衆議院

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第4号 平成19年4月26日(木曜日)

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平成十九年四月二十六日(木曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石破  茂君 理事 渡海紀三朗君

   理事 中谷  元君 理事 西村 康稔君

   理事 松浪健四郎君 理事 神風 英男君

   理事 原口 一博君 理事 田端 正広君

      安次富 修君    新井 悦二君

      伊藤信太郎君    飯島 夕雁君

      石原 宏高君    今村 雅弘君

      宇野  治君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      北村 茂男君    清水鴻一郎君

      清水清一朗君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    冨岡  勉君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      町村 信孝君    松本 文明君

      松本 洋平君    三原 朝彦君

      宮澤 洋一君    吉川 貴盛君

      池田 元久君    逢坂 誠二君

      楠田 大蔵君    後藤  斎君

      高井 美穂君    武正 公一君

      長妻  昭君    伴野  豊君

      山井 和則君    江田 康幸君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           笹木 竜三君

   議員           末松 義規君

   議員           原口 一博君

   議員           山口  壯君

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊藤 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 安達 一彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     飯島 夕雁君

  北村 茂男君     清水清一朗君

  中根 一幸君     新井 悦二君

  中森ふくよ君     福田 良彦君

  松本 洋平君     松本 文明君

  中川 正春君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     中根 一幸君

  飯島 夕雁君     伊藤 忠彦君

  清水清一朗君     北村 茂男君

  福田 良彦君     中森ふくよ君

  松本 文明君     松本 洋平君

  逢坂 誠二君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     中川 正春君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)

 イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一九号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官伊藤秀樹君、防衛省大臣官房衛生監安達一彦君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君及び防衛省人事教育局長増田好平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 私は、今回の政府の立場、内閣提出のこの法案を全面的に支持する立場であります。これ以外の選択肢はあり得ないというふうに考えるものでございますが、世の中にはいろいろな考え方があるものでありまして、直ちにこれを廃止するという法律案が出ておるわけであります。

 めったにない機会でございますから、これをなぜ廃止をしなければいかぬのか、それによって得られる国益は一体何であるか、発生する国損は何であるかという点につきまして、衆法の提出者の方々にお尋ねをいたしたいと思います。個人的には尊敬してやまない原口議員からお答えをいただければ極めて幸いであります。

 それでは、まずお伺いをいたしますが、この自衛隊の活動は何であるかといえば、それはイラク特措法を読めばすぐわかることであって、これはアメリカの要請に基づいて出しているものでも何でもなく、議論の過程において明らかになったように、国連決議一四八三というものに基づいて出しているわけですね。一四八三の内容は既によく御案内のことかと思います。国連決議に基づいて、我が国が主体的に判断をして出している。そして、この国連決議の内容は、今日の困窮したイラクに対して、加盟国に対して、それが軍事的なものであれ非軍事的なものであれ、イラクの治安の安定あるいは民生の復興、そういうものに対して尽力をしなさいということが国連決議一四八三のはずであります。

 それに基づいて、私どもは、日本国憲法の範囲内において、イラク特措法においてそこを厳格に定めて、非戦闘地域といってもし御異論があるのであれば、国際紛争が行われていない地域、なお御異論があるのであれば、そこにおいての当事者が国もしくは国に準ずる組織ではないということを確定した上で活動を行っておるわけであります。人道復興支援活動であれ、安全確保支援活動であります。

 この国連決議に基づいて出しているこの活動をやめるという御提案でありますが、これと国連の要請というのをどのようにお考えになりますか。そして、我が国は国連の主要な加盟国として、安全保障理事会の理事国にもなろうとしている我が国が、この国連決議がありながら撤退するということの正当性は那辺にありや、その点についてお伺いいたします。

原口議員 石破委員にお答えいたします。

 アメリカのイラク戦費最終法案、現地時間の二十五日、下院で可決という形になりました。アメリカにおいても、いわゆるイラク駐留米軍が明確な敵のいない内戦状態から抜け出せず、イラク政策の成功に向けた明確な出口戦略もない、こういうことから、アメリカの下院で可決に至ったものと考えております。

 委員が御指摘のように、国連決議一四八三、これは、加盟国に対して、イラク国民への援助やイラクにおける安定及び安全の状態に貢献するように求める、そういう決議でございます。戦争の経緯はどうであれ、イラクの安定のために国際社会の支援が大事であるということは、委員御指摘のとおりであります。

 しかしながら、民主党が従前から主張しているように、イラク特措法は、たとえこの法律が想定する非戦闘地域が一時的に存在したとしても、相手側の意思により一瞬にして戦闘地域に変わり得るなど、イラク特措法に基づく自衛隊派遣の法的枠組みがフィクションであるばかりでなく、海外における武力行使を禁じる憲法に抵触するおそれがある、このような考えから、また、戦争の大義や国連安保理決議を正当性の根拠として制定したイラク特措法の枠組みは完全に破綻している、この法律に基づく自衛隊派遣を継続することは認められないと私どもは考えております。

 国際社会の責任というお話でございますが、加盟国の責任でいえば、安保理事国の中にも、イラクに軍隊を派遣したのは米英に限られていますし、一四八三の中に軍隊を送れと書いてある条文はどこにもございません。フランス、中国、ロシアは派遣を行っておりません。また、派遣を行った国でも、テロに屈して軍隊を撤退させた、こういう国の評価は必ずしも芳しくございませんが、イギリス、デンマークなどアフガニスタンで代替活動をやっている国、あるいは撤退期限が終了した国、ポーランドなど、あるいはオランダもそうでございますが、そういった国が責任を果たしていないとは言えない。

 各国は、主体的判断により、それぞれの憲法や国益に照らしふさわしい協力を行うべきだ、このように考えております。

石破委員 この議論をいつまでもする気はないのですが、非戦闘地域というのはフィクションだとおっしゃいましたね。そこにおいて行われておるのは国もしくは国に準ずる組織の間の争いという評価を民主党はなさっておられますか。

原口議員 やはりこれは脅威の同定の仕方によるんだと思います。国及び国に準ずる組織であるか否か、これは、今のイラクの状況を見ると、それに類するものと推定をしております。

石破委員 その推定の根拠は何ですか。国または国に準ずる組織というのはどのようにして判断をいたしますか。

 つまり、いいですか、国際紛争を解決する手段としては、武力による威嚇または武力の行使を永久に放棄するというのが憲法の九条ですね。御異論はおありでしょうけれども、国際紛争とは何かといえば、国または国に準ずる組織の間における争いですよね。国とは何なのかといえば、領土を有し、国民を擁し、そして統治機構を有しているというのが国ですよね。国に準ずる組織というのはそれを具備したもの、何とは申しませんが。

 そういうような状況であるというふうに推定なさるとおっしゃいましたか、その根拠はどのようなものですか。

原口議員 現在、イラクにおいては内戦に等しい状況が生まれている、こういう判断をしている米国の識者もおります。また、実際に、現在行われているテロ、これをテロというのかあるいは暴力というのか、これは先生の御著書の中にも書いてありますけれども、まさに組織的に行われているもので、これは国に準ずる組織である、このように考えております。

石破委員 例えば歌舞伎町でやくざが撃ち合っておるということは、国際紛争とはだれも言わぬわけですよね。そこで何がぶっ放されようが、大勢の人が殺りくをされようが、その状態を表して、あそこで国際紛争が行われているとはだれも思わぬわけですよ。あそこで内戦が行われているというふうにも見ないわけですね。そこをどのような法的評価をするかということは、やはりきちんきちんと行う必要があるのではないかと私は思っている。それが一点。

 それからもう一つは、アメリカにおいても下院でそのような議論が行われていることはよく承知をしておりますが、アメリカにおいて、民主党でも、アメリカの民主党ですよ、民主党でも、即座に撤退とはだれも言っていないわけですよ。

 ここでアメリカが即座に撤退したら何が起こるかといえば、今のイラクの混乱にますます拍車がかかる、手がつけられない状態になり、そして、中東の状況から考えて、それは間違いなく周辺国に波及をして、中東全体が手がつけられない状態になるということは、我が国のみならず国際社会にとっても決してよい事態ではないですね。だからこそ、アメリカにおいて即時撤退という議論は出ていないわけです。

 だとすれば、アメリカもこれは即時に撤退すべきなのだという御判断ですか。

原口議員 お答え申し上げます。

 下院の可決された法案の中身を見ると、法案は、イラク駐留米軍の戦闘部隊の撤退をことし十月一日から開始し、来年三月末までの完了を目指す内容でございます。米軍における撤退というものは、アメリカの主体的な判断において行われるべきものだ、このように考えております。

石破委員 そうしますと、これは、イラクはどうすればいいんですかね。実際どうすればいいとお考えですか。

 つまり、先般、イラクの副大統領もおいでになった。マリキ首相もおいでになった。きちんとした選挙に基づいて樹立された政府、そこの責任者が、日本の活動の継続はもとより、イラクの治安が安定するまでは多国籍軍の駐留を望むということを、国民によって選ばれた政府の責任者が言っているわけですよ。にもかかわらず日本は撤退するということをどのようにお考えですか。

原口議員 イラクの治安の責任は、一義的にイラクにあると思います。そして、我が国が法律の中で自主的にそれを判断すべきだ、これがまず大原則だと思います。

 しかも、この四月十六日には、いわゆるマリキ首相を支えるサドル派の六人の閣僚が、マリキ首相が米軍の撤退期限を示さないことを理由に離脱を表明されました。

 また、これは石破先生と私も御一緒させていただきましたが、副大統領はこのようにおっしゃっていました。米軍の掃討作戦によって、テロリストとそして武装勢力とを混同しているのではないか、各部族や宗派の武装勢力を掃討していることによってさらなる社会の混乱が生まれている、こういうお話でもございました。

 私どもは、大義なき戦争、その後において行われた占領政策、この失敗こそがイラクの混乱を招いている、私たちはこのような戦争をすべきではないということを主張いたしました。しかし、そのときに皆さんは御支持をなさったわけですけれども、今現状を見ると、この戦争によってかえってイラクはテロリストの巣になっているのではないか、私はこのように考えています。

石破委員 戦争が間違っておったか正しかったかとか、我が国が支持したことが正しかったか間違ったかという議論はありますよ。議論はありますが、このイラク特措法は、そのような価値判断を交えていないのですね。この国連決議に基づいて我が国はどうすべきかということを主体的に判断をしたわけであって、イラクの安定が我が国の国益に資する、そういう判断でやっておるわけです。

 それではお尋ねしますが、民主党の趣旨説明を拝聴いたしますと、ではこの後どうするのかということを考えたときに、イラクの現状を踏まえ我が国にふさわしいイラクの復興支援活動を実施していくことが重要だと書いておられる。だけれども、自衛隊は引くわけですね。そして、イラクはそういう地域なわけですよ。私は戦闘地域だとは思わないが、非常に危険な地域であるわけですね。さればこそ、自衛隊を出したということになるわけですが。そういう地域に、では文民を派遣して、何がふさわしいイラクの復興支援活動ですか、何ができるのですか。金だけ出すとするならば、また二十年前に我が国は戻るわけですよ。では、文民は行く、それのセキュリティーはどうぞイラクの治安組織が守ってください、こういうことになるわけですか。

原口議員 少し反論をさせていただきますが、やはり開戦の大義や戦争の総括というのは、今の活動と無関係ではないというふうに考えております。

 この開戦の支持の理由について、予算委員会でも、当時防衛庁長官であった石破長官、あるいは川口外務大臣だったと思いますが、川口外務大臣とお話をさせていただきましたけれども、政府の御説明は、国連決議一四四一等についての解釈については控えさせていただくというのが統一見解だったわけです。つまり、どういう法的根拠において戦争を支持するのかということが示されないまま戦争が始まったというのがまず第一。ですから、私は、このことが関係ないという石破議員のお考えには必ずしも賛同するものではありません。

 また、イラクの現状を踏まえて我が国にふさわしい貢献というのはどういうものがあるのかというお話でございますが、現実に、民主党の支援策については、資金的な支援のみでなく、文民による人的支援を含めて、基本的に既存の法体系の中で実施可能と考えています。

 具体的には、比較的治安が安定している地域がありますよね、そういう地域に対する協力や投資環境の整備、エネルギー資源の安定供給のための戦略的な拠点づくり。また、これはアフガニスタンでも、いわゆる刀狩り、DDR、こういったことも成功をおさめていますけれども、私たちは何も、自衛隊による今の安全確保支援活動がイラクの支援活動の唯一であるとは考えておりません。

 また、官邸、外務省、NGO、企業等がばらばらに有する安全情報、各援助主体の実績、進捗状況、物資調達、計画管理等の情報共有のための拠点を設置して、イラクでの人道復興支援活動に充てることは十分可能であるし、治安がしっかりとイラク政府によって確保できるのであれば、そのことは、まさにマリキ首相にも私たち強く要請をしましたけれども、投資環境の整備に当たるわけで、やはり私たちが何ができるかということもイラク政府の努力にもかかっているんだ、このことを申し添えておきたいと思います。

石破委員 これで終わりますが、だから、どうしたらそこの、日本がそのような活動ができるような環境が整うかということで、マリキさんも、そういうのを早く実現したい、しかし、そのために多国籍軍はもうしばらく駐留をしてもらいたい、こう言っておるわけですよ。それで治安が回復をしてくれば、いろいろな活動もできるでしょう。

 しかし、それまでの間何をするのだというのがこのイラクの法律の趣旨であって、今議員がおっしゃいますのは、議員の御見識には心から敬意を表しますが、おっしゃっておられること自体が極めて矛盾に富んだものであって、とても支持はできない。よって、政府の立場を断固支持するものであります。

 以上です。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 私は、政府の方にいろいろとお尋ねしたいと思います。

 まず、このイラク特措法は、あくまでもイラクに対しての人道復興支援ということが基本でありまして、この四年間、二〇〇四年から今日に至るまで、陸自と空自における復興支援というものは、イラク国民から大変に評価されている、感謝されている、そういうことが言えるということははっきりしていると思いますし、また、サマワでの陸自の活動は高い評価を受けてきたわけでありまして、一人の犠牲者もなく今日まで来たということは、これはそういう意味では大変にいい結果をもたらしたと思います。それを受けて空自が、クウェートを中心にした、タリルやバグダッド、エルビルへの空輸活動ということで引き続いて行われているわけであります。

 ここで大事なことは、防衛大臣にお願いしたいと思いますが、つまり、活動の内容が国民の皆さんに評価されるように伝わっていないというところが私は問題なんだろうと思います。だから、ぜひ、国民にしっかりと今のことが、また過去のことも含めて理解されるような、そういう積極的な広報活動ということも大事ではないかと思いますが、大臣、よろしくお願いします。

久間国務大臣 確かに、自衛隊の活動をもう少し国民に公表して、皆さん方にわかるようにすべきであるということ、おっしゃるとおりでございまして、私たちもこれまでもそういうことで努めてきたわけであります。

 ただ、若干やはり、イラクの状況がああいう形になっておりますと、公表することによって具体的な活動の内容等がつまびらかになってまいりますと、それが、現在行っております自衛隊はもちろんでございますけれども、それだけではなくて、国連の職員とかあるいは多国籍軍とか、そういったところにいろいろとまた安全上の問題が出てくる、そういうこともありまして、一年、あるいはまたまとまって公表しておりますけれども、個々のケースについての公表を控えさせていただいております。

 それは、我が国だけじゃなくて各国ともそういうようなことをしておりまして、国連からも、細かいことについては公表を差し控えてくれ、そういう話がございますから、どうしてもそこのところがちょっとオブラートで包んだような格好になりますために公表がしにくいという点がございまして、非常にその点は悩ましいところでございますが、努めて国民の皆さん方にはイラクにおいて自衛隊が活動していることについては公表していきたいというふうに私たちも思っているところでございます。

田端委員 二年間延長するということでありますから、だからこそ、そういったことを努力していただくことがやはり本筋だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、あくまでも、人道復興支援ということを軸に置いた、イラクの新しい国づくりを日本としてもお手伝いさせていただくということで今まで来ているわけでありますから、この点については、ぜひそれを貫くということが大事であり、また、先般お見えになったマリキ首相も大変日本に対しての評価をされていました。日本の支援に対しイラク国民が大変感謝しているということを我々の前でもおっしゃったわけでありまして、そして、引き続いて自衛隊の継続をぜひお願いしたいということも重ねておっしゃっているわけでありますから、そういう意味では、ぜひ自衛隊の活動についてもしっかりとPRしていただきたいと思うわけです。

 また、国連の潘基文事務総長からも、継続に対しての強い要請もございました。そういう意味でいきますと、自衛隊の活動というのは、あくまでも非戦闘地域に限るということと、それから他国の武力行使との一体化ということはさせない、この原則をしっかりと貫くことが大事だと思いますが、官房長官に再度、この原則はきちっとやるんだということの趣旨を、この場でも確認させていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先生今御指摘のように、イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する、そういう仕組みのもとで行われているわけで、自衛隊の活動が、武力の行使または武力の威嚇には当たらない活動で、なおかつ、今御指摘のように、非戦闘地域に限って実施をするということを定めたものでございます。

 そして、大事なことは、自衛隊は、いわゆる統合された司令部のもとで連絡や調整を行うけれどもその指揮下に入ることはない、我が国の主体的な判断のもとで、我が国の指揮に従って、イラク特措法に基づいて行われる、こういうことであって、こういった観点からも、他国の武力行使と一体化することはないというのが前提でございまして、そういったことが担保されているというふうに理解をしております。

 自衛隊は、かかるイラク特措法に基づいて、引き続いてこういった原則のもとで活動をさせていただきたいということで法案を提出させていただいているということでございます。

田端委員 実は、三月から四月にかけて、イラクからたくさんの方々がお見えになりました。三月二十一日から三日間、ハシミ副大統領が来られました。そして、三月二十五日から三十一日までハキーム国民融和担当大臣を団長とする十三名の国会議員の方々、そして、四月八日から十一日にかけてマリキ首相がお見えになりました。そして、私もそれぞれ会見をさせていただきましたが、それぞれ大変大事なことをおっしゃられました。

 ハシミ副大統領は、これまでイラクにおいて長い期間、各派は尊敬し合ってきた、必ず平和は取り戻せると信じている、こういうお話であって、宗派間対立に対しては、決して希望を捨てていないという意思をおっしゃいました。

 それから、ハキーム融和担当大臣は、治安問題は国民融和が大きなかぎである、こうした日本での国民融和セミナーを開催されたことでより対話が進むものと期待している、こういうふうにもおっしゃっていました。

 それから、マリキ首相は、治安は力では解決できない、政治、経済、文化等さまざまなレベルを通じて融和を達成していきたいという強い意思を述べられました。

 私は、それぞれ三人のトップの方々のお話を伺っていて、非常に苦しい中でも、しかし希望を持ちつつ頑張って、そしてまた国民融和という最大の課題に力を合わせて頑張っているんだなということを感じたわけであります。

 こういうことをずっと一貫してされてきた外務省に対しても、私はこの努力を多としたいと思いますが、この宗派間対立というのはまさに非常に大きな問題であり、先ほど石破先生もおっしゃっていたように、ほかの国にも、中東全体にも波及する危険性があるだけに、国民融和ということを促すことが何よりも大事なテーマではないかと思っております。

 そこで、安倍総理はきょう御出発になられて、アメリカに行かれて、その後中東を歴訪される、これは画期的なことだと思っておりますが、サウジからアラブ首長国連邦、クウェート、カタール、エジプトと五カ国に向かわれるというふうに伺っております。まさに国際的な力を協力することによって、そしてイラクの国民融和というものがさらに大きく前進するように、今回の総理の御決断で中東に行かれるということは、そういう意味でも本当に大変大事なことだと思いますが、官房長官の御所見を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、治安対策がうまくいくということも大事でありますけれども、やはり国民融和というのがとても大事だということで、先ほども御指摘をいただきましたけれども、さまざまなレベルで我が国は国民融和が進むようにお願いをして、また、国民融和セミナーなどもやってきているというお話がございましたが、まさに政府を挙げてその道にも取り組んできているわけであります。

 今回、訪米に続いて中東に、今御指摘のように、サウジ、それからUAE、クウェート、カタール、エジプトということで、各地で首脳との会談を行います。その際に、当然のことながら、イラク情勢についても活発な意見交換を行って、イラクの安定化に一緒に協調しながら、日本として何ができるのかということを探っていこうということで、今回そういった各国を訪ねるわけでございます。

 後ほど、恐らく麻生外務大臣からもお話があろうかと思いますけれども、エジプトでイラクの安定化に関する周辺国拡大外相会議が開催されるということで、総理とあわせて外務大臣も、この国民融和の道を含めた連携について、中東各国とあるいはそれ以外の関係国とも語り合って解決を探していこうということでございます。

田端委員 中東における日本の石油の依存度が九割という、大変中東の安定がまさに日本の国益にかなうわけでございますので、そういう意味では、今回総理がそういう形で努力されること、そしてまたイラクの国民融和をさらに促すということは、大変大事な外交的努力だ、こう思います。

 それで、外務大臣にお尋ねしたいんです。今もお話ございましたが、ぜひ大臣もまたエジプトで頑張っていただきたいと思います。

 イラクに対するODAによる経済協力でございますが、無償と円借とで五十億ドルということで今ずっと進められているということでございまして、これは大変大事なことだと思います。

 先般、マリキ首相はこういう言い方をされまして、私も非常に、なるほどと思いましたが、イラクを助けてくれた国に対してイラクも貢献していきたいんだ、こういう趣旨のことをはっきりと言っておられました。そういう意味では、日本がイラクを軸にした中東に対して日本の平和外交を貫くということは、大変日本の国益そのものにかなってくることだということを感じたわけであります。

 今後、外務省として、ODAはもちろんですが、どういう形で協力ということをしていくのかということと、それから、国連の機関を通した形で、迂回といいますか、そちらからやっていくような経済協力というか支援のあり方もあるのではないかと思います。例えば、メソポタミア湿原を私たちがお願いしてやって、そして国連機関を通して、今、大分自然再生が戻ってきたということで、雇用対策にも大変役立ったということであります。

 今後の経済協力のあり方というのは、なかなか難しい点があろうかと思いますが、いろいろなことを知恵を絞ってやっていただくことが大事かと思いますので、今後の外務省の方針を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、イラクの中における問題点というのは、それはいろいろあろうと思いますが、治安の問題と、もう一つはやはり、大きく分けて三派、北のクルドの地域と南部のシーアのところと中部のスンニと、大きく分けて三つぐらいということになろうと思いますが、その三つのそれぞれの異なった背景、宗派、民族、いろいろな表現があろうと思いますが、それがもともとは融和しておったわけですから、その融和がぐちゃぐちゃになって今対立ということになって、宗派間と簡単に言いますけれども、スンニとシーアがうまくいっている国はほかにはありますので、そういった意味では別に、ここだけが特殊な状況になっておるということを考えたときに、治安が悪くなったもとは、融和がなくなったのがむしろ治安が悪くなったもとではないか、もとのもとがそちらにあるのではないかということも考えておかねばならぬと思っております。

 したがいまして、去る三月末から四月にかけまして、三派のそれぞれの代表、融和担当大臣を含めまして日本に呼んで、お互い会ったのは初めてという人を日本に呼んでいろいろ会談を外務省が仲介して初めてやらせていただいたんですが、最初は構えていた人たちが、何日かかかりましたけれども、会議が終わったころには、結構お互いに話ができるようになって、非常によかったという話をしておりましたけれども、こういった全然目立たない努力というのが結果として相互信頼を醸成するということになろうと存じます。したがいまして、表面的な治安の、鎮圧するというだけではなくて、そのもとのところに手をつけるというところが、日本として今後努力をしていかねばならぬところ。

 いずれにいたしましても、ここは、資源という面からいきますと世界第三位の石油埋蔵量を持つ、そういった国でもありますので、この国が治安を回復し、国民融和ができて、あとは経済政策が当たれば、そんなに難しい、全く無資源国を発展させるのとわけが違いますので、そういう意味では非常に可能性は高いという感じがいたします。したがって、そこらのところの調整というものにもっと知恵を使っていくべきではなかろうか、そのように考えております。

田端委員 ぜひ、今後の経済協力も含めた日本の平和外交をどうぞ粘り強くひとつお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 本日は、延長の案件、本案が上がってまいりまして、我が党としては委員会では最初の質問でありますので、まずは延長の意義等から改めて聞いてまいりたいと思います。

 その前に、私が質問を準備させていただいている間、資料の請求等をさせていただいておりましたけれども、まず、そもそも、本特措法の根拠として挙げられているイラクの特別事態という中で、国連決議の六七八、六八七、一四四一等が当然その重要な根拠となっておりますが、この有権解釈と申しましょうか訳文というものを資料として欲しいという要求を二月の質問の際もいたしましたし、今回もさせていただいておりましたが、この点に関しては、そうした和訳は存在しないという外務省からのお答えがありました。これだけ重要な根拠にもなっているようなものが、なぜそもそも外務省に存在しないのか、この点に関してちょっとお答えをいただければと思います。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員が御指摘になりました国連決議六七八、六八七、一四四一でございますが、これらの決議のうち、六八七号につきましては、これは官報に掲載された和訳がございます。お届けをさせていただいたところでございます。

 他方、六七八号及び一四四一号につきましては、このような意味で官報に掲載ということがございませんので、そのような和訳は作成しておらないところでございます。

楠田委員 六八七号に関しては確かに届けていただきましたが、これは本日の昼でありました。二カ月前と昨日の夜の要求で、きょうの昼まで、まず見当たらない、もともとないと言われていましたし、またその残りの二つはやはりないと言われましたけれども、そもそも政府に国連決議の解釈権というのがあるのではないかと思いますが、この点はどうでしょうか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 国連の決議、今問題になっておりますのは国連の安全保障理事会の決議ということと理解いたしますけれども、この解釈につきましては、これは当然のことながら、安全保障理事会全体としての意思、それは個々に構成する国の意思ということになりますので、これは国の解釈ということにかかわりますから、そういう意味では、我々、我が国としましても、政府の方でその解釈については検討するということになろうかと思います。

楠田委員 もしそういうことで政府に解釈権があるということであれば、これだけ重要な根拠として挙げられている国連決議の部分ぐらいはあってしかるべきではないかと思いますが、これは大臣はどうですか。麻生大臣。

浜田委員長 では、とりあえず長嶺大臣官房審議官を最初に。

長嶺政府参考人 先に事実関係を答えさせていただきます。

 安全保障理事会の決議、これは非常に多々ございます。基本的には、考え方といたしまして、国民の権利義務関係に影響が及ぶものにつきましては、仮訳といいますか訳文をつくりまして、官報に掲載することによって国民に周知を図るということをいたしておりますけれども、その余のものにつきましては、すべての決議を官報に掲載するということはこれまでしてきておらないところでございます。

麻生国務大臣 今話がありましたとおり、影響する範囲によって、内部資料、官報、いろいろな分け方があるんだと思いますが、少なくとも、今国民の権利義務に影響が及ぶと思われますもの、例えばこの間でいきますと北朝鮮のもの、ああいったものは間違いなく和文、正式なものが出て官報に掲載されるということになる。その他のものに関しましては、すべてが全部官報に掲載されるというわけではございません。

楠田委員 我が党の原口委員がこうした質問を以前されたともお聞きしていますが、政府に解釈権があって、かりそめにも今回この特措法の根拠としてこの三つの決議が挙げられているわけでありますから、先ほどの説明のような、権利義務関係がないとはっきり言い切るのも私はどうかと思っているわけでありますから、まずは最初、この点は、これからのこともありますので、国民に知り得る権利を与えるためにも、まさにシビリアンコントロールを実際のものにならしめるためにも、こうしたものをぜひとも政府の方で御用意していただきたい、そのような指摘をさせていただきたいと思います。

 それでは本題に入りますが、このたびの特措法を延長する必要性、目的、また延長幅を二年とした根拠を改めてお答えください。

塩崎国務大臣 今回、イラク特措法を二年間延長させていただくことにいたしました。

 イラクの安定と復興は、言うまでもなく国際社会共通の重要問題であり、また、先ほど田端先生からも御指摘ありましたが、特に石油資源の九割を依存している日本にとっては極めて重要な国益に直結する問題であるわけであります。したがって、繰り返し申し上げておりますけれども、我が国としては、主体的にイラクの国づくりの努力を支援していこうということで、これまで支援をしてきたということでございます。

 イラクは、国づくりに極めて重要な期間をこれから迎えるわけであって、国連関係者は今後少なくとも数年間活動を継続する意向をもう既に示している。それから、多国籍軍も早期撤収の可能性というのは低いというふうに見られています。また、国連事務総長の潘基文さんあるいはマリキ・イラク首相等からも、我が国の自衛隊の空輸支援への謝意とともに、継続を要請するというお手紙もちょうだいをしているということでございます。

 今申し上げたように、このイラクの復興、安定は言ってみれば道半ばとも言える段階でありまして、本法律の目的でもございますイラクの復興努力に対する支援に腰を据えて取り組む姿勢を示して、空自による輸送支援を継続的、安定的に続けるためには、ある程度長期間の枠を設定しながら支援を続けていくということが必要なのではないのかということで、今回この法律については二年間の延長をお願いしている、こういうことでございます。

楠田委員 腰を据えてという話もありまして、継続的、安定的という本会議での答弁も総理からあったところでありますが、何よりもアメリカが増派を決めて、このアメリカの決意の重さを認識して今回二年という長期の延長を決めたという事情もあるのではないかと私自身は認識をしております。

 まず一つ例を挙げまして、アメリカの大統領選挙が来年行われるわけでありますが、仮に今回一年の延長とした場合は、この選挙前にまたこうした日本の延長論をしなければならない、そのわけにはいかないから二年にするという説もささやかれておりますが、この点に関してはどうでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど御説明したとおりの理由で我が国は今回二年間の延長をお願いしているということでございます。

楠田委員 それでは、そもそも現特措法がまず四年という期限を定めて平成十五年に制定をしているわけですが、先ほどの二年の部分とも比較いたしまして、四年という期限を設定した理由を改めてお聞かせください。

塩崎国務大臣 そもそも、国づくりということで復興支援を我が国が主体的に行おう、こういうことでありまして、当然のことながら、新しい体制になるということでこの目的達成のためにはかなり時間がかかるだろうということで、ある程度の期間を見込んで、我が国による国際協力の観点からは余り短い法律の期間では適当ではないだろうということで四年にしたわけであって、特に、基本的な認識は、先ほど申し上げたとおり、我が国にとって極めて国益的にも重要な地域であること、そしてまた国際的にもこの地域の安定が非常に重要であり、またイラク国民自身が努力をされるのを主体的に支援するというために、やはりある程度の期間を我々としてもコミットするということがあの時点で大事であったというふうに考えたところでございます。

楠田委員 およそやはりこの期間の設定について、私は合理的な理由がないのではないかという認識を持ったところです。国づくり、イラクの国づくりという話がありましたけれども、大変皮肉にはなりますが、日本の美しい国づくりも道半ばである時点で、イラクの国づくりまで我が国が口を挟む余力があるのであろうか、そうしたことも思う次第であります。

 今回、そうした二年という期限に関しても一応の説明がありましたが、それでは、撤退の決定、いわゆる出口戦略、これに対しても改めて問いたいと思います。

塩崎国務大臣 一つの体制から新たな体制に移る、そういう国づくりというのは大変な努力を自国民がしなきゃいけないということで、私たちも先ほど申し上げたような観点から支援をしていこうということで今日までやってきたわけであります。

 いわゆる出口戦略、よく聞かれる御質問でございますけれども、やはりこれも、先ほど何で四年間なのかということに余り根拠がないというお話がありましたが、大仕事でありますから、この国づくりに何年かかるということが本当に正確に根拠を持って言えるというほどのことはないんだろうと思います。

 逆に言えば、この出口戦略においてもやはりいろいろなことを考えなければいけない。例えば、イラクの政治が安定をしていくのかどうか、あるいは治安状況がどう変わって安定をしていくのか、さらには国連とか多国籍軍、諸外国がどういうかかわりを持ちながらどういう活動をどういう構成でやっていくのか、それも変わっていくだろう。そういったことも含めて、いろいろとあらゆる点を勘案しながらやはり考えていかなければいけないことだろうと思います。

 イラクの国民によるイラク国家再建のための自主的な努力を支援、促進しようという国際社会の取り組みがあって、我が国が一方で主体的に、積極的に寄与することの目的を達成していく上で自衛隊の活動を継続することが必ずしも必要でなくなったと判断するような場合、これはやはり今申し上げたような諸点を総合的に考えた上で結論づけをしていかなければいけないと思いますが、そういった場合には対応措置を終了することになるということでありますので、なかなか、一つの条件が満たされて、はい、終わりというようなことでは決してないというふうに考えております。

楠田委員 ここも一つの例を挙げてお聞きしたいと思います。

 先ほどもアメリカを例に挙げて申しましたが、仮に次の大統領選挙で民主党政権が誕生するということになれば、もう周知のとおり、撤退を始めるという決議も国会の上院の方ではされたわけでありますから、当然アメリカ自体が早期撤退をするという事態も十分想像できるところでありますが、先ほどの答えの中の多国籍軍の構成の変化、活動の変化に当たるかもしれませんけれども、仮にこうした事態が起こった場合は、二年の延長期間の間でありますが、当然日本も撤退をするという判断をするのであるか、この点もお答えください。

塩崎国務大臣 先ほども答弁の中にあったと思いますが、民主党候補といえども、即座に撤退をするという考えの人はたしかいないと思います。どういうふうに撤退をしていくのか、仮に民主党の大統領が誕生しても、それはまだまだわからない話でありまして、結果として、我々がどう判断を主体的にするかといえば、さっき申し上げたような諸点をやはり考えていく。その中に、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化、さっき申し上げたとおりでありますけれども、仮に何々かアメリカの動きに変化があるとすればそこにあるわけでありますから、我々としては、主体的な判断をする要素の一つとしてそういったことも含めて考えていって結論を出していく、これしかないんじゃないかなというふうに思っております。

楠田委員 主体的な判断の中にも客観的な事実があるわけでありますから、いかなるものが主体的な決断というのは私自身もはっきり理解するわけではありませんが、この点に関しては先に進ませていただきたいと思います。

 そもそも、今回の延長をするか否か、民主党としては即時撤退の対案も出させていただいているところでありますが、この四年が切れる今の時期だからこそ、私は、イラク戦争の正当性とそれを支持した日本政府の責任、これを改めて問い直す非常に重要な時期、転機ではないか、このように考えておりますが、この点に関して、きょう三大臣お見えでございますので、それぞれお答えをいただきたいと思います。全く一緒ということであれば、同じという答えでも結構であります。

塩崎国務大臣 恐らく三大臣みんな同じ答えになるんじゃないかなと思いますけれども。

 今、イラク戦争の正当性とそれを支持した政府の責任という御指摘かと思いますけれども、当時、米国等の動きが始まったのは、十二年間にわたって累次の国連安保理決議に違反をし続けた、それから国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせずに、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった、こういうような認識のもとで、我が国は国連安保理決議に基づいてとられた行動を支持したということでございます。

 イラクが、過去、実際には大量破壊兵器を使用した事実というのはもう御案内のとおりで、化学兵器をクルド地区で使っているというようなことなどがありますし、国連査察団の指摘している数々の未解決の問題、この中には、例えば炭疽菌の問題とかマスタードガスの問題とかいろいろなものがあって、まだ未解決のままであった。

 それから、対イラク武力行使が開始された当時は、大量破壊兵器が、やはりトータルで考えてみればあると想定するに足る理由があったというふうに考えたわけであって、当時は、我々の認識としては今申し上げたようなことを考えていたということでございます。

久間国務大臣 武力行使あるいは戦争が正当であるかどうかというのは、これは歴史がたって、後で後世の歴史家が判断することでありますけれども、少なくとも日本が戦争に踏み切ったわけではありませんので、あの当時、アメリカが踏み切ったことについて、日本国政府はそれを支持する、そういうふうに言ったわけでありまして、それは今も、その政府がそのときそういうふうに支持したということについては、現在の政府もその線を維持しているわけでありますから、それについては変わりはございません。

 ただ、私は、あの当時アメリカは特に核兵器を持っていると思い込んでしまっていたけれども、そうかなというのをその当時疑問に思ったということを、閣外におりましたけれども思ったということは、私は言ったことがございます。

麻生国務大臣 これは、政府として、イラクの一連の武力行使に関しましての国連の決議というものなり武力行使というものを支持した背景というのは、閣僚、基本的には同じでありまして、その当時、国連のいわゆる決議案というものに関して、いろいろありましたけれども、武力行使、アメリカの最終的には武力行使というものに関しましては、我々はそれを支持したということだと思っておりますので、見解が三大臣そんなに違うというわけではないと存じます。

楠田委員 これに関しましては、我々としましては、まずアメリカやイギリスという国が中心となって、戦争自体を始めた国があるわけでありますが、こうした国のそれぞれ大統領、首相、ブッシュ大統領、ブレア首相ですら、この前提となった部分の大量破壊兵器、またアルカイダとの関連性、こうしたものに対しては率直に非を認め反省を表明したわけであります。また、アメリカにおいては、ラムズフェルドまたボルトン国連大使といった方々が更迭もしくは延長されないという形で責任をとるという形にもなったわけであります。

 また、御党の内部の中でも、そうした、諸外国ですら責任をとっているのに、我が国で全く総括が行われていないのが、これは無責任に過ぎるのではないかという批判が出ているという話も聞いております。

 私としましては、先ほど久間大臣は、後世の歴史家が判断をする、そのようにおっしゃいましたが、今回の延長のこの時期に、後世の歴史家の判断を待つというのは悠長に過ぎるのではないか。今回、二年を延長するというこの時点で、それは悠長に過ぎるのではないか、私はそのように思っております。――ちょっと待ってください。

 そうした中で、今回、そうした前提となる事実が誤っていた、それを諸外国がそうやって認めた。このことに対して、我が国の要人としてどのように思われるか、改めて伺いたいと思います。

久間国務大臣 この法律を、今度延長ですけれども、その前つくったときも私は関係しておりましたからよくわかりますが、あの戦争が正当だったかどうかということよりも、その後の国連決議を受けて、イラクの復興、安全確保支援活動のために、我が国としては自衛隊を出すべきかどうか、そう判断したときに、出すべきであると判断して出したわけでありまして、その四年前に、戦争が一たん終わった後の状況の中で出すべきかどうかで判断して、出すべきだということで法律をつくったわけでありますから。その法律をつくって四年の期限が来た今日においてどうかと言われると、もうしばらく続ける必要があるんじゃないかと判断しているわけでございますから、それはまた別の判断だと思っております。

楠田委員 二月の私の質問の際も、久間大臣は、これから先どういうふうにしていくか、そういうことについて一生懸命知恵を出そうとしている、過去の判断が正しかったか誤っておったかという議論はする必要はない、そういうふうにおっしゃっておりましたが、私は全く意見が違うわけであります。

 今回、その前提に基づいて今回の復興にも支援をする、少なくともアメリカが、またイギリス等が始めたこの武力行使に対して、当時、それを支持して、今なおそれに対して責任をだれもとらずに、復興に対しての自衛隊派遣を続けているということ自体が非常に問題だと私は言っているわけであります。

 今回、このようなことで総括がなされないのであれば、疑わしいことがあれば武力行使をするというあしき前例をこれからも残し得るし、そして、それに対して我が国は盲目的に支持をするということがこれからも続いていくのではないか、このような危惧を持っているところであります。

 私はそうした意見でありますが、それでもなお、特に久間大臣、今回、過去の点については議論をする必要はないとお思いでしょうか。

久間国務大臣 あの当時、確かに政府は支持しました。しかしながら、戦争そのものを支持したわけではありませんで、その戦争が終わった後の復興支援と安全確保支援活動を自衛隊としてやろうとして法律をつくったわけでありますから、戦争の間じゅう、自衛隊を派遣してずっと協力していたわけではございませんので、そこのところはひとつ正確に区別をしていただきたいと思います。

 テロとの闘いにおいては、戦争そのものを支援するためにインド洋に、これはアフガンではありませんけれども、インド洋に出しておりまして、そのときの法律をつくるときには、いわゆるテロとの闘いを支援するという思想が入っておりますけれども、イラクの自衛隊の派遣については、あくまで復興と安全確保支援活動のために出しておる、そこの違いははっきりと認識していただきたいと思うわけであります。

楠田委員 いや、私の認識では、戦争そのもの、もちろん参加はしておりませんが、それを支持したこと自体は事実ではないかと思います。

 そして、それに対してブッシュやブレアのようなトップが自分の非を認めたわけでありますから、私は、その攻撃を参加していないにしても支持した、このことに対しての総括が、また反省が何らかなされるべきではないか、日本においてもなされるべきではないかと言っているわけでありますが、もう一度お答えください。

久間国務大臣 あのときに確かに政府は支持をしていますし、また、そのときのいろいろな挙証責任がイラクに求められているにもかかわらずイラクがそれをしなかった、そして戦争になってしまった、その結果についてはイラク自身も責任を負わなければならないんじゃないかとか、そういうような状況については、同じような状況ですけれども、日本の政府、日本国があの戦争そのものを何らかの形で支援したか、資金を出したとかあるいは物資の輸送をしたとかいろいろなことをやったかといいますと、今振り返ってみてもそれはやっていないんじゃないかなと私は思っておりますし、ましてや、自衛隊についてはそれについていささかも加担していないと私は言い切れると思います。

楠田委員 そうしたお答えでございますが、全く納得が私もいかないわけであります。

 戦争そのものを支持して、支持をせずに実際に軍隊を出さなかった国が多数ある中で、日本はこれを支持したからこそその後の復興につながっていったわけでありますから、この点において今のような答弁をされるのは間違っているのではないか、私はそのように思いますが、ではもう一度。

久間国務大臣 仮にあのとき支持していなくても、私は、このような法律をつくって、その後、復興と安全確保支援活動としては日本はやっていったと思うんです。そして、あのときは、我が国の国益を考えたときにアメリカの武力行使を支持する方がいいか悪いか、その辺を総合的に判断して政府としては支持する、我が国の国益上の判断で支持するということを閣議として決定したんだと思っております。だから、それはそれで政府の態度としては私はいいんじゃないかと思いますし、現在の政府もそれをそのまま踏襲しているわけであります。

楠田委員 何度も同じ答弁でありますが、支持をしなくてもと言われましたけれども、支持をしたからこそ責任を日本も問うべきではないか、その点に関しての総括をするべきではないか、これから先もそのような前提が間違っているような武力行使をすることを日本が支持しないために総括をするべきではないかと私は言っているわけであります。ではもう一度。

久間国務大臣 そこはちょっと違うと思うんですね。

 私は、やはり国益を考えたときに、ある国の行為に対してそれを支持するか支持しないかという問題は、それはいろいろな角度から判断して決定するわけであります。しかし、その決定と、後から法律をつくってイラクの人道復興支援と安全確保支援活動をする、これをやるかやらないかというのは、今は同じだからそうだというふうにおっしゃられるけれども、仮にそれが違っておった場合でも、その与えられた状況の中で政府としてはどうするかということで、国会に提案して法律をつくって自衛隊を出そうと決断したわけでありますから、その前の行動と後の行動が一緒でなければやっちゃいかぬ、そういう論理にはならないんじゃないかというふうに思いますので、そこのところについてはひとつ、見解の違いかもしれませんけれども、私自身はそう思っておるところであります。

楠田委員 ですから、私は、そうした前提に過ちがある武力行使に対して我が国がかりそめにも支持をしたということに対して我々は謙虚に反省をするべきではないかということをまず言っているわけでありまして、その後の復興の活動に対して言っているわけではありません。

 それで、時間もある程度迫ってまいりましたが、我が党の案として、我々はこうした認識があるからこそ今回即時撤退をするための法律を改めて出したわけでありますが、先ほどの答弁に対する認識も踏まえまして、今回出す我が方の対案に対する理由、趣旨や具体的内容をお答えいただければと思います。

原口議員 まず、戦争の総括ですけれども、先ほども石破委員に答弁をさせていただきましたが、やはり戦争を支持するかしないかについては、国際法をどのようにとらえるかということが一番大事であると思います。

 その国際法をどのようにとらえるか、これは予算委員会での、私たち野党だけが求めたんじゃありません、予算委員会として求めた政府の答弁は、ここに議事録を持ってきましたけれども、「決議六七八、六八七に係る政府見解を文書の形でお示しすることは必ずしも有意義とは考えられない。」こう言っておきながら、この特措法の中にはまさに一四四一と今の二つの決議が書かれている。大変な問題であるというふうに思います。

 しかも、支持を決めたときには、今内閣では日本版NSCについても御議論いただいていますが、国家安全保障会議そのものも、先ほど防衛大臣は国益に照らして支持をしたとおっしゃっていますが、我が国の安全、国民の平和、これに大変密接に関連することであるにもかかわらず、国家安全保障会議が開かれた形跡はございません。したがって、私たちは、この決定に至ったプロセスについても、あるいは国際法的な整合性についても、しっかりと議論がされるべきだというふうに思います。

 そういう前提で、今回法案を出した趣旨でございますが、まず、先ほど石破委員に御説明した理由に加えて、本当にイラクの自衛隊の安全確保義務が政府によって果たされているのだろうか、私たち国会は、それをこの委員会はしっかりと検証できるのだろうか。ある識見のある防衛庁元長官が、こんなことで延長なんか通ると思うなよという御発言をされました。私はそのとおりだろうと思います。

 国会が、シビリアンコントロールのもとでこの自衛隊を出しているとき、大変な私たちの同胞の命、この命をしっかりと保障できるのか、私たちにはそれが確信できなかった。また、るる申し上げておりますように、イラクにおける自衛隊の部隊等の対応措置に関する政府の情報開示、説明責任、これが不十分であり、そして法律そのものの枠組みが破綻している、こういうことから撤退の法案を出した次第でございます。

 以上です。

楠田委員 先ほど答弁いただきましたように、久間大臣の発言の中で、国益に照らして支持をしたという話がありましたが、私は、その国益が本当に正しいのかどうかを改めて問いたいとも思っております。そうした前提が誤っていたとしてもアメリカに追従することが国益であるというように私には聞こえました。本当にそれが、これから先に前例として残ることは、私は決してよくないというふうに改めて感想を持ったところであります。

 また、我が方の対案の中で、今回、今までの二回と、さらにつけ加えた附則第三項というものがありますが、この趣旨についても教えてください。

山口(壯)議員 附則の第三項には、国会への報告ということで、「国会による民主的統制に十分資するものとなるよう、行われなければならない。」と定めさせていただきたいと思っています。

 趣旨は、もちろん、シビリアンコントロールというものの究極の形が国会による軍事のコントロール、シビリアンの代表は国会である以上、それが一番大事だと考えて、米国でも、議会による承認がなければ軍隊を動かせない、こういう原則があるわけですから、そういう意味で、今回のイラク特措法に基づくいろいろな陸上自衛隊の活動あるいはC130の航空自衛隊による活動については、必ずしも詳細が情報開示されておらず、そういう必要性が本当にあるのか、あるいはどういうふうに役に立っているのか、この辺について全く不明確であることから、シビリアンコントロールの観点からも大いに問題があると考えて、こういう附則を入れさせていただきたいと思っています。

楠田委員 先ほどシビリアンコントロールのお答えもいただきましたが、ひとつ質問の中で政府側に改めてお聞きしたいわけですけれども、今、この法案の中で、人道復興支援活動と安全確保支援活動があるわけであります。この二つのうちで、当然、国連支援の場合は人道復興支援であるというのは納得がいきますが、多国籍軍を運ぶ空輸支援をする活動は一体、人道復興支援に当たるのか、それとも安全確保支援に当たるのか、この点をお答えください。

塩崎国務大臣 今、国連の支援の輸送についてのお話は人道復興支援活動だ、こういうことで結論を言っていただきましたが、多国籍軍部隊への空輸支援、これについてでありますけれども、イラク特措法上、安全確保支援活動とは、国連決議に基づいて国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する医療、輸送等の措置をいうということで、これは第三条第一項第二号、第三項に書いてあるわけでありますが、そして、多国籍軍による治安維持活動への支援として我が国が行う空輸等の活動はこれに含まれるということでございます。

 また、人道復興支援活動とは、イラクの復興を支援するために我が国が実施する医療、輸送等の措置をいい、多国籍軍が行う復興支援の活動への支援として我が国が行う空輸活動はこれに含まれている。こういうことで、よって、この多国籍軍の活動に対する支援は内容の中身次第というところであって、安全確保支援活動にも、それから人道復興支援活動にも当たり得るということでございます。内容いかんということであります。

楠田委員 その内容いかん、これは本会議の答弁でもありましたけれども、どちらかに当たる、いずれかに当たるという答えが一貫しておりますが、しかし、その中でも、今、月に二十回程度でしょうか、それで国連が四、五回だと、運んでいるのが。残りの部分のどれだけの割合が人道復興支援なのか、安全確保支援活動であるのか、この点はどうでしょうか。

久間国務大臣 それは、何割がどうだこうだとは言えないと思いますし、また事態の推移によっても変わってくると思います。これから先、イラクが比較的安定してまいりますと、そしてまた人道復興支援活動がふえますと、そっちの関係の物資の輸送等もふえると思います。だから、それは状況状況によって変化するわけでありますから、何割がこちらで何割がこちらだというようなことを一概に言えないんじゃないかと思っております。

 ただ、現在、正直言いまして、最近では、国連の職員等を運ぶ、そういうのが非常に少なくなってきております。そういう点からいきますと、安全確保支援活動がふえてきておるという傾向はございます。

楠田委員 私がそれを改めて確認いたしましたのは、この法律の基本計画の中に、あくまで人道復興支援が中心である、人道復興支援に支障を及ぼさない範囲で安全確保支援活動を行うということが書いてあるわけであります。その中で、どちらに当たるかわからない、そして、さらには安全確保支援活動がふえているということであれば、この基本計画自体が、実際、その実を伴っていないのではないか、この点もそう思うわけでありますが、どうでしょうか。

久間国務大臣 これは、イラクの人道復興支援と安全確保支援活動を始めましたあの当時は、陸上自衛隊がサマワに行っておりましたので、やはり空輸で運ぶということよりも、そちらの方が非常にウエートが高かったわけでございますから、だから、人道復興支援活動を中心としてというような表現になったんだと思っております。

 だから、今後、これから先、この延長が決まりましたときには、その辺の基本計画の決定に当たりましては、パラレルな、法律と同じような形にする必要があるのかもしれませんが、それはそのときにおける、どちらがふえてくるか、そういう状況を見ないと、一概に今言えないわけでありまして、今ここでどうこうということを政府として決めているわけではないと思います。

楠田委員 仮に今の答弁が実際になるとすれば、当然、今までの国民の思いといいますか、人道復興支援が中心であるのでせめて支持したという方にとっても、これは支持し得ないものになっていくのではないかという懸念も持ったところであります。

 済みません、民主党の案に対してもう少し聞きたいところがあったんですが、少し飛ばします。

 そうしたシビリアンコントロールの観点から、政府側に問いましても、満足いくような説明は、情報開示はなされていないのではないか、改めて、民主党の案として、先ほどのような附則第三項のようなものが必要ではないかという意識も強くしたところでありますが、やはり、何よりもわかりやすい情報開示の手段として、特措法を廃止する、そしてその後の説明をしていく、そして、その前提として、我が党としても実際に現地に足を運んで状況を確認するべきではないか、こうした思いもありますし、意見も持っているところでありますが、この点に関してはどうでしょうか。

原口議員 お答え申し上げます。

 我が党は、現在、イラクへの派遣団を計画し、また、国会中でございますので、本日、議運の委員長に対して、請暇願と政府への協力要請をお願いしたところでございます。また、幹事長からも河野議長に対して、しっかりと現地の現状をつぶさに調査するべく、政府に対して協力要請をしていただきたい、こういうお願いをしたところでございます。

 やはりもともとこの空自の派遣は、自己完結であるものだ、そして、それがほかに代替がないものであるということが強調されていたと思います。しかし、現実には、エルビルあるいはバグダッドに対して、四カ国ぐらいから定期便がございます。こういったことも含めて、現実がどうなっているのか、治安がどうなっているのか、それから安全確保がどのように担保されているのか、ぜひ現地で調査をした上で慎重な審議を行いたい、このように考えておるところでございます。

楠田委員 時間が参りましたので、最後に、私もまだ短い人生経験ではありますが、過去の学習によりまして、やはりどういっても、他国による戦後統治というのはあらゆる面で失敗をしてきた歴史があると私は思っております。そうした今回の件も、むしろ禍根を生むことになっているのではないか、そのような懸念を申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

浜田委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 本日は、いわゆる閣法と言われております第八九号、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び原口一博議員、四名が提出されました、こちらは衆法第一九号と呼ぶべきものだと思いますが、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案の二法案につきまして、四十五分ほどでございますか、少し短縮されるかもしれませんが、政治家同士の本音の議論をさせていただければ、そんなふうに思っております。

 まず冒頭、質問に先立ちまして、きょうもこの時間、現場に赴きまして、国際テロリズムの防止及びイラクの人道復興支援に御尽力いただいているあらゆる方々に、とりわけ日の丸を胸に御尽力いただいている自衛隊員の方々、その安全無事なお帰りを願っていらっしゃる御家族の皆さん方には、心から感謝と敬意を表させていただきたいと思います。その上で、そういう思いであるがゆえに、この議論は本音の議論をさせていただければな、そんなふうに思っております。

 そうした中で、質問させていただくパターンをちょっと御紹介させていただきますけれども、事実関係につきましては、政府関係者と申しますか政府参考人の方にお尋ねいたします。その上で、その事実関係に基づいた、きょうは三大臣おそろいでございますので、三大臣から各御担当の御所見をお伺いし、その御所見をお伺いした後に、提案者の四名の方々から御担当の分野につきまして御見識を賜れれば、そのパターンで今から質問をさせていただきたいと思います。

 ありていに言えば、閣法の方は二年間さらに延長をされる、そして衆法一九号の方は直ちに撤退をする、ある面、わかりやすい対立法案であると思います。一つの事実に基づいて、いろいろな見方、認識それから方向性があるがゆえに、こういった二つの法律になるんだと思うわけでございます。

 順番にお聞きしていきたいと思いますが、いずれにしても、きょうこの場にお集まりの皆さん方あるいはイラクの国民の皆様方も、決してきょうのこの現状というのはだれも望まなかったんだと思いますし、今も望んでいないんだと思います。先ほどいみじくも石破筆頭がおっしゃったように、では本当にどうするんだといったときに、一回立ちどまって冷静に考えるのかどうするのかというところもあるのかなという気もいたします。

 そういう意味で、現状認識というのは非常に重要でございますし、私ごとで恐縮ですが、私はずっと学生時代から計画学をやっておりまして、今もやっておりますけれども、計画の妥当性というのを吟味するときに、ウイズアウト、つまり、計画なかりせばどうであったかということを必ず考えるわけですね。最終的に、結果的にそれを見なければいけないわけでございます。人的被害、あるいはこれはベネフィットの部分も考えていかなきゃいけないのかもしれませんが、そういうのを一つ一つ検証して、ウイズ・アンド・ウイズアウト、比較する、そしてどうであるかというのは、必ずこれは結果的に問われるものだと思うんですね。そういった観点で、一つ一つ事実関係とあわせて見識をお伺いしていきたいと思います。

 まず、どうしても考えなきゃいけないのは人的被害でございます。

 民間人の犠牲者も相当数に及んでおりますし、統計のとり方や調査の仕方で随分変わるんでしょうけれども、もうかなりの数ではないかと思います。それから、避難民の方々の数も、これもべらぼうな数という認識を私自身も持っております。そして、忘れてならないのは、やはり多国籍軍の犠牲者の数も、これは正直言って、当初からこんな数は想定されていなかったと思います。

 ですから、避難民の方もかなりの暮らしぶりといいますか、本当に食うか飲まずというような状況であれば、戦地から逃げてきても結果的に命を落とされるということもあわせ持つと、相当数の方の命をこの戦争、戦争関連で失っているのは事実です。ですから、計画学的に言えば、これはどなたが亡くなられるかは別として、これをしなかったら別の何かの要素でこれぐらいの数が亡くならないという限りは、この戦争の正当性というのは計画学的には証明できないだろうと私は思います。

 では、まずお聞きします。民間人の犠牲者、避難民の数、多国籍軍の犠牲者というのは、今政府はどのような御認識をされているのか、外務省の方からお聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 事実関係につきましてお答え申し上げます。

 まず、民間イラク人の死傷者数についてでございますけれども、イラク政府による公式な統計はございませんが、例えば、米英系のNGOでございますイラク・ボディー・カウントという団体によりますと、二〇〇三年の対イラク武力行使後、本年四月二十六日現在、最大で六万八千二百八十九名、最小で六万二千二百八十一名が死亡したとされております。

 続きまして、イラク国内及び周辺国における難民、避難民の数でございますが、これにつきましては、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRによりますと、合わせて三百九十万人以上となっております。

 それから、米軍の死者数につきましては、アメリカのNGOでございますイラク・コアリション・カジュアルティー・カウントによれば、本年四月二十五日現在、総計三千三百三十三人、また多国籍軍全体では三千六百三人とされております。

伴野委員 ありがとうございました。

 今のが、今回の戦争あるいは戦争関連の人的な被害というものでございます。

 今の状況で、さらに国内において、宗派間対立、あるいはテロもびっくりする状態で発生しております。とりわけ私は、四月十二日に起きたイラク議会でのいわゆるテロ、これには本当にほとほとびっくりいたしました。いわゆるグリーンゾーンと言われるところでこんなことが起こっちゃうようじゃ、もう本当に何が、ただでさえ何が起こっても不思議ではないところであったのかもしれませんが、我が国でいえばこの国会、この場所で起こっているということでございますから、非常に危惧をしているわけでございます。

 まず、現時点で宗派間対立はどのように認識されていて、そして、それによるテロもあるんでしょうし、それ以外のテロもあるのかもしれませんが、今のテロの発生状況について、定性的な何か傾向があるのなら教えていただきたい。さらには、今申し上げた、最も私がびっくりしたイラク議会場における、いわゆるグリーンゾーンでも相当規模のテロが発生した、このことにつきましてどういう事実をつかんでいらっしゃるのか、教えてください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、イラクの現状についてでございますけれども、現在のイラクの情勢につきましては、バグダッドを中心にテロや各種の衝突が頻発し、宗派間対立が激化しております。例えば、四月の十二日には、先生御指摘のございましたイラク国民議会の食堂においての自爆テロ、それから四月十八日には、バグダッドで五件の爆弾テロが相次ぎ少なくとも百七十名が死亡しているということがございます。

 この性格についてでございますけれども、対イラク武力行使後は、従前は多国籍軍と武装勢力の衝突が主であったわけでございますが、昨年の二月二十二日にサーマッラーでシーア派の聖廟爆破事件が発生いたしました。この事件を契機にスンニ派対シーア派のイラク人間の衝突が加わって、情勢が一段と厳しいものになったというふうに認識をいたしております。

 イラク政府は本年二月十四日からバグダッドで新たな治安対策を講じております。個々の事案につきまして、それがいかなる原因によるものかということを分類するのはなかなか困難でございますし、また現時点で同対策の効果を判断することも容易ではございませんが、いずれにいたしましても、情勢は予断を許さず、引き続き注目してまいりたいと考えているところでございます。

 それから、二つ目の御質問でございます、四月十二日に起きましたイラク国民議会における自爆テロ事件の事実関係でございますが、私どもが承知しておりますところは、四月の十二日、バグダッド市内のグリーンゾーン内にありますイラク国民議会内の食堂で自爆テロと見られる爆発がございまして、イラクの国会議員の方が死亡されたほか、多数の方が負傷されたと承知しております。

 これに関しまして、次のような動きがあったというふうに承知をいたしております。まず十二日、イラクの治安当局者は、自爆犯はイスラム教スンニ派議員の護衛だった可能性があるということを指摘いたしました。さらに同十二日、駐留米軍のコードウェル報道官によりますと、アルカイダ系のスンニ派の外国人武装勢力によるテロの手口との類似性があるということを指摘されたと承知しております。それから、翌十三日でございますけれども、アルカイダ組織などスンニ派武装勢力が結集したイラク・イスラム国と称する団体が同テロの実行を認める声明をウェブサイトで発表したと承知をいたしております。

 我が国といたしましては、イラクの民主主義の象徴であります議会で起きました今回の事件を断固として非難するものでございます。

伴野委員 私が他の機関を使わせていただいて調べさせていただいたものと大体認識は一緒ではないかなと思います。

 今の事実関係について、先ほど私は、だれもこの現状は望んでいなかった、この法律をつくったときには、最初二年できちっとしたそれなりの民主主義国家が樹立されて、そして安全、安心な暮らしが少しでもできる国家をだれもが望んだと思いますが、今の現状はそれとはほど遠い状況でございます。そうした今の現状認識において、外務大臣、何をお考えになりますか。

麻生国務大臣 今、一連の数字を挙げた説明があっておると思いますが、イラクの現状認識ということですけれども、バグダッドを中心に現状は極めて厳しい情勢にある、一言で言えばそういうことになろうと存じます。

 イラク全体でいくと、クルド地域というところにおきましては、私どもの得ている情報では、極めて平穏な普通の生活が営まれておるというのも事実ですし、南部の、県によって少々違いますけれども、場所によっては平穏な生活が行われておるというのも事実であろうと存じますので、イラク情勢と言われると、バグダッドを中心に、地理的にはちょうど真ん中になります、主にスンニ派の強いところと言われているこの地域においての情勢が極めて厳しいというのが今の現状ということになろうと存じます。

伴野委員 外務大臣も今の現状は容認するものではない、望んでいらっしゃったものではないとも思いますけれども、今おっしゃった中で、治安格差というのも事実出てきているんだと思います。

 では、提案者の方にも同じ質問をさせていただきたいと思います。

 今のイラクの現状についてどういう認識をお持ちになっていらっしゃるでしょうか。

笹木議員 先ほどいろいろ御説明ありましたが、一つは、イラク戦争前とイラク戦争の後を数字で見てみると、イラク戦争前の二〇〇一年から二〇〇二年の年平均が、テロによる死者四名、負傷者が五十五名、ではイラク戦争が終わった後の二〇〇四年から二〇〇六年がどうか、年平均で死者が六千五十七名、負傷者が九千五百八十五名、断トツにひどくなっているわけですね。

 先ほど他の委員の質問にもありましたが、非常にアメリカの占領がお粗末だったからこういう結果になっている、これは事実です。あわせて、先ほど久間大臣の答弁にありましたが、日本はあの戦争を支持しなかったとか、その後で支持したと訂正されていましたが、アメリカは間違っていたんじゃないかという本音が出ておられるんじゃないかと思います。

 もともと、この戦争の大義、大きい戦争、めったにない大きい戦争を日本が支持するかどうか、そのときに、裏をとれない、検証できない、その情報に基づいて大量破壊兵器があるとか、あるいはアルカイダとの関係があるとか、これは日本は検証できないし、裏がとれないわけですね。そういう状態でそのロジックに乗っかる、これがそもそもの間違いだと思います。このロジックには絶対乗っちゃいけなかった、それに乗って支持をした。

 このことは、先ほどから何度も質問者が言っているように、しっかり総括がされないでずるずる来ていること、そして非常にお粗末な占領政策、全く用意もしていなかった、国務省が用意していた千二百ページですか、その報告書も結果は全然検討しなかった、そういう状態で来たその結果が今の状態にある、そのことをもっとしっかりと認識と総括をしていただきたい、そう思います。

 我々の法案は、そういう認識のもとでこの法案を出しているということです。

伴野委員 私は、一口で言って、殺りくは新たな殺りくを生む以外は何物も残さないんじゃないか、そんなふうに思います。武力で人を治めていくことの限界を露呈していると言わざるを得ないと思いますけれども、この現状に対して何もしないというわけにはまいらないんだと思います。それが国際貢献だと思うんですね。

 そうした中で、この現状を踏まえて、今大臣はどういう課題と対策をしていこうか、日本としてはこの法案を閣法として出されている、二年間延長するということが一つの対策だと言われるのかもしれませんが、ほかにもいろいろあろうかと思います。ぜひお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 イラクの現状につきましては先ほど御答弁を申し上げたとおりですが、前にも増して宗派間対立というのが新たに出てきているというのは事実だろうと思っております。そこで、先ほど国民議会の話がいろいろあっておりましたけれども、これに対して、治安の回復という点と、いわゆる宗派間対立等々に見られますように、国民の融和、クルドを含めまして国民の融和という点を我々としては大事にしていかねばならぬところだと思っております。この融和があれば、逆に言えば治安がよくなるということも私どもとしては念頭にあります。

 したがいまして、私どもとしては、ハシミ副大統領というのはよく出てきますが、この人はスンニ派の人であります。そして、今の首相のマリキという人がシーア派、そしてタラバニという大統領がクルドだと存じますが、この三人、それぞれ宗派も違うんですが、こういった人たちに対して、国民融和セミナーというセミナーを日本でやるから人をそれぞれ出してくれ、送ってくれと。そしてその人たちを日本で、私もそこに出ておりましたけれども、三者でそれぞれ会合を時間をかけてやらせていただいて、何日間かやらせていただいた。

 最初結構、初めてでもありますが、私なんかが見たら、どれがスンニでどれがシーアかさっぱりわかりませんけれども、後半になりますと、何日かたちますと、席も最初は分かれていたものがだんだん隣の席になったり、いろいろしている状況の変化を見るにつけ、やはり国民融和というところをうまくやらないと、少なくともお互いに信頼醸成が全く壊れておるということになっておると思います。少なくともフセインのいるときにかなり少数派のスンニ派が多数派のシーアを圧制していたというのは事実だと思いますし、そういった点に多々問題があったことはもう御存じのとおりです。

 ただ、現状、今の混乱しているという状況を、少なくともバグダッド周辺が特に激しいんですが、そういったところできちんとやっていくためには、今申し上げた治安の回復という点も、押さえつけるという手は確かに治安を確実にするためには大切だとは思いますが、そのもとの底にある部分というのを何とかするというところが私どもとしては大変大事なところだと思いますので、そこのところにかなりな労力を使って今いろいろやらせていただいているというのが実態であります。

伴野委員 先ほど提案者、原口提案者の方からも一度御指摘のあった、一つは刀狩りなるもの、DDR、日本らしい貢献の仕方、後ほど時間がありましたらその点についてもお聞かせいただきたいと思いますが、その前に、では、今の現状においてアメリカはどういう新戦略を持っているかという議論をさせていただければと思います。

 まず、政府参考人の方に、米国のイラクの新戦略のポイントについてお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一月十日に米国が発表いたしましたイラク新戦略のポイントでございますけれども、まず、認識といたしましては、イラクの現状は受け入れられず、誤りがあった点についての責任はみずからにあるということを述べた上で、イラク人自身が取り組むバグダッドの治安回復支援等のために、米軍はイラクに約二万名を追加派兵する、その時点ではでございますけれども二万名を追加派兵する、そういったことを治安面では政策をとる。

 それから、政治経済面におきましては、イラク政府が発表しましたもろもろの目標値に沿いまして、もろもろの法律等の早期成立を図るようにする、あるいは、イラク政府によります百億ドルの拠出を伴う復興計画をきちんと実施することを求める、そういったことがございます。

 それからまた、強調されておりますのは、米国の関与は無制限ではなくて、イラク政府が約束を実行しなければ米国民の支持を失うということでございます。

 それからあと、イラク・コンパクトにつきましても、周辺国との関係でございますが、この取り組みを支持するということがうたわれておると承知しております。

伴野委員 今のがイラク新戦略のポイントだと思います。

 その評価も一緒にお聞かせいただけませんか。とりわけ、米国議会の認識、評価、あるいは世論の動向をどうつかんでいらっしゃるか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 この米国の新イラク政策に対します評価でございますけれども、我が国といたしましては、イラクの安定化と復興に向けた米国の決意が示されたものというふうに認識をいたしております。このような米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待しております。

 我が国としては、今後とも、国際社会と協力してイラクの復興支援に取り組んでいく所存でございます。

伴野委員 いや、質問は、その評価に対して、米国議会においての認識、多分違うところを読まれたんだと思いますけれども、次だと思いますよ。もし言われるとしたら、米国議会のことは政府としては評価できないというぐらいのことを言わないと、違ったことを言っていますよ。

伊藤政府参考人 申しわけございません。お答えをいたします。

 この新戦略が発表された後、米国内におきまして幾つかの反応が出ておりますけれども、特に民主党におきましては、この増派をするという方針を厳しく批判しておりまして、増派反対決議案を上院に提出したりしているということがございます。それからあと、世論調査におきましても、アメリカの国民の六割が増派に反対しているというような状況があると承知をいたしております。

麻生国務大臣 今、アメリカの上下両院というところでの撤退期限を付しました補正予算案というのを多分御質問なんだと思うので、これが採決される見込みという動きがあります。動きであって、これは採決まで至っておりませんので何とも申し上げられませんが、この法案をめぐりますアメリカの議会内の対応につきましては、御存じのように、私どもとして、どうなりますという予想を申し上げるというのはちょっと差し控えさせていただきますが、いわゆる撤退時期を設けるべきではないとブッシュ大統領は宣言をしておりまして、御指摘の法案に関しましては拒否権を行使する旨、これはビートーを使うということを明言しておるというのが実態であります。

 先週でしたか先々週でしたか、四月七日だったと記憶していますが、ラジオ放送を使いまして、読ませていただくと、前線に立つ我々の軍隊に対して議会が資金を拠出しなければ、他の分野で削減することが強いられざるを得ないということを述べております。したがって、共和党、民主党とも、テロとの闘いの重要性やイラク駐留米軍を含めた兵士に対する支援の必要性などについては、これは基本的に一致をしておりますが、両党間で、議会と行政府の間でいろいろやりとりが行われていくだろうと思っております。

 いずれにいたしましても、今ブッシュ大統領はバグダッドに増派する予定、たしか二万何千人だったと思いましたけれども、この半分ぐらいしかまだ行っていないということでおりますので、いわゆる戦略の効果があらわれるためにはさらに数カ月がかかるであろうということを言っておりまして、米国の世論等々が今後どうなるかも含めまして、増派の成果というものがどう出てくるかというものは、伴野先生、これは私どもとしてはその成果が起きることを期待しておりますけれども、その成果が実際上がるかどうかにつきましては、今のこの段階でお答えできるところにはございません。

伴野委員 米国議会の認識、評価を我が国が政府として評価するというのは、確かに内政干渉にもなりますし、動向についても同様のことは言えると思いますが、どう議会が認識し評価したかという結果については多分十分御認識されていると思うんですね。動向に対しても、選挙結果に基づく議会の情勢がどうなり、どういう状況になっているか、さらには、それについて、予算に対しては大統領が拒否権もお持ちだということも多分御認識の上で全部おっしゃっているんだと思いますが、その上で、提案者の方にも同じ質問をさせていただきたいと思います。

 ことしの一月十日に、イラク戦略に関するブッシュ大統領の演説を私も見ました。その中で、いろいろ解釈の仕方、見方があるんでしょうが、ひいき目に見ても、彼も、先ほど申し上げたように、だれもこのイラクの現状を望んでいなかった一人であると思います。そうした上で、米国議会において、予算案の状況、さらには米国議会の今の勢力図、それが、十一月だったと思いますが、選挙において、与党共和党の敗北によってその現状が生まれた、こういう状況を提案者の方はどう認識し、解釈されているか、お聞かせください。

山口(壯)議員 伴野委員御指摘のとおり、ブッシュ大統領は事実上、大量破壊兵器の存否に関する判断の誤りを認めているわけですね。それからまた、上下両院においては、イラクからの撤退期限を明記するなど、撤退期限を求める論議が高まっているという状況です。

 先ほど原口提案者の方からも紹介がありましたけれども、下院で米のイラク戦費法案というものが可決された。二百十八賛成、二百八反対で可決された。法案は、ことしの十月一日から駐留米軍の戦闘部隊の撤退を始めて、来年の三月末までに完了を目指す、こういうことが現実になっている。

 たまたま、私、この日曜日に、イタリアで、マルガリータ党というものが、ほかの党とあわせて民主党をつくるというので、行ってきたんですけれども、そこにアメリカの民主党の全国委員長、ハワード・ディーンが来ていまして、彼が堂々と演説したことは、民主党として直ちに撤退を考えたい、これは、彼ははっきり言っていました。そして、今伊藤参事官の方から、六割の人が撤退に賛成という話もあったように聞きましたけれども、ハワード・ディーン氏の数字によれば、七一%の国民が撤退に賛成している、彼の数字をそのまま引用すればそういうような認識をしておりました。

 また、この中で、ISG、イラク・スタディー・グループという、昔のベーカーさんたちが一生懸命ブッシュさんに助け船を出したにもかかわらず、ブッシュ氏は突っ張って、今回派遣しているというようなことが今起こっているんじゃないのかな、こういう認識を私はしています。

伴野委員 私も今の山口議員の御認識とほぼ一緒の認識を持っております。

 やはり、アメリカ国民ですらこの戦争の正当性について疑問を呈し出したと私は思わざるを得ないのではないかと思います。それが一つの選挙結果ということであらわれてきたわけでございますし、そうした中で、先ほども私の前の楠田議員が今回のイラク戦争の支持の正当性に着目した質問をされていましたが、私もやはり今回のイラク戦争の支持の正当性に関しての説明責任は政府にあり、そしてもっと説明していただかなければいけないと思いますし、本音で説明していただかなければいけないと思いますし、そこに瑕疵があったと少しでも思われるならば、それは吐露していただいた方が私はいいのではないかと思いますし、その吐露を以前お聞きしたような記憶が私の中にはあります。

 まず、改めてお聞きしたいと思いますが、現時点において、大量破壊兵器はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。久間大臣、お聞かせいただけませんか。

久間国務大臣 私はみずから調べたわけじゃございませんから、あったかないかということでこの場で答弁することはできませんが、私があの当時感想として述べましたのは、今でも変わっておりません。というのは、私はイラクの大使その他とよく食事をしておりましたが、核兵器、大量破壊兵器と私は言いませんでした、特に核兵器については、なかなか実験その他が国内でできないんですよ、だからうちはそういうのはないと私たちは思っていますよということを口酸っぱく言っておりましたから、私はないんじゃないかなとその当時から思っておりました。

伴野委員 ということは、今も多分ないと思っていらっしゃるんだろうと思います。

 先ほど麻生大臣は米国の武力行使の支持というのがイラク戦争の正当性だというような表現をされてお答えになったやに思いますが、それはそれとして、今と同じ質問を、大量破壊兵器は今の時点であったかなかったか、どうお考えですか。

麻生国務大臣 NBC、ニュークリア、バイオ、ケミカルの三つでNBCというんですが、このNBCのうちでいきますと、Nというものにつきまして大量破壊兵器と言われると、BもCも大量破壊兵器に入りますので、バイオを使った、もしくはマスタードを使った等々のものは既にクルド地域において一九九〇年だったかに使われておりますので、大量破壊兵器のうちBとCというものを考えられるのでしたら、これは間違いなく、あったのが現実に使われておりますので、それが事実だと存じます。

 Nに関しましては、少なくとも今の話でいきますと、これは核兵器と大量破壊兵器と定義が違いますので、今大量破壊兵器と言われましたから丁寧にお答えをしておるんですが、Nだけに関しては、少なくとも今なかったということに関しましては、ブッシュ大統領もその情報収集においては間違いがあったということを認めたんだと思います。

 ただ、イラクに対する武力攻撃が間違っていたという発言をブッシュ大統領もしくはブレア総理がしたという記憶は私にはございません。

伴野委員 いろいろな表現をお使いになっていらっしゃいますが、政府としては、国連安保理決議を御旗にして今回の正当性を言いたいやに思いますが、単純に考えて、イラク戦争が勃発したときの最初の理由の一つにはこの大量破壊兵器というのが挙げられていたわけでございますし、また、アルカイダ初めテロ集団との関係があるというところ、この二つはかなりの部分を占めていたと私は記憶しています。

 その二つが証明できないということであれば、私は、こういう論法で法治国家というのはなかなか成り立つものではない。裁判において、検察が物証もなく、あるいは罪を求めた人間のいわゆるその罪の根拠の多くが消えうせた段階で、そもそもの原罪に対してギルティーということは法治国家ではなかなか言いにくいのではないかと思います。

 それを含めて、民主党の提案者の方は今回のイラク戦争支持の正当性についてどうお考えになっているか、お聞かせください。

笹木議員 先ほど大臣が日本としてもそれは裏をとれないとまたお話しになりましたが、アメリカ自身が、去年の九月八日に上院の情報特別委員会で、当時パウエル国務長官が移動式の生物兵器製造施設とウラン濃縮のためのアルミ管があると言って、国連の安保理でいろいろな決議の議論もしたし、決議もしたわけですが、結局なかった。アメリカ自身がこれは言っている。少なくとも大義が失われているということだと思います。

 それと、日本の場合には、国連の安保理決議の一四四一、あるいはクウェート侵攻の後の六七八とか六八七を言いますが、一四四一については武力行使を容認していない、六七八については十年以上も前、クウェート侵攻の少し後。もしこれを根拠にできるのだとしたら、この十年以上の間、アメリカに限らず国連に加盟している国はどの国もイラクを武力で攻撃することができたのか。そんなめちゃくちゃな不自然な論理はないので、全くへ理屈と言わざるを得ない、そう考えております。

伴野委員 ですから、やはりここの原点というのは避けて通れないんだと思うんですね。どうしても政府の御説明には、そこの一番肝心なところには触れない理由を御旗にしていらっしゃるように思えてなりません。ここは多分、歴史が証明されるという方もいましたし、私は国民の方がよくごらんになっていらっしゃるんじゃないかと思いますので、次の議論に進めさせていただきたいと思います。

 よく軍隊的な活動といいますか、表現の中で、一糸乱れぬ行動をすることを軍隊的と表現されたり、よくも悪くも使われるときがあると思うんですが、ここでどうしても確認しておきたいのは、今回の後方支援活動というのは、とりわけ安全確保支援活動というのは、憲法とどういう整合性をお持ちになるのか。改めて、官房長官、その点をお聞かせいただけませんか。

塩崎国務大臣 武力行使と一体かどうか、憲法上の問題、この問題のお尋ねでございました。

 イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、先ほどもお答えいたしましたけれども、それ自体としては、武力の行使または武力の威嚇に当たらない活動であって、そしてまた非戦闘地域に限って実施する、そういうことなど、他国の武力行使と一体化することはないということを制度的に担保した法律立てにしているわけでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、いわゆる統合された司令部、このもとで連絡や調整をするけれどもその指揮下に入るわけではないということで、我が国の主体的な判断のもとで、我が国の指揮に従って、イラク特措法に基づいて行われるオペレーションだということでございまして、他国の武力行使と一体化することはないという前提は確保されているというのが我々の理解であります。

 したがって、憲法との関係で整合性は担保されているというふうに思います。

伴野委員 現場において、あるいは時代の要請において、刻々といろいろな解釈があっていいと思いますが、現時点において現場サイドからかんがみさせていただいたときに、ここからが後方でここからが前方だという概念は人間がつくった、もっと言うならば、我が国の現行憲法に解釈で照らし合わせていったときにこの概念が整理しやすいということであるとするならば、私は、現場はそろそろもたないのではないかなという観点を持っている人間でございます。くれぐれもこの論理が破綻することが現場にしわ寄せにならないように、ぜひ官房長官に先頭に立っていただければな、そんなふうにも思います。

 これ以上はまた別の機会にこの議論はさせていただければと思いますが、少し残って――ああ、どうぞ。

原口議員 安全確保支援活動と憲法との整合性について先ほど政府から答弁がございましたが、二つの角度から強く指摘をしておきたいと思います。

 それは、本会議場でも指摘をさせていただきましたが、一九九〇年、冬柴委員に対する政府統一見解、ここには二つのことが要件としてあったはずです。一つは多国籍軍の一員として活動しないこと。もう一つは指揮下に入らないこと。

 ところが、今回のイラクでの活動は、実質多国籍軍の一員とならなければ地位協定も結べず活動もできないというところから、そこが外れています。また、先ほど政府の説明がありましたが、実質的には指揮下に入っている。こういうことで、憲法に抵触の疑義が大変高いと言わなくてはなりません。

 もう一つは、先ほど石破委員が大切な御指摘をなさいましたが、戦闘地域と非戦闘地域、相手がいわゆる暴力組織であっても、これが国家または国に準ずるものでなければ、それは警察が対応する脅威であります。

 第一回目の延長のときに、小泉総理は日米同盟を大変強調されました。同盟関係とは、共通の敵、脅威に対する国家の対応だと定義するとすると、このテロリストをどのように定義するかによってここは大きく違ってくるというふうに思います。

 非対称性の脅威であるテロリストは、国または国に準ずるものなのか。

 現在、イラクの状況は、二〇〇三年にブッシュ大統領が戦争終結を宣言したときから比べて、さらに深刻であります。累次の米軍中心の掃討作戦によってテロは一時的に減少しますが、また増加をしている。また、国境を管理することが必ずしもうまくいっていないために、組織的な武装勢力を招いてしまっている。

 こういうことからすると、私たちは、単にこれが従来型の警察権力によって抑えられるような、そういうものではない、したがって国または国に準ずる組織と類似の大変大きな脅威である、こういうことからすると、戦闘地域、非戦闘地域のフィクションも崩れているのではないか、憲法に抵触する大きな疑念があるのではないか、このように考えております。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

伴野委員 わかりやすい御説明、ありがとうございました。

 最後に、少し前向きなことをお聞きして質問を締めさせていただきたいと思います。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる刀狩り、DDRなど、日本らしいイラク支援のあり方というのもやはりもう提案していっていいんじゃないか。私は、出口論としてセットで提案していってもいいんじゃないか。そして、特にソフトパワーの部分は、難民支援のあたり、あるいは宗教の力をおかりする部分なんかは、日本が本当にリーダーシップを発揮して、逆に、アメリカ、一緒についてこいというぐらいのことを言っていくのが私は主体的であろうかと思いますが、外務大臣、いかがお考えになっていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 DDRという話、これは刀狩りから発想したんですけれども、豊臣秀吉ですから十六世紀の末ぐらいに考えついた発想なんですが、このDDRがうまくアフガニスタンで成功した理由は極めてはっきりしていまして、敵が明快だからです。だれが持っているのがいかぬかというのがはっきりしているから、回収というか集めるのも極めて明快だったんです。

 イラクで何でできないんだ、それは、スンニ派もいればシーア派もいれば、どれから回収していいんだかわかりませんし、この宗派から回収するとこちらからやられるというから、早い話が全部ということになりますので、これは膨大なことになります。昔は、旧国軍のあれを収集するだけでよかったアフガニスタンと非常に事情が違うというのが、なかなかアフガニスタンみたいにイラクではいかないという背景です。

 それから、日本だけのあれをという御指摘がありましたが、宗派対立というのを、我々よくアメリカに言うんですが、そんなにあの地域は単純な世界じゃない、歴史も古いし、そちら二百年、あちらは数千年だから、それはとてもじゃない、だからそういった意味ではなかなか歴史的に難しい、したがって宗派だけで対立が起きているわけでも何でもないのではないかと。

 したがって、もとのもとはといえば、少なくとも一九四八年のイスラエル建国にさかのぼりますので、ということから、今、パレスチナというところで、我々としてはここに、日本政府の提案で、パレスチナ、イスラエル、隣のジョルダンと三者一緒になって壮大なプロジェクトを立ち上げつつあります。

 シモン・ペレスという人も日本に来て、本当にできるかと言うから、日本だからやってみせるからちょっと見ていろ、そのかわり、そちらは手を出すなよ、それが一番肝心、やってくれるのはそれだけでいい、何も手を出さなきゃそれでいい、それが最大の貢献だという話をして、きちんと対応しようとしつつあります。ジェリコの近くでやろうとしておりますが、既に調査団も派遣しておりますので、もうしばらくいたしますと、場所が特定でき、いろいろなことができるようになろうと思います。

 これに関してようわかっておられぬ方は、そんなことをやったらアメリカが大丈夫かと言われる質問も出ましたけれども、アメリカは、本当にそれができるか、おれたちにはできない、ぜひそれは成功させて、そういうことはおれたちとしては考えられぬという話もしております。

 幾つか、まだ表面まで出てきておりませんけれども、いろいろな努力はさせていただいておりますので、もうしばらくたちましたら御報告できるようにいたしたいと思っております。

伴野委員 まず最初の、アフガニスタンにおけるDDRもすぐそのままイラクに適用はできないということも、重々承知しております。しかしながら、アフガンのときも、最初どうなるか、紆余曲折があってああいう形に落ちついたわけでございまして、工夫をしていく、知恵を出していくという点で、最終的に武力放棄をさせる方法を考えましょう、そういう提案であるわけですね。そういうふうにお聞きいただけると、勉強不足の方にもわかっていただけるんじゃないかと思います。

 それで、どうですか、提案者の方は、ソフトパワーを初め、先ほど外務大臣もおっしゃったようなことを初め、日本らしいイラク支援というようなことでどんなことをお考えになっていらっしゃるか、最後にお聞かせください。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

山口(壯)議員 最初に出口戦略のことについても聞かれていたと思うんですけれども、私は、今お聞きしていて、政府は出口戦略の方ははっきりしていないんじゃないかなという印象を持っています。

 今、サマワに駐留していたオランダを初めとして、スペイン、ニュージーランド、イタリアなど、既に十五カ国がイラクでの活動を終了したわけですね。それから、英国も、七千百名から五千五百名に段階的な兵力削減を発表している。デンマークも部隊の撤退を発表した。さらに、ルーマニアが年内の兵力削減を発表し、リトアニアも撤退検討を発表している。米国でも御案内のとおりです。

 そういうような状況を生かして、またさらに、この法律の期限が来る、そういう絶好の機会を生かして、我が国としては、米国と堂々と出口戦略について協議をすべきではないのか。それなのに、出口戦略もなく漫然と、しかも二年間も法律を延長するということで、我々はイラク特措法廃止法案を提出した次第です。

 今、どういうことを考えているかということに関しては、この間もクルド民主党の代表とたまたまイタリアで会ったわけですけれども、そういう場所において、比較的治安が安定している地域を中心とした技術協力あるいは投資環境の整備、エネルギー資源の安定供給のための戦略的な拠点づくり、あるいはNGOなどによる職業訓練に対する支援、技術者、医療従事者、教育者等を養成するプログラムなどへの無償資金供与も有効であろうと考えます。ちなみに、これらの取り組みは、イラク特措法の枠組みに頼らなくても、法的には既存の枠組みの中で実施可能なものばかりです。

 そして、この治安回復に合わせて、加えて、電力、下水道などの生活基礎インフラの整備、周辺諸国との連携、放送・通信施設、学校、医療施設の早期復旧整備、これに力点を置いた取り組みも重要であり、これらが、イラク国民の雇用創出、あるいは、これらをアラブやアジア諸国などと共同のプロジェクトという形で模索することも一案であると考えます。

 その他、イラク戦争により両親を亡くしたり負傷した子供たちのための施設の設置、若者の失業対策というものが、中長期的にテロの未然防止にも効果が期待できると思います。

 また、今後の活動の重点としては、自衛隊による象徴的な意味合いの強いものから、イラク・コンパクトへの積極的な関与や、今申し上げたような施策の着実な実施を初めとして、国外へ逃れた難民の救援等への貢献に力点を移していくべきと考えています。

 我が国は、これらによって日本らしい支援ができるものと思います。

浜田委員長 伴野豊君、時間が来ておりますので。

伴野委員 ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、イラクの自衛隊の活動実態について聞いていきます。

 先日の理事会に、政府の方から「対国連輸送支援の実績について」というペーパーが出されました。これによりますと、航空自衛隊が国連に対する輸送支援を開始した昨年の九月六日以降この三月末までの間に、計二十五回、延べ七百六名の人員及び約二・三トンの物資を輸送した、こうあるわけです。総理も二十四日の本会議でこの点について答弁をいたしました。

 まず、確認をいたしますけれども、これについて、四半期ごとの輸送回数、そして人数、物資、その内訳を明らかにしてくれますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月六日の初回輸送以降昨年十二月までの間、計十八回、延べ五百九十名の人員及び約〇・九トンの物資を輸送いたしました。さらに、本年の一月から三月末までの四半期で、計七回、延べ百十六名の人員及び約一・四トンの物資を輸送しております。

赤嶺委員 理事会の席上で、ことし三月に入って以降は国連の人員の輸送実績はないという説明でしたが、それは事実ですか。

山崎政府参考人 理事会におきましての説明がちょっと舌足らずで申しわけございませんでしたけれども、全般的に国連の人員の輸送数は減少しておりますが、一月から三月までの間に輸送したときに、全然国連の人員を輸送しなかったときもあるという意味で申し上げた次第でございます。

赤嶺委員 確認いたしますけれども、三月の輸送実績は人員はなかったということをおっしゃったわけですが、その点はいかがなんですか。

山崎政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、ちょっと説明が舌足らずで誤解を与えたと思って、申しわけなく思っております。

 私が申し上げたかったのは、本年一月から三月までの間に国連の人員を輸送しなかった便もあるということを、つまり、ゼロであったこともあるということを申し上げたかった次第でございます。

赤嶺委員 物資の輸送はどうですか。

山崎政府参考人 物資の輸送につきまして、各便ごとのちょっと詳細な数字について把握をしておりません。先ほど申し上げましたように、初回の輸送以降昨年十二月までの間に約〇・九トン、それから一月から三月までの間に約一・四トンの物資を輸送しております。

赤嶺委員 去年に比べて、国連の輸送、運ばなかったときもあるというお話がありましたけれども、ことしに入ってというのは回数やら人員、かなり減少しているわけですが、その理由は何ですか。

山崎政府参考人 まず、国連の方からの累次の説明を整理して申し上げれば、以下のとおりでございます。

 イラクの治安情勢を踏まえまして、最近、安全上の観点から、イラク全体における国連要員を少数に維持するとともに、同要員のイラク国内外の移動頻度を抑えている状況にある。しかしながら、かかる中でも、国連としては、治安情勢、人道状況その他の要素を考慮しつつ、イラクにおける活動の拡大の可能性について慎重に検討を継続している。したがって、地方選挙に対する支援、イラク・コンパクトの実施その他の事項の関連で、今後、国連の活動が増大する可能性がある。

 国連は、イラク国内での要員移動のための空輸の選択肢を増加させる努力を行ってきている。この努力の一環として、デンマークは本年二月より国連の用に供する航空機の提供を開始したが、デンマークによる協力を得ているのは国連側の所要の一部である。また、同国の支援が本年六月以降も継続するか否かは国連としても不確かであるという説明を受けております。

 したがいまして、国連として同要員のイラク国内外の移動頻度を抑えている、それから一部デンマークによる協力を、航空支援を受けているということによって我が方の支援が減少しているということではないかというふうに思っております。

赤嶺委員 今の説明ですと、今の時期移動は控えている、将来はふえるだろうというお話なんですが、今イラクの情勢は、なかなか先のことをきちんと説明できることはどうなのかなとさっき外務大臣の答弁を聞きながら考えていましたけれども。

 そうすると、ブッシュ大統領がイラクの新政策を発表して、米軍の増派を始めて掃討作戦が強化されています。いわば、これとの関係で国連の活動も十分に展開できない状況にあるということですか。

山崎政府参考人 国連からの説明を受けておりまして、先ほど御説明をしましたように、イラクの治安情勢を踏まえ、最近、安全上の観点から、イラク全体における国連要員を少数に維持するとともにという説明を受けておりまして、必ずしも、国連の活動が多国籍軍、特に米国の掃討作戦とどういう関係にあるかについては、私ども詳細を承知しておりません。

赤嶺委員 去年に比べてことし国連の輸送がかなり減少している、控えていると国連も言っている、その時期はやはりブッシュ大統領の新政策の結果だ、結果としてそうなっていると指摘せざるを得ないと思うんですよ。

 先ほどデンマークの話もありましたけれども、デンマークはどういう規模、態勢で、いつからいつまで活動を行っているんですか。

岩屋副大臣 デンマークにつきましては、機内乗務員を含め約二十名の要員によって、デンマーク輸送機一機が一月二十三日よりクウェートを拠点に活動を開始しております。主に国連関係者の不定期の移動のために用いられているということでございます。

 ついでに申し上げれば、このデンマーク輸送機による国連職員の輸送実績や輸送頻度等については、これまでデンマーク政府は公表していない。私どもと同様の理由ではないかと推察をしております。

赤嶺委員 ことしに入って四半期の国連支援の輸送回数は、先ほど説明があったとおり七回ということでした。同じ時期に、多国籍軍支援も含めた全体で何回の輸送を行っているんですか。

山崎政府参考人 ちょっと統計上、昨年七月十九日以降の統計しか持っておりませんが、それから現在に至るまで、総計百五十回でございます。

赤嶺委員 いや、ことしに入って以降の四半期を聞いているんです。一月何回、二月何回、三月何回、いかがですか。

山崎政府参考人 約六十回でございます。

赤嶺委員 約六十回というのは、ちょっと月ごとに言ってくれますか。私は防衛省からもらった資料を持っているんですよ。月ごとにちゃんと言ってくれますか。

山崎政府参考人 一月が十七回、二月が十八回、三月が十四回でございます。

赤嶺委員 そうすると四十九回ということなんですね。

 二月の説明では、全体の七割から八割が多国籍軍支援ということでありました。私の質問に対してそういう答えがありました。ことしに入って以降といえば、四十九分の四十二回ということで、実に八六%が多国籍軍支援ということになるわけですね。かなり多国籍軍にシフトしてきている。

 重量についても聞きますが、ことしに入って以降の四半期は一・四トンということでした。多国籍軍も含めた全体では何トンの輸送を行っているんですか。

山崎政府参考人 約二十一トンでございます。

赤嶺委員 約二十一・五トン。一月五トン、二月五・六トン、三月十・九トン、合計で二十一・五トン。

 これも計算をしますと、二十一・五分の一・四で、重量でいえば九三%が多国籍軍支援ということになります。つまり、アメリカの新政策で掃討作戦が強化された時期に、自衛隊の活動が一層多国籍軍中心にシフトしているということになります。

 そこで、防衛大臣に聞きますが、これまで政府は、自衛隊の活動は人道復興支援活動が中心だと説明してきましたけれども、こうした実態からすれば、安全確保支援活動が中心ということではありませんか。

久間国務大臣 先ほども答弁しましたように、この法律は、人道復興支援活動と安全確保支援活動と両方をパラレルにするためにつくった法律であります。そして、当初の基本計画では、人道復興支援を行う陸上自衛隊のウエートが非常に高かったので、そちらを中心としてというような、そういう表現になっております。

 しかしながら、法の趣旨は、両方をパラレルに扱っておる、そういうことでございますので、今回もこういう法律をそのまま延長させていただきたいと言っておるわけです。といいますのは、その時々でどちらにウエートがかかってくるかというのは変わり得るわけでありまして、今、たまたまデンマークが国連の職員その他の輸送をやってくれております。したがって、いいわけですけれども、国連からは、我が国に対しては、引き続き空自の活動を続けてもらいたい、そういう要請が来ておるというのは、デンマークの方もいつまで続くかというのを言明しているわけではございませんので、我々に対する期待があるんだろうと思います。

 これから先、どういう形になっていきますのか、その状況によっても、いろいろなことが変化があろうかと思いますけれども、我々は、人道復興支援活動と安全確保支援活動をともに行っていく、そういうこの法律の趣旨に基づいてこれから先も活動を続けたい、そのために今度の法律の延長をしていただきたい、そういうお願いをしているところであります。

赤嶺委員 大臣、私が聞いておりますのは、今の実態からすれば、今の活動は安全確保支援活動中心だということですね。

久間国務大臣 ある点をとらえて、その時点だけで、この法律がこちらの方だけだというようなことを言うのはいかがかと思います。法律をつくって、今度また延長をしますと、二年後までも見据えながら考えなけりゃならないわけでありますから、そういう意味では、両方とも法の目的は掲げておるわけであります。

赤嶺委員 流れ、経過を見ると明らかです。人道復興支援活動だと言って始めた自衛隊の活動が、今や安全確保支援活動中心になっている。時を経るにつれ治安は悪化し、泥沼化している。

 皆さんが人道復興支援活動中心になるんだというようなのは、何の根拠もないわけですよ。根拠ありますか。

久間国務大臣 それともう一つ理解していただきたいのは、多国籍軍の兵士も人道復興支援活動にも携わっておるわけでありまして、人道復興支援活動には多国籍軍は一切タッチしていない、そういう先入観で決めつけられますと、非常に気の毒であります。気の毒という言い方はちょっと悪いですけれども、こちらの方が、さも安全確保支援活動よりも人道復興の方がいいかのような言い方になってしまいますから、それはちょっと誤解をされますけれども。

 要するに、両方ともやっておるわけでありますから、両方をなかなか分離しにくい、そういうようなことで、法律上、パラレルになっているわけであります。

赤嶺委員 多国籍軍も人道復興支援活動をやっているということでしたけれども、具体的にどういう活動をやっているんですか。

山崎政府参考人 米英を初めとする多国籍軍は、国連の決議を受けまして、PRT等の活動を通じまして、例えばインフラの整備等を行っております。

赤嶺委員 米軍がPRTをやっていると。自衛隊が乗せている米軍は、そういうPRTに従事している人たちなんですか。

山崎政府参考人 多国籍軍の兵士が、どの方がどういう任務につくかということまで私ども承知をしておりませんけれども、今申し上げましたように、多国籍軍の一部は人道復興支援活動に従事をしております。

 したがいまして、我々が空輸をしております多国籍軍の兵士の方も、一部は当然その人道復興支援活動に従事をしているというふうに理解をしております。

赤嶺委員 確認できるんですか。

山崎政府参考人 そういう意味において、私どもは、乗員をされる方に一々、復興支援をされるのかどうかという確認をしておりませんけれども、従来から当委員会でも御説明をしておりますように、PRTを通じて多国籍軍等も十分な人道復興支援活動を行っているというふうに聞いておりますし、承知をしております。

 したがいまして、多国籍軍の兵士、我々が空輸支援をしている兵士の一部は、当然、インフラ等の整備、人道復興支援活動に従事をしているというふうに考えております。

赤嶺委員 何の根拠もないわけですね。

 将来、人道復興支援活動中心に移行する展望、これも説明できない。今、自衛隊の輸送機に乗っている米軍が何をしているか、これも確認できないわけですから、根拠を示したことにならないわけですよ。今、常識的に考えて、バグダッドに行く米軍の活動の中心というのは、やはり掃討作戦ですよ。そして、いわゆる治安関連、これだと考えるのが常識だと思うんですね。

 米軍は人道復興支援もやっているという説明は、それを支援している自衛隊の活動の性格をごまかすものだということを指摘して、私の質問を終わります。

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、私にいただきました十二分ですので、まずは、イラク戦争の現状ということをきょうは質疑させていただき、できれば次回、何をなすべきかということを伺わせていただきたいと思います。

 まず冒頭、麻生外務大臣にお伺いいたしますが、大臣は文化的なことにも非常に造詣が深い方でいらっしゃいますけれども、四月二十三日に亡くなったアメリカのピュリッツァー賞作家のデービッド・ハルバースタムさんという方を御存じでしょうか。

麻生国務大臣 名前ぐらいしか知りません。直接知っているかというと、面識があるわけじゃありませんよ。名前ぐらい知っています。

阿部(知)委員 御面識があるかという意味ではなくて、彼の活動を御存じかという意味で伺いました。

 彼は、一九六四年の当時、ベトナム戦争について泥沼化という言葉を使い、そのベトナム戦争の報道において、その後も高い評価を得た方であります。私は、この間のイラク戦争、そして、今を戦後と言うべきか、新たな内戦状態で非常に悪化している方向に向かっているかどうかもかなりきちんと考えておかねばいけない状況と思いますので、この方のおっしゃったところをちょっときょうは引用させていただきます。

 この方は、ワシントンに比べて戦場に楽観派は少ない、現場に近づくほど当局の楽観主義からは遠くなるということをおっしゃっていて、ベトナム戦争が非常に厳しくなっていくときに、ワシントンと現場のベトナムの様子を比べながら報道して、なぜアメリカがあのベトナム戦争にどんどんどんどん巻き込まれていき、アメリカ自身も苦しい思いをしたかということを述べられた方であります。

 私は、このたびのブッシュ大統領の増派兵ということに先立つブッシュ大統領自身の総括を拝見していても、実は、日本の小泉前総理よりは現状を厳しく認識しておられたと思う節があります。

 ここには、小泉総理が昨年の六月にブッシュ大統領を訪問されたときの発言を引用させていただきますが、「イラクの国造りを支持し大きな成果を達成したブッシュ大統領の指導力に改めて敬意を表する、」ということを昨年六月に小泉前首相はお述べであります。

 しかし、この昨年六月と申しますのは、二月にシーア派の聖廟が爆破されて以降どんどんどんどん、さっき外務大臣がおっしゃったようなシーア派とスンニ派の問題、あるいはその後のアルカイダとの関連もあり、もう何が何やらわからなくなって、いろいろな抗争が起きていった当初であります。

 近く安倍総理は、もう出発されていますが、アメリカと中東を訪れられるというお話ですが、現状で麻生外務大臣は、当時の小泉総理の御発言をどう思われるか、そして、今回安倍総理が出向かれますことに対して、イラクの現状というものはどういうふうにお考えかということを一点、お願いいたします。

麻生国務大臣 阿部先生御存じのように、イラクのフセイン政権が倒れた後、今はいわゆる政情不安というところにスポットが当たりますけれども、基本的に忘れられちゃいかぬことは、この国は、みんなで開かれた形で選挙をやって議員を選んで、その人たちに憲法をつくらせて、それをもとにもう一回議会をつくって、そしてそれをもとに政府をつくったというところは、これまででは考えられないぐらいのことがイラクでなされたという点は、全く今だれも触れられないところになっていますが、これは間違いなく、スンニ、シーア、クルド、それぞれ足したところでの政府ができたという点に関しましては、成果として認めないといかぬ、私どもはそう思っております。

 それから、今私どもとして考えなければいかぬというのは、このイラクの中において、現状につきましては官房長官また防衛大臣がそれぞれ述べられたとおりなんだと存じますが、私どもとしては、この状況を放置して、ぱっとそのままということにはなかなかいかぬのではないか。少なくとも、この状況を何らかの形でオーダー、秩序を保つ、秩序を取り戻すというところにどういう形で我々としては貢献していくかというのが大事なところであって、それができませんと、結果的に一番迷惑するのはそこにいる国民、人民、子供ということになろうと思いますので、そういったところを考えて、どういうやり方が一番いいかというところが意見の分かれているところなんだと思います。

 そこそこみんな、もういいかげんにしてもらいたいという表現は、CNNやらBBCや何かを聞かれているとよく出てくるところで、みんな多分同じなんだと思うんです。そこらのところに至るまでの経緯が、ちょっと何とも言えず、人様の話を、それぞれこの間三派が来た話を聞いていても、ちょっと私の理解ではなかなかもう少し、でも、同じ選挙区でも、もと党が同じだとなかなか話が込み入りますので、あれと同じかなと思って、いろいろ考えながら話をずっと聞いていたんですけれども。

 正直、余りに難しい話にしておられるけれども、現実、もとはそんなに難しい話からスタートしたんじゃないんじゃないんですかねという感じが話したときの率直な感じですので、先生、何かのきっかけが多分要るんだなという感じが率直なところです。

阿部(知)委員 きっかけが外務大臣のおっしゃる宗派間対立を超えて国民の融和、融合を図るということであるという認識は一緒であります。しかし、私は、やはり余りに現状認識が楽観的過ぎれば、処方せんを誤ると思います。

 例えば、今回、ブッシュ大統領が増派兵いたしましてやることは、戸別訪問ならぬ、各一戸一戸の家にイラク兵とともに米兵が行って、スンニ派であれシーア派であれ、だれか隠れていてテロリストではないか、こういうことをあぶり出すという作戦に入り込んでおります。逆に言うと、イラクの国民から多くの恨みを買うことだってあります。今、方向が非常に混沌としておりますし、私どもは極めて慎重に事の事態を見守らなきゃいけない中であります。

 済みませんが、塩崎官房長官に御質疑お願いいたします。申しわけありません、急に振って。

浜田委員長 急でございますね。ちょっとお待ちください。(阿部(知)委員「急でございます、申しわけありません、お休み中」と呼ぶ)

 済みません。

阿部(知)委員 はい、済みません。

 安倍総理は、このたび、アメリカに向かわれた後、中東にも出向かれると。日経連関係のミッションをお連れというか、御一緒、同行していかれるわけですね。

 官房長官として、例えば今イラクの状況は、私が見るところ、国内、国外に難民が非常にふえておりますし、数え方によっては内外で二百万ずつ、すなわち四百万近い難民もいる。もっと多いという集計もございます。そして、エジプトの外務大臣は、イラクでこんなに難民が発生しちゃっていて、それが周辺諸国に次々と出てくると、周辺諸国も大変である、やはり多国籍軍にもっと費用を出してもらったっていいじゃないかというふうなお話もあるやに報道されています。

 このたび行かれる中東での一番の成果は何と考えられて、どのようなお話をしてこられるのでしょうか。帰ってきたらまた御報告を受けますので、きょうは行く前段に当たっての政府としての方針を伺います。特に、御手洗さんを初めとして多くの経済関係分野からのミッションをお連れでありますので、その点も含めてお願いいたします。

塩崎国務大臣 これは、イラクの問題との絡みで先ほども申し上げましたけれども、今回、中東五カ国訪問をいたしますが、当然のことながら、周辺諸国も一緒になってイラクの復興を支援していこうということで首脳との話し合いをしようということを申し上げたところでございます。当然、首脳会談でそういった話が一つの大きな話題になるのは明らかだと思っています。ちょうどイラク・コンパクトの会議がエジプトでございます。麻生大臣が追っかけ行かれることにもなっておりますが、閣僚レベルの会合もあるということで、当然ですが、そういうことを話し合うことになります。したがって、今先生御指摘のような難民の状況等々も話題になる可能性は十分あると思うわけでございますので、それはそれとしてやっていきたいと思います。

 今回、経済人百数十名行かれるというふうに聞いています。日経連というよりは日本経団連からのお声がけが多いんだろうと思うわけですが、これは言うまでもなく、中東地域、特に湾岸地域は、日本のエネルギー、先ほど来お話が出ているように、九割ぐらいあの地域から石油や天然ガス等を輸入しているということもあって、極めて重要な日本の言ってみればライフラインの大もとでもあります。したがって、その地域での安定とともに、安定的な経済関係も大事だということがございます。

 それともう一つは、当然のことながら、日本があの地域で経済的にどういう貢献ができるのか。金融もいろいろと発展しつつある。それから、変わり行く中東の国々、将来を見据えていろいろなことを今模索しています。日本の経済界がそれらに対して投資等々通じてどういう貢献ができるのか、そんなことも多分話題になるんだろうと思いますので、そういうようなことを含めて幅広い対話を、多分あの湾岸の国々、そしてまたエジプトの経済界とあるいは政府要人との間で行われるのではないかなというふうに思っております。

阿部(知)委員 米国内のイラク研究グループの指摘にもあるように、この湾岸諸国とのいわば政治的な新たな枠組みでイラクの問題をきっちりと支援していけるということは重要と思いますので、単に、経済面ももちろん重要です、しかし同時に、政治的な、私は、日本がよって立つ立場、そして何をなすべきかということもしっかりやってきていただきたい。また御報告を受けたいと思います。

 ありがとうございます。

浜田委員長 次回は、明二十七日金曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十分散会


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