衆議院

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第4号 平成17年4月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年四月二十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 中谷  元君

   理事 三原 朝彦君 理事 渡辺 具能君

   理事 小泉 俊明君 理事 末松 義規君

   理事 藤田 幸久君 理事 佐藤 茂樹君

      宇野  治君    川上 義博君

      岸田 文雄君    斉藤斗志二君

      桜井 郁三君    竹下  亘君

      竹本 直一君    武田 良太君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      西村 康稔君    西銘恒三郎君

      馳   浩君    浜田 靖一君

      平沢 勝栄君    宮澤 洋一君

      山口 泰明君    稲見 哲男君

      大石 尚子君    大出  彰君

      岡島 一正君    吉良 州司君

      菊田まきこ君    楠田 大蔵君

      小宮山泰子君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    島田  久君

      下条 みつ君    神風 英男君

      首藤 信彦君    鈴木 康友君

      長妻  昭君    赤松 正雄君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     西銘恒三郎君

  市村浩一郎君     近藤 洋介君

  吉良 州司君     下条 みつ君

  本多 平直君     楠田 大蔵君

  牧  義夫君     小宮山泰子君

  照屋 寛徳君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     嘉数 知賢君

  楠田 大蔵君     本多 平直君

  小宮山泰子君     牧  義夫君

  近藤 洋介君     菊田まきこ君

  下条 みつ君     吉良 州司君

  東門美津子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田まきこ君     市村浩一郎君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 イラク派兵反対、自衛隊の撤退に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一〇七七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更等)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について政府から報告を求めます。大野防衛庁長官。

大野国務大臣 テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。

 テロ対策特措法に基づく基本計画の変更が、四月二十一日の安全保障会議を経た後、四月二十二日、閣議で決定されました。

 具体的には、基本計画上の協力支援活動等を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間を六カ月間延長し、平成十七年十一月一日までとすることといたしました。

 なお、あわせて、私が定めている実施要項についても、基本計画に沿った所要の変更を行いました。

 次に、今回の基本計画の変更に係る背景について御説明申し上げます。

 約三年半にわたる国際社会のさまざまな分野でのテロとの闘いの取り組みの成果として、世界各地で、多数のアルカイダ構成員と、アルカイダ幹部として知られている者の約四分の三が、死亡または拘束されております。

 また、軍事面での成果のみならず、テロリストの温床であったアフガニスタンにおいては、昨年十二月にはカルザイ大統領が就任し、また、本年九月には議会選挙が予定されるなど統治体制整備のプロセスが着実に進展しており、同国の復興に向けた成果が上がっているところであります。

 しかし、ウサマ・ビンラディン、ムラー・ムハンマド・オマルといったアルカイダ、タリバンの指導者はいまだ捕捉されておりません。また、昨年八月のトルコ・イスタンブールにおけるホテル爆破テロ、昨年十二月のサウジアラビア・ジェッダにおける米総領事館襲撃など、アルカイダの関与が疑われているテロが世界各地で発生しており、依然としてアルカイダの脅威は高いものと考えております。

 このようなテロの脅威に対し、米軍等は、アフガニスタンの南部から東部の国境地帯を中心に、アルカイダ、タリバンの残党の追跡、掃討を継続いたしております。これと並行して、米軍等は、アラビア海等において、テロリストや武器弾薬等の関連物資、テロの資金源となる麻薬等が海上を移動することを阻止することによりテロの脅威が拡散することを防止するための活動、すなわち、海上阻止活動を継続いたしております。

 約三年半に及ぶ海上阻止活動は、これまでに、アルカイダと関連の疑いがある乗組員の拘束、テロリストの資金源となる武器や麻薬類の押収などの具体的な成果を上げるとともに、海上におけるテロリスト等の活動を阻止する抑止効果を果たしてきました。

 このように、インド洋上におけるものを含め、テロとの闘いは依然として続いており、各国が足並みをそろえてこの問題に取り組んでいる状況にあります。

 このように、残存するアルカイダ等によってもたらされている国際テロの脅威が今も除去されていないことから、政府といたしましては、国際テロ根絶のための取り組みに引き続き寄与すべきとの考えのもと、冒頭に申し上げたとおり、基本計画について所要の変更を行ったところであります。

 次に、これまでに実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の活動実績について申し上げます。

 協力支援活動につきましては、現在、海上自衛隊の補給艦「とわだ」及び護衛艦「しまかぜ」「ゆうだち」がインド洋北部において活動中であり、これらの艦艇を含め、派遣された艦艇はこれまで延べ四十五隻に上ります。これらの艦艇により、平成十三年十二月二日以降本年四月二十五日までの間に、米、英、フランス、カナダ等の艦艇に艦船用燃料を五百九回、約四十万キロリットル提供し、その総額は概算値にして約百五十六億円となっております。また、昨年十一月以降は、艦艇搭載ヘリコプター用燃料を十七回、約三百キロリットル、水を十六回、約九百トン補給いたしております。

 また、航空自衛隊につきましては、C130H型輸送機等により、平成十三年十一月二十九日以降本年四月二十五日までの間に、計二百七十三回の国内及び国外輸送を行っております。

 このようなテロ特措法に基づく我が国の努力は、国際的なテロリズムの防止や根絶のための国際社会の取り組みに積極的、主体的に寄与するとの意義を有することはもちろん、日米安保体制を緊密かつ実効性のあるものとする上でも極めて重要な意義を有するものと考えております。我が国の活動に対しては、米国政府やアフガニスタン政府を初めとするさまざまな国などから謝意の表明がなされるなど、国際社会からは高い評価を得ているところであります。

 最後に、防衛庁といたしましては、テロ対策特措法に基づく基本計画が今般変更されたことを受け、さらに一層、国際テロ根絶のために国際社会の一員として責任を果たし得るよう、また、国民の期待にもこたえることができるよう全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、委員各位におかれましても御理解、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

船田委員長 これにて報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛施設庁長官山中昭栄君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省北米局長河相周夫君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君及び外務省経済協力局長佐藤重和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長大古和雄君。

大古政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 四月二十六日に第六次イラク復興支援群の派遣命令を発出しました。六次群は、五月中に出国し、五次群から業務の引き継ぎを受け、人道復興支援活動等を実施します。

 現在、サマワの陸自部隊においては、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県内のサマワにおける養護施設の補修、サマワにおける低所得者用住居の補修、サマワ、マジット、スウェイル、ナジミ、ワルカ及びルメイサにおける学校補修、サマワにおける道路整備、ワルカにおける浄水場補修等を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで一日当たり三百名から千名程度の雇用を創出しているところです。また、病院における医療活動も引き続き実施しています。

 四月十三日以降のサマワ周辺の情勢については、本日まで特筆すべき事案は発生しておりません。

 現地部隊においては、引き続き安全確保に細心の注意を払いつつ活動を実施してまいります。

 現地時間四月二十四日夕方、オーストラリア軍の先発隊が、サマワのイギリス軍の宿営地であるキャンプ・スミッティに到着しました。現地部隊においては、イギリス軍及びオーストラリア軍と緊密に連携をとりつつ活動を実施してまいります。

 航空自衛隊の部隊については、四月十三日から二十六日までの間、我が国からの人道復興支援関連、陸自関連及び関係各国、関係機関等関連の人員の輸送を計二回実施したところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

船田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢について御報告いたします。

 まず、政治プロセスにつきましては、四月に入り、大統領、首相及び国民議会議長が各政党・会派間のバランスをとる形で決定されました。イラクの民主化に向けた重要な一歩であり、我が国は、イラクが新たな段階に入ったことを示すものとしてこれを歓迎しています。目下、移行政府発足に向けた最終調整が続けられているものと承知しています。我が国としては、移行政府の早期発足を期待しています。

 次に、治安情勢につきましては、脅威の度合いは地域により異なるものの、駐留多国籍軍・イラク治安部隊と武装勢力の衝突、車爆弾、ロケット弾等によるテロ等の事案が発生しており、依然予断を許さない状況です。

 イラク暫定政府は、昨年十一月七日、北部のクルド地域を除くイラク全土に対し非常事態を宣言しましたが、同宣言はその後国家治安維持令に基づき四回延長され、五月五日まで効力を有することになっています。

 サマワについては、予断は許さないものの、イラクの他の地域と比較して安定している状況に変化はありません。

 最後に、サマワを含むムサンナ県の最近の動きについては、四月二十四日、オーストラリア軍の先発隊がサマワのイギリス軍キャンプに到着しました。今後とも、イラク人道復興支援が適切に実施できるよう、イギリス、オーストラリア両国と緊密に協力してまいります。

 以上で報告を終わります。

船田委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川上義博君。

川上委員 自民党の川上でございます。

 我が国の安全保障の上で、イラクとは直接関係はないわけでありますが、外務大臣にちょっとお尋ねしたいことがあります。

 国民党の連戦主席が中国を訪問されたわけで、出国の際にいろいろな騒ぎがあったわけでありますが、このことについて、東アジアの平和と安定にどのような影響を及ぼすのか等につきまして、町村大臣の御所見をまずお伺いしたい。

町村国務大臣 連戦主席を代表とする中国国民党訪問団が、二十六日から五月三日までの日程で、上海、北京、南京等を訪れるというふうに聞いておりますし、また、胡錦濤国家主席等との会談も予定をされているというふうに聞いております。

 日本政府としましては、この訪問が中台関係の緊張緩和に資するものであれば、それはそれで歓迎すべきことと思いますが、どういうふうに今後展開をしていくのか予断を許さないところもありますので、今後の動向には注目をしたい、こう考えております。

 なお、台湾の問題につきましては、伝統的に長きにわたって、私どもは、平和的な話し合いによって両当事者間の問題が解決されることを強く希望するということを申し上げているところでありまして、そういう意味で、今回のこの連戦主席の訪中が、もしそういう方向で、より両当事者の話し合いに資するということであるならば、それは歓迎をしたいと考えております。

川上委員 再質問するつもりはなかったんですけれども、実は、これは台湾内部の政治的分断を多分ねらっているんだろうという向きもあります。それは、そういうこともあるというふうにお考えですか。

町村国務大臣 委員御指摘のような面があるのかないのか、外務大臣という立場で、余りそれぞれの国の内情に立ち入った話は差し控えた方がいいんだろうと思います。そういう見方があるということは私も承知をいたしております。

川上委員 では、イラクの問題についてお伺いします。

 今回のイラクの派遣は、当然軍事上の派遣ではない、あくまでも人道復興のための派遣である、いわば政治的な派遣であるというふうに私は認識しておりますが、長官はどうでしょうか。

大野国務大臣 我々、自衛隊を派遣しておりますけれども、自衛隊はあくまでも人道復興支援活動に従事する、こういうことで、治安その他の維持の面では自衛隊は従事いたしておりません。そういう意味では、明らかにおっしゃるとおりでございます。

川上委員 軍事的な派遣ではないというのは共通の認識でありますが、しからば、犠牲者が不幸にして発生した場合に、これは自衛官の犠牲者に対しては、戦死者なんですか、あるいは犠牲者なんですか。

 要するに、戦死者というのは、あくまでも危険を承知で、事を想定しているわけです。犠牲者というのは、危険を伴っているとは思わない、要するに巻き添えを食った、今回の大事故もありますけれども、そういったことだろうと思いますが、今回の自衛官に何か事故があった場合は、これは戦死者ですか、犠牲者ですか。

大野国務大臣 戦死者あるいは犠牲者という言葉を使いました場合に、戦死者あるいは犠牲者という言葉は法律上の言葉ではありません。そのことは、川上委員、十分御存じのことだと思います。法律上の言葉で言いますと、公務上の死亡という言葉になるわけであります。

 一言申し上げますけれども、イラクに派遣されている自衛隊諸君は、絶対に万が一のことがないように防衛庁長官が安全には責任を持っているわけでございます。自衛隊員が万が一のことがないように、私も安全確保には十分努めていきたいと思っておるところでございます。

 したがいまして、御指摘の、戦死者についてということで言うのではなくて、どういうふうに申し上げましょうか、イラクの復興支援というとうとい仕事に携わっている方々が万が一亡くなった、こういう場合にも、万が一ということは絶対避けるように努力いたしますが、戦死者とは我々は言いません。

川上委員 要するに、公務上の事故、国家公務員としての事故で、戦死者ではないというふうなことは明快な答えがあったわけでありますが、自衛官から見れば、公務上の事故だというふうに位置づけられるのが果たして本当に誇りの持てることになるのだろうか。国のために犠牲になった、それを戦死者と呼ばずして、本当に誇りが持てるんだろうか、彼らに対する誇りを我々も持てるだろうかということが私はどうもあると思うんですけれども、そのあたりはどうお考えですか。

大野国務大臣 自衛隊の諸君には、先ほども申し上げましたとおり、イラクの復興、こういう極めて、世界の平和と安全、そして国際社会が協力し合いながら頑張っている仕事に参加してもらっているわけであります。しかも、その上に、自衛隊がやっております人道復興支援活動というのは、地元の方々に大変な共感を呼び起こしている、地元からも歓迎されている仕事でもあります。

 私は、自衛官の皆様と話をし、いろいろな情報を得た限りにおきましては、彼らは真剣な態度で誇りを持って仕事をしている、このように信じております。

川上委員 昔、多国籍軍には指揮権が、例えば日本軍に対しても指揮権があるのか、いや、指揮権は日本軍にあるんだ、単なる指図権はあるかもしれないというふうな議論があったわけでありますけれども、実は、作戦統制権、オペレーショナルコントロールというものが何かあるようでありまして、これは、指揮下にない部隊、要するに多国籍軍の指揮下にない部隊をある特定の作戦または行動に関して統制することとあるわけなんですね。

 日本はこの指揮権に入ってはいなくて、何らかの形で協力することがあるかもしれないという話がありましたけれども、仮に宿営している自衛隊の中に何らかの混乱が生じた場合、これは、周辺のオーストラリア軍あるいはイギリス軍の指示とかそういうことは受けないで、混乱が生じた場合、独自な行動をして独自の判断をする、そういうことで理解してよろしいですか。

大野国務大臣 日本の自衛隊の宿営地内で起きたことにつきましては、すべて自衛隊で管理、指揮すべきことでございます。おっしゃるとおりでございます。

川上委員 いや、宿営地内の混乱というのはそうでしょうけれども、周辺の混乱があった場合です。

大野国務大臣 まず、基本的なことを申し上げて恐縮なんですけれども、多国籍軍には入る、ただし、その指揮管理は受けない、こういうことでございます。そのことは、昨年六月の閣議で決めておるわけでありますけれども、「統合された司令部の下にあって、同司令部との間で連絡・調整を行う。しかしながら、同司令部の指揮下に入るわけではない。」このように書いておるわけであります。

 このことは、申し上げますと、多国籍軍に参加しないとイラクにおける自衛隊の法的ステータスが問題になってくる、こういうことで多国籍軍に入るわけであります。そこで、連絡調整を行うというのはどういう意味かといいますと、治安情報をとるとか、あるいはいろいろな、例えばオランダ軍も建物の補修をやっておりました。だから、補修についてもお互いに調整しなきゃいけない、こういう仕事があるわけであります。

 そして、さらに大事なことは、指揮監督のもとには入らない、指揮下には入らない、これでありますけれども、もし多国籍軍の指揮に入りますと、例えばあそこの治安状況が悪いから治安維持のために武力行使をするというような指揮を受けましたら大変なことになりますから、これは、外国へ行って武力行使あるいは武力行使と一体となるような行動はしない、こういう意味で指揮下に入ることはありません。

 したがいまして、いかなる場合でも、治安上の問題、混乱が生じている場合におきましては、イギリスやオーストラリア軍の指揮下に入ることはございません。現地の治安維持に責任を有する英軍またはオーストラリア軍と密接な連絡調整はいたしますけれども、その指揮下に入るということは絶対にありません。

川上委員 時間がないので、次の質問に入ります。

 町村大臣に、三十五億ドルの円借款の使い道はまだ未定でありますけれども、いつまでも、自衛隊が未来永劫あそこにとどまっているというわけにいかないわけでありまして、スムーズにODAに移行しなければいけないと思います。この三十五億ドルの使い道をどのように、この分野とかあるいは地域に、どのような形で想定されているのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 イラクの中長期的な復興需要、これに対しましては、基本的には円借款という形で、今委員御指摘の最大三十五億ドルまでの支援を行っていこうという基本方針を持っております。対象分野としては、電力、教育、保健医療、水・衛生などの分野に加えまして、電気通信とか運輸といったインフラ整備を視野に入れているところでございまして、こうした支援はことしから二〇〇七年までを中心にできるだけ実施していきたい、こう考えております。

 もちろん、現地の情勢というものを見ながらやらなければなりませんし、また、現在行っている無償資金協力、約十五億ドルあるわけでございますが、これと継続性を保ちながら進めていくということが必要であろうと思います。そういう観点から、二回、JICAを中心とする調査団を、直接イラクには送れませんものですから、お隣のヨルダンのアンマンに派遣しておりまして、最近のものは昨年の十二月からことしの三月まで調査を出しまして、今その調査結果を取りまとめ中という段階にございます。

 こうしたものの取りまとめぐあい、あるいは先方の政府との相談をしながら、この三十五億ドルをまさにイラクの国民の生活の向上、安定に役立てていくように有効に使っていかなければいけない、かように考えているところであります。

川上委員 時間が参りましたが、お許しを得て、最後にもう一点御質問をしたいと思います。

 今、日本は常任理事国入りを目指しているわけであります。イラクへの自衛隊の派遣が常任理事国入りに有効に働いているというふうに思われますかということが一つと、常任理事国入りの目標というのは、拒否権のない常任理事国というのは、私は考えられないと思っているんです。単なる常任理事国で拒否権がなかったら、何のための常任理事国なのかなという思いがあるわけですが、大臣は、究極の目標というのは、あくまでも拒否権を付与した、拒否権が伴った常任理事国入りが理想であって、それが目標であるというふうにお考えでしょうかということを最後に御質問したいと思います。

町村国務大臣 今般のイラクに対する自衛隊の派遣あるいはODAの供与というようなことは、まさに安保理の決議を踏まえた日本の行動である。そういう意味で、国際社会の有力な一員として当然果たさなければならない義務であると同時に、また、そうした平和あるいは人道復興支援というものを一生懸命日本が努めていくということを、国際社会の皆さん方は私はきちんと評価をしてくれるだろう、こう思っております。

 これまでも、イラクだけではなくて、アフガニスタンあるいは東ティモール等々でもいろいろな活動をやってまいりました。こうしたものの積み上げが安保理常任理事国入りに幅広い目で見た場合にはつながっていくんだろう、こう考えております。

 拒否権つきであるか否か、これは今、国連改革の中で国際的にも大変大きな議論になっているところでございます。三月に出されましたアナン事務総長の報告の中には、新たに加わるであろう常任理事国の拒否権については否定的な見解が述べられております。それは多分に、現在の五つの常任理事国は、新たに参加する常任理事国に全く同様の権限を付与するということについては、まあ想像するにかたくないのでありますが、消極的なんであろうということが言えるわけであります。

 では、理想の形は何かと今委員お尋ねでございますが、それは、常任理事国に何種類もあっていいということではないんだろう、こう思っておりまして、そういう意味では、私どもも、拒否権がある常任理事国がもちろん望ましい、こう考えております。

 ただ、現実に、いろいろな国々の賛同を得るために、いろいろな柔軟な発想というものも、国連改革全体を進めるために、あるいは安保理改革を進めるために、余りしゃくし定規になってもいけないのかなというような面もありまして、その辺は、国連の加盟国のいろいろな議論の帰趨というものを見きわめながら、慎重に考え、対処していく必要があるんだろう、かように考えております。

川上委員 ありがとうございました。

船田委員長 次に、丸谷佳織さん。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日は、政府が四月の二十二日に閣議で決定をいたしましたテロ対策特措法に基づく基本計画の半年間の延長の変更について、賛成の立場から幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 この半年間の延長、至極当然のことというふうに考えております。理由としましては、アフガニスタンにおけます民主化の進行の度合い、また治安の状況を見ても、まだ各国、国際社会の関与を必要としている、援助を必要としているということは明白でございますし、また、国際協調の中で日本の果たす役割も重要であると認識をしているからでございます。

 最重要課題と言ってもいいと思いますけれども、テロの撲滅ということ、またテロの温床になるところをつくらないという点におきまして、今まで実際にどのような成果を上げられてきたのか。この点については、冒頭の長官のお言葉もございましたけれども、もう少し詳しく説明をしていただければというふうに思います。

 冒頭、長官がお話しになったことの最後の方で、国際テロ根絶のために国際社会の一員として責任を果たし得るよう、また、国民の期待にもこたえることができるように努力をしてまいりたいというお話がございました。実際に日本国民、自衛隊の活動、また日本の国際社会における貢献のあり方というのは、非常に期待もしております。ただ、残念ながら、次第に国民の意識も少しずつ薄くなってきているような気も私自身はしております。

 この厳しい気象条件の中で、夏は特に厳しい条件の中で、実際にテロの撲滅、国際協調ということで頑張っていらっしゃる自衛隊の皆様の活動に対しても、もっと国民の理解が得られるように情報発信をしていく必要があると思う観点から、今までの成果等について長官から一言いただきたいと思います。

今津副長官 長官から御答弁をということでございますけれども、恐縮ですけれども、私の方から答弁をさせていただきます。

 テロに対する姿勢というのは今議員の方から言っていただいたとおりでございまして、我が国においてもできるだけ御支援をさせていただくということで、この特措法を議決し、今までも活動させていただいているところでございます。

 海上自衛隊におきましては、現在、インド洋北部において、補給艦一隻、「とわだ」という名前でありますが、及び護衛艦二隻、「しまかぜ」「ゆうだち」が活動中であります。また、協力支援活動として、平成十三年十一月より十七年四月二十五日までに、艦船用燃料をアメリカ、イギリスなどに合計五百九回、約四十万キロリットル提供いたしております。また、艦艇の搭載ヘリコプター燃料につきましては、アメリカ、パキスタン、イタリア、イギリスなどに合計十七回、約三百キロリットル提供いたしております。また、真水は、パキスタンに合計十六回、約九百トン提供させていただいております。

 また、航空自衛隊としては、協力支援活動として、C130、そしてC1及びU4型機により輸送を実施いたしておりまして、国内輸送を二百五十八回、国外輸送を十五回実施いたしております。

 これらのテロ特措法に関する海上阻止活動との関係でありますが、こういう協力をさせていただくことによって、テロに対する我々の姿勢というものを明確にさせていただく中で日本の役割を果たしている、そういうふうに自負をいたしております。

丸谷委員 今実際に具体的な数字を挙げて、今までの実績として御説明をいただきました。

 ただ、もう少しお伺いをしたかったところは、数、数量的なものは十分に理解をするわけなんですけれども、実際の実績と、その実績による目的の達成度といいますか成果というのはまた若干聞きたいニュアンスが違うところでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。

今津副長官 成果の件でありますが、そのような活動をしている中におきまして、例えば具体的にいきますと、昨年の五月には、ダウ船というところから約五百五十丁の銃が発見された。また、本年三月には、約六千ポンド、約三トンの麻薬が発見された。これは一例でありますけれども、このような事例でありまして、不朽の自由作戦として、最近一年間だけでも約四万一千回の無線照会及び約九百五十回の乗船検査を実施いたしておりまして、このような海上阻止行動はテロリストの海上移動の抑止に大変大きな効果を発揮している、そういうふうに自負いたしております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 大野防衛庁長官の閣議後の記者会見の中で、最近の傾向として、実際に供給する回数は変わっていないけれども、数量的に見ると減ってきているといったような御発言がございました。これを自然に解釈しますと、供給する対象の規模が減ってきている、日本が供給する相手側の規模が少なくなってきているので供給する量も減ってきているのかなというふうに私は理解をしているわけでございますけれども、もしそのニーズ、需要が減ってきているのであれば、海上自衛隊の活動規模も自然と縮小をしていくことが可能なのではないかというふうに考えております。

 現時点で海上自衛隊の規模の縮小についてどのような見解を持っていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたします。

大野国務大臣 お尋ねの、回数と供給量、あるいはそれに要する費用の問題でございますけれども、回数は当初から減っておりません。ある一定期間をとりますと、今も一定期間内では何回と、具体的には申し上げませんけれども、ほとんど回数は減っていません。ただし、供給量は大体五分の一程度に減っている。金額でいいますと、四分の一程度に減っている。

 このことは、需要が減ったということではありますけれども、活動が減ったということでは必ずしもありません。活動している艦船が小さくなってきた、したがって必要な油が少なくなってきた、こういうふうに御理解いただければいいかと思います。

 そういう意味で申し上げますと、今回、丸谷委員おっしゃるとおり、日本の海上自衛隊の艦船も少し考えたらどうか、こういうことでございますが、御存じのとおり、基本計画においては補給艦一隻、それから護衛艦二隻以内となっておりまして、実施要項において補給艦一隻、護衛艦二隻というふうに決めて、実施しておるところでございます。

 この基本計画なり実施要項というのは、いわば現地のニーズ、現状をきちっと踏まえて、さらにもう一つ大事なことは、自衛隊の活動に差し支えない範囲で、こういう問題もありますので、派遣部隊の交代時期には、今丸谷委員がおっしゃったような問題も含めて、新たに適切に判断してまいりたい、このように思っているところでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 では、時間もございませんので、もう一つお伺いをさせていただきたいと思います。

 このテロ対策特措法に基づく基本計画の延長を考えた場合に、本年の十一月には時限立法であります本法律の期限が来るわけでございます。そのときに、実際に今回の基本計画を延長するということはまだ必要性があるから当然延長するわけでございまして、では、本年十一月の本法律の期限を迎えるときにはどうなんだろうということを考えざるを得ません。

 私自身、本法律に基づく自衛隊の活動につきまして、ちょうど二年前になりますけれども、現場を視察させていただく機会がございました。実際に、広い海でございますけれども、そこに各国の艦船が出ていて、そういった各国の艦船と一緒に国際社会の中でテロに対応している我が国の海上自衛隊の姿を見ると、法律の期限が切れましたのでそれでは帰ります、そういう単純な問題ではないだろうなというような認識を持っております。

 しかしながら、実際に、先ほど長官もおっしゃいました、ニーズに合わせて規模の縮小も検討に入れながら、十一月には延長するのかどうかという判断を迫られることにおきまして、単純にイラク特措法と比べることは、これは活動内容も場所も全然違うわけですから余り可能なことではないかもしれませんけれども、例えばイラク特措法と比べますと、自衛隊の撤退条件ということは、本委員会で我が党の佐藤茂樹委員も御紹介させていただきましたが、我が党の神崎代表から四つの条件としまして、人道復興支援の目的が達成されたときには自衛隊は撤退をする、イラク暫定政府の同意を得られなくなったときに撤退をする、あるいはサマワが非戦闘地域でなくなったとき、そして自衛隊の安全確保ができなくなったときに撤退をするといったようなことを提案させていただきまして、総理も賛同をしていただきました。

 こういった具体的な条件、どのような条件が満たされたときにこのテロ対策特措法の終了を考えることができるのか、この点についてはどのような見解を持っていらっしゃるかお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 丸谷先生には、御自身の目でテロ特のもとで活動している自衛艦を御視察いただいて、その上での御質問、ありがとうございます。

 基本的なことで恐縮なんですが、まず私が申し上げたいこと、それは、テロとの闘いは、地球上に住む、平和を愛し民主主義を信奉するすべての人類の共同の、共通の闘いである、私はこのように思っております。

 したがいまして、第一に申し上げたいのは、テロの脅威がこの地域から排除されたのかされないのか、こういう点は十分検討しなきゃいけない。それから第二には、排除されていない場合に、支援のニーズがあるのかどうか。我が国がやっている支援活動というのは、艦船の油、ヘリコプターの油、そして水の供給でございます。そういう需要があるのかないのか、これも見ていかなきゃいけない。そして、何よりも大切なのは、先ほど申し上げましたように、テロとの闘い、これを国際社会の協力の中で続けていく、このことだと思います。したがいまして、国際社会の状況、動向を見きわめていかなきゃいけない、大ざっぱに言いますとこういう三つの問題があるのかな、このように思っております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 実際に、本年の秋には延長するか否かの判断を迫られるときに、今長官におっしゃっていただきました三つのポイントも含めながら考えていくとともに、国際社会からのテロの撲滅というのは非常に重要なことであり、また見きわめも難しいでしょうし、規模も大きいということから考えて、テロとの闘いは引き続きの課題としながら、テロ特措法でやるべきものなのか、また、ほかの貢献でできるものがあるのか等も見きわめながら判断をしていかなければいけないというふうに私自身の考えも申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。端的に御答弁いただければ幸いでございます。

 まず、テロ特の本題に入る前に、中国、韓国で今ございます反日運動といいますか、そういう状況について、町村大臣と大野長官に、その理由は何なのか、お考え、お答えをそれぞれいただければと思います。

町村国務大臣 デモが最初に起きた直接的な、インターネット等での引き金といいましょうか、それはたしか常任理事国入り反対というのが一番最初にうたわれたと記憶をいたしております。その後、いろいろなスローガンが並び始めました。日貨排斥でありますとか、あとは尖閣の話あるいは小泉靖国参拝等々、いろいろ並んでおりました。

 私は、そういう意味で、理由のいかんを問わず、破壊活動、暴行はいかぬということを申し上げたわけでありますが、それに対する先方、外交部長あるいはトウカセン国務委員の話は、それには答えずに、根っこの根本は歴史認識と台湾だ、こういうような認識を先方から示されたということでございました。

大野国務大臣 町村外務大臣がおっしゃったとおりでありますけれども、中国側でございますが、特に歴史に対する認識の問題、靖国の問題、こういうことに焦点を当ててそういう行動に出たのかなと思います。

 この際一番大事なことは、私はやはり、お互いの人的交流を通じて両国の間に信頼関係を築き上げていく、このことに我々は今から努力していかなきゃいけないんだな、こういう感想を持ちました。

長妻委員 これは韓国の小学校で使っている教科書でございまして、国会図書館から取り寄せたものです。これは、コピーですけれども、中国の小学校で使っている教科書でございますけれども、町村大臣、こういう教科書を読んだことはございますか。

町村国務大臣 私は二回文部大臣を務め、特に前回文部科学大臣になったときに、この教科書問題、まさに担当していたものでございます。その過程で、日本の教科書は、すべてかどうかわかりませんが、かなり数多く読んだ記憶がございます。また、その議論の過程で、どうしても先方の、これは国定教科書でございますが、もちろん学年によって違ったりしますから、これもまた、全部とはあえて申し上げませんが、かなりの数の教科書に目を通した記憶がございます。

長妻委員 私も、今回、じっくりと、韓国の小学校で使われている教科書あるいは中国の小学校で使われている教科書を読みましたけれども、やはり日本との認識のギャップというのが、国はそれはギャップがあって当然だと思うんですが、かなり激しく認識の度合いが開いているというふうに思っておりまして、相手の国がどういうような形で子供たちに教えているのか、その中身を熟知するというのも外交上必要だと思っておりまして、多くの皆さんがこういう認識を持って見るというのは必要だと思います。

 ただ、教科書を、過度に指摘したり削除を求めたりというのは、私は内政干渉になる可能性があると思いますので、お互いにそこは認識するということをまず進めていく必要があるというふうに考えております。

 そして、テロ特措法が、基本計画ですね、半年延長になるというようなことが閣議決定されました。

 今お配りした資料でございますが、一ページ目に、これは外務省におつくりをいただいたものでございますけれども、外務省がつくった資料によると、アルカイダまたはアルカイダ関連組織が関与した可能性のある主要なテロ事件ということで、これだけ、ことしに入っても、二月十四日、フィリピン・マニラにおける同時爆弾テロ事件というようなことがございます。

 このテロ特措法基本計画半年延長でございますが、このようなテロが続いている、二月にもあった、だから延長が必要なんだ、こんなような理解でよろしいんですか。

大野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、やはりテロとの闘いが続いている、おっしゃるとおりでございますし、実際にニーズもあります。こういうことから、国際社会の、テロ掃討、テロを退治する作戦に日本としても参加する、この決意のあらわれでございます。

長妻委員 ということは、やはり明確にしないといけない部分がかなりこのテロ特措法にはあると思うんですが、アルカイダ及びアルカイダ関連組織が関与した可能性のあるテロ事件、こういう事件がなくなったときに、基本的にはその延長というのはもう必要がなくなる、こういうようなことでございますか。

大野国務大臣 テロがこの地球上から掃討されてしまった場合には、そういう必要性はなくなると思います。

長妻委員 ちょっと今の答弁はかなり範囲が広過ぎると思うんですね。テロが地球上からなくならない限り延長するような御答弁。

 例えば中南米でもテロは起こっておりまして、アルカイダ関連のテロ、こういう限定ではないんですか。

大野国務大臣 言葉不足で申しわけありませんでした。おっしゃるとおりでございます。

 したがって、テロ特措法に基づいてあの地域でやっております、タリバン、アルカイダの脅威がなくなったとき、こういう意味であり、かつまた、仮にそういう脅威が若干残っていたとしても、日本がやっているような活動のニーズがなくなってくる、こういう場合もあろうかと思います。しかし、基本的には、テロとの闘い、国際社会が四十数カ国やっているわけですから、そういう国際社会の中で、日本としてもテロ対策をしっかりやっていく、こういうことでございます。

長妻委員 そもそもこの根拠となるテロの一ページ目の事件でございますが、これは町村大臣にお伺いしますけれども、外務省が、これはアルカイダあるいはアルカイダ関連組織が実行したテロだ、こういうふうに確認しているものはこの中でどれでございますか。

町村国務大臣 アルカイダは、御承知のように、九・一一の同時多発テロ事件以前から、いろいろな各地のテログループへの資金提供でありますとか、アフガニスタン国内でのテロ訓練キャンプ等の訓練を通じまして、ある種の世界的なテロのネットワークをつくっているという状況にございます。したがって、彼らの活動範囲は、アフガンにとどまることなく、世界各地に分散をしているということでございます。

 今、厳密に、この資料にアルカイダ関連と書いておりまして、完全にこれがそうであるとどこまで断定できるのかということを申すのは難しい面もあります。しかし、事件の後の犯行声明等々によりまして、相当関与しているということが言えるであろうというものが、ここに書いてありますアルカイダ関連ということで、二〇〇二年、三年、四年、五年に至るまで、こうしたものがそれぞれ関与が疑われるという意味でここに列挙をしてあるところでございます。

長妻委員 私も事務方の方からお話を聞くと、ここにも外務省の「注」ということで書いてありますけれども、報道ベースで参考までに取りまとめたものだということで、なかなか確認というのは情報網も含めてできないというようなお話がありました。やはり日本の国として、情報収集という意味ではこういう情報力も強めていく必要があるというふうに思いますので、ぜひ大臣、その部分をよろしくお願い申し上げます。

 そして、二ページ目でございますけれども、これは、インド洋に展開をしております日本の艦船が米軍から指名手配表のようなものをもらって、怪しい船はこういうものだ、それで船の名前のリストももらって、それを発見した場合は連絡くださいね、こういうようなことを依頼されて日本の艦船がインド洋上で展開しているわけでもございますけれども、そのような連絡はこれまで何回ぐらい米軍にしましたか。

大野国務大臣 情報を共有するということは大変大切なことであります。したがいまして、いわばブラックリストみたいなものをお互いに持っている。

 ブラックリストに該当するものが、全体で、十五年二月以降でございますが、二十七回、こういうことでございます。

長妻委員 この二ページ目に、防衛庁にまとめていただいた資料で、平成十三年十一月からインド洋上に展開しているわけでございますけれども、十五年の一月までの記録はないということでございます。

 こういうような業務は、三ページ目にテロ特の基本計画がございますが、ここに業務がいろいろ書いてございますけれども、このテロ特措法に基づく基本計画の中の業務として入っているものでございますか。

大野国務大臣 お尋ねの件でございます。

 そういうような情報を共有するか、情報の連絡をするかどうか、このことは、基本計画にも実施要領にも書いてございません。しかしながら、ある行動をともにするときは、情報を共有する、情報を交換する、これは我々は当然のことだと思っております。

長妻委員 情報を共有するというのは当然のことだと私も思いますけれども、ただ、このケースは、米軍から指名手配表をもらって、そこに出ている船を発見した場合は通報をくれ、こういうような意向、要請を受けて、それに基づいて活動しておりますので、この基本計画の中に、協力支援活動の中に入れても、別にこれは当然入れてもいいわけでございますので、透明性を高めるという意味では、そういう業務もきちっと今後入れていただくということを、ほかにもそういう業務があれば要請をしたいと思いますが、いかがでございますか。

大野国務大臣 私どもは、情報の交換というのは、同盟国、パートナー同士の間では当然のことだと思いますし、今委員も、それは常識的なことだとおっしゃいました。

 しかし、では、それを入れたらいけないかといいますと、そのことは入れてもいいわけでございます。検討させていただきます。

長妻委員 そして、五ページ目でございますけれども、イラクのサマワに取材ツアー。これは防衛庁が企画されて、二泊三日の予定で、参加の記者が十六人、新聞、テレビ、通信社ということで、平成十七年四月二十三日が出発予定とされておりましたけれども、その五日前の十八日の月曜日、突然中止になったというようなことがございました。

 実は記者は、昨年の四月十五日から、イラクから退避しなさい、こういうような要請を受けて、取材ができていない。つまり、サマワでの自衛隊の活動というのが広く国民の皆様に、現在の活動がなかなか知られるすべがないということでございます。

 この時系列的な五ページの表でございます。三月二十五日に防衛庁より記者への案内、三月三十日に人数など締め切った、四月五日に氏名を確定して、十六人行きますよ、そして四月十八日、防衛庁より中止発表。この時系列表というのは間違いございませんか。

大野国務大臣 時系列表、間違いございません。

長妻委員 そうしますと、どうして直前に中止になったのか。常識的に考えると、何らかの治安の悪化が、何か急変したのかなとも思ってしまうんですが、これは理由は何でございますか。

大野国務大臣 イラク・サマワで自衛隊が活動しておりますけれども、この自衛隊の活動、人道復興支援活動でございます。しかも、その活動ぶりは地元の住民の皆様の大変な共感を得ている、すばらしいことであると思っています。こういうソフトパワーの活動こそ国民の皆様に知ってもらいたい活動だと私は思っております。

 したがいまして、昨年十二月三日だと記憶しておりますが、私自身、サマワを訪問した際も、マスコミの皆さんと一緒に行きたい、こういうことを申し上げましたけれども、ちょっといろいろな準備が間に合わなかったもので、こういうことを考えておいてくれというふうに事務方に指示しておりました。私は、そういう意味で、国民の皆様にこの活動をぜひとも見てもらいたい、この気持ちは強く持っております。

 ただ、具体的な日程が私のところへ出てまいりましたのが、たしか十四、五日だったと思いますけれども、十八日に延期を決定する前の週の木曜日だったと思います。そのとき事務方に注意をいたしましたのは、今まさにイラクのサマワで、オランダ軍からイギリス軍にかわり、そしてまたそのイギリス軍の中にオーストラリアの軍が入っていく、そういう編成がえの時期でありますから、やるならばもう少し先に延期してくれぬか、延期を考えてくれないか、検討してくれと言ったわけであります。

 なぜそういう発想になるか。そういう編成がえのとき、やはりいろいろな意味で少し普通の状態と違いますし、何らかのまた事案が起こってもいけないなという気がしたわけでございます。

 その結果、事務方の方も十分検討してくれまして、十八日、月曜日だったですか、延期を決定した。中止じゃなくて、いつかは行ってもらいたいと思っていますから、延期させてくれということで決定をさせていただきました。

長妻委員 ぜひ安全を確保した上で、確認され次第、記者の皆さんにも見ていただくというのが必要だというふうにも思っております。よもや、四月の二十四日が補欠選挙の投票日、何かそこに関連するということでの決断ではないというふうに思いますけれども、ぜひ早目に、安全確保が確認できた上で推進をいただければというふうに思います。

 そして、もう一点でございますけれども、イラクで実際に今自衛隊の皆様方が活動をされておられる、本当にその安全には十分気をつけていただきたいというふうに心から願うわけでございますけれども、九ページでございます。

 いろいろな意味で日本は、憲法、法律を含めて自衛隊の行動が規定をされております。これは一つの想定でございますけれども、例えばでございますが、イラクで今自衛隊が活動をしている。そこから五百メートル程度離れた他国軍が、その他国軍だけが攻撃を受けている。それで、そこの軍隊から無線等で救援の要請が自衛隊に来た場合、これは助けに行くということはできるんでございますか。

大野国務大臣 助けに行くということがどういう行動を伴うのかという問題があります。

 仮にこの問題、言ってみれば、武力行使はできない、武力行使と一体となる行為はできない、これが大原則でありますから、そういう意味で、例えば多国籍軍が五百メートル先におって、そしてそれが敵方に、相手方に攻撃されている。その敵を討ちに行くことは絶対にできません。それから、例えば避難してくる多国籍軍の人々に救援、救援というか早く避難できるように何らかの方法を考える、これは私はあり得ると思います。

 基本原則は、武力行使をしてはならない、武力行使と一体となってはならない、こういうことでありますから、それを原則にして、その場その場で具体的事案に応じて考えていかなきゃいけない問題だと私は思っております。

長妻委員 やはり、実際にPKO等で活動をしている場合、いろいろな不測の事態というのが起こるときに、NGOあるいは他国軍が救援を求めたときに日本がどういう行動ができるのか、これはかなり詰めた議論をして、世界の常識から見て余りかけ離れた行動はできないと思っております。

 その意味で、もう一点。この九ページの図ですけれども、他国軍が集中的に攻撃を受けて、その兵隊が自衛隊の活動をしているところまで逃げてきた、敵が後ろから追っかけてきた。そうしたときに、自衛隊が、自分たちが盾になって後ろに避難させて敵と対決をする、こういうケースは可能なんでございますか。

大野国務大臣 この場合にもいろいろなケースがあろうと思いますが、その退避をできる限り支援を行いたい、これはもう常識だと思います。

 その場合にどういうことができるかとなりますと、先ほどの原則論に戻ってまことに恐縮でございますが、「自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員」、「他の自衛隊員」ということでございます。「現場に所在する」というのは危険を共有するという意味であるし、「自衛隊員」というのは、自衛隊員以外の者であれば、みずから能力を持っている方々は除外されてしまう、こういう基本論でございます。

 したがいまして、結論といたしましては、他国軍の救出を目的として現場に駆けつけて武器を使用することは、イラク特措法上認められていない、このことでございます。

 宿営地に入ってきた場合どうなんだ、こういう問題があろうと思いますけれども、自衛隊は宿営地の警備を行っているわけでありますから、法律の要件に該当する場合には武器を使用して警備する、こういうことであります。

 原則論で御説明申し上げましたけれども、細かな点は、現場で実際危険を共有する、それから自衛隊員、それから、自衛隊員外であれば武器を持っているか持っていないか、そういう問題がキーポイントになろうかと思います。

長妻委員 当然現場の自衛隊の方には、ROEといいますか武器の細かい基準というのが、これは非公開だと思いますけれども、そういうものがあって日々訓練をされていると思いますが、そこが実はまだあいまいな部分が私はあると思っておりますので、そういう意味では、そこを詰める議論を政治がしなきゃいけない。

 そして、八ページ目でございますけれども、これは、イラクを離れて、一般論として、日本の自衛隊が海外で活動する場合でございます。治安維持活動というのは基本的にはできない、憲法の規定等に抵触するおそれがある、だからできないというふうに言われておりますけれども、政府も御答弁ありますが、治安維持活動といってもかなりいろいろな項目が私はあると思っております。

 ここにちょっと並べておりますけれども、例えば交通整理というのは憲法に抵触するんですか。

大野国務大臣 交通整理はどうかと言われますと、交通整理だけを見ますと、それは憲法に違反することではないと思います。しかし、他国において警察行動をやるという意味がどういう意味を持つのか、相手国との関係で地位協定等どうなるのか、あるいはその行為が例えば威嚇行為に結びつくのかどうか、そんないろいろな問題があると思いますけれども、交通整理だけやるということは、私は抵触しないと思っています。

長妻委員 やはり、これから具体的に政府も法案を準備されると思いますけれども、どういう活動が憲法に抵触するのか、どういう活動がしないのか、こういうことをかなり具体的に詰めて考えて、そして議論を深めるということが何よりも重要だというふうに思います。

 そして、もう一点でございますけれども、十四ページでございます。

 これは私も知らなかった話でございますけれども、外務省の皆様方は、ほかの省庁と違いまして、官舎というのはどこの省庁もございますけれども、格安家賃だということで批判を浴びておりますけれども、外務省に関しては外務精励会という財団法人があって、その財団法人が所有している土地建物が官舎のような形で使われている。

 外務省の現役職員のみが入居者で、上北沢寮が九十九戸、エスアール田無寮とか新丸子寮ということで、かなり格安の家賃でここにお住まいになっているということでございます。これは、何か過剰な、ほかの役所にない、やみ宿舎とは言いませんけれども、私はそういうような感覚があるんですが、いかがでございますか。

町村国務大臣 私も外務大臣になって初めてこういう団体が存在するということを知りました。

 経緯等、そう私も詳しいわけではございませんけれども、そもそもは、昭和二十年十月に、会員の福祉厚生共済事業等を目的とする任意団体として設立されたということでございますから、終戦後間もなく、多分、公務員全体の宿舎等々の整備などがほとんどない状態の折に、外交官として外国と行ったり来たりしなきゃならない、一時期には家族を置いていくとかいろいろな、他の一般の公務員と比べて特殊な状況というものがやはり外務省職員にはあり得たんだろう、こう思います。

 そんなこともありまして、特に戦後は住宅難というまた一段と厳しい状況もあった折に、篤志家から土地建物の寄贈を受け、例えば上北沢寮のある土地というのは木村四郎七氏という方からの寄贈を受けているということのようでございます。

 これらの土地建物を基本財産として、昭和二十四年七月に財団法人として外務大臣の認可を得て現在に至っているということでございまして、多分にこれはやはり経緯の中で、戦後間もなく住宅難、しかし、その中でも外交官は行ったり来たりしなきゃならない、そういう事情の中でこうしたものが必要なものとして活動を始めたんだろう、こう理解をいたしております。

長妻委員 ぜひ、華美なものは精査をいただきたいというふうに思います。地元の方からの話でも、初めは上北沢寮は外務省官舎という看板があったけれども、最近は外務精励会ということで看板がかわって、何か風当たりを弱めるような看板のかけかえみたいなものもあったというようなことでもございますので、精査をいただきたいと思います。

 そして最後に、十五ページ目でございますけれども、庁費。これは外務本省の一般行政に必要な経費ということで、各目明細、平成十五年度の予算でございますけれども、それぞれ積算根拠が、普通庁費が幾ら、職員厚生経費が幾ら、こういうふうに明細がございます。防衛庁の分も十七ページ、十八ページにつけてございますが、ぜひ両大臣に御認識いただきたいのは、各目明細という予算要求が出ますけれども、決算はないということなんです。

 それぞれの明細、幾ら要求するという予算要求ですけれども、では、例えば普通庁費が実際幾ら使われたのか、平成十五年。それは計算、集計をこれまで全くしていないということでありまして、ということは、幾ら明細使ったのかわからないままに、前年と同じような形で明細の予算要求を書いている。こういうような実態がございますので、後で事務方の方にも聞いていただければと思うのでございますが、こういうのをやはり見直していくということが私は必要だというふうに思いますので、両大臣、一言だけ御答弁いただければと思います。

町村国務大臣 予算要求の段階ではかなり精緻な積算根拠というのをつくって要求する。ただ、いざ実行の段階になりますと、余り詳しく、目細というんですか、細部について全部ぎりぎりに縛られちゃうと、実際に運用といいましょうか、できなくなるということもあるので、現実の予算の執行に当たってはこの目の区分で使うということなんだろう、こう思います。

 思いますが、積算内訳と全く関係なく内部で使われているのかどうか、ちょっとその辺は私もよくわかりませんので、委員の御指摘でございますから、この積算内訳というものが現実の予算執行に当たってどの程度重視されているといいましょうか、その辺の実態はちょっと私もよく聞いてみたいと思っております。

大野国務大臣 確かに、決算レベルでは目細レベルのことは要求されておりません。しかし、委員おっしゃるように、透明性というのはいかなる場合でも重要なことだと思っております。

 ただ、透明性と同時に効率性の問題があろうかと思います。透明にしたがゆえに非効率になってしまうということを今外務大臣はおっしゃったわけでございまして、その辺の兼ね合いをどう考えていくか、一度検討させていただきたいと思います。

長妻委員 どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、稲見哲男君。

稲見委員 民主党の稲見哲男でございます。

 きょうは、基本計画の変更といいますか派遣期間の延長問題、これが主たる議論だと思いますが、同僚議員からの質問もありましたので、私は、イラクへの復興援助のあり方について御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、冒頭の報告でもありましたように、予断を許さないイラクの治安状況、こういうことがあり、政府自身もそれを認めておられる中で、有償復興支援が決定した、こういう報道が四月の二十二日にございました。

 イラク再建への関与を否定するものではございませんけれども、イラク戦争の正当化といいますか、その問題をあいまいにしたままでODA資金をつぎ込み続けるのはどうか、こういうような基本的な認識を持っております。十五億ドルの無償の緊急人道支援部分、これは全額実施あるいは決定済み、こういうふうなことで、これから有償資金援助を開始するというようなことであろうかと思いますが、有償資金援助三十五億ドルの使い道については、まずこの十五億ドルの緊急無償資金の使い方がどうだったのか、これのきっちりした御説明が必要ではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、二〇〇三年の十月にマドリッド会議で、この十五億ドル、四年間でイラク復興信託基金に四億九千万ドル、国連経由で二億二千八百万ドル、それから二国間直接支援で七億八千二百万ドル、こういうふうに枠組みが決まっております。しかしながら、とりわけ二国間の直接支援につきまして、戦争勃発前の過去の日本のODAの発電所や医療設備等の大型設備の改修にウエートが高くて、しかも随契で日本の企業の利益になっているんではないか、こういうふうな気がいたしております。

 一方、全体を通じまして、JICAによる予備調査が二〇〇三年の十二月から翌年の三月まで行われているということですが、既に一年以上たっている、計画の実施が随分おくれているということでは、現時点でのニーズに十分こたえられているのかどうか、こういう点もやはり重要だというふうに思います。

 したがいまして、特に二国間直接支援七億八千二百万ドルについて、その使途といいますか、件数とか金額をまず教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 イラクに対する復興支援でございますが、ただいまお話がございましたように、全体として、当面の支援として十五億ドルの無償資金協力を行う。そしてそれを、中期的な支援としては三十五億ドルまでの円借款を中心とする支援につなげていく、こういうことになっております。

 この当面の支援としての十五億ドルまでの無償資金協力でございますが、ただいまお話ございましたとおり、今十四億ドル以上の部分につきましてはほぼ実施、決定済みということでございまして、具体的には電力、教育、水・衛生、保健あるいは雇用創出といった、イラク国民の基礎生活の再建に役立つ分野ということで支援を行ってきているわけでございます。

 具体的に、発電所の修復であるとか学校の修復、あるいは学用品の供与、浄水機、給水車の供与、あるいは病院の修復、警察車両の供与、こういった支援を行ってきているわけでございます。

 また、そのほかにも、今二国間というお尋ねではございますが、国際機関の事業を通じても雇用創出事業といったようなことで協力を行ってきている、こういうことでございます。

 こうした支援を行うに際しましては、先ほど御指摘がございましたとおり、まずJICAによる調査団というものを派遣して、全体としてどういうニーズがあるかということを調査を行った上で協力を行ってきているわけでございますが、これはまさに二〇〇三年の末から二〇〇四年の初めにかけて調査を行っております。

 その後のイラク側のニーズということにつきましても、ヨルダンとかあるいはクウェート等に調査団を派遣してイラク側の関係者と協議をし、あるいは我が方の在イラクの大使館、あるいはサマワにあります我が方の事務所等を通じてイラク側と常に協議をいたしまして、相手国のニーズに応じた支援というものができるように心がけてこれまで実施をしてきているということでございます。

稲見委員 二国間直接支援の七・八二億ドルについて、細かくは今御答弁がございませんでした。

 私の方で、これは二〇〇四年の七月現在決まっているという分の整理をしたものがございます。それでは、大体、その段階で六億二千百万ドル分が決定をしているということであります。先ほど少し申し上げましたように、その中で、例えば病院の整備計画、これは南部、中部、北部などがありますが、以前のODAの援助の分の改修ということで、したがって受注業者は既存の納入業者、こういうふうな形になっておりますものが、電気関係を含めると三百九十八億円分そこにある。先ほどありましたパトカーや消防車五十三億円を加えますと、何と四百五十一億円分は既に日本企業で、例えば前のODAで受注をしたところに新たに契約が行っているというふうなことになっております。

 しからば、恐らくこれは自衛隊が給水活動をしていてその後ODAにかわったということだと思うんですが、具体的にお聞きをしたいんですけれども、移動式発電設備供与計画、同フェーズ2、それからバグダッドと南部の浄水設備整備計画二つ、これについては、決定をして受注しているという場合、日本企業なのかどうかということをお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 イラクに対する無償資金協力、この場合は緊急無償支援でございますが、これにつきましては、ほかの一般の無償資金協力と同様に、主契約者を日本企業とする一般競争入札ということで業者を決定しているということでございます。そういう意味では、受注業者は日本業者ということでございます。

稲見委員 そうしますと、すべての二国間支援の分がどうかということは私自身も資料で検証できておりませんけれども、手元にある資料でいいますと、この二国間援助についてはほとんどが従来の経過によってあるいは新しい競争入札によって日本企業が受注をしている、こういうふうなことになるのではないかというふうに思います。

 そういう意味では、復興時の受注を念頭にまさにイラクにおける破壊を支持した、こういうふうなことになりはしないか、こういうふうに思うんですが、その点、外務大臣いかがでしょうか。

町村国務大臣 済みません、破壊時の何とおっしゃったんですか。

稲見委員 まさに日本企業が全部受注しているわけですね、二国間の支援については。ということは、イラク戦争を支持したということは、復興時にその受注を念頭に置いて、まさに建物を壊していくという破壊を支持したのではないか、こういうふうに私は考えております。

町村国務大臣 これはイラクだけではございませんで、先ほど担当局長がお答え申し上げましたとおり、大規模な一般の円借款といったようなものについてはアンタイドで、世界じゅうに対する競争入札というのが原則になってきておりますが、こういった個別の無償資金協力の部分については、原則としてお金を出した国の企業がそれを受注するというのが国際的な一般的な慣行である、私はこう理解をいたしております。

 したがいまして、今委員が、いずれ日本の企業が修復に当たるから、それを念頭に置いて、したがって米軍の武力行使を支持しただろうというお話でありますが、それは話がちょっとうがち過ぎではないかと申さざるを得ないのでございます。

 私どもとしては、しっかりとした国連決議に基づく大義名分に立って多国籍軍の武力行使というものを支持したわけでございまして、いずれそれは日本企業が受注するであろうからどんどん壊してください、それに賛成しますという話は、ちょっと幾ら何でも、そこまでの考えを委員がなさるというのならばそれをおとめはいたしませんけれども、それはいささか議論が飛躍しているのではないか、こうあえて申し上げざるを得ないのでございます。

稲見委員 私が申し上げているのは、いわゆるODA、とりわけ無償援助は際限なくあるわけじゃありません。そのうちイラクの復興支援という形で五十億ドル、さらには追加の分の四億ドルが決められてきているというふうなことで、今外相から、無償援助についてはアンタイドにはしていないんだというふうなことがありましたけれども、やはりここに、結局は全部日本企業のところに戻ってきているじゃないかということを私は感じざるを得ないということをあえて申し上げておきたいと思います。

 その上で、先ほどの予備調査の件に戻ります。

 一年以上前に予備調査があった。その後、大使館とかサマワ、現地でのニーズ調査を行っているということでありますが、まず最初のJICAのニーズ調査、自衛隊もなかなか外で活動できないような時期であります。三年の十月から四年の三月というのはそういう時期でありますが、その中でJICAはどのような形で予備調査を行われたのか、この点をお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまお話のございましたJICAによりますイラク復興支援の予備調査でございますが、二〇〇三年の十二月から二〇〇四年の三月にかけて実施をされたものでございます。この調査におきましては、イラク側の復興支援の当面のニーズがどういうところにあるかということで調査を行ったわけでございますが、基本的にイラク国民の生活基盤の再建に役立つ分野ということで、電力、教育、水・衛生、保健という四分野を主たる調査対象分野といたしまして、そしてイラクの治安状況、そうした状況のもとでどういうことができるかということも考慮をして、主として施設や機材の供与案件あるいはリハビリ案件といったことを中心に調査を行ったわけでございます。

 この調査に際しましては、先ほど御指摘がございましたとおり、イラク国内の治安状況の問題ということがございましたので、調査団自身はイラクの隣国のヨルダンやクウェート等に滞在をいたしまして、イラク側関係者や援助関係者へのヒアリング、あるいは現地コンサルタントを活用したイラク国内での現地調査というようなことを通じまして、候補案件の必要性や、現地の復興の、先ほど申し上げたようないろいろなニーズというものを検証して、全体として緊急無償案件でどういう案件が可能かということについて調査を実施したということでございます。

稲見委員 そうしますと、全くイラク国内にはJICAの調査団は入らなかった、こういう理解でよろしいんでしょうか。

 また、その後の補充的な調査もあったのであれば、そういう実施をされた中で、自衛隊はどういう役割を果たしたのか、そのこともお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 ただいまお話ございましたとおり、JICAの行っております職員自身はイラクの国内には入っておりません。先ほど申し上げたヨルダンないしクウェートで滞在をして、いろいろ調査を行ったということでございます。実際には現地のコンサルタント等の業者を通じて現地の状況というものを調査して、いわばそれを受けとめながら調査をするということでございます。

 その後も引き続きましていろいろな形で同様の調査を行うとともに、我が方の在イラクの大使館あるいはサマワにあります我が方の事務所を通じて、直接イラク側と協議、あるいはイラク側の必要性というものを聴取するといったようなことを行っておりますし、また、例えばイラク側政府の関係者、支援の関係者等が日本に来たとき等には直接イラク側と協議をする、こういったような形で相手側のいろいろな必要性というものを随時把握するようにいたしております。

大野国務大臣 イラクにおきますJICAの予備調査に限ってお答え申し上げます。

 自衛隊はあの予備調査に参加いたしておりません。

稲見委員 では、次の質問に移りたいと思います。

 これは、これまでの無償支援、それからこれからの有償支援にもかかわると思いますが、支援は、書簡交換をして、締結後に今度は実施設計というようなものを行って、それから実施をしていく、こういうふうなことになろうかと思っております。しかしながら、今の治安状況では、日本の業者はおろか、イラクの業者でもこの実施設計を行っていくということにはなかなかなりがたいのではないか、そういう状況ではないかというふうに思っております。

 そうしますと、今回の十五億ドルの問題につきましても、なかなか書簡交換後に実施ができない、決定はしたけれども実施がおくれていくという場合が今回も起こっております。その場合に、私がお聞きをしましたのは、例えば、先ほど警察車両とか消防車というのがありました。これは納入をしていく、実際にそれで金銭のやりとりがあるということでありますが、その他の問題も含めて、書簡交換をした点、約五百から六百億円が既にイラク側の口座に振り込まれて、それから実施がおくれておるというふうなことをお聞きしております。

 しからば、このイラク側に振り込まれた資金、暫定政権であったり、今の政権であったりということでありますが、どのように管理をされているのか。これは非常に大切な、日本の納税者の税金が回っているわけですから、果たして暫定政権でこの先払いをされた五百億から六百億が適切に管理をされているのかどうか、この危惧を持つわけですが、その点いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 イラクに対する無償資金協力でございますけれども、先ほどお話ございましたように、全体として、二国間支援の大部分につきましては実施に至っている。それはすなわち、資金として我が方よりイラク政府の口座というものに資金が拠出をされているということでございます。

 他方、実際には、その資金の管理でございますが、この管理につきましては、イラク政府自身が直接これを出し入れをするということではございませんで、いわば中立の調達の専門機関というものがイラク政府にかわってこれを行うということになっております。また、私ども政府としては、その中立の調達の専門機関から、その資金の管理、運用状況について報告を求めるということになっているわけでございます。

 したがいまして、実際の資金の支出等につきましてもその調達管理機関がイラク側の代理人として支出を行うということになっておりまして、現在、イラク政府に対して拠出された資金につきましてもこの中立の調達機関が資金の管理を行っているということでございます。

稲見委員 中立の調達専門機関ということについて、私十分案内がございませんので、政府との関連も含めて性格をもう少し詳しくお教えください。

佐藤政府参考人 今私申し上げました中立の専門機関ということでございますが、現在行っておりますイラクに対する無償資金協力の場合に調達管理に当たっておりますのは日本国際協力システム、通称JICSと称しておりますが、この日本国際協力システムがその管理機関となっております。

 この日本国際協力システムは、財団法人でございまして、我が国の経済協力のうち、二国間の無償資金協力事業を中心とする事業の適正かつ効率的な実施に協力をすることを目的としております公益法人ということでございまして、そういう意味では、私どもとして、中立公正かつ能力のある調達管理機関、こういうふうに考えております。

稲見委員 それでは、その機関を通じての調達であるとか支払い、こういうものは、今後の有償資金援助についてもその機関を通じて行われるということなんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 有償資金協力の場合は少し資金供与の仕組みが異なっておりまして、基本的には、有償資金協力の場合は、政府間で約束をしました後、実施機関であります国際協力銀行、JBICの方から相手国の関係機関、実施機関の方に資金を供与する、そういう仕組みになっております。

稲見委員 それでは、もう一つお聞きをしますが、先ほど、緊急無償支援についてはほとんどが日本企業だったというふうに申し上げました。そのとおりだということでありました。これから行われる有償資金援助については、入札なども含めて、どのように考えておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 これから中期的な支援ということで有償資金協力を行っていくということでございますが、現在、そのための準備を進めているところでございます。具体的には、どういう分野で必要性があるか、あるいはどういうプロジェクトがあり得るのかということについて、まさに調査団等を派遣して、できるだけ早期に協力が開始できるようにということで準備をしてきております。

 具体的にどういうプロジェクトでいつごろから、あるいはどういう条件で、これは有償資金協力でございますので資金の貸し付けということになるわけでございますが、どういう条件で貸し付けを行っていくかというようなことについてはまさにイラク側と協議中ということでございまして、具体的な細目はこれから決定をしていくということになります。

稲見委員 ちょっと時間が経過をしましたので、質問を変えたいと思います。

 外務大臣にお聞きをしますが、イラク民主的国民潮流という団体のアブドルアミール・リカービさんを御存じでしょうか。

町村国務大臣 個人的な面識はございません。

稲見委員 平成十五年の十二月三日に、前日に来日されて、翌三日に小泉首相と会見をされているわけですが、例えばマスコミ等の報道を含めて、そのことは御存じでしょうか。

町村国務大臣 今般委員が御質問をなさるということで、このアル・リカービ氏のことについて、急遽マスコミ報道等のコピーなどを見て、初めて私は知った次第でございます。

稲見委員 実は、この点で九項目ほど御質問を用意しておりました。時間が経過をしていることもありますが、ここで私が問いたかったのは、この〇三年十二月三日というのは、政府が自衛隊派遣を決めようとしている、国会で審議をする議論の直前でございます。そういうところで、リカービさんはその後、米英軍と同じような形での自衛隊の派遣については反対だ、イラク人が理解できるような形、例えばメソポタミア湿原の復元であるとか、そういう形でイラク人が喜ぶ支援をしてはどうかというふうな提案をされたんですが、そのことがマスコミを通じて、リカービさんに百万ドルが手渡って自衛隊派遣を了解した、こういうふうな報道がありまして、これは裁判になり、一方、中東でも、イラク国内でも大変な問題になったということであります。

 したがって、日本の自衛隊派遣について、このリカービさんを、報道を通じて、マスメディアを通じて利用したんではないか、こういうようなことについて私はきょう質問したかったということであります。

 ただ、今外務大臣からありましたように、外務省としてはこの会見そのものには関知をしておられないというのが昨日の質問取りでもわかりました。昨日の質問取りのときには内閣官房にもおいでいただいて、この三日のときにどんなお話があったのか、会う動機になったことは、あるいは経過は、こういうふうなことからお聞きをしたいというふうに思っておったわけですが、どうしても、このことを含めて、内閣官房は、外務省で答えてもらう、こういうふうなことでずっと主張して、内閣官房がきょうの場にも来ていただいておりません。その場に同席しておられなかった外務大臣あるいは外務省にお答えをいただいても、そんなにわからないということから始まってしまうというふうに思っております。

 そういう意味では、昨日は、外務省の方も一、二を含めて答えますということですので私も了解をしましたけれども、やはり一番出発の十二月三日の点については、小泉総理大臣がお会いになったわけですが、小泉総理大臣、あるいはそうならなければ、つかさつかさの代理の方にお答えいただくということが必要なんではないかというふうに思っております。

 この点、今申し上げたように、きょう、内閣官房、責任ある方が出席いただいていないということも含めて、私としては質問がなかなかできなかったなというふうな気がきのうからずっとしておりました。

 そういう点で、理事会の方で、ぜひこういう点について一度きっちりした対応をお決めいただければというふうに思っております。

 その上で、今、質問は九問しませんでした。時間も来ました。したがって、理事会でしかるべき方をお呼びいただけるというふうなことになりましたら、また機会があれば、このアル・リカービさんの問題についてはもう一度機会を持ちたいというふうなことといたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうはテロ特措法の基本計画の延長の問題ですが、これには反対であります。今回で派遣期間の延長は七回目です。さらに半年後の再延長まで取りざたされております。こういうやり方ではテロをなくすことはできないということをまず指摘しておきたいと思います。

 きょうは、テロとの闘いを理由としてアメリカが今世界で進めている米軍の再編について聞きたいと思います。

 政府は、今回の米軍再編協議が現行の日米安保条約及び関連取り決めで行われることは当然であり、日米安保条約第六条の見直しといったことは考えていない、このようにしております。

 安保条約の枠内で米軍の再編を行うという点については米軍も同意しているのですか。同意しているということであれば、いつ、どういう形でそれを確認しているのか、お答え願います。

町村国務大臣 この点は委員から何度もお尋ねがございまして、何度も同じことを私はお答えしておりますけれども、今次の在日米軍の兵力構成の見直しは、現行の安保条約及び関連取り決めの枠内で行われるということは当然でございまして、この日米の認識が一致していることは、いろいろなレベルで累次確認をしてきております。

赤嶺委員 認識は一致している、いろいろな機会に累次確認しているというお話でしたが、アメリカが今進めている米軍再編の基本方針の一つに挙げられているのが、従来の駐留地域内にとどまらず、域外への展開を今後の部隊運用の基本に据える、そういうことですね。米軍再編の基本方針の中に出ています。

 三月十八日にアメリカの国防省が発表した国家防衛戦略、この中に米軍再編のポイントの一つとして、グローバルソーシングというのを挙げまして、こう言っています。

 我々の軍隊は、世界のどこであれ、必要なとき、必要な場所に、より多くの部隊を展開できるように運用する必要がある。戦闘司令官は、もはやみずからの戦域で部隊を所有するのではない。部隊は、必要に応じて彼らに分け与えられるのだ、世界のいかなる場所からであっても。このように言っているわけですね。

 ですから、外務大臣がお答えになりました、安保条約の枠内だとおっしゃるわけですが、米軍の方は、もう地域の枠内にとらわれない、しかも地球規模で部隊運用に発想を転換する、今アメリカがまさにやろうとしているのはそういうことであるわけですね。

 一体どういう根拠で、累次私に答弁しても、そこの根拠が非常にはっきりしない。ですから、どういう根拠で、安保条約の枠内で再編が行われている、認識は一致していると言っているんですか。

町村国務大臣 先方と、課長レベル、審議官レベル、いろいろなレベルでの話をしております。そういう際に、すべてそういうことを前提にして話をしているということを申し上げているわけであります。

赤嶺委員 在日米軍のそういう再編の方針について、域内にとどまらないというふうな方針について、審議官級の会議とか、その中でちゃんと合意しているんですか、突き詰めているんですか。あるいは、日本の在日米軍の再編だけは米軍の基本方針の適用外だ、このようにおっしゃるんですか。

町村国務大臣 私どもは、先般の2プラス2でまず共通の戦略目標というものを合意いたしました。その上に立って、米軍とまた自衛隊がどういう任務、役割を果たしていくのかということとあわせて、具体の部隊の再編成の話も、今具体論に入っているという段階でございます。まだ確たる合意ができておりませんから、その議論の途中経過をお話しする段階にはもとよりないわけでございますが、そういう議論に当たって、先ほど私が申し上げた基本的な考え方で議論に臨んでいるわけでございます。

赤嶺委員 2プラス2、共通の戦略目標の中には、台湾海峡、中国が入り、そして世界、中東、入っておりますね。

町村国務大臣 お互いに共通の認識が持てる、世界の、これは軍事のみならず幅広い情勢認識をそこに載せております。

 そこに載っていることがすべて、米軍あるいは日本の自衛隊の行動範囲を示すといったような今御趣旨の御質問でございましたが、そういうことを意味しているわけではございません。

赤嶺委員 違うんです。外務大臣が極東の枠内という根拠に2プラス2を持ってきたので、それは根拠にならないでしょうという話ですよ。

 明確な根拠を出してくれますか、極東の範囲内という。

町村国務大臣 根拠、根拠とおっしゃるのでありますが、それは私どもは、今回の議論を始める当初の段階から、そういう理解で双方が議論を始めているということを何度も委員には申し上げております。

赤嶺委員 何度申し上げても、根拠がはっきりしないから幾たびの質問になっているんです。やはり事態をまともに説明しているとは思えないような答弁であります。

 もともと在日米軍というのは、アメリカ本土の西海岸からアフリカの東海岸までを対象としております。極東に縛られていないわけですね。現に、在日米軍は、ベトナム戦争、そして湾岸戦争、イラク戦争に出動してきました。今度は、まさに地球規模での部隊運用を基本に据えようとしているわけです。政府が安保条約の枠内と言っても、これは何の根拠もないということを、実態からいっても、そして今の外務大臣の答弁からいっても、そういう根拠にはなっていないということを指摘しておきたいと思います。

 次に、司令部の移転の問題について聞きたいと思います。

 米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転が取りざたされております。まず聞きますが、現在、在日米軍司令官はどういう役割、任務を持っているのか、太平洋軍司令官との関係はどうなっているのか、これを説明していただけますか。

大野国務大臣 現状でございますが、在日米軍司令官は、我が国の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために我が国に駐留している在日米軍の司令官として、一つ、日本の防衛に関する米側計画の作成を進めること、共同訓練について検討すること、その他さまざまな面での研究を進める、これが仕事でございます。もう一つは、太平洋軍司令官の代理として、平時における防衛庁その他の日本政府機関等と交渉をすること、これが任務になっております。

赤嶺委員 そうすると、在日米軍司令官の役割について、平時におけるいろいろな調整もあると言いましたが、戦時の作戦指揮権、これはどのようになっていますか。

大野国務大臣 我が国に対する武力攻撃事態、有事の場合でございますけれども、アジア太平洋地域におきましてアメリカ軍が緊急事態に対応する場合におきましては、北アメリカの太平洋軍司令官の指揮において統合任務部隊等が編成される、このことを任務としているわけでございます。

 具体的に、どのような統合任務部隊が編成されるのか、その指揮官がだれになるか、これは事態の態様によるものでありまして、一概には申し上げるわけにはまいりません。

赤嶺委員 有事の際の在日米軍についての作戦指揮は太平洋軍司令官のもとに置かれる。そして、在日米軍司令官は、そのもとで第五空軍司令官として任務につくということで、戦時の作戦指揮権を有しているわけではないということになるわけですね。

 ファロン米太平洋軍司令官は、こういう発言をしています。三月八日の上院軍事委員会での証言で、米軍再編に当たっての主な関心事項として、沖縄における駐留の適切な調整、海軍と海兵隊の航空部隊の統合、三つ目に変革された陸軍司令部の確立を挙げております。

 アメリカは、今なぜ陸軍司令部の変更が必要だと言っているんでしょうか。

大野国務大臣 今回、新たな脅威が出てまいりました。国際情勢が変化している、それから軍事面における科学技術力が格段に向上した。これは、精密誘導兵器や情報の問題でございます。こういうことを背景に変革を行っているわけでございますけれども、変革の対象は、軍の組織、作戦形態、兵器体系、あるいは統合作戦、こういういろいろな分野にわたってきているわけでございます。そういう問題を踏まえて、これから米陸軍においてもさまざまな検討がなされると考えております。

 指揮の問題につきましては、先ほども赤嶺委員から御指摘がありましたけれども、司令部と現場部隊というのは、場合によっては一体となっていなくていい、有事に全体の状況を見て一体化していく、こういう考え方であることは、NDS、防衛戦略で発表されていることであります。

 例えば、キャンプ座間ということがよく報道されております。キャンプ座間での司令部がどうなるか、こういう報道がなされております。そういう意味では、まだ何も決定されておりませんで、具体的にさまざまなアイデアを持って検討されているということでございまして、具体的にそれがどういうふうになっていくか、これはまだ申し上げるわけにいきませんけれども、やはり米軍の考え方自体が、いろいろな統合運用をやっていこう、それから、その背景には科学技術の発展、軍事力あるいは情報力、展開力、そういうものがありますので、それらを一体として陸軍においても変革を考えていこう、こういうふうに私は理解いたしております。

赤嶺委員 変革された陸軍司令部の確立というのは、冒頭、防衛庁長官が答弁いたしましたが、早い話が、戦時の作戦指揮権も持つような、そういう司令部に変革していこうということですね。

大野国務大臣 考え方、一般的に申し上げたいと思いますが、全体の司令部があって、その下に幾つかの司令部があってということでございます。戦時、有事、あるいは平時ということにつきましてはまだ明らかになっておりません。

 しかし、申し上げましたとおり、考え方は、司令部と現場部隊、これは平時において切り離しておいていいんじゃなかろうか、何か事が起これば、それを一体化させて機動的に展開していこう、こういう考え方でございまして、お尋ねの点がどういうふうになるか、今の段階で明確にお答えするわけにはまいらないかと思います。

赤嶺委員 最近の報道では、アメリカの陸軍は、軍、軍団、師団という三段階の指揮系統を、広域司令部、これはUEYと呼んで、作戦運用司令部、UEX、この二段階に再編成し、そのUEXのもとに実際の戦闘部隊、UAと呼んでいるらしいんですが、これを割り振る、キャンプ座間にはUEXが来ることになる、このように伝えられているわけですが、UEYとかあるいはUEXとかUAとか、これはどういうことでしょうか、簡単に説明してください。極めて簡単にお願いします。

飯原政府参考人 ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、まだ構想段階でございますが、私ども、米軍の資料等から判断いたしますと、UEは司令機能、統制機能を持った組織ということで、UEYの方がUEXよりも大規模なものということでございます。それから、UAは、まさに今先生がおっしゃいましたとおり、実際の部隊を指すというふうに考えておりまして、随時これを組み合わせていく構想であるというふうに言われております。

赤嶺委員 今、座間に配置されるであろうと報道されているUEX、これは、今の答弁にもありましたように、いわば実際に現場で戦闘を指揮する前線司令部という役割を持ってくるということに間違いないわけですね。

飯原政府参考人 私の答弁の冒頭に申し上げましたとおり、まだ構想段階でございますので、確定的なことはまだ申し上げられる段階ではないというふうに承知しております。

赤嶺委員 かなりそういう方面で構想が練り上げられている、それが今、座間に来るといういろいろな報道になっているわけです。

 それで、そのUEXの問題ですが、ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー、これは去年の十二月十五日号なんですが、この中に、米軍の構想について取り上げられて、このように言っています。ミクソン陸軍大将のチームの一員であるリッキー・スミス大佐は言う。UEXの数は十八から二十一個となり、現役と予備役に分けられることになるだろう。UEXは、今日の師団に比べ、どんな特定の地域にも縛られない。このように言っているんですね。

 つまり、どんな特定の地域にも縛られない、前線の作戦を指揮する司令部機能を持ったそういうものが米軍再編の中で検討されていて、それが座間にやってくる。安保条約、極東の範囲内という答弁がこのことを全く説明していないということを厳しく指摘をいたしまして、質問を終わります。

 以上です。

船田委員長 次に、東門美津子さん。

東門委員 社会民主党の東門です。

 私は、通告はアフガニスタン情勢ということにしておりましたけれども、けさ沖縄の方からニュースが入ってきましたので、冒頭は沖縄の関連の質問に変えさせていただきます。

 普天間飛行場代替施設建設予定地の辺野古で、事業主体である那覇防衛施設局、いわゆる政府が抜き打ち的に作業を開始したとの報道がけさ入ってきました。移設反対派の阻止行動によってしばらく停止をしていた作業ですが、今回は二十四時間態勢をとっているとのことです。

 まず防衛施設庁長官に伺います。

 二十四時間態勢での作業を指示されたのでしょうか。

山中政府参考人 どういう作業手順でどういう作業を実施するかにつきましては、現地の気象状況でありますとか、現場において安全に作業ができるかどうか、そういう見きわめが立つかどうか、そういったようなことを現地防衛施設局において適宜判断して行っているものでございます。

東門委員 それは、二十四時間どこででもいいということなんでしょうか。どの時間でもいいということなんでしょうか。

山中政府参考人 ボーリング調査を実施するに際しましては、環境への配慮等、当然考えてやっているわけでございまして、例えばジュゴンの生態、こういったものを考慮して、日の出後一時間、日没前一時間の間に掘削等の作業を行うというふうな作業計画を立てて今日まで対応してきているわけでございます。

 私どもは、できるだけ円滑かつ早期に現地技術調査を進めていきたいという観点から、こういった面への配慮は当然いたしますけれども、作業効率というようなことも考えまして、二十四時間になるかどうかはその時々の作業内容等によっても違いますけれども、あえて二十四時間あるいは日中だけということをあらかじめ手を決めてやっているということではございません。必要な作業は必要なときに行うというような考え方でやってきているということでございます。

東門委員 現場海域の環境あるいは生態系を保護する立場からしますと、夜間の作業はいかがかと思われるんですね。

 夜間に、いわゆる昨夜などは午前二時という報道があるんですが、そこまでも反対派といろいろやりながら作業しているという報道があるんですが、県はそれを了承しているのですか。今おっしゃったように、施設庁長官は、日の出一時間後、日没一時間前ということですね、作業。それからすると、夜間というのは県はどのように言っているんでしょうか。了承していますか。

山中政府参考人 夜間の作業実態について県がどういうふうな御見解かということについては私は直接承知をいたしておりませんが、県の方は、当然、昨年環境配慮事項というものもお示しになっておりまして、そういったものに基づく作業を期待されているというふうに我々は理解をいたしております。

東門委員 これまでの長官の答弁を総合してみますと、施設庁の本庁の方からは二十四時間態勢ででもやれという指示は行っていない、それはあくまでも施設局の局長の判断でやっていることだとおっしゃるんでしょうか。

山中政府参考人 昨年の九月に調査に取りかかりまして、必要な準備が終わったということで、十一月から単管足場の設置等の作業に取りかかってきたわけでございますが、御承知のように、反対をされている方々が単管足場を占拠したり、あるいは、スパット台船の回航につきましてもいろいろ妨害行為等があるという中で、私どもは、できるだけ円滑かつ速やかにボーリング調査を実施したいということで、安全にも十分配慮しながら、いかに効率的な調査が実施できるか、種々工夫をしてやるようにという指示は私の方からいたしております。

東門委員 反対派が単管を占拠するとか、あるいはスパット台船の妨害行為に出るとか、なぜそういうことをしているかということは考えたことがございますか。それだけしなければいけない事情があるからなんですね。そこをぜひ考えていただきたい。妨害行為をしているから二十四時間やるんだ、夜中でもやるんだ、反対派の目をどうにかよそにそらせてでもやるんだ、抜き打ちにでもやるんだという行為は、すごくひきょうだと思います。

 反対派が海上に出て阻止行動をするのは、日中でも危険が結構伴っているんですよ。そういう報告は受けていると思います。船が衝突したりだとか、あるいはけがをしたりだとか、いろいろあるわけです。そういう中で、夜間となると、さらに不測の事態が起こりかねないわけですよ。

 夜間の安全性はどう確保するんでしょうか。

山中政府参考人 これは夜間に限りませんけれども、必要な安全確保というものを十分考慮した上で作業を行うということでございます。

 例えば、昨日、防護ネットの設置を試みたわけでございますが、これも、単管足場を占拠された方がこれまでも海上に落下をされたというようなこともございます。そういった安全面での配慮、これは別に昼間、夜間を問いません。私ども、できるだけそういう配慮をしながら、どういう工夫をすれば安全を確保しつつ作業の効率につなげていけるかということでやっているということでございます。

東門委員 外務大臣に伺いたいと思いますが、米軍再編をめぐる日米協議が行われているさなか、ひょっとしたら見直されるかもしれない、そういう可能性もある辺野古の海の埋め立てを強行していくというのは、何が何でもSACOの合意は実施していくということのあらわれでしょうか。お伺いいたします。

町村国務大臣 SACO合意は粛々と実施をしていくというのが政府の基本方針でございます。

東門委員 県知事も名護市長も、移設受け入れ条件に十五年使用期限を出しています。工事に向けて動き出したということは、十五年問題がクリアされているというふうに理解していいんですね。米側は十五年に合意をしていると受けとめていいのでしょうか。外務大臣、お願いします。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 十五年問題につきましては、県からも関係者からも問題として取り上げられております。政府としては、それを重く受けとめまして、米側にはそういう県の意向というのは従来より伝えてきているということでございます。

東門委員 県はこういう意向ですよと伝えるだけですか。本当にそれをしっかりと守ってもらうように努力もしているんでしょうか。そういう跡も全然見えないでここまで来ているんですよ。

 それで、辺野古の見直しについては小泉総理さえおっしゃっているんですよ。もう辺野古はだめなんだろうと。これは河相北米局長に直接おっしゃったんじゃないですか。そういうこともお聞きになっておられる。アメリカ側でもいろいろな意見があるんですよ。辺野古はだめです、もうありませんよと。もちろん私は、国防総省や国務省の役人が言っているとは言いません。しかし、多くのシンクタンクの皆さん、本当に複数です。学者、研究者、本当にそういうことをおっしゃっている。

 そうであれば、せめて米側との協議で普天間と辺野古どうするんだという結論が出るまで私は辺野古の工事はとめていいと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府参考人 普天間飛行場の移設、返還を一日も早く実現するということで、本体工事の前提となっております現地技術調査を現在やっているわけでございます。

 先般の日米安全保障協議委員会におきましても、その共同発表において、SACO最終報告の着実な実施が在日米軍の安定的なプレゼンスにとって重要であるという確認をいたしているわけでございまして、そういう方針に沿って、私ども、作業を円滑に進めていきたいというふうに考えております。

東門委員 在日米軍の安定的なプレゼンスの方が、県民がこれまで担いできた負担の軽減よりも大事だ、そういう観点からSACOは進めていくんだということでしょうか。

 伺います、外務大臣。米軍専用施設の七五%が集中している沖縄の県民の負担軽減では、日米ともしっかりと、そうしましょうと合意をしておられるわけですね。そういうふうに大臣はよくおっしゃいます。アメリカ側もそう言っていると聞きますが、政府は、米軍専用施設の現在の七五%、どのくらいまで縮小していくというプランを持ってアメリカ側に提示し、協議をしているのか。私は個々の施設とは言っておりません、何%ぐらいまでは縮小したいという目標でしょうか。

町村国務大臣 抑止力というものを維持しながら、かつ、沖縄の、あるいは基地所在の皆さん方の負担をできるだけ軽減していこう、こういう基本方針に沿って、今、具体論を議論し始めているところでございます。

東門委員 七五%、大変ですとおっしゃる言葉、私たちはそのまま受けとめたいと思うんです。そうであれば、ぐっと減らしていくぐらいの努力はしてもらわなければなりません。でなければ、沖縄県民の負担の軽減にはならないということ。

 抑止力については、時間が来ましたのでこの次に質疑をさせていただきますけれども、今、この場でぜひお願いしたい、強く要望したい。

 辺野古でのあの強行な作業、やめさせてください。そして、日米協議の場でしっかりと結論が出た段階で、もしそう出るのであれば、そのときまた考えなきゃいけないことかもしれません。今じゃないと思います。税金のむだ遣いはよしてください。それを強く要望いたしまして、終わります。

船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十二分散会


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