衆議院

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第1号 平成14年11月15日(金曜日)

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平成十四年十一月十五日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
  国土交通委員会
   委員長 久保 哲司君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 橘 康太郎君 理事 玉置 一弥君
   理事 細川 律夫君 理事 赤羽 一嘉君
   理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    小里 貞利君
      倉田 雅年君    実川 幸夫君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    水野 賢一君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      大谷 信盛君    今田 保典君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      平岡 秀夫君    高木 陽介君
      大森  猛君    瀬古由起子君
      原  陽子君    日森 文尋君
      二階 俊博君    松浪健四郎君
  法務委員会
   委員長代理理事 佐藤 剛男君
   理事 塩崎 恭久君 理事 園田 博之君
   理事 棚橋 泰文君 理事 加藤 公一君
   理事 山花 郁夫君 理事 漆原 良夫君
   理事 石原健太郎君
      太田 誠一君    左藤  章君
      下村 博文君    中野  清君
      平沢 勝栄君    松島みどり君
      保岡 興治君    柳本 卓治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鎌田さゆり君    齋藤  淳君
      仙谷 由人君    日野 市朗君
      平岡 秀夫君    水島 広子君
      山内  功君    石井 啓一君
      木島日出夫君    中林よし子君
      植田 至紀君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   国土交通大臣       扇  千景君
   法務副大臣        増田 敏男君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   法務大臣政務官      中野  清君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより国土交通委員会法務委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が委員長の職務を行わせていただきます。
 内閣提出、建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。
 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤公一君。
加藤委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。
 きょうは、国土交通委員会の諸先生方には、連合審査をお受けいただきまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。また、きょう、扇大臣が和服でお見えでいらっしゃいまして、私も国土交通関係で質問させていただくというのはなかなかそう機会がございませんので、大変記念になるなと思いまして、うれしく思っています。
 短い時間でございますので、早速質疑に入らせていただきます。
 今回の区分所有法、そしてマンションの建替えの円滑化のための法律の改正につきましては、私自身は法務委員会の立場できょうはここに来ておりますけれども、しかし、これは玄人同士の法律論を展開いたしましても余り意味がありませんで、実際に今マンションに住んでいらっしゃる皆さん、あるいはこれからマンションに居住をしようと考えていらっしゃる皆さんに対して、わかりやすい議論をして、法律の趣旨というものを御理解いただかないと意味がないわけでございますので、きょうは、ぜひ、そのわかりやすさに重点を置いて御答弁をいただきたいというふうに冒頭に申し上げておきたいと思います。
 まず一つ目でございますけれども、今回、五分の四の多数で建てかえ決議がされるということに法改正されるということになっておりますけれども、この場合に、賛成者の皆さんが反対者の皆さんに、つまり、多数派が少数派に対してということになりますけれども、売り渡し請求ができることになります。そのときに、これは現行法そのままでありますけれども、区分所有権及び敷地利用権というのが時価で売買をされるということになるかと思いますが、この時価というのはどのように算出をするのかということを確認させていただきたいと思います。
房村政府参考人 御指摘のように、建てかえ決議がされた場合に、その反対者に対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すことが請求できることになっております。
 時価といいますと、そのときの価格ということになりますが、この場合、マンションが建てかえられるのか建てかえができないのかで相当違ってくるわけでございます。マンションが建てかえできないということになりますと、現在あるマンションの建物の価格と、それから、そういう建てかえできないマンションが上に乗っているということを評価した敷地権の価格、これを合算したものになります。そうしますと、必然的に額としては相当低いものになりますが、この建てかえ決議による売り渡し請求というのは、建てかえができるという状態になってから行使されるものでございますので、この時価も、当然建てかえができることを前提として評価すべきである、こう理解されております。
 この昭和五十八年の改正で入った規定でございますが、その立法担当者等の解説によりますと、建てかえがされることを前提とした区分所有権及び敷地利用権の客観的取引価格、これは、建てかえが実現した場合における建てかえ後の建物及び敷地利用権の価格から建てかえに要する費用を控除した額を基準として算定する、こう解説をされております。
 さらに、今申し上げたような基準を具体的に算定する場合に、建物の価格というのは、建物の建築に要する額がございます、それから建てかえに要する費用としては、まさに建物の建築に要する費用と取り壊し費用がございますので、経済的には、結局、建てかえができることを前提とした敷地の更地価格から取り壊し費用を引いた分、これが法で言う時価に当たる、こう解説されておりまして、実際に下級審等において時価の算定がなされた裁判例を見ますと、いずれもそのような考え方に立って、建てかえができることを前提とした敷地の更地価格から現在ある建物の取り壊し費用を差し引いたもの、これを時価ということで算出をしている例が多いと承知しております。
加藤委員 なかなか国会の議論というのは立体的じゃないものですから、ここでホワイトボードでも使って議論するともう少しわかりやすいと常々思っているんですが。
 法律用語じゃなくて、もう少し雑駁な議論で確認をさせていただきたいんですが、私が何を心配しているかというと、この少数者の方、つまり建てかえに反対をしている皆さんというのは、建てかえ自体にノーと言っているのではなくて、これはもちろん全員じゃありませんけれども、本当は、もう少し資金があれば、建てかえに参加をして、そこに住み続けたいけれども、残念ながら、その自己資金が不足をしているがゆえにそれに参加できない、こういうことも往々にしてあるのではないかと思うわけですね。
 仮に、そのときに、その建てかえに必要な自己資金というものを投じることができれば、建てかえがされて、これもすべてじゃありませんけれども、特に昭和三十年代、四十年代にできた公団の集合住宅などの場合は、非常に建ぺい率、容積率に余裕を持って建てている場合が多うございますから、再開発をすると、当然のことながら、より余裕を持って、つまり、戸数がふやせる。そうすると、建築資金の一部はその余裕分の売却益である程度賄うことが可能になるわけです。そうなると、建てかえに参加をした方というのは、その売却益で、本来自分が払うべき建設費の一部が充当されるけれども、建てかえに参加しなかった人たち、この人たちにはその分が補てんされないということになってしまうんじゃないか。そうなると、反対したがゆえに、もちろん時価で買い取ってはもらえるとはいうものの、本来であれば、少しの自己資金があればその利益を得られたはずのものが、得られないということになるのではないかということを私は実は心配をしているわけであります。
 それが、今おっしゃった更地の価格というところに反映をされているというふうに考えていいのかどうか、ここを確認させていただきたい。
房村政府参考人 一般的に、土地の評価の場合には、そこにどのような建物が建てられるかということを念頭に置いて評価されるわけでございますので、その上に建てかえ不可能なマンションがある場合には、それは当然敷地の価格としては非常に低いものになりますが、そういう高度利用が可能な敷地であるということになれば、当然その更地価格は非常に高くなるわけでありまして、まさにおっしゃるようなものを含めたものが更地価格ということで評価されるというぐあいに理解しております。
加藤委員 更地の価格が、つまり、建てかわったことを前提にというよりは、建てかえられるからその土地の値段が高く評価されるんだ、それを基準にするんだとおっしゃっているのか、それとも、高く土地の値段が評価されるだけではなくて、実際に建てかえた場合には、そこから、要するに、その更地価格から引かれる建設、解体の自己資金相当額ですか、その部分の額が、建てかえに参加した人の方が実際に小さくなってしまうことはないのかということなんですよ。
 つまり、再開発をすれば、まあこれはちょっと法律用語で再開発と言っていいのかどうかわかりませんが、建てかえたときに、実際にあるコストがかかって建てかえが進みますね。それで、余剰の部分を売却したとすると、その売却というのは、コストで割り算するだけじゃなくて、当然付加価値が上がっているから利潤がとれるわけですよね。それは、近隣の新規のマンション売買と市場価格で整合性がとれる範囲で恐らく値段はつけられるでしょうから、そこは利益がとれるはずですね。すると、それが建設資金に充当されるわけですよね。そうすると、単に――ちょっと済みません、静かにしてもらえませんか、申しわけないですけれども。ちょっと、委員長。
久保委員長 済みません、ちょっと私語を慎んでください。
加藤委員 いいですか。更地の価格が高く算定をされるというのは、あくまでも土地の値段だけの話じゃないですか。それは、容積率が今度目いっぱい建てられるから今までよりも土地の値段を高く算定するんですといっても、その土地の値段が近隣の更地の価格より大幅に高くなるということじゃないですよね。わかりますか、言っている意味。
 単に土地単体の価格として見ているのか、それとも、そこに建物が建ったときに、事業としてやれば、そこはマンションを建てれば利潤がとれるわけだから、その分が建設資金に充てられるわけですよね、建てかえをするということは。その分はどうなるのかということなんです。
 きのう、実は房村さんの部下の方にお話を伺ったときには、いや、それもその更地価格という中に包含されるんだというお話だったんで、ああ、それなら質疑もスムーズでいいですねというお話だったんですが、そうじゃないとなると少し説明をしていただかなきゃいけないので、そこを教えていただきたいんです。
房村政府参考人 いや、なかなか説明が難しいんですが、申し上げたように、土地の評価というのは、その土地がどう利用されるかということを反映して評価額が定まってまいりますので、建てかえをできない場合と、建てかえが可能になる、しかも建てかえとして非常に高度利用が可能になるという場合では、それぞれ評価額は当然違ってくるわけでございます。
 現実に相当の高度利用が可能になるということであれば、そういう高度利用可能なものとして土地の評価額が上がってくる。それがまさに、建てかえによる利益といいますか、そういうものとして反映されているわけでございます。
 例えば、その余剰分を処分してしまうということがあり得るわけでございますが、現段階での評価される土地の更地価格というのは処分前のものでございますので、当然それは買い取り請求の時価にあらわれてくる。ですから、最終的には、第三者に転売をされて、それが建築費用等に充当されるといたしましても、その前提としての更地価格に基づいて算定される時価にはその更地全体が入っているわけでございますので、基本的に、その建てかえによるメリットがあらわれた更地価格は、売り渡し請求を受けるものについても当然に及んでいるというぐあいに理解できると思っております。
加藤委員 何でこれを聞いたかというと、売り渡し請求のときの売買の時価にもし仮にそれが入らないとするのであれば、別の何かサポートをしてさしあげないといけない。言い方を変えれば、わずか自己資金があれば建てかえに参加したいという人のために何か融資をしてさしあげれば、その方がそこに住み続けられたり、あるいは、でき上がった後にそこを売却して借金を返して、また別に移り住むということもできるわけですから、どっちかの道しかないと思うんですよね。これが入っているのか、それともそのサポートをするのか。
 別にこの法案に私自身が反対をしているわけではなくて、建てかえをしたいという集合住宅の皆さんが円滑に事が運ぶということは是なんですよ。ただ、それで多少なりとも条件を緩やかにするということであれば、その少数派の皆さんに対してやはり権利を保護してあげるというのが我々の仕事だというふうに思うものですから、その人たちが気の毒な状態にならないように、どうなのかということをちょっと確認させていただきました。
 両大臣に伺いますが、今の私が申し上げたこと、それから局長の答弁で理解にずれはないというふうに確信をしたとして、イエスかノーかだけ、それでよろしゅうございますか。
扇国務大臣 実際にわかりやすくということですから、わかりやすく言いますと、土地があって、そして余剰があって、ゆとりがあるからこれを売りましょうといった場合もあります。
 例えば、現実的にわかりやすい例をとりますと、あるマンションがございまして、これは公団でもいいです、その隣に高層ビルが建ちます、補償金をとります、その補償金はどう分配するか、あるいは建て直すときの預金にするかということは、その管理組合によって、合意によって、配分するかあるいは建てかえ用に回すかというのは、それぞれの管理組合で協議して決めるというのが原則でございます。今おっしゃったように、余剰の土地を売ってどうするか、これは新築費用にするのか、あるいは全員に分配するのか、これは各組合、そのための組合でございますし、どっちが得かということも、管理士に、五千人以上いますから、御相談いただいて、どっちがいいか、おとりになるのはそれぞれのマンションの管理組合の合意でございます。
森山国務大臣 先生の御疑問の点につきましては、政府参考人から申し上げたとおりでございまして、そのように確認させていただきたいと思います。
加藤委員 法務省の御答弁に法務大臣が確認をしていただきましたのでよしとしますが、扇大臣がおっしゃったことは土地の部分であって、建てかえた後の余剰分を売買して充当するという話とはちょっと違うと思います。大臣のおっしゃったことはおっしゃったことでわかりますが、ちょっと私の議論とは違いますが、時間がないので先に行きたいと思います。(扇国務大臣「わかりやすくということですので」と呼ぶ)ありがとうございます。わかりやすい御答弁は願うところでございますので。
 それで、この法案が仮に成立をしたとしたときに、では、どの程度建てかえが進んでいくのか。これは何も促進をするものではないというふうにおっしゃってはいますけれども、現実の問題として建てかえが進む方向に行くわけでありまして、どのくらいそれが進むとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 今後、三十年超の古いマンションが急増するわけでございますが、それに伴って建てかえのニーズも増加すると思います。
 それで、現在のマンションストックのうち、そのどの程度が、いつの時期に建てかえを選択して、今後の建てかえの事業量になるか、これは予測するのは大変難しいのですが、建築後三十年超となるマンションが建築後五十年あたりをピークとして建てかえが行われる、順次建てかえが行われて築後七十年にすべて建てかわるという仮定を置いたとすれば、今後十年間に約五万六千戸の建てかえが見込まれるのではないかと考えております。
加藤委員 建てかえがそれだけ進んでいくということになりますと、新しくできる建物だけ考えていれば、何か町がきれいになっていいように思われるかもしれませんけれども、一方で、当然のことながら、建設廃材、産業廃棄物が出ていくわけでありまして、大量の産廃が出ていくんですけれども、それについてはどういう処理の方法を考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 建設産業から排出されます廃棄物は全産業廃棄物の約二割を占めております。したがいまして、マンションの建てかえに伴って発生する建設廃材についても、適切な処理を図らなければいけないと考えております。
 この場合、限りある資源を有効利用するという観点から、これらの廃棄物につきまして、再資源化を行い、再び資源として利用していくことが重要でございまして、本年五月三十日から施行されました建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、いわゆる建設リサイクル法がございますが、これに基づきまして分別と再資源化等の促進を図っているところでございます。
 また、リサイクルを推進するためには、リサイクル建材に係る技術開発あるいはリサイクル製品需要の需要拡大が重要でございます。このことから、建築系廃棄物を利用いたしましたリサイクル建材について提案を募集しておりまして、その技術開発を進めているところでございます。
 これらのことによりまして、建設廃材の再資源化等に努めてまいりたいと考えております。
加藤委員 その建設資材のリサイクル法の件、私も素人ながら多少見させていただいたんですが、先ほど御答弁あったように、今後、どんどん建てかえがふえていった場合に、このリサイクル法にのっとってすべて処理されたとして、果たしてそのリサイクルの需要がそれだけあるのか。つまり、出てきたものが原料として余らないかということが不安になるんですが、そこをどうお考えでいらっしゃいますか。
松野政府参考人 そこが、いわばコストの問題等との関係がございまして、つまり、コストが安ければリサイクルされたものも使われるということになろうかと思います。そういうことも受けまして、提案募集をして、技術開発の中でそういったことを解決していけば、それを使うという需要も出てまいりますので、そういった観点からの技術開発等を進めていきたいと考えております。
加藤委員 ぜひその点はやっていただかなければいけないことだと思いますので、また今後、そこは御期待をしたいと思うんです。
 いずれにしても、マンションの建てかえがどんどん進んだときに、環境の問題も出てくるし、あるいはコストの問題も出てくるし、何でもかんでもどんどん建てかえていけばいいという話ではなくて、当然、建物の長寿命化ということも日本もそろそろ考えなければいけない時期かと思うんですが、マンション自体、建物自体の寿命を延ばすということについてどのような施策を講じようとお考えか、教えていただきたいと思います。
扇国務大臣 今局長が答えましたように、産廃ということを考えますと、当然、今加藤議員がお示しのように、いかにあるものを長もちさせるか、これがもう大前提になってまいります。
 そういう意味では、今いろいろな技術的な開発が進みまして、公団が今実行しておりますけれども、百年住宅という、言葉で言うと大変、本当かなと思うような、百年住宅を建築するということですけれども、これもスケルトン・インフィルの住宅ということで、新しい方法で百年住宅にしようということでやっております。
 それからもう一つは、二十一世紀の世紀の交代とともに、今までつくった公団住宅等々にバリアフリー化ができていないという問題がございます。そういう意味でも、まず高齢化社会に対して、でき得るものはバリアフリー化しよう、廊下が少し広くできないか、あるいは、手すりをつけられないかというようなことにも助成を行っていって、そして、老齢化社会の、お住まいになっている皆さんの利便性というものも図っていきたい、そう考えております。
 少なくとも、耐久性の高いマンションを供給されるようにということで、今のスケルトン・インフィルの住宅というものを進めていきたい。
 それから、一定のマンションに対する助成。これは、皆さん方に少しでも助成ができないかということで、二十一世紀都市居住緊急促進事業、こう銘打って、老朽化を防ぐためのものに対しての助成を行っております。
 また、住宅金融公庫の基準において耐久性に配慮するということでの、これも住宅金融公庫の基準を緩和しておりますので、それも使用できると思います。
 また、住宅品確法、これも法案として通していただきまして、この住宅がいかに品質を維持できるかということで、この品確法に基づいて住宅の品確の表示制度、これを行っております。皆さん、これは品確法に適していますよという表示をすることによって、皆さんが安心して住んでいただくということも、これは実行しております。
 それをして劣化をおくらせるということのために、個々の、私は、自助、共助、公助と言っておりますけれども、まず自分で自分の専門範囲をきれいにする、そして次は、管理組合等々でマンション全体の、お隣同士でも共同して品質保持のために努力する、そして、最後は公助で、私たちも公的にできる範囲で助成をしていこうという、三段階をとっております。
加藤委員 実際には、マンションが売り買いされる市場原理の中で、長もち住宅が皆さんに支持されるかどうかというところがポイントなんですが、ぜひ進めていただきたい点だと思いますので、今後に期待をしたいと思います。
 ただ、そうした住宅を今後つくっていくにせよ、今あるものについて、ただ建てかえだけ進めればいいということではなくて、今既にある住宅も再生をさせることによって延命化できるわけでございますので、この点もぜひお願いをしておきたいと思います。
 それから、次のテーマに行きます。
 こうしたマンションの建てかえのとき、あるいは、不幸にして災害などが発生をして、その段階になって初めて、その建物が手抜き工事であったなどということがわかる場合も実はあるわけでありまして、阪神・淡路大震災のときに、直後に私も関西へ行ったことがございますけれども、そんな話も聞きました。
 これについては、その損失に対してどういう補償があるのか、あるいは、どういう責任をとることになっているのか、教えていただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 まず、一般的に、マンションの所有者が手抜き工事によって被害をこうむるというときには、民法上の損害賠償の請求を行うことが可能でございます。
 また、平成十二年四月一日に施行いたしました住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法に基づきまして、売買契約が締結され、分譲された新築マンションに関しましては、基礎、柱等の構造耐力上主要な部分、基本構造の部分、または屋根、外壁等、雨水の浸入を防止する部分につきまして、引き渡された日から十年間瑕疵担保責任を負うということでございます。新築マンションの所有者は、もし問題があった場合には、この瑕疵担保責任を追及して損害賠償請求を行うことが可能となっております。
    〔久保委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
加藤委員 そうした場合なんですが、今、最長でも二十年ですよね。それでもわからないことというのも実はあるんじゃないか。今申し上げたように、不幸にして災害によって建物が損傷したり倒壊をしたりして発覚をするとか、あるいは建てかえのときに初めてわかるなどということもあるわけでありまして、それは、建てかえのときにわかっても、この建物、五十年事故がなかったからよかったね、そういう話なのかという疑問が当然出てくるわけであります。
 そうした見えないところで手抜き工事がされないような施策として、どんな手だてをお考えか、これは大臣にお答えをいただきたいと思います。
松野政府参考人 地震があったときに初めて基礎などに問題があったことがわかるということがあり得るわけでございます。阪神・淡路大震災でも、基礎工事などの施工不良が原因とされる建築物の被害が見られたところでございます。
 この教訓を踏まえまして、平成十年に建築基準法を改正いたしました。基礎工事など、地方公共団体が指定しました建築工事の工程の検査に合格するまでは次の工程に進むことができないという中間検査制度を創設いたしました。
 また、先ほど申し上げました、住宅の品質確保法を制定いたしまして、住宅性能表示制度を創設いたしました。この中で、新築マンションの場合は、建設住宅性能評価書、これは建設後の評価をいたしますが、交付するまでに、基礎工事など、原則として四回以上の中間検査を行うということにしております。
 これらの制度は、いずれも、基礎工事など見えない部分の手抜き防止に大変大きな効果を発揮するものでございまして、今後とも、マンションの安全性の確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
加藤委員 ぜひその点、厳しくお願いをしたいと思います。実際に買われる皆さんからすると、一生に一度の大変大きな買い物のはずでありまして、ぜひそこをお願いしたい。
 では、最後に一問、伺います。
 マンションを買われる方が、何十年かそこに住んでいらっしゃって、その後、建物が老朽化をして、建てかえをしなければいけないかもしれない。そのときに、では、どういうルールにのっとって建てかえがされるのだろうかということ。つまり、今回議論をされているような法律について、果たして、どの程度理解をした上でそのマンションを買っていらっしゃるかというと、実はここに大きな疑問がございまして、私自身は不動産の売買というのは一切したことがないのでよくわかりませんが、買う前の段階で何十年か先のルールというものを認識しているのかどうかというと、ちょっと疑問だと思います。
 せっかくここで議論をして法律を変えて、場合によっては円滑に建てかえが進むようにしようと言っている中、そのルールを何にも知らないで買ってしまって、何十年かたったらまたトラブルが発生するというのでは意味がありませんので、それは、知らないで買ったやつが悪いと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、そんな不親切な話はないわけですから、事前に、購入をされる場合に、こうした将来の建てかえに関するルールについても何がしか御説明をいただく、あるいは別の方法で何か周知徹底を図るということが重要ではないかと思うんですけれども、扇大臣に伺いたいと思います。御所見をお聞かせください。
扇国務大臣 御存じのとおり、築三十年のマンションというのは全国で今十二万戸、しかも十年後にはこれが百万戸になるという大変大きな需要と、あるいは不安感を持っていらっしゃると言っても過言ではないと思うんです。けれども、皆さん方の御協力のおかげで、ことしの通常国会のときにマンションの建替え円滑化法を通していただきました。今回は、このマンション円滑化法にプラスアルファして区分所有法及びマンション建替え円滑化法の改正ということで、これでやっと車の両輪がそろって、きちんとした建てかえのルールが確立されたと私は認識しておりますし、また、御審議の過程ではそのようになっていると思います。
 ただ、今後は、今おっしゃったように、その周知徹底をどうするのか、多くの皆さん方に不安を与えないためにどうするのかというのが今の御質問でございますので、私たちは、今後、あらゆる地方公共団体等公的な機関を利用しまして、お互いに、地方公共団体にも相談の窓口をつくりましょうということで、まず窓口をつくって、インターネットの活用をして、そして皆さん方の御質問に答える、また、御存じのとおり、一般の方には直接情報提供という体制の整備を確立しようというのが一点でございます。
 二点目は、先ほども私ちらっと申しましたけれども、全国に約五千人のマンション管理士がいらっしゃいます、そしてまた約三十万人の建築士という専門家がいらっしゃいますので、その人たちに専門的な情報提供の体制を整備していただきたいということも指導しておりますので、あらゆるところで皆さんの御相談ができるように、しかも、管理組合にこのマンション管理士に御相談してくださいということも今周知徹底しておりますので、今回そういう法案を通していただくと建てかえを円滑に行うというための両輪がそろったということで、あとは周知徹底だと認識をしておりますので、今申しました二点の方法で周知徹底を図っていきたいと思っております。
加藤委員 時間ですから終わりますが、ぜひ、買われる方に、その前の段階で、新築であろうが中古住宅であろうが、買われる前の段階で、これは知っていると知っていないとでは後の問題が大きく変わってくると思いますので、その広報、周知徹底だけは厳しくお願いをしたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
佐藤(剛)委員長代理 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 私は、八年前の阪神・淡路大震災の折に、震度七の激震が襲いました神戸市東灘区のマンションに住んでおりまして、あのときの経験を通して、実は、マンションの建てかえというものは遠い将来いつかは来るだろうと。コンクリートは六十年ぐらいもつということでありますから、まだまだ先の話と思っていたマンションの建てかえ、または大規模修繕というものが、現実のものとして一挙に大量に起こった。いまだに、そのときのルールづくりが明確でないがために、まだ裁判で争われている例もある。そういった混乱の中で、私たちは二つのことを非常に教訓といたしました。
 一つは、マンションというのは、いかに維持管理が大事なのか、どういうふうに維持管理のレベルを上げていくのか。もう一つは、大変なダメージを受けた場合、また、老朽化といっても、相当な老朽化になると思いますが、そのときに大規模修繕にするのか、または建てかえをするのか、そういった合意形成または合意形成後の段取りを進めていく枠組みをどのようにつくっていくのか。こういったことを問題点としながら、我が党もマンション問題研究会というものを設立して、そして二〇〇〇年十二月にマンション管理適正化法、そして通常国会にマンション建替え円滑化法、そしてこの臨時国会で区分所有法の二十年ぶりの改正がなされるということは、私も阪神・淡路大震災のマンション居住者の被災者の一人として、感慨深いものがあるわけでございます。
 この中身、もう委員会でも随分質疑、議論を繰り返しておりますが、まず質問の前に、私の考えを一点申し上げておきたいのは、今回の区分所有法で建てかえの決議要件が五分の四以上の賛成ということになった。このことについて、要するに少数派に対する保護はと、こういったことが指摘され、それはもちろん当然なことでありますが、私の阪神大震災の経験からいいますと、あれだけマンションが被害を受けて、もう半分壊れている、大規模な被害を受けている状況の中であっても、五分の四の合意形成というのは大変難しいものがあった。建てかえをするというのは、やはりそれだけ経済的な要因、大変大きな圧迫になります。生涯で一回の買い物のはずのマンションをもう一度買いかえなければいけないというのは、大変な困難が伴う。
 その中で、私は逆の考えで思うんですが、今後、老朽化という中で建てかえを希望する区分所有者というのは、恐らくほとんどいないんじゃないか。基本的には、やはり大規模修繕、リフォームでやっていこうとするのが当たり前の話だと思います。
 しかし、最終的な区分所有者の希望として、やはりこうなった以上建てかえをしなければいけない、こういう希望者が区分所有者全体の八割以上を占めるという状況というのはどんなものなのか、想像をすることもできないような恐らく大変な状況になるのではないか。そのときに、建てかえをしようという人が五分の四以上いるのにもかかわらず、その人たちの思いが、要求が通らないというのは、これは弱者保護というのももちろん大事でありますし、我が党もすごく真剣に考えておりますが、それ以上に、多数の皆さんの希望が通らないというのは、この民主主義の社会の中でどうなのかな、こういう思いがいたしまして、通常国会からもこういった議論を重ねた中で、今回、区分所有法の建てかえ決議が非常にシンプルに五分の四以上の賛成があるということに絞られ、それから先はやはり私的自治ということにゆだねられるというのは、私は、この改正はよかったのではないかということをまず申し上げておきたいと思うのでございます。
 同じ中で、マンションの現状維持とか原状回復ですね、外壁の補修とか屋上防水、給排水管の定期的な修繕。マンションを維持管理していく、状況をよくしていくためのいわば定期的な大規模修繕の決議要件が、今回、これまでの四分の三以上ということから二分の一以上に要件緩和されたわけでございます。
 私はここでこの前もちょっと質問をしたんですが、大規模修繕といってもやはり相当な金額になる場合がある、そのために修繕積立金というのが積み立てられているわけでございますが、修繕積立金を超えてしまうような定期的な大規模修繕の場合に、やはり負担できない区分所有者というのは出てくると思うのです。そういった方たちはどうなるのか。これについて、前回民事局長の御答弁では、一般論としての御答弁だったと思いますが、究極的には、最悪のケースとしては競売になるというような形の御答弁がありました。
 これについては、私は前回の委員会でも申し上げましたが、やはり何らかの手だてがないと、大規模修繕はやりたい、積立金も積んできた、しかしそれを超える負担が発生する、こういった場合に今のルールではどうなるのか、ちょっとまず局長からもう一度御答弁をいただきたい。局長、よくわかっていると思いますが、よろしくお願いいたします。
房村政府参考人 御指摘のように、大規模修繕は、今回、四分の三から二分の一にという改正をいたしました。その趣旨は、もう御指摘いただいたとおり、マンションにとって、これを長もちさせるためには大規模修繕が必要だ、それが現在四分の三という非常に重い決議をしなければ本来必要な修繕ができない、こういうことからこれを二分の一に軽減したものでございます。
 もちろん、そういう建物全体の維持に必要な費用でございますので、この大規模修繕にかかりました費用というものは、それぞれの区分所有者の方々がその持ち分に応じて負担をしていただくということになります。
 場合によると払えない場合が出るのではないかという御指摘でございます。確かにそういう懸念もございますが、通常の大規模修繕というもので、例えば外壁塗装工事であるとか屋上防水工事であるとか給排水管工事であるとかというものが念頭に置かれて、これをある程度の年数ごとに計画的に行っていくわけでありますが、そのかかる費用としては、大体高いものでも一戸当たり数十万ということになっております。また、当然修繕積立金もありまして、それで賄っていくのが原則でございますので、仮に修繕積立金で賄えない場合というものがあるとしても、その額は、一戸当たりについて見ればさらに少額になるのではないか。
 この負担でございますが、これは同じマンションの区分所有者で構成されている管理組合との間でもございますので、分割支払いにするとか、それはそれなりの適切な解決が図られて、理論的にはもちろん区分所有の競売ということもあり得るわけですが、その額と区分所有の額とを比較いたしますと、そのようなところまで進むということは通常はないのではないかというぐあいに考えているところでございます。
赤羽委員 多分、極端な事例ということでの前回の御答弁だったと思うんですが、ですから私は、この二分の一緩和のその前提として、その総額が修繕積立金の額におさまる場合はというふうなことを一項目つけた方がよりよかったのではないか、こういう御指摘をさせていただいたところでございますし、そういったことで基本的には運用していただきたいと思いますが、仮に、少額というのは、額が大きい少ないというのは、非常に主観的なというか、局長の場合少額かもしれないけれども、私にとっては多額だということも十分あるわけでありまして、なかなかそういったことは難しいのですが、負担ができないから、分割にしても何とか融資を受けなきゃいけない。国土交通省、住宅金融公庫の中に、リバースモーゲージ制度を活用した融資制度、マンション建てかえの強い味方、こういう制度もつくられましたけれども、こういったことはこの大規模修繕においては活用できるのか、対象となるのかどうか確認させていただき、この制度以外にもバックアップするような支援制度があるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
松野政府参考人 大規模な修繕に積立金を超える費用がかかるという場合に、不足額の調達の必要性が出てまいります。この場合には、住宅金融公庫によりますマンションの共用部分リフォームに対する融資制度がございます。これを活用していただきたいと思います。
 それ以外の助成制度というお尋ねでございますが、一般的な修繕ですと、今申し上げましたような融資制度、公庫の融資制度を使っていただくということですけれども、それとあわせて、耐震改修をやるというようなことがあったときは、優良建築物整備事業というような、耐震改修に対する補助制度もございます。そういうことが活用できるケースもあろうかと思います。
赤羽委員 十月三十日に経済財政諮問会議が発表されました構造改革を加速するための総合対応策の中に、実はいろいろなメニューがあるんですね、バリアフリー化のまちづくりを進めるんだとか。その中に、マンション建替え円滑化法並びに区分所有法の改正が構造改革の加速策、民需活用の加速策になるというような発表があったわけですが、これは私はちょっと筋が違うんじゃないかなと。今回の法改正というのは、あくまで土俵ができることであって、この法改正によってマンションの建てかえが進むということは現実にはあり得ないんじゃないか、建てかえとか大規模修繕のときの土俵づくりにすぎない、私はそう思うわけなんです。
 しかし、そういった流れの中で、このデフレの中で実際建てかえをするといっても、先ほどから言いましたが、経済的な負担ということを考えますと、区分所有権を担保にして融資を受けられるという話がありますが、地価がこれだけ下落してマンションの価値もこれだけ下がっていて、どれだけ区分所有権を担保に融資を受けることが実効性を伴うのか。
 それと、この前の答弁でも、住宅金融公庫に都市居住再生融資ですか、こういうものがあると言われていましたが、そもそも住宅金融公庫というのは将来なくなっていくという話の中で、民間だけの金融機関になってこういったことが、同じようなものが措置されるのかどうか。制度はできたけれども、ルールは決まったけれども、現実に経済的な支援制度がないがゆえに、この法律改正をしたものの実効性が何もなかったというのでは余りにも寂しいなと思いますので、この点について、よろしく。
松野政府参考人 まず、共用部分のリフォームにつきまして、デフレの中で担保価値は下がっているのではないかというお話でございます。
 この制度は、実は共用部分を担保にするということ自体が余り実務的でないということもありまして、無担保で融資できるという制度にしてございます。そういう制度でございますので、ぜひ活用していただきたいと思います。
 それから、住宅金融公庫がいずれ廃止されて独立行政法人に切りかわるということが閣議決定をされておりますが、こうした公庫の融資制度そのものが将来どうなるか、都市再生融資も含めてどうなるかというお尋ねでございますが、その辺につきましては、将来、独立行政法人が設立されますが、金融公庫の従来担ってきた機能が民間のローンでどれだけ担える状況になっているかということを踏まえてその時点で判断するということになっておりまして、それはその時点で改めて全体の情勢を見るということになっております。
赤羽委員 時間も限られてきておりますのでもう最後にしたいと思いますが、今回の法改正はできましたが、マンション問題というのは、まだまだ、耐震補強をどうしていくのかとか、先ほど大臣の答弁にもありましたスケルトン・インフィル住宅化促進というか、百年マンションを目指してどのような形にしていくのかとか、相談窓口をどう充実していくのかとか、実態では、やらなければいけないことはたくさんあると思います。
 この区分所有法につきましても、団地式の建物の一括建てかえ決議要件も各棟三分の二にしたというのは、実はこれは、それを進めるためにということなんでしょうけれども、ここについてもいろいろ御意見があるところでありまして、今回はこういう改正をいたしますが、現実のものとして出てくるのはこれからだと思うんですね。そのときにおいて、現場の皆さん、全国のマンション管理組合の連合会とか、本当にまじめに取り組まれているところもたくさんあると思いますので、今回の改正にとどまらず、現場の皆さんの声を聞いてよりよいものにしていっていただきたいということを強く念願し、増田副大臣にきょうは質問通告もしていてちょっと質問できなかったんですが、その部分だけ、今回の区分所有法の改正にとどまらない今後のことについて簡単に御決意をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
増田副大臣 赤羽先生のお尋ねにお答え申し上げます。
 その前に、体験に基づく、貴重な、しかもまた温かい配慮に、これを一生懸命進めようというようなお考え等も入れましていろいろな御意見を聞かせていただきました。敬意を表したいと思います。
 それから、決意はどうだ、こういうことですが、私は、想像以上の住まいに対する苦労をして少年時代を過ごしました。そこで、こう言うと変ですが、実際の運用は国土交通省の方に行くと思います。きょうは扇大臣おいでになりますので、実際の運用に対してはぜひそちらで一生懸命やってもらうんですが、私の方も耳をできるだけ大きくして声を聞いて対応していきたい、このような姿勢を持っております。
 ありがとうございました。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
佐藤(剛)委員長代理 次に、一川保夫君。
一川委員 きょうは、法務委員会との連合審査でございますので、私は国土交通委員会に所属いたしておりますけれども、法務省の皆さん方を中心に幾つかお尋ねしたい、そのように思っております。
 今回の法律の改正、御案内のとおり、マンションを取り巻く最近のいろいろな情勢を受けて、マンションの管理、あるいはまたそれの大規模修繕なり、そしてまた、場合によっては建てかえにつなげるという流れの中での必要な法律改正だというふうに思っております。
 そこで、法務省の方にお尋ねするわけでございますけれども、今回の区分所有法の法律改正の条文を見ている限りでは、全体で十五、六カ所の条文が改正になっていると思います。この改正に当たって、最も、最もというか、大体話題が集中しているところはわかっているんですけれども、非常に意見調整に御苦労されたといいますか、最終的に整理するまでにいろいろな面で難航したといいますか、そういうところをもう一回整理して御説明していただきたい、そのように思います。
房村政府参考人 今回の法律改正で意見調整が一番難航した事項ということでございますが、これは、当委員会でも質問を受けております、建てかえ決議でございます。
 現行法の建てかえ決議が、維持補修に過分の費用を要する場合、そういう要件プラス五分の四の決議となっております。これが非常に明確を欠いて建てかえが円滑に進まない原因となっている、こういう指摘を受けてこの見直し作業を行ったわけでございますが、この点についてさまざまな意見がございまして、最後まで調整が難航したということでございます。
 簡単に申し上げますと、何とかこの過分の費用というものを客観的なものにする必要があるだろうということから、当初、この過分の費用というのは、基本的には建物の価額に比べて補修あるいは復旧の費用が非常にかかるという場合でございますので、一般的に建物というものは年数がたてばその価額が下がる、それに反比例して維持費等は高くなってくる、こういうことだから、一定年数たった建物について建てかえ決議ができるようにすれば、建てかえの必要なマンションの相当部分を取り込めるし、また要件としても非常に明確なものになるのではないか、こういうような観点からの議論がなされました。
 ただ、これに対しては、当初から、年数というけれども、マンションにはさまざまなものがある、また維持管理の仕方にもさまざまなものがあって、一律に年数で切るというのは合理性を欠くのではないか、三十年に達しないものであっても非常に傷んだ建物もあるし、手入れがよくて三十年たってもまだまだあと何十年も使えるようなものもある、こういう御指摘もありました。
 また、年数を法律で示すということについては、現在、百年マンションというようなことで、マンションをできるだけ長く使う、こういうことが社会的な方向として定着しつつあるのに、マンションに関する最も基本的な法律である区分所有法で建物の老朽化の指標として年数を示すということは、そのような、マンションを長もちさせるそういう社会の動きに水を差すことになるのではないか、あるいは、そのような年数のたったマンションが、要するに老朽化マンションというレッテルを張られて市場価格が低下してしまうのではないか、こういうような懸念も大分指摘を受けました。
 一方、三十年という要件をつけるということになりますと、三十年に満たなくてもどうしても建てかえをしなければならないものもありますので、では、そういう場合どうするかということも当然議論になります。その場合に、やはり基本的考えとしては、復旧あるいは維持をするための費用が非常にかかるようになってこれ以上建物を維持することが不合理だ、こういう基準をやはりつくるべきではないかと。このようなことから、建物の価額と復旧費用を比較する、あるいは、その建物をもう一度再築すると考えた場合の二分の一程度の復旧費用がかかったらこれは建てかえを認めよう、こういうようなさまざまな議論がなされました。
 それぞれについていろいろ議論がなされましたが、最終的に、法制審議会の部会においては、五分の四の多数決決議だけでいい、最終的に八割の人が建てかえを必要と、そういう判断をすることであればこれはそれなりの合理性があるだろう、その合理性を担保するために、建てかえ決議に至る手続を整備して、きちんと建てかえと維持とを比較考量した上で区分所有者の方々に判断していただければその合理性が担保できる、こういう案と、いや、現行法で過分の費用という客観要件を要求しているものを、改正するに当たって一気にそれを廃止してしまうのは行き過ぎだ、やはり歯どめとして三十年という年数要件が必要だ、こういう意見とに大きく分かれまして、部会の段階では、最終的な意見の一致が見られないということから、両論併記の要綱案というようなことになったわけでございます。
 それを踏まえまして、法制審議会の総会で審議いただいたわけですが、総会委員の中から、やはり、法務大臣の諮問機関として答申をする以上はあくまで一本化の努力をすべきである、こういうことで、総会の場において、この五分の四の多数決決議だけで足りるのか、あるいは三十年という客観要件を付加するのか、こういうことを真剣に議論いただきまして、最終的には、やはり三十年という年数を一律に決めるということには合理性が欠けるのではないか、また、三十年という年数を決めた場合には、補充的に三十年に達しないものについて建てかえを認める要件を定めざるを得ないが、その要件は現行法と同じ明確性を欠くという欠点を払拭できない、このようなことから、委員の大多数の方が五分の四以上の多数決のみで建てかえを認めるということにすべきであると、こういう経過をたどりまして、最終的に五分の四の多数決のみという答申になったわけでございます。
 今回の改正は、それを受けて改正をお願いしているわけでございますが、以上のように、当初から法制審内部で相当の意見が闘わされ、最後まで調整が難航したというものとしては、この建てかえ決議の要件ということになろうかと思います。
一川委員 今お話しのように、五分の四の多数決で最終的に方向を決めるというところが一番難航したということですけれども、こういうマンション、まさしくそこで居住している、拠点の空間ですから、皆さんいろいろな意見がいろいろと鋭くぶち合うというのは当然でございますし、五分の四、要するに八〇%で物事が進むというふうに私は思いませんけれども、極力一〇〇%に近い形に努力するのが本筋であろうと思います。
 こういったいろいろな条文で、何%以上だとか何分の一以上だとかいうふうに書かれた条文は幾つかありますけれども、それを機械的にやって強行している事業というのは余りございません。ほとんどやはり一〇〇%に近い姿になるように努力をするわけです。
 その努力をするときの説明の資料の中に、今おっしゃったようないろいろな説明資料が入っていくわけでございまして、マニュアルなりそういった資料の作成、それは専門的な方の御意見も十分取り入れた、また法律的にも十分そういうものを説明できる、そういうようないろいろなきめ細かな説明資料を積み重ねて初めてこういうものが成り立つんだというふうに思いますので、最終的には五分の四かもしれませんけれども、だから、合意形成に至るまでのその経過が非常に大切なものがあるというふうに思っております。
 基本的には、やはりこういった法律改正というのも、マンションに区分所有権を有している方々にいろいろな選択肢が当然あるわけですよね。ある程度そのマンションが老朽化してきた段階でどういう選択をするかという、その選択肢の中に最終的には建てかえということが位置づけされているというふうに思いますけれども、そういう面では、この法律がまだ完璧だというふうには私は思いませんけれども、しかし、法律を出された省庁にすれば、現段階ではこれで完結しているというふうな認識は、それはそれで一つの方向だと思います。
 そこで、法務省の方に、これは現状認識も踏まえて、今後のこのマンションの管理運営なり、建てかえということを念頭に入れた場合、今ここで作成されたこの法律で本当にいいのか、今後の課題として、法制度上の課題として残された分野はないのかなというところの問題意識を確認したいわけです。
 私は、先般、参考人にそういうお話をお聞きしたときに、要するに、日本ではまだマンションの歴史がちょっと浅いということもありまして、マンションという都市部を中心にあるこういった居住形態、集合住宅というものの本当のあり方というものについて、深い議論というのは、突っ込んだものが余りなされていない嫌いがまだある、そういうことを徹底的に議論をしていく中で、今後の法制度のあり方というものが、また新たな課題が出てくるかもしれないというような参考人の御意見もございました。私もそうだというふうに思います。
 マンションは、こういった委員会でもよく出たと思いますけれども、国土交通委員会でもいろいろな議論が出ておりましたけれども、やはりマンションを取得した人の取得目的というものが、その後の時間とともにいろいろと変わってくる、あるいはまた、居住形態、そこに入っている方々も変わってきているわけでございますし、そういう面では非常に価値観が多様化してきているという中で、今回のいろいろな法律改正にもつながってきているわけです。
 今回の法律の改正の、例えば改正のねらい、改正の趣旨という中にも、現行の法律では管理の適正化がなかなか難しいとか建てかえが円滑にいかないという問題意識の中で今回こういう法律改正につながってきたわけですから、やはりしっかりと問題意識を持たないと、次のよりよい法律をつくるためにも、私は、そのあたりの問題意識をどう認識しておられるかということは非常に大事なことでございますので、法務省の今後のそういう法整備に対する見解をぜひお聞かせ願いたい、そのように思います。
増田副大臣 一川先生のお尋ねでございますが、今回の改正法案は、最近におきますマンションの建てかえや、あるいは管理の状況等にかんがみまして、マンションの建てかえの円滑化と管理の適正化を図るため、幅広く問題点の洗い出しを行ったところであります。そこで、建てかえ決議の要件の合理化とその手続の整備、また団地内の建物の建てかえ制度の整備、また大規模修繕等を実施する場合の決議要件の緩和、これらの所要の措置を講じたものであります。
 法務省といたしましては、マンションの運営等につきまして現在問題とされている事項については、一通り検討を終えたものと考えております。
 そこで、お尋ねの、今後についてでありますが、改正法案を成立させていただければ、まずその周知に努め、その定着を図ることによりまして、マンションの運営等をめぐる諸問題が解決されるものと期待をいたしております。しかし、新たな制度の運用状況ですから、一川先生おっしゃいましたように、考えるべき点あるいはよく耳を傾けるべき点、これらは十分に配慮をして取り組んでまいりたい、このように考えております。
一川委員 そういう周知徹底ということも大変大事なことでございますし、やはり、先ほどもちょっと議論が出た中にもございましたけれども、マンションに今居住されている方々なり、また関係する皆さん方がひとしく理解しやすいような法律であれば本来一番いいわけです。法律条文そのものは専門の皆さん方がつくられますから、それを読む限りではなかなか理解できませんけれども、それをかみ砕いたようないろいろな解説版みたいなものはできるだけわかりやすくして、一般のマンションの中に生活している方々が解釈が余り食い違わないように、ぜひ、そういう面の指導が非常に大事ではないかというふうに思いますので、それはまた国土交通省の方の所管になるのかもしれませんけれども、そのあたりの御指導をよろしくお願いしておきたい、そのように思っております。
 そこで、マンションの管理の範囲は非常に広いわけでございますけれども、適正に管理しているという中にあっても、自然災害ということが発生した場合には、思わぬいろいろな対応が迫られるわけです。阪神・淡路大震災の折のいろいろな教訓がたくさんあると思いますけれども、こういったマンション、集合住宅がそういう災害に遭遇した後の対策に対するいろいろな法制度、あるいは、大きな災害が発生した場合の被害をできるだけ少なくするための防災的なそういう法制度といいますか、そういうことについての法的な整備というのは、これは現段階では、大体これで出そろったというふうに考えてよろしいのでしょうか。
房村政府参考人 震災のような大規模な災害が起こった場合、その対応というのは、それぞれの分野で総合的に行われる必要があろうかと思いますが、マンションの法律的な関係につきましては、御指摘の阪神・淡路大震災、これを契機といたしまして、法務省としては、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法というものをつくりまして、震災で被害があった建物の再建について特例を定めて、これで対応するようにしております。
 また、今回の復旧等についての買い受け制度の整備というようなものも、万一災害があった場合の復旧には役立つものと思っておりますので、それなりに対応していると考えております。
一川委員 では次に、これは国土交通省に関係することかもしれませんけれども、今回の法律改正の一つの背景の中で、現状、マンションの管理が非常にやりづらくなってきているとか、あるいはまた建てかえを円滑にしたいという一つの問題意識の中で、区分所有者間のいろいろな紛争が最近はいろいろとふえてきておるとか、そういう中で非常に管理組合そのものが運営しづらくなってきておるとか、だんだん管理組合としての機能が働かなくなってきているというような傾向があるというふうなことを時々聞くわけでございます。私も、このマンションというものの、非常に快適なマンションで、スムーズにいっているところが大方だというふうには思いますけれども、しかし、近年のマンションの管理運営というこの段階が非常に深刻な問題を抱えてきておるというのを、片やそういう御意見もいろいろと聞くわけです。
 最近の傾向としましても、東京でいえば、郊外にあった大規模マンションが、だんだん都心部に割と割安の良好なマンションがふえてきたということかもしれませんけれども、郊外のマンションから都心部のマンションに移転してくる、それで、従来自分が住んでいたマンションは賃貸に切りかえていくというような傾向がある。ですから、そこに住んでいた人がだんだん賃貸に切りかえることによって、逆にまた、自分のそれまでの投資分を回収するにはむしろその方がいいんじゃないかというようなことを思っておる人たちもだんだんふえてきておるということもあって、そういう傾向にこれからも拍車がかかっていくんじゃないかということを心配しておる専門の方もいらっしゃるわけです。
 そのように、実際問題、マンションの居住形態といいますか利用形態もだんだん場所によっては変わってきておるということも含みまして、今現状のマンションというものが、本当に善良に管理組合を通じてしっかりと管理されている、そういう組合と、管理組合という組織があっても、あるいは組織すらつくれないところもあるのかもしれませんけれども、あってもなかなかしっかりとした管理運営ができていないというところもあるように聞くわけです。
 現実問題、なかなか必要な管理費といいますか積立金的なものがしっかりと徴収できないという話とか、さっきちょっと触れましたように、区分所有者間であるいは入居者の間でもっていろいろなトラブル、紛争が絶えないというようなこともお聞きするようになってまいりました。
 そういう今のマンションの管理の実態というものをどうも正確に余りつかみ切っていないんじゃないかなというところをちょっと気にするわけですけれども、そういった、特に問題が多いような、管理組合が余り十分機能していないと思われるような実態というものをどのように掌握されているのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
松野政府参考人 マンションは、そのストック総数が既に四百万戸、居住者が一千万人という大変大きなシェアになってきております。都市の重要な居住形態となってきていると思います。
 マンションの管理につきましては、扇大臣もたびたび、マンションは管理を買えということをおっしゃっております。この区分所有者みずからの財産であるマンションを管理組合を通じて適正に管理するということは大変重要でございます。
 委員御指摘のとおり、郊外で空き家になる、あるいはリゾート地でマンションの区分所有者が別の場所に本拠を構えているとか、そういうケースがございます。それに伴いまして管理組合による適正な管理が行われていない場合があるというふうに認識しております。
 平成十一年度にマンションの総合調査というのを実施いたしました。その結果を見ましても、一般的なマンションにおきましても、ある程度一定の区分所有者がマンションの管理状況に不満を持っているという結果も出ているところでございます。
 こういった状況を踏まえまして、平成十二年にマンション管理適正化法が制定されたところでございます。管理組合に対し指導助言等を行いますマンション管理士制度を導入いたしますとともに、マンション管理に関します情報提供を行うということにしております。
 こういった委員御指摘のような事態が生じたときに管理がうまくいかないというようなことになりますと、最終的にはやはりマンションの資産価値の低下ということが生じてまいります。そういった区分所有者自体にも大きな影響があるということを認識していただくというためにも、そのマンション管理士制度あるいは地方公共団体の情報相談窓口といいますか、そういったところも通じまして情報提供を進めていくということでマンション管理の適正化を進めてまいりたいと考えております。
一川委員 今、局長の方からの御報告を聞いておりましても、最近、やはりそういうような実態がだんだんふえてきておるというふうに思います。
 私は、こういった法律の整備、いろいろな法律も、割と管理が円滑にいっているといいますか、管理組合が管理組合らしい仕事をやっているところを対象にしたような法整備になっているような気がするわけです、それはそれでやむを得ないという面もあるわけですけれども。これからのいろいろな管理上の、あるいは建てかえに当たってのマニュアルづくりといいますか、いろいろな基準づくりといいますか、そういうマニュアルというのは、そういう管理組合が割と円滑にうまくいっているところは、もちろんそれはそれでいいんですけれども、むしろ、うまくいっていない、管理組合が非常に機能を低下してきておるというようなところを対象にしたようなマニュアルというのは、ある面では非常に大事だと思うんですね。
 それを放置することによって、本来大規模修繕なりあるいは建てかえに持っていかざるを得ないようなマンションというものは、建築上も大規模な修繕を計画的にやらざるを得ない、あるいはまた、建てかえ計画をもうそろそろ皆さん方に提示せざるを得ないという段階に来ているにもかかわらず、そういうことをお世話するそういう組合がなかなか機能しないということは大変なことでございますので、むしろ、管理組合なるものが本来のそういう働きが十分できないというような現状があった場合には、そういうことに対するいろいろなマニュアルをもっとしっかりとつくっていただきたいというふうに考えるわけですけれども、そのあたりの基本的なお考えをお聞かせ願いたい、そのように思います。
松野政府参考人 基本的には、先ほど申し上げましたマンション管理適正化法を制定いたしまして、マンション管理士制度というようなものをつくりました。それから、地方公共団体の窓口も設置するということを進めております。
 こういったことを通じて適正なマンション管理を進めていきたいと考えておりますが、本当にその管理組合がうまく機能していないというようなところについては、そもそもその維持管理がうまくいかないで、結果として問題が生じているというふうなことがあり得ると思います。建築基準法の定期報告制度などを用いましてそれらの把握をした上で、マンション管理組合にいわば指導するというようなこともこれから必要なのではないかというふうに考えております。
一川委員 ありがとうございました。
 以上で私の質問を終わります。
佐藤(剛)委員長代理 次に、阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党所属の国土交通委員をしております阿久津幸彦でございます。
 私は、国土交通委員会の中でもう既に一度質疑をさせていただいております。質疑に立たせていただいております。
 その中では、私は、区分所有法は、初めに建てかえありきではなく、定められた法に、ルールにのっとりまして、居住者が争い事なく仲よく協力し暮らしていく中でマンションの長寿命化への道が開かれる法律でなければならない、また、高齢者など社会的、経済的弱者の財産権もしっかりと守られなければならない、そういう質問あるいは意見を述べさせていただきました。
 さらに、高経年マンションについて、建物全体を建てかえる建てかえだけでなく、マンションの構造躯体はそのまま保全しつつ、内部改善や増改築を行う再生という選択肢も与えるべきではないかという意見も述べさせていただいたところでございますが、既に扇国土交通大臣の方からは、この法律は初めから建てかえありきという趣旨ではないということをはっきりと明言いただいております。
 そこで、せっかくの法務委員会との合同審査でございますので、本法の趣旨が初めから建てかえありきではないことを法務大臣にも確認させていただきたいと思います。できれば法律的な解釈も交えながらお話をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
森山国務大臣 最近の百年マンションという言葉にあらわれておりますように、できる限り長期間にわたって建物が利用できるよう適切な維持管理に努めるべきであるという考え方も一般的になっております。
 改正法案は、区分所有建物の建てかえ決議の要件の見直しを行っておりますが、これは個別の事情を離れて一律に建てかえを推進しようとするものではありませんで、あくまでも各区分所有者、各建物の実情に応じて、建てかえるか計画的に修繕を行い建物を維持するかについて、十分な情報を与えられた上で自主的に判断すべきことを当然の前提としているものでございます。
 このように、改正法案においては、十分な配慮に基づき建てかえの要否が判断されるよう手当てがされておりますので、委員が御心配なさっているようなことは全くないものと考えております。
阿久津委員 しっかりと確認をさせていただきました。ありがとうございます。
 続きまして、前回私が国土交通委員会で質問をさせていただいたときにちょっと質問できなかった細かい点について、一点だけお伺いをしたいと思うのです。
 二十六条に関連しまして、中古マンション等で建物の瑕疵等が存在した場合、売買で次の区分所有者に権利が移ってしまうと損害賠償請求ができなくなってしまうのではないかという心配があるのですが、この点、いかがでございますでしょうか。
房村政府参考人 御指摘の二十六条でございますが、今回の改正によりまして、建物の共用部分について生じた損害賠償金、これを管理者が区分所有者を代理して請求することができる、あるいは受領することができる、こういうことを定めております。
 ただいまの御質問は、そういう損害賠償請求権を持っている区分所有者が区分所有権を他の者に譲渡する、そうすると新しい人が区分所有者になりますが、手当てをしておかないと損害賠償請求権そのものは売った前の持ち主のところに留保されてしまうので、管理者が区分所有者全員を代理して請求しようと思っても新しく買い受けた人の分は請求できなくなるのではないか、こういう御質問だと思います。
 これは、実は、法制審議会でもいろいろ議論したんです。確かに、おっしゃるように、新しい買い主のところに自動的に移るようにすれば管理人がすべて請求できるということになって便利であることは間違いないんです。ただ、問題は、瑕疵があって損害賠償請求権がある、それを買う人の立場から見ると、瑕疵があるものであれば瑕疵相当分を引いた値段でないと買いたくないというのが普通だろうと思います。そういう値段で買い受けた人が損害賠償請求権も来てしまうということになりますと、売った人は、瑕疵があって高く売れなかったその損害をだれにも請求できなくなってしまうということになるわけですね。
 ですから、そういう損害賠償請求権を新しい買い主に移そうと思えば、売り主の方は、本来瑕疵がなかったときと同じ値段で、いわば損害賠償請求権の価格相当分も代金に含めて売らないと元が取れなくなってしまう。そうなると、今度は買い受けた人は、観念的にはその損害賠償請求権という権利は来ますが、それで回収できるかどうかという保証はどこにもないわけです。それを行使して結局取りっぱぐれてしまったら、買い受けた人が損を強制されることになる。
 そういういうことで、瑕疵のあるものの売買の場合には、瑕疵に基づく損害の危険をだれが負担するかということが常に問題になります、片方を保護しようと思えば片方が損害をこうむるという関係になりますので。
 民法では、この点については当事者の話し合いに任せます、ですから損害賠償請求権も含めて買い主が行使します、こういうことであれば、売り主としてはその損害賠償請求権相当額も代金としてもらわないと売れない。それで、買う方とすると、逆に、いや、瑕疵のあるものはそんな高い金は払えないということになれば、損害賠償請求権は売り主に留保して、それで瑕疵のあるものとしてそれ相応の価格で買う。そういう合理的な判断を売買当事者の双方がそれぞれの事情を考慮して適切に判断していただく、これが民法の原則になっています。そういう民法の原則を、管理者に代理行使させるという必要性だけで簡単に覆していいか、これが非常に大問題でございます。
 そういうことで、結局法制審議会の中でも、やはり、確かにそうすれば便利なことは便利だけれども、その行使を考えて、損害賠償請求権もあわせて譲渡してそしてその通知をするという任意の方法は当然とり得るわけですから、そこはそれぞれの事情に応じて売買当事者が合理的に判断してもらうというしかないのではないか、法で強制しようと思うと検討すべき課題がさまざまなものがあるということから、今回は従来どおりの扱いにしようということになったわけでございます。
    〔佐藤(剛)委員長代理退席、久保委員長着席〕
阿久津委員 せっかく便利にした法改正ですので、そこのところ、運用面でこれからも気遣っていただければというふうにお願いしたいと思います。
 続きまして、私どもは、再生という、先ほどもお話をした概念で、大規模修繕への道をどうやって開いていくかということを一つのテーマにしておりますけれども、物理的耐久性の高い構造躯体、スケルトンというんですが、それと、可変性を有する内装、間仕切り、インフィルとを分離することにより長寿命の集合住宅の供給を可能とするスケルトン・インフィル住宅について、この住宅を広く活用するお考えはあるかどうか、中馬国土交通副大臣の方にお伺いしたいと思います。
中馬副大臣 戦後の木造賃貸住宅等に入っていらっしゃった方が市営や公団の二DKに移ったときには、これはもう本当に一つのステータスのようなものでございまして、もちろん、これがすぐに建てかえということではなくて、物理的には六十年もつものだということの認識の上でそこにお住まいになっておったと思います。しかし、その後、経済成長の中で、それまでは手回しの洗濯機であったのが大型の電気洗濯機になってくる、電気の冷蔵庫がと、そしていろいろと家庭の備品もふえてくると、到底それは狭くて、経済的な耐用年数に合わなくなってきている。それどころか、物理的にも、配管が腐ってくるとかあるいはまた目詰まりするとかいろいろなことで、少しそれを広げよう、あるいは改造しようとしましても、それはもう改造するよりも建てかえた方が安いんじゃないか、こういったようなことになってきて、現在のいろいろな問題が起こってきていることは御承知のとおりと思います。
 そういうことで、我が建設省といいましょうか、国土交通省に今なっておりますが、建設省の時代から、建設省の建築研究所におきまして、総合技術開発プロジェクト、ネーミングは長期耐用都市型集合住宅の建設・再生技術の開発という長い名前でございますが、こうしたプロジェクトを立ち上げまして、平成九年から十三年、研究してまいりました。その研究結果を踏まえまして、先ほど委員御指摘のこのスケルトン・インフィル住宅というのを実用化に向けて今実行を始めているところでございます。
 やはり、長期にわたり良質なストックとして活用していくことが望ましいわけでございますから、一つの躯体部分がしっかりとした形で、あと内装はその時々によっていろいろと変えることができる、転売した方も、またそこで買われた方も、そこの中で、自分に合った形での間取りだとか室内改装できる、そういう形のものをこれからは目指していく所存でございます。
 百年住宅とも申しますけれども、こうしたことにおきまして、品確法におきましても極力劣化をおくらせる対策や、維持管理のしやすさについて表示して情報提供を行うことを義務づけておりますし、住宅金融公庫融資におきましても、耐久性を有する住宅に対しての優遇措置を講じておることは御承知のことかと思います。
 今後とも、こうした施策を通じまして、SI住宅を含めました耐久性の高いマンションの普及を推進してまいる所存でございます。
阿久津委員 スケルトン・インフィル住宅は、ある意味でイージーオーダーの再生への道を切り開く一つの手段かなというふうに私は考えています。
 最後に、オーダーメードの再生に成功した例を紹介しまして、終わらせていただきたいと思うんです。
 柿ノ木坂東豊エステートというマンションが世田谷区にあるんですけれども、これは一九七〇年に建てられたものでございます。御存じのとおり、一九七一年に大規模法改正がありましたから、それより前の住宅ということになります。この住宅は、一九八七年、十七年目にコンクリート躯体の修繕という大規模修繕を行いました。さらに、一九九九年、三十年目に大規模修繕を行ったんです。このときは、耐震補強、それから居住者の高齢化に伴ってバリアフリーの整備を行いました。さらに、御婦人方の要望を取り入れて、エントランスのところを真っ赤におしゃれに改装したんです。非常に満足度も高い再生の成功例だと思っています。
 大体お金が幾らぐらいかかったのですかという話を伺ったんですけれども、これはちょっとなかなか難しいんですが、最後の三十年目の修繕のときは百万円強ぐらいで済んだそうでございます。
 つまり、知恵を使っていけば、マンションは使い込むほど価値が出てくるというふうにもとらえられるわけで、社会経済情勢や建物の状況に応じた的確な管理を実施することによって、マンションの建てかえの道とともに、マンションの有する効用が可能な限り維持増進されるという道も、この法改正の中でぜひ適切に運用されますよう最後にお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
久保委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 今回は法務大臣も御出席でありますので、最初に、前回法務省にお聞きした問題について、まず質問をしたいと思います。
 今回の改正案は約二十年ぶりの大きな改定であるわけでありますけれども、前回の改定の際には約四年間かけた。ところが、今回については、当初二年の予定を大幅に繰り上げる。前回の質問に対する答弁では、円滑化法を一年間繰り上げたからこちらも繰り上げたと。これは時間を短縮した本当の理由にはならないのではないかと思います。
 憲法にもかかわるこういう重要な法案をこのように急ぐのはなぜなのか。確かに、老朽化マンションの増大など、こういう事情があることは十分承知しつつも、やはり今回の改正の一連の過程というのは余りにも拙速ではないか、こういう点で、まず法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
森山国務大臣 区分所有法の見直しにつきまして、法制審議会の建物区分所有法部会におきましては、昨年六月から審議を開始していただいたところであります。
 当初は、平成十四年度中に改正法案を作成するということを目途に御審議いただいてまいりました。しかしながら、分譲マンションの建てかえの実施の円滑化を図るということが急務であるということ、また、マンション建替え円滑化法がことしの通常国会に提出されることが当時既に予定されていたということ等の理由から、改正法案を本年秋の臨時国会に提出できるように、部会の審議期間も短縮していただいたものと聞いております。
 もっとも、この間、本年三月に中間試案を決定、公表し、パブリックコメント手続及び意見照会を実施しておりますし、さらに、短期間に集中して会議の開催をお願いするなど、精力的な御審議をしていただきまして、この国会に法案を提案することができたものでございます。
 なお、パブリックコメントは、法制審議会の審議の参考に供するために実施しているものでございまして、今回もその結果は建物区分所有法部会の席上で報告されまして、この部会ではこれを踏まえて御審議をいただいたものと聞いております。
 したがいまして、法制審議会の答申とこれに基づく改正法案は、パブリックコメントの結果も十分に参考にしたものと考えております。
大森委員 建てかえ決議の客観的要件を前提にした中間試案、そしてそれに基づくパブリックコメント、これは大変問題があるということは前回指摘をしたとおりであります。同時に、拙速だけじゃなくて、国民から見て、突如方向が大きく変わってしまった、こういう印象が強くあることも指摘をしました。
 きょうは、この経過を示すものとして、規制改革会議の八田達夫氏の文書を持ってまいりました。これは「「マンション建て替えの要件を五分の四同意のみとすること」のフォローアップご報告とご提案」、そして「ご報告とお礼」となっております。
 この中では、「マンション建て替えの要件を五分の四同意のみとすることについては、二〇〇二年三月段階で、」つまり、ことしの三月ですね、「法制審議会区分所有法部会で審議が既に活発に行われており、そのときの様子では、三十年要件の入るのが必至と見られておりました。このため、」「フォローアップを特別に早くこの六月から立ち上げて検討して参りました。」「特に八月六日には、森稔委員」これは大手ディベロッパーである森ビルの社長さんですね、「森稔委員及び福井秀夫専門委員には、法制審議会区分所有法部会に三時間あまりも出席し区分所有法部会メンバーと議論していただきました。 その結果、九月三日の法制審議会総会の最終審議では、「立て替え条件を五分の四同意要件のみとする。ただし少数意見としては三十年要件等も付加すべきであるという意見もあった」という主旨で最終決着致しました。当会議の意見が全面的に反映される結果になりました。」こう言って、お礼と御報告、勝利報告の感があるわけなんですが、最後に結んで、「これは、宮内議長、当会議の委員の方々、事務局の方々のサポートのお陰です。ビジネス生活インフラWGを代表して、厚くお礼申し上げます。」こうなっているわけですね。
 パブリックコメントなどがもう既に終了してしまった、中間試案もその半年前にでき上がっている後、ゼネコン、ディベロッパーの猛烈な攻勢に審議の結論が大きく変わっていった、ここのところが端的にこの文書の中には示されていると思うんです。
 そこで、森山法務大臣、一昨年来、日弁連あるいはマンション管理組合団体、本当にいろいろな団体がこの区分所有法の改正について、再三再四にわたって要望を出されてきました。
 その要望の中心というのは、建てかえだけではなく、本当に苦労をされているマンションの管理、これにかかわるマンションの管理が本当に現実に役に立つようなものに区分所有法を全面的に改正してほしい、こういう要望がもう一昨年来ずっと出されてきた。中間試案が出されてからも、管理組合の団体、日弁連などからいろいろなこういう方向の意見が出されました。
 もし、三時間とって審議をするのであれば、ディベロッパーの代表だけじゃなくて、こういう皆さんをもちゃんと区分所有法部会に呼んで、きちんと議論をするというようなことをすべきではなかったのか。現実の日常のマンション管理に本当に役に立つような全面的な改正をしてほしいというのが、この人たちの要望ではなかったでしょうか。
 この点、あわせて大臣に御見解をお聞きしたいと思います。
森山国務大臣 法制審議会の建物区分所有法部会が本年三月に取りまとめました中間試案におきましては、建てかえ決議の要件といたしまして、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数決を得ることのほか、建物が新築された日から三十年または四十年を経過したこと等を要件に付加した案をお示しいたしまして、一般からの意見等をお聞きしたわけでございます。
 しかし、その後の部会での審議では、五分の四以上の多数決のみで建てかえができるものとする意見も有力に主張されまして、結局、意見の一致を見ることができなかったものですから、同部会が本年八月に取りまとめた改正要綱の案では、両論が併記されたものになりました。
 これを受けまして、ことしの九月の法制審議会総会では、この両案のどちらが適当であるかという点について検討が行われましたが、築後三十年の経過等を必要とする案につきましては、構造や管理の状況がさまざまな建物に築後三十年という基準を一律に適用するのは合理的でないということ、また、築後三十年を経過するまでの間に建てかえの必要性が生じる場合につきましても、建てかえが実施できるような要件を別に定める必要があるが、そのような要件を明確化の要件を満たしつつ定めるということは非常に困難であるというようなことなどの理由から、大多数の委員はこの案に反対されて、五分の四以上の多数決のみで建てかえを認めるべきであるという御意見でございました。
 そこで、法制審議会総会では、五分の四以上の多数決のみで建てかえができるものとする案に一本化する形で要綱を決定し、答申をいただいたものでございます。
 改正法案は、この要綱に基づいて立案されたものでございますので、中間試案でお示しした築後三十年または四十年の年数要件は削られておりますが、十分に各方面の御意見を取り入れて、そしてそれを集約された結果であるというふうに承知しております。
大森委員 日弁連、その他各団体から出された要望等は一部は確かに入っておりますけれども、本当に日常のマンション管理、それを円滑に進める上で区分所有法がしっかり役に立つという点では、まだまだたくさんの課題が積み残したままになっているということを指摘しておきたいと思います。
 今回、マンション建てかえ円滑化、それを中心的な内容とする改正案ということでありますけれども、私は、このように客観的要件を撤廃して、それで本当に円滑に建てかえが進むことになるのか強い疑問を持つわけであります。
 一昨日の参考人質疑でも、例えば丸山参考人は、今回の改定では持ち家の安定性が失われる、こういう指摘もされました。また、今回の法案について、多くの法律学者、専門家から、憲法上も問題があるんじゃないか、こういう指摘もされました。
 そこでお聞きをしますけれども、こういう財産権の重大な変更が憲法上問題ないのか、こういうような検討を、法務省はこういう立場で多少でも検討されたでしょうか。
房村政府参考人 区分所有建物に関しまして、その建てかえ決議に反対した場合に売り渡しをしなければならない、こういう制約がかかるということは、これは財産権に対する制約であることは間違いのないところでございます。
 ただ、同時に、区分所有という、一つの建物を複数の人たちが共有しているという場合には、それぞれの権利につきまして共有関係に伴う制約が必然的にかかってくるわけでございます。逆に、例えば建てかえをするということを考えますと、単独で建物を所有している場合には、その所有者の意思として当然自由に建てかえができるわけでございます。
 そういう点を含めて、私どもとしては、今回の建てかえ決議について、憲法で許されている権利の内在的制約の範囲内である、こう考えて法案を提出したわけでございます。
大森委員 客観的要件を取り外すことの、合理化する議論については、前回御答弁を伺いました。そういう検討をどの程度法務省内でやったのか、私は全然見えてこないわけですね。
 今御答弁なさった民事局長は、この六月の参議院の国土交通委員会、円滑化法の審議の際に、時価で買い取る保障の付与、客観的要件、そして五分の四の決議要件、これによって合理的利用と個々人の財産権保障の調和ができるんだ、こういうことをわずか五カ月前におっしゃっているわけですね。それとがらりと変わってしまう答弁を平気でやられることに対して、私は強い不信と疑問を持つわけであります。
 先ほどの規制改革会議等との議論の中では、法務省の側が、こういう客観的要件をとってしまったら区分所有権の性格そのものが変わる、ここまで言い切っているわけですね。そうですね。これほど大きな変更が、時間を大幅に短縮して、この国会の審議も、本当にあれよあれよという間にどんどん、きょうにも採決というような状況で、かくも簡単にこれほどの問題が決められていいのだろうかということを私は法務大臣にお聞きしたいと思います。
森山国務大臣 先ほど来、私から、また参考人からもるる御説明いたしましたようなことでございまして、必要な十分な手続を経て、各方面の御意見も拝聴し、それを集約していただいたものをもとに立案させていただいたものでございまして、御指摘のような懸念はないと存じます。
大森委員 法律家として、本当に見識が問われる問題だということを私は指摘しておきたいと思います。
 私たちは、一昨日、今回の法案などを中心にしたマンション問題懇談会を開催いたしました。東京近辺から百人近い関係者の方が参加をされました。また、これに先立って、全国的にも、東京、大阪あるいは名古屋、九州、この区分所有法問題を中心に懇談会を行ってまいりました。本当に皆さんが困難な状況の中でマンションの管理をやられている、そういう話もたくさん聞いてまいりました。
 一昨日も、例えば、管理会社が集会などを事実上仕切っていた管理組合を数年がかりで自主管理に切りかえた、こういう理事長さんの話。あるいは、築二十数年のマンションですけれども、一たん、五年間かけて話し合って、建てかえ決議を行った、しかし、参加できない人の対策がどうしてもできない、そういう人の立場に立って改めて議論をして、今、補修に切りかえる、こういう検討までされていると、本当に胸を打つような、そういう話もあったわけであります。こんなところにこそ、法務省の皆さん、あるいは森山大臣やら扇大臣に出席していただきたいということを改めて私は強く思ったわけであります。
 いずれにしろ、老朽化したマンションは高齢化が急ピッチに進行しております。容積率が足りないマンションもある。そういう意味で、建てかえというものが本当に難しい事業なんだということを私もこういう懇談の中で実感をしたわけでありますけれども、問題は、重大なことは、建てかえ事業が非常に難しいのは、客観的要件があるからじゃないんです。客観的要件が不明瞭だから建てかえ事業が難しいんじゃないんです。建てかえ事業に参加できないような状況が今多くの老朽化マンションの中にあるということが最大の問題だという認識を、しっかりこれは持つことが必要じゃないかと思います。
 共通している最大の問題は、やはり資金の関係で建てかえ事業に参加できない、この方々の問題、そして、もう一つ大きな共通点が、何百人あるいはそれ以上の集団、それ以上の居住者、そういう居住者、区分所有者でどうやって合意をつくるのか、この二つが共通して大きな問題になっているわけであります。
 ですから、例えば、今回、大規模修繕の決議要件が四分の三から二分の一に緩和された。管理組合の活動に長い間かかわってきた方は、これで楽になったと思ったら大間違いだと言われているわけですね。もう大規模修繕という話が出た途端にドアを閉め切ってしまう、対話も拒否する、こういう方も区分所有者の中にはいるわけであります。そういう人が今度は四分の一から二分の一にふえる、そういうことをもこれは意味することになるということで、これは楽になったと思ってはいけない。そこに、私は、管理組合の活動の本質的なものがこの言葉にも含まれているのではないかと思います。
 今回、政府案では、建てかえに当たって、そういう意味で、合意の形成、これは政府の側からいろいろ本当にたくさんの支援をしていく必要がある。今回の法案の中でも、説明会の開催など一定の改善が盛り込まれました。しかし、今のこの改正案だけでは、形だけの説明会、そういうことになる可能性も予想されるわけであります。
 管理がうまくいっているマンションのお話も聞きました。やはりそこで共通しているのは、できるだけオープンにするという姿勢を本当に貫くことですね。その意味で、今回の法案との関係でいえば、閲覧権、区分所有者に対する閲覧権、これは、見積もり資料あるいは帳簿等、こういう閲覧、開示権、これの保障、拡充、この点をもっとすべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
房村政府参考人 区分所有法上、閲覧に関する規定が存在しますのは、管理者に作成、保管義務が課されている規約、それから議事録等の文書についてであります。
 ただ、御指摘の、管理組合が費用を支出して作成した建てかえの要否を検討するための資料、こういうようなものは、管理組合の権限の範囲内において、最終的には、それを構成する区分所有者の費用に基づいて作成されたものでありますし、この法案は、建てかえ決議のための手続を整備し、区分所有者に十分な資料を提供すべきことを前提とした規定を整備しているところでございますので、条理上特段の支障がない限り、その閲覧はできるものと考えております。
 なお、規約等において閲覧に関する定めがあれば、さらに明確化されるものと思っております。
大森委員 この点は、これまで当委員会でも議論されましたけれども、建てかえか補修か、管理組合、区分所有者が判断する際に、どうしても専門家の協力が必要になってくると思います。
 その点で、扇大臣からは、マンション管理士、三十万人ですか、そういうたくさんの専門家の協力なども言われているわけなんですが、建てかえ事業を請け負うディベロッパーなどの特定の立場の専門家だと、やはりいろいろな点で信頼が置けない面もこれは当然あるわけですね。
 調査してくれた方が、この建てかえに賛成していない人も納得できるような、できるだけ納得しやすくなるような、そういう調査や情報の提供というのは、やはり公平な立場の人の調査や情報提供だと思うんですね。その意味で、公平な調査、情報提供の仕組みをきっちりつくった方が、合意形成を本当に図っていく上で大きな力になるんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
松野政府参考人 マンション建てかえの際に、建てかえをするのか、あるいは改修で、修繕でいくのかというようなことも含めて、全体の合意形成を図っていくということは大変重要なことでございます。したがいまして、国土交通大臣が十二月までに定めます基本方針の中でも、マンションの建てかえに向けた区分所有者の合意形成の促進に関する事項というのを盛り込むこととしております。
 また、当然、その際に、建てかえなのか修繕なのかという判断に関する技術的指針を、これは大変わかりやすくまとめていく必要がございます。これも技術的指針としてきちんと整理をしたいと思っております。
 こうした合意形成に向けたさまざまな、マニュアルも含めまして、わかりやすく理解していただけるような指針をつくっていくということ、それから、委員も御指摘になりましたように、既にマンション管理士という制度もできております。また、建築士の方もございます。こういった第三者の専門家の方々のアドバイス、あるいは情報提供というものを活用して、建てかえあるいは修繕といったことの合意形成を進めていくことが重要なんではないかというふうに考えております。
大森委員 瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権の承継問題については、先ほど御答弁がありました。これは、今マンションにお住まいの方の日常直面されている問題でありますので、ただ難しいというだけではなくて、区分所有法上に一項を設けるだけでできるんじゃないかという強力な意見もあるわけですから、引き続きこれは検討を進めていただきたいということを要望して、マンションの長寿命化の問題について幾つかお聞きしておきます。
 今回の改正では、区分所有建物の長寿命化という発想が基本的に欠けていることになっているのではないだろうかと思います。私たちは、マンション長寿命化を政策の中心にしていくべきだと考えております。国土交通省として、このマンションの長寿命化をどのように考えるのか、どのような施策をとってきたのか。先ほど、一部その御紹介がありました。例えば大規模修繕のための施策の紹介もありましたけれども、融資だけにとどまっているわけですね。ですから、まずその辺、どうなのかということをお聞きしておきます。
中馬副大臣 委員御指摘のとおり、建てては壊す、住宅ストックが何か薄っぺらで、都市としての景観も貧しいといったことの反省、欧米のように、しっかりとした重厚な町で、そしてその住宅自身も、五十年、百年おじいちゃんが住んだところといったようなことを目指す形になってまいりまして、大方の世論がそのように向いている中で、先ほど申しましたように、政府としましてもそのことに熱心に取り組んでいるわけでございます。
 スケルトン・インフィル住宅の技術的な検討も終えまして、それの実用化に今入っているところでございますが、まず、そうした躯体的な問題と同時に、維持管理の問題もございます。日本の市民生活、農村におきましては自分たちの集落をみんなで維持するという習慣がございましたけれども、都市には、各地から集まってきた人たちがかなり自己中心に住んできたことも事実でございますが、マンションというのは、これはもう、一つの集落共同体であるわけですね、コミュニティーですよ。ですから、自分のことだけではなくて、このコミュニティーをいかにすばらしいものに維持していくかということでの個人の努力も必要でございましょうし、また、個人のことの若干の欲望、希望を抑えながらも、公のためにひとつ協力するといったことも私は必要ではないか。
 五分の四とか二分の一とかいったような言葉も出ていますけれども、本来であれば、これは一〇〇%、それはお互いの人間の信頼関係で、そしてなるべく一〇〇%に持っていくように努力する。もし、そこで貧しい方が、たまたまそれが払えない方がいらっしゃったら、その方の人間関係ができておるならば、その方に対しましてみんなが、おばあちゃんは半額にしておこうじゃないかとかいったようなこともございます。ともかく、そういうことで、維持管理の面も大事でございますが、それは、今言いましたような、市民の、そこに居住される方の意識の問題にまでもさかのぼる必要もあろうかと私は思います。
 ともあれ、政府といたしましては、スケルトン・インフィル住宅の技術開発を行うと同時に、また二十一世紀都市居住緊急促進事業等によりまして、耐久性の高い仕様を備えた一定のマンションに対する助成をすることにいたしております。また、住宅金融公庫融資の基準におきましても耐久性に配慮することにいたしております。住宅品確法に基づく住宅性能表示制度によりまして、劣化をおくらせる対策や維持管理のしやすさ等についての情報提供を行うといった施策に取り組んできております。
 また、維持管理の面につきましては、長期修繕計画の作成や定期的な修繕の実施を行えるように、マニュアル等による情報提供や、共用部分リフォームに対する住宅金融公庫融資を行う等も実施いたしております。そして、マンション管理適正化法に基づくマンション管理士を養成し、活用していることは御承知かと思います。
 こういった施策に取り組んでマンションの長寿命化を図っていくことに、施策としてもいたしております。
大森委員 私が申し上げたいのは、やはり政府の施策として、大規模修繕など長命化の施策というのはほとんどない。建てかえに関しては、これはもちろんまだ不十分だし、個々には問題のあるものもありますけれども、メニューがそれなりにあるわけですね。補助、融資、債務保証、税制などのメニューがたくさんあるわけです。ここは明らかに政府の施策として、建てかえのみに誘導しているというような施策の体系になっているのではないかということを申し上げたいと思います。
 これは、長寿命化というのは国民に巨額の負担を強いる、そういうことを避けるという意味でも、それから、もう指摘をされておりますように、資源問題、地球環境問題の観点からも、極めてこれは今日的な課題であると思うんですね。
 一九九七年十二月、CO2削減を話し合った京都での地球温暖化防止国際会議の際、日本建築学会が会長声明を出したことは御存じのとおりであります。その中で、日本のCO2の排出量の四割は建築行為による、日本の建築のCO2は全世界のCO2排出量の一%強にもなるなどを指摘し、建築学会の社会的責任を全うするために、我が国の建築物の耐用年数を三倍に延長することは不可欠であり、また可能であるというぐあいに述べております。
 これは、積極的に長命化の施策、これをしっかりとるべきではないかと思いますが、国土交通省、どうでしょうか。
松野政府参考人 ただいまの長寿命化につきましては、今副大臣から御答弁申し上げましたとおりでございまして、スケルトン・インフィル住宅を初め、その他の公庫融資、あるいは品確法に基づく制度、こういったものを活用していく、これによって推進していくべきものと考えております。
大森委員 質問時間がなくなりました。最後ですが、団地内の建物の建てかえ承認決議についてお聞きします。
 団地については、容積率の配分、あるいは、一棟だけのマンションとはまた異なる問題があって、マンションの建てかえに特別のそのためのルールをきちんとつくるということは、これはこれで重要だと考えます。従来は団地内一棟の建てかえでも敷地の全員の合意が必要だったというのが、今回改められました。しかし、同時に、団地内での建物の一括建てかえについて、これについて突然に法案に盛り込まれたわけですね。全くこれは突然であります。
 団地管理組合全体で五分の四以上の賛成があれば、敷地を共有している各棟については三分の二以上の賛成があれば建てかえができるということで、これは、ある専門家によれば、こんなことがもしやられれば、借家権よりも弱いものに所有権はなってしまうと。現行区分所有法五十八条では暴力団事務所使用禁止の請求、あるいは五十九条、義務違反者の競売請求でも四分の三になっているわけですね。これよりもハードルを低く、三分の二にしてしまう。参考人質疑でも、全くこれについてはもうわからぬという意見が強く出されました。三分の二という形で借家権よりも大変弱くしてしまう、その根拠は何であるか。
 そして同時に、私は、この問題は全く法制審にかけられていない、それから、前回、今回も指摘をしたように、建てかえ決議、これについて、真剣な、法案に掲げられたような内容が法制審議会あるいは部会ではやられていないということから、これは改めて法制審に差し戻しして審議のやり直しをすべきじゃないかということを要求したいと思います。
房村政府参考人 団地の一括建てかえ制度でございます。これにつきましては、団地というのは、単にたまたま複数の建物が寄り集まっているということではなくて、一区画の中に各建物が配置され、その間の道路、緑地あるいは共用施設、こういったもの全体で一つの住環境を形成している、こういう関係にございます。
 したがいまして、この団地を全体として建てかえるという場合には、単に個々の建物の建てかえをどうするかということだけではなくて、団地全体としての住環境を念頭に置いて、新しい建物をどう配置し、その中にどういう空間を確保し、どのような共用施設を配置するのか、こういったマスタープランに基づくことが必要でございます。また、団地の敷地全体の有効利用という観点から見ましても、やはり全体の計画を立てることによって初めてその有効な利用が可能になるという関係にございます。
 また、団地にいらっしゃる各区分所有者について見ましても、各建物はそれぞれの区分所有者が所有をしておりますが、団地の敷地は全員で共有をしている、そして、そういう団地区分所有者全員で構成されております団地管理組合が団地の敷地内の建物も含めて団地全体についての管理をしているというのが通常でございます。このような関係にありまして、団地というのは非常に一体性が強い。
 ところが、団地を建てかえる場合に、現在の既存の各棟ごとの建てかえ決議によるという方法によります場合には、一棟でも五分の四に達しない棟がありますと、団地全体の圧倒的多数が合理的な建てかえを希望している場合であっても、団地全体としての開発は不可能になってしまう、こういう関係にございます。極めてその団地の区分所有者にとって酷な結果になるわけでございます。
 こういうことを考えまして、団地全体について、一棟の建てかえ決議に必要とされるのと同じ団地区分所有者全体の五分の四の割合の賛成、こういう非常に厳しいハードルを設けまして、この一括建てかえという決議を設けることとしたものでございます。
 ただ、一括建てかえということになりますと、幾ら一体性が高い団地とはいえ、各建物ごとの所有権は格別になっておりますので、建てかえに反対する者が多数いる棟が、全体の、その棟について権利を持っていない他の区分所有者の意思によって建てかえを強制されるということは、現行法の建前上、法理論的に難点がある、こういう指摘も受けているところでございますので、その点をクリアするために、団地全体での五分の四という極めて高いハードルとあわせまして、各建物ごとについて見た場合にもその建物について三分の二の賛成が必要である、こういうことにしたわけでございまして、単純に三分の二の賛成で足りるという緩和をしたわけではなくて、全体としての五分の四の賛成という極めて高いハードルがあった上でのことでございますので、私どもとしては、これは合理的な制度ではないかというぐあいに考えております。
 また、御指摘のように、この点について、法制審議会の最終的な答申には含まれておりません。ただ、審議の中では、団地建てかえについても一たんは審議をして、それなりの必要性は考えられたわけでございますが、先ほど言ったような法理論的な問題があるということから中断していたわけでございます。
 ただ、法制審の最終答申を受けるころ、私どもとして改めてこの団地の一括建てかえの強い要望を受け、ヒアリング等をいたしましてこの必要性を改めて認識いたしましたので、法制審議会を経ておりませんが、やはり緊急性のある事柄だと考えまして、法案を作成して国会での審議をお願いするということにしたものでございます。
大森委員 終わります。住まいは人権、住宅は福祉であります。こういう住宅、人間の生活の場をもうけの対象にしてやみくもに建てかえを進めるというようなことは許されない。やはり、合意づくり、参加が困難な人への十分な対策をしっかりやること、長寿命化の施策を太く貫くこと、こういうことを要求して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
久保委員長 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 まず、原始規約問題について幾つかお伺いをしていきたいと思います。
 マンションの分譲に当たって、分譲業者の方が一方的に作成した規約、これが購入者の個別の同意を取りつけるというのが、そういう運用がなされている場合が多いわけですから、いわゆる購入者、区分所有者にとっては不利な内容の規約があって、後で裁判ざたになるということはよくあるケースでございますが、例えば、そこで具体的に、原始規約に管理会社が明記されておる場合、この辺まず教えてほしいんですが、普通、管理会社をかえる、管理組合が本来は管理会社を選ぶべきですから、管理会社をかえようと思えば、二分の一の賛成があればいいですよね。
房村政府参考人 管理会社の決定は管理に関する事項でございますので、集会の二分の一の決議で可能でございます。
植田委員 せやけど、実際、原始規約に管理会社が明記されておる場合、規約に明記されておる場合は、これは規約の改正という手続になりますね。そうなると、区分所有者議決権数の四分の三の賛成が要るということになりますね。これも確認させてもらえますか。
房村政府参考人 管理に関する事項でありましても、規約に記載した場合には規約変更の手続が必要となりますので、御指摘のとおり、四分の三ということになります。
植田委員 実際に、本来的には管理組合が選ぶ話なんだけれども、そもそも分譲業者がこしらえた規約に管理会社がはめ込んであるということになると、本来でしたら二分の一でええものが、そこに書き込まれているがために四分の三の賛成が必要になってくるというのは、当然これは、言ってみれば利害の衡平を害しているというふうには考えられないんでしょうか。そういう規約がそれぞれ併存している、そういうのがあるとするならば、本来二分の一でいけるものが、規約に書き込まれてしまったらそういう手続になってしまう。
 これはやはり、そういう規約に書き込まれている規約を持っているところの住人たち、区分所有者にとっては、有利か不利かといったら不利やと思いますけれども、そういうふうに考えると間違っているんでしょうか、教えてください。
房村政府参考人 管理に関する事項で規約で定めることができるというのは、別に管理会社に限りません。基本的に管理に関する事項は過半数で決することができるわけでございますが、より安定性を求めて、規約に記載し、慎重な手続で変更するということも私的自治の範囲内の事柄であるというぐあいに理解しております。
植田委員 あっても不思議ではないという話なんですね。要するに、そういう場面もあり得ますよと。ただし、そういうことが実際の当事者、区分所有者にとって不利な局面も出てくるわけですよね。だから、そのことで実際不利な内容の規約がつくられているということ、それが係争ざたになっているケースは事実として存在しますよね。ありますよね。そういうことで問題になるということもあるでしょう。
 だからこそ、今回の三十条の三項において、規約の適正化、「前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設」云々「につき、」最後、「区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。」というふうに書いてあるわけですが、この規約の適正化が盛り込まれていることの背景には、今、私は規約の中に管理会社が明記されておる場合というふうに個別の例を申し上げましたけれども、実際、さまざまなトラブルがあり、それが裁判ざたにもなっている、そこで規約をめぐっていろいろな問題が起こっている、そういう問題をそもそも起こさぬよう、やはり法律で明記することでそうしたものを最小限に抑えたいんだという背景があったというふうに理解しますが、その点については、それでいいわけですね。
房村政府参考人 御指摘のように、原始規約の一部には不公平な内容のものがあるということで、紛争になっているという御指摘がございました。それを踏まえて、今回、適正な規約を作成していただくという必要を考えまして、この条文を設けたものでございます。
植田委員 ということでは、本法案で、この三十条三項がありまして、規約の適正化が盛り込まれることによって、本法案が成立した暁には、施行された暁には、原始規約にかかわるトラブルというのはなくなる、もしくはそうしたトラブルになるような原始規約などというものがつくられることはないだろう、まずそうしたトラブルはなくなるというふうに理解していいでしょうか。
房村政府参考人 この法案では、規約の適正さを確保するために、規約の公平性を判断する場合の考慮要素、これを相当詳しく列挙いたしております。そして、それらを総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように規約を定めなければならないとしておりますので、この改正法案が成立いたしますと、やはり、今後規約を作成する場合にはこの法律にのっとって適正なものが作成されることになろうかと思っておりますし、また、規約をめぐる紛争が生じた場合には、この条文を適用いたしまして、著しく不公平なものがあればこれについて適切に裁判所が判断できるということで、規約をめぐる紛争は相当程度解消するのではないか、こう考えております。
植田委員 相当程度解消されると。できれば、そういうのが裁判ざたにならぬ段階で、あらかじめ、問題になりそうなそうした規約自体が存在し得ないことが一番理想なわけですが、今、房村さんおっしゃったみたいに、恐らくこの条文をほうり込んだことで相当数はなくなるだろうと。
 しかし、やはりそうでないケースも出てくるだろうと思うんです。例えば、規約にこういうことを定めた場合、区分所有者ではあらへん分譲業者が無償でそのマンションにいろいろな看板を設置できる、そのことが規約に定めてある、実際聞いたらそういうこともあるらしいんですよね、こうしたことを管理会社が原始規約で定めている例、こうした問題はいかが相なりますでしょうか、御教示いただけますか。
房村政府参考人 今回の条文にありますように、規約の適正を確保するための公平さの判断要素といたしましては、専有部分もしくは共用部分または建物の敷地もしくは附属施設について、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情、こういったものを総合的に考慮して判断するということになりますので、ただいまおっしゃられましたようなケースにつきましても、これらの事情を総合してその公平さを欠くものかどうかということが判断されることになろうかと思います。
植田委員 要は、著しく利害の衡平を害するかどうかは、例えば、今規約に管理会社が明記されているとか、今区分所有者じゃない別の分譲業者がただで看板を立てているとかいうような話も、それは、それぞれの個々の事情に応じて、著しく利害の衡平を害するかしないか、適切であるかどうかということを判断されるとおっしゃるのであれば、当然ながら、その場合、著しい利害の衡平を害する場面も出てくることが想定されるわけですから、この三十条三項というものを置かれたことの意義は認めますけれども、これでも漏れ落ちてくるものは当然ある。これで万事すべてなくなりますということにはなかなかならないですね。あとは裁判でやってもらわなあかんところもあるなということになるわけですよね。
 そうした場合、解決されない場合は、できるだけ少ない方がいいというのはお互いそうだと思いますが、では、この法律、とりわけ今言っているところは原始規約の問題ですから、三十条三項、ここの問題について、やはり実効性を確保していくという観点からすれば、現実に分譲業者の人たちがやはりこの法の趣旨について十分その趣旨を理解して、あらかじめ、著しく利害の衡平を害するもしくは著しく利害の衡平を害するかもしれないと想定されるそうした規約はもう盛り込まぬ方がいい、ここで書いてあるのは、実はこういうことが起こるから、こういうことは今まで裁判なりなんなり問題が起こってきました、だから、そういう危険のあるような規約などというのは最初からつくるなよということを分譲業者に対して趣旨の徹底をするのがやはり法務省の責任ですよね。どうされますか。
房村政府参考人 規約は、区分所有者相互間の事項を規律する、いわば根本規範でございます。したがいまして、その内容が適正、公平なものでなければならないというのは当然でありますので、今回の改正においてそのために規約の適正を確保するための条項を設けたわけでございますので、今回の法律が成立いたしましたら、私どもとしては、他の改正事項ともあわせて、規約の適正化の規定を新設した趣旨等について十分周知徹底を図っていきたいと考えております。
植田委員 だから、それを、当然趣旨徹底を図っていく具体的な手法について伺っているんです。
 というのは、恐らく、こういう条文ですから、これはやっちゃいけない、あれはやっちゃいけないと列挙しているわけじゃなく、ネガティブリストじゃないわけですから、ぱっと見たら非常に抽象的ですわね。どこまでが利害の衡平が図られているのか、どこまでが害しているのかというのは、やはりそれは個々のそれぞれの事案によって総合的に判断されるということでしょうから、それはなかなかわからない。しかし、現実に、これまでこうした規約をめぐって、原始規約をめぐってさまざまな問題が事実として起こっている。例えば、今申し上げたような、管理会社が規約にほうり込んでいるとか。こういう規約が書いてあったことによって、実はこんな裁判が今起こって、こういう裁判になった例もありますよとか、そういうことは言えると思う。これはやっちゃいけないとか、ここまでならいいというガイドラインをつくることは、それは困難だろうということは理解しますが、現実にこうした事実がありますよと。
 だから、実際の分譲業者に対しては、あらかじめ注意を喚起するために、こういうことを入れておくと、万が一、こういうこともありましたよという、そうした啓発なりなんなりというものを具体的にどうするのか。それは、法務省さんが行って、分譲業者みんなに、こういう法やからこうしなさいよと、それはできませんでしょう。
 しかし、例えばリーフレットつくるなりなんなりして、できるだけ分譲業者に対してこの趣旨が行き渡って、あらかじめ、トラブルが起こらない、ということは、すなわち、あらかじめ、トラブルを起こす可能性があるような規約は、そうした文言を規約に書き込むようなことは、あらかじめ、できるだけ、可能な限り避けるために、啓発を具体的にどう考え、法務省としてこういうものをこしらえ、それを例えば、恐らく分譲業者の業界団体だってあるでしょう、そういう研修で配り、それをまた、宅建だって支部とかがあるでしょう、そういうところに、それぞれのそういう加盟業者にしみ渡るような手だてというものは、具体的にこれからどう考えておられるかということ。
 趣旨を徹底しますはわかります。それは、どんな法律つくってもその趣旨は徹底されるんでしょう。具体的な手法について教えてください。
房村政府参考人 御指摘のように、規約ができてから争われるというよりは、まさに適正、公平な規約を最初に作成していただくということが重要でありますので、私どもとしても、特に、一般的に原始規約を作成する分譲業者の方々に今回の法律の趣旨を十分理解していただく必要があろうかと思っております。
 その具体的方法につきましては、先生からの御指摘も踏まえまして、さらに今後検討して実行していきたい、こう思っております。
植田委員 御指摘も踏まえ、検討して実行していきたいということでございますので、委員会でそのことについてもう一度聞くことがあるかどうかは別にしても、どういう実行をされるのか、その段階でまた何らかの形で伺いますので、もう植田も質問ぎょうさんやっているから忘れたやろうといって知らぬ顔はせんといてください。決まったら教えてくださいね、どういうことをやるかということは。それは念を押しておきますので、よろしく頼みます。
 次に、本来原始規約は区分所有者自身で策定されるべきものであります。これはいろいろ話を聞いていると、分譲業者も分譲の段階ではそれは区分所有者なんだと、だから規約を定めるんだというんですけれども、本来的に言えば原始規約は区分所有者自身で策定されるべきなんですから、本来は分譲業者は区分所有者や管理組合の代理人としてその策定を行っているというふうに理解していいんでしょうか。間違っていれば、どういうふうに間違っているか教えてください。
房村政府参考人 規約は、区分所有者の集会で決議をする、あるいは区分所有者全員の書面による合意、これによって成立をいたします。
 先生の御指摘の、分譲業者が作成をするという形で言われている作成方法は、マンション分譲時にこの購入者が書面による合意書を作成いたしまして、それが全部そろったところで書面による全員の合意ができ上がる、こういう形でありますので、法律的に申し上げると、分譲業者は代理人ではない、それぞれの書面は区分所有者がそれぞれ作成したもの、こういうことになります。
植田委員 ということは、分譲業者があらかじめ原始規約を定めて、それを個々の区分所有者に対して示すわけですわね、それで同意を取りつける。実際上の運用はそういう場合が当然多いわけですけれども、今の説明からいくと、そういうふうな手順を踏んでいるから、分譲業者が原始規約をこしらえても、双方代理、自己契約の禁止には反しないんだと、民法百八条には抵触しないんだというふうに理解していいということなんですね。そういうふうに理解してくださいということなんですね。
 それは、実際、判例等もあるようであって、法律上、そういうことで御説明をされれば、そのとおりなんでしょうが、しかし、話が戻りますけれども、法律上は何ら問題のないその規約が問題だと指摘され、しかし、その規約を変えるに当たって、議決権数の四分の三、例えば管理会社をかえるのは本来二分の一でいいにもかかわらず、四分の三となっている。それでまた、これが、管理会社をかえたいという人がかなりいたとしても、なかなかかえられないわけですわね。やはり、そういうところで、法律上きれいになっているけれども、実際に不利益になる区分所有者が存在する場面というのはいろいろな場面で出てくることは否定されませんね。
房村政府参考人 何をもって不利益かということでございますが、規約に定めがある場合には、通常の二分の一以上の、四分の三という多数の合意がなければ変更できない、こういう意味で変更が難しくなる、ある意味では安定性が増す、評価の仕方はさまざまなことがあろうかと思いますが、そういう違いはございます。
植田委員 だから、要は、法律上きれいにつくられている、そこは分譲業者が原始規約をこしらえることがけしからぬということにはなりませんということでしょう、だからなりませんと。それが百八条に抵触しないというのは、私もその判例があるということは承知しております。しかし、それは何をもって不利益なんだと、そういうつれないこと言ってもろたらあかんのです。それは、区分所有者がまず、不利益だと、これは不利益をこうむったというふうに主観的に認識したところから問題提起が始まるわけでありまして、できればそういう契機、端緒、きっかけというものをできるだけ最小限に抑えるべきでしょうということを言っているんですよ。
 だから、何が不利益だというと、それは客観的な基準はないですよ。それは、個々の事例に応じて判断せなきゃならない。でも、あらかじめそうしたことが、できるだけ最小限におさまるようにすべきだろうということで、まず、先ほども聞いたのが、例の、きちんと業者に啓発しなさいよ、法の趣旨徹底しなさいよ、それは後で、やるときに、ちゃんと私に点検させてくださいよということも聞きましたけれども。
 実際、そうなると、いずれにしても、本法案からはこぼれ落ちてくるところが出てくるだろう、それは認識されていますかということなんです。それだけです。教えてください。
房村政府参考人 御指摘のように、この条文をつくりまして、私どもとしても周知の努力をいたしますが、すべての規約が理想どおりのものになるとは限らないということは、それは私どもも認識をしております。
植田委員 そこで、法務大臣にお伺いします。
 周知徹底に努力される、できるだけトラブルは最小限に抑えるような、その主体的な意思はわかりますが、現実に、今までいろいろなトラブルがありました。そのトラブルをできるだけ解消しようと三十条三項ができた。しかし、それをこしらえたけれども、まだやはり今回の、それだけでは解決されない問題もまたこれから出てくるであろう。仮にこの法案が成立して施行された後、恐らくそういう問題も出てくるでしょう。出てくるということは、やはり解決されていない、もしくはいないのではないかと考えることができるわけですから、引き続いて、この原始規約のここでの問題について、法の運用状況を見ながら適切に対処、検討する可能性はありますね。引き続きその法の運用状況を見ながらね。
森山国務大臣 改正法案は、規約の適正化を確保するための規定を新設しておりますが、この規定の新設によって、御指摘の、著しく不公平な内容の原始規約等により不利益を受けている区分所有者が救済されるものと期待しております。
 今後も、この規定の運用状況を注意深く見守り、その上で必要な検討を加えてまいりたいと存じます。
植田委員 できればこの法案で思ったとおりにいけばええけど、思ったとおりにいかへんところがあったら適切に検討するという趣旨で承っておきます。
 要するに、これは新たな問題がまた生起してくるかもしれませんので、そういう趣旨で、常にここのところについては、今後も改めるべきところは改めていくという主体的な意思を表現していただいたと理解しておきます。
 次に、幾人かの先生方が取り上げられておりますので、その辺はわかった上で、改めて、繰り返しになる部分をできるだけ省きますが、瑕疵担保責任のところです。これも、先ほどからの質疑の中でかなり丁寧に民事局長の方が御説明されていますので、その繰り返しはいいんです、もう大臣に伺うだけでいいんですが。
 確かに、共用部分の瑕疵担保責任による損害賠償請求権を売買に伴い移転するようにする、移転してはどうだろう、それなら解決するだろうという意見は十分承知されていたと思います。とりわけ、中古マンションを購入された方については請求権が認められないわけでございまして、そこの問題で、実際ここで、先に局長に聞きましょうか、現実問題、先ほどのやりとりの中で、これもそれぞれの事情に応じてやってもらうしかありません、民法の根本原則でありますというふうにおっしゃっていました。それはもう私わかっています。だから、民法の根本原則の話はいいんです。
 ただ、個々の事情に応じて解決できればいいですよ、まず、その問題が。されない場合はありますでしょう。とりわけ、中古マンションとして購入した後に、瑕疵があった場合、請求したいが請求権がない、では、一番最初に分譲マンションを購入された方を追っかけていって、それこそ、では、移転できますかという話をせぬといかぬわけですわな、ありていに言えば。でも、夜逃げ同然で行かはった人とか、いらはらへんでそんなのわからへんということになりゃ、これはそもそも手だてがない場面が出てくるんじゃないですかと。
 要するに、今のこの枠組みでは手だてがない場面はありませんかということを教えてください。それは、手だては、すべて解決できますか。要するに、実際、中古マンションを購入した人でそうした問題が起こったときに、何の手だてもなくて、指くわえてないかぬという場合もありますよねということだけです。
房村政府参考人 何の手だてもなくてという趣旨がちょっとわかりにくいんですが、法律的には損害賠償請求権をだれかに対して持つことは間違いありません。ただ、その損害賠償請求権の相手となった人が資力がなければ取りはぐれてしまう、あるいは逃げられてしまえば実行できない、そういうことは、それは常に理論的にはあり得ますので、そんな場合がないかと言われれば、それはそういう場合もございます。
植田委員 言い方が悪かったかな。私、法学部出身じゃないんでね、法律の話は苦手なんです。わかりやすくせぬと、局長にわかりやすい言い方をせぬとあかんのですね。
 もう一回言いますわ。要は、さっきからありましたけれども、マンションの建物に瑕疵があった場合、分譲側に損害賠償を請求できますね、請求できるけれども、請求権は直接その分譲業者から購入した人になりますよねということです。ですから、中古マンションとしてそれを購入した人には、その分譲業者に対する請求権がないわけですよね。ないでしょう、ないわけでしょう。もういいんです、うんで。うんでしょう、ないんでしょう。
 ほんなら、その結果、共用部分の瑕疵担保責任について、まあまあ売買に伴い移転するようにしたらええかといったら、それは民法の根本原則に反するとおっしゃった。それはわかりました。せやけども、実際、では、その権利を渡してもらう、譲渡してもらうことは可能ですわね、それは。可能だけれども、最初の購入された方にその権利を譲ってもらおうと思っても、最初の購入者が夜逃げしたりどこ行ったかわからへんというようなときに、今中古マンションを購入した植田君は途方に暮れますよね。だから、民法の根本原則には抵触しないとおっしゃるけれども、私は、その法の谷間で泣きを見ることになりますよね。泣かずに済みますか、教えてくださいと言っているんです。
房村政府参考人 先ほど申し上げた事例でいいますと、損害賠償請求権を売り主の方に留保して買う場合には、当然その分は買う額から差し引かれますので、それで経済的には損はないはずなんです、そういう合意でやる場合には。ですから、瑕疵があることを知らないで買った場合には、逆に売り主に対して買い主の方は直接売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及できる、そういう法律の仕組みになっておりますので。
植田委員 だから、問題になる場面は全くないんですかといったら、それは仕組みの話ですがな。でも、いや、そうじゃないですという場面が出てくるんでしょということだけ聞いているんですよ。あるでしょう、それはレアケースとして。全くないの。ないんですか、あるんですか、教えておくれやす。
房村政府参考人 すべての場合を想定しているわけではありませんので、それは全くないかと言われればあれですが、一般的に言えば、そうなる、だれかに対して持っている形になるはずです。
 それで、この問題で一番問題なのは、区分所有者に損害賠償請求権がないと管理人が一体として行使できないという、そこが問題でありまして、区分所有者の保護に欠けるかどうかというよりは、管理人がまとめて行使できるかどうかという点が一番問題になったわけでございます。
植田委員 要するに、私は、だから最初から、こぼれ落ちる部分がないんですか、だから、一滴か二滴か知りませんけれども、それはこれで抱えられへん問題になるケースも出てくるでしょうということを言っているんですから、そこは一般論で。よく勉強はできましたけれども、最初からそう言うてもろうたらいいんですよ、時間がかかって。
 最後、一問だけお伺いして。この瑕疵担保のところは、これも当然民法の規定に抵触しない形で、出てきた問題について対処できる、やはりその検討は引き続き運用状況を見ながらやっていただきたいと思っております。それはもう結構です、法務大臣。
 最後、これも質疑でも出てきておったと思うんですが、私も、国土交通大臣にも話を一言だけ聞いて終わりたいと思いますので、一言、御決意なり御見解を伺いたいのでございますが、改めまして、社民党の植田至紀と申します。お初にお目にかかります。
 大規模修繕費の支援措置の拡大なんですけれども、とりわけ建てかえ時の支援策については、恐らくこの国土交通委員会でも連合審査の前からいろいろ議論されていると思うんですが、とりわけ建物の長寿命化を図るという点での長期修繕計画への支援措置にかかわる全般的な総合的な法整備というものの必要がやはりあるだろうと思うんです。
 というのは、マンションの居住者にしてみれば、ニーズとしてはむしろ何十年たっても住めるマンション、建てかえというよりは、むしろ、長く住めるという方が需要としては顕在需要だと私は思います。むしろ、建てかえというのは、どっちかというとまだ潜在需要だろうと思うんですよね。それを今回のこの法案を通して顕在化させていきたいという意思もあるかもしれませんが、顕在化している需要に対してその支援措置についての法制度の整備、これは必ずしも具体的な答弁を期待しているわけではございませんが、決意をお示しいただければ結構でございます。
扇国務大臣 何度も同じ質問にお答えしておりまして、けさからも、いかに長もちをさせて品質保持をするかということ、先ほどもお答えいたしましたので、ありやなしやということであれば、あるということ。
植田委員 だから、法整備があるやなしやということであれば、あるということで承っておきます。
 法案対応については、提案者、政府の御要望に沿えないだろうと思いますけれども、以上で質問を終わります。
久保委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後零時九分散会
     ――――◇―――――
  〔参照〕
 建物の区分所有者等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案は国土交通委員会議録第二号に掲載


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