衆議院

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第7号 平成18年8月11日(金曜日)

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平成十八年八月十一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 石破  茂君 理事 西村 康稔君

   理事 松浪健四郎君 理事 渡辺 具能君

   理事 末松 義規君 理事 伴野  豊君

   理事 田端 正広君

      安次富 修君    石原 宏高君

      今津  寛君    宇野  治君

      江渡 聡徳君    金子善次郎君

      清水清一朗君    鈴木 馨祐君

      谷本 龍哉君    玉沢徳一郎君

      寺田  稔君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      長島 忠美君    橋本  岳君

      藤野真紀子君    松本 文明君

      松本 洋平君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    池田 元久君

      小宮山泰子君    後藤  斎君

      下条 みつ君    神風 英男君

      田島 一成君    武正 公一君

      長島 昭久君    平岡 秀夫君

      古本伸一郎君    松原  仁君

      谷口 和史君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  樽井 澄夫君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房衛生監) 西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長事務代理)        杉山 晋輔君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十一日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     安井潤一郎君

  大塚  拓君     清水清一朗君

  清水鴻一郎君     矢野 隆司君

  土井 真樹君     長島 忠美君

  西本 勝子君     松本 文明君

  宮澤 洋一君     寺田  稔君

  達増 拓也君     小宮山泰子君

  山井 和則君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     大塚  拓君

  寺田  稔君     宮澤 洋一君

  長島 忠美君     土井 真樹君

  松本 文明君     西本 勝子君

  矢野 隆司君     清水鴻一郎君

  安井潤一郎君     越智 隆雄君

  小宮山泰子君     下条 みつ君

  松原  仁君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  下条 みつ君     平岡 秀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  平岡 秀夫君     達増 拓也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更等)


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     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について政府から報告を求めます。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。

 イラクでは、国際的支援のもと、本年五月に新政府が発足し、国際連合安全保障理事会決議一五四六等に明示された政治プロセスが完了いたしました。また、イラクの治安部隊が育成され、多国籍軍からの治安権限移譲プロセスも進行するなど、民主的なイラク政府のもとで、イラク人自身による自立的な復興に向けての本格的な第一歩が踏み出されました。

 ムサンナ県においては、約二年半に及ぶ医療、給水、学校・道路等公共施設の改修など多岐にわたる陸自部隊の活動及び我が国ODAにより、現地の生活基盤の整備、雇用の創出など目に見える成果が生まれ、応急復旧的な支援措置が必要とされる段階は基本的に終了したものと考えられました。

 そこで、政府は、本年六月二十日、陸自部隊によるイラク国内における対応措置の終結を決定し、七月二十五日には、対応措置の終結に係る附帯業務を実施する部隊を除き部隊の帰国が完了、これをもって、陸自部隊のイラクにおける活動は事実上終了いたしました。

 一方、空自部隊については、国連及び多国籍軍への支援を行うため活動を継続し、新たにバグダッドやエルビルへの空輸を行うこととしたところです。

 こうしたイラクをめぐる情勢の変化とこれに応じた我が国の方針を踏まえ、今月四日の閣議において基本計画の変更を行いました。

 その主な内容といたしましては、陸自部隊のイラクからの撤収を踏まえ、人道復興支援活動の種類及び内容、活動実施区域の範囲、部隊の規模、構成、装備、派遣期間等のうち、陸自部隊に関連する部分を削除するなど所要の変更を加えたほか、空自部隊の活動区域の例示として、新たにアリ飛行場及びエルビル飛行場を追加いたしました。

 また、人道復興支援活動等の終結に係る附帯業務を実施する陸自部隊については、クウェート等において、平成十八年十二月十四日までの派遣期間内の必要な期間、引き続き業務を実施することといたしました。

 今後、我が国とイラクとの関係は、政治対話の強化、経済関係の強化を含む幅広いものに移行すべき時期に来ています。政府としては、引き続き、基本計画に基づき、空自部隊による対応措置等を、安全の確保に十分配慮しつつ、円滑かつ適切に実施していくとともに、ODAを引き続き着実に実施し、イラクとの幅広い長期的なパートナーシップの構築に向け、取り組んでまいります。

 今回の閣議決定につきましては、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。

三原委員長 これにて報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣審議官樽井澄夫君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁長官官房衛生監西山正徳君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省大臣官房審議官杉田伸樹君及び外務省中東アフリカ局長事務代理杉山晋輔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用企画局長山崎信之郎君。

山崎政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告をいたします。

 陸上自衛隊の第十次イラク復興支援群の人員については、七月二十五日にすべての隊員の帰国が完了し、二十九日には隊旗返還式を実施いたしました。また、イラク後送業務隊の人員については、引き続き、クウェートにおいて物品の後送に必要な作業を実施しております。

 約二年半に及ぶ医療、給水、学校・道路等公共施設の改修など多岐にわたる陸上自衛隊の活動及び我が国ODAによる支援により、現地の生活基盤の整備、雇用の創出など、目に見える成果が生まれました。

 具体的な例を申し上げますと、医療につきましては、県内四カ所の病院において診療・医療技術の指導を行い、また、簡易診療所、PHC二十九カ所の整備などを行いました。

 また、給水につきましては、平成十七年二月まで給水活動を実施し、延べ千百八十九万人分を供給し、また、浄水場の整備などを行いました。

 公共施設の復旧整備につきましては、県内の学校が陸上自衛隊により約四十校整備され、ODA分も含めると、県内の約三分の一の学校が整備されました。また、ムサンナ県内の生活道路については、陸上自衛隊により約八十キロメートル、ODAと合わせると約百三十キロメートルが整備されるなど、これらの公共施設の復旧整備を通じまして、陸上自衛隊分として延べ約四十九万人、一日最大約一千百人程度の現地雇用を創出しております。

 航空自衛隊の部隊については、タリル飛行場等イラク国内の飛行場に対し、C130機による輸送を継続しております。また、七月三十一日に、クウェートのアリ・アルサレム基地とイラク国内のバグダッド飛行場との間で初めて運航を実施し、多国籍軍の人員等を輸送いたしました。

 なお、八月三日には、イラクを訪問した麻生外務大臣のクウェート―バグダッド間の移動を支援いたしております。

 航空自衛隊の部隊は、派遣当初から本年八月四日までの間に総計三百五十二回、約四百七十九・四トンの輸送を行ったところでございます。

 以上、報告を終わります。

三原委員長 次に、外務省中東アフリカ局長事務代理杉山晋輔君。

杉山政府参考人 外務省から、最近のイラク情勢について御報告いたします。

 イラクの情勢については、五月二十日の新政府発足後も、地域により脅威の度合いは異なるものの、依然予断を許さない状況が継続しております。他方、イラク政府は、六月十四日にバグダッド治安計画、それから六月二十五日に国民和解計画を発表するなど、事態改善のため、精力的な取り組みを行ってきております。

 このような状況のもと、麻生外務大臣は、八月三日にイラク・バグダッドを訪問し、マリキ首相、ジバリ外務大臣と会談を行いました。

 その際、麻生外務大臣からは、要点、次のとおりのメッセージをイラク側に伝達いたしました。

 陸上自衛隊撤収後も日本のイラク支援の立場に揺るぎはないとの強い決意を直接イラク指導部に伝達するためにバグダッドを訪問したこと。

 日本は、今後、航空自衛隊による輸送支援拡大に加え、最大三十五億ドルの円借款による経済活動の基盤整備を中心とした支援などを通じて、イラクの復興努力を積極的に支援していくこと。

 新政府発足、陸上自衛隊撤収を受けて新たな段階に入った今後の日・イラク関係は、政治対話の強化、経済関係の強化など一層幅広いものにしたいと考えており、そのための方策を今後さまざまなレベルで議論していきたいこと。

 さらに、七月二十七日のイラク・国連の共同声明により、イラク・コンパクト・プロセスが正式にスタートしたことを歓迎する。我が国は、イラク・コンパクトに積極的に関与し、しっかり支えていくと考えていること。

 このような諸点に対し、先方からは、要点、次のとおりの発言がありました。

 麻生大臣のバグダッド訪問を、イラク政府及び国民を挙げて歓迎する。自衛隊撤収後の新たな段階に入った日・イラク関係を一層発展させる上でも、非常にタイミングのよい訪問である。

 また、日本の自衛隊はすばらしい仕事をしたと思う。改めて謝意を表明するとともに、これを高く評価する。イラク復興における日本のこれまでの指導的な役割を高く評価する。イラク国民は決して日本の支援を忘れない。

 以上のようなやりとりを受けまして、今後、外務省といたしましては、ODAの円滑な実施に一層努めるとともに、防衛庁とも引き続き連携をとって人道復興支援を継続し、同時に、要人往来の活発化などによるイラクとの二国間関係強化に努めてまいる所存でございます。

 以上で報告を終わらせていただきます。

三原委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。自由民主党の石破であります。閉会中にもかかわりませず、また極暑の中、三大臣、御苦労さまでございます。

 陸上自衛隊が無事に撤収をいたしました。一発の銃弾を撃つこともなく、そして一人も傷つけることなく、一人も傷つくことなく。私は本当に、何かの雑誌で言ったんだけれども、百点満点中百二十点だっただろうと思っております。パーフェクトと言ってもいい。額賀長官初め関係各位の御努力に心から敬意を表する次第であります。

 私が大臣でおりましたときに、東ティモールの大統領というのが防衛庁にやってまいりました。大統領が来ることは異例でありますが、何で防衛庁に来たか。それは、PKOが東ティモールに展開しておった、そのことについてどうしてもお礼が言いたくておれは来たんだというふうに彼は言っておりました。

 そこで彼が何と言っていたか。自分はいろいろな国の軍隊を見てきた、グスマン大統領です、だけれども、世界の中にこんなにすばらしい軍隊、自衛隊があるとは思わなかった。自衛隊は、我々とともに笑って、我々とともに泣いて、我々とともに汗を流してくれた。我々を上から見下すようなことは一度もなかった。軍隊というものは常に上から物を言うものだ。だけれども、日本の自衛隊だけは違った。こんなすばらしい組織が本当に世界にあることをおれは知らなかった。おれが大統領をやめたら、ディリが東ティモールの首都ですが、日本料理屋を開きたいと思っているんだというようなことも言っておりました。

 全く同じことをサマワの人たちが言っているということだと私は思います。本当にすばらしかった、ありがたかったということを彼らは言っております。

 この活動を支えたのは、長年にわたる、今は陸将補ですが、番匠さんを初めとする自衛隊の諸官、陸も、そしてそれを支えた空も海も、空は今も活動を続けておるわけでありますけれども、そしてそれを支えた防衛庁の諸官、内局の皆さん、そして、お父さんがいない、お兄さんがいない、子供がいない、でも、寂しいけれどもその間一生懸命支えようとした御家族の皆さん、そして地域の皆さん、すべての力が総合されて、あの成果があったものだと思っております。

 今後、航空自衛隊が残るわけでありますけれども、そして航路が拡大をされるということが言われておりますが、その安全確保にはさらに万全を期していただきたいと思っております。もちろん、いわゆる軍用機ですから危険はつきものであります。そのことは当然予期されることでありますけれども、しかしながら、今まで起こったありとあらゆる事象に対応できるような、もちろんすべて考えておるとは思いますけれども、今まで起こったありとあらゆる、C130ならC130に対する脅威に対抗できるもの、危険が回避できるものを防衛庁として考えていただいておると思いますが、今後の航空自衛隊の安全確保につきまして、額賀長官から御答弁をいただければ大変ありがたいと存じます。

額賀国務大臣 石破長官が送り出した陸上自衛隊、航空自衛隊、引き続いてイラク復興支援のために今日まで汗をかいて、世界から高い評価を得られたことはおっしゃるとおりでありまして、これは国民全体の成果であり、誇りであり、国民が、つくってくれたこの教訓を生かして、今後も自衛隊が国際社会の中で平和協力活動に生かしていくことが大事であるというふうに思っております。

 航空自衛隊の安全については、私も石破長官からいろいろサジェスチョンをいただいたりしておりましたので、輸送機の中の防護策、装甲板、人員輸送をするに当たっての安全の確保、それから、物資を輸送するときの量的な確保をするためにどういうふうにしていくのか、そういうことについても十分配慮して、金目は惜しまない、そういうつもりでやりなさいというふうに言ってあります。

 それから、今日まで陸自の安全が確保されてきたのは、今長官がおっしゃるように、地域住民との融和、それから、米国を初め英国、豪州軍、多国籍軍との緊密な連携あるいはまた安全に関する情報、そういうものがしっかりと確保されていたためであるというふうにも思っております。そういうことを引き続ききちっとしながら航空自衛隊の人員輸送の安全を確保していかなければならない。

 私は、人員輸送でありますから、一分一秒を争う仕事ではないと思っておりますので、少しぐらいおくれても、これは安全を確保し、しっかりと仕事ができるようにした方がいいというふうに激励してきました。任務を遂行するために、あるいは時間を守るために危険を冒してまでやる必要があるのかどうかということについては、むしろ安全を確保して運航しなければならないということ、それから装備等々についても、あるいはまた飛行場における治安の状況、飛行経路における安全の状況、そういうことを多面的によく考えながら運航ができるようにと思っております。

石破委員 よろしくお願いをいたします。

 さて、何度も同じ議論が繰り返されるからクラシックな議論と言うのでしょうが、それにしてもという気が私はしないでもありません。アメリカ空軍の公式サイトにコンバットゾーンと出ておったぞ、航空自衛隊が創立以来初めてコンバットゾーンに行くんだ、それは大変なことじゃないかというようなことを言われる方が一部におられるやに承知をいたしておりますが、この議論は、イラク特措法の議論をしていたときから何回やったでしょうか。多分百回以上やった議論だと思いますが、なおその議論が続いているということを私は非常に残念に思っておる人間であります。

 外務省、どなたでもいいのですが、米軍に言うがところのコンバットゾーンというのは何ですか。

麻生国務大臣 今のウエブサイトの話なんだと存じますが、御指摘のとおりに、一九五四年の創設以来、これは日本のことだと思いますが、日本の航空自衛隊の隊員が初めてコンバットゾーンに積極的に展開されています、彼らはイラクにおいて人道復興支援の活動を助けているという記述に基づいてのお話なんだと思います。

 コンバットゾーンの定義そのものにつきましては、いわゆるコンバットゾーンという中にありますものに対してはいろいろなことが優遇されておる地域のことを特に書いてあるのであって、コンバットイコール、三省堂の辞典だけを引いて読むと、いかにも戦闘ということにしかならないんですが、このコンバットゾーンの対象の中には、オマーンもバーレーンもカタールもアラブ首長国連邦もサウジアラビアも、これは皆コンバットゾーンに入っておるという現実を見ましても、コンバットゾーンというものはそのように幅広く定義をされていると理解して私どもとしては対応いたしておると御理解いただけると存じます。

石破委員 今外務大臣からお答えをいただいたとおりだと思うんですね。つまり、何でイラク特措法に、その活動する地域は、現に戦闘が行われておらず、そしてまた、活動する期間において戦闘が行われることが認められない地域というふうに書いたかというと、これは、イラク特措法でも何でもそうですが、日本国憲法九条第一項の趣旨をきちんと守りますよということを言わんとして書いた条文なのですね。

 そこをどう曲解したか何か知らないけれども、これはコンバットゾーンだ、戦闘地域なぞというのは、それはためにする議論としか言いようがない。人心を惑わす議論としか言いようがない。私は、そのようなことを責任ある政治家に言ってほしくないと真剣に思っておるところであります。

 憲法九条第一項に何と書いてあるかというと、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」こう書いてあるわけです。つまり、我が国は、国際紛争を解決する手段としては、武力による威嚇も武力の行使もしませんよ、こういうふうに九条の一項は書いてあるわけですね。自衛隊を外国に出す場合に、そのようなことは絶対しませんよということを担保するために書いてある。

 では、戦闘って何ですかということの定義です。例えば、歌舞伎町でやくざが撃ち合っておる。あそこで国際紛争と言うか。絶対言わないわけですね。危険な地域ではあるけれども、あれを国際紛争地域というふうに評価されるはずがない。危険な地域で仮にあったとしても、国際紛争が行われていない地域というのは世の中にあるわけですよね。

 つまり、戦闘地域とは何か、それは戦闘が行われている地域である。戦闘行為とは何かというと、これは法律的な定義の話ですよ、戦闘行為とは何かといえば、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」、これが戦闘行為であります。そういうことが行われている地域は、憲法九条第一項を担保する意味からも自衛隊が活動してはいかぬということが書いてあるわけであって、では、ここのアメリカのウエブサイトに書いてあるコンバットゾーンというのは、日本で言うがところの戦闘地域なのか、そこで行われていることは日本が言うがところの戦闘行為なのか、それはだれがどう考えたって明白に異なるわけですよ。違う定義を用いて国権の最高機関たる国会で議論するということは、私は非常に非生産的なことなんだと思っているのですね。

 しかしながら、合衆国がウエブサイトで、私もこれを読んでみました、軍曹さんがそこへ行って現場のルポとして書いて、いかに航空自衛隊が献身的にすばらしい活動をしているかということを伝えんがために本当に一生懸命書いた記事であって、私も感銘深く読んだのであります。しかし、この後、私どもとしては、これを、特措法によるのではなくて、やがては一般法にしていかねばならないと考えておるところであって、そこでこの戦闘地域というものをどうとらえるかという議論を真剣にしておるときに、アメリカの公式なウエブサイトにこういうような言葉が不用意に載るということは、やはり我が国としては憂慮すべきことだと思っている。

 私は、ちっちゃなことだと言われるかもしれない。好意的な記事じゃないか、まあいいじゃないかと言われるかもしれない。しかしながら、日本政府として、合衆国に対して、このようなことについては配慮をお願いしたいということを言っておかなければいかぬのじゃないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 非戦闘地域の要件というものにつきましては、御指摘のウエブサイトのことにつきましては、記述というものに関して米側に対しては再度説明をして、コンバットゾーンという単語の使用についてはちょっと意を用いるようにしてもらいたいということを申し入れてはおります。ただ、今のところ、まだ申し入れ後も削除されていないということは承知しております。

 米側がいいますコンバットゾーンというのは、日本のいいます国内法上の概念とは異なる観点に立った表現なんだということに関しては向こう側も理解をいたしておるところでありますので、これまでの申し入れの結果、バグダッド飛行場及び同空港への移動に関して通行する地域がある、イラク特措法上の非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えておりませんので、我々の考え方については米側も理解をさせているところであります。

石破委員 ぜひ引き続いてよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それで、私は、今もイラク特措法に基づいて航空自衛隊が活動しておる、テロ特措法に基づいて海上自衛隊が活動しているわけですね。これを、その都度その都度特措法によるのではなくて、やはり一般法というものが必要なんだろうと思っておる人間でございます。

 その前に一つお尋ねをしておきたいのですが、これは官房長官にお尋ねすべきことでしょうか、通告をしておりませんので、もしお答えをいただけなければ結構なのですが。

 今、インド洋で補給活動をしております。この法律の期限自体が十一月一日で切れるのですよね、根拠法を失うことになるわけですね。それで、まだ一般法というのは当然間に合わない。したがって、私自身はこのテロ特措法というものを延長する必要があるのではないかと考えております。

 先般、当委員会にアフガニスタンのカルザイ大統領がお見えになりました。カルザイ大統領がお見えになって、スピーチをなさいました後、私どもとディスカッションをいたしました。そのときにカルザイ大統領が、日本の自衛隊が果たしている活動というのは非常にすばらしいものだという評価をいたしておりました。そして、これを継続してもらいたいということも彼は言っておりました。

 つまり、今度視察に行かせていただきたいと思っていますが、洋上において補給をするというような技術は、どの国の海軍も持っているわけではないのですね。ああいう過酷な環境にあって、自動車にガソリンをつぐのとはわけが違いますから。船が併走して、同じ間隔を保ち、同じスピードで、同じ方向を目指してずっと何時間も走る。大きな船であれば数時間も要するわけですからね。その間、テロに対する警戒もしていかねばならない。そういうような高度な補給技術を持っている国というのはそんなにないわけであります。アメリカの船はもう手いっぱいでありますし、イギリスもそんなに多くの能力を持っているわけではない。まして、日本の海上自衛隊の補給部隊の能力は恐らく世界随一だと私は思っておりまして、であるからこそ、パキスタンの船のような非常に補給が難しい船に対しても、日本の海上自衛隊の技量であれば補給が可能である。そして、パキスタンというようなイスラムの国がこのオペレーションに参加をしておるということが国際社会においては大きな意味があるのであって、それを可能にしておる海上自衛隊の活動というのは今後も続けていくべきものだと考えております。

 いずれにしても十一月一日に法律は切れるわけです。きょうは八月十一日なわけです。世の中に、ただのガソリンスタンドなんかやめちゃえという議論があるんですね。自衛隊がただでやっているから、だからあのオペレーションが終わらないんだというような本末転倒の議論をする人が時々いるわけですよ。

 ですけれども、私は、補給というものがいかに大事なのか。オペレーションを支えるのは根底においては補給なわけであって、この補給をなし得る日本の海上自衛隊というのがここで引いてしまうということになれば、オペレーション全体に大きな影響を与える。私は、そういうことがあってはならないし、一般法がまだできない以上、この法律は延長するということを政府において真剣にお考えいただきたいと考えておりますが、官房長官、もし御所見があればお願いしたい。

安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘になられましたように、インド洋におけるテロとの闘いの中においての我が国の給油活動でありますが、これは高く評価されているわけであります。また、極めて高度な技術、そして、信頼関係がなければなかなかこのオペレーションはうまくいかないという中にあって、見事に海上自衛隊はその信頼関係を維持し、さらに多くの国々から信頼され、感謝され、そして高い技術力を生かしてこの活動を行っているのも事実であります。

 しかし、十一月一日でこの期限が切れるわけでありますが、現時点におきましては具体的な方針を決めているわけではございません。

 いずれにいたしましても、同法の今後の取り扱いについては、アフガニスタンにおけるテロリスト掃討作戦等の進捗状況、同国の内外の情勢、国際社会によるテロとの闘いへの取り組みの推移、我が国として果たすべき役割など種々の要素を総合的に勘案して、我が国として主体的に適切に判断をしてまいりたい、このように考えております。

石破委員 きのうから大きな議論になっておる、イギリスで航空機に対するテロを仕掛けようとしていた、そういうような実行犯が逮捕されたということになっています。私は、まだテロの危険というのは本当にあるのだと思っていますよ。それは遠いあさっての話じゃなくて、我々日本人にとってもテロの脅威というのはあるんだろうと思う。

 テロというのは相手がだれであるかを問わない。つまり、今までの脅威と何が違うかといえば、いつ、どこで、だれが、だれから、なぜ、どのようにして攻撃を受けるのかわからないということですよね。従来型の脅威というのは、いつ来るんだろう、だれが来るんだろう、だれがやられるんだろう、なぜそんなことが起こるんだろう、ある程度予測がついたものですが、テロというのは、基本的に、いつ、どこで、だれが、だれから、なぜ、どのようにして攻撃を受けるかわからないという、今までとは全く違う脅威だと思っています。もちろん、テロは二十一世紀の新発明じゃなくて、これは人類始まって以来ずっとあるものだとは思います。しかし、彼らが大量破壊の手段を有しておるということが今までと全く違うのであって、したがって、それに対する対策は万全の上にも万全を期さなきゃいかぬということだと思います。

 カルザイ大統領が言っておったように、アフガニスタンから海路を通じて逃亡する、そういうようなテロリストをきちんと押さえるということは、テロを抑えていくために、テロを防止するために極めて重要な活動である。酷暑のインド洋において活動している海上自衛隊、それは本当に大変な活動だと思っています。しかしながら、イラクに比べて余り報道されることが多くないのだけれども、やはりこの海上自衛隊の活動というものも、法を延長してでも、私は、日本のためのみならず世界のために延長することが必要であるというふうに考えておりますので、ぜひ政府におきましても、この点よく御留意いただきたいということをお願いしておきたいと存じます。

 話を戻しますが、一般法です。つまり、特措法によるのではなくて一般法でいくべきであるということは、これはそろそろ一年になりますが、我が党の政権公約であります。我が党が国民に支持をいただいたとするならば、そして、友党である公明党とともに政権を続けさせていただくならば、この一般法やりますということは政権公約であったし、それで国民の支持をいただいておるというふうに考えております。

 しかし、これはいつでもいいよという話じゃない。テロ特措法だって十一月一日に切れるということは目前に来ているわけですね。そうだとすると、この一般法、いつでもいいよということではなくて、次期政権において一日も早くこれを成立させることが我が国の責任ではないだろうかと私は考えておる。

 自由民主党の防衛政策検討小委員会において、これはどういう法律であるべきなのかということで条文化の作業を今鋭意進めておるところであります。やるべきだ、やるべきだと言っているだけでは何も前に進まないので、我が党として、こういう法律でどうですかということをきちんと政府にお示ししたいと考えておる。

 喫緊の課題であると私どもは認識をしておるが、この緊要性について、政府としてどのようにお考えでいらっしゃいますか。

安倍国務大臣 ただいま石破委員から御指摘がございましたように、複雑で多様化する地域紛争の頻発や国際テロ等の新たな脅威の出現などに伴いましては、国際社会における国際平和協力の形態も多様化してきていると言ってもいい、こう思います。

 これを踏まえまして、現在、内閣官房を中心に、我が国の国際平和協力のあり方全般について幅広く検討を行っております。いわゆる一般法の整備は我が国の国際平和協力のあり方にかかわる問題であることから、国民的な議論を踏まえて検討すべき課題であります。

 私自身は、会見におきまして、こうした状況の変化、また、テロに対して機敏に対応していくためにも、また、国際貢献が強く求められる中において、こうしたこともしっかりと検討していくべきではないかというふうにお答えをしているわけでありますが、ただいま、石破先生を中心に与党において議論が行われているということでございますので、その中で、国民的な議論の中で与党内からしっかりとした御提言が出されれば我々としてもしっかりと受けとめてまいりたい、このように考えております。

石破委員 この一般法は、今、PKO法とテロ特措法とイラク特措法と三つの法律があるわけですが、これをホッチキスでとめたような法律ではだめだと私は思っておるんですね。ここにおいては新しい概念が幾つか提示をされなければいけないだろうと思っております。これはお答えは要りません、私どもの考えだけ申し上げておきます、ホッチキスでとめたようなものはだめだと。

 一つは、国際標準に基づいたものにしなければいけない。日本だけがいろいろな制約、もちろん憲法の制約を超えることはできませんが、そのほかのいろいろな制約に基づいて日本はこれしかできませんよ、ほかの国はいろいろなことができるのに日本はこれしかできませんよということはなるべく排除をしていくべきだろうと思っております。

 もう一つは、文民統制というものをきちんと徹底する仕組み、特に国会の関与というものをきちんと書き込んでいかねばならないのだろうと考えております。

 そしてまた、空自が人道復興支援を今度もメーンにするわけですよね。安全確保支援もやるけれども、人道復興支援もメーンにするわけですね。UNAMIのものを運ぶということになればそれは人道復興支援だ、こういう整理をするわけですね。それはそれでいいです、結構です。安全確保支援もするけれども、メーンは人道復興支援だ、それはそれで結構ですが、安全確保支援というものを余り表に出さないようにしよう、出さないようにしようということがもしあるとすれば、私はそれは余り正しいやり方だと思わないですね。治安の維持がきちんとできて人道復興支援もできるのですよ。どこかの国が治安維持という、ある意味、より危険な任務をきちんと果たしているからこそ人道復興支援というのもできるのであって、治安の維持ということに、安全確保ということに我が国が一歩及び腰のような印象を受けることは決して望ましいことだと思っていません。

 そして、今のイラクにおいても、法執行の主体として治安維持をやるのはだれかといえば、それはオーストラリアがやっているわけでもない、イギリスがやっているわけでもない、アメリカがやっているわけでもない。治安維持はあくまでイラクの治安当局がやっているのであって、ほかの国はそのサポートということが法的な整理なんだろうと私は思っておりまして、そういうような治安維持の支援みたいなことも本当に我が国はできないんだろうかということも今党内で議論をいたしておるところであります。

 さはさりながら、そういう場面になるとするならば、武器使用の考え方というのは本当に今までどおりでいいんだろうか。自己保存の自然的権利、それは確かに憲法の認めるものですが、本当にそれと憲法との間に「すき間」はないのか。憲法が禁じておるのは国際紛争を解決する手段としての武力の行使なのであって、そこの「すき間」をどう考えていくのか、そういうことも議論をしていくことが必要であろうと思っております。

 そして、国際連合の決議がなければ絶対にだめなのか。どこかの国が拒否権を行使したとしたならば我が国は自衛隊を国際的な活動に派遣できないのかということもぎりぎり議論していかなければいけないことなのだろうと私は考えております。

 今、ゴラン高原に陸上自衛隊が派遣をされております。海自、空自からも要員が出ておると承知をいたしております。ゴラン高原は、これはUNのミッションですから、日本があれこれ言うわけにもまいりません。しかしながら、ゴラン高原においても、隊員の安全の確保というものは日本としてきちんとやるべきことはやっていかねばならぬと思いますけれども、だれが主体なのか、そしてどのような基準に基づくべきか、そういうこともちゃんとこれから議論をしていき、官房長官お答えのように、次の政権においてきちんと成就を見たいなというふうに私自身は思っておるところでございます。

 最後に、もうすぐ八月十五日というのがやってまいります。私は、靖国云々という議論をするつもりは全くございません。そのことはもうそれぞれがお考えになることだと思いますが、私は、何であの戦争になっちゃったのか、なぜ敗れたのか、そして、何であんなに大勢の人が死んだのかということについては、これはきちんと今を生きる者として考えていかねばならない、検証しなければいけないことだと思っております。

 私、不勉強で、最近まで読んだことがなかったのですが、猪瀬直樹さんが「日本人はなぜ戦争をしたか 昭和十六年夏の敗戦」という本を書いておられる。この本を読んでみると、昭和十六年の四月一日に、今の首相官邸の近く、キャピトル東急ホテルのあたりでしょうか、あそこに日本国政府は総力戦研究所というものを建てているのですね。そして、陸軍省からも海軍省からも大蔵省からも外務省からも、ありとあらゆる官庁から三十代の若手の最もすぐれた人たちを集めて、日米でもし戦争をやったらどうなるか、自由に研究してみろという研究所ができた。時の総理大臣は近衛文麿、陸軍大臣は東条英機であります。

 昭和十六年の八月にその結論が出た。どうやったって勝てない、この戦争はどうやったって勝てない。最初の一年や二年は勝てるかもしれないけれども、まさしく先ほど議論させていただいたように、補給が続かない。南方を仮に一時的に占領することができたとしても、それを本土に運ぶ船、これが脆弱であり、それを守る艦隊が脆弱であり、だとするならば続くはずがないという結論が出ているわけですね。

 商船がどれだけ沈められるかというデータを最初は持っていなくて、そのデータはどこなんだといって探して、どこにもない。結局、第一次世界大戦でイギリスの商船がドイツのUボートに沈められた率というのを持ってきた。全然太平洋と大西洋で違うはずなのに、全然信用ならないデータを持ってきて、それでも戦争はできるというふうにして、やっちゃったわけですね。

 彼らが総力戦研究所で発表した、そのときに東条さんが、講評というのかな、コメントを述べているわけですね。諸君がやったのはあくまで机上の演習であります、実際の戦争というものは君たちが考えているようなものではない。日露戦争でも勝てるとは思わなかった、しかし勝ったのであります。勝てると思ってやらなくても勝てることはあるんだ、戦いというものは計画どおりにいかない、意外なことが勝利につながっていくというようなことを東条さんは言っているわけですね。

 やはり私たちは、自分たちに何ができて何ができないのか、今の自衛隊に何ができて何ができないのか、ほかの国は何ができて何ができないのかということをきちんと見ていくことが必要なんだろうと思う。それが見られないまま、そして、この戦争は勝てないよと言う人がいたにもかかわらず、君たちのは机上の空論だ、戦というのは時の運なんだ。そのことで突っ込んでいったことに対して、私たちはもう一回思いをいたすべきなのだろうと思っている。

 どうして、これから先、私たちの国が世界の平和のために役に立つことができるか、責任を果たしていくことができるか。この特措法の基本計画の変更ということを一つの機会として、そしてまた一般法の制定ということも視野に入れながら、またよく考えさせていただきたい、議論させていただきたい、責任を果たさせていただきたい、そのように申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

三原委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 冒頭、質問通告はしておらないんですけれども、まず、昨夜からけさにかけて、ロンドンでのテロの計画に関する摘発、逮捕というお話が出ておりまして、イギリスからアメリカに向かう飛行機を爆破する計画を立てていたということで、最初の報道によると、二十四人を逮捕したということであります。

 最大十機が標的になっていたんではないか、こういう報道もあるわけですけれども、現時点で政府が把握していらっしゃる情報、また政府の見解を、通告はしておらないんですが、確認させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、ABC、アメリカン・ブロードキャスティングのニュースで、英国のBBCの方は聞かれているんだと思いますので、BBCではなくてABCの方で、英国のテロ未遂事件を計画したグループのリーダーを含む容疑者五人を米国内で逮捕、イギリスで逮捕されたのは二十一人、米国内で逮捕五人というので、逮捕じゃありません、米国に五人潜伏していると報道をいたしております。

 目的としては、アルカイダのリーダーが、九・一一のテロ五周年、今度の九月十一日で五周年でありますので、劇的なテロを計画しておったとの情報等々もあります。これはまだ確認されたいわゆる政府広報ではありませんので、情報として今そのようなことが上げられております。

 いずれにいたしましても、テロというものが、先ほど石破委員の御質問の中にもありましたように、極めて現実にしてまだ生きておる。テロの話は、起きたのがもう大分前の話のようになっておりますけれども、テロの脅威というものは現実にあるということだと存じます。

 また、日本の場合は、記憶が薄れておられる方もいっぱいおられますが、私どものおります外務省の正面の地下鉄の駅でサリンという集団のテロというものが明らかに行われて五千人からの人が被害が出たという現実は、風化させてはならない日本におけるテロの最も大きな化学物によるテロ事件だったとして、私どもはきちんと記憶をしておくべきだと存じます。

安倍国務大臣 現時点におきまして、我が国に対する直接的な脅威が高まっているとの情報は入手をしておりません。直ちに脅威レベルの引き上げを予定はしておりませんが、しかし、英国において脅威が高まっている状況にかんがみまして、エアライン、空港管理者等関係者に対し、航空保安対策の確実な実施、特に液体物検査の徹底を指示するとともに、英国便を運航するエアラインに対しては、英国出発空港における保安対策の徹底を指示したところであります。

 今後、引き続き情報収集を行い、航空保安の確保に万全を期してまいりたい、こう考えております。

谷口(和)委員 二〇〇一年九月十一日、九・一一から、あとちょうど一カ月で丸五年ということで、五年がたとうとしているわけですけれども、先ほどお話がありましたように、五年がたとうとしているこの時期にあっても、まだこういうことが計画をされている。非常にショッキングなことでありましたし、また、サリンの今のお話は、私も、ちょうど当時、日比谷線を使って通勤しておりましたので、あと数本早ければあの電車に乗っていたという、今記憶をまざまざとよみがえらせたわけでありますけれども、いずれにしましても、まだまだテロ防止のためにはやらなければいけないことがたくさんある、こういうふうに思っております。

 本題に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、麻生外務大臣は、この八月三日にはバグダッドを電撃訪問されて、マリキ首相、ジバリ外相と相次いで会談をされたということです。二〇〇三年三月のイラク戦争の開始以降、日本の閣僚がバグダッド入りするのは初めてということで、ちょうどこの八月三日の前日、八月二日の夕方、我が党公明党といたしまして申し入れをさせていただきまして、周りの方が何かぴりぴりされているな、何でぴりぴりされているんだろうと思いながら、翌日バグダッド入りされたということで、びっくりしたわけであります。でも、日程も伏せて訪問しなければいけない、そういう治安状況の中で現地を訪問されたということに対しては敬意を表したいというふうに思います。

 そこで、一連の会談の中では、先ほども御説明がありましたけれども、麻生大臣は、陸自撤収後もイラク支援の日本の立場に揺るぎはないことを直接伝えるために訪問したというふうにおっしゃられております。

 そこで、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、会談の内容、それから、今後のイラク支援で何が大事なのか、また、訪問を通じて大臣御自身が感じられたイラクの情勢についてお伺いをしておきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今、谷口先生御指摘のありましたように、過日、陸上自衛隊の部分というのは無事撤収をいたしております。

 石破先生の表現をかりれば、百点満点で百二十点と。私に言わせると、百二十はともかくとして、少なくとも、野球でいえばノーヒット・ノーランぐらいのすごかったことだったろうと思っておりますし、事実、フランスの国防省が発行しております「今日の軍隊」という機関誌がありますが、その機関誌の中で、なぜ日本だけが成功をしたのかという文章がありますけれども、非常に一読に値する文章だと存じます。

 ただ、今回撤収をいたしました後、何となく、日本はこれですべて引き揚げて、あとはさようならかという状況に向こうはありますということは、もうジバリ外務大臣と話し、電話で何回となくしゃべっておりますので、その感じも向こうが伝えてきておりました。

 傍ら、日本から閣僚がバグダッドに入ったということはありません。イギリスそれからドイツ、オーストラリア等々、皆、閣僚、首相、大統領がバグダッドに入っておりますので、日本だけが入っていない。日本はバグダッドに入る交通手段を自前で持っていなかったというのが理由なんですが、民間航空機というものはバグダッドの飛行場に皆入ってきております。それを使えばいいといいましても、やはり日本が陸上自衛隊を出してそこに飛んでおりますので、空自もクウェートからサマワまでは。したがって、それを利用しないと、何となく、他国の民間航空機に乗って入るというのもいかがなものかというのがありましたので訪問を差し控えておりましたけれども、空自が飛ぶということになりましたので、空自の一回目を飛んでおりますので、何回もやった方がより正確かもしれませんが、二回目であろうとよろしいのではないかというので、空自を使ってバグダッド入りするということを企画して、ちょうど谷口さんがお見えになった翌日に出ることにしておりました。その雰囲気を悟られるようじゃいかぬですな、まだもうちょっと修行が足らぬと思って反省しております。

 現場に行っては、確かに、申し上げましたように、撤退しますけれども、ちゃんと空自は国連の要請に応じてバグダッド、それから北のエルビルまで物資、人員等々の輸送に貢献します、また、我々は支援として無償で十五億ドル、円借款で三十五億ドルというのを既に計画いたしておりますので、それはちゃんとやりますと。やりますが、私どもの方の条件としては、これは主に民間やらODAやらPKOやら何やらに負うところがさらに大きくなりますので、少なくとも治安というものが南のサマワ程度によくなってもらわないと、真っ最中みたいな感じで、いわゆる部族間対立の激しいところではとてもできませんよ、だから、そういったところでおたくでやっていただかなければならぬ一番のものは、とにかく治安の回復、これが優先順位の、政策順位として一番ですと。

 それから、今おたくでは国民和解計画というのを、あそこはクルド族、スンニ、シーア、いろいろ分かれておりますので、こういったものの中で人口構成というものも昔と大分違ってきておりますので、そういったものの和解をうまくやっていく。かつてうまくやっていたんだから、和解をうまくやってもらわないといかぬのです。結果として、おたくは選挙をちゃんとやって、憲法までつくって、またその憲法に基づいてもう一回選挙をやって、少なくともそういった国は中近東の中ではそんなにはないのです、やった上の自信を持って、おたくらは選ばれた人たちなんだから、選ばれた人たちがきちんとやろうとしていることにもっと自信を持っておやりになったらどうです、それを我々としては積極的に支援いたしますというようなことを力づけるとともに、日本としては、要人往来等々いろいろ活発にしていくためにも、バグダッドの治安というものも非常に大きなところなんだと思います。

 ぜひ、今後のODAやらその他の草の根無償、いろいろな小さなものから含めてやっていくに当たって、おかげさまをもちまして、自衛隊の隊員、一人の脱走兵が出たわけでもなく、いわゆる騒ぎが起きたわけでもなく、まことに規律正しく対応をしてもらった隊員のおかげで日本という国のブランドイメージが上がったことははっきりしていると思います。これは物すごく大きいので、他国の軍隊と全く違うという話が先ほど石破委員からのお話にもあっておりましたけれども、これが今回の自衛隊派遣の中で最も日本のイメージを上げたものだ、私自身はそう思っております。

 また、技術、道路づくりやら何やらするにしても、ブルドーザーの運転から何からきちんと教えて、電気の修理についても、現地の人に全部電気の修理の技術を教えてみんな引き揚げておりますから、残ったイラクの人たちはそのまま技術屋として、いわゆる単なる労務者というよりは技術労務者として成長をさせておる。それで二年半で引き揚げているというのが非常にその人たちの感謝しているところでもありますので、自衛隊のやり方というのが非常に効果、ほかのODAのやり方と同じやり方になっているんだと思いまして、私どもとしては、大変ここが、日本という国の国力、ブランドイメージというものを上げるのに非常に貢献してもらったと思って感謝しておりますので、今後、こういう感謝、日本人のそういったイメージというものを大事にしながらやっていかねばならぬと思っております。

谷口(和)委員 今、治安のお話もありましたけれども、イラクの治安問題については、当初はフセイン政権の残存勢力対占領軍の戦い、その構図が、テロリスト対多国籍軍、そしてテロリスト対多国籍軍とイラク軍、この戦いへと変化し、今、イラク人同士の宗派対立、こういうふうになって、内戦にまで至るのではないか、そういう可能性も指摘をされております。

 ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官は、イラクが内戦に進むという可能性については一貫して否定をしているわけでありますけれども、ペース統合参謀本部議長は、内戦に発展する可能性もある、こういう指摘もしておったりして、ちょっとそういう可能性もアメリカ政府内で指摘がされているわけでありますけれども、日本政府として、今イラクの治安の状況についてどういう見解を持っておられるのか、改めて確認しておきたいと思います。

麻生国務大臣 予断を許さない状態が継続しておると理解はいたしております。

 今お話がありました、イギリスの外交官の話やら、またペース参謀本部議長に関して、内戦に発展する可能性があると、たしか表明をしておられると思っております。

 私どもとしてもそういう認識はしておりますけれども、今、イラク政府としては、イラク人のいわゆる警察、治安部隊、昨年約十三万人おりましたものが、ことしの八月では二十七万五千人までふえております。一応、治安部隊を十三万から二十七万、倍以上ふやしてきておりますので、そういった意味で増強はされつつある。また、それの治安部隊員、警察隊員の訓練もあわせてやっておるというので、少しずつ対応してきているんだと思いますけれども、何となく、片っ方の数の方が多い、シーアの方が多いわけですから、かつて逆になっていたものを、シーアの方が多いわけで、威圧的にやるとこれまた話が込み入ると思いますので、うまく和解させつつ治安を治めていくというのが大事なところかなという感じがいたしております。

 とにかく、いずれにいたしましても、治安回復には、マリキ首相を初め、最も強い意欲を示して、これだけは断固やると言っておりましたので、私どもは、そのイラク政府の対応というものを見守っていかないかぬと思っておりますけれども、今直ちに治安状態が極めていい状態にあるかといえば、それはとてもそういうことが言えるわけではありません。ただ、直ちにそれが内戦につながっていくかということに関しましては、それを言うような状況にあるかなというのが率直な感想です。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 ちょっと話題をかえまして、五月に新政府が発足をして、そういう意味での政治プロセスというのは五月に達成されたわけでありますけれども、今後は、新生イラクが民主的な、また安定した国家として発展をして、そして国際社会の一員として繁栄していくためには、今後も国際社会の支援が必要であるというふうに思います。

 七月の末、二十七日に、イラク政府と国連がイラク・コンパクトの策定に向けた取り組みを正式に発表されて、これに対して大臣御自身も談話で、このイラク・コンパクトに積極的に関与し、中心的な役割を果たすべきだというふうに考える、そういう談話を発表されておりますけれども、今後どのように関与し、また提案等を行っていくのか、お伺いをしておきたいというふうに思います。

塩崎副大臣 今お尋ねのイラク・コンパクトでありますけれども、アフガンのときにも同じようなものがつくられたわけであります。基本はイラク政府のオーナーシップということで、イラク政府そのものがみずからの国づくりをするということが基本であるわけでありますけれども、国際社会が復興支援を行っていくということがこのイラク・コンパクトの内容で、今、文書の策定に向けた動きがあって、日本も協力していこう、こういうことになっているわけであります。

 今後、国連とか世銀とか国際機関、それから我が国を初めとする支援国が協力をいたしまして、今後五年間のイラク政府による政治、治安及び復興の各側面の政策目標を策定する。それから二つ目として、かかる目標を、今申し上げた目標を達成するための国際社会の支援のあり方を検討していこう、こういうことでございます。

 九月中旬の国連総会が予定されておりますけれども、ここで外相会合を開いて作業の進捗報告が行われる予定で、コンパクトの完成は年内を予定しているところでございます。

 我が国としては、今お尋ねでございますけれども、コンパクトの議論の初期段階からいろいろな形で、文章の書き方から始まって、いろいろな貢献に努めておりまして、準備グループ会合というのがございましたけれども、これにも入って、七月二十七日、イラクと国連が共同で正式な立ち上げを発表した際には、麻生大臣からの談話を発出して、歓迎するという意思を表示したところでございます。

 我が国は米国に次いで第二位のイラク支援国ということで、多くの支援をこれまで、先ほどのお話のとおりやっておりますので、その知見を生かしながらコンパクトの策定作業でも今後貢献していこう、このように考えておるところでございます。

谷口(和)委員 次に、陸自の撤収についてお伺いをしたいと思います。

 二〇〇四年の一月からイラクに派遣されて、先月撤収が完了したわけでありますけれども、二年半にわたり、医療、給水等々、人道復興支援活動を実施されてきたわけであります。先ほどからもお話がありましたけれども、改めて国民の皆さんに、この二年半にわたる活動の具体的な成果をぜひアピールしていただきたい、こういうふうに思います。

額賀国務大臣 先ほども石破長官からもお話がありましたけれども、私は、一番自衛隊が評価されておりますことは、地域住民の皆さん方から信頼され、また融和をする形で、仕事を教えながら、それぞれの、医療、給水あるいはまたインフラ整備等々を行ってきたということだと思っております。

 それは、今度行ったイラク部隊、陸自部隊が初めて学んでいったことではなくて、自衛隊が発足して五十数年でありますけれども、陸上自衛隊は、あるいはまた日本の自衛隊は、地方に、国内でいるときに、国民からどういうふうに信頼されるかということについて、日ごろから、地域住民に溶け込むためにお祭りに参加をしたり、あるいはまた地域の行政に参加をしたり、場合によっては農作業までお手伝いしながら、自衛隊というものがその地域の中で理解されるように長年努力をしてきたんですね。そういう国内での経験が、PKO活動だとか、イラクに行ってもきっちりと生かされてきているということが非常に大事なことではないかと思っております。

 それは、ある意味では自衛隊が戦後長い間国民の間に認知されていなかったということもあります。したがって、それだけ努力を重ねてきたということが今結実しているということだと思っております。その意味で、日本人として、模範的な活動、PKO活動、人道復興支援活動がなされていることは高く評価されていいのではないかと思っております。

 具体的にどういう仕事がなされてきたのかということについて申し上げますと、例えばムサンナ県においては、県内四カ所の病院において診療・医療技術の指導を計二百七十七回実施し、簡易診療所二十九カ所の整備を行ってきた。この結果、新生児の死亡率が二〇〇二年と比較すると三分の一に削減されたということが地元で評価されているわけであります。

 給水については、十七年二月までに延べ千二百万人分を供給しました。五万三千五百トンであります。浄水場の整備がきちっとされておりますから、今もきれいな水が供給されて、喜ばれているわけでございます。

 教育面においては、県内の学校整備、ODAと含めて三分の一の学校をきちっとした。そのうちの一つを私は訪問しましたけれども、近所の父兄とか子供たちが大変喜んでおりました。そういう子たちは、日本の国民の税金でつくられた校舎や施設の中で学んだ、それは決して忘れることがないでしょう。恐らく三十年、五十年と、日本とイラクの間の友好関係の礎になっていくものと私は思っております。

 道路においても、ODAと陸上自衛隊がつくったものを合わせると百数十キロに及びます。

 そういった一連の行動、仕事を通じて、雇用の拡大にもつながっておりまして、延べ四十九万人、一日最大一千百人程度の雇用がなされたということでございます。

 ただ、それがやりっ放しではなくて、先ほど外務大臣も言っていましたけれども、現地の行政当局者にも、住民のニーズはどこにあるのか、そういうものを自衛隊と一緒にヒアリングして、そしてそれを集約して、ではこういう仕事をしようじゃないか。仕事をするときに、現地の人や企業の人たちにノウハウを教える、そして機械の使い方も教える。そういうことの中で、引き続いて、自衛隊が撤収した後もみんな仕事が継続されていく、そういうところにムサンナ県、イラクの皆さん方が高く評価されている原因があるというふうに思っております。

 国民の皆さん方にも、ぜひ誇りに思っていただきたいというふうに思っております。

谷口(和)委員 今もお話がありましたけれども、診療・医療技術の指導などによって新生児の死亡率が三分の一に減ったというお話がありましたが、非常にこれは大きな成果だというふうに思います。

 そういう中で、陸自の撤収後、こういう成果がそのまま引き続き継続をされるということが大事だというふうに思うわけですけれども、その点に関して、今後どういうふうな努力というか工夫をされていく方針なのか、この辺を伺っておきたいと思います。

杉田政府参考人 我が国自衛隊による人的貢献、それからODAによる支援ということで、車の両輪としてやってまいりました。

 ODAにつきましては、当面の支援ということで、約十五億ドルの無償資金で電力、教育、水・衛生、保健、雇用等の生活基盤の再建及び治安の改善というものを重点的に支援してまいったということでございます。我が国としては、イラクが安定した民主国家として再建するよう、イラク政府の主体的な復興努力を、最大三十五億ドルの円借款によるODAも生かしつつ、引き続き積極的に支援していくということでございます。

 陸自が派遣されていましたサマワを中心とするムサンナ県でございますけれども、先ほど申しました十五億ドルの無償資金協力のうち、総額二億ドル程度の支援をこれまでに実施あるいは実施の決定をしているということで、医療、給水、道路整備等の分野で自衛隊とODAの連携ということで御指摘のような目に見える成果を上げているということで、ムサンナ県においてこれまで進めてきました無償資金協力の事業あるいは人材育成といった事業を着実にフォローアップしていくということで、陸自の撤収後もさらなる成果が上げられるように引き続き取り組んでいくということでございます。

谷口(和)委員 もう一つ伺っておきたいのが、イラクから帰国をされた自衛隊員の方、毎日新聞の七月十二日付の報道によると、例えば、帰国後、子供の運動会の花火の音がして、思わず身を伏せてしまったとか、気分が高揚したままで怒りやすくなり、ちょっとしたことで口論してしまうとか、こういった発言も出ております。原因ははっきりしないわけですけれども、帰国後、自殺をされた方もいらっしゃるというふうに伺っております。帰国後の心のケアというのが非常に大事になってくるというふうに思うわけですけれども、どういうケアを行っているのか、この辺を確認しておきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 イラク派遣隊員に対しますメンタルヘルスについては、派遣前にストレスへの対応などに必要な知識を付与するための講習を実施したり、派遣後は速やかに、専門的知識を有する医官によりましてメンタルチェックを実施する、あるいは、派遣部隊には臨床経験の豊富な医官を配置するなど、隊員の健康状態に目を配ってきております。

 先生お尋ねの帰国に際しましては、帰国途上におきまして、数日間ホテルに滞在させまして医官による精神面を含む健康状態のチェックを行い、帰国後、臨時の健康診断及びメンタルヘルスチェックを実施しております。さらに、帰国後三カ月をめどにメンタルヘルスチェックを実施するなど、イラク派遣隊員の健康管理についてはメンタル面での手当ても含め適切な施策を講じてきており、引き続き隊員の健康管理に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 ぜひ万全の対策をとっていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたのでちょっと質問を飛ばしまして、最後に通告しておった空自の派遣期間についてです。

 一応というか、これは変更なく、ことしの十二月までということになっているわけですけれども、そろそろ、陸自が撤収して、空自の出口戦略をしっかりと、イラクの治安情勢とか政治情勢、また米軍の動向などを勘案しながら出口戦略をしっかりと検討しておくべきではないかというふうに思っているわけですけれども、この辺について、どういう条件になれば空自を撤収できるのか、政府の見解を確認しておきたいと思います。

安倍国務大臣 イラクにおきましては、国連における復興支援の活動が拡充されるとともに、多国籍軍は引き続き一部の地域において安全確保の活動に従事する一方で、バグダッドやバスラ等にPRTを展開し、地方政府の能力向上に当たらせるなど、復興支援の活動にも取り組んでいく見込みでございます。

 このような国連や多国籍軍が行う復興支援や安全確保の活動に関連して、今後とも空輸の所要があることから、我が国は、引き続き、ODAによる支援とともに、空自の活動を継続させていくものでございます。

 いずれにいたしましても、今先生から御指摘があった、では出口はどこか、こういうことでございますが、空自の活動につきましては、イラクの政治状況、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化など、諸事情をよく見きわめつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して適切に対処していきたいと考えております。

谷口(和)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三原委員長 次に、池田元久君。

池田委員 おはようございます。

 きょうは三人おそろいですが、イラクの問題に御一緒に専念をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 イラクから陸上自衛隊が撤収をし、航空自衛隊の空輸活動が続行され、拡大をする。この時期に当たって、自衛隊の海外派遣のあり方についてほんの少し議論をしてみたいと思います。

 湾岸戦争の前の九〇年十月、政府は多国籍軍への参加に関する政府統一見解をまとめたわけです。その中で、国連軍の指揮下に入り、その一員として行動することは、目的、任務が武力行使を伴うものであれば、憲法上許されないなどの内容を示したわけですが、まずその見解の内容を正確にお尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 お尋ねの政府見解は、当時中山外務大臣だったということですが、少々長くなりますが、何点かございます。

 一点、いわゆる「国連軍」に対する関与のあり方というものは、「参加」と「協力」が考えられる。

 昭和五十五年十月二十八日付政府答弁書にいう「参加」とは、当該「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動することを意味する。平和協力隊が当該「国連軍」に参加することは、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が当該「国連軍」に参加する場合と同様、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えられる。

 三、これに対し、「協力」とは、「国連軍」に対する「参加」を含む広い意味での関与形態をあらわすものであり、当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援をも含むと解される。

 四、右の「参加」に至らない「協力」については、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであっても、それがすべて許されないわけではなく、当該「国連軍」の武力行使と一体となるようなものは憲法上許されないが、当該「国連軍」の武力行使と一体とならないようなものは憲法上許されると解される。

 上記の見解に変更はございません。

池田委員 この政府統一見解は現在も踏襲されているかどうか、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 今御答弁申し上げたように、今申し述べた見解に変更はございません。

池田委員 平成十六年の閣議了解の文書の末尾でも、政府の見解を変えるものではないと言っております。現在も生きているわけであります。

 そこで、今回イラクに派遣された自衛隊と多国籍軍との関係について考えてみたいんですが、イラクに派遣された自衛隊は多国籍軍の指揮下にあるかどうか、その点、まず端的にお尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 現在、イラクにおきます自衛隊というものに関して、多国籍軍の指揮下に、司令部の指揮下に入っているかという御質問ですか。

 日本の場合は、日本の指揮に従っておりますので、イラク特措法に基づいて行っておりますので、指揮下に入っているわけではございません。

池田委員 指揮下には入っていないということであります。いろいろ疑問点はあるんですが、まず一たん指揮下には入っていないということにしておきましょう。

 では、指揮下に入っていないとしても、自衛隊は多国籍軍の一員であるのではないか、その点はどうでしょうか。

麻生国務大臣 指揮命令系統が今申し上げましたようにイラク特措法に基づいている。先ほどの石破先生の御質問、答弁と少し重なるかと思いますけれども、基本的には多国籍軍の一員であることは間違いございませんけれども、指揮命令系統に関しては、事情が違う。先ほどそこを御指摘になったんだと思いますけれども、私ども、憲法上いろいろなものがありますので、イラク特措法というものに基づいて活動するというところが違っておるんだと存じます。

池田委員 指揮下にはないが一員であるということでございます。

 既に当初のころ指摘されましたように、CPA、連合暫定当局の書簡では、自衛隊は連合軍の要員というふうに取り扱うことにしております。これは自衛隊の法的地位を示したものですが、〇四年の六月の、外務省の「自衛隊が多国籍軍の中で活動する場合の活動のあり方に関する米国、英国との了解について」という文書がございます。そこでは、多国籍軍の統合された司令部のもと、人道復興支援を中心に活動すると。ですから、これは一員だということだと思うんです。

 それで、もう一点これに関連してお尋ねしますが、自衛隊は多国籍軍の組織の内にあるのか外にあるのか、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 言い方が、最近、行くか行かないかとか、ゼロかバツかという話の質問が多いんですが、基本的には、イラクで活動する自衛隊というものは、多国籍軍の中で、統合された司令部のもとにあって、同司令部との間で連絡調整は行うが、同司令部の指揮下に入るわけではないことということになっております。

池田委員 今おっしゃったように、自衛隊は、多国籍軍の中で、統合された司令部のもとにあって、同司令部との間で連絡調整を行う。要するに、これは多国籍軍の中でありますから、組織の内と。要すれば、自衛隊は、多国籍軍の指揮下にはないけれども一員で、多国籍軍の組織の外にあるものではないということは今の議論で明らかです。

 そうすると、もとに返って、政府の統一見解と対比した場合、どうか。今回の自衛隊の派遣は、多国籍軍の一員で多国籍軍の組織の外にあるものではないということですから、これは政府の統一見解を大きく逸脱しているわけですよ。その辺、基本的な問題ですから、この議論についてしっかりとお答えをしていただきたい。

麻生国務大臣 閣議の了解において、安保理決議において、それまで日本の自衛隊が行ってきたような人道復興支援活動が多国籍軍の任務に含まれているということが明らかになっていることなどを踏まえて、自衛隊というものは、イラクの主権回復後は多国籍軍の中で活動を継続することとすること。そして、今申し上げたとおりですが、ほかにも、自衛隊は、引き続き、日本の主体的な判断のもとに、我が国の指揮に従い、イラク特措法及び基本計画に基づいて、イラク暫定政府に歓迎される形で人道復興支援活動を行うものであって、この点についても米英両政府との間でも了解に達していることは、御存じのとおりです。

 したがって、これまで同様、自衛隊といたしましては、憲法の禁じております武力の行使に当たる活動、行動を行うものではなくて、イラク特措法に基づき、いわゆる非戦闘地域において活動するものでして、他国の武力行使と一体化するものでないことなどが述べられておりますのは、もう御存じのとおりだと思っております。

 したがいまして、イラクの多国籍軍の中での自衛隊の活動は今申し上げたとおりで、御指摘の政府見解と矛盾するものではないというように了解をいたしております。

池田委員 これは簡単明瞭な話じゃないですか。多国籍軍の指揮下に入り、その一員として行動すること。指揮下には入っていないけれども一員である、それから、組織の外じゃなくて中だと。ということであれば、統一見解に照らして考えれば、これは大きくその統一見解を逸脱するものであると言っても差し支えないどころじゃなくて、そういうことです。

 これはどこが違いますか。簡単ですよ。今長々とおっしゃる必要はないんで、一員であるとおっしゃったでしょう。それから、組織の中だ、外ではないということであれば、統一見解に照らして考えれば、これを大きく逸脱しているということですよ。それは言葉で幾らやっても、論理でやはり言ってくださいよ。

安倍国務大臣 ただいま委員から御質問の中で、どこが決定的に違うのかということでございますが、これは、決定的に違うということについて言えば、指揮下に入っているか入っていないかということが決定的に違うわけでありまして、入っていない、このようにはっきりと私ども申し上げているわけでございまして、連絡調整を行うわけでございますが、この司令部の指揮下に入るわけではない、こういうことでございます。よって、今までの政府の統一見解とは一切矛盾するわけではない、こういうことでございます。

池田委員 よくこの統一見解を読んでもらうんですね。そしてその後の、最近出した文書との関係について、読めば小学生でもわかる非常に単純なことです。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それで、もっとやりたいんですけれども、まだ大事な問題がありますので、空自の輸送についてお尋ねをしたいと思います。

 陸上自衛隊が撤収をして、残る航空自衛隊の空輸活動は輸送先をバグダッド、北部のエルビルに拡大して行われるということですが、まず、これまでの航空自衛隊の空輸の実績をお尋ねしたいと思います。

額賀国務大臣 十六年三月二日から本年八月四日までの間で、計三百五十二回、四百七十九・四トンの物資を輸送しているというのが実態でございます。

池田委員 輸送回数と貨物の重量の合計のみの簡単な資料を出しているわけですね。今それに沿って答弁された。

 実施要項では、航空自衛隊の部隊の業務として、「人道復興支援活動としての輸送及びこれに支障を及ぼさない範囲での安全確保支援活動としての輸送」と明記をしているわけです。そうであれば、これまでの輸送実績のうち、人道復興支援活動と安全確保支援活動の内訳はどうか。細かいことまではまずは聞きませんが、それぞれのウエート、比率をまず示していただきたい。

額賀国務大臣 これまでの人道復興支援に伴う航空自衛隊の人員、物資の輸送につきましては、詳細についてはきちっと区分けして公表しているわけではありません。大ざっぱに、陸上自衛隊の行動のために人員輸送、物資の輸送をしたこと、それから、多国籍軍等々の外国のために人員、物資を輸送したこと、そういう区分けをして公表していることはありますけれども、詳細にわたって公表しているわけではありません。

池田委員 詳細を聞いているわけじゃなくて、人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で安全確保の支援活動を行うと重点の置き方をわざわざ明記しているわけですから、そのウエートの置き方ぐらい、実績として、結果としてこういうウエートですよということは当然示すべきことであると思いますが、もう一度、その点だけで結構ですから、答弁をしていただきたい。

額賀国務大臣 おっしゃるように、特措法においては、自衛隊の治安確保のための後方支援のための人員、物資の輸送も認められているわけでございまして、その際は、基本計画の中で、人道的な復興支援に支障を与えない限りにおいて実施するということになっておりまして、これについて、人道復興支援はこうこうこういうことである、治安にかかわるものはこうこうこういうことであるというふうに分類はしておりません。先ほど言ったように、陸自関係、陸自関係以外の外国関係のもの等々について公表しているということでございます。

池田委員 わざわざ基本計画にも実施要項にも書いてあることですから、それをそういうふうに区分けしていないというのはどうですか。また、そんなに細かい、コンマ以下の数字まで出せと言っているわけじゃないんです。その比率を、ウエートを示してくれ、こう言っているわけですから、ぜひ出していただきたい。

額賀国務大臣 お尋ねの人道復興支援活動と安全確保支援活動の割合についても、公表させていただいている実績と照合することによって空輸活動の実態の詳細が明らかになっていくということが、治安というか航空輸送の安全を考えていく上で、これを明らかにすることは我々は控えさせていただきたいというふうに思っているわけです。

池田委員 これもさっきと同じで、ちょっと、論理というか、全く不明確な答弁であります。

 前に国会で、防衛庁長官ですか、どこからどこへ向けて何を何回運んだというようなことは、安全確保支援活動の性格からしてこれは答えられないというようなことも言っておりますが、もう既に空幕長が、空輸を始めて一カ月後にクウェートで記者会見をして、武装した米兵を空輸したということも明らかにしているわけですよ。

 私は、個々のことをおっしゃっていただきたいと言っているんじゃなくて、まさに、重点を問題にしている人道復興と安全確保のそれぞれの支援活動のウエートをお示しいただきたいと。それを示せない理由があるのかどうか、もし示せないのであれば、明確にしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 今言いましたように、まず、空輸の詳細について明らかにしていくことは、日本の空自の仕事がどういう形で実施されているかということが公表されていくことになるのと、もう一つは、先ほども言いましたように、陸自との関係の物資の輸送、人員の輸送と同時に、関係国との人員、物資の輸送等々があるわけでございまして、そういう中で我々が陸自にしても空自にしても安全を保ちながら仕事ができてきたということは、そういう関係国との間の信頼関係が基礎にあるわけでございます。我々は、安全の確保を維持するために、あるいはまた確保するために、その地域あるいは空港の周辺、さまざまな情報を交換する中で空自の仕事がなされているものと思っておりまして、そういう関係国との間の信頼関係も大事にしなければならないということもあります。

池田委員 関係国の信頼とかおっしゃいますが、私は別に、その関係国の名前を挙げろと言っているわけじゃないんですよ。この二つの主要な活動のウエートをまず聞いているわけですよ。明確な理由を示していただきたい。

 つまり、これすらも表に出さない。我々は、あるべき国の安全保障を考えて、やはりそれは国民に支持されるものでなければならない、国民にとってわかりやすいものでなければならない。法律的な位置づけもそうですし、このような問題もそうなんですよ。

 委員長、これはちゃんとしかるべく取り計らってくださいよ。

三原委員長 もう一度答弁してください。

額賀国務大臣 我々が、今度イラクにおいて陸上自衛隊、航空自衛隊を派遣してさまざまな活動を展開してきた中心は、基本計画にも書いてあるように、人道復興支援活動でございます。

 今度空自が引き続いて活動を継続するということについては、特に国連の要請等もあるし、多国籍軍の仕事もあるので、継続をし、さらなるイラクの民主化に貢献をさせていただきたい、お手伝いをさせていただきたいということでありますので、我々の仕事は人道復興支援活動が中心であるということについて、国民の皆さん方に理解を得られているのではないかと思っております。

池田委員 いや、全く答えになっていない。こういう審議の前提となるようなことについてすら明かせないというのでは、我々、審議に入れませんよ。

三原委員長 今の人道支援と安全確保の支援のことに関して、一方では、政府としては、それを明確にすることは、そのことは治安安全上ちょっと差し控えたいということでもあります。しかし、ここは一応委員長が預かって、いま一度、次に開かれる理事会のときでも、内々で、そのことに対してできる限りの、報告ができるのかどうか、そのことは、私は委員長の責任で政府に尋ねてみましょう。

 議事進行、池田君。

池田委員 これ、安全確保に支障があるとかなんとかという議論じゃないですよ。要するに、政府の公式文書に、人道復興支援活動に支障のない限りで安全確保支援活動を行う、こう優先順位、プライオリティーをつけているわけですよ。ですから、その比率、単純な比率ですよ、六、四とか七、三とか。それすらも言えないというのは、お粗末じゃなくて、それは全くおかしいですよ。

 安全確保と関係ない。関係国の名前を明かせなんて言っているわけじゃない。過度の秘密主義。総裁候補三人いますけれども、こんなことじゃ、議会の審議できませんよ。大政翼賛会じゃないんだから。さっき石破君が言った、昔と違うんですから。

 ですから、最後、三原委員長がおっしゃっていただいたことで、私はここで一応この問題についてはとりあえず終わります。

 それから、次の問題に移っていきたいと思います。

 次に、武器弾薬の輸送、兵員の輸送についてお尋ねしたいんですが、同じく先ほどの政府統一見解、九〇年十月の統一見解では、戦闘地域への武器弾薬の輸送は行い得ないのは当然で、そのようなことはしないとしているわけです。そして、当時の法制局長官も、現に戦闘が行われている前線へ武器弾薬を輸送するのは問題があろうと述べています。

 政府はこの見解を変えていないのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

安倍国務大臣 政府見解については、変更はございません。

池田委員 武器弾薬の輸送は今回は政策判断としてやらないだけでありまして、イラク特措法の、法律と基本計画では武器弾薬も輸送することができるとなっているわけです。この輸送ができるという理由、根拠をお示しいただきたい。

井上政府参考人 イラク特措法でございますけれども、武器弾薬を輸送してはいけないという規定がないところでございますので、そういう観点から、法律上は武器弾薬を輸送することは妨げないというものでございます。

 ただ、総理の方で武器弾薬については輸送しないということを申し上げておりますので、その方針に立って現在活動を行っているというところでございます。

池田委員 麻生大臣にあるいは関係閣僚にお願いしたいんですけれども、今、輸送できるというふうに今度のイラク特措法と基本計画ではなっているわけですよ。政策判断の部分は後で聞きますけれども、これは先ほどの政府の見解に照らして問題ないのかどうか、武器弾薬の輸送ができる根拠、そこを説明していただきたい。

井上政府参考人 今回のイラクにおける活動におきましては、あくまでも武力の行使はしない、そして武力の行使と一体にならないというようなことが前提であるわけでございまして、そういう活動をあくまでも行うというような観点から、武器弾薬の取り扱いについては法律の方で対応している、決めているということでございます。

池田委員 総理大臣は政策判断として武器弾薬は運ばないとおっしゃって、実施要項では輸送しないということになっているわけです。

 武器弾薬をこういう形で輸送しないということにした理由について、安倍官房長官にお尋ねをしたいと思います。

井上政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、武器弾薬につきましては、我が国の活動、今回のイラク特措法の活動でございますけれども、人道復興支援活動が中心であるという考え方でございますので、そういう観点から、運用上その輸送を行わないという方針でございます。

 そうしたものを踏まえまして、実施要項において、物品の輸送に際しては、武器弾薬を含むわけでございますけれども、その輸送を行わないとしたものでございます。

池田委員 これは珍妙な審議で、政策判断として表明したことについてお尋ねをしたら、総裁候補三人もそろっていらっしゃるのに事務方が答弁する。これは本当に、皆さん、いただけませんよ。

 政策判断として、小泉総理の政策判断として宣言したことについて官房長官も説明しないというのは、これは一体どういうことですか。国会をどう考えているんですか。しかも、私は、答弁は事務方は遠慮すると言ったが、それも一部認めているわけですよ。肝心なところを答弁できなきゃだめですよ。(発言する者あり)ちょっと、筆頭理事に審議に協力するように注意してください。

 本当に、皆さん、政策判断としてやったことについても、自分の、政治家の口で発言できないというのは一体どういうことなんだ。(発言する者あり)

三原委員長 ちょっとお静かに、お静かに。静粛に。

池田委員 こんなことは申し上げたくなかったんですが、最後は、小泉総理の政策判断の理由を聞きましたら事務方が答弁したということで、残念ながら今回は時間が来ましたのでこれで締めくくりたいと思いますが、これは次回またいろいろ議論をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

三原委員長 次に、神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 まず、これまで約二年半にわたりまして、延べ五千五百人の陸上自衛官の皆さん方には、本当に、摂氏五十度を超える厳しいサマワの地で大変な任務を無事に果たされて帰国をされましたことに、心から感謝と敬意を表する次第でございます。

 私自身も、平成十六年一月の十六日に防衛庁内で行われましたイラク復興業務支援隊隊旗授与式と、また、先般、七月の二十九日に実施をされました陸上自衛隊第十次イラク復興支援群隊旗返還式の方に出席をさせていただきました。隊旗返還式の方には防衛庁長官また麻生大臣ともに御出席をされておったわけでありまして、大変多くの自衛官またその家族の皆さん方を前に、私も非常に胸が熱くなったことを覚えております。あいさつの中で、額賀長官自身も本当に眠れぬ夜が何日もあったというような話をされておりましたが、本当に率直な思いではないかなという気がしております。

 またそれだけに、この自衛隊を海外に出すことについては、本当に政治の側でも原理原則に基づいてきちんと、本当に法律にのっとった形でこれを慎重に出していかないといけないということを改めて認識をした次第でありまして、きょうはそういった観点に立って、これまであいまいになっているような点があれば、それを本当に明確に整理したいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、これは防衛庁長官にお伺いしたいわけでありますが、六月の二十二日の本委員会で、バグダッド空港は非戦闘地域であり、自衛隊の活動対象地域であると答弁をされておりました。これはもう言うまでもなく、イラク特措法第二条第三項に基づいて、非戦闘地域の定義に照らして説明をされたものであると思うわけでありますが、これまでさんざんに議論をされてきたこの戦闘地域、非戦闘地域の定義についてでございますけれども、先ほども石破委員の方からもお話がありましたが、立法府の立場からこれを明確にしておきたいと思うわけであります。

 つまり、現在のイラク国内で、この政府の定義に照らした場合に、戦闘地域というものは存在をしているんでしょうか、まずその点をお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 今の御指摘でございますけれども、イラク特措法第二条第三項において、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域で実施されるということになっているわけであります。戦闘行為というのは、国または国に準ずる組織の間において生じる武力を用いて争いの一部を構成する人を殺傷し物を破壊する行為であるというようなことは政府の見解であり、石破元長官が先ほどおっしゃったとおりであるというふうに思っております。

 イラク全体について、我々はイラク特措法に基づいて人道復興支援活動をしていることであって、自衛隊が活動しているところは非戦闘地域でなければならないというふうになっておりますので、その非戦闘地域で活動しているということでございます。イラク全体を色分けして、ここは戦闘地域である、ここは非戦闘地域ではないということを我々は明確にして公表しているわけではありません。自衛隊が活動するところが戦闘地域であるのか非戦闘地域であるのかということについて判断をしているわけであります。

神風委員 いや、今のような答え方をするから、この定義が非常にわかりづらくなってしまうわけであります。

 恐らく、私の理解からすれば、この政府の定義を正確に当てはめれば、これはイラク全土が非戦闘地域であるという理解で間違いないことであろうかと思います。それはもう、これまでも議論があったように、大変な危険地域であっても非戦闘地域であり得るわけでありますし、その危険性と非戦闘地域の概念というのは関係がないという形になっておるわけでありますから、そういう意味で、今の我々が客観的に知り得る情報を持ち寄った場合に、今のイラクというのは、これは全体が非戦闘地域であるという認識であろうかと思いますが、改めてもう一度お伺いをしたいと思います。

額賀国務大臣 我々は、自衛隊の活動がなされるときに、そこが非戦闘地域であるかどうかということが基本的な判断を示すことであると思っておりまして、イラク全体がどうであるかということについては、イラク全体が自衛隊の活動範囲であるというふうに言った場合は、イラク全体が非戦闘地域であるかどうかの判断をしなければならないと思っております。

 したがって、神風先生のおっしゃるように、イラクが、今、国と国との戦争が行われて、あるいはまた国に準ずる組織が戦争状態になっているかということになると、一般論としては先生のおっしゃるようなこともあり得ると思いますけれども、自衛隊が活動する場合は、法律に基づいてきちっと判断をしなければならないということであります。

神風委員 この問題は、実は平成十六年の十一月の十日にも、私は当時の大野防衛庁長官に質問をいたしました。結局、イラク全体が非戦闘地域ではないんですかという形で伺ったところ、その長官の答えというのが、「たびたび国会で御説明申し上げております。イラク全体につきましては、治安について考えてみた場合、地域によってそれぞれ違うと思います。今まで御説明申し上げておりますのは、イラクの南東部、つまり、自衛隊が活動しておりますムサンナ県、サマワ、ここは比較的安定しておる、こういうふうにお答えしておりまして、地域地域でやはり相当治安については違う、このことを申し上げたいと思います。」という答弁だったわけですが、この答弁は、今の政府の見解からすると非常におかしいと思うわけでありますが、いかがですか。

額賀国務大臣 私が言ったのは、自衛隊が活動するところは非戦闘地域でなければならないということを、まず原則として法律に決められているわけですから、そのとおり自衛隊の活動をさせる場合は判断をしてやっているということを言っているわけであります。

神風委員 先ほど来この定義についてはさんざん言及をされておりますから、私が改めてもう言うまでもないわけでありますが、恐らく、政府がきちんと今の現状のイラク全土が非戦闘地域なんだということを明言しないから、これはいろいろなところでやはり混乱が生じているんだと私自身は思います。

 私があえてこれを伺っているのは、恐らくこの定義というのを、これから自衛隊が海外で活動をしていくに際して、一つの一定の定義として使われる、踏襲をされていく可能性が非常に強いからあえてここで伺っているわけでありまして、そういうことを考えた場合に、自衛隊を派遣するかどうかは別にしても、今のイラクの中で、逆に言えば、では戦闘地域というのがあるのかといった場合には、定義に照らせば恐らくないんであろうと思うわけでありまして、そこのところをきちんと政府としても明言をすべきだと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 イラク全体で自衛隊が今活動をしようとしているわけではありません。この前は、ムサンナ県のサマワで活動をし、その範囲内が戦闘地域であるかどうかというのが非常に大事なことであった。そして今度、空自の活動が継続されていくわけでありますから、空自は、その空港及び飛行経路について、そういう非戦闘地域であるところで仕事をするということにおいて、法律に基づいて行われるということでございまして、委員がおっしゃるように、それは、我々は仕事をしないところについて何も言及する必要はないわけでございます。

神風委員 あくまでもこれは定義として出されているわけですから、私はその定義に照らした場合のことをお聞きしているわけでありまして、それに対してやはり明確にお示しをしていただきたいなと。今後、それを一定の定義として使っていく場合にもそれは必要なことだと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 だから、戦闘地域、非戦闘地域というのは、先ほど申し上げたような概念であるわけです。法律は非戦闘地域で仕事をしてくださいということでありますから、国連や多国籍軍の要請がどういうものであるか、それをよく我々は掌握して、その仕事をする際に、安全確保、そしてまた非戦闘地域でなければならない、そういうことをよく照らし合わせながら航空自衛隊の仕事をさせているということでございます。

 それが今後、イラク全体にわたっていろいろな要請があって、よし、考えてみましょうかということになったときに、我々は、それはバグダッドであろうとどこであろうと、法律に基づいて、大丈夫です、やりましょうという判断をすることになるのでしょう。

神風委員 ある暴力行為が戦闘行為であるかどうか、その概念に当てはまるのかどうか、そして、その地域が非戦闘地域であるかどうかを判断するのは、防衛庁長官ということでよろしいですか。

額賀国務大臣 これは、防衛庁長官が直接的には情報収集し、地域の要請を受けて判断をしていく、そして、政府の考え方としてオーソライズするということであります。

神風委員 このイラク特措法の定義に照らせば、これから航空自衛隊の活動範囲というのがクウェート国内の飛行場施設及びイラク国内の飛行場施設という形で、いわばバグダッドを含めてイラク全土に拡大するわけでありますが、この定義に照らせば、それは正しいというか可能な対応なんであろうかと思うわけであります。しかし、それにしても、この戦闘地域という概念、これまでも幾らか言及がありましたけれども、米空軍のホームページ、公式サイトにも、航空自衛隊が創設以来初めて戦闘地域に配備をされたというような形で言及をされている。つまり、日米間で戦闘地域についての認識が違うというよりも、一般的な我々がふだんに使う戦闘地域という用語の概念とここで使われている法律の用語の概念が、これは余りにもかけ離れているわけであります。それが非常に混乱を来している最大の原因であろうかと思うわけであります。

 今後、この非戦闘地域という概念というか定義は、自衛隊の国際協力活動について、恒久法を考えるような場合に当然踏襲をされていくものであろうかと思うわけでありますが、いかがですか。

額賀国務大臣 先ほど議論があったわけでありますが、アメリカのコンバット何とかというのは、恐らく日本の戦闘地域というのとは概念が若干違っているような受け取り方をしております。戦地手当だとか免税だとか、そういうところまで含めて幅広く考えているところがあるというふうに聞いておりますけれども、我が国は我が国の法律に基づいて自衛隊を動かすわけでありますから、アメリカの概念と日本の概念が違っていることがあることは、これはいたし方のないことでございます。

 もちろん、国際的な活動を展開していくに当たって、共通の認識が生まれていくような形をつくっていく努力は必要だろうと思っておりますけれども、自衛隊を動かす場合は、我が国の法律に基づいてきちっとさせていただきたいというふうに思っております。

神風委員 少なくとも、早急に変更をしていただきたいのは、この用語自体を、戦闘地域、非戦闘地域という用語をちょっと変えていただきたい。どういう言葉が適切なのかは私もわかりませんが、非戦争地域であるとかあるいは非国際紛争地域であるとか、少なくともそういう用語に変えないと、これはいつまでたっても、マスコミの中でもあるいは学者の間でも混乱したまま続いていく議論ではないかと思っておりますので、その点、ぜひ検討の方をお願いしたいなと思っております。

 また、日本の政府内でしか通用しない議論は別にして、現在のイラクの情勢というものを政府としてどう判断をされているのか。ブッシュ政権の幹部はまだ内戦とは言えないと強調をしているわけでありますが、宣言がないだけで実態はもう内戦であるといった論調もアメリカ国内にも相当多いわけであります。

 そういう中で、日本政府の判断として、これが内戦であると判断をされるのか、あるいはまだそこまで至っていない、あるいは、アメリカが判断しない限りは判断ができない、判断をしないということなのか、そこら辺の評価はどうなっているのかを教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今報道ではいろいろ、まあ、国によっても報道の仕方が、イギリスの報道とアメリカの報道も大分またいろいろ違ったりしておりますけれども。見解が大分国によっても違うし、同じ国でも放送局によって、CNNとABCと少し違ったり、大分していますのでなかなか難しいところだとは思っておりますが、私どもは内戦と判断しているかといえば、そんなことはありません。

 ただ、私どもがどうしてそのように思っているかというと、この間バグダッドを訪問したときにおきましても、治安を担当しております外務大臣からいろいろ出ておみえになりましたけれども、目下バグダッド周辺の事態が極めて厳しいことにあることはもう認めておられましたけれども、その他の地域において、例えば南部地域において、またクルド人の多い北部地域等々について、イラク全土で内戦かと言われれば、とてもそのような状況ではないと。

 また、治安維持を担当しております治安部隊の人数も約倍の、十三万人から二十七万五千までふやしてきておるということもあるので、治安というものは基本的にバグダッド周辺地域を除く他の地域では少しずつ安定しておると、三日に会ったジバリ外務大臣もそう言っております。

 私どもは、内戦か否かを論ずるということよりも、今やはり民主的で、選挙もあれだけ大きな国できちんとした選挙をやっておりますので、そういった国が安定した国づくりというものを目下目指しておりますので、そういった努力というものを、国際社会、他の社会と連携しつつ、新しい制度が根づくように私どもとしては積極的に応援をしていくというのが基本的な姿勢だと思っております。

神風委員 そういう状況下の中で、今回、航空自衛隊の活動が拡大をするわけでありますが、その理由として、「国連からの要請も踏まえ、」となっているわけでありますけれども、これは、国連から具体的にどういう形式でどういう項目についての要請があったんでしょうか。

塩崎副大臣 この要請は、五月にアナン事務総長が来られましたが、その際、小泉総理に対して口頭で御要請がございましたし、同じときに、別の会談ではありましたが、麻生外務大臣にも口頭でございまして、人や物資の空輸支援、これについての国連の要請があったということでございます。

神風委員 そこで、空自の役割について少し具体的にお伺いをしたいわけでありますが、これは平成十七年の十二月十九日の本委員会で、額賀長官御自身が、これまでの航空自衛隊の実績として次のように答弁をされております。C130輸送機により、陸自部隊の人員、補給物資の輸送、それから人道復興支援物資の運搬、関係各国の人員等の輸送など、人道復興支援活動と安全確保支援活動を展開してきたと説明をされていたわけであります。つまり、これまで空自として人道復興支援活動と安全確保支援活動をともに展開してきたわけでありますが、この今の長官の御説明によれば、関係各国の人員等の輸送というのが安全確保支援活動というものに該当するという理解でよろしいんですか。

額賀国務大臣 それは、ストレートに関係国のものが治安関係であるということではありません。それは、関係国の間でも、人道的な人員、物資の輸送ということもあるわけでございます。

神風委員 イラク特措法の場合、大きく言えば、イラク国民を対象とする人道復興支援活動と多国籍軍に対する安全確保支援活動のこの二本柱で構成をされていたわけであります。それが今後、陸上自衛隊撤収後において、航空自衛隊の活動というものが多国籍軍支援のための輸送業務が中心となった場合には、このイラク特措法に照らせば、多国籍軍に対する安全確保支援活動が中心になっていくということになると思いますが、そういう理解でよろしいですね。

額賀国務大臣 それはまた非常に偏った見方であると思っております。

 国連の要請は人道復興支援的なものが中心であろうと思っておりますし、多国籍軍においても、これは、米国においてもインフラ整備だとかPRTだとか、イタリアでもインフラ、PRT、ウクライナ、英国、カザフスタン、ポーランド、ルーマニア、韓国、豪州、エルサルバドル、それぞれ給水だとかインフラ整備だとか建設関係だとか行政支援だとか、さまざまな活動を展開しているわけでございまして、そういう関係国の要請にこたえる場合もあるわけでございます。

神風委員 そこでお伺いをしたいんですが、八月の四日に閣議決定をされました基本計画の変更、この冊子でありますけれども、その中で、九ページになりますが、「人道復興支援活動に関する基本的事項」の中で、一方、航空自衛隊の部隊については、国連からの要請も踏まえ、引き続き人道復興支援活動を実施するという形で、わざわざこれが改めてここに記述をされているわけであります。

 これが非常に理解がしにくいというかわからない部分なんですが、これまで人道復興支援活動また安全確保支援活動ともに実施をしてきたものを、ここでなぜこう改めて引き続き人道復興支援活動を実施するという形で書かれているのか、逆に言えば、これからは安全確保支援活動はしないという意味なのか、そこら辺、どうなんでしょうか。

額賀国務大臣 国連の要請があったということは、先ほど外務省から、塩崎副大臣からお話があったとおりでありまして、それは人道復興支援活動が中心的なことになるだろうと思っておりますから、そういう多国籍軍の要請というのは、今までも人道復興支援活動に支障を与えない限りにおいて治安の関係の仕事もしたということでありますけれども、今度は国連の要請もあったのでそういうことを書き添えたということでございます。

神風委員 つまりは、安全確保支援活動もそのまま継続して行っていくという理解でよろしいですね。

額賀国務大臣 それはやってはいけないということにはなっておりません。

神風委員 この安全確保支援活動の実施要項の中で、物品に関して、先ほども議論になりましたが、弾薬を含んだ武器は輸送を行わないということが規定をされているわけでありますが、これはどのような手続で、どういう確認方法で守られているんでしょうか。

額賀国務大臣 これは、我が国の、先ほど来お話がありますように、武器弾薬の輸送はしないという基本的な考え方に基づいて、関係国の人員輸送を行う際にきっちりと我が国の立場を申し添えて、それを遵守されるようにお互いに信頼関係が構築されているというふうに思っております。

神風委員 余り十分な回答ではありませんが、時間もありませんので。

 航空自衛隊の派遣期間としても、この基本計画の中で本年の十二月十四日までという形で書かれております。これは、この期間ということで、この後は撤収ということになるわけでしょうか。

額賀国務大臣 空自の活動を継続して、国連の仕事はこれから本格化していく。そしてまた、イラクの民主化が発展をしていけば国連の活動もふえていくであろうし、そういうことで、まだ、イラクの政府の状況、多国籍軍の状況、そういうことを総合的に勘案しながら、我々も、イラクのイラク人による国家建設に寄与していくということを考えながら、いつまでやるかについては状況を見ながら判断をするということであります。

神風委員 この航空自衛隊の活動期間について、国連の方からこれは何か要請があったのかどうかということと、もう一点、先ほどの、つけ加えられた航空自衛隊の部隊について、国連からの要請も踏まえ、引き続き人道復興支援活動を実施すると書かれているわけでありますけれども、ある意味で、今発売されているニューズウィークなんかでも内戦の可能性が書かれておりまして、それの場合には、もうブッシュ大統領も米軍を撤退させるというような報道が相当なされてきている。逆に、この記述があるというか、そうなりますと、たとえ内戦になって米軍が撤退をしても、国連からの要請があった場合に、航空自衛隊としてはその活動を引き続き行わなければならないというような足かせになってしまう危険があるのではないかなという気がしておりますが、その点はいかが御検討をされておりますでしょうか。

安倍国務大臣 航空自衛隊の活動につきましては、もちろん、この法律が予定している状況を超える状況になれば法律にのっとって撤収をするというのは、これはもうごく当たり前のことであろう、このように思います。

 その中で、航空自衛隊の活動については、先ほど外務省の方からも答弁をいたしましたように、アナン事務総長からの要請も直接私に対してもございました。そういう中において、イラクの復興支援をさらに支えていく、また、イラク人がイラク人の政府をしっかりとつくり、さらに民主的な政府が確立をされ、復興に立ち上がっていくために我々も協力をしようという中においての活動でございます。

 そして、この空自の活動につきましては、イラクの政治状況、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化など、諸事情をよく見きわめながらイラクの復興の進展状況を勘案して適切に判断をしなければならない、このように考えております。

神風委員 国連からの要請というのは、何かあったんですか、現時点であるんですか。

安倍国務大臣 私、国会でも既に答弁をいたしておりますが、私がアナン事務総長とお目にかかった際に、こういう活動についてぜひ国連の活動を支援してもらいたい、このような要請がございました。

神風委員 航空自衛隊の撤収というのは、恐らく陸上自衛隊以上にそのタイミングが難しい作業になるのではないかなと思うわけでありまして、その点、ぜひ慎重に進めていただきたいと思っております。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久でございます。

 閉会中審査、御苦労さまでございます。

 私どもは、イラク戦争に反対をし、そして一貫して自衛隊のイラク派遣に反対をしてきた立場の政党でありますけれども、しかし、このたびの陸上自衛隊の派遣隊員の皆さん、全員無事に、一発の銃も撃たないで帰ってこられた。私は、本当に心から御苦労さまというねぎらいの言葉をかけてあげたいと思いますし、また、日本国の代表として現地でこれほどまでに称賛を得、諸外国から驚きの声をもって迎えられたこの自衛隊員の皆さんに一国民として誇りを感じますし、また、敬意と感謝を表したいというふうに思っております。

 その上で幾つかお尋ねをしたいと思っているんですけれども、せっかくきょう、いわゆるAAコンビの方が質疑に臨んでおられますので、本題に入る前に、北朝鮮に対する国連安保理の決議の点について一点だけ確認をさせていただきたいことがあります。

 「中央公論」に麻生外相が書かれた「日本外交、試練と達成の十一日間」、本当に非常にコンパクトにそのときの状況、きょうから一月前にまさに熾烈な、緊迫した国連安保理でのやりとりがあったということでありますが、私が非常に感慨深かったのは、私は野党の立場でありますけれども、これはやはり日本外交にとっては画期的な十一日間だった、新しい日本外交のあり方を世界に示すそういう第一歩になったというふうに率直に認めるところでもあります。数年前、混乱をきわめた外務省がよくぞここまで立ち直られたなということを改めて思わせていただきましたし、麻生外務大臣のこのエッセーを読んでも、大臣とそれからスタッフの皆さん、お互いに非常に信頼をされて一生懸命努力をされたという様子が書かれていたんですけれども、この安保理決議は、日本政府は、これは安倍官房長官も麻生外務大臣も、七章決議をとるという一点で最後までぶれずに突き進んでいかれた。それが最終的には功を奏して、あのような絶妙な、非難決議と一般には言われておりますけれども、ああいう決議を生んだ。中国も含む全会一致の決議がとられた。こういうことなんだろうと思うんです。

 一点、私がずっとそのプロセスで気になっていたのは、仮に七章決議をとってしまった場合、きちんととれた場合、その後のシークエンスといいますか、論理的に考えていけば、場合によっては経済制裁、そして臨検があったり拿捕があったり、最後は武力制裁、軍事的措置、こういうことが当然ながら視野に入っていたわけですね。当然、官邸の皆さん、安倍官房長官を中心に、そういう場合に備えての日本国政府としての対応について恐らくシミュレートしておられたんだろうというふうに思うんですが、どんな心づもりでどういう準備をされておられたのか、一点伺いたいと思います。

安倍国務大臣 今回の北朝鮮に対する決議につきましては、私と外務大臣の間で申し合わせておりましたのは、今回のミサイル発射は我が国に対する脅威であり、脅威を受けた我が国こそこの安保理で主張すべきではないか、そしてまた主張すべき権利がある、我々がしっかりとこの国連外交の場で主張していこうということを申し合わせたわけであります。そして、拘束力のある、制裁を含む決議を行う、それをサミットの前に行うという基本的な姿勢で臨んだわけでございます。

 最終的には、中国を含む全会一致でこの決議がなされたことは我が国のこの外交においても大きな成果であった、このように思うわけでありますが、ここで、七章への言及でございますが、この七章を含むことによって、これはいわば、この七章の中にはいわゆる制裁に関する条文があります。その中において、もちろん、できることにおきましては我が国の法律にのっとって行っていくということになるわけでありますが、しかし、もちろん、私どもができないことを私どもが提案をしている決議の中で行うということはあり得ないわけでございます。

 その中で、既に北朝鮮に対する制裁を可能にする法律等々もできている中において、我々は、もちろん国連決議があれば、できることについては、前回のこれは議員立法でできた法律のみならず、法律を必ずしも必要としない部分も出てくるわけでございますが、我々といたしましては、基本的には、私どもができる範囲の中において、しっかりとそうした憲章に言及する形での決議を行うということも当然考えていたわけでございます。

長島(昭)委員 長官、きちんとお答えいただいていないんです。私はわざわざ限界事例を挙げたんですね。つまり、七章決議というのは、最終的には武力制裁まで行く可能性のある決議ですから、そういう場合に備えて我が国政府としてどういう準備をしておられたのか。

 もっとずばり言えば、臨検、拿捕、周辺事態でもないのに臨検や拿捕はできませんね。今、我が国国内法の枠組みはありませんね。それから、こういう場合について国連の加盟国が一致して武力制裁を含む活動に従事する場合に、今、日本国にはそういう活動に日本が従事できるような国内法的な枠組みはありませんね。そういう法的な枠組みを準備されていたんですかという質問なんですが、いかがでしょう。

安倍国務大臣 国連決議に当たりましても、これは限られた日数の中でのことでございます。ですが、当然、既にある法令の中において我が国が対応できる、つまり、我が国がこの国連決議において決議を提案する以上、我が国ができないことをこれは義務づけるわけにはいかないわけでございますので、我が国自身が現行法令の枠内で実施できない措置を加盟国に義務づけるような決議を我々は提案をするということは考えていなかったわけでございます。

長島(昭)委員 私が一番恐れていたシナリオは、七章決議が通った、それを日本が主導した、しかし、いざ加盟各国がその法的拘束力のある措置をみんなでやろうといったときに、いや、うちは実は国内法が担保されていませんのでそういう活動には参加できません、おまえ、きのうまで威勢よく言っていたのに、何だ、きょうから離脱か、こういうことになりはしないかというのを非常に心配をしながら、でも、とにかく頑張って決議をとってほしい、そういう思いで見ておったのですけれども、麻生大臣は、このエッセーの中でこうおっしゃっていますね。非常に興味深い記述なんです。「「第七章」とは、国連の名による軍事的措置にお墨付きを与える根拠につながり得るとか。それを知った段階で、今だから言うが、わたしは最後の最後、「七章」への言及は外すことになるかもしれないと直感した。」

 麻生大臣のこのときの「直感」というものの根拠というのは、今私が申し上げたような、場合によって七章決議がきっちり取れちゃった場合には、日本にとって多少気まずい結果につながりはしないかというそういう思いだったんでしょうか。

麻生国務大臣 それは全然違うのでして、基本的には、あの七章というのを入れますと、今書いてあります後段の部分で武力のところが出てくるんですが、これが、結論、北朝鮮に対する武力攻撃を与える根拠になり得るということは事実だと思うんですね。したがって、それがあるから、中国は拒否権、ロシアは退席もしくは反対、棄権というようなことになり得る可能性がある。

 それで、私たちの欲しいのは、御存じのように、これは七章があるなしにかかわらず、今回の非難決議文の内容がすべてですから、その内容がきちんと担保されていれば、私どもとしては、あとの文章は全部日本が出した文章ほとんどそのままですので、それが担保される文章が前文につけばそれでよろしい、これが基本です。

 その上で、長島先生、七章さえ外せば、中国さん、おたくは拒否権なしね、退席もなしよ、棄権もしない、これに乗ってきてくれるのねという全会一致の方の影響力と、一人だけいなくなった十四対一で通るのと、ロシアも含めて十三対二で通るのと、もしくは拒否権を発動されて葬られるのというののこれは駆け引きです、基本的には。

 したがって、私どもとしては、十五対ゼロの全会一致の方が重みがある、しかも、早いところやりたいと言わないと、これはどんどん時間がたてばたつほどテンションが下がりますので。九三年のノドンのときには何もせず、九八年のテポドンのときは、あのときは二週間かかってたしかプレスステートメントで、文書を出せず。これで三回もやったら、我々は歴史に何を学んだのかということになりかねぬと思っておりましたので、何が何でも決議文というので、しかも早目にやらぬとというのが安倍長官と一緒のところでしたので、そこのところは私どもは、七章にかわる前文がつけば、あとの文章はこちらの要求どおり全部入っていますので、それができればよろしいと思っておったというのが経緯です。

安倍国務大臣 交渉のこの中身の詳細については、若干、麻生大臣は詳細に触れられましたが、詳細については控えさせていただきたいというふうに思いますが、基本的には、その七章についても、例えば七章について言及する際にも、七章にもいろいろな条文があるわけでありまして、この触れ方もいろいろなバリエーションもあったわけでございまして、当然、私たちが私たちのできる範囲内で、法令の許す範囲内でできることのみに限定しよう、こう考えていたわけでございます。

長島(昭)委員 結果的には絶妙なところに落とし込まれたというふうに私は思っています。それは今るるお話があったとおりであります。

 教訓は二つあると思うんですね。一つは、今、毅然とした外交が日本ではブームになっていますけれども、毅然とした外交をするのはもちろん重要なんですけれども、それと同時に、しん量といいますかプルーデンスといいますか、やはりそこのところは、さっき石破長官もおっしゃっておられましたけれども、自分たちができることは何なのか、できないことは何なのかというこの辺の見きわめもきちっとしていただかなきゃいけないことが一点と、もう一つは、やはり立法がおくれているんだと思うんです。先ほどの一般法の議論もあわせて考えて、我が国はまだ普通の国と言うのにはほど遠い国内法の整備状況であるということ、これは、政府が全部責任を負えという話じゃなくて、与野党で責任をきちんと分担していかなければならないこれからの努力目標ということで御認識をいただければというふうに思っています。

 では、本題に入ります。

 イラクでの航空自衛隊の活動でありますが、先ほど来お話を伺っていて、ちょっと一点、これは通告にはないんですが、腑に落ちないことがあります。

 私どもが党内でいろいろ政府の皆さん方からレクを受けたときには、今回のあの空自のミッションについては、国連の要請というのがかなり最初に説明をされていました。しかし、きょう、安倍長官が先ほど読まれました基本計画の変更についてのステートメントの二ページ目に、「一方、空自部隊については、国連及び多国籍軍への支援を行うため活動を継続し、」何というか、さらっとこう書いてあるんですね。国連の要請に基づいてというような文言がない。これは、どうしてきょうこのステートメントで落ちてしまっているのか。数日前、一週間ぐらい前からきょうに至る過程で何か国連との間で変化があったのか、これは安倍長官。

安倍国務大臣 先ほども申し上げましたように、空自の活動については、私も事務総長からも要請をされていることでございます。説明の中でこれは、たまたまそれは全体のこのボリューム等々の関係から切り離した結果だと思います。

長島(昭)委員 つまり、国連の要請は生きている、こういうことでありますね。そういう認識でよろしいですね。

 それと、外務大臣にあわせて伺いたいのがもう一つあるんですが、外務省のステートメントの中に、(ロ)ですね、イラク側からの発言の要旨のロ、これはもちろん全部書いてあるわけじゃないと思うんですが、日本の自衛隊はすばらしい仕事をした、これは陸自、空自もやっていましたけれども、改めて謝意、そして、イラク復興におけるこれまでの指導的な役割を評価する、イラク国民は決して日本の支援を忘れない、これで終わっているんですが、イラク特別措置法の基本原則、先ほど来議論がある、武器の威嚇、武力の行使はいけない、それから、戦闘地域で活動してはいけない、プラス、外国で活動する場合、当該外国の同意がある場合に限る、こういうのがあるんですけれども、今回、このステートメントにはないんですが、ちゃんとイラク政府から、空自の皆さんにも来ていただきたい、そして、やってほしいことはこういうことだというような話が外務大臣とジバリ外相との間であったのかどうか確認させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど、官房長官のあのお話にもありましたように、私は、総理大臣にアナン事務総長が要請をされた官邸に同席したわけではありません。私は、御本人からの要請を受けましたのは、外務省の飯倉公館にてアナン事務総長とのバイの会談をしたときに正式に向こうから、ぜひエルビルへ送ってもらいたいという話、エルビルというのは、御存じのように、国連の本部のあるところがエルビルですから、あのバグダッドよりもう少し北になりますので、そこに送ってもらいたいという正式の要請を、物資また人のあれを送ってもらいたいという話がまずありました。これは間違いなく御本人から伺いましたので、記憶はしっかりいたしておりますし、ノートも残っております。

 また、ジバリ外務大臣の要請というのは、これは、そのとき何度か電話しておりますし、電話でもありましたし、この間行ったときにも、要請を受けて我々としては空軍の支援を拡大するということを決定したという返事をするぐらいですので、電話で最初要請があって、国連からの要請が、国連の方が先だったかジバリの方が先だったか、正確なそこのところの記憶はちょっと定かではありませんが、いずれにしても、前後して要請があり、私が行ったときに、その要請にこたえて送ることを決定したという報告を向こうにして、大変感謝をして、陸自は引き揚げるけれども、空自はこういった形で拡大するからということに関して感謝の意が述べられたということだと記憶しています。

長島(昭)委員 そうであるならば、このステートメント、外務省の皆さん、これは特措法の基本原則の一つなんですから、やはりそういう要請があったんだったら、あったということを明記しなきゃならないと思いますよ。ぜひ注意していただきたいと思います。

 それから防衛庁長官、治安状況ですね。手元に八月三日のアメリカの上院軍事委員会でアビザイド中央軍司令官の証言があるんですけれども、彼はこう言っているんですね。今このイラクで起こっている、とりわけバグダッド周辺で起こっている宗派対立は、これまで自分が目の当たりにした中で最悪の状況である、そしてこれがもしとまらなければ、イラクがシビルウオー、つまり内戦に突入していく可能性があるんだ、こういう言い方をされている。本当に、こんなところで危険をあおるのは不謹慎かもしれませんが、私は、思いは皆さんと一緒でありまして、航空自衛隊の残された皆さんが本当に安全に帰ってこられることなんですね。その責任を持っておられるのが額賀長官だというふうに思うんですが。

 考えてみますと、航空自衛隊の今残されたミッションというのは、非常に厳しいミッションだと思うんです。つまり、陸上自衛隊が活動していたサマワというのは、それでも、我々の党の間では戦闘地域か非戦闘地域かといろいろな議論がありましたけれども、しかし、明らかにイラクの中では安全な地域でありました。ですから、アメリカなんかも、情報提供する際には、南の方はもう安全だからかなり適当な情報だったということも聞いているぐらい安定した地域、しかも、その地域を日本側がある意味選んで、ここで活動させてほしい。しかも最初は、オランダ、そしてイギリス、オーストラリア、完全に防護してもらった環境の中で活動したわけですよね。

 しかし、今回は空を飛ぶわけですから、だれも防護してくれません。そういう意味で、例えばバグダッド空港、バグダッド周辺がもし非常に治安が悪いとすれば、例えば離陸するときには非常に速度が遅くなるわけですから、肩撃ちのスティンガーみたいな地対空ミサイルのえじきになりやすい、そういう状況が予想されているんですね。

 これだけ、南の地域とそしてエルビル、さっき外務大臣からお話があったエルビルは、これはバグダッドよりも危険だと言われているんですね。どう危険かというと、多国籍軍が守っているわけじゃないんです。バグダッドの場合は、民間機も含めて離着陸のある前日には、アメリカが全部その周辺を掃討作戦をやって、それで空港に迎え入れる、そういう状況だそうです。しかしエルビルは、韓国の空軍の関係者がちょっといるだけで、余りうちには期待しないでくれと言ったという記事もあるぐらいで、非常にそこは私は神経を使わなければならない部分だと思うんですけれども、その辺の一般的な、戦闘地域か非戦闘地域かという話ではなく、隊員の安全、つまり、特措法九条で長官に求められているその安全確保についての御認識をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 長島委員のおっしゃるとおりでありまして、私も共通の認識を持っておりまして、イラクにおいていろいろ予測できないことが起こり得る可能性があるわけでございますから、万全の安全確保が前提でなければならない。そのためには、やはり多国籍軍、それから、特に情報を集約している米国、それからエルビルについても、韓国ですね、よく連携をとる、そういう形をしいているところであります。

 私も、先般クウェートに行ったときに、空自の皆さん方に対しまして、それぞれクウェートにいる方々の米国の幹部、韓国の幹部にも来ていただきまして、お互いに話し合いをし、連携を強めていただくようにお願いをしてきたところであります。

 当然、バグダッドにおいても、今長島委員がおっしゃるように、これは、空港については、やはり民間旅客機も出入りしているわけでございます、それからさまざまな要人、物資が運び込まれているわけでありますから、殊のほか安全には注意を払っているところであると思いますが、我が国の場合は、さらに念には念を入れていかなければならない。それで、C130の飛行機そのもの自体も、しっかりと安全確保するために装甲板とかさまざまな防護策を講じていることでございます。

 私は、金目のことで心配なくやれというふうに言っております。それから、安全が第一でございますから、人員、物資の輸送で、任務を遂行するために、任務をすることが大事でありますけれども、状況判断を間違ってはいけない。やはり、一分一秒を争っていく仕事ではないだろうから、しっかりとそこは判断を間違いがないようにということをよく言ってまいっておりますので、安全確保に万全を期して、陸自と同じように、いずれ無事に帰ってくることを祈るような気持ちで対応していきたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 時間が限られているのでこれ以上突っ込みませんけれども、やはり、先ほど国際標準というお話がありましたけれども、これまで日本の場合は、自衛隊の活動についてはもう手足を縛る方向の圧力の方が強かった。それが政治の都合だったわけですね。しかし今度は、政治の都合で手足を多少縛ったまま外国に出して活動させる。そうなると、今おっしゃったように、細心の注意を払う、安全については念には念を入れる。もちろんそうなんですけれども、私が一番心配しているのは、そうやって出されてしまった、前線で活動している自衛官の皆さんにその政治の都合が無用のプレッシャー、圧力、ストレスというものをかけていくことについてやはり政治家は自覚がないといけないというふうに思いますし、その点、ぜひ御認識を深めて対応していただければというふうに思っています。

額賀国務大臣 これはおっしゃるとおりであります。

 やはり、自衛隊は制限された中で活動をしております。したがって、制限された枠内で仕事をすべきだというふうに思っております。したがって、制限の枠を超えてまで仕事をやる必要はない、そういうふうに私は言っております。

長島(昭)委員 さてそれで、今、インド洋では海上自衛隊が一生懸命補給活動を続けておられます。そして、陸上自衛隊はここで一つのミッションが終わって、帰ってこられます。ただ、ゴラン高原では、もうことしで十年目に入っている活動ですね。そして、航空自衛隊が今イラクに残って活動をさらに拡大する。

 先ほども出ておりましたが、いつ終わるのか。このイラクにおける航空自衛隊のミッションは、どういう形をもってミッション終了、コンプリートということになるのか、これが非常に見えない。先ほど、安倍長官は、二度にわたって幾つかの条件、多国籍軍の活動の状況、治安の改善の状況、これは特措法の議論のときにもさんざん私どもも承ったポイントなんですけれども、それでもまだよくわからない。

 なぜわからないかというと、国連の要請というのが一つ今回要素として加わった。そして、国連の活動というのは、今、UNAMIのミッションが、現段階で六百八十三名、本部がバグダッド、支部がバスラとエルビル、こういう報告を受けていますけれども、国連のミッションはこれからどんどん拡大していくんですよね。治安がどんどん安定していけばいくほど、国連の職員が入ってくることになると思うんです。そうすれば、国連のミッションに絡んで航空自衛隊が活動を行うということになれば、これはまさにエンドレス、際限のない状況。

 今はインド洋でもまさにエンドレスの状況になりつつあるし、それからゴラン高原でも、これは国連のミッションですから、これもさらに何年かかるかわからない。航空自衛隊の皆さんもいつ出口が来るかわからない。これも、先ほどの危険ということと同時に、いつ出口が来るかわからないというのは、これもやはり活動しておられる皆さんにとっては非常なプレッシャー、ストレスになると思うんですけれども、ずばり伺いたいと思いますが、出口の条件、出口といいますか、つまり、航空自衛隊の活動はかくかくしかじか終わりましたという明示的な基準というものはどういうものがあるのか、ぜひ国民の皆さんにもわかるような形で御説明いただきたいと思います。

安倍国務大臣 サマワの陸上自衛隊の撤収についても、再々この出口について質問がなされました。私どもは、基本的には、サマワの住民の方々からも感謝される形で、そして、今イラク全体の復興支援のために活動している多国籍軍を出している国々からも十分に了解される中において撤収できれば、これはまさにミッションコンプリートになるだろうと。まさにそういう形で撤収することができた、このように思っております。

 そして、この現在の空自の活動でございますが、現時点で何ともこれは言えないわけでありますが、私どもがこの空自の活動を通じてなし得たいということは、これは、しっかりと人道復興支援をさらに進め、イラクがしっかりとした国として、民主的で自由で平和な国として発展をしていく、こういうことに貢献をしていくために世界の国々とともに活動をしているわけであります。

 それをどう判断するかということでございますが、それはやはり、今申し上げましたようなイラクの状況、政治状況がございます。また、現地の治安に係る状況もあるわけでございますし、また、国連の要請もございました。国連及び多国籍軍の活動状況や構成の変化等々を見て我々は、そうした中においてイラクの復興の進展状況を勘案して判断をしていかなければいけないと考えております。

長島(昭)委員 これは恐らく、もちろん、政府が派遣をしているわけですから、政府がまず第一義的に考えていただかなきゃならない問題だと思いますが、これはぜひ、これから当委員会の議論を通じて、与野党で、どういう条件が満たされたら航空自衛隊のミッションを終わらせるかということをやはり知恵を出し合っていかなければならない、もう隊員に過剰な負担をかけるような政治の決定だけはゆめゆめすまいということをお互いに認識させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 イラクに自衛隊を派遣して二年半、陸上自衛隊は撤収したわけですけれども、空自の活動は引き続き継続し拡大する。一体、当初アメリカが、戦後の混乱のイラクをおさめなければ混乱は回復しないというような議論もありましたが、今までかかっても治安はますます悪化し、内戦の危機ということまで言われるようになって、いつまでいたらイラクの治安は回復するのか、政治プロセスも終わったじゃないかと。そういう、本当に今アメリカの占領統治そのものにメスを入れて再検討しなければいけない、そういう中で日本の政府がどういう役割を果たさなければいけないのか、こういうことについて考えていかなければいけない、そういうことが求められていると思います。

 にもかかわらず、今までのアメリカ支援の方向、これを今後も変更することなく基本計画の変更が行われました。きょうは、その基本計画の変更の内容について聞いていきたいと思います。

 実施要項もできたわけですが、今回の変更で、これまでの四つの空港に加えて新たにタリル飛行場とエルビル飛行場が例示をされています。そういう例示の変更があったのはわかるわけですけれども、例示していないのも含めて、今回、対象空港そのものは計画と実施要項で変更はあったんですか。

額賀国務大臣 これまでも実施要項の中で空港が幾つかあるわけでありますが、安全を確保する意味でオープンにしてこなかったわけでございまして、今度、国連の要請に基づいてエルビル空港について公表させていただいたということでございますけれども、今後も、やはり一番、今も議論がありましたように安全確保が大事でありますから、実施要項に入っておりますけれども公表ができないというところを御理解いただければありがたいと思います。

赤嶺委員 そうすると、公表できる空港はふやしたけれども、対象空港には変化がないということでよろしいんですか。

山崎政府参考人 変更はございません。

赤嶺委員 対象空港の変更はないわけですが、今回、タリル空港というのが新しく例示されているわけですね。それで、自衛隊が撤収してタリル空港の役割というのは、当然これから自衛隊の支援空港としての役割がなくなっていく。だのに、何でタリル空港を今回新しく例示に加えたんですか。

山崎政府参考人 先生よく御承知のように、タリルは一つの拠点空港でございます。航空自衛隊としても多国籍軍等の支援等を行うに当たりましてよく使う空港でございますので、例示的に掲げたわけでございます。

赤嶺委員 よく使う空港で、自衛隊がサマワに派遣されてから自衛隊の支援空港としてタリル空港が使われていることは、例示されていなくても明らかになっていたわけですね。そうであれば、なぜ最初のときから例示していなかったんですか。あるいは、最初のときの安全確保に仮に問題があったとしたら、次の基本計画の変更のときには例示するというぐあいにしてもよかったんじゃないですか。何で自衛隊が撤退してから後例示するんですか。

山崎政府参考人 タリル空港に限って言えば、陸上自衛隊の支援ということが主でございましたけれども、そのほかに、当初から多国籍軍に対する支援等についてもタリル空港を使用していた。したがいまして、そういう主要空港について今後とも継続して使っていくということで、代表例の一つとして掲げたというふうに考えております。

赤嶺委員 タリル空港を自衛隊の支援のために一生懸命使っていた時期は例示せずに、自衛隊が撤収してから後あえて例示する、そしてタリルは大事ですよというのは、ちょっとなかなか納得のいく説明じゃないですよね。

 私は別の意図を感じるんですよ。やはり、引き続き人道復興支援なんだよというようなことを余り表に出した説明ばかりするなというのは、先ほどの与党の先生の質問にもありましたが、どうもそのたぐいじゃないかなという別の意図を感じるわけですね。

 それで、ではこれから何をやるのかという問題です。国連の依頼を受けてということでしたが、当初、報道では国連の人員や物資を運ぶんだと言っているんですが、それが始まらないうちに、この間、バグダッド空港に最初の飛行は多国籍軍の兵士の輸送になっているわけですね。米軍がまさに今戦闘作戦行動を展開しているバグダッドに兵士を輸送する、こういう活動をこれはやっていくんですよね。いかがですか。

山崎政府参考人 自衛隊の任務としては、再三政府の方から申し上げておりますように、人道復興支援活動及び安全確保支援活動ということ、二本立てになっておりまして、安全確保支援活動あるいは人道復興支援活動の両立てでございますが、その二つともにバグダッドについては需要があるというふうに考えております。

赤嶺委員 バグダッドは安全確保支援活動の需要を優先したので、国連からはまだバグダッドへの輸送任務、そういうものについては始まってもいない、こういう状況があると思うんですよ。

 それで、先ほど池田先生の質問にもありましたが、ちょっと聞き方を変えたいんですけれども、人道復興支援活動の支障のない範囲で安全確保支援活動を行うということになっています。例えば日本政府の姿勢として、その場合、両方やるんだが、半分以上は人道復興支援活動に充てるんですよ、こういう量的な配分をしているとかそういう姿勢をお持ちなんですか。

井上政府参考人 我が国といたしましては、安全確保支援活動を行うわけでございますけれども、引き続き人道復興支援活動を中心に行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 具体的にこれが量的にどうかというようなことではございませんで、先ほど来御説明がございますとおり、国連の活動に対する支援、これはUNAMIに対する支援であるわけでございますけれども、まさに人道復興を行っている機関でございまして、それに対しての輸送を行う、これはまさしく人道復興支援活動そのものであるわけでございます。

 また、国連の活動でございますけれども、安全の確保、回復の多国籍軍の活動でございますが、もあるわけでございますけれども、今後、復興支援にも重点を置くことになることが見込まれているわけでございまして、そうした、国連、そして人道復興を行う多国籍軍への人員、物資を行っていく、そして、その可能な範囲の中で安全確保支援活動も行っていくという考え方でございます。

 そうしたことから、人道復興支援活動を中心に行っていく考えを引き続き維持していくというものでございます。

赤嶺委員 今の考えは考えとして持っているけれども、実際に始めたのは国連の人道復興支援、物資、人員の輸送ではなくて、バグダッドへの多国籍軍兵士の輸送だった。だから、余り答弁に説得力がない感じがしますよ。でも、姿勢だけは堅持していますという政府の説明でした。

 別にどちらが優先というのを量的に決めているわけでもないということでしたが、そうしますと、輸送が始まります、例えばアメリカ側が輸送を依頼してくる。その場合に、輸送する米兵の任務が人道復興支援なのか安全確保支援なのか、これは日本政府として確認するんですか。

山崎政府参考人 そこは、例えば具体例といたしまして、多国籍軍の仮に兵士の方がインフラ整備等に当たることもございますので、先生が御指摘のような截然とした分け方というのはなかなかしがたいというふうに考えております。

赤嶺委員 分け方はなかなか判断しがたいということですが、ですから、判断するために米側に確認するんですかと聞いているんです。

山崎政府参考人 先ほど内閣の方からも答弁がありましたように、多国籍軍の中においても、人道復興支援、インフラ整備等にこれから当たっていく、あるいは既に当たっている部分もあると思いますが、今後とも活動がふえてくるということを踏まえれば、先生の御指摘のようなことはないというふうに考えております。

赤嶺委員 私、何かを指摘したわけじゃなくて、確認するんですかと聞いているんですよ。これは安全確保支援活動なのか人道復興支援活動なのか、するかしないかだけ答えてくださいよ。

山崎政府参考人 今申し上げたように、その必要性はないというふうに私どもは考えております。それは、先ほど御説明したところから御理解をいただけると思っております。

赤嶺委員 つまり、量的に人道復興支援活動をふやす姿勢を持っているわけでもない、それから、実際に兵士を輸送した場合に、それが安全確保支援なのか人道復興支援なのか確認する必要もない、政府の姿勢だけははっきりしていますと。しかし、政府の説明というのはなかなかそれだけではよくわからないんですね。

 それで、仮にいろいろなイラクの情勢が動きます。今みたいにまだ具体的に人道復興支援活動の計画が日本と国連の間でまとまっていない時期に、しかし、仮にそういう活動がない時期に安全確保支援活動に専念する、そういう場合であっても、それは基本計画には反することはない、こういう理解でいいでしょうか。

山崎政府参考人 先ほどから御説明をしておりますように、安全確保支援活動だけではなくて、多国籍軍は人道復興支援活動も行っているというふうに理解をしております。

赤嶺委員 ちょっと時間が来ましたので少し割愛をしまして、先ほどから出ている出口の話を聞きたいと思います。

 空自はいつまでイラクに居続けるんですか。どういう状況になれば撤退するんですか。官房長官。

安倍国務大臣 イラクの政治状況、現地の治安に係る状況、国連及び多国籍軍の活動状況及び構成の変化などの諸事情をよく見きわめながら、イラクの復興の進展状況を勘案して適切に対応してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 あの陸自のサマワからの撤収のときには、イラクの政治プロセスという表現がありました。今回の基本計画の変更の中には、「イラク新政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展」、こういう表現がなされています。選挙もやった、憲法もつくった、新しい内閣もつくった、政治プロセスが完了した。ところが今度の基本計画では、「イラク新政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展」ということになってくると、これは具体的にどんな状況を言うんですか。

井上政府参考人 今回の基本計画におきまして、「イラク新政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展」というような文言を入れさせていただいているわけでございます。

 確かに、国民議会の選挙が終わりまして新しい政府が発足をしたわけでございますけれども、現在、連邦制や憲法改正等の課題を克服して、国民融和のもとでイラク全土を有効に統治する民主的で安定的な国家として発展をしていく段階であるというふうに考えているわけでございまして、そういう観点から、先ほど申し上げました「イラク新政府による有効な統治の確立に向けた政治状況の進展」というような文言を入れさせていただいているものでございます。

赤嶺委員 政治プロセスで、総選挙、憲法、組閣というのは明確な到達目標があったわけですが、今のような「有効な統治の確立」というのは一体何を指すんだ、メルクマールは何なんだと、さっぱりわからなくなっていく。

 この間、ブッシュ大統領とマリキ首相との会談があって、その後のホワイトハウスのホームページに会談の要旨が発表されているんですが、ブッシュ大統領の言葉として、アメリカ政府の方針は、イラク政府がイラク国民をみずから守ることができるようになるまで駐留する、このように言っています。そのときまで自衛隊は一緒に駐留するんですか。

安倍国務大臣 この空自の任務完了、撤収の時期につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

赤嶺委員 私、イラク政府がイラク国民をみずから守ることができるようになるまで駐留するというブッシュ大統領の、このホワイトハウスの掲げられた会談要旨を見て、ふと、これは安保条約かなと。戦後六十年たってもなお日本に外国の軍隊が駐留し、そして、そのもとで基地に苦しめられている地域が現に存在をしている。そのことについて一向に解決できない。

 そこまで結局今の日本政府のイラクへのかかわり方というのはアメリカ追随で、アメリカについてだけいけば絶対に何も問題が起きないと思っているけれども、しかし、イラクの国民にとっては非常に不幸な事態が今起きているということを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は三大臣おそろいでございますので、私に与えられた時間が十二分と短うございますので、各大臣にも、恐縮ですが、手短な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず安倍官房長官にお伺いいたします。本日は基本計画の変更ということに当たる委員会でございますが、基本認識をまずお尋ねしたいと思います。各委員の中からも御質疑にございましたが、イラクの治安状況ということについての認識、特に我が国の政府の認識についてお尋ねしたいと思います。

 いただきました基本計画の変更の文案の中にも、「多国籍軍からの治安権限移譲プロセスも進行するなど、」云々とございましたが、イラクの治安状況ということにつきましては、民間人の犠牲も含めて、極めて深刻な事態が現在進んでおると私は思います。

 ちなみに、我が国の外務省とそれから内閣官房に民間人の犠牲についての集計をお尋ねいたしましたところが、確たるものは集積していないというお答えでありましたので、私が入手しましたもの、すなわち国連UNAMIの統計と、そして米国のブルッキングス研究所のものから引かせていただきますが、UNAMIによれば、今年一月から四月まで平均二千百人だった民間犠牲者が、五月は二千六百七十、六月には三千人、同様にブルッキングスの集計によると、市民の犠牲、五月は最大で千五百九十三、六月は千八百四十八。お手元に資料を配らせていただいているのはブルッキングス研究所のものでございます。

 こうした事態を見ても、私は、今回の基本計画の変更ということに当たって、治安状況についての政府の認識が少し甘いということと、アメリカでは、先ほど来委員の御指摘です、内戦にもつながりかねないことも織り込みながら対処しておられます。安倍官房長官、いかがですか。

安倍国務大臣 イラクの治安状況に対する政府の認識についての質問だと思います。

 イラクでは、バグダッド等でテロや各種の攻撃が頻発し、宗派間の対立も見られるなど、予断を許さない状況が継続をしていると認識しています。

 こうした状況にあって、イラク政府は、バグダッドや南部のバスラでの集中的な治安対策の実施、国民和解計画の策定など、事態の改善に向けて懸命の努力を払ってきています。また、イラク治安部隊は、昨年一月は十三万人でございましたが、本年八月二日現在、約二十七万五千人にまで増強をされた、このように承知をしております。

 このような状況におきまして、我が国としては、民主的で安定した国づくりに懸命に取り組むイラク政府の努力を、国際社会と連携しながら積極的に支援をしていくことが重要であると考えております。

阿部(知)委員 イラク政府の真剣な取り組みを否定するものではございませんが、その中にも宗派対立があり、例えば治安プロセス、治安を担う部隊の中にも同じような宗派対立ないし虐殺等々も起きているわけです。もう少し緻密に現実をごらんになって。

 私は次の質問は額賀長官にお願いいたしますが、特に、航空自衛隊が活動を拡大するという中にあって皆さんどなたも心配しておられると思います。治安状況はいかなるものであるのか。先ほど来の御答弁によれば、例えば人道復興支援とそれから多国籍軍の安全確保活動は実は区別がつかないんだという簡単に言えば御答弁だと思います。また、聞いてみる気もない。

 そういう中で、例えば、国連機と違いまして自衛隊機が物を運ぶ場合に、それが兵隊を運んでいるのか物資を運んでいるのか、もちろん戦闘する側からは見えません。その中で自衛隊機の安全をどう守るかということにおいて、私は現実的な御答弁をいただきたい。例えば、国連機というものは今ほとんど飛んでおらない。今後はどうなるのか。その国連機の抱えるリスクと我が国の自衛隊機の抱えるリスクは違うのか、同じなのか。この点いかがでしょう、額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 先ほど来お話がありますように、多国籍軍の中でも、みんなも、何も治安維持活動だけではなくて、さまざまな人道復興支援活動も展開をしていることも事実でございますし、我々は、国連の要請もあり、引き続いて活動を継続するということにしたのはもう御承知のとおりでございます。

 その際に、委員がおっしゃるように、我々は、まず何としても安全を確保しなければならないということでございます。だから、C130の安全をどういうふうに確保するかということについてできる限りのことの措置を行っているわけであります。

 実際に小火器とか携帯型地対空ミサイルで被害を受けた輸送機もあるのは事実でございますから、そういうことを踏まえて、しっかりと情報収集等々もやりながら、自衛隊のC130が飛ぶときは安全が確保された時点で行う、制限された中で仕事をするわけでありますから、能力を超えた以上のことをやる必要はないというふうに思っておりまして、そういう考え方で自衛隊の皆さん方には言っておりますので、陸自と同じように皆無事に安全で日本に帰ってくるように万全の体制をしかせていただきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 それは当然国民も同じ思いです。

 ただしかし、私が伺いたかったのは、例えば今国連機は飛んでいませんが、国連機であることと自衛隊機であることと米軍機であることと戦闘状況において何らかの差があるのか、リスクの、危険の。私はその点が極めて懸念されるわけです。

 もちろん、日本が交戦をしないという前提のもとで自衛隊機は行っております。この安全性の担保ということは、おのおの日章旗を例えばつけることでそれが高まるのであれば、そのような担保になるでしょう。しかし、現実にはおありとお考えでしょうか。また、国連機は実際に運搬にこれから稼働するのでしょうか。いかがですか、大臣。

額賀国務大臣 国連の旗を掲げた飛行機が飛ぶかどうかは承知しておりません。自衛隊のC130の飛行については、これは、我々が我々の考え方で我々の法律に基づいて守り切るということでございます。アメリカがどうであるか、韓国がどうであるか、もちろん、情報収集しながらお互いに連携をとる必要はあると思っておりますが、我々は我々の力を十二分に発揮して、安全を守ることに全力を注ぐということでございます。

阿部(知)委員 その治安状況の先が見えないということは、イラクに行っていらっしゃる日本の大使館の方の発言にもございます。ちょうど、奥大使が亡くなられてもうすぐ三年がやってきますが、彼がまた一番心配していたのも治安状況でした。その心配される治安状況の中で彼はあのような攻撃に遭い、亡くなられました。私は、とても志のあるいい外交官だと思っております。そういう意志のある、本当にイラクと日本の将来を考えた外交官の死がああいう形で訪れたということを日本政府はもっと真剣に考えていただきたい。そのための治安確保ということにももっともっと私は多面的な分析をしていただきたいとお願い申し上げます。

 最後に麻生外務大臣に、このイラクの件では、確かにバグダッドにせんだって行っていらっしゃいました。サマワから日本の陸上自衛隊が撤収して、その後がどうなるんだろうかという不安の声が大きい中で麻生大臣行かれたんだと思います。そのことと別に、きょうは私はレバノン情勢について麻生大臣に破格のお働きをお願いしたいので、お伺い申し上げます。

 我が国は、イスラエルによるレバノンの攻撃に対して即時停戦ということを表明し、そのための幾つかのアクションも行ってまいりました。八月二日には、イスラエルに伊藤政務官ですか、いらっしゃいましたし、今後、国連でも決議が上がるそういう段階にもあるとは思いますが、実は、イスラエルの側は地上戦で今侵攻を開始し、犠牲も、イスラエル側にもレバノン側にも拡大するやに私は思います。

 こういう中にあって、刻一刻やはりスピーディーなアクションというものが必要ですが、麻生外務大臣には、再度イスラエル側にも出向かれて停戦の働きかけをする意思がおありや否や。また、特にこの間、アメリカのライス国務長官の役割というのが、必ずしも世界の中で本当にアメリカが果たすべき役割を果たしていないのではないかという声も上がっております。アメリカへの働きかけはいかがお考えか。二点、恐縮ですがお願いします。

麻生国務大臣 これは、けんかをしているときには片っ方だけとめてもとまりませんで、あのヒズボラというのも大量のロケット弾を撃っておりますので、ヒズボラにも行かにゃいかぬということにならないと公平を欠くということになるんだと思います。これは、けんかは大体両成敗というのが常識ですけれども、私らにヒズボラとのコネクションというのはほぼゼロです、正直申し上げて。したがいまして、イスラエルに仮に行ったといたしましても、相手にはちゃんと言ってくれたんだろうね、相手の条件は何と言われると、こっちは答えようがないんですね。ここのところはやはり阿部先生、これは一番難しいところでして、こういった話というのは両方に行かにゃいかぬというところがなかなか難しいところなんです。

 片っ方の方は国家ではありませんしテロ組織というものでありますので、私どもはテロ組織とは闘うということはもうはっきりしておりますので、今の段階であのコンドリーザ・ライス長官等々といろいろ話をするというのは、この間のクアラルンプールでも似たような話をいろいろしておりますけれども、両方とも、これは即時といったって、両方する気がないのに即時といってもなかなか効果が上がらないのが事実だと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、日本がここで何ができるかと言われて、私がそこに行くことによっていかなる効果があるのかというのが、ちょっと正直申し上げて今の段階でよく見えておりませんので、今後の検討の対象にさせていただきます。

阿部(知)委員 ぜひ、一刻も早い停戦に向けて、シリアやイランへのいろいろな総体的な枠もあると思います。核の問題もあります。麻生外務大臣がぜひ御尽力いただきたいと思います。

 ありがとうございます。

三原委員長 御苦労さまでした。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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