衆議院

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第4号 平成18年10月19日(木曜日)

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平成十八年十月十九日(木曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石破  茂君 理事 渡海紀三朗君

   理事 中谷  元君 理事 西村 康稔君

   理事 神風 英男君 理事 原口 一博君

   理事 田端 正広君

      安次富 修君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      宇野  治君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      清水鴻一郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    高木  毅君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      吉川 貴盛君    池田 元久君

      菊田真紀子君    後藤  斎君

      田島 一成君    寺田  学君

      中川 正春君    長妻  昭君

      伴野  豊君    牧  義夫君

      山井 和則君    江田 康幸君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房衛生監) 安達 一彦君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  玉沢徳一郎君     高木  毅君

  古賀 一成君     牧  義夫君

  武正 公一君     寺田  学君

  山井 和則君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     西村 明宏君

  菊田真紀子君     山井 和則君

  寺田  学君     武正 公一君

  牧  義夫君     古賀 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  西村 明宏君     玉沢徳一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣法制局第一部長山本庸幸君、防衛庁長官官房衛生監安達一彦君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君及び外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則でございます。これから四十一分間にわたりまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず何よりも、今回のこのテロ特措法の延長、本来、通常国会で法案を提出して、これだけ重要な問題ですから、じっくりと時間をとって議論すべき問題であったと思います。さらに、十月九日の北朝鮮の核実験、やはり、これによって日本における危機管理あるいは防衛問題に関する状況というのは、テロ対策も含めて大きく状況が変わりつつある、そういうときであると思います。

 また、月曜日の質疑を聞いておりましても、この五年間に対する総括というものが極めて不十分であると思っております。伴野議員の質問の中でもございましたが、原口議員や伴野議員、与党の理事の方々とも現地を視察された。そういう中で、本当に灼熱の太陽のもと、日本のために精いっぱい汗を垂らして任務に励んでおられる自衛隊員の方々には、心より敬意を表したいと思います。だからこそ、このテロ特措法がこのままの形で延長していっていいのかということをじっくり審議せねばならないと思っております。

 私たち民主党としては、テロに対しては全力を挙げて闘っていかねばならない、そして、自衛隊員の方々に対しても最大限の支援をせねばならないと思っております。しかし、今回の議論を聞いていて思うのは、何か、二年、二年、一年、一年と場当たり的、そして、総合的なテロ対策ということに取り組まずにただ漫然と措置法を延長していくというやり方は、まさに官僚丸投げ、問題先送り、そのために約五百十六億円もこの予算が投入されております。

 私、ここでまず最初に問いたいのが、防衛庁長官のリーダーシップということであります。本当に、政治家としてきっちりとしたリーダーシップをしていっておられるのか。

 なぜそういうことを聞くかというと、まず最初に質問したいのは、十月九日の北朝鮮の核実験の第一報をどういうふうな形で聞かれたのかという問題であります。これは、危機管理上大きな失態であったのではないかと思います。

 きょうお配りしております資料を見ていただきたいと思います。

 整理をしますが、結論を言いますと、中国から第一報が十時半に入った、それから久間長官に連絡が入ったのが、何と二時間十分後なわけですね。結局、飛行機が到着してからですから、二時間十分後なわけです。

 この問題について、久間長官、どのように考えておられるか、まず答弁をお願いします。

久間国務大臣 他の委員会でも答えましたとおり、私に正式に入ったのは、大阪空港に着いたときでございますから、十二時三十分、このとおりでございます。

 ただ、この間も申し上げたわけでございますけれども、防衛庁としては、私が留守中には北川政務官が代理をするということで指定しまして、もし実験を行った場合にはどういう対処をするかということについて指示の文案をつくりまして、そういうことでみんな構えをしておったところであります。

 そして、十二時三十分に連絡が入りまして、一時の飛行機でその場で引き返したわけでございます。それで、羽田空港に着いて具体的な内容を聞いて、その指示文書どおりの指示をしたということでございますから、個人で云々というよりも組織として行動するわけでありまして、その間に官邸において緊急の閣僚の参集があったわけでございますけれども、そのときも一時には北川政務官が出ているわけでございますから、組織できちっと対応しておった、私はそういうふうな認識を持っております。(発言する者あり)

山井委員 今も原口理事から、大臣は、そんなだったら要らないじゃないかという声が出ております。

 大体、こういう緊急事態、日本の危機にこそ政治家のリーダーシップが最も必要とされているのではないですか。今の話を聞いていたら、こういう緊急事態においても、長官と二時間十分も連絡がとれなくても、それでちゃんと対応できるというのは、私が最初に言った、まさに、官房長官がアドバイスしないでくださいよ、長官に聞いているんですから。

 長官、そのことについて問題があったとは感じないんですか。

久間国務大臣 さっきからも何度も申しておりますように、私の留守中のそういうような対応についてきちんと決めているわけでございます。これは、組織としてどういうふうに対応するかというのをどう決めておくかというのが大事でありまして、それを私が全部が全部やらなきゃいかぬというような前提に立ってやることじゃございません。これはおたくが大臣に仮になったときでも言えるわけでありまして、留守中はどうするか、そういうことをやはり組織として決めておく、これが組織ですから、その辺については御理解いただけるんじゃないでしょうか。

山井委員 北朝鮮が核実験をするというのは、これは大変なことですよ、日本にとっては。そういう緊急かつ重大な事態において、長官としばらく連絡がとれなくてもいいと。そして、御存じのように、週末にこういう核実験があろうということはわかっていたわけでしょう。不意打ちでもないわけでしょう。私は、そういう危機的な状況こそ、日本の防衛の責任者がいなければならないと考えます。

 おまけに、安倍総理もこのときいなかったわけじゃないですか。十時四十分に総理に報告があった、十一時二十分に内閣官房より防衛庁に連絡があった。四十分の落差があるわけです。こういう官邸対策室を設置したら、まさにそこと連携して行動すべきじゃないんですか。いかがですか。

久間国務大臣 よく、週末にあるとわかっていたじゃないかとおっしゃいますけれども、週末にあるというのはわかっていなかったわけでありまして、核実験をする可能性があるという報道はされておりましたし、その報道についてはキャッチしておりました。それが週末にあるということがはっきりしていたわけじゃございませんで、その辺については御理解賜りたいと思います。

 それと、今言いましたように、総理大臣にかわって官房長官が官邸に残ってその対策を講ずることにもなっておるわけでありまして、防衛庁においても北川政務官をその代理として指定しておったわけでございます。確かに二時間という空白が生じておるというのはおっしゃるとおりでございまして、そういうものに対して非難されるならば非難は甘んじて受けますけれども、組織としてはやはりどこかで代理者が代理せざるを得ないようなケースは出るわけでございますから、その辺については御理解賜りたい。特に、民間機の場合は連絡がとれない場合が実はあります。そこのところについてはぜひ御理解賜りたいと思います。

山井委員 危機管理の本質は、最悪の事態に備えてプリペアドネス、準備しておくということですよ。そういう意識が欠如しています。

 また、今回のこの状況を見て、防衛庁長官、国民はどういう印象を持ったと思いますか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

山井委員 北朝鮮で核実験が行われた、にもかかわらず、肝心の防衛庁長官がそのことを二時間十分も知らなかった。こういうことで、国民は本当に不安に思っておりますし、また自衛隊員の方々も、本当にこれは、私は非常に不安を感じている方も出てくると思いますよ。

 そこで、次に麻生外務大臣にお伺いします。

 これを見てみたら、十時四十分に総理に報告されている。十時三十分に中国から第一報が外務省に入って、十分で総理と官邸に報告が行っている。これはわかるんです。それで、昨日、外務省から資料を出してもらいました。これをお配りしております。皆さん、見てください。二ページ目です。十時三十分に中国外交部より中国日本大使館に連絡が入った、北朝鮮が間もなく核実験を行うであろうと。それで、十時三十分過ぎ、上記の情報を外務大臣に伝達。十時四十分ごろ、上記の情報を官邸、内閣官房に伝達。そして、同じく、瞬時に、十時四十分ごろに総理に伝達。これは当然ですよね。

 外務大臣にお伺いしたいんですけれども、これは、外務省から防衛庁への連絡というのは直接されないんですか。

麻生国務大臣 今、久間長官の方から組織の話があったと思いますが、危機管理の話は内閣官房だと存じますから、外務省から内閣官房に上がるということになっております。

山井委員 単なる事務連絡じゃないですよ、これは。核実験が行われたといったら、まさに非常に深刻な問題ですよ。そのことについて外務省から直接じゃなくて、では、直接これからも伝えないということですか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

麻生国務大臣 危機管理というものは一本化されておきませんと情報が錯綜しますから、基本的には、危機管理室というのが内閣官房にありますので、そこに情報は集中させてやるというのが組織というものであります。

山井委員 久間長官、今の答弁でよろしいですか、これからも、いろいろな緊急の事態が起こっても直接は来ないというようなことですが。

久間国務大臣 防衛庁あるいはまた自衛隊がどういう行動をとるか、それは絶えず我々としても緊張を持って対処するわけでございますけれども、情報の伝達はどういうルートで来た方が一番正確であるか、そういうことも踏まえながらやらぬといけません。

 私たちもいろいろな情報がいろいろなところから実を言いますと入ることは入るわけですけれども、やはりそういう意味では、きちんとしたルートできちんとした最終的な報告が来るというのが大事だと思っておりますから、私は、それは一本化でいいと思います。

山井委員 正確さと同様に速さが必要なんですよ、こういう危機管理においては。

 そこで官房長官にお伺いします。

 一本化は必要だと。一本化のために、これは首相官邸に十時四十分に連絡が行ったんですよね。外務省から官邸に行くまでに十分。どうして、内閣官房、首相官邸から防衛庁に情報が行くまで四十分かかっているんですか。四十分間、何をされていたんですか。

塩崎国務大臣 幾つかの情報がございました。これはインテリジェンスにかかわることでありますから余りつぶさにはできないところでありますけれども、今先生が御指摘の、北朝鮮で核実験をするかもわからないという情報が、中国からの連絡だったわけです。つまり、行われるかもわからないという情報で、そこの十一時二十分ごろというふうに書いてあるのは、核実験を実施した可能性があるという情報なんですね。

 これは二つの違う情報でございまして、起こるかもわからないという、十時半に中国から北京にある日本の大使館に伝わったことについては、私にも四十分ごろに連絡がございました。そして、一本化されている危機管理の体制のもとで、安危室の方からしかるべきところには連絡が行っております。

 したがって、防衛庁にも、起きるかもわからないという情報は、私が記者会見の十一時前後と言っているのは、多少のずれは、いろいろなところに連絡をいたしますので時間の差はありますけれども、十一時前後には、起きるかもわからないということは伝わっていたはずでございます。

 もう一つ、起きたかもわからないということについては十一時二十分に防衛庁に伝わっているということであって、実際は、そういうことで、きちっと危機管理の体制のもとでこの連絡体制はできているものであります。

 もちろん、こういったことで、今、山井議員のおっしゃっているように、スピードが大事だ、そのとおりでありまして、改善すべきところは改善をしていかなければならないと思っておりますし、反省点が全くないということはありませんので、私の方でも、今、安危室の方に、この連絡体制をきちっと、国民の皆様方にも、それから国会の皆様方にも御心配がかからないようなスピーディーな対応をもう一回見直して構築し直そうということでやっているわけでありますが、しかし、基本的には今回の点でも抜かりはなかったというふうに考えております。

山井委員 官邸に入ってから防衛庁にこの連絡が入るのに四十分もかかって、抜かりがなかったということは私はないと思いますよ。今後もそういうことになるんですか。(塩崎国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、まだ私は質問しているんですから。

 それで、久間長官、久間長官の記者会見を聞くと、十一時の時点でわかっていたら飛行機で飛び立っていなかったということをおっしゃってますね。これは、官邸からすぐに連絡があれば、久間長官は飛行機に乗る前にそこでとまっていたわけですよ。そうでしょう。だから、そういう意味では、やはり四十分もかかっているというのは問題があるわけです。

 こういう重大なときに、連絡が遅くなって飛行機で防衛庁長官が飛び立ってしまった、そういうことで国民の安全というのは守れるんですか。

 大体、久間長官、週末ごろに核実験がありそうだという情報をつかんでいたわけですよね。それで、核実験で、もしかしたら放射能が大量に漏れて大問題になったかもしれない。

 国民の命を守る政府として、危機管理上重大な時期に防衛庁長官が大阪に向かっておられたということですが、大阪は何のために行く予定だったんですか。

久間国務大臣 それは、たびたび申し上げているように、党務でございます。(山井委員「具体的には」と呼ぶ)具体的には別に申す必要はないと思います。党務ですから。けれども、大体皆さん方も類推できると思います。

山井委員 私がわからないのは、これだけ、核実験が行われるかもしれないという差し迫ったときに、防衛庁長官というのは党務を優先されるんですか。やはり危機管理の方を優先させるべきではないかと私は思います。

久間国務大臣 そこはいろいろな判断があろうかと思います。

 ミサイルが飛んでくるかもしれないとなりますと防衛出動がありますから、その場合と、地下核実験が行われるというのとは若干違うわけでありまして、そのときに、党務を優先させるか、あるいは残っておくか、それは私の判断でありますから、委員から指摘されることではないと思います。

山井委員 私は非常に失望を禁じ得ません。やはり防衛庁長官たるもの、このような差し迫った危機があるかもしれないというときには党務よりも危機管理を優先させる、それが私は防衛庁長官のあるべき姿ではないかと思っております。

 それでは、次に移ります。

 もう一つ深刻な問題、核保有論議の問題が出てきております。これはまさに日本の国のあり方に根本的にかかわる問題です。

 御存じのように、中川昭一自民党政調会長、こう発言されたわけですね、先日の民放の番組で。憲法でも核保有は禁止されていない、核があることで攻められる可能性が低くなる、やればやり返すという論理はあり得る、当然議論があってもいいと。このことに関して、国内や諸外国から深刻な懸念や不安の声が上がっているわけであります。もちろん、日本の国には非核三原則がございます。核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず、これは国是であると思います。

 そこでお伺いしたいんですが、このことについて麻生外務大臣の御見解、やはりこれは議論することはいいとお考えなのかどうなのか。外務大臣としての御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 中川政調会長の発言は、これは国の安全保障のあり方について、それぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえたさまざまな国民的議論があり得るということを述べたものである、私自身はそう承知しております。その点に関してはいろいろな議論がある。

 ただ、日本の政府としては、今ほど言われた三原則を堅持することにつきましては……(山井委員「原稿を読まずに答えてくださいよ」と呼ぶ)別にあなたに言われる必要はないと思いますが。正確に御答弁を申し上げるためにはきちんと読んでいる方が丁寧だというのが私の見解でありますので、あなたの指摘を受ける必要はありません。

 非核三原則を堅持することについては、歴代内閣から累次にわたって明確に表明されておるというのは御存じのとおりだと存じます。したがいまして、政府としてこれを堅持していく立場に変わりはないということだと存じます。

 また、法律上も、原子力基本法がありますので、原子力活動は平和目的ということに限定されていることも御存じだと思いますけれども、そういった意味では、NPT上、非核兵器国として、核兵器の製造や取得などは行わない義務を、NPT条約に加盟しておる日本の立場としては持っておるということも事実だと存じます。

 このような観点から見ても、日本が、今、核兵器を保有するということは考えられませんし、私も、今、閣内におりますということも御存じのとおりです。

山井委員 麻生大臣、私の質問に答えていただきたいんです。

 核保有の議論が今問題になっているんです。議論をすることはいいことだと思っておられるんですか、それを聞いているんです。

麻生国務大臣 この国は言論統制をされている国ではありません。この国は自由主義国家でありまして、共産主義国家とか社会主義国家とわけが違いますし、我々としては、言論はかなり自由に行われるのがこの国のいいところだと思いますので、言論を封殺するというような考え方にはくみしません。

山井委員 麻生大臣、私の質問に答えてください。

 核保有を議論することはいいと考えられているんですか、どうですか。そのことを聞いているんですから。

麻生国務大臣 言論の自由を封殺するということにくみしませんという以上に明確な答えはないと思いますが。

山井委員 一国民あるいは一議員が言うことと、外務大臣が言うことは違うんですよ。全く意味が違うわけですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

山井委員 国を代表して外務大臣が言うことになるわけですからね、これは。そういうことだから、諸外国から懸念を持たれるわけです。

 それでは、久間長官にお伺いします。

 こういう核保有の議論はあっていいという議論があります。久間長官はいかが思われますか。

久間国務大臣 私も、議論をするなとは言いませんが、議論すると間違ったメッセージを送ることがありまして、そういう点が非常に気になるということをたびたび言っているわけでありまして、やはりタイミングとか場所とかいろいろなことがございますから、言うときには、私自身は注意して言わなきゃいかぬと思っております。

山井委員 塩崎官房長官、今議論ありましたように、誤ったメッセージを出す、だから慎まねばならないということを長官もおっしゃっておられるわけです。

 塩崎官房長官、この中川政調会長の発言というのは政府の見解と同じですか。

塩崎国務大臣 この中川昭一自民党政調会長の発言の後、直ちに、翌日だったと思いますが、安倍総理は、政府としてこの三原則の見直しを議論することはないということは明確におっしゃっているわけでありまして、政府としてこのような議論をするということはあり得ない。非核三原則は、変わらぬ政府としての方針です。

 今、政調会長の発言が政府と同じかという話がありましたが、私は前回のこの委員会の場でも御答弁申し上げましたように、政府の要人ではない政調会長が、みずからの発言についてはみずから説明責任を負うべきだということを申し上げました。中川昭一さんはそのとおり説明責任を果たして、説明をし直したと私は聞いております。

 そういうことでありますから、政府の原則とはまた別のところでの発言だというふうに我々は理解をしております。

山井委員 安倍総理は自民党の総裁でもあるわけです。

 それで、この発言に対して、誤ったメッセージを与えるということで、これは被爆者団体の方々からも本当に怒りの声が上がっております。例えば、憲法は戦争放棄をうたっているのに核保有なんというのはもってのほかだ、我々の命をどう思っているのかと憤るのは長崎原爆遺族会会長の下平作江さん、こういうのが京都の新聞でも報道されておりますし、また、長崎市長の伊藤市長も、北朝鮮の核実験強行という緊張した国際関係の中で、与党政策責任者のこうした発言は被爆地の市長として看過できないと言っております。それで、公明党もこの発言に対しては懸念を表明しております。

 さらに、ブッシュ大統領もこのことについて次のように述べております。「日本が核兵器についての立場を再考するという発言について(中国が)懸念を抱いているのを知っている」、こう述べているわけなんですね。これは、明らかに誤ったメッセージが諸外国に対してもう伝わっているわけです。

 議論をするということは、見直す可能性があるということに受け取られるのは当然ではないでしょうか。官房長官、いかがですか。議論をするということは、見直す可能性があるというふうに諸外国に受けとめられても仕方ないんじゃないですか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

塩崎国務大臣 外交は政府が行うものでございます。そして、その政府の責任者たる内閣総理大臣が、非核三原則は変わらぬ日本の政策だということを言い、この問題について政府として議論することはないということを明確に言っているわけでございます。したがって、対外的にはこれ以上のことは私はないと思っています。

 一方で、先ほど麻生外務大臣からお話がありましたように、自由民主党では言論統制はいたしておりません。しかし一方で、説明責任というのは必ず、高い立場の人になればなるほどあるわけであって、それは中川昭一政調会長がみずから説明責任を負わなければいけないことで、それについては中川さんも負って、そして実際に説明をしたということだと私は理解しております。

山井委員 政府の見解と違うということは、やはり政調会長に、注意をするなり撤回するように求めるべきではありませんか。いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、自由民主党の中は言論の統制はございませんので、説明責任、個人の政治家としての責任をきっちり果たさなければならないというこの一点だと思っております。

山井委員 非核三原則、そして非核運動の先頭に立つというのは、これはまさに日本の国の誇れる国是ですよ。そのことに対して諸外国がどう受け取るかというのは非常に重要なんです。実際、ブッシュ大統領も中国も諸外国も、議論していいということを外務大臣や政調会長がおっしゃっているということで、見直す可能性があるというふうにもう受け取ってしまっているじゃないですか。これは、やはり誤ったメッセージが届いているんじゃないですか。

 その意味では、今まさに北朝鮮に対して核は持たないでくださいと、唯一の被爆国である、最も核の恐ろしさ、悲惨さを知っている日本こそが、最も今そのリーダーシップを、世界の中で旗を振るべきときに、その逆のメッセージを海外に対して与えている。あの被爆国である日本さえもそういう議論をしている、そのことを、与党中枢の政調会長や外務大臣までもが議論がいいと言っている。これが誤ったメッセージでなくて、何になるんですか。

 やはりここは、安倍総理も美しい国とおっしゃっておられますが、日本の国の一番美しい部分というのは、平和を愛し、核兵器の根絶のために先頭を切って闘う、この姿勢こそが美しい国なんじゃないですか。にもかかわらず、塩崎官房長官の答弁を聞いていたら、三原則は維持すると言いながら、片や言論の自由の政党ですからと。そういうあいまいな答弁、あいまいな姿勢は、このような、核というような重要な問題にとっては私は許されないと考えますが、塩崎長官、いかがですか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

塩崎国務大臣 今、山井議員は、麻生外務大臣も与党のとおっしゃいましたけれども、外務大臣は政府のポストでございます。恐らく、政党の役員と政府の閣僚とを取り違えて受け取る外国のリーダーは余りいないと私は思っています。

 なお、中川昭一さんのサンプロでの発言の中でも、明確に、非核三原則は守りますということも彼は言っているということをつけ加えておきたいと思います。

山井委員 守りますと言いながらも、議論をすること自体が見直しの可能性がある、まさに久間長官がさっきおっしゃったように、そういうメッセージを与えているわけです。それで、麻生大臣も、議論はいいということを実際おっしゃっておられるわけですよね、中川政調会長だけではなく。

 これはもっと議論したいのですが、時間もありますので次に移らせていただきますが、本当に、こういう肝心なところであいまい答弁をしてぶれていく、そういうことでは、国民の信頼も国際的な信頼も得られません。

 次に、これも久間長官の答弁についてお伺いします。

 先日の委員会の中で、伴野議員の質問に対して、給油を受けている側の米軍もしくは艦船が攻撃を受けた場合には日本は反撃ができるのかというようなことに関して、はしょって言いますと、現実にはどうするかといいますと、その場合は、武器等防護の規定に基づいて、やはり反撃せざるを得ないんじゃないかというふうに答弁されているわけなんですね。

 それで、昭和五十八年三月八日の衆議院予算委員会で、谷川国務大臣は、我が国が自衛の目的以外の場合については米艦艇を守れないという趣旨のことを答弁されているわけです。

 そういう意味では、疑念として、これはやはり憲法解釈の変更ではないか、そういうふうな懸念が今出てきているわけですけれども、久間長官、これについてはいかが思われますか。

久間国務大臣 憲法解釈上の話というよりも、具体的にそういう状況になったときに、例えば委員だったらどうされるか。恐らく、やはり現在の法令を使ってでも、とにかく守ろうとすると思います。そして、そのときに何でやるかという選択の話だと思いますけれども、私は、同じ場所におって同じような給油活動をやっておるときに攻撃されたときに、それを、こっちとこっちと峻別して分けるなんということはできないんじゃないか。だから、武器等防護等の規定を利用して、それで反撃ができるんじゃないかということを言ったわけで、これは憲法の解釈の話とはちょっと違うんですけれども、その前段で私が、私自身の、集団的自衛権、個別的自衛権というふうに今峻別している仕方そのものがいいんだろうかというような、そういう話をしたので、その問題と案外誤解されたのかもしれませんので、その辺、私の参議院の予算委員会での答弁の仕方がちょっと悪かったのかもしれませんが。

 私は、そういう現場にあった場合に、これはだれが見てもやはり黙って見過ごすということはできないんだろう、そういう前提に立って、あえてそれをやるなら武器等防護の規定で防護するでしょうねというようなことを言ったわけでございますから、その辺の状況についても御理解賜りたいと思いますと同時に、もし皆さん方がそういう現場の指揮官だったらどうするかというときに、それはそれでやってよろしいよというようなことを言ってもらわないと大変だろうと思うんですよ。だから、そこのところをひとつ御理解しておっていただきたいと思うわけです。

山井委員 そのことに関して、きのう理事会で、答弁についてペーパーが出ているわけなんですね。だから、私が聞いているのは、その説明ではなくて、今までの憲法解釈と変わっているんじゃないかということを質問しているわけですよ。そのことについてはどうなんですか。

久間国務大臣 何回も言っていますように、憲法解釈上は変わっていないわけです。ただ、そういう具体例を言われたものですから、具体例のそういう場合には反撃できるんじゃないかということを言ったわけですから、そこのところを誤解のないようにひとつお願いいたしたいと思います。

山井委員 このことに関しては、周辺事態法とかいろいろなことに関係してくる、集団的自衛権にも関係する非常に大きな問題です。時間がないのでここまでにしておきますが、このことはまた議論を深めていきたいと思っております。

 それで、テロ特措法の五年間の総括です。

 先ほども申し上げましたが、伴野議員や原口議員も現地を視察されて、灼熱の太陽のもと、本当に汗だくになって国のために任務を遂行しておられる自衛隊員の方々には、心より敬意を表したいと思います。

 それで、月曜日の答弁も聞かせていただきましたが、テロ対策として給油というものが最も効果的で最適なのかということが、やはり十分今まで説明が果たされていないというふうに私は感じます。そのことについて答弁をお願いいたします。

久間国務大臣 最適かどうかは、それはまた、それぞれの国、それぞれの人が判断しますから。ただ、私も最適というふうに断言はできませんけれども、少なくとも、テロ特措法に基づいて我が国が補給活動を行っていることにつきましては、海上阻止行動が粛々と整然と行われて、それによってかなりの成果も上げているのも事実でございまして、それで世界各国からも非常に感謝されておる、そういう実態を踏まえれば、これは非常に効果は上がっている。

 最適かどうかということをいいますと、それはもっといろいろなことがやれればできるかもしれませんけれども、我が国としてやれる限度もございますので、そういう中で、こういう選択をあのとき選んで、そして法律をつくってやってきて、二年、二年と延長して、さらに一年延長して、もう終わるかと思っておりますけれども、なかなか終わらない。あと一年、とにかくお願いしたいということで延長の法案を出させていただいているわけでございますので、どうぞその点もひとつよろしくお願いいたします。

山井委員 明確なテロ戦略も先の展望もないから、これは泥縄式と言われるのではないでしょうか。

 それで、内閣法制局も来ていただいておりますので、ちょっと御答弁願いたいんですが、先ほど久間長官から、憲法解釈の変更はない、そういう答弁がございましたが、その点について内閣法制局としてはいかがでしょうか。

山本政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘の答弁につきましては、ただいま長官からもお話がありましたし、また、昨日防衛庁から配付された資料もありますとおり、現行のテロ対策特別措置法及び自衛隊法において認められている、自己等または武器等の防護のための武器使用についてのものであるというふうに承知しておりまして、そうであれば憲法解釈の変更をするものではないというふうに承知しております。

山井委員 久間長官のこの議事録では、米艦船が攻撃されたら日本が反撃できるというふうにも受け取れる発言になっているんですが、久間長官、いかがですか。

久間国務大臣 米艦船が攻撃されたらというふうに限定されますが、同一地点で同じ行動をやっておって攻撃されたときに、それが米艦船の攻撃だから私は知らないよというようなことはできないのであって、それは、ほとんど同一地点における攻撃については武器等防護の規定を適用したとしてもいいんじゃないかということを言ったわけであります。

 その辺の状況並びにシチュエーションがそういうふうな状況でありますから、全然違うところを攻撃されている米艦船に対して、我が自衛艦が反撃できる、あるいは航空機が反撃できるということを言ったわけではございませんで、補給活動をやっているその現場で攻撃されたときに、これは、向こうが無防備だから、こっちはその態勢ができているからといって、向こうに対する攻撃だというふうにみなして、うちは知らないよということはなかなかできないんじゃないか。

 同一地点での同一行動をやっているときの話でございましたから、そういうふうに答えているわけであります。

山井委員 もちろん、日本の自衛隊員の命を守ることは非常に重要なことであります。ただ、その中でどういう仕切りをきっちりやっていくのかということで、泥縄式ではなくて考えていかねばならないというふうに私も思っております。

 それで、もう一枚配っております最後の資料で、このテロ特措法の改正法案が閣議決定された時点と、十月九日、核実験が行われた時点とでは、防衛上、戦略上の環境に大きな変化があるのではないかと私たち民主党は当然考えております。それについて、変化があったとは考えていないというような答弁なんですが、これはどう考えても大きく変化していると思うんです。いかがですか。

久間国務大臣 今この時点で我が国の防衛上重大な変更があったというわけではございませんので、テロ対策特措法に基づく行動については粛々と行っていく、そういうことを言っているわけでございます。

 これから事態がどんなに変化してもそのままかと言われると、それはまた別でございまして、我が国の防衛政策上一番重要なところに重要な装備あるいは機材、そういう態勢を整えるということはあり得るわけでございまして、ただ、今の時点でインド洋上における補給活動をやめるかと言われますと、その必要はないというふうに判断しているということを言ったわけであります。

山井委員 インド洋のこと、アフガニスタンに対するテロ対策、これは本当に重要でありますが、隣国北朝鮮の脅威というのは非常に大きいものであると思います。

 もう時間が参ったようですので、最後に一問だけ、ちょっとイラクのことをお伺いしたいと思っております。

 これは今まで何度も質問が出ておることでありますが、過酷な状況の中でイラクでの復興支援に参加された自衛隊員の皆様には、本当に心より敬意を表するわけであります。しかし、大量破壊兵器も実際はなかった、アルカイダとフセインの関係もなかったということがアメリカの委員会の報告書で出てきたわけでありますね。それで、九・一一で亡くなったアメリカ人の被害者の数が二千七百四十九名、今日では、それを上回るアメリカ兵がイラクで亡くなっている、そして、現在はもう内戦状態で、泥沼化しつつあるというようなイラクの状況もあります。

 これに対して、安倍総理などは、当時はイラクが大量破壊兵器を持っていないことを説明する責任があった、それを十分していなかったからそう信じる合理的な理由があったというふうに答弁をされているわけです。しかし、御存じのように、アメリカのブッシュ大統領もイギリスのブレア首相も、このことに関しては情報が誤っていたということを認めておられますし、ブレア首相も、その関係で一年以内に辞任されるというような事態にも立ち至っているわけであります。

 イラクでは、この間、罪のない、軍人を除く民間人が五万人以上もミサイル攻撃などでお亡くなりになっているという現状で、このような攻撃を支持した日本においても、この支持というものが、本当にこれは誤った情報、誤った判断に基づいて、やはり問題だったのではないか。実際、五万人以上ものお年寄りや子供たち、罪もないイラクの方々が亡くなっているわけですよ。

 このことについて、麻生外務大臣、最後に答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のあったとおり、ブッシュ大統領が誤りを認めたというのは、イラク攻撃は誤っていたということを認めているわけではありません、御存じのとおりです。イラクの武力行使の決定自体ではなくて、いわゆる大量破壊兵器を持っていたという、米政府が収集した情報が結果として誤っていたということだと承知をしております。

 日本政府がイラクに対して武力攻撃を決定した背景というのは、これは御存じのように、安倍総理の方からも御答弁のあっているとおりであって、累次の安保理決議に基づいて、国連査察団の累次の報告等につきましても全く反論というものが出ておりませんので、日本政府として主体的に判断したというように理解しておりますので、この決定が誤っていたと私どもも思ってはおりません。

山井委員 もう終わりますが、とにかく、そういう誤った情報に基づいた誤った判断がこれだけの大きな問題を引き起こしているという問題があるわけです。

 最後になりますが、本当にこの核武装の問題、これは最も日本の国の根幹にかかわる問題です。私の住んでいる宇治市でも非核平和都市宣言をしておりますが、全国民の最大の願いなんですね、核を廃絶するというのは。そのことに対して、その方針を転換したと受け取られかねない発言をしていく、そういうことについて断固たる措置をしないと、やはり、そのことを安倍総理、日本国政府は容認したというふうに受け取られるわけですから、このことは引き続きしっかりと対処していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。時間が十分しかありませんので端的に質問をしていきます。

 今、米国はアフガニスタンで軍事掃討作戦を展開しております。米国のその作戦は国際法上どんな根拠に基づいているものですか。

岩屋副大臣 お答え申し上げます。

 政府として、現在、アフガニスタン及びその周辺国に軍隊を派遣している各国がどのような法的根拠に基づいてその活動を行っているかについて、詳細をお答えする立場にはないと考えております。

 いずれにいたしましても、現在、米国や英国等がアフガニスタンで実施している活動は、アフガニスタン政府の同意を得て行われているというふうに承知をしております。

 九・一一テロ攻撃は、国連安保理決議一三六八によって、国際の平和と安全に対する脅威だというふうに認定をされているところでございまして、米軍等の活動は、この安保理決議に基づいて、国際法に従って行われているというふうに承知をしております。

赤嶺委員 一三六八というのは、自衛権の行使だということで米側は始めたわけです。そうすると、今アフガニスタンで行っている軍事掃討作戦、これも自衛権の行使だということになるわけですか。

岩屋副大臣 今申し上げましたように、自衛権の行使ではなくて、安保理決議に基づいて、国際法に従って行われているというふうに承知をしております。

赤嶺委員 ですから、その安保理決議というのは、いつ、どんな形で上がって、何が決められているんですか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま副大臣から言及のありました安保理決議一三六八号というのがあることは今言及がありましたとおりですが、その安保理決議によりまして、九・一一テロ攻撃が国際の平和及び安全に対する脅威というふうに認められており、さらに、累次の安保理決議によりまして、国際テロリズムの防止等のために適切な措置をとるということが求められております。

 これらの安保理決議を踏まえて、関係の諸外国の軍は、国際法に従った活動を行っているというふうに理解しておるところでございます。

赤嶺委員 一三六八というのは二〇〇一年九月十二日の決議なんですね。そして米側は、同時多発テロは米側の自衛権だ、こう言ってアフガニスタンを侵攻したわけですが、その後今日まで掃討作戦が続いている。それで、正統政府も樹立されているわけですよ、カルザイ政権が。だから、カルザイ政権が樹立されているもとでカルザイ政府は米軍の駐留を明確に合意した、そういう合意があるんですか。

 例えばイラクであれば、イラクへの米軍の駐留についてイラク政府との間での合意があります。それと同じようにアフガニスタンでもあるんですか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、カルザイ政権、これは、先ほど述べました安保理決議一三六八ができたときに、そのときに諸外国が、アフガニスタンで掃討作戦が始まっているわけですが、その後、タリバン政権が崩壊してカルザイ政権が新たにできたわけでございます。

 現在のカルザイ政権は、今行われております米国や英国等がアフガニスタン国内で実施している活動について、その同意が得られた上で米国、英国等がこの活動を行っているということでございます。

赤嶺委員 同意が得られたと言いますが、地位協定はあるんですか。

長嶺政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、アフガニスタンあるいはその周辺国に軍隊を派遣している各国がどういう法的根拠等に基づいて派遣を行っているかについて、詳細について我が方からお答えする立場にはございませんけれども、私どもの承知しているところでは、地位協定というような形では、そういったものがあるというふうには聞いておりません。

赤嶺委員 地位協定もないわけですよね。アメリカがアフガニスタンで不朽の自由作戦をやっている、そしてその一環として海上阻止行動をやっている、しかし、それの根拠となる国際法上について日本政府は説明できないと言う。それで地位協定もないと言う。

 例えば、NATOがISAFという形で治安維持支援活動をやっています。そのISAFの活動の根拠は何ですか。

長嶺政府参考人 ただいま委員御指摘のように、アフガンにおきましてはISAFという活動が行われておりますけれども、この根拠になりますのは、国連決議、国連安全保障理事会の決議でございます。

赤嶺委員 ISAFには明確な根拠があるわけですよ。それで、アメリカの行動というのは自衛権では説明できないような事態になっている、もうタリバン政権も崩壊してカルザイ政権が出ているわけですから。しかし地位協定もない。今のアメリカの向こうでの軍事行動は、国際法上全く説明できないような状態に立ち至っているということが今の政府の説明からもうかがえると思います。

 それで、時間がありませんので、最後に久間長官にお伺いしたいんですが、防衛庁の出した久間長官の答弁について、「まさに洋上給油を実施中の自衛隊の艦船と米軍艦艇とが極めて接近しているような場合には、自衛艦があくまで自己等や武器等の防護のために武器を使用することが、結果的に米軍艦艇に対する攻撃を防ぐ反射的効果を有する場合があり得る」と言っています。今までは、そういう場面に遭遇したら安全なところに避難し待機するということでした。結局、今回の答弁というのは、こういう形で日米双方の艦船が相手に立ち向かうことになるわけです。

 これは、私たちが法律をつくるときから指摘してきた、憲法が禁じる集団的自衛権の行使に当たるということを言ってきたわけですが、結果としてそういうことになっている。日米両艦船が応じていくわけですから、これは集団的自衛権の行使で、憲法違反は明白ではないですか。

久間国務大臣 遠くにそのときに逃げるというようなそういう時間的余裕すら、もうそういう差し迫ったときはないと思うんですよ。そういうときに、しかも、接近して給油をやっているときに攻撃された場合に、やはり、それはもう自己に対する攻撃と同じなんです。だから、それに対して何らなすすべがないということが果たして考えられるか、そういう状況を考えていただきたいと思うわけです。

 そうしますと、やはり武器等防護の規定がちゃんとあるわけですから、その規定に基づいて、そこはそれを逃れるすべを、やはり反撃するということをして、それが結果的に反射的利益として米艦船もそれで助かったということは、それはあるかもしれませんけれども、やはりそこは現在の法令上も許される、それは決して集団的自衛権の問題じゃないというふうに私は思っているわけです。

赤嶺委員 武器等防護の問題が初めて出てきたときにも、私の記憶に間違いがなければ、久間防衛庁長官は当時政調会長だったんじゃないかなと、ちょっと記憶に間違いがあればお許しいただきたいんですが、ただ、そのときに、発言はしっかり覚えておりまして、やはり、ゴムのように弾力的に解釈するというような発言があったんですよね。

 結局、インド洋に自衛隊艦船を派遣するときが非戦闘地域です、攻撃に当たったら、それは避難し待機しますと。これは、私が質問して当時の中谷防衛庁長官が答えておられます。石破長官も同じような答弁でした。

 ところが今は、自衛権でそれができるんだ、武器等防護でできるんだというようなことになれば、米軍艦船とともに戦闘行為が勃発する集団的自衛権の行使だということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

久間国務大臣 念のために申し上げますと、この武器等防護の規定を最初にPKO法に盛りますときに私がかかわっておりまして、砂漠の真ん中でジープを奪われるときに、それも武器等防護の規定で防護しなかったならば自己は生存していけない、そういうときには、ジープを奪取するような目的で攻められた場合でも、それは武器等防護の規定でやれるんだということを言った記憶がございます。

 だから、私が最初に就任したときぐらいですから、かれこれもう八年ぐらい前だと思いますけれども、その生存のためにやむを得ない手段というのはやはり許されるのである、私はそう思っているわけでありまして、その辺は、そういうシチュエーションを考えながら、できる限り、やはり自衛隊の隊員の自己の防護のために必要なことについては許していただきたいと心からお願いをするわけであります。

赤嶺委員 いよいよこの法律の危険性が明白になったということを指摘して、質問を終わります。

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私にいただきました九分の中で三人の大臣に質問をいたしたいと思いますので、よろしく御協力をくださいますように。

 まず塩崎官房長官ですが、これは予告外のことで恐縮ですが、きょうの質疑を伺っていて、ぜひ確認したいことがございます。

 中川政調会長の核論議については、やるべきだという御発言については、一政治家の個人責任であるというふうにせんだっても御答弁で、ありました。さらに加えて申しませば、先ほどの塩崎さんの御答弁の中には一つ事実認識の間違いがございまして、当日の「サンデープロジェクト」では、論議すべきだで終わっておって、非核三原則は堅持すべきであるという御発言は、当日、中川さんにはございませんでした。私はその場で御一緒でありました。その後の取材でおっしゃったことだと思います。

 そして、かてて加えてでございます。この論議を、もちろん安倍総理は、我が国は非核三原則を堅持するということと、議論することもしないというふうに明確な御答弁でした、政府はです。

 そう思っていたら、今度は、政府の大事な要人であるところの麻生外務大臣が、十七日の安保委員会並びに昨日の外務委員会で、論議はやぶさかでないというふうに発言されました。政府の大事なメンバーが、政府の要人である外務大臣がそのように御発言である。安倍総理のおっしゃっていることと違うんじゃないですか。安倍総理は議論すらしないとおっしゃいましたよ。ところが麻生さんは、いろいろ詳しく言いたいですが、とにかく議論するということはあるんだという御発言でした。

 どういうふうに理解すべきでしょう。お願いします。

塩崎国務大臣 大事なことは、我が国の政府として非核三原則は変えないということ、そしてまた安倍総理が申し上げているように、議論もしないということが基本線であります。

 麻生大臣の御発言につきましては、後ほど恐らく御本人からお話があると思いますが、少なくとも、私もきのうの議事録の早刷りみたいなものを見てみる限りは、政府として立場が変わっているわけではありませんということは明言をされているというふうに理解をしておりますので、政府としての立場を曲げているわけでも、そしてまた、麻生大臣が政府の重要なポジションにおられる方としての政府の立場をはっきりと申し上げているということについては、何ら疑いもないというふうに理解をしております。

阿部(知)委員 よく聞いていただきたいんですけれども、二つのポイントがあるんですよね。非核三原則は堅持する、麻生大臣もおっしゃいました。議論をするかどうかで、安倍総理はそれも政府としてはしないとおっしゃったんです。そこに麻生さんがおっしゃったから、またここで再燃しているわけです。本当に、いや、塩崎さんは官房長官なんだから、あっちに振らないでくださいよ。中川昭一さんの政治家としての個人責任、これもまた言い逃れだと思いますが、今度は麻生大臣みずからの御発言であります。きちんと官房長官として、総理の御発言を守るように指導していただきたいと思います。(発言する者あり)

 そして、恐縮です、本当にお手を挙げていただいたのに、麻生さんに行けというので麻生さんに行かせていただきますが、麻生大臣には、こうした御発言も一方であり、かつもう一方で、極めて明確に態度をなさらないことがあるんですね。

 これは何かというと、アメリカのインドに対してのこの間のさまざまな核拡散をめぐるダブルスタンダード政策、今、下院を通過して、アメリカによるインドのさまざまな核の利用についての取り決めということが上院にかかっております。しかし、アメリカが幾ら国内でオーケーと言っても、この核拡散については、国際的なルールがございまして、一昨日ですが辻元が質問いたしましたが、NSGという原子力の四十五カ国による取り決めの中でこれを承認するかしないかということは、非常に大きな今の問題になっております。このことについて、大臣は議論はしましょうと。では、結論はどうでしょう。

 もともと、核不拡散条約、インド、パキスタン、イスラエル、加盟していない。そこが包括的核実験禁止条約にも加盟していない。そしてまた新たな核の拡散が現実に定着する、こうなっていけば、もうとめようがなくなります。ここは、麻生大臣、このインドの核の問題については、明確に議論し、さらに反対をする、どうしてそういう御見解にならないでしょう。お願いします。

麻生国務大臣 幾つか御質問がありましたけれども、まず最初の方から言わせていただければ、政府としてという話はずっともう何回となく申し上げておりますので重ねて言う必要はないと思いますが、先ほども申し上げましたように、議論を政府の中でというような前提で申し上げてはおりませんので、自由民主党というところの政調会長がしゃべっておりますので、これは、閣内にいて、前、農林大臣のときに農林大臣としての発言だったらともかくも、自由民主党の政務調査会長という立場でテレビなどで言われた話であって、それは、話が出る、またはそういったような話をされるということに関して言論統制はできかねますというのであって、政府の中で私がどうのこうのということを言っているわけではない。これは誤解を招きますので、そこのところだけは再確認をさせていただきます。

 核兵器開発に関してパキスタンのNPTの話でしたけれども、御存じのように、これはNPTの枠外で、いわゆる条約に入っていないままで核兵器の製造能力を保有するに至ったというまず現実があります。他方、米国としては、この両国を核兵器保有国としてはいまだに認めておりません。

 そういう状況下でこの核拡散の防止に取り組んでいるというのが今の現状なんですが、日本としては、これは一貫して、NPTを基礎として、国際的な核軍縮とか不拡散というものに関しては、強化や維持というものをずっと重視して言い続けてきております。そのような視点から、今、核不拡散の取り組みが引き続き一貫したものになるようにということは、これはずっといろいろな会議でも言っておりますので、御存じのとおりです。

 それで、民生用の原子力協定に関する米印の合意というのが今言われているところなんだと思いますが、インドの戦略的な重要性とかエネルギーの需要がぶわっとふえてくるということに関しては、インドが急激に出るということは、石油をさらにどんどん消化するというのは、環境上からいったってこれはえらい騒ぎになりますし、今は十一億人ぐらいいると言われておりますので、そこのレベルがうわっと上がりますと、今の中国と同じ、ダブルでかかってきますので、これはえらいことになりますので、そういった意味からいきますと、我々としては、いろいろなことを考えて対応していかなくちゃいかぬのじゃないかと言う必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、NSGなどで日本といたしましてはこういった議論に積極的に参加しているのであって、平和利用というのは、これは我々もやっているわけですけれども、そういったものが軍事用に転換される可能性のあるというものに関しましてはいかがなものか、ずっと申し上げているとおりなのであって、この点に関しましては、我々は、一貫して核に関しましてはずっと同じ主張をし続けてきていると思っております。

阿部(知)委員 私の論点は、これは日本として議論じゃなくて反対をしてくれと申し上げているわけです。今の御答弁はすべてせんだっての安保委員会で拝聴しておりますので、その先をお答えいただきたかったと思います。

 最後に、久間長官にお願いいたします。

 私が月曜日に聞かせていただきましたが、この間、延べ一万人の自衛隊員が海上給油活動に参加しておられて、公務ができない何らかの健康の理由で十八人がそこから本国に帰されておる。この中身を伺いまして、久間長官は誠実に私どもに資料を下さいました。その中で、例えば消化管出血等が五人、うつ病と精神的な問題が六人、おけがが二人、あるいは尿路結石といって、暑いところで作業をしますから、石が詰まってしまう方等がございました。

 この内訳を私は拝見して、そして二つの懸念がございます。一つは、こういうメンタルな問題を抱えた方が今後本当にきちんとフォローされていくのかどうか。実は、イラクに行った自衛隊については、帰ってきてからも、三カ月、六カ月、きちんとフォローがなされているように私は前に伺いました。この点をきちんとやっていただきたい。

 それからもう一点は、実は、十八人のうち、公務災害とみなされた方はたった一人でした。でも、さまざまなストレスのところで消化管出血もする、うつにもなる、結石もできる。自衛官には労災という規定がございません。それゆえに、公務災害として、これはきちんと十八人の方、本当に緻密に検討してたった一人しかなかったのか。骨折の一例だけが公務災害であるというのは、私は、昨日も申しました、やはり自衛隊員の人権、健康、国を守ってくれる大事な活動をこれからもなさってくださる方と考えた場合に、いかがなものかと思いますが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 この十八名は、帰ってまいりましてから、退職した者を除き、いずれも隊務に復帰しているわけでございます。そういう点では非常にいいわけでございます。

 それとまたメンタルな面のチェックというのは、これは必要でございまして、行くときもそうですけれども、帰る途中も、また帰りましてからもやっているわけでございまして、その辺については、健康管理には十分意を払っているつもりでございます。

 それと、公務傷害といいますか、それはやはり、私たちとしてもできるだけそういうことでしたいという気持ちはあります。ただ、インド洋のあの状況の中でそういうふうになったわけですから、そういう気持ちはございますけれども、それと同時に、法の適用といいますか、それはやはり厳格にしなければなりませんので、そういうふうに厳格にやった結果が一人しか公傷にならなかったということでございますので、その辺は決しておろそかにしているというわけではございませんので、御理解賜りたいと思います。

阿部(知)委員 今後も活動が続く法案をお出しですので、こうした点については本当に真摯にお取り組みいただきますようお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりましたテロ対策特別措置法改正法案について、反対の立場から討論を行います。

 民主党は、テロとの闘いは重要であり、真に必要であれば、国会による民主的統制を徹底した上で自衛隊の活用もあり得ると考えております。その上で、テロ特措法については、今までこの法律に基づいてどのような運用、活動を展開してきたのか、なぜ一年の延長が必要なのか、政府から明確な説明を求めてきました。特に、今回は三度目の延長になりますが、前回の改正で延長期間を二年だったものを一年にしたにもかかわらず今回また一年の延長が必要になった理由、及び、アフガニスタンでのテロとの闘いにおける我が国の活動の実態、実際のテロ対策にどれだけ寄与しているのか等々、政府から納得のいく説明はございませんでした。

 私は、インド洋で使命感を持って任務に当たる自衛官の方々には心から改めて敬意を表するものでありますが、総合的なテロ対策に正面から取り組まず、ただ機械的に特措法を延長していく政府のやり方は、まさに問題先送り体質を象徴するものであると考えます。インド洋で給油を続ける海上自衛隊の出口戦略も描けないままにこのままいわゆるずるずると派遣を続けることは、大きな問題があると言わざるを得ません。

 特に、今般、北朝鮮による核実験やミサイル発射の問題が発生し、我が国を取り巻く情勢が緊迫化する中、周辺事態法の適用や核保有論など議論がたくさん出ておりますが、我が国艦船をインド洋に派遣したままで国民の安全は十分守れるんでしょうか。

 民主党は、国民の皆さんへの責任を果たすため、今まで述べた理由から本案に反対するとともに、国際協調の枠組みの中で、国民の生命と財産をしっかり守っていくため、テロの防止に向けて、外交、内政ともに万全の対策をとっていくことを改めて表明し、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表し、テロ特措法延長案に反対の討論を行います。

 テロ特措法は、九・一一テロに対しアメリカが始めた報復戦争を支援するため自衛隊を海外に出動させるという、明白な違憲立法であります。その延長は断じて認められません。

 報復戦争開始から五年、戦争でテロをなくせないことは今や明らかであります。アフガニスタンは今、かつてない情勢悪化に直面しています。タリバンの復活で、多国籍軍に対する攻撃、自爆テロが急増し、治安維持を任務とする国際治安支援部隊、ISAFが、米軍の一部を組み入れ、掃討作戦に乗り出す事態になっています。

 海上からのテロリストの逃亡を阻止すると言いますが、国際的にもテロが拡散しているのが実態であります。インターネットを通じてアルカイダの影響を受けた過激派組織が各地で自発的にテロを引き起こす事態になっています。アフガニスタン、イラクでのアメリカの無法な戦争と、グアンタナモ、アブグレイブ収容所での国際人道法違反の虐待、暴行が、新たなテロリストを生み出す要因をつくり出しているのであります。

 五年にわたる対テロ戦争によって、テロの脅威は除去されるどころか、かえってその土壌は拡大し、まさにテロと戦争の悪循環に陥っているのであります。政府はこの現実を直視すべきであります。

 この際、政府がアメリカの対テロ戦争支援を中止し、インド洋から自衛隊を直ちに撤退させ、国連が主体となった司法と警察の国際協力の道に進むよう強く求め、討論を終わります。(拍手)

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出のテロ対策特別措置法の一部改正案、一年延長に対し、反対の討論を行います。

 二〇〇一年十月に始まった米英軍のアフガン攻撃でタリバン政権が崩壊いたしましたが、五年を経た今日、アフガン国内でのテロは増加の一途となっております。しかもそれは自爆テロで、特に職のない若者が多数志願していると言われています。テロとの闘いというのであれば、まず、アフガニスタン国内の教育、通信、医療、交通などインフラ整備にこそ全力を我が国はつぎ込むべきではないでしょうか。

 ところが、日本政府は、米軍などのアフガン空爆のための後方支援活動として、インド洋上での給油活動を継続させようとしています。給油量は当初の十分の一、特措法を三度も延長し、しかも、どのような状態になれば打ち切るのかという出口論もないまま継続するというのは、最悪の選択と言わざるを得ません。

 これまでかかった経費は約五百十六億円。そのうち、他国艦船への給油は二百億円、自衛官等々の維持のためにその他の費用は使われ、五百十六億円に上っております。もしそれらの金額があれば、アフガニスタンの人々が生きていくための農業支援、学校、病院等はどんなにか振興したことかと思います。

 派遣の延長は、米国追従と日本のなすべき役割の放棄と言わざるを得ません。漫然と自衛隊員に過重な負担を強いるインド洋から海上自衛艦を速やかに撤退させることこそ私は強く求められていると思います。

 テロの撲滅のためには、テロの温床となっている背景を見据え、住民の生活を再建するためにこそ最大の貢献がなされるべきです。平和国家として歩むべき道程を大きく踏み外したテロ対策特措法の誤りをこれ以上続けるべきではないことを強く訴え、反対の討論といたします。(拍手)

浜田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


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