衆議院

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第7号 平成17年8月3日(水曜日)

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平成十七年八月三日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 中谷  元君

   理事 三原 朝彦君 理事 渡辺 具能君

   理事 小泉 俊明君 理事 末松 義規君

   理事 藤田 幸久君 理事 佐藤 茂樹君

      大島 理森君    嘉数 知賢君

      川上 義博君    岸田 文雄君

      斉藤斗志二君    桜井 郁三君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      武田 良太君    谷本 龍哉君

      寺田  稔君    西村 康稔君

      浜田 靖一君    平沢 勝栄君

      宮澤 洋一君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    稲見 哲男君

      大石 尚子君    大出  彰君

      岡島 一正君    吉良 州司君

      篠原  孝君    島田  久君

      神風 英男君    首藤 信彦君

      長妻  昭君    伴野  豊君

      本多 平直君    牧  義夫君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     宮下 一郎君

  鈴木 康友君     伴野  豊君

  照屋 寛徳君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     宇野  治君

  伴野  豊君     鈴木 康友君

  東門美津子君     照屋 寛徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁長官官房長北原巖男君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長原田親仁君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君及び国土交通省航空局長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長大古和雄君。

大古政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 現在、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県内のルメイサ、サマワ、ワルカ、ヒラル、ダラージ、ナジミ及びヒドルにおける学校補修、サマワ、ルメイサ及びスウェイルにおける道路整備、ワルカ及びルメイサにおける浄水場補修等を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで一日当たり三百人から千百人程度の雇用、一日当たり平均、四月約八百三十人、五月約八百七十人、六月約九百五十人及び七月約八百五十人を創出しているところです。また、医療支援活動についても、継続して実施しております。

 七月十三日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件等は以下のとおりです。

 七月二十二日、サマワ市内のカリム県治安長官宅に、音響手りゅう弾が投げ込まれましたが、負傷者はいなかったことを確認しております。

 七月二十四日、サマワ市内で日ムサンナ友好協会、二十三日に解散、の前会長が経営している宝石店に対し、ロケット弾による射撃があり、二人が負傷したことを確認しております。

 七月二十四日、サマワ市内で、電力不足等への不満を背景とした千人規模のデモが発生しました。

 七月二十六日、サマワ市内で、電力不足等への不満を背景とした五百人規模のデモが発生し、デモ参加者の一部が日の丸を燃やしていたことを確認しております。

 七月二十七日、ムサンナ県評議会において、カリム県治安長官の更迭決議が可決されたことを確認しております。なお、現在のところ、ムサンナ県の治安機関は通常どおり活動を実施していると承知しております。

 七月二十九日、サマワ市中心部の女性自立支援団体本部に手りゅう弾二発が投げ込まれ、窓ガラス等が破損する事案が発生しましたが、負傷者はなかったことを確認しております。

 なお、これらの事案において、現地部隊に異状がないことを確認しております。

 航空自衛隊の部隊については、七月十三日から八月二日までの間、我が国からの人道復興支援関連、陸自関連及び関係各国、関係機関等関連の人員、物資の輸送を計七回実施したところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

船田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢及びイラクにおける邦人行方不明事件に関し、御報告させていただきます。

 まず、政治プロセスにつきましては、五月十日に憲法起草委員会が設立されて以降、精力的に起草作業が行われてきました。八月一日、国民議会は、八月十五日までの憲法起草期限を遵守する旨の決定を行いました。我が国としては、憲法が予定どおりに起草されることを期待しております。外交面では、七月十六日、ジャファリ・イラク移行政府首相が、一九八〇年代のイラン・イラク戦争以降、イラクの首脳として初めてイランを訪問しました。我が国としては、両国間の関係改善に向けた動きを歓迎しております。

 次に、治安情勢につきましては、七月に入り、イラク駐在のエジプト大使やアルジェリア臨時代理大使の殺害等アラブ諸国の外交団への攻撃が発生し、また、七月十六日にはバグダッド南方のムサイブで自爆テロが発生する等、地域により脅威の度合いは異なるものの、依然予断を許さない状況が継続しております。イラク移行政府は、駐留米軍と協力しつつ、大規模な武装勢力掃討作戦を実施する等治安回復に向け全力で取り組んでいるところ、このような移行政府の努力が奏功することを期待しております。

 サマワにつきましては、一部の市民によるデモが発生する等、予断は許さないものの、イラクの他の地域と比較して安定している状況に変化はありません。

 イラクにおける齋藤昭彦さん行方不明事件につきましては、特段新たな動きはありませんが、引き続きイラク及び関係国政府、ハート・セキュリティー社とも連絡をとりつつ、さらなる情報収集に努めていく考えです。

 以上で報告を終わります。

船田委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 先月、グレンイーグルズ・サミットの初日に、ロンドンにおきまして、あの衝撃的な同時多発テロが勃発いたしました。そして、その後、エジプトあるいはアフガン、イラク等の地におきましても、同様の卑劣な非人道的なテロ行為が繰り返されております。今回の一連のテロによりまして犠牲になられました方々には心よりお悔やみを申し上げますとともに、今般の事件でけがをされた方初め被害を受けられた方々にも心からお見舞いを申し上げるものでございます。

 こうした卑劣なテロ行為は当然許すべからざることでございまして、早期にその根絶に向けまして各国が取り組みを強化していくとともに、国際的な協調体制のもとで、そうしたテロ行為の撲滅に向けて取り組みを強化していかなければなりません。

 そういった意味におきまして、ちょうど先週、ビエンチャンで開催されましたARFの会議、これは大変に意義深いものであったというふうに考えますが、まず冒頭、今回のARF会議、実際に御出席になられました逢沢副大臣がお越しになっておられます。逢沢副大臣が各国首脳と談笑されております映像も週末流れておりましたが、今回のARF会議でのテロ撲滅に向けました成果をぜひともお聞かせいただきたいと思います。

逢沢副大臣 お答え申し上げます。

 先週、七月二十九日、ラオスの首都ビエンチャンで第十二回ARF閣僚会合が開催されまして、私が出席をさせていただきました。アメリカからはゼーリック国務副長官、そして韓国の潘基文外交通商部長、ラブロフ・ロシア外相初めARF各国の外相が出席をし、地域が抱える安全保障の問題について幅広く意見交換をいたしました。

 海上の安全の確保、朝鮮半島情勢、あるいはインド洋津波の問題、軍縮、不拡散等々議論いたしたわけでありますが、各国が最も強い関心を示し、発言いたしましたのが、今まさに寺田先生が御指摘なさいましたテロの問題でございます。ロンドン、シャルムエルシェイクでテロが起こりました。一様に、あらゆるテロを強く非難する、そして犠牲者と家族に対する追悼、哀悼の意を表明する、そういった発言がございました。

 アジア太平洋は、決してテロに対して安全な地域ではない。かつて、バリ島の爆破テロ、そしてインドネシアのジャカルタでも同様なことを経験したことを背景に、テロの脅威が世界のみならずアジア太平洋地域にも増大している、そういった現状認識が示されたわけであります。それを受け、国際社会が団結して、毅然としてテロに立ち向かう、テロに勝利をしなければならない、そのことの重要性について、一様に強い表明があったわけであります。

 当然のことでありますが、軍事的な対応にとどまることなく、異なる宗教間の対話が必要である、あるいはテロを支える資金や技術を封じ込める、そういったテロの背景とされている問題への対応、また、テロ対策を実施する上での各国の能力の構築というものをしっかりやっていかなきゃいけない、そういった問題意識の表明、そして行動が伴うべきだ、そんな表明がございました。

 私からは、幾つかのことを申し上げたわけでありますが、特に中心的に申し上げましたのは、いわゆるテロを防止する関連国際条約は全部で十二本ございますが、ARF加盟国もすべての国がこの十二の条約すべてを批准、締結している状況ではございません。ここを急ぐべきだということを改めて強調し、そして、条約を締結すると同時に、その実効性を確保する体制を国内でしっかり整備する必要がある。日本は、この点については、さまざまな研修等を行いまして特にアジアの国々を支えている現状もございますが、その体制整備の重要性について特に強調いたしました。

 日本といたしましても、アジアのリーダー国として、またARFの主要なメンバーの一員として、各国と協調してテロ対策に懸命に取り組んでまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。

寺田(稔)委員 そうしたARF会議での成果を踏まえて、引き続きテロ撲滅に向けまして強力に取り組んでほしいと思うわけです。

 私も、本年五月、議員外交の一環といたしましてインドとタイを訪れまして、それぞれ、議会関係者、あるいはまたテロ撲滅、さらには、大量破壊兵器の拡散防止に取り組んでおりますCNDPという、これはNPOでございます。インドだけでも五百万人を超える会員数を誇っております最大のNPOでございますが、そのNPOの代表とも意見交換をいたしてまいりました。そして、その場におきまして、三十万人を超えます広島の被爆者の思いを込めた平和メッセージを手交させていただきました。

 ちょうど時あたかもニューヨークにおきましてはNPTの再検討会議が開催されておりまして、町村大臣も大変に御尽力をされたわけでございますけれども、残念ながら、今回のNPTの核拡散防止に向けた取り組み、さしたる成果なく終わったわけでございますが、私は、今回のNPTの最大の教訓は、やはり他人任せにしていては事は進まないということでございます。

 核保有国が自発的に核軍縮、そして破壊兵器の拡散防止に取り組んでいく、そうした自発的な努力をしていくべきことは当然でございますが、それに期待するだけでなく、ぜひ非核国もお互い連携をとって、核保有国に対しましてそうした拡散防止取り組みを強力に慫慂していくということが必要なのではないかと思います。

 実は、私の父母とも広島の地で被爆をいたしております。その意味で、私も被爆二世の一人といたしまして、そうした核拡散防止の運動、地元での諸活動あるいはボランティア活動にも参加をさせていただいております。大臣、いわゆるPSIの取り組み、大量破壊兵器の拡散防止について、我が国みずからがイニシアチブをとって、そして我が国のリーダーシップでもってこの取り組みをぜひとも進めていただきたい、そういうふうに思うわけでございますが、これまでのPSIに対する我が国のそうした主体的な取り組みにつきまして、ぜひ大臣のお言葉で御説明をいただきたいと思います。

町村国務大臣 寺田議員の今お話のあった熱心な取り組みに対して、心から敬意をまずあらわしたいと存じます。

 今お尋ねのPSI、拡散に対する安全保障構想でございますけれども、これは言うまでもございませんけれども、国際社会の脅威になっております大量破壊兵器、ミサイルあるいはこれらの関連物資の拡散を阻止するために、国際法あるいは各国国内法の範囲内で、参加国が共同してとり得る移転及び輸送の阻止のための措置を検討、実践する取り組みということでございます。

 日本といたしましては、二〇〇三年五月、このPSIが発足をした当初から主体的、積極的に参加するとともに、特に、アジアにおけるPSIへの支持、協力の範囲を拡大するための努力を行っております。

 具体的には、昨年の十月、PSI海上阻止訓練を日本が主催いたしまして、参加国の海上阻止活動に関する練度の向上、相互の連携強化を図るとともに、PSI非参加国のPSIに対する理解の促進に努めたところでございます。ちなみに、この訓練をチームサムライ二〇〇四という名前をつけて主催したものでございます。

 また、日本は、これまで二回、二〇〇三年十一月、本年二月、アジア不拡散協議、ASTOPと呼んでおりますけれども、この会議を主催いたしまして、アジア諸国のPSIに対する理解の促進を図っているところでございます。

 日本としては、PSIに対する協力の範囲を拡大して、その実効性を高めるため、引き続き関係国と緊密に協力、努力をしてまいりたいと考えております。

寺田(稔)委員 そうした我が国の主体的な取り組み、ぜひとも強力に推進をしていただきたいと思います。

 四年前の二〇〇一年の九月十一日にニューヨークでの同時多発テロが勃発をしたわけでございますが、ちょうど私、そのときは財務省の内閣、司法・警察担当主計官というものを拝命いたしておりました。大変に厳しい財政事情下ではございましたが、ぜひとも国内テロ対策を構築しなければならないということで、当時としては初めていわゆる横割り連携の手法も予算上導入をいたしまして、私はまさにこの横割り連携の軸となりまして、国内テロ対策、初めてパッケージとして、十三年度補正予算に反映させる形でもって構築をさせていただきました。

 当時は、大きく言いまして五つの柱があったわけでございます。

 第一の柱は、警察におきますテロ対応チームの創設とその拡充。そして二番目の柱は、赤外線暗視装置などのいわゆるテロ対応の装備品の購入の開始。そして三番目は、時あたかも自衛隊法の改正がございました。警護出動という新たな出動形態が定められます中で、重要施設の警備強化のための体制の整備。そして四番目といたしまして、当時非常に横行しておりました北朝鮮のいわゆる不審船事案、これに適切に対応いたしますために、我が国で初めてのEHヘリ、新掃海・輸送ヘリの購入、そしてまた、フレア、チャフ等の防御装置の購入、さらには特警隊の拡充、こういったような措置。最後の五番目といたしまして、出入国管理体制の強化。こういう五本柱でもってテロ対策を行ったわけでございます。

 総額約二百億程度の措置であったかに記憶をしておりますが、あれから四年がたちまして、さまざまな手口の解明が進められます中で、この国内テロ対策、あれから一体どれだけ進展をし、どこまで有事のテロ対応が進んでいるのか。

 特に、いわゆる航空機を利用したテロ、これはまさにニューヨークもそうでございました。ワシントンもそうでございました。また、先般もニューヨークにおいて不測の事態が発生をいたしましたし、我が国におきましても東京タワーのすぐ近くを貨物機が航行するという不測の事態もございましたが、そうした航空機を利用した計画に対しては一体どのような対応がなされているのか、それぞれお伺いをいたしたいと思います。

堀内政府参考人 お答えをいたします。

 テロ対策において最も重要なことは、これを未然に防止することであります。そのため、政府としては、特に九・一一の同時多発テロ以降、関係省庁間で緊密な連携を図りながら、テロ関連情報の収集分析に努めるとともに、出入国管理等の水際対策、ハイジャック対策、重要施設の警戒警備などの諸対策を徹底し、テロの未然防止を図ってきているところであります。

 また、昨年十二月には、内閣に設置しました、官房長官を本部長とする国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして、諸外国の制度等も参考としながら、我が国におけるテロ未然防止対策の問題点及びその改善策等について取りまとめたテロの未然防止に関する行動計画を策定し、七月十二日の閣僚懇談会において総理からも指示をいただきましたけれども、その確実な推進に努めているところでございます。

 この行動計画の内容を具体的に申し上げますと、今後速やかに講ずべき対策として、まず、人に対する規制ということで、テロリストの入国阻止のため、入国審査時に指紋採取及び写真撮影を行い要注意人物リスト等と照合する制度や、テロリストと認定した者の入国を制限する制度を導入すること。また、テロリストを自由に活動させないために、旅館業者による外国人宿泊客の本人確認を強化することを定めております。

 次に、物に対する規制ということで、テロに使用されるおそれのある物質の管理を強化するために、生物テロに使用されるおそれのある病原性微生物等の管理体制の確立を定めております。

 さらに、金に対する規制ということで、テロ資金を封じるための対策の強化。そのほか、重要施設等の安全を高めるために、情勢緊迫時における重要施設等の警備強化、スカイマーシャルの導入、またテロ関連情報の収集の強化など、合計十六項目について、実施する省庁と実施期限を明らかにした上で取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係省庁が緊密に連携しながら、行動計画の確実な推進に努めるとともに、引き続きテロ関連情報の収集分析に努め、情勢に応じた的確な措置を講じてテロの未然防止を図ってまいりたいというふうに考えております。

岩崎政府参考人 航空機を利用したテロへの対策でございますけれども、九・一一のテロ発生以降、航空会社等に対しまして、最高レベルの空港警戒態勢を引き続ききっちりやれということを指示しております。

 金属探知機及びエックス線検査装置を用いた厳格な旅客の検査等を実施しております。それからまた、最近では、ペットボトル等に何が入っているか、ガソリンなのか普通の飲み物なのかと見分ける装置を導入する、あるいは、機内に預ける手荷物につきまして、爆発物を自動的に探知するといったものの装置などの導入も図っておるところでございます。

 今後とも、きっちりやっていって、航空保安の確保に万全を期していきたい、このように思っております。

寺田(稔)委員 時間が参りましたので終わりますが、航空局長におかれては、ぜひともそうした航空機の保安対策、特にいわゆるスカイマーシャル制度の運用を適正に行っていただきたい。内閣官房参事官の御答弁がありましたが、四年前の私の行いました検討のときより余り進化をしていないなというのが率直な印象でございます。

 さまざまな手口の解明が進んでおりますし、ぜひとも、例えばスーパー防犯灯の活用も含めて幅広い、手口の実態を踏まえた適切な対応を強くお願いいたしまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございます。

船田委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 防衛庁長官に主に質問をさせていただきます。

 先ほど防衛庁からの自衛隊の活動の報告にもございましたけれども、七月十三日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件は以下のとおりですということで、具体的なケースとして六つ挙げて、七つ目に、現地部隊には異状がないということを確認している、こういうふうな報告がございました。

 その中で、私はちょっと、大臣ももちろんそうだろうと思うんですが、非常に気になったのは、二番目の、サマワ市内で、日本とムサンナの友好協会の前会長ですか、この友好協会そのものがもう解散になっておる、会長が経営している宝石店にロケット弾による射撃があった、攻撃があった、二人が負傷されたということを確認している、こういう話であります。

 このことは、現在の時点では、その後そんなに大きな発展というか事態には至っていないという見方もできるかとも思いますが、大臣が一貫して、サマワにおける自衛隊の活動について地域の皆さんが非常に厚く支援をしてくれている、私が行ったときはみんな手を振ってくれた、選挙区と同じように手を振ってくれた、こういうふうなお話があって、私は聞いていながら、ちょっと、自衛隊の現地における活動がいかに支持されているかということについて、手を振っているということだけを傍証に挙げられるというのはいかにも弱いなという印象を受けた、そういう覚えがあるんです。

 今日、日本の活動について非常にある意味で重要な役割を果たしてきていただいた友好協会の中心人物に対する、恐らく嫌がらせだろうと思うんですが、それを嫌がらせと見るか、あるいはもっと幅の広い、これからも継続的に行われる可能性があるのではないかということを事件が起こった当時私は心配したんですが、そういう事態が起きて、まず第一義的に大臣はこの事態に対してどういう印象を持たれ、そして、その後約二週間余りがたっているわけですけれども、日本ムサンナ友好協会というものに対する手だてというかフォローアップというか、そういうことについては何らかの手を打たれたのかどうか、その辺をまずお聞きしたいと思います。

大野国務大臣 ムサンナ日本友好協会が解散されたことは大変残念なことだと思っています。自衛隊の活動はまさにイラクと日本とのかけ橋、心のかけ橋となって頑張っている面がありますので、私は非常に残念であるし、そういう協会が基盤を広めていくこと自体が大変治安の安定にも役立っていくんじゃないかと思っております。

 この背景について、もちろん調査もいたしております。それはサマワの治安当局あるいは多国籍軍あるいは部族のヒューミント等、これらの情報もありますけれども、まだまだ確たるものがないということでございます。いずれにしても、こういうものを再開していってもらいたいなと思います。

 しかし、このサマワの問題をイラク全体の治安状況の中でとらえてみますと、全体の治安状況というのは、たびたび申し上げて恐縮なんですが、一週間で多国籍軍に対する襲撃というのは数百件ございます。ムサンナ県のあります南東部の方は一けた台の数字であります。さらに、ムサンナ県に限って見ますと、そういう案件がない州もある、こういう状態であります。したがいまして、北部のクルド地区と同様に大変安定している。

 ただ、襲撃事件が集中しているのは、中央それから西部のいわば四県に集中している、こういう状態であることは御認識いただきたいと思うんですが、こういうふうに日本関連の事件が起こりますと、やはりこれは防衛庁長官としても安全の確保に努めていかなきゃいけない。その中で、国際社会の責任ある一員として、イラクが民主主義国家として生まれ変わること、そして、それと同時に、イラクと日本との間の友好な関係を樹立していかなきゃいけないな、こういうふうに感じております。

赤松(正)委員 今、非常に残念であるという認識と、それから、日本イラク友好協会、ムサンナ県の友好協会に対するそういう思い、お聞きしたわけです。

 サマワ周辺が非常にイラク全体の中で安定しているということは私もいろいろな機会に情報をお聞きして認識はしているわけですけれども、しかし、ずっと、安定している、大丈夫だと言っていて、突然ボカンということが起こりかねないということもあって、幅広い、その地域における日本のやっている活動に対しての幾重にも支持をする輪というものを広げていかなくちゃいけない。

 そういう意味で、これは危険な一つの兆候という見方もしっかりしていただいて、引き続き、この地域住民の皆さんに対する理解、また日本との関係強化というものを進めていっていただきたいということを強く要望したいと思います。

 それから、二点目といたしまして、イラクのいわゆるチグリス・ユーフラテスの河口にあるウンムカスルの港、これがイラクのこれからの復興支援にとって非常に重要な役目を負った港であるということで、先般、私ども、現地でさまざまな活動、今はもちろん無理ですけれども、かつての時代にイラクの地域で活動をされてきた商社マンの方から、さまざまな現地の事情に対する要望、そういうものをお聞きしたことがあったわけです。そんな中で、ぜひとも、今は無理でも、近い将来にということで、ウンムカスルの港に自由にいろいろ船が出入りするようになれば、イラクの復興支援にとって非常に大きな機縁になる。

 今、まず現時点の状況がどういうふうになっているのかを後で報告していただきたいんですが、港がしゅんせつを必要とするような状態であり、そして機雷が埋まっているというふうなこともあって、なかなか港の使用というものがままならない。こんなことで、自衛隊に機雷除去という側面の役割をしてもらえないか、こういうふうな要望があって、防衛庁もそういう要望を聞いておられると思うんですが、この件につきまして、その港の状況とあわせて、機雷除去というふうな問題について現状の中でどういうふうにとらえておられるのか、それを大臣にお聞きしたいと思います。

大野国務大臣 チグリス・ユーフラテス河口の機雷除去等の問題でありますけれども、我々は当然のことながら、そういう御要望があるということは、情報として伺っております。そして、イラク南部における港湾復旧作業に従事しようとする民間の企業があることも存じております。

 ただ、防衛庁として公式に、今、赤松先生がおっしゃったような機雷の除去について、具体的な形での御要請というのは全く受けておりません。現地の状況について具体的に把握していない、こういうような段階でございますので、明快なお答えはできないのでありますけれども、原則としまして、今のイラク人道復興支援特措法において機雷除去という仕事は明記されておりません。したがいまして、イラクにおいて特定の事業を実施する特定の民間企業の作業を直接支援するということは、今の体制の中ではできないわけでございます。

 日本としてできることは何だ。それでは、日本の船舶が安全に海上航行できる、これをきちっとやることは当然日本の責務であろうし、それから国際的にそういう御要請があればやはり御要請にこたえていく、こういうことも考え方として可能性はあろうか。具体的な御要請が出まして、その段階で具体的に何ができるか、このように考えさせていただきたいと思っております。

赤松(正)委員 肝心のイラクの国家主権自体がそういう要望をしていないということでは今のような答弁しかできないんだろうと思いますが、近い将来、そういうふうな要望があった場合にはぜひ対応していきたい、そんなふうな思いを抱きます。

 次に、去年の十二月十三日だったと思いますが、当委員会でも、イラク・サマワにおける自衛隊の活動の一つの目安としての四条件、四項目と言うべきでしょうか、現地の復興の進展状況の変化、選挙の実施等によるイラクにおける政治プロセスの進展の状況、それからイラク治安部隊の能力向上など現地の治安に係る状況、そして多国籍軍の活動状況及び構成の変化、この四つの項目がお互いに複合的に密接に関連し合ってどのように変化していくかということが、サマワにおける我が日本の自衛隊の行動を、言ってみればさらに続けてやっていくのか、それとも撤退を考えるのかというふうなことの目安として、四つの項目が挙げられたわけであります。

 まず第一に、これは現状においてとりたてて大きな変化はないんだろうというふうな見方をいたしておりますが、かいつまんでこの状況について、短くて結構ですので、一つ一つでなくてもよくて、特に中心の部分、例えば政治プロセスの進展の状況という部分では、イラクの憲法の話が八月十五日に一つの期限を迎えるわけですが、そのあたりの現状のとらえ方についてお話しをいただきたいと思います。

大野国務大臣 この問題は、私はたびたび四つの切り口ということで申し上げておりますけれども、昨年十二月にイラク特措法基本計画を見直した際に、今後の活動の見直しにつきましてはこういう四つの切り口から見ていこう、それを総合的に判断していこう、そしてさらに延長問題についてはこの四つの切り口を総合的に判断して日本が主体的に考えていくんだ、こういう御説明をしてきたところでございます。

 まず第一の政治プロセスでございますが、今度の問題は八月十五日までに憲法草案が起草できるかどうか。これまで曲がりなりにもそこまでこぎつけておりますから、次の問題点は憲法草案ができるんだろうか。その点は、ハムディ憲法起草委員長が、予定どおり完了するんだ、こういうことを言っております。その方針を確認している、こういう現状であります。

 それから、現地の治安状況は、先ほどかいつまんで申し上げましたが、やはり対日本、自衛隊という点で注目すべきではないか。安全確保に十分注意しながらやっていきたい、このように思っております。詳細は省かせていただきますけれども、そういう状態でございます。

 それから、第三のイラク復興の進展状況でございますが、これはまあまあ道半ばという状態はそう変わっていないんじゃないか。ただ、一つだけ申し上げたいのは、最近大変な電力不足でございます。その電力不足がサマワ、イラク、ムサンナ県の人々のいわばフラストレーションを起こしている材料になっているんじゃないかと思われます。電力の供給量はもう目標値に達しているわけであります。ところが、需要の方が盛り上がってしまって需給ギャップができてしまっている、こういう状態もあるわけであります。

 その他国際社会の動向でございますけれども、そういう切り口に注目しながらこれから判断していく、こういうことであります。

赤松(正)委員 時間が来ましたが、申しわけない、一点だけ追加させてください。

 アフガン特措法ですが、十一月一日で法律の期限が切れるわけですが、このアフガンにおける日本の活動、いわゆる給油活動でありますけれども、これについては、イラクにおける、さっきから言われている、撤退を考える場合の四つの切り口、アフガンの場合は、そういったことを考える切り口というのはどういうふうに考えておられるんでしょうか。

大野国務大臣 簡単にお答えいたします。

 まず、テロとの闘いの状況がどうなっているんだ、こういう問題が一つあろうかと思います。二番目に、国際社会の闘い、これは、現在何らかの形で関与いたしておりますのが約八十カ国、それから、OEF・MIOに参加しておりますのが十一カ国、日本が油等を供給いたしておりますのが七カ国、こういう状況でございます。

 それからあと、現地のニーズでありますが、現地のニーズは、大変日本の活動に感謝してくれている、そして続けてほしい、こういう声も聞かれております。

赤松(正)委員 終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 きょうは幾つかの問題について質問させていただきますが、まず、ちょっとイラクの問題に入る前に、先月ですか、中国と韓国に行ってきまして、日中韓の次世代リーダーフォーラムというのに参加をさせていただきまして、中国の関係者、韓国の関係者、政治家とかジャーナリストそして経済人とか、日本からも、議員を含めて関係者が参加して缶詰で議論をしてまいったところなんです。

 戦後ちょうど六十年ということで、やはり中国、韓国、歴史問題にも焦点が当たりまして、そこで、特に中国の関係者といろいろと、私を含め日本側というんですか、論議をして、領土問題とかあるいは中国の反日教育を問題にしてこちらはがんがん言ったり、あるいは歴史認識の問題もいろいろさまざまに熱く議論してきたわけですけれども、その中で靖国問題というのがやはり一つのテーマになりました。ちょっとイラクの問題に入る前に、この点についてお聞きをしたいと思っております。

 靖国問題、一個人として参拝に行くのは何ら問題ない、個人の自由ですねということは私も十分承知しておりまして、私自身も個人的には何回も行っているところでありますけれども、中国側の関係者が切々と言うのは、ちょっとだけ紹介しますけれども、中国において日本が中心になって侵略を受けた、そこで何百万の人たちが、同胞が失われた、亡くなっていった。そういったことに対して日本国民全般に対して恨みを持つという気持ちを持てば、これは自分たちも非常に厳しい感じを持つし、日本国民自身も日本の軍国主義の犠牲者なんだ、そういうことの理解をしている。とにかく、戦争を始めて戦争を指導した者たちだけに、やはり自分たちはそこは責めを負ってもらわないと、自分たちとしてもやりきれない気持ちなんだと。

 そういう中で、十数人ですか、東京裁判のA級戦犯の方々がいる靖国、これらの方々に対して、日本の国民一般の方は全然問題ないけれども、特に日本の政治のトップである総理大臣が公式に参拝をする、つまり、戦争を起こし、指導した人たちを神とあがめることについては、自分たちとしてやるせないというか、気持ちの持っていきようがない、これを何とかしていただけないかという話をしてきたわけであります。

 私なんかも、これは小泉総理が、そんなことは内政干渉だ、これは内政干渉だからぎゃあぎゃあ騒ぐ方が悪いように言うのは、一般の人が言うのとは全然意味が違って、これはむしろ外交問題として、中国を含めそういうふうに感じている国がある、それに対してはしっかりとした、やはり外交問題としてきちんと処理をしていかなきゃいけない、そういうふうに感じるんです。

 両大臣おられますので、八月十五日、小泉総理がまた参拝されるといううわさがいろいろと立っておりますけれども、両大臣はどうされるのか。靖国に公式な形で参拝されるのかどうか、もし御自分が総理になったら参拝されるのかどうかも含めて、まずお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 小泉総理が公式参拝ではなく私的な参拝をなさる理由というのは、私が今ここで改めて申し上げるまでもなく、いろいろな場所で総理御自身が自分の口からお話をされておられることであります。念のために申し上げてもよろしいんですが、時間の節約上それは節約をいたします。そのことは国民の皆様方にも申し上げておりますし、また、中国あるいは韓国のトップリーダーの方々にも、首脳会談の場でその点ははっきり総理御自身も言っておられることであるというふうに私は理解をいたしております。

 外務大臣はどうするんだというお尋ねでございました。私自身も外務大臣になる以前は、靖国神社にいろいろな思いを込めてお参りをしてきたものでございます。しかし、外務大臣になってからは、これまでお参りをしておりません。また、この八月十五日に行くのかというお尋ねであれば、私は今その考えはございません。

大野国務大臣 私は、九段の衆議院議員宿舎に住まっておるものですから、防衛庁長官になる前、なってからも、散歩をした場合に、頭を下げて、犠牲者の御冥福をお祈り申し上げている。国のために命をかけて犠牲になられた方々の御冥福をお祈りする、哀悼の誠をささげるというのは、私は、人間として当然のことであるし、また政治家としても当然のことであると思います。

 しかしながら、この問題、大臣として参拝ということになるといろいろな議論が出てくる。一方において哀悼の誠をささげるという本当に人間としての気持ちと、それから外交関係、特に近隣諸国の国民の皆様のお気持ちを考えた場合、一体どうなんだ。これは本当に慎重に考えていかなきゃいけない問題だと思っております。

 私は、今のところまだ決めておりませんが、慎重に考えていかなきゃいけない、それが国際国家日本としての、私、長官という立場でございますから、やはり慎重に、そしてまた自分の思いで決めていきたい、このように思っています。

末松委員 外務大臣、そして防衛庁長官から今お話がございました。両大臣とも今のところ行かれる御予定はないというお話でございました。

 外交問題というのが、防衛庁長官あるいは外務大臣からもお話がございましたけれども、もし小泉総理が本当にそこを強行されるということであるならば、小泉総理は非常に説明が足りないといいますか、確かに日本の国の礎石となった方々に対して、子孫の方々がそれを尊重し、そして敬うということに対して、やることはどこの国でも一緒ですし、韓国も中国も、またヨーロッパもアメリカもそういった制度があるというのは事実なんですね。

 ただ、それを強行して行った場合に、例えば中国にしてもさまざまな、経済関係を含めいろいろな関係が今ストップをしてきて、非常に厳しい状況に陥っているという実態もございます。もし小泉総理が、そういったことを抜きにして、ただ内政干渉だという形だけでこれを処理していくという話であれば、日本と中国との間は非常に厳しい関係になって、貿易あるいは経済関係、また政治関係を含め大きな問題が生じ、大変な貿易縮小、経済関係縮小、こういったことが起こってくる。

 こういうことでありますから、もし小泉総理が行かれるのであれば、国民に対するメッセージとして、これだけ中国も、あるいはほかの国とも大変な状況に陥って、経済関係がかなり厳しくなるんだということもあり得ますけれども、それでも靖国参拝に行くのが、国の、基本的に英霊を奉る上で重要なんだよというところまで説明をしていかないと、私は、やはり言葉足らず、説明責任が足らないと考えているわけです。これについてはあえて申しません。

 ただ、最後に一点だけ、外務大臣に。

 私も民主党で靖国神社問題ワーキングチームの座長という役をやっていたときがございまして、そこで、国立追悼施設というものが建設されるべきだろう、それが解決法だろうということで、民主党に提案をし、そして民主党として提案となったという位置づけもございます。

 小泉総理も、何人もわだかまりない形で参拝できる、そういったものをつくるかつくらないかを含めて検討してくれと言って、略称でいわゆる追悼懇というのが福田官房長官のときにできたんですけれども、そして国立追悼施設をつくるべきだという結論が出たんですが、それが一顧だにされない。要は、投げた総理大臣そのものが無視をしてしまっているという状況なんです。

 そういった状況に対して、外交を預かる、特に東アジアを中心に、外交を預かる外務大臣としてどういう思いがあるのか、その感想をお聞かせいただければと思います。

町村国務大臣 ただいま、小泉総理は説明不足だという御指摘もいただきました。

 これは、国会でのやりとりを含め、再三にわたって総理御自身の口から、心ならずも戦地に赴いて命を落とされた、そういう方々の英霊のみたまを安かれという思い、そして二度と戦争をしてはいけないという平和の誓い、そしてそうした貴重な犠牲の上に立って今日の日本の繁栄があるんだという感謝の思い、そうした思いをささげに行っているのであって、もとより、特定の個人あるいはグループのために、例えばA級戦犯の方々のためだけに行っているというものでもないんだということは再三総理が述べているところであります。

 また、これは、もちろん総理という公的な立場はあるにしても、心の問題である、この問題についていろいろな方がいろいろな御意見を言うのは構わないが、それらをすべてしんしゃくしてみずから適切に判断をされると言っておられる以上、その適切な判断の考慮要素の中には、今言ったさまざまな、経済、貿易面への影響等も含めてだろうと思いますが、そうしたことを総合判断して総理御自身が判断をされるということでありますから、私は、総理は総理大臣という立場で総合判断を適切にされるということについてその判断の結果を尊重したい、こう思っているわけでございます。

 もっとも、総理が靖国を参拝されたから、にわかに貿易が縮小する、経済活動が停滞をするというような関係に立つというふうに考えること自体がおかしいのであって、一つのことがすべて何か他のことをオーバーシャドーしてしまうというんでしょうか、一つのことが悪ければあとは全部だめになる、そういう関係でもない。私は、日中関係はもっともっと重層的、複合的なつながりがもう既に存在をしているのではないか、個人的にはこう思ったりもしているところでございます。ただ、悪影響があるのではないかという御指摘であれば、それはそれで率直に受けとめなければいけないんだろう、こう思っているところでございます。

 いわゆる靖国懇の答申について、その後の処理といいましょうか、その後の対応の問題についてお尋ねがございました。

 あれはあれとして、非常に貴重な御見解をおまとめいただいたものと政府は受けとめておりますが、その後の世論の動向、国会での議論といったようなものも、総理は慎重にそれを今見計らっているということだろうと思いますし、現実に、先般も盧武鉉大統領との会談の中でも、世論の動向を見きわめながら、この問題については、靖国にかわるというものではなくて、新しい追悼施設という形でどういうものが考えられるか、またそれに対する国民の反応がどうかということを見きわめながら考えていきたいという見解を盧武鉉大統領にも述べておられたし、また、このことは多分国会でも答弁をしておられるんだろう、こう思っております。

末松委員 日中関係に悪影響がないかというと、あるわけですね。だから、外務大臣としても本当は、本音としては、そこは総理に何とか自粛を求める、外交を預かる者としてそういったことも当然考えなきゃいけない、そういうふうな立場でありましょうから、そこは外務大臣として、言うべきことをしっかりと言っていただきたいと思います。

 それから、余り時間がありませんのでちょっと話題をずらしますが、靖国において、英霊のみたまを敬うと同時に、二度と戦争をしてはいけない、不戦の誓いをずっと小泉総理はやってこられたと強調しているんですね。不戦の誓いというのは、日本国だけが不戦なんですかというのを私は感じるわけですよ。つまり、世界に戦争というものそのものがあってはいけない。戦争があるから犠牲者が起こって、そして、今度の中国、韓国訪問でも私も非常に感じたんですが、やはり戦争というのは後世代にわたって極めて大きな傷跡を残しているという状況は、酒を飲んだ後語られる口調から本音がわかるわけなんです。

 そういう中で、イラクの問題にちょっと移っていきたいと思うんですけれども、今私が問題にしたのは、この前、大出委員、そしてその前に市村議員も言っておられました。また、過去からさまざまな、党代表からもずっとあった話ですけれども、イラクに大量破壊兵器が存在したのかしなかったのかという問題がございます。

 改めてこの問題を蒸し返すというよりも、これはまた本当の意味で十分な審議が行われていないんじゃないかと思うから私は質問するわけですけれども、とにかく、開戦直前の二〇〇三年の三月十三日とか二十日とか、例えば小泉総理のメルマガなんかを見ますと、すさまじく書いてあるわけですよ。

 このイラクの大量破壊兵器が世界の平和に対する重大な脅威になっているんだ。「この問題は、アメリカ対イラク、あるいはアメリカ対フランスの問題ではありません。「全世界対大量破壊兵器を持っているイラク」の問題であることを忘れては」なりません、こういうふうに書かれてあるのが二〇〇三年三月十三日ですね。そして三月二十日には、「問題は、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に私たちがどう対峙するかです。イラクは十二年間、国連の決議を無視し、大量破壊兵器の破棄をしてこなかったのです。」ということが書かれてある。

 さらに、総理の記者会見、三月二十日、開戦のときの記者会見なんかも、「危険な大量破壊兵器が、危険な独裁者の手に渡ったら、どのような危険な目に遭うか、それはアメリカ国民だけではありません。日本も人ごとではありません。」ということで、大量破壊兵器があることが前提として大きな脅威を、国民に恐怖感を与えながら、そして日本はこの戦争を支持しなきゃいけないというふうに言ってきたんですね。

 それが、アメリカ、イギリスで、去年十月、大量破壊兵器は実際に、独立委員会の報告なんかを見ると、なかったんだ、大量破壊兵器はなかったと。そしてその前に、スコット・リッターという査察の委員長をずっとやっていた男が、もうイラクの大量破壊兵器は九五%近く全部整理をされているので、これはもうないということを、日本にも来て説明されていましたし、そういう、ないという前提に立って議論をしてきた。それが事実だろうということで、おおむねそういった調査報告も出たんです。

 日本政府は、町村外務大臣がこの前、市村浩一郎委員との話の中で、実際に日本政府として、イラクは大量破壊兵器を持っていたのかいなかったのか、これについて発言もされているんですけれども、なかったかのような発言をされておられるんですけれども、改めて聞きたいと思います。日本政府の現状の認識は、この大量破壊兵器の存在についてどういう認識をお持ちなんですか。

町村国務大臣 二〇〇四年、昨年の十月のイラク監視グループ、ISGグループの報告書によりますと、イラクに大量破壊兵器が存在しないことはほぼ確実になったと判断される、こういうレポートが出されておりますので、私どもも現時点ではそのように考えております。

末松委員 そうしたら、今まで大量破壊兵器があるがゆえに、だからイラクが脅威で、だから戦争を支持するんだというような形の発言を、この大量破壊兵器というものがあることを前提に繰り返し小泉総理を初めずっと言ってきた。これに対して今あっさりと、そのレポートが出された時点で、ないと判断するということですか。ちょっとその辺、もう一度、いつそういった大量破壊兵器はないと考えをそこで確定させたのか、時期についてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 このISGグループの報告書が出された時点で、絶対かどうかはあれですが、ほぼ確実であろうというふうに判断をいたしました。

 ただ、念のために申し上げておきますけれども、これは今まで何度も答弁をいたしておりますけれども、過去、実際に大量破壊兵器を使用した事実がイラクにはあったこと、また、国連査察団の指摘しているいろいろな未解決の問題についてイラクが適切にこたえてこなかったことなどからすれば、当時、大量破壊兵器はあると想定するに足る合理的な理由があったこともまた事実であろう。その後、サダム・フセイン政権が除去され、いろいろな徹底した調査が可能になって、初めてそれがないということが証明されたわけでございます。

 したがいまして、当時の認識が誤っていたのではないかという御指摘でございますけれども、これも何度も申し上げておりますけれども、日本は、イギリスやあるいはアメリカと違って、みずからそういうインテリジェンスの能力を持っておりません。したがって、みずから調査をしたわけではないわけでございまして、あくまでもUNMOVICの指摘等々を踏まえながら、あるであろうという合理的な判断に基づき、そして、私どもが最終的に武力行使を支持したのは、その有無ということよりも、むしろ、一連の国連の決議への対応というものについてイラクに大変問題があったというようなことから、私どもは武力行使を支持するということに踏み切ったわけでございます。

 そういう意味で、現実にあったかなかったかということと武力行使を支持したということは直接的にそれは因果関係がなく、私どもは、国連における議論というものに基づいて判断をしたということでございます。

末松委員 みずから日本が調査能力はありませんと先ほど言われたわけですね。だから、国連の査察団の報告とかあるいは各国の調査、それに頼りながら、いわば彼らがいろいろと言い始めたら、ああそうかな、違うと言い始めたら、ああそうかなと言いながらやってきたという中で、踊らされているなという気は確かにするんですけれども、それも現状の調査能力からいったらいたし方がないということを今外務大臣が言われたんだろうと思うんです。

 ただ、これで、小泉総理を初め、大量破壊兵器の脅威があるからというのが非常に大きな理由となって、小泉さんだけでなくて、ブッシュ大統領そしてブレアさん、ブレアさんなんかまさしく、あのイギリスのレポートが出た後しっかりと陳謝しているんですね。イラク攻撃に踏み切った時点で旧フセイン政権は配備可能な生物化学兵器を所有していなかったことが明らかになりつつある、それを認めざるを得ない、こういうことで、報告書もきちんと、いかにも大量破壊兵器が脅威を与えたかのような、確実な情報に基づいているかのような印象を与えた、それに対してはしっかりとした陳謝がなされて、それはおかしかったと。アメリカも、それは独立委員会の報告でそういった形で、おかしかった、それは事実だともう認めているわけですよ。

 それを日本政府として、前提がひっくり返りました、なかったんですねと言うからには、今まで国民の皆さんにそういう脅威を与えてきたということを言い続けてきた責任として、これは何回も指摘されていますけれども、私もいまだにそれは納得していないんですよ。政府はいまだに強弁をして、あの時点ではしようがなかったと。しようがなかったというような形で言うならば、靖国神社に参って、それで不戦の誓いをやっているなんということは言わないでくれと。

 要するに、戦争に加担あるいは戦争を支持するということ、それは、不戦の誓いというのは戦争をしないということですよね。外務大臣も言われました、やはり不戦の誓いが重要なんだと。そういったことをなぜそこで軽々に、調査能力もない中でやってきたのかということは、やはり十分に猛省をしてもらわなきゃいけない。特に、戦争ということは本当に傷跡を残す話です。だから、日本が、日本人だけが手を汚さないからいいんだ、だから我々は、そこは不戦とは言わないんだという話じゃないと思うんですね。

 そこはぜひ体を張って、それはやはり戦争をしてはいけないんだということを、これは見解の相違とけられたらそれは仕方のないことですが、少なくとも、大量破壊兵器がなかったという立場をはっきりとさせたのなら、その時点で陳謝をすべきだったと思いますが、改めてお聞きをします。

町村国務大臣 イギリスあるいはアメリカがみずからの調査能力に基づいて調査をして、それはなかったと。それは、その調査自体が誤りであったということについて陳謝をすることは、私はある意味では当然のことであろう、こう思っております。

 しかし、アメリカ等によるイラクに対する武力行使は大量破壊兵器の疑惑があるという理由だけでやったわけではなくて、私どもは主として、累次の関連する安保理決議にこの武力行使というものが合致している、国連憲章にのっとった行動として私どもはそれを支持するということを言っているわけであります。

 そういう意味で、米英と日本との対応の仕方というのは、結論においては、武力行使ということについてそれをする側、それを支持する側、同じだろうと思いますけれども、彼らが陳謝したというのは、調査が不正確だった、誤っていたということの陳謝であって、武力行使をしたことに対する陳謝ではないということでございます。

末松委員 そういうことであれば、私、もう時間がなくなりましたけれども、では、そのとき誤った判断をやったとしても、それは、あのとき我々民主党の方は、灰色だけれどもグレーが薄い可能性もあるから、今までずっと査察をやってきて、それを査察団があと数カ月ぐらいできちんと結論が出ると言ってきたから、もっと待てという話をやってきたわけですよ。

 そこをむしろ日本としては、さっきの靖国神社で不戦の誓いをするというようなことを本当に尊重するのであれば、そこを全く無視して、いや、アメリカがやったから、そして日米同盟の観点だ、大量破壊兵器というのはワン・オブ・ゼムで小さなことだというような印象を与えるような答弁は、外務大臣としてはしてほしくないんですよ。本当の意味でやはりきちんと、自分たちが誤っていたという話であれば、調査能力がないからあるともないとも言っていません、だから今だって責任をとらなくていいんですというふうにしか受け取れないんですよ。

 ぜひそこは、外務大臣としてもしっかりとした対応をやってもらわないと国民の信頼にたえないよというふうに私は考えますので、どうかその点についてしっかりとした対応をとってほしいと思います。

町村国務大臣 これは、平成十五年三月二十日の内閣総理大臣談話に載っているとおりでございまして、当時から何度も申し上げているんです。皆さん方は、それは灰色か黒かよくわからぬという御主張だった。それは我々だって絶対黒という判断をしたわけじゃございませんが、しかし蓋然性は高い、こう判断をした。

 しかし、私どもがなぜ武力行使を支持したかといえば、それは、累次の安保理決議に余りにも違反し過ぎているということを、私どもはそれが根拠であるということはもう再三申し上げているわけでありまして、決して急に、ここに来て正当性の、物の言い方を変えているわけでは全くないわけであります。当時からそういう説明を再三にわたって、当時の川口外務大臣もあるいは小泉総理もその説明をしているということでございまして、別に説明ぶりが変わったわけでも何でもないということはぜひ御理解をいただきたい。

末松委員 今の発言を見ると、安保理決議にしたって正当性があるかどうか、重大な、また大きな疑惑があるわけですから、そこは見解の相違という話になるかもしれませんけれども、いずれにしても本当の意味で、戦争というのは、いや、間違ったんだ、後で、そのときに疑惑があったからしようがなかったんだと、それで死んでいった人は泣き切れませんよ。そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、島田久君。

島田委員 民主党・無所属クラブの島田久であります。

 クールビズでなく、四半世紀前の一九七九年、大平内閣が提唱し、羽田元総理が愛用した省エネルックで質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地で装甲車に対する砲撃の問題、あるいは、大野防衛長官は自衛隊にも好意的である、そういうことを言われておりますけれども、特に五月ごろから市民感情が次第に反日に変化しているような気がするんですね。先ほども質問がありましたように、日ムサンナ友好協会の解散や、あるいは、これらに対して先ほどもお話があったように銃撃、車両に対する状況など、大きな変化があるような気がしてならないのですけれども、大臣はその辺、当面どんなお考えでしょうか、まずお伺いします。

大野国務大臣 省エネルック対クールビズの対決になりますが、よろしくお願いいたします。

 まず現状でございます。先ほど申し上げましたとおり、イラク全体では毎週数百件の襲撃事件がありますけれども、南東部では一けた台の件数である。ムサンナ県ではまれに、まれにというか、たまに起こっていることである。しかしながら、申し上げましたとおり、サマワ日本友好協会が解散した、あるいは自衛隊の車列に対して簡易爆弾が炸裂した、そしてロケット弾が撃ち込まれた。こういうことは決して見逃せないし、本当に、我々、自衛隊の安全を確保しながら作業、人道復興支援活動を続けていかなきゃいけない。

 どういうふうにこれを見るのか。我々の調査、一生懸命やっておりますけれども、まず背景の一つとしては、政治プロセスが曲がりなりにも今進んでおりますが、それを阻止しようという旧勢力があるのかな。あるいは電力とか雇用問題。失業率は今二八%というのが公式な見解でございますけれども、実際には四〇%、五〇%あるのじゃないか。こういう不満のはけ口としてあるのかな。それから、宗派とか民族の対立関係などがあるのかな。そこで民衆の不満をあおっていく勢力があるのじゃないかな。こういうようなさまざまな情報はあるわけでございます。

 ただ、全体の件数というところで見ると相変わらず同じような状態でありますけれども、日本向けの事案がこのところありますので、我々としては、予断せずに、自衛隊の安全確保を一番にして活動を続けていく、こういうことで、毎日毎日連絡は現地ととっております。

 そういう状態でございますので、私は、全体として治安が悪くなったとか、そういう議論じゃなくて、その背景の調査を進めてまいりますけれども、そういう点に十分注意しながら人道復興支援活動を続けたい、このように思っております。

島田委員 それでも、例えばサマワのハッサン知事が、デモ隊への発砲など事件がかさんで、カリム州警察本部長の解任を決めた。そして、州議会議長は二十九日、州警察本部長を解任できる権限は内務省にしかないと反発し、ハッサン知事と州議会の対立が鮮明化し、このことに関連し、イスラム教シーア派のサドル派も不穏な動きを見せている。サマワ市内の市民の間からは、権力抗争が治安の悪化を招いているのではないかという報道があったりするのですね。

 それらのことを考えてみたり、あるいは自衛隊に対して発砲があったり、地元警察も必ずしも治安に対して適切に対応し切れず、警察本部長を解任したり、あるいはその後の体制ができなかったり、そういう点では、相当現地におけるそういう治安の悪化が行政の混乱まで招いているのではないかということが想像できるのです。

 これは、私どもとしては、現地の必ずしも的確な情報がないから想像の域を出ない面があって、的確であるとは言えないのですけれども、こういう報道を見たりすると、実態的にどうも治安が悪化していて、この辺のところをもう少しきちっとした分析をしたり、非戦闘区域の問題を含めてその辺の状況の判断というのをもっと的確にしなきゃならない時期に来ているような感じがするんです。

 その辺に対する具体的なことについて、長官の判断は少し間違っているような気がするんですね。クールビズと対決なんて難しいことを言わずに、素直に情報をきちっと、やはり情勢分析は長官として責任があることですから、それらのことに対する、これは議会としての的確な情報判断も、今度は議会側としてしていかなきゃならぬ状況に来ているのではないかなという気もしたりするんですね。その辺はどうお考えでしょうか。

大野国務大臣 まず、ムサンナ県あるいはサマワの住民の感情という問題、御指摘いただきました。

 これは、最近の地元新聞社の世論調査によりますと、八八%、ほぼ九〇%の方々が自衛隊の活動を続けてほしい、こういう回答でございます。

 それから、もう一つ御指摘いただきましたカリム治安長官解任の件でありますが、これはいろいろな情報がありまして、私ども日本政府の責任あるポジションにある者が一概に言うことははばかられますので、はっきりしたことは申し上げにくいのでありますが、いろいろな権力者同士の争いとか部族間の争いとか、そういうことが原因になっているのではないかという情報も我々には入ってきております。しかし、直ちに解任できるかどうか、それは、今、島田先生御指摘になりましたけれども、そういう問題も含まれているわけでございます。

 また、背景説明としては、先ほども申し上げました電力事情が悪化していること、あるいは雇用問題が大変深刻になっている、こういう問題。雇用問題でいいますと、日本が来れば一日に何千人も雇ってくれるんじゃないか、こういう過剰な期待感が一部にあるのではないかという分析もございます。

 そういう分析、あるいは電力問題にしても、先ほど申し上げましたとおり、供給の目標量は達しているのだけれども、需要が随分伸びてきている。例えて言いますと、私が十二月にサマワへ参りましたときも、パラボラアンテナが家ごとに随分立っているんですね。そういう意味では、随分と復興しているんだな、電力需要がこれだけ出てきたのもむべなるかな、こういう思いでございます。

 そういう中で、どういう勢力がこの治安悪化につながった活動をしているのか。そういう分析でいいますと、例えば、まず第一には、旧政権とつながっているスンニ派グループあるいはシーア派の過激派と呼ばれる人、そしてまた外国人勢力、もう一つ言いますと、フセイン政権崩壊のときに約一万人の犯罪者が釈放されたわけでございますが、そういう人々がいろいろなことを起こしているのではないか、いろいろな情報があります。

 しかし、これはなかなか断定的に言えるような状況ではないし、また、我々の情報源というのは、もちろん現地のサマワの治安当局であり、イギリス軍であり、オーストラリア軍である。そしてまた、部族長からの情報もあるし、ヒューミントもございます。いろいろな情報を総合して、そのようだなというような感じで今申し上げているところでございます。

 そして具体的に申しますと、襲撃件数というのは先ほど申し上げましたので割愛いたしますが、実際に襲撃によって多国籍軍の関係者が死亡した、こういう観点から見ますと、まず第一番目にイラク全体のこれまでの死亡者を申し上げますと、千三百六十五名でございます。これは二〇〇三年五月一日以降の襲撃による多国籍軍の死亡者でございますが、全体では千三百六十五名。ムサンナ県のありますイラク南東部では四十七名、約三%でございます。それから、ムサンナ県では二名、〇・一%、こういう状況でございます。

 とはいえ、ムサンナ日本友好協会解散は本当に残念ですし、こういうことこそ人間同士の、イラクと日本との良好なる関係の基盤となってくれるものですから本当に残念に思うし、それから、自衛隊関係の案件が出てきている、これは本当に注意をしていかなきゃいけない。こういうことを先ほどからるる申し上げさせていただきました。

島田委員 長官、御記憶かと思いますけれども、私は、四月の十九日の新聞に、防衛庁が、同庁記者会所属記者による、復興支援活動を続けるイラク陸上自衛隊サマワ宿営地で四月二十五日から予定されていた取材について、出発直前の十八日に防衛庁が突然中止を各社に申し入れたことについて、その理由や事情について質問したんですけれども、そのとき長官が、「マスコミの方々に現地の状況を自分自身の目で見てもらって、そして国民の皆様に、どういう状況か、的確、正確に報道してもらいたい、私はそういう気持ちを従来から持っております。」と述べられました。

 サマワの現地事情については、この間、本委員会などでも、戦闘地域か非戦闘区域かといった議論が何となく続いているわけであります。政府は、まず現地の実態というものについて国民に正確に説明するという意味でも、マスコミに対してもきちっとそういう情報そのものを開示するという面で、中止をしただけになっていますけれども、こういうことについて今後どういう形で、国民に対して的確な情報を伝えるという面で何らかの手だてを考えておられるんでしょうか。

大野国務大臣 まず、日常的に行っております我々の広報活動でございます。

 これは全部言っておりますと長くなりますので簡単に申し上げたいと思いますが、パンフレットを作成、配布、あるいは広報用ビデオを作成、庁ホームページでの広報、あるいは、セキュリタリアンという雑誌がございますが、そういう雑誌を通じての広報、防衛庁提供のラジオ番組、あるいはテレビ、新聞広告を通じた広報、小泉内閣メルマガを通じた広報等々でございますし、私自身もせんだって広報用のテレビに出演させていただきました。どうぞ島田先生、防衛庁にお越しになりますと、玄関に入ってすぐ右手の方でその広報用テレビに私映っておりますので、ごらんいただければと思いますが、そういう広報を常々怠りなくやっておるところでございます。

 ところで、御指摘の、マスコミの皆さんに現地を見てもらったらどうか、長官はそういうことを通じて広報活動をやりたいと言っていたという件でございます。

 たしか四月だったと思いますが、私は、そういう方針でやろうということで庁内で言っておりました。ただ、上がってきた案が四月という時期でございまして、この四月というのはちょうどオーストラリア軍がオランダ軍と交代する時期であります。ちょっと時期を下げたらいいんじゃないかということで、そういうことが主な理由で休止させていただきましたけれども、私はやはり今後ともそういう努力を、努力というのは、現地にマスコミの皆様に行ってもらいたい。そのタイミングは大変難しい判断になると思いますが、タイミングを見計らってぜひとも新聞記者の皆様の目で現地を見ていただき、そのことを国民の皆様にお伝えいただきたいなというふうに思います。それが我々の広報活動とともに大事なことじゃないか、このように思っています。

島田委員 その駐留の期限を、今長官の言われるように、そう悠長に考えられるような状況ではないんじゃないでしょうか。もうある程度、十二月で例えば自衛隊が撤退するにしても三カ月ぐらいかかるというわけですから、そういう意味ではもうその時期についての、治安はある程度安定はしていると長官は言われるわけですし、国民に対して、どんな形で宿営地というものが構築をされていたのかということについて、目で見たり、どういう市民とのかかわり合いがあるのかというようなことについて情報をきちっと的確に国民に知らせるべき責任があるのではないか。

 それは私どもも知る責任があるし、これは委員会としても議論をされているようでありますけれども、いつにするんだというぐらいの覚悟を決めていただくということは必要じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

大野国務大臣 まず第一に御理解いただきたいと思いますのは、我々はできる限り情報を提供する、こういうことでこれまでもやってまいっております。広報活動あるいは国会での答弁を通じてやらせていただいております。

 第二に、その中で、マスコミの皆様にみずからの目で見ていただいてという問題であります。

 この問題、島田先生の御指摘によりますと、少しあなた悠長過ぎるんじゃないか、こういうことでございますけれども、やはりタイミングというのは大変大事な問題だと思っております。この期限の問題につきましては、るる説明を申し上げたいのであります、しませんけれども、私は、機会があれば、タイミングを見計らって行ってもらいたい、この気持ちは変わっておりません。

島田委員 その状況の判断というものは、これはなかなか私どもができる立場にないわけでありますし、長官みずからが相当の決断をして、状況判断しながら的確な判断をしなきゃいけないと思いますし、それだけではなくて、やはり国民に説明責任を果たすということ。

 それともう一つは、延期の問題にしても全部閣議決定なんですね。本来ならば、例えば重要な自衛隊の派遣の問題を含めて、国会で初めて海外にという、そういう面から考えても、延期の問題を含めて、今までずっと閣議決定です。そういう状況にあればあるほど、やはり的確な説明責任というものをすべきだと思うんですね。

 ですから、もう決断、だって、もうすぐでしょう。十二月といったって三カ月前に延期の問題を決める。また閣議決定してそれからというわけには今度はいかないでしょう。一回やると言って、長官みずからが判断を間違ったと言って陳謝されたわけですから、そこについては、やはり陳謝をされた以上は、明確にいつやるんだということの、これだけ安定していると、長官、ここで発言をされているわけですから、そこの判断はされるべきだと思うんですね。もう一度御答弁願います。

大野国務大臣 確かに、延長期限はことしの十二月十四日でございます。これは基本計画でございますが、十二月十四日。それに至るまでにどういうふうにマスコミの皆様に見てもらうかというのが島田先生の発想法だと思います。

 私どもは、この十二月十四日というのは、自衛隊としては常在戦場ですから、いつ行け、もうやめたよ、これは内閣の決定に従ってやっていく。だから、自衛隊のことはちょっと念頭から外しておいてもらいたい。その点につきましては、十二月十四日まではまだまだかなり日数があるわけでございます。そういうこともお含みいただきたいと思います。

 もう一点言わせていただきますと、やはり閣議決定だけじゃなくてという話がありました。これは法律でそういう仕組みにいたしておりますし、また、実際にこうして先生と対話をさせていただくことによって十分議論できることだと思っています。法律に従って基本計画を内閣で決定する、こういうことでございます。

島田委員 今長官との議論の中で、これは外務省、ちょっと質問通告していませんが、マスコミに、宿営地内あるいはその活動状況について国民に説明責任を果たすべきだということを含めて、外務省としての情勢分析から考えて、いつごろならできそうでしょうか。

町村国務大臣 今まさに、イラク復興を国際的な一致協力のもとでお手伝いし、活動しているさなかでございますから、十二月十四日というのは、近いようで遠い、遠いようで近い日付かとは思いますけれども、イラクの復興の状況、それから現地の治安情勢、政治プロセスの状況あるいは国際社会の支援動向、こうしたものをいろいろ勘案しながら日本独自で判断することになってくるわけでございますが、今直ちにその判断をしなければならない状況ではないのだろう、もう少し時間的なゆとりがあるのではないかと思っております。

島田委員 今、国民に対して説明責任を果たすということで、私と防衛長官との間のやりとりの中で、治安は安定をしているという状況判断の中で、やはりマスコミ等に現在の宿営地あるいはサマワ地域の状況等について説明責任を果たす上においても、これは国会を通じて、国会がきちっと委員会でそういう状況について視察するなり、全体の状況判断をして責任を果たすという意味で、多分いつかは実施されると思うんですけれども、そういうことについてではなくて、マスコミに対して、外務省として、現在の状況あるいは全体の政治プロセスなどを含めてサマワの今の状況を国民に説明責任を果たす。あるいは、基本計画の期限はもう間近に、基本的な決定をすることは間近に迫っていると私は判断するんですね。そういう状況の中で、外務省としては、いつごろとは言えないのかもしれませんけれども、どういう状況になったらそのことができるんでしょうか。

町村国務大臣 外務省として、国民の皆様方に対する幅広い御理解をいただくための積極的なPRをまずしなきゃならない。これは防衛庁もそうですし、我々もそうだと思って、ホームページ等々で可能な限りの情報発信はしているつもりでございます。自衛隊の宿営地内に外務省の職員も常に五名、交代交代でおりまして、そこで活動もしているわけでございますから、そういった活動なども大いにPRをしなければいけないと思っております。

 その上で、いつ、どういう状況になれば判断ができるのかというお尋ねでございました。

 まだそこのところを、どういう条件が満たされればということを政府部内で十分な検討をしているわけではございませんが、この国会も終わり、少しく政治状況が落ちつきまして、その上で、政府全体としていろいろな情報を持ち寄って判断しなければならないんだろう、こう思っております。

 ただ、では、その時期がいつなのかという具体のお問い合わせになりますと、私、この時点で、いついつごろ判断する予定であるということを申し上げるのにもまだちょっと時期が早いのではないだろうかな、こう思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。

島田委員 では、防衛長官に。

 しつこいようですけれども、基本計画の延期を閣議決定されるわけですね。それ前に一回実施をする。中止そのままになっているわけですから。その基本計画を決める前に、多分、これは安定しているのかどうかということについて私どももその判断をしなきゃいけないし、国民に説明責任を果たすという面からもやはり一度は実施しなきゃいけないと思うんですけれども、そういうことは長官として約束されるのでしょうか。

大野国務大臣 十分に検討させていただきます。

島田委員 それではぜひ検討していただいて、本当の意味で国民に対しての説明責任が果たせるようにぜひ要望して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 イラクの自衛隊の問題について伺います。

 基本計画の期限を迎える十二月の十四日以降、自衛隊をどうするかということが問題になってまいります。自衛隊の駐留をいつまで続けるのか、一体どういう状況になれば部隊を引き揚げるのか、ここから繰り返し質問してきましたが、一向に明確な説明はなされていないと思います。

 きょうは、駐留の法的な根拠について聞きたいと思います。

 現在、自衛隊を含め多国籍軍の駐留の根拠となっているのが国連安保理決議一五四六です。これによりますと、多国籍軍の任務は、政治プロセスの完了、つまりイラクの恒久政府の発足をもって終了するということになっておりますが、それは間違いありませんね。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、安保理決議一五四六は、多国籍軍の駐留期限について、政治プロセスの完了までと定めております。

赤嶺委員 間違いないわけですね。

 そうしますと、恒久政府が発足すれば、ほかの多国籍軍と同様に、自衛隊も駐留の法的根拠を失って撤収するということになるわけですね。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 政治プロセスの完了時期につきましては、恒久憲法に基づく正式政府の樹立が予定される十二月末を予定しております。現在、右タイムテーブルに従った政治プロセスの進展のために、イラク政府や多国籍軍の関係国は全力で取り組んでいるところでございます。

 したがいまして、現時点では、正式政府の樹立以降、多国籍軍がいかなる形で駐留するのかといった点については、関係国の間で具体的な議論を行う段階にはなく、今後の政治プロセスの進捗状況を踏まえつつ、必要に応じ、今後議論がされるものと考えられます。

赤嶺委員 恒久政府の発足をもって駐留の根拠を失うということが一五四六の立場ですから、その後、どうやって駐留を続けるのかということについて何か非常に不明確ですが、駐留を続ける根拠というのはあるんですか。

町村国務大臣 先ほど審議官がお答えをしたことに尽きるわけでございまして、現時点で、今後のことをどうするのかということを国際的にまだ議論しているわけではございません。各国、力を合わせてイラクの治安の回復、復興の支援というものに取り組んでいるわけでございまして、まだ、十二月以降あるいは来年の一月以降の話以前の段階で、憲法がきちんとできるかどうか、またその手助けをどうやっていくのかということで今各国が力を合わせている段階でございます。

 ただ、頭の体操をしてみろというお話かもしれません。それはいろいろな方法があるのだろうと思います。正式に樹立されたイラク政府が各国に対して要請をする、その場合に、日本的なイメージでいうならば、例えば地位協定といったような形の協定をそれぞれの国の政府と結ぶという形も考えられましょう。あるいは、この一五四六の解釈でさらに延長が可能かもしれない。あるいは、新しい国連決議をつくる必要が出てくるかもしれない。

 その辺につきましてはさまざまな対応の仕方というのがあるんだろうし、また、状況が許すならばこういった決議も不要であろうし、急速に治安が回復すれば、なかなか今の状況で、多国籍軍の力をかりずに治安が独自でイラクの治安維持軍あるいは警察によって保たれる状況がそう早急に来るとは思いませんけれども、仮に頭の体操をすれば、そういう事態になれば各国の存在というのはもう要らないで、イラク御自身でしっかりとやっていけるという状況が来るかもしれません。それを今判断するのは余りにも時期尚早ではなかろうかと思います。

赤嶺委員 外務大臣はいろいろ言われましたけれども、多国籍軍の駐留、これは恒久政府の発足をもって終了するということまでしか決まっていないということは、政府の立場からもはっきりしたと思います。

 次に、米軍再編にかかわりまして、この問題で防衛庁長官と議論をする場がなかったものですから、ちょっと話は六月にさかのぼりますが、伺いたいと思います。

 毎日新聞の、六月一日の米軍再編にかかわる報道を覚えていらっしゃると思いますが、見出しが、「嘉手納移設固まる 普天間の米軍ヘリ部隊 辺野古案白紙に 厚木の艦載機は岩国へ」と報道されました。

 この報道に対して、大野防衛庁長官は参議院の外交防衛委員会で、報道したその日の委員会ですが、けさ私もこの報道を読みまして腹立たしい思い、嘉手納移設、全然固まっていないと述べておられました。

 報道を全面的に否定されたわけですが、といいますと、在日米軍再編の中で普天間のヘリ部隊の嘉手納移設はないんだと理解してよろしいですね。

大野国務大臣 今回の米軍の再編成に関しまして、一つの大きなトピック、我々が取り組んでいかなきゃいけない仕事というのは普天間の早期移設問題であります。SACOで合意されました辺野古の問題どうするんだ、こういう問題も含めまして、このことは重要に、真剣に取り組んでいるところでございます。

 そういうことで、今御指摘のようなことはありません。真剣に、この問題をどうして解決したらいいか、今、米側と協議している最中でございます。

赤嶺委員 ですから、その米側の協議の中でも嘉手納移設というのはないというぐあいに理解してよろしいんですね。

大野国務大臣 今、あるとかないとか言いますと、引き算、足し算をいたしまして物事が明らかになってくる。その物事が明らかになるべき時期じゃない。しかし、やがてこれをきちっと方向づけをしていかなきゃいけない、当然のことであります。今の段階では、いま少しお待ちください、こういうのが私のお答えでございます。

赤嶺委員 いやいや、大野長官が報道を全面的に否定していたものですから、それはもう普天間基地の嘉手納移設というのはあり得ないんだなというぐあいに理解していいのかと聞いているだけであります。

 結局、あるかもしれないし、ないかもしれない、こういう世界に今、入っていると思うんですね。ですから、あながち、報道について全面否定すると言われるようなものだったのかなという気がします。

 ただ、嘉手納の現状というのは今でも我慢の限界なんですね。多発する事故、そして騒音に本当に町民は悩まされております。夜の十時から朝の六時までの夜間飛行は制限されるという騒音協定、これも結局、必要最小限度の練度の維持だとか外来機の飛来だとかで、事実上野放し状態ですよ、嘉手納の町から聞こえてくる悲鳴は。

 ですから、政府は、普天間のヘリ部隊が嘉手納基地に移転しても、嘉手納での飛行回数、現在毎年七万回、これが減ればいいじゃないか、現行以下にとどまるように米側に要請するということを検討しているようでありますけれども、現在でも大変な状況です。

 米軍の飛行回数に制限を設けることができるんでしょうか、日本側から。

大野国務大臣 まず第一に、赤嶺先生御指摘のとおり、沖縄における騒音問題、このことは私ども十分真剣に受けとめてアメリカ側と折衝しているところでございます。したがいまして、嘉手納に移設した場合どうするんだ、騒音問題どうするんだ、こういう仮定の問題にお答えできないというのが今の段階であるということは、先ほど御説明申し上げました。

 それからもう一つの問題は、飛行回数を減らすことができるのかどうか、こういう問題を御指摘いただきましたけれども、飛行回数を減らすというのは、訓練をどこかよその地域でやってほしい、こういう要求になってまいります。いろいろなことを今議論しておりまして、抑止力の維持、負担の軽減、こういう観点からいろいろなことは議論いたしておることを申し上げたいと思います。

赤嶺委員 嘉手納の具体的な案がどうなるかというような面もありますけれども、これまでの日本政府の対応からいって、米軍基地の運用について制限を加えるということは、私からすれば考えられないんですけれども、大野長官は、やはり考えられないんじゃないですか。

大野国務大臣 私は、日米でこの地域を、日本を守る、極東というか日本を取り巻く地域を守るということは、本当に人間、アメリカという人間、それから日本という人間、自衛隊とアメリカ軍との共同で考えることだと思っています。こちらの方も言いたいことは言う、先方も言うべきことを言う、そして、その中で双方にとって、満足すべきと言いたいんですが、双方にとって合意点が見つかればいい、こういうような方式でやろうじゃないか、こういうことで、こちら側も言うべきことは言う、この姿勢で今取り組んでいるところでございます。

赤嶺委員 米軍基地の運用について制限を加えるようなことを政府が求めたことは、残念ながらないんですよ、今までも。日米のそういう関係が変わらないまま、嘉手納基地が静かになるとか騒音がひどくならないということはあり得ないと思いますよ。だから、夜間の騒音防止協定を結んでも、運用上の必要があれば飛んでいる。飛んでいるのは全部運用上の必要があるんだというのが米軍の説明ですからね、午前二時、三時に飛んでも。ですから、その辺は極めてあいまいな答弁だと思うんです。

 別の角度から聞きたいんですけれども、元米太平洋軍海兵隊司令官で在沖四軍調整官を務めたヘンリー・スタックポール氏がこう言っているんですね。嘉手納統合案に関してなんですが、固定翼とスピードの異なるヘリ部隊の嘉手納統合は、事故等トラブルの増加につながると。

 このように、専門的な軍人として、固定翼とそれからスピードの異なるヘリ部隊の統合というのはトラブルの増加につながると発言しておりますが、長官、どうでしょうか。

大野国務大臣 今、固定翼とそれから回転翼とが同じ基地を使うことについて問題がある、こういう議論も双方の協議の中で出ていると私は報告を受けております。

赤嶺委員 嘉手納基地というのは、ある意味では本当に大変な地域でありまして、町長はかつて、嘉手納基地は毎日がまるで戦場のようだ、このように悲鳴を上げております。それから、嘉手納町内の小学校では、米軍の戦闘機の墜落に備えた避難訓練、これを義務づけられてやっている。いつ米軍の戦闘機が落ちてくるかわからない、そういう不安を町民は抱いているわけです。

 私は、小学生のこういう訓練を見るたびに、本当に胸が痛む状態です。B52爆撃機の墜落、奇形ガエルがあらわれるといったような、そういう矛盾の集中した嘉手納に、およそ普天間の移設ということが、町民にとっても県民にとっても受け入れられないことは明らかだということを指摘しておきたいと思うんです。

 伝えられる普天間の再編案、これは普天間基地の県内移設と本土移設ばかりなんですね。それで、私、報道されている鹿屋に行ってみたんです。鹿屋の市議会や鹿屋の関係者の方々ともお会いいたしました。鹿屋の自衛隊基地は、向こうは共存の町だということを議会の代表の方も説明しておりました。でも、今でもやはりP3C、騒音は大変だということだったんですよ。これに、普天間のヘリが嘉手納に移って、嘉手納のP3Cが鹿屋に移るということは、もう受け入れがたいという表明をしておりました。

 政府は、この普天間基地の問題について、たらい回しは失敗するというのは、この間の沖縄の辺野古の例でも明らかだと思うんですよ。県内移設も失敗します。国内移設、本土移設だって絶対に受け入れるところはないと思います。アメリカに持ち帰れ、アメリカに持っていけということを宜野湾の伊波市長はアメリカまで出かけていって申し入れてきております。

 政府は、普天間基地、アメリカに持っていってくれ、本土移設、県内移設でも失敗するというようなことを一度でも今度の協議の中で申し入れたことがありますか。

大野国務大臣 当然のことでございますけれども、負担の軽減と申し上げた場合には、フットプリンツの削減という主張が含まれているわけでございます。

 先生るるお述べになりました不安の問題、こういうことを踏まえながら、抑止力の維持とそれから負担の軽減、これを二つのプリンシプル、原則にしまして、今真剣に取り組んでいるところでございます。

赤嶺委員 今、嘉手納は町議会も町当局も、それから嘉手納、北谷、沖縄市も、米軍再編で、負担の軽減どころか、抑止力の維持強化ということで再編強化されるという危機感を抱いて統合案への反対の運動を広げております。

 私は、負担の軽減と言うならば、国内であっても県内であっても、たらい回しでは必ず失敗するということを強く指摘して、質問を終わります。

船田委員長 次に、東門美津子さん。

東門委員 社会民主党の東門です。イラク特で質問をするのは本当にまだきょうで二回目ぐらいかなと思いながら、質問をさせていただきます。

 現在のイラク国内は、打ち続くテロ攻撃で、事実上戦場同然の状況のようです。六月の米議会公聴会におけるラムズフェルド国防長官の証言では、イラク戦争開戦以来の米軍の死者が千七百人を超えたということでしたが、本日までに死者は千八百人を超えたとの報道がなされました。イラク戦争中の死者が百名余りだったことを思えば、イラク戦争は、二〇〇三年五月で主要な戦闘が終結したどころか、依然として継続し、むしろ激化しているとさえ言えます。

 このような状況のもとで、イラクの一般国民はさらに凄惨な犠牲を甘受させられています。英米の学者や平和活動家らでつくる非政府組織、NGO、イラク・ボディーカウントは、七月二十日までに、イラクでこの二年間にテロや米軍の軍事行動に巻き込まれて死亡した民間人が二万四千八百六十五人に上ったと発表いたしました。このうち、米軍等の攻撃に伴う犠牲者が実に三七・三%を占めており、ブッシュ政権が掲げるテロとの闘いは、テロリストではなく、何の罪もないイラク国民を殺りくし、傷つけることにほかならない事実を如実に物語っています。

 私たち沖縄県民は、今イラクの人々が置かれている状況を自分自身のことのように感じ、心から同情を禁じ得ません。なぜなら、軍隊というものは決して一般市民を暴力から守るものではなく、むしろ独自の論理で行動し、民間人を巻き添えにしても恥じない存在であることを、沖縄戦の経験や今日に至るまでの在沖米軍の振る舞いから骨身にしみるほど体験しているからです。

 米国によるイラク戦争と、これに続くイラク占領がイラク国民に過酷な犠牲を強いている現状について、政府はどのように認識しているのでしょうか、お聞かせください。

吉川政府参考人 私の方から事実関係を申し上げたいと思います。

 今先生御指摘ございましたように、ボディーカウントの数字であるとか、イラクに展開しております多国籍軍、特に米軍の中の被害者というものが多く出ているということは、まさにイラク国民を含めて大きな犠牲を強いている、その点の認識は私どもも同じような考えでおります。

 他方で、これまでのイラクの政治プロセス全体を見ていきますと、国連安全保障理事会の決議一五四六で決めたシナリオ、スケジュールに沿って物事が動いている、そういう点も事実かと思います。ことしの一月の国民議会の選挙の実施でありますとか政府の発足、それから近々憲法の草案が提出されます。

 やはりイラクの国民の皆さんは、いろいろな犠牲を払いながらも、この国を民主的で、みんなが自由に、また繁栄できる国づくりをしたい、そういう気持ちでは一致しているのではないでしょうか。

 国民議会が行われました後にアメリカのNGOが行った世論調査では、将来に希望を持っているというふうに答えた人が九割以上に達しておりますので、私どもとしては、イラク人が自分自身の力で治安を回復し、経済を発展させ、政治を安定させる、この三つの課題に取り組めるように、経済の復興のための支援、それから政治プロセスの支援ということをこれまで行ってきたわけでございますし、これからもこの考え方で政策を実施していこうというのが私どもの考えでございます。

東門委員 今の御答弁ですと、政治プロセスのシナリオどおりに動いている、だから、二万五千近い犠牲者は出ているけれども、やむを得ないのかなというような御答弁に聞こえたんですが、それだけの被害者、これでとまるのかどうか、そういうのもシナリオにあったんでしょうか、犠牲者の数も。

吉川政府参考人 確かに、開戦が行われた当時、これだけ多くの多国籍軍側の死者が出る、またはそれに伴ってイラクの中でこれだけ多くのイラク人の負傷者が出るということを予測していた向きは、私、正確には覚えておりませんが、そういった指摘というのはなかったと思います。

 先ほど申し上げた治安の問題については、イラクの政府自身がもちろん、これだけ犠牲を出しているわけですから、最大の関心を持って取り組んでいるということは、ジャファリ首相や前のアラウィ首相なんかも同じです。七月二十七日現在で、イラクの治安部隊は強化されて、十七万人を超えております。この人たちの手でイラクの治安回復が動いていくということを我々としては強く期待しているということでございます。

東門委員 テロ攻撃の激化など悪化の一途をたどっているイラクの治安情勢ですが、今もお話がありましたけれども、自衛隊が派遣されているサマワは、住民のほとんどがシーア派であることから、自衛隊の派遣を歓迎し、治安は安定していると政府は二〇〇三年十二月の派遣開始以来説明し続けてきました。

 しかし、宿営地へのロケット弾攻撃など、サマワでも反日勢力が存在していることは明らかでしたが、六月二十三日、自衛隊の車列をねらった簡易爆発物、IED攻撃が行われ、また七月四日には宿営地へ再び砲弾が撃ち込まれたことから、情勢は急速に悪化していると判断せざるを得ません。

 政府は、このIED攻撃について、これまで自衛隊の車列をねらったかどうかもわからないと説明をしておりますが、このIED攻撃というものは、現在イラクで米軍などへの攻撃に多用され、米兵に大きな損害を与えているものです。道路にくぎがまかれていたのとはわけが違うわけです。明確な攻撃の意図があったと考えるのが軍事の専門家である防衛庁として当然のことと考えますが、IED攻撃の意図や背景についてこの一カ月どのような調査を行い、その結果、どのように分析をしておられるのか、お伺いいたします。

大野国務大臣 六月二十三日に、自衛隊の車両、車列に対しましてIED爆弾が炸裂いたしました。

 まず、この事実関係でございますが、道路改修工事の竣工式へ向かった陸自の車両、計四両でございますが、宿営地から約五、六キロの路上においてIEDによる爆発に遭遇いたしております。陸自車両のうち高機動車一両のフロントガラスにひびが入りました、側面のドアがへこみました等の損害が発生しておりますが、人員には全く被害はありませんでした。

 爆発物は、遠隔操作で起爆させるタイプのものであります。陸自車両が走行している道路の路肩から二メートル程度の距離で爆発している、このように分析いたしております。

 まず、背景でございます。背景につきましては、現地治安機関あるいはオーストラリア、イギリス軍、部族等ヒューミントも通じまして、これらの情報源と密接に連絡をとりながら情報収集分析を実施しておりますけれども、具体的に犯人がこうだというところまでは至っておりません。

 こういう状況の中でこの詳細を申し上げるということは、いろいろな情報はありますけれども、その情報、いろいろなことを申し上げるということは控えさせていただきたい、このように思うわけでございます。また、情報源の問題もありますので、この点はお許しをちょうだいしたいと思います。

 ただ、一般的に、これまでもきょうの委員会でも議論させていただきましたけれども、サマワにおける事案というのは少ない。ただ問題は、日本へ向けたような事案が出てきている、このことは十分注意をしていかなきゃいけない。

 そして、注意ということはどういうことをやっているんだと言われますと、例えば、これも詳細に言うことはできませんけれども、宿営地内はもうしっかりした壁や天井ができております。監視装置もできております。それから、宿営地外で行動するときでございますが、やはり道の経路を変えたり、いつも自衛隊は同じ時間にあそこを通るぞ、こういうようなことを避ける。このようにあらゆる工夫をしてその安全確保に努めさせていただいているし、毎日毎日現地の方からも連絡がございます、こちらからも連絡しておりますが、現地の部隊長の意図、観察、これらを十分に尊重しながら安全確保に努めて人道復興支援活動をやっておるところでございます。

東門委員 済みません、ちょっと私が聞き逃したのかもしれませんが、長官、これは自衛隊をねらったものであるというふうにお考えですか、それともそうではないというようなことなんでしょうか。

大野国務大臣 そこのところ、私もはっきり明快に申し上げておりませんでした。

 と申しますのは、これもまた、この道、今、自衛隊の車両がIED爆弾を受けたところは、多国籍軍の車両が通るところである、一般の車両も通るところである。そういうところで、赤外線を受けて爆発する、こういう装置のようでございますが、一体日本の自衛隊をねらったのか、それともどうなのか、これも確たることを今申し上げられない。つまり、具体的な犯人がまだ逮捕されていない、こういう状況でございますので、このところは確たることは言えません。

 しかし、そういうことがあったという事実は事実でございますので、我々はこれは真剣に受けとめて、安全確保に努めているところでございます。

東門委員 遠隔操作で爆破させるというIEDタイプ、これは私ははっきりと自衛隊をねらったものだと断ぜざるを得ないと思うんです。長官、それは申し上げなかったんですが、しかし、自衛隊員の安全確保ということを本当に、真剣にそこに配慮されるならば、直ちに自衛隊の活動を打ち切って撤退の準備を始めるのが、隊員と御家族、さらには国民に対する政府の責務だと私は考えますが、いかがでしょうか。本当はたくさん申し上げたいことがあります。時間の都合でこれだけにさせていただきます。

大野国務大臣 本当にそういう事案が、自衛隊に向けてロケット弾が飛んだ、IED爆弾が炸裂した、これは真剣に受けとめております。

 だからといって、サマワ、ムサンナ、イラク南東部の襲撃案件の数というのは、先ほどから説明しておりますのでもう繰り返しませんが、全体に比べれば本当に少ない。北のクルド地区とそれからムサンナ県を含む南東部、本当に少ない中でございます。ムサンナ県でいいますと、そういう事案が全くない週もあります。何週間かに一遍そういう事件が起こる、それが日本に関係したということで我々十分注意しておかなきゃいけない。これまで自衛隊は一発の弾も撃ったことはない、こういうことでございます。その辺は十分御理解いただきたいと思います。

東門委員 時間です。終わります。

船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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