衆議院

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第6号 平成19年10月31日(水曜日)

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平成十九年十月三十一日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      あかま二郎君    新井 悦二君

      伊藤信太郎君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    今津  寛君

      岩屋  毅君    小川 友一君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      木原  稔君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    河野 太郎君

      清水清一朗君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    高木  毅君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    野田 聖子君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      藤田 幹雄君    藤野真紀子君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    川内 博史君

      古賀 一成君    近藤 昭一君

      田嶋  要君    長島 昭久君

      伴野  豊君    松野 頼久君

      三谷 光男君    田端 正広君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    保坂 展人君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小澤 俊朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  浅利 秀樹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     小川 友一君

  北村 茂男君     福田 良彦君

  河野 太郎君     清水清一朗君

  西本 勝子君     あかま二郎君

  増原 義剛君     藤野真紀子君

  三原 朝彦君     鈴木 淳司君

  宮澤 洋一君     岩屋  毅君

  矢野 隆司君     薗浦健太郎君

  吉川 貴盛君     永岡 桂子君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     木原  稔君

  岩屋  毅君     宮澤 洋一君

  小川 友一君     越智 隆雄君

  清水清一朗君     河野 太郎君

  鈴木 淳司君     今津  寛君

  薗浦健太郎君     矢野 隆司君

  永岡 桂子君     吉川 貴盛君

  福田 良彦君     北村 茂男君

  藤野真紀子君     増原 義剛君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     高木  毅君

  木原  稔君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     藤田 幹雄君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 幹雄君     三原 朝彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、内閣官房内閣審議官小澤俊朗君、内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣官房内閣参事官浅利秀樹君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房審議官小田克起君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長金澤博範君、防衛省運用企画局長高見澤將林君、防衛省人事教育局長渡部厚君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 先般、地元で、七名から十名ぐらいの懇談会の場で、このインド洋における海上自衛隊の活動、新しいテロ対策新法が必要だというお話をいたしましたところ、こういう話よりももっと年金の話をしろとか、あるいは地域振興の話をしろとか、そういう話題で、どちらかといいますと、このテロ対策新法が国民の目線ではなかなか理解しにくいのかなという現場での体験をしてまいりました。

 それで今般、原点に返りまして、福田総理の言葉をかりますれば国民の目線で、今回のテロ対策新法がなぜ必要なのかという点で、わかりやすく御答弁をいただきたいと思います。

 ISAFとかOEF・MIO、あるいはPRTの活動等々と言われても、一般の国民は全くちんぷんかんぷんであります。今回の六年間、このテロとの闘いで、一体全体、アフガニスタンの復興支援国の数、何らかの間接的な協力も含めて、何カ国がこの復興支援活動に参加をしているのか、御説明をお願いします。

高村国務大臣 テロとの闘いやアフガニスタン復興支援は、国際社会全体の関心事項でありまして、何らかの協力を行っている国をすべて挙げることは極めて困難なのでありますが、例えば、OEFに対して何らかの協力を行っている国は七十五カ国、ISAFに参加している国は三十八カ国あるわけであります。復興支援分野では、我が国の主催で二〇〇二年一月に開催されたアフガニスタン復興支援東京会合を初め、大規模な国際会議には六十カ国以上が参加していると承知をしております。

西銘委員 国民の目線のレベルからいいますと、間接的な関与も含めて七十五カ国というのが一番大きな数字であれば、七十五カ国かかわっているというような説明の方がわかりやすいのかなという思いであります。

 それでは、これまで六年間の我が国の活動、民生支援で一千四百億円あるいは海上補給活動六百億円を含めて総計で約二千億円と言われておりますけれども、この六年間の我が国の活動が国際社会の中で具体的にどういう評価を受けているのか、御説明をいただきたいと思います。またあわせて、私が気になる点は中国やロシアの評価はどうなっているのか。あわせて御説明をいただきたいと思います。

高村国務大臣 我が国の海上自衛隊による給油活動及び民生支援は、米国、欧州のみならずアジア諸国や中東諸国等を含む国際社会全体から高い評価を得ているわけであります。特に、補給支援活動は、続けてほしいという声はたくさん聞くわけでありますが、やめてもよいという声は私は聞いたことがないわけであります。

 中国、ロシアについては、中国は海上阻止活動に対する各国の貢献を評価した、九月の国連安保理決議一七七六号に賛成をしております。それから、国連安保理決議第一七七六号の採択に際してロシアが棄権したことは事実なんでありますが、十月にラブロフ・ロシア外相が日本に来たときに、私は直接聞いたわけでありますが、これは本質的に内容に反対したのではなくて時間的制約で、もう少し討議すべきだ、こういうことを主張したにもかかわらず、いや、きょうじゅうに採決するんだ、こう言われて棄権をしたんだ、こういうようなことを言っておりました。今後、日本側の立場を考慮する用意がある、緊密に連絡していこう、ただ一国棄権したロシアのラブロフ外相もそういうことを言っておられました。

西銘委員 ロシアも含めて我が国の活動については評価をしているという認識でよろしいでしょうか。

高村国務大臣 私はそのように認識しております。

西銘委員 それでは、一九九〇年の湾岸戦争のときの支援についてお伺いをいたします。

 当時、私の記憶では百三十億ドル、恐らく当時はガソリン税に上乗せをして調達したのではないかと記憶をしておりますが、その百三十億ドルという支援の額が我が国の当時の防衛予算と比較をしてどうであるのか、日本円換算でわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

高村国務大臣 当時、総額百四十一億ドルの支援を行いました。当時のレートで換算すると、一ドル大体百三十円でありましたから、一兆八千三百三十億円に当たります。これを一応、当時の一般会計予算六十六兆二千三百六十七億九千八十一万一千円と比較すると、約二・八%に相当する金額であります。

西銘委員 次にお伺いをいたしますけれども、自衛隊の、アフガニスタン、陸上での支援活動が、憲法の枠内での自衛隊の活動にどのような制限があるのか。武器使用制限だけなのか。具体的に法律的な立場から、活動に制限がかかるという点で御説明をいただきたいと思います。

町村国務大臣 アフガニスタンの現在の治安状況、西銘委員御承知のとおり、なかなか厳しい状態が続いているということが言えるわけでございまして、こうした状況の中で、仮に陸上の部隊が出ていくということになりますと、それはどこに出てどういう活動をするのかということにもよりましょうけれども、かなり危険な事態が予想される。したがって、多数の犠牲者が出るということも考えられるわけでございます。

 そういう際に、これまでの法律的な用語で言うならば、例えば非戦闘地域というものを明確に示すことがなかなか難しいのではないだろうか。例えばイラクのときのサマワといった、比べるような地域がアフガンの中にあるかどうか。これは詳細に全国土を調べたわけじゃございませんが、そうした戦闘地域を明確にできない地域、そこで仮に攻められた。正当防衛であれば別ですけれども、武器を使用して戦闘となり得る。

 その際、相手が国または国に準ずる組織である場合には、これは憲法が禁じます武力行使に当たるおそれがある。他国の武力行使と一体化する場合も同じような問題が生ずるおそれがあるということがあるものですから、おのずと陸上部隊を派遣するということには慎重にならざるを得ないというのが、今私ども政府が考えていることでございます。

 しかし、すべて全部だめなのか、これが断言できるかというと、そこはそういう余地が何がしかあるのかどうかわかりません。しかし、今そのことを考えるよりは海上の活動に専念することが過去の数年間の経験の中で我が国にとっては最もふさわしい活動ではないか、こう考えてこの新法をお出ししているところでございます。

西銘委員 国民の目線からいたしますと今回のこの新法がなぜ必要かという点で、今お伺いをいたしました。

 第一点は、アフガンの復興支援に参加している国々を含めて、世界の国々から我が国のこの六年間の活動が評価をされているという点であります。

 第二点目は、厳しい財政状況の中ではありますけれども、湾岸戦争当時の支援額とこれまでの六年間の活動の総予算額を比較しますと、厳しい財政事情の中で我が国が積極的に国際貢献をしていこうという視点で国民の理解も得られる、得られやすい範囲なのかなという視点。

 それからもう一点は、陸上での活動、憲法の自衛隊の武器使用の制限あるいは非戦闘地域、治安の状況等を考えて、より憲法の範囲内で、安全面も考慮すると、海上の活動の方がこれまでの実績も踏まえていいのではないか。

 すなわち三点、国際的な評価、あるいは、陸上での活動よりもより経験を積んだ、安全性の高い海上での活動、そして、余り大きな声では言えないんでしょうけれども、予算の面でも、財政が厳しい中で国民の理解が得られやすい。以上の三点がより国民に説明がしやすいのかなというふうに理解をしております。

 以上のような理由で、今般のテロ対策新法を私はぜひとも成立させたいと考えております。

 昨日の民主党の長島議員の質問を聞いていて感じたのでありますけれども、国会承認があれば民主党さんも何とか一致点を見出せるのかなというふうに私自身は感じましたが、小沢代表の報道を見る限りはかなり厳しいのかなと。

 実は、昨日と、またあしたですか、金曜日に党首会談が行われる予定と聞いておりますが、この党首会談で何らかの一致点を見出す可能性があるのか。今出している法律を通すのに全力を傾けることは当然でありますけれども、党首会談について、官房長官はどのようにごらんになっておりますか、御意見をお聞かせください。

町村国務大臣 なかなかデリケートな御質問でございます。

 日本の政治を動かしているトップリーダーのお二人がひざを突き合わせて小一時間余人を交えず話し合われた、大変意義深いことであると私は思っております。

 それはなぜかというと、現下のような衆参それぞれ多数が違う政治状況のもとで、下手をすると日本が国家として意思決定ができない、重要な政策であればあるほど与党と野党と意見が違う、結果としていかなる法律も通らない、重要な政策決定ができないというおそれがある。

 そのことは多分、日本の国際社会における地位というものも、日本というのはよろず決められない国なんだというふうになってしまってはいけない、そういう危機感を福田総理は大変強く持っておられる。私は、その危機感というものは、多分、日本を代表する政治家である小沢代表も共有できる危機感ではないのかな、こう思うわけであります。

 そういう意味で、お二人がしっかりとこれからの日本のあるべき姿、あるいは日本の今の政治状況のもとでいかなる政治行動をとるべきか、こういう話をしっかりとなさるということは大変に重要な意味があるんだろう、こう思っております。

 当然、議論の中には、今この委員会で御議論をいただいております補給支援特別措置法というものも御議論になったんだろうと思いますが、そうした個々の政策を超えて、これからの日本はいかにあるべきかという大所高所からの御議論があり、さらに引き続き、時間が足りなかったのでまた金曜日なさろう、こう考えているのではないかと私なりに受けとめているところでございます。

 大変大きな期待を私も持っております。

西銘委員 安全保障の政策については、私も、政党を超えて何らかの一致点を党首会談で見出してほしいなと期待をするものであります。ですけれども、目の前のこの新法を通すことに全力を挙げなければならないことも当然であります。

 視点を少し変えてみますが、ある出来事が歴史上のターニングポイントであったと気づくのは後世の歴史家の判断にゆだねていいと思いますが、そうならないようにという意味も込めて、沖縄というある種日米安保条約の島から日米同盟というものを考えてみますと、最近のさまざまな動きが日米同盟が弱まっていく方向に大きな歴史の流れで流れていないかなと心配を込めて、日米同盟について御質問をさせていただきたいと思います。

 さまざまな動きというのは、第一点、あしたあさって、インド洋から海上自衛隊が撤退をしていくということ。それから第二点目は、思いやり予算の協定が来年三月に期限切れを迎えるということ。三点目は、北朝鮮の問題でアメリカの政策が少し変わる方向になっているんじゃないかという点。第四点目は、普天間の飛行場移設の問題で地元沖縄県と政府の関係がなかなかスムーズにいかないという点。第五点、尖閣諸島周辺に中国の船籍の出没が多々見受けられるということ。第六点、台湾海峡の軍事バランスに変化が生じてきている、あるいは台湾の国連加盟申請の問題。第七点、東シナ海のガス田開発の協議がなかなか進まない、停滞をしているという点。第八点、歴史教科書問題に対する沖縄県民の政府に対する不信感、県民大会。九点目、米軍基地から派生する問題で、住民生活とのさまざまなトラブル。あるいは、十点目、少し視点が変わりますけれども、ロシアのエネルギー外交強化によって北方領土への今後の投資の増加が認められる等々。

 ざっと列挙するだけでも、私にとっては、日米同盟という視点から見ると、少し不安要因にならないのか、心配な点であります。我が国の安全保障を考えるときに、どうしても安全保障の根幹は日米同盟であると確信をしております。なぜならば、今の状況下で、日ロ同盟ということもあるいは日中同盟ということもいまだぴんとこないというのが私の感じであります。

 そこで、少し仮定の話で伺いますけれども、我が国の海上自衛隊がインド洋から撤退をした後に、中国やロシアが補給艦を出して国際貢献をしていこうというようなことはあり得ないでしょうか。そのときに日米同盟はどうなるでしょうか。その辺の仮定も交えて国民に話した方がより必要性がわかりやすいのではないかという視点でお伺いをしたいと思います。

高村国務大臣 国際政治においてあり得ないということはない、ネバー・セイ・ネバーとキッシンジャーも言っているわけでありますが、それはそれとして、これまで中国やロシアが海上阻止活動に参加したことはありませんし、また、少なくとも現時点において、今後参加する予定があるという情報には接していないということは申し上げておきたいと思います。

 いずれにしましても、海上阻止活動に参加する各国とも補給艦のやりくりが大変厳しいわけでありますが、世界第三の補給艦保有国である我が国が補給艦を撤退させる場合、海上阻止活動の効果的な実施が損なわれることにとどまらず、我が国がテロとの闘いについて消極姿勢に転じたと国際社会に受けとめられて、各国の対日姿勢に影響するおそれはあります。特に米国では、政府のみならず、民主党主導の米議会等のレベルを含めて、我が国の対応への疑問を生じさせて、他の分野における日米協力に影響を与えるおそれなしとしない。

 委員が考えている懸念、私もそれなりに共有するものでございます。

西銘委員 海上自衛隊がインド洋から撤退したときに、中国がかわって国際貢献をやることはないかという質問は、私どもの自民党の部会で出た質疑でありますけれども、実はイラク派遣の隊長を務めた佐藤先生から出た質疑で、私は非常にはっとさせられたといいますか、メモをとった覚えがあります。

 現場で軍事あるいは自衛隊の、厳しいサマワに派遣をされた佐藤隊長からの指摘で、国際政治は複雑怪奇、何が起こるかわからないという意味でお伺いをいたしました。そういうことも考慮することが、より今般のテロ対策新法の必要性を国民に訴えていく上でわかりやすいのではないかという視点でお伺いをいたしました。

 次に、北朝鮮の米国の政策でありますけれども、我が国は拉致問題を抱えております。米国の北朝鮮政策に変化が見られないでしょうか。お伺いいたします。

高村国務大臣 十月三日に採択された六者会合の成果文書にあるとおり、米国及び北朝鮮は、両者間の関係を改善し、完全な外交関係を目指すことについて共通の認識を有しているわけであります。米朝作業部会におきましては、このようなコンセンサスに基づいて、北朝鮮の国際金融システムへのアクセス、北朝鮮に対する人道支援の可能性、米朝間の文化交流の促進といった広範な事項について検討作業が行われております。

 このような広範な関係改善に向けた動きの中で、北朝鮮のテロ支援国家指定についても、それを解除する作業を開始するというこれまでのコミットメントに基づいて、米朝作業部会において議論が行われていると承知しております。一方で、北朝鮮が実際にテロ支援国家指定から解除されるか、またいつ解除されるかについては、いまだ何ら決定がなされていないと承知をしております。

 米国は、北朝鮮に対し、テロ支援国家指定が解除されるかどうかは北朝鮮による非核化措置次第であり、また、その際、拉致問題を含む日朝関係の進展も考慮されるとの立場を強調するとともに、対外的にもその旨を明らかにしていると承知をしております。

 今般の谷内外務次官、佐々江アジア大洋州局長の訪米に際しても、テロ支援国家指定について、今申し上げた点を改めて確認するとともに、日米連携が今後より一層重要になってくるということも確認されたところでございます。

西銘委員 もう一点、来年の三月に期限切れを迎える思いやり予算の協定について、今の現状でどういう話し合いが行われているのか、御説明をいただきたいと思います。

高村国務大臣 政府といたしましては、在日米軍駐留経費負担のあり方については、国民の理解が得られるように所要の見直しを図りつつ、一方で日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するために適切に対応していきたいと考えているわけであります。

 今後のあり方についての議論の具体的やりとりの内容については、まさに現在話し合いの真っ最中でありますので、具体的に明らかにすることは差し控えたい、こういうふうに思います。

西銘委員 日米同盟についての不安要因になりかねない普天間飛行場の移設の問題についてお伺いをいたします。

 十一月の七日には、ことしの一月以来開かれていない普天間飛行場の移設問題の協議会が開くと報道をされております。私も地元の仲井真県知事と意見交換をよくいたしますが、この十一月七日に開かれる協議会において、政府と地元、県や名護市、地元との合意形成は可能なのか。ぜひとも合意形成を達成して、日米同盟にひびを入れないような、政府と地元が一体となった形を望みますけれども、どうなっておりますか、お伺いしたいと思います。

江渡副大臣 お答えいたします。

 今委員の方からお話がありましたとおり、十一月の七日に次回の普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会、これを開催すべく今協議を鋭意進めているところでありますけれども、合意ができるかどうかという御指摘でありますけれども、できるように、我々も、今後とも、沖縄県を初めとし、そしてまた地元の意見というものにしっかりと耳を傾けながら、丁寧に政府としても説明しながら、そして地元の御理解を得られるように努力してまいりたい、そのように思っているところでございます。

西銘委員 仲井真県知事の立場を御説明するまでもなく、もう十二分に理解していると思いますが、私たちが見ていても、仲井真県知事は決して無理難題を言っているとは思いません。できるだけ海側に出してほしい、それも、むちゃくちゃな、距離が幾らという言い方もしておりません。

 そういうことで、総理も地元の声に耳を傾けるということを頻繁に言っておられますし、今般、この協議会が官房長官の強い思い入れによって開かれていくと聞いております。

 官房長官にお伺いいたしたいんですけれども、この協議会、七日、あるいは年内、頻繁に開いていただいて、ぜひとも政府と地元の合意に達するようにお願いをしたいのでありますが、官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 この協議会、ことしの一月に開かれて以来数カ月にわたって開かれていないという状態は、政府と沖縄県、また地元の皆さん方との関係を含めて、余りいい状態ではないな、こう心配をしておりました。

 そして、この普天間移設というものはまさに米軍再編、日本の安全保障にとってもかなめでございますから、これを何としても実現したいという思いが、日本政府も、また米政府も強くあるわけでございまして、その際に地元の皆さん方の理解をやはり得ながら進めていくということなしには、今行われつつあります環境アセスメント等も結果としてうまく運ばないおそれがあります。そうしたことを含め、しかし、さはさりながら、額賀防衛庁長官のときでしたか、おまとめになったV字案というものがまとまるプロセスでのやりとりということもやはり大切にしなければいけないこともあるわけであります。

 しかし、今お話のあった仲井真知事の強い熱意、また地元のお考えというものも我々正面から受けとめて、七日の日、一回で済むかどうか、これはわかりません。必要ならばさらにもう一度ぐらい開いてもいいのかもしれませんが、できるだけ早く大枠で合意ができますように、そして、その後のプロセスが順調に運び、普天間移設というものが一日も早く実現できるように政府として最大限の努力をしていきたい、かように考えているところでございます。

西銘委員 ぜひとも、年内に何回でも開いて、合意に達して、この問題を早目に解決していただきたいと強く要望しておきたいと思います。

 それから、県内で、御案内のように歴史教科書の問題で県民大会等が大々的に行われております。私は、この人数よりも、県民の思いというのは、歴史の事実をゆがめてはならないというこの一点だと思っております。

 官房長官、一政治家として、歴史の事実をゆがめてはならないというこの一点で認識が一致できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 私が生まれて初めて沖縄を訪問したのは、昭和三十八年、大学に入った年でございました。当時はパスポートを持って沖縄に行かなければならないという状況でありました。その折に、あの有名な大田中将の文章も現場で読みました。沖縄の悲惨な戦闘の状況、そして沖縄県民のまさに置かれた大変厳しい状況、後世一層の御高配を願う、あの文章は、私は今でも忘れることができないわけであります。

 そうしたことを踏まえて、今沖縄の皆さん方から教科書について強い御意見が出ていることもよくわかります。それを政府としても、私は一政治家としては十二分に受けとめなければならないと思っております。

 ただ、教科書にどうするのかということは、これは渡海大臣が、今申請しつつあるんでしょうか、教科書会社の方との話が進んでいるでしょうから、それはそれとして正当な手続にゆだねたい、こう思いますが、沖縄の皆さん方のお気持ちを我々も受けとめ、そしてそれをしっかりとまた我々の次の世代にも、またその次の世代にも伝えていく努力、これをやることが私たちの務めであるというふうに考えております。

西銘委員 ありがとうございました。質問を終わります。

深谷委員長 次に、大塚拓君。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 本日朝、カナダ大使館の方で行われました多国籍軍によるブリーフィングに参加してまいりました。いろいろファクトに基づいて、いかに日本の自衛隊の貢献が多国籍軍の活動に、またテロとの闘いに役に立っているかということを大変説得的に説明をいただいたわけでございますけれども、聞いておりまして、ここまでやってくれる中で、残念ながら、この国会、日本の国会というものが何も決められない国会になろうとしている、そういう状況に陥ろうとしているということに大変情けない思いもしたわけでございます。

 多くの野党の議員の皆様も、今おられない方も多いですけれども、参加されていた方も多かったので、ぜひ、日本の貢献というものを踏まえて、建設的な議論をこれからも国会でしていきたい、そのように協力をいただきたい、このように思っております。

 そこで、質問に入りますけれども、まず、日本のテロとの闘いに参加している意義というものを少し確認してみたいと思っております。

 テロとの闘いというのは、石破大臣も昨日御指摘になられておりましたように、今、テロリストというものは、失うものがない、従来型の懲罰的な抑止のきかない対象である。そういう抑止のきかない、失うものがないテロリストとすべての国民国家との闘いであるということなんだろうというふうに思っております。

 その中でも、特にアルカイダ系のテロリストの特徴ということを考えてみますと、イスラム教というものを前面に掲げてきていて、アフガンあるいはイラクにおけるこうした戦いというものが、イスラム聖戦なのである、イスラム教とキリスト教の戦いなのだ、こういう宗教戦争の構図を築き上げようとしている。そういう印象を与える中で、世界じゅうの無垢のイスラム教徒、こういったものを動員しようとしている。そういう中で、アメリカを中心としている今のグローバルシステム、体制というものの転覆をはかろうとしている。こういうのがアルカイダ系のテロリストの特徴なのではないのかな、このように思っております。

 そうした中で、今のOEF、ISAF等、アフガンに対する取り組み、これに参加している国、顔ぶれを見ますと、ほとんどがキリスト教国である。これは、残念ながら、現在の先進国というものは歴史的な経緯もあってキリスト教を中心としている国が多いということに基づいているんだと思いますが、OEF・MIO、海上阻止活動に参加しているパキスタン、あるいはISAFにNATOの枠組みで参加しているトルコといったものを除いて、ほとんどがキリスト教国なんだと思うんですね。こういう中で、実は、日本というのもキリスト教を中心とした国ではないということはしっかり着目しておくべきなのではないのかな、このように思っております。

 すなわち、テロリストがこれは宗教戦争だという構図を描こうとしている、そういう中で、主要国としては唯一非キリスト教国である日本がこのテロとの闘いに参加している。パキスタンはもちろんイスラム教国ですからその参加が大変意味を持っているということは周知の事実なわけでございますけれども、日本の参加そのものも、実は、このテロとの闘いの構図が、すべてのテロリスト対すべての国民国家なのである、宗教戦争ではないと位置づける意味で重要なのではないかというふうに考えておるわけですけれども、御所見を外務大臣からお伺いできればと思います。

高村国務大臣 インド洋における海上阻止活動では、多くの国がおのおのの持てる能力を持ち寄って、協力して海上阻止活動を実施しているわけでありますが、イスラム国であるパキスタンの参加は、テロとの闘いがイスラムとの戦いでないということをわかりやすい形で象徴していると考えます。

 我が国は、中東地域において、欧米とは異なり、歴史的しがらみを持たず、さまざまな価値観に開かれた文化を有する国と目されており、こうした我が国が活動を続けることは、今委員がおっしゃったように、一定の象徴的な意味を有すると考えるわけであります。要するに、キリスト教対イスラム教じゃないんだ、文明対テロの闘いなんだ、こういうことを象徴づける一つの要素になる、こういうふうに思います。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 日本がこの海上阻止活動から撤収をする、それに伴って、もしパキスタンが撤収をする、こういうことになれば、まさにこれはテロリストの思うつぼということになってしまうのではないか、このように懸念をしているわけでございます。

 ここで、配付させていただいた資料をちょっとごらんいただきたいと思うわけでございますが、これはアルカイダ系と言われている組織による過去の主なテロ事件の一覧でございます。必ずしも網羅的なものではないわけですけれども、ちょっと見ていただくとおわかりになると思うわけですが、実は、このアルカイダ系の組織によるテロというのが中東地域のみにおいて起きているわけではないということでございます。

 例えば、二〇〇一年の九・一一より前ですけれども、一九九四年、上から二行目、南大東島付近でのフィリピン航空機の爆破事件というのが古くはございました。九・一一の後にも、二〇〇二年のバリ島での爆破事件、二〇〇三年のジャカルタ、ホテルの爆破事件、あるいは二〇〇四年フィリピン、二〇〇五年インドネシアなど、我が国の位置しているアジア、非常に至近である東南アジア、そういったところでもアルカイダ系の組織によるテロというのが実は頻発をしているということでございます。

 日本の海上阻止活動に参加をしている効果として、主に日本にとっての価値としてはシーレーンの防衛ということがよく言われるわけでございますが、実は、その直接的なシーレーンの防衛以外にも、今テロの流れというものが、陸上ではパキスタンのところでちょうどせきとまっている形になっているんですね。そこから東アジアの方面には波及をしてきていない。あるいは海ということでいえば、そこの洋上から武器なり、そういうテロリストの兵士といったものが、アジア方面のアルカイダ系組織、例えばジェマー・イスラミアといったものがインドネシアに存在しておりますけれども、そういうところに供給をされない。

 こういう意味で、アジア地域のテロに対する抑止、アジア地域のテロ、東アジア地域のテロリストというものが活発化することを抑止している、こういう効果もあるんだろうと考えておるわけですけれども、その点について御所見を賜れればと思っております。

高村国務大臣 インド洋における海上阻止活動は、テロリスト等の移動を阻止し、抑止し、この海域の平和と安全に貢献するなど大きな成果を上げているわけでありますが、我が国は海上阻止活動への補給活動を通じて、国際的なテロリズムの防止、根絶のための取り組みに寄与し、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に貢献していると考えるわけであります。

 今、委員がおっしゃったように、まさに日本という国が繁栄するためには、やはり国際社会全体が平和で安定していなけりゃいけない。それは単にシーレーンということだけじゃなくて、まさに我が国が位置するところのアジア、この地域全体が平和で安定して、そしてさらに繁栄しなければいけない。そういうところにテロが食指を伸ばしてくる、そういうことは防がなきゃいけないし、それを防ぐために役に立っている、そういうふうに考えます。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 やはり、日本の閉じられた空間の中で生活をしておりますと、テロというと、どうも中東とか、そういう遠い地域の問題じゃないかと思う方が多いと思いましたので、こういう質問をさせていただきました。海上阻止というものが有効に機能しなくなれば、足元の地域においても恐らくテロが活発化していくというような効果も出てくるのではないのかな、こういう懸念をしているわけでございます。

 次に、国会の関与という点について少し質問をさせていただきたいわけでございますが、自衛隊の活動に対する国会の関与というものは、これまでの質疑の中でも明らかになっておるように、憲法のルールに基づいてしっかり担保されている。これまでの旧テロ法、テロ特措法の枠組みの中では、いろいろなメニューがあって、その中から何をチョイスする、そういうことが必要だったので国会の承認というものが必要であったわけですが、今回の法律においては、それがそのまま法案の条文に書き込まれているわけでございますから、その必要がないことは明らかでございますし、その活動範囲というものも明示をされておるわけでございます。

 そして、活動期間というものも、法律が一年間の法律でございますから、当然その範囲内ということは自明なわけでございますが、確かに、きのう長島委員からも御指摘がありましたように、幾つかの事項については法律にそのまま書き込まれているというわけではない部分もあるのかなと。こういったことはそもそも従来から国会の承認事項ではなかったわけでございますし、これまでのインド洋における自衛隊の活動の延長という中でこの法律が、新しい新法が議論をされておりますので、私は問題ないというふうに考えておるわけでございますが、確かに参考のためにこうした情報もあってもいいのかなと思いますので。

 部隊規模、現在ですと、編成が八百名以内、交代要員を含めるときは千六百名以内、装備は補給艦一隻、護衛艦二隻以内、及び隊員の健康、安全確保に必要な装備、そういったことが規定されているわけですが、こういったことはこれまでの基本計画に書かれてきていることと同様であるということをちょっと確認させていただきたいなというふうに思っております。

町村国務大臣 まだこれは法案を御審議いただいている段階で、法案が通ったことを前提に、どのくらいの規模であるか、どういう装備かということを申し上げると、これはまた逆の意味で国会軽視であるという大変なおしかりをいただきますので、今この時点で余り大胆に先のことを申し上げるのもいかがかとは思いますが、今委員御指摘のように、これはある種、定着しつつある活動であるということ、そして、現場での活動が、諸外国の船の数等々が何か大きく変わるといったような要素も余り考えられないということを考えると、今委員御指摘のように、隊員の数、約八百人以内となっておりますが、大体そういう感覚であろうかな、こう思いますし、また船の数もそう大きく変わるということではないんだろう、こう思っておりますが、これはあくまでも法律が通った後の話でございますから、これ以上のことを今断定的に申し上げるのはあえて控えさせていただきたい。ただ、常識的に見て、そんなに違う活動を考えているわけではないということは御理解をいただけるかと思います。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 確かに、法案が成立していないのに言明されても、それも問題だという声が出てきそうな気もする中で、私は、今の御答弁で、今後の活動というものの内容は安心できるものであった、十分担保されたなと。長島委員がいらっしゃらないというのも残念ではございますけれども、十分担保された、このように考えております。

 そこで、安心をして次の質問に移りたいわけでございますが、ここでちょっと装備品の調達について、多少石破大臣と議論をさせていただきたいなと思っております。

 守屋次官の問題というのが今出てきておりまして、この委員会においても証人喚問等々あったわけでございます。以前から、防衛省の調達には非常に問題があるだろう、この守屋次官の件についても私どもうわさを耳にしておったわけでございますけれども、こうした問題は徹底的に解明しなければいけない、以前から私も思っておりましたし、石破大臣からも、党におられるときから、総合取得改革というものをしっかり進めるべきなんだということはしっかり御指導をいただいていたわけでございます。

 私は、この守屋事案については、しっかり検察に、事実を解明して、一点の曇りもないように取り組んでもらいたいと思っているわけでございますが、一点、非常に疑問というか憤りを持っておりますのが、なぜこのタイミングでマスコミにそんなに出てきたのかなと。

 まだ立件もされていないわけでございます。捜査が進んでいる段階でマスコミで大々的に出る、あるいは、国会で証人喚問をやって大騒ぎをするということによって、これは場合によると証拠隠滅ということにつながるおそれもあるのではないか。この事件をしっかり解明していくということに、ある意味、捜査妨害ということにもなりかねないような、こうマスコミに出てくる、これはどういうことなんだろう、ちょっと疑問と憤りを感じておるところでございます。

 しかし、こうした取得、装備品の調達ということに関しては、一守屋次官の問題にとどめて議論するべきでないというふうに同時に思っているところでもございます。背景に、今、装備品の取得に係る構造的な問題があるというふうに認識をしておるわけでございますが、今回、事件の舞台、まだ事件にはなっていないと思いますけれども、舞台となっている商社ですね、この商社が調達に絡んでくる構造というものは私も問題だろうと。

 どういう意味で問題かというと、商社が間に入ることによって、商社はまずライセンスを獲得して、それをもって特定の調達者と商売をするわけですから、ライセンスの獲得のための営業コストというものをどんどんかけていくということが必要になってきます。その営業コスト、ライセンス獲得のためのコスト、あるいは防衛省であれば随意契約というものを獲得するための営業努力、これは防衛省側が営業努力を受けて便宜供与をするかしないかということとは別問題で、努力はすると思うんですね、間違いなく。こういう努力をする、両面での営業努力のコストというものが調達する装備品のコストに当然上乗せになってくる。間が一つ入るということによってその分価格が高くなるという構造的な問題があるんだと思っているんです。

 よく言われるのは、商社にもそれなりの機能があるんだと。例えば、防衛省が単独で通関手続をしたり、為替のいろいろな手続をしたり、外国との契約事務をやったり、そういう能力は持っていない。そういう機能を省内に、政府内に取り込むということもまたコストなのではないか、こういう言い方があるわけでございますけれども、もし、そういう通関とか為替とか契約事務等々、政府内で完結できないという部分があれば、それは装備品の調達のときに抱き合わせの無料サービスとして商社から提供されるんではなくて、その必要な機能のみ、必要なサービスの部分のみ対価を払って調達をする、サービスを調達する、こういうことにすればいいのではないのかな。そうすれば、その両側の営業コスト込み込みで高くなった装備品を調達することなく、必要なサービスに対して適切に対価を払うということができる。

 考えてみれば、民間でも、商社は従来、そういう為替とか通関のサービスをもとに口銭商売というのをやっていたわけですけれども、これはもう時代おくれになっていて、口銭ビジネスというのでは民間では商社は成り立たなくなっているんですね。

 こういう、アンバンドル、アンバンドリングといいますけれども、サービスと物の分離、こういう形で商社とのつき合い方を考えていくべきではないかと思っておりますが、御所見を防衛大臣からお伺いしたいと思っております。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今、商社介在契約についての御質問があったわけでございますが、防衛省といたしましては、これまでも輸入装備品の調達については、商社の介在をしておらない契約も多々あるところでございます。

 他方、委員が御指摘になられたように、例えば当該装備品の独占的な販売権を商社が得ている、必然的に当該商社を通じなければその物を購入することができないというふうなこともあり、これは実は、物を買うときに、我々、当然入札を行う。随契の前も、今は財務大臣通知により入札を行っている。そのときに、安定的な調達ということは一つの条件づけにしているわけでございます。

 また、先ほど商社のコスト面、確かに、さまざまな営業努力、販売努力が価格にオンをされてコストアップになっているというふうな側面、御指摘になられました。

 そういうふうな面もある反面、商社の全世界の人的ネットワークの活用ができる、あるいはまた語学の問題、アラビックがしゃべれる人、インド語がしゃべれる人、あるいは英語がしゃべれる人、そういったような人材の有効活用。アメリカのように、千人を超える規模の独立の調達庁を持つことの行政コストも勘案をしなければならない。

 また、いわゆるペイメントシステム、通常、この装備品の購入のときは前金払いでございます。しかし、商社を介在させることによって、商社がみずからペイメントの負担を負う形でもって、このデリバーとデリバー後の支払い、ペイメントというものも実現できる、そういったトータルのメリットの総合的な比較が当然必要となってくるわけでございます。

 そうした中において、今委員が言われたように、個別のサービスごとに切り分けて、いわゆるピースミール契約はできないか、これは重要な論点かというふうに思う次第でございます。

 例えば為替契約、あるいはまた契約に至るまでの交渉、実は、こういったような個別については、商社ではなくいわゆるサービサーというものが全世界には存在をしておって、例えば為替であれば為替、この代理会社、あるいはまた、交渉であればそれを専門とするサービサーも存在をしております。

 そういったようなものを利用するというふうなことも当然現実的にあり得るわけでございますが、例えば、商社のそのワンパーツの機能だけが利用できるかといいますと、御承知のように、我が国の商社は総合商社、しかもそれはかぎ括弧つきの総合商社であって、これはもう英語にもなっているわけでございます。まさにオーバーオールとしてのサービス提供の中で、そういったようなサービスをトータルに提供していくというのが今の我が国の総合商社であるというふうな理解でございます。

 さはさりながら、やはり厳格なコスト比較をやっていくということは極めて大事なことでございまして、そういう外国企業と直接調達をする場合のさまざまな論点をすべてゼロベースでもって検討していくために、先般、石破大臣の指示によって設置をされました、そして私を長といたします総合取得改革プロジェクトチームを立ち上げ、第一回目の会合を開いたところでございます。鋭意この場でも検討をしてまいりたい、そういうふうに考えております。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 まだこの分野については多岐にわたる議論があると思うんですね。商社の介在のみならず、恐らく武器輸出三原則の問題も議論しなければいけない、それから、生産ラインを維持するという議論がありますが、どこのどういうラインを維持しなければいけないのかという議論もしなければいけない。恐らく、突き詰めて議論をしていくと、早期退職する自衛官の、年金受給年齢に達するまでどうやって生活を立てていくか、こういう問題にも突き当たる可能性がある、大変広がりのある議論であると思っております。

 守屋事件、守屋事案というものが今このタイミングで出てきたので、今このテロ特という特別の法律を議論する場でこの議論が少しなされてきているわけでございますが、決して一つのそういう法律に絡めて議論するような問題ではなくて、しっかり安全保障委員会で腰を据えて、政局から離れたところで議論を詰めていくということが必要ではないかと思っておりますが、石破大臣からコメントがあればお願いいたします。

石破国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

 これは、いろいろなことが複雑に絡みまして、おっしゃるとおり、武器輸出三原則、これは政府として今変える予定もございませんけれども、ただし、例えば、日本の戦車は世界で一番高い、日本の戦車一両でアメリカの戦車は二両買えるとか、ドイツの戦車は三両買えるとかいう話がある。それは納税者の負担になっておるわけですね。

 では、飛行機は委員がおっしゃったようにライセンス生産をするわけで、F15でも百億します。これは、アメリカより直輸入するよりも何割も高い。もちろん、アメリカから直輸入すればそれがそのまますなわちすべて安いかといえば、そうでもないことはよく知っておりますが、それは生産ラインを維持するためだということになりますと、では、今度のFXだとどういうことになるのというお話になってくるんだと思います。

 そして、では、自衛官は若年退職をいたしますから、そうすると、国のために一生懸命働いてきて第二の人生は一体何なのというのは、これは外国と物すごい相違があるわけですね。

 ですから、日本の防衛のあり方とは何なんだということを突き詰めていくと、いろいろな問題に逢着をするだろう。今までそういうようなことを抜本的に解決しないまま、一過性のものとしてとらえてきたとするならば、そこに大きな問題があるのではないだろうか。国の守りというものが口先だけではなくて本当に重要なものであるとするならば、装備品もそうでしょう、それに携わる人々もそうでしょう、そして産業のあり方もそうでしょう、そういうことについてきちんとした議論を今回なさないでいつなすんだという気が私はしておりまして、党におかれましてもいろいろな議論をしていただいて、また、この場において野党の方々も意見を闘わせて、あるべき姿を今回こそ構築しなければ、後世に悔いを残すと私は思っております。

大塚(拓)委員 まさに後世に悔いを残さないためにも、ぜひ野党の皆様も、この件を政局に絡めて議論するのではなく、しっかり安全保障委員会で総合取得改革について議論していきたいな、このように思っているわけでございます。

 そろそろ時間も迫ってまいりましたが、最後の質問になるかと思いますけれども、燃料の転用疑惑ということがずっと言われてきているわけでございます。石破大臣も非常に丁寧な御対応をされて、総理とともに韓信のまたをくぐっているのかと思いながら拝聴しておるわけでございますけれども、この件に関しては、そもそもの問題設定に大きな間違いがあったのではないか、こういうふうに感じておるわけでございます。

 すなわち、今一番よく言われておりますのが、「ときわ」がアメリカの補給艦ペコスに八十万ガロンを補給しました。その八十万ガロンがアメリカの空母キティーホークに八十万ガロン、正確に言うと六十七・五万ガロンで、カウペンスを含めて約八十ということだと思いますけれども、補給されていた。

 したがって、「ときわ」がキティーホークに補給をしたということが前提になって議論がなされておるわけでございますけれども、しかし、ちょっと考えてみますと、ペコスという補給艦は、そもそも補給タンクというものが約八百万ガロン、七百五十六万ガロンの容積があるわけでございます。その八百万ガロン入るところに十分の一の量の八十万ガロンを給油して、そこからキティーホークに八十万ガロン入れた。

 ちょっと理科の基本に立ち返って考えてみれば、当然のことだと思うわけですけれども、同質の液体を同じ容器の中に入れたら、これはまざり合うというのは義務教育の理科の知識である、このように考えておるわけでございます。

 それをなぜ、「ときわ」が入れた八十万ガロンがそのままうまく分離されて、キティーホークに八十万ガロンがそのまま移ったかのような議論になってしまっているのか、ここがそもそもの問題だろうと。そういう見方もできるという説明をしたことに対して、大変野党が食いついてきたというふうに私は認識しておるのでございますけれども、いずれにしても、この新法になるのを機会に、この議論、私はしっかり整理をしておきたいなと思っておるわけでございます。

 例を挙げれば、例えば、自家用車を会社の業務に利用するということは世の中あるわけでございます。そのときに、自家用車を使って会社の業務をやって、減った分のガソリンをガソリンスタンドで入れて、領収書を会社に回して請求をする。その後、物理的には会社のお金で入ったガソリンをもって休日遊びに行った。このことをもってその従業員に、会社のオイルを使ってけしからぬじゃないかと言って訴える会社はどこにもないと思うわけでございまして、そもそも、これは物理上の問題ではなくて管理上の問題である、このオイル八十万という数字、この数字は帳簿上どこに充当するべきものなのか、こういうことをどう認識するかという問題なんだろうというふうに思っております。(発言する者あり)全く苦しくないと思っておりますけれども、もう、理科の知識と最低限の社会常識を身につけた者としては、今後この議論については、ぜひ新法下においてはそういう認識で取り組んでいただきたい。

 最後、どうしても転用されなかったということを確認するのであれば、最後の帳尻ですね。自衛隊が補給した、ある国でもいいです、ある特定の艦でもいいですが、そこに補給した総量とその艦なりその国の軍隊なりがOEFにおいて費消した総量というものを比較考量して、もし自衛隊が給油した量の方が多いのであれば、それは余分に給油してしまったわけだから、おつりとしてちゃんと返していただく、それを超えていなければ管理上転用があったということには私はならないと思います。そういう管理の仕方、最後はそれによって担保をするということもあると思いますけれども、これについて御意見があれば最後にお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 大変理解のあることを言っていただいて、ありがとうございました。

 ちなみに、アメリカの国防総省の発表によると、イラク開戦の前の月までに日本が米軍に補給した油はOEF、OEF・MIOにアメリカが使った油の量の約二〇%にすぎない、それからイラク開戦後でいえば七%にすぎない、だから問題ないんだというのがアメリカの基本的な考え方であると承知しています。それはまさに委員が言ったような考え方に立って言っているんだと思います。

大塚(拓)委員 まさに、米軍は理科の知識と社会常識を持ってこの問題に臨んでいるのかなという印象でございます。

 しかし、いずれにいたしましても、日本の自衛隊が果たしている役割、海上阻止活動の貢献は大きいものがあると思っております。パキスタンのみならず、イタリアも大変多くの給油を日本に依存して活動している、こういうことがございますので、日本は決められない国ではない、そしてほかの国に迷惑をかけてでも内向きの議論で時間を消費するような、そういう国ではないということを示すためにも、ぜひ野党の皆様にも御協力いただいてこの法案を早く通していきたい、このように思いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端です。よろしくお願いします。

 きょうは十月三十一日で、いよいよあす十一月一日が現行法の期限切れ、こういう事態に至りました。そしてまた、十一月の十日にはこの国会の会期末ということもこれあり、そういう中で、昨日、福田総理と小沢代表との党首会談、トップ会談が行われた。これは大変大きなニュースだと思いますし、また、今までなかなか話し合いということが言われていながら実現しなかった、それがここに来てようやくいい流れができた、こういう意味で私は結果として非常によかったと思いますが、しかし、議論は平行線をたどった。それは、いきなり合意ということはなかなか難しいんでしょうし、国民も、この問題がどうなるんだろうと、そういう意味では大変注目されています。

 そういう中でのきのうの会談を踏まえ、また、二日にもう一度再会談をするというふうなニュースも出ていますが、この問題について官房長官に、この法案の責任者として、この流れは大変大事だと思いますし、できるだけそういういい流れに持っていっていただきたいという我々の思いも込めて、今どういう見通しを持っておられるのか、お願いしたいと思います。

町村国務大臣 田端委員御指摘のように、昨日の党首会談、また金曜日にももう一回開かれるということのようでございます。

 もともと、福田総理就任以来、早く党首同士の話し合いをしたいという思いがあったようでございますが、現実には、衆参の本会議、衆参の予算委員会等ございました。予算委員会が終わったところでというお考えもあったようでありますが、今度は証人喚問の問題が出てきたということもあったものですから、証人喚問が終わった後、申し入れをして、そして実現をしたということのようでございます。

 先ほど西銘委員からのお尋ねもございましたけれども、やはり今の衆参のいわゆるねじれた姿の状態がこれからも何年も続く、まあ、衆議院の解散・選挙をやればまたどういう結果が出るかわかりませんが、いずれにしても、参議院は解散がないものですから、こういう状態が続く可能性が高いということを考えたときに、今までと同じ発想で国会の運営というものに当たっていたのでは本当に必要な意思決定ができない。特に、こうした対外的な問題についていつまでも結論が出ない国家であるということは、私は本当に日本という国の国際的な評価がもうどんどん下がっていってしまう、そういう危機感を福田総理が持った上で、多分同じ思いを共有しているであろう小沢党首との話し合いの中で、この法案をぜひ賛成してもらいたいというお話をされたと思います。

 一遍にわかったという状況にはもちろんないのかもしれませんが、しかし、私は、そうした真剣な努力がこの委員会でも行われておりますし、また両党首間でも行われ、またいろいろなレベルで話し合いというものがあっていいと思うし、それはこの新法のみならず、年金であろうと他の政策分野においても、そうした政策協議というものがもっと行われてしかるべきではないだろうか、こう思っているわけでございます。

 そういう意味で、大切な両党首の話し合いであったと思うし、私は、衆参を通じてこの法案の成立をぜひとも実現したいと強い思いを持っているわけでありまして、そういう意味で、与党、野党を問わず御理解をいただき、一刻も早い法案の成立を心からお願いする次第でございます。

田端委員 おっしゃるように、衆議院と参議院のねじれた現象、そして、これは何も今回の新しい新テロ特措法そのものだけではなくて、すべての法案に今後ともかかわってくる問題だと思います。

 そういう意味で、私は、福田総理が誕生したときに、非常に協調型のいい総理が誕生されたという意味で、大変歓迎した一人でありますが、そういうねじれ国会の中でこそ、今までと違った新しい政治のパターンといいますか、あり方、これを国民もまた期待しているわけでありまして、与野党が激突して、そして法案がことごとくつぶれていった場合には、国民生活そのものには大変大きな影響が出てくるわけであります。

 特にまた、こういう国際関係の問題においては、国際的な信用、日本の信頼感というものが失墜するわけでありますから、そういう意味では、ぜひ今回のこの法案の、しかもぎりぎりのところに今来ているわけでございますが、なお一層汗をかいていただいて、そしていい流れをつくっていただく。そういう意味では、本当にいい状況が今生まれたということ、国民の皆さんもそういう認識だと思いますが、ぜひさらにまた御努力をお願い申し上げておきたいと思います。

 この法案の中身のことでちょっとお伺いいたしますが、この第一条の目的のところに、テロとの闘いの趣旨、目的がきちっと明記されているわけでありますが、この中にあって、国連決議の引用がたくさんございます。一三六八、そして一三七三、その後に、その他の理事会決議が求めていることを受けて、こういう表現もあります。これは、一三六八等は、九・一一の翌日でしたか、すぐ直後だったと思いますし、それをさらにまたもう一度確認するという意味で一三七三というのがあったんだと思いますし、そのほかにもたくさんの、つまりテロ資金の凍結とか、あるいは入国を阻止するとか、通過を阻止するとか、いろいろな意味の決議があったんだと思います。

 そして、今回、また一七七六という、今までやってきたことに対する評価、貢献に対する評価、こういうことも踏まえて、今回のこの目的の中に明確に示されているわけでありますが、私は、そういう意味では、国連の決議というものをこれだけ明確にしてできている法案、しかも国際的な社会のある種合意の中で行われているという意味では、大変大事な点だと思います。

 それで、この「その他」というところはどういう決議があるのか、それを少し教えていただきたいのと、そういう意味で、つまり国際的合意の中において行われているんだということ、国連決議の趣旨を受けていないという意見もあるわけでありますが、そうじゃないということを、これは政府として明確にやはり国民に示していただくことが必要ではないか、こう思っていますが、官房長官、お願いします。

町村国務大臣 委員まさに御指摘のとおりでございまして、核になるのは一三六八号、九・一一テロ翌日に出された決議、これに基づきまして、国際社会がテロとの闘いを継続しているというのが現在もまた続いている。そういう意味で、私ども自衛隊がやっております海上阻止活動というのは、まさにこの一三六八というものに大きく依存をしているわけでございます。

 また、そうした活動の評価という意味で、委員が御指摘になられた一七七六、これにつきましては、不朽の自由作戦へ、多くの国の貢献というものが評価をされ、またそれを継続することの必要性というものが強調をされているというのが一七七六。つい、去る九月になされました。そういう意味で、いずれも日本の活動というものが国際的に評価をされ、その継続を期待されるという意味で、この新法の大きな背景になっているというふうに考えております。

 その他の決議につきましては、例えば安保理決議一三九〇、これはアルカイダ、タリバン関連の個人等に対して加盟国が資産凍結する、入国、領域通過の禁止及び禁輸措置を実施することを決める。そのほか、一四五五、一六一七、こうしたものもいずれも、アルカイダ、タリバン関連の資産、あるいは入国、領域通過、あるいはマネーロンダリング等々に対して必要な勧告を行い、規制を行うということでございまして、こうしたすべてのものを含めて、今私どもの海上自衛隊がやっている活動の広い意味の大きな背景になって存在しているという意味でございます。

 したがって、委員御指摘のように、まさに国連の決議に基づいて、直接的な基づいてということではございませんが、それを背景にして私どもの活動が成り立っているんだということは、まさに国際的な共通の理解であろうと私は考えております。

田端委員 その点はぜひ、国民の皆さんにも知っていただくよう、我々もまた含めて努力していきたいと思います。

 次に、今回の新法は、非常に絞られたといいますか、そういう形の法律になっているわけでございまして、期限は一年ということ、一年以内の延長は可能であるということ。そして、活動内容については、海上阻止活動を行っている外国艦船に対する給油と給水に限定しているという、これは、本当にそういう意味では明確に定義をされているわけであります。そして、活動地域についても、インド洋などのうちの非戦闘地域、ここでもより絞り込んだ中身となっています。

 そういう意味では、この法律そのものの中に、もう基本計画に当たる部分がすべてここに入っている、こういう理解でこの前も議論させていただきましたが、つまり、国会での承認ということは、法律の議論、国会審議の中にそれはもう含まれているんだ、こういう趣旨だと理解しております。

 さらに、今回、実施計画というものもここにあるわけでありまして、実施計画が閣議で決定をされて、そしてそれが国会に報告されるということは、そういう意味では、そういうシビリアンコントロールというものをさらにまた補完した形になっているんだ、こういう意味で、法律の構成上、非常に今までの法律よりもよりシビリアンコントロールをきかせている法律になっているがゆえに、今までの体系としては、これは……(発言する者あり)いろいろ言っておりますが、しかし、そういうことの理解というものをやはりしていくことも大事ではないか、私はこう思っているわけでありまして、例えば一年ごとに延長する場合でも、これはまた審議をするわけですから、そういう意味では、より期限を短くしているということもこれは大変大事なことだ、こういう理解であります。

 その点について、官房長官、重ねてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 結論を申し上げれば、十分なシビリアンコントロールがきいているこの新しい補給支援活動特別措置法案だ、こう思っております。

 現行のテロ特措法、これは基本計画をつくり、実施要項をつくり、部隊の派遣命令が出された後、最後に事後的に国会承認をする。その国会承認すべき事項というのは、三つの活動のうち、例えば、現在であれば協力支援活動であるし、活動地域もインド洋等々であるということを最後に決めるようになっております。

 今回の私どもの法律では、まず真っ先にこの法律の中で、そしてこの国会での御審議の中で、活動内容を補給活動に限る、活動地域もインド洋その他に限るということで、前法では一番最後で国会が事後承認していた内容をそのまま法律に書き込んで、言うならば事前承認をとっているような形でこの委員会で御審議をいただき、賛成、反対を決めていただくということでございますから、私は、ある意味ではより強くシビリアンコントロールが確保されているというふうに申し上げることができようか、こう考えているわけでございます。そして、より具体の、部隊の規模、構成等につきましては、この法律が通った後、実施計画の中で閣議決定をし、国会に報告をするということでございます。

 先ほど大塚委員からの御指摘もございましたが、ではどういう規模になるのか、どういう部隊構成になるのかというお尋ねがありました。

 これは法案が通ってから決めることでございますが、先ほど申し上げましたが、そんなに今の活動水準と違うことを考えているわけではない。やはり過去六年の実績というものを踏まえて今回の法律というものができ上がっているということからして、ある種常識的な判断で、現在の法律、テロ特措法の基本計画の中身というものも当然類推できる内容が、既にある意味では国会の中でも、国民の皆さんもわかっているんだということを前提に立てば、この現在御提案を申し上げております補給支援特措法というものは、国会によるシビリアンコントロールという面から、私は、十二分のものになっております、こう断言できると思います。

田端委員 そこで、ちょっと一点だけ確認させていただきたいことは、インド洋(ペルシャ湾)というただし書きが、これはどういう意味があるのかなということであります。

 今回の給油活動、トータルで今のところ何か七百七十七回だそうでありますが、そのうち二回がペルシャ湾というふうな報道がけさの報道でも出ておりました。つまり、ペルシャ湾ということになると、どうしてもイラク戦争とのかかわりということで心配が出てくるわけでありまして、それがこの法案の、国民から見てどうなっているのかということと、今までの給油の問題を含めて、ペルシャ湾に行ってそこでやるということがどういう意味があるのかという、このペルシャ湾、括弧つきというものに対しての、ここをどう説明するかが非常に大事な点ではないか。

 つまり、イラク戦争とテロとの闘い、これがごっちゃになっているんではないかという心配があるわけでありますので、この点について、これは活動分野になるので、防衛大臣ですか官房長官ですか、よろしくお願いします。

町村国務大臣 これは私もこの法律の一番最初に議論をしたときに実は学んだことではあるんでありますが、ペルシャ湾というのは、国際常識として、これはインド洋に含まれるということが地理の国際常識であるということのようでございまして、私は不勉強でそういうことは知らなかったんですが、そういうことであえて「ペルシャ湾を含む。」というふうに書いているんだということでございます。

田端委員 ちょっとその説明だけでは何か物足りないような気もしますが、やはりこれは、テロとの闘いという、その大義というものをしっかりと踏まえていただくことが大変大事だ、こう思いますので、そういう意味で理解しておきたいと思います。

 防衛大臣、この議論の中で守屋前次官の業者との癒着の問題が浮上し、そして先般、証人喚問という事態に至りました。そしてまた、給油量の隠ぺい問題とか、あるいは航泊日誌を過って破棄したとか、こういったこともいろいろありまして、私は、やはり防衛省の構造的、体質的な改革は急務である、こういう思いがします。

 これまでも、調達本部の解体とか防衛施設庁の解体とか、こういういろいろなことをやってこられた。しかしなおかつ、ここに来てこういうことが出てきたわけでありまして、大臣も今、日夜本当に御苦労なさっているということでもございますが、これはぜひ、石破大臣のもとで、国民が理解し、また、よくやったと言っていただけるような大改革をしていただくことが必要だと思いますが、いつまでにどういうことを今やろうとしているのか、いつごろにはこういう報告をします、こういう体制にします、そこのところがまだはっきり見えてこないので、できれば具体的に御決意をお願い申し上げたいと思います。

石破国務大臣 誤破棄でありますとかあるいは内局と各幕の連携不十分ですとか、こういうことに対する対応策というのは、そんなに時間はかからないと思っています。もうきょうで今月は終わりですから今月中なんてことは申し上げられませんが、大体一月を目途にこうしますということは言えるんだ、そこまで作業は加速をしていきたいと思っております。

 問題は、委員御指摘の構造的、体質的なものをどう考えるかということだと私は思います。正直申し上げて、防衛庁が防衛省に移行するときに、仕組みというものがこれでいいのという議論が徹底的になされたかというと、そうではなかったのではないか。庁が省に変わりますが、名前は変わりますけれども中身はほとんど変わりません、安心してねということがむしろ前面に出されたのではないかという残念な思いを私自身は持っているのです。

 予算委員会でしたかこの委員会の最初でしたか、本会議だったかしら、文民統制とは何だというお尋ねがあって、総理から、政治の軍事に対する優先だということがありました。つまり、コントロールする側とされる側というふうに分けるべきなんだと私は思う。される側の問題をどう認識するかと、していく側の能力をどう上げるのか、この二つの問題が実はごっちゃになって議論されているんじゃないかという気がするのですね。

 優先するのは政治であるとするならば、例えば、防衛省の中に大臣がいて副大臣がいて政務官が二人いる、これでいいのか、このままでいいのかという議論はされなければいけない。参事官制度というのも、本当にこれでいいのかという議論はされなければいけない。そして、ほかの国において、制服と内局というふうに仮に言うとするならば、この日本の形が世界広くスタンダードかといえば全然そうではないのであって、これは本当にこれでいいのかという観点の議論はしなきゃいけない。そして、まさしく行動する自衛隊の時代に入ったときに、今本当にこれが一番うまく行動するための仕組みなのかという議論もされなきゃいけない。

 そういうことは、私は、こういう方向でいきたいというのは、できれば今年度末までには示したいと思っているのです。そして、シビリアンコントロールの重要な役割を果たします国会において、本当にこれでいいのかという議論をいただいて、当然、防衛省設置法の改正ということを伴うのだろうと思います。本当にこれでいいのかという案を、できれば、こうあるべきだという案を今年度末を目途にまとめるべく作業を加速いたします。

田端委員 これは大変大事な、しかもまたエネルギーの要る改革だと思いますが、ぜひ大臣の責任において、今年度末ということでございますので、その方向を目指してぜひ頑張っていただきたい、こう思います。

 そういうことを前提にして、やはり国民の信頼というものが一番大事だと思いますので、それがなければ、この法案の成立ということも大変大きなかかわりになってくると思います。

 いよいよ十一月一日ということで、一昨日でしたか、二十九日に「ときわ」が最後の給油活動をパキスタン艦船に行った、こういうことで、そのときに、パキスタンの船の甲板に船員が七十人だか六十人だかが整列されて、「自由のための燃料 ときわ ありがとう」、英語でこういう文字を書かれて、そして万歳までしたとかというニュースも聞いておりますが、いずれにしても、日本に対してパキスタンの方々が非常に感謝の意を表明された、こういうニュースが出ていました。これは大変ホットないいニュースだと思いますが。

 しかし、「ときわ」がこれで、二日の午前零時をもって撤収するということになる、そしてまた、護衛艦の「きりさめ」、これも帰ってくることになる、こういうことだと思いますが、一たん中断して帰ってきたら、この法律が成立、仮に将来いずれかの時点で成立したとしても、今度また行くのに、これはまた大変な時間がかかります。だから、できるだけ中断期間を短くするために体制といいますか、まあ、法律がないんだから体制は組めないかもわかりませんが、しかし、法律が成立すれば直ちに行動が再開できるような、そういうあり方ということはやはり検討しておいてもいいのではないか、そういうことの心構えというのは大事ではないか、こう思いますが、その点、いかがでしょうか。

石破国務大臣 委員まさしく御指摘のとおり、根拠法がないわけですから、では、それがないのにいろんな準備をするということは、これは当然できないわけでございます。ですから、ここはいろいろ検討は必要だと思いますが、法律が成立した後、ありがたく成立した後いかにして早く出せるかということを、今ある法律の範囲内でできること、もちろん法の根拠なくしてやってはいけないことは絶対にやりません、今ある法律の中でできることは常に心して作業をいたしたいと思います。

 その辺はよく検討をいたしまして、委員が御指摘のように、本当にこの活動は、日本の国益のためにも、世界に対する責任を果たすためにも必要ですから、その点、十分心してまいりたいと存じます。

田端委員 それから、つまりパキスタンというアフガニスタンの隣国、この国境のところが大変テロの拠点になっている、こういうことでありますが、アフガニスタンに対する民生支援、これは非常に大事だと私は思いますが、しかし、なかなか治安問題等で難しい。そういう意味では、パキスタン側から、パキスタン側に対する支援というものを強化することによってテロを抑止していく、そういう検討もあってもいいのではないか。

 特に、パキスタン側の国境のパキスタン寄りのところにFATA地域というところが、ここがテロの拠点になっているようであります。それがそのままアフガニスタンに地続きでありますから、そこはもう全く自由に行ったり来たりしているような、こういう状況になっているようであります。

 いずれにいたしましても、パキスタンに対する日本のODAの実績等を見ますと、大変たくさんのことをやられていまして、円借も無償資金協力も、あるいは技術協力等も、それぞれ大変な金額であります。その中で、これらの問題で、例えば農業支援とか経済インフラ支援とか、いろんなことをまだやはりたくさんやれるのではないか、そして、このパキスタンの安定、パキスタンが安定すればアフガニスタンにも大きな影響をもたらすのではないか、こういうことを私は思うわけでありますけれども、外務大臣、いろいろ御苦労なさっていただいていると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

高村国務大臣 パキスタンは、テロとの闘いに取り組むとともに、穏健で近代的なイスラム国家として発展すべく努力をしているわけであります。委員が今御指摘になったとおり、テロとの闘いの前線国家として極めて重要な役割を果たしているパキスタンの安定的発展を支援することは、パキスタン及び周辺地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安定に資すると考えております。

 このような考え方のもと、我が国としては、パキスタンに対して教育、保健など生活分野への支援、健全な市場経済への発達及びバランスのとれた地域社会経済の発達の三つを重点分野として、支援を今実施しているわけであります。

 現在、我が国としては、パキスタンの安定化のための支援を強化するために、今年度の対パキスタン支援額を大幅に増加することを検討しているところでございます。

田端委員 先ほど同僚議員から、日本においてもテロの脅威があるというお話がございました。また、二〇〇三年には、新潟にテログループの人間が一年近く、一年以上潜伏していて、そしてドイツで捕まって、そのことが後でわかったというふうなこともありました。来年はサミットもあるわけでありまして、日本はテロとの問題で決して安心できる状況じゃないんだろうと私は思います。やはり日本もそういう意味では警戒しなければならないし、水際でどう防ぐかということも、これは大変大事なことだと思います。

 きょうはもう時間がありませんので、今後、テロの問題に対しては、これは政府を挙げて水際で防いでいく、そして日本の安全というものを確保するということもこれはまた大きな問題だ、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 次に、松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 いよいよテロ特措法の期限切れも間近に迫りましたし、きょうもカナダ大使館で朝から各国のブリーフィングがありまして、私も行ってまいりました。今回のテロ特措法の議論というのは、まさに我が国が国際社会の中で今どういう立場にいるのか、そしてこれまでどういう活動をしてきて、そして今後どういう国際社会の中で地位を占めていこうとするのかという大変重要なテーマが一番基本となっている、そういう法案ではないかと思っております。

 御存じのとおり、また、官房長官を初め総理もお話がございましたけれども、我が国は資源がない中で、国際社会の平和と安定というものにこれ以上依存しなければならない国というのはほかにないんじゃないかというぐらい、そういう意味では、国際社会とのかかわり合いというのはまさに我が国の国益と直結をする、そういう国だと思っております。

 そのためには、当然、各国からどういう評価を受けるかということももちろん大切ですけれども、同時に、その底流に流れる信頼関係みたいなものを私たちはもっとしっかりと認識をしていかなければならないんじゃないかと思っておりまして、やはりそのために、この新テロ特措法案というものを何としてでも一刻も早く成立をさせ、国際社会の中で我が国がしっかりとした責任を果たしていく国だということをまさに身をもって証明をしていく必要があると私は考えているわけでございまして、まず、冒頭ではございますけれども、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。

 しかしながら、こういう本当に大切な議論をしているさなかに、大変残念なことに、一連の防衛省をめぐる不祥事がさまざま発生をしました。この件に関しましては、ぜひ防衛大臣を初め防衛省の皆さんには猛省を促したいというふうに思っております。防衛大臣は、そういう意味では、この問題に私たちと同じ思いを持って、大変積極的かつ先頭に立ちまして、リーダーシップを発揮して現在さまざまな対応をしていただいているというふうに思っているわけでございますけれども、これまで、本日も西銘委員、大塚委員、田端委員と御質問があったわけでございますけれども、私は、防衛省の一連の不祥事を今後再発させないためにどうすればいいのかという観点での質問を中心にちょっときょうはさせていただきたいと思っております。

 給油量の取り違え事案が発生いたしまして、防衛省の報告書によりますれば、担当課長レベルで重大な情報の取り違えに気づいていたにもかかわらず報告が一切行われなかったことは、文民統制にかかわる極めて重大な問題であると認識、速やかに調査結果を明らかにするとともに、厳正な処分を行い、加えて、文民統制の徹底を図るとの観点から、再発防止を含め抜本的な措置を講じるべく、大臣を長とする検討のための委員会を立ち上げるというふうに聞いております。

 そして、実際に、先般、石破防衛大臣を長といたします、そうした文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会というものが設置をされたというふうに聞いておりますが、大切なことは、そういう委員会が立ち上げられるのは結構なんですが、それが本当に的確な結論を打ち出すことができるのかというのが当然問われなければならないことだと思っております。

 そこでまず、この検討委員会のメンバー構成を教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねの委員会のメンバーでございますが、防衛大臣を委員長、副大臣を委員長代理、政務官を副委員長といたしまして、防衛事務次官以下、各局長、各防衛参事官、幕僚長等の各機関の長等をメンバーといたしております。

松本(洋)委員 今お答えをいただいたわけでございますけれども、私、一点気になることがございまして、結局、防衛省の内部の人間だけでそういう委員会というのが組織されているというのが本当にいいのかなというのは思うんですね。

 当然、機密に絡む部分もありますから、すべてがすべてオープンにできるかできないかという議論はあってしかるべきだと思いますが、例えば、新たな再発防止の措置を講じるに当たって、やはり、外部の第三者の知見というものもしっかりと生かす仕組みづくりというのは考えていく必要というのがあると私は思っておりまして、この委員会の設置の規則の中に、いざというときには、いざというときにはというのは変ですね、必要に応じて外部の方の招聘もできるという一文が入っているんですけれども、実際にそれを使って外部の有識者を検討委員会のメンバーに入れるべきだと思いますが、お願いします。

石破国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。外部の、これを委員にするかどうかはまた別の問題で、そうすると秘密保持の問題が出てきますが、にしても、私が委員長ですので、副大臣も政務官も必ずそこにおります。特に、今まで防衛省に対して批判的な方の意見を聞かなければいけないと思っています。これでいいのかという意見、それは随分世の中にあるわけでございまして、そういう批判的な立場、論陣を張ってこられた方々の御意見を聞きたいと思います。

 あわせて、せっかくの機会ですので、こっちが陳情するのも変な話でございますが、ぜひ自民党におかれても、あるいは民主党におかれても、与党であります公明党さんにおかれても、どうなんだと、本当に各党として、防衛省の文民統制、これは政治の優先ですから、国会がどういう機能を果たすかという視点は必ず要ると思うんです。政治の軍事に対する優先ですから、国会がいかなる役割を果たすかということについて我々防衛省の側でそれを言うことは範囲を超えているということはよく認識をいたしております。それぞれの党として、文民統制のあり方、社民党さんにおかれても、共産党さんにおかれても、こうあるべきではないかという御議論をまた賜ることができれば、私ども、大変にありがたいと存ずる次第でございます。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 今、石破大臣からそうした外部の方々の御意見というものも積極的に聞いていくというお話もございましたし、逆に、私たち立法府の側にも宿題といいますか、お話があったところだと思っております。行政及び政治の信頼関係の回復、国民からの信頼をもう一度回復するということは何をするにも一番大前提となる事柄でございますから、この点に関しましては与野党の別なくしっかりと議論のできるところだと私は思っておりますので、そういう意味では、この国会での議論そして各党におきます議論というものもしっかりとし、そしてその意見を防衛省には真摯に受けとめてもらいながら、きちんとした体制の構築というものをぜひお願いしたいと思います。今の大臣の御答弁を聞きまして、大変私も安心をいたしました。

 また、給油量の取り間違いもありましたけれども、航海日誌の破棄というこれまた大変残念な、憂慮すべき事態がございました。これまた国民の信頼を大きく損なうような結果になってしまったわけですけれども、特に、規律厳正というものを標榜しておる防衛省・自衛隊において何でこんな事案が発生するのかというのが、正直なところ、私の中では大変疑問に思う部分がございます。

 そこで、そもそも防衛省内の文書管理体制というのが一体いかようになっているのか、教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 お尋ねの文書管理体制でございますが、まず、文書管理の規則、ルールにつきましては、情報公開法に基づき防衛大臣が定めました防衛省文書管理規則及び関係規則におきまして、文書の管理体制、文書の保存期間の基準を含む文書管理のあり方を定めまして、これに基づき文書の管理を行っているところでございます。

 次に、文書管理の具体的な運用でございますが、今申し上げました文書管理規則に基づきまして、まず、省全般の文書管理監督事務をつかさどる総括文書管理者として大臣官房長を、また、各機関の文書管理監督事務をつかさどる文書管理監督者としまして各機関の総務部長等を置きまして、その上で、各課におきまして実際の行政文書の管理を行っております課長クラスの文書管理者の監督に当たらせているところでございます。

 さらに、自衛隊の各部隊等における文書管理でございますが、これにつきましては、各幕僚長が防衛省文書管理規則に準じた規程を整備いたしまして、防衛省の各機関とほぼ同様の管理体制をとっております。

 今般の「とわだ」を例に申し上げますと、海上幕僚長が定めました海上自衛隊文書管理規則に基づきまして、文書管理者である「とわだ」の艦長を文書管理監督者である護衛艦隊司令官が監督をする、こういう形になっております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 ちょっと確認をしたいんですけれども、要は、各課においてしっかりとチェックをまずはしましょう、それを各つかさつかさにいる人が責任を持ってやりますという、多分そういう体制だという理解だと思うんですが、それでよろしいんですかね。そういう形だと思っております。

 しかしながら、この文書管理のあり方というのも私はもう一度しっかりと考え直す必要があるんじゃないかと思っております。

 ちょっと後で触れたいとは思っておるんですが、今回、防衛監察本部という組織ができまして、そこが第三者的なチェックを行いましょうというような形になっているわけですけれども、実は、こうした文書管理のあり方も含めて、やはり第三者のチェックというものがしっかりと入る体制をつくっていかなければ私はならないと思っております。そうした体制構築をしていく御意思はあるか、教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、まず、各機関あるいは主要な部隊におきまして文書管理監督者が置かれておりまして、その文書管理監督者が文書管理者である課長や隊長による文書管理の状況を監督する、こういうことになっているわけでございます。

 こうした各機関の中でのチェックに加えまして、いわばダブルチェックという観点から、これも先ほど申し上げましたが、防衛省全般の文書管理監督事務をつかさどる官房長が各自衛隊等の文書管理監督者から文書管理の状況につきまして報告を受けまして、必要な指導監督を行っているということでございます。

 それで、御指摘の、さらに第三者的なチェックが必要であるかということにつきましては、先ほどの大臣を委員長とする検討委員会におきましても文書管理のあり方について検討することになっております。また、現在、今般の事案を踏まえまして、防衛省・自衛隊の全組織における文書管理状況の調査を行っております。

 こういった調査結果も踏まえまして、御指摘のようなさらなるチェック体制の強化の問題、あるいは文書管理に関する教育の徹底、さらには規則の見直しといったような改善措置を今年度末までに講じてまいりたいというふうに考えております。

松本(洋)委員 石破大臣も答弁の中でおっしゃっておりますけれども、別にこの点に関してではないですけれども、不祥事全般に関しまして、それを属人的な理由に帰するようなことがあってはならないということを大臣もおっしゃっていたと思います。私もそのとおりだと思っておりまして、ある意味、人間ですからどこかでミスをしたりするのは当然のことではありますけれども、やはりそれをしっかりとチェックして常に正していくためのそうした組織、機能というものをつくっていけるかというのが、私は、やはり防衛省として一番考えていただかなければならないことだと思っておりますので、ぜひ、その点も踏まえ、しっかりとした体制構築というものをしていただきたいと思います。

 また、文書管理とは若干離れるのではございますが、情報公開を文書において行う場合において、文書において行うというのも変ですね、よく黒塗りされている情報というのが存在をしています。私も地元の方々とかといろいろと話をしていて、うん、なるほどなと思うところがあるんですけれども、要は、一般の人からしてみると、一体何が情報公開されて、何の情報が非公開なのかということがよくわからないんですよね。これは軍事機密ですという一言で片づけるのは大変簡単な話なんでございますが、しかしながら、私は、国民に対する説明としてはそれでは不十分ではないかと思っております。そこは石破大臣も恐らく同じ思いをお持ちで、何で公開できないのかということはしっかりと説明する義務がありますという話をされています。

 例えば、今回、政府側が出した航海日誌で黒塗りされている部分というのが実際にあると思うんですけれども、例として、どういう考えで黒塗りが行われているのかということを教えていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、同じことを私も省内で申し上げました。軍事に関することだからみたいなことは全然理由にならないということが一つ。もう一つ、なるたけ、などという表現をやめろということを申しました。などとは何ということになるわけで、実はそこにいろいろなことがあったりすることもございます。

 省内でまとめましたのは三つです。部隊運用に支障を来すおそれがあるもの。具体的には何だ。詳細な補給ポイント、詳細な艦船の位置や特定の行動の内容、これが一つのカテゴリーでございます。二番目は、関係国との信頼関係が損なわれるおそれのある情報。では具体的には何だ。補給回ごとの相手の艦船名、他国の艦船の具体的な作戦行動、寄港地、これはやはり出せないだろうということでございます。三番目は、個人名、契約相手先という個人に関する情報。この三つは出せないというふうに判断をいたしております。

 問題は、では秘密がきちんと保たれるとするならば、議会に秘密会というのはないわけじゃありません、実際にございますが、そこにおいてクリアランスのかけ方あるいは罰則のかけ方、そこが我が国の場合にはほかの国と大いに異なっていると思います。それはシビリアンコントロールのあり方とも直結するお話でございますが、どれだけ秘密が守られるかというところにおいてどれだけのことが言えるか、それも一つの相関関係に立つものだと私は思っております。何ら罰則もなく、秘密会で明かされたことは次の日には新聞に載るというようなことでは、とてもとてもだれも言えないということになりますわけで、そこにおける文民統制をどう考えるかということも、また国会におきまして御議論を賜りたいことだと思っております。

松本(洋)委員 大臣から今御答弁をいただきましたけれども、私、もう一歩先が必要なのかなと実は思っているんです。

 もちろん、部隊運用に支障を来すおそれがある情報、関係国との信頼関係が損なわれるおそれがある情報、個人に関する情報ということをおっしゃっていただきましたけれども、では、何で部隊運用に支障を及ぼすのというところが実は一番国民が納得のいかない部分、私はそこが、開示される情報と国民が何でだろうと思うところの乖離なのかなと思っています。

 例えば、それがわかってしまうと、ある意味、部隊のリスクが高まる、例えばテロで襲われる可能性が高まったりするんですよとか、また、外国からはそれだけは出さないでくれという具体的な要望が来ているとか、実はそういうことまでしっかりと述べるということはすごく重要なことだと私は思っておりまして、そんな観点をお持ちの上でこれから情報開示のあり方というものをぜひ考えていただきたいと思っております。

 次に移らせていただきます。ちょっと時間がなくなってまいりましたので、急ぎます。

 先ほどもちょっとお話の中で出しましたが、防衛監察本部というものがございます。この防衛監察本部、改めまして、どのような組織でどのような任務を持っているのか、九月に設置されたものですが、教えていただきたいと思います。簡潔にお願いします。

    〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕

中江政府参考人 お答えいたします。

 防衛監察本部でございますが、防衛省におきまして、防衛施設庁入札談合事案などの国民の信頼を大きく損ねた事案が生じましたことを踏まえまして、このような事案の再発防止及び職員の職務執行の適正確保を目的といたしまして、独立した第三者的な立場から全省的に厳格なチェックを行う組織といたしまして本年九月一日に創設をいたしました、防衛大臣直轄の特別の機関でございます。

 具体的な任務でございますが、防衛大臣の命を受けまして、防衛省・自衛隊の全組織を対象に、職員の職務執行における法令遵守その他の職務執行の適正を確保するための監察を行い、防衛大臣に対して改善策などのとるべき必要な措置の助言を行うこととされております。

松本(洋)委員 という経過で防衛監察本部ができたわけでございまして、私もホームページ等々を拝見させていただいて、いろいろ資料を見たんですけれども、まだ設置されて間もないということで、具体的な活動実績等々というのはなかなかまだ公表できる段階にはないと思いますが、実際問題として、今回の守屋前次官の問題等々において、この防衛監察本部というのがいよいよ、本格的にというのも変ですけれども、その役割を果たすべきときが来たと思っておりますが、今回、防衛監察本部の調査結果に関して、国民に対してどこまで公表するつもりなのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 委員御指摘のとおり、現在、大臣の指示によりまして、防衛監察本部によりまして特別防衛監察を実施しているところでございます。

 これは、防衛省の全機関を対象といたしまして、本省課長級相当職以上の事務官並びに将補以上の自衛官を合わせまして約四百二十名に対しまして、平成十二年四月以降に、利害関係者とともにゴルフ、マージャン、飲食を行った事実関係、利害関係者から物品の贈与を受けた事実関係及び各機関における倫理規程等の遵守体制について、聞き取り及び調査票による調査を十月二十六日から行っているところでございます。

 この調査結果につきまして、どこまで公表するかということでございますが、調査結果を踏まえませんと確たることは申し上げられないところはございますけれども、自衛隊員の倫理規程遵守状況につきまして、できる限りその実態が具体的にわかるような公表をしてまいりたいというふうに考えております。

松本(洋)委員 今のところまだ何とも言えないというそれだと思うんですけれども、ぜひできる限りの開示というものをしていただきたいと思いますが、そもそも防衛監察本部自体に、大臣に対して答申をするというか提言を行うというようなことは規定上盛り込まれているんですけれども、これを広く国民一般に知らせるというようなことというのは恐らくない、入っていないんじゃないかと思っております。ありましたかね。ぜひその点というのもひとつ御検討をいただいたらどうかと私自身は思っているところでございまして、これは別に答弁を求めるものではありませんが、ぜひ一つの意見として聞いていただければ、御参考にしていただければと思います。

 今までちょっといろいろと細かい点に関しまして御質問をさせていただきました。私、今回の不祥事の事案をいろいろと聞いていながら、一つ思ったことがございます。

 アメリカの損害保険会社のハインリッヒという人が考えた法則というのがあります。これは別に情報関係の話ではないんですけれども、有名な法則ですから皆さんも御存じだと思いますが、大事故が起こる前には必ず二十九件の小さな事故があり、さらにその前には小さなトラブルが三百件ある。これは事故に関する法則ということで提唱した法則で、結構皆さんも知っていることだと思いますけれども、実はこれと同じことが今回の不祥事の事案に関しても必ず私は起こっているんじゃないかと思っております。

 要は、大きな不祥事が起きる前には必ず小さな不祥事というものがあり、その前には、表面には出ないけれどもささいなミスというものが必ず積み重なって積み重なってこういうものというのが出てくるんだと思っておりまして、まさに私はチェックと情報公開というものが不祥事対策、防衛省の自浄作用というものをもう一回復活させるためには必要だと思っているんですけれども、すべては、三百件の小さなミスの段階でいかに芽を摘み取るのかという作業を私は主目的にしてやっていくぐらいの気構えが必要なんじゃないかと思っております。

 私自身、そういうことを申し上げさせていただき、ぜひ議論を防衛省内で深めていっていただきたいと思うわけでございますけれども、一連の不祥事について、大臣の再発防止に向けた決意をお伺いさせていただきたいと思います。

石破国務大臣 今の法則は、そうなんだろうと思います。

 チェック体制は、もちろんちゃんとやります。監察も、きのうも答弁申し上げましたが、抜き打ちでやらなきゃ意味ないです。委員も銀行員でいらっしゃいましたからよく御存じ、本店検査とかMOF検とかいうと震え上がったものですが、とにかく、突然やってくる、そしてどんなに偉い人でも容赦しない、こうでないと監察の意味なんか全然ないですね。それはちゃんとやろうと思っています。そして、公表もできる限りやりたいと思っています。

 その結果が、こんなにひどかったのかということであったとしても、それは今後のステップに移るために必要なことですから、それは、明らかにすべきものは明らかにしたいと思います。

 軍事組織のややこしいところは、仮に軍ということを申し上げますと、階級社会でございます。ここがほかのところと少し違うところがある。これが、戦前の軍法裁判みたいなものを見ても、どうも甘かったという部分がありますですよね。身内をかばうというようなことがどうすればなくなるかということも考えなきゃいかぬ。

 それからもう一つは、私、ちょっと関心があって、ことしも去年もドイツの制度というのは随分見てみたのですが、いわゆる目安箱というんですか、密告箱というんですか、こういうやつがこんなことをしているという、そういうのは山と来るんですって。それでもう、とてもじゃないが業務が大変だけれども、これもやむを得ないコストなんだという考え方があるんだそうです。それは決して楽しい光景ではありません。やらせみたいな話もあるのかもしれませんし、陥れるために何かやろうという人もいるのだと思います。

 どういうやり方がいいのか、あわせて、この実力組織の士気というものも高めていかねばならぬ、萎縮するようなことがあってはならぬ。いろいろな外国の例も調べながら、どうすればいいのかということを、これも早く結論を出したいと思っています。委員おっしゃいますように、属人的なものにしてはならない、一過性のものであってはならない。

 そして、私、守屋さんの言い間違いならいいのになと思うのですけれども、防衛省のトップだということを何度かおっしゃいましたね。防衛省のトップは大臣なのですよ。それは、私がどうのこうのなんということを言うつもりは全くないのですが、そこは何か勘違いしておられませんかということなのです。それは、次官であれ局長であれ、背広の人もみんな自衛隊員よということを根本からどこか忘れていませんでしたかということだと思います。

 そういう意識、文民統制のあるべき姿、それをよく徹底をしてまいりたいし、国会における御議論、そして、国会はこれをやるよ、そういうような御提言、これをいただいて文民統制というのは初めて形になるんじゃないでしょうか。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきまして、防衛省がしっかりと国民の皆さんから理解をしてもらえるように、福田総理も、先般行われました朝霞駐屯地での訓示の中で、国の安全保障には国民の信頼が必要不可欠というようなことを、文章の正確な中身は違いますけれども、そういう意図のことをおっしゃっていたと思います。私もそのとおりだと思いますから、ぜひお願いをしたいと思います。

 最後に一つだけ、ちょっと毛色の違う質問をさせていただきたいと思っております。

 自衛隊がアフガニスタンの地上作戦、地上での活動をすべきじゃないかという議論が一部にあるわけでございます。それが一体どういうことなのかという議論なんですが、これまで官房長官が主に答弁に立たれて、法的にどうこうという話があるんですけれども、私は、さまざまな側面からその活動というものを議論する必要があるんじゃないかと思っておりまして、ぜひ防衛大臣にお伺いをしたいと思っております。

 大臣はよく、隊員の安全というのをどういうふうに確保するんだ、守るんだというようなこともお話をされております。自衛隊がアフガニスタンにおける地上活動をするとき何が一体問題になるのか、最後に一つだけ、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

石破国務大臣 これも党で委員と随分議論させていただいたことでありますが、憲法上の問題は、外務大臣が御答弁になられたとおりであります。武力の行使に当たるものになってはならない、そして非戦闘地域という概念、そういうものを維持しなければならない、それはそのとおりです。

 隊員の安全ということを考えたときに、危害許容要件が正当防衛、緊急避難ということに限られておるわけで、そうすると、向こうが撃たなきゃこっちは撃てぬのか、こういうお話に相なりますですね。それはいろいろな判決でも明らかなように、着手した時点であればそれは正当防衛の要件を満たすのだということ、これは確立をした考え方でございます。ただ、これは着手なのかなどうなのかなんて判断していたらば大変なことになりますわけで、その辺はROEの問題ではないかと思っております。

 もう一つは、武器の使用といいますときに、武器を構えるだけで武器の使用ですよね。威嚇射撃だけで武器の使用ですよね。それと危害許容要件との関係がいま一つ整理できていないのではないかという思いがございます。

 例えば、部隊に泥棒が入りました、整々粛々と物を盗み出しておりますというのは何か変な表現ですけれども、整々粛々と物を盗み出しておるときに何ができるのかというと、やめろやめろ、それは日本の自衛隊の所有のかかるものである、やめろやめろというふうに叫ぶだけで本当にいいのという議論もございましょう。

 あるいは、仮に、どこでもいいのですが、NGOが行っている、それを助けに行けるのというと、これは危険への接近という、今までの議論とは一歩超えたものが出てくるわけでございます。これは憲法との整理の問題になりますが、それこれあわせまして、隊員の安全ということと任務の遂行。

 もう一つは、ほかの国と武器使用基準が違うわけで、日本だけでやるわけじゃございませんから、日本だけが極めて抑制的な武器使用基準をもってほかの国と共同でオペレーションをいたしますと、これは本会議で浜田委員がおっしゃったことだと記憶をいたしておりますが、弱い味方は敵より怖いということが起こるわけですね。本当にそれでいいんですかと。自衛官の物すごい使命感と能力にもかかわらず、かぎ括弧つきでいえば「足手まとい」みたいなことで本当にいいの、国際スタンダードとの整合はどうとるのということも、これは私ども議論いたします。これも国会の場において本当にこれでいいのかという御議論をいただきませんと、これから先、自衛隊を使ってどれだけの国際的な責任を果たすかというときに、いろいろな問題が起ころうかと思っております。

松本(洋)委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長代理 次に、鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木馨祐と申します。

 本日は質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今から六年前の九月十一日、実は、私は当時ペンタゴンのすぐ横のアパートに住んでおりまして、この肺に煙を吸い込んだこともありまして、それ以降、いろいろ、この対テロとの闘いということで、どういう進め方になるのか、ずっと注目をさせてきていただいたところであります。

 今や、アルカイダ、ウサマ・ビンラディンだけをどうにかしてもどうにもならないような状況になってきた、そんなことが言われてもう数年がたつのかと思っておりますが、端的に、現在のイスラム過激派テロ組織の現状ということで、どのような状況になっているのか、政府委員の方から現状を伺えればと思います。

梅本政府参考人 九・一一米同時多発テロ以降、国際社会によるテロとの闘いによりまして、アルカイダの組織及びネットワークは大きな損害を受けたというふうに見られております。

 しかしながら、アルカイダの脅威については依然として消えたわけではございません。例えば米国政府は、本年十月に米国国土安全保障のための国家戦略というものを発表しておりますが、その中で、アルカイダは現在も米国に対する最も深刻かつ危険な脅威であり、米本土を攻撃する戦略的意図を減じていないというふうに述べているところでございます。

 実際、オサマ・ビンラディンは依然として拘束されておりませんし、また、アルカイダの影響を受けたと見られる各地のテロ組織の活動も続いているわけでございます。

 最近におけるアルカイダ関連組織の関与が疑われるテロ事件としては、例えば二〇〇五年十一月のヨルダン・アンマンにおける同時爆発テロ事件、また、本年九月のアルジェリアにおける大統領暗殺未遂テロ事件及び自動車爆弾テロ事件等がございます。

鈴木(馨)委員 日本では、来年の夏に洞爺湖でサミットも行われます。そういった状況で、今後、日本が大規模テロの対象となる、日本でテロが発生する可能性というものは、恐らくは九月十一日のころと余り変わっていない、むしろ深刻化しているのかというような報道、情報もございますが、どのようにお考えでしょうか。

梅本政府参考人 当時と現在とを比較するということはなかなか難しいわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、アルカイダに関して、その組織及びネットワークは大きな損害を受けたと見られますが、依然としてやはり脅威が残っているということでございます。

 また、アルカイダの直接の関与は必ずしも明確でないものについても、相当規模の犠牲者を発生させるテロ事件が最近でも発生をしておる。例えば、ごく最近の例としては、十月十九日にパキスタン・カラチにおいて、帰国したブット元パキスタン首相の車列近くで二度の爆発が起きたというようなこともあったわけでございます。

 こういうふうに、アルカイダを含め、世界各地におけるテロ組織の活動状況というのはなお予断を許さない状況にあるということでございまして、日本政府、それから各国政府、いろいろ努力をしておりますけれども、まさに予断を許さないような状況というのは続いている、こういうことでございます。

鈴木(馨)委員 通告を一問飛ばしましたので、その関係でちょっとずれがあったのかと思いますが、日本の点についての御答弁をいただければと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、我が国国内において大規模テロが発生するという具体的な情報は把握しておりません。

 しかしながら、世界各地でイスラム過激派等による大規模テロが続発し、国際テロ情勢が依然として厳しい中にありまして、日本はオサマ・ビンラディンのものとされる声明で攻撃対象として名指しされていることや、アルカイダ関係者が不法に入出国を繰り返していた事実が判明していること、また、来年、平成二十年には日本でサミットが開催されますが、主要国の首脳が一堂に会するサミットはテロリストにとって格好の攻撃対象であることから、大規模テロに関する潜在的な脅威があることにつきましては、我が国としても例外ではないと認識しております。

 テロ対策において何より重要なことはテロを未然に防止することであり、このため、政府としては、平成十六年十二月にテロの未然防止に関する行動計画を策定し、その着実な実施に努めますとともに、関係省庁の緊密な連携のもとで各種テロ対策を強化徹底しているところでございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 グレンイーグルズ・サミットのときにちょうどロンドンでテロが起きまして、ブレア首相がロンドンに舞い戻った、そんなシーンは非常に記憶に新たなところでございます。決して日本はテロのターゲットにならない、そんなことを、安全と言えないかもしれませんが、ここまで安全な世の中ですから、ふと思ってしまうところでありますが、決してそんなことはないんだ、そういうことを今のお話を聞きまして強く感じるところであります。

 テロとの闘いの必要性というところにつきましては、きのうより、与野党のいろいろな質問、御答弁を伺いまして、恐らく、闘いの必要性というところでは与党も野党も否定をされるところではないのかな、そう思っております。恐らく、論点は、どういうふうにして日本が関与するのか、どんな方法で日本がテロとの闘いというところで国際社会と関与していくのか、そういった点にあるのだと私は思っております。

 その議論をするに当たりまして、恐らくは、一つには国際社会がどのような役割を日本に求めているのか、そういったニーズ、そしてもう一つは、日本の国益ですとか日本の都合、そういった日本の立場というものとのバランスをどうとるか。その中で、日本として、日本国政府として、日本の国家としていかに国益に一番資するような方法をとっていくのか、そんな議論が大事なのではないかというふうに思っております。

 そういった観点から幾つか伺っていきたいのでありますけれども、まず、よく日本の国益ということでシーレーンの安全確保という話がされます。実際、シーレーンの安全が確保できない、当該海域において海賊の活動、そしてテロ活動、そういったものが起こった場合に、これは非常に定量的なお答えをいただくのは難しいと思いますが、具体的にどのような影響が国民生活に来得るのか、その点について伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

高村国務大臣 我が国は貿易のほとんどを海上輸送に依存しております。重量ベースでいうと九九・七%、エネルギーでいえばほぼ全量を海外から輸入しているわけであります。したがって、シーレーンの安全確保ができない場合には、我が国の経済活動、国民生活に想像を絶するほど大きい影響を及ぼすことになると考えております。具体的にとおっしゃいましたが、非常に難しいので、まあ、想像を絶するほど大きな影響があると思います。

鈴木(馨)委員 本当に、今おっしゃったように、想像を絶するような影響が出るであろうということは、イランで革命が起こったときのオイルショック、そして湾岸戦争のときの状況を考えれば、当時私はまだ生まれてもいませんでしたが、トイレットペーパーは価格が三倍になったと聞いていますので、そのようなことも起こり得るのかなと。ガソリン価格にしたって何倍になるかわからない。ここの電気だって四六時中つけているわけにはいかないのかもしれない。いろいろな影響が出るのだろうということを考えております。

 その議論を進めるに当たって、多少通告の順番と前後はするんですけれども、このたびテロ特措法、新法になりますけれども、給油活動の継続ができなかった場合、私が非常に危惧するのは、そもそも、確かに給油活動を行っていない国というのはごまんと、五万も国はありませんけれども、百何十カ国もあるわけであります。ただ、離脱をするということになると、これはまた一つ別のメッセージを世界に対して与えかねない、そんな危惧も抱くところでありますけれども、その点についてどのような御所見をお持ちか、よろしくお願いいたします。

高村国務大臣 インド洋における海上自衛隊の補給活動は、高い技術に支えられて六年間一度のトラブルもなく実績を積み重ねてきたわけであります。この活動は海上阻止活動の重要な基盤となっており、日本の補給艦が撤退した場合には海上阻止活動の効率が大幅に低下すると考えられます。

 国際社会はこの活動の継続に強い期待を寄せているわけであります。例えば、九月二十七日に、海上阻止活動参加国等の十一カ国の大使が在京パキスタン大使館に集まりまして、我が国による補給活動の継続を期待するとの声明が出されたことは記憶に新しいところであります。

 このような国際社会の期待が表明される中、我が国が離脱することは、我が国がテロとの闘いについて消極的な姿勢に転換したと受けとめられて、当然、各国の対日姿勢に影響なしでは済まないと考えます。一九九〇年の湾岸戦争以降、我が国が国際社会の平和と安定に貢献するために積み重ねてきた努力と実績を無にすることがないよう、補給活動を継続していくことが必要だと思います。

 特に、最初から参加していない場合と引いちゃった場合と違うだろうという御意見でありますが、そういうこともあると思います。日本みたいに、先ほど申し上げたように、インド洋が平和な海であることによって物すごい利益を受けているということは、各国とも知っているわけです。そういう中で、日本が引いた、各国はそれを続けている、その前を通っていくタンカーで一番多いのが日本のタンカーである。こういうのを見たときに、引いちゃったことが物すごい大きな衝撃となって各国に伝わるということはあり得ることだと思います。

鈴木(馨)委員 非常に今のお言葉は大事な点だと思っております。日本がただ乗りをしているんじゃないか、そんな評価すら受けかねないような事態には、やはり日本の将来を考えれば、断固としてするべきではないのではないか、そんなことも考えております。

 話を多少かえまして、世界の方の、国際社会の日本へのニーズという点で議論をさせていただければと思っております。

 幾つかの御指摘がさきの質問でもございましたけれども、私は、テロ組織、テロ活動というものを根絶させていくためには、一般のイスラム社会に暮らしているイスラム諸国の方々とテロリストというものは全く違うものだ、そこにきちんとした線を引き、そして最終的には、イスラム社会からテロ組織へ金や人の流れ、そういったものが起こらないような、起こり得ないような状況にしていくことが非常に大事なのではないかというふうに考えております。

 力ずくでやることも、あるときは大事だと思います。ただ、中期的に考えれば、いろいろな方法を使ってテロ組織をきちんと隔離する。イスラムの一般の方と一緒なんだ、イスラムが悪いんだという、そんな認識は決して与えてはいけない。そうすることは、逆にテロ組織のレジティマシー、正当性を上げてしまう。そんなことは断じて避けなくてはいけない、そういうふうに考えております。

 その点から考えまして、やはりイスラム諸国へいろいろな支援を行っていく、民生支援、そういったことも大事だと思います。長期的に民生支援などを行っていくことも非常に大事でしょう。そして、逆に中期的に考えれば、恐らくは、今行っているOEF・MIO、そういった活動も含めて目に見えるような形で効果を上げられるような、そんな活動も行っていくことが大事であるというふうに考えております。

 その文脈で、日本の補給活動で一番恩恵を得ているのがパキスタンの参加という意味でのその文脈であるということをよく指摘はされますけれども、その点についての御評価、日本の関与と、そしてパキスタンが参加していることについての御評価を伺えればと思います。

高村国務大臣 テロとの闘いにおきましては、テロリストに安住の地を与えないように、今委員が御指摘になったように、イスラム過激主義者を含むテロリストを、金、人等の面で一般社会から隔離していくことが重要であると考えております。

 このため、累次の安保理決議で、国連加盟国すべてに対して、タリバン、アルカイダに対して、またはこれらに関連する個人及び団体に対して、資産凍結、入国、通過防止措置等の制裁措置の実施を要請しております。我が国は、これら安保理決議を誠実に遵守しているところでございます。

 海上阻止活動にイスラム国であるパキスタンが参加していることは、テロとの闘いがイスラムとの戦いでないことをわかりやすい形で象徴していると考えます。大切なことは、文明社会対テロとの闘いということで、文明対文明の対立でない、宗教対宗教の対立でない、この当たり前のことをはっきりさせることが大切だと考えております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 この点、先ほどからるる申し上げておりますけれども、やはり日本のため、そして今おっしゃったように、人間がこれまで営々と築き上げてきたその文明と文明の戦いではない、文明とテロの闘いなんだ、そして、日本の参加というものがそれについて非常に重要な役割を果たしているんだ。そんな点も改めて考えて、永遠にとは言いませんが、やはり、当面の間はインド洋における補給活動、恐らくそれを継続していくことが国際社会の要請、そして日本自身の国益との絶妙なバランスの上にこれは成り立っているんだと私は考えておりますし、そのことをこれからもいろいろな面で、与党、そして政府、あるいはやはり野党の皆様にもいろいろな場で御議論をいただいて、そして国民の皆様の御理解をいただいていくことが非常に大事ではないか、そう思っております。

 一点、多少論点はというか視点は変わる話でありますけれども、私は、今、国民の間に数十%という単位で今回の給油活動の継続というものに疑問が出ている、その点は決して無視をし得ないものではないかというふうに思っております。幾つもの要因がそれにはあると思いますけれども、もしかすると、そのうちの一つに、アメリカの対北朝鮮もしくは対中国の姿勢が、どうも最近、日本の観点から見てどうなのかなと思うような点が報道では少なくとも出ているように見える、そんなこともあるのではないかというふうに思っております。

 もちろん、この点は非常に機微な事項でありますので、どんなことが議論できるのかわかりませんけれども、やはり、その点を我々はある程度おなかに入れて議論することも必要なのではないかというふうに思っております。

 新聞を見ていれば、最近、アメリカのクリス・ヒル代表のいろいろな言動、そして、実際に出てくるそういった情報を見ていますと、果たして日本が、私は与党ですから与党の立場でいえば、我々はここまで苦労して法案を通して、にもかかわらずアメリカは日本の安全保障の根幹である北朝鮮情勢、中国情勢において何でそのような誤解を受けかねないような態度をとるのか、そんな点を非常に私は懸念しております。

 今、政府の立場でどこまでおっしゃれるかわかりませんが、そのようなアメリカの最近の姿勢について、本当に日本を必要としているのか、これは同盟国として、アメリカの国家戦略の中で必要としているのかという点と、インド洋において本当に日本を必要としているのか、この両方の観点から大臣の御所見を伺えればと思います。

高村国務大臣 そもそも米国は、自由、民主主義といった普遍的価値観と戦略的利益を共有する我が国との協力関係を重視してアジアにおける外交政策を構築しているわけであります。日米両国は、また、国際社会が直面する諸課題について共同でも取り組んでおります。

 海上自衛隊の補給活動については、米国政府からこれまでの日本の活動に対する評価や活動継続への期待が表明されておりますが、行政府のみならず、議会からも、共和党と民主党も一致して我が国の貢献を期待しているわけであります。

 また、この補給活動は、欧州、アジア諸国や中東諸国等を含む国際社会全体からも高い評価を受けており、国連安保理と国連事務総長も補給支援活動の継続を期待しているところであります。

 日本もアメリカも世論の国でありますから、日本の国民感情もやはりいろいろあって、そのことでシーファー大使もアメリカに対していろいろ意見を言っているということも聞いておりますが、また一方でアメリカも世論の国でありますから、もし日本が補給活動をやめたときに、いろいろな影響が出てくるかもしれないということを私は危惧しております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 私も、本当に日米関係というのは、いろいろあるけれども、私は結婚していませんが、夫婦みたいなもので、いろいろないさかいはあるんだろうというふうに思っていますが、やはり、その点で非常に大事なのがお互いへの信義なんだろうと思っております。もちろん、今のところは完全に双務的な同盟ではありませんから、これはひとしく同じレベルで求めるというのはなかなか交渉上も難しいのかもしれませんが、日本がそれなりの貢献をアメリカの意向に配慮しながら行っているわけでもありますので、やはりその点はきちんとアメリカに逆に日本の安全保障というところでのコミットメントを求めていく、そんなこともこれから大事なのではないかと思っております。

 私は外務委員会にも所属しておりまして、以前からこのような議論の場で思っておる点でございますけれども、私は、委員会の場というのは決して内向きであってはいけない、そう思っております。この委員会に所属されている先生方、与野党問わず、日本の国の将来のために本当に真摯に考えられている、そう思っております。と同時に、やはり委員会の場というのは政府をただす場であると同時に、見られている場であるという点も決して忘れてはいけない、そう思っております。国民の皆様にも見られていますし、例えば中国、例えばアメリカ、そういったところからも見られているわけであります。

 そこで果たして、日本政府がとり得る選択肢、外交上の選択肢というものを否定させるような質問というのは、私は国益に資するところは少ないのではないかというふうに思っております。逆に、政府の答弁においても、よく、仮定の質問だからお答えできません、先ほど委員の質問でもありましたけれども機密なのでお答えできません、いろいろな点があります、そういう議論も私はおかしいのではないかと思っております。

 幅広く、日本の政府のとり得るオプションをなるべく広げて、そして、実際の交渉の場ではどれをとるのかわからない、それが恐らく、交渉上一番日本のためになる、日本の国益に資するようなものではないかと思っております。

 その点から一点お伺いしたいと思います。

 今後の北朝鮮問題、核の問題も、やはり関心が拡散の方にアメリカでは移っているようにも見受けられます。そして、拉致の問題についても非常に懸念がされます。

 そういった中で、今後の六者協議の進捗状況、もしくはテロ支援国家指定解除のアメリカ側の動き次第では、日本の今後の給油活動の継続、法案を通した後で将来的にその継続というものをさらにもう一年続けるか、まあ通していただければですが、そういった、さらにその先継続するかどうかの判断の検討材料として考え得るのか、アメリカの姿勢というものも判断材料として日本は考え得るのかという点について御答弁をいただければと思っております。

高村国務大臣 我が国は、国際社会の平和と安定の中でのみ繁栄できる国であります。テロとの闘いは、我が国みずからの安全保障の問題でもあります。九・一一のテロ攻撃では、日本人二十四人を含む二千九百七十三人の方が亡くなったわけであります。

 我が国は、同様の決意を有する各国とともにテロの防止及び根絶のための取り組みに積極的かつ主体的に寄与し、みずからの責任を果たしているのであり、これはおよそ、特定の国との関係に影響を受けるような筋合いのものではないと思っています。

 それとは別に、テロ支援国家指定の解除については、アメリカに対して私たちは強く物を申しておりますが、それとこれはリンクしないということであります。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 いろいろと若輩にもかかわらず生意気なことも申し上げましたけれども、私は、東アジアへのアメリカのコミットメントがこれからどうなるか、非常に微妙な時期にあると思うんです。今回のテロ特措法の延長の議論にしましても、やはりこれは、ある意味、日米、日中、そして日本と世界のあり方を根本的に考える機会でもある、そう思っております。

 先ほど申しましたように、与野党問わず、国会にある人、そして、恐らくは国民のほとんどの方も日本の将来のことを真剣に思っているんだ、私はそう思っておりますし、そう信じたい。その前提でこれからも政府、与野党の間で建設的な議論がなされることを、私も頑張りますが、心よりお願い申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

浜田委員長代理 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 この法案は、御承知のように、前の法案が全部で百十二文字という大変に長い名前のついた法案であったのが、今度は、「案」をとると、「法」までいくと三十二文字ということで、それなりに短くなったわけです。

 私は、きょうの、今委員長席に座っている浜田さんや、あるいは中谷さんと一緒に、与党のこの法案づくりに向けてのプロジェクトチームの一員として議論に参画をしてまいりましたけれども、一つのポイントは、この法案の名前にある、名は体をあらわすということで、要するに補給支援の一点に絞られているということであります。

 御承知のように、古い法律の中では、捜索救助活動とかあるいは被災民救援活動というものが入って、三つの活動でありました。それを一本に絞った。そして、海上自衛隊と航空自衛隊、二つの自衛隊がそれぞれの任務を持って行っていたのを、航空自衛隊の分は外して海上自衛隊のみにした。こういう形態の違い、それが法案の名前にあらわれています。

 したがって、ある意味ではどうでもいいようなことですが、よく皆さん、新テロ法案と簡単に言われるんですが、そう言われたくない、言ってほしくない。補給支援法というふうに言うべきである。世の中的に、テロ特措法というと、余りよくわからない。やはり、名は体をあらわす、海上におけるテロを阻止するという意味で、要するに海上における補給支援ということに眼目を置いた法案であるということをお互いに認識する必要があると思います。

 そういったことの中で、与党PTの中である意味では最大の問題になったのは、もちろん、昨日あるいはきょうも議論が出ました国会承認という問題であります。これは先ほど官房長官が説明をされましたように、また、私どもも言っておりますように、この法案審議そのものが言ってみれば事前承認ともいうべき位置を持っている、ここにおける議論そのものが重要な国会承認の役割を果たしているんだ、こういうことでありました。

 一点、私がその与党PTの中においても指摘をし、強調いたしましたのは、先ほど同僚委員の田端議員あるいは自由民主党の大塚委員が指摘をされたわけですけれども、要するに、この実施計画の中における、きのう民主党の方からも指摘がありましたけれども、実施計画、第四条第二項に、一、二、三、四、五、六と項目があるわけですけれども、このうち、第三号における規模、構成並びに装備並びに派遣期間、こういったものについては法案の中に落とし込んだ方がわかりやすいんじゃないのかという指摘をいたしました。

 実は、昨日、石破防衛大臣は、そういうことになじまない、だけれども、当委員会における議論というものをしっかりお願いしたいという意味合いのことをおっしゃいました。先ほど官房長官は、大塚さんの質問に対して、非常に面倒くさそうに、余り丁寧ではない言い方をされたというふうに私は聞こえました。要するに、そういったことは常識の範囲を超えないんだ、そう言われたんですが。大臣、今、常識を超えたことはいっぱい起こっている。極めて非常識なことが防衛省関連でも起こっているということもあって、ここはやはり丁寧にこの委員会の場で説明をしてもらわなくちゃいけない、そう思います。

 例えば、規模において、さっきも話がございました、海上自衛隊の部隊は人員八百名以内、あるいはまた、航空自衛隊は今回参加をしませんから別にいたしまして、艦船は補給艦一隻及び護衛艦二隻以内、ただし、輸送艦による輸送を行う場合には輸送艦一隻及び護衛艦一隻を加えることができる、こういった記述が現行法の基本計画の中にある。これを明確に言葉の上にしっかり出して、大体そんなものだとか、常識の線を超えないという言い方でもいいんですけれども、改めてしっかりと数値を明確にして答弁されるべきだと思います。

 もちろん、いわゆる旧法にも、あるいは新しいこの補給支援法にも国会報告というくだりがあって、今は基本計画、今度の実施計画については、この法が成立した後にそういった計画が立てられて、その国会報告があるからいいじゃないかというふうなことではこの問題は済まない。やはりきっちりと、いわゆる事前承認にも当たる大事なこの国会、この委員会審議の場において明確におっしゃるべきだ、こういうふうに思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 もし面倒くさそうにさっきしゃべったように受け取られたとしたら、まことに不徳のいたすところでございまして、そういう印象を与えたのであれば、それはおわびをしたいと存じます。

 先ほど申し上げましたのは、今、海上自衛隊の部隊、委員御指摘のように八百名以内、ただし交代の時期は千六百名以内、補給艦一隻及び護衛艦二隻以内、ただし交代の場合は二隻あるいは四隻ということになっているわけでございます。これが基本計画に書かれている、今回はそれを実施計画に書くということになります。

 先ほど申し上げましたのは、これまで大体こういう活動で定着をしてきておりますから、確かに法律の名前等々は変わりますが、実際の活動は、それと大きくかけ離れたことをやろうという考えはない。したがって、この人数を書いてもいいではないかという御議論もあろうかと思いますけれども、しかし、そこは法律もまだ通っていない段階でそこの数字を具体に申し上げるというのはいかがなものかということで、あえてそこは過去の実績というものを勘案しながらお考えをいただきたいという答弁をしたわけでございます。

 法律に絶対こういうのを書くことがなじまないのかといえば、それは、そういう法形式があることは私は否定いたしませんけれども、そこの部分はやはりある種の弾力性というものを持たせるという意味から、その部分は法律で書くことはしないという判断を今回したわけでございます。

赤松(正)委員 それで、この六年間の流れの中で、いっとき、今はもうほとんど話題にもならないんですけれども、六年間の流れの中で大変に話題を提供したのが、イージス艦の派遣という問題であります。

 イージス艦がインド洋の補給活動の中に加わったという場面で大変日本じゅうが大騒ぎになったということを今思い出すわけでございますけれども、このイージス艦のインド洋上における派遣については、いつからいつまでどういった形で派遣したのか。そして、このイージス艦の派遣も、今官房長官に答えていただいた、補給艦一隻及び護衛艦二隻以内のこの護衛艦に当たるということで、装備の大きな変更ということではないというふうに承知をいたしておりますけれども、そういったことについての経緯、及び、なぜイージス艦を当時導入したのか、そして今はイージス艦の導入に至っていないという状態が続いているのかということについてお答えいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年十一月以降、インド洋に艦艇を派遣しておりますけれども、御指摘のように、イージス艦につきましては当初の段階では派遣されておりませんでした。

 こうした護衛艦の派遣の考え方でございますけれども、いろいろな護衛艦のそれぞれの任務の状況、派遣の規模、あるいは派遣の期間等さまざまな状況を勘案して実施をしております。

 当初の段階では、環境がどういったものであるのかというのはわかりませんでしたので、いろいろな苦労がございましたけれども、それを着実にこなして部隊の能力として高めている。その中で、居住性の問題でありますとか、情報の収集能力の問題でありますとか、いろいろな状況の中でイージス艦の派遣も必要だということになりまして、最初に、平成十六年の十一月でございますけれども、佐世保からイージス艦が出港したというのが初めてでございます。

 その後、イージス艦は何回か派遣されましたけれども、平成十七年ぐらいになりまして、ほかに居住性のよくなった護衛艦というようなものの派遣もできるようになったり、派遣の規模が護衛艦が一隻でいいというような状況もございましたので、そういう全体の中の艦船のやりくり、居住性、あるいは現地の環境への慣熟というようなことを総合的に勘案して、最も適切な体制をとっておるということでございます。

赤松(正)委員 次に、外務大臣にお伺いをいたしたいのですが。

 アフガニスタンにおける出来事、二〇〇一年の九月の十一日の、あの例のアメリカ同時多発テロから始まったわけですけれども、当初のアフガニスタンにおける各国における行動、これは、当初はアメリカの個別的自衛権の発動、アメリカは個別的自衛権という言い方はしないわけですけれども、自衛権の発動、同時にNATO諸国のいわゆる集団的自衛権の発動の結果としてのアフガン陸上における一連の出来事の言ってみれば国際法上の根拠というものが、そういうところにあったというふうに思うんですが。今日までの六年間の経緯の中で、いわゆるアルカイダと関連を持つタリバン政権というものが崩壊をしてカルザイ政権が誕生した、それ以降は言ってみればその活動の根拠というものは変質している、こんなふうに思いますけれども、外務大臣にその辺のとらえ方について改めてお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 不朽の自由作戦は、九月十一日テロ攻撃を受けて、国連憲章第五十一条の個別的または集団的自衛権を行使するものとして開始されたわけであります。

 二〇〇一年十二月の暫定政府成立後は、基本的には領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、本来、同国の警察当局等の機関が行うべき治安の回復、維持の活動の一部を補完的に行っているものと観念されるわけであります。これは、国際法上は武力の行使に当たらず、自衛権による違法性の阻却を論ずる必要はない、こういうことであります。

 国際治安支援部隊、いわゆるISAFでありますが、これにつきましては、国連憲章第七章に基づく安保理決議一三八六号により設立されましたが、国際法上の性格は、暫定政府成立後のOEFと同様、基本的には領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、同国の警察当局等が行うべき国内の治安の維持のための活動の一部を補完的に行っているものと観念され、国際法上禁止されている武力の行使には当たらない。だから、自衛権をもって違法性を論ずる必要がない、こういうことであります。

 いわゆる地方復興チーム、PRTは、その設立に言及している安保理決議はありませんけれども、その軍事部門は基本的にはISAFのもとで領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて活動しているわけでありまして、OEF、ISAFと同じような法的構成で、自衛権をもって違法性阻却を論ずる必要がない、こういうことであります。

赤松(正)委員 今の外務大臣のお答えでいきますと、今のアフガニスタンにおける状況というのは、カルザイ政権の要請に基づいて治安活動、警察活動を行っているということで、今外務大臣おっしゃったように、いわゆる国際法上における武力行使というものではなくて、自衛権云々というものを言うべき場面にはない、もうちょっと専門的な言い方をされましたけれども、ということでありますが。

 そうしますと、理屈の上でいきますと、このISAFであれば我が国も参加できる可能性はないわけではない。ただ一方で、この場におきましてもあるいは本会議の場におきましても、いろいろ皆さんがおっしゃっているように、あるいは先ほど防衛大臣もおっしゃいましたように、現実にはISAFに参加をすれば自衛隊員が危険にさらされる、そういうおそれが高まる、そういう可能性があるということであります。

 こういった現実というものを御承知なんだろうと思いますけれども、御存じなんだろうと思うんですが、それを踏まえた上で、ISAFに参加をすべきである、あるいはまたさまざまな今のアフガンにおける民生活動等に参加をすべきである、一方、海上におけるところの補給支援という活動については憲法違反であるという言い方でもって、活動は即刻中止すべきだ、こういうふうなことを一部野党の皆さんがおっしゃっているということにつきまして、私は、国際法上で言うところの武力行使との一体化という問題、とらえ方について認識の違いが生じている、こんなふうに思うんですけれども、外務大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

高村国務大臣 ISAFの活動の詳細はよく承知しているわけじゃありませんが、現下の極めて厳しい治安状況の中で、ISAFは、やむを得ず危険な事態に対応せざるを得ず、多数の犠牲者が出ることも少なくないと聞いているわけであります。一般論としては、こうした現実にかんがみ、アフガニスタン本土での活動は、憲法解釈との関係とか要員の安全確保、日本として効果的な貢献ができるか否かなどの観点から、決して容易なものではないと考えております。

 他方、インド洋における補給支援活動は、憲法の範囲内で行われているものであり、我が国の高い技術を用いて、長年、トラブル、死傷者等もなく実績を積んできました。国際的にも評価を受けており、各国から具体的な継続要請も来ているわけであります。

 このような自衛隊の貢献を打ち切って、アフガニスタン本土に派遣せよということなのであれば、なぜあえてそのような方向転換をしなければならないのか、私には全く理解ができないところであります。

 それから、憲法のお話がありましたが、これも私には理解できないんですが、よく後方支援活動も集団的自衛権なんだ、こういうことを言う方がおられますが、国際社会でそういう議論をする方は余りおられないわけでありまして、集団的自衛権にしても個別的自衛権にしても、要するに、自衛権というのは実力でもって反撃する権利なんです。補給活動はいかなる意味でも実力でもって反撃することじゃありませんから、それは集団的自衛権に当たらないことは明らかであります。

 それから、今一体化という話が、国際社会の中で一体化なんて論じている人はいない、これは日本の内閣がつくった概念であると私は思っています。

赤松(正)委員 外務大臣は、今非常に重要なことをいろいろおっしゃいました。

 私は、八〇年代、一九八〇年代、いわゆるソ連の崩壊、湾岸戦争という以前の段階、これは、日本というのは一国平和主義であったと思います。

 約十年の、私に言わせれば幕合い期間、湾岸戦争以降の十年間、経済的には失われた十年と言うんですが、日本の安全保障という部分では、失われた十年ではなくて失われなかった十年だと私は思っているんです。これを経て、二〇〇一年以降、先ほどどなたかの資料に、国際社会におけるテロの一覧というのがありましたが、二〇〇一年以前も散見はされますけれども、圧倒的に二〇〇一年以降が多い。こういう状況の中で、ここは一国平和主義じゃなくて国際平和主義あるいは地球平和主義、そういった、国際社会全体で協調し合わなくちゃいけないということが言えると思うんですね。そういう時代になった。

 そういう状況の中で、言ってみれば一国平和主義から国際平和主義へと変わらざるを得なくなる。ところが、日本の憲法は変わっていないんです。ずっと日本国憲法は、一貫して同じ憲法がある。そのもとにありながら、行われる行動というものは、自衛隊を海外に派遣なんていうことは、先ほど言いました八〇年代以前はなかったわけです。湾岸戦争以降のPKO、我々の先輩が一生懸命取り組んでくれたPKO法案以降が、先ほど私が言いました失われなかった十年。安全保障においては、有事法制ができたり、あるいは周辺事態安全法、そして、今議論になっている、アフガンにまつわるテロ特措法、あるいはイラク特措法というのができたわけですね。

 こういうふうに、時代の変遷、流れの中で、今申し上げたように変わってきた。憲法は変わらない。しかし、その憲法の中で対応する行動は変わってきた。

 これは先ほど外務大臣は私には理解できないという言い方をされましたが、そういう言い方は余りされるべきではないと思うんですね。なぜかというと、要するに憲法をめぐって、例えば武力行使との一体化なんという議論は、この国会のこの場所で大議論がされてきたわけですよ。その議論がされてきて、要するに立場によって、今なお憲法違反だという立場があり、そして一方でそれは拡大解釈だという立場があり、私なんかは従来の解釈が縮小解釈で今やっている解釈が適正解釈なんだという立場もあるんです。つまり、一つの認識をめぐってさまざまな意見の分かれがあったという経緯がわかれば、理解できないというふうに一刀のもとに切り捨てちゃいけないと私は思うんです。

 しっかりとそういう議論を踏まえて、私は、今ここで外務大臣に、官房長官でもいいんですが、改めて聞きたいのは、今申し上げたように憲法違反だというふうな論者はいるわけですね。これは理解できないでは通らない。さまざま。その背景には、憲法違反だと思っている人も大勢いるわけです、一方で拡大解釈だと思っている人もいる。私のように今までが縮小解釈で、今ようやく適正解釈しているんだけれども、しかしここから先はどうなんだと。

 小泉総理は、かつて、すき間がまだある、憲法解釈にはすき間があると言われましたけれども、どれくらいすき間があるのか。天井があって、もうほとんどくっつくかげんなのか、まだ少しゆとりがあるのか。これは、安全保障を議論する場合に非常に重要な認識の仕方だと思うんですけれども、まだ少しゆとりがあると考えられますか。それとも、もう目いっぱい、限度いっぱい、これ以上はもう現行憲法の解釈を、縮小だから、あるいは適正だ、適正じゃない、もっと拡大すべきだ、こんなふうな議論に発展していくのかどうか、そのあたりの認識いかん。問いたいと思います。

高村国務大臣 まず、私が理解できないと言うことをおしかりをいただきましたが、理解できないというのは……(赤松(正)委員「おしかりが理解できないか」と呼ぶ)おしかりが理解できないわけでありまして、極めて遠慮して言って、それを間違いだと決めつけないで、私には理解できないとやんわりソフトに申し上げたつもりでございます。

 そして、ここ二十年ぐらい、憲法の解釈がだんだん拡張してきたことは私はないと思っているんです、ないと思っているんです。ただ、憲法の解釈はほとんど変わらないまま、今まで憲法の解釈の余裕があっても政策的にやらなかったことをだんだんだんだん多くやってきたというのが事実だと、私はずっと見ていて思っております。

 そして、憲法の解釈をもう少し広げるべきでないかというのは、例えば集団的自衛権について、安倍前総理がそういう懇談会を設けてやったりしておりますが、ほとんど解釈そのものは変わってなくて、今までの解釈の必ずしもはっきりしていない、ペンディングにしていたようなところについて、これはできるんだと言ったことはありますけれども、これができないとはっきり言ったことをできるというふうに変えたことはここ二十年ぐらい私はないのではないか、そういうふうに感じております。

赤松(正)委員 それは外務大臣の御認識なんでしょうけれども、前法制局長官が、ある雑誌上で、武力行使の一体化という問題をめぐる日本国国会におけるとらえ方というのは明らかに緩やかになってきている、こういう発言をされております。

 私は、先ほど申し上げましたように、今拡大解釈だと言っているんじゃなくて、従来の解釈の仕方が極めて縮小的ニュアンスがあった、それを適正に戻したんだ、こういうふうに思っておるわけです。

 そうしますと、改めて官房長官に聞きます、今、私、違うことを考えましたので。

 すき間があるやなしやについては今外務大臣おっしゃらなかったと思うんですが、日本の憲法の解釈をめぐって、小泉さん言うところのすき間あるいはゆとりがあるのかどうか、そのことについて官房長官の御見解を聞かせていただきたいと思います。

町村国務大臣 私は、高村外務大臣のような弁護士という法曹人でもございませんし、余りこの問題を勉強していたわけでもございませんので、今赤松委員が言われたゆとり、すき間というものが何を指すのか必ずしもわかりませんし、小泉総理がどこまで勉強されてすき間があるとおっしゃったのかも、率直に言ってよくわかりません。これは率直な感想を今申し上げているのでありますが。

 しかし、今、先ほど高村大臣が触れられました例の安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の議論というのは、四つの類型に分けながら、まさにそのすき間というのがどこにあるんだろうか、そして、ここはどう解釈しても無理だからやはり憲法改正をすべきではないか、その辺の議論をしていただいているものだと。

 私は、まだ着任以来そこの議論を詳しく実は聞いておりませんし、まだ報告書を、今まとめに入っているのかいないのかという最中だと思っておりますが、そうした議論の一片を見ても、例えば、現行法で認められた武器使用の例、それから、現行法では認められていないがしかし武力行使に当たり得るものの例というようなことで、かなりここは詰めた議論をやっているわけですね。

 この辺の、現行法で認められていないけれども武力行使に当たらないかもしれない、ここは解釈の余地があるんじゃないかという例として、いわゆる駆けつけ警護といったようなものを幾つか例示に挙げているようでございます。この辺は確かにまだ多少なりとも解釈のゆとりのある部分かなというようなことであって、これは大いに……。

 実は憲法調査会、今新しく何と申し上げるのかあれですが、今できたんですね。ところが、どうもそれが動かされていないというのは、これは国会のおやりになることで、官房長官の立場でああせい、こうせいと言うつもりは全くありませんが、あれがどうも動いていないという実態は、一議員としてまことに不思議だなと率直な印象は持っております。

赤松(正)委員 最後に聞こうと思ったことを答えられてしまいましたけれども、この場でも昨日議論が出ましたし、これまでも出ていますけれども、こういった議論をやっていくと、要するに一般法という話が出てくるわけですね。何だか、私に言わせると、駆け込み寺みたいに何でもかんでも一般法と言っておけばいいという話になっているのは余りよろしくないなと。

 今官房長官がおっしゃったのは、若干のそういう今の集団的自衛権等の問題に関する有識者の議論の場においても、そういった詰めた議論がなされている。だから、私が言うところの、現行憲法下における解釈という観点で、まだ少しのゆとりがあるという観点での議論がなされているんでしょうし、一般法といった場合も、そういったすき間がなければ一般法もつくれないということが私は言えると思うので、憲法を逸脱するわけにいきませんから、憲法の枠の中で従来間尺に合わなかった部分を詰めるという意味でですよ、そういう観点で、一般法についても、一方で一生懸命考えておられるチームがあるということは承知いたしておりますけれども、それは引き続きしっかりと議論をしていかなくちゃいけない、また、その中身についてもこういった場で議論をされなきゃいけない、そう思います。

 最後に、今官房長官、答えをいただいたんですが、実は、私もいわゆる憲法調査会に所属をし、いわゆる憲法にまつわる国民投票法についての前国会における与党側の提出者の一人として衆参両院の答弁にも当たってまいりました。

 私が思うのは、私のとらえ方は、憲法審査会が設置をされて、最初の、当初二年と言っていたんですが、三年間でもって、あらゆる角度から与野党の議員がしっかりと憲法にまつわる問題、とりわけ九条、前文、こういった問題についての議論をしっかりしていこうよ、していって、そして、問題が那辺にあるかということについて国民的な合意を得る、この一番基本の部分の議論をしようということで合意をしたはずなんですけれども、残念ながら採決の仕方に問題あり、これはやはり民主党を初めとする皆さんの御指摘もしっかりと受けとめなくちゃいけないと思います。

 今になって、少数になったから、それこそだれかが言った猫なで声で、議論をしっかりしましょうよでは通らない。あのとき受けた仕打ちは忘れないというふうに民主党の皆さんがおっしゃっているなら、これはしっかりとその部分は勘案しないといけない。あのときはあのときで今は今だというのは通らないと思うんです。

 しかし、このテーマは、ここに座っておられる与野党の議員の皆さんは、皆さん必要性を感じておられると思うので、そういった意味で、先ほどお答えをいただきましたので、一議員として、今その議論が進まないのはおかしいというふうに官房長官はおっしゃいました、私も、ぜひこの問題については、この国会におきまして一日も早くいろいろ修復すべきは修復をした上で憲法審査会をスタートさせて、そして、今言ったような、適正解釈か、縮小解釈なのか、拡大解釈なのか、憲法違反なのかどうかというテーマについて大議論を国民注視のもとでしっかりやっていく時期に差しかかっている、こういうふうに訴えさせていただきまして……。

 でも、ちょっと答弁が欲しいですね。では、お願いします。

町村国務大臣 赤松委員がかねてよりこの問題に大変な情熱を燃やし、真剣に議論をし、またいろいろな御提案もしておられることを私もよく承知をいたしております。そういう意味で、これは官房長官の答弁ではございませんが、さっき憲法調査会と申し上げましたが間違いました、憲法審査会が衆参ともに設置をされているわけでございますから、ぜひこの場で憲法の問題、そして一般法の問題、きのう民主党の議員から大変積極的な御提案もありました、ぜひあれを一議員の提案ではなくて民主党全体の提言としておまとめをいただけるものであれば、私は、これは本当に意味のある国会になり得るのではないか、蛇足ながらそんな感想を一言申し上げさせていただきました。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

浜田委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 昨日の質疑に続きまして、また本日も、昨日質問し切れなかった部分を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、石破防衛大臣にお尋ねをしたいと思いますが、きょうのことでございます。

 きょうの午前九時十五分ごろ、県営名古屋空港で、整備中の戦闘機が離陸中に滑走路を逸脱して芝生上に墜落、炎上したという事案がございました。恐らく、この委員会の質疑中にも、大臣のもとに一報がメモの形で入れられたのではないのかなと思いますが、幸いにして死亡された方はいらっしゃらなかった。不幸中の幸いでございまして、それでも重傷と軽傷の方が一名ずつでございます。その事故を起こした戦闘機は、支援戦闘機F2の試作機であるというふうに報道では出ております。現在、ちょっと今は最新のことはわかりませんけれども、九時二十分から空港は閉鎖されているということでございます。

 そこでお尋ねをしますけれども、このけさの自衛隊試作機の事故の詳細につきまして、大臣の方から御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 小牧基地におきまして、御指摘のような事故がございました。

 起こりました日時は本日の九時十二分ということになっております。発生場所は小牧基地西側Lタクシーウエー付近というふうに聞いております。当日の天候は曇り、かなり低い雲であったというふうに報告を受けております。

 これは、部隊で申しますと、これは部隊ということにはなりませんが、定期点検を行っておるときでございまして、IRANというふうに私ども申しておりますが、三菱重工がIRANを行うため搬入中であったということでございます。

 この飛行機の製造年月日は十六年二月二十六日、自衛隊が受領いたしましたのは二月二十七日、四空団に所属をいたしております。松島でございます。IRANに入れましたのが五月二十一日、搬出予定は十一月ということでございました。飛行時間は七百三十九・七時間というふうに聞いておるわけでございます。

 事故の内容につきましては今申し上げたとおりでございますが、離陸時に離陸を中断いたしました。原因はまだわかっておりません。滑走路中央付近におきまして西側に逸脱、炎上したものでございます。消火活動の後、鎮火をいたしまして、操縦者二名は航空機から自力で脱出をいたしております。滑走路はその後再開になっております。最終の点検をいたしましたのは昨年の六月十五日でございました。原因については今確認中でございます。部外の被害等、今のところないというふうに聞いておりますが、確認中ということでございます。

 今後、総隊、教育集団及び飛行開発集団のF2によります錬成訓練及び教育など、一時見合わせるということにいたしております。

渡辺(周)委員 乗員の方は脱出をされて、命に別状はなかったということでありまして、本当によかったなというふうに思います。

 この事故の概要についてはこれから調査されるんでしょうが、滑走路を走行中に機体が炎上した。どこから火が出たか、どこにふぐあいがあったのかということについては、まだこの時点では把握されておりませんか。

石破国務大臣 現状において正確に把握をいたしておりません。把握次第、また御報告を申し上げたいと存じます。

渡辺(周)委員 自衛隊機をめぐっては、二〇〇一年の九月、下関で練習機が墜落、三人が死傷した、そしてまた、二〇〇五年四月には新潟県の山中で救難捜索機が墜落して四人が亡くなったという事故も起きております。

 ましてや今回の場合は、点検中の戦闘機が整備後の試験飛行をしようとしたところで起きたことだということでございまして、これは空へ飛んでいたら大変な惨事になっていたんだろう。また、住宅地に近いところで起きたことでございますので、この点については原因究明をぜひしっかりしていただいて、もうこのようなことがないように、ぜひとも強い指導力を発揮されて、原因究明、そして再発防止に努めていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、法案の質問に入りたいと思いますが、その前に、一昨日の証人喚問、そして昨日の我が党の委員の質問の中で、幾つか新しい事実が出てまいりました。

 法案の審議に、質問に入ります前に、ぜひこの問題に触れなければいけないわけでありますけれども、守屋前事務次官の喚問を見聞きして、同席をして、我々も同じ空間を共有しながら、表情も情報の一つという言葉がございまして、証人として喚問をされている前次官の時折見せる苦悩した表情、時折見せる何か考え込むような、言葉を探しあぐねているような姿を見て、やはり何かまだ言えないことがあるのだろう、まだ正直に宣誓どおりには話していない、語っていないのだろうということを、我々としては確信を持ったわけでございます。

 その中で、私も質問をいたしましたけれども、防衛大臣は、今後、特別監察を省内ですることによって、守屋氏個人の問題というよりも防衛省全体の調査をしなければいけないというようなことを御答弁されました。

 そこで、あえて伺いますけれども、今回のこの喚問を受けて、あるいは昨日の質疑の中でも、その後の報道でも、本日あたりの週刊誌等の見出しにも随分たくさんいろんなことが書かれておりますが、防衛大臣として、もう一回、守屋前事務次官に対して調査をするのか。何らかの形で、事情聴取と言いますとちょっと言葉が刑事用語になってまいりますけれども、聴取をするのか。もう一回、新たに出てきたことの疑念について、前次官に対して防衛省として何らかの形で再調査をするお考えがおありかどうか。その点、まずお尋ねをしたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘のように、我々、犯罪捜査権に基づいて行っているわけではございません。倫理規程違反ということで聴取を行っておるわけでございます。

 不十分だったのではないかというおしかりをいただければ、それは甘んじて受けねばならないことかと思いますが、この場において宣誓をして述べたということにまさるものはないんだろうと思っております。

 私、正直申し上げて、私どもが聴取いたしましたものとは違うお話が出てきた。例えばゴルフバッグのお話でありますとか、違うものが出てきたわけですね。あるいは、北海道、四国、九州、そこには部下も一緒におったというようなことが出てきたわけであります。

 そうしますと、やはり国会において宣誓をして述べるということの重さというのを私はつくづく見ておったものでございまして、必要であれば調査をいたしますが、私は、この場において述べられたこと、それが本人が述べた、本人の判断で真実である、それ以上のものを当省として調査するということの意味というのがどうなのだろうということを私の中で考えておりますが、この一番重い場において述べられたこと以上のことを我々が調査するということがどれほどの意味があるのかなというふうに、正直言って思っておるところでございます。

渡辺(周)委員 石破大臣は、これは守屋氏個人の問題のみならず防衛省全体にかかわる問題だということを答弁されたと記憶しております。また、私、先々週でしたでしょうか、安保委員会の方で、ちょうどその日の朝、ゴルフ接待を受けていたのではないかという新聞、テレビ等の報道をもとに質問しました。そのときは大臣も大変憤っていらっしゃったと記憶しております。

 であるならば、これは確かに、一番重い証人喚問という、この国会の場で話されたことは真実なんであろう。だとすれば、新しく出てきた事実に対して、やはり防衛省の名誉にかけて、私は、もう一回、任意の形になるでありましょう、犯罪捜査権があるわけではありませんから。

 やはり、事務次官を務められる、その前には官房長をされていた、防衛局長を務められていた、まさに防衛省のど真ん中、一番の肝の部分にいらっしゃった方がこうした倫理規程違反をしていた、そしてまた新しい事実が出てきた上で、防衛省として、あなたがこの間発言したこと、これを聞いて、さらに真実を究明したいということがあってしかるべきだと私は思いますけれども、今のお答えですと、ここで、防衛大臣としての守屋さんに対する疑念に対しては、もうこれ以上は触れないということになってしまうのでしょうか。いかがお考えですか。

石破国務大臣 いかな捜査権に基づくものではないとはいえ、我々が聞き取ったこと以上のことがこの場で出てきたということは、一体我々が聞き取ったことは何だったんだという気を、正直言って私は持たないではありません。そうしますと、今委員が、防衛省の名誉にかけてというふうにおっしゃいました。それはそのとおりだと思います。

 私は、宣誓したこの場で述べられたことがすべて真実だというふうに信じたいのですが、よもやまだしゃべっていないことはないでしょうねとか、あるいは新たに思い出したことはないでしょうねということを我々が、もうやめられた方ですから、やめられた方に対して、捜査権に基づかずということですから当然限界はありますが、それは、当省の名誉、あるいは第一線で本当に黙々と働いている自衛隊員、自衛官に対する思いということから、もう一度試みたいと存じます。

渡辺(周)委員 今、非常に前向きな御答弁があったと思います。

 私も繰り返し申し上げていますけれども、自衛隊の駐屯地に行きますと、たくさんの姿見、鏡がある。これはどなたかの本にも冒頭で書かれたと記憶しておりますけれども、それは、やはり自衛官は、常に制服がよれていないか、ズボンのしわはぴんとちゃんと伸びているか、あるいは帽子はちゃんとかぶってあるか、そういう意味では、常に自分の姿を姿見に映しながら、まさにみずからを律する。それによって、自衛官としてどのように見られているかということに対して大変な神経を使っているんだというふうに私などは思うわけでございます。

 まさに、繰り返しになりますから同じようなことは申しませんが、みずからを律しながら、現場で一生懸命、使命感を胸に職務に精励をしている自衛官の方。

 先ほど冒頭に申し上げました、この方は自衛官のOBの方のようですけれども、操縦をしていらっしゃったパイロットは、今回は不幸な事故が起きましたけれども、命を落とすようなことはなかった。しかし、先ほど申し上げましたように、練習機で死傷した事故や、あるいは救難捜索機が墜落した中で命を落とした方がいるわけであります。まさに、一つの規律違反、一つのチームプレーを乱すようなことが命につながるという大変な責任を持って、皆さん方は職務に精励をされているわけでございます。

 この問題は、今私の質問に大臣がおっしゃったように、まさに防衛省の名誉にかけて再調査を、ぜひ再聞き取りをしていただきたいなというふうに思います。

 そこで、私どもとしては、今理事会で、先日の喚問の中で新しく出てきました、川内委員が指摘をした、GE社の社長、そして当時の山田洋行の宮崎専務、そして事務次官が事務次官室で会っていた、これについては前事務次官は十五分ぐらいだったと言ったけれども、記録に残っているのは五十分だったというような指摘をしました。そしてまた、CX輸送機エンジン購入にかかわる装備審査会の会議録、審査会の議長が前次官であった、審査会の責任者が守屋氏であったということを考えれば、こうした資料は当然出していただくべきだということを我々としては申し上げております。

 さらには、防衛庁長官経験者を含む政治家の出席したすべての宴席の日時や場所及び政治家名を出すべきじゃないかということも申し入れております。

 また、給油量の取り違え事案に関しては、統合幕僚会議議長が、二〇〇三年の五月八日、記者会見用として用意された応答要領、これも出してほしいということを我々としては要求しているわけでございます。

 例えば、最初に申し上げました山田洋行の元専務あるいはGE社の幹部ともし事務次官室でお会いしているんだったら、当然のことながら面会の記録はあるはずだと思います。私ども議員会館でも、訪ねてこられる方は入り口で面会票に記入をされて会いに来られるわけでございますので、当然、資料として残っているだろう。本当にこの宮崎元専務なりGEの幹部なりが事務次官室に来られたのは一度きりだったのかどうなのか、この辺についても私たちはやはり明らかにする必要があると思います。

 また、装備審査会の中でどのようなやりとりがされたかということについても、守屋氏のお立場としては極めて重い意味を持つわけでありますから、この点についてもう一度、面会の記録なり、あるいは会議録なりを出される御意思がおありかどうか、大臣に重ねて伺いたいと思います。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 今さまざまな資料についての御要求もあったわけでございますが、当然、我々としては、開示できるものについては検討させていただくということでございます。

 御指摘の守屋次官の昨年の十二月の面会についてでございますが、既にこれはお出しをしておりますとおり、入館時間と出館時間、これは五十分というふうなことで我々も把握をしているわけでございますが、それは、まさに市ケ谷の入り口から入って出口に出る間の時間でありまして、実際どれだけ次官室にいたか。これは我々防衛省サイドの同席者もいなかったことがありまして、約十五分だったというのは、御本人からの証言もあるわけでございます。これは当然、我々の方からの同席者もいなかった関係で、格段、記録等も残っておらないのが現状でございます。

 防衛審査会につきましても、確かにさまざまな検討を行う中で、守屋次官が議長というふうな立場でこの会議を主宰していたことは御承知のとおりでございます。この防衛審査会については記録そのものは不存在でございますが、そこでありますところの例えば提出資料等が出せるのかどうかについては今部内で検討をさせていただいているところでございます。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 今、政務官の方から答弁がありましたけれども、特に後段の装備の方の、これは正式名称は装備審査会でしょうか、この記録が不存在だというようなことをおっしゃいました。つまり、それは、どういうやりとりがあったかということについて、とっていなかったのか、それとも、とっていたんだけれどもどこかになくなったのか、破棄なりをされたのか、どっちですか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の防衛装備審査会議の記録については、そもそも、現時点で我々が把握している限りでは、記録自体をとっていなかったということでございます。もちろん、その場で出された資料等の存在等も含めて、現在確認中でございます。

渡辺(周)委員 ちなみに、この審査会というのは、どれぐらいの頻度で、どれぐらいの時間を要して開くものなんですか。私も知りません。だれかお答えできる方はいますでしょうか。

石破国務大臣 これは、年に何回開くとかそういうような性質のものではないというふうに承知をいたしております。必要に応じて開くのだということが一つ。もう一つは、私も今、省内できちんとした形でまとめさせようと思っているのですが、これは諮問機関という形になるわけですね。大臣に対して答申を行うという形になっておるわけでございます。こういうのを妥当と認めるとか、そういう形で答申が出されるということになります。

 そうしますと、そこの議長というのは何なのだというと、会議を主宰するという役割が与えられております。そうしますと、主宰というのは、要するにコンセンサスが得られるまでその会議を開くことを、つかさどると言うとおかしいですね、その会議を主宰するということになるわけです。そうしますと、主宰者の権限というものは何であるのか、職務権限いかんというお尋ねもありましたが、そのことについてきちんとした見解を出したいと思っております。

 頻度は、このようなものというふうに決まっているとは承知をいたしておりませんが、もし誤りがあれば、事務方から訂正をいたさせます。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 ただいま大臣からも御答弁ございましたが、頻度については格段決まっておりません。

 通例で申しますと、さまざまな防衛装備品の選定を行う機会ごとに開催をされておりまして、年二、三回のことが概して多い。一回当たりの時間につきましては、これも審査内容及び付議事項によってもちろんさまざまでございますが、平均的には三十分程度のことが多いというふうなことでございます。

渡辺(周)委員 年に二、三回、三十分程度ということでありますけれども、それでは、もうほとんどしゃんしゃんとやって決まってしまうのかなというふうなまた疑念を持つわけでございまして、まず、なぜその記録がないのかということについては、もう既に結論めいたものが出ているから、何もそこで議論をしなくても、会を開くこと自体は形骸化していて、とにかくやった、それ以前に大体もう決まっているんだということなのかなとやはり思わざるを得ないわけでございます。

 もっと言いますと、答申が出るということは、当然その答申を尊重していく、これは防衛省の審議会に限らずあらゆる政府機関の審議会というものが、審議会方式という形で、さまざまな方々、特に識者と言われる人たちが集まって、その審議会を、これは法律によってつくられた審議会もあれば、時の大臣や政策テーマにおいてつくる審議会あるいは検討会、研究会等もありますけれども、そうした答申というフィルターを、一回審議会なりのフィルターを通って、そこで何らかの結論めいたものが出てきて答申を出される、そこでそれなりのお立場の方々が答申を大臣に出されれば、これをひっくり返すということはまずあり得ないわけですね。

 そうしますと、それがもうほぼ決定だろうということになれば、当然私はそのプロセスについての記録がなければおかしいと思うんですけれども、それについては本当に何もとっていないですか。議事録と言わないまでも、メモとか何かとっておいて、どういうやりとり、どういう質疑がされたのか、どんな意見が出されたということは当然あってしかるべきだと思いますけれども、ないということはあり得ないと思うんですが、もう一回御答弁いただけますか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 再度、事務方にも確認をいたしましたが、会議録については作成をしておりません。ただし、会議で使用した資料については存在をいたしております。したがいまして、これについてどのような形で提出できるかは検討したいと思います。

 あと、この装備審査会議は、これは合議制の組織でございます。各担当の局長メンバーを中心に構成をされておりますが、主管となります局、この装備審査会議については現在の経理装備局長というふうなことになるわけでございますが、それがさまざまな資料等を準備して、防衛事務次官が議長の形でもって主宰をして運営をしているということでございます。

渡辺(周)委員 納得をできないんですね。これだけ重大な会議で、しかも、これは前から指摘しているとおり、防衛装備品の選定、納入に当たっては、これは非常にわからないことが多いんです。まず、市場に存在しないもの、そして、もちろん特殊であり機密性の高いものだということもありますし、それを理由に非常に単価が大きい。例えばこれが一機何億円するのかと言われても、我々はそれが高いか安いかもわからないわけですよ。

 ですから、どういうさまざまな観点から議論がされてその装備品に選定をされたかということについては、当然ながらその場で何らかの意見をやはり開陳していただかないと、我々としても不透明性をなかなか透明にしていくことができないわけであります。

 今手を挙げていらっしゃいますからお答えいただけるのかと思いますけれども、その点について、メモでも何でも、出していただけるものは出すべきでしょうし、防衛大臣に伺いたいのは、高い倫理性と出せる部分の透明性、例えば第三者が公表された資料を見て、これはおかしい、あるいはこれはそのとおりだと、当然その道の専門家が見たときに、外部監査じゃありませんけれども納得がいくようなものをやはり何らかの形で、資料として議事録なりをとっておく。

 あるいは、当然そのプロセスについては、性能の部分とかは軍事機密にかかわる部分でしょうからそこまで出せとは言いません。しかし、非常に不透明な防衛装備品の調達の問題というのはこれまでも言われてきたことですので、それについて今後どのようにしていかれるのか。最後にそれは大臣に伺いたいと思いますので、先に手を挙げている政務官に。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 この装備審査会議については、実際どういうふうな装備にしていくか、例えばエンジンの選定等々について決定をするわけで、当然我々としても納得のいく形でもってきちんとした審議を経て行うというふうなことでございまして、現に今問題となっておりますCXエンジン等についても、手を挙げてきた複数社から、比較をしましてエンジンの取得にかかるコストが最も安価なものについて選定を行うというふうなプロセスを経ております。ただし、各社の資料については、各社が出す段階で個別のデータについては公表をしてくれるなというふうな条件つきでもらっているデータもあることは御理解を賜りたいと思います。

石破国務大臣 今政務官からお答えをしたとおりですが、全く何にも出せないということでいいのかねというのはあるんだろうと思います。これはまた各社から公表しないということでデータをとっておるということがございますので、それとの兼ね合いをどうするか。中で、もちろん記録をとることは別にあってもいいのだろうと私は思います。なくても差し支えないということは、あったって構わない、むしろあるべきだということなのかもしれません。

 また、装備審査会というのは議長は次官でございますので、私がそこへ出席をしたことはございません。

 委員おっしゃるようにしゃんしゃんで決まっている、だとすれば一体どこで何が決まっているかということだと思います。どこにおいて何が決まりどんな議論がされたのかということは、やはりある程度きちんとした確認がなされなければならないことだと思っておりまして、そういうような場合にどのような記録をどの場でとるか、そしてまたそれをどのような形で管理をするか、管理というのはいろいろな意味を含みますが、それは省内で検討をいたさせます。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺(周)委員 この問題だけでもう三十分近くなってしまうわけでありまして、あと二つの問題、給油量の取り違い事案に関する応答要領、これに対してもないということでございます。我々は、あるということを前提に資料を出してほしいということを要求しているわけでありますし、また、前事務次官そして山田洋行の元専務が宴席に出席していたということについても当然出すべきではないかという要求を再三にわたってしているわけでございます。

 この問題のちょっと最後に聞きますけれども、こうした資料を出せないのか出せるのか、応答要領なんかあって当然だと思うんですけれども、それに対して、なぜ出せないのか、出せない場合はその理由を言っていただきたいと思います。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 我々、現に存在をしている記録であり、かつ、お出しをすることができるもの、これは相手との関係等でも問題のないものについては極力開示をするというふうなことで対応をさせていただいておりますが、今お申し越しの応答記録については、これまでも御説明しているとおりでございまして、不存在のものであるとか、あるいは相手との関係でやはり秘密を保持しなければならないことがあることについては御理解を賜りたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、理解できないんですよ。どうしてそのものが出せないのか。別に、出して、これは組織の中の話ですからね、だれかの個人記録を何らかの形で出せとか、先ほど申し上げたように防衛装備品の性能についてまで出せと言っているわけじゃないんです。あるんだったら出してくださいと。それは決して無理難題を言っているわけではないんですけれども、もう一回御答弁、これは出せないんですか、出さないんですか、どっちですか。

寺田大臣政務官 不存在のものについては、これはもう出しようがないわけでございます。先ほど御指摘の、例えば防衛装備品の要求性能でありますとか、各社が出してきたデータについては、これはあくまで秘匿を前提に出してきた、相手とそういう約束を交わしているわけでございまして、そういったようなものについても出せないということでございます。

渡辺(周)委員 いや、私が言っているのは給油量取り違えの事案に関する記者会見用の応答要領であって、別に機密を要するものでもなければ、何か相手方に迷惑をかけるからというものでもないです。これは公的なものですよね。それについては出せないんですか。不存在ということであるなら、ないというんですか。我々はあるということを前提に今質問しているんですけれども。

寺田大臣政務官 その応答要領については不存在であるということでございます。ないということでございます。

渡辺(周)委員 これはちょっと間違っている答弁ですよ。これは中間報告の中で、あるというふうにたしか記載されているから、我々はあることを前提に質問をしているんですが、今、不存在ということは、ないということですか。大臣どうぞ。

石破国務大臣 これは、報告書に特定できないという書き方をさせていただいたと思っております。括弧書きでそのようになっておりませんでしょうか。応答要領については特定できないということを申しました。

 つまり、この応答要領のどれを使ったのかということについて、当時の記憶があいまいであるということがありまして、これであるということが特定ができないものでございます。報告を出しますときに、甲乙丙丁、このうちのどれかですみたいないいかげんなことはできませんので、そのような形にさせていただきました。

 不存在というものではございません。それがこれである、応答要領がこれであるということが特定ができませんということをそこに記させていただいた次第でございます。

渡辺(周)委員 ということは、対外応答要領はあるけれども、どの対外応答要領かということが特定されていないということで、特定されていないというのは意味がわからない。例えば、対外応答要領、括弧で、まだ存在を確認されていないというのならまだわかるんですよ。特定されていないということは、幾つもあるうちのどれかということがわからないという意味での特定されていないなんですか。だって、これは政府側が出した、防衛省が出した中間報告をもとに私は聞いているわけですから。この特定されていないというのはどういう意味になるんですか、だとすれば。

石破国務大臣 応答要領を何かの隠さなきゃいかぬ理由があって出さないというものでは全くないのです。

 つまり、これですかと、いろいろ聞き取りをするわけですね、それに携わったであろう人たちに。まず、だれが携わったかということは確認はできています。彼らに対して個々に聞き取りをするわけですが、どれが会見用の資料でしたかということを聞いたときに、これですということで一致を見ておらないということなのです。一致を見ておらないものを、私はそれは覚えありませんね、何せ前のこと、昔のことですから覚えがないということに相なりますわけで、私はこれだという記憶がありませんねということになりますと、そのようなものをお出しした場合に正確を欠くという懸念が払拭できませんので、そのようなものを出しておらないということでございます。

渡辺(周)委員 ということは、これは先ほど政務官は不存在と言いましたけれども、存在するけれども特定されていないということで訂正されるという……発言をもう一回訂正されますか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 私が申し上げたのは、特定するものが存在をしないという意味ですので、それは不特定というのと同義でございます。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、民主党の要求の関係でございますけれども、統幕議長の会見というのは平成十五年の五月八日に行われております。この中で、発表事項として、例えば多国間共同訓練としてコブラゴールド03等のことについて議長が紹介をしている。それで、二十万、八十万ガロンの話はやりとりの中で出てきた話でございますけれども、したがいまして、統幕議長の会見をしたときのコブラゴールドの関連の資料ですとか、そういった応答用資料というものは存在をしております。

 一方、具体的に、二十万、八十万ガロンのやりとりが現実には統幕議長のときにあったわけでございますけれども、そのやりとりの資料のもとになったものが何であるのかというのは特定ができないということでございます。

 それから、その関係で、二十万、八十万ガロンについて、どんな資料が今までつくられていたかというのは、お出ししてあります資料の五月九日の新聞報道、失礼しました、防衛庁としての対応要領というのがございまして、これは約四十何ページにわたるものでございますけれども、この中にはいろいろ、その二十万ガロン、八十万ガロンをめぐる経緯の資料がございますし、また、結果的に統幕議長の発言内容と似たようなものも残っておるということでございます。

渡辺(周)委員 納得がいきませんけれども、この問題については、ぜひ委員長、これはまた理事会の協議なりで申し入れたいと思いますが、あるいは委員会として、やはり資料を出してくれと。これは、国政調査権に基づいて、非常に、今の答弁を聞いてわかるように、あいまいな今の政府側の答弁に対して、やはり、立法府のこの委員会として、国政調査権の中で私たちは正式に資料を出してほしいということを要求すべきだと思いますけれども、委員長の御決断はいかがでございましょうか。

深谷委員長 理事会で改めて協議します。

渡辺(周)委員 少し違う質問をさせていただきます。

 昨日もちょっとだけ触れましたけれども、イラン情勢についてです。ペルシャ湾あるいはインド洋の、今後の我が国の、この法案を審議していく上でやはり懸念されること。

 一つは、イランの問題でちょっと昨日触れさせていただきました。まず、日本政府として、アメリカの先般発動されましたイランに対する単独で経済制裁を行うということにつきまして、我が国政府はどのように見ているのか。

 そして、革命防衛隊、これは大量破壊兵器の拡散組織である、そして、その革命防衛隊、これは革命によってホメイニ政権ができたときに誕生した、まさに正規軍よりも強い組織であるというふうに言われる中で、この革命防衛隊をアメリカは大量破壊兵器の拡散組織である、そしてまたその中枢部隊、クドゥス部隊をテロ支援組織だということで指定をいたしました。

 この点について、日本政府はどのようにこのアメリカの経済制裁なりテロ指定、そして、我が国としてはイランのこうした部隊に対してどのような認識を持っているか、まず伺いたいと思います。

高村国務大臣 米国が今月二十五日に発表した対イラン制裁でありますが、イスラム革命防衛隊や複数のイラン国営銀行等を対象に、その米国内にある資産及び権利等の凍結を行うものであります。イラン革命防衛隊でありますが、これは正規軍と並行して独自の陸軍、海軍、空軍を有する、一九七九年のイラン・イスラム革命後に創設されたイランの軍事組織である、こういうふうに承知をしております。

 それから、何だったですか。(渡辺(周)委員「経済制裁に対してどのような御認識を持っていらっしゃるか」と呼ぶ)アメリカがイランにした経済制裁でありますが、これが、あくまで、今のアメリカ・イラン関係が外交的に、平和的に解決することを期待している、こういうことでございます。

渡辺(周)委員 いや、それはだれもが願っていることでございます。

 私として申し上げたいのは、一九七八年でしたか、アメリカとイランが国交を断絶しました。そして、その後、アメリカの物資はイランには輸入制限がされているわけでございますけれども、私、昨年五月に行きましたときに、UAE、対岸のドバイからいろいろなものが入ってくる。コカコーラなんか飲めないだろうと思ったら、コカコーラも実はイランの中にございまして、そして、非常に私は行くときに緊張して行ったんです、どんな恐ろしい国かと思って。そして、夜の川べりの公園を歩きますと、一応、男性と女性がデートすることは御法度らしいんですけれども、人けのないところでは手を握ってアベックが歩いておりまして、夜になると夕涼みで、水たばこを吸いながらカフェのようなところで談笑して、非常に普通の国なんですね。

 その国が、アメリカからすれば、これは、レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、あるいはアフガニスタンのタリバンに対して、連携をして、もっと言うと、イラクのシーア派、武装派も、支援することによってイラク情勢を不安定化させている。だから、この革命防衛隊はテロ支援組織なのだというふうに言っているわけでありまして、テロ指定をしたわけですが、我が国としては、この団体、この革命防衛隊をどう見ているか。次の質問につながりますので、この点について、外務省はどんな御認識を持っていらっしゃるのか、テロ組織として見ているのかどうなのか。

高村国務大臣 例えば、ヒズボラとの関係については、イラン政府もヒズボラ側もともに、イランからの支援は政治的、外交的、精神的支援のみである、こういうふうに述べております。また、タリバンについては、イラン政府もアフガニスタン政府もイランとの関係について否定していると承知をしております。ハマスについては、イラン政府から資金援助を受けているものと承知をしております。それから、イラク国内のシーア派組織については、アメリカは何らかの関係があると指摘しておりますけれども、イラン政府はそれは否定をしている、こういうふうに承知をしております。

渡辺(周)委員 私が伺いたいのは、日本政府としてはどう見ているのか。つまり、アメリカは、テロ支援組織だと言う。経済制裁を科して、いわゆるBDA、バンク・オブ・デルタ・アジアに科して、北朝鮮に科した金融制裁のような形で、取引停止を、あるいは資産の凍結の経済制裁を単独で科したわけであります。

 次のステージとして当然考えられることは、経済制裁の次に、いきなり核濃縮施設を攻撃するということは、最終手段なんでしょうけれども、そのオプションすら排除はしないとアメリカの副大統領等は言っているわけでございます。

 そうしますと、我が国政府がどう見るかは別にして、アメリカは、テロ支援組織であるこの革命防衛隊が、アフガニスタンの隣のこのイランが、ペルシャ湾にも面している国が、何らかの形で、例えば、じゃ、洋上に出てきたときにこれを阻止する、何らかの形で威嚇する。もう既にことしの五月には、空母二隻を沖合に展開させて、そこで軍事演習しているわけです。これはもう威嚇行動ですね。そして、それをやっているわけですから、当然イランに対して次なるオプションが用意されていると考えるべきだと思いますけれども、もう時間もありませんから、二点伺います。

 日本政府は、このイランの革命防衛隊をテロ組織だというふうに見ているのかどうなのか。アメリカがこう言っている、あるいはそのほかの国はこう言っているじゃなくて、日本政府は現状をどう認識しているのかということが一つ。

 そして、今後の展開次第によっては、きのうもちょっと申し上げましたけれども、まさにペルシャ湾で新たな火種が生まれる可能性があると私は考えるわけですけれども、その点の認識について日本政府はどうお考えでしょうか。

高村国務大臣 日本政府は、革命防衛隊について、テロ組織だという断定をしているということはありません。ただ、今まで私自身も、イラン政府の要人に対して、ヒズボラとの関係を考えた方がいいんじゃないですか、ハマスとの関係を考えた方がいいんじゃないですかということは数次にわたって申し上げているところでございます。

 それから、これからどうなるということは、だれも、ブッシュ大統領ですらわからないことだ、こういうふうに思いますが、アメリカも第一義的には平和的、外交的に解決したいと思っていることは間違いないことでありまして、私も直接ライス国務長官にお会いしたときに、やはり国際社会が一致したメッセージを出すことによって外交的に解決すべきことであるということについて、ライス国務長官は、それについて同意する、こういうことを言っておられました。それは、まだアメリカが経済制裁をする前の話でありますが、そういうことでありました。

渡辺(周)委員 先のことはだれもわからないという、何か言い方としては非常にのうてんきな言い方をされたと思うんですね。

 当然、経済制裁を科すということは、どういう次なるオプションがあるかということを考えておかなきゃいけない。経済制裁、そして最終的には空爆も含めて軍事行動をとる可能性は否定していないわけであります。それは、今はブラフかもしれませんけれども、その間にだんだんステップアップしていって、当然、イランに対する圧力というものはどんどんかけてくるということが常識的に考えられるわけです。

 ですから、日本政府、これは我々もそうですけれども、イランと日本、日本が、イランとアメリカがどうなるかということは常にシミュレーションはしておかなければいけませんで、こうなったときには後退をしよう、こうならないような外交努力を自分たちは主体的にやろうということは当然のことながら考えなければいけないことで、そんな、事が起きてから考えてみようみたいな話ではまさに通らないわけであります。それで国家と言えるのかという思いをいたすわけでして、尊敬する外務大臣の今の答弁を聞いて私はちょっと失望をしたわけでございますけれども。

 今後どうなるかということによっては、これはペルシャ湾での日本のまさに海上阻止活動というものが法目的に合致するのか、あるいは逸脱するのか、私はそこだと思うんです。アメリカから、アルカイダ並びにタリバンと関係をする革命防衛隊というのはテロ支援組織である、これがペルシャ湾洋上なりあるいはインド洋にテロを輸出する、あるいは大量破壊兵器を輸出している可能性があるということで、もし阻止活動をした場合に、日本がこれに対して給油をするということが法目的に合致するのかどうなのか。もう時間がありませんが、その点をお答えいただけますでしょうか。

高村国務大臣 先ほど言いましたように、タリバンと関係があるとは承知しておりません。それはアフガニスタン政府も否定している、こういうふうに承知をしております。ですから、イランとの関係で事を起こすときに給油をするということは法目的に合致していないということは言えると思います。

 それから、私が言ったことをのうてんきだと言いましたが、ここで私個人が、いや、戦争になりそうだよとか、いや、ならないよ、こんなことを言ったら、それこそのうてんきな外務大臣だと思います。

渡辺(周)委員 私は、当然、次の段階、過去、他国に対してプレッシャーをかけるときというのは、経済制裁から始まっていろいろな段階があると思うんです。当然、それはシミュレーションをしていなかったらおかしいということを申し上げたわけでございます。これについてはまた改めての機会にやろうと思います。

 法目的には合致していない。そうしますと、アメリカから、例えば給油の補給艦の要請があった。これまた転用の話になるわけですけれども、何らかの形でイランのテロ輸出あるいは兵器輸出の可能性がある船舶に対して洋上の阻止をしなければいけないために補給をしてくれということは、できない、我が国としてはそれはできないということでやらなければいけないわけでありますから、何よりも、この法目的にあります、九・一一テロはまだ脅威は終わっていないことを前提につくられている法律ですから、たとえアメリカがイランの革命防衛隊をテロ組織と言おうとも、これはアメリカの理屈であって、国際社会としてそこまではまだいっていない、日本政府としてもまだ認めていない。となれば、このオペレーションには日本の油は使えないというわけになるわけですけれども、もう時間もありませんので、最後に一つ。

 この転用を阻止するために、イラン情勢にたとえいかなることがあっても使われないということに対しては、何らかの形で歯どめをかけるお考えはおありでしょうか。

高村国務大臣 法目的をはっきりした上で、そのことで新たな交換公文をつくるわけでありますから、アルカイダとイランが少なくとも今まで何らの関係もないということに、日本政府もそう思っていますから、そういうことに使われるということはありません。

渡辺(周)委員 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますけれども、ぜひまた改めてこの問題について議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。

深谷委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。昨日に引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 時間の関係で昨日十分にお聞きできなかったことがたくさんありました。昨日私がいろいろと御質問させていただいたのは、大変な税金を使ってやるんだ、しっかりと情報公開のもとで、どういう効果が上がっているのか、引き続き続けていくことの意義を考える、そのためにしっかりと情報公開をまずしてほしい、こういう観点から質問させていただいたわけであります。

 昨日、石破大臣も、なかなか時間があればもっと説明します、そんなお話もありましたので、日本が参加をしているOEF・MIOの具体的成果を教えていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、今までくだくだ申し上げたことをまた繰り返すことはいたしませんが、具体的な数字で申し上げれば、海上阻止活動は、二〇〇六年の一年間だけで九千回、無線照会を行いました。二百回、乗船検査をやりました。無線照会の回数は、二〇〇五年と比べて、二〇〇五年は一万四千回あったわけですが、三五%減りました。年々減少傾向にございますということでございます。そのほか全部申し上げますと五分ぐらいかかりますが、御迷惑かと存じますので差し控えたいと存じます。

 例えて言えば、〇四年二月、OEF・MIO参加艦艇が哨戒機からの情報を得て、ダウ船、ダウ船というのは御存じだと思いますが、ダウ船に対する臨検を実施し、AK47小銃あるいはRPG―7、携帯用対戦車ロケットでございますが、武器を発見し、当該ダウ船を回航したとか、あるいは、米海軍艦船が〇三年十二月、ダウ船に対する臨検を実施し、末端価格一千万ドルの大麻を発見し押収し、乗組員十二名を勾留したでありますとか、そういうことはございます。

 これは全部一覧表にしますと相当の成果ということに相なりますが、これを全部出しますと、ああ、では、あれは見つからなかったんだ、これは見つからなかったんだみたいな話になりまして、かといって大戦果、大戦果と言って大本営発表みたいなことをしてもしようもありませんので、やはり出せないものと出せるものはあるのだろうと思っております。

 ただ、きのうも答弁を申し上げましたが、要は拒否的抑止力というものはなかなか数字でもってはかることは難しいということだと思います。テロリストに対しまして懲罰的あるいは報復的抑止力というのが余り意味を持ちません以上、大事なのはやはり拒否的抑止力、拒否的抑止力を数字をもってあらわすというのはなかなか限界があることだと私は思っております。

近藤(昭)委員 外務省、防衛省にお聞きすると、その海上阻止活動の成果ということで、よく、無線照会、立入検査の数が減った、こういうお答えがあるわけです。それはそれで結構なことだと思います。

 ただ、一方で、先ほど石破大臣もお答えになった、こういう成果が上がったという一覧表、きのうもお話をしましたけれども、いただきました。そこに確かに、OEF・MIO参加艇、米がダウ船に乗船検査を実施、乗員十二名を拘束したとか、先ほどの、小銃、携帯対戦車ロケットを押収した、こういう表があるわけです。

 ただ、きのうも申し上げました。なぜ、この今お答えになったものの中にあるのかもしれませんけれども、例えば今の、こういう拘束を何人した、あるいは何件でもいいんです。あるいは武器を押収したのが何件あった。つまり、無線照会、立入検査の数は減った、しかしながら、実際、具体的成果が上がった例、こういう数は十分に公開されていないんですね。ですからきのうは申し上げたんです。この表にあるだけですか、ほかにないんですか、こういうことでありますが、ほかにはないんでしょうか。

石破国務大臣 もちろん、これがすべてだとは思いません。出せないものもあるんだと思います。なるほど、あいつらはここで捕まったのかということになりますと、じゃ、どうやったら裏がかけるかというようなことにも当然なるわけでございます。

 もう一つは、麻薬でありますとか武器でありますとか、そういうものを運んでいる、そこへOEF・MIOに参加している艦艇が近づく、あるいは無線照会をするということになると、そういう物というんですかね、武器とかあるいは麻薬を全部沈底、底へ沈めてしまう、そういうわざがあるんだそうですよ。要するに、見つかると押収されてしまうので、それをすぐロープを切って沈めてしまうというわざ、これが結構使われておるというお話がございます。それはもう海底深く沈んじゃったものですから、捜すわけにもまいりませんが、そういうものというのは数字になって出てこないものだというお話も現地では相当になされておるということだと聞いております。

近藤(昭)委員 そういう証拠隠滅があって、なかなか具体的な成果として出てこない。

 あと、きのうも申し上げた、私、九件と言いましたでしょうかね。具体的には言えなくても、あるいは証拠隠滅されたものがあるにしても、余りにもこの数が少な過ぎるんではないか。例えばもう少し、最初の年は、例えば何百件か何千件かわかりませんけれども、そういったものが出てもおかしくないと思うんですが、いかがでしょうか。数値ということであります。

高村国務大臣 OEFなりOEF・MIOに参加している国は、この作戦行動、原則明らかにしていないんです。我々がしつこくしつこく聞いて、そして出てきたものが、今お示ししている九件ということで、それは委員と同じような感想を私自身も持っているわけで、もっともっとたくさんあるはずだと。

 ただ、ずっと私は言っているわけでありますが、何件捕まえた、テロリストを何人捕まえたというのも、それは具体的な成果かもしれませんが、やはり最大の成果は、これは抑止力なんですから、ここでテロリストたちの自由の海になっていないという、それが成果なんだ、一番大きな成果なんだ。要するに、抑止力というのはマクロ的に見ていただきたい、こういうふうに思います。

近藤(昭)委員 なかなか数値で出せない、これはいつまでもやっても結論が出ないと思います。

 それで、ただ、今おっしゃった、原則明らかにしていない、詳細は。民主党の部門会議でも、私、外務省、防衛省にお聞きをしたんです。ペーパーが配られて、こういう成果が上がりました。今同じような質問をしました。数は出せない。

 じゃ、いろいろと出ています。それでも、幾つか具体的な成果として出ている。平成十五年十二月十五日、先ほどもちょっと読みましたが、OEF・MIO参加艇、米が、こういうふうに書いてある。それで、では、これはどこの参加艇か、米国の参加艇だ、これ以上の情報はないのか、そういう質問をさせていただきました。外務省であったか防衛省であったか、ちょっと記憶にありませんけれども、もうこれ以上のものはない、こういうお答えだったわけですね。

 ところが、実は、米海軍のホームページを見ると、この十二月十五日、アメリカの強襲揚陸艇ペリリューという船がありますが、その船が、ペーパーはお持ちでないと思いますが、実は、外務省からもらったペーパーの中にあるのと全く同じ、乗員十二名を拘束した、大麻、末端価格一千万ドル相当であった、OEF・MIOの参加艇で、米国だと。失礼しました、これは米軍のホームページじゃないです、ペリリューという船の、自分の船のホームページです。そこに、十二月十五日に十二名拘束をして、一千万ドル相当のものがあった、そして、ちょうどその後にまた拘束をした、こういうことが具体的に書いてあるわけであります。

 つまり、先ほどから、相手国との関係、さまざまな問題から公開できないといいながら、当事者の米海軍、そしてその船が、自分のところのホームページで、こういう拘束をした、こういうことを書いているわけであります。このことについてはいかがお考えでしょうか。

高村国務大臣 相手国の関係で出せないと言っているんじゃないんです。相手国が日本政府に知らせなかった、だから私たちは知らなかった、こういうことであります。

 そして、私たちに知らせないことを逆にほかのところでアメリカが発表しているとすれば、それは大変不愉快な話です。私は、ライス長官にも直接申し上げたんだけれども、日本政府に、補給に参加している日本政府に知らせないで、そしてそれをほかのところで出しているというのは、それは情報公開に基づくものもあるし、それから今おっしゃったようなのがあるとすれば、それは日本政府として大変不愉快な話です。またアメリカに対して言わなければいけない話かな、こういうふうに思っています。

近藤(昭)委員 まさしく不愉快な話。ただ、そういう、不愉快とか不愉快でないとかという問題だけではないと思うんですね。

 やはり日本も責任を持って燃料を補給しているのであれば、そして、その効果、具体的な成果がどういうふうに上がっているんだということであれば、もちろん、先ほどからもお話があるように、これはいろいろと秘密があって、安全保障上公開できないということもあるでしょう。しかし、自分たちがホームページでこうやった、ああやったと言っているんです。そうであるならば、やはり日本が補給をしている、その成果がどれだけあったか。

 つまり、先ほども、抑止力、抑止力とおっしゃった。なかなか数も出てこない。でも、少なくとも、公開されている中の情報は、ホームページぐらいで出ている情報は提供されても当然じゃないかと思うわけです。そうでありますならば、日本政府はどういうふうにアメリカに対しておっしゃっているのか。アメリカに対して、せめて、せめてと言うとあれですが、ホームページ上にあるぐらいのものは知らせてくれよと言うのが当然ではないでしょうか。

高村国務大臣 それは当然だというのは、私も当然だと思います。

 当然だと思うから、私自身、ライス長官にも言ったわけでありますが、これからもそういうことを御指摘いただければ我々も気がつきますから、その都度、アメリカに対して厳しく要求をしていきたいと思います。

近藤(昭)委員 ぜひ、私ももちろん指摘をさせていただきますけれども、政府におかれましても、インターネット上で簡単に出てくるんです、それぐらいの情報は、やはり基本的な話としてアメリカに要求をしていただきたいと思うわけです。

 続きまして、同じく海上阻止活動であります。海上阻止活動の結果として、二〇〇三年十二月十五日及び二十日、先ほどちょっと触れたことと重なりますけれども、拘束した。これは外務省から提供された資料にも出ています、どこが拘束したかというのは出ていないんですけれども。それは、十二月十五日及び二十日に拘束した三十三名、それぞれ十二名と二十一名であります。その三十三名のうち十名はアルカイダとの関与の疑いがあると政府作成の資料に書かれています。

 そこで、彼ら十名のその後の処遇。例えば起訴されたのか、もし起訴されたのであれば罪状は何か、そして判決は出たのか等々の情報、これを持っていらっしゃるのかどうか、教えていただきたいと思います。

高村国務大臣 私が知る限り、アメリカはそれを一切公表しておりませんから、そういう情報を日本は持っておりません。もしインターネットか何かで委員が知っておられるのなら、教えていただければ、私はアメリカに強く抗議をいたします。

近藤(昭)委員 全く御存じないということですか。

 そうしましたら、私が知り得る限りのことでお話をしたいと思います。

 この案件につきましては、二〇〇四年一月二日付、十二月十五日のしばらく後ですね、ユナイテッド・プレス・インターナショナル、そして同年二月九日付のサンディエゴ・ユニオン・トリビューンが詳しく報道しているということであります。報道によると、三十三名のうち二十三名は出身国の当局に引き渡された、残りの十名はアルカイダとの関与が疑われ、アフガニスタン国内のバグラム空軍基地へ移送された、こういうことです。そして、バグラム空軍基地はテロリストと疑われた被疑者の一時勾留施設であり、拘束された十名は、キューバのグアンタナモ基地へ移送され尋問を受けることになると報じているわけであります。

 このことを聞かれて、いかがでしょうか。

高村国務大臣 日本政府はそれは存じておりません。

 そして、アメリカにおいても日本においてもそうでありますが、マスコミの取材力というのは物すごいもので、政府が発表していないことも、真実か、本当か、取りまぜていろいろな報道がありますが、そういう報道があったということであれば、何らかのルートでアメリカに聞いてみたいと思います。

近藤(昭)委員 報道、日本でも、よく報道を引用して質問されたりすることがあるわけですけれども。

 ただ、先ほども申し上げました、日本が、その成果がどれだけ上がっているのか、抑止力、それを証明するというか確認をする。これだけのことを日本がやって、何か、国連も感謝をしていると、そういうことを政府もよくおっしゃるわけですから、感謝をされているその中身は何なのか。OEF・MIOで給油をしている、そして、その燃料を補給しているその船が関係した案件が、詳しいことがどうなのか。それは、相手国に対して、関係者に対して、やはり政府としてきちっと請求をしていただきたいと思うわけであります。

 特に、先ほどのアルカイダとの関与の疑いがあるという事件でありますけれども、バグラム空軍基地、グアンタナモ基地などのテロリスト被疑者の勾留施設で、いろいろと、多くの無実と言われる人たちの拷問とかも行われていたということであります。そういうことも考えれば、人権団体が問題にしているところもあるわけであります。そうすると、日本がもっと関心を持つべきだと思うんですね。

 そして、実はほかにもまだあるわけでありますけれども、先ほど御紹介をしました十二月十五日の拘束をした船というのは、ディケーターという船であります。それは、先ほど御紹介したサンディエゴ・ユニオン・トリビューンという新聞が、ディケーターが拘束をした、このことも伝えているわけであります。そして、そのディケーターが拘束をしたその被疑者は、ペリリューという船、米国の強襲揚陸艇であります、そこに移送され、そこで一時拘束された、こういうこともあったわけであります。

 そして、これも米海軍のホームページ、日本の「ときわ」がこのペリリューにも燃料を補給している、十二月五日であります。

 ですから、少し日にちが違いますから、離れていますから、そのときに補給したのがその拘束をしていたときに使われていたかどうか、これは確認できないわけでありますが、しかしながら、日本が補給をしたその船が、一体の活動の中でテロリストを一時拘束している、こういう関係があるわけですね。そうでありますならば、やはりそういった情報はもっと米国に、関係国に要求するべきだと思います。どうでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 海上自衛隊の補給活動として、どのような艦艇に、どの時期にどれだけの油を上げているかということは私どもの実績として上がってきているわけでございまして、今先生が御指摘になりましたような事実もあろうかと思います。

 今回、そういった、我が方が補給した相手先の艦艇がどのように行動していたのかということについて、いろいろ我が方のテロ特措法の趣旨にのっとった適正な油の使用が行われているかという観点から必要な情報を得ているわけでございますし、今回改めましていろいろな、確認に必要な範囲で情報を得ているということでございます。

 ただ、それぞれの艦船が、例えばペリリューにしろ、今御指摘になりましたほかの船にしろ、私どもの補給艦からの補給だけで活動しているわけではございませんし、アメリカ自身の補給艦からのいろいろな補給活動もあるでしょうし、そういった艦艇でございますので、私どもがテロ特措法に基づいて補給を行った趣旨を踏まえて各国が決定する部分があるわけでございまして、その細部の行動についてすべて一々つまびらかにしなければならないというものではないかと思いますけれども、委員からの御指摘にもありますように、我が方として、できる限りの資料を確認して、そういった事実を整理しているというところでございます。

近藤(昭)委員 局長の御答弁で、一々つまびらかとおっしゃいましたが、一々と言うほど件数があるわけではないので、やはり責任を持って、そういった情報は国民の皆様は知りたがっているわけであります、ぜひ要求をしていただきたいと思います。

 それで、抑止力という話がありますので、きのう私も、抑止力というものは否定するわけではないというお話をしました。では、この一連のMIOの活動の中で、どれだけ抑止力がきちっと働いているかをやはり知りたいんですね。

 それで、きのうもちょっと表を出してお伺いしました。防衛省がつくって外務省が出しているあのイメージ図です。インド洋の海上阻止活動のイメージ図、武器、麻薬、テロリストの入国の抑止、こう書いてあるわけです。武器の流入の阻止、麻薬の資金の流入の阻止、テロリスト入国の抑止。

 そういうことで申し上げますと、では、アフガニスタンの中で抑止力が働いているとすれば、どうしてなかなかテロ活動が減ってこないのかな、こういうふうに思わざるを得ない。そういう中でこの海上阻止活動が大きな抑止力を持っているんだと言われてもぴんとこない。そして、では、このイメージ図でかいてあるから、こういうふうに武器が流れてきて、そして麻薬が、人が動いている。そうすると、この海上阻止活動で抑止力を働かせていって、アフガニスタンでのそういうテロ活動を減らしていくんだ。どうもそういう効果があらわれていない。

 ですから、私がお聞きしたいのは、そういう前提のもとで、テロ活動、そういうものを抑止するためにやっているんだ。そうすると、この表、イメージ図で、人が、お金が、また麻薬が流れているんだ、こういうふうにかいてあるわけですけれども、その根拠を教えていただきたいんです。こういうことがあるからここで活動していて、こういうふうに成果を上げてきたんだと根拠を教えていただけませんでしょうか。

石破国務大臣 これはあくまでイメージ図でございまして、テロリストに、あなた、どこを通りますかといって聞いてつくったものではもちろんございません。それは、結局のところ、各国の情報というものをいろいろとります、そうすると大体こんな流れなのかなという漠然たるイメージであることは、それはもうそのとおりでございます。

 あくまでその程度のものしか出せない。それは冒頭申し上げましたような、大変失礼な物言いになったら恐縮でございますが、そういう理由に基づくものでございます。

近藤(昭)委員 もちろんテロリストに聞くことはできないんだと思いますけれども、でも、何らかの情報があって、ここをテロリストが、武器が、麻薬が通っているんだ、だからこうこうこういうイメージ、イメージ図という言葉は私は余りふさわしくないと思うんですが、こういうところを通っていくという根拠がある、だからそこで海上阻止活動をやっている、そして、海上阻止活動をやってきたから抑止力がある、こう抑止力をおっしゃるなら、そうだと思うんですね。

 それで、私はちょっと不思議に思うんです。こうしてやっている、そして、では、抑止力だとおっしゃるし、具体的な成果もあると言う、でも、具体的成果と言われるものは、数がまだ、何件拘束して何十人、あるいは何回銃を見つけて回収したとか、そういうのがあればいいけれども、そうでもない。数件のこういうところがあった、そしてその情報は不十分だというとなかなか信じられないわけであります。

 それで、私も、もちろんそれがすべてではないと思いますが、いろいろな関係者にお聞きしました。海上ルートが主要ルートとして使われているといって日本の政府は、外務省、防衛省は説明をする。しかし、現地をよく知っている人たちからすると、どうなんですか、そんな海上でどんどんやっているんですか、こういうお話をすると、多くの方が、なかなか、海上ルートが全くないと言わないけれども、多くは陸上ルートではないか、こう言うわけであります。

 先ほども報道のことが出ましたけれども、先般、フランスのドキュメンタリー番組でありました、NHKで放送されました、詳細に麻薬のルートを検証しておりました。詳細に検証する中で、麻薬ルートは、イラン国境へ流れるもの、イランの国境です、タジキスタンやウズベキスタンを経由してEU諸国へ流れるルートがある、こういうことを言っているんですね。主要なルートは陸であり、イラン国境へ流れるものと、今申し上げたタジキスタン、ウズベキスタン、こうしてEUへ流れているものが大きなルートだ、こういうふうにそのドキュメンタリーの番組は結論づけているんです。

 そうすると、海上ルートには必ずしも根拠がない。フランスのドキュメンタリーでいえばそういうことである。このことについてはいかがお考えになられますでしょうか。

高村国務大臣 海上阻止活動がきちっと行われて抑止力が働いているから、今、海のルートは主要ルートになり得ていない、これは抑止力がよく働いていることだ、こういうふうに思います。陸を通る以外に今ほとんどないという状況になっているんだろうと思います。

 そして、この抑止力の問題は、きちっと数理的に検証するというようなことはなかなか難しいんですね。例えば、日本がここ六十数年間一度も戦争をしていない、どこの国にも攻められていない。ある人は、これは平和憲法があるからそれだけで平和なんだと言う人もいるかもしれないけれども、私たちは、自衛隊とそして日米安全保障条約の戦争抑止力もあって、憲法も関係はあるかもしれないけれども、あるいは我々の平和外交努力も関係あるかもしれないけれども、そういうことが相まって抑止力になっていると。そういうのは、ある意味の大きな判断をする以外ないんです。何か、緻密に検証できるというような話じゃないんだろうと思うんですね。

 そして、多くの、例えば国連安保理においても、やはりこれが抑止力として役に立っていると思うから、評価し、感謝し、続けてくださいよ、こういうことを言っているので、それは、国際社会が大体そういうふうに抑止力があると認めているからこそ、そういう国連決議も出てくるわけで、何か科学の証明みたいに、緻密な数字で、幾つ何があってこうだから抑止力がある、こう証明しろといっても、それはなかなか難しい話だ。

 そうじゃなくて、大きな観点から見て、これは抑止力として機能しているからテロリストの自由の海になっていなくて、まさに平和の海で、そして、日本のタンカーも油を日本に運んでこられる、こういう状況が続いているんだ。大きな観点から私たちはそう判断している、こういうことであります。

近藤(昭)委員 陸上にそういうルートがあるというのは、陸上に移ったということではなくて、陸上が主要のルートであるということなんですけれども。

 それと、海上で抑止力があって、陸上に逃げちゃった。海上では効果があるんだから、陸上に行っちゃったからいいんだと。

 海上では、もしかしたら抑止が働いているのかもしれません。しかしながら、陸上に多くが行っている。そしてまた、先ほど申し上げたように、陸上に大きな、何というんですか、そういう流れていって資金源になっている、これは大きな課題であると思うんです。それについてはどういうふうにお考えになるのか。

高村国務大臣 陸に麻薬の主要ルートがあるのであれば、そのルートを断つということも大きな課題であるということについては、全く反対しません。同意見でございます。

近藤(昭)委員 ぜひその陸上ルートのこともお考えいただくということと、もう一つは、やはりアフガニスタンの中で大変に農業にも従事してきた人たちが、内乱あるいは干ばつ、干ばつというかさまざまな条件の中で、きのうの我が党の同僚議員の中にも話もありました、大麻をつくらないようにする、そういうこともぜひお考えをいただきたいと思うわけであります。

 さて、次の質問に移りたいと思いますが、昨日の委員会の中で指摘をさせていただきました、日本はOEF・MIOの補給活動に参加をしている。そして、外務省、防衛省が出してくる資料の中に、OEF・MIOの参加艇がこういうふうに、駆逐艦、フリゲートとして書かれている。そして、日本が巡洋艦アンツィオに燃料を補給してきた。そのことに対して石破防衛大臣は、アンツィオはそのOEF・MIOの参加艇であるというふうにお答えになって、後ほど訂正をされて、OEF・MIOではなくてOEFに参加をしておる、そういうふうにお答えになって、かつ、OEFに参加をして補給をしているから、それは問題がないんだ、こういうふうにおっしゃったわけであります。

 ただ、私も後で気になって、先般、予算委員会で私どもの岡田克也議員が高村大臣、石破大臣に御質問をさせていただいたと思いますけれども、その当時、そのときのお答えで、現在は専らOEF・MIOに燃料補給をしている。そして現在は、最近はやっていない。それは、当時はまだアフガンが暫定政権もできていない中で、米国が自衛権の中で闘った、だからOEFにも給油をしていいんだ、そんなようなお答えであったかと思うんですが、ただ、最近は、カルザイ政権もできて、カルザイ政権の要請でさまざまな活動をしている。だから、最近はOEF・MIOに限っている。

 当初はOEFにもやっていたけれども、最近はOEF・MIOに限っている、そして最近はやっていない、こういうお答えというか、最後がいつなのかということは、資料がないと。そして、岡田委員が、ここ一年間でそういうことはありますかと。これは米側に当たってみようと思いますと言って、石破大臣がお答えになっているわけであります。

 このときのこれでいうと、きのう大臣もお答えになって、最後、石破大臣が米側に当たってみようとお答えになっているので、まあきょうもやっているんだというふうにお答えになるのかもしれませんけれども、このときの流れは、専らOEF・MIOでやっていて、OEFには最近はやっていないんだ、こういうことの流れであったんですが、巡洋艦アンツィオ、ここに今補給をする、きのう指摘をさせていただいた、ことしの二〇〇七年の初めにこれに補給するということは正しいんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 現行のテロ対策特措法とOEFの関係でございますけれども、テロ対策特措法は、九・一一のテロ攻撃による脅威の除去に努める諸外国の軍隊等への支援というものを想定しております。したがいまして、アフガン国内におけるアルカイダ、タリバンの掃討作戦であります不朽の自由作戦を支援するための任務に従事している艦船への補給はテロ特措法の範囲内で実施し得るものということでございまして、これは、従来から法律的な考え方として当委員会でもいろいろ御説明があったというところだろうと思います。

 それで、しからば最近のいろいろな活動でございますけれども、アンツィオに対しても、確かに先生御指摘になりましたような時期に補給をしているという事実がございますけれども、私どもがやっております艦船の行動に対するやり方というのは、その艦艇がOEFないしOEF・MIOに従事しているかということを確認した上でやるということでございますので、その意味におきまして、その艦艇のその後の個々個別の行動まで確認しているものではございません。

 先ほども申し上げましたように、テロ対策特措法の趣旨に従って行動しているということを確認するのに必要な範囲でいろいろなデータを得て確認をしているわけでございますけれども、そのことをもって、そういった活動ができないとか、あるいは現在我々が行っている活動において、それが一切テロ対策特措法の関係で問題があるというようなことではない、そういうものが含まれているというようなことではないというふうに理解をしております。

近藤(昭)委員 当初、私どもの部門会議なんかの質問でも、燃料補給をしているのはどういう部分でやっているんですか、そういうことに対して、海上阻止活動、OEF・MIOだと。米国の、米国というか合同任務の部隊、有志連合軍ですか有志軍、その任務でいうとCTF150だ、こういうふうにお答えになってきた。そうすると、CTF150の関係のところに燃料を補給する、OEF・MIOに燃料を補給する、そういうことから考えると、OEFに従事している船に燃料を補給することはあってはならないんだ、こういうようなお答えだったと思うんですね。

 ところが、途中から、いや、そうではないんだと。OEFにもやっていますし、ただ、それは趣旨にも一致するんです、そういうようにお答えになって、さきの委員会では、最近はやっていません、こういうふうにお答えになって、そして今もまた、いや、OEFも法律的には問題がないのでやっていると。随分と答えが変わってきたな。違いますか、官房長官。お教えいただけますでしょうか。

高村国務大臣 法律上はOEFとOEF・MIOと両方できるというのは、委員もおわかりのとおりでございます。

 そして、最初のころはOEF・MIOよりもOEFに使われることが非常に多かった、そして時の経過とともにどんどんOEF・MIOの比重がふえてきている、ですから新法においてはOEF・MIOだけでいい、そういう状況に既になっている。こういうことを申し上げたので、中に、OEF・MIOの比重がふえていても、ことしの初めに仮にOEFに従事する船に補給をしたとしても、それは法律違反でも何でもない。ただし、最初のころはOEFが多くて、今はOEF・MIOの比重がうんとふえてきている。こういう状況を申し上げ、そして、新法においてはもうOEF・MIOだけをやりますよ、こういうことを言っているわけであります。

近藤(昭)委員 少し指摘だけさせていただきたいと思いますけれども、これも米中央海軍の司令部のホームページなんですけれども、二〇〇六年三月十七日、一年以上前ではありますけれども、海上自衛隊から四日に一回の頻度で補給活動を受けている。そして、それは不朽の自由作戦、そこに大体四〇%だ、そうでないところに一〇%だ、こういうふうに書いてあって、その一〇%の方がOEFなのかな、こういうふうに思うわけでありますけれども。

 私は、法律的に問題がない、こういうお答えであっても、きのうもいろいろと指摘をさせていただきました。駆逐艦とかフリゲート、こうした海上阻止活動の中でパトロールというか警戒活動をしている船と、そういうこともできるかもしれないけれども空母を護衛しているアンツィオ、あるいは強襲揚陸艦ペリリュー、ペリリューなんという名前は日本軍が玉砕をしたペリリュー島から来ている名前でありますけれども、そういう船に、そういうところに給油をしている。そして、そこから飛び立った、直接の燃料じゃないにしても、そういうところから飛び立ったものが誤爆をしている。これはやはり私は日本としてやるべきではないと思うんですね。

 そういう中で、この新法の中では、OEF・MIOに関する燃料の補給だけなのか、引き続きOEFにも燃料を補給していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。

高村国務大臣 新法は、OEF・MIOに従事している艦船にのみ補給をするわけでございます。

近藤(昭)委員 OEF・MIO、この間もずっと、そういうことに対して交換公文で確認しているとか、いろいろとお話がありましたけれども、私は、やはりきちっと日本が情報公開を求めて確認していく、情報というのは非常に大事だと思っております。

 そういう情報のことで申し上げますと、残念な事件がまた起きました。「とわだ」以外においても航泊日誌が破棄されていた。こういう事件が、事件といいますか、こういうことが判明したわけでありますけれども、御説明をいただければと思います。

石破国務大臣 「とわだ」の誤破棄事案というのがございましたので、全自衛隊、文書管理はどうなっているのかということを調べますために、全組織に対しまして文書管理状況の調査を命じました。これは十月十日付で官房長名により指示されたものでありまして、今取りまとめをやっておるところでございます。

 特に航海日誌、最近は航泊日誌という言い方もだんだん定着しつつあるようでありますが、このことは特に問題であるので、この保全状況につきまして報告を既に受けているところでございます。

 中身は、「みねゆき」及び「ゆうばり」、この航泊日誌の一部が保存期間内であるにもかかわらず過って破棄をされ、そのほか二隻の艦艇の航泊日誌の一部が所在が不明でございます。航泊日誌の保存期間に関する規定、すなわち、船の中に一年、そして総監部に三年、都合四年ということでございますが、大変お恥ずかしいお話でございますが、遵守していない例がほとんどでございました。

 現時点で判明しております点につきましては、本日中に整理をいたしまして、ピンナップの形で公表させていただきたいと思っております。

 事実関係はそのようなことでございまして、こうやって調べてみますと、ずさんという言葉を私の方から言うのもいかがなものかと思いますが、そういうような管理状況であった。これはやはり包み隠さずに公表しなければいかぬということで、このようなプロセスをたどっているものでございます。

近藤(昭)委員 大臣おっしゃった、ずさんと。本当に規律が緩んでいるというか、シュレッダーに関しての質問もきのう同僚議員からありましたけれども、もともと保管していかなくちゃいけない、一年艦内に、そしてその後別のところでということでありますが、それがシュレッダーにかけられるなんということはあってはならないことだと思うんですね。やはりここも、シビリアンコントロールという観点から考えれば、ぜひ徹底的に調査をし、再発を防止していただきたいと思います。

 それでは、余り時間もなくなってまいりましたが、もう一度。

 私はやはり、アフガニスタンに平和をもたらす、そのために方法を変えていかなくちゃいけない。爆撃による誤爆がやはり多くの犠牲者を生んでいる。犠牲者を生むだけではなくて、アフガンの中を怨嗟の連鎖の中に追い込んでいる。きのうもちょっとお話をしましたけれども、少しお話をさせてください。

 ことしの四月六日であります。カルザイ大統領は記者会見で、政府は長期間にわたりタリバンの代表者と和平交渉を続けてきた、私が直接話をしたこともある、こう述べました。

 また、五月の八日、アフガニスタンの国会の上院であります。政府がタリバンと直接交渉することを求め、また、米国が主導する国際部隊とアフガニスタン軍に対し、タリバンとの戦闘を中止することを求める決議を採択しました。

 また、六月二十三日、カルザイ大統領は記者会見で、民間人が、米国が主導する有志連合軍による空爆で多くの市民が犠牲になっていることに触れ、アフガン政府と連携しない軍事作戦はもう望まない、今後は私たちが要請するように活動すべきだ、こう述べています。

 また、八月九日から十二日までの間、アフガニスタンとパキスタンのパシュトゥン人リーダー六百人とアフガニスタンのカルザイ大統領及びパキスタンのムシャラフ大統領が参加して開催された平和のためのジルガでは、タリバンとの交渉もするべきだ、いわゆる武力行使をしない、強硬派でないタリバンという意味でありますが、交渉するべきだ、つまり話し合いをしていくべきだ、そういう話。

 そして、昨日もお話をしました、十月二十八日の夜、アメリカのCBS放送の夜のニュース、シックスティーミニッツで、開戦から六年たっても空爆が行われていることに疑問を呈し、米国の対アフガニスタン政策を大々的に変更してほしい、こういうふうにカルザイ大統領がおっしゃっている。

 今申し上げたようなことであります。

 爆撃による誤爆、そして、爆撃が最終的な解決、軍事力では解決をもたらさない、やはり話し合いをしていかなくちゃならないんだ、こういうふうにカルザイ大統領が言っているわけでありますが、そのことについてどうお考えでしょうか。

高村国務大臣 御指摘のとおり、カルザイ大統領が、米国等がアフガニスタンの領域内で実施している活動に関し、一般市民に被害が及ばないよう要請したということは承知をしております。

 一方で、こうしたカルザイ大統領の要請は、米国等に対して、アフガニスタンにおける治安維持、回復活動そのものを中止するように求めているものとは理解をしておりません。

 十月二十八日付の米CBSの報道によれば、同大統領は、米国はアフガニスタン国民を助けるためにアフガニスタンにいる旨述べたと承知をしております。

 また、同月二十六日付の報道では、米軍及びISAFのスポークスマンは、アフガニスタン政府から空爆の停止及び縮小の要請を受けたとは認識していない旨述べたと承知をしております。

 したがって、米国等による活動は、引き続き基本的にアフガニスタンに要請されて行われているものと理解しているわけであります。

 一方で、穏健派のタリバンと交渉するのはどうかと。私は、大いにやってもらいたい、やはり国民和解ということは必要なことで、やってもらいたい、こういうふうに思っております。おりますが、やはり、穏健派のタリバンを含むタリバンの人たちの中に囲まれて、まだオマル師、指導者がいて、そして、その人がオサマ・ビンラディンをかくまっているという実態もあるので、そこをはっきり峻別するのはなかなか難しいことだとも一方で思います。

 ただ、いつまでも軍事力だけですべてが解決するとも思っておりませんので、大いに、そのカルザイ大統領がおっしゃったような平和的解決を模索することも大切ですし、日本政府としても、そういうことにお手伝いできることがあればしていきたい、こう考えています。

近藤(昭)委員 官房長官、いかがでありましょうか。

町村国務大臣 もとより、一方だけの方法でこの問題が解決するわけではないということは、だれしもが考えていることだろうと私も思っております。

 次第次第に、民生安定、復興等々の活動にウエートが移っていくことを我々も期待をしておりますし、そういう活動がもっとできればいい。しかし、現実の危険性というものを考えたときに、私どもの民生復興等々の活動のほとんどは、国際機関を通ずる援助あるいは資金面を通ずる援助、人を通ずる援助が現実できないという実態があるということも、委員よく御承知だろうと思っております。

 そして、そうした民生支援活動と一緒に、こうした海上阻止活動というものの有効性というのはまだまだあるということを認識しておりますからこそ、私どもは今回のこの法律を出しているということについてもぜひ御理解をいただきたいと思います。

近藤(昭)委員 やはり本当に多くの人たちがそこで命を失っていく、それは市民だけではなくて兵士も命を失っておるわけであります。一刻も早い和平、そして、ぜひ今の観点から、アフガニスタン・カルザイ大統領の、もう一度私は、やはりさまざまな民生支援をするにしても、そこが安定していないといけないわけであります。その安定をもたらすのは、やはりきちっとした、もう一度和平のプロセスだというふうに私は思っていますし、やはりカルザイ大統領は、そういう中で、各国の支援は感謝するけれども、そういう意味ではさまざまな場面で感謝をして、しかしながら一方で、もうこれ以上爆撃、これでは解決できない、そういうことをおっしゃっているんだと思います。

 以上です。ありがとうございました。

深谷委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 きょうは、お時間をいただきましたので、質問をさせていただきます。

 まず、石破大臣、政府から出していただいたこの黒塗りの活動記録、要はペコスとポール・ハミルトンのものですね、これを見てください。私は、今回、国会でこのテロ特措法の審議をしながら、ある意味では非常に不毛な議論をしているなというふうに思うんですよ。

 それは、自衛隊が給油をした船、これに関して国会が資料を出してくださいなと言うと、ポール・ハミルトン、ペコスという、この間違えて記入をした部分だけが出ていて、あとは全部真っ黒なんです。ほとんどの資料がそうです。航泊日誌を出してくださいと言っても真っ黒。非常にある意味では不毛な議論が続いているなという気がするんですね。

 きょうは、幾つか実例を挙げて質問をさせていただきたいというふうに思っているんですが、お配りをいたしました資料をごらんください。

 資料三から四、五、六、これはアメリカのアンティータムという船のホームページであります。アメリカでは、こうやって自分たちの船がどういう活動をしてどれだけの成果を上げたかというのを堂々と誇りを持って公表することによって、そして、国民に対してこういうものを発表する、皆さんの税金で使っている船がこういう活躍をしているんですよということで堂々と発表するわけです。また、活動している軍隊の皆さんも、例えば自分の家族がこういう国の中で活躍しているんだということを誇りに思う、そういう風土がアメリカにはあるわけですよ。

 日本の場合には、国会が、資料を出してください、今自衛隊の船が、七百七十七回、今八百回近くなりましたけれども、八百回近くの給油活動をした、その資料を出してくださいと言うと、真っ黒なんです。隠しているんです。

 この日米のオペレーションに対する違いというもの、私は非常に寂しい思いをいたしますし、逆に、私も、きょうのこの質問をするに当たって、わざわざアメリカのホームページに入って、それを日本語訳して、そして、ああ、ここで日本の補給艦が給油をしていたんだなといってこれを探すこと、何をやっているんだろうなという非常に寂しい思いをいたします。

 そういう上で、これは、先ほど示しましたアメリカのホームページを国立国会図書館に言って訳してもらった訳文がこの資料二になっております。これをちょっとごらんください。ちょっと読み上げさせていただきます。

 まず、上の方は、アンティータムという船のホームページに出ている内容であります。「USSアンティータムは、日本の補給艦「はまな」から二〇〇一年十二月十八日に給油を受けた。」等々、下は、「両艦は共に不朽の自由作戦を支援する多国籍部隊に属している。アンティータムはサンディエゴを母港とするミサイル巡洋艦であり、OEFを支援しているカール・ビンソン戦闘群に属している。アンティータムは僚艦USSオケインと共に、インドのムンバイ港訪問を終えたところである。」これはアンティータムのホームページであります。

 そして、その後、アンティータムの公式サイトに掲載されている情報で見ますと、この船は、二〇〇一年七月二十六日、カール・ビンソン戦闘群に配置をされ、ハワイのパールハーバーに寄港し、トマホーク巡航ミサイル等の弾薬を補給。パールハーバー出港後、シンガポール海軍とともに演習を実施して、シンガポールの港に寄港。その後、タイのプーケット島に寄港です。

 その後、九月の三日、プーケットを出発して、十一日にはペルシャ湾を航海していた。九・一一テロの後、カール・ビンソン戦闘群は作戦行動の準備を整えるためにアラビア海に展開した。九月十五日、これはテロの後です、アンティータムはオケインとイラクに対する国連の経済制裁を実施するための海上阻止活動、MIOをペルシャ湾北部で遂行するために、戦闘群本隊を離脱し、ホルムズ海峡を通過してペルシャ湾に向かう。MIO遂行中に、アンティータムは百二十五隻の船舶に対する臨検を行った。

 その後、十一月、カタールで、WTO年次会合、ドーハ・ラウンドで会合した第四回WTO閣僚会議が開催された際に、アンティータムは防空任務を遂行した。十一月十七日にはインドのムンバイ港に向けて出発、ホルムズ海峡を通過してピーターソン乗組員二名の捜索救助活動を行う。

 十二月十五日、アンティータムとオケインはムンバイ港に到着。ムンバイでは、インド海軍関係者や地元住民との交流会を行った。十二月十八日、ムンバイを出港し、クリスマスをシンガポールで迎え、その後ハワイに向かった。

 こういうヒストリーが書いてあるわけです。それを表にまとめてもらいました。

 要は、十八日、ムンバイを出港して「はまな」から給油を受けて、クリスマスをシンガポールで迎え、ハワイに向かっているわけです。要は、このアンティータムという船の一連の行動がこの中で読み取れるわけですけれども。

 ことしの十月十九日の安保委員会の中では、渡辺周議員の質問に対して、大臣は「どんな作戦に従事をするのですか、そのためにはどれだけ必要ですかということを確認して補給量を決めている。」と。

 このアンティータムの船の航海記録と、「はまな」が給油をした今回の日本のオペレーション、テロ特措法に基づくところと、どこが関係があるのか、お答えをいただければありがたいと思います。

石破国務大臣 我が国の補給艦であります「はまな」からは、OEF、すなわち海上阻止活動、それを行うという法の趣旨にのっとった活動を行っている艦船に対して当該活動に必要な量の油を補給しているものであって、単なる帰投のための油を補給したという事実はございません。この点はバーレーンの司令部において確認をしておるわけでございます。

 それで、何に従事をするのということを聞いてやっているわけでございますが、法の趣旨にのっとってということは、すなわち、OEFに従事をしますねということをその都度確認しておるものでありまして、OEFとは何の関係もないというようなものであれば、それは補給を行わない。それは、その都度その都度確認をしているというものでございます。

松野(頼)委員 そういう一般論ではなくて、「はまな」からアンティータムに補給をした、このどこの部分がOEFなのか。

 また、OEFというのは一種類じゃないんじゃないですか、たくさんあるんじゃないですか、それもついでにお答えをいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 このアンティータムの行動でございますけれども、確かに、この委員会の要求資料の中で、どういったところで補給活動を実施しているか概要を出すようにということで、場所を出させていただきました。

 その中で、今回、七百七十七件のいろいろなチェックをしているわけでございますけれども、このアンティータムの補給が行われた場所というのは、このホームページにもございますようにムンバイの沖というようなことでございまして、実際にその補給活動が行われた場所というのが現在の海上阻止活動が行われている海域との関係でどうかとか、いろいろな要素があるかと思いますので、今まさにその七百七十七件のいろいろな行動の確認をやっている中で、お答えをさせていただくことになるのかなと思っております。

高村国務大臣 OEFというのはたくさんあるんじゃないですかと言われたのが、どのことを言っているのかちょっとわからないんですが、九一年の、湾岸戦争以降、対アフガニスタンのみならず、いろいろOEFという言葉が使われているところはあるんです。あるんですが、テロ対策特措法上、我が国が行う補給は、九月十一日テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める諸外国の軍隊等の活動に対する支援であります。

 政府としては、不朽の自由作戦、OEFがこの支援の対象になることを明らかにしてきておりますが、これは基本的に、アフガニスタンにおけるアルカイダやタリバン勢力の掃討作戦を含む治安回復活動や、インド洋、ペルシャ湾、アデン湾、オマーン湾等における海上阻止活動を任務とする米中央軍の責任地域における有志連合による作戦を念頭に置いているものでございます。

 そして、フィリピン等、他の地域においても、OEFフィリピンだとか、あるいはOEFトランス・サハラだとか、OEFカリビアン・中央アメリカと称される活動が行われているのは事実でありますが、それぞれ米中央軍以外の責任地域における米軍を中心とする作戦の呼称で、全く別個の作戦であると承知しております。

 それらの活動内容の詳細については、我が国としては特に承知していないということであります。

松野(頼)委員 ですから、当委員会でOEF・MIOだというふうな議論をしているんですけれども、OEFには、OEFフィリピン、OEFホーン・オブ・アフリカ、OEFトランス・サハラ、OEFパンキシゴージ等々、やはりOEFの名のついた作戦はたくさんあるんです。そして、MIOに関しても、今、このアンティータムが二〇〇一年九月十五日、いわゆる九・一一テロの四日後にアンティータムがついたMIO、これは九〇年に湾岸戦争の後にイラクの経済制裁をしている国連決議六百六十一号に従事をしたMIOなんです。

 ですから、OEFと一言で言ってもたくさんのオペレーションがあるし、MIOといってもいろいろなオペレーションがアメリカには今存在しているわけであります。ですから、このアンティータムの航行記録を見ていただくように、まず一つの母港を出てから、一つだけの、今日本で議論をされているOEFの例えばアフガンだけに従事をしてそのまま帰るという行動は当然行えないわけであります。複数のオペレーション任務を担って、複数の活動をして、それで母港に帰るわけであります。

 その中で、日本は九・一一のテロだけに限定をし、そして以前の川口順子大臣が答弁をされたところから、要はアフガニスタンということで縛って、そこだけに給油をしているんだというような議論がずっと行われているから、私は無理が起こっているのではないかというふうに非常に思っているわけであります。

 ですから、具体的に、例えばこの出ているアンティータムの航行記録の中で、今議論をされているテロ特措法に基づく給油活動は一体どこの部分が当たるんですかということをお示しいただきたいということを言っているんです。お願いいたします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 アンティータムの関係につきましては、その行動についてどうであったかということを七百七十七件の検証作業の中でやっておりますので、そういったことも含めて御説明できるように検討しているところでございます。

松野(頼)委員 いや、ちゃんと答えてくださいよ。私、全部出しているんですよ、ここに資料を。この中のどれがテロ特措法に基づく給油なんですかということを言っている。

 特にこの「はまな」という船は、もっと言うと、当初、これは九月十一日、テロ特措法ができる前に、防衛庁設置法第五条、現在の第四条に基づく情報収集の目的で、護衛艦「くらま」「きりさめ」と一緒に補給艦を出している船なんですよ。これがテロ特措法に基づいていつ補給をするオペレーションに変わったのかという、これはまた別の観点で問題なんですよ。

 これは、アンティータムに給油をした、一体どこがテロ特措法に基づく補給なのか、もう一回きちっと説明してください。

高見澤政府参考人 御説明をいたします。

 現在、七百七十七件のいろいろな艦船の活動について検討している中で、本委員会でイラクへの転用が行われているのではないかというような指摘がございまして、私どもの方としても、全部の航海記録等を確認しながら作業をしているところでございます。

松野(頼)委員 いや、だって、どんな作戦に従事をするのですか、そのためにはどれだけ必要なんですかという確認をしてから補給量を決めているんですよね。

 十二月十八日に「はまな」から給油を受けたアンティータムが、その後、クリスマスをシンガポールで迎えてハワイに向かうと書いてあるんですよ。どういうオペレーションなんですか、これは。もう一回お答えください。

高見澤政府参考人 ですから、この点につきましては、突然の御質問なのでございますけれども、私どもが今すべての件数について、給油したときの状況、例えばどういった場所でどれくらいの燃料を補給したかということを踏まえて、その後のそれぞれの艦艇の行動については、できる限りの資料を得て、航海日誌等その他の記録から確認して作業をしているということでございます。

 ただ、この場合に、仮に、先生がおっしゃいますように実際に給油を受けてからそのまま真っすぐにシンガポールの方に向かったということであれば、それは、私どもが給油して以降、実際に実態としてOEF・MIOの活動をしていないという可能性もあるわけでございますから、そこは実際の記録をきちっと確認をして、その趣旨が当時どのようなものであったのか、それがテロ特措法の趣旨との関係でどうかということをまさにいろいろ検証しているということでございます。

松野(頼)委員 どんな作戦に従事をするのですか、そのためにはどれだけ必要なんですかということを確認して給油量を決めているということでありますので、それが出ないとちょっと議論が進みませんので、ちょっと確認していただけますでしょうか。

    〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕

浜田委員長代理 もう一回答弁させていいですか。

松野(頼)委員 もう一回答弁させていいです。

浜田委員長代理 高見澤運用企画局長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時、二〇〇一年の十一月、十二月ごろの状況というのは、アフガンへの作戦ということで私ども給油しておりましたけれども、当時の態勢というのが、バーレーン、あるいは中央軍の司令部のありますタンパも含めまして具体的に立ち上がったばかりでございますので、今私どもが申し上げているような要領というのが当初の段階から非常にきちっと今のような形で行われていたかどうかというようなこともございますので、そういう点も含めて、今、七百七十七件の調査をきちっと進めておりまして、できるだけ早く御説明ができるようにしたいということでございます。

松野(頼)委員 要はですね、大臣、私たちは、こういう状態の資料の中から、手探りで、アメリカのホームページを見ながら、もしかしたら日本の補給艦が補給をしているかもしれないなということで一そう一そう調査をしながらやっているんです。非常に不毛な時間なんですよ。

 政府から出されるものは、前に問題になりましたペコス、ポール・ハミルトン、ここだけしか出ていないで、あとは真っ黒なんです。一万回、二万回の補給をしたわけじゃないんです。今、八百回程度なわけです。八百回程度の資料を、これは補給をした実績を公開すると外国に迷惑をかけるかもしれない、航海をする場所がわかると危険が及ぶかもしれない。こんな、アメリカはこうやって堂々と、相手の国は出しているんですよ。

 そして、補給をする場所がばれると攻撃されるかもしれない。五十年前の話をしているんじゃないんです。今、グーグルアースというのを見ていただいただけでも、個人の、子供のパソコンでも、世界じゅうの地図を入れれば、車の背中ぐらいまでの大きさは解析できる。衛星を使えばそれだけの時代なんです。そんな、給油の場所がばれると危険を感じるかもしれない、五十年前の議論をいいかげんにやめていただきたいというふうに思うんですが、一言どうでしょうか。

石破国務大臣 どこまで出すかというのは、もう一度見直さないといけないことだと私は思っているのですね。

 ただ、アメリカ軍というのは外征軍です、基本的に。パワープロジェクションを主体とする外征軍であって、全部自分で賄える、比類のない力を持ったものであります。私どもの場合には、パワープロジェクション能力が非常に低い、まずないと言ってもよろしい。そういう軍の成り立ちが違っておって、そういう場合に出す情報というのは、そごがある部分というか違いがある部分は当然あるだろう。

 ただ、私もずっと思っているのですが、我々が一生懸命一生懸命、これは出せない、迷惑がかかるだろうと思っていたら、向こうがばんと全部出すわけですよ。それで大騒ぎになって、委員から御指摘をいただき、私どもの方でもアメリカに対して、これは出していいか、これは出していいか、これは出していいかと。正直言って、これも全部一々確認をして、これを出していいか、出していいかと。向こうに言わせると、何でそんなもの全部出さなきゃいかぬのだ、こういう話になるわけですね。それはどこかおかしいのではないかという気が正直言ってしないわけではありません。

 もう一つは、これは別に、アメリカ、OEFのオペレーションに限ったことではありませんが、いろいろな情報を共有できませんのは、一つは、ともに戦えないということはあるのだと思います。つまり、我々は補給はやりますが、OEFのオペレーションそのものをやるわけではございません。あるいは、周辺事態におきましても、あるいは仮に朝鮮有事ということがあったといたしましても、これは、ともに戦うということはしないわけでございます。そうすると、当然、共有する情報には限界があるということは、私自身認識をしておるところです。それをもとにして、何を出すか、何を出さないかということについては、改めてもう一度きちんと協議をしなければいけない。

 ただ、委員が、全部黒塗りでまことにもってけしからぬというお怒りはごもっともですが、これは、必要なものをアメリカと協議の上で、これは出しますよということで出させていただいておるものでございますし、また、今御指摘の艦船につきましては、七百七十七回、今、最終的な調整といいますか精査を行っておるところでございますので、判明次第お答えできるように手続をいたしたいと思います。

松野(頼)委員 そうすると、この七百七十七回に関して公開をしていただけるということですか。

石破国務大臣 この七百七十七回のうち、本当は全部出せれば一番よろしいのだと思いますが、そうあるべきだという御議論も当然ございますが、このことは、どれを公表するか、あるいはしない部分があるとすれば、それはなぜなのかということもあわせて明らかにしたいと思います。

松野(頼)委員 ちょっと理念的な話で恐縮なんですけれども、安全保障の議論の時代は、私は変わったと思うんですね。いまだに昔の、それこそ本当に昔の議論を引きずったままに、要は、これを出したら攻撃されるかもしれない、野党がうるさいかもしれないという、そういう認識に見えてならないんですよ。もっと出せるものは出して、例えば今、野党の中からも、ISAFみたいな声が出ている時代なんですよ。それはそれで、法理論としては、OEFなのかISAF、PRTなのかどうなのか、それは法理論の中でやればいい、国会で議論をすればいい。私たちはそういう議論を国会の中でしたいんですよ。この油がどうなんだ、この油がどうなんだと、一々この黒塗りの状態のものを出されて、これで判断しろと言われたって無理じゃないですか。どういう法律に基づいて、どういうアメリカのオペレーションに対して、いつ、どれだけの給油量をやったか。

 私たちは、それは、特にこの安全保障の分野は、法律をつくるまではけんけんがくがくあっていい。ただ、つくったらそれを必ず守るような、そして国会が守っているのか守っていないのかということをきちっと監視して、文民統制を働かせて、そういうごく当たり前の安全保障の議論をする時代にもう入っているというふうに私は思うんですね。ただ、当委員会にしても、これは出す、これは出さない、給油をした場所は出さない、どこの商社から買ったのかもわからない。これで、賛成しろ、反対しろと言われる方が私には無理があると思いますよ。

 このテロ特措法、今回、新しい新法をお出しになって議論をしているんですが、アメリカのオペレーションと日本のこの法律がぴったり合っているとははっきり言って思えないんです。無理があると思う。今、新法にしても、アメリカのオペレーションの中でこの法律できちっとやるということは無理があると思う。これは、前々から言われていることだと思うんです。その無理を重ねて重ねて、黒塗りにして黒塗りにしてやっているから、こういう不毛の議論が国会の中で起こるんではないかということを私は感じているんですが、どうでしょうか、大臣。

石破国務大臣 これは、委員がそうだということを私が申し上げているのではありません。これは、アメリカの戦争に憲法に違反をして支援をしているのではないかというお考えをお持ちの方が一部におられまして、それでアメリカとの話がわあっとクローズアップされてきているのだろうと思います。

 ただ、近年は特にそうなのですが、アメリカ以外の相手の国が物すごくふえておりまして、その国々が、じゃ全部出してくれ、何を出してくれても構わぬぞと言っているわけでは決してないわけでございます。そういう国々はそういう国々の事情がありまして、これはアメリカとの調整も必要ですが、同時に、例えばイギリス、フランス、ドイツ、パキスタン、そういうような国々との調整も必要でございます。そのあたりをどう考えるか。つまり、アメリカとの間で情報公開はこのようにしましょうねというお話ができたとしても、ほかの国とそれが共有できるかどうか、それはトライをしてみなければいけないことだと思います。

 また、ポール・ハミルトンとペコス以外がみんな黒塗りだという御指摘をいただいております。それは、ポール・ハミルトンがどうであり、ペコスがどうであるかということを明らかにするために、逆に言えば、それ以外の情報を開示するということを求められておりませんので必要な部分を開示したものだというふうに承知をいたしております。ほかのものが出せないというわけではございません。

 七百七十七回については、先ほど申し上げたとおりでございます。

松野(頼)委員 きょうこれでぎりぎりやってもしようがありませんので、では、アンティータムに給油をした「はまな」、このアンティータムへの給油のときに、どういうオペレーションに従事をして、一体どれだけの補給をしたのかということをぜひ公表していただきたい。

 そして、この「はまな」は、当時、防衛庁設置法の五条に基づいて、これは調査研究のためにテロ特措法ができる前に出た船なんです。それが、途中でテロ特措法ができたので、当時のこの調査研究のために出すんですというのも非常に苦しい答弁だったんですよ。それで、いきなりこの船がテロ特措法に基づく任務について補給をしているという、この任務がどういう形で変わったのかということもきちんと証拠として出していただきたい。このことをお願いいたしますが、一言御答弁ください。

石破国務大臣 御質問の趣旨におこたえできるように努力をいたします。

松野(頼)委員 そして、これは当時、石破大臣が防衛庁長官の時代でありました。我が党の大石尚子さんという前議員の方、ちょうど私も行く前に一緒に食事をしていて、当時安全保障委員会の筆頭理事をされていて、冬、年末年始に自衛隊の皆さんがインド洋でお節料理も食べられないのは本当に気の毒だと言って、これは本当にそういう気持ちで訪ねたんです。当時、外務省に問い合わせても、いやいや、それは言えませんということで教えてもらえなかったけれども、直接ドバイまで行ってしまった。行ったら、さすがに見るに見かねて船にまで上げてくれて、そういうお話をしていたんですけれども、ちょうど当時、私はその状況をよく知っておるんです。

 ただ、その大石さんが帰ってこられて、石破当時の長官に対して「テロ対策支援派遣の自衛艦訪問所感」というのを書いているんですね。これは資料八、八ページにつけてあります。

 決して、この方は、何か間違いがないかとか変な気持ちで見に行ったのでなく、純粋にお節料理を届けたいという、本当に純粋な気持ちで届けられた。多分、当時石破大臣とこの大石さんが、まだ給油をしている、本当に現地まで行ったという数少ない議員の一人だと思うんですが、そこに行った感想をこういうふうに述べられているんです。

 現地では、既にアフガニスタン・オペレーションとイラク・オペレーションの分断が不可能と見受けられるため、海上自衛隊の活動の根拠となる法律の制定を早急に進めるか、引き返させるかの分岐点に来ているのではないかと実感をしています。

 これは、石破長官のところを本人が訪ねてこの所感をお渡ししているはずなんですけれども、このときに、要は、今のテロ特措法に基づくオペレーションが、現場に行っては、イラク戦争も始まる時期等々に合わせて、オペレーション上非常にこの法律のつくりは厳しいんじゃないかということを感じられて長官に所感を出されているんですけれども、これは大臣、今このときの感想、いかがでしょうか。

石破国務大臣 大石議員がお越しになったときのことを私はよく覚えております、あのときこうだったなと。それこそ一時間ぐらいお話をさせていただいた記憶があります。

 そのときに、イラク・オペレーションとアフガニスタン・オペレーションを見分けるのが難しいのではないかという御指摘をいただき、その下に、私がそのときに違う所見を持っているということを答えた旨書かれております。ダブルミッションというのがあるということは、私、既に当時からお答えをいたしておりました。

 そのときに、では、引き揚げさせるというチョイスがないとするならば、別の法律を考えるべきではないかという御提案だったのですが、別の法律の枠組みというのが極めてそのとき想像しにくかった。では、どういう法律ならいいのだろうか。今回の新法にもかかわることですが、そのときに、どういう法律であればアフガニスタン・オペレーションのみに専念するという法律の仕組みになるのか。あるいは、ダブルオペレーションというのを所与のものとしてつくるとした場合に、今のテロ特措法ではそれはできないのかといえば、それは今、それを読み込みながらやっているわけです。OEFに従事しているということを、実際にしているということを確認しながらやっているわけです。そうすると、大石議員がおっしゃる新しい法律というものをイメージができなかった、今でもそれはなかなかイメージが難しいということだと思います。

松野(頼)委員 結局、そこの法律のつくりに無理があるからこそ、今、入力ミスとされているペコスとポール・ハミルトンの二十万ガロン、八十万ガロンということも出てきているわけです。あのとき、時期的に見ると、イラク戦争のためにポール・ハミルトンを含めたアメリカの艦隊、そして、要は揚陸艦もそこに集まっているんですよね、アメリカの資料で見ていると。ですから、どうしてもおのずから、イラクへのオペレーションに対して、要は間接給油をしたのではないかという疑念をやはり持たれるわけですよ。

 余り細かくぎりぎり詰める気はありませんけれども、そのときのこの大石さんのブログ、大臣に出されたのも、そういう状況の中で、海自の皆さんが、船が来た、バーレーンでこの船に補給をしてもらいたい、これはイラク・オペレーションじゃありませんね、アフガン・オペレーションですね、その後どういう行動をするんですか、ここまでしかできませんよと、一々戦争をやっているときに本当に言えるのでしょうか。それは、何を言っておるんだ日本は、戦争にも参加しておらぬのに、給油だけのことでそんなことを一々聞くんだったらもう要らないよと言われるのではないかという気が非常に私はするんです。ですから、そこの切り分けを厳密にこちょこちょ確認をとることが非常に国際関係上マイナスだというふうに私は思いますし、やはりきちっとここは切り分けてそういう法律をつくるべきではないかというふうに、私は、本音できょうは語らせていただいているつもりでございます。

 もう一点、取り違えの問題にしましても、この間も本当は証人喚問で給油の問題をさせていただこうと思ったんですが、守屋さんも覚えていないということでやめましたけれども。これも、現場の方が入力ミスをしたということで処理をするのは余りにも気の毒なのではないかという気が私はしております。まあ、内局まで来ていたという話ですけれども。これは、例えば本当に取り違えたんですよということになれば、本当に大丈夫なのか防衛庁は、自衛隊のオペレーションはということになるわけです。

 これは給油ですけれども、万が一、例えば軍事上のオペレーションで入力ミスでしたみたいなことが本当に通じるんでしょうか。あり得ない話だと思いますよ。そして、これから第三者委員会をつくられてどういう処分を出されるのかわかりませんけれども、現場では、石破大臣が常々言われているように、本当に四十度、五十度の考えられないような環境の中で汗を流してやっている制服組の皆さん、その人たちの汗にこたえるためにも、こういう処理は余りにもひどいんではないかというふうに私は思っておりますけれども。

 どうか、この黒塗りの紙を見せていただいても、また、今回の給油の取り違えにしても、本当に本音の安全保障の議論ができる時代に入っていただきたい。私たちもそういうふうにしたいと思うし、出せるものはすべて出して、つくった法律はきちっと守って、そして、どういうオペレーションをするんだ、これが国益にどういうふうにかなうんだという本音の議論をできるような状態につくっていただきたいというふうに私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 実際に、今はほとんどはコンピューターで飛びますので、入力ミスしますと、機械は正直ですから、誤ってプログラムされたとおりに飛ぶわけですね。そうするとめちゃくちゃなことになりますので、これは当然ダブル、トリプルでチェックが行われるというようなシステムになるわけですが、この補給量の記録につきましては、実際のオペレーションではございません、そのチェックの体制がやや甘かったかなということでございます。

 ただ、入力ミスというのは、当然人間ですから絶対にないということではない。だとすれば、どういう形でチェックが行われるかという体制を考えなければいけないと思います。

 それから、やはりきちんとしたデータに基づいて議論がされなきゃいかぬ。委員御指摘のように、二十万、八十万、どうしたこうしたみたいな話が事の本質ではないだろうということはおっしゃるとおりだと思いますし、それは本当にうそ偽りなく入力ミスなのであります。

 ただ、それを、あれがいいだのこれが悪いだの、だれかに押しつけてだの、そんな話ではなくて、そのチェックの体制をどうやって確立していくべきなのか。内局がよくないとか幕に押しつけるとか、そういうレベルの話じゃなくて、どういうような体制を確立できるかという問題なのだと思います。

 もう一点申し上げれば、いろんな情報は出した方がいいに決まっているのですが、午前中の議論でも私申し上げたのですけれども、秘密の保持というもの、つまり、データにはレベルがあるわけですね、出しちゃ絶対いかぬレベル、どちらかといえば出した方がいい、出しても構わない。それは、文民統制の主体の一部たる国会における、秘密をどうやって守るかという、クリアランスのかけ方との一種の相関関係に立つ部分があるんだろうと思います。

 これは、与野党問わず、国会において秘密保持のあり方というのはどうあるべきか議論いただきませんと、責任逃れするつもりはありませんが、この相対的な議論に結論が出ないのではないかという思いもございまして、国会の方から、我々はこうするのでおまえたちはこうせよというような御指示もいただければと思っておるところでございます。

松野(頼)委員 確かに、今やっているオペレーションの作戦が全部出るとか、軍事上の機密が出る、それはもちろん守らなければいけないというように思います。例えば、そのオペレーションが終わって二年後にはすべて公開するとか、何らかの情報公開ときちんと法律が守られるという担保はやはり文民統制の基本的な基本ですから、この仕組みは本当にこれからつくっていかなくてはいけないのではないかというふうに私も思っております。

 きょうはこの辺でやめさせていただきますけれども、きょう、アンティータムの関係の資料をぜひお願いをさせていただいて、きょう、本音の議論をさせていただいたことを心から感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長代理 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 昨日に続きまして、同僚議員に続きまして、質問をさせていただきたいと思います。

 昨日は時間がございませんでしたので冒頭のごあいさつができませんでしたけれども、いずれにしましても、この今の時期、官房長官、そして防衛大臣、外務大臣をお務めになられている、この重責を担われているお三方、私も同じ政界に身を置かせていただく、末席を汚させていただく者として、心から敬意を表したいと思います。どうかお体にお気をつけになりまして、精力的にお仕事をしていただければと。

 ただ、その上で私も、先ほどの松野議員ではありませんが、本音の議論を品格ある質問でしたいと思いますので、どうぞおつき合いいただきますようよろしくお願いいたします。

 まず、これは通告がなくて恐縮なんですが、ただ、きのうきょうずっと聞いておりまして、松野議員も本音で不毛の議論という言葉を使われましたが、私もそれを感じる場面といいますか、感じる資料がございました。ここは、石破大臣もかなり今の御答弁からすると、同じじくじたる思いもおありになるのかなという感じもするんですが、昨日、石破大臣はこういう言葉を使われました。自衛隊は訓練し存在する自衛隊から行動する自衛隊へ、もうそのとおりだなという感じもいたしました。同時に、文民統制を確保していかなければいけない我々もきちっとトレーニングをして、その任にたえ得るだけのチェック力を持っていかないと、これは大変なことになるなというようなことを同時に思いました。

 その上で委員長、提案なんですよ。こういう資料を見せてほしい、我々もそんなものをどこかに出して何か大騒ぎをしようなんて思っているわけじゃないんです。やはりきちっと議員としてチェックをしたい、そういう思いでいたときに、まあ、議員は信用できませんとは言われませんが、黒塗りで全部来てしまう。ここを多分、松野議員も不毛だとおっしゃっているんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これは多分、委員長を初め理事会で図っていただければできるそうでございますので、一回トレーニングの意味でも秘密会議をやって、例えば十年間、口外をしたら罪を問われるというような制限をつけていただいても結構ですよ。多分もっと大変な時期だって想定されるわけでございますから、やはりこの際、どうやったらきちっと文民統制が確保されて、きちっと自衛隊に活動していただけるか、そして、現場にそういったひずみがいかないようにするか。

 はっきり申し上げて、後でも議論させていただきたいと思いますが、いわゆる武力行使といいますか武器使用の基準ですね、武力行使というのは失礼しました。武器使用の基準まで含めて、現場に文民統制のひずみがいかないようにすることが国会議員なり政府に与えられた使命だ。それが担保できなければ、命がけで行かされている自衛隊員はもうたまったものではありません。

 という意味も込めて、ぜひ一回秘密会議を開くことを提案させていただきますので、その際に、今まで見られなかった、調査権を使う云々じゃなくて、やはり議員がきっちり見て、自分の目も、要するに能力も知識も高めなきゃいけないと思うんですよ。ぜひ提案したいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。

浜田委員長代理 いずれにしても、理事会に預からせていただきます。

伴野委員 ありがとうございます。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 では、まず質問に入らせていただきたいと思います。

 これは順番が前後して恐縮なんですけれども、先ほど来ずっと油の話が出ていますから、ちょっと油のお話から入りたいと思うんです。

 不毛の議論に入ってしまうのは避けたいと思うんですけれども、ただ、不毛の議論をしなければいけなくなる理由に、これは、くしくも高村大臣がうちの同僚の武正議員と十月二十六日の外務委員会でやりとりした中で、私は、これは外務大臣の言い方を否定しているわけではありません、そのとおりだと思うから言うんですけれども、油は不特定物だ、要するに法的な位置づけからしても。私はそのとおりだと思うんですね。

 よく会社でも、例えば交通費を現物支給ということで、通常、平均的に計算すれば一カ月五十リットル使うというような査定がされたときに、では、八割は会社が出してあげるから、会社指定のここで四十リットルまで給油しなさいということがあった。これは、社員だから、いろいろもし不正があったら追及できるし、実際に検証もできるんでしょう。おまえ、このときどこへ行った、いや、電車を使ったじゃないかとかいろいろやれると思うんですが、今回は、はっきり申し上げて、非常に軍事が絡むことであるし憲法も絡むことであるし、自衛隊だけで完結できない油の使い方になっていますから、これをやはり全部詳細に検証するということになると、アメリカがお答えになったとおりだと私は思います。やはり、タンクに残っている、色がついているわけじゃない。

 しかしながら、ただ、この法案が法案どおりにいっているのか、お金の使い方がどうだということを言われてしまうと、そこまで検証しなくてはいけないことになってしまうのかなという一方の考え方もありますので、油という不特定物を供給することによって支援をするということが本当にこの六年間よかったかと。これは今さらと言われるかもしれませんが、ですから、やはり、これは私の個人的な意見かもしれませんが、自衛隊が完結できるような形で支援をするならば、これはもっと説明がコントロールできたのではないかと思うんですが、ここは感想で結構です、いかがですか。

高村国務大臣 今、海上自衛隊の連絡員がバーレーンに行ってやっているように、これからOEF・MIOに三日間参加します、では、その分、三日分の燃料を渡しますといって、三日間OEF・MIOに参加してもらえればそれはいいんだというふうに解釈していただければいいんです。

 それ以上に、四日後からイラクに仮に、仮にですよ、行ったとした、そうしたら油はまじってしまうから、日本が上げた油がイラクにも使われていくかもしれないじゃないか。これは物理的には正しいかもしれないけれども、まじっちゃうんですから。そうじゃなくて、不特定物というのは、この分ですよといってその量を差し上げて、その分を言われたとおり使ったら、それは目的外使用がなかったという当たり前の法理を理解していただきたいという意味で私は申し上げたんです。

伴野委員 法理はおっしゃるとおりで、先ほど申し上げたように、大臣がおっしゃっていることは間違いだと言って指摘したつもりはないんですが、やはり日本の税金がどう使われているかという説明責任は、私はとことんやるべきだと思うんですね、一方で。だから、それがしやすい支援の仕方と言うとちょっと言い過ぎなのかもしれませんが、やはり憲法の制約がある以上、そこまで考えたあり方ということもこれからは考えてもいいのではないかなと思っています。

 この点は、私の同僚議員の長島さんの方がお得意なので、こういう支援の仕方もあったんじゃないかという提案が多分あしたぐらい出るんじゃないかとも期待しているんですが、きょうはここら辺でやめさせていただきたいと思います。

 次に質問を移らせていただきたいと思います。

 きのう、突然、総理にもぶしつけな質問をさせていただいて、シュレッダー云々というお話をさせていただきました。それはなぜかというお話もさせていただきました。直観的にやはり本当かと思ったというところから始めたと。そこのところも石破大臣とは思いを共有させていただけたと思っております。その上での質問であり、やはりこういうことを当然今後は注意していかなければいけないところを少し議論させていただきたいと思います。本来ならば、昨日深掘りをしたかったんですけれども、きょう、少し深掘りをさせていただきたいと思います。

 昨日もそういった思いで、人がシュレッダーを使うときの心理、そういう項目で国会図書館に検索をしていただいたんですね。きのうも言いましたが、本当に国会図書館を充実させるということは文民統制のためにも役に立ちますから、ぜひここは、福田総理の思いを実現させてさしあげたいなという気もするんですけれども、そうした中で、きのうも紹介させていただきましたが、「組織とエリートたちの犯罪」という新田健一先生の本が見つかりました。その中に、「権威防衛のための無謬主義と秘匿主義」というのが出てまいりました。ここをちょっとだけ時間をいただいて読ませていただきます。

 「自らの過誤による世論の反発を招くことを極力恐れ、過誤を過誤とせずに正当性を主張し、ときにはそれを秘匿することになる。」秘匿性は、「閉鎖的で、かつ規律保持を第一義とし、建前上その弛緩をいささかなりとも許されないはずの組織においては、実は共通して見られる特徴なのである。なぜなら、規律保持が生命線であるがために、たとえ個人の逸脱であっても、その露呈が組織にとっての致命傷となりかねないとする過剰反応をしがちであり、上司の監督責任への思惑も加わって、できるだけ内部処理で済ませ外部には隠蔽しようとする工作が、組織防衛上最優先されるからである。その典型は軍隊にも見ることができる。」

 ここに括弧して「自衛隊」とも書いてあるんですけれども、一つのこれは学問としてとらえられた観点、そしてまた、この方が法務技官だということもある程度考えながら読ませていただいたんですけれども、やはり、今回の廃棄、それからさらに、きのうの報道でしたか、新たな廃棄も出てきてしまった。これは直接、補給艦等には、今回のオペレートにはかかわらなかったものもあったということでございますが、ここも多分きのうおっしゃられた、訓練し存在する自衛隊から行動する自衛隊への過渡期だ。

 だから、例えば子供さんの勉強に例えますと、今の自衛隊というか、廃棄をしてしまった自衛隊の中には、練習問題の成果がそこにあるからぐらいというか、実践というか、先ほど松野議員の、アメリカの海軍の皆さん方が誇らしげにきちっと報告をするという点から比べても、今回、例えば実務を終えて帰っていらっしゃる方はそれに近い心境におなりになられるんだと思うんですが、自分がやってきたまさに功績ですよね、ある面。

 これだけ自分は頑張ってきたよ、現場でというのは、当然残していただかなければいけませんし、そして、今の時代、紙物の航泊日誌というだけではなく、例えば同時に、電子データに移しかえられるとか、電子フィルムに移しかえられるかというぐらいの、それぐらいのもう処理をしていってもいいのではないか。きのうも、これは海幕の方だったと思いますが、幹部の方が、アメリカは永久保存をもうずっとしているんだということもおっしゃっていましたよね。

 ですから、大臣、どうでしょう。本当に、訓練し存在する自衛隊から行動する自衛隊という過渡期の中で、航泊日誌もこの際永久保存をするというぐらいの御決断をされてもいかがでしょうか。

石破国務大臣 どういうやり方があるか、ちょっと考えなきゃいかぬと思います。

 ただ、最近、船は若干広くなりましたが、昔はすごい狭かったもので、なかなか艦内に全部置いておくというのも大変だということもありまして、一年置いたらおかへ上げるということがございました。同時に、船によっては、人の充足率が物すごく足りない船も人員不足もあってございまして、きちんきちんと本当は航泊日誌を管理するのがいいのですが、やはり年検みたいなときにまとめてやろうというようなことが実際にあったことは事実だと思います。

 そうすると、もちろん規則どおりにやらなきゃいかぬのですが、守れない規則をつくったってしようがないわけで、また、航泊日誌を永久保存するという場合に、現物で保存しなきゃいかぬのか、マイクロフィルムで保存すればいいのかという問題もあります。

 委員御指摘のように、存在し訓練する自衛隊から行動する自衛隊になる場合には、ましてや海外活動が本来任務になっておりますので、ほかの国との関係というものが出てまいります。そうすると、いろいろな記録はきちんととっておかねばならないという重要性はさらに増すわけでございますので、どういう管理の仕方がいいか、そしてそれをどういう方法で、いつまで保管するか、そしてそれを海上自衛隊、防衛省で保管をするのがいいのか、公文書館みたいなところにお願いするのがいいのか、そういう文書の管理のあり方も文民統制に関する委員会で結論を出して、あるいはこの委員会において先生方から、こうすればいいという御指摘をいただければ、それも参考にさせていただいて、よりよい形を確立いたします。

伴野委員 ぜひやっていただきたいと思います。

 今申し上げた無謬主義と秘匿主義というのは、これは昨今起こっている食の信頼性を崩壊させるような、昨日もニュースが入ってまいりましたけれども、最近、ブランド力のある、ブランディング力のあるところ、しにせというようなところが大体ここに陥っているんだと思うんですね。最初はマニュアルどおりやっているんだから失敗するはずがないというところから始まって、少しずつマニュアルを簡略化するようになる、いつしか勝手に現場で解釈してしまうという。そのうち実態と合わなくなってごまかす、偽装ということにつながっているような、そんな構造があろうかと思います。

 これは多分日本全体でそういう傾向が今、残念だけれども出てきてしまっているのではないかな、そんな気もするわけでございますが、そうした中で、今回、文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会、先ほどもお話に出ましたが、ある面、頑張っていただかなければいけないんですが、一方で、やはりこれぐらい今文民統制は揺らいでいるんだなという気もしないではありません。

 きょうも先ほど少しその話題に触れていただきましたが、いま一度、できるだけ具体的に、今後どういう方々とこの検討委員会をなされていくのか。私案でもたたき台でも結構です。御決意でも結構です。文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会、いつぐらいまでに具体的なめどをつけて、ぜひやっていただきたいと思いますから、いかがでしょうか。

石破国務大臣 二十万、八十万の取り違え、あるいはそれを気づきながら上に上げなかった、内局との意思疎通もうまくいっていなかった、あるいは今の航泊日誌の誤破棄事案。私は海だけが悪いと申し上げるつもりはございませんで、陸、空にも同じように悉皆的な調査を今かけております。

 自衛隊全体として、内局もそうです、自衛隊全体としてどうなのかという、対症療法的という言葉は気をつけて使わなければいけないのですが、こういうことが二度と起きないようにというものは、私は十一月ぐらいには大体の案はできるのではないかなというふうに思っております。

 問題はその先でございまして、統幕、陸海空幕、そして内局というあり方が本当にいいのかということは、文民統制の徹底という観点と、本当に有事のときにきちんと動くのかという観点、両方から論ぜられなければいけないものだというふうに思っております。

 もともとが警察予備隊から保安隊になり自衛隊になったという経緯もございまして、この組織のあり方が国際的なスタンダードだとは私は全く思っておりません。これがいいというのであれば、その挙証責任は私どもにあるわけでございます。そうではないとおっしゃる方々もおられるわけで、その点は、外の有識者、あるいは中におられて今外に出ておられる方、私はむしろ防衛省・自衛隊のあり方に対して厳しい目を向けておられる方々の御意見というのをきちんと聞いてみたい。そうでないならば、それは違うという立証責任は我々の側にあると思っております。

 それはできるだけ急ぎますが、物が物でございますので、こんな形でどうだろうかというのができるのが、私がめどとして思っておりますのは今年度末、来年の三月末ということでございます。

 この委員会に限らず、安全保障委員会でも、午前中もお願いしましたが、こうあるべきだということ、これをぜひ伴野委員からもお示しをいただいて、だれが政権をとろうと同じことなんですね、文民統制の重要性は。そして、文民統制の統制する側というのは、国民から選ばれたという一点においてのみ、私ども政治家なのです。だとすれば、事務次官だって自衛隊員だというのはそういうことであって、コントロールの対象となり得るのではないだろうか。その人が、防衛省・自衛隊のトップたる私がと言うところに、何かの勘違いというか思い違いというか、そういうところもあるのだろう。コントロールする側、される側、そして、する側の補佐体制、そういうところからも御議論をいただきたい。私どもも一生懸命努力をいたしますので、何とぞ御教示よろしくお願いを申し上げます。

伴野委員 まさにおっしゃるとおりでございまして、ここも共通点が多いところだと思いますが、先ほど国会もトレーニングをしなければいけないと申し上げました。そして、文民統制に当たる対象である自衛隊、そもそも自衛隊の皆さん方に何を期待するのか。そして、自衛隊の皆さん方に何をしていただくのか。ここもきっちり整理していかないと、端的に言えば、国内だけで活動していた時代から、外へ出ていっていただく、そうすると、もうはっきり言って、文民統制のあり方、チェックすること、随分違ってきているんだと思うんですね。

 ですから、ここは、先ほど与党も野党もないとおっしゃっていただきましたのであえて申し上げますけれども、もし本当に文民統制が確立されるという前提であるならば、堂々と一般法の話を議論すべきじゃないかと私も思います。そのためにも、大臣がやっていただく文民統制を徹底的にやるというところ、ここをぜひお願いしたいと思います。お願いとして、改めてさせていただきたいと思います。

 官房長官、もう、どうぞ。もし官房長官的な質問になったら、どちらかお答えいただければ結構でございます。

 では、続いてお話をさせていただきたいんですが、先ほど、この議論に入る中で、どうしても、海上阻止活動の効果とかという話になったときに、積極的にこの議論を前へ前へ進められる方からすれば、これはシーレーン防衛の一環だというお考えの方もあるでしょうし、いやいや、このことを、ではシーレーン防衛のためになっているとすると、ずっとやっていかなきゃいけないじゃないかという御議論もあったりするわけなんですが、私は、これも武正議員と高村大臣の間でもいろいろ議論された後のことをいただいて議論をさせていただければと思うのです。

 本来、どうなんでしょう、シーレーン防衛というのは、まず警察力、海上警察なりの、そこでまず何ができるかという前提があって、それが国際的にどう連携し合ってやるか、そしてさらに、国際協定の中でどうネットワークをしていくか、そして、今、日本のシーレーンといえば、マラッカ海峡とホルムズ海峡、一番ねらわれやすいところをどうしていくかというようなところと、さらに、今回のように、テロのようなものに対してどうしていくか。ですから、軍事という対処の仕方というのは、最後の最後の対処の仕方であり、できるだけそれはピンポイントであるべきだと思うのですが、このあたりは、大臣、いかがでしょうか。

高村国務大臣 私は必ずしもシーレーン防衛について見識があるわけじゃありませんので明確なことを申し上げられませんが、いずれにしても、日本のシーレーンというものは、シーレーンというよりも、日本がこれからも発展していくためには四海波静かでないと発展し得ないわけでありますから、シーレーンというのは本当に大切なものであって、それに最も適切な対応をしていくということが必要なんだろうと思います。それは、今委員がおっしゃったことを必ずしも否定するものではなくて、そういう順序でいいのかなと思いますが、いずれにしても、最も適切な対応をしていくということだと思います。

 そして、今度の新法が、それではシーレーン防衛を直接の法目的にしたものかといえば、そうではありません。結果論としてシーレーン防衛の役割を果たす、結果としてそういうことに十分なり得る、こう思っていますが、それを直接の法目的としているものではありません。

伴野委員 ありがとうございました。

 シーレーン防衛についてこれ以上深入りするつもりはありませんので、次の話題に移らさせていただきたいと思います。

 これは、守屋前事務次官の疑惑等でも、どうしてもかかわってきてしまうことなんですが、随意契約のあり方、総理もきのう全省庁に指示されて、随意契約のあり方を見直されているところだと思いますが、できたらこれも、最終的な契約者、よく黒塗りでこの辺も出てくるんですが、このあたりなんかも、私は、例えば、あるときは、予算委員会の理事会だけでも、ある一定額の重要な案件だけは、もう黒塗りを取っ払っちゃってチェックするぐらいのことがあってもいいのではないかと思うのです。

 ただ、一方で、何でもかんでも一般競争入札にすればいいとも思っておりません。今の時点で、今後の随意契約改革において、防衛大臣の現時点での何かたたき台、私案、思いみたいなものがあれば教えていただければと。

石破国務大臣 これは、随意契約すなわち悪という話にはならないということだと思います。

 随意契約にならざるを得ない、つまり、一般競争入札をやって応札がなくて、やってもやってもそれがだめで一社しか残らない場合には、それは随意契約をいたしませんと物が調達できないということになってしまいますので。ですから、随意契約に至るまでのステップが本当に適正に公正に行われたかということに対しての透明性が必要なのだと思っております。

 それに加えて、随意契約になった場合に、一社ですから、その価格が適正であるのかどうかという議論は議論として行わねばならない。あわせて、これは委員の御関心とは外れるのかもしれませんが、この調達のあり方も、今のようなやり方でいいのか。今回のCX、GEということを考えた場合に、ほかのやり方はないものなのだろうかということも含めて、余り予断を持って物を言うことはよくありませんが、これがどうなるのか、どうあればもっとよかったのかということも含めて、これは寺田政務官を長といたしますプロジェクトも立ち上げております。どういう形が一番納税者に対して誠実かという観点からやってまいりたいと思います。

伴野委員 今回も相当、この随意契約について国民は本当に疑いの目を持ってしまいました。これを機会に、ぜひ全部うみを出すおつもりで改革をしていただきたいと思いますし、私は、要は説明できるかだと思っているんですね。きちっと契約者が責任持ってここと契約した、この金額でやったということを第三者に聞いてもらって、それはあらかた正しいということであれば、私は、仮にこの会社と随契であったとしても、それはそれでいいのではないかと思うんです。

 ただ、やはりそのときに、内々の議論、ましてや、ある偏った力をお持ちの方が急に横からここだと言われてここにするようなことは絶対あってはならないし、そういう不自然なことがあれば、第三者がきちっと聞き取りなりをしたらやはり出てくるのではないかと思うんですね。

 ですから、ぜひそういうチェック機能を高めていただく仕組みをお考えいただきたいと思いますし、ある一定限度額あるいはある一定の技術力を持ったものというようなことになってきた場合には、ぜひ国会でチェックをするというような仕組みにしていただきたいものだ、そんなふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 あっちへ行ったりこっちへ行ったりで大変恐縮なんですが、一つ、済みません、給油の関係で飛ばしてしまいましたので教えていただきたいんです。

 今回、給油それから油の使われ方というのもいろいろ議論される中で、私なりに、補給というものがそもそも、軍事上といいますか、いわゆる実力を持った集団がお使いになるときの補給の意義ということで調べさせていただきました。ちょっと読み上げさせていただきます。

 自衛隊の陸上幕僚部野外令第一部におきますと、補給の目的は、作戦上必要とする装備品等を適時適所に充足し、部隊の物的戦闘力を維持増進することにある。現代戦における装備品等の需要は、複雑、膨大かつ性急であるが、各種の制約から、必ずしもこれを十分に充足できないのが通常である。したがって、補給は、緊要な時期及び場所において、作戦遂行上緊要な装備品等の補給に万全を期すことを主眼として行う。こういう例が出ているわけですね。

 それを防衛大学校さんでどう教えているかということでひもときますと、防衛大学校の防衛学研究会編ということで、「軍事学入門」というのがございます。その中で、補給とは、部隊の物的戦闘力を維持増進するため、作戦上部隊が必要とする物品を適時適所に充足することである。ちょっと中略させていただいて、補給所要の決定は、作戦の各期または全期間の必要量を確定するとともに、指揮下部隊に対する予想可能補給量を明確にするために行われ、これにより補給能力の限界を明らかにして、作戦全般の構想決定に資する重要な意義を持つものであるというふうに書いてあるわけでございます。

 ですから、補給というのは、現代戦において、実際、武力行使をするその隊が、武力行使をする云々という事柄よりも、戦闘力を左右する重要な行為であることは間違いないわけで、とりわけ、今の近代設備において、エネルギー補給というのは勝敗を決することにも値する。武器弾薬があっても、そこから動けない、移動できないということは、隊によっては致命的なことになるわけでございまして、ですから、補給活動というのは今の現代戦において非常に重要なことではないのかということを改めて知ったわけでございます。

 そういうエネルギー補給、先ほど申し上げたように、不特定物を供給するということはなかなか難しいところへ入ってきたなと思うんですが、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 おっしゃるとおり、補給というのは極めて重要であって、補給を軽視したから前の大戦はあんなことになったのだということは多くの人が知るところであって、今回、何だ補給かなんといってばかにしているということは、それだけ今日における戦の何たるかを御存じないということになるのだ、委員の御指摘はそのとおりだと思います。それだけ重要な意味を持っています。

 不特定物の議論は、確かにそういう問題はあるのです。午前中に大塚議員が御指摘になったようなことも確かにあります。ただ、それでおしまいになっちゃいますとこの議論は全く意味がないということになってしまいまして、やはり、補給をいたします際に、全くOEFは関係ない、ほかのオペレーションだということで補給をするということは法の趣旨に余りに逸脱することになりますから、やはり誠実にその確認はしなきゃいけませんし、アメリカから、おれたちを信じなさいというような趣旨のレターが出たとしても、その確認作業というのは、愚直なのかもしれませんが、やる必要があるだろうと思います。

 私、さっきからちょっと委員の御趣旨をよくはかりかねているところが一点ございまして、それは、では、補給にかわって何か日本の中で完結するオペレーションがあるとせば何なのだろう。それは、OEF・MIO、むしろMIOそのもの、それを我が国の自衛隊がやる。確かにそれは一つの完結ではございます。

 ただ、そういたしました場合に、なぜ我々が補給ということをやるかといえば、それは非戦闘地域という概念、やはり補給ポイントというのとMIOを実際に行っているポイントというのはずれるのだと思っております。それは、やはり憲法上の制約、今までの積み重ね、そしてこのテロ特措法がそもそもPKO法と周辺事態法をベースにしてできた法律であるという法のゆえん、そういうものから出てくるのではないか。

 ただ、今の時点になって振り返ってみれば、あるいは今の時点において考えれば、あるいは委員のお考えと違うのかもしれませんが、そういうようなチョイスというものもあったのかもしれないという気はいたしております。

伴野委員 正直なところをありがとうございます。

 やはり本当に難しい時代に入ったと思いますし、それから、武器そのものも五十年前、六十年前と随分変わってきています。防衛という事柄自体の意味合いも随分変わってきていると思います。

 そうした中で、改めて言うまでもなく、自衛隊の皆さん方も生き物でございましょうし、それを判断する我々国会も生き物でございますから、刻々とやはり変わるべきところは変わっていかなければいけないんだろうと思います。

 そうした中で、今あえて、非戦闘地域というお話が出ましたので、隘路に入っていくつもりはございませんが、これはもう何度も議論されたことでございます。私自身も、現憲法下における概念の世界である、枠組みであるということも認識しているつもりでございます。

 しかしながら、この概念が現場にひずみを与えてしまうことはないかといったときに、やはりいろいろ今後も考えていかなきゃいけないことは多いかと思うんですが、大臣、今後も、戦闘地域、非戦闘地域という、大変失礼な言い方をすれば非現実的なものによって法構成はしていかなければいけないでしょうか。

石破国務大臣 防衛大臣がお答えするのが必ずしもふさわしいかどうかはわかりません。

 戦闘地域、非戦闘地域という言葉を私が使いますと、私の言い方が悪いのか私の表情が悪いのかよくわかりませんが、フィクションだとか、ばかにするなとかいうおしかりをよくいただくわけです。ただ、これは憲法九条第一項の「国際紛争を解決する手段としては、」というのをいかに担保するかというところから要請された概念でございまして、危険だとか危険じゃないとか、そういう概念ではございません。

 例えば、例えが適切でなかったらおしかりをいただきたいのですが、歌舞伎町でやくざが撃ち合っていたとしたならば、これは戦闘地域というふうに評するかといえば、それは違うわけでございますね。そこで機関銃を撃ち合おうが、装甲車をやくざが持っているとは私は思いませんが、非常に大変なことになっていたとしても、それは危険な地域ではあるけれども、戦闘地域とは絶対に評価をされないわけでございます。

 国際紛争というのは何かといえば、国もしくは国に準ずる組織の間における武力を用いた争い、こういうような評価になっておるわけでございまして、そういう地域ではないという概念を設定することによって、より憲法九条第一項の趣旨を実効あらしめようというものなのでございます。

 まだその概念を維持するかということになりますと、この憲法九条の「国際紛争を解決する手段としては、」というものをどのように考えるか、どうやってそれを担保するかという議論になってくるのだと私は思います。

 自民党の防衛政策検討小委員会のときにまとめましたのは、余りに評判が悪いので、この非戦闘地域という言葉は変えようと。では、どういう言葉になったかというと、非国際武力紛争地域で、ますますわからぬというおしかりをいただいたりするわけでございますが、法的に申し上げればそういう概念であって、法的な概念というものと現実の概念というのは差があるのは、これは立法の上でやむを得ないことかと思っております。

伴野委員 ここも不毛な議論をしていくつもりはないんですが、問題意識としてお聞きいただければと思うんですけれども、今回の法案をいろいろ審議するに当たり、自衛隊の活動地域を非戦闘地域に限定し、武器使用に関しても、現場にいる隊員やその管理下にある者の正当防衛や緊急避難時にのみ危害射撃を認めるとしてきたということなわけですよね。今後、この武器使用基準がどうなっていくのかということなんです。

 昨日も触れましたけれども、昨年八月十八日に、そのとき大臣は筆頭理事で、当時三原委員長が委員長さんで団長で行っていただき、原口先輩と私もついて行かせていただきました。なかなかできない体験を現場でさせていただき、本当に額に汗して現場で頑張っていただいている自衛隊の方には心から敬意を表したいと思いますし、最後、お見送りに手を振ってくださった方々の様子は一生忘れることはできないと思っています。

 その上でお聞きしたい。その上で、そういう人たちの命を守っていただく意味でもお聞きしたい。

 大臣は、たしかそのときの雑談の中で、その言葉も残っています。すばらしい言葉であると私も思います。守屋さんに聞かせたいぐらいの話だと思います。あのとき、大臣はこうおっしゃいました。私は自衛隊を出したときの防衛庁長官でございますと。ですから、毎日毎日そのことが心配で、胸に規律を入れられて唱えられて、いつも無事を願っていらっしゃる。これはまさに本当に国民を代表する思いだと思いますし、そうあっていただかなければいけない。

 そういう会話をした後に、私は自衛隊のある方とお話をさせていただく機会があったものですから、こういうことを大変失礼ながら聞いてしまいました。今襲われたら、引き金を引くことにあなたはちゅうちょされますか、どうですかと聞きました。

 正直に言いますと、私は聞く前までは、答えをいただく前は、どちらかというと、はっきり申し上げて、現場に即する形で、国際標準で武器使用を緩和した方がいいのではないか、現場におけるオペレートにおいては、日米同盟がある限り、アメリカと近いオペレートをしてもいいのではないか、その方が現場にとって一番活動しやすいのではないか、正しい任務を遂行できるのではないかと思っておりましたが、その自衛官の方は、ちゅうちょするとおっしゃられました。

 それを聞いて、私は正直言ってもやもやもやとしてきまして、私の考えがいいのかどうなのか。そして、帰路についてずっと考えていた中で、私は、その自衛隊員の引き金を引くことにちゅうちょするという言葉に、逆に日本人の自衛隊の皆さん方の誇りをある面感じたところがあります。一方で、ちゅうちょされて命を落とされてもいけないということも同時に考えました。本当にプロ化してしまって、引き金を引くことにちゅうちょをしない集団にしてもらっても困るんですが、一方で、本当に有事のときには、任務を遂行するために、ちゅうちょをしつつも引き金を引いてもらわなきゃいけないこともあるのかもしれない。

 ここが本当に難しいところで、こんな難しい質問をして恐縮ですが、下を向かずにぜひ、やはりこういう議論をしていかないと最終的に文民統制の徹底というのは図れないんだと私は思うんですよ。だからあえて、済みません、お疲れのところ恐縮ですが、お聞きしているんですが、ぜひ、個人の意見としてはここでは許されないかもしれませんが、今の大臣の御意見をお聞かせいただけませんか。

石破国務大臣 これはイラク特措法のときも議論をさせていただいたのですが、そのときに最初に出たのが番匠一等陸佐でございました。中谷議員の同期生かと存じます。

 彼と私が話をしていましたのは、いろいろな、まず自衛隊法があり、イラク特措法があり、その上で部隊行動基準という、ROEというものがあって、午前中もお話ししたかもしれませんが、向こうが撃たなきゃこっちが撃てないというのではないと。不可逆的という言葉を仮に使うとするならば、実行の着手があったとするならば、もうそれは正当防衛の要件を満たすのだという場合もあるということを申し上げました。だから、向こうが撃つまで撃てないんだということではないということも申し上げました。

 それが頭で覚えただけじゃだめで、体がそれについていくようになるまで訓練をやってください、それが頭で動くんじゃなくて、体で動くようになったらばもう出ていいということ。それは私は素人ですからわかりません。陸上自衛官たる指揮官が判断して、長官、もうこれで行けますというまでは私は出しませんということを言い続けてきたわけでございます。

 問題は、議員おっしゃいますように、ちゅうちょなく撃ってもいかぬし、かといって、一瞬のちゅうちょが部隊の全滅、それだけではなくて、一緒に行動するほかの部隊にも被害を与える、弱い味方は敵より怖いみたいな話になってもいかぬということなのだと思います。

 私は、どこかの場において、国際的なスタンダードとは何であるのか、国連のSOPというのは何であるのか、それは何ゆえ定まったものであるか、いわゆるaタイプ、bタイプとかいう議論がありますが、それはまた少し次元の違う議論だということはよく知っておりますが、そのこともあわせてやはり話をしなきゃいかぬ。

 そして、もう一つは、仮にそれで何かの結果が生じたとして、その責任をだれが負うのだという話があるのだろうと思います。間違っても、正しい判断をした現場の指揮官や自衛官に責任を負わせることがあってはならないのであって、それはきちんと政治が負う覚悟があるのですねということがなければならないでしょう。

 現場において、これは私、直接確認をしたわけではありませんが、まず指揮官から先に撃つと。そうでなければほかの者が撃てないということもあります。そうすると指揮官に、指揮官ですから責任を負うのは当たり前ですが、過度の負担を与えることになりはしないかということがあります。

 私は、この問題もやはり、最終的な責任は政治が負うのだ、現場に責任を負わせてはいかぬのだという思いを我々立法府の人間が持つことが肝要だと思っております。

伴野委員 今大臣が最後におっしゃった、現場が責任を負うのではない、最終的には政治が責任を負うんだ、まさに私はそのとおりだと思います。その思いは共有したいと思います。共有させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、海上自衛隊の補給艦から米補給艦への給油取り違え事案について中間報告も出ております。これらについて質問をしていきたいと思います。

 給油取り違えと言いますが、実際、海自の活動はどのように調整をしていくのか。ここから伺いたいと思います。

 アメリカの空母のキティーホークの給油問題がありました。政府はこれまで、海上自衛隊の給油活動は、その都度、テロ特措法の趣旨に沿った活動を行う艦船であることを確認して行っている、だから、目的外使用はない、このように述べてきましたが、それは間違いありませんね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これまで、累次、委員会でそのような答弁をさせていただいていると思います。

赤嶺委員 それでは、その場合に、その確認というのは、どこでどのように行われているんですか。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 海上自衛隊のインド洋における給油活動に関しまして、各国との連絡調整はどのように行っているかということでございますけれども、最初に、まず、米国のタンパには、米中央軍の責任域内での活動に関する米軍と自衛隊との間の連絡調整を行う、それから、米中央軍の責任地域の情勢に関する情報収集を実施するということで、連絡官が二名派遣をされております。一方、現在のところ、テロ対策特措法に基づく協力支援活動ということで、そのための連絡調整を行うということで、バーレーンに連絡官二名を派遣しております。

 こうした連絡官が現地で現場レベルでもいろいろやっているわけでございますけれども、個別具体的な洋上補給の調整ということになりますと、バーレーンに派遣をされております海上自衛隊の連絡官が、米第五艦隊司令部から補給対象艦艇の運用計画を聞きまして、その後に、海上自衛隊の艦艇、それから補給対象艦艇の運用計画をもとに、相互の都合に合わせて調整を実施しているということでございます。

赤嶺委員 運用計画についても聞いていきますが、その前に、バーレーンとタンパというお話でしたが、バーレーンは連絡官何名ですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 バーレーンは海上自衛官二名でございまして、現在は二等海佐一名、三等海佐一名ということでございます。

赤嶺委員 その連絡官は、自衛隊のどの部隊から派遣されているんですか。

高見澤政府参考人 現在は、統合運用ということでございますので、統合幕僚監部の方でいろいろな連絡調整というものは行っていることになっております。

赤嶺委員 先ほど運用計画というお話がありましたが、そう言われても、私たち素人なものですからよくわかりませんので、ちょっと具体的に質問していきたいんですけれども、具体的な給油活動の調整であります。

 いつ、どこで、どの艦船に給油してほしいという要請が来るはずです。これは、どこからどこに来るんですか。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども申し上げましたように、アメリカの第五艦隊の司令部の方から補給対象艦艇の運用計画というのが参ります。それを、海上自衛隊の補給対象艦艇の運用計画というのがございますので、それと合わせて調整をしておるということでございます。

赤嶺委員 その運用計画で給油するという場合に、実際に給油するかどうかというのは、だれかに判断を求めるんですか。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 具体的な給油実施をどうするかということになりますと、これは命令が必要でございます。具体的には、派遣部隊の指揮官であります自衛艦隊司令官、SF司令官が給油実施の命令を発出するということになってございます。

赤嶺委員 自衛艦隊司令官が行う。その場合に、海幕は関係しますか。

高見澤政府参考人 もちろん、しかるべく報告は上がってくると思いますけれども、一次的には自衛艦隊司令官の責任で行われているというものでございます。

赤嶺委員 しかるべき報告というのは、結果報告ですか、それとも給油を行う前の報告ですか。

高見澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、給油の実施の命令というのは自衛艦隊司令官が出しますので、当然、自衛艦隊司令部にはそういった事前の情報というのは上がってきて、それを踏まえて決定が行われるということでございます。

赤嶺委員 給油要請を受ける場合に、受けるかどうか、これを決める基準は何ですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 給油を実際に決める場合、さまざまな要素を勘案して決定される、お互いの調整もありますので、調整をされているということだと思いますけれども、現実に、例えば一回の補給量が非常に多いというようなことになりますと、全体の予算の関係もありますし、こちらの持っております艦艇の運用計画というようなこともございますので、それはちょっと量が多過ぎるのではないかというようなこともございますし、それから、実際の補給の全体の流れの中で、今の時点でいいのかとか、全体の行動日数というようなことも見てやる。それをそれぞれうまく調整して、全体を判断して決めているということでございます。

赤嶺委員 日本の給油というのは無料なものですから、各国が欲しいと思うんですけれども、各国の給油してほしいという要請が競合した場合、その場合の調整というのはどんなふうに行うんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 第五艦隊の方で全体の状況を見ておりますので、それぞれの艦艇の活動状況あるいは補給艦の状況というようなことを見て、ある程度の見通しを持った運用計画というのが立てられますので、具体的に今先生がおっしゃったように、競合関係というのがよく起きているというようなことはないというふうに承知をしております。

赤嶺委員 そうすると、第五艦隊が全体を見渡している、競合が起こらないように調整している、そういう理解でいいんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 そういった状況で全体の計画というのが立てられる。それで、実際の調整というのはそれぞれの、例えば私どもの方でいえば、調整を行った上で自衛艦隊の司令官が実施を決定するということでございますので、調整の結果、運航計画と違ったことが起きるということもございますし、また、運航計画上そういうことになっておりましても、例えば天候の関係であるとか、いろいろな状況で変わってくるということはあろうかと思います。

赤嶺委員 高見澤さんも近くがいいかもしれませんね、かなり細かく質問していきますので。きょうはやはり中間報告をきちんと押さえていきたいという思いがあるものですから。

 それでは、テロ特措法に沿って給油されるということになるはずですが、テロ特措法の趣旨に沿って使われる、使うんですねというのをどのように確認するんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 具体的な運用計画が出てまいりましたときに、それぞれの対象艦艇、それから、どういった海域で補給をするのかというようなことが明らかになりますので、私どもの方としては、その船は具体的にOEF・MIOに従事している船かというようなことを確認いたしますので、それぞれエリア的に当該艦艇がどういった任務を負っているのかというふうなことを確認して実施をしておるというふうに聞いております。

赤嶺委員 それは口頭ですか、文書ですか。

高見澤政府参考人 運用計画というようなものは、いろいろスクリーンで見たり、あると思いますけれども、基本的には口頭でやっておるということでございます。

赤嶺委員 口頭という場合には、決まり文句というか、やはりあると思うんですが、それは何か文書になっているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 バーレーンの第五艦隊の司令部におきましては、私どもがテロ特措法の趣旨に沿ってどういったことができるのかということを説明しておりまして、その説明した内容については司令部の中で徹底をされている。これは寺田政務官も前回行っていただきましたけれども、そういった状況になっておりますし、また、どういう法律がどういう趣旨のものであるのかということについては徹底をされているというふうに聞いております。

赤嶺委員 いや、私が聞いているのは、バーレーンでどんな理解になっているかということではなくて、給油をする場合に、テロ特措法の目的に沿っているかどうかということを確認するとさっきおっしゃったものですから、あなた、さっき確認するとおっしゃったんですよ。一番大事なところですから、それを口頭でと言いましたので、口頭で確認する中身はどんな中身か、もしかして決まり文句があって文書になっているんじゃないかということを聞いているんです。バーレーンの中でどんな理解が広がっているかという話ではありませんから。

    〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ですから、バーレーンで私どもの連絡官がやっていることは、そういった運用計画に基づきまして、その運用計画に対して我々の方で実際に聴取をする。そうすると、どういった海域でどの程度の補給量が必要かということでございますので、私どもの方としては、それがOEFなりOEF・MIOに従事している艦艇であるかということを確認する。それは口頭でわかりますので、確認をして、それから、それなりの行動日数というようなものを見て、補給量とのバランスを見て、そして自衛艦隊の方に上げる。それで、自衛艦隊の方では、それでよろしいということで命令を出すというプロセスでございます。

赤嶺委員 ですから、高見澤さん、今、大事なところをあっさり言わないでください。

 OEF・MIOに従事しているかどうかを見てわかりますから、それでいいんだということなんですが、何を見たらどうやってわかるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 それは、船がどういったもので、どういう活動をしているのかということについて知識がございますし、実際にOEFの司令部、第五艦隊の司令部の中でどんな船が活動しているかというのは、連絡官は日ごろわかっているわけでございますから、そういった知識はあるわけでございます。その上で、それが実際にそういうOEFに関連する活動に従事しているかということを確認しているということでございます。

赤嶺委員 そうすると、給油する前に相手の任務は確認しないわけですね。さっき口頭でと言ったのは、どういう意味ですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問は、それ以前にどんな活動をしていたかということについて聞かないかということでよろしゅうございますか。

赤嶺委員 要するに、給油しますよね。あなた、口頭で確認すると言った、見ればわかると言った。だけれども、実際に艦船に給油する場合に、あなた方の船の任務は何ですかと問うんですか、問わないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 バーレーンでいろいろな調整をするときに、私どもの給油対象となっている艦艇がOEFに従事しているということを確認して実施をしているということでございます。

赤嶺委員 キティーホークの件を思い出していただきたいんですが、それで今、私、繰り返し聞いているんですが、どうもあいまいであります。

 その給油の活動について、連絡官と現場の指揮官、これは日々の活動についてどのような頻度でどのような報告が来るんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 日常的に、常に電報等でいろいろなやりとりをしておりますし、いろいろなデータのやりとりというのは、部隊の司令部と現場でございますので、いわば常続的につながっているようなシステムを構築して、そのもとでやっているということでございます。

 そして、具体的に、例えば、これは中間報告にもございますけれども、海上幕僚長あてに対していろいろな日々の報告がございます。これは行動報告というような形で電報が参っておりますし、こういったものは、当然、いろいろな部隊の指揮官に対しても行っているものでございます。

 それから、その補給艦の実施したその燃料なりの活動の状況といったことは、当然、日常的にやりとりをしているというふうに御理解をいただければと思います。

赤嶺委員 内局や防衛大臣にはどのような頻度で報告が上がりますか。

高見澤政府参考人 これは、テロ対策特措法に基づきます個々の補給の活動の実績につきまして、日々このような形で、どの船に何キロリットル入ったというような日々の報告が内局なり大臣なりに対してあるわけではございません。

赤嶺委員 ですから、どのような頻度で上がっているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 実際の報告の形としてございますのは、行動報告と提供実施報告でございまして、これは幕僚監部だけでございます。

 一方、防衛大臣にあてて出されているものはございますけれども、これはテロ特措法に基づく物品の提供の実績でございまして、物品管理の観点から、提供実績を月ごとに取りまとめて、内局の物品管理担当部局であります経理装備局装備政策課、それから海幕装備部装備需品課より受領をしているということでございます。

 それから、経理装備局艦船武器課需品室においても、予算執行を管理の観点から、これは予算要求等の必要がございますので、給油量等の資料を海幕装備部装備需品課より受領しているということでございます。

赤嶺委員 なかなか中間報告を読んでもわかりませんし、今細かく聞いてもまだよくわからないという感じなんですよね。

 皆さんが、テロ特措法に基づいて使われているんだ、海上自衛隊の給油活動はその都度テロ特措法の趣旨に沿った活動を行う艦船であることを確認して行っている、その都度というようなことを、そのとおりだとお認めになりながら、その都度かということで実際に聞いていくと、どうもよくわからない答弁が続いているんですね。

 それで、ちょっと具体的に聞いてみたいと思います。

 キティーホークのケースであります。これは中間報告に述べているキティーホークのケースですね。海上自衛隊に対して米軍から補給艦ペコスに給油してほしい、こういう要請が来たのはいつですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 具体的に、ペコスに対していつ補給をしてほしいという要請をしたかということについては手元にございませんけれども、基本的なやり方として、ある程度先の運用計画が示されておりますので、ペコスという船が補給の運用計画の中に入ってきたのは、恐らくその一週間なり十日ぐらい前に出ていたということが想定されるわけでございますけれども、具体的な、今、何日というようなことは手元にございません。

赤嶺委員 一週間前、二週間前、想定される時期というのを今お話ししましたが、手元に資料がないということでありますので、資料を確認の上、また改めて答弁していただきたいと思います。

 それで、「ときわ」がペコスに給油する、こういうことを決めたのはいつですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今手元に具体的に何日ということがあるわけではございませんけれども、実際に「ときわ」が実施する場合には、その部隊の命令をいただかなきゃいけませんので、それ以前に自衛艦隊の方に上がっている。その自衛艦隊の命令を受けて実施されているということだろうと思います。

赤嶺委員 では、「ときわ」がペコスに給油するときに自衛艦隊も知っていたということですよね。それは、命令を下したわけですから、当然知っていたということになるわけですが、その点、いかがですか。

高見澤政府参考人 基本的には御指摘のとおりだと思います。

赤嶺委員 そうなりますと、ペコスの二月二十五日時点の任務、それは確認していたわけですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ペコスが、第五艦隊の司令部の区域内で、具体的にはインド洋で、私ども、その米艦艇に対して補給を実施したわけでございますけれども、そういった状況にあるということは確認をしている。そしてまた、そのペコスが、そこの艦隊に所属するような船、あるいは空母機動部隊であれ、いろいろなそういう中央軍の管轄の区域の艦船に対して支援をする任務を負っている船だということは認識をしていると思います。

赤嶺委員 それじゃ、ペコスが対アフガンの任務以外の任務、これについているかどうか、これは確認したんですか。それとも認識していたんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 要するに、ペコスに対する給油がテロ特措法の趣旨にのっとっている、それに問題がないということは確認をしていると思います。

赤嶺委員 いや、対アフガン以外の任務にもついているかどうか、これは確認したんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時、実際にバーレーンで具体的にどういったやりとりがどのような形で行われておったか、それがどのような形で記録に残っているかということも含めまして、今まで私が申し上げましたような細部の内容について、先生が御指摘されたような点まで含めて確認をしているかどうかというのは、正確にはちょっと、よく聞いてみないとそれは申し上げられないところがあろうかと思います。

赤嶺委員 命令は自衛隊の艦隊司令が下すわけですよね。命令は日本から下しているわけですよね。その際に、その都度、テロ特措法に基づいて活動していることを確認しているということをおっしゃったわけですが、アフガン以外の任務についていたかどうかは今の時点で定かじゃない、政府の認識はあいまいだということですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ですから、その時点で具体的にバーレーンなりの司令部で、先生が御指摘になったようなアフガン以外の任務があったかどうかというようなことを具体的に聞いてまで確認したかどうか、そういったことについては、当時の状況を子細に確認しないとわからないということを申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 当時の状況を確認する意向はあるわけですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時、具体的にバーレーンの中でやっていたというのは、口頭の話にもなりますし、また確認の手段というのもございますけれども、具体的にアフガン以外の任務をやっていますかというようなことは、確認は、多分、基本的にはしていないと思いますので、そういう意味では、確認をした結果、そもそも当時の具体的なやりとりというのがすべて記録に残っているわけではございませんけれども、そういった状況でございます。

赤嶺委員 記録をよく捜して、提出してほしいと思います。

 それで、その記録を捜すまでのことでもないんですが、当時、キティーホークへの給油が行われたのは二〇〇三年二月であります。そのときというのは、イラク開戦を前に、アメリカがペルシャ湾周辺に百隻以上の米軍艦船を集結させていたときであります。大量の米軍艦船がインド洋を通過しておりました。対イラク戦争の任務と対アフガンの任務が重なり合う可能性というのは、事前に十分に想定されました。事前にですよ。

 海上自衛隊の給油活動が対イラク作戦への支援にならないようにということで、防衛庁として、当時、何か対策をとりましたか。

    〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時、いろいろな形でそういった作戦行動がとられていたということは事実だと思いますけれども、艦艇がそういったところに集結していたということはあったかとは思いますけれども、そもそもその時点では、いろいろな外交努力も含めてさまざまな対応が行われていたというわけでございますし、また、その時点でOIFという作戦名が既に存在しているわけでもないというふうに思います。私どもの方としては、そういう状況の中でインド洋において補給活動を実施していたということでありまして、当然、イラクの作戦が今すぐ始まるから、それに対して対応策を講じておくべきだというような状況ではなかった。

 結果として、後から見れば、そのときそうではなかったかというような御議論が本委員会でも行われているかと思いますけれども、そういう状況でございます。

赤嶺委員 結果としてではないんですよ。当時、そういうことになっているという指摘を私は繰り返しこの特別委員会で行ってきたんです。今から見るとというような話ではないんですよ。

 そうすると、イラク戦争の準備のためにインド洋を通過する艦艇は給油の対象から除外するというようなことはしていなかったわけですね、あらかじめ。除外していなかったわけですね。

高見澤政府参考人 当時も、インド洋での給油活動は継続して実施をしておる、それがまさにテロとの闘いを進めていく上で効果的であり、必要なものだという認識でやっていたところでございます。

赤嶺委員 そうしますと、どんなことになっていくかといいますと、アフガンの任務を持っているのであれば、イラク戦争に向かう艦船であっても給油を認めるというのが当時の防衛庁の方針だったということになりませんか。

高見澤政府参考人 ですから、先ほど申し上げたとおりでありまして、そのようなことにはならないと思います。

赤嶺委員 何でならないんですか。

 イラク戦争のOIFは起こっていなかった、それは、私は当時、サザンウオッチ作戦をやっているという指摘をしましたよ。あなた方は、インド洋を航海する船について、イラク戦争の任務ではないんだという認識に立って、給油除外、あるいは事前にイラク戦争に使われないという注意さえ払っていなかったじゃないですか。インド洋を通過する船に給油したら、結局そんなことになるんじゃないですか。

高見澤政府参考人 お答え申し上げます。

 たしか先生がこの委員会でいろいろオペレーション、サザンウオッチとの関係を指摘されているということはございますけれども、私が申し上げていますのは、今の御指摘は、インド洋に対してOIFが始まる一カ月以上、一カ月程度前にあっても補給をすることというのが、将来イラクにおいて戦争が起こるのだからそれをやめるように防衛省の中で、防衛庁の中で事前に指導すべきだというお話でございましたけれども、それはそのようには到底考えられないということを申し上げたわけでございます。

赤嶺委員 結果としては、その点を考えておかなければいけなかったという結果が出ていると思うんですが。

 でも、政府の今主張していることも、私解せない点があるんですよ。新しい法律では海上自衛隊の給油活動をテロ対策海上阻止活動に限定する、こういうわけですが、総理は、本会議での答弁で、複数の任務につく艦船への補給について触れておられます。「当該艦船が、実態として、テロ対策海上阻止活動に関する任務に当たっていることが重要である」、このような答弁であります。

 要するに、これまでも今後も、対テロ任務を持っておれば、そのほかの任務を同時に持つ艦船であっても給油はする、そういうことですね。いかがですか、官房長官。

町村国務大臣 ある外国の艦船が補給支援特措法案に基づく補給支援活動の対象となるためには、当該艦船がテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事するものであり、当該艦船に対して補給支援活動を実施することがテロ対策海上阻止活動の円滑かつ効果的な実施に資するものと認められると、これが必要であります。

 なお、その際、当該艦船が、実態として、テロ対策海上阻止活動に関する任務に当たっていることが重要である、先ほどの総理の答弁のとおりでございます。したがって、それが満たされる限りにおいては、当該艦船が同時にOEF・MIO以外の作戦に従事していたかどうかというのは問題にはならないわけでございます。

赤嶺委員 そうすると、複数の任務を持っていても要件を満たせばできるんだということになったら、限定したことにならないんじゃないですか。イラク戦争のような大規模な空爆を行っている艦船であっても、対テロ任務を同時に兼ねていれば給油できる、そういうことになるんじゃないですか。

町村国務大臣 先生、まさに法律を正しく理解していると思います。

赤嶺委員 限定にならないわけですよ。ならないということを官房長官みずからがお認めになったと思います。

 それでは、ちょっと質問させてください。

町村国務大臣 ちょっと誤解があったかもしれません。済みません。御質問を遮って恐縮でございます。

 OEF・MIOの目的と申し上げました。そういう限定がついているわけであります。今までの法律は、OEFであればということであったのですが、今度はOEF・MIOに限ったという意味で限定がついたわけでございます。

赤嶺委員 OEF・MIOに限定していても、限定するけれども複数の任務を持っていてもできるようになっているわけですよ。そうでしょう。その点を聞いているんです。

町村国務大臣 それは従前から、OEFの活動に当たっておれば、同時にその他の目的に、先ほどこの油に色がついていないとかそういう議論もありましたけれども、そういう意味で、その船がそれ以外の目的を同時にやっていたとしても、そこは問題がないという解釈を従前もとっておりましたし、今回もまた同様でございます。

赤嶺委員 ですから、今回の新法でも、従前と何ら変わらないということになるわけです。官房長官は、さっき、私の発言を聞いて、法律をよく理解しているということでありましたので、認識の違いはないと思います。

 それで、海自による隠ぺいの問題であります。

 防衛省は、二十九日に中間報告を公表いたしました。

 これによりますと、「2事案の概要」で、平成十五年二月二十六日未明に、インド洋方面派遣部隊・派遣海上支援部隊指揮官から海上幕僚長等にあてて、ペコスへの給油量が八十万ガロンであることを記載した行動報告が電報で送付されている、このように記録されております。

 海上幕僚長等、などという、この「等」というのはだれのことですか。朝の議論で、などというあいまいな表現は直した方がいいという石破大臣の発言を聞いた覚えがあるのですが、ここで言う、などというのは何ですか。

    〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ここで提出させていただいた中間報告の資料で、いろいろ別添の資料がついてございますけれども、一ページをごらんいただきますと、派遣部隊指揮官からということで「TO CMS」というのがございますけれども、これが海上幕僚長あてということでございまして、それ以外の関係部隊、例えば自衛艦隊であれ、いろいろな関係部隊の名前がここに記載をされているということでございます。そういうことで海上幕僚長等ということになってございます。

赤嶺委員 この資料一の「TO CMS」、海上幕僚長などというのは、この黒く塗りつぶされた部分ということですか。こんなのでいいんですか。

高見澤政府参考人 ですから、そういう形で実際に報告が行われている、非常に多くの部隊に対しての連絡が行っております。ですから、先ほど申し上げておりますとおり、海上幕僚長ですとか、あるいは自衛艦隊の司令官とか、そういったところにちゃんと報告が行われているということでございます。

赤嶺委員 これは、などと中間報告に書いて、石破大臣も、などというそんな表現でと説明責任にかかわっておっしゃっていたと思うんですが、私は、この問題でも、などで済まされる話じゃない。などの中身というのをちゃんと言ってください。

高見澤政府参考人 ですから、報告されているあて先というのは非常に多うございます。それで、などということになってございます。

赤嶺委員 非常に多いあて先全体、中間報告が説明責任を果たしていく上でも、全部出してくれますか。大臣、どうですか。

石破国務大臣 それはお求めに応じて省内で検討いたしますが、今局長が答えましたとおり、そこの、今のお尋ねの趣旨からすれば、海上幕僚長というものを出す。ただ、そのほかにもいっぱいあて先がございます。それをずらずらっと全部書きますと、それだけで相当行数を消費しまして、関係ないことを書くなというおしかりなぞいただきましてもなんでございますので、などという形にいたしました。

 今先生がお尋ねの点は、私、省内における会議でも、このなどというのはやめたらどうかということを申しました。そうしますと、ずらっといっぱい書かなければいかぬ。では、それが一体何の関係があるのだというお話になりますので、それは、今回本題に関係します海上幕僚長、あとはなどというふうにさせていただいた次第でございます。

赤嶺委員 今防衛省に求められているのは、説明責任なんです。(石破国務大臣「書いてもいいんですけれども」と呼ぶ)書いてもいいんですけれどもと言うなら書いてください。それで、出してください。いかがですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 中間報告でいろいろな資料を既にお出しさせていただいているわけでございますけれども、ほかにもいろいろ中間報告の関係でいろいろな御指摘がございますので、今後のいろいろな調査の中で、さらに細部を補いながら、必要な資料は必要な形でお示しをするということになろうかと思います。

赤嶺委員 委員長、これを出すように理事会に諮っていただきますようお願いします。

深谷委員長 理事会で協議します。

赤嶺委員 電報の受領の件ですが、中間報告に書かれているのは海幕防衛部運用課、それから海幕装備部需品課になっているわけですが、それ以外にはない、そういう理解でいいですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この電報につきましては、海幕の中では、海幕防衛部運用課、それから海幕装備部需品課でございます。

赤嶺委員 高見澤さん、私の質問は、それ以外にはないんですねということを聞いていますから、そこまで含めて答弁された方が、本当に、あなたも行ったり来たりが少なくなると思うんですよ。あなたのことを考えて言ったわけですけれども。

 それで、「受領証の写しが添付された「提供実施(報告)」」これの場合に、ここにも「海上幕僚長等」とあるんですよ。などと書かれたら、これは何だというぐあいになるのは当然ですよね。ここで言う、などというのは何ですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ここで、まさに中間報告で焦点になっておりますのは、当時、海幕にどういった形で、一つのルートではなくて複数のルートで上がっていたのではないか、それがその海幕の中のどういった課に行っていたのかということに焦点を当てて整理をしているわけでございまして、そういう意味で、海幕の中では、この二つの課がそれぞれ、一つの課ではなくて、運用課も需品課も受けていたということをはっきりここに書いてあるということでございます。

赤嶺委員 いろいろな資料が中間報告の中に入っているんですが、まだよく理解できない点もありますので、この点を聞いていきます。

 行動報告に基づいて、海幕運用課オペレーションルームでは、毎日、当直が海幕防衛部長に対する報告資料として資料三の実施記録を作成している、このようにあるわけです。行動報告、実施記録を見て、正確な報告が記録されているわけですが、ところが、これ以外にも例の集計表があるわけですね。何でこんな集計表が必要なんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 海幕の運用課のオペレーションルームで毎日報告資料をつくっておるわけでございますけれども、一方、オペレーションルームではこのほかに業務用の基礎資料、オペレーションルームで、いろいろなことでよく問い合わせがあるということで、そういった業務の基礎資料としてわかりやすくすぐに全体が一覧できるような形でパソコンソフトを用いて給油量の集計表を作成したということでございます。

 ですから、いわば個別の日々つくる細かい報告と、それを全体として通して一覧できるような業務用の基礎資料という二つをつくっておったというふうに御理解をいただければと思います。

赤嶺委員 業務用基礎資料というのはわかりやすくつくったもの。行動報告や実施記録というのは、何ですか、これは保管するためにつくったものですか。その、わかりやすくつくった集計表、これが非常にわかりにくい事態を生み出しているわけですけれども、これは何ですか。「必要に応じて更新し保存されている。」このように書かれております。「必要に応じて」というのは、具体的にどういうことなんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 きょう、実は、私も赤松先生に答弁を間違えてしまったんですけれども、こういう表にする場合は、それぞれの行動の流れをまとめるときに使いまして、そういった形で業務用基礎資料として持っておったということでございます。それに対しまして、日々まとめた行動報告の方は、これは日々のブリーフィングとして防衛部長まで上げるためにオペレーションの方でつくっておったということで、それぞれ目的が違うわけでございます。

 日々の活動を部隊の指揮官あるいは幕僚監部の幹部として確認するためのものと、そういった活動が流れとしてどういうふうになっていったか、どの船にどれだけ出したかということに着目をしてまとめた表というものがある。それで、間違いが生じたのはその表でございます。

 ですから、きょう私も、赤松先生には、イージス艦の派遣の開始した日、最初の船が始まった日は実は十四年の十二月なんですけれども、終わったのが十六年の十一月であったわけですけれども、それを上下を取り違えてしまいまして、始まった日を十六年の十一月というふうに勘違いして欄を読み上げてしまったというようなことがございますけれども、要するに、そういう全体の流れをエクセルのデータなりで、そういったパソコンデータで整理をして持っていたというのが間違いのもとになったということでございます。

赤嶺委員 赤松先生の質問への答弁の訂正をやって、間違いはだれにでもあるというふうなことを今高見澤さんはおっしゃりたかったかもしれませんが、しかし、今聞いていて、おやと思ったのがあるんですよ。

 つまり、行動報告というのは、幕僚長や防衛局にも報告していくものであるわけですね。業務用基礎資料、集計表のことですね、この業務用基礎資料というのは、お互い職員の中で流れがわかるようにして持っていた資料。そういう理解でいいんですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 行動報告は、海幕の運用課のオペレーションルームで、毎日当直が、毎日の海幕防衛部長に対する報告資料として作成をしたということでございまして、これをほかの、内局でありますとか大臣まで上げるというような性格のものではございません。それから、業務用の基礎資料というのは、部内のオペレーションルーム内の参考資料として作成をしているということでございます。

赤嶺委員 いずれにしても、対外的報告用は行動報告で、業務用基礎資料というのはお互いが仕事の流れをつかむ上で重要なことと。

 この集計表の中に、九という番号と十二という番号があります。これは十二枚中の九枚目というぐあいに想像されるわけですが、十二ページのうちの九ページということで、この十二ページの枚数、これはいつからいつまでの実績を集計したものですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この中間報告の四ページに書いてございますけれども、十二分の九というのは、資料五の文書の右肩にありますけれども、これは、表が全部で十二ページある、その表の九ページであるということを意味しております。

 実際にこれがいつからいつまでかということでございますけれども、この資料七というのは、平成十五年の五月八日ごろの時点では総数が十一ページであったわけでございますけれども、その後データが追加されて、最終的には十二ページの資料になったということでございまして、五月二十二日の時点で十二ページまでいっておったと。

 始まりは、第一回の補給からの活動を記しております。

赤嶺委員 第一回目のものから五月二十二日までということなんですが、その中間報告では「五月二十二日現在の形でコンピューター内に保管されており、」とあるわけですね。

 何で五月二十二日現在の形でコンピューター内に保管されているんですか。文書が最終的に更新されたのは五月二十二日ということで、それ以降は更新されたことはないということなんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これは、当時の状況を確認しましたところ、そういったデータをつくったものを上書きするような形で保存をして日々ふやしていくわけでございますけれども、MOに保存しているデータでございますので、MOがいっぱいになるときに、それを、別のファイルといいますか、移しかえるというようなことになります。そうすると、最後に更新したデータというのは、その時点のものが前のままの形で残るというような形になって、いわば、保存されたものが次に更新されるときに容量がいっぱいになってしまいますと、それを残しながら次の新しいMOなりを使うということで、そういった現象が起こるということでございます。

赤嶺委員 そうすると、今の話はちょっとわかるような気はするんですけれども。

 じゃ、この十二枚以外に同様の集計表、別の時期にもつくられている、今もつくられている、そういうことでいいんですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 現在は、先ほどから議論になっていますとおり、七百七十七回、最近では約七百八十回ということでございますので、この資料は一ページに二十回分の補給の実績をとっておりますので、大体八百近くになりますので、八百割る二十ということで、現在は四十ページまで入っております。

 ところが、ピースデポの方から、二十万ガロンと八十万ガロンの取り違えがあるのではないかという指摘があったときに、直ちに部内で確認をいたしました。そして、九月二十一日の時点で間違っていたということが省内のいろいろなデータから確認をされましたので、その時点で、四十ページまで達していたファイルというのは保存をして、作業を中止しております。その後も更新をしていくというようなことになりますと問題が生じるということで、その時点で、九月二十一日のわかった時点でそのファイルは凍結をしておるということでございます。

 したがって、現在はそういった同じ形式のもので更新をしているという事実はございません。

赤嶺委員 その四十ページのものも数字は間違っているんですか。

高見澤政府参考人 間違っております。更新、更新で来ているということでございます。

赤嶺委員 中間報告の中に、これは私だけでなくて読んだ方みんなが異口同音に疑問に思っているのが、集計表の「入力者を特定することはできなかった。」こうあるわけですね。なぜ特定できないんですか。聞けばすぐわかることじゃないですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の取り間違いというのは、二十万ガロン、八十万ガロンの取り間違いで、非常に重大な問題ということで、当初から徹底調査をして、厳正な処分もするということでございます。

 そういう場合、どういうふうな形が一般的かと申し上げますと、それぞれの個人に対して、当時のことを思い出してもらってきちっと話を聞く。個別に聞きます。それぞれの人間、もう四年前、五年前ということになりますと記憶が確かでない部分もありますけれども、できるだけ本人の供述をとって、そして、最終的にはその内容でいいということを確認させるわけでございます。そうしますと、それぞれの人間がその時点でどうであったかということを必ずしも正確に覚えていない、記憶が確かでないというような場合もございますし、いろいろな形で突き合わせをきちっとしていきますと、どうしてもつじつまが合わないといいますか、はっきりしない部分というのも出てまいります。

 ですから、今回いろいろな形でそれぞれの話を聞いた結果、どうしても、七人がかかわっていた可能性があるということで特定はできたわけですけれども、その七人のうちだれがそのときにその数字を間違えて打ち込んだかというところはなかなか特定するに至らなかった、こういう事情でございます。

赤嶺委員 その幹部自衛官七名というのは、七名すべての人が入力業務に携わっていた人なんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この二月の二十五日前後のそういった当直勤務をしていた人間というのは、それぞれの作業をしておりますので、その範囲が七名である、つまり、その七名は入力をした可能性があるということで、七名と申し上げているところでございます。

赤嶺委員 自衛隊という組織の中で一人一人の任務が明確になっているはずのものが、調べてみたら、だれが入力したか特定できないという調査結果も、これは、ある意味、石破大臣がいつもおっしゃっている、自衛隊の真価にかかわるような問題でもないかなと私は思いますよ。特定できないということで、報告書がそのままでいいのかなと思います。

 さらに聞きます。

 平成十五年五月九日、海幕需品課燃料班長J二等海佐は、新聞報道で、その内容に誤りがあることに気づき、同日、海幕防衛課、これは人物は特定できない、肝心なところになってくると人物は特定できない、しかし、海幕防衛課の人物にその旨を指摘したと。なぜ誤りに気づいた燃料班長、これは特定できているわけですよね、この燃料班長がだれに伝えたか特定できないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当時の燃料班長が新聞記事を見て附せんをつけて指摘をしたというようなことは、本人からそういう話を聞いているわけでございますけれども、では、その指摘を具体的にだれにしたのかということについては、本人もはっきりしないと言っているということでございまして、私どもの方としては、本人が、聞いてもはっきりしないということでございますので、そういう状況になっているということでございます。

赤嶺委員 これもなかなか納得しにくい話ですね。燃料班長は、海幕需品課の上司、直接の上司になぜ報告しなかったんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ここに書いてあるとおりでございますけれども、具体的に新聞記事を見て、海幕の防衛課の方に指摘をしたということでございます。そのなぜかということについては、この報告書上は具体的に書いてございません。

赤嶺委員 極めて報告書としては、説明責任を果たしていない報告書だと思うんです。

 ところが、非常に詳しくなってくる部分があるんですよ。それは、指摘を受けた海幕防衛課長がどういう判断で上司への報告を行わなかったかということについてだけは非常に詳しいんです、そこのページは。

 判断理由として、米空母キティーホークへの間接給油問題が鎮静化しつつあったと。これはとんでもない話ですよね。これは、五月十六日に私も石破大臣に質疑を交わしているわけですから、鎮静化なんてとんでもないと思いますよ。本人は何で鎮静化したと言っているんですか。

 それからもう一つの部分が、ペコスへの給油量がたとえ八十万ガロンであっても、米空母キティーホークが不朽の自由作戦従事中に当該燃料を完全に消費することは確実であると。

 私、これも、当時、そんな判断できなかったと思いますよ。なぜなら、防衛省も海幕も、米軍や大使館には二月二十五日についてのみ問い合わせしているんですよ。二月二十五日、六日、七日、八日、これ何で問い合わせしなかったのに、これは報告書を読んだらわかりますよ、だけれども、八十万ガロンというのは二十六、二十七、二十八ですよ。それは問い合わせもしていないのに、八十万ガロンであってもイラクの作戦に使われたはずはないとか、情勢が鎮静化していたとか、一体、この海幕防衛課長さん、どういう意味でそんなことをおっしゃっているんですか。

石破国務大臣 急に詳しくなったというようなお話でございます。

 私は、その報告書をつくりますときに、聞き取った者からどのようなことを実際に聞いたかということも全部あわせて私自身が聞いて、それをつくりました。

 例えば、だれだったかわからないということは実際にありませんか。委員も四年前のことを、何でもいいのですが、例えば赤旗の編集部でも共産党の委員会でもどこでもいいのですが、そこへ行かれて、そこでこうだよと言ったときに、その場にだれがいたかということは、実は記憶ができないということはあるのではないか。

 実際に特定できませんので、この人間がいたはずだといってお話をつくるようなことは絶対にすべきではない。したがって、特定できないものは特定できないというふうに、素直に、そのとおりに書かせていただきました。

 それから、先ほどの海幕防衛課長が、事態が鎮静化しつつあるとか、あるいは八十万でも大差ないとか、そういうような部分でございますが、この部分も、できるだけといいますか、正確に何が述べられたかということを書かせていただいたものでございます。

 手は入れない、しかしながら、特定できないものは特定できないというふうにきちんと書く、それを忠実に行いましたのがその報告書でございます。

赤嶺委員 その報告書そのものには手は入れていないということなんでしょうけれども、だから疑問が起こるわけです。八十万ガロンであっても、大差は、問題は生じないと判断した。ところが、あのときの石破防衛庁長官の答弁でも、当時の福田官房長官の答弁でも、ペコスが給油された燃料は二十万ガロンだから瞬間的に消費された、こう言っていたわけですよ。そして、問い合わせも、全部報告書を見てください、二十五日だけ不朽の自由作戦に従事していましたねということで、二十六、二十七、二十八は問い合わせもしていない。ここに重大な問題があるということを申し上げまして、やはり防衛課長の参考人質疑は必要だということを申し上げまして、質問を終わります。

深谷委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 まず、外務大臣にちょっと伺いたいんですが、けさの新聞に「韓国大使が「遺憾の意」」金大中さんの事件についての外交決着を表明したというのが読売新聞の見出しになっております。これについてなんですけれども、韓国の真相調査のための究明委員会ですか、それから報告がなされる。その中に、国家機関、公的な機関の関与は、これは大統領の関与までは書かれていませんけれども、少なくとも公的な、KCIAの機関の関与というのは書き込まれているわけですね。

 これまで、かつて、相当以前ですけれども、政治決着と言われるものが二度ほどありました。この中で、今まで政府は、公的機関の関与が確認されないのでということをまくら言葉にして、もしそれが明らかであるならば捜査を再開するというような答弁を以前の議事録を見るとされているんですね。

 これは、外交決着というのは一体どういう中身なのか。きのうのことなので、緊急にお聞きしたいと思います。

高村国務大臣 韓国の委員会の方で、主権侵害を認める報告書を出した。そして、この委員会の報告書の結論は韓国政府の結論であるかということを、さきに韓国大使が外務省を訪れたときに木村副大臣が尋ねたところ、韓国政府の意見である、こういうふうに言ったと。韓国政府が主権侵害を認めたということですから、ただそれは報告しますだけじゃ済まないのではないですか、こういうことを言ったところ、重ねて韓国大使が来られて、遺憾の意を表明され、そしてさらに、こういうことは二度とあってはならないことだ、こういうことをおっしゃった。

 それに対して、私は、遺憾の意というのは陳謝と受けとめます、そして、二度とあってはならないことだということは、再発防止を約束したと受けとめて、そういうふうに対外発表しますがいいですね、こういうことを申し上げたところ、それは結構です、そういうことをおっしゃったので、それでは、外交的にはこれは決着をいたしますと。ただし、捜査はまだ続いているので、これから捜査をどうするかということは捜査当局の判断ですと。

 だから、外交的決着をしたということと捜査を進めるかどうかというのは、これは別問題であります。

 大体、今の状況はそういうことです。

保坂(展)委員 官房長官、よろしいでしょうか。

 今の、外交決着をしている、捜査はまた捜査として別であるということなんですが、この事件も大変古い事件ですけれども、一等書記官の指紋が発見された等で時効は停止しているわけですね。警察庁に話を聞きますと、これは警察庁単独で捜査を推進するということはなかなか難しいんだというふうに答えます。

 例えば、この真相究明委員会が当時の事件について収集した証拠、書類、まあ原資料ですね、こういうものを日本の政府として入手して、そして、この報告書も精査をして、捜査が進む状況であれば進めるべきだ、こう思いますが、いかがですか。

町村国務大臣 時効は中断しておりますから、捜査をすることは可能なわけでございます。捜査をどうするかということについては、私は、まだ警察庁の方から御相談も来ておりませんので、まず一義的には捜査当局でどう判断をされるか、その考えを待ちたいと思います。

保坂(展)委員 外務大臣、外交決着という言葉をお使いになりましたけれども、かつて二回の外交決着では、これは、公的機関の関与は確認されていないのでということが前提になっていたんですね。今回は公的機関の関与があったということで、遺憾というより私は謝罪をしっかりしてもらった方がいいだろうというふうに思いますけれども、前提が外れたんですね。

 これは、過去のその政治決着の考え方とは違う、つまり、捜査は捜査できちっとやってほしいということなんですか。

高村国務大臣 過去の政治決着と違う新しい事態が生じて、そして、一般的にこういう場合に、主権侵害をされたわけですから、した方が陳謝をする、そして再発防止を約束する、そして、さらに言えば、原状回復ということを普通するわけでありますが、原状回復といっても三十年前で、金大中氏に日本にまた戻ってもらうということも、これも余り現実的な話ではありませんから、それは、陳謝と、そして再発防止を約束したと受けとめるということで、それで結構ですと大使がおっしゃるものですから、これからさらに外交的にいろいろな問題を引き続けるということは、日韓関係を考えれば適当でない、そういうことで、外交決着を新たな状況でしたということです。

 それで、捜査は全く別ですよということは、韓国大使にもはっきり申し上げてあります。

保坂(展)委員 今外務大臣の答弁にあったように、官房長官にこれ一問だけ聞きますけれども、今、金大中元大統領は日本に滞在をされているそうで、警察の事情聴取をかつて断った経緯がある、しかし、その意図というのは、形式的、外形的な捜査ということだけでは協力できない、現在は、日本側が本当に進展させる気があるのなら、いつでもどこでも証人として日本の警察に協力したい、支援したい、こう述べられているんですけれども、いかが受けとめますか。

町村国務大臣 委員が今そうおっしゃったんですが、私自身は、そういう発言を金大中さんがされたということは聞いておりません。

保坂(展)委員 つまり、この事件には、主権侵害と、もう一つは犯罪という二つの側面があるので、では、こういう発言をされているかどうかしっかり確認をしていただいて、受けとめていただきたい。

 もう一点、本件に入る前に、法務大臣鳩山さんの、法務大臣の、友達の友達がテロリストという発言がありましたね。

 法務委員会でも午前中から随分やりました。町村官房長官も注意をされたと。もう少し注意をして発言するようにということだと思いますけれども。

 法務委員会等でやりとりを他の議員ともされているんですが、事実なんだというふうにおっしゃっているんですね、これは事実なんだと。つまり、友達の友達はアルカイダというのは、ちょっと舌足らずだったけれども、バリ島に住んでいる自分の日本人の友達と関係がある、ともに会社をやっている、昆虫の世界では有名な方だとまでおっしゃっているんですね。

 私は、そこまで特定すると、場は外国人プレスですから、バリ島の爆破事件と、事前情報があって、事件にも何らかの関与が濃厚であるということを日本の法務大臣がいきなり何か証拠も何もなく言ってしまったということについて、これはちょっと、ちょっと注意してという問題じゃないのかなというふうに思うんですね。

 町村官房長官、どの点に注意をしてというふうにおっしゃったんですか。

町村国務大臣 私も、報道でまずそのことを知りました。そして、今、法務委員会でのやりとりは私もちょっと別の委員会ですから聞いておりませんが、外国特派員協会での講演ですか、あるいは記者会見ですかという場での発言だということを聞きまして、正確に事実関係はわからないけれども、これは明らかに誤解を生むような発言ではないかという意味で、注意をいたしました。

 しかし、この委員会でだったと思います、月曜日の委員会でしたか、委員のどなたかからそれでいいのかという御発言もあり、総理の方からも改めて指示をするということなものですから、鳩山大臣には、金曜日までにきちんと文書にして、一体どういう事実があったのか、どういう発言をしたのか、その特派員協会での発言ぶり、あるいはその友達の友達云々という話が一体何を意味するのかという事実関係につき、きちんと文書にして私のところに持ってきてくださいということを鳩山大臣には指示したところでございます。

 いずれにしても、法務大臣という大変、まさに出入国管理をしテロリストをきちんと取り締まる立場にある大臣の発言としては、軽率のそしりを免れないと思っております。

保坂(展)委員 外国人プレスでの第一報は、まるで鳩山大臣がバリ島の事件を事前に知っていたのかのように伝わってしまった。それは誤解であると。それは誤解であるのはわかったんですが、もう一つの問題があるように思うんですね。法と証拠に基づいて、慎重に慎重を重ねてというのがいわば法務当局の考え方であって、それを、著名な爆破事件、そして、恐らくその昆虫の世界では多くの人が知っている人の名前をアルカイダの関係者というふうに挙げてしまったときに、これは万が一違っていたらとんでもないことになる。日本国内の人であれば、今ごろ大変なことになっていますね。

 その点からも、これは非常に重い発言だ、簡単に見過ごすわけにはいかないと思っています。いかがでしょうか。

町村国務大臣 今保坂委員が言われたようなことも含めて、ちょっと、事実関係といいましょうか、発言内容等々がどうもふわふわとしているものですから、きちんと文書にして出してくださいということを、先日のこのテロ特別委員会の後、鳩山大臣には指示をしたところでございます。

保坂(展)委員 では、その文書というのを我々も待ちたいというふうに思いますが、一点だけ、アルカイダの話が出てきましたので。

 前から気になっていることなんですけれども、OEFにおいて拘束をした、これはちょっと予告から漏れているんですけれども、いわばアルカイダのメンバーをキューバにあるアメリカのグアンタナモ米軍基地の中で拘束しているという実態がございますよね。これは、いわゆる刑事事件の犯人として捕らわれているわけではない、かといってジュネーブ条約に基づいた捕虜という扱いでもないという点が国際社会で議論を呼んでいると思うんですが、日本政府はこの拘束の状態をどういうふうに考えているんでしょうか。これはちょっと基礎的な質問だと思うので、予告がなくて申しわけないんですが、外務大臣、お答えできますか。

高村国務大臣 事実関係をはっきり知りませんので、明確な判断を下せないということでございます。

保坂(展)委員 石破大臣、どうですか。

石破国務大臣 多くの議論があることは承知をいたしております。ですから、これが犯罪であるとすれば、なぜそこに収容されるのか、そして、その人はどのようにして、何によって裁かれるのか、まさしく今委員御指摘のジュネーブ条約というものの適用の対象となるのかならないのか、多くの議論が合衆国であることはよく承知をしております。

 ただ、事実関係についてすべて正確に存じておるわけではございませんので、私の方からも、外務大臣と同じく、コメントというものができる立場にございません。

保坂(展)委員 幸いにして、アルカイダのメンバーで、日本人がそこに拘束されているということはないですよね。ただ、それについては、ぜひ、どういう見解なのかというのをまた後ほどお聞きしていきたいと思います。

 それで、先々日ですか、一昨日、守屋前事務次官の証人喚問がこの委員会でございました。石破大臣にちょっと伺っていきたいと思うんですが、これで何回目なのかなというのを率直に言って思うんですね。

 つまり、防衛庁の時代から、巨額な契約にまつわって、非常に額が大きいですね、額が大きいということに伴って、装備品調達であるとか飛行機であるとか、さまざまないわゆる疑惑、あるいは疑惑にとどまらなくて事件化されたことも数え切れないのかなというふうに思います。そのたびに改革が語られていって、さきの談合事件がございましたね、防衛施設庁の。ということを振り返って、防衛省に組織統合していくというような経過をたどって、防衛省初代事務次官だったわけですよね、先日の証人喚問の守屋さんは。

 一つ、この関連で伺いたいんですけれども、石破大臣、九九年に判決が出た、多分、今からちょうど十年くらい前に衆議院の決算委員会で当時の石井紘基議員が取り上げたいわゆる過大な支払い、NECの子会社だった東洋通信機及びニコー電子ですか、これが長年にわたって過大請求していた、三十五億円ですかね。この過大請求していたことの対価としてどうなっていたかといえば、子会社の顧問料という形で当時の副本部長が受け取っていた、こういう事件がありました。

 率直に言って、これは防衛庁から防衛省へという組織がえの中でもまだ病根が深いというふうにやはり思えてくるんですね。石破大臣、どうですか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりだと思っております。

 それは、メーカーにいたしましても、防衛装備品をつくるというのは結構リスクが高いものであるということは、委員御案内のとおりでございます。また、予算の仕組みもございまして、企業がどうやって利潤を確保するかということの問題も底流にはある。だからいいなんということを申し上げるつもりはありません。官の側にそういうことがきちんと見抜けるだけの能力というものがなければ、やはりそういうものを看過するということは起こってしまうのだと思っております。

 これから先、調達改革において、官がそういう能力を持つということはどういうことであるのか、あるいはそれが、行政改革の流れの中にあって、なるべく官から民へという流れの中にあって、そのことをどのように考えるべきなのかということをちゃんと議論しませんと、委員御指摘のように、これで何回目かねという話になるでしょう。これはシーメンス事件の例を引くまでもなく、ずっと昔からあるお話でございます。

 ですので、これを構造的な問題としてとらえ、組織改革もあわせてやらないと、また何年か先に、これで何度目かねというようなことになりかねない。それはいろいろな既得権というものを壊すことになるのかもしれないけれども、あえてその議論はしていかねばならないものだと私は認識をしております。

保坂(展)委員 法務省に来ていただいているんですが、今私が挙げた十年前の過払いの事件ですね、捜査の報道を聞いていて、国に対する背任という何か言葉が出てきたというふうに思います。これは初めてなのかなというふうに思いましたけれども、この国に対する背任というのはどういうことだったんでしょうか。

大野政府参考人 お答えいたします。

 これは通信機器会社に対する過払いがございました。過払いでありますので、当然国に返還しなければいけないわけでありますけれども、その返還すべき金額を不正に減額したということによりまして、国に先ほど御指摘のありました合計約三十五億円の損害を与えたというのが背任事件の内容でございます。

保坂(展)委員 そこで、今回問題となっている山田洋行なんですが、証人喚問でも他の同僚議員から出ましたけれども、二〇〇一年の三月に山田洋行が、チャフ・フレア・ディスペンサーですかね、二十四セット、八億一千万円と。これを担当者が調べていったところ、どうもこれは一億八千万円ぐらい多過ぎる、過払いであるということがわかった。そして、わかったのでそれはどうなったのかというと、どうも業者名の公表もなかったし、取引停止もない。平成十八年では、何か調達の取引実績では四位になっていますよね、山田洋行は。

 この経緯と、山田洋行における過払いというのは実際はこれだけだったのか。五年間で百七十億円ですか、もっとさかのぼれば相当の額でしょう。その過去の、防衛庁時代からの契約書や請求書をぜひ私どもこの委員会に出していただいて、また防衛省としてもこれは調査すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますけれども、平成十二年度に、当時の防衛庁の契約本部でございますけれども、山田洋行との間で、米国のBAEシステムズ社製のチャフ・フレア射出装置の調達契約を結んでおったわけでございますけれども、平成十四年五月に契約額を変更する契約変更を行っております。金額でございますけれども、三契約ございまして、当初契約金額がトータルで八億一千万円でございますけれども、十四年五月に、一億九千万円を減額して、約六億二千万円という契約変更をしておるわけでございますけれども……(保坂(展)委員「そこまではわかっているんですよ」と呼ぶ)はい。

 今、当時における契約変更に至った経緯を確認しておるところでございまして、現時点で意図的な過大請求があったという確認がなされているわけでは当然ないということでございます。

保坂(展)委員 ちょっと、この過払いについては本当に激震が走ったんですよね、あの十年前に。どうも不自然だと思いますね。

 きょうの毎日新聞には、これも新聞報道ですけれども、接待が月百万円に及んでいる店もあった、こういう記事が、守屋事務次官における当時の山田洋行元専務の接待と。

 この件についても、当時防衛局長だった、したがって所管外なんだけれども説明に行っているという話もあります。いわば接待漬けだった期間であることは間違いないわけですね。そこに何らかの関与があったのか。どうしてこんな甘い処分をしたんだ、あるいは、指名停止というんですか、取引停止などの制裁をかけなかったのか。契約をやり直すという形ですね。幸い払っていなかったので契約をつくりかえましたというようなことで聞いているんですが、ここもやはりしっかり調べるべきじゃないでしょうか。

 過去の過払い、これ以外にもあったのじゃないかという点について、石破大臣に答弁してもらいたいと思います。

石破国務大臣 今、参事官からお答えをしたとおりでございます。つまり、意図的に過大請求をしたということではない、そして、契約をやりかえまして、契約を変更いたしまして適正な価格を支払ったということでございます。

 ただ、委員御指摘のように、では、当時どういう状況にあったのかということも踏まえまして、これは私として、そういうことがないのかどうなのか、それは調べてみたいと思っております。

 ただ、そのときにどういう意図が働いていたのか、実際に過大請求というものはほかにもあり、過大に払ったという事実を私は今把握いたしておりません。それぞれ適正になされたものというふうに考えておりますけれども、委員の問題意識は私自身承っておきます。

保坂(展)委員 これは、しっかりと会計感覚を持っていた当時防衛庁の職員が調べた、アメリカに照会をかけてみたというときに、これは違うぞということがわかって発覚しているわけですね。

 ですから、石破大臣にお願いしたいのは、今防衛省が所持をしている山田洋行との契約書と請求書、結局幾ら払ったのかというデータを出していただけませんか。防衛省としても調査をし、我々国会の側でもぜひ調べてみたいと思います。

石破国務大臣 そのときの資料がどれぐらい残っておるのか。これはまた私どもの契約書でもございます。

 そういうものの調査は可能かと思いますけれども、どれぐらいのことができますか、今ここできちんと、これこれのものを出せますとか、こういうような調査をいついつまでに終わりますということがお答えできる状態に、済みません、ございませんので、委員の問題意識を承りまして、省内に帰りまして検討はいたします。

保坂(展)委員 先ほどまでの石破大臣の答弁、非常に踏み込んだ、やはりうみを出すんだという決意があったと思うんですけれども、今私が言ったのは非常に明快で、保存期限というのがありますよね。本来はこれはずっととっておくべきだと思いますよ。五年で捨てちゃうというのはいかがなものかと思いますけれども、保存期限内の大臣官房、会計課に存在をしている契約書と請求書や支払い実績、これはあるはずでしょう。ですから、それは最低限出していただきたいということです。いかがでしょうか。

小川政府参考人 保存期間内の契約書につきましては、提出できるものでございますので、中で個別企業の秘密に属するような事項がないかどうかチェックいたしますけれども、基本的にはお出し……(保坂(展)委員「請求書、請求書」と呼ぶ)請求書は、メーカーの請求書であれば、メーカーの作成文書になりますので、ちょっとそこの辺の確認が要ると思います。

保坂(展)委員 これはぜひ防衛省の中で調べていただきたい。

 次に、守屋次官の聞き取り調査を大臣官房で防衛省としてやっておられた。これは、規律義務というか自衛隊員倫理規程違反の点に着目をしてやられていたようなんですが、その際不明だった点が、証人喚問でここがわかった、ここは重要だ、細かい点はいいですけれども、これは事務方でいいですから答えていただけますか。

江渡副大臣 お答えしたいと思います。

 今委員からの御質問のとおりに、前次官に対しまして防衛省としても聞き取りを調査させていただきました。そして、二十九日の証人喚問においての話においては、我々が聞き取り調査した以外のことも出てきたことも事実であります。

 全部が全部ということではございませんけれども、特に守屋氏が元専務と、ゴルフについてですが、防衛省の現職職員を誘ったことはないというふうに我々の方には報告してあったわけでございますけれども、証人喚問におきましては、地方に行ったときに、守屋氏と元専務と親しかった防衛庁の職員と一緒にプレーしたことがあった、そのように証言されていまして、こういう点が違っているところでございます。

保坂(展)委員 もう一つ、防衛省の聞き取りで、アメリカ政府の要人、高官ですか、こういう方たちが来日をしたときに、宮崎元専務が会食の場をセットして、そこに守屋前次官があらわれたということがあったというふうに聞いていますが、その点についてはその後調査は済みましたか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 その点につきましてもこれから、けさ大臣の方からもこの委員会において答弁したように、まず、二十九日の証人喚問というのをこれは非常に重いものだと思っておりまして、そのことについて、出たことに対してやはり我々もしっかりと確認しなきゃいけないだろうということは、それは認識を同じくしているところでございます。

 そのことについて鋭意これからもきちんと調査していきたいと思っておりますけれども、今の委員の質問についてはまだ調査しておりません。

保坂(展)委員 これは、実は、防衛省の調査で出ていて証人喚問で話題にならなかったことで、結構大事なことかなと思って私はお聞きしたんですね。それは、防衛省の聞き取りの中でそういう話は聞いていますねという確認です。

江渡副大臣 済みません、お答えします。

 その点についてはございません。聞いておりません。

保坂(展)委員 社民党の党内のプロジェクトで、防衛省から大臣官房秘書課でしたか、レクを受けたときに聞いているんです。私もメモに書いてあるんですよ。これは結構大きなことだな、どういう話をされたのかなと。これはちゃんと言ったでしょう。答えてください。

中江政府参考人 お答えいたします。

 私どもの守屋氏からの聞き取りにおきまして、今委員御指摘の点につきましては、元専務が来日中の米国国防省や国務省関係の国家要人とともに食事をする際に、守屋氏も呼ばれて参加したこともあったということであり、その際の食事代は元専務が負担をしていたということでありますというふうに聞いております。

保坂(展)委員 これも、どういうお話があったのか、内容によっては非常に重大だと思います。

 守屋次官は、実は、自衛隊員倫理法と自衛隊員倫理規程を官房長として作成し、そして規律の監督官であるところのいわば倫理監督官、こういう立場だった。

 実は、私は、国家公務員倫理法を制定するときに、当時与党のチームで随分長時間の議論をした経験がありまして、こういった国家公務員倫理法に準じた自衛隊員倫理法のスキームというか、この中で倫理監督官の役割ということに着目をしてみると、実は、守屋監督官、その当時の倫理監督官は、利害関係者とゴルフの誘いがあったけれどもどうしたらいいかとか、利害関係者に近い関係業者というんですか、業者から接待というか会食のお誘いがあったけれどもどうしたらいいかというような案件が出てきたときに、助言をしたり指導をしたりという立場にあったんですが、実際にはそういう助言とかアドバイスがあったんでしょうか。もしあったとしたら、どんなことを言っていたのかなということに非常に興味があるので、紹介していただけますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 自衛隊の倫理規程第十五条第一項第一号において、倫理監督官は、自衛隊員から、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くようなおそれがないかどうか、またはみずからが行う行為の相手が利害関係者に該当するかどうかの相談に応じ、必要な指導及び助言を行う責務を有する者とされております。

 具体的には、個別の相談、指導及び助言については、自衛隊員倫理規程第十五条第二項の規定及び自衛隊員倫理法及び自衛隊員倫理規程等に基づく防衛省職員の職務に係る倫理の保持に関する承認手続、報告等に基づき、倫理監督官の職務の一部を行わせている総括倫理管理官あるいは倫理管理官または分任倫理管理官等によって実施されているということになっておりまして、今具体的にどれだけの相談があったかといっても、あくまでも組織ですから、個別個別で課があり班があり、そういう流れの中で、その段階においてそれなりの立場の者に相談というのはあったと思いますけれども、直接守屋さんの方に相談があったかどうかということは、私は把握しておりません。

保坂(展)委員 石破大臣も、自衛隊のトップという言葉が非常に気になったと何回かおっしゃっていますけれども、助言とか指導ではなくて、悪影響ですね、これは。

 守屋事務次官、つまり事務方のトップですね。これは、この方が、全部倫理も含めて統括しなければならない人が、いつもゴルフに行ったり、宴席が非常に多かったり、ちょっと関係する業者じゃないですかと言っても、まあいいじゃないかというようなことは、これは一人で動いているわけじゃありませんよね、組織ですから。幹部職員とか、こういう人たちに悪影響はありませんでしたか。恐らく、そういう態度なり姿勢というのは伝染していくものではありませんか。

石破国務大臣 伝染をするか、もしくは下がやる気をなくすか、どっちかだと思います。下がどんなに一生懸命働いておっても、上がそんなであっては、それはやる気をなくしてしまうんではないかという気もいたします。

 私は、下、上という表現を仮に使うとすれば、やはり公務員になったからにはあんな公務員になりたいというふうな人が上にいなきゃだめで、あんなんだったらなってもしようがないという人が上にいることは悪影響だと思います。

保坂(展)委員 結局、接待も多額に上った、そして接待も長期にわたって継続をし、贈り物等集計すればすごい額になる。何の便宜供与もありませんよ、証人喚問ではそういうことでした。

 これは人事の方ですかね。山田洋行について、天下りは一体どのぐらいいたのか。日本ミライズはできたばかりだからいないかとも思いますけれども、その実態について、何人いるのか、その最終官職がどういう方がどういう時期に天下ったのかということについてお答えいただきたいと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 平成十二年七月一日に施行されました自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の自衛隊法第六十二条第三項の規定に基づいて、承認を得て山田洋行の方に再就職した者は、平成十二年がゼロ名、平成十三年がゼロ名、平成十四年がゼロ名、平成十五年が二名、平成十六年が一名、平成十七年が一名、平成十八年がゼロ名及び平成十九年一月一日から十月一日までの間がゼロ名であります。

 このうち、守屋氏が防衛事務次官に就任した平成十五年の八月一日以降に再就職した者の数は三名でございます。

 よろしいでしょうか。(保坂(展)委員「ミライズはなかったですか」と呼ぶ)ミライズの方は、再就職した者はおりません。

保坂(展)委員 この天下りの実態ということと、退官後の職場提供というのも一つの対価の提供ですから、これの実態がどうだったのかというのは、多分これは山田洋行だけの問題ではないんだと思います。

 次に、沖縄の問題についても、前那覇防衛施設局長、佐藤局長、証人喚問を我が党は求めておりますけれども、大変お酒が好きで、大らかな、夜の宴席を楽しんでおられるということが伝わってくるんですね。

 ところが、わきが甘いというか、公私混同甚だしいんじゃないか。例えば、飲み屋のママさんや東京から来たホステスさんを、記名手続を経ないで局長室に入れてしまっていたということも言われているんですね。これは沖縄の新聞で御自身も認めていらっしゃいます。昨年夏ごろ、ホステス二人が局長室に来た、指摘された店ではないが、飲んでいるうちに、見てみたいと言われて、訪ねてきたと。訪ねてきた人を入れただけですよと。これはどうですか。

石破国務大臣 それは立派に働いているおれを見てくれというようなことなのかもしれませんが、これは、私は自衛隊法をよく読めという話だと思うのですよ。

 つまり、隊員は職務に専念する義務というのを持っているわけですよね。つまり、その職務に専念をするということの義務を負っている。それは国防という任務を負っているからして、背広であろうが制服であろうが職務に専念しなければならぬのだということから考えたときに、そのことがどういう意味を持つのか、そして、今委員御指摘のような行為がそれに反しないかということは、考えればわかるでしょうという話です。

保坂(展)委員 これは、ちょっと通常はあり得ない話ですよね。

 私も驚いたんですけれども、四月二十一日には、那覇市内の夜の町の近くの県道で酔いつぶれて寝ている男性がいた、通行人が危ないというので通報して、警察が保護したそうなんですが、その方が、だれあろう佐藤局長だったという報道もあるんですね。これは報道ですから、確認をしていただきたい。

 余りにも情けない話じゃないか。しかも、そういう報道と相まって、沖縄防衛施設局管内で受注業者の方と那覇の町で宴席を持っているところを多数目撃されているということもクロスすると、何たることかと思いますよ。どうでしょう、大臣。

石破国務大臣 私も報道でしか存じません。今初めて承ったこともございます。本当かよという話でして、いやいや、今の、泥酔して救助されたというのか何というのか、それが施設局長であるとするならば、職務に専念する義務もございますが、自衛隊員には品位を保つ義務というのがあるんですよ、それは。それは何でそうなのかといえば、やはりさっきと一緒で、国防の任を担う者はということなのです。

 ですから、それをみずからやらないということは、それは自衛隊員の資格がないということです。私はそう思います。

保坂(展)委員 ということは、守屋さんだけの問題じゃないということですね。そういう今のような例が多数あるとは思いませんけれども、また、今も報道ですから、この報道は間違っていたよ、人違いだったよということを、私はそうあってほしいなと思いますけれども、これはそうだったとしたらとんでもないことですね、本当に。

 もう一点、CXの開発をめぐってのお話をちょっと聞かせていただきたいんですが、契約関係だから事務方で結構ですけれども、アメリカの防衛装備大手企業が、GE社も含めて商社の機能をみずから持っている。そして、たしか赤坂にあると思うんですけれども、GE社も日本GE株式会社という日本法人を持っていて、日本国内で商品を販売し、メンテナンス等も行っているんですが、防衛装備のみ、あえて日本の商社を介在させなければいけない必要性というのがなぜあるのかという点について、いかがでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 このCXエンジンの選定につきましては、これは当然公募手続を行っております。厳正な公募の結果、一定の要求性能を満たした者として三社がこの俎上に上り、それを防衛省内の装備審査会議においてGE社に選定をしたわけでございます。

 まず、選定手続においては、商社並びに代理店契約の有無は全く要件となっておりません。

 次に、エンジンの購入をするというふうな段階に至るわけです。これについても当然購入手続をするわけでございますが、GE社みずからが独占販売権をこの商社に与えている。すなわち、この商社しか我々は買うことができない。実際、ことし一般競争入札を実施いたしました。当然のことながら、これは一般競争入札ですから、GE社自体も手を挙げることは可能でございます。しかし、GE社の場合は、すべての販売権を商社に独占的に与えているというふうな形態をとっておりますがために、当該商社が手を挙げるというふうなことに相なるわけでございます。

 この商社契約の件については、実はいろいろな契約形態が当該メーカーと商社の間になされております。例えば、今委員が言われたような日本法人、日本法人が契約権限を持っているケースももちろんございます。

 ただ、一般的に主要防衛装備品について申し上げますと、この日本法人は単にリエゾンとしての機能のみであって、契約機能自体は本社が持っているか、あるいは独占的な販売権を持っている商社が有しているのが大宗であるのが実態でございます。

保坂(展)委員 油の販売の商社の名前もなかなか出てこないという問題がありますけれども、本当に商社をかます必要はあるんだろうか。商社を介在させると、当然そこに商社の利益も乗っけなければいけませんから、税金の正しい使い方として、それは本当に適当なのかどうかということを疑問に思います。

 せっかく政務官にお答えいただいて、もう一問ですね。

 結局、代理店契約が山田洋行から日本ミライズに移っていくわけですね。それをめぐっていろいろな怪文書が出たり、これは活字にもなっていますね。そして、両者が訴訟合戦というか、こういう状態になっているというようなこともありつつ、防衛省への納入実績も十分でない新設の企業になぜ調達をゆだねることにしたのかということについて、いかがですか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、前段の、およそ商社を介在することによってコストアップになるのではないかという点、これは午前中の議論でもございましたが、逆に、商社の全国ベースのネットワークを使える利点、あるいは、いわゆるペイメント、支払い時期において、通常、防衛品であれば前払いになるわけですが、商社が時期調整をして後払いに、みずからの体力の範囲内で転換をしてくれるといったような総合的なメリットも勘案する必要があるわけです。

 いずれにいたしましても、商社介在の点についてはこれから本格的に我々としても取り組んでいこうというふうなことで、省内に総合取得改革のプロジェクトチームを発足させ、検討を進めてまいります。

 次に、日本ミライズとの契約についてでございます。

 実は、本年実施をいたしましたGEのエンジン取得についての一般競争入札につきましても、これは入札要件といたしまして、安定的な購入ができること、すなわち、きちんと代理店契約を結んでいることと、あと、格付としてのA格、B格、C格、Aランク、Bランク、Cランク、この二つを要件として求めているわけでございまして、現実的に、現在この代理店契約を持っているのは日本ミライズでございますが、こういうふうな状況も踏まえて、現在公募の手続は締めたわけですが、今後検討をしてまいるということで、会計法規に従った所要の検討をこれから行ってまいります。

保坂(展)委員 もう時間なので、最後の質問、石破大臣に質問します。

 外務省でもかつていろいろな不祥事がございました。その際に、これは十分だったかどうかの議論はありますけれども、防衛庁の時代にも報告書を出しましたが、今回の、どこまでこれは議論が広がっていくかわからない段階ではありますけれども、守屋前事務次官を中心として非常に疑惑が広がったことについて、不祥事が重なったことについて、防衛省として報告書をまとめるという意思はございますか。

石破国務大臣 これは、どなたに対する報告書かという問題もございます。

 ただ、一つの記録として、なぜこんなことが起こったのかということは、省内できちんとした記録にする必要はあるのだろう。そしてまた、常にそれを見ながら、こんなことが起こらないようにという一種の反面教師的なものとして記録をし、そして、それをどのように改善策を講じたかということは、やはり何らかの形でまとめておかねばならないのではないかと私は思います。

保坂(展)委員 まだまとめる段階には入っていないと思います。究明をし、そして究明をした後にまとめたものを国会にも出していただきたいというふうに申し上げて、終わります。

    ―――――――――――――

深谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十一月五日月曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十一月一日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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