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第1号 平成14年4月18日(木曜日)

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平成十四年四月十八日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
  内閣委員会
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    梶山 弘志君
      亀井 久興君    古賀 正浩君
      実川 幸夫君    谷川 和穗君
      近岡理一郎君    西川 公也君
      望月 義夫君    藤村  修君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    吉井 英勝君
      北川れん子君
  国土交通委員会
   委員長 久保 哲司君
   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君
   理事 林  幹雄君 理事 古賀 一成君
   理事 細川 律夫君 理事 赤羽 一嘉君
   理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    倉田 雅年君
      菅  義偉君    田中 和徳君
      高木  毅君    高橋 一郎君
      谷田 武彦君    中馬 弘毅君
      中本 太衛君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      吉川 貴盛君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    大谷 信盛君
      今田 保典君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    平岡 秀夫君
      高木 陽介君    山岡 賢次君
      大幡 基夫君    瀬古由起子君
      重野 安正君    日森 文尋君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより内閣委員会国土交通委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。
 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
田中(和)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。短い時間でございますから、答弁の方も簡潔によろしくお願いしたいと思っております。
 日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の道路関係四団体については、公団の債務や交通量の見通しなど事業の採算性に関する批判や、工事発注やファミリー企業などの事業の透明性に関する批判、あるいは公共料金に関する批判など、各方面よりさまざまな意見が寄せられてまいりました。このような状況に対して道路関係四公団を改革していくことは極めて重要なことでありますし、こうしたことから、今回の特殊法人改革が小泉内閣の目玉になっております。
 このような重要課題である道路関係公団の改革にどのような決意で取り組まれるのか、扇大臣、石原大臣にまずお伺いをいたしたいと存じます。
 また、私は、過密都市川崎の市民でございます。自民党の党内におきましても都市政策を担当させていただいている議員の一人でありますけれども、大都市における慢性的な交通渋滞を見て、都市の道路整備の必要性を日々痛感いたしております。それだけに、高速道路等が国民生活に提供する役割は大変重要であり、また有効だとも考えております。
 都市再生も小泉内閣の重要課題でありますし、公団改革により、東京外郭環状道路やあるいは私の地元の川崎市の縦貫道路などの都市における道路整備がおくれることがあってはならない、私はこのようにも思っておるわけでございますけれども、この点についても両大臣にまずお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
 以上であります。
石原国務大臣 行政改革の観点から、まず私の方からお話を申し述べさせていただきたいと思います。
 もう委員も御承知のことと存じますが、小泉内閣では、民間にできることは民間にゆだねるとの基本方針のもと、昨年の十二月に、特殊法人の廃止、民営化を前提とし、事務事業の徹底的な見直しを行うという整理合理化計画を決定したところでございます。
 ただいま委員が御指摘されました道路公団を初めとする道路四公団につきましては、民営化の推進によりまして、コスト意識の徹底あるいは採算性の重視ということが行われ、メリットが生じると考えているところでございます。そして、民営化の基本方針を定めました。
 この道路関係四公団の改革は、委員が御指摘のように、内閣の最重要課題であります特殊法人改革の中でも重要な位置を占めていると私も認識しており、四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について、現在御審議をいただいております本法案成立後に発足いたします民営化推進委員会の意見を踏まえて、経営の効率性あるいは利用者サービスの向上といったような民営化のメリットを国民の皆様方が一日も早く享受できるように、揺るぎない決意で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、ただいま委員御指摘の東京外環道路あるいは川崎市の縦貫道等については、整理合理化計画に示された基本方針のもと、この民営化推進委員会の意見を踏まえて国土交通大臣が適切に対処され、政府として決定していくものと考えております。
扇国務大臣 おはようございます。
 基本的には、委員がおっしゃるように、今日の現状を見るときに、戦後、今日まで我々は、衣食住、あらゆるところで快適な生活を求められるということで、公共工事も二十世紀は一生懸命頑張ってまいりました。
 けれども、経済の状況あるいは現状の日本の暮らしが国民の皆さんお一人お一人にとって果たしてどの程度満足度が得られているのか、また、今、我々国土交通省といたしましても、今日までの道路行政あるいは公共事業の行政というものに対しても、ちょうど二十一世紀に入って見直さなければならないという大事な曲面を迎えていると私は思います。
 そういう意味では、少なくとも我々は、高速道路をつくったときも、やがてこれはただになるといって乗り始めました。当時、首都高速も百円でございました。今、七百円です。そして、東京のこの渋滞、お金を取られていながら渋滞している。東京を通過する車の少なくとも一四%はただ通過するだけ。東京に用事のない人も通過しなければいけない。
 そういう状況にあるときに、二十一世紀の道路行政はどうあるべきか、その基本に立って、我々は今、国民のユーザーの皆さん方が、いかにお金を払っても、さすが乗ってよかったと思えるようなものを反省を込めながら見直していく。私は、それが二十一世紀の冒頭にあるべき行政の一端であろうと思って、基本的にすべてを見直す。道路四公団はもちろんのことですけれども、そういう境目に立って、我々は、二十一世紀の国土づくりの一環として道路行政に取り組んでいるというのが基本でございますので、今議員がおっしゃった四公団、川崎のことも含めて、首都もすべて含めて、見直していきたいと思っております。
田中(和)委員 この道路関係四公団の民営化推進委員会設置法案は、道路関係四公団にかわる新たな組織とその採算性の確保について調査や審議をするということで第三者機関を設置するということでありますけれども、国民も極めて重大な関心を寄せている法案でございます。
 この法案について質問いたしますけれども、民営化推進委員会の審議については、客観性や公平性の確保を図ることが極めて重要であると当然考えますけれども、このために委員の選任は、国家国民的な視点に立ち、特定の分野及び利害に偏ることなく公正な判断をなし得る人を選定すべきと考えますけれども、石原大臣のお考えをまずお伺いします。
 また、この法案が提出される前には、委員会の委員任命手続をめぐり、国会同意とするかどうかということも含めて大変な議論がありました。中立公平な委員を総理が任命すれば、国会同意を経なくても客観的かつ公平的な審議を行えるものと大臣は考えておられると思いますけれども、その点についても、重ねて石原大臣にお伺いをいたしたいと思います。
熊代副大臣 委員の選任についての考え方でございますけれども、先生御指摘のとおり、改革意欲に富んで、国家国民的な立場に立って、特定の分野の利害に偏しない、そういう公正な判断をなし得る人を選ぶということは、総理大臣のリーダーシップのもとでやっていただけるというふうに理解しているところでございます。
 国会承認人事にするかどうか、これはいろいろと議論されたところでございますけれども、八条機関でございますし、民営化ということが既に前提としてあるということでございますので、御指摘のように、総理のリーダーシップのもとで立派な方を選ぶことができるというように考えているところでございます。
田中(和)委員 ただいま答弁をいただきましたけれども、私は、この席ですから、もうちょっと深めて議論をしておく必要があるのかなと思うのは、国会の同意人事というものは、国民の代表である国会が承認をするという手続がどのぐらい重要かということはだれもがわかるわけでございますけれども、今回は、総理のリーダーシップのもとにこの改革を進める上で、やはり総理大臣自身が指名をされて、その委員がいろいろなことを考え、その後いろいろなプランをつくって国会に提案をしてという手続ということでございまして、最終的には国民の代表の場所で、議会で決定をしていくわけでございますが、そのプロセスというものはやはり議論があったということは事実でありまして、そのことについて、この委員会の場ではさらに確認というか、お考えを大臣にお伺いをしておかなければならない、このように思っております。
 国土交通大臣、今手を挙げていただきましたのでお答えをいただくと同時に、石原大臣からもお答えをいただきたいと思います。
扇国務大臣 田中議員が御存じのとおり、小泉内閣が発足して、聖域なき構造改革、その旗印のもとに一番最初に問題になったのが道路四公団でございました。
 本来であれば、国土交通省、私のところでみずから、この道路四公団の問題は、総理からの厳命でございますし、トップランナーになれと言われました。私はトップランナーになるつもりはありませんけれども、今の状況では、これは国土交通省が一番最初に整理して、そして国民の皆さん、受益者の負担を軽くし、なおかつ利便性を図ろうということで、私は率先してやりたい、総理に言われるまでもなくやっていきたいと思っておりました。
 本来であれば、私がみずから四公団に関しては結論を出し、審議を尽くすべきだと思いましたけれども、小泉内閣の生命線として総理みずからが先頭に立ってやると仰せになったのですから、もし、今おっしゃったようにこの選任が国会承認でなくても、だれが見てもこれが公正、中立、公平な任命であるということがわからなければ小泉内閣の生命にかかわる、私はそう信じておりますし、また、皆さん方にもそれだけの判断をしていただける者を小泉内閣として総理がお選びになると信じております。
 私は、担当大臣として、四公団に関しては最後まで注目しながら、でき得る限りのサポートもしながら、政治の口出しではございませんけれども、担当としては責任を持って見守り、なおかつこれを推進していきたいと思っております。
石原国務大臣 ただいま扇大臣が御答弁されましたように、今回の道路四公団を初めとするこの特殊法人改革、総理の強いリーダーシップが発揮をされ、現在に至っているところでございます。
 そんな中で、今回、検討していただくための委員会を、三条機関、行政権限を有する機関、言ってみるならば省庁と同じような機関ではなく、総理の長としていらっしゃる内閣府に設置をさせていただく。そして、総理もかねがね申されておりますように、改革意欲に富んで、一党一派に属することなく公正中立な意見を言ってくれるようなすばらしい人がいたら、だれでもいいからこういう人がいるよと言ってきてくれ、それぐらいこの問題に関して総理は御関心を持たれ、また、内閣の重要課題の一つとして取り組んでいられます。そのために、国会同意人事ということではなくて、今回は総理のリーダーシップのもとに委員の方を任命していただくというふうに整理をさせていただいたところでございます。
田中(和)委員 全国の高速道路については、既に着工されている箇所も数々あります。事業の抜本的な見直しにより、現場では、私も承知しておりますけれども、混乱が起きているところもございます。国が事業に責任を持つ上からも、この民営化推進委員会の調査や審議において地方の意見を聞き、委員会の意見に反映することが大変重要であろう、このように思いますけれども、どのように考えておられるのか。石原大臣からお答えいただくんでしょうか、副大臣からでしょうか、ひとつぜひ御答弁をお願いいたしたい。
熊代副大臣 御指摘のように、高速道路につきましては、地方からの熱い思いが寄せられております。大変な関心事であるというふうに思います。七人の委員の中にそういう代表者の方に入っていただくというのも一つの考え方でございましょうし、あるいは広く参考人、あるいは地方の意見をいろいろな機会に聞くということで聞かせていただくというのも一つの方法でございましょうし、委員の選任及びその委員会の運営に当たりまして、地方の声が十二分に反映されるように、総理大臣以下リーダーシップを発揮されて、我々もそれをお助けしていきたいと考えているところでございます。
田中(和)委員 やはり、日本の国土全体の中で、地域地域のいろいろな事情もあり、思いもありますので、その点について十分ひとつ今後御努力をいただきたい、意見を十分反映できるようにお力を賜りたいと思っておるわけでございます。
 続きまして、国土交通省の道路局長にお伺いをいたしたいと思います。
 公団の事業に関するさまざまな指摘や批判も正直なところございますけれども、国土交通省道路局長としてはどのように考えておられるのか、まず確認をしたいと思います。
 高速道路は既に十分整備をされたと受けとめておられるのかどうか。国土交通省の考えについても今までしばしば述べておられますけれども、この法案の提出された今の時点でお伺いをしておきたいと思っております。
 また、採算性を重視し、需要に見合った整備をするべきだとする意見がありますけれども、この意見についてもどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
大石政府参考人 高速道路の整備水準についての認識についてお尋ねでございます。
 高速自動車国道につきましては、先生御承知のとおり、戦後ゼロからスタートし、それも三十年代後半から供用が始まったわけでございますが、人口が稠密で経済活動の盛んなところから整備を進めてまいりました。現在七千キロというストックになってきてございます。したがいまして、充足度の高い大都市周辺からは、高速道路の整備が済んだのではないかという御意見がございます。そのことはよく承知いたしておりますが、しかし、今先生お触れになりましたように、国土を一体的に利用し、活力ある地域社会を形成していくという観点から見ますると、まだまだ計画的な整備が必要な段階だというように考えてございます。
 例えば、現在整備計画九千三百四十二キロを持ってございますが、この整備計画ができ上がりますと、インターチェンジまでおおむね一時間以内に行ける国土面積のエリアが約八割になるといったようなことでございますが、現在の整備段階ではまだ六割というような、そういう水準でございます。
 欧米と比較する考え方もいろいろございますが、例えば、人口当たりの高速道路の供用延長を、我が国を一・〇と見たときに、フランス、イタリア、ドイツあたりがどうなっているかと申しますと、フランスでは二・九、イタリアで二・一、ドイツでは二・五でございますし、また、国民の活動レベルを示しますGDP当たりの延長を、我が国を一としたときに、フランスは四・一、イタリアが三・五、ドイツが三・四というようになってございます。それぞれアメリカは六という数字になっておるわけでございまして、国民の活動を支えるネットワークの充足度という意味で見ますると、まだまだ不十分な状態だと言わざるを得ないというように思います。
 今後の高速自動車国道の検討に当たりましては、こういった認識のもと、採算性や費用対効果という観点のみでなく、高速自動車国道のネットワークとしての必要性、空港、港湾とのアクセス性、経済効果、地域に与える影響などを踏まえ、総合的に検討し、整備していく必要があると考えております。
田中(和)委員 時間の関係で最後の質問になりますけれども、今、現実に我が国の道路行政、現場で責任をとってこられた道路局長の御答弁があったわけでございます。
 私も、新しい時代でありますから、今までと同じでいいとは思っておりませんが、国民の生活を考えれば、やはり全国に道路のネットワークを張り、しっかりと公共の整備をしていくことが重要だというふうに考えております。ただ、だからといって、それによってどんどんと大きな赤字が国民に負担になるということも、これも極めて大きな問題でありまして、私も、議員の一人として、また扇大臣のもとで政務官をわずかな期間でありますが務めさせていただいた者の一人として、責任を痛感しておるわけでございます。
 そういうことで、高速自動車国道は、広域的な連携による地域の自立の促進及び活力ある地域社会の形成に欠くことのできない根幹的な基盤施設であり、広域的なネットワークを一日でも早く完成させなければならない。自由民主党で先般決議をした文言でございます。高速自動車国道のネットワークの整備は国が引き続き責任を持って実施していかなければならないということは、私も思いますし、国民の声であろうと思います。
 こういう現実の中で、扇大臣、石原大臣、それぞれどういう思いがあるのか、重ねて恐縮でございますが、お答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま田中委員が御指摘されましたように、私も、高速自動車道のネットワーク、国民の皆様方が望むものをつくっていきたいと考えておりますが、これもまた委員が御指摘されましたように、その結果として膨大な債務を次の世代に先送りするということは絶対に避けなければならないと考えております。
 そんな中で、整理合理化計画においては、新たな組織により建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して優先順位を決定する、それ以外の道路については、国交省の方で毎年度の予算の中で編成すると整理をさせていただいたわけでございます。
 その気持ちを持ってこれからも進んでいきたいと考えております。
扇国務大臣 田中委員が国土交通省の政務官として、重要な二十一世紀の日本の交通体系のあり方を一緒に勉強させていただいたことには心から感謝を申し上げながら、今おっしゃった、道路だけのネットワークではなくて、私は、空港と新幹線と道路と港湾、あらゆる面でのネットワークがなければ道路をつくっても意味がない。
 今まで、御存じのとおり、一九八二年、中国では高速道路はゼロでございました。この二十年の間に中国の高速道路は一万六千キロに及びます。日本は、今日までかかってやっと七千弱。これでは物流ということを考えてもとても対応できないという日本の現状の中で道路の重要性ということを考えたら、道路のみならず、今おっしゃった自由民主党でお出しになったネットワークのあり方の根本も含めて、国土交通省は、陸海空すべてのネットワークのもとに、むだのない、なお効率性の高いネットワークを構築していくということに注目をしながら、今の道路四公団も含めて、あらゆることの二十一世紀型をつくりたいと思っていますので、今後もよろしく御指導を賜りながら、二十一世紀、子供や孫に、あのときに改革してよかったなと言われる事業をしていきたいと思っております。
田中(和)委員 終わります。御答弁ありがとうございました。
大畠委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩崎忠夫君。
岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。
 昨年十一月、特殊法人等改革推進本部が先行七法人の改革の方針を決定いたしました。日本道路公団の廃止、民営化の方針が打ち出されましてから、国民、とりわけ地方の人たちは大変心配をしております。
 本日は、短い時間ですが、そうした国民の心配が払拭されるよう、国民に対し、明確なメッセージを送る答弁をしていただきたいと最初にお願いするものであります。
 私は、日本道路公団見直し論の中に、道路はこれだけつくったんだから、もうそろそろゆっくりつくればよいのではないか、そういった気分が一部にでもあるとしたら、それは地方の人たちの気持ちとは正反対であるとまず明確に申し上げておきたいと思います。
 一例として、大変恐縮ではございますが、首都圏二百キロ圏内の私の選挙区、上田、佐久地域の道路事情を例にとって申し上げたいと思います。
 私の選挙区は、これまで霞が関への陳情は余りない地域でございましたが、その例外は道路であります。私の選挙区の市町村長の霞が関への陳情のうち、十中九か十は道路についての陳情であります。にもかかわらず、道路については大変な被害者意識を持っております。
 まず、長野オリンピックによって開通しました上信越自動車道は、群馬県から長野県に入った途端に四車線から暫定二車線に変わります。県庁所在地の長野市と十三万都市の上田市とを結ぶ国道十八号バイパス計画二十七キロメートルは、この二十年間全く進展を見せておりません。そして、上田市街地を迂回する国道十八号上田バイパスは、長い間休止路線とされておりました。また、長野県の東信と中信とを結ぶ地域高規格道路の構想は、いまだ国の候補路線にもなっておりません。ようやく最近、地域の声が国に届くようになってまいりましたが、そのやさき、今回の道路公団の廃止、民営化で、地域の人たちは、中部横断自動車道は一体どうなるのか、大変な心配をいたしております。私の選挙区では、道路整備はまだまだこれからの段階なのであります。
 そこで最初に、日本道路公団の廃止、民営化のお考えについてお尋ねをいたします。
 特殊法人改革は、規制緩和、地方分権改革と並んで長年行政改革の中心的課題とされ、その考え方は行政改革の歴史の中で連綿として受け継がれているものであります。それで私も、昭和五十八年の第二臨調答申以来、第三次行革審答申、平成七年の特殊法人整理合理化についての閣議決定、そして一昨年十二月に閣議決定されました行政改革大綱などをひもときまして、特殊法人改革の見直しの考え方、基準、視点などに当たってみましたけれども、残念ながら、日本道路公団民営化につながるような基準は見当たりませんでした。
 これまでの特殊法人改革の計画の中でどこにも見当たらない、そして、だれも言わなかった道路公団民営化の考えを打ち出されました小泉総理の卓見、着想には目の覚める思いがいたしますが、民間にゆだねられるものは民間にということで、総理のリーダーシップにのっとって公団の廃止、民営化が決定されたと言われましても、それだけでは十分な説明ではありません。
 偉大なリーダーシップには、それを裏づける明確な根拠と国民に対する説明が必要であります。まして、国民生活に大きな影響を与えかねない道路公団の廃止、民営化というような重大な政治決定をするには、その理由を明らかにし、国民がいたずらに心配することのないよう、国民を十分納得させるだけの説明をする必要があると思います。
 そもそも、公私が同一の法体系で律されます英米とは異なりまして、我が国行政法学上、公共公物管理あるいは行政財産管理の中核をなします道路管理権限との関係をどう考えるかなど、民営化は実はそう簡単ではありません。民営化の理由について、石原行革担当大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
石原国務大臣 岩崎委員にお答え申し上げます。
 道路四公団を含みます特殊法人、これまでもちろんパブリックカンパニーとしてその使命を担ってきたことを私は否定するものではございませんが、親方日の丸、つぶれないということで経営責任が非常に不明確になってくる、あるいは、事業の非効率性あるいは情報開示が至っていないために不透明性、また、これは役所にも言えることだとは思いますけれども、みずから仕事をふやしていくといったような自己増殖性、そして財投資金を借りてくるというところにその根底があるために自律性の欠如というような問題が指摘をされているところでございます。
 さらに、道路公団について言及をさせていただきますと、交通需要というものを過大に見積もることによりまして償還計画というものを立てているのではないか、あるいは将来の交通量によっては円滑に償還できなくなる、すなわち借金を返せなくなるのではないかといったような問題点が指摘されているわけであります。
 このような問題点を踏まえまして、特殊法人改革では、総理の哲学でございます民間にできることは民間にゆだねるとの原則に基づいて事業そして組織の徹底した見直しを行って、整理合理化計画というものをまとめさせていただいたわけでございます。
 それでは、民営化された道路公団はどういう経営になるのか。予想されることといたしましては、経営の効率性は、民間になればつぶれてしまいますので、当然、より図られる。また、競争原理というものが働きますので、利用者のサービスの質の向上というものは、国鉄の分割・民営化を見るまでもなく、あると思います。このような民営化のメリットというものを国民の皆様方が享受していただけるようにすることが一つのポイントでございますし、現在御審議をいただいておりますこの民営化推進委員会が、これから新たな組織が、採算性を確保して、債務を確実に償還できる方策について御意見をいただく。
 私も、右肩上がりの経済であるならば、国土の均衡ある発展ということで、できる限り交通網を整備していくということには賛成でございますが、現在のこの厳しい財政事情の中で、また少子高齢化社会の中で、やはり確実に返せるということに対して、その確実に返す方策は何があるのかというようなことを御意見をちょうだいして、政府としてそれを取り入れて民営化に資するように努力をしていきたいと考えております。
岩崎委員 どうもありがとうございました。
 現在の公団の需要見通しのあり方とかあるいは償還計画、そういったもろもろの問題点を見直しまして、やはり形態として民営化のメリットを十分に生かして、そして新しい時代に託された道路事業のあり方を探っていこう、こういうことでありまして、大変結構なことであります。どうか国民にも十分納得のいく説明になりますように、今後とも大いにPRに努めていただきたいと思う次第であります。
 次に、委員会の調査審議の範囲について御質問を申し上げたいと思います。
 法案では、委員会は、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、日本道路公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について調査審議するものとされております。
 言うまでもなく、高速自動車道の建設、管理の法的枠組みは、国土開発幹線自動車道建設法別表に定められました一万一千五百二十キロの予定路線のうち、国土交通省に置かれました国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、基本計画、整備計画が定められます。日本道路公団は、この整備計画に基づく施行命令が出されて初めて、高速自動車道の建設を行うものであります。すなわち、基本計画、整備計画はあくまで国、国土交通大臣の責任で決定されるものでございまして、基本計画、整備計画に対する日本道路公団の関与は、現行においても法律上全く認められていないものであります。
 この日本道路公団と国の定める基本計画、整備計画との関係は、日本道路公団にかわる新たな組織と国の定める基本計画、整備計画との関係におきましても、当然のことながら妥当するものと考えます。したがいまして、委員会は、こうした予定路線、基本計画、整備計画の仕組みを前提として、日本道路公団にかわる新たな組織がそのうちどこまでをやるのかについて、交通量、採算性等の観点から見直しを行い、指針を定めるものでありまして、委員会がそれを超えて、基本計画、整備計画そのものについてまで調査審議するものではないと思われますが、どうでございましょうか。余りにも当然のことと思われますが、国民が心配するといけませんので、石原行革担当大臣に、念のため確認をしておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま岩崎委員が御指摘されましたように、日本の高速道路の整備については、高速自動車国道法に基づいて国土交通大臣が、昔でいいますと国幹審、今は国幹会議の議を経て、政府として最終的に決定するということは言うまでもないと思います。
 しかし、現在検討いただいております民営化推進委員会においては、整理合理化計画でお示しをさせていただきました、国費を投入しない、償還期限は五十年を上限として短縮を目指すという基本方針のもと、先ほども議論になりました道路の需要見通し、金利の動向、費用対効果分析の考え方について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保に関する基準について総理大臣に御意見をいただく。そこで、これからのあるべき高速道路の採算基準、こういうものを決めていただいて、国土交通大臣が適切に処理され、最終的に国として決定をするというふうになっております。
岩崎委員 ちょっと気になる表現もありましたけれども、私は、基本的には、新しい組織が国の責任で定める整備計画等に定められた路線のうちどこまでをやるのかということについていろいろな議論をし、そして結論を得て見直しの基準を定める、そういうものが現在の我が国の法的枠組みだろうと思います。そういうことで理解をいたしまして、次の質問をいたしたいと思います。
 私は一言申し上げておきたいのですが、我が国の道路をどのようにどこまでつくるかというのは、まさに国の責任、政治の責任で決めるべきものであって、国民に責任を持たない者がその根幹のところをみずから決めるということはやはりちょっと問題があるのじゃないか。現在の法的枠組みなりこの法律はそこまでを言っているものではないと私は理解をしているのであります。
 次いで、ちょっと時間がなくなってきましたので、委員会の委員構成について、これは答弁は要りません。
 私は、現在の委員会の調査審議の範囲なり性格からいたしまして、委員会は、国が定めました整備計画に従って、高速自動車道の建設主体の組織形態とその採算性の確保について調査審議するものでございますので、やはり公平性、中立性とか、公正な判断ができる人でなければならないのは当然でありますから、当然のことながら、道路交通、物流、国土政策、財務等についてすぐれた識見を有する専門家で構成されなければいけない。私の考えだけを申し上げて、これは質問をいたしません。
 次に、高速道路整備計画の着実な実施について御質問をしたいと思います。
 推進委員会の調査審議の範囲は、国の定める整備計画等を前提として、交通量、採算性等の観点から道路公団にかわる新たな組織が行う事業について見直しを行い、指針を定めるもの、このように理解をしておりますが、国民、とりわけ地方の人たちは、推進委員会の調査審議の行方に大変な不安を感じております。私は、改革の推進のためには、こうした国民の不安感を払拭することが政治の責任として何より大事なことと考えます。
 そもそも、今申し上げましたように、高速道路をどれだけどのようにつくるかは、まさに政治そのものの責任で決定されるべきものであって、そうした観点から現在の高速道路の予定路線、基本計画、整備計画も定められているものと考えているのであります。私は、政治家の責任として今の時点で、今後とも、整備計画に定める九千三百四十二キロはもちろん、基本計画区間、予定路線はきちんと整備すると明言することが、いたずらに国民の不安を招かないためにも、そして小泉改革に国民の協力を得るためにも、ぜひとも必要ではないかと考えております。
 言うまでもなく、高速自動車道は国土の根幹的な施設であり、あらゆる経済、国民活動の基礎的なインフラであります。我が国の高速道路ネットワークは、現行の計画が完成した暁におきましても、欧米諸国に比べてかなり低い水準にあるのであります。扇大臣が先ほど答弁いたしましたが、お隣の中国が毎年三千キロ近くのペースで高速道路を建設していることを考え合わせますと、インフラ整備で中国におくれをとることがないかどうか、懸念されるところであります。
 我が国の物流などの高コスト構造の改善、また地球温暖化対策に対応してCO2削減を進める観点からも、我が国の高速道路を国の責任において、今後ともきちんと整備していくことがますます必要となっていると考えます。
 そこで、扇国土交通大臣、この際、まず高速自動車道の整備計画九千三百四十二キロは、将来とも国の責任においてきちんと整備するのだという明確なメッセージを、答弁として国民に送っていただきますようお願い申し上げます。
扇国務大臣 今、岩崎議員の御説は、基本的には賛成です。ただし、現状況で果たして九三四二、一一五二、これを達成する状況にあるかどうか、そしてそれをつくるにも、我々は国民の税金でこれを賄っているわけでございます。
 少なくとも道路公団一つとってみても、道路公団の子会社、関連会社、八十二社ございます。その中で代表者の天下り、そう言ってもいいと思います、それが九〇%、そして役員に至っては六〇%、こういうことがあって、子会社だけが黒字で、そして、道路公団の整備する道路、あるいは四公団が整備する道路、国民の目標を達成するためには、国民の税金をいかに節約していくか、それを我々はしなければ今おっしゃった岩崎議員の目標も達成できない。そのための見直しが今でございますので、私は、岩崎議員がおっしゃった国民に安心してもらうためには、まずみずからの姿勢を正し、むだを省くという意味で今回の見直しが必要だと思っています。
岩崎委員 私も大臣のお説に全くそのとおりだと思います。道路公団のことについてはいろいろな議論があります。まさに新たな建設主体が、有料道路事業として国道を、有料道路をできるだけ効率的に、多く、採算性を考えながらやっていただきたい。
 ただし、私は、整備計画九千三百四十二キロを道路公団だけがつくれ、何もこう言っているのではございません。私は、これは国が政治の責任できちんとつくることが必要なんだ、道路公団にはそのうち採算性の範囲でできる限りの努力をしていただく、いろいろ見直しをしていただく、そしてそれ以外は、ほかに税金を投入してやる方法があるわけですから、国の責任で九三四二はきちんとつくる、そういうメッセージが欲しかったと思いますが、気持ちは大臣もそのような気持ちだと思いますので、よろしくお願いを申し上げたい、ぜひともお願いしたいと思います。
 最後に、時間もありませんので、高速ネットワーク効果の高い路線の整備について大臣にお尋ねをしたいと思います。
 私は、今回の道路公団の廃止、民営化でネットワーク整備に不安が出ている代表例が中部横断自動車道だろうと思っているわけであります。この中部横断自動車道は、上信越自動車道、北関東自動車道と一体になりまして、東京から百キロないし百五十キロ圏を環状に連結する関東大環状連携軸を形成するものであります。完成しますと、関東地方全体の物流システム構築に役立つばかりでございません。東京、南関東を経由せずに関西と東北が直接に結ばれ、経済効果ははかり知れないものがあります。
 静岡県清水市から茨城県ひたちなか市を結ぶ関東大環状連携軸の全路線中、長野県佐久市から山梨県長坂までの間五十三キロ区間を除いてはすべて施行命令が出て現在工事中でありますが、このままでは、この五十三キロの整備計画、基本計画区間の整備がおくれ、全体の高速道路ネットワーク機能を損ないかねないおそれがあります。いまだ整備計画が策定されない区間でありましても、一万一千五百二十キロの予定路線の中には、ネットワークとなって一層の機能を発揮するものがございます。
 私は、このように高速ネットワーク効果の高い路線については、できれば一体として道路公団にかわる新たな組織で整備すべきものと考えておりますが、仮に整備主体が分かれるようなことになりましても、高速道路ネットワークとして手戻りなく同時期に供用開始ができるように、国が責任を持って整備することが必要だと考えております。
 そこで、扇国土交通大臣、こうした高速ネットワーク効果の高い路線に寄せます大臣の強い決意をお伺いしまして、質問を終えたいと思います。
大石政府参考人 関東大環状連携軸とでもいうべき中部横断自動車道等の関東圏におけるネットワーク整備についてお尋ねでございます。
 関東の大ポテンシャルを支えるために、私たちは幾つもの環状道路を用意しようといたしておりますが、その中で、最も外側に位置する関東大環状とでもいうべき路線が、北関東自動車道と一体となって機能する中部横断自動車道であろうと考えてございます。
 先生御指摘ございましたように、環状道路はその一部が欠けても全体の機能が発揮できないということでございますので、全体として環状機能が発揮できるよう、この中部横断自動車道におきましても鋭意整備を進めていくことが必要だ、このように考えております。
岩崎委員 高速ネットワーク効果の高い路線について、それが適時適切にきちっと整備されるよう、国の責任でそうされるように要望いたしまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて岩崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、樽床伸二君。
樽床委員 民主党・無所属クラブの樽床でございます。
 内閣委員会でこの法案がずっと審議をされてまいりました。私ども国土交通委員会に所属する者といたしましては、大変不本意であるということをまず冒頭に申し上げておきたい、このように思っております。
 実は、先ほど扇大臣も、昨年からトップランナーになる決意でこれをやってきたんだ。まさにそのとおりだと思いますよ。これまでの一般的に言われている傾向から見るとかなり踏み込んだ改革も、方向性は私どもからいたしますと若干不十分かなとは思いますが、国交省としてはそれなりに踏み込んでこられた、このようにも思っておりまして、本来でしたら国土交通省の責任でこの問題をきちっと最後までゴールを迎えてほしかった、このように思うわけでありますが、途中でちょっと方向が変わりまして、大変不本意であるということをまず冒頭に申し上げておきたい、このように思っております。
 その中で、先ほど、こちらの方の委員会になった、または内閣府の方の問題になっていった、それは総理の強い決意があるからあえて譲ったんだ、こういうようなお話であったと思います。同時に、国土交通大臣の意見によりますと、この道路の問題は小泉内閣のまさに生命線である、こういうお話もありました。そういう前提で、国土交通大臣はいまだ不本意なままで何とか当初の目的を達成したい、こういう決意のもとでいまだおられる、こういう前提に立って質問をさせていただきたいと思います。
 また、石原大臣におかれましては、総理のリーダーシップということも先ほどおっしゃいました。しかし、巷間、我々の耳に聞こえてくる話では、小泉総理、それから石原大臣、当初よりも若干後退したのではないかという懸念が国民の皆さん方の中に、また我々の中にも、最初は期待をしておりましたが、ちょっと石原大臣さん、腰砕けじゃないの、このように心配をいたしております。その心配をぜひとも払拭していただきたい、このような思いで本日の質問に立たせていただきますことをまず冒頭に申し上げておきたい、このように思っております。
 そこで、いきなり具体的な話に入るかもわかりませんが、本四公団につきまして、まず扇大臣、国土交通省として、そして石原大臣は担当大臣として、本四公団のあり方についてどのように今お考えになっておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
    〔大畠委員長退席、久保委員長着席〕
扇国務大臣 樽床議員がおっしゃった中で一番大事なことは、我々政治家としてというお言葉をおっしゃいました。まず、本四公団に対して政治家としてというのであれば、私は、政治判断の間違いであったであろう、今考えてもそう思っています。最初から三本必要だったかどうか、あるいは二本つくってそれからあとの一本でも、順番がどうというのは別としてですよ。ですから、そういう意味では、私は、政治判断として間違っているのであれば、政治によってこれは解決しなければいけない。政治家の責任として、私たちはその反省の上に立って、何としても、少しでも国民の税金をむだ遣いしないように整理しよう。
 ただ、問題は、本四というのはでき上がってしまいました。あとの三公団はでき上がっておりません。そういう意味で、でき上がった本四を、しょった荷物、借金が多過ぎますから、私は道路四公団と最初に総理に言われたときも、本四だけを別にしようと思ったことは、でき上がっている本四と他の三公団とは別である、そういう考えのもとに、国土交通大臣としては、あとの三公団は統合、民営化、本四だけは別途考えさせていただきたいと。スタートしても、本四はおくれてスタートする、それは工事が終わっていますから。
 ですから、そういう意味で、三公団と本四を別に考えて私は総理に申し上げたんですけれども、総理は四公団一緒だというお話でございましたので、私は無理はあると思いましたけれども、総理のお言葉でございますから、何とかできないかと。しかも、あとの三公団で本四の赤字を補てんするということでは、私は、あとの三公団の、先ほどからるるお話のあった一一五二も九三四二もできない。
 ですから、本四を、本来は後発で考え直すけれども、でき上がったものを、いかに採算性、問題は、高過ぎるから利用できない、あるいは雨風が強くなるとすぐストップする、それらの難点を除去しながら、なおかつ管理費を、人件あるいは施設保持、そういうことも節減しながら本四は本四の努力で少しでも削っていき、本四の赤字をなくしていく。そして、本四が今までしょってきたものを整理していこうということで、今回の補助金も多額にふやしているというのも、そこに本四の姿というものがあろうと思います。
 ただ、これは私は、それだけ考えながらも、本四の技術というのは世界に誇る技術でございますから、あの技術を何としても保持したいということだけは間違いなく言えると思います。そういうむだと効率性、メリット、デメリットのけじめをつけていきたいと思っています。
石原国務大臣 私は行政改革を担当しておりますので、行政改革の観点からお答えを申し上げたいと思うんですが、行政改革の目的は、むだを省いて効率のよい行政社会をつくっていく。その結果において、後世代に過度な負担また債務を先送りすることがあってはならない。自分たちの現世だけがいい思いをして後世代がその負担を四苦八苦するというような事態をなくしていかなきゃいけないというのが本旨でございます。
 ですから、本四架橋公団の方の債務については、確実な償還を行うために、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討するという基本方針を示させていただきました。
 そして、今回御議論をいただいております道路公団等の民営化推進委員会において、本四の大きな問題はやはり交通需要を大きく見誤っているということでございますので、道路交通需要の見通し、あるいは今低金利でございますけれども、この金利が平常な金利に戻りましたら、莫大な債務を抱えておりますので金利負担がまた多くなりますので、この金利の見通しなどについて御検討いただいて、新たな組織が確実に債務を償還できる方策について内閣総理大臣に御意見をいただき、適切に処理をさせていただきたい、このように考えております。
樽床委員 いろいろ思いはわかるんですが、最後が、一体本四をほかの三つと一緒になってやるのかどうかちょっとわかりにくいなという、扇大臣の話も思いはあるんですが、その辺がちょっと、私も聞いていてどうなのかなというふうに、失礼ですが思ったわけであります。
 扇大臣のお話の中で、総理は四公団一緒にやれ、こういう強い決意で御指示をもらったので、本四はいろいろあるけれども、そういう前提で何とかいけるように頑張りたいんだ、このように私はお聞きをしたわけでありますが、石原大臣、今の総理の四公団一緒にやれというのは今も変わっていないんですか。
石原国務大臣 扇大臣がじかに総理の強い御決意をお聞きになられたと同様に、私ども、昨年取りまとめました整理合理化計画の中でこのように書かせていただいております。「四公団に代わる新たな組織、及びその採算性の確保については」「内閣に置く「第三者機関」において一体として検討」するとはっきりと書かせていただきました。
 その意味するところは、道路関係四公団の中で特定の公団だけを切り離して検討するのではなくて、全体を同時に検討する。その検討の結果どういうものが出てくるかということは、これからのこの委員会の審議というものを待ちたい。そしてその後、一年以内でございますので、今年中に第三者委員会で結論を出していただいて法案を取りまとめ、国会の方で御十分に御審議をいただくという方策をとらせていただきたいと考えております。
樽床委員 若干、両大臣の意見に微妙な違いがあるやに思いますが。
 扇大臣、先ほどのお話の中でも、本来は私がやらないかぬ話を総理にお任せをしているんであって、総理が後退しないようにちゃんとサポートしていきたい、こういうお話があったと思いますので、総理の冒頭の御指示を貫徹できるようにぜひとも強力なサポートを、確かにこの委員会で議論があっても、いろいろ意見交換を当然するでありましょうから、全然国土交通省は物も言わぬ、こういうことは逆に不自然だろうと思いますから、そういう点でいきますと、きちっとやっていただきたい。
 もう一度この点で確認します。石原大臣、私も直接お会いして話を聞いていないのでわかりません、確認させていただきたいんですが、かつて本四公団だけは余りにも悪いんでちょっと別にした方がいいんじゃないかという見解をいっとき述べられていたように漏れ伝え聞いておるわけでありますが、その点について今も同じ考えなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 私は、本四だけを分割して処理しろというような発言はしたことがございません。ただ、本四が他の三公団に比べてプライマリーバランスの観点あるいは抱えている債務、いわゆるデットの部分について大きい、それは三つの他の公団とは差異がある、こんな発言はずっとしてきたところでございます。
 しつこいようでございますけれども、四公団を統合するか否か、これはもちろん本四も含んででございます。あるいは地域分割をするのか否かも含めて、現在御議論をいただいております道路公団民営化推進委員会において一つの見識を総理の方にお示しいただきまして、それを踏まえまして政府として適切にこの問題の対処方策をつくらせていただきたいと考えておりますし、国会でも法案の形で提出させていただいたときに御十分な御議論をいただければと考えております。
樽床委員 本四公団の問題は、今両大臣がおっしゃいましたように、ほかの三つとはかなり違います。扇大臣が先ほどおっしゃった、三本つくったのはそのときの人を責めるわけではありません、ただそのときの時代状況とか政治状況の中で、あれは政治的判断が今からすると誤ったのかな、こういう御発言もございました。それを政治の責任でちゃんと解決するんだ、こういう決意でありますから、そういう前提に立ってきちっと、この本四公団の問題がこのまま拡散していくことがないように、これはもうぜひともお願いをさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 続きまして、私ども大変重要な問題と考えておりますのは、上下一体なのか上下分離なのか、この点でございます。
 私ども民主党といたしましては、これは上下一体でやるべきである、こういう見解を常々一貫して申し上げてきたところでもありますし、また、国土交通省も諸井委員会の中で同じような見解を出されておるというのは認識をいたしておりまして、国土交通省もなかなか見識が高いな、このように思っておったところでございますが、どうも小泉総理の予算委員会等々の発言でいくと若干そこら辺がぼやけておりまして、後退しているのではないかという気がいたしております。
 この上下分離か上下一体かということ、これは大変重要な問題だと思っております。両大臣に、それぞれについて見解をお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました上下分離というものは、私も大変重要な問題だと思います。
 と申しますのも、これはまた分割という要素も入ってくると思うんですけれども、先ほど言及しました地域分割のコンビネーションでも入ってくるんですが、税が非常に絡んでまいります。法人税、あるいはその主体を移動するときの譲渡益課税、あるいは国鉄等々では行うことができましたけれども、固定資産税の問題。東京の方では、ある市の市長さんが道路に対して固定資産税がかかっていないのはおかしいというような話まで出ていることでございまして、上下一体に仮になったといたしますと、固定資産税の問題は避けては通れません。それを今の道路公団等々のキャッシュフローで見て、軽減したとしても、払ってさらに黒字を出すことが可能なのか否かといったような問題。
 あるいは、上下一体でありますと、今度は財投計画、今は機関債という形で発行しておりますけれども、七年間は暫定期間がございますので、財投債という形で資金を調達するということができなくなるといったような資金調達の問題。
 今のは懸念される点でございますが、メリットとしては、機動的な運営ができ、経営責任が明確化するといったようなものがございます。
 いずれにいたしましても、この問題は、今御審議をいただいております民営化推進委員会の一つの大きなテーマになってくる、検討されるテーマになってくると考えております。
扇国務大臣 樽床議員に、私は、民営化とは何かということの基本のお尋ねがそこにあろうと思います。
 私は、御存じのとおり、総理からこの道路公団の統合という話が出ましたときに、いろいろなことで、諸井虔さんという、今は太平洋セメントの相談役をしていらっしゃいますけれども、諸井さんに、何としても民間の人たちの民間というものは何を意味するかということを必ず定義として出してほしいということで、座長にあえて無理をお願いして、昨年の十月の二十六日にスタートいたしました。そして、十一月の二十六日まで、わずか一カ月の間に七回の精力的な検討を五人の委員に限ってしていただきました。
 そのときに、朝八時からやりましたけれども、私も全部出席するけれども一言も物を言わない、大石道路局長も物を言うなと。これは五人だけの、そのための民営の、皆さん方のあり方懇談会ですからということで、質問には答える、資料は出す、ただ、我々行政が物を言わないということで検討していただきました。
 基本的に私が得た民営というのは、収入と支出が一緒であること、そして、株式でスタートした場合は何年か後にこの株式を一般上場にできるようにすること、それが大まかに言えば民間というものの基本であると。
 今おっしゃった上下分離、先ほども私はちらっと申しましたね。今の日本道路公団一つとってみても、子会社、関連会社が少なくとも八十二ある。そして、上下分離ということは、道路をつくる支出は国、収入のある上は民間、これでは民間と言えないんですね。もうかるところだけは関連会社が持っていって、八十二社で、そしてお金を支出する道路をつくるところだけは国で、これは民間ではないというのが諸井委員会で出された総論でございます。
 先ほども申しましたように、子会社、関連会社八十二社の中で、天下りはさることながら、この八十二社の余剰金、平均しますと、一社平均十三億円持っているんです。普通の民間会社で余剰金があるというのは五億がせいぜいです。それが一社で十三億余剰金持っているんです。
 ですから、この十三億と五億の差、この差というものは、一社が十三億も持っているということであれば、私は、きょうは長くなりますから言いませんけれども、この上というもののあり方、これは、この際、国民の皆さんに、先ほどからもありました、目的の一一五二も達成しなさいよ、九三四二も達成しなさいよとおっしゃいますけれども、この余剰金が、もうかるところだけは逃げていって、そして国の税金だけをつぎ込んでと言っているんじゃ、それが遅々として目標を達成できない。
 ここで初めて、総理が冒頭におっしゃった、民営化するんだ、民ができることは民にとおっしゃったその民間の能力あるいは経営方針を導入するということであれば、私は、必然的に答えは出てくると思っています。
樽床委員 要約をしますと、石原大臣は第三者委員会に任せたい、扇大臣は、それは民間だから上下一体だろうと。これは、最後には言わずともわかるでしょうというのは私はそういうふうに理解をいたしましたけれども、そういうことで考えると、石原大臣、国土交通大臣の言わなくても当然でしょうという、この上下一体を前提とするような発言に対してはどのようにお考えですか。
石原国務大臣 ただいまの後段は樽床委員の解説でございまして、樽床委員の解説についてどう思うかということでお答えをさせていただきたいと思うんですが、私は、上下一体、上下分離、両方ともメリット、デメリットがあると先ほど話しました。
 もちろん、扇大臣が指摘されましたように、上下一体の方が子会社の内部留保の活用というものがしやすいんじゃないか、それもそうだと思います。しかし、上下分離されていたとしても、今ある債務を子会社の収益でどうやって返すかという問題は別に議論することもできます。
 私は、一番心配な点は、心配というか、先ほどデメリットの点で挙げさせていただいた点は、やはり公共公物として存在してきた高速道路を民間企業に全部譲渡をする形になるわけであります。資産価値をつくって、さらに、先ほど東京都の一例を出しましたが、次は固定資産税の問題が、今、地方の法定外目的税が可能になってまいりましたので、必ず出てまいります。
 そうしますと、新経営体が固定資産税の問題あるいは法人税の問題等々で経営がうまくいくのかいかないのか、ここは税務当局と詰めた話をしているわけでございませんのでわかりませんが、メリット、デメリット、さらに、一体のメリットを言わせていただきますと、やはり委員が御指摘されたように、経営責任がより明確になるわけであります。そういうメリット、デメリットをもう少し深く分析してみる必要がございますし、税務当局と話してみる必要は十分にあるんじゃないか。
 ですから、今御審議いただいております民営化推進委員会で、そのような点につきましても幅広く深掘りをして御議論をいただいて結論を出していただき、総理に御答申をいただき、政府としては、その答申を尊重して法案をまとめるという作業に入っていくのではないかと考えております。
樽床委員 お話としては非常に理解できますけれども、先ほどから石原大臣、みずから行革の視点ということをおっしゃっておられました。また、他の委員の質問に対して、経営合理化、効率化という視点、こういうものが非常に大事だというのがずっと基本的な認識ですよね。そういう点からいくと、扇大臣がおっしゃった、民間も含めて経営ということからすると、まず上下分離という大方針が出るとは思えない。
 固定資産税がどうのこうのという話は、それは方針を決めた後の具体的なやり方の話でありまして、やり方の話で方針が変わるというのは、これはちょっとおかしい。こういう大きな改革をするときには、まず方向をちゃんと決めて、こちらに行くというふうに政治が決めて、どうやったらその方針のもとでいろいろなハードルをクリアできるのかというのは、事務当局の方を含めて皆さんで検討されたらいい。でも、こちらでいくというのは、まず方針をきちっと決める。その方針を決めるときにいろいろハードルがあるから、ここがあります、ここがありますというのは、方針を決めて、これをクリアせいと言えば解決できるんじゃないですか。
 だから、先ほどから大臣が、行革、経営の効率化ということから考えると、ここで、まあいろいろありますから第三者委員会にお任せしたいというのは、私は、石原大臣、ちょっと不安を感じるんですが、もう一度、いかがですか。
石原国務大臣 私は、税の分野をずっと議員になってやってまいりまして、政権与党の税の担当者であってもなかなか越えられない問題、税の論理というものがあることは、小泉総理が今税のことでこれだけ御苦労されている点からも明らかになってくると思います。
 そんなことを考えますと、やはりそこの部分を詰め切らない段階で、例えば、東京の市長さんがそこの部分を法定外目的税で課税するというような事態も考えられるような状態で、そっちがいいとは、やはりこれまでやってきた知識が、いいと言わせるだけの決断を妨げているということは事実だと思います。
 海外も見てまいりました。リース方式、コンセッション契約方式等々で、いわゆる公的主体との協定の方法、いろいろな国が民営化でやっていますけれども、正直言って両方ありました、上下一体でうまくいっているところ、上下分離でうまくいっているところ。もう少しここは深い議論というものが必要であるというふうに今は考えております。
樽床委員 というのは、自民党税調がなかなか乗り越えられないから、そういう問題もあるので税金の問題はちっちゃい問題じゃないですよ、こういう御意見にお伺いしましたが、それを乗り越えるというのが小泉内閣じゃないんですか。だから、乗り越えようとしているところのハードルを前提に、いやいやそれが大事だというのは、石原大臣、もうちょっと私に納得できる説明をいただきたいと思います。
石原国務大臣 納得していただけるかどうかは疑問でございますが、もう少し言わせていただきますと、要するに、道路は無料で供する、だれもが利用することができる、その例外として昭和三十年代の初めに高速自動車の法律をつくって、例外として特殊法人である道路公団等々の公団がつくり、運営管理してきた。しかし、時代が大きく変わってきて、その経営の中にコスト意識がどうもないんじゃないか、あるいは採算性を本当に重視しているのか、そういったような問題点があって、今のままの組織が今のままの方法で道路をつくり続けると後世代に大きな負担を残すんじゃないか。すなわち、先ほど問題点として指摘されているといったいわゆる償還主義あるいは交通需要の見通しに今までも甘いところがあるし、これからもそのとおりいかないんじゃないか、ですから民営化をしていこうというのがそもそものスタートであります。
 そんな中で、ではどういう形で民営化、新しい組織をつくっていけばいいのか。その組織の形態として今議論のある一体か上下分離かという話があって、順番からすると、重要な問題ではありますけれども、今回の特殊法人改革、行政改革の問題の整理からいうと、かなり細部、細かい専門的な知識を有する分野の判断を必要とするところがこの上下一体、上下分離、その一つの例として税制がある。
 というのは、やはり民間所有のものであるならば、固定資産税というものはやはり絶対払わなきゃいけないわけですね、民間の資産であるならば。現に国鉄、JRになりましたけれども、鉄道運賃というのは有料が前提です。大きな違いがある。ですから、固定資産税も、減免という形ですけれども払った。そして、この減免している部分についても、東京都では、この減免もおかしいんじゃないか、黒字会社なんだから全部払えという話が現に起こって、昨年でございますか、二百億近くをまたJRの側が納めたという例があります。
 そういう事実があって、キャッシュフローが、六千億、七千億と言われておりますけれども、ある。これは道路公団ですけれども、その道路公団が、仮に二分の一減免が可能になったとしても、税金を払って道路のネットワークをこれからも整備していく、あるいは運営をしていくことができるかできないかということもやはり考えないと、民間会社になったはいいけれどもだれも社長になり手がいないというような事態も予想される。そういうものをクリアにしていかなければ、上下分離がいいのか上下一体がいいのかというのの結論は、私は今の段階では出せない。
 ですから、第三者機関に、専門知識を有する、一党一派に属することのない、国家国民の視点に立った、改革意欲に富んだ方々にもう少し深掘りをして結論を出していただきたい、こんなふうに考えております。
樽床委員 この問題につきまして、私はとにかく、先ほど言いましたように、方針を政治が決めるというこの前提で取り組んでいただきたいと思いますし、この点だけをお話を聞いておりますと、委員会を国土交通省のもとにつくった方がいいんじゃないか、このように感じた次第でございます。失礼があったらお許しをいただきたいんですけれども。
 そういう中で、私どもの希望としては、そういう意見を国土交通省にはっきりとおっしゃった諸井委員会の諸井座長ですか、そういった見識のある方が今度できる第三者委員会の委員となって、本来の経営とは何ぞやというようなことをきちっと議論していただきたいな、このように強く感じているということを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、道路整備の基準の話になりますが、私どもがずっと考えてまいりましたのは、もっと強い権限の第三者委員会、つまり三条委員会をつくって、そこで今後の整備の路線をきちっとA、B、Cと三つにその第三者委員会で分けて決定をする、そういうようなことを考えておりますが、政府の案では、我々が言っておりますほど強い権限を与えられていないように思っております。
 我々が認識しておりますのは、物差しだけは第三者委員会で決めましょう、物差しをどう使うかは国土交通省にお任せします、こういうことのように理解をいたしておりますが、石原大臣、それでいいんですか。
石原国務大臣 ただいまの樽床委員の物差しというものを基準という言葉に置きかえて若干お話をさせていただきますと、整理合理化計画では、先ほども、今の前段の議論の中で出てきました、大方針として国費を投入しない、償還期限は、コスト削減努力等々により五十年を上限としてその短縮を目指すとの方針を決めて、問題になっております道路交通需要の見通し、金利の見通し、費用対効果分析について民営化推進委員会で御議論をいただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保に関する基準、すなわち物差しについて総理大臣に意見をいただき、その物差し、基準を政府としては最大限尊重してこれからの高速道路整備の基本にしたい、こんなふうに考えております。
樽床委員 三十年とか五十年とかいう話は、恐らく前の内閣委員会で私どもの委員といろいろやられたように理解をしておりますので省略をいたしますが、結局、総理の強いリーダーシップのもとでやるということであるならば、総理の強いリーダーシップのもとでつくられた強い権限の第三者委員会がランクづけをきちっとして決定するというのは、総理のリーダーシップをさらによりよいものにするのではないかというふうに私は思っておりますが、それを、何か基準だけ決めて、あとは投げますよということじゃ、総理のリーダーシップのかけらも感じられないようなことになってしまうのではないか。逆に日本国民といたしまして、小泉内閣の姿勢に、ちょっと大丈夫か、こういうふうに思ってしまうかもわかりませんが、いかがでございましょうか。石原大臣、もう一回。
石原国務大臣 これは先ほどからやはり議論になっているところだと思うんですけれども、高速自動車国道の整備というものは高速自動車国道法という法律によって定められております。行政改革の観点から国土交通大臣が所管されておりますその法律を直せと、そこにはダイレクトにはなかなかいくことは難しいと思います。
 日本の高速道路はどうあるべきか、これは償還主義の議論でここもすごく議論になったところなんですけれども、私どもはやはりこの償還主義というものを前提と考えざるを得ない。その前提にあるのは昭和三十年代にできたこの法律でありますし、この法律はこれまで有効に機能してきた。ただ、交通需要の見通し等々でこれから道路をつくっていくとキャッシュフローの面でもマイナスになる、プライマリーバランスが赤になるおそれがある。そういうときにこの改革案、そして道路公団を初めとする特殊法人の改革というものが出てきて、総理大臣のリーダーシップのもとに八条委員会というものを内閣府に設置して、内閣府の長は総理大臣でありますので、しかも各省庁の総合調整を行うと所掌事務に書いてあるこの内閣府のもとに八条委員会を置くという形にしたわけでございます。
 委員は三条委員会ということでございますが、三条委員会と八条委員会の話がよく出るんですけれども、私は権限の強弱によってこれは分かれているんじゃなくて、三条委員会というのは平たい言葉で言うと役所である、新たな役所である、そういうふうに私は思っております。言葉を選びますと、基礎的な行政機関である。まあ公取を念頭に置いていただければ明らかになると思うんですけれども、そういうものをつくる必要性があるのかないのかという判断をして、今は行政改革の観点からこの問題に取り組んできたわけであります。高速自動車国道法の観点から入ってきていなくて、行革の観点から来ていますから、行革の趣旨からいっても、八条委員会の方がより三条委員会よりベターではないかと整理をさせていただいたところでございます。
樽床委員 石原大臣、ちょっと最近歯切れが悪いので残念に思っておりますが、こういうランクづけをする、石原大臣の今の答弁も、頭が悪いせいか、全体の把握は私もきちっと把握できたかどうかちょっと自信がございませんが、そういうことであるならば、別に、内閣府につくって基準をつくらなくても、国土交通省が基準をつくって、自分たちで決めるんだったら自分たちで基準をつくって、ばさっと、今の扇大臣がおっしゃるぐらいの勢いでいったらいいんじゃないですか。その方がすっきりするなというふうに思いますが、扇大臣、どうですか。
扇国務大臣 樽床議員がおっしゃる意味もわかりますし、国民が疑問に思っているところも、屋上屋を重ねないか、私はそこだろうと思うんですね。
 ただ、私は、今石原担当大臣がおっしゃっていましたけれども、八条委員会の一番最初に出発しているのは、国幹会議というのが同じ八条委員会で前に出発しているんですね。そして、後から出てくる今回の第三者委員会というのは、後発の八条機関なんです。ですから、変な話ですけれども、前に出ている列車を追い越そうと思ったら、これは衝突します、端的に言えば。ですから、私は、前に出発している八条機関というものをきちんと、これは国土交通省の八条機関としてれっきとして列車は走っているわけです。ですから、後発する今回の委員会というものは、きちんと答えを出していただいて、その答えのもとに、前に出ている国幹会議がこれを参考にさせていただいて、その法律のもとで、前の列車が後ろから来た第三者委員会の八条機関の意見を聞いて一時停止するか、もっとスピードを上げるか、単純な言い方をすればこれが一番わかりいいんではないかと思います。
樽床委員 先にある八条委員会、それから、先ほど石原大臣のお話の中にも、道路に関してはいろいろな法律があると。でも、我々は立法府ですから、要らない法律はなくせばいいんですよ。それで要る法律をつくる、これが立法府の仕事であって、できた法律に基づいて仕事をするのが、これは事務局の方ですから、役人の皆さんはその発想でいいんです。でも、我々立法府におる者としては、おかしなものがあったらそれはやめて幕を引くという決断も我々に課せられているというふうに思うわけです。
 だから、前を走っている列車が、三十年前はすばらしい、速いなと思う電車であっても、今から見たらこんな遅い電車、こういうふうになるわけですから、そうすると、もう寿命が来たんだから、横にレールを外れてちょっとお休みして、新しい列車をつくってどっと行きましょうということでもいいわけですから、私は本当は三条委員会というふうに思うんですが、だったら、ちょっと譲っても、八条委員会だったら、これは内閣府じゃなくて国土交通省に置いてちゃんとやるべきではないのかというのを、きょうの答弁の中で大変強く感じたところであります。
 時間がいろいろと制約をされておりまして、後ほど、私どもの古賀国土交通委の野党筆頭の方から、高尚な話は古賀議員の方からさせていただきますので、私の方からはもう一点、この委員会の人事の国会承認のお話を一点だけお聞きをいたしますが、総理のリーダーシップを発揮するために国会承認を要らないことにしたというふうに巷間言われておりますが、石原大臣、これは事実ですか。
熊代副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、委員御承知のとおり、第三条委員会は基本的には国会承認人事ですね。第八条委員会は今百三あるわけでございますけれども、そのうち同意人事になっているのは十九ということでございますので、二割弱でございますが、特に、政治や社会の基盤に関する事項を扱うとか、それから個別事案について検査をするとか、国民の権利義務にじかにということで二割弱のものがなっているということですから、これには当たらないということで、総理のリーダーシップのもとに決めさせていただく。特に改革意欲に富んだスケールの大きい人をということでございますので、改革意欲に富んだ総理大臣にぜひ任せていただきたいということでございます。よろしくお願いします。
樽床委員 十九もあるんですよ。十九しかないと見るのか、十九あると見るのかということだと思いまして、例えば、八条委員会が全部、国会承認が基本的にないものだということであるならば、まだそれは若干の理解はいたしますが、十九もあって、国会承認になっておるものもある。
 与党の方では、法案が出てくる前に、国会承認が必要だ、こういう声がほとんど大勢を占めておった。こういう状況の中で、それが結局は、今の仕組みでいきますと、与党を通らないと法案が出ないわけですから、出たということは、初めはみんな、国会承認だ、こう与党の方がおっしゃっていたものが、いつの間にか、そうでない、こういうふうになった。これはどういう経緯ですか。
熊代副大臣 与党の方も国会承認人事という御意見が確かにあったことは先生のおっしゃるとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、二割弱のものであって、しかも、それはこういうものでございます、基本的にこういったもの、政治や社会の基盤的な事項を扱うものとか、そういう御説明をいたしまして、なるほど、二割弱のものしかないんだなと。これは、中身自体はなかなかスケールの大きいものではございますけれども、民営化を既に前提として、枠組みが閣議決定できちっと決められているということであるならば、それはわかった、それでは総理大臣のリーダーシップのもとでしっかり検討してくれと。
 この法律を御審議願うときにも御意見を十二分に伺うこともできますし、そしてまた、委員会の意見を総理が採用されまして、また、それが法律になるというようなときにも十二分に御審議をいただけるものでございますから、そういうことでお任せをいただきたいということで御了承いただいたわけでございます。
樽床委員 与党の皆さんが口をそろえて、総理の強いリーダーシップが必要だ、そのもとでやるんだ、こういうことであるならば、別に国会承認にしてもいいじゃないですか。
 なぜこういう大事な話を、国会承認をちゃんと通過しないでやる、それを何となく総理のリーダーシップで、こういうお話でありましたが、ちょっとそれには論理の矛盾がありまして、強いリーダーシップがあるんだったら、それは総理が、これでやる、皆さんも、総理のリーダーシップ、頑張れ、こうおっしゃっていたら、総理が出してこられたことに対して国会が何か反対するんですか。逆に、私らからすると、総理の意見が生ぬるいから反対だというふうに言える場もある。そういういろいろな意見がありますから、そういう中で、総理の出してくるものが国会で逆に否決される、また通過する、こうした方がはっきりしていいんじゃないですか。
 それが、承認を経ずして何かうやむやに、うがった見方をして恐縮でありますが、まあここら辺でやるからここら辺で落ちつけておけよ、こういう話で人事が決まったとして、その結果、我々からすると、改革、改革とおっしゃっていて、全然改革にふさわしい人事じゃないじゃないか、こうなったときに我々は一体どう対応すればいいのかという手段が全くなくなるわけでありまして、そういう点からいくと、私は今の答弁に全然納得できないわけであります。もう一度、なぜ国会承認を必要としないのかということの理由をお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 熊代副大臣の方から御答弁をさせていただいたわけでございますけれども、二割を少ないと見るか多いと見るかという議論はおいておきまして、昨年の整理合理化計画を取りまとめるとき、この道路公団等四公団については国費は投入しない、これは大変な議論のあったところでございますが、ここをまず決めました。三千億でございます。さらに、これも内閣委員会でかなり深い議論をさせていただいたんですけれども、これまで償還計画の年限を延長してきた、三十年、四十年、五十年と。しかし、今度は、コスト削減をすることによって五十年を上限として短縮を目指すと大方針を決めさせていただいたわけでございます。そして、この大方針にのっとって、先ほどの上下分離か上下一体かといったようなかなり専門的な議論を必要とするような分野で議論をいただく、そういう形でこの推進委員会の法案を提出させていただいたわけでございます。
 ただいま委員の方から、立法府として議論をする場所がそれではないのかということでございますけれども、この推進委員会の検討結果というものが年内に出ます。それまでに推進委員会の議論の過程等々、どうなっているというような話については、各委員会で参考人という形で呼んでいただければ議論の内容というものは明らかになりますし、インターネットを活用してできる限り情報を開示していくべきだと私は考えております。
 さらに、その結果を受けて、政府として、扇国交大臣が中心になって、次はこの四公団等々の民営化をするための法律案を出すわけであります。その段階でかなり深い議論をまた行うことができる。今回の法律案は、検討委員会をつくるという、条数も八条しかない法律案の御審議を今いただいているというふうに御理解をいただければと存じます。
樽床委員 時間が来ましたので、あとは古賀委員に譲りますけれども、最後にちょっと、石原大臣が、八条しかない非常に簡潔な法案の審議であるということでありますが、物にはつぼというのがありまして、体のぐあいが悪くて、つぼを外して押さえても全然体は治らないわけです。つぼをがっと一回押せば治るのに、つぼを外して百回、二百回押しても体は全然治らない。私どもは、この法案はつぼだと思っておりまして、だから大変こだわるわけであります。
 そういう点でいくと、石原大臣、そのあたりは立法府の責任ということをしっかりと踏まえていただいて、いろいろなハードルがある、それはわかります。世の中で物をするときに、ハードルのないことなんてないんですよ。どんなことをするにも絶対ハードルはあるんです。そのハードルを乗り越える方針、我々はどこへ行くのかということをしっかり決める、そのためのこの委員会、この法案に関する質疑であるということを肝に銘じていただきたい。
 そういうような中で、私どもが出す予定をいたしております修正案は、今いろいろ議論いたしまして、これはおかしいんじゃないかというようなところをすべてクリアしたすばらしい修正案を出させていただきたい、このように思っておりますので、どうかまたいろいろと御意見を賜れば、このように思っております。
 あと、古賀委員にバトンタッチをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
久保委員長 これにて樽床君の質疑は終了いたしました。
 次に、古賀一成君。
古賀(一)委員 引き続きまして、民主党の古賀一成でございます。
 現在、国土交通委員会の野党の筆頭を務めておりますけれども、実は、この日を待っておりました。一般質問で、道路公団の改革問題、質疑をさせていただきましたけれども、その折、責任者であります総理そして石原大臣にぜひとも質問をしたいと申し上げておりましたけれども、委員会が違う、内閣委員会が所管委員会であるということで、実は論議をできなかったという経緯でございました。
 私自身は、この道路公団等四公団の民営化の問題というのは、やはり大変大きく、深い意味を持っておりまして、それだけに、国権の最高機関がじっくりと、大きな論点、多様な論点を縦、横、斜めからしっかり論議すべき重要課題だと思っているわけですね。それが、樽床さんの今の国会との関係が最後に質問として出ましたけれども、それだけ重要なものでありながら、実は、道路関係四公団のこの民営化問題は、とりあえず内閣委員会でいわゆる委員会設置法案という形で出されて、きょうついに実現しました連合審査も三時間ということで、我々のチャンスは三時間ということになったわけですね。
 これからいろいろな行政改革あるいは公団民営化の話が出てくるんだと思いますけれども、その先鞭をつけるものだけに、中間段階で、私は、これまでのこの行革論議というものがやはり根本的に道筋を間違っているんじゃないか、何かを隠しているんじゃないか、あるいは、あるものを避けているのではないかという疑念を強く強く持つものですから、この際、はっきりとその大きな疑問というものを指摘しておきたい、こういうつもりで質問に立ったわけでございます。
 まず、冒頭でありますけれども、一般論になりますけれども、行政改革、とりわけ道路関係公団の民営化に関して、立法府の責任あるいは能力がないと見ておられるのか、この点について、政府、きょうは総理おられませんけれども、とりわけ石原大臣、国会において道路公団法あるいは道路整備特別措置法、そして全国幹線自動車道法、恐らく、ウン千時間というか、何万時間議論して積み上げてきたこの法律を、こういう形で委員会設置ということで、もうわずかな時間でこの委員会で審議し、七人しかいない委員会に投げて、ほとんど国会がその基本方向を決めるところに関与できないという方向にどうしてなったのか。それは何か特別の総理の思い、あるいはその指示というものはあったのか、私はここがまず根本的な疑問として頭に残っています。
 ついでに言うならば、この委員会でのこの論議というのは、毎日、新聞を見ても余り載っていないんですね。ところが、小泉総理が道路公団改革を出したときは、スタジオ国会というか、テレビでは連日論議された。しかし、本当のこの委員会でこの道路関係四公団が論議の命運が決まってくる委員会設置法を審議していても、新聞に全然載らない。まさに、あっちこっちから、国会の位置づけというか、国会の存在というのは無視されたような感じも私強くしまして、危機意識を持つものでありまして、そういう思いも別にございます。
 石原大臣、こういう形での委員会設置ということで道路公団を論ずるという基本方向になった背景をお聞かせ願いたいと思います。
石原国務大臣 古賀委員にお答えいたします。
 古賀委員とは同期の当選でございまして、高速道路のことについては、実は、当選一回のころはよく古賀委員に、高速道路はどういう形でできていて、車両重量によってどれだけの道路に対するダメージ、また橋梁部分はどういう構造である等々、そんな話も伺った、言ってみるならば、道路に関して言うならば私が弟子でありますので、その弟子であります私が、きょうこうしてそのような、立法府はどうあるべきかといったような御質問だったと思いますが、非常に根源的な御質問をいただきましたので、お答えを申し上げたいと思っております。
 決して国会を軽視しているわけではございませんし、報道等はなされておりませんけれども、内閣委員会ではもう二十時間以上、法案の問題点、あるいは道路かくあるべしといったような議論がかなり行われてまいりました。それを報道されないというのは、どの委員会でも同じといってはなんでございますが、紙面あるいはテレビで大きく報道されます委員会というものは、予算委員会が国会はやはりどうしても中心になってくる。それはサイドストーリーでございますけれども、立法府を軽視しているということは当たらないわけでございます。
 と申しますのは、内閣委員会ではございますが、現にこうしてもうかなり踏み込んだ御議論をさせていただいておりますし、民主党の方でも委員の差しかえという形で国交委員会の方が御質問をされたりしておりますし、また、これは特殊法人設置法で一本一本法律が道路公団等々につきましてもございますので、その法案が出てきた暁にはまたかなり濃密な御議論がされるということで、立法府が法律を通すという意味では責任を持っているということは間違いないのではないかと私は思います。
 そして、昨年の十一月でございますけれども、総理の、民間に任せられることは民間に、地方にゆだねられることは地方にという、言ってみるならば小泉改革のスピリット、基本方針にのっとってこの道路公団等々の民営化が決まったわけでございます。そして、今回御審議いただいております民営化推進委員会は、その的確な具体化を図るために客観的、合理的な審査を尽くしていただこうと、第三者機関を設置させていただこうというものでございます。
 そして、この第三者機関につきましても、実は内閣委員会でもかなり議論があったわけでございますが、このように、客観的、合理的な判断を専門的な見地からいただくときは委員会を設けることができると内閣府の設置法の中にもはっきりと明示させていただいておりますし、国家行政組織法上も、このような第三者機関を使って客観的にオープンな形で議論をして政府としての方針を決めるということは保障されておりますし、法律にもなっている。それを深めて御議論をいただくのが立法府である、このように理解をさせていただいているところでございます。
古賀(一)委員 私は、この道路公団の改革についてのこれまでの論議の進め方、国会での取り扱いのあり方といいますか、そういうのを見てきたときに、今後の取り扱いについても大変心配といいますか疑念を持つわけですよ。
 そこで、質問の順番は飛びますけれども、熊代副大臣に、ちょっと事務的なことにはなるかもしませんが、順番を入れかえまして聞きたいのは、この法律が通りますと、ことしの十二月三十一日までに首相に委員会の意見を述べる、こうなっています。年末のある時期に総理官邸でこれが渡されるというところまでは容易にイメージがわくわけでありますけれども、その後、この七人の委員会が書いたペーパーが総理に渡されて、今後どういうスケジュールで、とりわけ国会との関連もあります。いつごろ法案が、次に法案がどうだとかいろいろなプロセスがあると思うんですけれども、意見の提出後のプロセスというものは大体どのようになっていくと考えておられるのでありましょうか。
熊代副大臣 お答え申し上げます。
 この承認していただく予定の委員会から意見具申がありましたらば、それを総理が、これを尊重すべき、こう御判断されれば、内閣としてそういう判断をすれば、それは新たな組織についての採算性とか組織のあり方とか基本的なものをしっかり含んだ内容でございましょうから、それに従いまして、国土交通省など関係行政機関において、意見に盛り込まれた内容を踏まえて具体的になすべきことを検討してくださるということになります。
 期間的には、特殊法人等整理合理化計画で既に決定されておりますとおり、新たな組織が平成十七年度までの集中改革期間内のできるだけ早期に発足するということですから、十七年度が最後でございまして、それまでできるだけ早いときに発足するということになるように政府として必要な対応をするということでございます。新たな組織の設立等のための必要な改革関連法案の立案を行い、御審議をいただくということになると思います。
古賀(一)委員 私は、大変な疑問、心配を持っております。といいますのは、今が四月でございまして、この法案が通って人選あるいは候補者の選定というものがあって、実際上は動き出すのは六月以降であることは間違いないし、任命手続あるいは事務局の立ち上げ、いろいろなことがあるんでしょう。そうしますと、半年はないんですね。半年ないその短期間に、七人の方、先ほど来改革意欲のある方ということで言葉は出ておりますけれども、果たしてこれだけ大きい問題、今からちょっと述べますけれども、大変奥の深い重要問題、これを七人の委員会がわずか数カ月で、今採算性という言葉がありましたけれども、論議した上で方向性を本当に決めていいんだろうかという疑問を持ちます。
 私はそういう面で、要するに拙速、ただ形をとるだけですね。中身は十分審議せずに、小泉内閣の看板だ、それ行けどんどんというようなことで、この問題というものが一つの、実質よりも手続、中身よりも形ということで進むんじゃないかということを大変心配をします。
 そこで、もう最後の質問になるかもしれませんが、一番重要なところを聞きたいんですが、私は、道路公団ほかこの四公団の民営化を論ずる論点というのはあるんだと思うんです。これは別に道路関係公団だけじゃないですよ。今後いろいろな組織改革あるいは行政改革が出てくるんだと思うんですけれども、とりあえず何か形をつくらぬといかぬということで走ってきた行革がこれまでもあった。それは決して私は成功ではなかったと思うんですね。やはり次の時代を見据えて、事の本質、経済あるいは国際競争、いろいろな分野に知恵等をめぐらし、論議を尽くし、分析も尽くした上で国民が納得できるようなベストミックスを考えるというのは大変な仕事、でも、これを本当は国会を中心に国民の代表がやるべきだと思うんですけれども、とりあえず七人でやるとおっしゃるから、それについての問題提起をします。
 といいますのは、これまでの論議はもう私はめちゃくちゃだと思うんです。総理自身のお言葉を、いろいろなところをピックアップしても、私はいろいろな言葉が発せられてきたと思うんですね。国費不投入それから新規路線凍結あるいは民営化、それのどこに本当の目的があるのか。民営化して無料化するというなら、これは二律背反だと思うんですね。そういうのが整理されずに実は委員会論議をやってもテレビ討論をやっても、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うという論議の中に、どうも収拾がつかなくなって、でも改革は急がぬといかぬ、では委員会設置という一種の形をとろう、悪く言えば、これまでの論議の矛盾、未熟ぶりをブラックボックスで固めちゃってとりあえず委員会というふうに意地悪く考えることも実はできると思うんです。
 そこで、あえて私の方から整理をするならば、道路関係公団の改革を論ずる論議の手順というのがあると私は思うんですね。
 一番最初は、高速道路のネットワークがこれからどれだけまず必要なのか。それは、社会問題、経済問題、国際協力問題、扇大臣がよく言われるいわゆる他の交通機関との連携もある。そんな面で実態に根差してどれだけ高速道路が要るかという論議がまずあるべきなんです。これが一番目。二番目に、それをどういう国民負担で、つまり税源、財源ですよ。どういう国民負担でやるべきかという論議が二番目だと思うんですよ。その前提のもとに、では、今の主体である公団方式ではなくて別の経営主体論があり得ないかという論議が来て、そして四番目に、よく議論に出ております公団の体質、経営の手法、いろいろな運用の問題があります。こういう個別の問題があると思うんですね。
 でも、今までの論議を考うるに、四番のそういう人事の問題、八十二の子会社の問題、もちろんこういうのをやるべきなんですよ。でも、こういう論議といわゆる経営主体論というか道路公団民営化という三と四を行ったり来たりしながら、一の論議というのは私は十分に尽くされていないように思う。そこに実は我々のいら立ちもあるし、要するに小泉さんの道路公団改革というのは、国民から見れば、新聞は、聖域なき構造改革のトップバッター、こう書いてあるから何となく期待はするものの、でもイメージがわかない。小泉改革とは何なんだという、国民の心の中は実際はそうじゃないかと私は思うんですね。ここがやはり政治の責任の部分だと思うんです。
 私は、もう時間がなくなるので本当に焦りますが、石原大臣にお聞きしたいんですけれども、道路公団を改革する論議というものがこれまで大臣のもとでもいろいろあったと思うんですね。総理との関係でもあったと思う。大臣は一回、総理に中間報告で七十二の案を持っていかれた。七十二もの案が出るということ自体、私はおかしいと思うんですよ。それは、総理自身のこの道路関係四公団の民営化の思想と理念と戦略、手順というものが示されていないからこういうことになった。そのあらわれが七十二の石原大臣の持っていかれた案だと私は思うんですよね。そこに、発信源であり、言い出しっぺである総理の公団改革に関する理念、戦略がないという実は最大の欠点があるんじゃないかと私は心配するんです。
 したがって、ここで確認をしたいのは、道路公団をこれまで論議してきたその論理、手順というものは具体的にだれからどう示されてきたのか、なかったのか。そこら辺は非常に重要なことなので、とりあえず公団改革だ、でかいところからやるんだ、そういう論理だけで私は進めるべき問題じゃない。その道路公団の改革の手順、論理立てといいますか、そこら辺を総理からはっきりと指示があっての話なのかをちょっと確認させていただきたいと思います。
石原国務大臣 これは委員も御存じのことだと思いますが、確認でございますのでちょっとさかのぼって言わせていただきますと、平成十二年に、行政改革、なかんずく特殊法人改革というものに着手をしなければいけないということで、与党の方で議論がスタートいたしました。そして、平成十二年の末に行革大綱という形で、特殊法人の改革の方向性どうあるべしかというものを決定いたしました。その中で、特殊法人は、事務事業を見直して、特殊法人という組織形態でいかなくてもいいものはやはり組織形態を変えていこうという抜本的なものを決定したわけでございます。
 そして、翌年になりまして、四月に小泉内閣が発足いたしまして、六月に、議員立法でございますが、特殊法人等改革推進本部を設置するための基本法をお通し願いまして、特殊法人等整理合理化計画をまとめるための特殊法人等改革推進本部、総理大臣を本部長とし、私、また官房長官、総務大臣、財務大臣を副本部長とする委員会を設置し、内閣を挙げて問題に取り組みました。
 そこでの基本方針は、特殊法人は原則廃止か民営化という形で整理をさせていただきました。しかし、もうこれは委員御承知のことでございますが、特殊法人は特殊法人として仕事をやってくる意義があったわけでございます。どうしても特殊法人の形態を残さざるを得ないもの、あるいはこれからもパブリック関与として事業を行っていかなければならないもの等々を整理いたしました。
 さらに、今回の改革の最大の特徴は、組織論に目が行っておりますが、事務事業を徹底的に見直すと。この事務事業の見直しは、昨年度からもうスタートしております。
 こういう形で推移をしてまいりまして、昨年十一月に総理大臣から、この大方針のもと、先行七法人という形で、道路公団を初めとする道路四公団、住宅金融公庫等々の改革の方針というものを示し、国民の皆様方からも幅広く意見を聞かせていただきまして、第三者機関の法案の取りまとめを行ってきて現在に至っているということでございます。
 最後に言及させていただきますと、内閣府設置法の第三十七条の、法律または政令に定めるところにより、重要事項に関する調査審議等々、学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができるという法律にのっとって、内閣府、各省庁を束ねる、総合調整を行う役所にこの推進委員会を設置するという法案を提出させていただいたところでございます。
古賀(一)委員 今の説明は、内閣におけるいわゆる手順、あるいは行政手続、こういう手続を踏んできたという話なんですね。でも、それに終始しているわけですよ。それじゃなくて、実は、これは実態の、高速道路を場合によっては、例えば三十年間待ってきた宮崎県の東九州縦貫、これはたたき切るとか、そういう、日本経済のこれからのあり方、とりわけ過密過疎という、本当のある面では最重要な政治課題とも絡む問題なんですよ。
 だから、問題は、政府で、こういう順番で閣議了解をしました、事務事業の見直しの一環でこういう項目を掲げました、そういうことじゃなくて、やはり強く指摘しなきゃならぬのは、何のために、といえば実態論ですよ。本当の中身の部分についての論理立てというのが総理の口からも各党の論議の中からも出てこないところに、形だけをどんどん取り繕っていく形の行革に陥るんじゃないか、それで本当にいいのかということを心配するわけです。
 先ほど大臣の方から私が道路に結構詳しいというお褒めをいただきましたので、ついでに宣伝しますと、日本の道路ではないです。例えば、インターステートハイウエーというアメリカの高速道路があります。あれは、正式の名称はインターステート・ディフェンス・ハイウエーなんですね。だから結局、連邦制においてアメリカはあれだけ州が強い国です。州に補助金をやるということは、ある面ではアメリカの合衆国においてはタブーに近い制度なんですね。それを、ディフェンスという名前を課して、やはり全土をつなぐ高速道路が必要だろう、そういう思いでアメリカはつくった。一方で、ドイツですね。ドイツのあのアウトバーンをつくってきた話というのは大変おもしろいというか、彼我の差を、日本とドイツの差を感じさせる。もっと古く言えば、ローマの道もそうですよ。やはり深い深い意味合いを持ってきているわけですね。
 それは国情もある、そのときの国家の力にも関係する。そこまで深くやはり論議する、私はそういう公団見直しであってほしいと思うんですが、何せ実質上は半年もないような期間の中で七人が論議して、これで報告書を出せば改革は一歩前進というようなことで本当にいいのかというのを心配します。
 それはこの行革だけじゃないんです。私はそういう面で大変今までのやり方については、行革というものはそう簡単にとんとんとんと私はいかないと思うんですね。やはり中身のあるもの、国民の納得があるもの、論理立てがしっかりしているものというものが結局最後に勝ち残っていくんだと思うんですが、そういう面で、この中間時点においてやはりそこら辺ははっきりしないとだめですよということをこの場をもってはっきりと私は指摘をしておきたいと思います。
 それでは、最後の質問にいたします。
 いろいろ申し上げたいこともたくさんありますけれども、再度事務的なことに戻りまして、先ほどプロセスについて聞きましたけれども、委員の選定基準について今までたくさんの議論があったんだと思うんですね。改革意欲のある方に、こういう言葉でずっと何かごまかされていたような気もするんですが、これはなかなか容易な問題ではないと思うんですね、人選も。
 そこで、七人の委員がわずか半年足らずの間にこれだけの問題を、混乱もし、国民のコンセンサスも、あるいは党内でもいろいろ問題はあるでしょう。国会内でもある。この問題について説得ある方向性を出していくというのには相当の体制を組まなきゃならぬと私は実は思うんですね、七人の方が作文して済むだろうということで済んではならぬ事柄ですから。
 そうした場合、この委員会というものを支える事務局体制、私は、常識的に言えば、この七人の委員のもとに、国際比較をじっくりやる小委員会、あるいは採算性を検討する委員会、例えば四公団と三公団の場合のいわゆる収支計算をする計算部隊とか、実はいろいろな作業が必要であって、初めて結論が出る問題だと思うのですね。
 そこで、熊代副大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、この委員会を支える事務局体制、そしてこの委員会に、私は当然、いろいろなプロジェクトチームというか小委員会というか専門作業部会というのは、専門家を全部入れて幾つもつくらねばならぬ問題だと思うのですが、そこら辺はどういうふうに進んでいくのでありましょうか。
熊代副大臣 お答え申し上げます。
 短いか長いかの話もございましたが、私自身は素早い決断というのが好きでありますので、三十日ぐらいでやってもらえばなんというような個人的見解も持っておりますけれども、ルーズベルトも百日でございますから、本年いっぱいぐらいでぜひやってもらいたいというふうに思っております。
 委員会で小委員会を設置すべきかどうかというお話もございました。七人の委員会でございますから、委員会全体でやられることもございましょうし、あるいは、必要に応じて小委員会をということで委員会でお決めになって、御指摘のように小委員会をぜひやるべきだということでやられることもありましょうし、それは委員会にお任せするべきことだというふうに考えております。
 ただ、事務局体制につきましては、委員会を支えるしっかりとした事務局体制をつくりたいわけでございますけれども、なかなか定員の厳しいときでございますので、各省からの出向ということもございましょうが、公平な立場で補佐できる事務局体制をぜひつくり上げるべきであると考えているところでございます。
古賀(一)委員 三十日で足りるという、びっくりしますけれども、そういう答弁もございましたけれども、内閣府において、石原大臣とも一回お話をしました公務員制度改革もそうです、いろいろな行革を内閣府の事務局でやっていますけれども、私ども、必ずしも深く掘り込んだ次の時代の方向をそれぞれやっているという感じは、厳しく言えばしません。とりあえず何か形をつけないといけないということで各行革が走っているのじゃないかという懸念を持つわけであります。これは国家百年の大計にかかわることでありまして、小泉総理に、慌てずにどっしりと国家百年の大計で国の形を考える、そういうようなことをやってほしいと、むしろ両閣僚からもお諭しをいただいた方がいいのではないか、私はかように申し上げまして、一分早うございますけれども、質問を終わりたいと思います。
 以上であります。ありがとうございました。
久保委員長 これにて古賀君の質疑は終了いたしました。
 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 先日も本会議場で、党を代表してこの問題について質問させていただきましたけれども、きょうは、わずかの時間ですけれども、若干掘り下げた議論をしてみたいというふうに思っております。
 先ほど来この質疑を聞いておりまして、石原大臣も先ほど、この法律は条文は八条しかないからどうのこうのというようなお答えがございましたけれども、私は、この法律自体は大変意味のある法律だというふうに思いますし、この法律の本来の理念めいたものはもっと条文にしっかりと書くべきだというふうに思います。
 先ほどのやりとりの中で、両大臣とも、すばらしいいろいろな考え方をお話しされているわけですから、そういったところをもっと集約したものをこの条文の第一条ぐらいにしっかりと、目的の中でうたうべきであったなというふうに私は思います。
 特に、この四公団、特殊法人の民営化という中では最も関心の高い、そういう特殊法人でもございますので、そういう四公団の今後の民営化の具体的な方向づけなり中身について審議をしていただく、その委員会を設置する法律でございますので、大変意義があるなというふうに感じますけれども、石原大臣、この条文になぜしっかりとした目的を書いていただけなかったのか、そのあたりの御説明をまずお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 一川委員にお答え申し上げます。
 これも、これまでの議論で御答弁させていただいてまいりましたけれども、道路公団の改革、民営化の推進によってどういうことが起こってくるのか。コスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した経営が行われるという、そのようなメリットが生じると考えております。
 そのことを念頭に置きまして、昨年取りまとめました整理合理化計画において、この道路四公団にかわる新たな組織は、民営化を前提として、国費を投入しない等々の基本方針のもと、その詳細については第三者機関において具体的な内容を検討していただくと取りまとめさせていただきました。
 委員御指摘のとおり、本法案においては、この推進委員会を、昨年取りまとめた整理合理化計画に基づき調査審議する旨の規定を置いているところであり、もう既に決定させていただいている中で書き込んでおりましたので、計画性に示された方向に沿って進められていくものと考えているところでございます。
一川委員 私は、やはり国民の皆さん方にも、これからのこういう特殊法人の改革に向けての中身をできるだけ理解していただく、また、関係者にもその点の認識を新たにしていただくという面では、どういう短い法律であろうと、しっかりとした目的を規定していただきたかったというのが私たちの意見でもございます。また、この法律の実効性を上げるという面からも、若干そういう面では疑問があるなという感じもしますし、そういった面の心配を非常にするわけでございます。
 時間もないですから、次に移らせていただきます。
 先ほども話題に出ていますこの委員会、俗に言う八条委員会ということでやっているわけですけれども、この問題も、行政全体の中でこの審議会についての議論がいろいろとあるわけです。従来、行政機関で判断すべきことをこういった委員会等に判断をゆだねるというような形で、要するに責任を転嫁しているのじゃないかというふうなこともいろいろと言われております。
 そこで、これも石原大臣にお聞きするわけだけれども、先ほどと答弁が重複しますから、別の観点からちょっとお話をお聞きしたいと思うのです。
 こういう委員会、短期間で一つの方向を出すということであれば、事前に、関係する行政機関の事務的なサイドで相当いろいろな資料を収集して、もう既にある程度方向づけをしているのじゃないか、そういうものをこの委員会に一応諮った形をとって、それで、そこであたかも決定したかのような方向に持っていかれるのではないかという心配をするわけです。
 それであれば、強いてこんな委員会等をつくらなくても、国土交通省なら国土交通省の道路局の中で、これまでの長年のそういう専門的な蓄積があるのですから、これからどれだけの高速道路を整備すべきだとか、あるいは採算がとれるとれないのそういった計算ぐらいは、私は、当然国土交通省でできるはずだというふうに思いますけれども、石原大臣、今、この委員会の中で審議する中身というのはもう相当事務的に準備が整っているんじゃないですか。そのあたりはいかがですか。
石原国務大臣 内閣委員会でも、道路公団の民営化等々に関する御議論、また本法案の、今委員が冒頭御指摘されましたような論理根拠が冒頭にないのはおかしいといったような議論等々が議論され、問題点はかなり浮き彫りになってきているような気がいたしますが、それを今、この推進のための、準備室というものはございますが、当委員会ができておりませんので、いまだ事務局というものは完備されておりませんので、それを系統立てて整理しているというようなことは、今の段階ではできておりません。
一川委員 先ほども、一つの判断をする基準を設けるだとか物差しをつくるというような議論もございました。ある面では幅広い見識を持った経験者の方七人で審議されるんでしょうけれども、基本的には、先ほどの議論の中にちょっとありましたけれども、これからの日本の高速道路のネットワークあるいは社会資本の整備という観点で、今後はどうあるべきかということを一つの下敷きにしながら物事を判断していただくというには、何か大丈夫かねという感じも一方でしますし、大丈夫だということであれば、何か事前に相当の準備がされているんじゃないかなという感じもするわけでございまして、これも、これからの審議の中で具体的な、情報公開なりそういったものを国民にわかりやすい姿でしっかりと説明していくという責任があるんではないかなというふうに思います。
 そこで、次の問題で、民営化と一言では言いますけれども、何か民営化にもいろいろな種類があるんだというふうに我々はお聞きしました。
 そこで、石原大臣に確認するわけですけれども、この道路四公団の民営化というのは具体的にどういう民営化をねらっているのか。そこのところもこの委員会で審議していただくんだということになるのかもしれませんけれども、やはり、政府側としては、ある程度基本的なところは方向を決めた上でこの委員会に意見を聞くということがあっていいというふうに私は思いますけれども、この民営化というのは具体的にどういう民営化を考えておられるのか、そこを御説明をお願いしたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましても内閣委員会等々で議論があったところでございますが、昨年の十二月に取りまとめました整理合理化計画の中で民営化ということを取りまとめさせていただいています。それは、基本的な考え方といたしまして、「事業の採算性が高く、かつ、国の関与の必要性が乏しい法人、企業的経営による方が事業をより効率的に継続実施できる法人又は民間でも同種の事業の実施が可能な法人は、原則として民営化する。」といたしまして、一つ、特殊会社、二つ、民間法人化、完全民営化、地方共同法人の四つを列挙させていただいております。
 本委員会において、本委員会と申しますのは民営化推進委員会でございますけれども、そこにおいて調査審議していただくことになると思いますが、その中での御議論の焦点は、そこの企業への国の出資に関与するかしないか、あるいは公的な助成を行うのか行わないのか、そして、先ほども議論になりましたけれども、固定資産税あるいは法人税等々といった公租公課等の観点から、完全民営化すべきなのか、それとも特殊会社としてスタートして完全民営化を目指すのか、それらの形態等々につきまして総合的に当委員会で御検討いただくものと承知しております。
一川委員 民営化の中に今四種類ぐらいのやり方があるみたいなお話なんですけれども、そこも含めてこの委員会で方向性を出してもらうということについては、何か非常に心配な面があるわけです。我々は、完全民営化をねらった、しかもある程度期限を切って明確な方向を出してほしいというふうに考えているわけでございますけれども、どうもそのあたり、今、四種類、四タイプの民営化が考えられるというようなお話でございますけれども、こういうことも含めて、先ほどの目的のところでも触れましたように、この委員会が本当にどこまで詰められるかという面では、非常に心配な面もございます。そこのところは、これからの推移を見ながら、我々はしっかりとまた意見を提案していきたいというふうに思っております。
 次に、国土交通大臣に、これも本会議でちょっとお尋ねしましたし、先ほどの質疑の中でも大臣は明確に、例えば上下一体論とかそういうお話もされておりました。
 道路公団の子会社なり関連会社が八十二社あって、関連公益法人も五つの法人を抱えている。その剰余金は約一千億ぐらいあるんじゃないかというふうにも言われております。
 こういった関連会社といいますか、子会社というものがある程度収益を上げている中で、道路公団本体がなかなか採算性が難しいというような状況にあるわけでございますけれども、こういうような状態でこれを民営化していくといった場合に、国土交通大臣としてはそのあたりをどのようにお考えですか。こういう現状をこういうふうに何か改革をしていきたいというような思い、当然お持ちだと思いますし、また、民営化する場合にはこういうふうに民営化してほしいというような思いが当然おありだと思いますけれども、そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。
扇国務大臣 これは、一川委員にいつも国土交通委員会で、私もかなり詳しくお答えをいたしておりますし、基本的スタンスも私は申し上げたつもりでございます。本会議でも先日御質問がございました。
 私は、先ほどからこの委員会でも、連合審査でございますから、それぞれの国民の皆さん方が、自分たちの暮らしはどうなるんだろうか、日本の国はどうなるんだろうかという、その疑問に我々はどのように整理合理化して、改革をしてこたえるかということのために今回の出発点があろうと思っております。
 そういう意味では、先ほどから私が数字を少し申し上げまして、今一川議員からもおっしゃいましたように、道路公団一つとってみても、これだけの子会社をつくり、そしてその子会社の中でも、あらゆる形態のものに分かれております。例えば、料金の収受業務あるいは維持修繕の業務、保全点検業務、交通管理業務、業務別に考えただけでもこれだけの業務に分かれ、それぞれの業務の分担があります。
 そして、地域で分割してという話も、先ほども石原担当大臣からも出ました。これは、私は、今まで見ておりまして、それぞれの先生方の御要望、もっと地域の業者を使うべきである、こういう御意見もあらゆるところから出ております。けれども、地域地域に分割していきますと、地域地域でそれぞれの違った入札を行いますと、全部トータルで見ると結局コスト高になるんですね。そういうことも、メリット、デメリットのこの整合性をどこに持っていくか。
 そして今、先ほど申し上げましたように、関連子会社一つとってみても八十二社ある。今一川議員がおっしゃいましたように、少なくとも関連子会社が一千六十二億の利益を蓄積しているというようなことも含めまして、いかに我々は目的を達成するために短期間で、なおかつ、今後問題になるのは、子供やあるいは孫の時代にツケを残さないということは当然、理想でございますけれども、私たちは全部それを子供や孫につくり上げて、どうぞどうぞといってすべてが楽ちん楽ちんという世の中ではなくて、ある意味では、我々ができる限りのことをするけれども、受益者の負担ということも必ずあるんだということも私は今後大きな議論になってくると思います。
 そういう意味では、我々ができ得ることと、目的達成のためにはむだを省く、そういう基本的な理念のもとに、我々は、今後この委員会の七人の皆さん方の見識を、どういう見識が出るかということも大いに見守り、また、その見識によって国土交通省の責任もどこまでどう判断していけるか、私はこれが基本の勝負になろうと思っています。
一川委員 これで質問を終わらせていただきますけれども、今、基本的にこの民営化ということであれば、ただ表面上国が関与しなくなった、あるいは予算を、直接国費は出していないということだけで実態は従来どおりのものを残しているということであってはならないと思いますし、やはり、この民営化によって、当然高速道路の通行料を安くするとか、あるいは渋滞をなくするとか、あるいは国民全体に対していろいろな利便性を、これ以上にサービスを向上させるというしっかりとしたものが出てこなければ私は意味がないというふうに思います。
 そういう面で、中央官庁からの天下りの問題もいろいろと批判されております。そういうことにもしっかりと指導していただいて、期待される、そういう民営化像が出てくることを願いまして、一応私の質問を終わらせていただきます。
久保委員長 これにて一川君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬古由起子さん。
    〔久保委員長退席、大畠委員長着席〕
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 最初に、扇大臣にお伺いします。
 民営化推進委員会は、個別路線は検討しないとしております。具体的には、与党三党の幹事長の確認事項として、個別路線の整備については、標記委員会、民営化推進委員会の意見を踏まえて、国土交通省において、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て最終的に決定するとされております。ここで言う国土開発幹線自動車道建設会議は、以前は国土開発幹線自動車道審議会が省庁再編に伴って改組されたものでございます。旧国幹審は高速道路計画をどのように決定してきたんだろうか、果たして個別路線の審議ができるようなものだったのかどうかということが問われていると私は思うんです。
 ここに第三十一回の国土開発幹線自動車道建設審議会の議事録がございます。これを見て、私ちょっとびっくりしたんですけれども、この審議会の議事録を読みますと、二年ぶりの開催だ、その前は五年ぶりの開催で、もう本当にわずかしか行われていないんですね。それも、この中で出てくるんですが、せめて年一回ぐらいは開いたらどうか、こういう御意見も出ている。それから、議案の配付は前日に行われている。会議は非公開。会長は冒頭あいさつだけですぐ退席。進行役は建設大臣で、審議時間はわずかで、議事録といってもこんな薄っぺらいもの。実際に日本の高速道路をどうしていくのかということがこんな形で決められているのかと思って、私は大変びっくりしたわけなんですね。
 そして、そこに日本共産党の議員が入っていたんですけれども、実際には環境問題とかいろいろ指摘しているんですけれども、全くそれを無視してしゃんしゃんしゃんと決めていってしまう。こういう形で整備計画が決められている。
 こうして、今問題になっている、むだな、必要もない道路計画が当局の提案のままつくられてきた経過がございます。このようなずさんな計画決定のあり方にやはりもっと抜本的なメスを入れなきゃならないと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
大石政府参考人 私の方から国幹審の審議の実態について御報告申し上げたいと思います。
 国幹審は、現在は国幹会議になってございますが、国幹会議はまだ開かれておりません。
 三十一回の国幹審のことを御指摘でございましたが、現在は三十二回まで開かれておりまして、三十一名の委員で構成されておりまして、前回も幾つかの整備計画、基本計画をお定めいただいたところでございます。
 私は、三十二回の国幹審の運営に関しましては既に道路局長でございましたので出席をさせていただいておりまして、その様子も拝見したところでございますが、国幹審の運営につきましては、委員の先生方が十名の国務大臣、十三名の衆参両院の議員というようなこともございますので、事前に資料を送付するとともに、要請に応じまして説明等も行い、当日も委員の方々が自由に議論ができるよう、事務局として努めてきたところでございます。
 三十二回、平成十一年十二月二十四日の国幹審の様子で申しますと、時間は確かに三十分という時間ではございましたが、会議全体の時間を制約したり、委員の発言を制限するといったような運営はしておりませんで、私の印象といたしましても、議論が尽くされた段階で終了されたというような、こういう印象を持っております。
 今後、国幹会議を開いていくわけでございますが、この国幹会議で決定される内容が国民の皆様方に見える形で審議を行う具体的な方法、事務局を務める国土交通省といたしましても、今後、そのあり方について研究を深め、委員の方々が自由濶達に議論が交わせるような、そういう運営に努めたいと考えております。
扇国務大臣 私は、まだこの国幹会議が一度も開かれておりませんので、一度もまだ出席しておりませんので何とも言えないので、局長が会議に出ておりますので、今局長から体験を報告させていただいたわけです。
 このメンバーを私も見せていただきました。少なくとも、総理大臣を会長として、十名の国務大臣が出て、そして十三名の衆参の国会議員、これは与党、野党、与党だけ出たわけではありません。そして、今瀬古議員が、共産党も出ておりました、環境について発言しました、こうおっしゃっていますけれども。
 私は、そういうことで、そのときに、もし通っていないのであればこの答申をノーと言うべきであって、今局長が申しましたように、国幹審が三十一名の委員をもって、時間の差異は私は出席していないからわかりません、今三十分というお話がございましたけれども、資料を提供し、なおかつ与党、野党含めてこれだけの、十三名の国会議員が出ているわけですから、私はその中で論議が尽くされていないということは言い切れないんじゃないか。文書でもって出すこともできるし、発言も今局長が言いましたように制約していないということなんですから。
 私は、そういう意味では、八条委員会としてきっちり国幹審というものが位置づけられているわけですから、八条委員会として私はきちんとそれが行われていると判断しておりますし、今回新たに国幹会議を開くのであれば、そういうことも念頭に置きながら、私は公正な議論の場にしていきたいなと思っております。
瀬古委員 これで十分だと言われると、本当にこれからどういう議論がされるかということは大変お寒い限りなんですけれども、やはり三十分の時間ぐらいで、まあ中身の濃いものをやればいいですけれども、少なくとも、基本的な個別路線も含めてどうなのかということをやるには余りにもお粗末だというふうに私は思うんですね。そういう点では、高速道路とか四公団の見直しについても、もっと国会でも議論しなきゃならぬし、そして国民の代表も発言する場も必要だし、そういう意味では、やはり国民の前で徹底した議論というものを、本当に個別路線についても私はやらなきゃならないというふうに思うんです。
 そこで、扇大臣に伺いたいんですけれども、問題は、現在もむだな、採算の合わない道路計画が存在しているということについてお伺いしたいと思うんです。
 我が党の大幡基夫議員が本会議の質問で、日本列島にこれからも六つの巨大橋をかけるのか、なぜ中止しないのかという質問に対して、小泉首相は、海峡横断道路については、その必要性を含め、慎重に検討してまいりたいと答弁されております。にもかかわらず、例えば、ことしの予算で新たに五億五千二百万円の調査費がつけられております。現在まで四十億円を超える調査費が使われているんですね。ところが、この調査費が何に使われているかということは一切公表されていないんです。
 私の地元の伊勢湾口道路について見ますと、三重県も調査費として、県単独でことしも一億円つけております。ところが、この調査費の内容について、国が調査内容を未公表だ、こういう理由で、県民にこれがどういうような影響を与えるのかということについて全然説明がない。県当局はどう言っているかというと、伊勢湾口道路のルートが想定される資料が含まれており、意思形成過程の情報であるため公表できない、こう言っているんですね。建設費用、予想交通量、自然環境への影響など、一切公表されておりません。
 それで、地元の中日新聞を見てみますと、旧建設省の中部地建の幹部が電卓をたたきながら、通行料五千円として一日四万台が採算ベースに合う、こう言っていることが報道されているんですね。こんな予想通行量なんてとんでもないことなんです。現在、カーフェリーが伊勢湾を渡っているんですが、一日平均六百台です。それを一日四万台で採算ベースが合うなんて言ってぱちぱちと電卓をはじいているというわけですから、こんな計画がもし実施されるとなれば、住民生活にも重大な影響を与えるということは明らかです。
 先ほど大臣は、今回の改革が自分たちの暮らしがどうなるのかということが原点だと言われたんですけれども、今自分たちの税金がどういうふうに使われているのか、そういう面についてもっと明らかにするべきだと思うんですね。そして、気がついてみたら、これが明らかになったらとんでもないということになって、住民から反対運動が出るのは当たり前なんですね。
 ですから、東京湾の横断道路や本四架橋と同様の過ちを犯してはならない。そういう意味では調査資料も含めて公表すべきだと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
扇国務大臣 瀬古議員といつも有効な論議をさせていただいていると思っていますけれども、今最後におっしゃった東京湾横断道路ですとか本四架橋がむだだということではなくて、私は順序を間違ったと言っているわけで、むだであったとは思っておりません。
 今後は、アクアライン一つとってみても、アクアラインの出先から成田まで高速道路をつなげば、横浜、横須賀の人はもっとアクアラインを使って成田に行けるということもありますので、総合のプロジェクト、グランドデザインができてなかったということが今日の間違いの原因であったと反省しているということで、むだであったとは私は思っておりません。順序が違ったと言っているわけでございます。
 それと、今おっしゃいましたこの海峡の横断道路プロジェクトでございますけれども、これも平成十年六月、これは先生御存じだと思います。全国の六カ所の海峡横断道路のプロジェクト、これについても、先日モロッコの大臣がいらっしゃいまして、ボスポラスのあの海峡のことをおっしゃいました。私に、日本はいいですね、青函トンネルも、それから関門トンネルも、いいものをおつくりになって、うちはもっと短いんですけれども、もっと技術がと、世界各国からそういう掘削技術あるいは橋梁技術等々、あらゆることで注目され、また、この全国六カ所の海峡横断プロジェクトというのも、先生御存じのとおり、これは多くの皆さん方の御要望ででき上がっているもの。理想としてはありますよ。
 ですから、どういう手法でどういう節約をして、そしてより完成をしていくか。一遍にできないことはもう皆さん御存じのとおりでございますけれども、私は、それによって工法等々、あるいは便利性、国民の皆さんの御要望に応じてどこまでできるかという調査をするのは当然でございまして、その調査が、今瀬古議員がおっしゃったように、そこにむだがないのか、あるいは上積みしていないか、それが私は調査の基本だと思っていますので、そういう意味ではぜひこのプロジェクトの調査というものも、今後取りまとめる場合には、必ず国民のコンセンサスなり地方の皆さん方の御意見を踏まえながら正確、公平無私な計画を調査するべきだと私は思っています。
瀬古委員 その調査の過程で、やはり国民に知らせていくということが大変大事だと思うんですね。そして、結果としては、慎重に検討するということは中止もあり得ると考えてよろしいでしょうか。
扇国務大臣 中止をするべきかどうかも調査するというのが調査でございまして、私が今ここで、調査員でもございませんので中止するということは言えませんけれども、少なくとも、国土交通省、十本の長期計画の中で十四年度で切れますのが八本ございます。そういう意味でも私は、それを続けるべきか、どこを目的に持っていくか、それを調査するということでございますので、その判断は調査結果にゆだねたいと思います。
瀬古委員 当然、その検討するという中身は中止も入るということで御答弁いただいたと思うんです。
 最後に石原大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の高速道路の整備は、費用対効果で整備の優先順位を決定するというふうに言われています。優先順位の低いのは、公団方式では今までなかった地方自治体の負担というものが出てくるんじゃないか。そういう点で地方自治体からも大分意見が上がってきております。そういう点では、地方自治体の負担にうんとなるようなことは果たしてないのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 今回の改革では、今御審議をいただいておりますこの民営化推進委員会で費用対効果分析を徹底的に行いまして、採算性に合うか合わないかというものの基準を決めていただきます。そして、その基準にのっとって、これは総理の方に御答申をいただくわけですけれども、最終的には国交大臣、また政府としてどういうふうにつくっていくかというのを決めます。
 これまでの試算の中で、九三四二をつくるにはあと二千三百キロ残っておりまして、二十兆数千億円の費用がかかりますが、それを七十二通りという案の中で金利あるいは交通需要見通しをやっていきますと、国費を三千億円投入しない、償還期限を五十年に限定するということで、最高十二兆円、最低で七兆円弱しか残存事業が今の方式ではつくれないということが明らかになりました。
 しかしながら、採算性以外で整備をしていかなければいけない道路があるということも、当委員会あるいは内閣委員会の審議でも明白になりつつありますので、その後の、高速道路、有料道路方式以外の方法については国交省の方で、また国交大臣が適宜適切に年間の予算の中で処理をされるものと信じております。
瀬古委員 時間が参りました。
 むだな、必要性もない、採算のとれない道路建設を抜本的な改革のないまま続行して、莫大な借金は国民負担そして自治体、こういった道路関連四公団の民営化強行は許されないということを改めて述べさせていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて瀬古さんの質疑は終了いたしました。
 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。私は、主に委員会の性格について幾つか質問をしたいと思います。
 本案の作成過程においても、審議事項の重要性から、委員について国会同意人事とすべきだとの意見があったと聞いております。勧告権を有する委員会でありながら、その委員について同意を必要としない審議会、このほかに幾つあるのでしょうか。これは実に異例なことであると認識をいたしますが、こうした結論に至った経緯を具体的にお示しいただきたいと存じます。
坂野政府参考人 今回御提案を申し上げております法律案の策定に当たりまして、これまでも既に申し上げておりますように、この委員会はいわゆる八条機関に相当する審議会等である、そういう前提でその委員会の所掌事務、権限についても検討いたしたわけでございます。そこで意見を出した後、その実施状況についてフォローアップをするという意味で、監視機能及び勧告権限を付与するということにいたしたわけでございますが、この勧告権限を付与するについて、今御指摘は、勧告権を付与している審議会で国会同意としていないものは非常に少ないのではないか、どんなものがあるのかということも含めてお尋ねでございました。
 私ども調べましたところ、勧告権を持っていて国会同意となっているもの、それから国会同意となっていないもの、両方があるというふうに思っております。そのうち、勧告権が付与されているにもかかわらず国会同意人事とされていない審議会、例として申し上げますが、国土審議会、外務人事審議会、社会保障審議会、それから各省設置になっておりますが、独立行政法人の評価委員会というのがございます。そういう例もあるというふうに考えました。また、これは参考までに申し上げますが、勧告権を持っていない審議会でも国会同意になっているものもある。
 そういうことを考えますと、勧告権の有無ということと国会同意ということは必ずしも結びつくものではなくて、むしろ、その委員会、審議会の所掌事務あるいは任務、そういうものの性質に照らして判断をすべきものと考えたわけでございます。
重野委員 次に、本案に定める委員会は、決定し、意見を述べるものではありません。かつての国鉄再建監理委員会とは明らかに異なるものでありますが、委員会の意見が煮詰まったものでなくとも、例えば意見が並列列記された場合、総理に報告すれば事足れりとなる、こういうことになっているんですが、これで果たして公正中立の第三者機関と言えるのか、こういう思いがあります。これについてはいかがお考えでしょうか。
坂野政府参考人 御指摘のとおり、国鉄再建監理委員会の所掌事務の規定ぶりと今回の規定ぶりには差があるということではございますが、この委員会がどういう形で意見を取りまとめるか、これは基本的には、この委員会発足後、委員会での検討結果として定まるというものだとは思っておりますけれども、私ども、提案をしております立場から申し上げれば、他の審議会等もほとんどがそうでございますが、一つの形に集約をしていただけるものと期待もしておるわけでございます。
 また、国鉄再建監理委員会のように決定という字があるかないかということが意見の形を法律上規定する、そういう性質のものでもないと私どもは考えております。
重野委員 改めて聞きますが、国鉄再建監理委員会と同様に非常に重要な審議を行う委員会であります。したがって、そういう委員会であれば、当然、決定した事項を総理に報告すべきではないか。そういう意味では、この決定の文言を削除しているという意味は非常に重大であると認識をいたします。
 うがった見方をすれば、あらかじめ、統一した意見の集約決定ができない、そのことを前提としてこういうことにしているのかというふうに思わざるを得ないんですが、その点について、もう一度お聞かせください。
坂野政府参考人 国鉄再建監理委員会の所掌事務の規定ぶりで、「企画し、審議し、及び決定し、その決定に基づいて内閣総理大臣に意見を述べる。」こういうふうにされておりましたその意味は、委員会が審議をして、審議の上決定した事項を委員会の意見として対外的に表示する、そういうことを法律上表現したものである、それが当時の答弁でもございますし、また解説でもございました。いわゆる三条機関のように行政決定権限を有する、そういうものではなく、いわゆる八条機関である、そういう前提のもとにそういう規定ぶりがされているということでございます。
 それで、私ども、今回、法律案を提案するに際しましては、同じ八条機関という性質のもとに所掌事務の規定ぶりを検討したわけでございますけれども、通常の、他の審議会等最近いろいろ設置されたものの規定ぶり等、そういうものも参考にいたしまして、調査審議し、その結果に基づいて意見を述べるということを一般的な形として、それに倣って規定をしたということでございます。
 この決定という文言があるかないかが、先ほども申し上げましたように、意見の形、それをあらかじめ規定する、そういう意味のものではないということでございます。
重野委員 決定を必要としない委員会が述べた意見について講ぜられる施策について、必要があれば勧告する、こういうふうにしています。この場合の勧告は実態としていかなる効力を発揮することになるんでしょうか、具体例をもって説明していただきたいと思います。また、勧告に従わない場合の措置はどうなるんでしょうか。以上二点、伺います。
坂野政府参考人 勧告の意味は、この委員会の意思を対外的に表示するという点においては意見と同様でございますけれども、相手方に、その内容に従った行動をとる、そういうことを強く要請する、そういう意味を込めたものとしてこの勧告の用語を使用しているわけでございます。
 したがいまして、勧告を受けた相手方は、当然、これを尊重する義務があって、かつ、その勧告に沿って必要な措置をとる、そういうことになると私ども考えているわけでございます。物理的な強制力がある、そういう性質のものではございません。組織間のいわば意思表示行為、そういう性質のものでありますが、繰り返して申し上げますが、受けた相手方は当然これを尊重する義務がある、そういう性質のものと考えております。
重野委員 この委員会の性格、権限、中立性、独立性、そういう点について非常にあいまいであります。廃止という既定路線を押し通すための隠れみの的委員会と言えば言い過ぎでしょうか。私は、きちっと法律で明確に規定すべきである、このように思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
坂野政府参考人 先ほども申し上げましたように、この決定という文字があるかないかということが意見の性質及びその形態を規定する、そういう性質のものではない。当然、委員会として意見を表明するということであれば、委員会としての意思決定を行い表明をするわけでございますので、この決定の文言の有無が当該委員会の意思決定に差異をもたらすものではない、そのように考えておるわけでございます。
重野委員 平行していますので前に進みます。
 次に、各県の知事が公団の取り扱いに大変な危機感を募らせております。第三者機関に地方の代表を入れよ、こういう強い意見があるようであります。その問題について、既に要請が出されていると思うのでありますが、国のみならず、自治体も、首都高、阪神、本四連絡橋の各公団に出資をしております。双方ともに債務負担の問題もある以上、自治体の意思の反映というものは非常に私は大事であると考えますが、こうした要請に対し、大臣、どのように受けとめておられるか、お聞かせください。
熊代副大臣 私から答弁させていただきます。
 地方公共団体も、御指摘のように、それぞれに深く三つの公団に関与していらっしゃいますし、それから、民営化の推移に対して大変大きな関心を抱いておられるということは御指摘のとおりでございます。ですから、七人の委員の一人にそれを入れよという御要望も確かにいただいております。
 それは、この法律成立の後に、総理大臣のリーダーシップのもとに決められることだと思いますけれども、いずれにいたしましても、地方の意見、いろいろな形で参考に、あるいはいろいろな機会をとらえて御意見を伺うということで、十二分に反映するものにしていくべきものと考えております。
重野委員 関係自治体においては、現行の高速道路整備計画を前提に、それぞれの県における基本構想を策定しています。産業立地を初めとするさまざまな計画を立てておりまして、既に、工業団地の造成であるとか、あるいは取りつけ道路の整備あるいは計画を進めているところが多いわけであります。
 国の都合で一方的に計画を見直すことによって大きな影響を受けるのは地方自治体でありまして、したがって、委員会の審議に対する自治体の意見の反映はもとより、高速道路整備計画を見直す場合の関係自治体との濃密な関係のもとでの協議がなされなければならない、このように地方の代表として痛感いたしておりますが、これに対してどのようにお考えでしょうか、大臣。
扇国務大臣 今重野議員がおっしゃいますように、少なくとも、整備計画の区間、これは四十二都道府県に及んでおります。そういう意味では、インターチェンジへのアクセスでございますとか、今議員がおっしゃいましたように、あるいは各種の開発計画等々のその地域の計画というものに影響を及ぼすというのはおっしゃるとおりでございます。
 進行中でございます物流拠点、そしてまた宅地開発等の地域の開発プロジェクトというものは、全国で百十一カ所に及んでおります。少なくとも、百十一カ所では約十万人の新規雇用を計画していたという事実もございます。
 そういう意味では、今後の計画の策定以上に、関係者の皆さん方には、計画を見直すという場合に至りましたときには、十分な意見をよく聞く必要があるというのはおっしゃるとおりでございますし、そしてまた、一昨年の暮れに公共工事の見直しをしたときも、私たちは、少なくとも、多くの皆さん方で三百時間をかけて地域の皆さんの御意見を聞いたという事例もございます。
 そういう意味では、おっしゃるとおり、地域の御意見と、そしてまた地域との相談を徹底するべきだと思っています。
重野委員 以上で終わります。
大畠委員長 これにて重野君の質疑は終了いたしました。
 次に、西川太一郎君。
西川(太)委員 両大臣初め御関係の皆さん、御苦労さまでございます。
 最後の質問者でありますので、我慢していただきたいと思いますが、きょうは長い本会議もありますので、八分おくれていますから、できるだけ議事進行に協力をしながら質問したいと思います。
 まず、一問目は石原大臣にお尋ねをさせていただきますが、四通八達とか道はローマに通ずるとか、道路というのは文明の物差しでもあり繁栄の尺度でもある。いつの間にかその道路が悪者になってしまっているような感じがして残念なのであります。
 今、私ども、経済の状況を見ても、いわゆる産業の空洞化や国際競争力の低下、こういう意味では、インフラとしての道路というものをやはりきちっと整備をしていくということは大変重要な問題だというふうに思うわけであります。高規格道路も含めて一万四千キロの道路というものは国民生活や経済にとって欠かせないものである。予定路線一万一千五百二十キロですか、これに対して整備計画、国幹審の九千三百四十二キロ、こういうものを早期に実現してほしいというその途上、この行革問題が出てきたわけであります。
 もとより両大臣も道路の重要性ということについては十分御認識でございますが、改めて基本的なことで石原大臣に伺うわけであります。
 高速道路の社会資本としての意義というもの、また、その整備が、ただいま申しました国民生活、国土政策全般を見据えたときに、単なる採算性だけで長期的な視点を欠いて見てはいけない、こういうふうに考えるわけでございますが、まず基本的に大臣の御見解を賜りたいと思います。
石原国務大臣 西川委員にお答え申し上げます。
 基本的な認識は西川委員と変わらないと思います。これまで国土の均衡ある発展のために高速自動車道というものが役立ってきたことは否定するわけにはまいりませんし、これからも広域的な連帯を図る上で整備ができるものは整備をしていかなければならないと考えております。
 整理合理化計画では、しかしながら、新たな組織によって建設する道路については費用対効果分析を徹底的に行って優先順位を決定する、それ以外のものについては毎年度の予算編成の中で国土交通省が適宜適切に御判断をされるというような整理をさせていただきました。
 それも、やはり現在の日本の経済情勢また少子高齢化という社会状況の変化に対して、これまでのようなフル規格のものをつくっていくことができない。そんなことで、国費の投入をゼロにする、あるいは五十年の償還の上限を区切る、このような厳しいキャップをかぶせて、これからのあるべき国土の均衡ある発展を目指して高速道路の整備がなされていくものと承知をしております。
西川(太)委員 全くそうだと思います。
 扇大臣に伺うのでありますが、採算性や費用対効果のみによって高速道路の建設の当否を決めてしまうというのは多少乱暴な議論ではないか、私はこう思うわけでありますけれども、有料道路で高速道路を整備するというのは整備の方法論でありまして、交通量が少ないあるいは料金収入が少なく採算性が劣る路線についても整備をしなければならないから、高速自動車国道のように法律で国民に整備を約束したのではないかというふうに考えているわけであります。
 すなわち、大都市圏の環状道路のように、交通量が多く、渋滞解消などの大きな効果がぜひ発現してほしいと見込まれている一方、地下化など多額の投資が必要になる路線も当然あるわけでございます。
 高速道路は、国や国土利用全体を見渡した上で、いわゆる大所高所の判断を行いながら整備の当否を決定することが必要だ、こういうふうに考えているわけでありますが、交通需要や採算性だけを重視せず、その他にも高速道路の整備による多様な効果をあわせて考慮して、政府として最終的に高速道路の整備のあり方を決めるべきだと考えるわけでありますが、扇大臣の御見解を伺いたいと思います。
扇国務大臣 西川議員がおっしゃいますように、少なくとも我々は、昭和六十二年国幹審で決められた一万一千五百二十キロ、それを目標としている。私は、国幹審で決めたことは、全会一致で決めていますから、これは生きていると思っています。
 ただ、生きておりますけれども、わかりやすく言えば、小学校から大学までストレートでさあっと予定どおり卒業する人と、あるいは、ストレートの学校に入ったつもりでも、高校でダブったり大学で一年余分に行ったり、そういういろいろな人がいらっしゃるわけですね。
 ですから、一万一千五百二十キロをストレートですとんといければ、これはこれにこしたことはないのです。ところが、今言ったように、西川議員が御指摘になりましたように、経済状況でありますとかあるいはこの負担というものをどうするかということも含めて、我々は総体的にどうあるべきか。目標はわかっているのです、全会一致ですから。けれども、その目標を達成するためには、いろいろな壁を乗り越えていかなきゃいけない。しかも、外国はハイウエーでただです。ところが、日本は受益者負担ということで払っていただいています。
 そういう意味では、私たちは、経済的な効果、あるいはその地域の発展性、そしてその地域の特性をいかに速く消費者に届けるかという生産者と消費者とのネットワーク、あらゆる面でそのことを勘案しながら、今の世の中で、今の日本の経済状況の中で、でき得る限り利便性を考えてどこまでできるか、そういう判断をし、また、むだを省き、そして、先ほどからも御論議いただいておりますように、最小限のコストの中で、目的達成のために、縮小しながら、しかも改革しながら前進するという、それが今回の大きな目標であるということを認識しております。
西川(太)委員 次に、地方の声を反映させてほしいという声が非常に強いことは御案内のとおりでありまして、先ほど来多くの議員の皆さんから同じような御質問がございましたから、私もできるだけダブらないように気をつけてお尋ねをするわけでありますけれども、特に、失礼な言い方になるかもしれません、過疎地方と言われるような地域にお住まいの国民の皆さんは、採算性が劣るゆえに高速道路の建設が凍結されるというふうに、短絡的にといいますか、ある意味では当然のような御心配をされているわけであります。
 したがって、高速道路というのは、やはり全部がつながることによって機能するわけでありまして、私、この間、その一つの例としては、滋賀県のある地方に参りまして、大きな大学の立派な先生方とお会いをしていろいろなお話をしたときに、その窓からちょっと見える先に高速道路の出口の工事をしている、それがちょうど途中だったんですね。そのインテリの方々が、西川さん、あれは完成させてくださいね、こうおっしゃるわけですよ。私は、そんな力はありませんよ、こう言ったんですが、しかし、極端に、そんなことをみんな思い込んじゃっている。
 私は、現在工事中の路線については、用地の取得など、さまざまな事業というものは着実に実行するべきである、国民に安心してもらうべきである、こう思っておりますが、国土交通省はこの点についてどうお考えでございましょうか。
大石政府参考人 高速自動車国道は、先ほど大臣からもお話がございましたように、幹線道路網の枢要部分でございます。したがいまして、この路線が、活力ある地域の形成や国土の一体的な利用にとって不可欠な根幹施設でございます。
 したがって、この高速道路の計画にリンクする形で、それぞれの地方公共団体が、土地利用計画やあるいは交通施設計画など、種々の地域計画を立てておられます。具体的に施工中の路線はそれぞれに具体のプロジェクトがリンクしている、こういう状況になってございます。四十二都道府県で事業を進めておりますが、これに関係するプロジェクトは百十一もございますし、十万人の雇用にも影響があるというのは先ほど御説明したとおりでございます。
 また、現在事業中の区間の既投資額は、もう既に約五兆円という状況にもなってございます。橋梁やトンネルなどの構造物が工事途中の不安定な状態で放置されるということは許されないと思っておりますし、それより何よりも、用地交渉中の国民の皆様方、地権者でございますが、六万人にも達しておりまして、こういった方々の生活再建や生活保障という観点からも大きな影響が及ぶということが懸念されるわけでございます。したがって、このようなことは絶対に起こしてはならないというように考えてございます。
 予定されております施工中の路線につきましては、計画的に、効率的に、着実に整備していくべきものと考えております。しかしながら、今後の高速道路の整備全体につきましては、本委員会で御議論いただいております推進委員会の意見を踏まえ、建設会議の議を経て国土交通大臣が決定していくわけでございます。したがいまして、いかなる方法をとるかという点はございますが、予定路線やあるいは整備計画路線を計画的、着実に整備していくこと自身は、政府の約束として、義務であると考えております。
西川(太)委員 石原大臣にお尋ねをさせていただきますが、この法律によって設置をされる道路関係四公団民営化推進委員会、これは、今後、道路関係四公団にかわって、採算性を確保することなどを検討するわけでございましょうけれども、当然求められることは、客観的かつ公平な審議を確保していただく、こういうことではないか。国会の同意も必要ないということになるわけでありますから、なおのこと、この委員選定につきましては十分なしっかりとしたことが必要ではないか、こう思うわけでございますが、これについての石原大臣の基本的なお考えを賜りたいと思います。
石原国務大臣 ただいま西川委員が御指摘されたとおり、特定の分野に偏ったり、あるいは公正、公平性を欠くというような方には、私も委員にはなっていただきたくないと考えております。
 総理もかねがね申しておりますように、改革意欲に富んで、本当にどんな抵抗にもめげずにやってくれる人がいたら、だれでもいいから推薦しろと言っておりますので、当推進委員会のこの法律案が通りまして、可及的速やかに、総理の強いリーダーシップのもとにすばらしい方が選任されるものと確信をしているところでございます。
西川(太)委員 熊代副大臣に一問お尋ねをしたいと思いますけれども、個別路線についてはこの推進委員会では審議しないで、国土交通省が責任を持って国幹会議の議を経て決定する、こう私は考えているわけでございますが、これは間違いないと思うのでありますが、委員会の意見が今年十二月に内閣総理大臣に提出された後に、国交省が個別路線の整備の決定をすることになっておる、こう理解してよろしいのでございましょうか。
熊代副大臣 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりだと思いますが、この民営化、そして組織形態のあり方、国庫補助なしとか、いろいろ地方のお話もございましたけれども、それだけの閣議決定の条件がついておりますけれども、それで道路建設が非常に難しくなるということでは必ずしもないだろうと思うのですね。
 地方の声を十分反映しまして、例えば、膨大な借金もあるというけれども、膨大な資産もあるということでございますから、膨大な資産を出資して、それで株式を取得する、その株式を国民の皆様に皆持っていただいて、非常に大きな大きな建設ができるとか、そういうこともありましょうし、それから、これは本格的な検討をしてくださる委員会でございましょうから、確かに五十年以内でお金は返すということでございますけれども、それと道路料金の水準をきっちりと結びつけるのか、あるいは、民営化だから、その道路の料金というのは、返すことは確かに返すけれども、一応切り離して、民間で自由な立場で、最もいい、喜んで使っていただいて、かえって市場に流れるようなものを持ってくるとか、いろいろなこともございますので、ここできっぱりと決めていただいて、しかし、具体的な個々の路線は、それはその原理原則に従って、国幹審の議を経ての国交省、国交大臣にお任せして、政府として決めていただくということで十分ではないかと思っております。
西川(太)委員 最後のお尋ねであります。
 本州四国連絡橋公団が保有する債務、これを確実に償還するために、国は必要な措置を講じ、引き続き資金が円滑に調達できるようにしなければならない、こういうふうに考えるわけであります。債務を確実に償還していくために、国が責任を持って必要な措置を講ずることができるのか、しなくてはいけないんだ、こういうことでよろしいのか、両大臣の御見解を承って質問を終わるわけでありますけれども、高速道路の整備というのは、冒頭申し上げましたとおり、国全体にとって非常に重要な基本的な問題であります。どうぞ慎重に、冷静に、政府におかれては議論を重ねられて適切な対応をしていただきたいということを希望して、御答弁をいただきましたならば質問を終わりたい、こう思います。
石原国務大臣 ただいま西川委員が御指摘されました債務の償還というものが一番私は重要であると考えております。「確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。」と基本方針で示させていただいたところでございます。
扇国務大臣 西川議員が御承知のとおりだと思いますけれども、少しでも本四架橋、本四公団の負債を軽減しようということで、御承知のとおり、平成十三年度の予算におきまして、従来の出資金の八百億円、これに加えて無利子貸し付け八百億円を措置して、さらに、十四年度の予算におきましては無利子の貸し付けを千八百億円に、これは前倒しいたしました。
 それによって、少なくともこの増額によって、本四公団が有する債務というのは、確実に償還していく上で必要な措置ということで今までに例のない前倒しをしたということも、この道路公団、本四の民営化の推進委員会においてこういうことを御論議いただきやすくなるようにということで、荷を軽くするように最大限の措置をし、努力しているというのが国土交通省の役目でございます。
西川(太)委員 ありがとうございました。終わります。
大畠委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。
 以上で本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会
     ――――◇―――――
  〔参照〕
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案は内閣委員会議録第四号に掲載


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