衆議院

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第3号 平成15年4月18日(金曜日)

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平成十五年四月十八日(金曜日)
    午後一時三十二分開議
 出席委員
   委員長 鳩山 邦夫君
   理事 木村 太郎君 理事 久間 章生君
   理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君
   理事 前原 誠司君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 工藤堅太郎君
      浅野 勝人君    荒巻 隆三君
      岩屋  毅君    臼井日出男君
      奥山 茂彦君    近藤 基彦君
      佐藤  勉君    菅  義偉君
      中本 太衛君    西川 京子君
      萩山 教嚴君    林 省之介君
      原田 義昭君    松島みどり君
      水野 賢一君    森岡 正宏君
      山口 泰明君    山本 明彦君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      伊藤 英成君    大島  敦君
      大谷 信盛君    川端 達夫君
      桑原  豊君    首藤 信彦君
      末松 義規君    筒井 信隆君
      永田 寿康君    平岡 秀夫君
      赤羽 一嘉君    上田  勇君
      樋高  剛君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    今川 正美君
      重野 安正君    井上 喜一君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   衆議院調査局武力攻撃事態
   への対処に関する特別調査
   室長           小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  中山 正暉君     水野 賢一君
  山口 泰明君     佐藤  勉君
  玄葉光一郎君     永田 寿康君
  赤松 正雄君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     山口 泰明君
  水野 賢一君     中山 正暉君
  永田 寿康君     玄葉光一郎君
  赤羽 一嘉君     赤松 正雄君
    ―――――――――――――
四月十一日
 有事法制、国民保護法制等の成立に関する請願(砂田圭佑君紹介)(第一六七九号)
 同(津島雄二君紹介)(第一六八〇号)
 武力攻撃事態法制定、自衛隊法改正、安保会議設置法改正反対に関する請願(原陽子君紹介)(第一七三一号)
同月十七日
 有事関連法案の廃案に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇一号)
 有事法制の強行反対に関する請願(今川正美君紹介)(第一八〇二号)
 同(植田至紀君紹介)(第一八〇三号)
 同(大島令子君紹介)(第一八〇四号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八〇五号)
 同(今川正美君紹介)(第一八二三号)
 同(大島令子君紹介)(第一八二四号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八二五号)
 同(阿部知子君紹介)(第一八七九号)
 同(今川正美君紹介)(第一八八〇号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八八一号)
 有事関連法案反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一八〇七号)
 有事関連法の廃案に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇八号)
 有事関連法案廃案に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一八〇九号)
 有事法制、国民保護法制等の成立に関する請願(吉田公一君紹介)(第一八二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八七号)
 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八八号)
 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八九号)


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     ――――◇―――――
鳩山委員長 これより会議を開きます。
 第百五十四回国会、内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案並びに各案に対する久間章生君外五名提出の各修正案を一括して議題といたします。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官。
福田国務大臣 国民の保護のための法制について御説明申し上げます。
 国民の保護のための法制については、十分な国民の理解を得つつ整備を進めていくべきものであり、武力攻撃事態対処法案の成立後、法案づくりや関係団体との調整に本格的に着手することとしております。
 今般、昨年取りまとめた国民の保護のための法制の輪郭について、地方公共団体や関係する民間機関等に対する説明を実施して、意見を聴取し、その結果を踏まえ、再度資料として取りまとめたところであります。
 以下、その概要を御説明いたします。
 国民の保護のための法制は、国、地方公共団体その他の機関の実施すべき措置を明確化するとともに、国全体として万全な態勢を整備し、国民の保護のための措置を総合的に推進することを目的としております。
 また、配慮事項として、高齢者、障害者、乳幼児等特に配慮を要する者の保護に留意し、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施に努めることとしております。
 国の責任の明確化につきましては、国による主導的な対処という観点から、国が対処基本方針を策定し、国民の保護のための措置を総合的に推進するとともに、地方公共団体等の計画の策定の基本となる国民の保護に関する基本方針を策定することとしております。
 また、この基本指針をもとに、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関等が国民の保護に関する計画または業務計画を策定し、国の方針に基づく対処が実施される体制を構築することとしております。
 国は、対策本部長による警報の発令を初め、原子力施設等の安全確保のための措置命令など、国民の保護のため、国による対処措置を行うこととしております。
 地方公共団体への支援として、避難住民等の救援に必要な物資の供給などを行うこととしております。
 なお、内閣総理大臣による是正措置につきましては、都道府県知事の住民に対する避難の指示に関する措置などが適切に行われない場合は、事態対処法案の規定に基づいて、指示またはみずからの対処措置の実施を行うことができることとしております。
 また、武力攻撃事態においては、国民への情報の提供が重要であることから、武力攻撃事態等の状況の公表や安否情報の提供などを行うこととしております。
 次に、地方公共団体の役割につきましては、地方公共団体がその責任を果たすことができるよう、閣議決定で指定された都道府県及び市町村においては、都道府県知事または市町村長を本部長とする国民保護対策本部を設置することとしております。
 地方公共団体による避難措置につきましては、都道府県知事が国の対策本部長の避難措置の指示を受けて住民に対し避難を指示し、市町村長が職員を指揮して避難住民を誘導することとしております。
 地方公共団体による救援につきましては、都道府県知事が収容施設の提供、炊き出し、医療の提供等を実施することとしております。その際、都道府県は、救援に係る事務の一部を市町村に委任できることとしております。また、救援を実施するため都道府県知事が他人の土地、家屋等を使用する場合等について、適正な手続を定めることとしております。
 地方公共団体による武力攻撃災害への対処につきましては、都道府県知事である国民保護対策本部長が、当該地域における武力攻撃災害に対処するための措置を総合調整できることとしております。
 また、市町村長は、武力攻撃災害の現場において、一時避難の指示等の応急措置を実施するとともに、警戒区域の設定を行うこととしております。
 消防につきましては、その任務として、武力攻撃に伴う火災から国民を保護し、武力攻撃災害を防除、軽減することとしております。
 生活関連施設の安全確保につきましては、都道府県知事が施設の管理者に対し安全確保のための措置を要請できることとするとともに、都道府県公安委員会等が立入制限区域を設定できることとしております。また、交通の規制につきましては、都道府県公安委員会が緊急輸送の確保等のために実施することとしております。
 次に、指定公共機関等の役割につきましては、指定公共機関である放送事業者による警報の内容等の放送、電気事業者、ガス事業者等による適切な供給の実施などを定めることとしております。
 都道府県知事は、公益的事業を営む法人または公共的施設の管理者の中から指定地方公共機関を指定することとしております。
 次に、国民の役割につきましては、住民の避難や被災者の救援の援助などについて協力を要請されたときは、国民は、必要な協力をするよう努めることとしております。また、国及び地方公共団体は、武力攻撃事態における住民の自主的な防災組織やボランティアの自発的活動に対し支援を行うこととしております。
 その他、復旧に関する措置、損失補償、損害補償、対処措置等に要する費用の負担、大都市の特例、罰則等について所要の措置を行うこととしております。
 以上、国民の保護のための法制について御説明いたしました。
 政府といたしましては、今後とも、国民の保護のための法制について国民の理解を得るよう、さらに努力を重ねてまいる考えであります。
 あわせまして、国民の保護のための法制の整備方針を定めている武力攻撃事態対処法案等有事関連三法案の御審議をよろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
鳩山委員長 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長奥村萬壽雄君、防衛庁防衛局長守屋武昌君及び海上保安庁長官深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鳩山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。
森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。今国会で初めて開かれます当委員会でトップを切って質問をさせていただきますことを、大変光栄に感じているわけでございます。
 日夜、邦家のために御尽瘁いただいております福田官房長官に、まずイラク戦争について伺いたいと思います。
 一昨日、ブッシュ大統領が、イラクが解放された以上、国連は経済制裁を解除すべきだということを訴えられたと聞いております。
 大量破壊兵器が未発見の現段階で、経済制裁の解除が可能なのかどうか。人によりますと、国連停戦決議六百八十七号との関係から、大量破壊兵器はイラクに存在しないということを査察団が現地へ行って認定しなければ解除できないのではないかというような方がいらっしゃるようでございます。
 しかし私は、もう、フセイン政権が倒れた、大量破壊兵器を使われる心配がないということであるならば、国連で決議をしてもらって、そして経済制裁を解除したらどうかというふうに思うわけでございますが、日本政府としてどう考えるのか、福田官房長官にまずお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 今回のイラクに対します軍事行動というのは、イラクが関連安保理決議上の義務の重大な違反を継続的に犯してきたことを受けまして、国連憲章第七章に基づく関連の安保理決議に従って、イラクの武装解除等の義務の実施を担保し、そしてこの地域の平和と安定を確保するための措置の一つとして行われたものでございます。
 現在、依然としてイラク国内では局所的かつ散発的な抵抗が続いていると承知しておりますけれども、戦争が早期に終結し、今後は、イラクが大量破壊兵器を開発しない形で、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、一日も早く再建されることを願っておるところでございます。
 ただいまお尋ねの制裁解除の件につきましては、これから国連でもいろいろな議論がなされることと思っております。
森岡委員 それでは、日本政府は今回の戦争をどのように総括しておられるでしょうか。
 また、きょうは外務省の方でORHAに対して文民派遣を決められたようでございますけれども、復興人道支援、日本の国が何ができるか、また米国からの要請、戦費をも含めまして、どんな要請が来ているか、来ておるならばどんな内容なのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
福田国務大臣 先ほど私、このイラク戦争についてどういうように総括しているのかということについて、そのことについてもお答えはしたのでございますけれども、今現在は、依然として、まだすべて終わっているというような状況にはない。終結段階に近づきつつあるという認識は、これはもう共通した認識だというふうに思っておりますけれども、まだ完結していないというような状況の中で、今、国際社会として、またその中で日本としてどういうことをなすべきかということは、今後、いろいろ考えていかなければいけないことでございます。
 まだ、どういう状況にあるのか、治安の状況とかそういったようなこともございますので、支援と申しましても、まだ限られた分野でしかできない。特に我が国の場合には、いろいろな制約ございますので、そのことについては、今後、慎重に、かつまた多角的な面から考えていかなければいけない、そういうように思っております。
 しかし、今まさに人道的な問題、これは起こっておるわけでございますので、このことについて我が国として何が今できるか、こういうことはあろうかと思います。そのためにと申しますか、その一環として、本日、外務大臣から、ORHAに対しまして人を派遣する、そしてどういうことができるかということを研究していくというような発表があったかと思いますけれども、まさにそういう段階であるということでございまして、とりあえずORHAに人を派遣いたします。
 これは、いつ派遣するかということはまだ申し上げられない、近日中ということになろうかと思いますけれども。そして、そこでもってORHAでどういうような活動をしているか、そしてどういうことができるか、そういうことを把握した上でその後のことを具体的に決めてまいりたい、こんなふうなことを考えている段階でございます。
森岡委員 ありがとうございました。
 次に、石破防衛庁長官に伺いたいんです。
 昨日の毎日新聞の記事によりますと、トップで扱われておったわけでございますけれども、イラクで米軍が使用したクラスター爆弾、これを航空自衛隊でも購入し保存しているのに、国会の予算審議に際しても十分な説明がなされていない、そういう指摘がなされていたわけでございます。
 敵の着上陸侵攻に際しまして、侵攻部隊の陣地、戦車等の車両、また物資の集積所などを広範囲に攻撃するのに大変有効だと私は伺っているわけでございますけれども、その辺の事実関係及びクラスター爆弾の必要性について、防衛庁長官のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
石破国務大臣 クラスター爆弾の性能等につきましては、先生今御指摘のとおりでございます。通常爆弾だけではなくてクラスター爆弾を保有いたしますことが、敵の着上陸侵攻に際しまして、侵攻部隊の陣地、戦車等の車両、集積所等を攻撃し、阻止し得るというために有効である。それはなぜ有効であるかというと、装甲貫徹力、破片効果、焼夷効果というものを有する子弾を有しておるからということでございます。
 これは当然のことでございますが、我が国におきましてクラスター爆弾というのは保有をいたしております。それは、敵が仮に仮に我が国に侵攻した場合にこれを使うということであります。ほかの国において我が国がそれを使い、住民を非人道的に殺傷する、そのような目的で使うということは全く想定をされておりません。
 同時に、これを我が国において使います際には、仮に万が一そのようなことがやむを得ないということになりました際は、当然のことながら住民の方々には避難をしていただくということに相なります。そして、敵の侵攻を排除しました後は、きちんと安全な処理を行うということになるものでございます。私どもは、抑止力の一環としてこのクラスター爆弾を保有いたしておるということだと思っております。
 そして、後段の御指摘の、きちんとした国会審議に付していないではないかということでございますが、私どもが有しております装備というのは、当然莫大なものに上ります。量としても非常に膨大なものでございます。そのすべてをきちんと出しておるかといえば、それはその御説明の中に、粗い、細かいという点があることは確かでございます。しかし、国会からお尋ねがございました場合には、当然それに対してきちんとしたお答えをするわけでございまして、隠ぺいをしておるとかそういうようなつもりは全くございません。
 加えまして、この問題がいろいろな御懸念が出てまいりましたのは、例のコソボ紛争以降であろうというふうに承知をいたしております。そういう場合にも国会においてきちんと御説明をいたしておりますし、また、私どものホームページにおきましてもその内容というものを公開いたしておるところでございます。
 加えまして、各航空自衛隊の基地におきますいろいろな展示の際にこのものも展示をいたしておるところでございまして、いずれにいたしましても、私どもとしては、そういうような情報の公開の透明性というものについて今後とも努めてまいりたい、国民の御心配がないように今後とも全力を尽くしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
森岡委員 よくわかりました。
 この件について、福田官房長官、昨日の記者会見で、専守防衛という観点からこれは必要なんだ、廃棄する必要は全くない、こういうふうに述べておられるようでございました。当然、来年度予算についても、防衛庁の方から要求があれば認めていかれるおつもりでございますね。
福田国務大臣 これは防衛庁長官からお答えした方がいいようなことなんでありますけれども、私の記者会見のことも触れておられますので、私からまずお答えいたします。
 クラスター爆弾を持っていたとしても我が国は専守防衛ということでございまして、これはそういう意味からいえば、敵が、敵というのはどこだかわかりませんけれども、仮に我が国に上陸をするといったようなときに有効な武器になる可能性があるということで、こういうような考え方で恐らく防衛庁は持ったんだろうというふうに思いますが、そういうような防衛の整備につきましては、平成十二年度に既に終わっているということのようでございます。ですから、その後それを今、さらに持つとかいったような、そういう計画はない、このように承知しておるところでございます。
森岡委員 それでは、先ほど福田官房長官から御説明のありました国民保護のための――何か。
福田国務大臣 十二年度と申しましたが、十四年度ということで、間違えました。済みません。
森岡委員 本論の国民保護のための法制について伺いたいと思います。ここまでお取りまとめをいただきましたことに対しまして敬意を表しながら、質問をさせていただきたいと思います。
 私は、今回のイラク戦争の特徴の一つが、イラク政府が全く国民を守ることをしなかった、これが今回の戦争の特徴じゃなかったかなというふうに思うわけでございまして、むしろ人間を盾にした、そういうふうにも思われる戦争であったな。そういうことを考えますと、我が国でも有事に対して、国民の保護でありますとか生命財産を守ること、これは、できなかったら国際社会からも笑われますし、また政治において一番果たすべき大事な役割でございます。それでありますだけに、早くこの有事法制を整備して、国民が安心できるような形に持っていきたい、私はそういう立場から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほど御説明のありました避難誘導についてでございますけれども、私は、先ほどの御説明を受けながら、知事、市町村長、そして消防、警察、海保、自衛隊、ここら辺が一体になって住民を安全に誘導するんだという、そういう法制化を考えておられるようでございますけれども、突然起こる事態に対してうまく避難誘導できるんだろうか。絶えず訓練をしていなければだめなんじゃないかな。県や市町村長においても、協力してくれる度合い、温度差があると思いますし、また各都道府県にまたがるような問題も起こってくると思います。
 そういうことを考えますと、ちょっと災害避難とは違うなという気がするわけでございまして、日ごろからどういう訓練が必要なのか。私は、平和ぼけの日本と言われている中で、どんなふうにこの避難誘導を円滑にやっていくのか、日ごろの訓練が非常に大事だと思うわけでございまして、その辺のことを官房長官、どういうふうに考えておられるかお示しいただきたいと思います。
福田国務大臣 国民の被害を最小化するというための対処措置の一つとして、避難誘導、これは大変重要であると考えておりまして、避難に関する訓練につきましては、日ごろから関係する機関が共同して行う必要がある、こういうように考えております。それを、より実効性のある訓練を実施するために、住民に訓練の参加に協力を要請できるようにする、これもこれから検討していかなければなりませんが、その内容、具体的な内容については今後の検討ということにさせていただいております。
森岡委員 単純な質問で恐縮ですが、刑務所の収容者の避難誘導ですね。刑務所の収容者もやはり日本国民だと思うんです。やはり守っていかなければいけない。これについてどう対応しようとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 刑務所の収容者の避難誘導、これにつきましては、収容者の遁走防止に配慮しながら、速やかに他の収容施設に移送するなど、その状況に応ずるわけですけれども、検討すべき課題がございます。
 したがいまして、今後、関係省庁間で十分に調整して検討してまいりたいと思っておるところでございます。
森岡委員 収容者の人権、また住民に不安を与えないような措置をお願いしたいと思います。
 次に、国民への情報の提供につきまして先ほど御説明がございました。警報の発令ということがございましたけれども、実際にだれがどのようにして行われるのか、どういうことを想定しておられるのか、手段ですね。それも含めながらお答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 情報の提供は、具体的に申し上げますれば、これはその手段が必要なわけでございます。例えば、内閣総理大臣が、これが国の対策本部長でございますが、対策本部長として警報を発令する、そして総務大臣を通じて都道府県知事に通知し、そして都道府県知事が市町村長に通知し、市町村長が住民に伝達する、そういうようなことを基本的な骨格と考えております。
 また、いろいろなケースがあるんですけれども、航空機とか船舶にある者のように、市町村長が通常用いる手段では警報を迅速かつ確実に伝達することが困難な者に対しましては、市町村長以外の適切な伝達手段を有する者が伝達することを検討している、こういうことになるので、今のところは具体的でございませんけれども、基本的な考え方はそういうことであるということでございます。
 また、この警報の内容につきましては、指定公共機関であります放送事業者により放送することによりまして、国民に対し迅速に情報を提供するということを考えております。
森岡委員 情報提供ですが、これは非常に私は大事な問題だと思っているわけでございまして、テレビとかラジオを利用されると思うんですが、NHKのみならず民放にも協力を願わなければならないんじゃないかなと私は思うんですけれども、民放連なんかに相談されているんでしょうか。ちょっとそのことをお答えいただきたいと思います。
福田国務大臣 放送事業者につきましては、警報等の緊急情報の放送のために、指定公共機関として指定することを考えておるところでございます。民間放送事業者が指定される可能性、これはございます。しかし、現時点では、政府としては、日本放送協会を主として考えております。
 国民の保護のための法制の成立後に、実際にいかなる者を指定公共機関として指定するかということについては、関係事業者の意見も聞きながら総合的に判断をしてまいりたいと思っております。
森岡委員 なかなか難しい問題だと思いますが、イラクの戦争を見ておりますと、マスコミの取材が余りにも危険なところで行われているというふうに感じました。こういう戦争は初めてなんじゃないかなという気がしたわけでございますが、実際に巻き添えを食って亡くなられたジャーナリストも何人かおられたようでございます。
 報道内容でございますけれども、NHKに協力をお願いする、こうおっしゃいましたけれども、いわゆる大本営発表のような、国民をミスリードしたり、またデマとか事実に反するような情報を流すようなことが断じてあってはならないわけでございます。政府がそういうことをやることはないわけでございますけれども、ほかのマスコミ関係者、また全くマスコミとは関係のないような人たちからデマとか間違った情報が流れる、これも有事の場合は非常に怖いことだと思うわけでございますが、有事における報道について、官房長官、どんなふうにお考えでございましょうか。
福田国務大臣 今回のイラクにおける交戦状況については、非常に多くのマスコミ報道がございました。毎日、長い時間それを見る機会に接したわけでございますけれども、そういうものを取材する記者の方々にありましては、国民に対して真実を伝える、伝えたいという強い責任感を持ってその任に当たっていると思っております。時には、みずから危険な状況の中においても取材活動を続けるということでございますので、この努力は大変なものであるというふうに推察をいたしております。
 今回の取材活動のあり方について私からコメントをするという、そういう立場にはありませんけれども、取材に当たっては、そういう方々に被害が及ぶことのないように願っておるわけでございます。
 また、米軍が、従軍記者というのも大勢連れていっているわけでございますけれども、この従軍記者というのは、戦地から戦況を報告するために、軍との協定のもとに、移動、宿泊、食事などを兵士とともにして、また天然痘の予防接種を受けるなど、軍隊と行動を同じくするものと承知しておりまして、事態の推移によっては相当の危険を伴うというようなこともございますので、そういう危険をも考えながらその任に当たっているということでございます。
 いずれにしましても、真実を伝えるという責任を持って事に当たっているものと私は信じております。
森岡委員 時間がありませんので、次々質問させていただきますが、有事に際して国民がどういう協力をするのかということは、大変大事な問題だと思います。国民が何をなすべきか、民間防衛組織のようなものを頭に描きながらその協力を考えておられるのかどうか。
 私は、今御説明のあった文書を見ておりますと、「必要な協力をするよう努めるものとする。」と、努力義務になっているわけですね。協力しなかったら一体どうなるのか。やはり、強制的にといいますか、義務的に国民に協力を求めるというようなこともあるんじゃないかなというふうに思うわけでございますが、例えば、住民の自主的な防災組織とかボランティアの自発的な活動などを書いておりますけれども、その辺のことを官房長官はどういうふうに考えておられますか。
福田国務大臣 国民の保護のための法制では、国民の協力に関しまして、武力攻撃事態において、国民の保護のための活動を自主的に行う住民の自主的な防災組織、またボランティアに対し、国や地方公共団体が支援を行うように努める旨の規定を設けることを検討いたしております。
 ここで、自主的な防災組織とかボランティアの自発的な活動の具体的な内容でございますが、これは、住民の避難を円滑にする活動とか、被災した住民等への炊き出しの援助などの活動などを想定しておるわけでございます。
森岡委員 それでは、民間防衛組織のようなものは考えていないということなんでしょうかね。
 次の質問に移らせていただきますが、米軍の行動について伺いたいと思います。
 日本領土内で戦闘が行われる、日本の自衛隊も米軍も共同して日本の領土内で敵に対処する、そういうときに、米軍が民家を壊したり木を切り倒したりする場合も当然起こってくるだろうと思います。そういうときは補償の問題が後で起こってくるんじゃないか、そういうことが今回の法案の中で抜けているんじゃないかなと私は思うんですけれども、それについてのお考えをお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 武力攻撃事態における国民の被害にはさまざまな場合がございまして、個別具体的な判断が必要と考えております。
 いずれにしましても、そのような被害に対する補償の問題については、武力攻撃事態終了後の復興施策のあり方の一環として政府全体で検討すべきものだ、このように考えております。
鳩山委員長 官房長官、質問の中に米軍の話が出ておりましたが、いいんですか。
森岡委員 防衛庁長官からお答えをいただいても結構でございますが、米軍が日本の領土内で日本の民家を壊したり、また木を切り倒したり、そういう補償をどう考えているのかということでございます。どちらでも結構でございますが、お答えをいただきたい。
石破国務大臣 先ほど官房長官からお答えがあったとおりでございますが、日本を防衛するために日米安全保障条約に基づいて米軍は行動しておるわけでございます。他方、国民の側から、損害をこうむったということは事実でございますので、戦争が終了しました後に、それは適切な補償が行われるということになるのは当然のことかと考えております。
 官房長官がお答えになったとおりでございます。
森岡委員 次に、警察庁と防衛庁に対して伺いたいと思います。
 今回の法案として出されております武力攻撃事態、この法案の中に含まれないようなテロとかNBC、こういうものが起こった場合に、どんなふうに現在だったら備えておられるのか、大丈夫なのかということ。おととしアメリカで起こりましたような、あのような大きな同時多発テロ、これだったら武力攻撃事態、今回の私たちが審議している法案の対応になると思うわけでございますが、それほど大きくないテロとかNBC対策、これをどう考えておられるのか。
 実際に、警察庁にはSATという部隊があるんだとか、また海上自衛隊では特別警備隊、また陸上自衛隊では特殊作戦群というようなものを持っているんだと私は伺っているわけでございますけれども、それぞれどのような任務と能力を有しておられるのか、警察庁と防衛庁、両方お答えをいただければありがたいと思います。国民が安心できるような答弁をいただきたいと思います。
奥村政府参考人 警察といたしましては、テロ対策につきまして、御指摘のとおり、万全を期する必要があると考えています。
 このため、万一テロが発生した場合に備えまして、全国で二百名から成る特殊部隊のSATを編成しておりまして、テロリストの制圧あるいは人質の救出のための特別な訓練を日々行っているところでございます。
 このSATにつきましては、自動小銃あるいはライフル、特殊閃光弾、作戦用のヘリコプター等、世界水準あるいはそれ以上の装備を備えておりまして、世界各国の特殊部隊とも頻繁に合同訓練を実施いたしまして、部隊能力の錬磨に努めているところであります。
 また、いわゆるNBCテロ、化学剤、生物剤等を使用いたしましたテロでありますけれども、このNBCテロにつきましては、全国八つの都道府県警察に特別の装備とか資機材を持っておりますNBCテロの専門部隊を設置しておりますほか、すべての都道府県警察の機動隊にもこれに準じましたNBCテロの対策チームを編成いたしまして、こうしたテロへの即応態勢を整えているところでございます。
石破国務大臣 これは、基本的に法律の問題というよりは、むしろ運用の問題になる部分が大きいんだろうというふうに思っております。
 法律的にはかなり整備が行われました。これは武力攻撃事態というのか、防衛出動ではなくて、あるいは治安出動でありますとか海上警備行動でありますとか、そういうものに対応できるものもあるだろう。しかし、法律的にはそうであっても、その能力があるんですか、そしてまた警察なり海上保安庁なりとの連携は十分なのですかということにつきまして、現在、警察とも海上保安庁とも具体的な事例をいろいろ想定しながら運用に万全を期しておるところでございます。
 加えまして、先生御指摘の特別警備隊、それとか、陸上においてそのような能力を持っている特殊作戦群、これは仮称でございますけれども、そういうものも現在整備を進めておるところでございます。
 海上自衛隊が持ちます特別警備隊というものは、不審船等に対しまして、その立入検査を行う、その場合に、あらかじめ当該不審船の武装解除、無力化を行うことを任務とするということに相なっております。そしてまた、特殊作戦群におきましては、高い機動力や高度な近接戦闘能力を有するということが求められておるわけでございます。
 なお、NBCにつきましてでございますが、このことにつきまして、どうやったらば市民の被害が最小になるかということにつきまして、現在知見を深めておるところでございます。将来的に本当にどうすれば一番少なくて済むか、核にしても、生物にしても、化学にしても、先生御案内のことかと思いますが、スイスにおきましてはそういうパンフレットをすべての家庭に配っておる。そういうものをきちんと読んで、いざというときに市民一人一人がどうやって自分で、もちろん国も自治体も一生懸命やりますが、市民一人一人も何ができるかということをすべての国民に知らしむるということがあわせて必要なことだと思っております。
森岡委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、きょうの私の質問を通じまして感じましたことは、国民の保護のための法制、ここまでまとめていただいたわけでございますが、まだまだ細部にわたって御努力いただかなければならないところがあるんじゃないかな。二年間かけてしっかりとした法案にしていただきたいということを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
鳩山委員長 次に、吉野正芳君。
吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。
 事態特別委員会において質問する機会を得て、大変光栄に思っています。また、我が国の将来を決めていく有事法制の審議に参加できるというところも光栄の至りであります。
 私は、国民の視点、いわゆる素人の視点というものを大切にしている政治家の一人でございます。そういう観点から、今度の有事法制について意見を述べてみたいと思います。
 まず、「国民の協力」でありまして、事態法八条でございます。ここには、国民は、国及び国民の安全を確保することの重要性にかんがみ、等々の機関が対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとするということでございます。これは、積極的な、国を守っていく国民として、国民の役割、できること、今概要にも述べられましたように、被災者の救助とか、消火活動とか、避難民の移送とか、いろいろあるわけですけれども、そんなところが感じられなく、国民は弱者なんで守ってもらえばいいんだ、保護していただければいいんだ、そんなニュアンスを感ずるわけでございます。どうして義務規定にならなかったのか、その辺のところをまずお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 武力攻撃事態対処法のただいまおっしゃられました八条では、国民は必要な協力に努めるものとする、こういうふうに規定しております。国民の保護法制の資料の表現は、これに合わせたものなんです。国民の保護のための法制では、住民の避難とか被災者の救援の援助などにつきましては国民に協力を要請できる旨の規定を設けることを考えております。
 これらの規定は国民に協力の義務を課すものではありませんが、国民の方々には、それぞれの置かれた状況の中でできる限り協力をいただきたい、このように考えているわけでございます。
吉野委員 国民の多くの意見を総合すると、努力目標、努力規定くらいにしかならなかったのかと思うんですけれども、そんなことで果たして、私たちのこの国を守ることができるのかというところを申し述べておきたいと思います。
 それで、官房長官から今、国民保護法の概要が示されました。その中での国民の協力で四つの項目が述べられました。まさに消火活動、避難等々への国民としてできるところを積極的にやらねばならないわけですけれども、こういうことを実行なさしめるものというのは、やはり私は訓練だと思うんです。
 正直言って、私はここのところにかなり期待をしておりました。というのは、今の日本の状況を見ると、特に子供たちのことを見ると、自分だけがよければいいんだとか、社会的な義務を果たすことなく、社会生活をしていく上でのきちんとしたルールというところを余り知らない。教育というのは家庭と学校だけに任せてしまっている。実は、私が小さいころは地域での教育を受けたんです。私が悪いことをすると、隣のおじさんが来て頭を殴ってくれました。注意をしてくれました。まさに地域教育というのが日本に欠けた部分だと思うんです。
 そういう意味で、今度の国民保護法を制定するに当たって、自由民主党の部会の方では、新しい隣組制度、いわゆるコミュニティーといいますか、小学校単位の隣組制度というものをつくっていくんだというふうなお話が、私は聞いたことがございます。そういうものでかなり地域のきずなという部分について私は期待を持っていたんですけれども、今官房長官からお話がありましたら、それは自主防災組織、またボランティア組織という形でありました。
 もっと強力な、これで全国民がカバーできるのか、そして、ふだんはこういう訓練をしていくに当たって、やはり地域のきずなというのが、いざといった場合の大きな力になろうかと思いますので、そういう地域のきずなを深めるためにも新隣組制度的な部分を私はつくるべきではないのかな。そこに期待をしていたわけでございますけれども、そういうものがなかったということで大変私はがっかりしているところですけれども、その辺についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
福田国務大臣 地域のきずなということを強調されましたけれども、これは地域、地域と申しますか、広い日本の中でいろいろな地域があって、それぞれの地域でいろいろな形があるんだろうと思います。例えば都会ですと、特に最近は都心になればマンションがたくさん建っておる。そういうマンションなんかですと、一年のうち三割ぐらい人がかわってしまうとかいったような非常に流動的な面があって、なかなかそういう隣組意識というのは芽生えないというようなことがあって、これはやむを得ない部分もあるんだろうというふうに思います。
 また、我が国は平和でございますから、そういう防災のために隣組を持たなきゃいかぬとかいったようなことについての必要性、ニーズ、そういうものに対する意識というものも希薄なところもあるというように思っておりますので、委員が思っておられるほどの体制というのはなかなかできにくいような状況もあるんだろうというふうに思います。
 しかし、これは、この法制のもとでは、やはり国民の安全ということを考えた場合に、いろいろなことを考えていかなければいけないということが前提にございますから、それはそれで検討していかなければいけないということでございます。
 国民の保護のための措置については、対処基本方針に基づいて、国、地方公共団体、指定公共機関等が協力して実施することを基本として考えておりまして、国民の保護のための法制において、新たな民間団体を組織したり、既存の民間団体に新たな責務を課すということは想定いたしておりません。
 しかしながら、訓練はもとより、国民の保護のための対処措置が的確に実施されるためには、広く国民の理解と協力を得ることが重要でございます。このために、住民の自主的な防災組織やボランティアが自主的に国民の保護のための対処措置を実施する場合には、国や地方公共団体がこれを支援することについて検討してまいりたいと考えておるところでございます。
吉野委員 次に、権利の制限についてお尋ねをしたいんですけれども、事態法三条の四項ですか、憲法の保障する自由と権利を尊重し、その権利と自由を制限する場合、必要最小限で、公正、適正な手続のもとで行われなければならない、こういう規定がございます。これを具体的にあらわしたのが自衛隊法百三条だと思います。
 その中で、知事は、長官または政令で定める者の要請に基づき、物資等の収用、権利の制限をしていくという規定になっているんですけれども、例えば自衛隊が、ここに陣地が必要だ、二百坪必要だと言っても、それを現実に収用していくのは知事でございます。だれが最小限というところをチェックしていくのか。あくまでも自衛隊が軍事上必要とするものであって、都道府県知事が、それは多いですよ、少ないですよという、そういういわゆる軍事上のところに判断を求めていくということ自体がちょっと無理ではないのかなと思うのでありますけれども、だれがチェックをしていくのかをお尋ねしたいと思います。
石破国務大臣 先生御指摘のとおり、百三条の書き方というのが、「都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、」云々、こうございまして、「これらの物資を収用することができる。」ということになっております。この条文の書き方からしますと、収用することができるという権能は都道府県知事が有しておることになります。防衛庁長官が要請を行うわけでございますが、その際も、当然最小限ということは念頭に置きまして、考慮をいたしまして、要請をすることになります。
 しかし、都道府県知事というものが、例えば山形県なら山形県、山口県なら山口県、福島県、どこでもよいのでありますが、そこの状況というものを一番よく知っておるであろう、先生が御指摘のようなことを都道府県知事が一番知っておるであろう。したがって、防衛庁長官がこのように要請をしたとしても、その地域の実情にかんがみて、いやいや、これぐらいが最小限だということになる、その判断をする権能は都道府県知事が有しておるというふうに考えております。
吉野委員 そこはいわゆる軍事上の部分だと思うんです。二百坪が軍事上必要だというところを、知事の判断で百坪に果たしてできるのかという、その辺のところを知事の判断にゆだねていくというのは、私はちょっといけないんじゃないのかなと思うんですけれども、再度いかがでしょうか。
石破国務大臣 未知の分野でございますので、具体的に想像するのがなかなか難しいとは思うのですけれども、仮に先生御指摘のように、こちらは二百坪が合理性がある、知事さんは、いやいやそんなことはない、百坪だというような場合に、当然そごが生じることに相なります。そうしますと、要請と知事の判断が食い違うことになりますので、そういう場合には、当然、都道府県知事と防衛庁長官との間において協議が行われるという形になろうかと思っております。
吉野委員 そういう意味で必要最小限のチェックがなされるという理解なら、私も理解をいたします。
 また、同じことなんですけれども、沼地を埋め立てをした土地があって、そこを使いたいという要請があった場合に、そこは地盤的に、大きな地盤沈下が起きるし、瑕疵があるわけでありまして、でも、防衛庁長官としてはそこが一番最適な場所だということがあった場合、やはりそこは、知事の方からここは別なところにするよという形で長官の方に言った場合に、知事に変更できる権能といいますか、そういうものがあるんでしょうか。
石破国務大臣 御指摘のように、私どもの方から要請をいたします、その要請があった場合に、知事が、例えばこういう場所ということで私どもが申し上げましたときに、都道府県知事は、立入検査を行う等により、それが本当に任務遂行上適切かどうかという判断を行うことになります。
 それで、立入検査等々を行ってみた、沼地であってとてもじゃないが使うにはたえないというようなことになりますと、では今度は知事が一方的に、これは適さないのでこの代替地があるよ、ここを使いなさいということにはならないのだろうと思います。
 そうなった場合に、防衛庁長官が使いたいというふうに要請をしてきた土地はこうこうしかじか、こういうことなのでどうなのだろうかという協議が改めて行われることになるというふうに考えておるところでございます。
吉野委員 次に移りたいと思います。
 安全保障会議設置法の改正案についてでございますけれども、事態対処専門委員会を官房長官が委員長のもとで常設としてつくられるわけですけれども、大体どのくらいの人数、どのくらいの規模を想定しているのか、お尋ねしたいと思います。
福田国務大臣 人数をお尋ねでございますが、その前に、緊急事態に際しましては、政府は事態の認定、対処に関する基本的な方針の策定などの重大な判断を極めて限られた時間的制約の中で的確に行うことが必要でございます。
 このような政府の意思決定につきましては、安全保障会議の果たす役割が重要でございますことから、この会議に、内閣官房長官を長とする事態対処専門委員会を設置するということといたしたものでございます。この委員会は、事態発生時に迅速かつ的確に対応できるよう、平素から専門的な調査分析を行い、安保会議への進言を行うものでございます。
 この委員会の委員につきましては、内閣官房及び関係省庁の中から局長級以上の関係者を任命することを想定しておりまして、今後具体的に定めていくことになりますけれども、情報の集約、分析、評価を的確に実施し得る関係者をその中に含めるということは当然でございます。
 そういうことで、具体的にどこどこということを今決めておるわけではございませんが、必要な部署、しかし、それが余り人数が多くなるということがあっても迅速な対応ができないだろう、こういうようなことも考え合わせ、今後決定したいと思っております。
吉野委員 この専門委員会は、対処基本方針をつくる本当に大事な大事な部門になろうかと思いますので、その基本方針を策定するに当たっては、やはり情報の収集、評価、分析、この辺のところが最大のポイントになろうかと思います。
 そういう意味で、ありとあらゆる情報がこの専門委員会に集まってくる仕組みができているのかどうなのか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
福田国務大臣 それは常時、今危機管理体制というものがございまして、トップには危機管理監というものがございます。これは内閣官房に設置している役職でございますが、そのもとに情報官という者がおります。そして、そのもとに専門的な情報収集の機関がございますけれども、内閣官房の中に危機管理センターというものがございまして、そこで情報集約をいたしております。
 これは、二十四時間体制で三百六十五日その仕事をしているところでございますけれども、そこが情報集約の中心でございまして、そこで集約された情報を情報官が判断し、危機管理監とともにその重要度とかいうものを区別しながら、事態対処専門委員会に対して連絡をとる、こういうふうな体制になっております。それは常時、今も行っているわけでありますけれども、既にその部分については始動しているところでございます。
吉野委員 わかりました。
 次に、武力攻撃事態以外の、いわゆる大規模テロリズム、武装不審船、これをきちんと修正案で明確にしたというのは、国民にとって本当によくわかりやすく、私も大変よかったなというふうに感ずる次第でございます。
 その二十五条の二項の一号に、情報の集約、分析、評価を行うための「態勢の充実」というふうになっています。普通、態勢の充実というと、警察、海上保安庁、自衛隊、それぞれの部門に予算を多くして人数を多くすれば、それがイコール態勢の充実だというふうになるわけですけれども、その程度の態勢の充実なのか、ここの意味を、「態勢の充実」というところをきちんともっと具体的にお教え願いたいと思います。
福田国務大臣 危機管理体制というのは、その進展と申しますか、そういうものについては休むことはない、常に磨きをかけていかなければいけない、そういうものだと思います。
 そういう観点で、情報につきましては、これは政府に各種の情報部門がございます。この連携を強化して、そして情報の共有に努め、事態発生時における内閣の情報集約と分析、評価態勢、これは強化を常時図っていかなければいけないものだ、こんなふうに思っております。
 また、政府案におきましては、安全保障会議に、内閣官房長官を長とする事態対処専門委員会を設置することとしております。これは先ほど申し上げたとおりでございます。
 ここでは、これも先ほど申し上げましたけれども、事態に迅速かつ的確に対応できるよう、平素及び事態発生時の双方を通じまして、専門的な調査分析を行って、安全保障会議を補佐するものでございます。情報の集約、分析等を的確に実施する上でも、この委員会は大きな役割を果たすことになります。
吉野委員 私の選挙区には、福島県でありまして、原子力発電所が十基ございます。九・一一以降、海上保安庁の巡視船が、福島第一、第二のちょうど中間点のあたりで、二十四時間巡視船が見ております。また、私も選挙区を歩くとパトロールカーを見ます。これは二人乗っています。常にいろいろなところをぐるぐるパトロールをしております。地元の人に聞くと、あの方々は福島県の人じゃないんです、他県から応援に来ている方なんです、こういうお話を伺いました。
 それで、お尋ねしたいんですけれども、海上保安庁も警察も、どういうテロリストを想定してそれらに装備しているのかという、敵が見えないと自分たちの装備の程度も決まらないわけでありますので、その辺のところを両機関に聞きたいと思います。
奥村政府参考人 原子力発電所につきましては、昨今の厳しい情勢を踏まえまして、銃器対策部隊、これはライフルとかサブマシンガン、あるいは耐弾仕様の装甲警備車を配備しておる部隊でありますけれども、これを原発に常駐させまして、二十四時間体制での警戒警備を実施しております。また、緊急時には、SAT、これも特殊部隊でありますけれども、テロリストに対する高度な制圧能力を持っているSAT、これを派遣して対処することとしております。
 こうした対処につきましては、いろいろな態様のテロを想定してやっておりますけれども、具体的にどの程度の規模のテロ、あるいはどういう態様のテロというものを想定しているかにつきましては、こちらの作戦の手のうちということになりますので、お答えは差し控えたいと思います。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 海上保安庁におきましては、原子力発電所の警備、先ほど先生御指摘ございましたけれども、福島県におきましても、平成十三年の九月に米国におきます同時多発テロが発生いたしました、その発生直後から今日に至るまで、いわゆるテロ対策といたしまして、全国十七カ所すべての原子力発電所におきまして、事業者に対しましては、自主警備の強化のお願いをする一方で、最寄りの海上保安部署、こういったところとの緊急連絡体制、これも確立をいたしまして連携強化を図っておるところでございますが、当庁におきましては、機関砲でございますとか自動小銃でございますとか、そういったいわゆる所要の武器を搭載した巡視船艇、先ほど先生からもお示しいただきましたように、二十四時間、常時配備をいたしまして、その警備には万全を期している、あらゆるテロの対応をとれるようにというふうに考えておるところでございます。
吉野委員 警察に聞きたいんですけれども、先ほど、他県からの応援部隊の方々がパトロールしているというふうに私は町の方から聞いたんですけれども、他県からの方では地理に不案内でないのかな、いざといった場合にそれなりの対応はできないのではないのかなというふうに思うわけですけれども、本当のところ、実態のところはどうなんでしょうか。
奥村政府参考人 原発に対する警戒警備もそうでありますけれども、従来から、大規模な警備事象あるいは長期間に及ぶ警戒警備の際には、必要に応じまして、その県の警察に対しまして、ほかの都道府県警察から警察官の応援派遣を行っております。福島県も、御指摘のとおり、今他県から応援が行っております。
 これらの応援派遣をされました警察官は、土地の地理には不案内でありますけれども、事前に警戒対象周辺の地理、地勢等を十分時間をかけて実査をしておりますし、それから地元の警察官と共同して警戒警備に当たっておりますので、御指摘の点については問題がないというふうに考えております。
吉野委員 海と陸からの防備というのは海保と警察で行っているわけですけれども、やはり空からのテロというものに対しての備え、これはどうなっているんでしょうか。
奥村政府参考人 一昨年のアメリカでの同時多発テロのような、ハイジャックした飛行機を使いましたテロにつきましては、これは一たん敢行されますと、その阻止を図るというのは大変困難な面がございます。したがいまして、何よりハイジャックのようなものの未然防止を図ることが重要であると認識をしております。
 そこで、警察といたしましては、情報収集活動を強化いたしますとともに、国土交通省あるいは航空会社等の関係機関と緊密に連携をとりながら、機内への凶器等の危険物の持ち込み防止、あるいは不審者の早期発見等を徹底いたしまして、ハイジャックの未然防止を図っておるところであります。
 それから、小型航空機につきましても、テロに使われる可能性がありますので、その所有者あるいは管理者に対する盗難防止対策、これを徹底いたしますとともに、小型航空機が発着する飛行場に対する警戒を強化いたしまして、空からの攻撃というのが万が一にも起きないように対処しておるところであります。
吉野委員 私たちに見えない形でそこまでいろいろテロ防止対策をとってもらっているということは、本当に地元に暮らしている者にとって頼もしく、また感謝の気持ちでいっぱいでございます。ありがとうございます。
 やはり、テロというのは未然防止が一番大切でございます。その未然防止をするためには、やはり情報の共有、いわゆる電気事業者、そして警察、海上保安庁、この辺の情報を、自分のとった情報はすぐほかの方々にも共有できる、そういう仕組みが私は大切ではないのかなというふうに思っております。
 と同時に、共同訓練なんかもいたすといった場合に、やはり訓練なしで実践というのはできないわけでありますので、その辺も含めて、どういう対応、体制をとっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
奥村政府参考人 原発の警戒警備の万全を期するためには、御指摘のとおり、海上保安庁あるいは原子力発電所の事業者との緊密な連携というものが重要であると考えております。
 具体的には、海上保安庁との間では常時情報交換を行っておりますし、また現場におきまして、現場の警戒に当たっている部隊と原発の沖合で警戒に当たっていただいている巡視船との間で緊密な連絡体制をとっておるところでありますし、さらに現場レベルにおきまして、具体的な事案を想定した共同訓練を近々実施することとしておるところであります。
 また、原発の事業者との連携につきましても、これはホットラインなどを設置しておりまして、常時必要な情報の迅速な共有を図るとともに、緊急時の通信連絡方法、あるいは不審者侵入時の対応等を含めまして緊密な連携の確保に努めているところであります。
吉野委員 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
鳩山委員長 次に、田端正広君。
田端委員 公明党の田端正広です。
 官房長官、防衛庁長官、大変に御苦労さまでございます。
 本論に入る前に、イラクの問題と北朝鮮の問題で少しお伺いしたいと思いますが、きょう、官房長官、午前の記者会見ですか、アメリカの復興人道援助室、ORHAへ要員を派遣するということについて言及なさったようでありまして、文民の派遣を通じて、日本は復興の過程、初期の段階からかかわっていきたいというお話がされたように報道されております。
 この問題は、我々も法的にどうかとかいろいろな議論もさせていただきましたが、法的にもそれは大丈夫だということでもあり、また文民の派遣ということでもあり、あるいは外務省の職員としての身分、そういう立場ということであるようでありますから、この問題については私も賛成でありますが、問題は、つまり、国連中心主義といいますか、国際協調という視点とのバランスからいきますとそれはどうなんだろうかという、その思いが少しあります。というのは、ORHAそのものがアメリカの政府の機関である、そういうことでありますから、そういう意味で、人道支援とはいえ、果たしてそれがどこまで、どういうふうにかかわるのがいいんだろうか、そこのところを少し国民にも説明していただく必要があるのではないか、こういうふうに思います。
 私は、国連中心主義という考え方を掲げてきた日本として、あるいは国連の分担金を二〇%しているという日本、そういう立場からいっても、国連の機能をきちっと回復させるということがまず一点だと思います。
 それから、国際社会が協調して、イラクに対する人道支援を国際社会としてやっていける、そういう状況をつくっていくということも二点目として大事だろうと思います。
 それから三点目としては、国連のいろいろな機関がたくさんあります。例えば国連の難民高等弁務官事務所とか、あるいは国連開発計画とかユネスコとか、たくさんいろいろな形で、いろいろなかかわりをこれからするんだろうと思いますから、そういう意味では、国連の機関を、そこにはノウハウも実績もあるわけですから、活用する。そういうことが三つ目の問題として挙げられるわけで、そういう三点からして、私は国連中心のかかわりということが大事ではないかなと。
 昨日、EUの非公式首脳会議でもこの問題が議論されたようでありまして、国連が中心的役割ということで、果たすべきだということで共同声明も発表されておりますが、ぜひそういう視点ということをもっと日本としては積極的に出していただいた方がORHAとのかかわりの上でもいいのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
福田国務大臣 けさ、川口大臣からORHAに対する人員派遣の発表をいたしたところでございますが、イラクに対しましては、既に国連機関等を通じた人道支援、これはもう行っておるところでございます。他方、フセイン政権の実質的な崩壊を踏まえまして、今後いかなる支援を、どのような考えのもとで、どのような形でもって実施することが適当であるか、こういうことでございますが、そういう観点から目下鋭意検討を進め、その一環として、ORHAに文民を派遣すべく準備を始めた、こういう状況でございます。
 イラクの復旧復興と民生の安定ということは、イラクの国民にとって、また中東地域全体の安定にとっても重要なことでございます。その成否は、中東地域が世界の主要なエネルギー産出地域であり、またイスラム諸国全般にも大きな影響を与えることから、我が国の国益にも大きく関係している問題でもございます。また、我が国としては、イラクにおける戦後復旧復興支援については、国連の十分な関与を通じまして、国際協調のもとで支援を実施する、こういう考え方をいたしております。
 こういう考え方は、これはもう既に日米首脳会談、これは電話会談でございますが、十六日にいたしましたが、またほかの機会に米側にも既に伝達を幾度もしております。また米国も、国連は重大な役割を果たすべきであるということを明言しております。また先般、川口外務大臣の欧州出張におきましても、各国に対しまして同様の働きかけを行って、賛同を得たところでございます。
 我が国は、そういう意味において、国際的な協調のもとに今後この復興支援をしていく、人道支援も含めてしていくということになりますが、今現在はまだ、終末段階とはいいながらも、局所的にいろいろな交戦活動というのは行われているという状況でございますので、そういうことであるならば、今から人道支援をするということであれば、今ある、例えばORHAのような機関を通じて行うとか、その機関と連携をとりながら支援を行うということが適当であるというように考えているところでございます。
田端委員 官房長官の御説明、よくわかりましたが、来週末ですか、総理が欧米に来週末から訪問される、そういうニュースも伝わっておりますが、ぜひ今の御答弁の趣旨を、今度は総理大臣として、日本の代表として、欧米各国首脳との会議の中でそういう日本のスタンスというものを明確に私は示すことが大事ではないかな、こういう思いがしますので、総理が出発されるに際して、国連中心で今後イラクの復興ということに日本は貢献していく、そのスタンスを明確にされるように総理にぜひおっしゃっていただきたい、こう思うんですが。
福田国務大臣 委員のおっしゃることにつきましては、つい、きょうは十八日かな、おとといです、総理がブッシュ大統領と電話会談をした。その際にも、ブッシュ大統領にもただいまの委員のおっしゃられるような趣旨、私が先ほどお答えしたような趣旨についてお話をしております。
 ですから、それはよく理解をしているところであり、また、欧州に仮に行きますれば、まだ決まっておりません、もし行くことになりますれば、欧州各国ともそのような趣旨のお話は当然されるものと思っております。
田端委員 北朝鮮の核開発の問題で、本日になるんですか、きょうの十八日、ワシントンでということになるんだと思いますが、日米韓の局長級協議が行われる、こういうことでございます。そして二十三日に、アメリカと北朝鮮、そして中国、この三者による協議が行われる、こういう流れができてきたということでありますが、これは私は大変望ましいことだと思いますし、また、今まで少し沈黙状態が続いていた北側がこういう形でテーブルに着くということは、そういう意味では意義があることだなと感じております。
 したがって、このことが、これが将来多国間協議という形で、日本がそこに、直接そのテーブルに着けるように努力すべきではないかと思いますし、また、当然そうならなきゃおかしいのではないかと思うわけでありまして、その見通しについて、官房長官の御所見を伺いたい。
福田国務大臣 委員の御指摘のとおり、北朝鮮による核兵器開発問題につきまして、このたび、その第一歩として、多国間協議の第一歩として、米国、北朝鮮、中国の三者会合が開催される、こういう段取りとなったということを承知しております。
 政府も、この問題の平和的解決に向けたステップだというふうに思い、歓迎をしているところでございます。この三者会合は、近い将来、我が国及び韓国を含めた多国間会合に発展するということは確信をしておりまして、米国政府もそのような考え方であるということと承知いたしております。また、今回の三者会合に先立ちまして、きょう、委員御指摘のとおり、外務省のアジア大洋州局長を初め、米韓三カ国の局長レベルの協議が行われていると思います、今。
 そういうような状況でございますので、そのときに日本側としての考え方、これは十分に米国にも説明をする、こういう段取りになっておるところでございます。
田端委員 もう一つの大きなテーマである拉致問題についてでありますが、十六日ですか、ジュネーブの国連人権委員会でこの問題が議論され、そして、北朝鮮の人権状況を非難する決議が賛成多数で採択されたというニュースが伝わってきました。
 そういう意味では、こういう国際世論を背景にして、今膠着状態の形になっているこの問題に対して、ぜひひとつ積極的に進展を目指していただきたい。
 また、今回の三者協議、あるいは多国間協議に将来発展するであろうというこの政府間の協議、そういった中でもこの問題を積極的にアピールしていただいて、北朝鮮に誠意ある対応を迫っていく必要があるんではないか。拉致家族の方が、被害者の方が、五人の方が帰られて既にもう半年が経過するわけでありまして、当人の方はもちろん国民の中にも少しいら立ちがあるというふうに感じます。そういった意味で、この問題、これを一つのきっかけにしてぜひ大きく前進さすことができないかどうか、官房長官の御決意をお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 政府といたしましては、拉致問題につきまして、被害者の方々及び御家族の御意向も踏まえながら、その解決に向けて今後ともさまざまなルートを通じた努力を行っていく考えでございます。
 まず、北朝鮮に対しましては、引き続き事実解明を強く求めていくとともに、五人の被害者の御家族の帰国を早期に実現するように取り組んでまいっておりますが、今後とも、拉致問題を初めとする諸懸案を解決し、国交正常化の実現を図ることが北朝鮮にとって利益となるということを理解させるように努めながら、拉致問題の解決の重要性について北朝鮮側への働きかけを行っていく考えでございます。
 このように、拉致問題については、日朝国交正常化交渉の中で北朝鮮側の誠実な対応を求めていくということは基本でございますが、同時に、国際世論の理解と支持を得ることも重要と考えておりまして、先ほど御指摘の国連人権委員会などの場を通じまして、国際社会に本問題の重要性を訴えてきておるところでございます。
 さらには、二国間関係においても、米国とか韓国を初め関係各国との間で、首脳会談、外相会談等、あらゆる機会に拉致問題解決の重要性を指摘してきておりまして、今後ともあらゆる機会に拉致問題解決に向け努力していく考えでございます。
 また、近く行われるであろう米朝中の三者会合におきましても、我が国の関心事項を踏まえて本件の三者会合に臨んでもらえるものと米国に期待をいたしているところでございます。そのようにまた理解をいたしております。
田端委員 それでは、武力事態問題について御質問させていただきたいと思いますが、今回の与党の修正によって、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態というこの二つに整理されたということは、大変わかりやすくなったといいますか、明確になったという意味ではよかった、こう思います。
 そこでお尋ねしたいことは、つまり、予測事態というのは、武力攻撃事態に至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態、こういうことでありますが、昨年の通常国会に提案されていた三つの事態に比べると、ここのところがより明確になったというわけでありますから、それが現実に自衛隊の行動との間でどういうふうになるかということでお伺いしたいんであります。
 自衛隊法七十七条の防衛出動待機命令が、この予測事態ということであって、つまり予備自衛官の招集とか、そういう所要の準備に当たる、そういうことに限定されているのがこの予測事態。今まで指摘なりまた危惧されていた点であった防衛出動の拡大といいますか、時期の拡大といいますか、そういうことも言われていたわけでありますが、しかし、今回は、この武力攻撃事態には防衛出動であり、予測事態は待機命令であるという、ここが整理されたという意味においては、非常に国民的にもわかりやすくなったというふうに実態的にもそう思うわけでありますが、防衛庁長官のその辺の御所見を伺いたいと思います。
石破国務大臣 そのような御理解でよろしかろうかと思っております。今までの防衛出動というものの概念というものは全く変わるものではございませんが、武力攻撃事態法との関係では先生の御指摘のような点で整理されようかと思っております。
田端委員 この対処基本方針案のたたき台といいますか、大綱というんでしょうか、この問題についてお尋ねしたいと思いますが、先ほども御質問がありましたが、官房長官が安全保障会議設置法に基づく事態対処専門委員会の責任者になられて、この大綱、基本方針をつくる、こういうことになると思いますが、これは平時からといいますか、ふだんから有事に際してのそういう議論、準備をしていかないと、速やかに指示を出すということはなかなかいざというときは大変じゃないかな、こう思います。
 そういう意味で、この事態対処専門委員会というものが、定期的にといいますか、情勢分析とか、あるいはそういう方針案についての検討あるいは策定についての、どこまで発表するかの問題はありますが、できるだけ国民にわかるような説明をすべきではないか、こう思います。それが国会への説明にも当然かかわってくる問題でありますから、そういう意味で、広く国民の理解を得るということを大前提としたそういう対応をふだんからやるという姿勢をきちっとしていただくことが大事ではないかなというふうに感じているんですが、官房長官のお考えはどうでしょうか。
福田国務大臣 この法案では、武力攻撃事態の認定等の重大な判断を極めて限られた時間的制約の中で的確に行い得るように、安全保障会議のもとに事態対処専門委員会を設けて、平素から専門的な検討を行わせる、こういうことにしておるわけでございまして、政府といたしましては、行政府と立法府の統一的な意思決定のもとで武力攻撃事態に対処していくとの観点から、対処基本方針の国会の承認を求めるに際しましては、事態対処専門委員会における検討結果などについても、必要に応じ、可能な範囲で開示をしてまいりたいというように考えているところでございます。
田端委員 次に、自衛隊がかかわることになりますから、そこのところを少し考え方も整理しておかなければ国民の理解もまた大変だと思いますので、何点かちょっと申し上げたいと思いますが、例えば、周辺事態と武力攻撃事態が併存といいますか同時発生という形になった場合、法律に基づく手続は違ってくるわけでありますが、武力攻撃事態では対策本部が設置される、周辺事態では自衛隊の長である防衛庁長官が責任者として指揮をとる、こういうことになるかと思いますが、そういった意味で、そこのところが、その相関関係といいますか、例えば、通信、連絡一つにしてもいろいろなことがあるかと思いますので、その対策本部と防衛庁、この関係を、きちっと原則的なルールということを決めておく必要があるんではないか、これが一点です。
 それから、有事の際、米国との連携、米軍との連携といいますか、そういうことが大変大きな問題になるかと思いますが、この対策本部と米軍との関係という意味で、アメリカの側からこの対策本部に、連絡調整官といいますか、要員を派遣していただいて調整をする、緊密な連絡をとる、こういうことがどうなのかということであります。
 それからもう一点は、国連への報告ということであります。国連とのかかわりで、作戦も含めた技術的な説明が必要になるということになれば、国連に対しても自衛官の派遣、そういうことも考える必要があるのではないかと思うわけであります。例えば、ジュネーブの軍縮代表部の中に自衛官を派遣しておりますし、それから国連代表部にも自衛官を出していると思いますが、ふだんでもそういうふうにしているわけでありますから、そういう有事の際に防衛庁としてそういうことをきちっと決めておいてやっていく必要があるのではないかと思いますが、以上三点、御答弁いただきたいと思います。
石破国務大臣 私からお答えさせていただくことでよろしゅうございますか。(田端委員「はい」と呼ぶ)
 先生のお話は恐らく、第一点として、おっしゃるように周辺事態と武力攻撃事態というのは併存することがあり得るわけでございます。そういうときに、米軍への支援が混同して行われないようにきちんと明確に区分をされなければいけないということだと思います。
 この両方の事態が併存することはあり得ることでございますが、それぞれ法律の目的が異なっております。そうしますと、私どもの方として、できることできないこと、そして米軍に対する支援のあり方、そういうものをきちんと明確にしておくことは必要なことだと思っておりますし、そういうことはまた技術的にも十分可能なことだ。つまり、当該法制と周辺事態法のおのおのに基づいて対米措置をどのように行うかということは、区分して行われることが十分に可能だというふうに考えておるところでございます。
 第二点のいわゆる対策本部と米軍との関係でございますが、これは恐らく、現在考えております調整メカニズムの中で調整をされることになるんだろう。そうしますと、対策本部の中にそういうような調整の人間を入れるかどうかということが、必要な場合があり得るかどうかという問題に帰着をするのだろうというふうに思っております。
 今のところは、調整メカニズムの中で米軍との関係は十分調整されるというふうに考えておるところでございますが、なお不十分なところがあればまた検討させていただきたいと思います。現在のところ、調整メカニズムの中で考えていきたいというのが私どもの立場でございます。
 第三点の国連との関係でございますが、先生御指摘のように、例えば、私ども国連代表部というものをニューヨークに持っている。そこには防衛駐在官も出ておるわけでございます。そうしますと、現在、国連代表部に人間を出しておって、それが防衛駐在官という身分も有しております。そうしますと、国連との連絡調整というものはその場において行えることになるのではないだろうかというふうに思っております。
 もちろん、日米安全保障条約と国連との関係というのは、条約上も明記をされておることでございますし、先生御案内のとおりであります。そういたしますと、国連と私どもと米軍との行動、それがきちんと連絡をとれるように、いずれにいたしましても、そういう仕組みというのは考えていかねばなりませんが、現在のところは、代表部、そしてそこにおります防衛駐在官、そういうものを今考えておるところでございます。
田端委員 本日示された国民保護法制に関する骨子の中から何点か問題を取り上げたいと思いますが、一つは、今自衛隊とのかかわりが、これは大変大事になると私は思いますが、例えば、国民保護の中心というのは避難誘導ということになりますが、先般、地方公聴会で佐世保に私も行かせていただいたときに、佐世保の市長さんも、住民の生命財産をどう守るかという点についての具体的なルールというものを明確にしてもらわないと市長としては困るというような趣旨のお話もございました。
 そういう意味で、現場は市町村になるんだろうと思いますが、都道府県には対策本部が設置される。しかし、市町村は、今度はここには市町村長を中心に消防、警察、海上保安庁、自衛隊、こういう形での役割分担がどうなるかというところが自治体の長の方が心配されているわけでありまして、そういった意味で、そこのところ、自衛隊がどういう役割でどういうふうにしていくのかという、そこを明確にしないと、この問題というのはなかなか難しいのではないかと思いますので、防衛庁長官、一番自衛隊がかかわるかかわり方が大事だという認識でひとつ御答弁いただきたいと思います。
石破国務大臣 現在私どもとして考えておりますのは、これは都道府県に対策本部というものがそれぞれ設置をされることになります。そこにおいて各地方のいろいろな実情というものを把握せられ、いろいろな機関との連絡調整が行えるものだというふうに考えております。
 現在のところ、私どもとしては、その都道府県において設置をされる対策本部に自衛官を連絡員という形で派遣をいたしまして、本当にニーズに適切にこたえ得るように、そういう体制をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
田端委員 骨子ですから、そこがまだはっきりと示されていないので、ぜひ、この二年間で法案の作成をする中で、自衛隊が明確な役割を果たせるようにきちっと記していただきたいと思いますが、例えばこういう有事の際というのは、都道府県で対策本部をつくっても、広域的な被害が起こった場合は、その都道府県なんか関係なく飛んでしまうわけですね。そういう意味で、組織というものを、どうあるのか、どういうふうにかかわっていくのかという、そこが大事だろうと思います。
 それで、例えば民間防衛組織を活用するとかというお話もありますが、例えば市町村に五千以上の自主防衛組織がある、しかし、これは、下手をするとといいますか、誤解を招く危険もあるわけで、こういう協力を得られるためには国民の理解がなければ、これは義務化的なことになりますと、戦争協力法案だというふうなことにも誤解されかねないわけであります。そういう意味では、ぜひ、国民の理解というものを最大限のベースにして、そして協力を求めていく、こういう法案の作成をする、何といいますか、こちら側の姿勢というものが、政府の姿勢というものが大事じゃないか、こういうふうに思っておりますが、その答弁を得て、質問を終わりたいと思います。
福田国務大臣 国民の保護のための法制につきましては、国民の権利義務とも関係があるものでございますので、地方公共団体や関係する民間機関などなどの意見を聞きまして、十分な国民の理解を得ながら整備を進めていくことが必要である、このように考えております。
 そのため、政府としては、国民保護法制について作成した資料やQアンドAなどを官邸のホームページを通じて公表するなど、広く国民の理解を得るように努めてまいりたいと思っております。
 また、武力攻撃事態対処法案の成立後は、国民の保護のための法制の法案の作成に本格的に着手することとしておりますけれども、今後とも十分国民の理解を得られるよう、節目節目でさまざまな努力を重ねてまいりたいと思います。
田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
鳩山委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)委員 保守新党の井上喜一でございます。
 この武力事態法の修正案を与党の代表者が出しておりますけれども、私どもは、この委員会審議を通じまして、武力攻撃事態法、これの大まかな問題についてはこの修正案でこたえている、カバーしている、そんなふうに考えております。
 きょう、また官房長官の方から、「国民の保護のための法制について」という概要の説明がございました。これは内閣官房を中心にして、関係各省の意見をまとめ、地方公共団体その他関係機関の意見をまとめてこういうものをつくられたと思うのでありますけれども、さらによく検討をされまして、立派なこの国民保護法制をつくっていただきたいと思います。よく意見を聞きますと同時に、またやはり実効性のあるものじゃないといかぬと思うんですよね。意見は聞いたけれどもさっぱり動かないというのだったら困るので、ぜひぜひそういうような法制をつくっていただきますことを希望いたしまして、あと質問は、きょうは北朝鮮とイラクにつきまして質問をさせていただきたい、こんなふうに思います。
 北朝鮮とアメリカ、中国の協議がいよいよ始まるということを新聞なんかで報道されておりますが、昨年の九月、あれは十八日ですか、平壌宣言がサインされまして、日朝の間でこのようないろいろな問題、大量破壊兵器あるいは拉致問題を含めて協議をする、こういうことであったと思うんでありますけれども、なかなか思うように進まないということで、多国間で協議をしていくということも、日本が当面する問題の解決に資するんだろう、こういうぐあいに私は思っておりましたが、恐らく外務省もそういうような考え方だったと思うんでありますが。
 さて、ふたをあけてみますと、三カ国の協議だというんですね。私どもは、だれ言うとなしに、六カ国ぐらいの協議じゃないかというようなことを言われておりましたので、そうじゃないかと思っていたんですね。これは外務省が言ったのかマスコミが言ったかよくわかりませんが。そういう意味では、どうも肩透かしを食ったといいますか、外されたというような感じを私は持つんであります。
 確かに大量破壊兵器、核でありますとか生物化学兵器あるいは弾道ミサイル、こういった面につきましては、これはやはり国際的に対応しなくちゃいけない問題でもありますけれども、拉致なんかもう完全にこれは日本の問題だと言っていいと思いますし、また弾道ミサイルにつきましも、やはりほかの国とは多少これは温度差のある、日本特有の問題じゃないか、こう私は思うんですね。そういったことで、この六カ国協議といいますか、日本が当初の会議に参加をしないということは本当に残念だと思うんであります。
 どうも、新聞なんかによりますと、この三カ国協議というのはずっと前からもう話が進んでいたんだと書いてあるわけですよね。外務省はそういうことを知っていたのかどうか、これと、もう一つは、いつ、どこの国から三カ国でやるんだというようなことを受けたのか。まずそれをちょっとお聞きをしておきたいと思うんです。
川口国務大臣 この会議でございますけれども、ずっと北朝鮮は、米国の安全保障を必要とする、安全保障を確保したいという観点から二国間協議ということを強く主張してまいりまして、他方で米国は、安全保障の問題もさることながら、核の問題、これは国際社会の懸念であって、みんなが話に参加をする必要があるということで多国間の協議ということを主張していて、その二つの主張の間に非常に大きな隔たりがあって、なかなか対話が成立するところに至らなかったということでございます。
 その中で、我が国は、やはり核の問題については、これは多国間で、我が国も絡んだ形で議論をする必要があるんだということをずっと言ってまいりまして、我が国としても主張を、主張といいますか提案をし、それから中国もし、ロシアもし、韓国もしという形で、いろいろな水面下で動きがございました。そういった中で、今回、御案内のような、おっしゃったような話があったわけでございます。
 それで、これは中国がかなり北朝鮮の説得に動いた部分がございまして、中国としては、この問題については、これは私がせんだって訪中いたしましたときにも言っておりましたけれども、中国は、こういうことを広報して、それで国際的に動く国ではない、これについては口外をしてもらっては困るという立場を今も引き続きずっと維持しております。
 ということでございまして、いつごろということをなかなか申し上げにくいわけですけれども、先般、私が訪中をいたしました段階、この段階では、既にこういったことについての話は、中国でないほかの国から私どもの耳には入っておりました。日本としては、ずっと前から、核の問題については多国間で協議をする過程で、日米韓の連携についてはずっと協議を続けてきております。
 それから、この多国間の協議、三カ国、まあ多国間ということでございますけれども、これのテーマについて、私どもとしては、いずれ、今これがちゃんと立ち上がって議論が進むかどうかということが非常に重要な段階でございます。当面、関係国は、これは核の国際的な、国際社会が懸念を持っている問題というふうに言っておりますけれども、日本としては、これについて早い時期に、三カ国だけではなくてほかの国も関係をすることが大事なんだということをずっと言っております。
 また、ブッシュ大統領が先般、小泉総理にお電話をいただいた際には、アメリカとしてもそういうふうに考えているということをおっしゃっていただいておりますし、また、そういう段階で、これは核の問題以外の問題も、我が国としてはたくさん問題を持っておりますので、そういったことについても話が進んでいくというふうに考えているわけでございます。
 我が国の考えについては、今、ちょうどきょう、日米韓三カ国で打ち合わせをやっておりますけれども、米国として、こういった我が国の懸念を踏まえてこの三カ国会談に臨むというふうに確信をいたしております。
井上(喜)委員 日本の主張をアメリカを通して三カ国の協議に反映させていくというようなことであろうと思うんでありますけれども。確かに日本とアメリカと共通の認識を持つ問題もあろうと思うんでありますけれども、例えばミサイルなんかも、テポドンなんかについて言いますとやはり若干アメリカと日本との認識の違いはあるんじゃないかと思うんですね。まして、拉致なんかの問題になりますと、大変違っているんじゃないかと思いますし、大体中国なんかは国連人権委員会のあの北朝鮮を非難する決議に反対しているわけですよね。そういう中で、こういう拉致問題を取り上げるといったって、やはり非常に大きな限界があるんじゃないかと私は思うんで、そういう意味でも日本が早くこの会議に参加をするということが必要だと思うんですね。
 韓国のあれは外交通商相というんですか、この二十三日からのアメリカ、北朝鮮、中国の会議は予備会談みたいなもので、二回目からは韓国は参加をするということをアメリカ、中国から確約を得ているみたいなことを言っているわけですよね。新聞報道ですよ。
 だから、果たして日本はどうなっているのか。それは日本がぜひとも参加しないといけない、それはよくわかりますよ。韓国の場合、極めて具体的なんですね。日本の場合はどういうような状況になっているのか。日本政府の意向というのはどの程度向こうに伝わって、関係国からどういう反応を得ているのか、もうちょっと詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
川口国務大臣 今委員がおっしゃった韓国の外交通商部部長の発言については私どもとしては承知をいたしておりません。
 先ほど申しましたように、我が国としては、国際的な懸念、核の懸念、これについてまず現状をとめるということが、このままでとめるということが大事ですし、その後いろいろな形で話し合いが進んでいくということが大事でございますので、そういった観点からいうと、早期に多国間での協議を行うことが重要であるということについては、あらゆるレベルで米国と韓国とは話をいたしております。
井上(喜)委員 ともかく、どんどん三カ国の間で話が進みまして、大きな枠組みができる、それはそんな簡単にはいく話だと思いませんが、そういう後になって参加をしましても、実質的にそういう枠組みを動かすことができないというような状況だろうと思うんですよね。
 また、言葉をかえて言えば、平壌宣言なんかも実質的にどうも空文化しかねないような、そういうおそれだってなきにしもあらずだと私は思うんですよね。あるいはもう最悪の場合は、ほとんど決められてしまって、あと日本が行うのは経済的な負担だけだというようなことになりますと、これは何なんだ、こういうことになりますので、やはり、この関係国会議については、相当、毅然たる態度、考え方をもって望まなくちゃいけないんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
川口国務大臣 国際社会の全体としての懸念である大量破壊兵器の問題ということと、また、委員がおっしゃられましたように、我が国はまた、さらに異なる種類の問題についての懸念を、あるいは懸念以上のものを持っているわけでございまして、こういった問題が十分に話し合いに反映されるように、最大限の努力をいたしたいと思っています。
井上(喜)委員 イラクの問題に移りたいと思うのでありますけれども、国連でいろいろな経緯があり、英米軍による武力行使があって、実質的に、軍事的には山を越したといいますか、大体、戦争は終結に近づきつつある、こう見ていいと思うんですね。それで、今、その後の復興支援なんかを含めて、どういう機構で統治をしていくかとか、そういう議論に移りつつあると私は思うのであります。
 国連中心主義なんというようなことがよく言われるんだけれども、国連は、現実にあるもの以上でもないし、以下でもないんですよね。余り過度に期待するということも私はいかがかと思うんですよ。過小評価することもできない。あるがままに見て国連とも、我々は、国連において発言もするし、日本独自でも発言をしていく、こういうことじゃないかと思います。
 そこで、私は、差し当たり必要なのは、やはり治安を回復するとか民生の安定というようなことが必要になってくるのでありまして、今度、ORHAに職員を派遣して、外務省の身分にするんですか、するというようなことを既に発表されたかに新聞報道がございますが、私は、結論的に言いましても、積極的にそれは参加をしていくべきだと思います。
 支援の場合にも、いろいろな方法がありますが、やはり目に見える支援をしていくということが日本にとっては極めて大事だと思いますね。特に、中東の地域というのは、経済的に非常に大事な地域でありますから、したがって、政治的にも日本にとりまして極めて大切な地域だと私は思うのであります。そういう国益に照らしても、日本の顔が見える支援という、二国間の場合もありますし、ORHAなんかを通じても、結構積極的な貢献ができるんじゃないかと私は思うんですよね。
 そこで、大体どんな分野を想定して、ORHAに人を派遣されようとしているのか。その辺、具体的に言えなきゃそれは結構でありますが、言えるならば、ひとつお答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 中近東の地域が平和で安定を早く回復するという、イラクにおいてそれが早く回復され、全体として中近東の地域が平和で安全であるということは、我が国としても、これは国益に通ずる、まさに国益そのものであるわけでございます。
 そして、その中で、イラクに対して我が国が復旧復興あるいは人道支援をしていくときに、顔が見えるというふうにおっしゃられましたけれども、これも大変に重要なことだと思っております。
 ORHAでございますけれども、どのような協力の仕方があるか。ORHAに対する協力を通じて、イラクの国民に協力をしていくということでございますけれども、これは、具体的にはこれから、ORHAに必要としている分野あるいは専門家のタイプ、そして、我が国として専門的なあるいは知見を持っている、イラクの復興にほかの国よりももっとよく協力をできる分野、そういうことを照らし合わせながら、これから具体的に詰めるということでございますけれども、我が国としては、以前からイラクに対してはさまざまな協力をやってきているわけでございまして、例えば病院ですとかいろいろございますけれども、そういった識見のある分野というのはかなりあるだろうと思っています。
 基本的には、委員がおっしゃられましたように、当面、四、五人、これを外務省の職員といいますか、そういう形で出して、そして、ORHAを通じてイラク国民に協力をするということをやっていこうと考えております。
井上(喜)委員 防衛庁長官にお伺いしたいんですが、自衛隊をイラクに出すというようなことがあり得るんですか、どうですか。お考えをお聞かせいただきたいんですが。
石破国務大臣 現在のところ、そのような検討は行っておりません。その場合には、いかなるニーズがあるかということとあわせまして、一体、いかなる法令によって出すとすれば出すのかということになるだろうと思います。そういう両方が相まって、そういうことは初めて可能になるものというふうに考えておりますが、現状におきまして、そのような検討は行っておりません。
井上(喜)委員 検討するとすれば、どういう条件が満たされた場合に自衛隊の派遣というのはあり得るんですか。
石破国務大臣 基本的には、私は、PKO法だろうというふうに思っております。PKO法の中に具体化されておりますPKO五原則というものがございますが、現状において、仮に自衛隊を派遣するとするならば、これは人道救援活動も同じでございますけれども、PKO法ということになるというふうに考えております。
井上(喜)委員 あと、外務大臣に御要望を申し上げるのでありますけれども。
 これも新聞報道でありますけれども、中東の方へ何か行かれるというようなことを見るわけであります。
 私は、イラクの問題が終わりますと、あと、シリアはある程度関係するかもわかりませんけれども、次はやはりイスラエルの問題だと思うんですね、パレスチナ問題だと思うのでありまして、ですから、ああいう地域をよく調べて、またこれはイラクとも非常に関係することだと私は思いますので、そういった成果をこれからの外交に生かしていただきたい。
 そういう意味で、ぜひともああいう地域に行かれまして、ひとつよく調査をお願いいたしたいと要望いたしまして、終わります。
鳩山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会


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