衆議院

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第10号 平成14年5月23日(木曜日)

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平成十四年五月二十三日(木曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 瓦   力君
   理事 衛藤征士郎君 理事 金子 一義君
   理事 久間 章生君 理事 米田 建三君
   理事 赤松 正雄君
      石破  茂君    岩永 峯一君
      岩屋  毅君    大野 松茂君
      嘉数 知賢君    上川 陽子君
      熊谷 市雄君    近藤 基彦君
      左藤  章君    斉藤斗志二君
      桜田 義孝君    七条  明君
      田中 和徳君    中山 利生君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      林 省之介君    林田  彪君
      増田 敏男君    森岡 正宏君
      山口 泰明君    上田  勇君
      白保 台一君    田端 正広君
      丸谷 佳織君    井上 喜一君
      小池百合子君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   衆議院調査局武力攻撃事態
   への対処に関する特別調査
   室長           鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     左藤  章君
  小島 敏男君     上川 陽子君
  山口 泰明君     林田  彪君
  田端 正広君     丸谷 佳織君
  井上 喜一君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     小島 敏男君
  左藤  章君     岩永 峯一君
  林田  彪君     山口 泰明君
  丸谷 佳織君     田端 正広君
  小池百合子君     井上 喜一君
    ―――――――――――――
五月二十三日
 有事法制の制定反対に関する請願(今川正美君紹介)(第三二七九号)
 同(今川正美君紹介)(第三三一二号)
 同(金田誠一君紹介)(第三三一三号)
 同(今川正美君紹介)(第三三四八号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三三四九号)
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(金田誠一君紹介)(第三三一四号)
 同(桑原豊君紹介)(第三三一五号)
 同(山内惠子君紹介)(第三三五〇号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第三四二七号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(今川正美君紹介)(第三三一六号)
 同(桑原豊君紹介)(第三三一七号)
 同(原陽子君紹介)(第三三一八号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三三五一号)
 同(横光克彦君紹介)(第三三五二号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第三四二八号)
 有事法制立法化反対等に関する請願(藤木洋子君紹介)(第三四二六号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四二九号)
 同(石井郁子君紹介)(第三四三〇号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三四三一号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三四三二号)
 同(大森猛君紹介)(第三四三三号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三四三四号)
 同(児玉健次君紹介)(第三四三五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三四三六号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四三七号)
 同(志位和夫君紹介)(第三四三八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三四三九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三四四〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第三四四一号)
 同(春名直章君紹介)(第三四四二号)
 同(不破哲三君紹介)(第三四四三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三四四四号)
 同(松本善明君紹介)(第三四四五号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三四四六号)
 同(山口富男君紹介)(第三四四七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三四四八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(内閣提出第八八号)
 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――
瓦委員長 これより会議を開きます。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。
 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
瓦委員長 速記を起こしてください。
 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省条約局長海老原紳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。
森岡委員 おはようございます。私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 今もって野党の諸君が当委員会に出席されないという姿勢は、議会制民主主義を踏みにじるものでございまして、大変残念だと思っております。
 私は、きょう、武力攻撃事態対処法を中心とした三法案について質問をしたいと思って参りましたが、昨夜来、在瀋陽総領事館の事件につきまして進展がございました。この件を中心に、外務大臣、官房長官、そしてまた防衛庁長官に質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、この中国当局に拘束されていた北朝鮮人五人が、釈放されて、マニラ経由でけさソウルの仁川空港に着いたというニュースが流れました。このことの経過について、まず外務大臣に伺いたいと思います。
 日本政府は、中国側から、いつ、だれが、だれから、どのようにこの経過を聞かされたのか。そして、なぜフィリピンという国を選んだのか。そして、なおかつ、亡命者が持っていたという請願書には、リクエスト・アサイラム・イン・ザ・ユナイテッドステーツと書かれていました。どうして韓国を行き先に選ばれたのか。それをまず外務大臣にお答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 たくさんの御質問がございましたので、全部漏れなくお答えできるかどうかちょっと自信がありませんけれども、まず、日本政府に事前に通報がございましたのは、二十一日の夜遅くといいますか、二十二日の早朝、未明といいますか、要するに夜中の時間、二十一日から二十二日にかけての夜中でございまして、外交ルートでございました。
 それから、なぜフィリピンを選んだのかということでございますが、韓国に行くまでの経路、これは韓国政府の手配によるものでございます。
 そして、なぜその韓国かということでございますけれども、これは、私が承知をいたしていますところでは、韓国政府がとりあえず韓国で今後のことについてはいろいろ考えるのであろうというふうに思います。
森岡委員 先ほどの質問ですが、中国政府のだれから、だれにこの情報が伝わったのか、お願いします。
川口国務大臣 先ほど外交ルートでと申し上げまして、それ以上の細かいことはちょっと、問題の性格にかんがみ、控えさせていただきたいと思います。外交ルートです。
森岡委員 けさのテレビを見ておりますと、韓国の仁川空港で日本の寺田大使はこの五人の亡命者に会って事情聴取をされたということでしたね。どういうことをお聞きになったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 事情聴取といいますか、仁川空港で、到着後、寺田大使ほかがお会いをして日本政府としてのお話をさせていただいたということでございまして、事情聴取という、細かい、そういったディテールに入ったものではございません。
森岡委員 ディテールに入ったものじゃないとはおっしゃいましたけれども、ただ雑談をしておられただけなのか、何をお聞きになったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 時間的には非常に短いものでございまして、雑談といいますか、日本政府として本件について考えている思い、それから日本政府としてなした努力等についてお話をさせていただいたということでございます。
森岡委員 官房長官に伺いたいと思います。
 この事件の発生が八日でございました。あれから二週間たちました。今の時点で、この日中間の交渉に百点満点で何点をおつけになるでしょうか、率直にお答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 私もけさテレビを見ていまして、ソウルの空港で五人の方がうれしそうな顔をしておられた。そしてまた、もう一つは、韓国でそれを迎えた親戚の方々、これは本当にうれしそうな顔をしていましたね。心から歓迎するというあの姿を見て、私は本当によかったなと思っております。
 今回、この事件につきまして、人道的な観点から中国政府も我が国の要請した方向で解決をしてくれたということについては、これは評価をしたいというように思っております。
 ただ、問題も残ったわけですね。国際法上の問題が残った。こういうことでございまして、このことについては、我が国としては、我が国の立場、考え方、これを今後も主張していかなければいけないと思うし、そういう中で中国側とどういうような解決ができるか、こういうことになろうかと思います。
 正直申しまして、これはまだ経過、そういう意味においては、すべて一件落着というわけにはいっていないだろう、こう思いますし、全体像が明確になったときに評定すべきだ、こういうように思います。
 もう一つ申し上げれば、我が方の対応の仕方がどうだったか、こういったようなことも検証しなければいけない。また、至急やらなきゃいかぬことは、こういう事態にどういう危機管理を必要とするか、また警備は今の状況でいいのかどうか、このことも大いに反省しなければいけない。そういうこともあわせ考えて評点したいと思っております。
森岡委員 今、官房長官は、一件落着ではないというふうにおっしゃいました。報道によりますと、ことしは日中国交三十周年の記念行事があるから、これに差し支えのないように、瀋陽事件はその再発防止策を日中間で取りまとめて幕引きしてしまうんじゃないか、そういうニュースも流れているわけでございます。
 事実関係を棚上げしてうやむやに終わってしまう、私はこれを一番恐れているわけでございまして、日本は国際社会で笑い物になっている、それなのにこの事件がうやむやになってしまう、このことを私は本当に憂えているわけでございます。
 外務省の職員についてのふがいない状況、責任問題もございますが、これよりも、私は一番大事なのは、国家の尊厳が傷ついているということだと思うわけでございまして、官房長官、改めて私は、このことを、官房長官の御感想を伺いたいと思うわけでございます。
 今、御承知のとおり、当委員会でこの武力攻撃事態法が審議されているわけでございます。私は、今までの審議の経過を見ておりまして、必ずしも百点満点をつけられる法案ではない、しかし、この法案を国会に出せたということ自体大変画期的なことだと評価をしておりますし、たとえ五十点と言われようとも私はこの法案を通したい、そんな気持ちで臨んでいるわけでございます。
 この法案とも関係するわけでございますが、今の状態のままで日中国交三十周年を国民みんな喜べるだろうか、私はそれを官房長官に聞きたいわけでございまして、率直に官房長官の御感想をお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 今回のことは、我が国の在外公館の一つ、総領事館において起こったことでありますけれども、私は、これは、その部分で起こったそこの事件だというようには思わないのですね。難民問題とか亡命が起こったときどういうふうに対処するかというその問題、やはりこれは、日本の政府全体がどういう考え方をしているかということが明確でないということ、そのことが一つ大きな原因であったのではないのかな、こんなふうにも思っております。現場における、末端の政府機関においてそのあいまいさが不幸にして出てしまったという部分もあったのじゃないかな、こんなふうにも思います。
 そういうことであれば、この問題について何らかの方向性を考えていかなければいけない。これは、私どもの政府もそうでございます。また、政治の問題としてもこれは真剣にお取り上げいただきたい問題だろうというように思っております。
 我が国は我が国一人で生きているわけではありません。近隣諸国、また米国とも非常に緊密なる関係を持ちながら、そういう国際社会の中で生きていくわけでありますから、また特に近隣諸国、これとの融和とかそういうことも当然考えなければいけない。
 不幸にして、近隣諸国で、例えば今は北朝鮮と国交がない、そしてまたロシアとも平和条約を締結していない、こういう状況にあるわけですね。果たして今の日本のこの姿、形、国際社会の中でどういうふうに評価されているかといったようなことも考えなければいけないし、それでいいのかどうか、日本の生きていく道としてそういうことはいいのかどうか、これも考えていかなければいけない。
 ましてや、韓国とかまた中国、これは国交があり、そして非常に深い関係を今築きつつあるわけですね。これから関係はさらに深まっていくだろう。そういう国々と不断の理解を深める中で友好的な関係をどうやって築いていくか、これも大きな課題だろうと思います。
 それは、相手は相手の都合もあるだろうし、日本には日本の都合もあるだろうし、お互いにその都合を言い合うということもあるだろうと思います。しかし、その言い合いの結果けんかをしているのでは、これは、私は、先ほど申しましたような日本の立場というものがそれでいいかどうかという問題に突き当たるわけでございますから、これは、そういう大局的な観点からの考察も必要だろうと思います。ただ、問題があったときにそれをうやむやにするということは、これは果たして長いおつき合いをしていく上でいいのか悪いのか、このこともあわせ考えなければいけない。
 そんなことを思いつつ、こういう一つ一つの問題に対処していく、この姿勢が大事なんだろうというように思っておりますので、その辺はまた委員もよく御案内のことだと思いますので、我々もそういうふうな姿勢を保っていきたいと思っておるところでございます。
森岡委員 私は、当委員会に出された法案によりまして、ようやく自分の国は自分たちの手で守れるんだという体制ができるということを、本当にうれしく思っているわけでございます。
 このやさきにこの瀋陽の事件が起こった。今のような官房長官の御説明、御感想、わからないでもないわけでございますけれども、やはり私は、日本の尊厳が傷つけられている。日本の主張が入れられていない。余りにも、あのテレビを通じて世界に流れた画像を見ましたら、中国の不可侵権の侵害は明白じゃないか。それがあるのに、どうして日本はきちっとした姿勢をとれないのか。これを世界じゅうが見ているわけでございます。そういう意味で、今おっしゃったように、この五人の身柄についての人道上の配慮がなされた、人権が守られたということについては、私も評価をしております。
 官房長官、お急ぎでございましょうから、結構でございます。
 外務大臣に伺いたいわけでございますが、事件発生後、明らかなウィーン条約違反だとして、不可侵権の侵害について不退転の決意ということをおっしゃいましたね。また、毅然たる姿勢で中国側と交渉していくということを総理も外務大臣もおっしゃっていました。
 交渉が長引くにつれまして、人道問題を最優先するということが報道されてまいりましたし、だんだんとそういう姿勢に変わってまいりました。毅然たる姿勢とか不退転の決意という言葉がどこかへ飛んでしまって、昨晩の川口外務大臣の会見を見ておりますと、中国側との間で、事実認識の問題については、今の官房長官のお答えにもございましたけれども、日中関係の大局を踏まえ、引き続き冷静に対処していくとおっしゃっています。
 このように二週間の間に変わってきたのはどういう事情でしょうか。外務大臣の御感想、御意見をお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 私は、問題の解決に対して不退転の決意で行うということを申し上げました。問題は二つございまして、一つは人道上の問題、もう一つが国際法上の問題でございます。
 それで、人道上の問題と日本がずっと言ってきたことにつきましては、非常に幸いなことに、本当によかったと思っていますけれども、昨日ああいう形で中国側が措置をしたということでございます。
 それから、残っているのは国際法上の問題でございまして、問題は、これをどのように今後解決をしていくかということでございます。今はっきりしていますのは、これは昨日私も記者会見で申しましたけれども、日本側には日本の主張があるということでございまして、それは、調査の結果、はっきりそれをお出しさせていただいたわけでございます。他方で、中国には中国の主張があるということです。
 それから、その入り口のところでの、入ったことは、これはビデオで見れば議員がおっしゃったように明らかですけれども、中国はまさに、若い、地方から出てきた武装警察が、大使館の安全を確保するということで、自爆者かもしれないところを、それを覚悟で対応したのだということもあるわけでございますね。
 両方が違う認識を持っているということを前提にしなければいけないということでございまして、その上で、今後どのように解決していくかということについて、日中の関係の大局を踏まえて、冷静に対処をしていくということを昨日申し上げたわけでございます。
森岡委員 先ほど官房長官がお述べになりましたように、今回の瀋陽の事件は幾つかの課題を私たちに提起してくれたように思います。
 そこで、幾つかございますが、一つだけ防衛庁長官に伺いたいと思います。
 その一つは、在外公館の警護についてでございます。もしも同じことが、アメリカ大使館、またロシア大使館などで起こっていたらどうなったでしょうか。アメリカ大使館には海兵隊の一個小隊が警護しておる、またロシアの大使館ではKGBが守っておる、こんなことを聞いております。日本の在外公館は現地で雇ったガードマン、丸腰のガードマンが警護しておる。ペルーの大使館のあの人質事件がございましたが、この教訓が全く生かされていないのじゃないか、私はそんなふうに思えてならないわけでございます。中国の武装警察は、軍の管理下にもあるし、また公安部の管理下にも置かれている、こんなふうに伺っております。
 昔は我が国も領事警察というものがあって、武装して、そして発砲してもいいのだという状態になっておった。ところが、現在はそうじゃない。在外公館を警護するために武器を持った警察官か自衛官を出せるようにすべきじゃないか。少なくとも領事館や大使館の中は日本の警察や自衛官がしっかりと守る、こういう体制をつくるべきじゃないか。自衛隊の所掌事務の中に、所掌業務の中に在外公館の警護を加えたらと私は提案したいわけでございますけれども、防衛庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 在外公館の安全につきましては、いつ何が起こるかわからないということでございまして、やはり、危機管理という気構えを持って、備えは常にという精神が必要だと考えております。
 基本的には、在外公館の警備のあり方につきましては、一義的に外務省が所掌しておりまして、防衛庁がお答えするということは必ずしも適当ではございませんし、また現在、在外公館の警備につきましては、現行法上、自衛隊の任務、また権限とされていないところでございますが、現在は、外務省の要請に応じまして、主に所属する在外公館の警備体制の企画立案、警備に関する業務を担当させるため、在外公館警備対策官として、現在、三十二の在外公館に三十二名派遣しているというのが現状でございます。
 今後のことにつきましては、やはり外務省が対処基本方針を定めて、それに対するマニュアルをつくって、日ごろから訓練を重ねて、不測の事態に直ちに行動できるようにしておく必要があるというふうに考えております。
森岡委員 二つ目の課題に移りたいと思います。
 外務大臣にお答えをいただきたいと思いますが、阿南中国大使の発言が問題になりました。私は、難民や亡命者に対する今の日本の政府の方針、これを見ておりますと、現場の人たちは大変苦労をなさっているんだなということを感じるんです。
 私は、かつて日本がインドシナ難民の受け入れ枠を決めてベトナムなどのボートピープルを受け入れた、その経緯を知っております。今後、北朝鮮の、もしも金正日体制が突然崩れる、そして日本海沿岸に難民が押し寄せてくる、そういう事態だってあり得ないことではない。日本の国情を考えるとウエルカム、ウエルカムということでは困る。かといって、国際社会から、日本は冷たい国だ、人権を考えないのか、人道上問題がある、こう批判されても困るわけでございます。そういうことを考えますと、政治亡命者をどうするか、また経済難民に対してどう対応するか。
 北朝鮮の難民に対して、また亡命者に対して、大いに政府内で議論をし、そして今とっている政府の政策を見直すべきじゃないでしょうか。外務大臣の御意見を伺いたいと思います。
川口国務大臣 まさに委員の御指摘のとおりだと私も思います。
 先ほど官房長官がおっしゃられましたように、この瀋陽総領事館事件がもたらした、私たちが考えなければいけない問題点のうち最大のものと言っても過言ではないのが、この我が国の難民問題、亡命者問題に対する対応のあり方だと思います。
 この問題につきましては、私としても、今後、広く深く議論をしていくことが必要だと考えます。
森岡委員 もう一つ大きな課題を私は外務大臣に聞きたいと思います。中国とのつき合い方でございます。
 先ほども申し上げましたように、全世界に流された瀋陽事件の映像を見れば、中国の武装警察が日本側の同意なく領事館内に入って北朝鮮人を無理やり連れ出したということは明らかであります。この非を中国がどうしても認めないというならば、日本もこれまでの対中国政策を見直すべきではないか、私はそう思うわけでございまして、先ほど官房長官は大局に立ってということをおっしゃいましたけれども、私は、このまま瀋陽の事件が中国ペースでうやむやに終わって日本の主張が無視されるということになりますと、どうしても日本国民の一人として許せない、そんな気持ちでございます。
 これまで中国は、総理大臣の靖国神社参拝問題、また日本の歴史教科書問題、事あるごとに内政干渉を繰り返してまいりました。そして謝罪を要求してまいりました。それなのに中国への経済援助を、私たち、この日本国は続けているわけでございます。相手は、原子爆弾も持っている、ミサイルも持っている、そして十年以上二けた台の軍備の拡張を続けている、そんな国でございます。しかも、中国独自で第三国に経済援助もしている。こんな国に対してまだ日本が経済援助、これについて凍結するとか、きちっとした見直しをすべきだと私は思うわけでございまして、日本はどこまでお人よしなんだと、私は選挙区に帰りましても、もう本当にこのことはよく言われるわけでございます。
 先日、私はインドへ行ってまいりました。御承知のとおり、インドは大の親日国でございまして、インド国民が一番好きな国、一番行きたい国は、アメリカでもない、またイギリスでもロシアでもない、日本だ、こういうことなんですね。そして、インドがカシミール問題などで対決しているパキスタンに対して中国は援助しているんです。二番目の港をつくるんだというようなことも言っていると聞かされております。
 インドは、中国と一部国境を接しております。人口が十億、ITのソフト分野では世界の先端を走っております。日本は、中国に対して牽制する意味でも、インドとの関係をもっと強くすべきじゃないか、そういう感想を持ちながら帰ってまいりました。
 どの国とも問題が起こらないようにしていこうという事なかれ主義、また八方美人外交、これでは日本外交はもたないと思います。私は、安全保障にも配慮した、めり張りのある戦略的な外交を期待して申し上げているわけでございまして、日中国交三十周年の節目、日中友好に私は反対するものじゃございません。しかし、外交は国益と国益のぶつかり合いだと思います。
 川口外務大臣、対中国外交政策を見直すお考えがあるのかないのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 中国への外交姿勢のことでございますけれども、まず、中国が安定的に発展をしまして日中間が友好的に推移をするということは、我が国及びこの地域の平和と安定に対して非常に重要なことであると考えております。
 ODAのお話がございましたけれども、中国に対してのODAは、ODA大綱を踏まえまして、中国の援助需要や経済社会の状況、それから日中の二国間関係、これを総合的に勘案をいたしておりましてODAを決定しているわけです。
 特に中国との関係につきましてのODA、中国向けのODAですけれども、我が国も昨今非常に厳しい財政事情にあります。また、中国においても、発展段階が進んでくるにつれて需要が異なってくるということでございます。そうした変化その他を踏まえまして、昨年の十月に中国に対して対中国経済協力計画を策定いたしまして、中国へのODAはこの計画に基づいて行っているわけです。
 委員御指摘のような、第三国への中国の援助といった問題につきましては、これは不透明な部分が多いものですから、日本政府は中国政府に対して、この不透明な部分について透明度を増していくようにという話をしております。この中国への経済協力計画、先ほど申し上げたものにおきましても、中国の第三国援助について透明性を増すようにという部分が盛り込まれておりまして、こういう働きかけは行っております。
 ちなみに、中国への援助ですけれども、十三年度につきましては、十二年度実績に比べまして二五%減っているということでございます。
 それから、インドでございますが、インドについて、このインドとの友好関係というのも大事でございまして、日印共同宣言も昨年総理大臣が来ましたときに出しております。
 インドとどういうふうに友好関係を発展させていくかということについて、地政学的にインドが置かれている場所、インドの地政学的な観点を踏まえてという考え方も存在をすると思いますが、インドへの友好関係というのは、やはりそれ独自で友好関係を持っていくということが、アジアそれから世界の繁栄のために重要であると考えています。
森岡委員 私は、中国に対して日本の姿勢が余りにも弱腰過ぎるんじゃないか、言うべきことを言っていないんじゃないか、そんな思いを深くしているわけでございまして、今の外務大臣の御答弁だけでは私は承服しかねるものがあるわけでございます。
 確かに日中友好は大事でございますが、本当に日本がこれからめり張りのついた戦略的な外交をやってほしい、これを強く望みまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、浜田靖一君。
浜田委員 ただいま質問を許されました浜田靖一であります。
 きょうは、それこそこの武力攻撃に対処する法律案について質問をさせていただくわけでありますが、法案に入る前に、この議論を始める前に、ちょっとまた確認をしていきたいこともありますので、少しお話をさせていただきたいと思います。
 安全保障の議論というのは大変奥が深うございます。そしてまた、その中でも、外務大臣と先ほどいらっしゃいました各省にわたってのこと、そして武力に関すること、いわゆる軍事と言われることに関してのパートがあるわけであります。
 この中で、今回の法律は、自衛隊法の一部改正の法律というのがございます。これはどなたが見ても、防衛出動というものが既に法律として認められておるわけでありますので、それをしっかりと裏づけをするという意味ではこれは当たり前の話であって、そして今度は、もう一方、包括法案の方、いわゆる対処法の方でございますけれども、その中には、当然のごとく国としての姿勢というものが書かれておるわけであります。これは最低限と私は思っております。そしてまた、これの足りないところを二年でしっかりと裏づけしていくということでございますので、これは当然のことなのかなというふうに思うわけであります。
 しかしながら、よく軍事のことと国の姿勢のものというのが、ごっちゃになるのは当たり前なんですが、ちょっとごっちゃになり過ぎている部分があるので、そこのところをやはり整理しておくことも必要なのかな。
 先ほど同僚の森岡議員からお話がありました瀋陽の件にいたしましても、一体全体、では国家というのは何なのかねという話、これが非常に重要なことであって、友達同士の中でも、やはりお互いに認め合う、しかしながら、その認め合うというのは、ただ単にそこに力の優劣があって、かわいそうだからとか、この人は力がないから面倒を見ようとかということではなくて、お互いの性格、そしてその実力というものを尊重し合いながら、そこで関係ができてくるものと思うわけであります。
 その際に、やはり必ず身体的な能力の問題、それからそこにある自分の信念というものがお互いにあるわけでありますので、当然のごとくそこでぶつかり合うこともあるわけであります。そのときには、人間同士ですからけんかになることがあるかもしれない。そのときにお互いが殴り合いになったときに、力の強い方が勝って、屈服されるというようなことが往々にしてあるわけであります。力の強い人は必ず優位に立ってしまう部分がある。やはりそこのところを平等にしていく、自分の尊厳を守るためには、最低限、自分の身は自分で守るということがしっかりとあってこそ、本当の対等な関係になれるという部分もあるわけであります。すべてではありませんけれども、そういう部分がある。
 ですから、国家ということになっても、同じように、自分はそうは思っていないけれども、自分はこれでいいと思えばいいのでありますが、しかしそのときには、殴られようが尊敬されなかろうが我慢をして、とにかく、自分が傷だらけになっても、もしかして命をとられても構わない、そういう腹のくくりというか、自分の信念があればそれでいいのかもしれない。それは自分自身のことであって、では、ほかに守るべき人たちがいた場合には、自分だけの考え方だけで物事が通るとは思わないのであります。
 ですから、国家というのは、みんなが人間の権利そして尊厳をしっかりと尊重し合い、それが一つの個体となって、そして国家の中心となって、その人たちの信頼を集めて、この人にならすべてを任すことができる、そして自分たちのことを守ってくれる。しかしながら、それに、日々の生活の中で自分自身が自分の生活だけで精いっぱいだ、しかしそのトップにある人間がそういうことをしっかりと保障する。その保障によって日々の営みがしっかりと安定的に続けることができるという関係がしっかりとあるからこそ、国として、そして国家元首、国のトップになる人間の責任というものが明確になってくるんだと思うわけであります。
 今、世界では、確かに戦争という言葉はなくなったと言われております。しかしながら、紛争は引き続き起こっている。これは内容に違いがあるだけであります。大きさが、そして手続が違うだけのことだと思うわけであります。しかしながら、いまだに力によって何かを解決しようとしている人たちもいるわけであります。
 その中において、世界の中においての日本の責任というものは一体何なのか。日本は、それこそ平和憲法のもとに、海外の侵略はしない、そして、しっかりとした平和という概念を持っているという前提で今の安全保障政策が行われているわけであります。
 今回のこの法律に関して言えば、これはまさに憲法の範囲内、そして今まで長きにわたって、多くの先輩たちが努力をしながらもこういう法律を提出するに至らなかった、この経緯というのは一体何だったんであろうかというのが一つ疑問としてあるわけであります。
 その理由というのは私がここで言ってしまえばいいわけでありますけれども、しかしながら、やはり今回、先ほど、情けない話といえば情けない話なんですけれども、これすらも出せなかったというところに一体何があったのかなという気がするわけでありまして、その意味では、逆に、踏み切ったことが偉いのか、それとも、何で今までやらなかったのかということを責められるのか、紙一重ではありますけれども、今まで国会議員にならせていただいて九年、十年たつわけでありますけれども、その中においていろいろとお話を聞いていれば、これはあくまでも、よくよく考えてみますと、政治家としての我々の国民に対する説明というのが大変少なかった、政治家としての要するに国のあり方についての議論をしなかったがゆえにこのようなことになってきたのかな。
 そしてまた、確かにいろいろ事情があったのは事実であります。大戦の後、やはり戦争というものに対するアレルギー、戦いというものに対するアレルギーというものは当然あって、そして、今この日本という国が、法律的にも、そしてマインド的にも、では海外へ向けて軍隊を出そうなどということをできるはずがないというふうに私は思うわけであります。
 しかしながら、国際貢献という面においては、これは当然、日本が世界の中において自分たちの役割を、分担をしっかりと果たしていこうということがあって、今、我々の、国民の代表である自衛隊員の皆さんが大変な御苦労をされているわけであります。そういうことも、これは時代の流れによって少しずつではあるけれども、変わりつつあるわけであります。
 人間、変化をしなければやはり時代には対応していけないわけであります。この安全保障の分野でもいろいろな形で変化が見られておるときに、やはりこの法案について、当然のごとくこういうこともしっかりと法律として整備していかなければいけないというふうに私は思いますし、先ほど申しましたように、この法律の提出までの経緯について、安倍官房副長官お見えになりましたので、お答えをいただきたい。そして、では今なぜこの時期なのかということも含めてお話をいただければと思います。
安倍内閣官房副長官 ただいま浜田委員から、今までの経緯についての御下問がございました。もう既に浜田委員よく御承知のとおりでございますが、整理する上で、今までの経緯について御説明をさせていただきたいと思います。
 いわゆる有事法制につきましては、昭和五十二年八月以来、防衛庁が中心となって、立法準備ではないとの前提のもと、有事における自衛隊の円滑な行動の確保の観点から研究を実施してきたわけでございます。
 これまでに、昭和五十六年四月に防衛庁所管の法令、第一分類について、昭和五十九年十月に防衛庁以外の省庁の所管の法令、いわゆる第二分類について、それぞれ問題点を取りまとめ公表をいたしました。また、所管省庁が明確でない事項に関する法令、第三分類については、内閣官房が種々の調整を行ってまいったわけでございます。
 平成十三年一月、当時の森総理が施政方針演説において、法制化を目指した検討を政府に要請するとの与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始するとの方針が示され、内閣官房を中心に、関係省庁の連携協力を得て検討を進めてきたところでございます。
 去る二月四日、小泉総理が施政方針演説において、有事に強い国づくりを進めるため、有事への対応に関する法制について取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出するとの方針が示されました。これを受けて、武力攻撃事態という、国及び国民の安全にとって最も緊急かつ重大な事態が生じた場合における対処を中心に、国全体として基本的な危機管理体制の整備を図るため、今般、武力攻撃事態対処関連三法案を提出したことでございます。
 いわば、有事の際、自衛隊が動くことについての法制が不備であるという問題点につきましては、これは自衛隊法ができた当初から指摘をされてきたわけでございまして、御承知のように、福田内閣において、この整備について、法整備は前提とはしないが検討していく、そういうことでキックオフがされたわけでございます。
 自来、問題点はわかっているけれども、情勢がなかなか政治決断に至らないということであったわけでございますが、森総理の勇断で、所信表明で有事法制の必要性が盛り込まれ、そして今般、小泉総理が決断をされたということでございます。
 今なぜという批判があるわけでございますが、今までなぜできなかったかということを我々はむしろ問う、また自分自身に問うべきではないか、それが政治家としての私は責務ではないか、当然の責務ではないか、このように思うわけでございます。
浜田委員 ありがとうございました。
 そういう形で検討してきた年数というのはかなりあったわけでありまして、少しずつ、当然これは自衛隊法ができたときからというお話がございましたが、いろいろな事態が目の前にあらわれてきて、その中で、要するに後から新しいもの、しっかりしなきゃいけないじゃないかというものがどんどん出てきた。ここでもう一度基本に返って、この部分をしっかりと法制をつくっておくというのが重要だということだというふうに思うわけであります。
 そして、もう一回、もう一つ確認をしたいんですが、中谷防衛庁長官にお聞きしますが、自衛隊の任務というのが自衛隊法の中にありますが、この内容としてはどういうふうになるわけでありましょうか。
中谷国務大臣 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対して我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとされているところでございます。
 先ほど浜田委員の方から、国家とはという基本認識のお話がありました。それぞれの国に歴史があって独立記念日もございますが、この国家の独立ということは、英語で言うとインディペンデントということで、ひとり立ちをするということでございまして、やはり自分たちの国は自分たちの手で、そして自分たちの理想を実現するためにあるわけでございまして、そういった国家に対して武力をもって侵略をし国を破壊する行為に対して、やはり国を防衛する必要がございます。そういうために自衛隊があるわけでございまして、自衛隊は我が国の平和と独立を守るために存在しているというふうに考えております。
浜田委員 そこで、今のお話のように、我が国の独立、平和を守る、そして武力に対処するために、そういう武力侵略に対してしっかり対処していくというのが自衛隊の役割であります。ということは、そういった事態が起きたときには危険な戦闘地域に一番最初に行ってこれに対処するというのが自衛隊の役割であります。
 これはいろいろな議論が今までなされてまいりました、この委員会ですけれども。しかし、そのときに、どうも何かこう違うな違うなと思うのは、あくまでも自衛隊というのは、これは軍事の組織でありますので、今任務、自衛隊法の中で義務づけられているそのことをかりれば、必要に応じて、要するに公共のというか一般の、いわゆる警職法と言われる部分に入るんでしょうが、そちらの方の形で警察と同じような仕事をするときもあるよ、しかしながら本則でいけば、本論でいけば、要するにこれは武力攻撃に対して対処するための軍事組織であるというのは当たり前の話であるわけであって、運用の話ですよね、要するに自衛隊が動く、対処する。これはあくまでも、自衛隊は武力攻撃に対してこれに対処する。しかし、ではこの後の国民の生命財産を守るというのと、ここは、まあ自衛隊、最後のところで長官おっしゃいましたけれども、必要に応じてという話がある。だけれども、要するに、自衛隊の今コンパクト化を図る中で、移動も大変まだ時間もかかる、そして対処するときには、もしも多方面から攻めてこられれば散開せざるを得ない。そのときには、では一体、国民の安全をだれが守るのかという話になるわけであります。
 これは当然のごとく、自衛隊という組織だけの問題ではなくて、一つ上に立って、先ほどお話ししましたように、政府として、国として対処しなきゃいけない。しかし、国がやることではあるけれども、国民の皆さん方の理解というんじゃなくて、国を守るために自衛隊が存在をし、そして国民の生命財産を守るために、政府として内閣総理大臣以下がこの責務を負ってすべて国民の平和と安全のために努力をする。しかし、どうも国民の皆さん方との乖離というのが、何か距離というのがあるんですね。
 国民の皆さん方が評論家になってしまっては困るわけでございまして、そういう意味では、自分たちの国の主権に対してこれを侵害する、これに対処するためには、とてもではないけれども、自衛隊だけではできないし、内閣だけでもできるはずがないのであって、どうも、国民の皆様方の協力とこの中に、法律の中では書いているんですが、本来であれば国の責務のはずなんでありますね。それで、納税とか、ああいうのも義務なんですね。だから、やはりそういうことも含めて、この中では義務というふうに私は書いた方がよかったのかなという気がするわけであります。
 しかし、どうも今までの議論を聞いていると、その差というか、政府が勝手に何かしちゃうんじゃないか、法律が決まっていないからという話もある。それは、確かに法律で動く組織でありますから、法律にしっかり書かにゃいかぬ。しかし、これは二年をかけてしっかりとした形をつくっていくというふうに内閣ではおっしゃっているわけであります。ですから、その点に関しては、これはだれのための法律なのかといえば、これは国民のための法律であり、そしてまた国家のしっかりとした独立のための最低限のもの、まだまだ不足のところはあるようには思いますけれども。
 しかし、これすら通らないということになれば、では、今この時点で議論していることが緊急事態に対することになったら、もっと主権の制限がかかる可能性というのは出てくるんじゃありませんか。これは当然そうであります。それはなぜかというと、実感できるから納得できる、実感できないから、納得できないからこれはだめというのでは、安全保障というか、そういう議論はできないんですよね。ですから、その点も含めて、この意味は、総理大臣はわかりやすく、小泉総理は備えあれば憂いなしとおっしゃいますけれども、それもわかるんですが、もう少し丁寧にお話ししていただけると本当はわかりいいのかなと。
 そしてまた、その責任を負っているのは一体だれなのか。これは内閣総理大臣の責任ですよ。では、もしも犠牲者が一人でも出た場合に、十人でも出た場合に、そのときに、ごめんなさいで済むんですか。日本の国民が、この間のテロのときでもそうですよ、二十四名の方が亡くなって、ではこれを解決するための法律、話し合いだと言うけれども、解決できないじゃないですか。それは武力に訴えているから話し合いができないんだみたいな話があるけれども、決してそうではなくて、もうある意図を持って攻撃を仕掛けてきているわけですから、その人たちと一体どこで話をするのか。
 ですから、あの事態が起きてしまってからそういう話をするのは無責任だと思うし、我々とすれば、しっかりとした意思の表明、そして国民の、国民としての怒り、我々の同国の人間が、日本国籍を持つ人間が、何の理由もなく二十四名が殺されたというのに、そこに怒りがないというのは一体どういうことなのか。では、国内で二十四人の人が殺された場合にはどれだけ怒りに差があるんですか。
 本来、国の責任というのは、要するに、内閣総理大臣がしっかりとそういう意思を持って、そしてその責任の重さを感じて、私がこの国の責任者としてやらせていただくからにはこれだけの装備と、これだけの軍備と、そして国民の皆さん方の一体感がなければこの国を守ることはできないということを本来言うべきだと私は思うのでありますが、その点に関しては、副長官、これはちょっと質問通告していませんけれども、これは御自分のお考えを言っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
安倍内閣官房副長官 ただいま浜田委員から基本的な認識についての御質問があったわけでございますが、この武力事態対処法案によって、我が国を守り、また我が国の国民の生命と財産を守るわけでございますが、どちらかといえば、新聞報道等の雰囲気では、国民と国がまるで相対峙しているかのごとくの報道があるわけでございます。
 当然、自衛隊は、国を守り、そして国民を守るために行動するわけでございますが、国民の権利、自由、そして民主主義、これを担保しているのは、実は、究極的には国家でございます。
 我が国は、民主的な国家であります。そして、自由主義の国家であります。何も他国から解放してもらって、自由を与えてもらおう、あるいは民主主義を与えてもらおうとはだれも思っていない。これは守りたいという、我が国国民だれもが認める価値であります。その価値を担保している。その価値を担保している機構が、機能がなくなるとどういうことになるかといえば、先般起こったパレスチナでの状況を見ればわかるわけでありまして、あのとき、パレスチナの人たちの人権をだれが守ることができたかどうか。やはり、我々の人権、自由、民主主義を守るのは、そして我々の歴史と伝統を守るのは、これは最終的には国家であるということでございまして、その国家自体の危機が迫るときにあっては、これはやはり国民の皆様にも協力をしていただかなければいけない。
 しかし、残念ながら、災害等につきましては、国民の皆様にも、現実的には起こるのは体験したこともあるわけでございまして、理解をしていただくことができるわけでございますが、ただ、どうも、いわゆる外国から攻められるということについては、なかなか現実的な認識として持つことができない。だから、やはり何となく想像できないから、自分たちの自由、いろいろな権利が侵されるのは、制約されるのは嫌だな、そういう気持ちがある。
 そういう中で、PTの中でもいろいろな御意見をいただいてああいう形になったわけでございますが、この法案を通して、また二年間、国民のいわゆる防衛につきましても、国民自体を防衛することにつきましても、いろいろと議論を広げながら、御理解をいただけるように努力を続けていきたい、このように思うわけでございます。
 また、昨年の九月十一日に起こりましたテロ事案のように、安全保障の問題というのはある日突然やってくるわけでございます。また、この武力事態対処法案を整備しても、今後三十年、五十年、全くそれを使う必要がないということも当然考えられるわけでございますし、そうなるのにこしたことはないわけでございますし、そうなるために我々は全力を挙げるわけでございます。
 しかしながら、万が一のときに、法律が不備があったがために国民に死傷者が出るということだけは避けなければいけないというのは、当然我々の責任なのであろうと思うわけでございまして、五兆円近い大きな予算を自衛隊に使っている以上、これは、自衛隊がいざというときに動けるように法律の整備をしていくというのは当然でございまして、ですから、その観点からいえば、自衛隊は認めるけれども、この法律の不備を埋めることは認めないというのは、私は論理としては極めておかしい、このように思うわけでございます。
浜田委員 ありがとうございました。
 それで、自衛隊員も日本の国民でありますので、前に同僚の石破委員の方からお話がありました、一番先に戦場に行く人間が一番平和を願っている、これはもう自衛隊員が一番平和を願っているわけであります。これはもう紛れもない事実である。そして、国民の皆さん方に、要するに、自衛隊員の方々が思っていることというのは、自衛隊員の皆さんに対して国民の皆さん方が、ああ、自衛隊の皆さん、御苦労さんと言っただけで、多分彼らは報われるんだろうなと思うわけであります。
 ですから、自衛隊がひとり歩きをすると言うけれども、それは国民側の認識の問題であって、自衛隊がともにあるのは日本の国民であるということは、これは間違いのないことであります。いつも自衛官の皆さん方が要するに、といっても、身近に感じないから国民の皆さん方わからぬかもしれぬが、彼らも国民である。そして、これは日本の財産であるわけですね。我が国は徴兵制度はとっていないのであります。志願兵で組織をしている組織であります。
 これはぜひ国民の皆さん方にも御理解をいただいて、そして、この自衛隊員の皆さん方を、要するに、シビリアンコントロールとは言うけれども、日ごろから各地、各部隊において、各地域の人たちと一緒に生活をしながら、そこで関係を結び、そして理解を得るために努力している自衛隊員の努力というものをしっかりと国民の皆さん方にもわかっていただきたいなと思うわけであります。
 さてそこで、これからまた法案の方に入らせていただきますけれども、最初に対処法案の方でございますけれども、武力攻撃事態については、いろいろなことがございますので、具体的に明示する必要はないと思いますけれども、ただ、政府としては、しっかりと、計画の作成と、シミュレーションも含めて、そういうものを実施して、対処に対しては遺漏のないようにするのが当然だと思うわけでありますが、その点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
安倍内閣官房副長官 武力事態のいろいろな形態があるわけでございまして、あらかじめ予測するというのは極めて困難ではあるわけでございますが、しかし、対処につきましては、国として総合的な意思決定と各種の措置の実施を迅速に行うことが極めて重要である、このように考えております。
 このため、政府としては、法案に定める制度の運用について研究等を平素から怠りなく進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 例えば、今回提出した法案につきましては、安全保障会議に事態対処専門委員会を設けて、武力攻撃事態の認定等の重大な判断を極めて限られた時間的制約の中で的確に行い得るよう平素から専門的な検討を行わせ、会議の審議を補佐させることとしております。その際には、武力攻撃事態の事例を想定して検討することも必要と考えております。
 このような取り組みによって、武力攻撃事態への対処に遺漏のないように努めていきたい、このように考えているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、平素から怠りなく進めていくことが肝要と考え、そのように行っていきたいと思っております。
 ただ、最初に申し上げましたように、外から攻めてこられるという事態をこちら側からあらかじめこういう類型に当てはめてその中だけで対応しようということになりますと、かえって柔軟性が失われるわけでございますから、そうではなくて、しかしながら、迅速に行動するために前もっていろいろなシミュレーションを絶えず行うということは重要であろう、こう考えております。
浜田委員 そうなのではありますけれども、これを立ち上げて動かすまでに、その内容の問題について少しお話を聞きたいと思うわけであります。
 そういうお考えの中から、いずれまた、さまざまな情報、資料をどのように分析して、評価して、そして認定していくのか、判断するのか。この点ともう一つは、要するに分析官の確保、養成というのはなされているのか。そしてまた、それにつけ加えて、各省庁に設置された情報収集機関の運用に関してはどのようにしていくのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
 というのは、既に、情報衛星を上げるに当たって分析官の養成というのがあって、もうその分野においては何人かが米国の方に行って訓練を受けているというふうに聞いたこともございますので、その点も含めて、そういうものを総合してどのように処理していくかということと、今後、その分析官の養成というのはどうするのかということも含めてお答えいただければと思います。
福田国務大臣 武力攻撃事態において情報をいかに的確にとらえるか、これはもう極めて大事というか、一番大事なところなんだろうと思いますね。そういうことで、情報分析をするとかというようなことについては、これは相当な配慮をしていかなければというふうに思っております。
 現在、政府におきましては、多様な事案に対して必要な専門的知識を発揮できるよう、関係省庁が内閣のもとで相互に緊密な関係を保ちつつ、情報の収集・分析体制の充実に努めております。また、内閣官房におきましては、内閣情報調査室を中心として、外務、防衛、警察などの情報関係省庁はもとより、経済関係等その他の省庁からも幅広く職員を受け入れるとともに、事案の内容に応じ、民間の専門家からの提言、助言を聴取するというようなこともできる体制を模索いたしております。
 また、昨年四月に、衛星による画像情報収集のための内閣衛星情報センターを設置いたしました。必要な職員の確保を図るとともに、平成十四年度冬期に、情報収集衛星二機の打ち上げを予定しております。これなども情報の分析解析、分析専門官、本当に専門家を必要とするというところでございます。
 政府といたしましては、武力攻撃事態における情報の収集・分析を的確に実施し得るよう、今後とも、政府全体として職員の能力向上に努めるなど、体制の充実強化に努めてまいります。
浜田委員 その中に、後で安保会議の方の法律の一部改正を聞こうと思っていたんですが、今、事態対処専門委員会というのがつくられるという話でございますが、この委員会に、要するに、例えば専門家というお話がありましたが、自衛官を勤務させるということを予定しているかどうか、ちょっとお聞かせいただけますか。
福田国務大臣 今度お出ししております法案の一つに、安全保障会議設置法の一部改正というものがございまして、ここに事態対処専門委員会を安全保障会議に設置するということになっております。これは内閣官房長官の、私のもとで平素から専門的な調査分析を行い、会議への進言を行うということによりまして、事態対処に関する会議の審議を補佐する、こういうことになっております。
 この委員会については常設でございますが、委員については内閣官房及び関係省庁の中から専門的知見を有する局長級以上の関係者を任命するということでございまして、その際、この知見を有する幹部の中で軍事の専門家として自衛官の高級幹部を任命する、こういうことはあり得ることであります。
浜田委員 これは常設ですね。はい、わかりました。
 それと、もう一つその件に関してなんですが、今現在、官房にいわゆる内閣危機管理監という制度というか職が置かれておるんですけれども、この法案成立後、国防担当の危機管理監を置くことが必要なんじゃないかなと私は思うんですけれども、その予定というのはあるんでしょうか。
福田国務大臣 国の防衛というのは、これは究極の危機管理だと思うんですね。その場合には、基本的には内閣総理大臣が危機管理監です。内閣総理大臣を中心として内閣が一体となって対応する、こういうことになろうかと思います。
 内閣危機管理監の所掌の事務対処という観点からしますと、国の防衛に関するもの、すなわち外部からの武力攻撃という事態への直接の対応については、一層高度なレベルでの総合的、政治的判断による。その判断によって決定されるので、これは、今置いております危機管理監では対応できない、こういうことになるわけです。
浜田委員 国防の部分というのは非常にまた重要なところでございますので、ぜひまた、今後御検討いただければと思うわけであります。
 そして次に、戻りますけれども、いわゆる基本理念の中に、少しこれは考えてみた方がいいのかなという気がするんですが、これは、日米安全保障条約に基づく日米共同対処について、協力でなくて明確に、共同して武力攻撃を排除するというふうに書いた方がいいのではないかなというふうな気がします。そしてまた、この場合、特に事態が緊迫した段階から日米で対処することをしっかりと書いた方がいいんじゃないかなという考えがあるんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
中谷国務大臣 日米安保条約の五条には、我が国の施政下にある領域における、いずれかの一方に対する武力攻撃に対して、日米両国で共同して対処するということを定めております。この武力攻撃事態への対処に関する基本理念を定めましたこの法律の第三条第五項には、日米安保条約に基づいてアメリカ合衆国と緊密に協力するということを規定いたしております。
 この安保条約の五条に定める日米共同対処行動は、このような協力の中核をなすものでございますが、武力攻撃事態の対処に当たっては、日米両国が武力攻撃を排除するためにこの条約に定める共同対処行動をとることのみならず、日米安保条約に基づいて広範な分野において緊密に協力するということが重要であることですから、このような規定ぶりとしたものでございます。
 また、安保条約の五条に基づいて米軍が武力の行使を行うのは、我が国に対する武力攻撃が行われた場合でございまして、武力攻撃発生前の段階においては、米軍が必要な準備行動をとる場合には、武力の行使に至らない活動を日米安保条約及び日米地位協定の範囲内で行うこととなります。このような、我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な米軍の行動を円滑かつ効果的なものとするための措置をとることも、日米安保条約の目的の範囲内でございます。
 このような観点からも、法案の第三条の第五項は、予測の事態も含む武力攻撃事態全般における日米協力に関する規定といたしたところでございます。
浜田委員 そういうことは確かにしっかりと担保してあるわけでありますけれども、ただ、やはりもっと、より明確に、しっかりと――今の軍事における防衛の体制というのは、米軍と要するに一体化した中で一つの戦略というか戦術が組まれていると思うわけであります。ですから、その点に関してしっかりと法律で書いた方がよりいいのかなというふうに考えまして、今御質問させていただいたわけでありますので、もしもそういうことであるならば、今後、平素からの日米間においてのそういった一つ一つの確認作業というものをしっかりとされることをお願いしたいと思うわけであります。
 そして、続いて、今、日本には閣議決定で国防の基本方針というのがあるわけであります。この基本方針に関しては、これは昭和三十二年につくられておるわけでありますけれども、今の現状と合致しない面もあるように思うわけでありますが、この法案が成立した後に、この基本方針というのも少し見直した方がいいんではないかなというふうに思うわけであります。その点に関してはどのようにお考えでしょうか。
中谷国務大臣 浜田議員御指摘の国防の基本方針といいますのは、「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」すなわち、国を守ることは、自由と民主主義を基調とする我が国社会の存立を守り、またそのもとで国民一人一人の幸福追求の基盤を守ることである。
 このため、我が国は、日本国憲法のもと、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持し、文民統制を確保し、節度ある防衛力を自主的に整備をしたというものでございます。
 この国防の基本方針に従いまして、現在まで防衛力の整備等、国防政策を行ってきたわけでございます。この作成当時と比べて、内外の諸情勢にはさまざまな変化が見られるわけでございますが、我が国の独立と平和を守るという国防の目的達成のための基本につきましては、この国防の基本方針の考え方が依然妥当するというふうに考えております。
浜田委員 すべて時代の流れが速くなっておりますし、そういう意味では、この基本方針についても考えをしっかりとするべき、もう一度議論して形をつくっていった方がいいのかなというふうな思いもございまして、今質問させていただいたわけでございます。
 そして、次に移らせていただきますけれども、いわゆる自衛隊法と本法案との関係について明確にしておく必要があると思うんです。特に、七十六条の事態においていずれの法律が優先して運用されるのか、ちょっと不明確なんじゃないかなというふうな気がします。
 そしてまた、三項、四項の承認受託規定があることによって自衛隊法が形骸化するのではないか、そしてまた、自衛隊の主任務を遂行する授権を自衛隊法ではなくて並列関係にある他法律で律することは、ちょっとこれはおかしいんではないかというような疑問もあるわけでありますが、この点についてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
中谷国務大臣 お尋ねの二つの法律の関係でございますが、自衛隊法というのは、自衛隊の任務、行動、権限等について定めております。そして、この武力事態の行動につきまして、今般、自衛隊の行動を中心とする武力攻撃事態への対処は国全体が一体となって行うべきものであるという観点から、この事態への対処全般について、基本となる事項を定めることによって、この事態への対処のための態勢の整備を図るために、武力攻撃事態対処法案を提出したものでございます。
 お尋ねの七十六条の件につきましては、防衛出動等の自衛隊の対処措置はあくまで自衛隊法を根拠といたしておりまして、今回の同法の改正は、武力攻撃事態対処法との関係におきましては、内閣総理大臣が防衛出動を命じる場合に同法案の定めるところにより国会の承認を得なければならないなどとする所要の手続規定の整備を行うものでございます。
 その一方で、武力事態対処法におきましては、自衛隊法に基づく防衛出動等の自衛隊が行う対処措置に関する重要事項を対処基本方針の記載事項とするとともに、当該対処基本方針について国会の承認を求める旨を規定したものでございます。
 このように、国全体で処置することと、また自衛隊の活動に基づくものというふうな違いによって区別をしているわけでございます。
浜田委員 そして、今度は対処基本方針の作成についてでありますが、平素から、作成する主務官庁及び作成要領が不明確ではないかなと思うんですが、この点についてはいかがでございましょうか。
福田国務大臣 対処基本方針は、内閣総理大臣が、国、地方公共団体等の対処措置を総合調整するとともに、行政各部を指揮監督するための根拠となるものであります。こういうような観点から、この方針については、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画立案、総合調整等を所掌する内閣官房が中心となって作成することを考えております。
 また、武力攻撃事態への対処に際し、国として、総合的な意思決定等、各種の措置の実施を迅速に行うことが極めて重要でありますので、その作成要領について所要の研究等を平素から怠りなく進めてまいる所存でございます。
 例えば、今回提出いたしました法案につきましては、安全保障会議に事態対処専門委員会を設けて、対処基本方針の作成などを極めて限られた時間的制約の中で的確に行い得るよう、平素から専門的な検討を行わせ、会議の審議を補佐させることにいたしております。
浜田委員 ぜひ一度、やはりこれは実際にそうなってまだ時間があるとは言いながらも、いざというときのあれもございますので、ぜひその点は明確にできるように、今見せろとは言いませんが、しかしながらそれが滞ったときには一体どうなるのかということになりますので、ぜひその点は官房でしっかりとしていただきたいなというふうに思うわけであります。
 そして、今度は自衛隊法の一部改正についてお話を聞きたいと思うのであります。
 いわゆる武器使用の件なのでありますが、防衛出動待機命令下に防御施設をつくっているときに、限定された地域、要員に対して認めることにしておりますけれども、待機命令を受令している隊員全員に本来これを拡大すべきなのではないかな。要するに、敵が自由意思を持って行動することを踏まえて判断すると、限定すると合理的な理由がちょっと不明なのかなというような気がします。この点を少し教えていただきたいと思います。
中谷国務大臣 今回の改正の法律では、事態が緊迫して防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、改正自衛隊法第七十七条二に基づきまして、防御施設の構築を命ぜられた自衛官は、展開予定地域において陣地等の防御施設の構築に従事することとなりますが、この展開予定地域と申しますと、武力攻撃が予測される重要施設や地域などでございまして、そこで活動する自衛官に対する妨害行為など、不測の事態が発生するおそれも否定できません。このために、自衛隊法第九十二条三を新設いたしまして、事態が緊迫して防衛出動命令が発せられることが予測される状況において、当該展開予定地域内で防御施設構築を行うに際して武器使用ができる旨の規定をしたものでございます。
 待機命令の場合はどうかということでございますが、展開予定地域内におきましては、第九十二条三の規定によって防護が可能であります。そして、展開予定地域外に所在する場合でありましても、駐屯地等の自衛隊施設に所在する場合につきましては、昨年秋に自衛隊法の改正で設けられました同法の九十五条二の規定により、防御可能であります。また、施設外に所在する場合につきましては、車両等により移動中であれば、現行の自衛隊法九十五条の規定によりまして、車両等を防護する隊の直接の防護対象として、または車両を防護する反射的効果として防護が可能であると考えております。
 御指摘の出動待機命令のように、事態が緊迫し、防衛出動命令が発せられることが予測される状況下における自衛官の防護のための武器使用規定につきましては、今般の改正第九十二条三によりまして所要の整備がされるものだと考えております。
浜田委員 時間の方も大分経過しまして、そろそろ終わりたいと思います。
 最後に、本来、自衛隊法の一部改正という中で、政府の見解からすると、自衛隊は一般に言う軍隊ではない、いや、この間大臣、そうは言わなかったのかな、軍隊と言ったのかわかりませんが、自衛隊は一般に言う軍隊ではないというふうに言っております。その中で、この法律をつくるに当たっては、本来、自衛隊の軍隊としての地位を明確にした方がいいのではないか。この解釈を変更しない限り、ある国が我が国に対して武力攻撃を行う、身柄を拘束した自衛官を我が国政府見解に基づいて軍人として扱わない場合も出てくる、身柄を拘束された自衛官は捕虜としての権利を保障されないで著しく不利になるのではないでしょうか、こういう心配もございます。
 ですから、本来であれば、この見解を変えて、自衛隊を軍隊と認めて、軍人としての名誉、処遇を与えることが必要なのではないかなというふうに思うのであります。
 これはあえて答弁は要りませんけれども、しかし、本来そういうところまで踏み込んでの検討というのが私は必要なのではないかなというふうに思いますし、ぜひこのことをまた我々も他の機会にしっかりと議論していきたい。
 そして、政治家として、国の基本であるこの安全保障、そしてまた我が国の国の主権の確立のために一体何を言い、そしてそれを言い切るだけの法律をつくり、そしてまた理論を構成することというのは、これは後退してはならないというふうに思うわけであります。今回のこの法律というのは、すべてを満たしておるわけではありませんけれども、最低限の法律として、我々は、これすらも持てないという国に果たして、外務省の職員である皆さん方に対しても、じゃ主権の重さというのは一体何なのか、そしてまた国民の皆さん方に対して主権というのは一体何なのかということをいま一度確信する意味でも、この法案を早くに通して、その議論をさらに詰めていっていただきたい。
 そして、最後に申し上げたいと思いますのは、ここに至るまでの間、内閣官房でこの問題をずっとやってきていただいたわけでありますが、しかし我が国において、いろいろな省庁との調整というのは大変難しいわけであります。そして、運用する場合に、この調整がおくれた際には被害が甚大になることは間違いのないことであります。二年のうちにというお話もございますけれども、そうではなくて、一刻も早く、あしたからでもというふうに言いたいわけでありますが、この問題を検討して、内閣官房長官のもとにしっかりとした運用体制を築いていただくことを心からお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
瓦委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。
 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
瓦委員長 速記を起こしてください。
 理事をして再度出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。
 この際、御報告申し上げます。
 予定しておりました明二十四日及び二十七日の委員派遣につきましては、諸般の事情により行わないこととなりましたので、念のため御了承願います。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十分散会


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