対応することが可能であると考えられることなどから、現時点においては従事命令の対象とは考えておりませんけれども、実態を見ながらまた今後検討してまいりたい、このように考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 最後に一点だけ、船舶事故に関連をしてということなんですが、事故隻数に占める小型船舶の割合というのは、これは平成二十七年の数字をいただきましたけれども、七五%、四件に三件ぐらいは小型船舶の事故であるというふうに伺っております。まさに今議論させていただいた航路標識法の改正においては、この小型船舶の事故を減少させるということも一つ大きな目的であろうかというふうに承知をしているわけです。

 実際、今回の法改正、標識法の改正のみでこの七五%が劇的に減少するのかというと、私はどうなのかなというふうに思っているところではありますが、今回の改正によってこの七五%をも占める小型船舶による事故隻数はどの程度減少するというふうに見込まれているでしょうか。

佐藤政府参考人 委員御指摘のとおり、船舶事故隻数に占める小型船舶の割合は、平成二十七年で七五%と大変高い数字になっておりまして、この数字を減少させる以外に海難の隻数を減らすことはなかなか難しいのではないかと思っております。

 したがって、その一つの一環として、今回、航路標識法の改正を行うわけでございますけれども、光や電波を発しない簡易な航路標識の設置について、届け出制を導入することによりまして事務手続を簡素化すること、設置に係る基準を明確化することにより行政手続の透明化を図ることなどによりまして、海上保安庁以外の者による航路標識の設置を促進することとしております。

 これらの措置による小型船舶の事故数の減少については、具体的な数値を申し上げることは困難でありますが、マリーナなどの海域利用者による自主的な安全対策が促進されることにより、一定程度の効果があるものと期待しております。

 海上保安庁といたしましても、引き続き、これらの措置を含め小型船舶の事故防止のさらなる対策に努めてまいりたい、このように考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 日本の海運政策について質問します。

 日本は、領海とEEZを合わせた海洋面積で世界第六位を占める海洋大国でございます。先人たちの苦労を経まして、世界の海運業に占めるシェアもトップクラスの海運大国として発展をしてきました。

 しかしながら、省庁間の縦割りであったり、あるいは港湾行政を地方自治体に委ねていることなど、権限がさまざまに分散している結果、釜山や上海のように、中国、韓国などのアジア各国が港湾の大型化を進めて、インフラ整備を進めて、そして貨物取扱量で日本の主要港湾を過去二十年ほど次々と抜いていった。今、日本の国際港湾は非常に危機的な状況に立たされている、このことは、与野党の皆さん、幅広く共有されていることだと思います。

 既に国土交通省は港湾の大型化を、特に主要港の水深を深めていくという方向でさまざまな努力を進めていらっしゃるわけですけれども、私は、本日議題となっております海上交通安全法が定めている十一の航路の活用のあり方、ここにもまだまだ大きな課題があるのではないか、特に、一部航路に課せられております巨大船の夜間航行禁止ということが、事実上そこの航路を一日のうち半分使えないことにしているわけですから、大きなボトルネックとなっているのではないか、そういった観点で質問させていただきたいというふうに思っています。

 来月の二十六日にはパナマ運河の大幅な拡張がいよいよ実現するということで、さらに船の大型化が進んでいく。そういう中で日本がどういう政策をとっていくべきかという問題提起でございます。

 図表一をごらんいただきますと、こちらはこの海上交通安全法が適用される海域及び航路でありまして、全部で十一ございます。

 一枚おめくりいただきますと図表二でございますが、こちらは海上交通法が施行された直後、施行されたのが昭和四十八年ですけれども、翌年、昭和四十九年と、直近、昨年、平成二十七年の十一ある航路の「航路別巨大船通航状況」でございます。

 巨大船というのは、海上交通安全法によって長さ二百メートル以上ということで定められているわけですが、左側の浦賀水道、中ノ瀬航路、こちらはどちらも東京湾でございますけれども、巨大船の通航状況はかなりふえているわけであります。伊良湖水道も、先ほど車のお話がありましたけれども、愛知県の伊勢湾の入り口ですが、こちらも巨大船の通航は大幅にふえております。

 一方で、右側の八つの航路が瀬戸内海にかかわる航路でございますけれども、こちらは減少ないしは頭打ちという状況でございます。今世界で船の大型化が進んでいる中で、瀬戸内海におきましては船の利用、通航が減っているというのが見てとれます。

 一枚おめくりいただきますと、これは港湾の側から見た利用状況ということになりますけれども、一番上の四つの港は全て東京湾です。真ん中から下は瀬戸内海にかかわる港でございますけれども、いずれも、二万トンというのが大体、先ほどの長さ二百メートル、船の形は細長いものと幅のあるものといろいろございますので一概に言えませんが、統計データのあるトン数ベースで見たところでお見せしておりますけれども、この茶色の傾き、巨大船のウエートが、少し見にくいかもしれませんけれども、東京湾ではかなり角度をつけて増加しているのに対して、瀬戸内海では伸び悩んでいるということを示しております。

 図表四に参りますと、こちらは「世界の商船における全長二百メートル以上の船舶の割合」、巨大船というのが世界の商船でどういう形でふえてきたかということを示しています。

 昭和四十七年、海上交通安全法が成立をした年ですけれども、当時世界の商船は五万五千二百九十二隻、うち巨大船は二千百八十四隻でありました。約四%ということになります。そして、巨大船の割合は年々増加をいたしまして、二〇一〇年には八%、二〇一五年には、世界全体の商船が十二万九千二百九十一隻のうち、二百メートル以上で登録されているものが一万一千二百三十四隻、約九%ということでございます。

 先ほども申し上げましたように、ことしからパナマ運河のスペックが大きく向上いたしまして、長さ二百九十四メートルがこれまでのパナマックスのサイズだったものが、これからは三百六十六メートルまで通航可能ということで、喫水も十二メートルから十五メートルまでさらに深まっているということでございますので、さらに船の大型化が進んでいることが容易に想像されるわけでございます。

 図表五をごらんください。

 こちらは民主党政権の最末期、平成二十四年十二月に提示された規制・制度改革委員会での「今後の改革課題」です。これは衆議院選挙の選挙中だと思いますけれども。

 下にございますように、「瀬戸内海航路における巨大船の夜間航行の制限の見直し」ということは、巨大船が福岡から神戸に向かう際に夜間航行できない航路がたくさんあるものですから、普通なら一晩で行けるところを二日間かけて通らなければいけない。もっと言えば、そんな通れない時間があるんだったら、もう水島港や広島港に行くよりもほかの港を使おうということで、瀬戸内海にそもそも巨大船が入ってこないということが起きているわけであります。

 図表六に参ります。

 これはどういう形でルール化されているかと申しますと、海上交通安全法の第二十三条の下部法令であります同法の施行規則第十五条第一項に、海上保安庁長官が巨大船の航行について指示を出せるということが定められておりまして、その中で、各航路について、どういう船がどういう時間帯に通航できるかということが書かれています。

 下の方を見ていきますと、備讃瀬戸東、宇高東、宇高西、備讃瀬戸北、備讃瀬戸南及び水島の各航路は、巨大船について、通航時間帯の基準、昼間に航路を航行すること、すなわち夜は航行できないということであります。その下の来島海峡航路についても同じく、これはさらに厳しいわけですけれども、昼間の憩流時または弱順潮時に中水道を航行することということで、やはり夜は航行できないということになっているわけでございます。

 この夜間航行の規制につきましては、海上交通安全法が制定された当時、当時の運輸省と水産庁の間で何度も議論がなされまして、一つの大きな背景となりましたのが、瀬戸内海の満潮と干潮の、六時間置きに島と島の間の流れが大変きつくなる、その早い潮の流れを利用した、こませ網漁といいますけれども、その潮の流れを利用した漁師さんたちの生活を守っていく、このことが当時大きなテーマとしてあったわけであります。

 図表七をごらんいただきますと、こちらは、ちょっと左側の数字がけさに間に合わなかったんですけれども、岡山県と香川県、備讃瀬戸航路のまさに北側、南側、どちら側にもこませ網漁をしている漁師さんというのは大勢いらっしゃるんですけれども、一番漁獲量の多かった昭和五十五年、右側が香川県におけるイカナゴの漁獲量ですが、岡山県の方も足し合わせますと、二万五千六百四十八トンのこませ網漁漁獲量がございました。直近では、ごらんいただいてのとおり、二千トン前後まで落ち込んでおりますし、右側、その中の中心を占める香川県におけるイカナゴ漁獲量というのはさらに大きく減少しているのが見てとれるかというふうに思います。

 直近の平成二十六年ですと、岡山県、香川県を合わせたこませ網漁全体の漁獲量は二千二百十五トンになっておりますし、その中で最もウエートの高かった香川県におけるイカナゴ漁獲量というのは九百四十八トンということでございます。

 この内訳となるのが図表八でございまして、こませ網漁業をしている船が何隻いるのかということで、平成十五年のベースでは、こちらは、いろいろな漁種があるんですけれども、操業時間が日の出から日没のものは、昼間ですから、時間帯としては夜間航行と直接バッティングしないわけですけれども、昼と夜の操業時間が認められているものを足し上げますと、平成十五年では百五十五隻ということになります。

 ここで農林水産省さんに伺いたいと思いますけれども、直近、平成二十七年では、瀬戸内海海域におけるこませ網漁の夜間操業は隻数ベースで何隻になっているでしょうか。

佐藤大臣政務官 瀬戸内海で行われておりますこませ網漁につきましては、県知事の許可漁業でありますことから、許可隻数が多い香川県及び岡山県に、夜間操業が認められている漁船隻数を確認いたしましたところ、平成二十七年におきましては、香川県の延べ許可隻数百三十九隻のうち、四十三隻であります。また、岡山県の延べ許可隻数七十二隻のうち、三十七隻となっております。

津村委員 今、香川県が四十三隻、岡山県が三十七隻という御答弁でしたが、そのうち、船舶自動識別装置、AISを搭載している隻数は何隻になりますか。

佐藤大臣政務官 これら夜間操業が認められている漁船のうちAISを搭載しているものは、香川県では全ての漁船が搭載している状況にあります。

津村委員 岡山県はいかがですか。

佐藤大臣政務官 岡山県は、ちょっと今のところ数字がまだ把握できておりません。わかり次第、御報告をさせていただきたいと存じます。

津村委員 国土交通委員の皆さん、少し細かい数字の話もしてまいりましたけれども、私が今確認をさせていただきたいのは、この海上交通安全法が施行された時代背景といいますのは、昭和四十八年です、高度経済成長の後期といいますか、当時は、瀬戸内海の水島工業地帯でありますとか広島でありますとか非常に工業が活発になり、阪神港も含めて、当時は神戸港が世界で三位、四位といった、そういう時代に少しでも海難事故を減らそうということで航路というのを設けた。そして、そのときにはAISのような先端の安全装置がまだまだ未熟だったものですから、こうして夜は視界が、なかなか見えないということで、今日から見るとかなり厳し目の規制をした。

 それが約四十年を経て、皆さんと一緒に視察も行きましたけれども、マーチスの設備というのは大変高度化をしているわけでありますし、また一方で、漁業のあり方というのも変遷をしている。そういう中で、こませ網漁の漁獲高は約十分の一以下に減少しているわけでありますし、そうした中で夜間に操業している船も大きく減少している。

 そして、今でも夜間に操業している船は、片方の香川だけの今御答弁でありましたけれども、全ての船がAISをつけている。先ほどからAISをもっともっと普及させるべきだという議論が活発にされていましたけれども、この海域においては夜間操業のものは全て装着している、少なくとも香川側はそうだという御答弁だったわけであります。

 そうした中で、海上保安庁さんはどういう努力をされているかというのが図表九であります。

 これは、つい最近までは備讃瀬戸マーチスのレーダーが届かない海域があった。高見島というところの北側はレーダー不感地帯だったということですけれども、これも海上保安庁さんの努力によりまして、平成二十六年度にレーダーが新設をされて、現在では全てのところでレーダーが感知できる。つまり、船の側では全ての船がAISをつけた、マーチスの側でも全ての海域をレーダーでカバーすることができた。そういう意味で、非常にインフラとしては整ってきたということでございます。

 そうした中で、先般、皆さん思い出していただきたいんですけれども、港湾法の改正の一つの大きなテーマが外航クルーズ船の誘致だったと思います。政府は、この数年で十七万、四十一万という形でふえてきた外航クルーズ船の訪日外国人が昨年は百万を超えた、そして三月の閣議決定で、これを二〇二〇年までに五百万までふやそうということを政府の目標として決められました。

 私はここの委員会で、本当に五百万までふやすためにはバースが足りないんじゃないですかというお話をさせていただきましたが、それはさまざまな既存のバースの活用や新しいバースの新設によって何とかやっていくということでもあったわけですが、瀬戸内海の港の方に伺いますと、そうはいっても、仮にバースがふえても、夜間航行の禁止によって、少なくとも瀬戸内海についてはほとんどこれ以上大きくは外航クルーズ船は入れられない。まさに外航クルーズ船についても、ここでボトルネックが生じているということでございます。

 政府の側でこれから五倍にふやすということを目標として立てられたわけですから、こうしたボトルネックの解消にも御努力をされるべきだというふうに考えるわけでございます。

 これまでの歴史的な経緯がさまざまあると思いますので難しい交渉になると思いますけれども、大臣にこれからの取り組みについて二つ三つ伺わせていただきます。

 まず、瀬戸内海における巨大船の夜間航行と漁業権者の確実な権利保護との両立ということを考えますと、これまでにはなされていない新しいアプローチも場合によっては必要ではないかというふうに思いますが、昭和四十八年のこの法律の立法時には、この問題に関して、当時の佐藤孝行運輸政務次官が、昭和四十七年六月十六日の参議院交通安全対策特別委員会の質疑におきまして、「当然、漁業法第三十九条にも該当する問題ですから、国の責任において補償すべきものと判断いたします。」と答弁をされていますが、この漁業権の補償についての国の立場に変化はございませんか。

石井国務大臣 当時の海上交通安全法案の附帯決議といたしまして、「将来、法指定航路における船舶交通の著しい輻輳により、いかにしても船舶の安全航行と漁業操業の調整がつけがたい場合には、適切な補償措置、代替漁場の提供等によつて国の責任において漁業者の生活権の保護をはかること。」このようにございます。

 この点につき、当時の佐藤運輸政務次官がそのような答弁をされていることは承知をしておりまして、現状においてもこの立場は変わりはございません。

津村委員 本件については産業界の方でもさまざまな努力がされていまして、昭和五十年代には、当時の日本船舶振興会、現在の日本財団のサポートで、魚こまし網漁業安全操業指導事業という、何とか海運業界のニーズと漁業関係者のニーズを折り合わせようという、そうした事業が約五年間行われたということを仄聞しておりますけれども、農林水産省さん、この事業の概要について御説明ください。

佐藤大臣政務官 御指摘の事業についてでございますけれども、多くの大型船舶が航行する海域で漁船の安全操業を確保するために、昭和五十年代に、当時の運輸省が所管する財団法人日本船舶振興会の補助金によりまして瀬戸内海で実施された事業であり、水産庁もオブザーバーとして参加をしていたと承知をしております。

 本事業は、文献によりますと、航路で警戒業務を行う漁船に対して、その対価として手当を支給するとともに、一方で、香川県、岡山県の魚こませ網漁船など共補償も行いながら減船させるということで、航路の確保を図ろうとしたものであるとされておりますが、その実施状況及び成果につきましては、昭和五十年代に行われた事業ということもあり、現在把握はしておりません。

津村委員 現在把握しておりませんということですが、先ほどから申し上げておりますように、外航クルーズ船の誘致の拡大、そしてパナマ運河拡張等の船の大型化、こういったことを考えますと、あるいは中国、韓国のこの分野での台頭ということを考えますと、ぜひ水産庁さんも、過去の経緯を研究していただいて、国土交通省さんとよく連携をしていただいて、この問題の解決に向けて縦割りでない対応をしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、私はさらに深刻だと思いますのは、安全保障上の問題でございます。

 四十年前と比べまして、日本は今護衛艦の新増設をしているわけですね。最近では、空母に近い機能を持ったと言われる「いずも」型の護衛艦、あるいは「ましゅう」型の護衛艦といったものが全長二百メートルを超えているわけでありますけれども、これが例えば呉の自衛隊の基地に入港する、しないということを考えたときに、この巨大船の夜間通航ルールというものがこれに適用されるのかどうか、大臣、確認させてください。

石井国務大臣 全長二百メートルを超える護衛艦は、海上交通安全法上、巨大船に該当いたしますので、夜間航行規制の対象となります。

 ただし、海上交通安全法上、緊急用務を行う船舶であって管区海上保安本部長が指定した船舶については、この航路航行義務等は適用されません。

 自衛艦艇につきましても、自衛隊の部隊の運用であって緊急を要する用務を行う場合にはこれに該当いたしまして、既に「いずも」型護衛艦及び「ましゅう」型護衛艦は緊急用務船として指定済みでございますので、緊急を要する用務の場合は問題はないというふうに考えております。

津村委員 それが実際に適用された例というのはあるんですか。

石井国務大臣 恐縮ですが、突然のお尋ねなので、承知をしておりません。

津村委員 質問通告している、護衛艦の通航というのが円滑にできているかという質問の一環ですので、きょうはともかく、ぜひしっかり確認していただきたいと思います。

 緊急事態、例えば地震であるとか有事であるとか、そういうときは適用されるのかもしれませんが、海上自衛隊の訓練の設計をするときに制約になっているということもあるんだと思います。平時といえば平時かもしれませんが、海上自衛隊の訓練をどういう形で進めていくかというときに、ここがボトルネックの一つになっているのではないかというのが私の指摘でございます。

 質問を続けてまいります。

 ここまでは一つ一つファクトの確認をしてきました。今、こませ網漁というのがどのぐらい減っているのか、AISがどのぐらい整備されてきているのか、マーチスの設備がどれぐらい高度化しているのか、そして安全保障環境の変化もあるのではないか、一つ一つ外側から議論をしてきたわけですけれども、今後どういう形でこのルールを緩和していくのか、あるいはしないのか、そうしたことについて大臣のお考えを伺いたいというふうに思っております。

 これは二百メートル以上の巨大船を夜間航行させないというルールですから、緩和する方向性としては二つあると思っていまして、一つは長さの見直し、もう一つは時間の見直しでございます。

 まず、時間の方から参りたいと思いますけれども、こませ網漁の操業実態を考えますと、夜間航行とバッティングする時間帯というのは実はかなり限定的で、しかも、時期的にも四月、五月、六月が中心、冬にこませ網漁というのは余りしないということだと思います。ゼロではないと思いますが、かなり数字的には季節性そして時間のばらつきというのがあるわけで、ここをうまく仕切れば、この時期、この時間帯は夜間航行が可能だよというすみ分けができると思うんですけれども、大臣、そうした見直しをされるお考えはありませんか。

石井国務大臣 瀬戸内海におきましては、依然として、夜間を通じ、こませ網漁を含めさまざまな漁法による一定の漁船が操業し、漁具を航路に設置するなどの漁法で行われていることがございます。また、夜間の交通量は、貨物船等によりまして昼間よりも増加をすることがございます。こういった状況のもとにありまして、海難を防止するためには、先ほどAISを漁船が搭載しているから位置がわかるではないかという御指摘がございましたが、漁船の位置のみならず、夜間に漁具の位置を把握することも必要となります。これはAISでは残念ながら把握はできません。

 このため、巨大船の夜間航行制限の緩和につきましては、やはり航路を利用する海事関係者や地元の漁業関係者など多くの海域利用者の意見を聞き、対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。

津村委員 このテーマは古くて新しいテーマなわけですけれども、実は、平成十五年度、今から十三年前に、かなり網羅的にこの件について検討されたことがございます。同時に、浦賀そして伊良湖についても検討をその一年前にされて、その二つの航路については規制緩和がなされたわけですけれども、これの中には、一番最後の結論としてこういうふうにあります。

 「これまでの検討において、船舶通航実態、海難の発生状況、漁業操業実態及び視認性の低下等といった面から考察を行った結果、東京湾及び伊勢湾の航行環境とは異なり、昼間の巨大船の航行についても航路外、又は反航レーンへの衝突回避動作の実態がある現時点において、巨大船の夜間航行の安全性が確保できるとは言い難く、また、巨大船の夜間航行に係る問題点の対策については、地元漁業関係者をはじめとした多方面の海域利用者の協力が必要不可欠である。」

 最終的に、結論として「現時点において緩和するための環境が十分に整っていないものと考えられ、将来的な課題とすることが望ましい。」と書いてあります。

 私はこれを強く意識しまして、この船舶の通航実態、ここに例示されているものですけれども、あるいは漁業操業実態、視認性の低下、AISでカバーできると思います。あるいは、昼間の巨大船の航行等についても、先ほどから議論をさせていただきまして、かなり状況は変わってきている。これは「将来的な課題とすることが望ましい。」とあるので、十三年たった今、議論をさせていただいているということであります。

 大臣におかれましては、ぜひこの長さを二百メートルから例えば二百二十メートル、二百三十メートル、日本船主協会さん等が提言されているような数字的なことも含めてぜひ網羅的な検討をしていただいて、これは漁業者の方々の実態というのは確かにきちんと把握しなきゃいけません、一方的な議論をしてはいけないと思いますが、先ほど大臣、やや定性的な、そうはいってもゼロじゃないというお話をされましたけれども、私もそうだと思います。ぜひ緻密な実態把握をしていただいて、あるいは漁業関係者の方とさらにコミュニケーションを深めていただいて、国策として、この航路をしっかりと使っていくというのは確実にニーズが高まっていく一方だと思いますので、ぜひ大臣には的確な実態把握と網羅的な検討をお願いしたいと思います。御見解を伺います。

石井国務大臣 海上交通安全法は、多くの関係者の理解を得るためにさまざまな調整、協議を経て制定されたものでございます。漁業関係者と海運関係者がお互いに譲り合う精神で取り組んでいくことが今後とも必要不可欠と考えております。

 私といたしましても、瀬戸内海の航行環境の実態把握に努めながら、漁業と海運との共存共栄が図れるようにしてまいりたい、このように考えております。

津村委員 実態把握をしっかりとして、そしてこの問題について網羅的な検討をしていただくということをお約束していただけますか。

石井国務大臣 網羅的な検討というのがどういう意味か、正確には把握をしておりませんけれども、先ほど申し上げたように、実態把握に努めながら、漁業と海運との共存共栄が図れるように努めていきたいというふうに考えております。

津村委員 ぜひしっかり事実に即した検討をしていただきたいと思いますし、その成果を私たちにも共有していただきたい、国民の皆さんにも共有していただきたいというふうに思います。

 最後に、日本の海運業界にとってもう少し将来の大きなテーマになるんですけれども、一点だけ問題提起させていただいて、終わりたいと思います。

 図表十をごらんいただきますと、「北極海航路の概要」をお示ししております。

 日本は、スエズ運河のインド洋航路といいますか、南回りの航路に大変大きく依存しているわけですけれども、今このグラフの左側をごらんいただきますと、北極圏域の海氷が、温暖化によりまして、年によって大きな振れはあるんですけれども、トレンドとしては減少傾向にある。そういう中で北極海航路についての分析というのを各国も進めてきておりますし、日本でも、昨年の十月に「我が国の北極政策」という政策パッケージをまとめたところでございます。

 そうした中で、中国や韓国は、砕氷船等の北極研究を始めておりまして、日本が若干出おくれているのではないかということを私は大変心配しているんですけれども、今後の北極海航路の可能性、気象的な条件であるとか、あるいは通航可能な貨物量というのはどのぐらいであるとか、中国の研究機関によりますと、あと二十年ほどで一〇%から一五%の海上貨物が北極海を通るのではないか、そういった国営企業による分析もあるそうですけれども、国土交通省さんとして、北極海航路の将来性について定量的な研究をされているのか、そして日本の海運業界にどういう影響を与えるとお考えになっているのか、大臣に伺いたいと思います。

石井国務大臣 北極海航路は、スエズ運河経由と比較いたしまして、航行距離を約六割に短縮できるほか、海賊多発地域を回避できることなどから、欧州と東アジアを結ぶ新たな選択肢となる可能性はあると認識をしております。

 特に、ロシアのヤマル半島における天然資源開発によるLNGの輸送につきましては、我が国外航海運企業も参入する運びとなっておりまして、北極海航路における事業経験の蓄積が期待をされるところでございます。

 一方で、コンテナにつきましては、香港、シンガポール等の寄港地を経由して集荷するビジネスとなっているほか、近年では、原油価格が下落しているという状況の中で、利用が夏のシーズンに限定されている北極海航路へのニーズは顕在化している状況にはないと承知をしてございます。

津村委員 ありがとうございます。終わります。

谷委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の三番目の水戸将史でございます。

 質問も五人目になると非常に重複しておりますので、なるべく、重複したことはお許しいただきながら、また真摯な御答弁をよろしくお願いしたいと思っております。

 今回の法改正もそうなんですけれども、以前、平成二十一年の段階でも法改正をされているんですね。平成二十一年の通常国会において交通安全法や港則法も改正をされておりますけれども、そもそも、これは第二次の、その当時の交通ビジョンをもとにして、そして改正をされております。特に安全対策につきましては前進があったのかなということは記憶にあるわけでありますけれども、その当時、どのような問題点があったかということを認識されていますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 当時、過去十年間における海難の発生隻数は減少することなくほぼ横ばいで推移しており、特に、船舶交通がふくそうする東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡においては重大な海難が後を絶たない状況にありました。

 また、我が国の海域特性等を熟知しない外国人船員、外国船舶の増加、船舶の大型化などを背景とした海難の発生リスクの高まり、船舶自動識別装置の搭載義務船舶への搭載の完了など、海上交通に係る環境も大きく変化しておりました。

 そこで、平成二十二年の当該改正では、これらを踏まえて船舶交通の安全性の向上などを図るため、一定の航路における追い越しの禁止、海上保安庁が提供する情報の聴取義務、危険防止等のための勧告の制度化、港内における異常な気象等による危険を防止するため、船舶に対し港内からの退去などを命ずることを講じたところでございます。

水戸委員 経過説明をいただきました。

 では、いわゆるその法改正に基づいて、それで打ち出された施策がどれほどの効果を今に至ってもたらしているかということについては、どのような形で総括されていますか。

佐藤政府参考人 ふくそう海域に限定して申し上げますと、海難隻数は約半減したところでございます。

水戸委員 相対的に言えば、かなり交通安全対策には寄与している、半減したというように御答弁がございました。

 先ほどから、AISにつきましては、船舶自動識別装置というんですか、このことについてはいろいろと議題として上げられているわけでありますけれども、この普及というものが飛躍的に安全性にも寄与しているのではないかということになっているんですけれども、このAISを船舶に搭載することをある程度義務づけていますよね、これに対してどのような効果があったのかについては具体的にどういうふうになっていますか。

佐藤政府参考人 平成二十年からAISの搭載が義務化されましたが、その前後の期間で五百トン以上の船舶同士の衝突事故の件数を比較すると、およそ半減となっております。

 海上保安庁としても、例えば、悪天候下においてAIS搭載船舶の動静を監視し、いかりをおろしたまま船が移動してしまう走錨といったようなもの、あるいは乗り上げしそうな船舶があれば注意喚起するなどして、船舶事故のさらなる減少に活用しているところでございます。

水戸委員 AISをどの程度普及し、また義務化させるかというのがこれからの大きな課題だと思っています。今は五百トン以上という話でありましたけれども、それをどうするかということはまたこれからの大きな課題だと思っています。

 そもそも今回の法改正も、やはりいろいろな経過を反映して、そして今回の法改正に至ろうとしているんですけれども、先ほど言ったように、交通ビジョンというのは、かなり、法改正に対しましては、それをもとにしてということになっています。

 前回の法改正から今回の法改正に至るまで、交通ビジョンも五年に一遍でありますから、第二次から第三次交通ビジョン、これは平成二十五年十月からもう既に第三次の交通ビジョンが打ち出されているんですけれども、いわゆる第二次から第三次に至るまでのこの五年間、第二次の交通ビジョンをどういう形で総括して、そしてこの結果が第三次交通ビジョンに反映されているのか。

 また、その第三次交通ビジョンをもとにして今回はその他法改正をするということでありますけれども、こういう第二次から第三次、そしてこの第三次が今の法改正に与えるそうした影響というか、どういう形でこれを今回の法改正にも反映されているかということを具体的に教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 第二次交通ビジョンでは、先ほど申し上げましたように、海難の発生隻数が減少することなく、当時はほぼ横ばい状態で推移していた、特に、船舶交通がふくそうする東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡においては重大な海難が後を絶たない状況でございました。

 そういう中で、先ほど申しましたように、AISの登場というのがかなり画期的なことでございましたので、これらを活用して、船舶の管制のいわゆる指示権限、命令権限、あるいは勧告制度といったものを新たに設けまして、また、船舶の方には海上保安庁の情報の聴取義務というものを新たに付加しております。そのことによってコミュニケーションが図れるようになり、そして、船舶に対して海上保安庁からさまざまな安全情報を事前にお渡しすることができるようになった。そういったことも相まって、事故が先ほど申しましたように半減していったということでございます。

 そこで、第三次交通ビジョン、先ほど委員御指摘のとおり、平成二十五年十月に交通政策審議会の方で答申が出されております。ここでは、大規模災害発生時における船舶交通の安全対策と港内船舶交通の効率化、安全対策などの今後五年間に講ずべき重点施策が示されたわけでございます。

 これは、先ほど申しましたように、海難の隻数の減少には、第二次交通ビジョンを受けて、それに対する施策を講じた結果減少していったわけでございますが、一方で、災害発生時の対応というのはまだ完全に、十分ではなかった、あるいは、ふくそうしている、あるいは混雑している東京湾などにおける交通の整流化という問題に関しては必ずしも適切な対応になっていなかったということで、第三次交通ビジョンでそのような施策を盛り込んできたわけであります。

 一方、第十次交通安全基本計画というのは、これは平成二十八年度から五カ年ごとに講ずべきことになっておりまして、交通安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱として、ことしの三月に定めております。

 これは、この中でも海上交通の安全に係る施策として、ふくそう海域における一元的な海上交通管制等に係る制度改正も含まれております。

水戸委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども。

 第十次交通安全計画というのは今から質問しようと思ったんだけれども、先に答えちゃったんですけれども。

 第二次から第三次に引き継がれている。第二次の交通ビジョンをもとにして二十一年に法改正されて、いわゆる平成二十五年十月からスタートした第三次の交通ビジョンに基づいて今回の法改正がされるということなんですね。

 しかし、先ほど長官も、今いみじくもおっしゃっていただいたけれども、第十次交通安全計画というのもまたあるんですね、いろいろなものがありまして。この第十次交通安全計画というのは、おっしゃられるとおり、ことしからスタートしている。これも五年の計画です。

 交通ビジョンがあって、交通安全計画があって、結局、この関係がどうなっているのか、いまいちよくわからない。これがまさしくうまく交通整理されているのかという話であります。

 今、ちょっともう一回教えてもらいたいんだけれども、第十次交通安全計画と、その前に出された第三次交通ビジョンというものがあるんですけれども、新しく平成二十五年の十月に出されたいわゆる第三次交通ビジョン、今年度からスタートしている第十次交通安全計画ということでありますから、これはどういう形でうまくリンクしているのかな、またリンクしていない部分もあるのかなということで、これに対してはどのような形で両者は整理をされているんですか。

佐藤政府参考人 第十次交通安全基本計画と申しますのは、政府全体として交通安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱として五年ごとに定めているものでございます。

 一方、交通ビジョンは、国土交通省に所属しております海上保安庁が独自に、海上交通の安全対策として、今後、ビジョンとして、どういうふうに我々の施策を展開していくかということを定めているものであります。

 当然これは第十次交通安全基本計画にも反映されるべきものでありますので、これらは相互に深く関連しているということでございます。

水戸委員 だから、結局、第三次交通ビジョンは三年前に出されているから、第十次交通安全計画にどれだけ反映されているかということを具体的に聞きたいんですけれども、それはわかりますか。

佐藤政府参考人 第十次交通安全基本計画にも、先ほど申し上げました、第三次交通ビジョンで申し上げております一元的な海上交通管制の構築に係る制度のあり方についての制度改正も含まれているところでございます。

水戸委員 大臣、こうやって何か折り重なってこういうような基本計画とか交通ビジョンとか出されているので、これはしっかりとした形で整理しておく必要があると思うんです。

 先ほども若干お答えになったと思うんですけれども、今回の法改正で一元的な管制システムを導入するということになりますが、これによってどのように混雑が緩和されるのかということなんですね。

 どれだけ効果を求めているのかということと、また、例えば我々自身の記憶にもある「なだしお」という海難事故、衝突事故がありました。多くの犠牲者を出してしまったんですけれども、こうした一元的な管制システムを採用すれば、こうした衝突事故等々を含め、未然に防ぐことは可能なのか、完全でないといたしましても、いわゆる未然防止の可能性は高まるかどうか。

 こういうような海難事故にどれだけ寄与するかということについては、どのような御見識を持っていらっしゃるでしょうか。

石井国務大臣 まず、災害時でございますけれども、東日本大震災発生時には東京湾の中央部における錨泊隻数が四百隻にまで増加するなど非常に混雑した状況となったことから、今次改正におきまして、避難船舶の安全な海域への移動を命ずることなどにより、東日本大震災の際のような危険な状況を解消することができるというふうに考えております。

 また、平時でございますけれども、東京湾では、入港する船舶が集中する時間帯には湾の入り口付近で渋滞や信号待ちが発生していることから、今般の改正におきまして、入港時刻等を指示することなどにより渋滞等が解消できるというふうに考えております。

 これにより、東京湾口から京浜港の東京西航路までの航行時間は、現在の約百八十分から平均で約二十五分程度短縮されることになります。

 また、今般の法改正により東京湾内の船舶事故が減少するのかということでございますけれども、平時における混雑緩和によりまして船舶同士の接近を防止することができるなど、安全性の向上にも資するものであるというふうに考えてございます。

 なお、船舶事故の減少につきましては、今般の法改正による安全性の向上のほか、海難防止に関する啓発活動など、他の施策と相まって効果を発揮させていきたい、このように考えております。

水戸委員 一元的な管制システムが、もちろん混雑緩和ということと同時並行的に、衝突事故、海難事故の未然防止にもつながることを私も大きく期待をして、この推移を見きわめていきたいと思っております。

 そういう中において、災害の話はもういろいろな方々がされましたので割愛しますけれども、海域別に見た場合の港湾等での船舶事故については、先ほども若干御説明がありましたとおり、減少傾向にあると言えるんですね。しかし、ふくそう海域、準ふくそう海域等々で、その話も若干出ておりましたけれども、事故はほぼ横ばいか上昇傾向にあるということがわかります。

 この原因についてはどのような形で分析されていますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 平成二十七年の船舶事故隻数は二千百三十七隻であり、うち、ふくそう海域五百六隻、準ふくそう海域二百二十五隻、港内六百八十八隻となっており、ふくそう海域、準ふくそう海域及び港内における事故が約七割を占めております。

 船舶の種類別としては、どの海域においてもプレジャーボート、漁船等の小型船舶の事故が多く、約七割ないし八割を占めております。

 事故の種類別としては、どの海域においても衝突が最も多く、二割ないし四割を占めており、次いで機関故障、乗り上げなどという順番になっております。

水戸委員 事故の種類別を見ると、船舶の事故件数について、衝突事故はいろいろな交通混雑緩和も含めて減少トレンドにあると言えるんですけれども、しかし、それ以外の船舶事故については横ばいで推移しているような状況なんですね。それはなぜなのか。

 また逆に、事故減少の原因は、減っている部分に関しては何であるという、いろいろな事故に対しての傾向をどういう形で捉えているのかということと、また、本改正案が海上保安庁の行う交通安全施策にどのような形で反映をされているかということを簡潔にお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 我が国の周辺海域での過去十年間における船舶事故の年間平均隻数は約二千三百八十八隻で、平成十九年の二千五百七十九隻をピークに減少傾向にあり、平成二十七年の船舶事故は二千百三十七隻となっております。

 船舶の種類別に見ますと、平成二十七年においてはプレジャーボート、漁船等の小型船舶による事故が千五百九十六隻で全体の約七割を占め、この割合は過去十年間においてほぼ横ばいの状況となっております。

 また、事故の種類別で見ますと、平成二十七年においては、衝突六百二十隻、機関故障三百五十一隻、乗り上げ二百六十三隻の順になっており、過去十年間では、衝突事故について減少傾向ですが、他の事故についてはほぼ横ばいの状況でございます。

 さらに、船舶事故の原因別で見ますと、見張り不十分などの操船者の不注意によるものが多く、操船者みずからが安全意識を十分に持つことが重要となっています。

 このため、海上保安庁では、海事関係者と連携を強化するとともに、海難防止講習会などあらゆる機会を通じまして海上交通のルールの遵守、安全航行の励行について指導し、海難防止思想の幅広い普及を図ってまいりたいと考えております。

水戸委員 法改正がどれだけこうした事故件数の減少に貢献できるかということも、やはりこれも見きわめていきたいと思っております。

 最後になりました。もう時間がありませんので、航路標識について何点か御質問したいんです。

 この航路標識、先ほども神山委員からもお話がございましたけれども、いわゆる維持管理、これがなかなか回らないというようなことを聞いているんですね。適切な維持管理がなされているか確認できない状況であるというふうに承っているんですが、特に問題はないんですか。それとも、この現状をどういうふうに考えていらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 航路標識の維持管理につきましては、海上保安庁が管理しております航路標識につきましては当庁で定期的に保守管理を行っております。

 また、民間の方が保守管理しているものにつきましては、もしふぐあい等が見られた場合には、海上保安庁の方から指導を行って、改善をさせるようにしているところでございます。

水戸委員 やはりしっかりとした把握をしていないということが私は問題かと思っているんです。

 例えば小型船舶の事故防止に関して、航路標識の設置はやはり重要だと思っているんですけれども、本改正によって、大臣、標識の設置はどの程度進むと見込んでいらっしゃるのか、また、どのようなものを対象として設置を進めるというふうになるのかということについてはどういうふうな御見識でしょうか。

石井国務大臣 現在は、海上保安庁以外の者が航路標識を設置する際には海上保安庁長官の許可が必要とされておりますが、この許可に係る事務の煩雑さ等が、海域利用者による自主的な安全対策に必要な航路標識の設置が進まない一因ではないかと考えております。

 このため、今般の改正では、光または電波を発しない簡易な航路標識を設置しようとする際は届け出で足りることといたしまして、事務手続を簡素化することにより、海上保安庁以外の者による航路標識の設置を促進することとしてございます。

 また、これに加えまして、従来は航路標識の設置及び管理に関する基準が明確になっておらなかったわけですけれども、これを明確化することによりまして行政手続の透明化を図り、海上保安庁以外の者が航路標識を設置しやすい環境を創出することとしてございます。

 具体的な数字をお答えするのはなかなか難しいわけでございますけれども、一定程度の航路標識が設置されることを期待しているところでございます。

水戸委員 時間が参りました。皆さんの鋭意努力を期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 海上交通安全法、南海トラフ巨大地震にかかわって伺いたいというふうに思います。

 まず基本的なことを確認したいというふうに思います。

 伊勢湾は、名古屋港、四日市港、衣浦港が含まれ、大規模な港がございます。この海上交通安全法は伊勢湾も適用があるというふうに思いますけれども、今度の改正案では指定海域は政令で定めるというふうになっておりまして、東京湾が想定されているということですけれども、伊勢湾には必要ないと考えているのか、その点を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えします。

 伊勢湾は海上交通安全法の適用海域となっております。伊勢湾における管制の一元化の適用につきましては、今年度から、船舶交通の状況や安全上の問題について地元自治体や海事関係者の意見を聞きつつ、所要の調査を実施してまいる所存でございます。

本村(伸)委員 東日本大震災のときに海上交通の混乱があったということも今回の法改正の理由とされておりますけれども、南海トラフ巨大地震が来た場合、伊勢湾でも交通トラブルが起こる可能性があるのではないかというふうに思いますけれども、その点、伺いたいと思います。

    〔委員長退席、小島委員長代理着席〕

佐藤政府参考人 お答えします。

 今後発生が予想されている南海トラフ巨大地震では、伊勢湾内の沿岸部において二メートルから五メートル程度の津波の発生が予想されており、各港から避難する船舶などにより、湾内の船舶交通の危険が生じる可能性があります。

 そのため、伊勢湾においては、これまでも、震災対応マニュアルを見直し、関係者とともに必要な訓練を行うなど、対応能力の向上を図ってきたところでございます。

 また、現行の港則法三十七条第三項の規定に基づく港外への退去命令や、海上交通安全法第二十六条の規定に基づく航行禁止の措置などを活用し、適切に対応していくこととしております。

 今後とも、関係機関や海事関係者などとともに、各種対策の実効性を向上させるための情報共有や訓練を行うとともに、確実な安全対策の構築に向け、検討を行ってまいります。

本村(伸)委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。

 熊本、大分の大きな地震がありまして、南海トラフにも影響があるのではないかというふうに言われております。この南海トラフ巨大地震、津波というのはいつ起きてもおかしくないというふうに言われている中で、防災対策は急務だというふうに思いますけれども、この点について幾つか伺いたいと思います。

 まず、南海トラフ巨大地震では、中部地方では最大でどのくらいの規模の津波の被害があると想定されているかについて、国交省の中部地方整備局の二〇一四年四月一日に出されております南海トラフ巨大地震中部ブロック地域対策計画には被害想定はどう書かれているか、お示しをいただきたいと思います。

金尾政府参考人 中部ブロック地域対策計画は、平成二十六年四月に策定した国土交通省南海トラフ巨大地震対策計画に基づき、国土交通省の中部ブロック地方支分部局等が取り組むべき対策をまとめたものでございます。

 本計画では、南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害想定として、平成二十五年五月に中央防災会議が「南海トラフ巨大地震対策について」で公表した県別の被害想定に基づき、中部ブロックにおいて、津波による死者は最大で約十三万三千人、救助を要する人は最大で約一万二千人と記載しております。

本村(伸)委員 大変な事態が想定をされております。

 国交省は津波防災地域づくりに関する法律に基づいて津波対策をしておりますけれども、その進捗状況についても伺いたいと思います。とりわけ、津波浸水想定、津波災害警戒区域、それぞれ幾つの都道府県、地域で指定されているのか、お答えをいただきたいと思います。

金尾政府参考人 津波防災地域づくり法に基づいて設定する津波浸水想定は、海に面している三十九の都道府県のうち、現在、二十七府県で設定されております。また、津波災害警戒区域については、このうち四県で指定をされております。

本村(伸)委員 津波災害警戒区域の指定が四県にとどまっているということですけれども、なぜこのようにおくれているのかという点、伺いたいと思います。

金尾政府参考人 津波に対する警戒避難体制を整備するためには、津波防災地域づくり法に基づき、都道府県が津波災害警戒区域の指定を進めることが重要と考えております。

 警戒区域は、現在のところ、徳島県、山口県、静岡県、和歌山県の四県での指定にとどまっておりますが、必ずしも制度に関する都道府県の理解が深まっていない場合がございます。また、指定に当たりましては関係市町村の意見聴取が必要となりますが、市町村の理解が得られていない場合もあると聞いております。

 このため、国土交通省では、警戒区域の指定を促すため、都道府県及び市町村に対し説明会の開催等に取り組んでおるところでございます。

 平成二十八年度に入り三県で指定が進んでおりまして、国土交通省としては、今後とも、都道府県、市町村との連携を密にして警戒区域の指定促進に努めてまいります。

本村(伸)委員 後ほど質問をさせていただきますけれども、この津波災害警戒区域に指定されていないがゆえに有効な施策も使えないという現状がございます。この点、ぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。

 津波防災地域づくり法では、市町村は、国交大臣の基本指針あるいは津波浸水想定に基づいて津波防災地域づくりの推進計画をつくることになっておりますけれども、どのくらいの市町村でつくっているのか、お示しいただきたいと思います。

毛利政府参考人 津波防災地域づくりに関する法律に基づきます推進計画でございますけれども、これを作成した市町村は、静岡県で三市、和歌山県と宮崎県で一市一町、合計五市町でございます。

 また、津波浸水想定が設定されました二十七府県のエリアに存在する四百三十六の市町村のうち、計画を作成中または作成検討中の団体は、これ以外、二十一あると承知をいたしております。

本村(伸)委員 現在つくっている自治体が五つの自治体にとどまっている、この法律の活用が全く進んでいない現状があるというふうに思います。

 先ほども被害想定を述べていただきましたけれども、南海トラフ巨大地震というのはいつ起きてもおかしくないというものですから、切迫感を持ってこの推進計画、各自治体につくってもらう必要があるというふうに思いますけれども、その点はどうかという点を伺いたいと思います。

 また国交省は、この法律のQアンドA集というのをつくっているんですけれども、そこでは、市町村に対して指導の予定もないし、マニュアル作成の予定もないというふうに書かれております。こういう結果が、やはりこの推進計画が策定されていない、おくれた現状を引き起こしている一因ではないかというふうに思います。

 このQアンドA集の改定は当然だというふうに思いますけれども、できることは全てやるという立場で対応を改めるべきだというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

毛利政府参考人 推進計画を作成する意義は、津波浸水想定を踏まえまして、さまざまな主体によるハード、ソフト施策を総合的に組み合わせることで、大津波に対応するための具体的な姿を市町村が地域の実情に応じまして総合的に描くことにあるというふうに理解しております。

 地域の発展もあわせて展望できる津波防災地域づくりを実現するために、生活の安定や経済の活性化など、まちづくりに関する方針ですとか、地域防災計画等との整合性も求められておりまして、作成に当たっては実際上考慮すべき事項も大変多いと考えます。

 こうした状況を踏まえまして、これまで市町村や県への説明会を繰り返し行ってまいりましたけれども、新たに市町村職員に対する津波防災地域づくりの研修コースを今年度から創設するようにいたしております。

 また、既に計画を作成した市町へのヒアリング結果を踏まえまして、技術的支援の一環としまして、御指摘もありました、先行事例の横展開を含む推進計画作成のガイドラインの作成も進めてまいりたいというふうに考えております。

    〔小島委員長代理退席、委員長着席〕

本村(伸)委員 既にこの推進計画があるところでは、住民の皆さんへの説明会も含めて住民の皆さんの意識化にもつながっているというふうに思いますので、早急に進めていただきたいというふうに思います。

 被害が甚大であるというふうに想定をされております三重県の南伊勢町の現状についてお話を伺いました。

 この町は、先ほど挙げた中部地方整備局の想定でも最大クラス二十メートル以上の津波が想定されている地域です。こういうところですけれども、町議さんのお話をお伺いいたしますと、一次避難所は一応あるけれども屋根がない場所だ、加えて、二次避難所も足りない状況がある、学校や体育館、保育園などがあればいいけれども、ない場所もあるんだ、また、高台移転の計画はないという現状だそうでございます。

 巨大地震がいつ起きてもおかしくないわけですから、切迫感という点でもまだまだという感じがしてならないわけです。

 今まで津波防災地域づくり法の活用状況の現状をお伺いいたしました。そして、南伊勢町の現状もお話をさせていただいたんですけれども、大臣は、こういう現状を聞いて、こういう現状で本当にいいんだろうかというふうに思われているのか、感想についてまず伺いたいと思います。

石井国務大臣 南海トラフ巨大地震など、切迫する大規模な地震、津波災害から国民の命と財産を守ることは極めて重要な課題でございます。

 このため、ハード、ソフト対策を総動員いたしまして防災・減災対策に取り組むことによりまして、被害を未然に防ぐとともに、その被害を軽減することに全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 具体的には、平成二十六年四月に策定をいたしました南海トラフ巨大地震対策計画に基づきまして、避難路、避難場所の確保、高台等への移転を含む津波防災地域づくりの推進、津波浸水を軽減させる施設の整備等の実効性のある対策を地方公共団体と連携をしながら推進しているところでございます。

 今委員から御指摘がございました三重県の南伊勢町につきましても、防災・安全交付金により昨年度から津波避難施設の整備等への支援を行っているところでございます。

 現在、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しておりまして、引き続き、国土交通省の総力を挙げまして国民の安全、安心の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 南伊勢町の日本共産党の町議さんに伺ったんですけれども、何度も高台移転の計画を進めることを町議会でも求めております。

 実際に町内には高台移転を希望されている方はおられるそうですけれども、高台移転といっても平地がない、山腹に移転用地を造成しなければならない、高台に家を建てようと思っても水がない、道がない、なかなか難しい現状がある、こういう厳しさを抱えている。このハードルを取り除いて、高台移転が進むようにしなければいけないというふうに思います。とりわけ災害弱者の方がやはり心配なわけですけれども、そういう点の配慮も必要だというふうに思います。

 それで、この町議会の中で町からこういうふうに答弁が返ってきているということですけれども、国土交通省の施策で防災集団移転促進事業というのがあるんですけれども、この事業は災害発生前の事前移転は条件的にかなり厳しい、かなり難しいというふうに答弁をされております。要するに、今のままでは南伊勢町では使えないというふうに考えられているものだというふうに思います。

 甚大な被害に遭うということが想定されている地域において、命を守る、町を守る、そのために高台移転ができるように、高台移転の事業をもっと使いやすく改善するべきだというふうに思います。南伊勢町でも使えるように、その条件の緩和ですとか、緊急にやっていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁を伺いたいと思います。

石井国務大臣 防災集団移転促進事業は、災害危険区域など、災害による危険性の著しい区域からの住居の集団的移転を促進するため、移転先となる住宅団地の造成や移転元の土地の買い取りなどを支援する事業で、東日本大震災では津波被災地において数多く活用された制度でございます。

 仮に災害発生前の地域でこの防災集団移転促進事業を実施しようとした場合には、現に日常生活を送っている住民の方々が移転することについて合意形成を図る必要がございます。また、移転先におけるコミュニティーの形成や町の活力やにぎわいの維持など、多くの課題があるものと考えてございます。

 この問題につきましては、南伊勢町に加えまして、ほかの自治体からも御相談を受けておりまして、それぞれの実情や具体的なニーズを踏まえながら、必要な制度の見直しにつきまして適切に対応していきたいと考えております。

本村(伸)委員 小さい町でもそれぞれ使えるようにぜひ改善を図っていただきたいと思います。

 また、自治体の負担分についてなんですけれども、起債した場合、返済も二十年とか三十年では難しいんだ、超長期に返す仕組みもつくってほしいというお話もありましたので、その点も含めて検討していただきたいと思います。

 次に、名古屋港の安全について伺いたいというふうに思います。

 名古屋港の場合、ポートアイランドというものがありまして、海の真ん中にあるんですけれども、予定よりもしゅんせつ土砂を積んでいる現状がございます。南海トラフ巨大地震、津波が起きたときに、この土砂が流出して航路を塞いでしまうのではないかという懸念があるわけです。そういうことがないように防災対策をぜひ進めていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 名古屋港では、利用船舶の大型化に対応した航路、泊地の拡幅、増深等のため、しゅんせつ事業を進めております。土砂処分場であるポートアイランド地区において、発生するしゅんせつ土砂の受け入れを行っているところでございます。

 仮置きするしゅんせつ土砂につきましては、最大クラスの地震、津波に対する安全性の評価を行っておりまして、主要航路が埋没することがない仮置き土砂の高さを確認しております。

 仮置きに当たりましては、その範囲で運用を行っておりますので、南海トラフ地震等による津波が来た場合におきましても、ポートアイランド地区の土砂が流出して航路が埋没することはないものと考えております。

本村(伸)委員 この名古屋港の防災機能強化については、名古屋市、愛知県、名古屋港管理組合、そして経済団体からも国へと要望が出されております。早急に進めなければいけないというふうに思います。

 具体的には、名古屋港の高潮防波堤のかさ上げ、強化については、日本共産党も名古屋市議団を中心にずっと、地震のときに沈下してしまうんだということも指摘しながら、ぜひ強化をやってほしいということで質問をし、今事業を進めていただいておりますので、その点については歓迎をしているわけです。

 この高潮防波堤の事業と同時に進めていただきたいのが、防潮壁の地震における液状化対策、沈下対策、これをやっていただきたい、そして津波発生時の耐久性、この調査をやってほしいんだ、この耐久性の調査をした上で、早急に機能の強化を図ってほしいというお声もございます。高潮防波堤の改善とあわせて、防潮壁、そして河川の堤防を組み合わせた津波対策をやってほしいんだというお声がございます。

 また、中川口の通船門の前面に津波専用の水門を展望台と一緒につくって、津波避難所として活用できるようにしてほしいというお声も、これは超党派、今申し述べたものは全て超党派で地元の皆さんが声を上げているところです。ぜひ早急に対応をしていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 名古屋市の住民の安全、安心を確保するため、名古屋港における津波、高潮対策を推進していくということは大変重要であるというふうに認識をしております。

 対策を進めるに当たりましては、名古屋港に複数の河川が流入していることを踏まえまして、それらと一体的な整備を進めていくことが必要でございます。

 このため、津波や高潮に対しまして必要な堤防の高さを確保するとともに、地震により堤防が壊れたり沈下することがないよう、海岸管理者である名古屋港管理組合が河川管理者ともしっかり連携し、防災力を高める取り組みを行っているところでございます。

 具体的には、名古屋港管理組合におきまして、護岸の地盤改良や陸閘の改良などの津波対策や液状化対策を実施しております。国土交通省といたしましては、防災・安全交付金等によりまして、引き続きその取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 また、御指摘の中川運河通船門の前面に新たに水門を設置するという点でございますが、この点に関しましては、地元で現在さまざまな議論、検討がなされているというふうに承知しております。国土交通省といたしましても、こうした議論、検討をしっかり見守ってまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 国交省は河川管理者でもございますから、河川の方の対策も進めていただきたいというふうに思うわけですけれども、堀川、日光川、中川運河の水門、そして荒子川のポンプ所について、大規模地震と津波に対応できるように、まず耐久性の調査をして、その上で機能強化を図ってほしい、そして、堤防、護岸についても早急に機能強化を図ってほしい、日光川については新水門の早期完成を図ってほしい、これは地元の超党派の声です。ぜひこの事業を早急に進めていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いいたします。

金尾政府参考人 愛知県が管理する日光川においては、既に実施している耐震性能照査の結果に基づき、地震、津波への対策を実施しているというふうに聞いております。

 具体的には、矢板打設による堤防の液状化対策を実施するとともに、耐震性が不足している現在の日光川水閘門にかわる新たな水閘門を平成二十九年度完成を目指して整備していると聞いております。

 名古屋市が管理する堀川については、堤防を有さない掘り込み形状であることから、堤防の耐震対策は不要であるというふうに聞いております。

 同じく、名古屋市が管理する荒子川ポンプ所については、大規模地震、津波に対する性能の照査の結果に基づき、今年度は設計を行いまして、その後速やかに対策工事を実施する予定と聞いております。

 また、名古屋港管理組合が管理する堀川口防潮水門及び中川運河通船門については、大規模地震、津波に対する性能の照査の結果に基づき、耐震対策等を実施しており、早期完了を目指し、整備促進を図っていると聞いております。

 国土交通省といたしましては、愛知県等の御要望をお聞きした上で、今後とも防災・安全交付金等により支援を実施してまいります。

本村(伸)委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。

 名古屋港は総取扱貨物量が日本一多い港でございます。そこにはコンテナとか完成車とかが大変多いわけですけれども、津波が来たときに、そのコンテナ、完成車が流出をして、被害を広げてしまうのではないかという懸念もございます。被害を広げないような対策をぜひとっていただきたいと思います。

 名古屋港、三河港もそうですけれども、その対策がどうなっているか、ぜひお示しいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 津波によりコンテナや完成自動車が流出した場合に、航路や泊地に沈没し、船舶の航行に支障を与えるとともに、市街地に流れ込み、被害を与えるおそれがあることから、国土交通省といたしましても、コンテナ等の流出対策は非常に重要な課題であると認識しております。

 海岸管理者によるハード面の対策といたしましては、コンテナや完成自動車がターミナルから流出することを防止するため、流出防止柵などの漂流物防止施設の整備を防災・安全交付金により支援しているところでございます。

 また、民間事業者による対応といたしましては、コンテナについては、固縛や重量を増すための多段積み等の工夫が行われるとともに、完成自動車につきましては、遠地津波に対しましては内陸や建屋内に移動するなどの措置が講じられているところでございます。

 国土交通省といたしましては、港湾における流出物対策をしっかり進められるよう、引き続き海岸管理者を支援してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 津波の際に、何よりも命が失われることがないように、まず高いところに逃げなければならないということですけれども、愛知県内でも、命山ですとか津波避難タワーですとか、少しずつですけれども動き出しております。

 もう一つ、津波避難ビルというのも大事だというふうに思います。

 この津波避難ビルの指定をされた建築物に、地方税法に規定された固定資産税の特例措置が受けられるようになっております。名古屋市でもこれを進めたいわけですけれども、愛知県が津波災害警戒区域を設定していないことから、この固定資産税の特例措置が受けられないという現状がございます。これでは制度があってもなかなか使えない、促進されないということになると思います。この制度を使いやすくするように検討を行うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 津波から人命を守るためには、円滑かつ迅速な避難が必要不可欠でありまして、そのためには、民間施設も活用しつつ、津波避難施設を確保することは重要と考えております。

 津波避難施設に係る税制の特例措置につきましては、都道府県が指定した津波災害警戒区域内にある民間施設の管理者が市町村と管理協定を結ぶことを条件としております。民間施設に津波避難という公的な役割を確実に果たしていただくためには、このような条件をつけることは必要と考えております。

 国土交通省といたしましては、都道府県と連携をいたしまして、警戒区域の指定を進めていくことがまずは重要と考えております。その上で、税制特例措置の適用が進むように取り組み、市町村からの運用に関する御意見も聞いてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 名古屋市の皆さんは、住民の皆さんも含めて、津波避難ビルをふやそうということで頑張っておられます。ぜひその後押しになるような取り組みを国としてもやっていただきたいというふうに思います。

 名古屋市の港区では、住民の皆さんの津波の際の避難について超党派で取り組んでおられまして、前進を図っているわけですけれども、港に出入りする人のことがまだ残っているんだというふうに地元の議員からも言われております。トレーラーの人たちや工場で働く人たちの一時避難場所を確保するために、これを促進していかなければならないと思いますけれども、例えば名古屋港に何人働いていて、何人分の一時避難所が確保されているのか、これについて、国も進捗状況をチェックし、支援をするべきだというふうに思います。

 また、観光客や滞在者の方ですけれども、この一時避難の場所の確保についても、想定に基づいて進捗状況をチェックして支援するべきだというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 臨海部で働く港湾労働者等の方々が津波から安全に避難できるよう、既存の民間施設の活用や津波避難タワー、あるいは外階段、屋上等の避難機能を備えた倉庫等の整備を進めていくことが必要と考えております。

 そのため、港湾における津波避難対策の検討手順を示しました港湾の津波避難対策に関するガイドラインを平成二十五年九月に公表いたしまして、既存の民間施設の避難施設としての活用を促進するとともに、防災・安全交付金等により、港湾管理者による津波避難タワー等の整備や民間事業者による避難機能を備えた倉庫等の整備を支援しているところでございます。

 また、今年度より、今委員の方から御指摘もございました進捗管理という観点も踏まえまして、今後整備する必要のある津波避難タワー等の数の把握に取り組んでいるところでございます。着実に港湾管理者による津波避難タワー等の整備が進められるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。その点もぜひ早急に進めていただきたいと思います。

 次に、名古屋港の平和、安全の確保の観点から伺いたいと思います。

 二〇一五年八月十四日、名古屋港から、戦車や対戦車ヘリコプターを載せた日本郵船の船がアメリカに向けて出港いたしました。八月十四日に出港したんですけれども、陸上自衛隊のプレスリリースは八月十八日でした。出港した後のプレスリリースで、名古屋港を利用したことについては一切書いてございませんでした。

 出港した後にプレスリリースということも私としては許せないというふうに思いますし、そもそも、名古屋港から戦車、対戦車ヘリ、りゅう弾砲などを載せた日本郵船の船がアメリカに向けていつ出港し、いつ戻ってくる予定だということについては、防衛省からも名古屋港管理組合からも、公から一切公表がありませんでした。住民の皆さんや主権者の皆さんは公から一切知らされずに名古屋港を軍事的に利用したということで、私は絶対に許すことはできないというふうに思っております。

 陸上自衛隊によれば、この出港は、九月八日から九月二十五日、アメリカのワシントン州ヤキマ演習場などで日米共同訓練を行うための出港だったということです。行った部隊は、三重県の久居駐屯地、明野駐屯地、愛知県の豊川駐屯地、そして滋賀県の今津駐屯地の部隊で、装備としては、小銃、迫撃砲、りゅう弾砲、戦車、対戦車ヘリコプターをアメリカに持っていったわけでございます。

 名古屋港は、先ほども申し上げましたように、総取扱貨物量が日本一の商業港でございます。私たちは、軍事的に利用すべきでないというふうに思っております。少なくとも、住民の皆さんや主権者の皆さんに対して港を利用することを事前に知らせるということは最低限当然のことだというふうに思いますけれども、防衛省に伺いたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊では、従来から、必要に応じまして、名古屋港を含むさまざまな港湾を利用して民間船舶による人員、装備品の輸送を行っているところでございます。

 御指摘のございました二〇一五年八月十四日でございますが、こちらは、米陸軍との実動訓練において陸上自衛隊が使用いたします、先生の方からもお話がございました七四式戦車でありますとか対戦ヘリコプターなどの装備品を輸送するために、これら装備品を積載いたしました民間船舶が名古屋港から米国に向けて出港したというところでございます。

 公表についてでございますけれども、従来から、海外で自衛隊が訓練を実施する場合には、訓練を実施いたします目的、期間、場所、訓練を実施する部隊等、訓練の概要につきましては事前に公表を行っているところでありますけれども、お尋ねの、名古屋港の使用等を含みます自衛隊の移動、輸送に関する事項等の細部につきましては、自衛隊の具体的な運用に係る事項でございますので、基本的には公表は差し控えさせていただいているところでございます。

本村(伸)委員 以前の防衛省からの聞き取りの際に、自治体の求めがあれば開示するというふうに言っておりましたけれども、そのことは確認できますね。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体への通報でございますけれども、こうした場合に、これまで通常は行っていないところでございます。したがいまして、基本的には事前にそういったことを通報するということはしていないわけでありますけれども、地元の自治体等の要望等を踏まえまして、その是非を含めて、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 もう一つ、アメリカ軍の名古屋港の利用の問題についても伺いたいと思います。

 二〇一三年九月四日十時ごろ、アメリカ軍のイージス艦ヒギンズが名古屋港に入港をいたしました。名古屋港管理組合には一カ月前に打診がありまして、準備をしていたことがわかっております。しかし、私たち住民に知らされたのは、前日の九月三日でございました。アメリカ軍やアメリカから名古屋港管理組合に、二十四時間以前には公表しないようにという要請があったからだそうです。

 ほとんどの住民の皆さんや愛知県民の皆さんに知らされることがないまま、私たちからしたら突然の入港でございました。別の年にも来ておりましたけれども、この二十四時間ルールというのは同じでございます。友好親善のための入港というふうに言っておりますけれども、二十四時間前しか私たち住民には知らされませんでした。

 私たちは当日、弥富埠頭の七号岸壁に行きまして抗議させていただき、そして、名古屋港管理組合や在名古屋アメリカ領事館の方にも抗議、帰還を求める要請を行いました。

 そこで、ちょっと確認をしたいんですけれども、アメリカ軍が入港の公表を二十四時間前とすることについて、何か法的根拠があるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

黄川田大臣政務官 お答えいたします。

 米軍艦船の民間港湾への入港を公表することについては、条約協定上の規定はございません。

 なお、実際に民間港湾への出入りを行う場合については、民間船舶等による使用への影響の観点から、米軍と関係当局との間で必要な調整を行うこととしており、これは当然のことであると考えております。

 すなわち、米艦船が我が国の港湾に入る場合には、日米地位協定に定める手続に従って、我が国の当局に対し、適当な通告を行うことになっております。かかる通告を受けた当局は、同協定第五条の規定を踏まえつつ、港湾の適正な管理運営という観点から、接岸すべき岸壁の割り当て等の所要の手続をとることになっております。

本村(伸)委員 最後に、少なくとも、アメリカ軍の艦船が港を利用することがわかった時点ですぐに公表するようにアメリカ政府に要請するべきだということを外務省に求めたいと思います。答弁、お願いしたいと思います。

黄川田大臣政務官 お答えいたします。

 入港にかかわる通告については、条約協定上、そもそも公表することが義務づけられているものではございません。また、実際にも、米軍の円滑かつ効果的な活動を確保し、日米安全保障条約の目的を達成する上において、かかる通告をすべからく公表することが必要であるとは考えておらず、よって、米艦船の入港について、米側にすべからく公表を求める考えはございません。

本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 今回の海上交通安全法の改正案で想定されるケースというのは、どの海域でも起こり得るものであります。すなわち、津波に代表される自然災害や海難事故、また平時でも狭隘な海域で交通がふくそうするといった事態は、決して東京湾だけの話ではないというふうに思います。

 今国会で与えられた質問の機会で、私は、日本の海事産業の振興というのが必要という問題意識のもと、質問をさせていただきます。

 東京湾に限らず、我が国を取り巻く海域の安全というのをしっかり確保するということは、日本の海事産業の振興を目指すに当たって、よって立つべき前提であるというふうに考えております。今回の法案をきっかけとして、東京湾以外の海域においても高い安全性と利便性がもたらされるよう、さらなる取り組みが進むことを期待しております。

 という思いを最初に申し上げて、質問に入らせていただくんですけれども、まず、先般、熊本地震が発生しました。本当に、亡くなられた方に改めてお悔やみと、そして被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 この熊本地震は内陸地震でありましたので、津波の発生というのはありませんでしたけれども、海上交通にもそれなりの影響があったというふうにも推察いたしております。熊本の周辺海域の安全確保のため、海上保安庁がどのような役割を担われて、どのような措置をとったのか、お答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 海上保安庁は、熊本地震発生後、直ちに、巡視船艇、航空機により沿岸部を中心とした被害状況調査を実施し、また、九州臨海部の原子力発電所の被害の有無を確認したほか、航行警報などを発出して付近船舶への情報提供を行っております。

井上(英)委員 ぜひ、海上保安のために、長官初め職員の皆さん一丸となって、今後も引き続き御尽力いただけたらというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今回の法案は、非常災害時における海上交通の機能維持というのを大きな目的の一つというふうにしておると思いますが、これは平成二十三年の東日本大震災の教訓を踏まえたものというふうに伺っております。ことしは平成二十八年で、大震災の発生から五年以上経過しております。対応として少し遅いという気がいたしますが、なぜこのタイミングでこの法案の提出になったのかというのをお答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 東日本大震災発生時には、東京湾の中央部における錨泊隻数が増加し、平時と比べ湾内が非常に混雑した状況となり、船舶の衝突などの危険性の増加、船型に応じた適切な錨地の不足など、船舶交通の危険な状況が発生いたしました。

 そのため、海上保安庁では、大規模災害に対する船舶交通の安全対策等を内容とする平成二十五年十月の交通政策審議会からの答申を踏まえ、非常災害時において適切な移動命令などを実施するために必要なレーダーなどの設備の整備を進めてまいりました。

 設備の整備については、平成二十五年度から平成三十年度までの六カ年計画としておりましたが、当初計画よりも一年以上前倒しし、平成二十九年度中の運用開始が見込めることとなったことから、今国会に法案を提出させていただきました。

井上(英)委員 前倒しでということなんですけれども、たしか、所有者が未確定の浮遊物を強制的に撤去できるという法案が二年ほど前ぐらいにできたかなというふうに記憶しているんですけれども、いずれにしても、海上保安を維持できるように、すばらしい改正となるようにぜひ頑張っていただきたいと思います。保安庁は、船をつくったり、ちょっとお金もかかっているんじゃないかな、予算的なしんどい面もあるかと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいなというふうに思います。

 今回の法案の対象となる指定海域は現在のところ東京湾のみというふうに伺っておりますが、海域が狭隘で交通がふくそうしている地域は東京湾以外にもあると今までの質疑の中でもありました。例えば大阪湾や瀬戸内海でも同じような非常災害というのが発生するおそれというのは当然あるわけですが、今回、このような法案で措置がない中、どのように指定外のところは対処されるのか、お答えいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 大阪湾や瀬戸内海などにおいては、これまでも震災対応マニュアルを見直し、関係者とともに必要な訓練を行うなど、対応能力の向上を図ってきたところでございます。

 また、現行の港則法第三十七条第三項の規定に基づく港外への退去命令や、海上交通安全法第二十六条の規定に基づく航行禁止の措置などを活用し、適切に対応していくこととしております。

 今後とも、関係機関や海事関係者等とともに、各種対策の実効性を向上させるための情報共有や訓練を行うとともに、確実な安全対策の構築に向け検討を行ってまいりたいと考えております。

井上(英)委員 行く行く、必ず、この指定海域というのをまたほかにも当てはめていただきたいとも思いますし、当てはまっていないからといって、災害に待ったはないというふうに思いますので、そういったことが想定されたときでも、ぜひ対応いただけるようによろしくお願いをしたいと思います。

 災害や事故が発生した際に、被害を軽減しつつ、素早い復旧というのを図ることというのは、これは当たり前のことだと思いますが、事業の継続性を担保するということが経済活動を低下させないためには非常に大事、重要なことであり、そのため、各企業があらかじめ事業継続計画、BCPというのを策定しております。

 国交省でも、国交省自身の活動が停滞しないようにということと、復旧がどのような形で行われるかということをある程度、透明化というか見える化して企業行動の参考にしてもらうため、同じようにBCPというのが策定されているというふうに伺っております。これを拝見すると、例えば重要施設のうち、特に必要なものについては、何日以内に復旧して利用できるようにするといった具体的な目標というのも含まれているようです。

 海上保安庁でも、本庁でも、また各海上保安部でも、同じようにBCPを策定されているということでありますが、これらを拝見していると、海上保安庁の活動が遅延、中断しないようにする観点から計画を定められているというふうに、もちろん受けとめられます。

 一方で、これらの計画というのは、海上を航行する船舶や、船舶を運航する企業に対して、必ずしも予見可能性を高めるための計画になっていないような気がいたします。海上交通に関与する企業が必ずしも多くないということもあるかもわかりませんけれども、非常災害があった場合に、海事関係企業に対して、ある程度そういった予見可能性というのを与えておくというのは常日ごろから非常に大事なことだというふうに考えます。

 海上保安庁の事業計画を海事関係産業の企業行動にも資するものにした上で、広く周知すべきと考えますけれども、大臣、お答えいただけますでしょうか。

石井国務大臣 海上保安庁におきましては、巡視船艇、航空機を保有する実働機関といたしまして、被害状況の把握、救難救助活動、船舶交通の安全確保等を最優先業務とすることなどを定めた業務継続計画、BCPを策定いたしまして、ホームページに掲載するなどして公表しているところでございます。

 今御指摘いただきました海事関係者の企業行動に資するものといたしましては、速やかに航行警報等による海上安全情報を提供すること、航路標識が損壊した場合には、仮設の灯火を設置する等の応急措置を行うことなどを定め、公表しているところでございますけれども、今後は、例えば航路標識の応急復旧のめどなど利用者の視点からの目標設定と周知の方法について、関係者とも協議、調整を重ね、検討するように海上保安庁に促してまいりたいと思います。

井上(英)委員 ぜひ大臣、よろしくお願いをいたします。何かあるんじゃないかということをいつも頭に入れながら事業計画というのを踏まえていただくということも非常に大事なことかと思いますので、くれぐれもよろしくお願いを申し上げます。

 次に、平時における安全性の向上や国際競争力強化のために東京湾の管制を一元化するということについてお伺いをいたします。

 これまで海上交通センターと港長に別々に行っている事前通報というのを海上交通センターに一本化することなどを通じて、東京湾口から東京西航路への航行時間が約二割、約二十五分短縮されるというふうに聞いています。このことは海事産業にとって大変プラスになるんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、今回の措置により海事産業に与える経済効果というのがどれぐらいあるのか、できるだけ詳しくお答えをいただきたいと思います。

 それと、そうした効果があるのであれば、やはりこの法案の効果としてもっとアピールすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 一元的な海上交通管制により信号待ちや渋滞を解消することで、入港遅延による輸送費用の損失や、着岸するために必要な綱取り作業員やタグボートの待機に伴う費用損失などが抑えられるという効果が期待できます。

 例えば、平成二十七年度に行った調査研究において、東京湾の船舶交通流モデルを作成し、東京湾口における航路入航の順番を調整するシミュレーションを行ったところ、短縮された時間から輸送便益額は、二十五分短縮の場合に一回当たり約三十万円と推計されております。

 したがって、湾口から東京西航路へ向かう船舶は年間約五千五百隻であることから、その部分だけでも年間約十六・五億円規模の経済効果が期待できると考えられます。

井上(英)委員 ありがとうございます。非常に大きい効果だと思います。

 それと、続けてなんですけれども、これは先ほどから申し上げているように、今は東京湾内だけということになっておりますけれども、先ほども言いました、大阪湾とか瀬戸内海もこれからこの指定というのは十分考えていただきたいと思うんですけれども、仮に大阪湾で同様な措置がとられた場合にどのような効果が見込めるか、調べていただいていると思うので、よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 お答えします。

 大阪湾につきましては、まだ調査が終わっておりませんで、今年度から船舶交通状況等の調査を行うこととしております。

 航行時間の短縮効果がどの程度得られるかを含め、効率的な管制のあり方について今後検討していきたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。

 次に、航行時間が短縮されることで、海上輸送の利便性というのは、先ほど言われたように非常に早くなりますし、効率的で経済的効果もある。それによって東京湾の航路を通航する船舶の増加が想定される。利便性が高くなれば、またその分船舶が多く通過するということが想定されます。

 既に東京湾の浦賀水道航路や中ノ瀬航路を初めとした航路は相当過密状態にあるというふうに聞いておりますけれども、今回の措置によって、一定、船舶交通の混雑緩和というのが図られると聞いています。

 でも一方で、需要が増大することによって、時間帯によっては東京湾の航路の容量の限界に達するのではないかというおそれがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがなのか、これは長官にお伺いいたします。また、東京湾内の各港湾の受け入れ能力、さらにはその後背地への貨物の輸送量についても、どのようになるのか港湾局長に、あわせてそれぞれお伺いします。

佐藤政府参考人 お答えします。

 海上保安庁の調査によれば、例えば、東京湾入り口の浦賀水道航路は、午前五時から六時の間が入湾してくる船舶により、また午後五時から六時の間が出湾する船舶により通航量がピークとなります。

 航路には複数の大型船舶が同時に入ることができないことから、入港する船舶が集中する時間帯には航路の入り口付近で待ちが生じることなどにより、特に港の入り口付近において渋滞や信号待ちが発生しております。

 このため、今回の改正により、海上交通安全法の航路と港則法の航路を一体的に見て管制計画段階から調整を図ること、新たに港則法の航路への入航時刻等の指示制度を創設し、航路入り口付近に船舶が集中する状況を回避すること、新たなシステム等の運用により実際の運航状況に応じた港内の信号の柔軟な切りかえが可能になることなどによりまして、渋滞や信号待ちの解消を図ることとしております。

 いずれにしましても、今後、船舶交通の増加によりさらなる混雑が生じた際には、今回の措置の効果を見つつ対応を検討していきたいと考えております。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正によりまして東京湾内の航行時間が短縮されることによりまして、湾内各港を利用する船舶にとりましては時間、コストの縮減につながることが見込まれております。これによりまして、国際戦略港湾である京浜港を初めとして、東京湾内各港湾の国際競争力の強化に資するものと期待をしているところでございます。

 今後、寄港船舶や貨物量の増加によりまして、東京湾内の各港湾への船舶の受け入れ、あるいは後背地への輸送に影響が見込まれる場合には、現在、国際コンテナターミナルあるいは臨港道路の整備を行っておりまして、これによりましても相当の容量の拡大が図られますので、こうした整備の効果を踏まえながら必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 利便性が高まれば余計にまたふえて大変になるということでありますけれども、やはりそうなっていただくようにぜひお願いをしたいと思いますし、後背地も含めてさらに東京湾、臨海地域が発展するように尽力いただけたらというふうに思います。

 もう時間もそんなにありませんので、先般、残念ながらちょっと私は視察に行けなかったんですけれども、現在の海上交通センター、三浦半島の観音崎にありますけれども、浦賀水道航路や中ノ瀬航路というのが屋上などから直接目視できるようになっているというふうに聞いています。

 この法案を契機として、海上交通センターが横浜の合同庁舎に一元化されるということでありますけれども、そうすると、実際ふくそうする航路を目視で確認するというのはできなくなるというふうに思います。引き続き、観音崎にカメラを設置して監視するというふうには伺っておりますけれども、素人的には、ふくそうする航路をカメラで監視する、目視の方が視界も広いですし、いいんじゃないか、安心じゃないかという、不安ではないですけれども懸念があります。

 管制の一元化後も現在と変わらないレベルで本当に安全性を維持できるのか、どのように取り組まれるのかをぜひお答えいただきたかったんですけれども、時間もありますので、そういう不安があるということなので、ぜひ払拭をしていただけるようにお願いをしておきたいと思います。

 最後に、大臣、私としては、京浜港と並ぶ国際戦略拠点港湾であります阪神港を有する大阪港においても同様の措置を導入していただきたいというふうに思います。我が国の海事産業の国際競争力の強化につながるばかりではなく、南海トラフ地震への備えとしても大変重要ではないかというふうに考えております。

 海上管制の一元化には、海上交通センターのシステム整備を初めそれなりの予算措置というのが必要であり、そうした制約もあって、今回は東京湾のみとなっているというふうに聞いていますけれども、ぜひ大阪湾においても早期管制一元化を図っていただきたいと思いますけれども、大臣の所見をお伺いいたします。

石井国務大臣 今般の改正による航行時間の短縮効果によりまして、物流の一層の効率化が図られまして、我が国の港湾の国際競争力の強化に資するものと考えております。また、非常災害が発生した場合の備えとして大変重要なものと考えております。

 そのため、大阪湾や伊勢湾につきましても、今年度から、船舶交通の状況や安全上の問題について、地元自治体、海事関係者の意見を聞きつつ所要の調査を実施してまいる予定でございます。

井上(英)委員 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、海上交通安全法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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