衆議院

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第7号 平成14年11月15日(金曜日)

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平成十四年十一月十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 伊吹 文明君 理事 熊代 昭彦君

   理事 虎島 和夫君 理事 山本 幸三君

   理事 伊藤 忠治君 理事 金子善次郎君

   理事 山名 靖英君 理事 東  祥三君

      伊藤信太郎君    石田 真敏君

      岩倉 博文君    金子 恭之君

      小西  理君    河野 太郎君

      西川 京子君    萩野 浩基君

      菱田 嘉明君    福井  照君

      増原 義剛君    松野 博一君

      宮澤 洋一君    吉田 幸弘君

      岩國 哲人君    佐藤謙一郎君

      鮫島 宗明君    首藤 信彦君

      永田 寿康君    山井 和則君

      山元  勉君    桝屋 敬悟君

      丸谷 佳織君    都築  譲君

      中林よし子君    春名 直章君

      植田 至紀君    菅野 哲雄君

      日森 文尋君    井上 喜一君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   農林水産大臣       大島 理森君

   国務大臣         石原 伸晃君

   財務副大臣        谷口 隆義君

   農林水産副大臣      北村 直人君

   政府参考人

   (特殊法人等改革推進本部

   事務局長

   兼内閣官房行政改革推進事

   務局長)         堀江 正弘君

   政府参考人

   (特殊法人等改革推進本部

   事務局次長)       熊谷  敏君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進事

   務局公務員制度等改革推進

   室長)          春田  謙君

   政府参考人

   (郵政事業庁次長)    有冨寛一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    田村 義雄君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局

   長)           岩元 睦夫君

   政府参考人

   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君

   政府参考人

   (水産庁長官)      木下 寛之君

   衆議院調査局特殊法人等改

   革に関する特別調査室長  遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  瀬古由起子君     中林よし子君

  日森 文尋君     植田 至紀君

同日

 辞任         補欠選任

  中林よし子君     瀬古由起子君

  植田 至紀君     日森 文尋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国民生活センター法案(内閣提出第一一号)

 独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出第一二号)

 平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 独立行政法人国際協力機構法案(内閣提出第一六号)

 独立行政法人国際交流基金法案(内閣提出第一七号)

 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 独立行政法人日本万国博覧会記念機構法案(内閣提出第一九号)

 放送大学学園法案(内閣提出第二〇号)

 日本私立学校振興・共済事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案(内閣提出第二二号)

 独立行政法人日本芸術文化振興会法案(内閣提出第二三号)

 独立行政法人科学技術振興機構法案(内閣提出第二四号)

 独立行政法人日本学術振興会法案(内閣提出第二五号)

 独立行政法人理化学研究所法案(内閣提出第二六号)

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法案(内閣提出第二七号)

 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出第二八号)

 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出第二九号)

 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出第三〇号)

 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出第三一号)

 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出第三三号)

 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出第三四号)

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出第三五号)

 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

 独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出第三七号)

 独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出第三八号)

 独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出第三九号)

 独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出第四一号)

 独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 独立行政法人日本貿易振興機構法案(内閣提出第四三号)

 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法案(内閣提出第四五号)

 中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律案(内閣提出第四六号)

 独立行政法人中小企業基盤整備機構法案(内閣提出第四七号)

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案(内閣提出第四八号)

 独立行政法人国際観光振興機構法案(内閣提出第四九号)

 独立行政法人水資源機構法案(内閣提出第五〇号)

 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 東京地下鉄株式会社法案(内閣提出第五三号)

 独立行政法人自動車事故対策機構法案(内閣提出第五四号)

 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として特殊法人等改革推進本部事務局長兼内閣官房行政改革推進事務局長堀江正弘君、特殊法人等改革推進本部事務局次長熊谷敏君、内閣官房行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長春田謙君、郵政事業庁次長有冨寛一郎君、財務省主計局次長牧野治郎君、財務省関税局長田村義雄君、財務省理財局長寺澤辰麿君、農林水産省大臣官房長田原文夫君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君、林野庁長官加藤鐵夫君、水産庁長官木下寛之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田寿康君。

永田委員 おはようございます。時間が大変短いので、手短にてきぱきと質問をしていきたいと思いますので、答弁についても簡潔に御協力をお願いしたいと思います。

 まず第一に、万博記念公園の独立行政法人化の問題でございますが、やはり私たち民主党としては、この法人は本当に効率が悪くて、しかも独立行政法人として残しておく意義も余り感じられないということで、公設、つまり土地などの施設を国が保有したまま経営主体は民営化していくというような方針が望ましいのではないかと考えておりますが、そのような方針についていかがお考えになるか、お答えくださいませ。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 日本万国博覧会記念協会が管理運営しております万博記念公園でございますが、これは、我が国最初の万国博覧会といたしまして国、地方公共団体、民間が一丸となって開催いたしました万博を記念いたしまして、その跡地に緑に包まれた文化公園として整備したものでございます。

 これは、自然環境保全、災害対策の機能をも有した公共性の高い公園として公的な見地から運営する必要があると考えております。また、公共性を確保しつつ、独立採算により運営することとしておりますけれども、これは、一つは、公園用地に係る固定資産税の減免を受けていること、もう一つは、万博の剰余金を原資といたします基金の運用益によりまして公園の運営経費等を補てんできるということが前提となっております。

 特殊法人等改革に当たりまして、万博記念公園の運営のあり方につきましては、さまざまな案を検討してきたところでございますが、御指摘の公設民営化につきましては、万博記念公園の公共性を維持できるか、固定資産税の減免が可能かといった問題がございまして、改革の観点からは独立行政法人とすることが適切であると判断したものでございます。

永田委員 引き続き、ほかの法人と統合するなり、そういった手法で、業務のスリム化、組織のスリム化、効率化に努めていただきたいと思います。

 そして、一方のNACCSセンターの方ですが、これは、組織図、簡単に御説明を受けたところによりますと、大変小さな課や小さな事業所がたくさんあるというふうに伺っております。

 私たち民主党は、これは独立行政法人として運営していくのが一つの望ましい方向であると考えておりますが、しかし一方で、組織のスリム化は引き続き実行していかなければならない課題だと考えております。ぜひ、現在の課の構成などをお話しいただいた上で、今後の組織のスリム化についての計画、または計画がなければ意気込みについてお話しいただきたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 NACCSセンター、通関情報処理センターの、まず現在の課及び事務所の構成でございますが、本部に置かれております課を中心に十六課がございまして、また全国に十五の事務所がございまして、全体で三十一課所でございます。

 職員構成につきましては、職員十二名を有するところが二課所、五名のところが三課所、以下、四名十四課所、三名五課所、二名が七課所となっておりまして、確かに、御指摘のとおり、小規模な課が多いというのは事実でございます。

 全体として、センターの業務、御承知のように、システムの運用、あるいはデータ及びファイルの作成、管理、あるいはプログラム改変要望の聴取であるとか、総務、人事等、多岐にわたっております。人員は規模を抑えながら多岐にわたる業務に対応するためということで、小規模の課が多くなっているわけでございます。

 今後の組織のスリム化についてでございますけれども、昨年来の特殊法人等整理合理化計画におきましても、業務のさらなる効率化を図ることと指摘されていることを踏まえまして、センターにおきましても業務の見直しを進めているところでございまして、独立行政法人への移行前におきましても、例えば今事務所を御説明したそのうちの一つでございますブラッセル事務所、これはもう廃止するということを含めまして、人員削減を行おうというふうに考えているところでございます。

 また、独立行政法人化を通しまして、さらなる業務の効率性の向上あるいは質の向上について中期目標が定められていくわけでございますから、それに従いまして、さらに組織の面についても、今御指摘のございました部、課の見直しも含めてそのスリム化が図られるべきもの、そのように考えております。

永田委員 引き続きその方向で努力をしていただきたいと思います。

 さて、本日の質問のメーンディッシュ、勧奨退職制度に関する質問に移らせていただきたいと思います。

 この委員会の質疑、勧奨退職で、途中で公務員が退職を余儀なくされて、そして特殊法人に天下っていくということが一つの問題であるということは何度も指摘をされてきました。

 まず、この問題がやはり天下り問題の中核的な部分に位置しているという認識が私にはあるわけですが、まず行革担当大臣、済みません、この問題、天下り問題の相当中心的な位置にあるというふうに私思っているんですが、行革担当大臣はいかがお考えですか。

石原国務大臣 ただいま永田委員が御指摘されましたように、五十二、三歳で肩をたたかれてやめることによりまして、六十歳が定年だとしても八年間あるわけですから、どこかで仕事をしなければならない、そこで、民間企業ではない、その関連府省庁が持っております特殊法人あるいは認可法人等々に、ですから、関連府省庁にとりましては自分の子会社のような気持ちを持っていると思われても仕方がないような形で天下っていく、ここに大きな問題があるというのは、まさに永田委員と同じ認識でございます。

永田委員 勧奨退職というのは、もちろんこれは役所の方の事情で退職を迫るわけでありまして、勧奨退職になると、その対価というか、その事情を踏まえて、退職金は多少割り増しになることになっています。もちろん、その割り増された部分は税金が充てられることになっているわけであります。ですから、税金を使っている以上は、当然、なぜ勧奨退職をしなければならないのか、そういう事情については十分合理的な説明がなければならないというふうに私は考えています。

 本省にいては困るというふうに役所が考えた人、あなたはもう今や役所にいては困るんだというふうに考えた人が、なぜ特殊法人にいてもいいのかという合理的な説明が必要だと思いますが、石原行革担当大臣、そこはどのようにお考えですか。合理的な理由を説明してください。

石原国務大臣 お答え申し上げます。

 合理的であるか非合理であるかは御判断いただきたいと思うんですが、基本的に、公務員の世界はピラミッドの形になっている。すなわち、永田委員も公務員の経験がおありでございますから御承知のことだと思いますが、大体課長ぐらい、最近は審議官ですかね、審議官ぐらいまでは同期一律昇進が行われている、この制度を維持しようと思うがために勧奨退職制度というものをだれかが編み出した。ですから、このピラミッドを壊せば、さらに、同期入省で課長もいれば、局長もいれば、審議官もいるということを是認していただければ、この合理性というものは崩れるものだと承知しております。

永田委員 今お話しいただいたのは、勧奨退職をする際の理由ではなくて原因なんですね。僕が言っているのは、あなたはもう勧奨退職ですよ、うちの役所にいては困りますよということを言うときに、どういう理由で首にするのかという話なんですよ。

 本人の能力に問題があるということであれば、それは、そんなに無能な人を特殊法人のトップにしていいのかという問題が出てきてしまいます。あるいは、後進に道を譲るという答弁が過去には何度も出てきているんですけれども、後進に道を譲るという理由で勧奨退職をしたいというのであれば、本人にお伺いをして、あなた、首になるか、このままこのポストにとどまるか、ないしは降格をするか、どれか選択しなさいというような事情があってもいいというふうに思います。あるいは、組織の活性化のために勧奨退職をするんだという答弁も過去に見られますけれども、そんなに組織を不活性にしてしまうような人を特殊法人のトップに置いておいていいのかという問題が出てきてしまいますね。

 私が言っているのは理由なんですよ。どういう理由で勧奨退職をするのか。そして、その理由があれば役所にいては困るということになるんでしょうけれども、では、特殊法人に行くんだったらその理由は解消するのか、原因となる部分は解消するのかというお話をしているのです。ぜひ、役所の仕事と特殊法人の仕事はこうこうこういう点が違うから、役所には不要になった人間も特殊法人にはいられるんだ、こういうような説明をしていただきたいんですけれども、もう一度御答弁をお願いします。

石原国務大臣 私は、今内閣の行政改革と規制改革と二つの部局を預かっておりますが、支えてくれるスタッフはおよそ八十人でございます。その中で、勧奨退職を勧めた、やめろと言った経験、現場に残念ながら居合わせておりませんのでその理由を推測するしかございませんが、それは先ほどお話しいたしましたように、やはり、同時昇進をしてきて、差が出てしまって人間関係がハレーションを起こす、私は起こさないと思うんですけれども、そういうことに起因している。ですから、合理的な理由は実はなくて、能力がないから天下るのではなくて、残った者のために天下るというのが現実ではないか。

 ですから、早期勧奨退職制度についてはかなり問題があるという認識を小泉内閣は持っておりまして、私も内閣委員会で昨年来これを是正すべきであるということを申しておりますし、総理も七月に各省に指示をいたしまして、現在、総務省の方でこの勧奨退職の是正の方法を検討している最中でございます。

永田委員 大変重要な答弁がありました。勧奨退職、要するに退職を勧めるべき合理的理由はないということが今明確に大臣の答弁にあったことを確認しておきたいと思います。

 そして、ないのであれば、勧奨退職をして退職金を割り増してあげるという理由もまた同時に消滅するものだと僕は思います。国民の税金を使って割り増し分の退職金を払う理由が消滅したと私は思います。ということは、今までやってきた勧奨退職制度で退職金を割り増してあげるのは、これは役人のお手盛りである、国民の税金をかすめ取ってポケットに入れるための一つの方策であった、勧奨退職制度を悪用したものである、こういうふうに間接的に認めたことになると思うんですが、その点、過去に対する反省は、行革担当大臣いかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 この問題は、早期勧奨退職制度と密接にリンクしております。ですので、この問題も、やはり割り増し退職制度というものも早期勧奨退職制度の是正とあわせて変えていかなければならないと考えております。

永田委員 私は、過去に対する反省をお伺いしたんですが、未来に対する意気込みを話されたので、全然答弁がすれ違っているということは指摘をしたいんです。

 しかし、ここで一つ問題があるのは、役人は今や、皆さん入られた方は、大体六十まで勤め上げられるということはまれなケースであるということを本人はちゃんと知っています。五十代前半から勧奨退職の機会に遭ってやむなく天下るというような事情になるということは百も承知です。そういう人に対して勧奨退職で割り増し退職金を払うということは、僕は、正直言って合理性を欠くと思います。

 やはり、どうしても組織がピラミッドになっている、それを維持しようとするために勧奨退職制度というものが利用されているんだということをもしもお認めになるならば、役所に入る人たちに向かって、あなたは六十まで勤め上げられることはまれなことだというふうに認識してくださいと了解をとるんですね。五十前半で退職になるのが普通のケースです、ですから五十を過ぎてから勧奨退職を勧められた場合には、もう割り増し退職金は払いませんよという了解をとってから、その了解した人だけを入省させれば、国民の税金をむだに割り増し退職金に回す必要はないというふうに考えますが、そのような制度改革はなさるおつもりはありませんか。

石原国務大臣 早期勧奨退職制度の問題点をしっかりと認識し、過去の反省をした上で、委員御指摘の問題点も含めて早期勧奨退職制度を抜本的に見直していこうというのが小泉内閣の方針でございます。

永田委員 抜本的にとか大胆かつ柔軟にとか、そういう抽象的な言葉遊びをしている時間はもうないんです。私たちには改革を一刻も早くやらなければならないという差し迫った事情があるんですよ。

 いいですか、もう一つ、公務員は、本人の希望がなければ降格されることはないというふうに国家公務員法に書いてあります。しかし、今や勧奨退職を受け入れるか、つまり、首になるか、ないしは本人が希望して降格をして安い給料で本省にとどまり続けるか、どっちか選択をしろといったら、後者の方を選択する人も結構僕は多いと思うんですよ。ここはひとつ、勧奨退職の制度を見直すのであれば、やはり公務員を降格させることもあり得るんだと。だって、それはそうでしょう、入ってきたばかりのフレッシュマンと、首になる寸前の五十二、三歳のベテランの方々がどっちが仕事ができるかといったら、それは火を見るよりも明らかだと思うんですよね。

 ここはひとつ、自分が課長にとどまったまま同期が局長になっていくのが心理的にハレーションを起こすというようなことをお認めになるならば、もう一歩進んで、もう公務員も降格できるんだ、そして勧奨退職をせずに、六十歳まで平かもしれない、係長かもしれない、ずっと勤め上げられるような、普通の民間にはよく見られる組織でありますけれども、このような組織形態に一歩踏み込んで改革をしていくのが正しい道だと考えますが、行革担当大臣の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 今度は意気込みでよろしいんでしょうか。(永田委員「いや、ちゃんとお答えいただきたいと思います」と呼ぶ)

 公務員制度の改革の中でこの問題はやはり考えていかなければならない。すなわち、やはり業績あるいは能力についての評価というものが公務員の場合は私はなされているとは思えません。ですから、業績、能力に合った適材適所の配置を行えるシステムを一日も早くつくり、一日も早いじゃ不明確だと言われるのでしたら可及的速やかにでも結構なんですけれども、つくり、その中で、今委員が御指摘された問題を解決するということが現実的な対応ではないかと考えております。

永田委員 いや、公務員を降格することができるという制度に改めるのは、法律を一本通せばすぐできるんです。それを運用するかしないかは、現実の現場の役人の方々が受け入れるかどうかということを見ながら時期を見ればいいんですよ。やはり、降格できないという状態にしているから、ピラミッド形の組織を壊そうと努力をしても、制度が壁になって実現できないという事情があるわけですね。

 ですから、公務員制度改革を本当に真剣に考えるならば、それを実施できるような環境を整えるためにも、一刻も早く、公務員も降格できるんだ、あるいは勧奨退職か本人が希望して降格をするんだというような選択ができるような制度をつくっていくことが大事なんではないのかなと思うんですが、そういう環境を整える気すら今はないということなんでしょうか。お答えください。

石原国務大臣 永田委員の降格が、職責の降格、さらには給与の降格、どちらを指しているものかはちょっと今不明確なんですが、実は、この議論は内閣委員会でやはり民主党の方々とさせていただきました。

 私も、委員と同じように、給与に限って言うならば、ピークを五十六、七歳に持っていき、そして六十歳まで働かせるというのが現実的ではないか、こういうことを考えていると意見をしたことがございます。それに対しましては、御同僚の議員から、それはけしからぬ、やはり給料は上がり続けなきゃだめだ、そういう御意見もちょうだいしました。

 そんなことも含めて、今このお話を聞かせていただきまして、公務員制度改革の中で、永田さんのような意見をお持ちの方もいるんだということを肝に銘じて、制度設計をさせていただきたいと思っております。

永田委員 なぜ給料が右肩上がりで上がり続けなければならないのか、そういう事情について、やはり歴史的背景があるんですよ。

 実は、戦時中、日本は、もともと企業というものは社員のためにあるんじゃなくて、国力を最大化させるために活動すべきである、よって、社員がいたずらに給料の上昇を望むのはけしからぬということで給料の上昇を抑制した、法律で規制した時代がありました。しかし、たった一個だけ例外があったんですね。社員全員が同時に給料が上がる場合には、それは認めてもいいというような例外規定がありました。

 これが、ベースアップの慣行が始まった一つの原因でありまして、そして給料が上がり続けなければならないという神話というか慣行をつくったのがその時代の法規制でありました。今はその法律はもちろんありませんけれども、今でもその名残が残っているということなんですよ。

 ですから、これは法律で、降格はできない、それは給料でもポストでも、もちろん両方である場合もあるでしょうし、片っ方だけということもあるでしょう、それはちゃんと事務的に検討していただけばいいと思います。もちろん政治的なリーダーシップがそこには必要ですけれども。

 問題なのは、やはりそういうような給料が上がり続けなければならないという事情をつくっている法制度をまずは変えなければならない、そこから始めないと、ピラミッド形の組織を壊そうとする環境が整わないんですよ。ですから、一刻も早くその問題に決着をつけていただいて、そして制度の改正につなげていただきたいなというふうに思っております。

 大体時間もはかっているとそろそろなので、最後に一言申し上げたいと思いますけれども、今回の特殊法人改革の法律、本当にお粗末のきわみです。ほとんど役所から出てきた、いわゆるのり代を削ったところ、つまりここまでは業務を削っていいとか、ここまで組織を削っていいとか、そういうのり代をそぎ落としたものをホチキスで束ねるのが行革担当大臣の仕事だったのかなというふうに邪推をしておるところであります。あるいは、この程度の仕事しかしないようなポストであっても行革の対象にはならないという一つの基準を示すものが、この行革担当大臣の仕事ぶりではないかというふうに邪推をしておるところであります。

 ぜひ自分のポストを整理合理化の対象にしなくても済むように、これからも引き続き頑張っていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。これで終わります。

保利委員長 次に、都築譲君。

都築委員 自由党の都築譲です。おはようございます。早朝から御苦労さまでございます。

 特殊法人の改革ということで議論を進めてまいりましたが、きょうは財務省関係と農水省関係ということでお話を聞いておりまして、まず財務大臣に、日本万国博覧会記念機構法案といったものについて、今既に永田議員の方からもお話がございました。私自身も、今回の改革案というのを拝見いたしまして、何でこれはこのまま独立行政法人に行ってしまうんだろうかというふうに大いに疑問に思うわけでありまして、民営化というか、財団法人にしてしまえばそれで済む話じゃないかと。

 確かに先ほど理財局長が、固定資産税の免除等の措置とかいろいろなことを御指摘になっておられました。また、例えば現在のところ、政府と大阪府が出資者となって公園用地としての二百六十四ヘクタールの現物出資といったものがあって、これ自体が一千二百億から一千三百億円の価値がある、そういったものをぽんと渡していいのか、こういった議論もあるのかもしれません。

 しかし、正直申し上げて、今これは運営交付金の交付を必要としない法人として十分機能し得るわけでありますから、何もそういった法人であるからといって、拝見をすると、常勤の理事長さん、理事さん、監事さんということ、それから非常勤の方も含めると、大蔵省、大阪府、通商産業省、さらに大阪市、自治省、こういったところから役員に行かれておるわけですね。結局のところ、実はお役人の方たちの天下りのポストを維持するためだけの法人になってしまっているんじゃないか。

 むしろそれだったら全部、全部でなくてもいいんです、例えば今まで日本がやった博覧会の関係でいきますと、沖縄国際海洋博覧会、これは七十一ヘクタールを国が購入して、国営沖縄記念公園、海洋博公園として整備をした。そして、運営を財団法人の海洋博覧会記念公園管理財団が管理をする。実はこういうような形になっておるわけでありまして、何も独法として残していく必要は全然ないんじゃないか、こんなふうに思うわけであります。

 特に、この特別委員会での議論でも、改革案をそもそもだれがつくったのかといったら、実は役人の皆さんが一生懸命議論をしてつくり上げてきたんだと。そうすると、まないたの上にのるコイが自分自身のさばき方をどうこうしてくれなんというのはおかしいじゃないか、こういう議論もありました。

 だからこそ、政治家が決断をして、この際一気に民営化というふうな方向に持っていくという決断をできるのは実は政治家しかないんじゃないか、こんなふうに思うわけでありまして、塩川財務大臣のお考えをちょっとお聞きしたい、こんなふうに思います。

塩川国務大臣 この問題につきましては、先ほど永田委員に対しまして寺澤局長からお答えいたしましたように、非常に一般の記念事業とは違いまして、特殊性を持っております。

 それは何かといいましたら、日本庭園を一つのモデルとしてつくったものでございまして、このモデルの日本庭園を維持する、そういうことを一つの使命としておりますことと、それから、これから上がってくる収益でもって社会教育活動等に資するということを持っておりまして、だから単なる単一の財団法人ではないというところから、独立行政法人としてこれをしたということでございまして、そのことによって、固定資産税等の免除を受けて、これをさらに一層社会教育活動等の事業を推進させていく費用にするということを兼ねたものとしておりまして、独立行政法人が相当のものと思って判断した次第であります。

都築委員 財務大臣の御説明の趣旨もわからぬのではないのでありますけれども、正直申し上げて、今おっしゃられたような公益的な意味を持つ、それは複数の目的を持つんだというにしたって、例えば財団法人という形で、寄附行為という形で財団の活動の方向とかあるいはまた財産処分の方向とか、そういったものをきっちりと固めておけば何ら問題はないと思うんですね。

 逆に、もし独立行政法人をそのまま認めるとした場合に、ではこういったお役人の皆さんの天下り先の確保としてこれを使うんですということはないんだというお約束が、それこそ民間の有識者の方、先ほど言われた日本庭園の管理という専門家の方たちだっているわけでしょう。そういった方たちが来て、そしてまた環境問題に詳しい方たちが来て、二百六十四ヘクタールの公園用地を適切に使うようにやってもらうというんだったら、なぜそれができないのかというふうに思うわけであります。

 石原行革大臣、先ほどからずっとこの委員会でも議論がありましたけれども、公務員制度との関連が当然あるのでありますけれども、本当に独立行政法人にしたときに、以前から御説明あるように、三割役員をカットしましたとか四割役員をカットしますとか、そんな話ではなくて、実際に役人の持ち株のような感じでそのポストが使われているという状況を改める決意があるのかどうか。

 ただ国から補助金が行くから、その補助金の分だけ天下りのポストを下さいというふうな形で特殊法人がやっていて、今度は独立行政法人、あるいはまた民間の企業に対して、民間の団体に対しても同じようなことをやり続けていたら、やはり国民の信頼というか行政に対する信用というのは失われてしまう、こんなふうに思うわけであります。

 その点をもう一度強く申し上げて、実は次のテーマに移らないと、私も時間が二十分しかございませんので、大変恐縮でございますが。

 きょうは農水大臣にもお越しをいただいております。たくさんの、六本の法律を実は出されておるわけでありますが、六本をわずか十二、三分の中でやるわけにはまいりませんので、農畜産業振興事業団の問題について取り上げていきたい。

 私ども自由党の基本的な考え方は、るるお話をしてまいりましたように、特殊法人、独立行政法人をすべて三年間で廃止をしてしまって、本当に行政が関与するものが必要だというものについてはもう一度法律を新たに出し直してください、出し直す中で、当然、取捨選択が政府の中でも行われてくるでしょう、そして、行われてきたものを国会の委員会の場で徹底的に時間をかけて議論をいたしましょう、こんなことを考えておるわけでありまして、全部やめてしまえというわけじゃなくて、本当に必要なものは、残すものは残す、民営化できるものは民営化する、廃止するものはどんどん廃止をしていく、こういう考え方に立っておるわけです。

 それで、農畜産業振興事業団、確かに去年のBSEの問題等、いろいろな問題で明らかになったようにさまざまな課題を抱えておりますが、ただ、今まで日本の畜産業とか、あるいはまた砂糖の価格安定とか蚕糸の価格安定とか、いろいろなことを吸収しながら今日までやってきた、その功績というか、そういったものは大変大きいということは私も承知をしております。

 しかし、今やこの農畜産業振興事業団、それこそ国から一千五、六百億円の補助金、交付金が毎年流れていって、そしてまたその下の中央畜産会とか中央酪農会とか、実はそういったところにどんどん補助金がばらまかれている。そうすると、農畜産業振興事業団にも実は役人の皆さんの天下りがありますけれども、さらにその下の公益法人まで全部トンネルのような形でお金が流れていって、農水省からのお役人の天下りが役員という形で、私が農畜産関係で見ただけでも実は八十八人もおるわけですよね。だから、一体これは何なんだ、役人の皆さんの老後の安定を図るための畜産事業団か、こういう話になってしまうと思うんです。

 こんなことで本当に国民の皆さんが、畜産価格の安定とか糖価の安定とか、また今度から野菜を吸収するということでございますから、野菜価格の安定とか、そういったことを期待しているのとは、確かに人間が仕事をやるわけですから、その対価として報酬が支払われるのは当然のことでありますけれども、ただただ補助金が国から流れてくるから補助金をくれるお国の方たちの仕事の場を保証しましょうなんということで、本当に意味のある改革になっていないのじゃないか、こんなふうに私は思うわけです。いかがでしょうか、農水大臣。

大島国務大臣 都築委員が御指摘された問題意識というものは、大変大事な問題意識だと思うんです。

 独立法人で行う事業においての存在はわかるけれども、国民の皆様方から見て天下り先の姿にならないように、しっかりとそこはチェックしながらやるべきだという御指摘については、私どもはそういうことがないように、第三者機関の評価委員会等々をそこに設けながらやって、また内閣で天下りに対するしっかりとしたルールをつくりながら、そういう公開性を大事にしながら、そういう御指摘に当たらないように努力して、事業の目的を果たすことが本当に大事なことだという認識だけは申し上げさせていただきます。

都築委員 もう一つの論点は、非常に大きな事業団になっていくわけでありまして、業務も多岐にわたってくるということであります。

 先ほど申し上げたように、補助金のトンネル団体になっているんではないか。こういう面をもう一度別の角度から見てみれば、本来国が、例えば価格安定、トマトやキャベツ、タマネギの価格がちゃんと安定するように、暴落したらどうするんだ、あるいは高騰したら消費者は困るだろう、そういうことで安定するために、恐らく役所の皆さん方もちゃんとそれは市場をウオッチしながらやっているわけですよね。

 きのう、実はあした質問するからと言ったら、六時半ごろにどどっと農水省の方たちが来られて、全部で七人も来られて、七つそれぞれみんな、農畜産関係から糖価から野菜関係から全部来られた。だから、これだけの人がいるんだったら、これだけの人がああしろこうしろというふうな形で、もし業務を運営し、指揮命令するんだったら、やればいいんですよ。お金もちゃんと渡すというふうなことでやれば、実は農畜産事業団なんか要らないじゃないか。あるいは、その下の何とか会とか何とか協会とか何とか財団というところが地方政府と連絡をとって全部やれば済む話じゃないですか。それこそ二重の手間暇をかけて、ただ人手だけかかって人件費だけかかるという仕組みになっているんじゃないかと僕は思うんです。

 だから、国直轄化できないのかと言ったら、何か生乳を生乳業者から、いざというときに加工業者に渡すあっせん業務は直轄化できるかもしれませんなんという話だけしか出てこないのです。でも、もっとあるでしょう。BSEの問題だって、あのときの牛肉の買い取りの問題だってたくさんあったはずですから。

 もっと国が、清廉な公務員が、廉潔性を保った公務員がしっかりと業務をやるという形にしたら、もっと効率的で、そしてまた国民の皆さんの期待にもこたえるものになるんじゃないかと僕は思うんですが、いかがでしょう。

大島国務大臣 都築委員が先ほど、この事業団の存在意義、ある一面評価するというか存在意義があると。私どもは、やはり国そのものが直接やる、そういうふうな行政のさまざまな問題意識から、柔軟に、そしてなおかつ適時に対応できる、そういうふうな観点から、この事業団の意義を私どもは認めて行っていくわけでございます。

 御指摘をいただいたように、第一の質問にありましたように、国民の目から見て天下りの巣になってはいないかという絶えずの目に対してきちっとこたえていくことと、その事業が、やはり事前のチェックから事後のチェックにし、また第三者である評価委員会で客観的な評価が行われる。そういうことをしながら、国民の目をしかと受けとめて、効率的で透明性の高い業務運営の確保ということを大事にするんであれば、緊急な対応が必要とされるさまざまな施策、それらを国の補完として行うという意味で、この事業団の意味を、存在を私どもは申し上げておきたい、このように思います。

都築委員 ちょっと議論がだんだんかみ合わなくなってきていると思うんですが、私は、本当に農水大臣のお立場で全部の業務を、農畜産業振興事業団、野菜供給安定基金が一緒になったときに、どれだけの業務をやって、どれだけのお金がどういうふうに流れていくのかというのをチェックすることはなかなか大変だと思うんです。それをしょっちゅうチェックしろというふうに言うつもりはありません。

 しかし、たまにめぐってきたこういう改革の時期に、では、農水大臣あるいは農水副大臣が、本当にそれぞれの業務になたを振るって、メスを入れて、むだをそぎ落として、そして本当に効率的な政府の運用になるように、というのは、何も私は、効率を追求して人を首切れということを言っているわけじゃないんです。むだな金がもし整理をされて、その金がほかのところで使えるんだったら、今議論になっている補正予算の問題もありますけれども、例えば公共投資でも、生活社会資本充実のためにどんどん使って、そこで人を雇っていけば、雇用機会を増大させて、そして所得を増大させて、また内需を回復させてくる、こういうことに使えるわけですから。

 ただ、それが実際にはむだに使われてしまっているということになれば、そこでみんな終わってしまうわけですよ。農水省の関連の皆さんだけはほくほくしているかもしれないけれども、税金を納めている国民の皆さんは、失業がふえて、中小企業が倒産して、商店街はばたばたつぶれていく、こんな状況になって、なり続けているということを考えたら、本当に大なたを振るって、個別の項目にしっかり入っていかないといけない。そのためにも、こういうやり方での法案の改正というのは、私は、実はどうだったのかな、こんなふうにも思うわけです。

 繰り返しになって恐縮ですが、一番の問題は、十一日月曜日の私の質問の中でも申し上げましたけれども、やはり中央官庁に金と力が集中し過ぎている。そのお金に、権力に、一般の業者の方や、あるいはまた国民の一部の人たちが群がってくるようなそういった状況、そういったものをどう改革していくのか。

 だから、政官業の癒着の構造が、こうやって農畜産事業団、さらにその下の傘下となれば、政治家も恐らく口ききとかそういったものをどんどんやったり、あるいはまた官庁だって、今は、国家公務員倫理法というものが成立をして大分静かになっておりますけれども、今までのお話を聞いたら、実はさまざまな業界所管庁の皆さん方が、いろいろな業界団体あるいはまた特殊法人、そういった人たちと相当の癒着の現象を持っていたということは事実であるわけであります。

 先ほど来、評価委員会、評価委員会という指摘をされておりますけれども、では評価委員会をだれが運営するのかといったら、結局、事務局はまた農水省であり、また中央全体だったら総務省かもしれませんけれども、そういったことになってしまって、実際、きょうここで議論していることだって十分議論し尽くされていないのに、そんなところまで入ってくるか、そんなところまで入っていけるか、こういうことになると思うんです。

 だからこそ、本当の改革をする意味で、ぜひしっかりとした改革をやらなきゃいかぬということであります。

 もう既に、また時間が切れつつありますので、ちょっと言いっ放しで大変申しわけありませんが、ぜひそこら辺のところを、政官業の癒着の構造、さらにまた、雪印や日本ハムやいろいろなところが偽装牛肉の問題で取り上げられました。これだって、実はこういうふうな形でやっているから、不正の温床のような形で、農水省のお役人にさえ顔向けできれば、わからなければいいんだなんという発想で、消費者の期待を裏切るような、あるいは納税者の期待を裏切るようなことをやっていたら、この国は本当におかしくなってしまう、そんな思いがいたします。

 もう一度、石原行革大臣にお伺いいたしたいんですが、先ほど申し上げましたように、私自身は、行革大臣、恐らくまた同じ答えしか返ってこないのかもしれませんが、公務員制度の改革と本当に密接にリンクしていると思うんです。

 先ほど来議論がありました、今六十歳定年なんですから、六十歳まではしっかり雇い続けるとか、あるいはまた、本当に能力があって、その分野で専門性を持っていて、そしてまた高い見識を持っていて、そういった人がよその民間会社からぜひ来てくださいと請われて行くんだったら、それをとめるのは、それこそ憲法に言うところの職業選択の自由があるわけですから、そんなものはできっこないわけです。ただ、国が補助金を出しているところだから、おまえ、これを雇ってくれというのが官房長さんのお仕事だなんというふうな、そういう事態がなくなるような改革をやっていかないと、こんな実の上がらない、ただ模様がえだけをするような改革ではだめだというふうに私は思うんです。

 もう一度、これからもこれは、永続革命と言うと何かちょっとやばいんですけれども、いつまでも続けていかなければ、既にでき上がったものにすぐなれ合ってしまって、そしてもたれ合いが生じて、まあまあでいいじゃないかというのが今までの状況だと思うんです。そういった点について、石原大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま都築委員が御指摘されましたように、これでこの特殊法人改革は終わりではありませんで、終わりの始まりというぐらいの意識を持って取り組んでいかなければなりません。

 それは、大島大臣から御答弁いただきましたように、評価、ここが重要である。しかし、都築委員が御指摘のように、評価をするものを所管するものは所管省庁であるといったような問題を、それをまた外から第三者がどうやって監視、監督していくのか、その評価が適正であるのか適正でないかもはっきりと見ていかなければなりません。そして、総務省の中に全体の評価委員会はありますけれども、やはり政府といたしましても、参与会議等々、また国会、国民の皆様方の監視をしっかりとしていくことが、今回の改革をこれから続けていく上で重要な点であると考えております。

都築委員 今、行革大臣から御答弁をいただきました。質疑時間が切れましたので終わりますが、今回のあれでも、もうほとんど審議は終わりだというふうなお話もうわさとして聞いております。ただ、もっと本当に、役所の皆さん方がこれだけの十分な時間をかけて議論してきたものであれば、国会議員にももっと議論する時間をいただきたいという御要望を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、中林よし子君。

中林委員 まず、法案の質疑に入る前に、緊急な課題でございますので、農水大臣に質問したいと思います。

 それは、島根県隠岐諸島西方におけるアメリカ軍の水中爆破訓練、これがきのう、本当に直前の連絡だけで実施をされて、漁民の間から大変な憤りの声が沸き起こっております。

 島根県の隠岐島の浦郷漁協の組合長はこう言っているわけですね。十四日朝になって、漁協に出て初めてファクスを見て訓練を知りました。これまでは相当前に連絡が入っていましたが、前日というのはかつてない。慌てて組合員に連絡しました。漁協のカニ漁の船が一隻、訓練海域にいましたが、連絡がつき、海域の外に避難しました。十時過ぎ、漁協では、地震かと思うような音と振動がありました。もし船がいたら事故の可能性があります。せっかく漁獲がふえかけて喜んでいるときに、何でこんなところでやるのかと怒りがわきます。ズワイガニ漁の最盛期なのに。海中爆破で回遊魚などの沿岸漁業に影響が出るのではと、とても心配しています。こんなところでやってほしくないと。

 それから、島根県側の恵曇漁協の指導課の人の話ですけれども、訓練海域で操業していなかったが、漁船の航路になっています。きょうも午前中、所属の船が二隻、訓練海域の西の漁場に向かっています。連絡が入ったのは十三日午後六時半ですが、訓練の中身も、米軍かどうかもわからず、海域の図面もありませんでした。こんなことでは組合員に中身を説明できません。自衛隊や海上保安庁が訓練するときには、少なくとも二週間前ぐらいには連絡があります。もし訓練を知らず船が海域に入っていたら、大惨事になる可能性もあります。もう少しすると、あの海域はスルメイカの好漁場です。漁民の生活にも影響を与えていますということに象徴されるように、今回の訓練は突如というべきものです。

 この米軍の通報のあった海域は、通常、鳥取県、島根県、あるいは山口県の船が七百七十六隻ぐらい操業するところで、そのほか小型イカ釣り船など、かなりの数が操業するところだ、こういうふうに言われております。

 今回は公海上だからというようなことを言われているようですけれども、しかし、日本の排他的経済水域、そこにありますし、日韓の暫定水域もある。しかも、ズワイガニ漁というのが始まって、本当にそれがなければ生きていけないという漁民の方々の思い、それを思えば、当然、日本の水産業の最高責任者である農水大臣としては、直ちにこの訓練を米側に中止するよう抗議すると同時に、これからまだ東シナ海沖あるいは種子島の沖、そこで連続的に訓練すると言われているわけですから、そんなことがあってはならないというふうに思うわけですけれども、ぜひ抗議と、それから中止を厳しく要求するべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

大島国務大臣 中林委員からの御指摘のことにつきまして、いささか時系列的に経過をお話ししながら……(中林委員「あと法案の審議があるので」と呼ぶ)そうですか。それでは、結論だけ申し上げさせていただきます。

 昨日も、たびたびに外務省を通じて農水大臣として中止を強く要請してまいりましたが、昨夜八時半ごろ、農林水産大臣である私自身の意向として、漁業に大きな影響を与えるような水中爆破訓練が行われることのないよう、在京アメリカ大使館に働きかけることを改めて外務省に申し入れておきました。

中林委員 かつて、ことしの一月、三陸沖でもそういう予告があった。そのときは、やはりちゃんと中止要求をして、それは見合わせが行われたわけですね。だから、やはり十分、そうでなくても今漁業は大変枯渇し、苦難の連続でやっている、そういうさなかでございますので、米側から中止の回答が出ない限り抗議を続けて、中止を続けてほしいということを重ねて申し添えておきたいと思います。

 さて、法案質問に入りたいと思うんですけれども、まず、独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案についてですけれども、この法案は、独立行政法人農業技術研究機構と生物系特定産業技術研究推進機構、これを合同させて、新たに独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、こういうことで発足させるということになっているわけですけれども、なぜこれとこれが一緒になるのか。それで、私いろいろ説明を聞いたんだけれども、全くその理由がうなずけないわけですよ。大臣、明確に御答弁いただきたいと思います。

大島国務大臣 バイオ技術の世界は、委員御承知のように、非常に幅広く、深く研究しなければなりません。そういう意味で、農業分野のそういう意味での研究の高度化を図り、その図るためには、両法人を統合すること、そしてその上に立って、それぞれがストックとして積み重ねてきた研究開発能力あるいは研究ストックで、業務の相乗効果を期待できる、こういうことから一緒にさせたものです。

中林委員 相乗効果ということを随分言われるわけですけれども、そんなことは、分かれていても別に相乗効果というのは幾らでも出てくるというふうに思うんですね。

 それで、なぜ私は合理的な統合ではないというかというと、それぞれ、今までやってきた中身が、性格が違うわけですよ。私は、その背景に、行政改革推進本部、特殊法人の整理合理化計画で特殊法人の廃止ないし民営化を打ち出して、その中で法人の数を減らすことを一番求めている、そこから出てきているというふうに思わざるを得ないんですね。

 今までどういう研究をやってきたかというと、独立行政法人農業技術研究機構、これは一年半前に独立行政法人になったばかりなんですね。農業試験場をすべてまとめて特定独立行政法人化、去年の四月にやったというもので、実は、ここは最も独立行政法人になじまないものだというふうに私は思っています。それは、稲だとか麦だとか大豆だとか、圃場での品種改良だとか、非常に地道で長期にわたる研究、そういうものをやって、それを国民、農民に返していくという研究活動です。それに対して、生研機構と言われるものは、みずからは研究活動は行わないで、民間企業に対する技術供給や民間企業特有の試験研究とのコーディネートなど、これを主な業務としてやっていたわけですね。

 だから、全く性格の異なる機構、組織、それを統一するというのは、今の大臣のでは、バイオの研究なんか今後大いにやると言うんだけれども、バイオだけじゃないですよ。今、研究機関に求められているのは、本当に日本の食料自給率を高めていくための、そのための地道な研究がさらに必要になっているということですので、もっとわかりやすい、なぜ一緒にしたかというのを、ただ単に相乗効果というんだったらお互いに連絡し合えばできることですから、なぜ一緒にするのか、もう一度答えてください。

大島国務大臣 委員がおっしゃるように、農業技術研究機構は、いわば非常に地道で基礎的な研究だ、一方、生物系特定産業技術研究推進機構は、お金を貸したり、そういうことをやっているではないかと。

 いわば木で、植物でいえば、根っこと茎と葉っぱと実、これが一体となって、このバイオの研究が、あるいは農業の研究が、お互いに相乗効果を持ち合いながら、そして、その基礎研究が本当に農家、農民のために役に立つようにする、そして、それがまたさまざまなマーケットの中に生かされていく。そういうものが一体として相乗効果を生むためにこれを一つにして、そういう努力をさせようということでございます。

中林委員 それならば、建物は今までどおり、一緒になるわけじゃないんですよね。なぜ一緒にならないのと言ったら、それは金がかかるからというわけですよ。だから、問題は、単なる数合わせで数を減らす、中身なんかは問題じゃないということが私は明確になったし、研究はバイオだけじゃなくて、ほかにはもっともっとやらなければならない研究もあるわけです。

 ここだけでやっていくとすぐ時間がたちますので、ここで私は、一緒になっていく、統合されることがそこで働く方々にとってどういう事態になるのか、この問題についてただしたいというふうに思います。

 独立行政法人農業技術研究機構、これは、ほかの農林水産省試験研究機関と同様に、公務員並みの処遇が保障されている特定独立行政法人ですよね。今回の統合によって発足する新たな独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、これは特定独立行政法人でありながらも、今回の特殊法人等改革推進本部決定、ここで、特殊法人等の廃止・民営化及び独立行政法人の設立に当たっての基本方針で、特定独立行政法人と統合する等から国家公務員とせざるを得ない法人については、非国家公務員とした場合に発生すると予想される支障の回避の検討等を踏まえつつ、統合する独立行政法人の中期目標の期間の終了時に非公務員に移行することを基本とし、必要な措置を講ずることとするということで、二〇〇五年以降は非公務員化するという方向が一応打ち出されているわけですね。この点からいっても、二つの組織を統合することに大変問題がある。

 そこで、国家公務員として処遇されなければならない独立行政法人農業技術研究機構の職員、これは、言われるように、二〇〇五年以降、非公務員型になるのか。

 この点で、ことしの十月十八日付の一四文第一〇九号、こういうものが、農水省から行政改革推進事務局に対してこの身分に対しての問いがあり、それに対する回答もあるわけです。それを見ると、非公務員型への移行は決まったものではないというふうに読み取れるわけですね。

 当然、私は、非常に地道な研究を要するそういう職員については、やはり一番の問題は、身分がちゃんと保障されるということでないとじっくりした対応はできないんだろうというふうに思うわけですので、ぜひ、二〇〇五年以降の職員の身分、農水大臣として、本当に国の大切な研究のあり方として公務員型として努力していくということをお約束していただけますか。

大島国務大臣 先般、ノーベル賞を受賞されたお二人の先生のお話を伺いました。また、ノーベル賞を受賞された先生方の前の白川先生とか、そういう先生とお話しして、地道な研究というものが一番基礎にある、こう言われました。

 地道な研究をするためには、国家公務員であろうが民間であろうが、やればできるものとは思います。しかしながら、今、中林委員からお話をされたように、この問題は、中期目標期間終了時において組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その中で役職員の身分についても検討を行うことといたしております。また、中央省庁等改革基本法第四十一条の規定の中に「良好な労働関係に配慮するもの」との規定もございますので、農業・生物系特定産業技術研究機構の業務運営の性格、業務実績の評価を見つつ判断をしてまいりますが、冒頭に申し上げましたように、地道な研究を大事にしていくということが基本であるべきだし、それは、官であろうが民であろうが、私は、環境とやる気があればできる、このように思っております。

中林委員 そこだけ言うと、それは、どんな立場であろうと、その人の努力だとかそういうことで、ぬきんでた人は実を結ばせることができるんだけれども、総体的に言って、働く人たち、それから研究者の人たちは、非公務員型になればやはり要求されたものに対して答えを出さなければならないとかいろいろあるわけですね。それで本当に、十年も二十五年もかかるような、あるいは五十年もかかる研究もあるかもわからない、そういうことに対しては公務員型ということで、先般の、一年半前に独立行政法人化になったときに、だからこそ公務員型に落ちついたというふうに思うんですね。

 だから、私は、農水大臣として、行革推進本部の一員じゃなくて農水大臣として、そういう国の大切な農林水産業の基礎研究、それを本当に安心してやっていただく、大切なことをやっていただくということで、さっき言われた基本法の四十一条に基づく良好な関係を保ちつつやっていただきたいというふうに思うわけです。よろしいですね。

大島国務大臣 一方的に先生の主張でよろしいですねと言われましても、はい、わかりましたというわけにはまいりませんが、基本方針において、「非国家公務員とした場合に発生すると予想される支障の回避方策の検討等を踏まえつつ、統合する独立行政法人の中期目標の期間の終了時に非国家公務員に移行することを基本とし、必要な措置を講ずること」とされておりますので、したがって、先ほど申し上げたようなことを、法律で書かれていることを踏まえつつ判断をしてまいります。

 農林水産大臣として必要なことは、先生から御指摘いただいたまさに基礎的な研究、そしてそのことがまたさらに現実の農林水産業の発展のために尽くせるようなところまで特化させていく、上昇させていく、その環境をさまざまな方策でしっかりとつくってやることが大事と私は思っております。

中林委員 最初の答弁で、行革のための基本法の四十一条だとか通則法の三十五条、これは遵守しながらやっていくということでございますので、ぜひそこは外さないでいただきたいというふうに思います。

 最後になるかと思いますけれども、今回、独立行政法人農畜産業振興機構法案というのが出ていて、これまでの農畜産業の事業団などがそこへ改組されていくということになっているわけですが、先ほどからも出ているように、畜産、酪農あるいは野菜安定のために、不十分とはいえ、これまで一定の役割を果たしてまいりました。

 そこで、私は一点お聞きするわけですけれども、九一年の牛肉輸入自由化に伴って輸入牛肉の関税収入を財源とする牛肉等関税交付金が事業団に交付されて、毎年一千億近い交付金が入ってきているわけです。

 これは、本来ならば肉用子牛生産補給金あるいは指定助成ということで使われているわけですけれども、しかし、全部使われているわけじゃなくて、未使用分が二〇〇二年三月末現在で千六百九億円にもなるということで、これは、いわば事業団の裁量としてブラックボックス化、第二の畜産予算とも言われるような状況になった。

 私ども日本共産党は、これは畜産農家のためにもっと活用してほしいということを再三にわたって要求し、改善をしてまいりました。今度のこの改組によって、私は、畜産予算として、国の予算として、事業団の努力でできたものではありません、関税収入なんですから、それで農民のために使うべきだ、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

大島国務大臣 畜産は生き物でございます。いろいろな病気が蔓延しますと、そこで一気に大変な大きな問題も起こったりします。また、BSE問題等もありました。そういうことにやはりスピーディーに、柔軟に対応するという対策、実行できる箇所がないといけないと思います。機動的かつきめ細かな対応策を打ち出す、そういう必要がある。そういう中で、この独立行政法人農畜産業振興機構が存在意義がある、このように私は思っております。

 ただ、先ほど都築委員からも御指摘をいただきましたように、また中林委員もある意味では同じだと思いますが、不透明であってはならない、国民の皆様方から見て、天下り先のるつぼ、あるいはまた、関税、税金ですから、そういうものが変な形に使われてはいけないということで、私どもは、透明性というものを最大限に考えながらこの運営、仕組みをつくっていかなきゃならぬということで、さまざまな、この機構の運営のあり方の勉強会、検討会もしておりますし、そういうことを、御指摘を踏まえながらしっかりとやってまいりたいと思っております。

中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、要するに、今度新たな機構の裁量に大分使い方は任せられるということなんですよ。だから、そこに安易に、一千億円以上もお金があるものですから、いろいろなことが起きたときについそこを使えということで、本体の方の農水省の予算を獲得しないという方向があるんですね。

 だから、BSEが発生して、今年度の予算なんかでもその対策費をうんと獲得しなければならないのに、これが使われているということですから、私は、その改善を強く求め、質問を終わります。

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 きょうは、四十六本ある中で、通関情報処理センターに関連して、与えられた時間の中で幾つかお伺いしたいと思います。

 この通関情報処理センターの国際物流業務に果たしてきた役割というものは、当然私も評価をしているわけですけれども、とりわけ、この間、対象地域、対象業務の拡大等々その利便性の向上にも努めておられるだろうというふうに理解はしております。

 しかし、利用者については、税関はもちろん、関係業界、船会社、倉庫、通関、船舶代理店等々あるわけですが、実際参入率が低い業界であるとか地域があるということも伺っています。

 そういう意味で、この間のそうしたこのセンターの果たしてきた役割、そしてまた、とりわけ今後の参入率の向上に向けた利便性の向上という観点でどうした展望を描いておられるのかという点、まずお伺いいたします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生からお話ございましたように、通関情報処理センターは、税関手続及びこれに関連いたします民間業務をいわば一体として電子的に処理している通関情報処理システム、NACCSと言っておりますが、これを運営するために、昭和五十二年官民共同で設立された認可法人でございまして、それ以来、お話しのように業務の拡大あるいは対象範囲の拡大等をやってきたところでございます。

 現在、これは十四年十月三十一日現在でございますが、NACCSの利用者数、もちろんお話があったように業界によっていろいろ違っておりますが、Air―NACCSで二百三十五社、Sea―NACCSで九百五十三社となっております。センターといたしましては、当然、システムに参加していない企業に対しまして広く参加慫慂を行っているところでございます。

 また、Sea―NACCSの利用料金につきまして、これは本年四月一日からでございますが、大幅な料金引き下げを実施しております。

 また、インターネットを通じましてNACCSの利用が、これは平成十五年、来年の三月から可能となります。

 こうしたことからも、これらの措置によって新たな企業の参加が期待されているところでもございますが、今後ともシステム利用の拡大に努力をしていくものと承知しております。

植田委員 NACCSが、この間、輸出入の通関件数というのはふえ続ける一方でございますから、そこで迅速かつ的確に処理をするという観点から、その役割の大きさはよく承知しておるつもりです。実際、平成十三年度では、許可件数、輸出入合計で、二千三百二十五万件ですか、五年前に比べると三〇パーの増加ということもあります。

 そういうところからすれば、電算処理に頼る割合というのも当然高くなってくることも承知いたしますし、その辺は当然理解するわけですが、実際、機器を使いながら通関の処理をしているのは税関の職員ですね。では、どんな体制でやっておられるのかもちょっと教えていただけますか。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 NACCSによります電算処理率、おっしゃられましたように、今、全体の申告件数の約九割が既に電算化をされておりますが、実際の問題におきましては、NACCSによる輸出入申告等の処理が中心ではございますけれども、一方で、おっしゃられますように、基本的な審査、検査の根本はやはり人でございます。コンテナ貨物の大型エックス線検査装置等も導入しまして、NACCS等と相まちまして、事務の機械化あるいは重点化によりまして業務運営の効率化を図りつつはございますが、一方で、限られた人員のもとでできるだけ、やはり基本的には人ということでございます、適切な人員の配置に努めるとともに、きちっとした定員の確保ということに努力したいと思っております。

植田委員 とりあえずそういう話をお伺いいたしまして、今度は税関の方の話をお伺いしていきたいわけです。

 平成十年度から十三年度まで四年連続でずっと減員しておりましたけれども、本年度では、実際、増員が百八十一名、税関の定員について認められた。これは成田空港の暫定滑走路の供用開始によるところが大きいわけですけれども、純増として九十七名、総定員が八千三百十五名というふうになったわけです。

 では、こういう厳しい定員事情の中で、水際阻止に係るいわゆる輸出入の通関部門における定員数は、この間、どんな施策に基づいて、どのように推移してきましたでしょうか。御教示いただけますか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 定員につきましては、今お話があったとおりでございまして、この十四年度におきましては、増員として百八十一名が認められたわけでございますが、御質問の通関部門につきましては、数字で申し上げますと、例えば五年前の平成九年度でございますが、二千八百十名配置されておりましたが、本年度、平成十四年度におきましては二千六百五十一名ということで、百五十九名の減となっておるところでございます。

植田委員 事情はいろいろあるのは十分承知していますけれども、実際問題、国民生活の安心、安全に資するという点においては、この水際阻止に係るところというのがやはりポイントになりますね。しかも、本当に迅速かつ適正な通関という意味において、迅速という部分においては電算化によってある程度それは果たしているかもしれませんが、適正という部分において、実際、今の人員体制で十分なのかどうなのかということはあるんじゃないでしょうか。

 例えば、適正な通関の部分で、さまざまなものが入ってきているわけです、密輸の手口はますます巧妙になっているわけでございますので。そうした中で、税関の職員が、提出された申告書類を見て、どうもこれは怪しいな、どうもにおうぞと、ある種の勘かもしれませんが、そうした問題に気がついて、それが端緒に大量の社会悪物品の摘発につながった事件というものも数多くあるわけですよね。例えば、横浜なんかで缶ビールの中から大麻が出てきたとか、また中国のワックスの容器から覚せい剤の水溶液が出てきたとか、この辺は、さっきも答弁のところでおっしゃっていましたけれども、やはり基本は人だということだろうと思うわけです。

 しかし、その人の部分で今の現状があるわけですけれども、実際こうした不正を発見するということは、機械に多くを判断させるということに終始していたらやはり取り逃がしてしまう。職員にもっと、例えばそういう書類や貨物を見る機会を与えていく、そしてまた、職員のそこでの判断能力を育成していくということが、全体としての職員の能力の質の向上にもつながっていく、そこに力点を置いた取り組みというものが必要なんじゃないだろうかと私は思うわけです。

 そういう意味で、そうした莫大な量の貨物から税関職員がより効率的に審査または検査を行うためにどういう工夫をなさっているのか。それともう一点は、やはり人だとおっしゃいましたけれども、まさにそこにポイントがあるんだということを改めて確認させてください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点は、先ほど通関部門の人数を申し上げました。先生の御質問は水際検査全体ということでございますので、むしろ、監視部門等の人員も合わせて申し上げる方が正確だと思います。

 通関部門、監視部門を合わせますと、むしろ監視部門は、今九年度と十四年度を申し上げましたのでちょっと参考に申し上げますと、平成九年度は監視部門が二千九百十名おりましたが、平成十四年度は三千九十八名ということで、こちらの方は百八十八人ほど増員を図っておりまして、トータルとして見ますと、通関、監視部門、要は水際全体ということでは二十九名の増員を図っております。

 いわば貨物や旅客の通関、検査、そのほかに水際におけるいわゆる社会悪物品あるいは他法令規制物品の取り締まりということについては、そのような人員で臨んでおりますし、これからも実態に即した人員配置に努めてまいりたいと思います。

 また、もう一点の、より効率的な審査、検査を行うためにどのような工夫がなされているかという御質問につきましては、まさに輸出入貨物は非常に増大してきているわけでございまして、これらを迅速に処理するために、一つは、本日御議論をいただいておりますこの通関情報処理システムの導入、拡大といった税関手続のIT化はもちろんでございますが、貨物の到着前に既に必要な審査を終了させようというような予備審査制を導入するとか、あるいは納税申告の前に貨物の引き取りができるようにする簡易申告制度を導入するとか、そういった措置を講じているところでございます。

 また一方で、適正な通関を確保するために、通関実績あるいはこれまでに収集した各種情報を蓄積いたしまして、通関情報総合判定システムといっておりますが、こうしたシステムを活用いたしまして、不正輸出入の危険性が高い貨物、ハイリスク貨物と、低い貨物、いわばローリスク貨物を選別いたしまして、ローリスク貨物の方については審査、検査は極力省略する一方で、ハイリスク貨物に対しては重点的に審査、検査を行うというような、選別した貨物につきまして一層深度ある検査に取り組んでいるということでございます。

 そうした中で、限られた人員の中でございますけれども、迅速な通関と今おっしゃられた適正な通関と双方を実現するために、できるだけ効果的、効率的な審査、検査を行っているところでございます。

植田委員 限られた頭数の中で工夫をなさっておられることはよくわかります。

 では、実感として伺いますけれども、実際、一〇〇%というのは大変だろうと思いますが、それに近い数字に近づけるために、膨大な輸入の申告に対して、すべて税関職員がそれを審査するということは、実際、今の状況では、努力はなされているけれども不可能ですよね。お願いします。簡単に、すぐ、一言で結構です。

田村政府参考人 一言でということでございますが、確かに、一方で輸出入申告件数はもう二・五倍ぐらいになっているところで、定員数はわずか五%しかふえておりませんので、なかなか難しいというふうに申し上げたいと思います。

植田委員 いや、要するに、不可能なんです。不可能な中で一生懸命やってはるのは、私は非常に評価しているから聞いているんです。

 次に、今度は事後調査部門のところを伺いたいわけですけれども、適正な通関と税を確保するという事後調査部門、平成十三年度の事後調査の実績を見ると、申告漏れの課税価格が九百五十六億円、追徴課税が七十三億円だというふうに聞いています。実地調査を行った輸入者五千者に対して二千八百者余りに非違が発見されている。半分を超えているわけです。五〇パーを超えているわけです、非違率が。これはゆゆしき状況だと数字を見るだけでは思いますけれども、さらにやはり実地調査をふやしてその実態把握をやらなきゃならないと思うんですけれども、いかがですか。

谷口副大臣 植田委員がおっしゃった事実のとおりでございますが、御存じのとおり、最近、国際商取引が大変複雑化しておるとか、また、おっしゃったような非違態様が巧妙かつ悪質化しているといったようなことがあるわけでございまして、このような状況の中で、おっしゃるような事後調査の期待は大変高まっておるということがございます。

 今現在、事後調査部門では約四百名いるわけでございますが、そのような期待が大変高まっておる。税関の機構及び人員配置につきましては、事務部門全体につきまして、従来から事務の重点化、機械化等によりまして業務の効率化を図っておるわけでございます。また、毎年、業務量の推移や職場の実態等を踏まえてこの見直しもやっておるわけでございますけれども、御指摘の事後調査部門についても、その充実に努力をいたしておるところでございます。

 税関業務の実態に即した人員の配置に今後も努める予定でございますし、必要な機構、定員の確保に今後とも努力をしてまいりたいというように考えております。

植田委員 まあいいですよ。

 とりあえず、今、この実地調査の件を伺ったのでもう一遍戻りますけれども、今の認識では、どっちにしても、通関時において、それこそ金魚すくいみたいに、すくおうと思ってもすぐ逃げられてしまうような実態があるわけですね、ぴゃあっと紙を破っちゃって。ですから、その意味で、実地調査というものの重要性が高まっているという認識は持っておられる。

 ですから、これは簡単な話なんです。今いろいろおっしゃいましたけれども、要は、実地調査をふやす必要がありますかと聞いたら、ありますと答えていただければいいんです。それともう一つ、ふやさないかぬわけですから、その機構の増設、増員というものをやらぬとそれをふやすことはできませんね、だから、そうですとお答えいただければいいんです。副大臣がお答えになったので、その単純なことでいいんです。

谷口副大臣 現状を踏んまえつつ、これは予算にも限りがあることでございますので、実態的な効率性の観点から、おっしゃるようなことを努力してまいりたいというように考えております。

植田委員 まだ時間はありますから、せっかく大臣もお座りですので。

 僕は、大臣に聞くよといって質問通告のときには言っていたんですけれども。単純に聞きます、余りもろの話、むきむきの話で聞きませんので。少なくとも、真に必要な役所の業務に対して、実際、その増員を図ったとしても、当然それは、国民から批判を浴びるどころか、理解されるものだと思いますが、そうですね。

塩川国務大臣 それは当然、必要なところには適正な人員を配置するということは必要であります。

植田委員 みんな必要だとわかっているんです。何が必要かということもわかっているんです。やらないかぬこともわかっているんです。でも、ではふやしましょうと言うたら、ようせぬわけですね。そこが歯がゆいわけで、実際、今の副大臣の御答弁も、恐らく、私も随分前に同じやりとりをしたなということなんです。

 きょう聞きたいのは、ですから、税関の人員配置については、機械化、重点化により事務の効率化を図りながら、毎年、業務量の推移や職場の実態を踏まえ見直しを行っているというふうにマニュアルがあると思うんですね。恐らく、二、三度同じことをしゃべってはると思うんです。いや、それは、これで模範解答は模範解答ですよ。でも、この模範解答を聞いただけではちょっと済みませんでと思うているさかいに、さっき、実際に五〇%を超えている非違率の話をしたわけですよ。ゆゆしき話です。それが一〇パー、一五パーの話だったら、この答弁で、ぜひ当局も御努力してください、終わりますで済むわけですけれども、こういうゆゆしき実態の中で、やはりそれは、取らないかぬところから税金を取らなあかんわけです。ですから、実際、この実態を踏まえるということは何を意味するのかということについてお答えいただきたいわけです。

 もちろん、そういう意味では、定員というパイの中でどう配置していくのかということも工夫しなければなりませんし、電算化というのも必要です、それは機械化も必要です。それは別に否定しません。ただ、そういう消極的な姿勢だけではなくて、やはりそこはもうちょっと巨視的な視点で定員の話も考えた方がいいんじゃないかと。

 だから、毎年、業務量の推移や職場の実態を踏まえ見直しを行うのであれば、どういう見直しをせぬといかぬかなと問題意識として持っておられるのか。では、副大臣、せっかくですから、もう一声お願いします。

谷口副大臣 おっしゃったように、非違が五千件に対しまして二千八百件発見されているというようなこともありますので、実態的にどのようなことが効率的なのかといったような観点でこれから努力をしてまいりたいというように思います。

植田委員 どのようなことが効率的なのかということを考えたとき、さっきも局長、一番大切なのはやはり人ですとおっしゃいましたよね。今もうなずいておられます。どういったことが大切かというときに、やはり第一義的に人ですよね。どうぞ。

谷口副大臣 私は、以前、公認会計士、税理士をやっておりまして、税の徴収部門でのその実態をよく見ております。

 そういう牽制的な考え方もあるんだろうと思いますけれども、そこは、一方的に人を投入しても、果たしてどれほどの効果があるのかということもありますので、実態的に効果が上がるような対応を考えていきたいというように思います。

植田委員 だから、実態的に効果を上げようと思ったら、今の人員体制ではやはりなかなか、きちきち、しんどいという実感があるわけでしょう。そのことを否定されますか。それは否定されないわけでしょう。そのことは否定されるかされないか、もう一回聞きます。否定されませんよね。――否定されないわけです。だから、そこはもうちょっと言うたらいいんです。見直しというのは、僕は、人をふやしてほしいなと思っていますと、のどまで出かかっているというふうに思うんですが、それ以上よう言われへんのであれば、引き続きこの定員の件は、またどこかで聞くこともあるでしょうから、その都度少しずつ答弁が景気よくなるように期待しまして、終わります。

    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕

山本(幸)委員長代理 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 石原行革大臣には、連日長時間、大変御苦労さまでございます。

 多くの委員が随分天下りのことを言っているようですが、何となくピント外れかなという印象を持っています。六十五歳までみんな働かないと食っていけませんから、五十ぐらいで役所をやめた後、仕事をしなくちゃいけないのは当たり前で、別に、そういう意味では、第二、第三の職場につくことは何も悪いことではない。むしろ、それを禁止しちゃっていいのかという気がします。

 国民の批判は別にそういうことにあるわけじゃなくて、法外な退職金がおかしいんじゃないかと、掛ける月数みたいな。だから、そこさえ直せば、別に、専門的な能力、知識を生かした第二の人生、第三の人生というのは、それはむしろなくちゃいけないんじゃないかと思います。石原大臣、時々、それを否定するような言い方が若干気になりますので、国民の批判は、あくまでも、大体、役所に勤めて五十二でやめるまでに二億五千万、やめてから二億、生涯給与四億五千万、これで、同級生で一流企業に行った人と合わせるというような常識が働いてそういうふうになっている、そこのところがどうかというのが一番国民の批判です。

 石原大臣、東大の教授の定年は、今、何歳だか御存じですか。

石原国務大臣 六十五ではないかと思います。

鮫島委員 今、六十二歳です。毎年一年ずつ延ばして、ちょうど年金の支給年齢が六十五歳になるときに六十五になるように合わせているんですね。東大の教授、京都大学も同じだと思いますが、六十五まで勤められるようにしている。

 役人も本当はそうすればいいわけで、大事な特殊法人なり外郭団体には出向で行って、最後、やめるときはもう一回本省に戻って、そこで六十五で退職すれば、退職金の嫉妬というのはなくなるんじゃないかと思いますが、一つのアイデアとして、石原大臣も天下りをしなくていいような仕組みということにたびたび言及しておられますが、そういうような発想もあるんじゃないかと思います。

 現実問題として、JICAとかジェトロとか、大事なところには幾らでも現職のまま出向している例もありますので、そういう出向を活用して、やめるときは六十五で、一回の退職金でということもあると思いますが、そんな考えは石原大臣はどう評価されますか。

石原国務大臣 ただいま鮫島委員の御議論されました点については、我が党の行革本部でもさまざまな議論がある点でございます。年金の支給年齢が六十五歳に段階的に引き上げられることが決まっている現在、六十歳から六十五歳までの生活費を何で手当てするのかという大きな命題が目の前にある以上は、委員御指摘の点も、中長期の課題として真剣に考えていかなければならない点だと考えております。

鮫島委員 本題に入りたいと思います。

 私どもの党では、今度の特殊法人の独立行政法人化、農水関係六法人ありますが、二つの視点から、この内容について評価しています。

 一つは、たくさんある外郭団体、特殊法人を頂点として財団、社団、いろいろな公益法人がぶら下がって、農林水産関係だけで約四百五十の団体がぶら下がっている。その頂点に特殊法人、認可法人がある。この総体がどこまでスリム化されるんですか、石原大臣のお力で。その総体がどれだけスリム化されるのかという視点と、それからもう一つは、国費の投入額がこの行革によってどれだけ減るのか。

 この二つの視点から各部門で評価しているわけですが、結論的に言うと、この二つの視点から見て全く効果がない内容になっているから、全体としては大反対、あるいは意味がない。特殊法人を独立行政法人に名前を変えるだけという内容ですので、総体としては反対です。

 農水省というのはおもしろいところで、私もかつていたからよく知っているんですが、四百五十ぐらい団体があって、似たような団体が山のようにある。

 例えば、社団法人日本鳩レース協会、それから社団法人日本伝書鳩協会というのがあるんです。どう違うのかというと多分大臣も説明できないと思うから聞きませんが、とにかくすごい団体がたくさんあるんです。腹が減ったからと思えば、まず日本スープ協会というのがあって、次に日本ハンバーグ協会という社団法人、それから社団法人日本パン工業会、食べ終わった後は社団法人全日本コーヒー協会、その後さらに丁寧なことに日本チューインガム協会。こういうのを含めると四百五十ぐらいある。疑惑に包まれた大臣の行き先にふさわしいところですと、全国すり身協会というようなものもありますし、不思議な団体では、責任あるまぐろ漁業推進機構というのがあるんです。では無責任まぐろ漁業推進機構というのもあるかと思ったら、さすがにそれはないです。

 そのぐらいいろいろな団体があって、特殊法人を独立行政法人に変えるということ以上に、この四百五十ぶら下がっている団体がなぜ必要なのか。そのうちの、多分大臣も聞いていただければわかると思いますが、四百五十のうちの二百ぐらいのところには補助金が出ています。ですから、そういうことが今度の行革の中でやはり点検されなければいけないのではないかという気がいたします。

 先ほど言った、ちょっと退職金絡みで言うと、今度新たに独立行政法人となる、六団体に統合されますが、現在は八機関あるわけですが、この八機関の理事長の年齢と職員の定年制度というのはどうなっているのか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今回独立行政法人化されます八法人の理事長の年齢でございますけれども、農畜産振興事業団、これは現在の理事長の年は六十歳でございます。それから野菜供給安定基金、これは六十五歳でございます。農業者年金基金六十三歳、農林漁業信用基金六十四歳、それから生物系特定産業技術研究推進機構は六十歳でございます。緑資源公団六十一歳、海洋水産資源開発センターは五十七歳でございます。それから社団法人日本栽培漁業協会、六十四歳でございます。

 これらの団体の職員の定年でございますけれども、それぞれの特殊法人等の就業規則等で定められておりますけれども、八法人すべて六十歳ということで定年制が定められているところでございます。

 以上でございます。

鮫島委員 今、一番若い人が五十七歳、一番上が六十五歳ということですが、新法人に移行していった場合には、この理事長の定年というのはどうなんでしょうか。

大島国務大臣 先ほど鮫島委員からさまざまな外郭団体のお話を聞いて、少し私も勉強してみたいとまずちょっと申し上げます。いろいろなものがあるものだなと思って今伺いました。

 先ほどの質問でございますが、本年三月に閣議決定された「特殊法人等の役員の給与・退職金等について」ということにつきまして、基本的に六十五歳まで、理事長等の職にある者で特別の事情がある場合には七十歳までを原則とするととされているところであり、これに従って的確な任免が行われるべき、このように思っております。

 なお、独立行政法人の職員の定年については、特定独立行政法人は国家公務員法第八十一条の二が適用されることから、国家公務員と同様、六十歳とされることになっております。

 以上でございます。

鮫島委員 石原大臣、今のは全体に共通して言える話なんでしょうか。それを、かわって農水大臣がお答えいただいたというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

石原国務大臣 そのとおりでございます。

鮫島委員 水産関係で、今度、海洋水産資源開発センター、日本栽培漁業協会とか、要するに水産総合研究センターに外郭団体である日本栽培漁業協会とか海洋水産資源センターが統合されることになりますが、この栽培漁業協会におられる方は、多分二つ先の天下りに行っている先輩だと思います。つまり、一度やめて、水産庁をやめて外に行って、さらに外に行った人が今度のこの独立行政法人化の中でまた戻ってくる。水産庁のプロジェクトに、カムバックサーモン、サケを戻そうというのがありますが、カムバックOBというのは多分ないんじゃないかと思いますが、そういうおかしな団体と一緒になると、やめたはずの先輩がまた理事長で来るというようなおかしなことがあるんじゃないかと思います。

 そのことに関係して、どうせ一緒にするなら、もっと、先ほど私いろいろな団体の、奇妙な団体の名前を言いましたが、四百五十の団体を探すといろいろありまして、今回、水産研究を一体化させるならば、ほかにも、温水養魚開発協会、海洋生物環境研究所、財団法人水産無脊椎動物研究所、これはクラゲとかそういうのだと思いますが、そんなものもこの際一体化するべきだと思いますが、なぜ中途半端に栽培漁業協会だけ抱き合わせるというようなことをするのか。いかがでしょうか。

大島国務大臣 鮫島議員から御質問がありまして、特に水産無脊椎動物研究所なんというのがあるのを私、初めて伺いました。

 こういうものも含めて一体化したらどうかという御質問でございましたが、基本的に、今先生が御指摘いただいた財団法人等は、そのファンドそのものが民間の皆様方が主体になっているというふうなこと等々を考え合わせた場合に、財務基盤等から、そういう方々は独立行政法人によらなくても適切な運営がまた期待されるんではないかということでございます。また、その趣旨、いでたちから考えますと、一緒にしてその民間の皆様方の志が御理解いただけるんだろうかというふうなこともあったわけでございます。

 いずれにしても、我々は、新しくつくるこの独立行政法人制度のもとで、効率的かつ的確な業務をいたしていかなければならないという宿題を負っているわけですから、そういうことに意を体して、これからも運営を図られるようやらせたい、こう思っております。

 以上でございます。

鮫島委員 多分、海洋生物環境研究所とか水産無脊椎動物研究所、財団法人ですから、ある種篤志家が資金を積んでつくった。それと、国の研究機関であった水産総合研究センターを合体させることには若干折り合わない面があるというような御説明は、それはそれでわかりますが、だから、社団は一緒にやりやすいけれども財団はしにくいということがあるのかもしれません。

 それを百歩譲って、私は本当は一緒にした方がいいと思いますが、百歩譲って、では社団同士だったら一緒にできるんじゃないかという視点でいうと、牛の登録を行っている四団体というのがありまして、日本ホルスタイン登録協会、日本あか牛登録協会、日本短角種登録協会、全国和牛登録協会と四つあって、天下り理事長が四人行けるようになっているわけです。こんなものは同じ牛ですし、どうせ近々トレーサビリティーの関係でDNA鑑定をやるようになるでしょうが、そういう技術の整合性の方からいっても、こんな四種類は一緒にした方がいいと思います。なぜ、ホルスタイン、赤牛、短角種、和牛と、別々に団体を持つ必要があるのか。これは北村副大臣の方が専門かもしれませんが、ひとつお答えいただきたいと思います。

北村副大臣 鮫島先生からの御指摘、私も、現場にいたことのある経験者としては、できるだけ、それぞれの四つの団体、社団法人の自主性というものを大切にしながら、一つになっていくことが将来の方向性ではないかな、こう思います。

 ただ、今の、ホルスタインの登録、あるいは日本あか牛登録協会、そしてまた全国和牛登録、これはもう、それぞれの団体が改良ということを目的として、それぞれ、ホルスタインはやはり安心した品質のものをたくさん出すという意味、そして優秀な雌の牛を育てるというような観点と、それから、おいしい肉、そして品質のいい肉を育てていくという和牛の関係とが、登録や血統や体型を審査するということでは非常に違っているところがあるものですから、今すぐこれを一緒にせいということはなかなか難しいのかなと。

 ただ、鮫島委員のおっしゃるとおり、将来に向かって、それぞれが関係者と議論を深めていって、その方向になることは一つの方法である、私はこのように認識をしております。

    〔山本(幸)委員長代理退席、熊代委員長代理着席〕

鮫島委員 別々に置いておいた方がいい理屈を考えようと思えば、それはそれで幾らでもあると思いますが、一方で、今度の水産関係も三つまとめるとか、あるいは農業技術研究機構というのは十ぐらいの研究機構を合体させているわけですから、それだけ本体の方でそういう合体を図っている以上、こんな、牛の種類別に四つの社団を置いておくのが自然だということは通らないんじゃないかと思います。

 そこは、今回は特殊法人の独立行政法人化ですから、一般の公益法人全体に対してはまだ目がいっていないのかもしれませんが、ぜひ、この四百五十団体も、おもしろい団体をお調べいただいて、まとめられるものはまとめるという方向で考えていただきたいと思います。

 その同じ考え方で農畜産業振興機構を見ると、これはもともとは、生糸と砂糖と、それに肉を加えて、今度はさらに野菜を加えるというわけです、それで価格安定を図りますと。こういう価格安定を図る基金とか機構というのはほかにもたくさんあって、これもどう違うのかよくわからない。社団法人全国鶏卵価格安定基金、それから社団法人全日本卵価安定基金、これはどう違うのか、多分大臣もわからないと思いますが、前者が鶏で後者がウズラということか。あるいは、魚価安定基金。それから牛のえさ、全国畜産配合飼料価格安定基金、全日本配合飼料価格安定基金。畜産配合飼料と全日本配合飼料、前者が牛で後者が豚か、これもよくわからない。それから、全国肉用子牛価格安定基金とか。

 この安定基金という関係がたくさんあるんですが、少なくともこういうものは、やはり、生糸と砂糖と肉と野菜を一緒にしたなら、魚とか卵も一緒にしてもらわないと寄せなべができないんです。ぜひこういうものをこの際一体化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大島国務大臣 食の世界というのは、鮫島委員御承知のように、本当に知らないものまで食材になったりしておりますので、多様であることは多様であろうかと思います。したがって、寄せなべというのも、そういうふうな意味では、日本人が考えた一つの料理かとは思いますけれども、基本的に、今の行革の基本は、民間でできるものは民間でやってもらおう、国がやるべきものは国、そこの視点からすべてを考えてみようという発想から行ってきたと思います。

 御指摘の、鶏卵、水産物、飼料、肉用子牛の価格安定等を図るため、みずからの経営の安定を図ることを目的として民間事業者等により組織された公益法人だというふうに認識しております。独立法人で野菜と肉を一緒にしたんだから、飼料も、また卵も魚も一緒にしてやったらどうかという御指摘でございましたが、まあ、その辺は、そういうことがいいのかどうか、私どもは勉強はしてみます。先生の御指摘は一つの御見識ではないかと思いますけれども、卵と魚を一緒にして運営ができるのかどうか、こういうふうなものも一つの御見識だと思って、ちょっと勉強をしながら考えてみたい、こう思っております。

    〔熊代委員長代理退席、委員長着席〕

鮫島委員 砂糖と肉と野菜を一緒にするのはわかりますが、生糸まで一緒にしたというのはかなり大胆だったわけですね。そこまで一応壁を乗り越えているわけですから、そこに卵とか魚を加えることは、生糸まで一緒にすることに比べればハードルは低いのではないかと思いますので、ぜひ全国すり身協会にいく前に御検討いただきたいと思います。

 財務大臣が十一時までということですが、ちょっとお金の話をします。先ほど言いましたけれども、二つの視点から我が党では検討しています。一つは、全体のピラミッド構造がどれだけスリム化されたのか。もう一つは、国費の投入額がどれだけ減ったのか。この二つの視点から今の石原大臣の行革案を検討して、答えとしては落第点ですということなんです。

 農水省関係の先行的に独法化した十七の機関がありますが、平成十二年度、十三年度、十四年度の、十七の合計でいいですが、トータルの予算額の推移、国費の投入額の推移はどうなっていますでしょうか。それとあわせて、今度独法化される八機関、これが六機関になりますが、これを全部合わせたときの、平成十三、十四、十五、このお金の動きが、トータルでいいんですが、どうなっているかだけお願いします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、既存の、昨年四月に独立行政法人化しました当省関係の所管の独立行政法人、合計で十七ということでございますが、その合計の予算額でございますが、平成十二年度は八百九十一億円でございます。これが十三年度の予算ということでは、一千九十八億円というふうになっております。また、十四年度の予算は一千百二億円ということでございます。

 したがいまして、十二年と十三年ということで若干性格の差ということがございますが、この十二年から十三年に係る分につきましては、旧組織に係ります平成十二年度予算、これは、例えば職員の人件費ですとか退職の手当、あるいは共済組合の負担金、さらには試験研究費、こういったものを農林水産省本省に一括して計上していたというようなものもございまして、性格が変わっておりますので、単純に比較はできないのではないか、かように考えている次第でございます。

 それから二点目の、今後、独立行政法人化する特殊法人、認可法人は七法人ということになりますけれども、この十三年度予算額の合計は二千五百億円でございます。これが、十四年度の予算ということでは二千三百八十一億円というふうになっております。なお、十五年度の予算ということでは、これは概算要求ということでございますので、十三年度、十四年度と単純に比較するのはいかがかと思いますけれども、現在、十五年度予算ということで要求しておりますものは二千五百三十三億円が総計でございます。

 以上でございます。

鮫島委員 要するに、簡単に言うと、確かに、退職金とかを今度持つようになったからふえましたというのも一つの説明ですが、では、その分本省が減ったのかというと、そっちもふえているというと、かなり説明としては苦しくなるんじゃないかと思いますが、そこまでは突っ込みません。

 単純に、丸めて数字で見れば、十七機関が、国の機関であったときには八百九十一億円、独法化して千九十七億になって、十四年度は千百二億とふえているわけですね。今度、また七機関が独法化して、ことしの予算が二千三百八十一億が、来年、これはどこまで認められるかわかりませんが、要求としては二千五百三十二億。

 要するに、何のためにこれは行革をやっているんだ。国費の投入額がふえる方向になっているんですが、この傾向は、石原大臣は、こういうことはいいんですか、これで。

石原国務大臣 その点につきましては、先行独法が行政の機関を切り離し設立されたという生い立ちの違いがあるといたしましても、退職された公務員の方の天下りの件数、ポストがふえる、これもまた、ボードをつくるということでいたし方ないという面はありますけれども、十分に行革の精神というものが下部に伝達されていないということを強く反省し、今回、四十六本の法案ではそういうことのないように、また財務省とも協力いたしまして、要求ベースでは二割アップで要求できますけれども、やはり行革の精神にのっとるのであるならば、事務事業をみずから減らしていくという精神を、担当の部局まではお話をさせていただいておるんですが、担当の独法、あるいは特殊法人にはお話をしておりませんので、機会をとらえて、参与会議等々の場をかりさせていただきまして、きつく指導をしたいと考えております。

鮫島委員 大体、今のような説明を役人はするわけですよね。独法化すると退職金を自分のところで持たなくちゃいけないから、それだけ余分に経費がかかりますと。そうすると、一方では本当は減っている方があるわけですが、そっちと合算して比べなくちゃいけないのを、個別に切り離して説明するというのは役人の一般的なやり方ですが、財務大臣としては、その辺にごまかされずに、トータルとして、足してどうなのかという査定をぜひちゃんとやっていただきたいというふうに思います。

 特殊法人、認可法人の今度の行革の一番の原点はやはり、小泉総理も、私は随分、ああいう言い方を平気でできるなという印象があるんですが、税金のむだ遣いをなくすという言い方を何度も最初のときしていましたが、財務大臣は、その税金のむだ遣いというのは、むだ遣いの対象になっている税金というのはどういうふうに性格づけるんでしょうか。

 例えば、会計検査でこれはだめだと言われたのはむだ遣い、あるいは、公共事業で費用対効果が一を下回るのはむだ遣い。これはちょっと通告にないんですが、御見識のある大臣だから大丈夫と思うんだけれども、税金のむだ遣いと言ったときに何を意味するんですか。

塩川国務大臣 税金のむだ遣いの際に、よく会計検査院がどうしておるかとかおっしゃいますが、会計検査院の仕事は、法令、政令等で決められたように、そして、予算要求をして予算の使用がその法令の中で適合しておるかどうか、適法かどうかということを中心に調べておられまして、それと、流用されておるかということを中心でございまして、要するに、それぞれの予算の配分されましたものが果たして効率的に使われておるか、あるいは行政コストに適合しておるかということの審査は、会計検査院の方では余り取り上げられておらない。これは、会計検査院の仕事としてそうなってしまうだろうと思っております。

 しからば、効率的な使用というのはどこかということは、やはり予算を要求する原局が、これが国民のいわば常識から見て、あるいはまた経済の慣習と経済の合理性から見て、適合しておるかどうかということを絶えずチェックしてもらわなきゃならぬと思っております。

 それと、官庁も、私は予算で仕事をやりまして見ておりましたら、官庁の仕事というのは、一般の経済社会のことから見まして基準がちょっと違いますね。この基準が違うということが、本当に行政上、それだけの基準を違えなければならないほど、それほど適正なのかどうかということ、ここをやはり見直していくことが必要だろう。つまり、一般よりも基準が少し違うことが実はその事業の単価を非常に高くしておる、ここに、特殊化しなければならぬのかどうかということを見ることによって行政のコストを下げることができる、私はそういうことを思っております。

鮫島委員 僕は、総理が言った税金のむだ遣いというのはカテゴリーでいうと何を意味しているのかということをお伺いしたんですが、全然答えはわからないですね、今の答えは。例えば、費用対効果が一を下回るような公共事業はむだなのかどうか。諫早干拓事業、〇・八三、一兆円入れて八千三百億の経済効果しかありません。こういうのは、普通に言えば税金のむだ遣いだと思います。

 それはそれで、十一時までしか大臣がおられないそうですが、日本のことしの国債の発行額は幾らなんでしょうか。

塩川国務大臣 総額の残高ですか。ことし、単年度の発行額ですか。

鮫島委員 単年度です。では、平成十四年度の国債発行予定額で結構です。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 平成十四年度の国債発行予定額は、新規財源債が三十兆、借換債が六十九兆六千百五十六億、財政融資特会債、財投債が三十四兆三千五百二十七億、合わせまして百三十三兆九千六百八十三億でございます。

鮫島委員 新規財源債とか借換債とかといえばそれはそうですが、結局、国債でしょう、日本国国債。日本国国債の発行額は百三十四兆円でございますという答えですよね。

 そうすると、小泉さんの言っている国債発行三十兆円という話と、国民は、だから、日本国国債というのは三十兆円だと思っているわけですよ。ところが、実際は百三十四兆、半分は借換債だから、それを外したとしても七十兆出ているわけです。

 このうちから、特殊法人、認可法人にどのぐらいのお金が回っていますでしょうか。

牧野政府参考人 お答えをいたします。

 平成十四年度予算におきまして、特殊法人等に向けて支出されました財政支出は、一般会計から二兆七千九億円、特別会計から一兆四千六百四十三億円となっておりまして、合計で四兆一千六百五十二億円でございます。

 前年、十三年度は五兆二千八百二十七億でございまして、これは、特殊法人の改革を進める中で、その事務事業の見直しをできるだけ十四年度予算に反映させようということで、この一兆円を超える削減となったわけでございます。

鮫島委員 いや、私は、七十兆円国債発行して、その金のうちの幾らが特殊法人、認可法人に回っていますかと聞いたんです。今のは、国に入った七十兆円のうちで、一般会計を通じて入ったのは三兆何ぼで、特別会計を通じたのが一兆幾らですが、財投を通じて入っている金もあるわけでしょう。それが十九兆円あるはずです。合わせて二十三、四兆がこの世界に入っている。小泉さんの言っている三十兆というのは意味のない数字で、国民に正しく説明するには、一般会計と特別会計と財投という、政府の持っている三つの財布の中身をちゃんと国民に説明しないと、いつまでたっても日本人はわからないですよ、国の予算のことは。

 例えば一般会計、大体マスコミも悪いんだけれども、国の予算は八十一・二兆円ですと、そんなことばかり言いますが、特別会計が予算の本体で、一般会計からその日のうちに、八十一兆円の中から四十八・二兆円は一瞬にしてぽんと特別会計に流れる。特別会計の総額、平成十四年度でいうと、三百九十八兆四千億。要するに、一般会計の四倍から五倍規模あるわけですが、これが予算の本体。日本国の予算は何だといえば、特別会計こそが予算の本体なんですが、ダブルカウントがありますので、正味だと幾らになるか。

 財務大臣に、一般会計正味で幾ら、特別会計正味で幾らというのをお答えいただけますでしょうか。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 平成十四年度におきまして、一般会計の歳入歳出、それから特会の重複を排除しました純計でございますが、総額が、歳入が二百六十二兆千三百五十五億二千三百万円余でございます。歳出が二百四十八兆四千一億四千六百万円余でございます。

保利委員長 鮫島君に申し上げます。

 財務大臣は十一時までということになっておりますが、退席してよろしゅうございましょうか。(鮫島委員「はい」と呼ぶ)それでは、大臣どうぞ。

鮫島委員 一般会計の方の正味、幾らになっているのかを。

牧野政府参考人 お答えさせていただきますが、要は、一般会計から特会に繰り入れがあり、特会の方で受け入れになり、それを足しますと量が大きくなっちゃうものですから、繰り入れと受け入れの方をキャンセルアウトしているものですから、何がネットかというのは定義の問題でございますので、ちょっと御質問を、もう少し、どういう趣旨かを言っていただければ。

鮫島委員 いや、簡単な話ですよ。要するに、一般会計は八十一・二兆円です、八十一兆円が日本国の予算ですという言い方をマスコミがしますが、国民はそうかなと思っているわけですが、平成十四年度でいえば、そのうちの四十八・二兆円はその日のうちに特別会計に移行するわけですから、結局、正味の一般会計というのは約三十兆円。だから、日本の一般会計の正味は三十兆円で、特別会計が、先ほど言いました、正味で言えば約二百五十兆円。

 だから、三十兆円と二百五十兆円ですから、特別会計こそが日本の予算の総体。予算と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、別の言い方をすると、日本の国は、これは石原さんにぜひ御理解いただきたいんですが、今の経済の行き詰まりとか行政改革の必要性、なぜかというと、これは巨額なんですよ、二百五十兆円というのは。日本のGDPの約半分、五五%という説もありますが、日本のGDPの過半が官僚ビジネスの世界で成り立っている。残りの半分が民間のビジネスで成り立っている。

 これは、ある意味でいえば、日本官僚主義人民共和国というのと日本国との内戦なんですよ。五五%を握っている、いわば利権型ビジネスの世界と市民型ビジネスの世界が今しのぎを削っている。ここに切り込んで日本官僚主義人民共和国を解体するのが石原さんの役割。その日本国の総大将。だから、内戦だと思いますが、その辺はどういう御認識でしょうか。

石原国務大臣 特殊法人改革に言及させていただくならば、今、特別会計の点について委員触れられましたが、やはり財投の問題が一つ、委員言われるところの官僚共和国の大きな問題であると思っております。そして、その原資が郵便貯金、簡易保険に依存している。ここに巨額の富が集積されることによりまして、日本の金融をゆがめていることは言うまでもございません。小泉内閣発足以前は三十兆円規模の財投政策がとられておりましたが、これも予算規模で二十兆円に減額をいたしました。

 すなわち、委員がおっしゃるところの官業ビジネスの割合を小さくしていく方向で議論をしておりますが、その根っこにありますのは、総理がおっしゃいますように、郵貯、簡保の問題であると認識しております。

鮫島委員 要するに、日本の経営というか、日本国は二つの国から成り立っています。もっと詳しく言えば、私は三つの国から成り立っていると思いますが、大島大臣が君臨する日本農業国というのが、これは日本人とは別に巨大な世襲集団として存在していて、これは午後、経済特区の方で質問をしますが、一般の日本人が入れない日本農業国というのがあって、これは半分植民地のような形で、入れ子で日本の中に存在している。それから表の日本は、日本官僚主義人民共和国と日本国が二つあって、お互い経済ではいい勝負でしのぎを削っている。

 この官僚主義人民共和国のエンジンの役割を果たしているのが、今石原大臣がおっしゃった郵貯。フレッシュマネーが毎年三十兆円近く入っていく。そうすると、日本の金の半分が、日本官僚主義人民共和国というか官僚ビジネスの世界に入っていく。これでは日本はよくなるわけない。半分社会主義、半分自由主義。ですから、朝鮮の統一とか何か言っていますが、その前に、私は日本の統一の方が先じゃないかと。完全に二つに経済の構造からいうと分かれていると思いますよ。

 私も年だから、最近老眼鏡を使いますが、百円ショップで売っているんですよ、こんなもの。いろいろなものが、簡単につくれるものは百円ショップでも売っているような御時世で、物つくりの世界が大変厳しくなっている。では、日本経済にとって約束の地はどこか。それはやはり、福祉とか教育とか情報、芸術、環境というようなソフトの経済の世界。ところが、そこに、実は二百五十兆円のGDPを持つ日本官僚主義人民共和国が全部を押さえちゃっていて、民間の方は物つくりで開発途上国、中国から追われる。サービス化経済の方に行こうと思ったら、これは全部、役人、官僚ビジネスでふたをされていますよ。行き場がない。それを突破しようというのが小泉改革の内容あるいは石原行革の内容だというふうに、善意にこちらは解釈しているんですが、そういう解釈でよろしいんでしょうか。

石原国務大臣 行革論は、先ほど財投の話をさせていただきましたけれども、さまざまな切り口で、さまざまな解釈があると思っております。

 委員の御指摘の中で、私も賛同いたしますのは、やはり、日本の個人の富というものが、公的な機関に入ることによりまして、そこでの信頼関係において、国債という形でお金が国内で回っている。その回っていく出先の非効率性ということが、この経済の発展を阻害している大きな要因になっていると私は解釈しております。

鮫島委員 今度、特殊法人が独立行政法人になって、そこにまた、これまでと同等、あるいは、場合によってはこれまで以上の国費が投入されるわけですが、このお金の使い道については会計検査の対象になっているんでしょうか。あるいは、どういう感じで透明性が担保されるんですか。

堀江政府参考人 まず、会計検査の対象についてでございますけれども、会計検査院法第二十二条におきまして、「会計検査院の検査を必要とするものは、左の通りである。」という規定がございます。その中に、「国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計」ということがございまして、特殊法人、認可法人、独立行政法人の種類を問わず、国から二分の一以上の出資がある法人については対象になるということでございます。

 それから、独立行政法人通則法におきましては、さらに業務運営の監査の仕組みが規定されておりますけれども、一人以上の外部監査、監事を含む、各法人の監事による監査が行われる、これが一つございます。それから、外部有識者から構成される各府省の独立行政法人評価委員会におきまして、財務諸表のチェックが行われます。また、三つ目としましては、一定規模以上の法人におきましては、会計監査人による外部監査の仕組みなども設けられることになっております。

 それから、外部からどういうぐあいに知り得るかということ、いわば情報公開といいますか公表といいますか、そういう観点の御質問かと思いますけれども、独立行政法人の制度におきましては、業務運営の透明性を確保するという観点から、全法人に共通する通則法上、企業会計原則に基づく財務諸表、事業報告書、決算報告書、役職員の給与の支給基準など、広範な事項を公表することが義務づけられております。また、これ以外に、一般的に業務の概要等も世の中に公表するということになっております。

 また、国民に対する説明義務、いわゆるアカウンタビリティーを全うするということで、本年の十月から独立行政法人等情報公開法が施行されたわけでございます。これによりまして、法人の組織や業務、財務等についての情報を、国民がわかりやすい形で、一方では能動的に提供されるとともに、開示請求に応じまして答えるということになってございます。

 以上でございます。

鮫島委員 ちょっと別の角度から聞き直しますが、独立行政法人に運営交付金というのが交付されると思いますが、この運営交付金の使途の内訳を国民が知ろうとしたら、どういうアクセスの仕方をすればいいんでしょうか。それだけ答えてください。

堀江政府参考人 ただいま申しましたように、一般的には、独法では財務諸表が公開されることになっておりますし、それから、十月から施行されました独立行政法人の情報公開法、これによりまして情報開示を求めることができると思います。

鮫島委員 運営交付金についても、その使途の細目まで独法の情報公開法で公開されるんですか。今のはそういう御説明ですけれども、そういうふうに議事録に残していいですか。

堀江政府参考人 基本的には、先ほどの情報公開法、独立行政法人を対象とします情報公開法の中で、請求があった場合に、どの範囲で出せるか出せないかということが検討される、その対象の一つではあろうと思っております。

鮫島委員 ちょっと、大分さっきと、情報公開法のもとで、請求があった場合にどこまで出せるか出せないかは検討の対象でございますという答えですか。そうすると、要するに、国民は、独法化されたときに、運営交付金が過半だと思いますが、その使途について、場合によったら、知ることができるのか、知ることができないのかは検討の対象ですということになりますが、そういう答弁ですか。

堀江政府参考人 いわゆる独立行政法人等に関する情報公開法におきましては、開示対象、不開示情報と両方のカテゴリーがございます。不開示情報の中には、個人情報でありますとかあるいは機微にわたる情報でありますとか、そういったものが不開示情報ということに入ってこようかと思いますけれども、先ほど申しました運営費交付金の中に例えばそういう情報がある場合には、その部分については不開示ということがあろうかと思いますけれども、一般的には情報公開法で開示請求ができるというぐあいに思っております。

鮫島委員 これはやはり大臣にお答えいただかないといけないと思いますが、運営交付金が、一般的な言い方でいえば渡切費と言われていて、これは、渡したら、どう使おうが独法の勝手よというふうに解釈されているんですが、それだと、国民の側としては、税金を投入しないんならいいですよ、でも、公的資金が投入されている以上、そこは開示されるべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

石原国務大臣 運営交付金の総額等については、当然、通則法並びに情報公開法の公開対象項目に入ると考えて私はこれまで答弁をさせていただいてきておりますが、その使途、繰り越したもの、あるいは使った目的等々につきましては、総務省の方にお尋ね願いたい。私は、その細かい、どこまでということにつきましては、現在、情報を知り得ておりませんので、後日、総務省の方から御答弁をさせていただくなり、私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。

 方向としては、当然国民の知り得るべき情報であると考えております。

鮫島委員 要するに、行革は何のためにやるのかという話なんですよね。ピラミッド構造になっている巨大な外郭団体を整理統合しましょうというのが一つ。もう一つは、小泉さん流に言わせれば、税金のむだ遣いをなくして予算の効率的な使用に資しましょう、つまり全体としての国費の投入額を減らしましょうというのがもう一つのはずですから、この二つの大目的、本当は私は、日本国と日本官僚主義人民共和国の内戦が大目的だと思いますが、中目的としても、外郭団体をスリム化し、予算の投入額を減らす、この視点が一番大事じゃないかと思いますが、それからいうと、やはり国費が投入されている。

 なぜ私はこんなことを言うかというと、つまり人件費ですよ、結局。今度いろいろ合体される独法も、理事長の給与とか退職金、かなりばらつきがありますが、それを勝手にどんどんかさ上げすると、国会議員の給料は減っても、独法の理事長の給料だけどんどんふえる、そういうところが国民から見えない。三千万年俸をもらっていても、わからない。

 それから、多少、あともう一つ怪しいのは、私は、ある意味ではいいんですが、海外旅費ですね。これはもともと、研究機関初め、非常に要望が強かった。日本の科学技術が世界におくれるのは、国際会議に自由に出られない。海外旅費を要求すると、枠が決まっていて、私自身も随分そういう体験はありますが、自腹を切って行くしかないみたいな、休暇をとって自腹を切って国際会議に行くというばかなことがあって、それは、独法化することによって、かなりそこは自由になると思いますが。

 いや、不思議な予算の査定のシステムがあって、例えば、国際会議がホノルルで開かれると、認められないんですよね。メキシコもだめ、アカプルコとか、要するに観光地のあるところは、おまえ、観光に行くんじゃないかということで認められなくて、何かハンガリーのブダペストとか、そういうところだったら行っていいとか、変な話があるんです。

 だから、そういう意味でも、国民的には、どういうふうにちゃんと適正に使われるかというのは大いに関心があるところですから、そこは石原大臣も、何のために行革をやるのか、税金の効率的な使用、外郭団体をスリム化するという視点をぜひ貫いていただきたいというふうに思います。

 もう一回ちょっと最後に確認しますけれども、先ほど、国債の発行総額百三十四兆円。借換債七十兆を除いても、毎年、平成十三年度百三十二兆、補正予算後百三十三兆、平成十四年度の予定は百三十四兆、このうちの半分が借換債だからその二分の一にしても、日本国の国債の発行額は七十兆円。このことは石原大臣も当然お認めなさいますよね、あるいは大島大臣。この二人の大臣に、日本の国債の発行額、平成十四年度は約七十兆円ですということを御答弁いただきたいんですが。

寺澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、私、新規財源債三十兆、財政融資特会債三十四兆三千五百二十七億、そのほかに借換債六十九兆と申し上げました。

 新規財源債は一般会計の予算の財源のためのものでございますが、一方、財投債は、財政融資資金の調達のために、財政融資資金特別会計において発行するものでございます。さらに、その償還財源は貸付先からの回収金によって賄われるということでございますので、一般会計の歳入となり、租税により償還される国債と性格を異にするものでございますので、それを一緒に議論することは違うのではないかと思います。

鮫島委員 では、財投債の実物を見せてください、財投債の実物。あるいは新規財源債の実物。つまり、そんなものはないんですよ。日本国国債でしょう、全部。日本国国債のはずなんですよ。

 だから、日本国国債の平成十四年度の発行予定総額は幾らですかと。これは答えは一個しかないはずです。一個の数字だけ言ってください、内訳はどうでもいい。もし内訳を言うんだったら、別々の債券の見本を見せてくださいよ。そんなものはあるわけないんだ。

保利委員長 理財局長、端的にお答え願います。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 発行根拠のいかんにかかわらず、国債は国債として一本で発行しておりますので、御指摘のとおり、百三十四兆の国債を発行しておりますが、その中には、発行根拠がそれぞれ違いますので、それを同一に議論することは適当でないと考えております。

鮫島委員 いや、大きく分けて二種類ですよ、要するに、借換債と政府が自由に使えるお金と。同じ七十兆、七十兆。小泉さんが言っている三十兆というのは、国民向けのだましの数字、正確な日本の財政を反映している数字じゃない。そういうおかしなことを、三十兆円、三十兆円と……(発言する者あり)自民党内でも理解が行き届いていないようですが、やはり正直に日本の財政の内容を国民に言うべきで、小泉さんのように、コマーシャルのように三十兆、三十兆と言っていれば済む話じゃないと思いますよ。その辺は見識ある両大臣、これはぜひ総理にもよく言ってくださいよ、本当の数字はどうなのかと。

 以上で終わります。

保利委員長 次に、小西理君。

小西委員 自由民主党の小西理でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の特殊法人改革に関しまして、私の率直な感想を申し上げさせていただきますと、まず皮ができた、これからあんこの部分を入れていかなきゃいけない、そういう内容ではないかというふうに思っております。

 今回、特殊法人から独立行政法人に変わるわけでございますけれども、実際の業務の中身が大幅に変わっているわけではない。こういう中で、今回一番重要になってくるポイントというのは、やはりガバナンスとマネジメント、これが特殊法人から独立行政法人に変わるにおいてどういうふうに変わっていくのか、このポイントが一番大きいんじゃないかと思います。現在、情報公開がいろいろ言われていますけれども、今でもこれはできるわけでございます。法がないからやらない、そういう中で、実際このガバナンス、本当に重要だと思います。

 その中で特に重要だと私が考えますのは、理事長の選任について、今回独立行政法人になることについて、この理事長の権限というのが非常に大きくなる、このように考えておりますし、今回の改革の成否はここにかかっているのではないかというように思います。

 最初の総括質疑のときに石原行革大臣からもおっしゃっていただきましたけれども、今回、情報公開並びに中期計画の立案や検証、業績評価等、これらは当然独立行政法人としてやっていくこととして、理事長について、最初、広く官民問わず求めるというようなことをおっしゃっていただきましたけれども、アイデアとして、一定の明文化された資格要件のもとで公募またはそれに準ずる方法で広く世間から必要な人材を求める、こういうことをお考えいただけるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 この点につきましては、月曜日の総括質疑で山名議員から御質問がございまして、総理がお答えになられております。今の小西委員の御質問と同趣旨であったと思われますが、総理はこのように答えられております。公募方式について、公募方式、先ほど総務大臣が答弁されたとおり、民間のしかるべき適材を考えるのもいいのではないかなという点について、十分配慮しながら、独立行政法人のトップ、役員には、役所の世界だけではなく、広くいろいろな分野から適材を起用していいという趣旨には賛成である、このように総理が申し述べられておりますし、私も同趣旨の発言をさせていただいたと記憶しております。

小西委員 大変明確な回答、ありがとうございます。これが各省庁でしっかりと個々の分野で実現できるようにお願いしたいと思います。今のような形で、もしいろいろな式典に出たり、また上がってくるものにイエス、ノーと言うような形式的なマネジメントでは、今回の改革というのは全く意味をなさないというように思っております。

 次に、理事長のもとで動かされることになります理事もしくはその組織について、幾つかお伺いしたいというように思っております。

 今いろいろ公開されています独立行政法人並びに特殊法人の資料を見ますと、一つ、二つ、それぞれの理事について専門的な分野を規定している法人もございますけれども、多くは、余りその辺の配慮なく理事の選任をされているのではないかと我々が思わざるを得ない、そういう配置になっておるのでございます。今後こういう組織がしっかり回っていくためには、それぞれ組織の理事でございますので、専門分野を持って業務に当たる、そのようなことが必要ではないかというように思いますけれども、このあたり、どういうようにお考えか、御意見をいただければと思います。

石原国務大臣 この点につきましても、小西委員御指摘のとおり、長も大切でありますが、そこで、ガバナンスということを考えるならば、部署部署、つかさつかさをつかさどる理事の方の役目というものも重要になってまいります。

 先般、この委員の中で、同僚の御質問の中で、表を見せて、もう全部ポストが決まっている、役所の何々をやった人がどこというのが決まっているというような表を例として示されておりましたけれども、主務大臣が法人の長としてふさわしい方を理事長に任命し、適材適所の観点から広く理事の方々をそのポジションにつけ、さらにその人たちが、理事長も含めて、理事も含めてですけれども、本当にちゃんと働いているか第三者委員会がチェックをいたしまして、解任、昇給の逆の給与を安くする等々、業績を人事に的確に反映させていくということは、委員御指摘のとおりだと思っております。

小西委員 回答いただきましたけれども、今でも、経理は経理の専門、また広報や宣伝はそういう専門、また実際の業務は業務の専門ということで、そういう形で理事などを選任していただくことによって、より効率的な運営ができるのではないかというように思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、組織なんですけれども、ちょっと例として、農畜産業振興事業団、これを挙げさせていただきます。

 今回の法改正で、理事は六人まで置ける、こういう規定になっております、今はもっとたくさんおられるわけなんですけれども。実際、民間企業を見てみますと、今、百七十九人という組織で六人の理事というのは、枠いっぱいまでいけば、余りに多過ぎるのではないかという感じがします。

 また、百七十九人のこの組織で、四月一日現在でございますけれども、八部二十四課、また、八地方事務所、五外国事務所というような組織がありまして、一般に見ると、何か非常にポスト倒れといいますか、ここまで細分化した組織をやれば、組織をつくりますと、お互い横の仕事には手を出さないという風潮もおのずと生まれてくるのが人の常でございまして、もっとフレキシブルな組織を今後つくっていかなきゃならないんじゃないかと思いますけれども、この点、新しい独立行政法人になったところでどのように考えていかれるのか、ちょっと大島大臣からお伺いしたいと思います。

大島国務大臣 農畜産業振興機構に移行したときの理事及び組織のスリム化の問題でございますが、確かに、先生が御指摘をいただいた比較の対象を考えると、そういう問題意識を持ちつつも、経過を考えますと、野菜供給安定基金、そして農畜産振興事業団、これを足しますと三十六名だったわけでございます。そういうことに対して、政府全体の法定役員数の平均削減率は四〇%でございましたが、私どもは、現在十名としたわけでございます。そして、理事長のほかに、同機構を代表し理事長を補佐する副理事長を一名置くほか、理事は六名置くことといたしました。

 それ以上にどういうふうに今後考えていくかということについては、これを永遠にこのまま固定するということではなくて、絶えず見直しをしながら、一層の効率化、スリム化みたいなものを考えていかなければなるまい、こういうことで対処してまいりたい、このように思います。

小西委員 ありがとうございます。

 これは大きな問題として、今あるいわゆる職階と新しい職階の間で整合性をとらなきゃいけないという問題はあろうかと思うんですけれども、今、やはり民間の企業なんかでは、いわゆる資格というものとポストというものを分けて考えるというのが非常に一般的になっておりますので、ぜひ、そのあたりも含めてお考えいただいて、フレキシブルな、時代の状況に合った活動のできる組織を目指していっていただきたいというように思います。

 次に、ちょっと基本的なことになるんですけれども、個々の独立行政法人についてお伺いをしたいと思います。

 まず一番に、農畜産業振興事業団でございますけれども、この業務、いわゆる行政事務を委託されてやっているといいますか、そういう感じの事業団でございますけれども、中に収益部門と非収益部門というのが混在している、そういう独立行政法人でございます。今後、この辺をどういうふうに切り分けてそのパフォーマンスというのを確保していこうと考えておられるのか、教えていただければというように思います。

須賀田政府参考人 先生言われましたように、現在の農畜産業振興事業団、大きく分けまして畜産と砂糖と生糸でございますけれども、畜産の中が、助成業務、肉用子牛の交付金の業務、それから加工原料乳の交付金の業務、大きくはそのように分かれるわけでございまして、それぞれが財源が異なっておるということでございます。

 現在もその財源というのは、例えば調整金でございましたり、政府からの交付金でございましたりするわけでございます。従来から別個の勘定を設けましてやっていたわけでございまして、独立行政法人化に際しましても、大きくはこの四つの分野、それぞれ勘定を設置いたしまして、各分野の業務の経理について、それぞれの勘定のもとで適正化を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

小西委員 ありがとうございました。

 こういう場面において、往々にしてよく、特に人件費など、要は、どっちで仕事をしているかわからないということで、右に行ったり左に行って、調子の悪い方に回したり、いろいろなことを、やはり一般の企業でもあり得ることでございまして、評価する上でしっかりとその辺を区別していって、今後、評価をしていただきたいというように思います。

 それともう一点、独立行政法人農畜産業振興機構について質問させていただきたいと思いますけれども、業務が非常に定型的な業務になろうかと思います。こういうときに、個々の職員、例えば、皿を洗えば一時間に二百枚洗えるんだとか、何件処理するんだとか、そういうような業務の評価基準がなければ、これはどんぶり勘定で、ちゃんとこれを十件やったら、一時間で十件でこれでオーケーだと思ってしまえばそれまでというようなところもあるかと思うんですけれども、こういう評価基準とか、どういうふうにつくっていかれるお考えなんでしょうか、お伺いしたいと思います。

須賀田政府参考人 お答えをいたします。

 確かに、先生言われるように、新しい農畜産業振興機構、行政代行的業務でございます。したがいまして、組織としては、全体としての業務の効率化、財務改善、こういう評価になろうかと思います。

 そうすると、個々の職員はどういうふうになるかということでございまして、通則法の六十三条に、これは給与のことを書いているんですけれども、「職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。」このように書いておりまして、具体的な職員の評価は新法人の理事長が行うということになっているわけでございます。やはり定型的な業務であろうとも、業務執行に関します能力でございますとか適性、こういったものについて評価基準をつくりまして、業務評価が適正に行われるようにならないといけないし、そのように指導をしていきたいというふうに思っているところでございます。

小西委員 ありがとうございます。

 現状肯定的な基準にならないように、厳によろしくお願いしたいというように思います。

 次に、農業技術研究機構及び水産総合研究センターというのが、研究機関が一部既に独立行政法人化をされているわけでございますけれども、この中において、非常に初歩的な質問ですけれども、研究成果、これは基礎的な研究がありまして、その評価というのは非常に難しいとは思うんですけれども、この評価をどのように今されているのか、また今後考えていかれるのか、お伺いしたいと思います。

岩元政府参考人 お答えをいたします。

 独立行政法人を対象とした評価につきましては、一般的にでございますが、独立行政法人通則法第十二条に基づきまして、外部の学識経験者によって構成される独立行政法人評価委員会が行うということになっているわけでございます。

 その中で、先生御質問の農業技術研究機構を初め、研究開発に当たっております機関の評価に当たりましては、研究開発あるいは試験研究を行うという業務の性格にかんがみまして、独立行政法人評価委員会のもとに研究分野に精通しました専門家で構成されます農業技術分科会を設置し、これもまた独立行政法人通則法にのっとりまして、各事業年度にかかわります業務の実績に関する評価及び中期目標にかかわる業務の実績に関する評価を厳正に評価するということになっております。

 以上でございます。

小西委員 非常に難しいところではあるかと思いますけれども、十分な効果が出るようにしっかりとした評価基準でお願いをしていきたいと思っております。

 それから次に、緑資源機構について、これもちょっと基本的な質問でございますけれども、今現在も、巨大な既存の事業を抱えておられるということで、これを、今回、独立行政法人に組織が変わるに当たって見直されるのか、どういう形で見直されるのか、お伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 緑資源機構の問題につきましても、十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画を取りまとめる中で、業務のあり方についても議論をいただいたところでございます。

 具体的には、今行っております水源林造成事業につきましては、平成十四年度から、出資金と財投借入金による事業資金を補助金に切りかえて、段階的に財投借入金から脱却をするとか、あるいは、業務といたしまして、天然生広葉樹等を生かした多様な森林づくりをしていくというようなことでございます。

 また、大規模林業圏開発林道につきましては、平成十四年八月に第三者委員会を設置したところでございますが、こういった第三者委員会に基づいて、建設予定区間の今後の整備のあり方を検討するとか、あるいは、そのことに関連いたしまして、新規着工を当面凍結して、進捗率の高い区間に事業を重点化するなどの措置を講じようということにいたしているところでございます。

 また、特定中山間保全整備事業につきましては、この事業につきましても、第三者委員会による厳格な外部評価を実施するとともに、限度工期というものを設定いたしまして、それで地区の選定をしていくというようなことを考えているところでございまして、こういった事業全般にわたる見直しを行いながら、適切な実施に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小西委員 緑資源機構について、もう一点質問をさせていただきたいと思います。

 今のこの緑資源機構の基本的な業務なんですけれども、本庁の方で企画をして、この部分がいわゆる管理業務ですね、管理業務を行って、その後、実行の方は民間に行ったり、直接の手を下したりするわけでございますけれども、この管理業務の部分を民間の方に委託していく、そういうことが可能なのかどうか、またそういう分野があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 今の件でございますけれども、例えば水源林造成事業を例にとってお話しさせていただきたいと思いますけれども、この事業は、分収林契約を結びまして、緑資源公団、今回の機構が費用負担及び技術指導を行って、それで、民間である森林組合、林業事業体が造林を行うということにしているわけでございます。

 その後の管理につきましても、この林業事業体、森林組合等が中核になって行っていくというようなことでございまして、そういう点でいきますと、今お話がございましたような形がどういうふうに新たにとれるのかということは、さらに詰めていく必要があるというふうに思っております。

 いずれにしましても、今の状態の中で、そういう民間活用できるものにつきましては、我々として、活用できるような形で今実行をしているというふうに考えております。

小西委員 ありがとうございます。

 きょう質問できませんでしたけれども、農業者年金基金、農林漁業信用基金法について、これも民間の信託銀行なんかに一括委託等の方法がないかどうか、十分に検討をしていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、今回のこの法案、本当に踏み台に乗ったということで、実際の改革というのは、これからみんな力を合わせて、本当にパフォーマンスが出るように、実際にスリムになるように頑張っていかなきゃいけないと思いますので、何とぞひとつよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

保利委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 お疲れさまでございます。公明党の桝屋敬悟でございます。この特別委員会、三度目の質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、農水省関連の独法化の法律であります。私は、時間も限られておりますから、農業者年金基金について議論をさせていただきたいと思います。

 農業者年金基金につきましては、昨年、十三年の第百五十一国会で実は随分議論をいたしました。大臣も御記憶にあろうかと思いますが、私も大変関心を持って、昨年の法改正の作業、地元の農業者の皆さん、農業委員会の皆さんや農業団体の皆さん、さまざまに御懸念があったものですから、随分と昨年議論をさせていただいたわけであります。

 あの折にも、財政的に大変に厳しい状況になっているこの農業者年金基金、これそのものをやめようではないかという話もありましたし、いやいや、これをぜひ続けた方がいいという、続けるわけにもいかない、何とか新しい仕組みにできないかというような議論を随分いたしまして、新しい形ができ上がったというふうに思っておるんです。

 昨年の大きな議論を乗り越えて、やっと新しい年金として、農業者年金基金としてスタートしたわけでありますが、重ねてまた、ことしはさらに、運営主体が特殊法人から独立行政法人になる。恐らく制度は変わらないということであろうかと思いますが、変わるのであれば大変なことでありますけれども、昨年に続いてことし再び国会で議論されるということは、全国の農業団体や農業従事者の皆さん、まさかという気持ちをお持ちであるわけであります。

 去年のあの悩ましい議論を頭に描く方があるのではないかと思っておりますが、全国の皆さんに、制度は続けていくんだ、何ら変わらないということを、ぜひとも大臣の口からお答えいただきたいと思います。

大島国務大臣 桝屋委員御承知のように、新しい農業者年金制度は、私の記憶では、二年間かかったような気がします。案をつくり、国会で議論していただく。そういうふうな新しい年金制度をつくって、まさにそのときに、加入者、受給者に対し年金給付水準の引き下げを求めながら、制度の抜本的な見直しを行った。痛みを伴った。

 今度、独立法人になったときに仕組みが変わっていくのかという御心配に対して、御指摘のように、年金制度というのは信頼を失うともたなくなります。改めて先生の御指摘を、私どもは、今の加入者の皆さんも含めて、独立法人化してもその制度の改正は一切ないんだということを徹底するように努力していきたいし、そういう正確な情報をきめ細かに伝える努力をしていく必要性があるなと今先生の御指摘をいただきながら痛感いたし、努力してまいりたいと思います。

桝屋委員 大臣におかれましては、ぜひそのお取り組みをお願いしたいと思います。

 といいますのは、今からちょっと議論いたしますが、昨年、新しい年金制度に組みかえをしてスタートしたこの農業者年金でありますが、やはり今、思ったほど加入者が、特に新制度において思ったほど加入者が伸びていないという実態があるというふうに聞いております。現場のJAさんであるとか農業委員会におかれては、今大変な努力で加入促進のお取り組みをされている。

 一番悩ましいのは、後で実態を聞きたいのでありますが、予定していた、今までの制度に、旧制度に入っていた方で受給年齢に達していない方あるいは受給者になられていない方が、恐らく新制度にある程度移行するのではないか、移行していただけるんじゃないかと思っていたところ、一時金をもらって脱退すると。先ほど大臣の方から、信頼を失うと年金は大変だという話がありましたが、まさにその事態が、二年間の悩ましい議論の末、既に出てきているわけでありまして、そういう意味においても、ぜひとも改めての取り組みをお願いしなきゃならぬと思っているわけであります。

 そこで、一番心配なのは、やはり新制度への加入の状況であります。

 まさに、新しい農業基本法の理念に基づきまして、担い手を確保するという意味で新しい政策年金ができ上がったわけでありますが、その昨年以降の加入の状況をちょっと教えていただきたいと思います。

川村政府参考人 委員から、加入者数についてのお尋ねがございました。

 新たな農業者年金制度は、この一月からスタートをいたしたところでございます。先生から御指摘がございましたとおり、旧制度の被保険者の方がこの新しい制度に大量に移られるということも、一つは想定をしておりました。それからまた、資格も広げましたので、その広がった資格の中での加入者も期待をしておったところでございます。

 しかし、非常に残念ではございますが、特例一時脱退ということでかなり手当を上げましたことも影響したかと思いますが、脱退者が思いのほか多いということもございまして、平成十四年、本年の九月末の時点の加入者は七万四千人という事態になっております。

桝屋委員 昨年のこの農業者年金の制度を変えるときの国会の議論等でも、新しい政策年金としてスタートするに当たって、ではその目標はどのぐらいにするのか、どのぐらいの規模でこの年金基金の規模を考えていくのかという中でさまざまな議論がありましたが、主業農家、全国で見て今はどのぐらいになっているんでしょうか、今後、効率的な農業経営ということを考えると、三十三万あるいは三十七万ぐらいが理想的だ、目標だという議論もあって、できれば三十万ぐらいの加入者を確保していきたい、こういう議論があったというふうに私は記憶しているわけであります。今、七万四千ですか、数字を御報告いただきまして、そこは目標に対して相当乖離がある。これは制度を改正して間もないということもあるわけでありますが、先ほどまさに大臣がおっしゃった、年金基金に対する全国の農業従事者の信頼感というものの厳しさを物語る数字であります。

 ここでまだ判断をする段階ではないと思います。ともかくも、今、全国で加入促進の活動をしておられる。せっかく新しい制度としてスタートしたわけでありまして、ぜひとも、新しい組織、特殊法人から独法になった、その独法化された年金基金の中で、加入促進のための特段の取り組みをこれからしていかなければならない、こう思っておりますが、大臣、その点はいかがでございましょうか。

大島国務大臣 桝屋委員と問題意識は全く共通いたしております。

 あの二年間の苦しみと国会での御論議を踏まえて、新しい制度をつくりました。しかし、当時議論された計画とこの数字の乖離というものを私どもは深刻、かつ非常に重い現実として受けとめて、そして、独立行政法人になればなるほど、みずからの努力がまず一つ必要でございましょう。そして、先ほどの御意見もございましたが、本当に加入者をふやしていくためにどうすればいいか。

 我々もある意味では、この法案が通り、独立行政法人化したときに、農水省としての、大臣としての目標みたいなものをしっかりと与えて努力させなきゃいかぬ。特に、いわば賦課方式から確定拠出的な制度に変わったということ、そしてまた、一体だれがこれを主体的に本当に真剣にやるのかということ、それらを真剣にやっていきませんと、せっかくつくった新しい制度とあの大変な議論の成果が生かされないという危機感すら持って私自身は取り組んでまいりたい、このように思っております。

桝屋委員 今大臣からもお話がありましたが、新しい年金制度は、ある意味では、賦課方式ではなくて積み立て方式にしたということでありますから、理念的には、加入者が少なくてもそれはそれで完結できるものかもしれません。

 しかし、やはり年金、資金運用という観点では、規模はやはり目標を立てて、そこはその目標を何としても達成するといいますか、今の実態はどうしても突き抜けていかなきゃならぬ状況だろうと思うんですね。積み立て方式になったから少々は大丈夫だというようなことを思っていただいたら大変なわけでありまして、私は、恐らく、去年の国会で議論された場合の今の掛金と将来の給付、この財政計算も、この状態が続くのであれば変わってくるのではないかという気がいたします。

 そういう意味で、せっかく今回独立行政法人になる。去年の議論のときもどうするかという論点はありました。この運営主体をどうするかという議論があって、しかし、そこはまず制度を変えるということが精いっぱいでありました。今回、独法化になるわけであります。

 これは、時間があれば本当は議論したいんですが、こういう年金の運用、加入促進も含めて、それから資金の運用等、独法でやることのメリットというのは一体何だろうかというふうに思っているわけでありますが、余りないような気もするわけであります。ただ、独法化になるわけでありますから、そこはやはり独法化としてのメリットはあるはずだし、生かしていただきたい。その上で、少しでも年金基金としての機能を強化していただいて、そして全国に窓口として業務委託しているJAさんとか、そうした部分への支援策もできるだけ拡充をして、所期の目的にぜひとも近づいていただきたい、こう思うわけであります。

 どうでしょうか、独法化になって、今までと違うさらなる取り組みがこういう点で考えられるというところをぜひ御説明いただきたいと思います。

大島国務大臣 一番の問題は、自己責任だと思います。そして、自己努力だと思います。その上に立って、さまざまな方と連携をしながら、自分たちで加入者をふやす努力と行動を起こしていきませんと、まさに自己責任が問われるわけでございますので、そういう意味での独法化の意味があると私は思うんです。

 何か困ったときにすぐ国に何か頼もうかということではなくて、みずからで加入者をふやすストラテジーをつくってやっていく。そういうことにすべての知恵を出してやっていって、絶えず、五年後にまた評価を受けるわけでございますから、私は、そういう観点に立って、やはり厳しく対応して、君たちの問題なんだと。これは、そういうふうなことをしながら農業者にアプローチしていかないと、存在意義が問われるよというぐらいの厳しい対応で向かってまいりたい、こう思っております。

桝屋委員 自己責任、ぜひ、そのことが加入者の皆さん、保険者の皆さんに十分理解されるような、そんな取り組みがやはり必要かなと。経緯が経緯であっただけに、今大臣がおっしゃったことは大事な点だろうと思っております。

 そうは言いながら、きょう、ずっとこの委員会での議論を聞いておりまして、独法化されれば投入される国費も減らなきゃならぬ、合理化されなきゃならぬ、こういう議論もありましたけれども、この農業者年金の国費との関係でいいますと、借入金を立てて、それに見合う国費がまだ入っていない、残っている部分もあるわけでありますから、そこはそこできっちり解決をして、そして農業者年金基金として自己責任のもとに鋭意取り組んでいただく、そんな取り組みが必要かなと思っております。

 大臣、ぜひとも、これからは評価委員会でずっと事後チェックをされる、その前に中長期的な目標設定もされると思いますが、適切な、現状に見合った、三十万の目標に対して今の七万四千というのが実態でありますから、そこをスタート台にしていただいて、本当にこの年金が魅力あるものになりますように十分な検証をしていただくように、事務事業のチェックをしていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 最後にもう一回、御決意をお願いしたいと思います。

大島国務大臣 まさに年金の制度の基本は信頼でございます。信頼のためには、私は、新しい皆さんの御苦労でできた年金制度は、ある一定の加入者がなければいけないと思います。したがって、そういうことに対して私どもも、この法律ができてその目標等のことにつきましても、現実を踏まえつつ、また現実的な目標を立てて、どのようにしていくか、そういうことをしっかりとこの新しい独立法人に農水省として、大臣として物を申し、そして努力してもらう、こういうことで全力を尽くしてまいりたいと思っております。

桝屋委員 ぜひともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

保利委員長 次回は、来る十一月十八日月曜日委員会及び理事会を開会いたします。その開会時刻等につきましては、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会




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