衆議院

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第1号 平成15年4月16日(水曜日)

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平成十五年四月十六日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
  内閣委員会
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
   理事 中沢 健次君 理事 山内  功君
   理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
      大村 秀章君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    金子 恭之君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    高橋 一郎君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    林 省之介君
      石毛えい子君    大畠 章宏君
      平野 博文君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君    江崎洋一郎君
  厚生労働委員会
   委員長 中山 成彬君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 鍵田 節哉君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君
      岡下 信子君    倉田 雅年君
      河野 太郎君    佐藤  勉君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      西川 京子君    平井 卓也君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    谷津 義男君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      渡辺 具能君    家西  悟君
      石毛えい子君    大石 正光君
      加藤 公一君    城島 正光君
      三井 辨雄君    江田 康幸君
      桝屋 敬悟君    佐藤 公治君
      小沢 和秋君    阿部 知子君
      金子 哲夫君    山谷えり子君
      川田 悦子君
  農林水産委員会
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    近藤 基彦君
      高木  毅君    西川 京子君
      宮本 一三君    後藤  斎君
      今田 保典君    齋藤  淳君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      堀込 征雄君    江田 康幸君
      高橋 嘉信君    藤井 裕久君
      中林よし子君    菅野 哲雄君
      佐藤 敬夫君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       亀井 善之君
   国務大臣         谷垣 禎一君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  小川  洋君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  梅津 準士君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           木谷 雅人君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局スポーツ・青少年総
   括官)          高杉 重夫君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           鶴田 康則君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         遠藤  明君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 食品安全基本法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――
佐々木委員長 これより内閣委員会厚生労働委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
 内閣提出、食品安全基本法案を議題といたします。
 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承を願います。
 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡下信子君。
岡下委員 おはようございます。自由民主党の岡下信子でございます。
 居並ぶ大臣の中で大変緊張しておりますけれども、限られた時間でございますので、早速質問に移らせていただきます。
 一昨年のBSEの発生を初めとして、昨年の外国産野菜の農薬の残留など、食品の安全にかかわる問題が相次いで発生し、食品の安全性の確保に対する国民の関心が従来にも増して高まっております。自民党では、食の安全確保に関する特命委員会を設置し、検討してまいりました。そして、昨年六月に、与党三党で食の安全確保に関する提言を行っております。小泉内閣では、食品安全行政に関する関係閣僚会議において、「今後の食品安全行政のあり方について」を取りまとめました。食品安全基本法案は、我が党と政府が一体となった取り組みの具体的な成果として高く評価するものであります。
 昨年六月、与党三党の食の安全確保に関する提言において、食の安全に関する不信と食品の多大な廃棄の現状に照らし、消費者の食に対する考え方を育て、食べ物が安全か危険かを見分ける能力をつける食育を推進するとされております。食育は、知育、徳育、体育とともに、健全な人間力を養う柱の一つとして、消費者やNPOとの連携を深めながら、一大国民運動としても展開すべき非常に大きな課題であると思います。
 このような認識のもと、自民党においては、食育を中心に、国民の心と体の健康を促進し、豊かな人格と健全な食生活を目指すという大きなテーマに向かって、食育調査会を立ち上げて検討を進めているところであります。私もこの会の一員として取り組んでおりますが、本日は、この食育について関係各大臣にお伺いしたいと思います。
 まず、食品安全基本法案の中で、第十九条に当てはまると思うのですけれども、食育がどのように位置づけられているのか、谷垣担当大臣にお伺いいたします。
谷垣国務大臣 今、岡下委員がおっしゃった食育は、食に関する知識、理解の増進、そのための幅広い意味での教育ということだと私理解しているわけですが、単に食品の安全性の確保というだけじゃなくて、栄養や健康に関する教育とか、あるいは食品への愛着などについての教育も含めた幅広い概念ではないかと思うんですね。
 私は京都の出身でございますけれども、京都でいえば、京野菜とか宇治茶というようなものがございますけれども、そういう自分たちのふるさとでとれた農産物に対する教育、愛情といったようなものも含まれているのではないかと思うんです。
 しかし、この法案の観点からいいますと、食品の安全性を確保するためには、国民一人一人の知識と理解を深めていただく、これが大切でございますし、それに関する教育や学習を振興していくということは、食品安全の上から非常に大きな意味があると思うんですね。
 そこで、今委員が御指摘になりました基本法案の第十九条に規定されているわけでございますけれども、基本的方針というのを決めていくわけですが、その基本的な方針の一つとして、食品の安全性の確保の観点から、教育、学習の振興等について規定しているわけですね。
 それで、食品安全委員会は、教育、学習の振興などを含めて、食品の安全性の確保について講じられる基本的事項、これを政府が定めていくわけですが、この基本的事項を定める際に意見を述べるということになっておりまして、その基本的事項の中で、関係者相互間の情報、意見の交換の企画、実施、こういうものを具体的に定めてまいりまして、今おっしゃった食育の観点からも施策を進めていく、こういうことだと理解いたしております。
岡下委員 ありがとうございました。
 では次に、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 食は、国民の心と体の健康を促進する上で重要な役割を担っております。先ほど谷垣大臣がおっしゃいましたけれども、風土と食べ物と心と体が直結している、すなわち、生まれ育った土地の食べ物が自分の体に一番よく合っているということは、多くの研究家から証明されているところであります。ところが、日本の伝統食、例えば御飯であるとかおみそ汁であるとかということが片隅に追いやられて、牛乳神話や、食が欧米化に偏って、食習慣の乱れから生活習慣病が増加して、したがって医療費もふえていくというふうに思われます。
 健康、寿命の増進の観点からも食育の重要性を考えますが、厚労省では食育についてどういうふうに取り組まれていらっしゃるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 先ほど谷垣大臣からもお話がございましたとおり、食育という言葉は非常に幅広い言葉でありますし、健康づくり、それから家族及び人間関係、そうしたものの育成、それから食育にかかわる人材の養成、そうしたものすべて含まれてくるんだろうというふうに思っております。
 具体的なお話ということでございますが、具体的には、食の安全に関する消費者との意見交換会、シンポジウムの開催というものをことしの予算におきましても取り入れておりまして、意見交換等は年八回ぐらいできる予定にいたしております。それから、平成十二年の三月に、文部科学省と農林水産省と連携いたしまして、食生活指針というものをつくっておりますが、その普及の活動。それから、人の問題も大事でございますので、管理栄養士の育成、それから食生活改善推進員などのボランティアの育成といったこともやりたいというふうに思っております。
 それから、先ほど申しましたように、家族形成でありますとか人間性の育成にかかわりますために、子供たちの食生活をどうしていくか、大変大事な問題だというふうに思いますので、栄養のバランスだけではなくて、食事をするときの環境でありますとか、そうしたことも含めて取り組みを進めていきたいと考えております。
岡下委員 次に、農水大臣にお伺いいたします。
 食の安全にかんがみ、生産者の取り組みへの消費者の理解を深め、消費者に信頼される食品供給体制の確立に貢献されていると思いますけれども、農水省は食育をどのように進められていらっしゃるのか、お伺いいたします。
亀井国務大臣 お答えいたします。
 今委員御指摘の、食品供給体制の視点から食育というのは大変重要な役割を果たすことではなかろうか、このように考えておるわけであります。
 食育につきましては、食生活の改善や食品の安全性等に関する正確な情報提供を通じ、栄養バランスの改善や、食べ残しあるいは廃棄の減少のみならず、食べ物を通じて、農林水産業や食品の生産、加工、流通に関する理解が深まっていくものであり、消費者、生産者の双方にとって極めて重要な取り組みである、このように認識をいたしております。
 このため、農林水産省におきましては、全国段階の取り組みといたしまして、マスメディア等の活用による、食品の生産や加工、流通に関する情報提供を含めた啓発活動の実施、毎年一月に制定した食を考える月間において、食を考える国民フォーラム等、食品の供給側の取り組みの観点も踏まえたさまざまな催しの集中的な開催等を推進するとともに、地域段階の取り組みといたしまして、農業生産、食品衛生、栄養改善など、食の生産から消費までをつなぐ各分野について知識を持つ食育推進ボランティアを約三万人育成し、これらボランティアの啓発活動に対する支援の実施、地域食材を通じて消費者と生産者とが情報交換を行い、相互の信頼関係を築いていくための地域交流を促す地産地消の推進等の多様な活動を、文部科学省や厚生労働省等の関係府省とも連携しながら総合的に展開をしてまいりたい、このように考えております。
岡下委員 今農水大臣がおっしゃいましたが、非常に文部科学省とも関連があると思いまして、食育を進める上で、子供のころから食について関心を持ち、みずから考える習慣を身につけることが重要であると思われます。
 例えば、ゆとり教育の中で体験学習をさせるときに、農作物を自分で植えて自分で育て、そして物の命とか人の命の大切さを学び取る。そして、収穫した食材を使って料理をつくることによって、食べ残しも少なくなるでしょうし、あるいはできるだけ食材を有効に使おうという心も働くでしょう。学校教育の中で食育はどのような方法で進められていらっしゃるんでしょうか、文部科学省にお伺いしたいと思います。
高杉政府参考人 食生活を取り巻く社会環境というのがやはり大きく変化しております。そして、現在の子供たち、先生いろいろ御心配のように、朝食欠食でありますとか、それから子供だけで食事をとるという孤食、それから偏った栄養摂取というような問題が生じております。
 私どもとしましては、生涯にわたって児童生徒が生き生きとした生活を送るということを目指して、一人一人が正しい食事のとり方、望ましい食習慣を身につけ、食事を通じてみずからの健康管理ができるようにする、それとともに、楽しい食事や学校給食を通じて豊かな心を育成する、そして社会性を涵養するということを目標として食に関する指導を充実してきております。
 学校においては、具体的には、家庭科でございますとか保健体育というような関連教科、そのほかに、先生今御指摘ありましたように、総合的な学習の時間で取り上げるというようなこと。そのほかに、給食指導の時間という特別活動の時間等を通じまして、さまざまな場で食に関する指導というのが行われてきております。
 私どもといたしましても、昨年、小学校の高学年用、それから中学校用の食生活の学習教材、これをつくりまして、小学校五年生、それから中学校一年生全員に配付をいたしました。また、ことしは小学校低学年用の教材の作成、配付を予定しております。そのほかにまた、関係者を集めてのシンポジウム、それから学校栄養職員の研修等、さまざまな場を通じまして、また関係省庁とも連携をいたしまして、今後とも食に関する指導の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
岡下委員 ありがとうございました。
 今、各大臣からお伺いいたしましたところ、各省それぞれに真剣に食育に取り組んでいらっしゃる様子がわかりましたけれども、これからは、この二十一世紀、大変食育というものが重要な課題になってくると思うんです。その各省の、縦じゃなくて横の連携を密にとりながら、そして、この食育が全国でどのように、各地でボランティアやら、それから民間も、みんなやっていると思うんですけれども、その各地でどのように功を奏しているかという途中の経緯も開示していただきたいと思いますし、それから、マスメディアを使って大々的に食育ということを広報、宣伝もしていただきたい、そのように思っております。
 最後に、谷垣大臣、総括いたしまして一言、これからの方針についてお伺いをいたしたいと思います。
谷垣国務大臣 食育は、先ほど申しましたように、非常に広い分野を含んでおりますし、また、どういうところで食育を推進していくかということも、家庭という場合もあるでしょうし、今御質疑がありましたように学校、あるいは職場、地域社会ということもあるかもしれません。ですから、役所間の連携も必要でございますし、ある意味での国民運動といいますか、民間にも幅広く呼びかけ、連携をとっていくというようなことが必要だろうと思います。
 この基本法案の中では、先ほどおっしゃった十九条を受けて、二十一条で基本的事項を定めるということになっておりますので、この中で具体的な進め方についてさらにきちっとしたものをつくっていきたい、こう思っております。
岡下委員 済みません。時間が参りました。きょうは本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
佐々木委員長 以上で岡下信子君の質疑は終了いたしました。
 次に、西川京子君。
西川(京)委員 おはようございます。自由民主党の西川京子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私は二〇〇〇年に衆議院議員に初当選させていただきました。そして、それこそ一、二カ月、時間を経ずに、すぐに雪印の牛乳の中毒事件が起きました。本当にそれから後、枚挙にいとまがないほど次々と、農政、農林水産、厚生労働、食を取り巻く環境の中での大きな大きな事件が次々とあったと思います。BSEの問題あるいはその後での牛肉の偽装問題、そして表示の問題、そして残留農薬の中国野菜の問題、無登録農薬の問題と、本当に一つの日本の食を取り巻く行政そのものが国民から厳しく問われたこの二年間であったように私には思えます。
 その中で、BSEが一つの大きなきっかけになったと思いますが、日本の農政あるいは厚生行政に関しての反省のもとに、特に農政を中心にして大きく、生産者中心から消費者、国民生活者中心に視点を変えた農政、厚生労働行政をしていかなければいけないという大きな転換が図られた。これは、その間の動きというのは、私も今までにない大変早い動きだったように思います。
 そういう方向の中で大変、国民にも今回の行政の動きというのはある程度評価されたと思うんですが、その反面また、私も農林水産委員会、厚生労働委員会に属しておりますけれども、特に日本の農政の将来、今の厳しい現状を考えたときに、そういう方向の転換について、あるいは生産者側の人たちがどういう受けとめ方をしているのか。そういう日本の農政の全体の、食料自給の問題とか、そういうことを考えると大変複雑な思いがあると思うんですね。そういう中で、私は、今回のこの、生活者、国民、消費者への食の安全ということが本当に日本の国民に対する私たちの一番の責任だという視点、これはやはり絶対正しい方向だと思っています。
 そういう中で、生産者、その他の流通業者の方たちが、それを、非常に負担がふえるというマイナスイメージでなくて、やはりそこに大きな活路を見出して、お互いが、先ほど岡下委員からもありましたが、そういうリスクコミュニケーションの大事さというのが一つの、みんなが同じ方向に向かっていくということが今回の食品安全基本法をつくった大きなねらいではないのかな、私にはそういうふうに思えます。
 そういう中で、今回審議を都度都度重ねてきた中で、皆さんの一番大きな関心事になっているのが、食品安全委員会の委員の構成という問題について随分、質問も都度都度出ておりました。当然、消費者側から、消費者の代表を入れるべきだ、そういう意見もあります。いや、これは純粋にリスク評価の問題であるから専門委員で構成すべきだというような意見があったと思います。
 この件に関して、食品安全委員会の七人の人選に関する問題を踏まえて、谷垣大臣から、基本的な視点の御意見もお伺いさせていただきたいと思います。
谷垣国務大臣 食品安全委員会の所掌事務は、今もおっしゃいましたように、主として、食品の人の健康に及ぼす悪影響と申しますか影響と申しますか、これを科学的に評価していこう、それに基づいて管理していく機関と分離しようというところにこの委員会のねらいがあるわけでありますので、委員会の委員については、法案上は、食品の安全性の確保に関して優れた識見を有する者のうちから七人、うち三人は非常勤という決め方になっておりますが、基本的に、食品の安全性について科学的判断をしていただくのにふさわしい方ということになると思います。
 具体的には、毒性学であるとか微生物学、あるいは有機化学、それから公衆衛生学、こういう分野の専門家。それだけではなくて、食品の生産の各段階で安全性を確保しなければなりませんので、食品の生産・流通システムなどの専門家であるとか、あるいは消費者意識、消費行動などの専門家、リスクコミュニケーションということを考えますと情報交流の専門家、こういう方の中から七人を選んで、的確に任務を果たしていただくということであろうと思っております。
西川(京)委員 ありがとうございます。
 やはりこの七人の方々、権限はともかくの問題として、各省に意見をきちんと勧告をするということで、大変大きな役割を担う方々だと思うんです。そういう中で、確かに、専門がゆえの一種の、失礼な言い方ですが、専門ばかというような、そういう方々では困る。やはり本当に幅広い常識、国民のサイレントマジョリティー、そういうものをきちんと把握した、常識を持った専門家の方々でないと困る、そういう思いを持っております。
 そういう中で、審議委員会なんかの今までの過程の中では、常時、年に何回か会議を開いて、そこで御意見を伺うというシステムだったと思うんですが、常勤の四人という方々のイメージ、常勤で、そういう御自分の専門の勉強をおいて常にこの委員会の中でお仕事をするというイメージがちょっと私には、なかなか具体的につかめないんです。
 そのこととともに、専門調査会のメンバーの中にぜひもっと消費者代表、本当に、普通の国民代表のような方々を入れていただきたいなという思いがありますが、七人の委員の方々の仕事の少し具体的なイメージというのを聞かせていただけたらありがたいと思います。
小川政府参考人 食品安全委員会の所掌事務につきましては、大まかに言いまして三つございます。一つは、平常時におきます食品健康影響評価、いわゆるリスク評価の関係の業務でございます。それから二番目は、食品事故などの緊急時への対応でございます。それから三番目は、これらを通じまして関係者相互間での情報や意見の交換、いわゆるリスクコミュニケーション、これを実施するということが挙げられるわけでございます。
 委員会として審議を七人でやる以外に、委員の業務といたしまして、常勤委員が中心となって対応していくであろうというふうに考えられます業務につきましては、個別リスク評価を担当いたします、お尋ねのありました専門調査会に対します指導や助言、それから、リスク評価の結果に基づきます施策の実施状況の監視、それから、収集された危害情報の確認、全国各地で実施されます種々の意見交換会、リスクコミュニケーション、いろいろな形がございますが、それへの出席、あるいは外国要人への対応、それから、みずから国際機関のいろいろな委員会に出席をしたりするということもございます。それから、緊急時の場合の初動、立ち上がりのところとか、そういった多様な業務というものを常勤委員が担うことになろうかと思います。
 こういった学識経験豊かな専門分野の七名を支えるためにお尋ねの専門調査会というのが置かれるわけでございますけれども、これは、個別具体的な検討を行うものでございまして、非常勤の各分野の専門家の方々によって構成をされる、そういうふうに考えてございます。
西川(京)委員 結局、具体的にその実働のイメージが私たちにちょっと、なかなかつかめないというようなところがありますので、今後、本当に大きな、具体的成果が生まれるような方向でぜひお願いしたいと思います。
 次に、リスクコミュニケーションのことについてちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほど岡下委員からも、食育の問題なども含めて、そういう大きな、広い意味でのリスクコミュニケーションということのように私は理解しております。
 その中で、もちろん今、評価委員会の中で出てきたいろいろな情報なりなんなりを、透明性あるいは公開性を非常に確保しながらリスクコミュニケーションというのをしていなければいけないのは当然のことなんですが、実は、中国の残留農薬の野菜の問題で、あのときに、去年ああいう大きな問題になってまいりましたが、一昨年の暮れに中国大使の方から外務省に電報が入った、中国で大変危険な状況が多々あると。そういう中で、農水省の方にもあったはずですが、いっとき余りその問題がきちんと表に出てこなかった、これはやはり大きな問題だったと思うんです。
 そのときに、私は、数名の議員さんと一緒にその問題を即、記者会見いたしました。報道各社みんな来てくださって、大変危険な中国野菜がいっぱい入ってきている問題についての記者会見をいたしましたけれども、結局、書いてくれたのは、小さく、産経新聞が一社だったという現実があるんですね。そういう中で、報道の仕方ということもこのリスクコミュニケーションの中での大きな問題を含んでいると私は思っております、とかく、実際に報道の姿勢によって大事なことがきちんと新聞の方にも出ていかないという現実を私自身が体験したものですから。
 そういう中で、実は、センセーショナルなものをぱっと報道する、そういう姿勢では困るのであって、報道の人たちも一緒にこの食品の安全ということを、きちんと知識を蓄積していっていただかないと困る。あるいは、生産者や流通の方はもちろんのことでございます。そして、消費者自身も権利を主張すべきだという意見も大変ありますが、それ以上に消費者の方も、そういう単発的なことだけをぱっと問題にするのでなくて、この食の安全、日本の食料の問題ということをお互いが本当に勉強し合うということがリスクコミュニケーションの一番の大事な点だと思います。
 このことに関して、谷垣大臣の根本的認識というんでしょうか、その辺をぜひお聞かせください。
谷垣国務大臣 先ほどからの御議論のように、リスクコミュニケーションあるいは食育と言われておりますものも、食品の安全性を高めていく上にもこれは極めて大事なことでありますとともに、やはり、安全、安心ということが言われますが、食品安全行政に対する信頼感を持っていただくためにも、情報を公開してお互いの知識や認識を共有化していくという作業が不可欠なのではないかな、そのことがまた行政の質も高めていくということになるのではないか。そういう意味において、リスクコミュニケーションというのは極めて大事だと私は思っております。
 そこで、食品安全委員会としては積極的にこれを進めていかなければならないわけですが、やや具体的に申しますと、まず、食品安全委員会の持っております食品のリスク評価に関するいろいろな認識なり、どういう優先順位でやっていくかというようなことを、やはりわかりやすくホームページなどを活用して出していかなければなりませんし、また、それに関して一般消費者からの御意見というのも十分に聴取するといいますか、受け入れるということでなければならないと思います。
 それから、リスク評価機関としての食品安全委員会だけではなく、リスク管理を行っていただく機関も含めて幅広い関係者が参加して意見交換等を行って、認識あるいはいろいろな問題意識を共有していくということも必要なのではないかと思います。
 それから、それぞれリスク管理機関もリスクコミュニケーションを行っていただくわけでありますけれども、政府全体としてはばらばらではいけないので、やはりお互いの連携というものをリスクコミュニケーションにおいてもどうしていくかということを考えていかなければならない。
 それからさらに、今の御意見のように、リスクコミュニケーションと横文字を使って簡単に申しますけれども、これには一体どういうより望ましい、より実効性のある手法があるかというのも、こういうリスク分析の手法を取り入れた、今まで全くなかったわけじゃないですけれども、自覚的に取り入れるということになりますと、その手法についても、どういうよりよいものがあり得るのかという研究が必要だろうと思います。
 こういうことを食品安全委員会としても積極的に取り組んでいきたい、こう思っております。
西川(京)委員 ありがとうございました。
 済みません、ちょっと時間が来ていますけれども、もう一問だけよろしくお願い申し上げます。
 今回の食品安全基本法の策定にかかわりまして、リスク管理という面で、まさに農水省の行政が問われていると思います。
 BSEの問題で、牛肉を中心にトレーサビリティーのシステムをきちんと確立するんだという一つの動きが出ておりますが、このトレーサビリティーの問題、牛肉に関してはある程度可能でしょうが、現実にはその他のいろいろな問題、生産なり、野菜、例えばお茶なんかは、生産、つくっているところはそうだけれども、加工するところは別で、そこのところの産地名になる、しかし加工技術がおいしいお茶をつくるのだという、その辺の仕分けが非常に難しいというような問題もあると思うんですが、農水省のトレーサビリティーに対する取り組みについて、ぜひ農水大臣から一言お願いしたいと思います。
佐々木委員長 亀井農林水産大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
亀井国務大臣 牛肉につきましては、生産から流通、消費の各段階で、個体識別番号等により個体情報が正確に伝達されるための制度の構築、これを実施するわけであります。
 また、米や野菜など牛肉以外のものにつきましても、食品の種類ごとに、その食品の特性や流通の実態に合ったトレーサビリティーシステムの開発や、ITを活用したモデル的な取り組みを支援するための情報関連機器の整備等に対する助成を行う、あるいはまた、任意の制度として、食品の生産過程に関する情報を正確に伝えていることを第三者に認証してもらうJAS規格制度の導入を検討するなど、食卓と農場を結び、顔の見える関係の構築に努めてまいりたい。そして、生産者、流通業者の自主的な取り組みが行われることを基本に、必要な支援をトレーサビリティーシステムを通じてしっかりやってまいりたい、こう思っております。
西川(京)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
佐々木委員長 以上で西川君の質疑は終了いたしました。
 次に、鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 私は、きょうは大変歴史的な日だと思っていまして、日本で初めて食品安全基本法というのが提案されるわけですが、ちょうど明治以来百三十五年間、戦後の食糧難も含めて、ある意味では、ひたすら生産奨励をやっていた。ちょうど明治百年に当たる一九六七年、これが米が初めて過剰になった年なんですね。それから減反政策が始まった。したがって、生産レベルからいうと、そこが途上国から日本が先進国になった節目だと言われていましたが、消費者行政の方はそれから三十年足踏みをして、やっと今になって消費者保護を視野に入れた食品安全基本法が提案される。つまり、食品安全行政の方も、きょうをもってある意味では先進国段階に入りますという世界に向けた宣言だろうと思って、私は大変きょうは歴史的な連合審査だと思っています。それで、基本法をつくる以上は、やはり世界に冠たる立派な法案をつくりたいという立法府の一員としての思いでの質問をさせていただきます。
 初めに、この法案をつくった実務レベルの責任者、内閣府のどなたが実務レベルの責任者なのか、まずそれをお伺いしたい。
谷垣国務大臣 食品安全委員会準備室というものを、これは昨年六月でしたか、つくりまして、そこが中心になって作業をしてきたということでございます。
鮫島委員 そうすると、準備室長の梅津さんだと思いますが、梅津さんの今の食品安全委員会設立準備室に来る前のポジションは、どこの役所のどういうポジションだったんでしょうか。
梅津政府参考人 昨年六月十一日、今の準備室の併任を拝命するまでは、農水省生産局畜産部長を拝命しておりました。
鮫島委員 少し実務の責任者に法文の意味するところをまず事前に、概念規定に関することなのでお伺いしておきたいんですが、第八条に食品関連事業者の責務というのがうたわれていますが、食品もしくは添加物云々の「生産、輸入又は販売その他の事業活動を行う事業者(以下「食品関連事業者」」というふうに書いてありますが、これを読むと、農業者はこの食品関連事業者に入るんでしょうか。
小川政府参考人 八条で言うところの食品関連事業者に当たります。
鮫島委員 ついでに、では漁業者も入るかどうか。それから、畜産農家も入るかどうか。特に肉牛生産をしている畜産農家も入るかどうか。
小川政府参考人 御指摘の事業者はいずれも入るというふうに書いてあります。
鮫島委員 そうしますと、この八条で言う「食品(その原料又は材料として使用される農林水産物を含む。)」とありますが、では、この八条で言う食品の中に生きた牛は入りますか。
小川政府参考人 この食品の後に、「その原料又は材料として使用される農林水産物を含む。」というふうに定義を置いてございますので、含まれます。
鮫島委員 わかりました。生きた牛も、生きた豚も、生きた鳥も、みんな含まれるということだと思います。
 作成の実務責任者にお伺いしたいんですが、総則の二条に「定義」というのがあって、「この法律において「食品」とは、すべての飲食物(薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品を除く。)をいう。」ものとすると書いてありますが、これに牛は入るんですか。
小川政府参考人 二条の定義はすべての飲食物ということでございますので、人が摂取するものということでございますので、入りません。
鮫島委員 そうすると、同じ一つの食品安全基本法という法律の中で、二条で定義する食品と八条で定義する食品とが全く違うということになりますが、これはだれがつくったんですか。
小川政府参考人 二条の食品の定義でございますけれども、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品以外のすべての飲食物というふうに定義をさせていただいております。
 先生御指摘の八条でございますけれども、そこでは、関連事業者の責務という規定でございますけれども、生鮮食品であります農林水産物というのは、当然人が直接摂取するということでございますので食品に該当するわけでございますけれども、食品に原材料として使用される農水産物は該当しないことになってしまいますので、食品の安全性の確保という観点から、事業者の責務を決める場合には原材料であってもこれを含めて考えるべきだということで、食品の中に原材料として使用される農林水産物も含むということで、八条に規定を置かせていただいたところでございます。
鮫島委員 私は別に因縁をつけているわけじゃなくて、食品供給行程の各段階というのが非常に大事なキーワードになってくるわけです。ですから、その食品供給行程の各段階といったときに、例えば牛の飼養管理というようなところまでが入るのかどうかというのがこの食品の定義と関係してくるわけで、大体、一個の法律の中で、同じ食品という言葉の定義が全く違ってなされているなんという法律は見たことがない。これは最初からダブルスタンダードの法律みたいな感じになっているんですね。
 それで、食品の定義、食品関係の法律、食品リサイクル法、食品流通構造改善促進法、農林漁業金融公庫法、HACCP、食品衛生法、いろいろありますが、全部、押しなべて食品の定義というのは飲食料品のうち医薬品及び医薬部外品を除くというふうに共通に定義されているんですが、この基本法の第八条だけ原材料を含むというふうになっていて、これは大変大きな深い意味を持っている。これに基づいて、ですから生きた牛も食品扱いしますよ、それから食品関連事業者に漁業者も農業者も入ると。
 この食品安全基本法の視野の中には牛の正しい飼い方までちゃんと入っていますよということだったら、この食品安全基本法で言う食品の定義は、むしろ八条に合わせて原材料も含むというふうに全体を通しておかないと、ある部分では食えるものだけ、本当は食品の一番簡単な定義は食ぜんに供されるものというのが生活感からいうとぴんとくると思いますが、生きた牛を食ぜんに供するということは普通余りない。ですから、この法律では食品という概念を非常に幅広く定義していますということで全部貫かないと、ある部分については食ぜんに供されるものという意味の食品を使い、ある部分では原材料まで含むというふうに使われると、この法律全体の意味するところが非常にわかりにくくなるんですが、その辺、何かもうちょっと整理してもらえませんか。
小川政府参考人 先生御指摘のとおり、食品というのは、人が通常食物として摂取するものというのがそれを総称する概念であろうと思います。
 ここで八条と二条と差異を指摘されてございますけれども、四条に、いわゆるフードチェーン、食品供給行程の各段階で適切な措置を講ずるということで、先ほど言いました食ぜんに上るということですが、農林水産物の生産から食品の販売に至る一連の供給行程の各段階で食品の安全性、つまり口に入るものの安全性の確保のための必要な措置が講じられなければならないというふうに書いてございます。
 その担い手の一つの主体としまして関連事業者というのがいらっしゃるわけでございますが、前提としては、食品というのは先ほど言った定義で貫いておるわけでございますが、関連事業者ということでいきますと、食品のフードチェーンの農林水産物の生産からスタートいたしますので、そういう形で、直接食ぜんに供されないけれども、原材料はその八条について規定をしていく。
 そういう意味では、ある条項について、その定義を、あるものを追加したりあるものを減らしたりするというのは、立法例としてもございます。
鮫島委員 それだと、全部のこの括弧がついていない食品というのは、いわゆる従来の食品、すぐ食べられるものという意味で、括弧の八条の食品だけが違った意味ですよということなんですかね。
 それで、食品供給行程の各段階には、例えば牛の飼養管理も、各段階のうちのスタートということで入るわけですね。そうすると、えさの健全性や何かも当然視野に入る。
 それから、漁師が魚を釣るときに、沖縄なんかは、サバニという少しカヌーの大きいような船で行って、サンゴ礁の周りのところで魚をとってそのまま帰ってくるときに、何にもないんですよ、ただくりぬいたような木の船ですから。そうすると、がんがん直射日光に当たって、着いた後たばこを吸って話でもしていると、アオブダイという、方言でイラブチャーという魚の内臓なんかが少しおかしくなってくる。そういう水産物に関しても、もう釣った途端から食品供給行程の最初の段階というふうにみなすという考え方でよろしいんですか。それでいいかどうかだけ。
小川政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。
鮫島委員 この法律が生まれる背景には、多分、二〇〇二年の四月二日にBSE問題に関する調査検討委員会の報告が出まして、とにかく日本も不幸なことにBSE発生国になってしまった、その後専門家を集めた調査検討委員会が十一回にわたって行われ、二〇〇二年の四月二日に最終的な報告が出されたわけですが、そのときに、この法律に関係すると思われる非常に大きな指摘が二点なされています。
 一点目は、BSEの発生の背景となった問題の一つに、農林水産省と厚生労働省の連携不足、いわゆる縦割りの弊害があったということが指摘されています。それから二点目は、こういうBSEの発生を踏まえて、日本の食料、食品行政を点検したところ、消費者保護の姿勢が弱い、生産に傾斜し過ぎている。したがって、新しい消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための法律が必要です、そしてまたそれをとり行う新しい行政組織の構築が必要ですということが提言されて、恐らくこういう内容を受けて食品安全基本法の作成という方向になったと思いますが、この食品安全基本法提案の背景には、このBSE調査検討委員会の報告書があったというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
谷垣国務大臣 鮫島先生御指摘のとおりだと思います。
鮫島委員 そうすると、それに沿って幾つか質問しますが、農水省と厚生労働省の連携不足があった、これがBSEの発生と微妙に関係しているという指摘があったわけです。
 ちょっとその前に、せっかく梅津さんがいらっしゃるので、前、農水省の生産局の畜産部長をやられていて、今度、食品安全委員会の設立準備副室長というキーポジションを歩いておられるわけですが、日本では、BSE、狂牛病の発生の原因が肉骨粉であるということをいまだに確認されていませんね。梅津さん、いかがですか。
梅津政府参考人 準備室の副室長の梅津でございます。
 BSEの発生原因につきましては、発生直後から多角的に、川上や川下に至る調査を続けてまいっているというふうに承知しております。その結果、今先生御指摘の肉骨粉を含めて、幾つかの可能性の強いものに今絞り込まれてきておるというふうに伺っております。それについて、疫学的視点も含めて、科学者あるいは専門家のチームによって、さらに今もなお感染原因の研究、分析が進められているというふうに承知しております。
鮫島委員 七頭の患畜が発生して、少なくとも飼育していた農家は、私の牛に肉骨粉なんか与えた覚えはないと、いずれもそう言っているわけですね。疫学的な調査からいうと、唯一共通のえさを食べていました、それが群馬の科学飼料研究所がつくっている代用乳だったと。しかしメーカーは、うちの代用乳にそんな怪しげなものは一ミリグラムたりとも入っていないと。一方で、農林水産省が、海外からの肉骨粉の輸入等々について汚染肉骨粉が入っているかどうかを調べたけれども、汚染肉骨粉が日本に上陸しているという証拠をつかむことはできなかったと。行政の側もメーカーの側も農家の側も、肉骨粉はないと言っているわけです。しかし、七頭のBSE牛が発生したという厳然たる事実だけがある。つまり、だれかがどこかでうそをついているということですね。そういう背景の中で、今、食品安全基本法が提案されている。
 それから、O157でお子さんが一人、きのう亡くなられたのかな、本当はO157の方が健康被害からいうと私ははるかに重いと思います。このO157についても、これは厚生労働省が大変意識が低かったんだと私は思いますが、当時の厚生大臣は我が党の党首なものですから余りきついことは言いにくいんですが、つまり、O157の原因がカイワレ大根であるかのような印象を国民に与えたのです。
 今またO157で死者が出ましたという話になると、カイワレを初めとして、野菜サラダだとか生野菜に変な風評被害が行かないとも限らない。O157がカイワレだなんという非科学的なことを厚生労働省は喧伝したんですね。
 それはいかにもBSEの、人間が新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症したときに、それの原因はコンソメスープですと言うのに等しいんですね。つまり、本当は汚染肉骨粉なのに、それを使った製品――カイワレ大根も、O157は牛の腸の中にしかいないことはわかっているわけだから、どこかでその糞尿がカイワレを生産する水にまざって、そのO157でカイワレが汚染されて、カイワレにはただO157がたまたま乗っかっていただけ。もともとどこにあったかといえば牛の腸の中にあったことは当たり前で、カイワレに大腸があるわけないわけですから、大腸菌のO157がカイワレ起源だというような印象を与えたことは、私は非常に、厚生労働行政の大汚点だと思いますが、余り党首批判になるといけないので、これ以上言いませんが。
 そういうようなかなりお粗末な状況の中で今この論議が行われているわけですが、調査検討委員会で指摘された、厚生労働省と農林水産省の連携不足があったというふうに言われていますが、厚生労働大臣、農林水産大臣、それぞれ、食品安全行政の分野でBSE発生までの間にどういう連携不足があったというふうに御認識しておられるのか、改めてお伺いしたいのです。
坂口国務大臣 今お話しいただきましたように、BSE問題に関する調査検討委員会報告におきまして、厚生労働省と農林水産省との間の連携不足が指摘されているとおりでございます。
 その中に、主なものは、二つございまして、一つは、先ほどから肉骨粉のお話が出て、それがどうなのかという問題がございますけれども、WHOの肉骨粉の禁止勧告につきましての農林水産省への伝達のあり方。これは、WHOからの勧告があって、それを伝えるのは伝えたというんですけれども、明確に、これが非常に重要なサインであるという的確な伝達の仕方がされていたかどうかということが問われたというふうに思っております。
 それから、EUステータス評価への対応への農林水産省との協議の仕方というのがもう一つございました。
 これは、農林水産省に対して厚生労働省が、健康の立場からもう少しこれは注意をしなければならないのではないかという厚生労働省としての意見を明確に言わなかったということを御指摘であろうというふうに思っております。そこは、専門的な立場で、他の省庁にかかわることであったとしても、言うべきことはきちっと言わないといけないではないかという御指摘であったというふうに思っております。
 この二つのことを踏まえてこれからの対策を講じていきたいというふうに思っておりますし、担当部局間の連携を緊密に行うということをこれからしっかりとやっていかなければならないというふうに思っております。
亀井国務大臣 BSE問題に関する調査検討委員会の報告書では、農林水産省と厚生労働省の連携不足に関し、一九九六年三月二十日の英国の海綿状脳症諮問委員会において変異型クロイツフェルト・ヤコブ病とBSEとの関連性が指摘され、同年四月三日、WHOが反すう動物の飼料への反すう動物の組織の使用禁止の勧告をしたにもかかわらず、農林水産省は厚生労働省に意見を求めず、また、厚生労働省は、適切な対応がなされるよう要請したものの、より明確に意見を言わず、結果的に行政指導のみで済ませたこと、また、二〇〇一年、EUのステータス評価に対し、EUの基準が、国際獣疫事務局、OIEの基準とかけ離れていること等から評価の中止を求めた際にも、農林水産省は十分な協議を行わず、厚生労働省は明確に意見を言わなかったこと等について指摘を受けたところであります。
 現時点で振り返ってみれば、両省間の連携が十分行われていれば、肉骨粉の飼料使用についての法的規制や、BSE発生を想定したマニュアルの作成を行うことができたのではないかと考えられるところであります。
鮫島委員 坂口大臣の答弁はわかりますが、何となく亀井新大臣の答弁は、厚生省がちゃんとアドバイスしてくれなかったのが悪かったというようなふうに聞こえますが、では、ちょっと厚生労働省と農水省の感覚のずれというか、その検証のために、一点だけお伺いしたいのです。
 かねてからBSEの感染経路の解明との関係で、死亡牛、廃用牛の検査をすべきだということは私は発生直後からずっと言ってきたのです。それは、感染牛の発見の頻度が、死亡牛の集団からは、屠畜場に運ばれる集団に比べて三十倍の頻度で患畜の発見があるという、ヨーロッパでの事例がありましたから、私は、日本でBSEが発生した直後、最初、農林水産委員会での質問は十月だったと思いますが、直ちに死亡牛、廃用牛の検査をすべきであると提言してきましたが、やっとことしの四月一日から、北海道を除く地域で死亡牛の検査が始まった。来年の四月一日から北海道もやっと入ります。ですから、来年の四月以降、やっと全国での死亡牛の検査体制が整います。
 そうしますと、汚染されたボディーというか牛の死体は全部焼却されることになるから、もう一度、そこからできる肉骨粉は全部きれいな肉骨粉。それで、今、果樹農家、園芸農家からは、有機質肥料としての肉骨粉入りの固形粉末肥料の解禁の要請が大変強いと思います。また、水産養殖に携わっている方々からも、えさとして、ウナギやハマチの養殖なんかに、ビタミン、ミネラルが豊富な肉骨粉入りの餌料の解禁も望む声も強いと思います。
 来年四月一日から死亡牛も含めた全頭検査が行われて、汚染した屠体、汚染した牛の死体が一切肉骨粉の原料にならないという体制が整うわけですから、そうなったら農林水産省は、有機質肥料への利用や、えさとして、反すう動物から反すう動物へというのはすぐ解禁しないと思いますが、少なくとも水産生物へのえさとしての利用を解禁するつもりがあるかどうか。それから、厚生労働省は、石けんの原料として、獣脂の解禁を来年四月一日以降はするつもりがあるかどうか。それぞれお答えください。
亀井国務大臣 OIEは、BSEにその感染メカニズムを含め科学的に解明されていないことがあることから、BSE発生国が清浄国になるための条件として、反すう動物への肉骨粉等の給与が八年間禁止されていることを求めているわけであります。
 したがって、死亡牛の検査体制が整ったからといっても、牛の肉骨粉の飼料利用を解除することは困難と考えております。また、牛への誤用、流用のおそれもある肥料利用についても慎重に検討する必要がある、このように考えております。
 なお、牛の肉骨粉の飼料利用を禁止している牛海綿状脳症対策特別措置法においては、その規制のあり方について、「牛海綿状脳症に関する科学的知見に基づき検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるもの」と規定されていることから、科学的知見に基づき対応してまいりたい、このように考えております。
鶴田政府参考人 平成十三年十月以降、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の原料に使用される牛等の由来原料につきましては、一つは、BSEの発生国、発生リスクの高い国及びBSEリスクが不明の国を原産国としてはならないこと。二点目は、原産国にかかわらず、脳、脊髄等の十四のリスクの高い部位を使用してはならないこと……(鮫島委員「時間がないから、ちょっとそれは余計なことだから」と呼ぶ)はい、わかりました。
 国産牛に由来する油脂を含む原料は、原則として、使用できないこととしております。
 ただし、油脂を分解して生成される脂肪酸及びその誘導体につきましては、EU科学運営委員会の定める処理方法に従いまして高温、アルカリ処理されている場合は、EUでのリスク評価に基づいて、原産国を問わず使用できることとしております。御指摘の石けん等の化粧品に使用されている原料についても、同様でございます。
 なお、BSE対策については、化粧品の原料についても、薬事法の規制のもとで医薬品と同じ水準での規制を行っているところでございまして、BSEの発生国、発生リスクの高い国及びBSEのリスクが不明な国を原産国とした原料については、引き続き、原則、使用を認めないという方向でございます。
鮫島委員 ちょっと、四分間使って、僕は何も世界のことを聞いたわけじゃなくて、来年四月一日以降この我が国日本で化製工場でできる獣脂を石けんの原料として使うことを解禁するつもりですかどうですかと聞いただけで、当面は解禁しませんと言えば五秒で済むのを、そんな時間をとらなくていいです。
 農水大臣にちょっと言っておきますが、ずっとこの間、農水省は、OIEの基準あるいはOIEの勧告ではということをしょっちゅう使うんですが、ずっと一連の経過を見ていると、あるときはOIEの勧告をにしきの御旗に使い、あるときはOIEの勧告を完全無視してきたんです。例えば、死亡牛の検査、最初からOIEは早くからやれと第一優先事項的な言い方をしていたのに、ずっとそんなことは、OIEからそう言われていますなんということは一言も言わずに、梅津前畜産部長もいますが、とにかく死亡牛検査を疑惑牛が死に絶えるまで延ばしてきたというのが実態です。
 私は、残念ながら、死亡牛から、感染経路を解明する上ではまことに貴重な手がかりであったBSEの死亡患畜というのは、恐らく日本は発見できないんじゃないかと思います。北海道で後一年延ばしちゃったら、九六年に怪しい肉骨粉入りの飼料を食べた牛は多分死に絶えるでしょう、すべて。そうしたら、日本だけが死亡牛からBSE患畜が発見できませんでしたという珍しい国になるのではないかと思います、獣医さんの北村さんは別の感覚をお持ちかもしれませんが。
 次に行きます。
 それからまた、BSE調査検討委員会の報告書で、各省庁との調整機能を持つ食品安全行政機関を設置することが提言されていますが、この食品安全委員会というのは今の縦割り行政の弊害除去のための調整機能というものを持つのでしょうか。
谷垣国務大臣 二十三条に所掌事務の規定がございまして、その中に、食品安全委員会は、具体的なリスク管理は行わないわけですが、関係大臣から諮問を受けて食品健康影響評価を行う、それから、その結果に基づいて関係各大臣に勧告すること。これは三号ですね。それから、リスク管理措置の実施状況を監視して、必要があればさらに勧告をすることといった役割が担わされておりまして、こういう権能を通じて、食品安全行政を担当する、特にリスク管理を行う省庁との政策調整が図られるというふうに考えております。
鮫島委員 この食品安全委員会の機能を解説する宣伝資料の中には、食品安全委員会は、各省庁間で政策調整に関する取り決めを結び連携強化を図る、これの触媒役になるということが宣伝文句として言われていますが、各省庁間で取り決めを行わせるというようなことは、今の二十三条で読むんですか。
谷垣国務大臣 今の二十三条と、それから、基本的事項を定めるということになっておりますが、その際に意見を述べる、こういうことであろうと思います。
鮫島委員 私は、一番大事な条文は十五条じゃないかと思うんですよ。
 つまり、食品供給行程の各段階において、食品の安全性の確保のために、関係行政機関の相互の密接な連携のもとに、これを行わなければいけないというのが第十五条で決まっているわけです。これを根拠として、食品安全委員会が、この実効性が担保されるように取り決めを結ばせたり、いろいろな触媒役をしますということではないかと思いますが、違うんですか。
谷垣国務大臣 私が申し上げましたのはやや個別のことでございまして、さらに大きな精神というところであれば、この十五条というのは、委員の御指摘のように、極めて大事な基本となる規定だと思います。
鮫島委員 諸外国、ヨーロッパ、イギリス、ドイツ、フランス、それぞれBSEの発生を大変深刻に受けとめて、恐らく中世のコレラの大発生と同じぐらい深刻な受けとめ方をしたと思いますが、それで食品安全行政をしっかり確立しなくちゃいかぬということで省庁の再編あるいは大胆な行政改革、それぞれ踏み切ったと思いますが、イギリス、ドイツ、フランスがどういうレベルの組織改革を行ったのか、組織再編を行ったのか。時間がだんだんないので、どういうレベルの組織改革を行ったのか、そのレベルをお答えいただきたいんです。
小川政府参考人 手短にお答え申し上げます。
 イギリスでは、二〇〇〇年の四月でございますけれども、保健省と農漁食料省を再編いたしまして、食品のリスク評価と管理、両方を行います食品基準庁をつくりました。
 それから、フランスでございますけれども、農漁業省それから雇用社会連帯省及び経済産業省三省が行っておりましたリスク評価とリスク管理につきまして、九九年四月に一元的なリスク評価を担当する食品衛生安全庁、いわゆるAFSSAというものを設置いたしております。
 ドイツでございますけれども、二〇〇一年の一月、連邦食料・農林省、連邦保健省及び連邦経済・技術省三省を再編いたしまして、食品に関連します消費者保護行政と農業政策との密接な連携のもとにこれを進めていくということから、連邦消費者保護・食料・農業省を設置いたしております。さらに、昨年の十一月でございますけれども、リスク評価とコミュニケーションを担当いたします連邦リスク評価研究所、それと、リスク管理を担当する連邦消費者保護・食品安全庁に再編をしてございます。
 以上でございます。
鮫島委員 ヨーロッパの各国は、大変踏み込んだ再編、食品安全行政の確立のため、消費者の安心、安全を保障するためにかなり大胆な組織再編を行っていますが、日本の場合は、非常に小ぢんまりとした食品安全委員会を設置して、これで事足れり、十分だというふうに思っておられるのかどうかよくわかりませんが、この食品安全委員会は今度リスクアセスメントをやって、それに基づいてリスクマネジメントが行われる。食品安全委員会自身はリスクマネジメントの機能は持っていないんだと思いますが、それぞれの産業省庁、農林水産省、厚生労働省がリスクマネジメントをやる。
 それで、食品安全委員会は適正に行われているかどうかを監視する役だと思いますが、また先ほどの宣伝文によりますと、食品安全委員会はリスク管理状況についてのモニタリングを行うというふうに書いてありますが、二百人の専門委員、事務局員五十四人という体制で、農水省や厚生労働省が行っているリスクマネジメントをどこまで具体的に食品安全委員会がモニタリングできるんですか。だれがやるんですか、このモニタリングの実務は。
梅津政府参考人 モニタリングの具体的内容でございますけれども、関係行政機関からのヒアリングや資料提出による情報の提供、それから消費者等からの情報提供、あるいは委員会独自の食品安全モニターを募集することも計画しております。さらに、市販の食品などの分析データの収集、つまり食品中にどういう化学物質の残留や微生物の汚染があるか、こういった情報を収集しまして、それらを通じましてモニタリングを実施してまいることを想定しております。
鮫島委員 そうすると、ここで言う食品安全委員会が行う予定のリスク管理状況についてのモニタリングというのは、例えば厚生労働省の所管に入る各保健所が地域でどのぐらいきちっとリスクマネジメントに基づいた行動をしているか、あるいは、農林水産省の今度できる食品安全局ですか、何か食糧庁が変わるその組織が、どのぐらいその検査官を使って、食品安全委員会が提案したアセスメントの趣旨に沿ってきめ細かい正確なリスクマネジメントをやっているかどうか、それを監視するということではないんですね。つまり、農林水産省、厚生労働省の具体的なアクティビティーを監視する、それをモニターするという内容ではないということですか、今の御答弁は。
梅津政府参考人 若干舌足らずでしたが、関係行政機関からのヒアリングや資料提出による情報提供、これは、ただいま御指摘の、現場に近いリスク管理機関におけるリスク管理状況の実態把握、モニタリングも当然含まれます。それから、食品安全モニターに期待するモニター機能も、そうしたリスク管理機関が行うリスク管理業務に対するモニタリングも含まれます。
鮫島委員 賢明なる谷垣大臣はお気づきだと思いますが、やはりヨーロッパに比べると、日本の腰の入れ方が大変浅い。小さな食品安全委員会を一つつくるだけで、厚生労働省、農林水産省あるいは経済産業省も関係する、そういう各省庁にまたがる問題を、この際、本当は一たん白紙に戻して再構成して、一体的な食品安全行政をつかさどる組織をつくるべきだったんだと私は思います。
 残念ながら、そのチャンスを逸したことになりますが、まだまだ本当に食品安全基本法の精神を実行するには今の体制がベストとは言えない面もある。ですから、ある意味では、課題として行政組織の不断の見直し、この食品安全基本法の精神が生かされるように行政組織の不断の見直しが必要だと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
谷垣国務大臣 一般論として申し上げれば、どの行政組織もその時代に合わせた不断の見直しが必要になると私も思いますが、今回の食品安全基本法ということに関して申し上げますれば、食品安全行政にいわゆるリスク分析手法を導入して、BSE報告書によれば、今までいわゆるリスク評価とリスク管理が混然一体として行われていた、そこをきちっと独立に分離して、相互のいわば適切な緊張関係を保たせるというのが今回の組織改正の主眼でございますから、そこのところはきちっとやっていく、こういうことではないかと思います。
鮫島委員 BSEの発生を受けて、日本が反省すべき点は三つあったわけですよね。一つは、最初に言ったように、厚生労働省、農林水産省の連携の不足があった。つまり、食品安全行政をつかさどる担当部局の意識の一体感が薄かったですよというのが一つですね。それから二つ目は、海外から飛び込んでくる危険因子に対して防護する措置が十分だったのかどうか。これは、飼料中にまざっていたアメリカの遺伝子組み換えの失敗品種、トウモロコシのスターリンク、あるいはO157、今度の異常プリオン、そういう海外から飛び込んでくる、今後もいろいろ飛び込んでくると思いますよ、そういう危険因子を防護する仕組みが日本の国として十分に整っていたのかどうか、それが二番目。それから三番目は、今大臣が御答弁された、リスクアセスメントとリスクマネジメントが混然一体となっていた、これはしっかり仕分けないと科学的な判断にそごを来す。
 この三つの課題があったんですが、大臣の答えは三番目の答えだけなんですよ。一番目と二番目について、現在のこの食品安全基本法の精神で、最初に言った二つ、食品安全行政をつかさどる各機関の一体的な意識の醸成、連携が十分に図られるかどうかは、私は食品安全委員会をつくっただけでは不十分だと思います。
 それから二番目の、海外からの危険因子が飛び込んでくることに対する防御体制、これは情報収集も含めて、あるいは海外のいろいろな現場の定点観測的な監視も含めて体制の整備が今後は必要で、私は、まだ宿題が三つのうちの二つは残っているというふうに思うんですが、大臣の御所見を伺いたい。
谷垣国務大臣 今鮫島委員が御指摘になった三つの点ですが、まず第一の省庁間の認識の共有、連携という意味合いにおきましては、まさに委員が先ほどお引きになりました十五条で、食品の安全性の確保に関する施策の策定は、相互の密接な連携のもとに行われなければならないという、ここで大原則を定めまして、それから、具体的には、個別法令の改正で、関係する大臣の意見聴取規定や連携といったことが織り込まれておりますので、現段階では第一の問題に対する対応もできておるということではないかと思います。
 それから、二番目につきましては、これも海外の問題は食品を提供する各段階においてということになるわけでございますけれども、現実に我が国の及ぶ行政権の範囲を考えますと、やはり水際をどうするかということが大事で、これも水際対策、検疫等の対策の充実を図っていただいたということではないかと思います。
鮫島委員 自己評価は大変高いということだと思います。客観評価にたえられるようにしていただきたい。
 農林水産省にお伺いしますが、この食品安全基本法の理念を受けて、農林水産省は、牛肉のトレーサビリティーを確立するための法案を準備していると聞いていますが、まず牛肉だけをやろうとしているのか、それとも中長期的に対象範囲を拡大しようとしているのかどうか。時間がないので、その対象範囲を拡大しようとしているかどうかだけについてお答えいただきたい。
亀井国務大臣 牛肉以外、米や野菜などにつきましても、食品の種類ごとに、その食品の特性や流通の実態に合ったトレーサビリティーシステムの開発や、ITを活用したモデル的な取り組みを支援するための情報関連機器の整備等に助成を行う、こういうことに努力をしてまいりたい。
 そしてあわせて、トレーサビリティーシステムの普及を図るために、手引書の作成、地域レベル及び全国レベルのセミナーの開催等による普及啓発等を推進する、このようなことを進め、また任意の制度として、農畜水産物の生産方法など、食品の生産過程に関する情報を正確に伝えていることを第三者に認証してもらうJAS規格制度の導入を検討しているところであります。
鮫島委員 農水省の役所の方にお願いしたいんですが、答弁をつくるときに、時間がないときのポイントだけの短いやつと、それから説明を含んだやつと、二種類つくっていただきたいというふうに思います。
 谷垣大臣にお伺いしますが、この食品安全基本法の中にはトレーサビリティーシステムを普及拡大すべきだという精神は含まれているのか。立法目的にトレーサビリティーの普及拡大というのは入っていますか。
谷垣国務大臣 トレーサビリティーというのもいろいろなレベルのものがあると思いますが、この基本法では、先ほどお引きになったように、基本理念として、食品供給行程の各段階で必要な措置が適切にとられなければならないということを定めておりますし、また、食品関連事業者の責務として、その事業活動にかかわる食品等に関する正確かつ適切な情報を提供するように努めなきゃならぬ、こうあります。また、施策の策定に当たっては、食品に関する情報を正確に伝達するために必要な措置を講じなければならない、こういうふうにしておりまして、これはもちろん牛肉についていわゆるトレーサビリティーの法案が関連法案として提出されているところと精神において一致するわけでありますけれども、牛肉以外の食品についてこのような法的義務を導入することにつきましては、これは技術的課題もあると思いますし、コストの問題あるいは規制強化の問題といった総合的な検討が必要じゃないかと思っておりまして、この基本法で直ちに牛と同じような意味でのトレーサビリティーというものを要求しているわけではないというふうに考えております。
鮫島委員 それは確かに、牛のレベルまでやることは不可能なものもたくさんありますし、私は何も全部牛並みにやる必要はないと思いますよ。しかし、消費者は、安全な食品を選ぶ上で食品履歴情報というのを大変重要に考えるようになってきている。だから、そういうことも含めてトレーサビリティーシステムの普及拡大というのが今国際的な潮流になっているわけです。僕は、後ほどちょっとEUの規則にも触れますが、国際的な潮流になっている中で、その精神は何らかの形でこの安全基本法の中に入っていると思いますが、その精神を一番具体的に強くあらわしているのは、この法律の何条ですか。
谷垣国務大臣 四条、それから先ほどお引きになった十五条がこの法案ではそれに近い、それから十八条もそれに関連する規定かと思います。
鮫島委員 ちょっとトレーサビリティーの感覚が違うのかもしれませんが、四条、十五条と十八条とちょっと内容が違っていて、四条、十五条は、食品供給行程の各段階において安全性が確保されるような必要な措置をとらなければいけないというのが四条、十五条で、むしろ消費者の知る権利とか消費者が知りたい情報、そういう意味のトレーサビリティー、あるいは何か事件が起こったときに原因にまでさかのぼれるか、遡及可能性の強さ、それをトレーサビリティーという言い方をすると、この十八条は履歴情報も大事ですよぐらいの意味で、遡及可能性が大事ですということをうたった条文がないんですよ。だから、これはEUとかほかの国の法律と比べると、この食品安全基本法の残念ながら一つの欠陥ですね。トレーサビリティーの重要性、必要性がきちっとうたい込まれていない、それはぜひ大臣に認識していただきたいと思います。
 それで、厚生労働省にEUとアメリカの話をちょっとお伺いしますが、日本からEUに水産物を輸出する場合、どのような食品安全上の規制がありますか。それから、アメリカに食肉を輸出する場合、どのような食品安全上の規制がありますか。
 先ほど谷垣大臣は、ちょっと海外の関係については水際で検査すればみたいなことを言いましたが、アメリカとEUは大分違いますから、よく聞いていてください。
遠藤政府参考人 まず、EUの水産加工食品でございますけれども、欧州委員会が定める施設等に関する一定の衛生要件の確保が可能な国からのみ輸入を認めているということでございます。具体的には、欧州委員会が定める要件を満たす水産加工施設をあらかじめ厚生労働省が認定し、衛生証明書の署名者として指定された食品衛生監視員がサインした証明書が添付された水産加工食品のみがEU諸国に輸出できる仕組みとなっております。
 次に、米国へ食肉を輸出する場合でございますけれども、この場合には、米国が求める要件を満たす屠畜場及び食肉処理場をあらかじめ厚生労働省が認定し、対米食肉輸出証明書の署名者として指定された屠畜検査員がサインした証明書が添付された食肉のみが米国に輸出できる仕組みとなっております。
鮫島委員 非常にわかりにくい、普通の人が聞いていると何にもわからない説明ですが、要するに、EUやアメリカは、EUに水産物を出す場合は、EUの安全性のレベルをちゃんと担保してください、それから、アメリカに肉を輸出する場合は、アメリカで行っている屠畜方法、アメリカで行っている検査方法に準じる検査をしてください、つまり同レベルの安全性を維持してくれということを言っているわけですね。
 それで、日本はそれに基づいて、だから屠畜場も、日本の中の全部ができるわけじゃなくて、四カ所の屠畜場だけしかアメリカへ輸出する肉の処理ができないと思います。それから屠畜の仕方も、アメリカは非常にO157の事件が頻発していますから、最初にふん尿を抜いてから屠畜しなくちゃいけないとか、やり方が全部違うのを、わかりましたといって、同盟国だからかどうか知りませんが、全部アメリカ方式に合わせてやっているわけですね。それから、EUに水産物を出す場合も、EUの基準に合わせて出している。
 青森のホタテで何か事件があって、一時、EUに日本から水産物が出せないことがあったんじゃないかと思いますが、それをどうやってクリアしましたか。それで、再び解禁されるためにどんな苦労をしましたか。
北村副大臣 先生御指摘の青森、そして今回、四月七日付でEUの方が、北海道の噴火湾のところのホタテの輸入を認める、こういうふうになりました。それは向こうの、EUの方の、日本で言うなら官報に、きちっと四月七日付で、北海道の二つの工場は、我が国、いわゆるEUの方の国の基準に合う工場である、こういうことを認定した。これは青森も同じであります。
鮫島委員 そうすると、最終的にEUの検査官が現地にまで来て、現場を確認して最終的なオーケーを出したということですか。――わかりました。ですから、EUやアメリカは、自分たちのやり方、自分たちのレベルを輸出国にも要求しているわけですよね。
 今度農水省で、例えば牛肉についてトレーサビリティーの仕組みを確立する。そうすると、それは当然、日本に肉を輸出するアメリカとかオーストラリアも同レベルの、つまり個体管理、個体識別、トレースバックできる仕組み、これを備えていなければ、日本の消費者には供給できません。
 食品を供給することに責任を持つ農林水産省として、特に牛肉に関してでいいんですが、国産の牛肉で非常に厳しいトレーサビリティーの仕組みをつくっておいて、輸入の肉については、そんな個体識別も何もできなくてもいいですよ、塊で入れてきて、自由に食ってください、そんな乱暴なことはまさかしないと思いますが、日本に肉を輸出しようとする国についても、国内と同レベルのトレーサビリティーを要求するつもりはありますか。
須賀田政府参考人 先ほど先生答えられましたとおり、牛肉のトレーサビリティーというのは、生産された牛の情報を小売段階まで送るということを義務化しているわけでございます。これはやはり、一昨年の全頭検査で、安全なものしか食卓に出回らないという体制がとれて、そうして、まさかの場合、BSE感染牛が見つかった場合には、そのシステムを利用して疑似患畜を追跡していく、こういうことを前提としてつくり上げたシステムなんです。
 米国と豪州はBSEが発生しておりませんので、米国産の牛肉、豪州産の牛肉はBSEリスクという点では安全であるわけでございます。したがって、現在の原産国表示、これは豪州産、米国産と表示しておりますので、この表示で、我が国国内でやろうとしているものに代替する安全性についての情報提供が可能になるというふうに考えているわけでございます。
 米国も豪州も全頭検査をやっておりませんので、ちょっと我が国の、私どもがやろうとしている義務化を前提としたトレーサビリティーにのせるというのは、実態的に無理があろうかというふうに思っております。
鮫島委員 とても先進国の農林水産省の責任ある人の発言とは思えない。つまり、日本と同じようなトレーサビリティーシステムがないからそんなことを要求できないんじゃなくて、日本に輸出したければ日本のレベルに合わせてくださいというのは、バイヤーの当然の権利として言うことができるわけで、余り卑屈な行政になる必要はないと思います。
 BSEに関係してだけトレーサビリティーシステムをつくるというような言い方でしたが、先ほどアメリカの連邦法の話をしましたが、連邦法に基づいてアメリカに肉を輸出する場合には連邦法の基準に従えというのは、BSEなんか関係なくて、これは腸内にいるO157やクリプトスポリジウムとか、さまざまな病原性の細菌の飛散、肉への付着、そういうものを防ぐ意味で、アメリカはその基準をBSEと関係なく適用しているわけです。それは、農水省だって、肉のトレーサビリティーがBSE対策としてだけしか位置づけられていないなどというおかしなことは言わないでください、時間がないから一方的に言っておきますが。
 では、谷垣大臣は、この法案の第四条、第十五条で、食品の供給行程の各段階において安全性の確保が措置されていなければいけないというふうにうたわれていますが、輸入食品については具体的にどのように措置すべきと考えていますか。
佐々木委員長 谷垣大臣、時間が来ておりますので、簡潔に願います。
谷垣国務大臣 今の、各段階において適切に安全性の措置が講じられなければならないというのは、当然のことながら、外国から輸入される食品をも対象とする規定であります。しかし、現実に考えてみますと、外国の食品の生産活動を我が国が規制するというのはできませんので、現実には、輸入食品に関しては……(発言する者あり)いやいや、これは二国間で話し合いの上、ボランタリーにそういうことをすることはあり得ましても、現実には、入ってくる、輸入時ないしそれ以降の措置が中心にならざるを得ないわけだと私は考えるわけであります。
 したがいまして、まずやはり事業者の任務が大事でございますけれども、事業者が安全性を確認した上で輸入を行うことや、あるいは水際の段階で検査、検疫を行うことを通じて安全性を確保していくということになると思います。それで、その際、この基本法の第八条では、事業者が第一義的責任を有していることを認識して、適切に措置を講ずる責務を有するというふうに規定をしておりまして、外国で生産される食品についても、その輸入、販売等を行う事業者がまずもって必要な措置を講ずべきである。
 それからなお、昨年の食品衛生法の改正で、生産地における食品衛生上の管理の状況などを勘案して、特定の地域からの食品の輸入禁止を可能とする措置が盛り込まれたことはもう御承知のとおりでございまして、検査、検疫の人員体制の拡充など、水際における措置の強化に努めている、こういうことでございます。
佐々木委員長 鮫島君、時間が来ています。
鮫島委員 済みません。これで最後にします。
 今の答えを聞いていてもわかるんですが、つまり、国内産業、国内の農業生産に関しては非常に厳しい、食品供給行程の各段階について安全性を確保する措置をとってくれと非常に細かく規定して、日本向けの輸出業者については水際検査一発だけ。これは、マラソンで言えば、スタートからゴールまで日本の食品については見ますよ、ところが輸入食品については三十キロの一地点だけで時間をはかりますみたいな話で、輸入食品については非常に簡便になっているわけです。
 逆に言うと、輸出国にとって有利な法律。今WTOで大変厳しい日本の農業が崩壊の危機に瀕している中で、輸出国を利するような食品安全基本法。輸入食品についてはノーズロで、非常に甘い、ちょっと発言よくないんですが。それで、国内産業については、農薬の使用なんかについても一々全部ノートにつけなければいけませんと。非常にきめ細かい規定をつくると、国内で農業をやっていたりしたら効率が悪くてしようがない。だったら、中国へ行ったりオーストラリアへ行ったりカナダへ行って、あっちで楽な農業をやって、一発の水際検査だけでぽんと入れた方がはるかにいいことになりますよ。ですから、これは輸出国を助ける食品安全基本法。
 そういうつもりでおつくりになったんですか。これを最後にします。
佐々木委員長 簡単に。谷垣大臣。
谷垣国務大臣 簡単にと委員長がおっしゃっておられますので、言いたいことがございますのですが。
 法案では、農薬や食品添加物などについて、食品安全委員会が行ういわゆるリスク評価の結果に基づいて規格、基準の設定を行うべきことを定めているわけですが、こういう規格、基準は、国内産か輸入食品かで異なった取り扱いをされるわけではございませんので、今委員がおっしゃるように、過剰な負担を国内産業に負わせるとか、輸出国を優遇するものではないというふうに私は考えております。
鮫島委員 このままでは、この食品安全基本法は承認できません。
 以上で終わります。
佐々木委員長 以上で鮫島君の質疑は終了いたしました。
 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 鮫島議員とは若干違う視点からお話をさせていただきます。
 BSEが発生をして一年半以上がたって、ようやく牛肉の価格の問題も解決をし、新たに昨年から不正表示もろもろの問題が起こってきたことは、既に関係議員が指摘をしたとおりであります。ただ、このような中で私は一点気になるのは、当時、一昨年の九月、十月、十一月、十二月ぐらいまでは風評被害というものが非常に大きく、マスコミの皆さん、また消費者団体の皆さんも大きな声を上げました。昨年の、一応一年たった時点から、その部分が逆に言えば非常に関心が薄くなったというのが、私の率直な感想でございます。
 きょうも連合審査ということで対応していただいておりますが、今本当に求められているものは、この基本法に基づいた委員会をつくって、従来のいろいろな課題の解決に向けて、本当にその実効性があるかどうかという委員会の役割、そして関係機関の連携というものがこれから本当にできてくるかどうかということが、私は一番大きな課題ではないかなというふうに思っています。
 冒頭、谷垣大臣、そんな中で、私は本会議でも大臣に御指摘をしましたが、五十四人の事務局体制、専門委員の方を含めると三百人近い体制になることは事実ですが、実行予算も平成十五年度は二十億というお話を聞いておりますし、これはヨーロッパと比較するのが大臣適切であるかどうかというお話もしましたが、少なくともフランスでは予算額で日本の三倍、予算規模でいえば本当であれば、比較をすれば、もう少し比率的には日本でも大きいもの、事務局体制も百人余りで、研究所の職員の方も四百五十人余りが常時連携をしている。イギリスでも予算額が、これは地方組織もありますから一概に比較はできませんが、二百五十億を超える予算を計上し、本部体制だけでも五百人を超える体制でやっている。
 それに比べて、まず人的、予算的な体制が、所管する大臣として、これでまずスタートせざるを得ないということをお答えになるんでしょうけれども、本当にいいのかどうか、まずその部分だけ、過去の経緯からこの基本法、委員会ができていく、その視点も含めて御答弁をお願いします。
    〔佐々木委員長退席、小平委員長着席〕
谷垣国務大臣 食品安全委員会の人員、組織は、今委員がおっしゃったように、委員七名のほか、延べ二百名程度の専門委員が参加していただく。それから、事務局は、事務局長、次長、四課一官体制五十四名、それに加えて技術参与二十五名で構成する。それから、予算については約二十一億円を計上しておりまして、私は、これで必要なリスク評価、それからリスクコミュニケーションの展開などは十分行えるのではないかと思っております。
 本会議で委員にお答えしたのと同じ趣旨になるのかもしれませんが、国によってその行政組織の担う役割や形態はかなり違っております。例えばEUのEFSAなどは、リスク評価のみを担当するという意味では我が国の体制に近いと思いますが、これはEUの十五の加盟国すべてをカバーする機関であるというようなことから、我が国より大きな組織になっておる。それから、フランスの場合は、委員がおっしゃいましたように、研究機関等も下に抱えているという組織であった、ちょっと記憶違いかもしれませんが、だったと思いますので、そのような組織のつくり方が違っているというふうに私は考えております。
後藤(斎)委員 もともと、先ほど鮫島委員からも御指摘がありましたが、この食品安全委員会がリスク評価の部門をメーンに扱う機関として新たに独立性を高めながらやるということは、今まで産業振興と安全行政を一体として農水省でも厚生労働省でもやったものを、評価の部門を独立させるということがメーンであったはずなんです。しからば、その部分で、五十四人の体制がどうかというのはまた別として、大臣は、リスク評価の部分を、では具体的にどんな形でこの委員会が行っていくのか、その評価の部分をどんなマネジメントをするのかというのを、簡潔で結構ですからお答えください。
谷垣国務大臣 リスク評価に関して、委員も先ほど御指摘のように、この食品安全委員会が自分のところで研究機関等を持っているわけではございません。しかし、この七人の方々は提供していただいたデータなどを十分評価できる専門家で構成されるわけでございますし、また専門調査委員会が下に設けられますので、そこでまず基本的な分析を行う。それから、場合によってはみずから、予算措置もございますけれども、必要な機関に調査、試験等を依頼することができる。こういう仕組みになっております。
後藤(斎)委員 ちょっと質問通告したのが順番が飛びますけれども、勧告という部分がございます。食品安全委員会は関係者に対して勧告ができるという規定がございますですよね、二十三条ですね。その中で、例えばある勧告ができたというときに、厚生労働大臣、その勧告を踏まえて、厚生労働省はその勧告をどのように取り扱うんでしょうか。
坂口国務大臣 今お話がございましたように、食品安全委員会から勧告を受けました場合に、食品健康影響評価の結果に基づきまして、規格ですとか基準などの設定など食品の安全性の確保に関する施策が行われなければならないことということになっておりますので、その勧告に従いましてこの施策を行わなければならない。そして、その施策を行った結果について、今度は報告をしなければならないということだと思います。
 また、さらにつけ加えれば、再発を予防するためにどうするかということをやはり明確にしなければならないというふうに思っております。
後藤(斎)委員 農林大臣にも同趣旨の質問をしたいと思います。
亀井国務大臣 食品安全委員会の勧告を十分尊重し、生産者、消費者等にも積極的に情報を提供するなど、関係者とのリスクコミュニケーションを徹底することによって消費者の健康を保護するとの基本的な考え方に立って、適切なリスク管理の施策を策定し、実施してまいりたい、このように考えております。
後藤(斎)委員 まだちょっと抽象的でわかりにくい部分があるので、二つ事例を出して答弁をお願いしたいんですが、一点は、これはヨーロッパでも以前問題というか課題になって、リスク評価をする部分が、BSEの問題で一頭だけ出ました、一頭だけが問題で処分場全体の牛の焼却はしなくても逆にいいという勧告を出したケースがございます。それで、消費者団体の方は、いやそれは困る、従来どおりリスク管理をする者が対応しろということで、要するに勧告の部分に非常に疑義が生じて、逆に言えば、今フランスでは、食品衛生安全庁の勧告権を削除しようとする法律改正の動きがあるという話を聞いております。
 このような場合、例えば食品安全委員会がBSEの疑似患畜の部分を含めて、その牧場全体の牛の焼却をしなくてもいいよという勧告を出した場合、農水大臣、その場合はどうするんでしょうか。
亀井国務大臣 いわゆるその勧告の内容を十分に尊重し、とり得る施策の選択肢について実行可能性などの面から検討を行い、また、関係審議会での審議やパブリックコメントの募集、あるいは消費者、生産者団体への説明会の開催などを通じて、どのような施策を講ずべきかについて多くの関係者の意見の聴取を進めて、そして透明性を確保して施策の決定、そしてそれを実施してまいりたい、このように考えております。
 また、食品安全委員会からの勧告は、内閣総理大臣を通じて行われるとともに、その内容や勧告のもととなった食品健康影響評価結果の内容についてすべて公表しなければならないとされておりますので、このような徹底した透明性のもとでリスク管理を行ってまいりたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 もう一点、では、具体的な事例を申し上げてお話をしたいと思うんですが、先週、十三日だったと思いますが、厚生労働省の補助金を使った研究報告書で、いわゆる遺伝子組み換え食品の安全性に対する評価の研究報告書をお出しになられました。サマリーしか持っていないんですが、今大きく話題になっていますクローン牛をどうするかというもので、その際に、食品団体の方はいち早く、クローン牛には死亡率が高く、食品として大いに疑問があるというふうに指摘をしておるんです。
 少なくともこの報告書のサマリーでは、安全性に対して基本的には評価をしている部分があります。先週の新聞では、農水次官が、これは第一号案件として食品安全委員会が議論をすることになろうというふうなコメントも出しておりますが、厚生労働大臣、まず、ここのクローン牛について、例えば勧告でオーケーとなって、それを食品として供給することになるんでしょうか。
坂口国務大臣 私も詳細にまだちょっと聞いてないところでございますが、このクローン牛につきまして、それが食品に供して適当かどうかということについての審議会で御議論をいただいたというふうに思っております。そこの一つの結論としましては、大丈夫ではないかという結論が出たわけでございますが、厚生労働省として、その結論に対してどういうふうにしていくかということをこれから議論をしたいというふうに思っている次第でございます。
後藤(斎)委員 谷垣大臣、先ほど一般論でお聞きをすると、勧告には基本的に従っていくんだというふうなのを坂口大臣も農水大臣もお答えになりました。ただ、今のように、個別になると、いや、全体を見ながら、リスク管理の部門は部門で検討しながらやっていくんだということになると思うんです。
 実際、この発言が正しいかどうかは別としても、仮にオーケーになっても、クローン牛の出荷自粛解禁に慎重な姿勢を示した、これがまさに、リスク管理をするときに、要するに科学的な見地からだけの例えば勧告を基本的にして、それが実際社会的、経済的にどのような影響を与えるかというときに、それに従うかどうかという、この差があるわけですよね。
 例えば、谷垣大臣、これは仮定で恐縮ですが、クローン牛について、どのような手続でリスク評価を主体的に委員会がなさるのかどうか私は知りませんけれども、例えばクローン牛というのがこういうふうに話題になったというときには、食品安全委員会はだれが主体になってその検討を命じ、どこの機関でやるんですか。
谷垣国務大臣 体細胞クローン牛につきまして、まだ委員会ができておりませんからあれでございますが、仮に厚生労働省等から諮問があれば、当然クローン牛を食品とする場合の評価をしなければならないわけですね。それとまた、諮問がなくても、関連情報を集めて、必要があると判断した場合には、自分のところで、よし、やろうということで、やる場合があるということであります。
後藤(斎)委員 谷垣大臣、ですから、食品安全委員会は、こういう例えばクローン牛みたいな事例があったときに、主体的にやるんですか、それとも、だれかの、行政機関ないし関係者の意見に基づいて対応するんですか、どちらがメーンになるんですか。
谷垣国務大臣 どちらがメーンということはありません。両方とも、両方の手法が用意されているということであります。
後藤(斎)委員 その場合、消費者の方の意見ないし食品事業者の方の意見というものに基づいて調査ないし評価をする場合というのはあるんですか。
谷垣国務大臣 法上定められておりますのは、関係省庁と申しますか、関係大臣からの諮問がある場合と、独自に必要であるという判断をした場合というふうになっておりますから、法上はこの二つなんですが、今消費者ということをおっしゃいました。
 これは、消費者、国民は食品の安全に関する意見を述べることに努めるものとするという規定がございましたし、また、当然食品安全委員会は消費者との間のリスクコミュニケーションをやらなければなりませんので、そういうときにいろいろ御意見があったことをどう受けとめていくかという問題が当然ございまして、そういう意味での情報を集めて、必要だと判断すればやっていく、こういうことだろうと思います。
後藤(斎)委員 そういうふうなところまで業務が拡充をするということになると、大臣、これがもとへ戻る一つの区切りなんですが、今の事務局体制や専門委員の二百人の体制、お話を聞くと、この専門委員の二百人の方も、なかなか委員の人選に手間取っているというお話も漏れ聞いておりますし、いずれ二百人程度になるんでしょうけれども、そういうものを見込んで、この部分は柔軟にこれから対応するおつもりはあるんですか。
谷垣国務大臣 もちろん、一般論としまして、行政組織のありようというのは、常にそのときの状況に合わせて見直していく必要があることは当然だろうと思いますが、現在はまだこれから出発しようというときでありますから、出発する体制は先ほど申し上げたような体制で出発をして、リスク評価とリスク管理を分けた科学的な体制というものを早くスタートさせたいというのが今の我々の気持ちでございます。
後藤(斎)委員 もう一度谷垣大臣に勧告の部分についてお聞きをしますが、いわゆる二十三条に掲げられた勧告というものは、勧告権に近い、強い義務、拘束をするものになるんでしょうか。
谷垣国務大臣 通常の場合は、勧告をすればそれに従ってリスク管理をしていただけるのが通常の事例だろうと思います。ただ、今、権利、強いものかどうかということをおっしゃいまして、場合によりましては、これは当然、二つの機関を分けたわけで、同一ではございませんので、安全委員会の判断するリスク評価に基づく勧告とリスク管理機関のそれの受けとめ方というのは違う場合が、これは論理的にはあり得る。それを全部一緒にしてしまえば機関を分けるという意味がないわけですから、論理的にそういうことがあり得るんだろうと思います。
 その場合にどうしていくかということでありますけれども、先ほど申しましたように、再度の勧告というのもできるわけでありますけれども、そういった手続はすべて内閣総理大臣の名で勧告をし、それはすべて公表されるということでありますから、幅広い批判も、国民一般の批判もいただきながら一つは決着をつけるということでありましょうし、これは、現在は私が食品安全委員会の担当ということになるわけでございますけれども、内閣総理大臣のお名前で勧告を出していただく、しかし、管理機関がその勧告とは違う考えを持つということになりますと、ぎりぎりいけば内閣の中で調整をしなければならないということになるのではないかと考えます。
後藤(斎)委員 今の谷垣大臣の再度勧告があり得るということは、勧告の実施状況も含めて、レビューの権限も持っているというふうに考えてよろしいわけですね。
谷垣国務大臣 二十三条一項四号に、施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは勧告する、こうなっておりますので、今委員がおっしゃった権限を当然持っているということでございます。
後藤(斎)委員 ですから、大臣、この勧告権も含めて、今のようなお話を総合すると、いわゆるその安全という部分の担保は、少なくとも食品安全委員会が担保ができるということですよね。でも、安心ということになると、それは、先ほどフランスの全頭焼却するかどうかという事例をちょっと紹介させていただきましたが、そういうものとは違って、安全と安心は違うんだという部分でまずその部分は整理をしながら、先ほど谷垣大臣がおっしゃったように、情報公開をできるだけしていくんだというお話がございました。
 この政府案で、私が当初指摘をした中で今一番落ち込んでいるのが、通常、いろいろな基本法では、年次報告を国会に少なくとも提出をする、そして、国民にもきちっとアニュアルレポートという形でお示しをする、それがベースにまずあってということが私は必要ではないかなと。これがフード・スタンダーズ・エージェンシー、イギリスの食品基準庁の年次報告ですが、いろいろな白書、いわゆる白書が出ておりますが、谷垣大臣、なぜその年次報告の規定を政府案では入れ込まずに書かれておるんでしょうか。
谷垣国務大臣 御指摘のように、従来、年次報告といいますか白書というような制度を設けてきた立法例が多くて、それはまたそれで、行政と国民をつなぐ上で大きな役割を果たしてきたことは委員のおっしゃるとおりだろうと思いますが、この食品安全基本法では、安全性確保に関する施策の策定に当たっては、幅広く関係者間の情報や意見の相互交換を行うということを明記し、それから、安全委員会が行う評価結果とか勧告内容は公表していく、あるいは、勧告に基づいて講じた施策についての委員会への報告も義務づけるというふうに、一年間に一回の白書というよりも、逐次国民に対してその情報を公開していく、提供していく、そしてコミュニケーションを図っていくという手法を通じて委員のおっしゃった安心ということにもつなげていこう、こういう若干従来とは違った手法でやろうというふうに考えまして、このようになっているわけであります。
後藤(斎)委員 今の大臣のお話は柔軟な御意見だと思うんですが、しからば年次報告という規定を入れ込んで、それはそれで国会に少なくとも報告をするという義務規定もございませんですよね。逐次の情報は情報で構わないと思うんです。それでなおかつ、パッケージというふうにまとめて、一年間こういうふうにする、翌年はこういうふうにするということは、やはり行政組織ですから必要なんじゃないですか。
谷垣国務大臣 現在考えておりますことは、先ほどのような、機動的な方法で情報を提供し、公開していくということでございまして、年次報告書の作成を義務づけるというようなことは現在考えておりません。
後藤(斎)委員 考えていないのであれば、ぜひ考えていただきたいと思います。
 それと、これはもう一点、今の部分に関係をするんですが、今回、リスク評価をする食品安全委員会とリスクマネジメントに対応する厚生労働、農水の部分でいろいろな組織改革を、いわゆる振興行政の部分だけではないという視点から、リスク管理の部分でも組織拡充、改組をしていると思うんですが、その部分について、どのようなリスク管理体制を拡充、強化をしていくのか、厚生労働大臣と農水大臣に簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 厚生労働省といたしましては、食品の安全を確保するための新しい仕組みのもとで、リスク管理体制を強化しなければならないということが最重点課題だと思っております。
 本年四月一日に、輸入食品安全対策室というものを設置いたしました。七月には、医薬局を医薬食品局に改称をいたしまして充実をしたいと思っております。それから、消費者とのリスクコミュニケーションを担当する大臣官房参事官を設置いたしまして、消費者とのコミュニケーションを重視していきたいというふうに思っております。これは、平素から消費者との間の連携を密にしていくといったことで、事が起こったときだけ対応するというのではなくて、平素からコミュニケーションを図っていく、そういう体制をとっていきたいというふうに思っています。
 それからもう一つ、検疫所でありますとか地方厚生局の食品衛生監視員、それから、国立試験研究機関の増員を図るということでございます。増員といいましてもそんなにたくさんふえるわけではございませんけれども、検疫所の食品衛生監視員としましては、現在、二百六十八名でございましたが、これを十五名増員をする、地方厚生局の食品衛生監視員は、十名ふやしまして二十九名にする、それから、国立医薬品食品衛生研究所等の研究員につきましては、九名増員する、こういうことでございます。
北村副大臣 我が省へのリスク管理の強化という御質問がございましたので、お答えをいたします。
 本省においては、約二百八十名の体制で、国民の健康の保護を最優先に、消費者行政とリスク管理業務を的確に推進していく。それと一方、地方農政局や地方農政事務所においては、リスク管理業務を行う消費・安全部を設けまして、約四千二百名の体制で強化をしてまいります。
 以上です。
後藤(斎)委員 今両省からリスク管理の部分でお話がありましたが、逆に言えば、確かに人的にはふえたりはしておりますけれども、いかに職員の方がそのリスク管理という職を理解し、この基本法に基づいた理念を遂行していくのかということになると思うんですが、その辺の研修体制というか、職場も変わるんでしょうから、その点はどういうふうになっているんでしょうか。
北村副大臣 先生からの御指摘が一番重要でございます。我が省において消費・安全局を創設するわけでありますから、そして、地方において、今までの食糧事務所を地方農政局消費・安全部に衣がえをしていく、あるいは地方農政事務所に衣がえしていくわけであります。そうしますと、一番大切な職員のそういう研修あるいは学習等々に全力を挙げて、消費者最優先という問題あるいは安全という問題について職員の研修を強力的にやってまいりたい、このように思っております。
後藤(斎)委員 今のようなお話、谷垣大臣、この食品安全委員会のもう一つの欠点というか、充実をしてもらいたい課題が、まさにその消費者代表をどうするかということだと思っているんです。それと、先ほど大臣は、いろいろなところから意見を聞くからいいんだということでありましたが、初めのところで、食品安全委員会は行政機関がメーンだというお話でしたが、そこに消費者や食品事業者の意見に基づいて評価をすることも、そこは柔軟に考えているようなお話でありましたが、やはり消費者の方がどういうふうに入ってこれるかどうかというものが、これから実際の任命の部分でないと、今、市民団体の方は、消費者代表がゼロであれば食品安全委員会は無意味と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、新たな監視組織を、市民食品安全監視委員会というお名前でつくろうとしております。
 私は、いろいろな方がいろいろな観点から食の安全を考え、チェックするということは正しいかもしれませんが、やはり、きちっと食品安全委員会がメーンになってやっていくんだという中には、今、北村副大臣がお答えになったように、できるだけ消費者の方の意見やその代表者を入れ込んでいくということは必須条件ではないかというふうに思って、我が党の修正案を、出せると思いますが、委員任命の要件緩和ということで、消費者の利益保護に理解があるという事項をプラスして対応しようとしておるんですが、その点、谷垣大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
谷垣国務大臣 食品安全委員会は、食品の健康影響評価を科学的、客観的に行っていくというのがその主たる役割でございますので、つまり、利害調整の場でもないということから、私は、ここは科学的知見を持ったすぐれた方に入っていただいてやっていくという方向で考えておりますが、食品の安全性の確保ということにかんがえますと、消費者意識とか消費行動というものに関する経験、知見ということも必要でございますので、こういう分野を専門的に研究しておられる学者、研究者についても委員として加わっていただく方向で考えているわけであります。
 それと、委員会のもとに設けられる専門調査会、これは、年間計画を検討したりコミュニケーションのあり方などを消費者の意見も踏まえながら議論していただくこともありますので、こういう専門調査会には消費者の意見を代表する方にも加わっていただく方向で考えたらどうかということで、今やっております。
後藤(斎)委員 確かに今の検討状況はわかりますが、谷垣大臣、実際この委員会、七名の方が最終判断をするということになるんでしょうけれども、むしろ、科学的中立性ということであれば、専門調査会のそれぞれの部会の意見というものが非常に重要だと思うんです。
 これは、ヨーロッパの中でも、委員の七人のメンバーみたいなものと、科学者グループ、二つに分かれて、基本的には科学者グループの意見をそのまま勧告する、必要があれば、その中でもむときには、まさにリスクコミュニケーションという観点を入れ込んでその委員会としての意見を出す。同じように日本もならざるを得ないんじゃないかなと。例えば、毒性の評価をするというときに、今、専門調査会の幾つかの評価チームが例えば分かれて、毒性評価のグループが出した意見と委員会の意見が異なるなんということは基本的にはあり得ませんよね。
 むしろ、先ほど大臣がお答えになったように、リスク管理部門とは違うけれども、ある程度いろいろな専門家の方の意見を集約して、リスク管理庁に対して勧告をする際に、科学的な見地もさることながら、委員のそれぞれの意見も紹介しながら出すかどうかは別としても、そこにやはり消費者ないし消費者代表という方を入れ込んで、まさにそこで意見集約をして勧告した方が、その勧告というのはより実効性があるものになってくるんじゃないかなというふうに思うんですよ。
 ですから、この専門調査会にいろいろ消費者代表の方も入るというよりも、むしろ評価チームの部分で、科学的にこうだと、それが基本的に数字としたら委員会の意見になっていくわけですよね。でも、科学的なものだけじゃない意見も勧告としては出していくわけですよね。そこに、この七人の方が最終的な意見調整をして委員会の意見を取りまとめる方に入れ込んだ方がより効率的であって、むしろ消費者の方が、その部分で食品安全委員会に対するクレディビリティーが増し、そして行政の説明責任もより高まるということであれば、むしろそういうふうにした方がよろしいんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 いろいろな制度の立て方はあると思いますが、BSE問題に関する教訓といいますか、私どもが学ぶべき点は、あの報告書にもございますけれども、専門家の意見を反映しない行政ということがございまして、そこで、このようなリスク評価機関を分離しようということになりました。ですから、ここはやはり専門家の科学的な判断というものを中心に据えてやっていくという観点をまず正面に出すべきではないか。したがって、七人の委員の方々には、そういう分野から卓越した方に入っていただくということでございます。
 しかし、委員のおっしゃるように、消費者がどうお考えか、リスクコミュニケーションをどうやっていくか、そういうようなこともあわせて考えていく必要がございますので、先ほど申しましたように、そういうことを研究しておられる方、あるいは専門調査会にそういう方も入っていただこうという立て方を私どもはしているわけでございます。
後藤(斎)委員 大臣、先ほども御指摘をしましたが、安全であるという科学的な勧告と、例えば安心を消費者の方が持つというものは、先ほどもお話ししたように違う部分もあるわけです。これができるだけ同一であるということが望ましいということで、今回の基本法も食品安全委員会もこれから動こうとしているわけですよね。
 ですから、余り大臣、例えば、さっきの年次報告も今考えていないからだめだよとか、消費者代表の部分も今だめだよと。お立場はよくわかるんです。ただ、やはり柔軟にこれは考えていかなければいけないということで、私たちは、仮にこのまま今スタートをするにしても、少なくとも三年くらいたって、これは本邦初公開のものですから、ちゃんと見直しを行政機関はしてもらいたいということを、これからきちっと、今から要望するつもりですが、法律の修正案としても立てさせてもらいたいと思っているんです。
 その点について、大臣、今までの議論というのは議論として、今のお立場はよくわかります。わかった上でですが、やはりいろいろなものがあるわけですね。ヨーロッパの事例、アメリカの事例、アジアの事例、いろいろある中で、これからそういう、例えば行政組織を今のままでやるとしても、いろいろな意見を踏まえながらまた新たに組み立てないし拡充をしなきゃいけないということについては、柔軟に対応していただけますよね。
谷垣国務大臣 後藤委員が非常にソフトに水を向けられて、私も答弁のトーンに苦しむんですが、ただこの法案はいわゆる基本法でございますので、この骨組みは、やはり私たちは、スタートしていくに当たりまして、この基本的な思想と申しますか骨組みは、やはりかなり長い間妥当性のあるものとして考えているわけです。ただ、食品の安全の確保に関する施策について、本法の施行後必要に応じて基本的事項を随時見直していくというようなことは、これはあり得べきことだろうというふうに思います。
後藤(斎)委員 ちょっと時間がないので飛んで恐縮ですが、農林大臣、食と農の再生プラン、昨年の四月に、当時の武部大臣のときに策定をしました。これがまさに農林省が今食品安全行政に軸足を置いたということで、この趣旨に基づいて対応をしておりますが、もともとこの食と農の再生プランというのは、別に法律に基づいて対応したわけではございませんですよね。この精神は、亀井大臣になられても、もちろんこの精神を持って農林水産行政をやられるんでしょうか。
亀井国務大臣 昨年四月にこの食と農の再生プランが国民各界各層の御意見を踏まえてできたことは承知いたしております。
 この三本の柱、食の安全と安心の確保、農業の構造改革を加速化する、あるいはまた、都市と農山漁村の共生・対流、この視点に立って、消費者の視点に立つ食料・農業・農村政策の再構築に向け、生産、消費双方が共存共栄できるような社会を形成する、このような改革でありまして、これを推進してまいりたい、このように考えております。
後藤(斎)委員 大臣が武部大臣から二代たったので、この精神がちょっと違った方向に行ったらちょっと困るなというふうに思って、改めて確認をしたんですが、このような施策を推進する中で、谷垣大臣、先ほどの年次報告に別にこだわっているわけじゃないんですが、基本法の中に委員会も入れて、国民の皆さんから見れば、まだ食品安全委員会が何を本当に具体的にやっていくんだというものが正直言ってわかりにくいということなんです、私が御指摘をしているのは。
 これはまさに新しい行政組織でありますし、BSE以降のいろいろな食の安全というものに関心はあっても、じゃ、それが、実際の先ほどお話をしたような安全と安心というものがどういうふうに担保をされていくのか。
 今、この基本法に基づいて万全だというふうに大臣はおっしゃって、まあ、お立場の中で言わざるを得ないんでしょうけれども、いろいろな思いが多分あると思うんです。ですから、私は、特に行政機関の部分について言えばもっと柔軟であっていいと思うし、先ほど鮫島委員も指摘をしているように、いわゆるトレーサビリティーという部分でも、そこの部分は私はちょっと違った意見を持っているんですが。
 仮に国産だけにトレーサビリティーがかかるということであったにしても、トレーサビリティーというものを国産で、国産品としてきちっと位置づけをすれば海外の農産物との差別化ができ――一昨年九月のBSEから一年たったときに、いわゆる風評被害も落ちついて、価格もほとんどもとに戻って、消費者ももとに戻った。そのとき起こったことは、国産和牛に対する価格評価ないし品質評価というのが非常に高まったわけですね、実際。ということも、私はトレーサビリティーという機能を、当面牛肉からやっていくんでしょうけれども、そこにシフトをして、消費者の目が、安全で安心であると。これは、大手のスーパーさんではもう既に、そこの、要するに顔が見える食品を売っていこうということで、例えばほかのスーパーよりも差別化をして、若干高くてもそこに行く。まさに有機農産物みたいなものもそうだと思うんですが。
 私は、そういう意味では、トレーサビリティーの規定をもう少し明確に食品安全基本法の中に入れ込んで、先ほど鮫島議員が言ったことではない、国産品をむしろ差別化し、品質評価を高め、農家とかでも要するにそこの部分をきちっとやっていけばいいんだよというふうな、義務規定でないにしても、努力規定みたいなものも含めて、入れ込んで、少なくともきちっと法律に書き込んだ方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 まず、この法律の、食品が消費者に渡るまでの各段階で安全措置を講じなければならないという思想は、トレーサビリティーの思想と決して矛盾するものではありませんし、方向としては共通の思想があると私は思います。
 ただ、先ほど鮫島委員にも御答弁申し上げたところですが、トレーサビリティーにもいろいろなレベルのものがあろうと思いますし、BSEに関連して、我が国はBSE発生国でもあるし、また、牛には耳標をつけていたというようなこともあって、技術的にもやれる環境があったということがあろうかと思います。
 そのほかの分野でも、生産者が独自にそういう自分のところの品質管理の手法としてやっておられるところもあると思いますから、さまざまの段階があると思いますが、ただ、この法の中に今すぐ入れ込むということになりますと、先ほど申し上げたようなコストとか技術的可能性とか、総合的に判断をしなければならないことだろうと思います。
 したがいまして、私が申し上げられるのは、思想として、四条ないし十五条に書かれているような思想と相反するものでは決してないだろうということであろうと思います。
後藤(斎)委員 農林大臣、先ほどの食と農の再生プランの中の中心部分にあります農場から食卓へ、まさに今お話をしたトレーサビリティーシステムの十五年度導入というのは牛肉のことであろうと思いますが、要するに、ここの部分に、私がお話をしたように、やはり顔の見える関係の構築というものが、きょうはたくさんの消費者団体の方もいらっしゃっておりますが、そこを求めているんだと思うんです。まさにそこが、安全というのが安心という部分につながっていく。
 ですから、私、できるだけトレーサビリティーの機能もきちっと、食品安全委員会がコストもかかるしなかなか難しいということであれば、リスク管理をきちっとする消費・安全局もつくった農水省がやっていただきたいんですけれども、いかがですか。
亀井国務大臣 省を挙げて、先ほど、組織の問題等いろいろ進めるわけでありまして、トレーサビリティーの問題、食肉以外、その他の分野につきましても努力をし、それを、また流通業者あるいはまた関係の団体の皆さん方の御理解をいただいて、それが進むように努力をしてまいりたいと思います。
後藤(斎)委員 これで終わりますが、谷垣大臣、ぜひ、法案の担当大臣として、柔軟に対応していただけるところはしていただいて、実効性が上がるような組織体系、制度にしていただけることを最後にお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
小平委員長 次に、三井辨雄君。
三井委員 民主党の三井辨雄でございます。
 初めに、食品安全基本法の質疑に当たりまして、近年の特に食品にかかわるさまざまな事件を振り返ってみましたら、中でも私の経験としまして印象深いのが、特に二〇〇〇年に発覚しました雪印乳業の大阪工場におきます食中毒問題でございますけれども、雪印乳業大樹工場が生産した脱脂粉乳から黄色ブドウ球菌の毒素が検出された問題でございます。
 この事件で、同年の八月二十五日に、我々民主党も調査団をつくりまして、現地に行ってまいりました。そして、帯広保健所それから雪印の大樹工場と訪ねたわけでございますけれども、原因究明のために聞き取り調査を、大樹町長、地元の町長さんなり生産者からもいろいろ聞いてまいりました。
 特に、北海道が発祥の地であった日本のトップブランドがこんなことをしていたなんということは、私たちも全く信じられない。もちろん、地元の皆さんもそうでございました。こういう事件が起きたということは、全く耳を疑いたくなるような事件でもありましたし、食品の安全性を軽視した生産工場の職員の失念という判断ミスのまさに連鎖が約一万三千人の発症につながった。その根本原因は、消費者の安全を考えなかった大樹工場の姿勢であり、また、無責任な管理体制と事件後の自己保身にあったと思うわけでございます。
 こうした食品をめぐる大変残念な事件が相次いだわけですが、これらの経験をもとに、私たち民主党では、第百五十三回臨時国会では危険情報公表法案を提出いたしました。これは、製品による事故隠しをなくし、被害発生を防止するための議員立法でございましたが、昨年の通常国会での与党の反対で、審議すらできなかったという状態でありました。仮にこの法案が施行されていれば、中国のダイエット食品事件の被害の拡大はとめられたんじゃなかったかと、非常に悔やまれるわけでございます。
 今回、政府におきまして食品の安全基本法案を提出されましたが、審議を通じまして、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもとに諸施策が講じられることを、切に願っているわけでございます。
 そこで、質問に入らせていただきますが、まず、国と地方公共団体の役割分担についてお伺いしたいと思います。
 食品安全基本法では、責務として、国と地方公共団体の間で、基本理念にのっとり、適切な役割分担を踏まえ、施策を策定、実施するとしておりますが、役割分担をどのように調整して行おうとしているのかお聞きしたいということと、都道府県では、農場から食卓までの食の安全確保を目指し、既に総合的な食品安全行政への取り組みが進んでいると聞いておるわけでございますけれども、特に私の地元の北海道では、BSE問題、食品の偽装事件で低下しました道産品の評価を回復し、消費者の信頼をより確かなものにするために、道産食品安全政策会議を設置いたしました。消費者を初め生産、製造・加工、流通、行政などが一体となって取り組む指針、道産食品「安全・安心フードシステム」推進方針を昨年九月に策定いたしました。本年三月に具体的な行動計画を発表し、平成十五年度から三カ年の間に集中的に展開する必要のある取り組みを行っております。
 そこで、国においては、こうした地方公共団体の取り組みの現状をどのように把握し、また役割分担をどう調整されるのかをお尋ねしたいと思います。
谷垣国務大臣 今、三井委員が北海道の例を挙げてお話しになりましたが、各都道府県、最近、非常に食の安全に関する取り組みを深めておられるところが多いと認識をしております。
 そこで、この食品安全基本法でも、地方自治体の役割ということも書かせていただいたわけでありますが、国と地方自治体の役割分担ということになりますと、これは根本は地方自治法でございますけれども、国において、全国的な統一性あるいは全国的な規模、視点が必要な施策という、国が本来果たすべき役割を重点的に担うということでしょうし、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねるということが基本だろうと思います。
 食品安全基本法もこの考え方を前提としておりまして、具体的には個別具体的な法律や制度を待たなければなりませんけれども、国については、全国統一の基準や規格を設定するといった仕事、それから地方公共団体については、飲食店営業等の許可とか業者への報告徴収等のそれぞれの区域の実情に応じた行政の実施ということが考えられるわけであります。
 それで、地方公共団体独自の食品安全行政の取り組みにつきましては、私ども、この食品安全委員会ができましたら、やはり地方公共団体との日常的な連絡調整とか意見交換を行って、地方公共団体が行っておられる施策あるいは情報といったものをできるだけやはり共有させていただくということが必要だろうと思いますし、それから、リスクコミュニケーションの一環として、国及び地方における食品安全行政のあり方について意見交換を行っていくというようなことも必要なことではないかな、こんなふうに考えております。
三井委員 ぜひこれは、日経ですか、二〇〇三年一月三十日を見ましても、その食の安全確保というのは、まだ二十五都道府県しか対策室ができていない。ぜひとも、これは四十七都道府県に、やはり全国にきちっと同時につくることが私は必要ではなかろうか、こういうぐあいに思う次第でございます。
 それで、二番目でございますが、生産現場におけるBSE対策の今後の具体的な対応がどのように進められるのか。あるいは、食品安全基本法の制定がどのように反映されるのか。また、食品安全基本法が提出された経過におきまして、二〇〇一年十一月、農林水産大臣と厚生労働大臣は私的諮問機関としてBSE問題に関する調査検討委員会を設置し、昨年四月に委員会報告を提出されております。BSE問題にかかわる行政対応の問題点、改善すべき点を、今回の法案で提出するんだと承知しておりますが、ここでBSE対策の現状について確認させていただきたいと思います。
 先ほども鮫島委員あるいは後藤委員からも質問ございましたが、BSEの発生時の社会の混乱は一応おさまったかに、一応ですよ、おさまったかに見えますが、根本的な汚染経路の特定につながる食肉検査や死亡牛の全頭検査はまだまだ不十分だと思いますし、特に飼育中の病気や事故で死んだ二歳以上の牛、いわゆる死亡牛の全頭検査はBSE対策特別措置法で四月一日から義務づけられるというようになったわけでございますけれども、生産地の北海道や鹿児島など十六道県では、まだまだ獣医師さんの確保や検査施設の整備が大変おくれているということも報道されております。北海道の今年度の検査頭数は、対象死亡牛が約四万頭のうち、全国では七万頭でございますけれども、このうち八分の一程度の約五千頭にとどまるという見通しだということも聞いております。
 こうした現場での検査体制のおくれとか、また生産現場におけるBSE対策、今後具体的な対応がどのように進められるのか、また食品安全基本法の制定がどのように反映されているのか、お尋ねしたいと思います。
北村副大臣 先生御指摘のBSEの対策、特に北海道を事例に出されて御質問がございましたけれども、先般来大臣からも御答弁をいただいておりますが、まず感染源あるいは感染経路の究明はしていかなきゃならない。それと同時に、先ほど委員が御指摘の死亡牛の検査体制を、これも四月一日からやっておりますが、できるだけ四十七都道府県ができる体制をとっていかなければならない。あるいはえさの安全対策の強化をする。さらには、先ほど来出ております牛肉のトレーサビリティーシステムの確立という課題がいまだ、まだ残されているところでございます。
 しかし、先生、多くの委員の先生方からお話のあったとおり、我が国で食の安全の中で一番取り残されていたのは、私はやはりリスクコミュニケーションであった、このように思います。リスク評価あるいはリスク管理というものはそれなりに行われてきましたけれども、そういう面ではリスクコミュニケーションが非常に手薄だった。ですから、先ほど来、食育等々を含めて、このリスクコミュニケーションをきちっとやっていかなきゃならないというのは重要なことであるというふうに思っているところでございます。
 さらに、先ほど先生から風評被害等々のこともございましたが、北海道でも数頭出ました。特に五頭目のBSEの発生のときには、今までの一頭、二頭、三頭、四頭のそのときの経験、そして対応、そういうものを、反省点を非常に生かして対応をされた。生産者も、あるいは系統機関の方々も、そして国、道、そういった行政の方々、現場の獣医師の皆さん方も含めて冷静に対応をしていただいた。そして、四頭目までの危機管理マニュアルというものがその五頭目のときに非常に生かされた、こういうふうに私は考えておりまして、そのことが風評被害を何とか食いとめることができた、こう思っております。
 そういう意味では、危機管理のマニュアルというものを今後もきちっと維持していきながら、そして反省すべきものは反省をしながら、一つ一つ危機管理のマニュアルを蓄積していくことが非常に大事である、こう思っております。そしてその上で、やはり最終的に、鮫島委員からもあったとおり、死亡牛の検査体制、これは早急にやっていかなきゃならないし、そのことが本来ですとBSEの感染の経路あるいは究明に一助となる、私もそう思っております。
 そういう面で、北海道が四月一日からやらなかったということは非常に残念でありますけれども、今その体制を強化していただいて、年内にその体制が整えば、来年の四月とは言わずに年内からでもやっていける、そういう努力は我が省として北海道の方にお願いをしているところでございます。
 等々、この今回の食の安全委員会を一つの契機として、リスク評価、リスク管理、これをきちっと分けていく。我々は、我が省の中でリスク管理をきちっとやっていく。そして、我々は、リスク管理をしながらリスクコミュニケーションをきちっとやっていく。こういう形をとりながら、BSEの残された課題について全力を挙げてやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
三井委員 今副大臣から御答弁いただきましたけれども、一時こういう形でBSE問題というのが出て、その後、今も八分の一程度しかやっていないということになりますと、その後をきちっと、今リスク管理の問題、しっかりと、どうしても日本人というのは、お役所に言うわけじゃないですが、とかくすぐ忘れてしまう。ですから、これはもう継続的に続けていく必要があると私は思います。
 そこで、リスクコミュニケーションの情報管理のあり方について、谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
 総合的なリスクコミュニケーションといたしまして、食品安全委員会を中心に、リスク管理機関、消費者、生産者等、幅広い関係者を集めた意思疎通の仕組みを設けることが想定されているわけでございますけれども、これについては、行政機関の説明責任、また食品安全委員会等に対して消費者が公聴会の請求や意見提出ができるようにするための措置を明確にする必要があると考えますが、どうお考えでしょうか。
谷垣国務大臣 食品安全基本法では、まず消費者につきまして、意見を求められた場合だけじゃなくて、みずからの発意によるような場合も含めて、施策についてみずから意見を表明するように努めること、これは九条でその役割として定めております。
 また、基本的な方針として、十三条に、関係者相互間の情報及び意見の交換、リスクコミュニケーションですが、その促進を図るために必要な措置を講ずべき旨を規定しておりまして、こういう規定によりまして、関係行政機関におきましても、消費者などから提出される意見とかそれに対する行政としての考え方、意見や情報、こういうものを双方向で交換していくということは当然の前提となっておりまして、そのための必要な措置を講ずることになる。
 委員の今おっしゃった点も十分この規定の中で含まれているのではないかというふうに考えております。
三井委員 今、医療の世界でもそうでございますが、先ほど谷垣大臣がトレーサビリティーの問題で、輸入牛と国産牛の問題は御答弁されましたが、やはり今点滴なんかもすべて情報公開なんですね。どういう薬品が入って、どういうものに使われるとか。昔は違ったんです。そのまま点滴が患者にも知らされなかった。しかし、今は点滴に、先日東大病院も行ってきましたが、東大病院の中では、既に薬は全部、何の製剤でどこのメーカーでというものをきちっと表示されているんですね。
 やはり薬品もある部分ではそういう治療薬でございますし、食も、食べ物というのもより体内に入っていくわけですから、こういう問題も、やはりきちっとトレーサビリティーの中で表示することも、聞きますところによりますと大型店では既にやっているようですけれども、先ほど申し上げたように、肉についても、やはり外国産輸入牛にもきちっと表示すべきだということを私はお願い申し上げたいと思います。
 また具体的な事例に基づきましてお尋ねしたいと思いますが、死亡牛の全頭検査の例も先ほど挙げました。検査が進むことによって新たな感染牛の発生や、また徹底した検査による何頭か複数の感染牛が発生する可能性も想定されております。生産地の関係者は、新たな風評被害を大変心配しているわけでございまして、また、消費者に対する正確な情報を伝えることがより重要であると思いますし、危機管理の上で、情報伝達の混乱に、パニックにならないように体制づくりをする必要があると考えますが、どのような対応をお考えか、お聞きしたいと思います。
北村副大臣 先ほども答弁の中で述べさせていただきましたけれども、やはり非常に大事なのはリスクコミュニケーションだと思っております。
 そして、今後、死亡牛の検査の中で、BSEが仮に発生をした、陽性になった、こういうことになったときには、従来のBSE対策のそれぞれの対策を講じてまいりたい。そして、生産者の方々にも、そのことで、ある面では経済的には安心をしてもらえることになる。そして、風評被害を起こさないということが一番大切なわけでありますから、そうなりますと、死亡牛も、それから生きている牛も、すべてが全頭検査をしているんですよということを繰り返し繰り返し消費者の方々に伝えていく。
 そしてもう一つ、生産者の方のことを考えたときに、疑似患畜の問題がまた大きな問題になると思います。
 今回、この五月の十八日には、OIEの総会がございます。我が国は、この疑似患畜のOIEの基準を圧縮してもらうための提案をしてございまして、大臣から出張の許可が出れば、私はOIEに行ってそのことを総会で伝えて、このBSEの疑似患畜の圧縮について意見を述べてきたい、このようにも思っておりまして、そういうことがなされれば、生産者の方々も、ある面では、ダメージはありますけれども、きちっとした形で死亡牛の検査等々についても御理解をいただける大きな要因になるのではないかな、このように思っているところであります。
三井委員 次に、厚生労働省にお伺いいたします。
 昨年、我が党の長妻議員から、中国のダイエット食品による健康被害問題を決算行政監視委員会で質問しましたが、昨年の二月に死者を出したセン之素コウ嚢というダイエット食品……
小平委員長 三井委員、今、大臣いないけれども、いいですか。
三井委員 結構です。通告してありますけれども、遠藤食品保健部長で結構でございます。
 それで、実際に、一年で六人もの人が肝臓障害で入院したことが判明したわけでございますけれども、この情報が即座に公表されていれば、死亡した女性も含め、被害拡大が非常に抑えられたのでないかということが考えられるわけですけれども、保健所などに寄せられた健康食品の苦情など、都道府県を通じて厚生労働省の新開発食品保健対策室に報告することになっていますが、過去三年間で報告はゼロだった、また同対策室も報告がないので不思議に思っていたと。実は、途中で百六十件以上の報告が都道府県にとまっていた。実は私は、これ、質問取りのときに、厚生労働省の別の部署にあったということを言ったんですが、ところが、別の部署にはなかった。都道府県でとまっていたというんですね。
 厚生労働大臣も、怠慢のそしりは免れないと実は答弁されておりますけれども、このようなことを繰り返さないためにも、やはり行政内部及び関係行政機関がしっかりと連携をしていく必要があるだろう、また、情報管理や意見交換が必要であろうかと考えますが、坂口厚生労働大臣、どのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 御指摘を受けましたように、いわゆるダイエット食品等が問題になりましたときに、都道府県の保健所に百六十件からのこの情報が来ておって、そしてそれが滞っていた、こういう事実があったわけでございます。もちろん、都道府県の保健所もしっかりしてもらわなきゃいけないというふうに思っておりますが、全然、何も上がってきてないから何もないというふうに思っている国の方の責任も私はあると思っております。
 厚生労働省としましても、上がってこなければ上がってこないで、それはないんだろうというようなことではいけないので、やはり何も来ない都道府県に対しては、何も上がってこないけれども一体どうだという問い合わせぐらいはして、ちゃんと対応しなければいけないと思っておりまして、これは率直に反省をいたしております。今後、こういうことのないように的確に対応できるようにしていきたいというふうに思っているところでございます。
三井委員 まさに大臣のおっしゃる御答弁のとおりでございまして、やはり都道府県とより緊密に連絡をとりながら、特に今、こういうダイエット商品、あるいは健康食品とかサプリメントとか、非常にたくさん誇大広告が出ているわけです。これはまた、私は委員会の方で衛生法等で質問させていただきますけれども、非常に誇大広告、非常にグレー的な商品もたくさんあるわけですね、高血圧に効くだとか。今言ったような健康被害というのは、むしろ内容的に薬品に近いようなものも実際にあるわけでございます。ぜひこの辺、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、食品衛生における安全監視と検査体制についてお伺いいたします。
 特に、保健所の体制と機能でございますけれども、今回、衛生法の改正に当たりまして、監視体制の強化策が盛り込まれておりますけれども、かつて、違法な香料の製造が発覚した協和香料化学茨城工場の件がございました。これは、県の食品衛生監視員が製造施設に立ち入る監視指導を、法定回数では六回なのに、茨城県では二年以上も立入検査をしていなかったという事例がございます。全く監視が形骸化しているのではないかというぐあいに思うわけですね。
 この反省に基づいて、今回、都道府県が監視指導計画を策定する方式に変更されたわけでございますけれども、問題が起きているときに、大規模施設に重点を置くとか、やはり柔軟に効率的な監視を行うことが私は必要ではないか、こういうぐあいに思います。直接の役割を担う保健所の体制と機能、現状のままで、これでいいのか、形骸化している部分も含めまして、甚だ私は疑問に残る点がございます。今後、監視の質を保つ仕組みはどうつくるのか、あるいは、保健所の職員の配置のあり方、あるいは増員を含めた監視体制の強化についてお尋ねしたいと思います。
坂口国務大臣 監視体制、今まで、物によりましては年間に六回というようなものもあったわけでございますが、中には六回もやらなくてもいいものも率直に言ってあると思うんです。しかし、六回やらなきゃならないのに、二年に一遍しかやっていなかったというのは、大変これはお粗末な結果でございまして、そうしたことがないように、これからどうしていったらいいかというので監視指導計画というものをつくったわけでありまして、策定時に住民の意見の聴取及び公表が義務づけられることが一つ。それから、監視指導状況の公表を行うこととする。各都道府県においては、地域住民の意見を反映した重点的かつ効果的な監視の充実が図られるようにする。
 ですから、何遍しなければならないかは、それぞれの都道府県によって決めてもらう。地域によってそれは決定してもらっていい。そのかわり、責任を持ってちゃんとやってもらうということにしなければいけないというふうに思っている次第でございまして、そうした立場から現在やっているところでございます。
三井委員 特に、この協和香料というのは、アセトアルデヒド系統の製剤を使っているわけですね。これを溶解するのにヒマシ油を使っている。禁止された大変なものを、既に、二年間も調査にも行かないで、そして、特に子供たちが食べる食品が多いんですよ。アンパンマンのものですとか、お菓子類、ケーキですとかアップルパイ、こういうものに入っていたんですね。今まさに食育が問われているときに、こういう健康被害に遭うような香料を使っていたというのは、もう本当に許されないと思うんですね。ですから、こういう監視体制をしっかりと今後やっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 それで、最後に、何人かの委員からも、食育、食農教育について質問がございましたけれども、昨年、全国の小学生六百二十六人を対象に行った全国農業協同組合連合会の調査では、食べ物の季節感がわからなくなったというんでしょうか、三四%の子供がホウレンソウのしゅんを春と答えた、また、イチゴのしゅんは夏や冬と答えた子供たちも一〇%を超えていたという報道がございました。
 まさに、今の子供たちは、自分たちの食べているものへの関心を持てずにいる子供が多い。また、何をどう食べたらいいのか食卓で教えられない、親の教育がなっていないということもあるわけです。ですから、主食ですとか主菜ですとか副菜を、バランスよく食べるということができない子供たちが非常にふえていると思うんですね。そういう教育者の話もございますし、昨年の月刊「厚生」八月号をちょっと読ませていただきますが、食生活の健康ジャーナリストの砂田登志子さんの寄稿でございます。「食育から始める消費者保護リスクコミュニケーション」では、食育の歴史や、欧米諸国、米国での取り組みを紹介しつつ、「食育こそ高い配当が期待できる未来への健康投資であり、最良のリスクコミュニケーション、最高の予防医学です。」と述べているわけでございます。
 私も、実は、産婦人科医の先生方にもちょっと何人かにいろいろお聞きしたんですけれども、今の子供たちは、要するに、ペンシルボーイとかペンシルガールとかが多い。今、特に、厚生労働大臣は、少子化対策に国を挙げてやっているわけですけれども、こんな体では子供が産める状況ではない、これはすべて食べ物にあるんだ。
 まさに、私がここで強調したいのは、食農教育、食育を、体育はやるけれども、食育はない。知育もやる、体育もやる、しかし食育というのは非常におくれているということを強調されておりましたけれども、まさに私も同感でございまして、この食育を、きちっと食農教育というのはこれから、予算化されているようでございますけれども、全国に、やはり各、農林省、文科省、地方自治体等を含めて、密接な連携をとっていただきたい。
 ですから、今、子供たちが、自分たちがつくったカボチャが本当においしかった、カボチャってこんなおいしかったんだということも書いてありました。まさに、自分たちがつくったものが本当においしいんだということを、やはり今の子供たちに味わわせてあげたいということで、最後に、今後どのように進めていくのか、お尋ねいたします。
谷垣国務大臣 三井委員のみならず、大勢の先生方が食育の重要性を指摘されまして、食育という場合には、この法律で定めている食品の安全性の確保に関する教育、学習というよりも、もっと包括的な意味を含むように感じますけれども、食品の安全に関しましても極めて大事なことだろうと思います。
 それで、幅も広いものでございますし、それから、どういう場所で食育を行っていくかということも、家庭あるいは学校、それから地域社会、職場といったいろいろなところが考えられるわけでございまして、やはり、多くの関係者あるいは関係行政機関の連携というものがないと、なかなかよい食育というものができないのではないかというふうに思います。
 この基本法のもとで、十九条等で、そういう教育を推進するようにということでありまして、それを受けて、基本的事項で具体的な方策を盛り込むことになっておりますので、そこに、今の連携であるとか政府全体として取り組める姿勢を具体的に詰めて考えていきたい、こう思っております。
三井委員 時間でございますので、この食品安全基本法案が本当に消費者にとってもいい法案であることを、これからの審議の中でぜひとも推し進めていただきたいということを最後にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
小平委員長 次に、城島正光君。
城島委員 民主党の城島でございます。
 きょうは連合審査ということでありますが、私自身、一時期でありますけれども、食品の安全という分野の仕事をやっていたこともあって、そういう観点も含めて、少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず、一点目でありますけれども、今回のこの食品の安全の基本法、さらには、今回の食品の安全に関する行政の再編というんでしょうか、改編というんでしょうか、その基本になったのが、午前中も鮫島委員等も御質問になってはおりましたけれども、大きなスタートになったのが、例のBSEの問題であるということであります。
 したがいまして、私は、実は、一九九七年、平成九年、農林水産委員会の中で、我が国ではまだBSE、当時は狂牛病、狂牛病と言われておりましたけれども、発生がなかったわけでありますけれども、我が国においても、今の状況だと、下手すればBSEが発生するのではないか、可能性はあるんじゃないかという観点から、しかも、その原因が肉骨粉にあると言われているけれどもどうなんだということを含めて、その原因の究明、まだ発生していないけれども、大変重要な問題なので、原因の究明あるいはその予防ということを質疑させていただきました。
 しかし、午前中の鮫島委員の質問の中にもありましたけれども、原因の究明というのがまだはっきりしていないというような答弁でありましたけれども、改めてここで、そういう、事前に、九七年に質問をさせていただいたということもありますので、現段階における、我が国におけるBSEの原因、そして、今どういう段階にあるのかということを御説明いただきたいと思います。
須賀田政府参考人 一昨年の我が国最初のBSE発生以降、我々、原因究明のチームを組みまして、感染源の可能性と思われるものについて、川上、川下、双方から調査をしてまいりました。その結果、我々として、重点的に可能性が高いと思われるもの三つに絞り込んだわけでございます。
 一つが、イタリアから輸入された肉骨粉、これは、一九九八年六月以前、異常プリオンを不活性化するという条件を満たしてなかったと言われているイタリアからの肉骨粉、二つ目が、五つの配合飼料工場におきまして肉骨粉の混入の可能性が否定できなかったというところ、三つ目に、七例に共通して給与されておりました代用乳、この中にBSE汚染国でありますオランダ産の動物性油脂があったということでございまして、この三つに絞り込んできたわけでございますけれども、我々の段階では、まだ特定には至ってないということでございます。
 そこで、難航しておりますこの問題の隘路を切り開くために、専門家によるBSEの疫学検討チーム、これを昨年の十一月に立ち上げまして、これまでのデータをすべてお出しをしたわけでございます。
 この疫学検討チームでは、方針を立てまして、まず第一に、肉骨粉、それから輸入の生体牛、それから動物性油脂、こういうものを中心として、BSEの国内侵入リスク、それから暴露リスクというんでしょうか、国内でこれにさらされるリスクに関して複数の仮説を立てよう、それでその規模と起こりやすさを検証しようという方針が一つ。それから二つ目に、BSE発生群と非発生群の飼育方法、飼料給与に関するデータを比較考察しよう、ケース・コントロール・スタディーを実施しようということが二つ目。三つ目に、このやり方については、今後発生するであろうBSEの発生時における疫学調査とリスク管理に役立つものにしていこう。こういう三つぐらいの方針を立てまして、今後、疫学的な分析、評価を進めていこうということで、中間的な取りまとめというのを夏までにいただくという段階に来ておるところでございます。
城島委員 いずれにしろ、これが今回の食品安全行政の仕組みも変える基本になっているところなんです。しかも、その基本はやはり原因究明にあるというふうに思うんですね。それがはっきりした段階では、本当は、今後の対策ということも、仕組みも含めてしっかり出てくると思いますので、これについては徹底的に究明をしていただくということをお願いしておきたいと思います。
 それで、今回、BSE問題に関する調査検討委員会の答申ということも受けてだと思いますが、食品安全委員会を設立し、その中で、リスク評価、そしてリスク管理というものを分ける、しかも食品安全委員会というのは独立をさせるというスキームがとられたわけでありますが、改めて、この背景、その理由をお尋ねしたいと思います。
谷垣国務大臣 今回の基本法、それから制度改正の背景には、今委員御指摘のように、BSE問題がございまして、そのときの調査検討委員会報告書というものが私たちの出発点になるわけであります。
 そこで、BSE問題に関しての行政対応の問題点として、問題点はいろいろあったわけですが、行政対応の問題点としては、専門家の意見が適切に反映しない行政、こういう指摘がございまして、そこで、リスク評価は、独立性の観点から、関係省庁から独立した行政機関において科学的な専門家の知見を反映して定めていこう、こういう趣旨で、このような体制がとられたわけでございます。
城島委員 その点においては合理的かなというふうに思うんですね。
 私も、実は、今回のBSE問題があって、こういう安全に関する機関というものを、アメリカ、ヨーロッパ、かなり徹底的に調査をいたしました。それで、なかなかおもしろいなと思ったことが幾つかあるんですけれども、端的に言いますと、アメリカとヨーロッパではある程度違いがある。
 組織的なところだけ見ても、アメリカの場合は、例えば肉と卵関係、これはアメリカは特に肉類が主食であるということもあるんでしょうけれども、これはいわゆる農務省が管轄をしているわけですけれども、この部分と、それからそれ以外の食品、これはFDAですね。いわゆるリスク評価もリスクマネジメントも、日本で言う縦割りの中でやっている。
 しかし、大事なことは、今大臣もおっしゃいましたけれども、独立するかどうかというのは非常に重要なところだと思いますが、独立したぐらいの感じで、評価とマネジメントをきっちり分けているんですね。同じ省庁の中にあっても、農務省の中にあっても、リスク評価する部分とリスクマネジメントするところは、日本で言えば独立したぐらいの感じで分けている。そこにおいて、分離独立ということを図るような組織内を運営しながら、やはり一つの中にあった方がいろいろな観点で対応はスムーズだということでの、効率性も考えた中でのトータルな判断ということだったようであります。
 アメリカでも、これを独立させるかどうかと随分検討したようでありますが、検討した中において、最終的に今の形をとっている。そのかわり、後にもちょっと触れることになると思いますけれども、ヨーロッパに比べても、あるいは、日本もどちらかといえばヨーロッパに近いと思いますけれども、情報公開が徹底している。このことによって今の組織は成り立っているのかなというふうに思ったわけであります。
 そこへいくと、ヨーロッパの場合は、どちらかというと、イギリスを除けば、やはり分離独立をさせるということなので、今回、そういう面でいうと、今大臣がおっしゃったところに力点を置くとすれば、ひとつ分離独立をして、専門家の意見というのはきちっと反映させる組織というのは、それなりに私は意味があるというふうに思うわけでありますけれども、重要なのは、そのように、やはりリスク評価というものとリスクマネジメントというのを、どういう形態をとるにしろ、ある面では、きちっと分立し、独立をしているということが大事だなというのを感じたわけであります。
 そういう点でいうと、今回は、あえて言うと、ヨーロッパ型に近いような形をとられたということで理解をしたわけであります。
 その中で、先ほどからもう何人かの委員もおっしゃっていますが、いずれにしても、アメリカにしてもヨーロッパにしても、この組織というのは、この体制が決定的にうまくいくかどうかはやはりリスクコミュニケーションだと各機関が言っているんですね。そればかりと言った方がいいんですね。リスクコミュニケーションのないリスク評価、リスク管理は一〇〇%失敗する、これは至るところで聞いた私の話であります。
 そういう点からいうと、科学的に安全というものがイコール安心にどうつながっていくかというときに、これは必ずしもイコールじゃないわけでありますから、これをイコールにしていく努力というか、そこでキーになるのは、それぞれの食品の安全にかかわる法律の中にもいろいろ、事業者、関連者等ありますけれども、いわゆるステークホルダーの皆さんがそれぞれ、行政も含めて、あるいは事業者、企業も含めて、やはり消費者の皆さんに信頼というものがどれだけ構築されるかというのが、安全が安心につながっていく一番のポイント、そのキーを握るのがまさにこのリスクコミュニケーションだということだろうと思うんですね。
 そういう観点から、今回の一つのキーになるのはやはりリスクコミュニケーションだと思いますけれども、午前中の多くの皆さんの質問もあったように、なかなかこれは具体的に描けない、重要だとわかっても描けないということなので、改めてもう一度、今、このリスクコミュニケーションというものは、比較的日本では新しい概念でありますけれども、どういうふうにお考えになっているのか。大臣の御見解を承りたいと思います。
谷垣国務大臣 今、城島委員がおっしゃいましたように、制度の立て方は世界さまざまでございますけれども、それをうまく運営していくためにはやはりリスクコミュニケーションがポイントだろうというのは、まさにそのとおりだという認識を私も持っております。
 ただ、委員がおっしゃいましたように、リスクコミュニケーションという新しい言葉が入りまして、では、みんなが共通の認識を持っているかというと、必ずしもそうでないところもございますし、また、一体どういう手法を使っていけば正しい、適切なコミュニケーションができるのかというのは、これから相当工夫も必要なところではないかというふうに思っております。
 そういう上で、このリスクコミュニケーションにつきましてはなかなかまだ具体的なイメージがうまく描けていない、描けないじゃないかという御批判だったと思いますが、食品安全委員会だけではなく、リスク管理をやる農水省や厚労省あるいは自治体それぞれが、所管の事項に関しておのおのがリスクコミュニケーションを企画、実施してやる必要がある。それから、それに加えて、食品安全委員会は、関係行政機関が行うリスクコミュニケーションについても総合的な調整をやって、政府全体として効果的なリスクコミュニケーションをできるようにやっていくということだろうと思います。
 それで、今具体的な実施の方法としては、ホームページ等を活用して、今の評価、リスク評価やそういった問題を行政がまずわかりやすく説明していくという努力が重要だと思いますし、それに対して国民からの意見も幅広く伺うということが大事ではないか。それから、中央や地方で意見交換会や説明会というのも開催をする必要があるのではないかといったことを想定しているわけですが、先ほども申しましたように、今後、外国の事例や経験者のいろいろなお考えも伺って、工夫をしていかなければならないと思っております。
城島委員 日本では、ここにありますが、化学物質のリスクコミュニケーションの手法というのがありまして、これは私も勉強させていただきましたけれども、食品にもかなりの部分応用できるんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、日本でも、化学物質については、この分野の検討が少し先行しているんじゃないかというふうに思います。
 ただ、化学物質のリスクコミュニケーション手法検討会というのが実はあって、その中でも触れられているわけでありますが、日本においては行政とか企業等、そういった部分と市民団体、消費者団体の皆さんとのまさにコミュニケーションというのがふなれであるということから、いろいろな相互不信とか対立とかいうのが多い。したがって、この分野はますます力を入れていかないといかぬのじゃないかというここの指摘があるわけであります。
 これを読んでいて、より食品の方が難しいなと思う点が何点かあったんですが、その最大のものは、今回、このリスクアナリシスという全体の概念を導入した。これはまた欧米どこへ行ってもそうですけれども、食品においてもこのリスク分析というものを導入する基本的な考え方というのは、食品もと言った方がいいと思いますけれども、常に、絶対、いつでも安全だというものではない。まさに使い方、量、あるいは、食品ですから調理の仕方とか保存とかということによって安全である場合もあるし、場合によっては危険になることもあるということが前提になっているからこそ、分析をしながら、常に安全なものを消費者の皆さんに提供していく、あるいはとるということが必要だという、その基本的なところがそういう考え方だということだと思うんですね。
 そして、化学物質の場合はかなりそれが明確に、害になるかどうかというのが比較的食品に比べては簡単にと言っては失礼ですけれども、出てくる可能性がある。食品の場合は、先ほどから論議になっているように、フードチェーンを見ると膨大な範囲がある。しかも、いろいろな人がステークホルダーとしてかかわっている。代表例でいつも僕も言うんですけれども、例えば塩一つとっても、塩というのは、人間の健康に必須なものだけれども、とる量が過大になれば高血圧になるというようなことが代表例です。そうした中で、適量とは一体何かというのはまた人によっても違うという大変に難しいものがこのリスクアナリシスの中にある。
 したがって、この分野については、ますます化学物質以上にリスクコミュニケーションということを深めながら全体の理解をしていく必要があるし、また、レベルを上げていく必要がある。
 午前中、たまたまでありますけれども、これも鮫島委員が、このリスクコミュニケーションに関しての部分だと思いますが、以前のカイワレの問題をやられていました。たまたま、実は私、先ほどBSEの問題と言いましたけれども、その同じ委員会で同じ指摘をしておりまして、九七年の委員会では、当時の厚生省ですけれども、いかにもカイワレが原因みたいな報道というはおかしいじゃないか、カイワレそのものはキャリアの一つであって原因ではない、しかし報道が、あるいは報道だけじゃなくてその発信源の厚労省そのものも、いかにもカイワレがO157の原因みたいなことを言った、おかしいと。まさにこれは、情報提供をすればいいというものじゃなくて、間違った情報を与えるとすれば、これまた消費者、あるいはその場合は生産者もそうだったんですけれども、大変な被害があるし、マイナスの効果になる。ですから、情報そのものも質的にも上げていくということにおいても、ステークホルダーのそれぞれがレベルを上げていく面においてもこのリスクコミュニケーションが非常に大事だということだと思うんです。
 そういう点で、これまたアメリカの例でありますけれども、私が調べたときに、ハーバード大学にもう既にこのリスクアナリシスの研究機関があって、しかも、その中にはリスクコミュニケーションの講座もある。この分野の専門家を国策としても積極的に育成しているということなんですね。
 それで、お尋ねしたいんですけれども、そういう点でも、リスクコミュニケーションをうまくレベルを上げていくためにも人材ということが極めて大事だということですけれども、日本の大学等においては、この部分についての現状はどうなっているんでしょうか。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 リスクコミュニケーションの重要性、またこの分野にかかわる人材の育成の重要性については、御指摘のとおり、大きな課題であると認識をいたしております。
 この分野が先進的に行われておりますアメリカでは、御指摘のように、ハーバード大学公衆衛生大学院におきまして、人材養成あるいは市民への啓蒙活動などを積極的に行っているというふうに承知をいたしておるわけでございます。
 我が国におきましても、公衆衛生分野の人材養成の重要性にかんがみまして、高度専門職業人養成を目的とする専門大学院といたしまして、平成十二年度に京都大学に社会健康医学系専攻、また平成十三年度に九州大学に医療経営・管理学専攻を設置したところでございます。
 これらはいずれも医学系の研究科の専攻ということでございますが、医師、看護師、薬剤師、あるいは法律、行政関係など多様なバックグラウンドを持ち、また社会経験も多くは有している、そういう方々を幅広く受け入れて、公衆衛生に関する専門的、実践的な知識、技術を養成しようとするものでございます。この中で、例えば京都大学におきましては、環境衛生学分野の授業の中で、合理的なリスク伝達のあり方、受け手側の個人レベルまたは社会集団でのリスク認知や、合理的な意思決定のあり方等のリスクコミュニケーションに関する教育を行っておるわけでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、このような各大学における社会の要請に的確にこたえる教育研究の取り組みを促し、また支援をしてまいりたいと考えております。
城島委員 これは極めて大事なところなんで、積極的にやっていただきたいんです。あえて言うと、もう一つ、今の分野の中では抜けていたのであえて言いますけれども、食品の安全、全般的なフードチェーンを見ると、獣医学のところが極めて大事ですから、その部分については、別の委員会でも申し上げましたけれども、落とさないようにやっていただきたいと思います。
 それから、この分野というか、食品の安全と安心の確保のためにということで極めて関心高くやっているのは、日本学術会議もこの問題についてはかなり検討しているようであります。
 ここでもやはり、安全と安心は、関係者が科学的知識を共有した上で、自主的に建設的なリスクコミュニケーションを重ねるということが極めて大事だということをうたわれております。いわゆる、リスク評価、そしてリスク管理ということ、それぞれじゃなくてその全体を、まさにリスク分析全体にまずリスクコミュニケーションが必要だ。先ほどから、例えばリスク評価の中にも消費者団体の人はどうかという意見もありますが、そして、個別の、リスク評価の分野、そしてリスク管理の分野、ここにおいてもまたそれぞれコミュニケーションが非常に大事だということをこの日本学術会議ではうたっているわけであります。
 その場合に、当たり前といえば当たり前ですけれども、一番大事なことは中立であり、明快であり、信頼であり、透明であり、公開、この原則がどうしても必要だということにこの学術会議のレポートではなっているわけでありまして、その辺をしっかりと原則を踏まえた上でのリスクコミュニケーションを、先ほど大臣おっしゃいましたが、これからということがありますけれども、しっかりと確立をする努力と、それから人材育成も含めてでありますけれども、お願いをしたいなというふうに思います。
 それから、リスクコミュニケーションのところを中心に申し上げましたけれども、もう一つ、リスク評価とリスク管理、これの役割分担についてでありますけれども、先ほどちょっと大臣もお触れになっておりましたけれども、これは明確に役割分担ができているのかどうか。というのは、これ、責任の分担にもなりますから、その辺の役割分担というのは、今回のこの法案も含めて実際の運用の中で、いかがでしょうか、明確になるんでしょうか。
谷垣国務大臣 最近、リスク分析手法、コーデックス委員会、国連食糧農業機関と世界保健機構の合同食品規格委員会ですが、そういうところにおきましてもリスク分析手法の導入が求められている。国際的な潮流なんだろうと思います。
 そこで、それのきちっと分けることが可能であるかということに関しましては、理論的には明快に私は分けることができるんだろうと思うんですね。リスク評価というのは、食品に含まれる生物学的あるいは化学的、物理的な要因、または食品の状態が食品の摂取を通じて健康にもたらす悪影響について入手し得る最新の科学的知見に基づき評価するという、これは科学のプロセスだ。それに対してリスク管理は、そういった評価の結果だけではなくて、そのほかの科学的、社会的要因というものも考慮して健康への悪影響の発生を予防または抑制する、そういう適切な措置を選択して実施していくという、これは行政のプロセスで、理屈の上ではこれはきちっと分けることができると思います。
 ただ、現実の問題としてどうなるかというのは、私もその準備室といろいろ議論はして、理屈の上では分けることができるんですが、現実の問題とすると、いろいろあるいはそこで悩みも困難も生ずるのかもしれないと思います。
 実は、コーデックスの委員長が見えましたときそういう議論をいたしまして、コーデックスの委員長は、とにかくリスク評価とリスク管理が、いわば相互作用といいますか、お互いにいわば適切な緊張関係を保って、刺激し合っていくことが必要であるというような意味を言っておられたと思うんですが、きちっと分けることがあるいは困難な領域があるのかもしれません。私はまだそこはすべてをつまびらかにするだけの勉強ができておりませんが、その場合でも相互作用が大事なんだろう、こんなふうに考えております。
城島委員 それじゃ、最後ですけれども、農水大臣と厚生労働大臣に、今の部分も含めてお考え及び決意を聞きたいのは、先ほどからの論議というか、私も指摘をしておりますけれども、今回のスキームというのは、先ほど論議もありましたけれども、絶対これが最終段階じゃないと私は思うんです。第一歩かもしれない。特に、リスク評価というものを分離、さらに独立をさせたというのが一方であり、そして、マネジメントは今までどおりそれぞれの農水省と厚労省がやる。そうすると、しかも、フードチェーンですから、例えばBSEのときに問題というか、指摘されたように、一つのフードチェーンの中でも途中段階までは農水省だ、途中から厚労省だ。ここもまた複雑に絡んでくる。なかなかこの仕組みというのは、分離、独立したところまではいいとしても、果たしてこれがさらに有効的に機能するかな。かなというよりは、機能させないかぬわけですけれども、これはなかなか難しいな。
 だから、わかりやすく言えばというので、先ほどアメリカの例を挙げましたけれども、分離、独立したぐらいのことで機能を分けて、そしてやっていくとなると、話としてはわかりやすいですね。しかも、製品ごとに、それこそ日本で言う縦割りになって、肉とか卵は全部農務省だ、それ以外の食品は全部FDAだということで製品ごとに分かれていますから、これは非常に頭の中ではすっきりするわけです。そういう中で、まさに連携がますます必要になってきますよね、両省。そして、まさにそれを尊重しながら、それを受けながら、食品安全委員会とのいい意味の連携ということも必要になってくる。大変難しい重要なかじ取りをお二人は負うことになりますので、その辺の御見解及び決意のほどを承って終わりにしたいと思います。
坂口国務大臣 お話のございましたように、リスク管理の方を厚生労働省は担当しなければならないわけでありまして、食品衛生規則の抜本的な改革でありますとか、あるいはまた検疫所や地方厚生局の人員配置の問題でありますとか、あるいは輸入食品安全対策室の設置でありますとか、こうした骨格は我々も一生懸命やっているわけでありまして、そして今国会に法律も出させていただいて、そして変えるべきところは変える。今も問題、御指摘を受けましたように、やはり情報をどう共有するかということが一つ非常に大事なことだと思うんですね。
 厚生労働省として、情報を、これは大丈夫だろうというふうに思っておりましても、農林水産省から見ていただいたらそれは非常に重要な情報かもしれない。やはり、そうした意味で、自分たちの方で見てこれは余り重要じゃないというふうに思ったとしても、それはお互いに共有できるように、農林水産省にもちゃんとその情報は見ていただくといったようなことが一つ大事。それから、いわゆる消費者の皆さん方の御意見を常時聞く体制が大事。
 そして、最後にもう一つは、国と地方、そして国の側も厚生労働省あるいは農林水産省というふうにそれぞれ持ち場があるわけでありますが、同じことをみんながやっていてもいけませんから、それぞれどこを分担をして、どうお互いにそこを調整をしていくかという役割分担と、そしてそれをうまく調整させないことには、お互いに少ない人数でやるわけでありますから、みんなが同じことをやっていたのでは話にならないと思います。そうしたいわゆる仕事の中の調整の問題をやはり非常に重視をして、これは地方も含めてやっていかなければいけない。
 それらの点を重視をして、これからとにかくやらせていただいて、一つ一つ、またうまくいかないところがあれば変えていくというようなことをやる以外にないのかなというふうに思っている次第でございます。
亀井国務大臣 私ども、リスク管理部門を産業振興部門から分離、強化をするということで、相互の牽制力や緊張感、こういう関係を持たせて、食品安全行政に透明性を確保する、こういう努力をしてまいりたい、こう思っております。あわせて、地方農政局、あるいはまたこれから地方農政事務所等にリスク管理部門をつくるわけでありまして、消費・安全部、これを設けまして、それぞれ消費者保護のための監視、指導体制の強化、こういうものを図ってまいります。
 あわせて、今厚生大臣からもお話しのとおり、緊密な連携を持って努力をしてまいりたい。また、リスクコミュニケーションの問題につきましても、その中に消費情報官というようなものも持ちまして、リスクコミュニケーションの問題にも意を用いて努力をしてまいりたい、こう思っております。
城島委員 終わります。
小平委員長 午後一時から連合審査会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。江田康幸君。
江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。本日は、食品安全基本法に関する質疑をさせていただきます。
 この二年、食の安全を揺るがすさまざまな問題が起きております。BSEの発生、大企業による牛肉偽装の問題、それから残留農薬や無登録農薬の問題、健康食品による被害等々、食の安全に対する国民の信頼は大きく失墜し、不安が増大している現状でございます。
 このような状況に対応するために、私たち公明党では、現地調査や関係者との協議を重ねてまいりました。昨年二月、「食の安全」確保に関するプロジェクトを設置し、リスク評価委員会の設置や食品安全法の制定を柱とする食の安全確保に関する提言を発表したところでございます。さらに、与党三党のプロジェクトチームでこれを取りまとめ、政府に申し入れを行っております。これらを踏まえて、昨年六月、内閣では、今後の食品安全行政のあり方についてを閣議決定されました。食品安全基本法は、こうした中で具体化されたものであり、評価するものでございます。また、今後の食の安全と安心を確保する上で大きく期待するところのものでございます。
 私も、昨年のBSE問題に関する調査検討委員会の最終報告書に関する集中審議、これは農林水産委員会で行われましたが、それ以来、食品の安全体制の構築に向けまして、消費者の健康保護を最優先する包括的な基本法の制定と、この独立したリスク評価機関の設立を強く要望してきたところでございます。
 改めて、食品安全基本法案に関して質問をさせていただきます。
 まず、食品安全基本法のねらいとその目的、これについて伺います。また、BSE調査検討委員会報告書で指摘された食品の安全を確保するための提言については、どのようにこの基本法で反映しているのか、谷垣大臣にお聞きしたいと思います。
谷垣国務大臣 今おっしゃいましたように、食品安全基本法案は、BSE調査検討委員会の報告書を下敷きとしてと言っては言葉が悪いかもしれませんが、受けてつくられたものでございまして、その基本的なねらいは、第一に、国民の健康の保護が最も重要であるということを基本理念として法案に明記する、これがまず第一点でございます。
 それから二点目は、いわゆるリスク分析手法を取り入れて科学的なリスク評価の実施とこれに基づく施策、いわゆるリスク管理、これの策定、それから、そういったことを通じてリスクコミュニケーションを促進していくといったような基本的な方針をとっていることが第二点でございます。
 それから第三番目として、組織の問題として、リスク評価の実施を主たる役割とする食品安全委員会を独立の行政機関として新たに内閣府に設けること。この三つぐらいを柱としまして、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進しようとするものでございます。
 それで、これは先ほども申しましたが、調査検討委員会の報告、細かくそれを引くことは差し控えますが、基本的にそこでの御提言を踏まえたものでございます。それから、基本法案の内容に即して各種の施策が講じられることになるように、食品衛生法の改正など、所要の法律案が提出されているところでもございます。
 今後は、こういった法律に基づきまして、新しい食品安全委員会とリスク管理を担当される役所が適度な緊張関係を持ちながら、全体として国の施策として一体となって食品安全行政というものを確立していきたい、こんなふうに思っております。
江田(康)委員 これまでも多くの質問も出ておりますので、準備した質問を多少は割愛させていただきます。
 次に、大きな問題となりました、また国民の食の安全、安心に対する信頼を大きく失墜したその一つであります食品表示の問題についてもお聞きさせていただきます。
 食品表示は、消費者が商品を選択する上での重要な基準であります。農林水産省が策定した食の安全・安心政策大綱におきましても、食品の表示が十分に信頼できて、かつ、正確でわかりやすいものであることが不可欠とうたわれてもおります。
 しかし、現在の食品表示制度は、農林水産省管轄のJAS法、厚生労働省管轄の食品衛生法、公正取引委員会所管の不当景品類及び不当表示防止法など、複数の制度に分かれておりまして、表示内容が非常にわかりにくいという指摘もされております。
 それで、この食品の表示というのは根本的に国民の安全と安心を確保する上で非常に重要と考えますが、基本法のもとにおきましてはこの表示問題をどうとらえて、どう取り組んでいこうとされているのか、具体的にお示しをしていただきたいと思います。
 それからまた、指定外添加物の使用、無登録農薬の販売、使用といった事業者の間違った行為や対応も、国民の不信感をさらに増大させたわけでございます。この新たな体制では、このような事件はどのように防げるのか、それに対してどう担保されているのか、これは農林水産省と厚生労働省にまずはお伺いしたいと思います。いずれも、国民の皆さんにわかりやすいように説明をしていただきたいと思います。
西藤政府参考人 食品表示の問題について、現状を御説明させていただきたいと思います。
 先生御指摘のとおり、基本法の十八条で、食品表示の関係の規定をいたされております。そういう状況の中で、昨年来、いろいろな事情の中で、事案が発生する中で、消費者の立場に立ってわかりやすい食品表示制度を実現していく、結局はそこに行き着くということで、私ども、厚生労働省との間で懇談会も開催させていただいて、当面、両省の間で共通の共同会議を設置して、それでいろいろな表示をめぐる問題について論議し、結論を出していこうということで取り組んでいる状況にございます。
 具体的なあれとしましては、一つは、例えばわかりにくい一番の例の一つとして、食品の期限表示について、品質保持期限と賞味期限ということで両方それぞれ分かれた形で状況があったわけですが、共同会議における検討が進められまして、三月に開催されました共同会議で、賞味期限ということに統一することが適当だという御意見をいただいております。
 現在、それに即した準備作業に入っているという状況でございますし、さらに、私どもの関連で申し上げれば、加工食品の原料原産地表示などについても、どこまで、対象をどうしていくかというところでいろいろ御論議がございます。そういう点もこの共同会議において御検討いただいているところでございます。
 順次課題を整理していきたい、冒頭申し上げましたように、消費者にとってわかりやすい表示という視点で取り組んでいきたいというふうに思っています。そういう点で、両省共通のパンフレットの作成も現在鋭意進めておりますし、あるいは窓口の共同窓口化ということも取り進めている状況にございます。
 いずれにしましても、わかりやすい表示ということで、今後も努めていきたいというふうに思っております。
遠藤政府参考人 まず、食品表示の問題でございますが、ただいま農林水産省の方からお答えございましたように、農林水産省と私どもとで共同会議を設けまして検討を進めているところでございます。
 表示項目の用語、定義の統一や表示方法の運用等の問題点を検討するための共同会議を昨年十二月に設置し、食品衛生法とJAS法の統一的な運用を目指して検討を行っております。既に、期限表示の定義の統一につきまして最優先の課題として検討を行い、期限表示を示す品質保持期限及び賞味期限の二つの用語を賞味期限に統一するというふうな御意見をいただいているところでございます。
 そのほか、各表示制度について、パンフレット等の作成、一元的な相談窓口の設置、国、県レベルを通じた関係部局の密接な連携等についても今後推進してまいりたいと考えております。
 さらに、食品安全基本法第十八条において、食品の表示制度の重要性及びその適切な運用の確保の必要性が規定をされているところでございまして、この趣旨の実現に向けて各種施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、指定外添加物の使用のような事例に対してどのように取り組むかということでございますけれども、昨年五月の、協和香料化学が製造販売をした香料、またダスキンが販売をしました肉まんにそれぞれ指定外の添加物が使用されており、食品衛生法に違反するということで回収等の措置がとられたところでございます。このように指定を受けていない添加物の違反事例につきましては、昨年六月、全国の添加物製造施設に対して立入調査を実施するなど、監視指導を強化したところでございます。
 一方、これらの問題となりました指定外添加物の多くが欧米では広く使用されているものであったということで、国際的に安全性が確認をされている添加物につきましては、企業等からの要請を待つことなく指定をするということに向けて検討を進めているところでございます。
 また、食品安全基本法において、食品関連事業者は食品の安全性の確保について一義的な責任を有する旨規定をされるとともに、食品衛生法改正案におきましても、販売食品等の原材料の安全性の確保等の食品事業者の責務の明確化、営業者等の食品衛生法違反に対する罰則の強化等を盛り込んでおり、これらの方策を通じて、御指摘のような事例の再発防止に努めてまいりたいと考えております。
江田(康)委員 今申されましたように、各種の施策が、この基本法の中においてもまた罰則規定においても明記されているということで、これまで本当にこの表示問題等、大変な問題だったと思います。
 すなわち、いろいろ安全性確認等はございますでしょうけれども、食品の表示、これが揺らぐとこの基本法は何の意味も実効力もないかと思います。そういう意味で、今回起きたこの表示問題、指定外添加物等の問題、これにつきましては、農水省、厚生労働省ともにしっかりと、国民にわかりやすい表示を心がけて取り組んでいただきたいと思う次第でございます。
 では、基本法の内容に入ってまいりますが、まず、消費者重視の食品安全行政に転換していくべきでございますが、その重要な役割を担うのが食品安全委員会でございます。この食品安全委員会について、幾つかお伺いをさせていただきます。
 まず、食品安全委員会の役割、これについてお伺いしたい。そして、食品安全委員会の設置でこれまでの食品行政はどのように変わるのか。これについて、大臣の見解をお伺いできればと思います。
谷垣国務大臣 消費者重視の行政に転換していくべきである、これはBSEの報告書にも、かつての食糧難時代の生産重視の視点で行政が続けられてきたという指摘がございまして、まさにおっしゃるとおりであろうと思います。
 したがいまして、この法案、食品安全委員会も、条文上の用語で申しますと国民の健康保護が最も重要であるということを基本理念にいたしまして、まず第一にやるべきことは、先ほど申しましたリスク分析手法を取り入れて、科学的に専門家の知見をリスク評価の中に取り入れていくための機関である、これが第一でございます。
 それから二番目に、幅広い関係者相互間の情報、意見の交換、いわゆるリスクコミュニケーションを積極的にやれ、これが二番目でございます。
 それから三番目は、重大な食品事故が起こったような場合の緊急対応について、役割の定めがございます。
 具体的には、関係大臣の諮問に応じ、また必要に応じてみずからリスク評価を実施していく。それから、そういうリスク評価の結果に基づいて関係大臣に勧告をする。それから、こういう影響評価の結果に基づく施策の実施状況等を監視して関係大臣に勧告していく。それからまた、食品安全行政に関して関係行政機関の長に意見を述べる。必要があれば、調査研究も実施する。それから、関係者相互間の情報、意見の交換、いわゆるリスクコミュニケーションを実施して、また行政機関の間のリスクコミュニケーションの調整もやっていくということでございます。
 それで、何が変わっていくかということになりますと、これもBSEの報告書に指摘されておりましたように、今までリスク評価とリスク管理、この両方が区別されずに混然一体とした仕組みで行われていたものを、リスク評価については独立の組織をつくって客観的、中立公正な科学的評価が行われて、先ほど申しましたように専門家の知見が食品安全行政の中に反映されるようにする、そこが今までと変わっていく点である、こういうことであろうと思います。
江田(康)委員 これまでの食品行政の中ではなかった、ある意味では日本の行政にはなかったこのリスク評価とリスク管理、これまで混然一体となっていた、そういうものから、独立した組織で中立的、公正な評価を行う、こういう食品行政への変化があるだろうということでございます。
 その第一の役割であるところの食品健康影響評価について伺いますが、食品安全委員会のもとの専門調査会には、農薬を初めとしまして汚染物質、遺伝子組み換え食品など十三分野の評価チームが置かれることになっております。
 食品健康影響の評価というのは、皆様方余りなじみではないと思いますが、私の方も医薬品の開発等をやっておりましていろいろ専門的にはわかるのですが、簡単に言えば、実験動物を用いて食品の毒性試験を行う、その結果から毒性を示さない、毒にはならない無毒性容量というものを決定して、さらには人と動物間、そういうような個体差とか種差とか言われるような安全係数を考慮して、人間での食品の一日摂取許容量を出していく、こういうような健康影響の評価を行われるものだと私も理解しております。
 その結果をもとに、各省は審議会で基準をつくられていくということを聞いておりますが、国民の皆さんがそういう基準をしっかりと理解し、安全な食品であると選定できるように、この審査会でなされるところの基準づくりについて、具体的にその方法等についてもわかりやすく説明をしていただきたいと思うわけでございますが、どうでしょうか。
小川政府参考人 基準づくりというお尋ねでございますけれども、食品安全委員会の方で行います評価の手法について御説明申し上げたいと思います。
 食品安全委員会におきましては、先生御指摘のありましたとおり、委員会活動を支えるために、農薬、添加物あるいは微生物といった危害要因ごとに、具体的な食品健康影響評価、いわゆるリスク評価を担当いたします専門調査会、十三程度ぐらい今考えてございますけれども、これを設けます。それから、このほか、専門調査会といたしまして、評価の年次計画をつくったりする、あるいはリスクコミュニケーション関係、それから緊急時対応を検討する専門調査会、そういった調査会を置くことを考えております。
 具体的なリスク評価のやり方でございますけれども、それぞれの分野の専門家、学識経験者に集まっていただきまして専門調査会を形成しまして、それぞれの分野にかかわる事項について調査審議をしていただくわけでございます。その結果を安全委員会、親委員会に報告いたしまして、委員会としての最終的なリスク評価の結論が出されるということになります。
 実際の評価手法でございますけれども、先生これまた御指摘がありましたように、化学物質あるいは微生物といった危害要因、いわゆる評価対象となります危害によってやり方は変わるわけでございますけれども、例えば農薬や添加物の成分となるような化学物質のリスク評価を行う場合の標準的な考え方でございますけれども、実験動物を用いまして毒性試験をやりまして、その結果から、御指摘のありましたように、その化学物質が有害な作用を示さない最大量、無毒性量と言ってございますけれども、これを設定いたします。この値につきまして、人と実験動物との種差、それから人間の個体差、そういったものを織り込みました安全係数というもので割りまして、一日当たりの摂取許容量、ADIというものでございますけれども、認められるような健康上のリスクを伴わないで人が生涯にわたって毎日摂取できる体重一キログラム当たりの量といった形で設定をいたしたいと思っています。
 そういう形で評価が決まってくるわけでございますが、法律の十一条の三項にございますように、いずれの危害の場合であっても、その時点におきまして国際的に到達されております水準の科学的知見に基づいて、客観的に評価を行いたいというふうに考えております。
 この評価の結果を遅滞なく関係大臣、農水大臣でありますとか厚生労働大臣に御通知しまして、その評価結果に基づいて、厚生労働省あるいは農林水産省が規格、基準の具体的な設定作業に入る、そういう手順で評価のプロセスが進むわけでございます。
江田(康)委員 ありがとうございました。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、さらにはしょりまして。そういうような方法でこの基準値が決定されていくということでございます。ですから、今やれる最高の科学的技術をもって人での安全性が確認されるということでございますので、この安全委員会並びに審議会での基準づくりをしっかりとやっていただいて、国民にそれを正しく理解していただくように、表示等においてもしていただきたいと思うわけでございます。
 それで、まず、BSE調査検討委員会報告でも、省庁の縦割り行政の弊害、連携不足というのが大きく指摘されました。九六年WHO肉骨粉使用禁止勧告や、二〇〇一年のEUステータス評価、この際に農水省は厚生労働省との十分な協議を行わなかったと、これがBSEの発生を許したとも指摘されるわけでございます。
 そこで、食品の安全性を確保していくためには、基本法や食品安全委員会設置のもとでの関係省庁の取り組みと相互連携、特にこの相互連携でございますが、これが決定的に重要かと思います。この基本法では、どのように相互連携の担保をとっておられるのか、縦割り行政の弊害をどう排除して、実効力のあるものにこの基本法をしていくのか、三大臣の見解をお伺いして、もう時間になりますので終わらなければならないと思っております。
谷垣国務大臣 この基本法では、リスク管理機関とリスク評価機関を分けたわけで、その間の適切な緊張関係を保たそうということでございますが、対立しているだけでは今おっしゃったようなことでうまくいきませんので、一つは、リスク評価をする場合に、関係大臣の諮問に応じてする場合がこれはあり得るわけですね。それから、その評価の結果に基づいて勧告をすることができるようになっている。それからさらに、その結果に基づいてリスク管理を行われる、その施策の実施状況を監視する、必要に応じてはさらに勧告する。
 そのほかにも幾つかの規定がございまして、こういったことで関係各省緊張感を保つとともに、全体としては一体になった食品安全行政ができるような仕組みになっておりますので、これをうまく生かしていきたい、こう思っております。
坂口国務大臣 今お話ありましたように、食品安全基本法案の中に、相互の密接な連携のもとで施策の施行をしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
 今回、食品衛生法の改正を行いまして、その中で、農林水産省との連携をさらに密にしていくことをその中に述べているわけでございます。一つは、食品の規格でありますとか基準を設定する際の農林水産大臣に対する協力の要請の対象としまして、今まで農薬があったわけでございますが、農薬に加えて飼料添加物、それから動物用医薬品を新たにそこに加えさせていただいた。それからもう一つは、と畜場法及び食鳥処理法におきまして、厚生労働大臣と農林水産大臣との連携及び協力に関する規定の新設等を盛り込ませていただいた。こういうことでございまして、これらのことを骨格にしながら連携を密にしていきたいと考えております。
亀井国務大臣 この食品安全基本法案につきましては、関係行政機関の相互の密接な連携方策など、食品安全行政の実施に関する基本的事項を定め、これを公表することになっております。
 また、我が省としては、生産資材の使用過程における基準等におきまして、厚生大臣の意見の聴取を行い、厚生労働省の所管する食品衛生法の残留農薬の基準との整合性を確保する。あるいはまた、今もお話がございました件ですが、動物医薬品の承認、飼料添加物の指定等に当たり、厚生労働大臣への意見聴取を行うよう定めておるところでもございます。なお、今取りまとめをしております食の安全・安心のための政策大綱において、関係府省による定期的な連絡会議を持ちまして、重要な問題を協力し、行動計画を策定してまいりたい、このように考えております。
 食品安全委員会を中心に、農林水産省、厚生労働省と一層連携を持ちまして、食品安全行政の一体的な推進に全力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
江田(康)委員 ありがとうございました。
 最後にちょっとございますので。しっかり綿密な連携をとって、この安全行政を確立していっていただきたいと思います。
 最後に、リスクコミュニケーションについて伺います。具体的にどのように進めていくのか。この前内閣委員会でありました参考人の意見の中には、国レベルだけでなく、重層的に行うべきであると。また、地方公共団体や消費者団体においてもリスクコミュニケーションの場を設定すべきとか、またコミュニケートの専門家の養成も必要といった意見がございます。政府としてどのように進めて実効性を担保されるのか、簡単に、最後ですが、お願いいたします。
小川政府参考人 リスクコミュニケーションについてのお尋ねでございます。
 食品安全委員会を初め、国、地方を含めた関係行政機関が、所管の事項に関しまして、それぞれリスクコミュニケーションを企画、実施していくというのが一つございますが、それに加えまして、食品安全委員会は、関係行政機関が行うリスクコミュニケーションにつきましても総合的に調整をいたしまして、政府として、効果的なリスクコミュニケーションが実施できますように、この調整を図りたいというふうに考えております。
 その際、御指摘のように、さまざまな場、さまざまなレベル、そういったものを活用するということと、タイミングというのが非常に重要になってまいります。具体的なリスクコミュニケーションの実施の方法といたしましては、ホームページの活用等によりまして、国民にわかりやすく説明をしていく、国民からの意見も幅広く聞いていく、あるいは、中央だけではなく地方においても説明会や意見交換会を開催する、そういったことを今考えてございます。
 食品安全委員会に置かれますリスクコミュニケーションに関します専門調査会には、こういった情報交流についての専門家の方にも専門委員として入っていただく方向で考えております。
 このリスクコミュニケーションにつきましては、基本的事項におきましてより具体的な進め方について定めることにしておりまして、これらを通じまして、行政全体として、実効性が上がるリスクコミュニケーションを進めてまいりたいと思います。
江田(康)委員 これで終わります。ありがとうございました。
佐々木委員長 以上で江田康幸君の質疑は終了いたしました。
 次に、高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 まずは、谷垣大臣にお伺いしたいんですが、何度も聞かれていることであろうと思いますけれども、この食品安全基本法及び関連法は、BSE問題、また一連の偽装表示や無登録農薬、添加物の問題などの反省の上に立って食品安全行政を見直すということを目的にできたものと理解しておりますが、それでよろしいですか。
    〔佐々木委員長退席、中山委員長着席〕
谷垣国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
 BSE問題の調査検討委員会報告でいろいろな反省が掲げられておりますが、一つは、生産者優先、消費者保護軽視の行政であるというのがありましたし、それから、専門家の意見を適切に反映できていない、こういう御指摘もありました。それから、事故を未然に防止してリスクを最小限とするシステムが欠けているというような御指摘、それから、正確な情報提供と透明性の確保が不十分である、視点はいろいろでございますが、こういうところが重立ったところではないかと思います。
 それで、まず、国民の健康保護が最も重要であるということを基本理念として法案にも書き込んでございますし、専門家の意見を反映したり、あるいは、リスクを最小限とするシステムというようなのは、いわゆるリスク分析手法の導入、あるいは、五条でしたか、未然防止ということも書き込んでございます。それから、リスク評価の専門の機関である食品安全委員会を設けよう等々の施策によって、反省を踏まえたものになっている、このように考えております。
高橋(嘉)委員 それでは、今いろいろ説明されましたけれども、何がこういった不祥事を引き起こす要因であったか、そして、従来の行政組織、我が国の評価の仕方、管理の仕方、どの点を正せば、これをなくすことができる、解決できると考えたのでしょうか。具体的に、どの点、三つぐらいに絞ってもらって結構ですが、どういった仕組みをどのように変えればと思われたのでしょうか。
谷垣国務大臣 まず、やはり専門家の知見を適切に反映する、科学的にリスクの評価ができるようにする、これが食品安全委員会の設置の理由でございます。
 それで、それに基づいて、具体的な施策、いわゆるリスク管理をやっていただく、これは農水省や厚労省に担当していただくわけですが、その組織を分ける。そして、その間の緊張感を持たせる。そして、そういうリスク評価、リスク管理ということを通じて、国民との間の、あるいは関係者の間でのコミュニケーションを重視していく、こういうことが一番基本の仕組みになっているのではないかと思います。
高橋(嘉)委員 なぜお伺いするかというと、谷垣大臣は、我が国の非常に大きな反省点としてと、前、内閣委員会でお話しされているようですが、産業振興機能も担っているリスク管理機関がリスク評価も行うという、まさに混然一体としたそういう体制に問題があるというお話をされていますね。これはそのとおりですか。
谷垣国務大臣 そのように考えております。
高橋(嘉)委員 そういった中において、例えば、リスク管理の中でいかに連携をとろうと、産業振興の機能を有しているものがまた今度は入っていくように聞いていますけれども、そういった状況の中で本当にやっていけるのか。リスク評価に対しては安全委員会がやる、しかし管理機能については何も言わない、そういうことですか。
谷垣国務大臣 この点に関しましては亀井大臣から御答弁いただいた方がいいのかもしれませんが、農水省においても、産業振興の部署と、それから管理を実施していく部署を分けて改正をしていただいていると聞いておりますが、私どもの食品安全委員会を担当する方の観点から申しますと、きちっと科学的評価に基づいたリスク評価に基づいて管理を行っていただいているかどうか、これはやはりモニターさせていただき、場合によっては勧告をする、こういうことで対処をしていこうということでございます。
高橋(嘉)委員 いずれ、BSE問題は、最初に、九六年当時ですが、WHOやFAO、そしてOIEなどから勧告を受けていた、警告されていた。そして、EUに調査を依頼し、ステータス評価レベルスリーを受ける、これを断っていった。これは、厚労、農水の判断、連携が甘かった。そういった、要は、評価における部分、あるいは行政機能のリスク管理の甘さ、そして消費者軽視、こういった点が強く指摘されたわけですね。
 この点については後でお伺いしていきますので、では、まず、第五条に「食品の安全性の確保は、このために必要な措置が食品の安全性の確保に関する国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて講じられる」とありますが、これは、例えば、安全委員会のリスク評価が、国際的な基準値が妥当だとしてその基準値を示したとしても、リスク管理機関がこれまた科学的知見に基づいて異論を唱えた場合、どのようになるんですか。
谷垣国務大臣 つまり、リスク評価機関とリスク管理機関の見解が違った場合ということでございますね。
 これは、通常の場合は、評価機関である安全委員会が評価をして、それを発表いたしますと、それに従って管理もしていただけると思いますが、それは独立した機関ですから、考え方が違う場合は論理的にあり得るわけです。
 その場合、安全委員会側の持っている手法は、一つは勧告ということであります、これは内閣総理大臣を通じて勧告する、これを公表する。それからもう一つは、実際に行われている施策をモニターして、必要に応じてまた勧告をする、再勧告もできる、こういうふうになっておりますので、こういうことを通じて公表いたしますから、国民の目にも行政の対応がさらされる、こういうことを通じて解決されていくということであろうと思います。
高橋(嘉)委員 どちらが優先するかはっきりわからないで、勧告すれば、また再勧告すればということで、これでは、リスク評価機関の独立性という部分についてあいまいさが残りませんか。
谷垣国務大臣 これは組織の立て方でございますが、リスク評価機関の勧告といいますか決定にそのままリスク管理機関が従うという立て方をいたしますと、これは独立させたことにならないのではないかと思うんです。
 それで、我々の考え方は、その二つを分けまして、適切な緊張関係を持たせる。しかし、そこの連携が必要でございますから、連携の手法として、今のような勧告なりモニターなり、あるいは再勧告なり、そういうものが用意されている、あるいは、リスク管理機関の方はその報告を安全委員会にしなければならない、こういうような形になっているわけであります。
 それから、さらにあえて申しますれば、仮に、リスク評価機関、安全委員会の担当閣僚は私でございますが、管理機関のやっておりますこと、二つが相反して、どうにもあさっての方向を向いているような場合は、ぎりぎりいけば、それは閣内で調整をしなければならないということも論理的にはあり得るのかと思います。
高橋(嘉)委員 どうも今のお話では、この五条のくだりにもありますけれども、未然防止とかそういう視点、非常に行政の側の問題点もBSE検討委員会では指摘されたはずなんですけれども、ではそれも、後々また御質問申し上げます。
 では、九条について伺います。
 これは、消費者への自己責任を求めたものかなと思っているんですが、食品の安全性の確保の意見も表明できる、意見を表明することによって積極的な役割を果たすものとあります。
 そこで、まずは農水大臣、そして谷垣大臣にお伺いしたいんですが、BSE問題調査検討委員会では、消費者優先を鋭く指摘して、「消費者が意思決定に参加し、意見を表明し、情報を提供されなければならない。」とありますが、安全委員会は食品の安全性の確保の中でも最も重要な意思決定機関だと思いますけれども、この点について、BSEの報告書では先ほど申し上げたように厳しい指摘がなされている。この点について、農水大臣、そして谷垣大臣は、今のままでいい、今の考え、この方針でいいと思われているのかどうか、その点をお伺いします。
亀井国務大臣 今の考え方でよろしい、このように思います。
谷垣国務大臣 私もやはり、食品の安全を確保する上には、行政あるいは食品を供給する事業者側、それから消費者側、それぞれやはり役割があると思います。それぞれの役割をきちっと認識していくということが必要でございまして、この九条の規定もそういう趣旨でございます。
高橋(嘉)委員 いずれ、九条の規定の中では、消費者の意思、意見、そういったものが非常に弱いように僕は思えるから申し上げているんです。
 ですから、もう一回農林大臣にお伺いしますが、BSEの検討委員会では「消費者が意思決定に参加し、」とありますけれども、この部分は、本基本法もしくは農水省の関連法の中に含まれているんですか。反省を踏まえてということであれば、ましてや、今回のこれは、BSE問題の検討委員会の提言を受けてと、受けてとなっていますけれども、一部を参考にしているわけじゃないでしょうから、であれば、消費者の意思決定という言葉に対してどのように農林大臣はお考えですか。
亀井国務大臣 消費者が施策への意見の表明など積極的な役割を果たしていただくように、今後とも私ども、行政情報を積極的に開示し、あるいは意見の交換等をいたしまして努力をしてまいりたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 いや、僕が申し上げているのは、「意思決定に参加し、」とたしか言われていますよね、BSE検討委員会の報告書の中に。意思決定ではないでしょう、それは意見交換、リスクコミュニケーションの話でしょう。――いや、農林大臣で結構ですから、どう思われるかということです。
北村副大臣 先生御指摘の意思決定というのは、確かにBSEの中に書かれております。
 それを踏まえて、先ほどそれぞれの先生方からの御意見がありましたとおり、今我が国の中でBSEを含めて一番欠落していたのは、リスクコミュニケーションなんです。ですから、我が省も、その意思決定という、そういう提言は、これを報告はいただきましたけれども、やはりその点を踏まえた上で、リスクコミュニケーション、我が省のリスク管理の中にもリスクコミュニケーションというのを相当強く打ち出しながら、消費者の方々の御意見を十二分にお聞きをしてリスク管理をしていく。そしてまた、リスク評価をする安全委員会の中にもリスクコミュニケーションのところがあるわけでありますから、ここをしっかりしていくことが大変重要である、このように思います。
高橋(嘉)委員 北村副大臣はいつもリスクコミュニケーションの中に何か隠れるような話になっていきますけれども、僕が申し上げたいのは、では、リスク管理の面でもいいですよ、リスク管理機関ですから。リスク管理機関の中においても、本当にBSE問題を反省して、この提言を受けてということであれば、リスク管理機関の中の、例えば速やかに勧告を実施するとか、こういう連携の体制ではだめだとか、そういうリスク管理の意思決定機関の中に消費者を入れるという考えはありませんか。また、必要は全くない、コミュニケーションの中だけということですか。
亀井国務大臣 いろいろ私ども、検討委員会の食品安全行政の問題点、この指摘を受けたわけでありまして、これらの関連、リスク管理部門を産業振興部門から分離、強化する、こういう中でリスクコミュニケーションを推進するわけでありまして、そういう中に、関係者の御意見というものを踏まえて、審議会等にもいろいろ御意見をちょうだいして、消費者の皆さん方の考え方というものを十分組み入れていくような考え方であります。
高橋(嘉)委員 僕は、産業振興機能部門から、消費・安全局ですか、仮称、そういったところに食糧庁の人員を充当する、そういった話のことをお尋ねしているのではありません。「意思決定に参加し、」とありますから、BSEの検討委員会の報告書の中のこの「意思決定に参加し、」という部分は今回は考えない、そういうことですかということ。端的に答えればいいんです。
亀井国務大臣 JASの審議会等々にも消費者の方々がお入りいただいておるわけでありますから、そういう面でそれが反映されている、このように思います。
高橋(嘉)委員 わかりました。意見が反映されるのではなくて、僕が言っているのは、さっきも申し上げましたけれども、「意思決定に参加し、」のところです。まあいいです。
 それでは、次に移っていきます。
 まあいいという話はないんですが、これは極めて重要な問題ですから、しっかりとらえていただきたいと思いますけれども。また、報告書の中では、「消費者の安全な食品へのアクセスの権利が位置づけられなければならない。」、権利とありますが、この点はどこに生かされているのでしょうか。
谷垣国務大臣 権利という表現は使ってございませんが、三条に、「国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられる」という、基本理念として国民の健康保護ということをうたっております。
高橋(嘉)委員 では、このアクセスの権利、権利が基本的認識という文言になったということですね。
 これについて、BSE問題の際に国民から集中砲火を浴びた農水省の考え方として、先ほどの「意思決定に参加し、」という部分も非常にあいまいでしたが、アクセスの権利、ここの部分が基本的認識という言葉に変わったと。
 十分な対応と言えると思いますか、農林大臣。
亀井国務大臣 第三条の、安全性の確保は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもとに講じられている、このように考えます。
高橋(嘉)委員 いや、まあ講じられていると、そう願いたいんでしょうけれども。
 要は、権利は権利であるし、また、意思決定に参加する、参加せよ、参加させろという検討委員会の報告書を受けて、そういうことを盾にして、本当に食の安全性確保のために基本法をつくり上げようとして、そして、各省、各行政機関がどんどん連携してやろうと。本当に反省の上に立つのであれば、どうも納得いかない答弁であります。
 では、次に進みますが、現在、食品安全モニター制度の設置をお考えのようですが、これはリスクコミュニケーションの範疇に限られるものでしょうか、谷垣大臣にお伺いしたいんですが。
谷垣国務大臣 これは、広く消費者の方々から、食品安全行政について、定期的にあるいは必要に応じて御意見をいただいて、これを通じて食品安全行政を的確にしていこうというために、食品安全モニター、仮称ですが、設けることを考えているわけであります。
 その食品安全モニターについては、いわゆるリスク評価に基づく施策にとどまらずに、広く食品の安全性の確保に関する施策に関して、日常生活の中で気づいた点とか、またテーマを絞って特定の事項に御意見をいただくとか、幅広い御意見をいただくことを想定しております。
 それから、モニターから提出された意見や提供された情報を整理、活用することによってより消費者の理解が得られるようにしながら、食品安全行政の展開を図っていくというねらいでございます。
高橋(嘉)委員 では、例えばリスク評価のモニタリング、つまり、安全委員会が行うモニタリングというのは、勧告内容に沿ったことがしっかりリスク管理機関において行われているかという、そういうものの把握だけではなくて、例えばいろいろな情報も受けとめて、直接それを生かしていくということですか。例えば、リスク管理機関に対してこれではだめだと、また、リスク管理機関内部におけるいろいろな問題、そういったものの情報は、リスク管理機関には伝えないで安全委員会としてきちっと処理していくというところまでのモニタリングですか。
谷垣国務大臣 基本的にそうお考えいただいて結構でございます。我々は、リスク評価に基づいて、今度はリスク管理が適切に行われているかどうかということもモニターいたしますので、そういうときの参考、あるいは情報収集、行政の的確な運営、こういうことをモニターにいろいろお知恵をいただくということだろうと思います。
高橋(嘉)委員 それであれば、リスク管理機関に対する監視機能もあると考えていいですか。
谷垣国務大臣 そうです。
高橋(嘉)委員 それでは、もし内部告発があった場合、リスク管理機関に知らせてはいけない、まだ知らせるには早いという内部告発があった場合、幾ら産業振興部分がこうだ、こうだといっても、知らせてはいけないという場合、そういう場合はどのように判断されることになるのでしょうか。
谷垣国務大臣 食品安全委員会は、食品の安全性を確保するために必要であると判断すれば、内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告することができるわけであります。
 そこで、いわゆる内部告発があった場合、その事実関係を把握した上で、その内容を食品安全委員会で検討して、その結果、勧告が必要であるというふうに判断された場合には、関係各大臣に対して勧告が行われるということになると思います。
高橋(嘉)委員 それであれば、そういった情報を一元化する、そういったものを全部集中するという事務局、聞き及ぶところによると、厚生労働省、農林水産省のお役人の方々がそこの中に入るという話ですが、そこで、まだリスク管理機関には伝えてはいけない部分、いろいろな要素があると思いますが、余りここで露骨に話してもいけないと思いますから申し上げませんが、そういう場合において情報は漏れませんか。心配ありませんか。
谷垣国務大臣 それは、ここは独立の機関としてつくるわけですし、やはり公務員のそれぞれの守秘義務というものがございます。
高橋(嘉)委員 では、その心配はないということですね。
谷垣国務大臣 これは、制度の立て方として独立性ができているということは、その心配は人間の制度ですから全くないかどうかはわかりませんが、飛躍的に今までよりもそのような御心配は遠くなっている、こういうことじゃないかと思います。
高橋(嘉)委員 では、事務局長はだれが任命するんですか。
谷垣国務大臣 これは官房長官だと思います。
高橋(嘉)委員 いずれ、三大臣にちょっとお伺いしたいんですが、英国のリスク評価は食品基準庁外部の専門家に委託されています。そして、リスク管理は食品基準庁が行う。これは大臣を長としない、大臣を持たない独立した行政組織であります。何でそのようにしなきゃいけないかということです。また、ドイツでは、独立した行政機関として連邦リスク評価研究所が設立され、リスク評価を行い、監視機能を有した組織であると言われています。さらに、EUの食品安全機関も、法的に独立した機関として設置され、意思決定機関たる執行理事会メンバー十四名のうち四名は、消費者問題及び産業問題に知見を有する者と定められております。また、執行理事会が事務局長を任命するのであります。
 比して、我が国のリスク評価機関の食品安全委員会においては、事務局長以下の事務局は、大半は農水、厚労の職員が執行事項に当たると聞いています。これでは、谷垣大臣はその心配はないような話を先ほどされましたけれども、私から見れば、リスク評価、リスク管理、コミュニケーションがそれこそ混然一体となるような気がしてならないんです。そして、出向してまた戻っていくわけです。本当に産業振興との絡みを断てるとお考えなのかどうか、この点、三大臣に御見解を伺います。
谷垣国務大臣 その前に、ちょっと訂正させていただきます。
 先ほど、事務局長の任命権者は官房長官だと申しましたけれども、内閣府に置かれる機関でございますから、内閣府の長としての総理大臣が任命権者であるということであります。
 そこで、出向者で賄うようなことで大丈夫かということでございますが、私は、やはり独立した機関としてつくられておりますし、公務員はそれぞれ職務規律というものを持っておりますから、御懸念のようなことはないものというふうに考えております。
坂口国務大臣 今お話ございましたように、リスク評価の実施は、一貫性、独立性の観点から、関係省庁から独立した行政機関が行うべきであるというふうに指摘をされているところでございまして、これはそのように独立したものでなければならないというふうに思っております。
 その中の職員がどういうところから行くかという問題は確かにございますけれども、そこは公務員でございますから、新しい使命を持ってそこに派遣をされるわけでございますので、以前にどこに勤めていたかということ、あるいはどういう役職にあったかということとかかわりなく、やはりそこは独立性を持ってやっていくという使命に燃えて携わらなければならないものというふうに思っている次第でございます。
亀井国務大臣 機関が中立公正な科学的評価を行う、こういうようなことで独立した機関でありまして、そこに所属をされる方々、それぞれ公務員でありまして、それぞれいろいろの関係省庁からということになる面があろうかと思いますが、それぞれ公務員として、特にこの機関が設立された趣旨に従って公務員としての職務を発揮するということになろうかと思います。
高橋(嘉)委員 また、二十三条のところの部分ですが、勧告のところですが、各リスク機関が速やかにこの勧告を実行するという担保、ここがどうも不明確でなりません。リスク管理機関の役割、つまり監視体制を含め、そして連携の重要性、連携する、連携するといっても果たしてどうか。表示制度の窓口一本化といっても、場所は二カ所で、曜日も違ってやっている、そういう実態がいまだにある。そういう状態の中で、リスク管理、連携という部分が本当にできるのか。ましてや、勧告を受けた内容によっては国民に対してリスク管理機関が説明責任を果たさなければならない、そういう問題もあるでしょう。そういうことも含めて、開かれた形の中で、国民や消費者の方々に目に見えるような形、それを今のリスク管理機関で行えると本当に思っていらっしゃるんでしょうか。その辺のところ、もう一度谷垣大臣にお願いします。
谷垣国務大臣 いろいろな仕組みがございますけれども、リスク評価機関、食品安全委員会が勧告を出した場合に、やはりそれは内閣総理大臣を通じて行われるわけでありまして、しかも、その勧告は公表されるわけであります。これは、行政の仕組みとしては非常に私は強力な仕組みと言わなければならないので、通常の場合は、まずそこで十分連携と申しますか、そういうものが担保されるというふうに思います。
 それで、それでもリスク評価機関とリスク管理機関の見解が違う、足並みがそろわないということは、これは、組織を分けて独立の機関とした以上、論理的にはそういうことがあり得ることでございますから、それは再度の勧告であるとかいろいろな仕組みがあるわけでございまして、先ほども御答弁いたしましたけれども、最後は、内閣を通じて、内閣の中で意見の不一致を調整するということになるのかなと。しかし、そういうところまで至る事態というのは、通常は考えにくいということではないかと思います。
高橋(嘉)委員 いずれ、何回も谷垣大臣のその答弁の内容は聞いておりますけれども、勧告を速やかに実施する、そして適正に管理体制をしく。これは、本当に責任の所在というものがあればそういうことにみんな必死になってやるかもしれませんけれども、その辺がこの基本法案では全くないんですね。いずれ、この関連の個別法も含めて、農家を初めとして食品関連事業者の罰則強化を求めているだけで、行政責任というものは感じない。行政を指導している、通達をしたと言いながら、肉骨粉を給与されていた牛が五千頭以上もあったと農水省みずから発表されましたよね。こういう実態の中で本当にそれが可能なのかどうか。あの当時の反省点がリスク管理機関の中にはつくられていない、私はそのように思うんですけれども。
谷垣国務大臣 先ほどは、リスク評価機関とリスク管理機関の間の意見の不一致について申し上げましたけれども、そういうことを通じまして大事なのは、先ほど北村副大臣もおっしゃいましたけれども、やはり私はリスクコミュニケーションだろうというふうに思います。それぞれの行政が、それぞれのリスク管理なりリスク評価なりを、消費者なりあるいは関係の事業者、そういうものを巻き込んで認識を共有していく、こういうことが私は非常に大きな、今先生のおっしゃったような御懸念を解かしていく大きな材料だろうと思います。
高橋(嘉)委員 いずれ、そのリスクコミュニケーションという言葉の中に、BSE報告書で言われている、あれほど指摘された消費者の権利、意思決定への参加、それを全部埋没させているんですよね。そして、責任の所在を示していない。私は、そうしか言いようがないと思います。
 では、具体的に質問します。
 六割を輸入食品に依存する我が国の水際対策についてお伺いいたします。
 わずか二百六十八名の食品衛生監視員で、検査率は十四年度で三・九%と聞いておりますが、この点、どうお考えですか。これは厚生労働大臣にお伺いしますが、残留農薬で問題になった中国の冷凍ホウレンソウは水際で発見されたものではありません。残品は回収されたのでしょうか、厚生労働大臣。
坂口国務大臣 確かに、最近、多くの輸入品があるわけでございますから、それに対しましてすべてを検査するということは、現実問題として不可能な状況にございます。したがいまして、その中でモニタリング検査を実施しております。それによって対応しているわけでございますが、しかし、非常に危険性の高いものにつきましては、ただモニタリング検査だけではなくて、全品検査をするということもやっているわけでございます。しかし、ふだんそれが非常に厳しいものであるかどうか、そういうことが判断がしにくい普通の状況のところでは、統計的処理に従いましてモニタリング検査をやっていくということ以外にないんだろう。
 それからもう一つは、こちらが必要といたします製品について輸入する企業、その企業に対しましてもこちらの考え方というものを十分にやはり説明をし、そして、日本が守らなければならない点についてはそこが守るようにやはり指導をしていくということ、この二面作戦で現在やっているのが現実でございます。
高橋(嘉)委員 いや、それはよくわかりました。輸入業者に対しても罰則規定はする、それはもう存じ上げております。僕が申し上げているのは、わずかこれだけの人間で、二百六十八名、検査率三・九%で十分と言えますかという点と、冷凍ホウレンソウは残品は回収されたのですか。私がいただいている資料では、まだ調査中という話しか来ていないんですけれども。その点をもう一度お伺いします。
 さらに、現在のWTOの動きとともに、要は、トレーサビリティーは輸入品には義務規定がない、外食産業を中心にどんどん、国内では厳しくしているけれども、外から入ってくるものについてはこれでは容易に入ってくる可能性もあるわけです。先ほど、差別化という話で、特化していく中でやりようもあるという質問をされている方もいらっしゃいましたけれども、ただ、逆にそういった輸入がふえてくる、つまり、リスクも拡大していくという可能性もありますよね。この点も含めて、厚生大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 先ほどの冷凍ホウレンソウにつきましては、回収いたしております。
 それから、少ない人数で果たしてできるかという話でございますが、確かに、限られた人間で、そしてやっておるわけでございますから、そこはなかなか厳しい状況があることは承知をいたしております。しかし、そこを補う方法はないか。それはやはり、日本に輸入する企業に対して、徹底的な説明、そして日本がどういう食品を要求をしているかということを理解をしてもらうということが大事だというふうに思っている次第でございます。
 例えば、農薬につきましても、中国で使われております農薬、それは日本の中ではそういう農薬は使ってはならないことになっています。そういう農薬を含んだものについては輸入をさせることはできないといったことを徹底をするということが大事でありまして、事実、そういうふうに行いまして、そして、それでもなおかつ入ってまいりますときには包括的輸入禁止ということによりましてそれを阻止するということ、何段階かのそうした措置をとっているところでございます。
高橋(嘉)委員 では、農水大臣にお伺いしますが、これまた事件の発覚は山形県警に始まった、無登録農薬の問題であります。
 この農薬、非農耕地用の農薬は改正法の対象外になっていると聞きますが、現状はどのようになっているのでしょうか。従来どおり流通される可能性を残しているのでしょうか。
北村副大臣 先生御指摘の無登録農薬、これは登録をしていなければ農薬として使えないわけでありますので、その点はしっかりさせていただいております。
 この非農耕地用、これらにつきましても、我が省ばかりではなくて、例えばゴルフ場で使われるとか、あるいは学校等々で、例えば校舎の周りにPTAの皆さんが、草取りをちょっと嫌だねなんということで雑草駆除に使われたり、いろいろある。そういうのも含めると、我が省ばかりではなくて、環境省も、あるいは文部科学省も含めてこれを使わない。そしてまた、こういう農薬を、あるいは非農耕地の農薬を売っているそういうスーパーや百貨店等々に指導を強化いたしまして、これらを農薬として使わないように、これらを今周知徹底をさせているところでございます。
高橋(嘉)委員 いずれ、法改正の中には含まれていないんですよね。
 時間もありませんので、食肉の偽装表示に始まって、添加物、遺伝子組み換え食品、消費者の信頼を根こそぎ奪った事件が相次いで発覚したわけですが、その発端ともいえる大手メーカーのモラルの欠如は、これは当然指摘されて当たり前であります。この発覚が内部告発によるものであった、これが非常に多い。事実、食品表示の改善指示が急増しております。内部告発で具体的な情報が寄せられているといって、農林省もこれを認めている。
 しかし、過般JAがインターネット上で行った調査でも、信頼できる機関は第三者機関でありまして、国や農水省はたった一割だったと僕は記憶しております。これは裏返せば、リスク管理体制に不信感を抱いている、これはしっかり行われていないと言ってもいいのかな、そう思えてならないわけであります。消費者の信頼に足る機関が必要なのであります。
 ですから、そういった意味で、僕はきょう質問に立った中で、この辺のところをしっかり三大臣には認識をしていただきたいという点と、もう一度だけ谷垣大臣にお伺いしますが、安全委員会で、もし内部告発があったら、その情報は管理機関に伝えないで、しっかりと委員会として内部調査をして勧告まで踏み切る用意があるという、先ほど僕はそういう理解を示しましたが、それは間違いありませんね。もう一回だけ確認します。
谷垣国務大臣 内部告発等いろいろ情報がありました場合、それは十分事実関係を把握しませんと、その情報の真偽も判断できないと思います。そこできちっと情報を集めて判断した結果、必要であるならばそれは勧告をするということがあり得るわけでございます。
高橋(嘉)委員 いずれ、今日、食の安全性確保、これを取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。不信感を払拭するために、いろいろな視点から、さまざまな角度から考えていただいて、本当にBSEの報告書を参考にしている、参考というよりも、むしろ提案を受けてということであれば、リスク管理機関において消費者が意思決定に参加するとか、もしくは今言われたように、内部告発まで受けてそうするというのであれば、それは安全委員会の委員の中に、利害対立、利害対立ということで退けられているようでありますけれども、消費者を入れるとか、もしくは、内部告発は食品安全委員会に持ってこい、そういう発信を全国民、消費者にする、それぐらいの気構えが必要であろう、私はそれを念じて、質問を終わります。
中山委員長 次に、中林よし子君。
中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。まず、谷垣大臣にお伺いします。
 日本の食料自給率は四〇%、食料の六割を輸入食品に頼らざるを得ない。こういう中で食品の安全性の確保について、輸入食品の安全性の問題、これは極めて重要であると言わなければなりません。この点についてどのような認識をお持ちなのか。また、その輸入食品の安全確保についてどのような措置が必要であるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 今委員おっしゃいましたように、輸入食品、非常に多いわけですね。輸入食品に相当部分頼っているという現状にかんがえますと、輸入食品の安全性の確保というのは極めて重要だろうと思います。
 このため、まず、我が国に食品を輸入する事業者がまず第一義的に安全を確認した上で輸入を行うということが必要だと思いますし、それから、行政とすれば、水際の段階で検査、検疫などを行うことを通じて安全性を確保していくということが必要ではないか、このように考えております。
中林委員 事業者が第一義的なのか国が第一義的なのかということは、多少異論があるところではありますけれども、しかし、今言われたように、水際、ここの検査が非常に大切だと。そこで歯どめをかけることが大切だということをおっしゃいました。これは私もそのとおりだというふうに思うのですが、輸入食品の安全の確保のための検査、その割合が輸入届け出件数のわずか六・八%である。その比率は年々下がっておりまして、一番検査率が高かった一九八九年の一八・一%の、今は三分の一になっているという状況です。それも、国が行う行政検査ということになると、さらに下がってわずか二・八%。これも一番高いというんじゃないんですね。最近で高かった一九九二年、これを見ると五・九%ですから、その半分になっているという状況で、結局、九三%の輸入食品が無検査で日本に輸入されております。
 これで、今度の基本法案の基本理念になっている、「食品の安全性の確保は、このために必要な措置が国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられる」というふうになっているんですけれども、そうなっていると思われますか。また、そうなっていないとしたら、どうしたらいいと谷垣大臣は思っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 先ほども申しましたように、輸入食品の安全性を考える場合に、まず、事業者が、国民の健康保護が最も大事であるという認識のもとに必要な措置を講ずる、これがまず第一でございますが、国がどのような措置を実施していくかということで、これはリスク管理機関がそれぞれ判断すべき事項であると考えますが、先ほどの検体数、これについても、厚生労働省において、統計学的な考え方に基づいて適切にお定めいただいているというふうに考えております。
中林委員 適切に検体数が決められて、それを実行しているんだろう、こういう大変な信頼を置いていらっしゃるようですけれども、しかも、輸入事業者に対してこれまた大変な信頼を置いていらっしゃるというふうに思うんですけれども、しかし、そのためにBSEというのがアジアで、日本で発生したという事実があるんですよ。だからこそ、今回の食品安全基本法の参考人のBSE調査検討委員会の高橋委員長も、水際のところが極めて大切だ、その体制強化が必要だというふうにおっしゃっております。
 そこで、これだけで谷垣大臣とやりとりするわけにいかないので、厚生労働大臣にお伺いします。
 谷垣大臣は厚生労働省に大変信頼を置いておられるようなんですけれども、これほど輸入食品の検査率が落ちた理由、その原因は何だと考えていらっしゃいますか。
坂口国務大臣 全体として輸入品がふえていることは事実でございますが、最近、航空貨物の増加でありますとか、消費者の需要に応じた食品輸入のいわゆる小口化等が背景になっておりまして、輸入件数が非常に増大をしておることが挙げられます。
 例えば、平成四年でございますと、届け出件数は七十八万件でございましたが、平成十四年、十年たちました十四年におきましては、百六十二万件になっております。また、重量で見ますと、平成四年には二千五百万トンでございましたが、平成十四年は三千三百万トン、三二%の増加。初めの届け出件数だったら、一〇八%の増加でございます。大変小口化されているということではないかというふうに思っております。
 今、谷垣大臣からもお話しいただきましたとおり、統計的な考え方も取り入れながら、輸入食品の違反状況を把握するためのモニタリング検査を実施している。そして、先ほどの方にも御答弁を申し上げましたとおり、輸入業者に対しましても、応分の責任をやはりとっていただかなければならないというふうに思っているところでございます。
 ちなみに、平成十四年度におきましては五万二千件の検査でございましたが、本年は七万三千件にふやすということを予定いたしております。
中林委員 輸入が増大し、しかもそれが件数もふえているということは間違いない事実なんですね。だからこそなんですよ。
 しかも、モニタリング検査はやっておりますというお話ですけれども、それは、例えば二百キロのお米、お米だとすれば、二百キロから一粒のお米を取り出して検査するような、そんなものですよ。だから、これをモニタリングというのは、検査のうちに入らないような検査だ、やらないよりはやった方がいいんですけれども、そういうものだということを一言つけ加えておきたいと思います。
 そこで、私は、やはり国がやるべきことがあるだろうというふうに思うんですね、それだけふえてきているんですから。結局、検疫所の食品衛生監視員の人員、体制、ここが確保されているかどうかなんですよ。これが最も大きな原因だというふうに思います。
 今年度で十五名増員されたわけですけれども、それでもわずか二百八十三名。輸入食品の検査を行う検疫所、全国で三十二検疫所があるわけですけれども、そのうち何と八検疫所は食品衛生監視員がたったの一人。もう大変ですよ。三十二検疫所の中、二十五検疫所は、検査機器が全くないか、あるいは放射能測定器しか置いていない検疫所、こういう状態です。
 それから、輸入食品の重量ベースで約半分、千五百五十七万トンの輸入食品が、検査機器が全くないか、放射能測定器しかない、そういう検疫所を通じて輸入されている、これが実態なんですよ。日本は世界一の食料輸入大国で、わずか二百八十三名のそういう食品衛生監視員の人員で、やれるはずがないでしょう。
 だから、私は、坂口厚生労働大臣にぜひここは決意していただきたい。十倍、二千八百三十名ぐらい、そのぐらいの食品衛生監視員が検疫所に配置されるべきだ。もちろん、検査機器だとかそういうものも充実させなければなりませんけれども、まずは人の配置、これをする決意があるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
坂口国務大臣 そこをふやすことができるんだったら私も苦労しないわけでありますが、そこがなかなか思ったようにいかないものですから、その中でどのように国民の安全を守っていくかということで苦労をするわけであります。
 おっしゃいますように、そこを十倍にするとか百倍にするとかというのが可能なことならば、私もそれはぜひそういうふうにしてほしいというふうに思いますが、なかなかそうはいかない、全体の人数が定められている中で。そこで、どうしていくかということになる。
 そうしますと、それは、民間の輸入業者の皆さん方に責任を持っていただく、あるいは、民間の検査機関、これを導入してお手伝いをいただく、そうしたことで乗り切る以外にない。また、地方におきましても検査をおやりいただいているところもありますから、そうしたことの組み合わせでやっていく以外にないと思っております。
中林委員 国民の食の安全に責任を持つ厚生労働大臣、それができれば苦労がないとおっしゃるけれども、やはりそこを突破していただかないとだめですよ。あと、私は、きょうは財務省の方をお呼びしておりますので、ぜひもう頑張っていただきたい。それができればというのは、やはり、やりたいということをお認めになっているわけですよ。
 今、民間活力とおっしゃいました、民間を活用して。それで、今度の食品衛生法の改正では、そこが登録検査機関の問題として、私どもはそこは改悪だというふうに思うんですけれども、そこを変えようとされているんですけれども、民間で本当に信用が担保できるかどうかというのは、極めて重要な問題を投げかけておられるというふうに私は思っているところです。
 もし大手の輸入商社系列の民間検査機関にそこをやってもらうということになれば、それは、輸入業者の利益になるような検査の結果しか出てこないということも想定されるわけですよ。だからこそ、国の検疫所の職員、ここをふやしていく、体制を強化することが非常に重要だということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、次に話を進めていきたいと思いますけれども、今議論していることは、いわゆるリスク管理、この部分になります。いかにリスク評価が仮にきちんと行われたとしても、リスク管理がおざなり、ずさん、あるいは手抜き、さらにはリスク管理が及ばない聖域、そういうものが食品の安全分野にあってはならないというふうに私は思うんですけれども、谷垣大臣の御見解をお伺いします。
谷垣国務大臣 御指摘のように、食品の安全性を確保する上で、現実の規制を行うリスク管理機関の役割は大変重要でございます。したがいまして、今度は、この食品安全基本法案とあわせて、食品衛生法やあるいは農薬、飼料などの生産資材の規制に関する法律の改正案が提案されておりますし、農林水産省においては、生産振興とリスク管理部門を分離するといったリスク管理の充実が提案されているんだろうというふうに考えております。
 食品安全委員会は、評価を行うのが主たる役目ですが、施策の実施状況の監視であるとかリスク管理機関に対する勧告や意見の提出もできることになっております。ですから、リスク管理の内容が不十分な場合には、食品安全委員会がチェック機関としての機能を果たすことになるというふうに考えております。
中林委員 そういうふうに新たな法律を、それぞれ改正案などを提示されているのは私も知っておりますけれども、それでもなおかつ聖域になっている部分だとか、そういう輸入食品で検査体制が及ばなくて、わかったときには私たちのおなかの中に入ってしまっている、こういうことは絶対あり得ないと谷垣大臣はお約束できますか。
谷垣国務大臣 まあ、これは人間社会のことですから、あってはならないことが起こることもございます。私どもは、それぞれの役割で全力を挙げて今おっしゃったような事態を防ごう、このように考えております。
中林委員 そのようにおっしゃいますけれども、事態は極めて深刻だというふうに思います。
 一九八〇年代に日米貿易摩擦、それからアメリカによる非関税障壁攻撃、そして日米構造協議、こういう中で、輸入食品の検査の空洞化、これを来すさまざまな検査手続の緩和措置が導入されました。計画輸入制度だとか継続輸入制度、事前届け出制度、これらがそのものですけれども、その代表格が一九八六年に導入された計画輸入制度です。これは、一年間輸入届け出も出さなくてもいい、こんなものですよ。
 それもこれも、この計画輸入制度というのは、法律で定められたものではなくして、全く行政指導で実施されているものです。この制度で小麦と大豆の実に七割が日本に輸入されているわけです。輸入届け出も出さなくていいわけですから、当然検査をしないで輸入されても全く問題にならない、こういうものです。
 現に、二〇〇一年度は大豆は全く無検査、小麦は申しわけ程度に、年間たった三十五件のモニタリング検査でしかありません。これは、厚生労働大臣、確認したいと思いますけれども、そうですね。
坂口国務大臣 今の数字は、そのとおりでございます。
中林委員 もうびっくりしますね。私たちの食に直結しているところ、大豆は全く無検査ですよ。小麦の方は辛うじて三十五件モニタリング検査をしているというんですけれども、わずか三十五件ですよ。圧倒的には無検査で入ってきている。しかも、この三十五件の検査で、日本では残留農薬基準が設定されていないものが十一件見つかっている。だから、本当にわずかなモニタリングでもそういうものが見つかっているんですよ。それが計画輸入制度という制度の中で、検査の緩和措置の中で、しかもこれは法的な規制措置ではなくて、省令でやられているという状態。これは私は本当にいかぬというふうに思っているところですよ。
 今、厚生労働大臣も、全く大豆などは無検査だったということをお認めになりましたよ。これも日本の食料の大きなウエートを占めておるわけです。こういう行政指導の措置で、食の安全上、リスク管理として極めて問題だと私は思います。
 谷垣大臣、そうお思いになりませんか。お思いになるならば、この計画輸入制度、これをやはり見直す、そういうときではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 計画輸入制度は今全く法に記されていない、こういうふうにおっしゃっておりますが、対象となる特定の食品を含めて、食品衛生法の施行規則の中に規定されているというふうに承知しております。ですから、法律の条文に明記されていないということをもって直ちに見直しが必要だということにはならないのではないかと思います。
中林委員 計画輸入制度が今言われたようなところで決められていっているのはわかるんだけれども、食品衛生法の条文には全くない。政府というか厚生労働省が勝手にそういう制度にしちゃったということだけの話であって、それで、今言われたように、大豆なんというのは七割というものがその計画輸入制度で入ってきていて、それが無検査なんですよ。そういうことがいいんですか。
坂口国務大臣 先ほど無検査だというふうに申し上げましたのは、これは計画輸入のうちいわゆる二回目以降のものの話でございます。したがいまして、初回に輸入をしておりますものにつきましては百九十二回、これは検査をいたしております。
 だから、一回きりのものもあれば、それから二回以降あるものもございますけれども、初回においてはそうして大丈夫かどうかということの検査をしている、こういうことでございます。
中林委員 計画輸入制度というのはそういう制度なんですよ。だから、一回最初書類と、ちゃんとこれは安全ですみたいなのを出せば後はノーチェックで、一年間は届け出なしにもうざあっと来るというのが、計画輸入制度。一九八六年以前は違ったわけですからね。そういういろいろなアメリカとのやりとりの中で、これだけ検査が緩和されたということは、私たち国民の食の安全からいうと、極めて大変な状況がそれ以降起きているということなんですよ。
 谷垣大臣、これを本来、水際の検査が大切だとおっしゃるのなら、そういう事業者にももちろん責任はありますよ、私はないとは言いません。しかし、国としてやるべきこと、本当に国民に安全な食料を供給する、これが今度の食品安全基本法の趣旨であるならば、こういうずさんなというか、ずさんを通り越して、全くノーチェックでどんどん入ってくる、こういうことを許すような今の計画輸入制度。法改正が要るのならばちょっと大変ですけれども、要するに厚生労働省内の運用で変えられるわけですから、今度のこの基本法をつくるに当たって、こんなことはもうやめようじゃないか、ちゃんと検査して、よろしいというものを国民に供給していく、こういう輸入食品の安全確保の基本原則、そこに立ち返るべきだというふうに思いますけれども、もう一度答弁を求めます。
谷垣国務大臣 今、坂口大臣も答弁されましたように、まるっきりノーチェックというわけではこれはない制度でございます。繰り返し輸入するような場合、初回のときにはきちっと審査をする、輸入計画も提出する、こういうことでありますから、そこで問題なければ一定期間、次回から届け出が省略できるという制度でございますので、私は、もしこの制度に問題があるとすれば、それはリスク管理機関においていろいろな御判断があると思いますが、今おっしゃったように、法に書いていないというだけで、ではすぐにもうやめてしまえというふうなものとは判断しておりません。
中林委員 法律事項になっていないから変えやすいでしょうということを言っているだけの話で、書いていないからどうのこうのしろというんじゃなくて、書いてあっても、こんな悪いものは私は変える必要があるというふうに思うんですよ。要するに、計画輸入制度というのはそうなんですよ。一番最初の届け出、このときに安全が確認されれば、後は同じものであるならば何のあれも要りませんよということで、ずっと一年間入ってくる、そういうものなんですよ。
 もちろん、今、大豆と小麦の話をしましたけれども、この計画輸入制度というのは、数限りない食品、これがメジロ押しですよ。ブルーベリー、コーヒー豆、乾めん、水煮のトマト、それからココア、ソース、砂糖、乳糖、ブランデー、ウイスキー、塩もありますし、皆さんのお好きなウオツカ、テキーラ、しょうちゅう、ビール、リキュール類でしょう。だから、最初安全だと言ったって、中身が変わっているかもわからないじゃないですか。そういうのをちゃんとやらないで何で、私たちの食べる六割は輸入食品なんですよ。だから、国内の生産された食品も安全確保しなきゃいけませんけれども、六割の輸入食品の安全確保、一番大切な水際、ここでこれだけの水際チェックを通らないものがある。この事態はどんなことがあっても私は変えていただかなければならない。
 今度安全委員会ができて、そこで何らかの勧告があればみたいなことをおっしゃるけれども、しかし、この法律案を提出する以上、その責任大臣である谷垣大臣の認識を本当に改めていただかなければ、国民の安全な食品供給というその責任を果たせない。これでは国民の健康が守れないということを大臣がお述べになったというふうに私は受けとめざるを得ません。
 問題は、それだけやりとりしても同じ答弁が返ってくるんでしょうから、次に進めたいと思います。食品検疫だけではありません。飼料の輸入検査の問題、これも極めて重大なんです。BSE問題も輸入飼料の問題でもあるわけです。
 イタリアから三菱商事によって輸入された肉骨粉は、イタリア政府からの加熱証明がついていました。しかし、実際は必要な加熱はされていなかった。こういう問題があるんですよ。谷垣大臣、よく聞いておいてくださいね。だから、向こうが幾ら最初証明しても、実際はしていなかったということがわかったでしょう。そういう機材を置いていなかったんですよ。これはもう明らかになっている事実です。だから、この肉骨粉が日本に無検査で輸入されてまいりました。それが感染源になった可能性も、実はまだ感染源が特定されていないわけですから、あるんですよ。
 私は、参考人質問で、BSE調査検討委員会の高橋委員長に輸入飼料の検査体制の問題についても聞きました。高橋委員長は「残念ながら、そこまでBSEの調査検討委員会は議論を詰めておりません。それから、私自身、その領域で余り詳しい情報を持っておりませんが、検査体制が非常に薄いというようなことは何となく感じております。」こういうことをお述べになりました。検査体制の問題、ここも指摘をされたわけです。
 実際、輸入飼料の検査に携わっているのは、独立行政法人肥飼料検査所、この職員が百三十八人、二〇〇三年度、今年度からは百五十人体制と聞いているわけですけれども、それしかいないわけですよ。検査件数も、これはわずか二・八%、これしか検査していない。こういう実態です。だから、食品の検査の問題も極めて検査率が少ないわけですけれども、それのさらに四十分の一の水準、これで谷垣大臣、リスク管理強化していますというようなことをおっしゃるんだけれども、これでできると本当に自信持って言えますか、谷垣大臣。
谷垣国務大臣 飼料の輸入について熱心な御議論をいただいているわけですが、農林水産省が所管しておられるわけですが、我が国ではトウモロコシといった輸入飼料、これは原料として国内の工場で配合飼料をつくってそれで売っているということでありますので、先ほどお触れになった農水省所管の飼料研究所ですか、独立行政法人が国内にある配合飼料工場を重点的に立入検査を行って、輸入飼料をストックする港湾サイロなどにも計画的に立入検査をして、輸入飼料の安全性の確保に努めているというふうに承知をしております。
 それから、食の安全、安心に対する要請が高まってまいりましたことを踏まえまして、今般、飼料安全法の改正で、有害な物質が含まれる可能性の生じた飼料等、これを農林水産大臣が指定されて、当該飼料等を輸入する場合に届け出を行わせるといったことで輸入飼料の監視を強化するものである、こういうふうに理解しております。
中林委員 だから私はわざわざ数字を申し上げたんですよ。食品の検疫だってこれだけひどい状況、それの四十分の一しか実績ありません。だから、立ち入りやっているのは、何か問題が起きたとき、スターリンクなんかの問題が起きたときなんかは立入検査しているのは私も知っています。しかし、追っつかないわけですよ。
 だから、リスク管理、幾ら今度は法改正してやるんだとおっしゃってみても、こういう現実のところを変えないで、その基本法だけつくれば何らか国民には安全なものを供給できるような、そういうイメージだけを与えてはならないというふうに思います。
 私は、参考人質問の際にも紹介したんですけれども、飼料の面で極めて重大な問題があります。それは、史上最強と言われる発がん物質で、カビ毒であるアフラトキシンB1に汚染され、それが十分チェックされないまま日本に輸入された結果、日本の牛乳は、牛の体内で代謝された毒性、これはアフラトキシンB1の十分の一というアフラトキシンM1、これに例外なしに汚染されていたわけですよ。その残留水準はまだ国際水準までには至っていませんけれども、水際での肥飼料検査所のチェックはもっと厳しくされなければならないはずだ。
 さらに、飼料の残留農薬汚染問題も、食肉に残留農薬が移行することが明らかになっているわけです。そのチェックも重要です。その際、無登録農薬をどれだけつかみ、検査対象とするかということも課題になっています。とてもではないですけれども、現在のわずかな人員体制では賄えず、千五百人体制ぐらい、これまた十倍ですけれども、農水大臣、そのぐらいの人員がなかったら、それは本当に安全な飼料などということは言えないんじゃないですか。農水大臣の御見解を聞きたいと思います。
亀井国務大臣 輸入飼料をストックする港湾サイロで毎年百回程度、あるいはまた、配合飼料工場に延べ四百五十回程度の立入検査を行っておるわけでありまして、飼料の検査に従事する職員につきましても、肥飼料検査所において六十二名が対応しており、このほか、都道府県において約七百六十名が製造業者や販売業者への立入検査を行っております。
 今御指摘の飼料の安全性につきましては、農薬やカビ毒等の有害物質の混入、抗菌性飼料添加物による薬剤耐性菌発生の可能性、安全性未確認の遺伝子組み換え体の混入等の問題に直面をしておりまして、これらに的確に対応するために、肥飼料検査所に、平成十五年度は飼料部門において八名の増員をすることにしたところでありまして、今後とも真に必要な検査体制の整備に努め、輸入飼料の安全確保に万全を期してまいりたい、こう考えております。
中林委員 厚生労働大臣の方が、どちらかというと正直な心のうちを吐露されたというふうに思います。できればやりたい、それができないから苦労しているんだと。やはり農水大臣だってそのぐらいおっしゃっていただきたい。
 確かに、今回も多少ふやしているのは私も知っていますよ。だけれども、十人、二十人ということでは、もう焼け石に水なんですよ。
 だから、本当にこの際、BSEの教訓を得て、せっかく食品安全基本法をつくろうと政府が踏み切ったならば、リスク管理を受け持っている省が、その責任者が抜本的な体制強化でやるという決意がなかったらだめだというふうに私は思いますけれども、体制、人員、その増加のために頑張ると、農水大臣、言えますか。
亀井国務大臣 現状、平成十五年度には八名を増員し、また、地方、都道府県と関係がある販売業者等々もあるわけでありまして、これらを総動員してこれらの問題に対応する。でき得れば、増員ということができれば、こんなよいことはないわけでありますが、厳しい財政状況、こういう中で、このような組織を通じて、懸命にその対応に努力をする体制ということをあわせて行うことが必要なことじゃなかろうか、こう思います。
中林委員 もう一度食品検疫の問題に返りますけれども、農水大臣、動物検疫、これは、日本に産業用動物を輸入する際に、その動物が健康であるという検査証明、これがなければ日本に輸入できない。たとえその検査証明があったとしても、水際できちんと動物が健康であるかどうか検査するわけで、いわゆる二重検疫、これを原則とされていると思います。また、植物検疫も同じ二重検疫が原則として実施されていると思いますけれども、そうですね。
亀井国務大臣 輸出国及び輸入国双方において検査を実施しておるわけでありまして、そのようなことでございます。
中林委員 ところが、おかしいことに、人間の健康に一番直結する食品検疫、これが、外国の公的検査機関の検査結果を受け入れて、外国の公的検査機関の証明書がついていれば、日本にフリーパスで輸入されることになっております。日本の農林水産業を守る動植物検疫は二重検疫をしているにもかかわらず、人間の健康が第一に置かれなければならない食品検疫、これが二重検疫になっていない。摩訶不思議ですよね。
 厚生労働大臣、人間の健康が第一というのは、これはうそなんですか。動植物検疫では守られている二重検疫、この原則をやはり取り入れるべきだというふうに思いますけれども、厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 食品の輸入時の検疫に当たりましては、食肉でありますとかフグでありますとか生で食べます食用カキなど、輸出国の政府によります検査が必須の輸入食品について、政府機関が発行する衛生証明書の添付を義務づけるといったようなことを行いますほか、農薬ですとか動物用の医薬品の残留等の個別の問題が発生をし、輸出国政府の残留防止対策等の確認が必要な場合には、二国間の協議に基づいて、輸出国政府の衛生証明書の添付を求めております。
 これらにつきましても、こうした証明書の添付を求めていないものと同様、年間計画に基づきましたモニタリング検査及び必要に応じた検査命令の対象として、輸出国側と輸入時に双方での安全確認を行っているところでありまして、証明書の添付を求めているからといって、検疫所での検査を行わないわけでは決してございません。
中林委員 相手の国が証明つけるのは当たり前ですよ、日本に売りたいんですから。だから、そこのちゃんとした機関の証明書をつけないと入らないというのは当たり前だけれども、今度の食品の安全の――食品の六割を輸入に頼っている、この現実からスタートすれば、動植物検疫では二重検疫をちゃんとやっているわけですよ。なぜできないんですか、厚労大臣。
坂口国務大臣 必要に応じて我々は検査をしているわけでございまして、どうしても現状の状況でそれが国民の健康に害を与えるということであれば、我々はまた違う方法を考えたい、そういうふうに思っております。
中林委員 今、いろいろな食品によるさまざまな事故あるいはO157などで亡くなる方など出てきているわけですよね。事は国民の命にかかわる輸入食品の問題になっているわけですね。せめて検疫の原則、相手の国からも証明を受ける、水際でもちゃんと日本の政府として責任を持った検疫をする。さっきも言ったように、大豆などは全くノー検査、モニタリングもされていなかった事実、わかったじゃないですか。
 そういうことが横行しているようなことじゃなくて、動植物は二重検疫している、人間の健康、安全はそれ以下の状況の中に今私たちが置かれているというのは、余りにもおかしいと言わなければなりません。どう言っても同じような答弁になるんでしょうから、繰り返し答弁は求めませんけれども。
 谷垣大臣、このように食品安全基本法と言っても、その基本理念にある「必要な措置が国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられる」と明記されていても、実際のリスク管理のところで、動植物検疫以下のリスク管理しか、実際、食品では行われていない。必要なものにはやるとおっしゃる。それは冷凍ホウレンソウみたいに、残留農薬が見つかったときなどはやられているのは、私、知っていますよ。それはもう本当にちょっとしたことで、わかったらそこへみんなざっと、それだけ行く。それは冷凍ホウレンソウだけじゃないでしょう。六割が輸入されているわけですから、二重検疫はすべてのものでやっていくという、この当たり前のこと、これをどうお考えですか。こんなことでいいんですか。現状、いいとお考えなのかどうか、それだけお答えください。
谷垣国務大臣 先ほどから厚労大臣あるいは農水大臣がそれぞれのリスク管理の体制、人員等について所見をお述べになりました。この制度、私ども、今度新しい食品安全委員会をつくるわけでありますが、リスク管理については、第一義的にリスク管理機関が必要な体制、人員について御判断をなさると思います。先ほどもお二人、なかなか財政等が厳しい中で一生懸命取り組んでおられる、そんな御答弁であったというふうに私は考えております。
中林委員 結局、食品安全基本法提出の責任大臣、谷垣大臣が、人間は動植物検疫以下でいい、こういうことをお認めになった答弁ですよ。私は本当に納得できないというふうに思います。
 そこで、財政の問題、いろいろ出てまいりましたので、財務副大臣、出てきていただいているのでお伺いしたいというふうに思うんです。
 食品の安全の確保、これはリスク評価だけでは確保できないということはおわかりだと思います。輸入食品の安全性を担保する輸入食品検疫、そして国内では食品衛生監視員による監視業務がリスク管理として極めて重要です。かなめは人員と体制、そして予算。これが決定的に重要なわけですよ。予算についていえば、残留農薬の検査一つとってみても、一検体当たり五千円ぐらいかかります。年間のモニタリング検査でも年間予算が決まっているんですよね。その範疇で、割り出して何件、こういうふうになるんです。ところが、昨年のように、ホウレンソウ事件が起きれば、それに検査が集中するものですから、ほかの予定した検査が予算オーバーでできない、こういう事態になっております。
 検査率を上げるためには、人員、体制、そして予算、これが決定的に重要になるわけですよ。その予算を決めるのは財務省だというふうに思うんですけれども、財務省はこの食品安全基本法ができれば、食品安全にかかわる予算を抜本的にふやす、こういうことになるのでしょうか。
谷口副大臣 ただいまのお尋ねでございますが、平成十五年度予算におきまして、食品安全委員会の創設に伴う予算措置を講じておるところでございます。
 具体的には、委員が七名、これは常勤が四名でございますけれども、有識者で構成される委員会のもとに、延べ約二百名の専門委員、五十四名の事務職員の定員を措置するとともに、関連予算として、委員会の運営に要する経費、リスク評価、モニタリングのための基礎調査に必要な経費など、人件費を含めまして約二十一億円を新規に計上させていただいておるところでございます。
中林委員 それは、食品安全委員会にかかわる今の予算の説明でした。私は、リスク管理の話をしている。厚生労働省、農林水産省それぞれが、輸入する飼料あるいは食品、そこの検疫体制で、もう人もいない、体制もない、機械もない、そういう中で、厚生労働大臣も農水大臣も、できるならふやしたい、しかしできないんだと、財務省に気兼ねしたような発言をされたんですよ。ふやしたいとおっしゃっている。それに財務省はこたえますか、そういう質問なんですよ。御答弁願います。
谷口副大臣 この食の安全と安心というのは非常に重要な問題でありますので、財務省といたしましても、これは前向きに検討させていただきたいというふうに思いますが、十五年度予算で、今申し上げさせていただいたような、例えばトレーサビリティーシステムの導入ということで、十四年度は二億でございましたが、十五年度は五十億。また、食育活動の総合的な展開ということも、十四年度……(中林委員「輸入の検疫のところですよ。国内はもうわかっているんです」と呼ぶ)
 いずれにいたしましても、積極的に取り組ませていただきたいというように考えております。
中林委員 積極的と言われたので、厚生労働大臣、農水大臣、もう目いっぱい要求してくださいよ。事は国民の食の安全にかかわる分野、しかも、輸入食品は私たちの胃袋の六割を占める。そこの安全が担保されなければ、幾らお題目で食の安全基本法、安全基本法といっても、実態が伴わなかったらだめなんですよね。谷垣大臣は担当大臣ですよ。
 それで、私は、本来ならば、安全基本法ができ、しかも食品安全委員会ができるならば、ここがよく検討して、やはり国民の食の安全がこの体制や人員や予算では保てないなと思ったら、ちゃんとそこから提言して、予算もふやせ、人もふやせと言えるだけの権限をこの食品安全委員会は持ってほしい。リスク評価だけではない。そこまで踏み込んだ委員会であるべきだということを強く主張しまして、私の質問を終わります。
中山委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党・市民連合の菅野哲雄でございます。
 食品安全基本法について、いろいろな思いを持っているわけでございます。
 私ども、農水委員会の有志として、BSEが発生して、そして、急遽、諸外国の例をしっかりと見る必要があるということで、昨年の三月に、イギリス、EU、フランスを調査研究に行ってまいりました。そして、イギリスにおける食品安全行政の展開の仕方、そして、EUにおける食品安全行政の展開の仕方、フランスにおける、それぞれの部署を見聞きいたしてきました。
 そして、四月に、BSE問題に関する調査検討委員会の報告が提出されました。その中身というものは、私ども農林水産委員会としても非常に多く議論を行ったわけですが、食品安全性の確保に関する基本原則の、「今後の食品安全行政のあり方」ということで、三部にまとめられたんですね。このまとめ上げた検討委員会のメンバーの努力というものは非常に評価するものであります。
 それに伴って、六カ月後に一つの方向性が出て、今日、基本法の提出に至ったという状況を踏まえたときに、食品安全基本法を見た途端に、これは検討委員会の報告を本当に受けとめていたんだろうかという疑問を持ったものでございます。
 そういう意味では、一つは、報告書では、食品安全行政機関の設置となっているわけですね。行政機関の設置。イギリスもフランスも、一つの独立した機関として設置していったわけです。日本における、食品安全基本法における安全委員会の位置づけというものは、安全委員会でしかないんですね。ここが、調査検討委員会の報告書と乖離している大きなところだと私は思っています。
 それで、どうして行政機関という部分が食品安全委員会に変わっていったのか、このことを説明していただきたいと思うんです。大臣、よろしくお願いします。
谷垣国務大臣 菅野先生のお言葉でございますが、私どもは、食品安全委員会も行政機関、いわゆる八条機関というふうにとらえております。
 それで、今、食品安全委員会は食品安全委員会にすぎないというふうにおっしゃいましたけれども、BSEの調査検討委員会で指摘された点は、これは何度かきょうもお答えしておりますが、リスク評価とリスク管理の両方の機能が混然一体となっていることが問題点だと。したがって、それを分離して、リスク評価は科学的に行おうということで、この八条機関である、そして、客観的かつ中立公正に行えるような食品安全委員会を内閣府に置くということにしたものでございますので、委員がおっしゃるように、途中で何か変質をしたというようなものではないというふうに私は考えております。
菅野委員 この部分については、後で食品安全委員会という中で少し議論させていただきたいと思うんですけれども。
 この調査検討委員会の委員の人たちは、念頭に置いているのは、諸外国の例ということを挙げております。諸外国の例を参考にここには書いてあるんですけれども、こう言っているんですね。「欧州各国における食品安全機関の再編成を参考とするに当たって、組織・機関をそのまま日本に導入することは危険である。欧州における状況を精査し、日本における現状とを具体的に比較検討した上で、新しい行政組織を構築していくべきである。」その上にあるんですけれども、一貫性を持った組織にすべきであるというふうに言っているんです。欧州は、ヨーロッパ各国は、先ほど、イギリス、フランスの例を出しました、ドイツもそうなんですが、一つの既存の行政組織を解体して、そして、リスク評価とリスク管理部門は分離して行ったということなんですね。
 このことをどう検討したのか、どのように検討したのかによって、この安全委員会の意義というものが検討経過によって重要に変わってくるというふうに思うんですね、位置づけが。日本においてはこれがベターだという理由は、それでは、大臣、どういうふうに説明するんですか。ベストだという理由をどう説明するんですか。
谷垣国務大臣 ちょっと、私は、委員の御議論を十分にそしゃくできていないのかもしれませんが、ヨーロッパも、イギリスを除きますと、大陸の国はどちらかというとリスク管理とリスク評価を分離するという体制をとっているというふうに理解しておりまして、そうしますと、今度安全委員会を独立に内閣府に設けたということは、リスク管理とリスク評価を分離したということでございますので、ヨーロッパのあり方というものを我々はかなり学んだ、こういうつもりでございます。
 例えば、フランスなんかは、傘下に独自の試験研究機関を持っているということがございます。それに比べますと、我が方は、独自の試験研究機関も持っていないので、そこで、食品の安全性の確保に関してすぐれた識見を有する方から構成される委員会で、データは提出していただくけれども、信頼性、妥当性を判断できる英知を結集していきたいというふうに考えているわけであります。ヨーロッパもいろいろなところがあると思いますが、その点は、例えばフランス等の組織のつくり方とは違っていると思います。
菅野委員 その点については後で議論したいと思っています、そこが問題点だと私はとらえているんですけれども。
 それともう一つ、調査検討委員会で問題にしていたのは、BSEが発生した原因とも絡まるんですが、やはり、食品安全を確保する上で、行政の縦割りの弊害というものがずっと指摘されてきました。例えば、調査検討委員会の報告では「リスク管理を実施する省庁相互の間でも、各省庁が所有しているデータ・情報について、必要なものは共有化をはかるとともに、一方からの要請により相手方からデータ・情報を提供する旨を盛り込むなどの制度が検討されるべきである。」と。そして、食品安全委員会の機能というものは、各省庁間のこういう体制を補完する意味合いも持っていると私は思っています。
 そういう意味では、この縦割りの弊害を食品安全委員会の設置だけで乗り切っていけるのかどうか、このことが重要だと私は思うんですが、大臣、その件についての決意を問うていきます。
谷垣国務大臣 おっしゃるように、縦割りの弊を乗り越えていくということは、食品安全のみならず、我が国の行政組織の非常に大きな、大事な点だと思うんですね。
 それで、食品安全に関していえば、私どもの委員会はリスク評価をやります。それで、そのリスク評価に従って、リスク管理機関である厚生労働省あるいは農林水産省が適切にリスク管理をしていただけるため、我々は、勧告等の機能あるいはモニタリングの機能を持っているわけでありますので、そういうものを適切に使って、リスク評価のもとにリスク管理がばらばらにならないようにしていくというのも、我々が果たすべき役割ではないかと思っております。
 それから、今度の改正の趣旨に即しまして、今般、農薬取締法とかと畜場法などの関係各法の改正法案で関係大臣間の連携についても新たに具体的に規定していただいておりますので、そういうものを活用して今委員がおっしゃったようなことを乗り越えていかなきゃならぬ、こう思っております。
菅野委員 厚生労働省は食品衛生法という一つの完結した法律を持っています。そして、今大臣が言ったように、農林水産省は農林水産省としての完結した法律案を持っております。そこから部分的に食品安全委員会に権限を移すというスタイルが今回とられているわけですね。
 ということは、BSEが発生して、縦割り行政の弊害が指摘されました。そのことをもって厚生労働省、農林水産省のその機構が変わるということであれば、私はこの食品安全基本法に基づいてこういうふうになっていくんだろうなという展望は少し持てるんですが、食品衛生法は厚生労働省の中で完結しているんですね。安全基本法ができたからといって、法律の中身は根本的に変わっていないというのが実情だと思います。そして、農水省も同じです。
 この厚生労働省、農水省、あるいは環境省という省庁の縦割りというのは、厳然として残っていくんじゃないでしょうか。このことを問題として考えるのか、これが当たり前だとして考えるのかによって、今後の食品安全行政の展開の仕方が変わってくるというふうに思っています。
 私は、今日的に問題は残ったなと。そこを、問題点を克服するためにどう乗り越えていくのか、これは大臣としての決意がなければ私は前に進んでいかないというふうに思うんですけれども、その乗り越えようとする決意と用意があるのかどうか、このことを聞いておきたいと思います。
谷垣国務大臣 確かに、委員が御指摘のように、リスク管理機関は現在も食品に関して一元化されているわけではありませんし、また、そのことはそれぞれのリスク管理機関が今までの歴史の中でそれぞれの役割を担ってこられたことの反映であると思います。
 それで、私どものこの食品安全委員会がつくられたということは、我々は先ほど申し上げましたような勧告とかあるいはモニタリングの機能を持っているわけですけれども、そういうものを通じて科学的なリスク評価に即した行政はそれぞれのリスク管理機関にやっていただく、それを先ほどのような勧告やあるいはモニタリングの手法を通じて一元的なものにしていくという責任は我々は負っていると思います。それは、御指摘のように非常に重要な課題で、この法律、新しい組織によって我々に与えられた重要な責務でございますから、これはもう一生懸命やらせていただきたいと思っております。
菅野委員 次に、食品安全委員会についてお聞きしていきたいと思います。
 それで、大臣もいみじくも答弁で話しているんですが、リスク評価、リスク管理、この部分がこれまでの問題点として混然一体となっていた、この部分を分離させていった、そしてリスクコミュニケーションを入れて、リスク分析という手法を今回取り入れた。これは調査検討委員会の勧告に詳しく載っていますから、それに沿って今回のこの食品安全委員会というものを立ち上げたということですね。
 私は、だから、先ほど言ったように、食品安全委員会で十分なのか、食品安全庁にすべきなのか、ここが分かれ目だったというふうに思うんですね。先ほど言ったように、フランスでいえば、独自の調査研究機関を食品安全庁のもとに持って、そして完全にリスク評価部門は独立させたんですね。日本においては、厚生省における調査研究機関、農林水産省における調査研究機関、この部分は既存のままなんですね。そして、それぞれの、今までは調査研究機関が評価と管理をやっていた、リスク評価とリスク管理の調査研究を行ってきているということだと思います。今後もそのことが継続して行われていく体制に、食品安全基本法ができても変わりないというふうに思うんですね。
 すると、大臣が言っているように、管理部門と評価部門は分離させたんだということは、そういうふうにはなっていないんじゃないんですかと。単に各省庁における評価部門を内閣府に移しただけの食品安全委員会になっているんではないのかな、私にはそう見えてならないんです。これを違うという大臣としての見解を示せますか、今のそういう状況を、分離した形でやっていくだけの、今後の運営を行っていくだけの自信と確信がありますか。
谷垣国務大臣 この食品安全委員会は、七人の委員は、まだこれは人選が終わったわけじゃありませんが、それぞれの分野で科学的に食品の安全性を判断していただく卓越した方になっていただく、そこに一つ、やはり非常に大きなパワーがあると私は思います。それで、そのもとに専門調査会を設けて、それぞれの議論をやっていただく。
 それに加えまして、先ほど申しましたように、そこでの判定に合わせて、必要があれば、内閣総理大臣を通じて勧告をする、あるいはモニタリングを行う、それに基づいて、必要な場合にはさらに再勧告を行うというような権限が与えられているわけでありますので、私は、これは機能する機関だというふうに思います。
 ただ、今委員が問題にしておられたところは、そういうものを調べるときの研究機関がリスク管理のもとに置かれているというのは、フランスなどの例に比べてもよくないのではないか、そういう意味合いが非常に強かったと思うんです。
 これは、その体制の違いによって大きく違いますので、一概には言えないと思うんですが、研究機関というのは、必ずしもリスク評価だけに使われるわけではなくて、リスク管理にも必要なものでございますし、また、食品安全委員会が科学的判断をするときに必要な研究機関というのは、極めて多岐にわたると思います。日本国内で必要なものは、私は、行政の中における研究機関も使わなければならない。そういうデータはいただいて、七人の専門家にきちっとそのデータも評価して判断していただくということが必要でありますし、場合によっては、そのほかの、行政機関の外の研究機関等に調査を委託するというようなことも予算措置としても用意しておりますので、私は、十分機能するものであるというふうに思っております。
菅野委員 私は、調査研究機関というものは、先ほども申し上げましたように、リスク評価とリスク管理をする部門だというふうに思っています。それを食品安全庁に置いたからといって、農林行政や厚生労働行政が停滞するとは思えないんですね。
 食品安全という立場から、評価する部門、管理する部門、それは調査研究して提言する部門ですから、そして、その下にもってこの管理という部分を二重構造にしていく、これがフランスのやり方だというふうに思うんです。そういう意味では、ぜひ、ここにおいては、研究機関のあり方というものをどう考えていくのかという部分も含めて、私は、今後の大きな課題だというふうに思っております。
 今日的に、昨年の四月に調査検討委員会から報告書が出て、駆け足で今日まで進んできているというふうに思うんですね。そして、そういう中で、そこまでやることはできなかったという総括に立つべきだというふうに私は思うんです。今後の課題として、やはり調査研究機関も内閣府のもとに置いて、そして、国全体の食品安全行政を展開するという形をつくるべきだというふうに思っております。
 そういう意味で、食品安全委員会の独立性の問題ですね、そことこのことがかかわるというふうに思うんです。どうしても、食品安全委員会が審査する場合に、審査するデータは、各省庁、厚生労働省、農水省あるいは環境省、そういうところで調査した資料として上がってくる。そして、ある意味では、民間が自分たちで調査してデータをつくって申請してきたものを、それをリスク評価するというシステムに変わっていくんだと私は思っております。
 そうしたときに、それじゃ、上がってきたデータをどう分析するのかということは、七人でやるということですね。七人でやるんです。それを再評価する、もう一回検討する機関というものが存在するというふうには見えないんです。その上がってきたデータを、七人の委員の専門制のもとで評価していく体制だというふうに思います。あと二百人の体制の専門委員制度というものがありますから、その二重構造でやっていく。そうしたときに、データをどう信用するのか、ここは独立性とかかわる部分だというふうに思うんですね。
 そういう意味では、独立性をどう確保していくのかというのは大きな課題だと思うんですけれども、大臣、この独立性の確保の問題はどう考えておられるんですか。
谷垣国務大臣 確かに、菅野委員がおっしゃるように、データそのものは、いろいろな研究機関から提供を受けて判断をすると思います。その判断をする場合に、まず、この委員会の下にある専門調査会で、それぞれの分野で十分たたいていただくということが必要だと思いますが、最後、そこで、委員会としての意思決定をするのは、七人の委員でしていただく。それは、やはり外から見ても、ああいう方々で判断をしていただくならという権威のある方々でなければならないと思いますが、私は、そういう形で、データの信憑性というのも十分判断していただける方を集めなければならないと思います。
菅野委員 やはり、調査研究機関というものを内閣府のもとに一元的に、評価と管理を研究する部門として位置づけるというのが、私は、今後の大きな課題だというふうに思っております。独立性の確保の問題についても微妙に絡まるわけですから、そのことが今、大きな課題だというふうに申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、調査検討委員会の、行政組織の構築という一つの提言文書があるんですが、独立性とあわせて一貫性を持ちという言葉が入っているんですね。独立性と一貫性を持ち、この言葉の持つ意味というのは私は非常に大きいと思うんですが、食品安全委員会の委員、それから専門委員、事務局スタッフというものは、この一貫性を構築する上で非常に重要な意味を持っているというふうに思っています。
 それでは、委員はわかりました。そして、専門委員、事務局の構成というか、どのような人たちを、一貫性を持つ形で配置していくのか、その視点は、大臣、どう考えておられるんですか。
小川政府参考人 専門委員会についてのお尋ねでございます。
 食品安全委員会におきましては、その活動を支えるために、専門調査会を設けることを考えてございますが、一つは、具体的な危害要件ごとに食品健康影響評価を具体的に行います専門調査会、それから、この評価の年次計画の検討を行うような専門調査会、それから、いわゆるリスクコミュニケーションに関連いたします事項の検討を行います専門調査会、それから、緊急時対応を検討いたします専門調査会を設けることにしております。
 それぞれの分野の専門の方々を集めまして、これは、内閣総理大臣が、学識経験者、各分野から任命することになってございますけれども、その案件に合わせまして、非常勤の方々を糾合いたしまして、その知恵を集めまして、具体的な評価なり検討を進めていく。それが、各分野七人、いわゆる英知を結集していただく委員でございますけれども、その方々の最終判断、その結果、食品安全委員会の具体的な結論が出てくるということでございます。
 それで、この委員会を支えます事務局でございますけれども、事務局長それから次長、このほか四課一官、職員五十四名のほか、非常勤の技術参与二十五名から成ります事務局を設置することといたしております。これらによりまして、食品安全委員会の主たる任務でございます評価、あるいはリスクコミュニケーションといった業務の円滑な展開に必要な活動というものはできるものと考えております。
菅野委員 私、質問しているのは、独立性と一貫性という調査検討委員会の提言、このことがどれだけ、一貫性と独立性をどう確保していくのかということと食品安全委員会の委員、専門委員、事務局員のスタッフと大きなかかわりを持つというふうに思うんです。
 そして、今までの谷垣大臣の答弁等を見ますと、例えば事務局体制も、厚生労働省あるいは各省庁からの出向という形で考えているとか、専門委員という部分は、これは専門委員は非常勤ですから、都合が悪ければそこから身を引くということも考えられるわけですね。そういう体制で、一貫性を持って各省庁と調整機能を持つ新たな食品安全行政機関を設置するという、このことにこたえているのかどうかということを今問題にしているんです。こたえていると思うんですか、今進めようとしている体制は。
谷垣国務大臣 私は、新しい機構をつくるときに、今まで全くこの分野に経験のない方だけでつくるわけにいきませんので、やはり今まで関連のあるところで仕事をしていた人の経験は生かさなければいけないだろうと思います。
 ですから、従来、食品の安全管理をやって、リスク管理をやっていた人と、リスク評価をやっていた人、一緒にやっていたということがありますから、過去にリスク管理をやっていた人がここに来るということは、これはあり得ると思います。
 それから、もう一つの問題は、行政組織としますと割と小ぢんまりした組織でございますので、一貫性という言葉とやや矛盾するかもしれませんが、やはり新陳代謝というものも士気を維持していく上で私は必要なんだと思います。これから時間をかけて将来的にプロパーの人間が出てくるのかどうか、ここらはまだ先のことでございますが、現段階ではやはり各分野の人たちに集まっていただく、そうして新陳代謝も考えていくということでないかと思います。
菅野委員 そういう意味では、本気になって食品安全行政を考えているのか。先ほど鮫島委員の質問にもありましたけれども、本当にこの機会を一大転換の機会にしなければならないはずだったんです。私自身もその機会が到来したなということで大きな期待を持ちました。しかし、中身を見たときに、この調査検討委員会の人たちが描いた、あるいは調査検討委員会の報告書をもとにこういうふうになっていくんだろうなというふうに描いたところには、到底到達していない。そして、大臣が言うように、そのことはこれからの課題として位置づけられておりますけれども、これからどの機会でそれをやっていくのかというエネルギーは、私は出てこないような気がしてならない。
 ぜひ、そういう意味で、独立性、一貫性を持つ組織というものは、食品安全委員会じゃなくして食品安全庁にすべきだ、私はこう申し上げたいくらいなんです。最初に戻りますけれども、これを、この機会をスタートラインにすべきだというふうに私は位置づけてほしかった。このことだけは、この部分での質疑を続けていっても平行線をたどるというふうに思いますから、少なくとも、委員会を立ち上げるに当たって、独立性、一貫性という思想をしっかりと位置づけられるような、そういう体制を考えながら進んでいただきたいというふうに思っています。
 次に移りますけれども、やはり食品安全基本法の中に欠けているのが、委員会の提案にもありますけれども、フードシステムという部分ですね。これをどう一体性、一貫性を持ってシステムとして構築していくのか、これは国内全体の大きな課題だというふうに思う。あらゆる人たちが考えることだというふうに思っています。
 そして、それぞれの分野、フードシステムというのは、生産、流通、加工、消費という一連の流れがあるわけですね、それぞれの分野のリスク評価はだれがどのように行っていくのかというところが見えないんです。それぞれ各省庁の管理部門が管理の上から評価をお願いするという下から上がったものが念頭に置かれていて、食品安全委員会が食品の安全という立場から下におろすというシステムは、この法律案の中では見えてこないんですけれども、だれがどこでフードシステムのリスク評価を行うのか。大臣、どう考えておられるんですか。
谷垣国務大臣 今、リスク評価をだれが行うかとおっしゃいましたか。
 リスク評価は食品安全委員会が行うわけでありますけれども、これはもうイロハのイみたいなことを申し上げますが、リスク管理機関から諮問を受ける場合もあり、また自分で独自に情報を集めて、必要だと判断すれば自分でやる場合もある。それは、今おっしゃった生産、流通、加工という一連の流れの中で、必要なことは行っていくということではないかと思います。
菅野委員 食品安全委員会の持つ機能というのは、先ほども議論されておりますけれども、フードシステムの中で欠けている部分、これも、管理が欠けている部分も、システム上で欠けている部分も、評価して、提言して、そして管理強化をさせていくというシステムが、これは当然のことだと思うんですね。先ほど、中林委員の議論というのは、その視点に立って細部が議論されたんです。
 だから、大臣、フードシステムの管理部門の強化を評価するのも安全委員会だと私は思っているんですけれども、そのことをどのように行っていこうとしているのか、考えられているのか、その点、お聞きしておきたいと思います。
谷垣国務大臣 今おっしゃったのは、リスク管理部門というものがしっかりしないと、いかにリスク評価をちゃんとやっているといったってうまくいかないじゃないか、そうすると、リスク評価部門としてもリスク管理部門が欠けている場合には責任があるんじゃないか、こういうふうにお問いかけを理解いたしました。
 それで、リスク評価とリスク管理を分けているということは、第一義的には、それは、リスク管理部門がその体制を整えていただくということだろうと思いますが、先ほども中林委員に御答弁申し上げましたように、仮にその体制がリスク評価部門から見て食品安全を確保するに十分でないと判断することがあれば、必要な勧告等を行うというのも我々の責務であろうと思います。
菅野委員 食品の生産、流通、加工、消費という一連の中でのフードシステムを安全、安心というところにしっかりと位置づけられるように、本当に食品安全委員会の責任は非常に大きいというふうに思っていますから、ぜひそのことを徹底してこれからの行政運営に当たっていただきたいというふうに思っています。
 次に、調査検討委員会で非常に大きな問題にしているんですが、トレーサビリティーの問題です、農水大臣。これは、調査検討委員会では管理部門というふうに位置づけられていますけれども、私は先ほど谷垣大臣に聞いたんですけれども、管理で欠けている部門があったならば、それを評価して行わせるのも食品安全委員会だ、そのことが重要なんです。このトレーサビリティーは管理部門に属するんですね。
 ただし、牛肉だけは今行われようとしていますけれども、食品全体に対してはトレーサビリティーは行われていません。そして、先ほどの質疑の中でも、それは考えられることではないなんという答弁がありましたけれども、こういうふうに言っています。
  BSE問題とそれに引き続いて明らかになった虚偽表示問題は、食品の原材料の追跡・検証が可能になるようなシステムを必要としている。トレーサビリティは最終商品から原材料へと追跡可能なシステムである。遺伝子組換え食品においてもトレーサビリティが課題となっているが、今日、食品の安全性の確保のためにトレーサビリティは、フードチェーン全体を通じた全ての食品に適用されるべきシステムである。また、リスク管理における重要な手法として位置づけられなくてはならない。
これが、調査検討委員会でトレーサビリティーに対する見解なんです。これをどう食品の安全、安心という形に位置づけていくのかというのが重要な課題だというふうに思うんですね。
 農水大臣、この牛のトレーサビリティーは行うけれども、食品全体に対する今後の考え方をどう思っておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
亀井国務大臣 牛肉につきましてはもう御承知のとおりでございます。
 牛肉以外のもの、青果物、米等について、各食品の特性を踏まえたシステムの開発あるいは情報関連機器の整備等、予算措置もしておるわけであります。
 先般、私、神奈川県の食肉センターに参りまして視察をしてきたわけであります。豚肉に関連いたしまして二千二、三百頭処理をするわけでありますが、関係の皆さん方は、牛肉につきましてはやっておるわけでありまして、でき得れば生産地等を中心にこの問題に取り組んでいきたい、このような御発言もちょうだいしたわけでありまして、安全性の問題という視点、これから私どもいろいろな分野で努力をしてまいりたい、こう思っております。
菅野委員 このトレーサビリティーシステムを導入するというのは、私はイギリスやフランスでも見てきました、導入の状況。そして、非常に難しいことだなというのも痛感してまいりました。ただし、このことを行わない限り、食の安全、安心という、食品の安全基本法ですから、食の安全を確保するという部分も非常に大きなウエートを持っているシステムであるというのも、私はみんな共通すると思うんです。
 ただし、そこに到達するのは、一朝一夕で到達することではないということもわかっています。ただ、そのことを追求し続けることが重要なことであって、そして将来にわたってそのシステムは完成させていくんだという視点を常に忘れずに持っていることが私は重要なことだというふうに思っています。
 食品安全委員会の方でも、そこはできるだけ勧告するような、この部分だったらできるんじゃないかと評価して、それは大いに議論する課題だというふうに思っていますから、ぜひその立場に立って行政執行していただきたいというふうに思います。
 最後になりますが、生産段階における食品の安全という部分をどう確保していくのかということなんですね。
 一つは、戦後、日本の農業というものは、農薬と化学肥料によって生産性を大きく向上してまいりました。これは日本の農業における生産性の向上において大きな役割を果たしたというふうに思っています。ただ、その一方で、食の安全、安心の立場から考えたときに、これでいいのかという世界的な潮流が今起こってきていると私は認識しています。
 それで、そういう意味で、有機農業という部分が今非常に定着してきているというふうに思っています。それで、なぜ有機農業という部分が見直されてきているのかというのは、私から申すまでもないことだというふうに思うんですが、ただし、ここを変えていくことも、戦後、日本農業を生産性向上に駆り立ててきましたから、これを一気に変えるというふうには私はいかないというふうに思うんです。この有機農業という部分をどう日本の農業に位置づけていくのかというのは、食の安全、安心の立場から重要なことだと思っているんですけれども、今後この部分をどう考えていかれるのか、これをお聞きしておきたいと思います。
亀井国務大臣 有機農業につきましては、生産者の主体性を尊重しつつ支援を行っているところであります。土づくりと化学農薬等の低減に一体的に取り組む農業者を支援するとともに、堆肥供給施設の整備等への助成等、施策を講じておるわけでありまして、今後とも有機農業を強力に推進してまいりたい、このように考えております。
菅野委員 わかりました。
 そうであれば、私は、食品安全基本法の中に、第三条の「食品の安全性の確保のための措置を講ずるに当たっての基本的認識」、この部分に、その認識を、私はこれから農水省としてその方向で推進していくんだというふうな方向性を明示すべきだと思うんです。環境との調和、自然の状態を尊重した生産を目指してこれから進んでいくんだと私どもは考えておりますし、この食品安全基本法の中にそのことも私は明示すべきだというふうに思っています。
 それは、化学肥料や農薬がすべて悪いということじゃなくて、そういう方向も、一方では有機農業的な農業生産というものも推奨していくんだという体制は、食の安全、安心という立場から、私は農水省として明確に打ち出すべきだと思うんですが、大臣、その決意と用意はどうですか。
亀井国務大臣 食料・農業・農村基本法に関連いたしましても、そのことをいろいろ明示し、有機農業の推進、このことを図ってまいりたい、こう思っております。
菅野委員 谷垣大臣、やはり食の安全、安心という国民的関心が非常に高まった時期ですから、食品安全基本法の中に、農産物の生産体制は今後こうあるべきだと、基本方針として、私は、基本的認識として法案に打ち込むべきだというふうに思うんですが、最後に大臣の考え方をお聞きして、終わります。
谷垣国務大臣 この法案は、国民の健康を最優先とする、これを基本の思想としておりますが、基本法でございますから、有機農業とか、あるいはいろいろな考え方があると思いますが、それを全部今ここで取り上げるというものではないだろうと私は思います。
 具体的な農業政策の中でどう進められるかという議論はございますけれども、食の安全の基本法という観点から申しますと、国民の健康を最優先であると、こうはっきり明示することで、私は非常な大きな前進があるのではないかというふうに考えております。
菅野委員 終わります。
中山委員長 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 保守新党の江崎洋一郎でございます。
 本日は、長時間にわたる連合審査会でございましたけれども、最後の質疑者になりました。既に幅広い議論も行われてまいりましたので、私のこれからの質問、若干、既に、前質疑者の方々と重複する部分もあろうかと思いますが、限られた短い時間でございます、食の安全、安心をどのように確保していくかという観点につきまして、各大臣に基本的なお考えをお伺いしたいというふうに考えております。
 まず、谷垣大臣にお伺いしたいわけでございますが、先ほど来、政府全体としましては、食品安全基本法の制定や食品安全委員会の設置ということからリスク分析手法を食品安全行政に導入するということで、消費者の健康保護を最優先に、科学者の専門的な知見に基づいたより透明性の高い行政運営が可能ということで、私は、今回の食品安全基本法を大変高く評価したいというふうに考えているわけでございます。
 しかし一方で、リスク分析手法を導入したという行政運営自体もまだヨーロッパで始まったばかりと聞いておりますし、評価と管理を組織的に分けていく、分離するということでかえって行政運営が非効率にならないかという点については、わずかばかり不安にも思うわけでございます。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけでございますが、厚生労働省や農林水産省との関係で、この食品安全委員会が今後どのようにリーダーシップを発揮していくか、また、政府一体となって食品安全行政をどのように進めるかという観点についてお伺いしたいと思っております。とりわけ、とかく日本の行政運営、縦割り行政ということに関して弊害が言われております。こういった縦割り行政をある意味で排除していくというのがこの食品安全委員会の位置づけにもなろうかと思っておりますが、その点を踏まえて御答弁をお願い申し上げます。
    〔中山委員長退席、佐々木委員長着席〕
谷垣国務大臣 この委員会でもるる申し上げてまいりましたけれども、BSEの反省が、専門家の意見を取り入れない、いわゆるリスク管理それからリスク評価、あるいは産業振興というものが混然一体となって行われているところに問題があるんだということで、それぞれの機能を分けて、機能を担う行政機関も別個にしようと。そこで、食品安全委員会をつくって、適切な緊張関係のもとに置いて所期の効果が上がるようにしようというのが基本の考え方でございますね。
 ただ、これは食品安全行政というわけではありませんが、この数年の日本は大きな、行政組織全般でもある意味での行政の行き詰まりということもあって、行政改革という名のもとにいろいろな組織変更、新しい組織をつくって、そのねらいはやはり、一元的な政治主導といいますか、そういうものを何とか行政の手法の中に取り入れようということだったと思います。
 しかし、そういうものも、今まで癒着があるから分けようといって分けた場合に、では全部うまく機能しているかどうかというと、まだ試行錯誤の最中でございまして、分ければ分けたで悩みがあるというのが現実だろうと思います。私どものこの組織も、今まで一緒になってやってきたのが、分けるということになれば、また分けるという悩みも今度は出てくるんだろうと思います。
 そこで、先ほどからこれも申し上げているところですが、違う組織にして緊張関係を持つという以上、いつもぴったり一緒というわけではないことがどこかで出てくることを覚悟しなきゃならない。そこで、先ほどから申し上げているような勧告であるとかあるいはモニターであるとか、再度の勧告であるとか報告であるとかいう仕組みがあるわけで、私は、要するに、そういうものをどううまく使えるのかということだろうと思います。
 制度についての御説明はもうさんざん、何度もこの委員会でやらせていただきましたのでこれ以上申しませんが、あとは、それぞれを踏まえて、緊張関係を持ちながらやはり運用のよろしきを得る、こういうことではないかと思います。
江崎委員 今大臣がおっしゃられたとおりだと思いますが、この食品安全委員会の設置はやはりまだ入り口にすぎないわけですね。これを運用で、骨太にこの機構をまた、最初に取り決めたことだから変更しないということではなく、柔軟に食品安全委員会を育てていただく、そして、機能を拡充していくという位置づけでぜひともこれから運営を図っていただきたいというふうに思っております。
 次に、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
 BSE問題では、生産者優先、あるいは消費者保護軽視の行政ということで、政策決定過程の不透明な行政機構など、農林省に対しては大変厳しい指摘というものを受けたわけでございますが、農林省では、今般、リスク管理のための施策及び組織を総合的に見直すというふうに聞いておる次第でございます。このたび、改めて亀井大臣が就任されたわけでございますが、その中でやはり強力なリーダーシップを発揮していただきまして、国民に農林省は変わったんだぞというイメージを植えつけていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 そういった観点から、今後、国民の皆さんに対するメッセージとして、食の安全、安心確保対策というものをどのようにお考えか、農林大臣の御意見をいただきたいと思います。
亀井国務大臣 BSEの発生やあるいは食品の不正表示あるいは無登録農薬問題、これらの反省を踏まえて、食の安全、安心を確保する、これは極めて重要な課題、このように受けとめておりまして、消費者、生活者の視点を忘れることなく生産者というものがあり得るわけでありますので、そのリスク管理のための施策や組織を総合的に見直しし、肥料、農薬、飼料等の生産資材の適正な使用を確保するための肥料取締法の改正等の関連法案を提出しているようなわけでもあります。
 特に、産業振興部門から独立して、食品分野における消費者行政とリスク管理業務を一体に担う消費・安全局を設置するわけでありまして、これは地方においても、現場における食品のリスク管理業務を担う地方農政事務所を設置する。本省、地方を通じてリスク管理の体制の整備を図ってまいるわけでありまして、そういう面で、食の安全、安心に対する国民の信頼の回復に努めていくことが食品の安全性の確保の一翼を担う私ども農林水産省の大きな役目であると思っておりますし、大臣としてその使命を発揮してまいりたい、このように考えております。
江崎委員 ありがとうございました。
 加えてお伺い申し上げますが、BSE問題の発生後に、今大臣もお話しになりましたが、農林水産省内の情報の隠ぺい体質というものも指摘されたわけでございます。また、その後の無登録農薬問題の教訓というものもございまして、食の安全に対する消費者の不安やパニックが結果として農林省にはね返っているという部分もありまして、農業経営者にとっては重大な悪影響というものを及ぼす結果になったというふうに考えております。
 その中で、今回、リスクコミュニケーションという新たな手法を導入するということでございますが、過去の教訓という意味でも、大変意義のあることではないかと思っております。政府全体の中でも、農林省の中においてこのリスクコミュニケーションというのは重要な行政課題になっているのではないかというふうに私は考えております。
 そこで、再び亀井大臣にお伺いしますが、BSE問題の反省を踏まえて、農林水産省として、施策づくりへの消費者の意見反映、リスクコミュニケーションですね、あるいは消費者に軸足を置いた行政というものについて、どのようにこのリスクコミュニケーションに取り組まれるのか、御意見をいただきたいと思います。
亀井国務大臣 先ほども申し上げましたが、消費・安全局を創設してリスクコミュニケーションに積極的に取り組む、あるいはまた関係審議会への消費者代表の積極的な登用であるとか、あるいは農水省のホームページを通じて関連する情報の積極的な提供と意見の募集、あるいは食と農を語り合う消費者との定期懇談会、これらいろいろの形を通じて消費者にいろいろの情報を提供し、消費者など多くの関係者の懸念や意見を施策に適切に反映し、顔の見える形というものをしっかりつくってまいりたい、こう思っております。
江崎委員 今大臣がおっしゃられましたが、本当にこの顔の見える関係づくりというのは、今、消費者の間で、信頼回復という意味では大変求められているところではないかと思っております。
 そういった意味で、一日も早くこの食の安全に対する消費者の不安を解消して、真に信頼される食品安全行政を確立されるためには、今回議論しておりますこの食品安全基本法及び食品安全委員会を中心とした新たな食の安全行政というものについて確立をしていく必要がある。また、消費者の皆さんにも主体性を持っていただきまして、食というものをいま一度見詰め直していただくという必要があるのではないかと思います。先ほど来も議論もございましたが、そのような意味で、食育や、あるいは、産地でつくられたものが産地で消費されるという生産と消費を結びつける取り組みというものも求められているのではないかと思います。
 そういった意味で、最後の質問になりますが、農林大臣に、このような新たな、一歩踏み出した農林行政というものについてどのようなお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
亀井国務大臣 先ほども申し上げましたが、生産者と消費者の顔の見える関係づくり、このことに努力をするわけであります。
 そういう面で、生産者には食の安全、安心に対する消費者ニーズを、また、消費者には農林水産業における生産の実態を伝えることにより、相互の理解を深めることが必要、このように考えておるわけでありまして、不正表示に対する対策の強化、食品表示の適正化、あるいはまた、先ほども質問がございましたが、生産情報などを消費者が把握することができる仕組み、いわゆるトレーサビリティーシステムの導入の促進、あるいは、国民一人一人がみずから食について考える習慣を身につける食育活動の推進、これらに取り組んでまいりたい。
 あわせて、生産者と消費者との間の信頼関係を深めていくことが必要なわけでありまして、地域でとれた米や野菜などを活用した消費者と生産者の交流活動、伝統的な食材を利用した郷土料理の調理講習会などの体験活動、あるいは直売所等を利用した新鮮な地域産物の販売など、地域の多様な取り組みを推進していきたい、このように考えております。
江崎委員 どうもありがとうございました。
 やはり食の安全、安心をどのように確保していくか、大変重要な時期だと思っております。その意味でも、一日も早く本法案が可決、成立することをお願い申し上げまして、以上で私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
佐々木委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後四時三分散会
     ――――◇―――――
  〔参照〕
 食品安全基本法案は内閣委員会議録第三号に掲載


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