衆議院

メインへスキップ



第3号 平成19年10月26日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年十月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    井澤 京子君

      伊藤信太郎君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      浮島 敏男君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      原田 憲治君    増原 義剛君

      松本 洋平君    三原 朝彦君

      御法川信英君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      吉川 貴盛君    若宮 健嗣君

      大島  敦君    川内 博史君

      古賀 一成君    近藤 昭一君

      田嶋  要君    長島 昭久君

      伴野  豊君    松野 頼久君

      三谷 光男君    田端 正広君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     岩屋  毅君

  越智 隆雄君     井澤 京子君

  大塚  拓君     関  芳弘君

  北村 茂男君     原田 憲治君

  鈴木 馨祐君     浮島 敏男君

  西本 勝子君     永岡 桂子君

  野田 聖子君     御法川信英君

  三原 朝彦君     若宮 健嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     越智 隆雄君

  岩屋  毅君     伊藤 忠彦君

  浮島 敏男君     鈴木 馨祐君

  関  芳弘君     大塚  拓君

  永岡 桂子君     西本 勝子君

  原田 憲治君     北村 茂男君

  御法川信英君     安井潤一郎君

  若宮 健嗣君     三原 朝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     野田 聖子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省運用企画局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自由民主党の岩屋毅でございます。

 いよいよ今国会最大の焦点でありますこの法案の審議に入ることができました。御尽力をいただいた深谷委員長を初め、各党理事者の皆さん、また御関係の皆さんに心から敬意を表したいと思います。

 きょうは基本的質疑の場でございますので、私からは、この法案をつくるに至った背景、その基本的構造、意義、これまでの成果、そういったものを中心にお聞きをしていきたいというふうに考えております。余り細かい点には踏み込まず、大枠といいますか骨太の議論をさせていただきたい、こう思っております。

 しかし、その本題に入る前に、どうしても指摘をしておかなければならない問題がございます。

 石破大臣、防衛省の現在のこのさまざまな不祥事の状況、これはもう与党も野党もないのであって、私どもも本当に怒り心頭に発しております。

 まず、守屋前次官の自衛隊倫理規程違反を初めとするさまざまな疑惑の問題がございます。いやしくも防衛省事務方のトップにあった人物の行為、ゴルフ接待二百回だとか、いろいろなことを言われておりますが、まことに嘆かわしいことだというふうに私は思います。

 私は、初代防衛政務官として、守屋さんとも一緒に仕事をしたことがあります。そのときの初代副大臣が石破先生でありましたが、非常に仕事のよくできる人だというふうに思っておりましただけに、残念至極でございます。

 ただ、先般の次官更迭騒ぎというのがありました。私、事情はよくわかりませんけれども、いやしくも大臣の命令に対して、公然と反旗を翻していろいろな運動を行ったというあの姿を見たときに、やはり余りにも長い間権勢の座にいたということのおごりがそこにあったのではないか、そういうふうにも感じておりました。

 当委員会では、既に守屋前次官の喚問を決定しております。二十九日にその証人喚問が行われるわけでございまして、詳しいことはその喚問の場でしっかりと追及をしなくちゃいかぬ、こう思っておりますし、この際申し上げておきますが、与党自民党としても追及の手は絶対に緩めないということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、石破大臣はこれまで守屋氏から直接に事情を聞いてこられたというふうに承知をしておりますが、この段階でどういう事実が判明しているのか、それから、最終的な報告をいつ出すつもりか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 御指摘の山田洋行の元専務と守屋前防衛事務次官との関係につきましては、私の指示のもと、防衛省といたしまして、同氏に対して確認を行ってまいりました。現在までに以下のとおり把握をしております。

 守屋氏からの聞き取りによりますれば、守屋氏は、自衛隊員倫理法及びこれに基づく自衛隊員倫理規程が施行された平成十二年四月以降も、山田洋行の元専務とゴルフを行っておりました。これは同氏が防衛事務次官に就任した平成十五年八月以降を含めてのことでありまして、具体的には、元専務と最後にプレーをしたのは、ことし四月三十日ということでございました。これは、昨日、同氏から訂正の申し出があったものであります。

 回数でございますが、確認する材料がなくコメントできない。また、プレー料金につきましては、プレーの都度、元専務に一万円を渡すことになっておったということであり、これは、守屋氏一人が参加する場合も、同氏の妻が同行する場合も同じということでありました。

 二十年以上前にこの元専務と知り合いになり、それ以来、家族ぐるみのつき合いをしておったということであります。同氏は、平成十二年四月に施行されました自衛隊員倫理規程のもとでは、仮に割り勘であったとしても、利害関係者とゴルフをしてはならないということを認識しておったわけでありますが、長年にわたる個人的なつき合いがあったことなどから、この倫理規程の施行されました後も、このようなつき合いをやめることができなかったということであります。

 元専務とゴルフを行った後にマージャンをすることがあり、その後、焼き肉店などで食事をすることもあったとのことであります。その際は、守屋氏がほかの人の分も含めて食事の費用を負担することもあれば、元専務が負担することもあったとのことであります。

 ゴルフに付随する機会以外に、元専務とマージャンをしたことはなかったということであります。

 食事につきましては、上記の機会のほか、元専務が来日中の米国の国防省あるいは国務省関係の高官、要人とともに食事をする際、守屋氏も呼ばれて参加したこともあったとのことであり、その場合、守屋氏の食事代は元専務が負担をしていたということであります。

 このような確認内容につきましては、去る十月二十三日、私から公表をいたしました。

 防衛省といたしましては、今後、当委員会において証人喚問が行われることでもございまして、そういうことを踏まえながら、今後とも必要な確認、これは適時適切に行ってまいりたいと思っておるところでございます。

 以上であります。

岩屋委員 当委員会でも、来る月曜日に証人喚問をやります。それはもう徹底的にその場で我が党としても追及したいと思っておりますが、防衛省としても、事実を徹底的に解明して、しっかりとした報告を出していただきたい、このように思います。

 このような事態の再発を防ぐために、既に防衛大臣は行動を起こしておられるというふうに承知をしておりますが、どういう考え方で今後の再発防止に臨むのか、お聞かせをいただきたい。

石破国務大臣 短期的に申し上げますと、防衛監察制度というのが導入をされました。この組織はこの九月にスタートをしたものでございますが、昨日、この制度に基づきまして特別監察を命じたところでございます。ゴルフ、あるいはマージャン、飲食、贈答品の受け取り等々、そのようなことについて特別監察を命じたところであり、これは早急に行い、報告を受け、必要な範囲で公表してまいりたいと考えております。

 特別監察を行えばそれでいいのか、これから監察の範囲も広げてまいりますが、私はそれでいいのだとは思っておりません。組織的、構造的なものに手を入れていき、変えていかないと、また同じようなことが起こらないとは限らないと私は思っております。

 どういうふうに変えていくかということは、監察制度の導入もございましたが、この防衛省の体制のあり方、そして、文民統制に関する委員会というのを立ち上げたところですけれども、結局のところ、例えば長きにわたって在職すれば腐敗が生ずるかといえば、例えば首長さんというのは三期、四期、いいか悪いかは別にして、やることがございますね。腐敗がある場合もありますが、ほとんどはきちんとなされている。それは、選挙というものがあって有権者の監視がある、あるいは議会の監視があるということでしょう。あるいは、会社の経営者の方でも何年もやることもあるが、それでは必ず腐敗するか。そんなことはないわけで、それは、会社の業績というものもある、お客様というものもある、株主総会というものもある。

 どういうようなチェック体制というものを設けるべきなのかということについて、文民統制の観点、そして国会の関与のあり方、そこも含めて徹底的に議論をしていかないと、こういうことを属人的なものに帰してはいけないと私は思っているんです。そういう観点から、きちんとした体制というのを今確立したい、そのために全力を尽くしたい、そのように思っております。

 以上であります。

岩屋委員 この問題の背景には、言うまでもないことですが、防衛省の調達、非常にある意味特殊な性質を持った調達制度といいますか仕組み、これが起因していると私は思うんですね。言ってみれば、構造問題だと思います。その点については、恐らく石破大臣も強く認識をしておられると思うし、これから対策をとられると思いますが、この問題については、詳細は、この後私の同僚の西村委員から詳しく質問させていただきたいと思います。

 もう一つの問題をまた申し上げなきゃいけないんですね。いわゆる隠ぺい疑惑と言われている問題でございます。これは、より組織にかかわる問題でございますから、事態は一層深刻だというふうに我々も考えております。

 一つは、例の給油量取り違えの事件ですね。二十万ガロン、八十万ガロン、これを取り違えた、わかっていたけれども報告しなかったという、これもだらしない話でございます。もう一つは、航泊日誌。きちんと保管をしておくべきものを、保存が義務づけられている期間中に誤って破棄してしまった、これもだらしない話でございます。

 私は、事の起こりは単純なミスだったと思うんですね。組織的、意図的な隠ぺい工作だったとは私は思わない。ただ、世間では、これは防衛省の組織的な隠ぺい工作ではないかという疑念が持たれていることも事実でございます。これについては、しっかり疑念を晴らしてもらわなきゃいかぬ。

 事実関係について説明をしていただきたいと思います。

石破国務大臣 給油量の取り違え事案でありますが、平成十五年二月二十五日に現地の派遣部隊から送付されてまいりました海上自衛隊補給艦「ときわ」の給油量に関するデータ、つまりインド洋に派遣しております現地からデータが送られてくるわけです。どれぐらいどの船に補給されたか、そういうデータがEメールあるいは電報等々で送られてまいります。

 このデータを海上幕僚監部におきまして集計する作業を行いましたときに、担当者が、補給艦、これは大きな補給艦ですが、この補給艦ペコスへの給油量八十万ガロンを、同じ日に私どもの補給艦から補給を受けましたアメリカの駆逐艦ポール・ハミルトン、これはアーレイバーク級の駆逐艦ですから大体私どものイージスと同じぐらいの大きさと思っていただければいいのですが、これへの給油量二十万ガロンと取り違えて入力した、このことによるものでございます。その点について言えば、委員がおっしゃるとおり単純ミスです。

 この件は、その後、当時の海上幕僚監部の担当課長らが、その取り違えに気づいていたにもかかわらず適切な報告を行わず、また訂正の措置もとらなかったということだ、私はそのように把握をいたしております。

 また、航泊日誌、普通でいいます航海日誌でございますが、これを誤って破棄したという事案は、補給艦「とわだ」の航海科員が、本来保存期間内のため廃棄してはならない航泊日誌を、管理責任者である艦長の許可を受けずに、保存期間を経過した航泊日誌とともに誤って破棄したということが、とらえられておる事実でございます。

 これらの事案は、防衛省・自衛隊の事務処理のあり方に対する信頼を損ねるものであり、加えて、文民統制にかかわる極めて重大な問題であると強く認識をいたしております。そのため、十月二十二日、私を長といたします文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会を設置したところであり、今後速やかにその調査の結果を明らかにするとともに、厳正な処分を行い、加えて、文民統制の徹底を図るとの観点から、再発防止の徹底を含め抜本的な措置を講ずるということなのです。

 では、具体的に何をやるんだということですが、私はこのように申しました。

 私どもの組織はどれぐらいの文書を管理しておるかといいますと、約二百二十万件管理をいたしております。この文書の管理あるいは教育、意識改革、対外応答要領チェックの体制、何でダブルチェック、トリプルチェックの体制がなかったのか、こういうことも含めまして、全点洗い出して調査をいたします。二百二十万件というのは膨大な量ですが、それぞれ全部の文書について、どのように管理されているか、方針にきちんとのっとっているか、そのことをそれぞれの担当者が認識しているか、だれがどういう責任を持たなきゃいけないかわかっているか、そこも含めて全部調査をいたします。改めるべき点はすべて改めます。

 なお、行政文書の管理状況につきましては、今申し上げましたように調査を行っておるところであり、早急にこれを終わらせ、いかなることが出ようとも、それをきちんと明らかにして、そこから直していかなければどうにもならない、時が過ぎればそれでいい、私はそんなものだと全く思っておりません。

岩屋委員 今、石破大臣が言われたことを、一つ一つ早急に、しっかりやってもらいたいと思います。

 私は、さっき申し上げたように、こっちの方は本当に深刻だと思うんですね。まさにシビリアンコントロール上、文民統制上の極めて大きな問題で、事務的にミスったという話では済まされない問題だというふうに思っております。当時、これによって、現総理の福田当時官房長官も、また石破当時防衛庁長官、結果的に虚偽の答弁を国会でしたということになったわけでございまして。

 きのう、ある報道で、実は海幕の担当課長レベルだけではなくて内局も知っていたんじゃないかという報道に接して私は驚いたんですけれども、この点は事実関係はどうなっているんでしょうか。

石破国務大臣 給油量の取り違え事案、今申し上げたところでございますが、これまでの調査においておおむね把握しておるところでは、「ときわ」からペコスという補給艦ですね、これが八十万ガロンである旨を正しく記載した資料、つまり正しく記載した資料はきちんとあったのです。これは、海上幕僚監部においては、防衛部運用課、装備部需品課などの関係各課が保有をいたしておりました。委員御指摘のように、内局、内部部局と申しますが、ここにおきましても同様の資料を、内局の関係課、すなわち管理局装備企画課及び艦船武器課需品室、この担当者が海上幕僚監部装備部装備課及び需品課から受領していた、こういう事実はございます。そのことは当初から認識をいたしておるところでございます。

 それで、この内部部局の関係課の担当者は、平成十五年五月八日、石川統合幕僚会議議長が記者会見において述べられました二十万ガロン、実は八十万ガロンであるのに二十万ガロン、これが誤っておったわけですが、この誤りを認識することはなかったということでございます。

 それはどういうことかというと、誤りを認識しなかったことについては、数値の取り違えに気づきました海幕の担当課長らを除く海幕の関係各課、つまり、海上幕僚監部においても、防衛課だけじゃなくて、そのほかもその書類を持っておったということを申し上げましたね、海上幕僚監部のほかの課におきましても、この誤りを認識しなかったということについては同様なのであります。

 これを具体的に申し上げますと、内局、管理局装備企画課の担当者、いわゆる背広組ですね、これは、正しい給油量を記載した資料を物品管理上の記録としてファイルに保管したというものであり、この資料は、この課における対外応答要領の担当者により参照されることはなかったと見られております。

 もう一つ、管理局艦船武器課需品室というのを申し上げましたが、この担当者は、正しい給油量を記載しました資料を、予算執行管理の観点から、月ごとの給油量、所要経費を集計するために使っておりまして、それぞれの船に幾ら補給したかという一つ一つのデータに着目をしてこれを使うということはなかったわけでございます。トータルで一体幾らなのということで予算の作業を行うわけでございます。

 したがいまして、正しいデータを受領しておりました、確かに、この内局の関係課は。しかしながら、この担当者が、対外応答要領、まず統幕議長が間違えた、それから、官房長官が記者会見で、結果として二十万、八十万を取り違えた会見をなさった。その後、私が参議院の委員会において答弁した。そのように、対外的にきちんとしたことを言うということにおいてどのようにして組み込むのかということの体制というものを確立しておったとするならば、こういうことは防げた可能性はあると思っております。

 ただ、そういう人たちが確かにその書類を受領し、これからの執務のために保存をしておったとしても、それがこの誤りに気づく立場にいたか、それを指摘する立場にいたかというのは、今回の事案に関して言えば、そうではございません。これからそれをどのようにかかわらせていくかということを検討していかねばならないことでございまして、これも、このように変えていくということを早急に決定いたし、また御報告をさせていただきたいと思っております。

岩屋委員 そういう事実関係の徹底的な究明、それから大臣が言われた対策、これをしっかり講じて、二度とこういうことがないようにしていただきたいと思います。

 総理、私は思うんですけれども、日本人というのは、一人一人は優秀であっても、集団になったときに、集団としての意思決定に重大な欠陥を持っているというところがあるというふうに思います。かつての大本営の虚偽の発表も、私は、最初は小さなところから始まったのではないかというふうに思うんですね。内向きの論理が公の利益を侵しやすい、そういう性癖を持っているということを我々は常に認識しておかなくてはいけない、こう思います。そういう意味で、自衛隊という実力組織を動かす防衛省は特に細心の注意を常に払っておいてもらわなくちゃいかぬ、こう思うわけでございます。

 きのう私は総理の官邸メルマガを拝見したんですが、その中で総理はこうおっしゃっておられます。「今この瞬間もインド洋で黙々とテロ防止のために汗を流す自衛隊員の姿を思い浮かべ、このようなことが起こったことを彼らがどのように思っているかを考えると、本当に心が痛みます。」

 総理はメルマガにこういうふうにおっしゃっておられますが、シビリアンコントロールの頂点にあるのは内閣総理大臣でございます。今申し上げてきたような防衛省の一連の不祥事、こういう体質改善をしっかりやっていくのは最終的には総理大臣の責任だと思いますが、どのような決意で臨まれるか、お聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私がその官邸のメルマガで申しましたことは、今現在、インド洋で自衛隊の隊員が活躍、活動しているわけですね。その方々のことを思い、その方々がどういう気持ちで仕事をしているのかということを推察しますと、片や、日本の国内ではこんなことが起こっている、防衛省、自分たちの指揮命令をする立場にいる防衛省の幹部がこんなことで疑いを持たれて、そしてまた国民からも大きな批判を受けているというようなことを思ったら、それはもう本当に、自分たちがこんなに身を粉にして活動していることは一体何なのかというようなことを恐らく思うこともあるんじゃないか、瞬間的にも。

 そうすると、そういうことが、本当に少しの油断もできない、緊張感を持って、ずっと緊張感、張り詰めた気持ちでもって仕事をしている、そういう方々が、一瞬たりともそんな緊張が緩んでしまうようなことがあったときに、何か大きな事故を起こすことがないのかどうか。

 そんなことを考えますと、それは、本当に申しわけない、そういう気持ちですよ。そう思うのが当然でしょう。私もそう思っている一人でございますけれども。また、今の立場でいえば、一番大きな責任を持っているという立場でありますから、当然、そういうことを考えることがあってしかるべきでございまして、そういうことから、私は、今回のことは、現場で一生懸命努力をしている方々の期待を裏切る行為であるということなんですよ、本当に。そういう意味において、大変大きな問題であり、許しがたい問題であると思っております。

 ですから、こういうことが本当に、特に現場を抱えている、緊張感を持ってやっている、そういう方々を抱えているところは、上の人はそういうことを常々考えていなきゃいけないですよね。それを忘れてはいけないということが大事である。それは日本の国内にいれば普通の生活をしていられる、時には国会で厳しく追及を受けることはあったとしても、それは現地とは全然違うわけですからね。そこのところを、私どもはよく心得ていなければいけない。そのために、私も、防衛大臣には厳しくこの事態に対する適切なる対応、また厳しい処分も含めて行っていかなければいかないということを申し上げたところでございます。

 いずれにしても、我々もそうでありますけれども、公務員諸君におかれましては、自分たちの置かれている立場ということは日々よく考えて行動してもらいたいということを思っているところでございます。

岩屋委員 とにかく、徹底的に事実を解明して、原因を分析して、対策を講じて、そして処分すべき関係者には厳正な処分をしていただきたい。防衛大臣はもちろんですけれども、総理大臣、先頭に立っていただいて、綱紀の粛正、制度の改革をやっていただきたい。お願いしておきたいと思います。

 さて、本題に入りたいと思いますが、このテロ特措法、新法の問題は、まさに、我が国のテロとの闘いをこれからどうしていったらいいのか、日本の国際貢献は一体どうあるべきか、自衛隊を活用した国際貢献のあり方はいかにあるべきかと。これは日本の外交、安全保障政策の極めて重要な部分をなす重大な議論でございますから、今ほど申し上げた防衛省の不祥事の問題は問題として我々も徹底的にやりますが、だからといって、この肝心かなめの議論がないがしろになってはならないというふうに思うわけでございまして、国民の皆様の前でしっかりとした議論を行って、やはり責任のある答えを出していかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 総理、私、非常に困った事態になったというふうに思っているんですね。

 総理と私、平成二年のときの初当選同期でございます。私、その後しばらく休んでしまいましたが、総理大臣御就任おめでとうございます。総裁選は応援できませんでしたが、決まった以上はしっかりと支えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そのときに、一番大きな事件、我々が冷戦が終わって初めての選挙で初当選して、最初に起こった事件は湾岸戦争でございました。あのときの日本の国会の議論は、まさに右往左往して、結局なすすべを知らずに、最後に一兆数千億円というお金を出して、なおかつ当のクウェートからも国際社会からも評価をされなかった。戦争が終わって掃海艇を出して、ようやく日本の貢献が評価されたということがありました。その反省に基づいて、そこからかんかんがくがくの議論をして、PKO法をつくり、それから自衛隊を活用した国際貢献、いろいろな法案をつくってきた。ある意味では、このテロ特も、あるいはイラク特も、その延長線上にあるわけですね。

 ところが、衆参、今、国会がねじれておりまして、この重要問題に対して与野党が真っ向から対立している、全く反対向きのことを言っているという状況では、国会として責任のある答えを出せないわけですね。

 このねじれの状況というのは、いつまで続くかわからない。向こう三年なのか、六年なのか、九年なのか。我々は、与党としては一日も早く解消したいですよ。でも、いつまで続くかわからない。

 そういうときに、やはり与野党が、自衛隊を活用した国際貢献はいかにあるべきかということについて真摯に話し合って、お互いに合意点を見つけ出して基本的なルールをつくっていくということが、我々に与えられている責務ではないか。それは政権与党は当然ですけれども、今や野党の方も、民主党さんも国政の半分に責任を持っておられるわけですから、ぜひ、今回のこの委員会での議論を通じてそういう合意点を見つけていくべきだと思います。

 私は、これまで安全保障の問題、外交の問題をともに論じ合ってきた民主党の同僚議員の皆さんを信頼もしているし、尊敬もいたしております。いろいろな問題がありました。いろいろな問題があって、最後は細部について合意が得られずに表決が分かれたということはありましたけれども、おおむね共通の基盤に立って今日まで議論をしてくることができた。そういう意味で、ぜひ、民主党さん、野党さんとも共通項を見つける努力をこの問題に関してされるべきだというふうに思いますが、総理の決意を聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私も、岩屋委員のお考えと全く同じであります。

 本当に、一九九〇年の湾岸戦争のときには苦労しましたね。そして、我々が何もできない、国際社会に対して何もできないという無力感をさんざん痛いほど味わいましたね。あのときのことは、やはり今でも忘れませんよ。

 ですから、PKO法もできましたし、そして、その後いろいろな活動をしてまいりました。近くは、東ティモールに延べ二千三百人、常時七百人ぐらいの部隊が行って、その中には女性もいたんですよ。女性のPKO隊員もいまして、そういう方々が活躍をしてくだすった。いつでもどこでも、日本の自衛隊が海外で活躍するときには評価されて、感謝され、そして、もっといてくれ、東ティモールのときはそういうふうに言われました。

 そういう経験を通して、今来ているわけですよ。いわゆる実戦的なことはできないけれども、国際平和協力という観点で、武力行使をしない、そういう前提でもってそういう活動をしてきた。しかし、それでも国際社会はそれを評価してくれているんですね。そういうことを我々はよく考えなければいけない。これから我が国は国際社会の中において何をなすべきかということなんですよ。

 そういう観点からいいますと、日本という国は国際社会とのかかわりがなくて生きていけない国でしょう。そうですね。経済的にもそうでしょう。今のこの高い生活水準を維持できる平和な国家であるというのは、やはり国際社会があってのたまものなんですよ。そういうことを考えたら、何かしていかなければいけない、せめて国際平和協力、もしくは平和協力、もしくは困っている国があれば復興支援に協力する、そういったようなことをやるというのが、やはり国際国家日本としての位置づけですよ。そういうことをしないで日本はやっていけますか。将来の日本はないと思いますよ。そのことを我々はよく考えなければいけない。

 当然、野党の皆さんも、そういうことは心配しているんですよ。よく考えてくだすっていると思います。若干の見解の相違があったとしても、基本的な考え方は私は変わらないと思います。ですから、私は、話し合いをしていけば、それは合意点は必ず見出すことはできるという思いでございますので、ひとつそういうことで野党第一党の民主党さんにもぜひ協力を願いたい。民主党は協力政党であるというふうに私どもは思いたいので、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。一生懸命努力をいたしてまいります。

岩屋委員 私も、総理の今の御発言を聞いて、全く同感でございます。

 この際、民主党さんにもお願いしたいのは、ぜひ対案を出してきていただきたいと思うのでございます。できれば、ここに民主党の次の内閣ですか、外務大臣、防衛大臣、来ていただいて、やはり我々も聞きたいことがあるし、民主党さんの考えも聞かせていただきたい。

 自民党の中にも、一枚岩に見えて、この問題についてはいろいろ、かんかんがくがくの議論があったんですよ。それはどの政党でも一緒だと思います。我々は、そんなことをあげつらうつもりも攻撃するつもりもない。ただ、やはり民主党さんの考えを聞かせていただいて、どこか一致点がないか、どこか共通項がないか見つける努力をさせていただきたいと思っているんです。

 法案のあらし作戦と言っていますけれども、これに限って出してこないというのは、私はおかしいことだと思うのでございまして、ぜひ民主党さんの案を出していただいて、建設的な議論をさせていただきたいというふうに思う次第でございます。

 さて、この法案成立のかぎはだれが握っているか、これは言うまでもなく、主権者たる国民の皆さんの御理解だと私は思います。

 そこで、この給油活動というのは遠い遠い海の上で行っている地味な地味な活動でございますから、なかなかその実態がいまだに御理解をいただけないのではないかな、いただいていない面があるのではないかなと思いますので、ぜひ、テロとの闘いにおける海上阻止活動、そこにおける我が国の給油活動、この意義、成果について、これは外務大臣から説明をしていただきたいと思います。

高村国務大臣 海上阻止活動というのは、要するに、インド洋をテロリストたちの自由の海にさせない、我々にとって平和の海にしたい、こういうことなんですね。

 テロリストの自由の海にさせないということは、インド洋を通ってテロリストが世界に拡散していくことをさせない。あるいは、インド洋を通って武器の調達を自由にテロリストたちがするようなことをさせない。あるいは、アフガニスタンというのは、ケシの花、世界の九〇%以上を生産している国で、アヘンを売って、そして資金を調達する、その資金で武器を調達する、そういうことをさせない。

 そして、さらに言えば、日本のタンカーも毎日通っているわけですね。毎日、三隻か四隻通っている。日本の原油輸入というのは中東から来るわけでありますから、全部がそれはインド洋を通るわけであります。そこにテロをしかけられたらたまったものじゃないわけでありますから、まさに日本の生命線みたいなところでありますが、そういうことをさせない。

 こういう、まさに抑止活動なんですね、抑止活動なんです。その抑止活動の基盤をつくっているのが日本の補給活動であるわけであります。

 ミクロで、小さな部分で、テロリストを何人捕まえたとかそういうことじゃなくて、まさに今安心して日本のタンカーがそこの平和の海を通って日本に来ている、これがまさに、抑止活動がうまくいっているからそういうことができるわけでありまして、それが大きな成果、マクロの成果だ、こういうふうに思います。

 そして、世界からどういうふうに評価されているか。国連の安保理決議一七七六でも、これを評価し、これも含めて評価し、そして、続けてほしい、こういうことを言っているわけですね、感謝しているわけであります。そして、国連事務総長も、続けてほしいと。

 私、いろいろな外国の方に会いますが、多くの方から続けてほしい、やめろなんて一回も言われたことありません。続けなくていいとすら言われたことありません。こういうふうに国際社会から評価されていることは続けていくことが、これもまた日本の中長期的な国益になっていくんだ、そういう成果が上がっているということであります。

岩屋委員 今、高村大臣からお話ありましたように、この活動の本質というのは抑止なんですね。だから、治安が悪くなるとお巡りさんにいっぱいパトロールしてもらう、お巡りさんがいっぱいパトロールしてくれるから事件が減った、では、事件がもともとないんだったらお巡りさんは要らないじゃないかという話になるかというと、そうじゃないわけですね。だから、華々しい戦果が上がるという活動でないだけに、ちょっと国民の皆さんに見えにくいところがあると思うんですが、まさに、この海域をテロリストの自由にさせない、これがこの活動の目的なのでございます。

 今、大臣に触れていただきましたが、もちろん、目的は、アフガンの安定、復興、これが活動、この法律の目的ですけれども、今おっしゃったように、副産物として、副次的効果として我が国の国益に大きく資しているということなんですね。

 これは、今大臣からもお話がありましたが、パネルを用意しましたけれども、日本の原油輸入量、九割が中東から来ている。この海の中に点々点々とあるのは、要するに、数珠つなぎのように日本に向かうタンカーがこの海域にずうっと並んでいる、一日平均三・五隻、中東から日本に至る海上にタンカーが九十隻、列をなしていつもいつも航行している、こういう感じになっているわけでございます。

 何も今まで事故がなかったかというと、実際あったわけです。これは、日本郵船さんかな、提供していただいた資料ですが、テロリストの攻撃を受けて船体の一部が破損をした。それから次、出してください。これは二〇〇四年の四月だったと思いますが、これが、これはちょっと見えにくいかな、次のを出してもらいましょうか。このタンカーが、多分これは、ピストルなんかじゃない、ロケット弾か何かでしょう、攻撃をされて、なおかつこの後にアルカイダからの犯行声明が出ております。

 これは一つの一例でございますけれども、やはりこういう危険に日本のタンカーが常にさらされている。今、それじゃなくても石油が高くなって、みんなあっぷあっぷしているときに、これ以上石油情勢がもし悪化すれば、日本経済はもう破綻に追い込まれないとも限らない。私は、そういう意味で、この活動を続けてこの海域の安全をこれからも確保するというのは、日本の国にとっても大切な活動であるというふうに思っているところでございます。(発言する者あり)ちょっと静かにしていただきたいと思いますが。

 民主党さんからの意見では、民生部門の支援が大事だという御指摘がございました。これはおっしゃるとおりだというふうに思います。しかし、ともすれば、アフガンの支援ということになると船の話ばかり出てきますが、実は、我が国としても、この民生部門でかなりしっかりとした支援をしてきているわけでございまして、そのことがアフガンの安定にもかなり寄与していることも事実でございます。これからも続けていくという計画になっておりますが、この点について、外務大臣から、ちょっと教えていただけますか。

高村国務大臣 自衛隊の海上補給活動と民生部門の支援というのは、まさに車の両輪なんですね。

 それで、民生部門の方は、既にいろいろ知恵を出しながら、また汗も出しながら、そしてお金にすれば一千四百億円のお金を出してきているわけであります。(発言する者あり)その一千四百億円のお金というのは、アメリカに次いで二番目、イギリスとほとんど変わらないんですが、大体二番目という支援をしております。

 そういう支援の前で、今、ちょっと野党の方からは、成果が上がっていないじゃないかという話がありましたが、成果は上がっているんですよ、成果は上がっているんです。

 二〇〇三年から二〇〇六年のGDP成長率は、平均約一〇%であります。それから、初等教育就学率は、二〇〇〇年の一九・二%から、二〇〇五年は八六・五%に向上しているわけであります。それから、五年前の百万人強から、現在は五百四十万人以上に増加しています。女性の就学率に至っては、ゼロ%から三五%に増加しているわけであります。はしかの予防接種を受けた子供は、二〇〇〇年は三五%だったんですが、二〇〇五年は六四%に向上した。このような成果も見られる一方で、治安の改善や麻薬対策等は、やはり悪戦苦闘しているのは、これは事実であります。

 だからこそ引き続いて国際社会の一致した支援が必要なので、我が国は、来年はG8サミットの議長国でありますから、そこにおいても重要な課題となっているアフガニスタン和平、復興について引き続いて支援をしていく、そういう決意でございます。

岩屋委員 今大臣がおっしゃったように、私は、まさに両方の活動がこれからも必要なんだというふうに思うんですね。

 やはり、アフガンではいろいろな活動が行われています。後で西村委員から詳しくお話があると思いますが、ISAFだのPRTだのOEFだの、そして我々がやっているこのOEF・MIO、海上阻止活動ですね、一体となって、これは、どちらかというと実力組織の力によってアフガンの安定を図る。その中で、民生部門でこのアフガンの国民の生活に直結をする支援をしていく、これは両方必要な活動だと思っておりまして、これからも日本はその両方にきちんとコミットをしていくことが大事だというふうに思います。

 この現行法のテロ特措法をつくるときは、最後、国会承認をめぐるところで民主党さんとは意見が合わなくて表決は分かれてしまいましたけれども、ただ、やはりこの活動の意義については、当時の民主党の皆さんも理解をしていただいたというふうに思います。したがって、後の国会の事後承認のときには賛成をしていただいたわけでございます。

 最近になって民主党の方々が反対に回られた大きな理由は、私、二つあったと思うんですね。予算委員会や本会議の議論を聞かせていただいて、二つあったんではないかと思います。

 一つは、日本が補給した油というのは本当に法目的にかなったことだけに使われているのか、つまりは、転用、流用疑惑ですね。これがはっきりしないじゃないかという点が一点あったと思います。それからもう一つは、活動内容についての情報開示が十分でない、何をやっているのか国民の皆さんにもよくわからない、これじゃなかなか賛成しにくいじゃないかという、この二つの御議論があったというふうに私は思います。

 したがって、これは、政府としてもこの疑問にはしっかりこれから答えていってもらわなくちゃいかぬ。それは、ただ民主党さんの声、野党の声じゃなくて、国民の声でもあると私は思うので、そこのところをしっかりと私は説明していただきたい、こう思っているのでございます。

 この転用疑惑が生じた最大の原因は、補給艦から補給艦への補給にあったというふうにも思うんですね。つまり、特定の船に給油するんじゃなくて、補給艦というのはいろいろな船に油を配るわけですから、補給艦から補給艦に油を渡したときには、最終的な行き先、使い道、わからないじゃないかというふうにどうしても思われがちだと思うんですが、ただ、これも、適切にコントロールすればきちんと私は担保できる話だというふうに思っているんです。

 与党で新法の議論をしておりましたときに、私もPTのメンバーでしたけれども、この際、補給艦に対する補給はやめた方がいいんじゃないか、これはわかりづらいという議論もあったんですけれども、現場は軍事オペレーションをやっているところですから、この船にはやるけれどもこの船にはやらないと、いつ何が起こるかわからないという状況の中で、そういうことも無理だろうということで、最終的には例外にはしないということにしたわけですが、今後、こういう転用疑惑、流用疑惑が生じないようにどういう方策をおとりになるつもりか、これは防衛大臣に聞かせていただきたいと思います。

石破国務大臣 委員がおっしゃいますように、とにかく、今地図をお示しになりましたが、えらく広いインド洋です。北から南まで日本列島がぽんと入ってしまうほど広大な海域です。そこにおいて、油が少なくなったので一々港に帰るということをやっておりますと、どの国の海軍も船があり余っているわけではございません。その中でやりくりやりくりしながら、この海域の安全のために船を回してきておりますわけで、それを効率的に動かそうと思えば、補給艦の数はある程度必要です、あの広いインド洋に一隻いればいいというものじゃありませんから。

 また、補給艦というのはどの国も高い能力を持っているわけではない。確かに補給艦を持っている国はたくさんあります。しかしながら、きちんと正確にできるか。

 私、去年も行きました。ことしも行きました。あそこで正確に補給をする。そしてまた、船と船というのは、補給しているときが一番弱いんですよね。ホースでつながっている。ましてや、燃料を補給しているわけですから、そこで火の手が上がれば両方吹っ飛んじゃうわけです。そういう厳しい、温度が五十度、六十度になる中、不快指数が一〇〇を超える中、正確な補給ができる国なんてそんなにあるわけじゃない。その船を浮かべておくということは全体のオペレーションのために必要だし、委員がおっしゃるように、補給艦から補給艦へ補給するということも、それは必要なことがあるんだと思っております。

 今でも、油がなくなったからこれだけ入れて、そんないいかげんなことはしておりません。交換公文を結び、それを、現地において、これだけ何のために使うんだという申し出があって、補給する側もそれをきちんと確認して補給をする、そして受領証もきちんと送られてくる、そこにおいて確認をする。私どもの船から向こうの船に補給するときはそれでできるんです。

 では、向こうの補給艦に補給した後どうなるんだということですが、ここにおいても、私どもの国民の税金で補給している油です。だとするならば、それがきちんと使われるような、そういうその時々の確認、徹底、そういうものをちゃんとやっていかねばいかぬのではないかなというふうに私は思っております。

 諸外国に対しまして、この法案の趣旨、もう一度きちんと説明をし、それと同時に、対象艦船の活動内容、これもちゃんと把握をしていかねばならぬのではないかと思います。

 これはもちろん、作戦の柔軟性、効率性、これも考えなきゃいけませんが、さらに、どうすればきちんと確認ができるかということについて、その証明するものもあわせて、きちんとした、そういうような、転用「疑惑」みたいなことが決して生じないようなことは、政府として講じてまいります。

岩屋委員 これまでの活動の中でやはり反省点もあると思うんですよ。それは、ある意味で野党の皆さんの追及に負うところもあったと思いますが、そういう反省点を生かして、転用、流用疑惑というようなことが起こらないように、適切な対応をぜひしていただきたい。つけ加えることありますか。

石破国務大臣 それは先般、キティーホークの例でも御説明を申し上げました。これは、アメリカの航泊日誌も取り寄せ、航泊日誌をきちんと読んで、それがどの地点でどの時間にいたか、これもちゃんと確認をいたしてまいりました。それは、アメリカ政府からこの間コメントが出ましたけれども、アメリカ政府も日本の趣旨をきちんと尊重してやっている、国と国との信頼というのは私はそういうものだと思います。

 それに加えて、具体的にさらに確認をするということをやっていった上で、今までも間違いなく使われておったし、これから先も間違いなく使われるということを確立するのは、政府の責任であります。

岩屋委員 それと、もう一つの点、情報開示が不十分だった。これも、私は確かに政府も不十分だったということは認めなきゃいけないと思うんです。今回、この議論を開始するために、野党の皆さんからもさまざまな資料要求があって、結果的に相当の、質量ともに充実した資料が出すことができたと思うんです。もちろん、軍事上のオペレーションにかかわる問題ですから、安全上の観点から、出したくても出せない、出すべきでないという情報はしっかりあるので、これはきちんと守らなきゃいけないわけですが。

 今後のことです。今後、新法においては国会報告も義務づけられているわけですが、ただ、実施計画が変更したら報告しますよ、実施計画が終わったら報告しますよというだけのことでは、私は国会報告としては不十分なのではないか。今回さまざまな資料を結果的に国会に提供していただきましたが、今後の国会に対する情報開示、あるいはもっと言えば国民の皆さんに対する情報開示について、全部は決まっていないだろうと思いますが、この段階でどういうことをお考えになっているか、聞かせていただきたいと思います。

石破国務大臣 私も、このテロ特の理事を長く務めてまいりました。そこにおいて、イラクの活動については理事会等々に報告がその都度なされておりましたし、理事会としても求めてまいりました。しかし、私は自分に対する反省としても思うのですけれども、では、このインド洋における活動に対して報告を求めてきたかといえば、自分は与党の筆頭としてそのことをきちんと求めてこなかったという反省は、自分もいたしておるところでございます。

 そうしますと、何が報告できるのか。それは補給の実績ということなんだろうと思います。どれだけどの国の艦船に対して行ったか。今までもこの委員会からのお求めに応じて出してまいりましたが、そのことを、多分、月ごとになるのかもしれません、あるいはもう少し長い間隔になるのかもしれませんが、補給の実績というのはきちんと報告できるようにしたいと思います。

 委員御指摘のように、何でも出せるわけではございませんが、総理からも御指示をいただいておりますけれども、出せない場合は、なぜ出せないのかということ、単に軍事上の問題ですからというだけではだめで、なぜ出せないかということも国会に対してきちんと御理解いただくように、私どもは説明する義務がございます。

 また、アメリカと同じように公表すればいいではないかというお話、それは基本的にはそのとおりだと思います。ただ、何の情報を公表し何の情報を公表しないかということは、ほかの国がそうやっているからうちもこうということではなくて、それぞれの国において、その軍、実力組織の動かし方は当然異なりますので、全く同じ基準ということには簡単にはなりません。

 我が国としてどうするかということも含めまして、出せないものはその理由を付して明らかにするのが我々の責任だと心得ております。

岩屋委員 ですから、やはり、出せ出せと言われて、いや出さない、出せない、こういうやりとりに労力を使うのではなくて、今後これこれこういう情報についてはきちんと出しますということをお決めいただいて、より国会あるいは国民の皆さんの理解を得るように努めていただきたいと思います。

 総理、私一番心配しているのは、この十一月一日でもう現行法が失効するわけですね。だから、石破大臣が多分帰還命令を出すんでしょう。海上自衛隊は一たん日本に帰ってくる、帰路につかざるを得なくなるわけでございます。

 そこで我々は、この新法の議論をして、できるだけ中断期間を短くするように、空白期間を短くするようにすることが日本の責務だというふうに思ってやっているわけですが、現行法も失効し新法もできない、もう日本はこの給油活動を続けられない、かといって、後に話に出てくると思いますが、アフガンの陸の上に上がってドンパチに参加するわけにはいかない、では一体どうするんだということで、私はやはり、今回の委員会での議論を通じて、将来、与野党が、よし、こういう基本的なルールで自衛隊は活用できるようにしよう、そういう将来像へ向かって有益な、建設的な議論をすることが国民の皆さんに対する我々の、与野党を超えた国会の責務だというふうに思っておりますので、ぜひこの委員会でそういう議論を続けさせていただきたいと思います。

 最後に、中断した場合にいろいろな国際的な反応があると思いますが、一体どういう問題が発生するのか、また、それを乗り越えるためにどうしていけばいいのか、総理からのお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。といいますか、この法案にかける決意をいま一度聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 この法律、今実行しているインド洋における活動、これは、もうあと一週間で切れてしまうんですね。ということは、一週間後はこの活動を中止しなければいけない。ですから、活動している艦隊も日本に引き揚げてくるということになります。

 それでもって、さあ、これが我が国の立場からしても、これはどうでしょうか、せっかく今まで活動してきた、そしてそれが法律が切れる、切れるということでもって、帰ってこなければいけない、中断しなければ、中止しなければいけないということが、これは我が国から考えたとしても、これは惜しいな、これはぜひ続けたいなというように思わざるを得ないですね。とても残念な状況にあると思っております。

 やはり国際社会も、このアフガニスタン問題においては、海上もそれから陸上も含めていろいろな協力活動を続けているわけですね。それは事態はいろいろあります。よくなってこないじゃないかといったような意見もあるかもしれないし、いや、実はアフガニスタンの社会はこれだけよくなっているじゃないかということもあるんです。そういうことがありますからね。

 そしてまたもう一つ、では、この国際社会のアフガニスタンに対する取り組みというものをやめたらどうなるのか。また大混乱に陥るかもしれないというようなこともやはり考えなければいけませんね。ただやめればいいという話ではないというふうに思いますから、この活動はぜひ続けるべきだ。国際社会が続けている、そこに我々も我々の意思として参加していくということが大事なんだろうというふうに思っております。

 しかし、この一日にはもう中止しなければいけないということでありますから、またそれにかわる方法を考えなければいけない。それが今提案させていただいております新法であるというのであれば、これはぜひ早く法案を通していただいて、そしてまた自衛隊が同様の活動、しかし従来とちょっと違いまして、活動の範囲を狭める、もう少し定義をしっかりする、そして国民から信頼を受けられるような形でもってもう一回活動に復帰してもらいたい、そのために我々も努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。

岩屋委員 足らざる点は西村委員に引き継ぐこととさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 この際、西村康稔君から関連質疑の申し出があります。岩屋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。岩屋議員の関連の時間をいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 私としては、本法案の内容、中身についてぜひ議論をさせていただきたいと思いますし、日本が、日本の国益も考えながら、国際社会で何をすべきなのか、何ができるのか、その点についてぜひ議論をしてまいりたいと思います。

 先ほど高村大臣からお話もありました、アフガニスタンは世界のアヘンの九〇%以上を生産している、そしてテロリストの温床になっている地域である。このことについて、つい最近の国際会議の場で、アフガニスタンのアハディ財務大臣が次のような言い方をしておられます。

 少し引用をさせていただきますが、アフガニスタンにおけるテロリストの侵食に関してであるが、もし我々が海上阻止活動によって麻薬のトラフィック、取引ですね、これをコントロールできれば、アフガニスタンにおいてテロリストを生み出すオペレーションに対して大きなインパクトを与えることができるであろう、こういうことを我が同僚の伊藤信太郎議員にも発言されております。

 こうしたアヘン、麻薬をインド洋から運び出す、あるいはテロリストが行き来をする、武器が行き来をする、これを、我が国が協力して海上阻止活動を行っているわけでありますけれども、まず、どんな活動が今アフガニスタンで行われているか、この点を見てみたいと思います。

 パネルを用意させていただきました。

 テロとの闘いと言われるものでありますけれども、ここにあります、ちょっと字が小さいんですが、上の半分、不朽の自由作戦、OEFと言われるものであります。この中の本土派遣の部隊ですね。これは、本土に軍隊が入り、アルカイダあるいはタリバン、こういった勢力を掃討する作戦を展開しているものであります。

 そして、日本が給油活動をしている、協力をしているのは上の段の二つ目でありますけれども、海上阻止活動、OEF・MIOと言われるものでありますけれども、今申し上げたインド洋におけるテロリスト及び武器、アヘンといったものの海上移動を阻止しているというものであります。

 そして、これ以外に、下の二つでありますけれども、国際的な治安支援部隊、いわゆるISAFと言われる部隊があります。これは、アフガニスタンにおける治安維持を担当している、アフガニスタン政府を支援している部隊であります。

 そして、一番下のところ、地方復興チーム、俗にPRTと呼ばれておりますけれども、これは軍と文民、民間の方が一緒になって治安環境を改善していく、あるいは復興事業を支援していく、こういうものが今行われているわけであります。

 そして、各国はどのように参加をしているかという表をごらんいただきますと、今申し上げた、一番左の欄が不朽の自由作戦、OEFと言われるものでありますけれども、各国参加をして、下から二段目に日本の立場が書いてありますけれども、これには参加をしていない。それから、二つ目のISAFと言われている治安維持活動、これにも参加をしていない。そして、地方の復興チームであるPRTと呼ばれるもの、これにも日本は参加をいたしておりません。そして、今回の法律の内容でもあります、一番右の欄でありますけれども、海上阻止活動、これの補給活動に限って今は参加をしておる。こういう状況で、これをぜひ継続していこうというのが今回の法律であります。

 ここで幾つか質問をさせていただきたいと思うんです。

 まず第一に、こういう軍の活動以外に実は民生部門の活動もたくさんありまして、先ほど高村大臣に一部説明をしていただきましたけれども、既に法律がなくとも日本がこれまでやってきたもの、軍が関係する、自衛隊が関係する部分についてはもちろん法律が必要になるわけでありますけれども、法律がなくとも日本ができる部分、これはもう既にいろいろなことをやってきているわけでありまして、先ほど一部紹介がありましたけれども、日本の協力によって三百以上の学校がアフガニスタンで建設をされて、五年前には百万人だった就学児童が今は五百万人を超える、五年間で五倍以上の子供たちが学校に行けるようになった。こういった民間の活動を支援し、日本独自にやっている部分、あるいは国際機関と協調してやっている部分があると思いますけれども、法律の枠組みの外で民間の支援、民生部門の支援を行っている。まずこの全体像について、ぜひ高村大臣から御説明をいただければと思います。

高村国務大臣 おっしゃるとおり、我が国は、アフガニスタンをテロと麻薬の温床にしない、こういう決意のもとで民生部門もかなりやっているわけであります。例えば、難民、避難民支援とか食糧支援等の人道支援、それから憲法制定支援、選挙支援等の政治分野への支援、あるいはDDR、これは元兵士の武装解除とか動員解除とか社会復帰、あるいは地雷対策、麻薬対策、警察支援等治安改善のための支援、さらに道路建設、保健、医療、教育、各種インフラ整備等の幅広い復興支援を行っているわけであります。

 先ほど申し上げたように、既に総額千四百億円以上の支援を実施してきているわけであります。実施額では米国に次いで第二位となっておりまして、これは、アフガニスタンからはもちろん、国際社会から広く評価されているわけであります。

 成果は、先ほど言いましたが、もう一回繰り返しましょうか。(西村(康)委員「いや」と呼ぶ)いいですか。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 今お伺いをしたのは、法律の外で、自衛隊と関係ない部分で我々日本がアフガニスタンでテロを撲滅するためにやっている活動、これはもう既にたくさんのことをやっている、さらに引き続いていろいろな民生分野ではやっていく、このことをまず強調したいと思います。

 次に、もう一度パネルを見ていただければと思うんですけれども、このテロとの闘いで国際社会が協調してやっている活動が幾つかあるわけでありますけれども、繰り返しになりますが、日本が今やっているのは、自衛隊が協力をしているのは、上から二つ目の海上阻止活動。インド洋でのテロリストの移動について抑止をしていこうと。この活動でありますけれども、民主党の中にいろいろ議論があって、小沢代表も、このISAFという、下から二つ目の国際治安支援部隊、この治安維持活動に、国連決議があれば参加できる、参加すべきだという議論をされておられますけれども、この点についてお伺いをしたいと思うんです。

 憲法の範囲内でどこまでできるかという議論でありますけれども、特に議論をしたいと思うのは、国連決議があれば武力行使につながるこの治安維持活動ができるという、小沢代表が論文の中に書かれているわけでありますけれども、これは憲法に抵触するものではないというお考えを発表されておられます。確かに、国連中心主義というのは理想であり、我々も国連決議というものを非常に尊重し、それに基づいてさまざまな活動をしているわけでありますけれども、国連決議、安保理の決議があれば武力行使も憲法違反ではないというところの議論、これが小沢代表の考えであるようでありますけれども、ぜひ議論をさせていただきたいと思うんですが。

 安保理の今の現状、国連の現状を見ると、拒否権があって、拒否権が発動されれば、常任理事国の一つの国でも反対をすれば、安保理決議は成立をしないということになって集団安全保障の機能が働かなくなるということでありますけれども、いろいろなケースが考えられて、日本の国益を考えた場合に、国連決議がない場合であっても日本として何らかのことをやらなきゃいけない、何らかの措置をとらなきゃいけないケースもあるんだと思うんですね。国連が今機能しない可能性、拒否権があるという中で機能しない可能性がある中で、日本として必要なことをやらなきゃいけない場面もあるんだと思うんです。

 突き詰めると、そういう場面で国連の決議を優先するという考えは、これは極端なことを言えば、日本の政府の決定よりも諸外国の政府の決定を尊重するということにもなりかねぬ。日本の国益を害する場合もあり得ると思うんですね。

 国連中心主義は、我々にとって理想でもありますし、これは尊重しなきゃいけない、できる限りそういう方向に持っていかなきゃいけないんだと思いますけれども、現状ではなかなか難しい問題が、日本の国益あるいは主権という観点からいっても難しい問題があると思うんですけれども、この点をぜひ高村外務大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 今のところ、国連にかわるべき国際機関というのはないわけでありますから、私も国連を尊重することについてはやぶさかでないわけでありますが、ただ、国連決議があれば武力行使も憲法上許されるんだという考え方は、我が国政府が一貫してとってきている考え方と相入れませんし、逆に、国連決議がなければいわゆる後方支援もだめなんだ、一切だめなんだ、こういうことも我が国が一貫してとってきている憲法解釈と相入れないと思います。

 確かに、武力行使の一体化というような議論で後方支援の中の特殊な場合は憲法上も許されない、こういうこともありますが、一般的な後方支援については、それは実力行使ではありませんから、集団的自衛権には当たらないし、そういうことはできるというのは、我が国は一貫してとってきているわけであります。

 正規の国連軍でもできた場合は、これは日本の主権との関係で、もう日本が主体的に動くということでなくなるから憲法違反じゃないという議論は、それはあり得ると思うんです。それは十分に検討する価値はあると思いますが。今の、安保理決議があったからといって、我が国が主体的に判断してどういう形で関与するかということを決めるわけでありますから、そういう意味で、安保理決議があったから武力行使も憲法違反でないという考え方はとてもとり得ない、こういうふうに思います。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 国連は大事な、我々にとって国連しかない、今国際社会の中で議論をする場がないわけでありますので尊重しなきゃいけない機関だと思いますけれども、やはり日本の主権というもの、これも大事にしなきゃいけませんし、日本の国益ということを考えなきゃいけない中で、ISAFの治安維持部隊に直接参加するのはなかなか憲法の範囲内で難しいのかなという感じがいたします。

 次に、もう一度今の表を見ていただきまして、ISAFに直接参加をする、下から二つ目のものに参加をするということについては少し議論がある、憲法上どこまでできるかという議論があるという点だったと思います。今、上から二つ目の海上阻止活動、これに日本は自衛隊が協力をして参加をしているわけでありますけれども、この点について、民主党の代表質問でもあったと思いますけれども、これが憲法違反じゃないかと。OEF・MIO活動、海上阻止活動で日本の自衛隊が給油をする活動を、これは集団的自衛権の行使に当たり憲法違反だという質問もありましたし、これも小沢代表が論文の中で書かれておられます。(発言する者あり)

 ところが、当事者がおられる話をしますと、平成十三年に国会承認をした際には、民主党の皆さんはこれに賛成をされたわけですね、国会承認に賛成をされたわけですね。つまり、平成十三年の段階では、この対応措置は、民主党として海上阻止活動は承認をされたわけであります。

 つまり、それが、党首がかわれば、今や憲法違反じゃないかという議論が起こっている。(発言する者あり)もちろんいろいろな議論もありますけれども。いろいろな議論があります、それは認めます。ただ、まず事実として、平成十三年の段階で民主党の皆さんもこの活動に対して承認をされたということをぜひ強調したいと思います。その後のいろいろな議論は、一緒に議論をしようじゃありませんか、いろいろな議論をして、これから日本は何ができるか議論すればいいと思いますけれども、この承認をされたことを強調したいと思います。

 これは町村官房長官にぜひお伺いしたいと思いますけれども、この給油活動は憲法の範囲内であるということをぜひ御説明いただきたいと思います。

町村国務大臣 ちょっと今記者会見で抜けておりまして、失礼をしておりました。

 海上阻止活動が憲法違反であるかどうかというお問い合わせだと思いますが、集団的自衛権というのは、言うまでもございませんが、国家による実力行使についての概念でございまして、そもそも実力行使に当たらないものは憲法違反云々という議論が出てこようはずがないわけでございます。海上自衛隊による補給活動は、これは明らかに実力行使には当たりません。したがいまして、そもそも集団的自衛権の行使といった議論の対象外のことであるというふうに私どもは理解をしているわけでございます。

 また、その活動地域が、我が国の領域及び現に戦闘が行われておらず、かつ、そこで実施されている活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域、いわゆる非戦闘地域と呼んでおりますけれども、それに限って実施するということを法律の中に明記をして、法律の枠組みからしてもそういう憲法違反云々ということが全く生じない、そういう構成になっているわけでございまして、したがいまして、補給活動が他国の武力の行使と一体化するというような問題が生ずることがない。したがって、憲法上何ら問題がないということを明言させていただきます。

西村(康)委員 私もそのとおりだと思いますが、一点だけ、いろいろやじも飛びましたけれども、この給油活動が武力行使と一体化をしない、この点は大事な点だと思いますので、この武力行使と一体化しない点の担保をぜひ確認したいと思いますので、御説明いただければと思います。

町村国務大臣 一体化という話がもともと何で出るのか、私にはそもそも理解できないのであります。まことにどこかで取ってつけたようなことを言っておられるな、こう思うわけであります。

 ちなみに、小沢代表の論文には、政府は海上自衛隊の給油活動は集団的自衛権の行使ではないと言っておりますがという問いに対して、小沢代表は民主党の機関紙でいわく、全くの詭弁であります、後方支援であって戦闘行為ではないというのがその理由です、後方支援、兵たん線は戦争の行方を決する最大の要素です、後方支援は武力の行使と一体というのが世界の常識である、こう言っておられるわけでありますね。これは論文に出ているんだから、そのとおり今引用をしたわけでございますが。

 しかし、この点、先ほど申し上げましたように、補給活動そのものが武力行使ではないという点を間違えているというのが第一点。それから、非戦闘地域で行われて武力行使と一体化しないという点が第二点。この二点から、この小沢さんの議論は間違っているとあえて申し上げざるを得ないわけであります。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 日本政府として、憲法の範囲内で自衛隊がこの国際テロ阻止活動、海上で阻止をする活動に、給油という形で、武力行使ではない形で協力をしているということであります。

 もう一度見せていただきますと、(パネルを示す)今御議論させていただきました、上から二つ目の海上阻止活動、これは給油という形で、武力行使をしない形で参加、協力をしている。一番上の、本土で掃討作戦、これはもう明らかに武力の行使でありますから、日本としては参加できないわけであります。そして、今、下から二つ目の、これは小沢代表、あるいは民主党の中でも議論があると聞いていますけれども、治安維持部隊、ISAFと呼ばれるものに参加をすることができるのかどうか。これは、憲法上やや議論があるという点だと思います。

 そして、それ以外に、ぜひ民主党の皆さんとも議論をしたいと思うんですけれども、この一番下の地方復興チーム、PRTと呼ばれる部門、これは、先ほど外務大臣から説明ありましたけれども、さまざまな民間の活動がなされている、支援がなされている。学校を建設したり病院を直したり、いろいろなことをやっているわけですけれども、なかなか民間人、文民だけではうまくいかない部分、治安がよくない部分もありますので、軍民一体となって参加をした形で地方の復興をしていこう、これがPRTの、一番下の欄の考え方だと思います。

 これも憲法上制約があると思いますし、なかなか難しい議論があると思いますけれども、入り口からこういった議論をすべて排除するという態度をとるべきではなくて、ぜひ民主党さんからもいろいろな提案を出していただいて、民生部門の支援は、先ほど申し上げましたようにこれの外の部分でいろいろやっている、それをさらにやろうという部分もいいと思いますし、こういった軍民一体となって復興事業をしていく、こういった面も可能性は最初から排除してはならない、こんなふうに思うわけであります。ぜひ対案を出していただいて、ともに議論をできればというふうに思います。

 ここで、私の経験、さきの通常国会で、石破大臣と海洋政策について、これは民主党の皆さんともいろいろ議論をさせていただいて、海洋基本法というものを議員立法で、野党の皆さんとも、民主党の皆さんとも一緒になってつくらせていただきました。ともに海洋の安全を守っていこう、シーレーン防衛をしっかりやっていこう、そして海洋の我が国の権益の及ぶところはしっかりと開発利用をしていこうと。これは、おられます長島さんや松野さんなんかと一緒にやらせていただきました。ともに日本の海洋の権益を守っていこう、シーレーンを一緒に防衛していこう、安全を守っていこうと、ともに議論をさせていただいて、議員立法をやらせていただいたわけであります。そして、成立をさせていただいて、今基本計画をつくっている、こういう段階であります。

 そして、先ほど申し上げましたとおり、平成十三年には、民主党の皆さんも、この海上阻止活動に自衛隊が給油という形で参加をする、これについて国会で承認をされたわけでありますので、そういう意味では、日本が国際社会で国際貢献、このテロとの闘いの中でやれることは何なのか、ぜひ議論をしていく、共通の基盤は我々与党と民主党の皆さんの中にはあると思うんですね。ぜひ議論を、単に反対、反対と言うだけではなくて、提案をしていただいて、一緒になって、この国際貢献、日本が何をするべきか、ともに考えていければ、こんなふうに思うわけであります。

 今申し上げたような、自衛隊という実力行使をやる部隊と文民がともに活動する一例がこのPRTでありますけれども、こういったことも含めて一緒になって知恵を出せないか、こんなふうに思うわけであります。日本の国際社会における責務、貢献について、ぜひ一緒に考えていこうじゃありませんか。

 ぜひこの点について福田総理にお考えをお伺いしたいと思います。今、いろいろ頭の整理をさせていただきました。日本は国際社会がやっている活動の中でどこに参加できるのか。海上阻止活動は憲法の範囲内できっちりできる。それ以外の部分は若干憲法上、もちろん掃討作戦のように実力行使が直接ある部分はできないわけでありますけれども、何かできる部分があるのかないのか、それをぜひ議論しながら、民主党からの対案を期待して、与野党間で日本の国際貢献というものについてしっかりと議論をしてまいりたい、そういうときに来ているんじゃないかというふうに思いますけれども、福田総理の御決意、お考えをお伺いできればと思います。

福田内閣総理大臣 あの九・一一テロが発生したときに私は官房長官をしておりまして、その後、我が国は、国際社会がいち早く共同の活動をする、そういう態勢になってきたときに一体何ができるのかと随分模索したものですよ。国際社会並みというわけにはいかない、憲法上の問題、我が国の国内の問題がございますので、その範囲の中で果たして一体何をしたらば役に立つのかなということをさんざん考えて、考え抜いたあげくに、こういう活動をしようということでインド洋における海上活動を実施することを決断したわけなんですね。

 ですから、今我々も、外務省を中心として、また自衛隊もそうですけれども、このアフガニスタン関連のことについて果たして何をすべきかというのは、その時々の状況に応じながら考えているんですよ。地上でできないのかどうか。ほかの国は主要国みんなやっている、まあロシア以外はね。しかし、そういうことを日本ができないのは残念だな。何とかしたいな。しかし、やはりできない事情もあるんだ。そういう制約の中でできることを常に模索しているんですよ。今でもそうですよ、その刻々の状況の変化に応じて我々の対応も変えていくということは常々考えていることでございますので。今現在も、地上における活動ができないかということは考えていますけれども、現状ではとても無理だという判断のもとに、海洋上の活動に限ってやっているということですね。

 そのようなことでありますので、我々として、一体、今後、そういうような地上における活動で他国と同じように一緒に協力できるようなところは何かあるのかどうか、これは常にこれからも模索していかなければいけない。また、そういうことについて、これは与党だけで考えていいものかどうかということも考えております。

 できれば、やはり野党の皆さんとも話をして、こういうような安全保障上の問題についてなるべく多くの方々の賛同を得ながら実行できればいいなということを考えておりますので、今後の課題として、我々は野党とのそういう協議ということも視野に入れておるところでございます。

西村(康)委員 ありがとうございます。民主党の皆さん、同じ思いを持っている皆さんもたくさんおられますので、ぜひ、対案を早く出していただいて、一緒になって議論ができればと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 この法律の中身についてさらに議論をしていきたいと思うんですけれども、先ほど岩屋議員から、防衛省の体質、守屋次官の問題、あるいは数字を取り間違えたような問題、あるいは、そのことがわかっておっても上司に報告しなかった、防衛庁長官、当時の石破長官にも報告をしなかった、こういったことを取り上げられました。

 この最後の点、シビリアンコントロールという点ですね、いわゆる文民統制、この点は最も重要な点だと思います。本当に重大な問題でありますので、ぜひ徹底的な解明と再発防止に向けて断固たる態度で臨んでいただければと思いますけれども、この文民統制の観点で、この法案の、いわゆる国会承認というものについて議論をしたいと思うんです。(パネルを示す)

 現行法では対応措置というものが法律で定められておりまして、協力支援活動、捜索救助活動、被災民救援活動、こういったことがいわゆるメニューとしてあって、この対応措置、自衛隊がこういう活動をするということの国会承認を得るという仕組みになっているわけであります。これがいわゆるシビリアンコントロール、国会が自衛隊の活動を承認するということ。

 繰り返しになりますけれども、平成十三年のときにはこのすべての活動について民主党も賛成をしてくれたということでありますので、その国会承認を受けて引き続き活動をしてきているわけでありますけれども、今回の新法においてはこの国会承認の規定が設けられていないわけであります。

 これは、これまでのこういったメニューで対応措置について承認を受けるという仕組みから、赤で一番上の右上に書いていますけれども、補給活動、いわゆる海上での給油活動、これに限定をして、このことに限った法律にしたということで、この法律の審議の過程を経るわけでありますから国会承認が要らないという議論だと思いますけれども、この点についてぜひ町村官房長官から国民に対して、この点について国会承認がないのはおかしいんじゃないかという声も時々聞きますので、国民に対してわかりやすく御説明をいただければというふうに思います。

町村国務大臣 今、西村委員からパネルを用意していただきました。最近は政府の方もパネルを用意しておりまして、ちょっとこれをごらんいただきますと、(発言する者あり)字が確かに少し小さいですね、テレビにうまく映ればいいのでありますけれども。右側に書いてありますのが現行法、こちらが現在私どもが出している法案でありますが。例えば今協力支援活動と捜索救助活動と被災民救援活動、この三つのうちから選んで国会承認を得るということになっておりますが、この下の二つはもう新法ではやらないので、そもそも今回の新法には書いてありません。

 それから、この協力支援活動のうち、今委員がお示しいただいたパネルにも載っておりますが、補給、輸送、修理、整備を実施するという中で、今回は補給だけをやりますということを既に法律に書きました。現在の法律では、メニューを書いて、その中で一つ二つ選んで国会承認を得る。今回は、やるべき活動をそこにあらかじめ書いてあります、補給に限ると。

 それからもう一点は、実施する場所ですね。今の法案では、イギリス、アメリカ、オーストラリア、インド洋及びインド洋までの途中の国々というふうに書いてありますが、今回はその活動地域もアメリカ、イギリス、オーストラリアというのは除きました。これは、グアムであるとかディエゴガルシアであるとか、こういうのは除きまして、インド洋またはその沿岸に所在する国、インド洋までの寄港地ということで、現在の法律で国会の承認を受けている事項は、すべて法律そのものに書かれているんです。すべて書かれているんです、法律の中に。

 したがって、これは言うならば、事実上、事後承認ではなくて、事前承認そのものですね。まさにそういうことなんです。したがって、シビリアンコントロールの徹底というのがまさにこの国会の御審議そのものであり、国会の中で賛成、反対を明確にするということがまさに今の法律の事後承認に該当する。そのことを全部法律に書いているんだ。

 したがって、このことをまた改めて国会の承認を得るなんということは、二重どころか意味のないことだから、そういった承認行為は要らないんだという、これは法案の中身をごらんいただければ、全くそうした国会の承認行為が要らないということをわかった上で、なおかつ承認が必要だということを一部の方が言われるのは、私は全く理解ができないわけであります。十分法案をごらんいただければ、国会の承認が不要であるということがよくおわかりいただけることと思います。

西村(康)委員 非常に明快な御説明、パネルも使われてのことでありがとうございました。

 まさしく今議論している、野党からもいろいろな質問がありますし、この議論をしていること自体が事実上国会承認をしているその過程だということだと思います。この法律をしっかり議論することで、日本の国際貢献をしっかり継続していくということだと思います。

 このような国会承認についての議論、それから今回の延長の議論も含めてでありますけれども、国際社会でさまざまな事件があるごとに特別措置法をつくる、あるいはそれを延長するかどうかという議論、実は一般法、恒久法の議論を少ししたいと思うんですけれども。

 確かに、福田総理もおっしゃいました、国際社会はいろいろ変わりますので、事情が変わりますから、情勢が変わりますから、その都度いろいろな対応をしていくということは必要だと思いますけれども、一年、二年に限った措置で延長をどうするか、あるいはその法律自体の存続はどうなるのか。これは、ある意味でいうと、国際社会の中で協調していろいろな活動をしている中で信頼関係を継続していくという点でも問題があるのかなというふうに思います。

 今回の新法は、今御説明が長官からありましたけれども、国際社会からまさしく求められている給油活動、補給活動というものに限ってやるということで、ぜひ成立をさせてこの活動を継続してほしい、していきたいというふうに思いますけれども、将来的には、自衛隊の本来任務ともなりました国際活動というものを、さらに積極的に国際貢献をしていく、あるいはいろいろな事態に迅速に対応していく、そういう観点からも、一般法、恒久法というものを議論するタイミングに来ているのではないかな。いろいろなメニューを先にすべて書いておいて、一般法でありますから法律は既に恒久法として存在をし、その中で、必要な事態、国際情勢の変化に応じて、国会承認も含めた措置も入れながらいろいろなことを承認していく、行動を実行していくという、その仕組み、一般法、恒久法の仕組みをそろそろ議論すべきときではないのかなというふうに思います。

 石破大臣は、自民党の中で小委員会の委員長として私案をまとめられております。私も何度となく大臣とも議論をさせていただきました。今回は補給活動というこの法律をぜひとも通すべくみんなで力を合わせてやっていきたいと思いますし、民主党からの対案を待ちたいと思いますけれども、長い目で見れば、ぜひこういった一般法、恒久法の議論を、これも与野党でやっていくべきではないかな、こんなふうに思いますけれども、まずは防衛大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 政府の立場といたしましては、先般総理が国会で答弁なさいましたように、一般法の整備につきましては、政府としての考え方をいつどのような形でお示しできるか具体的にお答えできる段階にはないということでありますが、与党における議論を初め国民的な議論を十分に踏まえて検討していくべきもの、それが政府の立場であります。

 その上で、あえてお尋ねでございますので申し上げるとしますならば、先ほど岩屋議員からのお話にもありましたが、湾岸戦争のときに、どうしようどうしようというので全く対応がわからなかった。金を出すのか、あるいは自衛隊を出すのか、出すとすればどうすればいいのか。私、当選二回でしたが、どうすればいいのかわからなかったというのは物すごいショックでした。

 その後、PKO法をつくりました。ただ、PKO法は停戦の同意とか我が国が来ることへの同意とかいろいろな五原則というものがあって、PKO法は確かに恒久法です、それに基づいてゴラン高原にも出した。総理の御答弁にもありましたように、東ティモールに出して、グスマン大統領、当時の小泉総理あるいは天皇陛下に会われた後、わざわざ防衛庁に来られて、私や浜田副長官に、本当に日本が来てくれてありがたかったというお話をわざわざ大統領がなさった。そういうようなPKOもございますが。

 では、九・一一が起こったときにどうするんだ。PKOは使えません。あるいはイラク戦争が終わった後の復興に日本はどうするんだというときに、PKOは使えない。そのときに、何をすればいいの、だれがやればいいの、そのことをその都度その都度議論していて本当にタイムリーな対応ができるんだろうか、日本として国益が確保できるんだろうか、国際社会に対する責任が果たせるんだろうか。その都度その都度、特措法をつくっているということには限界があるのではないか。そういう議論を党内でいたしました。

 西村委員とも随分と意見を交換させていただいて、去年の八月に、自民党として、一年の議論を経て、党内において本当にかんかんがくがく議論しました、一年間、開かれた議論をして、いろいろな意見を述べて、法案という形にまとめたのが自民党の小委員会案であるというふうに承知をいたしております。

 私は、この間もお答えしたかと思いますが、自衛隊という実力部隊を国内においても国外においても軽々しく動かすべきものだとは思いません。それが比類ない力を持っているからこそ軽々しく出してはならないのであり、それを出すときには、緊急性と公共性と非代替性、自衛隊でなきゃできない、それを確保しなきゃいけない。それは当然のことでございます。

 その上において、どんなときに出すのか。それを、委員がおっしゃるようにメニューの形で、人道復興支援というやり方もありましょう、捜索救難というやり方もある、あるいは憲法の範囲内で治安維持の後方支援という考え方もあるかもしれない、DDRというのもあるかもしれない。いろいろなメニューを並べて、さあ、どれを今回選択すれば一番いいのだということを政府で決め、国会の同意をいただく。さらには、国際社会とのかかわり合いをどうするのか、委員が先ほど的確に御指摘になりましたように、国連とのかかわりをどうするのか、そのことも法律によって決めなきゃいかぬでしょう。

 そして、安全確保をどうするのかということもきちんと国会で決めなきゃいかぬことじゃないでしょうか。ほかの国に比べて武器使用基準が非常に低い中にあって武力行使もいいなぞということを言われましたら、どうやって自衛官の命、みんな家族がいるんです、愛する人がいるんです、そのときに武器使用基準が本当に今のままでいいのか、その議論もきちんとしなきゃ無責任だと私は思います。

 そして、国会の関与の仕方をどうするかということは、メニュー法ですから、では事前同意をということになるのか、それもきちんとしなきゃいかぬことではないか。そういう議論を自由民主党では一年間いたしました。

 委員御指摘のように、政府の立場は冒頭述べたとおりでございますが、この委員会において将来どうあるべきなのかという御議論がいただければいいなというふうに私は考えておるところでございます。

 以上であります。

西村(康)委員 石破大臣、大変熱い思いを語っていただきました。今すぐにその議論をする場面ではありませんけれども、ぜひ、これは与野党、できれば協議をしながら、一般法、恒久法、こういったものを議論していくことが必要じゃないかと私も思います。

 国会承認のあり方も、先ほど長官とも議論をさせていただきましたけれども、いろいろなメニューの中でしっかりと文民統制の仕組みを入れていくということも大事だと思いますし、場合によっては、先ほどの、国連決議がある場合、ない場合、どういう決議があるのかということも含めて、いろいろな書き方もあると思いますので、それはぜひ議論していきたいと思います。

 先ほどのPRT、軍と文民が一緒になってアフガニスタンで復興支援事業をしていくときにも、仮にそういうことをやるような可能性が出てきた場合にしても、大臣がおっしゃったように、どういう場面で武器使用ができるのか。これは必ずしもはっきりしていない面もありますし、今のままでは安全を確保できない面があるわけでありますし、いわゆる駆けつけ警護と呼ばれていますけれども、ほかの人を守ってあげるという面についてもしっかり議論をしていかないといけない面がありますので、そういうことも含めて、将来にはぜひ一般法、恒久法というものを、国会がどういう事態であっても、しっかりと法律があって、その中で国会承認の形を得ながら自衛隊の活動をしていくということが非常に大事な点だと思います。

 この点について、ぜひ総理にも、今この場面でなかなかお答えにくい、まずはこの法律が大事でありますし、これが我々の国際社会での責務を果たす第一のことだと思いますけれども、将来ぜひこんな議論を始めるという、その点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 この問題は、要するに日本が国際平和協力をどういう形でできるかということ、特に自衛隊がそういう場合にどういう活躍が海外においてできるか、そういうことを法律でもってしっかりと決めておこう、こういう考え方だと思います。今現在の国際平和協力、PKO法では活躍は限られておるというところがありますので、そういうことでいいのかどうかということも含めてやはり国会で議論すべきだと思うんですよ。

 一般法につきましては、二〇〇三年のイラク特別措置法を国会で議論して成立させていただきましたけれども、あのときに、これは実は野党の方から、ぜひ一般法を早くやってくれ、こういう要望をたくさんいただきました。ですから、そういう熱い野党のお気持ちを体しまして、私どもも、ぜひ何とか早くしたい、こういうふうな気持ちを述べましたけれども、そういうことがあったんですよ。

 その前後しまして、有事法、事態対処法ができました。このときは、やはり安全保障の問題、集団的自衛権の問題も絡んだ議論もございまして、そのときは国会で九割の賛同を得たんですね。もちろん、野党の多くの方々は賛同してくれたということでありますので、私は、そのぐらいの賛同を得て一般法ができるような状況が来ればいいなということを思っておるんですよ。

 ですから、そういう機会が来れば、ぜひ皆さんで納得する日本の国際平和協力を中心とした自衛隊の活動のあり方というものを議論させていただきたいと思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 前向きに考えておられるというふうに私は受けとめましたけれども、ぜひ、国際社会の中で日本ができることをしっかり議論して、かつ自衛隊の皆さんも安心して活動できる環境をしっかりつくって、さらに言えば、文民統制、シビリアンコントロールもしっかりできた形での日本の国際貢献、これからしっかり議論をしてまいりたいと思います。

 最後の質問に移ります。

 何点かあるんですけれども、こういう大きな議論をしていく中でも、防衛省の信頼がなければ、何を言っても国民の皆さんからは支持を得られないわけであります。先ほど岩屋議員がかなり熱い思いを述べられましたので重複は避けたいと思いますけれども、防衛省の調達の問題について少し議論をさせていただければと思います。

 いろいろな報道がなされておりますけれども、確かに、防衛装備品については特殊性があるのはよくわかります。海外のものがやはりいいものが多い、海外から買わなきゃいけない。あるいは、一つのものを買うと、関係の部品はその関係のところから買わざるを得ない、全然別の仕様のものを買えない。いろいろな制約はあると思いますけれども、一般競争入札ではなくて随意契約が非常に多いという点、これはある意味わかる面もあるんですけれども、それにしても随意契約が多過ぎるじゃないか、そのことが今回の守屋次官のいろいろな疑惑も含めてさまざまな問題になっているんだと思うんです。

 まず、今回話題になっております山田洋行と防衛省との契約についてお伺いをしたいと思いますけれども、山田洋行と防衛省の契約額全体のうち随意契約というのはどのぐらいあるのか、これは金額ベースでぜひ答えていただければと思いますが、お願いします。

江渡副大臣 お答えいたします。

 防衛省と株式会社山田洋行との間で締結いたしました契約のうち、随意契約の割合は、金額ベースでいいますと、平成十八年度の中央調達の金額についていきますと七四・六%になります。

 これはかなり多いという数字にお考えになられるかもしれませんけれども、防衛省が株式会社山田洋行から調達した防衛装備品につきましては、この株式会社山田洋行のみが販売権を有するものが多かったという形でこのようになったと思っておるところでございます。

西村(康)委員 ちなみに、過去の数字もわかりますか。過去の推移も教えていただいていいですか。

江渡副大臣 過去の分ですけれども、平成十七年度ですと、全体枠ですと、随意契約の部分、山田洋行との契約実績ですと、随意契約が一〇〇%になります。それから、平成十六年度においても同じく一〇〇%であります。平成十五年度が九五・七%。以上、よろしいでしょうか。

西村(康)委員 平成十八年は七十数%ということでありましたけれども、十六年、十七年は一〇〇%随意契約ということでありまして、これは、特殊性はもちろんよくわかるわけでありますけれども、一般の企業の方からすると異常な数字であります。

 ちなみに、防衛省全体の調達額のうち、防衛省全体の契約額、山田洋行に限らず、すべての調達について随意契約というのはどのぐらいあるのか、同じベースで教えていただけますでしょうか。

江渡副大臣 お答えしたいと思います。

 防衛省が行いました装備品調達のうちの、平成十八年度でいきますと、七六・四%が随意契約でございます。

 このことも、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、防衛装備品というのは需要が防衛省のみに限られておりますし、また生産量も概して少量であるということ。そしてまた、特殊な装備あるいは高度な技術が要求されるといった事情等によりまして、どうしても製造の能力を持つ企業が一社に限られているということ。ですから、競争入札になじまないものが多いということで、この随意契約の割合が多くなっているというふうに思っております。(西村(康)委員「十七年、十六年も」と呼ぶ)

 十七年、十六年のことにつきましてもお答えさせていただきたいと思います。十七年におきましては八六・二%、平成十六年は八五・七%、平成十五年が八八%でございます。

西村(康)委員 全体としても非常に高い、極めて高い随意契約の比率であります。

 今御説明もありましたけれども、海外のものに依存をしますと、どうしてもその総代理店というのが日本に一社しかない、そこと契約せざるを得ないということ。この事情もよくわかるわけでありますけれども、このことが今回のような疑惑を呼んでいる面もあるんだと思います。

 そういう観点から、これは防衛大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、国内の関連産業をぜひ育ててほしい。なかなか難しいのもよくわかりますけれども、国産の航空機を初め、これは小型の衛星なんかに取り組んでいるところもありますし、さまざまな取り組み、企業として努力をしている面もありますし、国内産業の基盤をぜひ育成してほしいということを、図るべきではないかというふうに考えますけれども、この点につきまして石破大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 基本的に委員御指摘のとおりだと思っております。ただ、これを納税者の負担という観点から考えるとどうなるのだろうかということだと思います。

 つまり、例えば九〇式戦車という新しい、まあ、そんなに新しくもないですか、日本では一番新しいタイプの戦車がありますが、あれは大分下がってきましたが、まだ八億円強するのではないかと思います。アメリカの戦車のたしか倍ぐらいの値段がする、ドイツの戦車の三倍ぐらいの値段がするという議論もあります。

 結局、一年に十三両とか十四両しかつくりません。武器輸出三原則がありますので、同じ敗戦国のドイツは世界じゅうに売るわけですが、我が国は武器輸出三原則というのをきちんと遵守して、出さない。一年間に十三両、十四両、そういうことになりますと、どうしても単価は高くなる。これをこのままでいいのだろうか。

 そして、いろいろな企業が競争して戦車をつくるということがないわけですね。仮に当たればよろしいが、当たらなければ、それまでの投資は全部損ということになってしまうわけです。そうすると、どうしてもメーカーは限られてくるということになるのだろう。

 そのときに、防衛産業を育成するというのを議論する場合に、選択と集中というものをどう考えるか、あるいは、汎用品、民生品をどのように使うような考え方を確立していくか、それとあわせて防衛産業の確立というのをやっていかなきゃいかぬのだと私は思います。

 これは、以前長官をしておりましたときに、今、世界の武器の流れというのは、共同研究、共同開発、共同生産の流れにある。つまり、リスクは非常に高いわけで、失敗したら大損ということにならないようにリスクは各国で分担しましょう、研究も開発もリスクは分担しましょう、そしてみんなが同じものを持つことによってコストを下げましょう、これから先、国際活動はふえるのであって、皆が同じものを使うということによってもっと実効性を上げましょう、それが世界の流れです。我が国は武器輸出三原則は堅持いたします。このことについてどうなのでしょう。当然、政府は堅持をしてまいりますが、このことについてどうなのだという議論、それも私はクロスしてくるんだろうと思います。

 基本的に委員がおっしゃるとおりですが、本当に納税者の利益に何が一番資するか、そして、御指摘の腐敗、不正を生まないためにはどうすればいいか、私どももきちんと議論をし、また議会におけるお話を真摯に承りたいと存じます。

西村(康)委員 何も攻撃用のものを積極的につくってそれを輸出しろということではなくて、民間でも使える航空機とか共用できるものも、転用できる技術もたくさんあると思いますので、ぜひそういった観点から国内産業基盤というものも育成していくことをお願いしたいと思います。そうはいっても、今すぐにはもちろん無理でありますし、さまざまな議論が、今大臣のお答えのあったとおりでありまして、議論があるところだと思います。

 そうだとしても、今後、調達に関して、先ほど数字の紹介がありましたけれども、特定の企業と一〇〇%随意契約というのが何年か続くというようなことも異常な事態だと思いますし、このことがいろいろな問題を呼んでいるとすれば、改善をしていくべきだ。この商社介在の仕組みというか、海外のものに対して一社総代理店制度、こういったものも含めて、できるだけ競争入札をしていく仕組み、これはすべての省庁で今行政改革の一環で取り組んでいるわけでありますけれども、そういったことができるのかどうか、大臣、少し考えてみたいという報道もされていますけれども、ぜひ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 これは白紙的に議論をしてみるべきものだと思います。

 例えば、「沈まぬ太陽」という小説があって、いろいろなことが書かれております、小説ではありますが。その後、ロッキード事件というものがあって、ダグラス・グラマン事件があって、また今日いろいろなことが取りざたをされているわけです。

 私は、商社が悪いというようなことを申し上げるつもりは全くございません。商社がいろいろな契約について知悉をし、あるいは通関の手続について知悉をし、技術について知悉をし、いろいろな装備品の調達について商社の力によるところが大きいのです。しかし、商社がなければ本当に何にもできませんかという話はしてみなければいかぬことじゃないでしょうか。

 そうすると、商社の皆さん方に頼っていた部分を我々の防衛省・自衛隊で本当にやることができるか、そのための人員はどれぐらい要るのか、そのこともちゃんと議論してみなきゃいかぬ。そして、日本に支社がある会社がありますね、どことは申しませんけれども。だとすれば、代理店というものを介在させなくても、きちんとした取引ができるのではないかということもございます。私は、それはきちんとゼロベースで議論をしてみる、そういう機会ではないのだろうかというふうに思います。

 それによってどんな国益が得られるのか、仮に国損が生ずるとすれば何なのか。そして、腐敗とか疑惑とかを生まないための仕組みというもの、今回この事件が、事件にはまだなっていませんが、これが終わったらばまたみんな忘れちゃう、そういう議論をしない、それはよくありません。外国においてどういうふうに調達をしているかも含めまして、防衛省において、私を長とする委員会、あるいは寺田政務官を長とする委員会を立ち上げております。これは省内だけの議論ではなくて、外部の方々もお招きし、当然経産省の方も御意見を述べていただき、私は、こういうことについて野党の皆様方も含めてどうあるべきなのかという議論を今回きちんとしたい、そして結論を出したい、そのように思います。

西村(康)委員 非常に強い意欲を表明されました。ぜひ、透明性を高めるということ、特に国民の皆さんが納得していただける形での改善をしていただければというふうに思います。

 最後に、福田総理に、何をやるにしても防衛省の信頼回復というものが大事だと思います。国民の皆さんに理解をしていただく、我々の国際貢献を真摯に議論していること、あるいは日本が非常に評価をされていること、国際貢献が非常に評価をされていること、こういったことを国民の皆さんにわかっていただく上でも、まず第一に防衛省の信頼回復というものが基礎にあるというふうに思いますけれども、この信頼回復に向けた福田総理の意欲をぜひお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 今回、防衛省において、情報管理の問題とか、そしてまた幹部の不祥事というようなことで大変国民の皆様方にも防衛省に対する不信を抱かせてしまったということは、極めて残念なことでございます。

 私、政治も行政も、やはり国民の信頼なくして成り立たないものだというように思っておりますので、こういうような事態というのは最も避けなければいけない、あってはならない事態であるというように思っております。

 しかし、現実の問題として、起こったからには、こういうことが再発しないようなことを徹底していかなければいけない。そのために、私自身も政治家としては自戒しながら、そしてまた政治家も行政の立場にある方々もしっかりとモラルを高くして、国民の信頼をいかにして高めていくかということに最大の意を用いてほしいということ、そういう趣旨のことは再三申し上げておることでございます。

 そういうふうな私の考え方については、防衛大臣もしっかりと考え方を理解していただいて、そして、そういうような信頼回復について今最大限の努力をしているところでございますので、どうか私どものそういう努力を見守っていただきたいというように思っております。

西村(康)委員 福田総理の御決意をお伺いいたしました。

 防衛省の信頼回復をまず何より第一に図っていただいて、それと並行する形で、与野党でぜひとも議論をしてまいりたい。民主党の皆さんにも対案をぜひ早く出していただいて、我々日本は国際社会の中でテロを撲滅していくために何ができるのか、憲法の範囲内で何ができるのか、そして、文民統制もしっかりした上で国際貢献をしっかりしていく、そのことがシーレーン防衛も含めて日本の国益にプラスになっていくということをこれから与野党でしっかり議論したいと思いますので、民主党の皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 これにて岩屋君、西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。

 私は、政治家を志して今日に至るまで、選挙民の皆さん初め、三つの問題意識を持って一貫して取り組んでまいりました。一つは政治というのは清潔でなければならない、もう一つは生活者の目線に立つことが大事である、そしてもう一つは国際的な平和貢献というものをどうするか。この三つを一貫して意識してまいりまして、それぞれの頭文字を、清潔のS、生活者のS、国際貢献のK、田端の政治はSSKです、こう一貫して言い続けてまいりました。

 まさに今そのことがこの国会でも大きな問題になっているわけでありまして、これを貫くことが、私も政治家としてこれは非常に今正念場に来ているな、そういう思いでこの国会に臨んでいるわけでございます。

 今回このテロとの闘いに対する日本のあり方ということが問われているわけでありまして、私は、このOEF、不朽の自由作戦に協力、参加している国が世界で七十五カ国もあるということ、そういう意味では、国際的世論としてテロとの闘いというものがあり、国連の決議があり、そういう中で今日に来ているんだと思います。したがって、今回の給油活動の新法、これはもうぜひ制定しなければならないと思いますし、継続しなければならないという思いでございます。

 ところが、残念なことに、先ほどからも議論になっていますが、今マスコミでも連日のように防衛省・自衛隊の種々の問題が起こってきています。このことは、もう本当に、国民から見れば、どういうことなんだ、何をやっているんだという思いがすごい大きな怒りとなって出ているんではないかと思います。だから、この議論と今回の新法の議論とはもう全く別なんですが、国民の意識の中ではぐちゃぐちゃになってしまっているというところに、非常に残念なことになっているんだと思います。

 それで、きょうは、まず防衛大臣にお伺いしたいと思いますが、守屋前防衛次官のこの問題、新聞報道を見ていても、もういろいろな形で報道されていますが、役所の最高の人がこういう形で癒着していたということについては、これはもう本当に言いわけの余地がない、こう思う次第であります。これは体質的、本質的な問題だと思いますから、この問題はぜひ大臣が先頭を切って改革していただかなきゃならない大変大事な問題だ、こう認識します。

 二十九日に証人喚問ということでございますから、詳しい問題、具体的な個々の問題等についてさらにメスが入ることを期待しているわけでありますけれども、もう一つは、補給艦「ときわ」の給油の数量の間違い、そしてそれがそのまま隠ぺいされていた、今日に至るまで隠し通されたということ、これも防衛省の中の問題でありますけれども、大きな体質の問題だと思います。これでは、シビリアンコントロールといいながら、こういうことが、大臣に間違った報告が来ているということで、しかも、ついこの間までそういうことであったということについては、これはもうゆゆしき事態だ、この点も私は深く反省すべき必要がある、こう思います。

 それからもう一点は「とわだ」の航泊日誌が誤って破棄されたということでありますけれども、この問題も、これは四年間の保存義務ということがありながら、どういう手違いかわかりませんがなくなっていたということについては、そういう意味では体質的な、本当に正直言って、ひょっとしたらたるんでいるんじゃないかというふうな、そんな思いもするわけであります。

 こういうことで、防衛省・自衛隊が日本の国民の生命と安全を守る、そういう、事の本質的なこと、そしてシビリアンコントロールがきちっと働くのかどうか、ここのところを国民が一番今不安に思っているわけでございますから、まずこの問題に対して防衛大臣が先頭に立って取り組んでいただいて、そして改善に向けて汗をかいていただいて、そして国民の皆さんにわかるような答えを出していただきたい、こう思いますが、大臣、どうぞお答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 まず、精神的な面といいますか、それから申し上げますと、防衛省・自衛隊がほかの官庁と違うところは、事務次官以下すべて自衛隊員であるということです。自衛隊員というと制服を着た人と思いがちでございますが、そうじゃない。我々においては、事務次官も局長も、みんな背広を着た人たちは同じ自衛隊員です。

 自衛隊員とは何かというと、誓いをした人たちの集団なんです。私は自衛隊員だったことは一度もないけれども、いつも自衛隊員の誓いというのは胸ポケットに入れるようにしている。それは、事に臨んでは危険を顧みず、身を挺して職務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえる。その誓いをした集団が自衛隊なのだということをきちんとみんなが自覚をしていれば、何でこんなことが起こるんだという話だと私は思います。

 私は、自分だけが正しいなんと言うつもりは全くありません。誤りの多い人間だということは自分でもよくわかっています。ただ、この守屋氏がいた、そしてまたゴルフが云々かんぬんと言われている時期は、有事法制の議論をしていた時期、そしてイラク派遣の議論をしていた時期、あのイラクに、インド洋に、クウェートに陸海空の自衛隊を派遣していた時期なのです。そして、私もあるいは当時の副長官の浜田靖一議員も、土曜も日曜も登庁したことなんて何度もあります。そのときに、私は正直言って同じ思いを共有してもらっていると思っていた。それがこういうことだというのは実に悔しいし、残念だ。

 それをどうするのかというと、一つは心の持ち方の問題です。

 もう一つは、先ほど答弁で申し上げましたが、監察をきのう命じました。特別監察をやります。それは情け容赦なしに、どんなに偉い人のところであろうが抜き打ち的にそれをやるということで、これを徹底いたさせます。これが仕組みとしての第二点。

 第三点は、この誤破棄事案、あるいは二十万、八十万の取り違い、そこにおけるチェック体制をどうするのかというお話だと思います。これは、今まで存在し訓練する自衛隊というふうに言われておったのが、実際に行動する自衛隊になったときに、そういうことはきちんきちんと全部問われなければいけない。書類の管理はどうなっているかということも全部チェックします。そして、それがどのように教育されているか、これも全部チェックします。そして、それが制服の中だけで終わるのではなくて、内局の関与というものがどういうふうになされるかという体制もつくります。

 そして、国会に対してどのような御報告をきちんとするか。このことも、これから先この法案において御議論になることだと思いますが、国会に対する説明責任も、防衛省・自衛隊として、これは軍事にかかわることだから言えませんというようなことは極力避けたいと思っています。

 私たちは、精神的な面においても、そして制度的な面においても、文民統制をどう果たすのか。自衛隊というのは国民の皆様方にとって最後のよりどころですから、国の独立を守るのが使命ですから、そうであらばこそ、最も厳正な組織をつくるべく全力を尽くします。

 どうぞ御教示賜りますよう、お願い申し上げます。

田端委員 全力を尽くして国民の信頼回復、そしてシビリアンコントロールがきちっと働く、そういう仕組みをぜひお願い申し上げたいと思います。

 その上で、総理にお尋ねしたいと思いますが、今回の一時中断ということは、まことに私は残念だと思います。しかし、これは継続してやるべき。その意味で、この新法の成立というものをぜひ、また、総理がおっしゃっているように民主党とも協議をして、何としてもこれは成立の方向へ御努力をお願いしたい、こう思うわけであります。

 私は、日本国憲法には特に三つの原理、国民主権主義、そして基本的人権の尊重、そしてまた恒久平和主義という原理がありますが、これは永久に守るべき原則だ、こう思っております。その中で、恒久平和主義というものがベースに、ここが日本のあり方の基本になっていくんだろう、こう思います。特に、日本という国は資源がない国でありまして、そういう意味では、ほとんどの資源は外国に頼っているわけでありますから、国際貢献を果たして国際的な信頼を得て、そして平和憲法の中で生きていく、平和でしか生きられないのが日本の存在ではないか。

 そういう意味では、今回の新法も含めて、今までやってきたことは国際社会における大変大きな日本の貢献であり、そして、武力を行使せずに平和活動としてやってきた、そういう流れにあるんだ。だからこそ、この新しい法律を制定して、一刻も早く中断を回復すべきだ、こう思うわけであります。

 今回の法律の中に、新法の第一条に、二〇〇一年九月十一日のテロの攻撃による脅威が除去されていないという現状において、国連決議として、一三六八、一三七三の決議を受けて、このテロの根絶の取り組みを継続し、脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する、こうあります。

 つまり、これは、日本が海上阻止活動を行う諸外国への補給の支援を実施することによって国際社会の平和と安定に貢献する、こういう趣旨であり、今申し上げてきたことと合致すると思うわけであります。

 そしてまた、もう一つは、一七七六という、今回、これらの活動に対しての評価も加えて明記されているわけでありまして、だからこそ、国際貢献に対して日本はさらに自信を持って取り組むべきであろう、こう思うわけであります。

 そういう意味で、国民にはまだまだ理解されていないということもありますので、総理の口から、こういう国連決議もあって、その中での国際貢献としての日本の補給支援活動の法律なんだということをぜひ御説明をしっかりとしていただきたい、こう思います。

福田内閣総理大臣 我が国は国際社会と無縁ではないわけでございまして、田端委員の御指摘のとおり、日本は資源を輸入しておるという国柄でございます。資源を輸入するだけでなくて、資源を輸入して、そして付加価値を高めた上で海外に輸出する、そういう国でもありますし、最近は、海外投資をして、そして海外に工場を持ち、そこで販売をする、そこで得た利益を日本に持ってくる、この分が貿易収支よりも多くなってきているというぐらいなウエートを占める。本当に国際社会なくして日本の経済は成り立ち得ないんだ、こういうことを考えますと、国際社会と無縁というわけにはいかないんですね。

 また同時に、そのぐらい国際社会とのかかわりが深いということになれば、やはり世界で第二位の経済大国だなんて言っているくらいの国ですから、何か国際社会の役に立つこともしていかなければいけない。そういう意味で、ODAもたくさん出し、そしてまた、近年はPKO活動でもってたくさんの人が出ているということもございます。そして、イラク特措法でイラクに行ったのもそうです。このテロ特措法でインド洋に行くのもそうです。みんな、そういう国際社会に対して何か協力できることはないのかということ。

 そしてまた、そういう活動について、例えばインド洋のことにつきましても、多くの国が参加しているんですね。特に、アフガニスタンが復興してほしい、こういう思いでもって活動に参加している。例えば、東京会議というのが二〇〇二年にございましたけれども、このときの参加国というのは六十一カ国ですよ。そして、国際機関は二十一機関が参加している。二〇〇四年のベルリン会議には六十五カ国、ロンドン会議、これは二〇〇六年ですけれども、六十カ国以上の国々が参加しているんです。みんな関心を持って、一生懸命手を差し伸べようという努力をしているんですよ。

 そういうところで我が国が何ができるか。もちろん、海上だけでない、国内のことについては、これは日本は人を出すことができないものですから、したがって、お金を出すというような形でもって応援をしておりますけれども、それも相当なものを出している。

 ですから、人を出すということについても、これも国際社会、多くの国々が参加しているわけですから、そこにも出さなければいけない、出すべきであるというのが日本の、これはもう日本自身が考えてそういうことを、自然に考えて当たり前の話だというふうに思います。そういうことをしないで、今、先ほど申しましたような国際社会との深い関係を築いていくことはできないということであります。

 そこに、国連決議も、一三六八もある、一七七六もあるということでありますから、そういう枠組みの中で日本が活動するというのは当然のことだというふうに思います。また、進んでそれをすべき立場にあるんだということでございますので、ぜひそのことについて多くの方々に御理解をいただきたいな、こういう思いでございます。

田端委員 それで、法案の中身のことでお尋ねしたいと思いますが、補給支援活動特別措置法はぐっと絞り込んだ法律になっているということは先ほど官房長官がパネルを使って御説明をいただきましたが、ちょっとあれは字が多過ぎたので、私のはもう全然、単純明快にしております。(パネルを示す)

 期限は一年ということで、一年以内の延長は可能であるということ。そして、活動の内容については、海上阻止活動の外国艦船への給油、給水に限定しているということ。そして、一三六八、一三七三を受けて、そしてまた一七七六という評価を受けたことも含めて、それも明記した、国連決議をきちっと法案の中に入れているということ。そして、活動区域はインド洋などの非戦闘地域である。こういうことが法律の中にきちっと明記されています。

 そして、旧の現行法と比べてみますと、本当にそういう意味では、政府が果たすことが、裁量権といいますか、それが小さくなったということがこれではっきりするわけでありまして、具体的には、この法律の中に、やるべきこと、範囲、期限が明確に書いてあるわけでありますから、基本計画ということはもう必要がなくなって、この国会議論そのものが国会の承認に当たるのだ、こういうことで我々も認識しているわけであります。

 例えば、期限が一年であるということ、これも私たちが主張させていただいて一年ということにしたわけでありますが、一年、次に延長する場合も、またそこで議論をしなければならないわけですから、そういう意味では本当によりシビリアンコントロールをきかせた中身になっている、こういう理解でいいんだと思いますが、官房長官から、その点について改めてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 田端委員から大変わかりやすい資料を今お示しいただきました。先ほどの私の表は少し字が多過ぎたので、反省をいたしております。

 まさに委員御指摘のとおりだと私も思っております。先ほど申し上げましたように、旧法ではいろいろなことができるようになっている。その中で限られた補給活動のみをやるということを法律に明記しました。また、活動範囲もはっきりと明記をしました。旧法ではもっと広かったものを、明記をいたしました。そして、今委員まさに御指摘のように一年間ということで、国会の承認を一年というかわりに法律にもとより一年と書いてあるということでございますから、シビリアンコントロールという観点から見ても、私は、まさにこの国会での御審議そのものが、事後承認ではなくていわば事前承認のプロセスを今踏んでいただいているんだ、こう考えるわけでございます。

 そういう意味から、国会承認がないからシビリアンコントロールの後退ではないかという、まことに、一見そうかなと思えてしまうようなことを言われる方もいるが、そうではない。まさにこの法案の審議そのものが国会承認同等以上の意味合いがあるという田端委員の御指摘は、私どもも全くそういうふうに考えております。

 どうぞ、そういう意味で、シビリアンコントロールという観点からも、この法案のすぐれた点を国民の皆様方にも御理解をいただければ幸いだ、かように考えております。

田端委員 それで、この海上阻止活動で今日までどういう成果があったのか、どういう評価になっているのかということについてお伺いしたいと思います。(パネルを示す)

 海上阻止活動は、インド洋でテロリストを自由にさせないというのが一番の基本であった、こう思います。そういう意味で見てみますと、武器の流入を阻止する、あるいは麻薬の売買の資金の流入を阻止する、そしてテロリストの入国を抑止、阻止する、こういう三つの大きな要素があったと思います。

 その中で、ここで無線照会した回数が、二〇〇四年には四万一千件であったのが、二〇〇六年、昨年は九千件ということで、五分の一ぐらいに減りました。無線照会というのは職務質問みたいなものだと思いますが。そして、怪しいと思う場合にはちょっとトランクをあけろというので乗り込むんだと思いますけれども、それが九百五十回であったのが二〇〇六年には二百回というふうに減ってきた。

 という意味では、この問題も、これは非常に、目には見えない抑止効果といいますか、事実、武器とか麻薬とかテロリストの拘束とかはあったと思いますけれども、しかし、大きく抑止効果が働いているというのが一つであります。

 それから、アフガニスタンの復興ということについて、これはもう非常に大事なことで、先ほど来議論のあるとおり、海上自衛隊の活動と、もう一つは民生、人道支援といいますか、ODAを使って日本がなすべきことはどういうことがあるんだろうということで外務省でずっとやってきていただいた、そのこともまた非常に大きな成果をもたらしている、こう思います。

 時間的系列で見てみますと、(パネルを示す)二〇〇一年の同時多発テロからずっと、例えば、二〇〇二年一月に東京会合が行われました。そして、先ほども外務大臣が御答弁になっていましたが、元兵士の武装解除、社会復帰ということで、DDRの主導を日本がやるということになりました。そして、それの第一回東京会議が二〇〇三年二月に行われて、DDRが始まって、約六万人と言われていますが、この社会復帰が、二〇〇六年にはDDRが完了ということで、済みました。そしてまた、もう一つ非合法武装集団というのがありまして、DIAGということでありますが二〇〇五年からこれの解体が始まりまして、今それが進んでいるところだと思います。そういう意味では、今、流れとしては、縦系列といいますか、時間系列としては非常にスムーズにいっているということでございます。

 もう一つは、では、今までどういうことを中身としてやってきたのかという意味では、これは大変幅広く、(パネルを示す)アフガニスタンへの人道復興支援ということでは、総額十二億四千万ドルということで、日本円にしますと千四百億円、これはアメリカに次いで第二位ということであります。

 そして、やってきた中身は、大変広範な、ありとあらゆることをやっておられる。人道支援として、難民支援とか食糧支援等一・七五億ドル。政治プロセス支援としては、選挙の実施あるいはメディア支援とか、そういったこともずっとやって、総額一・六五億ドル。治安改善に対しては総額一・九三億ドルで、先ほど申し上げたDDRとかDIAGとかいった社会復帰、これらの人々をやり、そしてまた地雷対策とか麻薬対策。

 麻薬は、アヘンの生産はアフガニスタンが九三%を占めていると言われているわけで、麻薬対策というのは最大のテーマだと私は思っております。昨年、カルザイ大統領がお見えになったときも、海上自衛隊の継続と、もう一つ、麻薬対策に日本は特段の力をかしてもらいたい、こういうお話があって、官房長官があのとき一緒に、我々、大統領と懇談させていただいたときにもそういうお話がございましたが、そういうことでございます。

 それから、復興支援については、これは総額七・一億ドルでございますから、カブール―カンダハル間の幹線道路とか、そういう道路整備、あるいは教育、あるいはインフラその他の整備、農業、技術協力等々、これはもう大変に広範な支援を日本はやってまいりました。

 私は、民主党の皆さんは民生支援で法律をつくるとかいろいろなことを検討されているようでありますが、もう既にここまでやっていて、法律をつくるというよりも、これ以上ないぐらいまでになっているわけでありますが、ここをしっかりとチェックして、さらにここから先何ができるかということを御検討いただくことが大事ではないかなと思うわけであります。

 四年ほど前になりますか、女優の藤原紀香さんがアフガニスタンの奥地に行きまして、そして子供たちの姿、そしてまた女性の生きざまを、物すごい写真を撮ってまいりました。その後、アフガニスタンの子供たちということで展覧会をしまして、私も縁があって拝見させていただきましたが、すばらしい写真でございました。そして、その収益をアフガニスタンの子供たちの教育事業にまた充てているという、一民間人ですらそういうこともやってこられた。しかし、今は入国ができないわけでありますから、そこはなかなか難しいかと思いますが、いろいろなことを考えていただきたい、こう思うわけです。

 例えば、イラク、イランでメソポタミア湿原の回復、湿原の再生ということを私たちは申し上げました。そして、イラクも現地には入れない、しかし、国連の機関を通してそれはできるんじゃないかということで、UNEP、国連環境計画を通してこのメソポタミア湿原の再生ということをやっていただいて、今大きくそれが再生しまして、雇用対策にもこれは大変役立ったということで、イラクからも評価されているわけであります。

 そういうことも含めて、ODAでやる、しかしもう手いっぱいのところがある、しかしまだなおかつやる必要がある、だから何をすべきかということを、もっと国連機関を通してなりやることはないんだろうかということを外務省でしっかりとお考えいただきたい。

 私は、三つだけ特に申し上げたいのは、先ほど申し上げた麻薬、この薬物対策。アヘンの生産が九三%ということですから、これはもう絶対にテロにかかわる大事な問題だと思いますので、そのことが一つ。それから教育の問題。それから農業だと思います。この三つで何かいい知恵を出してできないだろうかということを申し上げて、大臣のお答えをいただきたいと思います。

高村国務大臣 今、田端委員から、民生部門、人道復興支援についても日本はちゃんとやっているんだ、こういうお話がありまして、まさに世界から評価されるだけのことはやっていると思うわけでありますが、国際機関等を利用してやったらどうだというお話も、まさに、今までも千四百億円を既に出して世界第二位の貢献をしていますが、その半分強は国際機関を通じて出しているわけであります。

 これからどういう知恵が出せるかということでありますが、まさに委員がおっしゃるように、麻薬対策についてはまだ非常に悪戦苦闘している状況なので、その代替の農業関係とかそういったことについても知恵を出して、そしてまた道路だとかそういうインフラ整備、そういったことを幅広くやっていきたいと思いますので、また知恵をかしていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

田端委員 ありがとうございました。

 私は、一にかかって、この法律が成立するかしないか、それはすべて世論にかかっていると思います。総理を先頭に、また我々与党もしっかりと汗をかいて国民の理解を得ていくことが大事だと思うということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 この際、赤松正雄君から関連質疑の申し出があります。田端君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 総理、御就任以来、連日大変にお疲れさまでございます。

 私は、衆参両院の予算委員会等々を拝見させていただいて、福田総理、すばらしい出足快調である、こんなふうに思いますが、一点だけ当委員会に関する問題で少し危ういなと思った場面が実はございます。これについては事前に質問通告をしておりませんので気楽に答えていただきたいんですが、総理、いわゆる二十万ガロンを八十万ガロンの給油取り違えの問題が、この同じ場所で、予算委員会で話題になったときに、その一連のことが終わった後で、私まで疑われてしまう、こう発言をされました。私まで疑われてしまう、これは何について御自身が疑われる、こういうふうに思われたんでしょうか。

福田内閣総理大臣 よく覚えていないんですけれども、まあ、しようがないですよ。これは私は何かあればいつでも疑われる立場なんですよ。そういうのが私の立場だ、こう思っています。

 ただ、疑われたくないですよ、実際問題言って。ですから、それは疑われないように十分注意をし、また私自身も疑われないような行動も必要ですけれども、しかし、組織の中でのことでございますから、組織全体が、私が疑われるというのは、防衛大臣も疑われることだし、それから局長だろうがみんな疑われるわけですから、その立場立場にある人は、疑われることがないように、しっかりと情報の価値を判断して、情報の重要さの大小を判断して、自分で判断していいものかどうかということをその都度考えながらやるということが大事なんですね。

 やはり、そういう意味における緊張感というのが大事だと思いますよ、情報というのは幾らでもあるわけですから。その一つ一つをそういう立場で判断するということが大事なのであって、大を小と間違えたならば、やはり私まで疑われる、こういうことになるんです。

赤松(正)委員 前半、総理独特の味が出た御答弁ですが、後半、きちっとお答えになられたと思います。

 私が思ったのは、総理は、二十万ガロンを八十万ガロンの取り違えについての、そういう現場から上がってきた情報を受けて、記者会見をされたときのことをこの場で追及されて、私が創作したんじゃない、捏造したんじゃないんだ、こういう言い方を実はされていたわけであります。覚えていない、こうは言わせませんけれども、おっしゃっているわけですね。

 それで、要するに、私は、やはり最終的に、石破大臣が繰り返しおっしゃっていますように、二十万ガロンというこの消費量というのはペルシャ湾まで行く消費量ではないというふうなお話があるんですが、ただ、当時、二十万ガロンという数字を大きく盾にとってペルシャ湾には行く量ではないんだということを言っておられたという、この事実というものはやはり動かしがたいものがある、そんなふうに思うんですね。

 そのことは指摘をいたしておきまして、さらに、私が大変感銘を受けた本に「情報、官邸に達せず」、こういう本がありました、「情報、官邸に達せず」。情報は、要するに情報なき国家は滅びます、しかし、情報があってもそれをうまく活用できない国家も滅びますということでありますが、私は今回の場合、情報、官邸に達すれども過てり、こういうふうに言える側面があったんではないか、そんなふうな気がいたします。

 言ってみれば、ここで文民統制、シビリアンコントロールという言葉が盛んに使われていますが、非常にごく極小化された側面でミリタリアンコントロールというものになってしまったと言わざるを得ない。つまり、量の間違いだけではなくて、セットとして、量の部分がその政策との関連性で語られたということにおいて、私は、総理大臣が御自身で、自分で、その情報の真偽、そしてその情報の活用の仕方というものを考えなきゃいけないということを先ほど一番最後でおっしゃいました。それが大事な側面だと思いますけれども、改めて、さまざまな上がってくる情報に対して、国家の最高責任者としての総理の、その対応の仕方の心構えを聞かせていただきたい。

福田内閣総理大臣 私は、これは日本の組織の一つの欠陥というのかどうかわかりません、特色じゃないのかと思うんですけれども、アメリカでしたら、こういう情報は自分の裁量の範囲、このものは自分で裁量しちゃいけないといったような、そういうマニュアルがしっかりしていると思うんですよ。

 日本は、マニュアルはあると思いますけれども、多少ルーズなところがあるんじゃないでしょうか。それが日本の伝統的な組織のあり方と関係あるのかもしれませんけれども、日本の組織というのは、どうしても部下を信用する、そういう社会風土と申しますか、伝統があるんですね。それはいいことですよ、美徳ですよ。だけれども、それが時によっては下の人が裁量を超えた判断をしてしまうというようなことがある、あいまいさがどうしてもある。それが日本の社会だと思うんです。

 ですから、そこのところをシビリアンコントロール、特に軍事上の問題ということになりますと、これはかなりシビアなそういう分類、そしてその裁量の範囲の分野を決めるとかいったような作業はやはり必要なのかなというふうに思いますけれども、まあ防衛省もそういうことはかなりしっかりやっていると思いますよ。

 ですから、私は、これからそういうことを含めて改善作業が行われるというように思っています。今回起こったようなことが二度と起こらないようにということに最大、細心の注意を払っていくということが必要だと思います。

 それから、先ほど、私が確かに二十万ガロンという発言をしまして、間違えました。しかし、それは、あのときは唯一の情報だったんですね。それからその後訂正の情報もなかったということですから、私自身もこの間までそれを信じていたわけです、私自身が。そういうことが起こるから、だから、またもしそういうことが偽りの情報だったというんだったらすぐ訂正する、そういう文化も、風土もつくらなきゃいかぬということがあるんじゃないでしょうかね。

赤松(正)委員 総理の、組織におけるいわゆる指導者と部下との関係、含蓄あるお言葉をいただきました。我が身に照らして私もしっかり考えていきたい、そんなふうに思います。

 防衛大臣、昨日、海上幕僚長ですか、今回の問題について、当時の詳しい状況というものを今しっかりと調べているということ、そしていわゆる現場だけではなくて内局にまでその調査を及ぼすというふうな状況になっている、これを早急にやるということです。これについては現時点でまだ報告がたしか上がっていないということですが、こういう問題、こういう事態というものがありますと、制服組にも国会に出てきていろいろ答弁してもらおうじゃないか、話を聞きたい、こういう声が起こってくるということであります。

 この問題は、かねて国会において、日本の自衛隊が誕生して随分長い歳月がたちました、いろいろな経緯があったことは私も承知をしておりますけれども、改めて、制服組といいますか、こういう現場の防衛の衝に当たっている皆さんが国会に出てくるということを今妨げているというか、それは避けたいということについての理由を聞かせていただきたいと思います。

石破国務大臣 かつて昭和三十年代に制服組が国会に出てきて答弁をしたことがありました。これは源田実航空幕僚長が一番多かったのではないかと思います。私は先ほど、小説の題名を間違って「沈まぬ太陽」と申し上げちゃいましたが、これは「不毛地帯」でございますけれども、山崎豊子さんですね、いろいろありますが、F104、この導入をめぐってどうなのだという議論ではなかったかというふうに承知をいたしております。

 ただ、昭和三十年代に何度かありましたが、その後ずっとございません。私は、前長官をしておりましたときに、民主党の方から、出るべきではないかという御指摘を参議院でいただきました。あるいは前任の中谷長官のときにもそんな議論があったかと思います。

 つまり、専門的、技術的なことは、やはり陸海空の自衛官の方がきちんと答弁できるのではないか。確かに局長たちも、あるいは政治家もできるのかもしれません。しかし、本当にそれに乗って命をかけて国を守る、その人たち、あるいは電子工学なりなんなりの専門家たち、そういう人たちが専門的、技術的な観点において述べるということはあってもよいのではないか、むしろあるべきではないかという議論は私はあるのだと思います。

 全部、悉皆調査を今かけておりますが、先進諸国において制服軍人、他国では軍人というのでしょう、それが国会に出て専門的な技術的な見地で意見を述べないという国は日本以外にはないと私は承知しております。それが、私は、文民統制という観点からいって阻害するものだという判断を国会がなさるか、いや、文民統制としてあるべき姿であるというふうに国会が判断をなさるか、制服を着た者が国会というところに来ること自体だめだというようなお考えなのか、それは議会においてお決めをいただきたいと思いますが、私ども防衛省・自衛隊として、制服組を出さないという判断は全くいたしておりません。

赤松(正)委員 私は、やはりその歴史的な経緯を踏まえて、もはやそういう段階に来ているのではないか、そんなふうな思いがいたしております。形としてどういう形をとるかというのは判断の分かれるところであろうかと思いますが、何らかの形で、今のような形、政治家がいわゆる大臣の皆さんに質問しているような格好ということではなくて、何らかの形でそういうものを取り入れることこそ、むしろ文民統制、シビリアンコントロールではないのかな。

 ただ、現場の人たちがいろいろ防衛大臣に不満を述べるとかというようなことがあってはまずいということもあろうかなという気もしましたが、そういうおそれはないという、今そういうことをおっしゃらなかったから、そういう側面はないんだろう、こんなふうに思います。検討していきたい、そんなふうに思います。

 次に、守屋防衛事務次官のことについてお話をし、またお聞きいたしたいと思います。

 事務次官の任命権というのはどなたにあるんでしょうか。先般、官房長官が事務次官会議を開かれたわけですが、事務次官の任命権はどなたにあるのか。

石破国務大臣 これは防衛省に限らず、大臣が任免権を持っております。

赤松(正)委員 守屋さんは四年。通常、霞が関周辺、この官僚の世界の任期は大概二年だと思います、もちろんそうじゃない例外のケースもあまたあろうかと思いますが。この守屋さんは、官房長という立場も三年二カ月。官房長という立場、あるいは事務次官という立場は、いわゆる官僚の世界で、官僚のトップと、そのいわゆる中核事務局長という立場だろうと思うんですが、このポジションをやられた年数が非常に長い。

 今、すべからく大臣に任命権がある、事務次官の任命権。私は、石破大臣に大いに責任があると言いたいんですよ。守屋という人をよく知っておられる。先ほど、浜田副大臣とともに一生懸命有事法制の仕事をしているときに何たることかと、非常に情けない思いを語られましたけれども、私は、防衛大臣になられたときに守屋さんを事務次官にされたかどうか、前任から引き継がれたのかどうか、ちょっと定かではないんですが、いずれにしても、単に石破さんだけの問題ではなくて、やはり事務次官というポジションをしっかりと監督するのは大臣じゃないのかと。要するに、事務次官というのは結局、官僚の世界でいうと、すごろくでいうと上がりになるんですね。

 私がかねがね不思議に思っているのは、防衛省でいえば、今はどうか知りませんが、かつては防衛局長が花形のポストだった。外務省でいえば、今はそういう言い方はしないんでしょうけれども、条約局長、今は国際法局長ですか、それだけ言うと、ほかの人たちが何だと言うかもしれませんが、いわゆる国会論戦の花形のポストだったんですね。そういうところを経て、事務次官になると全然国会の答弁がない。これは、総理大臣を初めとして大臣は、日々厳しい、まあ与党の質問はそんなに厳しくありませんけれども、野党の皆さんの厳しい質問の追及を受けている、極めて緊張感を強いられている。ところが、なぜか官僚の世界は最高トップに上り詰めるとそういう場面がない。おかしいなと実は思い続けておりました。

 この問題について、複数のことを申し上げましたので、石破大臣に、守屋さんという人が大変に力量のある方であったということは私も知らないわけではありません。こういう問題、功罪相半ばする、いろいろないい面もある、しかし一方で、取り返しのつかない大変まずいことをしたということももちろんあります。こういう功罪相半ば、この論評というものをまず端的にしていただきたいということと、それから、次官がなぜ答弁に立たないのか、これは官房長官でしょうか。では、お二人に短く端的にお答え願いたいと思います。

石破国務大臣 守屋氏を任命したのは私でございます。そして、その後、一年ほど長官、事務次官という立場で仕事をしました。監督不行き届きであったというおしかりをいただくとするならば、監督責任は私にございます。

 それは、先ほど答弁したことでもございますが、あの有事法制、イラク派遣、インド洋における活動、そして北朝鮮の情勢が極めて緊迫をしておった時期でもございました。その時期に、私は土曜も日曜も登庁したことは多くありました。私と浜田副長官、とにかくどちらかが地方に行くときは必ず一人は東京のいつでも来れるところにいなきゃいかぬ、そういうこともやっておりました。その思いは当然共有しているというふうに信じていたのが私は間違いだったのだということだと思います。信じたあなたが悪いのよと言われれば、それはそのことの責任も負わねばならない、私はそういうことなのだというふうに思います。

 また、功罪相半ばというふうにおっしゃいました。私は、非常に卓越した能力を持った官僚であったということは、それは素直に認めなければいけないと思います。豪放らいらくで親分肌でということはありましたし、突進力もありました。いろいろなことをまとめてきたし、防衛庁を防衛省に移行するときにも力を発揮したというふうには思っております。

 ただ、それが本当に、事務方のトップという言い方を仮にするならば、大臣や副大臣、そして一人一人の隊員が土曜日曜返上で本当に身を粉にして働いているときにそれでいいのかという思い、それをチェックするような体制、それはきちんと確立をしなければいけない。功罪相半ばというのは、そういうことも含むのだというふうに私は思います。

町村国務大臣 なぜ事務次官が国会答弁に立たないのかというお問い合わせでございますが、政府参考人は、これは衆議院規則第四十五条の三、行政に関する細目的、要するに細かいこととか、技術的なことについて審査、調査を行う場合には、必要があれば政府参考人の出頭を求めということで、したがって参考人で出てくるのは技術的、細目的なことだから担当局長とか部長がよかろうということなんだろうと思います。

 これは慣例でございまして、実際、事務次官が答弁したことも、私、何回かの記憶でございます。だから、事務次官が絶対答弁しちゃいかぬということはないと私は思います。

赤松(正)委員 大筋の、多くの事務次官が立派な、優秀な方であるということは私もよくわかっておるわけですけれども、今申し上げたようなそういう緊張感の欠如、これは長さだけではないという話が、先ほどどなたかの答弁で石破大臣が答えておられましたけれども、しかし、やはり長さも異常に長くなるとこういう問題を引き起こすということもしっかり念頭に置いておかなくちゃいけないと思います。

 朝の同僚議員の質問の中で私が気になった点、ちょっと確認したいと思います。

 石破大臣が、今、守屋さんの周辺、本人のいわゆる聞き取り調査をしているという中で、ゴルフをやった後にマージャンをやったり焼き肉を食べたりという話がありましたが、ゴルフもマージャンも複数でやるものであります。よもや、ほかの、いわゆる防衛省の関連の方あるいは政治家、そういった周辺の人たちも絡んでいないかどうか、そういう視点を持って聞き取り調査をされているのかどうか、この点について確認をしたいと思います。

石破国務大臣 昨日、特別監察を命じました。これは、ゴルフ、マージャンあるいは飲食、だれとやったかということについて監察制度を初めて動かします。そこにおいては、今委員の御指摘のようなことも監察の対象に入ります。そこでいろいろなことを聞き取る過程において、御指摘のようなだれとやったのかということも出てまいることになります。いろいろなことを確認していく過程において、ではAに聞き取った、そのときにこういう話、ではそれを一つの情報としてBに聞く、そういうような過程から副次的にそういうのは出てまいりますが、対象はあくまで、申し上げましたように、自衛隊員、そしてまた今回は、対象をある程度、四百二十名と申し上げましたか、それに絞って行っておるところでございます。

赤松(正)委員 ここは山田洋行と守屋事務次官という限定された形での話が進んでおりますけれども、大体これは、仄聞するところでは、かねてこの二つの組み合わせについては疑念があったということを、私のような人間でも多少、少し前から聞いておりました。であるがゆえに、そういったことはかなり前からあったというふうに思わざるを得ません。この商社だけなのかどうか、あるいはまたこの人物だけなのかどうかということも含めて、しっかりと調査をしていかなくちゃいけない、そんなふうに思います。

 石破大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は、お人柄からいって非常にめり張りのきいた、ばしっとした方ですから、先ほど同僚三人の議員に対する質問を聞いていると、大変に石破大臣は物すごい意欲を持って取り組んでおられると思うんですが、私ちょっと人が悪いですから、いや、石破さんってそんなふうなことを言える資格があるのかと。まあ、資格はおありだと思いますけれども、もう既に二回目の防衛大臣、防衛庁長官をされて防衛大臣に、今再びの立場についておられる。

 この防衛庁あるいは防衛施設庁をめぐる不祥事というのは、今に始まったことではない。今を去る九年ほど前に、いわゆる調達本部の最高幹部が、全く同じテーマではないにせよ、ほぼ同じ、防衛庁をめぐる調達の問題で世間を震撼させる大変大きな事件を起こした。あるいはまた、近過去で、防衛施設庁が大きな問題を起こして、防衛施設庁解体につながる問題が起こった。

 私は、先ほどの大臣の答弁を聞いていてうっと思ってひっかかったのは、属人の問題じゃないんだと言われて、即、いわゆる仕組みの問題に転嫁された言い方をされた。それは、トータルで見てそういう言い方はできようかと思いますが、しかし、ではその仕組みを今まで放置してきた、その仕組みの放置の中身についても、大臣は非常に賢明な方だから的確に短い時間で先ほど御答弁されたことはわかっています。

 いわゆる随意契約に言ってみれば傾かざるを得ないという流れ、あるいは総代理店としての商社が受けざるを得ない。この日本という国が直面しているというか、戦後日本が直面している防衛産業と政治とのかかわり、防衛省とのかかわり、全部わかります、わかりますが、そこに、何というか、あえて私は意地悪な言い方をすると、この約十年ぐらい前、もっと前もあったかもしれません、この近過去におけるそういったものについての反省、そして取り組んできたことに対する、何がうまくいっていて何がうまくいかないのかということについて多少の陰影を持って語っていただかないと、元気いっぱい語っていただくと、少しばかり国民の皆さんが誤解をしてしまう側面があるということを指摘したいと思います。

 大臣、反論をやってください。

石破国務大臣 元気いっぱい語ったつもりはないのでありますが。

 私は、属人的なことに帰しちゃいけないんだということを申し上げたいのであって、その責任は徹底的に追及をしなければいけない。そして、おまえにそういうことを語る資格がないのかというふうに言われれば、それは胸に手を当ててよく反省をしなければいけない。きちんと監督をしなかった、信じていたのにというようなことを言ったところで、それは行政をお預かりする者として、そんなことが通用するとも思っておりません。

 したがって、そのことのチェック体制をどうするかということも、しかし、あわせてやらなきゃいかぬのでしょう。三権分立でもそうですが、司法、行政、立法というのがお互いにきちんと監視をし合うという、これが三権分立で、腐敗しないようなチェック体制ですよね。

 そうすると、では役所の場合どうなんだ、防衛省・自衛隊という場合どうなんだというと、株主がいるわけじゃない、お客様がいるわけじゃない。そして、議会に対して、例えば事務次官という人は議会に出てこない、あるいは官僚というのは選挙の洗礼を受けない、そして自衛隊員、自衛官というものは国会で答弁しない。そういういろいろな問題を、もう一回あらゆる観点から見てみる必要があるのではないか。

 私は、自分の責任を回避するとか、属人的なことに帰すとか、そんなことを申し上げているんじゃないんです。今まで、議論しなきゃいけないけれども、そのときが過ぎれば議論されなかったこと、そういうのがたくさんあるんじゃないか。あるいは、文民統制の考え方からいって、内局と幕とのあり方はどうなのか、参事官制度のあり方はどうなのか。文民統制の主体はだれであり、客体はだれでありということもきちんと議論をしなければいけないのではないか。調達のあり方についても、もう一回、何が国益で何が国損か、そういうことを議論する。その場さえ過ぎればそれでいいということが今まで積み重なってきたのではないか、私はそういう反省も持っているのです。

 自分がいろいろなことをやってきた、その反省も踏まえた上で、今回、改革に取り組むことができればと思いますし、やらねばならないと思っておるところであります。御指摘は謙虚に承ります。

赤松(正)委員 ぜひとも、今の防衛大臣の決意、大事な場面に来ておりますので、きっちりと展開をしていっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 最後に、総理大臣にお伺いをいたしたいんです。

 実は、先ほど申し上げました防衛庁の調達本部の事件があった後に、アンケート調査というものがあって、現場の防衛庁の職員がアンケートに答えて、ほぼ半分の人たちが、幹部の意識改革が必要であるというふうなことを言っていたわけです。幹部に対する現場の目線というのは厳しい、そんなふうに私は思いました。

 今、残念ながら、厚生労働省、私、つい一年ほど前に副大臣を拝命しておりましたけれども、そして防衛省、私が深い関心を持ってきたこの二つの省で大変に残念な出来事、現場の人が上げたというかやった行動、そして、それをつかさどるというか統括すべき幹部の立場の人のやはり厳しい状態、こういうことがあって、私は非常に残念に思うわけです。

 私が思うことは、現場の防衛省の自衛隊の皆さんとお会いしたり、あるいは官僚の皆さんと会ったときに、皆さんは一体何を信じて仕事をしているんですかということをよく聞きます。

 つまり、私は政党機関紙の記者をしておりましたので、ある意味では特殊な世界でありますが、総理大臣は一般の企業に勤めておられた。そういう場合は、やはりその会社の社長、経営者と自分との一体感というものが恐らくはあるんだろうと思いますが、官僚の世界、自衛隊の世界では、では事務次官なのか、あるいは幕僚長なのか。聞いてみると、余りそうじゃないと言います。やはりそこには、日本という国家、国家というものに対する忠誠心、形はとらないけれども日本という国に対するそこはかとない愛着、たまらないそういうものがあってみんな一生懸命仕事しているんだということをみんな言います。

 私は本当にすごいなと思うわけですが、そういう点で、やはり私は、今、政治も、先ほど総理大臣が国家公務員の皆さんに対して言われた言葉が少し気になりました。自分たちが置かれた立場をよく考えて行動してほしい、こうおっしゃいました。これは、即そのまま、総理大臣にも私にも、政治家にも返ってくる言葉だろうと思います。やはり、最前線で頑張っている官僚の連中が一生懸命やろうというのは、政治家がしっかりしないと、政治がしっかりしないといけないという問題とも深くかかわっている。

 そういう点で、今、私が非常に心配するのは、医療の世界で、これは小松秀樹という虎の門病院のお医者さんがつくった造語ですが、立ち去り型サボタージュという言葉を言っています。つまり、医療の最前線で、お医者さんがこれではもうやっていられないと、いわゆる公立病院等から抜け出すという傾向がふえている。同じように、私は、今、官僚の世界でも立ち去り型サボタージュというものが起こっていくんじゃないのかという懸念を実は持っております。

 そういった点について、総理大臣、最後に見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

福田内閣総理大臣 いろいろおっしゃったんですが、要は、やはり下の人は上を見習うということがあるんですね。ですから、幹部の人、これはやはり、そういうことはあるんだということは常々意識して行動しなければいけないということであります。

 そういう意味でいいますと、官僚のトップには大臣がなっているんだし、これは政治家ですよ、ほとんどは。政治家というのは、やはり政治家自身の言動については十分注意をしなければいけない、そういうことは一番大事なんじゃないでしょうか。要するに、我々に降りかかってくることなんですね、結局何だかんだ言っても。だから、我々がしっかりやらなければいけないということをこういうことがありますと再確認を迫られる、こういうことだと思っております。

赤松(正)委員 ありがとうございました。終わります。

深谷委員長 これにて田端君、赤松君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十九日月曜日午後零時四十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.