衆議院

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第6号 平成17年10月28日(金曜日)

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平成十七年十月二十八日(金曜日)

    午前十時三十一分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 岩屋  毅君

   理事 中谷  元君 理事 渡辺 具能君

   理事 末松 義規君 理事 伴野  豊君

   理事 佐藤 茂樹君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      加藤 勝信君    木村 太郎君

      岸田 文雄君    斉藤斗志二君

      桜井 郁三君    清水鴻一郎君

      鈴木 馨祐君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    寺田  稔君

      冨岡  勉君    西村 康稔君

      松浪健四郎君    松本 洋平君

      御法川信英君    宮澤 洋一君

      山内 康一君    山口 泰明君

      山中あき子君   山本ともひろ君

      後藤  斎君    神風 英男君

      田島 一成君    武正 公一君

      達増 拓也君    長島 昭久君

      古本伸一郎君    細野 豪志君

      山井 和則君    赤松 正雄君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      日森 文尋君

    …………………………………

   外務大臣臨時代理     細田 博之君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     山本ともひろ君

  山口 泰明君     加藤 勝信君

  阿部 知子君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     山口 泰明君

  山本ともひろ君    松本 洋平君

  日森 文尋君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について政府から報告を求めます。大野防衛庁長官。

大野国務大臣 テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。

 テロ対策特措法の有効期間を一年間延長する改正案が十月二十六日に成立しましたことを受け、同法に基づく基本計画の変更が、十月二十七日の安全保障会議を経た後、本日の閣議で決定されました。

 具体的には、協力支援活動等を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間を六カ月間延長し、平成十八年五月一日までとすることといたしました。

 なお、あわせて、防衛庁長官が定めている実施要項につきましても、基本計画に沿った所要の変更を行いました。

 次に、今回の基本計画の変更に係る背景について御説明申し上げます。

 テロとの闘いに対する国際社会の取り組みは依然として継続しており、不朽の自由作戦の一環としてのテロ掃討作戦などにより、これまでに多数のアルカイダ構成員等が死亡しまたは拘束されております。

 また、インド洋上においては、テロリスト等の海上移動を阻止するための海上阻止活動が継続しており、これまでにアルカイダと関連の疑いがある乗組員の拘束、武器、麻薬等の押収などの成果を上げるとともに、海上におけるテロリスト等の活動を阻止する抑止効果を発揮いたしております。

 このような軍事面での成果のみならず、テロリストの温床であったアフガニスタンにおいては、昨年十二月、カルザイ大統領が就任し、本年九月には議会選挙が行われるなど、同国の政治プロセスは順調に進展いたしております。

 その一方で、ウサマ・ビンラディンやオマル師等は依然として逃走中であり、また、本年七月のロンドンやエジプトでのテロ等、アルカイダの関与が疑われているテロも世界各地で引き起こされております。アルカイダは、今後もテロを計画し、実施する能力を有していると考えられ、国際社会によるテロとの闘いは今後も継続する見通しであると考えられております。

 このように、残存するアルカイダ等によってもたらされている国際テロの脅威が現在も継続していること、また、国際社会のテロとの闘いへの取り組みが継続していることなどから、政府といたしましては、国際テロ根絶のための取り組みに引き続き寄与すべきとの考えのもと、冒頭に申し上げましたとおり、基本計画について所要の変更を行ったところであります。

 次に、これまでに実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の活動実績について申し上げます。

 協力支援活動につきましては、現在、海上自衛隊の補給艦「はまな」及び護衛艦「いかづち」がインド洋北部において活動中であり、これらの艦艇を含め派遣された艦艇はこれまで延べ四十七隻に上ります。これらの艦艇により、平成十三年十二月二日以降本年十月十八日までの間に、米、英、仏、パキスタン等の艦艇に艦船用燃料を五百五十三回、約四十一万キロリットル提供し、その総額は概算値にいたしまして約百六十三億円となっております。また、昨年十一月以降、艦艇搭載ヘリコプター用燃料を二十四回、約三百七十キロリットル、水を三十六回、約千八百八十トン補給いたしております。

 また、航空自衛隊につきましては、C1輸送機等により、平成十三年十一月二十九日以降本年十月十八日までの間に、約二百九十回の国内及び国外輸送を行っております。

 このような我が国の活動は、諸外国が行っている諸活動の効率性に寄与するなど重要な意義を有しており、国際社会から高い評価を得ているところであります。

 最後に、防衛庁といたしましては、テロ対策特措法に基づく基本計画が今般変更されたことを受け、さらに一層、国際テロ根絶のために国際社会の一員として責任を果たし得るよう、また、国民の期待にもこたえることができるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。委員各位におかれましても御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。

船田委員長 これにて報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省大臣官房審議官八木毅君、外務省大臣官房参事官梅本和義君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君及び外務省国際法局長小松一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 審議に入る前に、一言申し上げたいと思います。

 民主党は、委員各位の賛同を得て、昨日、イラク特措法の廃止法案、つまり速やかに自衛隊はイラクから撤退せよという形での法案を出しました。そして、趣旨説明も行ったわけでありますが、それが今回この委員会の席で、実は私もそこの答弁席から法案の答弁をするという前提でおったのでございますが、その準備もしておりましたが、委員会での理解が得られずに、そういう形での特措法の審議ができなかった、これはまことに遺憾に思っております。ぜひ、そこは与党のしっかりとした認識も得て、幅の少ない考え方ではなくて、しっかりと意見を闘わせていく、そういう場にしたいものだということをまず一言申し上げさせていただきます。

 それでは、内容に入っていきます。

 与党・政府の立場を見たら、私はまず疑問に思うんですけれども、戦争を始めるよりも戦争を終わらせる方が難しいとよく言われてきました。自衛隊は別に戦争に行っているわけではありませんが、ただ、出口戦略、いつ、いかなる要件であれば自衛隊をイラクから撤退させるのか、これが、いろいろなことは答弁で聞きますけれども、一体何なんですかと。最後は、総合的に勘案しますということだけなんですね。そこについて、はっきりとした御見解を防衛庁長官にいただきたいと思います。

大野国務大臣 イラクに自衛隊を派遣いたしまして、人道復興支援活動に全力を投入しているわけでございます。このことは、やはり専制主義国家を民主主義国家として生まれ変わらせなきゃいけない、それが国際社会の責任ある一員としての日本の責務ではなかろうか、私はそのように思っております。

 したがいまして、自衛隊といういわば軍事組織、実力組織がそのことに携わっている、このことをどう考えればいいのか。私は、なろうことなら、こういう軍事組織というのは、あるいは実力組織というのは早く撤退して、例えばODAの活動あるいはNGOの活動、こういう活動が主体となって、そしてイラクの自主的な復興活動とともにそれを支援していく、これが理想的な姿だと思っております。

 まだそこまでの段階に達しておりません。それはなぜか。それはやはりイラクの治安情勢がまだまだ落ちついていない。だからこそ多国籍軍がそこへ入って、そしてイラクの治安組織を育成していこう、発展させていこう、そういうことでありますし、それから、治安が安定すれば、今後そういうような復興活動は先ほど申し上げたようなポイントとしてますます大事なことになっていく。

 そして、もう一つ言わせていただきましたら、自衛隊の活動というのは地元サマワで大変な評価を受けている。国際的にももちろん評価を受けておりますけれども、末松先生御存じのとおり、地元サマワでの世論調査では九割の人々が自衛隊を支持している、こういう事実であります。それは、やはり日本の自衛隊とサマワの人々との間の心のかけ橋ができ上がったんじゃないか。御存じのとおり、日本の自衛隊が修復した学校の教室、これには、自衛隊の方から、日本の方から言わなくても、先方みずからが教室の前にイラクの旗と日本の旗を並べて掲げてくれている。こういうのは本当に心のかけ橋だな、こんなふうに思っております。

 したがいまして、私は、自衛隊撤退の、理想論と言われるかもしれませんが、撤退する暁には、ODAなりNGOなりにきちっとバトンタッチができる、そして日本の心がいつまでもイラクに伝わっていく、こういう姿が理想的だな、こんなふうに思っております。

 そういうことで、一つは政治プロセスがしっかりしてやっていくこと、それからもう一つは治安がはっきりしてくること、これが第一でございます。復興の状況とか国際社会の動向も見なきゃいけませんが、日本がやっていることはほかの国がやっていることとは違いますので、これはやはり日本が主体的に考えていくべきことだと思っております。

末松委員 大野長官、個人的には先生のことを私も尊敬申し上げておるのでございますけれども、のっけからちょっとあれっと思ったことがあるんです。

 イラクという、これは専制国家、サダム・フセインのことを指しているんでしょう、それを民主国家に変わらせるために何をするかというお話をのっけからいただきましたけれども、それはアメリカの言い分であって、我が国は、イラクを専制国家から民主国家に変えさせるために援助をやっているんですか。

 私は、大量破壊兵器という存在が危険だからということで戦争目的があったと。これがいつの間にかアメリカから、イラクは民主国家じゃないんだ、だから戦争なんだという話をアメリカが最後言っておりました。でも、一番最初はテロです。それがみんな、説得的じゃないねと言われてきたんですが、どうも大野長官のを聞くと、要するに民主化をやるためなんですか。我々は復興支援ということじゃないんですか。

大野国務大臣 一つ申し上げたいことは、イラクに多国籍軍が関与したことにつきましては、さまざまな議論があります。初めは、例えば大量破壊兵器というような問題。いろいろありますけれども、そのところはきょうはもう議論しません。

 ただ、申し上げたいのは、イラクという国を世界地図で見ていただきますと、中東の真ん中にある。だから、そこが紛争状態になっている、混乱状態になっているということは、やはりこれを安定させるということが必要であって、なぜ安定させるのか。それが中東全体の安定につながる。中東全体の安定は、国際安全保障環境をよくしていこうという平和国家日本としての願いにも合致するわけでありまして、中東全体が安定すれば、世界平和につながってくる。その世界平和の中で日本の安全保障が確立をしているわけであります。いわば世界の平和は日本の平和、この考え方は、やはり国際国家日本としての、平和国家日本としての考え方の大きな柱ではなかろうか。

 さらに言わせていただきましたら、中東から日本が必要とする原油の九割を輸入している、このこともやはり忘れてはならない。

 いろいろな意味で、世界と日本、この関係をきちっと考えていく、日本だけの世界に閉じこもっているのではなくて、やはり世界的視野からこの問題を考えていかなきゃいけない、このように私は思っております。

末松委員 中東が安定すれば世界も安定するというのは全く異論もございません。ただ、専制国家であったところが、基本的には民主国家に今変わってきているということで体制整備を行っていることは、国際社会の努力であります。ですから、私もそこでいろいろと言うことはないんですけれども、その中で、本当に確認したいんです。

 我々は、そういったイラクが自主的に変わるための、イラクの体制がどうだこうだという話はそれほど、国際社会がそういういい方向へのイラクの政治的な変貌、それを支援している、だから私ども日本が、イラクの政体についてあれこれ言うというところまで口を挟むということなんですか。そこはもう一度お答えください。それは法律の目的にありましたか。

大野国務大臣 精神としまして、出だしはもちろん大量破壊兵器という問題でありました。それで、今世界の中で何が脅威なのか、こういうことを考えましたら、やはりテロですよ。そして、専制主義国家、そういう国が大量破壊兵器等を持つこと、これが一番世界にとっての脅威ではないでしょうか。

 そういう意味で、脅威を除いていく、これは法律に書いてあろうとなかろうと、やはり私はそういう精神というのは必要であって、その中で多国籍軍がイラクで活動する。それを日本が、できる範囲、つまり武力行使をしない、こういう観点から人道復興支援に携わっているわけでありまして、そのことがイラクに高く評価されている、世界各国からも高く評価されている、このことは私たちは忘れてはならない。

 だから、もう一度繰り返しますけれども、今一番世の中で恐ろしいことは何だろう。かつては例えば国益に基づく戦争であったのが、今は世界じゅうが、専制主義国家とかテロリストとか、そういうことを考えていかなきゃいけない。戦争についてのいわば妥当性というか正当性というか、そういうものを考えていかなきゃいけない時代ではないか。そういう背景のもとに、我々は日本としてできることをやらせてもらっている、こういうふうに私は理解しております。

末松委員 民主国家という体制にイラクがなることを私は反対しているわけじゃないんです。ただ、日本として、あくまでもこの法律は、イラクの体制をどうのこうのするという話ではないですよね。そこはそうですか。ぜひそこはしっかりと、アメリカの言っていることと全く同じようなことをうちの立場として本当に言っていいんですかということは、この法律のことからあえて申し上げます。

 余りこのことで時間はとりたくないんですが、簡潔にちょっとお願いできますか。

大野国務大臣 イラク特措法の第一条でございますけれども、

 国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取組に関し、我が国がこれに主体的かつ積極的に寄与するため、国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号を踏まえ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うこととし、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。

ということでありますから、背景に、やはりそういうことも考えながら人道復興支援活動をやっていくという気持ちはあらわれているのではないでしょうか。

末松委員 そこは、余りこちらも言葉じりをとらえているという位置づけではなくて、きちんと日本ののりを踏まえてやっていかなきゃいけないということを強調させていただきます。

 そこで、イラクの安定が重要だと法律にも書いていますね。私が非常に懸念するのは、私もイラクに外交官としていた者として懸念するのは、もしアメリカがいなくなっていく。私は実は、アメリカのイラクに対する戦争はパンドラの箱を開いたものと思っているんです。これで今、行くも地獄、引くも地獄、そういった状況に陥っている危険性は私は十分にあると思っています。その場合、このイラクという国は、クルドそれからスンニ派、シーア派、三つ分かれていて、それをサダム・フセインという政治家が強権で縛っていたということ、それがとれると分裂をするということはよく専門家の間でも言われているわけであります。

 中東の安定、つまりイラクの安定が防衛庁長官は大変重要だという話でありますから、そういうことになれば、もしアメリカが引いた場合に、日本として分裂させない、あるいは安定が保たれるようにベストの努力をするんだということであれば、そのまま論を推し進めていけば、アメリカがずっといることが安定に資するよね、そうしたら、それに貢献するためには日本もずっといる必要があるでしょうというふうに聞こえるんですよ。

 それが、私が一番最初に聞いた、じゃ、出口戦略は一体何なんだ、その出口が見えないというのはまさしくそこなんですよ。ずっとアメリカがいれば、日本もずっといるんですか。ここについて明確にお答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、アメリカがやっている仕事というのは、具体的に言いますと、多国籍軍と同じことでありますけれども、一つは、イラクの治安部隊、軍隊それから警察ですけれども、これを十分育成して、イラクが安定する、治安が安定する、そうすれば、政治プロセスが進んでいることも見きわめなきゃいけませんけれども、撤退できる、こういうことであります。

 日本は何をやっているかといいますと、治安との関連だけで申し上げますと、治安が悪くなれば、日本は当然撤退していかなきゃいけない。いわば非戦闘地域、治安と非戦闘地域は概念的に違いますけれども、非戦闘地域でなくなれば、日本は当然引き揚げてくる。

 だから、治安が悪くなって非戦闘地域でなくなってくると日本は下がってくる、ほかの国は治安をよくして引き揚げていく、この違いがきちっとあると私は思うんですね。治安がよくなってくれば、日本は、日本がやっております人道復興支援活動というのは民間なりに引き継いでいくことができるわけであります。そこに日本の主体性がある。だから、アメリカが残る残らないという判断と日本の判断とは、切り口は違うというふうに私は思っておるんです。

 日本は、治安が悪くなれば当然、治安と非戦闘地域をごっちゃにして申しわけありませんが、そこは区別し論じていますと長くなりますのでやりません。やりませんけれども、治安が悪くなったら、日本の自衛隊はやはり安全なところで人道復興支援活動をやるわけですから、そして治安がよくなったら、今度は民間の人が自衛隊がやっていることができるわけですから、当然、民間の人にバトンタッチして日本の心を伝えていかなきゃいけないな、こういうことじゃないでしょうか。

末松委員 ちょっと防衛庁長官、若干混乱しているように思うんですけれども、治安が悪くなったら自衛隊は撤退せなければいかぬ、そして、治安がよくなっても自衛隊は撤退して民間にかわらなきゃいけない、一体何なんだと。

 つまり、先ほど一番最初におっしゃった、治安が落ちついていないと自衛隊が撤退できませんよということを最初に出口戦略で言われたんですよ、防衛庁長官は。一番治安というものが重要でしょう、だからその状況を見ながら自衛隊は撤退しますよと最初言われたんですよ。そうしたら、また今度は、何か治安が悪くなっても撤退するんだという話で、一体どっちなんですか。

大野国務大臣 そこで治安と非戦闘地域をきちっと区別して議論していかなきゃいけない、こういうことですが、その議論をやっていますと長くなるので割愛させていただきましたとお断りしたんです。

 治安が悪いという、私は、治安が悪いから民間でできない、まだできないよという意味は、民間の方が行ってもなかなか生活にお困りになるのではなかろうか。ホテルの問題、食事の問題、衛生上の問題、いろいろあると思いますね。そういうときに、自己完結型の自衛隊、自分で何でもやれる自衛隊が行って、イラクの人道復興支援に活動するのは有効な手段である、このように思うことは末松先生も御同感だと思いますけれども、では、そこをきちっと仕分けさせていただきます。非戦闘地域であるけれども、まだなかなか治安その他、と言うとまた言われるかもしれませんが、治安とか生活環境とかまだまだ厳しい中で、自己完結型の自衛隊でなきゃ人道復興支援活動はできないかな、こういうことでございます。

末松委員 今の議論を聞いている人は多分わからないと思いますね。非戦闘地域というものそのものが憲法から無理やりに編み出した手法でやったものですから、紛争地域のイラクにおいて、そもそも自衛隊が出ていくということ自体が極めて無理をしている、憲法上も極めて無理をしている、そういうふうに私ども民主党は考えております。そこにアメリカとの我が国の安全保障をどうするかということの考え方の違いが、また与党とそれから民主党の立場の違いを生み出しているんだと思います。それをやりますとまた議論が長くなるので、まず私は出口戦略のことを一貫して聞いております。

 ですから、治安が落ちついていなければ、あなたはそうおっしゃった。治安が落ちついていなければ自衛隊としてはそれが出口にならないというふうなことをずっとおっしゃっておられる。それについて今おっしゃったことは、米軍がそういった治安状況をよくするために頑張っている、そしてイラクの治安維持部隊を育てている、だからそれが一段落すればと言いたいんだろうと思うんですけれども、これについて、日本はイラクの、特にサマワですけれども、現地の治安維持部隊の能力をどういうふうに見ているんですか、また、見る能力はあるんですか。

大野国務大臣 くれぐれも誤解がないように申し上げたいと思います。

 サマワの治安とかその他条件というものと、それからバグダッド等の、アンバール県とかそういうところとは治安そのものも随分違っている。我々の言い方はいつも、予断を許さないけれども、他の地域に比べたら安定している、こういう言い方でずっと続けておりますけれども、そのことはまず御理解をいただきたい。

 そして、我々国際社会の目的というのは、やはり政治プロセスがきちっと予定どおり行くのかどうなのか、このことは見ていかなきゃいけない。それから、治安が安定していくのも見ていかなきゃいけない。だからこそ、この多国籍部隊が治安を育成していくということに取り組んでいるわけでございます。

 そこで、サマワあるいはムサンナ県の治安組織の能力はどう見ているかということでありますけれども、やはり今の状態からしますと、ムサンナ県におきましては、イラク治安部隊の要員、約六千人になっております。治安維持に当たっているのが六千人。これらの治安要員というのは、要員の増員、英国あるいはオーストラリア軍による教育訓練の実施等によって治安維持能力を向上させている、県内の治安維持に努めております。例えば十月十五日の国民投票でありますけれども、治安維持に主要な役割を果たしておりまして、国民投票の円滑な実施に貢献いたしております。

 しかし、この辺をどう見ていくのか。イラク治安部隊が単独でムサンナ県の治安を維持できるようになるかどうか、いましばらく時間がかかるのではないか、このような見方をいたしております。

末松委員 つまり、しばらく時間がかかるんだということは、英軍とそれからオーストラリア軍で、特にオーストラリアですが、両方五月に引くことを検討しているという話が報道であるわけですよ。だから、そこの間までに自衛隊はどうするんだと。

 与党の、公明党の冬柴幹事長がインタビューで答えたという話で、イギリス軍とオーストラリア軍がいなくなったら、それは自衛隊は引かざるを得ないという発言が飛び出しているわけですね、これは報道ですけれども。では実際にそこを、治安が実際に落ちついているということをどう見るんですか。だから今、防衛庁長官の話だと、能力が向上していっているようだと、イラクの治安維持部隊というのは。主要な役割を担っているというのはいいんです、それは。それで、では実際に自衛隊の出口戦略を考えた場合に、実際に今、そこまで当然もう見きわめをしなきゃいけない時期でしょう。そのときにどう考えているんですか。

 それはどういうふうにつながってくるかというと、では、オーストラリア軍がいなくなっても、自衛隊はそこでイラクの治安部隊に頼ってしっかりと駐留をしていくんですか、あるいはいかないことになるんですかということ、その見きわめはどういうふうに評価されているんですかというのが私の問いですよ。そこはそらさないではっきり答えてください。

大野国務大臣 決してそらしているつもりはありません。

 まず第一に申し上げたいことは、イギリスもオーストラリア軍も、イラク・ムサンナ県から撤退するということは何ら決定していないということであります。そして、繰り返し申し上げますけれども、撤退するというのは、イラクの治安がよくなったから、そして治安維持組織が育成されたから撤退するわけですね。そうすると、治安がよい状態で撤退するということ、それをどういうふうに見ていくか。

 先生御存じのとおり、既に、いわば治安権限移譲に向けた多国籍軍と共同委員会会合が持たれております。そこでの主要な課題というのは、やはりイラクの治安部隊の能力をどう見るのか、それから現場の治安あるいは脅威をどう見ていくのか。

 それから、同時にもう一つは、権限移譲は厳密な日程に従って実施されるということはちょっと問題だな、こういうふうな結論のようでございますが、この意味は、やはりなかなか見方が難しいなということと、何年何月何日に撤退しますよと言った場合に、それまでは静かにしておこう、多国籍軍が撤退してからは暴れよう、かえってこういうような余分なことを生んでしまいますので、そこはそういう戦略、戦術があると思いますけれども、私はそういう意味で、日本としてはそういう情勢を見きわめながら主体的に判断していく、こういうことを申し上げているわけであります。

末松委員 それは、自衛隊が、私、大野長官の頭の中は少し整理されていないところがあるんじゃないかと思うんです。治安治安というのは、先ほど大野長官が言われたように、サマワあるいはムサンナ県の治安がよくなったら、そうしたら撤退するんですか。あるいは、さっき言われたバグダッドとかイラク全体の治安状況がよくなったら撤退するんですか。自衛隊の、サマワとそれからほかの地域、その関連の治安というのは、あなたの中でどういうふうに評価されているんですか。

大野国務大臣 その点はたびたび御説明をいたしておりますけれども、ムサンナの治安がよくなれば、ムサンナに駐在している多国籍軍は治安のもう少し悪いところへ行って治安組織を育成するのかどうか、こういうことを今議論しているわけでしょう。だから、とりあえず治安がいいと言われているムサンナ県においてそういう議論があるのかどうか。しかしながら、イギリスもオーストラリアも全くそういう決定は何らしていない、こういうことであります。それが一つ。それで、日本の自衛隊というのは、まさにムサンナ県だけの問題、サマワを中心とする地域だけの問題である、私はこういうふうに整理しております。

末松委員 そういうことであれば、例えば、イギリスも豪州も、とにかくムサンナ県については問題ないよというようなことで、例えば、ずれていく、あるいは撤退するということが判断されたということであれば、自衛隊としては、イラクの、現地の治安維持組織、これが治安についてしっかりと責任を持てるんだというような形で、その治安維持機能をイラクの軍の方に頼っていく。その場合には、自衛隊は撤退するんですか、しないんですか。どう考えているんですか。

大野国務大臣 この問題も先ほど御答弁申し上げましたけれども、自衛隊としてはできる限り早い時期に、自衛隊のやっている仕事は民間の手、あるいはODAの手、NGOの手にゆだねていく、私はこれは当然のことだと思っています。それができないから、自己完結型の自衛隊がこれをやっているわけですね。

 今議論されている問題は、イギリスあるいはオーストラリアが、もうムサンナ県の治安組織にすべて権限を移譲して撤退する、撤退という意味は、完全にイラク全体から撤退という意味じゃありません。ムサンナ県南東部から撤退するという仮の話です。まだ決定しておりません、決定も何もしていません、仮の話です。そういうときにどうするんだ、こういうことであります。それはもう日本が主体的に判断していくということであります。

 その判断は、やはり、先ほど申し上げましたように、民間の手でやれる、民間の人々に人道復興支援活動がバトンタッチできるようになる、これが理想の姿だと私は思っております。

末松委員 防衛庁長官、ちょっと怖いですよ、あなたのおっしゃっていることは。

 つまり、ムサンナ県だけが自衛隊がいるから治安維持機能いいですね、ほかの地域はかなり厳しいよという話のときでも、では、日本がODAを、日本人のODAで突っ込むんですか。それでも日本人のODAをそこに、ムサンナ県にやるんですか。それを、さっきあなたはその地域だけの治安維持機能と言った。そことの整理はどうしているんですか。

大野国務大臣 末松委員は、イラク全体の話とサマワの話と同時にされている、こういうふうに理解していいですか。

 そうすると、サマワではそういうふうに民生が安定する、そして日本の民間の人が安全に活動できる。この判断は大事ですよ、物すごく大事です。(末松委員「それはイラク全土ですね」と呼ぶ)イラク全土の話も入ってきます。サマワだけじゃありません、ムサンナ県だけじゃありません。民間の人が行って大変危険な目に遭う、これは、私ども政府としては、やはり慎重に判断していかなきゃならないのは当然のことであります。そういう意味ではそのとおり。だから、そのときの情勢をしっかりとらえて、日本が主体的に判断していく、当然のことであります。

 今議論が、さまざまなところから切り口がありまして、ではイギリスが撤退したらどうなんだ、こういうような話がありましたからそれについてお答えしたということで、その後は、私は何遍も申し上げておりますとおり、民間にそれがバトンタッチされていくような状態、それはムサンナ県だけの問題じゃありません。全体として安全にやれる、こういうこともありますし、その一番大きな背景には、繰り返して申しわけありません、くどいんですが、政治プロセスがきちっとなって、治安組織がきちっとなって、そして、人道復興支援、国際社会の状況、こういうことも見きわめながら主体的に判断していく、こういうことを申し上げておるわけであります。

末松委員 最後にお経を何回も繰り返すというのは自由ですけれどもね。

 ただ、要するに、さっき、サマワの周辺、これが治安維持機能がよくなったら自衛隊が撤退する、そして民間に渡すというふうなことを最初からおっしゃっているじゃないですか。でも、幾らサマワがよくなったって、ほかの全体の地域がよくならないと、それは民間で入れないでしょう、そこをどうするんですか、長官のおっしゃっていることに矛盾があるじゃないですかということなんですよ。そこがどうもはっきりわからない。

 だから、結局、あなたのおっしゃりたいことは、やはり、民間が入るためにはイラク全体が治安維持機能がしっかりとされないとだめでしょう。そうじゃないと、日本の、日本人は入れるんですか、入れないんですか。そこをちょっとはっきりしてください。

大野国務大臣 まず、そのところはそのときそのときの情勢によって判断しなきゃわかりません。

 それは、ムサンナ県だけが安定している、周りがドンパチやっているという状況の中では到底入れません。全体が安定する。そのために、何度も繰り返してお経だとまで言われておりますけれども、政治プロセスがきちっとしている、それから全体の治安組織もきちっと育っている、なかんずく、私が申し上げているのは、多国籍軍との関係でいえば、ムサンナ県の治安組織がどうなっているか、ちょっと別の角度の話になりますけれども、そういうことを申し上げている。

 全体の判断というのは、総合的な日本の自主的な判断というのは大切ですよ。

末松委員 だから、全体の治安がよくなるまで、民間が入れないんだったら、自衛隊がそこで残るんですねと。つまり、僕は首尾一貫して聞いているのは、自衛隊の出口戦略なんですよ。

 さっきあなたは、治安が、特にムサンナ県の治安がよくなったら民間に引き渡しますということをおっしゃるから、それはおかしいだろう、全体がよくならないと民間が出てこられないじゃないかと。でも、今、答弁では、全体がよくならないといけないという話だった。そうしたら、自衛隊がそれまで残らざるを得ないんですかと、そこを聞いているんですよ。そこだけなんですよ。

大野国務大臣 全体か個別かということでちょっともめているんですが、要するに、問題は、いわば自衛隊というのは自己完結型、みずからも身を守ることができるわけで、こういう自衛隊でないと、今、ムサンナ県、サマワで活動できない。そういうわけでありますから、現地において人道復興支援活動ができるような状態、これはムサンナ県中心に全体のことも考慮されましょうし、いろいろな要素があると思いますよ。それを判断するという意味では、我々は、自衛隊の撤去、出口作戦を問われるならば、それは私は、今、ムサンナ県に生活面も加えて自衛隊にかわって安全に実施し得る活動主体はないな、自衛隊以外になかなかありませんね、こういうお答えしかないと思います。

末松委員 であれば、それが、民間が安全に出てくるまでは日本の貢献としては自衛隊がやらざるを得ませんねというのが論理的な帰結になって、じゃ、何だ、ずっといるのかよという話になってくるんですよ。それは、出口戦略というのがないんじゃないですかというふうにとらえざるを得ないということを、ここで何回も繰り返し言ってもしようがないので、あなたのおっしゃっていることはそういうことになりますよ、それでいいんですかということを、私ども民主党は年内にはっきりと撤退させるということを言っていることで、非常に対比ができますねということだと思います。

 それから、ちょっとつけ加えなんですけれども、現地の方から喜ばれているのを今撤退していいのか、そういう話については、それはいつか自衛隊は撤退しなきゃいけないんだから、そのときに現地の人から惜しまれるのは当たり前の話でありましょう。

 それから、さっきおっしゃった、自衛隊が撤退したら、何かまたぞろ武装勢力が来て治安が悪くなるじゃないか。これは多分官僚が答弁を書いたのかもしれませんけれども、それは、日本が撤退するという意思が、決断が下ったときにはもう仕方がない話なんですよ。日本が、自衛隊が撤退するんだったら、それは当然いろいろなことが起きるかもしれない。でも、その議論もちょっとおかしいのは、自衛隊はあくまでも治安維持機能とは関係ないわけですから、支援を単にしているだけですよ、経済建設。だから、その議論も妙な話だなということを印象としてつけ加えさせていただきます。

 さて、あと自衛隊の活動なんですけれども、最近、イラクのサマワに行った人が、ずっと長時間話し込んだんですけれども、今自衛隊のやっていることはほとんどないと。給水活動も終わって、今、ODAで給水活動をやり始めている。だから、別に日本人でなくたってできるわけですよ。今、もうやり始めているんですよ。そして、そういったことがしっかりと着々と建設されていって、自衛隊として、ほとんどほかの地域まで行かないとなかなか仕事がないよということで、どちらかといえば、余り意味がなくなってきた、そういうことを言っておられる方がいました。

 別に、それは反政府で言っているわけじゃないですよ。実際にそういう活動しかないよと。この自衛隊の方は、危険だけ感じて、結局、本当に有意な活動ができているのかどうか、かなり活動量も減りましたねと。しかも、実際の活動は、現地の人の雇用を促進するということで現地人を活用していますから、そういった意味では自衛隊でなくたっていいんですよ。そこが一番私は重要なポイントだと思うんです。

 民主党は、イラクの復興支援について、実は、リモートマネジメントというんですか、世銀がやっているように、イラクの国外からいろいろなプロジェクト、これを例えば毎日テレビ電話で会話をしながらしっかりとマネージできるような、そして実際に現地の人を使って、あるいは国連と協力しながらやっているプロジェクトで十分にできる、これを紛争下での経済援助のあり方ということで位置づけてやっているわけなんです。

 それでいけば、別に、自衛隊がやっているよりももっと多くの雇用を生み出し、経済建設に役に立つような支援が可能だと思うんですね。それを、どちらかというと、アメリカとの関係で残らざるを得ないという本音があるのかもしれませんけれども、その辺について、これも今自衛隊の活動がだんだん縮小してきている、そういった中でしっかりと出口戦略を考えるべきじゃないですかというふうに思いますが、その点についていかがですか。

大野国務大臣 まず、御質問にお答えする前に、バトンタッチ、つまり自衛隊から民間へのバトンタッチについて、私の話を十分聞いていただいたと思っていたんですが、まだ誤解があるようなので、反論をさせていただいておきます。

 私が申し上げているのは、日本のせっかくかけたかけ橋を、自衛隊が帰っただけであと何もしなければ、これは壊れてしまいますよ、だから、理想的に言ったらそういうことですねと。それを御判断くださるのは、それは国会の皆さんであり、政府でありますよ。それを、長官はこれをきちっと言って、矛盾しているじゃないか、こんなことをおっしゃるのは、大変私は、私の言うことを聞いてくれていないなと思って、残念に思います。

 それからもう一つ、質問に対するお答えでございますけれども、自衛隊がやっていることにつきましては、くどくど申し上げてもいいんですけれども、時間の関係で割愛します。

 確かに、給水という問題、二月にやめました。それから、そのほかの仕事でありますけれども、そのほかの仕事を着々とやっております。これは、私は民生の安定につながっているというふうに理解をいたしております。

 そして、まさに末松先生がおっしゃるとおり、雇用というものは大変大事な問題でありまして、現地の方々の雇用を創出しているという意味では大きな役割を果たしておるところでございます。それが、いろいろな意味合いがあろうかと思います。いろいろな切り口があって、いろいろな議論ができると思います。

 だけれども、まず第一に申し上げたいのは、現地の世論調査によりまして、先ほども申し上げて、くどいんですが、やはり九割のサマワの人が自衛隊を支持して、ぜひとも活動をやってほしいということであります。そしてまた、それが大変な心と心のつながりになっている。こういうことをどうお考えなんでしょうか。やっていることが小さいとおっしゃっているんでしょうか。自衛隊が実力組織だから早く帰れとおっしゃっているんでしょうか。

 私はいずれにしても、自衛隊が現場で、サマワで歓迎され、そして、大きな仕事でないかもしれません、しかし着々と現地の人に喜ばれている仕事を着実にやり遂げて、しかも、心と心の触れ合いにつながっている。このことは、私は、直ちに帰れ、引き揚げろ、こういうような議論につながってこないと思っております。

末松委員 確かに、人々の交流という意味では、当然それは一つの外交になっているんでしょう。私どもそれを別に否定しているわけではない。

 ただ、自衛隊員の人は、非常に今危険の中でさらされながらやっているわけですよ。そういう危険の中で、あえて、これからもずっと、そういった本当にリスクの高い中でやっておられる自衛隊員の身を一番考えるのは、防衛庁長官、あなた自身ですよね。だから、一番のその安全について、本当にいつも敏感になっていなきゃいけない。そういう形での友好のやり方に、もっと日本がお金を出して、いろいろな国際機関あるいは現地の人を使ってやっていく、それでもある意味では友好のやり方はあるわけですよ。人情の、人と人との触れ合いをずっと続けていくのだったら、これは自衛隊は帰れませんよ。帰ったら何だという話になっちゃうわけですよ。いいですか。

 だから、そこの方は日本として、もっと安全で、しかも効果的な援助のやり方があるんじゃないですかというのが、私が言っていることであり、以前の自衛隊の活動に比べて今は縮小している、これは現地の方も言っているので、私は全くうそを言っているとは認識しておりません。

 この話、ちょっと時間の関係でまた後の方に譲っていただきますけれども、一点だけ、私実は、「ファルージャからの証言」というイラク人ジャーナリストのイサム・ラシードさんという方が撮影したフィルムを、実際にちょっと見られなかったんですけれども、見た方から聞いた話なんですね。何の話かというと、劣化ウラン弾の話なのであります。

 どうも米軍が使った。これは米軍、NATOは使っていますけれども、子供が、額が何かもう異様に飛び出て毛が抜けて、本当に奇形のような形の子供がたくさんいる。これは、湾岸危機でもそうでしたし、また、あちらのヨーロッパの方でも、ボスニアとかそちらの方でも劣化ウラン弾が使われた、そういう症例が報告されています。そして、今回も使われたということが言われているわけですよ。もちろん米国はそういった劣化ウラン弾を公式には認めているわけです。ただ、被害については認めていない。

 放射能の関係、日本国がこれに対して一番敏感であらねばならない国だと思うのですけれども、政府の対応は一体どうなっているんですか。私は、人道上極めて問題だと思っている。これはずっと古くて長い問題なんですけれども、改めて、そこはどうなっているんでしょう。日本政府は、アメリカに対してあるいはNATO軍に対して、そういったしっかりとした調査というのをやろうとしているんですか。やってきているんですか。

谷川副大臣 ただいま委員御指摘の劣化ウラン弾の問題についてでございますが、この劣化ウラン弾は、特定通常兵器使用禁止条約、いわゆるCCWによって規制対象とはなっておりませんので、その禁止は、禁じられていないというのが今のこの条約でございまして、その点については、アメリカが劣化ウラン弾を使ったか使わないかということにつきましても、我々としては、現在、確たる承知をいたしておるところではございません。

末松委員 それは建前論でいいんでしょうけれども、いや、よくないんだな。そういう言い方じゃなくて、日本国として、そういったことをしっかりと規制していく方向に動いているんですか、それとも動いていないんですか。アメリカがやったら何でもいいんですか。これは日本人に突きつけられた問題なのかもしれませんけれども、実際にどうなんですか。我が国として、何かそこを規制しようという動きを政府としてやっているんですか。それとも、アメリカがやっているんだったら言わない方がいいから黙っているんですか。

谷川副大臣 ただいまおっしゃいました劣化ウラン弾の影響についての健康被害につきましては……(末松委員「聞いていない、そんなこと聞いていない。そうじゃない。日本政府としてはどうなんだと」と呼ぶ)だから、我が国としては独自の調査を行うことは今のところ検討をいたしておりません。

 いずれにいたしましても、関係の国際機関等は、劣化ウラン弾の影響に関し、さらなる調査を検討していると承知をいたしておりまして、我が国といたしましては、この動向を見きわめたいというふうに考えておるところであります。

末松委員 日本政府の立場がクリアにわかりました。ほかの国がやっているのを見ている、そういうことですね。情けない話です。そこのところはしっかりと私は要求しておきます。日本政府としても、少なくとも調査をして、そして、やはり被爆国ですから、被爆国じゃなかったらここまで言わないかもしれないんだけれども、そこはしっかり政府としてもやってきてくださいよ。そこの要求をしておきます。

 時間がないので、次に移ります。

 今、2プラス2、普天間からいろいろな米軍再編の動きがございます。私は、きょうちょっと時間がないので、問題にしたい一点だけを申し上げますと、アメリカの海兵隊が四、五千人グアムの方に行くという話がございます。そこで、小泉総理がある方に進言を受けて、この費用についても日本側が持つんだということを言ったという報道がございました。

 私自身の立場を申し上げると、米軍が日本から撤退する、あるいは一部でも撤退する、あるいは沖縄の皆さんの負担を少なくする、これはいいことだ、それは私は賛成です。ただ、そのときの費用、実際にこれからまたそういうことがいろいろと起こってくるかもしれません。その費用は、どういう法律、法律をつくらなきゃいけないという進言を受けたという話ですが、どういう性格のものになるんでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。

大野国務大臣 まず第一に申し上げたいことでございますけれども、費用をどうするかということはこれからの話になってまいります。沖縄にいる海兵隊、司令部中心に数千名ということは方向性として決まりました。合意されております。これは、認識は一致しておりますけれども、明日、二十九日土曜日でございますが、2プラス2、ワシントンでやります。きょうはこのイラク特別委員会がございまして、私は、夕方ワシントンへ参りますが、徹夜状態であしたの2プラス2に臨んでまいりますが、経費の問題を含め、詳細について詰めてまいりたい、このように思います。

 物事の考え方としては、やはり沖縄の負担を軽減しながら抑止力の維持を図っていく。なぜ沖縄に海兵隊が行くのか、なぜ沖縄の海兵隊がグアムまで引き下がるのか、沖縄の持つ戦略的な意味合い、沖縄の持つ地理的な戦略性、こういうことを総合的に勘案していかなきゃいけない。そしてまた、そういうふうにグアムと沖縄で分かれて配置する、こういう問題もいろいろ抑止力の上で考えなきゃいけない問題であります。

 いずれにいたしましても、我々は、沖縄の皆様が長年にわたって負担していただいたその重み、これは十分考えながら、負担の軽減と抑止力の維持、こういう観点からそういう合意をしたところでございます。

末松委員 その経費の性格も、後の議論との関係で整合性が保たれるように、また、日本の国益につながるように、そこはしっかり議論してきていただきたいと思います。

 もう時間が余りないので、法制局長官をお呼びしておるものですから、一点だけお話をさせていただきます。

 小泉総理の靖国訪問についてなんでありますけれども、大阪地裁の違憲判断があったり、いろいろな判断がある中で、我が党の野田佳彦議員の質問主意書に対して答弁がなされております。

 そこで、その内閣の答えの中で、私的な参拝は許される、そしてもう一つは、宗教的儀式に基づかない、宗教目的でない、そういった参拝は許されるという答弁がなされているわけであります。この私的ということの意味なんですけれども、これは、一般論は私も存じ上げております。この問題をずっと研究してきておりますから、そこは私なりに考えがあるわけですけれども、政治目的が私的な参拝にあると認められる場合には、これは私的な参拝に当たるんですか。

阪田政府特別補佐人 ちょっと委員の御質問の趣旨を正しくとらまえているかどうか自信がないのですけれども、神社仏閣等への参拝というのは、基本的にはこれは宗教とのかかわりを持つわけでありますから、他方また、内閣総理大臣あるいは国務大臣といえども自然人でございますから、基本的には、一般論として申し上げますと、私的なものというふうにとらまえるということであろうかと思います。

 ただ、特別に、これは公的なものであるというようなことが何らかの形で明らかになる、典型的には、あらかじめ、これは内閣総理大臣として、内閣総理大臣の立場で参拝するのであるということを内外に明らかにするとか、あるいは、献花料、玉ぐし料といったようなものを公費で負担するというような特別の事情があれば、公的な立場での参拝というふうに位置づけられるということでありまして、そうでない限りは、それは私的であるということであります。

 私的といいますのは、それは、いろいろな内心を持ってお参りをされるということであろうと思います。総理がおっしゃっているのは、心ならずも亡くなられた方々に対する追悼、それから、二度と戦争をしないんだ、平和への祈念というようなことを中心的な思いとしてお参りをされているというふうに伺っておりますけれども、それ以外に総理の内心でどういうものがあっても、私的参拝であるという以上は、それは私的であって公的ではないということでございます。

末松委員 では、例えば、小泉総理は靖国訪問について政治的な公約をなされていて、それを実現していくというのがここ数年の彼の行動パターンだと思いますけれども、その中で、まず行く前に必ずマスコミ各社を呼んで、そこで絵を撮らせているような状況があるわけです。そうなると、本当に私的な参拝であったら、別にマスコミを呼んでそれをフィルムに撮らせるようなことは必要ないんだろうと思うんですね、自分で勝手に毎日でも行けばいいわけですから。

 そこは、もしその個人が政治的な目的というものを持っている場合であっても、それは内心の自由だということで、そこで許されるという話でありましょうか。

阪田政府特別補佐人 ちょっと、事実関係ですので私がお答えするのが適当かどうかあれですけれども、総理の周りは二十四時間メディアが張りついているのだというふうに承知をしております。したがって、総理が、さあ行くぞ、撮ってくれというような話では決してないんだろうと思います。やはり、総理がどこに行かれるにしても、それなりにメディアが追っかけるというような状況になっているのであろうかと思いますので、総理が意図的に参拝されるところを撮らせるとか撮らせないとか、そういうことではないのではないかというふうに思いますので、そのことから直ちに政治的であるというふうに判断するということではないんだろうと思います。

 それから、総理が靖国神社に参拝されるということを公約にされているというお話につきましても、私どもの理解としましては、それは、いわゆる公式参拝、内閣総理大臣としての立場で参拝されるということを約束されたものではない、どちらかといいますと、私人として行かれるということを約束されたものだというふうに裁判等でも主張しているところでございます。

末松委員 今の御説明に私は納得はしておりません。これは時間がないのでここで終わらせていただきますが、またこの点についてはいろいろとお話をさせていただきたいと思います。

 では、質問を終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 本来ならば、民主党提案のイラクからの自衛隊撤退法案の審議のはずのきょうの委員会でありましたが、一般質疑にすりかわったことを非常に残念に思っております。しかし、こういう機会をいただきましたので、大臣以下、関係省庁にお尋ねさせていただきたいと思います。

 冒頭、国民に対しての情報をどのようにして伝えていくのかという情報公開のあり方についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 まず、総理官邸のホームページを拝見いたしますと、イラク人道復興支援の関連情報というページをお持ちであります。それはそれで、国民に対して状況を説明していこうという前向きな姿勢だというふうに評価しておるんですけれども、残念ながら、その中身を拝見すると、イラク人道復興支援に関する一番新しい情報というのがいつなのかなと見てみると、平成十六年の十二月九日でとまっているんですね。もう一年も前の話であります。

 今どんな状況で進んでいるのか、防衛庁、陸自、海自それぞれが報告をされてはいるところでありますけれども、官邸としての姿勢、どうも私は国民に対して十分な説明責任を果たしているとは思いがたい、そんな状況ではあるんですけれども、まずその点について、どのようにお考えなのか、お答えをいただけますでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 私、官邸のホームページを見ていないものですから、御指摘の点については、そのホームページについてはお答えしかねるんですけれども、私どもも、イラクにおける自衛隊とかODAによる支援が国民に理解されなきゃいけないという点は先生と同じ考えでありますし、できる限りの努力をしておるつもりでございます。

 今、官邸のホームページに触れられましたけれども、外務省、防衛庁でもホームページを開設されていると承知しておりますし、私が編集長ですが、小泉内閣メールマガジンでも、総理、あるいは中で触れるようにしておりますし、定期刊行物、パンフレット、さまざまな媒体を活用しまして、自衛隊の活動状況、ODAによる支援というものをできる限り積極的に広報するよう努めておるところでございます。

 また、サマワの現地部隊でも、最近は、例えばTBSとかテレビ東京なんかでもなさったようですが、テレビ局による衛星中継インタビューにも応じるようにしておられるわけでございまして、部隊としても努力されているというふうに思っております。

 十分でないのではないかという御指摘もあり得るかと思いますが、我々としてはできる限り努めておるつもりでございます。

田島(一)委員 内閣官房の副長官というお立場の方が自分のところのホームページも御存じない、これをどのように評価していいのか、私が申し上げるまでもないと思いますけれども、国民だけではなく、多くの皆さんが関心を持っていただいていることでもあります。

 いみじくも総理御自身のメールマガジンのお話も今御引用されましたが、実はこちらの方でも、「イラク自衛隊派遣の延長」というタイトルで出されたメールマガジン第百六十八号、これを最後に途絶えております。この最後のメールマガジン、同じく昨年の十二月十六日であります。積極的に情報を国民に伝えていこうと、きれいなお言葉ではおっしゃるものの、なかなか現実が伴っていない。このことは十分に反省をしていただきたいというふうに思います。

 防衛庁においても、この関連リンクに張ってあるんですけれども、簡単に皆さんわかってしまうんですね、いつの情報なのかということは。一月前の情報、九月二日が、最後に更新された記録として残っています。

 今、手近にありとあらゆる情報が手に入る時代となりました。こうしたイラクの人道復興支援の関連情報のあり方を、これは内閣官房だけではなく、防衛庁も外務省も、それぞれ皆さんが、イラクの皆さんから期待されているんだというふうにおっしゃるのであるならば、その理解を求めようとする努力を当然するのが当たり前だと思うんですね。

 大臣、ちなみに、その情報公開のあり方という点について、国民に対する説明責任のあり方について、通告をしておりませんけれども、お考えをぜひお聞かせいただけますでしょうか。

大野国務大臣 ただいま御指摘の情報公開、本当に大事な問題だと思っております。できる限り国民の皆様に、イラクあるいはインド洋で何をやっているのだ、日本の責務として国際安全保障環境をよくしていこう、これは昨年の新しい防衛大綱でも一つの大きな柱として立てたわけですから、その活動をもっともっと私は国民の皆様に知っていただきたいし、委員の先生にも御議論いただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、ただいま御指摘のような問題があるとすれば、もう一度私は、もう少し親切なわかりやすい情報を提供するように工夫を凝らしてくれ、こういうことを内部に指示しておきたいと思っております。

田島(一)委員 ぜひ前向きなお取り組みを、内閣官房も、また外務省の方にも、あえて問いませんけれども、お願いしておきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。イラク、サマワを含むムサンナ県における草の根・人間の安全保障無償資金協力についてであります。

 平成十七年に入って、九月二十六日そして十月二十五日と、二回に分けて決定した旨がもう既に公表をされています。九月二十六日においては、結核、ぜんそく・アレルギークリニック、また歯科クリニック等々、医療体制等の改善についての整備計画だというような内容が公表もされているわけなんですけれども、どうもこの中身等々を見ていくと、一体この資金協力というものがどういう位置づけで決定しているのか、また、どのような機関を経て、そしてまた手続を踏まれているのかという点で少し不明な点がございます。

 こうした資金の運用範囲等々、どの程度まで例えば指定とか条件というものを提示していらっしゃるのか、また、イラク側においてはこの資金の受け皿というのはどういうような機関となっているのか、もう少し丁寧な御説明をいただきたいというふうに思うのですが、外務省の方、いかがお考えでしょうか。

谷川副大臣 ただいま先生御指摘のODA、無償支援につきましては、外務省におきましては、ホームページをごらんいただいたと思いますが、いろいろ項目別に列挙させていただいておりますし、この前の二十六日付、それから十月二十五日付にもいろいろと書かせていただいておるところであります。

 イラクのムサンナ県に対する復興支援におきましても、我が国は、草の根・人間の安全保障無償資金協力をムサンナ県の人々の草の根レベルのニーズに対応するような効果的方法でやりたいということで、積極的に向こうの人たちと話し合いをしながら取り組んでおるところでありまして、具体的には、水の問題だとか保健医療、道路の分野におきましても、さまざまな案件を実施しておるところであります。

 また、資金の用途につきましては、支援の受け入れ先である被供与団体との間で契約を締結いたしまして、確定いたしております。ムサンナ県におきましては、ムサンナ県の行政機関だとか医療機関を主に支援の受け入れ先といたしております。例えば、最近では、九月二十五日に、ムサンナ県における医療体制等を改善するため、結核クリニックの整備等計四件を実施いたしたところであります。これらの案件につきましては、ムサンナ県内の各医療機関が受け入れ先となっているところであります。

田島(一)委員 今の、ちょっと御答弁が漏れているかと思うんですけれども、この資金の運用範囲、それと、指定であるとか条件というものはどの程度まで提示していらっしゃるのか、お示しいただけませんでしょうか。

谷川副大臣 ただいま申し上げましたとおり、個々の案件につきましては、それぞれ、機材は機材で入札をしたり、そこまで徹底的に管理いたして、相手方と実施について打ち合わせをいたしておるところであります。

田島(一)委員 わかりました。では、次に行きたいと思います、何か切りがないようなので。

 同じくODAの一環で、ムサンナ県の警察訓練プログラムにも無償資金協力というものがあります。このプレスリリースを拝見すると、資金提供に加えて、何やら訓練にまで関与するような、そんな誤解を与えるような表現もあるんですけれども、実際のところ、今回の警察訓練プログラムへの資金協力、どのあたりまで踏み込んでいらっしゃるのか。先ほどの末松委員の質問に対する答弁では、英軍、豪軍が指導に当たっているというようなお話もあったかというふうに思うんですけれども、もう一度、外務省の方から、整理した御答弁をいただけないでしょうか。

谷川副大臣 ムサンナ県における警察の訓練プログラムにつきましては、我が国は、イラクの治安の安定のために、法治国家の確立と国民から信頼される警察組織の存在が不可欠であるという認識のもとで、イラクの内務省が実施するムサンナ県における警察訓練プログラムに関しまして総額三億七千七百万円を供与し、資金面で協力いたしているところでございまして、具体的な養成だとか訓練だとか、その中身につきましては我が国は関与をいたしておりません。資金協力のみでございます。

田島(一)委員 中身に余り関与していないからといって、資金提供だけだ、何か余りにそれは無責任な出し方じゃないのかなというふうに考えるんですけれども、やはり中身があって初めて、どのような資金提供、無償資金協力をするのかが決まってくるんだと思うんですね。言われるがままに出しましたと言わんばかりの今の御答弁では、ちょっと説明責任になっていないように思うんですけれども、どうですか。

谷川副大臣 資金協力をいたしておりますが、このプログラムの中におきましては、警察官の養成に必要な事項についての訓練、具体的な犯罪現場からの証拠収集、保全といった捜査方法や、重大な犯罪の取り調べ及び通信の訓練などにつきましては、そのノウハウにつきましては、必要があれば提供いたしておるところであります。

田島(一)委員 今、ノウハウの提供はするというお話もあったんですけれども、ということは、このノウハウの提供はだれが具体的にやっているんですか。自衛隊員ですか。警察官の養成をするその主体はだれなのか。それに対しての無償資金協力だというふうに考えるんですけれども、この辺をあいまいなままで、資金協力三億七千七百万円出しているんだとすれば、ちょっと無責任だと思うんですね。当然中身を知った上での資金協力だと思いますが、もう少し丁寧な御説明をいただけませんか。

谷川副大臣 ただいま委員の御質問でございますが、我々としてはノウハウは提供する、それで、実際、各国の警察経験者などがそれぞれイラクの警察の方々に訓練をしているということで、我が方が、ノウハウは提供していますが、例えば日本の警察官がイラクに行って指導している、そういうことはございません、こういう意味でございます。

田島(一)委員 防衛庁長官、先ほど答弁で、いわゆる治安訓練については、イギリスそれからオーストラリア軍が当たっているんだ、これが五月に撤退するかもしれないという予定があるけれども、しばらくは見きわめて、それについてどうしていこうかというようなことについては時間がかかるということを御答弁いただいたと思うんですけれども、今回のこの無償資金協力の中身、警察訓練プログラムに自衛隊としては何らかのかかわりを持っていらっしゃるのかどうか、お答えいただけませんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛庁としましては、本件プログラムとは全く関係を持っておりません。

 以上でございます。

田島(一)委員 ということは、先ほど谷川副大臣が警察官養成のノウハウを提供するとおっしゃったんですけれども、ノウハウを提供しているのは具体的にだれですか。外務省の方ですか。

谷川副大臣 具体的に実際に実施をいたしておりますのは各国の警察経験者でございまして、我々としては、そういう要求があればノウハウも提供しましょうということで……(田島(一)委員「外務省が」と呼ぶ)はい。外務省がノウハウは提供しましょう。ただ、要求は今のところありませんので、各国の警察官が、元警察官といいますか、それぞれ現地で指導をしているということで、現在のところは我が方としては資金提供だけ。

 この訓練につきましては準備をいたしておりまして、現在のところまだ実施はされておりませんが、十一月中にその実施計画をまとめたいというふうにイラクの内務省では考えておるところであります。

田島(一)委員 わかりました。

 済みません、時間もなくなってまいりましたので、次の質問に入らせてもらいます。

 十月の二十三日から二十六日の期間、イラクのベルワーリー都市・公共事業大臣が来日していらっしゃったと聞いております。滞在中、我が国の要人と会談を行う、そしてイラクに対する復興支援のあり方等について意見交換を行われたというふうに聞き及んでいるんですけれども、政府関係者、どなたと会見をされたのか、また、具体的に今後のイラクの復興支援についてはどのような話し合いがなされたのか、お示しをいただけませんでしょうか。

谷川副大臣 委員が御指摘のとおり、二十三日から二十六日まで来日をされましたベルワーリー・イラク都市・公共事業大臣と町村外務大臣が二十四日に会談をいたしました。その際、ベルワーリー大臣は、イラク復興支援に関し、次のことを述べました。

 イラク国民、国民議会、閣僚評議会を代表して、日本の継続的な支援に感謝いたしますとともに、サマワでの人道支援活動に対し謝意を表しますとともに、また、日本のこれまでの無償資金協力を高く評価するということと、イラクは、三十五年間の非常な荒廃を経まして立ち上がろうとしておりますので、日本政府の支援をぜひお願いいたしたいということと、自衛隊の駐留を続けてほしいという要請がありました。引き続き日本の支援をお願いしたいというようなことを会談の中で申されました。

 なお、イラク移行政府におきまして、復興支援の窓口は計画開発協力省がこれからも担っていくというようなことも話の中に出てまいっております。

 詳細につきましては政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

船田委員長 谷川副大臣、もう一度今の点を御答弁いただけますでしょうか、詳細につきまして。

谷川副大臣 会談の中身につきましては、船田委員長さんにもお会いをいただいたわけでございまして、大体会談の中身は私がただいま申し上げたところがすべてでございまして、詳細その他は、もし必要があればお答えをさせていただきますけれども、会談の中身は、以上、お答えさせていただいたとおりでございます。

田島(一)委員 何か委員長に直接聞いた方がいいようなお話ですね、本当に。もうこれ以上余りこれにこだわりたくはありませんので、次に移らせていただきます。

 サマワに派遣されていた自衛隊、今やもう、伊丹の第三師団を主力とする第六次群が帰国をし、第七次の復興支援群に活動が引き継がれております。しかしながら、現地の状況、これまでにもこの委員会等で相当議論も重ねられてきたとおり、派遣当初とは相当状況が変わってきたことは皆さんも御承知のとおりであります。

 委員会でも議論をされた事実としては、六月二十三日午前に起こった第六次群の車列をねらったと見られる爆発、それから七月四日の夜に自衛隊の宿営地に撃ち込まれたロケット弾、こうした事実等々について、治安の悪化は相当なものというふうに私どもも認識をしております。

 具体的にこれについての質疑も今まであったわけなんですけれども、解散・選挙の前に、七月一日でしたか、外務委員会で我が党の武正委員の方が、サマワで自衛隊の車列をねらった爆発について町村外務大臣にも説明を求めていらっしゃいましたし、また当委員会でも、この宿営地へのロケット弾の攻撃についてはそれぞれの委員の方から状況の説明等を求める声がありました。

 そのとき、大野長官が、車列をねらった爆発については、これまではロケット弾砲撃などはどちらかというと嫌がらせだったが、深刻に受けとめなければならないというふうに当時の記者団にお答えもいただいているようですし、また一方の宿営地へのロケット弾の攻撃については、今後の活動については事実関係を調べて判断するというふうにお話をされております。

 その後、事実関係の調査はどれだけ進んだのか。また、それについて結論が見出されて、どこかにでも明示されたのか。残念ながら、私、過去の議事録等々を見てもそのあたりがオープンになっていないんですけれども、もう一度、この事実関係についての結論、どのように導かれたのか。防衛庁として、そしてまた外務省としてのお考えをぜひお聞かせいただきたいと思っております。ちなみに、新聞報道では、やはり自衛隊をねらった攻撃であるという可能性を指摘しているということもあります。この指摘もしっかりと踏まえた上でお答えをいただけませんでしょうか。

大野国務大臣 まず、田島先生がおっしゃった、自衛隊派遣当初と今と比べて地元の情勢が相当変わっているのではないか、こういう御指摘でございますけれども、サマワというのは、いつも予断を許さないけれども、他の地域に比べて安定している、こういうお答えをしております。

 具体的に申し上げますと、襲撃事件の月別なりの発生でございますけれども、ムサンナ県というのは大変低い。一けた台、二、三件というような発生でございます。これは全体で比べますと、本当にわずかな数であります。それから、多国籍軍がイラクへ行きましてから、ムサンナ県で多国籍軍の犠牲者が出たというのは二件でございます。これは、多国籍軍全体で二千人近い犠牲者が出ていることに比べれば、そういうふうな意味で落ちついているということは御理解をちょうだいしたいと思います。

 その中で、第一に、それではIED、簡易爆弾事件の方から取り上げさせていただきたいと思いますけれども、私が、これは本当に真剣に深刻に受けとめなきゃいけないと申し上げましたのは、この案件が宿営地外で行われたこと、二つ目は、ロケット弾、迫撃砲弾というのは夜中に撃ち込んできていたんですが、今度は白昼堂々と攻撃されているということ、そしてまたIEDという新しい爆発事件であったということ、こういう側面から見て、本当に深刻に受けとめなきゃいけないということで自衛隊の活動を一時休止させていただきましたし、一に安全、二に安全、三に安全でやってほしいという指示も出したところでございます。

 いろいろ調査いたしました。イラクの治安当局それから多国籍軍、そしてまた直接部族長等ともいろいろ情報収集に努めたわけでございますけれども、こうじゃないかという話はあるんです。こうじゃないかという話はありますけれども、まさにこれだという話が出てこない。本当に歯がゆい思いで、もっともっと明快にならないのかなと思うんですが、やはりこれだという決め手がないわけでございまして、そういう意味で田島先生からおしかりをちょうだいしておりますけれども、私は、こうじゃないかという情報だけを出すことは、かえっていろいろな波紋を呼んでしまうんじゃないか。うわさ話はこうですよと言うと、逆に日本の行動に一定の障害なり反感が出てくるのではないか。こういうことを恐れて、ずっと沈黙を守っているわけでございます。

 そういう意味で、一生懸命解明に努めておりますけれども、決め手がない、犯人も挙がらない、こういう状態でおります。

 それから、ロケット弾のことについては、宿営地内に夜間に撃ち込まれてきたケースでございます。これまで、私の記憶によりますと、たしか十回だったと思いますけれども、これはたびたびお答え申し上げておりますとおり、宿営地の安全確保はきちっとやっておりますし、それから空中監視装置もある、こういうことで、夜間のことはきちっと、なるべく早く宿営地の中に入るように指示いたしておりますし、安全確保には万全を尽くしているつもりでございます。

 全体的に申し上げますと、そのほかにも、自衛隊の活動といたしましては、活動するとき日々ルートを変更するとか、そういうことも含めて、地元の情報、治安機関の情報、多国籍軍との協力など総合的に、とにかく安全に仕事をする、これに努めておるところでございます。

田島(一)委員 まだ具体的な結論に至っていないような御答弁でもありました。ねらわれたことは事実であります。また同じことが繰り返さないとも限りません。ぜひ、派遣されている自衛隊員の皆さんの安全という点からすれば、一番御心配であるはずの長官でありますから、一刻も早くこの辺の事実解明についてしっかりとした結論を見出せるように努力していただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 最後に、十月二十三日の共同通信の報道で、イギリスの国防省がイラク国民を対象に秘密裏に世論調査を行った結果が報道された記事をごらんになられた方がいると思います。

 この世論調査の結果では、イラク国民の回答者のうち、多国籍軍の駐留に対し八二%のイラク国民が反対をし、そして、駐留によってかえってイラク国内の治安が悪化していると考えている結果が出されています。

 何度も答弁で、長官も、サマワのアンケートの結果、九割の皆さんがとおっしゃっているんですけれども、恐らく百数人ぐらいのサンプル数ではない世論調査だろうというふうに私は思っておるんですけれども、この世論調査の結果をどのように受けとめていらっしゃるのか。

 それと、サマワだけではなく、イラク全土のこうした状況をしっかりと見きわめる意味でも、もう一度何らかの世論調査も日本国独自でやっていくべきではないかというふうに考えるんですけれども、その辺、内閣官房としてどうお考えか、お答えをいただけないでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 イギリスの新聞が御指摘のような調査を行ったという報道は承知しておりますが、中身については、私ども、まだ承知しておりません。

 イラクが現在、治安回復や復興への取り組み等々さまざまな困難な問題を抱えておる、それは確かでありますし、外国軍が駐留することについての反感、反応は増すし、日本の終戦直後のことも、私、若かったんですが、あり得るわけで、イラク国民の不満の一部が米軍等多国籍軍に向かっている可能性ももちろん否定できないと思います。

 しかし、一方で、多くのイラク人が、治安が安定しないうちに直ちに多国籍軍の撤退を求めることは適当でないということは理解しておられるというふうに私どもは考えております。例えば代表的なものを挙げますと、本年五月三十一日、イラクのジバリ外相が国連安保理に対して多国籍軍のマンデート継続を要請されておりますし、九月九日にはイラクのタラバニ大統領が、近い将来に米軍及び多国籍軍が撤退することはテロリストによる勝利につながりかねないというふうに述べておられます。

 ムサンナ県のハッサーニ知事が、これは九月十五日ですが、テレビの定時ニュースで報道されておるんですけれども、記者会見をされた。自衛隊等の撤退問題に関して発言しておられるんですが、御紹介いたします。これは知事の発言です。

 イラク自身が治安を維持できるよう治安機関が整備され、情勢が安定すれば、いつの日かはすべての外国軍が我が国より撤退することを望む。しかし、特にムサンナ県においては、現時点において既に外国軍に治安維持を依存しておらず、困難なときすらも外国軍の支援を仰がなかった。他方、日本の陸上自衛隊は復興支援の軍隊であると思っており、県政に介入せず、治安維持に関与せず、治安維持に関する多国籍軍の活動にも関与していない。これまでも陸自はさまざまな事業を実施しており、これからもより一層の支援を行ってくれることを望む。陸自の派遣期間の延長は日本政府が決める問題であり、自分はこの件に関して何も承知していないが、日本政府は派遣を延長すると期待している。こう述べておられます。

 いずれにしても、重要なことは、国際社会が結束してイラク人自身の国家再建のための努力を支援することであり、政府としても、引き続き、こうした努力を積極的に支援していく考えでございます。

 いろいろな方から情勢等を伺っておりまして、日本独自で調査する必要性があると思っておりませんし、調査を行う考えもございません。

田島(一)委員 いろいろな情報やうわさに一々翻弄される必要はない、これは私も実は思っております。しかし、確固たる情報がつかめない今の状況の中では、こうした危機的意識はしっかりと持ちながら、本当に今のままでいいのかどうかを冷静かつスピーディーに判断していく、これが、自衛隊の皆さんに危機感を募らせている現状、私たちの大きな責任ではないかというふうにも思います。

 独自の調査をする必要はないと、随分つれない御答弁をいただきましたけれども、確固たる情報がない今、日本独自でそういう情報収集をしなければ、もう既に英軍やオランダ軍、オーストラリア軍が撤退しようとしているような状況を、うわさがうわさを呼んで、皆さんが非常に心配されるばかりではないかというふうにも考えます。こうした状況を打破するためにも、先ほど申し上げた共同通信の報道、アンケート調査等々からしても、やはり不安を募らせているのも事実であります。その辺のことに対してどのように提示をしていくのか。

 今考えてみれば、イラク憲法も既に承認もされましたし、自衛隊の撤退の道筋ももうそろそろ示していい時期だというふうに私は考えます。そういう思いも改めて感じたということをお示しさせていただきながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十九分開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。質問の機会を再びいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、引き続きイラクに我が国の自衛隊の皆様が駐留をなさり、イラクの国民の皆様に、あるいは国際社会の一員として国際世論に、何よりも足元の日本国内において国民世論、つまりは国民の皆様に支持される中身であり続けなければならないですし、もしそうでないならば、これは巨額の税金を投入して支えていく、オペレーションを支えていくというその大義を欠くわけであります。

 その意味では、引き続いての現地での活動が今後いつまで続くのだろうか。テロとの闘いは、過日長官にいただいたお話によりますれば、長期的かつ予測が困難なものであるというお話を伺えば伺うほどに、果たしていつまで自衛隊の皆さんがイラクで活動していく必要があるのか、そういった疑問も国民の皆様に、これはごく自然なものとして世論の中に芽生えてくるわけでありまして、その意味で、きょうは、納得ずくでの税の投入、そして何よりも、命を賭しての自衛隊の皆さんの現地での活躍になっているんだろうかというところをお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、アメリカ軍のイラクでの将兵の皆さんの、犠牲となられた方が二千名を超えたという、一つの現地の状況をあらわすに象徴的な数字が過日報道されておりました。その際、その報道に前後して、ブッシュ大統領は、軍関係者を前にした演説の中でこのように述べたというふうに報道されております。彼らの犠牲に報いるためにも、自由の拡大で平和の礎を築かなければならない、戦いに勝利するためにはさらなる犠牲と時間、決意が欠かせない、こう述べたというふうに言っておられます。

 一方、イラク戦争への賛否という意味では、米国内での国民の世論も、開戦当初に比べればかなり変化があるというのも事実だというふうに思っております。

 そういう中で、まずお伺いをしたいのが、我が国の自衛隊の皆様が現地で活動なさっておられることについて、アメリカ国民はどのように評価なさっておられるのか、お伺いをしたいと思います。

大野国務大臣 まず、アメリカの世論はどう受けとめているのだろうか、自衛隊のサマワにおける活動でございます。

 この問題は、ブッシュ大統領からの評価もいただいておりまして、まず、イラクにおいて人道面及び民主的なイラクの国家の成立に向けて極めて重要な貢献を行っているというふうなことで感謝の言葉が述べられております。私自身も、アメリカの国防長官ラムズフェルド氏から、日本の協力は大変重要であり感謝している、こういうお言葉を受けています。

 しからば、一般国民はどうなんだろうか。これは日米共同世論調査、読売新聞とギャラップ社が行ったものでございます。調査をアメリカでも日本でもやっておりますけれども、お尋ねはアメリカということでございますので、アメリカのことだけ申し上げますと、昨年十一月十三日から二十一日まで、十八歳以上の有権者で、有効回答数が千人ということであります。

 この調査によりますと、これはアメリカだけの問題です、大いに評価する三〇・三%、多少は評価する五五・二%、合わせまして八五・五%のアメリカの方々が日本の自衛隊の活動を評価している、こういうことであります。ちなみに、余り評価しないが六・四%、全く評価しないが六・五%、こういうふうになっております。

古本委員 これは数字の見方にもよるんでしょうけれども、五五%の方が多少は評価する、多少とはいかがなことかと言いたい思いですね。

 一体、幾らこれまでに我が国の税金を使って自衛隊の皆さんの駐留経費を捻出、手当てしているんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年七月までに、イラク特措法に基づく対応措置の実施に係る経費の累計でございますが、約五百七十九億円でございます。これは執行済みの額でございます。

古本委員 イラクでの駐留経費に関してはそういう数字がある。

 加えて、ホスト・ネーション・サポートという思いやり予算の問題もあります。過日の委員会でも長官に指摘をさせていただいたわけでありますが、今後恐らくホスト・ネーション・サポートの、これをバーゲニングと言うべきかどうかはよく存じ上げませんが、少なくとも来年度以降のまた新たな交渉に入るわけでありまして、我が国は今、国連の分担金を相当額負担し、そしてイラクでの駐留経費も負担をし、さらに、ODAと言っていいと思いますが、復興支援のために既に五十億ドルの拠出を表明している。一体どこまで財源の面で、人的な貢献にも加えて、何よりも財政が厳しい状況の中で拠出をしていくわけでありますので、ホスト・ネーション・サポートの交渉時において、イラクでも六百億ですか負担をし、例のインド洋での給油作業における実費とその労役に関する負担分を合わせれば四百億をたしか超えていました。つまり、合わせれば一千億。この数年での出来事であります。

 したがいまして、ホスト・ネーション・サポートの交渉時においてこういったこともバーゲニングの材料としてぜひ言っていただきたいと思うんです。この辺の、日本の財政が厳しい中での財源的な貢献をしているということについて、どのような今後の交渉状況になっていくのか、方針をお尋ねしたいと思います。

大野国務大臣 在日米軍駐留経費でございますが、去る二月の2プラス2の会合におきまして、現行の特別協定終了後の措置について協議をしようということでは一致いたしております。日米間の協議の現状あるいは具体的な内容につきましては、現段階では、米側との問題もありまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、問題は、今古本先生が、イラクでもやっているじゃないか、それからインド洋でもやっているじゃないか、全体として考えろ、こういうことでございます。私は必ずしもそう思いません。イラクは、国際社会の責任ある一員として日本が、イラクが平和で民主的な国家になることの国際的な努力の中で責任を果たそうとしているわけでございますし、それからインド洋における海上自衛隊の活動というのは、テロは人類共通の敵でありますから、この共通の敵に対して国際社会の中で日本としてできることをやっていこう、こういう意味でございます。

 しからば、在日米軍のホスト・ネーション・サポートと言うよりも駐留軍経費と言った方がいいと思いますが、駐留軍経費をどう考えるのか。

 この問題につきましては、まず安全保障という問題をきちっと考えていかなきゃいけない。日本政府の負担を、今アジア太平洋地域に不安定、不確実な要素があるとすれば、日米安保体制の円滑な、そして効果的な運用を考えていかなきゃいけない。そして、アメリカが日本で駐留していることの抑止力ということを十分考えていかなきゃいけない。日米同盟関係においてこの問題は、在日米軍というのは極めて重要な役割を果たしているわけでございます。この抑止効果を果たしてコスト・ベネフィット・アナリシスのような観点から分析できるのかどうか、こういう問題も考えていただきたいと思います。

 もとより、今、日本国政府というのは大変厳しい財政事情があるわけでありますから、この財政事情にも十分配慮しながら、今私の申し上げたような日本の安全、それからアジア太平洋地域の平和と安定、このことにアメリカの抑止力が役立っているんだ、この観点も忘れていただきたくない、このように思って、この駐留軍経費の問題というのは適切に判断をしていかなきゃいけない問題であると思います。

 したがいまして、以上のような観点から、各省間で十分議論して協議に臨んでまいりたい、このように思っています。

古本委員 ホスト・ネーション・サポート単体で見れば、もちろん日米の安全保障上の問題であるというふうに議論を分断することもできるのかもしれませんが、少なくとも、では我が国に駐留している在日米軍の艦船それから将兵、ヘリ、どうしてあれだけヘリの墜落事故が在日米軍で続いたか。これは明らかに、イラクにさまざまな面で、メンテナンスを中心にバックアップ部隊がとられていて、それが手薄になることによって墜落事故が頻発しているというのは、これは明らかな事実でありまして、そういう意味では、人、物、金、機材も含め、一機たりとも、一人たりともイラクとは関係ない、アフガンとは関係ないとは言えませんね。

 その意味では、先般、防衛庁長官に指摘申し上げたとおり、駐留米軍の役務を中心として、少なくとも給油作業を通じて問題を仮に惹起すれば、片や横須賀で給油する作業に幾ばくかの費用負担を我が国の税金でし、これは思いやり予算として、一方で、インド洋に展開をした際にも給油作業を我が国の自衛隊の皆さんがおやりになる。これは税金で賄われている。そして、イラクに行っても、直接はそのオペレーションには参加しないまでも、例のOEF作戦の一翼を担っているのは事実なわけでありまして、必ずその議論はチェーンとして、鎖としてつながっているわけであります。そういう意味では、こっちはこっちだからお出ししている、インド洋はインド洋、イラクはイラク、そして横須賀での話は横須賀の話、これを言われ出すと、とめどなく、最果てなく要求される話になるわけであります。

 その意味では、もちろん財務大臣にも申し上げなきゃいけない話かもしれませんが、予算需要のある所管の主務長官であるわけでありますから、あわせてそういう問題意識を持っていただきたいなという思いで申し上げているわけであります。

 そこで、イラクの復興支援にこれまで支援国会議を中心に拠出を表明されている額があるわけでありますが、最大の拠出を表明されている米国で百八十六億ドル、そして、同盟といいますか一番の関係にあると思われている、お互いに多分思っているんでしょうね、英国が五億ドル、オーストラリアが八億ドル、お隣のサウジ、クウェートあたりで十億ドルから十五億ドル、世銀、これは融資ですから、融資ベースで三十億ドル。日本は五十億ドルの拠出を表明いたしております。このうちの十五億ドルが無償であります。

 こういうイラクの復興支援でありますが、一体どういう分野にこれが使われ、そして、先ほど来長官がおっしゃっておられる、イラクが平和国家として再び再生することを世界の一員として支えていくというそのプロセスにおいてこの五十億ドルが使われていくのか、これは日本国民としても看過できるテーマではありません。

 その意味でお尋ねするわけでありますが、この十五億ドルは、少なくとも無償分につきましては、日本の技術がなければ成り立たない、イラクの皆さんがのどから手が出るぐらいこのことをぜひやってもらいたいという領域に絞って使われるのか、それともアメリカのゼネコンかどこかが受注するのかどうか知りませんが、一体どういう分野にこの十五億ドルが使われていくのか、そこら辺をまずお尋ねしたいと思います。

吉川政府参考人 日本の無償資金協力の使い方についての御質問がございました。

 先生御指摘いただいたように、マドリードの会議では五十億ドルのODAの約束をいたしまして、そのうちの十五億ドルにつきまして、既に一部実施しておりますし、使途も決めております。分野につきましては、電力、教育、水・衛生、保健といったイラク国民の生活基盤の再建、それから、午前中の議論にも出ておりましたが、治安の改善、こういうものを対象にしております。

 今、このお金がどういうふうに使われるのかという御質問がございましたが、日本の無償資金協力のやり方におきましては、日本企業を主な契約者とする一般競争入札で業者を決定しております。したがって、応札する日本企業は、それぞれの目的、例えばイラクにパトカーを出すという援助をやりましたが、そのときには、それぞれ、あの場合には日本のメーカーを担いで応札をし、その中で一番安い札をとった人が受注しております。

 二つぐらいの要素でしょうか、一つは日本の顔の見える支援を実施するという観点、それから、イラクの国民に役に立つものを供与するという観点から、製品につきましては、原則として日本製もしくはイラク国内で一般的に流通しているものを調達するという方向で実施してきております。

古本委員 イラクの皆さんが喜んでいただけることに使うというのは、これは当たり前のことであります。何よりも、お金は渡しっ放しではなくて、そこで産業が復興され、あるいは新たな技術開発もイラクの国民の皆さんができるようになって、いわば自律的な回復ができる、そしてそれが軌道に乗り、国際社会からひとり立ちできる、そこまで持っていかないと、これはいつまでたっても人に世話になる、私たち日本を初め、支援をしていかなければならないということになるわけですね。

 その意味では、少なくともイラクの皆さんは今、学校やインフラの基盤や、まさに日々の暮らしをもとに戻すために、あれも欲しい、これも欲しいということもあるでしょうし、欲しいと思っているところにせっかくの日本からの支援が届かずに、もっとほかのことをやってほしいのにな、そういうすれ違いも否めないと思います。

 その意味では、ぜひ、国の税金を使って、国民からの税金を使ってやっていくわけでありますので、渡しっ放し、使いっ放し、日の丸が上がればいいということではなくて、技術なり、あるいはそれを続けていくための仕組みを涵養できるお金の使い方が大前提だというふうに思うわけであります。

 そこまで理解した上でも、なおこういう数字があります。七五年から〇二年まで、途中、湾岸の後、恐らく中断したんだと思いますが、イラクへの円借款は総額で五百七十億円強なんですね、この三十余年にわたって。それが一気に十倍増ですよ、この一回の支援国会議での拠出表明額が。やはりベンチマークというのは必要だと思っていまして、いっときに十倍増ものお金を出すと言ってくれる国が世の中どこにあるんですか、世界じゅう。

 そこまでやっている日本国民に対して本当に、もちろん、長官がお会いなさるのは政府の高官の人であったり、まさに理解を示すに決まっている人のお話を聞くわけですから、称賛の言葉はあるんでしょう。一人一人のイラク国民が本当に日本人ありがとうと思っているかどうかというのがまず入り口の第一歩です。そういう意味では、そうなるようにPR活動も含めてこれはお願いをしたいと思うわけであります。

 加えて、国際社会の一員として責務を果たしているという言葉が政府は大変お好きでいらっしゃって使っておられますが、では、国連ベースで考えたときに、長官、OEFオペレーション、不朽の自由でしたっけ、エンデュアリング・フリーダム、このオペレーションに参加をしていない国連の主要国というのはどういう国があるんでしょうか。

山崎政府参考人 恐縮でございますが、OEFはテロ特措法に基づく活動でございますが、それでよろしゅうございますか。

 主要国は大体OEFの活動には参加をしているというふうに承知をしております。あるいは、OEFに参加をしていなくても、治安維持部隊のISAFの方にも部隊を派遣している主要国が多うございます。

 以上でございます。(古本委員「P5は」と呼ぶ)P5も参加しているというふうに私は……(古本委員「全部」と呼ぶ)はい、承知をしております。

古本委員 この不朽の自由作戦にはP5の国々は全部入っている、こういう理解でいいですね。

 では、その上で、イラクへのまさに不朽の自由作戦において、現地に軍隊を派遣、展開していないP5の国はありますか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 OEFでございますけれども、陸上部隊を派遣していない国に関しまして、P5のうちでは、ロシア及び中国は派遣しておりません。

古本委員 では、イラクの復興支援国会議でお金を出さないP5はありますか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 私の記憶では、P5の中では全員が何らかの形で資金協力をしている。ただ、例えばロシアは、これから、お金を出すというよりは、過去の債務の帳消しという格好でイラクに協力をするという形でやっておりますので、いろいろな形を含めて、イラクに対して常任理事国は皆、資金の面での協力をしているということが言えると思います。

古本委員 中国は幾ら出していますか。

吉川政府参考人 先生、申しわけありません。手元に中国が幾ら出したかという数字を持っておりませんので、これは別途お答え申し上げたいと思います。

古本委員 国際連合の安保理常任理事国入りを目指そうとしているんですよね、我が国政府は。そして、国際社会の一員として、まさに誉れ高き地位を得たくて、役割を果たすべく巨額の税金を投入し、そして自衛隊の皆さんも命を賭して現地に赴いておられるわけですよね。

 では、入ろう、ぜひ入りたいと思っている国々のサロンというかサークルというか、チームがあるわけでしょう、P5という、その国々がどういう立ち振る舞いをしておるかというのは興味ないんですか。

 つまり、具体的な、人を現地に展開する、それからお金も、これは破格ですよ。米国が百八十六億ドルで、これはずば抜けています。それに次いで二番手でお支払いをすると言っているのは日本ですよ、五十億ドル。世銀を除けば、ほかの利害関係国の中でも断トツで突出していますね。そこまで、言うならば国際社会における町内会費を払う日本に対して、何で中国からあんなことを言われなきゃいけないんですか、日本は。

 つまり、さっきのホスト・ネーション・サポートもそうなんです。財源を使う。それは何に使うかとか、これはどこから来ているかというのは財務省の皆さんもお得意なんでしょうけれども、各国と比較して、これはベンチマークの話をしています、我が国は応分の負担をしていると言いますが、ベンチマークをしないと最果てのない負担になります。比較対象である、少なくともP5と比較なんかは当然ですよ、その数字をここで持ち合わせていない。私、これは通告していますからね。

 その意味では、国連安保理の常任理事国入りを今後とも本当に目指していくのであれば、これまたバーゲニングと言うに値するかどうか、適切な言葉が見当たりませんが、少なくとも交渉材料の一つや二つになるんだろうと普通なら思いますが、今まで、こういうことを交渉材料にするように国連の安保理常任理事国入り担当に働きかけたことがありますか。そういう連携を省内でとったことがありますか。

吉川政府参考人 中国との関係をどういうふうにして対応するかというのは、外務省のみならず、日本政府にとっての非常に大きな課題でありますし、今先生おっしゃったように、中国がそれぞれの国際紛争においてどういう対応をとっているのか、日本はそれとの関係でどういう対応をしているのか、これは現実の問題として、毎日のように国連であったりほかのところで議論されております。

 中国との関係については、二国間の問題だけではなく、地域でありますとか国際社会の問題について、日本の国益ということを一つの判断にして、主張すべきことを主張しながらやっているというのが私どものスタンスだというふうに理解しております。

古本委員 政府全体の話ということになりましたので、官房長官にお尋ねをするわけであります。

 イラクでの戦費、駐留経費を我が国として負担する六百億。これは地域地域で切るべきだ、オペレーションごとに切るべきだと長官はおっしゃいましたが、少なくとも冷厳なる事実として、連日ここへ車いすで来ている障害者自立支援法案に反対するあの人たちの一割医療費は三百億ぐらいなんでしょう。それと比較するつもりはありませんよ。だけれども、四百億船舶重油を提供している。インド洋で四百億、合わせて一千億。これだけの町内会費を払っておる。まあ町内会費という言い方がわかりやすいかなと思って言いますが。

 官房長官、普通、町内会で一番納めた人は筆頭と呼ばれますよ。お祭りのときに一番厚志を払った人ですよ。その人は桟敷席に座らせてくれますよ。それから、はっぴは出てくるわ、お酒は出てくるわで、それこそ最大の名主さんになりますよ。

 日本は桟敷席に何で座らせてもらえないんですか、ここまでやって。これは政府全体の、今申し上げたような、お金を払っているのは事実なんです。それは払うなとは言いません。これは百歩譲っていますよ。払うなとは言いませんが、払っただけの、国民の税金を投入しているだけの何かをとってこなきゃ、これは払いっ放しになります。

 その意味では、まず一点目、日本は、この巨額の国際社会における町内会費に見合った名誉が与えられているんでしょうか。そして二点目は、具体的な桟敷席というわかりやすいところに上げてもらえているんでしょうか。お尋ねいたします。

細田国務大臣 日本は、世界的に見ましても、あるいは国連分担率にしましても、あるいは最近においてはパキスタンで地震があった、インドネシアで洪水があった、その他非常に多くの国際貢献をしております。通貨危機のときも相当な自己犠牲といいますか、分担、負担をしておりますし、もちろん、今おっしゃったようなイラクを初め、相当な額を出しておることは事実でございます。

 反省の機運があって、八百兆円も借金を抱えた国が何を偉そうにしているんだという声が次第に強くなっていることは私は事実だと思いますが、国際的に見ると、これまでなかなか日本も、つい数年前までは、一人当たりの所得が世界一に迫っているぐらいの感じでございましたから、各国からも要請され、かつ、いろいろ貢献してきておりますので、私は、高い評価自体は受けていると思います。

 その中で、日本国内のこの火の車の財政の中で本当に大丈夫か、ODAの問題についてもみんなでよく考えてみようということも事実でございますし、イラクを初めとするこういった国際貢献についても、さまざまな理由により、クウェートのときもございました、今回はイラクについていろいろな意味での貢献をしようという経緯もございます。

 しかし、絶えず反省も加えながら見直していくことは私は必要であろうと思います。これは、どちらかというと外務大臣代理としてよりは官房長官としても、政府全体としては考えていく必要がある。しかしやはり、先ほど筆頭というお話ありました。筆頭ではありませんけれども、三役級で貢献をしていることは国際的な日本の地位に貢献していると思っております。

古本委員 官房長官、桟敷席を答えてもらっていないような気がするんです。桟敷席に日本は上がる予定があるのか、上げてもらえるのか。桟敷席というのは、祭りに行ったって勝手に上がるわけにはいきません。祭りをやっている主催者が、さあどうぞ、先生どうぞといつも言われて桟敷席でしょう、長官も。ちゃんとそう言ってもらえるんですか、日本は。

細田国務大臣 一般論で言えば、日本は非常に国際的に尊重されている、大国として尊重されていると私は思っております。ただ、それが今おっしゃったような金額とどこまで見合っているかということは、常に十分検討は加えていかなきゃいけないだろう。日本の財政問題もあるし、世界の潮流の変化もあるし、それは私は感じております。

古本委員 今、官房長官から金額とその見合いの言葉がありましたので、そこはぜひしっかりやっていただきたいなと思います。あれほどわかりやすいお祭りの事例はないですよ、金何万円の人が一番そういう意味では貢献したと。国際社会の中で日本がこれだけ貢献していると、国民自身わかっていないですよ。恐らく、米国人の一体何割がわかっているのか。いわんやイラクのまさに欲しておられる、当事者である人々が。

 これだけ財政的に赤字を抱えている中にあって、まさに、前の塩川さんの事例じゃないですけれども、こっちはお茶漬けすすっているのに、向こうには大変あれして差し上げている面もあるわけでしょう、連日ああやって車いすの人が来ているわけですから。そこは、いや、性質が異なるものですから、混交するつもりはありませんが、キャッシュという意味では、国民からお預かりした税金を使っているわけですから、その比較をし、それに見合った対価が、費用対の効果があるかどうかというのは常にウオッチをしなければいけませんし、見続けなければいけませんし、見合っていないなら払うのをやめた方がいいですよ。それか、見合った処遇をしてくれ、桟敷席に上げろとやはり言わなければおかしいですね。再度、御決意を確認します。

細田国務大臣 総合的に判断する必要はあると思います。例えば、イラクは産油国であり、中東における大変重要な国ですから、これから憲法も定めて国づくりをしなければならない、今はまだまだ混乱期にあるとは思いますが、そのときに、私は、日本はアジアの一員として、また長いつき合いもございますので、ある程度イラクの復興にも貢献する必要があると思います。パキスタンでも、皆各党からも、もっと大いなる協力をせよとか、災害対策であったりあるいは復興であったり人道支援であったり、いろいろなことございます。

 しかし、おっしゃるように、自分の懐ぐあい、自分の国際的位置づけというものも冷静に考えながら対応すべきことは当然だと思いますので、絶えず我が身を振り返って、援助のありようを決めていくべきであることはおっしゃるとおりだと思います。

古本委員 防衛庁長官、最後に、先ほど申し上げましたホスト・ネーション・サポートの関係でありますが、少なくとも、自衛隊の皆さんの現地でのオペレーションに要する費用は国民の税金から出ていますね。それから、インド洋でのオペレーションも国民の税金から出ていますね。それから、ホスト・ネーション・サポートも出ていますね。

 つまり、きっかけは、もちろんテロとの闘い、これは不朽の自由、それはそういうことでしょう。しかしながら、きっかけとなっているのは全部米国ですよ。アメリカとのきっかけでお金がこれだけ発生しているわけですよ。町内会費要るよと言い出した言い出しっぺは常に米国なわけですよ。

 そのことにおいて、これはパッケージでとらえて、財源的に枯渇というよりも、言葉が見当たらないぐらいの厳しい我が国の財政の状況にあって今後とも拠出をしていくわけでありますから、ぜひ私は精緻に分析をしていただいて、横須賀から出港した艦船がある領海を越えて、どこから入ってきたところの給油の労役が横須賀で入れた分のホスト・ネーション・サポート分で、どこからの線を越えた以降の分がインド洋での、先ほど申し上げた四百億超のオペレーションに要するコストなのかという、これはガソリンに色粉を入れて区別するということは無理ですけれども、原価というのは積み上げですから、その作業において、そういう感覚を持ってホスト・ネーション・サポートの交渉にも当たっていただきたいんですけれども、御決意を、方向性を、方針をお尋ねします。

大野国務大臣 今、安全保障問題という切り口からそのコストを考えなきゃいけない。そのコストは祭りの寄附なんだろうか、どうなんだろうか、ここも考えていただかなきゃいけないと思います。我々は、世界の平和が日本の平和なんだ、そして日本を守るためのアメリカの抑止力が必要なんだ、こういう考え方できちっと対応しているわけでございます。

 そのときに、どういうコストを払わなきゃいけないか、これはもう先生がおっしゃったとおり、厳しい財政事情のもとですから、このコストは遠慮しておこう、このコストは払わなきゃいけない、このけじめはきちっとつけていかなきゃいけない、こういう切り口から厳正、適正に判断してまいりたい、このように思っています。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 本日は、イラク特別委員会におきまして、イラク関係を初めとする幾つか最近気になっていることを両大臣からお聞きしたいと思っております。

 大野防衛庁長官におかれましては、2プラス2へ行かれる前に、非常に大切な時間、ありがとうございます。また、官房長官におかれましては、外務大臣の臨時代理までやられるんですね、総理の女房だけかと思っていましたら。うちの女房に、これは例えがいいかどうかわかりませんが、兄貴の役目とか、あるいはこれは弟がいいのかわかりませんが、その代理までやれと言ったら怒っちゃいますけれども、本当にお疲れさまでございます。

 これはお世辞じゃなくて、本当にきょうはすてきなネクタイをお召しになっていらっしゃって、これはリップサービスではありません。私もよく営業トークで、最後に褒めるところがないとネクタイを褒められるものですけれども、きょうは、リップサービスでも何でもなく、すてきなネクタイをお締めになっていらっしゃるな、そんなふうに思いつつも、せっかくいただいたお時間でございますので、建前もあるのかもしれませんが、できるだけ本音の議論を政治家同士でさせていただければ、そんなふうに思っております。

 まず一点目は、世界的なアルピニストのエッセーをかつて読んだときに、いわゆる山登りで、登山家は、優秀な登山家であればあるほど下山の準備をしっかりして、あるいは下山の準備さえしっかりしておけば遭難することはないだろうと。だから、ポイントは下山の準備、また、いつ下山をするか、これがポイントであるというようなことを読んだ覚えがありますけれども、まさに我が国の今回のイラクへの自衛隊派遣というのはそれではないかな。

 先ほど、午前中にも末松議員の方から出口論のお話がございました。正直に申しまして、いろいろな分析、評価があると思いますが、私は、最終的にはこれは政治家が総合的な情報を持って政治判断するものだと思います、行かせたのも政治判断だと思いますので。

 いろいろ私なりに情報をとらせていただいた中で、やはり今こそ、撤退するにしろ、まだ十二月十四日以降も駐留させるにしても、今しっかりとした判断をしておかなければいけない、この時期を逃してはいけないということで、我が民主党も、我々は、イラクの自衛隊を政権をとらせていただければ即刻撤退させるとマニフェストに書き、そして選挙が終わった後も、党内議論、いろいろ激しい議論もありました。我々の考えをまとめさせていただき、今日、法案を提出させていただいて、きのうお経読みをしていただいたわけでございまして、本来ならきょうの時間もその点で御議論をさせていただくと非常にありがたかったわけでございますが、この点は非常に残念かなと。

 ただ、いろいろ一般質問のお時間もいただきましたので、出口論に入らせていただく前に、先週地元へ帰りましたら、御婦人から、私、今度イラクの特別委員会で働かせてもらいますというお話をしましたところ、奥様はこういうお話をされた。イラク、ああ、あれ、戦争が始まった理由は大量破壊兵器があるかないかのお話だったよね、あれどうなっちゃったのと言われたんです。私も全員に聞いたわけじゃありませんから、そんな統計をとってやっているわけじゃありませんけれども、少なくとも私が接した多くの方の頭の中にはまだ、あの戦争は大量破壊兵器があるという、あるいはそれをきちっと査察を受けなかったという理由で始まったんだというふうに思っていらっしゃる国民の方は今も多いと思うんですね。

 小泉総理のメールマガジンにも、これは二〇〇三年の三月十三日ですかね、小泉総理はいつも八秒以内でフレーズをつくられるというから、そこは政治家としては勉強させていただくところも非常に多いんですけれども、三月十三日には、この問題は「「全世界対大量破壊兵器を持っているイラク」の問題である」というところをぽんと書かれているんですね。最初にそういうメッセージを、しかも総理が発せられると、これは、これについてきっちりとした説明がない限り、多分国民の多くの方に入り込んで、刷り込まれていくんだと思いますね。今回の総選挙でも、非常に刷り込みをうまくおやりになったので自民党さんも大勝されたんだと思いますが、いまだに、やはり御婦人あるいは多くの国民の中には、大量破壊兵器はどうなったんだと。

 いろいろ調べさせていただきますと、総理は、御自身で語るというよりも、それ以降は、特別委員会やあるいは本会議でこの点を指摘されますと、残念ながら少しずつ意味合いが、これは末松議員も御指摘になったところであると思いますが、二〇〇三年の三月には、これは大量破壊兵器を持っているイラクとの戦いだとおっしゃっておきながら、その一カ月後には、四月八日には、いずれ見つかると思うというような発言をされていたりとか、さらに一カ月後には、いずれ見つかると思っている、六月に入りますと、フセイン大統領がいまだに見つかっていないんですよ、フセイン大統領が見つからないのにわかるわけないというようなことをおっしゃっていたり、それが、七月ぐらいになると、今度は国連憲章の話だというふうに、だんだんすりかわっていくんですね。さらには、二〇〇四年には、多少これは開き直りかもしれませんが、未解決だということは事実だ、過去にイラクが大量破壊兵器を使った、これは事実だ、だからというようなお話をされている。

 ずっとこれで続いていって、最近この大量破壊兵器の話はどこかへ行っちゃいまして、よく小泉さんが発せられる八秒間のフレーズの中にもびっくりする言葉があるんですが、昨年の十一月十日に至っては、前岡田党首との党首討論の中では、自衛隊が活動しているところは非戦闘地域だ、それがイラク特措法の趣旨だというようなこともおっしゃって、国民全員がびっくりしたのは記憶に新しいところだと思います。最近では、その大量破壊兵器の話は全然出てこなくて、これは我が国の資金援助と自衛隊による人道復興支援であるというようなお話をされる。

 ずっとこれは、余り国民に説明していないといっても言い過ぎじゃないんじゃないか。事実、国民の多くの方は、あの大量破壊兵器はどこへ行っちゃったのと。確かにあの戦争が始まったときは、報道も非常に、大量破壊兵器、大量破壊兵器、大量破壊兵器ともう連続して刷り込まれましたので、それが刷り込まれて抜けていないなら、ちゃんと説明してもらわなきゃいけません。

 こういった現状を踏まえて、女房役である官房長官、ここへ来て、撤退あるいは延長するにしても、きちっとここまでの経緯を、どうしてあの戦争が始まって、今どう評価されていて、我が国はどういうそれなりの貢献をさせていただいて、今どうなっているからこれからこうするんですよということを、本当は私は選挙で語ってほしかったんですが、選挙では余り語られていなかった。

 選挙が終わって、郵政も片づいたんですから、こんな命にかかわる大事なこと、私は、三十分ぐらい番組をつくっていただいてもいいぐらい、しっかりと国民の皆さん方に今こそ語って、そしてしっかりとこれからの戦略を国民の皆さんに問うべきじゃないかと思いますが、官房長官いかがでしょうか。

細田国務大臣 イラクのフセイン政権については、非常に長い間いろいろな評価がされたこと、そして、それはフセイン政権自身の責任に負うことが非常に大きかったと私は思います。

 突如イランに攻め込んでイラン・イラク戦争を始める。そしてそこでも化学兵器を用いる。それから、突如クウェートに侵攻して大変な被害を及ぼして、そして湾岸戦争のもとになって、旧に復するけれども、そのまま専制的な政権は維持する。そして国内においては、クルド族を初め少数派の人たちに現に化学兵器などを使用するという、いろいろな証拠はあるわけでございますが、そういった過去の悪い実績がたくさんある中で、かつ、化学兵器については、これも大量破壊兵器の一種だと認識されておりますが、使ったという事実がある。

 したがって、それを壊したかどうかというのは、実際に非常に難しい問題ではありますが、現には見つからなかったということですね。

 それから、核兵器についても、ウラン濃縮に取りかかったことは事実でございますし、そのための遠心分離機その他さまざまな装置は持っておって、IAEA査察で一たん廃棄をした。この廃棄自体は確認されておると思いますが、それを再開したということが非常に強く推定されてきた。これが、核兵器に関する、一たんやったことをまたやっているんじゃないかという、現在はまたイランとか北朝鮮とかいろいろなところが疑いを受けて査察の問題があるわけですが、こういった経緯の中での国連決議、かつ、実際にさまざまなデータを出せ、査察を受けろ、こういうときに、言を左右にしてまじめに対応してこなかったことも事実であります。そういったことが総合的に国際社会に対して大きな不信感を買い、かつ、そのような兵器が存在したと強く推定されたということは事実だと思います。

 したがって、それを国際社会が大きく意思決定したことについて、それが大きな過失であったかどうかという点は、私はむしろ、フセイン政権の側にも大きな問題と、現に人権じゅうりんその他の行為、あるいは隣国への侵略等、こういったものを総合的に考えるということは大事であって、そして、これは私なりにずっと言っているわけでございますが、総理大臣も、あるいは歴代外務大臣、防衛庁長官も累次の答弁をさせていただいているわけでございます。

 したがって、私は、このことが間違いであったとか判断ミスであったと言うにしては、経緯は極めて重いと強く類推させるだけの国際的環境及び悪い実績が積み重なってきたと私は考えております。

伴野委員 いずれにしましても、現時点でも確実に言えることは、大量破壊兵器は見つかっていないわけでございます。その事実に基づきながら、一番最初にどういう政治判断をどういう材料でして、そして今、いろいろな政治プロセスを経て、ことし、終結に向かっているわけでございまして、さらには、国連がその都度その都度でどういう認識をしたかということも照らし合わせながら、やはり私は、総理の総括が今こそ必要であり、その総括に基づいて出口論の話をきっちりやる、今がその時期ではないかと思っておりますので、ぜひお伝えいただければと思います。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、これから少し、どういう認識に立っているかというのを政治家同士で議論させていただければと思うわけでございますが、今さら私が申し上げるまでもなく、さきの国民投票によって、とりあえずは新憲法への道筋、来年四月にまた改正も予定されていて、ここが非常にまた治安面も脅かされる点なのかもしれませんけれども、要は、我が国が、アメリカの判断は別として、イラクの未来、イラク国家が今後どういう方向で再建されればいいと願っているのか。やはりここが一つのポイントだと思うんですね、これからいろいろ、特に人道的支援をしていく中で。

 そうした中で、今、俗に言われている三者間の対立とか、それは石油収入の分配権が解決しなきゃなかなか無理なんだとか、いや、そもそも宗教的に難しいんだとかいろいろあると思います。

 これは、末松議員の質問にも重なるところがあるんですが、我が国は、このイラク国家の未来を、自由民主主義国家になってくれればいいなと思っていらっしゃるのか、あるいは、イスラム原理主義的国家になってくれればいいと思っていらっしゃるのか。いやいや、そんなことはイラクが考えることだとおっしゃられるとちょっと質問している身もふたもないんですが、展望として、どんな未来像をイラクにお持ちなのか。今回の新憲法の国民投票を踏まえた上でお示しいただければと思います。

谷川副大臣 ただいま委員お示しのとおり、十月の十五日に憲法草案についての国民投票が大きな混乱もなく実施されました。その後、十月二十五日、イラク独立選挙管理委員会は、国民投票において憲法草案が承認されたと発表いたしました。同委員会の発表によりますと、投票率は六三%、イラク全体で賛成は七九%、反対は二一%でありました。また、イラク十八県のうち二県において八〇%を超える反対がありましたが、十二県での賛成が九〇%を超え、我が国は、これらをイラクの政治プロセスの重要な進展と考えておるわけであります。

 それで、ただいまそれに基づきまして、先生の御質問がございましたが、その国その国いろいろな国民の思いというものがあろうかと思いますが、我々といたしましては、できれば民主国家になってもらいたいということで、最大限の支援をいたしたいというふうに考えておるところであります。

伴野委員 民主国家を望んでいるとおっしゃっていただければ、大体質問の趣旨はいただいたわけでございますけれども。

 そうした中で、これはなかなか理解といいますか、そうならない原因があったから今までもそうならなかったというところもあるわけでして、御案内のように、イラク国内の地域対立、宗教対立というのは、今さら言うまでもなく、すさまじいものがございます。

 イラクの油田はクルド人のシーア派のところに偏在しているという事実もありますし、スンニ派をそこから排除すると、当然スンニ派は自分たちだけ疎外されたと。だから血で血を洗うようなことが続くわけだと思いますけれども、また最近では、外国に対するテロも、内部闘争のテロ化に拍車をかけているような様相もございますし、宗教間対立、地域間対立、我々の理解の範疇を超えている部分も非常にあります。

 例えば、アジア経済研究所の酒井啓子さんの言葉をかりれば、今のイラクは、政治的には中央政界で代表し得ない地方の諸勢力を中央から取り込む形の政権安定をねらう人たちと、地方で県議会などを軸として政治的に積み上げていこうという人のせめぎ合いがもう既に始まっている。そして、そういったせめぎ合いが比較的うまくいっている南西部やクルド地域、あるいはその乖離がどんどん今まで以上にその間の緊張を生む南東部、そして全く調整できていない中部紛争地域というような感じで、今までとはちょっと様相が違うんだけれども、対立という点からすれば、非常に今まで以上に厳しくなっている見方もあるにはあるわけですね。

 そうした中で、我が国としては、よりそういったところに関心を持ちながら、今もフセインの裁判が行われているんですけれども、国連もいろいろ問題があるのでという指摘をしているわけですが、今回、この裁判の結果によってはスンニ派の新たな反発を招くとも言われております。非常に難しい案件でございますけれども、本当にイラクをいい形にしたいと思うなら、そういった地域間、宗教間の対立をしっかり踏まえた上で真の人道支援をしていかないと、先ほど古本議員から指摘があったように、たくさん金目のものは我が国は頑張ってやっているんだと思います。

 だから、本当にイラク人の立場から効果を上げていくことが、私は世界平和に一番近道の方法じゃないかと思いますので、こういったあたり、キリスト教徒でない我が国こそ、難しいところではありますが、積極的に、主体的にかかわっていくべきじゃないかと思いますが、このあたりの視点、いかがでしょうか。

細田国務大臣 先般、総理大臣官邸で、ちょうど、間もなくラマダンは終わるんですが、ラマダンの期間の最中は日没後食事をしていいということがあるというので、西はモロッコ、チュニジアから東はインドネシア、マレーシアまで、三十九カ国のイスラム国の大使をお招きし、そこに、たまたま来訪しておられたイラクの公共事業の担当大臣もお招きして話をしておったんですが、そのとき非常に印象的だったのは、彼らは、いや、イスラム教というのは極めて平和的な宗教なんだ、今、世界の人たちに誤解を与えて、テロリズムがあたかもイスラムの教えに基づいた活動であるかのように思われているのは極めて遺憾であるということを口々に言われて、なるほどなと思った次第でございます。今のテロリズムはそういう国で起こっていることが多いものですから。

 したがって、私は、国づくりというのは大変だと思いますけれども、今のような過程を経て、おのずとまたしっかりした国づくりが始まるはずですし、そうでなくても、産油国であり、本来は豊かな国でありますから、一日も早く平和が戻れば、日本はさまざまな工業その他の産業的な優秀な技術を持った人がたくさんあるわけですから、民間に限らず国の方にもたくさんあるわけでございますから、大いに支援をしていくことが日本のまた役割じゃないかと。そして、産油国からエネルギーを買い続けておりますし、それに対して、立派な近代国家としてまた発展をしてもらうという、いい関係にあり得る最大の、最右翼の国家が日本である、こう思っております。

 ただ、今のところは、余りにも治安の状況が悪くて民間の方が入り得ないような状況ですからかないませんけれども、それが一日も早く改善して、再建のための協力を最大限尽くすことが、私は世界平和のためにとってもいいことだと思って、確信しております。

伴野委員 なぜそういうお話をきちっと聞きたかったかといいますと、現時点で予想される今後の各派閥といいますか派の主導権争いといいますか政治状況、将来的にイラクのシーア派が主導的国家になった場合には、多分、イランとの緊密化というのは想像にかたくない。当然、それはアメリカは望まないと思うんですね。

 そうしたときに、非常に仲のいい日本、当然アメリカが兄貴分なんだと思いますが、きちっとここはお話し合いを、あるいはきちっとした進言を、あるいは物を申してもらって、イラクとイランがいい友好関係を結ぶことがアメリカにとって不都合だからといって、アメリカがその間に入ってそれを裂くようなことをされないような、あるいはまた何らかの緩衝材に日本がなっていくような、そういうお役割をぜひ担っていただけないものか。その点はいかがでしょうか。

吉川政府参考人 イランとイラクのシーア派の共通点に着目しての御質問がございましたが、先生御指摘のように、確かに、新しい政権がイラクにできて以来、イランの外務大臣がイラクに行ったり、イラクの首相ジャファリさんがイランを訪問するなど、かつてイラン・イラク戦争で戦っていた国々の間で非常に友好的な雰囲気ができております。

 それではこの人たちが本当に兄弟のようになるかというと、同じシーア派ではありますけれども、民族的には、イラクはアラブ人、イランはペルシャ人という大きな違いがあるほか、政治と宗教につきましても、イランでは、七九年のイスラム革命以来、宗教指導者が政治をコントロールするというやり方が続いておりますが、イラクにおけるシーア派の代表的な指導者と言われているシスターニという宗教指導者は、我々は政治には手を出さないんだというようなことを言っておりますので、共通点が多いので、我々としても、その二カ国の関係がよくなっていることは非常に結構なことだと思いますが、他方で、いろいろと違いもあるということも指摘できるかと思います。

 アメリカにつきましては、イランがイラクに影響力を伸長させているということについては、いろいろな方面から懸念が表明されている、これも事実でありますし、特に核の問題をめぐっての発言が行われております。

 日本の役割ですが、日本とイランは非常に緊密な関係をずっと続けてきております。例えば、この九月、町村外務大臣がニューヨークに参りまして、新しく就任しましたモッタキ外務大臣と会談をし、私も同席させていただきましたが、そこでの議論は、核問題とイラクの問題でした。モッタキ大臣からは、イランはイラクの隣人としてイラクの安定に向けてこんなことをやっているんだというようないろいろな御説明がございましたし、町村大臣からは、あなたがイラン、イラクの安定に対してぜひ積極的な働きかけをしてくれ、それがこの地域の安定になるし、あなたの国際的なイメージもよくなるんだというような議論もしておりますので、今先生御指摘のようなラインで外務大臣も行動をしているということを御報告したいと思います。

伴野委員 私の指摘をまつまでもなく、非常に地域的にも宗教的にも難しいところで、そこの治安の情勢を判断するというのはもっと難しい。

 先ほど、午前中に末松議員が、出口戦略のいかん、あるいは、私ははっきり申し上げて時期も伺いたいと思っているぐらいなんですけれども、最終的に私は、非常に難しい政治判断を政治家が責任を持ってやる、それが今なんだと思うんですね。

 というのは、自衛隊が撤退するにしても、今の持ち込んだものをそれなりに回収して、退却するには三カ月から六カ月ぐらいかかる。それで、先般、大野防衛庁長官も、あれは熊本の第八でしたか、三カ月の編成命令を出されたと思います。これは、十一月ですから二月ぐらいになるわけですね。だから、深読みすると、撤退をさせるためにはちょうどいい期間切れ、あるいはそのために行かされるのかなというようなことも深読みしないわけでもないんですが、先ほど申し上げたように、新憲法の改正の話でやはり四月前後というのはがたがたする、じゃ、それでどうする。それから、イギリス軍初め、五月に撤退を考えているところもあるといったときに、やはりそれを見逃す手はない、正直に申し上げて。

 私は、武力を持った者、あるいは武力というのは、どれだけ論理的に構成しても、あくまでもそれは短期的なものだと思うんです。極端な話、銃を一年間撃ち続けるというようなことはあり得ないわけでして。特に今回は、この法律の目的は人道的であり、しかも、先ほども申し上げたように、地域的、宗教的には複雑ないろいろな要素を持った、時間のかかる支援をしていかなきゃいけないところだから、時期を逸してしまうとずっと自衛隊もいなきゃいけないということ。だからタイミングが、私は今なんだと思うんです。

 賢明な小泉内閣のことでございますので、多分出口戦略も持った上で、派遣のときからそれは考えていらっしゃったんだと思うんですが、いま一度精査をしていただいて、私は、十二月十四日が少なくとも我が自衛隊の計画が切れるところですから、もう判断しないとだめだと思うんですが、これは判断されませんか、官房長官、どうですか。判断する時期にまだないですか。

細田国務大臣 先ほど、山登りに例えた議員のお話がございました。確かに、山を一歩一歩登っているような気持ちであることは事実でございます。そして、目指すはイラクの完全な平和と復興という山頂はあるわけでございますが、どうも遠くの方はかなり天候が荒れていると。

 ただ、今我々が歩いているところは、皆さんの御批判も多々あったわけですが、まだ晴れた場所を歩いておる。もっとも、まだ外れを歩いているわけですから。しかし、それはいつ何どき天候が変わるかもしれない。これも法律に要件等は書いてあるわけですから、それはそれでまた判断しなきゃならない。絶えず目配りをし、心配りをしながら我々は全体のことを見ておるわけでございますから、国会御審議もそうだと思いますが、我々の判断としてもその点は抜かりなく判断する前提である、こういうふうに申し上げたいと思います。

伴野委員 言い切っていただけないのは残念ですけれども、アメリカの軍隊の死者も二千人に届こうとしております。数字的なお話ですけれども、正確な数は出ませんけれども、イラクで亡くなられた方は二万三千から二万八千、場合によっては、統計的にもっとなのかもしれません。いかなる理由があろうと、あるいはいかなるためであろうと、自国の人間を二千人も失って、そしてその十倍の人間を傷つける、傷つけただけではない、その命を奪ってしまった。理由がどうであろうと奪ってしまったことは事実なわけで、その理由が果たして今後も見つかるだろうか。大量破壊兵器だけではなく、その解も見つからないんじゃないかと私は思うんですね。

 であるならば、アメリカ議会もこれだけ出口論でもめております。ライスさんのこんな厳しい顔を私は見たことはありません。厳しい顔がさらに厳しくなっております。そういう時期をやはりつかんで、余り得意ではない現地へ行っていただいている自衛隊の方は、本当によくやっていただいていると思います。これはもう私が言うまでもないことだと思いますが、下山という命令を下す時期を誤ると、とんでもない遭難が待ち受けていたら、これは後悔しても後悔し切れないと思います。今こそ勇気を持って下山の命令を出していただきたいとお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 二十四日から、在日米軍再編協議で審議官級協議が行われ、普天間飛行場の移設先見直しについて、名護市の辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸案、これで合意をいたしました。きょうは、その合意の中身について、報道や政府の発表でもはっきりしない点、私が疑問に思っている点について伺っていきたいと思います。

 まず、沿岸につくるという代替施設の規模と内容について説明してくれますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今般、米軍の再編協議におきまして、普天間の代替施設につきましては、キャンプ・シュワブの南部の沿岸を使いまして、大浦湾の方向に埋め立てるということで日米間で基本的に合意しているところでございます。

 これについては、飛行場の長さとしては約千八百メートルということで合意しているところでございます。

赤嶺委員 念のために、総面積というのは幾らになりますか。

大古政府参考人 今般の日米間の合意につきましては、キャンプ・シュワブの南部の沿岸地域に飛行場をつくるということで、概略の図面で合意しております。

 その図面上ですと約百ヘクタールぐらいでございますけれども、この点につきましては最終報告に向けてさらに細部を精査していくということにしております。

赤嶺委員 環境保護が一番求められている地域です。概略という感じで合意をしたということでありますが、今後大きな問題になっていくと思います。

 当初、米軍の滑走路の長さというのは千五百メートルだったわけですね。日本政府もそういうことになっていました。それが千八百メートルの施設をアメリカから求めてきたということですが、日本政府がこれに同意した。

 アメリカが求めてきた理由と日本政府がこれに同意した理由について聞かせていただけますか。

大古政府参考人 普天間代替施設につきましては、ヘリコプター飛行場ということではございますけれども、米軍の小型の輸送機等が離発着することもニーズとしてあるということで、約千八百メートルということで日米間で合意しているところでございます。

赤嶺委員 具体的に、小型の輸送機というのは、例えばどんなものを指しているんですか。

大古政府参考人 その点は今後さらに細部は精査することになりますけれども、例えば、小型の人員輸送機でありますC21等につきましては、滑走路としては千五百メートル程度必要だということで認識しております。

赤嶺委員 オスプレーの配備の話もあります。一方で今、普天間飛行場には、FA18戦闘攻撃機ホーネット、これも飛来してきます。

 空母の艦載機、これらについても想定に入っているということでよろしいですか。

大古政府参考人 空母艦載機につきましては、この代替飛行場を使うということのニーズは米側にございません。それから、現実に、千八百メートルの飛行場で艦載機が離発着することは、安全上できないと思っております。

赤嶺委員 民間機が使用するという点は、今度の代替施設で想定されておりますか。

大野国務大臣 想定されておりません。

赤嶺委員 大型の駐機場の建設が盛り込まれているわけですね。これは図面を見て初めて知って、本当にびっくりしたわけですが、そこの駐機場の建設を盛り込んだのはなぜですか。

大野国務大臣 今回、二十六日に合意をいたしましたものは大筋のものでございます。したがいまして、あすワシントンで、2プラス2で、ある程度その大筋が固まっていくことになろうかと思います。

 ただ、その後、地元の調整とか日米間の協議、これもあるわけでございます。そういうことを含めまして、その姿が大筋は決まりました。大筋は決まったけれども微修正があるのかどうか、こういう問題は出てくると思います。それが第一点。

 第二点としましては、沖縄の南部の方の基地は整理統合していこう、こういう方向でございます。そうなりますと、やはりキャンプ・シュワブの中でひとつ集中的にやろうかな、こういう問題も出てくるわけでございます。

 さらに、今回のいわゆるトランスフォーメーションの一つの柱は、日米で共同で対処していこうじゃないか、こういう点があるわけであります。そういたしますと、日本の自衛隊も、例えばキャンプ・ハンセン等で米軍とともに対処、活動していく、この可能性もあるわけでございます。

 そういうような大まかな方向性ということにつきまして今回内々に合意しているわけでございますが、その大筋をどういうふうにやっていこうか、これはあすの2プラス2におけるトランスフォーメーション協議の結果、また見ていかなきゃいけない、このように思っております。

赤嶺委員 ですから、大筋で合意された皆さんの絵に大型駐機場が配置されているわけですよ。何でそういうことを配置したのか。これは、微調整でその計画がなくなるということもあり得るんですか。

大野国務大臣 説明をきちっと申し上げたと思いますが、例えばキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンに基地を集約してくる、そうなりますと、広いものが必要になってくる可能性もあります。

 それから、共同使用ということも考えられております。決してまだ決まったということは言えませんけれども、例えば、お互いに共同してやった方が小さな力で大きな効果が発揮できるじゃないか、こういう問題もあります。

 そういう意味合いで、今考えられている図面というものは、必ずしもそのとおりというわけにはいきませんが、ああいう姿を脳裏に描いて、そしてそれを固めていこう、こういうことであります。

赤嶺委員 そうすると、南部の基地を集約していこうという考え方がある。そのためには、シュワブにはあれだけの規模の駐機場が必要とされるんだということですね。そういうことですか。

 それから、自衛隊がキャンプ・シュワブで小さな力で大きな力を発揮するかどうかはわかりませんが、しかし共同使用という点でも必要がある。そのために駐機場が置かれたという理解でよろしいでしょうか。

大野国務大臣 そういう大きな考えのもとで、飛行の安全性等を考えてさまざまな角度からそういう構想、先生のポイントは、なぜあれだけ大きな面積が要るんだということでございますから、それはあらゆる角度から考えてやっているわけでございまして、今後詰めていく話でございます。

 現在のところ、ああいうような構想でお互いに内々に合意している。したがいまして、今後きちっと二国間で協議して固めていく、これは当然のことであります。

赤嶺委員 そうすると、長官、南部の基地の移設の問題で那覇軍港が挙がっておりました。将来は那覇軍港の機能もシュワブの沖合に、別に官房長官、否定しなくていいですよ、防衛庁長官が答えますから。そういうこともあるということですか。

大古政府参考人 今回の中間報告におきましては、先ほど防衛庁長官から申し上げましたように、南部の基地を集約して北部の方に移転するということで日米間で合意が見られておりますけれども、その具体的内容につきましては最終報告までに検討されることになっております。

 そういう意味で、那覇港湾の扱いについては、現時点で、日米間で何らかの合意があるというわけではありません。

赤嶺委員 まだよくわからないんですが、当初、我々は滑走路だけだと思っていたわけですよ。それが、駐機場が大浦湾を埋め立てることになった。これは、もっとわかりやすく答えていただきたいのは、アメリカはなぜそういうものを要求したんでしょうか。

大古政府参考人 米側といたしましては、ヘリコプター基地としての運用上制約のないという意味で、なるべく海側で埋め立てるという案を調整の過程では希望していた経緯がございます。

赤嶺委員 SACOの合意のときと今度の案と、明らかに違うのがあるんです。SACOの合意のときは、基地の恒久化を避けるために撤去可能な案だということでした。その後いろいろ変更になりまして、閣議決定でされた現行案は、撤去可能という言葉こそ入らなかったけれども、基地の恒久化を避けるために、沖縄知事の十五年使用期限というものが入りました。

 今回の案にはそういう考え方というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

大古政府参考人 今回の日米間の合意におきましては、辺野古南部の沿岸部を使って飛行場を建設するということで合意を見ているところでございます。

 今後、いろいろ地元の理解を得る努力はしていきたい、こう思っております。

赤嶺委員 ですから、十五年使用期限だの撤去可能だの、とにかく基地の恒久化につながるようなことを避けるというのが、いろいろ案の中の一つの工夫として、それが実るかどうかは別に置いて、工夫としてありました。

 今回、そうすると、期限なんかも余りついていない、恒久化、そういうことになりますか。どこか、期限が来れば撤去するという考え方も入っていますか。

大古政府参考人 今回の日米の合意において、そのような考えは含まれておりません。

赤嶺委員 今までのような考え方は含まれていないということですね、十五年だのそういうことは。

大古政府参考人 いわゆる撤去可能性の問題につきましては、その後、先ほど委員から御指摘のあったように、県知事が県の資産として残る飛行場にしてほしいという要望がございまして、それを踏まえて埋め立てにした経緯がございます。

 それから、十五年の期限の問題につきましては、知事から累次にわたり強い要望があることは事実ですけれども、それについては、日本政府としては、知事の要望が強いことを米側の協議で取り上げていくという形で整理してきた経緯がございます。

赤嶺委員 今度はちょっと環境の視点から聞いていきたいんですが、陸上部分から大浦湾の方に、そして南側の方にまたがるわけですね。大浦湾にも海の方に突き出していく、南側にも浅瀬の方に突き出していく。

 それぞれ何メートルずつ突き出しますか。

大古政府参考人 その点につきましては、辺野古側の海につきましては藻場が多いので環境上の配慮が重要であるという観点から、基本的には大浦湾の方で埋め立てる計画にしてございます。

 その意味で、現時点では、先ほど申しましたように概略の図で合意しておりますので、大浦湾側に何メートル突き出すかというようなことにつきましては、最終報告までに精査したいと考えております。

赤嶺委員 浅瀬の方は何メートル突き出すか、ちゃんと皆さん確認していらっしゃるんですか。

大古政府参考人 浅瀬の方につきましてはなるべく進出しないということで考えておりますけれども、具体的なメートル数までは、現時点では決めているわけではございません。

赤嶺委員 浅瀬は、皆さん自身の調査でも、藻場の面積が広がっており、ジュゴンのえさ場になっているということですね。にもかかわらず、何メートル延びるかについて確たる確認もしないまま、とにかく延ばす、延ばすこと先にありきということになっているのかなということに不安を覚えます。

 それで、桟橋でやるんですか、それとも埋め立てですか。

大古政府参考人 埋め立てか桟橋かということの工法上の問題につきましては、最終報告で具体的な合意ができた後、工法の問題等が検討されるものと考えております。

赤嶺委員 政府の答弁を聞いていますと、大野長官も、ことしの初めごろ私が質問して、リーフ上の基地をどうするんだと言ったら、針の穴の可能性と言ってこんな大きな基地をつくる計画になっているわけですが、今のことを聞いても、詳しいことは後で後でと言って、本当にどういう基地がつくられるのか、我々が確かなものがつかめない。

 しかし、ただ、皆さんが今つくった絵の中で、明らかにあの一帯にはジュゴンがやってきて、そしてジュゴンが海草、藻場、えさにしていて、そのはみ跡が残っている。これは残っているんですね。そこまで突き出しているんですよ。そういうジュゴンや藻場や、あるいは大浦湾の側に行くと、皆さん何もない何もないと言っていますけれども、あそこには生きているサンゴがいるんですよ、動いているサンゴがあるんですよ。世界でも希少だと言われているんです。世界自然保護連合は二回にわたって日本政府に勧告している。

 こういう藻場やサンゴの保護については一体どんなふうに考えていくんですか、今から。

大古政府参考人 今回の案につきましては、いわゆる辺野古沿岸沖につきましては藻場があるということで、全体で百二十ヘクタールぐらいと承知しておりますけれども、飛行場の建設に当たっては、なるべくその影響を避けるという観点から考えております。

 大浦湾につきましては、この辺野古側に比べれば環境の影響が少ないという認識でおるところでございます。

赤嶺委員 今後議論していきたいと思うんですが、今度は爆音の問題です。

 あの位置は、実はアメリカの方から交渉の過程の中で、沿岸案はどうしても近所の集落に爆音の被害が拡大する、近くにはリゾート施設もある、そういう意味では飛行経路としてもあの場所はまずいとアメリカ自身が皆さんに強く言ってきたわけですよね。地元住民への危険性は増大するわけですが、この点はいかがですか。

大古政府参考人 今回の案につきましては、まず飛行ルートにつきましては、場周ルートが集落の上にかかるというようなことはないと考えております。

 それから、音の影響でございますけれども、音の影響がゼロということにはなりませんけれども、周辺の集落に対し、例えば、防音工事をするような七十五Wという規格がございますけれども、これに達するような地域はないというふうに判断したところでございます。

赤嶺委員 場周経路は集落にかからないという何か日米間で約束事があるんですか、今度の協議の中で。

大古政府参考人 今回の協議におきましては、日米間双方で、集落の上空を場周ルートがかからないようにということで作業したものでございます。そういう意味で、約束というような性格のものではありません。

赤嶺委員 ですから、普天間の飛行場でも、場周経路をいろいろ検討したけれども、アメリカの運用の必要上ということになって、相変わらず民間市街地住宅を飛んでいる。今度、だから、絶対飛ばないというような何か約束事というか合意というか、それはちゃんとあるんですか。それを話し合ったというだけではだめですよ。そんなものは約束事になりませんよ。

大古政府参考人 その点につきましては、米側が実際、この使用ができまして、運用するような際には、なるべく集落の影響を避けるということは当然要望していくことにはなりますけれども、今回の案においては、基本的に場周経路が集落の上空を飛ぶようなことはないということで日米双方とも認識した上で決着したものでございます。

赤嶺委員 非常にはっきりしません。今までの米軍の基地の運用の横暴さを体験してきた側から見れば、今のような説明で納得することはできません。

 それで、移設完了ですね、移設するというわけですが、どのぐらいの期間を要するんですか。

大古政府参考人 その点につきましては最終報告までにさらに精査したいと思っておりますけれども、基本的には、現行の案につきましては、環境アセスで少なくとも今後三年程度、さらに建設期間が九・五年ということでございますので、今回の案につきましては、環境アセス期間も含めて大幅に短縮したいということで日米双方が合意しているところでございます。

赤嶺委員 環境アセスというのは法律に基づいて行うものですね。環境アセスも含めて大幅に短縮したいという場合に、環境アセスのやり方を見直すだとか、何かあるんですか。どうやって短くするんですか。

大古政府参考人 環境アセスにつきましては、幾つかの段階に分けて県知事に意見を照会することになっておりますので、その点の期間については、現行の法律なり条例に従って行うということで考えております。

赤嶺委員 それでも数年かかる。数年かかる間の、現在の普天間飛行場の危険な状態は続いているわけです。続いているどころか、爆音はより激しくなっている。これについてどうするんですか。

大古政府参考人 今の先生の御指摘も踏まえて、今回、現行の案がなかなか順調に建設が進まないということもございますので、あくまで普天間飛行場の早期返還を図る見地から、今回の案について日米間で合意したものでございます。

赤嶺委員 大臣、早期移設を図るまでは、今の危険な状態のままで普天間飛行場は放置しておくということですか。

大野国務大臣 なぜ普天間の移設問題をSACO合意の延長線でやらなかったか、これはもう先生十分御存じのとおりであります。苦渋の選択は一九九九年の閣議決定、それで、環境アセスに三年、建設に九年半という期間が要る。ところが、実際にそのプロセスがうまくいっていない、こういう問題があります。

 いつになったら普天間が移設できるのか。この普天間の移設問題というのは、我々が取り組まなきゃいけない第一の問題であります。早期に移設できるところを探していこうじゃないかということで、今回、日米間で十分な議論をさせていただいたわけであります。

 そこで、問題はやはり環境問題。一番は早期移設、それから環境、飛行の安全、騒音問題。そういうことをあらゆる総合的に勘案して、計画どおり進めるのはここだな、こういうことでアメリカ側も日本の案に合意してきたわけでございます。そういう背景があって、苦渋の選択の上にまだ苦渋の選択をしているわけであります。それまでの間、移設するまでの間、我々は十分にアメリカに対しまして飛行の安全に注意してもらおう、こういうことでございます。

 沖縄の皆様には大変負担をおかけいたしますけれども、沖縄全体としてはいろいろなことを考えている。先ほども申し上げました基地の整理統合問題あるいは海兵隊のグアムへの移転問題、そして共同演習を沖縄じゃなくてどこか別のところでやろうじゃないか、こういう問題も含めて、本当にいろいろな工夫をしてたどり着いた結論でございます。

 沖縄の皆様にお願い申し上げたい。私は誠心誠意お願いを申し上げたいわけでありますけれども、普天間のあの危険性、嘉数の丘から見ますと町の中に飛行場があるわけですから、こういう状態をいち早く解決していかなきゃいけない。どうぞ御理解をちょうだいしたいと思います。

赤嶺委員 時間がありませんのでまとめますけれども、苦渋の選択を強いられたのは沖縄の稲嶺知事の側ですよ、私たちはこんなものを選択するなと言っておりましたので。政府は何も苦渋の選択していないですよ。気楽に沖縄に決めただけですよ。だから、普天間基地を早く移設するプロセスと言いますが、それは県内移設では、今度もまた同じことの繰り返しになるんです。

 今度の案、日本案をアメリカがのんだと言っておりますけれども、浅瀬案というのは、日本政府自身が、海草、藻場が繁殖しており、ジュゴンのえさ場になっており、ここに基地をつくったら環境が守られないと言って反対してきたその場所に滑走路が突き出しているわけですよ。沿岸案というのは、アメリカの側が、この場所につくったら必ず集落に騒音そして生活に対する影響を与えるというような、そういうところをまたつくっているわけですよ。アメリカが指摘していた一番悪いところと日本政府が指摘していた一番悪いところを組み合わせたのが今度の沿岸案なんですよ。そんなもの、賛成できるわけないですよ。

 県内で基地をつくるようなところはどこにもない、アメリカに持っていけということを強く申し上げまして、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。きょうはピンチヒッターでこの場に立たせていただきました。

 最初に、イラクに派兵されている自衛隊、直ちに撤収すべきであるという私たちの主張を前提に、時間がありませんので、幾つかまとめて御質問申し上げたいと思うんです。

 先ほど来意見が出ているように、今、撤収について決断をしなければならない、その時期に来ているというのは全く私も同感なんです。決断と実行の大野長官がいらっしゃるわけですから、ぜひそうしていただきたいと思いますし、しかも、一年間の延長というのは、どうもいよいよ撤収の時期を明確にすべきなのかという思いが込められた延長であったのかなという思いもするんです。ここで決断をしておかないと、先ほど、沖縄問題で苦渋の決断でございましたけれども、この問題でも苦渋の決断が長官の上にずっとのしかかってしまうということになるので、私の方は心配をしています。いろいろお世話になってきた長官ですので心配をしているんですが、ぜひそういう意味で決断していただきたいんです。

 それで、長官、この間の答弁をお聞きしていますと、来年の五月、報道などでありましたけれども、英豪軍が撤収をする、これについては、聞いていないというか、決定したものではないというお話があるわけですが、これは実際の会議の場面でそういう話があったという報道もあるわけですね。そうすると、英豪軍は本当に五月に撤収ということがないのか。それについて長官は一切聞いていないのか。仮にそういうことになった場合、自衛隊はどうするのか。

 確かに、引き際を間違えちゃうと、これは大変だと思うんですね。今までもいろいろな国が撤収しました。しかし、アメリカとの関係が、悪いと言ってはおかしいけれども、ちょっと微妙になったというのはスペインぐらいのものですね。ちゃんとチャンスをきちんとつかんで、そして撤収しているわけですね。日米同盟にこだわる余り、この機を逸してしまうと、これは撤収もできない。そのときに撤収したところで、実は、先ほど来意見がありますけれども、イラクの人々からは余り感謝されない、自衛隊を守る連中がいなくなったから自衛隊も帰っちゃったのかと。

 既に人道支援の水道などはほとんど終わっていますし、医療や、千人弱の現地の人を雇っていろいろ仕事をされているということでありますが、これ、一つは、本音のところをぜひ長官にもう一度お聞きしたいということ。

 時間がありません、まとめて聞いちゃいますが、それから航空自衛隊、アメリカから要請があったという記事がありまして、航空自衛隊の任務は残す。クウェートから今安全な飛行場に行っていますが、本当に航空自衛隊の活動というのはこれからも残っていくのか、同時に、例えばバグダッドを視野に入れた空輸態勢まで組んでいくのか、この辺についてお聞きしたいと思っています。まずそれについてお答えください。

大野国務大臣 そろそろ決断すべきときじゃないか、こういう御指摘でございます。

 まず第一に申し上げたいのは、我々はあくまでも、イラクにおける政治的プロセスが進展していって、イラクという国が平和で民主的な国家になっていく、これが一番大きな要素であり、二つ目には、イラクの治安情勢がよくなっていく、こういうことであります。

 日本がやっている、日本の自衛隊がやっておりますことは、もちろん人道復興支援活動ということでありますし、他の国際的な動向もきちっと見きわめていかなきゃいけませんけれども、日本がやっていること自体は、多国籍軍がやっていることと違いまして、まさに人道復興支援活動、日本が今申し上げたようなことを総合的に判断しまして、そして、自主的に主体的に判断していくべきものであります。

 アメリカとはもちろん協議はすることになります、他の多国籍軍と協議はすることになりますけれども、これはアメリカに言われたからとか、そういう意味じゃなくて、主体的に判断していくという問題であります。

 次の問題として、航空自衛隊はどうするんだ、こういうことでございます。

 十二月十四日以降、我が国の自衛隊の活動をどうするかについては、もとより、これもまた我が国自体が主体的に判断していく問題でございます。現時点で何らそういうことは決まっておりませんし、これから考えていかなきゃいけない問題でございます。

 いずれにしましても、イラクにおける自衛隊の活動につきましては、イラクの復興状況等、先ほど申し上げましたような観点から主体的に判断していく、こういう考えでございます。

日森委員 その主体的判断ができなくなるような状況になってしまうのではないかということで心配しているんです。

 例えば、聞いていないわけですが、どんどんどんどん多国籍軍に参加をしていた他の国々が撤収していく。これはもう事実だと思うんですよ、オーストラリア、イギリスの軍隊についても。いろいろな話の流れがあります。例えばイギリスは、むしろアフガンに集中して仕事をしていきたいということを理由にして撤収の準備を始めるとか、当然出てくると思うんです。

 しかし、様子を見ている自衛隊は、これは機会を失いますよ。主体的な判断だけれども、実際にはアメリカ、日米同盟の重視ということが背景にあるわけだから、結局アメリカに引きずられていく。ますます孤立をして、撤収できないような条件に追い込まれていくのではないか。それはないですか。

大野国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、いわゆる段階的な治安権限移譲の条件策定に関する共同委員会というのがつくられておりまして、そこで議論が始まっております。多国籍軍とイラク政府との間で議論が始まっております。

 そこで段階的移譲に向けたガイドラインについて協議いたしておりますけれども、第一は、やはりイラク治安部隊の能力が一番大事だな、イラク治安部隊、治安組織が十分に育っているのかどうか、こういう観点が一つあります。

 それからもう一つの観点は、現地における例えば脅威のレベル、こういうことも考えなきゃいけません。

 それから三番目に、時期であります。時期につきましては、この共同委員会というのは、治安権限移譲は厳密な日程に基づいて実施されるものではない、こういうようなことを言っております。日程についてはフレキシブルに考えている、こういうことでありますし、また、その裏側には、もし何年何月に撤退するということが発表になりますと、それまでは待っていて、それ以降にそれではまた一暴れしようか、こういうような勢力も出てくるかもしれない、こういう意味合いもあろうかと思います。

 さて、そこで問題は、ムサンナ県サマワに駐留して日本の自衛隊とともにイラクのために協力活動、共同作業をしているイギリスとオーストラリアでございます。報道では五月までにとか、こういう報道があることは私も知っております。しかし、五月までに撤退するとか、そういうことは一切公式には聞いておりません。

 そういう意味で、私どもは、イギリスそれからオーストラリアの動向につきましては、五月までに撤退する、このようなことは見込んでおりません。

日森委員 見込んでいないんじゃなくて、それは長官みずから確認しなきゃいけないと思うんですよ。一緒にイラクで仕事をしている多国籍軍であるわけですから、それぐらいのことはやらないといけないと思うんですよ。もちろん、相談なく撤退するなんということはないと思いますが、ああいう報道がされる、しかも、これはどこかのガセネタみたいな話じゃないですよ。長官、本当は知らないわけないんじゃないかという思いもするんですが、それは確認した方がいいですよ。

 そして、イラク独自の治安部隊が成長していく、今二十万ぐらいですかね。(大野国務大臣「現在二十七万」と呼ぶ)二十七万ですか。まだ不十分だということなんですね。ところが、大野長官みずから、自衛隊は、実力でいうと、イギリス、オーストラリア軍よりもずっと、防衛をしていくとかいう意味では実力的には随分低い、そうおっしゃっていたわけですから、低いと言ったかどうかはちょっと記憶にないんですが、実力的には、数の問題も含めてですね。そうすると、これはちょっと危険な状態になるんじゃないかという思いもあるんですよ。

 それから、イラク国内の危険度がどれぐらいなのかということも判断基準になると。

 そうすると、長官の話を聞いていると、どれぐらいのイラクの治安部隊ができて、どの程度の安全性が確保されたら自衛隊は撤収できるのか、基準もないわけですよ。そうしたら、これはずるずるイラクにずっといるようになってしまうんじゃないんですか。基準を持っていたらちょっと教えていただきたいと思うんです。

大野国務大臣 まず第一に、イギリスとかオーストラリアの防衛首脳と十分相談しなきゃいけないじゃないか、こういう御指摘でございました。それは我々、特にイギリス、オーストラリアとは電話で話したりはいたしておりますが、そういう話はこれまで聞いたことはありません。このことを申し上げたい。

 それから第二に、自衛隊の実力がイギリス、オーストラリアに比べて低いなどという発言は、私はしたことがありません。これを申し上げたとすれば、恐らく、外国へ行って実力行使というか武力行使をしない、武力行使と一体とならない、そういう意味で、日本の自衛隊がやっておりますことは、治安維持とか治安組織の育成ではなくて、人道復興支援である、そこはオーストラリア、イギリスの軍隊とは違う、こういうことを申し上げたと思います。

 それから、ずるずるこのままいくんじゃないか、こういうことでございます。しかしながら、問題は、イギリスとかオーストラリアが引き揚げていくということは、例えばムサンナの、あるいはイラクの治安組織が十分に育ってきて、そして、先ほども共同委員会の結論のようなものを申し上げましたけれども、脅威のレベルが低くなって、その時点で撤退ということを考える、こういうような問題点でございますから、その時点でサマワの治安あるいは民生の状態がどうなっているのか、これは十分に我々判断していかなきゃいけない。

 そしてまた、自衛隊といたしましては、自衛隊がやっております仕事というのは人道復興支援でありますから、なるべく早い時期にODAとかNGOのグループによりまして自衛隊がやっておる仕事が引き継がれていって、日本とイラクの心のかけ橋が壊れないようにしていくのが理想だな、このように思っております。

日森委員 基準がよくわかりません。このままいくといつまでも、まあ一年という期限はありますけれども、それを心配しています。そういう意味で、直ちに撤収する準備を始めるべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 官房長官お出ましですので、そもそもの話を一つだけお聞きして、時間がありません、終わりたいと思うんです。

 大量破壊兵器、先ほどもありました。これは大変な問題で、今何となく忘れられちゃっているようなところがあるんですが、私ども、イラクの話になると、大量破壊兵器とオウム返しにみんな返ってきます。国民の気持ちの中には、それで戦争が始まったんだよな、確かにあるんですよ。

 そして、米国の独立調査団の報告、御存じのとおり、戦争前の判断はほとんどすべて完全な誤りだった、こう言っています。それから、ブッシュ大統領は何と言っているかというと、アフガン、イラク戦は神のお告げだったと言っているんですよ。これは、パレスチナの自治政府のシャース副首相とブッシュが話したときに言ったんだと。神のお告げでイラク戦争を始めたんだ、とんでもない話だと思うんですが、アメリカの世論も、過半数が戦争に否定的な結果に今なりつつある。

 この戦争は本当に日本が参加することが正しかったのか、改めて、官房長官、お答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 先ほど申しましたけれども、サダム・フセインのイラクの政権は、長年にわたって非常にひどいことをしてきたことは事実ですね。イランについてもクウェートにしてもクルド族にしても、これは世界じゅうで最も人権じゅうりん、隣国圧迫、戦争等をやってきた国であったことは事実でございます。国際的にもはっきりしております。

 そういった中で、累次の国連決議、安保理決議に違反し続けてきたこと、そして核兵器、大量破壊兵器についても、厳密な報告を出すべきであるということについても全く十分な情報提供もしなかった。一度は化学兵器を使ったということ、あるいは核兵器も開発を始めて廃棄したということは事実でございます。

 他方、最終的にあの時点で大量破壊兵器というものがどうも存在していないということは事実でございますが、日本政府としては、これは総理初め歴代外務大臣等が申し上げているとおり、日本政府が対イラク武力行使を支持したのは、あくまでも累次の国連安保理諸決議及び国連調査団の累次の報告等に基づいて主体的に判断したものであります。

 今裁判中でございますが、きちっとしたサダム・フセインに対する判決も出されて、かつ、今、投票が行われております、六十数%の投票率があって、何とか民主国家として再建しようという努力がイラク国民によって行われていることは事実でございますから、それをぜひ期待し、また、我が国はそういった面での協力を惜しまないという態度を今後ともイラクに対して持ち続けたいと考えております。

日森委員 納得できないですが、時間が来ました。ありがとうございました。

船田委員長 次回は、来る十一月一日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会


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