衆議院

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第5号 平成14年11月13日(水曜日)

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平成十四年十一月十三日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 保利 耕輔君
   理事 伊吹 文明君 理事 熊代 昭彦君
   理事 虎島 和夫君 理事 山本 幸三君
   理事 伊藤 忠治君 理事 金子善次郎君
   理事 山名 靖英君 理事 東  祥三君
      荒巻 隆三君    伊藤信太郎君
      石田 真敏君    岩倉 博文君
      梶山 弘志君    小西  理君
      河野 太郎君    萩野 浩基君
      菱田 嘉明君    平井 卓也君
      福井  照君    増原 義剛君
      松島みどり君    松野 博一君
      宮澤 洋一君    森岡 正宏君
      山本 明彦君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    家西  悟君
      岩國 哲人君    佐藤謙一郎君
      鮫島 宗明君    首藤 信彦君
      田中 慶秋君    永田 寿康君
      長妻  昭君    松崎 公昭君
      山内  功君    山井 和則君
      山元  勉君    桝屋 敬悟君
      丸谷 佳織君    都築  譲君
      樋高  剛君    春名 直章君
      藤木 洋子君    矢島 恒夫君
      菅野 哲雄君    北川れん子君
      重野 安正君    日森 文尋君
      井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進事務
   局長兼内閣官房行政改革推
   進事務局長)       堀江 正弘君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局次長)       熊谷  敏君
   政府参考人
   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君
   政府参考人
   (内閣府北方対策本部審議
   官)           坂巻 三郎君
   政府参考人
   (内閣府道路関係四公団民
   営化推進委員会事務局長) 坂野 泰治君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   稲村 公望君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   杉本 和行君
   政府参考人
   (厚生労働省職業能力開発
   局長)          坂本由紀子君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  真野  章君
   参考人
   (地方公務員災害補償基金
   理事長)         山崎宏一郎君
   衆議院調査局特殊法人等改
   革に関する特別調査室長  遠山 政久君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十三日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     松島みどり君
  谷本 龍哉君     吉野 正芳君
  西川 京子君     森岡 正宏君
  岩國 哲人君     長妻  昭君
  佐藤謙一郎君     松崎 公昭君
  鮫島 宗明君     家西  悟君
  都築  譲君     樋高  剛君
  瀬古由起子君     矢島 恒夫君
  菅野 哲雄君     重野 安正君
  日森 文尋君     北川れん子君
同日
 辞任         補欠選任
  松島みどり君     梶山 弘志君
  森岡 正宏君     山本 明彦君
  吉野 正芳君     荒巻 隆三君
  家西  悟君     鮫島 宗明君
  長妻  昭君     山内  功君
  松崎 公昭君     佐藤謙一郎君
  樋高  剛君     都築  譲君
  矢島 恒夫君     藤木 洋子君
  北川れん子君     日森 文尋君
  重野 安正君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     谷本 龍哉君
  梶山 弘志君     平井 卓也君
  山本 明彦君     西川 京子君
  山内  功君     岩國 哲人君
  藤木 洋子君     瀬古由起子君
同日
 辞任         補欠選任
  平井 卓也君     金子 恭之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人国民生活センター法案(内閣提出第一一号)
 独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出第一二号)
 平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
 独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 独立行政法人国際協力機構法案(内閣提出第一六号)
 独立行政法人国際交流基金法案(内閣提出第一七号)
 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
 独立行政法人日本万国博覧会記念機構法案(内閣提出第一九号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二〇号)
 日本私立学校振興・共済事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案(内閣提出第二二号)
 独立行政法人日本芸術文化振興会法案(内閣提出第二三号)
 独立行政法人科学技術振興機構法案(内閣提出第二四号)
 独立行政法人日本学術振興会法案(内閣提出第二五号)
 独立行政法人理化学研究所法案(内閣提出第二六号)
 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法案(内閣提出第二七号)
 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出第二八号)
 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出第二九号)
 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出第三〇号)
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出第三一号)
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出第三三号)
 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出第三四号)
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出第三五号)
 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出第三七号)
 独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出第三八号)
 独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出第三九号)
 独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
 独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出第四一号)
 独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
 独立行政法人日本貿易振興機構法案(内閣提出第四三号)
 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法案(内閣提出第四五号)
 中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律案(内閣提出第四六号)
 独立行政法人中小企業基盤整備機構法案(内閣提出第四七号)
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案(内閣提出第四八号)
 独立行政法人国際観光振興機構法案(内閣提出第四九号)
 独立行政法人水資源機構法案(内閣提出第五〇号)
 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 東京地下鉄株式会社法案(内閣提出第五三号)
 独立行政法人自動車事故対策機構法案(内閣提出第五四号)
 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――
保利委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長山崎宏一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として特殊法人等改革推進本部事務局長兼内閣官房行政改革推進事務局長堀江正弘君、特殊法人等改革推進本部事務局次長熊谷敏君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、内閣府北方対策本部審議官坂巻三郎君、内閣府道路関係四公団民営化推進委員会事務局長坂野泰治君、総務省大臣官房審議官衞藤英達君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省自治行政局公務員部長荒木慶司君、総務省政策統括官稲村公望君、財務省主計局次長杉本和行君、厚生労働省職業能力開発局長坂本由紀子君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君、厚生労働省保険局長真野章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
保利委員長 内閣府関係二法律案、総務省関係三法律案及び厚生労働省関係九法律案について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
松崎委員 おはようございます。三日目になるそうでありますけれども、大変お疲れのところ、御苦労さまでございます。民主党の松崎でございます。
 きょう、私は、総務委員会関係の質問をさせていただきますが、その前に、既にお話があったと思いますが、私どもの最もこの特殊法人改革に取り組んでおりました石井紘基議員が、先月刺殺されたということでございます。そして、彼が最も熱を入れて、そして、今の国会の中では最も先駆的で、しかも熱心でありました、この公共工事に絡む、あるいは公益法人そして特殊法人、これが彼の一つの大きな仕事であったわけであります。私は、多分、生きていればこの委員会に率先して登壇したであろうというふうに思っております。
 また、昨日行われましたお別れの会で、公団民営化の推進委員でありました猪瀬直樹さんが、自分が今回、今までこの特殊法人改革等で熱心にやってこられたのも、石井紘基議員に触発をされたんだと、六年前でしょうか、そして今日の自分の形があるんだ、そんなことを言っておりました。
 ここに「日本が自滅する日」という、石井紘基さんの最後の本になりましたが、この特殊法人関連では彼は最もたくさんの本を書き、みずから調べた、そして考え方で、今日までさまざまな業績を残しております。ぜひ石原大臣に、この「日本が自滅する日」を読んでいただいたかもしれませんが、石井紘基議員のその思いというものに関して、あれだけ最も熱心だった改革者である石井紘基さんに対する感想を一言、冒頭にお願いしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま松崎委員が御言及された石井紘基議員は、私の選挙区の隣ということもあり、また東京の同じ議員ということで、実は、党派を超えまして親しくおつき合いをさせていただき、また、今般の特殊法人改革をめぐりましては個人的なアドバイス等々もちょうだいしておりました。
 先日、お亡くなりになられた後、秘書をお嬢様がされておりまして、議員会館もお近くだということでお話をさせていただいたのでございますが、お嬢様に本当にかける言葉もない、まさに卑劣なテロによりまして優秀な人材があのように一瞬にして去っていくということに対し、私は、石井紘基議員の特殊法人改革、なかんずく、特にまた天下り問題、子会社の問題等々にも大変造詣の深かった方でございますので、その灯を絶やすことなく、これは党派に関係なく、これからもこの問題に取り組んでいかねばと、今、松崎委員のお話を聞かせていただきまして、改めて痛感させていただいたところでございます。
松崎委員 まさに、党派を超えて日本そのものを改革しなければならないという視点をしっかり持った政治家として、石井さん、我々は民主党といたしましても、彼の残した二十五のプログラムというものもございます、これらを党を挙げて日本の改革のための一つの道しるべにしよう、そんな覚悟でおりますので、ぜひ大臣には、いろいろな抵抗勢力とか言われておりますが、大変困難な政治状況の中で、頑張っていただきたいとは思います。
 さて、それでは質問に入るわけでありますが、この特殊法人改革、さまざまの長い間の行政改革が進み、そしてようやく整理合理化計画まで来たわけであります。今日の歩みはまだまだ緩いかもしれませんが、ようやく改革の入り口が見えてきた、そういう見方もできるわけでありますが、私はいつも少し疑問に思っておりますのは、独立行政法人はかなり新しい形というか、まあ今までの官僚体制の中から風穴をあけたにいたしましても、実は疑問がやはりあるということで、きのう決まりました道路四公団の上下分離の決定ですか、ここでも、独立行政法人となる機構ですか、下を持つ機構、これはやはり政治や行政の介入を招きやすいという懸念を、ああいう会合でもまだしているわけでありますね。
 ですから、特に、独立行政法人の中でも公務員型というものをやはりとらざるを得ないかもしれませんけれども、これはどう考えても公務員型はなるべくなくしていくべきだろう、私はそう思っております。
 今回の法案の中にも三つ公務員型があります。前回はほとんどが公務員型だったんですが、その辺で、私はどうも独立行政法人は極力非公務員型にすべきであろうと思いますが、大臣の冒頭の御発言をお願い申し上げたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたように、先行五十九法人の独立行政法人は、行政の機関を切り取りまして独立行政法人にしたということもありまして、公務員型が大変多数を占めておりました。今回の法律案では、今委員御指摘のとおり、三法人を除きまして非公務員型、こういうふうに設定をさせていただいたわけでございます。
 道路民営化委員会の御議論に御言及をされましたので、若干付言をさせていただきますと、実は独立行政法人というものは、特殊法人の抱える弊害を除去する新しい制度として仕組ませていただいたわけであります。これも二日間の御議論の中で何度もお話をさせていただいておりますが、中期目標の終了時に、所管する主務大臣が法人の組織、業務の見直しを行い、この見直しの中で、この非公務員という身分についても、役職員の身分についても、実は検討すると明言をさせていただいております。
 そしてまた、先般閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二、いわゆる骨太2と言われるものの中におきましても、「平成十四年度から、旧国立研究所など公務員型独立行政法人について、その業務の内容により非公務員型独立行政法人化を進める。」としており、この方針、すなわち松崎委員御指摘の方向で改革を進めていかなければならないと考えております。
松崎委員 なかなかいろいろな抵抗があったり、あるいは生い立ちがあるんでしょうけれども、ここはやはり、改革というのは今までにないことを思い切って実行することでありますから、少なくともこの公務員型か非公務員型かぐらいは、今後の問題でもあります。
 ところで、残りの整理合理化計画にあります法人の中で、今言った公務員型をとるような可能性はあるんでしょうか。あるいは、今後のその計画の、今回残っております、これらはどういう日程で、どういう手順で残りを独法化しようとしていらっしゃるか。
石原国務大臣 ただいまの松崎委員の御指摘は、今回の法案の中で国家公務員の身分を与えた独立行政法人三法人と委員が既に御指摘をされております水産総合研究センター、情報通信研究機構、農業・生物系特定産業技術研究機構を指されての御質問だと承知しておりますが、これらの三法人につきましては、非国家公務員型とした場合に発生すると予想される支障の回避方策の検討等を踏まえつつ、中期目標期間の終了時、すなわち平成十七年度いっぱい、平成十八年の三月三十一日終了時に、非国家公務員型に移行することを基本として、必要な措置をとっていかなければならないと現時点では整理をさせていただいております。
松崎委員 ぜひしっかりとやっていただきたいということであります。
 それから、私は前から、石井さんじゃありませんけれども、特殊法人改革、特殊法人のことを問題にする一番問題は、十三年度予算で見ましても、特殊法人に補助金でありますとか貸付金、出資金、こういうもので約五兆三千億ですね。それから、認可法人、八十幾つかですが、これも二兆三千億。これは両方で七兆六千億でありますね。こういう問題を国民の皆さんに言うとびっくりをするわけです。消費税三%分なんですね。これらが今まで、特殊法人、認可法人だけでもこれだけの予算がつぎ込まれている。役人社会主義国家である、その象徴であります特殊法人とか認可法人、ここにつぎ込まれている。
 今回も実は、昨年独法になった組織を見ますと、五十七で三千四百九十三億でしょうか、交付金関係。もちろん、資本金、今までのものが移ったのかもしれませんけれども、これだけでも一兆七千三百四十六億円、こういう金額になるわけでありますね。
 ですから私は、国民から見て、独法になっていっても、これは当然、政府が関与をしているわけでありますから、こういう交付金とか補助金が入ってくるわけでありますけれども、この辺がいかにしたら自立したものになるところまで持っていけるかどうか、これが大変重要なんであります。ですから、これは渡し切り運営費交付金なんて言われておりますので、渡し切りというのは余りいいイメージありません。片山さんもいらっしゃいますけれども、さんざん去年も郵政省で渡切費なんていって、どうもイメージ悪いんですね。もっともこれは、独法の場合は、ほとんど自由に使っていいですよということらしいんですけれども、やはりこれは税金でありますから、独法になり、緩やかな組織になっても、このチェックというものが非常に大事だろうと思っております。
 しかしながら、これは評価制度がありますから、チェックは毎年やっていくと思うのでありますけれども、この辺、私は、緩くなって、今までのかたい行政スタイルから変わっていくにしても、たったこの五十七法人だけでも三千四百九十三億入っている。この辺のことをどうやって、いわゆる役所の形での評価制度になるわけですから、国民はなかなかわかりづらい。これをもっと開示していく、その方法というものを何か考えていらっしゃいますでしょうか。石原大臣にお願いします。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘をされました三千数億円の補助金等々の問題、さらには特殊法人の形態に平成十三年度ベースで五兆三千億円のいわゆる税金による形を変えた補助金が支給されていた問題、私も、この仕事につかせていただきまして、金額の多さに、委員は合わせまして消費税三%とおっしゃられましたが、私は、すぐ頭に浮かんだのは、防衛費およそ五兆円でございますから、それだけのお金が財投資金とは別につぎ込まれていることに愕然としたということでは、委員と全く同じでございます。
 その補助金、もちろん特殊法人、これもここ二日間の御議論の中で出てまいりましたように、設立する意義、民間法人ではなすべきことができない、行政の出先として仕事をアウトソーシングの形で代行してきた中で、必要性があったからこそ、そこに幾ばくかの金額、大変巨額ではありますけれども、流れていた。それが本当に有効に使われているのかどうかということを厳密にチェックしていく。これまでは情報公開も不徹底でございましたけれども、情報公開法の設定によりまして、そしてその後、おくれましたけれども、特殊法人もこの情報公開の対象となりまして、実態というものが明らかになってまいりました。
 また、会計の方法にしても、公会計でございますので、松崎委員も企業の経営者でございますから御承知のことだと思いますが、民間の企業会計と照らしても、この公会計というものはかなり不透明なものがございます。これもまた、行政コスト計算書という形で、一段進んで、民間会計に近づいてはまいりましたけれども、それでもまだまだ十分実態を反映しているとは思えない。
 そして、独法では、企業会計原則を中心にして、若干公的な部分が入りますので会計が若干異なりますけれども、ほぼ民間の企業会計に等しい形でその独立行政法人の経営の実態というものが国民、国会に明らかになりますので、委員御指摘のとおり、評価機関もございますし、情報公開もされておりますので、問題点があればこれまでよりもかなりスムーズに問題点を改革していくことができるものと考えております。
松崎委員 頑張っていただきたいと思います。
 それでは、総務省関連に入りませんと時間がなくなりました。
 まず、平和祈念事業特別基金に関しましてお聞きをいたします。
 これは戦後処理に関係するものですから、極めて慎重に扱わないといけないと思ってはおりますが、戦後五十七年でございまして、そして、恩給欠格者とか抑留者、シベリアの方、こういう方にいろいろなことをされている。慰藉をしている、あるいは銀杯を上げる、そういうことも非常に私は重要だと思います。
 しかし、もう五十七年たっておりまして、しかもこれは申請主義でやっておりますから、実際に見ますと、恩給欠格者百七十三万人対象ということでありますけれども、未請求者がまだ百三十一万人もいるということで、どんどん高齢化が進むわけであります。
 私は、この精神は大事ですから、やることはやった方がいいと思う。しかし、これはそろそろ、いつまでもだらだらやっていますと、人数はそう多くないんですけれども、いかにもこの組織を維持するためにやっているのかなというふうな誤解も招くくらいの状況であります。また、シベリアの関連でありますと、昨年は申請者ゼロなんですね。未請求者が十六万も残っているということになったわけです。ですから、この辺、これはいろいろ自民党さんにとりましては票田にもなると思いますから、なかなか切れないのかもしれませんけれども、私はもうそろそろ、この二、三年で一遍にやる、そしてこういうものは早く解散する。そして、いわゆる展示でありますとか、戦争の悲惨さ、こういったものを展示したりする事業、これは政府が一元化するか、あるいは地方自治体にそれぞれ特色のある形でやってもらうか、私はそんなふうな整理の仕方が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今、松崎委員お話しのように、戦後といいましても大変遠くなりましたですね。そういうことで今のような御指摘があったんだと思いますけれども。
 しかし、そこそこにやはりまた申請が出てくるわけでございまして、御承知のように、基金が行う書状等贈呈事業につきましては、平成十三年度では一万件を超えている。それから今お話しのように、恩欠の関係の未申請者がまだ六十五万人おるんですね。それをやめてしまうということは、なかなかそういう観点からいうと私は難しいと思いますけれども、今お話しのように、今後は国民の理解を得る方向で、より適切なことがあれば方向を変えていくということも検討するべきではなかろうか。
 今お話しのように、地方団体が独自に地域性に基づいていろいろなことを考えたらどうかと。いろいろな展示事業なんか、御承知のように地方団体がやっておりますので、そういうことを含めて幅広に今後検討していくべき問題ではないかと考えております。
    〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
松崎委員 このやり方でいけば、それはいつまでもになっちゃうんですよね。でも、もう戦後五十七年たっているわけですから、もし引揚者で当時ゼロ歳の方も、もう五十代後半なんですよね。
 そうすると、どう見ても、本当にいい意味で戦後をきちっとするという意味でも、私は、単年度じゃ難しいかもしれませんけれども、二、三年を集中期間として、ここでやはり申請していない方にも一度アプローチをして、要らないよという人もかなりいると思うんですね。これはやはりはじいて、必要だという方に差し上げる。そういうことで、こういう慰藉の問題はそろそろ決着をつけていく。そしてこういう組織は解散をさせていく。そのかわり、先ほど言いましたように、展示関係というのは公でやっていく。私はそれが大事だろうと思いますよ。
 それで、この独立行政法人というのは、これはそういう意味では、あと平成十八年にもう一回見直しをして解散をという方向ですから、あえてそれを意識して独立行政法人という形にしたと解釈してよろしいんでしょうか。
片山国務大臣 今、認可法人という形式をとっておりますので、特殊法人の整理合理化計画の中で、この基金も独法化を考えろ、こういうことで検討いたしてまいりましたけれども、委員お話しのようないろいろな問題点があることは確かでございますので、いずれにせよ、独法というのは、評価委員会が評価をする、絶えざる見直しをやるというところがかつての特殊法人と違うわけでありますから、そういう評価委員会等の御意見も踏まえながら、今後の方向については考えてまいりたいと思っております。
松崎委員 そういうわけで、私どもの政党といたしましては、今のような方向で、これは独法というよりももっと早い解散に向かっていくべきであろう、そんなふうに思っております。
 続きまして、地方公務員の災害補償基金というのがございます。これは地方公務員の災害等の、いわゆる民間でいう労災なんでしょうか、これが、今回は国の関与をどんどん外していったということによりまして、この独法という形なんでしょうか。――あ、独法じゃないんですね、これは。これはちょっとよくわからないんですね。地方共同法人というのはどういう法人なんでしょうか。
石原国務大臣 松崎委員、まず地方共同法人がどういうふうなものかということを答弁させていただき、総務大臣から個別の法人について御答弁をさせていただきたいと思います。
 地方共同法人というのは、行革の理念であります、地方に任せられることは地方にという趣旨に即した形で、言葉を簡潔に申しますと、国が関与するまでもないが、かなり公的な分野、地方に関係する分野で何らかの地方の関与というものが必要なこと、すなわち、地方公共団体による意思決定等々を通じまして地方の実態に応じた業務運営が可能となる組織として、地方公共団体が主体となって運営する地方共同法人というものを組織させていただいたところでございます。
片山国務大臣 今石原大臣もお答えになりましたけれども、地方団体共通の利益となるような事業について何らかの形式が考えられないかと。今ないんですね、ないから特殊法人的なことにしていると。この際、そういうふうな地方がみんな集まってやれるような仕組みをつくろうではないかというのが地方共同法人でございます。
 我々の念頭には、この地方公務員の災害補償の仕事と、それから、例えば、これは国土交通省の所管でございますけれども、今の下水道事業団というのも、地方が事業を委託するんですね。そういうことでございますが、こういうものも地方がみんな集まって共通の事業としてやる法形式を整えたらどうだろうか、こういうことで地方共同法人制度というものを考えまして、そのいわば典型的な例としてこの地方公務員災害補償基金をそれに当てはめよう、こうしたわけであります。
松崎委員 新しい制度ということで、これはしかし、法的な根拠はほとんど、全くないということでありますが、今後はこういうものが相当出てくるのかなと。
 そうなりますと、通則法だとか法的な根拠が多少必要なんではないか、そんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 そういう意見も確かにあるわけですから、我々としては、研究会をつくりまして、将来、この災害補償基金だけじゃなくて、どういうふうに考えるかを検討したらどうだろうか、こう思っております。あとどれだけどういうものが出てくるか、今の段階では我々としてもはっきりとした想定を持っているわけじゃありませんけれども、そういう仕組み、通則法的なものについての検討はする必要があるんではなかろうかと思っております。
松崎委員 国の関与を一生懸命外しているという点では評価をしているわけでありますけれども、また、これは、地方の団体も、地方もいろいろな外郭団体への天下りが中央と同じように、私も県会議員をやっていたことがありますので、本当に多いんですね。市は少ないんですけれども、県は多いですね。
 これも、今度は地方三団体の方からの天下りになるんでしょうか。今までは国が関与していたので、皆国から天下りやっていましたけれども、今度は地方の上の方からの天下りということになるんでしょうか。
    〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 今回の改正で、この基金の理事長及び監事の任命は地方団体の代表者から成る代表者委員会で行う、こうなっておりますから、代表者委員会が適切な人選をすると思いますけれども、単純などこかの地方団体の天下りなんということにはなかなかならないんではなかろうか、適切な人選を代表者委員会でお願いいたしたい、私はこう思っております。
松崎委員 続きまして、独立行政法人通信総合研究所法、この問題に移りますが、これは二つのものを一つにしていくわけでありますが、通信・放送機構の廃止がよくわからないんですね、廃止の部分と存続の部分の線引きの基準。これは、私はもっと民間に任せることができる部分が相当あるんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。
片山国務大臣 我々はどう考えるかということでございまして、平成十三年度十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画においてこのTAOという通信・放送機構の事業については、民間に委託できるものは民間に任せよう、その限りではやめようということで、衛星管制業務を廃止する、それから助成について、通信や放送事業者に対する助成等については、実績がないかまたは極めて少ない事業や一応目的を達成したようなものについてはやめよう、こういうことでございまして、先ほども言いましたが、衛星管制業務の廃止と実績がない債務保証事業、利子補給業務、出資業務等について廃止をいたした、こういう線引きをいたしたわけであります。
松崎委員 投資でありますとか債務保証、こういうものは私たちは政府系の金融機関で引き継ぐことができると思っているんですよ。ですから、どうも何としても少しでも残していきたいということで、民間に移したりなくすという方向で今回この二つを統合するという方向ではなくて、確かにこの分野は先端的な、また研究開発等非常に難しい分野はありますから、一定の公が関与するのは当然でありますけれども、もう既に民間の力というのはどんどん進んでいるわけでありますから、私は、その辺で、債務保証でありますとか交付金、助成金、助成金交付ですか、こういったものは政府系金融機関でも十分できるんではないか。
 そういう意味で、今線引きがどうなっているのかなというふうにお聞きしたわけでありますけれども、今言ったような特に通信・放送機構が持っていたかなりの部分、そして、これがまた存続するもの、私はそういう仕切りをするべきではないかと思いますけれども、さらにいかがでしょうか。
片山国務大臣 今まで他の政策金融機関ではなかなか対応してもらえなかったものをやってきたんですね。特に、通信・放送事業者について一般的に全く他の政策金融機関の対象にならないか、これはあるいはなるかもしれませんが、よりきめ細かくいろいろな助成を、特にこの機構ができた設立の目的からいいましても、そういうことをやっていこうということで今日までまいったわけでございますけれども、必要がなお残っているものについてだけ残していく、それ以外はやめよう、こういうことでございますが、政策金融機関全般について今経済財政諮問会議等で議論しておりますから、そこでの結果を待って、あるいはさらに検討を加える、こういうことはあり得ると思っております。
松崎委員 ぜひそういう方向でやるべきであろうと私は思います。
 それから、この法人に関しまして、既に独法になっております研究所、そこに一体化させるということでありまして、人数的には少ないのはわかるんですが、この通信・放送機構が逆に公務員型になってしまう、今まで非公務員型だったものが公務員型になっていくということ、これはどう見ても私は、冒頭にお話しした独法の持つ今後の方向性からいっても非公務員型が常態になっていくわけでありますが、ここで人数が少ないとか、同じような機構、共通項があるからというだけで公務員型に戻すということは、私はちょっとこれ、非常におかしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今、松崎委員言われましたように、今もう独法になっております通信総合研究所、これは公務員型ですね、もともと国がやっておったことをこの研究所はやっておったわけでありますから。それと今回の通信・放送機構を統合するものですから、全体としては公務員型、こういたしました。
 人数も、この独法の通信総合研究所の職員が四百二十二人で、この通信・放送機構の方が五十五人でございまして、業務も圧倒的に既に独法になっているものの方が多いものですから、小さいものの方に引きずられて非公務員型というのはなかなか仕事から見てこれは難しゅうございまして、とりあえずは抱えたもの全部を公務員型にして、四年後の全般の非公務員型移行の際に十分検討していく、こういうことにいたしたわけであります。
松崎委員 ですから、通信・放送機構というのはかなり、将来、将来と言われますが、今やったってできないことはないんであって、そういう業務は政府系金融機関とかそういうものに移していく、そして、これは公務員型の方に吸収はしていかない、そういうふうに私どもは考えておりまして、ぜひそういう方向でやるべきであろうと私は思っております。
 時間になりました。今回、私どもはこの独法に関しましてもそれぞれ一つ一つ厳しく当たっていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。
保利委員長 次に、長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
 今も話がありましたけれども、石井紘基議員が書いた本、「日本が自滅する日」、そこに二十五の日本を変えるプログラムがありまして、それを石井プログラムというふうに名前をつけて、実行に向けて我々は取り組んでいきたいというふうに考えております。この委員会で議論が出ている話のほとんどすべては、その二十五の石井紘基議員が提言をしたプログラムの中に網羅をされている問題でございますので、ぜひ皆様方も御協力をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 そして、石原大臣にお尋ねしますけれども、政府が検討しているというふうに聞いておるんでございますけれども、官僚の退職金の問題でございますが、我々もかねてより指摘をしておりましたけれども、天下りをしたときに二重取り、三重取りになる、こういう問題が指摘をずっとされていたと思うんですけれども、それをやっと政府が規制をしていこうというような案があるというふうに聞いておりますけれども、これは、例えば独法や特殊法人に天下った後、また退職する、その期間も在職期間と同じに合算をして、お役人、官僚をやめるときに退職金を支払わないで、そういう天下り先をやめたときに合計で合わせて払う、こんなような案だというふうに聞いておるんですが、そういう案でよろしいんでございますか。
石原国務大臣 大筋ではそういうことなんですが、若干違いますのは、公務員制度改革大綱、昨年の十二月二十五日に閣議決定をさせていただいたのでございますが、そのとき、独法等々への公務員出身者の就任については、役員出向の道を開き、その実際の運用に当たっては、短期在職について厳しく対応し、なお、役員出向によらない場合と均衡を失しないような制度を構築するという整理の中で、独立行政法人等への役員出向制度を、現在、詳細を詰めているところでございます。
 簡単に申しますと、各府省への復帰後に、役員期間を通算して一度だけ退職金を支給することとし、法人出向の際、これまでですと、公務員として退職金をもらっていたんですね、そして法人をやめるときまたもらっている、こういう二重取りをやめまして、公務員としての退職手当並びに出ていった法人の退職金は支給しない、そういう仕組み、六十歳でやめるときに一回だけ普通の民間と同じようにもらうという仕組みを、現在、具体的に検討している最中でございます。
長妻委員 これはやはり、そのスケジュール、期限がない約束というのは約束じゃないわけでありますので、めどとしてはいつまでに実施をするということでございますか。
石原国務大臣 先ほど公務員制度改革大綱、昨年の年末に決定した閣議決定の案文を御紹介させていただきましたが、今年度末に、役員出向制度は、公務員制度改革大綱という形で公務員制度改革、抜本改革の中に組み込ませていただきまして、可及的速やかに実施をさせていただきたいと考えております。
長妻委員 それとあと、特殊法人だけではなくて、民間とかあるいは公益法人に天下るケースも多いわけでございますけれども、そのときにまた退職金、お給料が非常に高額になってしまうという指摘がある。そして、割り増し金という問題がありまして、定年より前に早期に退職する慣例があるわけで、そのときに逆に割り増し金を支払う、こういう制度にも今メスを入れるということだと思うんです。
 いずれにしても、公益法人とか民間企業との給料を合算して、それで二重取り、三重取りの非難を受けないよう、その範囲を公益法人、民間にも広げていく御検討というのはぜひしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
石原国務大臣 公務員の天下りの問題、また、昨日も大変議論になりました、今言われたような法人、公益法人、特殊法人、民間会社をぽんぽんぽんと渡り歩くようないわゆる渡りの問題、特殊法人、特殊法人という渡りは禁止されておりますけれども、大変こういう問題についてはセンシティブであり、国民の皆様方の批判が大変強いと私も承知しておりますので、ただいま長妻委員が御指摘されましたことは参考にさせていただきまして、十分検討していきたいと考えております。
長妻委員 そして次に、今皆様にお配りをした資料、一枚の資料があるのでございますが、これは、政府保証がついていない民間からの融資残高、これが一千億円を上回る特殊法人のベストテンといいますか、ここに十一の特殊法人がありますけれども、これは平成十二年度末の融資の残高でございますが、これは当然、こういう特殊法人は民間から融資を受けている。そして、政府保証がついている融資もあるわけでありますけれども、それはこれは除外しておりまして、政府保証がついていない融資。普通は政府保証がついていない融資でありますから。
 こういう特殊法人が破綻をするなり、お金が返せなくなった場合には、金融機関にお金が戻ってこないということがあるわけで、政府がよもやその肩がわりをするということはないはずなんですけれども、銀行等の話を聞きますと、いや、政府保証がついていない融資でも、特殊法人が借りるものは、変なふうになっても、返せなくなっても、一〇〇%国が面倒を見てくれるんだから、もうどんどん貸しているんですよ、こういうようなお話をする金融機関があるわけでありまして、それが非常に、融資をばんばん受けるような形になり、放漫経営の引き金になっているのではないかということがあるんです。
 一度ここで、ぜひ石原大臣に宣言をしていただきたいのは、これは当たり前の話なんですけれども、政府保証のついていない民間からの融資というのは、仮にこういう特殊法人が返せなくなっても、政府が肩がわりするということはこれはもうあり得ませんというふうに、改めて宣言をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
石原国務大臣 この問題は、実は財務省の所管の問題でございまして、私が答弁をする立場にはないと思っておりますが、政府の債務保証というものは、一般的に私は禁止されていると解釈をしておりますし、業務運営上特に必要な場合に限って、かなり限定して行われていると承知をしております。
 今、この数値を見せていただきましたけれども、例えば本四架橋公団には一千五百億を超える融資がなされ、さらには、私募債という形で一兆五千億、出ているわけです。
 こういうもののありようについて言及をすることによってスプレッドも変わりますし、地元金融機関の経営にも多大な影響を与えるということで、私は発言を慎ませていただいております。今の問題につきましては、財務大臣にお聞きいただきたいと思います。
長妻委員 これは質問通告をしているはず、しているはずというか私が直接政府の控え室に通告をしておりますので、お答えをいただきたいと思うのでございます。
 そうすると、今の冒頭の発言で、所管は財務大臣でしょうけれども、行革担当という御立場で、御感想でも結構なんですけれども、政府保証がついていない借り入れというのは、政府が肩がわりすることはないということは、これは当たり前だと思うんですが、その確認はそれでよろしいということですか。
石原国務大臣 先ほども申しましたように、大変センシティブな問題を含んでおります。委員の御指摘は、政府保証がついていない特殊法人に対する融資について国が肩がわりをするのかしないのか、端的に言うとそういう御質問だと思うんです。
 やはりこれは、一義的には、財政当局が決め、国会の議というものを経るということもあるでしょうし、感想を言えということであるならば、絶対に保証するということはないのではないかと私は思いますが、最終的には、センシティブな問題があると一例を出させていただきましたように、ケース・バイ・ケースで判断するということになるのではないかと思います。
長妻委員 やはりこれは重要なのは、例えば独立行政法人が破綻をするときはどういうようなスキームで破綻をするのか。逆説的に言うと、そういう破綻は、こういう形になったならばこういう形で破綻ですよというそのプロセスが明らかになることによって経営が健全化をしていくというふうなこともあると思うんですけれども、独立行政法人が破綻をする、この破綻処理のプロセスというのはあらかじめ今考えておられるのですか。
石原国務大臣 これもケース・バイ・ケースだと思います。すなわち、特殊法人が独立行政法人に、特殊法人の弊害を除去する形で転換をしていくものについて例を出してお話をさせていただきますと、特殊法人は、発散はいたしますけれども、パブリックカンパニーでありますから倒産はしない。それは、本四架橋公団が債務超過状態にありながら、役職員の給与が支払われ、通行どめになることもなく、民間に転売されることもなく存在していることがすべてを物語っているのではないかと思います。
長妻委員 これは、やはり個々のケースを、破綻処理を、破綻のスキームを議論しているとなかなか時間が難しいということもありますので、これは独立行政法人をつくった後、本当は今ここで審議をするべきだと思うんですが、こういうふうにしたら破綻なんだ、そして破綻後の処理はこういうスキームですよというのを、統一的な基準をつくるべきだというふうに思うんですが、そういう御検討はいかがですか、始められることについて。
石原国務大臣 不測の事態に陥る前に事前の方策を考える、また、不測の事態に陥った場合の方策を考えるということは、一般論としては、私は委員の指摘のとおりだと思いますが、現在の公会計、あるいは一歩進んでおります行政コスト計算等々で、発散状態にあるから破綻処理をしようとする法人、また並びに、これから仕組んでいく独立行政法人に、そういうものは今の段階ではございません。
 しかしながら、独立行政法人は、これは委員も既に御承知のことだと思いますけれども、原則企業会計、こういう整理をさせていただいております。なぜ原則がつくかといえば、これは民間企業ではなくて公がやらなければならない仕事でありますので、民間企業に全く準則できるものがないということでございますので、その中で実態が明らかになり、委員の御議論がこれからの俎上に上がってくる。それにはもうしばらく、会計が出ておりませんので、私も何とも言うことはできませんし、現段階では発散状態にあるものは見受けることができないし、これからもないことを望んでいると申し述べさせていただきたいと思います。
長妻委員 そして、天下りの問題でありますけれども、大臣、独立行政法人化した後、今回審議している法案が通って、めでたくすべてがこの案どおりに独立行政法人等に仮になった場合に、天下りの数というのは、例えば年間ベースで見るともちろん半分以下になるというのは、これはもう間違いないということでございますか。
石原国務大臣 人数が幾つになるのかということは、法律がまだ成立しておりませんし、わかりませんが、委員の趣旨というものは十分理解できますし、これは総理が御答弁をもう既に月曜日にされておりますけれども、独立行政法人の長は主務大臣が、その他の役員は法人の長がそれぞれ任命するけれども、適材適所で、民間からもすばらしい人に来ていただきたい、このお言葉に尽きるんだと思っております。
長妻委員 これは国会でやはり石原大臣が宣言をしないと、野方図な状態になる可能性があると思うんですね。
 そういう意味では、今私は半減と言いましたけれども、そうしたら、もうちょっと緩やかな質問にしますけれども、独立行政法人等になったら、天下りの人数は一年間で今よりは減る、これは絶対もう常識だ、そうしないとおかしいと、これは宣言していただくのは全く差し支えないと思うんですが、いかがですか。
石原国務大臣 この点につきましても、昨日お話を申し述べさせていただきましたように、今度の独法化に当たりましては、法定数で四割、常勤数で二五%役職員の数を減らしますので、ポストが減るということは、その分は、全員がさらに公務員の方の天下りになるということは総理の御答弁からも考えられませんので、かなりの数、減るということだと思います。
長妻委員 そして、次に国民生活センターの独法化の件の質問をさせていただきます。
 国民生活センターというのは、やはりほかの特殊法人とちょっと性質が違うところがある。日本の行政は、消費者側に立った行政組織というのが今ほとんどない。その中で、国民生活センターというのが一つ消費者の信頼を得ている組織ではないかというふうに考えております。
 一つは、国民生活センターの業務の縮小というところで、直接相談、直接国民生活センターが国民の皆さんから受けている相談は段階的に縮小する、こういうようなことがありまして、現実的に非常勤の職員がどんどん減らされていくというようなことが予想されているわけであります。
 今、国民生活センターの直接相談というのは電話が殺到しておりまして、ほとんどつながらない。私も何度か電話してみましたけれども、ほとんどつながらない。国民生活センターが受ける苦情のナンバーワンは、電話がつながらないということだ。こういう何というか皮肉な話が起こっておりまして、直接相談を減らすというのは、仮に国民の皆さんに、もう国民生活センターに電話しないでください、こういうふうなアナウンスして、これはやっちゃいけないことですけれども、そういうふうにして減らすのならばそれは業務は減るんでしょうけれども、国民の皆さんにはどんどん電話してくださいというアピールをして、そして相談員が減ると、さらに電話がつながらなくなるわけでありまして、そういう意味では、段階的に減らすという手法はおかしいのではないのかというふうに考えるんですが、いかがでございますか。
根本副大臣 長妻先生のただいまの御質問にお答えします。
 昨日は、財金で御質問をいただきましたが、きょうは、私もこの問題を大臣にかわって答弁をさせていただきます。
 ただいまの問題でありますが、基本的には、今回の消費生活センターの見直しに当たっては、ゼロベースから見直しを行いました。現在、消費者から寄せられる苦情相談、これは、実は大半が住民に身近な行政主体である市町村や都道府県の消費生活センターにおいて受け付けと処理が行われております。これは長妻委員も御存じのことだとは思いますが。一方で、国民生活センターにおいても、従来から消費者からの苦情相談を直接受け付けております。
 今回の整理合理化計画では、消費者の苦情相談に関して重複行政を避けて、消費生活センターの中核機関としての機能に国民生活センターは重点化しよう、実はこういう基本的な考え方に立ちまして、直接相談は段階的に縮小して、最終的には地方公共団体の設置する消費生活センターからの経由相談に特化しようという意味で、段階的に縮小ということになりました。
 段階的に、実は今年度から縮小したわけでありますが、半減ということでやりましたので、現実に、長妻委員からお話のあったような状況、私もそれは承知をしております。
 ここは、長妻先生から話があったように、ことしから実は半減したものですから、今自治体の方の消費センターの方でも、前は国民生活センターと自治体の消費センターに相談をというふうに書いてあったんですね。ことしから実は、自治体の方のお近くの消費生活センターに相談をください、こういう広報を今ことしの四月からしているんですが、それがまだ十分に浸透していなくて、今年度につきましては、長妻先生のおっしゃったような状況が残念ながら生じております。
 基本的な理念としては、我々、国民生活センターは自治体の消費生活センターからの経由相談に特化しよう、こういう基本的考え方でやっておりますので、そこは十分に広報、PRをしながら、基本的には、身近な自治体で直接相談は受け付けていただくということで対応させていただきたいと思っております。
長妻委員 いずれにしましても、経由相談にしても、直接よりは地方で手に負えないものが上がってくるわけで、難易度が高まるということで、それはむしろ人手がふえる、とられるということもありますから、例えば、事業費を一律に減らすのではなくて、経由相談に特化するのであれば、むしろ事業費をふやして非常勤職員をふやす、こういうような御検討もひとつ選択肢の中に入れていただきたいと思うんですが、いかがでございますか、予算の件ですが。
根本副大臣 予算を拡充して充実する、それも私は大事なことだと思いますが、やはりこの行革の魂は、必要なものは今回ゼロベースで見直して、国あるいは公的に必要なものは必要なものとしてきちっとやろうと。一方で、その意味で効率化も図ろうということでありますから、長妻先生の御指摘の点については、経由相談で出てくるテーマというのは、金融商品や電子商取引などの極めて専門的な事項、あるいは広域的な消費者問題でありますから、実はこれは専門的な知識が非常に不可欠、その意味では弁護士などの専門家の活用、それから現状の体制でも、国民生活センター、新たな国民生活センターとして新たな役割で生まれ変わるわけでありますから、研修の充実等によって職員の一層の能力向上を図るという中で対応していきたいと思います。
長妻委員 それと、この国民生活センターの理事長さんが、これはずっと経済企画庁からの天下りの方が、今現在もそういう方が理事長をされているんですが、やはり国民生活センターの理事長さんは、せめて弁護士さんといいますか、公募も含めて外部から登用をするということがふさわしいと思うのでございますが、それは、ぜひ副大臣、それが自分もふさわしいと思うということをここで言っていただくと歯どめになりますので、ぜひ一言お願いします。(発言する者あり)
根本副大臣 私の権限外だという話がありましたが、そのとおりだと思います。
 いずれにしても、やはり国民生活センターは消費者側に立った組織なので、消費者行政に精通していることが必要でありますし、大事なのは、きちんとした高度な知識や経験を有すること、私はそれの方が大事だと思うんですね。そういう面から、幅広く適材適所の観点から人事をやるべきだと私は思います。
長妻委員 これは責任者は内閣府ですから、副大臣が人事もできると思うんですけれども、こういう宣言を国会の場で、歯どめをつくっていただくと、一つの野方図なところがとまるわけでありますので、ぜひ、思い切った答弁をどんどんしていただきたいと本当は思います。
 国民生活センターの点で、あと一点だけなんですけれども、この国民生活センターの法律の中の業務として、あっせん業務というのは法律の中に書いてないんです。今現在は基本的にはこれを準用して、あっせんの業務も国民生活センターはやっているようでありますけれども、そうすると、このあっせんの業務は独法になっても今までどおり続けるということでよろしいんでございますか。
根本副大臣 法律上は、現在の国民生活センター法と同じように、「国民生活に関する国民からの苦情、問合せ等に対して必要な情報を提供する」、実はこれは、前回の国民生活センター法でも今回の独法法案でも条文は変わっておりません。
 従来の国民生活センターでも、この情報提供、苦情、問い合わせに対しての必要な情報提供という中で、先生のおっしゃられたあっせんを行ってきているんですね、事実上のあっせん業務を行っている。その意味では、今後も、事実上のあっせん業務を行うことについては全く変わりません。やってまいります。
長妻委員 最後の質問でありますけれども、社会保険診療報酬支払基金でございます。
 これは、レセプトの過払いの問題が、政府も、国保連と合わせて年間一千億円も報酬の過払いがあるということを公式に認めておるわけでありまして、私は、それは氷山の一角だというふうに思います。厚生労働省のOBの方が言っておりますのは、年間九兆円ぐらいの、一年間九兆円ぐらいの過払いがあるのではないかということを厚生省のOBの方が発言をしておりますので、これは莫大な医療費の問題であります。
 そして、その中で一点だけお尋ねしますけれども、実は、これは閣議決定がなされております。平成十四年三月ですけれども、規制改革推進三カ年計画、閣議決定、重いものでありますけれども、保険者によるレセプトの審査、支払いということでございますが、民間業者にレセプトの審査、支払いを委託しなさいと。これは平成十三年度中にしなさい。十三年度中というのはことしの三月末でございますけれども、もうとっくに過ぎていますけれども、それが実現をしていない。
 そして、この中に書いてありますのは、社会保険診療報酬支払基金にレセプトの審査、支払いを委託することを事実上強制している通達、この通達を廃止しなさい、ことしの三月末までに廃止しなさいというふうにここに書いてあるわけでありますけれども、そうすると、民間がレセプトの審査ができて、ばんばん医療費のむだを削れるんですよ、不正も見つけたりできるんですよ。
 ところが、この閣議決定が守られていない。この通達を廃止するということが、ことしの三月末にやるということが守られていないんですけれども、これはいつ、もう本当はあしたにでもやってほしいんですが、守られていないわけですから、では、いつこれは通達を廃止しますか。
真野政府参考人 閣議決定におきましては、実施に当たりまして、公的保険にふさわしい公正な審査体制、それから患者情報保護のための守秘義務の担保というようなことが求められておりまして、現在、その具体的な内容につきまして検討を進めておりまして、私どもとしてはできるだけ早く実施をしたいというふうに思っております。(発言する者あり)
長妻委員 今、こちらからも応援をいただきましたけれども、いや本当に、これは削り屋という仕事があるんですね、言葉は悪いですけれども。レセプトを一回保険者が全部審査をしてもらって戻ってきた、念のためにそういう民間業者に任せて、見て再チェックしてもらうと、膨大な医療費の過払い、払い過ぎというのが判明する。こういうような民間の業者の能力というのは非常に高いわけでありますので、これは廃止するというふうに、閣議決定ですよ、閣議決定を何か軽んじているんですかね。ことしの三月末までに通達を廃止するということですから、ここに書いてあるわけですから、せめて来月中とか年内、そういうめどをちょっとここで話していただかないと、これはもうどうしようもないんですね。年内、せめて年内と言ってください。
真野政府参考人 先ほど申し上げましたように、その具体的な内容につきまして鋭意検討しておりまして、関係方面とも調整をいたしておりますので、できるだけ早く実施をしたいというふうに思っております。
長妻委員 では、そのできるだけ早くという日本語の解釈をちょっとお聞きしたいんですけれども、できるだけ早くというのは、当然、一年というのはできるだけ早くという言葉じゃないですね、日本語で。これは皆さんも同意されると思うんです。できるだけ早くというのは、どうなんですか、二カ月とか三カ月とか、そのぐらいができるだけ早くという言葉の定義でよろしいんですか。
真野政府参考人 私どもでは、先ほど御指摘がございましたように、十三年度中の措置ということでございますので、そういう意味ではその措置になっていないわけでありますから、それを実施するべく今鋭意検討いたしておりまして、そこは関係方面との調整が要りますので、ぜひ実施、早期にということで御理解をいただきたいと思います。
長妻委員 ちょっと何度も聞いて恐縮なんですが、そうしたら、大まけにまけて一年以内、これは間違いないですね。
真野政府参考人 私ども、できるだけ早く、一年というのは、そういう意味では十三年度中の措置ということからおくれているわけでございますので、私どもはそこは十分認識をいたしておりまして、早くやりたいというふうに思っております。
長妻委員 やはり期限のない約束というのは約束じゃないと、これはもう民間では当たり前の話でありますので、国会ではこういうことが幾らでも起こっているわけであります。
 最後に一点なんですけれども、このレセプトの電算化というのも、これは医療費の過払いを防ぐ非常に有効な手だてでありまして、厚生労働省が、平成十六年度中にすべての病院の五割以上はレセプトの電算化をする、平成十八年度中にはすべての病院の七割以上をレセプトの電算化をする。とはいえ、これは民間の病院ですから、強制的に命令してコンピューターを買えというわけにはなかなかいきませんので、今これはスローガンといいますか、そういう目標になっているわけです。
 そこで、一つ提案なんですけれども、インセンティブ制度を入れたらどうか。レセプトを電算化したような病院に対しては何らかの優遇措置を、金銭面でもいいでしょうけれども、そういうインセンティブをやはり与えないと、言うだけでは病院のレセプトの電算化は進みませんので、その御検討をぜひしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
真野政府参考人 現在、レセプトの電算化の普及促進を図るために、レセプト電算処理で用います傷病名及びコード体系を医療用語の標準化に対応したものに見直すということで、システムそのものを利用しやすいようにするという努力と、それから平成十三年度の第二次補正予算、それから今年度予算におきまして、電子カルテシステム導入のための補助と一体的に、地域の中核的な病院などに対しましてこの補助をいたしてきております。
 そういう意味では既に手をつけている、中核的なそういうところから手をつけてきておりまして、今後とも、ぜひ必要な条件整備に努めたいというふうに思っております。
長妻委員 時間が参りました。ありがとうございました。
保利委員長 次に、伊藤信太郎君。
伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎です。
 今度の委員会は特殊法人等改革に関する委員会ということなんですけれども、ここ三日間の議論を聞いておりますと、どうも、むだを省くとか天下りをやめさせようとか、あるいは債務についてどうするかというような議論が中心になっているような気がいたします。
 私は、少し違った角度からきょうの質問をさせていただきたいと思うんですけれども、そもそも改革というものが何かということを考えますと、やはり時代とかニーズに合わせて組織なり運営のあり方というものをそれに合った形にするというようなことではないかなと思います。この御議論を見ていますと、どうもサプライサイドの議論というのが中心になって、クライアントオリエンテッドの議論がないのではないか。つまり、特殊法人は、確かに今、非常に税金を多く使って大変な問題になっているわけですけれども、それ以上に、特殊法人が国民の福利にかなっているか、その福利にかなうような形で質的変換ができるかという議論を私はすべきではないかと思います。
 そこで、私は、幾つかの具体的な例できょうの質問をさせていただくわけでございますけれども、特に教育というものを考えると、定量的といいますか、数字で判断するということがなかなか難しいのではないかなと思うんです。
 それで、特に情報通信が発達してきている今日、放送大学学園が果たす役割というものも拡大しているとともに、質的に変換しつつあると私は思うわけですけれども、今回の改革といいますか変更で、この放送大学学園が特殊法人から特別な学校法人にシフトするということになっておりますけれども、このようなシフトによって、具体的に教育の中身、例えば教員の人事のあり方であるとかあるいはカリキュラムの組み方、それから教育のコンテンツというものがどのような形で、国民のニーズに合うような形で柔軟に、かつ時代に即応して変化できるようになるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
池坊大臣政務官 今、伊藤議員がおっしゃいましたように、学校法人化になることによって質的な変化が見られないといけないと思います。
 今までのような制度的な規制が、例えば、人事、財務で少なくなります。
 また、自主性、自律性が求められてまいりますから、運営もより効率的、機能的になっていくのではないかと思っております。
 また、例えば教育面においてどうかと言われますと、今までの国の承認制度が、教員をお願いする場合にございましたけれども、そういうのがなくなりますから、例えば著名な学者を呼ぶことができる、そしてその方に対してそれ相当の報酬を差し上げる。ですから、やはり内容もそれによって自由に、かつ多岐にわたって、さまざまな先生を呼ぶことによる教育面での自由さ、それからまた幅広いいろいろな機能性というのが求められていくと思っております。
伊藤(信)委員 現代の教育の命題というのは幾つかあると思うんですけれども、一つには、多様なニーズにこたえるという部分があると思うんですね。私も大学教授ですけれども、やはり同じ教室の中にも理解度やニーズの違う学生がいて、そういう学生に対してどういうふうにある程度カスタマーサティスファクションができるような授業内容にするかということが命題ですけれども、放送という形になると、同じコンテンツを広く流すということで、なかなかそれにこたえ切れない部分もあるわけですね。
 一方、今、情報通信というものが発達してきて、インターネットということも、放送大学ではありませんけれども、遠隔教育の中で非常に使われてきている。通信と放送というものが融合されるというこの時代の趨勢の中で、放送大学学園がインターネットということも視野に入れてどのような事業計画をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
池坊大臣政務官 今委員がおっしゃいましたように、インターネットというのは、双方向性のすぐれている大変魅力的なメディアでございます。ただ、今回は改正を行いませんでした。それはなぜかと申しますと、やはりインターネットというのは、中高年層、私なんかは委員よりははるかにインターネットを使うのが下手ではないか、また通信コストを別途負担しなければならない、それから画質の問題等がございます。この放送大学というのは生涯学習機関でございますので、だれでも学べるということをモットーといたしておりますので、今はまだ時期が早いのではないかということでございます。
 ただ、放送大学においては実際にインターネットを使っております。例えば、学生の相談、出願をいたしますときの出願票の受け付け、あるいはまた在学生の履修などは、インターネットを事務的には使っているのが現状でございます。
 インターネットの推移を見ながら、どのように一般国民に普及していくのか、あるいはそれを使うことがどれだけの層ができるのかを見きわめながら、これから考えていきたいと思っております。
伊藤(信)委員 放送大学がやってきた事業というのは大変国民の福利にとって重要な役目でありまして、また、今までに蓄積されたコンテンツやノウハウというものは重要だと思うんです。ですから、これがやはり今後の新しい情報化社会の中で十分に生かされるように、今度の特殊法人改革がさらに有効に活用されることを期待します。
 次に、私は今ここで質問させていただいて、大臣や政務官がお答えいただくということなんですけれども、どなたもそうでしょうが、私はここになぜいるのかとか、なぜ質問をしているのかとか、人によってはつまらなさそうな顔をしていたり、おもしろそうな顔をしている人も少しはいると思いますけれども、そういう、何か人間存在にとって重要な意味づけや感動を与えるというものが、芸術であり文化だと思うんですね。ですから、道路や橋も大事ですけれども、やはり芸術、文化というものが国民の福利にとって重大な役目を持っている、そしてまた、その重要性というのは、二十二世紀に向けて、増大することはあっても減少することはないと思うんです。
 そういう意味もありまして、今度、日本芸術文化振興会というものが独立行政法人になるわけですけれども、条文を見ますと、「業務の範囲」というところ、十四条に書いてあるんですけれども、一項から六項まで見ても、大体、舞台芸術とか伝統芸術、伝統技術、伝統芸能ということだけが書いてあって、現代に生まれているいろいろなメディア芸術であるとか他の分野のことは余り書いていない。一般のところで含まれるという見方もありますけれども、これはどういうことなのか、その辺についての、歴史的経緯も含めて御説明を願えれば幸いでございます。
池坊大臣政務官 日本芸術文化振興は、まず、芸術文化活動に対する援助、そして伝統芸能の保存、振興、三つ目には現代舞台芸術の振興、普及などを行うことによって、我が国の芸術、文化の向上に資することを目的といたしております。
 今おっしゃいましたように、舞台芸術、伝統芸術、そういうのに限られているのではないかというお話でございましたが、特に、伝統芸能の保存とか振興、また現代舞台芸術の振興などにおいては、国立劇場、新国立劇場というのを持っておりまして、それに関連して、歌舞伎だとか文楽、オペラ、ミュージカル、あるいは現代舞踊、現代劇などをいたしております。
 それがなぜか大きく突出して印象として皆様方に受けとめられておりますので、伝統芸能しかやっていないのではないかというような印象を与えてしまうのだと思いますけれども、この劇場の関連事業だけでなくて、芸術文化振興基金というのを芸術文化振興は持っております。ここでは、伝統芸能だけでございませんで、絵画や版画、写真などの美術の展示、映画等の芸術の創造活動、またメディアアートやパフォーマンスアートなどの先駆的または実験的な公演とか展示活動、あるいは文化財を保存、活用する活動など、幅広い活動をいたしておりますので、決して伝統芸能だけではございませんで、いろいろな、すべてを含みました文化芸術への支援を行っております。
伊藤(信)委員 今、政務官の方から映画という話も出たわけですけれども、映画といえば、独立行政法人国立美術館の中にフィルムセンターというのがあるわけですね。ここで映画の保存とかあるいは一般に対する上映活動なども行っているわけですけれども、それと同時に、これは外務省の方でありますけれども、国際交流基金の方で映画を通じた文化交流というのもしたりしているわけです。
 さっきのサプライサイドの話に戻りますけれども、今度、せっかく独法にするときに、今までの主管省庁との関係のみで独法にするのでなくて、もう少し水平的な、有機的な連携の中で、ある意味では合従とか連衡とかいうのも含めて考えるべきだと思うんです。今までですと役所の縦割りの中での特殊法人改革という感じがするんですけれども、そのことも含めて、映画を例にとっていえば、どういう見直しが考えられるのか、あるいは実際にお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
池坊大臣政務官 伊藤委員は映画に大変お詳しく、映画もおつくりになっていらっしゃるので、私などよりはきっとよく御存じでいらっしゃると思います。
 今お話がございましたように、フィルムセンターというのは、昭和二十七年に、東京国立近代美術館の創設のときにその組織の一つとしてでき上がったものでございます。そして、映画フィルムの収集、保存、復元、研究調査あるいは上映などを行っておりまして、ここが映画の中心的な役割を果たしてまいりました。
 これは独立行政法人化いたしましてもこのままの組織を引き継いでまいりますけれども、今お話がございましたように、ここだけでなくて国際交流基金やさまざまなところとの連携はないのかと。これはぜひとも二十一世紀は必要だと思っておりますので、国際交流基金や日本芸術文化振興と連携をとりながら、より一層大きなものにしていきたいと思っております。
 二十一世紀は、「千と千尋の神隠し」じゃございませんけれども、映画、メディアが非常に大きな影響を子供たちにも教育の面でも与えてまいりますし、また、幅広い文化芸術の果たす役割の中でも、人々に感動や共鳴を与えていくと思っております。
 今、文化庁の長官の懇談会として映画振興に関する懇談会というのをおつくりになりました。そこで二十一世紀は日本だけでなく世界との連携の中でどのような映画のあり方ができるのかというのを今検討しているところでございますし、また、予算も映画関係で三十億ほど十五年度は予算要求をいたしておりますので、映画に対する私たちの関心も強いですし、これからより尽力していきたいと思っております。また、文化庁はメディア映画祭なども開催いたしておりますし、いつも大変に力を注いでいるところでございます。
伊藤(信)委員 映画に限らず、今、知財立国ということが言われているんですけれども、どうも知財立国の議論が、どちらかというと工業所有権というかパテントの方に偏っていて、アートとかコンテンツの方が若干軸足からのいているような感じがしますので、少し特殊法人の議論から広がりますけれども、その点も政府に御留意していただきたいと思います。
 さて、今回、特殊法人改革ということで、通則法があるわけでございますけれども、この通則法の第二条に、独立行政法人にするものとして、国がみずから主体となって直接実施する必要がないもの、こういう文言があるわけですね。この直接実施する必要がないものというものはどういうものなのか。そしてまた、それは、だれが、あるいはどういう人間がどういう意思決定で決めるのか。それから、その前段に、国民生活の安定あるいは社会経済の安定等に公共の見地から必要なものと書いているんですけれども、社会経済の安定ということは何を示すのか。これは石原大臣にお伺いいたしたいと思います。
石原国務大臣 今回の改革は、私が言うまでもなく、特殊法人の抱える事務事業というものをゼロベースから見直して、時代に合ったものにしていく。そして、ただいま委員御指摘の、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施することが必要な事務事業であって、国がみずから主体となって直接実施する必要のないもののうち、民間にゆだねないものを独法にするというふうに通則法の第二条第一項で書かせていただいたわけでございます。
 やはりこれは、単純に言えば、資本市場の経済に必ずしもすべて合致しない分野において、ただいま御議論のありました芸術なんかもやはり金銭でははかることができないでしょうし、そういうものがたくさんあるわけであります。教育なんかもそうでしょうし、社会福祉というものもやはり金銭だけでははかることができない。そういうものについて、社会的な人格を持つ独立行政法人という新しい、これまで特殊法人が担ってきた業務を簡素化して、スリムにして、そして必要なものを残すというふうな意味でこの言葉を使わせていただいたところでございます。
伊藤(信)委員 今、大臣は、金銭ではかることができない、別の言い方をすると、市場化原理ではうまくファンクションしないものという意味だろうと思うんですね。
 ところが、一方で、中期目標などを立てて業務評価するときに、定量的なといいますか、ある意味では金銭に換算した評価もするという側面もありますね、このことは矛盾していないか。
 それからもう一つ、定量化できない価値というものをどうやって評価するか。評価する場合に、これは極めて主観的な価値体系によるわけですね。したがって、だれが、どういう意思決定過程で評価するかによって、どの特殊法人が独立行政法人になるべきかどうか、あるいは独立行政法人の運営が評価されるべきなのか評価されないべきなのかという、その判断は分かれるわけですね。ですから、文言で抽象的なこのようなことを書いていっても、実際の運用のときには極めて政治的な、そしてまた主観的な価値判断の分かれるところだと思うんですね。
 その辺について、石原大臣の御見解をもう少し具体性を持ってお伺いできれば幸いでございます。
石原国務大臣 伊藤委員の質問は、日ごろ私が考えている一番難しいなと思われるところに矢が飛んできたというのが第一の率直な印象でございます。
 実は、中期目標を社会的な分野に当てはめていくというのは非常に難しい。例えば、特殊法人改革から一歩離れるんですけれども、公務員制度改革をやっておりまして、能力、実績に合った給与体系にする。言葉で言うのは、中期目標を設定しそれを判断すると言っているのと同じぐらいファジーでありまして、例えば、警察官の方はたくさん検挙したら成績がいい、税務署員の人はたくさん税を取ってきたら成績がいい、これはまさに定量ですけれども、それが本当に人物として、その仕事にとっていいことか悪いことかというのは、またもう一つ物差しがある。
 その物差しをどこに置くのかということ、すなわち、この中期目標の物差しを何にするのか、これは各法人でこれから考えていってもらわなければなりませんし、評価委員会が各府省にできますけれども、その評価委員会の方の今私が申しましたようなメジャーの持っていき方というものによって大きく左右されてしまう。
 ここは、総務省の方にできる親の評価、あるいは内閣の本部にあります参与会議等々で、メジャーのとり方が間違っていないかということを十分に検証していかなければ、一体何のための独法化だということが問われることになるものだと承知しております。
伊藤(信)委員 そこで一つ問題になるのは、それぞれの業務の専門性ということと、それから国民全体が納得できる一般性というもののバランスをどれだけとっていくかというところだと思うんですね。
 例えば、文化芸術に戻りますと、ある国立美術館がある絵を購入してそれを公開した、そのことによってどれだけ国民の心が豊かになったか、むしろ暗くなったかということは、なかなかはかれないですね。それでは、そのことを評価委員がどう評価したかということを親元の方でどう評価するかということは極めて難しいと思うんですけれども、その辺の専門性、定性性というものと、一般性、定量性というもののバランスなりあり方というものはどのような設計図でお考えか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
石原国務大臣 これも大変難しい質問で、お答えになるかどうか心配なんですけれども、実は私、ゴッホの「ひまわり」、これをある美術館が買ったとき、見に行きました。これは有名な作品、子供のころ教科書に載っていた作品ですけれども、それで、おお、すばらしい、これがゴッホの「ひまわり」かといって帰ってきたら、これは贋作じゃないかという話が出たわけであります。その美術館は十数億円というお金をかけてそれを買って、私のような、美術にそれほど造詣のない人間に感動を与えたという事実がありましたけれども、それが真偽のほどが話題になる。
 まさに芸術というものは、見る者によって、あるいは感ずる感じ方によって大きく変わる。この尺度というものを、公共性の名のもとに、あるいは公益性の名のもとに法人が運営していく、マネジメントをしていく、これは非常に難しいことであります。
 そこで、またもう一つ大切になってくるのは、やはり法人の長であり、今度新しくできるボードの面々が、このことを真摯に議論し合って、先ほどのメジャーの話に戻りますけれども、どのメジャーで、どういう尺度で自分たちの仕事を考えていくかということを、これまでのような官庁の就職の、再就職の、すごろくの上がりのところのような感覚をもってすれば、ただいま伊藤委員が議論されたようなものに対する解答は出てこないのではないかと考えております。
伊藤(信)委員 今回の特殊法人改革というものがさらにアバンギャルドな改革になることを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
保利委員長 次に、丸谷佳織君。
丸谷委員 石原大臣、細田大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。公明党の丸谷でございます。
 まず、けさからもお話、議論になっておりますけれども、今回、特殊法人から独立行政法人に変わっていくに当たって、いかに透明性を確保していくのか。例えば、企業会計原則の導入ですとかあるいは情報の開示により経営内容の透明化を図るというふうにあるわけなんですけれども、まず、この原則企業会計ということがどういうことなのか、御説明願いたいと思います。原則ということで、例外があるのか、例外があるとすればどのようなものなのか、この点についてお伺いします。
石原国務大臣 ただいまの丸谷委員の御質問は、これからの独法がどうあり、またどう評価され、どう情報を公開するかという上で非常に重要なポイントだと思っております。
 独法の会計、もう既に五十九の法人が独法化されておりますので、この会計というものは、法人にかかわる財務諸表を、ストックとフローの両面から国民にわかりやすく解説するために詳細に提供する目的から、原則として企業会計原則によるものとしたところでございます。
 しかしながら、これも先ほど来御同僚の議員の中で出てきましたように、株式会社ではございませんから、利益を最大化することがその法人の目的ではございません。すなわち、公共的な性格を有する。今、同僚の伊藤議員の議論の中でも大きな哲学論になった、利益の獲得を目的としないなど、やはり企業会計原則が想定する営利企業とは異なった特性を有する。
 例えばでございますけれども、一つの例を出しますと、運営交付金などについては、収益に振りかえるのが普通でございますが、今回の会計では一たん負債として計上する。独法の特性に応じて、必要な、今言ったような修正を加えた独法の法人会計基準、原則的には委員御指摘のように企業会計原則に準ずるものではございますけれども、一部改良が加えられている。
 なお、今言いました一部改良が加えられている企業会計原則というものを、すべての独法がこの基準を採用していると御理解いただきたいと思います。
丸谷委員 後ほど北方領土問題対策協会について質問させていただきたいと思うんですけれども、例えば、法人ごとにあるいわゆる不良債権的なもの、これについては、やはりこれから一定の基準を設け、処理の仕方あるいは考え方というものを示していかれることとなると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
石原国務大臣 これも先ほどの御同僚の長妻委員との議論の中で出てまいりました。
 現行の公会計を見る限り、不良債権的なるものは存在いたします。ちょっと今手元に数字を持ち合わせておりませんが、数兆円のオーダーで存在し、十二年度ベース、十三年度ベースでもかなりの金額、四兆円程度、たしかふえていたと思います。
 しかし、これはあくまで公会計上の問題でございまして、これからは、独法化されることによりまして、今委員御指摘の企業会計原則で会計がなされていくわけであります。そうしますと、今度は資産というものを時価評価いたします。資産に見合った負債、キャッシュフローに見合った債務、こういうものが明らかになってくると、中にはやはり、委員が御指摘になられましたような、不良債権的なるものと正確なお言葉をお使いいただいているんですけれども、実は民間企業に準拠すると、既に債務超過である、債務超過であるということはすなわち発散状態である、そういうものが出てくる可能性を否定することはできないわけであります。
 そのとき、この超過債務というものを、企業会計原則で処理をしている以上は、処理をしなければならないという問題が発生してくるものだと承知をしております。
丸谷委員 今大臣に御説明していただいた部分は、それは法人ごとのルール決めということになるんでしょうか、それとも、一連の、一定の基準を設けてということになりますか。
石原国務大臣 これは法人ごとに、そういう問題がクリアになり、その問題が出たところで、これは公益法人、一般の株式会社ではございませんので、広くは政府、所管する省庁でこの処理の問題というものが議論され、これは仮定の話ですけれども、その場合は国会の御審議を経るということになるものだと考えております。
丸谷委員 再度御質問しますけれども、例えば、各法人ごとで検討されると。それでは、その責任はどこにあって、どのような議論をされるのか、この点についてお伺いします。
石原国務大臣 これも、実は道路の民営化委員会でも、本四架橋の問題で、債務が確定し、民間企業に準拠するならばもう既に債務超過であり、倒産状態であるということが明らかになりました。
 それでは、この責任はどこにあるのか。計画を立てた人なのか。計画は昭和三十年代の後半に立案され、最初は一本でありましたけれども、これが三本になった。計画を立てた人間が悪いのか、あるいはつくってしまった人間がいけないのか、あるいは誘致した人間がいけないのか、こういうさまざまな責任というものを抱えているんだと思っております。
 新しい独法の設立に当たりましては、特殊法人等の資産、負債を時価評価した上で新法人に、すなわち企業会計原則にのっとった形で承継することになりますけれども、仮に欠損金を承継することになった場合でも、これは安易な国費の投入、すなわち税金の投入というものは行わず、所管する主務大臣並びに新独法が、その業務を確実に実施するために必要な財政基盤の確保を図る観点から、欠損金の処理計画など、具体的な処理政策を策定し、それを着実に実施していくということが、やはり新法人に課せられた、民間法人に準拠しますけれども、しかし市場主義を前提にした営利ではない、公的な性格を有する独法の仕事であると御理解をいただきたいと思います。
丸谷委員 ありがとうございました。
 では、続いて細田大臣にお伺いをさせていただきます。
 独立行政法人化されます北方領土問題対策協会なんですけれども、こちらも、融資業務というのは引き続きなされる部分がございます。業務内容の見直しの中で、融資業務に関しては、市町村に対する融資というのはその使命を終えたということで廃止になるわけなんですけれども、まず初めに、この融資事業では、今日的な重点分野というのは、業務発足当時に比べて意義というものが薄れてきていないのかどうか、この点についてお伺いをします。
細田国務大臣 丸谷議員お尋ねの北方領土問題対策協会の融資業務は、昭和三十六年に制定されました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づきまして、北方地域旧漁業権者を初めとする元島民等の事業経営と生活の安定を図ることを目的として行われております。
 具体的には、同法に基づきまして、国から交付された十億円の基金の運用益及び市中金融機関からの借入金を原資として、元島民等に対しまして、漁業資金、商工資金等の事業資金や、住宅資金、就学資金等の生活資金の融資を行うものであります。
 融資業務の発足時の昭和三十七年度においては、貸付枠は約八千万円で、その大部分を漁業資金及び住宅資金が占めており、さらに年を経まして平成十四年度においては、この基金の運用益がもうほとんどないという状況もございますので、融資を受けまして、それを原資に貸付枠が十四億円となっておりまして、その対象はやはり漁業資金及び住宅資金が多くの割合を占めているわけでございます。
 このように、融資業務の発足当時から重点分野でありました漁業資金及び住宅資金については、現在もなお需要が高く、その意義は薄れていないと考えております。御指摘のように、そのうち市町村資金については、最近において実績がないということから、今回の法案で廃止の措置をとっているわけでございます。
丸谷委員 それでは続きまして、残高は約五十億円ありますよね。この償還について、問題はないのかどうか、お伺いします。
細田国務大臣 融資の対象は先ほど申しました方々でございますが、ほとんどが北海道在住の方でございます。そして、融資の残高で申しますと、五十億三千二百万円の残高がございますが、非常にまじめに返済をしていただいておりまして、そのうち、どうも貸し倒れ懸念あるいは破綻更生債権等の問題のある債権は一億一千八百万円、二・三%であると承知しております。
 このように、全体におきましては九八%は償還が可能となっておりますが、引き続き、未償還資金の回収に努めてまいりたいと思っております。
丸谷委員 比較的健全な経営状態であるという御答弁だったと思うんですけれども、例えば今回、この独法化に当たりまして、この融資事業の内容の見直し、市町村と個人という対象の区別と、また廃止、存続というのが行われております。融資業務の事業に必要な資金と生活に必要な資金等々、今細かく大臣からも御説明をしていただいたとおり、ございますけれども、例えば融資の枠として十分な整理がなされたのかどうか、この点についてどういった議論があったのか、お伺いします。
坂巻政府参考人 お答えいたします。
 今回の整理合理化計画それから独法化法案の立案に当たりましては、内閣官房の方からもいろいろな御指摘をいただきまして、融資対象そのほか全般の見直しを行いまして、先ほど先生から、また大臣からお話がありましたように、典型的なものとしては市町村資金を整理合理化するということでございますが、ほかの関係も見直しをした上、現時点においては、やはり今の融資の大宗といいますか、基本的な枠組みは維持してまいりたいということで、検討の過程についてはいろいろな議論をしてまいりました。
 以上でございます。
丸谷委員 と申しますのは、健全といっても、約一億三千万が延滞債権額としてございます。非常にあそこの北方地域というのは、私も北海道ですから、よくその特殊事情、四島返還がまだなされていないという状況のもとでの漁業の困難さですとか、あるいは地域振興の困難さというのはもちろん十分承知しておりまして、融資というもの自体は、もちろんこれは返さなければいけないものですから、本当に、その融資枠というものと、また、それ以外の道というものを考えていくことも必要なのではないかというふうに思いまして、この質問をさせていただいたわけです。
 今回、この北方領土問題対策協会についていろいろな議論がなされていく中で、特殊法人改革推進本部参与会議のホームページを拝見しました。その中で出てきていた議論というのが、啓蒙宣伝活動等、既に十分に役割を果たしたのではないかとか、活動費を大幅に圧縮すべき、あるいは、インターネット等を活用し、経費を圧縮する全体的な見直しが必要といった、非常に厳しい意見が出されたというふうに承知をしております。
 こういった厳しい意見が出されたことを踏まえまして、今回、この北方領土問題というのを、決して北海道だけの問題ではなく、日本全体の問題として国民の皆さんにとらえていただけるような意識啓蒙活動をどのように展開していこうとされるのか、この点についてお伺いします。
細田国務大臣 丸谷議員は、従来、大変この問題にお詳しく、また積極的に取り組んでいただいておりますので、大変感謝しております。
 一部には、これに対して、先ほど御指摘のように、もう要らないのではないかというような批判もあったりするわけでございますが、やはり一日も早い北方領土問題の解決に向けまして取り組むことは大変重要でございまして、まず啓蒙宣伝活動につきましても、より幅広い研修、交流会、ゼミナール等を行って、次世代の人の認識を深めていくことは非常に大事なことでございます。そうは申しましても、貴重なお金を使うわけでございますから、効率のあると申しますか、効果の高い事業にできるだけ活用してまいりたいと思っております。
 また、民間団体に対する助成事業につきましても同様でございまして、外部評価の活用等によりまして、適時適切に見直すような仕組みを考えてまいりたいと思っております。
丸谷委員 では、大臣のお考えとしてお伺いをさせていただきたいんですけれども、この北方領土問題、現在も引き続き、領土問題は日ロ間に横たわる非常に大きな問題として位置づけられているわけなんですけれども、この北方領土に対する問題意識の啓蒙というのは日本国民全体に対して浸透していると思われるのかどうか、まだ足りない部分があるというふうに思われるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
細田国務大臣 歴史的に見ますと、当然、波があるかと思います。
 二月七日を北方領土の日にして、官民共催による北方領土返還要求全国大会を初めとしてさまざまな運動を繰り返してまいりましたし、ある意味で国民の皆様方に御理解を深めていただいたと思っておりますけれども、やはりこういうものは継続が力でございまして、きちっと続けていって、さらに深い御理解をいただきまして、また、来年も総理が早々訪ロされるわけでございますし、粘り強く交渉いたしまして、北方四島の帰属の問題を解決し日ロ平和条約を締結し、両国間に真の相互理解に基づく安定した関係を確立するということが一貫した基本方針でございますので、私もその担当でございますので、一生懸命職務に全力を尽くしてまいりたいと思いますし、一般国民の方にも御理解を深めていただきたいと思います。
丸谷委員 識者の方から、ぜひ、まだまだこれでも北方領土問題に関する意識啓蒙は少ない、もっと積極的にやるべきだといったような前向きな意見が出されるぐらい活動をやはりやっていかなければいけないだろうというふうに思います。旧島民の方も高齢になられまして、今二世、三世というふうに世代交代もされています。その意味において、領土問題がずっとある以上、ここは一生懸命やっていただかなければいけない事業であります。ただ、厳しい声もあるということを踏まえて、従来型の啓蒙宣伝活動に決して甘んじることなく、その効果を思う存分発揮していただきたいというふうにもお願いをしておきます。
 では、最後の質問になりますけれども、極めてこの領土問題は外交政策と合致していることから、この領土対策協会の独自性というものをどのようにとられていかれるのか、また評価の基軸というのをどこに置いていかれるのかという点について、最後にお伺いします。
坂巻政府参考人 お答えいたします。
 独立行政法人化することによりまして、自律性、効率性、公開性というのが大きな課題になるわけでございます。特殊法人のときとは違いまして、中期目標に基づく中期計画、年度計画、それぞれについて厳しい評価委員会の評価というようなものを踏まえまして、国民に透明性をはっきりさせていただく。それから、従来以上に独法化の後には民間の知恵も活用をいたしまして、自律性を強めた形にしてまいりたいというふうに考えております。
丸谷委員 以上で終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも議論の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 早速、石原行革大臣に質問させていただきたいと思いますけれども、私ども自由党では対案を提出させていただいております。私も提案者の一人として提出をさせていただいておりますが、この特別委員会で政府案と自由党案を一緒に審議することが当然であるというふうに思います。わざわざ別々の場所で議論されるというのは、どう考えても私は腑に落ちない、おかしいのではないかと思うんでありますけれども、国会審議のあり方から見ても不自然きわまりないと思いますが、大臣、どのようにお考えになりますか。
石原国務大臣 この点につきましては、御同僚の都築委員からも昨日御質問をいただきましたが、委員の認識はおいておきまして、八日の日に内閣委員会で、御党の法案の提案理由説明が行われたと聞いております。
 どの法案を、あるいはどの議題をどの委員会で御議論をされるかということをお決めいただくのは院の責務であると考えております。
樋高委員 そんなことをお聞きしているわけではなくて、本来一緒に議論すべきと思われるのか、思われないのか、伺っております。
石原国務大臣 何度も同じことを言って恐縮でございますが、私は、その問題は、私がその委員会の理事であれば理事としての考え、あるいは政党としての考え、どこの委員会でどの法案をどう審議していくのかということを決めるのは、あくまでも一義的には院のお決めになることだと今も考えております。
樋高委員 では、自由党案が特別委員会で議論されない方が望ましいというふうに大臣はお考えなんでしょうか。
石原国務大臣 もう既に、自由党案についてどう考えるかとか、自由党案の質問というものも当委員会で出ているのではないかと思っております。
樋高委員 そもそも、今回のこの法案でありますけれども、私は、入り口から間違っているということをまず最初に御指摘を申し上げたいと思います。タイトルは、特殊法人等改革法案という立派なタイトルがあります。改革という言葉が入っておりますけれども、何でこれが改革に値するのか、私にはさっぱりわかりません。改革という名に値しない。なぜならば、私は、中途半端であると思うからであります。中途半端が後々一番ひどいことになってしまう、かえって行革自体を後退させることにもなりかねないというふうに私は思うからであります。本気で改革法案だと思っているのか、私は言葉のごまかしにすぎないというふうに思います。
 先国会のときに、私は厚生労働委員でもありましたので、医療制度改革という法案にも携わりました。これは与党の数の論理で強行採決されたわけでありますけれども、そもそもこれも、医療制度の改革などというのはとんでもない話でありまして、お金が足りなくなったから補てんするという、ただ単なる財政措置のつじつま合わせにすぎないわけでありますけれども、医療制度をただ単に変更しただけにもかかわらず、むしろ負担を国民に強いただけにもかかわらず、それを改革という言葉を使ってごまかしている。全く同じことであります。単によろいを着ている、服を変えているだけではないか。つまり、カメレオンが色を変えて周りの気をそらす、ごまかす、同じことだと思いますけれども、どのように考えますか。
石原国務大臣 今回お出しさせていただいております四十六本の法案は、特殊法人の抱える問題、弊害をどのように是正していくか、そして特殊法人にかわる公共的、公益的な、民間が担うことのできない仕事をどのように効率的に行っていくか、こういうものを独立行政法人という形で取りまとめ、あるいは廃止すべきものは廃止し、民営化等できるものは民営化するという形で取りまとめたものでございますので、委員が御指摘のような、これは改革の名に値しないという御指摘は私は間違っていると思います。
樋高委員 結局、問題の先送りにすぎないと思います。
 官僚の方々は優秀であります。そして、その役所の方々が主体に考えられた場合は、やはりどうしても現状を肯定する方に軸足を置く、現状のある制度、そして仕組みに立脚したその延長線上でしか考えられない、発案されないのは当たり前のことでありますから、こういうときこそ政治がリーダーシップを発揮して、きちんと政治家同士が議論をして、政治がビジョンを示して、指導力を発揮して、抜本的な改革をすべきであるというふうに思うんでありますが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 この法案につきましても、きのう、おととい、きょうと、真摯に議論が行われているものだと承知しております。
樋高委員 現状の延長線上での発想は決して超えていない。改革に対する哲学がやはり、ちょっとというか大幅に違っているんではないか。この程度は微調整にすぎないと思います。
 私、よく、改革のことについて地元で説明するときに車に例えるんですけれども、車ではマイナーチェンジというのとフルモデルチェンジというのがございます。マイナーチェンジというのは、既存のコンセプトというか、形、車の形がありますけれども、ちょっと車輪のところを変えたりとかライトのところを変えたりするのがマイナーチェンジ、今までのコンセプトは引き継ぐけれども、役割というか中身は引き継ぐけれども、形をがらりと、まず現状を否定して、その上で全く新しいコンセプトで考えるというのがフルモデルチェンジであるというふうに考えます。私は、改革はこのマイナーチェンジではなくてフルモデルチェンジでなくてはならない。
 スクラップ・アンド・ビルドという言葉があります。つまり、今まであるのを全部スクラップして、そして、それと同時にすぐ新しいものを立ち上げていくという概念でこの改革というのを行っていくべきというふうに私は思いますけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。
石原国務大臣 ただいま樋高委員は、車のモデルチェンジとマイナーチェンジを例に出されて、改革はどうあるべきかという御議論をされました。委員も既に御承知のことだと思いますけれども、車の外観はヘッドライトの形が一部しか変わらなかったけれども、シャシーをすべて新しいものにすれば、外見上はほとんど変わっていないように、ある人が見ればそうかもしれませんけれども、違う車になるというマイナーチェンジもあるのだと私は考えております。
樋高委員 そんな議論をしているわけではないんです。要は、現在の状況に立脚して改良を考えても、どうしてもあるべきという理屈に結局行き着いてしまうから、だからゼロベースで考えるべきだというふうに申し上げているわけであります。
 社会にとって本当に必要な機能、制度、役割というものがあるんであれば、またそれは一から今の時代に即した形で考え直せば、またつくり上げれば、それはそれでいいんじゃないかと思うわけであります。この際、やはり、抜本改革を目指しております自由党案を丸のみなさってみてはいかがでしょうか。いかがでしょうか。
石原国務大臣 もう委員も既に御承知のことだとは存じますが、特殊法人改革は昭和四十二年から行われているものでございます。私も、一九九五年に政策金融の改革というものに取り組ませていただきましたが、七カ月かかりまして二つの法人を一つにするというこの努力、作業というものも、莫大なエネルギーを費やしたわけでございます。
 今、私が例として申し述べましたのは、これまでの特殊法人改革は、やはり数を減らすということに主眼点が置かれていたと私は思います。しかし、今回の改革案は、委員が御指摘になりましたように、事務事業をゼロベースで見直すというところからスタートをしております。ですから、そんな中で、住宅金融公庫の廃止、あるいは道路公団等の民営化等、思い切った総理のリーダーシップによって、これまで樋高委員もまさか想像できなかったような改革案が、今議論をされているということでございます。
樋高委員 ゼロベースで考えているとは、私には思えません。
 やはり今回は、そもそも、東委員からも指摘をさせていただきましたけれども、ほとんどの特殊法人、認可法人のうち、民営化されるのはほんの一部であります。そしてその特殊法人、認可法人という冠を、ただ単に、ほとんどは独立行政法人というふうに、表面上だけを変えたにすぎないのであります。
 今回、では何が変わるんですか。何がメリットとなるんですか。証明をしていただけますか。
石原国務大臣 この点につきましては、御同僚の議員から、個別の法人の変化の内容について、あるいは抜本的な大枠については私の方からお示しさせていただいておりますけれども、委員も、特殊法人が担ってきた役割、また成果というものを否定されるということは、私はないと思います。
 そこを否定されるのであれば議論はかみ合いませんが、私どもは、時代の変遷の中で特殊法人が担ってきた、すなわち株式会社、営利を目的とする法人ではなし得ることのできなかった事業を、時代にマッチして、事務事業を減らせるものは減らす、特化すべきものは特化する、さらには、要らなくなった仕事はやめていただきますし、地方にゆだねられることは地方に、民間にお任せできることは民間の企業体になっていただいて仕事をやっていただくという整理のもとに今般の整理合理化計画ができ上がっております。
樋高委員 石原先生、行革大臣になられました。私は、最初の段階では本当に期待しておりました。正直に、率直に申し上げます。しかしながら、やはり、大臣のところに各役所から次から次へともうでる、もしくは、いわゆる抵抗勢力というのか何なのか知りませんけれども、さまざまな横やりが入って、今、お立場がおありですから、こういう御答弁しかできないかもしれませんけれども、私は、石原大臣は、心の中では、本来あるべき姿、ビジョンというものをもっときちんと描いていらっしゃったんではないかというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
石原国務大臣 私は、私の持てる力と、行政の優秀な方々の御協力、また我が党、また御党の皆様方と十分議論をさせていただきまして、今出し得るベストの案を提出させていただいていると考えております。
樋高委員 本題の方もありますので、続けさせていただきますけれども、まず、先般、二十九法人でしょうか、今現在あります独立行政法人で二十五億円の計上漏れがあった。大変な金額であります。
 果たして今の業務の透明性は図られているのかどうかということにつきまして、そもそももう、疑問に行き着いてしまうわけであります。何かとずさんな面が目立ってしようがない。そもそも、独立行政法人にするといったところで、今ある独立行政法人が既に構造的な問題を内在しているわけでありますから、今回、独立行政法人にしたからといって、改革には一切ならないんじゃないかと私は思うんでありますけれども、いかがでしょうか。
石原国務大臣 五十九、先行いたしました法人については、個別の各府省が所管し、取りまとめを総務省の方で行っております。
 今の二十五億円という記事につきましては、私、拝見いたしましたけれども、そういう事実があるということは事実だと思いますが、またその中で批判されております退職金の額あるいは理事の数等々にも改良をなしているのが今回の案でございます。
樋高委員 法律案を研究すればするほど、本当におかしなところが次から次へと出てくるわけであります。例えば、役員人事に関しては、主務官庁に設置された各独立行政法人評価委員会が承認するということでありますけれども、これで果たして本当に公正なチェックができるのか、その根拠を示してください。納得できる答弁をお願いいたします、行革大臣。
石原国務大臣 御質問の趣旨が違いましたら恐縮でございますが、今般の改革におきましても、独立行政法人の長は主務大臣が決め、主務大臣が任命した方が独立行政法人の役員を構成し、その人材につきましては、月曜日に総理が御答弁されましたように、公務員に限らず、民間からもすばらしい人を入れる、そういう形で、これまでにない法人運営というものがなされると思いますし、天下りの問題についていえば、定量的なことは申すことはできませんけれども、法定ベースで四割、常勤ベースで二五%、役員の数が減っていることから、天下りポストは激減しているものだと承知をしております。
樋高委員 各論に入ってまいりますけれども、片山総務大臣にお伺いいたします。
 地方公務員災害補償法関係でありますけれども、地方公務員災害補償基金の組織を見ますと、東京都に本部が置かれまして、都道府県及び政令指定都市ごとに五十九の支部が置かれております。その支部の支部長には知事や市長が充てられておりまして、職員についても、都道府県及び政令市職員が兼ねているところであります。この地方公務員災害補償基金は、民間でいうところの労災の認定及び給付を行っておりますけれども、個々の公務災害の認定はこの五十九支部が行っておりまして、実務を担当している支部の意見がどれだけ本部に反映されるかが重要であるというふうにもまず私は思ったところであります。
 そこで、今回の改正によって、地方公共団体が主体となって運営するように改めるといっておりますけれども、いわば地方というべき地方公務員災害補償基金の支部から、今回の改正に当たってどのような意見が出されて、今回の改正案にどのように反映されたんでしょうか。
片山国務大臣 今、樋高委員御指摘の地方公務員災害補償基金でございますが、今回の改正について、基金支部からの意見は、国の関与を縮減してくれ、円滑な事務処理のための実施体制を強化してほしい、それから地方公共団体の負担金率の自主的な決定をさせてくれ、それから新たな財政負担を生じさせないようにしてくれ、こういう意見が出されたところでございます。
 今回の改正案は、予算、決算の大臣承認は廃止する、負担金率を基金の定款で定めることができるようにする、ということは、国の関与をその限りでは縮小しております。また、これによって新たな財政的な負担は生じさせない、こういうふうに考えておりまして、支部の意見のおおよそは取り入れたと考えております。
樋高委員 地方公務員災害補償基金が設立されました昭和四十二年当時の議事録を読んでみましたけれども、地方公務員に対する災害補償は、その根拠が、地方公共団体ごとの災害補償に関する条例に加えまして、いわゆる労働基準法、労働者災害補償保険法、船員法、船員保険法とばらばらになっておりまして、その給付水準も不均衡が生じていたという経緯があったことから、全国的な見地から統一的、専門的な運用を確保し、災害補償を迅速かつ公正に実施するために基金を設置した、そして地方公共団体にかわって行うこととされたというふうな経過であるというふうに伺っております。
 今回の改正案は、地方公務員災害補償基金について、地方公共団体が主体的に業務運営を行うこととするために、地方公共団体の代表者から成る代表者委員会を設置し、理事長の任命や基金の運営に関する重要事項について議決をすることとされております。また、事業計画及び予算について、総務大臣の承認を廃止し、地方公共団体の負担金の率を基金が定款で定めることというふうにされているわけであります。
 私は、個々の認定については、民間や国家公務員との均衡もありまして、全国統一的に行われることが必要であると考えますけれども、運営については、地方公共団体が主体的に運営するというふうにした以上、地方公共団体における問題意識が運営にやはり的確に反映されなければならないというふうに考えております。
 そこで、今回の改正によりまして、地方公務員災害補償基金の運営がどのように変わっていくというふうに御説明なさいますでしょうか。
片山国務大臣 今回の改正案では、御承知のように、地方公共団体が主体となってやる、代表者委員会というものがいろいろなことを意思決定できる、こういうことでございますから、現行よりは、今回の改正によって、相当基金自身の自主性が高まりますし、地方公共団体が中心になるということがよりはっきりする、こういうふうに思っております。
樋高委員 地方独立行政法人制度検討の状況と地方共同法人との関連についてでありますけれども、地方公営企業は、地方公共団体が地域住民の福祉の増進を目的として事業を経営する企業体であります。これらを独立行政法人化するための検討、制度導入のための関連法案を来年の通常国会をめどに提出する方針であるというふうに伺っておりますけれども、現在までの検討状況と今後の見通しをお示しいただきたい。
 また、今回の改正で設置されます、仮称でありますけれども、地方共同法人との違いはどこにあるんでしょうか。
片山国務大臣 この地方独立行政法人制度というのは、平成十二年十二月に閣議決定されました行政改革大綱において、「国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する。」こういうことが決まったわけでございます。そこで、私どもの方では、地方独立行政法人制度の導入に関する研究会を設けて検討していただきまして、本年八月に研究会の報告をまとめていただきました。したがいまして、それに基づいて次期通常国会への法案提出を考えたい、こう思っております。
 これは、それぞれの地方団体にあります、例えば公立大学だとか公立病院だとかその他地方団体が経営する企業あるいは公設の試験研究機関等をこの対象にすべきではないか、限定して入れるべきではないかと。それから、国の場合と地方の場合に違いますのは、委員御承知のように、国は議院内閣制でございますが、地方は大統領制でございますから、地方議会の関与をどのくらい認めるかということ等についても結論を得たい、こういうふうに思っております。
 そこで、地方共同法人ということで、今回、地方公務員災害補償基金をそういうことにすることを考えておりますが、これは、地方団体一つ一つじゃなくて、すべての都道府県に関係する事務を全国的にまとめてやる、こういうものが地方共同法人なんですね。今我々が言っている地方独立行政法人というのは、今言いましたように、どこかの県の試験研究機関なり大学なり病院なり、こういうものを国と同じような独立行政法人化する、ここが違うわけであります。
樋高委員 新設される代表者委員会についてでありますけれども、改正案では、代表者委員会の設置、委員は、知事さん、市長会、町村会がそれぞれ一人を任命されるというふうに明言しております。また、代表者委員会のもとに運営審議会、いわゆる理事長が任命するわけでありますけれども、代表者委員会と運営審議会の関係はどういうものになるかということが見えてこないわけであります。
 代表者委員会が議決のみの形骸化した機関となるおそれがあるんではないかと私は思いますけれども、どのようにお考えになりますか。
片山国務大臣 運営審議会は現在もございまして、理事長の諮問機関としまして、これは、地方団体の首長さんだけじゃなくていろいろな専門家を、例えば労働災害の専門家やあるいは職域や職員の代表の方も加わってもらっておりまして、基金の運営全般を通じて多面的な御議論をいただく、こういう諮問機関でございます。
 今度の代表者委員会は、いわば少数で基金の運営に関する基本的な事項を意思決定する決定機関ですね。今までは総務大臣といいますか総務省がやっておったようなものをこの代表者委員会で決めてもらう、これはいわば意思決定の機関、そういうことでございまして、運営審議会の方は、万般についての運営に御議論いただく諮問機関、こういうふうに性格づけいたしております。
樋高委員 最後に一言申し上げたいと思います。
 戦後、数多くの特殊法人が果たしてきた役割というものを私は否定するものではありません。やはりその時代に合った役割をきちんと果たしてきたものであろうというふうに私は思っております。
 しかしながら、民間経済が今、高度に発達をしてまいりまして、現代においては、特殊法人が果たしている役割と、また一方で民業を圧迫しているということを比較したときに、例えば官僚の天下りもしくは政官業の癒着の温床となるなど、やはりさまざまなデメリットの方が大きくなっているのは明らかであります。
 このように肥大化した、硬直化した行政機構をやはり早急に根本から、根っこから、土台から改革をして、行政が時代の変化に対応してその役割を効率的に果たすことができるように改めなくてはならないというふうに思っております。
 政府は、今般の特殊法人等改革法案によって、特殊法人等を統合あるいは独立行政法人化することで事実上残そうというふうにしておりますけれども、これは明らかに問題の先送りであり、看板のかけかえにすぎないというふうに改めて御指摘を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私は、特殊法人改革というものが、その特殊法人が必要なのか要らないのか、あるいはその目的を達成するためにはどういう改革が必要なのか、今までどこに問題があったか、それらを明らかにすることによって改革を進めていく、そういうことが必要だと思うんです。
 十月十八日に推進本部が決定した「基本方針について」、この中にも、単に法人の組織形態の見直しにとどまらず、中身である特殊法人等の事業の徹底した見直しが極めて重要であるという文言があるわけです。
 そこで、総務省関係の法案は三本あるわけです。実は、TAOを通総研に統合する問題、これも重要なんですけれども、その前に、きょうは山崎理事長にもおいでいただいておりますし、私の持ち時間の関係もありますので、最初に、地方公務員災害補償法についてお尋ねしていきたいと思うわけです。
 地方公務員災害補償基金、この事業こそ、この基本方針にある中身の徹底した見直しが必要なものであると私は認識しております。基金の今までの問題点を正して、三百二十万地方公務員、その家族、関係者が安心して仕事に専念できるように改革を進めていく、このことが求められておるし、また今度のこの改革の中でぜひそういう方向をきちんと打ち出してもらう、このことを私はまず最初に申し上げておきたいと思います。
 そこで、理事長にお尋ねいたします。
 この地方公務員災害補償法の第一条、目的のところに、地方公務員の公務上の災害または通勤による災害に対する補償の迅速かつ公正な実施を確保するため、地方公務員及び遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする、こうあるわけです。つまり、迅速であり公正でなければならない、そうなっているわけですね。
 そこで、私、今までのあるいは今日までのこの基金が行ってきたいろいろな裁定やあるいは補償の内容、これを見るときに、必ずしもこの迅速にして公正ということが達せられていないんじゃないか、こういう点を強く感じるわけです。
 例えば頸肩腕障害とかあるいは腰痛症、こういう非災害性の疾病、これについて、基金の方が否定した公務災害申請が司法の場で認定の判決が次々と出ている。この二年間を見ましても、六件ほどそういう判決が出ているわけですね。例えば船橋市の清掃作業員の腰痛症の問題、これは最高裁の判決です。あるいは京都地裁では宇治市の学校給食調理員の問題、さらには大阪地裁、あるいは名古屋地裁の判決、最近では横浜地裁の判決などなどです。
 こういうことを見ますと、いわゆる非災害性疾病、こういうものの公務上か公務外かという問題については、最高裁の判決とあなた方が裁定していく基準とがどうも違っているんじゃないか。総務省からいただいた資料によりますと、非災害性疾病の公務上と公務外の割合、この一覧をいただいたわけです。年によって違いがありますけれども、頸肩腕症で見ていきますと、多いときを見ますと、例えば平成十年では全体の六七%が公務外だと判定されている。それから平成十一年には八〇%が公務外だ、こう基金は認定しているわけですね。大多数が公務外となっている。
 九六年の五月に前の中島理事長が、これは衆議院の地方行政委員会だと思いますけれども、こういうことを言っていらっしゃる。基金は被害者の立場に立って仕事をしなければならない、どうも実態が違っているんじゃないか。一九九七年十一月の最高裁の、横浜市立保育園の保育士である鈴木さんの判決、これは公務上の疾病と認定しているわけですが、この判決や、あるいはそれ以降の私が申し上げた幾つかの判決、こういうものに照らしても、基金の認定というものについて、不公平だという感じを持っている国民は非常に多いわけですよ。
 ですから、この認定の仕方とそれから認定基準、これは見直す必要があると私は思うんですが、理事長、どういうふうにお考えですか。
山崎参考人 認定基準というものを定めまして認定に当たっているわけでございます。公務起因性の有無、あるいは公務遂行性の有無を判定する必要があるわけですけれども、あらかじめそのような基準を定めまして、迅速、公平な認定に資するという趣旨でございます。
 ただ、個別の案件といいますか、認定基準ですべてカバーできるわけではございませんから、個別案件が出た場合には、詳細に実情を調査した上で答えを出していくという作業を行っているわけです。個別の判決におきまして、個別の事実認定あるいは個別の事案の過重性の評価といいますか、そういうものに関しまして、裁判所の判断と基金が行った認定の判断が異なってくる場合もございます。それはたまにはございますけれども、あくまでも個別事案に関しての判断でございまして、それをもって直ちに認定基準を見直すということにならないものも多うございます。
 それからもう一つ、最高裁云々のお話がございましたけれども、平成十二年の最高裁の判決におきまして、認定基準にかかわるような内容の判決が出てございます。そういうことですので、労災、国公災における検討内容も踏まえまして、この認定基準の見直しを昭和十三年に行ったところでございます。上級審の判決において認定基準にかかわる内容の判示が示された場合には、司法の法律判断として重く受けとめて、最新の医学的知見等を含めよく研究し、必要があるものについては労災、国公災の動向等も十分把握しながら、認定基準の内容についての改正も検討しておるところでございます。
矢島委員 理事長、認定基準があることなんかわかっているんですよ。それから、裁判と異なることがたまにあるということを言いましたけれども、たまじゃないんですよ。つまり、あなた方が認定基準あるいは認定の仕方にのっとってやった結果として、裁判と異なる問題がしばしば出てきているということなんです。
 例えば、公務中のぎっくり腰について、船橋市の清掃職員の公務認定を下した最高裁判決、御存じだと思います。そこで、それが出ましたら、昨年の九月四日に静岡支部長が下したいわゆる浜松北清掃事業所職員の公務外認定、この処分を基金の方の静岡支部審査会がことしの七月二十二日に取り消して、公務上認定とする決定を出しています。つまり、一たんは公務外だ、こう認定したけれども、司法の判断が、この場合は最高裁ですけれども、公務上の災害だ、こう認定したわけです。だから、前の公務外ということを取り消して、それで今度は公務上にしたということを支部審査会がやったわけなんですよ。
 そこで、基金理事長、この支部審査会のように、最高裁など司法判断を受けて公務外認定を公務上に変えた、こういうのもあるんですから、裁判結果を受け入れるというのは当然じゃないかと思うんですが、今のところそういうのは、控訴しちゃったりいろいろな問題が起こっているんですよ、全国的には。どうなんですか、裁判結果を受け入れるということをおっしゃっていただいては。
山崎参考人 訂正ですけれども、先ほど昭和十三年と申しましたが、平成十三年でございました。失礼しました。
 それから、司法の取り消し判決が出た場合に、司法の判断として、我々、重く受けとめておりまして、その内容は、その都度詳細に検討しております。いろいろ関係者の意見も含め、あるいは医学的知見等も含め詳細に検討しております。それで、その都度判断を固めておるわけですけれども、判決の内容によりましては、従来の地公災制度の運用との間に非常に大きな差がある、あるいは国公災、労災制度にも多大な影響を及ぼすというようなものもございます。そういうものに関しては、上級審による司法の判断を求める場合もあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
矢島委員 今度の改革で地方に権限がいろいろと移っていきます。ぜひ、こういう面も、今後どうやっていくかということも含めて検討していただきたいと思うんです。
 そこで、もう一つ理事長に伺いますが、この非災害性の疾病について、基金の認定までの時間、認定までに要する時間の問題なんです。
 大変長期間を要することが問題になっているこの基金の審査期間、これについて、九六年、やはり地方行政委員会で前の中島理事長は、審査期間の短縮を図る、こういう答弁を国会でしているわけなんです。
 いただいた資料によりますと、一カ月以上二カ月以内というのが、平成十二年で二千七百十件、平成十三年で二千九百八十四件。これは一カ月以上二カ月以内に認定が出たというわけですね。それから二カ月以上、これが二千件前後。それから一年を超えるものが、平成十二年で二百四十八件、平成十三年で二百三十八件。つまり、労災といういわゆる非災害性疾病、こういうことで申請を出したけれども認定までに一年以上かかっている、こういうのが、今申し上げましたように二百数十件ずつあるんです。
 なぜこういう長期間を要するのか。人手不足なのか、あるいは因果関係の立証のために時間がかかり過ぎるのか。この因果関係の立証責任というのは、基本的に雇用者側あるいは基金側が負うべきものである。もっとスピードアップを図るべきではないかと思うんですが、これについて、理事長、どういうふうなお考えですか。
山崎参考人 請求事案は、年間、基金全体で数万件といいますか三万件近くございます。その九九%までは一年以内に答えを出しておるわけですけれども、御指摘のようにかなり長期を要しているものもございます。
 当初、公務災害といいますのは、災害性の事故といいますか、そういうものを中心に出てきていたわけでございますけれども、御案内のように、脳血管疾患関係とかあるいは精神疾患関係あるいは腰痛関係と、疾病を中心とするものが最近かなり出てきております。こういうものは、事故と違いまして、公的な場面での調査、あるいは私的生活面での調査、あるいは本人に素因がどの程度あったかどうか、そういうものを綿密に解きほぐしておく必要がございます。そういう意味で、かなり時間を要する事案が出てきておるのは御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、当然、迅速あるいは公平に処理する必要がございますので、事案の内容が複雑であらかじめ困難性が予想されるものにつきましては、認定請求書が支部に到達した段階で直ちに本部に報告させまして、その後の事務処理について遺憾のないよう、適切な進行管理をするよう努力しておるところでございます。
 それから、事案が、かなりそういう医療事案が多くなっておりまして、専門化しております。それに対処できるように、専門研修を行うとか事例研修を行うとか、あるいは医学関係者とのタイアップをさらに強化するとか、いろいろ努力しておりますけれども、今後とも迅速な処理にさらに努力をしていきたいと思っております。
矢島委員 ぜひ、この改革を機に、そういう面についても改革してもらうということが非常に重要だと私は指摘しておきたいと思います。
 そこで、この問題での最後に、具体的な問題でお聞きしたいんです。
 神奈川県の職員の岡野三重子さんという方がいらっしゃいます。川崎の乳児院の保育士の方ですが、頸肩腕障害に関する公務認定申請、これについて、八月二十二日に基金の神奈川支部が公務外とするという決定を出しました。本人は直ちに不服審査請求を出しております。現在、体のぐあいは悪いんですけれども、分限免職というものを避けるために休業することができずに働き続けているんです。本人からの大変悲痛な手紙も私は受け取りました。
 乳児院というのは、入所までがマイナス環境だと。つまり、捨て子だとかあるいは受刑者だとかあるいは養育拒否だとか、いろいろありますけれども、そういう子供ですから、この手紙を読みますと、慈しんで育てなければならない、ほかの子に比べて、保育園などと比べて。だから、おんぶやだっこ、これは欠かすことのできない保育手段なんだと。そういう中でこの頸肩腕症になったわけなんです。本人は、これは必ず公務上の問題として取り扱ってもらえると思っていたんですけれども、公務外とする決定が出てしまった。しかし、実際にこの問題について不服申請を出している。
 それから、和歌山県の橋本市の職員で、辻田加代子さんという方がいる。この方は、いわゆる過労死ということで亡くなっていらっしゃいます。ですから、七月三十一日に公務外という和歌山県支部の処分が出ていますけれども、九月四日の日に遺族の方が不服審査請求を出しております。過労が本人の心身を痛めつけて自殺に追い込んでいった実態、これをきちんと見ないで、原因と結果を取り違えているという、この認定の結果を読みました。
 やはりこれは、先ほど私が申し上げた補償法の第一条に照らしても到底認められない問題だ、基金はもっと真摯に、誠実に訴えに対応していくことが求められているんだ。公務外と認定された基金の認定をひっくり返して、公務上の認定を司法の判断の中で下しているというものがある。こういう状況の中で、ぜひ、この神奈川県の岡野三重子さんの問題と辻田加代子さんの問題については、不服申請に対してきちっとした答えを出すと同時に、公務上の災害だと認定するように強く求めたいんですが、今現在これはどうなっておりますか、その今後の見通しも含めてお答えいただきたいと思います。
山崎参考人 神奈川県支部関係の案件につきましては十月二日付で支部審査会に、それから、和歌山県支部の案件につきましては九月四日付で和歌山県支部審査会に対しそれぞれ審査請求がなされ、現在、両支部審査会におきまして慎重な審議が行われていると承知しております。
 審査会は、基金には置かれておりますけれども、独立してその権能を執行する第三者的な機関でありまして、個別の案件に関しましては、私の方から云々ということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、かねてから、支部審査会の審理につきましては、請求人と関係者の主張を十分に聴取した上で公正かつ迅速な審理を行うよう助言をし、そういうふうに取り計らっておるところでございます。今後ともそういう考え方で審理が進んでいくものと思っております。
矢島委員 時間がなくなってしまいました、他の問題を総務大臣にお聞きしようと思ったんですが。
 この問題での最後として、総務大臣にお聞きしておきたいんですが、この地方公務員災害補償、これについて、私と理事長とのやりとりをお聞きいただいたと思うんですが、公務外として基金が認定したもの、それが司法の判断で、公務上だ、こう認定が出されている案件がこの二年間をとっても六件ある。基金の判断の誤りをつくり出す原因がどこにあるかというところをきちんと見きわめていただいて、改革の中でこういう部分もきちんとやっていくということが、あの推進本部の決定にも、中身をきちんとしろということにも合致すると思うんですね。
 そういうようなことから、この基金活動の改革というものについては、多分理事長のところには再三にわたって自治労連の委員長や全教の委員長などから要望書が出されていると思うんですが、私、思うに、今必要な改革というのは、真に公平な第三者機関としての機能が求められているんだと。
 だから、この基金本部事務局体制を省庁から独立させるということ。あるいはまた、基金の支部長、これは使用者である知事や政令市長の任命、こうなっているわけですが、これをやめて、本当に労使から中立の立場の人を選任するという方向。あるいは、運営協議会委員には労働者の代表を委員に任命するとか、支部における認定審査に当たっては本部協議制をやめる。基金支部の事務局体制についても、担当職員の、先ほどちょっと理事長も、研修を十分積むんだという話もありましたが、そういう研修を充実させる。そして、職員の兼務、こういうものを外して、業務に専念できるような体制をつくる。
 こういう数々の改革すべき点を私は考えるんですが、大臣、ぜひそういう方向での改革に努力していただきたいと思うんですが、決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
片山国務大臣 この問題は、先ほど理事長と委員のやりとりを聞いておりまして、やはり、公正さと迅速さ、それがしっかりと確保できるような進め方、体制というのが検討されなきゃいかぬと思いますけれども、裁判の判決がどう出るか、日本は最高裁までありまして、審級制ですから、判決内容によっては、基金の方が引っ込むというか認めることもあるでしょうし、納得できないことがあれば上に上げていかざるを得ないんで、その辺は、健全な、しっかりした判断をしてもらいたい、こう思っております。
矢島委員 ぜひそういう方向でこの改革を進めていただくということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
保利委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。
 私は、社民党を代表しまして、総務省提案になる三法案について、基本問題について質問したいと思います。
 まず、特殊法人と独立行政法人の相違についてお伺いいたしますが、一般的に、特殊法人とは、政府が必要な事業を行おうとする場合、その業務の性質が企業的経営になじむものであり、これを通常の行政機関に担当せしめては、人事、会計制度等各種の制約から能率的な経営が期待できない、そういう場合に、特別の法律によって独立の法人を設け、国家的責任を担保するに足る特別の監督を行うとともに、その他の面では、できる限り経営の自主性と弾力性を認めて、能率的運営を行わせようとするものである、こういうふうに解するわけでありますが、今回の改正案のうち、四十二法人が独立行政法人に組織がえされることになっております。
 独立行政法人の語源とされておりますイギリスのエージェンシー、実は、これは何のことはない、我が国の特殊法人を参考例に導入された、こういうふうにある本に書いておりました。これからしても、一体、特殊法人と独立行政法人の具体的な相違点は何なのか、まずこの点から始めたいと思いますが、石原大臣の見解をお聞かせください。
石原国務大臣 ただいま重野委員の方が独法のありようについてるるお話をいただきましたので、それでは特殊法人がどうであったのかという話から始めさせていただきたいんですが、特殊法人は、眺めてみますと、国が手とり足とり、関与を日常的に行ってきた、こういうことは言えると思います。さらには、特殊法人の側も、財投資金で運営をされておりますけれども、国から補給金や補助金という形でいろいろ資金をもらっていることもありまして、国に依存する傾向をどうしても強める、そういうインセンティブが働く。そしてまた、法人自体、特別な一本一本の法律によって設立されておりますので、定期的に自分たちの組織というものあるいは事業というものを見直す制度がなかった。
 この結果として、昨今言われておりますような経営責任の不明確性とか経営の自律性の欠如とか、さらには、もちろん効率性だけを追求する組織じゃないことは言うまでもありませんけれども、道路公団のひもを解いてみてわかったことですけれども、節約しようと思えば、規格の基準を見直す等々で、二十兆円の事業に対して四兆円、二割削れる、そんなようなことも明らかになってまいりましたし、先ほど申しましたように、定期的に見直す制度がないことによって仕事というものをみずからふやしていった、こうした問題点、弊害を克服する上で、委員が御開陳いただきましたような独法というものを仕組ませていただいた。
 やはり、独法によりまして、最大のポイントは、経営の自主性というものが高まる一方で、経営責任がより明確化され、目標管理を行う。目標管理を行うことによりまして実績というものも明確になり、さらには外部評価が、それが適切であるか適切でないかということを、組織の廃止も含む見直しも含めて三年から五年ごとに行う、そういうメリットがあるのではないかと整理をさせていただいております。
重野委員 なかなか合点がいかないんでありますが、なぜ特殊法人は、失敗という表現が妥当かどうかは別としまして、独法に変えなきゃならぬという点について、端的に言うならば、どういう表現になるんですか。
石原国務大臣 端的に言いますと、国におんぶやだっこで、余りにも非効率に事業をやって、組織によっては莫大な欠損金を抱えてしまった。そういう組織を改め、民間にできないもの、地方にゆだねることのできないものは新しい独法という形で運営していくということになるんだと思います。
重野委員 明確に、この間の特殊法人の経過を総括すれば、石原大臣にいえば、やはり失敗であったという認識に立つというふうに理解していいですか。
石原国務大臣 その点は、御同僚の議員の中でも各委員が意見を述べられ、また私も述べましたが、その時代にはやはり必要であったし、その責務というものを十分果たしてきた。しかしながら、時代の変遷によって組織が肥大化し、十分にその時代の要請にこたえられなくなった、こんなふうに考えております。
重野委員 時間の関係もありますから次に進みます。
 次に、今回の改正と役員給与との関係についてお伺いいたします。
 三月十五日に、特殊法人等の役員の給与、退職金等について閣議決定が出されております。それによりますと、役員給与については平均一割、退職金は三割、それぞれ削減するとされておりますが、今回の四十六法案の改正による役員の給与削減効果は、具体的金額を挙げるといかほどに、その効果は上がるというふうに大臣は見ていますか。
堀江政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御質問なさいましたように、特殊法人等の役員の給与、退職金につきましては、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、この三月に、給与につきましては平均一割程度削減し、また退職金については平均三割削減することを閣議決定いたしました。
 これは、特殊法人、認可法人合わせますと百六十三があるわけでございますけれども、その中から、例えば共済組合でありますとか、あるいは株主総会等で独自に決められます特殊会社でありますとか、そういうものを除きました八十七の法人を対象としたものでございます。このうちで、御指摘の、今回変わります、四十九法人ございますが、そのうち一つが共済組合でございますので四十八ですね、四十六法案に係ります四十八の法人について見ますと、大体、年収ベースの推計ですけれども、おおむね七億円ぐらいの削減が見込まれるというぐあいに考えております。
 一方、退職金の見込み総額につきましては、当該年度におきまして、給与額が幾らの方が、また在職の期間がどのくらいの方が何人退職されるかということがわからないわけでございますので、この時点での算出はちょっとできないということで、そこのところは御了解いただきたいと存じます。
 以上でございます。
重野委員 退職金については具体的に示されませんでしたけれども、この法案をつくるときに、いわゆる給与、退職金を削減することによって金額的にいかほどの節約をするという数値目標みたいなものはあったんですか。
堀江政府参考人 いろいろ検討はなされたということでございますけれども、給与につきましては大体平均で一割ぐらいというようなところで、先ほど申し上げました対象の全法人を見まして、出っ張っているところはより多くとか、いろいろな配慮がなされたということでございます。また、それぞれの法人の規模でありますとか業務内容ですとかいろいろございますので、その間のいわばバランスといいますか、そういったようなものも考慮されまして、平均しますと一割の減ということで決定されたということでございます。
 また、退職金につきましては、総額幾らを出すとかということではございませんで、やはりいろいろなバランス、民間の状況がどうであろうとか、あるいは役所の次官の、あるいは局長の、それぞれのレベルでの退職金というのはどういうぐあいになるであろうかとか、そういうようなものをいろいろ総合考慮してこういう結論になったということで承知をいたしております。
重野委員 そこで、役員の給与、退職金については、独立行政法人通則法がありますけれども、その五十二条、ここのところで明確にこの上限を設けてしかるべきではないかというふうに思うんですが、この点について、石原大臣、どのようにお考えでしょうか。
堀江政府参考人 お答えいたします。
 ただいまおっしゃいましたように、独立行政法人通則法の五十二条におきまして、役員に対する報酬等の支給の基準、これは法人が定めるわけでございますけれども、定めますと主務大臣に届け出る、そしてまたこれは公表されるというぐあいになっております。
 この支給の基準のつくり方でございますけれども、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬等、あるいは当該独立行政法人の業務の実績、あるいは中期計画におきます人件費の見積もり等々の事情を勘案しまして、考慮をして定められなければならない、こういうぐあいになっておるわけでございます。また、この支給基準につきましては、独立行政法人評価委員会が、社会一般の情勢でありますとかその他の事情に適合したものであるかどうかということを評価いたしまして、主務大臣に意見を申し出るという仕組みが定められてございます。
 このような中におきまして、いわば独立行政法人として立ち上がる前の状態ということかと思いますけれども、先ほどのような閣議決定がなされたわけであります。
 また、先月、十月の十八日に、先ほど来何回か出てまいりましたが、特殊法人等改革推進本部の決定におきまして、特殊法人等の役員給与及び退職金の大幅削減が行われたこと、これにつきましては厳に適正な水準とするということがございますし、また、主務大臣は、独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準を国家公務員及び他の独立行政法人の役職員と比較ができる形で、わかりやすい形で公表するというようなところも決めておるわけでございます。独立行政法人というのは、やはりその自主性、自律性ということを重んじつつ、またその公的な役割等がございますので、このような形で公表してということでございます。
 したがいまして、このように国民に対してより透明性を高めるための方策、あるいは評価委員会による評価等を通じまして、その水準が適正に決定されるものというぐあいに考えておりますので、委員おっしゃいますように法律で明確に上限を定めるということにつきましては、問題が多い、あるいは慎重でなければならないのではないかというぐあいに考えております。
石原国務大臣 重野委員のお考えは一つのお考え方だと思いますが、ただいま事務方から答弁をさせていただきましたように、法人としての自主性、そしてその一方で公的な仕事を担っている、民間法人とは違うということによって、国民の皆様方の信頼性をかち得なければならないということをどう考えるのか、そういうところに一つのポイントがあると思います。
 それと、参考まででございますが、この独法も、あるいは特殊法人も、その役員給与と一概に申しましても、銀行とか公庫といったような大法人、さらには中規模法人、小法人によりまして、総裁あるいは理事の給与も違いますし、平成十年に閣議決定をいたしました「特殊法人の役員給与について」というときの水準から比べて、現行の削減水準も、大銀行とか大公庫は総裁で二割ぐらいカットし、理事クラスでも一三%から一一%ぐらいカットしていますが、その一方で、中規模法人は、総裁クラスで一五%、理事クラスで一〇%程度、小規模法人で見ますと、総裁、理事長クラスで一〇%、理事クラスで六・七%と、独法化する法人の中にもでこぼこがありますので、その辺の工夫というものは委員のお考えの中でもひねっていかないと、一律ということはなかなかやはり難しい。
 その一方で、先ほどもちょっと片山大臣とお話をしていたんですが、郵政公社というような大きな組織になりますと、マネジメントも大変ですし、社会的責任も大変強いということで、なかなかなり手がいないし、そこを安い給与で来てくれといってもなかなかいい人が来てくれないといったような問題もあるということでございます。
重野委員 それでは、次に進みます。
 各個別法について質問したいと思うんです。
 まず、平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部改正案でありますが、現在、認可法人であるこの機関を独立行政法人化することの積極的な意義は何かという点が第一点。その場合の評価基準は何なのか、明確なそういう評価基準というものが示されるのかどうなのか、その点についてお聞かせください。
片山国務大臣 この認可法人も、今、石原大臣からるる話しましたように、やはり今回独立行政法人にしまして、目標管理あるいはいろいろな評価、そういうことも取り入れた方がいいのではなかろうか、こういうふうに我々は考えまして、認可法人というのはわかったようなわからないようなところがありますから、そこで、この際評価の仕組みをはっきりした方がいいのではないか、そういうことで、今回、独立行政法人の法律を出させていただいたわけであります。
 問題は、評価基準ですね。これは、やっているのが慰藉事業でしょう、お慰めする事業、それからあとはそれをPRというか、展示する事業ですね。だから、こういうものを数値目標化するとか定量化するというのはなかなか難しいのですね。
 そこで、評価基準は決めさせていただきますけれども、これは私どもの方の知恵だけじゃあれなものですから、評価委員会を総務省にもつくりますので、その中に分科会をつくりまして、そこで少しこの評価基準を検討させていただこう、こういうふうに考えております。
重野委員 それでは次に、この改正法で、補助金適正化法を準用というふうなことになっているのですが、独立行政法人とする一方で補助金適正化法を準用するというところ、この点については一体どういうふうに考えておられるのですか。総務大臣と財務省の見解もあわせて聞かせてください。
杉本政府参考人 補助金適化法の準用についてのお尋ねでございますが、補助金適化法を準用しておりますのは、独立行政法人が行う補助金等の交付でございます。したがいまして、これは運営費交付金を財源としておりますので、そもそも税金でございますことから、補助金等の交付の適正化を図るために補助金等適化法を準用しているものでございます。
 独立行政法人に対しては運営費交付金というものが交付されますが、これにつきましては、一般的な、使途の定めのない交付金でございますので、補助金適化法の対象にはなっておりません。
 そういう意味で、独立行政法人が交付する補助金の不正な申請や不正な使用の防止を図るという、独立行政法人とその助成金の交付先の間について補助金等適化法を準用しておるものでございますから、独立行政法人の業務の自主性、自律性というものを損なうものではないと考えております。
片山国務大臣 今の答弁のように、今も補助金適化法の適用は受けているんですね。基金がお金を渡した先が不正に、妙なことに使わないかどうかチェックをするために今も適化法の適用を受けていまして、これは独立行政法人化しても同じではないか、こういうふうに思っておりまして、同法を準用することにいたしておりますが、財務省の指導なんですよ。だから、私らはそれに従っております。
重野委員 独法のいわゆる弾力性、自主性という大原則、それに照らしたときに、私は今の答弁で、はい、そうですかと言うわけにはいかない。やはりやる以上は、本当に弾力性、自主性というものが万般にわたって行き届くべきであるというふうに私は考えています。
 では、次に進みますが、独立行政法人情報通信研究機構の問題と、それに派生して、今度の法改正によって廃止される業務があります。中で、特に私が気になるのは、通信・放送身体障害者利用円滑化事業に係る利子補給、これを廃止するということになっておるのですが、これはどういう内容なのか。また、廃止した場合、そのことによってそごを来すようなことは起こらないのか。この点についてお聞かせください。
片山国務大臣 この利子補給事業は、日本政策投資銀行などが、字幕番組を放送するために必要な施設をつくるといった放送事業者に融資するんですね、その融資について利子補給をやっているんです。ところが、これは設備の整備はほぼ終わったんです。ほとんど終わった。したがって、施設の整備じゃなくて、字幕番組制作に今助成しているんですよ、私どもの方から。
 そういうことで、今回、独法になる機会にこの利子補給はやめさせていただく、こういうことであります。
重野委員 次に、同じく情報通信研究機構に関連をして、この機構が、今後、長期基礎研究に一段と特化する、こういうふうに聞いております。その場合、この機構に属する研究者の研究成果に対する報酬の問題ですね、島津製作所の田中さんじゃありませんが。そういう点について、今後、どういうふうな考え方を持ち、どういうふうな方向に持っていこうとするのか、お聞かせください。
片山国務大臣 これは、今、知的財産権の保護だとか研究者の処遇とか、いろいろな議論がありますけれども、研究者のインセンティブを高めるという意味では、特許権その他から得た収入の一部を報酬として与える、こういう制度が現実化しつつあるんです。
 そこで、今、通信・放送機構、TAOの方は、そういう場合の収入の二〇%を報酬として支給する、こういう仕組みをとっております。ただ、通信総合研究所の方は今やっておりませんが、同様な制度を入れたらどうかと今検討いたしております。いずれにせよ、これは一緒になって新しい機構になるわけでございまして、その場合には、統一した一つの報酬制度というものを考えなきゃいかぬかな、こう思っております。
重野委員 次に、地方公務員災害補償基金について聞きたいんですが、今度の改正によって、いわゆる代表者委員会が設置をされます。その代表者委員会が任命する者を総務大臣が認可する、こういうふうになっているわけですね。そこで、理事長、監事が任命される一連の手続が終わるわけです。その場合、果たしてこれは地方の共同機関の任命手続として適正かどうかという疑問を私は持つのですね。つまり、総務大臣が認可するという項目です。
 今でも、この理事長さんというのは、ずっと代々、昔の自治省であり、今は総務省かもしれませんが、そういう官僚の方が理事長を務めてきたという歴史がありますね。今度のこの法改正によってその部分がどういうふうに変わるのか、文字どおりそのように読んでいいのか、お聞かせください。
片山国務大臣 この認可は残させていただこう、こう思っています。
 地方公務員災害補償制度というのは、社会保障制度の一環でもありますし、公務員制度の一環でもあるのですね。しかも、この基金が独法化した後も独占的にやるわけですから、やはり国の関与は少しは残しておかないといかぬ。任命権は、地方の代表の方がなる代表者委員会に任命してもらうのですけれども、私の方の認可も残していただこうと。
 いい人選をしていただければ、基本的にそのとおりです。チェックするとか茶々を入れるなんということは全く考えておりません。適正に運用いたします。
重野委員 まだちょっと準備しておったものがあったのですが、時間が来ましたからこれで終わります。
 最後に、今の点については、あそこの職員さんもみんな総務省から行っておる人なんです。そうすると、こんなになったけれども、何のことはない、全部これは総務省の出先みたいな感じになっちゃう可能性がある。そこら辺の懸念というのは、大臣、やはりしっかり受けとめてやってもらいたい。
 以上で終わります。
保利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。福井照君。
福井委員 引き続きよろしくお願いを申し上げます。自由民主党の福井照でございます。
 私の方からは、雇用対策、キャリアコンサルタントを中心に御質問申し上げたいと思います。
 まず、尊敬する、男心も女心も、人間に熟達された鴨下厚生労働副大臣から御答弁をいただきたいと思います。
 昨今の厳しい雇用情勢の中で、厚生労働省におかれましてもキャリアコンサルタントの養成に鋭意取り組まれているというふうに私どもも承知しております。このキャリアコンサルタント、五年間で五万人養成されるということで大臣も御答弁されていることでございますけれども、人生を豊かにするという観点からも、我が国における極めて重要な社会インフラとしてキャリアコンサルティングが受け入れられる体制を整備していく必要があると思います。
 今後の我が国社会におけるキャリアコンサルタントの存在意義について、まずその基本認識について御紹介いただきたいと思います。
鴨下副大臣 副大臣を使っていただきまして、まことにありがとうございます。
 今、先生おっしゃっているように、キャリアコンサルタント、これはこれからますます必要とされる分野だろうというふうに思っております。
 まず、現状の認識でありますけれども、御存じのように、極めて厳しい雇用失業情勢のもとでありますので、特に、雇用のミスマッチをどう解消していくか、こういうようなことにつきましては、このキャリアコンサルタントの皆様の仕事というのは非常に重要性を増してくるんではなかろうかというふうに思っております。
 そのため、これを担うキャリアコンサルタントの役割をどうするかということで、特にハローワーク、それから雇用・能力開発機構の都道府県センター等にキャリアコンサルタントの皆さんを配置しまして、相談を実施しているところであります。これは、さらに、資格としても官民を挙げてキャリアコンサルタントの養成を今後とも推進していきたい、このようなことが現状でございます。
 さらに、今後は、我が国においては特に若年層を含めて労働移動が非常に増大する、こういうような状況でありますので、その中で、労働者がある意味で主体的に職業生活設計を行い、キャリアの選択や意思決定を行うことが求められるわけでありまして、ある意味で自己決定して職業を選んでいく、こういうようなことに対してキャリアコンサルティングという役割というのが非常に今後とも重要性を増していくだろう、こういう基本的な認識でございます。
福井委員 ありがとうございました。
 今、副大臣おっしゃいました職業生活設計、個人個人が自己決定をしていくというものが本当に大事なキーワードではないかと私自身も思っております。したがって、このキャリアコンサルタントというのが本当にこれからの日本の社会インフラとして重要になってくるということをきょうは申し上げたくて、別に細かい質問をしているつもりは全くございませんので、御了解をいただきたいというふうに思います。
 まず、私の時代認識、歴史認識から申し上げたいと思いますけれども、今、産業再生でありますとか都市再生でありますとか、かまびすしく言われておりますけれども、本当に本当に大事なのは、この日本の社会で現下に一番大事なのは、国民一人一人の意識の問題、心の革命の問題だというふうに思っております。
 つまり、我々の時代は、田舎から東京へ出てきて、とにかくマイホームを建てればよかったんだというような画一的なる人生の目標があって、それに従っていれば、会社の偉い人、先輩のおっしゃることを聞いていれば大体人生はうまくいくんだというような意識のもとに人生を過ごしてきたわけですけれども、今この情勢の中で、若い人を中心にどこに行ったらいいのかわからなくなっているということでありますので、本当に大事なのは夢の再生、リアリティーのある、日本人が持つべき夢の再生、あるいは人生の再生、人生計画の再生といってもいいと思いますけれども、それが本当に大事なんだと思います。
 そういう意味で、キャリアコンサルタントというものが日本に何万人、何十万人いて、それぞれの国民が自分の人生、自分の生涯を設計するのをサポートする、本当に決めるのは自分自身でしかないわけですので、サポートするという仕事が崇高になってきて、そのコンサルタントになること自体もまた夢になるというような社会が本当に必要だというふうに思っております。一体自分はどう生きていけばいいのか、一体自分は何を目指していけばいいのかということを考える、それを社会全体が支援する、そんな社会にしなければならないし、そんな社会に対して国民一人一人はこぞって信頼をしている、そういう状態にしなければならないというふうに思っております。繰り返しになりますけれども、それこそ最大にして喫緊の課題だというふうに思っております。
 そんな意味で、ある会社の再就職支援の活動の御紹介を始めさせていただきたいと思いますけれども、日本能率協会グループの、あえて具体名を申し上げますけれども、会社がやっている活動の御紹介をしたいと思います。
 実は、日本能率協会グループの方では九六年から再就職支援をしておりました。それはどういうスキームかといいますと、ある会社がありまして、ある人をリストラしたい、よその会社に移ってもらいたいというふうに思いますと、その人を日本能率協会グループの会社に派遣をしまして、一人百万円で委託をするわけです、要は一人百万円で再就職を支援してくれというふうに頼むわけでございまして、その選ばれた人はがっかりするわけです。どうしておれが首にならなければならないんだということで、首を垂れて、こうべを垂れて日本能率協会グループの再就職支援の会社にやってくるわけですので、まず心のマッサージをするんだと。そして、自分の指で自分でパソコンで自分の履歴書を書くようにしてあげるんだ。そして面接の仕方を教えてあげて面接にもついていってあげて、とにかく何年かかってもいいから再就職できるまでお世話する。それがワンパッケージ百万円というお仕事をしています。
 それで、この十月末までで六千人のお世話をしたということで、今トレーニングしている方もいらっしゃるのですけれども、三千人がめでたく再就職できたということで、それはホワイトカラーだけかというとそうでもなくて、ブルーカラーが四五%、ホワイトカラーが五五%。そして、全国のブランチが今や五十になっているというような急激なる需要の増加に今対応しようとしているということでありますし、一人百万円というのがもう耐えられなくなってきた、本当に会社自体が不況でどうしようもなくなってきているということで、そういう需給バランスもありまして、百万円じゃなくて五十万円というパッケージもつくり始めているという事実があるわけであります。
 そして、もっと厳しい事実としては、この八月から、個人に対する、会社から請け負うんじゃなくて、本当に再就職をしたいという個人に対してこの日本能率協会グループの会社が支援をするということで、半年間十万円のパッケージをつくって、今一生懸命頑張っている。そこで何をするかというと、毎週一回集まって、職務経歴書、履歴書の書き方、面接の仕方という、まさに基本的なるスキルをそこで身につけている、そこでグループワークをしているということでございます。
 具体例として、新聞の広告としては、こういう「変わろう求職者」というような広告で、個人で再就職したい人を募集している。あるいは、これはその実際のテキストですけれども、とにかく世界の中心、会社の中心は自分だという、それは言われてみたら当たり前のことでございますけれども、そういうことをまず自分で意識をして、そして、再就職を迫られているということは自分を進化させることなんだ、自分を革命的に変えることができるそのチャンスをもらったんだというポジティブなる発想にしなければならない。
 言われてみればもちろん当たり前のことなんですけれども、そういうことを、中高年になろうとも、お互いに勉強し合って、そして再就職を目指すということでありまして、まさにそれは、再就職を迫られたからやるわけではなくて、日本社会としては、幼稚園の時代から教育の一環として、あるいは人生のもともとの一こまとして、職業生活、人生設計というものを考えなければならない、そういう癖が日本社会になかったので、今物すごい曲がり角に来ているし、社会的な不安そして不満が高じている、そういう状況ではないかというふうに思っております。
 ちょっと演説が長くなったのですけれども、次に、坂本職業能力開発局長からお伺いしたいんですけれども、そういうことで、そういう再就職支援のサポートをしている現場現場で、一番大事なのはやはりキャリアコンサルタントということでございますので、そこで、今副大臣から、キャリアコンサルタントの効率的な養成のために官民を挙げて取り組んでおられるという御答弁がありましたけれども、その方策について具体的にお伺いしたい。
 それから、今は国家資格ではありません、キャリアコンサルタントという国家資格はございませんし、政府全体としてそういう資格は縮小していこうということはもちろん存じ上げておりますけれども、だからこそ、当初申し上げましたように、産業再生、都市再生、あるいはそれ以上に大事な人生設計の再生、夢の再生ということだと私自身は思っておりますので、今こそ国家資格というものが、今絞らなければならないという時代に新しくつくるということにむしろ意味があるんではないかというふうに思います。そういう国家資格の確立を図る必要があると思いますけれども、今、厚生労働省においてはどういう御検討がされているかを局長の方からお伺いしたいと思います。
坂本政府参考人 キャリアコンサルタントの養成に向けましては、公的な取り組みとして、雇用・能力開発機構において、職業能力開発大学校など全国の二十一の施設において、この十一月からキャリアコンサルタント養成講座を実施しているところであります。今後、毎年千百名の養成を図ることにいたしております。
 これに加えまして、キャリア形成促進助成金や教育訓練給付制度の活用などを通じまして、民間におけるキャリアコンサルタント養成講座の受講や資格取得を支援することにより、民間における取り組みを促進したいと考えております。
 キャリアコンサルタントの国家資格の問題でございますが、キャリアコンサルタントの資格、能力評価につきましては、既に、民間におきまして、養成でありますとか能力評価の制度が幾つか運用されているところでございます。したがいまして、当面は、これら民間制度の整合的な運用でありますとか、キャリアコンサルタントの能力水準の維持向上を図ることにつきまして、官民協力した取り組みを推進することにより行いたいと考えておりまして、新たな国家資格制度の創設の前に、この点についての効果的な普及の方策というものを考えたいというふうに思い、取り組んでいるところでございます。
福井委員 ありがとうございました。
 何か水面下で努力されているという御答弁でございましたけれども、現場においてはキャリアコンサルタントになりたいという方がたくさんいらっしゃって、それで、どういう資格で、どういう試験を受ければいいのかという問い合わせが殺到しているんだそうでございまして、そういう需要があり、なおかつ、後ほど申し上げたいアメリカの現状もありということで、ぜひ早急に国家資格というものを確立していただきたいと重ねてお願いを申し上げたいというふうに思います。
 次に、ちょっとアメリカの例を御紹介したいと思います。
 厚生労働省として公的に整理されているデータとはちょっと違うかもしれませんけれども、私が、アメリカで勉強されてきた方から直接伺った話を御紹介いたしますと、アメリカは職業をどんどん変えていくという文化が、土壌があるということはもちろん前提とさせていただくわけですけれども、教育の中に、ケー・ツー・トゥエルブといいまして、キンダーガーテンから十二年生、つまり幼稚園から高校三年生まで、毎年毎年の職業教育というのがプログラムされているということを伺っております。日本の、今般、教育基本法の改定の議論の中でも、職業教育、生涯設計というものがビルトインされようとしている議論ももちろん含まれておりますけれども、しかし、アメリカで積み上げてきたことと、そして日本の、とにかく四年制大学を出ればいいんだという今までの現状との乖離は余りにも激しいというふうに思います。
 実質、キャリアコンサルティングをされている方は全米で百万人近くはいらっしゃるんじゃないかというデータもあるように伺っております。そういう百万人の方々は、大学も大学院も心理学を勉強されて、臨床心理士も持たれて、なおかついろいろな職業の、まあ損得勘定も理解されて、熟達された人生の先輩としてのカウンセリングができるという人たちがたくさんいらっしゃる。そして、中学や高校にそういうキャリアカウンセラーがいらっしゃいまして、日本では、学校にいるカウンセラーというのは心のカウンセラーしかいないんじゃないかという誤解があるそうですけれども、心のカウンセラーももちろんいらっしゃいますが、数学や理科がわからないような人に教えてあげるアカデミックカウンセラーという人もいるし、そしてキャリアカウンセラーもいる。三種類のカウンセラーが教師のほかにいて、私は一体何になったらいいのかという、職業設計、人生設計をサポートする人が学校にもビルトインされている。そして、もっと言えば、日本でいえば公民館のようなところに、二十四時間電話で対応できる、相談に応じるという体制もあるということで、とにかくキャリアカウンセリングという分野、フィールドが存在しているということなんです。
 一方、日本では全く存在していない。今、少しあるのは、中高年のリストラ対策としてちょっと芽生え始めているという状況で、これは圧倒的に違うわけでございまして、とにかく早く日本でもそういうフィールドを育て上げなければならない。ですから、五年で五万人という目標も結構ですけれども、もっとピラミッドを底上げ、真っ正面からその分野をつくり上げていくという戦略が必要ではないかというふうに思っております。
 そこで、再び坂本局長様からお伺いしたいのは、このコンサルティング、日本ではコンサルティングという、アメリカではカウンセリングというのですけれども、この歴史と経験のあるアメリカに学ぶところも含めて、我が国の現状においてカウンセリングが国民の間に十分に浸透していない、それがポジティブのイメージで浸透していない、そのような中で、どのようにしてキャリアコンサルティング、日本でいえばコンサルティングの普及を図っていくのか、具体的にその方針についてお伺いしたいと思います。
坂本政府参考人 先生御指摘のように、アメリカにおきましては、歴史的に個人が主体的にキャリア形成を行うという風土があります。心理学の専門家などがこれを支援する体制が構築されておるところであります。一方、我が国におきましては、個人が専門家に相談をするということが一般的ではありませんで、職業上の相談につきましては、むしろ、職場の現場でありますとか需給調整機関等の実務家に頼る傾向がございます。
 こうしたアメリカと日本における実情の違いにかんがみまして、キャリアコンサルタントの能力要件の基準の策定、体系化を行う際に、企業内の人事労務担当者や需給調整機関の担当者等の実務家が果たす役割を考慮してまとめたところであります。
 キャリアコンサルティングにつきましては、昨年、労働者の主体的なキャリア形成のために事業主が講ずべき措置についての指針を策定いたしましたが、この指針の普及でありますとか、労働者にキャリアコンサルティングを受けることにつきましての費用助成の制度などを活用いたしまして、日本におけるキャリアコンサルティングの普及を図ってまいりたいと考えております。
福井委員 ありがとうございました。
 最後に、また副大臣の方からちょっと御紹介をいただきたいのですけれども、今、具体的にいろいろ進めているということをお伺いしましたけれども、このキャリアコンサルティングが有効に機能するためには、さらにまた、今の御答弁に重ねて、人材ニーズを初めとする労働市場の動きとか、あるいは教育訓練コースの情報とか、迅速的確に収集、提供できる仕組みとか、客観的なコンサルティングが可能となるような条件整備が不可欠となろうかと思いますけれども、その点についての副大臣の戦略をぜひお伺いしたいと思います。
鴨下副大臣 今、先生から、キャリアコンサルティングの意義というようなことでるる御質問いただいたわけでありますけれども、多分、先生おっしゃる最後のところは、それぞれの働く方々が生きがいを持って、さらに、自分のライフワークとして迷わず仕事について生き生きと働く、こういうような状況をつくるために、キャリアコンサルタントがどういうふうに働けるのか、働かせたらいいのか、こういうようなことをおっしゃりたかったのだろうというふうに思います。
 今、実際の問題としましては、労働移動がこれからさらに流動化していくというようなこともありますので、言ってみれば、働く方々の人材としてのニーズがどこにあるのか、そういうようなことを含めて、ミスマッチの解消をいかに迅速にスムーズにやっていくか、こういうようなことだろうと思います。
 具体的には、キャリアコンサルティングの推進体制の整備をしていくほかにも、例えば、人材ニーズや能力開発に関する各種の情報の収集や提供体制の整備、さらに能力評価制度の整備、多様な教育訓練機会の確保等を一体的に進めていく必要があると思います。また、キャリアコンサルティングにおいては、対象者のキャリアや能力を評価した上で、人材ニーズや職業情報をもとに本人のキャリアプランや能力開発プランを作成していく、こういうことだろうと思います。
 そのためには、効果的な能力評価のための手法や、そういうツールの開発、それから人材ニーズの情報、訓練コースの情報を迅速に収集、提供できるような仕組み、こういうようなものが不可欠でありまして、これといわばキャリアコンサルティングが相まって、先ほど申し上げましたように、自分に合った、しかも一生続けても後悔しないような、そういう職業にめぐり会う、こういうようなことなんだろうと思いますので、そういう方向で厚生労働省としても推進してまいりたい、このように思っております。
福井委員 まことにありがとうございました。
 次に、話は変わりますが、国家公務員のキャリアプランについてちょっとお伺いしたいと思います。
 これは「大地の川」といいまして、私ども土木屋の大先輩の著書でございます。がんの宣告を受けて、遺書のような形で書いた本でございます。役所の立場を離れて、役所の都合を離れて、一土木技術者として後世に残す本でございますけれども、今では常識になっておりますけれども、多自然型河川工事とか近自然工事とかいうのがここにつづられておりまして、河川で大事なのは、人相、手相と同じように、河川の相を見るという仕事が一番大事なわけですけれども、日常の、毎日毎日二時、三時という生活を続けておりますと、そういう仕事がなかなか現実の施策として実現しない、そういうことを含めてこの本が書いてあるわけであります。
 天下り、天下りということで、まるで魔女狩りのように月曜日から言われておりまして、取り巻いている国家公務員としては非常に今悲しい状況にあるのではないかと思いますので、ひとつ若松副大臣から、国家公務員のキャリアプラン、天下りがもしないとしても、どのような人生を描けるのか、社会全体としてそういう土壌形成をするための方策を考えるべきだと思いますけれども、その方策についてちょっとお伺いしたいと思います。
若松副大臣 国家公務員のライフプランについてのお尋ねでございますが、国家公務員のお一人お一人が退職後におきましても主体的に生活設計を行い、そして充実したセカンドライフを送れるように、トータルなライフプランの確立を支援していくことは、職員の充実した生活、ひいては公務における能力の発揮のためにも大変重要であると認識しております。
 総務省といたしましては、これまで、職員の退職後の生活の支援策といたしまして、主に退職直前の職員を対象といたしまして、ガイドブックの作成、配付、そしてセミナーの開催を行ってきておりまして、このような退職準備プログラムの推進を図ってきたところでございます。
 今後は、さらに、委員の御趣旨に沿って、それらの対象を中年期の職員にまで広げまして、現役時から準備を積み重ねた上で充実したセカンドライフを送ることができるよう、しっかりとした支援策を検討してまいりたいと考えております。
福井委員 ありがとうございました。
 要は、やる気を失わないように、日本最大のシンクタンクであります霞が関を有効かつ効率的に利用していただくという観点で、ぜひ若松副大臣のリーダーシップに期待申し上げたいと思います。
 最後に、やはり道路公団についてちょっとお伺いしたいので、坂野事務局長様に来ていただいておりますので、お伺いしたいと思います。
 けさの新聞でも、上下分離が決まって、あと地域分割、二から四社というような報道もございました。私ども土木技術者としましては、地域分割されると、間接費も増大しますし、技術の集中的な発揮というのも、いろいろなデメリットがございます。
 そういう意味で、その議論の行く末について云々するわけではなくて、そういう地域分割した場合のデメリットについての緩和策についてあわせて御検討されているのかどうか、お話しできる範囲内で結構でございますので、局長の方から御紹介いただきたいと思います。
坂野政府参考人 道路関係四公団民営化推進委員会におきましては、道路関係四公団について新たな組織のあり方を検討しておるわけでございますが、その一環として、御指摘の地域分割についても種々論議を重ねておるということでございます。
 御指摘のように、この地域分割について、当然、メリットもあれば、それに伴った副作用その他いろいろな問題も生ずる。そういう面、多面的な検討を行う必要があるということから、いろいろな角度から検討しておられるわけでございますけれども、この委員会で検討しております基本的な視点は、おおむね次のようなところに現在置かれております。
 一つは、経営資源の合理的、効率的な活用を行うこと、それから経営管理の面から見た組織としての適正規模を確立すること、各社間の競争を通じたコスト意識や増収意識を醸成すること、こういう視点を基本として検討をしておるわけでございまして、去る十一月八日の委員会では、日本道路公団は数組織に分割をする、また、分割に際しては、キャッシュフローをベースに検討して、収支率等が各組織で極端な差が出ないように検討するなどの一定の意見集約が行われたという段階まで来ておるわけでございます。
 御指摘の技術力、技術開発の問題についても、この論議の途上で、JRが民営・分割された場合に、その後どういう措置がとられたかということについても、いろいろな紹介はなされております。
 いずれにしましても、あと残された時間はそう多くございません。十二月中に意見を提出することとされておりますので、今後、相当まだ頻繁な回数委員会を開いて、できるだけ十二月早い時期を目指して意見を取りまとめたいと考えておるわけでございますけれども、いずれにしましても、今いろいろの御指摘があったメリット、デメリット、そういうものも総合的にお考えになって、的確な御意見をちょうだいできるものと考えております。
福井委員 ありがとうございました。終わります。
保利委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 この特別委員会も既に三日目を迎えておりまして、石原大臣、本当に御苦労さまでございます。きょうの審議もずっと見ておりまして……今、横から、そろそろ採決という話もありましたけれども、本当に、平成十一年のときのあの五十九本の法律を一括審議したときに比べると、既に時間も相当オーバーしておりますし、超えておりますし、さらにはまた、各大臣も初日から御出席をいただき、与野党を超えて熱心な議論が行われているということを私は感じながら、やはり行革全体が、石原大臣の御尽力もありまして、一歩一歩進んでいるんだなということを感じながら議論をさせていただいております。
 今すぐ採決するかどうかは私の権限ではありませんけれども、まだ私も言い足りぬことがありまして、今から三十分ほどおつき合いをいただきたいと思うわけであります。
 今回のこの法律、今回のスキームでありますけれども、独立行政法人になったそれぞれの団体については、その業務運営については各府省で評価委員会を設置する、そして政府としては、総務省に総合的な評価委員会を置いて、業務運営について引き続き内容を検証していくということであろうかと思っておりますが、今回、四十五法人のうち、民間法人化されるケースもあるわけであります。民間になるわけでありますから、純粋に民間法人になった場合は、今申し上げた業務運営の評価ということについては今のスキームの対象外になるのかなというふうにも感じるんですが、この点、石原大臣、どうでございましょうか。二つほどあると思いますが。
石原国務大臣 個別法人については、担当の副大臣の皆様から御答弁をいただきたいと思いますが、ただいま委員が御指摘されましたこの民間法人化という手法は、臨調の中で示された民営化の一形態であると考えております。
 民間法人化された特殊法人等に対する委員御指摘の指導監督というものは、従来、設立根拠法による所轄大臣の一般的指導監督等に基づいて個別に行われていたわけでございますが、今般、昨年取りまとめました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、本年四月に、所管大臣が指導監督を行う場合に従うべき役員人事、ディスクロージャー、情報の公開でございますけれども、に関する統一的な基準を定め、閣議決定させていただきました。その中で、法人の健全かつ適正な管理運営を確保する観点から、委員御指摘の評議員会、経営委員会等、法人外部の者を含めたいわゆる第三者的性格を有する機関において、当法人の実務業務の業績の評価を行うことを実は義務づけさせていただいたわけでございます。
 また、この基準におきましては、所管省庁が、所管する法人の事務事業の必要性、法人の設置法の必要性等について、独立行政法人と同じく三年から五年を目途に定期的に見直しを行うとしたところでございます。
 今回、特殊法人等から民間法人化される法人についても、委員御指摘のようなこのような第三者機関の設置や、もちろん所管省庁によります見直しによって、適切な業務評価が図られていくようにと考えているところでございます。
桝屋委員 ということは、きょうは診療報酬支払基金の議論をちょっとしてみたいと思っているんですが、その当該法人、民間法人化された中で、評価のための第三者機関等を設置して、今後の業務改善が行われるというふうに理解してよろしいんですか。お願いします。
石原国務大臣 桝屋委員の御理解のとおりであると考えております。
桝屋委員 今のその手法というのは、やり方によっては相当の効果があるだろうと思いますが、やり方によっては余り効果がない。今までもそういうことを繰り返してきたということもあるわけでありまして、私は、せっかく今回総務省にも行政評価委員会ができるわけでありますから、そちらで引き続きぜひ目くばせをしてもらいたいな、こういう思いもあるわけでありますが、特に整理合理化計画、今回この法律をまとめるに当たってそれぞれの個別法人でさまざまに議論があって、整理合理化計画の中でもさまざまに指摘をされた、その問題が全部解決されているわけではないわけでありまして、引き続き、新しい法人の形で、その中で議論を続けなきゃならぬ、あるいは改善に向けて努力を続けなきゃならぬということであろうと思っております。
 きょうは支払基金を例にとって議論したいと思っておりますが、これが民間法人化されるということでありまして、今石原大臣おっしゃったように、第三者機関が設置されて、今後の業務改善が本当にきちっと行われるのかなということをいささか心配しております。どうですか、石原大臣としては、これからいい流れでいくだろう、整理合理化計画で指摘されたような、そうした問題点については着々と今後改善をされていくというふうにお考えになっているのかどうか、御意見を伺いたいと思います。
石原国務大臣 桝屋委員の御質問は、民間法人化される法人に限って御議論されておりますので、その点について言及させていただき、お話をさせていただきたいと思うんですが、先ほども触れましたように、これは、特殊法人や認可法人のうちに、政府の資金等に依存する体質から脱却して自主的な経営を行うこととする法人として、たしか昭和五十八年だったと思いますけれども、臨調の五次答申等々で整理され、これまでに十九法人設立されているわけでございます。
 そして、委員がこれから御議論されようとされております社会保険診療報酬支払基金、そしてもう一つは、勤労者住宅協会でございますけれども、この二つを今回民間法人化させていただくということで、その評価の仕方等々については、先ほど説明をさせていただきました。
 そこで、委員の御懸念並びにこれまでの過去の歴史にかんがみての意見の開陳というものがあったのでございますが、私もまさに同意見でございます。と申しますのは、これもこれまでの議論で明らかになってまいりましたように、評価をする人は一体だれなのかといったような問題が一つ。そこの評価が、所管省庁の言いなりになる評価機関であるならば、これまでの歴史からして、いろいろなオブラートにくるんで、我々が考えた意図とまた違うものになる可能性を全く否定することはできないと思いますし、また、この運用の問題につきましても、適正、公正に運用されない限りは絵にかいたもちに終わってしまう。そしてまた、これが、委員御指摘のとおり、過去の歴史の中にあるということは、私も認識を一にするものでございます。
 そういうものを克服して、委員御指摘のとおり、今回の改革に魂を入れていかなければならない。その一つの受け皿といたしまして、特殊法人等整理合理化計画に示させてもいただき、政府の本部の中に設置させていただきました参与会議等々でこの問題につきましても御意見を賜り、委員の御懸念されるような事態を未然に防いで、今回の改革を仕上げていかなければなりませんし、また、フォローアップをしていかなければならないんだと考えております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 私のきょうの議論の問題意識は、民間法人化されるそうした法人について、純粋に民間だから、逆に民間に対してさらに行政がとやかく言うのはおかしいわけで、民間にすれば民間のメリットといいますか、そうしたものが十分生かされて業務改善がされるということがある意味では理想なわけですね。そういう意味では、余り行政がとやかく言うことはない。
 ただ、木村副大臣いらっしゃいますが、支払基金に限っては、限ってはという言い方はおかしいのでありますが、支払基金というのはやはり厚生労働省の医療保険政策全体の中での位置づけというのもあるわけですから、これはなかなか難しいな。したがって、民間法人化されて、えも言われぬ状態になって、そのままずるずるいってしまうんじゃないかということをいささか懸念をするわけであります。
 加えて、昨日のこの委員会での議論を見ておりましても、今回民間法人化されることにいかほどのメリットがあるのかということも逆に感じてしまう。何のために民間法人化するのかということをしみじみと考えながら、きょう質問に立たせていただいているわけであります。
 最初にお断りしておきますが、木村副大臣におかれては、私もかつて副大臣でおりましたから、今から申し上げることは自分が副大臣のときに閣議決定されたことでありますから、おまえがやっておけばよかったではないか、こうそのまま言われてしまう可能性もあるわけでありますが、それはできなかったわけでありまして、正直にそこを認めつつも、なお将来へ向けて、これはこれからも続けなきゃならぬわけでありますし、それよりも、私よりも数段すぐれた木村副大臣であれば、次へ向けてまた新しい流れをつくることが必ずおできになるだろう、こんな期待を込めながらこれからの議論をさせていただきたいと思うんです。
 さて、支払基金でありますが、整理合理化計画の中では、きのうも議論がありましたが、審査、支払いの独占化を改めて、競争原理を活用するため、各保険者の取り組みを進めるべきである、こういう指摘もあったわけでありますね。これは前から言われているわけであります。
 まさに今回民間法人化されるそのメリットというのは、先ほど石原大臣は政府資金の拠出という話もありましたが、もともと支払基金は政府資金はそんなに出ていないわけでありますから、では、民間法人化されたらそのメリットは何かというと、一つには、今私が指摘した審査、支払いの独占化を改める、競争原理を活用するということはある意味では大事、大変に困難な課題でありますけれども、大事な指摘だろうと私は思っております。
 きのうの議論で、安易な医療費の抑制につながってはならぬという議論もありました。それも一方では確かにある議論だと思いますが、しかし、片方では、やはり審査・支払い機関でありますから、審査をする、適正な支払いをする、あるいはもっと言うと、乱給防止をする、むだな医療費はここで何とか防ぐ、これがやはり審査・支払い機関の一番の役割でありますから、その結果は、適正に支払いをするということで、審査したら支払い量がふえるということは恐らくないんだろうと思うんですね。やはりそこは抑制をされていく、そこは国民の利益にかなうというふうに私は思っているわけであります。
 そういう意味では、審査・支払い機関としてさらに機能をアップしていただくように、まさに指摘があったように、独占化を改めて競争原理を活用するというこの指摘に対して、これからどういうお取り組みをされるのか。きのうの木村副大臣のお話でちょっと私理解できなかったところがあるものですから、十分御決意のほどをお伺いしたいと思います。
木村副大臣 桝屋委員の当時における大活躍に、まず心から敬意と感謝を申し上げます。そして、いろいろなお立場の中にあって大変御苦労されたのではないかと推察させていただくようなところもあるのでございますけれども、しかし、その中で、やはり、フォローアップをしながら自分が取り組んできたことに対しましてしっかりと責任を持ちつつ議員活動を続けておられるそのお姿に、心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
 御質問の点でございますけれども、御指摘のとおり、支払基金の設立の目的と申しますのは、診療報酬の適正な審査、支払いを行うということでございまして、これはやはり保険診療ですから、保険診療という観点から、審査基準に照らしまして適正、公平に審査、支払いが行われることが、これは非常に肝要なことでございます。
 今後とも、支払基金のこの設立の目的に沿いまして、これは、医療機関と保険者、この間に立って、二十万医療機関と一万三千保険者の間に立って、決済機能があり、またある意味で全国的に統一的な審査の基準等、そういうのもあるわけでございますが、そういうものの中にあって、双方に信頼される適正、公平な審査、支払いが行われるように今後も一生懸命努めてまいりたい、このように思っているような次第でございます。
桝屋委員 おまえが副大臣のときに一体何をやったんだと言われそうでありますが、今副大臣がお話しされたように、診療報酬支払基金の本来の役割、これが十分果たせるように、これから民間法人化に向けて、民間法人化される中で取り組みを進めていきたいというお話をいただきました。
 そこでおっしゃったことは、医療機関はたくさんある、それから保険者もたくさんある、その間に立って支払基金の役割というのは民間法人になったとしてもなかなか困難な問題がある、こういうことをおっしゃりたかったのではないか。
 ただ、では副大臣、民間法人化されるメリットは何ですかと考えると、これはなかなかまた難しいわけで、確かに私は、全国一元的に、一律に行っていく、双方、医療機関も多い、保険者も多い、たくさんの中で効率的な審査、支払いを行うという意味では、一元的に、一律に行うという今のその役割ということも、これは大事だろうと思うんですね。
 ただ、指摘を受けたように、結局は審査、支払いが独占になっているということ。きょうの午前中の審議でしたか、削り屋というような職業もあるんだと、私は実に残念な言葉だと思っておりますが。いずれにしても、もっと頑張れば、適正な支払いに向けてもっと努力の余地があるというふうに、私はそういう言葉を受け取るわけでありますけれども、そういう意味では、今の支払基金の一元的な仕組み、それに風穴を通すようないろいろなあり方というものはこれから研究しなきゃならぬ、検討しなきゃならぬ、できることはやらなきゃならぬ。やはり支払基金への刺激といいますか、こういう方法もあるんだという、いろいろな民間の活力といいますか、さまざまな努力というものが刺激を与える、そういう環境というのもやはり必要だろうと思うんですね。
 そういう意味では、せっかく民間法人化になるわけでありますから、具体的にはどういう方法があるかこれから議論してもらわなきゃなりませんが、そういう方向でぜひともこれからも取り組んでいただきたいなというふうに思っておるわけでありますが、何かお考えがもう少しありますでしょうか。
木村副大臣 もちろん、民間になるわけでございますから、これはこれでまさに効率的なところを含めて努力する必要はあるのかなと。しかし、かといって、先ほどから申し上げておりますように、全国の中にあってのこの決済機能といいますか、私は、この辺の歴史的な経緯、これは確かに、なかなか一朝一夕においてここまでできるものでもないなと。そういう間に立って、やはりいかに適正でかつ公平な審査、支払いを行っていくか、ここがやはり一番の使命であるんではないかな、こう思うわけでございまして、その上に立って恐らくいろいろな努力がなされるんだろうと。例えば、今委員がおっしゃいました、特に高額のレセプトなんかに対する取り組み等も相当一生懸命これからも行うようでございますし、こういったものを通じまして、委員の御期待にこたえるように、またこちらもしっかりと指導監督をしていかなきゃいけないな、このように思っておるような次第でございます。
桝屋委員 今、副大臣の方からもう一点、公平性というお話もありました。そして先ほどは、医療保険制度であると。保険における公平性、審査の公平性ということを多分副大臣はおっしゃったんだろうと思いますが、それを確保すると。昨日も公平性の担保という議論がありましたけれども、そこも確かに大事な点だろうと思います。
 ただし、そうしたことは、やりようによっては私はいろいろな方法があるんだろうというふうに思いますので、ぜひともこれからの、まだ来年の民間法人化までも時間がありますし、法人化になった後も、私は、できる創造的な作業について、でかい化け物のような大きな作業でありますから大変でありますけれども、不断の御努力をぜひお願いしたい。私はなかなか知恵が出なかったけれども、木村副大臣であれば大丈夫だ、このように思っているわけでありまして、ぜひ頑張っていただきたい。
 その上で何点か申し上げますると、例えば、やはり厚生労働省というのは、IT化は弱いですよ。本当に、これは私の責任もあります、自戒を込めて言っておりますが、例えばレセプトの点検にしても、レセプトは今はどうなったか、多分、電子情報と紙の情報、レセプト、このレセプトも動いているんだろうと思うんですね。あのでかいものを、何億枚とあるようなレセプトが現実にペーパーで動いているということは、何といいますか、この高度情報通信社会にあって大変なことだと思います。それもそのはずなんですね。なかなかやはり、医療の世界で電子化するということは、IT化するということは本当に難しい。
 実は、私は、厚生労働行政と同時にITの分野もずっと取り組んでいるわけでありますが、やはり一番腰が重たいといいますか、本当はできるんだろうけれども、担当の役所からしてこの問題に対しては、IT化については極めて腰が引けている。最近逃げ切れなくなりまして、e―Japan戦略とかそういう圧倒的な流れの中で、やっと重たい腰を上げたというふうに私は感じております。
 そういう意味では、これから特にIT化、しっかりこの支払基金の中でもやってもらわなきゃなりませんし、これは支払基金だけではありません。端的に言うと、医療の世界、この世界でどれだけ電子情報化できるかということが課題でありまして、そこが難しかったんだろうと思いますが、ぜひとも、民間法人化されたわけでありますから、民間法人だということでできることは必ずあるというふうに私は思っておりまして、こうした分野についても、医療保険制度全体の改革の中で適宜適切に、たとえ民間法人化になった支払基金たりといえども、しっかりと厚生労働省が指導しながら格段の業務改善を取り組んでいただきたい、私は具体的にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
木村副大臣 御指摘のIT化のところでございますけれども、確かに委員御指摘のところがあったわけでございます。今、八億枚前後の大変大量なレセプトを抱えている中において、少なくとも病院レセプト、これだけは早急にIT化をより一層進めていこう。そういうことで、たしか十六年度では五割を、それから十八年度におきましては七、八割になるように進めてまいるということで、これから鋭意取り組んでいこう、このように思っているような次第でございます。
 その中でやはり問題なのは、それは今、医療機関、病院と支払基金の間では、病院レセプトの方のIT化が今のような数字で進んでいるわけでございますけれども、問題点はもう一つございまして、先ほども申しましたように、支払基金は両方、双方に対応しなければいけないのですが、支払基金と各組合との関係においては、これは相当まだ電算化等IT化がおくれているわけでございまして、この辺にもこれからの課題を担っているわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、これからIT化等にはしっかりと努めてまいりたい、このように思っているような次第でございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 副大臣とちょっと私は認識が違うのかもしれませんが、私は、保険者の方はIT化はどうにでもなるんだろうと思うんですね、難しいところは確かにあると思いますが。やはり病院というよりお医者さんじゃないかなという気もしまして、お医者さんの世界もIT化は僕はもう大丈夫なんだろうと思っておりまして、ITを利用した、数が多いということはまさにITにマッチングできるわけでありますから、特段の御努力をお願いしたい。
 繰り返し申し上げますが、民間法人化されてエアポケットにならないように、ぜひとも、支払基金は民間法人化されてよかったな、こうなるようにお取り組みをお願いしておきたいと思います。
 最後に一点だけ、これも話題が出ておりましたように、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、これも私の時代でありましたから余り物は言えぬのでありますが、これが独法化で残るという、副大臣も見てびっくりされたと思います。今までの名前は心身障害者福祉協会、これが今度、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園。前の名前の方がよっぽどやわらかい名前じゃないかな、ソフトな組織ではないかなと感じるんですが、知的障害者で国立で独法でやらなければいかぬというのはどこにあるのかな、こういう気持ちがいまだにあります。
 これは将来へ向けてお取り組みをされると思いますが、当分の間独法でおやりになる必要性、業務の必要性と、それから、やはり将来へ向けては本当に民間に移管すべきではないか、こう思っておりますが、最後に副大臣の御意見を伺いたいと思います。
木村副大臣 先生がこの取り組みにおいては大変御苦労されたんではないかと推察させていただくわけでございますけれども、国立コロニーのぞみの園は、重度の知的障害者について、効果的な支援モデルの開発普及、同種の施設において対応が困難な事例への援助、それから人材の養成、これらに積極的に取り組んでいきたい、このように思っているような次第でございます。
 これは、国立コロニーが、医療、治療、訓練、研究等、総合的な機能を有することから可能となるものでありますけれども、このような役割は、御承知のように、公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであって、国みずからが直接行う必要がないものの、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあることから、組織形態を独立行政法人とさせていただいたような次第でございます。
 そうは申しましても、やはり独立行政法人化の後は、国の明確な政策目標に従いまして、特殊法人等整理合理化計画の指摘を確実に実施することによりまして、知的障害者福祉行政の推進に貢献できるように積極的な役割を果たしてまいりたい、このようにしておるわけでございまして、せっかく委員が御苦労していただいたようなわけでございますから、何とか、よかったなと言われるように、今後も先生ともどもに努力をしてまいりたい、かように思っているような次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
桝屋委員 私も深く反省しなければならぬのですが、しばらくの間は、将来へ向けて検討をぜひお願いしたいということと、独法である以上、知的障害者の療育あるいは訓練とか、そうした分野で、国でなきゃできない、独法でなきゃできない仕事をぜひともやっていただきたい。それは私は、余り多くはないと思いますが、ぜひやっていただきたい、それを見つけてでもやっていただきたい、お願いをして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、家西悟君。
家西委員 民主党・無所属クラブの家西悟です。
 私、足が悪いので、座ったままで質疑させていただくことをお許しいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
保利委員長 着席のまま御質問なさって結構です。
家西委員 まず、私の方からは、医薬品総合機構法について集中的にお伺いしたいと思います。
 まず、理念的な部分についてお尋ね申し上げます。
 今回の総合機構法には、独立法人化の流れの中で、医薬品の研究開発、審査、安全対策、救済のそれぞれの業務を無理やりに統合して、さらに、さきの国会での約束である生物由来製品の救済の問題をつけ加えようとしたことから、さまざまな矛盾が出てきたんだというふうに私は思います。私は、本来は、食品と医薬品の安全を総合的に監視する独立行政委員会、三条委員会が必要なのだと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
坂口国務大臣 確かに、医薬品でありますとか食料品でありますとか、こうしたものが同じになっていることは御指摘のとおりでございます。
 食品につきましては、BSE問題の反省に基づきまして、これは平成十四年六月でございましたか、食品安全行政に関する関係閣僚会議の取りまとめにおきまして、内閣府に、その重要性と独立性の観点から、食品の安全に関するリスク評価を行う食品安全委員会、仮称でございますけれども、これが新たに設置をされまして、厚生労働省に対しましてリスク管理を行うよう勧告をする、こういうことになりました。これは、食品は一つ内閣府というところが中心になりまして取り扱いを行う、その下に厚生労働省あるいは農林水産省というところがそのリスク管理をさらに行っていく、こういうことになったわけでございます。
 一方、医薬品の方は、疾病の診断とか治療に用いられることから、安全確保についての業務に当たりましては、これは承認審査から販売後の安全対策まで一括して行うということになります。疾病対策に対します責任を有します組織であります厚生労働省としましては、これらの問題はやはり一元的に取り扱いたいというふうに思っている次第でございます。
 いずれにいたしましても、食品それから医薬品、国民の生命と健康を守る立場、そうしたことで厚生労働行政のこれは本当に原点の一つだというふうに思っておりますが、最新の科学的知見にも基づきまして、予防原則に立って最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。したがいまして、医薬品及び食品の安全確保を、これは御指摘ではございますけれども、ひとつ一元的に全力を挙げてやっていきたいというふうに思っている次第でございます。
家西委員 一元的にとおっしゃいましたけれども、その件については、後ほどもう一度触れさせていただきたいと思います。
 その前に、名称についてお尋ね申し上げます。
 医薬品副作用救済機構法は、御存じのとおり、薬害スモンの救済事業からつくられたものと私は認識しております。そして、サリドマイドや薬害エイズ、薬害ヤコブ、さらには、今問題になってきていますけれども、薬害C型肝炎などの悲惨な事件の教訓を生かして法制定に至るのがあるべき姿ではないかというふうに私は思います。そして、法案の名称についてですけれども、厚生省は、長くなり過ぎたので苦肉の策で縮めたと言っておられますが、医薬品医療機器救済機構法としても何にも問題はないのではないかというふうに私は思います。
 例えば、ここに、ほかの法律の名称について幾つか述べたいと思います。育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、また感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律というような名称はあるわけです。これでは、長くなり過ぎたから縮めたというふうな理屈は私は当てはまらないのではないか。一体なぜこの救済という二文字をつけないのか、その理由をお聞かせ願えればありがたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 きのうも、一昨日でございましたか、この問題を提示されたわけでございますが、問題はその中身でありまして、薬害ということを忘れない、それを救済するということを忘れないという中身が大事でありまして、私は、そう名前にこだわる必要はないのではないか。中身が明確にそのことを受け継がれ、そしてさらにそれが重視されていくということであれば私はよろしいのではないか。
 余り長い名前をつけることはいかがなものか、これは私が言っているわけでございますが、大体、厚生労働省の名前というのはずっと長いのが、余りにも長過ぎまして覚えにくいのが多いものでございますから言っているわけでございます。
 しかし、私は、その中で、医薬品であれ医療機器であれ、それに対して、安全なものをどう確立していくか。そして、もしそういうことが繰り返されるようなことがあってはならないし、過去の分野につきましては、それはそのことを教訓として忘れずにやっていくという、その中身がきちっとしておれば私はいいのではないかというふうに思っている次第でございます。
家西委員 今大臣がおっしゃるとおりで、私も、正直なところ中身も必要だとは思います。しかし、やはり名称というものはその精神をうたっているのではないんでしょうか。そして、なぜ医薬品救済機構法という法律をスモンのときにつくられて、今回総合という形にしてしまい、そこには救済という名前だけを削るということは、これは、私も薬害エイズの被害者の一人として納得がいかない。薬害を払拭、要するに今までの薬害事件の問題を消し去ろうというような形にしか私は思えません。
 何とぞ、これは名称から変える、もう一度救済ということをうたわない限り、例えば独立行政法人法のこの名称で見ていただいても、医薬品医療機器総合機構法というふうになれば、これで救済の内容があるのかということが、一般的に名称だけでは読み取ることが私は難しいと思います。この法律の中には救済ということもうたわれているんだ、今回の独法法ではそういうものも含めてやっているんだということをうたうべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょう。
坂口国務大臣 同じことの繰り返しになりますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、中身につきましては、委員が御指摘のように、これは後退があってはならないというふうに思っておりますが、しかし、救済という文字が名称の中から消えたからといって、それによって中身が決して変わるわけではありません。また、救済という文字がたとえあったとしても、中身が変化をしては何にもなりません。
 問題は中身でありまして、いわゆる名前の中に救済という文字がなくなったから中身もなくしたというのだったら、これはおしかりを受けなければならないと思いますが、中身はこれまで以上にしっかりやっていくということを言っているわけでございますから、ここは御理解をいただきたいと私は思います。
家西委員 しつこくやることは私もあえてこの場ではいたしませんけれども、非常に私は憤慨しております、ある意味で。
 それでは、具体的に中身についてお伺いしたいと思いますけれども、まず、医薬品救済機構で行っていた救済についてですが、この制度自体、国民に十分知られていたとは私は思えません。新法において、啓蒙啓発活動をどのようにされて制度を活用されていくのか、その辺をお聞かせ願いたい。
 例えば、ここにQアンドAという形の、医薬品救済機構についての救済制度というQアンドAのパンフレットがございます。しかし、これ自体、多くの医療関係者を含めて、国民の方々は知らない人の方が多いんではないでしょうか。まず第一に、私自身が薬害エイズの被害者になったときに、医薬品救済機構という制度があること自体、当初は知らなかった。そして、スモンの患者さんたちから教えていただいた、こういう制度が今つくられています、そして中身を読んでいくと、その救済制度、自分たちも救済されるのかと思ったときに、その対象医薬品であるということがわかりました。こういうような実態もあることを御存じで言われているんでしょうか。
 そして、そういうことをなくすためには、やはり啓蒙啓発活動はしっかりとやらないといけないし、ましてや、一般の町の薬局等でお買いになった薬によって何らかの副作用が生じた場合、それを証明するためには、まず領収書があるとか、その箱をお持ちであるとか、残りの医薬品を持っているとかいうことでない限り、この救済機構からは何ら救済制度を受けることができないということは、国民の多くは知らないはずです。
 そういうことはどのように今後されていくのか、ぜひとも大臣、御答弁いただきたい、中身というふうにおっしゃるのならば。
坂口国務大臣 それは、やはり一番大事なことは、医療従事者それから薬剤を使用する皆さん方、そうした皆さん方に一番先に徹底して、皆さん方が御存じおきいただかなければならないというふうに思います。まずそこが、まず知っているということが大事でありまして、もし副作用が起こりましたときには、こういう副作用があるということをすぐ連絡していただかなければならないわけであります。
 それから、薬局等におきましても、もし販売いたしました薬において副作用がありましたならば、そのことをすぐにこれは連絡をしていただかなければならないわけであります。薬局等におきましては、それは人数が多いときもありますけれども、近くの方でありましたならば、いつ幾日、どういうものをお買いいただいたということがわかることもあるわけでございますしいたしますから、そうしたいわゆる医療関係者に対して、まず徹底するということが大事だと思います。
 一般の皆さん方に徹底するということは、しようと思いましても、なかなか不可能な面も私はあると思うんです。ふだんから、まさか自分がそういうことになるだろうというようなことを思わないものですから、よしそういうふうなことが、例えばパンフレットが各家庭に回ってきたといたしましても、なかなかそれが頭に入っていない場合が多い。直面いたしまして初めて大変だということになるケースが多いわけでありますので、いわゆる関係者がまず十分にこのことを把握して、少しでもそれに近いことを聞いたらすぐに、これは副作用ではないか、そのときにはこういう制度がありますということを言っていただけるようにすることが最も大事というふうに思っております。
 したがって、そういう皆さん方に対するPRと申しますか、いわゆる趣旨というものを徹底いたしまして、そしてその皆さん方に御理解をしていただくようにすることがまず急務というふうに思っている次第でございます。
 もちろん、一般の皆さん方にも、それを知らせないということであってはならないわけですし、できるだけそれはわかっていただくような方法、このごろのことでございますから、インターネットに出すというようなこともございましょうし、それから、できるだけ多くの分野にそうしたPRをするものを、パンフレットを置きますとか、何かできるだけ目に触れるようにしていくということも大事かというふうに思っております。
家西委員 先ほど言いました、この機構というものは、当時、ドクターも知らなかった、私たちの主治医も。こういうものがあるということも知っている方はほとんどいなかったという実態があります。ぜひとも、医療従事者には徹底的に広報をしていただきたい。そして、速やかにそういう人たちに対して救済制度があるんだということも通知していただきたいと思います。
 それから、二番目に具体的にお伺いしたいのは、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者さん、いわゆる重篤な副作用があった場合についてのグレーゾーンと言われる人たちの救済については、今後どのように取り組んでいかれるのか、具体的に教えていただければと思います。
坂口国務大臣 スティーブンス・ジョンソン症候群につきましては、今までからいろいろのお話も、私もお伺いしているところでございます。
 今までお伺いをしました中心的な課題は、いわゆる五十五年の救済制度ができます以前の方を一体どうするかという課題と、それから、この副作用で、視力でありますとかあるいは角膜等に涙腺の異常からいろいろの障害が及んでいる皆さん方に対する治療方法をどうするかといったような問題につきまして、今まで御質問もいただきましたし、私もそのことを念頭に置きながらやっているところでございます。
 今の御指摘は、それほどひどくないけれども、しかし若干なりとも副作用があった、こういう人たちに対してどうするか、こういうお話だろうというふうに思うんですが、いわゆる障害者として一級、二級の人たちというのは、これは副作用で認められるわけでございますが、その中間の人に対してどういう措置があるかといえば、この副作用の措置では救われないわけでございます。
 今、私たちがやっているのは、いずれにいたしましても、副作用を受けられた皆さん方に対して、どうすればその皆さん方にふだん御不便をかけずにやっていくことができるようになるか。涙腺がやられまして、非常に乾燥する、目をあいていることができ得ないというような人たちがあるわけでございますから、それに対する涙腺の研究というものを、もう少し基礎的な研究で、早く何とかそこに移植なりなんなりするようにできないかというので、その研究に取り組んでもらっているところでございます。
 また、いわゆる点眼薬につきましても、これはかなり進んでまいっておりまして、人を対象とした実験というと言葉は悪うございますが、一遍御使用もいただいて、どうかというところまで進んできているやに聞いております。その点眼薬、目薬ができ上がりましたならば、一日に数回ぐらい点眼をすることによって乾燥を避けることができるといったようなことでございますので、そうした研究につきましても精力的に今取り組んでいただくように言っているところでございまして、そうしたことでおこたえをしていくというのが一つの方法ではないかというふうに思っております。
家西委員 本来、医薬品救済機構というものは、無過失救済制度であると私は思います。ですから、薬を飲んでそういうような症状が出た場合に、症状、重篤性云々という形ではなくて、それなりの症状が出た、ましてや、そういう涙腺や角膜に影響を及ぼすような事態になったというときには救済を受けられるという、拡大をしていくということが急務ではないかというふうに思います。
 それと、時間が余りありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、厚生労働省は、今回、研究開発部門と安全監視部門を切り離して、薬務局を解体したわけですね、薬害エイズの問題で。そして、薬害根絶誓いの碑を建立されて、薬害防止を誓われたわけです。にもかかわらず、今回、独立行政法人という形で一本化、一元化されようというのは一体どういうことなんでしょう。認可する部分、監視する部分、そして救済する部分が一体になるということは、これこそ旧薬務局の再来ではないんでしょうか。薬害が防止できるということは、一体どういうところから一体化することが防止できるとおっしゃるんでしょうか。私は全然理解できないです。
 それと、あわせて、今回、医薬品救済機構に元厚生省の局長、この九月まで局長をされていました宮島さんが理事長に就任されています。これは何を言わんや、天下りというんでしょう、こういうのを、完全な。
 そして、今回この機構ということになるということは、これの財源というものは製薬メーカーからもらう、そして認可をする。研究開発、認可、そして安全監視、救済、全部一元化にしようということは、ずぶずぶじゃないですか。一体になって全部がここでやってしまうということは、薬害が起ころうが、承認を早くする、そして何か起こっても知らぬ存ぜぬと、黙り続けようというか、だまし続けようという姿勢が見え見えじゃないですか。
 こんなものを提出されること自体、理解ができません。一体これはどうやって防ぐんでしょうか。どうぞ大臣、御答弁ください。
坂口国務大臣 これも昨日お答えを申し上げたところでございますが、全体の中で新しくできます部分に、機関に任すべきところと、そして厚生労働省が今後もやっていきますところと、そこは明確にいたしております。
 したがいまして、行政上の重要な部分というのは厚生労働省が今後も引き受けていくわけでございますし、そして、その中で、いわゆる規制の分野と振興の分野というのは明確にしていく。その規制の中におきましても、今までのさまざまな経緯というものも踏まえて私たちはやっていくということを明確にいたしておりまして、厚生労働省の中でそこは今までどおり振り分けて管理監督をしていくということでございまして、決して今までの過去のいろいろのことを忘れているということでは、決してございません。
 また、宮島さんのことについてお話がございましたけれども、これからいよいよこれをつくり上げていかなきゃならないときでございますから、私は、彼の人間性、人格性というものを信頼いたしまして、彼を命じました。私は、役人だったらすべてだめだというわけではないというふうに思います。役人であろうとなかろうと、それはきちっとそこがやっていける人であるかどうかという、そこの見定めというものが大事でありまして、私は、そういう意味でこの人ならば大丈夫というふうに思っている次第でございます。
家西委員 では、こういう機構だったら、元局長、役所の人間であろうと構わない、製薬メーカーだったらだめだというお話なんでしょうか、言葉をかえれば。
 薬害エイズで逮捕された元社長も薬務局の元局長でした。そういったことを考えたときに、メーカーと、製薬企業とこういうような認可や安全監視をしていくところというのは切り離しをしなきゃいけない。
 産行学という癒着構造が薬害エイズの発端をつくったんだということをあれほど言われて、今回そういったものを切り離すというのが趣旨ではないんでしょうか。そうしない限り、薬害再発防止ということの、誓われたことが絵にかいたもちということにならないでしょうか。そして、厚生労働省の前に建てた薬害根絶誓いの碑というものは一体何なんでしょう。あれはお飾りなんでしょうか。石に刻んだわけです、文字を。そして、再発防止を誓われたと私は認識をしていましたけれども、どうもそのような御認識ではないようにとれて仕方がありません。
 そして、今回この新法の中に、製薬企業の元役員、社員は法人の役員になることはできないというふうに規制されていますけれども、一時退職者、休職者はどのようになるんですか。この人たちは入れないということをお約束いただけるんでしょうか。いかがでしょう。
坂口国務大臣 前半の産行学の話は、そこが一体になってやってはいけないということを言っているわけでありまして、人を選びます場合に、産行学いずれにも属さない人を選ぶというのはなかなか至難のわざでございまして、それは、その中のどこかに所属する人ということに多分こういう問題はなってくるんだろうというふうに思っております。
 そして、今まで薬の業界の役職をしておみえになったような人がそのままこちらの方に来るということは、これは禁止をしておるわけでございますが、この禁止をしたという理由は、今はもうやめておみえになってほかのところについておみえになりますけれども、それではその人だったらいいのかという話は、これは、現在まで勤めていた人をだめだというその趣旨からすれば、それはやはり明確にしていかなければならない、そこに規制をしていかなきゃならない、それはあるんだろうと思っておりまして、そこはこれから細かく、そうした人たちはこういうふうにしなければならないということを決めていきたい。やはりその趣旨というものを私たちは忘れずに、そこを明確にしていかなければならない、そう思っている次第でございます。
家西委員 それでは、今回この特殊法人に対して増員予定が言われています、百名余りについて。そして、製薬企業から社員を、元企業の社員を起用する予定があるというふうにも伺っていますけれども、いかがなんでしょうか。
坂口国務大臣 そこまでは私はちょっと存じません。新しい機構の中でどういう職員を雇われるのかということは新しい機構がお決めになることでございますから、そこまでは伺っておりませんが、しかし、今まで全然関係のなかった人を雇いましても何の役にも立たないわけでありますから、やはりそこに何らかの能力のある人を雇わないと話にならないわけでありまして、そうした意味からいきますと、企業にお勤めになっていたかどうかは別にいたしまして、その能力のある人をお雇いするということは私は当然だというふうに思っております。
家西委員 いや、それは全くの、ライセンスも何も、そういう勉強もされたこともない人を雇えという話ではない。企業に勤めてそういう研究開発をされてきた方が入っていくということは、ここで認可と安全監視とが一体化されていくということは、さじかげんが甘くならないですか。公平公正に判断ができるんでしょうか。私は、疑問に思えてならない。
 そして、時間が余りありませんけれども、私は、自分自身が血液製剤を使い、そして今、HIV、エイズの薬を飲み、そしてC型肝炎でインターフェロンを初めとした肝炎治療薬を使っている者として、本当にこれで安全、一〇〇%安全とは言いません、薬を使う以上は。だけれども、安心してこれでこの機構にお任せして使っていけるんだろうか、飲んでいけるんだろうかということを考えたときに、非常に疑問を持っています。片や認可する側、監視する側が同じところで同じようにやってきたもの、甘くなるんじゃないんでしょうか、判断が。そういうことを最大限に防止していただかないと、私は納得できないということを申し上げたいと思います。
坂口国務大臣 今御指摘の認可とそして安全の問題につきましては、そこが明確になるように、これは責任を持ってやっていきたいと思っております。
家西委員 時間が参りましたので終わりますけれども、本来質問通告していました部分、全部できませんでした。また、石原大臣の方にもお答えいただきたかったこと、この問題、薬の問題というものは、認可と安全性、そうしたものが連動していいんだろうか。これを今回の法律に出されるということ自体、私は到底思えない。本来は切り離して、認可する側、監視する側は別々の組織でやるべきだというふうに考えます。
 そういうことを申し上げて、私の質問を終わりますけれども、最後に、もし御答弁いただけるのなら、石原大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
石原国務大臣 家西議員と坂口厚生大臣の議論を聞かせていただきまして感じましたことは、私は厚生分野に造詣がそれほどございませんけれども、金融の世界も、監督する側と検査をするもの、要するに政策をつくるものと検査をするものが一緒でありますと、今委員が指摘されたような誤解や間違いが生じてきた、このことを肝に銘じてこの分野でも取り組んでいかなければならないと痛感いたしました。
家西委員 終わります。ぜひともそのようにしていただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、山井和則君。
山井委員 民主党の山井和則でございます。
 けさのこの委員会でも我が党の松崎議員から話がございましたが、先日、非常に残念なことに、私の尊敬する石井紘基衆議院議員が暴漢に刺殺をされました。その石井紘基衆議院議員が一番憤りを感じておられたのが、天下りの問題、そしてこの特殊法人改革の問題でありました。そういう意味では、今は亡き石井紘基議員の思いも含めて、この問題に取り組ませていただきたいと思います。
 また、それとともに、本日は、関連しまして、社会福祉・医療事業団そして社会保険診療報酬支払基金、国立重度知的障害者施設のぞみの園、これらのことについても、一時間にわたって質問をさせていただきたいと思います。
 まず、本日は、大変お忙しい中、福田官房長官にもお越しくださいまして、本当にありがとうございます。また、人事院の中島総裁にも、月曜日に続きましてお越しくださいまして、本当にありがとうございます。
 まず冒頭、続きということで、月曜日からの公務員制度改革についての質問をさせていただきたいと思います。これは、まさに今回の特殊法人改革の最大の焦点であります。
 今お配りしました資料の三ページ目をごらんいただきますと、読売新聞社の世論調査がございます。その中で、「あなたは、中央省庁の官僚に対して、どんな印象を持っていますか。」ということのトップが「天下り」四〇・九%。また、一番下の、天下りについて「「官僚と業界の癒着の原因になるので認められない」という意見と、「能力のある人材の活用だから問題はない」という意見があります。あなたは、中央省庁の官僚の天下りについて、認められないと思いますか、やむを得ないと思いますか、」ということに関して、「認められない」が六六・九%、「やむを得ない」二五・六%を大幅に上回っております。
 このような状態の中で、月曜日、私がさせていただきました質問は、公務員制度改革大綱の中で、営利企業への再就職ルールに関して、現行の人事院の事前承認制を廃止して大臣承認制に改めるという点であります。
 まず、中島総裁にお伺いしますが、一昨日御答弁いただいたことと変わりはありませんでしょうか。
中島政府特別補佐人 すべての天下りを内閣で直接一括承認するようにすべきであるということを申し上げましたが、その考えに変わりはございません。
山井委員 まさにその同じ日の参議院の行政監視委員会におきましても述べておられまして、改革案における営利企業への再就職の大臣承認制については、各方面から厳しい批判が寄せられています、これは中島総裁の述べられた部分であります。公務員制度に対する国民の最大の批判の一つが天下り問題であり、その批判は、営利企業への天下りに限らず、特殊法人、公益法人等への天下りを含めたものに及んでいます、この点を考えますと、今回の改革では、こういった再就職全般について、大臣承認ではなく、内閣が一括管理する方向で検討する必要があると考えますと。今、中島総裁が御答弁いただいたことと一緒でございます。
 そこで、お忙しい中お越しいただきました福田官房長官にお伺いしたいと思いますが、今までから、天下り問題の自民党の勉強会にもたびたび参加されて、福田官房長官はこの天下りの問題、非常に真剣に取り組んでこられた方だとお聞きしております。その長官が、内閣を代表する責任ある立場で御出席をくださったことに本当に感謝をしております。そこで、このことに関して、大臣承認制に改めるというこの公務員制度改革大綱について、内閣のお考えをお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 天下りにつきましては、これは今委員からお示しいただきましたこの世論調査におきましても大変強い批判がある、そういうことは、かねがね私もいろいろなところで、その世論調査ばかりでなくて聞いておりまして、この問題は真剣に受けとめて、再就職に係る承認制度などについて見直しを行っていく、この必要は絶対にあるというふうに考えております。
 政府は、昨年末に、公務員制度改革大綱、これを閣議決定いたしました。営利企業への再就職については、「内閣の責任において、政府全体の行政の公正な運営等を確保するため、再就職の承認基準については政令で定める」ということも書いてございますし、それから「職員の再就職の承認は、職員の適切な服務管理と行政の公正な運営に一義的な責任を有する人事管理権者が厳格かつ明確な基準の下で行う」というような方針を決定いたしたところでございます。
 また、人事院の方は、昨年夏の報告において、すべての再就職について、当事者である各大臣でなく、内閣が一括管理することを検討する必要がある、こういうふうにしているところであります。
 いずれにしましても、現在、公務員制度改革大綱に沿って、改革の具体化に向けた検討を行っているところでございます。いずれにしても、今後、国民の信頼を確保し得るルールの確立、そのためにこれからも検討作業を進めてまいりたい、このように考えております。
山井委員 福田官房長官にお越しいただいてこの発言をしていただいたということは、今のが政府統一見解ということと理解してよろしいでしょうか。
福田国務大臣 ただいまのような方針に基づいて今後検討を進めていく、そういう考えでございます。
山井委員 それで、今の御答弁を聞いておりまして、正直言って、わかりにくいという気がいたします。
 といいますのは、途中で、いずれにしましてもという接続語で結ばれたわけですが、たしか最初の方は大臣承認制のようなことをおっしゃっていて、人事院のことに関しては、いや、内閣が一括してということで、いずれにしましてもと言って、違うことを二つぺたっと張ってつけたような印象を受けたんですが、ちょっとそこをもう一度お伺いしたいんですが、はっきり言いまして、この公務員制度改革大綱の大臣承認制ということについて、そういうことですか。今の公務員制度改革大綱に入っている大臣承認制の方針でやるということでしょうか。大臣、お答えください。
福田国務大臣 公務員制度改革大綱を閣議決定いたしました。そこで、営利企業への再就職について、内閣は、政令で承認基準を定めるとともに、各府省における承認制度の運用について必要な総合調整、これは内閣が行うのでありますけれども、行うこととしておりまして、内閣の果たすべき役割を強化する、こういう方針でございます。
 いずれにしましても、そういうことも含めまして、この制度の具体化に当たりましては、今後、十分な検討をしてまいりたいと思っております。
山井委員 今の福田長官の発言では大臣承認制という方向なのかどうかがいま一つわからないのですが、簡潔に、大臣承認制でやるのか否か、政府の見解をお聞かせください。福田官房長官、お願いします。
福田国務大臣 そういうことも含めまして、今後の検討の中で具体化をしてまいりたい、こういうふうに申し上げたところでございます。
山井委員 そういうことも含めましてということは、裏返せば、まだこの大臣承認制というのはその方向と決めたわけではない、まだ見直す余地があるというふうに理解してよろしいですか。福田長官、よろしくお願いします。――イエスかノーかでお願いします。ちょっと時計をとめてください。別に簡単な質問ですから。
保利委員長 官房長官、いかがですか。
山井委員 ちょっと休憩しましょうか、そうしたら。ちょっと質問できません、このことをきょう聞くといってお約束してもらったわけですから。
保利委員長 御発言ありませんか。
 福田内閣官房長官。
福田国務大臣 これは、具体的に今後ルールの確立をすべく検討作業を進めていく、こういうことなんでありますけれども、職員の再就職の承認、この承認につきましては、「職員の適切な服務管理と行政の公正な運営に一義的な責任を有する人事管理権者が厳格かつ明確な基準の下で行う」、こういう方針をこの公務員制度改革大綱でもって決定をしているところでございますから、そういうことも含めて今後の検討にゆだねる、こういうことです。
山井委員 先ほどの答弁と全然変わっていないんです。私は、大臣承認制でいくのか否かという政府の答弁を聞いているわけです。もう一度お答えください。もうそれが出ているんですから、公務員制度改革大綱に。
福田国務大臣 今現在のところ、大綱に基づいて検討を進める、こういうことでありまして、それ以上のことを私からただいま申し上げるわけにはまいりません。
山井委員 今、それ以上のことは私から答えられませんということですが、二日前に石原大臣に聞いて、整合性がとれないから、きょう福田官房長官が責任者としてお越しくださるということで、私は質問しているわけです。
 もう閣議決定は年末にされているわけですから、大臣承認制でやるのかどうかということは、福田官房長官、今お答えください。あるいは、まだ見直す可能性があるというのでしたら、別にそれで結構です、そういう答弁でも。――ちょっと、質問できません、これでは。堂々めぐりじゃないですか。(発言する者あり)
保利委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
保利委員長 それでは、速記を起こしてください。
 山井君、もう一度お願いします。
山井委員 その閣議決定に基づいた大臣承認制でやるということでしょうか。福田大臣、お答えください。
福田国務大臣 先ほど来答弁しているとおりなんですけれども、これは、公務員制度改革大綱を閣議決定しているわけですよ。その内容を先ほど申し上げました。ですから、その方向で検討するということになるわけでありまして……(山井委員「検討ってどういうことですか」と呼ぶ)そのルール化をするということですね。改革の具体化に向けた検討を行っている、こういうことです。先ほど言っているとおりじゃないですか。
山井委員 改めてお伺いします。
 これから細かいことを検討するということで、そうしたら、大臣承認制でやるということなんですね。そう答えてもらったら、もう話は簡単なんですけれども。
福田国務大臣 この改革大綱に基づいて、そして検討をする、改革の具体化に向けた検討を行う、こういうことです。
山井委員 大臣承認制でやるということですか。長官、お答えください。
福田国務大臣 何度も同じような、同じことを申し上げることになるんですけれども、この改革大綱が決まっているんです。この大綱に沿って、改革の具体化に向けて検討を行う、そして今後、国民の信頼を確保し得るルールを確立する、これが目的なんですよ。その検討作業を進めるということです。
山井委員 いや、何回聞いてもお答えいただけないけれども、大臣承認制でやるということですね、その御答弁をいただいたらいいんです、その言葉で。官房長官、お願いします。この新聞記事にも大臣承認制が一番問題になっているわけですから。――ちょっとまたとめてください。
保利委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
保利委員長 それでは、速記を起こしてください。
 山井君、恐縮ですが、もう一度お願いします。
山井委員 そうしたら、ここの大綱にも出ておりますが、いわゆるこの大臣承認制、「職員の再就職の承認は、職員の適切な服務管理と行政の公正な運営に一義的な責任を有する人事管理権者が厳格かつ明確な基準の下で行うものとする。」これが大臣承認制なんですけれども、これでやるということですね。官房長官、お答えください。
福田国務大臣 先ほど私が言っているんです、最初に。そのとおりなんですよ。いいですか、それで。
山井委員 その大臣承認制ということが問題になっているんですが、ここに、先ほど読みました人事院の総裁の見解では、大臣承認ではなく内閣が一括管理する方向で検討する必要があると考えますと。ということは、官房長官、これは明らかに政府を代表する官房長官の発言と中島人事院総裁の意見が違うということをお認めになられますか。福田長官、お願いします。
福田国務大臣 人事院は人事院としての御意見があって当然だと私は思っています。
山井委員 でも、きょう、中島総裁は政府参考人として来られているんじゃないんですか。政府じゃないんですか。
石原国務大臣 組織法上、内閣の所管のもとに人事院はあります。
山井委員 だから、政府参考人じゃないんですかということをお聞きしているんです。
保利委員長 どなたがお答えになりますか。――山井君、ちょっと。
山井委員 政府参考人としてきょうは中島総裁に来ていただいておりますが、政府参考人ですねということを中島総裁に確認したいと思います。
中島政府特別補佐人 それは、もう既に国会議員の皆さん方御存じのように、独立中立機関でございますので、時々政府の考え方と違う考え方はあると思います。これは許されることだと思います。
 私が国会からいただいたものを読みますと、政府特別補佐人と書いてありますね。
山井委員 国家公務員法の中では、人事院は、「内閣の所轄の下に人事院を置く。」と定義されております。それで人事官は、「内閣が、これを任命する。」と。内閣が所轄しておって、内閣が任命する方の意見と内閣の責任者の意見が違う、これはおかしいんじゃないでしょうか、官房長官。
石原国務大臣 何度も申しますように、今委員が国家行政組織法を示されたように、内閣のもと、もとという字は下と書いてあるんですけれども、総裁が答弁したように、内閣の考えと違うことはたまにあるそうであります。
山井委員 それでは、福田官房長官、この資料をちょっと見ていただきたいんです。今ここで中島総裁の見解と政府の見解が違うということが明らかになったわけですが、この資料の中で、資料の二ページを。この公務員制度改革の大枠が最初に発表されまして、その次に公務員制度改革の基本設計が発表されて、公務員制度改革大綱が発表されました。インターネットで私調べましたら、十九件ありました。
 きょうは、政府を代表して福田官房長官が来てくださったというので、また、この天下り問題に非常に御熱心な方だということで、お伺いしたいんですが、福田官房長官、この十九の社説の中で大体どれぐらいが大臣承認制に賛成で、どれぐらいが反対だと思われますでしょうか。
福田国務大臣 社説を全部私も読んでいるわけじゃないけれども……(山井委員「想像で、大体」と呼ぶ)いや、想像というのもちょっとおかしいでしょう。
 ごく一部しか見ていないという限りにおいて、大臣承認制に反対する社説も見たことはあります。
山井委員 大臣承認制に反対する社説も見たことがあるということは、賛成する社説も見られたことがあるということですか。官房長官、いかがでしょうか。
福田国務大臣 まあ、はっきり言って、忘れました。
山井委員 でも、この天下り問題というのは、この委員会の最も重要な問題ですよ。小泉内閣の目玉ですよ。そのことについて社説がどのようなことを言っているか、そういうことについて認識が薄いんではないかなという気が私はいたしますが、実は、この十九、全部反対であります、大臣承認制に対して。一つも賛成しているものはありません。
 先ほどの答弁の中で、国民の意見を踏まえてこういう改革をしていくということですが、国民とマスコミ、それは確かに全く一緒じゃないかもしれませんが、普通、法案で、すべての社説が、十九そろいもそろって反対で、賛成は一つもないというような、そのような転換というのは珍しいんではないかと思います。例えばメディア規制法とかは、マスコミが反対するのは当然ですけれども。
 そのあたり、改めて福田官房長官にお伺いします。十九の社説が全部反対している。これではお手盛りになってしまう、二年間の期間を置かないと、国家公務員が民間企業にすぐ行くということを第三者の独立した人事院ではなくて大臣が決めるようになると、お手盛りになると。すべての論説がそのような方向性であります。例えば、それを見てみますと、天下りが緩和されるだけではないかとか、お手盛りにしてはならぬとか、そういう見出しが躍っているわけですが、福田官房長官、改めて御意見をお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 何とお答えしていいかわかりませんけれども、社説も、今ちょっと拝見したら、一年以上前の社説もありますね。全部私見ているわけじゃありませんが、社説をもとに云々ということはできないんですけれどもね。
 しかし、この天下り全体についての批判というのが十分あることはよく承知しておりますから、そういうことを踏まえた上で、国民が信頼するような、そういうルールを確立するということが大事だと思っております。
山井委員 まさに、今官房長官がおっしゃられましたように、先ほどの読売新聞のアンケートにもありますように、国家公務員の批判のトップが四〇・九%で天下りなんですね。その中で、先ほども言いましたように、六七%という高い割合で、天下りは認められないと言っている。
 ところが、大臣承認制になると、これはやはりお手盛りになっていくんじゃないか、そういう危険があって、十九の社説全部が反対しているんですね。今の官房長官の発言でしたら、この大臣承認制によって厳しくなるというふうにお考えでしょうか。福田官房長官、お答えください。
福田国務大臣 そこで、私が再三申し上げていますように、本当に国民の信頼を確保し得るルールをつくるということで、今後具体化をしていこうということを申し上げているわけですから、そういうことで、ことしから来年にかけて議論を詰めていくということになろうかと思います。
山井委員 国民の信頼し得るルールを確立するということですが、繰り返しになりますが、これだけ全部社説もこぞって反対しているということは、国民の信頼を大臣承認制は得ていないというふうに思われませんか。十九の社説はすべて反対だけれども、この大臣承認制への転換は国民の理解を得ているというふうに大臣は思われますでしょうか。福田官房長官、お願いします。
福田国務大臣 私は、社説がすべてだというふうには思っておりません。
 それから、天下りということについて申し上げれば、確かに天下りについて問題がある。これはもう指摘を受けているとおりでありますけれども、しかし、それと同時に、では、すべての天下りを廃止したらそれで済むのかといったようなことも考えなきゃいかぬですね。そういうことを全体的に考えていくということも、そういう視点も必要なのではなかろうかと思います、そこで働く公務員の人たちの一生の問題でありますから。
 ですから、そういうことも兼ね合わせて考えて、そして、本当に国民がこれならというふうな、そういうルールづくりをするということが大事なんじゃなかろうかと思っております。
山井委員 これは非常に重要な点なんですが、これによって天下りがふえるのか、減るのかということであります。
 そして、今、福田官房長官は、国民に信頼されるルールづくりということをおっしゃっていて、人事院の承認じゃなくて大臣の承認に変えるということは、人事院の承認では国民に信頼されるルールづくりができないということなんでしょうか。福田官房長官、いかがですか。
 今までは人事院がやっていたわけです。私は正直言いまして、人事院がやっていて、第三者で、独立性があって、国民から見れば、汚職でぞろぞろと辞任する大臣よりも人事院の方が国民の信頼は厚かったんじゃないかと思っているんですけれども、そのあたり、福田官房長官、人事院よりも大臣の方が国民の信頼が得られるというふうに思っていられますでしょうか。福田官房長官、お願いします。
福田国務大臣 人事院の考えは人事院に聞いていただきたいと思いますけれども、人事院は人事院としての信頼というのは非常に大事でございますから、それは人事院としても、そういう自覚を持ってやっておられるものと思います。
 いずれにしましても、そういうことも全部含めて、この新しいルールを信頼のできるものにしたいというのが我々の考えであります。
山井委員 この五ページ目の資料を、福田官房長官、見ていただきたいと思います。社会福祉事業団の役員名簿です。
 私、この社会福祉事業団がされている内容に関しては、それはそれで必要なことだと思います。ところが、福田官房長官、この役員の名簿を見て、今の天下り問題の深刻さがわかると思うんですね。ここには実名が出ておりますが、本人に御迷惑がかかってもいけませんので実名では呼びませんが、常勤理事六人のうち四人が厚生労働省からの天下り、もう一人が総務庁、そしてもう一人が国民生活金融公庫ということであります。
 次の七ページを見てください。その年収、理事長二千五百八十七万円、副理事長二千二百十七万円、理事四人、二千万円、千九百九十七万円というふうな高額で並んでいるわけです。
 かつ、その次の九ページを見てもらったら、この方々がどういう動きをしているかというのが一目瞭然でわかります。
 ちょっとパネルをつくってきました。例えば理事長さんは、環境事務次官から事業団の副理事長を経て理事長、あるいは平成五年の方は厚生事務次官から、また平成十三年の方も厚生事務次官から。つまり、この理事長というのは、事務次官の天下りポストに事実上なっているということですね。
 それで、私、これを計算してみてびっくりしたんですね。計算してみたら、事務次官の方は退職金を七千万円受け取っておられるわけです。退職金を七千万円。それで、八年間おられたわけですね。それで、一年間の給与が、今言いましたように年収が二千六百万円で、八年間いたということであります。それで計算をしていきますと、全部で、八掛けたら二億なんですね。八年間で二億給料をもらって、また退職するときに四千万円をもらわれて。つまり、事務次官を退官して、この社会福祉事業団に天下って八年間働いて退職するまでに、一人で三億三千万円もらっておられるわけです。
 そして、その下の副理事長あるいは理事のポストは、局長さんのポストになっているわけですね。局長さんはまた、退職金をもらって、四年間、任期二期を務められたら、大体一億六千万円もらえることになっております。
 そして、このグラフにありますように、理事長さんは、そこをやめてからもまた天下りをされておられます。
 大臣承認制の話に戻りますが、この職は厚生大臣がこれを許可するということになっておりますけれども、もし大臣が、国民に信頼できるルールで承認する、きっちり人事をできるということだったら、今までからこんなことになっていなかったんじゃないですか。やはり第三者がきっちりとやる必要があるのではないでしょうか。これと同じことが、大臣承認制にしたら起こらないですか。福田官房長官、いかがでしょうか。
石原国務大臣 ただいま御指摘をされておりました問題は現行制度の中で起こった問題であって、大変けしからぬことだと思います。ですから、営利企業への再就職を厳しくするために、人事院がこのようなことをやっていましたので、これだけ批判が出るのに何ら有効な手だてを打てませんので、政府として腰を上げたということでございます。
山井委員 違いますよ。これは営利企業の例じゃないんです。営利企業じゃない、これは特殊法人……(石原国務大臣「それはわかっていますよ。わかっていますよ」と呼ぶ)いやいや、今、営利企業の例とおっしゃったから。
 だから、大臣が承認するんだ、承認して公平なことができる、天下りが減るというのならば、既にそれはなくなっているんじゃないんですか。福田官房長官、いかがでしょうか。
福田国務大臣 今までのことについていろいろ批判があるわけです。そしてまた、おっしゃるとおり、御指摘のとおり、目に余るものもあると私どもは見ています。ですから、そういうものは改善していくということなんですよ。そういうことのために、今後、鋭意努力するということであります。
山井委員 そこで、坂口大臣にお伺いします。
 これから独立行政法人になったら、これと同じようなことが続くんですか。今、官房長官もお話がありましたが、やはりこういうのがだめだから改革ということになっているんですが、いかがでしょうか、坂口大臣。
坂口国務大臣 ですから、今、官房長官からお話ありましたように、新しいルールをつくってこういうことにならないようにする、こういう話でございますから、私はそれでいいというふうに思っております。
山井委員 そこの、まさに新しいルールが問題なんです。新しいルールというのをもうちょっと具体的に言ってください、どうこれを変えていくのか。それを審議するのがこの場ですから、新しいルールというのは、どうすればこういう天下りが減るんですか。坂口大臣、お願いします。
石原国務大臣 誤解があるといけないんですが、私が申し上げましたのは、営利企業への再就職でいろいろな批判があるのに対して有効な手だてが打たれてこなかったという話をさっきはしたかっただけです。
 委員がされております話は、特殊法人の天下りについては、人事院はこれまでアンタッチャブルであった、そういう話でございます。
 そういう整理のもとで政府が今取り組んでおりますのは、何で天下るのか。六十歳まで役所にいないからであります。ですから、六十歳に限りなく役所にいられるように。また、急にということになりましたらどういうことが起こるかというと、ポストが、就任年齢が遅くなります。それによって、五十歳になっても課長になれない。民間では三十代で部長だ、社長だという世の中に、それで公務員に優秀な人が集まるのか、集まらないのか。そういう問題も全部含めて、公務員制度改革の中で改革案を現在取りまとめていると御理解をいただきたいと思います。
山井委員 これは、例えば、私驚きましたのは、非常勤の方がおられるわけですね。この資料の八ページに、非常勤でBさんという方がおられます。Bさんですね。この方は、二年間で二十四万円給料をもらっていられるわけです。ところが、役員会に二回しか出ていられない。ということは、一回の役員会で十二万円、非常勤の監事でもらっていられるんですね。一回十二万円。それであとは全部欠席なんです、ほぼ毎月役員会が行われているわけですけれども。ということは、一時間半ということは、これは時給八万円にも上るわけなんですね。
 こういうことというのは、一般の感覚では考えられないことだと思います。坂口大臣、いかがでしょうか。こういうのをどう変えていくのでしょうか、今後。
坂口国務大臣 これは、先ほど申しましたとおり、ルールづくりというのが一番大事でありまして、そのルールは、今御指摘になったような批判を受けないようにどうしていくかということを中心にして考えていく、そういうことでしょう。したがいまして、これは厚生労働省だけの話ではございませんけれども、これは全体で決めなきゃならない問題でございますが、あまねく批判を受けないようにしていかなければならない。
 それは、先ほど石原大臣もおっしゃいましたように、公務員制度そのものとのかかわりもあるわけでございますから、車の両輪でそれは進めていかなければならない。しかし、それをいつまでも余り長くかかっていてはいけませんから、これは早く決着をつけるという方向でやっていかなければいけないというふうに思っております。
山井委員 先ほど石原大臣から、今まではこういう特殊法人には人事院もタッチしていなかった、だからこういう野方図になっていたんじゃないかという御指摘がありました。私も実はそのとおりだと……(発言する者あり)そうおっしゃっていました。
 それで、私が思いますのは、そういう意味では、これからこういう独行法人への天下り、そういうことに関してもやはり人事院がチェックするということにすべきではないかと思います。中島総裁、いかがでしょうか、御所見をお聞かせください。
中島政府特別補佐人 特殊法人とか認可法人に対する天下りというのは、特殊法人、認可法人の行っている業務その他につきまして、主務官庁とどういう関係にあるかというような、いろいろな多角的な観点からこれは審査していくというか考察していく必要がございますので、人事院が今やるということについてはいかがかなというふうに、少しやはり頭をかしげざるを得ないというふうに思いますね。
山井委員 ここをいかに透明感と信頼感のある形にするか。少なくとも今のような現状では、決してこの独行法人化というものに関して国民の信頼というのは得られないと思います。
 今回、私、この社会福祉・医療事業団一つだけを調べてこれなんですけれども、今回の四十六本の法律すべてに同じようなことがあるわけですね。坂口大臣、こういう役員に民間人を入れていくということを、小泉総理も月曜日に発言をされました。坂口大臣のお考えをお聞かせください。
坂口国務大臣 それは、適切な人があれば民間の方も結構だというふうに思いますから、そこはよく吟味をして決めていかなければならないと思います。
山井委員 福田官房長官、改めてお伺いしますが、大臣承認制に変えていくということで、今までからこの天下り問題に熱心だった大臣だからお伺いをするんですが、本当に天下りは減りますか。減りますか、このおびただしい天下りの現状。福田官房長官、いかがでしょうか。
福田国務大臣 天下り問題は、これは、ただ役人が天下っちゃいかぬというだけで済む問題じゃないんですね。やはり、天下りしないで済む公務員のあり方というものを考えていかなければいけない。ですから、両面考えて何が一番いいのかという視点というものも忘れてはいけないと思います。
 今現在、この問題につきまして、早期退職慣行の是正、それからまた再就職状況の公表による透明化、これも推進しようと考えているわけであります。そしてまた、退職金の二重取りというような批判もよくあることでありますけれども、そういうのであれば、退職しないで出向する、こういう制度もあるのではなかろうかと思います。
 いずれにしても、役人の方でも、天下りしちゃいかぬ、しかし、ある年になったらどうしようかということで思い悩むようなことで満足な仕事ができないということでは、これはいかぬと思いますから、そっちの面も考えて、本当に国民が安心して公務員の仕事に精励してもらえるような環境づくりをするということが大事だと思っております。
山井委員 改めてお伺いしますが、今私が質問しましたのは、こういう大臣承認制に変える、民間企業の点について大臣承認制に変えるということに関して、天下りは減ると思われますか。
福田国務大臣 これはやはり、今申しましたようなこともあわせ考えながら、内閣としてどういう方針をとるかということにかかっていると思います。内閣は、内閣の総合調整機能というものを発揮して、その問題についてどのように対処すべきかという方針を出すべきだと思います。
山井委員 福田官房長官、やはり、政府を代表して来ていただいているんですから、こういうことに、この公務員制度改革大綱によって民間企業への天下りは減るんだということをここで言ってもらわないと、天下りを減らすために今回のこの法案審議をやっているわけですから、それも明言できないんだったら、困るじゃないですか。いかがですか、減るんですか。
石原国務大臣 先ほどちょっと議論を整理させていただいたんですけれども、委員が御指摘の件は、官僚の方が特殊法人並びに今度の独立行政法人に移るということでございまして、この件につきましては、人事院はアンタッチャブルでありますし、これからも関与したくないと総裁が申しておりました。
 その理由は簡単でございまして、人事院も天下っているんですね。例えばどういうところに天下っているかと申しますと、平成十二年でいきますと、例えば港湾空港技術センターとか新エネルギー・産業技術開発機構、有名なところだけ申しますと、それとかユニセフとか。十三年ですと、大変私は困ったんですが、道路保全技術センターとか日本下水道事業団とか、今まさに議論の最中のところに天下っているわけですね。ただ、これは天下りとは言わないんですね。
 今議論されているのは、営利企業に公務員の方が行くものを天下りとして議論をして、大臣承認制の議論というものは、先ほど来官房長官がお話ししておりますように、営利企業への再就職にかかわる承認制度を大臣が認めるというものにして、承認基準については高いものを内閣でつくるわけですから、これまで、この間もお話をさせていただきましたけれども、人事院の制度のもとで、客観的事実として、十二年、十三年で見れば三十人ふえたと。総裁は多く申請してきたからふえたとおっしゃっておりましたけれども、それであるならば、承認基準を高く置いておけば、高い承認基準に届かなければ、今委員御指摘のような営利企業への天下りは減る。そういうものを目指して、内閣が責任を持って高い高い承認基準を設けて、しかも申請するときは大臣の責任でやる、こちらの方が私は合理的だと思います。
山井委員 今の趣旨の答弁は、月曜日にも石原大臣からいただきました。そう思って、私、この一枚目のグラフをつくってきたんですが、中島総裁、今の石原大臣の話を聞いていると、人事院のチェックでは天下りはふえるという、そんなような話だったんですが、中島総裁にも言い分はあると思います。中島総裁、いかがでしょうか。
中島政府特別補佐人 退職して再就職をしていく公務員の数というのは、それぞれの省庁における幹部公務員の在職実態とか退職管理のあり方というものと深くかかわっておりますので、ある年にふえた、ある年に減ったということについて、余り厳しい評価をするというのはいかがかなと思います。やはり、傾向としてどういうふうになっているかというところを見ていただければというふうに思います。
山井委員 まさに、グラフをつくってみるとそのとおりになるんですね。
 石原大臣、去年はこれは四十一人から七十人にふえたとおっしゃいますが、一九八五年からの十五年間のトレンドを見たら、減っているんですね。だから、そういう意味では、一年間だけを見て人事院ではなかなか減らせないんじゃないかというのは、ちょっと現状認識が違うんじゃないかと思いますが、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 七十人が十人になるならば信用いたします。
山井委員 今、七十人が十人になるなら信用いたしますということは、石原大臣が進めておられる大臣承認制にするとそれぐらいの効果が出る、あるいはそれぐらいの効果を目指しているというふうに理解してよろしいですか、石原大臣。
石原国務大臣 国民の批判にこたえられるものにしていかなければならないものを制度設計させていただいております。
 結果については、まだ制度が具体化しておりませんので、数値的なことを言う段階にはございません。
山井委員 結果について具体的なと。数字はもちろん言えないとは思いますが、大幅に減らすということをこの場で石原大臣に明言していただきたいと思います。
石原国務大臣 公務員制度改革の中でそちらの方向を目指していることは、言うまでもございません。
山井委員 今の話の中で、本当にこれだけ天下りが多くの批判を浴びている、にもかかわらず、具体的にどうしていくのかというのがまだまだ見えてこない。これは、来年の通常国会にこの公務員制度改革の法案も出ると言われているんですけれども、それと関連して、この独行法人化の中でも天下りが大きな問題になっているわけです。そこはやはりしっかりと受けとめていただきたいと思っております。
 官房長官、長くなりましたので、本当にありがとうございました。ぜひともこの天下りの問題、きっちりとやっていただきたいと思いますし、きょうおっしゃってくださったことは責任を持って、間違ってもふえるということがないようにしていただきたいと思いますが、最後にそれだけ。今回の大臣承認制でふえたといったら、これはもう大変な責任になりますよ。
福田国務大臣 再三繰り返しますが、よい制度をつくらなければいけない。そして、天下りは減るのかといえば、私は間違いなく減ると思いますよ。
 ただし、では、天下りが減ったら民間人を入れるというのであれば、それにふさわしい、よい民間人が来てくれるかどうか。待遇とかそれから任期の問題とかいろいろありますので、そういうことも考えていく必要がありますね。ということを申し上げて、失礼させていただきます。
山井委員 いや、本当はもっといろいろと質問をしたいわけですけれども。
 坂口大臣、時間も迫ってまいりましたが、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、このことについてお伺いしたいんですが、これはなぜ今回独行法人なのでしょうか。同じような障害者の施設というのは社会福祉法人でやっているわけですよね。それとともに、約五百人が一カ所に住むというようなこのコロニー方式というものを、やはりこれは見直していく必要があるのではないかと思います。坂口大臣、このことについてお答えください。
坂口国務大臣 コロニーの考え方につきましては、これは時代の変遷とともに大分変わってきたというふうに思っております。
 これができましたころは、一カ所に集まっていただいて、そして、それぞれの地域よりも、やはり一カ所でよりよい生活をしていただけるようにした方がいいのではないかというので、初めはこのコロニー制度というのができ上がったというふうに聞いております。しかし、だんだん時代が変わってまいりまして、そして、そうではなくて、それぞれの地域で生活をしていただく、あるいはまたそれぞれの御家庭に戻っていただくということが最もいいのだという考え方に変わってきているというふうに思っております。
 そういう中で、今回これをどう位置づけるかということだったんだろうというふうに思っておりますが、多くのコロニーがほかにもございますけれども、いわゆる国立のものというのは一カ所でございます。それで、これを今後どうしていくか。ここを中心にして、そして、いわゆる在宅で生活をしていただけるような一つの中間的な施設、いわゆる中間施設と言われますような、そういう考え方のもとに、これを国として積極的にやっていくということが可能であれば、これは、国がまず率先してそういうことをやるというその理由は私は十分に成り立つというふうに思っております。
 したがいまして、これから国立のコロニーが、そうした全体の先頭に立って、やはり、いつまでもこのコロニーの中におっていただくのではない、それぞれの地域や御家庭に帰っていただけるようにするプログラムをどう組んで、それを実施していくかということにかかっているだろうというふうに思います。それができなければもう、ほかの法人であろうと民間であろうと、それは御指摘のとおりに私もならざるを得ないというふうに思っておりまして、そこが今回のポイントだというふうに私は理解をしているわけでございます。
山井委員 ぜひとも、これからはノーマライゼーションということで、脱施設、地域で普通の暮らしをするという方向に向かっておりますので、その先端となるように、こういう独行法人化を機に変えていっていただきたいと思います。
 石原大臣、前回の続きになるんですが、前回、私がこのパネルを示しながら、要は、高い独行法人の退職金をどうするのかということに際しては、三割減らすという御答弁をいただきました。
 ところが、例えば、先ほど言いましたような事業団の理事長さんでしたら、結局、退職金とか年収を入れると大体二億円以上なんですね。もし二割、三割、年収や退職金を減らしても、八年間勤めたら二億円以上のお金になるというのは、三割減らしても一億五千万円ぐらいなわけですから、それでも、国民感覚からすると、この不況のときにそれでいいのかという思いがあると思うんですね。そういう意味では、二割、三割減らして、これでも行革やりましたということにはならないと思います。この退職金、そして年収、そういうことについて、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 この点につきましては、先ほど、午前中でございますか、同僚議員との議論の中で、片山大臣と話をした、郵政公社の副総裁の話をさせていただきましたけれども、あれだけ大きな組織をコントロールする副総裁、それの賃金、民間から来ていただくには、三十万人近い大企業というのは何をイメージすればいいのか、今ぴんときませんけれども、そういうところの副社長になる方の賃金が一千万だったら、私は来る人はいないと思いますね。二千万でも来るかどうかわからない。大企業であるならば、まあ、GEとかそういうところの副社長がきっとその規模だと思いますが、そうすると一億、二億は当たり前ですね。
 世の中、頭にくる話はたくさんございまして、あれだけめちゃくちゃな経営をやっている銀行の頭取の方の退職金というのは、今委員が御指摘された金額の十倍以上であります。
 そういうことを考えて、その法人に合った適正な退職金は一体幾ら程度なのか。先ほど、これもお話をさせていただきましたけれども、特殊法人でも、小法人、中法人、大法人、公社、公庫、銀行ですか、上に行けば行くほど高いんですね。それが本当に適切なのか、その仕事量に見合った退職金、給与というものが適切なのかという議論もやはりしないと、安くすればいいといって、一律五百万円だ、一千万円だといったら、私は、役所をやめられた人も来ていただけないんじゃないか、使命感だけで来ていただける奇特な方がいらっしゃればいいですけれども。
 今回の特殊法人の議論というものは、民間企業になれなくて、やはり行政のアウトソーシングとしてやっていかなければならないものがあるという共通の認識のもとに議論が始まっているということも頭の片隅に置いていただければと思います。
山井委員 仕事内容と、年収、退職金、当然その両面は議論せねばならないと思いますが、要は、退職金も一カ月単位になっているんですね。普通、退職金を一カ月単位で、要は百万円の本俸としたら、百分の二十八を掛けて、それに四年だったら四十八カ月と、何カ月単位になっています。こういうところも本当に一般の企業ではあり得ないと思います。そういうことも是正する必要があると思います。
 それでは、木村副大臣にお伺いしたいと思います。
 社会保険診療報酬支払基金、これは先ほども質問が出ておりましたが、これを民間法人化するということですね。先ほどIT化の質問がありましたけれども、やはりこれは、これからしっかり合理化して、この手数料、一枚百十八円から百十六円に最近下がったそうでありますが、民間法人化する以上はもっとやはり下げる必要があると思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
木村副大臣 支払基金のレセプトの支払いにつきましては、保険診療でございますから、適正な審査を行うために、事務職員による事前のチェックを経まして、審査委員によりまして適正に審査を実施しているところでございます。そして、膨大な医療機関、先ほどもお話ししたんですが、二十万の医療機関と、それから一万三千の保険者との間に立って、支払いに要するコストの手数料の約半分を占めているところでございます。そこで、レセプトの電算処理を通じまして、委員御指摘の、手数料の低減に努めることは大変重要な課題である、このように思っているような次第でございます。
 そこで、平成十四年度には、二円引き下げまして百十六円二十銭としたところでございますが、今後とも事務処理全般にわたります見直しを行いまして、手数料の低減に努めてまいる所存でございます。
山井委員 本当はもっと質問をしたい点が多々あるんですが、時間も迫ってまいりました。
 そこで、坂口大臣にお伺いしたいと思います。ちょっと聞きづらいことなんですが、事前通告もしておりませんが、これは十一月十日の読売新聞の記事なんですね。今、坂口大臣も、ああ、あれかということをおっしゃっておられました。
 簡単に言いますと、あってはならないことでありますが、全家連という障害者団体の家族の連合会に、結局、厚生省側がお金を要求したことがあると。例えば、どう書いてあるかというと、全家連は九六年、精神保健福祉施設ハートピアきつれ川建設計画にかかわった元精神保健課の職員を全家連幹部として迎え入れた。その際、元職員側から年収一千万円を求められたという。しかし、全家連が理事会で決めた年収は八百万円だったため、全家連の元専務理事は差額の二百万円を裏金から用意、元職員が当時の旧厚生省在任中に着任準備費などという名目で手渡した、こういうことですね。ここに報道されているわけです。
 本当にあってはならないことだと思っているわけですが、十一月十日の読売新聞の第一面に出ておりました。坂口大臣、この件について御意見をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 全家連の問題につきましては、私も新聞で初めて知ったわけでございまして、これはあってはならないことでございますから、それが事実かどうか、至急に調査するように今命じているところでございます。
山井委員 ありがとうございます。
 私も、精神障害者の福祉の問題に非常に力を入れております。そして、御家族の方にとっては、本当にすごい切実な思いで、人生かけて精神障害者福祉の向上のために頑張っておられるわけで、間違っても、そのことによって、厚生省との関係においてこういうことがあってはならないと思います。今、坂口厚生大臣が調査をするということをおっしゃってくださったので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間が参りました。これで終わらせていただきます。
保利委員長 次に、都築譲君。
都築委員 自由党の都築譲です。
 先日に引き続いて、今回の特殊法人改革四十六法案について質疑をいたしたいと思いますが、前回は総論でございました。今回は各論に入っていきたいということで、四項目ばかり質問項目を用意いたしました。
 まず第一の、実は、国家公務員型の独立行政法人で、職員に争議行為を禁止しながら人勧が適用されないのはおかしいんじゃないか、こういう質問を出したら、いや、昔の五現業みたいなことで仲裁でやるんですというふうなお話を聞いて、ちょっと質問の趣旨が違ってしまったかな、こう思うわけでありますが、ぜひ、非国家公務員型の独立行政法人については、しかるべき処遇条件を、使用者側と労働側がしっかりと御相談なさって適正に決められるように指導いただくことが大切か、こんなふうに思っております。
 それで、項目の第二番目は、実は、国民生活センターについて、今回、独立行政法人化をするということでございます。私の見る限りは、これは本来廃止とか民営化すべき対象ではなかったのか、なぜこれが独立行政法人にならなければならなかったのか、こんなことを思うわけであります。
 今までの国民生活センターについては、消費者にいろいろな情報を提供したり、あるいは消費者の相談業務をやったり、あるいはまた普及啓発をやったり、そういった形で消費者の保護を図る、そういう意味では大変大きな役割を果たしてきたと思うのであります。ただ、今、この世の中を見て、消費者問題について取り扱う機関というのはもうたくさんあるし、随分インターネットが普及をして、いろいろな面からの情報の提供といったのも行われるわけでありまして、あえてこれを独立行政法人として残してやっていく意味がどこにあるんだろうか、こんなふうに思うんですが、いかがでしょうか。
根本副大臣 国民生活センターの役割、都築委員が今おっしゃられたとおり、私も大きな役割を果たしてきたと思いますし、これからも、国民生活センターは大きな役割を、消費者保護行政の中核的な役割を果たしていくものと考えております。
 ただいまのお話ですが、今回の行政改革、これは、もう既に御案内のように、要は、民にゆだねられるものは民間にゆだねましょう、地方にゆだねられるものは地方にゆだねましょう、そういう基本で考えていったわけであります。そこからいえば、やはり公でやるべき部分は公でやるということで、これは、特殊法人というよりは、むしろ独立行政法人という新しい効率的な形態でやりましょうということにしたわけであります。
 国民生活センターは、都築委員からお話がありましたように、きちんと申し上げますと、都道府県や市町村の消費生活センターの中核センターとして、消費者や関係省庁に悪質な商法や商品の安全性に関する情報提供を行っております。こうした消費者被害の未然防止やあるいは拡大防止の機能、これは、国民生活の安定及び向上という見地から、やはり私は行政の役割だろうと。非常に公共性が高い役割を行政にかわって国民生活センターが担う。要は、消費者啓発あるいは苦情処理、被害の防止、やはりこれは官の側が担って、しかも、効率的な主体としての独立行政法人としてやるべきだと私は思っております。
 都築委員がおっしゃったように、廃止とか民営化であるべきではないかと。
 民営化することにつきましては、一つは、公共団体の行政機関である消費生活センターとの連携、これは国民生活センターが行っております。要は、消費生活センターというのは条例で設立されたいわば公の組織ですから、これとの連携あるいは支援、これは国の役割である。これが一点。
 それからもう一つは、国民生活センターが収集しました情報は、関係省庁に提供されておりますし、政策の立案や事業者に対する行政処分等に活用されております。これら行政機関との連携は、私はやはり民間の主体にゆだねることができない性格を有すると思っておりますので、これを民間にゆだねるのは適当ではない、こう思っております。
都築委員 今の御説明、もっともらしいんですが、私も、だから、去年の合理化計画を出されるときの議論を、どういうふうになっておったのかということで見てみたわけですが、そういったようなお話がいろいろ出ておりました。最後のところは、結局、消費者トラブルの未然防止、拡大防止を、今言った観点から、都道府県の機関との連携とかあるいはまた各省庁との連携とか、こういうことでやる必要があるんだ、こういうことだと思います。
 ただ、では、本当に独立行政法人でなきゃできないのかということを、私自身はそうじゃない、こんなふうに思う観点からいろいろ指摘をしていきたいんですが、例えば、類似の業務を行っている民間の団体や何かがどれだけあるかということを調べると、ざっと調べただけでも十近く出てくるわけですね。
 例えば社団法人全国信販協会、あるいはまた全国消費生活相談員協会、財団法人クレジットカウンセリング協会、財団法人日本産業協会、そして、そのもとの消費生活アドバイザー、あるいはまた日本消費者連盟、主婦連合会、さらに各地の弁護士会、さらに財団法人法律扶助協会。契約関係とか製品の問題とかいろいろなものがある。民間団体でこれだけのものが、ざっとインターネットで調べてもらっただけでも出てくるわけですよ。
 さらに、じゃ、役所はどうかといったら、経済産業省に消費者相談室というのがあって、ここがまた契約関係とか訪問販売とか、いろいろな問題のトラブルをいろいろなルートで相談に乗っているわけですね。二重行政というか、重複行政そのものじゃないですか。
 むしろ、昔の経済企画庁、今の内閣府に置かれている国民生活局、その果たす役割は私は大変大きいと思う。国民生活白書を取りまとめて、そしてそれを広く国民の皆さんに知らせて、消費生活の向上といったもの、生活の向上を図っていくというのは大変重要な業務だと思うんだけれども、それをあえてこんな独立行政法人を残して、そこに、今資本金が九十七億ですか、毎年の事業量が、二十七億とか八億もつぎ込んでやるような話なんですか。実際にその二十七億のお金でやっているのは、実は、役所のOBの皆さんの、それこそさっきから問題になっている天下りのポストを用意しているだけじゃないんですか。
 むしろ、経企庁の出身の方だったら、それこそエコノミストのかがみのような方たちですから、何もそんなところで受け皿をつくらなくたって、それこそ何とか総研とか何とか研究所とか、いろいろな立派な研究所の理事長とか会長クラスにどんどん天下って、天下るというのじゃないが、採用されて、みずからの能力で買ってもらえるんじゃないですか。何もこんなものをつくって、そこに百二十何人も職員を雇ってやるような仕事なんですか。そう思うのですが、いかがでしょうか。
根本副大臣 やはり大事なのは、国民生活センターがどういう仕事をし、社会的にどういう性格を与えられ、どういう役割を持っているか。私は、都築委員がおっしゃるように、そこがポイントだと思いますよ。
 今、この消費関係、確かに非常に価値観も多様化していますし、いろいろな問題も起こっていますから、いろいろな団体が出てきている、私はそれはそのとおりだと思います。しからば、国民生活センターはどういう性格を持つものか。多少長くなりますが、国民生活センターを設立した経緯はどうだったんだろうか、私は、やはりその経緯を振り返って、それで、今も役割が必要かどうか、こういう検証をする必要がある、こう思います。
 もう都築委員は大変調べられておりますのでおわかりかと思いますが、あえて申し上げますが、国民生活センターを設立したのは、昭和三十年代後半から、欠陥商品や不適正な表示による消費者被害が広範に発生し、消費者問題が社会的な問題となりました。昭和四十三年に消費者保護基本法が制定されまして、国や自治体の責務、それから事業者の責務、必要な事項を盛り込んだわけであります。この消費者保護にかかわる行政及び事業者の責務と消費者の役割について法制化された、これが昭和四十三年の消費者保護基本法であります。
 これを受けて、行政の役割である消費者啓発や苦情処理などの消費者支援を具体化する、そういう観点から、地方においては消費生活センターの設置が進められましたし、国においては、それまで国民生活に関する調査研究を行ってきました特殊法人国民生活研究所を発展的に解消して、昭和四十五年に国民生活センター法に基づく国民生活センターを設立し、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うこととした。要は、消費者保護行政のいわば中核的な機関として国民生活センターが位置づけられていると私は思っております。
 したがって、今回の整理合理化計画の中でも、国民生活センターの果たすべき役割を十分に吟味して、この役割を政策的な機能として残すべきかどうか、ここを検証して、やはりこういう政策的な機能、役割、国民生活センターの機能、役割は必要であるということで、先ほども申し上げましたが、これはやはり行政がやるべき分野のアウトソーシングでありますから、これはやりましょう、ただし、ゼロからの見直しですから業務はきちんと見直しをしまして、効率化を図りました。
 もう御案内と思いますが、相談事業については、消費者からの直接相談を段階的に縮小し、最終的に公共団体の設置する消費生活センターからの経由相談に特化する。しかも、経由相談に特化しますから地方の消費生活センターは残っているわけですね、そこで情報提供をやるわけですから。やはりそういう相談機能は必要だと私は思います。
 それから、商品テスト事業についても、商品比較テスト、これは言ってみれば消費者の利便あるいは選択に供するようなものですから、ここは廃止をして、人の生命や身体などに重大な影響を及ぼす商品テストに特化する。必要なものは残し、時代的な意義を失ったとは言いませんが、逆に、先ほどお話ありましたように、商品テストなども、こういうものはほかの民間団体もやっているところもありますから、もうこれはゆだねましょうと。要は、我々の国民生活センターでは、人の生命、身体等に重大な影響を及ぼす、こういう危害防止の観点からの商品テストに特化しよう、こういう大胆な改革をやらせていただいたということでございます。
都築委員 大胆な改革と根本副大臣は言いますけれども、私はそうじゃないと思うんですよ、はっきり言って。
 今、確かに商品テストも今までの一般のあれじゃなくて、生命、身体に重大な影響を及ぼすものについて特化してやるというふうなお話ですが、そういったものは今物すごく専門化がどんどん進んでしまって、例えば、先ほど家西先生が質問されておりましたけれども、いわゆる血液製剤の問題を、じゃ、生活センターがやれるのかといったら、やれるわけないわけですよ、はっきり言って。BSEの問題で、じゃ、生活センターが何かやりましたかという議論ですよね。BSEの問題、それこそ、これまた厚生省とか農水省のお話で、それぞれの専門家がどれだけ苦労してもなかなか簡単にはわからない、そんな問題だったわけですね。だから、ちょっと違うのじゃないか。
 それから、もう一つ大事な点は、政策機能的な役割は行政でとらなきゃいかぬから、そういったものを残すんだというけれども、本来、政策機能、企画立案機能というのは主務官庁に残して、実施部門は独立行政法人として残すという議論からすれば、僕は、それは説明としては矛盾をしている、こんなふうに思うんですよ。
 だから、そういった意味でいったら、やはり僕自身、正直申し上げて、消費者保護というのは大切だというふうに先ほど申し上げましたけれども、ただ、それなりにいろいろな法の整備がされてきて、消費者保護法が昭和四十三年に成立したけれども、例えば製造物責任法というのは一九九〇年代に成立しているわけですよ。ちゃんとそれなりの、今度は、国が手とり足とり国民の皆さんの、大事、大事といってカバーするんじゃなくて、国民の皆さんもちゃんと見る目を持ってください、そして自分の身は自分で守る、おかしかったら徹底的に裁判で追及する、その責任を追及して賠償を取っていく、それぐらいの気構えを持ってくださいという、消費者に育ってもらおうというのも私は大事なことだと思うのですよ。
 だから、何でもかんでも大事、大事でやっていたら、いつまでたってもお上に依存という体質がなくならなくて、何でも国に補助金を頼む、助成金を頼む、この規制をこうしてください。護送船団の行政がそのままいくことになってしまうというふうに私は思うのであります。
 ちょっと根本副大臣には大変きつい言い方で、大変恐縮でございますけれども、そんな考え方を申し上げて、実は、国民生活局がもしあるとすれば、根本副大臣が言っておられたような地方のセンターとかいろいろなものがあるわけです。各省だってある。民間団体だって、さっき私が挙げたようにたくさんのものがある。こういったものを国民生活局本体でうまく連絡調整、コーディネートして、そして、国全体の消費生活の向上といったものを進めていく役割を国自身でやっていけばいいんですよ。あとの部分は民間に任せていいんですよ、そんなのは。そう私は思うんですが、ちょっと時間がないので簡潔に、申しわけないが、お願いします。
根本副大臣 幾つか御指摘があったわけですが、一点だけ、もう少し詳しく申し上げますと、先ほど私が言った、政策的な役割や機能がある、それを行政の役割として残したと言った意味は、当然、都築委員がおっしゃられたように、企画機能はアウトソーシングはできませんよ。言ってみれば、国民生活センターがやっているのはいわば実施機能ですから、国民生活センターが得た情報の収集、提供とか消費者に対する相談、これは実施機能ですから、これはアウトソーシングで国民生活センターにやってもらう、こういうことであります。それが一点。
 それから、確かに、国民生活局がみずからやること、僕は、それは消費者保護行政からもっと前向きの、いろいろな、今、消費者基本法も改正を考えていますが、新しい時代の要請に合った消費者行政、消費者の自立を促す、そういう話もあると思いますね。それは消費者保護基本法の改正という中で私も包括的に内容として取り組むべきだと思いますが、その意味で、国民生活センターの役割というのは、要は、官がやるべき実施部門をアウトソーシングして、独立行政法人にやってもらう。具体的には、消費者情報の収集、提供、四百六十三カ所の全国の消費生活センターや協力病院を結んで、情報収集し、提供する。
 あるいは、商品テストも、確かにいろいろなところがやるようになりました。ただ、商品テストも、確かにいろいろなところでやるようになりましたが、要は、国民生活センターの意義というのは、例えば苦情相談もいろいろ来るわけですね。苦情相談が来たときに、個別の商品に関する安全性について、私はやはり中立性というものは大事だと思うんですね。やはり中立性は大事ですから、これは国民生活センターで中立的なテストを行う必要があると思います。
 それから、苦情相談として寄せられた個別の事業名とか、要は、非常に個別の相談事案に関する個人情報を取り扱う。個人情報というものもありますから、この部分は、私はやはり国民生活センターでやるべきではないか、こう思います。
都築委員 なかなか口を割らないので、攻めあぐねておりますけれども、ただ、僕はやはり、中立性の議論だっていろいろありますけれども、一つのところが国の権威を持って中立的にやるという今までの考え方もあるし、いろいろなところがいろいろな検査所を使って、そしてその中から、どれが客観、公平な、国民の皆さんが納得する結論なのかなというところを導き出していくやり方だってあると思うんですよね。
 そういうことで、石原大臣、行革の取りまとめとして、これは郵政公社化と同じように民営化の一里塚だというふうに言っていただけますか。
石原国務大臣 国民生活センターについての整理は、もう委員御承知のとおり、実は行革本部と内閣府、旧経済企画庁との間にかなりやりとりがございました。今、委員と根本副大臣がされたような御議論があったわけです。
 委員は基本的には充実させていこうというお考え方のように聞かれるんですけれども、こちらとしては、何とかこれは地方の今ある組織でやっていけないだろうかと当初は考えたわけですけれども、それでもやはり、これまでに同僚議員の議論の中にありましたように、この国民生活センターへの問い合わせというものは、ここのところ、時代の変化とともに、質を変えてふえている。そういうものに対して、地方で対応できないものもまたふえている事実がある。こういう形で、独法という整理をさせていただきまして、現在に至っている、こんなふうに考えております。
都築委員 とても納得できるお答えではない、こんなふうに思います。ますます我々の案を強く推し進めていかなきゃいかぬと思うんです。
 それでは、今度は、本来民営化、廃止すべきであったのにならなかったのではなくて、なぜ今回の合理化計画にのってこなかったのかという年金資金運用基金の問題について、ぜひ幾つかお尋ねをしたいと思います。
 まず、年金資金運用基金をなぜ私が取り上げるかというと、この夏以来、ほとんど毎週のように、公的年金の運用の累損とかあるいは欠損とか、そんな話ばかりが実は出てまいりまして、たまげてしまうわけですよね。
 二〇〇一年度の運用実績が、自主運用の失敗で約六千百八十二億、毎年の、今までの利払い、利払いというのがよくわからないんだけれども、年金福祉事業団から引き継いだ二十三兆円の借入金の毎年の利払いが約六千九百億円、合計一兆三千億円も赤字が出て、この累損は三兆円を超える、こんな話になっている。
 三兆円、大変だな、こう僕は思っていたら、また九月になったら新しい記事が出て、この四月から六月期の年金資金運用基金の運用実績が、外国株式が低下してしまったために、わずか三カ月で八千三百億円、損を出した。とんでもない話だ、何をやっているんだと。八千三百億円ですよ。
 今、普通の国民年金、基礎年金の保険料が、自営業者は、私も国会議員で自営業者だから払っているんですけれども、月々一万三千三百円、年間約十六万円です。十六万円の年金保険料を納めている人たちの人数で換算したら、五百万人に相当する年金保険料を、わずか三カ月で、株に手を出してパアにしてしまった。どうしてくれるんだ、だれが責任をとるんだ、だれが弁償してくれるんだといったら、だれもやめたという話は今まで聞いたことがないわけですよ、はっきり言って。
 実は、以前も、参議院議員の時代に、私、この問題を取り上げたことがあるんですけれども、あのときの反省もないままに、年金福祉事業団、小泉さんが当時厚生大臣で、廃止だ廃止だとかいって廃止したかと思ったら、そのまま実は、年金の運用の問題とあるいはまたグリーンピアの問題とか、そういった問題、丸々この基金に引き継がれてやっているわけですよ。とんでもない話だと思うんです。何で、これが今回上がってこなかったんですか。
 議論の経緯を見ると、十六年度ごろまでには何とかする、方向を出すとか言っているけれども、そんなことをやっている間にどんどん年金の穴があいていってしまうと思うんですが、石原大臣、こんなことをやっていていいんですか。
坂口国務大臣 この年金資金運用基金の問題につきましては、これは御指摘のとおり、最近の株価で非常に下がっておることは事実でございまして、確かに、十三年度の分を見ますと、株式等におきまして一兆三千億、確かに減っている。しかし、財政融資の方に貸してあるもの、これが四兆九千億あるものですから、差し引きいたしまして二兆七千八百億円のプラスになっている、こういうのが十三年の実情でございます。
 それで、石原大臣からも、もう早く決着したらどうかというお話をいただいたわけでございますが、御承知のとおり、平成十六年に年金の改正を行います。それまでに決着いたしますということで、少し御猶予をいただいたわけでございます。
 今、この年金資金をどう運用するかということをもう一度議論を詰めているところ、審議会等をやりまして、専門家に入っていただきましてやっていただいているところでございます。もしこれを全部、もうそういう株式等はやらない、国債等だけにしてしまう、こういうことになれば、もうこの特殊法人は要らないわけでございまして、これは厚生労働省が全部持つということにならざるを得ないというふうに思っております。
 しかし、それはそれで、それじゃ、みんな国債を買って、国債が暴落したときにどうするんだという話も一方であったりいたしまして、それはいろいろ議論はございますけれども、しかし、今そこを最終の詰めをやっていただいているところでございまして、これは年明けの一、二月ごろにはこの議論の決着をつけるつもりでございます。
 それで、もしも仮に株式をやらないということになれば、これはもう厚生労働省が所管をするということにならざるを得ないというふうに思っております。しかし、現在、株にかなり投入しておることも事実でございまして、株式の立場だけでいえば、投入しておりますことがかなり日本の株式を維持していくことに役立っていることも事実でありまして、私がここで簡単にやめましたとかなんとかと言うと、株式に大変な影響を与えるわけでございますから、それも言うことはできないという状況にあることも事実でございます。
 そうした、非常に全体のことを考えてやっていかなきゃならない問題でございますが、資源はいずれにいたしましても年金の問題でございますから、ここは慎重に考えながら、しかし御指摘をいただくことも十分に踏まえて、これは私たちも早く決着をつけなければならないと思っているところでございます。
都築委員 温厚な坂口大臣でありますけれども、今の御発言で、年金資金を引き揚げたら株価に影響する。ということは、株価をつり上げるために、年金資金やあるいはほかの簡保の預金とか、そういったものを使っているという話でしょう、そんなのは。どういうことですか、それは。ただ、額面、外見だけよければいいんだという発想でやっているから、株価を上げるんだったら、経済対策をしっかり打って、今の消費需要を回復して、企業生産活動を回復して、人をたくさん雇えるようにして、それで所得がちゃんといって、また消費がふえる、そういう対策を講じなきゃいけないのに、年金資金を使って株価を引き上げるなんということは、何を言っているんだ、本当に。ふざけたことを言っているんじゃないよ。そんなことをやっているから、この十年間ずっと、国富がなくなって、今や株価と土地で一千兆とも二千兆とも言われるものがなくなっているじゃないですか。それでいつまでたっても不良債権を追い回している。不良債権を穴埋めしなきゃいけない。とんでもない話だ。発想が全然違うんですよ。おかしいですよ。それは取り消してくださいよ、そんなのは。
坂口国務大臣 我々のこの資金を使うのは、PKOは絶対にしてはならないという厳重な枠組みがございまして、それはもうどこから見られてもそういうことのないように実はいたしております。
 しかし、今までに投入したものがかなりあるわけでありますから、それを一度に引き揚げるということになると影響するということを申し上げているわけで、そこは御理解をいただかないと、そこは、私は御主張になったことと全然違うと思っております。
都築委員 だからこそ、経済対策をしっかりやって、雇用をふやすような機会、これは厚生大臣は今労働大臣も兼ねることになっておるわけですから、雇用対策をしっかり打っていただく必要がある、私はそういうふうに思うわけです。
 それと、もう一つお答えいただいていないのは、責任はどうするんですか、これ。三カ月で八千億円、今までの累損が三兆円、年金福祉事業団に勤務した人たち、あるいはまた、それを引き継いだ資金運用基金の皆さん方が弁償するんですか、だれか責任をとったんですか、そこはいかがですか。三兆ですよ。
坂口国務大臣 先ほど申しましたように、中身はさまざまでございまして、一方ではプラスになっておりますけれども、一方でマイナスになっているということでありまして、合計すればプラスになっているわけでございます。しかし、そのマイナスの部分があるということについては、これはマイナスを減らしていかなければならないことは事実でございまして、ここは、この年金の資金を貸し付けておりますところにつきましては、厳重にチェックをいたしまして、やらせているところでございます。それが、詳細に調査をずっと毎年やっておりますが、預託しましたその金の使い方等に不審な点がありましたところは、すぐそこから引き揚げるといったようなことも含めて、今徹底してやっているわけでございます。
 しかし、株式に使います以上、その時々の経済状況に大きく影響されることは事実でございまして、昨今のようなこういう状況でございますから、大変大きなマイナスになったことも事実でございます。これをどう見ていくか、もう少し長い目で、この株式への投入というものを長い目で見ていくかどうかということでございます。株でございますからよくなるときもある。そのときまでそれは待つという、ちょっと長期的な展望で見るのか、それとも現在の状況の中でもう決着をして、そしてもう、これは国債等、安全なものだけにして、リスクのあるものからは一切手を引くということにするのかということについて、今、最終議論を詰めているということでございます。
都築委員 今の大臣のお答え、また相変わらず株価の話ですし、それからプラスの話もありました。だったら、例えば、先ほど言われた、ほかの財政融資資金の方の分の金利で四兆九千億円のプラスが出て、トータルでプラス二兆七千八百億だ、こういうお話でありました。だったら、このプラスを全部ここにやっていけばいいんですよ。
 株価の問題もあるかもしれない。ただ、これはもう三年来、四年来、五年来、今まで五勝十敗と言われているんですよ、年金資金の運用については。五回勝っているけれども十回負けて大損しているというのはわかっているわけですから、そこのところを早く措置しないと、それこそ国民年金の破綻。それこそ、年金の保険料を納める人が、実はもう三分の一は納めていないとかそういう状況、二千二百万のうち、免除者を含めると一千万が納めていない。それで、さらにここで資金が三兆円もなくなる、こんな状況になってしまったら、五百万人もがなくなるとしたら、一年間に七百万人しか納めていない、こういうことになってしまうわけですから、私は、そういった点の重要性と緊要性を御指摘申し上げて、私の質問を終わります。
保利委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。若松副大臣と石原担当大臣、お二人にまずお伺いしたいと思います。
 六月十八日の日本経済新聞に記事が出ておりまして、「独立行政法人業績で格付け 非効率なら交付金カット」、そういう記事が掲載されております。財務省と総務省が「独立行政法人の業績評価に、格付け制度を導入する方針を固めた。二〇〇三年度予算編成から実施する。」こういうふうに報道されておるんですが、総務省と財務省との相談ということですので、総務副大臣の若松さん、これは事実かどうかということと、石原大臣はこのことは御存じだったと思いますが、その確認をさせていただきたいと思います。
若松副大臣 まず、春名議員、今回副大臣に質問いただきましてありがとうございます。
 まず、格付という報道でございますが、事実は、いわゆる評価結果を予算等に反映する、そういう意味でございまして、格付という言葉を使った事実はございません。
石原国務大臣 若松副大臣の御答弁されたとおりでございます。
春名委員 評価をするというのは、もう既に通則法で全体の方針として決まっているわけなので、それを具体化する中で、この日本経済新聞は随分具体的に書いてあるんですよね。一年間ごとに利益や研究成果などを見て、そして財務諸表を調査して、その中身をよく吟味して、五段階で、一から五までかABCかわかりませんが、格付をやって、その格付に合わせて交付金を毎年度の予算の中でふやすか減らすか、そういう対策をとっていくという大変具体的な、財務省と総務省の相談でやろうということになっているのです。業績評価というのは知っているわけですが、その具体的なやり方としてこのようなことを今御検討されて、来年度予算からというふうに書いてありますので、そういうことまで御検討されているのかということについてぜひ御答弁をお願いします。
    〔委員長退席、熊代委員長代理着席〕
若松副大臣 お答えします。
 今、評価と申し上げましたが、その評価の結果をどう予算に反映するか、やはりこれは一つの基準というかルールが必要でありますので、それは今後とも設置が必要でないか、そういった趣旨で言っております。
春名委員 そうすると、この記事の確認をもう一回しておきたいんですけれども、要するに、評価というのは独立行政法人にとっては命みたいなものでしょう。残るのか廃止するのか、これから続けるのか、効率化はできているのか、全部この評価によって決まることなので、非常に大事な位置を占めているわけですね。その評価のやり方を具体的にここまで書いてあるのがこの日経新聞だったものですから、ああ、こういうことを考えられてやろうとしているのかというふうに思ったんです。
 そこで、この格付制度というのはこういうふうに説明されているんですよ。各省庁ごとの民間の有識者や公認会計士による第三者委員会が、各独立行政法人の財務諸表を点検し、五段階程度で決めていく、そしてそれを来年度の、毎年の予算編成に反映をし、その格付によって運営費交付金を査定していく、こういうふうに言っているんですよ。こういう方向を検討されているということで認識していいのかどうか。
若松副大臣 評価の予算への反映の手続を正確に申し上げさせていただきたいのでありますが、各府省の主務大臣が任命したいわゆる独立行政法人評価委員会、これの評価は今ほとんど終わっておりまして、現在、総務省が、いわゆるさらなる第三者チェックという観点からの評価委員会がございまして、今そこで評価を行っております。
 そこで、まず各府省それぞれの評価、それぞれの府省ごとに特徴がございますので、まずは府省の評価委員会等でどういった予算への反映のルール化をするか、その議論がやはり必要になってくるかと思います。それを今現在、試行錯誤中でございまして、御存じのように、このいわゆる行政評価法というのはことしの四月から施行されまして、いずれにしても、早急に結論を出し、かつルール化もしながら、ぜひとも平成十五年度の予算化には反映していきたいと考えております。
春名委員 今の御説明は大変理解できるんです。要するに、予算のルール化をこれからどうするかという段階に来ていると。したがって、財務諸表などを点検し、五段階程度で決めるようなこういう格付制度というのも、そういう制度設計の一つであるというふうに今検討されているということですね。そういうことなのか違うのか、具体的に聞いていますので。
若松副大臣 日本経済新聞社の記事につきましては、かなり憶測的なものが入っていると私どもは理解しております。ただ、その手続論というか、流れは先ほど私が申し上げたとおりでありまして、ぜひともこの行政評価制度をしっかりと予算に反映するような形は構築していきたいと考えております。(春名委員「格付制度というのはしないということですか」と呼ぶ)
 格付という言葉は使っておりませんで、先ほど言いましたように、評価の結果をどういわゆるルール化して、ランキング化していくか、これが今検討中でございまして、それが格付になるのか、評価のいわゆるルール化になるのか、これは今後の検討次第でございます。
春名委員 財務諸表などを点検して、五段階にするのかわかりませんが、ランキングづけをする、格付をするのか、そういうことを今検討中であるということで、日経新聞は少し憶測も入っておられるということなんですが、ただ、全く憶測ばかりでこういうふうに考えているわけじゃないだろうなと思いますね。
 こういう記事を見まして、私は非常に疑問があるんですね。例えば一年間に、財務諸表といいますのは、企業活動の会計的結果を利害関係者に報告する目的を持って作成される各種の計算表、これは広辞苑を引いたものですけれども、まさに企業会計原則にのっとって毎年財務諸表というのを出すわけですね。これは営利企業の一番大事な諸表ですよね。そういうものを核にして、参考にして、年間年間、評価を決めて、そして次の年度の予算に反映していくということになるわけですね。そういう仕掛けも検討されていると。
 そうしますと、私、非常に疑問なのは、やはり独立行政法人といいますのは三つのカテゴリーがあるじゃないですか。一つは、公共性が必要で、国民にとって必要な事業だから絶対残さなきゃいけない、それが一つでしょう。二つは、民間に任せていたら廃止されかねないから、独立行政法人でやらなきゃいけないということでしょう。それから三つは、国が直接責任を持つ必要まではない。この三つのカテゴリーがあるわけですね、独立行政法人。つまり、残して、国民のために必要だからという形でこの独立行政法人という形を編み出して、今運用している、公共性がその中には大きなファクターとして占められているということになるわけです。
 そこで、例えば月曜日の審議のときに総理もしきりに廃止できない例として取り上げた理化学研究所では、例えば研究テーマとか計画について大まかに定めることができましても、その成功を、日経新聞によりますと、財務諸表にあらわすことなんかは絶対できませんね、これは原理的に。思いがけない失敗が大きな成功につながる、研究というのはそういうものですので、一年間のスパンで切られたらどうにもならぬわけですね。これは、ノーベルサラリーマンの田中耕一さんの例を挙げれば、はっきり言えることであります。
 こういう形で、もし業績を評価して、格付をして、毎年予算に配分していくというような仕掛けを思いきってやるということになりますと、公共的な部門あるいは研究機関とか、そういう分野は本当に反映されるんだろうか、評価が。どういう評価をするんだろうか、非常にわかりにくい。数字で示せないものはたくさんあるわけですね。どうお考えになって、どういうふうに反映させようとするのか、そこを聞きたいですね。
    〔熊代委員長代理退席、委員長着席〕
若松副大臣 まず、当然、行政評価の前提となる決算書でございます財務諸表でございますが、これは中央省庁再編のときに独立行政法人のいわゆる会計基準的な一つの考え方というのが出まして、今それに基づいて平成十三年度の決算書ができました。しかし、中身を見ますと、やはり諸外国レベルからまだまだ足りないということで、現在、私が主管となりまして、この独立行政法人の会計基準を今設定しております。ちょうど最近中間論点ができたところでありまして、これに基づくことによりまして、独立行政法人のいわゆる財務データがさらに行政評価によって利用しやすくなる、そのように私どもは期待しておりまして、そのために今鋭意努力中でございます。
 そして、今委員が問題意識を持っておられる非常に幅広い業務について、じゃ、どのように評価をするのか、こういうことでございますが、そのために、各府省の主務大臣がそれぞれ独立行政法人評価委員会というものをつくりまして、例えば、文部科学省の独立行政法人評価委員会のメンバーには有名な彫刻の森美術館理事長とか、または民俗芸能研究家とか、それぞれの省庁に応じた、各層幅広い人材にこの評価委員会になっていただいておりまして、そういった方々の知恵を凝らしながら、今それぞれの省庁に合ったルール化を検討中ということでございます。
春名委員 そもそも公共性があって民間に任せたらやらない業務を担うのが独立行政法人というのがたてりになっておりますので、今お話が出た例もそうですし、私が見ても、今度独法化にたくさんの特殊法人が移行しますけれども、例えば日本芸術文化振興会、これらは芸術活動への支援とか伝承者の養成とか、それから伝統芸能や舞台芸能の実施とか、これは数字では全然あらわすことができないような、しかし人間にとって、社会にとって本当に大きな意味を持つ仕事をしているというような機関。
 あるいは厚生労働省所管の高齢・障害者雇用支援機構、これは障害者に対する職業リハビリテーション、職業能力開発校の運営、事業主からの障害者雇用納付金の徴収、障害者の雇用対策を支える役割を果たしているんですが、これは、毎年度の財務諸表にはそんな中身は出てきませんので、当然のことですが、右から左へ評価をするなんということは簡単には数字ではできない。
 農業者にとっての生活の糧である農業者年金を扱う農業者年金基金も独立行政法人になりますが、これらの仕事も単に財務諸表上で判断できるようなものではない。そういうふうに見ていくと非常に多いんですよね、そういうものが。
 したがって、日経新聞に出て、私は驚いたんですが、もしこのような、もうもろに企業会計原則のようなやり方で、毎年毎年その数値から物事を判断していって格付をしていくというような、いえば機械的なやり方をもしすれば、とんでもないことになる。これはもう独法といいますか、こういう公共部門を切り捨てていく手法になっていくということを大変危惧を感じたものですから、そういうふうにはならないと。そういうふうにはならないし、こういう中身をどう評価に反映していくかという、今一番大事だと思うので、石原大臣はどうお考えか、その評価の問題、それから総務副大臣、改めてこの点を聞いておきたいと思います。
石原国務大臣 先ほど、行政評価の難しさ、また各省に置かれる評価委員会の委員にはその所管する法人に見合った人を採用するという話が若松副大臣よりございました。午前中の我が党の伊藤議員との議論の中でも、やはり私は、基準を、メジャー、どういう物差しで判断するのかが難しくて、その物差しの持っていき方自体も評価の対象となり得るというお話をさせていただきましたけれども、数値的な形でPL、BSから出てくる法人も中にはございます。
 しかし、委員御指摘のとおり、先ほど午前中の議論ではありませんけれども、芸術をどうやって評価するのか、あるいは、例えばですけれども、数量的に判断できそうな森林等々につきましても、じゃ、植えた、植林した森林が枯れてしまったら、それはどういう評価になるのか、いろいろありようというものは非常に難しいわけでございます。各府省に置かれる評価機関、そしてそれを全体的に評価する総務省の評価機関、さらには、政府の特殊法人等整理合理化計画で示させていただきましたような本部に設置されますフォローアップ機関、このフォローアップ機関であります参与会議の委員の方には総務省の評価委員の方も兼務をされておりますので、二重、三重にそのメジャーがいかに正しいかということを総体的に評価をしていって、委員の御懸念にこたえていかなければと考えております。
春名委員 済みません。指名したんですが、時間が物すごくたってしまいましたので、次に進みますので、若松副大臣、どうもありがとうございました。
 次に、天下り問題についてお話を聞きたいと思います。
 先ほどの山井委員の話も私は全部頭に入れているつもりですので、その上に立って、人事院総裁にも来ていただいていますので、石原大臣と一緒に議論していきたいと思います。
 まず、人事院総裁に改めて確認なんですが、人事院に、再就職、天下りと言われるものですが、再就職の承認申請をするのは各省庁の大臣である、これはこの間も議論になっていますが、改めて確認しておきます。
中島政府特別補佐人 国家公務員法に規定してあるとおりでございます。
春名委員 そうつれない答弁をしないように。私にも山井さんのようにしっかり答弁していただければありがたいんですが、それはそういうことなんです。
 それから、石原大臣に確認しておきますが、もともと天下りを承認して人事院に申請しているのは大臣である、そしてその申請されたものを事前承認するのが人事院である、現行はこういう仕組みになっているということを確認しておきたいと思います。
石原国務大臣 春名委員の御指摘のとおりだと思います。
春名委員 ここで疑問なのは、先ほどの議論の続きになるんですが、そういう仕組みがもともとあるわけです。大臣が承認をし確認をして、それを人事院に上げるわけです。それで、事前チェックも第三者機関にするんです。なぜ第三者機関のチェックを外さなければならないんだろうか。大臣の承認は、今もやっているんです、現時点でも。その上で申請しているんです。それでチェックを受けるんです。なぜチェックをわざわざ今外さなければならないんだろうか。それが私も、先ほどの議論を聞いていてどうしても解せないんですね。これはいかがでしょう、大臣。
石原国務大臣 福田長官の答弁の中にございましたように、営利企業への再就職については、内閣の責任において、政府全体の行政の公正な運営等を確保するための再就職の承認基準について、これまで人事院で行っていたものを政令で定めることに改める、職員の再就職の承認は、職員の適切な服務管理と行政の公正な運営に一義的な責任を有する人事管理権者、すなわち大臣が厳格かつ明確な基準のもとで行うなどの基本方針のもと、今具体化作業をしているところでございます。
春名委員 そのことはもう理解しているんですが、あえてなぜそういう形にするのか、今も大臣が各省の天下りについて承認をした上で申請をして、第三者機関のチェックも含めて受けるという仕掛けがあるのに、それだけをなくすのかというのがわからないんです。
 私は、大臣が言われることはこの間から大体聞いていますので理解しているつもりなので、実態論でちょっと議論してみたいと思うんですね。
 例えば、最近、中尾元建設大臣の例の問題で、裁判で判決が下ったんですね。裁判は御存じのとおり、建設大臣就任中に若築建設、建設会社側から六千万円のわいろを受け取ったとして受託収賄罪に問われた、こういう犯罪でした。
 若築建設の側は、公共事業の受注をふやすために、旧建設省とのパイプ役をつくろうとして建設省OBの天下りのあっせんを大臣に働きかけた。ある会合で二千万円の現金を中尾被告に渡した。その後を含めて、五千万、六千万という金額のお金を何回かに渡して、天下りを入れてほしい、そうすればパイプがつくれる、若築建設が今まで公共事業の受注がちょっと減っていたものですから。そういう働きかけを受けて、その働きかけにこたえて、建設省の顧問の方に大臣が働きかけて技官をそこに就職させる、再就職させるということになって、この判決は、その天下り自身が犯罪を構成する要件だ、わいろであるという認定を下すという裁判の判決なわけですね。そういうふうになっているわけです。
 つまり、私は、そういう状況が現時点、現在でも、私は大臣が全部悪だとは全然思っていませんけれども、しかし、実際にはそういう問題が、人事院のチェックがある現時点でもそんな問題が起こっているときに、わざわざ第三者機関のチェックをなくしてしまう、大臣がこういう職務権限、物すごい影響力を持っている大臣だけで政治的判断でやるというふうなことになれば、やはりお手盛りになるんじゃないかと思うのは、こういう具体的な事件から見てもやはりだれもが思う不安じゃないでしょうか、緩和じゃないでしょうかというふうに思うんですね。その点、どうですか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました、天下りポストを役所の側の責任者に要求をして贈収賄事件が発生したということ、そして判決が出たということに直接的なコメントは差し控えさせていただきたいと思うんですけれども、委員の御懸念はこういう形でクリアしようとしております。
 すなわち、これは何を若築建設、まあA建設会社が望んだかというと、委員の裁判の説明の中にありますように、減ってきた公共事業の受注量をふやそうという意図があったということを委員が御指摘されました。すなわち、もとの職場に対してその天下った方が、ここの建設会社に工事を下さい、そういうことを言うことによってその建設会社の要求というものは初めて満たされるわけです。
 仮にそのような事態があれば、現在は、事件性が発覚し贈収賄が確立しない限りはなかなか摘発されない。過去にもこのような話は多かれ少なかれ、私は出ていたと思うんです。それに対して今度は、電話一本かける、あるいは、わかっているんだろうなと言ったりする、そういうこと自体に刑事罰を科すということを決めております。
 それともう一つ、人事院の関与を全くなくすということではなくて、人事院の事前チェックを人事院の事後検査に改める、この部分が実はあるわけです。どうも大臣承認のところばかりにスポットが当たっていますが、人事院は内閣に対して、承認基準が甘過ぎるんじゃないか、あるいは、先ほどもグラフの話が出ていたけれども、おい、言っていることが違ってグラフが上の方に上がっているぞ、おかしいじゃないかということを政府に意見具申できるわけですね。
 そうしますと、人事院というのは国家行政組織法上、内閣の所管のもとにありますけれども、独立した意見でありますから、中島総裁の意見と私の意見が食い違うこともあるわけであります。そういう確固たる独立性を持った機関が内閣に対して物を言えば、承認基準を、私は常識的にはもっともっと厳しいものに、このようなことがあったらしていく。
 どれもこれも、御理解いただきたいのは、今のままでなかなか国民の皆さん方の批判にこたえることができないので、二重、三重、四重の厳しい方策をとって、官房長官も答弁されましたように、営利企業への天下りは減るだろう、内閣のかなめである官房長官が申されたとおり、そういうものを目指して制度を仕組んだということでございます。
春名委員 今の大臣の話の中で幾つか私も、反論も含めてちょっと議論したいんですが、電話一本かければそれ自身に刑事罰が下る、こういう行為規制をつくるという話でしょう。それは、アメリカでは余り機能していないということも言われていますね。つまり、大臣が、大臣自身が中尾栄一被告のようなことをやっていたらわからないわけですね、それは。そうですよね。本人が全部決めて、あとは事後承認ですからね。そういう問題。だから、既に実行しているアメリカでもそういう問題は十分機能していない。
 それから、読売新聞にはこういうふうにも出ていまして、天下り官僚の存在を背景にしてその部下が省庁に働きかけた場合は処罰の対象にならないんじゃないか。こういう問題もあるんじゃないか。
 ですから、本当に、行為規制をつくるからといって、これで天下りのそういう犯罪を構成するような問題がきちっと解決できるというように言うのは、そう簡単ではないというふうに思うのですね。
 それからもう一つ、これは疑問なので聞きますけれども、きょうは営利企業との関係ですから、私もちゃんと区別して言っています、営利企業との関係。
 例えば、立花さんという経団連の常務理事が、この天下りの公務員制度改革大綱が出たときに、こういう談話を寄せています。天下りを受け入れる民間企業にすれば、出身官庁との関係を最も考慮するんですと。当然そうですよね。受け入れる側で考えてごらんなさいよ。関係のある人たちを入れる方が、当然その企業にとってはいいわけですよね、若築建設が言っているように。そういうことが当然働かざるを得ない、営利企業からいえば。そうすると、事前のチェックなしにしてしまって、事後チェックで、本当にそんなことでうまくいくんだろうかという疑問を呈しているというのを報道されておりますね。
 そういう点でいいますと、三重、四重にチェックが厳しくなるかのように大臣はおっしゃるのだけれども、果たして本当にそうなんだろうか。最もかなめになっているのは、第三者機関が、今は全部十分とは言いませんよ、しかし、第三者機関が大臣が承認したことについても事前に確認をする、そして、人事院規則一四―一でしたか、厳しい規則もつくって、そういう規律もつくって、それに見合うように抑止力も働く、こういう関係になっているのが、事後になってしまうと、その意味では全くお手盛りになることができる条件を開くことになるというように私は思うのですね。だから、本当に厳しくなるんだろうかというのがわかりません。どうでしょうか。
石原国務大臣 その話を聞きますと、今の制度で若築建設の事件が起こったわけですね。
 春名委員御指摘のとおり、大臣がすべて悪くない、春名委員も認められるように、それはやはり極めて異例のケースだと私は思います。そして、読売新聞が指摘したケースも、これは極めて異例で、これはもう組織ぐるみの犯罪ですね。そういうことに対して刑事罰、その法的要件を出すということの抑止力というものも、日本のこの法体系の中では、またアメリカとは私は違うと思います。
 そのいい例とは申しませんけれども、ポイ捨て条例というのがあると思うのですね。これはうまくいかないだろうということがありましたけれども、それで一体だれが捕まえるんだといったら、もう東京ではその条例の発令のときに、二十数人が罰金を過料されているわけですね。それによって私はやはり、限られたエリアですけれども、たばこを吸っている方は、千代田区ですけれども、減ったような気がいたします。これは私は定量的に確認したわけじゃありませんけれども、五千円罰金を取られて、現に取られた人が出たということが公になれば、そこで慎むのが健全な神経だと私は思います。
 そのように二重、三重に今回は仕組ませていただいて、内閣官房長官が申しましたように、今、一回飛びはねてしまったトレンドをまた減らしていく方向に制度を仕組んでいかなければならない。その中で、もっともっといいアイデアがあれば、制度は一回で完璧なものができなくても、改革というものは一遍にできないとしても、どんどん改良を重ねて完璧なものにしていくというのが、この変化の大きい社会での当然の政策ではないかと考えております。
春名委員 時間が参りましたので終わりますが、特殊法人そのものへの天下りの規制問題とか、まだまだやるべきことはたくさん残されております。これから公務員制度改革の議論もやられますので、また引き続き深めていきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
保利委員長 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいますが、まず初めに、国民生活センターの独立法人化についてお伺いをしたいと思います。
 朝日新聞の、ことしの三月三十日、また四月に複数回取り上げられているのですけれども、複数の同種製品の比較テストが廃止されたというのが載っておりました。今後は、経済産業省所管の財団法人日本消費者協会の商品テスト室で商品テストが行われることになるそうなのですが、消費者保護の視点から、商品テストの必要性はなくなったという御認識なのかどうなのかをまず最初にお伺いしたいと思います。
根本副大臣 商品テストについては、要は、そもそも今回の整理合理化計画でどういう検討をしたか。基本的な考え方は、民間にゆだねられるものは民間にゆだね、地方にゆだねられるものは地方にゆだねる、この基本原則で、すべての特殊法人等の事業、組織全般についての抜本的な改革を行うということで、要は、ゼロベースから事業を抜本的に、本当に必要かどうかという点検をしたわけであります。
 この商品テストについては、今は二種類の商品テストをやっているわけですが、商品の安全性などの人命や身体にかかわる商品テストと、それからいろいろ各種比較する商品テスト、この二つの商品テストをやっているのですね。もう一度言えば、原因究明や苦情処理テストという観点から、国民生活センターや消費生活センターで受け付けた苦情相談の解決、製品関連事故の原因究明のためのテストで消費者被害の未然防止、再発防止を目的とするもの。これと、商品比較テストといって、消費者の関心が高い商品について、消費者の合理的な選択あるいは使用のために必要な品質、機能などに関する情報、この商品テストなんですね。
 廃止したのはこの後者の商品比較テストで、これは、今さまざまな、先ほどの議論の中でも出てまいりましたが、いろいろな団体が商品比較テストもやるようになりましたし、この商品比較テストというのは、いわば消費者の合理的な選択、あるいはよりいいものを選択するという観点からの商品比較テストですから、国民生活センターの商品テストとしては、これはもう民間にゆだねていいのではないかという観点から、この商品比較テストというものを廃止することにしたということであります。
北川委員 ほかの委員も聞かれたようなんですけれども、現実には、品質、機能の相談件数なんですけれども、ことしの九月の入力分というのを教えていただいたのですが、それでも七千百三十三件ありまして、一番トップにクリーニング、自動車、健康食品と続いております。そういう実態があるわけですよね。機能や品質についての相談件数というのは依然高い件数を誇っておりますし、また、近年はいろいろな機材というものも、家庭に持ち込まれるものが質が変わってきています。
 例えば、約十年前でしたら、大型のカラーテレビだとか、例えば電気ジャー、ポットだとか羽毛布団だとかコーヒーメーカーだとか、そういうものが商品テストになっていたと聞きました。けれども、去年、二〇〇一年度でしたら、DVDビデオプレーヤーやフードプロセッサーやチャイルドシートということで、新しく時代時代に、評価される商品というものが、品質、機能を持って登場してくるわけです。そしてそれを、消費者が購買意欲を広告から受けて買うという行動になるわけですから、そこにおいては何ら相談件数も減っていないという実態から、それから商品機能開発というものも、終わったわけではなくて次から次へと出てくるといったところにおいても、今の副大臣の御答弁では、これ以降の時代においては後退をしたと言わざるを得ないのではないか。
 そして、移行される民間団体が日本消費者協会だというふうにお伺いしているのですが、ここはたった三人で千二百万の予算、それも補助金が六百万ということなんですが、この補助金なり年間予算というものを格上げをされるというような御予定がおありになっての御答弁なのかどうか、再度お伺いしたいと思います。
根本副大臣 これは、今の問題の本質はどういうことかといいますと、要は行革の観点と政策論の観点をどう仕切って考えるかということだと思うんですね。つまり、今委員のおっしゃったことは、それは消費者からいろいろな相談や情報提供、いろいろなものが出ますから、そういうものの相談件数がどんどん出てくるのは、私はそれは当然だと思います。いろいろなものが出てくる、いろいろな商品が出てくる。では、それを官側が国民の税金でそこまでやるかどうかという問いかけだと思うんですね。
 商品比較テストというのはなぜ廃止したか。これは、より消費者の選択的ニーズ、つまり、よりいいものを選択したいというものについては、これはむしろ民間でもいろいろなものをやっておりますし、ここは民にゆだねていいんではないか。官がやるべきは、官と民の役割分担ですから、官の役割は消費者被害の未然防止、再発防止、これはやはり公の側が責任を持ってやる必要があるんではないか。
 そこのところは、私は、どこまで公がやって、どこまでが民間にゆだねる、今市場経済ですから、民間もいろいろなものを、商品を開発して、いろいろなものをPRして、それを競うわけですね。そのときに、消費者は、そこは選択可能性があるわけですが、やはり公の政策分野として担うべきは消費者被害の未然防止、再発防止、こういう分野はやはり公が担って、これは時代が随分変わっていますから、今回、整理合理化計画の中で、ゼロベースから、民にゆだねるものは民、地方にゆだねられるものは地方に、そういう原則で点検した上で結論を出したわけですが、私は、商品比較テストというのは、要は国民生活センター以外にかわるべき手段が出てきていますから、これは民にゆだねていいという結論を出したということであります。
北川委員 具体的なことについて、日本消費者協会にゆだねられるということについての具体的な質問にはお答えがなかったんですけれども、あえてお伺いしたいんですけれども、ある消費生活センターにお伺いしましたところ、では民間でやるところあると思いますか、いや、ないでしょう、だってもうからないからと。だってそうですよね、民間で品質や機能を分析したからといって、ではどこかの産業界や業者が、自分のところのをすごくいいと評価してくれたら、すごい何かお土産上げますよというか、すごいプレゼンテーション上げますというか、代金払いますよというような形になると、偏った分析結果をあえてするとかということになると思うんですよね。偏らず、中立に、厳正な、捏造しないデータを表に出すという保証を民間のどこが、副大臣、では具体的に名前を挙げてください。
根本副大臣 私は、基本的な考え方が大事だと思うんですね、この問題は。要は公がどこまで政策として対応するか。私が言っているのは、やはり消費者に被害を与えるような、消費者保護の観点からは、消費者被害の未然防止、再発防止を目的とした原因究明、苦情処理テスト、これは従来どおりやりましょう。ただ、商品比較テストというのは、よりいいものを選ぶという比較テストですから、これは公がそこまで本当にやるんだろうか、税金まで使ってやるんだろうか、こういう議論を私はしているんですね。
 ですから、今我が国は市場経済でいろいろなものを、いろいろな商品を出して、いろいろなPRもしますよ。そのよりいいものを選ぶというのは、そこは私は基本的には消費者の方の判断だと思いますが、ただ、しかし、それで被害が起こるような危険を防止するような観点の原因究明、苦情処理テストはしっかりとやらせてもらう。私はそこのところの基本的な考え方の違いなんだと思います。
北川委員 私はなぜしつこく言うかというと、まさに副大臣が言ったように未然に防止するためには、苦情が起こってからやったってだめなんですよね。未然に防止をするために品質や機能の状況がどうかということを国民生活センターというところがやっていたことというのがとても重大であって、消費者というのは、そこから学んで、いろいろなもののバージョンで買うときにも、どういうふうにして買っていけばいいかという、自分の消費者としての教育に使ってきたということの現実をどう踏まえていらっしゃるかという意味において、そして前提論はわかるんですけれども、では成熟したものを、移行できるものや成熟した消費者教育を学校教育の中に入れるとか、そういうことの担保がないにもかかわらず、先行してここの部門だけ削るという出され方において、では何の意味の特殊法人化、ではなぜ国民生活センターで今までやっていたのかといった点においても余り明快な御答弁ではなかったというふうに思うわけですけれども。
 では、今後、その苦情処理とかという、残されると言った部分なんですけれども、それはどういう基準で商品テストをやろうとしていらっしゃるのか、具体的なガイダンスというかガイドラインはおありになるんでしょうか。
永谷政府参考人 少し数字のお話をさせていただければと思うんですが、先生さっきおっしゃっていましたように、国民生活センターで平成十三年度に実施しております商品比較テストというのは十一品目であります。それに対しまして、都道府県あるいは政令指定都市でも同じような商品比較テストを行っている。件数としては百三十八件ということで、圧倒的に多うございます。
 そういう中で、例えば北海道あたりですと、平成十三年度に十件の商品比較テストを実施しておりまして、中身としては、例えば生チョコレートの品質表示の問題、それからCD―R、CDレコーダーの性能等についての比較テストをやっているということであります。都道府県とか政令指定都市でも非常に多くの比較テストをやっているということであります。
 それから、先ほど来、財団法人の日本消費者協会にこの業務をゆだねるのかどうかということをおっしゃっていますけれども、これは経済産業省所管の財団法人でありますけれども、ここは月に一件ぐらいずつ比較テストをやっている。そこはそれで十分経営とか何かも成り立っている世界で、そこに対して我々業務を委託するとかなんとかということは全く考えていないということであります。
 もう先生御案内のとおり、国の機関である国民生活センターと地方自治体の機関である消費生活センターなどがあって、国民生活センターの一番大きな業務というのは、この両者をオンラインネットワーク化しているわけですね。そこでいろいろな地域で出てくる消費者トラブルとか苦情とかそういうものをみんな集約して、みんなでそれをシェアする、それでもって全体的に地域的な広がりを持つような問題についてどういうふうに対応していくかとか、そういうようなことを考えるということをやっているわけですね。それが国センなり消費生活センターなりが持っている全部の材料なんですね。その材料を使ってどういうふうに消費者との間でいろいろな層の相談業務に応じていくかということなんだろうと思うんですね。
 これまでは、たまたま地方の消費生活センターも国の国民生活センターも、両方とも直接相談をやっているし、比較テストをやっていたわけですよね。国の方を、とりあえずは国でやっていた直接相談というのを、たまたまこれまでは両方ともやっていたんですけれども、重複の廃止とか財源の限りがあるとか、そういう中で少し合理化しようよ、それで段階的に廃止していって、その帰趨を見ながら全体を考えてみようよということで、我々は消費者に対する分野でのサービスのレベルを落とすとかなんとかというのは考えていない。
 いずれにしても、いろいろな財源の制約とか人的な制約とかそういうものがある中で、どうやれば全体として一番いい消費者相談というのを供給できるかということを模索しているという状況だろうと思います。
北川委員 私は事前のレクチャーのときに、日本消費者協会の方へ移すんだというふうにお伺いしたものですから、今お答えの中に日本消費者協会には別に何ら移行しようと思っていないということで、では根本副大臣も言われた、民間のどこがやるんだといった問いに対してはどういうふうにお答えいただけるんでしょうか。
永谷政府参考人 済みません。私も不勉強で、具体的に民間のどこというのは、ぱっと出てこないんですけれども。
 だから、例えば先ほど来話題になっています日本消費者協会とか、こういうところもやっていますし、それから各種の民間のいろいろなNPOみたいなものも最近できてきておりますので、そういうところで徐々にこういうことも行われていくようになっていくんじゃないかなというふうに思います。
北川委員 それはすごく、これからより一層、超資本主義というか超市場主義の社会になる中においては、そこは絶対に譲ってはいけなかった点ではなかったかというふうに思うんですが、石原大臣、お聞きになっていて、石原大臣は国民生活センターとか消費生活センターといったら女子供の分野ではないかというふうにお思いになる点がおありになるかもわかりませんけれども、いや、そうじゃないのかもわかりません、首を振っていらっしゃるから。かもわかりませんが、今のを聞いていらっしゃって、心もとないと、超資本主義社会にしていく日本であるからこそ、必要であるという立場をとった方がいいのではないかというふうに思うんですが、いかがなんでしょうか。
根本副大臣 私、国民生活センターを所管している竹中大臣の副大臣であると同時に、行革担当大臣の石原大臣のいわばサブでやっておりますので。
 大事なのは、我々、消費者行政を後退しようという気持ちは毛頭ないんですね。やはり消費者は非常に大事ですから、私も温かい気持ちを持っている政治家だと思っていますから、消費者は非常に大事だ。ただ、大事なのは、国や官側がどういう分野を担うか。
 やはり、いろいろな欠陥商品で体に支障が起こるようなことがある、危害を生ずる、そういうものは我々官側が公としてきちんとやろうではないか。これは、その意味では、その分野は超資本主義ではないんですね。やはりそういう危害を与えるような分野はきちんと原因究明、苦情処理テストはやりましょうと言っているわけですから、私はそこは委員のおっしゃられた超資本主義ということではないと思うんですね。むしろ、市場原理の市場の失敗を補うような分野を我々はやろうではないかということであります。
 それから、もう一つは、商品比較テストというのは、消費者が非常に関心が高い商品について、いわば合理的な選択、消費者が合理的な選択をできるように、言うなれば、よりよいサービスを与えるための比較テストだから、そこはやはり消費者主権という考え方もありますし、そこは消費者の方が自分の目で見ていただいてもいいし、先ほどの都築委員のところにも、逆に都築委員は、これは要らないんじゃないか、いろいろな団体、いろいろな機構がやるようになってきていますよ、こういうお話もありまして、都築委員は大変勉強されているなと私は思いましたけれども。
 ですから、そういうものが、かわるものが出てきていますから、要は、情報の非対称性が問題になるような分野ではないので、より利便性の高いものの選択という意味での商品比較テストは、これは税金で公がやる必要はないという判断をしたということであります。
北川委員 根本副大臣は絶対そこを譲らずにやるんだということを強調されて、しかしながら、では具体的にどこが担うんですかというとなかなか名前が出てこないという、その乖離の、距離の長さを私はお伝えしているつもりなんですけれども。
 次に、去年九月四日に出された国民生活センターに関する内閣府の報告という中に、国民生活センターは、公的機関である各地の消費生活センターと連携をとり、その中核として業務を実施し、消費者に対する公平で信頼性の高い情報提供等を行っている、だから廃止できないんだと。以前、石原大臣がいらいらしていらっしゃった点ですよね、廃止できない理由ばかりが上がってきている。でも、この報告は当たっているとやはり思うわけなんですね。
 地方組織と国民生活センターの役割分担をどうしようと思っていらっしゃるのか。連携を図るだけというような、PIO―NETですかを教えていただいたんですけれども、連携に対しての法的な根拠、それがどこを読んでもないものですから、予算だけの減少が大きく際立っているわけですよ。一億円というのが八千七百万円になるとかというような点。だから、人材と機能と予算を減らすということの、逆に言ったら明言でしかなかったわけで、その点はどういうふうに思っていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
根本副大臣 要は、新たな国民生活センターの機能は、相談業務については、直接相談からいわば移送相談にしましょう。まず基本的には住民の一番身近な自治体にやっていただいて、消費生活センターがありますから、相談業務はそこでやってもらいましょう。それで、直接相談機能はその意味では住民の皆さんに一番身近なところでやってもらって、それで、非常に対応困難なあるいは専門的な難しいものは国民生活センターで、経由相談という観点からやりましょう。ですから、そこは役割分担をしようということですから、機能的には、そこは国と地方の役割分担の中で担保される。
 それから、商品比較テストと苦情処理等のテストについてはもう既に私が申し上げたとおりで、要は、実際、国民生活センターが今まで果たしていた機能、役割については、合理的、効率的に国と地方の役割分担も含めて整理をさせていただいたということであります。
北川委員 とおっしゃるわけなんですけれども、頭のところが機能が低下するわけで、機能が低下したものと、では、各地の消費生活センターの伸びというものを、この五年間の数字を教えていただいたわけですが、遅々としてそんなに伸びていないわけですよね。都道府県だと五年前と今とでは六カ所ふえたぐらいであるし、市町村だとたった二百八十しかことしの数字でもないわけで、三千三百ある中で本当にあるところの方が少ないという、一割にも満たないところしか消費生活センターがないという実態があるのです。
 副大臣、こういう数字的な部分においても、では消費生活センターをふやしていこうというふうに思っていらっしゃるのか、そして、消費生活センターへの財政支援、その方はどういうふうにこれから機能強化を図られようとしているのかをお伺いしたいと思います。
根本副大臣 地方の消費生活センターは、確かに私も市町村でできるだけ拡大してもらいたい、こう思っております。
 ただ、やはり都道府県の消費生活センターがあって、市町村の消費生活センターがある。町や村にはない。では、町や村にはないから、その消費者の相談がやれないかということと、私は、ここは、都道府県というのは広域的なエリアでカバーしていますし、それから市町村でも、規模の大きい市町村にはあるでしょう。そこはやはり地方にあっても都道府県と市町村の役割分担というのがあって私はしかるべきで、やはり消費者保護行政、消費者保護基本法にも地方の役割や責任は書いてありまして、そこの政策は展開されているわけですから、そこは都道府県と市町村がお互いに相互補完し合いながらやってもらう。
 それから、国民生活センターの方は、直接相談業務からは段階的に撤退をいたしますが、縮小をいたしますが、移送相談ということで、これも私は機能分担ということだと思いますが、広範にわたる分野の消費生活相談あるいは専門的な知識を要するような相談業務、これは移送してもらって国民生活センターでやるわけですから、やはりそういうトータルな形の中で消費者に対する行政を展開していく、これが私はこれからのあり方だと思います。
北川委員 本当にありがとうございます。
 教えていただいたんですけれども、でも、私が質問したのは、消費生活センターをこれから市町村なり政令指定都市ではもっとふやしていくとか、ふやすという方向に踏み切られるのか、現状維持というところで、消費者保護教育というものを、国民生活センターを独立行政法人にするということでお決めになって以降は、今のままの状況を続けるということなのかをお伺いしたので、その辺は、消費生活センターの充実というものをふやすということで図られるのか。どういうふうにされていくのかをお伺いしたいと思います。
永谷政府参考人 地方自治体でどれくらいの消費生活センターを設置するかどうかというのは、まさに地方自治体自体が自主的に判断すべき事柄であります。基本的にはそういうことであります。
 それに対して、我々として、例えば新設するということであれば、人材をどういうふうに、人材養成とかなんかでどれぐらいサポートできるかとか、あるいは、一般的な予算でありますけれども、私どもの方で自治体に対する交付金ということで、全体で七億九千万ぐらいの予算を持っている。そういうものを、つくるということで、新しくつくっている地方自治体に対してはいろいろなサポートをやっていくということであります。
 先ほど来、都道府県で百六十七、今消費生活センターがあるわけですね。これは一県当たりにしますと四件弱、四つぐらいあるわけですね。確かに、おっしゃるように、自治体によっては、県のレベルで少し数を減らすとかいうようなことをやっているところもあるんですけれども、そういうところでは市町村のレベルで数が非常にふえているというふうな実態もありまして、要は、身近なところでとりあえず処理できる体制というのはそれなりに整備されつつあるということだろうと思います。
北川委員 その整備されているといったものの数字の見方が、局長と私では違うのかもわからないなというのを改めて思いまして、その後押しというかサポートを、地方自治体の今の財政状況であるがゆえに、あえて消費生活センターの窓口をつくろうというように踏み切るところは少ないわけですから、国民生活センターの機能を落とした分、消費生活センターで救っていくということがあるんでしたら、その後押しのことも含めて、地方自治体への啓蒙というものをお願いしたいというふうに思います。
 それで、ちょっと質問通告にはなかったんですけれども、北方領土問題対策協会、北対協というものに関しまして、お答えいただけるんでしたら次のことだけお伺いしたいと思うんですが、役員数と外部行政評価の導入以外は、具体的にはあとの部分は継承されるというふうに聞いているんですけれども、この辺はいかがでしょうか。継承していただけるんでしょうか。
保利委員長 どなたか答弁者、手を挙げてください。
 堀江事務局長。
堀江政府参考人 所管が通告されていないようでございます。私も、今御指名でございますので、お答えします。
 北方領土問題対策協会につきましては、法案の中で、主な業務は、北方領土問題等についての国民世論の啓発、それから北方領土問題等についての調査研究、北方領土の元島民等に対する援護、それから北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づく元島民等に対する貸付業務、大体こういう主な業務を引き継ぐことになってございます。
 以上でございます。
北川委員 時間も来たということですので、本当にどうもありがとうございました。
保利委員長 次回は、明十四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四分散会


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