衆議院

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第16号 平成28年5月20日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十八年五月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 秋元  司君 理事 秋本 真利君

   理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君

   理事 鈴木 憲和君 理事 泉  健太君

   理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君

      井上 貴博君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    門  博文君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    小池百合子君

      今野 智博君    佐田玄一郎君

      津島  淳君    中村 裕之君

      西村 明宏君    古川  康君

      古田 圭一君    堀井  学君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      望月 義夫君    簗  和生君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    黒岩 宇洋君

      小宮山泰子君    津村 啓介君

      横山 博幸君    岡本 三成君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      吉田 宣弘君    塩川 鉄也君

      宮本  徹君    本村 伸子君

      井上 英孝君    椎木  保君

      野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      土井  亨君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    江島  潔君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           林  俊行君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           米津 雅史君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     古田 圭一君

  斎藤 洋明君     宗清 皇一君

  望月 義夫君     井上 貴博君

  北側 一雄君     吉田 宣弘君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     望月 義夫君

  古田 圭一君     古川  康君

  宗清 皇一君     簗  和生君

  吉田 宣弘君     北側 一雄君

  宮本  徹君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     加藤 鮎子君

  簗  和生君     斎藤 洋明君

  塩川 鉄也君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土政策局長本東信君、土地・建設産業局長谷脇暁君、都市局長栗田卓也君、住宅局長由木文彦君、気象庁長官橋田俊彦君、内閣府政策統括官付参事官林俊行君、同じく参事官米津雅史君及び地方創生推進事務局審議官伊藤明子君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋元司君。

秋元委員 自由民主党の秋元司でございます。

 法案審査、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。時間もございませんから、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 今回は法案審査でありまして、今提出されましたこの法案の意義というのは、都市の国際競争力をしっかり強化すること、あわせて防災機能も備えていかなくちゃならない点、そしてまた今我が国の大きな課題であります地方の創生、そういった視点を踏まえて今回の法律が提案されたと思っております。

 冒頭、まず国際競争力の強化と防災機能の強化という点に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 私が申し上げるまでもなく、今我が国はどうしても人口が減少しているという問題があります。そして、少子化も進行している中で、これらをとめるための措置はしていかなくちゃいけません。しかし、今足元を見れば、やはり、外国からも多くの観光客を呼んだり、そしてまた経済の活動につきましても、人材または資本をどんどんと我が国に呼び込んで活性化を図っていく、こういったことをしていかなくちゃならないと思っています。

 また、特段、東京ということを考えたときに、国内の議論では、何か東京はいつもひとり勝ちだ、オリンピックも来るし、東京ばかりだ、そういったお話もいただくこともありますが、東京にいる我々としては、決してそんなことを思っているわけじゃなくて、東京というのは、御案内のとおり、国内での競争をやっているわけじゃなくて、ロンドンやパリといった世界の都市と競争し、そして世界の都市間競争に勝つことによって、やはり日本経済を引っ張っていく、牽引役として頑張っていかなくちゃいけない、そういった思いであるということをぜひ御理解いただきたいなということを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、そのためには歩んでいかなくちゃいけない道は多分にあります。私も東京の人間でありますから、特に今盛んに開発が進んでいる臨海部を地元に抱え込んでおります。この臨海部は、気づくと大きなタワーマンションが建って、そして、気づくといきなり千五百世帯の世帯マンションが建って、そこが建ちますと何が問題かというと、いきなり学校の問題そして保育施設の問題、こういったことに直面するわけであります。

 多分、日本全国の中で公立の小学校を新しく今後とも二つ、三つつくらなくちゃいけないのは我が区だけだと思うんです。江東区全体、深川と城東地区があるんですけれども、ここは実は、人口はそこそこいるんですけれども、東京はどちらかというとみんな私立の小中学校に行く方が多いもので、公立の小学校というのはどうしても生徒が減ってしまうという現象があるんですが、この臨海部においては、例えば豊洲北小学校なんというのは全校生徒が千人を超えておりまして、これだけのマンモス校があるというのはこの地域の特色だと思います。よって、あと二つ学校をつくると区は今予定しておりますが、それぐらい臨海部の開発というのは大きな衝撃とインパクトを与える、そういったことだと思います。

 しかし、現実問題として、ここの土地を利活用して、まさに国際競争力を増して、活力を増すまちづくりを進めていかなくちゃいけない、そういった思いであることにほかなりません。

 そのために、今後、外国人の方にもどんどんこの地域に訪れてもらって、そして投資をしてもらってビジネスをしやすい環境をつくっていく、それも私は大切な視点であるかと思いますが、現実問題として、では、外国人の方が来やすいか、住みやすいかというと、例えば医療の問題があったり、また交通の問題があったり、そして表示の問題があったりと、これは観光立国を期する点にもいろいろリンクしてくる点がありますが、外国人の方が我が国でビジネスをしやすい環境にあるかといえば、まだまだそうではない点もあると思いますので、私は、この法律における意義というものに非常に強いものを感じております。

 あわせて、こういった新しくつくられていく町であります。特に防災機能を強化するということは大変必要な視点であると私は思っておりまして、特に、東日本大震災でも経験したことでありますが、電気が来ないとなると、これはもうほとんどビジネス機能として回っていかない側面があります。やはり、こういった都市部における新しいエネルギーの供給の形というものもまた構築をしていかなくちゃいけない、いろいろな点があると思います。

 いずれにしましても、国際競争力の強化を行う、そしてまた防災機能をしっかりと強化していく、そういった視点、ぜひ大臣から、この法律にかける思いも含めて決意の一端をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 経済社会活動のグローバル化が進む中で、我が国の経済成長のためには、海外から人材や企業、投資等を呼び込むことが重要であります。そのためには、東京を初めとする大都市について、国際ビジネス環境や生活環境のさらなる向上を図り、国際競争力を一層強化していく必要があると考えております。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、民間投資の活発化が予想される中、大規模で質の高い民間都市開発事業を一層進め、東京の国際競争力を高める大きなチャンスだと考えております。

 その対応といたしまして、今回の改正におきましては、都市行政の観点から、最先端、高性能のオフィスビル、外国人従業員やその家族が安心し、満足して暮らせるような外国語対応の医療、子育て支援施設等の生活支援施設、充実した設備を備えた国際会議場などの整備をより一層進めていくこととしております。

 また、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の切迫性も指摘される中で、災害時における業務継続性の確保や帰宅困難者対策など、都市の防災機能の強化も十分図っていく必要があります。

 このため、今回の改正では、災害時においても一定の区域内にエネルギーを継続的に供給するための協定制度を創設することとしております。

 グローバルな都市間競争に打ちかつため、今回の改正とともに、交通インフラの強化等の関連施策も総動員をいたしまして、都市の国際競争力、防災機能の強化を図り、世界に誇れる魅力的なまちづくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。

秋元委員 大変大事な視点であろうかと思います。

 特にやはり、この東京にとりましても、二〇二〇年のオリパラ以降、ここの対応というのが非常に大切なことであると思いますし、ある意味、東京オリンピックのときに日本を見られたお客さんが、やはり東京という町はいい町だな、日本という町はいい町だなと思ってもらって、ビジネス、また観光、そういった側面でリピーターをふやしていく、そしてある意味、企業活動、ビジネス活動ということで定着をしていただく、そのためにぜひこの法律を有効に活用していただいて、国交省としても前に進んでいただきたいな、そんなふうに感想を持ったところでございます。

 次に、今回の法律においては、やはり何といいましても地方創生、大切なことであります。当然、大都市は東京だけじゃなくて、ほかの地方都市も同時に活性化していかなくちゃならないという思いもありまして、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを国交省としてもこれまで進めていただいてきたと思います。

 そういったことの中で、二年前には、この都市再生特別措置法が改正されまして、コンパクトな都市構造を進めるための立地適正化計画制度が創設されました。

 二年たちましたが、これまでの立地適正化計画の進捗状況や、また今後の目標についてお伺いしたいと思います。

栗田政府参考人 立地適正化計画制度についてのお尋ねでございます。

 立地適正化計画制度によりまして、予算、税制等のインセンティブ策を講じながら、町中や公共交通沿線への生活サービス機能あるいは居住の立地誘導を進めていくこととしておるところでございます。

 二年前の法改正以来、現在、二百七十六市町村におきまして立地適正化計画に関する具体的な検討を進めていただいているところでございます。これまでに大阪の箕面市、熊本市が計画を作成、公表されておりますけれども、今後ますますこの作業を本格化していくものというように考えております。

 立地適正化計画制度によりますコンパクトシティーの取り組みは、都市構造の転換を図るものでありますので、中長期的な視点で取り組む必要がございます。

 そういうことを通じまして、例えば、点在していた高齢者世帯が集まって住まわれる、そうしますと、訪問介護の生産性が向上する、介護サービスの充実が図られる、こういったこともあろうかと思います。また、公共交通を利用した外出機会を増大させるといったことで、町中での消費の拡大、中心市街地の再生、こういったこともあろうかと思います。地域が抱えるさまざまな政策課題に対しまして、着実に成果を上げていくことが長いプロセスの中で大変重要なことというように考えております。

 コンパクトシティーの取り組みは、大変幅広い政策分野にわたりますので、政府では、関係省庁で支援チームを設置しております。この枠組みを通じまして、省庁横断的に市町村の計画作成等を支援してまいりたいと考えております。

 今後は、まず、二〇二〇年までに百五十の市町村で計画を作成するということを目標にしております。支援チームの枠組みを活用しまして、モデル都市の形成あるいは横展開、支援施策の充実、取り組み成果の見える化などを進めてまいりたいと考えております。

秋元委員 立地適正化計画は、つくって終わりだけじゃありません。これを確実に実行してもらわなくちゃならないことだと思いますので、積極的に国交省の方でも進めていただきたいと思います。

 そして、そのことを実施していく上で、今回、一つの手法として、改めて都市再開発法の改正ということもこの法律には盛り込まれております。

 その中の一つに、個別利用区制度、これは地域の実情に合わせた市街地開発を行えるようという趣旨だと思いますけれども、この手法、これまでとどのように違うのか、そしてそのメリットというのが、例えば地権者であるとか、もう一つは地方自治体にとってどういったメリットがあるのか、お尋ねしたいと思います。

栗田政府参考人 個別利用区制度についてのお尋ねを頂戴しております。

 現行制度上、市街地再開発事業は、施行地区内の既存建築物を全て除却する、従前の権利者は事業により整備される新しい再開発建築物に権利変換を受ける、これが原則でございます。

 今回創設される個別利用区制度は、既に高度利用されている建築物ですとか、あるいは歴史的な建築物、こういったまだまだ価値のある有用な既存ストックを個別利用区内に存置または移転する、そのまま使うということを可能とする制度でございます。

 地権者にとって、あるいは地方公共団体等の施行者にとってのメリットということでございます。

 地権者にとりましては、これまでの市街地再開発事業では、新しい再開発建築物に入るか、地区外に転出するかという選択肢しかありませんでした。今回の改正によりまして、個別利用区内で従前の居住あるいは業務活動を続けることができるという選択肢がふえることになります。また、もちろん現在の生活環境やコミュニティーを維持しながら再開発事業による地域活性化の効果を享受する、こういったこともあると思います。

 地方公共団体等の施行者につきましては、既存建築物を有効活用するということで、新たに設ける再開発建築物を必要以上に大きなものとしないで済むということになり、いわば地域の身の丈に合った事業を組成することができるといったようなメリットですとか、あるいは、既存建築物を活用したいという住民のニーズに応えることができるということは、事業を進める上での合意形成が円滑になるといったようなメリットもあるものというように考えておるところでございます。

秋元委員 ぜひこの法律を有効に使いながら、いいコンパクトシティーをしっかりと進めて、にぎわいのあるまちづくり、地方創生を図っていただきたいと思います。

 次に、話題をかえますが、住宅団地の再生についてお尋ねしたいと思います。

 御存じのように、高度経済成長の中で、大都市の郊外にどんどんと大量に建設された住宅団地、今老朽化の問題や高齢者の問題やさまざまな問題を抱え込んでおります。今、高齢者に向けたさまざまなニーズ、例えばサ高住等、やはり時代を変えた形をつくっていかなければならないし、ニーズに合わせた再生を図っていかなくちゃいけないと思うわけでありますが、今回の法律のことも含めまして、どのような住宅団地の再生を図っていくか、お尋ねしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 過去に大量に建設されました住宅団地は老朽化が進行しております。現在、分譲団地は全国に約五千あるというふうに推計しておりますが、例えばそのうち築四十五年を超えるものは約三百弱あるというふうに推計しております。RCの耐用年数が約四十七年でございますので、今後こうした老朽化した団地の数が飛躍的に増加をしてまいりまして、十年後には現在の約五倍の千五百五十団地、二十年後には現在の約十倍の二千八百団地になると見込んでおります。こうした団地の再生は喫緊の課題だというふうに認識をいたしております。

 こうした団地の多くは、建物自体が老朽化しているということに加えまして、管理上の問題でございますとか、あるいは空き住戸が増加しているというような問題がございます。また、お話ございました高齢化といったような課題に対応したものになっていなくて、エレベーターがないでございますとか、周辺に介護の施設あるいは子育て施設といったようなものがないといったような、十分な居住サービスが受けられないような状況になっているものも数多くございます。

 再開発事業によりましてこうした団地を再生するという場合でございますけれども、現在は、敷地全体を共有している場合については、共有者全員を一人の組合員とみなすという規定がございますので、その意思決定に当たりまして全員の合意が必要とされるということで、非常に再生に活用しづらい形となっております。

 この課題に対応いたしますために、今回御提案申し上げております改正案では、組合が再開発事業を行う場合の組合員数の算定方法の見直しを行っております。全体の三分の二以上の合意で事業を可能にするという措置をお願いしているところでございます。

 これによりまして、老朽化した住宅団地につきまして再開発事業がより利用しやすくなるということで、建てかえや集約によりまして居住環境そのものを向上させるということができますとともに、先ほど申し上げましたような、介護の施設等々の施設を導入して、地域の拠点として住宅団地の再生を図ることが促進されることになるものというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

秋元委員 時間との闘いもあると思いますので、ぜひ積極的に、スピード感を持って対処していただきたいと思います。

 最後に、魅力ある大都市を、また国際競争力を増し、そしてそのことを世界に情報発信し戦略的に行っていくために、言ってみれば、インバウンド、アウトバウンド、しっかりと日本は、そして大都市は求めていかなくちゃならない、そういった観点から、今、国交省と東京都が連携しながら、日本の都市の魅力を発信するということで、シティ・フューチャー・ギャラリー構想の実現に向けた議論が進んでいると思いますけれども、今後の検討の方向性はどうなっているのかということが一つ。

 そしてまた、先般、実は、都市農業の大切さということの中に、改めて都市農業振興基本計画が見直しをされました。これまで、緑を残そうという思いがあったとしても、政策的には都市農地は宅地化すべきものという定義でありました。今回は百八十度転換して、あるべきものという位置づけになりました。今後このことを実効的に進めていくためには、都市計画、こういったことも見直しを図っていかなくちゃならないという思いがありますが、この点について、農林水産行政とどう向かい合っていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。

栗田政府参考人 シティ・フューチャー・ギャラリー、都市整備にかかわりますインバウンド、アウトバウンドの促進というお尋ねを頂戴しております。

 観光でしばしばインバウンド、アウトバウンドという言葉が使われますけれども、都市整備につきましても、委員、冒頭の質問でお触れになっておられますが、海外からの投資の促進、人材の誘致、観光客の誘致、こういったインバウンド、あるいは都市開発の海外への展開、インフラ輸出、こういったアウトバウンド、双方の観点があろうかと思います。

 日本の都市の魅力、いろいろな技術を戦略的に発信していく、これも我が国の国際競争力の強化に向けた重要な取り組みの一つというように認識しております。諸外国では、そのための拠点施設を持っている例が多々ございます。

 我が国におきましても、そのような都市整備に関するインバウンド、アウトバウンド双方の観点から、戦略的に多様な情報を発信していく場、拠点施設を設けることは大変意義ある取り組みというように考えておりまして、昨年十一月には、都知事と国土交通大臣との間で、そういった施設の整備を検討しようという合意がなされておりまして、本年二月に、東京都、幅広い分野の民間企業の皆様と連携しまして、検討準備会を立ち上げております。

 現在、では、その施設はどういった層をターゲットとするのか、そのターゲットに向けてどのようなコンテンツ、手法を備える施設とするのか、あるいは、それはどこにどの程度の規模で置くのか、施設の運営はどのように行うのかといったような論点について議論を開始しておるところでございます。

 今後、東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えまして、シティ・フューチャー・ギャラリー、この名称自体、まだまだ仮称ではございますけれども、構想の実現に向けて検討を深めてまいりたいというように考えております。

 また、観点を変えたお尋ねで、都市農地につきましてのお尋ねを頂戴しております。

 都市農業の意義あるいは都市農地の意義、これは大きく転換しておるというように認識しております。昨年四月に議員立法で都市農業振興基本法が制定されておりますけれども、そこにもそのような問題意識が明確に触れられていると思います。

 その法案に基づきましての都市農業振興基本計画、これは国土交通省、農水省の共同で、先般閣議決定をさせていただきました。その中では、都市農業の位置づけ、都市農地の位置づけを都市政策と農業政策の両面から再評価するということにしております。

 都市政策の側からは、人口減少等を背景として、都市農地に新たな価値を見出しまして、都市にあるべきものへと位置づけを大きく転換し、適切に保全を図ってまいりたいと思っております。また、農業政策からは、都市農業が食料自給率の一翼を担っている、六次産業化、農業と福祉の連携、そういったモデルも生まれているといったようなことで、改めての評価を与えていくんだというようなかじ切りが行われておるところでございます。

 今後、農水省との連携をさらに深めまして、都市農業の振興、都市農地の保全のために必要な具体的な制度改正、あるいは税制、予算に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

秋元委員 終わります。

谷委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 きょうは、都市再生特別措置法等の改正案についての議論ということで、本来であれば、まずは、そもそも都市とは何ぞやというところの議論からすべきかなということを実は初めに考えました。ただ、これは、本当に考えますと、目に見える構造物のみならず、そこで暮らす方々の人生であるとか、もっと言えば文化みたいなことまで含めて極めて大きな議論になりますので、ここで議論するにはちょっと大き過ぎるかなということで本日は取りやめましたが、ただ、一点申し上げれば、ここで議論されている都市ということの捉え方とか考え方というのは、やはり時代とともに変わっていくものでありましょうし、変わりつつもあるものだと思うんです。

 そういう意味でいうと、今もしくはこの法律ができた十四年前に考えていた都市というものと、これからつくろうと考えている、あるべきであろうと考えている都市というものが、一体どう同じ点があり、また一方で違う点があるのかということもやはりあわせて考えて、柔軟に考えていく必要があるのかなということは冒頭申し上げさせていただきます。

 法改正案の中身の話を幾つか、一つずつ追っていきたいわけですが、まず、今回の要綱をぱあっと見させていただきますと、イの一番に出てくるのは、都市再生本部の所掌事務に、「政令の改廃の立案をすることを明確化すること。」ということが入ってくるわけです。

 読んでみれば、それは当たり前のことかなと思うわけですね。指定をすることができるわけですから、改廃の立案をするというのも当然あろうかと思うんですが、まず、素朴な質問として、何でそもそも改廃をするということが規定、明示をされていなかったのでしょうか。その理由をお答えいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、都市再生緊急整備地域は、平成十四年の制度創設以来、地域の指定、拡大は行ってきておりますが、地域の指定解除や縮小、そういうことをやっておりません。それは、都市再生が構想づくりや関係者の合意形成を経て整備が完了するまでに長時間を要するということがございましたので、これまで事業が終了するなどの地域指定の解除の状況に至る地域がほとんど見られなかったということであります。

 ただ、昨今、当然、市街地整備事業が完了する地域が実態上出てまいりましたので、指定を継続する必要性が薄れた地域が出てまいりました。

 こうしたことから、PDCAの観点から評価を行って、めり張りのある地域指定を行うべく、改廃の規定についても明示的に規定を置いてやるということにしたものでございます。

神山(洋)委員 都市再生、まちづくり、都市づくりをしていくのに長い時間がかかって、当初その改廃の必要性がないというのは、それは当然でしょうし、一定の時間が経過をして、その作業がコンプリートしていけば改廃の必要性が出てくるというのもまた当然なのかなというふうに思うわけであって、ここは別にあえて突っ込む話ではないかなと思いますが、あらかじめこんなことは想定できたんじゃないのかなというところだけは指摘をさせていただきたいと思います。

 続いて、今の話も含めてではあるんですが、この都市再生特別措置法、平成十四年の制定ということであります。今平成二十八年ですから、十四年間が経過をしています。今回の改正案が、この十四年間の中で八回目の改正案ということになるわけです。

 数が多いから、そもそもそれだけでだめだとかと言うつもりはありませんし、時代に合わせて制度を整備していく、時代に合わせて修正をしていくということは、私は大事だと思っています。ただ、その八回の修正、改正の中身を一個一個追いかけていくと、確かに時代の変化に応じて新しい制度とか仕組みをつくっているというものもあれば、単に期限の延長とかしているというものもあって、これはもうちょっと数を少なくできたんじゃないかなということも思うわけです。

 この制度を用いて、実際のまちづくりであるとか都市づくりであるとか事業を行っていく事業者であるとか、場合によっては自治体もあると思うんですが、その立場に立って考えてみたときに、制度というものは、もちろん身の丈に合っていない、修正すべきものは変えてもらいたいと思う一方で、余りこちょこちょ変えられると、先々のことまで考えて、先ほどもお話あったように、ある程度長い期間の中でプランを描いているわけですから、そこにマッチしなくなってしまうんじゃないかという逆のリスクも生まれてくると思うんですね。

 必要な修正はすればいいと思うんです。ただ、修正をちょこちょこやってきて、十四年間で八回というのは、私はさすがにちょっと多いんじゃないかなというふうにも実は直観的に思っております。

 ここでお伺いをしたいのは、十四年間で八回目の改正となるわけですが、これだけ多頻度の改正が行われなきゃならなかった理由というのはそもそも何ですかという話が一点と、今回は、前回から約二年での改正ということになるんですが、今回の改正案に盛り込まれている内容は、逆に言うと、なぜ二年前の改正案には盛り込むことができなかったのか、この二点、お答えをいただいてよろしいでしょうか。

栗田政府参考人 都市再生特別措置法、平成十四年以来、今回で八回目の改正という御指摘を頂戴しております。もう御指摘いただいたとおりでございますが、その都度の改正、これは、社会経済情勢を踏まえて、時代のニーズに合わせて施策を展開してきたというふうに考えておるところでございます。

 二、三、改正の例を御説明させていただきますと、平成十四年の立法時、これは主として大都市に着眼をした法制から始まっておりますけれども、平成十六年、最初の改正ですが、全国都市再生という考え方のもとで、交付金に基づく公共公益施設整備、全国の市町村を対象にするというふうな観点の付加を行っております。

 また、平成二十三年、これは民間都市再生事業の認定申請期限の延長とともに、都市の国際競争力の強化という観点から、特定都市再生緊急整備地域制度の創設その他の施策の充実を図っております。

 前回、平成二十六年の改正は、人口減少、高齢化が進行する中で、全国の都市を対象ということですけれども、いわゆるコンパクトなまちづくりを進めるための立地適正化計画制度の創設を図ったところでございます。

 今回、五年前の改正と同様に、民間都市再生事業の認定申請期限を五年間延長するということを一つの柱とさせていただいております。そのほかに、国際競争力の観点、防災の観点を入れさせていただいております。

 国際競争力の観点ですが、最近、我が国で活動します外国の企業、ビジネスパーソンのニーズとしまして、国際会議場施設あるいは外国人対応の医療施設、そういったものの整備を求める声が高まってきております。このため、さらに国際競争力の強化を図る観点から、これらの施設整備に対する政策の充実を図りたいというように考えておるものでございます。

 また、防災、これももちろん五年前の東日本大震災で大きく着眼をされたというところでありますけれども、近年、とりわけ面的に自立分散型のエネルギーを供給していく、そういった具体的なプロジェクトの機運も高まってきております。こういった観点からのエネルギーの安定的、継続的な供給のための協定制度を新たに法定化するというようにしたものでございます。

 御指摘のとおり、視野を広げ、中長期的視点を欠かさずに不断に検討を進めてまいるべき課題というように考えておるところでございます。

神山(洋)委員 私が指摘したのは、柔軟に修正をするということの是の部分のみならずでして、制度を利用する側からすると、制度の安定性ということもまた一方で大事なわけですから、そういった観点にはぜひ御配慮をいただきたいということであります。

 回数のみをもって、いいの悪いのという話ではなくて、もちろん中身の話でありますけれども、これからも、町をつくっていく、都市をつくっていくということは非常に重要な要素であるわけで、柔軟にやるということと制度の安定性を保つということは非常に背反する話ではあるわけですが、ぜひユーザーの側に立った観点も含めての制度の運用をお願いしたいなということだけ、この場で申し上げさせていただきます。

 さて、先ほど来申し上げているとおり、この都市再生特別措置法、十四年間が経過をしているわけです。この十四年間の成果をどう総括されているか、まずここをお伺いさせていただければと思います。

栗田政府参考人 法制定以来十四年ということでございます。都市再生特別措置法は、立法当初から、例えば都市機能の高度化、都市の居住環境の向上、都市の防災に関する機能の確保、こういったことを法目的に掲げておるところでございます。

 これは相互にオーバーラップするところはあると思いますけれども、都市機能の高度化あるいは都市の居住環境の向上、こういったことにつきましては、主に大都市、地方中核都市を対象とした取り組みとしまして、これまでに、容積率緩和等が可能な都市再生特別地区、こういった地区を七十八地区で設定するといったようなことですとか、大規模で優良な民間都市開発事業につきまして金融、税制面での支援を行う、そういった計画を九十一認定するといったような取り組みを行ってきております。

 これによりまして、優良な民間都市開発事業が実施されまして、ハイスペックなオフィス、ホテル、医療施設、こういったことの供給が行われてきたことに加えまして、道路、広場等の公共施設も整備されてきて、市街地がより良質なものになってきているという成果が見られると考えておるところでございます。

 また、防災機能の確保という点ですけれども、これは東日本大震災以後、平成二十四年度の制度創設以降、都市再生安全確保計画というものを全国十五地区で作成いただきまして、一時退避施設ですとか緊急時の備蓄倉庫の確保、こういったものを進めてきているところでございます。

 このように、都市再生制度、着実にその効果が出てきているとは思いますけれども、引き続きまして、自治体、民間事業者と一体となって都市の再生を進めていきたいと考えております。

神山(洋)委員 私は、きょうのこの法案質疑のみならず、ここ三回ぐらい議論をさせていただいた際に、ほぼ必ず既存法の総括というお話を伺っております。

 前段で御答弁いただいた際にPDCAサイクルという言葉が出てきましたが、特にチェックの部分が、どこまでこの数字をここで細かく議論すべきかは別として、果たしてどこまでやられているのかなというところには、きょうの話のみならずで、実は疑問を抱いております。

 あれもできました、これもできましたという定性的な話は当然わかるわけですが、当然これは一定の年限の中で一定のレベルまで持っていかなければいけないということを考えれば、そこにはやはり定量的な判断があってしかるべきだと思いますし、その量が足りているのか全く足りていないのかということによって、やるべき中身も、そこに対しての予算手当てのボリュームも変わってくると思うんですね。そこをぜひ緻密にしていただきたいということはお願いをさせていただきます。

 今回の法改正の中で、前段でも議論がなされておりましたが、大規模災害に対しての環境整備というお話もありました。これは誰も反対をする要素ではないと思いますし、私もそれはきちんとやらなければいけないなというふうに考えております。

 都市の国際競争力という観点から考えたときに、我が国の都市は、必然的に災害に対しての脆弱性というものを、これはもう逃れられない要素として抱えているわけです。

 都市間の国際競争を行っていくという中で、災害に対しての脆弱性を克服することはできません。しかし、一定の対応の中でそこに対して相応の対応が行われていて、企業からすれば、ビジネスの継続性を含めたところに、それなりのリスクはもうカバーされているんだというふうに外から見たときに認識をしていただくということは、当然我々国民に対してはもちろんでありますが、これは非常に大事な、ある意味では国家的な課題であろうという認識を私は持っています。

 その意味で、今回は、ここでいうと非常用電気等供給施設協定という制度が新たにできて、一定エリアの中でビルの所有者とエネルギー供給施設の所有者による協定の制度を設けるのですということでありまして、それはいいのかなと思います。特にエネルギーというのはそういった際には非常に大きな担保となるというふうにも思っています。

 ただ、全体の都市の災害に対しての脆弱性に対しての担保ということを考えると、当然ですが、エネルギーというのはそのうちのパーツの一つでしかありませんで、エネルギー以外にも極めてたくさんの大きな要素があると思いますし、今ここでお話をしているのは、都市再生特別措置法の枠の中だけの話でありまして、その枠の外はまた別の議論なわけです。

 なので、ここで大臣にお伺いをしたいのは、この話は、これはこれでいいとして、それも含めた上で、我が国の都市として災害脆弱性ということに対してどういう形で包括的に対応していこうとしているのかというこの包括的な方針、お考えをお伺いしたいなというところです。

 例えば、これは、その一部ですが、最近の話でいえば、大都市の話では必ずしもないかもしれませんが、今回の熊本地震の話を受けて建築基準法の改正ということも識者の一部からは声が上がっているという話です。慎重に検討を要するべきだと思いますが、少なくとも昭和五十六年以降、改正をされて耐震化を図ってきたという経緯の中で、一回の地震に対しての備えということはもちろん考えてきたわけですが、複数回の、二回以上の地震に対してどう対応するかという観点は、ないとは言いませんが少なかったということもまた事実なんだと思うんです。

 この建築基準法改正の話も含めてでありますが、今申し上げた、我が国の都市の災害脆弱性に対しての対応を全体的にどうするのかという大方針、大臣、お考えがありましたら御答弁をいただければと思います。

石井国務大臣 地震を初めとする災害に強い都市を構築していくことは、我が国の各都市が共通して抱えている課題であります。各地方公共団体は、地域防災計画におきまして、多様な災害に応じて必要な防災施設の整備等の災害予防のほか、災害応急対策や災害復旧について定めておりまして、それぞれの都市が対策を総合的に進めていくことが必要と考えております。

 国土交通省といたしましては、都市づくりの計画を策定する地方公共団体向けの都市計画運用指針や防災都市づくり計画策定指針において、さまざまな災害リスクを十分に把握した上で総合的な対策に取り組むよう促しております。

 その実現のためには、それぞれに抱える課題に対応した防災対策の手法といたしまして、土地区画整理事業ですとか密集市街地総合防災事業等のさまざまな手法がございまして、こうした制度のさらなる充実、周知が必要と考えているところでございます。

 また、今回の熊本地震では、建築物に多大な被害が生じていることから、国土交通省におきましては、国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人建築研究所の専門家を現地に送りまして、建築物の被害に関する調査を行っております。

 耐震基準の見直しにつきましては、こうした調査や、大学や日本建築学会などの専門家の現地調査の内容も踏まえまして、その対応の必要性も含めて、予断を交えずに検討していきたいと考えております。

神山(洋)委員 後段の建築基準法、耐震基準の話については、また別途いろいろなところで議論をさせていただければなというふうにも思っております。

 続いて、今回の法改正の中で、金融支援の対象にMICEの施設を追加するという話がありました。観光政策の観点も含めて、そういった施設をきちんと整備していくことは大事だということはもう何年も言われてきた話ですので、そこそのものに異論があるわけではないんですが、一つ気になるのは、民都機構、民間都市開発機構の話ですね。端的に言えば、民業圧迫にならないという担保がどこまで考えられているのかなという、その確認です。

 政策金融の考え方というのはいろいろあるかと思いますが、常識で考えれば、プライベートセクターがやれることに対して政策金融がその領域に踏み込んでいくということはそもそもないわけです。そこはビジネスでやってくれという話だと思うんです。

 ただ、プライベートセクターがとり得ない、例えばそれはカントリーリスクであったりする場合があるわけですが、そういったときに政策金融の有用性が一定程度あるということは、私もそうだというふうに思っています。

 その観点で、例えば今回の国際会議場等ということであり、ある意味では、これまでもそういった形での事業参画が可能であった分野も含めてではあるんですが、民都機構がその領域に入っていく、または入ることができるという形で法改正をしていく中で、民業圧迫にならないためにどういう配慮が行われているのかなということは一点確認をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

石井国務大臣 今回、都市の国際ビジネス・生活環境の整備を図る上で必要な施設につきまして、民間都市開発推進機構の金融支援の対象とすることとしております。具体的には、国際会議場施設、外国語対応の医療施設、教育・子育て支援施設等を対象とすることとしております。

 都市開発事業は、事業期間が長く、投資の回収期間も長期間にわたるため、事業者は長期の資金が必要となりますが、民間金融機関では、そうした長期の資金の供給は一般的になかなかやりたがらないというか困難な状況でございます。このため、民間都市開発推進機構による長期資金による金融支援に対する市場ニーズがあると承知をしております。

 特に、国際会議場などの施設は、オフィスに比べて収益性が劣り、また、オフィス等収益施設への用途転換が困難であることから、民間金融機関からの資金調達が一層困難でございます。

 このため、民間都市開発推進機構の金融支援の対象といたしまして、こうした整備を行う民間事業者に長期安定的な資金を供給することで整備を促進してまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 今の大臣の御答弁なんですが、長期の資金を民間金融機関は手当てしたがらないというお話がありましたが、果たして本当にそうなのかなというところは一つ疑問があるわけです。

 これは企業の話とは違うかもしれませんが、例えば個人であったって住宅ローンという話はあって、極めて長期の契約になるわけですし、では民間金融機関で長期の融資を本当にしていないかといったら、それは、そこに至るまでの審査過程というのはいろいろあるかと思いますが、やっていますよ。そこを逆にこの民都機構が持っちゃっていることによってそもそも民間金融機関がそこに参画をする意思そのものを持たないのだとしたら、それは公による民業の圧迫になりかねないんじゃないかなというふうに私は思うわけです。

 加えて、もっと大きな問題だなと思うのは、私もそうなのかなと思っていましたし、今大臣からの御答弁もあったわけですが、収益性についての言及がありました。

 国際会議場は、ある意味での公の意味もあるという中で、それそのものでどこまでもうかるのかなというところは確かに常識論からしても疑問点は残るわけですが、これは、収益性が劣るということであれば、資金をどこから調達したかどうかはともかくとして、そもそもその国際会議場に持続可能性がないんじゃないでしょうか。その持続可能性がないところに対して、もしくは低いところに対して公のお金を、半公かもしれません、投入していくというところは、そもそも問題があるんじゃないかなというふうに私は思うわけです。

 政策金融を、惰性とまでは申し上げませんが、機械的に継続していくという形でどんどん業務範囲を拡大していくというところに対しては、私は一定の歯どめがあってしかるべきだと思うんですが、大臣、もう一度御答弁いただけますか。いかがですか。

栗田政府参考人 民間都市開発推進機構の機能、これを民業との関係でどう考えるかということでございます。

 民間都市開発推進機構に限らずということかと思いますが、いわゆる政策金融を担う、これは、市場の金融を補完するという立場を超えるものであってはならない、民業を圧迫するものであってはならないというように考えてございます。

 これまでも、そういった観点からの制度的措置を講じてきておるところでもございます。例えば、五年前のこの法案の改正でお認めいただいたものでは、なかなか民間の市場では供給が十分ではない、いわゆるミドルリスク、ミドルリターンのメザニンという部分に限った融資制度を創設させていただいたりしております。

 また、先ほど大臣から答弁申し上げましたとおり、都市開発事業につきましてなかなか十分な長期の資金の供給が困難というような背景があるというのは、一般論として常に存在するところであると思います。ただ、民間都市開発推進機構の融資案件の選択に当たりましては、民業圧迫することのないように、むしろ民間ローンの呼び水となるというような機能であるということを十分、あるいはそれを補完するということを旨としまして運営に当たりたいというように考えております。

 国際会議場等の施設は、オフィスに比べまして、単位面積当たりの収益力は二分の一、三分の一、物によっては四分の一、そういったことが言われます。こういったものはそれ単体で収益をとっていくということはなかなか難しいということでございますので、今回の措置も、あるビルの中のワンフロアを例えば国際会議場にする、そういったことでビル全体の機能、評価を高めるといったようなことでの競争力の強化を目指しておるところでございます。

 そういった視点を踏まえまして、制度の的確な運用あるいは制度の不断の見直しということに努めてまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 繰り返しになるのでもうこれでやめますけれども、長期的な資金を民間から融通するのが困難であれば、それを可能にするように政府が後押しをするという制度はほかに幾らでも考えられると思うんですね。何も、デフォルトで民都機構からの融資を前提とするという制度以外にも、幾つか複数のオプションがあったっていいんじゃないですかということも含めて、ぜひそこらをこれから柔軟に考えていただきたいということを申し上げておきます。

 さて、都市再開発法に絡んで、あと一つ、二つになると思うんですが、質問させていただきたいと思います。

 今回の改正で、市街地再開発事業の施行区域に特定用途誘導地区の区域を追加するということを可能にしようとしているわけです。

 その前提として、前回の改正で、立地適正化計画をつくるということも埋め込まれていて、これは、要は、先ほど来議論がありますとおり、コンパクトシティーへの誘導効果ということを見込んでいるんだと思うんです。その効果の度合いは、あえて時間の関係でここではお伺いをしませんが、そのスキームを使って、今全国の自治体が、立地適正化計画を、策定済みはまだ少ないらしいですが、策定中という話を伺っていて、二百後半の数字だったかと思うんですが、そんな数で全国でつくっているというお話を聞いております。

 これは当然ですが、その作業に入っていく自治体はふえているわけで、二年ぐらい前でいうと七十ぐらいだったという話も聞いている中で、今二百を超えてきている、三百に近づいてきているという話があります。

 これは現場の、各自治体の側からしたときの話ですが、実は、私の地元の小田原市でも、こういった計画をもとにしていろいろなプランを練っているというさなかで、そういう担当者の方ともいろいろな意見交換をしている、最初はこのぐらいだったから、大体このぐらいの金額を見込んでいろいろなことを考えていましたと。ただ、最近計画をつくっていく数がどんどんふえているという話があって、それは国全体としてはいいことなのかもしれないけれども、何を心配しているかというと、計画自体がふえているので、最終的な予算が、このぐらい見込んでいたけれども数がふえたからこれぐらいですよという形になっちゃったら嫌だなということは、これはそのままストレートにはおっしゃいませんが、やはり自治体の関係者からすれば非常に気にしていることですし、恐らく、それは全国の自治体関係者、まさに計画策定中の方々からすれば、同じ思いがあるかと思うんです。

 その財源手当て、これからふえ続けていくことも予想されるわけですが、そこをどう担保されようとしているか、大臣にお伺いさせていただければと思います。

石井国務大臣 立地適正化計画は、コンパクトシティーを進めていく上で基礎となる重要な計画でありまして、多くの市町村に取り組んでいただきたいと考えております。

 この立地適正化計画につきましては、現在、二百七十六市町村において具体的な検討が進められております。これまでに大阪府の箕面市、熊本市が計画を作成、公表しておりまして、平成二十八年度中に約百十の市町村、二十九年度中に約七十の市町村が計画作成、公表する予定と聞いております。

 国土交通省としましては、これら計画作成、公表の動向に加えまして、新たに計画作成に取り組む市町村の動向を見きわめつつ、予算の確保に努め、コンパクトシティ形成支援事業により、引き続き支援をしていきたいというふうに考えております。

 また、予算だけでなく、職員が現地を訪問して立地適正化計画の作成に向けて重点的にコンサルティングを実施するなど、市町村からの相談等にきめ細やかに対応して積極的に支援をしていきたいと考えております。

神山(洋)委員 そういう人的な面も含めてのサポートをいただいていることはお伺いしておりますし、それはぜひこれからもよろしくお願いします。端的に言えば、途中ではしごを外さないでくださいねという思いがあるということをこの場をおかりしてお伝えさせていただきます。

 最後になりますが、今の話も踏まえて、実はこの通常国会の頭の方で、大臣所信を踏まえて議論をさせていただいた際にも同じ議論をさせていただいたんですが、このコンパクトシティーであり、今の立地適正化計画の策定及び実行ということを考えていったときに、当然、この場は国土交通委員会でありますし、この制度そのものは、内閣府も当然絡みますけれども、国土交通省さんの方で主に主管をされているという制度ですので、そういう国土交通省マターの話が中心になっていくのは当然かなとは思うわけです。

 ただ、コンパクトシティーという形で、誘導施設を核になるところにつくっていって、それを踏まえた上でいろいろな新しいまちづくりを計画していこうといった際には、これは当たり前の話でありますけれども、そこには福祉も絡めば子育ても絡むし、教育も絡むでしょうし、商業も絡むでしょうし、医療という要素もあるかもしれませんという形で、非常に横断的な要素があって初めてそのコンセプトが形づくられるものだと思うわけです。

 その意味でいえば、国土交通省マターのさまざまな支援策というところはいろいろあって、使わせていただいていますよという声はよく聞くわけですが、一方で、そこで聞くのは、もうちょっと他省庁ともまたがるような話が同じ土俵の中で出てきたらいいし、連携したメニューがたくさんあるといいのだけれどもという要望は実は幾つかお伺いをしているところです。こういった横断的な支援策をもう少し講じていく必要があるんじゃないかと思いますが、最後に大臣、この点はいかがでしょうか。

石井国務大臣 コンパクトシティーの推進に当たっては、今委員御指摘いただいたように、医療、福祉、教育等、まちづくりに密接にかかわるさまざまな施策と連携し、総合的な取り組みとして進めていくことが重要であります。

 このため、政府におきましては、昨年三月に関係の十省庁で構成をいたしますコンパクトシティ形成支援チームを設置いたしまして、この三月までに計六回の会議を開催いたしました。この枠組みを通じまして、省庁横断的に市町村の取り組みを支援しているところでございます。

 これまでに、例えば、コンパクトシティーの取り組みに活用可能な政府全体の支援施策集を取りまとめ、市町村に送付、公表したほか、関係省庁が連携したコンサルティングを行っております。また、医療、福祉や公共施設の再編など、まちづくりとの連携が重要な分野につきましては、関係省庁と連携してガイドラインの策定も行っております。

 現場でも政策連携の必要性は浸透してきておりまして、健康づくりや子育て支援などをまちづくりの中心テーマに据えて、自治体関係部局や民間関係者が連携して取り組みを進めるといった事例も出てきております。

 国土交通省としましては、引き続き、支援チームの枠組みを最大限に活用いたしまして、自治体内の関係部局間の緊密な連携を要請しながら、市町村の取り組みを強力に支援してまいりたいと思っております。

神山(洋)委員 また議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

谷委員長 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 おはようございます。民進党・無所属クラブの黒岩宇洋でございます。

 きょうは、都市再生特措法等の一部改正案について質問させていただきます。

 これまた、都市再開発法も含め幾つかの法案の束ね法となっておるということで、最近ちょっと束ね法が多過ぎまして、一個一個の論点というのが余りにも多岐にわたっているということをあえて指摘させていただきまして、できる限り個別に法案を審査させていただきたいということをまた冒頭お願いさせていただきます。

 質問通告の順番をちょっと変えまして、都市再開発法について、こちらからお聞きしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 先ほどの質問にもありましたけれども、個別利用区制度の創設というものがございますけれども、今このニーズというものは一体どのくらいあるのか、まずこの点を教えていただけますでしょうか。

栗田政府参考人 個別利用区制度のニーズというお尋ねでございます。

 個別利用区制度、先ほども答弁申し上げさせていただきましたので、もう制度の内容は簡潔に差し上げたいと思いますけれども、今の再開発の原則的な仕組みは、施行区域内の既存建築物を原則として全て除却するということが原則でございます。

 今回の個別利用区制度は、施行地区内にまだ使える既存ストックがあるというようなときにはその活用を積極的に図る。もって、大都市ほどの大きな床需要がない地方都市においても、有用な既存ストックを有効に活用しながら、身の丈に合った再開発を進めていく、事業リスクを低減するといったようなことを目途としておるというものでございます。

 もろもろメリットがあるということでございますが、例えばニーズということで申しますと、我々、比較的床需要がそれほど多くない地方都市から幾つかの御相談なり御関心をいただいておるところでございます。

 市街地再開発事業につきましては、これまでどちらかといえば人口が多い、二十万、三十万以上といったところでの事業が中心的でありましたけれども、この制度の活用に今関心を寄せていただいている十程度の地方公共団体の中には、人口十二万とかあるいは五万弱とか、そういった都市も含まれておるところでございます。個別利用区制度の創設によりまして、市街地再開発事業は、そのような都市におきましても活用できるより汎用性の高い制度となるというように考えております。

 国会でお認めいただけまして、また制度周知に努めていく段階に入りましたら、より積極的に活用に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。

黒岩委員 局長、本当に端的に答えていただければ結構なんですよ。約十程度の自治体からのニーズがあるという状況ですよね。

 先ほど、この個別利用区のメリットについても局長の方からお答えがございました。このことによって、当然、市街地再開発事業がしやすくなっていくという理解でよろしいですね。今ニーズは十ぐらいですけれども、これはどんどん広がっていく可能性が高い、そういう認識でよろしいでしょうか。

栗田政府参考人 そのように考えておりますし、そうなるように取り組んでまいりたいと思っております。

黒岩委員 そこで、ちょっと一点お聞きしたいんですけれども、今申し上げたように、都市開発、市街地再開発事業は、徐々にこの制度によってしやすくなっていく、広がっていくということを今見越しているわけですけれども、この個別利用区制度を活用した事業の施行者にURが施行者となるということは想定されておりますでしょうか。

栗田政府参考人 先ほど個別利用区の活用に期待が大きい地方都市ということで幾つかのことを申しましたけれども、この個別利用区の活用に期待が大きい地方都市の中心市街地における比較的小規模な事業についてURが施行者となるということは想定しておりませんし、現時点においてもそうでありますし、また、制度検討過程においてもURによる制度活用を念頭に置いていたということはございません。

 現在、本制度の活用につきまして、先ほど十程度と申し上げました地方公共団体から御相談をいただいておりますが、いずれの地区におきましてもURが関与することは予定されておりません。

黒岩委員 想定されていないということを今おっしゃいましたけれども、これはURの業務内容、業務を行うことに対して、この都市再開発法上、法的な何か要件がかぶさっている、その要件は何であって想定されないのか、この点についてもお聞かせいただけますか。

栗田政府参考人 都市再開発法におきましては、URが施行する市街地再開発事業につきまして、一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区の計画的な整備改善を図るため当該地区の全部または一部について行う事業、これが一つでございますが、もう一つ、国の施策上特に供給が必要な賃貸住宅の建設とあわせてこれと関連する市街地の再開発を行うための事業というように限定されております。

 限定されておりますと申しますのは、現行法において限定されておりますというように申し上げておりまして、今回、再開発法につきましても数点の改正を加えておりますけれども、そこにこのURの施行に関連しての改正部分は一切含まれておらないというようなことでございます。

黒岩委員 改正部分がないことは承知しておりますけれども、今局長がおっしゃったのは、都市再開発法二条の二の第五項の一、二を述べられたんだと思いますけれども、これはまたは規定ですから、特にひっかかるのがこの一の「相当規模の地区」という、この文言が一つの大きな要件なんだと思います。先ほど局長も、小規模とか、そういったことを条件づけて、想定されないとおっしゃっています。

 では、お聞きしますけれども、この「相当規模の地区」といったときの相当規模、これは面積とか数値的なものにおいての定義はあるんでしょうか。

栗田政府参考人 先ほど私が御紹介しました都市再開発法上の条文に出てまいります相当規模ということにつきまして、これは、例えば法律上あるいはその下位法令の中で、数値をもって、何ヘクタール未満をもってそれに該当するんだというような定めはございません。

黒岩委員 そうです。ないんですよね。まず、URが施行者になるときの、今言ったような相当規模という要件ですけれども、それについては厳密な定義はないとおっしゃいました。

 では、もう一つお聞きします。

 今回の個別利用区の制度の創設ですけれども、この個別利用区というものについて、これも、いわば規模的な、面積的な、数値的な定義というものは何か要件はかかっていますでしょうか。

栗田政府参考人 個別利用区ということにつきまして、面積要件というものを数値で定めておるということは今回予定しておりません。

黒岩委員 ということは、URが行える事業についても、面積的な要件は法的には定義されていない。そして、今回の個別利用区の創設において、この個別利用区たるものについても、これは規模的な、数値的な、法的な定義はないということですから、二つあわせても、先ほど想定はしていないとおっしゃっていますけれども、URが施行者となり得ることは法的には排除されていないという理解でよろしいですね。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 法的に今回の個別利用区の制度の活用からURを明文をもって排除しておるということはございません。それは、今委員御指摘のとおりでございます。

 ただ、繰り返させていただきますと、先ほども申し上げましたとおり、現在、この個別利用区につきましてURが施行者となるということは我々は想定しておりませんし、また、制度検討過程の中でURによる制度活用を念頭に置いたということもございません。

 また、本制度の活用について大変強い関心をいただいている地方公共団体、いずれの地区におきましてもURの関与ということを予定しているということは一切ございません。

黒岩委員 皆さんおわかりのとおり、今時点は国交省が主管として想定していない、そして、現状、約十程度の自治体が、現時点でですよ、URを施行者として想定はしていないということだけが明らかになったわけです。

 私があえてこれにこだわるのは、今いろいろと、若干物議を醸し出しているURが、今回の都市再生法等の一部改正によって事業拡大、業務拡大につながるというような、そんな御指摘もある。

 これは大臣にちょっとお答えいただきたいんですけれども、これについていかがなものか、そういった御意見があるわけですよ。そして、今都市局長の方で、想定しないんだと。実際には国交相、国交大臣が認可をしなければURは施行者にはなれないわけですから、ここであえて、今後、この個別利用区の創設、この制度を用いた事業については、これはあくまでも地方都市の比較的小規模な事業であるわけですから、これについてURが施行者にはならないということを国交大臣の答弁としてお答えいただけませんでしょうか。

石井国務大臣 今都市局長から答弁いたしましたとおりでありますけれども、個別利用区の活用に期待が大きい地方都市の中心市街地における比較的小規模な事業において、URが施行者となることは想定してございません。

黒岩委員 これは大臣答弁としてはっきり議事録に残させていただきましたので、私としても理解をさせていただきました。

 それでは、再開発法についてさらにまた質問をさせていただきますけれども、住宅団地の再生についてお聞きをしたいと思います。

 今回、組合員規定の見直し等で、これは建てかえ等がしやすくなるという内容になっていますけれども、この前段として、現行法上、住宅団地の建てかえについて、都市再開発法を用いる場合、または区分所有法を用いる場合、この二つの法について、どちらかを優先的に用いるという優先関係はあるのでしょうか。この点についてお答えいただけますでしょうか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃる優先という意味が必ずしもちょっと明らかではございませんけれども、基本的には、再開発法に基づきます再開発事業は、都市計画決定を行いまして都市計画事業として行われる公益性、公共性の非常に高い事業でございます。

 一方で、区分所有法に基づきますマンションの建てかえにつきましては、あくまでもマンションの住民の合意を前提に行う事業でございます。もちろん、再開発事業につきましても、今回提案をさせていただきます全員共有型の場合にも、三分の二の合意でできるようにということを今お願いしておりますけれども、したがいまして、合意形成は当然必要でございますが、まず、基本的にはそういう性格の違いがございます。

 どちらを選択するかということは、市街地再開発事業については、都市計画決定をしようという市町村の意思がまず働くということに大きな違いがあるというふうに思っております。ただ、合意形成の上で住民がどちらの事業を選択されるかというのも、まさに住民の合意形成によって決まってくるものでもあるというふうに申し上げたいと思っております。

黒岩委員 制度上の違い、要件のことをおっしゃいましたけれども、重要なのは最後の部分で、まず区分所有者の意思によるということですよね。(由木政府参考人「はい」と呼ぶ)局長、そのことを確認したかったんですよ。ですから、再度あれば、いいですよ、御答弁になるなら。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、委員のおっしゃるとおり、区分所有者の意思が一番大きなメルクマールになるというふうに考えております。

黒岩委員 そうおっしゃっていただければありがたかったんです。要するに、別に法的にどちらかを使わなきゃいけないという優先関係はなく、あくまでも、まずは区分所有者の意思によって検討されるということになるわけですよね。

 そこで、では、今時点、今までの実績、累積において、実際にこの住宅団地の建てかえにおいてどちらの法律が使われたのか、これについて説明をしていただけますでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 これまで私どもが把握しております住宅団地の建てかえの実績は、累計で百十四件でございます。このうち、区分所有法によって建てかえられているものは七十七件、約八十件弱でございます。実は、区分所有法と再開発法以外にマンション建てかえ促進法という法律がございまして、この法律に基づきます事業が約三十件弱ございます。再開発法による事業で建てかえられたものが約十件ほどございますが、そのうち、今回お願いをしておりますような一筆で、全員合意で建てかえを行わざるを得なかったものというのが一件だけございます。そういう意味では、一筆全員合意型でこれまで団地の建てかえが行われた実績というのは一件ということだというふうに承知をいたしております。

黒岩委員 そうなんですよね。百幾つの事例がある中で、一筆全員合意、この全員合意型で建てかえが行われた例というのは一つしかない。

 すなわち、先ほどおっしゃった八割方を占める区分所有法ですと五分の四要件で建てかえが可能なわけですから、もちろん、都市再開発法を使うには幾つかの要件がまたかぶさるというハードルもあるかもしれませんけれども、今十分の十と五分の四を比べれば、五分の四の方がハードルが低く、今までの実績においても、やはり区分所有法を使う例が多かったということでございますよね。

 そこで、今回、組合員の規定の見直しというものが改正されるわけですけれども、改正後においても、今申し上げた都市再開発法とそして区分所有法の選択、優先関係というものは、これは今までと変わりはないですよね。

由木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げた優先関係に変わりはございません。

黒岩委員 これから先の話になりますのでまさに想定の議論になりますが、今申し上げたとおり、現行ですと、何せ十分の十ではなかなか確かに建てかえづらいということで、結局五分の四の区分所有法を大多数、ほとんどが使っていた、これは区分所有者の意思にまずは基づくと言いながらも。

 そうしますと、今回は、組合員規定の見直しによって、今まで十分の十だったものを三分の二、要するに、一人一人を別個の組合員と数えることができるわけですから、三分の二要件になった。そうなると、これは、選択によっては、区分所有法ではなく、改正後の都市再開発法の三分の二要件を使う、ですから、事実上、三分の二の同意があれば建てかえができるということになるのではないかという想定が浮かぶんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも再開発事業でございますので、先ほど申し上げましたように、都道府県が、まず、都市計画の上で、この地区は再開発をする必要があるという都市計画決定をする必要がございます。したがいまして、そういった意思が働かないところに、いきなり三分の二の合意で事業ができるようになる、つまり、区分所有法の五分の四が自動的に三分の二に変わるという改正をお願いしているわけではございません。あくまでも再開発事業は、もともと今の制度として、三分の二の合意で事業を進めることができるという規定でございます。

 ところが、全員が共有しているタイプの敷地で事業を行う場合に限っては、今の状況では全員合意でないと再開発事業そのものが施行できませんので、そういったことを、今回員数のカウントの仕方を変えることによりまして、再開発事業一般の要件を適用させていただきたいということでお願いをしているものでございます。

黒岩委員 もちろん、再開発事業自体の要件、いろいろと、四つほどあるわけですし、一つ一つを見ると、例えば耐用年限、これは四十七年、先ほども出ていましたけれども、この三分の二以上老朽化が進んでいなければいけないとか、こういった条件はかなり明確にハードルとしてある。ですから、これをクリアしなければ再開発法を使うことはできないですけれども、そのほか幾つかある要件というのは、ある程度工夫をするとクリアできるのではということは事務方の方からも聞いておるんです。

 ですから、私が申し上げたいのは、結果として幾つか再開発法の要件がかぶさっているとはいえ、その要件をクリアしてしまえば、結果的には、五分の四ではなく三分の二の要件の再開発法を使う、こういった場面がふえるのではないかということについて、私は、もうちょっと明確に、今後の、例えば築四十五年以上の住宅団地におけるどのくらいの割合をこの都市再開発法によって建てかえを行っていくのか、そういったような想定もお聞かせいただきたいんです。

由木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、これまで敷地が全員共有になっておりまして、再開発事業で事業を行います場合には全員合意が必要でございましたので、これまでの再開発事業の歴史の中でも、その方法でやったものが一件しかございません。

 したがいまして、今回の改正によりまして、それよりも、敷地が全員共有の場合の団地再生がやりやすくなるということはおっしゃるとおりでございます。まさに、団地再生のための一手法として、市街地再開発事業による建てかえをやりやすくするという観点から今回の改正をお願いしているものでございます。

 したがいまして、私どもの目標といたしましては、今、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、できてから四十五年を超えるような住宅団地が約三百弱ございますので、十年間の目標で、その一〇%に当たる三十団地程度、再開発事業によりまして建てかえ、再生を推進してまいりたいという目標を持っているところでございます。

黒岩委員 この間の議論の私の通底する問題意識は、これはなかなか難しいのは、本当に、老朽化が進んできた住宅団地の建てかえの必要性は私も当然理解しておりますし、これは経年変化によってもう既に大きな大きな社会問題化してくる。

 反面、建てかえに同意しないという個人の意思というものの尊重、この兼ね合いで今まで行政側もいろいろと知恵をめぐらせてきたという、これは常に賛成する方と反対する方の権利が衝突するわけで、これをどう調整していくかという、このことがまず問題意識であります。

 特に、先ほど申し上げた、例えば、五分の四要件なら大ざっぱに言えば五分の一の反対している方、三分の二要件ならば大ざっぱに言えば三分の一の方、十分の十要件だったら反対している人はいないわけですからこの問題は起きないわけですけれども、今回の法改正によって、三分の一、まあこれは本来の再開発法といえばそれまでですけれども、ただ、組合員の規定見直しによって、今までは十分の十だったものが三分の二になって、三分の一の反対者がいても建てかえが行われるといったときに、やはり、この三分の一の反対している方、こういった方に対しどう処遇手当てを現状でもしているのか、また今後もしていくのか、この点、丁寧な対応についてお答えをいただけますでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、市街地再開発事業は、市町村が都市計画を定めた上で行う事業でございますので、土地の高度利用あるいは都市機能の更新を図るという公益性の観点に着目をして、三分の二という特別の合意で事業が進められるようになっているという事業でございます。

 一方で、事業を実施するに当たりましては、権利者の方々に対しまして各事業の段階段階でできるだけ丁寧に御説明をする中で、できる限り多くの権利者の方の合意をいただきながら事業を進めていくということが必要であると思います。

 ただ、その場合でも、やはりどうしても反対をする方というのが出てまいることは事実でございます。そういった方につきましては、従前その方がお持ちの資産の価格に応じて補償を行うこととされております。また、移転に伴って生じます、例えば引っ越し費用等の通常生ずる損害というのも、当然、これを補償するという措置がとられます。また、事業者サイドが提示をいたしました補償額に不満がある場合には収用委員会の裁決も申請することができるというような制度もございますので、従前の権利については、そういった補償により償われている形がとられているという事業でございます。

 また、その事業の施行に伴いまして、従前の居住者の方が例えば所得が低いというような場合に公営住宅やURの賃貸住宅にお入りになるという場合がございます。こういった場合は、そういった住宅は原則全て公募によることになっておりますけれども、こういった従前居住者の方々の場合には公募によらずに優先して入居させることができるということになっておりまして、こういったさまざまな手法を使いまして、反対する権利者の方々の居住の安定にも配慮いたしながら円滑に事業を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

黒岩委員 幾つかの手当てについては、局長からお聞きして、私もそこは得心するところであります。

 そこで大臣、大臣からも、今申し上げたように、改正後は十分の十要件ではなく三分の二要件になって、三分の一反対している、すなわち、御自身の意思を伴わない建てかえというものに遭遇する方が出てくるわけですから、この方たちのまさに不安や不満を取り除いていくんだ、ましてや経済的な負担を負わすことはないんだということを、また大臣の御答弁でしっかりと明言をしていただけますでしょうか。

石井国務大臣 実際の事業に当たりましては、権利者の方々に丁寧な説明を行いまして、できるだけ多くの権利者の合意をいただきながら事業を進めていきたいと思っていますが、それでも反対する権利者の方には、しっかりとした経済的な補償をさせていただくと同時に、居住の安定も確保しながら円滑な事業の遂行に取り組んでいきたいと思っております。

黒岩委員 時間もないのであともう一点だけ、ちょっとこれは確認でお聞きしたいんですけれども、今住宅局長から公募という言葉が出ましたけれども、その公募とはちょっと別ですけれども、今回、百十条で特定建築者、施行区域内の権利者の全ての同意が得られた場合、この特定建築者の公募、まさにこの入札を不要とするという条文が新たに加えられました。これは何でこの条文が必要なんでしょうか。

 今なるべく市街地再開発事業というのは透明性とか公正性が求められている中、公募をしないということをわざわざ今回改正に入れる、これは入札をしないということだということをわざわざ入れるということの意味合い、これを教えていただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 若干複雑な御答弁、お許しいただきたいと思います。

 再開発事業の施行者ということでございますが、これは、実際に施行される方が組合であったり、公共団体であったりということでいらっしゃいます。実態としまして、事業の初期段階から事業に関するノウハウの提供を行う民間事業者を必要とする場合が多い。その場合、実務上、事業協力者を公募により選定するということがございます。

 ただ、事業の初期段階に事業協力者として協力するこの人が特定建築者となるのは事業の終盤でございます。その段階で公募が行われ、結果として、事業の初期段階から協力している人が特定建築者になることができないということで円滑な再開発の進行を阻害する、組成を阻害するといったようなことがございます。このために、今回、一定の場合には公募原則を緩めたいというようなものでございます。

 当然ながら、この公募原則というものは意味のある規定でございます。公募原則はなぜ設けられているのかということでございますけれども、特定建築者、実質上、こういった市街地再開発事業を施行するということでありますので、一部の権利者とだけ利害関係を有する民間事業者が特定建築者になるということでありますと、その他の権利者の権利が阻害される場合がございます。このために、今、原則として公募により選定されるということになっております。

 ただ、関係権利者の全員の合意が得られる場合には、特定建築者を公募で選定しなくても関係権利者間の利益が損なわれるということはないと考えられますので、今回、再開発の組成、進行を容易にする、他方、関係権利者の権利を保護するというような保護法益は維持するというような法的措置を講じさせていただきたいというものでございます。

 複雑で申しわけありません。

黒岩委員 多分、多くの方は今の説明を聞いてもなかなかわからないでしょう。私はかなり、何時間もお聞きしているので中身は理解しておりますが。

 ただ、いずれにせよ、発注者の多くは自治体ですよ、今回自治体からの要請で公募を外すという、これはやはり多くの国民からすれば、まさに特定建築者ですから、これは随契だ、公募じゃありませんというような理解をされるわけですから、公の自治体がこういったことは慎むべきだということを私は指摘させていただきます。

 もう時間が終わりになりましたので、やはり私は、都市再生また都市再開発というのは、繰り返しますけれども、公正さや透明性を担保し、また割を食う弱い立場の人を出すようなことはなく、そして一番重要なことは、その条件を満たしながら、しっかりと地域の活性化につなげていただくことを強く要請して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 民進党、小宮山泰子でございます。

 本日は、都市再生特別措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 都市再生特別措置法は、平成十四年制定後、これまで七回の改正を経て現在に至っております。

 過日、五月十三日の国土交通委員会一般質疑の中でも、一部、都市再生特別措置法に関係する質疑も行わせていただきました。その際にも触れましたけれども、以前私も二回ほどこの改正案には質疑に立たせていただいております。

 今回、通算八回目となる改正は、これまでの改正と同様に期限を五年延長する改正とともに、新たに定められる部分がございます。成立の後には、ぜひとも有効に機能する改正、新制度となることを期待したいと思い、本日は質問させていただきます。

 まず最初に、十三日の質疑で、都市の国際競争力について政府はどのように定義を捉えているのかと聞かせていただきました。

 都市局長からは、都市の国際競争力といいましても、いろいろな要素によって議論がなされますし、どれを重視するか、いろいろな見方があるというようなものだと思います、そういった中で、大規模で優良な民間都市開発事業を促しまして、都市の国際ビジネス環境ですとか生活環境の向上を図ることを通じて、世界じゅうから海外企業やビジネスパーソン等を呼び込むことが大事というように考えていますというような答弁がございました。

 今回の改正では、法第十九条二項にて、都市再生緊急整備協議会が、整備計画に国際会議場施設その他の都市の国際競争力の強化に資する施設の整備に関する事項を記載することができるものと定められております。また、法三十条にて、民間都市開発推進機構は、認定を受けた民間都市再生事業計画に係る都市再生事業について、当該事業の施行に要する費用の一部を負担して当該事業に参加する場合の当該費用負担の限度額に、国際競争力強化施設の整備に関する費用を加算することができるものとすると定められております。国際会議場施設その他の都市の国際競争力の強化に資する施設について、どのようなものを指し示すかは国土交通省令に定められることとなります。

 そこで、国際会議場施設その他の都市の国際競争力の強化に資する施設として国土交通省令で定めるものとしてはどのような施設を想定しているのか、お聞かせください。

栗田政府参考人 今回の改正は、国際ビジネス・生活環境の整備に必要な施設を、国際会議場その他の都市の国際競争力の強化に資する施設、国際競争力強化施設として位置づけまして、大規模で優良な民間都市開発事業を通じまして、その整備の促進を図ろうというものでございます。

 こうした趣旨を踏まえまして、支援の対象となる施設につきましては、国際会議場施設、外国語対応の医療施設、外国語対応の教育・子育て支援施設、研究開発促進施設、これは交流、連携が可能な共有スペースあるいはワークスペースを備えたものに限りますが、そういったものを定めることを想定しているところでございます。

小宮山委員 今答弁にもございましたが、国際会議場施設その他の都市の国際競争力の強化に資する施設として省令で定めるものの中に子育て支援施設なども定められるとありました。

 これに対してはどのようなものになるのか。外国語対応可能な保育園といった通常の施設とは違った特徴を持つことが要件となるのか。また、保育園を初めとした子育て支援施設が量的にも充実することが都市の国際競争力の指標として認められるものと考えているのか、お伺いしたいと思います。

 そもそも日本において、国際競争力の前に、やはり低所得者であり、本当に働くためなど、必要な方々にまだ保育所が行き渡っていない段階では、場合によっては優遇措置ともとれるようなこういった施設を優先させるということに関しては、さまざまな異論も出てくるかと思います。

 保育園など子育て支援施設について国交省の見解をお聞かせください。

栗田政府参考人 今回の法律で考えている子育て支援施設についてのお尋ねでございます。

 今回は、外国人の子供を対象とする保育所、託児所などの保育サービスを提供できる福祉施設で、床面積が一千平米以上のものを位置づける予定でございます。

 もちろん、外国語対応可能ということでございますので、通常の施設とは異なりまして、一貫して外国語による対応が可能であるということを求めたいというように考えております。

 具体的には、外国語で保育活動を行うことができる職員を常時有する、あるいは外国の子供に対して保育サービスを常に提供できる、そういったことを要件とすることを考えているところでございます。

 保育園を初めとしました子育て支援施設、この量的な充実が国際競争力の観点からどう位置づけられるかということでございます。

 我が国の都市の国際競争力を図るためには、海外から、海外企業あるいはそこで働くビジネスパーソン、こういった方々を呼び込むことが重要であると思っています。そのためには、そうした企業で働く従業員、その家族の皆様の生活支援施設、これが不可欠ということでございます。

 外国語対応の医療施設、教育施設、子育て支援施設、これはまだまだ十分とは言えないと考えております。

 ある民間団体の調査でありますけれども、外国人ビジネスパーソンを対象に行ったアンケート調査がございます。医療サービスの多言語対応、子弟の本国と同様の教育サービスの提供といった項目については、重視度は高いけれども満足度は低いというような結果が出ております。

 こういった子育て支援施設も含めまして外国人向けの生活支援施設を整備するというのは、都市の国際競争力の観点から重要な課題と考えております。

 もちろん、外国人向けということに限定した施策ということ、それだけが重要ということではないと思っております。

 保育所一般につきましては我々の所管ということではありませんけれども、例えば、我々がかかわっております施策の範疇で申しますと、国家戦略特区で、都市公園の占用を弾力化いたしまして、保育所の立地を可能とするといったような措置も講じております。また、そういった都市公園の空間の有効活用といったことにつきましては、引き続き、どういうあり方があるのかということを今研究会にお諮りもしながら検討しておるところでございます。

 もろもろの施策を講じてまいりたいと考えております。

小宮山委員 また、前回の質疑のときにございましたけれども、具体的な事例として、展示会場等に来る方々の、その分の経済効果ということも実数を挙げて御紹介をいただきました。

 国際会議場や外国語対応の医療機関、保育所も含めて整えるということも確かに重要なことかと思いますが、やはり日本においては、交通インフラ、会場にそもそも行けないとか、保育所に連れていけない、そういったようなことになれば元も子もないというふうにも思っております。

 こういった医療機関など外国人向けの施設を整えることも重要かもしれませんが、交通インフラ関連施設の高度化の方が、国際競争力上、優位度が早く上がるのではないかとも考えております。この点を聞かせていただきたいとともに、本改正で措置される金融支援の特例の対象となっている特定都市再生緊急整備地域のような地域については、交通インフラ関連施設の整備が十分に進んでいることが前提とされておりますか、この点についても御答弁をお願いいたします。

栗田政府参考人 交通インフラ関連施設についてのお尋ねでございます。もちろん、交通インフラ関連施設は、先ほど私が申し上げましたような施設と同様に大変重要なことでございます。

 まず、現行制度上、今回、先ほど国際ビジネス・生活環境の整備に必要な施設としてるる申し上げましたけれども、これを法律上措置するところは、特定都市再生緊急整備地域に関しまして、今協議会が作成する整備計画、そこの計画事項に追加したいというものでございます。現行制度上、既にその整備計画の中では、交通インフラ関連施設を含む公共公益施設の整備に関する事業というものを記載するというようにされておるところでございます。

 我が国の都市の国際競争力の強化を図る上での交通インフラ関連施設の高度化、このための支援について幾つか御紹介させていただきますと、これまでも、社会資本整備総合交付金によりまして、バスターミナル等の交通インフラ関連施設を整備する事業に対する支援を行ってきたところでございます。また、都市の国際競争力の強化を図る観点から、平成二十三年度に支援制度を創設いたしまして、特定都市再生緊急整備地域における道路、鉄道施設、バスターミナル、こういったものへの支援を行ってきています。

 具体的には、八重洲のバスターミナル、虎ノ門の環状二号線、大阪の梅田北地区の新駅整備、こういったものがこれまでの対象でございます。

 今後とも、国際会議場、外国語対応の国際ビジネス・生活環境確保のための施設だけでなくて、交通インフラ整備につきましても積極的に推進してまいりたいと考えております。

 それから、特定都市再生緊急整備地域というのは、一般に交通インフラ関連施設の整備が進んでいる地域であるのかというお尋ねがございました。

 特定都市再生緊急整備地域の指定に当たりましては、国内外の主要都市との交通利便性が条件の一つとされております。その中で、一定の交通インフラ施設の整備が前提とされております。

 具体的には、新幹線駅までの公共交通機関によるアクセスが十五分以内であること、あるいは主要都市への便数が一日に平均十便以上の国際線の空港までの公共交通機関によるアクセスが一時間以内であること、こういった要件を満たす場合に特定地域の指定を行うというようにしているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 今局長の答弁を聞きながら、埼玉は成田から遠いなと少々感じます。やはりこういった首都圏においての格差というのも今後検討していただき、観光施設、また、そういった多くの来訪者、外国の方々も楽しまれる地域がたくさんございますので、そういったところもぜひ対象とみなせるように御努力いただきたいと思います。

 さて、今ございました、交通インフラの関連施設の高度化は着実に進めていらっしゃるという趣旨の答弁だったかと思います。しかし、インフラ関連施設については、当然時間がたてば老朽化をする、また使用頻度が高くなって当然トラブルが起きることは否めません。

 特に、本年に入ってから目にすることが多いと感じるのは、首都圏の交通網においてのトラブルでございます。

 鉄道網においては、三月にJR高崎線では、電線絶縁体である碍子が破損し、大きな電流が流れ、火災が生じております。また、一昨日は東武東上線において脱線が起きました。

 こういったインフラ整備というものは、安全性や運行の正確性というものがあってこそ、やはり国際競争力につながるんだとも考えております。まずは、やはり安全第一という原点、また、こういった日本の都市圏の交通というのは安全であるということは、何よりもの競争力の強化につながるんだと思っております。日本の交通機関、殊に鉄道網についての定時運行、安全運行で高く評価されているものでもございます。

 この点の国際競争力を改めて見直すべきでもあると思いますし、交通インフラ整備について、点検、更新、安全性強化の取り組みについてももっと重点を置くべきであると感じるところでもございます。ある意味、民間任せではおさまらないほどの問題に今なりつつあるのではないかとの危惧を感じており、またその中に課題があるとも考えております。

 そこで、改めまして、国土交通省での主体的な対応、対策についてどのような方向を考えていらっしゃるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 交通アクセスの向上は、都市の国際競争力を強化する上で一つの大きな要素と考えております。

 そのためには、施設を新規に整備することに加えまして、委員今御指摘のように、インフラの点検や修繕、更新を進めるなどの老朽化対策や耐震化等の防災対策を的確に行い、施設の安全性の強化を図ることが重要と考えております。

 都市の国際競争力の強化のために、交通アクセスの向上やインフラの安全性の確保も含めて施策を総動員しながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ積極的に取り組みを進めていただきますようお願いいたします。

 特に二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、海外からも多くの方がいらっしゃいます。そういった中において、やはり日本の技術力を体感していただける部分でもあるかと思いますので、この点はよろしくお願いいたします。

 さて、ちょっと通告の順番を変えさせていただきます。後にありますところ、この次の次のところ、まずこちらの方から質問させていただきたいと思います。

 低未利用土地利用促進協定制度の創設について伺います。

 居住者利用施設の説明文である、緑地、広場、集会場その他の都市の居住者等の利用に供する施設で示される施設に公園は含まれるか否か。また、緑地、広場と公園の定義の違いはいかになっているのか、お聞かせください。

栗田政府参考人 低未利用土地利用促進協定の対象となる居住者等利用施設につきましては、低未利用な土地の有効活用を図るために整備を行う施設としまして、法律では緑地、広場、集会場を例示しております。省令におきましては公園も規定する予定でございます。

 では、緑地、広場、あるいは公園、これはどう違うのかということでございます。

 都市計画法に基づきます技術的助言であります都市計画運用指針から、御説明を申し上げたいと思います。

 緑地、広場、公園、いずれも公共空地を示すものではあるわけでありますが、緑地は主として自然的環境を有して環境の保全等を目的とするもの、広場は主として歩行者等の休息、交流等の用に供することを目的とするもの、公園は主として自然的環境の中でレクリエーション等の用に供することを目的とするものというようにされております。

 もちろん、いずれも主としてというふうに書いておりますので、多少オーバーラップするところがあろうかと思いますが、大きな違いは、この指針の中ではそのように説明しておるところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、個別利用区制度の創設について。

 建物の移転、移築などが行われることとなる場合に、土地の筆数が極めて多い土地を扱うこととなったり、あるいは土地筆界未確定に起因する経費がかかる場合も起こり得ると考えますが、それらは誰がどのように負担されることと想定されるのか、簡潔にお答えください。

栗田政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。

 いろいろな場合がございます。御指摘の筆数が多い土地、境界が未確定の土地、いろいろな場合がございましても、それらはいずれも再開発事業の施行者が土地調書を作成することとなります。再開発事業に要する費用というのは施行者が負担することとなりますので、土地調書の作成費用も施行者が負担することとなるものでございます。

小宮山委員 施行者がという明快な御答弁をありがとうございます。

 ただ、今回の法案でいえば、やはり都市部が対象のことが多いかと思います。都市部において、いまだ土地の筆界確定が不十分であることが多く見受けられます。土地家屋調査士など専門性を有する方々の技術を生かし、地籍調査、地図整備が行われることが本法案施行の目的を達成することにつながると考えております。

 これらの事業への認識、また目標もお聞かせいただければと思います。

石井国務大臣 地籍調査の実施によりまして土地の境界を明確にすることは、まちづくりの推進、土地取引の円滑化、被災後の迅速な復旧復興、社会資本整備の円滑化等に貢献するものでありまして、地籍調査は極めて重要であると認識をしております。

 地籍調査は、平成二十二年に閣議決定をされました第六次の十カ年計画に基づいて進められておりますが、平成二十七年三月末時点の地籍調査の全国の進捗率は五一%にとどまっております。

 地方別の進捗率では、東北地方や九州地方ではおおむね八〇%以上となっている県も多く、比較的調査が進んでいる一方、委員御指摘のように、都市部の多い近畿地方や関東地方では三〇%未満の都府県が多く、進捗がおくれている状況にあります。

 このため、国土交通省としては、厳しい財政事情の中でありますが、平成二十八年度の地籍調査の予算につきましては前年度を上回る所要額として百八億円を計上しておりまして、地方公共団体とともに地籍調査のさらなる進捗に努めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、限られた予算でありますけれども、地方自治体、また専門性を持った、しっかりと法務省に登録ができる、分離発注も含めて、この点を進めていただければというふうに思います。

 さて、少し戻りますけれども、今回の改正で、都市再生安全確保施設として非常用電気等供給施設が追加されることとなります。

 この中において、大規模な災害が発生した場合ではなく、大規模な地震が発生した場合と地震に限定される理由はどうしてなんでしょうか。また、今回の改正で、地震に限定から、大規模な災害あるいは地震等のように変更する議論はなかったのか、この点もお聞かせください。簡潔にお願いします。

栗田政府参考人 今御指摘の条文は、都市再生安全確保計画制度に関しましての条文でございます。その現行条文でございます。これは、東日本大震災を踏まえまして、平成二十四年の法改正によりまして創設したものでございます。そのような当時の背景を踏まえまして、「大規模な地震が発生した場合」と規定しておるところでございます。

 現行の条文で大規模な地震というように枠組み規定している都市再生安全確保計画制度についてでございます。

 これにつきまして、今御指摘いただきましたような、災害時にエネルギーを継続供給するための協定制度を創設することとしています。この協定制度が想定する典型的な災害としても、やはり一つは大規模な地震というように考えられますので、今回、この条文を変更するような議論を行った過程はございません。

 ただ、そのような施設整備というものは、例えば豪雨や水害、そういったところにも有効であるというようなことは言えるのではないかというようには考えておるところでございます。

小宮山委員 時間が限られていますので、一問飛ばしますけれども、今回、ちょうど熊本の地震から一カ月がたっております。政府においても、大震災という表現は余り使っていないのも確かでもあります。私としては、松野頼久代議士も提案しておりましたけれども、今回の熊本地震というのは九州における大規模な震災でもあります。やはり大震災という表現が正しいのではないかなという思いもしております。

 また、けさの毎日新聞の記事などを見ますと、「地震学 防災へ生かせ」というような記事がございました。しかし、三十年以内に一八%という確率であっては、やはりなかなかそれに対し住民が動きづらいというのも現実だと思います。

 そこで、地震予知、地震の短期予測を国交省として研究、検証する時期に来たと感じるところでもあります。今までも地震に関しましては、調査研究等は確かに文科省かもしれません。それは地震調査研究推進本部があります。しかし、国土地理院に事務局のあります地震予知連絡会などもございます。

 この点に関しましては、三月三十日、国交委員会では荒井聰代議士の方からの質疑もありました。先ほどもお話をしたときに、やはり一元化をして活用する時期に来ているのではないかという思いもございます。

 多くの学者が地震メカニズムの解説を今、熊本地震においてされていますが、もし二日前に地震の備えを始めていれば、多くの被害を抑えられるのではないかという期待もあります。

 短期予想については、今までも国として地震予知に対して予算や研究支援をしてきた経緯も過去にはあります。東日本大震災以降、国土地理院がGPSを利用して地震発災の前後の大地の変化などを分析されたということも拝見させていただいたこともございます。

 地震が起きるメカニズムを解明する地震学と、短期予測を目指す地震予知、短期予知は区別して国交省としても実用化、また実践として採用するということも必要かと思っております。この点に関しまして、国土交通大臣の御見解をお聞かせください。

石井国務大臣 地震の発生の予測は調査研究の段階にございます。そのため、地震に関する調査研究を行う関係行政機関や大学等が、それぞれの専門分野の成果を持ち寄ってしっかり連携をして取り組んでいくことが重要と考えております。

 政府全体といたしまして、地震防災対策特別措置法に基づき設置をされました地震調査研究推進本部のもと、関係行政機関や大学等が連携をして行っているところでございます。

 この本部におきましては、気象庁や国土地理院は重要な構成員でありまして、国土交通省としても、引き続きこの本部のもとで地震の調査研究に積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

小宮山委員 最後になりますけれども、四月の段階で木造仮設住宅の設置について質問させていただきました。おかげさまでというか、五月六日には熊本県との災害協定を結ばれ、今着実に着工されているとも伺っております。

 また、応急仮設住宅は、なかなか建てる場所が見つけられないということで、設置がおくれる場合が多々ございます。国交省におきましても、「大規模災害発生時における被災者の住まいの確保に向けた取組の充実について」などにおいては、短期間で解体撤去するのではなく、中長期的に利用できるように改修して活用することも効果的な予算の活用につながるとされたものもございます。

 これから梅雨、夏季に向かい健康状態、衛生状態も心配な季節で、早期の住宅再建、仮設住宅、みなし住宅への移行というものが求められているかと思います。

 そこで、自宅内の庭や隣接地、近接地など、自宅から離れず過ごせる、特に個人所有の土地に仮設住宅を建設することもあってよいかと思いますが、この点について見解を求めたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法に基づきます応急仮設住宅の供与などの応急救助につきましては、内閣府告示で、災害救助法による救助の程度、方法、期間並びに実費弁償の基準というものを定めておりまして、これに基づきまして都道府県で実施をされております。

 この一般基準におきましては、建設用地に関する特段の定めはございません。したがって、被災県の判断で用地を選定していただくこととなります。

 なお、一般的には、建設用地につきましては、想定戸数に対する敷地面積、あるいは周辺環境の状況、周辺に生活利便施設があるかどうか、あるいは二次災害の危険性がないかどうか、こういったこと、それからライフラインがきちっと利用できるかどうかといった敷地の状況などを勘案しながら、土地の所有者または管理者の了解の有無を前提に判断をしていただくことになります。

 通常、一般的には原則として国公有地を優先して活用していただくことになりますけれども、了解のもとに、また敷地がなかなか切迫して見つからないといったような状況のもとでは民有地の活用も可能となっております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 これまで積み重ねた災害時に対する経験をこれからもさらに充実、また生かしていくことを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 都市再生法、都市再開発法案にかかわって伺いたいというふうに思います。

 最初に、法案の内容の一つであります民間都市再生事業の延長に関連して伺います。

 まず、民間都市再生事業はそもそも、大企業の本社ビルの建てかえを初め、民間の大手不動産、建設会社による大型の開発事業に対して容積率を緩和したり税制優遇をしたりするものです。都市の再生といいますけれども、東京を初め、大都市部の大規模再開発事業を推進し、そして超高層ビルを乱立させてまいりました。

 まず、どれだけ大企業を優遇してきたかという点を確認したいと思います。最近の五年間で、民間都市再開発事業の計画の認定事業数と総事業費はどうなっているのか、伺いたいと思います。

    〔委員長退席、秋元委員長代理着席〕

栗田政府参考人 民間都市再生事業の実績についてのお尋ねでございます。

 二〇一一年度から二〇一五年度の民間都市再生事業の認定件数は、二〇一一年度四件でございます。二〇一二年度十八件でございます。二〇一三年度四件でございます。二〇一四年度七件でございます。二〇一五年度十七件でございます。

 また、各年度の総事業費につきましては、二〇一一年度約二千九百三十八億円、二〇一二年度約一兆五千六百三十一億円、二〇一三年度約三千九百三十一億円、二〇一四年度約四千五百四十五億円、二〇一五年度約一兆六百十四億円となっております。

本村(伸)委員 今おっしゃったのは、五年間で五十件、総事業費は三兆七千六百五十九億円に上る事業ということだと思います。

 同じく、近年五年間に優遇された減税相当額は幾らになるか、お示しをいただきたいと思います。

栗田政府参考人 二〇一一年度から二〇一五年度に認定を行った民間都市再生事業の登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税の減税適用総額、これは見込み額も含めてでありますけれども、二〇一一年度九億八千九百万円、二〇一二年度六億七千九百万円、二〇一三年度十八億九百万円、二〇一四年度六十億八千九百万円、二〇一五年度四十七億四百万円となっております。

本村(伸)委員 トータルでいいますと、五年間で百四十二億七千万円だというふうに思います。一件当たりの事業費でいいますと、七百五十三億円を超える超大型の民間開発事業になっております。

 安倍政権になって、この認定件数というのは近年増加をしております。税金の軽減措置も、五年間でトータル百四十二億七千万円を超えているということで、やはり大手の不動産会社や建設会社による民間大企業の開発事業への優遇が拡大していると言えるというふうに思います。大手メディアでも、企業向け特例減税の恩恵、大企業に集中というふうに書かれておりますけれども、こういう実態になっているというふうに思います。

 大企業には、今回の税金の軽減措置もその一つですけれども、幾重にもわたって優遇税制がある。一方で、生活が苦しい方々にこれから消費税の増税、これは本当に政治のあり方として私は間違っているというふうに思います。

 もう一つ確認をしたいんですけれども、民間都市再生事業で容積率が緩和をされた事業は二〇一五年度で何件あるかというのと、その敷地の土地代、用地代は総額幾らか、お示しをいただきたいと思います。

栗田政府参考人 二〇一五年度に認定を行った民間都市再生事業のうち、都市再生特区の適用を受けた事業で用地取得を行ったものが六件、その用地取得に要しました総額は約一千百五十一億円でございます。

本村(伸)委員 それで、具体的にお伺いをしたいんです。

 名古屋駅前の名駅一丁目一番計画南地区の建設事業ですけれども、これはJR東海が実施をする事業で、名駅一丁目一番計画南地区の建設事業は、リニア駅を見込んだ民間私企業のビルの建設でございます。この事業の総事業費、うち用地費、容積率は幾らになるか、お示しをいただきたいと思います。

栗田政府参考人 名古屋一丁目一番計画地区の、まず容積率のお尋ねでございます。(本村(伸)委員「事業費も。事業費、用地費」と呼ぶ)大変申しわけございません。事業費につきましては、ちょっと通告を頂戴しておらないと認識しておりまして、手元にございません。

本村(伸)委員 昨日、通告をさせていただきましたけれども。容積率もお願いします。

栗田政府参考人 失礼いたしました。

 お尋ねの名駅一丁目一番計画南地区、この総事業費一千二百億円ということでございます。

 それから、容積率についてのお尋ねでございます。これも、ちょっと複雑な説明をお許しいただきたいと思います。

 この建物につきましての建築基準法の容積率の数値でございますが、この建物自体はJR名古屋駅と一体的に建築されます。したがいまして、駅を含む敷地に対しまして、駅などの建築物の延べ面積を含めた割合で容積率を算定することになります。その結果、これにつきましての容積率は約八一〇%というようになるところでございます。

 これに関連いたします資料で、私たち、二〇〇〇%を超える数字を拝見することがございます。この数字は、当該高層建築物が建てつけられている土地の面積に対します床面積の延べ面積の割合でございまして、いわゆる建築基準法で申します容積率とは別途の数字でございます。建築基準法で申します容積率の数値につきましては、約八一〇%ということでございます。

本村(伸)委員 ビルだけで見ますと四十六階建てで、容積率は二一二〇%ということになるというふうに思います。

 容積率というのは、御承知のとおり、敷地面積に対する建築延べ床面積の割合のことでございますけれども、容積率を二倍、二〇〇%に緩和をすれば建築延べ床面積も二倍になるというものでございまして、それだけ大きな建築物が建てられるということだというふうに思います。この名駅一丁目一番計画南地区の建設事業、JR東海のビルというのは、ビルだけで見ますと容積率が二一二〇%ということで、やはり大変大きなメリットを大企業に対して与えて優遇しているというふうに思えてなりません。

 認定制度によって超高層ビルが建てられているわけですけれども、どれくらい超高層ビルがふえたのかという点、そして超高層ビルのまちづくりというのは、防災の観点から、本当に安心のまちづくりなのかという疑問がございますけれども、その点を伺いたいと思います。

栗田政府参考人 超高層ビルというお尋ねでございます。

 お答えの中では、この超高層ビル、二十階建て以上のビルというように考えてお答えを申し上げさせていただきますと、二〇一一年度から二〇一五年度に認定を行った民間都市再生事業のうちで二十階以上の建築物を整備した事業は三十七件でございます。

 これらの事業につきましては、災害時の一時滞在施設、防災備蓄倉庫、こういったものの整備がされておるものが多うございます。非常用電源の設置、そういったものもあります。大規模な災害発生への配慮がなされておるところでございまして、今申し上げましたような施設、設備の全てあるいは一部が備えられているということでございます。

本村(伸)委員 次に、市街地再開発事業について具体的に伺いたいというふうに思います。

 私の地元の愛知県豊田市では、この市街地再開発事業が行われているわけですけれども、豊田市駅前通り北地区第一種市街地再開発事業が今進められております。

 資料でお示しをしておりますけれども、この豊田市駅周辺の市街地再開発事業というのは、過去においても幾つもやっておりまして、その特徴なんですけれども、年を追うごとにどんどん公費の割合がふえているという問題がございます。

 一九八八年にオープンをしました駅西口の再開発では公費負担は一八%でございました。国、県、市で一八%でございました。一九九五年にオープンをしました駅東口再開発事業では二七%でした。そして、二〇〇六年にオープンをした駅南地区の再開発は五一%。そして、今着工しております駅北地区の再開発事業では、国と県と市で七二%にもなっております。

 この北地区の再開発事業というのは総事業費が二百二十七億円で、国、愛知県、豊田市でお金を出しているのが七二%ということです。

 公費の中で国費はどうなのかということを資料二で示しておりますけれども、公費の七二%のうち、国費は七十九億円を見込んで三四・八%が国費になっております。

 資料二の裏のページですけれども、その前の事業の南地区の再開発事業では、国費は一六・五%でございました。

 資料三を見ていただきたいんですけれども、このビルに一体何が入るのかということなんですけれども、写真のようにビルを三つ建てて、その中に入るのが、イオンエンターテイメントのシネマコンプレックス、そして三菱UFJ銀行、三井不動産レジデンシャルの分譲マンションなどが入る予定になっております。特別養護老人ホームも入りますから、そういう意味で公費が多いのかなというふうに私は思ったんです。

 しかし、豊田市の方に聞いてみますと、この七二%の公費とは別に特別養護老人ホームの分は厚生労働省から社会福祉法人に対してお金が出るから、特別養護老人ホームのお金とはこの七二%は別なんだというふうに説明を受けました。

 大臣に認識を伺いますけれども、イオンの映画館ですとか三菱UFJ銀行ですとか三井不動産の分譲マンション、こうしたものは、国土交通省のお金を使って、公費を使ってつくるべきものなんでしょうか。

    〔秋元委員長代理退席、委員長着席〕

石井国務大臣 豊田市駅前通り北地区の市街地再開発事業は、中心市街地活性化に資するよう、豊田市駅に通じる都市計画道路の整備を行うとともに、にぎわい創出のための商業、業務、高齢者福祉施設、住宅等を整備するものであります。

 この地区におきます国、県、市の支援は、都市計画道路の整備費、再開発ビルのエレベーター等の共同施設に対する整備費等が市街地再開発事業に対して行われております。さらに、市の単独費により再開発事業の保留床である地下駐車場を取得し、広く公共の用に供することとしております。今委員が提出いただいた資料の中の公費負担額百六十四億円には、市の単独費も含まれているというふうに理解をしております。

 都市計画道路や公共の用に供する地下駐車場の整備を伴う事業であるため、一般の地区より支援の割合が高くなっておりますが、それぞれ公共性の高い施設への支援であると考えております。今委員が御指摘されたような、民間の施設に対する直接の支援ではございません。

本村(伸)委員 でも、実際に入るのは、イオンの映画館でしたり、あるいは三菱UFJ銀行でしたり三井不動産の分譲マンションというものでございます。私は、税金の使い方、優先順位がやはりおかしいというふうに思うんです。

 豊田市は四十二万人以上の人口があります中核都市ですけれども、トヨタ自動車さんの本社ですとか工場ですとかございますけれども、しかし、この豊田市には、例えばの話ですけれども、知的障害を持った子供たちが通う特別支援学校は一校もないわけです。遠い子供さんですと、小学校一年生のときから片道一時間半かけてバスに乗って特別支援学校に通わなければいけません。そして、その三好特別支援学校は、ぼろぼろで、壁にはひびが入って、廊下は継ぎはぎだらけで、そして雨漏りがする。冬は外気がマイナス五度のときは教室の中はマイナス四度ですとか、夏は四十度、そういう劣悪な環境の中で子供たちが過ごしております。

 駅前にはぴかぴかのビルが幾つも幾つも建つわけですけれども、そのために国も県も豊田市もお金を出すわけですけれども、どうして障害を持った子供たちの学校の方には回らないんだろうかと物すごく私は疑問に思います。豊田市では、病院のベッドの数も足りません。そして、特別養護老人ホームの数も足りません。本当にやらなければならないことがやられていないわけでございます。

 予算の使い道というのは省庁をまたがる話ですけれども、やはり公費を使うべきはまずは子供たちやお年寄りや障害を持っている方々や困った方々のために使うのが私は当然だというふうに思います。イオンの映画館とか三菱UFJ銀行とか三井不動産の分譲マンションのために豊田市の駅前地区の再開発事業、七二%が公費負担なんですけれども、これはやはりおかしいというふうに大臣は思いませんでしょうか。

石井国務大臣 シネマコンプレックスとか分譲マンションだとかに支援をしているわけではございません。御指摘の市街地再開発事業につきましては、都市計画道路の整備費や再開発ビルのエレベーター等の共同施設に対する整備費、これに対して整備支援を行っているものでございます。それから、先ほど申し上げました、市の単独費で保留床である地下駐車場を取得しているという費用もここに入っているというふうに理解をしておりまして、特に、再開発事業に対する支援ということでは公共性の高い施設への支援であるというふうに考えております。

本村(伸)委員 国土交通省さんに伺いますと、この豊田市駅北地区の再開発は、国費は七十九億円を見込んでおりますけれども、全体事業費の三四・八%が国費なわけです。これは、全国的に見ても、このくらいの割合で国が出している事業は結構あるというお話でございました。全国でこういう税金の使い方が行われれば、税金が幾らあっても足りなくなる、借金が膨らむのは当然であるというふうに思います。

 これからこの豊田市も高齢化が進んでまいります。そして、人口は減っていきます。そうしたときに、何度も申し上げますけれども、こうした、イオンの映画館とか三菱UFJ銀行とか三井不動産の分譲マンションなどのために湯水のように税金が使われていくというあり方、そして社会資本整備交付金のあり方、改めるべきだというふうに思います。本当に税金投入が必要なのかちゃんと精査をする制度に変えるべきだと思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 重ねて申し上げますが、イオンのシネマコンプレックスですとか三井不動産レジデンシャルの分譲マンションですとか三菱UFJ銀行のために公費を投入しているわけではございません。

本村(伸)委員 制度を見直していただきたいというふうに思います。

 次に、団地再生、建てかえについても伺いたいと思います。

 団地を再生するために新しく建てられたり大規模修繕したりするには、居住者など区分所有権の全員が合意することが理想であり原則だと思いますけれども、その点、確認をしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 多くの方が居住されている住宅団地の再生に当たりましては、より多くの関係する権利者の合意をいただいて進めることが望ましいというふうに考えております。

 したがいまして、今回御提案申し上げております市街地再開発事業を活用した住宅団地の再生に当たりましては、できるだけ多くの方に御理解をいただきながら事業が進められるように、丁寧な事業進捗に努めてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 先ほど来議論がありましたけれども、区分所有法では五分の四以上の合意で建てかえができるようになっておりますけれども、この法案の再開発事業ですと三分の二以上の同意で建てかえができるというふうになっております。これまでは百人中八十人の賛成で建てかえができるというふうになっていたものが、百人中六十七人の同意でできるというふうに緩和をされておるわけでございます。

 これはやはり、今よりも居住者の財産権、居住権が侵害、縮小されることになるのではないかと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 民法の特別法でございます区分所有法に基づく建てかえは、区分所有者の意向に基づく民事上の手続として定められたものでございます。

 一方、今回御提案申し上げております市街地再開発事業は、地方公共団体が都市全体のまちづくりの観点から必要な事業として都市計画に位置づけた場合に活用が可能となる事業手法でございます。一定の施行区域要件を満たすことが必要になります。

 このように、市街地再開発事業は公益性、公共性のある事業として実施をされるものでございまして、先ほど申し上げました、民事上の手続として定められました区分所有法に基づく建てかえとは基本的に位置づけが異なるものであるというふうに考えております。

 今回の改正は、市街地再開発事業につきまして、住宅団地の共有土地のみで実施をする場合に全員の合意が必要となっていたものを、市街地再開発事業の一般的なルールでございます三分の二の合意要件が適用されるように必要な改正を行うものでございまして、御指摘ございましたような、居住者の財産権や居住権を縮小するというふうなものであるとは考えておりません。

本村(伸)委員 どう考えても、やはり居住権、財産権の侵害、縮小になるというふうに言わざるを得ないと私は思っております。

 再開発の手法、やり方についても伺いたいというふうに思いますけれども、第一種市街地再開発事業の権利変換の問題です。

 権利変換は、従前物件の資産額と再開発物件、新しい建築物の資産額は同じでなければならないわけですけれども、再開発後の新しい建物の権利床の床面積は従前物件の床面積よりも大体大きくなるのが通常だというふうに思います。しかし、実際には、居住者の方々にとっては、従前の床面積に対して新しい再開発物件の床面積は小さくなるケースもありまして、同じ床面積を得ようと思えば積み増しのお金が必要になってくる、あるいは、新しい再開発物件の床面積は従前の床面積よりも小さくならざるを得ないというふうに思いますけれども、その点、確認をしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 住宅団地の再開発に限らず、市街地の再開発事業では、権利変換計画を定めるに当たりまして、従前権利者に与えられる建物や土地の価額と、それらの者が施行前に有していた建物や土地の価額との間に著しい差額が生じないように定めるという原則がございます。

 この原則に従って権利変換計画を策定いたします際には、住戸の面積が場合によっては従前よりも狭くなるということはございます。ただし、その場合でも、居住環境は必ずしも住戸の面積だけではかられるものではございませんので、施設や設備の更新とあわせて、建物のバリアフリー化等がなされることによりまして、居住者にとっては従前よりも住みやすくなるということに加えまして、例えば介護施設あるいは子育て施設等が導入される場合には、さらに居住環境の向上が図られるものというふうに考えております。

 また、市街地再開発事業では、このような建てかえを行うことによりまして居住環境の向上が図られるものではございますが、事業に反対をされる方もおります。そういった方々は申し出によりまして地区外への転出を希望されるわけでございますけれども、こういった方々に対しましても、従前の建物や土地の価額に応じた補償金が支払われるという仕組みになっております。

 このような地区外転出者との間の公平性の観点からも、先ほど申し上げました御説明の原則を変えて従前の土地や建物の価格とは関係のない支援を行っていくということは、なかなか難しい点があるというふうに思っております。

 なお、市街地再開発事業では、先ほど申し上げました原則どおりに権利変換計画を定めた場合に、防災やあるいは衛生上の観点に照らしまして、一定の基準よりも床面積が過小というふうになりますときには、床面積を増して適正なものとすることができるという制度がございます。こうしたものを活用することによりまして、居住要件にも配慮した事業を行うことができることとなっているところでございます。

 こうした制度を活用いたしまして適切な事業が行われるように、制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 もう一つ確認をしたいんですけれども、再開発事業は、マンション建替え法による建てかえに比べて、道路や公園など公共施設への拠出など、負担がより大きくなるのではないかと思いますけれども、確認したいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 老朽化した住宅団地の多くは、建物自体の老朽化が進んでおりますだけではなくて、現在の居住ニーズに合ったような必要な公共施設あるいは福祉施設等の都市機能が確保されておらず、居住環境が非常に低下しているという傾向がございます。

 このため、今般の改正によりまして市街地再開発事業を活用しやすくすることで、そういった公共施設や福祉施設等の都市機能を導入しつつ、地域の拠点として住宅団地の再生を図ることを目指しております。

 したがいまして、再開発事業を活用する場合には、任意のマンション建てかえ事業に比べまして道路や公園等の公共施設の整備を伴う場合は多くなる可能性もあり、また、そういう傾向もございます。

 しかしながら、こういった公共施設整備にかかる費用につきましては、法律の規定に基づきまして、その公共施設を管理いたします者、あるいは管理することとなるべき者に対して負担を求めることができることとされております。住宅団地の再生に再開発事業を活用したとしても、権利者の負担が大きくなるということは考えておりません。

本村(伸)委員 やはり、この再開発事業による建てかえは、場合によっては、これまでの建てかえよりも従前居住者の負担が増大する、あるいは権利が縮小されるというケースがあるということだというふうに思います。

 そして、次に伺いたいんですけれども、再生の方法はいろいろあるというふうに思うんです。建てかえの場合だけではなく、長寿命化、リフォーム、修繕ですとか、大規模団地など、棟ごとに方法を変える、建てかえをする棟と修繕する棟など、工夫する余地があるというふうに思います。

 今回の法改正では、建てかえを前提に、その要件緩和だけが提案をされていますけれども、それでは真の団地再生にはならない、難しいのではないかというふうに思います。もっと多様な方法を提示するなどして住民の皆さんが納得できる形にするべきじゃないか、住民の皆さんの合意形成ができる形にするべきじゃないかということを申し上げたいと思います。

 そして、今まで質問をさせていただきましたけれども、民間都市再生事業や市街地再開発事業などには、補助や税金の優遇など、さまざま大企業向けの支援がありますけれども、一方で、熊本、大分などの地震の被害に遭われた方々はマンションも含めて被害に遭っております。被災者の生活再建支援金、全壊でも三百万円しかない、資材の高騰、人件費の高騰、こういう中で、せめて五百万円に引き上げてほしいというのが切実な声だというふうに思います。

 まずは、大分や熊本の地震で被害に遭われた方々の個人住宅、マンション、こういう生活再建ができるように支援を強めるべきだということ、また、被害に遭った方々に支援をするのは当然ですけれども、被害に遭う前に、住宅、マンションの事前の災害の予防に対する支援を強めるべきだというふうに思いますけれども、最後に伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。

石井国務大臣 今回の熊本地震における被害の状況を見ましても、マンションを含む住宅の耐震化を促進することは大変に重要な課題と考えております。

 今回の熊本地震における分譲マンションの被害については、一般社団法人マンション管理業協会技術センターの調査によりますと、熊本市における大破一件を含む四百六十一件の被害が報告をされております。

 マンションを含めた住宅の耐震化を促進するために、地方公共団体と連携をいたしまして、耐震化の必要性についてパンフレット等を通じた周知を積極的に進めるとともに、コスト負担の軽減のための施策を推進しております。

 具体的には、防災・安全交付金等を活用し、地方公共団体を通じた耐震診断及び耐震改修に対する助成を進めております。

 耐震改修に対する補助率につきましては、国と地方を合わせて約一五%だったものを二三%に引き上げる特別措置を五年間延長することを平成二十八年度予算に盛り込んだところでございます。

 さらに、税制につきましても、耐震改修を行った場合に所得税や固定資産税を減税する措置等を講じることによりまして耐震化を促進してございます。

 今後とも、地方公共団体との連携のもと、これらの施策を積極的に推進し、マンション、住宅の耐震化に努めてまいります。

 また、今回の地震で被害のあったマンションにつきましては、国土交通省において相談体制を整備するとともに、財政的な支援を推進していくこととしてございます。

 具体的には、被災したマンションの補修、再建等に関する相談に対応するために、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが主体となりまして、建築士が電話や窓口、現場で無料の相談を行う体制を整備しております。

 被災したマンションの耐震改修や建てかえを行う場合には、防災・安全交付金等による助成を行うこととしておりまして、被災したマンションの建てかえについては補助率を特別に引き上げる措置を講じております。

 また、被災したマンションにおきまして耐震改修や補修を行う場合には、独立行政法人住宅金融支援機構の災害復興住宅融資制度による支援の対象としているところでもございます。

 地元の地方公共団体と連携をいたしまして、これらの施策を活用して、熊本地震で被害を受けたマンションの補修、再建等に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 ありがとうございました。

谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、東京のまちづくりについてお伺いしたいと思います。

 ちょっと通告順序を入れかえまして、まず、東京都内の都市計画道路の問題について伺いたいと思います。

 何十年間も事実上凍結されていた都市計画道路がこの間次々復活をして建設が打ち出されております。都内各地で立ち退きを迫られる住民などから反対運動が起きております。

 都市計画道路の財源は社会資本整備総合交付金になっているわけですが、これについては、ことし二月に会計検査院から、「社会資本整備総合交付金等による事業等の実施状況について」という報告書が出ました。大臣も読まれていると思いますが、あり方について大変厳しい意見がたくさん出ているわけであります。

 この中で、例えば、自治体が行っている事前評価についてはこう指摘しております。事前評価に当たっては、地域住民等の意向や合意形成等を踏まえた事業実施の確実性を検証することが求められており、国土交通省が例示した八事項を全て検証することが望まれる、こういう記述があります。この国土交通省が例示した八事項の中には、「円滑な事業執行の環境」、これもあります。それから、「地元の機運」という項目もあります。

 大臣にお伺いしますが、会計検査院のこの部分の指摘を受けて、今年度から社会資本整備総合交付金については、「地元の機運」など八項目、全て事前評価をちゃんと行うことを求めるようにしたんでしょうか。

栗田政府参考人 社会資本整備総合交付金についてのお尋ねでございます。

 まず、その交付金の趣旨でございますが、地方にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる交付金として平成二十二年に創設されています。地方公共団体が交付金を求める場合には、社会資本総合整備計画の提出に合わせまして、自主的、主体的に検証した結果を記載する事前評価書を添付することとなっています。

 今委員御指摘のとおり、本年二月には、会計検査院から、事前評価においては、上位計画との整合性あるいは地元の機運、こういった八項目全ての確認事項について検証することが望ましい、あるいは事前評価書を提出していない地方公共団体があったことなどが指摘されておるところでございます。

 こういった指摘も踏まえまして、二月二十四日のことでございますが、国土交通省から地方公共団体に対しまして通知を発出しております。その中では、事前評価を適切に実施し、国土交通大臣に整備計画を提出する際にはこれを添付することを求めております。これに基づきまして、三月中に事前評価書が添付された整備計画が提出されているところでございます。

 今後とも、社会資本整備総合交付金の本来の趣旨である自由度というものを尊重しながらも、検証すべき事項は検証して適切に事業が進められるように努めてまいります。

宮本(徹)委員 通知で適切な実施と書いたと言いますけれども、私が聞いたのは、会計検査院はこの八項目について全て検証することが望まれると言っているわけですよ。この八項目を検証しなさいということは通知に書いたんですか。

栗田政府参考人 通知の中で八項目というように文字で表現しておるものではございませんけれども、通知の中では、地方公共団体等においては、事前評価を適切に実施し、あるいは国土交通大臣に整備計画を提出する際にはこれを添付するというように明記をしておるところでございます。

宮本(徹)委員 会計検査院は八項目全てを検証することを求めたわけですよ、望ましいと。それに対して、適切にだったら全然話にならないじゃないですか。会計検査院は憲法上の組織ですよ。そこがわざわざ指摘したことについても改善を図らないようじゃだめですよ。もう一回通知を出し直すことを私は求めたいというふうに思います。

 それで、今、国土交通省は事前評価を求めているわけですけれども、自治体から上がってきた事前評価のチェックシートを見て、それぞれの項目に丸がついているかどうかということしか見ていないわけですよね。本当に地元住民の中に機運があるのかだとか、こういうのは全然見ていないわけですよ。そういう姿勢ですから、先ほど紹介もありましたように、事前評価書が添付していなくてもそのまま国土交通省はこれまでたくさんの計画について受領していて、そして予算の配分もやってきた、このことも会計検査院に厳しく指摘されているわけですよね。

 二〇一四年度から始まった東京都の特定整備路線の事業、延焼遮断帯という名目で二十八路線、二十六キロメートルあります。星薬科大学のキャンパスを貫くということで、大学もこれはどうにかしてくれということで見直しを求めております。商店街をぶち切る路線もたくさんあります。住民からも異議申し立てがこの特定整備路線だけについても四千件寄せられているということになっているわけですよね。

 この特定整備路線が含まれた社会資本整備総合計画についても、東京都は事前評価書を添付していませんでした。会計検査院からの調査があった後に、後から事前評価書を出したわけですね。それを見たら、まちづくりの機運というところに丸が入っているわけですよ。異議申し立てが四千件も出ている、こういうものについて丸をつけて出しているわけですよね。

 大臣、ちょっとお伺いしたいんですけれども、国土交通省自身は、円滑な事業実施の環境や地元の機運などということで、八項目をわざわざホームページで事前評価の項目について例示しているわけですよね。こういうチェックは自治体任せではなくて、国自身がちゃんと行う必要があるんじゃないですか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました交付金事業、地方公共団体の自主性を最大限尊重する仕組みとなっております。事前評価も一義的には事業主体である地方公共団体がみずからの責任で行い、住民への説明責任を果たすべきものと考えております。

 地方公共団体が作成する事前評価書の中では、地元の機運等を含めた確認事項についても評価されることとなりますが、具体的な検証項目につきましては地方公共団体が定め、評価することとなります。

 それから、東京都の特定整備路線に限りませず、都市計画道路の整備におきましては、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めるということが重要なことというふうに考えておるところでございます。

 東京都の特定整備路線について申しますと、事業主体であります東京都が関係者の理解と協力を得ながら事業を進められるものというふうに認識しておるところでございます。

宮本(徹)委員 そういう官僚答弁するから、私は大臣に答弁を求めているわけですよ。そういった官僚答弁を聞きたくて私はきょうこの委員会に来ているわけじゃないんですよね。

 大体、国自身が適切なチェックを行ったら、こういう反対運動が起きるような道路づくりというのは進まないはずなわけですよね。私は都市計画道路については国が真剣にチェックすることが絶対に必要だと思いますよ。これからの問題でもあるんですよね。

 三月三十日に、東京都は、これから十年間で優先して整備すべき路線として第四次事業化計画を決定しております。三百二十区間、二百六十キロメートル。七十年以上前に、戦後、復興院が線を引いた、そういう路線も多くあります。この対象道路に係る住宅の数は一万三千棟ということを言われております。

 東京都はこの決定に先立ってパブリックコメントを行いました。四千百二十六件のパブリックコメントが東京都に寄せられました。そのうち二千百十一件、半分が小金井の道路、小金井三・四・一号線と小金井三・四・十一号線外の二路線でした。

 この小金井の二路線が通る地域というのは、国分寺崖線、はけと私たち呼んでいますけれども、まだ貴重な自然が残る地域で、実は十年前から国の予算も投入して自然再生事業が取り組まれている地域です。

 三月二十三日に小金井市議会では計画の見直しを求める意見書が可決されております。にもかかわらず、東京都はこの第四次事業化計画を決定したということになりました。

 大臣、一般論としてお伺いしますが、地元議会で見直しを求める意見書が可決されたような道路建設は、地元の機運があると言えるんでしょうか。

石井国務大臣 一般論で申し上げれば、事業主体は地元の理解と協力を得ながらやはり事業を進めるべきであるというふうに思っております。

宮本(徹)委員 理解を得ながらという点でいえば、地元の議会で見直しを求める意見書があるということでいえば、理解がない、地元の機運がないということでいいですね。

石井国務大臣 今のは個別論でございますので、一般論で申し上げれば、地元の理解を得ながら事業を進めるべきだと思っております。

宮本(徹)委員 理解を得るのは当然なんですね。ですから、一般論で聞いているわけではなくて、地元の自治体が見直しを求めているようなものについては、地元の機運はあるとは言えないですね。

栗田政府参考人 都市計画道路の整備につきましては、これは東京都の特定整備路線に限らずでございますが、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めることが重要なものと考えております。

 先ほど申し上げました交付金の仕組みの中で、事前評価も一義的には事業主体である地方公共団体がみずからの責任で行い、住民への説明責任を果たすべきもの、こういうふうに考えておるところでございます。

宮本(徹)委員 そういう官僚答弁をするんだから、あなたは答えなくていいです。私は大臣と議論したいわけですよ。

 それで、もう一つ聞きます。

 荒川区では、補助九十二号線が計画されております。西日暮里四丁目地区では、この九十二号線の対象となる地域で、世帯の七割、七百五十六筆の計画の見直しを求める署名が集められて、昨年十二月の区議会で住民の陳情が趣旨採択となっております。さらに、区議会で荒川区側自身が、強引に進めることがないよう今後都に働きかけていくというふうに言っております。

 大臣に一般論としてこれもお伺いしますが、区当局が、自治体当局が強引に進めるべきでないと言っている道路は、地元の機運があると言えるでしょうか。(発言する者あり)

石井国務大臣 一般論として言えば、街路事業にかかわらず、都市計画事業を進める事業者は住民の理解を得ながら事業を進めていただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 今何かやじが、どこかの議会でやれよなんてやじが飛びましたけれども。

 何で会計検査院が社会資本整備総合交付金について報告書を出したのかというのを皆さん真剣に受けとめた方がいいですよ。道路では五五%が国の税金なんですよ。国の税金から出ているからちゃんとチェックしなさいということを会計検査院が言っているわけでしょうが。

 こうした道路について、この荒川区の補助九十二号線だとか、あるいは小金井の道路だとか、東京都が仮に地元の機運がある、こう言って事前評価書に丸をつけてきたらどうするんですか。国は、これでも地元の機運があるというふうにするんですか。相変わらずチェックせずに、先ほどの一番初めの答弁でいきますと、それは地元が評価することですという話で済ますんですか。どっちですか。

石井国務大臣 交付金事業はそもそも地方公共団体の自主性を最大限尊重する仕組みでございますので、事前評価も一義的には事業主体である地方公共団体がみずからの責任で行うべきものと考えております。

 なお、国土交通省では、この交付決定時にかかわらず、事業の執行に当たっては、住民の理解を進めるなど、適宜必要な技術的助言を行っているところでございます。

宮本(徹)委員 適切な助言をやるんだったら、こういうことについては地元の機運があるとは言えませんよということを、ちゃんと基準を明確にして言うべきですよ。そのことを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、国交省によるチェックという点でもう一点ただしたい点があります。

 先ほど紹介した東京都の特定整備路線を含む社会資本整備総合計画にかかわって、会計検査院も多く問題点を指摘したわけですが、この計画づくりにかかわっていた当の東京都の職員が、ことし四月から国交省の同じ街路の担当になって出向していらっしゃいます。Aさん。二〇一四年度四月からは東京都の街路計画課課長補佐、事業化担当係長、二〇一五年度は街路計画課統括課長代理、事業化計画担当、そしてこの四月からは国土交通省の街路交通施設課の課長補佐となっています。

 東京都で道路計画をつくって進めてきた方が、今度は道路の認可だとか、先ほど言った必要な助言を行う側に回るということになっているわけですね。利益相反の考え方からいったら、こういう人事交流はふさわしくないと思いますが、大臣、どうでしょうか。

石井国務大臣 人事交流によりまして地方公共団体から国に出向している者は、当該地方公共団体を退職いたしまして国の職員の身分となっております。

 このため、出向先である国の組織の職責にのっとって、上司の指示に基づき職務を遂行するとともに、守秘義務も課されておりまして、特段の問題はないものと考えております。

宮本(徹)委員 その感覚、どうかしていると思いますよ。

 私がなぜこれを聞こうかと思ったかといいますと、先月、住民の皆さんと一緒になって国交省にレクを受けた際にAさんが見えていたわけですよ。Aさんがこの道路づくりについて得々と、東京都の姿勢の擁護も含めてやられるわけですよ。余りにもおかしいじゃないかと。住民の方から聞いたわけです、あれ、Aさんは東京都の職員でしたよと。私もびっくりしましたよ、そのとき聞いて。何でAさんが国交省の席に座っているんですかと。

 会計検査院が、不十分だと、この社会資本整備交付金については言っています。そして、東京都のこの事業については、たくさんチェックの印が会計検査院の指摘ではあったわけですよね。

 国交省は東京都に対して、先ほどの話でも指導しなきゃいけない、助言しなきゃいけない立場にあるにもかかわらず、こういう人事交流をやっていたら、東京都を擁護する、国と都のなれ合い、癒着で公平公正な道路行政ができるのか、真剣に考え直していただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。

谷委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 初めに、都市再生特別措置法制定以降の取り組みについてお尋ねいたします。

 平成十四年に制定された都市再生特別措置法では、都市再生の起爆剤となるような地域に集中的に民間活力を振り向けるためにさまざまな措置がとられてきたと承知しております。地方都市においては、人口減少や少子高齢化の進行により、中心市街地の活性化等の新たなまちづくり政策がとられてきたと思うのですが、これまでに行ってきた政策に関して具体的にはどのような成果があったのでしょうか、答弁を求めます。

栗田政府参考人 都市再生特別措置法でございます。平成十四年に制定以来、都市機能の高度化あるいは都市の居住環境の向上といったようなことで取り組んでまいりました。

 大都市、地方中枢都市につきましては、都市再生緊急整備地域を政令で指定し、民間都市開発プロジェクトを推進してきたといったようなことでございます。

 平成二十三年には、特に特定都市再生緊急整備地域制度を設けまして、都市の国際競争力の強化を図る施策の拡充を図ってまいったということでございます。

 現在までに、都市再生緊急整備地域は六十三地域、八千三百七十二ヘクタール、うち特定都市再生緊急整備地域は十二地域、三千八百九十四ヘクタールということでございます。

椎木委員 都市計画の策定や都市政策を推進するに当たっては、民間の活力を取り込むため、民間企業の自由度を高めることが重要であると思うのですが、これまでどのような対応をとってきたのでしょうか。また、今後はどのような対策を考えているのでしょうか、あわせて答弁を求めます。

土井副大臣 都市再生特別措置法は、民間の資金やノウハウなどを最大限活用し、民間事業者が行う都市開発事業等の推進を通じて、都市の再生を図ることといたしております。

 具体的には、大都市や地方中枢都市につきましては、政令で都市再生緊急整備地域を指定し、その中で、容積率緩和等が可能な都市再生特別地区制度、民間事業者による都市計画提案制度等の規制緩和を講じております。また、国土交通大臣が認定をいたします大規模で優良な民間都市開発事業につきましては税制や金融支援を講じており、これまでに九十一事業を認定いたしております。

 一方で、地方都市も含めた全国的な都市再生を進めるため、国土交通大臣が認定した小規模なものを含めた優良な民間都市開発事業について出資による金融支援を講じており、これまで三十八事業を認定いたしております。

 加えて、地域のまちづくりの担い手として、まちづくり団体が主体的な役割を果たしていけるよう、これらの団体を都市再生推進法人として市町村が指定する制度を講じているところでもございます。

椎木委員 それでは、都市の国際競争力についてお尋ねしたいと思います。

 今日、成長著しいアジア諸国の都市と比較して、我が国の都市の地位は相対的に低下していると言われていますが、そもそも、この都市の国際競争力とはどのような物差しではかるのでしょうか、答弁を求めます。

栗田政府参考人 都市の国際競争力についてでございます。社会経済活動のグローバル化が進み、国際的な都市間競争が本格化する中で、海外の企業、人材、そういったものをもろもろ呼び込んでくる力というようにも申し上げることができるんではないかと思います。

 それは例えばどういうものによって評価されるのか。具体的には、交通アクセス、外国語の通用性、マーケットの規模、治安、こういったさまざまな要素によって評価されるものではないかというように考えています。

 その中で、都市行政の観点からは、大規模で優良な民間都市開発事業を促進しまして、都市の国際ビジネス環境、生活環境のさらなる向上を図りまして、世界じゅうから海外企業やビジネスパーソン等を呼び込む、こういったことが重要だと考えております。

椎木委員 今回の法改正の背景として、我が国の大都市が、日本経済の牽引役として世界の都市間競争に対応し、国際競争力を確保することによって、世界から人、物、金、情報等を呼び込めるような環境を整備すると言っております。

 都市の国際競争力を確保するためには、都市機能の充実強化を図りつつ、国際的なビジネス拠点の確保、魅力ある商業や観光施設の整備、文化芸術の発信、交通アクセスの整備拡充等を通じて、魅力あるまちづくりを推進していくことが必要であると思うのですが、具体的にはどのような取り組みが想定されるのでしょうか、答弁をお願いします。

石井国務大臣 経済社会活動のグローバル化が進む中で、我が国の経済成長のためには、海外から人材や企業、投資等を呼び込むことが重要であります。そのためには、東京、大阪などの大都市について、国際ビジネス環境や生活環境のさらなる向上を図る必要があると考えております。

 その対応といたしまして、今回の改正では、都市行政の観点から、最先端、高性能のオフィスビル、外国人従業員やその家族が安心し、満足して暮らせるような外国語対応の医療、子育て支援施設等の生活支援施設、充実した設備を備えた国際会議場などの整備をより一層進めていくこととしております。

 具体的には、今回の改正によりまして、民間都市再生事業に対して金融、税制支援を行うための大臣認定について、申請期限を平成三十四年三月三十一日まで延長するとともに、国際会議場や外国語対応の医療施設、教育・子育て支援施設等の整備に対する金融支援制度を創設することとしております。

 グローバルな都市間競争に打ちかつため、今回の改正とともに、交通インフラの強化等の関連施策も総動員いたしまして、都市の国際競争力、防災機能の強化を図り、世界に誇れる魅力的なまちづくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 次に、防災機能の強化についてお尋ねをいたします。

 平時におけるエネルギー効率向上を図るとともに、大規模災害時における経済活動の継続や早期復旧の確保を図るため、エネルギー施設の整備を加速する支援措置を講ずるとありますが、大規模地震の発生の可能性については全国どこにいても危惧されるところであります。

 都市再生緊急整備地域に限定することなく、全国的に措置されてしかるべきと考えますが、いかがでしょうか。

栗田政府参考人 都市再生緊急整備地域は、都市機能が集積するエリアでもありますし、滞在者等も多数に及びます。このため、官民が連携して計画的に避難者、帰宅困難者対策を講じる必要がございますので、都市再生安全確保計画の策定を進めております。今回の改正では、今言及いただきましたように、エネルギーの自立化によってビジネスの継続性を強化する観点からの協定制度を設けることとしております。

 他方、委員御指摘のとおり、地震は日本全国どこでも起こり得る災害でございます。このため、これまでも建築物やインフラの耐震化、避難地、避難路の整備、都市の不燃化等によります密集市街地の解消などの防災対策を進めてきております。また、ソフト面につきましても、ハザードマップの作成や、自助、共助の取り組みとして、防災まちづくり活動の支援などを進めてきているところでございます。

 今後とも、全国の都市の防災機能の強化につきまして、防災・安全交付金による支援など、国民の安全、安心の確保のために積極的に取り組んでまいります。

椎木委員 次に、都市政策に関連して、大阪で取り組みを行っている副首都推進に関してお聞きいたします。

 我が国には首都の定義を定めた法律はないのですが、東京が首都であることについて触れられている法律は、昭和二十五年に制定され、昭和三十一年に廃止された首都建設法と、昭和三十一年に制定された首都圏整備法があります。

 首都圏整備法の第一条では、「この法律は、首都圏の整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設とその秩序ある発展を図ることを目的とする。」とあります。

 昭和三十一年に制定された首都圏整備法は当時の社会情勢の中では必要であったと理解いたしますが、我が国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設を進めてきた結果が今日の東京一極集中であると思います。

 世界を見渡したときに、国会や中央官庁、最高裁判所、中央銀行、各国大使館等が一つの都市に集中しているという事例は余り見当たりません。いわゆる首都機能に関しては、他の国々では分散しているのが普通です。東京への一極集中を是正するということは、危機管理の観点からも極めて重要なことであると考えます。

 東京への一極集中を是正するということに関してどのように考えているのか、答弁を求めます。

本東政府参考人 東京一極集中につきまして御質問をいただいております。

 人口について申し上げますと、日本の総人口が減少する中で、地方から東京圏への若年層を中心とする人口の流出超過が継続しているところでございます。

 また一方、東京圏には、依然として過密の問題も存在しているところでございます。

 このため、昨年八月に閣議決定いたしました新たな国土形成計画の全国計画におきましても、東京一極集中の是正は重要な課題と位置づけているところでございます。

 人の流れを変え、東京一極集中を是正するためには、雇用あるいは暮らしといった面で魅力ある地方の創生が必要でございます。国土政策の観点からも、新たな国土形成計画におきましては、対流促進型国土の形成、これを国土の基本構想としているところでございます。

 地域の個性を磨き、多様な個性を持つ地域間の人、物、情報などの双方向の動き、これを対流と呼んでおりますけれども、こういった対流が活発に行われる国土の形成を促進することによりまして、東京一極集中の是正に取り組んでまいりたいと考えております。

椎木委員 今の質問に関連して最後に改めてもう一度質問させていただきますので、次の質問に入らせていただきます。

 我が国が地震大国であることは、日本国民であれば誰でも知っています。今世紀に入ってからでも、平成十五年の十勝沖地震、十六年の新潟県中越地震、十九年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、二十年の岩手・宮城内陸地震、二十三年の東日本大震災、そしてことし四月に発生した熊本地震など、その他多くの大地震が発生しております。日本列島の上にいれば、いつ、どこで大規模な地震に遭遇しても不思議ではない状態です。

 余り考えたくはないのですが、首都直下型地震が起こる可能性も否定できません。首都直下型地震が発生し、仮に東京が壊滅的な被害を受けてしまい、首都機能が消失した場合、どのような対応が考えられるのでしょうか、答弁を求めます。

米津政府参考人 お答えいたします。

 首都地域における政治、行政等の中枢機能としての首都中枢機能でございますけれども、これについては、首都直下地震緊急対策推進基本計画におきまして、大規模災害が発生した直後においても業務の継続性の確保が求められるところでございます。

 このため、行政中枢機能については一時的な代替拠点を確保することが重要でございまして、政府業務継続計画におきまして、官邸が被災により使用できない場合などの最悪の事態を想定いたしまして、中央合同庁舎八号館、防衛省中央指揮所、立川広域防災基地の三カ所を政府の代替拠点として位置づけているところでございます。

 さらに、東京圏外を含むその他の代替拠点につきましても、同様の政府業務継続計画におきまして今後の検討課題といたしておりまして、既存施設の活用等を念頭に置きつつ、同時に被災する可能性が低いことなど、一定の要件を満たす複数の都市を対象に検討を進めてまいります。

 また、政治中枢としての国会につきましても、首都直下地震緊急対策推進基本計画におきまして、行政中枢に準じてその機能の維持を図るための施策が必要とされておりまして、国会における御検討に資するよう政府の業務継続に係る取り組みの状況の情報提供を行っているところでございます。

椎木委員 時間がありませんので、最後にちょっとまとめて再質問させていただきたいと思います。

 私がこの質問の趣旨で申し上げたいのは、危機管理の問題なんですね。だから、官邸機能がどうこうというだけの問題じゃないということだけはちょっとここで触れさせていただきます。

 最後、残りの時間で詳細を改めて質問させていただきたいと思います。

 我々おおさか維新の会は、何も大阪だけのことを考えて副首都の推進を議論しているわけではありません。首都東京に何か不測の事態があったとき、国の中枢の指揮命令系統が麻痺することなく、迅速に、適切に対応できる副首都を設置して、いざというときに備えなければならない、そういった考えです。何の備えもなければ、首都機能の消失は日本の消滅にもつながると思います。

 国家存亡にかかわるようなケースでの危機管理での副首都の設置を含めてどのように考えているのか、改めて答弁を求めます。

本東政府参考人 我が国におきましては、先ほど来御指摘をいただいております首都直下地震あるいは南海トラフ地震、こういった巨大災害の発生が高い確率で予測されておりまして、災害に強い国土構造の構築に取り組むことが必要となっております。

 このため、昨年八月に閣議決定しました、先ほど申しました新たな国土形成計画の全国計画におきましては、「首都直下地震や南海トラフ地震等による被害を最小化し、迅速な復旧・復興を可能にする観点から、まず人命を守ることを第一に対策を進めつつ、東京圏に集中する人口及び諸機能の分散を図るとともに、首都機能を始めとする中枢管理機能のバックアップ体制の整備等を推進する。」こういうふうにしているところでございます。

 東京一極集中の是正あるいは安全な国土づくり、これは重要な課題でございますので、必要な施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

椎木委員 答弁を聞いている限りは、認識はかなりお持ちだということは私も十分理解はできます。

 ただ、私は何を申し上げたいかというと、都市政策の中に含まれる危機管理について、その認識が、どれだけ危機管理に基づいた具体的な今後の見通しを持っているか。

 例えば、さっきもちょっと触れましたけれども、官邸機能が確保されるとかそういう問題を私は申し上げているんじゃない。先ほど質問の中でも言いましたけれども、仮に首都直下型の地震が発生した場合に、東京が壊滅的な被害を受けて、東京が復旧するまでの間、一極集中である今のこの状況であったときにどうするんですかという趣旨で聞いている。

 今の一極集中を今後どういうふうに改善するかという具体的な施策についてはどういう認識をお持ちなんでしょうか、再度答弁を。

本東政府参考人 危機管理というお話がございました。

 例えば、災害時に備えた行政機能のバックアップという御趣旨でございますれば、先ほど内閣府から御答弁のありましたような政府業務継続計画、いわゆるBCPの取り組みという問題かというふうに思っております。

 そうではなくて、例えば平時からの首都機能の分散移転という御趣旨でございますれば、首都機能の移転につきましては、御承知のとおり、一貫して国会主導で検討が行われてきたというところでございまして、今後ともそういった国会での御検討を受けて政府としても取り組んでいく課題というふうに思っております。

椎木委員 何か具体的な、認識のさらに一歩先に進んだ手だてといいますか計画といいますか、そういうものというのはないんでしょうかね、これは。

 我々も、皆さんも、国民の生命と財産を守る責任があるわけですよね。四月にも熊本であれだけの地震があって、それで、これが東京で、一極集中している首都直下になったときにどうやって国民の生命財産を我々が守らなきゃいけないか、そういう視点で、もう少し喫緊の課題としての取り組み、計画みたいなものはないんでしょうか、再度お願いいたします。

米津政府参考人 御指摘のように、場所を問わず自然災害が起こりやすい我が国でございますので、おっしゃる危機管理の観点から、さまざまな災害から国民の生命と財産を守るということは非常に大事な課題でございまして、災害に強い強靱な国土を形成することとともに、常に最新の科学的知見を取り入れつつ、的確な体制整備を図るということは大変重要だと思います。

 特に、今後、御指摘の想定される首都直下地震、また南海トラフ地震等におきましても、法律に基づく基本計画に基づきまして期限を定めた定量的な減災目標を定めまして、例えば応急対策の具体計画などを策定するなど、さまざまな対策を推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、関係省庁と連携いたしまして、的確に取り組んでまいりたいというふうに思っています。

椎木委員 時間が参りましたので終わりますけれども、認識が共有されているということは私もそれは重々承知していますので。ただ、問題は、国民の皆様に安心していただける、そういう具体的なお示しできるもの、こういうものを本当に喫緊の課題として取り組んでいただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、都市再生特別措置法改正案で、期限が延長される民間都市再生事業が、大手ディベロッパーやゼネコンなどの開発大企業を優遇し、住民追い出しや環境破壊、町壊しにつながる大規模開発事業を一層促進するものだからです。

 民間都市再生事業計画は、これまで九十一件の大臣認定を行っています。容積率の緩和や、最近五年間だけでも百四十二億円を超える税金の軽減まで行っており、大企業優遇となっています。

 反対の理由の第二は、都市再開発法改正案が、住宅団地の建てかえを市街地再開発事業とすることで、建てかえの合意要件を五分の四から三分の二に緩和するものだからです。

 本来、団地、マンションの建てかえは住民全員の合意を得て進めるべきものですが、区分所有法に基づく建てかえは、区分所有者の五分の四以上の合意で建てかえが可能とされています。今回はさらに、この要件を三分の二に緩和するものです。これでは、建てかえに同意できないなどにより、財産権が縮小、侵害される居住者が増加するおそれがあります。

 以上の理由から反対とする旨を申し述べ、討論といたします。(拍手)

谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、承認第二号、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件及び内閣提出、承認第三号、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。

 両件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、承認第二号、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、承認第三号、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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