衆議院

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第4号 平成14年11月12日(火曜日)

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平成十四年十一月十二日(火曜日)
    午前九時二十分開議
 出席委員
   委員長 保利 耕輔君
   理事 伊吹 文明君 理事 熊代 昭彦君
   理事 虎島 和夫君 理事 山本 幸三君
   理事 伊藤 忠治君 理事 金子善次郎君
   理事 山名 靖英君 理事 東  祥三君
      伊藤信太郎君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    金子 恭之君
      小西  理君    河野 太郎君
      谷本 龍哉君    西川 京子君
      萩野 浩基君    菱田 嘉明君
      福井  照君    増原 義剛君
      松野 博一君    宮澤 洋一君
      吉田 幸弘君    岩國 哲人君
      上田 清司君    大石 尚子君
      佐藤謙一郎君    田中 慶秋君
      中川 正春君    永田 寿康君
      松崎 公昭君    三井 辨雄君
      山井 和則君    山元  勉君
      桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君
      黄川田 徹君    都築  譲君
      小沢 和秋君    春名 直章君
      阿部 知子君    菅野 哲雄君
      中川 智子君    日森 文尋君
      井上 喜一君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局長
   兼内閣官房行政改革推進事
   務局長)         堀江 正弘君
   政府参考人
   (外務省大臣官房文化交流
   部長)          糠澤 和夫君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  古田  肇君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            松崎  朗君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           広田 博士君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            斉藤  浩君
   参考人
   (国際協力事業団総裁)  川上 隆朗君
   参考人
   (国際交流基金理事長)  藤井 宏昭君
   衆議院調査局特殊法人等改
   革に関する特別調査室長  遠山 政久君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
 辞任         補欠選任
  佐藤謙一郎君     三井 辨雄君
  鮫島 宗明君     松崎 公昭君
  首藤 信彦君     中川 正春君
  田中 慶秋君     大石 尚子君
  山井 和則君     上田 清司君
  都築  譲君     黄川田 徹君
  瀬古由起子君     小沢 和秋君
  菅野 哲雄君     中川 智子君
  日森 文尋君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 清司君     山井 和則君
  大石 尚子君     田中 慶秋君
  中川 正春君     首藤 信彦君
  松崎 公昭君     鮫島 宗明君
  三井 辨雄君     佐藤謙一郎君
  黄川田 徹君     都築  譲君
  小沢 和秋君     瀬古由起子君
  阿部 知子君     日森 文尋君
  中川 智子君     菅野 哲雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人国民生活センター法案(内閣提出第一一号)
 独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出第一二号)
 平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
 独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 独立行政法人国際協力機構法案(内閣提出第一六号)
 独立行政法人国際交流基金法案(内閣提出第一七号)
 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
 独立行政法人日本万国博覧会記念機構法案(内閣提出第一九号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二〇号)
 日本私立学校振興・共済事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案(内閣提出第二二号)
 独立行政法人日本芸術文化振興会法案(内閣提出第二三号)
 独立行政法人科学技術振興機構法案(内閣提出第二四号)
 独立行政法人日本学術振興会法案(内閣提出第二五号)
 独立行政法人理化学研究所法案(内閣提出第二六号)
 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法案(内閣提出第二七号)
 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出第二八号)
 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出第二九号)
 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出第三〇号)
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出第三一号)
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出第三三号)
 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出第三四号)
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出第三五号)
 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出第三七号)
 独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出第三八号)
 独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出第三九号)
 独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
 独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出第四一号)
 独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
 独立行政法人日本貿易振興機構法案(内閣提出第四三号)
 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法案(内閣提出第四五号)
 中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律案(内閣提出第四六号)
 独立行政法人中小企業基盤整備機構法案(内閣提出第四七号)
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案(内閣提出第四八号)
 独立行政法人国際観光振興機構法案(内閣提出第四九号)
 独立行政法人水資源機構法案(内閣提出第五〇号)
 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 東京地下鉄株式会社法案(内閣提出第五三号)
 独立行政法人自動車事故対策機構法案(内閣提出第五四号)
 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――
保利委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として特殊法人等改革推進本部事務局長兼内閣官房行政改革推進事務局長堀江正弘君、外務省大臣官房文化交流部長糠澤和夫君、外務省経済協力局長古田肇君、厚生労働省医薬局長小島比登志君、厚生労働省労働基準局長松崎朗君、厚生労働省保険局長真野章君、経済産業省大臣官房審議官広田博士君、経済産業省産業技術環境局長中村薫君、中小企業庁事業環境部長斉藤浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
保利委員長 外務省関係二法律案及び厚生労働省関係九法律案について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、本日、提案になっております労働関係の諸法案について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、石原大臣にちょっとお伺いしますが、総理も大臣も、特殊法人の問題について、改革される段階で、まず廃止の問題、あるいは民営化、地方分権、どうしても必要なものを独立行政法人という、この基本を承っておりました。しかし、その中で、基本的には、透明度を高くするということであろうし、簡素でわかりやすくスピードアップするということだと思います。
 こういう観点で今回この独立行政法人を見させていただきますと、まず一つ、大臣、最初の段階で、この対象になった法案の検討はどこでされましたか。
石原国務大臣 質問の御趣旨がちょっとわからないのでございますが、内閣の行革本部並びに与党の方で検討させていただきました。
田中(慶)委員 そうではないと思うんです。私申し上げたのは、例えば厚生労働省であるならば厚生労働省の今回対象になっている法案は、最初に議論したところは厚生労働省なんです。自分のところで今度やろうとするところを議論するときに、その対象とするものがそこでやって、現実問題として本当に改革できるんだろうか。まず、その辺を聞きたいと思います。
石原国務大臣 質問の御趣旨が明確になったのでございますが、整理合理化計画は、内閣が中心になりまして、行革本部の中でどのように事務事業を見直していくのか、これは、きょうは厚労省の坂口大臣がおいででございますが、厚労省に関係する法人の中で重複している部分あるいは時代に合わなかったものをこういうふうに変えてください、そういうことを決めさせていただき、現在御審議いただいている四十六本の個別法は各省が取りまとめたものでございます。
 その取りまとめの段階で、各省と行革事務局の方で、当方の趣旨のとおりまとめていただいているかいただいていないか。と申しますのも、さきの通常国会で御審議をいただいた石油公団の廃止法案につきましては、当方の整理合理化計画の見解と経産省の方の見解、人間が書いた文章でございますので、そこに読み方の相違があって、法案作成段階でかなりの修正をお願いしたという経緯がございます。
田中(慶)委員 まず、自分のところの省庁で自分のところを議論するときに、基本的に、今大臣が述べられたような感じで議論していないと思います。数合わせであり、あるいは、まず前提に今回対象になっております独立行政法人ありきという形で、ある面では官僚の受け皿を前提として私は取り組んでいるんだろうと思います。
 例えば、今回の問題の一つに、労働者健康福祉機構というものがございます。この業務内容というのは、病院、看護婦専門学校、リハビリテーション学校等についてであります。これらの問題は、例えば地方自治体で病院経営が赤字である、だからそれを民間に売却をする、こういうことが今進んでいるんです。ところが、今回の法案では、民間においても十分その代替が可能なものが、現実には独立行政法人、こういう形で提案をされている。それは、どういう形で議論をされ、なぜこういう形で残ったのか、教えていただきたいと思います。
坂口国務大臣 今御質問をいただきました内容が、労働者健康福祉機構なら労働者健康福祉機構の中のことを一例で挙げさせていただければ、その中には労災病院等も含まれているわけであります。現在三十七でございますか、全国で展開をされている。この労災病院なら労災病院というのは、今までの、いわゆるずっと古くからやってまいりました、労災病院が専門的にやってまいりましたもののほかに、やはり現代的な勤労者のための健康をどう保持していくかというようなことも、これはこれから加味してやっていかなきゃならない。
 ただ、三十七全部必要かといえば、それは必要ではないんだろう。整理をすべきものは整理をしなければならない。それらのことは労働者健康福祉機構に引き継ぎまして、その中で整理をしていくということでありまして、先に病院を全部整理をしておいてこの機構に移すということではございません。整理統合あるいはまた廃止、そうしたものはこれから取り組んでいく、こういうことでございます。
田中(慶)委員 かつて医療機関の整備がなかったときに、今のような労災病院の役割というのは大きかったと思います。しかし、現在の労災病院の役割というのは、民間病院や大学病院や地方自治体の病院と中身は何も変わっていないわけであります。そういう中で、大体、ここでほとんど赤字経営をされている、これが実態なんです。ですから、こういうことを含めて民間に移譲するための努力をされたのかどうか。
 今、大臣は、三十七すべてを残すわけじゃないということを言っておりますけれども、地域医療計画など、しっかりとマップでできております、そこに何床のベッドが必要でありますという。そういう中で、現実問題として医療整備がされているわけであります。
 経営主体が現実に労災病院として、勤労者のための役割として特徴を持たせるのであれば、それはそれなりの評価はできると思いますけれども、現実にはすべての内容で病院経営をされている。こういうことであっては、労災病院の役割は、私は、現実問題として民間に委託なり代替をされても何ら支障はない。それがあえて独立行政法人であるという意味がどこにあるのか。私は、全然その意味がない、このように申し上げたいと思いますが、大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 全然意味をなしていないことはございませんで、やはり労災病院でなければやっていないところも実はあるわけでございます。
 例えば、いわゆる産業中毒なんというようなことにつきましては、これはよそでなかなかやっておりませんで、産業中毒等につきまして一生懸命にやりますとか、あるいはまた振動につきましてやりますとか、あるいはまたじん肺につきまして熱心に取り組んでいるというようなところは、やはり従来からやっておりましたし、私は、今後もこれは必要なことなんだろうと思うんですね。とりわけじん肺の患者の皆さん方につきましては、あわせて肺がんの発生率が多いというようなことがあって、そうしたこととの関連で見ましても、これは継続的にずっと診ていかなきゃならないということもありますから、そこは大事だろうというふうに思っています。
 しかし、地域的に見ましても、あるいは採算から見ましても、公共性から見ましても、ここはもう一般病院にしてしまっていいのではないかというところも存在するというふうに私は思っておりまして、そこの整理につきまして、中で計画を立てよう、こういうことに今なっておりますし、これからそのように進めていきたいというふうに思っております。
田中(慶)委員 私は、三十七の労災病院をつぶさに検討したんですが、残していいのはせいぜい十施設ぐらいじゃないかな、こんなふうに思うんです。今、大臣が言われているように、継続性の問題あるいは労働環境の問題、職場環境の問題、特殊的な公害等の問題を考えても、残してもせいぜい十ぐらいで十分その趣旨は評価を、あるいはクリアをできる、私はそんなふうに思っております。
 ですから、大臣、もう一度この三十七を総点検して、民間でできるところは民間に任せればいいんですよ、地方自治体もそうしているんですから。どうですか、その辺の考え方を。
坂口国務大臣 いや、総論的にはそういうことだというふうに思っておりまして、すべての見直しを行いたいというふうに思っております。
 ただ、先ほども少しお話が出たように、とっていただくところがあるかどうかというのもなかなか大きな問題でございますし、また、それぞれの地域におきましては、やめるのではないかという話が流れまして、各自治体からやめてくれるなという強力な働きかけのあることも事実でございますし、先生方からも、ここはやめないでほしいという強烈なお話のあることも事実でございます。それらのところを勘案して、ちゃんと、本当に必要があるところは何か、それで、これからやっていくとすれば、何を本当に勤労者の健康のためにやっていくのかということを明確にしなければならない。特殊性のないところは一般病院にしていくということで割り切りをする以外にないと私は思っております。
田中(慶)委員 いろいろな条件があろうと思いますけれども、大臣、やはり今の医療そのものが、その受け皿がないか。はっきり申し上げて、受け皿はありますよ。ですから、そういう問題を含めながら、本当に労災病院を残すのであれば、今のような特殊的な、例えば業務がIT化とかいろいろな形の中で、それぞれの難病や、それぞれの最近の職業にまつわった疾病が出ると思いますから、そういう中でシフトをしていった方がいいんだろうと私は思います。
 そこで大臣、もう少し突っ込んでみましょうか。
 この機構が、例えば、単純なことですけれども、労災病院等の売店運営とか施設の管理、なぜこれは関連公益法人でなければできないんでしょうか。こんなことは、本当に、地域の民間のところに、それぞれのところに委託しても、十分安上がりで、なおかつスピードもアップ、こんなこともできると思うんですよ。ところが今は、労働福祉共済会にすべて委託をしている。これはやはり、まさしく先ほど私は、この独法についての考え方と反しているんだろうと。天下りの受け皿であり系列化であり、こんなことを次々とやっていたら独立行政法人の意味がない、このように思いますけれども、どうですか。
坂口国務大臣 確かに、今までいろいろな経緯もあったんだと思うんですが、そういうふうになっているところも多いわけですね。特に売店等につきましては全部やっている。洗濯だとかあるいは給食だとか、ほかのところではそうでないところもたくさんありますけれども、しかし、売店につきましては、全部一つの団体にお任せをしている。
 しかし、今度独立行政法人になりますから、年間を、何年に切るのかわかりませんけれども、二年とか三年とか切って、そして入札を行うといったようなことで、より効率的に行っていただくようにそれはすべきだというふうに思っております。
田中(慶)委員 これだけではありません。今、独法に関しては大体同じような考え方があるわけであります。例えば、施設管理費と言われるような形、ビルメン等についても、現実問題とすれば、福祉共済会が受けて、そしてまたビルメンに出すわけであります。こんなことは二重手間でありますから、やはり業務の改善をされた方がよろしいと思います。
 あるいはまた、今回のこの福祉機構の中には、未払い賃金の立てかえ事業まで入っているんです。やはりこれは、ここの意味の健康福祉機構とは少なくてもなじまない、どこかの独立行政法人に移管すべきじゃないかな、私はこんなふうに思いますよ。
 ですから、こういうことが、私が先ほど申し上げているような数合わせであり、あるいははっきり申し上げて、天下りの受け皿のためにこういう形でやってしまっておる、このように思いますので、私は少なくても、未払い賃金の立てかえ払い事業なんというのは、何も新しくできる健康福祉機構がやるべきものとは言い切れないんだろうと思いますが、それはどういうことでしょうか。
坂口国務大臣 これも労働者健康福祉機構というのをつくるわけでありまして、健康問題、福祉問題をすべてここに入れたわけであります。
 厚生労働省がやっておりますことはさまざまなことでございまして、それらをまとめて、できるだけ独立行政法人にしていこうというわけでありますから、同じ病院なら病院のことをやっておるものだけを集めるというわけにはなかなかいきません。少し内容は違いますけれども、それらのことも含めて一つにまとめていくということをやらなければ、今度はまた独立行政法人をたくさんつくらなきゃならないということになりまして、そんなにたくさんつくるんだったら、今までと同じじゃないかという話になるわけでございますから、まとめるということになれば、多少異質なものも同じにしなければならない。未払いのこの件につきましても、これは一つの、福祉に直接にかかわる問題でございますから、この中で行わせていただくということにしたわけでございます。
 だから、そういう面では、独立行政法人という形になるから、これはできることだと思うんです。先ほどの売店のお話にしましても、そうしたことも、今回こういうふうに変えることによって、そこで変えていくということができ得るというふうに思っておりまして、一つの機会だと思っております。
田中(慶)委員 そうなりますと、はっきり申し上げて、今回の特殊法人の改革の意味が全然ないと私は思います。いいですか、大臣。これは少なくとも、見直すべきもの、廃止をすべきもの、民営化すべきもの、地方にゆだねるもの、これでどうしてもできないものを独立行政法人にする、こういう形で、総理も石原大臣もそう言われているでしょう。その趣旨からすると、私は合っていないんだろうと思います。単なる数合わせみたいな形になってしまう。石原大臣、今の質疑を聞いてどう思いますか。――いや、担当大臣に。
保利委員長 答弁者は挙手をしてください。
石原国務大臣 前段の、委員が御指摘されました特殊法人にぶら下がっているいわゆる公益法人、こういうところに事業が丸投げされ、そこからまた孫請されているというような問題は、この法人に限ったことではなく、今焦点になっております道路公団等々でも見受けられ、こういうものを是正していく上で独立行政法人というものを仕組ませていただきました。これが第一点でございます。
 第二点は、新しく誕生する機構、独立行政法人が行う業務の割り振りの問題を委員は坂口大臣と御議論をされているんだと思います。私は、委員の考えるような整理の仕方もあると思いますし、坂口大臣がおっしゃりますように、統合の過程の中で広く解釈をして、その問題をこの機構で取り扱うという考えもあるんだと思います。
 この改革の議論というものはこれでおしまいではないことは、過去の歴史が物語っていると思います。あしきを直し、よいものはよくしていくという形で、よりよい機構になっていくことを行革の立場から考えている次第でございます。
田中(慶)委員 今、国民が望んでいることは、そういうことじゃないと思いますよ。もっとスピードがあって、実効のあることを望んでいるんだろうと思います。納税者の立場で考えたならば、そんな悠長なことを言っていられない。特殊法人というものは、天下りの代表的な表現として言われるような状態になってきている。だからこそ特殊法人の改革になってきたんでしょう。それが、今のような形でいったならば、おかしくなってしまう。
 次に進んでまいりましょう。
 例えば、高齢・障害者雇用支援機構というものができました。ところが、この問題の中で、高齢者雇用開発の一部を障害者の雇用促進協会にゆだねただけで、あとはまた現実に、この高年齢者雇用開発協会は残余の業務が残っている、虫食いになっているんですよ。こういう形で、実質的には何にも変わっていない。この障害者雇用の問題、高齢者の関係との問題というのは、現実問題として、今まで述べられたこととは矛盾するんじゃないんでしょうか。まして、障害者雇用という問題は、何も国がやらなくたっていいんです。今でさえも、都道府県に設立されている財団法人の障害者雇用促進協会に委託をされているんですから。
 この経過というものと審議過程、そして、どうしてこうなったのか、説明を願いたいと思います。
坂口国務大臣 今おっしゃいますのは、高齢者雇用開発協会の行います事務の一部を移管しているけれども、なぜ全部しないんだ、こういうお話ですね。(田中(慶)委員「全部残っているんだ、あと」と呼ぶ)いや、全部残っているんじゃなくて、一部は今回のこの協会の中に入れたわけでございます。
 残っている分は何かといいますと、これは平成十六年で廃止をするから残したので、これからずっとやっていくというんだったら全部入れたんですけれども、その中で、例えば緊急雇用創出特別基金業務というのがございますけれども、これは平成十六年末までの時限的な事業でやっておりまして、十六年で終わりになるわけでございます。それから、高齢者職業経験活用センター事業というのもございますけれども、これにつきましても、これは一応平成十六年までの間に実施する基金業務でございまして、これらもこの時点でもう一度考え直すことになっている。
 ですから、もうあと一、二年で終わりになるようなものはここへ残させていただいたということでございまして、それ以外のところは一緒にさせていただいた、こういうことでございます。
田中(慶)委員 それでは、次の障害者雇用の事業についてはどうなんですか。現実に、都道府県の財団法人に委託をしているんです。それだったら何も、これは地方にゆだねればいいんじゃないですか。
坂口国務大臣 これは、国の方がやっております部分につきましては、障害者の雇用納付金の徴収でありますとか障害者雇用に関する助成金の支給を行っているわけでございます。
 したがいまして、都道府県で全部これをやっていただくというわけにはいきませんので、この分野はトータルでやはり行わせていただかざるを得ない、そういう部分がありますので、中央レベルで行います部分と、それから都道府県でお願いをする部分と両方ある。地方の分につきましては、今御指摘になりましたように、都道府県にもお願いをする、こういうことでございます。
田中(慶)委員 それだったら、例えば今度の障害者雇用の中には、職業リハビリの問題やら訓練の問題があるんですね。リハビリと訓練というのは、私は、少なくても、民間なり、あるいは次に出てくるところの雇用・能力なりに移せばいいことであって、ここを残すために、この業務をある面では今のような形で残している。
 まして、全部の役員をチェックすると、ここは一人減っただけですから、ほとんど減っていない。これで、少なくてもこの特殊法人というものが十分議論をされて、そしてなおかつ独立行政法人に移行するために、その必要性というものは、やはり省内協議をするから結果的にこれが必要になってくる、こういう形にしかとれないんですよ。
 大臣、やはりその辺も含めてちゃんとしておかないといけないと思いますよ。その辺、御答弁をお願いします。
坂口国務大臣 先ほど石原大臣がおっしゃいましたとおり、見直しは常に行っていかなきゃなりませんし、これからもまた見直しは行われるものというふうに思っております。
 しかし、段階的にいかなきゃならないところもありますから、今までやってまいりましたことをすぱっと変えるというわけにいかないところもありますから、そこは段階的にやっていかなきゃならないところもあるというふうに思っております。
 それから、役員構成の問題につきましても、これはそれぞれ事情も異なりますが、今御指摘になりましたように、日本障害者雇用促進協会は九人で今までやってきた。それから、高齢者雇用開発協会の方は六人でやってきた。今申しましたとおり、後に少し残しております、その後者の方は。この分は、これも一、二年ばかりで、十五、十六年で大体けじめのつくところでございますから、ここは若干残しておりますが、しかし、一部はもう同じにしまして、今度独立行政法人にさせていただきました。
 そうした意味で、九人が八人に一人減っただけではないかといいますけれども、新しい分野もはめてまいりましたし、そういうことで八人になりました。しかし、この分野も、今後また見直しを行っていきたいというふうに思っております。
田中(慶)委員 大臣、大臣も立派な政治家なんですよ。かつて私は、大臣の下で、この行革とかいろいろなことを勉強させていただいたんです。そのときの教えが今、私の言葉になっているわけですけれども、現実問題として、やはり大臣の後ろに官僚がそれだけ、結局、自分たちの職場を守ろうという、こんな感覚にしか私はとれないんですよ。
 例えば、次に変わりますが、中小企業退職金共済法の一部を改正する法案、今度提出をされております。これは、旧来の業務、組織をそのまま独立行政法人化しているんですよ。そのメリット、どこにあるんでしょう。私は、そのままだったら、あえて独立行政法人として本当に残す必要があるんだろうか、こんなふうに思っているんです。特に、役員は、厚生労働省の天下りと批判を受けないようにということでありますけれども、ほとんどがこの出身者であります。
 それから、もう少し申し上げますと、やはりこの制度の中で一番問題なのは、独立行政法人という形にしておりますけれども、例えば、四年前に退職事業団と共済会が統合され、四年たっているわけですね。しかし、現実には、今の経済状態その他から考えてみますと、大変厳しい金融環境で、私はむしろ、運用の利回りが著しく悪くなったり、あるいはまた、この制度の安定、資産運用などを十分考慮すると、独立法人という形でやった方がいいのか、今のままで残しておいた方がいいのか。その辺の問題についても、大臣、十分検討されたと思いますが、今申し上げたようなことを含めて御答弁をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 この勤労者退職金共済機構につきましては、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、前国会におきまして中小企業退職金共済法を改正しまして、そしてこのときに福祉施設融資業務というものを廃止したわけです。これに伴いまして、組織につきましても、融資業務担当課を廃止いたしますとともに、人員の削減も行いました。今御指摘のありましたように、役員数も十一名から七名に減らしたわけでございます。これから独法化を行いまして、内容をさらに精査して、そして必要なところは一体何かということを明確にして、今後さらに、ここは独立行政法人の中でその業務の内容も考えていきたいというふうに思っております。
 したがいまして、同じではないかというふうに言われますけれども、そうした意味で、もう既に今、組織上もそうした一部の部門、融資部門等はそれをカットして、そして新しくそこで独法としてやっていこう。独法としてやっていく中で、さらにカットすべきものは何か、あるいはまた、ここでやらなければならないことがあるとすれば何かといったことも、今後検討をしていきたいというふうに思っております。
 まずはともあれ、しかし、独法化をするということが大事だというふうに私は思っております。
田中(慶)委員 いずれにしても、中小企業の退職共済ですから、その中身が、やはりこれからの事後評価の問題やら運用管理、あるいはまたチェック体制を十分されて、独立行政法人とするならば、それなりの評価ができるようにしておいた方がよかろうと私は思っております。でなければ独立行政法人にした意味がない、こういう形になりますので、ぜひ、その辺を含めて、より充実した形にしていただきたいと思います。
 そこで、次の、労働政策研究・研修機構、これの統合でありますけれども、これも大変数合わせみたいなものなんですね。大臣、時間も余りないですから、端的に申し上げましょう。
 この中で、同じ研究関係の仕事、研修の仕事をするのですけれども、旧厚生省の方は全然そのまま残っているのです。労働省の方の研修のみが独立行政法人になる。この意味はどういうことなんでしょうね。どう考えても私はわからないんです。頭が悪いからわからないのかもわかりません。やはり、これはいただけないですね、はっきり申し上げて。同じ研究という問題なり、あるいはまた研修ということを考えたときに、これは縄張り争いじゃないか、こんな指摘もあるんですよ。
 大臣、答弁願います。
坂口国務大臣 今回やらせていただきましたのは労働政策研究・研修機構でありまして、その中には、いわゆる現場での問題とそれから研究の問題と両方あるわけでございまして、これは一つにまとめることに、研究は研究でという考え方も確かにあったと思うのですが、しかし、研究の成果を現場に生かす、現場のことを研究の方に生かしていく、より現実的な内容にしていくということは、私は大事だと思うのです。現場から離れた研究をやっておってはいけないというふうに思いますし、また、その研究の成果というものがすぐ現場にはね返ってこなければならないというふうに思っております。
 したがって、私の方としましても、これはテストケースだというふうに思っています。こういったことでテストケースを行いまして、私はこれがいいと思っておりますが、うまくいくようでありましたら、さらにまた、次に残っております問題も手がけていきたいと思っております。
田中(慶)委員 ただ、言えることは、旧省庁の縄張りと思われないようにしないといけないと思うんですよ。旧厚生省で同じようなことをやっている部分は全然手がつかないのです。労働省だけそういう形で手をつけている。テストケースということであるならば、百歩譲っても、それはやむを得ないことだと思いますが。
 例えば労働基準監督署の研修など、今度の機構が成立すると、職員の身分は少なくても非公務員になってまいります。非公務員ということであるならば、非公務員が国家公務員の研修その他をするわけでありますけれども、それだったら、完全民営化したって同じことだと私は思うんですよ。その辺、民営化できない理由がどこかにあったのかな、テストケースだから今はまだこのような形でやる、将来は民営化する気があるのかどうか、その辺も聞かせてください。
坂口国務大臣 研修の問題は、全部が全部ここがやるわけではなくて、やはり省としてやらなければならないところの研修は省がやりたいというふうに思っておりますが、この独法でお願いをするところはお願いをするということで、私は、そこは割り振っていきたいというふうに思っております。
 これで一遍やってみて、さらに、これはやはりもう一歩進んで民営化してもいい、それこそ公務員に対するいろいろの調査あるいはまた公務員に対する研修を、何も民間がしたから悪いというわけではない、民間が公務員を指導するということだって当然あり得る話だ、それはそれでいいじゃないかということになってくれば、それはまた将来考えられるべきことだと思っております。
田中(慶)委員 大臣、やはり公務員が公務員を研修するということじゃなく、アウトソーシングじゃありませんけれども、外から公務員に対するいろいろな、外部の要員を含めて民間にして研修の成果を上げた方が、今国民は何を望んでいるのか、今どうしているのか、どういう実態なのかを含めて、将来検討するということですから、そんなことをぜひやっていった方がいいと思います。
 そこで、大臣、今度の中で雇用・能力開発機構が一本化されて、職員が四千人という大きな組織になります。これは、組織の肥大化ということ。わかりやすく小回りがきいてというこの考え方からすると、四千人の膨大な組織、そして全国にそれぞれ出向する。能力開発ですからそれなりの意味があると思いますけれども、私は、四千人の組織をうまく利用するためには、余りにもそこにいろいろな部署があって、いろいろな形態があって、命令系統がスムーズにいかないことが予想されますから、そういう点では組織の改革というものが当然大きく望まれると思います。
 こういうことを含めながら、特に昨今の雇用情勢が厳しいわけでありますから、敏速に、スピードを持ってそれに対応できる、こういう組織にすべきであろうと思っておりますけれども、現実問題として、この四千人の組織をどのような形で運営をされ、そしてなおかつ、これを実効あるものにするためには、どういう形で、講習や訓練内容をしっかりと見直しをしてやっていかなければ、この意味がないんじゃないかな、こんなふうに思っております。独立行政法人として、四千人を数える組織というのは恐らく他に余りないことでありますから、この辺は十分、いろいろな改革を含めて、役員の数もあるいは職員の数も一層スリム化をする、こういう努力が望まれると思いますけれども、大臣の考え方をお伺いします。
坂口国務大臣 ここは御指摘のとおりだと私も思っております。できるだけ地方へ、できるだけ民間へお任せをするということを今も進めておりまして、これからも一層、地方あるいはまた民間にお願いすべきものはお願いをしていきたいというふうに思います。そうしていけば仕事量が減ってくるわけでありますから、こちらの方の機構としてはだんだんスリム化をしていく必要があるわけでありますから、あわせてその職員の問題等は考えていきたいというふうに思っている次第でございまして、これは御趣旨のとおり進めていきたいと思っております。
田中(慶)委員 まだほかにもさせていただきたいことがあったわけですが、時間が参りました。
 もう一つは、ハローワークについて、これだけ、指摘だけ若干させていただきます。
 今、ハローワークが全国的な規模でいろいろな取り組みを行っておりますけれども、私は、このハローワークこそが民営化に一歩前進する必要があるだろうと。今、派遣業と言われる民間の人たちは、少なくても百五十万人ぐらいの登録者を持っていろいろなことをやっておりますけれども、法的な縛りやいろいろな形の中で、スピードや回転の効率化というものができない、こんな形で御苦労いただいております。ハローワークの民営化なり、あるいはまた、今のような派遣業に、もっとしっかりと実効性のある、今の時代に合うような形の法の改正などをやる必要があるんだろうと思っておりますが、その辺の大臣のお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わります。
坂口国務大臣 ハローワークの問題につきましても、これは極力地方にお願いをする、共同でお願いすべきものはお願いをする、民間にゆだねるべきものはゆだねるということで、来年法律の改正をさせていただきまして、さらにそこは進めたいというふうに思っています。
 ただ、そうはいいますものの、国がやらざるを得ないところもあるわけであります。民間は、それは採算に合うところはよろしいんですが、採算に合わないところはやっていただけないものですから、そこは国がやはり負担をしていかなきゃならない。
 それから、派遣業も、これは拡大をさせていただきたいというふうに思っておりますが、連合からかなりおしかりを受けていることも事実でございまして、そこを我々はどうやっていくかということでございます。
田中(慶)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 自由党は、特殊法人等について原則廃止もしくは民営化することを目的といたしました特殊法人等及び独立行政法人の整理等に関する法律案をさきの国会に提出いたしました。さきの国会においては、この特殊法人等改革に関する特別委員会がなかったために、内閣委員会に付託され、今国会におきまして、先般趣旨説明がなされたところであります。
 ただ、この自由党案を内閣委員会から本委員会に付託がえできなかったことはまことに残念なことであります。そこで、本来の趣旨から考えますと、自由党案の特殊法人等及び独立行政法人の整理等に関する法律案は、この特殊法人等改革に関する特別委員会で同列に審議することが当然であると思いますけれども、昨日も我が党の同僚議員から同様の質問があったかと思いますけれども、石原大臣の見解を改めてお尋ねいたしたいと思います。
石原国務大臣 昨日、御同僚の東議員から同趣旨の御質問があったと思うのでございますが、先週の八日でございますか、内閣委員会の方で、自由党の法案の提案理由説明が行われたと聞いております。それを今こちらに持ってくるというのはなかなか大変なことなのかなという印象を持っておりますし、それを御判断されるのは、昨日も申しましたように、院にお任せせざるを得ない。内閣委員の方々にもいろいろなお考えがあるのではないかと考えておるところでございます。
黄川田委員 いずれ我が党の認識は、この日本はあすにでも沈没するのではないか、そういう現状の認識であります。制度疲労のある組織は直ちに撤廃する、そういうふうな覚悟でお願いいたしたいと思っております。
 それで、戦後、数多くの特殊法人等が民間の活動を補充するために設立されてまいりました。しかしながら、民間経済が発達した今日においては、特殊法人等が果たしている役割よりも、特殊法人等が民業を圧迫していることや、あるいは、事業が非効率である、官僚の天下り先となり、政官業癒着の温床となっているなどの弊害の方が多いということが衆目の一致するところであると思っております。
 そこで、このように民間経済が発達した現状を踏まえますと、肥大化し硬直化した行政機構は早急に改革しまして、行政が時代の変化に対応してその役割を効果的に果たすことができるように変革する、こういう必要がありますが、今回の改正でこれが果たしてどこまで可能であるのか、どう考えているのか、石原大臣に、また加えて答弁をお願いいたしたいと思います。
石原国務大臣 大変本質的な御質問であると思いますが、これも総理が御答弁されておりますように、特殊法人改革は、できる限り官から民へ、そして国から地方への流れのもとで、ただいま委員が御指摘されたような、肥大化した行政組織、公的部門の抜本的縮小を目指しまして、それにかわる、もっと簡素で、効率性を株式会社のように追求しつつ、さらに透明な政府を実現するために不可欠な改革の一つとして、今般、法案を提出させていただいたところでございます。
 委員御指摘のとおり、特殊法人が、かつては民間の至らざるところ、不足部分を補い、さらに我が国の経済の発展の一翼を担ってきたということは私も否定するものではございませんが、やはり、時代の変遷とともに、委員が強くおっしゃられた、いわゆる民業の圧迫、田中先生の御議論の中にも出てきました雇用の事業団、ここも宿泊施設等々をやっておりまして、私見てまいりましたけれども、大変立派な組織で、地元の旅館、ホテル業からは脅威の的となっておりましたような、民業の圧迫の問題。そして、やはりそこで私びっくり仰天申しましたのは、いわゆるプライマリーバランスの均等は図られている、すなわち、つくった費用は返していないで、収入で事業費が運営されているからいいんだといったような、経営に携わる者の、言ってみれば不透明な、民間から考えれば不透明な経営感覚等々の問題が発生してきたということは、いろいろなところで見ることができたと思っております。
 今回の改革では、こうした特殊法人等につきまして、先ほども個別法人で御議論があったように、やっている仕事というものをゼロからもう一度見詰め直す、その上で、組織形態についても抜本的に見直し、話題になっております道路四公団を初めとする民営化や、石油公団の廃止や、住宅金融公庫の廃止等々、これまでだれも考えつくことができなかったような踏み込んだ改革内容になっていると思っております。
 ただし、不断の見直しを行っていくということはこれからも必要ですし、今回の改革案で至らざる点があれば、ぜひ委員会等々で御指摘をいただき、今後も手綱を緩めることなく改革を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
黄川田委員 今回の独立行政法人化が、簡素あるいは効率化の時代の流れに沿った真の行政改革につながるのか、ちょっと私は疑問に思っているところもあります。初めから独法化ありきに安住するのではなくて、国民のニーズを踏まえて、そして国民の目線で改革に努めていかなければならないということを指摘しておきたいと思います。
 それでは、引き続き、各省別に尋ねていきたいと思っております。
 まず、外務省関係であります。
 我が国からの政府開発援助の代表的実施機関であります国際協力事業団の独立行政法人化に際しては、昨今の我が国の厳しい経済財政事情にもかんがみ、我が国から開発途上国への政府開発援助の適正な規模につきまして、これを徹底的に見直すとともに、開発途上国の要望に真に合致した事業をできる限り効率的あるいは効果的に実施し、さらには、そうした援助を通じ培った経験を国内に活用して、国民の理解を得るようにすべきであると考えております。
 我が国の政府開発援助は、二〇〇〇年まで世界の第一位でありましたけれども、ODAをめぐるさまざまな疑惑に照らせば、不効率な部分も多いと思われます。したがって、昨今の我が国の経済財政状況にかんがみれば、政府開発援助の必要性を徹底的に見直す必要があると思いますが、現在の政府開発援助について、我が国の適正規模、これをどのように考えておるのか、外務省に見解を求めておきたいと思います。
茂木副大臣 我が国のODAの見直し、そして適正規模について質問を受けたわけでありますが、まず、ODAの見直しに関しましては、ODAを実施していくに当たっては、委員御指摘のように、何にも増して国民の支持、理解、こういうものが必要だと思っております。
 委員の方から、ODAをめぐるさまざまな疑惑、こういう御指摘もいただいたわけでありますが、外務省といたしましても、七月にODA改革・十五の具体策、そして八月には行動計画を発表させていただきましたが、これをベースといたしまして、透明化、効率化、そして国民参加に重点を置いたODA改革を着実に実施していきたい、こんなふうに考えております。
 ODAの適正規模いかん、こういう御質問であります。なかなか適正規模を答えるのは難しい問題でありますが、今、諸外国の状況がどうなっているか、簡単に御説明を申し上げますと、昨年九月十一日のアメリカの連続多発テロ以来、国際社会は、テロ組織との闘い、そこの中で、テロの温床となり得る貧困への取り組みを抜本的に強化しております。アメリカ、そしてEU初め欧米諸国は、相次いでODAの増額を方針として表明しているわけであります。その中で、我が国のODA予算、既にこの五年間で二〇%以上の減少を見ているわけであります。
 外務省といたしましては、財政状況は大変厳しい中にあり、また特に平成十五年度予算をめぐる状況は厳しい、こういう認識は十分持っておりますが、その一方で、我が国が国際社会の安定と繁栄の実現に取り組むためにこのODAが極めて重要な手段である、こういう考えに基づきまして、一層の重点化、効率化を図りつつ、我が国の国際的責任を果たすよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。
 そんな中で、例えばアジア地域、それから平和構築、人間の安全保障、そして国民参加等、ODAを重点的に配分することによりまして、一層めり張りのきいた戦略的なODAを実現していきたい、こう考えております。
 このような考え方に基づきまして、平成十五年度の外務省のODA予算の概算要求では、前年度比一三・九%増の六千百三十九億円を要求させていただいておりまして、よろしく御支援、御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
黄川田委員 国民一人当たりではまだまだ足りない額だと言う方もおりますけれども、開発援助は金額の多寡ではなくて、いかにその中身が相手国のニーズに合致しているかがポイントだと私は思っております。我が国も国のあり方が問われているという昨今でありますので、湾岸戦争の経済支援の反省も踏まえまして、むしろ、背伸びすることなく、普通の国として国際社会とのつき合いをしていくことが大事だと思っております。
 それでは次に、最近のモンゴルへのODAをめぐる不正疑惑に見られますように、我が国の商社が開発途上国政府に働きかけた上で、先方政府からODAの要請がなされるケースも多いと聞いております。そしてまた、開発援助は、正当な手続のもとに、相手国からの要請主義のもとになされるべきと思っております。したがって、発展途上国政府からの要請をより厳格に審査する仕組みに改めるべきと考えておりますけれども、外務省の見解はいかがでしょうか。
茂木副大臣 ODAに関する要請主義ということでありますが、委員御指摘のとおり、被援助国の主体性を重視する、このことは極めて重要だと思っております。同時に、我が国の全体としての援助方針、そしてまた国別援助方針との整合性も図っていかなきゃならない。
 このバランスをどうとっていくか、また整合性をどう確保するかという問題になってくると思うのですが、まず、我が国の政府開発援助は、被援助国の主体性を重視いたしまして、その自助努力を支援する、このことを基本的な考えといたしております。この観点から、援助を検討するに当たっては、御指摘のような、被援助国政府からの正式な要請を取りつけているわけであります。
 ODAの実施に当たりましては、この正式な要請に基づき、個々の案件ごとに、政府部内で国別援助方針等々の整合性、そして被援助国側の実施能力も勘案いたしまして、詳細な検討を行いました上で、今度独立行政法人化されますJICA、または国際協力銀行による調査団も現地に派遣をいたしまして、要請案件が当該国の開発上有する意義、そして案件の成熟度、環境への影響等につきまして十分な調査を行っております。この調査結果を踏まえまして、閣議決定等の形で政府としての案件実施を決めていく次第であります。
 何にしましても、今後、こういった、例えば現地の在外公館であったりとか、新しい、独法化されるJICA等々で精査をさらに進めていく、こういうことが重要だと思っております。
 同時に、さまざまな疑惑と先ほども御指摘をいただいたわけでありますが、今後とも、外務省といたしまして、ODA改革・十五の具体策、そして先ほど申し上げた八月の行動計画にのっとりまして、ODAの案件の審査であったりとか決定のあり方を含めまして、ODA改革を着実に実施してまいりたい、このように考えております。
黄川田委員 関連しまして、JICAの青年海外協力隊事業で派遣されております多数の我が国の有為な青年が、帰国後、協力隊事業を通じ培った経験を国内にも十分に活用できるよう支援していくべきではないかと思っております。外務省を中心に、関係府省の協力のもとに工夫されますことを、この際、要望しておきたいと思います。
 それでは次に、厚生労働省関係であります。
 最初に、独立行政法人労働者健康福祉機構法案について伺いたいと思います。先ほどの委員さんからも質問がありましたけれども、私からも重ねて質問していきたいと思っております。
 重化学工業の主導で我が国の高度経済成長の道を邁進していた時期に、労働災害の発生のピークがありました。そしてまた、この時期は、国民全体への医療供給体制もまだ完成途上にあったわけで、そういう時期に労働災害の被災者に適切な医療を迅速に提供する上で、労災病院には重要な存在意義があったことは、これは否定できないと思っております。
 確かに、現在でも労働災害は、建設業やあるいはまた製造業を中心といたしまして、年間約一千八百人が亡くなっており、そしてまた、死傷者数でも十三万人以上が発生していると聞き及んでおります。
 他方、国民に対する医療供給体制は、地方にあっては大変難儀なんでありますけれども、一方、都市にあっては地域によっては供給過剰ではないかとの指摘もあるほど充実してきておりまして、労働災害自体も、予防対策の充実はもとより、産業構造のハイテク化などを背景といたしまして、今後も減少していくのではないかと思っております。
 労働福祉事業団は、全国で三十七カ所の労災病院を運営しておりますけれども、この労災病院については、昨年十二月の特殊法人等の整理合理化計画においても、今後、その再編整理を進めることが定められており、ぜひとも速やかに進めていただきたいと思っております。
 そこで、そもそも、労災病院が診療している患者に占める労災患者の比率は、入院、外来ともに五%程度となっておりまして、労災病院を独立行政法人として存続させる必要性は薄いと私は思っております。労災医療及び労災病院の位置づけでありますけれども、これについて厚生労働省としてどう考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。
鴨下副大臣 先生御指摘のように、産業構造が変わってまいりましたので、おのずと労災の、言ってみれば災害そのものも変化してきたことは事実でございます。今まで労災病院は、じん肺、産業中毒、それから振動障害とか、そういうようなものを中心に診てきたわけでありますけれども、今後は、いわば新しい疾患群としてのうつ病だとかメンタルヘルスの部分、それから、それこそ過労死にもつながりかねない脳・心臓疾患等の、いわば職場で職業に関連した疾患につきまして、全国から症例を集積したり、それに基づく研究の推進を進めまして、予防から治療、リハビリテーションというような一貫した専門的な医療を提供している、こういうようなことでございます。
 また、先生の御指摘のように、今後どういうふうにあるべきかというようなことにつきましては、疾病構造そのものも変わってきているというようなことで、それに対して重点的に配分していくということも重要でありますけれども、これから独立行政法人として労災病院が運営されていくわけでありますけれども、そのときにはさらに、言ってみれば業務の効率性、それから地域の偏在、こういうものについて検討をして再編をしていこうじゃないか、こういうような方向でございます。
黄川田委員 大臣から答弁があると思ったんですけれども、では、通告しておりませんが、大臣に。
 国としての財政事情の厳しさから、国立病院のこれまた独立行政法人化、この労災病院もそうなんでありますけれども、医療の過剰もちょっと触れましたけれども、また一方で、全国広いわけでありまして、地方にあっての過疎の病院、そしてまた、特に国保の直接診療勘定といいますか、自治体病院、そういうものの今後のあり方等々、全体の中でさまざまな医療を考えなきゃいけないと思うわけであります。
 この政府の効率化、行政の効率化とあわせて、それが単に民間にあるいは自治体にということの中で、自分たちだけが、国だけが肩の荷がおりればいいというふうな考え方は、私は地方から来た者でありますのでちょっと疑問に感じますので、その点も踏まえて所感をお示しいただきたいと思います。
坂口国務大臣 国立病院あるいは労災病院等々、そうした問題だけではなくて、先生の御指摘は全体を見てのお話だったというふうに思いますが、すべて何事も国公立の病院がやらなければならないという時代は過ぎて、そして、民間との間でもう全然格差もありませんし、民間の方がより充実をしているというような時代でございますから、国として果たさなければならない役割の分野は何かということを明確にしていかなきゃならない、あるいはまた、都道府県として果たさなければならない分野は何かということを明確にしていかなければならないというふうに思っています。
 したがいまして、地方におきまして存在します病院で、採算が非常に悪いところもあるわけでございますが、むしろ、私は、そういうところこそ国公立のところが負担をしなければならないところもあるというふうに思っております。すべて、採算が合わないからそれは任すというのではなくて、採算が合わない場所でも国がやらなければならない、むしろ、やらなければならないところがあるということもよく認識をしながら、国として受け持つべき分野は何かということを明確にして、これからやっていきたいというふうに思っております。
黄川田委員 国と地方の役割分担、地方分権の流れもございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは次に、独立行政法人の雇用・能力開発機構法案についてお尋ねいたしたいと思います。
 この雇用・能力開発機構は、雇用保険の福祉事業として整備してきた勤労者福祉施設、例えば、ハイツあるいはまたいこいの村などの宿泊施設や地域の勤労者体育施設、集会場などの施設を全国で二千七十施設も保有しておりまして、平成十一年以降、これを順次地方自治体等に譲渡をしていきたいというわけであります。特殊法人等整理合理化計画では、これを平成十七年度末までにすべて譲渡または廃止することとなっております。
 そこで、この譲渡した施設を譲渡先で有意義に活用できるように、例えば宿泊施設の譲渡を受けた自治体が施設を老人福祉の施設に転用するなど、自由なアイデアで活用できるよう、譲渡後の利用方法については、厳しい条件はつけずに弾力的な活用ができるようにすべきではないかと思っております。そしてまた、譲渡価格についても、地方公共団体が譲り受けて公共目的で利用する場合には、できるだけ安い価格で譲渡できるような仕組みを今のうちから検討しておくべきと思っております。
 これにつきまして、大臣の所感を求めておきたいと思います。
坂口国務大臣 宿泊施設につきましては、早く決着をつけるように、経済財政諮問会議等々からも、また与党の側からもいろいろの意見をいただいているところでございまして、十七年までにこれはどうしてもやらなきゃいけないわけでございまして、一生懸命やっております。
 しかし、やってはいるんですが、民間でこれをお受けいただこうと思いましても、そう簡単になかなか受けていただくところがないというのも実情でございます。今御指摘になりましたように、いわゆる地方自治体にそこをお受けいただくということが最もふさわしいものがあるわけでございまして、それはできる限りそうしたいというふうに思っています。
 それをしますときに、国の財産ですから、我々の立場からすればできるだけ高くお買い上げをいただくのが一番いいわけでございますが、地方自治体の場合にはそうはいかないというふうに思っております。思い切ってまけるとまでは言いませんけれども、できるだけそこはお話し合いをさせていただきまして、合意はできるようにしていきたいというふうに思っておりますし、その後の使い方につきましても、いろいろの自治体のお考えがあろうかと思います。そのことにまで余り口出しをしないように、我々もそこは自重したいと思っておる次第でございます。
黄川田委員 大臣もおわかりのとおり、地方自治体の財政事情は極めて厳しいわけでありまして、自治体が十分に耐え得るような、そういう譲渡の仕組みをつくり出していただきたいと思っております。
 そしてまた、各省庁からいろいろな補助をもらってつくった建物がたくさんあります、国の補助金行政といいますか。そういう中で耐用年数が来ているものがさまざまありまして、財源がない地方にあってはそれらを有効活用したいという気持ちであります。そしてまた、それが何のために活用されるかといえば、やはり住んでいる地域住民に喜ばれる、そういうものにしなければならないわけであります。ところが、ややもすると、いろいろな縛りがありまして、せっかく喜ばれるものが喜ばれないでしまっておるという現状がありますので、その点も広く認識されながら取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構法案について伺いたいと思います。
 医薬品は、医療における治療にとって必要不可欠な重要な製品でありまして、医療にとって必要な医薬品は、それを待っている患者のためにも、一日も早く承認し、そして提供する必要があると思っております。
 例えば、米国において、米国食品医薬品局ですか、FDAにより承認され、患者が入手できる医薬品が、日本では承認されていない。また、承認審査がおくれており利用できないということがあるのであれば、待ち望んでいる患者にとってはまことに不幸であります。承認審査体制については、平成九年から強化を図っていると耳にしておりますが、よりよい医薬品をより早く承認するというのは、これはもう厚生労働行政の使命であると思っております。
 また、聞くところによりますと、諸外国と比べて審査に要する期間が長いようでもありますが、審査を円滑に実施するために、必要なところには必要な人員を確保するべきだと私は思っております。
 そこで、以上のような基本認識に立ちまして、新たに設立する医薬品医療機器総合機構においては、新医薬品の承認審査体制をより一層充実するとともに、がんなどの重篤な疾病であって、そしてまた医療上特に必要性の高いものについては、さらに優先的な審査を行うようなシステムの改革もあわせて行うべきであると私は考えておりますけれども、厚生労働省の見解を求めておきたいと思います。
鴨下副大臣 実際に、先生おっしゃるように、国民が望んで、しかも重篤な方が待っている、こういうような薬については早く審査しろ、こういうお話でありますけれども、おっしゃるとおりでございます。
 まず、医薬品、医療機器の承認審査に関する業務は、今は、審査に関しては、実質的な業務については国立衛生研究所の医薬品医療機器審査センターがやっておりますし、審査前の治験相談や医薬品に係る同一性の調査、信頼性調査等の業務については医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構において、さらに、医療機器に係る同一性調査については財団法人医療機器センターにおいて行っているわけでありますが、これを、言ってみれば、今回は総合して、医薬品、医療機器の承認審査に係る業務を一貫して、かつ効率的に実施できるようにしよう、こういうようなことでございます。
 その上で、先生おっしゃるように、有効で、しかも待ち望んでいる薬はできるだけ早く審査しろ、こういうようなことでございますので、審査業務や安全対策業務に従事している人員については、当面安全対策業務の人員を含めておおむね五割程度の増員を図る、こういうようなことでありますし、現行の優先審査制度をさらに拡充して、医療上の必要性が高いと思われる医薬品、医療機器については、優先的な治験相談体制を構築して、迅速な審査につなげる制度、いわゆるファストトラック制度の導入を図るなど、審査システムの見直しを行っていく、こういうようなことでありまして、より有効で、しかもより安全性の高い、そういう医薬品をできるだけ早く国民にお届けできるような体制にしようということでございます。
黄川田委員 我が国においては、仏教観といいますか、生命倫理観といいますか、それは西洋と違いまして、西洋では臓器移植も神への奉仕といいますか、そういう形の認識でおりまして、根本的に異なるものがありますけれども、先ほどお話しのとおり、新薬開発の治験制度、これを踏まえまして迅速な施策を行うことをよろしく取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、経済産業省関係をちょっと伺いたいと思います。
 本当に、我が国はかつてないような厳しい経済状況にあります。特に、我が国経済を牽引し、地域経済を支えてきました製造業は、中国を初めとする東アジアの企業との厳しいコスト競争にさらされております。このため、地域の経済活動の中心的な役割を果たし、雇用を支えてきた地域の製造業は、その工場を東アジアに移転し、あるいは事業再編の過程で工場を統廃合しなければならないというような状況に置かれております。この結果、大量の雇用が失われるなど、地域経済は極めて厳しい状況にあります。
 例えば、私の地元の岩手県でありますけれども、アイワの製造子会社アイワ岩手がありました。それが、アジア・メーカーの躍進の中で業績不振となりまして、海外工場と統合を進める必要に迫られ、本年三月に閉鎖されました。この結果、四百人を超える雇用が失われ、工場のあった町で約百五十人が解雇されましたが、これは同町の製造業従事者の約一割に相当する規模であります。そこで、こうした動きは私の地元の岩手県に限ったことではないと思います。今日の我が国全体で見られるものでありまして、地域経済は非常に疲弊している、そういうことであります。
 こうした状況の中で、我が国経済全体を再生するためには、まずは、この各地域レベルでの経済の活性化が不可欠の前提でありますが、この地域経済活性化のためにどのような取り組みをしていくのか、お尋ねいたします。
 また、あわせて、今回、経済産業省関係では新たに四つの独立行政法人を設立する内容となっておりますが、日本経済、中でも地域経済の極めて厳しい情勢を考えますと、この地域経済を支える産業を国がどう育てていくつもりなのか。特に、日本人の今日の豊かさを支えてきた物づくり、この物づくり産業の将来をどう展望し、そしてまたどのような政策を講じていくのかという問題と、今回の法案は切り離せないものであると思っております。
 そこで、地域における製造産業、特に八〇年代以降の地域に展開してまいりました大企業の組み立て加工工場とこれを支える周辺中小企業の現状と今後のあり方について、経済産業省のこれに対する将来像、基本的にどのように描いているか、お聞きしたいと思います。
広田政府参考人 ただいま御質問がございました点でございますが、我が国は一九八〇年代以降、加工組み立て型の産業が各地域に展開し、それを支える中小企業とともに地域経済が発展をしてまいったわけでございます。しかし、現在は、こうした産業が、アジア諸国、特に中国を初めとする海外に生産拠点を移転するというような事例が相次いでおりまして、御指摘のように、地域における雇用の減少など、地域経済に対する影響が大変深刻になってきていると私ども認識をしております。
 こうした中で、この地域経済を再生するためには、これまで進めてきた構造改革を一段と加速するとともに、いわゆる骨太方針の第二弾にございますように、地域の力、技術力、経営力、こういった点に着目して地域経済の活性化のための戦略を推進していくことが必要であると考えております。
 このため、経済産業省では、地域の経済を支え、世界にも通用する産業が次々と展開されていくようにということで、産業の集積を形成するための産業クラスター計画という計画に取り組んでいるところでございます。これは、地域の持つよいところに注目し、潜在的な経済力を最大限に発揮できるように支援策を総合的、効果的に投入しようとするものでございまして、具体的には、地方自治体や大学あるいは地域の中小企業の皆様方と連携をしながら、地域の経済産業局がお世話役となって、汗を流してこの支援をしていくという努力をするものでございます。
 おかげさまで、現在、全国で十九のプロジェクトで四千社近くの企業が参加をしていただき、また大学も約二百、参画をしていただいているという状況になってございます。
 今後とも、地域の得意分野において新しい技術が次々と創出され、地域経済の再生が図られますよう、全力で取り組んでいきたいと考えております。
黄川田委員 今述べられた認識に基づきまして、新たに設置される中小企業の基盤整備機構ですか、この担う任務は重いわけであります。しかしながら、本当に独法化されて地方が元気になるような政策が展開されるのか、ちょっと不安も感じるところであります。
 そこで、三法人の統合によって、中小企業の研究開発力の向上やあるいは物づくり産業の発展に向けて、どのような施策を用いてどのような効果を上げていこうとするのか、これまた重ねてお尋ねいたしたいと思います。
斉藤政府参考人 中小企業基盤整備機構について御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、従来の三法人で実施してまいりました事業を整理統合いたしまして、三つの柱に再編をいたそうと思っております。第一の柱が、挑戦意欲のある創業者あるいは中小企業の経営革新に対する各種支援でございます。第二が、中小企業の事業発展の基盤となります人材育成、あるいは情報提供、各種共済制度など、全国的なインフラの整備と提供でございます。第三の柱といたしまして、地域の発展の基盤となります産業インフラの整備、支援、この三つの柱に再編することによりまして、一体的に、かつ効率的に事業を実施することといたしております。
 二、三、具体的な事業を御説明申し上げます。
 例えば、物づくり産業にとって大変不可欠なものとして技術力の強化というのがございますが、これにつきましては、金型、ロボット部品分野など、特に中小企業の国際競争力の強化につながる、かつ、日本の得意とする分野におきます基盤的技術開発を集中的に支援する。あるいは、今御指摘がございました、地域の産業の発展の基盤となります産業インフラの整備、支援につきましては、地域のインキュベーション施設の整備に対する出資事業を重点的に行う。また、中小企業大学校を保有しておりますので、そこにおける研修事業によりまして、中小企業者の人材、資質の向上を図っていくというようなことを考えております。
 新法人におきましては、今御説明申し上げましたこれらの事業を含めまして、中小企業の活性化に資するような各種事業を一体的かつ効率的に実施してまいりたいと考えております。
黄川田委員 お話をいただきまして、その構想、計画、すばらしいものでありますけれども、ぜひとも絵にかいたもちにならないようによろしくお願いいたしたいと思います。
 もうそろそろ時間であります。さまざま質問をさせていただきましたけれども、今までの答弁で、政府提案の特殊法人等改革法案、特殊法人等を統合あるいは独立行政法人化して何とかその実態を残そう、そういう意図の方が強いように思われるわけであります。現に、先行して発足した独立行政法人については、役員相当の職員は大幅にふえたと指摘する試算もあるわけであります。これでは問題の先送りと看板のかけかえを行うにすぎず、第二の特殊法人をつくるにすぎないと思いますけれども、最後に石原大臣の見解を求めておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の点は、昨日の御論議の中でも多く出た点であると思うのでございますが、先行独立行政法人は、行政機関から分離し、総務省が担当しているところでございます。あえて申し上げるならば、今回の独立行政法人とは若干の相違点がある。
 まず第一には、さっき申しましたように、研究機関を国から切り離したものであって、意思決定をするようなボードがもともとその組織にはなかった。今回は、特殊法人等から切り離して独法をつくる。総体的には研究機関よりも規模が大きくて、意思決定もボードにより行われるので、法人の長への権限を集中させた。そして、御指摘のような批判もありましたので、役員数は法定数で四割、常勤役員で四分の一削減し、国の関与の必要性が高い事業を行うものを独法化する。言葉をかえますと、特殊法人の弊害を除去した組織として独法を組織したと御理解を賜ればと思っておるところでございます。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
保利委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 共産党の小沢でございます。
 今国会で、特殊法人改革として独立行政法人化や民営化等のための法案が提出されているもののうち、本委員会にかかっている厚労省所管のものは九本にも上ります。どれもさまざまな問題がありますが、きょうは限られた時間しかないので、三つの法案に絞ってお尋ねをいたします。
 まず、医薬品医療機器総合機構についてお尋ねをします。
 この機構は、医薬品や医療機器について開発研究を促進し、審査を行い、安全対策を講じ、さらに事故による被害の救済を行うという四つの分野の業務を行うとされております。
 独立行政法人通則法の第二条に、独立行政法人というのは、国がみずから主体となって直接実施する必要のないもののうち、民間に任せても構わない業務のために設立されるという規定があります。私は、医薬品、医療用具の審査や安全対策は、そもそも国がみずから主体となって直接に実施する必要のあるものであり、通則法第二条の独立行政法人の定義には当てはまらないのではないかと思います。どうしてこれが民間に任せて構わない業務なのか。
 昨日の大臣答弁では、審査の最終判断は厚労省の責任でやる、その前の実務的な部分をこの機構にやらせるだけだから問題がないという趣旨だったと思いますが、その実務的な部分こそ事実上判断を左右するのではないか、そこを民間に任せてよいはずがないと思いますが、大臣、いかがでしょう。
坂口国務大臣 きのう、春名議員からも御質問をいただいたところでございまして、お答えをさせていただきまして、今引用していただきましたので、そこをおわかりいただいておりましたら私も申し上げることはないわけでございますが、その行政分野は、行政の中心になりますところは厚生労働省が今後も担当しまして、そこはちゃんとやっていきます。
 しかし、すべてを厚生労働省の中でやる必要はないというふうに私は思っております。例を例えますと、病院におきましていろいろの検査をいたしますが、検査は検査機関に出すということで、それは十分そこで機能を果たしているわけであります。その出てまいりました結果をどう判断するかということにつきましては、その病院のその医師が行うわけでありまして、同じことでありまして、その行政分野につきましてはちゃんと私たちは責任を果たしていきます。何も責任を回避しようとするわけでは決してございません。それは果たしていきたいというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 医薬品や医療用具の審査は、これまで公務員である審査官が担当してきましたが、この改正で今後は非公務員である機構の職員が行うことになります。
 そうすると、人件費は、基本的に製薬会社からの手数料収入で賄われる。最も公平で透明であるべき審査業務の担当者が、大きく見れば製薬会社に養ってもらうような関係になって、本当に国民の信頼にこたえる仕事ができるのか。これまでどおりに公務員として、製薬会社からの独立をきっちり確保した形で審査業務に当たれるよう保証する必要があるのではないでしょうか。
坂口国務大臣 それは、もう御承知だと思いますけれども、検査をいたしますときには検査に対する手数料というのは当然もらいますが、その検査をしますときに、手数料をもらうからといってその中身をそれに合うようにするというようなことは、それはもうないことでありますし、またそういうことがあってはならないし、あるいはまたそれはそういう研究をする人のとるべき立場でないことはもはや言うまでもありません。そうしたことの心配を私たちは全くいたしておりません。それは、専門家がそれぞれの分野におきまして、その十分な能力を発揮して決定をしてくれることであります。
 また、今までは人的な制限もございまして、なかなか多くの検査もございましたけれども、それができずにだんだんとおくれていたといったような問題もございますが、今度はそうすることによりまして人員もふやし、そして今まで日本は薬等の治験につきましても非常におくれているということが言われておりましたけれども、そうしたこともないようにしていきたいというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 そもそも、この機構の出発点は医薬品副作用被害救済基金でありました。それにその後、医薬品技術の試験研究、医薬品の品質、有効性などの調査業務が加わり、今回、さらに医薬品や医療用具の承認審査業務が統合されます。このように性格の違う業務を次々にくっつけることによって機構の全体としての性格がぼやけ、仕事としては相反するようなものが雑居するようになった。余りにも便宜的なやり方ではないかと思いますが、いかがですか。
小島政府参考人 先生御指摘のように、医薬品機構におきましては、制度発足以来さまざまな変遷を経てまいりました。これまでも現行の医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構におきましては、医薬品副作用被害救済業務、研究開発振興業務と並びまして、平成九年からでございますが、審査に関連いたしました医薬品に係る治験相談、それから申請資料の信頼性調査、GCP調査といった業務を、医療機器審査センターと密接に連携しながら実施してきたところでございます。
 また、安全情報の提供に対する業務につきましても、平成十一年から医薬品機構において運用してきておりまして、審査業務につきましては常に審査センターとの連携のもとに歩んできたということでございまして、このほかに、さらに新法人の業務といたしまして、副作用や感染の被害者の迅速な救済あるいは国民の健康の保持増進に寄与する医薬品技術の試験研究等を実施することといたしておりますが、いずれも、それぞれの目的に応じまして、国民の保健の向上に資するために連携をもって行っていくことができる業務であるというふうに考えております。
小沢(和)委員 特に私が懸念するのは、総合機構の名のもとに、医薬品の研究開発部門と審査部門、それに安全対策部門を統合して管轄させることであります。これでは、この間のエイズ感染等の薬害被害の教訓が全く生かされておらないという気がしてなりません。
 薬害エイズの教訓というのは、一口で言えば、アクセルとブレーキの機構を切り離すということだと思うんです。今回の組織統合、改編は、この教訓と全く逆行しているのではないか。少なくとも研究開発部門と他の部門を別の機構とすべきだったのではないでしょうか。
小島政府参考人 医薬品新機構におきましては、さまざまな事業を行うわけでございますが、新法人においては、業務ごとの組織や勘定を明確に区分する、あるいは積極的に情報公開を進めていくことによりまして、その業務実施に当たっての公平性、中立性、透明性を確保していくことといたしております。
 またさらに、通則法に定める評価システムというのがございます。厚生労働大臣が定める中期目標、あるいは機構の方で定める中期計画、あるいはそれを評価する評価委員会等、そういった活用を通じまして、事業の中立性、公正性、透明性を確保してまいりたいというふうに考えております。
小沢(和)委員 きのう大臣は、アクセルとブレーキの両部門を一つの機構にすることに違和感はないと答弁されたんですが、それはエイズの教訓を、あれからわずか数年しかたっていないのに、薬事行政の責任者がもう忘れてしまったということになると思うんです。
 ごく最近も、東京電力などが原子力発電所の損傷を隠して運転を続けた問題で、原子力安全・保安院という安全担当部門、ブレーキ役が、原子力発電を推進する経産省というアクセル役の中に置かれているため監督、点検が甘かった。保安院を切り離すべきだということが大きな問題になっておりますが、それと同じ問題がここにあると思うんです。
 アクセルとブレーキの部門が一つの機構の中に置かれれば、どうしても研究開発などの部門が圧倒的な力を持ち、審査や安全対策がおざなりになるのではないでしょうか。この機構には、そうならないという組織的な保証があるでしょうか。
坂口国務大臣 きのう私が申し上げましたのは、エイズとBSEの両方の例を出しまして、確かにエイズのときには双方が同じにあるからだめだということを御指摘を受けまして、厚生労働省としては別々にしたわけであります。しかし、BSEのときには別々にやっておるからだめだということを御指摘を受けて、今度総合的にやるということになったわけであります。
 だから、それぞれやはりいいところ、悪い面を持っているということをきのう申し上げたわけでありまして、今回、同じにやることにはなりますけれども、その判断はやはり厚生労働省の中のそれぞれの分けた分野がそれぞれ担当するということでございまして、同じのところがそのことを担当するというわけではございません。それぞれが、その規制の部分と振興の部分は、別々の部署でそれはちゃんと立て分けて最終判断をするということになっておりますから、そこは決して心配をしていただく必要はないということをきのう申し上げたわけでございます。
小沢(和)委員 今回、全体として独立行政法人化が図られる趣旨として機構のスリム化がある中で、総合機構では審査体制の強化のために、従来の機構よりも人員を百名ふやすこととされております。
 私もさきの国会で、アメリカのFDA、食品医薬品局に比べ、日本の審査体制が余りに貧弱だと指摘したばかりでありますから、この増員自体は理解しておりますが、その要員確保のためということで、製薬会社などから安易に採用することはないでしょうか。
小島政府参考人 新法人におきましては、審査関連業務あるいは安全対策業務につきまして体制の整備を図るということで、新たに職員の採用を行うことも必要になってくるかと思います。
 職員の採用に当たっては、製薬企業から採用するという考え方ではなくて、あくまで採用予定者個人に着目いたしまして、医学、薬学、獣医学、統計学等についての高度な知識や経験を有すること、みずからの業務の公共性や使命について十分な理解と認識を有すること、製薬企業等における職歴を有する者にあっては当該企業等との身分上のつながりを有しないこと等を条件といたしまして、医薬品、医療機器等の審査、調査に疑念の生じることのないようにしてまいりたいというふうに考えております。
小沢(和)委員 個人に着目して採用を判断するというのは、私は当然だと思うんですが、実際問題として、製薬会社などからスカウトしなくても必要な増員は確保できるというふうに見通しをお持ちかどうか、重ねてお尋ねします。
小島政府参考人 審査センターの人事の状況を見ておりますと、国立大学、私立大学、国立病院あるいは大学から審査に来ていただいている方もいらっしゃいます。しかしながら、どのくらいの人数を予定して採用するかということにもよりますので、そのところは数的にはわからないわけですが、しかし、広く有能な方を公募等の形式で採用してまいりたいというふうに考えております。
小沢(和)委員 特に、新しい機構の役員に製薬会社出身者を入れることについては、私は原則的に禁止すべきだと思うんです。
 現職からの横滑りは、もともと機構と取引上密接な利害関係を有する者として許されないと思うんですが、それはそう理解してよろしいでしょうか。また、元役員であっても一定期間は就任を求めないというぐらいの措置はとらなければいけないと思うんですが、どうでしょうか。
小島政府参考人 ただいま御指摘の、製薬企業等の役員が新法人の役員になることということにつきましては、製薬企業等の現職の役員は新法の役員とならないという旨を法律で定めておるところでございますが、元製薬企業等の役員につきましては、既に製薬企業等を退職した者であり、退職した製薬企業等に対する影響という点からだけでは新法人の役員の欠格要件として規定することは法律上難しいのじゃないかということで、そうした整理を行ったところでございます。
 なお、理事長及び理事の役員の採用につきましては、通則法第二十条の定めるところに従いまして、新法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者、新法人が行う事務及び事業を適正かつ効果的に運営することができる者のうちから、理事長については厚生労働大臣、理事については理事長が適切に任命することになるというふうに考えております。
 また、機構の役職員が製薬企業に再就職するときに、一定期間……(小沢(和)委員「まだ聞いていない、それは」と呼ぶ)失礼しました。
小沢(和)委員 元役員については規制は難しいというふうに聞こえましたけれども、しかし、任命するのは新しい機構の側が任命するわけですから、だからそこを配慮して、実際上はそういう人は相当な期間がたってからでなければ任命しないというふうにすることはできるわけでしょう。その点、いかがですか。
小島政府参考人 その点はやはり任命権者の判断であろうというふうに思います。(小沢(和)委員「だから、そういうふうにしますかと聞いているんです」と呼ぶ)それは、任命権者として委任されている者の判断ということで法律で決められておりますので、理事長については厚生労働大臣が、理事については理事長が適切に任命するということですが、いずれにしても、先ほど申し上げました、いろいろな有能な方という条件があるわけでございまして、それに照らして任命権者が判断をするということです。
小沢(和)委員 癒着の防止という点では、この新しい機構の役員や職員が製薬会社などに転職することも同様に厳しく規制すべきだと思うんです。この新しい機構の役員、職員は、公務員と違って一定期間の天下り禁止の対象にならないから、一般的には何の規制もないということになると思うんですが、だからこそきっかり発足時にそういう規制をするんだという考え方を決めておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
小島政府参考人 機構の役職員が退職後に製薬企業に再就職することにつきましては、退職後の職業選択の自由に制限を加えるということはなかなかできないということでございます。しかしながら、機構の業務の性格にかんがみ、個別法第十三条におきまして、役職員に対して退職後を含めた秘密保持義務というものを法律上定めているところでございます。
 御指摘の一定期間の再就職制限ということにつきましては、法律に整備するのはなかなか難しい点がございますが、機構におきまして倫理規定の整備等を検討し、より適切な形で運営ができるようにしてまいりたいというふうに考えております。
小沢(和)委員 そういう守秘義務をかけたりするというようなことは、これは全く精神的な話であって、私はそれでは保証はできないということを指摘しておきたいと思います。
 次に、社会保険診療報酬支払基金の民間法人化についてお尋ねをします。
 社会保険診療報酬支払基金は、一九四九年、当時蔓延していた医療費支払いの大幅な遅延を解消し、自費診療が主体だった医療から医療保険制度に切りかえ、国民全体にひとしく医療サービスを提供することを目的に創立されました。同基金の創設により、保険者、医療機関等の実務は簡素化され、全国同一水準の公的審査が保障され、国民の医療費を一元的に決済する機関として医療保険制度の円滑な運営に欠かせない役割を果たしております。
 厚労省は、支払基金が制度創設以来、今日でも変わらぬ大きな役割を果たしていることを否定するのか、基金を今後も公的機関として存続させるのが当然ではないかと思いますが、今なぜ民間法人なのか、大臣にお尋ねします。
坂口国務大臣 支払基金の業務の問題は、これは現在におきましては民間でやらせてもいいのではないかというふうな御意見すらあるときでございます。したがいまして、政府の関与を必要最小限にとどめて、そして自律的かつ効率的な運営を行わせるという立場から、ここは民営化をしたわけでございます。そうすることによってその内容が保たれないというようなことは決して私はないというふうに思いますし、むしろ時代の流れはそうしたことを要求しているというふうに思っている次第でございます。
 政府拠出を含みます基本金の廃止、それから役員については、厚生労働大臣の委託を廃止いたしまして、支払基金が選任し厚生労働大臣が認可するというふうに変えたわけであります。そしてまた、事業状況報告書等に関する厚生労働大臣の承認の廃止、こうしたことも含めまして、自由に、そして効率的におやりをいただくというふうにして、そして十分その機能は果たせるというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 今回の法案は、単なる民間法人化ではありません。特殊法人等整理合理化計画では、支払基金でのレセプト審査、支払いを独占している現行制度を改め、競争原理を活用するため、レセプト審査、支払いを主たる業務としつつ、老人保健関連業務等をあわせ実施する組織として民間法人化すると提案されております。今回の法案は、それを具体化したものであります。今後、レセプト審査、支払いを業務とする民間企業が次々につくられることになる、そうすると審査の中身がばらばらになり、全国で同じ基準に基づく公正な審査という大原則が崩されるのではありませんか。
真野政府参考人 診療報酬の審査、支払いにつきましては、先生御案内のとおり、多数の医療機関、それから保険者も五千ぐらいということでございますので、その間の膨大な事務を適正かつ効率的に行うということから、保険者からの委託を受けまして、支払基金において一元的に実施をしております。この基本的な考え方は、今回民間法人化をいたしましても変わりはないと私ども考えております。
 ただ、法律上は診療報酬の審査、支払いは各保険者の権能ということになっておりますので、保険者みずからが審査、支払いを行えるようにすべきという要請もございますが、この場合でも公的保険にふさわしい公平な審査というものの体制が確保できるという担保が必要である、私どもはそういうふうに考えております。
小沢(和)委員 ことし一月に発表された総務省の「特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」の支払基金に関する勧告では、レセプト審査について、審査業務における費用と削減額の関係については、現状では、全体として見ると、レセプト一件当たりの費用五十七円に対し、削減額は五十三円で費用に見合うものになっていないと、診療報酬の削減額を活動の成果を図る尺度とする考え方を打ち出してまいりました。これまでの審査は、適正な治療が行われているか、請求に手続的なミスがないか等のチェックを主に行うものでありましたが、ここに診療報酬額の削減を評価の基準として持ち込むことは従来の考え方を根本的に変更することになるのではありませんか。
木村副大臣 支払基金につきましては、従来から診療報酬の削減の観点というか、削減の多い少ないという観点では行っておりませんで、今までも適切な保険診療を確保するために適正、公平な審査を行ってきております。そして、この考えは今後も変わりません。
小沢(和)委員 今私が指摘をした、支払基金でのレセプト審査、支払いを独占している現行制度を改め競争原理を活用するという計画と、診療報酬請求の削減額を成果を図る尺度とする考え方との二つをまとめてみると、今後は、レセプト審査などをやる民間企業を幾つもつくらせ、これらと支払基金に請求額の削減競争をやらせるという構図が見えてまいります。そうすれば、将来医療費の大きな削減を期待できる、これが本当のねらいだということになりはしませんでしょうか。
木村副大臣 先ほど申しましたように、診療報酬の削減を競うということではなくて、今後も今までの支払基金の使命であります適正で公平な審査、支払いを続けてまいることでございます。
小沢(和)委員 確認の意味でもう一遍お尋ねしますけれども、保険者の方から見れば、支払いを少しでも減らせるためにはどんどん請求を削ってくれる審査機関がよい機関だ、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。そうすると、そこに請求が集まってくるというので、対抗上ほかのところもそういうふうに積極的に何とか削ろうという競争が起こってくる、だから結果として医療費の削減という効果が生まれる、ここをねらっているんじゃないかと言うんですが、そうしませんというだけのお答えでは保証にならないと思うのですが、いかがですか。
木村副大臣 今回の支払基金の改正は、政府の関与を最小限にとどめよう、自律的かつ効率的な運営を確保する、そういう上に立って先ほどのようなことで今後も進めていくことでございます。
小沢(和)委員 いや、だから、それでは私の疑念を払拭することにならないと思うんです。大臣はそこのところをどう保証されますか。
坂口国務大臣 総務省から御指摘を受けましたのは、基金の方がやっておるのは非常に医療費の安いところをより多く見ているではないか、だから、数はたくさん見ているけれども、そこからチェックした結果としての結果は余り出ていない。だから、やるんだったら、それは少ないところも、小さなところも大事だけれども、もう少し大口のところをきちっと見た方がいいんじゃないかという御指摘だったというふうに思います。
 それは私も、全体から見れば、やはり大口で、そして大きなミスがあるようなところがあれば、そこを重点的にやるということは、それは私は正しいことだというふうに思っております。
小沢(和)委員 今私が描いたような状況がつくり出されるとすれば、これまでの支払基金による全国で一元的な審査支払い体制は崩壊する、保険者と審査機関、医療機関の間で削減などをめぐり紛争が日常化することが避けられないと思います。また、医療機関は、今後、保険者や審査機関の顔色をうかがいながらの診療を余儀なくされたり、多くの審査機関に請求を行う事務的負担の増大にも苦しむということにもなります。
 今回の法改正は、戦後日本がつくり上げてきた世界一と言われる医療制度を土台から揺るがすきっかけになりかねないのではないか。そうならないという保証があるでしょうか。
木村副大臣 そうならないように今後も一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。
小沢(和)委員 私は、これまで主に審査を問題にしてきましたけれども、もう一つの支払基金の機能である支払いはどうなるのか。これもばらばらにしていくということになると、さらに混乱に拍車をかけかねない。少なくとも基金による一元的支払いは今後も継続すべきではないか。先ほど、その点については一元的な支払いを継続するということを言われたように思うんですけれども、もう一度確認しておきたいと思います。
真野政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、診療報酬の審査、支払いにつきましては、多数の医療機関と、また五千を超える保険者との、その間の膨大な事務を適正かつ効率的に行うという必要がございまして、民間法人化も、先ほど来申し上げておりますように、その支払基金が重要な役割を果たす、それは今の状況と原則として変わりはないと私ども考えております。
 それから、審査と支払いを分けるのかという御意見でございますが、私どもとしては、審査、支払いというのは、これは一体というふうに考えておりまして、先ほど来申し上げておりますように、支払基金を中心に行うことが最も合理的だと私どもは考えております。
小沢(和)委員 それでは最後に、独立行政法人労働者健康福祉機構法案についてお尋ねをします。
 一九九九年に旧総務庁の労災病院についての行政監察結果に基づく勧告が出されまして、当時の労働省は、労災病院の再編整備計画を作成いたしました。二〇〇〇年十二月二十日に発表された計画では、労災病院について二つの地域での分院化構想が打ち出されておりますが、基本的に現在の労災病院の維持存続が盛り込まれております。
 ところが、今回の法案では、この機構は業務として労災病院の移譲、廃止を推進すると言うんです。わずか二年前に定めたこの計画で維持存続と言うので安心していたら、また廃止と言う。こんな無定見な態度が許されるのか。これでは地元自治体も、そこで働く人も、安心しておられないと思います。なぜ厚生省は方針がこのようにくるくる変わるのか。大臣にお尋ねします。
鴨下副大臣 小沢先生おっしゃるような、平成十二年十二月の労災病院の再編整備計画では、一つは、「労災病院の果たすべき役割・機能」として、勤労者医療の提供の充実、高度専門医療の充実、そして国際化への貢献を推進していく、こういうようなことで、その二としては、その運営については抜本的な経営の改善を進める、さらにあわせて、同一の二次医療圏内に近接して設置されており、統合することにより一層の機能の充実を図ることができる労災病院については再編整備をする、こういうようなことでありました。
 また、昨年の十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画では、労災病院について、研究機能を有する中核病院を中心として再編し、業務の効率化を図る、こういうような旨を定めておりますが、先生御指摘のような、言ってみれば、十二月の閣議決定に基づくものと平成十二年の十二月の労災病院の再編整備等計画の方向性については、基本的にそれほど乖離はない、こういうようなことでございます。
小沢(和)委員 いや、基本的に余り乖離がないと言うけれども、乖離があるわけでしょう。我々から見たら、全体を存続、維持していくという話から、業務として移譲、廃止を含む、こうやられたら、これは話は全然違ってきたな、みんながそう思うんじゃないですか。
鴨下副大臣 基本的に乖離がないというようなことでございまして、これは、平成十二年の十二月の労災病院の再編整備等計画と、もちろん時間的な経過もございますし、これから多分、労災病院そのものの機能について、先ほども答弁で申し上げましたけれども、例えば、疾病構造の変化に伴う機能の変遷も含めて、検討しなければいけない事項は出てくるわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、基本的には乖離はないということでございます。
小沢(和)委員 いや、態度が変わってきたから、みんなが心配しているわけであります。労災病院のある地域の多くの議会では、存続と機能の維持を求める意見書が採択されております。これは、それぞれの自治体で労災病院が救急医療を初め地域医療にかけがえのない貢献をしているからであります。私のところにも、脊髄損傷やじん肺の患者団体などが労災病院の存続と機能の維持を訴えてきております。このように地域では存続の要望が強いのに、それを無視して、一方的に法で移譲、廃止を推進していくんでしょうか。
坂口国務大臣 先ほどは早くやめろという話だったわけでございますが、今度はまた共産党さんからは残せという話がございまして、こちらも当惑するわけでございますが。
 前回決めましたことも今回も、いわゆる労災病院として十分に機能するものは何かということを探していこう、求めていこう、こういうことでございまして、別にそこは変わっていない。
 ですけれども、労災病院としての役割を終えたところについては、それはやはり地方自治体にお持ちをいただくなり民間にお持ちをいただくなり、それで十分間に合うのではないか、こういうことでございまして、何ら方向性は、先ほど副大臣からありましたように変わってはいない。ただしかし、時代の要請というものも変わってきているわけでありますから、それに合わせて見直しを行っていこう、こういうことでございます。
小沢(和)委員 労災病院のある自治体では、首長が上京して繰り返し存続を陳情したり、議会も意見書を決議したり、存続のため必死の働きかけをしております。この二年間で二十七の労災病院、医療センターの存続を求めて多数の地方議会が意見書を採択し、市長や医師会などが要望書を提出しております。私の地元の筑豊労災病院についても、二つの市、八つの町議会が意見書を寄せ、八町長連名の要望書も政府に出されております。地元の医療体制にとって切実な問題だからであります。少なくとも地元が合意しない限り、廃止など絶対にしないということをここで約束していただきたいが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 地元の御要望は御要望として、私たちも配慮しなければならないというふうに思いますが、しかし、その労災病院の担っております役割というものが何かということを中心にして考えていかないと、地元の皆さん方の御主張だけにお任せをしていくということでありましたら、この行政改革はなかなかできていかない。御理解をいただくところはいただかなければならない、そう思っております。
小沢(和)委員 時間が来たので終わります。
保利委員長 次に、中川智子君。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 きょうは、独法のいわゆる医薬品機器総合機構についてお伺いをいたします。
 ことしもあと一カ月余りで終わりでございますが、この二〇〇二年、本当にさまざまなことがございました。つらいことも悔しいこともたくさんありましたが、うれしかったことの最大は、この三月二十五日、薬害ヤコブ病の和解の確認書が取り交わされて、大臣から本当に心のこもった言葉を被害者、遺族の方々に届けられたことでした。
 あのときの大臣の言葉の中には、本当にもう薬害は繰り返されてはならない、二度と繰り返さないためにもこの教訓を今後に生かしていくと、強い決意をそこに私は見ることができましたし、また、坂口大臣でいてくださって本当によかったと思った一日でもありました。やはりあれはシステムの問題、大きくは、どうしてその薬害を、どこの時点で防ぎ得ることができたのだろうか、どこが間違っていたのだろうかということを検証する大事な、本当に最後の薬害にしていただきたい問題でした。
 私は、今回の独法の中で、あの三月二十五日の反省が生かされているか、そのことを大変懸念しております。今回は、すべてこの法人の中に、医薬品副作用の被害の救済業務、そして生物由来製品の感染等被害の救済業務、研究開発振興業務があって、審査関連業務があって、そして安全対策業務がある。これは、すべて一つ屋根の下で、研究開発をやって、それに対して承認審査をやって、そして被害救済もやって、安全対策もやる。言うなれば、一つの屋根の下に裁判官も警察も泥棒も全部いるというようなことになる、そのような中身だと、びっくりいたしました。
 大臣、あのとき、三月二十五日、薬害を繰り返さないとお誓いになったことが、今回このように一つ屋根の下で一くくりにするということに、私は、矛盾があり、またこのような形にすることは再び薬害を生む構造をきっちりと確立するというふうに思いますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 何度かもうお答えを申し上げましたけれども、今回のこの仕組みの中で、行政措置につきましては引き続き厚生労働省が行うこととしております。
 ヤコブの話が出ましたが、さかのぼってそれらのことを考えますと、当時それを担当していた職員は一人しかいなかった、その審査に対して。そういう状況の中であの問題も私は起こったというふうに認識をいたしております。したがって、もっと審査をする体制というものは強化をしなければならない。しかし、今まで厚生労働省という省の中で、公務員という枠の中で、やりたいけれども十分にできなかった側面がある。今回のこの独法化の中で、そこは思い切ってやることができる。これは体制が強化されるわけでありますから、私はそうしたことは今回これで生かされる、そう認識をいたしております。
中川(智)委員 私がただいま質問いたしましたのは、強化されることはいいことです、でも、審査、審査というのは承認ですね、そして開発、それを全部一緒にすることに問題がある。少なくとも旧機構というものは今回の新法人から切り離すべきだと思うんですね。やはり医薬品そして生物由来製品等による被害救済、審査の部分というのは切り離して、そして体制強化をすべきだと思うんです。大臣がおっしゃったのは私はそれはそれでいいと思うんですが、審査、開発、そして安全性のチェック、監視体制、それが一緒だということに問題があるのではないかということを質問しているんですが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 これももう既にお答えを申し上げておりますが、規制の部分と振興の部分を切り離す、これはエイズのときにそういうことで厚生省の内部も明確にしたわけであります。今回の場合にも、この両方はその中で立て分けておりますし、そしてそれを管理監督いたしますところの厚生労働省の中も、そこは明確にしてこれからも監督をしていくということでございますから、私は十分にそこは果たされるというふうに思っております。
中川(智)委員 それでは、今度のそのシステムの中で、人事の問題なんですけれども、今回は、役員人事の部分のところに一度、承認審査業務、市販後の監視体制業務、今までの薬害の被害者や被害組織が推薦する人たちというのを、やはりその中に積極的に入れるべきだと思うんですね。そして、新法人の役員以外の職員として企業の社員を採用することは全く制限されていないと読み取れるんですが、そのように理解してよろしいでしょうか。これは局長の方で。
小島政府参考人 まず、独立行政法人の理事にどういう方を加えるべきかということでございますが、理事につきましては、通則法の趣旨に従いまして最適な者を理事長が任命するべきものでありまして、厚生労働省といたしましては、特定の役職や分野を前提とした理事の選任に指示を行うことは適当ではないというふうに考えております。
 また、職員を製薬会社から採用するかどうかというふうなお尋ねでございましたが、製薬会社からということではございませんで、あくまで個人に着目をいたしまして、公明正大な審査に精通していただけるという方につきましては採用していくべきだというふうに考えております。
中川(智)委員 私が今質問したのは、被害者や当事者などをきっちり入れていくということで個人に着目するのかどうか。それと、一たん製薬会社の役員なり職員をやめます、そして、やめて一年か二年たったら、またそこから順繰り順繰りに入れていくということに対しての枠というのははめていないのかどうか。その二点を明確に答えてください。
小島政府参考人 製薬会社の元役員に対してどういう扱いをするかということでございますが、元製薬会社の役員につきましては、既に製薬企業等を退職した者でありまして、退職した製薬企業等に対する影響という点からだけでは法律上の欠格要件として規定することは難しいということでございます。
 理事長及び理事の役員につきましては、通則法二十条の定めるところに従いまして、新法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者、新法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者、こうした方の中から、理事長については厚生労働大臣が、理事については理事長が適切に任命をするということでございます。
中川(智)委員 日本はどうしてこんなに繰り返し薬害が起きてきたんでしょうか。それは、企業とそして官僚機構の、行政の癒着というものがきっちりと内在していた、それに対してずっと反省を続けていながら、今なお薬害が起き続けている。今おっしゃったのは、欠格要件といつもおっしゃいますけれども、その枠をはめないと再びやはり企業と行政の癒着、そして、独法になりますと民間にゆだねるということできっちりした監視機構というのが働かない、そのようなシステムの中で自浄作用をどう担保していくかということに対して、そこが一番かなめとして大事ではないかということを言っているわけです。
 ですから、当事者なども個人に着目してちゃんと入れるのか、そして、五年なら五年という規定を置いて、影響力を行使できないぐらいになったならばその専門の分野を生かすということで雇うという歯どめはあるのかどうか、それをつくる気があるのかどうか、伺わせてください。
小島政府参考人 新法人がどのような形で採用をしていくかということにつきましては、新たに新法人が運営を始めるに当たりまして、就業規則をつくるとか、あるいはまた倫理規則をつくるとか、そういうことになろうかと思いますので、そのためにどういうふうにしてやっていったらいいのかということで、私どもも検討をしていきますということでやらせていただきたいと思います。
中川(智)委員 大臣、今のような御答弁では極めて不安です。この役員人事、そして新たに大幅に採用されるであろう職員が、やはり企業の有利な形でスピードを図る、きっちりと人員を確保するというのは大事ですが、いかに公平、公正に、薬害が、毒薬、薬というのは、本当にその薬が待っている人たちにとって有効に働かなければなりませんが、企業論理というのはやはり売らんがためのものに偏ります。命、健康を守るためにこの職員なり役員人事というのは極めて大事ですが、大臣はそこのところはどのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 大事だということは私もよくわかるわけでございますが、そこは、客観的に物事を判断できる人間的な人を選ぶということだろうというふうに思います。
 したがいまして、それは、そこの職員は、いわゆる現場の、薬の効用あるいはまた副作用といったことがわかる人というのではなくて、総合的に判断のできる人でなければならないというふうに思っております。したがいまして、そこは十分に配慮をしながら決めるということにしなければいけないと思いますから、そうした倫理規定のようなものもちゃんとし、そして、役員を決めるときにはそうした一つの基準というものも明確にしていかなければならないと思っております。
中川(智)委員 これは極めて大事です。薬害ヤコブのときも、大臣は一人というふうにおっしゃいましたが、その間に、製薬企業と厚生省の橋渡しをした人は厚生省のOBでした。そして、二カ月ちょっと、三カ月弱というスピードはありました。非常に極めて短かったけれども、それで本当に百人にならんとする命を奪われた人たちが出てきているということを、きっちりと受けとめていただきたいと思います。
 今回、非常に不安なことの一つといたしまして、非公務員型にした場合、国の公的責任というものがなくなって、医薬品等により薬害事件が起きても、国は責任をとらなくてもいいということになります。公的な薬事行政をこのように民間業務に変質させることは、サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブ事件で被害者に国が誓った確認書がございますが、この確認書に明らかに反すると考えますが、いかがでしょうか。大臣です。
坂口国務大臣 国の責任は何ら変わらないというふうに思っております。今回、この独法化が図られましても、しかし、国としての責任は今までどおり変わらない、責任を持ってやっていかなければならないというふうに思っております。
中川(智)委員 国の責任は変わらないということですが、具体的に副作用被害の情報ですとか緊急命令を出すための助言は全部この新たな独法からもらうという形になっていて、すべて国は受け身になっております。結果的に、この報告が遅かった、このような情報が出されていなかったということで逃げ道をつくると思うのですが、その逃げ道はつくらない形の国の責任だということでしょうか、大臣。
坂口国務大臣 今までもその分野は職員がやっておりまして、職員が情報を集めたりしていたわけでありまして、それが職員のこともありますし、それから研究機関の研究者の場合もあったわけでありまして、それらの情報がいかに届いたかということをいつも問われているわけでありまして、それは必ずしもいわゆる厚生労働省の職員でないところからのもの、外国の論文であったりすることもあったわけでありまして、それらのことをいかに早く厚生労働省が察知をし、手を打ったかということがいずれのときにも問われてきたと私は思っております。
 したがいまして、今回から、独立行政法人化、これが成りましても、それらの機関だけではなくて、広く世界的に目を見開いて、そして早く情報をキャッチする、あるいはまたそれに対する対策を立てるということは、当然国に課せられた責任でありますから、何らそこは変わらないと思っております。
中川(智)委員 それでしたらば、やはりそれを健全に機能させるためには、情報開示とその監視が非常に必要になってきます。やはりその活動内容、情報の周知徹底というもの、その情報の中身というのが開示されて、第三者によって監視される必要があると思います。監視を受けない組織というのは、必ず今までの例を見ましても暴走しています。医薬品のように専門的な部門では、それが組織的に保証されなければなりません。つまり、国の審査を監視する第三者機関、それが非常に必要だと思いますが、いかがでしょうか。検討していただきたいということで、大臣に前向きな答弁をお願いしたいと思います。
小島政府参考人 まず、医薬品の副作用情報の収集についてのお答えでございますが、独立行政法人におきましては、あらかじめ定められた業務指針に基づきまして、企業等から報告される副作用情報の受理、あるいは国内外の文献の情報、専門家の意見を踏まえた情報の解析を行っておりまして、これをインターネットを通じて情報提供も行っているところでございます。
 こういった包括的な、定型的な業務は独立行政法人で行いますが、情報自身はリアルタイムで厚生労働省につながるというふうなシステムを構築することにしております。さらに、厚生労働省に直接報告されるような緊急かつ重大な情報については、その対応を厚生省自身で行うということを考えております。
 そしてまた、情報提供にいたしましても、企業に対して出しました緊急安全性情報等の発出、それらは広く公表するとともに、独立行政法人を通じまして、国民の方々にも広く情報公開していくということでございます。
中川(智)委員 私が質問しましたのは、監視体制として第三者機関が必要じゃないかということを聞いたわけです。それに対して答えてください。
小島政府参考人 私ども厚生労働省と独立行政法人で監視体制をしいてまいりたいというふうに考えておりますので、そのために努力をしてまいります。
中川(智)委員 それは、監視体制ではなくて、鶏の番をキツネがするというようなシステムだからこそ第三者機関が必要だということを言っているんです。全く答えていただけないのは残念です。
 今回、この機構に被害救済という言葉が抜けました。今までは医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構でした。ですから、明らかにここが、副作用などを受けたときに被害の救済をしてくれるところだといって門をたたく人はたくさんいました。でも、それでさえもどこに行ったらいいかわからないというのがいまだに多くいらっしゃるということなんですが、今回、この機構から被害救済という、名称の中から抜けました。
 これは、この名称をどうしても入れてほしいというさまざまな被害の団体の方々の声ですが、どうして抜けてしまったのかということと、この資料を見ますと、六十一年度までは研究振興というのはゼロだったわけですね、予算。六十二年度からどんどんもう、被害救済よりも研究振興にお金が使われていて、平成十三年度では二十五億八千万が研究振興です。被害救済は十六億です。本当に半分近い。もうバランスが、被害救済よりも研究ばかりに力点を置かれるようになりました。
 今後の新機構に関しては、被害救済というのをきっちりやっていくということで、このバランスに対しての見直し、被害救済は、今、申請しても、医者が悪い、証明書を持ってこいということで、窓口の門前払いが非常に多いです。被害救済にしっかり力を置いていくという最後に大臣の一言をちょうだいしたいと思います。
坂口国務大臣 そこはきちっと見直しをいたします。
中川(智)委員 ありがとうございました。
保利委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 引き続きまして、社会民主党・市民連合の阿部知子ですが、私は、今回の特殊法人の見直しの中で、とりわけ、労働福祉事業団と言われておりますが、今般の機構改正で独立行政法人労働者健康福祉機構に変わることに関しましての御質問をさせていただきます。
 皆さんも御承知おきのように、労働福祉事業団と申しますものの業務のかなり国民に身近な部分として、いわゆる労災病院というものがございます。私自身も、実は関東労災病院というところで専門外来をやっていたこともあって、その内情等々も多少は存じておりますが、今般のこの独立行政法人の見直しに当たっての閣議決定の、十三年十二月十九日に出されました文章を見て、もしかして、これは医療分野のことを余り考慮されていない、病院という業務を、実際を御存じない方が書かれた文章ではないかなと思って、非常に問題が多いと思いますので、きょうはぜひ鴨下副大臣に、今後のこの見直しに当たっての力量を発揮していただきたく、御質問をさせていただきます。
 この閣議決定のまず文章ですが、「労災疾病について研究機能を有する中核病院を中心に再編し、業務の効率化を図る。」ここで言われているものは、労災の中で、例えば頸椎損傷とか脳挫傷とか、転落によるものなどで起こった重篤なものについてさらに研究を高めていく機構にするということで、「この再編の対象外となる労災病院については廃止することとし、」となっているんですね。
 そうすると、ある程度高度なもの、専門的なもの、労災にぴったり当てはまるもの以外の機能については廃止し、「地域医療機関として必要なものは民営化又は民間・地方に移管する。」という一文でございます。
 しかしながら、実は、昭和二十四年に恐らく九州地方の炭鉱におけるさまざまな労働災害に端を発してつくられました労災病院も、その後、日本の高度経済成長期を支える勤労者のための病院として日本全国に三十七カ所できておりまして、中には、ここで一言で簡単に廃止すると言われておりますような病院も多々ございます。その地域の中核病院として機能しているところもたくさんある。
 そうした場合に、これを民間に移行するないし地方自治体にお願いするということは、文章上では可能であっても、現実に患者さんがおられて、その地域を支えて、そして必ずしも地方や民間にそれを受け入れる余力があるかどうかもまだ検証もされておらぬ、その段階での閣議決定というこの文章は、もしやして、私は、医療ということの特殊性、人の命を支えている、必ずしも採算効率にも合わない、そういうことも含めての閣議決定としてはちょっと承服しかねると思うのですが、この点について、基本方針、基本姿勢について、特に労災病院見直しの基本姿勢について、まず鴨下副大臣にお伺い申し上げます。
鴨下副大臣 副大臣を使っていただきまして、ありがとうございます。
 ほとんどの労災病院そのものが、都道府県知事から救急告示病院として指定を受けているとか、それから地域医師会が取り組んでいる救急の輪番制の機能を担っている、さらに、先生おっしゃっているように、災害の拠点病院として指定されている病院もあるなど、言ってみれば、地域の救急医療を含めて一般の医療の中で非常に重大な役割を担っている、こういうような公的医療機関であるというような認識は私たちも持っているところであります。
 ただ、他方、当委員会でも議論になっておりますけれども、例えば、労災病院の中で実際に労災にかかわる疾病、それから障害等をどれほど担っているのか、こういうような御批判もあるわけでありまして、そういう中で労災病院が医療を提供することが本来的な業務であることをかんがみて、さらに、閣議決定にあるような、言ってみれば中核病院を中心として労災病院を再編していく、こういうようなことも考えなければいけないな、こういうふうな両面の話がございます。
 ただ、そういうような話の中でも、再編に当たっては、地域そのものの御意向とか、それから地域の関係者の御意見というのがさまざまあると思いますので、そういうことを十分に配慮してまいりたい、こういうようなところでございます。
阿部委員 私がここで指摘したい点で、ぜひともこれも鴨下副大臣の現状認識を伺いたいと思いますが、三十七病院のうち、例えば小児医療を担っている病院、産婦人科医療を担っている病院、精神科医療を担っている病院、これがおのおの幾つぐらいおありか御存じでありましょうか。
鴨下副大臣 実際には、例えば小児科医療につきましては二十三施設、それから産婦人科につきましては二十四施設というようなことになっておりまして、そういう意味では、総合的な地域の医療を担っているというようなことの認識は持っております。
阿部委員 あと精神科が二十施設ございまして、実は、労災病院における精神科というのは、地域の患者さんたちにとっても非常に精神科の単科病院でないゆえに利用しやすく、ある意味で、労災としてノイローゼとかなる場合もありますが、そのほかに、今非常にストレスフルな時代に、実際には、地域でバリアが低くかかりやすい精神科として機能しておる。あるいはまた、後方ベッドを持っているので、精神科の入院ということも精神病院という特殊なイメージじゃなくても行えるということで、これもかなりの役割をしてございます。
 鴨下大臣に御答弁いただきました小児科、産婦人科については、逆に、これがなくなったらその地域にお産ができる病院がなくなる、あるいは小児の二次輪番、私がせんだって質問いたしましたが、二次医療圏で確かな受け皿になっているというところもございまして、非常に現実には労災の専門性以外のものをたくさん担ってございます。
 私は、そこで、ぜひともこれは、医療というものが、現実にそこにかかる患者さんがそこにいるというところから出発していただいて、かくあるべしという一つの方向と、しかし、現実にさまざまな歴史と流れと現状の中でそこに一つの医療圏を築いておるということも、今後深く検討していただきたいと存じます。
 そして、これは実務サイドに御質問ですが、実はすべての労災病院が黒字でございます、この時局下。ここは極めて皆さんも不思議と思われますでしょうが、例えば大半の市立病院、公的な病院ですら赤字で、市の財政から補てんしているという中で、労災病院は黒字でございます。なぜか。このことを保障している財政機構、労災病院における会計の特殊性についてお話を実務サイドからいただきたいと思います。
松崎政府参考人 御質問は、労働保険特別会計の労災勘定から労災病院につきまして予算措置されております出資金のことかと思うわけでございますけれども、この出資金の対象としましては、労災病院の増改築でございますとか医療機器の整備、こういったものに要する経費として措置しているというものでございます。
阿部委員 恐らく、土地、建物、医療機器については、これは労災保険の特別会計から補てんしていただいている。残る運営部分を、経営部分と言いかえてもいいですが、これまでは労災病院側で行ってきた。私もある民間病院を運営しておりましたが、ここの土地、建物、機器というものの経済的な補てんがしっかりしておれば、逆に、不採算部門の小児科やリスクの高い産婦人科を抱えても病院としては運営していける。私は、その当たり前だということが今壊されようとしていることが、極めて日本の医療の提供体制の危機に瀕していると思います。
 医療というのは社会的公共資本というふうに位置づけてもいいような、そこに命があるからです、理由は。そのことを保障していくために実際に労災保険の特別会計が果たしてくれた現実の役割というのは大きいと思いますし、また、先ほどの地方公共団体あるいは民間にこれから経営をお渡しするといっても、果たしてこの部分、いわゆる私が一番案じておりますのは小児科です。普通の病院でも、非常に利益率が悪い、あるいは診療報酬点数も少ないという中で、小児科の病棟閉鎖が続々と続いております。
 私は、よくて民間化された場合でも、よくてです、これは民間受け皿があるかどうかもわかりません。地域受け皿は、各市町村財政を見ればほとんど絶望的です。これから新たに病院を地域で請け負ってやっていこうと思うほどに、市町村財政で余力のあるところはございませんので、となると、希望をつないでいる民間という部分であってすら、産婦人科、小児科、先ほど申しました精神科などが、かえって今回の方針によって現実には地域からなくなっていくのではないかということを案じておりますが、そのあたりについて鴨下副大臣のお考えを伺いたいと思います。
鴨下副大臣 今委員が御心配になっているところは、要するに非採算の例えば小児科や産婦人科が切り離されて民営化されるんではないか、こういうようなことでありますけれども、実際には、再編は中核病院を中心として行っていくわけでありますから、中には労災病院として廃止せざるを得ないというようなところも今後の流れとして出てくる可能性がございます。
 そういうような場合には、可能な限り小児科や産婦人科を含む総合的な医療機関として、ある意味で一固まりの機関として移譲を進めるように、地元の調整を十分にしてまいりたい、こういうようなことを配慮していきたいというふうに思っております。
阿部委員 ぜひともそのようにお願いしたいと思います。
 それと同時に、私が先ほど申しました、医療が公共資本である、公共的な財産であるという観点を医療再編全般の中で厚生労働省としても強くお持ちいただいて、医療提供体制がきちんと患者さんの命を、あるいは住民の命を保障するような方向にお願いいたします。
 そこで、住民の命ということに関して、ここの再編の中では、地域住民の声を聞く、あるいは地域に必要な判断という言葉が使われておりますが、その場合に、地域住民の声というのはどのような形でこの施策の中に反映されますでしょうか。この点も副大臣にお願いします。
鴨下副大臣 実際には、その地域の中で医療を担っている医師の方々もしくは引き受けてくださるような民間の医療機関あるいは自治体、そういうところを含めてさまざまな御意見を伺っていきたい、こういうようなことでございます。
阿部委員 よく経験しますのは、地域の方々がたくさん、何万という署名を集めても結果的に閉鎖されておるようなところもありまして、ここでは、もちろん医療提供サイドの意見を聞くということも重要ですが、受け手側、これからは医療というのも一つのサービスであると言われている折から、住民の声を聞くということは本当に、その地域で例えば住民の公聴会と言われるようなものを開くなりあるいは署名の扱いを十分配慮するなりという方向でやっていただきたいと思います。
 最後の一問でお願いいたします。
 この間、平成十六年の四月までの中期目標をつくるということでありますが、その際の見直し、見直しと申しますか、再編基準をどのように、どのような軸を設けていかれるかということについて副大臣の御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
鴨下副大臣 これは多分、委員もいろいろな深いお考えがあってのことだろうというふうに思いますけれども、この再編整備の基準をつくるに当たりまして最も重要なことは、今後労災病院がどういう機能を果たしていくかという観点に立ちまして、従来はそれこそ、じん肺、産業中毒、それから振動障害等の肉体的な労働に伴ういろいろな災害について重点的に診てきたわけでありますけれども、これから産業構造も変わってきて、むしろ、例えばメンタルヘルスだとか、それから過労死にも至りかねないような脳・心臓疾患などの労災疾病について積極的に高度な、専門的な医療を実施していきたい、こういうようなことを中心に考えていく。
 そして、これらの研究機能を担う中核病院を中心として再編して、中核病院とその他の労災病院との間での、言ってみれば症例の集積だとか治療方法や予防策の研究開発、さまざまな情報の共有を含めてネットワークを構築していく。
 こういうような方向で基準をつくってまいりたい、こういうようなことでございます。
阿部委員 その際に、一つ要望でございますが、今、少子化、少子化と盛んに国の対策上は問題にされますが、実は、働く女性がこれからもますますこの社会を支えていくという一点において、働く女性が子供を産み、育て、そのためのトータルな支えがいかに日本が不足しているかということでもあります。
 今、鴨下副大臣の御指摘いただいたメンタルヘルスケア、あわせて、女性たちの就労、特に働く婦人のお産、妊娠時の管理等々も極めて重要でございますから、広く見識を持たれて、そしてなお地域住民の声を聞いて、再編の見通しをよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
保利委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時六分開議
保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、参考人として国際協力事業団総裁川上隆朗君、国際交流基金理事長藤井宏昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
保利委員長 質疑を続行いたします。丸谷佳織君。
丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回の独立行政法人法案は、行政の効率化やサービス向上を図るために、まず政策立案部門は政府部内に残し、そして、政策の実施部門のうち、既に政策の意義が薄れているものに関しては廃止をして、そして、一定のキャッシュフローが見込まれて、競争条件の付与などにより効率化が図られるものは民営化をする。例えば、道路関連法人ですとか空港関連法人などは民営化し、そうでないものはエージェンシー化をするという流れであるというふうに整理をした上で質問をさせていただきたいと思います。
 特殊法人自体もそもそもエージェンシーだったのではないかというふうに言うことも言えると思うんですけれども、エージェンシー化の大きな目的であります自律性ですとか透明性が十分に確保されていたとは言えないために、あえて、行政から移行するものとあわせて、通則法で位置づけが明確化される独立行政法人への移行を図ることとなったというふうに思います。
 ですから、独立行政法人に関しては、評価手法を確立しいかに具体的に定量的な目標を設定するのか、いかに天下りや行政指導の排除などをし運営の自律性を確保できるのか、そして、民間の会計基準ですとかあるいは情報公開などを通じていかに透明性を確保するかが、法人の性格を規定する重要なポイントになっていくと思われます。
 そこで、まず国際協力機構、いわゆるJICAについてお伺いをしますが、このJICAは大変大きな機構に現在もうなっております。どのようにこのJICAの効率化を図られたのか。特に、ODAにつきまして、関係省庁間での効果的な実施を検討されているというふうに思いますけれども、どのような基軸で検討され、結果を導く努力をされているのか、この点についてお伺いをします。
川口国務大臣 今委員が御質問になられたことというのは、なぜJICAを独立行政法人化するかということを考えるに当たっての一番基本的な部分にかかわることだと思って伺わせていただきました。
 それで、JICAが独立行政法人になりましたときには、今委員がおっしゃられたようなことがJICAに起こるということでございますが、まず、事業遂行において、JICA、国際協力機構でございますけれども、それの自主裁量性が当然高まっていくということでございます。
 そして、中期目標というものをつくりますので、それの達成度をきちんと評価委員会で評価をするという過程がございます。そして、そのときの評価の内容、業績の評価いかんによっては、理事長を初めとする経営陣といいますか役員陣、ここの人事の問題も生じてくるという、むちの部分もあるわけでございます。そういうことによって、この中期目標をきちんと達成していくということのインセンティブを与えているということでございます。
 それから、独立行政法人化になりまして、経営がより弾力化、効率化をするということでございまして、その結果として、業務がより効率的に、弾力的になっていくというメリットがございます。
 それから、委員も情報開示等についておっしゃいましたけれども、会計の処理や財務関係の情報開示が義務づけられますので、経営内容が透明化をされて、その結果として、みんなの目が光りますので、効率的な予算の執行が期待ができるということでございます。
 経済協力業務、この実施に当たりましては、各省が今までそれぞれ連携をしながらやってきたということでございますけれども、JICAが新しい形の独立行政法人の国際協力機構になるに当たっても、各省引き続き連携をして、こういった中期目標の管理を通じて、新しい独立行政法人の効率的で透明な経営が行われるように見ていきたい、そういうことでございます。
丸谷委員 今大臣の御答弁の中に、中期目標を定めて、そしてそれを評価し、その評価結果いかんによってはトップを首にしたりとかあるいは業務自体を廃止するようなことも当然なされるという御答弁がありました。
 この点について、独立行政のトップの責任という問題と、またこの独立法人自体の自律性、独自性というところの関係というのは非常に難しいものがあるのかなというふうに思うんですけれども、この独立行政法人のトップの責任という視点と、また独立行政法人の自律性について、この整合性はどのようにとられていこうとお考えになられるのか、この点についてお答え願えますか。
茂木副大臣 急に出た質問でありますので。
 独立行政法人の場合も、中期的な目標に沿って省として一つの業績を評価し、委員御指摘のとおり、その評価によって、場合によってはトップの交代であったりとか給料も変わってくる。これは、恐らく、私企業においても株主というのがいまして、株主が、短期的にというか、中長期的にはきちんと経営がなされているか、こういうことに従ってトップの評価をし、また解任をし、場合によってはボーナスを上げるとか、そういうことを行っているわけでありまして、基本的に、中長期の目標に沿って評価をする、それに伴って人事の問題、それから業務の廃止等々も行っていくということは、必ずしも独法の自主性の阻害にはならない、このように我々は考えております。
丸谷委員 次に、細かい質問になるんですけれども、今回、JICAに関しての独立行政法人案を読ませていただきまして、その中に、海外移住に関する調査そして移住者の職業等の相談というものは、引き続き継続される事業として挙げられております。逆に、効率化を図るために、事業の内容の見直しとしまして、海外移住事業のあっせんというのは廃止をされているわけなんですけれども、実際に、例えば中南米地域の移住者の方、三世、四世という若い世代になられているというふうに認識をしますけれども、この方たちの定住状況と現状、また、期待される事業内容とはどのようなものというふうにお考えになるのか。
 また、在外公館でも、例えば邦人の生活の相談ですとかいろいろな事業をしていると思うんですが、ここの重なる部分、どのように役割分担をされるのか、この点についてお伺いをします。
茂木副大臣 お尋ねのございました中南米への移住事業でありますが、国によりまして若干の違いがあるんですが、過去一世紀余りの歴史を経まして、移住者はおおむね安定、定着の域に達している。そして、その中核をなしておりますのは、丸谷委員おっしゃるとおり、これまでの二世から、三世そして若い四世、こういう形で移ってきております。
 そんな意味におきまして、移住者の皆さんが既に定着の域に達している、こういうことから、事業の中で、移住者の送出事業であったりとか、さらに入植地の事業、これは移行に伴いまして廃止をさせていただく。また、移住者に対します融資事業につきましても平成十七年度をもって廃止を予定いたしております。
 その一方で、今いらっしゃる移住者の方、高齢の方が非常にふえていらっしゃる、そういうことで高齢者の皆さんに対する対策。もしくは、三世、四世となってくると、日本語が必ずしもよくわからない方もいらっしゃる。これは、丸谷先生、ポーランドの方で日本語の教師もされていたということでありまして、我々よりもよく御存じだと思いますが。そういった新しい世代に対する人材の育成とか教育、こういった新しい課題が出てきているな、こういうふうに考える次第であります。
 そういう中におきまして、基本的な邦人の保護等々は、これは領事移住部そして在外公館で担当させていただきますが、この入植者、移住者に関しますいろいろな事業につきましては、新しい国際協力機構そして在外公館、さらに本省の領事移住部が連携をさらに密にしながら新しい課題に対応していきたい、このように考えております。
丸谷委員 この質問をさせていただきましたのも、在外公館は、非常に少ない人数で広い地域を持っている公館もあるのが現状ですが、例えば在外邦人に対して非常に対応が冷たいですとか、いろいろな御指摘等もいただいているものですから、例えば、ではこの事業はJICAでやってくれるからいいやといったような投げやりな態度をとらないように、また、外務省の在外公館に勤めている者も責任の押しつけ合いにならないようにという期待を込めて質問させていただきました。今副大臣からこういったお答えをいただきましたので、どうか、そこの邦人また移住者に対する気持ちというものは、縦割りでは決してない、前向きな取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、それでは国際交流基金について質問をさせていただきます。
 国際交流基金の目的は、国際文化交流事業を総合的かつ効率的に実施し、我が国への理解を深めるという大変大きな目標でございますけれども、効率化を図るために、外交政策上必要性の高いものに事業を限定して事業量を縮小するというふうになっています。
 私は、この点、非常に疑問を感じております。というのは、国際文化交流の非常に大きな目的を、外交政策上必要なものに限定をして予算を縮減することで達成できるのかどうかという点について、考え直さなければいけないのではないかと思います。
 今までも続けてこられたように、例えば外交戦略上必ずしも主戦場ではない地域であるものの、日本の多額ではない予算の中で国際交流をしていくことでの外交上に与える副産物というか、よい結果というのはあったというふうに私は認識をしておりまして、それを、ただ外交政策上必要性の高いもの、低いものと限定をしてしまって予算を圧縮するというのは目的にかなうのかどうか、この点について疑問なものですから、今後、文化交流をどのように進めていかれるのか伺うとともに、国際文化交流という、数字での評価がなかなか難しい分野についてどのような評価の基軸をお持ちになっていられるのか、この二点についてお伺いをします。
川口国務大臣 文化交流は、私は、経済協力と並んで、日本が外交政策を実施していく上で非常に重要なツールだと考えております。
 世界にいろいろな問題がある中で、やはり、より長いスパンで物事を考えるときに、文化交流が大変に重要であるという認識を各国とも持ってきているわけでございます。人間と人間の間の相互理解が深まるということが、特に若い人たちがそういう理解を持つことは、国と国の関係を長期的によくしていくということに非常に効果があると思います。
 それで、文化交流の効果というのは、直ちに短い期間で効果が目に見えるかというと、そこはなかなか難しい問題だと思います。それから、政府、国際交流基金以外のさまざまな組織がまた文化交流をやっているわけでございまして、そういったところにも伸び伸びと活動をしてもらわなければいけないということだと思います。
 そういう意味で、外交政策上必要性の高いものに限定しということでございますけれども、それの内容は、委員もおっしゃるように、より長い将来を見たときに外交政策上非常に重要になってくるような、先ほど委員がおっしゃったような、今直ちに非常に重要な地域でないとしても、それが重要になっていくというような部分も、外交政策上は必要であるということに含まれるというふうに思っていまして、例えば文明間の対話、これはイスラム圏と一緒にやっていますけれども、こういったことも、直ちに効果が出るということではないけれども、非常に重要な問題だと思います。
 こういったことも含めまして、特に、外交政策上の広い意味でのニーズということを反映することが必要でして、この観点で、国際交流基金も引き続き、効率的に資金を使って文化交流をやっていくということが大事だと考えております。
丸谷委員 もう一つ、先ほど副大臣からもお話がございましたけれども、日本語の普及について。
 私も以前、日本語教師をポーランドでしていたことがあるわけなんですけれども、今、JICAの青年海外協力隊員にしても、あるいは国際交流基金から派遣される方にしても、日本語を海外で教えたいという若い方あるいはシニアの方、非常に多くなってきております。
 日本の戦略としまして、英語を使えるようになろうということも必要ですけれども、初等教育から日本語を教えることによって、より海外の方に日本語を話してもらうという戦略も、一つ非常に有効な手段として持っていなければいけないと私は思いますので、この日本語の普及ということに関しては、非常にニーズも多いですし、力を入れていくべきだというふうに思いますが、やはりどうもここに縦割りの障害を感じてしまうことがあります。
 というのは、海外で日本語を教える場合には外務省の所管なんですけれども、その先生が日本に帰ってきて、では、外国語として日本語を外国人の方に教えようとすると、いきなり文科省の所管になられて、海外の青年協力隊でやってきた方が帰ってきて仕事を探すときに、どうしても、外務省の所管ではないものですから、うまく人材の活用が回っていかないという現状があります。
 この日本語の普及について、JICAもそうですが、国際交流基金も同様の事業を行っているわけです。エージェンシー化になった目的の一つに、より省庁の壁を超えるという利点もあると思うので、より弾力的な事業内容にしていただきたいというふうに思いますけれども、この日本語の普及についての事業のあり方をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
茂木副大臣 丸谷議員が御指摘のとおり、日本語を話せる人、そして、それを通じて日本の文化であったりとかいろいろなことを世界の国々の皆さんに御理解いただく、それは、これから我が国の外交にとっても、国益にとっても大変重要だと思っております。
 そういった意味で、さまざまな機関が海外等におきます日本語の普及のための事業等々を行っておりますが、御指摘のように、例えばこの国際交流基金が行う事業と、そしてまた文化庁であったりとか文部科学省の事業、錯綜している部分はあるのではないかな、そういうこともこの際きちっと見直して考えていきたい、こんなふうに思っておりますし、私個人的にも、この問題には大変問題認識というのは持っておりまして、また委員の方からも御指導いただいて、必要な見直しというのは進めていきたいと思っております。
丸谷委員 どうもありがとうございます。
 エージェンシー化したことによって弾力的な運営をとることができるというか、省庁の縦割りを超えることができるというのは、本当に、文化面あるいは人材を活用していくことにおいては非常に有効に働いてくると思いますので、どうか、今御答弁いただいたような形で常に見直しを加えながら、よりよい独立法人にしていただくようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春です。
 引き続いて、基金とJICAについてお尋ねをしていきたいと思うんです。
 独立行政法人、今、よく言われる英国などでのエージェンシーのモデルを参考にしながら、日本型の独立行政法人という形態で進めようとしているんだろうと思うんです。それを議論していく中で、外務省サイドの話は話として後ほど聞いていきたいと思うんですが、まず、それぞれ総裁と理事長、きょうは来ていただいていますけれども、それぞれの組織の中で、今回のその意味合いを受けて、議論をしていただいたんだろうというふうに思うんですね。
 一つの流れは、民営化をしていける、民でやっていけるところは、精いっぱい民でやっていくべきだという共通した論調がありますね。これに対して、今、それぞれの組織の議論をどのようにしていただいたかということですね。
 それから、その上に立って、独立行政法人とするのであれば、これまでの特殊法人と違ったことになるんだろうと思う。どこが違っているのか。さっきちょっと出ましたけれども、事業の透明性であるとか、あるいは企画立案ということとそれを実行していく機能を分けていこうじゃないかという話であるとか、あるいは、まだこれははっきり出てきていませんけれども、天下りはやめて独立性ということを維持していくためにも、いわゆる結果責任、結果ということに対する評価をはっきりさせた上で、それぞれの経営者のアポイントメントというのをしっかり考えていこうとか、こういう抽象的な話は何回も出てきていることですから、それでいいんですね。
 そうじゃなくて、それぞれの組織としては、これを踏まえて、具体的に事業の展開がこんなふうに変わってくるであろう、そういう想定が十分なされるんだろうと思うんです。積極的にそれを受けとめていって、恐らく、これからはこんなふうにしていこうという議論が当然あったんだろう、それこそ自律性を高めるということでありますから、当然あったんだろう、こういうふうに期待をするんです。
 その議論をどのようになされたかということを、まず、それぞれの組織の代表者の方々にお聞きをしたいというふうに思います。
川上参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、独立行政法人になりますと、業務の効率性だとか透明性、国との役割分担の明確化、それから、自主性を通じまして責任が当然明確化されてくるということでございますが、JICAといたしましては、これまでも独法化に向けまして、さまざまな切り口から集中的に改革の努力を既に行ってまいっておりますし、この時点で、私として今後のあるべき改革をまとめますと、次の四点ぐらいに集約されるのではないかというふうに思っております、まだ改革そのものは現在進行形でございますけれども。
 第一点目は、これは当然のことでございますが、成果重視、効率性ということでございまして、従来、ともすれば、特に予算が右肩上がりで伸びているような状況においては、予算消化マインドというものがないわけではなかった。そういうマインドを廃して徹底的に成果を重視する、コストパフォーマンスといいますか費用対効果、これの見地から事業や組織を抜本的に見直していく必要がある、徹底的に見直していく必要があるというふうに思っております。この内容につきましては、現在、内部において鋭意討議を行っている過程でございます。(中川(正)委員「具体的に言ってください」と呼ぶ)
 例えば、海外の現場にもっと業務を委譲する。JICAは実施機関でございますので、本部でいろいろなことをどんどん決めるということではなくて、実際にフィールドに権限を委譲してやっていくというやり方をもっと徹底できないか。それから、専門家制度というのが長年にわたってあるわけですが、そういう専門家制度でやや硬直化したような面がないのかどうか、もうちょっと短期的な専門家というものを活用するようなやり方ができないかといったようなこともその例の一つではないかと思います。
 それから第二点目は、これも当然のことでございますが、説明責任、透明性ということでございます。JICAの経営や事業をガラス張りにいたしまして、常に国民及び識者の批判を求めながら、それにこたえるよう努めてまいりたい。先ほどからもお話が出ておりますが、企業会計原則に準拠した会計の処理だとか、情報開示の義務づけといったようなものもございます。
 各種事業を具体的に申し上げれば、もっと事前事後の評価体制をきちっとする。JICAの事業は技術協力、人の事業でございますので、なかなか評価が難しい点もございますけれども、これを一つ一つ何らかの形で評価するという体制をつくり上げていきたい。それから、外部評価をもっと拡充していきたいといったような視点もございます。こういうものが総合された結果が、中期目標あるいは計画が終わった段階におけるJICAのいわゆる業績評価というものにつながっていくというふうに観念いたしております。
 それから三点目は、これは仕事の中身でございますが、国民参加ということをさらに我々として重視してまいりたいということでございます。地方自治体、NGO、大学等の国際協力に従事しておりますプレーヤーというのが、最近非常に多元化してまいっております。そういう方々、国民各層と協力しながら、国民レベルでの国際協力をぜひ推進してまいりたい、こういう点でございます。
 それから、最後の第四点目でございますが、これは、我々は平和構築支援というふうによく呼んでおりますけれども、この十年ぐらいで見ますと、カンボジア、東ティモール、最近のアフガニスタンといった国における経験を生かしまして、緊急支援の段階、つまり人道支援の段階と、それから実際の開発支援の段階のギャップ、いわゆる復興支援の段階というものにもうちょっと焦点を当てて、具体的にJICAとして何ができるのかということを鋭意検討して、国民の期待にこたえるという方向でやってまいりたいというふうに思っております。
 以上、大体四点ぐらいにまとめられるのではないかと思います。
藤井参考人 お答え申し上げます。
 国際交流基金にとりましては、独立行政法人移行は、年来の、四年前から努力しております改革を加速させる大変な好機というふうに考えております。
 具体的に申し上げますと、改革の中で、大きく言って三つの点が大事であるというふうに思っております。一つは、抽象的でございますけれども、外交政策との連携強化、第二が効率性の向上、第三が透明性の向上でございます。
 具体的に申し上げますと、まず外交政策との連携強化でございますが、独立行政法人の制度におきましては、委員御存じのとおり、外務大臣の一般監督権限にかわりまして、外務大臣が中期目標を示し、国際交流基金が中期計画を策定するということで事業を実施するわけでございまして、事業を実施して、その後にそれに対する評価を受けることになる、こういうシステムでございます。
 これは、大変に重要なことは、中期目標をつくっていく過程におきまして、国別のニーズ、国別の外交政策、その文化に関する外交政策、そういうものを、外務省と我々専門家のみならず、外部の、その国にかかわる多くの、日本あるいはその国あるいは第三国の識者の方々と意見を積み重ねながら考えていくということができると我々は期待しておる次第でございます。
 そういう意味で、我が国の外交政策におきまして、言葉がちょっとあれかもしれませんが、より戦略的な、大局的に戦略的な文化交流を実施していくということが一つ大きな眼目でございます。
 それから、具体的に国際交流基金の事業で申し上げますと、いろいろな文化交流の事業があるわけでございますが、それをどんなふうに組み合わせて、相手国の、その国のどんな層にどんなふうに何を発信していくか、あるいは連れてくるか。これによって、大きな意味での外交政策、日本の国益、長期の国益との関連がより明確になっていくというふうに期待しているわけでございます。
 第二の効率化でございますけれども、このような国別、地域別のより明確な事業目的がはっきりいたしますと、それに照らし合わせまして、国際交流基金の極めて多岐にわたる事業の優先順位をつけていくことがより可能になってくると思います。文化のことでございますので、なかなか優先順位というものをとりがたいのでございますけれども、ここにしかし一つの指針が出てくる。それに従って、強化するものは強化し、縮減するものは縮減していくということを行っていきたいというふうに思っております。
 それから透明性でございますが、これは、もちろん財務関係の情報開示とかいろいろあるわけでございますけれども、国際交流基金といたしまして、特に基金に関する情報、国際交流基金が有する情報やノウハウ、これを国民により広く提供していく。国際交流基金は、単に資金でいろいろお手伝いするだけではなくて、いろいろな情報を開示しながら国際文化交流を進めていくということにしていきたいというふうに思っております。
 それから、このような課題に取り組むに当たりまして、現在、国際交流基金では、事業それから組織の抜本的な見直しを検討してきております。今、外務省と相談を始めたところでございます。
 その大きな方向は、事業について言いますれば、従来、往々にして、国際交流基金の事業は非常にプログラムが細分化されておりました。この細分化されたプログラムをできるだけ統合し、その中で、特に効率性が比較的低くなってきていると思われるものを縮減していくということが一つの眼目でございます。
 それからさらに、組織でございますけれども、組織については三点ございまして、先ほどの、負託にこたえるように国別、地域別のニーズをより把握できるように、そういうふうに組織を再編していくということが一つでございます。それから、国民への情報の提供、いろいろな民間の文化交流団体等文化交流の担い手との連携強化をしていくということが第二点。第三点が、プログラムの事前事後それから客観評価の体制を強めていくということでございます。
 以上が、国際交流基金が独立行政法人になるに当たりまして考えております大きな変革でございます。
 最後に、中川委員の御質問の冒頭にございました民間の点でございます。これはもう中川委員には釈迦に説法でございますけれども、国際文化交流で民間というのは、一つはコマーシャル、もう一つは、いろいろございますが、民間の文化団体あるいは大学等々ということでございますけれども、国際交流基金はコマーシャルではできないところをやるということでございまして、例えば、中国を一つ例にとりましても、中国にミュージカルとかあるいはポップミュージックなんかは行っておりますけれども、最もコマーシャルにペイしそうな分野であっても、中国ではそれはコマーシャルにはいかないわけでございます。それは、何らかの民間その他の支援が必要でございます。まして、より地味な知的対話であるとか市民交流であるとか、そういう息の長いものにつきましては、これはなかなかコマーシャルではいかないということは、世界じゅうにございます。
 それからもう一つ、日本の民間団体も、私ども大いに連携強化をしておりますが、やはりまだ特定の分野であるとか特定の地域であるということでございまして、その民間団体がおできになることは私どもはいたすわけではございませんで、外交政策の上で非常に有益であれば、一緒にやっていく、あるいは支援してやっていくということが私どもの姿勢でございます。
 どうもありがとうございました。
中川(正)委員 それぞれの組織の中で検討されている改革案というのをお話をしていただいたんだと思うのですが、聞いていますと、どうも独立行政法人化をしていくということとさっきの改革案そのものが、そう大したモメンタムでないというか、このままの特殊法人のままでも、当然やらなければならない、あるいはやれる改革案ということなんじゃないかなというふうに思うんですね。
 この機会ですから、本来はもっとさっきの自律性が期待されているんだと思うんですよ。さっきもちらっと理事長が言われましたが、外務省と相談をして今改革案を詰めています。恐らくこれからは相談しないでやるんでしょう。そういう意味合いからいって、自立していくという気持ちの中では非常に心もとないな、いわゆる迫力がないなという感想を持たせていただきました。改めてそのことは申し上げておきたいというふうに思うんです。
 その上に立って大臣にお尋ねをしたいんですが、さっき、外務省との関係で、これまでは一般監督規定ということで、JICAなんかの現場担当者に言わせると、外務省が微に入り細に入り指示をしてきて、せっかくの我々が主体的に考えていることがゆがめられていったりおかしくなっているんだ、そういうことをよく聞いたことがあります。これが、中期目標をつくって、さっきのお話のように、その中期目標を議論することによってこれからの事業の中身を規定していく、その部分で恐らく外務省の外交戦略を反映していくということなんだろうと思うんです、理想的には。
 ところが、実際はちょっと矛盾がありまして、両方の組織も、両方とも、これから予算が非常に厳しくなってくる、厳しくなってくるだけに、厳選した国益というものとそれから国家戦略のもとに、この二つの組織を使わなければならないということがあるわけですね。それは、言いかえれば、そう勝手にやってもらったら困る。
 例えば、さっきJICAの話が出てきましたが、それぞれ現場主義といいますか、現場へ権限をおろして、それぞれの国の中で起き上がってくるようにやりたいということですよね。これは、組織としては非常にいい観点だと思うのですが、国家全体として、いわゆる限られた資源を配分していって戦略的にODAを使っていこうじゃないか、そういう観点からすると、どうもお互いが矛盾している。片方は戦略としてしっかりおろしていかなければならない、もう片方は独立をしていくということですね。この矛盾があるんですよ。
 だから、恐らくは、独法化していくときにその事業内容をしっかりと見直して、国家戦略でやっていく部分と、そうじゃなくて自主的に、特にJICAあたりの草の根でNGOに参加をしてもらいながらというような、そういうたぐいのものとはぴしっと分けて、ここは整理をしていく必要があるんじゃないかなというふうに思うのですね。そこのところを、どういうふうに具体的には国家戦略をここへ反映させていこうとしているのか、具体的にイメージがわいてこないんですよ。企画立案と言うけれども、具体的には、外務省はこの中期目標に対してどういう関与をしていこうとしているのかということ、それを想定されているのかということ、これが一つです。
 それからもう一つは、外務省の中にもこの二つの法人に対しては評価をするための委員会ができ、それから内閣府の中にもたしかもう一つでき、二重でチェックをしていくというシステムになっているはずだと思うんですが、外務省の中にできる評価委員会というのか、どういう組織ができるのか、そしてどういうメンバーがこの評価の中に入ってくるということを想定されているのか、この二つをお聞きしたいというふうに思います。
川口国務大臣 評価委員会のメンバー等々については後から事務方に答えてもらいたいと思いますけれども、まず戦略について、外務省の考える戦略を独立行政法人たる国際協力機構がどう受けていくかということについては、これは新しい関係をつくるわけですから、双方、こういったやり方が軌道に乗っていくようにするためには、さまざまな努力が必要であると思いますし、試行錯誤も必要であるというふうに考えます。
 現実の問題としてはそういうことを経ていい形になっていくと思いますけれども、考え方といたしましては、これは委員もおっしゃられましたように、まさに外交をやっていく上で、中期目標を通して、この過程は連携を密接にしながら、話し合いをしながら、外務省としてどういう国家戦略を、あるいは外交の目標を持っているかということは、これは不断に外務省としても広く国民の方にお話をするわけですし、そして国際協力機構についても中期目標をつくる過程でお話をしていくということですから、それをお話ししていくということだと思います。
 それから、国際協力機構はそれを受けて中期目標をきちんとやっていく。そして、それについては別途評価委員会があって評価をしていくわけですから、そういったよりスパンの長い期間をそれぞれ効率的に、自律性を生かしながら、だけれども外交の戦略なり外交の目標というところでは、そこの情報をシェアし、考え方をシェアしながらそれを進めていくということであると思います。
 それから、改革について御質問がありましたけれども、改革というのは、まさに独立行政法人たる組織においては、改革をみずから進めなければ中期目標に合ったような効率的な仕事ができない。ですから、外務省もODAについては十五の改革というものをつくってそれでやっていっていますけれども、独立行政法人はまさにその中期目標を達成するために改革をみずからしていくということが必要である、そういうことでございます。
古田政府参考人 大臣の御答弁がございましたが、若干補足をさせていただきます。
 今お話にございましたように、私ども外務省の方でまず中期目標を三年ないし五年というタームでつくらせていただく。従来は業務実施方針ということで毎年度策定させていただいておったわけでございますが、これを、三年ないし五年の中期的なタームの中で私どもの重点的な分野、地域等々について書かせていただく。それを踏まえてJICAの方で中期計画というものを策定していただいて、その中期計画を外務大臣が認可するということを通じて、外務省の策定する中期目標と、それからJICAが策定いたします中期計画とが整合性のとれたものになっていくことを期待しておるわけでございます。
 その中期の期間が終了いたしますと、事業報告書ということでJICAの方から報告書が出るわけでございまして、これを外務省の評価委員会にお諮りしながら評価をし、それを次の中期計画、中期目標にフィードバックしていくという手順を考えておるわけでございます。(中川(正)委員「そんなことを聞いていないでしょう、何を言っているんだ。ちゃんと答弁しなさいよ」と呼ぶ)失礼いたしました。
 それから、評価委員会の構成につきましては、これから検討していくことにいたしておりますが、外部の有識者でしかるべき方を検討したいと思っております。まだ具体的な人選には入っておりません。
中川(正)委員 これは一つの目玉なんですよね、評価というのは。どのようにパフォーマンスを評価していくかということによって、人事にもかかわってくる。さっきそのようにおっしゃったでしょう。それが、まだこれからです、イメージもわいてこない。有識者って、こんなことはだれでも言えることですよね。この点については、しっかり考えていないということですよ、具体的に。これは、さっきの中期目標だったか中期計画もイメージがわいてこないんです、全然。一体何をしようとしているのか。
 もっと言えば、一方で、ODAの改革論議がこれだけ高まっている。これまでのような形で、これを外交戦略として使っていくには、やはり外務省も相当腹を決めて意思表示をしないと、このODAというのは使えないというところまで追い詰められているというのはわかっているはずなんですよね。だから、それだけに、さっきの説明からいったら、そうしたODAの改革、ODAのこれからの戦略的な使い方の中でJICAをどう位置づけていくか、そういう戦略的な話が私は外務大臣から出てくるんだろうなというふうなことを期待して、この問いを投げかけたわけなんです。
 さっき、それに対して出てきたお話というのは、それこそ手続論、中身の話じゃなくて、全部手続論なんですね。だから、それに対して、もう少し何とかこの改革に向けての意思というのをやはりおっしゃっていただく必要があると思うんですよ、大臣。どうでしょうか。
川口国務大臣 まず、国が外交戦略として、あるいは外交のためにいかに経済協力を使うかということについては、これは国が考える問題でございます。国が、今ですと、例えばアジア重視ですとか、人間の安全保障ですとか、平和の構築ですとか、そういったことをお話をしているわけですけれども、そういうことを、国として経済協力を行っていく上で、何を優先的な課題として、あるいは何を重点分野としてやっていくか、これは国が考えていくということです。
 それで、この国の考え方は、先ほども申しましたけれども、国としては、政府としては、当然国民の皆様にできるだけわかりやすくお話をしていくということでございますし、当然に、実施をする機関である国際協力機構に対しましてもそういう考え方はつくっていく、また話をしていく。これは、連携をきちんとやっていく必要があると考えています。
 それで、それをどういうやり方でやっていくかということが、先ほど申し上げましたように、それから古田局長からも言いましたように、中期目標という形でやっていく。それを受けてJICAは実施を、中期計画をつくってやっていくということですし、その成果については、それを効率的にやりませんと、情報公開が、情報開示が義務づけされているわけですから、これは、国民の皆様が見て、より厳しくこれについては国民の批判が恐らく出てくるだろうということでございます。それを受けて、きちんと仕事ができるかどうかということを、すなわち中期目標、中期計画に照らして仕事をやっているかどうかということについて評価を委員会でして、それで、それを人事なりその他のことに反映していく。そういう意味では、より民間の企業に近い形での評価あるいは成果のアセスが行われる、そういうことでございます。
中川(正)委員 申しわけないけれども、さっきの部分というのは役人の方から答えが出てきた話でありまして、私が期待するのは、大臣、やはりそれ以上のものなんです。そのことを指摘しておきたいと思うんです。
 それと同時に、さっき申し上げた外交戦略と、それからそれぞれの事業化の中で、例えばこういう矛盾があるんですよね。
 第十八条三項、JICAの方ですが、これは国民等の協力活動、NGOに対する委託事業ですね。これに関して、委託事業というのは、それぞれ関係行政機関の長に協議をしながらやっていく。だから、このままの条文で読んでいきますと、一つ一つがそうした協議の対象になってくる。これは、NGOに対する委託事業は任されていないというふうに読めるんですけれども、そういうことなんでしょうか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 国際協力事業団、これが独立行政法人になった後の国際協力機構も同様でございますが、この技術協力は、基本的に政府ベースの技術協力でございます。政府対政府の何らかの合意のもとで行われる技術協力の実行をJICAに担っていただくというふうに考えておるわけでございます。
 御指摘のあった十三条でございますが……(中川(正)委員「十八条」と呼ぶ)十八条のここに書いてございます根っこの事業が十三条でございますが、これは、条約その他の国際約束に基づく技術協力という業務と、それから国民等の協力活動による技術協力ということと分けて書いてございまして、この国民等の協力活動につきましては、いろいろと個人、法人、自治体等々からの御提案をいただいて、そういう中から、相手国政府との何らかの合意を取りつけながらJICAに実行に移していただく、こういう性質のものでございます。そういった意味で、政府ベースの技術協力を推進するという意味で、関係行政機関の長ともそこにかかわる部分については協議をしていくという、そういう条文にさせていただいておるわけでございます。
 あくまで政府ベースの技術協力という前提での手順が、この十八条に書いてあるわけでございます。
中川(正)委員 これは、もっと具体的に言えば、NGOに対する委託を考えていく場合には、この適用範囲外ということなんですか。そういうふうに解釈していいということですね、さっきの話は。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 あくまでもJICAの技術協力は何らかの政府間の合意に基づく政府ベースの技術協力ということでございますので、NGOに関しましても、NGOから御提案いただいたものを政府ベースで何らかの合意を取りつけて、そして進めていっていただくということでございますので、NGOにつきましても、この十八条の対象になるということでございます。
中川(正)委員 というように、一つ一つの事業を、NGOの場合は、関係行政機関の長に相談をしながら、相談をしながらというよりも、これは、協議と書いてありますけれども、恐らく一つ一つを許しを請いながらということなんでしょう、やっていかなければならないということが片方あって、もう片方、一般の事業について中期目標の中で任せますよ、こういうことですよね。中期目標というふうにくくっても、一つ一つの事業はこんな形で全部これまでと同じように上位の行政機関と協議をしていくということになれば、これはどこが一体変わったんだ、肝心のNGOの自由濶達なものというのが全部役所のコントロールの中で置かれる、そういうことですよ、これは。だから、私はこれは逆さまだと言っているんです。
 こういうところこそ任せ切ってしまってその力を信頼していくということであって、国家戦略でひとつここはというところでおろしてこなければならないところは、その国家戦略をはっきりさせるようなメカニズムをもう一つつくっておかないと、中期目標で任せっ切りですよという話にしてしまうわけにはいかないということだと思うんですね。
 そこのところが、例えばこういう矛盾で整理がされていない。いわゆる意識として、何を独立行政法人化して、ということは独立的な活動として動かしていって、何を国家戦略としてまとめなければいけないかという整理が全然できていないということの一つの例示的な部分だというふうに思うんですね。
 それについて、大臣、どう思われますか。
茂木副大臣 先ほど来、中川委員の方から、矛盾というか、私はお聞きしていて、今後の、例えばさまざまなODAであったりとか国際協力を進める上での御懸念みたいなものをお示しいただいたんだと思っております。
 例えばNGOとの連携、これは基本的に政府の方針、外務省としても、NGOとの連携というのは強化していく、こういうことは十五の改革の中でもはっきりさせていただいているわけであります。
 そうすると、先ほど大臣が申し上げておりますような、中期目標の中には、きちんと、外務省とかJICAだけではなくて、そういったNGOとか現地にいる人たちの力も活用してこういった事業を進めていく、こういう大きな方針が出てくる。その方針に従って、JICAの方で具体的な中期計画をつくる。個々の事業の中では、おっしゃるように、在外公館であったりとか、そしてまたJICAの事務所であったりとか、NGOが連携をしていく。そこの中で関係省庁と協議をする。このこと自体が、方向としては、NGOを使っていきます、こういうことですから、御懸念するようないろいろな阻害が出てくる、こんなふうには我々は理解いたしておりません。(発言する者あり)
中川(正)委員 いや、それは違いますよ。ここにも違うという御意見があります。
 NGOは何を今まで主張してきたかというと、微に入り細に入り政府間ベースで話を進めていったら、民間ベースの知恵とそれから民間外交、その中で本当に起き上がってくるものが生かせないんじゃないか、それを、枠をちゃんとつけてくださいよ、その話の中で、では活用しましょうということだったと思うんですよね。それが、ここへ返ってきたら、全部一つ一つやはり相談してもらいますよという話になっているわけです、これは。
 だから、そこの精神がわかっていないんじゃないですかということ、その問いかけなんですけれども、意図はわかっているんだろうと思いますが、そういうごまかした話じゃなくて、これはやはり修正ですよ、ここは修正。やはりはっきりと任すところと国家戦略でやらなければならないところ、これは修正点だというふうに私は思いますよ。
 それから、次に人事の問題でありますが、それなりに、交流基金の場合はごまかしているところもありますけれども、役員は数を減らした。うまく、トータルで同じで、ちょっと位置がずれているというごまかし方をしましたけれども、JICAの方は減らした、こういうことでしたね。
 これは本来、エージェンシーのエージェンシーたるところというのは、このアポイントをするときにやはり広く人材を求めて、そこで責任体制をはっきりさせていく、何をもってそれを決めていくかというそこですよね。
 この人事は、大臣、どうするんですか、これから。特殊法人のときとここが変わってきますというところはどこですか。
川口国務大臣 まさに適材適所で、それぞれの独立行政法人の運営をお願いするのにふさわしい方になっていただくべきだと考えています。
中川(正)委員 何か、私と反りが合わないのか知りませんが、冷たいですね、その答弁は。これは独立行政法人で目玉ですよね、人事なんというのは。これを語らなかったらエージェンシーを語る資格はないと思うんです。
 もう一回、心を込めて返事してもらえませんか。
川口国務大臣 委員がお聞きになりたいのは、国家公務員の天下りをどうするかということをお聞きになりたいということなのかもしれませんけれども、私は、国家公務員であったとなかったとにかかわらず、日本全体として、適材適所の人材を選んでやっていかなければいけないと考えております。
中川(正)委員 ちゃんといいことを言われるじゃないですか。そのとおりだと思うんですよ。それを担保するためのシステムをどうするのかというのがこれは大事なんですよね。本当に運用なんですよ。
 そう言っておいて、国家公務員も否定しない、しなかったから、やはり決めさせてもらいましたという話になってはだめなんで、広く人材を求めるということ、さっきの答弁からいくと、国家公務員もその中の一人でいいと思うんですよ。ということは、例えば公募するとか、あるいは、ある程度、評価委員、評価委員会を活用しながら、次の人事もそれに権限を与えてひとつ考えていこうじゃないかということであるとか、あるいは時と場合によっては、それこそ国家戦略をはっきりさせて、このことを日本としてはやっていきたいからこの人に理事長をお願いするとかというような、そんな話がいろいろあっていいと思うんですが、その具体的な構想というのはどこまで固まっているんですか。
川口国務大臣 これはまさに人事、特に理事長といいますかトップは、外務大臣が任命をするということになっておりますので、適材適所を広く、日本には大勢の方がいらっしゃると思いますけれども、そういうことの中から任命をしたいと思います。それから、いずれにしても、評価をしていくということになりますので、その過程でおのずから任命をした人がふさわしい人であったか、あるいは、その人個人としてふさわしいとしても、その時代に適切であったかということを客観的に判断がされる、そういうことになっていくと思います。
中川(正)委員 例えば、理事長の問題だけじゃなくて、その周辺の、役員も理事長が決めていくという仕組みになっていますよね。特殊法人、今の形態の中でも同じような形だと思うんですね。
 ちょっと聞いてみたいと思うんですが、今、それぞれの組織でほとんどが天下り、私もちょっと数字を持っていたんですけれども今どこか行っちゃったんですが、JICAそれから基金、それぞれ、今の天下りの中身と、それから、例えばこれが独立行政法人になったときにもその役所の人間を今の頭数だけやはり使っていくという意思がありますか、ありませんか。それとも、変えていこう、これはやはり民間をもっと、それにふさわしいというか、能力のある人とさっき大臣の方から話が出てきましたけれども、そういうふうに積極的にこれからはその周辺の人事をしていこうというような意思をお持ちですか、どうですか。内部の議論ではどうなんですか、それぞれの総裁、理事長。
川上参考人 先ほど大臣からも御答弁がございましたように、理事長自体は主務大臣が任命する、理事等役員は理事長が任命する、こういうシステムになるわけでございます。
 したがって、役員の任命というものは、基本的にもちろん新しい理事長が御判断するということでございますので、今の時点で私の意見を申し上げるのはまことに妥当ではないと思いますけれども、あえて御質問ということであれば、やはり基本的には、先ほど大臣がお答えになりましたように、官民から広く、独法の業務の運営に最適で、かつ不可欠な人材を選定するという基本方針に尽きるのではないか、私はそのように思っています。
藤井参考人 国際交流基金の場合には、理事が二名減るということになる予定でございます。
 その後の人事がどうかということにつきましては、私がここで、この段階で云々すべきことではないと思いますが、いずれにしましても、先ほどから申し述べましたように、国際交流基金は、国際文化交流の使命を自覚して、三十年たちましたけれども、この独立行政法人化を非常に大きな契機として改革をしていきたいというふうに思っておりますので、その精神の中で人事も行われていくというふうに思っております。
中川(正)委員 わけのわからない答弁をうまくやられましたけれども、だから、これは精神が浸透していないということなんですよ。
 これまでも主務官庁は、大体、全体の半分以上の理事を送ってはいけませんよということがあった。だから、あちこちでたすきがけでそれぞれやってきたというような実績も踏まえて考えていったら、これだけ国民世論の批判があって、かつ、今度は独立行政法人ということで衣がえをする、その改革の論議が高まっているというときに、このときこそやはりはっきりとそれぞれの責任者というのは意思表示すべきですよ。そこのところをもう一回私は指摘をしておきたいというふうに思います。
 今度呼び出されるときがあったら、はっきり言ってください、やりますということですね。その心意気が大事なんだというふうに思う。でないと、運用の中でだれも信じない。新しくなったというけれども、これまでと同じことをやっているじゃないかというふうに言われてしまうということを警告しておきたいというふうに思うのです。
 その上に立って、この際、大臣、ガイドラインをつくりませんか、納得のできるような、具体的な人選についての大臣としてのイメージがわいてくるような。こんなふうに新しい人材を募っていきますよ、天下りだけですべてを解決するというふうな方法はとっていかないということがよくわかるようなガイドライン。どうですか。今すぐということでなくてもいいから、はっきりとそういうことを打ち出しませんか。
川口国務大臣 私は、適材適所ということが大事であると思います。そして、適材適所の人材が選ばれたかどうかということは、その後の評価の段階できちんと見える形で評価がされる、そういうのが独立行政法人であると思っております。
 ガイドラインをつくるかどうかということは、中川委員の御示唆でございますので、そういうことがいいかどうかということは私なりに考えてみたいと思いますけれども、そのときのガイドラインの内容というのは、天下りといいますか、国家公務員であった人が何人とか、そういう外形的な話ではなくて、どういう資質の人間がそのポストにふさわしいか、そういうむしろ資質に関するスペックということだと私は考えております。
中川(正)委員 では、そのガイドラインを楽しみにしております。
 次に、国際交流基金と事業団のそれぞれ個別の問題に一つ二つ踏み込みたいのですが、交流基金は、もともと、これは政府だけが資金を出資していくということではなくて、民間の中でしっかりとこれを支えていくという前提で進めてきた。ところが、結果的には民間が乗ってこなかったわけですね。独立行政法人化してもそういう前提でこの基金というのは運営をされていくんだろうと私は思うのです。民間からやはり資金というのは努力をして確保していくべきだ、その中で独自の事業をと、こういうことだと思うのです。独立をしていくということはまさにそういうことなんだろうというふうに思うのですね。
 そこのところについては、これは、川口大臣、そういうことでいいんですか。
糠澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今の御質問は、基金成立当時からの問題で、民間からもっと資金を得たらいいじゃないかという点に関連するかと思いますが、当時から問題となっていたのは、その当時は出資という形で民間から資金を受けたいということだったのですが、出資だと税制上の優遇が受けられないのです、後でお金が返ってくるものですから。
 そういうわけで、これからは、新法の方は出捐という方向で、寄附の方向で民間からなるべくお金をいただきたい、それでもって事業をなるべく、財政上の非常に窮屈なところを少しでも補いたいというふうに今考えているわけです。御存じのような現在の経済事情だとなかなか難しいかと思いますけれども、それでも何とか知恵を絞ってその方向に努力したいというふうに考えております。
中川(正)委員 そこで、さっき一番冒頭で申し上げたとおり、民間でやっていく部分と、それから、こうした公の関与でないと乗っていかない部分、あるいは国家戦略に基づいた形で重点的にやっていく部分、こういうのを区別して考えていくときに、私の目から見ると、いわゆる基金の主体的な事業と、それから補助金を出すような形でやっていく事業等々を含めて、そしてまたその中に、民間ベースでしっかりと立ち上がってきて、私も中を知り過ぎているから言いにくいんですけれども、中には事業そのものを民間に丸投げしちゃって、こっちは金を配っているだけだというような、そういうたぐいのものも相当含まれているだろうというふうに思うのですね。
 そういう意味での整理というのは具体的にはもっともっとできるというふうに思うのですけれども、その上に立って、さっき、縮んでいくような話がありました。予算も組織も合理化していこう、縮んでいく努力をしようということもありましたけれども、そのときの前提としては、事業そのものは、民間で乗っている話も、それぞれ活発に動き出しているものも含めて、もっともっと広げていかなければならないという、何といいますか、期待感というのはこれはずっと続いていくし、もっと大きくなっていくんだろうというふうに思うんですね。それに対して、ただ縮む話ではこれは話にならない。
 だから、組織は縮むけれども、その資金の使い方と、それから、いわゆる基金の方から民間に渡していく事業、これについての戦略というのはやはりもっとはっきりと打ち出してもらう必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。そこのところを具体的に、この事業とこの事業は、そうした意味ではもう民間でいいんじゃないか、うちから切り離してもいいんじゃないかというふうなものがあれば、ぜひ話をしていただきたいというふうに思うし、そのことをもってさっきの縮んでいく話を説明しないと、これはただ合理化をしていくという話だけで終わってしまうというわけにはいかないというふうに思うんです。これは、私は応援しているんですけれども、どうですか。
糠澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生が申されたような精神は私どもも同じでございまして、政府からいただく予算というものを非常に効率的に使う、それをまたいろいろな、それに適した民間の団体、個人を利用してといいますか、活用していろいろやっていくということは、私どもも日ごろから考えているところであります。
 予算上のいろいろな制約がますます厳しくなっていく以上、そういうことをしなければ基金としてもこれから生きていく道はないので、また外務省としてもそういうふうに考えております。
中川(正)委員 ここでも同じような話で、そういうことを考えていますというだけで、具体的なものは出てこない。やはり法律がもうここまで来ているんですから、そういうのは具体的に、みずからが発表して、こんなふうに変わっていきますということを、やはり説明責任がありますよ。そのことも指摘をしておきたいと思います。全然具体的な議論が見えてこないじゃないですか、私たちがこの法律を審議しようとしている最中であるにもかかわらず。ということでありまして、非常にその辺は不満といいますか、十分にこの法律が生きるのか、死んでいくのか、その判断ができないということも指摘をしておきたいというふうに思います。
 次にJICAの方なんですが、これを改めて聞かせていただきます。
 さっきもちょっと話を出したんですけれども、ODA、この議論が、今、見直し議論というのは外務省の中ではどこまで行っているんですか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 ODAの改革について、いろいろと御指摘、御提言いただいておりまして、それらを受けまして、現在、外務省といたしましては、この七月にODA改革・十五の具体策というものを発表しておりますし、また八月末には行動計画というものを発表いたしておりまして、その骨格は、情報公開等の透明化、評価・監査の強化等の効率化、さらにはNGOとの連携強化等の国民参加という三つの点に重点を置きまして、可能なものから実施をしていくということで着実に進めてきているところでございます。
中川(正)委員 本当にわからないですね、さっきの説明では。わからないですね。
 もう少し具体的に、大臣、説明をしていただけますか。
古田政府参考人 具体的な現在の進行中の改革の中身について御答弁申し上げます。
 一つは、先ほども申し上げました監査でございますが、ODAのそれぞれの仕組みについて、JICAも含めまして外部監査を導入するということで順次進めてきておるのが一つでございます。それから、抜き打ち監査ということで、円借款あるいは無償につきまして、サンプリングによる外部監査の導入ということで、現在一部実施に入っております。
 それから、評価という点につきましては、第三者の視点を入れた事後評価の徹底ということで、今年度からすべての案件の事後評価に第三者の視点を入れるということで徹底しつつございます。それから、外部の有識者から成る評価委員会を設置いたしまして、それぞれODAの政策の評価の議論を現在始めたところでございます。それから、評価をするに当たりましては、我が国の中だけではなくて、被援助国の政府でありますとか国際機関との連携、相互評価ということが重要でございますので、このために、ワークショップを行ったり、合同評価セミナーを行ったりということで、そういった関連機関との連携の中での評価の充実を図っているところでございます。
 それから、NGOとの連携につきましては、NGOと外務省の定期協議というものを逐次行いつつございます。また、途上国の現地におきまして、我が国大使館とNGOあるいはODA実施機関等の連携ということで、いわゆるODA大使館と言っておりますが、十カ国において定期の協議会を開始したところでございます。
 それから、NGOの能力形成あるいはその活動の支援という観点から、本年に入りまして、日本NGO支援無償資金協力でありますとか、草の根技術協力でありますとか、そういったものを導入いたしております。それから、人材の発掘、育成という観点から、国際協力の人材開発センターをJICAに設置する方向で今検討中でございます。それから、JICAの機関で開発教育のプログラムを実行に移しつつございます。
 あと、情報公開、広報という点では、タウンミーティング等々を行っておりますし、また、透明性の確保という観点からは、特に無償の資金協力につきまして、今、実施の適正会議といったものを立ち上げの準備中でございます。また、環境配慮という観点から、JICAの環境ガイドラインについて現在改定作業を進めております。
 以上のようなそれぞれの措置を鋭意やっておるところでございます。
中川(正)委員 これは以前から議論が重ねられてきたところでありますが、それの縦割りの中でそれぞれが、戦略的な使い方をせずに、勝手にODAという手段を使って各省庁が、外務省だけじゃなくて、各省庁がやってきた。これについては、この際に一本化をしていく、その中で特にJICAというのを機能的に使っていってはどうかという、そんな議論があったはずなんですけれども、これについてはどのように議論が収束をされつつありますか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 ODAの政策を進めていく上で各省庁の連携というのは非常にかなめでございまして、政府全体として局長ベースの連絡会議がございますが、そのもとに、現在、技術協力についての連絡会、資金協力についての連絡会、そして評価についての連絡会ということで、横の連携をとりながら、それぞれの分野での協力を深めているということでございます。
 JICAと技術協力との関係で申しますと、先ほども御答弁申し上げましたように、JICAの技術協力はあくまで政府ベースの技術協力でございまして、政府ベースとしては連携をとって、戦略なり方針なり、あるいは政府対政府の合意を連携の中で形成していく、そしてその実行をJICAに一本化をしてお願いする、こういうことでやっておるわけでございます。
 今回の法律改正に当たりましても、この辺の考え方を各省庁ですり合わせをいたしまして、さらに連携を強化していく方向で考えておるところでございます。
中川(正)委員 なぜ、例えばJBICと一緒にしていってはどうかというふうな発想が出てこなかったんですか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 JBICにつきましては、御案内のように、旧輸銀とそれから海外経済協力基金が合体したわけでございまして、片や円借款、片やOOFという、金融、融資の世界の業務をやっていただいておるわけでございます。一方、JICAは技術協力機関でございます。
 これらをどのように整理をしよう、どうするかというのは、いろいろさまざまな議論があろうかと思いますが、現時点では、私どもとしては、JBICの世界とそれからJICAの技術協力の世界とは一応組織的に分けて考えていいのではないか、資金協力と技術協力を分けて考えてもいいのではないかというふうに考えております。
中川(正)委員 これは逆だと思うんですよ。分けて考えたらだめなんですよ。どういう根拠で分けて考えていくべきなんだというその話が出てくるのか、これはわからないところですね。
 JBICだけじゃなくて、そうした意味での戦略的な組織というのを再統合していきながら、システム的な議論ができるような環境をつくっていくというのは、この際に一番大事なことであったろうと思うんですよね。それをさっきのような話で切っちゃったら、ODAというのは、どこまで真剣にその改革が戦略的に考えられているのかということになるでしょう。大臣、どうですか、ここは。
川口国務大臣 JBICにしましても、それからJICAにいたしましても、それぞれが実施をする機関でございます。そして、その実施をする機関という意味でいいますと、JBICは資金を貸し付けたり金融を行うということでございますし、JICAという意味では、技術の面でさまざまな分野でのエキスパートが必要であったり、性格が異なっているということが一つあると思います。
 それからもう一つ、両方とも経済協力を実施する機関であるという意味では共通でございますけれども、余り形が、組織が大きくなっていくということが果たして適切かどうかという判断もあると思います。
 いずれにいたしましても、どの国にどういうような経済協力をやるのか、これを資金協力の形でやるのか、贈与という形でやるのか、あるいは技術協力という形でやるのか、こういったことはまさに政府の政策判断の問題である、そういうことだと思います。JBIC、JICAはそれを実施する機関、そういうことだと思います。
中川(正)委員 大枠のフレームと、現場に行ってプロジェクト単位で、このプロジェクトをどう立ち上げていくかというのは違うんですよ。今、JICAの方からも一番最初のころに指摘がありましたけれども、現場主義でいくというのは、プロジェクト単位の中で、トータルでどう立ち上げていくかというふうな議論を大切にしたいというふうに、私はこれまでの議論から酌み取ったんです。
 そうなると、何が大事かといったら、そうした資金と技術がトータルな形で戦略的に使えるという環境があるかないかで、えらい違いになってくる。それをもう一回外務省まで戻そう、あるいは各省庁まで戻そうという話じゃないと思うんですよ、今度は。中期計画を立てていって、それなりのものを任せていこう、プロジェクト単位はもう任せていこう、そういうシステムになるということであれば。ここも私は前々から非常に矛盾を感じていたところでありまして、やはり、そういうところまで議論は進めた上でこういうものは出してくるべきだというふうに思います。そうした戦略手法がないということをまず指摘しておきたいというふうに思うんです。
 もう時間も迫ってきましたので、最後に、石原さん、済みませんでした、座りっ放しで出番がなくて。
 こういう議論を聞いていただいて、感じていただいたと思うんですが、これは中身をしっかり考えていない、みんな。枠づけだけおりてきて、それを自動的にというか、そうなるんだろうというような形でしかとらえていないということは、こうして一つ一つ具体的に話を聞いていくと浮き彫りになってくるんですよね。これは、聞いていて非常にもどかしい思いをされたんだろうというふうに思うんです。そこのところ、どうですか、このままでいいんですか。
石原国務大臣 二つのことを実は感じさせていただきました。
 一つは、十二月の整理合理化計画で、どういう事業を縮小しろとか、どういうところにわかりやすい形で、国民の皆さんにわかる形で情報公開しろとか、あるいは、先ほど来話題になっています文化紹介事業、人物交流事業等についても、財政上の事情から縮小はするけれども、しかし、本当に必要なところにどういうふうに割り振るのか、そういうところは実は各府省にお任せせざるを得ない。
 しかしながら、法案を提出はいたしておりますけれども組織がまだ現行組織であって、話を総じて聞いておりますと、質問のあったことは、移行するまでにやっていきますよ、あるものについてはと、そういう御答弁が多かったと思います。それは移行期間であるのでいたし方ないとしても、例えば、参与会議というものがあって、改革のフォローアップをしているんですけれども、その中でも意見が出ているんですけれども、財政の要求に、一つとってみても、改革の意思というものがなかなか伝わってこないという厳しい御指摘も、実はフォローアップ機関からいただいております。
 委員のわだかまり等々も、まさにこの参与会議で出た有識者の方の御懸念、あるいはもどかしさと非常に似ていたのではないか。私も行革相でございますので、今後どういう形で、この二つの、きょうは主に国際協力機構と国際交流基金のお話でございましたが、国民の信頼にたえ得る組織に変えていくことができるのかをこれからも見守ってまいりたい、こんな感想を持たせていただきました。
中川(正)委員 最後に私の感想を申し上げて質問を終わりたいと思うんです。
 まず、国家の意思ありきだと思うんですよ。この独立行政法人、あるいは、改革をして、それぞれの組織にどんな戦略を持って業務をなさせるべきか、この意思表示をやはり外務省のサイドからはっきり出してこないとだめですよね。これがないままに、矮小化されたというか、頭数をどれだけ減らすんだ、どれだけお金が節約できるんだ、どれだけ透明性が発揮できるんだというふうな話だけで終わってしまうということが残念でならない。
 これは一つのモメンタムなんですよ。我々の、組織の中身、機能をどう変えていくか、どう前向きに持っていくかというモメンタムであって、これを使って、それぞれが独自性を持って起き上がってこないと本物にならないということだと思うんですよ。それを今改めて確かめさせていただいたようなことなんですが、どうも外務省のサイドの話が煮詰まっていない、これは。本当に煮詰まっていないですよ、はっきりしていないですよ。そのことを指摘させていただいて、私の質問を終わります。
保利委員長 次に、上田清司君。
上田(清)委員 大臣の皆さん、御苦労さまです。遅くまで恐縮ですが、しばらく御辛抱いただきたいと思います。民主党の上田清司です。
 独立行政法人が話題になったのは、橋本内閣のときにさまざまな形で議論が行われました。その当時の行政改革会議の審議の記録を改めて読み直しました。識者からそれなりの論点がいろいろな形で出されております。とりわけ、三分類で基本的には独立行政法人を分けたというふうに私は理解をしております。議論もそうでありましたが、国家公務員型、非国家公務員型、そして、何らかの形で今述べた二つは財政的な支援を含めたさまざまな国の関与があるんですが、もう一つ、全く国が関与しないで独自にやっていくという仕組みを考えておった節があります。
 ところが、さきに先行されました五十七の独立行政法人は、御承知のとおり、一つを除いて全部国家公務員型であります。しかも、この手の世界は、しばらく国会で活動させていただきまして大体わかりました、基本的には改革するたびに焼け太りをする、こういう性格を持っているなということを何となく思っておりましたので、昨日も山井議員が披露させていただきましたけれども、私なりの問題意識で、多分この五十七の独立行政法人はいろいろなところで焼け太りするだろうという認識を持っておりました。もう石原大臣も御承知のことだと私は思います。橋本当時の総理が、あるいはその後小渕内閣で行革担当大臣としてこの任に遂行されたときに、このようなことを想像されていたかどうか。
 例えば、この五十七の独立行政法人が、人員が新規に約千人近く採用される、また、退職金だけは公務員型ではなくて特殊法人型で、一カ月置きに退職金をつけていく、こういう、日本の民間社会どころか、世界じゅうどこにもない考え方であります、一カ月置きに退職金をつけるというのは。特殊法人にやっている方式をこの五十七の独立行政法人にそのまま使っておる。したがって、今後つくられる独立行政法人も、特殊法人からの横滑り、認可法人からの横滑り等々ありますので、同じようなことが行われるだろうと思わざるを得ません。
 先般から石原大臣も、三割退職金カットしましたとか、それから一割給与をカットしましたと言っておられますが、一カ月置きに退職金をつけるような世界というのは、ここだけしかないんです。それをまずなぜやめないのかということを、私は、大臣がリーダーシップで、まさに政治の決断で、一カ月置きに今までは百分の三十六ついてきますから、三カ月たてば一年分の給与の退職金がいただけるんです、委員長。今度は百分の二十八に切りかえた。これは世界にないんです、こういう組織というのは。こういうことを平気で続ける。
 公務員だったんですね。後でまた申し上げますが、例えば、経済産業省の対外政策の責任者の審議官、公務員だったわけですね。それが独法になって、今度は理事長として就任された。途端に一カ月置きに退職金がつくんですよ。公務員のときには年数に退職金がつくわけですね、御承知のとおり。それは、民間企業でも年数に退職金がつくんですから、どこもそういうのをとっても悪くないんですが、私は、この点からまず一番最初に切り込まなくちゃ話にならないと思っておりますが、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 上田委員の御指摘にはいつもこうべの垂れる思いがするわけでございますけれども、百分の三十六を百分の一ポイントずつ削れ、削れ、削れと言って百分の二十八にして、これじゃ世間様の御納得が得られぬぞと事務当局にも申し述べているところでございます。
 そしてまた、月々というのはなぜかと私も考えてみました。これは在職期間がきっと短いからなんですね。ですから、二年と四カ月とか、調べますと、そういう中途半端な、中途半端という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういう取り組みがなされている。
 次回は、百分の一みたいなみみっちいことを言わないで、委員のお考えを体して改革に当たらせていただきたいと考えております。
上田(清)委員 御承知のとおり、例えば財務事務次官が不祥事か何かでやめます。そうすると、三カ月ぐらいしたら、ほとぼりが冷めたら、どこかの政府系金融機関とかに今度は総裁で、あるいは副総裁で天下りをされます。そうすると、既にいる人に出ていってもらわなくちゃいけない。三年の任期の予定だったものが、どうかすると一年と八カ月。そうすると、一年で計算していくと八カ月分がもったいないということでこういう方式を編み出した。しかし、もう既に公務員として退職金をいただいた方です。そういう人たちが渡りながら巨額の退職金を今せしめていくような時代なのかどうかということについて、明確に政治のリーダーシップで私はやめるべきだ、こんなふうに思っておりますので、多分橋本元総理もそういう意向があったんじゃないかということで、委員長にお願いしたいんですが、ぜひこの委員会で、小渕内閣でも行革特の大臣をやられました橋本元総理を参考人としてお呼びいただき、そして陳述をしていただきたいというふうに思います。よろしく取り扱いをお願いいたします。
保利委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
上田(清)委員 ありがとうございます。
 そこで、実は、この五十七の独立行政法人を、既に先行されましたこの部分を幾らか分析することによって、これからの独立行政法人がより立派なものになっていくだろうということを前提に、少しおさらいをさせていただきます。
 この中で、実は、行政改革会議で議論がありました中では、例えば農水省の所管の家畜改良センターとかは、非公務員型で、しかも一切面倒を見なくてもいいだろうという第三種の分類に値していた話でありました。それから、文部科学省所管の教員研修センターや国立青年の家、国立少年自然の家、こういったところも実は非公務員型で分類されていたんですが、はっと気づいてしまうとみんな公務員型になってしまっている。もともと公務員だった人たちが公務員でなくなるという話が日本の社会ではなかなか難しいことかもしれませんが、実は、この行政改革会議の議論の中ではそういう分類の仕方も出ておりました。しかし、現実にはそういうふうにならなかった。
 しかも、何度も申し上げますが、私も各省庁にお願いをして、全部どういう人員配置になったかどうかということも確認させてもらいました。
 経済産業省を例にとらせていただきます。例えば産業技術総合研究所、これは旧組織のときが三千二百四十二人、発足時に約二百人ぐらい残して三千五十四人。しかし、発足時及び発足後の新規採用数が百九十五人、約二百人近く新規に採用させて、現地に、本体の方に二百人ぐらい残しているということですから、合わせて四百プラスということになっているんですね。ざっと言えばですよ。こういう仕組みを幾つもつくっているんですね。
 例えば、貿易経済協力局、貿易保険関連部門のいわゆる日本貿易保険という独法をつくったときに、これも、旧組織の人数は百九十一人だったのが、発足時は百二十二人。七十人減ったな、こういう感じでありますが、新規に三十九人採用しております。七十人残して四十人採用すれば、結果的にはどういうことかというと、ふえているということになりますので、すべてとは申し上げませんが、過半が水増しをして組織として大きくなっている。
 当然これは運営費の補給金を予算で計上しておりますので、むしろ独法になって政府の資金の負担がふえたという認識を私はとっておりますが、石原大臣はどのような認識でしょうか。
石原国務大臣 ただいま上田委員が御指摘されました五十九法人は、RアンドD関係、先ほども御答弁させていただきましたけれども、行政の機関を切り取って独法化した組織でございます。当然、行政の機関でございましたのでボードもない、その結果、役員数がふえるといったような大きな弊害が出ておりますし、ただいま委員が御指摘されましたように、実質人員というものもふえているものを発見することもできるわけでございます。
 しかし、独法にしたことによりまして、その適正人員が本当に適正なのか適正じゃないかということを、残念ながら発足時にチェックすることはできませんでしたけれども、それが必要だということで人員が増加されているからでありますが、三年、五年の見直しのとき、成果というものを外部評価にさらすわけでございますし、企業会計で今度は見ていくことになります。
 そのとき、今委員が御指摘されましたように、国庫からの補給金がふえているような事態、さらには成果が上がっていないというような事態が発覚したら、その理事長さんの首は飛びますし、職員の数も減額していかなければやっていけないというフォローアップは仕組ませていただいております。その点については、これからも厳しく目を光らせていかなければならないと考えております。
上田(清)委員 今の具体的に挙げました経産省の所管の産業技術総合研究所の理事長の本給が百六十五万六千二百五十円という、事務次官よりも多い。特殊法人は、御承知のとおり、最高職は事務次官の報酬を超えないことということになっておりましたが、この独立行政法人は逆にふやしております。これは、独立行政法人の評価委員会の評価でどういう評価をしたのか、あるいは行革担当大臣のところにありますところの独立行政評価委員会の方ではどんな評価をしたのか、この経過を石原大臣に御説明していただきたいと思います。(石原国務大臣「個別ですので」と呼ぶ)
 わかりました。結構です。では、経産の担当者、政務官ですか。
桜田大臣政務官 吉川さんの場合は、東大総長をお迎えしたので若干高くなっております。
上田(清)委員 そうすると、基本的には前の職務に合った給与を出すというのが評価でしょうか。
桜田大臣政務官 これは評価委員会で適切な評価を得て、これが妥当だという結論に基づいて行われております。
上田(清)委員 評価委員会の議事録の開示をお願いしたいと思います。委員長、よろしくお願いしたいと思います。
保利委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
上田(清)委員 政務官、評価委員会では評価された。しかし、政治のリーダーシップという形ではどういう評価をされたんですか。
桜田大臣政務官 評価委員会の中身は、よく吟味してやっていることと思いますので、それはそれなりにいろいろな角度から検討された結果だということを思っております。
上田(清)委員 私の質問の意図がわからなかったみたいですが、そうは言っておりません。評価委員会の中身はもう聞きましたので、評価委員会が決めたことを追認するのであれば、政治は必要ではありません。政治としての評価はどうなされたのかということを聞きます。
桜田大臣政務官 政治の判断は長期的に見てなされなきゃならないということでありますので、短期的にこれがこうだと早急に結論を出すのは不適切だと思っております。
上田(清)委員 なかなか時間がもったいないんですが、ちょっと先を急ぎます。
 それでは、ちょうど桜田政務官が出られましたので、物にはついでというのもありますので、一、二、聞きたいと思いますが、ジェトロ、大変有名な機関であります日本貿易振興会。戦後一貫して日本の輸出をふやすために非常に努力した機関だというふうに私は理解しておりますが、これは個別でございますが、今度は独法になる。特殊法人だったのを独法にしたわけですが、どこがどう変わったんでしょうか。
石原国務大臣 中のディテールの部分は経済産業省からお聞きいただきたいと思うんですが、やはりポイントは、特殊法人の抱える弊害というものをどういうふうに除去していくのかということにこの独法の仕組みがあるわけでございます。
 これはもう上田委員も既に御承知のことだと思いますけれども、今御議論のありました第三者評価のありよう、そして中期目標をつくるということ、さらには企業会計を入れることによりまして、その資産の内容あるいは業務実態の現況、さらには、委員が先ほど御指摘されたような政府からの補給金の実態、こういうものがすべて期ごとに明らかになる。それによりまして、私たちは、これまでなかなか接することのできなかった法人の業務の実態というものに触れることができる。すなわち、国会、国民が、財投によって運営されている機関をより監視することができる、こういう大きな変化があるんだと私は思います。
 ジェトロがその中でどういう改革を行う決意を持っているのか。こちらの方で何を見直しなさい、かにを見直しなさいということはもう既に御提示させていただき、整理合理化計画の中に示されておりますが、それを一体実際にどのように履行しているかという点につきましては経済産業省の方からお答えさせていただきたいと考えております。
桜田大臣政務官 ジェトロの変わったのは、輸入促進をするためにいろいろな制度を変えたということでありますし、対日投資を向上させるため、それと中小企業の支援策とその向上のためにやっております。
上田(清)委員 それは別に特殊法人でもできるじゃないですか。輸入促進は特殊法人のときからやっておりました。中小企業の支援もやっておりますね。だから、別に変わらない。特殊法人がなぜ独法になったか、なぜ独法にしなくちゃいけないのか、どこが変わったんだと。
 我々は、看板のつけかえにしかすぎないじゃないかと。いろいろ言われていますよ。今度はちゃんと中期目標とかそういうのを立てるようになったと。では、日本政策投資銀行が中期目標がなかったかというと、あったわけですよ。特殊法人だってあるんです。ないわけないんです、一つの企業体としてやっているわけですから。
 あるいは、いろいろ言われていますよ。何か突然、特殊法人には何もなかったと書いてありますよ。会計は公会計、業績目標なし。業績評価、特殊法人なし、独法はある。それから、組織・業務の見直し、独法はある。見直し制度なし。制度はなかったかもしれないけれども、特殊法人だって見直しはずっとやってきたんですよ。だから、都合のいいときには何もなくなっちゃった、特殊法人は。
 特殊法人だって立派にやっていたところもあるわけですよ。旧開銀とか、いっぱいお金をためちゃったわけですよ。北東公庫なんかいっぱい赤を垂れ流ししたけれども、いろいろあるんですよ。日本輸出入銀行なんというのは、世界に冠たるちゃんとした企業ですよ。それは、OECFなんかだらしなかったけれども。特殊法人だっていろいろあるんですよ、きちっとやっているところもあれば、きちっとやっていないところ。それを全部、何か一括的にどんと看板がえしているように私には思えるから、あえて、では、どこをどう変えたんですか、どこがどう変わるんですかということを確認しているんですよ。
桜田大臣政務官 特殊法人と認可法人は、民営化あるいは廃止をすることを原則としていて、廃止できないものについては独立行政法人にしたわけであります。
上田(清)委員 委員長から御指摘した方がいいかと思いますが、答弁になっておりません。
保利委員長 桜田政務官に申し上げます。
 答弁は質問に正確に答えてください。
桜田大臣政務官 わかりました。
 独立法人にした場合、現時点で民ができる仕事を行っている、一つ目はそうですが、責任の所在が不明確であるとか、不必要な組織、業務が見直されず、事業運営が不透明といったような障害が起きているということが認識されております。
 そしてこれを、これから国の関与を最小限にして自律性を高める一方、経営責任の明確化、役員報酬も業績主義で、低業績なら解任をする、そういうことができることになっておりますし、二つ目は、目的管理と厳正な外部評価を行うことも、そして、業務を三年、五年ごとに定期的に見直す、それと、企業会計を原則として財務諸表を公開するなどの透明性を高めるということになっております。
上田(清)委員 政務官、ジェトロというのは余りにも有名な組織だし、我々のところにも業務報告書や、あるいはさまざまなレポートをしばしば配付していただいております。勝手に配付されているのか、意識的にされているのかわかりませんが。いずれにしても、それぞれ、輸出振興からスタートして、最近では輸入振興の仕事が多くなっていますし、世界じゅうの情報をそれなりに収集し、的確にレポートにまとめている組織だというふうに、私は実はそれなりに評価をしております。
 ところが、独法になって、よりその機能を強化しているのか、それとも変わらないのか。今見直すと言われましたけれども、見直しているから中身を変えてきているんですよ、当然。それから、当然、評価も、会計検査院もちゃんと検査もしますし、何よりも我々国会が評価もしているわけですよ。
 だから、特殊法人として廃止するのか廃止しないのかとかということも含めて、特殊法人として廃止する必要がないという判断をされたから独法だという議論が本当に正しいのかどうか。では経産省に引き取るとか、実はそっちの方が総合的にできるとか、そういう議論だってあると思うんですよ。
 独法になって、本当にどこがよくなったのかということを、たまたまジェトロという余りにも有名な組織ですから、わかりやすいと思って私は聞いているつもりです。
桜田大臣政務官 ジェトロは、現場に近いところで作業ができるということと、受益者負担をとるということでございます。
上田(清)委員 いえ、ちょっともう時間がもったいないので。
 やはり結果的には個別法案ですので、ここでは一括で法案審議をしている形ですけれども、事実上個別法案で出ておりますので、これは担当の答弁者というのは相当責任を持ってやっていただかないと、これではまともに審議ができるのかという議論になりかねません。大変反省、猛省をお願いしたいと思います。
 持ち時間が終了しました。外務大臣には申しわけありません。では、私も一点だけ。
 先ほどいい質疑を中川議員がしておられたと思います。ODAの中身としての独法化が、自主裁量が逆にマイナスになるんではないかという議論をされていたように私は伺いました。
 そこで、例えば、国際交流基金にしても、あるいは国際協力事業団にしても、独法になって本当に何が変わるのか、キーポイントだけ教えてください。
川口国務大臣 非常に大きな質問を最後になさいましたので、簡単にお答えができるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、組織のあり方からいえば、独立行政法人になって効率化が進んでいく。自主裁量権が高まって効率化が進み、情報開示が進むことによって、競争といいますか、効率的な予算の使用が行われる。そして、中期目標を達成したかどうかについてはきちんと評価が行われて、したがって、その評価でいい評価がなければ、それを運営してきた経営陣といいますか、理事長、理事については、人事の問題といいますか、解任とかあるいは給与が減るとか、そういったペナルティーがかかる。そういうことで、組織としての運営についてはきちんとなされる、より効率的に透明でなされる、そういうことでございます。
 それから、政府にとって重要な、あるいは国民にとって重要な外交目標をどうやって実際の現場に移していくかということの観点からいきますと、これは国がきちんと目標をつくっていく。外交目標に照らした経済協力のあり方、国際交流基金ですと文化交流ですけれども、そういったことをつくる。それを中期目標というプロセスを経て、それぞれの組織の中期計画に翻訳をしていって、それを実際に実施していく。その結果、それぞれの国の持っている外交目標がきちんとなされるか、組織によって実施に移されるかということについては、これは中期目標という過程、あるいは人事のペナルティーということで確保していくということでございます。
 それから、緊急に外交上の目的で何かが必要であるということであれば、これはちょっと今何条か覚えていませんけれども、外務大臣がそれぞれの組織に対してそれを言い、組織は特別な理由がなければそれを受けなければいけないということで担保されている、そういうことでございます。
上田(清)委員 時間が来て申しわけありません。
 外交政策は、中期、長期の政策目標があるので、何がいいか悪いかということを大臣といえどもなかなか評価するのは難しいので、事実上のペナルティーはそういうところでは難しいんじゃないかなというふうに私は思います。それから、倫理観やあるいは法律に違反することは、従来の法律や従来のものでペナルティーを出すことはできますので、本当にどこが変わるのかということがわかりません。むしろ、何か特殊法人廃止が先にあるので、何でもいいから数をそろえて独法化してしまえ、理屈は後からついてくる、こんなふうな印象が、私は少なくともきのうときょうだけでいえば感じます。
 ありがとうございました。
保利委員長 この際、政府側に申し上げます。
 政府は、法案の審議をお願いしている立場でありますから、誠意を持ってお答えされる努力をするようにお願いをいたします。
 次回は、明十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時九分散会


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