衆議院

メインへスキップ



第2号 平成14年3月29日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年三月二十九日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 二田 孝治君
   理事 衛藤征士郎君 理事 久間 章生君
   理事 小島 敏男君 理事 原田 義昭君
   理事 安住  淳君 理事 伊藤 英成君
   理事 田端 正広君 理事 東  祥三君
      浅野 勝人君    石破  茂君
      臼井日出男君    木村 隆秀君
      実川 幸夫君    虎島 和夫君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      松宮  勲君    御法川英文君
      宮澤 洋一君    森田  一君
      山口 泰明君    米田 建三君
      大石 尚子君    桑原  豊君
      玄葉光一郎君    末松 義規君
      中野 寛成君    永田 寿康君
      平野 博文君    山谷えり子君
      横路 孝弘君    渡辺  周君
      上田  勇君    河合 正智君
      中塚 一宏君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    阿部 知子君
      今川 正美君    井上 喜一君
    …………………………………
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 芦刈 勝治君
   政府参考人
   (海上保安庁警備救難監) 友永 幸讓君
   衆議院調査局国際テロリズ
   ムの防止及び我が国の協力
   支援活動等に関する特別調
   査室長          鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月七日
 辞任         補欠選任
  鹿野 道彦君     奥田  建君
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  辻元 清美君     中西 績介君
同月二十九日
 辞任         補欠選任
  奥田  建君     山谷えり子君
  島   聡君     大石 尚子君
  中西 績介君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 尚子君     島   聡君
  山谷えり子君     平野 博文君
  阿部 知子君     中西 績介君
同日
 辞任         補欠選任
  平野 博文君     奥田  建君
    ―――――――――――――
二月六日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第一八号)
 同(児玉健次君紹介)(第一九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二〇号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二一号)
 同(松本善明君紹介)(第二二号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三九号)
 同(土井たか子君紹介)(第八〇号)
 同(大森猛君紹介)(第一三一号)
 テロの根絶を願い、アメリカの報復戦争と自衛隊海外派遣反対に関する請願(大森猛君紹介)(第七九号)
同月十四日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(中林よし子君紹介)(第二六八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二六九号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二八四号)
同月二十六日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(不破哲三君紹介)(第四四一号)
三月六日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六五号)
 同(中林よし子君紹介)(第五六六号)
 同(春名直章君紹介)(第五六七号)
同月十四日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(大森猛君紹介)(第七六二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第七九一号)
同月二十日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(川田悦子君紹介)(第八五七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件



このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
二田委員長 これより会議を開きます。
 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。
 お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官芦刈勝治君及び海上保安庁警備救難監友永幸讓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
二田委員長 この際、テロ対策特措法に基づき自衛隊が行っている協力支援活動等の実施期間の延長及び現在までの自衛隊の活動実績について、政府から説明を求めます。中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 テロ対策特措法に基づき自衛隊が行っている協力支援活動等の実施期間の延長及び現在までの自衛隊の活動実績について御報告申し上げます。
 テロ対策特措法に基づく実施要項においては、協力支援活動等の実施期間を本年三月三十一日までとするとともに、状況により、五月十九日まで延長することとしております。
 現在の状況は、タリバンによるアフガニスタン支配は終わり、アルカイダもアフガニスタン国内での活動が困難となりつつあります。他方、アフガニスタン各地に残っているアルカイダやタリバンの勢力は、依然として危険な存在であり、米軍もその追跡、掃討を進めております。米軍を初めとする各国は、アフガニスタンに地上部隊を、インド洋等に艦艇部隊を展開させ、活動を継続しております。
 国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取り組みに我が国として積極的かつ主体的に寄与するとの立場に立ち、こうした状況等を総合的に勘案し、今般、実施要項の規定に基づき、四月一日から五月十九日までの間、引き続き協力支援活動等を実施することといたしました。
 次に、これまで実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の活動実績について申し上げます。
 被災民救援活動については、国際連合難民高等弁務官事務所、UNHCRの要請に基づき、掃海母艦「うらが」により、テント、毛布等をパキスタンのカラチに輸送いたしました。
 協力支援活動については、現在、海上自衛隊の補給艦「ときわ」、「とわだ」、護衛艦「はるな」、「さわかぜ」、「さわぎり」がインド洋北部において活動中であり、昨年十二月二日以降三月二十七日までに、艦船用燃料を米軍等の補給艦、駆逐艦等に対し五十七回、約十万一千キロリットル補給するなどの活動を行っております。また、航空自衛隊においては、C130型輸送機等により、昨年十一月二十九日以降、国内及び国外輸送を行っております。
 これらの活動は、我が国として、国際的なテロリズムとの戦いをみずからの問題と認識し、国際テロリズムの防止及び根絶を目指す国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に貢献しているという姿勢を示すという非常に重要な意義を有しているものと考えており、また、二月に行われた日米首脳会談を初めとして、累次にわたり米側より謝意が示されているところでもあります。今後とも、国民の期待にもこたえるべく、引き続き全力で取り組む所存でありますので、御理解、御協力をお願い申し上げます。
二田委員長 以上で報告は終わりました。
    ―――――――――――――
二田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 我が国の米軍等に対する支援の活動につきまして質問をいたします。
 今、防衛庁長官から説明もありましたけれども、改めて伺いますけれども、これまで対米支援活動をしてきたその概要と、費用について、どのようにかかったのか、それについて伺います。
中谷国務大臣 これまでの活動につきましては、まず被災民救援活動につきましては、UNHCRに対して「うらが」を派遣し、テント、毛布を輸送いたしました。
 協力支援活動につきましては、護衛艦「さわぎり」、補給艦「とわだ」が昨年の十一月二十五日に、また、護衛艦「はるな」、「さわかぜ」及び補給艦「ときわ」が二月十二日に派遣をされ、昨年十二月二日以降、補給艦二隻により米艦艇に対して補給活動を、給油でございますけれども、実施いたしました。また、一月二十九日に補給艦「とわだ」によりイギリス艦艇補給艦に対して燃料補給活動を実施いたしました。
 これまでの実績でございますけれども、艦艇用燃料の補給実績が、回数にして五十七回、補給量にいたしまして十万一千キロリットルでございます。
 あと、活動経費につきまして、予算措置といたしましては、昨年十一月二十二日に閣議決定された予備費百七十三億円を使用しているところでありまして、現時点におきまして、概算額でございますけれども、二月末までに約六十三億円、予備費の約三六%を執行済みであります。
 この六十三億円の内訳を個別に申し上げますと、防衛本庁分が四十億円でありますが、うち剰余分が二十四億円、職員諸手当が二億円、武器車両購入費八億、装備品等整備費が十六億円でございます。
 以上が概要でございます。
伊藤(英)委員 米軍等への燃料の補給分の経費はどれだけになりますか。
中谷国務大臣 約二十四億円でございます。
伊藤(英)委員 それは二月末までの分ですか。
中谷国務大臣 三月末におきましては、三月二十八日までに約三十六億、全体の約四五%、また、量でいきますと十万一千キロリットルでございます。
伊藤(英)委員 それから、特措法の審議のときにもいろいろ問題になりました、武器輸送をするかどうかという話がありましたね。法的にはできるようになっていますね。実際に武器輸送があったのかどうか。
中谷国務大臣 武器の輸送は行っておりません。
伊藤(英)委員 それから、あのとき問題になりましたのは、議論になりましたそのうちのまた一つは、U4で人を運ぶときに、そのときは米軍の将校といったような話があったりしたと思うんですが、米軍の将校を輸送したことがあったのかどうか、そのときに武器を携帯していたのかどうか。どうですか。
中谷国務大臣 米国の軍人は輸送したそうでございますが、その際、武器は携行していなかったということであります。
伊藤(英)委員 次に、長官からも先ほどちょっとあったんですが、今回の日本のこのテロに対する自衛隊の貢献、このときに、米軍から、先般、二月二十六日に貢献国云々ということで二十六カ国の中に日本が入っていなかったという話がありました。本件について既に外務委員会でも私もお話を申し上げたことがあったりするんですが、この件について、実際に米国内の日本に対する見方を反映した騒動だというふうに報道したところもあるんです。
 そういう意味で、あるいはひょっとしたら、戦闘地域で日本が支援をしていなかったからということを言う人もいたりしたんですが、この件についてどういうふうに評価をしているか、もう一度伺います。
中谷国務大臣 これは、意図的にそのようなことはやるわけありませんで、伝達ミスによる単純な過ちであったというふうに認識しております。
 米側からは大変高い評価を受けておりまして、例えば、昨年の十二月十日にラムズフェルド国防長官と日米防衛首脳会談をいたしましたけれども、そのとき、日本の努力に感謝する、自分は日本が自衛隊の役割を進展させていることに着目しているが、これは健全かつ重要であって高く評価するという内容の発言がありまして、この会談が終わった後わざわざ記者会見をセットしていただいて、その中で日本のこれまでの活動や米国の感謝の発言をいたしました。この模様はCNNが生中継をしておりまして、約二十分間この会見の模様が全世界に向かって流れましたけれども、これも一つの日本に対する配慮のあらわれでございます。
 また、ブッシュ大統領が二月十八日に日米首脳会談において来日されたときに、日本政府に対して、同時多発テロ以降に示した連帯に感謝する旨述べましたし、また、英国もブレア首相が発言をしたり、カナダのクレティエン首相も発言をいたしておりまして、世界じゅうの各国から今回の活動に対して高い評価を受けているというのが現実でございます。
伊藤(英)委員 今回、この協力支援活動の実施時期について五月十九日まで延長することにしたわけでありますが、これは米国から要請があったんですか、なかったんですか。あるいは日本が自主的に決めたんですか。どういう背景でしょうか。
中谷国務大臣 この延長するかどうかということにつきましては、内閣総理大臣の承認を得て防衛庁長官が実施期間の延長をするわけでありますが、そもそも始めるときに、状況により五月十九日まで延長する、基本計画に定められた期間まで延長するという規定をされておりました。
 今回延長した理由につきましては、アフガニスタンにおけるアルカイダやタリバンの状況、米国の活動状況を総合的に勘案した結果、活動を延長することが妥当だと判断をしたところでありますが、この間米国との、支援につきましては調整委員会がございまして、この委員会などのさまざまなチャンネルにおいて米側と協議、調整を行ってきたところでございますが、あくまでも実施するかどうかということにつきましては、我が国の主体的な判断によるものでありまして、我が国としても引き続きテロ対策を支援していくということが必要であるということで決定をいたしたわけでございます。
伊藤(英)委員 先般、防衛庁長官は記者会見で、この五隻のうちで二隻を日本に戻すんだけれども、その後どうするかということについては言われなかったと私は思うんです。今後、派遣艦数を縮小していくおつもりなのかどうかということ。
 それから、そもそも、これから五月十九日まで、さらにそれ以降も含めて、今、日本の政府として、この辺の情勢あるいは米軍の行動等について、どんな展望というか見方をしているのか、それについて伺います。
中谷国務大臣 現時点での協力支援活動につきましては、護衛艦三隻及び補給艦二隻の五隻態勢により実施をしておりますけれども、この中の三隻につきましては、せんだって交代をいたしておりますが、残りの二隻につきましては、昨年の十一月二十五日の派遣後約四カ月が経過をいたしておりまして、隊員が相当疲労いたしておりますし、また、艦艇も定期的な点検整備の所要がございます。ですから、この二隻につきましては、できるだけ早い段階で帰国される必要があるものと考えておりますけれども、今後の態勢につきましては、現在、海上自衛隊が保有しております艦艇の状況、また、現地の情勢を踏まえつつ検討を行っているところであります。
 まだ現時点において、この二隻の交代をどうするかということにつきましては最終的な結論をいたしておりませんけれども、支援の活動につきましては、今後とも適切に支援を実施することができるように措置してまいりたいというふうに考えております。
 また、五月二十日以降どうするかということにつきましては、これは政府全体で決することでございまして、基本計画をいかに策定するかということにかかっているわけでございますが、現時点におきまして、まだそれまでの間の期間がございますので、今後とも、状況の推移等を見つつ判断をしていかなければならないというふうに思っております。
伊藤(英)委員 官房長官にお伺いした方がいいと思うんですが、今回、アフガニスタンで東北部において大変な地震がありました。それこそ大変な状況だということであるわけでありますが、現地の被害が大変な状況を見たときに、アフガニスタンの暫定政権の今後に影響を与えていくことはないだろうか。それこそ、これから近いうちに、六月にロヤ・ジルガも行われることが想定されていると私は思うんですが、そうしたことも含めて、そこの、いわば政権の運営というか国の運営といいましょうか、そういうところに影響を与えていくことも懸念されるのではないか、こう思ったりするんですが、どのように思われるか。
 そして、アフガニスタンに、この地震の問題で早急なるいろいろな支援もしていかなきゃならないだろう、こう思うんですけれども、今、どういうことを今後しようとしているのか、それについて伺います。
福田国務大臣 委員御指摘のとおり、先般、アフガニスタンで発生した地震、これはナハリン地区の約九〇%の建物が崩壊した、また数千人規模の死傷者が生じたという、極めて甚大な被害が生じておるという現状がございます。
 現在、外務省またJICAの職員が現地へ派遣されておりますが、これ以外にも、アフガニスタン暫定政権も調査団を現地に派遣しておりまして、さらに、関連する国際機関、NGOも支援活動を実施しております。今回の地震災害対策にアフガニスタン暫定政権が最大限の努力を傾注しておりまして、カルザイ議長も二十七日には現地入りをいたしております。
 現状下で重要なことは、一刻も早く緊急支援が実施され、被災民の救済が行われるということでございますが、今後、アフガニスタンの復興活動において、これがどうなるかということでございますれば、これは、多少の影響はあるものの、私は、これでもって復興が大きく阻害されるというようなことにはならないだろうというように思います。
 こういうような災害の機会に、むしろインフラ整備を進めるとかいったようなこともできるということもあるのかというふうに思っておりまして、我が国もそういうようなことで支援ができることがあれば、大いにやっていかなければいけないと思っております。
 また、支援でございますけれども、我が国としてどのような支援を考えているかということであります。二十七日でございますけれども、アフガニスタン暫定政権に対しまして四十万ドルの緊急無償資金協力を供与することといたしました。これは地震対策でございます。また、必要な緊急援助物資の供与も検討をいたしております。また、二十八日は、現地での支援活動の調整やニーズの把握を行うべく、東京から外務省、JICA職員を現地へ派遣いたしました。現地ではNGOとも連携協力しておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 また、現地では、カルザイ議長を初めとするアフガニスタン暫定政権の調査団が被害状況を把握しているところでございますので、連日、暫定政権を中心として、関係者と状況報告、支援状況の検討のための会議が開かれております。
 今後、またいろいろなニーズも生ずるだろうというように思いますので、これに対しては的確に対応してまいりたいというように思っているところでございます。
伊藤(英)委員 アフガニスタンの状況は、申すまでもありませんけれども、大変な状況にもともとあるわけですね。そこにこういう地震ということであります。そういう意味では、日本としても最大限の努力が必要だと思いますので、ぜひと思います。
 それから、アフガニスタンの方から、暫定政権の方から日本に具体的に要請か何かは来ているんですか。
植竹副大臣 アフガニスタンからの直接の支援ということではなく、国際関係機関の要請に対しまして、私どもは、日本としてこの問題について支援、応援している、そういうことでございます。直接支援はございません。(伊藤(英)委員「いや、要請」と呼ぶ)要請はございません。
 ただし、国際関係機関、国連というような国際関係機関からの要請ということでございます。
伊藤(英)委員 国際機関からは、具体的にはどういうふうに言ってきているんですか。
植竹副大臣 具体的に国際関係機関から外務省の方に要請というのは、国際関係機関からいろいろな要請があるということを聞いて、緊急援助隊、JICAとかそういうものが発出して応援、支援しているわけでございます。
伊藤(英)委員 国際機関から要請は来ているよ、しかし中身はよくわかりませんよというように受け取れますね、今のお話ですと。要するに、それで日本は一体何ができるんだろうか。
 要請があったということだけ云々では、それはちょっと余りにもというふうに思うのですが、どうですか。
福田国務大臣 その点につきましては、今まさにその話し合いをしているという状況でございます。こちらの方としましても、積極的にアプローチをし、そしてどういう問題点があり、そしてどういうプロジェクトをすべきかということについての絞り込み、これを今している最中でございます。
 一つ例を挙げますと、先般、治安とか女性などの分野を中心としたニーズを把握するために、アフガニスタン復興支援合同調査ミッションというものを官邸から派遣をいたしました。そこで、女性問題というものもかなり具体的な詰めをしてまいりました。こちらの日本の案をこれからアフガニスタンに持っていって、そして、そこで最終的な詰めをするといったような、そういう話し合いを今現在している最中であるということで御理解いただきたいと思います。
伊藤(英)委員 今官房長官の言われたお話は非常に重要な話だと私は思うのですよ。ただ、その話は地震が起こる前の話ですよね、地震の前の話。それはそれで重要なんだけれども、この地震の問題でという、そこ、答え方に自信がないように……。
植竹副大臣 先ほどはっきりいたしませんで、詳しく申し上げます。
 アフガニスタンからの支援要請というものはございませんが、そのためにJICAを含めました五名の者が現地へ行きまして、アフガニスタンの暫定政権及び国際関係機関等とも連携しつつ、国際緊急援助隊等の派遣可能性を含めて、現地の支援ニーズをとらえて、そして対応していく、そういうことでございますので、先ほど申し上げましたような国際関係機関からの要請ということは訂正いたします。
伊藤(英)委員 ちょっと今確認いたしますが、国際機関からの要請じゃなくて、今、現地とも相談してということでしょうか、国際緊急援助隊の派遣についても、そういうことも含めて検討しているという意味ですか。
植竹副大臣 国際緊急援助隊というんじゃなくて、暫定政権が緊急対策本部を設置したりいろいろな対応をしておりますので、我が国として、アフガニスタンの支援ニーズを踏まえまして、そういう体制をとるように今調査をしているということでございます。ですから、先ほどの支援要請ということは、私の不適切であったということを申し上げます。
伊藤(英)委員 国際緊急援助隊等も検討していますという意味ですか。いや、ちょっとはっきりしないのですが。
植竹副大臣 国際緊急援助隊ということではございません。救援物資とかそういう意味のことでございます。ですから、その前の、これは必要かどうか、例えば国際緊急援助隊でしたら、現地の危険度とかそういうもの、いろいろありますから、そういう前に、まず調査ということでJICAから五名が現地入りしたということでございます。
伊藤(英)委員 正直言って、はっきりしないという感じが私はいたします。
 現地の状況が本当に深刻だと思うなら、もちろん、状況をしっかりと調べて、どういうふうに対応するかということをすればいいわけでありますが、先ほどの御答弁なんかを聞いていますと、一体、国際機関と何か話をしているのかしていないのか、現時点の状況はどうなのか、真剣に何ができるのかどうかということを検討しているというふうに聞こえないですよね。
福田国務大臣 では、私からちょっと一言申し上げますけれども。
 いや、検討しているんですよ、それは。検討してないことはないので、先ほど申しましたように、JICAの職員も派遣されておりますし、現地の、今大使館はないんですけれども、外務省の職員も……(発言する者あり)カブールの大使館の職員も現地に入っておるということもございますし、NGOも活躍しているということで、今現在、どのようなニーズがあるのか、また、どういう物資が必要なのかというようなことはございます。
 とりあえず金銭支援をするということは決めたわけでございまして、具体的に、例えば今おっしゃっていらっしゃるような国際緊急援助隊、医療なんかが中心なんだろうと思いますけれども、そういうものが必要なのかどうか、その辺も今調査している最中でございます。ニーズがなくて向こうで受け入れできない、そして混乱するというようなことがあってもいけないということもございますので、その辺は現場の情報を今入手中というところでございます。
伊藤(英)委員 ことしの一月に復興支援会議が行われたですね。あのときに計四十五億ドルの拠出ということを約束したりいたしました。そして、どういうことをやるかということで、当時は六分野について優先的にやろうということも決めたりいたしました。
 ところが、あの暫定行政機構というのは、行政組織としてはまだまだ非常に不十分といいましょうか、各大臣はいる、しかし、その専門職員というのはほんの数人といいましょうか、非常に少ないというふうに言われたりするわけですね。
 そもそもこの行政機構としての体制が非常に不十分だ、こう思うんですが、それについてどういうふうに考えているのか。そして、あの体制を強化するためにというか支援するために、国際的に、あるいは日本として、これはどういうふうに取り組んでいこうとされていますか。
植竹副大臣 委員お尋ねのとおり、暫定機構というものは、これを適切にアフガニスタンの状況に対応するにはまだまだこれからだということでございます。そして、その体制を確立し、徐々に行政能力を高めていくものと存じます。なお、国際社会のアフガニスタンの復興への取り組みに当たって、暫定政権及びアフガニスタンの復興に向けた努力を決意表明しておるわけでございます。
 このような観点に立って、我が国は、アフガニスタン暫定政権の安定的な運営を確保するために、アフガン暫定政権基金に対しまして百万ドルの拠出を行っております。また、今後、我が国の支援を実施するに当たりましては、アフガニスタン暫定機構の能力向上、それに資するように十分配慮するとともに、現地の調査及びアフガニスタンの暫定機構からの要請に基づいて、引き続き可能な支援を検討していくことを考えております。
伊藤(英)委員 時間があれば、この辺のことについてまた戻るかもしれませんが、いわゆるテロの問題等々を考えたときに、この地域でやはり非常に重要な点といいましょうか、あるいはブッシュ大統領の悪の枢軸なる言葉等との関連からいえば、その言葉がどうかは別にして、ちょっと北朝鮮の問題ということについて考えなければならぬ、こう思うんです。
 先般、有本恵子さんの話も、新たにああいうことが明らかになったりいたしました。
 そこで、この有本さんの件についてなんですが、前の七件十人のケースと今回は明らかに違うと思うんですね。この有本さんのような形で、御本人が直接そこに関与をし、そして本人が証言をする、こういうような状況になっているわけであります。そういう意味で、有本さん本人及びこの拉致疑惑と言われる問題について、これから本当にどういうふうに取り組むのか、その辺について伺います。
福田国務大臣 政府といたしましては、拉致問題というのは、これは国民の生命にかかわる重要な問題である、こういう認識を持っております。
 これはもう本当に、従来から、日朝国交正常化交渉等の場において、北朝鮮に対して、日朝関係を改善していくに当たりましては拉致問題を避けて通ることはできない旨、繰り返し繰り返し説明をいたしておりまして、その解決を強く求めております。政府としては、日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組みつつ、拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指す、こういう方針でございます。
 基本的な考え方はそういうことでございますけれども、最近、有本さんのことがわかりました。そういうような新しい事態を迎えて、我が国として、その事態を踏まえた対応というものはしっかりとしていかなければいけないというように思っておりまして、今後とも、さらに一層北朝鮮側に対しては強く働きかけをしていきたい、このように思っております。ただ、国交のない国でございますから、それは非常に話し合いの難しいという状況があります。あらゆる機会をとらえながら、その初志は貫徹していきたいというように考えております。
伊藤(英)委員 実は、今まで、この北朝鮮問題については、大変な苦労もしながら、いろいろなことをやってきました。
 ちょっと伺いますけれども、米支援というのが前にありましたね。あの米支援は人道支援というふうに、当時、外務大臣もこの委員会の場でも発言をされたりしてきました。人道支援とは何でしょうかね。米支援と人道支援、これはどういうことだと理解されますか。
福田国務大臣 まさに北朝鮮の国民が食糧不足で困窮しておるという状況の中で、いろいろな話し合いが行われ、そして人道的な配慮をするということは、これは我が国のみならず、WFPを中心とした話し合いもございましたし、また、韓国、米国等の支援の状況を見ながら我が国として人道的な立場で米の支援を行った、そういう経緯がございます。
伊藤(英)委員 先般、小泉首相が韓国に行かれたときに、米支援を拉致問題などの懸案を棚上げにしてやるのは難しいという話をされました。この発言は、いわゆる通常使われる人道支援とは米はちょっと違うよという意味で使っているんでしょうね。
福田国務大臣 総理が先般、韓国に参りまして記者会見で発言したのは、現在の時点で米支援とかそんな問題を、いろいろな今までの拉致問題等の懸案を棚上げにして日本がやるというのは非常に難しい情勢にある、こういう発言をしたわけでございますね。
 先ほど米支援を人道的な立場でと、こういうふうに申し上げましたけれども、その人道的な立場というものは、これなくしてはなかなか過去においてもできなかったんだろうと思いますけれども、今後においても、それはいろいろな状況等があると思います。北朝鮮の国内の状況とか、いろいろ総合的に判断しなきゃいかぬだろうというようなことがあると思いますけれども、翻って我が国の状況というものを考えますと、今般、有本さんのことも発覚したというような状況の中で、単に、北の、北朝鮮の国民の困窮状況というものは承知しながらも、なかなかそれだけで支援をするというのは難しいということもあり得るということを申し上げております。しかし、そういう人道的なことだけでなくて、やはり総合的に考えていくということも、今後の北朝鮮との国交正常化というものをにらんだ上では必要なのかもしれぬということもあろうと私は思っております。
 したがいまして、拉致の問題とか安全保障上の問題とか、そういうものも考えながら総合的に判断してまいりたいというように思っておりまして、総理も基本的にはそういう考え方であろうかと思います。ただ、今現在、今すぐに、今の状態において米の支援をするという決断をするというのはなかなか難しい情勢だということを申し述べたものだというふうに私は理解しております。
伊藤(英)委員 ブッシュ大統領が、一般教書の中で、先ほど申し上げましたけれども、悪の枢軸ということで、北朝鮮もその三カ国のうちの一つとして名指しをされました。
 先般、私がワシントンに行ったときに、アーミテージ副長官に、ちょっとあれは言い過ぎではないかという話をいたしました。そうしたら、彼は、逆に日本から感謝されていいんじゃないかと思っているという話がありました。そういうこともあって元日経記者も帰ってきたではないかというような見方もされたりいたしました。これ、どう思いますか。
福田国務大臣 ブッシュ大統領が悪の枢軸というふうに一般教書演説においてお話をされたわけでございますけれども、この趣旨は、テロ支援と大量破壊兵器の開発を許さない、こういう強い決意のあらわれである、こういうような理解をいたしております。
 実際問題言って、先般、日米首脳会談、ブッシュ大統領が来られまして小泉総理とお話をされた機会に、大統領の方から、問題は平和的に解決したいというように考えている、そして外交的努力を続けるということもあわせ述べていらっしゃるということもございます。ですから、そういうような考え方というものを根底にお持ちなんだということは、私どももそういうことで理解をしているところでございます。
 今、元日経の記者の話もございましたけれども、それは、アーミテージさんがどういうようなことでそういうふうにおっしゃったかわかりませんけれども、それはいろいろな見解というものはあろうかと思います。
伊藤(英)委員 今回、北朝鮮の赤十字社が行方不明者の調査を再開する話がありました。これは、なぜ、どういう背景でこういうことが起こっていると思われますか。
福田国務大臣 これは、北朝鮮の首脳、政府、どういうお考えをお持ちであるのかということについて、私どもわかりません、正直申しまして。それは、北朝鮮なりの御判断によって、そのような申し出を赤十字を通じてなされたんじゃないかというように考えるしかないんですね。元日経記者の問題もそのようなことだと思っております。
伊藤(英)委員 先方の判断でそうしたことになったということはもちろんそうなんですが、なぜそうなったんだろうかということなんですね。
 例えば、つい最近の状況からすれば、米国は北朝鮮に対して非常にハードな対応をしている。ある意味では、日本もそうなのかもしれない。そういうことだと私は思いますね。そういう状況なんです。韓国は、やや困ったなという感じだったと思うんですね。そして、EUは、結構、北朝鮮との関係では、いわばソフトな対応というのでしょうか、でやっていこうという形で動いていたと私は思うんですよ。EUの方から私のところにも、こう思うけれどもどうだろうかという話があったりいたしました。
 そういうときに、いいですか、米国が北朝鮮に対してかなりハードな形でやっております。日本も大体そんな感じです。EUに対してはどういうふうに期待いたしますか。
福田国務大臣 各国が北朝鮮に対して、いろいろな立場、いろいろな関係にあるんだろうと思います。また、そういう中で、いろいろな提案を行う。
 例えば、ブッシュ大統領は悪の枢軸というふうに演説をしているわけでございますけれども、一方で、米の支援については、人道的な支援であればやってもいいということを私も米国政府の首脳の方々から聞いておるところでございますので、外交上、いろいろなやり方というものはあるんだろうと思いますね。
 EUも、EUと北朝鮮が関係を回復したということは承知しておりますけれども、これからどういうふうにされるか、それは私は正直言ってわかりません。
 日本としてEUに何か望むかということであれば、EUに対して、もし北朝鮮と率直な会話ができるのであれば、日本にはこういう問題があるんだ、拉致問題を初めとしてこういういろいろな問題があるんだということは話をしてほしい、そして、日本と北朝鮮の関係が少しでも好転する、そういうような、少なくとも拉致のような人道問題は解決に向けて動き出せるような、そういうような応援はしてほしい、こういう要請は、これは恐らく外務省もしているわけですね、後で説明していただきますが、そういうことだと思っております。
植竹副大臣 EUの北朝鮮に対する関係というものは、昨年の五月のEUの首脳代表団の訪朝、これは加盟十五カ国のうち十三カ国、フランスとアイルランドだけは参加しておりませんが、この十三カ国。
 EUと北朝鮮との関係というのは、北朝鮮の、国際社会への一層の関与と人道、そういう問題で進んでおりますし、日本とEUというのは、EUと連携をとりながら、対北朝鮮についてはEUにも話すし、また米国にも話をしている。そういうような北朝鮮と関係あるところについては、日本もEUに対していろいろな状況を説明しながらやっていくというような、EUと北朝鮮の関係を通じながら対応していくということでございます。
伊藤(英)委員 官房長官、ちょうど、今というか最近といいましょうか、米朝の接触がニューヨークであると思います。そして、南北、韓国も特使が来月早々には北朝鮮に行くことになっていると思います。もちろん日朝の接触も、これは赤十字レベルもあるし、坂口大臣がという話もあったんです。
 今ちょうど、今申し上げたように、日米韓、それぞれとの関係でちょっと動いていると私は思うんですね。何が背景だと思われますか。背景は何だと思われますか。
福田国務大臣 これも中心は北朝鮮でございますので、北朝鮮が今の状況をどう考えているかということなんですね。この一言に尽きるんだろうと思います。
 ですから、私どもで勝手な推測は、これは避けなければいけないのかなと思いますけれども、そういう事態は、これは率直に受けとめて、それに対応していかなければいけないと思っております。
伊藤(英)委員 どういうふうに受けとめて、今後どういうふうに対応していくということですか。
福田国務大臣 それは、話し合いを求めるのであれば、率直な話し合いに応ずるということだろうと思っております。
伊藤(英)委員 実は、私は、何が一番重要かといいますと、関係国の協調体制が最も重要だと思っているんです。
 さっきEUの話をいたしました。実は私は、EUからちょっと聞かれたといいましょうか、それなりの代表の方からもこの問題について話があって、私は申し上げたんですね。僕の気持ちからすると、EUが余り勝手に動いてほしくないと私は思っているんです。日本は拉致問題という大変な人道問題を抱えている、そういうことを含めて、ぜひ協調してやってほしい、それは基本的には、日米韓、EU、協調してやっていかなければと、こう思って申し上げているんです。細部は、時間もありませんから余り詳しくは申し上げませんが、結論はそういうことだと私は思っているんです。それは政府もそう思っていると私は思うんですよ。そのために具体的にどうしようとするのかということについて伺います。
福田国務大臣 これは、今の状況においてどういうように具体的に問題を進めていくのかということになりますと、予測しがたい、予断の許さないこともございます。しかし、今御指摘の、多国間で、少なくとも日米韓という関係で話し合いをしながら進めていく、これは私は間違いない方策だと思います。
 あと、それでは、ほかの国に対してお願いするかどうかというようなことがあるかもしれません。しかし、そういう国が日本の考えに沿ってそのとおりということにもいかないこともあるかもしれぬ。それは、それぞれの立場というものがございますから、国と国の関係というものがございますから、それはそうでないということもあるかもしれぬ。それが国際政治だというふうに思いますので、その辺をよく見きわめながら、お願いできることはお願いしていく、こういう姿勢は大事だろうと。また、日本の立場というものはよく説明をして理解してもらう、そういうことも大事だろうというふうに思っています。
伊藤(英)委員 北朝鮮問題あるいは拉致疑惑問題というのは、私は本当に大変な問題だと思っているんですよね。では、どうやってそれを解決していくんだろうかというと、私なんかも、ざっと一年ちょっと前もピョンヤンへ行ったり、そのまた一年前も行ったりしていますが、本当にこの辺を、例えば北朝鮮の問題にしても、あるいは中国、台湾問題等々、この周りを平和な地域に安定化させることがどんなに重要か、こう思いますよ。
 正直言うと、私は、今のお話なんかを伺っていますと、本当にどうするのかなというくらいの印象を抱きます。外務省も中のごたごた云々ばかりで本当の外交をやっていないんじゃないかと思ったりするのも、こういうところからも思うんですよ。だから、ぜひよろしくお願いします。
 時間がありませんから、もう残された時間が余りありませんから、ちょっと別のことを伺います。不審船の問題を官房長官に伺います。
 私は、この不審船の問題は、前書きは省略いたしますけれども、この間の九州の南西沖のあの不審船の問題については、まさにあの経緯からしても、そして犯罪捜査という意味からしても、物理的にあるいは技術的に引き揚げられるなら、まさに粛々とちゃんとやるべきだ。そして、中国云々と話があったりいたしますが、それはちゃんと事前に通告といいましょうか、連絡をしてやればいい。それは、まさに本当に粛々とちゃんとやる話が、国際関係をとってみても日本にとってどんなに重要かと思うんですが、どうですか。
福田国務大臣 今回の不審船事件、このことについては御指摘のとおりだと私も思っております。現在、関係当局で鋭意捜査を進めている、こういう状況でございまして、引き続いて事実関係の解明に向けて全力を尽くす、こういうことになります。
 今後のことを申し上げれば、実は二月二十五日から三月一日まで、先月末から今月の初めまで、沈没位置特定のための調査、これは機械をおろして映像でもって調査をした、こういうことをいたしましたが、今後は、ダイバー、潜水調査ですね、これを入れまして船体調査を実施する、こういうことになります。
 この船体調査も、これは波がおさまらないと危険を伴うものでございますので、やはり天候のおさまる、波浪のおさまる時期といいますと四月の中旬以降じゃないかというように言われておりますけれども、そのころを見計らって潜水調査をする、そしてそういう調査の結果、それからもう一つは、今申しました現場の海域の天候状況というものを見きわめながら、その次の段階を判断する、こういうことになります。
 現場海域の状況というものは、これは重視しなければいけませんけれども、引き揚げとかいったようなことについての物理的なチェックはその前にはどうしても必要なわけですね。それを粛々とやっていくということになろうかと思います。
 いずれにしても、その現場というものは、我が国が事実上、中国の排他的経済水域として扱っている海域でございますので、中国とも調整を図りつつ、適切に対処してまいりたい、こう考えております。
伊藤(英)委員 もう一回再確認いたしますが、適切に、それから中国とも調整をしながらということは、物理的に可能ならばそれは引き揚げる方向でやりますという意味ですね。
福田国務大臣 それは、今申しましたように、物理的な状況などをよく判断した上で粛々と、委員のおっしゃるとおり、粛々と進めてまいりたい、その上で中国ともよく調整を図りながらやってまいりたい、このように考えております。
伊藤(英)委員 粛々とというのは、私の言うとおりと言っていらっしゃるわけだから、それはちゃんと、私の考えているとおりにちゃんと引き揚げる方向で考えますということですね。
福田国務大臣 委員のおっしゃるとおり、粛々といたしたいと思います。
伊藤(英)委員 それから、有事法制についてちょっと伺います。
 先般、総理がこう言ったんですね。武力攻撃に対する備えと、九月十一日以降のテロ発生に対する備え、不審船など不可解な行動にどう対応するかが有事法制の基本的な考えだ、国民の関心は緊急事態にどう対応するかにある、そういう議論にもたえるものを出さないといけないと語ったんですね。
 また、ついこの間、その翌日だったと私は思うんですが、防衛庁長官は、武力攻撃に至らないようなテロ、不審船などの問題は並行して、今回の法案作成と並行して法律面、運用面、その他多角的な観点から別途検討を進めている、まだ調整をして議論を進めなければならない段階だ云々というふうに述べているんですね。
 今回の法案に、どういうふうになるんだろうか、このテロ等の話は。これはどういうことですか。総理と防衛庁長官のお話は私はずれていると思っているのです。どうですか。
中谷国務大臣 全く総理と認識は同じでありまして、緊急事態といいますと、武力攻撃だけではなくて、テロ、不審船、さまざまな事態があるわけでありまして、こういった緊急事態として、政府として包括的に考えをまとめて作業をしていく。
 一つは、武力攻撃事態でありますけれども、それ以外の事態等につきましても、法律面また運用面において検討をしていくということで、並行して行うべきだと私は申し上げまして、総理と全く考えが同じであります。
伊藤(英)委員 これは官房長官ですね、今、いわゆる有事法制ということで検討されている。昨日も、おとといかな、私ども党としても、政府から現在の状況について伺ったりいたしました。それで、今回、いつ法案を国会に提出するおつもりでございますか。
福田国務大臣 ただいま内閣官房を中心として、御指摘の我が国に対する武力攻撃に対処するための国の意思決定のあり方などについて総合的な観点から検討を行っております。
 そういう中でもって、いつ提出かというお話でございますけれども、いつというふうに明確に申し上げることはできないけれども、なるべく早くというように考えて……(伊藤(英)委員「いつごろ」と呼ぶ)四月の上旬、中旬ぐらいかなというように思っております。
伊藤(英)委員 四月上旬、中旬くらいかなというところに出そうとする法律案の中に、防衛庁長官の言われたテロ等のやつは、今いろいろ検討しているという話がありましたね、その中に含まれるんですか。どうですか。
中谷国務大臣 現在準備をしている法律は、武力攻撃に至る際の自衛隊、米軍等の内容でありまして、それと並行をして武力攻撃に至らない事態に対しての検討作業をいたしておりますので、今回検討している法律というのは、武力攻撃の際の法律でございます。
伊藤(英)委員 もう一つ、現在の状況をいろいろと政府からもあるいは内閣官房の方からも伺ったりいたします。例えば、包括法としていろいろ検討されたりしている。あるいは、その体系図みたいなもの、図も含めて説明してくださる。その中に、国会がどういうふうに関与するかということは、国会のコの字もないというぐらいの感じなんですね。
 私は、そもそもいわゆる有事法制と言われるものの最大の問題は、いわゆる民主的な統制といいましょうか、シビリアンコントロールというか、そういうことをいかに機能させるかということだと思っていますし、そこのまた最大の機能は国会だと思っているんです。国会が決定するんだよというふうに絶対にしなければならぬ、こう思っているんです。
 国会の役割について、関与のあり方について、どう考えられますか。
福田国務大臣 今現在検討している中で、国会の関与、これはやはり考慮すべき大事な点だというように考えておりまして、今それを具体的にどのように取り入れていくかということを検討している最中でございます。
伊藤(英)委員 最後に、またテロの問題にちょっと戻って伺いますが、イラクの関係といいましょうか、ということについて伺います。
 先般、アメリカの副大統領がずっと中東の方も回ったりいたしました。彼は、ずっと回って、それでそのときに、いわば中東方面の人たちの認識について、イラクに対していわば警戒感を持っているというような趣旨の話もしたりしています。
 もう片一方の方では、中東諸国は、あるいは昨日来のアラブの方の会議でもだったと私は思いますが、イラクに対する攻撃については極めて否定的といいましょうか、強い反対論をとっていると私は思うんです。
 日本の政府として、どういうふうに考えますか。
中谷国務大臣 これはいろいろな発言がありますけれども、ブッシュ大統領においては、せんだって来日されたときの首脳会談等においては、米国はすべての選択肢を排除していないけれども平和的に解決するというふうに言っておりまして、外交的努力を続ける考えである旨の発言がございました。
 現時点において、イラクに対してどのようなことを、行動をするかということにつきましては、全く予断する段階ではございませんので、今後とも状況の推移を見守るということでありますが、私の認識といたしましては、外交的交渉の段階であるというふうに認識をいたしております。
伊藤(英)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
二田委員長 東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 まず初めに、今回のテロ特別措置法に基づき自衛隊が行っている協力支援活動について、先ほど防衛庁長官からお話がありましたとおり、インド洋の北部で自衛隊員が前線で仕事をされていること、それ自体に対して心から敬意を表したいというふうに思います。
 防衛庁長官から、米国やその他の国々から自衛隊のオペレーションに対して多大な評価があるという自画自賛にも似たそういう表現がありました。これについてだけコメントをしておきたいというふうに思います。
 それは、世界の目の見方というのは、僕はとっても厳しいんだろうというふうに思います。日本がやっていることに対して、日本は、特措法の中に書かれているとおり、国際的なテロリズムの防止及びその根絶のために何をやっているのか。そのために日本というのはこうこうこういうことをやっていて、世界じゅうから、日本というのは、よくテロリズム根絶のために頑張っているという評価であるならば、それは聞きます。
 ところが、今防衛庁長官がおっしゃっているのは、テロ根絶のために頑張っていると思われる米国を中心とする国々、その枠組みの中の一つのオペレーションを担当しているだけであって、そして、そこからただで油をもらっているわけでありますから、それに対して感謝をしない国なんというのはないのは当たり前ではありませんか。そういうところでお茶を濁しているとするならば、本当に日本というのは何を考えているのかというふうに思わざるを得ない。
 さらにまた、今回の特別法そのものに対しては私どもは反対させていただきました。なぜならば、その根拠が不明確であるからです。米国を除く他の国々というのは、明確に集団的自衛権の行使という国際法に基づく根拠に基づいて展開をしているのであって、日本の場合は、対米支援でもない、国連支援でもない、国際協調主義という名のもとに、テロに対して、当然それに立ち向かっていくのは常識でしょうという、何が何だかわからない日本的な論理でもってやろうとしているところにすべての本質的な問題があるんじゃないか。
 と同時に、今アフガニスタンにおいて、今度は国連の決議に基づいて展開されている部隊そのものにも日本は参加することができないじゃないですか。それを、さも世界じゅうから評価されていると言う、それに対して苦言だけ呈させていただきたいというふうに思います。
 そして、防衛庁長官よくおわかりだと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、インド洋北部に今回、国連の決議に基づくものでもない、初めて自衛隊を海外に派遣して、それなりに前線で苦労されている。私は、そういう方々を呼んでこういうところでお話をさせていただきたい、また、現場の経験を踏まえた上での情報を教えていただきたい、こういう思いで、理事会においても、ぜひ制服組の方々を呼んでもらいたい、このように申し上げさせていただいております。
 残念ながら、今までの慣例上そういうことがない。時代が大きく変わっていて、本当に、シビリアンという政治家たちが、制服組の、前線で頑張っている人たちが何をやっているかということをダイレクトに聞くことに、私たちがこれからの日本を考えていく上で極めて重要な意味合いがあると思うんです。
 防衛庁長官、私は、お願いでございますが、自民党及び与党の内部で、そういうことをもっと活発にやった方がいいんじゃないのかということをぜひ提言していただきたい。もう既に官房長官はそういうことを察知しているんだろうと思います。既に制服組の方々と時あるごとにお話をされている。極めて僕はいいことだと思います。
 今回の特措法に基づいて自衛隊を派遣する上においても、また、どういう形で自衛隊を派遣することができるのかということに関しても、私が仄聞するところによれば、総理みずからが自衛隊の統幕の方々と官邸でお話をして、地図を広げて、何ができるのか、そういう議論が真摯に行われたということも聞いておりません。であるとするならば、一体どこで何が決められているかということもわからなくなる。
 そういう意味において、防衛庁長官にぜひ、外務委員会あるいはまた安全保障委員会において、統幕、制服組の方々が出てきて、政治家にダイレクトに今起こっている問題について説明できるような、そういう形で自民党、与党内部を説得していただきたいというふうにお願いしますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
中谷国務大臣 国会における参考人の招致等につきましては、それぞれの問題における専門家や学識者等でありまして、私も、自衛官といいますと、軍事問題や安全保障問題のプロフェッショナル、専門家としてたくさんの知識経験を有しているというふうに思っております。
 国会出席問題等につきましては、まさに理事会で協議をされてお決めになることでございますので、その必要性等につきまして、国会における御議論や御判断を踏まえて対処していただきたいというふうに思っております。
 私は、専門家としてふさわしいというふうに思っております。
東(祥)委員 そういうことをわかった上で防衛庁長官にお願いをしているんです。
 防衛庁長官が専門的知識がないだとかそういうことを言っているんじゃなくて、現場で今、インド洋の北部で動いているわけですよ。どうしてそういう人たちをここに呼んじゃいけないんですか。国会にはいろいろなルールがある。しかし、ちゃんとした論理に基づくルールではなくて、慣例として今までやっていなかった。
 何か、あれですか、統幕の方々を呼んじゃいけない、個人的に、いけない理由というのは何かありますか。そのことを言っているんですよ。
 国会には国会のしきたりがあって、理事会でいろいろ検討してもらいたいということはわかるけれども、自分は自分として、自民党部会においても、与党内部において、そういうことができるように頑張っていきたいと、そういうことがなぜ言えないんですか。
中谷国務大臣 そのようなタブーやルールは、私はないというふうに思っております。
 また、官邸での安全保障会議におきましても、統幕議長以下陸海空の幕僚長は、毎回出席をし、席に座って、会議に参加をいたしております。
東(祥)委員 僕は、そういう形式的なことを言っているんじゃないんですよ。安全保障会議、ほかの質問があって二十分しか与えられていないので申しわけないんですけれども、そういう状況をわかった上で、例えば今回、インド洋に自衛艦を派遣するといったときに、ちゃんと統幕の方から、総理が官邸で会って、どういうことができるんだ、どういう考え方があるんだと、統幕議長の方から話を聞いていますか。上がってきたものを言っているにすぎないわけでしょう。
 例えば、アメリカにしてもイギリスにしても、制度が違います。しかし常に、国の有事あるいは国の問題に対してどういうふうにかかわっているかということをダイレクトに話し合うことができるわけですよ。だからそういうことを申し上げているので、これ以上議論しませんけれども、そういう形式的なことを私は申し上げているんじゃないんです。
 そういうことを踏まえた上で、防衛庁長官なんだから、ある意味で現場の経験をよく知っている方なんだから、それに対してどうして前向きに言えないんでしょうか。理事会で考えてくださいと、突き放した言い方ではなくて、それをどういうふうにとらえているのか。自分自身、積極的にやっていくということを言えない理由というのはあるんですかということを申し上げている。
中谷国務大臣 こちらから行きたくても、理事会でお決めいただかないと出席できません。ぜひ出席できるようにお決めいただきたいと思いますし、また、官邸でも、統幕議長や情報本部長が総理のところへ情勢報告とか御説明には上がっております。
東(祥)委員 残念ですね。(発言する者あり)だから、与党が決めているんですよ。理事会というのは、与野党で、過半数を制しなくちゃいけないんですよ。与党の方々に言ってくださいとお願いしているんですよ。お願いしているんです、僕は。そういうことを言っているから、やろうとしているから、それに対してお願いしますと言っているんです。それを、こっちにお願いしますと言われても困るんですよ。これはこのままにしておきます。
 さて、拉致問題に関して質問させていただきます。
 三月の十二日に、小泉総理は、今回の有本さんの拉致証言を受けて、有本さんが拉致されたというその具体的な生々しい証言を受けて、この問題の解決なくして日朝交渉の進展はあり得ないと明言された、そして担当者に安倍晋三副長官を任命した、据えたというふうに聞いております。
 安倍晋三さんに関しては、お父様であります安倍晋太郎さんも、私は大変、当時私は政治家ではありませんでしたけれども、極めて尊敬されている方の一人であります。拉致問題に対しても大変関心を持っていた。そこで、総理みずからが安倍晋三副長官をこの拉致問題に対しての担当に据えたということに関して、一つの弾みがつくのではないのかなというふうに私は期待を持っております。
 その上で、安倍副長官、また福田官房長官に聞きます。
 日本の意思として、日本の意思ですよ、常に日本の意思というのはあいまいもことしてわからないんですが、この拉致問題というのを本当に解決しようと思っているんですか、どうなのか。また、その拉致問題を解決するに当たって、今までとどういう違いを発揮されようとしているのか、それが国民には全然映っていないんです。
 先ほど来からお話がありますとおり、粛々と、一生懸命、全力で頑張る。国交正常化の前にこの拉致問題を解決せずして国交正常化はあり得ないと、すべてに優先する問題として拉致問題を位置づけているのか。
 そして、この拉致問題を解決させるためにいろいろなアプローチがあります。僕らが政権をとれば、いろいろなアプローチがあります。今まで与党がやっているような生ぬるいものではなくて、いろいろな方法があります。
 しかし、まず第一に、やるという意思があるのかどうなのか、その優先順位というのはどこにあるのか、その点をまずお聞きしたいというふうに思います。
福田国務大臣 今まで政府としては、この拉致問題というのは、国民の生命にかかわる重要な問題である、こういう認識を持っておりまして、日朝国交正常化交渉などの場におきましては、北朝鮮に対しまして、日朝関係を改善していくためには拉致問題を避けて通ることはできない旨、これはもう繰り返し説明をいたしておりまして、その解決を強く求めてきております。これは、従来そういうふうにしておったわけでございます。
 今後も政府としては、これは全くスタンスは変わらないというように思っております。日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、そして、その取り組みをしながら、拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指す、この方針は今後とも変わっておりません。
東(祥)委員 一貫した姿勢が変わっていないということは、拉致問題に対してホープがないということですよ。
 今までの外務省というのは何を言ってきたかというと、外務省、つまり政府ですよ、拉致問題の解決のためにはまず国交正常化ありきという姿勢なんですよ。それを変えないと言っているんです、今、官房長官の話というのは。国交正常化がまず先です、国交正常化交渉の過程でこの拉致問題というのは明らかにされていきます、その姿勢を変えないと言っているんですよ。ということは、拉致問題解決というのは全く見えないじゃないですか。
福田国務大臣 拉致問題の解決と、それから国交正常化が開始するか、どっちが先なのかとかいった議論にもなるような話もございますけれども、我々としては、政府としては、国交正常化はしたい、しかし、その拉致問題を避けて通ることはできないんです、これは。ですから、この拉致問題というものは日本にとって大事な問題であるということを繰り返し述べておるということであります。
 しかし、そういう話し合いを、国交正常化のための話し合い、拉致の話し合いをするにしても、話し合いというのは必要なわけですね。この話し合いというようなものが今まで十分に行われていない。いろいろなチャネルでもって話し合いというものは行われてきたわけでありますけれども、それが結実しない、こういう状況で来たわけでございますが、それじゃ、今後も見通しがないのかといったら、それは私は、そう断言はできないというように思います。
 それは、国際情勢の変化とかいろいろな状況の変化ということもございますから、そういう状況の中で、何が一番いい方法なのかということを模索しながら今交渉に取り組まなければいけないと考えているところでありまして、その心は、やはり拉致問題とか安全保障上の問題を解決するということ、これが日本にとっては極めて重要なことで、この解決なくして国交の正常化というのはないんだという、そのことは今後とも変わらないということを申し述べているわけです。
安倍内閣官房副長官 ただいま官房長官が述べられたとおりでございまして、私どもといたしましては、総理がおっしゃったように、拉致問題を棚上げにして国交正常化はないということでございますから、つまり、国交正常化というのは平和条約を結んだ段階ということだと思いますが、そのときに拉致問題が解決をされていないということはないということでございます。政治家の仕事、また政府の仕事は国民の生命と財産を守ることでございますから、その意味におきましても極めて重要であると考えております。
 また、私が担当に選ばれたということでございますが、ただ、拉致問題の、関連する副大臣のレベルのPTを立ち上げたわけでございまして、十九日に第一回目の会合を開き、また本日第二回目の会合を開いたわけでございますが、ハイレベルにおいてこの問題に取り組んでいくという姿勢をはっきり国民にも世界にも示したことになったのではないか、こう思うわけでございます。
 また、今まで六次にわたって食糧支援を初めいろいろな支援を行ってきました、KEDOとは別でございますが。この支援というのは、拉致問題、また交渉とは別であり、人道的な支援ということでございます。しかし、それはやはり、国民の皆様の目から見て、そういうものがどういう影響を与えるのかということは大変大きな関心があるというのは当たり前のことなんだろうと思うわけでございまして、今までの経緯を常にレビューをしていくということは当然私は大切なんだろう、こう思っております。
東(祥)委員 要するに、ある程度の気持ちが若干前向きになってきているというのはわかるんですけれども、国交が正常化されれば拉致問題も解決する、こういう従来の立場をとってきたんですよ。それが、拉致問題が解決しなければ国交の正常化もあり得ないという形にシフトしてきているのかなと、そういう印象を持ちますけれども、それをやはり明確にしなくちゃいけないんだろう。
 先ほど福田官房長官は、安全保障上の問題あるいは拉致問題、これを避けて国交正常化はあり得ないんだと。それはそのとおりです。また、そのように本当に追求していかなくちゃいけない。
 今、安倍官房副長官から言及ありましたとおり、六次における米支援、これはあくまでも人道支援ですと、そんなことないですよ。五十万トンも送るなんという、世界の通例から見て、人道的支援で何で五十万トン出てくるんですかと。そういう議論というのはちゃんと行われていないんですよ。どこかで決められているんですよ。六回やったとしても、それに対して何の反応もない。
 安全保障の問題でいえば、覚えていらっしゃるでしょう、官房長官、平成十年度においてあのテポドンが日本の上空を飛んだ。あのとき、KEDOに対しての資金提供停止をやっていたんですよ。二カ月後に、その間に国会決議やりましたけれども、北朝鮮に対して抗議をやった。二カ月後に、ばっと資金提供停止をやめてしまっているわけですよ。
 安全保障上の問題の解決なくして国交正常化ははない。安全保障の問題に対して、日本は何やっているんですか。2プラス2の問題に関しても、日本というのは蚊帳の外ですよ。安全保障上の問題について本当にやるなら覚悟しなくちゃいけないんです、日本の国というのは。
 そういうことも何もしないで、そして、ただ言葉だけで言っていたとしても、また、韓国に総理が訪問される前に、拉致された御家族の方々とお話をされた。あのときに、物すごくタッチーな、心が動く、そういう場面が総理にあったと思います。
 この問題というのは、本当に主権を侵されている問題ですよ。北朝鮮というのは、大げさな言葉を使えば、百基のミサイルを日本に向けているんですよ。その国とどのような交渉をしていくのかというのは、今までのやり方とは違う、覚悟を持たない限り交渉なんかできないんですよ。
 拉致問題の解決の方法というのは、僕はたくさんあると思いますよ。ただ、政府においては、その知恵がない、また、やるという気迫もない、意思もないんですよ。だから、明確に伝わってきていない。そういう意味におきまして、この問題というのはずっと注視させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 最後に、先ほど不審船の問題について言及がありました。中国と何の調整をするんですか。排他的経済水域の問題というのは何かといえば、権益に対しての利害関係がない限り別に中国と調整する必要ないんですよ。明確に、引き揚げるのか引き揚げないのか、その意思すら日本の国というのは明確にしない。引き揚げるんですか、引き揚げないんですかということを明確にここで示していただいて、私の質問を終わります。
福田国務大臣 先ほど伊藤委員にお答えしたのでありますけれども……(東(祥)委員「お伺いしていないですよ」と呼ぶ)お答えしたんですけれども、これは犯罪捜査ですから、犯罪捜査の手続というか手順というものはずっと踏んできているわけであります。
 そして、あと、物理的に、今の荒天の中で引き揚げるといったらこれは無理な話でございますけれども、ダイバーも入れるというような、海面がおさまってきたような状況の中において、さらに、必要な船体調査をする、引き揚げることが可能なのかどうかという技術調査をする、こういうことをした上で、その次のステップ、引き揚げるということになるわけですね。
 その際に、中国のEEZであるということであります。中国のEEZ、これは公海でありますけれども、中国の大陸棚、主張している大陸棚、そういうような状況がございますから、大陸棚の天然資源とか環境とか、そういうものについて中国は心配をしているということがあるならば、そういうことについて心配のないようにというような説明をしながら適切なる調整をしていく、そういう意味でございまして、適切な調整というのは、そういうような物理的な問題を解決するということが中心だというふうに考えております。
東(祥)委員 ちょうど質疑時間終了いたしましたといただきました。
 調査をするといっても、引き揚げることを目的にしない限り調査の内容というのは変わってきます。引き揚げるためにどうすればいいかという調査を出しているなら話は別です。明確に、引き揚げると、そのために物理的な調査をちゃんとしているという形で言っているなら話は別です。そうであるならそういうふうに言えばいいじゃないですか。
福田国務大臣 それは、海上保安庁も再三申し上げていると思うんですよ。海上保安庁は、今捜索をやっております。しかし……(東(祥)委員「何の捜索しているの」と呼ぶ)犯罪捜査です。
 しかし今後、この間はあれも入ったんでしょう、ビデオも入ったんですし、今後は海面がおさまった段階においてダイバーが入るわけですね。そして自分の目でもっていろいろな点検をする。もちろん犯罪捜査はあります。しかし、と同時に、物理的に引き揚げ可能かどうか、そういう部分ももちろん捜査するわけですよ。海上保安庁はそういう目的を持って今捜索をしているわけです。
 引き揚げるということも犯罪捜索上必要だというのであれば、引き揚げなきゃいかぬわけですね。犯罪捜索上引き揚げなければいけないというのであれば、引き揚げるわけですよ。だからそれは、犯罪捜索をするという意思、そして海上保安庁は、その目的を達成するために引き揚げなければいけないというのであれば、引き揚げるということはもう再三申し上げていると思うんです。それでよくおわかりになったと思います。
東(祥)委員 いや、全くわからない。
二田委員長 東祥三君、時間でございます。
東(祥)委員 最後に二十秒ですけれども……(発言する者あり)では、やめますが、とにかく、引き揚げるか引き揚げないかということは海上保安庁に任せていると。政治の意思がないということを僕は申し上げているんです。引き揚げるなら引き揚げる、引き揚げられないのか引き揚げられるのか、それはちゃんと指し示してください。この意思がないということを申し上げて、私の質問を終わります。
二田委員長 赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 政府は、昨年の十一月以降、テロ特措法に基づいて米軍などへの協力支援活動を行ってきたわけですが、これを五月十九日まで延長するとしています。しかし、重大なことは、その活動の是非を検証できるだけの情報が全く不十分なことであります。
 政府は、テロ特措法の審議の中で、米軍と一体化する活動は行わないと答弁したわけですが、これまでの支援活動の中で、米軍のトマホーク艦への補給や輸送、あるいは空母や補給基地への航空燃料の補給や輸送が行われたことがあるかどうか、説明してください。
中谷国務大臣 協力支援につきましては法律に基づいて行っておりまして、現在までに自衛隊艦艇から米軍艦艇等に対して航空機用の燃料を給油した実績はありません。
赤嶺委員 政府はこれまで米軍やイギリス軍に対する支援を行ってきているわけですけれども、オーストラリア軍については、オーストラリア側から洋上補給の要請があったものの、これを見送った、このように言われております。オーストラリア側からの洋上補給の要請を見送った経緯を説明してください。
中谷国務大臣 外交上いろいろな国々からの要請は来ていると思われますけれども、オーストラリア等の艦艇等につきましては、オーストラリア艦艇等の行動や、また現地の補給艦の現状等を判断いたしまして、このような協力支援活動を行わないというふうに決定したというふうに聞いております。
赤嶺委員 オーストラリアの艦船の行動というのはどういうことを指しているんですか。
中谷国務大臣 オーストラリアがインド洋北部に展開をしている艦艇等がどのような活動をしているかということであります。
赤嶺委員 はっきり中身をおっしゃいませんけれども、二十六日付の西日本新聞によりますと、自衛隊の補給艦が米軍の補給艦を経由してオーストラリアなどの艦船に対して給油を行っていると伝えております。こういう実態があることを防衛庁長官はつかんでおられますか。
中谷国務大臣 そのような報道がありましたので調べてみましたけれども、報道があったような事実はないというふうに聞いております。
赤嶺委員 報道は非常に具体的なんですね。西日本新聞の記事によりますと、補給活動に携わった佐世保基地の乗員らの証言をこのように伝えております。
 ある乗員によると、米軍から指定された洋上の補給ポイントに行くと、米軍の補給艦とオーストラリア軍の艦船が待機し、米側から海自の補給艦にオーストラリア艦船への補給を要請された。海自側は、現段階では補給対象国になっていないとして断り、米補給艦に給油すると、その直後に米補給艦がオーストラリア艦船に給油するのを目撃したという。これでは、オーストラリアの艦船に給油しているということと同じことだと思うんですよね。
 アメリカの艦船からオーストラリアの艦船に給油しているのを目撃していると、自衛官がそういうことを発言したと報道されていますけれども、いかがですか。
中谷国務大臣 地元の基地の部隊を通じて隊員等に確認したところ、そのようなことを言った隊員はいないということでありますし、また、米国等に燃料補給をする際には、今回の法律の趣旨等を重々説明した上で補給を行っておりまして、協力支援活動の期間を通じて、米軍に提供した艦船用燃料がオーストラリア等の艦艇等に提供されたという事実はございません。
赤嶺委員 オーストラリア軍への補給があったかどうかを問題にしているのは、オーストラリア軍の艦船というのは、インド洋海域でやっているのはイラクへの臨検の任務を負っているわけですね。
 オーストラリアの国防省のホームページを見てみたんですけれども、オーストラリア軍は、イラクに対する国連の経済制裁を実行するための臨検に参加するためペルシャ湾に三隻の艦船を維持してきている。オーストラリア国防省は、対テロ国際共同行動としてこの活動を位置づけてはいるが、しかし活動内容として紹介されているのは、百五日間の作戦展開中にイラクに出入港した商船に対して三十回の臨検を行った、三十七回の乗船を行い、そのうち十六回は非協力的だった、ホームページにはこのように紹介をされているわけです。
 それで、ちょうど報道にある時期にオーストラリアの派遣されている艦船を見ますと、シドニー、アデレード、カニンブラとなっていますが、シドニーは、引き揚げるときに、多国籍拿捕部隊の一部として活動し、イラクに対する国連の経済制裁を実行した。アデレードとカニンブラは、我々がMIF、多国籍拿捕部隊と呼ぶ、多国籍の拿捕部隊の一部として活動し、イラクに対する国連の経済制裁を実行した、このようにあるわけですね。
 ですから、オーストラリアの艦船に対して給油ができない、オーストラリア軍の行動があるからということを防衛庁長官はおっしゃっていたんですが、こういうオーストラリア軍が、オーストラリアの艦船がイラクへの臨検を任務としてあの洋上に展開しているからだと、このように理解するんですが、そういうことで間違いないでしょうか。
中谷国務大臣 そのとおりであります。
 ことしの二月に外交ルートを通じましてオーストラリア側にこのオーストラリアの艦船の目的を確認したところ、国連安保理決議に基づく対イラク禁輸措置活動の一環として海上阻止活動を行っているという旨の回答がありまして、オーストラリア側に対して補給ができませんという旨を回答したところでございます。よく吟味をして行っております。
赤嶺委員 このテロ特措法に基づくテロの脅威の除去、こういうものとは性格も任務も違う艦船が米軍の艦船の周りにたくさん出ている、そういう中で自衛隊が給油活動を行っている。
 西日本新聞はもっと具体的に報道しておりまして、しかもこの報道は、派遣自衛官の幹部は、自衛隊から補給を受けたアメリカの艦船が、オーストラリアや英国、ドイツ、フランスなど対テロ作戦への参加国に補給しているのは現場では周知の事実だ、このように話しているわけですよ。周知の事実だと。
 政府は、テロ特措法の閣議決定の際に出した官房長官談話の中で、法案のもとで行われる武器等の輸出については、武器輸出三原則等によらないこととするとしながらも、その条件として、当該武器などが我が国政府の事前同意なく第三者に移転されないことを担保することを挙げた。もし乗員らの証言が事実とすれば、武器輸出三原則や官房長官談話にも反することになると思います。
 やはりきちんと、現場で聞いたけれどもそういう事実はありませんでしたというようなことではなくて、現にそういう報道が、一紙だけに限らずほかの新聞でも出ているわけですよ、既に。(発言する者あり)出ているんです。現場から報道陣がそういう報道をしてくる、このときに、ありませんでしたという説明だけでは、一貫して情報を開示していないという点では国民は納得できないと思うんですよね。
 もっときちんと調査をして、そして国会に報告すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
中谷国務大臣 そのような報道は西日本新聞しか聞いておりません。私も初耳であります。
 周知の事実というふうに言われますが、一体それをだれが言ったのか具体的に言っていただきたいと思いますし、私も、今回の支援をする際には米側と文書を締結いたしておりまして、この特措法に従い米軍に提供される物品については、日本政府の事前の同意なくして第三者に移転されることがないことが担保されておりまして、米側からこういった事前の同意が求められていない以上、協力支援活動として米艦艇に対して給油した油が第三国に移転されていることはないというふうに思っております。
赤嶺委員 周知の事実というのは、これはいずれ明らかになることでありまして、ただし、いずれ明らかになる前に、西日本新聞しか報道していないと言っておりましたが、他の新聞でもきちんと報道しております。きちんと調べて確認していただきたいと思います。
 そのように……(発言する者あり)赤旗はまだ報道しておりません。そのようにきちんとやる、国民への説明義務を果たすということが求められていると思うんですよね。国民への説明責任が、今度のアフガンの問題について、テロの脅威の除去と言いながら、テロの脅威の除去という言い方で、実際には現場で何が行われているのか国民にははっきり情報が示されていない、そのことが重大問題だと思いますので、やはりそこはきちんと説明責任を果たすということをぜひ守っていただきたいと思います。
 それから、防衛庁は五月十九日まで支援活動を継続するとしておりますけれども、これがいつまで続くのか、このことも国民に全く説明されていないわけですね。これも私、大変重大な問題だと思うんですよ。さきの予算委員会でも私質問したのですが、いつ活動を終了するのかについて日本政府としての判断基準が全く示されていないわけですね。一体どういう状況になれば支援活動を終了するのか。いかがですか。
中谷国務大臣 この対テロ特措法に定められた対応措置は、昨年の九月十一日のテロ攻撃の対応にその目的が限定されておりまして、対応措置を実施する必要がないと認められるに至ったときは、この対応措置も終了することになるわけであります。
 現時点の情勢につきましては、オサマ・ビンラディンもオマル師もまだ拘束されておりませんし、幹部も多数逃亡したままであります。そして、現実にアフガニスタン国内においても米国は、その追跡、掃討、捜索、尋問を進めているところでありまして、タリバン、アルカイダの残党を排除し、各施設の捜索を終えるまでは米軍も作戦を継続しているわけでありまして、その旨の発言もございますが、まだ時間がかかるものであるというふうに認識をいたしております。
赤嶺委員 米軍は米軍の立場で作戦を展開すると思います。そのことの是非については、私たちは、このテロの脅威の除去を戦争という手段では絶対にできない、やはり戦争は新たなテロを生み出すというぐあいに考えています。そして、米軍が続けているからといって、日本は、米軍が続ける間支援を続けますということではないと思うんですよね。やはり、テロの脅威の除去について日本なりの判断の基準を持たなければいけないと思うんです。
 インド洋上で艦船支援に従事している自衛官などの様子もたびたび報道されています。こういうぐあいに言われていますよね。補給艦はいわば洋上のガソリンスタンドで、同等の仲間と見られていないと感じる、あるいは部隊同士の情報交換で、ある程度作戦の結果は知ることができるが、これから何をどうするといった情報は入ってこないという現場の海上自衛隊幹部の発言も伝えられている。補給はするがあとは米軍任せで全く何もわからないでは、とてもテロ特措法に基づく活動が行われているかどうかの検証ができないし、補給はするがあとは米軍任せだということについての声もやはり現場から伝えられてきているわけです。
 つまり日本の、このテロの脅威の除去の中で果たしている役割というのは、やはり無料の燃料をアメリカに補給すること、そして、これがテロの脅威の除去の全体としてどういう方向に向かっているのか、そういう判断は全く日本の外交としても停止しているじゃないですか。それがどういう結果をつくり出すのか、こういうのもすべてアメリカ任せで、アメリカの行動ある限り日本は支援を続けていく、こういうことになるんですか。
中谷国務大臣 基本的には、テロを許してはいけませんし、テロの脅威をなくすためにやっているわけであります。
 そこで、現場の生の声を御紹介いただきましたけれども、非常に法律に厳格に行っておりまして、その分情報も入らないし、いろいろな制約、制限をつけたままで隊員も苦労しながら、しかし法律に基づいてやっているという一例ではないかというふうに思っております。
 やはり支援をする上においては、さまざまな障害になっている事項等もございますが、そういった教訓とかまた実例等も見ながら今後とも生かしていきたいと思っておりますが、現状におきましては、引き続き、アフガニスタン国内においてもこのテロを首謀した勢力の残党が残っておりまして、再結集を図る可能性等もありまして、引き続き世界各国がその撲滅に取り組んでおりまして、日本といたしましても、現在の支援活動をより効果的に継続して続けていく必要がある。
 日本を出てもう四カ月になりますけれども、国を代表して精いっぱいやっている隊員の苦労も考えつつ、政府としての対応をしなければならないというふうに思っております。
赤嶺委員 防衛庁長官、自衛官の声を伝えたら、法律に基づいて行動しているからこういう声が上がるんだとおっしゃいましたが、これも新聞の報道なんですよ。先ほどのも新聞の報道なんですよ。自分の都合のいいところだけ正しい報道だというぐあいに決めつけて答弁なさらないで、法律違反をしているかもしれないぞという部分についてもしっかり調査するというぐらいの姿勢を持たなければだめですよ、これは。いかがですか、それ。
中谷国務大臣 その報道につきましては、直ちに地元の海上自衛隊の基地に調べさせまして、そのようなことがないという報告がありまして、事実を確認いたしました。
赤嶺委員 最後ですが、今回、五月十九日までの延長ということですけれども、その後の延長、つまり基本計画の延長ということも考えているんですか。三月十二日付の産経新聞では、既に対米支援活動の実施期間を大幅に延長する方針を固めて、基本計画の見直しに着手した、四月上旬に開かれる日米両国の外務、防衛当局の審議官級協議でアメリカ側に伝える方針である、このように伝えられています。
 もう既に五月十九日以降の延長あるいは基本計画の見直し作業に入っているのではありませんか。
中谷国務大臣 いつまで続けるかということにつきましては、先ほどお話をしたとおり、その必要がないと認められる段階でございまして、五月十九日以降どのような状況になっているのか、現時点におきましてまだ確たる判断をする情報、情勢が確認できませんので、現時点においては一概にお答えすることが困難な状況であります。
赤嶺委員 日本の国際社会における平和への貢献、それが全く自主的な判断なしに、アメリカの戦闘行動が続く限り支援を続けるという態度というのは全く納得できません。本当に日本の国が果たすべきは、平和的な問題の解決というところで全力を尽くすべきだということを申し上げまして、憲法第九条を持っている国の誇りを持った国際外交ということも申し上げまして、私の質問を終わります。
二田委員長 今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、まず最初に、今回の米軍への支援に関しまして、一点目には、昨年の十二月六日から十二月の十四日にかけて九日間、在日米軍基地等警護の実員による検討の実施ということが、これは陸幕の広報室からペーパーが配られておりますけれども、これにかかわって、実はことしに入りましてから、相模補給廠監視団という市民団体があるんですが、そこが、陸上自衛隊が米軍基地の警護にかかわって、火器などについては、空砲を含め射撃を行わないということが明記をされているにもかかわらず、実際的には相模補給廠の中で射撃訓練を行っていたということを問題にされております。実際に、これは在日米陸軍の週刊機関紙トリイ、ここにこのような形で四枚の写真が具体的に示されて、これはどこからどう見ても陸上自衛隊が射撃訓練のポーズをとっているわけでありますが、まずこの事実確認をさせていただきたいと思うんですが、防衛庁長官、どのように御認識をされておりますか。
中谷国務大臣 さきの臨時国会において警護出動の改正がされまして、まだ一度も訓練はやっていなかったということで、十二月六日から十四日までの九日間、在日米軍陸軍のキャンプ座間、相模総合補給廠において約百八十名の人員をもって訓練をいたしました。
 その際、火器については、空砲も含め射撃せずというふうに決まっておりまして、この報道に基づく事実関係をいたしましたところ、一連のシナリオの流れの中で銃を構えるなどの対応動作を行っておりますけれども、この際、陸上自衛隊において空砲を含めて火器についての射撃をしていないというところでございます。
 なお、音等が聞こえたかもしれませんが、米軍については、共同訓練の際に空砲を撃ったということでございますが、自衛隊におきましては、空砲の射撃は行っておりません。
今川委員 今この写真を示しましたように、空砲を撃ったか撃たないかということで今御答弁があったわけですが、少なくとも座間市とか相模原市からは、くれぐれも慎重にと、住民にいたずらな不安を与えないようにという申し入れは事前にあったわけですね。そういった意味で、こういうふうな、いわば射撃訓練を思わせるようなことが中であっているということに関して、そういう市民団体を初め周辺住民に非常な不安を与えてしまった。つまり、ここはもともと相模の兵たん基地にすぎないのが、こういうことが繰り返されると、いわば訓練基地化するのではないかという不安がやはり現実に出ているわけですね。その点をもう一度確かめたいと思いますが、いかがですか。
中谷国務大臣 訓練ですから、いろいろなシナリオに基づいて一連の行動をするわけでございますが、決して市民を対象としたものではなくて、テロとかゲリラなどの侵入者に対する対処動作でございます。
 その基地の位置づけでございますけれども、この施設は、在日米陸軍が駐留する施設でありまして、警備面を含めた管理を在日米軍陸軍が行っております。
 キャンプ座間につきましては、陸上自衛隊の部隊が現在共同使用をしている施設でありますけれども、そのようなことをもって、新聞で報道されたような訓練をする場所とか、そういうふうにするということはあり得ないわけでありまして、あくまでも警護出動、基地警備のための訓練に限ってということでございます。
今川委員 次に、これは警察庁の方にお尋ねしたいと思うんですが、私は佐世保なんですけれども、米軍基地を警察も警護されていますね。それで、長崎県外の県警機動隊はもう既にお帰りになったようでありますが、県内の警察官の方は、例えば米海軍佐世保基地のメーンゲートの前に今なお立っておられます。
 先ほど中谷長官の方から、アフガニスタン状況に関しては一定の御報告があったわけですけれども、基本的に、昨年末までにタリバン政権は予想よりも早く崩壊をしているわけですし、わざわざ、世界最強と言われるその米軍基地を警察がいつまでも守るのか。これは早急に警察による警戒態勢は解いていただきたい。ある意味では、非常に警察官、かわいそうです。
 私も、先週こちらに上ってくる前に、佐世保の米海軍基地のメーンゲートの前を見てきたんですが、いわば小さな仮設のテントみたいなのを張って、米軍の兵隊はその中に入っています。日本の警察官は、わざわざやはり表にちゃんと出て、まじめにきちんとやっているわけですよ。実際に、基地の周辺というのは実にのどかなものです。そういう状況でいつまで警察官を米軍基地の警護に当たらせるのか、その点をはっきりさせてください。
芦刈政府参考人 昨年九月十一日の米国における同時多発テロ発生以降、重要施設の警戒等の強化を図ってまいりました。その間、在日米軍基地の自主警戒状況の変化等の情勢もございまして、これらを勘案いたしまして、本年の二月二十日に警戒警備態勢の見直しを行ったところであります。
 しかしながら、現時点までテロ情勢が鎮静化したとは言えない状況から、なお当分の間は警戒を継続する必要があるというふうに判断をしております。警戒警備の終了はテロ情勢を十分に検討した上で今後判断してまいりたい、かように考えております。
今川委員 防衛庁長官、先ほど他の委員の質問に答えられる中で、今回の米軍支援にかかわる経費の問題ですね、予備費として百七十三億円でしたか。今警察庁の方からちょっと答弁いただいたんですが、全国の主要な米軍基地に警察官が警備に立っている、この経費はどちらに含まれるんですか。
中谷国務大臣 先ほど御報告したのはあくまでも防衛庁分でございまして、警察庁の分は入っておりません。
今川委員 そうしたら警察庁の方に、事前に通告はしていませんので後ほどでいいんですが、北は三沢から南は沖縄に至るまで、米軍基地の警護に当たった警察官による米軍基地警備にかかわる概要なり総経費が現時点で幾らかかっているのか、これは後ほどぜひ資料を提出していただきたいと思うんですが、いかがですか。
芦刈政府参考人 内容を検討いたしまして所要の対応をさせていただきたいと存じます。
今川委員 さて、次に、これも基本的な問題なんですが、佐世保それから沖縄のホワイトビーチ、それから横須賀、いわゆる米海軍の原子力潜水艦がことしに入ってからも出入港を繰り返しております。これは昨年来、このテロ事件が生じてから、外務省から各所管の地方自治体には二十四時間前に通報は来ております。しかし、九月十一日のテロ事件以前は、地元のマスコミを初め一般的に情報は公開されておりましたが、これはいまだに閉ざされたままであります。
 この点に関しまして、実は、私の地元の労働団体や社民党も、佐世保市長に対して、一刻も早く情報を従来どおり公開してほしいという申し入れをいたしました。これを受けて佐世保の光武市長も、先月の七日に外務省を訪れまして具体的にその旨を伝えておられますが、この点に関し外務省の方としてどのように対応されているのか、御答弁を求めます。
植竹副大臣 ただいま委員お尋ねの、光武佐世保市長も外務省に寄港の問題についてお訪ねがございました。
 これはそもそも、九月十一日の多発テロにより寄港中の米艦船に万一の脅威がないようにという要請に基づいて、米軍施設・区域内の警備強化の一環としてそういうことを実施してまいりました。そして、現在も、在日米軍より、依然として高い警戒レベルを維持する必要があるということから、入港情報を不公表とする措置を引き続き維持するよう要請を受けているものであります。
 先ほど委員おっしゃいましたが、二十四時間前に原潜の寄港に関連して行われている事前通報は今でも行われております。また、原潜に伴う放射能の結果につきましても、関係地方団体に通知の上、公表しております。これらの措置というものは、今後とも引き続き継続してまいるつもりでもございます。
 しかし、佐世保市長から外務省に対してなされた要請につきましては、関係自治体の御意向として、外務省としても真剣に受けとめまして米側に伝えているところであります。
今川委員 いや、真剣に受けとめてとおっしゃるんだったら、ちなみに、これは神奈川県の横須賀市でありますが、今月の二十四日、従来行われていた横須賀基地の施設見学ツアー、ここ三回中止されていたのが、今月の二十四日には再開されているんですよ。それで、多くの一般の市民を招き入れています。つまり、これぐらいもうのどかになっているんですよ。
 なおかつ、米原潜が従来どおり入ってきたときの情報をあえて伏せなければならないという、これは横須賀にしても、私がいる佐世保にしても、今の在日米軍基地の周辺、内部というのはこの程度のものなんです。だから、二十四時間前にきちっと情報を従来どおり公開するということに関して何ら支障はないと思うんですけれども、もう一度御答弁ください。
植竹副大臣 その点につきましては、委員の御意向を受けまして米軍にお伝えいたしますが、依然として米軍から、先ほど申し上げましたような警備の要請というものはいまだに残っておりますので、委員の御意向はお伝えしておくということを申し上げておきます。
今川委員 この点は強く求めたいと思うのですよ。そうしないと、市民の間にいたずらに不安感をあおったり、あるいは不信感が出てしまいます。ですから、米側がどう言おうが、日本政府の主体性でもって従来どおりのもとの状態に戻すということをやはり強く申し入れていただきたいと思います。
 さて、次に、先ほど他の委員から、オーストラリア軍に対する補給の問題も質問がありましたので重複は避けたいと思いますが、これは中谷長官、ちょっと再確認だけさせていただきたいのですけれども、オーストラリア軍の場合には、イラクに対する経済制裁の一環として臨検活動をやっているということだから、いわゆるこのテロ対策特措法の法の趣旨からして目的外ということでオーストラリア軍には燃料の補給等はしなかったということで理解していいんですか。
中谷国務大臣 外交ルート等でその活動を確認した上で、この趣旨をかんがみまして、補給をしないということにしたわけであります。
今川委員 次に、これは産経新聞の報道の中にあるんですが、当初、海上自衛隊の制服組トップクラスでは、今回インド洋方面に米空母戦闘群が行っていますね、そうすると、海上自衛隊として、できることならば、空母の護衛に当たれるような艦隊を組んで行きたかったと。
 そうした場合に、一つのケースとして、例えばディエゴガルシアの周辺に展開をしている米空母に、例えばですよ、民間旅客機が乗っ取られてこれが攻撃を加えてくるというふうな事態を想定した場合に、海上自衛隊として、現場にいる海上自衛隊としてどういう対応行動をとるのかということに関して、中谷長官は、自衛隊法九十五条を根拠に挙げて、「「相手がやられるか、自分がやられるか分からないケースは、自分も危ないため、自己防護できる」と言い切った。」という記事がございますが、米空母に洋上テロが起きた場合に、海上自衛隊がそういう形で反撃を想定していたというふうに理解してよろしいんですか。
中谷国務大臣 自衛隊法九十五条で定めておりますのは、武器等防護ということでありまして、正当防衛、緊急避難等のための自己防護に限られているわけであります。
 ですから、その状況の中でみずからが危険というふうに判断したときは、武器防護の規定によって自己防護が可能だというふうに思っております。
今川委員 私が聞きたかったのは、ともに行動している、すぐ近くにいる米空母が何らかの手段で攻撃を受けた場合に、海上自衛隊の護衛艦などが、相手の、民間旅客機であれ、何かそういう攻撃の武器に対して反撃を食らわせることができるのかどうかということをお聞きしているのです。
中谷国務大臣 その状況がいかなる状況であるかわかりませんけれども、法律といたしましては、この九十五条の規定しかございません。しかし、そのような場合にどう対応するかということは、法律的には自己防護しかできませんけれども、今後、検討というか研究をしてみる必要はあるんじゃないかというふうに思っております。
今川委員 実は同じ新聞の中で、西元徹也元統幕議長が、今回の自衛隊の行動は、支援活動は、「レベルこそ低いものの、日本は事実上、集団的自衛権を行使しているともいえる」というふうに指摘をなさっているという報道があるんですが、この点、現職の防衛庁長官としてどのように認識をされていますか。
中谷国務大臣 西元氏は西元氏なりに、民間人でございますので、見解を述べたというふうに思いますが、私どもの認識といたしましては、法律で定められた個別的自衛権の範囲による後方支援の補給活動であるというふうに認識をいたしております。
今川委員 時間が参りましたので最後になりますが、実は、五月十九日までの、この基本計画上は五月十九日までというふうになっていますが、これをさらに約半年ほど先に支援活動を延ばすという新聞報道があっておりまして、その際には国会にはもうあえて承認を求めないという報道になっていますが、この点はちょっと確認をしておきたいんですが。
中谷国務大臣 そのようなことを決めた事実はございません。
今川委員 わかりました。
 終わります。
二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.