衆議院

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第5号 平成19年10月30日(火曜日)

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平成十九年十月三十日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      河野 太郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    平  将明君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      野田 聖子君    橋本  岳君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    大島  敦君

      川内 博史君    古賀 一成君

      近藤 昭一君    田嶋  要君

      長島 昭久君    伴野  豊君

      松野 頼久君    三谷 光男君

      森本 哲生君    田端 正広君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    阿部 知子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小澤 俊朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     亀岡 偉民君

  北村 茂男君     平  将明君

  三原 朝彦君     鈴木 淳司君

  吉川 貴盛君     岩屋  毅君

  松野 頼久君     森本 哲生君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     薗浦健太郎君

  亀岡 偉民君     越智 隆雄君

  鈴木 淳司君     三原 朝彦君

  平  将明君     北村 茂男君

  森本 哲生君     松野 頼久君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     吉川 貴盛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣官房内閣審議官小澤俊朗君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、外務省領事局長谷崎泰明君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長金澤博範君、防衛省運用企画局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、昨日、ちょうどこの時間に守屋武昌前事務次官に対する証人喚問が行われておりました。

 そこでお伺いをしますけれども、福田総理、昨日の証人喚問、見ていらっしゃらなかったというようなことではありますけれども、率直に証人喚問の御感想、どのように受けとめられたか、まず冒頭お伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 実際、見ている時間がなかったものですから、ちらっちらっと断片的に合計して五分ぐらい見たのかな、こういうふうなことでございまして、迫真力とか、そういうものは全然感じなかったんですけれどもね。

 しかし、ああいうような形でもって、防衛庁で枢要な立場にある方が疑惑でもって証人喚問を受けたということについては、これはもう本当に残念なことだというふうに思います。

 そしてまた、その疑惑が兵器の取扱業者だということもありまして、これはもう本当に実は情けない話だというふうに私は思っております。

 また、交友関係等も、その回数の多さということも含めて考えまして、やはり公務員としてあるべき姿でない、本当に残念なお手本を示してしまった、こういうことでありまして、極めて残念に思っております。

 そういうふうなこともございまして、私も、先般観閲式がございましたけれども、自衛隊の隊員、また幹部の方々に、綱紀の粛正、そしてまた一人一人がしっかりとそのモラルを高く、自分の任務に励まなければいけないんだというようなことを訓示いたしましたけれども、こういうことはやはりちょっとした気の緩みといったものが発端になることが多いものですから、そういうことのないように日々緊張して仕事をしてもらいたい、このようなことを痛感いたした次第でございます。

渡辺(周)委員 時間が少ないものですから、ぜひ簡潔に御答弁をいただければと思います。

 私も昨日この席で聞いておりまして、二百回以上のゴルフの接待、飲食、あるいは贈り物、まさに国防よりも欲望を優先したと言わざるを得ないのかなと。

 私は、地元静岡県の御殿場に板妻駐屯地というところがありまして、先日、そこで追悼式に出ました。そこでは、まさに身を律して、使命感を胸にして職務に精励をされて、不幸にして訓練中に亡くなった方、自分の息子を亡くした老いた御両親、夫を亡くした未亡人、あるいは父親を亡くした子供さんも来ていらっしゃいました。まさにそういう方々が使命感に燃えて身を律しながら自衛官としての仕事をしている中で、反面で、倫理を訴えるべき、というよりも、その訓示をしていた人が、長いつき合いだから断れなかったと。ましてや、今大臣うなずいていらっしゃいますけれども、当時の防衛庁長官には自分が贈り物をもらっても一切それを上げていなかった、一件の報告もなかったと。

 まさにこれは士気にかかわる問題だと思いますけれども、この一個人の、守屋前事務次官の個人の問題としてとらえるのか。それとも、防衛省というところは極めて装備品の調達というのが不透明なんですね、これは代替性がないこと、機密性が高いこと、汎用性もない、つまり、その装備品がどのようなものであるかということが我々一般国民はわからないで納入をされているわけでありまして、その点について今後調査をどのようにしていくのか。

 山田洋行にはもう既に四名の方がたしか天下りをされている。天下りをされた会社。そして、その会社の幹部から極めて異常なほどの接待を受けた方が防衛省の政策の中心にいた。当然、そこには、防衛省の中に何か防衛利権が巣くっているのではないかと言わざるを得ないわけでありますけれども、長官、この問題をとらえて、一個人の問題というよりも、組織全体の中でどのようにしてこれを究明していくのか。

 あわせて言えば、防衛大臣は山田洋行なりこの幹部と何か個人的なおつき合いがあるとか、あるいは接待を受けたとか、献金があったかとか、そういうことが、ないとは思いますけれども、その点もあわせて伺いながら、この防衛省の装備品調達にかかわる不透明な部分、もう二度とこのようなことが起きないような根本的な解決のためにどうしていかれるのか、この点について伺いたいと思います。

石破国務大臣 私は、山田洋行という会社と全くおつき合いもございません。面識もございません。接待を受けたことも全くございません。献金もございません。

 その上で、どうするのかということでございますが、私は、防衛省というのは、官庁ですけれども危機管理というものを担っているのだということをよく認識していかねばいけないと思っております。さればこそ、自衛隊員に対して品位を保つ義務、間違っても疑惑を受けるようなことがあってはならない、それは自衛隊法に定められているわけで、そのことをきちんと守っているのか。私はいつも申し上げるんですが、長官であったときもなかったときも、服務の宣誓というのはいつも胸ポケットに入れている。それは、事に臨んでは危険を顧みず、身を挺して職務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる。それが実際に行われているかどうかは、それは特別監察、監察制度も含めて徹底的にやらねばならないと思っております。

 これは、抜き打ちでやる、どんな人も例外としない、次官であろうが統幕長であろうがすべてを対象として監察を行う、このことを徹底していかねばならないと思っておりまして、特別監察、四百二十名が当面の対象ですが、指示をしたところでございます。

 加えまして、ほかの、今山田洋行の件が問題になっておるわけでありますが、防衛省と関係する会社というのは膨大な数に上りますが、それについてもきちんとした調査を行わねばならないと思っております。

 防衛省はほかの役所と違って最も規律厳正でなければいかぬ、そのことをどうすれば徹底できるか。それは、そういうものも含めて、同時に組織のあり方も見直していかねばならないのだと思います。この組織、これでいいか、制服、内局、この関係も今のままでいいか、それを白紙的に議論して、これが望ましい体制だということを確立いたします。

渡辺(周)委員 石破大臣が接待を受けた事実もないし、献金を受けたこともないということを聞いて安心しました。借りがある方では、正直、疑惑の解明はできないと思います。ですので、ぜひ石破大臣には徹底したリーダーシップでやっていただきたいと思います。

 そこで、この問題を最後に伺いますけれども、昨日の証人喚問の中で大臣経験者も宴席に同席をしていたというような発言がありました。

 この同席をしていたのではないかと言われる大臣経験者、こういう歴代の防衛庁長官、防衛大臣、どなたであったかということも含めて、防衛省の中に今いらっしゃる幹部というふうに御発言されましたけれども、すべてこの山田洋行と、何らかの形で接待を受けたことがある、あるいは贈り物をもらったことがある、何らかの形で接触があった方、こういう方々についてお調べになるつもりはございませんか。

石破国務大臣 それは山田洋行に限らず、そういうことがあったかどうか、そういうことについては調査はいたします。

渡辺(周)委員 それは歴代の大臣も含めてということでよろしいでしょうか。

石破国務大臣 監察の対象には大臣は含まれておりません。そのことについてどうするかということについては、それは国会の御議論等々も踏まえて、政府として全体として適正に対処していくべきものだと思います。私どもの監察の対象あるいは調査の対象は、現職の自衛隊員ということになっておることでございます。

渡辺(周)委員 この点については、次回以降、あす以降の委員会の中で、また議論を、ぜひ質疑をさせていただきたいと思います。きょうのところは次の質問に移らせていただきたいと思います。

 法案について、まずこの六年間の総括をしなければならない。そういうことで、我々は、これまでも民主党の外交・安全保障の部門会議を週に三回も四回も開きながら、防衛省あるいは外務省、内閣府の方々に来ていただいて、そこでさまざまな質問をぶつけてまいりました。その中で、まずはこの六年間の総括をするに当たって、このテロ特措法、今までのテロ特措法が一体どのような効果があったのだろうかということについて何回も質問しましたけれども、納得のいく答えが、残念ながら我々は得ることができませんでした。

 そこで、ここで伺いたいんですけれども。

 あの二〇〇一年の九・一一、我々は、旅客機をハイジャックしてビルに突入するという、まさに理解できない新しいタイプのテロに対して大変な憤りを覚えました。そして、あのときに、アフガニスタン攻撃を恐らく世界の世論の中でやむなしと、心情的にはアフガニスタン本土への攻撃を容認していたんだろう。それは否定できないと思います。

 そして、本土への攻撃が始まって今日までの間、我々はさまざまなことを知ることができました。空爆によって少なくとも、これはアメリカのニューハンプシャー大学というところの教授の調査ですけれども、三千五百名から四千名ぐらいの方、民間人が犠牲になっている。戦争による巻き添え、戦闘によって罪のない方々が非常な数で命を落としているわけであります。

 それだけの代償を払って、結果として、当初言われていたようなアルカイダの組織、アルカイダの拠点が一体幾つたたかれたのか、幾つ粉砕をしたのか。そして、アルカイダのテロリストは一体何名捕まえることができたのか。その点についてぜひお答えをいただきたいと思います。

高村国務大臣 日本はOEF自体に参加しているわけではありませんし、各OEF参加国が今委員が質問されたようなことについて一切公表しておりませんので、その点については日本政府としては承知していないということであります。

 しかし、少なくとも、いわゆるテロリストを完全にかくまって、そしてテロリストに聖域を与えていたアフガニスタンのタリバン政権という政権が崩壊をしたということは間違いないことであります。

渡辺(周)委員 外務大臣、私がお尋ねをしたのは、アルカイダの訓練基地や拠点を幾つたたいたのか。もちろん、我々は直接的には戦闘には参加しておりませんけれども、テロの防止、根絶のための国際社会の取り組みに積極的に主体的に寄与して、国際社会の平和及び安全の確保に資するんだということを目的としてこのテロ特措法ができました。そして、それによって、洋上の艦艇への給油などを柱とする協力、後方支援をしてきたわけでありまして、当然のことながら、国際社会の一員としてテロ撲滅に取り組んだわけですから、承知していないというのは、これは余りにも無責任な発言ではないでしょうか。

 もしその有志連合の中でやっていたとして、我々は直接参加していないけれども、日本がこの活動に参加したことによって、成果としてどれだけのアルカイダが拘束されたのか、逮捕されたのか、そしてテロの拠点が幾つなくなったのか、そういうことは知っていて当然だと思いますけれども、その点について再度御答弁いただけますでしょうか。

高村国務大臣 OEF参加国自体は一切公表しておりませんので、それは知り得る立場にないわけであります。

 ただし、先ほど言いましたように、タリバン政権は崩壊をいたしまして、アフガニスタン全土が、テロの聖域、そこからどんどん海外にテロを輸出するような形にはならなくなった、こういうことは間違いないわけであります。そして、日本が参加している海上補給活動、それはいわゆる海上阻止活動の基盤となっているわけでありますが、そのことによって、インド洋はテロリストたちの自由の海ではない、我々にとって平和の海になっている。そのことは、まさに抑止活動でありますから、抑止活動として大変な成果を上げている、こういうことでございます。

渡辺(周)委員 公表されていないということは、知っているけれども言えないということと全く知らされていないということの二通りあると思うんですけれども、どちらですか。知っているけれども言えないのか、それとも、知らされていない、何も知らないのか。それはどちらでしょう、端的にお答えいただけますか。

高村国務大臣 公表されていないのですから、日本はそれを承知していないということでございます。

渡辺(周)委員 それで、総理もよくお使いになる、国際社会の一員として当然協力するのだというふうに、もう何度も、先日の答弁でも、与党の質問にもお答えになっていらっしゃいました。しかし、どういう効果があったのかということについては、アルカイダがどれだけ逮捕され捕まったのか、拠点がどれだけなくなったのかということについては、日本政府は知る立場にない。全くこの法律の効果はわからないんですね。

 後ほど同僚委員からも質問があると思いますけれども、洋上阻止活動についても、ほとんど回答らしい回答を我々は今まで得ていません。その上で、我々に対して、この法律が非常に有効であった、有効であったと言われますけれども、私たちは確証が持てないんです。ですから、この法案に対しては、私たちはやはり賛成するわけにいかないという立場をとってまいりました。

 もう時間も数分しかありませんから、残りのさらに細部につきましては我が党の委員に質問をゆだねますけれども、今後どのような形でペルシャ湾が変容していくか。

 一つには、イランの問題です。

 アメリカが、先日、イランに経済制裁、革命防衛隊というイランの非常に精鋭部隊と言われる中枢部隊に対して、これは大量破壊兵器の拡散をする組織である、そしてその中枢部隊はテロ支援部隊であるということを既に発表しました。それによって、アフガニスタンに隣接するイラン、このイランとアメリカの関係が今後どのような状況になっていくかによっては、ペルシャ湾でのアメリカの活動がまた変わってくると思うんですね。現在は経済制裁でありますけれども、この後、どのような軍事的なオペレーションも排除しないと言っているわけですから。アメリカの国防長官も副大統領もそう言っているわけです。そうしますと、ペルシャ湾でどのようなオペレーションが行われるかによっては、この海上阻止活動もまた変容してくるんじゃないか。

 もっと言いますと、補給艦に対するいわゆる転用の阻止の問題、これについても今度の法案では歯どめがかかっておりません。石破大臣は本来なら補給艦への給油はやめるべきじゃないかということを事前におっしゃったのをインタビューで読みましたけれども、実際、これからまだペルシャ湾は新しい局面に直面する可能性もある。そうした場合には、日本政府として今回の法律から逸脱することになるのではないかという懸念が一つ。

 そしてもう一つは、この補給を、たとえアメリカとイランの情勢がさらに次のステージを迎えたとした場合に、それでもやはり日本の油は使わせないのだということで歯どめがかかっていない。この転用を防止するという担保はどのようにしていかれるのか、そのことについてお答えいただけますでしょうか。

石破国務大臣 これは新しい新法のもとでどう行うかということでございますが、新しい交換公文を結ぶということが一つは考えられる。そして、現地バーレーンにおいてOEFに使われるということを確認いたしておりますが、そのことを文書化できないかということも議論して、きちんとしたエビデンスというか証拠を持つということも必要だと私は思います。

 また、委員御指摘の、我が方の補給艦から相手の補給艦に補給した、そこから先どうなっているのかということでございますが、これは、先般、寺田政務官がバーレーンに参りまして、いろいろなことを確認してまいりました。どの国もそのことはきちんと認識している、日本の油はOEFにしか使えないということはきちんと認識をしているわけですが、補給艦から補給艦に行ったときにどうするか。それをどのように確認し、きちんと、証拠という言い方はよくないかもしれませんが、確認がどのように行われたかを明確に示すようなものがあるか。そのことについては、私どもとして、これが法律に基づいて使われたということを確認するための手だては考えていかねばならないことだと思っております。

渡辺(周)委員 それは、新しい法律ができれば、交換公文、つまり、相手国、諸外国に対して、この日本の法律に基づいて油は使っていただかないと困りますよ、ほかのことには使えませんよということを書いて、それを間違いなく履行させるということをするということですか。その点をもう一回確認したいと思います。外務大臣、いかがですか。

高村国務大臣 ただいま防衛大臣が答えたとおりでありますが、新しい交換公文で、新しい法律の趣旨に従って使うということはきっちり交換公文で規定をするわけであります。

 その上で、石破大臣が答えられたように、バーレーンで補給をする際に、どういうことに使うか、その船はどういうことに従事しているか、それに従事している間にどのくらいの油を使うか、そういうことをきっちり見定めた上でやるということをしていくということでございます。

渡辺(周)委員 この問題についても、あす以降また詰めさせていただきたいと思います。

 最後に、この法律、一年間の有効期限を区切った法律でありまして、さらに一年延長することができる。ということは、最長でも二年かと、二年で失効するのかというふうにも読み取れますし、また、さらに新法ができてきて続けられるのかという懸念もあるわけですけれども、この法律の出口、おしまいはどこにあるのか。

 つまり、テロ組織が白旗を上げたときがおしまいなのか。それとも、アメリカを中心とした国から、もうこれでインド洋での海上阻止活動は終わりにするということで初めて終わるのか。我が国として主体的にこのインド洋での活動をどこで終わりにすると判断をされるのか、その点につきましてお答えいただけますでしょうか。

町村国務大臣 この法律は、一年たったところで改めてその継続の可否を国会で御判断をいただく。それ以前にやめることもあり得ましょうし、一年たったところでさらに延長が必要だと思えばまたもう一度御審議をいただく。そしてさらに、これは法律の附則の第五条で書いてありますけれども、一年たった後、またさらにもう一年という可能性もあるということでございまして、最長二年ということではございません。

 では、どういう状態になったらばというお尋ねでございますが、それはまさにこの法律の規定する目的を達成し得たと日本政府が判断したときでございます。

渡辺(周)委員 ですから、最後に伺いたいのは、それはどの時点ですか、それだけ簡潔にお答えをいただきたい。それで質問を終わりたいと思います。どの時点で終わりと判断できるとお考えですか。

町村国務大臣 したがって、この法律の目的を達成したと政府が判断したときということで、それをあらかじめ、二年後ですか、五年後ですか、百年後ですか、そんなことを申し上げることは不可能であります。

渡辺(周)委員 時間が来たので同僚委員に質問を譲りたいと思います。

 終わります。

深谷委員長 この際、近藤昭一君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 この新法に関しまして質問させていただきますけれども、今、同僚の渡辺周議員に対します答弁を聞いておりまして、本当に残念に思いました。

 福田総理は、国民の視線に立って考える内閣、そうおっしゃっておられるわけであります。今、国民は、このテロ対策の特別措置法の新法に注目をしている。燃料費だけで二百二十一億円、約二百二十億円であります。そして、人件費等を含めて、総経費で約六百億円かかっている。大変な血税であります。しかしながら、テロを撲滅するためには、テロを防止するためには、それを出すことも考える。では、そのお金がどう使われているのか、そしてその効果がどう上がっているのか、それはやはり知る権利があるわけであります。

 しかしながら、先ほど、アフガニスタンにおいてテロリストの拠点をどれだけ破壊したか、どれだけテロリストを拘束したか、それに対する情報がない。いかがなものかと思うわけでありまして、ぜひ国民の目線に立って、情報を公開する中で議論をし、日本がどうすべきかを考えるべきだ、こう思うわけであります。

 さて、そうした国民の皆さんの声を受けて私は質問をしたいと思うわけでありますが、先ほどはアフガニスタンの中での効果というか、成果ということをお聞きしました。

 この間、民主党の部門会議の中で、一体どういう効果が上がっているのか、海上阻止活動であります。日本は海上阻止活動、OEF・MIOについて参加、その中でも燃料の補給をしているんだ、こういうことであります。そういう中で、では、どういう成果が上がっているんですか、こういう質問をしますと、防衛省がつくった資料ではありますが、外務省がこういう資料を出してきた。(パネルを示す)よく見ていらっしゃると思います。つまり、海上阻止活動をしているんだ。海上からテロリストが移動する、麻薬が運ばれる、そういうのがイメージ図としてかいてあるわけであります。ここを移動している、だからここの海上で阻止をしているんだと。

 イメージ図とはどういう意味かなと思うわけでありますし、海上に出る前に、この有志軍に参加をしているパキスタンがあるわけですね、パキスタンが。アフガニスタンがあって、パキスタンがあって、そして海上に出てくる。一体、海上に出る前にパキスタンは何をしているのかな、こう思うわけでありますけれども。

 さて、このOEF・MIO、イメージ図は提示されるわけですが、一体どういう成果が上がっているのかということをお伺いしたいと思います。(石破国務大臣「だれに」と呼ぶ)防衛大臣にお願いします。簡潔にお願いできればと思いますけれども。

石破国務大臣 これは部門会議でもお示しをしておろうかと思います。短くということでございますので、どれぐらい武器が押収されたか、あるいはどれぐらい無線照会の回数を行ったか、それについて述べろと言われますとお時間がかかりますが、これは数字を既に御存じのことでありますので申し上げません。

 その上で、先ほど来外務大臣からも答弁がございましたが、抑止力というのをどう考えるかということです。テロに対する抑止力。つまり、抑止力の中身は、委員御案内かと思いますが、報復的抑止力という概念があって、拒否的抑止力という概念があって、テロの場合には報復的抑止力というのが余り意味を持たないわけですね。そうすると、これをやっても意味がないんだという拒否的抑止力をどれだけこの海域において発現するかという議論になるんだろうと思います。

 これは、例えばマラッカ海峡において冷戦時代は海賊というのはほとんどなかった、しかし、冷戦が終わって、あの海域における軍艦のプレゼンスがなくなると海賊行為がわっとふえた、エリツィン大統領がそこへロシアの巡洋艦を出せと言ったらば、またがたんと減った、そういうものであります。

 抑止力というのは、そこにおいてこういうことをやっても意味がないんだ、やっても見つかる、哨戒を受ける、あるいは押収される、そういうような拒否的抑止力というのを発現している、それが私は一番大きな効果だと思います。そのことを数字をもってあらわせと言われるのは、事の本質からいってなかなか難しいことがあることは御承知のことかと存じます。

近藤(昭)委員 抑止力という言葉は理解できますけれども、しかし、やはり抑止力、つまり、海上阻止活動がどれだけの成果が上がってきた、成果が上がる中でそういう抑止力が働くと思うんです。

 外務省、防衛省に聞きますと、よくこういう表を出してくるんですね。(パネルを示す)皆さんも、外務省、防衛省から出ている表で、御存じだと思いますけれども、海上阻止活動の成果の例ということで幾つか書いてあります。幾つか書いてありますが、当初出てきたのは、九月分、九月に要求して出てきたのはわずか九件であります、九件。そして、最近になって何件か足されて十数件に上がったわけであります。しかし、では、これが全部なのかどうかということをまずお聞きしたい。

 そして、この中で、いろいろ書いてあるんです、OEF・MIO参加艦艇。どこの国とも書いていないですし、どの船とも書いていないわけです。情報がしっかり出されていないと思うんです。このほかにもあるのかないのか、そういうことを教えていただきたいと思います。

高村国務大臣 そのほかにももちろんあるわけでありますが、作戦をしている各国が、我々が無理に頼んで出してきたものがそれだけだ、こういう趣旨であります。

 何度も防衛大臣も述べておられるように、抑止力というのは、今平和な海でいられれば、まさにそれは抑止力が成功しているということなんです。自衛隊を維持するために毎年四兆円使っています。いつ戦争をやってどれだけ勝ったんだ、そういう話じゃなくて、このことが戦争抑止力になって日本が平和でいられる、それが抑止力なんですよ。

 だから、インド洋をテロリストの自由の海にしない、そして、我々にとって平和な海になっている、そして、結果的には、そこで日本のタンカーが中東から原油を運んでくる、我々はこういう豊かな生活ができる、これが抑止力の成果でなくて何なんですか。こういうことが大事なんだ。こういうことを言っているわけであります。

近藤(昭)委員 いや、ですから、抑止力を否定するわけではないと言っているじゃないですか。そしてまた、抑止力はこういった警戒活動だけではないと私は思うんです、今大臣もおっしゃったように。いわゆるアフガニスタンの中での貧困をなくすとかいろいろなことがあると思いますし、私は、だから、抑止力は認めるけれども、では成果は何ですか、教えてくださいと言っているわけですよ。そうしましたら……(発言する者あり)でも、隠すことはないと思うんですよ。

 では、ちょっとお伺いします。質問をかえます。

 これも皆さんよくごらんになっていらっしゃると思います。(パネルを示す)海上阻止活動、日本がここでの給油に参加している、そして、そこで補給をしている、こうおっしゃるわけですね。ここに各国の参加がそれぞれ、駆逐艦、フリゲート、米国が何隻だ、補給艦が何隻だと。日本は補給だけなのでちょっと外して、ここに護衛艦と補給艦だ、こういうふうに書いてあります。

 OEF・MIO、日本が補給活動で支援をしている、この活動に参加をしている船は、余り大きくはないだろう駆逐艦、フリゲート、補給艦という認識でよろしいでしょうか。これは外務省がつくられた表ですけれども。

高村国務大臣 海上阻止活動への参加状況でありますが、今、七カ国、駆逐艦及びフリゲート十隻、補給艦五隻というふうに承知しております。

 我が国は、この海上阻止活動への補給支援を実施するために、護衛艦一隻、補給艦一隻を派遣しているわけであります。

 なお、先週の二十五日でありますが、カナダは、不朽の自由作戦の海上阻止活動に参加するために、十一月一日にフリゲート一隻がハリファクス港を出港する旨のニュースリリースがあったと公表していると承知をしております。

近藤(昭)委員 御確認いただいたというか、もともとこういう表が出ておりまして、OEF・MIOには、海上阻止活動にはこれらの船が参加をしている、そういう中で拘束をしたり抑止力になっているかもしれませんけれども。

 さて、それで、日本がこのMIOで活動をしている、これらについてはどこのどういう船かというのが十分に公開はされていないわけでありますけれども、ちょっと写真を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)

 OEF・MIOに参加している艇はこれでということですね。そうすると、ここにこの一枚の写真、この写真は、アメリカの海軍のホームページから昨日ダウンロードして、それを大きくしたものであります。これはいつでもダウンロードできますし、見ていただくことが可能なわけでありますが、これは昨年の十一月に撮影されたものです。二〇〇六年の十一月二十二日であります。補給艦の「ましゅう」がアイゼンハワー空母打撃群の巡洋艦アンツィオという船に補給をしている、そういう写真であります。

 もう一枚、これも見ていただいたかもしれませんけれども、この写真も同じホームページからダウンロードしたものであります。これは、本年の二月、正確には二月の十七日に撮影されたもので、空母が写っていますが、アイゼンハワーです。その甲板上から攻撃戦闘機F18が離陸しているところであります。そして、前方には別の補給艦「とわだ」がいる。そして、「とわだ」の横には、先ほどと同じ船でありますが、巡洋艦アンツィオ。巡洋艦であります。そして、空母に隣接をしているのが護衛艦の日本の「まきなみ」であります。

 これは、先ほどの写真を見ますと「ましゅう」が、また二枚目の写真を見ますと「とわだ」が、巡洋艦アンツィオに補給をしているわけであります。これは巡洋艦アンツィオというのは、そうすると、先ほど私がこの前に示しましたOEF・MIO、この米国の参加している艦艇に入っているわけですか。いかがでしょうか。入っていなければ、そこに補給することはできないと思うんですが。

石破国務大臣 おっしゃるとおり、当然入っております。(近藤(昭)委員「入っている」と呼ぶ)入っています。委員がおっしゃるように、入っていなければ補給自体できませんから、当然入っております。

近藤(昭)委員 そうすると、外務省が出してきた表には、石破大臣いろいろ軍事のことにはお詳しいわけでありますけれども、駆逐艦、フリゲート艦四隻、そう書いてあるわけですね。駆逐艦、フリゲートと書いてあるわけです。巡洋艦とは書いていないわけです。そうすると、これはどういうふうに認識したらよろしいんでしょうか。私は、駆逐艦、フリゲート、それが四隻だと書いてあれば、巡洋艦はそこに入っていないと理解するべきだと思いますが。

石破国務大臣 それは、クルーザーとデストロイヤーの区別というのが法的にきちんとあるわけではございません。総トン数からいって何トン以上、また基準排水量、満載排水量で違いますが、ここから先をフリゲートと称し、ここから先をデストロイヤーと称し、ここから先をクルーザーと称するということは厳密に決まっておるわけではございません。それは各国によって相違もございます。

 今委員がお示しになりました巡洋艦は、これはイージスの巡洋艦だと存じますが、それでは、これによって駆逐艦、ここから上が巡洋艦、そういうことで歴然と分かれているものではございません。

近藤(昭)委員 歴然として分かれていないと。

 私は、その外務省からいただいた当初の資料、駆逐艦、フリゲートと書いてある、そこから巡洋艦がそこに参加しているということはなかなか推量しにくいわけでありますが、ただ、大臣がそうしてお認めをいただいた、私は議論を深める上で大事なお答えだったと思うんです。

 それで、実は、ここで気になるのは、またこれもアメリカ海軍のホームページから出ているわけでありますけれども、この、先ほどの、給油を受けていたアイゼンハワー空母打撃群、これは、十一月の六日から三十三日間、アフガニスタン向けの空爆を含む航空作戦に従事をして、六百八十回を超える爆撃をしている。これはホームページに出ているわけであります。

 そして、二枚目の写真の方の「とわだ」が給油をしたときでありますけれども、これは、やはりアイゼンハワー空母打撃群、二月四日から十四日間、アフガニスタン向けの空爆を含む航空作戦に従事をして、二百回を超えた爆撃を行っている、こういうことであります。

 私は、国民の皆さんは、国際貢献、テロ撲滅、防止をするのに我が国が支援をする、これは重要だと思っていると思います。しかし、こういうことを本当に知っているのかどうか。爆撃をする、またその爆撃をする船を守る巡洋艦に給油をしている。しかし、今大臣がお認めになられたわけであります。

 そこで、私はお聞きをしたいわけであります。

 先ほども同僚の議員からも少し話がありましたが、OEF参加、OEFの方です、MIOではなくてOEF、OEF参加の有志連合による爆撃で、どれだけの一般の市民が巻き添えで亡くなっているか、その数をお教えいただきたいと思います。

高村国務大臣 アフガニスタンにおける民間人の死者数については、爆撃によるものも含めて、アフガニスタン政府やOEF参加国等から発表された公式な統計は承知しておりません。

近藤(昭)委員 なかなか公式な、先ほども私の質問に対して、あるいは同僚議員の質問に対して、いろいろと関係諸国との関係がある、あるいは抑止効果があると、私が聞きたい、知りたいという情報がなかなか教えていただけない、そういう気がするわけであります。

 先ほど同僚議員も触れました、ニューハンプシャー大学のマーク・ヘラルド教授、最近はこのことを、どういうわけかやっていらっしゃらないようですが、当初は細かく、どこで爆撃があった、誤爆があった、何人の方が亡くなったか、三年前の時点で最小でも三千四百八十五名、最大として四千三十四人、こういう、ある分析に基づいた予想といいましょうか数値を出しておられるわけであります。

 私は、心配をしておりますのは、先ほどもお認めになられたように、こうして日本が補給する巡洋艦、その巡洋艦が守っている空母がアフガニスタンの攻撃に向かっている、そこで誤爆が起きている、これではいつまでたってもアフガニスタンに平和は来ないのではないか。

 きょうは余り時間がありませんけれども、いろいろな方の意見を聞きました。結局、こういう武力では平和をつくることができないんだ。やはり、テロを、そのためには貧困をなくしていかなくちゃいけない。

 アフガンという国は、八割以上が農民の国で、戦争という人災で、また、最近は干ばつで食料がとれない、食料自給率が一〇〇%だったら五〇%か六〇%に落ちている。そこが大事なわけであります。もちろん、そこも大事だとおっしゃるかもしれない。しかし、今起こっているのは、こうした爆撃等々で、誤爆に遭った人たちが、一体諸外国は、国際社会は何をやっているんだ、助ける助けると言って、こんなにアフガンの人々が死んでいるではないか、これで本当に支援と言えるのか、こういう怒りだと私は思うわけであります。

 私は、そういったことをきちっと判断をするために我々国会議員に、そしてまた、国民の皆さんが判断できるように情報公開をしていくこと、このことこそ一番大事だと思うわけであります。

 それで、最後に総理にお伺いをしたいと思うわけであります。

 この間、部会でいろいろ質問をしてまいりました。燃料の補給の問題、あるいはさまざまな問題について質問してきたわけでありますが、墨塗りのペーパーが回ってくる、十分なお答えが、諸外国との関係だということで、来ない。何か大本営発表でも見ているような、そんな気がするわけであります。

 私はぜひ、国民の目線に立つ福田内閣、情報を公開する中で、我々が国民の代弁者としてしっかり議論をする、これからの日本の防衛、外交をどうしていくか、そのことが大事だと思うんです。そういう意味で、シビリアンコントロール、情報公開のあり方、総理はどのようにお考えになられるか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 シビリアンコントロール、まさにこうした国会での議論そのものが私はその一環である、こう考えておりますし、法律的にも私どもはこのシビリアンコントロールが完全に生かされている、こう思っております。

 それから、委員のお話の中で、誤爆等々で民衆が一方的に生活水準等が悪化をし、どんどん生活が悪くなっているのではあるまいかという誤った印象を国民の皆さん方に与えてはいけないので念のために申し上げておきますけれども、例えば〇三年から〇六年の間にGDPは年率一〇%を超える成長をしております。学校の就学率も、二〇〇〇年には一九・二%だったのが〇五年には八六%にまで上がってきております。それから、子供の就学数も、五年前は百万人ぐらいだったのが、今は五百四十万人にふえてきているんですね。女性の就学率はゼロだったんです、それが今三五%にまで上がってきている。はしかの予防接種受診者は、二〇〇〇年には三五%だったのが、今はその倍ぐらいになって上がってきている。何よりも、イラン、パキスタンに難民に出ていったアフガン人が五百万人以上帰ってきている。それだけ平和な国、安全な国に次第に向かっているということなんです。

 そうした成果は、もとよりそれはOEF・MIOだけの成果だとは言いません。さまざまな経済援助も含めてのことでありますが、今委員はどんどんどんどん爆撃によって国民の生活が悪化しているという誤った印象のみを国民に与えるようなお話をされていたので、それは違いますよということを明確に申し上げる次第でございます。

近藤(昭)委員 私は、逆に町村官房長官こそ誤った印象をお与えになっていると思います。

 日曜日のCBSのニュース、ごらんになっていらっしゃるかどうかわかりませんけれども、アフガニスタンのカルザイ大統領がインタビューを受けています、答えています。アフガニスタンは六年もたっても諸外国が国際支援をしている、しかし、そこで生活がよくなっていない、テロがなくなっていない、もう空爆はやめてほしい、カルザイ大統領はこういうふうに答えているわけです。そして、子供は、誤爆があって自分の家族が死んでいる、もうアメリカが嫌いになっている、そういうインタビューの答えもあるわけであります。私は、やはりアフガニスタンのことはアフガニスタンの人に聞くべきだと思うんですね。

 質問の時間が終了しましたので、また改めて議論をしたいと思いますが、私は、国民の皆さんにきちっとした情報を公開し、そしてあるべき姿を論じていくべきだと思います。

 以上です。ありがとうございました。

町村国務大臣 私は外務大臣最後の仕事で、九月二十三日、国連に参りました。そこでアフガン・ハイレベル会合というのがございました。そこで、まさにカルザイ大統領が諸外国のそうした軍事面また民生面での支援に心から感謝をしているということをはっきりと述べておられました。そして、そこにいた潘基文国連事務総長も、そういう趣旨でこのきょうの会議が開かれているんだと。

 もちろん、パーフェクトになったと言うつもりはありませんよ。もちろん、テロリストの横行はまだまだある。生活水準だってまだ低い。改善したい分野はたくさんある。汚職も横行している。麻薬もある。そうしたことどもを、まだまだやることはあるけれども、しかし、着実に今前進をして回復に向かっているんだという事実があり、それは、もちろんアフガンの皆さん方の大変な努力もあるけれども、同時に、諸外国、国際社会の支援にも心から感謝しているんだという発言を私は国連のハイレベル会合で直接聞いてきたものですから、そのことを国民の皆さん方にもぜひ知っていただきたい、こう思って時間オーバーを承知でちょっと立たせていただきました。

深谷委員長 ちょっと石破大臣からもう一言発言を求められています。認めます。

石破国務大臣 一言だけ。先ほどの質問の答弁が若干不正確でございました。

 OEFに対しまして補給ということが行われております。OEF・MIOに対してだけではございません、OEFに対して補給するということでございます。外務省の資料に駆逐艦、フリゲートとございましたのは、OEFに従事をしておるのは駆逐艦、フリゲートという資料でございまして、先ほどの資料で巡洋艦あるいはそのほかの艦艇に補給をしておる図がございましたのは、これは私どもが法律に基づきましてOEFに従事をしておる艦船に補給をしておるというものでございます。

 答弁が不十分でございました。

近藤(昭)委員 反論もいただきましたが、私は、テロが減っていない、安心が訪れていない、その事実がこれから証明していくと思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 この際、田嶋要君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを認めます。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 今最後に官房長官はおっしゃいました、数字を挙げて、いや、今のアフガニスタンはよくなっているんだと。私は、まず、いろいろな数字を挙げられた部分に関してうそはないと思います。ただ、問題は最後の結論で、だから今アフガニスタンはこの六年間でよくなっているんだ、一番いい状況にあるというところは、私は事実ではないと思うんですね。

 一個一個の数字を見ると、いろいろな民生の、国際の努力によって数字がよくなっているところは確かにあります。国連のいろいろな資料も見ました。しかし、片っ方で、やはり悪い結果がどんどん広がっているのも事実じゃないかなと。

 私は、現状認識として、まずアフガニスタンはこの六年間で自爆テロも急にふえてきた。去年、ことし、急にふえてきているわけですね。そういう状況で、今のアフガニスタンは決してよくなっている状況にはないと思っていますが、もう一度、大臣、お願いします。

町村国務大臣 それは、例えば日本の社会の中でも、すばらしい教育だという見方もできるし、いやいや、こんなに子供の自殺もふえていると。それは、日本の教育という一つの狭い分野だけを見てもいろいろな見方が成り立つのと同様であります。

 アフガニスタンにもいろいろな局面があると私は申し上げました。麻薬の栽培が減らないであるとか、あるいはなかなか、今御指摘のような自爆テロが減らないであるとか、うまくいっていない面が確かにあります。だからこそ、まだまだ諸外国の支援が必要なんだということで、国連その他さまざまな国々がいろいろな角度からの支援をやっているわけであります。もし、すばらしく何も問題がないならば、そうした諸外国の支援はもう要らない、普通の国としてやっていけるわけであります。

 ただ、先ほどの近藤委員のお話を聞いていると、どんどん悪くなる一方であるというような印象を、多分テレビを通じてお聞きになった方々が誤った印象を持つかもしれないので、よくなっている面もあるんですよということもあわせやはり認識をしていただきたいという趣旨で申し上げたわけでございます。

田嶋(要)委員 アフガニスタンの現状は、今、非常にミックスした情報を私たちにくれていると思います、よくなっている面、悪くなっている面。だからこそ、今、日本の国民は、テロとの闘い、一体どうしたらいいのか、多くの人が迷っていると思うんですね。

 やはり、先ほどからお二人の質問がございましたが、特に武力を使った形での活動というのが今アフガニスタンにどういう結果をもたらしているか。先ほど質問でもありました、一体民間人がどれだけ亡くなっているか。町村大臣はそれに関しては答えを持ち合わせていない、そういうことでいいですか。

町村国務大臣 先ほど外務大臣がお答えしたとおりであります。

田嶋(要)委員 私は思うんですが、数字を持ち合わせていないこと自体が私は非常に憂慮すべき状況だと思うんです。

 どういうことかといえば、実際に武力行使をして国際社会が空爆をしている。そして、一般人が殺されているのは確かですよね。そうですよね。(発言する者あり)ねらっているわけではないということ、そうなんですよ。まさに、ねらっていなくても亡くなっている方が現に大勢いらっしゃる。

 私が不思議でならないのは、今回のことは九・一一からスタートしたんですよ。そうですね。九・一一で三千名以上の方が殺された。テロによって殺された。それで国際社会が立ち上がったわけですね。その中に日本人も二十四名いた。おっしゃるとおりです。石破さんがおっしゃったとおりです。

 しかし、そのために、以来この国際社会というものがやってきた活動が、最初は自衛権の行使として行われた。カルザイ政権が成立した後は、警察的活動としてアフガニスタンの政府の要請によって行われているわけですね。その結果として亡くなった数が、これは正確な数字じゃないかもしれませんが、先ほど同僚議員からもございましたとおり、下限値でも三千五百名ですよ、最初の四年間で。二〇〇四年までの四年。そうですよ、総理。そして、二〇〇五年、六年、七年の数字はわかっておりません。最初の四年間で三千五百名ですよ、最低でも。つまり、九・一一で亡くなった方々の数を超える方々のアフガニスタンの一般人が殺されているんですよ。

 総理、多くの国民がこの点に非常にちゅうちょが私はあると思うんですよ。何か正しいことをやっているような気もするけれども、まずいことをやっているような気もする。ある意味、テロとの闘いというのはまだ始まって間もないですよね、いわゆる国と国の戦争じゃないわけですから。これは、そういう意味で非常に難しい。国際社会がどういうふうにテロとの闘いに取り組むべきか、まだ試行錯誤の時期にあると私は思っているんです。

 そういう中で考えなきゃいけないのは、もともとスタートしたのは、三千数百名が殺された、それで国際社会が立ち上がったけれども、アフガニスタンで同じだけの人数を殺しているんですよ。その現状を総理はどう考えますか。御答弁お願いします。

町村国務大臣 死者の数がどちらが多いから少ないから、大きいからしたがって今やっていることがおかしいのだ、そういう議論が本当に田嶋先生は正しいと思って言っておられるんでしょうか。私には理解ができません。

 なぜならば、それ以前のタリバンの政府というものは、まさにテロリストの支配する国家。例えば一つの、いい例かどうかわかりませんけれども、恐怖の支配が行われたイラクのあのかつての旧レジームが、それは一見幸せに見えたかもしれない、一見テロがなかったかもしれない。それでは、そちらの政権の方が本当によかったと田嶋議員は本当に確信を持って言えるんでしょうか。

 私は少なくとも、今のカルザイ政権のもとで民主的な選挙も行われ、そして先ほど申し上げましたような女性の大いなる進出ができる。ある意味では、民主主義というスタンダードから見て、やはりかなり進んだ、従前と比べればいい国になってきたという状態が、あの九・一一の後の軍事作戦によって新しい政権ができた。

 そうしたことを比べたときに、ただこっちの死者が多いから少ないから、そういうことによって、よしんば仮に、確かに今のイラクは、それ以前のサダム・フセインの時代には自爆テロもなかったでしょう、したがって幸せだったと言い切れますか。そういうことはやはり、ただ単に、その年に亡くなった死者の数が多い少ないというだけで、それでその国の政治体制がいい悪いという議論をするのはまことにおかしいと私は思っております。

 民主的なカルザイ政権が、国内に問題は抱えつつも、一生懸命いい国になろうと思って努力している。それを軍事面、民生面両方から支援していくのがまさに国際社会の務めではないだろうか、私はそう考えるわけであります。

田嶋(要)委員 時間が限られていますので少し質問を飛ばしますが、同じ官房長官にお伺いしたいのですけれども、いただいた資料を参考につくりました。

 今おっしゃったような、このアフガニスタンのよくなった側面、私はそれは否定していないです。私が不思議でならないのは、日本の政府は、これまでのアフガニスタンの支援に関しては、大変すぐれた貢献をしてきたということなんですね。そのことをもっと国民にアピールを、PRをするべきだと私は思っているんです。

 テロとの闘いイコール、武力で爆撃をして、あるいはそれに対して給油活動という大変狭い視野でしか、そして石破さんが給油活動、賛成、反対、そういうようなロジックじゃなくて、まさに今日本の政府がやっているこの民生支援こそやはり保守本流、ここに力を入れていく。同意見ですよね。石破大臣、どうですか。

石破国務大臣 いや、おっしゃる意味はよくわかります。ただ、どちらか一方でテロがなくなるわけではないということも、委員よく御案内のとおりでございます。民生支援だけでテロがなくなるのかといえばそうではない。委員よく御案内のように、テロの本質というのは、人を殺してということが本質ではない。無辜の民を殺傷して恐怖を連鎖させることによって体制を動揺させ、そしてみずからの目的を達するということですから、それが普通の戦争と全く違うところなのです。それを抑えるために民生支援だけでよいか。

 今官房長官から答弁がありましたように、みんなが楽しく幸せに暮らしている、そのこと自体が許せないのだというのがテロの恐ろしいところだと思うのです。だとするならば、民生の安定とともに、それは武力の行使というものも当然なければ、テロの本質にかんがみて、それをなくすることはできない。

 委員おっしゃるように、まさしくそれは取っかかりであるというのは、本質をつかれた御議論だと思って拝聴しておりました。

田嶋(要)委員 総理、一言御答弁いただきたいんですけれども、武力行使によるテロとの闘い、これは少なくとも、控え目に言っても、それがいい結果を生んでいるか、それともそうじゃない方向になっているかということは、まだ評価は難しいと思いませんか。どうですか、総理大臣。

福田内閣総理大臣 おっしゃるとおり、評価は難しいことはあると思います。しかし、今現在、民生支援ということを我が国が実行するというのはなかなか難しい状況にあるということ、これは事実でございまして、そういう努力は我々がすべきだというように思っています。

 できればいいなと思っているわけですよ。現状では無理だということでありまして、自衛隊が行くことも、これはなかなか大変な状況だなというように思っておりますので。いつかそういう時期が来るんだろうと思いますよ。そういうときには率先しなければいけない。そういう時期がなるべく早く来ることを願っております。

田嶋(要)委員 こういう問題の難しさは、現場に行けないことですね、なかなか。これは年金問題とかと違いまして、社会保険庁にぱっと行くようにはいかないわけですよ、インド洋に。したがって、いろいろな方々からお話を聞いて、現場を実際に見てきた方からやはり話を聞いて総合的に判断をしていく。

 私は思うんですけれども、武力行使をすることによって、いい面、悪い面、両方あるような現実があるわけですよ。実際に無辜の民が大勢殺されている現実もある。しかし、武力を引いてしまったらテロが跳梁ばっこするんじゃないか、そういう話もある。だから、申し上げたとおり、国民は迷っているわけですね。

 そういう中で、では皆さん方は現地の方々のいろいろな声、例えば、私きょう本を持ってまいりましたけれども、中村哲さんですか、御存じだと思いますけれども。あるいは伊勢崎さんという方がいらっしゃいますね、DDRで大変中心的な役割を果たした方。そういう方々に私どもいろいろ話を聞いてくると、やはり、武力の行使によって国を立て直そうという活動があることによって、大変彼らの活動自体が足を引っ張られている、大変苦労している、そういう話も多く聞くんです。

 その点に関しては、防衛大臣はどのように思っておられるんですか。

石破国務大臣 先ほどお答えしたとおりでありまして、武力だけではだめだと思います。中村さん、ペシャワール会で大変立派な活動をしておられる、よく存じております。伊勢崎さんの話も、私もいろいろなもので読んで知っております。

 ただ、そういう方々の安全をだれがどうやって守っていくのだろうかということもあわせて考えなければいけません。韓国の、これも立派な気持ちで行かれたキリスト教団体の方々が拉致され、殺害され、脅迫を受けた。そういうような地域において民生安定の活動を広く、点ではなくて広くやっていく場合に、だれがどうやって安全を守っていくのかということも考えていかねばならないことだと思います。

 それは、全体的に我が国が、では、民生の支援ということにもっと力点を置く。それは方向としては正しいのだという議論もございましょう。しかし、それが五十人、百人、二百人という多くの民生支援を我が国がやるとなった場合に、では、その安全をほかの国にやってもらうのか、アフガニスタンの治安組織に全部やってもらうのか、それとも自衛隊をやはり出さねばならぬのか。そういうことも考えていかなければ、下手に弱い守りで出すと、逆にテロ組織の思うつぼになるということも我々は考えていかねばなりません。

 どうすれば一番よいかということをさらに御議論いただきたいと思っておるところでございます。

田嶋(要)委員 私は、この二カ月間ずっといろいろな方々のお話を聞く中で、やはり民生、今もう日本はこれまで目覚ましい成果を上げてきましたけれども、支援金額も世界第二位というお話がございますね。しかし、これは実際にはアメリカの金額の十分の一でございます。湾岸戦争当時も同じく十分の一でございます。

 私は、やはりもう少し、これは財政も厳しい状況だとは思うんですけれども、しかし、第二位の経済大国という名にふさわしい経済的な支援をしつつ、特に、これまでのDDRを中心に、いわゆる武装解除ということを中心に、大変大きな、さまざまな活動をしてきた。国際会議を主催してきた、二度もやってきた。

 そして、DDRは、恐らくは、いろいろな人の話を総合しますと、世界の主要五カ国が行ってきた治安部門の改革の中で、ただ一カ国目覚ましい成果をもたらしたというふうに聞いています。それはまあ聞いている話ですけれども。そういう中で、まさにここをこれからもっと強化していただきたいということを私は申し上げたいというふうに思います。

 それで、次の質問に入りますけれども、では、実際、海上自衛隊の補給がどうだったかという話を少しさせていただきます。

 海上自衛隊は、これも日本の国民の皆さんにもう一回はっきりさせたいのですけれども、一体六年間で何をしていたのですか、一言で。海上自衛隊の活動は何だったのですか。石破大臣、お願いします。

石破国務大臣 これは、日本が果たした役割がどれだけ全体のオペレーションの役に立っているかという御質問かと存じます。

 数字で申し上げれば、平成十五年二月末までの十五カ月間でいえば、燃料の消費量、有志連合艦船全体における一九・六%を占めておりました。それから五十五カ月その後、平成十五年三月から十九年九月末までということで考えれば、七・三%の補給をしているというのが数字で申し上げられる活動でございます。

田嶋(要)委員 それは何のための補給をしてきたのかということです。

石破国務大臣 主にOEF・MIOに参加する艦船に対しまして補給活動を行ってまいりました。

田嶋(要)委員 日本語で言うとどういうことですか。

石破国務大臣 失礼いたしました。洋上阻止行動というふうに御理解をいただければと存じます。

田嶋(要)委員 まず、この点が、今洋上阻止行動というふうにおっしゃいましたけれども、実際には、このグラフ、(パネルを示す)これを見ると、要するに一般国民は、今まさに大臣おっしゃったとおり、洋上阻止活動をやっている、そういう説明を受けているんですよ。

 だから、多くの国民は、ああ、インド洋の船、大変過酷な状況の中で、もちろんゴルフもできない、そういう状況の中で、六カ月間ずっと海の上で、灼熱地獄の中で一生懸命警察的な監視活動をしている、臨検している、そう思っていると思うんですが、実際、六年間の実績は、石破さんはかつてこの辺を説明して、予算委員会で、最後の三年間だけ説明してそういうことをおっしゃいましたが、現実は、OEF・MIOじゃなくて、OEFなんですよ、少なくとも。

 すなわち、アフガニスタンの空爆を後方支援していた。それが非戦闘地域にあるから一体化はしていないという日本でしか通じない理屈はありますよ。しかし、少なくともOEFの活動が主たる活動で、しかも、イラクでやっていないのですかという話も、これはまだ証明できていないんですよ。そういうことですよ、国民の皆さん、本当にこれは証明できていない。この物すごい量が、これが全体の中での主たる活動なんです。つまり、やはり戦争活動の後方支援、そういうことじゃないですか、基本的には。どうですか。

石破国務大臣 それは、この法律をつくった六年前の議論を我々はみんな思い起こさねばならないと思っているのです。そのときにおられた方も、まだ議席を持っておられなかった方もありますが、まさしくこの場において議論したのは何だったか。

 渡辺議員が先ほど少しお触れになりましたが、あのときに三千人が死んだ、日本人も二十四人死んだ、アフガニスタンに対して、タリバン政権に対して国連決議がなされ、自衛権の行使が確認され、それを後方支援するということは、それは多くの皆さんのコンセンサスであったと思います。それがアフガニスタン攻撃に使われたじゃないかというのは、そのとおりです。そのことを我々はコンセンサスとして持っておったのではないでしょうか。

 民主党さんは結果的に反対をなさいましたが、そのときに同じ思いの方は多かった。その後は知りませんが、事前承認、事後承認ということをめぐって、そこは意見は最後は異にしたけれども、何かせねばならぬ、それが自衛権行使であったとしても、この法律でそれを含むことは、それはみんなの共通認識であったというふうに私は記憶をしています。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおり、今の法律では法律の範囲内ですね、そうですね、そのとおりです。しかし、改めて国民の皆さんが、六年間何をやってきたんだと。海上阻止活動ですとおっしゃいますけれども、現実は、最近のここの辺だけを指摘しておっしゃっている。

 しかし、給油量の九割は、国際社会向けじゃなくてアメリカだけに向かっているわけですね。それはそのとおりですよ、給油量の九割は。そして、ここに関しては、まさにアフガン攻撃が開始をし、イラクの攻撃が開始をしたと同じ、どんぴしゃのタイミングで、これだけの給油量が実際に提供をされているわけですよ。

 それで、今の法律では、おっしゃるとおり、今の法律の範囲内です。今度の新法では、OEF、つまりアフガンを空爆するための船、それへの給油はできない、そういうことでよろしゅうございますか。

町村国務大臣 法案第三条第二号は、補給支援活動の対象を「テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する諸外国の軍隊等の艦船」と規定しております。

 補給の対象は当該任務に従事する艦船であることが必要でありますけれども、そのような艦船である限り、その艦船が他の任務を付与されていること自体は別に問題がないわけでございます。

田嶋(要)委員 要するに、今の法律に比べて、法律の範囲内という、その制限は高まるわけですね。そういうことでいいですか。高まらないんですか。

町村国務大臣 ちょっと、高まる低まるというのは何と何を比べているのかよくわかりませんが、とにかく、海上阻止活動にかかわる部分に給油、給水をしていくということでございますが、その船が幾つかのミッションを持っていたとしても、その船が海上阻止活動に従事する限りは、そこに給油することは何ら問題がないということを申し上げているわけであります。

田嶋(要)委員 時間が参りましたけれども、私は、新法を考えるときに、三つの角度を考えなきゃいけないと思います。

 一つは、新しい法律の前に、六年前につくった法律を三度延長してここまで来た、その間、一体、法律でやるよと言っていることと実態との間にそごがないかどうか。残念ながら、私もずっと部門会へ出ておりますが、いろんな情報が途中で切れるわけですね。そこから先は出せません、そういうことばかりなんです。残念ながら、情報公開がなされなければ、この六年間の活動が法律に基づいてちゃんと行われたかどうか、我々は得心することができません。ということであれば、次の新しい法律に関しても、残念ながら同じことを想像せざるを得ない。

 例えば、八十万、二十万ガロンの取り違えの問題も、実際に二十万ガロンを給油したアメリカのポール・ハミルトンが一体イラクに行ったかどうか、まだ調査中で、答えが出てこないじゃないですか。そういうこと一つ取り上げても、やはりずっとそういった不安というのは国民の間に今あるということです。

 そして第二点目は、文民統制の問題ですよ。これは総理おっしゃいましたね、原口委員の質問に対してですよ。当時、十月十一日、「文民統制そのものは保たれております、間違いなく。」こういうふうに強調されました。当時は、八十、二十が単なるエクセルファイルの入れ違いみたいなときですね。しかし、その後、次々と事実が明らかになってきた。石破大臣、そうですね。武官、文官、もう制服組も、そういった方々が情報を持っていたけれども、いわゆる文民である政治家にその情報を届けなかった。

 どうですか、最後に総理にお伺いしたいんですけれども、今、文民統制の問題というのは、私は、この第二番目の理由、文民統制が今危機的な状況にある中で、やはり新しい法律の中で本当に法律が守られていくのかということに関しては、国民は大きな不安を持っているというふうに思います。答弁は必要ございません。

 以上で私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

深谷委員長 この際、古賀一成君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 質問の時間、きょうは我々全員、四十分の時間で我々なりに組み立てておりましたけれども、きょうは党首会談というので大変短い時間になりました。したがいまして、質問項目は削らざるを得ませんけれども、簡潔な、そしてわかりやすい、きょうはテレビが入っております、国民へ向けて政府側の説明を行うというつもりで答弁をお願いいたしたいと思います。

 それで、質問の順番をちょっと変えますけれども、きのうの証人喚問の絡みでございます。

 守屋次官の二百回を超えるいわゆる供応まがいの話が出ておりました。しかし、いわゆる内閣の責任というものも当然私はあるべきだと思うんですね。

 私の地元は久留米でございまして、いわゆる陸上自衛隊の幹部候補生学校、第四特科連隊、あるいは小郡駐屯地、そういうものがございまして、本当に彼らの訓練、あるいは入校式、卒業式での真摯な目、そして彼らとの会話というものをしょっちゅう私はやっておりますけれども、その自衛隊員があれだけ頑張っている。東ティモールにもゴラン高原にも我々の地元から行きましたよ。

 そういうことを知るだけに、防衛庁のトップにあった者、事務次官四年、官房長に長年いた者があれだけゴルフに行っている。しかも、きのうの話では、役所に通告もせず行っていたということを、彼だけの責任で終わらせては私はならないし、内閣官房の、官邸として、内調もあるでしょうし、あの事務次官はおかしい、毎週行き場所も言わずにゴルフをやっている、そんな話は絶対つかめるはずだし、それがつかめずして何でシビリアンコントロールだ。そういう一番重要な視点がきのうで明らかにならなかった。

 これについては、官房長官も務められ、そして今、現総理としておられる福田総理に、内閣のトップの責任というものを今どう考えておられるかを国民の皆様に私は御表明いただきたい、かように思います。

福田内閣総理大臣 安全保障の責任ある立場にある者が自分の行動をやはりある程度つまびらかにするということは必要だと思いますよ。そして、いつでも連絡つけるような体制に置いておくということは、これはどうしても求めなければいけないことだと思います。

 しかしながら、それを把握できるかどうかというと、本人が申告しないであちこち行っているというようなことになりまして、最後は、これは結局、本人のモラルの問題なんですね。それから任務をどう心得ているか、こういった問題でありまして、そういうことがわかれば、それは十分注意ができますけれども、わからないとなかなか注意もできない。

 しかし、今はそういうことになっておりますので、防衛大臣から、厳しくそういう問題についての指摘をし、そういうことが今後絶対に起こらないようにというような指導もしておるというように聞いておりますので、今後そういうことが起こるというふうには私は思っておりません。

古賀(一)委員 いや、私は、今の説明では国民は納得できないと思います。防衛大臣が先ほどもおっしゃいました、今後こういう調査をすると。しかし、これはもう防衛大臣以上の、国のセンス、自衛隊の運用にかかわる問題。自衛隊ですよ、それが世界各国に協力という形で行っている、それが問われているそのさなか。

 そして、今までは、この数年を見ても、私の地元では西方沖地震があった、中越地震もあった、いつ何どき、危機管理をトップとして要請されるかわからない。

 だって、大雨が降るといったら、国土交通省の河川局長とか地元の所長は全部待機ですよ。もう当然ですよ。警察署長が管内を離れるときは必ず連絡して、どこに行く、そういうのを全部やって行くのに、それは一回だけならともかく、長年にわたって、それを内閣総理大臣あるいは官邸が把握できなかったということは、私は極めて、防衛大臣あるいは守屋さん本人というよりも、まさに官邸そのもの、内閣の危機管理能力そのものが問われた大重大事件だと私は思いますけれども、今の総理の御答弁は、本人の申告がなければわからぬと。それで納得できる問題ではないと私は指摘をいたしたいと思います。簡潔に、では、石破大臣。

石破国務大臣 それは、内閣総理大臣は文民統制のトップに立たれる方であります。あわせて、自衛隊の最高指揮官であります。他方、防衛大臣は、防衛省の監督責任、管理責任というのを有しております。これは自衛隊法上、そのようなことに相なっております。

 私として、総理の厳しい御指示もございます。土曜、日曜も含めて何をしているか、そこまで本当に全部申告をさせ把握をせねばならぬのか。それはもう残念なことです、悲しいことです、はっきり言えば。ですけれども、そこまでしてきちんとやらなければ危機管理官庁としての役割を果たせない、そういう認識を持っておるところでございます。

古賀(一)委員 それでは、本題に入りたいと思います。

 先ほど来、いわゆる今度の日本の協力の実態についての、あるいは洋上での実態、補給の実態、そしてアフガンの実態について、いろいろ、るる質問がありました。

 でも、ずっと、女性の社会参加がタリバン政権のときに比べてどうだ、こういう話はよく聞くんですけれども、私は、これはまだ認識が我々と違う。

 実は、きのうも私はアフガンに電話をしました。十数年間アフガンを取材している日本人の方でありまして、二人の方に聞きました。アフガンの外交委員会の委員にも、アフガン人の人にも、今の治安状況はどうなんだ、タリバン政権、ムジャヒディン政権、長い目で見て今の状況はどうなんだと聞きました。日本にも、東京にもアフガンの方はたくさんおられます。きのうも先週もお話を聞きました。

 そういうことから聞くと、政府の説明との間に非常に乖離があるんですよね。一言で言えば、タリバン政権も含めて、国民の安心、あるいは食っていける、あるいは仕事がある、当たり前のその原点の面においては、タリバン政権時代よりも今が一番悪いと言うんですよ、悪い。

 私は、いろいろ申し上げたいこともありますけれども、まずは、福田総理、これは一番重要な点だと思うんですよ。アフガンというものが、九・一一、この日本参加、アメリカの戦争開始以来、治安、農業を含む経済、そして教育を含む民生でどういうふうによくなったのか、何がなされたのか。それはこの我々の日本の協力の根源にかかわる問題だと思いますので、その認識をぜひこの際お聞かせ願いたいと思います。

高村国務大臣 先ほど町村官房長官が答えたことと重複いたしますが、世銀の報告書によりますと、二〇〇三年から二〇〇六年のGDP成長率は年平均一〇%であり、着実な経済成長を達成しているわけであります。それから、初等教育就学率は二〇〇〇年の一九・二%から二〇〇五年には八六・五%に向上しているわけであります。はしか予防接種を受けた子供が二〇〇〇年の三五%から二〇〇五年の六四%に向上しているわけであります。それから、農業に関しまして言えば、小麦の生産量については、アジア開発銀行によれば、二〇〇二年の百七十四万二千トンから、二〇〇五年は二百三十四万二千トンにふえているわけであります。

 いろいろ明るい面、暗い面もありますけれども、経済社会状況について言えば、世銀あるいはアジア開発銀行がこういうことを言っている、こういうことでございます。

古賀(一)委員 世銀がアメリカ色の、影響が強いということを言うつもりはありませんけれども、今の数字、先ほども御説明がありました。この前もこのお話は聞きましたけれども、私は、不思議な話を一つ聞いたんですね。今、国民がこれだけ困っているというあのカブールで、南部はもっとひどいんですけれども、カブールでビルラッシュだというんですね。だから、我々、一回見に行こうではないか、この委員会で。通常国会でどうなるかわかりませんけれども、時間はあるでしょう。私は見に行くべきだと。これだけ疲弊しているあのアフガンでビルラッシュですよ。だれがつくっているんだ。結局、それは援助物資あるいは麻薬、あるいは軍閥、国民とはかかわりないアングラ経済的なもので、先を見越してのビルラッシュがあるとしか思えないんですよ。

 この経済成長、先ほどおっしゃいました経済成長率、平均一〇%ですか、こういう話は、恐らく国民が毎年一〇%豊かになっているという話ではさらさらなくて、いわゆる軍事経済化をどんどんしている。ケシがなくならないのもそうですよ。百六十ものルートでケシが外に国境を越えて出ていくはずがない。それはやはり、一つの内政的な何か抜け道がいろいろあって、戦争のための戦争、これがアメリカと思う。軍閥による戦争のための戦争というような構造が年々私は根づいているんだと思う。

 そこに国連から、日本から、日本から流れた金は幾らですか。今度の海上活動だけでざっと六百億ですよ。そして、経済無償援助、無償援助がほとんどですよ。これを中心に、日本だけでざっと千四百億円の資金を我々税金を使って、合計二千億です。このアフガンに我々税金を使って投じてきたんです。日本だけじゃないです。アメリカもフランスもイギリスも、オイルマネーも、それなりの金をどんどんアフガンに注入している。

 それは、景気は上がりますよ。GDPは上がりますよ。しかし、国民は全くそういう実感がないというところに今度のアフガンの実態があって、このままだと、幾らやっても、幾ら洋上給油を続けても、これは終わらないんではないか。結局、そこにこの法案が六年を経た今日審議される意味がある。

 したがって、アフガンの経済の実態、本当のところを日本政府はもっと調べるべき。いつまでも国連決議がどうだ、カルザイがこう言っている、そういう上っ面の、それは言いますよ、カルザイさんは、ずっとアメリカにいたんですから。日本の協力が要らないなんて言うはずがない。そうじゃなくて、実態としてどういうふうによくなってきたかというのを、日本政府は、血税を使っているわけですから、私は調べるべきだと思うんです。

 アフガニスタンの話を聞きますと、いろいろな人の話を聞く。二〇〇五年は自爆テロは十五件であった。去年、二百二十件までこれは増大をいたしております。十七カ月で六千人が死亡をいたしました。千五百人が一般市民、そしてその相当部分、子供が死んでいる。

 そこで、私はここで申し上げたいのは、アフガンの現状を聞いているともう時間がないので、もっと言いたいことはありますけれども、それでは、アフガンの現実から見たいわゆる不朽の自由作戦の正当性、限界というものが、この六年を経て明らかになったんではないかと私は思っておるんです。ところが、政府側はそういう議論は一切ない。

 しかし、アメリカには、実は、イギリスのエコノミストという雑誌があります。十月二十七日号ですから、ごく最近のデータでありますけれども、アーミーズ・オブ・ザ・フューチャー、将来の軍隊、ブレーンズ・ノット・バレッツ、つまり頭だ、もう鉄砲の弾じゃないと。こういう話は、実は、アフガニスタンでタリバンを、イラクでサダム・フセインを一撃で倒した米国の軍事力は圧倒的だったが、破壊はできても建設ができてない弱点が暴露された、米国防総省内で、弾丸より頭脳を使う新たな戦略の議論が起こっているというのがアメリカ寄りのイギリス・エコノミストの記事として載っているわけですけれども。こういうのを日本はやはり言うべきだと思う。

 私は、この不朽の自由作戦、名前はいいですよ、名前は非常にいいんです。しかし、アフガンの現実、中村哲さんに言わせれば、売春をする自由、軍部と仲よくなってお金持ちになる自由、飢え死にする自由、そういうものはアフガンの社会で現実になったけれども、この不朽の自由作戦というものは、アフガンの現実から見て正当性を持っていないと私は思います。二千億円もの金を投じてきた、そういう面から見ると、これは本当にむなしい。ここで私はもう一回見直すべきだと思っておるところでございます。

 時間がないので、ちょっと私はもう答弁ははしょりまして、答弁をはしょるのも失礼でありますけれども……(発言する者あり)いや、いいんです。

 それで、最後に質問をいたします。あと五分というのを聞きまして驚いておりますので、次に……(発言する者あり)申しわけないと思います。それで、私は……(発言する者あり)演説をしたいんです。

 これからの国際協力、私はきのう電話しても、やはり日本人に対する期待、尊敬、大したものがありますね、あります。私は、そこで、日本のこれからの進むべき道は、アメリカに、あれだけもう減ってきた給油量にこだわるのではなく、まさに日本こそが、周辺国、パキスタン、ウズベキスタン、そういうところを、それからもちろんイラン、こういうものを含めてアフガンの経済復興の具体的なモデル事業というものを見せたらいいと思うんです。やったらいい。

 それは、私は一つ具体的提案があるんですけれども、これはあした以降やりますけれども、例えば、日本は去年バイオマスの閣議決定をして、国是としてやろうという話があります。アフガンにはてん菜がとれるんです、サトウキビもとれるんです。それを、一定のプラントを百カ所ぐらいにつくって、君たち、ケシじゃない、付加価値の低い小麦でもない、来年の夏からサトウキビつくれ、この村に、あそこの県に、これだけのいわゆるバイオエタノールをやるというような構想は、私は十分あり得ると思うんですけれども、日本政府の中でそういう、この六年を機に、どういう貢献をすべきかというものを、何かお考えがあるか、今後検討する用意があるか、私は総理の決意をお聞きしたいと思います。これは提言でございますが、ぜひ感想をお述べいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 大変御立派な御意見だと思います。

 私は、やはり日本のできること、そしてそれが国際社会に役に立つこと、特に困った人、困った国に対してどういうことをしたら一番役に立つのか、これを日夜考えて日本の国際支援というものを実行していかなければいけない、こういうふうに思います。できるところにはしていく、しかし、できないところにはそれにかわるものは何があるのか、こういうことも同時に模索していかなければいけないと思います。

 御説ごもっともでございます。

古賀(一)委員 大演説をぶちましたので、質問はこれで終わりますけれども、この点は本当に私は真剣に考えていただきたいと思うんです。

 これは、日本の印象の岐路になる問題だと私は思っています。ここで、今はまだ日本に対する尊敬と敬愛の念がある。しかし一方で、今までは洋上給油の事実についてアフガンの人はほとんど知りませんよ、関係の政府高官だけ。街角でアンケートをとってもらったんです。そうしたら、知らない。しかし、一部の人によれば、これが、何だ、キティーホークに日本が給油をずっと六年間やってきたのか、そういうふうにとるんですよ。アフガンの人はそのぐらいしかとらないから……(発言する者あり)いや、補給艦から補給艦みたいな、そんなややこしいことではない。要するに、アメリカの軍艦に日本はずっと給油をしてきたというのは、あの国ではそう広がる。そのときに私は、一部の人はこれは日本に対する恨みに転化する可能性もあるという話もあるんです。私はそうなる可能性が大いにあると思う。

 したがって、日本は日本のそういう得意分野、そして日本が戦後六十年培ってきたこの信頼を生かす戦略をぜひとも私は立ててもらいたいし、我々民主党もそういう具体的提案を今後しっかりとしていきたいと申し上げまして、終わりたいと思います。

深谷委員長 この際、三谷光男君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、この大事なテレビ入りの審議にこうして質問の機会をいただきまして、委員長、理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。

 きょうは、昨日行われました守屋証人喚問で取り上げられました問題を題材に質問をさせていただきます。

 きのうの守屋喚問、実に驚くべき内容でありました。非常識な守屋さんの所業の数々に加えて、疑いを持たれた問題には巧妙に答えない、責任逃れ以外の何物でもない内容であったと思います。きのうの守屋証人喚問の内容を福田総理はどのように受けとめておられますでしょうか。

 守屋さんの所業だけではなくて、その話の中で、防衛閣僚経験者も宮崎氏との接待の席に同席していたという話も出てきました。就任当初から福田総理はよく信頼の回復を口にされていましたが、きのうの喚問で、防衛省のみならず、政権への信頼、政治への信頼も地に落ちたのではないかというふうに思います。

 信頼回復に向けて、福田総理、今後どうしていこう、こういうふうにやっていこうというようなことがありますでしょうか。お考えをまず聞かせてください。

福田内閣総理大臣 昨日の証人喚問でもって明らかになりましたように、自衛隊員として倫理規程に違反するような行為を行っていたということはまことに遺憾でございます。また、こうした行為が防衛装備品の調達の公正性、透明性に疑念を生じさせているということは極めて遺憾なことでございます。

 したがいまして、私は、去る二十三日に防衛大臣に対しまして、速やかに事案の調査を徹底して、そして厳正な処分と実効ある再発防止措置を講じるということ、それと同時に、幹部職員を初め全職員、全隊員が厳正な規律を保持し、真摯に職務に取り組むよう、組織の掌握、管理の徹底に全力を尽くすように指示をいたしました。

 また、私は、先週の日曜日の自衛隊の観閲式におきまして、厳正な規律の保持につき訓示をいたしております。

 今後、防衛省において、厳正な処分と再発防止の徹底を含む抜本的な改善措置が講じられることを期待いたしております。

三谷委員 今総理から、厳正な措置、再発防止措置をというお話がございました。

 そして、石破大臣は、特別監察を既に実施されている、先ほども明らかにされました、制服組では将補以上、本省課長級以上の幹部の接待、物品供与の有無を調べるというものでありますけれども。あるいは、先ほどのお話の中でも、防衛省は危機管理官庁、最も厳正でなければいけない、私も全く同感であります。そして、確立をしますとおっしゃいました。

 まさに、きのうの守屋喚問の内容を受けて、新たに省内に指示を出されるとか、あるいは調査に乗り出すとか、調達の問題も含めてこういうことをやっていきますという新たなお考え、御指示はありますでしょうか。

石破国務大臣 特別監察を実施しましたのは、委員がおっしゃったとおりでございます。きのうの喚問を受けてという、必ずしもそういうわけではございませんが、これは、山田洋行だけではございません、ほかにもいろいろと出入りをしておられる会社というのはございますので、そういうものについて、これは膨大な量になりますが、対象人員も膨大な数になりますが、そのことについてきちんと把握をしなければならないと思っております。その調査のやり方について検討をするように指示を出しておるところでございます。

 これは、どのような小さなものであっても、おっしゃいますように最も厳正でなければなりませんので、きちんと実行せねばならないと思っております。

 それから、調達のあり方については、本当に今の調達のあり方がベストであるのかという議論は、それはしていかねばならないのだと思っております。

 私は、商社が入るからすべて悪いなどということを申し上げるつもりはありません。それなりの合理性もあるのだろうと思います。しかし、どうすれば最も公正なのか、随意契約の問題もございます、そこも含めて、調達のあり方も一回全部見直すということで、今、私を長といたします組織、あるいは寺田政務官を長といたします組織、そこにおきまして検討いたします。そして、成案を出して皆様方にお出しをし、また御議論をいただきたいと思っております。

三谷委員 今最後に、まさに調達改革のことをお触れになられました。まさに大臣おっしゃるように、例外なく全部見直していく、一つ一つのことで、特に装備品、装備の話となりますと大変、なかなかこれは難しい問題がある、それは私もよくわかりますし、また大臣もよく御理解をされていることと思います。本当に難しい問題だと思います。

 改めて、きのうも証人喚問の中でも取り上げられましたちょっと具体的な問題、取り上げさせていただきまして、質問をさせていただきます。

 きのうの証人喚問によって、まさに守屋前次官と宮崎さんなる山田洋行の元専務の親密な関係が取りざたされ、守屋さんが頼まれて防衛省の調達に関与したんじゃないかということで、幾つかの問題が取り上げられました。

 その一つでありますけれども、CX、航空自衛隊の次期輸送機、そのエンジンの調達をめぐる問題についてお尋ねをいたします。

 宮崎元専務が新たに設立をしました軍需専門商社日本ミライズに、事務次官だった守屋氏が、随意契約をすればいいじゃないかと天の声ともとれる発言をしたのではないかという、これは、朝日新聞、東京新聞の報道がありまして問題になりました。きのうの喚問でも取り上げられました。

 肝心なことになると守屋さん、全く記憶にないとか、あるいは承知しないとか、偽証に近いような話もございましたけれども、きょうは、大変時間が短縮をされましたので、肝心なことを一問だけ石破防衛大臣にお尋ねをいたします。

 この問題は、ちょっとはしょって申し上げますけれども、もともと、山田洋行とそこを出ていきました宮崎さんなる元専務とのいわば内紛劇であります。守屋さんの一番の罪は何だったか。じっこんだった納入業者の役員に、断じてあってはならないような接待や便宜供与を受けて、この内紛劇に防衛省全体を巻き込んだことであります。

 話を戻しまして、肝心なことといいますのは、まさにずばり石破大臣にお聞きをいたします。このCXエンジンの調達の問題、その選定の結末は、石破大臣、どのようにその答えをおつけになられるんでしょうか。

 一千億近い、まさに防衛省の中でも大変大型の案件であります。また、既に二回公告をされて一般競争入札が行われ、応札はございませんでした。今の参加条件で応札できるところがないことが、まさに問題になっているわけであります。御承知のことだと思います。どのように答えを出されるのでしょうか。大臣、お答えをお願いいたします。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 昨年の八月の会計法規の変更によりまして財務大臣通達が発出をされたことは、委員も御高承のとおりでございます。すなわち、本来随契になるような契約内容についても、一たんまず一般競争入札手続を経ること、これが手続の透明性と効率性の観点から定められたわけでございます。それに従いまして、この一般競争入札が実施をされたわけでございます。

 そして、この入札要件といたしまして、Aランク、Bランク、Cランクであること、そしてまた、代理店契約、すなわち販売について権利を持っていることというふうな契約条件でもって入札がなされ、現実的に応札が行われなかったわけでございます。

 それを踏まえ、現在、予決令第九十九条の二の規定に基づきまして公募手続を実施いたしました。そして、この公募手続自体は八月の三十一日に締め切りが行われたわけでございます。現在、その結果を踏まえまして、装備施設本部において所要の検討を行っております。

 いずれにいたしましても、会計法規を厳正に、適正に適用していく中で、厳正なる結論を出してまいる所存でございます。

三谷委員 私は、石破大臣にお尋ねをいたしました。今、寺田政務官がおっしゃられた話というのは、昨晩航空機課の役所の方々が来られて説明をされたとおりの話でありました。

 私が聞いておりますのは、これだけ大きくなった問題に、役人に答えを出すのは酷な話だというふうに私は思っています。いつまでも先送りはできないと思います。日本ミライズにするのか、なかなか出せないでしょう、こういう答えは。別の選定の仕方を編み出すのか、あるいはGEから直接買うのか、大臣の責任で答えを出さなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 調達改革をすると先ほども言われました。口で言うのは簡単でありますけれども、さっきも申し上げたように、一つ一つ考えれば本当に難しいんです、装備の問題というのは、先ほどもうなずいておられましたとおり。どうかリーダーシップをとってきちんと責任ある答えを出していただきたい。

 お答えをお願いいたします。

石破国務大臣 これは、大臣が天の声というのもまた妙なお話なのでございまして、どうすればよいのか。

 ただ、今政務官からお答えを申し上げましたように、GEのエンジン、あるいはロールスロイスのエンジン、プラット・アンド・ホイットニー社のエンジン、この三つとも所要を満たすものであったが、どれが一番安くて性能がよいのかということは、GEであったということでございます。

 そして、公募をかけ、応札がなく現在に至っておるということでございまして、この後、公正な手続を経て、しかるべきところに、最も安いもの、最も納税者に資する形で最も性能のいいものという形で透明性を持って決めてまいりたいと思いますが、大臣が恣意的に決めるということは当然あってはならないことだと思っております。手続の透明性、厳正性、常にきちんとチェックをするのは当然のことかと思います。

三谷委員 何も大臣からの天の声をという話をしているわけではありません。大臣がリーダーシップをとってちゃんと道筋をつけてくださいよというお話を申し上げているわけであります。

 きょうは時間がございませんが、もう一つだけ取り上げさせていただきたいと思います。

 これも証人喚問の中で出てきた問題であります。チャフ・フレア・ディスペンサーの納入における山田洋行の過大請求、水増し請求の事案についてお尋ねをいたします。

 わかっていることというのは、平成十二年度、山田洋行と当時防衛庁との八億一千万だった当初契約が、平成十四年度、二年後に減額変更されて、最終的に六億二千万円になった。報道では一億と言われていますけれども、これ、数が、額が違っていましたら、後で修正をください。一億九千万円分過大に水増しをされて、請求が行われました。

 明白なことがございます。これもきのうの喚問の中で出ました。当初契約、最初の契約ですね、当初契約後に、ニューヨーク駐在の防衛庁原価計算部の輸入調達専門官、昨日はお名前がはっきり出ましたけれども、この輸入調達専門官さんがメーカーのBAEシステムズに問い合わせ、これは不正な見積もりだというふうに確認をし、表に出ました。これはもう明らかな不正な水増しだと思っています。

 そして、結果は、契約変更はされた。契約変更なんですね、これは。難しいんですけれども、契約変更されて、されたけれども、処分はない。処分というのは、実はこれはペナルティーの形にはなっていないんですけれども、きょうは時間が短いので中身の難しい話はできません、処分というのは取引停止のことです。ほかに、過大請求をされて、処分であります取引停止に至った事例というのはたくさんあるんです。どうして二億円近い水増し請求がされて、それは明白だったにもかかわらず処分がなされなかったのか。これは事務方で結構であります。防衛省から明快な説明をお願いいたします。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今御質問のチャフ・フレアの射出装置の件でございますけれども、防衛庁の契約本部におきましては、平成十三年の三月三十日、海上自衛隊で使用する米国のBAE社のチャフ・フレア、これを合計で三件、全部で二十四セット、計八億一千万円で当初契約したわけでございますけれども、その後、作為的なことがあったのではないかと今委員の質問でございますけれども、当時の関係者等々からいろいろと調査して、今の段階で聞いているところでございますけれども、その段階では、先ほど言ったような、委員が御指摘になったような状況ではなくて、どちらにしても、その当時の出されていたものがBAE社によるちゃんとした書類であったということであって、なぜその段階においていろいろなものが履き違えられていたかということを、今現在調査しているところでございます。

 どちらにしても、数字的において間違いという部分の方もこちらの方でわかったわけでございまして、その点におきまして、きちんと契約を変更してということで、平成十四年の五月に、三件の契約合わせて約九千万円を減額する変更契約を行っております。

 なお、この契約三件はいずれも概算契約の履行中であった、そういうところでありまして、その時点では額は確定されておらず、それに基づいた支払い行為もされていなかった。また、委員が九千万円と言っておりましたけれども、全体として一億九千万円減額されたということでございます。

三谷委員 今の副大臣の御説明は、何のことやらさっぱり意味がわかりません。

 私がお聞きいたしましたのは、水増し請求をされて、それも作為的なことがあったかどうかいろいろ調査をしているところ、私は明白なことも一つ言いました。ニューヨーク駐在の、きのう名前が出ました輸入調達専門官がメーカーに確認をして、実はその確認書もあるわけであります、これは不正な見積もりだという確認がとれているわけであります。

江渡副大臣 済みません、お答えいたします。

 今、作為的とかいろいろ言われましたけれども、当時ニューヨークにおられたこの調査官の方が調査した結果、あくまでも先ほどのBAE社が出したものであるということで、もしかしたらこのBAE社が出したものではなくて、山田洋行自体が作為的に出したものではないのかということで、もしかしたらそういうところがあったのではないのかということだったわけでございますけれども、よくよく調べていたらちゃんとBAE社のものであったと。

 ですから、なぜその段階でそういうふうにそごが生じたかということを、現在、今調査しているというところでございます。

三谷委員 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、このように、石破大臣、もう言いきりで終わりますけれども、先ほども調達改革の話が出ましたけれども、一つ一つのことに答えを出してください。それが一番大事なことだと思います。それがまさに調達改革だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

深谷委員長 この際、伴野豊君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 同僚議員に引き続き、時間がございませんので、手短に質問させていただきたいと思います。総理も、午前中は党首会談ということでお疲れかと思いますが、どうぞおつき合いいただきたいと思います。

 早速お伺いしたいと思います。

 総理もいろいろ今回の法案の報道等でもお話しになっておられるかと思いますが、自衛隊の最高指揮官でもある福田総理にまずお尋ねしたいと思います。

 これは日本国憲法第六十六条にもきちっと明記されておりますが、自衛隊を出動させるとき、実力組織である自衛隊をとりわけ海外に派遣する場合、何が確保されているべきか、何が保たれていなければならないか、どうぞお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 やはり、保たれていなければいけないことは、高いレベルの規律と文民統制、そのように思っております。

伴野委員 文民統制という言葉が出てきて安心いたしました。ちょっとフリップを。まさにこれですね、文民統制、シビリアンコントロール。これがなければ、すべて何をか言わんやだと思うんですね。

 しかしながら、今これが揺らいでいるのではないか。本当に残念な思いでございます。なぜ揺らいでいるか。御案内だと思いますが、まず第一に給油量の取り違え隠ぺい問題、二つ目に給油流用転用問題、三番目に航泊日誌破棄問題、四番目に守屋前事務次官ゴルフ接待等問題。この最後の四番目が一番大きいのかもしれませんが、整理すればこういうことだと思うんですね。これをきょう本当は一つ一つ時間があったらお尋ねしたかったんですが、あすも質問させていただけるようでございます、そこでじっくりさせていただくとしまして、きょうは、私が週末、地元へ帰りまして、有権者の方といろいろお話をさせていただきました。その中で素朴な疑問を、幾つかありましたので、ぜひ総理にお答えいただければと思います。

 先ほど田嶋議員が、実際この六年間、給油活動というのはどういうものであったかということで、最低限新しい法案を議論するならば国民の皆さんに説明責任があるだろうというお話の中で、始まった数年間は特にどこへ使われたかというのを明確にきちっと説明する責任があるんだということを議論していたかと思いますが、十月十日の予算委員会で、岡田元代表と高村外務大臣のやりとりの中で、これもNHKで生中継されておりましたから、多分びっくりされた方もいらっしゃるんじゃないかと思います。多分、法律的には逸脱していないということでいいのかもしれませんが、高村大臣は、「当初はやっておりました。自衛権をもって当初はやっていた、それについてテロ特措法で補給をしていた、こういうことです。」ということで、アフガン本土の攻撃の質問に対してお答えになっていました。

 国民の皆さん方は、インド洋で海上阻止活動だけに、だけとまでは言い過ぎかもしれませんが、それが主で艦船に給油をしているんだと思っていましたし、多分、多くの国民の方はそういう阻止活動の給油であればお許しいただけるのではないかというふうに思いますし、私自身も、本当の意味でのテロ対策であれば、それはやるべきことであるし、国際貢献はぜひやらなきゃいけないと思いますが、残念ですが、出していただいたデータを見る限り、非常に危ういことを感じなければいけません。

 フリップをかえてください。これは防衛省さんからいただいたきちっとしたデータです。

 平成十五年五月一日に、皆さん方御案内のように、ブッシュさんはイラクの勝利宣言をいたしました。ラムズフェルド米国防長官も、アフガニスタンでのテロ作戦終了宣言をこのとき同じようにしました。ここで仕切ってみますと、はるかに給油量は多く、アメリカの補給艦にかなり多いということがわかります。

 これを少し数学的な確率論で解いてみますと、この赤線から右側、ずっとこれは海上阻止活動に使ったと仮定しましょう。それを横へすっと持ってきたほかの部分、残念ですが、ざっと全体給油の四〇%。ですから、ひょっとしたら、この四〇%はアフガン本土の攻撃に使われてしまったのではないか。

 そして、先ほどからずっと、確かに、アフガニスタン、いろいろ問題はあります。だけれども、NATOの方も六百七十何人以上亡くなっていますし、一般市民の方は数えられないぐらい、一つの統計では五千ともそれ以上とも言われています。そういった状況を見るにつけ、えっ、アフガニスタン攻撃にも油が回っていたかもしれないと思ってびっくりされる国民の方々はおかしいでしょうか。いかがですか、総理。そう思われる方はおかしいかどうかということをお答えいただけませんか。総理に。もう時間がないから、総理、一言でいいですよ。総理、お願いします。

高村国務大臣 九月十一日のテロを思い起こしてください。あのとき、世界じゅうの人が衝撃を受けた。日本人も亡くなった。そういう中でこの法律はできたんです。そして、十分な審議のもとで、どういうことができるか、どういうことができないかということも十分審議を……(伴野委員「法的には問題ないこともわかっている。手短にお願いします」と呼ぶ)

 そういうことをして、法的には問題ないということを委員は認めておられる。そして、さらに言えば、自衛隊の対応について事後承認を求めたときは、民主党の皆さんは賛成しておられるんです、これについて。(伴野委員「質問に答えていただけませんか。国民感情としておかしいと思うことに対してどうかと」と呼ぶ)

 少なくともそのときの国民感情は、こういうことも考えた上でこの法律を認めた、少なくとも民主党も自衛隊の対応についてそれに賛成した、こういうことではないですか。

 そして、やはり、そういう中で無辜の民が亡くなるということは本当に残念なことでありますし、そういうことがないように、OEFに従事している各国も、今、カルザイ大統領と話して、そういうことが少しでも少なくなるように協議をしていると承知をしております。

伴野委員 法的には問題ないということは理解しています。そういうことに使われたということを余り知らされていない国民が、いや、アフガニスタンの本土攻撃でも使われていた可能性がこんなにあるんですねといったことに対してびっくりされた、そういった国民の感情はおかしいですかという質問をしたんです。だから、質問にちゃんと答えていただきたいと思います。

 では、次に行かせて……(発言する者あり)

 総理、答えていただけますか。答えてください、一言でいいです。そういう国民感情はおかしいですか。

福田内閣総理大臣 国民感情としてどういうものであったか、私もよくその当時のことを覚えていないんですけれども、何も国民は喜んでこういう活動をしているわけじゃないですよね。しかし、日本の責任としてその程度はやらなければいけない、そういう気持ちも強かったと思うんですよ。私は、そっちの気持ちの方が強くて皆さん支持をしてくだすった、民主党も支持をしてくだすった、そう思っております。

伴野委員 だから、総理がおっしゃることは正しいんですよ。ただ、人間でもぽこっと殴られたときはかあっときて、やり返さなきゃいけないと思うけれども、本当にぼこぼこにしちゃっていいかといったときに、やはり冷静に考えなきゃいけない。この六年間で、だから総括しましょう、いろいろな情報を出しましょうと言っているんですね。まあ、これは頑張って石破大臣も出してきていただいていますけれどもね、データは。でも、やはりその総括はしなきゃいけないんじゃないかな、そんなふうに思います。

 では、時間がありませんから、質問の趣旨をちょっと変えたいと思います。

 ちょっと恐縮ですが、総理、シュレッダー、裁断機ですよね、シュレッダー、これは多分事務所にもあると思いますが、総理みずから最近お使いになったかどうかわかりませんが、シュレッダーをお使いになったことがおありになるか、それから、そのときはどんなものをシュレッダーされましたか、教えていただければと思います。

福田内閣総理大臣 シュレッダー、使いますよ。それは廃棄すべきものをシュレッダーにかけるということです。

伴野委員 何でそんなことをお聞きしたかといいますと、さっきの二つ目のを出してください、航泊日誌破棄問題の中で、航泊日誌をシュレッダーにかけたといったときに、私は直観的にそれは本当かなと思ったんですよ。

 というのは、私も国鉄という労働集約産業といいますか鉄道の中で生きていた時代があります。そうすると、その中の人を動かすときに、命令一下、動かさなきゃいけない。鉄道も安全と闘っていますから。比較的自衛隊と似た命令組織を持っているときもあります。それでやらなきゃいけないときもあります。そこである程度育てられた私としては、そんな大事な、航泊日誌といえば人でいえば日記です、それを簡単に本当にシュレッダーにかけちゃうかなと。

 私だったらといいますか、勤めている人、まあこの人がそうとは言いませんが、普通は何回も何回も上司に確認してやるべきものなのではないかなというところから来て、それでシュレッダーをかけるときの心理というのを国会図書館で調べてもらいました。

 総理、国会図書館、非常に熱心に拡充されて充実されておりますけれども、あそこはすごいですね。「組織とエリートたちの犯罪」というのを、そのシュレッダーにかける心理というところからずっと検索してくださいました。これがすごいんですよ。「権威防衛のための無謬主義と秘匿主義」という。組織とエリートたちの犯罪ということを、これは元法務技官の方で犯罪心理を勉強されている新田健一先生という権威がいらっしゃるんですが、その方が、ここでちょっと時間がないから言いませんが、これはどこの軍隊とか言いませんが、軍隊というのはどうしても無謬主義になり秘匿主義になってしまう、ここを改めていかなければ本当の信頼は得られないということもおっしゃっているんですね。

 今回起こったことがこういうことじゃなければいいなと思う次第でございますけれども、もし御感想をいただければ。

石破国務大臣 きのう、私どもの方から報告を提出させていただいたところでございますが、これは聞き取りました。実際にシュレッダーにかけてしまった人、そしてそのときに相談にあずかった人、その艦の艦長、航海長、すべて聞きました。委員御指摘のようにそんなことが本当にあるのかと。航海日誌というもの、普通航海日誌といいますが、航泊日誌ですね、それを捨てちゃう、シュレッダーにかけちゃう、それが二曹、三曹の判断において本当にできることなのかということは、これは私も何度も委員と同じ意識を持って調べました。本当でした。何でこんなことが起こるのかということなのです。

 ですから、実際問題として、よく言いますよね、訓練し存在する自衛隊から行動する自衛隊に、そう変わっていくその過程において、文書の管理とかそういうものがきちんとなされているかどうか。これは、全部管理しないと行動する自衛隊になれない、文民統制にもなれない。そういう一種の、今までの自衛隊のあり方に相当の問題があったのではないか。これはまたいろいろな議論をさせていただきたいと思いますが、事実としてそのようなことが行われておったということは、まことに申しわけのないことでございます。

伴野委員 国鉄も、JRのことを言って申しわけないのですが、やはりそういう重要な書類を廃棄するときに稟議書というのをきちっと回す。海上自衛隊さんはどうなっているのかということをちなみに調べさせてもらいました。そうしたら、海上自衛隊文書管理規則というのが見つかって、五十八条で、立会者のもとに廃棄簿に押印をする。まず立会者も必要なんですね。廃棄簿というものにきちっと書かなきゃいけない。最終的に、もしこれが満了前のものであったとすれば、これは訓令第三十一条第二項に書いてあるんですが、防衛大臣の承認を得てまでやらなきゃいけないというぐらい、規定上というかルールはすごく厳しくやってあるんですね。

 でも、こういうことが起きちゃうとすれば、これは石破大臣、私も一緒に「ましゅう」、補給艦を見に行かせていただきましたから余りきついことばかり申し上げられないんですけれども、しっかりやっていただかなきゃいけませんから申し上げたいんですが、やはり無謬主義なんですよ。要するに、間違いを起こさないということでルールをつくり過ぎなんです。

 鉄道だってそうなんです。人がやることだから、間違いは起こるんですよ。そうしたときに、どうやってフェールセーフをするか。つまり、第二、第三のチェックシステムをつくっておかないといけないのではないかな、そんなふうに思います。いかがですか。

石破国務大臣 私、かつて金融機関に在籍をしておったことがございます。そのときの書類の管理というのは、本当に物すごく厳正でございました。それは、お客様の信用というものがある、それで金融機関というものは成り立っている。ですから、書類の保管というのは極めて厳正でございました。

 私どもの場合に、規律は最も厳正でなければなりません。ただ、お客様とか株主とかそういうものの利益がどうのこうのということになれば、それはちょっと違った次元になるのだと思っています。その場合に働く規範というものが違うとするならば、無謬性ということが、本当に無謬でなければならぬわけですね、ある意味で。委員のおっしゃっていることはちょっと違うのかもしれませんが。フェールセーフの仕組みというのをきちんと確立をしなければいかぬのだと思っております。

 ただ、今回も、きのう報告させていただきましたが、委員と一緒に乗りました「ましゅう」にいたしましても「とわだ」にしましても、何でもそうですが、艦内は狭い、そして日々の仕事というのは物すごく煩雑。私どもの船は乗組員が少ないですから、一人何役もやらなきゃいけない。そうすると、年次検査みたいな形でドックに入ったときに、さあ書類の整理をするぞという形でやったのだと思っております。

 そのときにフェールセーフの仕組み、だれがどのように確認をするか、そのことをもう一度徹底をしましょうと。艦長であり、あるいは曹クラスであり士クラスであり、そういう人たちに対して文書管理ということがきちんと徹底されているかどうか、教育の現場まで含めてもう一度全部見直します。

伴野委員 「ましゅう」も一緒に視察させていただいて、今、大臣のお気持ちもかなり共通点があって、私も安心いたしました。

 しかしながら、今、大臣みずから文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会をつくらなきゃいけないほど非常に残念なことになっているのも事実だと思うんですね。ですから、やはり私は、ここは一度立ちどまっていろいろ考えてみる時期なのではないかな、そんなふうにも思います。

 例えは悪いかもしれませんが、今、いろいろ食品偽装の問題が出ています。非常にブランドの高いところが、あんなところがというところがあんなことをしています。残念ですけれども、どっちかというと、一番下の、四番目の前事務次官のこともあんなこと。これは、大臣と現地へ行かせていただいて、自衛官が額に汗して、あの酷暑の中、防じん対策をして現場で頑張っていらっしゃる自衛隊の方に本当に申しわけない、これ以上申しわけないことはないんじゃないかと。多分、石破大臣、そう思っていらっしゃる、気持ちは共有していただけると思います。

 だから、ここは徹底的にやっていただきたい。その上で、どう国際貢献があるべきかということを考えていただいても遅くはないんじゃないかと思います。

 最後に、きょう私のパソコンの方に地元の主婦の方からこういうメールが届きました。これを読み上げて、最後の質問のかわりにさせていただきたいと思います。

 「国民から預かった多大の税金がどう使われたか、本当に人々の安全と安心に役立ったか、戦争はどのような理由であれ、破壊と汚染とそれを見て育つ青少年の憎しみの連鎖をうむものです。どうか日本の貢献は技術教育食文化で役に立って欲しいものです。」「主婦」と書いてありますが、国民の多くの皆さん方の願いは、日本らしい貢献をしてほしいということではないかと思います。

 以上で終わらせていただきます。

深谷委員長 この際、長島昭久君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 この委員会は、テロとの闘い、こういうことに対して日本は何ができるか、こういうことを本質的な議論で答えていかなきゃいかぬ、私はそういうふうに常々思っておりました。今問われていることは、補給活動に賛成するのか反対するのか、そういうような話ではなくて、もっとより本質的な話だと思うんですね。

 今問われていることは二つあると思います。一つは、テロの時代というこの特異な時代にあって、我が国の安全保障をどう確保していくか。これが第一番目。そして第二番目、テロとの闘いで本当に頑張っている世界各国、国際社会、この国際社会の中で我が国がどういう役割を果たしていくべきか。私は、こういう二つの本質的な問題が我々委員ひとしく、与党も野党もなく、そして政府も国会もなく問われているんだろうというふうに思うんです。

 私はきょうはそういう本質的な問題を総理にお伺いしたいと思ってこの場に立ったのでありますが、どうしてもその前に触れさせていただかなければならない問題がございます。これは通告をしておりません。現職閣僚、法務大臣の発言でございます。

 昨日、「友人の友人がアルカイダ」、この発言であります。とんでもない発言ですね、総理。友人の友人がアルカイダということは、鳩山法務大臣はアルカイダと共通の友人を持っているということですよ。テロとの闘いをどう進めていくか世界各国が悩んでいる、アフガニスタンの安定をどうしようか、我が国はどういう覚悟を持ってこのテロとの闘いに臨むべきか、まさに議論を始めようというこの委員会のその議論が始まるやさきに、こういう発言をされている。

 総理、法務大臣を罷免されますか。総理です、総理、任命権者ですから。

町村国務大臣 一言で言えば、不適切な発言であった、こう思います。

 友人の友人を直接知らないということを後で釈明されたようでありますし、また、そのことを知ったのはあの事件がバリ島で起きた後のことであったという釈明もされたようでありますが、第一報が世界を飛び交うというこの情報化の時代に法務大臣として不適切な発言である、こう認識をし、けさの閣議の前に、私から法務大臣に発言は十分注意するようにという注意をしたところでございます。

長島(昭)委員 総理、その官房長官からの注意で十分だと思われますか。よりによって外国特派員協会で発言されているんですよ。今世界に発信をされると言ったけれども、わざわざ世界に発信をしてもらいたいと言わんばかりのそういう場での発言ですよ。

 先ほどから出ている、三千人からのアメリカ人が亡くなられた、日本人も二十四人亡くなられた。アルカイダですよ、首謀者は。そのアルカイダと共通の友人がいるということを、まさにひけらかし発言をしている。

 ちょっと読みましょうか。「二、三年前は何度も日本に来ていたようです。毎回いろんなパスポートに、いろんなひげで、わからないらしいんですね。彼はバリ島の中心部の爆破事件に絡んでいた。」「そういう方がしょっちゅう日本に平気で入って来られる」

 総理、官房長官からの厳重注意でとどまると思いますか。そして、このことをきちんと調査されますか。お答えください。

福田内閣総理大臣 場所といい、発言の内容といい、これは極めてよくないことだったと思います。

 ただ、御本人も気がついて、すぐ記者会見をしてそれを訂正したということでございました。外人記者クラブにおける発言がかなりラフな発言だったということだったと思います。それを正確な形に言いかえたということでありまして、これは、本当にそういうことであったとしても、不適切は不適切、場所柄もわきまえず、こういうふうに思います。

 ですから、そのことについては私から官房長官に注意を促すようにというふうなことを申しまして、けさ、官房長官から本人にそのように伝えた、本人も大変恐縮をいたしておる、こういうことでございます。

長島(昭)委員 では、総理はこれをジョークとして、事実の確認もしないで過ごすんですか。ジョークじゃないですね、これは明らかに。事実確認、事実調査をなさいますか。そのことを本委員会でおっしゃっていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 そのことについて私なりに本人にただしたいと思っております。

長島(昭)委員 いや、本人にただすことはもちろんですが、こういう事実が我が国において、このテロの時代にアルカイダとおぼしき人間が日本に二度も三度もひげをつけて入ってきてという話ですから、これは警察も含めて政府としてきちんと調査をする対象のものだと思いますが、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 法務大臣というのは、そもそもそういうのを取り締まる立場にいるんですよ、そもそもが。ですから、彼、法務大臣の立場でもって十分調査をすべきだというふうに思います。もしそれが進んでいないのであれば、私からも促したいと思います。

長島(昭)委員 これは本題ではございませんので、きちんと調査をしていただきたいと思います。

 本題に入りたいと思います。

 先ほどの私の問題意識、二つ申し上げました。そういう問題意識から今度の新しい法案を見せていただきまして、政府はテロとの闘いから逃げてはいけないと盛んにおっしゃいますね、しかし、今度の新しい法案でテロとの闘いに対する日本の参加の機会といいますか可能性といいますか、そういうものは大幅に後退していますね。

 現行の特措法では、これは石破大臣が最近おっしゃっていますメニュー法、三つのメニューの中から、協力支援活動、捜索救助活動、そして被災民救援活動、少なくともこの三つの活動ができる、そこから政府が何かを選んでいく。今回は補給活動を選んだわけですけれども。そして、九・一一関連のテロ事案であれば、あらゆるテロ事案に対して日本は関与することができた、現行法では。しかも、活動区域も特段に制限はなかったですね、法律上は。詳細は基本計画で、政府の裁量で定める、こうなっていました。

 テロは世界で起こる、いつ起こるかわからない、テロとの闘いは息の長い活動だ、総理もおっしゃっている。瞬時に対応しなきゃいけない。しかし、にもかかわらず、今回の新法案、今度の法案では艦船への補給活動しかできない。しかも、海上阻止行動をしている艦船に対する補給活動しかできない。しかも、インド洋でしか活動ができない。しかも、一年。総理、こんなに手足を縛って大丈夫なんですか。総理、こんな縮みの思考でテロとの闘いに本当に日本がきちんと対応できるんですか。(発言する者あり)

 聞いてください。東南アジアでテロが起こった、東南アジアでテロが起こったときに日本は対応できるんですか。あるいはスーダンにアルカイダの基地が発見された、アメリカが活動を始めた、日本はそれに対して対応できるんですか。また特措法をつくるんですか。我々は一般法でいくべきだとずっと言ってきた。総理、今度の法案は余りにも視野が狭過ぎる。いかがですか。

福田内閣総理大臣 今回の新法につきましては、ただいま御審議いただいている新法につきましては、今までの自衛隊の活動、またアフガニスタンを中心とする環境から考えて、この分野の仕事が一番日本の仕事として適切である、こういう判断にしたんです。そしてまた、期間も一年というようになっておりますので、延長という条項もございますけれども、とりあえず一年ということであれば、この業務を継続実施するということで国際社会に対する協力というものは十分果たし得る、我が国の役割として、というような考え方で活動の範囲を狭めたわけですよ。

 そして、今委員の御指摘されるようなほかの、いわゆるテロとの闘いという広い概念ということになりますと、この法律ではできないんですよ。前のテロ特措法でもできないんですよ。ですから、もしそういうようなことがあるならば、ほかの地域でそういうようなことがあるならば、それは特別措置法をつくるしかないんです。もしくは、今委員おっしゃったような一般法をつくる、こういうことなんですね。

 この一般法をつくることにつきましては、イラク特別措置法を審議する過程において、私は官房長官として、担当大臣として随分答弁しました。そのときに、一般法をつくったらどうかという御意見は、たしか委員からもありましたよ。多くの方々からそういう御要望をいただきました。民主党の方々が中心ですよ。そういうふうなことがありますので、これは今後の課題でございます。大事な課題だというように考えておりまして、そういう機会をなるべく早くつくらなければいけないと思っております。

長島(昭)委員 テロの関連地域というのはアフガニスタンだけではありません。御案内のとおりですね。ですから、やはり私たち立法府は早く一般法の議論に取りかかっていかなければならぬ。私は、この委員会で今やる議論は、本来であればそういう議論をやるべきだと今でも思っています。こんな、ある意味で視野の狭い法案をやるような委員会では実はないと思っているんです。

 その上で、一番肝心な問題に行きます。それは、国会関与の問題です。国会の関与の問題です、総理。今回の新法案は、国会関与を大幅に後退させました。

 石破大臣に特にお伺いしたい。石破大臣は、シビリアンコントロールを非常に重視されている方だと私は常々思ってきた。そして、国会を通じての民主的コントロールも、これまた非常に重要。今や、先ほど来話があるように、自衛隊に関する限り、行政府のシビリアンコントロールはほとんど破綻しているんですよ。だからこそ、国会の、国会による民主的コントロールが非常に重要なんだ。しかし、今回はその手続を省いてきましたね、総理。どういうことでしょうか。国会関与規定が全くなくなったことを説明してください。

町村国務大臣 ちょっと我が方もパネルを使わせていただきますが、委員は全部を御承知の上での御質問なんだろうと思いますけれども、確かに委員言われたように、三つの活動、協力支援活動と捜索救助活動と被災民救援活動、このうち二つ今回削除しました。そして、協力支援活動のうち、黒い字で書いてある補給だけにしました。

 おっしゃったとおり、こんなに絞っていいのかという御指摘は私もある意味では賛同いたしますが、少なくとも今回の法律ではこう絞りました。実施場所もこうやって絞りました。そして、これらのことはこれまでの法律ではいずれも国会承認にかからしめていたわけです。今回は全部この必要なことを法律に書いたんです。

 法律に書いた上でここで御議論をいただいているということは、この法案が通った後、事前あるいは事後に承認を受けるということ以上に、国会を尊重しているからこそ、まさにこの法案の審議の中でここをお決めいただくことがはるかに重要なことなんだということでございまして、決して国会軽視であるとかシビリアンコントロール無視であるということではないということをぜひ御理解ください。

長島(昭)委員 済みません、そのパネル、ちょっといてください。

 あのパネル、最後の結論のところ、「現行の国会承認事項は、全て法定」されていると書いてありますね。官房長官、それはうそですよ。しっかり読んでください。

 大体、自民党の法案審査がこれで通っているというのが私は信じられない。河野議員だけが、この国会承認がないのはおかしいと彼一人が反対したそうですけれども。私は、非常にこれはゆゆしい問題だと思います。

 何か。私たちが現行法に基づいて国会承認をする際には、その前に閣議決定されている基本計画を参照しながら国会承認を行うんですね。

 基本計画に何が書いてあるか。一つは、基本方針、活動の種類、内容、実施区域の範囲、これは今回法定されています。もう一つ、派遣部隊等の規模、構成、装備、派遣期間、この規定は、今までは基本計画に盛り込まれて、我々承認をする国会議員はそれを参照しながらこれは適切かどうかを判断していた。しかし、今回、法律に書いてないじゃないですか、そんなこと。いいかげんなことを書かないでください、こんなパネルに。

町村国務大臣 しかし、部隊の規模等々は国会の承認事項ではありませんよ。いいですか。確かにそれは一定の背景としてあるのは事実ですが、しかし、国会の承認事項ではないということは、今委員みずからお認めになったじゃありませんか。

長島(昭)委員 国会の承認事項かどうかが問題ではないんです。我々国会議員がどういう情報に基づいて承認行為を行うかどうかが問題なんです。そうでしょう。まさにこの問題なんですよ。この問題が一番重要なんです、国会承認の。

 そして、このテロに関する新しい法律案も、これを皆さん見てください、(パネルを示す)日本の安全保障に対する法体系です。自衛隊法から始まって、PKO協力法、周辺事態安全確保法、テロ対策特別措置法、現行法です、イラク人道復興支援特別措置法、全部国会承認があります。全部国会承認がある。PKOも事前の国会承認、PKFの本体業務に対してある。全部あるんですよ。

 日本の安全保障の法体系というのは、石破大臣がこれは日本だけだというふうにおっしゃいましたけれども、日本の伝統として、きちんと国会のコントロールに服させるという原則があるんですよ。今回の法律案はこれを踏みにじっているんです、壊しているんです。総理、どう答えますか。(発言する者あり)これは一番の心臓だ。

町村国務大臣 それぞれの法律において私どもは必要なことを国会で御審議いただいているということで、その後、必要な承認というのがあることも、確かに御指摘のとおり、あります。

 しかし、今回は、ごらんのとおりに、今まで国会で審議をいただき、承認をいただいていた事項を全部法律に書いているんですから、その必要がないということ。これでまたもう一度国会承認では、一体何を承認事項に係らしめるんですか、それを明確に教えていただきたい。

長島(昭)委員 効果が全然違うんです。いいですか。法案の可決は、例えば衆議院で可決をして参議院に送る、参議院が否決したら衆議院に送り返される、三分の二の可決で衆議院が通りますね。第二番目のパターンとしては、衆議院で可決、参議院がサボタージュして六十日間いったら、衆議院の議決が優先されるんですよ。

 しかし、承認事項はどうですか。衆議院と参議院双方の承認がなきゃできないんですよ。だから全部承認にしているんですよ、今までの日本の安全保障法体系は。これを踏みにじってはいけないんです。ここが文民統制の、デモクラティックコントロールの一番の要諦なんです。石破大臣、どう答えられますか。

石破国務大臣 この法案を審議する上において、この点、長島議員と本当によく議論をさせていただきたいと思っております。

 先ほどの部隊の規模等々についてどうなのだ、派遣する部隊の規模、装備及び派遣期間等、実施上の必要な事項というのはどうなのだということでございます。ここの部分をどうするのかということなのですが、これが条文になじむものなのかどうなのか。部隊の規模ですとかそういうものを条文に落としていくということが、法技術的にどうなのだろうということになるのだと思っています。

 そうなったときに、では、どうなんだ。まさしく今官房長官からお答えがありましたように、当然、どんな部隊を出すんだという御質問はあるでしょう、与党からも野党からも。これぐらいの規模です、こういうような装備を持っていきます、あるいは派遣期間はこのようなものでございます、そういうようなお答えをすることによって担保されるのかされないのか、それが条文上どうなのかという点につきましては、私どもは今申し上げたような考え方を持っておりますが、それでは文民統制上不十分であるということが委員のお立場だとすれば、それは議論をさせていただきたいと存じます。

長島(昭)委員 もう時間がないので、これは石破大臣とこれからも、また総理とも議論をぜひさせていただきたいと思います。

 私は、石破大臣がこの法律づくりに加担されているということは本当に信じられないですね、はっきり言って。私は、法律に書き入れろと言っているわけではないんですよ。法律になじまないからこそ、基本計画できちんとやって、国会の承認にゆだねたらどうか、こういうふうに申し上げているだけなんですね。総理、ここはこの法案の一番の核心部分ですから、ぜひこれからもお考えいただきたい。一言ございますか、コメント。

町村国務大臣 すべてわかった上で長島議員が言っておられるので大変不思議なのでありますけれども、今までの法案でも部隊の規模等々は国会の承認事項ではなかったんです。なかったんです。そのことをよく御承知おきください。

長島(昭)委員 きょうはもうこれでやめますけれども、またあした、あさって、引き続き質疑をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて渡辺君、近藤君、田嶋君、古賀君、三谷君、伴野君、長島君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮でございます。

 総理、今、国民は、昨日の守屋前防衛事務次官の証人喚問を見て怒り心頭であります。さまざまな疑惑が一層深まったと。国民にとっては、年金も税金も上がる、医療費、障害者の負担増、そして介護も大変、若者にも仕事がない、商売もそれから農業も上がったり、こんなに暮らしが大変なときに軍需関連企業から二百回以上もゴルフ三昧の接待を受けていた。

 守屋氏は証言の中で便宜供与はなかったと否定しましたけれども、まさに不自然きわまりないですよね。見返りを期待しないでこれほどの接待をする企業があるだろうかと、みんな見て思いました。しかも、うその証言をすれば偽証罪が問われる場で、政治家、そして防衛庁長官経験者まで一緒に接待を受けていたという証言は重いものがあると思います。知らない、記憶にないというふうに経験者の方のコメントが次々とテレビでも映っていましたが、それで済まされる話ではないと思います。まさに、こうやって防衛行政をねじ曲げて莫大な税金を使ってきたという疑惑は濃厚であります。

 この軍事大企業をめぐる癒着問題、関連する問題にメスを入れろ、そして、年間五兆円にも上る防衛費、軍事費の問題で、これにメスを入れて暮らしや福祉に回せ、まさにこういう声が国民の中から高まるのも当然であります。

 総理、これらの大臣経験者を含む、防衛庁長官経験者を含む、政治家を含むこういう疑惑について、やはり総理みずからが、自民党の総裁でもいらっしゃいますので、特別の体制をとって、これは優先課題、最優先課題として徹底究明すべきじゃありませんか。いかがですか。

福田内閣総理大臣 昨日の証人喚問を私よく見ていなかったんだけれども、しかし、その後のニュース等で聞いておりまして、怒っている部分は私も怒っていますよ、本当。ですから、このことについては、どういうことが起こったのか、事実関係、徹底的な究明をすべきだというように思います。今、防衛大臣が中心になってその究明、調査をしておるところでございますので、その状況を見ながらいろいろと判断してまいりたいと思います。

笠井委員 総理、怒っているとおっしゃったけれども、怒りは当然だと思うんですが、そういう形で、人ごとでは済まされない。つまり、客観的、第三者的な発言では済まされないと私は思うんですよ。やはり、まさにこの究明という点でいきますと、人ごとではないということで、もっと責任を感じていただく必要があるというふうに思います、総理・総裁として。まさに、九・一一のあのテロ事件の直後やテロ特措法が問題になったそういうときにも、毎週のようにゴルフをやっていたということが次々と明らかになっている。

 私、申し上げたいんですが、国益というのを私益というか個人の利益が食い物にしていた、まさに、このことをしっかり確かめもせずに、対処もせずに、なぜ国益が語れるのかという問題が鋭く問われていると思います。

 防衛省に調べてもらってというふうにおっしゃいましたが、まさにこういう今の瞬間というのは、防衛省が調べるだけじゃなくて、総理御自身が、防衛庁長官経験者に直接ただすことも含めて、徹底究明に乗り出すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。もう一回御答弁お願いします。

福田内閣総理大臣 事実の究明ということについては、防衛大臣一人だけでも無理ですよ。やはり、つかさつかさで、皆さんの力をかりながら調査究明する、事実関係の究明をするということが必要なのでありまして、今、防衛大臣が中心になってその調査を進めているわけでありますから、その結果をまずは見たいと思います。

笠井委員 総理御自身が、防衛庁長官経験者に直接、どうだったんだ、あなたはかかわって、行ったんですかということをお聞きになるつもりはないんですか。

福田内閣総理大臣 私自身がそういうことをしなくても、事実関係はだんだんわかってくるようになるでしょう。私が、中谷・元防衛庁長官に対して、何だなんて、こういうふうなことを言うのも大変失礼な話だと思いますよ。

 しかし、それは、ですからそれでいいというふうに言っているわけではないのであって、私も重大なる関心を持ってこの事態を見守っていきたい、こう思っております。

笠井委員 経験者に失礼とかいう問題じゃないんですよ。国民は怒っているんです。だって、こんな問題が解明されずにやっていたという話ですから。だから、そういう点では、総理が国民の目線とおっしゃった、そうであるなら、こういう問題でこそその立場に立って本当に乗り出す。やらなかったら、やはり変わっていないんだ、自民党政治はという形でますます見放される、こういうことになると私は思います。

 もう一つ、証人喚問で、海上自衛隊による給油量の隠ぺい問題についてもいろいろなことが明らかになりました。二〇〇三年にイラク戦争に従事していた米空母キティーホーク、この艦長が海上自衛隊から八十万ガロンの給油を受けたと発言した際に、福田総理は当時官房長官でいらして、官房長官として、防衛庁が米側に確認して、イラク戦争には使っていない、二十万ガロンだから一瞬にしてなくなったというふうに発言をされていました。

 ところが、昨日の守屋前次官は、八十万ガロン、二十万ガロンの事実を確認したんじゃなくて、テロ特措法の趣旨を外れていないということを米側に言ってほしい、このように米側にお願いしたというふうに証言したわけであります。

 総理、ということは、当時、日本政府としては、官房長官でいらして、米政府に八十万か二十万かも確認していない、そして、あの空母の、問題になった前後の作戦行動も確認していなかった、こういうことですね。

福田内閣総理大臣 私が官房長官のときに、二十万ガロンと発言したことは事実です。これは、私の記者会見の記録に残っております。ただし、その情報はすべて防衛庁からもらった資料に基づいて発表しているわけでありまして、私の方で創作したことはありません。

 それ以外の事実は、私は承知しておりません。

石破国務大臣 私、当時防衛庁長官でございましたが、転用ということはありませんねということについて確認を行ったということが実際のところでございます。

笠井委員 だから、ちゃんとそういう問題を確認していなかったということなんですよ。一体だれに何を確認していたのかという問題、極めて重大な問題も明らかになりました。

 当時、米側には具体的に確認もしていないのに、昨日防衛省から提出されましたこの中間報告というのがございます。これを見ますと、八十万ガロンというのはイラク戦争ではなくアフガニスタン作戦にすべて使われたのは事実だと断定をして、確実と断定して居直っているという立場であります。

 これは、私、政府、防衛省だけにこの問題の調査は任せられないと思うんです。国会で徹底究明が必要だ、不可欠だと思います。守屋氏の再喚問、そして当時の海幕防衛課長ら関係者の当委員会への証人喚問を要求したいと思います。委員長、理事会に諮っていただきたいと思います。

深谷委員長 理事会において諮ります。

笠井委員 その上で、問題は、そもそも自衛隊はこの六年間、米軍など、どういう行動をしている外国の軍艦に対して給油活動をしてきたのかという問題であります。

 米国防総省は、十月の十九日にこういう声明を発表しました。不朽の自由作戦に日本が給油する燃料の使用について、ここにその文書があります。米大使館から日本語訳も来ているし、英文も後ろについています。

 この中で、日本が補給した燃料の追跡についてという項目がありまして、こうあります。日本が補給した燃料を、米国艦船に給油された時点から消費されるまで、任務ごとに追跡することは、以下の理由により複雑な作業となる。三つ書いてあります。

 一つは、海上自衛隊が補給した燃料をほかの燃料と分けて別のタンクに貯蔵することは行っていない。ほかから補給された燃料とまざると。二つ目に、海上自衛隊の燃料がまず別の補給艦に給油されそこからほかの艦船に給油されることは海軍作戦行動においては一般的であり、その場合、用途を説明する作業はさらに複雑になると。三つ目に、加えて艦船は複数の任務につくこともあると。このように書いていると私は読んでいるんですけれども、防衛大臣、そのとおりですね。

石破国務大臣 そのように書いてあると認識をいたしております。

笠井委員 実際に、この自衛隊の補給艦が給油しているアメリカの第五艦隊というのがありますが、これについて、米国防総省の発表では、この艦隊は三つの任務、すなわち、一つはイラク作戦、もう一つ、二つ目にはアフガニスタン作戦、三つは海上行動を一体のものとして、インド洋、ペルシャ湾に展開をしているというふうに言っております。

 私、アメリカの海軍のホームページから、この任務を持って派遣されている米攻撃艦隊の派遣の期間を整理いたしまして、資料として配付をさせていただきました。資料の一をごらんください。パネルも用意しました。

 ここにありますように、ブッシュ大統領が勝利宣言をした一年後、イラクの暫定政権ということで、それに主権が移譲されたというイラクの情勢がありました。その二〇〇四年五月以来、こういう形で、現在までの三年半の期間でありますけれども、実に二十三もの艦隊が切れ目なくこの地域に派遣をされているというのをまとめたのがこの表でございます。この艦隊のシアーズ司令官は、我々は今三つの戦争、イラク、アフガニスタン、テロ、これに従事をしていると強調しております。参議院の予算委員会の審議の中でも取り上げた、自衛隊が給油した米軍艦のイオージマというのがありますが、これらの艦隊もこの三つの任務をやるということで、米軍が確認をしてきたものであります。

 そこで、総理に確認したいんですけれども、自衛隊の補給艦がテロ特措法で給油してきた相手の米艦隊艦船がそういう三つの任務を持っているということは、当然、日本政府としては承知をしていたわけですね。総理、いかがでしょうか。

石破国務大臣 複数の任務を持つことがあり得るということは、これはこの法律の審議、あるいは審議のときに言われたかどうか私存じませんが、前に長官を務めておりましたときに、複数の任務を持つことはあり得るということはこの場で答弁をいたしております。したがって、そういうことはあり得ると認識をしております。

笠井委員 複数の任務という一般的な問題じゃなくて、日本が給油した相手の、アメリカの場合ですよ、米軍の艦船の行動部隊ですから、それが三つの任務を持っていたということをきちっと知っていたかどうかということであります。はっきりそれを答えてください。

石破国務大臣 私どもが行わねばならないことは、我々の補給いたした、国民の税金によって賄われている燃料というものが、OEFというもの、法律にのっとって使われているかどうか、そのことはきちんと明らかにせねばならない、そういう立場でございます。

笠井委員 それは驚きですね。相手が全体として何をやっている、そういう軍艦なのかと、どんな行動をやっているかも知らないで、日本がやっているのはこれですと、そんなことで本当に許されるんですか。

石破国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、私たちは、OEFというものにこの燃料が使われているかどうか、ですから、先ほど、アメリカに確認したのも、ほかの目的ではなくOEFというものにきちんと使われているかということをアメリカ政府に確認をしたという場面が出てまいりました。それと同様に、私どもは、自分たちの油というものが法律に定められた趣旨のとおり使われているかどうか、そのことはきちんと確認する責任があるということを申し上げているのでございます。

笠井委員 石破大臣ともあろう方が知らないはずないんですね、これ。では、相手の艦隊がどういう任務を持っていたかというのを知らなかったんですか。知らないけれども、その一部で、OEFでやっているから入れているんだ、それ以外何をやっても関係ない、そんな、関知しない、知ろうともしない、確認もしない、こういう立場でこの六年間やってきた、これが日本の政府の立場ですか。

石破国務大臣 この活動というものが法にのっとって行われているか、そのことは日本政府としてきちんと確認をせねばならないことだということを申し上げているのでございます。

笠井委員 答弁になっていませんね。三つの任務を持っていたことを知っていたか知らないかと聞いているんですから、はっきり答えてください。知らなかったんですか。

石破国務大臣 それは、補給を行いますときに、これはいいんですね……(笠井委員「そうじゃなくて、相手の任務です」と呼ぶ)いやいや、まあ聞いてください。

 交換公文を結びますね。そしてまた、現場で確認をいたしますね。現場で確認をするのは、何の任務に従事しますか、OEFの任務、それがきちんとありますね、そして、それに使う量はどれぐらいですかということをきちんきちんと確認をしながら、何に使われるかわからない、とにかく、言い値で言いなりの量を出す、そんなことはいたしておりません。

 これがOEFにきちんと使われているかということは、それは冒頭、渡辺委員に対する答弁で申し上げたかと思いますが、先日、寺田政務官が現地に行っていろいろなことを確認してまいりました。そのときに、アメリカのみならず、参加する各国とも、日本がこういう法律に基づいて補給を行っている、したがって、OEFというものに使われる、そういうようなことでなければならないというのは、被補給国といいますか、補給を受ける国全部の周知の事実となっておる、そういうような事実確認というものもきちんと行いながら補給をしているということをぜひ御認識いただきたいと存じます。

笠井委員 知っているか知らないかというふうに伺っているのに、それも言えないと。国防総省は発表して言っているんですよ、三つの任務を持っていると。軍事の常識なんですよ、それ。それを、相手がどんな行動をしているかも、知りもしないのか、知ろうともしないのか、知っているけれども言いたくもないのかわかりませんが、確認もしないで給油していた、ただただこの部分と。

 知っていて言わなかったんだったら重大ですけれども。およそ、軍事の常識、いつも言われます、石破さん。そういうことがわかっているんだったら、そんなことあり得ないはずなんですよ。なぜ言いたくないのかというところに私は重大な疑問を感じます。そういう任務があるということを何で認めないのかと。

 それでは具体的に、これらの米軍艦船の中で、日本の佐世保を母港にしているエセックス、こういう軍艦がありますが、これを中心にした艦隊の活動を実際に見てみたいと思います。

 これもアメリカ海軍のホームページに掲載されておりますが、これを整理したのがお手元の資料二でございます。パネルでもここに持ってまいりました。このエセックスというのは、四万トン余りの世界最大規模の強襲揚陸艦の一つでありまして、ここにありますように、合わせて四隻で行動しております。水陸両用の即応攻撃部隊ということで行動している。

 これらが沖縄で二千二百人の海兵隊員の部隊を乗せて沖縄のホワイトビーチを出航していったのが、二〇〇四年八月二十三日でございます。このエセックスに搭載するために、昼夜突貫の仕事、準備作業の中で、二〇〇四年八月の十三日、普天間基地所属の米軍ヘリコプターが沖縄国際大学に墜落をいたしました。

 総理、当時は官房長官をやめられたその二カ月ぐらい後だったと思うんですけれども、この事件は覚えていらっしゃいますか。ヘリ墜落事故です。

福田内閣総理大臣 かすかに覚えています。

笠井委員 かすかというのはちょっと、沖縄県民は本当に怒り心頭だったんですよ。大変な屈辱的な事件だった。私も現場へ行きました。

 総理大臣、官房長官もやられて総理大臣になられるわけで、そういうことを、かすかにということじゃなくて、やはりしっかり沖縄県民の気持ちを受けとめて、覚えておいてもらいたいと思います。

 事故からわずか九日後でありますが、事故報告書が出るはるか以前にもかかわらず、沖縄県民はもちろん、国民的な激しい怒りと批判、それから、日本政府も制止しました。しかし、それも振り切って、八月二十二日に事故機と同じ型のヘリ六機が普天間飛行場から飛び立って、大問題になりました。

 外務省に伺いますが、私の確認した範囲ですが、当時、海老原北米局長が、このエセックスが沖縄に寄港した目的について国会でこういうふうに答弁しています。沖縄の海兵隊の一部をイラクに展開せしめるということになったが、そのときにヘリコプターも一緒に海兵隊とともにイラクに輸送するために入港していたと。そして、さらにこう言っています。普天間からこれらのヘリ六機はイラクでの米軍の作戦に向かうために飛行したと承知していると。

 外務省に確認しますが、こういう答弁をしたということは間違いありませんね。

西宮政府参考人 その部分の答弁は持ち合わせておりませんが、そのとおりだというふうに理解いたします。

笠井委員 このエセックス遠征群という艦隊は、イラクでの米軍作戦に向かうために当時沖縄から出航した。日本政府は、こういう任務を当時から承知していたということであります。

 実際にこのパネルをごらんいただきますと明らかなように、資料二でありますけれども、このエセックスの艦隊というのは、二〇〇四年の九月十日からペルシャ湾でイラク石油基地防衛などの任務に従事し、そして、それに一緒に乗っていた海兵隊の遠征隊は、ファルージャの激戦がありました、イラクのファルージャで数千人とも言われる市民を虐殺した、殺りくしたという作戦に参加をしています。翌年に入ってもイラク作戦などに参加をしまして、二月二十七日には再びイラク本土から海兵隊員が船に戻ってきて、四月上旬に沖縄そして佐世保に戻ってきた。

 総理、この問題でいいますと、この艦隊の軍艦ジュノーに、自衛隊の補給艦「ましゅう」から、ここにありますように二度の給油を行っているわけですけれども、当時、日本政府は、相手がイラク作戦ではなく、アフガニスタンの海上阻止行動としてどんな活動をしていたと承知しているんでしょうか。答弁願いたいと思います。

石破国務大臣 ジュノーについてのお問い合わせであったかと思います。

 そのような報道が、既に、平成十七年、二〇〇五年でございますが、四月の国会において議論がなされているというふうにこれは承知をしておるところでございます。

 これの事実関係でございますが、申し上げれば、二〇〇五年当時、テロ特措法に基づきインド洋に派遣されておりました「ましゅう」、私どもの補給艦は、この年の一月十七日及び二月二十三日に、このジュノーに対しまして燃料補給を二回実施いたしております。

 このアメリカのジュノーが、我が国からの燃料提供の際、不朽の自由作戦、OEFに従事中であったということにつきましては、当時、外交ルート及び部隊の命令系統を通じまして、アメリカに確認をしておるところでございます。

笠井委員 アメリカに確認したと言われました。外交ルートと部隊の命令系統と言いましたが、いつ、だれが、どういう形で確認をして、どういうふうな確認が来たんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 こういったホームページにいろいろな記事が掲載されたり、今までも国会ではいろいろな議論がございますけれども、そういったものにつきましては、私どもが補給した状況については、私どもは、どの海域でどういった量のものをどういう船に補給したかということは確認をしておりますので、そういったことをベースにいたしまして、その後の艦艇の行動について、それぞれ現地の大使館に連絡をして確認する。それから、米側の在京の、例えば米国大使館であれ、いろいろな確認方法がございますけれども、きちっと、外交一元化ということもございますので、外務省の方を通じて現地で確認をしているということでございます。

笠井委員 だから、この二回については、いつ、だれが、どのような形で確認をして、何という回答が来たかと聞いているんです。

高見澤政府参考人 当時議論されましたのは、平成十七年の四月二十八日の参議院の外交防衛委員会でございます。その場でそういうふうにお答えをしておりますので、その段階で確認をしていることは間違いがないと思います。

笠井委員 そういうふうにお答えしていますというのは、何か一般的な話でしょう。私は具体的に聞いているんですよ、石破大臣。

石破国務大臣 ただいま運用企画局長からお答えをしたとおり、そのような外交ルートを使いまして、外交の一元化という観点もございまして、外務省におきましてそれにふさわしい確認の仕方をしているというふうに承知をいたしております。

笠井委員 国民の皆さんがこれを聞いたって、ちっとも納得しませんよ。OEFに入れている、不朽の自由作戦でアフガニスタンだけに限定しています、確認はしましたということを抽象的に言われたって、今問題になっているのは、さんざん資料を提出するという問題になっているのは、具体的な問題でしょう。そこを出さなかったら、だれも納得できないですよ。

 幾ら、限定している、確認しましたと言ったって、その確認自体がこの間、証人喚問も含めて、おかしいということが問題になっているわけですよ。きちっと確認の資料を出してください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これまで、平成十九年八月三十日までの段階で七百七十七回の補給を実施しておりまして、その件につきましては、総理が御答弁で国民の理解に資するようにきちっとした調べをするということではできるだけの情報開示をするという御指示をいただいておりますし、防衛大臣からも、その七百七十七回の艦船の補給した先の行動について、できる限り資料を探って、そしていろいろな、まさに米側の発表にもありますけれども、その動向をきちっと追いかけるということはかなり時間を要する、あるいはいろいろな資料を探してやる作業でございますけれども、それをやっておるということでございます。

 いずれ国会の方に御説明をするということで進めているところでございます。

笠井委員 いずれと言ったって、法案審議で早く通せと言われていて、いずれじゃどうしようもないですよ。

 七百七十七回やるのは大変です、膨大な作業と言われました。私は、今具体的に、このジュノーに対して入れたという二回について聞いているんですから、これについては、いつ、だれが、どういう形で米側に確認して、どういう回答が来て、これに限定しましたとかしないとかいうことがあったかという資料をぜひ当委員会に提出していただきたい。

 委員長にそれをお願いしたいと思います。

深谷委員長 理事会において資料について検討いたします。

笠井委員 先ほどの運用局長の答弁を聞きましても、結局、先ほど大臣言われましたが、不朽の自由作戦に限定しているというふうに幾ら言われても、それが説得力ある裏づけをもって答弁がなかったわけです。まさに、そういう点では、限定しているといっても、国民から見たら、そんな限定をどうやって確認できるか。できないという問題が浮き彫りになったと私は思います。まさに説得力がないんです。

 パネルをごらんください。資料二です。

 このエセックスの部隊ですけれども、十二月の二十三日、イラク作戦に参加をして、そしてジュノーに乗船し、イラク作戦で戦死をした六人の海兵隊員を弔うセレモニーがこのジュノー艦上で行われました。二〇〇五年の一月十七日に、自衛隊の補給艦「ましゅう」から四百三十八キロリットルの給油を受けたジュノーは、翌十八日から二十五日にかけてペルシャ湾でイラク作戦と海上行動を実施ということで、米軍の側が明らかにしております。そして、二十七日には、海兵隊員が、先ほど言いましたけれども、イラク本土からそれぞれ船に帰ってくる、それを始めて、そして、イラクに派遣されて戦死した海兵隊員五十名を弔うセレモニーがこのエセックスの艦上で行われているわけであります。

 こういう事実経過こそ、冒頭大臣も確認しましたが、アメリカ国防総省の声明にもありますように複数の任務についており区分けするのは困難という実態、こういう任務をもってこういう活動をしている米軍の艦船に対して給油をしていたということが明らかになったというふうに私は思うんです。

 総理、これは、かつてそうだっただけじゃないんですね。ことしに入っても、例えば、二月十九日から六月二十二日まで作戦展開をしました空母ステニスを中心にした艦隊がございますが、これを見ますと、派遣された四カ月の期間の間にペルシャ湾とアラビア海を三往復しているんですね。三往復しているんです。そして、イラク作戦とアフガニスタン作戦を反復してやっている。こういう行動を四カ月やっているということをアメリカ側が明らかにしています。

 このような米空母など米攻撃艦隊は、数カ月単位でこの地域に派遣されているわけですね。数カ月単位で訓練をし、数カ月単位でローテーションを組んで、こうやってずっと派遣してきた、これまで三年半に二十三回。そして、それだけじゃなくて、今後も、二〇〇八年一月には空母ニミッツの艦隊が派遣をされる、そして、その後、強襲揚陸艦ナッソー、この艦隊が派遣をされる、さらに、ナッシュビル、こういう艦隊が投入される。もう次々、ローテーションで、先の先まで決まっているというのがアメリカの作戦であります。

 このように、イラク、アフガニスタン作戦、そして海上作戦、この三つの任務を一体的に遂行して、イラクでも作戦を組んで、そして民間人が命を奪われている、アフガニスタンでも多数の民間人の命が奪われているという掃討作戦をやっている。そういう全体としての部隊に対して引き続き給油をしていこうというのがこの新法案にほかならないと私は思うんです。事実が明らかだ。

 総理、こうした憲法違反の戦争支援の新法というのは撤回をする、そして、給油活動は直ちに中止をして、自衛隊をインド洋から撤退させるべきだ、こう思うんですけれども、いかがでしょうか、総理。

石破国務大臣 憲法違反ということでございますが、なぜ憲法違反でないかということをるる申し述べましても、余り委員の御質問には適合しないのだろうと思います。ですから、いたしません。

 私どもの補給艦がアメリカの補給艦だけに補給をしているのではないということは予算委員会でも御説明をいたしておるところでございます。量におきましても、ましてや回数におきましても、アメリカ以外というものが過半を占めるに至っている、多数を占めるに至っているということは御認識をいただきたいし、委員も御承知の上でお尋ねになっておられるんだろうと思います。

 もう一つ、アメリカの船というものが複数の任務に従事をしておるということは、政府は当初から申し上げておることでございます。その中にOEFというものがあるということも、交換公文において、そしてまた現場においてきちんと確認がなされているということでございまして、そういうような、委員が御指摘のようにアメリカの戦争に加担するものだなどということであるとするならば、私ども交換公文を結ぶ必要もございません、現地で一々確認をする必要もありません。そして、私どもから補給を受ける側の各国の艦船が、あるいはその指揮官たちが、この油はOEFのためにしか使っちゃいかぬのだよということを終始徹底しているということが、まさしく私どもの法の趣旨にのっとった使われ方がされているということの大きな証左だと私は思っております。

笠井委員 私に対する答えになっていないと思うんですね。アメリカだけではないと言うけれども、まさにそれは答えじゃない。入れてきたことについて私は聞いているわけですから。そういうことをやってきたことで、もうまさに三つの任務一体だということで言ったわけです。

 しかも、大臣は今、これは限定している、確認している、だからいいんだというふうに繰り返しまた言われましたが、先ほどやりとりしました。この具体的な問題の、エセックスのジュノーに対して二回入れたことについても、いつ、だれが、どこで、どういう確認をしたかという資料も出せないわけですよ。そうでしょう。出さずに、あとは信じてくれ、日本はアメリカを信じていますと。アメリカも、この声明の中で、我々は転用していないと信じていると。だれを信じればいいか、こういう話になっちゃうんですよ。

 まさにそういう問題で、だからこういう問題できちっともう、この六年間振り返って、やめるべきだ、私はこう言っているわけです。

石破国務大臣 笠井委員が石破防衛大臣など信じられぬとおっしゃるのは、それはお立場としてそうなのかもしれません。あるいは、アメリカ合衆国も信じられぬというのは、そのとおり、委員のお立場としてはそうなのかもしれません。

 ただ、私は、累次申し上げておりますが、先ほど運用企画局長もお答えをいたしましたが、なぜ七百七十七回というものを調査しているのか。アメリカ合衆国としては、先ほど委員が御紹介なさったような、そういうような見解です。なぜそのようなことを全部確認するのか、我が国は、アメリカ合衆国は日本の言うとおりOEFにしか使っていない、もうそれでいいじゃないか、おれが信じられぬのかみたいなことなのかもしれません。

 しかし、私どもとしては、これをさらにきちんと調べるために、七百七十七回の記録を全部見て、私が着任しましてからほぼ一カ月、その全件調査ということのために、何度も何度もアメリカと確認をし、そしてアメリカの現場のアーカイブズにも出向き、何度も何度も折衝をして資料を出し、あるいは、場合によっては、世界じゅうあちらこちらに展開しているアメリカの船からも資料を取り寄せ、今、七百七十七回すべてについて、必要な確認の最終段階に入っておるところでございます。私たちは同盟国ではありますけれども、きちんとした確認をするということは、同盟国との間においてあるべきことだと思います。したがいまして、そういう作業をいたしております。

 いつ、どこで、だれが、どのようにということまできちんと明らかにすることができるかどうか、私、今そのことについての確かな知識を持ち合わせませんが、アメリカのいろいろな資料を全部点検しながら、OEFに使われたということをお示しするべく、今作業をしておるところでございます。

笠井委員 私、石破大臣を信じる信じないという世界の話をしているんじゃありません。大臣がきちっと根拠を持って、証拠を持って、具体的裏づけを持って資料を出されて、納得すれば、それは信じるのは当たり前です。だけれども、それを出されない。七百七十七回あるから大変なんですと言われますけれども、これは私思うんですけれども、これまで六年間七百七十七回、一回一回きちんと確認をして、資料も裏づけもちゃんととっていればファイルがあるはずです。そしてすぐ出るはずです、だれと、どう確認したか。

 今、新法にするかどうするかという問題になって、国会でもいろいろな問題、追及される、国民からも疑問が出る、それで慌てて六年間を振り返って七百七十七回を調べ始めた。これまでちゃんと確認していたのかどうか、していないでやっていたんじゃないかと疑われても仕方がない、こういう問題になると私は思うんです。私、そういう性格の問題だとして提起しておきます。

 そして、この海上阻止行動、その上に立ってやっている、これからも続けようとしている。この間の政府の答弁を伺っていても、テロとの闘いというふうにおっしゃって、この海上阻止行動への参加に消極的で、参加をやめて撤退をすれば世界から孤立するかのように繰り返し言われております。私、これはとんでもないと思うんですよね。

 資料三をごらんいただきたいと思います。パネルにいたしました。いわゆるアフガニスタンでのテロとの闘いということで、軍事行動に参加している国々の状況、参加国の状況をまとめたものでございます。

 見ますと、国連加盟国百九十二ありますけれども、これらのうち、米軍主導のアフガニスタン不朽の自由作戦、これに参加しているのは二十カ国であります。うち、自衛隊が参加している海上阻止行動、これには八カ国ということであります。しかも、このうち、現時点でいいますとカナダとニュージーランドは一時撤退している。先ほど高村大臣は、カナダは間もなくまたフリゲート艦という話はありましたが、現時点でいうと八マイナス二ということになっております。

 政府自身も憲法違反だと言って、参加できないと言っている国際治安支援部隊、ISAF、ISAFとよく言われるようになりましたけれども、これについても三十七カ国という状況です。地方復興チームは二十七カ国。これは国連加盟国からするといずれも圧倒的に少数なわけですね。

 それで、総理のおっしゃってきたような言い分によりますと、こういう軍事行動、括弧つきで「テロとの闘い」とここにも書きましたが、これに参加していない国連加盟の圧倒的な多数の国々はテロとの闘いに消極的で国際貢献の責務も果たしていないということになるわけですけれども、総理はそういう御認識でしょうか。総理の認識を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

高村国務大臣 委員御存じのように、国際社会の中で日本はGDP世界第二位の国なんです。先進民主主義国と言われている国はいずれも、ここにいただいた資料のISAFかMIOかOEFかPRT、どれかには参加しているんですよ。そして、御存じのように、まさに日本のタンカーがインド洋を通って原油を日本に持ってきて、そのおかげで日本国民は豊かな生活を享受している。

 ほかはどこにも参加していないで、日本が、ISAFにも参加しない、PRTにも参加しない、OEFにも参加しない、MIOだけに辛うじてこれからも参加しようというときに、これもやらない。そして、海上で阻止活動をしている国の人たちが見るその前を通っていくのは日本のタンカーが一番多い。こういう状況の中で日本はどう思われるか。私は、それは、それで何でもないといったら、ちょっと想像力の欠如だ、そういうふうに思います。

笠井委員 想像力の欠如とかそういう話ではないんです。それぞれの国には事情があると、今大臣、まさに国力の違いとか言われました。そして、いろいろな事情がある中で、日本は日本としてやるべきことがあるんです。しかも……(発言する者あり)違うんです。本来やるべきことです。

 しかも、この海上阻止行動、日本が参加していると言いました。しかし、これまで、当初は十二カ国これに参加していたんですね。その中で、既にイタリア、スペイン、オランダ、ギリシャは艦船を撤退して、この行動に参加していません。だけれども、参加していなかったからといって、世界がそういう国々を非難しましたか。アメリカが非難しましたか。していないんですよ。だから、それぞれの状況に応じてやればいいわけで、イラクの派遣状況とともに、いかに世界の国連加盟国から見たら少数派かという問題であります。

 今、国際社会は、それこそ一致して、テロ根絶の闘いをやる、そして、テロ防止の闘いをやるということで、昨年九月も国連総会で全会一致で総会決議が上がりました。地球規模の対テロリズム戦略、世界的なテロ対策の取り組み、法の裁きでやるということで、みんなやろうとしている。国連のテロ対策委員会にも、毎年毎年、各国が報告書をすべて出していて、日本も五回出している。そういう形でやっている。資金を断つ、犯罪者のテロリストを捕まえる、こういう形の努力をやっているわけですから、そういう取り組みを大いにやればいいというのがまず一つです。

 同時に、私、アフガニスタンの現状の関係でいいますと、私自身、六年前に、あの報復戦争が起こった直後に、あのアフガン国境の難民キャンプにも行きました。実態を目の当たりにしてきました。

 我が党は当初から、戦争でテロはなくならない、テロ根絶は法の裁きでこそということを言ってまいりました。しかし、この警告を無視して、報復戦争でテロがなくなったか。それどころか、事態の悪化、特に治安の悪化はますますひどい状況にあるという問題であります。そして、アフガニスタンでも多くの国民が犠牲になる、無辜の市民が犠牲になるということは先ほどもありました。

 そういう状況を一刻も早く終わらせたいという気持ちから、アフガニスタンでは今、平和と和解のためのプロセスが始まっている。去る九月二十三日に、国連本部で潘基文事務総長とカルザイ大統領が共同記者会見を行いました。

 この中でカルザイ大統領はこう言っております。ここにテキストがあります。アフガニスタンにおいては、この間、著名なアフガニスタン国民であり、上院議長のムジャディディ博士を責任者として、平和と和解のプロセスと言われるプロセスが進んでいる、我々は既に、アルカイダの一部ではなく、テロリストネットワークの一部ではないタリバン、そのようなものが実際には多数なのだが、私の言っているようなタリバンとの間で平和と和解のプロセスを通じて接触を行っている、こう言っております。

 潘基文事務総長も、国内の和解のための包括的な政治的対話の推進に一層の努力を行うべきである、こう述べております。

 これらは何も、ビンラディンと交渉せよ、和解せよなどと言っているんじゃありません。テロリストは捕まえなきゃいけない。しかし、今実際に進んでいる政治解決へのプロセスを進めようじゃないか、平和のプロセスを進めようじゃないかというのが、大統領も言って、先頭になってやっている、対話の努力をしている。

 総理は、こういう政治解決の努力についてはどう受けとめていらっしゃるでしょうか。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

福田内閣総理大臣 外交は平和的に行われるべきと思いますけれども、しかし、今のような状態で、それが不幸にしてできないということで、この状況をどうやって打開するか、それはあらゆるいろいろな方策を考えなければいけないと思いますよ。

 ですから、国連の方が動くということも必要かもしれないし、我が国も一定の発言権もあるだろうし、そういう見えないような形でもっていろいろな交渉をするということも当然あるだろうと思います。ですから、当然、我が国の外交もそういう努力をする。今そういうことができない状況であるというのであれば、そういう道を探る努力をしなければいけないというふうに思っております。

笠井委員 この会見を国連で行った一週間後にも、カルザイ大統領は、首都カブールで起きた自爆テロ事件がありました、その直後にタリバンの指導者オマル師に対して、このような大量殺害をとめるための会談というのも提案している。

 総理、そうなりますと、いろいろな努力をするとおっしゃいました。そういう努力を進めると言うならば、米軍などによる報復戦争とかタリバンへの掃討作戦、こうした政治的プロセスの障害となるようなことについては中止させるべきじゃないでしょうか。ここの点は、総理、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 今インド洋における補給活動を続けておりますけれども、国際社会による一致したテロとの闘いへの協力でございまして、決して報復戦争への支援とかいうことではありません。

 重要なことは、国際社会として、和平を求めるアフガニスタン国民の努力を、人道復興支援と治安・テロ対策の両面において粘り強く支援していくということであります。

 和平プロセスの推進に向けた取り組みとしては、最近、カルザイ大統領とか潘国連事務総長がアフガニスタンの国内和平プロセスを推進していく決意を表明している点は、これは私、委員のお考えと同じ、重要であるというように考えています。

 今後の動向を注視する必要はありますけれども、我が国としては、国際社会と協調しつつ、アフガニスタンの政府のこのような努力を支援してまいりたいと思っております。

笠井委員 問われているのは、軍事支援か民生支援か、こういうどっちかだという話じゃなくて、それに車の両輪ということでもなくて、やはり、軍事支援をやめて政治的なプロセス促進の方向に転換する、こういう問題が問われているんだと思うんです。

 ことし五月八日に、アフガニスタンの上院が決議を上げております。米軍が率いる有志連合の西側の部隊とアフガニスタン部隊はタリバン戦闘員及びその他の過激派の掃討を中止すべきだ、交渉開始の働きかけが行われている間、タリバンへの軍事作戦は中止すべきだ、このように言っておりまして、そして、タリバンを含む反政府勢力との政治解決のための直接交渉を行うべきだ、こういう決議を行っております。

 まさにそういう努力を今行っているわけですから、そして、アフガニスタンで現実にそういうプロセスが進み始めている。平和とこの和解のプロセスを促進して後押しをする、これこそやはり日本政府が協力支援の努力を、本当に傾注すべき一番の問題じゃないかと思うんですけれども、総理、もう一回お願いします。

福田内閣総理大臣 そういうような働きかけ、これも必要なときはあるんだろうというふうに思います。ですから、そういうことも視野に入れて、しかし、といって、給油活動をやめるとかいうことに、今やめるというような、そういう判断というのは、まだその時期に至っていないというように私は思っております。これは継続すべきだというふうに思っております。

笠井委員 時間になりました。終わります。

 日本政府は九・一一直後から思考がとまっているんじゃないかと私は思うんです。軍事支援で対応しようとしている。アフガンの現実よりアメリカ言いなり、優先ということで、それこそ世界から孤立する道を歩んではいけない、ここでやはり軍事支援から政治プロセス、これを促進する方向に転換するということで努力すべきであるということを強く求めて、質問を終わります。

深谷委員長 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、午後からですが、主に野党の私どもがこのテロ対策新法について質疑を重ねさせていただいています。

 私は冒頭、本法案とは直接関係がございませんが、ぜひこの場で総理に一つお伺いしたいことがございます。

 きょうは、実は午後の同じ時刻、日比谷の野外音楽堂で、いわゆる障害者の皆さんが、障害者自立支援法という法律、この法律は、障害のおありの方にもいろいろなサービスを利用するときに一割を負担していただくという法の枠をとってございますが、作業所で働いても、その工賃よりも利用料の方が高い、あるいは、これまでのいろいろな移動サービスも、どこかに行きたくても、移動の自由を十分保障するだけの自分の手持ちのお財布がないなど、いろいろな問題がございまして、たしか福田総理も総裁選挙にお出になるときに、この障害者の問題、やはりこれはいかに何でも、本当に、困難を抱えた方にさらに、自立支援になっているんだろうかどうだろうかという懸念をお持ちだったことと思います。

 今、本当にきょうの集会も多くの方が御参集でありました。やむにやまれぬお気持ちだと思いますが、総理が、政府・自民党からもきょう御出席でありましたが、この障害者自立支援法という法律、人が生きるための権利をきちんと保障するための法律に、どういう覚悟で今現在、国会の会期も迫っておるとも言われておりますが、どういう御決意で臨まれるか、まず冒頭、恐縮ですが、お願いいたします。

福田内閣総理大臣 実は昨日、障害者の代表の方々がお集まりになりまして、官邸でもっていろいろ意見を述べていただきました。

 障害者の自立支援ということについて、我々としても、これがより有効なような内容になるように、充実するように努力してまいりたいと思っているところでございます。

阿部(知)委員 当事者の声を聞いていただいたということで、必ずやその声を受けとめて、一歩でも二歩でも現実に進めていただきたいとお願い申し上げます。

 では、私の本来の質疑に入らせていただきます。

 私の一問目の質問は、今笠井議員がお尋ねになりました、この間、アフガニスタンへのアメリカの空爆、十月の七日、米英軍によって開始されましたが、六年を経て、やはり展望が見えない、出口が見えない、犠牲者がふえる。いろいろな改善の指標はこれ述べられますが、やはりその大地で生きている方々が、本当にアフガンの大地で次の世代をはぐくみ育てることにはなかなか向かっていないという窮状。

 その中で、そもそも、対テロ戦争でございましたから、敵が明確に見えません。国家間の戦争というよりはアルカイダをかばったタリバンをやっつけるという枠で始まった戦争ゆえに、また、だれが真の敵であり、交渉相手であるのかが見えない。だから、現在、アフガニスタンでは、カルザイ政権を初めとして、やはりタリバンという、穏健派のタリバンもおられましょう、そういう人も含めてテーブルを設定すべきだという国連の動きもございます。

 せんだって、私は代表質問で総理にお尋ねいたしましたが、このタリバンを含んだ場の設定、やはり当事者、含んでいくのかどうかという判断。

 もう一つ総理にお伺いしたいのは、この間の対テロ戦争は、単にアフガニスタン国内の治安状況を悪化させただけでなく、広く中東全般の情勢を悪化させていると見なければいけないと思います。

 せんだっても、アメリカがイランの核開発問題で追加の経済制裁、あるいは、パキスタンではブット元首相が帰国したら直後にテロが起きる、あるいは、イラクとトルコの国境では戦闘行為が起こるなど、どう見ても、この六年間、中東は和平に向かっているとは言いがたい状況がございますし、イスラム社会の反米感情も強まっている。

 そこで、サミットの主催国となる我が国で、本当に、この中東全体も含め、そしてさらには紛争の深まるアフガニスタンの和平のテーブルをつくるには、かなりの我が国のリーダーシップ、様子を見ながらというよりは、リーダーシップのその御決意を私は一点伺いたいと思います。総理にお願いします。

福田内閣総理大臣 大変難しい質問でございまして、いろいろ苦労してやってもなかなかうまくいかないというのが現状だと思います。

 ただ、アフガニスタンについて申し上げれば、あの社会、アフガニスタンの社会、これは随分変わっていますよね、今。

 まず、一番変わったのは、やはり女性が自由に外に出られる、そういうことになった。今までは家の中にしかいられなかったんですよね、外に出られなかった。そして、仕事につくこともできなかった。学校にも行けない。女性は、かわいい女の子が学校に行っちゃいけなかったんですよ。それが行けるようになったんですよね。自由にそういう行動ができるようになったというのは、これは一番大きな変化じゃないでしょうか。それだけとっても、私は大変な改善だというように思います。

 そしてまた、経済活動も、これはいいところ、悪いところ、いろいろあると思いますけれども、活性化は以前よりはしている。それから、いろいろな生産活動も少しはよくなってきているということです。

 ですから、急に見違えるようにぱっと変わるというようなことは無理なのかもしれぬけれども、そこのところは少し時間をかけてじっくりと取り組んでいく問題だというふうに思います。

 タリバンとの関係も、今いろいろな話し合いも始まっているようでございますので、そういう話し合いに期待をいたしたいと思っております。

阿部(知)委員 これはどなたも御指摘のように、我が国が中東の諸国から寄せられる信頼というのは、私もパキスタン国内で経験しましたが、日本が唯一の被爆国で、そしてアメリカにあれだけ、いわば無差別爆撃に近い都市の爆撃を受けて、しかし六十年、本当に復興を果たしてきた国としての我が国の評判は非常に高いものがあると私は思います。

 信頼というのは一朝一夕では築けない、歴史の重みでありますから、やはりここは総理に、世界に向けて顔が見える、私はそれは何もインド洋での給油ばかりではないと思います。もっと本質的にやるべきことがあるだろうと思いますので、きょうは総理の御答弁を伺いましたが、さらにそこは総理御自身が前に進めていただきたい、そのように考えます。

 恐縮ですが、次に、高村外務大臣にお願いいたします。

 私は、実は、高村外務大臣がイラク特別委員会の委員長であられたときに、一緒にイラクに視察に行ったことがございます。そこで、一番私の今心に残りますことは、女性たちは確かにサダム・フセインの抑圧からは解放されたかもしれないが、怖くて外にも出られない、本当に治安状況が悪化してきているという話を聞いて、直後にあの国連本部でデメロさんという代表が爆殺され、以降、イラクの治安状況もアフガニスタンと負けず劣らず悪化してございます。

 私は、きょうの委員会を聞きましても、総理も高村大臣も、よくなった点、こんなだ、こんなだ、こんなだと指標を挙げられますが、そして、もちろん私ども野党は、いや、空爆による被害者はこんなだ、治安はこんなに悪くて、逆にマイナス面を専らにもしかして言っているのかもしれません。しかし、私は同時に、政府・与党も物事の足らざる点、本当にきちんと現実を見るという作業が必要だと思います。

 ちなみに、大臣はお目通しになったことがございますでしょうか。イギリスでの下院国防委員会の報告書というものが二〇〇六年の六月からことしにかけて挙がっております。私は、これは予告をしていないので恐縮ですが、英国の下院の国防委員会の報告書というものにお目を通されたことはおありでしょうか。

高村国務大臣 多分見ていないと思います。

 ただ、ちょっと私が、明るい方ばかり政府が言う、こういうふうにおっしゃいましたが、これは野党の方が暗い方ばかりおっしゃるから、少しバランスをとって国民にもわかってもらわなきゃいけないと思ってやっただけで、全体的には極めてバランスのいいものが国民に伝わったのではないかと思っています。

阿部(知)委員 私は、これが暗いか明るいかは、やはりこれは委員長にお願いがございますが、現地でいろいろ支援にかかわっている皆さん、あるいは国際社会でこのアフガニスタン問題をどのように論議しているかという情報をこの国会に寄せてくださる方などをお呼びして、そういう形の参考人もやっていただきたいと思います。そうでないと、私どもというのは、実は本質的な部分を見ないでの論議になってしまうと私は懸念いたしますので。

 そして、高村大臣にはぜひ後ほどお目通しいただきたいと思いますが、私がこの英国の下院の国防委員会の報告書というものを見ますと、彼らはやはり自分たちの行ってきたこと、あるいは足らざること、特に今英国はどちらかというとアフガニスタンの東部や南部に近いヘルマンドという、これは治安の悪い地域でございます、ここでいろいろな作戦に従事しておりますので、やはりその地域での復興と開発の道の遠さや、あるいは警察の訓練や司法部門の腐敗への取り組みが足りないんだと、具体的に、リアルに、私はこの報告書はなっていると思います。

 そういうきちんとした、何は進展し、何が足らざる部分で、何をなすべきかという論議には残念ながら、まだきょう野党は一回目ですから、この論議が深まっておりませんが、ぜひ、大臣には、この論議の過程の中で、諸外国はこのことをどう論じ、また我が国はどう論じていくべきかのリーダーシップをきちんととっていただきたいと思います。

 と申しますのも、私はきょう、実は、いろいろな皆さんのお話の中に出ます、北西辺境州という、パキスタンとアフガニスタンのいわば国境山岳地域で一九八四年からずっと医療支援活動をしている中村哲さんというお医者さん、この方は、二〇〇一年の十月十三日にこのテロ対策支援法の審議のときに、まさにアメリカが空爆を開始した直後、日本が何をなすべきかのときに、参考人として来てくださった医師でもございますし、その後、いろいろな各政党がお呼びになったり、一体アフガニスタンはどうなっているんだというお話でテレビ等々でも報道をされておる方です。

 その中村哲さんが根拠地としておりますペシャワールに、一九九八年になりますでしょうか、つくられたペシャワール病院という病院、これがございます。(写真を示す)ベッドでいうと七十床、ここはハンセン病の患者さんの治療に当たり、あるいはちょうどここの、パキスタンとアフガニスタンの国境は一番パシュトゥンの人たちがおられて、難民が多いところで、難民に対してのいろいろな治療や命を支える活動をしてございます。

 この診療所が、この間のパキスタンの難民のアフガニスタンへのある意味での強制帰還、無理に帰すという言い方をしてもいいかと思いますが、その中で、ここの地域での活動が続けられなくなり、しかし、中村さん自身はもともとハンセン病の患者さんの支援のためにアフガニスタンの奥地にもどんどん、本当に診療所をつくってやっている方ですから、ここの拠点、この病院が維持できなくなるという状況の中でもめげず、次の拠点を求めて移動準備をなさっているのが現状です。

 二十何年来、パキスタンの人にも感謝され、アフガニスタンの人にも感謝され、いわば国を問わず、そこで命のために支援をしてきた活動が今大きな難局にある、そのことの背景には、やはりここの中東地域の不安定さ、先ほども委員の質問にもありましたが、例えばアフガニスタンに対して、イランやパキスタンとともに共同のテーブルに着いて、きちんと新しい和平の場ができなければ、ここでの全体の人々の命の安全が保てないというような状況にございます。

 そして、これはいわゆる中村哲さんたちが全長約二十キロにわたってつくっておられる用水路の一部です。(写真を示す)先ほど与党の皆さんと理事会のときに、こういう用水路をつくっているときにアメリカが誤爆をして、誤爆というふうに言うべきかどうかわかりませんが、この作業すら非常に大変であった。しかし、ごらんになればわかるように、緑の大地が復活して、こうした用水路を、手づくりですが、江戸時代の技法を用いてつくっている。そう申しますのは、その後も現地の人に譲り渡せるように、高度な技術は続かないこともあるからと。こういう支援、いわば医療と水と農業の支援をしておられるNGOの方から見ても、今の状況は決して楽観的には語れないというお話を私は伺いました。

 これはそのほかのNGOの皆さんも異口同音におっしゃいますが、実はアフガニスタンの国内で、この間、いわゆるISAFを含めた軍事行動と、人道復興支援と言われる、中立性を担保して、いわば敵であれ味方であれ、傷ついた人を抱え込むような活動が、右手で軍事行動、左手で救援活動と行われるために、逆にNGOの皆さんにとっては非常に危険を増しておるというふうな指摘もございます。

 高村大臣にはぜひ、我が国のNGOは実は世界に評価が高いのです。その中立性といい、献身性といい、本当に、派手なところにぱっと来て、ぱっと去るのではない我が国のNGOというのは、日本ボランティアセンターもそうですし、いろんな評価を受けています。自衛隊の元隊員の皆さんが地雷撤去の活動をしておられるのも、その一つであります。井戸を掘る作業も、ほかにもいろいろなNGOがしております。

 そうしたNGOの活動は我が国の財産であり、誇りであり、そして、やはり外務省も積極的にそれを支援するという取り組みの心意気と、そして今それが、治安の悪化、さらに軍事行動と一緒くたになった人道復興支援の中で危機に瀕していることに対して、大臣として、このNGOを支援するために何ができるか、何が必要とお考えかをお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 私は、中村医師にはお会いしたことはありませんけれども、中村医師の活動には心から敬意を表しているわけであります。

 やはり、そういうNGOが活動するについても、一応治安が維持されていないと活動がしにくいということがあるわけで、今委員は、いや、ISAFなんかがいるから治安が悪いんだという方向から一方的に述べられましたけれども、私は、全体的に見れば必ずしもそうではなくて、やはりアフガニスタン、カルザイ政権が治安を維持するための警察活動をする。ただ、まだまだタリバン勢力、タリバン勢力の中には穏健な方もいると、私はそうだと思います、そうだと思いますけれども、やはり相当の武力を維持している、アルカイダも中にいる、そういう人たちがいる中でカルザイ政権が治安を維持する。

 それを国際社会に助けてくれと言っているときに、それをお手伝いするということと、そしてそういう中で、NGOの人を初め、あるいは各国が協調して人道復興支援をするということは、まさに車の両輪として両立させなければいけないんだろうと思います。

 誤爆の話がありました。そんなことがあってはならないことであることは、それは間違いないことであります。

 それから、ある意味で、治安の維持といっても、ISAFがかなり戦闘行動に近いようなことをする中で、それがNGOの人たちにとって迷惑なことも場合によってはあるかもしれないけれども、全体的には、やはり、カルザイ政権が手伝ってくれと言われる中で国際社会がみんなで手伝っている活動であるということは、私は認めなければいけない話だ、こういうふうに思っております。

 そして、特に、これから日本がやろうとする、OEF・MIOの活動に対して補給活動をするということは、今までは、タリバン政権を駆逐するために、崩壊させるために、相当の軍事活動に対する補給の支援もありましたけれども、これからはないわけでありますから、あくまで海上阻止活動ということでありますから、それが人道支援と矛盾することは全くない、こういうふうに考えております。

阿部(知)委員 いろいろなことを一挙に言っていただいたので、ISAFという活動、国際治安支援活動がかなり軍事的な色彩を帯びてきたというふうに高村大臣も認識しておられて、しかし、それが同時に地域の復興支援ということにかかわるようになりますと、そこに困難が生じているんだと。逆に、私は、ISAFという活動は国連決議に基づくものですし、我が国がそこに関与するかどうかは別として、それなりのルールはあるんだと思います。

 しかし、そうした軍隊に守られた人道復興支援というのはやはり成り立たないということがこの間の経験ですので、ここは私どもも、ある意味、未知の分野なんだと思います。対テロということは、これまでの、相手国があり敵がありという戦争と違うわけですから、ここでNGOの現場がそれはやりづらいと言っていることはやはり強く受けとめて、やっていくべきだと私は思います。

 そして、今、OEF・MIO、海上阻止活動等は軍事活動じゃないんだとおっしゃいましたが、その点については、それが例えばアフガニスタン空爆までこれまでやっていた、あるいはイラクへの転用もあるかもしれないなどの論議がございますので、ちょっと一段置かせていただきまして、もう一つ、私は、日本が何をやるべきかということにおいて、きょうお話がしたいと思います。

 これは、今までの皆さんのお話にも多少は出てまいりましたが、この間、我が国は、ISAFでもなくPRTでもなく、まあ海上の給油活動はやってまいりましたが、もう一つ、文民で行ったこととして、武装解除、DDRと呼ばれるものがございます。武装解除、動員解除、社会復帰、いわゆる国軍の兵隊を武装解除、銃、武器ですね、解除して、仕事についてもらう。この社会復帰の分野では、NGOも大変に活動してまいりました。

 この治安分野改革、SSRと言われます中で、我が国が受け持ったDDRは、これは実に奇跡的なほどにうまくいったとある意味で言われています。そこは、日本が丸腰であったということで、うまくいったと。これは、またこの方も、今東京外語大学の教授になられた伊勢崎さんですが、ぜひとも、また皆さんで呼んで、聞いていただきたいです。

 しかし一方で、国軍の創設や警察の再建、麻薬対策、司法整備という部分は、やはりはっきり言ってうまくいっていない。先ほどの司法整備のところは、これは腐敗、汚職が多い。警察の再建というところは、ドイツが主に受け持ったわけですが、やはり警察官の素質、資質と申しますか、そこが十分訓練されていないという現状がある。これらは、軍事行動ではなくて治安分野の改革ですから、あくまでも、区分けすれば、非軍事的な部門での一つのリフォーム、改革になるわけです。

 ぜひ我が国は、この治安分野改革の評価をもっときちんとして、ここにこそ取り組むべきだ。例えば、先ほど私が御紹介しましたイギリスでの下院の委員会の報告書でも、まさに司法と警察のところを強化したがいいだろうということが出ているわけです。例えば、我が国は今まではDDRの分野でしたが、司法改革分野をイタリアと一緒にやれないか、あるいは警察分野はどうであるのか、そういう検討を始めていい時期。

 もちろん、一方の治安確保の問題は、戦闘が激化している中でございます。だからこそ、総理には、頑張ってタリバンとの和平のテーブルもつくっていただきたい。もう人がこれ以上死んでいくさまを放置しないんだという日本の強い意思をこそ私は持っていただきたいと総理には思いますし、高村大臣にはぜひ、このスキームがこの間本当に成功するように、日本としてさらに検討を進めていただきたいですが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 武装解除の分野で日本が果たした役割を評価していただいて、ありがたく思っております。政府としても一生懸命関与したわけでありますから。

 そして、その武装解除の分野につきましては、要するに、北部同盟というタリバンと対立していた武装集団があって、そして、それが一応正規軍に編入されて、そして、その正規軍を新しい正規軍にするために武装解除をして社会に復帰させた、こういう活動でありますが、それは一応、合法な軍を武装解除して、新たな軍をつくるためにしたわけです。それから、非合法な武装集団というのがまだたくさんあるわけで、それに対してDIAGという、DDRからDIAGということで、これから日本が中心になって取り組んでいきます。そういうことを一生懸命やりたいと思います。

 そして、日本はその部分で成功しましたが、そこだけにとどまらないで、今御指摘あったように、それぞれの、司法分野だとか警察分野だとかいろいろあるわけで、そういうところも一つ一つの国が責任を持ってやっていますけれども、日本としてもそういうところのお手伝いはしていきたい、こういうふうに思っております。

阿部(知)委員 このDDRの成功の反面、ほかの四つがついてこないと、権力の空白といいますか、軍事的空白ができて、そこに軍閥がばっこするという状態も来すと言われていますから、今大臣が前向きな御答弁でしたので、ぜひ我が国は、いろいろな場面で、本当にやれること、それはまた国際的にも評価されておりますし、私は、何かあたかもインド洋での補給活動がなくなると我が国は評価されないんだなどという言い方は、ちょっと自己評価が低過ぎると思います。これだけのことをみんな一生懸命やってきて、そして、アフガニスタンの方からも逆に日本の非軍事的支援は高く評価されているということを重ねて申し上げたいと思います。

 最後に、石破防衛大臣にお伺いいたします。

 きょうは、皆さん、インド洋での補給活動がメーンテーマですので、補給活動というものがどのような形で、例えばイラク空爆などに転用されないか、あるいはアフガニスタン空爆までをも許容したものなのか否かという御論議がございました。

 私は、この点で具体的なことをお伺いしたいと思いますが、これは先日来ここで話題になっておりますキティーホークの件でございます。

 このキティーホークと申しますのは、一月の二十三日に横須賀を出まして、五月の六日、また横須賀に戻ってくるという中で、二月の二十五日にインド洋で給油を受けた、それは専らそこで給油を受けた油はOEFに使ったんだ、不朽の自由作戦にというお話でございました。

 私は、きょう、石破大臣に具体的に一つ伺いたいのは、ここにお出ししてありますのは、キティーホークの年次報告で、これは一年たつといわば文書として作成される年単位のものですが、そもそも横須賀を出るときから、その船は何を目的としてどこに行くのかということが、これは石破大臣の方が詳しいと思いますが、決められておるものだと思います。

 ここに、ごらんになっていただきたい、お手元の資料の四枚目ですが、ここには二月二十三日という書きぶりですが、恐らくこれは一月二十三日の誤記ではないかと思いますが、ここには、キティーホークは、一月二十三日ないし二月の二十三日の段階で、「マラッカ海峡、ホルムズ海峡を無事に通過し、南方監視作戦(OSW)とイラク自由作戦(OIF)を支援する百四日の配備のために横須賀を出発。」となっております。

 さて、大臣には、例えばバーレーンにございます連絡調整室で、ペコスからキティーホークに給油されるときに、当初から持っておったキティーホークのいわば目的、このような意図のもとに行ったぞという目的は知り得たのでしょうか、御存じだったでしょうか。

石破国務大臣 委員の御指摘は、私どもの補給艦からペコスに補給をする、そのペコスからキティーに行くということが、バーレーンでの調整時点において、はっきりとペコスからキティーに、あるいはどのような船に行くかということまで確認できたかというと、それはいかがなものかという気が正直言ってしないわけではありません。

 私どもの船から直接アメリカやイギリスやドイツやそういう船に補給しますときは、調整の場において何に使うんですかということもきちんと確認をいたします。補給艦に補給をしてその後どうするかということは、それはそれぞれの国が交換公文の趣旨を生かしてどうするかということになりますので、そこまで完全に調整官が知悉をしていたかといえば、それは完全にしていたとは言えない部分があるだろうと思っております。

 その部分においても、しかし、米側との確認において、それがOEFに使われるということはきちんと承知をしておったということでございますし、補給艦に補給をしますときは、そういうことはOEFのために使うのですよということも念押しをするほど確認をしておるところでございます。

阿部(知)委員 そうしますと、先ほど笠井委員も御指摘でありましたが、アメリカにとっては、対イラクあるいは対アフガニスタンそして海上の阻止行動、総体は一連の行動であって、我が国が勝手にここの部分だけOEFだと切り分けても、やはり、船には目的があり、その一連の行動をどう思うかということが国民にとっては判断の材料になるんだと思います。

 それゆえに、大臣も本当はそう思っておられるんだと思いますが、補給艦への補給というのはその後のフォローというのが極めて難問でございますし、また、もし今大臣が、ペコスからキティーホークに給油された時点で、そのキティーホークはそもそも横須賀港をOIFと南方監視作戦のため、イラクへの攻撃と南方監視作戦のために出るという明文化されたものがあって、御存じだったら、それはペコスからの給油についても、交換公文上、否とするんでしょうか。そこを明確にしていただきたい。

石破国務大臣 キティーホークがそのときにOEFに従事をしておったかどうかということは、これは確認をして当委員会であるいは予算委員会で御報告したとおりであります。また、これから質疑の場におきまして、そのほかの船につきましても明らかにし、そのことの正当性を私どもとしては申し上げたいと思っております。

 それとは別に、今委員がおっしゃいましたように、補給艦に補給をするということはどうなのだということでございます。ただ、あの広いインド洋において、補給艦、今度日本が引くことになるかもしれません、しかし、あの広いインド洋において何隻か浮かんでいないとオペレーション全体が難しい。そうすると、補給艦に絶対補給しませんということを法律に書くことが法技術上あるいは実オペレーション上なじむのかといえば、それはなじまない。しかし、追跡が難しいとするならばどのようにして確認するのかということは、私どもとして、単に、交換公文として書いてあるから、確認をその場その場でその都度その都度しているからというだけでは不十分ではないかという認識を私自身持っておるところでございます。

 どのようにして確認をすることが最も国民の皆様方に信頼していただけるようになるか、私どもの方でも今検討をいたしておるところでございます。

阿部(知)委員 ここでの補給活動が補給艦に行けば、あるいは行かずとも直接にアフガニスタン空爆までやっておる、この件について国民が本当に全貌を知らされて、賛否、賛成できるかどうか、これは引き続いて議論を重ねていきたいと思います。

 ありがとうございます。終わります。

深谷委員長 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三十一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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