衆議院

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第4号 平成15年10月2日(木曜日)

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平成十五年十月二日(木曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 浅野 勝人君

   理事 中谷  元君 理事 松下 忠洋君

   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君 理事 赤嶺 政賢君

      荒巻 隆三君    伊藤 公介君

      金子 恭之君    金田 英行君

      北村 誠吾君    小島 敏男君

      左藤  章君    新藤 義孝君

      杉浦 正健君    高木  毅君

      谷田 武彦君    谷本 龍哉君

      土屋 品子君    仲村 正治君

      福井  照君    松浪 健太君

      松宮  勲君    森岡 正宏君

      吉野 正芳君    一川 保夫君

      高橋 嘉信君    中塚 一宏君

      中山 義活君    原口 一博君

      平岡 秀夫君    山井 和則君

      吉田 公一君    高木 陽介君

      丸谷 佳織君    木島日出夫君

      今川 正美君    金子 哲夫君

      山谷えり子君    山村  健君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 兒玉 和夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     左藤  章君

  新藤 義孝君     土屋 品子君

  伊藤 英成君     平岡 秀夫君

  大畠 章宏君     中山 義活君

  佐藤 公治君     高橋 嘉信君

  前原 誠司君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     北村 誠吾君

  土屋 品子君     新藤 義孝君

  高橋 嘉信君     佐藤 公治君

  中山 義活君     大畠 章宏君

  平岡 秀夫君     伊藤 英成君

  山井 和則君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十六回国会閣法第一二一号)




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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 第百五十六回国会、内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、前原誠司君外三名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。末松義規君。

    ―――――――――――――

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 ただいま御指摘のございましたテロ特措法の一部改正案に対する民主党の修正案という形で提出をいたしましたので、趣旨説明をさせていただきます。

 二〇〇一年九月十一日に米国で発生した同時多発テロは、多くの罪なき人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な行為であり、安全で民主的な社会を希求する私たち人類への挑戦であると考えます。

 かかる挑戦に対し、民主党は、国際社会とともにテロとの闘いに敢然と取り組む決意を明確にしています。しかし、この同時多発テロを受けた当時のテロ特別委員会の審議で、民主党は、自衛隊の海外派遣の原則として国会の事前承認を求めましたが、与党はこれに反対しました。

 同法成立後、二〇〇一年十一月に政府が示した自衛隊の活動に係る対応措置については、期間、活動範囲等が妥当と判断し承認しましたが、その後政府は、二〇〇二年五月、十一月、二〇〇三年五月の三度にわたって、半年ごとの基本計画の期間を延長するとともに、二〇〇二年十二月四日、イージス艦の派遣をも決定しました。来月期限を迎える同特別措置法の二年間、政府は、派遣継続の必要性、イラク問題等との関係、現地での運用の問題点及びこれにまつわる憲法、法律上の疑義、派遣決定の手続上の問題等について、十分国会に説明責任を果たしてこなかったと言わざるを得ません。これは民主的統制の観点から非常に問題であることは言うまでもないのです。

 アフガニスタンでの主要な戦闘が終息したとの認識が米政府より示される一方、テロ事件は拡散の傾向も見せています。また、我が国の近隣の安全保障は、北朝鮮の瀬戸際政策がエスカレートして、この一年悪化していることを考慮すると、我が国近海における自衛隊の運用面の不安もぬぐい得ません。本法による特別措置を定めた当時から、地域、国際情勢は変化しているのであり、二年の時限立法として想定されていた期限を迎えるに当たり、改めて国会の承認に付すことが必要であると考えます。

 民主党修正案では、基本計画に定められた自衛隊の部隊などが実施する協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置については、自衛隊の海外派遣の重要性にかんがみ、原則国会の事前承認を得なければならないこととしております。また、今回、二年間の期限を迎えるに当たり、現在既に実施されている対応措置を向こう二年間継続することも、改めて国会に諮り直さなければならないと考えております。加えて、政府案は、必要であればさらなる延長を可能にしていますが、特別措置としての本法を漫然と更新することには反対であり、テロ対策特別措置法を今回限りで打ち切るべきだと考えております。

 以上が、この修正案の概要であります。

 委員各位におかれましては、本修正案の趣旨につきまして十分に御理解を賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

 以上です。

衛藤委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長小林誠一君、外務省大臣官房審議官兒玉和夫君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省北米局長海老原紳君及び外務省中東アフリカ局長堂道秀明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより本案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 私の方から幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、本法に基づいて行われた活動でございますけれども、アフガニスタンのゲリラ、アルカイダ等を、海上で逃走するのを防ぐという観点から、自衛隊の方は給油活動等をやってきたわけでございます。この海上捕獲ですか、これにつきまして、重要性が非常に私は薄れてきたなという思いがするんでございます。

 といいますのは、もともと六十隻ぐらいあった艦船が、この委員会でも何回も指摘を受けていますけれども、これが十九隻、二十隻を割ってきた。アメリカに至っては、四十隻だったのが今もう二隻になってしまった。二隻になってしまったということは、もうほとんど、海上警備の必要性が極めて薄くなったというふうにしかとらえられないと思うんですけれども、防衛庁長官はこの二隻になったという意味をどうお考えになられているか、お伺いいたします。

石破国務大臣 御指摘のとおり、船の数は相当に減っていると思います。

 ただ、これはきのうも答弁をしたことでございますが、私はこの六月以降、ニュージーランドでありますとかあるいはフランスでありますとか、あるいはカナダでありますとかイギリスでありますとか、そういうところの国防大臣と、まさしく委員御指摘のような点について議論をいたしました。これは本当に要るのか要らないのかということであります。

 船が多かったのは、これはアフガニスタン攻撃と並行していましたから、それに従事する艦船、そして逃亡防止のための監視の艦船、両方が並行しておりました。このアフガニスタン攻撃が終了すれば、その船は下がるわけですね。それはほとんどアメリカの船であったということだろうと思います。

 そうしますと、洋上監視活動ということに、ドイツでありますとかニュージーランドでありますとかあるいはギリシャでありますとか、そういう船が参加をしているということの重要性はやはり落ちていないということだと思っています。もちろん、活動する海域は、これはどこからどこまでということをはっきりは申し上げられぬけれども、日本海の何倍も広い海域であります。船が多ければ多いほど、それは密になってよいのだろうということも、それは言えるだろうと思います。

 私は、本当に必要性がなくなったかどうかということは、これはもう抑止力ということもありますから、こうなったら必要性がゼロになったということは言えないのですけれども、アメリカ合衆国も含めまして各国の国防大臣、それはもう委員もおわかりだと思いますが、どの国も遊びや冗談であんなところへ船は出しません。相当にしんどいミッションです。そしてお金もかけています。

 それで、どの国だって必要性がなければやめたいということは一緒なのだと思います。どの国の国防大臣も、ぎりぎり考えてみてやはりまだこれは要るという認識を、各国の国防大臣共通して持っております。その場には、もちろん制服組も出ておりましたし、現場を知悉している人間もおりましたが、私は、そういういろいろな国の国防大臣と話してみました結果からしましても、この有用性がなくなったというふうな判断はしておらないところでございます。

末松委員 有用性がなくなったという極端な言い方は当然できないわけですよね。

 ただ、ちょっと今長官の御発言の中に、アフガンでの戦闘行為があっていたから艦船がアメリカはいた、それがなくなったから艦船が減るという御指摘がありましたよね。このアメリカの四十隻というのは、海上におけるそういった警備という形ではなくて、部隊の補給とかそういう艦船も含めた船の数だったということを示唆しておられるのかしら。お願いします。

石破国務大臣 これは、それぞれの船が何のミッションを行っておったかということにつきまして、ここで申し上げることは適当ではございませんし、私も、どの船がどの任務に従事をしておったかということにつきまして正確な知識というものを一隻残らず有しておるわけではございません。

 現在でもアメリカの船は二隻おるわけでございまして、ただ、主力はもちろんアフガニスタンの攻撃のために、例えばトマホークを搭載しております巡洋艦でありますとかあるいは航空母艦でありますとか、そういう大きな船が主力であった。その当時は逃亡も何も、まずアフガニスタンのそういうような勢力をたたくということに精力が傾注をされておったということだと理解をいたしておるところでございます。

末松委員 そうすると、何人かの国防大臣と話されたという話ですけれども、彼らも、できたら、まあ重要性は以前に比べて薄くなったねということは言っていたんでしょう、それは全く同じレベルでの重要性なんだというふうに言っていたのか。そこをもうちょっと私はお伺いしたいのと、アメリカが二隻になったということは、アメリカの認識を示しているわけですよ。やはりアメリカとしては、本当に重要だったら、それは最低限の船といっても十隻以上残すでしょう。だから、これ自体は非常に、だれが見てもこれはかなり薄くなった。

 私は何が言いたいかというと、まずそれは答えてくださいね、その後なんですけれども、要するに、日本としても以前と同じようなレベルの給油活動を行う必要がないんじゃないか。例えばインターバルを置いて、要は規模を縮小してやっていく活動でいいんじゃないか。ここを見たら、ほかの国も補給艦なんかもあるわけですよ。だから、日本だけがガソリンスタンドをやる必要もないわけですから、そういった中での国際的な調整、一回集まってまたそういった話をしてみることも極めて重要だろうと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

石破国務大臣 それは、各国の国防大臣と会いまして、これだけが議題ではございませんから、北朝鮮の問題もあれば、ほかの広範なテロ対策の問題もあります。

 ただ、まずありましたのは、私どもが補給をしております、向こうからいえば受けておる国の大臣からは、本当に異口同音に、大変に感謝しているということがありました。これは、委員も外交官でいらっしゃいますから、外交辞令というのはありますが、外交辞令ではなくて、本当に日本海の何倍も広い海域で、一々港まで戻らなくても日本の船が、いろいろな調整の後ですけれども、必要なときに必要なところにいてくれる、そしてまた、それが正確な、場合によっては六時間も同じ距離、同じ間隔を保って真っすぐ給油が受けられ、一回も事故がないということに対しては、本当にありがたいんだというお話がありました。

 そして、この活動は続けるべきだというお話。もうこれはやめちゃおうよというような話はどこからも出なかった。

 だから、よく、日本がただのガソリンスタンドをやっているからこういうのが漫然と続いているんじゃないか、日本がやめればほかの国もやめるんじゃないかというような議論が時々ありますが、私はそんな話だと思っておりません。どの国も、本当にぎりぎりいっぱいの艦船の繰り回しの中で、そして乗員の大変な負担の中でやっておるわけでありまして、このことの有用性につきましては異を唱える大臣というのはいなかったし、このことについての有用性は変わらないところであります。

 それから、アメリカはどうなんだというお話でございますが、これは、アメリカの船の編成につきましては委員もよく御案内のとおりでございます。これの洋上監視というものに割ける船と、そしてまたそのほかの国でもできる任務というものはございます。やはり、その国にふさわしいような仕事をしなければいけない。アメリカの持っております船がこの洋上監視というものに適当な船なのかといえば、必ずしもそうではない場合もございましょう。やはり、テロと闘うという各国の姿勢を示す上において、ほかの国がそれを行い、アメリカ合衆国の船はそれにふさわしいところに移動をしているということが、アメリカの考え方とすればあり得るのだろうと思っております。

末松委員 その防衛庁長官の話の前提に、じゃ、各国でその調整はしているんですか。つまり、六十隻から二十隻まで下がったわけですよ。あなたは、今の言い方をすると、いやいやもう重要性は全然変わっておりません、そんな言い方をなさるけれども、それは立場上そうかもしれないけれども、あなた、だってこれだけ少なくなっているのを見て、重要性が上がったなんということは絶対言えないし、同じだということも言えないわけですよ。それは常識の範囲内ですよね。

 だから、私が言いたいのは、日本の国益、これも追求しなきゃいけないと思うんですよ。つまり、ほかの国から見たら、日本を褒め上げて、これはあなたのところがなくなったら困るんだ、あなたはすばらしい活動をしていると言いますよ、それは当たり前の話だ。でも、日本から見て、また百数十億かけて一緒の活動をやらなきゃいけないのかと。みんなはずっとこの活動をなくしていっているんですよ。冗談じゃないですよ、あなた。日本だけがそんなばかまじめな形でやることそのものが、日本の国益を追求していると私は思わない。

 むしろ、それに合わせて、何とか規模を縮小しましょうねということで、国際的な、ここに派遣している国々と調整を、石破防衛庁長官が音頭をとってもいいですよ、そこで一回調整国会合みたいなものをやって、少なくなったけれども機能的で効果的な海上監視の仕方があるんじゃないかということを提起してもらわなきゃいけないですよ。それが国益の追求ということでしょう。そこについてどうですか、お考えは。

石破国務大臣 これは、減らした国もあります。しかし、例えばフランスなぞという国はこれからふやすということを計画しているわけですし、ギリシャにいたしましても、アテネ・オリンピック警備の訓練のために一回下げたものをもう一度出しているわけですね。ニュージーランドは、下げたけれども、そのかわりにアフガニスタンの国内の部隊というものを新たに送っているわけであります。それは、それぞれの国がテロとの闘いに何ができるかということを、全般的な国益を考えてやっておるわけでございます。

 ですから、この調整会議というものができるかできないかということは、それはまた検討もしてみます。そしてまた、今回の延長に際しまして、私どもの庁内におきましても、単に漫然と続けるということで国民の理解が得られるというようなことは思っておりません。そのことは私どもの中でもさんざんに議論をいたしたことでございます。国益ということをおっしゃいました、そして納税者のお金でございます、今後それがきちんと使われるということが国民の皆様方にわかるように、私どもとしてもきちんと行動をしていかなければいけない。

 今現在どういうふうに補給を行っておるかというと、日本が好き勝手に、あなたの国、あなたの国、あなたの国とやっているわけではございません。全般的なニーズ、そして我々のキャパシティー、それを調整しながら全体の中でやっておることでございまして、その中においてニーズの調整というのは当然になされておることでございます。

末松委員 だから、その調整を、少し輪を小さくするような形で日本が言い出しても別に恨まれはしないでしょうということなんですよ。いいですか。だから、それはぜひ今後検討してもらいたいし、実行してもらいたいと思います。

 それから、これは確認です。もし極東で、やや北朝鮮の動きなんかがおかしいな、なぜか緊張が高まってきたとき、当然このときは我が国のプライオリティーとして、給油艦を含め、これを日本海の方に回すかどうか、こういった形で日本の防衛の方に役立てられる。ということは、つまり、この海上の捕獲の活動は一時停止をすることもあり得ると思うんですけれども、その辺の判断はいかがですか。

石破国務大臣 これは委員よく御案内のとおり、この活動というものは、自衛隊法附則十七、十八に言いますがところの、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において協力支援活動等を行うということになっております。ですから、今委員御指摘のような、我が国の平和と独立に直接影響を与えるような事態というものが生じました場合には、これは当然委員が御指摘のようなことに相なります。

 ただ、急に起こって、さあ帰ってこいといっても、飛行機ではございませんので一日で帰ってこれるわけではない。したがって、ローテーションというものをよく考えながら、いろいろな情勢を勘案しながら、この十七、十八の趣旨に、そしてまた特措法の趣旨に反しないように行動しておるわけでございます。

末松委員 あと、ちょっと国益の観点から、自衛隊の方で、ペルシャ湾の横の地域、アフガニスタンの南部の、この給油をするという中でどんなノウハウを得てきたか、それについてもお伺いしたいと思います。自衛隊は自衛隊なりに、またこれは訓練という立場からも貴重な経験にもなったんだろうと思うんですね。そこについてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 必ずしもノウハウということになるかどうかはわかりませんが、我々がああいうようなところで活動をする場合には、やはり補給艦の能力にはかなりの限界があるということは感じております。

 「はまな」などというのは、もう本当にほとんど出ずっぱりみたいな話ですし、三回続けて乗っている乗員もたくさんいるわけですね。そうしますと、単にふやせふやせと言うつもりはありませんが、やはり補給艦の能力というものは、数もあわせましてきちんと充実をしていかねばならぬだろうということ。それから、DDHとイージスの議論であることでございますが、司令部機能は持っていても、その居住性でありますとか、暑さも含めましてですが、これはなかなか厳しいものがあるというふうに考えております。新DDHのところでまた御議論をいただくことでございますが、そういうような能力につきましてもそうであります。あとは、乗員のメンタルヘルスケアみたいなこともそうであります。

 そういうようなことにおいて、これから、我々自衛隊あり方検討の中でも議論をしておることでございますが、この国際貢献のあり方はいかにあるべきかということとあわせまして、我々の能力、こういうものを本来任務と両立させていきますためには、そういうような能力につきましても検討が必要であるという認識は強く持っておるところでございます。

末松委員 ちょっと、持って回った言い方をするのでよくわかりませんけれども、時間がないので、ちょっと次の話題に行かせていただきます。

 ちょっとイラクの関係についてお伺いしたいんですが、最近、新聞の報道で、何か世銀とIMFが、五百五十億ドルをイラクの復興費について必要だという話があったんですね。それで、私もこれについてもっと知りたいと思って、きのう財務省関係者にこの資料をくれないかと言ったら、出せないと言われたんですね。おかしいなと思っているわけなんですが、これは出せないものなんですか。これは、では外務大臣から、あるいは財務副大臣。

山本副大臣 確かに、先生御指摘のイラク復興支援の需要についての試算は日本政府に来ております。しかしそれは、公表できるかどうかという観点から見ると、結論から言うと、公表しがたいものである。

 それは、例えばこれから十月二日にコアグループの会合がございますけれども、世銀ともう一つの国際機関でつくり上げたこの資料というのは、コアグループの中だけでお互いの資料検討にしようじゃないかというような趣旨のものでございまして、特に、復興支援国会議が今後十月二十三、二十四、マドリードで開かれるそのときには、ほかの国もまた参加されるというようなこともありまして、この資料についてだけはコアグループの中でお互い公表しないようにいたしましょう、そういうような観点で受け取っておるという資料でございます。

末松委員 コンフィデンシャルという形で書いてあるんですか、これは外務省に聞きますが。

山本副大臣 書いてあります。(発言する者あり)

末松委員 これは日本だけにコンフィデンシャルと書いてあるんですか。何か、ヨーロッパだとわかっているという話がありましたけれども。

山本副大臣 ヨーロッパの各国がわかっているということはあり得ない話でございまして、コアグループ、特に議長国同士、すなわち、日本、アメリカ、EU、UAE、このほか、国連、IMF、世銀、CPA、連合暫定施政当局、この議長国がそれぞれそういう取り決めになっているということなので、EUだけが公表したということはないだろうと思います。

末松委員 ちょっと話を進めましょう、今の説明は私は納得いきませんけれども。

 二十三、二十四にドナー国会合がありますよね。そのときまでに日本政府は一定の支援額をプレッジするんですね。

川口国務大臣 イラクの復興というのは、日本にとっても非常に貢献をすべき重要なことであるわけですから、二十三、二十四日までに、日本としていかなる責任を果たす用意があるか、二十三日、二十四日の会議で、それを成功させるためにいかなることをする用意があるかということについては、考えていく予定でおります。

末松委員 ちょっと一言で答えてくださいよ。私の質問は、プレッジするんですかしないんですか、その一言です。

川口国務大臣 二十三、二十四日の会議ではプレッジをすることになると思います。

末松委員 この報道にも書いてありましたけれども、国連の分担金の比率、約二割だとすると、もし五百五十億ドルというこの報道が正しければ、大体六兆円として、一兆二千億円我が国に負担が回ってくるような雰囲気が漂っているわけですよね。一兆二千億円というと、湾岸危機で大体、私も外務省に当時関係もしておりましたから、多分あのときは、百三十億ドルだから一兆四、五千億円ですか、今の換算でいくと。基本的に、これは報道ですよ、私も関係していたから余り言えないんですけれども、報道では、サウジが数兆円、日本が今の一兆数千億円、こういうのも合わせてアメリカの戦費に実態的には使われたという形であれだけお金が膨らんだんですよ。

 私、イラクに行きまして思ったんですけれども、国連の経済制裁でかなりイラクの経済はむしばまれておりました。つまり、ダメージを受けていました。でも、アメリカの攻撃が始まる前と後では、その復旧する程度においては、そんなに大した復旧でなくてもできたんですね。むしろ中期的な影響があの国を大きくむしばんできた。サダム・フセインの政治優先の政治も経済に大きなダメージとなってきたわけです。

 五百五十億ドルという、何で石油収入がある国に対してこんなに大きな額を復興費用としてやらなきゃいけないのか、それは私にはわかりません。そして、なぜそのときに、もしこの前提として二割だということであれば、一兆二千億円もの金がもしアメリカから要求された、あるいは、そういったことで日本が負担しなければならないという理由も私はわかりません。国民の皆さんもわからない。

 そこで、ちょっとその関係でお伺いいたしますと、アフガンについて我が国がプレッジをした額というのはどのくらいですか。五億ドル程度という話、ですから六百億円ぐらいかなと思うんですけれども、それはどうですか。それから、コソボでNATOが空爆をして、そして支援を今度は行った。そのときに日本はどのくらいやったか。私が外務省から資料をいただいた観点では、約二億ドル弱。ですから二百数十億円程度ですね。たったそのぐらいですよ。そして九八年、米英がイラクを空爆したとき、そのときには、多分それに対する支援というものは逆に行われていない。むしろペナルティーということでやって、一切国際社会はそんなに支援を行っていないと思いますね。

 その辺について、外務大臣、その額だけ簡単にお答えください。

川口国務大臣 まずアフガニスタンですけれども、これは、二年半で最大五億までということをちょうど去年の一月の会議でプレッジをしまして、今までに総額約四億四千万ドルの実施をしています。アフガニスタンについてはそのほかに若干出している分が別にありますが、基本的に今申し上げた数字です。それから、コソボは、委員がおっしゃったように二億ドル弱ということです。それから、九八年の米英軍によるイラク攻撃の後、日本がイラクに対して行った支援というのは、ユニセフや赤十字、UNHCR等々を経まして、合計百五十五万ドルというものを出しております。

 それから、先ほど五百五十億とか二割とか、いろいろなことを確かに報道で今なされているわけですけれども、これは、私どもは二割とかそういうベースで物事を今考えているわけではありませんで、ましてやアメリカに言われて考えているわけではありませんで、ちょうど今、今といいますか、時差がありますので十月二日に、先ほど財務副大臣がおっしゃったコアグループの会合、これでイラクの需要がどれぐらいあるかという議論をすることになっています。

 そういうことで、世銀やIMFのやった数字、レポートもベースにして、イラクにどれぐらいのニーズがあるのか、国際社会として全体としてどれぐらい負担すべきなのか、そういうことの議論をこれからやって、それに基づいて我が国として、我が国はイラクの安定で非常に大きな利益を得るわけですから、そういった観点で何をどれぐらい支出するのがふさわしいかということを主体的に考えていく、そういうことでございます。

末松委員 これからこれからと言うけれども、あなた、もうあと二十日ぐらいなものなんですよ。いろいろな政策決定過程を考えれば、大体二週間ぐらいで決めなきゃいけない。そんなに、今までそういった支援の額なんかについて一切検討してこなかったんですかという疑問がわいてくるんですけれども、ただ、さっきも私は申し上げて、牽制もしているわけですけれども、一兆円を超えるとか、もう湾岸危機のときには、あれはアメリカの戦費、そういったものにも使われたと報道されております。

 ということであれば、もしアメリカが、今九兆円と十兆円で約十九兆円ぐらいアメリカの予算を使ってイラクの軍事作戦を行って、そして予算も確保したということでありますけれども、それを支持した日本が一兆円とかそんなレベルで、まさかそういうことをプレッジしないと思いますが、私は確認をしておきたいんですが、アメリカの戦費あるいはイギリスの戦費、こういったものを負担することは日本はできませんよね。あともう一点、占領行政に対して日本が負担をできるんですか。

川口国務大臣 日本が戦費を負担するということはありません。

 それから、行政経費ということが何を意味するかということですけれども、イラクの場合、決議で開発基金というのがありまして、そういったものに行政経費等は入っているというふうに思います。

 それから、まだ検討していなくて遅いじゃないかという御意見。確かに時間はだんだん迫っているんですけれども、やはり何もベースがなくて、つかみで幾ら、そういう議論はないと私どもは思っていまして、まさに二日、コアグループがきちんと世銀やIMFのレポートを見て、そして議論をして、それを精査して、そうした上で幾ら本当にイラクは必要としているのか、国際社会がそれをどう負担するべきなのかということが出てくるんだろうと思っています。

末松委員 もうちょっと具体的に聞きたいんですけれども、時間がなくなったので余り詳しくは聞きませんけれども、どういった項目を、今ちょっと簡単に言われましたね、支援額を決定するのにどういう考え方で今検討しようとしているんですか。別にその内容じゃなくて検討項目、あなたが考える、どういったポイントで支援をしていこうとしているのか、それを明確に述べてください。

川口国務大臣 今まで日本は、ずっと申し上げていたように、どういう分野を中心に支援をしたいという考え方、イラクの人たちの生活、電力ですとか医療ですとか、そういったことを中心にやりたいという基本的な考え方というのはございます。それで、全体として、そういったことも含めてどこにニーズがあるのかということは、今わかっているのもありますし、今後わかっていくものもあるだろうと思います。

 まず、世銀、IMF等の国際機関の報告書を見て、それが出てくるわけですから、そういうことを見て、我が国の持っている特質といいますか、どういう分野でノウハウがあるかということもありますし、それから、国際社会全体としてイラクのために、例えば基金ができるという話もあるかもしれませんし、そういった全体の流れを見ながら、何を我が国としてやるのが最も我が国にふさわしいかということを考えていくということです。

 イラクの安定、平和ということは、これは中東の平和と安定そのものでありますし、中東地域と我が国は、距離的には離れていますけれども、油その他で非常に重要な地域であるわけです。我が国の平和と繁栄というのは国際社会が平和で安定しているかどうかということにかかっているわけですから、この地域が安定をしているということは、そのために努力をするということがまさに我が国の国益だというふうに考えています。

 ですから、その国益を守り、国際社会の一員として日本にふさわしいだけの責任を果たすということがどういう意味かということを、その世銀、IMFのレポートをベースに考えていくということです。

末松委員 申し上げたいのは、本当に平和と安定というのがアメリカの今の占領行政によって保てるのかどうか、これも本当にイラクの平和と安定がどうかというのにかかわってくるという視点も忘れないでくださいね。

 要は、それだけで、あとは世銀、IMF、どうせあちらのアメリカ系の研究者等を中心にまとめられたこのレポートがかなり大きな数字を出しているというのは、これは私の感じですよね、これは見てみないとわからない。でも、見せられないという話だから、それは感じで思うしかないんだけれども。

 ただ、こういった中で、日本がただ揺さぶられて、はい、あなた、この二割だからというようなことがないようにしてもらいたいと思うし、日本自体が、今まで何回か調査団を出して行っている中で、できる限り日本の援助で、日本の分を守った形でやっていただきたいと思いますね。それが余りに国際社会にオーバープレッジなんかしちゃうと、これは国益に反するということになりますから、ぜひまたこれは機会があれば、その結果を見ながら、私自身、またこの問題について追及をさせていただきたいと思います。

 次に移ります。北朝鮮の――その前に、せっかく財務副大臣がおられるので、今の外務大臣の考え方と財務副大臣、財務省として、どうも共管になっているという話なので、財務省の立場から、財源なんかも額によっていろいろと財源が違ってくると思うんですけれども、このイラクの資金、これはまだ日本が決まっていないからわかりませんよという答えであればそれは答えは要らないんだけれども、今の副大臣の考え方をお知らせください。

山本副大臣 答えが要らないという答えにしかならないかもしれませんが、要は、拠出の仕組みや性格、それから具体的な金額、拠出のタイミング、それが我が国として決定した段階で財源について検討する、そういう順序にさせていただいていますので。

末松委員 そんなに短期間でできるものなんでしょうかね。

 最後、ちょっと一点だけお伺いします。ここは確認できるかどうか。五百五十億ドルとか五百億ドルとか言っていますけれども、この数字自体も全く何ら根拠がないものですか。これを、では外務大臣、お答えください。

川口国務大臣 これはまさに今議論をして、議論が終了した後で、場合によっては数字は公表されるのかもしれません。したがいまして、今ある数字が、そのまま何も議論が加わらないで出てくるかどうかということもよくわからないわけでございますので、その数字について、それが正しいとか正しくないかとか申し上げると今後の議論に混乱を与えると思いますので、私、資料自体が秘ということになっていることでもありますから、もうしばらくお待ちいただければと思います。

末松委員 これまた国会で、数字いかんによっては大議論になっていきますから、そこは慎重に審議をしてほしいと思います。

 時間がなくなってきたんですけれども、今国会で私の方はもうこれが最後の質問になるかと思いますので思いも申し上げますけれども、ミサイルの防衛について、北朝鮮、防衛庁が今度一千四百億円強のミサイル防衛の要求を出しているということで、これは喜ばしいなと思うわけであります。そういった中で、ミサイル対応というものをきちんとしながら、また一方では、外交的に、六カ国の協議、これ自体が今度は東アジアの中での安全保障の大きな枠組みということで、もっと育て上げて大きな力にしていくべきだと私は考えています。

 その中で、特に北朝鮮について、私は、中国に対してもっと外務省は力強い外交を展開してほしいと思うわけです。

 といいますのは、今、日中友好三十周年ということで何かムード的ないい感じがあるという話がありますけれども、正直言って、中国に対して、この北朝鮮の核と拉致問題、これは、日本の側に立ってくれるんですか、あるいは北朝鮮の肩を持つんですかと、もっと究極まで迫ってもらいたいと思うんですね。中国は確かに協力的な対応を示してくれていますけれども、もっと、そこであいまいな態度をとるようでしたら、ODAの削減もあり得るというぐらいの強硬的な姿勢で迫ってもらうことが必要だと思うんです。といいますのは、彼らも本当にもっと困って、日本がここまで言ってくるというところにいかないと、やはり、まあ北朝鮮もあるからわかっているだろう、日本は、そんなに追い詰めるなよなんということを言わせたら、私は外交的に全くだめだと思うんですね。

 というのは、なぜかというと、北朝鮮が日本に対して、やはり核ミサイルというものでおどしているわけですから、日本の国民の皆さん全体のおそれになっているわけですから、そこの安全保障の一番の根幹ですよ、それを北朝鮮がああいう形でちらほらさせている以上、北朝鮮のこの思いを断念させる、本当に粉砕するという思いで、ぜひ、そこは中国に対してやってほしいんですね。その決意を外務大臣に聞きます。

川口国務大臣 先般行われた六者会談の席上で一つ非常に明確になったことは、北朝鮮の核の問題については五対一であったということであると思います。これは、中国もロシアも、日韓米はもちろんですけれども、朝鮮半島に核があってはならない、このために強い意思を五カ国が北朝鮮に対して示したということだと思います。そういう意味で、中国は、我々と考え方、核の問題については非常に近いということであります。

 それから、中国がこの六者会談のために非常に努力をしてきている。これは、中国のさまざまな努力がなければ六者会談というのは成立をしなかった。これは、日本だけではなくて、全部の国が中国に非常に感謝をしているということです。

 日本と中国の間は、いろいろな問題について今まで中国に対して働きかけを行ってきています。中国も、日本にもちろん働きかけてくることもあるわけですけれども、拉致の問題についてもそうですし、その他の問題についてもそうです。そういった近い関係、そしてお互いに建設的に物事を動かせる関係、そういう関係が今中国との間にはあると思いますし、引き続きそれを強化していきたいと思っています。

末松委員 川口大臣は選挙もありませんから、ぜひ外交に専念していただいて、気合いを入れて頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

衛藤委員長 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 通告に従い質問したいと思いますが、まず、先ほどのIMF、世銀のレポートがどうして開示をできないのか、そのことについて明確な答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 先ほど財務副大臣がおっしゃられたことを繰り返すことになりますけれども、これは、イラクにおいてどういう需要があるかということを世銀やIMFやUNDPが一緒になって調査した報告書であるわけです。今、コアグループが集まってそれを精査して、本当にそうかどうかということを議論しているわけで、これをやっているのが非常に少数の国である。したがいまして、イラクの需要が本当にどれぐらい必要なのかということについてはその後出てくるわけで、これは、もらっている国ともらっていない国があるということで、今、秘、不公表ということになっているというふうに副大臣はおっしゃったというふうに理解をしています。

原口委員 肝心なところがそれではやはりわからないんですね。

 昨日の予算委員会でも、いわゆる長期金利の上昇リスクを財務大臣あるいは日銀総裁とも議論しました。日本の今の財政状況、あっぷあっぷなんですね。国債がもうこれ以上発行できないということで、さまざまな経済のリスクを私たちはどのようにヘッジするかということを片っ方で議論しているわけです。その中で、では、しかし応分の国際貢献をしなきゃいけない、その国際貢献がどういう理由に基づき、どういう額が出てくるのかというのはいち早く知らなきゃいけない、そういう数字なんですね。また、どのようなニーズにこたえていくかということも、ほかの経済政策や、あるいは国政全般にわたるさまざまな予算を考える上で、もう十二月には予算編成やるわけです、そのもととなるものでございますので、非常に今の答えでは納得ができない。

 ブッシュ大統領は九月七日、イラク、アフガニスタンでのテロとの闘いのために八百七十億ドルの追加予算を議会に要求することを発言しました。たしか、イラク分が七百十億ドルで、復興関連費用は二百億ドルだったと思います。日本にはどれぐらいを、やはりそれなりの復興関連費用をアメリカは期待をしているというふうに思います、どれぐらいを期待しているのか。そして、先ほど末松議員が質問をいたしましたが、湾岸のときにはこの復興支援という名目でそれが戦費に使われた、そういう報道もあった。しかし、今絶対にないという川口大臣のお答えですから、それはないということを信用しておきます。

 私たちは、大体どれぐらいの復興支援の費用を予定しておけばいいのか。アフガニスタンでは二年半で五億ドルというようなことでございましたが、その辺、どのように見積もっていらっしゃるのか、川口大臣にお尋ねしたいと思います。

川口国務大臣 これは、今まさに議論をしているコアグループの議論を踏まえて、この結果をきちんと見て、我々として精査をして、そして、日本政府としてどのような形で責任を果たすべきかということをしっかり考えるということでございまして、今の段階で、幾らぐらいとか、そういうことをつかみで頭に置いているということではございません。

原口委員 ここは議論の場ですから、私たちは議論の材料を提示し、お互いが持っている情報をそれぞれすり合わせて、よりよい結論を出さなきゃいけない、それが議院内閣制の大きな特徴だというふうに思います。

 私は、この二百億ドルのうちのやはり応分の負担、これをやるというのは当然だと思います。というのは、イラクが、今の復興支援事業というものが破綻してしまって、テロリストの温床になってしまう、これは最悪のことです。今でも、アンサール・イスラムですとかPKKですとか、さまざまなものがそこにいる。そして、けさですか、ついに警察に対しても、イラク人の方からの大きな衝突があったというようなことも報じられているわけで、その全体のプロセスをやはり国会の中にきっちり示していただかなきゃいけない。

 私は、二〇〇一年、テロの直前にイラクを訪問したときに、九月十一日のちょうど直前、一カ月ぐらい前でしたが、バグダッド空港を飛び立つときにイラクの関係者が、来年アメリカはこういう姿でないだろうということを言っていたことを政府にも御報告をしました。アンマンでもパレスチナに対する不満が大変高まっていて、そして暴力に対する連結といったおそれが非常にふえてきているということを予算委員会の派遣団として報告をしたはずです。その直後に九・一一が起こった。

 私たちは、どうして避けられなかったんだろうか。予兆を、現地に行って、そしてそういうものを報告しながら、九・一一、あれほどのアメリカの情報力をもってしても避けることができなかった。テロというのをどうやって根絶すればいいかということを真剣にこの二年間考えてきました。

 その中で、ぜひ政府にお願いをしたいのは、情報をやはり開示してください。そして、国会に開示をして、イラクは原油の大変な産油国でありますから、いつかの段階で借款に変えるときが来るかもわからない。借款についても議論をしておかなきゃいけない。しかし、当面、復興支援事業に対して、国際社会がそれを支える。その支える体力はどれぐらいあるんだということも私たちは国会の中で議論しておかなきゃいけないから、今の質問を申し上げているということをここで強く言っておきたいと思います。

 さて、テロ特措法の延長についてですが、基本計画に平成十四年の十一月十九日に建設用重機及び人員の輸送を加えていらっしゃいますね。防衛庁長官。これは、具体的に何をやったのか、そして、なぜやったのか。同じく、輸送艦による輸送を行う場合、随伴する護衛艦の人員を加える。これは当然、護衛艦が行けば人員が加わるのは当たり前ですから。これは何か、当初の計画と違うものが起こったから加えたわけですけれども、これはなぜですか。

石破国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 アフガニスタンで米軍等の活動が長期化をするというのに備えまして、残存勢力の掃討作戦の拠点を整備するためのタイの陸軍工兵部隊の建設用重機を、アフガニスタンへの中継地点となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズが見込まれていた。これは法律の目的にかなったものでございますので、これを輸送したということは、まさしく法の趣旨にかなったものであるというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。

 「いかづち」という護衛艦、これは新しいタイプのものでございますが、これが輸送艦「しもきた」に随伴をいたしました。二月十三日にタイに到着、ブルドーザー等約二十両、タイ工兵隊員三十名、これを積みまして、三月二十八日に帰国をいたしておるわけでございます。

 それで、何でこのような船がついていきましたかということでございますが、これは、輸送しておりますもの、これに対しましてテロの襲撃等々、そういうことが全く考えられないわけではないということでございます。特措法上、物品の輸送には、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送を含まないとされておるわけでございますが、海上輸送において武器弾薬の輸送は排除されておらないということでございますので、このこともあわせて、法の趣旨に反するものではないということでございます。

原口委員 法の趣旨に反するなんて、一言も言っていません。

 つまり、予想以上にアフガニスタンにおけるテロの掃討作戦が長引くだろう、そういうことで拠点をつくらなきゃいけないから、そのための重機を運んだ、こういうお答えですよね。それで結構なんです。私は、今、実績の検証をしているだけですから。

 実績の検証で、次にお伺いしますが、給油実績について。私、これは政府からいただいた資料、それから調査室からいただいた資料を見て、幾つか疑問の点がありますので。

 給油実績については、平成十五年三月までは米英艦以外については、これは給油していないんですか。これはなぜですか。

石破国務大臣 フランスに第一回目の給油を三月九日、その後、順次、ニュージーランド、イタリア、オランダ等に対しましてやっております。

 三月以前には実施をいたしておりません。これはなぜかといいますと、交換公文を締結しておりませんので、それ以前には給油をするということはしなかったものでございます。

原口委員 何を締結していない、交換公文ですか。

衛藤委員長 石破防衛庁長官。(原口委員「交換公文を……」と呼ぶ)

 委員長の指示に従ってください。

石破国務大臣 失礼いたしました。

 交換公文を締結いたしました以降、給油を実施いたしておるわけでございます。

原口委員 では、なぜそれまでは交換公文を米英艦以外に締結をしなかったんですか。それ以外の艦船というのは、やはり同じように、米英艦船と同じように展開をしていたんでしょう。

石破国務大臣 これは、当初、米英の艦船が主でございました。その後、ほかの国の艦船も参加をするようになりまして、ニーズというものが発生をいたしました。

 ただ、私どもとして、ニーズがあったからといって即座に給油をするわけではない。これは当委員会でも何度か議論になりましたが、米国とも交換公文に基づいてやっておるわけでございます。交換公文が私どもの国と当該国との間に交わされまして、しかるが後に給油を開始したということでございます。

原口委員 いや、ニーズは、米軍であろうが英軍であろうが、ある。あるいは仏軍であろうが、ニュージーランド軍だってある。だから、そこからもニーズはあったわけでしょう。今おっしゃる交換公文というんですか、それを締結してくれというのは、逆に聞きますと、十五年三月まではなかったということですか。

石破国務大臣 ニーズはございました。例えて申しますと、フランスの場合には二月二十八日、ドイツもそうです、ニュージーランドもそうです、二月二十八日に支援を実施することを決定いたしました。イタリア、オランダ、スペインは三月の十一日。カナダ、ギリシャは三月二十八日ということになっております。これは、向こうの側から給油をしてほしいなと。

 向こうもある程度のオペレーションをやってみて、なるほど、やはり洋上で補給を受けなければ活動するのは難しいな、一々寄港をしておっては難しいなということが明らかになり、そしてまた、日本の給油の能力もございます。向こうのニーズもございます。私どもの方で検討いたしまして、この国、この国、この国であれば、これから先給油の実施ができるということを確認いたしましたのがその日ということでございまして、ニーズが発生したからといって、すぐそうですかというようなことにはなっておりません。

 しかしながら、ニーズになるべく早く対応しよう、そしてまた、交換公文というものを締結することによって、お互いの国の行っている行動というものにお互いに責任を持ち、お互いにそのような信頼を築こうという意味で、交換公文を締結した後に実施をしておるわけでございます。

原口委員 十三年の十二月からオペレーションが開始して、それが十五年の二月まで他の国に対して交換公文が行われず、そして十五年の三月、これはまさに、ことしの三月といえばイラク攻撃が始まった月でありまして、そこからさまざまな艦隊に給油がされている。

 その中で、給油回数実績、これをグラフにして見てみると、給油回数実績が十五年五月にピークを打っています。ここにピークを打っている理由は何ですか。ただ、回数はピークを打っているんですけれども、給油量というのはずうっと下がっているんですね。これはつまり、一回の給油量が少なくなければこういう数字にはならないんだと思いますが、理由を教えてください。

石破国務大臣 給油回数がふえたにもかかわらず給油量が減ったというのは、これは給油対象の船が小さくなったということでございます。大きな船、小さな船の場合には、当然小さな船の方が使う油は少のうございますので、単純にそういう結果でございます。

原口委員 私たちは、この給油の実績をやはり詳細に、その船、船がどういうオペレーションをやったのか、これは軍事的なさまざまな秘密がありますから言えることと言えないことがあるけれども、国民の皆さんに明らかにする、その責任があるということで、今お尋ねをいたしました。

 先ほど、修正案の趣旨説明を末松委員がいたしましたが、延長については別の法律でするというふうに明示されている。そして今、その別の法律を審議している。私は、その別の法律が通れば、新たな派遣についても国会承認をきっちりするべきだ、これが筋だというふうに思うんですが、防衛庁長官、いかがですか。

石破国務大臣 委員の御指摘は多分二点あるんだろうと思っています。一つは、事前に承認をしなきゃいかぬということと、それから、実際にやる活動についても承認が必要だ、こういうような二点の御主張だろうと思っております。

 一点の事前承認の場合には、これはそもそもテロ特措法をつくりましたときも議論があったように私は記憶をいたしておりますが、法律をお認めいただくということが、特措法の趣旨からいいましても、内容自体をお認めいただいたものだ、したがって、実施の措置について国会の御承認をいただくということでよいのではないか。

 もう一点は、これもあのとき議論したことでございますが、では治安出動を、周辺事態法とのバランスをどう考えるのだということでございます。

 周辺事態法と比べてどうなんだということで、この場合には、周安法が、我が国の平和と独立に影響を与えるような事態ということでございますが、そこにおきまして自衛隊が活動することについてはより慎重でなければならないという議論もあったように記憶をいたしております。

 要は、国会の関与というものをきちんと担保しながら、同時に我々の機動性というものをきちんと確保するためには、これは事後の承認ということになるのではなかろうかというふうに判断をいたしておりますし、御党の修正案につきましても、私、個人的にはそのような思いを持っておりますが、また議論をさせていただきたいと思っております。

 活動の継続につきましても承認が必要だということでございますが、内容がほとんど継続をいたしておるわけでございまして、この国会で議論をいただくこと自体がこの御承認になるというふうに考えておるところでございます。

原口委員 内容がどのようになるかというのは、今の活動内容をまた基本計画という形でお示しになるわけでしょう。違うんですか。基本計画、もう変更しなくていいんですか。だって、この法律の中でも変更があったわけでしょう。さっき私が何で質問申し上げたかというと、重機を持っていったじゃないですか。そういう変更はもうないんですね。今の活動と全く同じだというふうに見ていいわけですか。

石破国務大臣 今回、委員が御指摘のような、例えばタイの工兵隊のような新しい内容を盛り込むということは考えておりません。

原口委員 ということは、今私たちが見ているそのもの、この間出された計画、これでやられるわけですね。もう足すものもなければ減すものもないということでよろしいですね。

石破国務大臣 これも、昨日ですか、議論をさせていただいたことでございますが、これから先いろいろなニーズも生まれることも考えられる、決して否定はされるものではない。例えば、どなたからか、P3Cを飛ばしたらどうだというような御議論もございました。そういうような場合には、改めまして国会での御議論をいただくということになるだろうと思っておりますし、基本計画の同一性を損なうようなことがあれば、それは当然、国会の御議論をいただくということに相なると思っております。

 何を報告にし、何を承認にするかということは、それぞれ、私どもの立場がございますし、御党として、修正案の中で、どういう場合に報告にし、どういう場合に国会承認をかけるかということにつきまして、またいろいろな御議論をさせていただければと考えております。当面、政府として、今のままの活動を続けるということに変わりはございません。

原口委員 今のところはさらに詰めなきゃいけないところでございますが、時間が限られていますので、またちょっとイラクに戻りたいと思います。

 アメリカの世論を見てみると、第二のベトナム戦争というような形になる前に、アメリカはもう世界から撤退すべきだ、こういう極端なことをおっしゃる議論もある。

 その中で、国連が、イラクの治安維持を多国籍軍という形で国連決議をして、そして、さまざまな国がイラクの治安により一層の責任を持つ、こういう決議が起こった場合に、政府はまだ、アメリカの決議については今皆さんお手元にお持ちでしょうか、今度国連にイラクに関して出す決議。朝、ネットでまだ私たち見た段階ですけれども、御存じでしょうか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 報道にもありますように、米国は非公式な形でP5のメンバーにいわゆるドラフトを提供いたしました。我々はP5のメンバーではありませんが、最大限の情報収集努力を行っているというところでございます。

原口委員 そのドラフトはどういうものですか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 そもそも、今回のドラフトに至った経緯から、委員も御案内のとおりに、イラクに対して早く主権を移譲するということがいつぐらいでできるのか、それから国連にさらなる役割を与えることができるかということについて、議論を踏まえ、アメリカなりにつくったものというふうに理解をしております。

原口委員 今はドラフトをつくった理由をおっしゃったので、そのドラフトの中身はどういうものですか。

西田政府参考人 先ほど、冒頭にお話ししましたように、我々は本来入手している立場ではございませんので、我々の立場から内容については申し上げることはできない、差し控えたいと思います。

原口委員 私たちは国家としてさまざまな情報を集めているわけです。本来どうのこうのとおっしゃいますけれども、私たちは最大の同盟国です、アメリカと。そして、今の政府はイラク攻撃を支持し、これに責任を持つ立場です。その責任を持つ立場の人たちが、では、今、占領行政がある意味では壁に突き当たる、いや、私たちは、もっと強い言葉で言うと、破綻をしかけている、その破綻をしかけているときに、同盟国がどういうドラフトを考えているかというのをどうして国会に言えないのか、それがよくわかりません。

 私は、民主化というより、無政府化、無秩序化が実現してしまっている今のイラクの現状を非常に憂えています。そして、私たちは、限りなくPKO、PKFに近い形の国連決議が出た場合には、これを慎重に検討しなきゃいけない。その決議が出るのはそんな遅い話じゃないと思う。だから今ここで議論しているんです。

 私は、本来だったら、小泉さんに解散するのは少し延ばすべきだぐらい言わなきゃいけないような事態だと思うんです。いや、解散してほしいですよ。早く三期になって、そして小泉政権と私たち、政権を交代したいから。そういう意味では、解散を不信任という形で、そういう思いはある。

 だけれども、国際情勢からいうと、もう待ったなしのところに来ているから今議論をしているわけでございまして、そこのところ、国連決議との関連で、今のお答えではなかなか納得はできない。私たちはどういう姿勢でそこに臨むのか。また、解散をして、政治空白の中で、お金だけが私たちに、国民に求められる、これはもうたくさんだというふうに思います。

 いかがですか。そのドラフトの内容あるいは、では、ドラフトが言えなければ日本政府の今の基本的な姿勢、これでも結構ですから、おっしゃってください。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 総理、官房長官、大臣、たびたびお答えをさせていただきますように、イラクの復興は国際社会が全力を挙げて取り組むべきものと考えておりますので、新たな国連決議が出ることによって、より多くの国々が参加ができる、また国連により大きな役割が与えられる、さらに、イラクの人に対して主権というものが早く移譲されるという方向で国際世論というものが一致するということは、まことに望ましいということで考えておりまして、その方向でそれなりの努力をいたしているというところでございます。(発言する者あり)

原口委員 今、本当に、アメリカにそれをしっかり言えというお話がありましたが、そのとおりなんです。イラク人への権限移譲過程を明確にして、そして、人道復興援助実施主体の、占領軍からやはり切り離さなきゃいけない、一刻も早くイラク人による政府をつくらなきゃいけない。

 その中で、官房長官、私は、イラクに対して、私たちも多国籍軍が編成されたときにどのような姿勢をとるのか、あるいはその中での支援を求められたときにどのような姿勢をスタンスとして持っているのか、そのことを聞いているわけです。政府を代表して、官房長官、お話しになれますか。まだ、国連決議が出ないと何とも言えないという御姿勢でしょうか。

福田国務大臣 おっしゃるとおりなんですけれどもね。

 我々は、情報として、いろいろな情報を入手しております。しかし、まだこれを公にしていいという状況じゃないというふうに聞いておりますので、ですから、今現在、私どもとしても、その情報限りというように申し上げるしかないんです。そういうようなことでありますので、御理解をいただきたいと思っております。

原口委員 結局、国会との議論というのは解散があれば選挙後という形になる。非常に残念です。

 さて、官房長官、私は、昨日の予算委員会について総理に、きょう本当は総理に来ていただきたかったけれども、官房長官、抗議をしておきたいと思います。

 私は、飯島秘書官、この方は官の方だから名前を出しました。しかし、関連の方と言って、お子さんという言葉は一言も出していません。なぜならば、政治にかかわる人たち、民間人の人たちは守られるべきである、そういう人たちの人権を。だから私は関連の人という形にいたしました。総理みずからがお子さんという言葉をテレビの前で出されて、そして、個人名を出すなという批判を私にされるのは筋違いだということを申し上げておきます。

 何でこの質問をしなければいけなかったかというと、失業で国民が苦しむ中、道路公団ファミリー企業というのは、政治家や官僚の縁故採用、これが常態化しているというふうに言われていて、現実に、きのう石原担当大臣も、財務諸表も、そしてさまざまな問題が山積しているという答弁をされた。

 そして、一年前の内閣委員会で当該事実を、つまり、秘書官の関連の方が勤務実態いかんという質問が二回あって、そして、安倍当時の官房副長官は、そういうものはないということをお答えになっているわけです。ところが、実際に調べてみると、テープがここにありますけれども、別に、上司に聞いてみればすぐわかる話なんです、これは。そこにいらっしゃる方に聞いてみれば。いや、いらっしゃいましたよと、複数、いっぱいあるわけです。

 ということは、虚偽の答弁を国会でなさっているんで、その関連の方がどこにいらっしゃろうが、私はそのことを問うているわけではありません、職業の自由ですから。だれのお子さんであろうが、どこに勤めていても、それはいいんです。私はそのことを問うているんではなくて、安倍官房副長官が国会で発言されたことが間違いであったという事実が高くなってきているから聞いているわけでございます。

 通告をしておきましたけれども、この勤務実態の事実、これはおつかみになっていると思いますが、いかがでございましょうか。そして、官邸の、今はもう幹事長をなさっているわけですけれども、官房副長官が虚偽の答弁をされているということは、いかなる国会の答弁においても私たちは許されないことだと思う。

 官房長官は、去年、外務省の機密費を議論したときも、後でやりとりをずうっと精査しました、ほかの方については、やはり、ちょっと怪しいな、これは少し誤認があるんじゃないかな、うそがあるんじゃないかなという答弁がありましたが、官房長官の答弁は、選挙前にお相手を褒めるのはどうかと後ろは言うかもわからないけれども、あなたの答弁は全然間違いがない、うそがない答弁でした。それは立派だと思います。

 だけれども、官房副長官の答弁は……(発言する者あり)いや、当然なんですよ。当然なんだけれども、あれほど、外務省の機密費という、あるいは官房機密費という、機微に触れる質問をしながら、全くよれのない答弁をした、これは立派だと思います。だけれども、官房副長官については、これは虚偽の答弁であったという疑いが非常に濃厚になっている。このことについての御所見を伺いたいと思います。

福田国務大臣 お褒めをいただいてありがとうございます。こういうときは余計気をつけなきゃいけないんですけれどもね。

 私も、事実関係、これは承知しておりません。しかし、一年前ですか、安倍官房副長官が、当時、これが虚偽の答弁をしたというふうには私は思っておりません。また、そういうふうな報告も聞いておりません。ですから、それはそれで事実を申し上げたというように御理解いただきたいと思います。

 ただ、こういう、個人の自由として勤務をしているということについて、どういう関係があって、それがどういう、何か政治的な影響があるのかどうかわかりませんが、何らかの特別なことがあるというのであれば、また話はよく伺わなければいけないと思いますが、そうでないということについて一々申し上げるというのは、これはどうかというふうに私は思っておりますので、そのこともあわせ御考慮いただきたいと思っております。

原口委員 私も、そのとき同僚議員がなぜ質問したかというその背景は、つまり、道路公団、族議員そして官僚癒着という形で官製談合が行われている疑いがあり、そしてその口ききによって、道路公団のファミリー企業しかその仕事はできないわけです。非常に大きなギルドを形成していて、そこに就職する人たちも一部の人しかできない。こういうものに対して、小泉内閣は構造改革ということで、それを排除していこうという内閣である、その内閣の枢要にある方がこういったことを許しますかという文脈だったので、個人のことを聞いているんじゃないんです。そこで事実と違う答弁があったとするとこれは看過できないので、きのう質問したわけです。

 私たちは、実際に幾人も聞きます。それは簡単に答えるんですよ。なぜか。別に、就職していたからといって、問題はどこにもないからです。そうでしょう。今おっしゃったとおりなんです。どこにもないんです。当たり前に就職をして働いている。

 逆に聞きたいのは、なぜそれを、きのう、これはテープ、とてもいい人ですよ、確かに一緒にお仕事しました、半年しました、いろいろな方がおっしゃっているわけです。だから、事実と違う答弁をなぜやるのかというのを聞いているわけです。これは本来だったら、安倍官房副長官、今の幹事長に聞かなきゃいけないことなんでしょうが、私は、国会で、いかなることでも事実と反することを答弁した疑いがあれば、それはこの国会の権威を侵すものであり、そして政治に対する信頼を失うものであるから聞いているので、今、官房長官は十分な答えをされませんでした。お調べになろうと思えば調べられるんですよ。虚偽答弁の疑いが出ているから調べてくださいと言っているのであって、お調べになる気はありませんか。

福田国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、この人物がどういう関係があって、何を起こしているのかということが問題なんでしょう。道路公団のファミリー企業であって、そこに勤務している人がその関係者であったという、そのことで何かあったのかどうか、そのことが問題なんだろうと思いますね。もしそういうことでなければ、偶然ということももちろんあるだろうし、またそういうような、だれだって、国会議員であればその関係者が何らかの利害関係にあるようなところに勤めているというのは、これはあり得ることですね。

 ですから、そういうことについて、何か問題があれば、私どもも真摯に調べて、そしてその問題を除去するよう、排除するような方策を講じなきゃいかぬということはございますけれども、だから、そこのところ、問題があるのかどうか、それを私はお尋ねをしているわけでございます。

原口委員 その方が問題があると一言も言っていないんです。いや、そこまでおっしゃるんだったら、就業実態がなくなったにもかかわらず給与が払われ続けているんじゃないかということを言っている人もいる。だけれども、こんなことは私はここで問う気はありません。そうではなくて、実際にいらっしゃる人をなぜいないと言うのか、そのことが虚偽になるから言っているわけです。いかがですか。

福田国務大臣 私は、国会の、それもこういうような質疑をしているときに取り上げる問題かどうか、そもそもそういうことについて問題提起をしたいと思います。問題があるのであれば言ってください。そうしたら調べますよ。

原口委員 やはり価値観が違いますね。私たちは、国会で、どの、与党であろうが野党であろうが事実と違うことが話されて、そしてそれが大変問題である、問題なんですよ。いろいろな口ききで、一部の人たち、ファミリー企業しかそれを受注できない。そして、そこに働く人たちは、今おっしゃったじゃないですか、官僚や政治家のつてだと。そういうことを問題にしているわけです。

 時間がなくなりましたので、北朝鮮の問題について最後にお尋ねをいたします。

 昨日、川口外務大臣は、この拉致の問題というのは、やはり私たちはテロだというふうに思っています。そして、このテロをやった国家に対して、そのテロを、どのように被害者を原状に戻していくか。これは、家族の方をお帰しになるというのはまず第一でしょう。しかし、ほかの皆さんの、三百名を超える拉致被害者の皆さんをやはり一刻も早く日本に帰さなきゃいけない。そのために、今優先的にやるべきことを、一体何をしているのか。

 先ほど末松議員がお話しになりましたように、中国やロシアに対しても、あるいは韓国に対しても、きっちり働きかけをどこまでなさっているのか、そして、それはだれがなさっているのか、そのことを明確にしていただきたい。そして、六カ国協議の中にやはり北朝鮮を踏みとどまらせるために我が国は何を一番優先的にやろうとしているのか。この二点についてお尋ねを申し上げます。

川口国務大臣 幾つかのことをやっていますけれども、最初のことについて言いますと、国際社会においてさまざまな働きかけをやるというのが一つあります。

 これは、例えば国連の演説というのもそうですし、それから、私があちこちでバイの会談をしたり、あるいはASEAN、ARFといったような会合、そういったすべての場で、そして、私のレベルから、副大臣、政務官、次官、そしてアジア局長、アジア局の関係者、全員がそれをやっているということです。

 それから、二国間、直接に北朝鮮への働きかけということももちろんやっています。これは、家族を帰すようにということと、それから事実関係、これについて真相を明らかにするようにということを言っている。これは、なかなか直ちに結果が出てこない、まだ結果を出すことができないという意味では非常に残念ですけれども、引き続きやっていきたいというふうに考えています。そういった働きかけ。それから、もちろん会談をきちんとできるような状況になりましたら、二者会談をいつどこでやるということになりましたら、そこでもちろん会談を、協議をやっていくということになります。

 それから、基本的な考え方として、北朝鮮との関係では、対話と圧力、圧力と対話ということを言っていますけれども、その考え方に基づいて、例えば犯罪に類するようなことも含めまして、我が国として法律的なことではきちんと手を抜かないでこれはやっていくということはもちろんでありますし、圧力と対話でやっているということです。

 それから、六者会談、これを続けるために何をやっているかという二番目の御質問ですけれども、日本も含め関係国、関係国といいますのは、その六者会談のメンバー、それからほかの国で、六者会談の当事者でなくても北朝鮮といろいろな形で連携を持っている国、これはアジアにもありますし、ほかの地域にもありますけれども、大使館を持っている国もあります、そういったところも使いながら、六者会談をやることが北朝鮮にとって利益なんだということをわからせるということで働きかけを行っております。

 中国における、この前の六者会談の最後のときに、王毅中国側の代表が総括をして、その中で、六者会談を続けるということを総括していまして、それに対しては北朝鮮も含めて反対をしていないわけです。したがいまして、次の時期、いつやるかということについて、我が国も含め働きかけは行っている、そういうことです。

原口委員 これで質問を終わりますが、国連総会で、北朝鮮は逆に数字を挙げて、我が国を拉致国家であるというようなことを言い、そういったものにはきっちり反論をしなければいけないし、前回、私は新潟へ行って、あの万景峰号入港の、本当にこういうものがあっていいのかという集会に出てまいりましたけれども、その中で、我が国の国旗を持っていこうとするとそこは遮断をされ、かの国の国旗は持っていける、本当に情けない思いをした人たちが大変な涙を流していらっしゃいました。

 私は、しっかりと外交のメッセージを伝える、拉致は犯罪でありテロである、このことから解決の基本をきっちり守っていく、このことを強く要請し、質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 原口一博君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 この委員会は連日夜になってしまいまして、熱心に皆さんが参加をしていただいています。本来なら、委員長や与党の筆頭理事から、一言、済みませんねとか、御苦労さまですねとか、そういう話が出てきて当然なんだろうというふうに思うんですけれども、お二人に成りかわりまして、まずは、野党の筆頭理事としても、皆さんにお礼を申し上げたい。(発言する者あり)いや、謝っていない、お礼を申し上げたいということです。

 まず最初の、イラクの復興支援のさっきの金額ですね。これについて、私も解せないんです、政府答弁が。

 それで、例えばアメリカでは既にこれについて二百億ドル、アメリカの議会の中では、これはとんでもない数字だと。それでなくてもブッシュ経済政策が停滞している中で、これだけの負担をし続けていくということにはたえられない、そういう議論の背景で、もう既に国会で議論は始まっていますよね。

 それから、ヨーロッパについて言うと、在米のヨーロッパ代表部は、ブッシュ政権はEUに百億ドルの資金分担を求めている、こうはっきり言っているんですね。EUには十億ドル以上拠出する気はない、こんなコメントを出して牽制しているんですよ。私は、これがポリティックス、これが外交だというふうに思うんですね。

 さっきの話だと、本当に役人マインドで、我々がすべてを交渉するんだ、我々の世界しか、それを邪魔してもらったら困るんだ、そういう観念でもしこうした国際交渉が進められていくとすれば、それは情けないという一言に尽きると思うんです。何で国会使わないんですか、国会を。ここの議論から出てきたら、それが一つのカードになってくるんですよ。その中で国民を説得していけるということにもなるんですよ。

 そこのところを外務大臣、激励の意味も含めて、マインドをちょっと切りかえてください。どうですか。

川口国務大臣 いろいろな国で、いろいろな予算の要求の仕方があると思います。今、EUで二億ユーロという話が出ていますけれども、これはEU委員会が二億ユーロという案をつくって、メンバーの加盟各国に諮ろうとしている数字であります。それから、アメリカが七百十億ドル、うち二百億ドルが復興費ということで予算要求をしている。これは、単年度に使われるということではなくて、実際にそれだけ予算を要求しておいて、実際に使うときにはそれぞれ支出をやっていく。システムが違うわけです。

 我が国は、まず、やはりどういうような需要があるのかということについて国際的に合意をつくるということが非常に大事だと思っています。日本が、例えば自分の情報で全体として五百億ドルとかあるいは三百億ドルとかそういうようなことを決めて、では日本はそのうちの二割とか、そういうふうな考え方をしていないので、今ここで、ちょうど二日からやっているコアグループの議論を見て、そこでどのような需要があるか、世銀の調査がどれぐらいまともな、まともなと言うとちょっと言葉は悪いですが、妥当なものか、適切なものか、そういったことをまず議論しましょうというのが我が国のアプローチだということです。

 それで、実際にいろいろな考え方という意味ではいろいろなことがあって、イラクとしてこれを何年間ぐらいで出すお金にするのかとか、それから……(中川(正)委員「いや、そんなことはいい。数字は出さないのですか」と呼ぶ)数字については、先ほど来御説明をしているとおりで、これは国際的な資料ですので、日本だけの判断で出すわけにはいかないということです。

中川(正)委員 どれだけ言ってもわかってもらえるようなこれまでの議論の経過がないので、それだけのことなんですけれども、例えば、EUの高官が、これも役人ですよね、言うぐらいの話をぽおんと打ち出したらどうですか。例えば百億ドルと言ってきそうだ、それに対しては日本政府としても、そんなお金はないというその国民の気持ちをしっかり反映して頑張って交渉しますよとか、そういう話から始まっていくのですよ、政治というのは。そこのことを指摘しておきたいと思うし、このままの姿勢では本当に国民に納得されるような議論にはなっていかないだろうということを警告しておきたいというふうに思います。

 さて、この前この委員会から、前の高村委員長が団長、そして中谷筆頭理事も含めて、私たち現地に行ってきました。二つのことを見てきました。イラクとアフガニスタンの中の状況と、それからもう一つは自衛隊の活動というのをじかに見聞してきたということであります。感想を言います。

 まず、自衛隊についてなんですが、本当にこれでいいのかなという気がしました。さっき、あちこちで褒められているとかなんとかというような話が出ていましたが、それは感謝はされるんでしょう。でも、自衛隊員、日本の自衛隊というのがイラクやアフガニスタンの全体の取り組みの中であれだけ中途半端な位置に置かれて、本当にこれで、モラールというかな、それが維持できるのかな。モラルではなくて、モラールが本当に維持できるのかなというぐらいに、私は何とも言えない焦燥感が一つはありました。

 それからもう一つ、イラク、アフガニスタンの中の状況でありますが、やはり問われるのは、アメリカ流の先制攻撃と武力でもってレジームを倒して、そこに新しい政権を打ち立てようとする、そのスキームというのは、やはり限界があるんだろう。それは逆にテロを助長していくような形、あるいは泥沼化していくような形にその地域を追い込んでいくという結果に至っていくんじゃないかということ。それは、帰ってきてから刻々変わってくるそれぞれの状況が、伝えられるように現実のものになってきているんじゃないかというふうに思います。

 しかも、その根拠になっていたいわゆる先制攻撃の大義というのが崩れてきている。情報まで捏造されてきたという、そんなことの中からいくと、やはり日本自体も、そのことについてもう一回原点に戻ってこの問題を考えていかなきゃいけないんじゃないか。アメリカという国がこれからいわゆる世界の問題にコミットしていく中で、日本外交の基本としてもそれを考えていかなければいけない。

 逆に言えば、日本なりの、アメリカを追随していく、あるいは、ブッシュは偉い、あんたが一番だ、これは小泉外交ですが、この外交だけじゃなくて、違った形の日本の貢献というのをはっきりと日本の個性の中で打ち出していくという、そんなことがどれだけ必要なのかということ、これも改めて私は感じてきました。この二つです。

 それで、まず、自衛隊のかかわりについて聞いていきたいんですが、最初に、アンマンとブリンディシ間にC130による航空輸送を行っています。いろいろ話を聞いてきました。これについて、さっきの観点からいくと、恐らく石破長官、さまざまに自分なりのこの事業に対する価値というか、そんなものも話をしたいという気持ちもあるんでしょうが、正直言ってどうですか。本当にこれを自衛隊がしなければならない、本当にそういうニーズがあってそこに自衛隊がいるという状況であると思いますか。どうですか、どんな評価をしていますか。

石破国務大臣 私は、それは自衛隊がやる価値があることだったと思っています。

 これは、実際に任務につきまして、アンマン―ブリンディシを飛んだ人間、これは帰ってきて報告も受けました。これは民間でもできるじゃないかという御指摘なのかもしれませんが、そういうことは各国とも空軍がやっておるわけでございます。その中の一環として私どもも航空自衛隊が飛んでおるわけでございまして、民間でもできることを、わざわざ自衛隊機がやらなくてもいいことをやったのだというような印象を私は持っておりません。

 やはり非常にテロの危険性がある地域ということであり、そして機動性並びに柔軟性が要求される、そういう場合に、あの任務というのは自衛隊機が行うにふさわしいものであったというふうに私は今でも考えております。

中川(正)委員 何を運んでいるんですか、こう聞いたんですよね。そうしたら、最初はテントや事務机を運んでいましたと。それから最近は、食料品を運んだ後のずだ袋、食料品じゃないです、ずだ袋、これを飛行機に満載して運んだり、プラスチックのパレット、こういうものを運んでいるんですね。

 そしてもう一つ、本来は、何でアンマンを経由しなければならないか。例えばブリンディシと直接バグダッドをなぜ結べないのかというような、そんな単純な疑問もわいてくる。

 例えば、私たちは飛行機でアンマンからバグダッドへ入ったんですが、それは国連機ですよね。この国連機というのは民間に委託をして、それで入っている。確かに、途中、攻撃をされたとかなんとかというのはありました。しかし、それは単純に考えると、我々がああやって入っていったその状況で、我々が入れて、何で自衛隊機があそこにもいて直接入らずに、わざわざアンマンに飛んで、その荷物をまた積みかえて、それはトラックのコンボイかもしれない、あるいは飛行機かもしれないけれども、ほかの国がまたそれを経由して、アンマンとバグダッドの間を結んでいる。これは単純に考えて、何か本当に手伝っているのか邪魔しているのかわからないような、そういう経過の中でこの事業をやっているんじゃないかなというふうな印象を受けました。それが一つ。

 それから、インド洋の補給艦ですが、これは「とわだ」、「はるな」、「あさぎり」、これにも実際に乗って説明を聞いたんですけれども、公式の説明ではないんですが、その艦船に乗っている、我々をアテンドしてくれた人たちのさまざまな話も聞かせていただきました。

 そんな中で、例えばこんな話も出ましたね。補給艦というのはさまざまに、日本だけじゃなくてほかの国も持っている。例えば日本の補給艦、これは実は小さいんですよと。例えばの話で、片方はトラックに積んだタンクローリーで補給しているところへ向いて、日本の役割というのは、軽トラックの上にちょこんとタンクを載せて、それで補給しているようなものだと。そんな限られた、いわゆる我々の今持ち得る艦船ですよね、補給艦ですよね、そういうものでこれを続けていくということのむなしさというかな、本当にこれでいいんだろうかというその気持ちであるとか、さっき話が出ましたが、当時は百隻を超す給油をやっていたのが、もう二十前後になってきた。

 さらにきわめつけは、アフガニスタンに入っていってカルザイ大統領と話をしたら、カルザイさん、日本のこうした貢献、インド洋で補給をしているんだということを知らないんですよね。それで、帰ってきて、おい、カルザイさん知らなかったぞと外務省に言ったら、早速に外務省の方は、それではいけないと思ったんでしょうね、カルザイさんのところへ向いて連絡をして、感謝状をとったらしい。その感謝状、私の手元にコピーを持ってきました、という状況なんですね。その状況の中で、本当にこれでいいのかなという気がしているというのは、そういう根拠に基づいてなんですよ。

 外務大臣、恐らくカルザイの話についてはそれなりの、いわゆる外務省としての取り組みというのがその程度のものかなという批判というのは当然出てくるわけでありますが、これはどういう経過だったんですか、大臣。

川口国務大臣 カルザイ大統領が日本の自衛隊が海上で活動しているということを知らなかったということは、私にとっては非常に意外で、私は今まで何度もカルザイ大統領とお話をして、その都度日本の支援については大変に感謝をしていただいております。

 したがって、非常に意外であるということをまず申し上げたいんですけれども、それで、いずれにしても、今委員がおっしゃったように、カルザイ大統領からは、駒野大使に対しても、それから日本について感謝をするという支援のお礼もいただいているというふうに聞いていますし、まず何よりも、私が昨年の国連総会の場でも、それからことしちょっとお会いした折にも、日本に対しては非常に感謝をしていただいているということを申し上げたいと思います。

中川(正)委員 そんなことからいくと、どうですか、防衛庁長官、これは本当にやっていく価値があるんですか。

石破国務大臣 これは委員御案内の上でお尋ねかと思いますが、例えばC130によりますブリンディシとの輸送でございます。アンマンとの輸送でございますが、これは私どもがアンマンと決めたわけではございませんで、これはPKO法の仕組みに基づきましてやっております。国際機関でありますWFPの要請に基づいてやっておるわけでございまして、これは、私どもがイラクに入らないということを決めたものではございません。これは、その輸送計画がブリンディシからアンマンということになっておったわけでございますし、これはPKO法にのっとりまして、そういうニーズがあったから飛ばしているわけでございます。

 また、給油艦、補給艦のことについてでございますが、これは私は先ほど来答弁もしておりますし、恐らくそれは、私の委員のおっしゃり方の聞き方が悪いのだろうと思いますが、私は、その言葉を隊員が聞いたら、さぞつらいだろうなというふうに思います。

 補給艦の能力というのは、どの国でも持っているわけではございません。これは、外洋型の海軍でありませんとこういうものは持ちませんし、外洋型の海軍なんて、そんなあちこち持っているわけでもない。日本が数少ない能力の中でぎりぎりいっぱい回しておるわけで、そしてまた、その補給活動を行うことは、日本でなければできない、日本以外にできる国がそんなにないという状況の中にあってやっておるわけでございます。

 それは、各国の海軍も感謝をしているし、実際にお乗りになっておわかりかと思いますが、そこで補給を受けた国と補給した我々との間にどれだけの連帯感があるか、どなたからかお話を委員会か何かでしていただきましたが、これは山谷委員がなさったのでしょうか、補給を受けて別れるときに、本当に涙が出たと言ってくださった方もありました。そういうふうな、私どもの自衛艦がやっていることがむだなことだとか、むなしいことだとか、私はそのようなことを思ったことは一度もございません。

 それで、カルザイが知っていたか知らないか、私はそのことは存じません。しかしながら、そのことをすべて知っていてありがとうと言ってもらわなければいけないと私は思っておりませんで、そこでやっていることを本当に補給を受けた側の国が感謝をしている、そして我が国が何も喜ばれるためにやっているわけじゃなくて、テロ抑圧の、抑止のためにやっているんだということは、私は自信を持っておるところでございます。

中川(正)委員 こういう話をしたのは、自衛隊の使い方にはやはり無理があるんですよ。しっくりいっていない。それはなぜかといったら、何とかアメリカの要請に対して形をつくらなきゃいけない、それで無理やりにこじつけて、本来の、自衛隊の人たちがこれなら、いわゆる隊員がこれならという納得のもとに使えずに、こんな形になっているということ、この中途半端さなんですよ。

 実は、委員会でずっとこれは議論が続いてきました。私たちも気持ちは割り切れない。恐らく、こっちサイドはもっと割り切れないと思うんですが、それはここにあるんじゃないですか、この自衛隊の使い方に。

 だから、これから先も、洋上とか中途半端なC130とかいうふうなことを言っていないで、やるんだったらしっかり論理構成してやる、やらないんだったらやらない。これはこの中途半端さを続けていくと、これからの日本の外交にとってもこれは悪い、こんなことを続けていたら、ということを指摘するために、実は私はこの話を出したんです。あえてそんな、今、それでもそのむなしさの中で頑張っている人たちを罵倒するために出したというわけじゃなくて、自分たちの、今ここにいる私たちの気持ちを整理するためにこれを出したということなんです。

 その上で、もう一回聞かせてもらいましょうか。

石破国務大臣 委員のおっしゃることは、私はよく心情としてはわかります。それでは思い切ってやめちゃうというのも一つの選択でしょう。憲法というものの範囲内ということを考えたとしたならば、例えば洋上検査、船舶検査のようなことを行うということは、ぎりぎり考えれば不可能ではないということは言えるのだろうと思います。

 そうなりますと、これは昨日も答弁を申し上げたことですが、では、船舶検査のようなことをやるということになった場合に、私どもでは周辺事態法というのがあって、これは日本の平和と安全に影響を与える等などというような例示がございますが、そうであり、なおかつ国連決議があって船舶検査ができる。では、このインド洋で船舶検査をやるかということになりますと、それはやはり立法府における御議論を経た後でなければできないことでしょう。全くやめちゃうという選択は私どもにはないわけです。そこから先、憲法論に踏み込むかどうかということも、これは国会の権能だろうと思っております。

 私は、日本国として本当に何ができるのかということは、きちんとした議論を経てやるべきことだろうと思っております。それは、現場の隊員に対する我々の責務でもございます。当然憲法の範囲内で、日本国は何ができるか、何をすべきか、そしてどのような能力を持っているか、そのためにはどのような法律が必要かということは議論をすることは必要なことだと思っております。

 私どもは、今の法律によって与えられたことを法の範囲内で、シビリアンコントロール、法治国家の観点からきちんと行う、それが我々の責務だというふうに認識をいたしております。

中川(正)委員 これもきつい話になりますが、もう一つだけ、国民を納得させる意味でちょっと真意を聞いておきたいんですが、たまたま自衛官の俸給表を、今回、同じように上げられている法案の中で給与を下げていく話があったものですから、取り寄せて、その上でアメリカとの対比を一遍してみたらどうだということで、データを取り寄せました。これは、手元に今配らせていただいたものがそうなんです。

 俸給年額が、左の方が自衛隊、右の方が米国の軍人。例えば、二曹なんかで、ちょっと印をしたところを見てみますと、これは俸給表ですから最低と最高があるわけですね、最低が三百五十七万三千円、最高が六百九十二万八千円。これに該当する二等軍曹というのがアメリカの場合は一番右側にあって、二百五十九万二千円というのが最低、最高でも三百九十六万六千円。これだけ差があるんですね。これはベース、基本給。だから、この数字、ずっとそういう形で見ていくと、下の方ほど差がありまして、相当日本の自衛隊員の俸給は高いものになっています。これは百二十二円換算ですね。

 それで、それ以外に、手当をずっと見ていくと、二ページ、三ページなんですが、例えば、インド洋派遣で、二曹二十号俸、さっきの印をしたところで例を挙げていくと、一カ月の大体の支給額が、一番下の二十万円、基礎の金額にプラス加算をされる。それからまた、あちこち寄港したり、また違った職務につくたびに手当が出る、こういう形になっている。アメリカはどうかというと、その辺のベース、全然違うんですね。非常に手当は少ないものになっている。

 だから、恐らく、俸給表でいくだけでもこれだけ差があるわけですから、実際に受け取っている手当、得る俸給というのは、相当日本との差が出ているんだろうということですね。ここについても、もう一つこれは矛盾を感じるところですよね。

 そんなことも指摘をしておきたいんですが、いろいろ考えることがあるという意味で、ここではデータの開陳だけで終わっておきたいというふうに思っています。

石破国務大臣 これは、以前、アメリカとの比較ではございませんが、他国との比較の記事が某新聞に出たこともございます。

 これは、まず、同じ階級で比べてみなきゃいけませんねということがあり、何に従事をしていますかということで比べなければいけないのであり、志願制ですか、徴兵ですかということで比べなければいけない、いろいろなことがございます。

 例えて言いますと、アメリカの方が低いじゃないの、自衛隊の方が高いじゃないのということを言われます。ただ、そのかわり、例えば捕虜となっていたのを救出された女性兵士がいましたけれども、彼女が言っていましたよね、私は国へ帰って保育園の先生になりたかったんだと。つまり、兵役に服した場合には、国へ帰っていろいろな特典、特典と言っちゃいけないな、メリットが受けられるというようなこともございます。単に給与だけで比較するわけではなくて、除隊した後にどのようなことがあるか、そういうことも含めましてこの議論はしなければいけないのだろうと思っています。

 私は、お金で、やっていることの価値をはかるということがこの場合に正しいのかどうなのか、もちろんお金も必要ですけれども、いろいろなことを勘案しなければいけないのだろうと思っていますが、いろいろな面で考えてみて、何が一番ふさわしいのか、金銭的なものあるいは一生の生活設計あるいは名誉というもの、そういうものも含めて、やはり国民に納得いただけるような、そして自衛官も納得するような、そういうものが必要だというふうに考えております。

 議論というものはきちんとしていきたいというふうに考えておりまして、問題提起は真摯に受けとめさせていただきます。

中川(正)委員 アフガニスタンの、今度は地上の方の議論をしたいと思いますが、さらに治安というか、治安という以上に、それぞれの部族間の闘争が悪化をしてきているということ、そんな中で私たちも聞いてきたのは、それぞれの国が役割を分担しながら国軍の創設であるとか警察の再建あるいは麻薬対策等々やっている中で、日本がDDR、いわゆる刀狩りと後の帰還兵士の就職あっせんから再教育からというような、そういう役割を担っていくということですね。

 これは、詳細にわたって、今何を始めているかということを外務省の方から聞きました。

 けれども、現地で受け取った印象はということは、UNAMAの方が、UNAMAの特使が私たちに説明した前提は、このDDRを完成させようと思うと、帰還兵士じゃないですね、今アフガニスタンというのは。そうじゃなくて、各部族間でまだ武装しながら戦っている。そういう状況の中でもし刀狩りをしようと思ったら、それは権力でもって強制的に取り上げないと、二十年間戦い続けてきたわけですから。それを強調するんですよ。

 これはイラクと違うところで、イラクの場合は帰還兵士がいますよ。それで、それがあふれている。就職がなくて、あるいは仕事がなくてあふれている。だから、さっき話が出ましたけれども、今暴動が起こったりしているということなんだけれども。

 アフガニスタンの場合はまだそういう状況だ。それを日本がやってくれるという前提は、そこへ向いて何らかの強制力、これは警察力になるのか、あるいは例えば自衛隊ということを前提にした軍隊ということになるのか、そういうようなものを前提にした枠組みの中で我々に説明があったと私は受け取ったんですね。

 それは、日本に帰ってきて外務省サイドの説明を聞いていると違うんですよ、ニュアンスが。私たちはそれは、そこのところはできないよ。それは当然そうでしょう。できないよと。そうじゃなくて、その後の職業支援をするんですよ。それで、では何を具体的にするのか、こう聞いたら、今八カ所か九カ所、それぞれ事務所を開設して、そこで机を置いて待っていて、さあお金をやるから鉄砲と銃器と持ってここへやってきなさいというような形で取り組んでいくんですよというような、そんな印象なんですね。それは、どうも現状の中で日本に期待されているところと、役人の頭で考えているこの事業のあり方とが相当乖離しているんじゃないかなというふうに思いますね。

 ここのところ、改めて確認したいんですが、これは、強制的に銃器を取り上げる、確実にそうした実績を上げるということは、このままでできるんですか、大臣。

川口国務大臣 おっしゃるように、DDRというのは非常に難しいプロセスです、絶対に必要なプロセスであります。これは、アフガニスタンだけではなくて、アンゴラでもそうですし、スリランカでもそうですし、これがなくては次のステップに国は行かないという意味で、絶対に必要なプロセスです。ただ、やり方は非常に難しいです。

 私が去年アフガニスタンに五月に行きましたときに、国連の事務総長特別代表のブラヒミさんとDDRについてお話をしました。どうやってやるか。まさにおっしゃったように、アフガニスタンの場合には地方に軍閥がいるわけですから、どこの刀狩りをするかということでパワーバランスが変わるわけですね。それによって紛争がさらに悪化するかもしれないという、いろいろな問題があります。そこをうまくやらなければいけない。そういう意味で、DDRのやり方については、決まった、これがゴールデンルートでありますという決まったモデルはない。その国に応じて、ふさわしいやり方でやっていかなければいけません。強制的に取り上げるということはできないんですね。

 したがいまして、軍閥で、このDDRを進めることによって、職業訓練がその後受けられて、お金が稼げるようになって、生活が平和になっていくという、そのルートに意味を見出す人たち、これもいるわけです。そういう人たちと話をしていって、刀狩りといいますか、武器を出してもらって、訓練をして、普通の市民生活に戻ってもらうということを話し合いでやっていく必要がある。そういう意味では、時間がかかりますし、豊臣秀吉のようにわっというふうにやるわけにはいかないということで、難しいプロセスですけれども、なくてはならないプロセスで、日本がこれをやっているということは非常に高く評価をされていると思います。

中川(正)委員 さっき申し上げたように、これは現地のDDRのイメージと全く違うように思います。時間をかけてそのようにと、これはそれこそ役人答弁ですよ。やらないというのと同じこと。これは恐らく、この事業そのものも、日本が引き受けてやったということ自体にミスマッチがあるんじゃないかなという、そんな印象さえ受けました。

 ほかにさまざまにこれはあったんですよね。例えば、難民支援はわかりますよ。これは大型プランで、難民支援をやる。難民が戻ってきた、帰還してくる難民に対してのそのような取り組みというのは、これならという納得はいくんですが、DDRは、現地の説明からいくといただけないですね。全く違った形で今進んでいるということ、これを指摘しておきたいというふうに思います。

 総論的に言うと、一事が万事で、自衛隊自体も中途半端、それから、今国内で取り組んでいることも、そうした意味では、もっと言えばアメリカ自体が今の軍閥をどう位置づけていくかということ自体も、これは非常に気をつけなきゃいけない状況に来ているんじゃないか。カルザイの位置づけというものを軍閥との間でてんびんにかけながら、どちらかというと軍閥を利用して地方を制定していくというような、そんな考え方を持つ人たちもいる、実際にそういう金の流れ方、資金の流れ方もしているということ、こんなこともよく指摘をされます。

 そういう意味での、いわゆる大人の議論というのがないままに、形だけで、格好だけつけて、その地域へも行って、入っていく。これは、自衛隊も格好だけ、国内のそうした対応もさっきのようなずれがあるというようなことからいけば、この問題は日本として非常に、最終的には大きな外交の行き詰まりというものにこのままでいくと突っ込んでいくというふうに感じます。

 そこのところを、どうぞ情報をオープンにして、これからもこの国会の中で議論をしていくということ、その上で、海外に対しても情報を発信していきながらダイナミックに日本の世論というのを形成していくという、そんなことにぜひ転換をしていっていただきたい。

 そのことを改めて指摘させていただいて、私の時間が来たようですから、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 イラクへの資金援助問題が国際社会での重大な焦点の一つになってきております。我が国の対応が、自衛隊派兵問題と並ぶ重大な問題ともこの問題がなっておりますので、きょう私は、イラクへの資金援助問題について関係大臣にお聞きをいたします。

 最初に福田官房長官にお聞きしますが、九月二十六日に、アメリカのべーカー駐日大使は首相官邸に福田官房長官を訪ねて、イラクへの資金援助を我が国に要請した。福田官房長官は、昨日午前の記者会見で、世界銀行がイラク復興に四年間で五百五十億ドルが必要と試算をまとめた、先ほど来質問されておりましたが、このことを踏まえまして、マドリードで復興支援国会議は成功させなければならない、そういう数字に各国が納得して負担してくれることが大事だ、会議に向けてこれから努力すべきだと述べたようだが、事実でしょうか。

 イラクへの資金援助について、アメリカからどのような要請が日本政府にされ、それに対して日本政府はどのような約束をしたのか、また、しようとしているのか。明確な答弁をまず求めます。

福田国務大臣 二十六日だったか、べーカー大使が来られました。それで、そのときに復興支援の話はしておりません。そういう要請はございません。

 それから、そういうこととは別に、私が記者会見で申し上げたのは、要するに、マドリードでもって支援国の会議がある、そこで、国際社会でどういう負担をしていくかということを決めるわけですね。ですから、復興支援をするために行うこのマドリードの会議、これは成功してほしい、こういうことを述べたわけでございます。

木島委員 では、九月二十六日に何の話がされたんですか。ベーカー駐日大使は何の話に来たんですか、あなたのところへ。覚えているでしょう、一週間前の話じゃないか。

福田国務大臣 いや、きのうかな、きのうも会っているんですよ。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。

福田国務大臣 よく会っていますから、いつ、二十六日に何を話したか、忘れることもありますよ、それは。

 それから……(木島委員「そんなのだめだよ」と呼ぶ)もう聞きたくないんですか。では、答えません。

木島委員 不誠実じゃないですか、国会に対して。(福田国務大臣「聞きたくないと言っている」と呼ぶ)そんなこと言っていないですよ。失礼ですよ。

 あなたは、では、昨日午前の記者会見ですよ、日本の記者に対する記者会見ですよ。そういう数字に各国が納得して負担してくれることが大事だと言いましたね。そういう数字というのは、五百五十億ドルが世界銀行の調査報告書なんでしょう。あなた、知っていましたね。そして、そういう数字に各国が納得して負担してくれることが大事だ、そういう趣旨の記者会見やったでしょう。

福田国務大臣 今、記者会見の記録がありませんからわかりませんけれども、そういう金額でまとめろということは私は一切言っておりません。

木島委員 まとめろというんじゃない、そういう数字に各国が納得して負担してくれることが大事だ、そういう趣旨のことを言ったんでしょう。

福田国務大臣 それは金額のことじゃないんですよ。マドリードの会議が成功するようにということを言ったんです。そういう趣旨のことを言ったんです。

木島委員 では、改めて答えてください。

 イラクへの資金援助、大問題になっています。十七日にはブッシュ大統領が来ます。二十三日にはマドリードで国際会議が開かれます。これまで、イラクへの資金援助の問題についてアメリカからどのような要請が日本政府になされて、どういう約束をしたんですか。

福田国務大臣 事務的なことはいろいろ外務省、外交当局であるでしょう。それは私は承知しておりませんけれども、私が承知しておりますのは、承知しておりますというか、理解しておりますことは、米国から、例えば金額をどうこうとかいったようなことは、そういう話はないということです。

木島委員 川口外務大臣にお聞きします。

 ベーカー・アメリカ駐日大使は、九月十七日、外務省に、あなた、川口外務大臣を訪ねて、イラク復興支援に必要な資金に関して公式に日本の拠出を求めたんじゃないですか。これに対して、川口外務大臣、あなたは前向きな対応を約束したんじゃないですか。どんなやりとりがそのときあったのか、思い出して答弁してください。

川口国務大臣 若いのに記憶力が悪いと言われてしまいそうですけれども、その九月十七日か六日か……(発言する者あり)失礼しました。官房長官よりは若いのにという意味でございます。

 そのときに、これは、ベーカー大使がずっと長い夏休みをおとりでいらっしゃって、私も八月の終わりから長い出張に出ておりまして、一カ月以上お会いをしていなかったんですね。ということで、その間のいろいろなお話をしましょうということで、現在国際的な場で話題になっているようなさまざまなことについての、自分たちがそれぞれ考えていることについて、おしゃべりをしたというのが一番適切な言い方かもしれませんが、北朝鮮とかミャンマーとか、いろいろありました。イラクもありました。

 それで、イラクについて、具体的な金額について、これだけ出してほしいというような話は一切ありませんでした。日本としてイラクの復興復旧に対して責任を果たしていくというのは、私は、当然のことであり、日本の国益だと思っておりますので、日本にふさわしい貢献をするというようなことを言った。多分言っただろうと思います、それが私のいつも考えていることですから。

 ただ、具体的にそのときに何を、そう言ったかどうかとか、先方が何を言われたかということについて、ちょっと再現することは、大分前の話でもありまして記憶が薄れていますのでできませんが、いずれにしても、具体的に金額がどうとかという話がなかったということははっきり記憶をいたしております。

木島委員 官房長官も外務大臣も質問に対して非常に不誠実な答えであります。

 アーミテージ米国務副長官は、一昨日、九月三十日に、アメリカ下院歳出委員会の公聴会で証言をいたしました。正式の議会での証言であります。今月下旬、スペインで開催されるイラク復興支援国会議での日本の対応についてであります。こう証言したんです。我々は日本と集中的に取り組んできた、彼らは気前のいい約束をするだろう、こう言ったんです。国名としては、いいですか、日本だけを挙げて証言したんですよ。政府との、日本政府との約束なしに、こんな議会証言がされるはずないんです。

 日本政府は、アメリカとの間でイラク復興支援の拠出に関してどんな話をしたのか、どんな約束をしたのか、また、約束をしようとする話になっているのか、誠実に答えてください、お二人。

福田国務大臣 誠実にお答えいたします。

 そういうような、復興支援について幾ら出せとかいったような話をしたことはございません。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、アメリカとそういう数字についての具体的な話をしていることではなくて、これは日本が主体的に決めていく話ということでいつも言っているわけです。

 日本はイラクの復興復旧に対してしかるべき責任を果たしていくということは、これは当然のことでありますから、我が国としてそういった責任を果たす用意があるということは、これはいつも言っていることでございます。

木島委員 日本政府の基本的な立場は、日米同盟が基軸だということでしょう。同盟の一番大事なことは、日米間の信頼関係だということでしょう。相手国の国務副長官、日本でいったら外務副大臣、その人がアメリカの議会で正式な公聴人として、このイラクに対する復興支援の日本の拠出に関して、アメリカは日本と集中的に取り組んできた、彼らは気前のいい約束をすると思う、こういう証言が出されているんですよ。それを、今、福田官房長官は、一切そんな話はしていない。天と地の違いがある。天と地の違いがあるようなことを、アメリカは、こういう議会で公聴会での証言、今、福田官房長官は、この日本の委員会でそういう証言。同盟成り立ちますか、こんなことで。日米間の信頼成り立ちますか、こんな違いで。こんな違いは、ではほっといていいんですか、アーミテージ副長官の議会の証言を放置していいんですか、日本政府として。(発言する者あり)話もしてないというから。話もしてないのにこんな証言出るわけないじゃないか。

川口国務大臣 日本とアメリカは、イラクの問題については一緒に取り組んできております。例えば、今、マドリード、マドリードじゃなくてちょっと場所はよくわかりませんが、コアグループの会合がイラクの復興についてございます。この会合を立ち上げるために日本としても非常に積極的に働きかけてきましたし、アメリカも一緒にそれをやってきました。これは国際社会が一丸となってイラクの復興復旧をやるということが大事だという発想で、日本としても相当にイニシアチブをとって引っ張ってきたわけでして、こういう過程で日本とアメリカは密接にイラクの復興復旧について協力をして話し合いもしてきております。

 ただ、先ほど申しましたように、幾ら日本としてお金をイラクのために出すかということは、これは日本の主体的な判断であるわけで、そういったことを常に日本はアメリカには伝えてきております。

木島委員 いかに日本の政府がアメリカとの同盟の関係の問題になりますと日本の国会に対しても不誠実な態度をとるか、日本国会を軽視しているかという態度が、私は今の二人の答弁でも明らかだと思うんです。

 質問を変えます。

 国連安保理決議一四八三は、その第十二項、十三項、十四項で、イラク開発基金が設立されたこと、イラク開発基金の資金は、アメリカ占領軍当局、いわゆるCPAですね、これの指示により、イラク暫定行政機構と協議の上、イラクのインフラの修理及び経済再建のため、イラクの武装解除の継続のため、イラクの民政の行政機能の費用のため、イラク国民に恩恵を与えるその他の目的のために、透明性のある方法で使用されることをそれぞれ留意し、強調しています。

 川口大臣にお聞きします。今、なぜこれとは別に新たなイラク支援の枠組みをつくろうというんでしょうか。新たな支援の枠組みと、この国連安保理決議一四八三で強調され、留意されたイラク開発基金との関係はどうなんでしょうか。日本政府はどう理解しておりますか。

川口国務大臣 まず信託基金ですけれども、これは、今度の十月の二十三、二十四日のマドリードでの支援国の会合において、設置するかどうかということを協議するということになっております。それで、恐らく、一四八三に言われている開発基金、これとは別に設置をされる可能性が大きいと思いますけれども、それが何をするかということはまさにこれからの協議ですので、中身については、今、はっきりしたことがわかっていない状態であるということです。

 それで、この開発基金というのは、これは対象として、先ほど委員が読み上げられたように、石油基金の代金とそれから凍結資産、これを使って、それがベースであって、この一四八三で透明性についてのメカニズムをつくって、イラクの、どっちかといえば経常的費用といいますか、行政的な機能の費用ですとかそういったインフラの修復、あるいは経済再建等といったことのために使うということに、これは国連の決議でなっています。それで、この基金は石油代金と凍結財産であるわけですね。それで、信託基金としてできることになれば、これは各国が拠出をするということになります。

 そして、これはどういう形でできるかということが全然、これから議論される話ですから、決まったことは申し上げられないわけですけれども、そういった開発基金が日常生活のお金として使われるとしたら、こちらの方はどちらかといえば投資的な経費、新しいものをつくっていこう、そういうことのために使われるというのが、非常に大ざっぱに申し上げたときの区分けになるかというふうに思います。ただ、具体的なことはまさにこれから議論をして決めるということです。

木島委員 質問の核心に答えてください。

 イラク開発基金というのがある、プールが。なぜそれと別枠でこういう新たなものを創設するのか、なぜか、簡潔に答えてください。日本政府はどういうふうに理解しているのか、そこが質問ですよ。

川口国務大臣 お金の性格が違うということを先ほど申し上げたんですけれども、開発基金というのは石油代金と凍結資産からくるということを申し上げました。これは、イラクの人たちの財産、お金を使って、イラクの例えば行政費用ですとかインフラの修復ですとかそういうことに使おう、そういう性格のものです。

 それで、先ほど申し上げた信託基金、これができることになれば、これはよその国の、要するに日本その他の国のお金を集めてつくるということであって、むしろ、そういう日常経費と違ったものに使おうということです。

 なぜ二つ使うかというと、それは、開発基金だけで賄えるということからいうと、それだけでは足りない、別途、国際社会からのお金を集めてイラクの復旧をする必要がある、そういうことであると思います。

木島委員 それでは、イラク開発基金の収入、そして支出の権限はどこが持っているんですか。アメリカ占領軍当局、CPAですか。そうですね。イエスかノーか、答えてください。

川口国務大臣 これはCPAということです。それで、これに対しては収支報告を国連にすることになっているということです。

木島委員 そうすると、イラク開発基金の収入、支出についての報告書は国連にする。では、日本政府も国連を通じてきちっといただいていますか。

川口国務大臣 これは、そういうことになったときには、当然に情報が日本にも、加盟国ですから来ると思います。

木島委員 もう来ていますか。来ているのなら提出していただけますか、国会に。

川口国務大臣 これはまだできておりません。

木島委員 全然来ていない。

 川口大臣は、なぜ、こういうイラク開発基金があるのに別枠でつくるか。それは、それを使用する権限をすべてCPA、アメリカ占領当局が握っているからだ、だから、そこへはあの戦争に反対した国々からはお金が入らない、そういう仕組み、根本的な欠陥を持っているからではないかと思うんです、そうは答えませんでしたが。

 次の質問に移りましょう。

 先ほど来質疑が行われておりますように、世界銀行は昨日、日本政府に対して、四年間で四兆円を超えるイラク復興費の総額を示してきたようだが、積算根拠についても説明はきちんとなされていますか。

川口国務大臣 これは、今まさにコアグループの会合が開かれて、あるいは開かれようとしている、二日に開かれることになっていますので、ということで、そこで、根拠が何かとか、その見方が正しいかとか、そういう議論がなされるということです。

木島委員 きょう会議が終わったら、それは表に公表される文書になると思うんです。そうしたら国会へ出してくれますか。

川口国務大臣 公表されるものについては当然ながらお出ししますし、また、国会の方でも直ちに知ることができるようになると思います。

木島委員 次の質問に移ります。

 九月二十二日に、イラク占領米軍が任命をしたイラク統治評議会のチャラビ議長は、ニューヨーク・タイムズとの記者会見で、米政府に対して、評議会への統治権限の即時移譲、そして外国軍増兵の反対を表明いたしました。チャラビ議長は、九月十七日の記者会見でも、現在のイラクの無法状態の原因が秩序維持などの決定からイラク人が排除されていることにあることを指摘しております。

 川口大臣、福田官房長官、お聞きしますが、イラクの復興支援を本当にイラク国民のために進めるには、米軍などによる軍事占領をやめ、主権、統治権、これをイラク国民へ戻すこと、速やかに戻すこと、期限を切って戻すこと、そしてそれをイラクの人々の合意のもとに行うこと、国連中心に進めること、これが核心だと思うんです。大事なのは、日本政府がそのような認識と立場にしっかりと立ってこの問題に対処することだと思うんです。

 新たにつくられようとしている枠組みに、そういう条件が整えられておりますか。

川口国務大臣 イラク人にできるだけ早く主権を戻すことが大事だということについては、これは一四八三でもそういうふうに書いてありまして、国際社会が、全員がそれについてはだれも反対する人はいない状況だと思います。日本も、もちろんそう思っているわけです。

 それで、イラクの復興をできるだけ早くする、そのために何が必要かということですけれども、それは、主権を戻すということだけではなくて、幾つかの要素が必要だと思います。今、それをやるのに十分な治安が維持されているかどうか、それから、イラク人の側に、その復興を自分自身の手で立ち上げていくだけの能力が十分にあるかどうか、そういったことがあると思います。ですから、これは、紙の上でこうあるべきだという議論ではなくて、実際に何が現実的に今可能かということであると思います。

 方向について言えば、今、国連で決議の議論がなされていますけれども、どの国もそういった方向については賛成をしている。例えば、それを期限を切ることが一体現実的に妥当かどうか、復興という意味でいえば、それがいいかどうかということについては、これはさまざまな議論があると思います。

 日本としては、大事なことは、イラク人に対して、これから先どういうふうになるかというビジョンをまず示すということだと思っています。まず、何があって選挙があってというような手順、先が見えるというふうにするということが大事だと思います。

 そのためには、国際社会が一緒になってイラクの治安を立て直して、できるだけ早くイラクが新しい形態の国家、民主的な国家となって立ち上がる、そういうことがイラクの復興のために重要だというふうに考えております。

木島委員 欧州連合、EUは九月二十九日にブリュッセルで外相会議を開きまして、イラク国民への主権移譲を現実的なスケジュールで実施するよう求める声明を採択いたしました。同日、同会議は、イラク復興のための資金の管理には独立性と透明性が必要だとして、先ほど私が論じてきましたイラク開発基金とは別に、信託基金設立を求める声明を改めて発表しております。

 問題の核心は明らかなんです。イラク復興支援には、イラク国民の主権の回復、そしてそれを国連中心で行うこと、それが国際社会の今の大きな流れだということではないでしょうか。

 時間も迫っておりますので、今、当面重大な問題になってきている新たな国連安保理決議の問題について、日本政府のスタンスについてお聞きします。

 アメリカのブッシュ政権は、この十月二十三日から始まるスペインでのイラクの復興支援国会議を前にして、新たな国連安保理決議を採択しようと急いでおります。九月三日にアメリカが安保理各国に示したイラクに関する新決議案は、いろいろありますが、問題点を指摘しますと、こういう文章もあります。多国籍部隊が統一指揮のもとに必要なあらゆる措置をとってイラクの安全と安定を維持することを承認し、加盟国に兵力を含む支援を与えることを要請する、こういう文章も入っています。要するに、米軍の軍事占領を容認する、そして米国が主導権を握ったまま国連と加盟国に役割分担を押しつける、そういう内容になっています。それは明白です。

 これに対して、国連安保理の中でも、フランス、ドイツ、中国など多くの国々が厳しい批判をしたのは当然でありました。今、国連安保理の新たな決議をめぐって新しい綱引きも始まっております。

 問題の核心は、アメリカ主導か国連主導か、これが一つ。それから、イラク国民への早期の主権、統治権の移譲か占領の長期継続か、これが焦点なんです。

 先ほど一日も早く主権をイラクの国民に戻すことが大事だと川口大臣もおっしゃいましたが、一般論じゃだめなんですね。こうした状況の中、日本政府のとるべき立場、非常に国際社会からも問われているわけであります。

 アメリカは、主権を移譲する、自分たちの占領統治権限を放棄する、その時期を明示しようとしない、それが特徴なんです。ずうっとそれを引きずっていこうと。そういうアメリカの、言ってみれば、言葉は悪いけれども、しり馬に乗るんじゃなくて、本当に、イラク国民への主権の早期移譲、そして国連中心のイラク復興の立場を鮮明にして、日本政府がアメリカ政府に堂々と物を言う、これが今問われているんじゃないですか、求められているんじゃないですか、どうでしょう。

川口国務大臣 先ほど言いましたように、基本的にはアメリカも今委員がおっしゃったようなことを言っているわけで、じゃ、いつまでにという期限を切るというのが現実的かどうかということが一つの問題であるわけです。

 できるだけ早くイラク人に主権を戻す、そしてそれを国際協調の中でやる。これはアメリカ自身が国連で決議をつくろうとしているわけですから、まさに国連を中心にして、現実的にはアメリカが一番大きな軍の組織としてはいるわけで、治安その他については大きな役割を果たしていくことにこれはならざるを得ない。何が現実的かというベクトルをもう一つ加えて今おっしゃっていることを考えていくということで、その点だけが議論になっているということだろうと思います。

 同時に、アメリカは今、警察を育てていて、イラク人に治安を返そうということもやっています。

木島委員 アメリカの思惑というのは、ずるずるずるずる統治権を行使して、なかなか主権移譲をしようとしない。それに対してフランスなんかから厳しい指摘がされている。それが今国際社会の最大の焦点になっているということをしっかり認識することが大事だと思うんです。

 最後に、時間が迫ってきておりますから、財務副大臣を呼んでおりますから、まとめて質問します。財源問題であります。まとめて、一括して質問します。

 イラク復興支援の新たな枠組みがつくられ、仮にそこに日本政府が費用を拠出しようとする場合、財政法上、予算の費目から出せるんでしょうか。そして二つ。もし今年度予算からいじろうとすれば、既に執行されて半年が過ぎております。そして、財政法上支出が可能とした場合、使える財源、今年度予算からありますか、幾らありますか。そして三つ。財源の対策もなしにアメリカの要求に唯々諾々と従って巨額の財政支出を約束するなんということほど無責任なことはないと思うんです。

 その三点について。

山本副大臣 まず先生御指摘の、各目の間において流用するかどうかというのは、結論から申しますと、財政法三十三条二項で、財務大臣の承認を得れば目の間でもできる。そういう意味においては、じゃ、目の間で幾ら捻出できるのかというような問題は、すぐれて外務省の中の、そういう流用できるものがあるかどうかということにかかります。

 そしてまた、基本的な考え方として、やはり湾岸戦争の経験を踏まえれば、顔の見える形での貢献というようなことも必要だろうと思いますので、流用するときには、財務省といたしましても、できるだけ具体性、そして法令等々の予算の定めに違反がないか、あるいはやむを得ない事情によるものかどうか、そういうものについては判断させていただいて承認の基準といたしたい、こういうように考えています。

木島委員 終わりますが、今、顔の見える貢献といいますか、アメリカの方にばかり顔を見せて、肝心の我が国会と国民に対しては何にも事実を知らせようとしない、とんでもない状況が今進行しているということを警告を発して、私の質問を終わります。

衛藤委員長 これにて木島日出夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党の今川正美です。

 私は、まず最初に、川口外務大臣にお尋ねしたいんですが、実は昨日の毎日新聞に次のような記事がございました。

 ことし三月のイラク戦争開戦時に駐レバノン大使を務めていた天木直人氏は、今月三十日、毎日新聞の取材に応じて、開戦直前に日本政府の米国支持方針に反対する公電を外務省に打電したことを理由にして、事実上解雇されたと述べられた。しかも、天木氏によると、開戦前の三月十四日、「「戦争回避のため最後まで外交努力をすべきだ」との川口順子外相あての公電を打電、全在外公館にも電報を転送した。開戦後の同二十四日にも「敗れた外交を取り戻すのは、戦争を終わらせる外交努力」と打電した。」とありますが、この事実確認をまずしたいと思うので、御説明ください。

川口国務大臣 天木大使が外務省を御勇退なさったということは事実であります。そして、その理由として意見具申であったということでは全くない。

 私は、外務省改革の中で、意見具申ということは大いにやるべきだというふうに言っていますし、多くの大使の方がそういうことをやってくださっています。そして、私はむしろ、意見具申を何回したかということを大使の評価に加えるべきであるというぐらいまで思っています。

 ですから、その意見具申が原因となって外務省が天木大使にやめていただいたということは全く事実ではありません。天木大使は二つの公館長ポストをもう六年にわたってなさったということもあり、勇退をしていただいた、そういうことでございます。勇退をなさったということでございます。

今川委員 外務大臣、いいですか。

 この記事によりますと、そうした天木氏が打電をした直後、「外務省の北島信一官房長から「外務省をやめるつもりか」「電報を転送するな」との電話があり、」しかも「六月ごろ竹内行夫事務次官から「省改革のため勇退してほしい」との私信を受け取った。」とあります。

 ですから、今回のイラク戦争にかかわって、少なくとも天木前大使は、先ほど申し上げたような電報を打ったことが事実上、外務大臣は勇退とおっしゃったけれども、やめさせられた、本人は事実上解雇されたと取材で述べられているわけですよ。そこのところははっきりすべきじゃないですか。もう一度御答弁ください。

川口国務大臣 これ以上はっきり申し上げられないくらい申し上げたと思います。それは事実ではありません。

今川委員 私は、三月二十日に始まったイラク戦争、現在のイラクの現状を見ても、この前レバノン大使のおっしゃったこと、あるいは、彼に限らず、中東諸国に今おられる在外公館の職員の皆さん方の間では、あのような無謀な戦争を無条件で支持するようなことでは、日本と中東諸国との間の信頼関係を損ねてしまうという考え方を持っておられる職員の皆さん方も多いと私は聞いております。

 さて、次に移りますが、事前通告の順番をちょっと入れかえますけれども、まず、本来だったら小泉総理にお尋ねをしたいことなんですが、実は、米国のレーガン政権のころ国防長官をなさったワインバーガー氏が、これは九二年の四月発行の著作で「世界情勢の読み方」という中に、非常に興味深いことがあります。その要点を二点だけ申し上げたいと思うんですが、自衛隊の海外派遣にかかわって、ワインバーガー元国防長官は次のようにおっしゃっています。

 まず一つは、冷戦後、つまりポストコールドウオー体制の中で、国連が果たしていく役割は極めて重大である。あの湾岸戦争の後、サダム・フセインが敗退しても、

  むしろ「ポスト・サダム」にこそ根源的に解決されねばならない難問が山積しており、これはアメリカひとりが孤軍奮闘してもどうにも解決できない。国連の実際的な役割がどうしても必要なのだという厳然たる事実です。

とおっしゃっています。

 さらに続けて、よく言われるのは、湾岸戦争の後、日本は多額の金は出したけれども人を出さなかったという、いわばそういうトラウマにとらわれているという言われ方がよくされますけれども、そういうことではなくて、ワインバーガー氏は次のように述べておられます。

 この間、日本では実に憂慮すべき事態が起きたのです。「外圧」を利用した軍事大国化への動きです。

 幸いにして、自衛隊の海外派兵、そして憲法改正という、一部の自民党首脳の計画は一頓挫した形となってはいますが、決して根本的に消滅したわけではありません。いつでも火を噴く状態のままなのです。

とおっしゃり、しかも、

 「日本という国は、ひとたび軍事大国化を志せば、さまざまな民主的手続きを押しつぶして達成しかねない潜在的な「異質さ」を内包しているのではないか」

という考え方が、アメリカ国民の中にはにわかに高まってきているということを御指摘されているわけですね。

 さらに、

 「自衛隊を派遣して、場合によっては軍事力も行使すべきだ」

 「そのためには平和憲法が邪魔になるから、この際、徹底的に改正すべきだ」

などといった強硬意見が日本の中で出てきた。

 そして、私が何よりも不審に思ったのは、たいていの場合そのような議論が「アメリカの気持ちをおもんぱかって」という大前提のもとに展開されていることでした。

というふうに述べられているわけですね。

 きょうは小泉首相がおられませんので、福田官房長官、今申し上げた、約十年ほど前にアメリカの国防長官が、当時、ちょうどPKOの議論が盛んなころに、湾岸戦争の後ですよ、アメリカの国内にも、自衛隊の海外派遣あるいは海外派兵に関しては非常に慎重な意見もあったということのあかしだと思うんですが、どのように受けとめられておりますか。この十年間の時差があるわけですが、いかがでしょう。

福田国務大臣 確かに十年以上前になりますけれども、あのころと今は大分様相が違うということ、これは確かですよ。しかし、自衛隊がPKOで出るか出ないか大騒ぎして徹夜国会もしたという、そういう経験を通して、実際に自衛隊は活動を始めました。始めまして、この自衛隊の海外における活動について、批判をされる方は極めて少ないんじゃないでしょうか。まあ、日本もいろいろ意見はありますから、反対する人はないとは言いません。だけれども、極めて我が国の自衛隊の海外における活動については理解が日本国民の間に浸透している、こういうふうに思っております。

 では、今現在、それから、これからどうするかということになりますけれども、基本は変わらないんですよ。基本は私は変わっていないと思います。あくまでも国際平和協力活動、こういうものに対する日本の国際貢献、こういうような形で自衛隊が活動してくれる、このことについては、自衛隊の隊員も大変誇りに思っていると思いますよ。

 私も、PKOの隊員が海外に行く、そのときに送りますし、また帰ってくるときにも迎えますけれども、こういう隊員は、大変いい経験をした、視野も広くなった、自分たちの活動に本当に自信を持ってやっている、そういうような姿がありありと見えるんですよ。ですから、その基本を私は大事にしなければいけないと思いますけれども、今現在行われていることについて、私は、批判をする、そういうような立場というのは全くないというようにかたく信じております。

今川委員 自衛隊が、例えばインド洋方面に派遣をされてからかれこれ二年近くなります。つい先日、八月でしたか、佐世保にも補給艦「はまな」などが約五カ月ぶりぐらいに帰ってきました。

 私は、こうしたインド洋派遣のあり方に関しては極めて大きな問題と疑問を感じていますけれども、しかし、石破長官、この委員会の中でも何度も御答弁されているように、派遣された自衛官の皆さん方の立場に立てば、あれほど過酷な状況の中で任務をこなして帰ってこられた一人一人の自衛官に対して、本当に心から御苦労さまでしたと言いたいと私は思います。

 そういう観点から、私は、あくまでも派遣された自衛官、あるいはこれから派遣されるかもしれない自衛官の立場で少し、二、三お聞きをしたいと思います。

 一つは、これまでインド洋等に派遣された自衛官に関して心情調査というんですか、カンボジアPKOの場合には派遣された地で防衛庁としてアンケートなどもとられたということを聞いておりますが、この約二年間、インド洋に派遣してみて、派遣された自衛官の皆さんに、どうだったのかという、もちろん、派遣された制服組のトップの意見というのはそれぞれ防衛庁にも丁寧に報告があるんでしょうけれども、一般の自衛官のそういう気持ち、心情というのをアンケート等を含めて調査をされたことがあるのかどうか、まずそのことを端的にお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 インド洋に派遣されております隊員は、インド洋の過酷な環境下において、精神的、肉体的に負担が大きくかつ高い緊張状態に置かれている業務に従事しているところでございます、先生お話しのとおり。このような隊員の心情等を把握することは、業務を円滑かつ効果的に実施する上で不可欠なことだと思っております。各級指揮官は、日ごろから部下の心情把握には努めておりますが、アンケート形式での心情調査というものは実施しておりません。

 以上でございます。

今川委員 重ねて聞きますけれども、アンケートはしていないかもしれないけれども、そういう派遣された自衛官の心情を把握することに努めているとおっしゃいましたが、具体的に、では、どういうふうにそういう自衛官の気持ちを把握されているのか、それでどういう傾向にあるのか、簡単に御説明ください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今ほど申し上げましたとおり、各級指揮官は、日ごろ部下の方々といろいろな懇談といいますか、会話する場面とか、そういうことを通じながら、各隊員がどのような心情をお持ちかということを把握しているということを申し上げたわけでございます。

今川委員 実は私、前国会で国会の会期中に防衛庁からいただいた資料の中に、「派遣前に家族の事情等から本人の希望があり補職替えを行った者の数」ということで、補給艦「はまな」から護衛艦「こんごう」まで数字が示されております。

 これも、「異動者数」とあって、幹部、准尉・曹、士というふうに階級別に分けた数字がございまして、この約二年間でインド洋方面に派遣された自衛官の延べ人数、恐らく七千人を超えたぐらいですか。そうしますと、防衛庁が確認したといいますか承認したと言っていいんでしょうか、補職がえを認めた数が五十二名というふうになっていて、意外と数字が小さいんだなという感じがしますが、本人希望の補職がえ、こう書いてありますけれども、今申し上げた承認者数だけじゃなくて、各船ごとに希望者が大体総数としてどの程度あったのか。例えば地上勤務にかえてくれとか、ほかの船にかえてくれとかということを含めまして、どの程度の数なんでしょう。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 インド洋に派遣されております隊員の人選に当たりましては、派遣先におきまして能力を十分発揮できますよう、任務遂行に必要な知識や経験、健康状態等を踏まえることはもとより、事前に現地情勢や任務内容について説明を行い、家族の事情等の個人状況も十分しんしゃくした上で総合的に判断しているところでございまして、隊員の人事業務を担当しております各地方総監部等におきまして、当初、インド洋への派遣を予定しておりました隊員のうち、御家族の事情等を理由といたします本人の異動希望を把握し、かかる点もしんしゃくした上で派遣前に補職がえを行った者は、現在私ども掌握している限りでは約六十名でございまして、これまでにインド洋に派遣されました延べ人員は、先生は七千名とおっしゃいましたけれども、私どもの把握では約五千四百三十名であると承知しております。

 以上でございます。

今川委員 それでは次に、派遣自衛官のメンタルケアについてであります。

 実は、過日の新聞報道によりますと、防衛庁としては、イラクに自衛官を今度派遣するときには、これまでにないケースのようでありますが、「陸上自衛隊を派遣する場合、隊員のメンタルケアを行うため、精神科医らの同行を検討している」、「隊員のケアを目的とする精神科医の派遣は実現すれば初めてとなる。」というふうにございます。

 今回、まだイラクに派遣されたわけではありませんけれども、政府としては、時期は別にして、小泉総理もぜひイラクに派遣したい、こうおっしゃっている。こうした精神科医の同行ということを、どういう位置づけ、理由から、今回初めてそういうことを行うのか、ちょっと御説明をください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 まだ具体的にイラクの派遣につきましては、いろいろな諸条件を含めまして、いろいろ決まっておるところではございませんので、お答えいたしかねるところでございますけれども、インド洋に派遣されておりますメンタルヘルスにつきましては、例えば最近の実績として、艦艇の派遣前にいろいろな形でメンタルヘルスの講習というものを実施しておりまして、それは、例えば班長以上の者とかそういったレベルの者について、メンタルヘルスの重要性についてよく周知させているところでございます。

今川委員 それは、艦長以上なんですか。(小林政府参考人「班長でございます、班長以上」と呼ぶ)班長以上、失礼。

 それで、もう少しお尋ねしますが、例えば米国などでは、戦場などで兵士らが受けるストレスはコンバットストレスと呼ばれる。米軍ではクリントン政権時代の九九年、国防総省がコンバットストレスを異常な状況下ではどうだという、具体的にそういうケアをしているようであります。例えばカナダでも、PKOに参加した兵士の約一割がPTSD、いわゆる心的外傷後ストレス障害を発症したとの研究報告まで上がっているようでありますし、我が国でも、湾岸戦争後に海上自衛隊の掃海艇がペルシャ湾に派遣されましたが、その際、乗組員の一部が帰国後精神科のケアを受けたことがあるというふうにございます。

 ですから、今おっしゃったように派遣する前だけじゃなくて、例えばインド洋、非常に長いですよね、四カ月から五カ月。帰ってきた自衛官の皆さん方のメンタルケアというか、そういう事後の対応というのはどういうふうになさっていますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 現在、テロ特措法に基づきましてインド洋に派遣されております艦艇の乗員に対しましては、まず、出航直後、それから派遣中及びインド洋からの帰投中に、メンタルヘルス・シートというのがございまして、これは、自分でストレスの度合いあるいは疲労の度合いというのをチェックする等、自己診断もできるようなシートでございまして、それでもちまして、回答者のストレス傾向、精神的な疲労の傾向あるいはうつの傾向を評価するもので、ストレスの状況等、メンタル面でのチェックを行っているところでございます。したがいまして、今経過的に把握ができるようになっております。

 帰国した隊員の中で、メンタルヘルス・シートによりストレスが蓄積していると判断されました隊員の方に対しましては、必要に応じ、隊員のメンタルヘルス面をチェックしております医官が当該隊員に対して面談等を行うなどして、ストレスの軽減に努めておるところでございます。

 また、何よりも、インド洋から帰国しました隊員に対しては、ストレスの軽減や疲労の回復に資するよう、任務に支障のない範囲内で隊員の方が交代で十分な休日をとるように配意しているところでございます。

 以上でございます。

今川委員 今の点に関してもう少しお尋ねしたいんですが、先ほどあなたがおっしゃったのは、この約二年近く、派遣された自衛官数が五千四百三十名とおっしゃった。その中で、今おっしゃったように、帰ってきてから精神的に落ち込んだりとかそういう、あなた方から見てやはり何らかのケアが必要であると判断されたような自衛官の皆さんの数は、数といいますか、大体五千四百名ぐらいだったらそのうちのどの程度を占めたのかどうか、おわかりでしたら教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 特にメンタルヘルス面で問題が生じた隊員については、掌握しておりません。ないというふうに聞いております。

今川委員 次に、石破長官、イラクに対する派遣、私たちは反対ですよ。しかし、このイラク派遣はぜひやりたいと小泉総理もおっしゃっている。そうしますと、これはインド洋であれイラクであれ、派遣するときに、大体、事前の教育訓練というのはどの程度の期間行うものなんですか。

石破国務大臣 これは本日の予算委員会でもお答えをしたことでございますが、現在調査団が行っておって、政府の方針といたしまして何をやるかということがまだ決まっておりません。したがいまして、当然のことでありますが、まだ人選というのも行っておりません。

 そのことを前提に置いて申し上げますが、期間というものは、それは何をやるかということに対する訓練というものもございます。あるいは、そういうような地域の、もちろん出すからには、自衛隊の装備そして訓練状況でその危険が回避できるような状況ということになるわけですが、その危険が回避できる、安全に任務が遂行できる、そういう訓練を行うことになりますので、これは一週間とか二週間とか一月とか、そういうようなお話にはならないであろうと思っております。

 きちんとした訓練を行った上でなければ出さない、それは任務が安全にかつ正確に遂行できるために必要な期間ということでございます。

今川委員 今おっしゃったように、派遣される地域によっても当然期間の差は出てくるんだと思いますが、大体半年ぐらい必要としないんですか。

 この間、正確に覚えませんが、石破長官もおっしゃったように、例えば補給艦の場合には非常にローテーションが厳しいですね。そうしますと、訓練期間を二週間程度短縮せざるを得ない、それくらいのローテーションの回りだ、そういう趣旨の記事もございましたが、大方、例えばイラクのどこに派遣するのかということもまだ未確定でしょうが、仮に、報道等によりますと、総選挙が終わりさえすれば年内にも派遣したいという報道もありますけれども、今はもう十月ですよね。そういうことが、事前訓練教育を含めて年内派遣ということが実際可能だとお考えですか。どうでしょう。

石破国務大臣 これは前の国会で参議院でお答えをしたことですが、選挙の時期とは何の関係もございません。選挙が終わったら出すとか、選挙中には出さないとか、そのようなことは政府としては一切考えておりません。

 もう一つ申し上げれば、早く出せば費用負担が少なくて済む、そんな報道がありますが、私は、政府・与党の中でそのようなことを考えている者は一人もいないというふうに思っておりますし、恐らく心ある方は、ここにおいでの与野党の先生方も含めて、そのようなことを考えている者は一人もいないだろうというふうに思っております。

 先ほど、二週間短縮というお話でございました。定検の後の訓練というものを二週間短縮、そういうような記事であったかと思いますが、そういうことを検討したという事実は当庁の中には一切ございません。

 私は、テレビの報道か何かで半年というのを見たような記憶がございます。それは、物によっては半年かかるものがないとは申しません。それは装備の調達、そしてまた訓練の習熟、それに半年かかるものがないとは私は思っておりません。しかし、物によりましては、それは三カ月のものもあるかもしれない、二カ月のものがあるかもしれない。

 いずれにいたしましても、装備、訓練がきちんとできない限り、出すということはあり得ませんし、そのようなことを行ったとするならば、それにもとるようなことがあるとするならば、これはイラク特措法九条に反するものだと考えております。

今川委員 今おっしゃったように、例えばイラクの場合、そこそこの言葉がまずわからなければなりませんよね。あるいは、イラクの地理的な問題であるとか文化、いろいろなものですね、そこにやはりそれなりの知識がないと、派遣して、どこに派遣するかは別にして、なかなか満足な任務というのは遂行できないんではないかと思うんですね。

 ですから、現時点で判断してみて、長官として年内派遣というのが、業務にもよるでしょうけれども、十月、十一月、十二月、この三カ月間ぐらいの間に例えば陸自を派遣するということが、今申し上げた事前のいろいろな教育訓練を含めて可能なのかどうかをお聞きしているんです。

石破国務大臣 それは、何をやるかということ、どれぐらいの規模で行うかということ、そしてどの地域でやるかによって異なります。

 それが非常に少人数であって、極めて安全な地域であってというような場合には、それは、逆に非常に大規模であって、相当高い訓練、そして高度の装備を持っていかなければ安全に、正確に任務が遂行できないという場合と比べて期間が短いということはあろうかと思います。それは、何をやるか、どこでやるか、どのような治安状況であるか、法の条件を満たすということを前提に置いて、差異が出る場合はあり得る、当然のことだと思っております。

今川委員 もうほとんど時間がありませんので。では、最後になりますが、各野党からも同趣旨の質問があっていますけれども、今インド洋に派遣している自衛隊、大方の撤収のめどはいつごろになるんでしょう。どうも、この数日間の当委員会での官房長官の御答弁を初め聞いてみますと、ずるずると際限なく、撤収のめどがつかないんではないか。

 昨日の外務大臣の御答弁の中にもありましたが、この特措法の趣旨とするところは、テロの防止と撲滅ですよね。ここ当分はテロがかえってふえるかもしれないという趣旨のことを外務大臣は昨日御答弁なさっておりますが、ということになりますと、今、政府の方としては、この法律をあと二年間延長したいとおっしゃっているけれども、これから先二年たっても、撤収のめどは果たしてつくんでしょうか。ここは官房長官、いかがですか。

石破国務大臣 このことは、定量化して申し上げることは難しいのだろうと思っています。形式的には、法に定められた目的が達せられたときということになります。すなわち、九・一一によってもたらされた脅威、その原因となる脅威が除去されたときということでございます。

 例えば、主要幹部の拘束状況、テロの組織やネットワークの規模や拠点の縮小、壊滅の動向、相互間の連携、交流阻止の状況、資金の状況がなくなった等々を総合的に勘案するような必要があるだろうと思っておりますが、実際にそのようなテロ攻撃の能力が喪失したというふうに、あえて言えば、皆がそういうふうに認識をする客観的な状況というものが現出するということが、この法の目的が達せられたということであろうというふうに考えております。

 テロの特殊性というものは、先生よく御案内のとおりでありまして、こうこうこうなったらということはなかなか申し上げられないことですが、そういうような状況がなくなったというようなことが現出されなければ、なかなかこの法の目的が達せられたということにはならないと考えます。

今川委員 もう時間が来ましたので終わりますが、たしか私の記憶だと、エジプトの外務大臣でしたか、今回のようなイラク戦争あるいはアフガンへの報復戦争、こういったことを大国アメリカがやると、かえって百人のオサマ・ビンラディンをつくり出すようなものだというふうなことを言っておられました。

 私もそう思います。このまま続ければ、恐らく、アメリカの御機嫌を損なわないように、ずるずると際限なくインド洋方面に派遣をし、国民の税金をむだ遣いするということになりかねない。そういった意味で、この特措法のあと二年間の延長には断固反対だということを申し上げて、私の質問を終わります。

衛藤委員長 これにて今川正美君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時七分散会




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