衆議院

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第14号 平成14年6月10日(月曜日)

会議録本文へ
平成十四年六月十日(月曜日)
    午後一時三分開議
 出席委員
   委員長 瓦   力君
   理事 衛藤征士郎君 理事 金子 一義君
   理事 久間 章生君 理事 米田 建三君
   理事 伊藤 英成君 理事 玄葉光一郎君
   理事 赤松 正雄君 理事 工藤堅太郎君
      石破  茂君    岩永 峯一君
      岩屋  毅君    大野 松茂君
      嘉数 知賢君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    小島 敏男君
      近藤 基彦君    斉藤斗志二君
      桜田 義孝君    七条  明君
      田中 和徳君    中山 利生君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      林 省之介君    増田 敏男君
      森岡 正宏君    吉野 正芳君
      伊藤 忠治君    枝野 幸男君
      大石 尚子君    川端 達夫君
      桑原  豊君    首藤 信彦君
      末松 義規君    仙谷 由人君
      手塚 仁雄君    中野 寛成君
      永田 寿康君    肥田美代子君
      渡辺  周君    上田  勇君
      白保 台一君    田端 正広君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      赤嶺 政賢君    木島日出夫君
      春名 直章君    今川 正美君
      東門美津子君    井上 喜一君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   衆議院調査局武力攻撃事態
   への対処に関する特別調査
   室長           鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  永田 寿康君     伊藤 忠治君
同月十日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     吉野 正芳君
  山口 泰明君     小泉 龍司君
  首藤 信彦君     仙谷 由人君
  末松 義規君     大石 尚子君
  筒井 信隆君     永田 寿康君
  赤嶺 政賢君     春名 直章君
  山口わか子君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     山口 泰明君
  吉野 正芳君     西川 京子君
  大石 尚子君     末松 義規君
  仙谷 由人君     首藤 信彦君
  永田 寿康君     手塚 仁雄君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  手塚 仁雄君     筒井 信隆君
    ―――――――――――――
六月四日
 有事法制の制定反対に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第三六九八号)
 同(日森文尋君紹介)(第三六九九号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七七三号)
 同(日森文尋君紹介)(第三七七四号)
 同(日森文尋君紹介)(第三八〇九号)
 同(川田悦子君紹介)(第三八六四号)
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(今川正美君紹介)(第三七〇〇号)
 同(金田誠一君紹介)(第三七〇一号)
 同(重野安正君紹介)(第三七〇二号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三七〇三号)
 同(今川正美君紹介)(第三七七五号)
 同(桑原豊君紹介)(第三七七六号)
 同(今川正美君紹介)(第三八一〇号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三八一一号)
 同(重野安正君紹介)(第三八一二号)
 同(日森文尋君紹介)(第三八一三号)
 同(横光克彦君紹介)(第三八一四号)
 同(阿部知子君紹介)(第三八六五号)
 同(生方幸夫君紹介)(第三八六六号)
 同(重野安正君紹介)(第三八六七号)
 同(日森文尋君紹介)(第三八六八号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(山口わか子君紹介)(第三七〇四号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三七〇五号)
 有事法制立法化反対に関する請願(山口富男君紹介)(第三七〇六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三七七七号)
 同(不破哲三君紹介)(第三七七八号)
 同(山口富男君紹介)(第三七七九号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(土井たか子君紹介)(第三七七二号)
 同(土井たか子君紹介)(第三八一五号)
 同(東門美津子君紹介)(第三八一六号)
 同(川田悦子君紹介)(第三八六九号)
 同(土井たか子君紹介)(第三八七〇号)
 同(東門美津子君紹介)(第三八七一号)
同月七日
 有事法制三法案反対に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三九八八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三九八九号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第四一四四号)
 同(不破哲三君紹介)(第四三一九号)
 同(山口富男君紹介)(第四三二〇号)
 有事法制反対、憲法第九条を守ることに関する請願(川田悦子君紹介)(第三九九〇号)
 有事法制の立法化反対に関する請願(今野東君紹介)(第三九九一号)
 同(北川れん子君紹介)(第四一一七号)
 同(葉山峻君紹介)(第四三〇五号)
 有事法制反対、憲法九条を生かした国際貢献に関する請願(石井郁子君紹介)(第三九九二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三九九三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四一一八号)
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(阿部知子君紹介)(第三九九四号)
 同(重野安正君紹介)(第三九九五号)
 同(中西績介君紹介)(第三九九六号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第四一一九号)
 同(重野安正君紹介)(第四一二〇号)
 同(仙谷由人君紹介)(第四一二一号)
 同(重野安正君紹介)(第四三〇六号)
 同(葉山峻君紹介)(第四三〇七号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九九七号)
 同(石井郁子君紹介)(第三九九八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三九九九号)
 同(大幡基夫君紹介)(第四〇〇〇号)
 同(大森猛君紹介)(第四〇〇一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四〇〇二号)
 同(児玉健次君紹介)(第四〇〇三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四〇〇四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇〇五号)
 同(志位和夫君紹介)(第四〇〇六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇〇七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四〇〇八号)
 同(中林よし子君紹介)(第四〇〇九号)
 同(春名直章君紹介)(第四〇一〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第四〇一一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四〇一二号)
 同(松本善明君紹介)(第四〇一三号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第四〇一四号)
 同(山口富男君紹介)(第四〇一五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四〇一六号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第四一二二号)
 同(石井郁子君紹介)(第四一二三号)
 同(小沢和秋君紹介)(第四一二四号)
 同(大幡基夫君紹介)(第四一二五号)
 同(大森猛君紹介)(第四一二六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四一二七号)
 同(児玉健次君紹介)(第四一二八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四一二九号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一三〇号)
 同(志位和夫君紹介)(第四一三一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四一三二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四一三三号)
 同(中林よし子君紹介)(第四一三四号)
 同(春名直章君紹介)(第四一三五号)
 同(不破哲三君紹介)(第四一三六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四一三七号)
 同(松本善明君紹介)(第四一三八号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第四一三九号)
 同(山口富男君紹介)(第四一四〇号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四一四一号)
 同(石井郁子君紹介)(第四三〇九号)
 同(大幡基夫君紹介)(第四三一〇号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四三一一号)
 同(筒井信隆君紹介)(第四三一二号)
 同(不破哲三君紹介)(第四三一三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四三一四号)
 同(山口富男君紹介)(第四三一五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四三一六号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(土井たか子君紹介)(第四〇一七号)
 同(東門美津子君紹介)(第四〇一八号)
 同(土井たか子君紹介)(第四一四二号)
 同(東門美津子君紹介)(第四一四三号)
 同(土井たか子君紹介)(第四三一七号)
 同(東門美津子君紹介)(第四三一八号)
 有事法制の制定反対に関する請願(金子哲夫君紹介)(第四一一六号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(筒井信隆君紹介)(第四三〇八号)
同月十日
 有事法制の立法化反対に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第四四七二号)
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(葉山峻君紹介)(第四四七三号)
 同(山元勉君紹介)(第四四七四号)
 同(植田至紀君紹介)(第四六七六号)
 同(葉山峻君紹介)(第四六七七号)
 同(山元勉君紹介)(第四六七八号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(土井たか子君紹介)(第四四七五号)
 同(東門美津子君紹介)(第四四七六号)
 同(土井たか子君紹介)(第四六九三号)
 同(東門美津子君紹介)(第四六九四号)
 有事関連三法案の廃案に関する請願(中川智子君紹介)(第四六六五号)
 有事法制反対に関する請願(今川正美君紹介)(第四六六六号)
 同(植田至紀君紹介)(第四六六七号)
 同(生方幸夫君紹介)(第四六六八号)
 同(金田誠一君紹介)(第四六六九号)
 同(桑原豊君紹介)(第四六七〇号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第四六七一号)
 同(東門美津子君紹介)(第四六七二号)
 同(中川智子君紹介)(第四六七三号)
 同(山元勉君紹介)(第四六七四号)
 有事法制の制定反対に関する請願(東門美津子君紹介)(第四六七五号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第四六七九号)
 同(葉山峻君紹介)(第四六八〇号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六八一号)
 同(大森猛君紹介)(第四六八二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四六八三号)
 同(児玉健次君紹介)(第四六八四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六八五号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四六八六号)
 同(中林よし子君紹介)(第四六八七号)
 同(春名直章君紹介)(第四六八八号)
 同(不破哲三君紹介)(第四六八九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四六九〇号)
 同(松本善明君紹介)(第四六九一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第四六九二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(内閣提出第八八号)
 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
 安全保障基本法案(東祥三君外一名提出、衆法第二一号)
 非常事態対処基本法案(東祥三君外一名提出、衆法第二二号)


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     ――――◇―――――
瓦委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案並びに東祥三君外一名提出、安全保障基本法案及び非常事態対処基本法案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、各案の審査に関し、非核三原則をめぐる官房長官発言等について集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
金子(一)委員 自由民主党の金子一義でございます。
 まず冒頭に、小泉総理、きのうのワールドカップでありますけれども、歴史的な勝利をおさめました。一言御感想を。
小泉内閣総理大臣 これほど盛り上がったサッカー大会、私、初めてです。本当に勝ててよかったな、国民が老いも若きも一体となって日本選手を応援する、やはりスポーツはいいなと実感しました。
 この日韓共催のアジア初めてのサッカー大会、ぜひとも成功させたいと思っております。
金子(一)委員 総理が開会式に韓国においでになられたその時期に、残念ながら、福田官房長官の記者懇談で、非核三原則を見直して、そして我が国が核兵器を保有することがあり得るということが示唆されたような報道がなされてしまって、大変残念に思っておりますけれども、官房長官、真意をぜひ。
福田国務大臣 御指摘の私の発言でございますけれども、先々週末の記者会見でもって、これはその会見の後の懇談でございますけれども、ざっくばらんな意見交換の中でのものでございましたが、そしてまた正確に一字一句記憶しているわけではございませんけれども、国の安全保障のあり方にはそれぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえたさまざまな国民的議論があり得ることを述べたことでございまして、そういうことは申し上げたけれども、いかなる意味においても、政府としての今後の方向性を示すとか、そういうような趣旨の発言ではこれはございませんでした。
 しかし、こうした自分の発言が、将来、政府としての非核三原則見直しとかいったような可能性を示唆というようなことで受けとめられたということは、これは本当に残念でございまして、私の真意ではないということをはっきり申し上げておきます。
 また、我が国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則、この堅持ということについては、これは歴代内閣も何度も何度も明確に表明し、なおこの内閣におきましてもその方針を貫いておるということでございますので、今後ともこれを堅持していくという立場に変わりないことを申し上げておきます。
金子(一)委員 報道がひとり歩きをいたしまして、国内はもとよりでありますけれども、諸外国でもいろいろな報道がなされる、そのことによって我が国に対する誤解あるいは警戒感が生ずるということ、大変残念でありますけれども、今、官房長官の発言は真意であると我々理解をするところであります。
 ただ、一方で、海外で思わぬ反響を呼んでいることも間違いがない。あるアメリカの有力紙でも、一面トップで、核保有に対するタブーへの挑戦といったような見出しで報道されているというようなことであります。
 改めて、小泉総理、我が国の非核三原則の考え方、つまり我が国と核兵器とのかかわり方について、小泉内閣の御方針あるいは見解をお述べいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 我が国の非核三原則、これを堅持していくということに、小泉内閣、全く変わりありません。
金子(一)委員 福田官房長官の発言が、我々、理解した一方で、なぜこの時期にといぶかられているのも事実であると思っておりまして、小泉総理、総理は憲法改正は大いに議論されることを期待されるという御発言をいただいております。ただ、憲法改正の議論の中で、この非核三原則というのをどういうふうに位置づけられているのか。総理の頭の中に、この非核三原則も見直しをされるべきという位置づけがあるのかどうか。改めて確認をさせていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 憲法改正の議論と私は非核三原則堅持ということは別問題だと思っております。憲法改正の議論は大いにしていただきたい、しかし、この憲法改正議論と非核三原則とは全く関係ないと思っております。
金子(一)委員 今回の有事法制で一番大事なのは、小泉総理、やはり内閣への信頼あるいは内閣総理大臣への信頼ということが、ある意味問われている、言うまでもございません。我々、当委員会で地方公聴会に行きましたときも、武力攻撃事態の予測あるいはおそれの客観的認定ということに対して、最終的な権限者である内閣あるいは内閣総理大臣への信頼というものが議論されたところでありました。
 仮にそういうような誤解があるとすれば、やはりきちっと解いておかなければいけませんし、また、我々、この委員会では、総理、自民党委員はもとより与党委員も、今回の有事法制は今国会でどうしても通していきたい、もちろん十分な審議を尽くした上ででありますけれども、必ず今国会で通していきたいという覚悟で我々臨んでおります。
 ただ、そういう中で、先週末でしょうか、総理が、自民党の執行部との会談で、本法案について慎重な取り扱いを指示するというような話が伝えられておりますけれども、総理の取り組みへの姿勢が変わられたのか、真意をぜひお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、今国会、法案を幾つか提出しておりますし、この法案、全法案成立を期すよう全力を尽くすということに変わりはございませんし、現在でもその気持ちでございます。
金子(一)委員 福田官房長官、きょうは法律の議論を申し上げるつもりはありませんでしたけれども、冒頭の説明で、ちょっと舌足らずで、おっしゃりたいことがあったんだろうと思いますけれども、憲法と、そして我が国の法律との関係で、再度、確認でありますけれども、この非核三原則というものがどういうふうな位置づけにあるのかというのを、官房長官の口から改めてちょっと御確認をさせていただきたいと思います。
福田国務大臣 私は、この憲法と非核三原則の関係について、これは記者会見で聞かれたものですから、それでとっさに、従来の政府見解を述べた。とっさのことですから、十分でなかったかもしれぬけれども、趣旨は間違っていなかったと思います。
 憲法と非核三原則、これはちょっと違うんですね。手続なんかも、憲法の場合には一応、改正の手続等は決まっていますね。非核三原則はそういうことではないんです。ですから、これは明確に違う性格のものだというように考えております。
金子(一)委員 最後に総理、今度の発言というのが海外でどういう影響が出ているかという一つの記事として、我が国の安全保障に変化があるのではないかという報道がなされていることについて、総理のお考えといいましょうか、御答弁をぜひお願いをしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 我が国が平和国家に徹するという、この外交・安全保障政策について各国は私は理解をしていただいているものと考えております。
 今後も、この方針を説明して、日本が平和国家としての発展を期し、なおかつ、その実績を積んでいるという国であるということを機会あるごとに各国に説明する必要もあると思っております。
金子(一)委員 最後に、重ねて、我々、当委員会としては必ず法案を通していきたい、その気持ちで参ります。
 総理が操っている馬というのは本当に駿馬、血統書つきのサラブレッドでありますので、どうぞ、手綱をきちっと引き締めて、そしてゴールに向けて官邸としても邁進されますことを心から期待をいたしまして、質疑を終了いたします。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、上田勇君。
上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。
 私は、福田官房長官のきょう議題となっております発言を報道で知ったときに、長官は日ごろから、国会などでのいろいろな言動からして、防衛問題や安全保障政策については慎重なスタンスの方だというふうにずっと考えてきていたものですから、少々違和感も覚えましたし、びっくりしたというのが正直なところでございます。
 その発言の真意については、その後のいろいろな御説明や、きょうも先ほど御答弁をいただきましたので理解をするところでありますけれども、やはり我が国がこれまでそういう非核三原則というのを国内の政策として堅持してきただけではなくて、国連などの場でそういう核廃絶に向けていろいろな努力をしてきたことからすれば、これはやはり不用意な発言であったというふうに言わざるを得ないと思います。
 特に、去年の十一月には、我が国が国連総会で核廃絶、核軍縮決議案を提案いたしまして、圧倒的な多数の国々の賛同を得て採択されたという事実があるわけでございますので、一方でそういうこと、核は縮小しよう、廃絶しようということを訴えていながら、他方で、これはもちろん、先ほど御説明があったように、憲法解釈の、そういう論理上の発言であったということでありますけれども、とはいえ、やはりそれは不用意なものであったというふうに批判せざるを得ないと思います。
 そこで、もう何回も政府の方針については御答弁をいただいているところでありますけれども、特に、この非核三原則を堅持するという政府の方針については何回も答弁をいただいているところなんですが、ぜひ、これまで我が国としては、国際社会に対してもそういうような核廃絶、核軍縮の積極的な取り組みをしてきたので、今後とも一層そうした取り組みを強化していかなければいけないというふうに考えているところでございますけれども、御所見はいかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 我が国としては、核兵器廃絶に向けて、また、包括的核実験禁止条約の発効に向けて、今までも国際社会において積極的な外交展開をしております。この核のない世界実現に向けての努力は、今後とも続けていかなければならないと思っております。
上田(勇)委員 そこで、外務大臣にお伺いしたいというふうに思うんですが、外務大臣、中東を訪問されまして、多くの成果を残されてきたというふうに報道されておりまして、まことに御苦労さまでございます。
 この長官の発言がすぐさま、いろいろな報道を見てみますと、韓国、中国、ロシアなどの近隣諸国からもいろいろな懸念が表明されております。こうした国々の中には、その国自身が核保有国であるので、そういうような批判が本当に当たるかどうかというようなことについての疑問もありますけれども、ただ、やはり我が国の安保政策の大きな転換ということであれば、近隣諸国としてそうした懸念を持つのも当然ではないかというふうに思います。
 そこで、外務大臣に、我が国としては、こうした誤解を解消するためにどういうような働きかけを行ってきたのか、対応を行ってきたのか、また、そのことによって、そういう近隣諸国を初めとして国際社会のこのことについての誤解は解消されたのかどうか、御認識を伺いたいというふうに思います。
川口国務大臣 我が国が非核三原則を堅持いたしておりまして、これをさまざまな場で、国際的な場で今まで表明をしてきたということでございます。例えば、NPTを締結している、また、国連総会での核廃絶決議案を提出している、CTBTの早期発効に向けた働きかけをしている等々ございます。このような考え方について、近隣の諸国に対しまして今まで説明をしてきております。
 今般の発言を受けまして、改めて我が国の考え方につきましては近隣の諸国に説明を行っておりまして、理解を得られていると考えております。外交関係にこのことによって影響があるというふうには考えておりません。
上田(勇)委員 ありがとうございます。
 我が国の非核三原則、それから、国連を初めとするさまざまな国際社会の場で、この核廃絶、核軍縮に向けての取り組みというのは、私は大いに我が国の方針として誇りに思っていいことだというふうに思いますし、国際社会の中からも大変高い評価を得ていることではないかというふうに思います。
 そういう意味で、今回のこの一連の事件、事案につきまして、我が国として引き続きそういう国際社会の場での取り組みを強化していっていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
 それで、ちょっときょうの集中審議の議題ではないんですが、例の防衛庁の情報公開請求者リストの作成問題についてお伺いしたいというふうに思うんです。
 いろいろと調査の結果等報道されているわけでありますが、結果としては、このリストに掲載されていた情報というのがほとんど本人から提供されたものであったり、それほど機微なものがなかったという意味においては私もほっとしているところなんですが、ただ、いずれにしましても、今回の行為というのは、これは現在あります法律に違反しているというような疑いが極めて濃いことであります。
 そして、これは防衛庁だけの問題に限らず、私は、こうした事案というのが我が国の、日本の行政機関全体が、個人の権利やプライバシーといったことについての認識がやはり余りにも低過ぎる、甘過ぎるというようなことをあらわしている事案なのではないかというふうに思います。
 そこで、今回のこの事件、ぜひこれを契機といたしまして、防衛庁だけじゃなくて、各関係機関にも、今ありますこのプライバシー保護についての法制度の趣旨を徹底していただく。そして同時に、プライバシーの保護や個人の権利を保護していくということが行政機関にとって重要な役割であるということを、ぜひ総理の方から、また閣議等を通じて各省庁に徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、総理、いかがでございましょうか。
小泉内閣総理大臣 個人情報が自分のわからないところで使われている、非常に迷惑を受けている方も多いと思います。そういうことがないように、基本的人権、プライバシー、そういうものに対しましてもきちんと法整備をしたいということから、それぞれの法案を提出するわけでございますが、今回、防衛庁の件につきましては、不安、混乱を起こしたことについては、大変反省すべき点が多かったのではないかと思っております。
 また、この問題、これからもIT社会になりまして、多くの方がそれぞれの情報を欲しがるでしょうし、その情報というものは、やはり個人の権利を保護する、人権を擁護する、プライバシーを保護する、そしてなおかつ、言論の自由、報道の自由を確保する、こういうものについても十分配慮しなきゃならない問題だと考えております。
上田(勇)委員 これで終わります。
瓦委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。
 六月の一日の朝刊でありますけれども、「福田長官「核持てる」 非核三原則転換も」なんというような見出しがありまして、中の記事を見ますと、外国からの反発も必至だというようなことで、いかにも現実味を帯びたような記事の中身になっていたんでありますが、私自身はどうも、こういうような状況の中でそういう核政策の転換なんかがあり得るはずがないし、官房長官という内閣の要職におられる方がそういう発言をするはずもないと思って、いささか、こんなことがあるのかなという、そんな感じを持って新聞を読んだ次第であります。
 報道は自由でありますから、いろいろなことを書きますが、それにしても、余りにも現実味を帯びたような書き方をするということはいささか異様な感じが私はするんですが、まず官房長官に、この報道ぶりにつきましてどういうようなお感じを持たれたのか、お聞かせいただきたいと思います。
福田国務大臣 過日の記者会見及び懇談でもって、記者会見では質問がたまたまあったから答えたということでありました。そのことと、それからその後の懇談の場における発言が両方一緒になりまして、報道されているような我が国の方針を変えることを示唆したみたいな表現になって世界に流されたということでありますけれども、これは私の考えていないことを報道しているわけでございまして、そういう意味においては、まことにその報道については残念に思っております。しかし、その結果としていろいろお騒がせをするというようなこともあったことについては、これはもう申しわけなく思っておりますけれども、私の真意と全く違う報道がされているということだけは、これは御理解をいただきたいと思います。
井上(喜)委員 我が国は、非核三原則、つくらないし、持たないし、持ち込ませないということでありまして、これが我が国の基本的な政策であります。しかし、我が周辺諸国の状況はといいますと、これは核を持っている大国があるわけですよね。我々はそういうことをやはり十分に認識しないといけないと思うんでありますけれども、特に、核大国と言われるソ連、中国、あるいは核開発を進めております北朝鮮ですね、核の配備状況でありますとか核の開発状況、どんな状況になっているのか、防衛庁長官にお伺いをいたします。
中谷国務大臣 まず、ロシアに関する戦略核戦力につきましては、SS25などのICBM、また戦略爆撃機ツポレフ95H等がシベリア鉄道沿線を中心に配備をされております。また、SLBMを搭載したデルタ3級などSSBNがオホーツク海を中心とした海域に配備をされております。
 中国につきましては、核戦力については五〇年代半ばから独自の開発を進めておりまして、中距離爆撃機H6、ツポレフ16のほか、弾道ミサイルを保有しております。
 また、核実験を実施いたしておりまして、現在、ICBMを約二十基保有するほか、SLBM、CSSN3を搭載する弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を一隻保有するほか、新型のICBM東風31及びSLBMなどの開発も進めております。
 また、中距離ミサイルについては、日本を含むアジア地域を射程におさめるミサイル東風4、東風3、東風21を合計約百基保有しており、従来の東風3から命中精度などの性能が向上した新型の東風21への転換が進みつつあります。
 また、短距離弾道ミサイル東風15、東風11も保有しておりまして、配備数の増加の動きも見られます。
 北朝鮮等につきましては、スカッド、テポドン等、現在開発いたしている模様でございます。
井上(喜)委員 我が国は、非核三原則ということで核を持たないわけでありますし、我が国の周辺諸国には、今のお話にありましたような状況でありまして、そういうことを念頭に置いた上で、我が国の安全保障の体制を整備していく必要があろうと思うのであります。
 今国会に有事三法が出ておりますけれども、これも大変おくれにおくれてやっと出てきたというような状況であるのであります。そういう点では我が国の安全保障の体制も、もっともっとやはり整備をしていくといいますか充実をしていく、そういう必要があろうかと思うのでありますが、これからの取り組みにつきまして、総理の所見をお伺いいたします。
小泉内閣総理大臣 有事に備える、いざというときに備えるということについて、私は、これは本来、それほど政党間で対立する問題ではないと思っておるんです。どこの国でも、国家の安全をいかに確保していくか、緊急事態が起こる前から、平時から緊急事態にどう備えるかという点について、私はそんなに考えの開きはないと思っております。
 そういう点から、この法案に対しましても、じっくり議論をしていただければ、責任ある政党だったらば御理解をいただけるのではないかと思っております。
井上(喜)委員 我が国の非核三原則、これは国内政策でありますが、やはり、世界に向かって、核の拡散防止でありますとか、あるいは核の削減、廃絶、こういうことを働きかけていく必要があると思うのであります。そのために具体的にどういうような取り組みをされていくのか、これについても総理の見解をお伺いいたします。
福田国務大臣 これは核の問題でございますけれども、我が国はそれは放棄しているということでありますが、要は、核の必要のない世界をつくるということではないでしょうか。そういう世界が実現すれば、こういう議論もないわけでございますので、まず、我が国としては、我が国のなし得る方策として、そのことについて最大限力を振るっていくべきである。それが我が国の特色ある外交であり、国家戦略である、このように考えております。
井上(喜)委員 いま一つはっきりしませんが、時間の関係もありますので次に進みたいと思うのです。
 防衛庁長官、これは質問として出しておらなかったのでありますけれども、非常に常識的なことなのでお伺いしたいのでありますけれども、防衛庁のいわゆるリスト、外部の人が情報の、内部資料の請求をしてきて、その請求者、どんな資料を請求したとか、そういう請求者の何か今までの経歴みたいなものを記載したリストが漏れたとかいうような話がありますが、そのときに、長官は言語道断だという言葉を使われたと思うんですよね。あるいは、厳罰に処するということを言われたのでありますが、私は、あれはどういう意味なのか、今もってよくわからないんですよ。
 なぜ言語道断なのか、何をもって、どういう理由でもって厳罰に処するのか、その辺のところをもう少し説明していただけませんか。
中谷国務大臣 防衛庁・自衛隊という組織でありますので、当然、国の安全上必要な情報の保全とか調査は必要でございます。
 しかしながら、情報公開制度というのは、開かれた政府を目指して国民に行政が説明責任を行うという趣旨で昨年四月から設けられて、その制度にのっとって情報請求をしてくる人に対して、それらの情報が不必要に庁内に出回ったり、また、それに対して疑念を抱かせるということは、あってはならないことであると考えております。
 そういう観点におきまして、やはりプライバシーの保護というものを守れるという前提でないと情報公開制度というものは成り立たないわけでございますので、現在、こういう実態がどうであったのか、実態の調査をいたしまして、至らない点につきましては改善をして、安心して情報公開制度ができる体制をとらなければならないと思っております。
井上(喜)委員 終わります。
瓦委員長 次に、川端達夫君。
川端委員 民主党の川端達夫であります。総理、官房長官、よろしくお願いいたします。
 先ほど来議論がありましたけれども、先月末ですか、官房長官の核保有をめぐる憲法上及び法理論上のいろいろな御発言、そして非核三原則をめぐる物の考え方についての御発言がございました。大変重要な、そして責任の重いお立場での御発言でありますので、その部分に関して質問をさせていただきたいと思います。特に、私は、非核三原則をめぐる御発言について、事実経過も含めながらお考えをただしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 初めに、五月三十一日の特に政府首脳懇談で、一日には各紙一斉に報じましたけれども、例えば、代表的なものでちょっと拾ってみますと、「「非核三原則は憲法に近いものだ。しかし、今は憲法改正の話も出てくるような時代になったから、何か起こったら国際情勢や国民が「(核を)持つべきだ」ということになるかもしれない」と述べた。」という報道がされまして、見出しのつけ方はいろいろでございますが、あとも大体同じようなニュアンスなんですね。非核三原則は「今までは憲法に近かったが、これからはどうなるか。憲法改正を言う時代だから、非核三原則だって、国際緊張が高まれば、国民が「持つべきではないか」となるかもしれない」。
 こういうふうなのが大体共通した報道なんですけれども、こういう発言をされたことは事実でしょうか。
福田国務大臣 これは、記者懇談の中で出たわけでございまして、その前の記者会見で核のことを記者から聞かれたから、その延長線というようなことになったわけでございますけれども、そこで私が申し上げましたのは、いろいろな報道がございまして、どれが真実かというふうに言われるとちょっと困るのでありますけれども、要するに、私が申し上げたことは、それぞれの時代状況によって安全保障という問題は、国際情勢などを踏まえたさまざまな国民的議論があり得るということを述べたものでございまして、それをもって私が非核三原則をどうこうとか、また政府の方向性がどうのとか、そういうことは一切言っておりません。そういうことでないのだということで御理解をいただきたいと思っております。
川端委員 政府が非核三原則を堅持する、当然のことであります。そして、今そういうことを見直そうという気持ちも寸分ない、それも当然のことであります。
 それが問題になっているのではなくて、報道もそういうことに、例えば検討に着手するとか見直しを議論しているとかいうことがあるということは一切報じていないんです。官房長官が、政府首脳が、将来にわたっては、国際情勢の変化や国民の世論の動向によってはそういうふうな世の中になるかもしれないという将来の見直しの可能性に言及をされたということが問題になっているんです。
 ですから、私が確認したのは、各紙ともに、官房長官が言われたような、政府として云々ということをしたということは一切報じられていない。官房長官あるいは政府首脳が、非核三原則は、国際情勢の変化等々で憲法も変えようという時代だから、国民世論はそうなるかもしれないとおっしゃったということをおっしゃったんですねということだけ確認しているんです。まずお答えください。
福田国務大臣 国民世論がそうなるというようなことを言ったんじゃなくて、国民が決めることだということは言ったような記憶はありますけれども、それ以上のことは申しておりません。
 私は、この報道の第一報を見て本当にびっくりしまして、何で示唆だとかそんなことになるのかと思って、そういう意味においては、この報道というか、この書いた記者のことを責めなきゃいかぬけれども。
 私は、そこで考えましたのは、今の若い記者の方は余りこういう核の問題とかいうことを日常議論していないのかもしれぬ、ですから、そういう場合には、かんで含めるようによく最初から、一から話をしてあげなきゃ理解してもらえないのかな、真意も理解されないのかな、こんなふうに思いまして、それは私の反省しているところでございます。
川端委員 官房長官の先ほどからの御答弁、今のお話、そして私も、官房長官がテレビで、三日ですか、会見されたものを報道で見ました。お話しされているのを私は思わずメモを書きました。私は言ったことがない、心外だ、真実を報道していただきたいともお述べになったし、報道では、若い記者さんに国の将来をいろいろ考えてほしいということで言ったというふうにおっしゃった。幾つか問題があるんですよ。
 一つは、官房長官というお立場は、政府の、国の最中枢におられて、国民にそして内外に広くその部分のメッセージを出す役割をお持ちになっている。そして、そういうことは言っていないと。報道も、政府が今そういうことに考えているということを書いてはいないんですね。ここは後で言いますけれども、今もおっしゃった、将来国民が決めることだということの範疇に非核三原則が入るという認識は大変なことなんですよ、これは。
 そのことをおっしゃったということに対して、この国会は、言った、言わないとかいうのが随分ありましたよ。それは、政治家同士あるいは何かNGO等の団体とかいうのもありました。しかし、官房長官というお立場は、報道をされるのを前提ですよ、この懇談は。報道されるのを前提で、その報道する役割の記者さんに語ったことが、真意が伝わらない、誤解を受けているという報道しかされなかったのであれば、政府報道官としての役割が果たせていない、あなたはその役職を果たしていないということじゃないんですか。しかも、若い人に国の将来のことを考えて、かんで含んでお話ししてあげたいと。これは後の言いわけですよ。
 核兵器が憲法に禁じられていないという御発言はありました、会見も含めて。当然ながら、世論がそうなるということであれば見直しすることもあり得る、世の中そうなるかもしらぬなというふうにもおっしゃった。しかし、唯一の被爆国として日本は、非核三原則や、先ほどいろいろ政府の対応、国連での行動を含めて、これだけ必死に核を持たない国として、世界から核がなくなるようにという努力をしているんだという解説は一言もないじゃないですか。
 だから、その部分に危惧を持って報道もされたのを国民は受けとめているということでありますから、報道官としてこういう報道をされたことというのは報道官としての役割を果たしていないということに関しては、どのような御反省、御責任をお持ちでしょうか。
福田国務大臣 こういう報道がされたという結果について、どれだけの責任を持つかということでありますけれども、私の真意はもう何十回となく説明をさせていただいております。その真意を理解していただくということで、このことについては、私は、こういう理解を皆様方にしていただき、そしてまた、国際社会の話もございましたけれども、私、また小泉総理も何回となくこのことについて説明をしているわけでございますから、改めて日本の立場というのは明らかになったということではないかと思っております。
川端委員 何度も繰り返しませんが、政府の報道官としての最高責任者が、その報道する立場であるマスコミの皆さんと会見及び懇談をされて、自分の気持ちが伝わらないという事態を招いているのであれば、報道官として、官房長官としての職責を果たすのに全く適していないと言わざるを得ないというのが一点であります。
 そして、問題なのは、間違いなく、国際情勢の変化やそして世論の動向で、世論がとおっしゃっていると思うんですけれども、非核三原則の将来は変化し得る可能性があるということの認識をお持ちである。政府がやる、やらないを今言っているんじゃないですよ、そういう認識を一般論としてお述べになった。
 しかし、報道はこういう形でされた。海外含めて、いろいろな反応が起こっている。どういう時期なんですか。総理は、アジアで初めてのワールドカップの開会式に行っておられた。官房長官は、内閣総理大臣臨時代理、日本国内での総理大臣ですよ、そして、アジア初のワールドカップが、まさに世界最大のスポーツのイベントの、平和のあかしの祭典が始まるその時間にこういう発言をされている。
 日中という、大変大事なアジアの中での日中関係で言えば、国交回復三十年、そして、瀋陽の事件もあった、不審船もあった、そして靖国問題もある。こういうときに、今有事法制の議論をしている。日本は本当に、いろいろな過去の経過から見て、これからどういう国になっていくんだろうと世界の関心を集めている。
 アメリカとロシアは、米ソ冷戦構造が崩壊したその後で、ごくごく最近になって、戦略攻撃兵器削減条約を調印した。いよいよ米ソ大国も本気で核兵器の削減の道を一歩歩み出した。
 しかし、一方、インド、パキスタン情勢は、結果として不幸にして核保有を競い、そしてその中でまさにぎりぎりのところへ来ている。報道で見れば、核兵器を使いたいとは思わないけれども、使わないとは言えないというふうな状況になってきている。
 我が国は、そういうことが世界であってはいけない、国連の安保理決議も提案国の一国になった、インド、パキスタンの核実験に関しては、その抗議の意味を込めて経済封鎖も経済制裁も発動をした。広島、長崎のあの被害を、世界じゅうのだれ一人として再びあの悲劇と不幸を広げてはいけないと、唯一の被爆国として行動してきたのが日本じゃないんですか。
 その部分が、将来は日本国も核兵器を持つような国になるかもしらぬ、国民の世論がなればという発言をされたということですよ。日本の根幹にかかわる大変大事な発言を、政府首脳は頭の中で思っている、そういう時代が来るかもしれないということを思っているということを言われたということは、私は許されざる発言だと思うんですが、いかがですか。
福田国務大臣 私の頭の中には、それはございません。おっしゃっていることとは全く違うということだけ申し上げておきます。
川端委員 綸言汗のごとしという言葉があります。大事な立場の人が言った発言は、汗と一緒です。出たら取り返しがつかない。そして、間違いなく、今政府がどうするということを言ったんじゃない、将来にわたって、国際情勢の変化や国民世論の変化では核を持つことがあり得るという認識を述べられたんですよ。
 そうしたら、伺います。
 この政策は、時代の変化や安保政策の変化、国際情勢の変化で国民的議論はあり得るというのは、先ほども御答弁でされました。ということは、政策判断として、今されるという意味ではなくて、そういうことは政策判断だからあり得るという認識なんでしょうか。お尋ねします。
福田国務大臣 今の私にそういう答えをせよというのは、これは無理な話でございまして、そういう政策判断とか、そういったような具体的なことを今一切考えているわけではございません。
 ですから、一体、将来というのはいつまでのことを言っているのかわかりませんけれども、いずれにしても、御質問にはお答えできるようなものはございません。
川端委員 いや、本来そうなんですよ。だけれども、記者さんと懇談され、その前の会見をされたときには、国際情勢の変化、そしていろいろお述べになっているんですよ、憲法上は核を持てないとは書いていないと。ICBMの安倍副長官の部分の議論は多少幅があったんですが、会見の後で調べさせていただくと。最終的には、ICBMも憲法上極めて持つことはできないと。
 しかし、非核三原則は政治判断、あるいは核の保有については政策判断として今日に至っているという認識をお述べになっているわけです。だから、その部分でいえば、そういう認識、要するに政策判断というのは、例えば今消費税は五%である、しかし、景気が悪いから三%に下げろという論議がある、いやいや、この財政状況、それから直間比率なんかの税の公平な負担を目指すために一〇%にすべきだという議論がある、これのいずれを選ぶかというのは明々白々なる政策判断ですね。
 そうすると、我が国は、非核三原則というのは、かねてから国是であると言われてきた。政策判断、政治論としての範疇にあると記者さんにお語りになったということでありますが、どういう認識をされているのかというのを伺っているんです。
福田国務大臣 私も、記者会見でとっさに聞かれたことで、用意もありませんでしたから、従来の政府見解を覚えている部分を申し上げた、こういうことでありますけれども。
 政策判断かどうかということになれば、これは憲法に対するものと、これは、非核三原則は法律ではありません、そういう意味で私は申し上げたのであります。
川端委員 どういう意味かわからないんですけれども。
 四十二年の佐藤内閣で、非核三原則、おっしゃるように、政策ではなくて一つの考え方としてお示しになった。そして、福田赳夫内閣のときも、予算委員会でも御答弁をされています。「非核三原則がわが国の不動の国是であること、これはもう一点の疑いもなく私どもはさように考えておる次第でございます。」
 国是というのはどういう概念なのかというときに、あたかも政治論であり、政策判断であり、そして国際情勢の変化があれば国民はそういうことを持つべきだということになるかもしれないとおっしゃったということは、政策判断としては選択し得る幅にあるという認識を示されたのかと思ったのですよ。そういう認識なんですかと聞いているわけです。
福田国務大臣 国是ということですか。国是の意味ですか。
 要するに、これは国のあり方という意味ですよね。国のあり方ですから、いろいろなテーマによって、その国のあり方というのはいろいろな表現があるでしょう、程度もあるでしょう。今回のことについて言えば、唯一の被爆国としての経験をした我が国が国のあり方として内外に明らかにしたことである、そしてまた、あの惨禍を二度と繰り返してはならないという国民の思いがその根底にある、そういうことがこの趣旨であると思っております。
川端委員 どうも質問にお答えになっていないですね。そういうことであれば、本来、今までの政府の姿勢、そして国是であるという位置づけからいえば、国際情勢が非常に変わり、日本を取り巻く状況が変わり、そして国民の世論がそうなっていくかもしれないななんという認識を示されること自体がおかしいんではないですか。あらゆることを想定している、そして、政策でない、概念であり政策判断というんだったら、伺いましょう。
 日本の政策上、いろいろな答弁で、核拡散防止条約の締結をしている、そして、原子力基本法で平和利用に限定をしている。これは、今の日本法制で核を持てないという法の縛り、条約の縛りだと思うんですね。しかし、非核三原則は、将来そういう国民の世論が変わってきたときに、政策判断であるという認識なんですか、どうしてそういうことをおっしゃったんですかというのを聞いている。
 そして、重大であるということは、この条約は、条約の条文にも脱退できると書いてあるんですよ。そして、原子力基本法は平和利用に限ると書いてありますけれども、それは法律ですから、平和利用及び我が国の防衛のために使うと書けば、できるということなんですよ。ですから、それをやらないというのはどういう事態を想定しているのかということを伺っているのです。
 もしも、政策判断であるということで脱退するなんということは普通考えられぬですけれども、将来国民世論が核を持つようになるかもしれないということを想定すれば、そうしたら脱退するしかない。脱退をしたら、まさに国際的に孤立する国を選ぶということですね。そういう国はあり得ないですよ。何を言いたいかといえば、あり得ないことなんですよ。政策判断でするようなことをはるかに超えているんじゃないですか。それを非常に安易な部分で、国民は持った方がいいという気持ちになるかもしれないと。
 それは評論家だったらいいですよ。一学者だったら、評論家だったらそういう論評を加えてもいい。しかし、官房長官として、政府のナンバーワン、ナンバーツーにおられる人が、その瞬間で言えばナンバーワンですけれども、そういう発言をされるということ自体が、大変な認識を、本当に心の中で、内心を問うことはできませんが、そういうことを言われたということの重さをどうも感じておられないんじゃないか。
 そういうことはやりませんと、政府でやらないのは当たり前なんです。この問題が、選んでいったときに、日本は核を将来にわたって持つ可能性なんというのは一〇〇%、二〇〇%ないということだという認識が全然出てこないところに私は危惧を持っているのです。いかがですか。
福田国務大臣 私のことで言えば、私の心の中には全くそういう考え方はないわけでございまして、あと、政策判断ということであるならば、この小泉内閣としての責任は小泉総理が一身に背負っていらっしゃる、こういうことでありまして、恐らく、総理は、恐らくというよりは、もう絶対に今の核に関する方針を変えるということはないということは、私は私の職を賭してでも言えることであります。
川端委員 言ってしまわれた言葉の責任を言っているんですから。将来に可能性なんてないんですよ。そして、国民がそういう気持ちになることは、政治家として絶対にさせてはいけないことなんですよ。
 日米原子力平和協定というのがあります。それから、日本はIAEAにも加盟しています。この条文でも、平和利用に使わないということになった瞬間に、提供している機材、燃料、技術、全部引き揚げる権利を有すると書いているんですね。したがって、日本が将来核を持つということは、唯一の被爆国としてそういうことは絶対しない、そして平和の使者であるということと同時に日本の国が存在しない、平和利用もできないという国になるということなんです。
 ですから、今日本が、ただ単に理念として、非核三原則を持っている国である、今の内閣は絶対しませんと、それは当たり前のことであると同時に、はるかに政策を上回る不動のものであることに関して、情勢が変わればということの発言をされたということが大変な問題ではないですかと私は申し上げているんです。どうですか。
 安倍副長官が大学の講演でという部分が一部報道されました。この部分で後で同僚議員が詳しく聞くと思いますが、ICBMに関する発言がありました。この部分は、官房長官としてはどういう認識をお持ちなんでしょうか。官房長官にその部分の発言の認識を聞いているんです。
福田国務大臣 私は、サンデー毎日に出たその記事について、その記事は読んでおりますけれども、この詳細を承知の安倍副長官からお答えするのが妥当だと思っております。
安倍内閣官房副長官 まず御質問にお答えする前に、五月十三日に早稲田大学の授業において私が申し上げた講義の内容についてでございますが、これは大学側との話の中において、政治家としてではなくて講師として話をしてもらいたい、学生の皆さんと意見の交換をしてもらいたいということで、そこで話をしたわけでございます。当然、その中の話は、教授あるいは学生の皆さんとの議論でございますから外には出さない、これは当たり前の話でございます。
 私は、本来静かな場所である、学びやであるべき教室に盗聴器とかいわゆる盗撮ビデオが持ち込まれて、その中身が週刊誌に出るというのは、これは学問の自由を侵すことになりはしないかという大変な危惧を持っております。事実、早稲田大学も厳重に抗議をしているわけであります。(川端委員「そういう話は聞いていませんから」と呼ぶ)しかし、私は、そこで話したことを前提に今質問をされているわけでございますから、そのことはきっちりと申し上げておかなければいけない。これは、私は、本当は極めて看過することのできない重大な問題をはらんでいるんであろう、こう思うわけでございます。
 その中で私が話したことは、週刊誌の中に書かれたことをもとに話をするつもりは本来、私はございませんが、私は、その大陸間弾道弾について言えば、これは、質問が出て、その質問に私は答えたわけでございますが、その質問に対して、大陸間弾道弾を落とすミサイルをこちら側が発射することは憲法上問題ない、その前に私は、いわゆる大陸間弾道弾、都市を戦略的にねらうものはだめですよということははっきりと申し上げているわけでございます。
 しかし、最初に私が答えたときに、大陸間弾道弾はと言って、落とすものはいいんですよということを答えようとしたときに、途中で私は遮られたものでございますから、そして、その後別の質問が入って、別の話に入って、その後、今私が申し上げたことを私は述べたわけでございますが、最初のところだけを取り上げて、週刊誌が、まるで私がその保有を肯定するように報道したわけでございまして、実際は全く事実とは違うということははっきりと申し上げておきたい、このように思うわけでございます。(発言する者あり)
瓦委員長 静粛に願います。
川端委員 私はその発言の部分を今、これは後の同僚議員がやると思いますが、一点だけ、官房副長官あるいは官房長官もそうでありますが、というお立場が、その枠を超えて、秘密で、いろいろなところでお話ししてもいいという部分というのは許されない立場であろうと私は思います。そうでなかったら、政治家として、学者として、評論家としてする発言は自由でありましょう。しかし、その部分で、少なくとも核の保有の部分に関して、「小型であれば」という部分、今いろいろのお話は、今の憲法解釈上の部分でいえば、フライングしているかしていないかという議論はあるでしょうし、御本人はしていないという範囲でおっしゃったんだと思います。
 しかし、私が先ほどから申し上げたのは、そういう憲法解釈上のものを超えて、日本というものは核を持つということは未来永劫あり得ない国であるということを内外に宣言し、行動してきたということではないんですかと。それが、国際状況の変化によってはあり得るという認識を示されたということを私は問いただしているわけです。官房長官、それは違うんですか。
 憲法解釈の範囲の部分という以上の部分は、私は、非核三原則によって、憲法改正の議論が幾らあっても、この部分で、世界の唯一の被爆国として、世界の平和の先頭に立つ、そしてその部分でいろいろ行動するときの国是としての非核三原則はみじんも動かないものであるという位置づけではないのかな。学術的な評論や論議の中の部分の、持ち得るという可能性を残している。私は、官房副長官のお話もそういう、要するに学者としてのお話だったら理解をするかもしれませんが、政治家としての部分がそこが納得できないからお尋ねをしているんですが、お答えをいただけない。いかがでしょうか。改めてお伺いします。
安倍内閣官房副長官 私が核と憲法の関係について述べましたのは、従来からの我が国の憲法解釈についての話をしたわけでございまして、これも質問に答えたわけでございます。学生側または教授側から質問が出たわけでございますから、私は学生の前で誠実に答えなければいけないわけでございますから。
 その中で、私は、我が国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によって禁止されていない、したがって、そのような限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではない。しかし、その話をする前に、私は非核三原則の話をしております。ですから、政策手段としては、それは一切我が国は放棄をしているという話をした上で、憲法の解釈については学生の前でこれを述べたわけでございます。これは、今まで政府が、五十三年にも五十七年にも法制局見解を示しているわけでございますから、それをそこで紹介するのは至極当たり前のことではないでしょうか。
 そして、それと同時に、昭和三十四年、五年の岸内閣の見解、岸答弁も紹介しております。しかも、その後に私は、憲法解釈論と政策論は別であるということもさらに申し上げておりますし、さらにその後、非核三原則についてもつけ加えて話をしているわけでございますから、私が述べたことは何ら間違ったことではない、このように思っております。
川端委員 交代します。
瓦委員長 この際、仙谷由人君から関連質疑の申し出があります。川端君の持ち時間の範囲内でこれを許可します。仙谷由人君。
仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 引き続いて、安倍副長官にまず御質問をいたしたいと存じます。
 今回の官房長官、副長官の発言というものが報道されまして、新聞紙上等々でも、いかにも軽いというのが大体、大筋の評価のようでございます。
 私も、改めて国会の論争、憲法解釈論争等々を拝見してみましたけれども、改めて少々勉強してみますと、軽いというかリアルさがないんですね、これ。全くリアルじゃない、この議論は。何のためにこんなことを昭和四十三年からやっているのか甚だ不可思議でしようがない。つまり、これこそまさにある種の政治的な意図に基づく論理ではないだろうか、こんな感じがするんですね。
 なぜならば、では、安倍副長官、こういうふうに聞きましょう。あなた、大学の授業がどうのこうのと否定されたけれども、まず事実問題として、こういうふうに言っていらっしゃいますよね。「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」こういうふうに言っているんですね。
 あなたが言われている小型というのは、広島で投下された原子爆弾と比べてどのぐらいの性能の兵器なんですか。
安倍内閣官房副長官 そもそも今委員は、その週刊誌をもとに私に質問をされているわけであります。その授業の場にそういう盗聴器や何かを持ち込んだものを起こしたものを、しかもそれを適当に週刊誌が編集したものを根拠に質問されているわけでございますが、私は先ほど、私が申し上げた趣旨については申し上げたわけでございまして、必要最小限のということについて私が答えたわけでございます。
仙谷委員 それでは、質問を変えましょうか。まず、早稲田大学で、小型の原子爆弾であれば憲法上保有することが認められるというふうに言ったかどうかという事実問題を本当はお聞きしたいんだけれども、聞き方変えましょう。
 では、憲法上保有することが許される原子爆弾というのはあるんですか、ないんですか、核兵器というのはあるんですか、ないんですか。あるとすれば、そのときの性能というのは、広島型の原子爆弾と比べてどういう能力を持つんですか。それをお答えください。
安倍内閣官房副長官 憲法論について言えば、繰り返しになるわけでございますが、我が国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によって禁止されていない、その中においては通常兵器であろうと核兵器であろうと同じであるということでございます。
 そもそも、先ほどから議論があるように、政策論としては、非核三原則あるいはNPTによって、核を保有するという選択肢は全くないわけでございます。国内法によってもそうでございます。ですから、私が大学で述べたことは、それは、憲法論について、また、政府の解釈論を紹介したわけでありまして、また、歴史的な事実として岸答弁を紹介したわけであります。
 今、現実の政策論として、個々の核兵器について議論をされているわけでございますが、それはそもそも、もう既にこれは選択肢として、政策論としては放棄をしているわけでございますから、意味がない、このように思います。
仙谷委員 あのね、憲法論をしているんですよ。そういうふうに逃げちゃだめですよ、この問題。いいですか、そうしない限り、あなた方が政府解釈でおっしゃる、自衛のための最小限度の範囲内の核兵器、憲法上保有が許される核兵器という概念が空想のかなたに飛んでいってしまうんですよ。そうでしょう。ないと言うんだったら、空想のかなたじゃないですか。
 あなたね……(発言する者あり)では、官房副長官。官房副長官は、広島型の原子爆弾はTNT火薬何キロトンの爆発力があったというふうにお考えですか、あるいは長崎はどのぐらいの能力があったという認識を持っているんですか。
安倍内閣官房副長官 先ほどもう既に私が申し上げておりますように、憲法には一々兵器が列挙していないというのは当然でございます。その解釈論について、九条の二項をどう解釈しているかという解釈論について私が述べたわけでございます。
 今の仙谷委員の議論でいけば、すべての個々の限定列挙をしなければいけなくなるということになるわけでございます。つまり、私が申し上げていることは、それは、憲法において必要最小限ということについて、私はお話を憲法解釈論として申し上げたわけでございまして、それは憲法解釈論でございまして、政策論としては、先ほど来私も述べておりますし、また、官房長官も述べておりますように、既に非核三原則においてその選択肢はもうないということでございます。NPTにおいてもそうです。
 ですから、今ここで、そういう個々の、個別のことをとらえておっしゃっておられますが、それは極めて無意味な、政治の場であれば極めて無意味な議論であると言わざるを得ないと思います。(発言する者あり)
瓦委員長 静粛に願います。
仙谷委員 副長官、申しわけないけれども、私は、少なくともあなたよりは、大学でもあるいは職業としても憲法を勉強していますからね、言っておきますけれども。
 そこで、改めて聞きますけれども、広島型原爆、長崎型原爆の能力について、爆発力について、あなたは全く認識がなくて発言をしているんですか。そこをお答えください。
安倍内閣官房副長官 今は、どれくらいの威力かということは、これは別に私に聞かなくても調べればすぐわかる話でございますが、あえて私に聞きたいということであれば、私の口から述べさせていただきたいわけでございますが、爆発力について言えば、TNT火薬として言えば、広島の場合は十五キロトン、長崎の場合は二十二キロトンということでございます。
 それと、私が先ほどから申し上げておりますが、個々の兵器については、政策上、既にそういう選択肢がないわけでございますから、我が国の政府としてはそういう検討を今まで行ってきていないということでございます。
仙谷委員 そこで次の質問に移るわけですよ。まさに憲法論なんですよ、これからが。具体的な事実を踏まえての憲法論なんですよ。そうしない限り、あなた方がおっしゃる神学論争、空中論争になるから私は言っているんですよ。
 いいですか。自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものがあるとすればという、これがまさに今おっしゃった古典的な政府の解釈ですよ。あるとすれば、ですよ。
 現時点で、こういう答弁が出てから約三十四、五年たっている。そうですよね。これは昭和四十二年、四十三年のときの議論だ。三十数年たっているこの時点において、憲法解釈上、自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものがある状態になっているんですか、ないんですか。どうですか。
津野政府特別補佐人 これは、考え方だけ少し御説明させてください。
 政府は、先ほどから安倍副長官からも答弁しておりますように、憲法第九条二項の解釈といたしまして、核兵器であっても、仮に自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものがあるとすれば、これを保有することは必ずしも同項の禁ずるところではない旨、これは従来から申し上げてきているところでございます。
 これはあくまで、仮にそのような核兵器が存在するとすればという仮定のもとに、法解釈として論理的に導き出されますところを申し上げてきたわけでありまして、現実にそのような核兵器が存在するというようなことをその前提として申し上げてきているわけではありません。
 当時から、仮に、科学技術等の進歩もあり、いろいろな将来のことを考えれば、小型のものとか非常に力の弱いものとか、いろいろなものがあるかもしれないという前提でいろいろお話をしてきているわけでありまして、そういった現実の話を前提としてお話をしてきているわけではございません。
 それで、具体的に現実論としてそういうものがあり得るかどうかというような専門的な、これは兵器に関する知識あるいは見解が必要なわけですから、私ども法制局としては、そこまではなかなか知識としては有していないということでございます。
仙谷委員 そんなことはわかっているから、あなたになんか全然聞いていないじゃないですか。
 では、防衛庁長官、どうですか。この自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものが、三十数年たって、あることになったのかないのか、それをお答えください。
安倍内閣官房副長官 これは、私どもが非核三原則という原則を昭和四十六年に国会決議をして以降、事実上の国是となっているわけでございますから、その段階で政策論として我々はそれを放棄しているわけでございますから、個々の兵器について我が国の政府が検討してきたことはないということでございます。
仙谷委員 いやいや、防衛庁長官、どうですか。事実問題として、こういう議論をしたのは昭和四十二年、四十三年だったということはわかります。まだ私なんか大学生だ、そのころは。そこから三十三年、三十四年たった今、当時の議論を見ていますと、どうも、将来そういう小型のコントロール可能の戦術核ができれば、それを保有する可能性まで否定してはならぬのじゃないか、こういうイメージの議論が、読んでみるとありますよ、政府の議論の中に。だから私は、政治的な議論だ、こういうふうに申し上げている。
 ところが、現時点になって、この防衛ハンドブックを見ても、どうも私のイメージからは、広島、長崎原爆の、これをはるかに小型化した核兵器というふうなものが現時点の世界じゅうにおいてあるようには見えないんですね。
 つまり、そこは論理的な矛盾になるんじゃないか。どういう論理矛盾かというと、核というのは、通常兵器よりも爆発力を格段に、瞬時に高める、そういう科学技術だから核なんですよ、核兵器なんですよ、多分。だから、核兵器である限り、小型とか必要最小限度の中におさまるなんということが論理矛盾を来す、私はそう思うんですよ。
 これは現時点でどうなっていますか、防衛庁長官。ちゃんとある程度日本の武器以外には書いてあるじゃないですか。「誘導弾の性能諸元」というのが、防衛ハンドブックの三百十八ページから出ている。この中には、少なくとも、私が申し上げる、小型、あるいは必要最小限度の範囲内にとどまるというふうに考えられるものはないんだけれども、どうなんですか、防衛庁長官。
安倍内閣官房副長官 先ほど委員がおっしゃった、将来、科学技術が発達すれば必要最小限にとどまるものも考えられるという趣旨の答弁がなされたのは、それは昭和三十四年、五年の岸内閣においての岸答弁でございます。その後、昭和四十二年に佐藤総理が非核三原則について述べられ、四十六年に国会決議がなされたわけでございます。
 要するに、それ以降は、政策的な選択肢としてはもう既に排除しているわけでございますから、今おっしゃった、個々の核について、また将来の技術の進歩についても、これは一々検討をしていないということでございますから、個々の核兵器が憲法の必要最小限の中に入るかどうかということについては、検討してきた経緯もないし、また政策手段としてはそれを放棄しているわけでございますから、それを一々検討することはないということでございます。
仙谷委員 僕は、全然、官房副長官にこの種のお答えをいただくために聞いているわけじゃないんですよ、さっきから。防衛庁長官に、武器の技術の進歩というか、技術改良の進歩か技術革新の進歩かがあって、性能が非常に弱い、そういう核兵器が開発されておるんですかと聞いておるんです。そういうものを防衛庁長官は知っていますかと聞いておるんです。どうですか。
中谷国務大臣 近年、湾岸戦争とか、またアフガニスタンの問題においても、核兵器が使われたという事実はございませんし、それぞれ戦術の変化また環境の変化も起きておりますが、戦場において戦術核を使用するようなことは今日考えられなくなってきております。
 その例としては、イギリスにおいても、アメリカにおいても、保有している国では、戦術核の兵器をほとんど既に実戦配備から解除して貯蔵に回しておりますし、また、ミサイルの研究開発を進めている米国は、対空ミサイルの弾頭に核兵器を搭載することは考えていないと承知をいたしておりまして、今日において、核を使うという問題につきましては、軍事的、合理的に見て、必要不可欠と感じられるような戦術核兵器というものはほとんど存在をしていないのではないかと分析をいたしております。
仙谷委員 さっき呼ばなかったけれども、法制局長官が出てきましたよね。たった六月の六日、つい最近あなたが参議院で答えた、「非常に小型な核兵器であるとか性能が非常に弱いような核兵器と言えるものがもし開発されたとするならばというような非常に条件付でおっしゃっておられます」、つまり、合憲の範囲、合憲的に保有できる核兵器というものがあるんだ、それはこういう条件つきだとおっしゃっているから、私ずっと聞いているのですよ。――いやいや、まだあなたに聞いていない。だから性能問題を出したわけ。
 そして、性能のことの認識もなくこの種の議論をもてあそぶのは火遊びだと私は思うのですね。つまり、いいですか、あなた方もちゃんともう一遍見てごらんなさい。この誘導弾の性能を見てごらんなさい。(発言する者あり)
瓦委員長 静粛に願います。
仙谷委員 最低のものでも広島型原爆の大体十倍ぐらいのものを弾頭につけることになっているじゃないですか。簡単じゃないですか。なぜそんなものが小型であるとか殺傷能力が低いと言えるのですか。現実によく考えてみれば、爆発力が通常爆弾よりはるかに大きいから意味があるというのが、幾ら迎撃ミサイルであろうとなかろうと、そこに意味が出てくるんじゃないですか。
 そうすると、日本の場合に、そういう爆発力、殺傷力のある、能力のあるものを、憲法解釈上必要最小限度の範囲内でという論理で、そういうごまかしの論理の中で保有するというふうな結論が出るのか。これは、憲法論としては大変問題ですよ。絶対に憲法論としてはこういう論理は出てこない。
 法律用語で言うとすれば、自衛のために必要な相当な範囲内でというのだったら入ってくるかもわかりませんよ。必要最小限度内の中へは入ってきませんよ。(発言する者あり)先祖返りじゃないよ。憲法論、法律論をやるのであれば、そのぐらい厳密にやってほしい。憲法解釈論に名をかりた願望や政治議論をやってはならない、そういうことをやるのは火遊びだ、こういうふうに考えるのですよ。総理大臣、どうですか、この種の議論。
津野政府特別補佐人 先ほど私が申しましたように、先ほど先生の御引用されました先日の国会の委員会での答弁でも申し上げましたけれども、これはあくまで、仮にそのような核兵器が存在すればという、そういう前提のもとで法解釈論として論理的な帰結を申し上げてきているところでありまして、これは昭和三十七年の林内閣法制局長官、「これは将来の問題もございますし、いわゆる科学技術の発達ということから、純粋に防御的な、まあ小さな核爆発、そういうものができないことは保証できないわけでございまして、そういうものができた場合に、憲法がそれも禁止しているということにはならない、」とか、あるいは昭和三十九年三月に、これは参議院の予算委員会での林内閣法制局長官も、ここでも、「戦闘的な目的として、殺傷用あるいは破壊用に核エネルギーを使った武器を使うということそれ自身だけで、直ちに憲法違反となるというものではあるまい。それはもう少し端的にいえば、防御的なものは憲法違反じゃないということばになってくるわけでございます」とか、それから昭和四十八年に、「攻撃的か防御的かということは判定は」「むずかしいと思いますけれども、理論上の問題といたしまして、自衛のための正当な目的の限度内の核兵器というものがありとするならば、この点につきましては、従来、岸内閣時代におきましても、たとえば当時の、私のもとのもとの前任者でございます林修三氏が答弁をいたしておりまして、将来科学技術の進歩によって、非常に小型な核兵器であるとか性能が非常に弱いような核兵器というものがもし開発されるとするならば、そのようなものは防御的な核兵器と呼ばれるのではないか、」
 そういうふうに、ずっとこれは政府の見解としてそういった論理的な前提を置きまして解釈を導き出してきているわけでありますので、そういうところでは何ら憲法解釈として問題はないというふうに私どもは考えております。
仙谷委員 法制局長官が、余り、前提にした議論をしているわけですよ。おさらいをしていただかないでもその趣旨はわかっていますし、今、私の質問に対する答えとしては、もうちぐはぐになっちゃうんですよね。困ったものだと思います。
 そこで、もう残り時間、それほどないわけでありますが、安倍副長官、もう一つ、あなたが言っているのでちょっと気になるんです。
 「違憲ではない」、つまり、戦術核を使うということは岸信介総理答弁がされていますと、「それは違憲ではないのですが、日本人はちょっとそこを誤解しているんです。ただ、それはやりませんけどもね。」こういうふうに言っているんですよね。
 日本人は何を誤解しているんですか。あなたの理解はどうなんですか。日本人が誤解している理解というのは何なんですか。
安倍内閣官房副長官 先ほど来再三申し上げておりますが、委員は、週刊誌の記事を、「ものすごい中身」とかいう大見出しで書いた週刊誌の引用をされているわけでございます。そもそも私は使用という言葉も使っていないにもかかわらず、その週刊誌の見出しは、私が核の使用は合憲というふうに言ったというふうに書いてあります。
 そういう……(発言する者あり)私はずらしてはいないわけでありまして、そういう不正確な週刊誌の記事を、委員は、この国会の場で基礎として、それのみを情報源として今質問をされているわけでございますが、しかし、私は、あえて私の言いたかったことというか、そこで申し上げたことは、ここではっきりと申し上げておかなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。ですから、その週刊誌は必ずしも正確ではございませんから、週刊誌にのっとって、私はそこで一々議論する気は毛頭ございません。
 私がそこで申し上げたことは、岸答弁をいわば引用したということでございまして、これは昭和三十五年と三十四年でございました。この昭和三十四年の岸答弁というのは、この憲法上の解釈の問題と実際上、政治上の問題と二つあると思います、憲法上の解釈として、核兵器と名がつけばいかなる兵器もこれは憲法違反として核兵器は用いることができないんだという解釈は憲法の解釈としては適当でない、今後どういう発達をするかわからないが、いかなるものであっても核兵器と名がつけば憲法上持てないんだ、憲法違反だということは、憲法の解釈としては私どもはとらないというこの岸答弁を私は紹介したわけでございます。
 また、先ほど法制局長官がお話をされた法制局の見解は、これは私の意見として申し上げたわけではなくて、政府の立場、法制局の考え方を、質問に対してこちら側が紹介をしたということでございます。
仙谷委員 だから、そんなこと、だれも否定していないので、当時から自民党政府がそういう解釈をとってここまで来ている、憲法解釈としてそういう解釈だということは、全然私も何にも誤解していないのですよ。だけれども、あなたは日本人が誤解していると言っていらっしゃるから、日本人が何を誤解しているのですかと。
 日本人だって、自民党がそういうある種の強引な解釈をしながら既成事実を積み重ねてきたという部分は、別に誤解していませんよ。理解していますよ。だから、辛うじて自衛隊に対する支持が過半数を超しているんじゃないですか。そういう難しい議論をまあまあとしてやっているんじゃないですか、日本人が。別に何にも誤解していませんよ。そうじゃないですか。
 だから、誤解しているとか、何か日本人の方が間違っているかのような言い方をされて、あたかも、核兵器を保有することは、法律上あるいは条約上禁止されるけれども、憲法上は禁止されていないんだ、そこのすき間をあけておいて何をしようとするのですか、皆さん方は。
 堂々と議論をすればいいじゃないですか、核兵器問題をやりたいのであれば。核兵器を持ちたいのであれば、そう言えばいいじゃないですか、皆さん。何をそういうこそくなことを考えているのですか。どうですか、福田さん。
安倍内閣官房副長官 極めて今乱暴な決めつけで、週刊誌をもとに質問をされて、私が日本人が誤解しているということを言ったかのごとくの質問をしておられます。
 日本人は誤解はしているとは思いませんが、委員は私は誤解していると思いますよ。憲法解釈論と政策論を誤解しておられる。私は、政策論と憲法解釈論は別であって、岸答弁にも先ほどありましたね、私が御紹介したように。ですから、私は、政策論としては、選択肢としてはあり得ない、しかし、憲法解釈論としてはこういう解釈が今までの解釈としてありますよ、岸答弁はこういう答弁ですよと歴史的な事実を淡々と誠実に学生に対して申し上げたわけでございます。
 ですから、そこで委員のような誤解があってはいけないから、政策論と憲法論をごっちゃにしてはいけませんよということを申し上げたわけでございます。幸い、学生の皆さんからレポートをいただいたわけでございますが、そういう誤解をされた学生はおられませんでした。
仙谷委員 最後に一言だけ言っておきますよ。
 合目的的な憲法解釈をすれば、憲法解釈論としてはあなたの方が誤解しているんですよ。具体的に、現実的に憲法を解釈すればあり得ないということをきょう教えてあげたじゃないですか。
 もし自民党なり皆さん方が政策的に核兵器を保有したいというんであれば、そういう議論をすればいいじゃないかと言っているわけですよ。そうじゃないですか。堂々と問題提起したらどうですか。我々は反対しますけれども、堂々と問題提起すればいいじゃないですか。選挙に負けようと何しようが、やりたかったらやればいいじゃないですか。別にそれをやること自体に、議論すること自体に反対しているわけでも何でもないんだ。
 終わります。
瓦委員長 この際、伊藤英成君から関連質疑の申し出があります。川端君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 まず、総理、官房長官あるいは防衛庁長官、副長官、私ども民主党といたしましては、日本が独立国家として、いわゆる緊急事態に対し、あるいは万一有事の際に、実力部隊が、その実力部隊たる自衛隊が超法規的な行動をとっては困る、そして、いざというときに基本的人権等が不当に侵されることのないように、あるいは国会のチェック等、民主的統制あるいはシビリアンコントロールというのがしっかりと行われるようにするためには、法整備をしっかりとやっておかなきゃならない、こういう基本的スタンスで取り組んでいるつもりであります。
 私自身も、党の責任者の一人としても、そうしたスタンスでこの問題について取り組んできたつもりです。そして、この特別委員会におきましても、そういう意味で、これはしっかりと取り組もう、こういうことでやってきたつもりなんです。
 しかし、今、きょうのこの議論を聞いていてもそうなんです。あるいは先般の官房長官の核の問題についての発言やら、あるいは安倍副長官がいろいろ言われたりしていることについても、あのときはこう言った、あるいは真意はこうだ、こういうつもりでしたというようなことをどんなに言ったとしても、私自身は、やはり極めて残念だ。今、私は怒りを感じる感じです。このいわゆる有事法制ということについても、現在の日本の置かれている状況について、本当にどれだけ真剣に考えているんだろうか。
 冒頭、きのうのサッカーの日本、ロシアの戦いのことについての話がありました。実は、昨日私はテレビであれを見ていて何を一番感じたかといいますと、日本の選手の皆さん方がどんなにか緊張感で必死で全力投球しているか、その姿だったんです。それに引きかえ、今の日本の政府の権力の中枢にあるそれぞれの皆さん方は本当にどう思っているんだろうか、そういうことであります。
 本当に私からすれば、日本株式会社の、あるいは日本丸の船長であり、社長であり副社長であり専務だ、そういう皆さん方は、本気になって今の日本の状況を、あるいは日本をどういうふうにすべきかということについて、どれだけ真剣に考えているんだろうかというほどの疑念なんですね。そんな意味で本当に、今回、きょうもこの議論を先ほど来聞いていても、その感を強くいたします。
 いわば普通の人間として私は議論をしたい、こう思うんですが、まず最初に、総理や官房長官、副長官も同じなんだけれども、一体、日本をこれからどういう国にしようとしているかということなんです。国際社会の中において日本はどういう生きざまをしていく国としようとしているかということなんです。
 私は、今回のいろいろな状況なんかを見ていますと、本当に危険性すら感じます。危険性を感じます。先ほども、官房長官の三十一日の夜の発言についても、国際情勢の変化や国民が核兵器を持つべきだということになったら変わるかもしれない、こういう話をされましたよね。これについて、官房長官は、実は、そのときにどういうふうに言ったかというのは別問題にしても、本当はやはり心の中でそう思っているんじゃないんだろうかと私は思うんですよね。どうですか。
福田国務大臣 伊藤委員からそういう御質問が来るとは思っていなかったんです。何となれば、伊藤先生は、私がどういう政治行動をしているか御存じだと思います。私も、伊藤先生がどういうふうにされているかはわかっております。伊藤先生は平和を愛する国会議員だと思っております。私も全くそうでございまして、私の行動はよく御存じで、私の体のどこを切ったって、非核三原則廃止だ、そんなことありませんよ。すべて私の体は平和主義である、こう考えていただいてよろしいんです。
 ですから、そういう私自身をよく理解した上で私の発言も聞いていただきたい、こういうことを私は記者さんに期待をしたところでございます。
伊藤(英)委員 総理、小泉総理に伺います。
 総理は、五月三十一日、この問題が報道されたときにソウルで発言をされているんですが、総理は、私の内閣では非核三原則は変えない、今は変えないというふうに答えられたというふうに伺います。
 そのときに、そういうことを言ったときに、将来は核保有はあるかもしれないと総理は考えられますか。
小泉内閣総理大臣 私は、現職の内閣総理大臣として、非核三原則は変えないということを強調したかったんです。
伊藤(英)委員 自分の内閣のときには変えない。将来は国民はそういう選択をするかもしれないということについて、総理はどう思われますか。
小泉内閣総理大臣 私は、政治家として、将来の内閣まで、人の内閣、民主党の内閣、どういう内閣ができるかわかりませんけれども、そこまでああやれ、こうやれとは言いませんよ。私の内閣では非核三原則、変えません。
伊藤(英)委員 官房長官に伺います。
 官房長官が三十一日の夜に記者の方に語られたと言われます。先ほど申し上げたように、国際情勢の変化や国民意識の変化があって、そして日本が核兵器を持つべきでと、そのとき、いろいろ言われたときに、日本は将来、国民意識はいろいろ変化するかもしれないけれども、変化をさせないようにしようとか、あるいは逆に言うと、核兵器を日本は将来どういうふうになろうとも持つべきではないというようなことを記者の皆さん方に話をされたんですか。
福田国務大臣 先ほども答弁申し上げたとおりでございますけれども、そこなんですね。そこで、そういうことを私は、記者さんが、若い記者さん、私の年の半分ぐらいですよ、私の息子ぐらいな記者さんですよ。そういう方々がどのぐらいこういうことを理解していたのかなということについて、後から、私ももう少し丁寧に説明すればよかったのかな、こういうふうに思います。
 ただ、担当の記者ですからね。ですから、私がどんな人間かというのはかなりよく知っているはずなんです。そういう日ごろのことを知っていれば、そういう、間違ったとあえて言いますけれども、報道はすることはなかったんじゃないかなというように思っておりますけれども、いずれにしても、私は、こういうことについては、若い記者さんも、非核三原則というものがしっかり頭の中に入って、日本がそういうことをする国でないんだということも承知した上での話であります。
伊藤(英)委員 私は、若い記者の皆さん方ならば余計に、今後どういうふうに日本はすべきだということをなぜもっと言わないんだろうか、こういうように思うんです。
 実は、私はこうは思いたくないんだけれども、ひょっとして今のあれは、総理にしても官房長官にしても、あるいは副長官にしてもそうなんだけれども、ひょっとして、憲法改正の議論に便乗して、これからいわば核保有についても含みを持たせたい、将来の核保有についての環境づくりをしていこうというような思いは全くないんでしょうね。
福田国務大臣 そのように何でもかんでもくっつけてお考えになるということは、そもそもこの日本の国是ともいうべきものを、これを御理解されていないんではないかというように思っております。
伊藤(英)委員 新聞に、当時はもういろいろな大きな記事が載っています。ここに「タカ派体質浮き彫り」と書いてあります。私はそれを読んだときに、ゆえなくして書いているわけじゃないなという印象を持ったんです。そういうことを、私もそう思っているんです。
 では、もう一つ伺います。この核問題というのは、あるいは非核政策という話は、日本は、私の理解では、日米関係の文脈の中において極めて厳粛なる選択をしたんだ、その上で今日があるんだと私は思うんです。そのことについてどう思いますか。
福田国務大臣 日本は、戦後、日米安全保障条約というものを締結いたしまして、日本の安全保障について米国と協調してやっているということでございます。その安全保障体制があるからこそ、戦後これまで日本は安全保障を確実なものにしてこれたというように思っております。
伊藤(英)委員 実はさっきちょっと言いかけたんですが、今回、官房長官にしてもあるいは総理にしても、国民の意識が変われば、あるいは後の国民に任せるよと言わんばかりの発言を見たときに、この核問題についての話を考えますときに、私は、ああ、小泉内閣はまさにポピュリズムだなという印象を抱いたんです。
 要するに、日本がこれからどうあるべきか。まさに、先ほども申し上げたように、日本の政治やあるいは権力の中枢にある皆さん方が、日本はこういうふうに持っていかなきゃいけない。この核の問題について言えば、まさに非核三原則も何のためにあるのか、そういう思いで、本当に核廃絶の重要性は普遍的価値として日本は大きく主張もし、そして、世界の中でそれを広めるべく全力でやらなきゃいけない。今までも、これは、NPTの問題にしても、あるいはCTBTの発効の問題にしても、どんなにか日本政府は、総理から外務大臣から、いろいろなところで活動してきているわけでしょう。これはどういうふうに結びつくんだろうかという気さえするぐらいなんです。なぜ、もっと日本はこうすべきだ、将来の展望に向けてこの核の問題についてやらないんだろうか、もしも心からそう思っていたら、今回あのような軽率な不注意な発言なんか出るわけがないと私は思うんです。どうですか。
福田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、我が国は、非核ということについていろいろな対応を今までし、また、国際社会において、核の威力を減ずるための発言もし、また行動もしてきたと思います。今後も当然そのようなことをしていかなければいけないと思いますけれども、あわせて、核が何のために必要なのかといえば、国際間の緊張でございますね、それから、国際間のいろいろな圧力がある、紛争がある、そういうものを除去するということが根底にあるわけでありますので、そういうためには、国際間の紛争を除去するための、また、その紛争圧力を除去するための努力もしていかなければいけない。そのことが私は非常に大事であり、また、日本はそのことについて力を振るっていかなければいけない。
 日本としては、核を持ってほかの国に圧力をかけるのではなくて、平和的な国際間のいろいろな取り組み、平和的な枠組みの構築とかいったようなことに最大限力を振り絞っていくことが必要なのではないかということで、この内閣においても、そのことについては力を尽くしてまいりたいと思っておるわけであります。
伊藤(英)委員 今回の官房長官の発言あるいは副長官の発言等が、日本のこれからの若い人たちに対しても、核保有はあるかもしれないな、若い人たちばかりじゃありませんよね、あるいはそういうふうにした方がいいかもしれないというような誤ったメッセージを与えているんではないか。これは国際的にもそうなんですよ。そういうふうになっていやしないか。そして、そういうことになってしまっているということについて、ああ、まずかったなという思いはありますか。
福田国務大臣 今回のことでもってこのような報道をされてしまったということについて、これは非常に残念に私自身は思っております。
 しかし、この機会に、きょうもこのような委員会を開いてくださって、そしてこのことについて議論をするということで、今の政府が、また日本がどういう核政策を持っているかということは、もう国民にも浸透するであろうし、また、世界にも改めて日本の核政策に対する考え方をはっきりと申し述べる、そういう機会をつくっていただいた、こういう意味におきまして、大変感謝をいたしております。
伊藤(英)委員 私は、ふざけちゃいけないという感じなんです。総理や官房長官にこんな言葉を使いたくない。本当に、日本のことをお願いしますよ、こういう気持ちなんですよ。いいですか。
 例えば、卑近な例かもしれません、あるいはこんな話がなければ、石原都知事は、この問題について官房長官に、激励の電話というふうに新聞に出たと思いますが、そんなことはなかったと私は思うんです。
 いいですか。ほかの国も、今韓国でも中国でもいろいろな意見が出ています。本日のと言った方がいいのか、昨日のと言った方がいいのか、アメリカのニューヨーク・タイムズは、さっきもありましたよね、どれだけのスペースを開いて、きょう一面に出ているか。これはA4だけにあれしましても三枚、四枚ですよ。ここに書いてあるのは、まさに核兵器が日本で挑戦を受けている、受けつつあるということですよね。どんなに詳しくか、ずっと書いてあります。そして、その中に書いてありますのは、まさに日本で今安全保障の問題について大きな変化が、メジャー シフト イズ アンダー ウエー、起こりつつあると書いてあるわけなんです。この中に、官房長官の発言やら副長官の発言やら、あるいはその他の日本の他の人の発言等々が出て、もうそういうふうになっているんですよ。そのことの深刻さをもっともっと考えてほしい、こう思っているんです。
 その次に、外交面、国際的な面のことについて申し上げたいと思うんです。私はいつもこういうふうに思ってまいりました。私たちが安全保障の問題を考え、あるいはいざ有事のときのことを考える、そのときに私はいつもこう言ってきたんです。九九%は外交だ。もしも、よく言うように、万一の事態、万一と考えるなら九九・九%が外交ですよね。最後の〇・〇何%が実力部隊の、例えば日本でいえば自衛隊を使って云々という話でしょう。そういうふうに考えるときに、私は今回のような状況を見るときに、この外交感覚のなさは何なんだろうかというふうに思います。
 先ほども話が出ました。中国の問題にしてもあるいは韓国の問題にしても、あるいはインド、パキスタンの問題にしても、これだけ核の問題を初めとしていろいろ緊張しているときに、日本の官房長官が、あるいは副長官が、この時期に、核が持てるかもしれないかのごときというような話は、どんなに否定しても、さっき、副長官の話なんかを聞いていますと、どんなに……(発言する者あり)そうじゃない、そうじゃないと言うけれども、あるいは政策論がどうだ、あるいは憲法論はどうだ……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。論理の上でという話をしたとしても、なぜ今、憲法論のもとであったとしても、小型だったらどうなのか云々とか、そんな話が出るんですか。今日本が置かれている現在のこの時点で、あるいはほかのときでもそうなんですよ、今この時期に何だと私は思うんです。
 先般、総理が韓国に行かれました。普通だと、ああいう形で行かれれば日韓の首脳会議が行われても全然おかしくない、本来開かれるべきだと私なんかは思うんです。にもかかわらず、この間は瀋陽の話等々でできなかったんでしょう。それはそれとしても、この今の九九%以上は外交だと思っているときに、この外交的な視点の欠如が今あるというのはどういうことか。私は、緊張感のなさ、不用意さ、不注意さ、これは一体どういうことだと思うんですが、どうですか。
安倍内閣官房副長官 今、御質問の冒頭でニューヨーク・タイムズを例にとっておっしゃったわけでございますが、まるで核政策に対するチャレンジが行われているかのごとく報道、私はそれをよく読んでいないからわからないわけでございますが、それはもちろん全くの間違いであって、例えばこの国会の場でとかテレビの場において、官房長官とか私がそういう政治的なメッセージ、政策の変更を述べたのであればまさにそのとおりでございましょうが、全くそういうことは言っていないわけでございますから。しかも、ニューヨーク・タイムズには私も官房長官も全然インタビューされずに、そういう記事が出ているということでございます。
 また、早稲田での私の発言でございますが、そこで私は核保有論なんということは一言も申し上げていないわけであります。今、まるで私がそのようなことを申し上げたようにおっしゃったわけですから、これははっきりと否定をしておきたい、このように思います。
 再三申し上げているわけでございますが、そこは、早稲田の授業において質問が出て、それに対して私も誠心誠意、誠実に今までの事実を紹介した、過去の記録を述べたということでございます。ですから、それは、政策論として私はこうやりたい、ああやりたいとかいったことでは全くないわけでございまして、その関連で質問が出て、官房長官に対しては、私のその発言に対して質問が出たわけでございますが。
 ただ、私のその早稲田大学での授業は今から四週間前にあったわけでございます。そして、三週間前のサンデー毎日の記事で出たわけでございます。その段階で、私は各新聞社に私の真意を説明いたしました。ですから、サンデー毎日があれだけおどろおどろしい見出しで大々的な記事を書いたにもかかわらず、どの新聞社も全く記事にしなかったわけでございます。
 その後、何回か、私は国会で二回ほど、既に委員会で質問に答えております、この問題については。しかし、それはそこでもう既に、私の真意を述べたらそれで終わってしまった。報道すらされなかったわけでございます。ですから、そういう実態もよく御承知おきをいただきたい、このように思います。
伊藤(英)委員 官房長官、先ほど申し上げたように、今の外交ということを考えたときに、今回の状況を見れば、多分、日ごろは官房長官は、国際的な外交面には非常にいろいろと意を払っていらっしゃると私は思うんです。しかし今回は、余りにもこの問題は、この時期、日韓のワールドカップのその初日であるわけでありますが、いかにも外交的な配慮を欠いていたなというふうに私は当然思われると思うんですが、どうですか。
福田国務大臣 何度も繰り返し言いますとおり、私も、聞かれたから答えたということなんですよ。私から意図的に申し上げたことでない。
 ただ、その後の発言が私の思っていることとは全く違うところで流れてしまったということは、これは私の意図せざることで、極めて残念に思っているところであります。
伊藤(英)委員 私は、こうだと思っているんです。質問はあったかもしれない。しかし、そのときに何を言うかということが問題なんですね。
 そのときに、この問題について、どんなに日本にとっても重要な問題であるか、そして、将来に対して日本はどういうふうにしなきゃいけないからという展望を、本当に、まさに心を込めてお話をされたら話は違うと思うんです。こんなにほとんどの新聞が、こんな感じでばかばか出ているわけでしょう。記者の人たちがみんな頭が悪いわけじゃないと私は思うんですよ。
 あるいは、若い記者の皆さん方に教育という話もありました。にもかかわらず、若い記者の皆さん方に全然教育になんかなっていないんじゃないんですか、これは。だから、そういうことを何で今のタイミングでと私は思うんです。
 さらに言えば、有事法制もやっている最中です。私は、有事法制というのは、ある限られた部分についての日本の対処の仕方と思っているんです。しかし、こういう話がこの時期に、さっき副長官は、三週間前、四週間前とかいろいろな話を言っていました、この時期にああいうような話もされたりしている。で、官房長官はこうやって話をしたりする。あるいは、かつての総理の発言等もある。そういうことを考えますと、有事法制は非常に限定的な話だと思っていたんだけれども、実はその延長線上に、ひょっとしたら、核保有か、あるいはそこまではいかなくても、重武装国家といいましょうか、そういうものを考えているのかなということさえ思うんですよね。(発言する者あり)
 今、思わない、思わない、こう言ったりしていますが、総理は、かつて日本が国連の常任理事国入り云々といったときに、憲法九条を変えなければ、あるいは軍事力を使えるようにできなければ常任理事国になる資格がないんではないかという趣旨の話をされていると私は思うんです。私は、今の日本における、あるいは世界において、何をどういうふうにして外交をやるのかということについて、非常にある意味では発想が前時代的といいましょうか、日本がいわばいっぱしの国になるためには軍事力でかなりやらなければというふうに非常に思っているんではないか、すべてこの辺はそういうものの延長線上ではないかと思うんですが、どうですか。
小泉内閣総理大臣 国によっては軍事力を外交に使う国もあると思いますが、日本はそうじゃないんです。平和に徹しているんです。だからこそ、二度と戦争にしてはいけない、経済大国になっても軍事大国にはならない、非核三原則、この外交方針に全く変わりないんです。
伊藤(英)委員 官房長官、どうですか。
福田国務大臣 総理のおっしゃっているとおりでございます。
伊藤(英)委員 実は、私からすれば、一言、総理は非常に短い言葉で言われたりするわけです。しかし、例えば今この議論だけ見ても、日本を世界の中で、非核の問題も含めて、本当にどういう国にしようとするのか。その真剣さと、そして、国際的な中においてもそうです、どうしようかということについて、何でこんなに無責任なんだろうか、こういうことを私は思います。なぜこんなに不注意なんだろうかと。私は、与党の皆さん方にも本当に真剣に考えてもらいたい、今、日本がどういう状況にあるかを。
 そういう意味で、私どもは既に要求しておりますが、総理、私は、まさに権力の中枢にある、あるいは政治の中枢にある官房長官、副長官にやめていただきたい。今回、だから辞任をしていただきたいし、総理に対しては、罷免することを強く要請して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございますが、御答弁をよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 今回の核をめぐる福田官房長官の御発言、これは、先ほど来の議論になっておりました、安倍官房副長官が早稲田大学で学生さんたちに講義をした際に、核兵器の保有とか使用が我が国の憲法上許されるか否かということに言及をされた、そのことが物議を醸してこういうような状況になった、こういうことだろうと思うのであります。
 安倍官房副長官、講義の内容を報じた週刊誌を、報道関係を一切入れないで、オフレコの状態での講義だったので突っ込んだ話をした、それを外部に持ち出して揚げ足取りをする、ひきょうでルール違反だ、このように批判をされたというように聞いているわけでありますが、ただ、当該週刊誌がどういう方法で入手したかということを抜きにしても、やはり内閣官房の中枢におられる副長官としてのお立場、あるいは、今この委員会で何を審議しているか、有事法制を今真剣に審議しているような、そういうときのことを考えれば、やはり何といっても、余りにも不用意な発言だった。
 官房副長官、先ほど来、弁解でもない、何でもないといったようないろいろなことを言われておりますけれども、何を言われようと、例えば同じことを、何も悪いことをしていない、また別なところで、あす大学に行って言いますよといったようなことを仮に言ったとしても、いろいろなことをおっしゃっておるわけですから、どんな弁解をしようとも、これは不用意だったと思わなければならないだろう、私はこのように思うわけであります。――よろしいですよ、まだ。ちょっと待ってください。僕はあなたに御答弁を求めているわけじゃないんです。
 これに対して、福田官房長官、核兵器の保有に関して、政治論では持てないけれども、憲法上もしくは法理論的には持ってはいけないと書いてはいない、最近は憲法も改正しようというぐらいになっているから、国際情勢や、国民が持つべきだということになれば非核三原則も変わることもあるかもしれない、このように発言をされたと聞いているわけであります。
 非核三原則を国是としている我が国の政府の中枢におられるお二人、官房長官、副長官でありますけれども、簡単に核保有の問題に言及をして、しかもお二人とも、何か先ほど来お聞きしておれば、第三者的な発言に聞こえるんでありますが、その発言の内容が、国是を厳守していくんだという姿勢も気迫も全く感じられない。このことはゆゆしき事態だ、私はこのように思うわけであります。
 これらの発言について、韓国におられた小泉総理は、大した問題じゃない、どうってことない、このようにコメントをされたということでありますけれども、冗談ではありません。これは内閣総辞職に値するような、私は大変な問題だ、笑っておられますけれども、私は本当にそのように思うんですよ。総理の御認識は今でも韓国での、大したことない、どうってことないとおっしゃったような、同じお考えなのかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 非核三原則、変わらないんですから、問題ないです。
工藤委員 非核三原則、変わらないから問題がないと。
 例えば、仮に、小泉内閣の官房長官、副長官というような方が、もちろん先ほどから、非核三原則には変わりがない、政府の方針を変えたわけではない、ずっとそういうような御答弁がありましたよ。ただ、官房長官とか内閣の中枢におられるようなそういう方が、しからば何を言っても、実際は言っただけだ、そう言っただけなので、訂正もしたし、それで、方針は全く変わっていないんだから別に問題はないんじゃないか、そんなような、何でも発言をしていいということになりますよ。だから……(発言する者あり)何か言いましたか。ですから、私は今の小泉総理の御答弁、全く解せないんですよ。
 特に、官房長官は軽率であったというようなことも言われたといいますけれども、そういう弁明だけで……(発言する者あり)軽率だと言っていないんですか。しかし、例えば、この問題で同盟国とかあるいは近隣諸国に無用の懸念を与えたということは、これは事実でありますよ。また、唯一の被爆国として、我が国の国民感情、これを逆なでした。ですから、国民もマスコミもあんなに騒いで警鐘を鳴らしているわけですよ。警鐘を鳴らしているということは、これはお考えいただかなければならない。
 そんな簡単な、どうって問題じゃない、大したことじゃない、そういうようなことではないというふうにやはり政府の責任者は考えていただかなければならないと思いますし、我々野党は官房長官の罷免を要求しているわけでありますけれども、これは当然しかるべき責任をとらせる問題だ、私はこのように思うんでありますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 罷免する考えはありません。
工藤委員 ということは、先ほどから何度も申し上げて恐縮なんですが、官房長官の御発言というのは、どうって問題ではない、大したことじゃない、非核三原則を守るんだから、言うことは何と言ったとしても、守るんだから、それは大したことがない、そういうふうなことなんですか。もう一度お願いします。
小泉内閣総理大臣 非核三原則は小泉内閣、変わりません。問題はありません。
工藤委員 いやいや、これはもう一国の総理として、失礼ながら真剣にその辺を考えておられるのか。ただ守るために、例えば一内閣一閣僚とかそういうようなことで守るために、火をきちっと早く消さなきゃならない、そのためにというようなことなんですかね。いずれにしても、資質を問われるようなそういう御答弁だ、私はこのように思うんです。
 それでは、当事者たる福田官房長官に今度はお尋ねをさせていただきます。
 一連の記者会見で、福田官房長官は、日本には非核三原則がある、長距離ミサイルや核爆弾は、理屈からいえば持てるけれども政治論として持っていない、このように話されたと私は聞いておりまして、さらに、記者に追い打ちをかけられて発言内容が二転三転したあげくに、秘書官から耳打ちをされて、ICBMは持てない、このような発言をしていわゆる軌道修正をした、このように聞いているわけであります。
 核兵器の従来からの政府見解からしても、大陸間弾道ミサイル、ICBMは持てないことは自明の理なわけであります。それを官房長官は、最初には長距離ミサイルや核爆弾は理屈からいえば持てるというように発言をして、修正をしたわけでありまして、このような基本的な見解もわきまえずに話されたということでありまして、内閣のかなめにおられるお立場としては極めてふさわしくない、私はこのように思うわけであります。
 しかも、発言されたときは小泉総理が韓国を訪問しておられて、そして内閣総理大臣臨時代理というお立場でもあったわけでありまして、みずから責任を明確にするということは当然だと私は思うんでありますけれども、官房長官、従来の政府見解を踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
福田国務大臣 私の会見とそれから懇談が一緒になって、私に都合の悪いような部分だけを取り上げますと、そういうふうなことになるんだろうと思います。
 私の真意は、もちろん、何度も申し上げておるところでございますけれども、非核三原則を厳守する、堅持するということですね。これはもう歴代内閣がずっと言い続けてきていることでございまして、また、この内閣においてもこの考え方を一切変えることはない、これはもう何度も申し上げているところでございます。
 なお、私の発言で誤解を招いたということでありますけれども、私の真意は今申し上げたことでございまして、そういうことを前提にした上での話であるということでございます。
工藤委員 小泉総理は、我が国が核拡散防止条約に加盟をして、さらに包括的核実験禁止条約の早期発効を国際社会に働きかけているということは、当然忘れてはいないわけでありますが、我が国がどのような手段というか方法で、核廃絶という究極の目標に向かって世界に働きかけをしているのか。官房長官の発言が、我が国の核政策に関して内外に無用な疑念を抱かせたり、国益に反したとお考えにならないのか、その点を伺います。
小泉内閣総理大臣 我が内閣の政策、変わりません。問題はないと思っています。
工藤委員 非核三原則は、沖縄返還交渉時に佐藤内閣が明確にした基本方針でありまして、その後、衆議院でも遵守するということを決議した、まさに国是なわけであります。
 小泉内閣は、歴代内閣の方針を踏襲して、先ほど来からおっしゃっておりますように、堅持するというようなことで再三おっしゃっておられるわけでありますが、ちょっとお尋ねをしておきたいのは、歴代内閣が堅持してきた、そして、みずから、いわゆる小泉内閣も、堅持をする、守っていくんだ、自分の以降の内閣もやはり、我が国としてはこの非核三原則は堅持するべきだというようにお考えなのか、後の内閣では見直すことがあってもやむを得ないとかいいとか、どうお考えになるのか、その辺を伺っておきたいと思います。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 我が内閣は、非核三原則、堅持いたします。後の内閣、どの政党が内閣をとるかわかりませんけれども、非核三原則を堅持してもらいたいと私は思っております。
工藤委員 まあ、同じ話をしてもあれですから、ちょっと当委員会の質疑についてお尋ねをしたいのでありますけれども、いわゆる武力攻撃事態関連法案、これはずっと今、私も理事としてこの運営に携わってきているわけでありますが、いかにも問題が多い、そういう法案だと。
 先ほど総理は、自民党の方の質問に対して、全部これを通してもらいたいと思っているといったような、そういう御答弁をされたのでありますけれども、いろいろな問題からいって、今国会での成立は、物理的に見ても困難ではないか、私はこのように思っております。
 何しろ三十年も前に、旧ソ連時代に、北海道にソ連が攻め込んでくることを想定して研究したものをもとにして防衛庁がつくった法案なわけでありまして、それを、いろいろ今日まで、まだまだ精査したり検討したりする、そういう時間は十分あったわけですけれども、それをせずにぼおんと今出してきたといったような法案でありまして、仮に会期を延長したとしても、これを成立させる必要があるのかどうか。
 自民党の大幹部の方々は、これは欠陥法案だというようなことをはっきりおっしゃっている方々がたくさんおられるわけですから、そういう中で……(発言する者あり)いや、言っていますよ。言っている。新聞にもちゃんと載っているんだから……(発言する者あり)
瓦委員長 質疑は続けてください。静かにしてください。
工藤委員 ですから、修正の話なんかも、審議を一回もする前から出ていますよ、いかようにも修正に応じるとかなんとかというのが新聞等で。まあ新聞も、さっきから、週刊誌で出ていたのも信用もできない、適当なことを書いているとか、新聞もそうだと。ところが、どの新聞もそういうふうに書いているんですから。まあみんな、その新聞がどうもおかしいと言われればそれまでなんですけれども。ですから、修正、そういうようなことをやろうとしても、だれもこんな欠陥法案に乗ってくる政党、考え方はないだろう、私はこのように思っております。
 ただ、一つ言えることは、有事法制というものは我が国にとって極めて大事な、必要なる法案だ、これは絶対やらなければならない。ただ、やるについては、きちっとしたものをつくって出さなければならない。例えば自衛隊を守るための法案とかそういうんじゃなくて、真に、むしろもっともっと国民を本当に守っていくんだという、そういう法律案でなければならないわけでありますので、私は、この際一たんこれを撤回して、そして二年間なら二年間、そういう期間をつくってもいいと思いますよ。これまで、いろいろな議論がこの委員会で出てまいりました。それを踏まえてきちっとしたものをつくって、そして再度提出をするのが妥当だろう、私はそのように思っているところでございます。
 これについて、総理から一言御見解を賜りたい、このように思います。
小泉内閣総理大臣 委員も有事法制の必要性を認めているわけでありますので、建設的な議論を進めて、ぜひ成立を期したいと思っております。
瓦委員長 時間が参りました。
工藤委員 時間が参ったようでありますので御答弁は求めませんけれども、どうかこの政府提出の有事法案、よくお考えになって、そして一たん引っ込めた方がいい。そして、今我が国にとって最大の有事は、やはり景気を回復させることだと私は思っております。ですから、景気対策に全力を尽くすことを御要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章です。
 二度にわたる原爆投下で、一瞬のうちに二十万人を超える人々の命が奪われました。今なお数十万人の方々が苦しめられているのが核兵器、大量殺りく残虐兵器です。この悲劇を世界でただ一つ体験した被爆国がこの日本です。
 小泉総理にまず伺いたいと思います。
 この日本の総理として、日本が非核三原則、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず、これを国是としていることの重大性について、これをどう認識されているか、まずお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 日本としては二度と戦争を起こしてはならない、これが政府としても国民としても最も外交・安全保障上の大基本方針だと思います。だからこそ、平和に徹する、経済大国になっても軍事大国にならない、非核三原則を堅持する、これは、平和国家に徹するという意思表示を内外に明らかにしているところであると私は考えております。
春名委員 歴代政府は、例えば三木首相、七五年二月十三日、「日本の不変の原則」だと、この非核三原則を。不変の原則。それから、七八年三月六日衆議院予算委員会、福田首相、いかなる政府ができても、非核三原則の国会決議は「いかなる政府によっても守られなければならないし、守られる」。一九八〇年十月二十日衆議院決算委員会、鈴木善幸首相、「この非核三原則を国是として堅持していく、今後においても変わりはございません。」つまり、非核三原則を不変の原則として将来にわたって守り抜いていくという、そういう態度表明をしてまいりました。
 ところが、先ほど来のお話を聞いていますと、長官は、先の話を聞かれても困るというニュアンスのお話をされている。小泉総理自身も、自分の内閣ではそれはないが、将来の内閣のことは言えない、できれば守ってもらいたいということを言いましたが。
 そこで、私はお聞きしますが、小泉内閣になって、この三原則というのは不変の原則ではなくなったというふうになるんでしょうか。違うんですか。
福田国務大臣 それは、私どもは不変の原則だと思っておりますよ。その上で、そういうような不変が変化しては困るということも含めて、私どもは、いろいろと機会があれば、そういうことにならないようにという、そういう教育は若い人たちにはしているつもりでございます。
春名委員 それでは、お聞きをしますけれども、福田長官は、国の安全保障のあり方については、それぞれの時代、状況、国際情勢等を踏まえたさまざまな国民的な議論があり得るということを、この間の六日の参議院の外交防衛委員会でもお答えになっているし、先ほどの委員のいろいろな質問にも、そうお答えになっている。要するに、情勢によって変わり得るという認識を繰り返し吐露されているわけなんです。
 私は、これが問題の核心ではないかと思うんですが、将来にわたって守り抜く、堅持するという歴代内閣の立場と今おっしゃっていることは、私はだれが聞いても明らかに違うんじゃないかと思うんですが、どうですか。
福田国務大臣 この間の報道された部分は、これはもう極めて短い時間のやりとりだったわけであります。そしてまた、その他のこともいろいろ話しているわけでございますので、そんな突き詰めた話でももちろんないし、また私は、そんな誤解を受けるような発言をした覚えは全くありません。
 国の安全保障の問題ということになれば、核の問題も当然議論される対象になるわけでしょう。そういうようなことで、これからも議論そのものはさまざまな議論があるんだろうというふうに思います。そのことが私は当然だと思っております。
春名委員 国の安全保障のあり方については、それぞれの時代、状況、国際情勢を踏まえた国民的な議論があり得る、これは国会答弁で言っている。
 もう一度確認しますが、国の安全保障のあり方の中には当然非核三原則も入るでしょう。
福田国務大臣 日本の場合にはそういうことは当然入ると思います。
春名委員 そういうことでしょう。だから、情勢によっては、国民の変化によっては、この安全保障、その中の大きな部分を占めている非核三原則の問題についても検討の対象になるときが来るかもしれない、そういうニュアンスのことを少なくともおっしゃっているということを今お認めになっているわけですよね。それが問題の核心ではないでしょうか。――待ってください、質問しますから。
 そのことが世界に大きな衝撃となって走っているわけですね。
 韓国紙の朝鮮日報二日付、世界平和と北東アジアの秩序に対する重大な挑戦、日本の国際感覚の水準を見せたもの、小泉首相は福田長官を即刻更迭し、非核三原則を厳守する意思を明確にしなければならない。
 それからニューヨーク・タイムズ、九日付の一面ですね、先ほども出ました。ここでは、「日本で核兵器のタブーが挑戦受ける」という見出しで一面に掲載をされる。「一部の有力政治家が半世紀の平和主義政策を破って核兵器保有を検討し始めた」、ニューヨーク・タイムズの一面です。東アジアだけではなくてアメリカでもこのような衝撃が走っている。この責任を、この重大性をどうお感じになっているんでしょうか。
福田国務大臣 そういうことですから、報道というのは極めて慎重にあらなければいけないと私は思います。報道の責任は私は問うつもりはありません。報道というものは、時としてひとり歩きすることもあるし、また間違った取材で間違った報道をすることも当然あるわけでございますから、そういうときは謙虚に反省をしていただきたいと思います。
春名委員 何か、報道した記者の方に責任をなすりつけるようなとんでもない発言なんですね。いいですか。産経新聞の一日付、「非核三原則は、今まで憲法に近いものだった。でも今は憲法も変えようという時代だから、国民が持つべきだとなったら、これからは分からないかもしれない。」これが一日付。東京新聞の一日付、非核三原則は憲法のようなものだ。しかし、最近の世論は「憲法も改正しようというぐらいになっているから、非核三原則も変わることもあるかもしれない。」朝日新聞の二日付、「非核三原則は憲法に近いものだからねえ。しかし、今は憲法改正の話も出てくるようになったんだから国際情勢や国民が持つべきだということになるかもしれないよ。」読売新聞の二日付、「まあ非核三原則も憲法に近いものだったが、いまは憲法改正も(国民の意見として)出てくるのだから、何か起きたり、国際情勢の変化があれば、国民の中に「(核兵器を)持つべきだ」という意見が出てくるかもしれない」。ほとんど同じことなんですね。国民の世論の変化、国際情勢の変化があればそういうことも検討の対象になり得るかのような、全部同じ報道になっているんですね。
 そこで、六日の外交防衛委員会の質疑では、福田長官は、安全保障全般の議論のことを言ったんだとおっしゃった。先ほども言った。しかし、その安全保障の全般の議論の中にも非核三原則という問題は大きな柱としてある。このことについて、情勢の変化でどうなるかという話をしているわけじゃないですか。ですから、こういう報道が次々と出るのは私は当たり前だと思うんですよ。
 真意でないとおっしゃるのは、それは勝手ですけれども、しかし、そこに問題の核心がある。私は、非常にそのことを憂慮せざるを得ないわけです。
 そこで、総理に私は聞いておきたいと思うんですが、非核三原則の核心は一体何かということです。ただ一つの被爆国として、この日本が三原則を国是として今も将来も守り抜くというのは当然だろうと思います。同時に、この持たず、つくらず、持ち込ませずという三原則は、二十一世紀の世界から核兵器をなくすという決意が込められているものだと私は思いますけれども、総理はこういう認識はおありでしょうか。
小泉内閣総理大臣 核廃絶を訴えている日本としても、最も大事な原則の一つだと認識しております。
春名委員 もう一回聞きます。
 二十一世紀の世界から、この非核三原則を日本が守るだけではなくて、核を一刻も早くなくしていく、そういう決意がこのメッセージに込められているというように、当然国民みんな受け取っているわけですが、総理も同じ御認識でしょうか。
小泉内閣総理大臣 核を廃絶したいという国民の願いと、そして日本として、核兵器をつくる能力があるにもかかわらず持たない、経済大国になっても軍事大国にはならないんだという決意を表明した大事な原則であると思っております。
春名委員 いや、私が聞いているのは、日本の決意として、それはそうなんです。持たない、これからも持ち込ませない、つくらせない。当然なんですけれども、世界から、今核兵器がある、核兵器をなくすという決意を日本の立場として表明しているものであるという認識でいいかどうかと聞いているんです。
小泉内閣総理大臣 核廃絶への努力をしている、当然だと思っているんです。今まで言っている答弁はそのことでございます。
春名委員 要するに、将来どうなるか、あるいは国際情勢がどのようになっていくか、そういうことにかかわらず、今私は、非核三原則の精神が世界の流れと合流しつつある、非常に大事なときに来ていると思うんですね。つまり、核兵器の廃絶が、今や究極の課題ではなくて、期限を切った課題となってきている、ここが大事だと思うんですね。直ちになくすというのが今本流になり始めている。
 一昨年の四月、五月に、NPT、核不拡散条約再検討会議が開かれました。そこで、新アジェンダ連合、これはブラジル、エジプト、アイルランド、スウェーデン、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカなどの国々ですが、この新アジェンダ連合とASEAN、東南アジア諸国連合、その提案で、核兵器廃絶の目標から究極的の言葉が外されました。自国の核兵器の完全な廃絶を達成することが核兵器保有国による明確な約束だとする最終文書が、アメリカを含めて確認をされています。この年の国連総会では、この決議が圧倒的多数で採択をされています。アメリカも否定できないところまで国際世論が、究極ではなくて期限を切った課題として盛り上がっている、そういうとうとうとした流れがある。
 そこで、総理に御確認をしたいと思います。究極的ではなくて、期限を切った核廃絶に全力を尽くす、努力をする、そのことを言明していただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 核軍縮に向けて、今米ロも努力を継続している。日本としても、核廃絶へ向けての努力は今後も継続していきたいと思っております。
春名委員 一般的に核廃絶の努力を聞いているのではないのです。世界では、期限を切って、究極的ではなくて核廃絶をする、二十一世紀の早い段階にこれを実現しようというとうとうとした流れがある。いいですか。その流れの最先頭に立って、あなた方が言うのであれば、非核三原則をこのように守ると言うのであれば、そういう立場に立った努力をするということを、きょうテレビが入っていますから、明言していただくということが大事じゃないでしょうか。
小泉内閣総理大臣 核廃絶への外交的努力は、今後も継続してまいります。
春名委員 いや、そうではなくて、今問題になっているのは、努力をするのは当たり前なんです。期限を切って、明確に、一日も早く核廃絶を実現するというのが流れになっている。その流れの先頭に立ってほしい、立つべきだ、これが非核三原則の精神じゃないかということを言っているんです。その点どうですか。
小泉内閣総理大臣 一日でも早く核廃絶ができればいいと思っております。
春名委員 一日でも早く核廃絶できればいいとおっしゃったんだが、実際、日本政府がやっていることはどういうことですか。昨年の国連総会、二〇〇〇年の決議の中で最も重要だった内容である、核保有国は自国の核兵器の完全な廃絶を達成することを明確に約束、明確に約束ですね、というふうにするという合意事項をあいまいにする決議案を日本政府が出して、新アジェンダ連合それからNGOから大変な批判を浴びる、こういう失態を演じているじゃないですか。全然違うじゃないですか。
 それから、もう一点、小泉総理大臣に聞きますが、ブッシュ政権は今、テロとの闘いで核兵器を使うこともあり得る、こういう大変な発言をされる。包括的核実験禁止条約からの離脱、あるいはミサイル防衛構想、核使用の拡大、新しい核兵器の開発という大変危険な逆流が生まれている。しかし、私が知る限り、小泉総理は、アメリカにはアメリカの事情があるという立場しか言っていないんじゃないでしょうか。なぜこういう新たな逆流に対して毅然として立ち向かわないんですか。そこを私は聞きたいです。
小泉内閣総理大臣 政治家として、理想を見きわめつつ現実を直視するということも大事なんです。世界情勢、軍事情勢、よく見ながら、核廃絶に向けて日本の立場を進んでいきたいと思います。
春名委員 その現実が、世界では、核兵器を期限を切って廃絶しようという流れになっているということを私は言っているんです。指摘しているんです。なぜそこの先頭に立つと言えないんですか。
小泉内閣総理大臣 それは、共産党の見方といろいろな見方は必ずしも同じじゃない。日本としては、核廃絶に向けて、現実を見きわめながらもこの理想に向かって進んでいきたいというのが、日本の、小泉内閣の立場でございます。
春名委員 では、総理にお聞きしますけれども、先ほど私、二番目にお聞きしましたけれども、ブッシュ政権になって非常に重大な発言が相次いでいますね。核兵器を使うこともあり得る、小型の核兵器を新しく開発する、包括的核実験禁止条約からの離脱、ミサイル防衛構想、大変憂慮していますよ、ほかの国々はみんな心配していますよ、こんなことでいいのかと。そういうときでしょう、今。
 そのときに、アメリカ、そんなことをやっちゃだめだと、非核三原則を守る立場からきちっと世界の中でそういう立場を表明する、間違っているというふうに言う、それが日本の首相の姿勢じゃないんですか。政府の姿勢じゃないんですか。その点はどうお考えなんですか。
小泉内閣総理大臣 核を保有しながらも、核削減に核保有国は努力しようとしている。一見矛盾していながらも、いかに現実を平和な世界にしていこうかという努力もしているんです。よく理想と現実を見きわめながら理想に近づける努力をする、私はこれが大事だと思っております。
春名委員 ですから私は言っているんですよ。理想と現実がギャップがあるとあなたが言う。だから、今、その世界の中で、核兵器を期限を切ってなくそう、残虐兵器は直ちになくしたい、そういう強い流れがあるわけでしょう。その強い流れを推し進めれば、その理想を早く現実のものにできるじゃないですか。
 歴代の政府は、私も全部調べましたけれども、残念ながら、アメリカに追随して、核兵器廃絶の決議について賛成するというどころか、棄権をしたり、あるいは反対をするという場合も時にありました。そういう態度から、きょう皆さんがおっしゃる、非核三原則を本当に守り抜く、国是としていくということが本当であれば、こういう今の現実を見たときに、このことに対して能動的に、核廃絶が一日も早く実現するように全精力を注ぐというのが日本の政府の当たり前の務めであって、その現実を早くするというのが当たり前の務めだと思うんですよ。なぜそのことが言えないのか。期限を切ってやります、そういう提案もしますという立場に立つべきじゃないんですか、総理大臣。
小泉内閣総理大臣 現実はすぱっと一面で切れないんです。核廃絶に向けた努力をしつつも、あらゆる事態においては核の使用も辞さないという国がある、現実に。とうとうと核廃絶の流れといいながら、あくまでも核兵器を保有しておきたい、あるいは開発したいという国もあるんです。そういう中で、日本としては、非核三原則を堅持しながら核廃絶に向けてどういう努力をしていくかということが大事なのであって、それが、共産党みたいに、日米安保条約は戦争に巻き込まれる、自由民主党は、日米安保条約こそは日本の平和を守るものだ、百八十度違うんですから、いろいろ見方は違います。
 できたら、日本は軍事力を一切持ちたくないんです。しかし、我が国の安全を守るためには、我が国の必要最小限度の軍事力も必要だろう。そういう中で、日米安保条約を締結しながら、協力しながら日本の平和と安全を守るという現実を見きわめなければならないと思うのであります。
 世界から軍事力が一切なくなればいいですよ。そうじゃないんですから、理想と現実というのをよく見きわめながら進まなきゃいけないというのが我々の立場であります。
瓦委員長 春名君、時間が参りました。
春名委員 安保の話とは別次元でありまして、国民の総意として、核兵器を廃絶、非核三原則を守る、これを世界に生かす、これが国民の総意、だから国是なんですよ。安保の次元の話じゃないんですよ。その先頭に立とうと当たり前のことを言っているのに、そのことがあいまいなままにされる。私は、これでは国民、被爆国民の気持ちは本当におさまらないということを申し上げて、そして福田長官の罷免を求めて、私の質問を終わります。
瓦委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。私は、被爆長崎県民の一人として、これから、小泉総理を初め、質問を行いたいと思います。
 本日のこの審議の中で私が最後になるわけですが、きょう一時から始まったこの審議を聞いていまして、例えば安倍官房副長官の力み方、あるいは、特に与党、とりわけ自民党の席からきょうはいつも以上に激しい不規則発言が見受けられますが、何をそんなにあせがっているのかなというのが実感であります。
 さて、非核三原則、この問題は、実は非核三原則というふうに呼ばれるのは一九六七年あたりからであります。といいますのも、当時は、ベトナム戦争の拡大、あるいは私が住んでいる佐世保に米海軍の世界初の原子力空母エンタープライズが寄港しまして、全国規模の激しい闘いがございました。また、七〇年安保を間近に控えている、あるいは沖縄の返還交渉、こういった当時のもろもろの背景があってこの非核三原則は大きな議論となったわけであります。
 そこで、まず福田官房長官にお伺いをしたいのであります。
 先ほど、安倍副長官も含めまして、いわゆる真意が正しく伝えられていない、こうおっしゃっていました。あたかも、週刊誌や新聞など、いわゆるマスコミに責任を転嫁するかのごとき御発言だと受け取ったんですが、仮に、おっしゃるように、報道されたのが真意ではないんだ、それは誤解だというのであれば、このように今、インド、パキスタンは御存じのように非常に軍事的緊張が高まって、一つ間違うと核戦争だってあり得るかもしれない、そういう厳しい時期であり、一方では日韓のワールドサッカーが行われている。あるいは、この委員会では非常に重要な有事法制の今審議の途中である。こういう時期に余りにも時期が悪いのではないかという気がしますし、報道によると、与党の内部からも、安倍副長官の発言や福田官房長官のおっしゃったことが余りにも時期が悪いんじゃないかという声が聞こえてくるわけですけれども、そこをどのようにお考えですか。
安倍内閣官房副長官 今の御質問は、時期がよければいいという意味なんでしょうか。
 これは時期いかんにかかわらず、私が先ほど来申し上げましたように、早稲田大学での授業で述べましたことは、これは授業の場で質問があったものでございますから、従来の政府の見解あるいは一々答弁を紹介したということでございます。
 そのときに、もちろん先ほど来申し上げておりますように、非核三原則についてお話をしております。そして、非核三原則がございますから政策的な選択肢としては排除されているということも申し上げております。そして、憲法解釈論と政策論は別でありますということを誤解のないように申し上げたわけでございまして、先ほど、日本人が誤解しておるじゃないかと私が言ったということでございますが、私が言ったポイントは、政策論、いわゆる憲法論あるいは法律でできるということになれば何でもやるんだということではないのだ、むしろ、たとえ憲法上それができるということになっても、国が主体的に意思として、政策としてやらないということはあり得るということを私は申し上げたわけでございまして、そのところが誤解をされているということでございます。
 私が、週刊誌等々が必ずしも私が述べたことを、真実を伝えていないということを申し上げたわけでございますが、要するに、週刊誌に書いてあることがすべて本当ではないということはもう委員がよく御承知のとおりではないだろうか、このように思うわけでございます。そういう意味におきまして、私は先ほど来申し上げておりますように、核を保有するというような話を政策論として述べたことは全くないということを申し上げておきたい。今までの、従来の政府の見解をそこで紹介をしたというだけでございます。しかし、念のために非核三原則も言及をしております。そしてまた、さらには政策論と憲法解釈論は違うということも申し上げております。
 従来、自民党内閣は毎年毎年、核廃絶決議案を国連の場に提出をし続けているわけでございます。そしてまた、CTBTが発効せしめるように各国に主体的に働きかけているというのも、これは自民党政権がずっとやってきたことでございまして、小泉政権も同じでございます。その前提に立っての私の早稲田での講義であるということも申し添えておきたい、このように思います。
今川委員 では、次は小泉総理にぜひお伺いをしたいと思います。
 先ほどの野党の委員の質問に対しまして、まず福田官房長官は、記者懇の中で、最近は憲法も改正しようというぐらいになっているから、国際情勢や国民が持つべきだということになれば非核三原則も変わることもあるかもしれない、このようなことをおっしゃり、しかし小泉総理は、少なくとも小泉内閣である間は核を保有することはあり得ないということをはっきりおっしゃいました。
 しかし、福田官房長官のこのお話、文脈を読みますと、国際情勢が変化をしたりあるいは我が国の国民の意識に変化があった場合には、核武装の選択肢、その余地は残っているというふうに聞こえますし、国民の核武装してもいいのじゃないかという声が仮に出てくる、そうした場合には国民の意識に任せてしまうのか。そうではなくて、この非核三原則を含めまして日本の非核政策の立場から、国民が誤った選択をしようとするときにはやはり政府が主導をして、そういう方向ではいけないという主体的な立場を堅持なさるのかどうか、そこをまずお答えください。
小泉内閣総理大臣 福田官房長官の発言は、記者とのやりとりの中での話だと思います。憲法論あるいは法律論の中で話したのでしょう。小泉内閣として、政策論としては全く関係ありませんから、小泉内閣、この政策は全く変わりません。
今川委員 福田官房長官にお尋ねしたいと思いますが、繰り返しです。
 いわゆる国際情勢が変化をしたり、あるいは、きょうの産経新聞にありますのは、九日付のニューヨーク・タイムズの中で、先ほどもちょっとありましたが、例えば中国の台頭や米国による安全保障の効果への不安などから、国民の中に、日本も核武装していいんじゃないのか、そういう声が仮に出てきたときに、我が国の政府として、あるいは内閣官房として、どのように対応をなさろうとするのか、そこをお聞きしたいんです。
福田国務大臣 国の安全保障に関しまして、これまでもいろいろな意見がございました。そして議論もあったとおりでございますけれども、今後もさまざまな議論があるだろうと思います。
 ただ、民主主義国家において、政治家が国民の声に謙虚に耳を傾ける、このことは極めて大事なことで、当然のことでございますけれども、その一方で、流れに身を任せるというのではなくて、国のあるべき姿、政策について見識を示すということは、政治家、特に政権を担う者の責任であります。
 私も、予見され得る将来において、非核三原則を変更する必要性は全くないと考えております。各国でもって誤解を生ずるということが仮に起こるのであれば、その誤解は解く努力をしなければいけないと思います。
今川委員 ところで、我が国の原子力基本法あるいはいわゆるNPT、この建前からも、日本は二重、三重に、やはり核兵器を持つことはまかりならない、そういう法律上、制度上の仕組みはあると思うんですね。
 そこで、これは防衛庁長官に、中谷長官にお尋ねをしたいと思うんですが、いわゆる歴代内閣、それからここ数十年来の国会の議論の中で、日本のいわゆる必要最小限度の自衛力の範囲内に入り得る核兵器だったら、憲法の法理論上は許される、こういう議論がありますね、考え方がありますね。
 そうした場合に、例えば、核兵器にかかわって、攻撃的あるいは防御的、もしくは戦略的核兵器あるいは戦術的核兵器、八〇年代以降は、その相中に戦域的核兵器という概念も生まれてきましたね。そこの区分けというのをどのようにお考えですか。
中谷国務大臣 一般論といたしまして、どのような装備が自衛のための必要最小限度の実力を超えて憲法九条二項が禁じる戦力に当たるのか、また、どのような装備が自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるかにつきましては、基本的には我が国が保有する実力の全体の評価の問題でありますけれども、個々の装備のうちでも、その性能上、専ら他国の国土の破滅的破壊のためにのみ用いられる装備を保持することは許されないということでございます。
 したがいまして、核についてどうかというお答えでございますが、我が国は現実に核兵器を保有できないのは明らかでありまして、保有できないものについて、保有を仮定して検討したり議論することは控えたいと思っております。
 それから、攻撃的、防御的ということで、戦略核兵器、戦術核兵器の用語でございますが、戦略核兵器というのは、相手国の都市、工業中心地、重要軍事施設、戦略的目標の破壊を目的とした核兵器をいうのに対して、戦術核兵器というのは、相手国において、相手国の部隊、施設、また戦術的目標の破壊を目的とした兵器をいうものでございます。
今川委員 これは中谷長官、通常は飛距離による、例えば長距離ミサイルだと一万キロを超えるとか、あるいは戦術核兵器だとそうではないだとかありますが、今中谷長官もおっしゃったように、他国に壊滅的な打撃を与え得るかどうかという基準からしますと、たとえ戦術核兵器であっても、相手国の水際まで行って、届く距離から仮に発射した場合には、壊滅的打撃を与えることも可能なんですね。そういった意味では、いわゆる戦略核兵器はだめだけれども、戦術核兵器はいいだとかという議論は成り立つ余地はないと僕は思うんです。
 それからもう一つは、これはもう釈迦に説法でしょうが、通常兵器も含めて、攻撃的兵器であるか防御的兵器であるかというのは、これはコインの裏表に等しいんですね。攻撃的でもあり防御的でもある。
 そういった意味で、これは小泉総理にぜひ決意を伺いたいのでありますが、世界で唯一の被爆国だからこそ、これまで延々と議論をされてきた、国会答弁が繰り返されてきましたが、この際、少なくとも核兵器は憲法の法理論上も持たないということをはっきりさせる、国際社会にはっきりメッセージを送る、そのことの方が解釈の余地も生まれてこないんではないでしょうか。そういった意味で、これまでの内閣法制局を含めたそういう法理論上の解釈をきちんと変更するということの方が、要らざる誤解を国際社会に与えないで済むのではないかと思うんですが、小泉首相、どうですか。
小泉内閣総理大臣 解釈となると、法律学者がたくさんいますから、今でも憲法についてはいろいろ解釈があるわけです。
 解釈はどうあれ、我が内閣は非核三原則を堅持して変わらないんです。問題ないんです。
今川委員 ところで、これは外務大臣にちょっとお尋ねしたいと思いますが、時期も時期、今月の六日、横須賀を母港としている米海軍のミサイル駆逐艦カーチス・ウィルバーが被爆地長崎に入ってきました。これは川口大臣は御存じだと思いますが、金子長崎県知事や伊藤長崎市長は、少なくともこういう時期に被爆地に核搭載可能な米艦船が入ることは回避していただきたいということを再三申し入れをなさっております。これをどうして断ることができませんか。
川口国務大臣 長崎県知事それから長崎市長が、今委員がおっしゃったようなお申し入れをいただいたということについては、外務省から事前に米側にはお伝えをしておりまして、地元のお気持ちを認識するようにということを申し入れておりました。
 一般的に言いまして、米軍の艦船の日本の港への寄港につきましては、これは日米地位協定第五条に基づきまして、我が国の港へ出入りをする権利が米軍艦船は認められているところでございます。我が国としては、このような米軍の権利が円滑に行使されるように、これを確保する条約上の義務を負っているわけでございます。
今川委員 およそ答弁になっていないんですよ。
 例えば、これはもう一度小泉総理にお聞きしたいと思いますが、日本時間で今月の八日、アメリカは再び臨界前核実験を行いました。これはCTBTの手前も、核爆発までは伴わないといいながらも、一番アメリカにとっての同盟国であり、友好国の総理大臣として、これから世界の核軍縮を進めていく上においても、やはりアメリカに言うべきことはきちんとおっしゃっていただく、臨界前核実験もやはりやめていただきたい、そういう具体的な言動が伴って初めて、大事な非核三原則の精神が生きてくるんではありませんか。
 その点、小泉総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 これは核軍縮という重要性を認識した中での実験であると私は理解しております。
今川委員 冗談じゃないんですよ。
 この臨界前核実験というのは、幾つかの目的がありますが、既に保有している核兵器を保存していくための検証、それからさらに、極めて超小型の新型核兵器を開発していく、そういう目的もあるわけですね。核軍縮をしていくために臨界前核実験をやっていいんだという、こんな乱暴なお話はないと思いますよ。
 さらに、七八年のこの国会での決議の中で、非核三原則を国是とするということとあわせて、非核武装地帯を設置し、日本はこれに努力をしていくということも決議をされたわけですね。
 そうしますと、我が党の土井党首が昨年我が党として構想を出しましたが、東南アジアにはASEAN地域フォーラムという安保の対話の場が出てきました。今度は北東アジアの方にそういう非核地帯を設置していく、それで全アジア的に対話の枠組みをつくっていくということを構想として出しております。
 我が国政府として、そういうアジア地域の非核地帯構想というものをどういう形で推進しようとされるのか、小泉総理の具体的な決意なり考え方をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 安全保障上の問題というのは、一国だけではなかなか成り立ち得ません。関係諸国との協議の上に、安全保障上の問題、軍縮の問題、外交の問題というものを協議していくべき問題だと思っております。
今川委員 もうほとんど時間が参ったようでありますが、小泉総理を初め皆さん方は当然御存じだと思うんですが、今全国で、昨年五月時点での集約では二千五百九十八自治体、全自治体の中で七九%の自治体が非核都市宣言を採択いたしております。これは人口比でいきますと九割を超えるんですね。そうした国民の九割以上の皆さん方が、非核三原則に対する信頼感、そして、我が国はもとより国際社会で一日でも早くやはり核兵器を廃絶してほしい、そのように願っているわけであります。
 そういった観点からしますと、今回の福田官房長官の発言であれ、安倍副長官の発言であれ、私は、必ずしも誤解を招くような発言というよりも、やはりそういう事実上オフレコの場でついつい本音が出てしまったんだ、そういうふうに受け取らざるを得ないと思います。そういった意味で、私は、少なくとも福田官房長官の罷免を要求して、私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
瓦委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 各案審査のため、参考人として元防衛事務次官秋山昌廣君の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時九分散会


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