衆議院

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第7号 平成19年11月1日(木曜日)

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平成十九年十一月一日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      伊藤信太郎君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    片山さつき君

      木原 誠二君    北村 茂男君

      河野 太郎君    杉浦 正健君

      杉田 元司君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君    高鳥 修一君

      土井  亨君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    野田 聖子君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    川内 博史君

      古賀 一成君    近藤 昭一君

      田嶋  要君    長島 昭久君

      伴野  豊君    松野 頼久君

      三谷 光男君    田端 正広君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      辻元 清美君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小澤 俊朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)    西  正典君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       吉田 岳志君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     高鳥 修一君

  北村 茂男君     赤池 誠章君

  北村 誠吾君     関  芳弘君

  杉田 元司君     福田 良彦君

  中根 一幸君     木原 誠二君

  三原 朝彦君     杉浦 正健君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  阿部 知子君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     北村 茂男君

  木原 誠二君     中根 一幸君

  杉浦 正健君     片山さつき君

  関  芳弘君     北村 誠吾君

  高鳥 修一君     越智 隆雄君

  福田 良彦君     土井  亨君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     三原 朝彦君

  土井  亨君     杉田 元司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長西正典君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房審議官小田克起君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、外務省大臣官房参事官片上慶一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、外務省領事局長谷崎泰明君、農林水産省大臣官房技術総括審議官吉田岳志君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省大臣官房技術監佐々木達郎君、防衛省防衛政策局長金澤博範君、防衛省運用企画局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)委員 皆さん、おはようございます。

 きょう、トップバッターで質問させていただきます自由民主党の伊藤でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず私は、今度の法案審議をこうして今たび重ねているこのときに、一人の日本の国会議員として、大変反省の念が尽きません。

 と申しますのは、これからるるお話を申し上げていく一つの大事なことは、この法律がいかに大事なものであるかということを私たちは十分認識していたにもかかわらず、採決も延長することもできず、本日を迎えたということであります。私は、政権与党の一人の議員として、国会議員として、私たちにも十分反省をしなければならない点があるんだなということを踏まえた上で、これから御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 きょう、今十時でございます。これから十四時間後、きょうの二十四時には、このテロ対策法が期限切れとなります。九月の十一日の同時多発テロ以降、私たちの国がテロとの闘いの一翼を担う一つの根拠となっていた法律が期限を迎えようとする今、改めて官房長官、外務大臣並びに防衛大臣の本日の所見をまずお伺いをしたいと存じます。お願いいたします。

町村国務大臣 テロというもの、なかなかぴんとこないようなことでございましたが、そうはいっても、日本でも地下鉄サリン事件という、ある種本格的、大規模なテロというのが日本でも起きました。

 九・一一、ワールド・トレード・センター、私は、ニューヨークに勤務をしておりましたので、あのビルに随分仕事で何度も行ったことがあります。あの大きなビルが一瞬にしてなくなってしまう、信じられない思いでありましたし、また、あのビルが倒壊した跡地に、私もそれから一年後ぐらいのときに行きましたが、何か異常な雰囲気といいましょうか、霊魂が漂うと言うとちょっとおかしいかもしれませんが、そんな雰囲気すら感じた。いかにテロというものが残虐であり、また、非人道的であり、許されざるものかということを痛感しました。

 そういう思いがあるだけに、今回のテロ特措法、もちろん、この海上阻止活動だけで十分であるかといえば、それは一つの役割にしかすぎない。しかし、重要な役割を日本が果たしている。その活動がきょうをもって中断というか終了せざるを得ない。今委員が率直に言われたように、私も、国政に身を置く者の一人として大変に残念な思いがしてなりません。

 それだけに、この審議を、新法という形で今私ども御審議をお願いしているわけでございますが、可及的速やかに衆議院、参議院において可決をし、成立をし、再びテロ対策の、テロを根絶するための活動の国際的なチームの一員に日本も堂々と復帰できるように、そういう努力をしなければいけない、そのことを痛感しております。

高村国務大臣 現行のテロ対策特措法を制定する契機となったのは二〇〇一年の九・一一同時多発テロでありますが、これは二千九百七十三名の方々が亡くなっている、日本人二十四名も犠牲になっているわけであります。テロとの闘いは、我が国自身が当事者であるわけであります。

 我が国は今、国際平和協力を今後どう進めていくかという岐路に立っている、こう思います。国際社会がテロとの闘いを初めとする多くの困難な課題を抱える中で我が国はいかなる役割を果たせるのか、これが問われているんだ、こういうふうに思います。

 国際社会は、我が国に対し、普遍的価値を共有し、多くの国際協力をなし得る国として強い期待を有していると思います。昨日、十月三十一日に、十一カ国の駐日大使が集まりまして、国会議員を対象とした説明会を行ったと承知しております。これも、国際社会が我が国の国際平和協力の今後のあり方に尋常ならざる関心を持っていることの証左だ、こういうふうに思います。

 現行のテロ特措法は、本日、十一月一日の二十四時をもって失効することとなりますが、果たして、一九九〇年の湾岸戦争以降十五年をかけて積み上げてきた努力と、かち得た国際社会の信頼を水泡に帰すようなことがあっていいのかどうか、私は非常に残念に思っております。

 我が国として、海上自衛隊による補給活動を継続できるように、補給支援特措法案の早期の可決、成立のために、我が国のとるべき進路について大局的観点から議論を行っていきたいと考えておりますし、ぜひそういう議論を行っていただきたいとも思います。

石破国務大臣 昨日、総理が記者団に対して、感想を問われて寂しいということをおっしゃいました。私も、その思いを共有するものでございます。

 現時点におきまして我が国が国際的に活動しておりますのは、ゴラン高原におきますPKO、クウェート―イラク間におきます航空自衛隊の輸送、そしてネパールにおきます活動、これだけになります。世界各国、いろいろなところへいろいろなものを展開している中にあって、我が国が、海上自衛隊の活動が消えるということは、まことに残念だし寂しいなという思いがいたします。

 とともに、私は、昨年、三原委員長とともに、また、ことしは浜田委員長とともに現場に行ってまいりました。昨年はフランスの船でした。ことしはパキスタンの船でした。そのときに、フランスの人々やパキスタンの人々と共有した感動みたいなものが、これから先しばらくなくなるのだなということにも寂寥感を感ぜざるを得ません。

 この御審議が、随分いろいろな御審議をいただいておりますが、当省に関します事務次官の事案でありますとか、あるいは取り違えでありますとか、あるいは誤破棄でありますとか、そういうことで本質的な御議論に十分お時間をとっていただけなかったということには、防衛省をお預かりする者として責任を感じております。

 最後に、当委員会において、与党の方あるいは野党の方から一般法の御議論がございました。

 私も、党におりますときに、いつ何が起こるかわからない、政治情勢にしてもいろいろなことが起こるかわからない、一般法の準備というのは一生懸命やってきたつもりでございます。ただ、そのことが結実をせずにこういうような形になっておるということに、これは議員として、自分の努力不足というものを大変痛感しておるところでございます。

 以上であります。

伊藤(忠)委員 今、所見を伺いましたけれども、次は、テロ特措法の期限切れとなることに伴って、今後どのような事態が客観的に起こっていくのか。海上自衛隊の撤退作業について、時系列的に、客観的に、手短に御説明をいただければありがたいと存じます。

石破国務大臣 本日二十四時に期限を迎えます。

 本日、私から、しかるべきタイミング、しかるべきタイミングというのは、これは出港する準備等々ございますので、その二十四時というわけにはまいりません。しかるべきタイミングで、自衛艦隊司令官に対しまして、海上自衛隊派遣部隊の協力支援活動を終結させ、部隊を帰国させるよう命令を発出する、そういう予定でおります。

 この命令を受けまして、現在派遣されております補給艦「ときわ」及び護衛艦「きりさめ」は本日寄港地を出港する、こういう予定になっております。

 なお、日本へ帰ってまいりますのは三週間後の十一月下旬というふうに考えておりまして、「ときわ」は横須賀、「きりさめ」は佐世保にそれぞれ帰港する予定になっております。

伊藤(忠)委員 今、こうして伺ったとおり、海上自衛隊による補給支援がインド洋上から帰ってこようといたしておりますけれども、テロリスト、武器並びに武器等々についての資金源となる麻薬を含めて、それらの移動を阻止、抑止をするために、海上阻止行動の重要な基盤となってきた私たちの海上自衛隊によるこの作業が撤退することによって、さまざまな影響が生じ得ることは不可避であるというふうに私自身も思いますし、きのうのカナダ大使館における説明においても、危機が増大するということがはっきり御説明の中にあった記憶がございますけれども、具体的にどのような影響が考えられるのか。

 外務大臣から、作業の運用上の影響と、そしてまた外交上の影響について、それぞれ分けて御説明をいただければと思います。

高村国務大臣 まず、運用上の影響についてでありますけれども、補給艦を派遣できる国というのは限定されているわけでありまして、海上阻止活動全体の効率が低下するということが予想されます。特に、活動に参加する唯一のイスラム国であるパキスタンが従来どおりの活動を継続するためには、他の関係国が我が国と同等の支援を提供できない限り困難になるということが予想されます。

 各国との関係では、我が国がテロとの闘いについて消極的姿勢に転換したと受けとめられ、当然、各国の対日姿勢に影響なしでは済まない、こういうふうに考えられます。

伊藤(忠)委員 私どもの日本の国が世界の中に存在する、そして、もう言うまでもなく世界と密接不可分に毎日毎日が起こっている中において、このテロとの闘いに対して私たちの国が消極的な姿勢をとっている国だというふうに受けとめられるということは、本当に危機的なことだなというふうに私自身思いますし、私の選挙区でもある愛知県というところは、製造業のメッカでございます。世界じゅうと取引をいたしております。世界に多くの人たちが行って、働いて、国富をつくらせてもらっています。こうした愛知県選出の国会議員としても、世界に対するメッセージがこんなことになってしまうのかということは、極めて遺憾なことだなというふうに思います。

 テロ対策特措法の期限を迎えて海上自衛隊が撤退しようとするときに、私たちは、もう一方で、ずっとここでも議論になりましたけれども、かつて百四十一億ドルの資金を拠出して国際社会の評価を受けられなかった無力感を感じたあのときから、私たちがこつこつと積み上げてきた努力、これが国際社会においてどんなふうに評価を受けるのかなと。

 大変激しい国会の議論を経た末にPKO協力法を成立させて、自衛隊をカンボジアですとかゴラン高原ですとか東ティモールなどに派遣してまいりました。そしてまた、当委員会、イラク特措法に基づいて、自衛隊はイラクの人道復興支援も行っております。

 実は、昨夜も、イラクに行ってきたという自衛官の人たちと話をいたしましたけれども、本当に緊張の中で、日本の国のために頑張ってまいりましたということを言っておられました。

 その多くの人たちの努力、そのことが私たちの国の今のプレゼンスをつくっているんですけれども、ようやく現在のような国際社会の信頼を得るに至った今に当たって、テロ対策特措法が期限切れを迎えて、国際社会のともに連帯した取り組みの中から私たちが離脱をしていく。今後、インド洋に戻らないままによもやなるとしたら、我が国は、当時無力感を覚えたあのときまで戻ってしまうんじゃないかというふうに思います。

 きょうという日は、今までの法律は切れますけれども、みんな気持ちを新たにして、ただいま提出している新法について議論を重ねて、戻るのか戻らないのかという大変大事な岐路に立ったきょうだと思いますけれども、改めて、この補給活動を引き続き行うことの必要性について、外務大臣から明確な御説明をお願い申し上げたいと思います。

高村国務大臣 海上自衛隊の補給支援活動は、海上阻止活動の重要な基盤となる大きな意義を有しておりまして、国際的にも高く評価されている、目に見える人的貢献であります。

 今委員が御指摘になったように、湾岸危機のときに、約一兆八千億円もの資金を出しながら、人的貢献が行えなかったことにより国際社会で評価されなかった無力感を我々は思い出すべきだ、こういうふうに思います。

 憲法上の制約を抱える日本が、それ以来十五年かけて積み上げてきた努力でかち得た国際社会の信頼と評価を水泡に帰さないためにも、海上自衛隊による補給活動をぜひとも継続する必要があると考えております。

伊藤(忠)委員 私どもは、何としても海上自衛隊によるこの補給活動を引き続き行わなければならないなと。

 それは、海上自衛隊による補給活動という活動そのものも大事でございますけれども、今日まで積み上げてきたこの道を、再び転げ落ちない、そして、十数年にわたって議論をしてきた中には、この委員会室におられる与野党を問わない多くの議員の先生方が議論に参加をし、けんけんがくがくをやって今日に来ていることも間違いのないことだというふうに思いますけれども、我が党が、法案をつくって、そして議論をして、閣議決定をしてこの委員会に付託をさせていただいておるこの法案について、所管の大臣である官房長官から、新法の成立に向けて、改めて断固たる、確固たる決意を伺いたいと存じます。

町村国務大臣 ただいま伊藤議員から、まさに、これまでの経験を踏まえ、そしてこれから日本が国際社会の中でどういう地位を占めたいと思うか、どういう役割を果たすべきかという大局的な観点に立っての御意見を今いただいたと思っております。

 この新法、確かに、たかが給油活動という言い方をされたことも私ございます。しかし、やはりそうではない。まさに国際社会の一員として当然果たすべきことであると同時に、日本の国民にとって、国家にとって必要なこの海上自衛隊の活動だ、それだけに、今回の新法、いろいろな議論を経て、こういう形で国会に政府から提出をさせていただきました。本当に一刻も早く、衆議院、参議院を通じて可決、成立をしていただきたいと心から願っておりますし、そのために日夜全力で頑張っております。

 私は、この国会、実は、野党の皆さん方からも具体の提案がある、法案という形かどうかはわからないが、具体の提案もあり、そうした二つの案、三つの案が議論をされることによって建設的な審議が行われるということを本当に期待しておりました。今日に至るも、残念ながら、断片的な御提言は民主党さんその他からございますけれども、統一された形での、このテロ対策、いかになすべきかという御提案がないのは大変残念なことだ、こう思っております。

 今からでも遅くはございませんので、長島委員初め有能な委員が多数おられる民主党でございます、一般法の制定をなぜしないのかという、我が党自民党よりもはるかにある意味では熱心なお問いかけ、問題提起をされておられる民主党の皆さん方もいらっしゃるわけでございますので、どうぞひとつ前向きに、これから我々、国家として何をなすべきかということについて議論を深めていただければ幸いだし、最終的に、法案の可決、成立をお願いしたいと思っております。

 どうぞよろしくお願いします。

伊藤(忠)委員 ただいま官房長官から改めてこの新法に対しての決意を述べていただきましたけれども、その決意の中には、民主党のさまざまな話についても真摯に耳を傾けて、この国として、間違いのない結論が出せる国家なんだ、私たちはちゃんとした結論を国際社会に対して発信し得る国なんだ、そのためならいろいろな努力をしていってもこの法案を上げていこう、こういう御決意だったと思います。

 私も、ぜひそうした形でこの法案が成立できるように、みんなで努力をさせていただけるように、委員の一人として頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 ところで、私は、この国際貢献の議論の中で、今日までいろいろな議論の中で、出口論というのがよく出てきたなという気がいたしております。一つ一つの法案でありますから出口があるのかないのかということもあろうかと思いますけれども、本当にこのテロ対策というものを考えたときに、出口というものがそう簡単にあるのだろうかというのは、私は私見として申し上げておきたいなというふうに思います。

 テロとの闘いにおける出口論というのは、すなわち、例えば、自衛隊がいつまでやっていればいいのかというようなこと、そしてまた、このテロの根源になっている例えば貧困の問題あるいは傷ついた人の怨嗟をとめていく問題、いろいろな問題があろうかと思いますが、残念ながら人類はずっとずっと間違いを繰り返してきておりまして、そのことがきょうやあしたにとまらないことというのは、ここにおられるすべての人たちがよくわかっておられることだろうというふうに思います。

 本当にこの出口論の見えない中で、しかし、私たちはこつこつと努力をしていく。例えば青年海外協力隊があちこちで民生のために頑張っております。私も、ことし、地元の人たちと一緒にアフリカに行ってまいりましたけれども、あちこちで若い男女が頑張っております。そのことを、多くの現地の人たちが本当にありがたい気持ちで受け入れてくれています。こうしたことも一つのテロの根絶の一環と考えることができるだろうというふうに思いますし、また、今日議論をしている海上阻止行動も一つの道だろうというふうに思っております。

 そこで一言お伺いをしたいのは、テロが発生する根本的な原因というものをどうごらんになり、このテロの問題の解決に向けてどのような取り組みが必要であるのか。もしできれば出口論の物の考え方も含めて、外務大臣の基本的な立場を御説明いただければありがたいと思います。

高村国務大臣 テロとの闘いは、おっしゃるように、国際社会にとって引き続き息の長い取り組みが求められている課題だと思っております。我が国としては、国際社会と一致結束してテロとの闘いに引き続き取り組んでいく考えであります。

 テロの根本原因でありますが、一般的に、政治、民族、宗教、思想等の対立等によるものと言われておりますし、また、貧困だとか経済開発のおくれがテロを助長しているということも事実であります。

 テロ問題の解決のためには、直接的な脅威の除去に加えて、国際協力の推進、民生支援、貧困削減や平和の定着といったテロを生む社会的、経済的背景に存在する諸問題の解決を図ることが重要であると考えております。

 今委員が御指摘になった青年海外協力隊につきましては、草の根レベルで開発途上国の経済及び社会の発展または復興に寄与していると考えておりまして、テロを生み出す背景となる諸問題の解決にも十分寄与するものと考えております。

伊藤(忠)委員 今外務大臣からも御説明をいただきましたけれども、このテロとの闘いの出口というのは極めて遠いところにあるけれども、努力をとめてはならない、その努力をとめないことが私たちの日本の国の国際的なプレゼンスをつくり上げていく一つの道なんだということを改めて私は確信をしたし、そしてまた、国際社会の中でテロを発生させないようにするための次善の策、発生した後のことに対して、どうもう一度復興していくかという幾つかの流れがあるというふうに思います。

 よくアフガニスタンにおいては民生部門が大事だというふうに言われますけれども、そうした観点で整理をしていけば、やはり、発生した後の民生分野と、それから、引き続き根本的な、テロの温床とならないようにする。テロの人たちが生まれていく怨嗟を怨嗟として助長をしながら、暴力によってしか解決ができないと思い込んでしまった人たちが武器を持ってどこかへ行って何かをする、こうしたことをきちっととめていく。これは両方必要なんだということは私自身もよくわかっているつもりなんです。

 今、私どものグループの中に、松浪健四郎さんという文部科学副大臣がおられます。彼は、かつてアフガニスタンで、実は昔、歴史的な陶器をつくる現場があった、これがアメリカの爆撃によってつぶされてしまった、それを復興するために日本国政府として努力をした、そのリーダーシップを発揮した先輩の国会議員の先生がおられますが、こうした人たちがやったことというのは、すなわち、民生分野で怒りを静める、怨嗟をできるだけ断ち切るような努力をする、こういうことだろうと思いますけれども、アフガニスタンの復興に向けた我が国の民生分野における今後の取り組みについて、改めて外務大臣から具体的な支援の成果等交えながらちょっと御説明をいただけるとありがたいと思います。

高村国務大臣 我が国は、アフガニスタンを再びテロと麻薬の温床にしないという決意のもとに、厳しい治安状況の中でも知恵を絞りつつ、これまでに政治、治安、復興等の幅広い分野で総額千四百億円以上の支援を実施してきたわけであります。実施額では米国に次いで第二位となっており、我が国のこのような支援は、アフガニスタン政府を初め国際社会からも高い評価を得ていると承知をしております。

 このような我が国を含む国際社会による復興支援によって、アフガニスタンでは成果がいろいろ見られるわけでありますが、例えば、パキスタン、イランなどから五百万人以上の難民が帰還をいたしました。また、二〇〇三年から二〇〇六年のGDP成長率は平均約一〇%、着実な経済成長を達成しております。初等教育就学率は、二〇〇〇年の一九・二%から二〇〇五年は八六・五%に向上しました。子供の就学数は、五年前の百万人強から現在は五百四十万人以上に増加して、女性の就学率に至っては〇%から三五%に増加しているわけであります。はしか予防接種を受けた子供は、二〇〇〇年の三五%から二〇〇五年の六四%に向上をしております。

 我が国は、引き続きアフガニスタンの復興に向けて、DIAG、DIAGというのは非合法武装集団の解体でありますが、を初めとする治安分野改革、農業、農村開発を初めとする地方総合開発、道路等のインフラ整備、そして教育分野等を重点的に支援していく考えであります。

 他方、人道支援や復興支援によって、治安・テロ対策は代替できるわけではありません。G8の多くの国や豪州、ニュージーランドなども、復興支援、治安対策の両面でさまざまな形で協力を行ってきているわけであります。今後も、テロ発生を助長する貧困等の除去及び海上自衛隊によるインド洋での補給活動を初めアフガニスタンの復興、ひいては国際テロリズムの防止のために幅広い取り組みを行うことが必要だと考えております。

伊藤(忠)委員 最後に一つお伺いをしたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、テロとの闘いというのは決して短期間で終わるものではありませんし、いつ発生するのかもわからない。具体の事案としてはいつ発生するのかもわからない。しかも、規模も見えません。

 しかし、私たちは、こうしたテロとの闘いを世界の皆さんと一緒にどうしても押しとどめていくための努力をしていくときに、毎回毎回一つの法案をつくって、つけ焼き刃とは言いませんけれども、対応していくことが、本当に国家として正常なんだろうか。これは民主党の長島議員が一昨日も言われました。これは、本当に私はそのとおりだというふうに思っております。我が党でも、国防部会の防衛政策の小委員会において、我が国の国際平和協力のあり方について幅広く議論が行われた結果、国際平和協力法という法の中身で了承されたところでございます。

 改めて、これから息の長い国際社会における私たちの活動の中において、こうした国際平和協力に関する一般法の整備について、先ほども官房長官はお話の中でお答えをいただきましたけれども、この点についての御意見を改めてお伺いして、私の質問を締めくくりたいと思います。

町村国務大臣 いわゆる一般法でございますが、大分この委員会でも議論が始まっているのかな、こう思います。

 今委員御指摘のように、自民党では既に石破さんを中心にした、第一条何々ということに始まって、もう法案という形で国民にお示しをしているところでございまして、ぜひこの議論を深めていただきたい。

 これは、党内はもうこれでいいわけですが、まず与党の皆さん方、そして、私は、野党の皆さんも含めて政策協議という場がいいのか、あるいは委員会の小委員会といったような場がいいのか、そこは関係する皆さん方で御議論をいただいて、まず、この今の新法が決着がついた段階で、できるだけ早く、実は総理も十月三十日の日、この場で、大変大事な課題だと考えておりまして、そういう検討の機会をなるべく早くつくらなければいけないと、総理にしては大変積極的かつ踏み込んだ発言もしておられます。そのことを皆さん方とともに努力をしていかなければいけない、このように考えます。

伊藤(忠)委員 私は、先ほど冒頭で、きょうは特別な日だというふうに申し上げました。きょうの朝刊某紙には、国際的な孤立を避けよ、こんなふうに出ております。

 私たちは、本当に大事なときを迎えている中で、ぜひ本日をもって仕切り直しをして、この新法についてみんなで知恵を出し合って早い時点で成立をさせしめて、私たちの国際社会におけるプレゼンスを取り戻してまいりたい、そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

深谷委員長 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自由民主党の石原宏高でございます。

 官房長官が記者会見がありますので、まず初めに、官房長官に、守屋前事務次官の処罰、道義的けじめについて伺いたいと思います。

 守屋前事務次官は、二十九日の当委員会の証人喚問に際しまして、自衛隊員倫理規程への違反については認められましたけれども、贈収賄に結びつく可能性の高い便宜供与については強く否定をされました。

 国民が納得できないことは、現職の公務員であれば、倫理規程に違反したら、その内容に基づいて、厳しければ懲戒免職、減給等、処罰を下すことができるわけでありますけれども、退職後の公務員に対しては、自衛隊員法もしくは倫理規程等で罰金、罰則という形がないものですから、何も処罰を下すことができない。その点が国民はおかしいと思っているのではないかというふうに思います。

 守屋事務次官の便宜供与の事実が証明できなければ、検察が贈収賄で立件することも難しいわけでありますから、私は、そもそも、自衛隊員倫理規程、法に違反している人が、退職していれば何の処罰も科せられないというシステム自身、ルール自体が問題ではないかというふうに思うわけであります。

 昨年、村上ファンドに投資を行っていた福井日銀総裁の問題が脚光を浴びました。この件も、トップに対するルールが、投資に対するルールが日銀の中で不備であったことが問題でありました。

 旧来の日銀のルールでは、日銀の職員が、もちろん、日銀に預金勘定を持っているような銀行の社債とか株式は購入してはいけなかったわけでありますけれども、また、自分が職務上知り得た企業の株とか買っちゃいけなかったわけでありますけれども、疑わしい投資については、最終的には実は日銀総裁が判断するようなルールになっていたために、日銀総裁自身の投資については、日銀総裁自身が判断しなければいけませんから、そのまま放置されていたというようなことがありました。

 そこで、結果として、日銀は、有識者による議論を経て、海外の中央銀行のルールを参考にして、日銀役員の金融取引等に関する内部規程を改めて、保有を禁止する金融商品に例えば今言ったような村上ファンドのような私募ファンドとか未公開株式を指定して、また、第三者機関による、日銀役員の就退任時の取引、保有禁止、金融商品の保有状況の確認や公表を行うルールに改めたわけであります。たしか、国会でこの議論がなされてから一、二カ月という大変短い期間でルールの見直しを行い、資産公開を実施しております。

 今回、倫理規程に違反して退職した元公務員に対する処罰、ルールについて、今政府として新たにルールを設ける考えがあるのかどうか、官房長官にお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 懲戒処分というものは、公務員関係の秩序を維持するということが目的でございますから、職員としての身分の保有を前提としている処分でございます。したがって、既に退職した職員は身分がないわけでありますから、懲戒処分を行うことができないというまず一つの前提がありますし、また財産権を侵害するというような指摘もございます。

 ただ、今まではどうかというと、法律も実は一定程度はございまして、在職中に懲戒免職処分を受けた場合等々は退職手当を支給しない、退職手当法第八条というのもありますし、起訴中に退職した場合には退職手当の支給を一時差しとめるという規定もございます。さらに、退職手当の支給後に退職者が在職期間中の行為について禁錮以上の刑に処せられた場合は退職手当の返納を命ずることができる、これは法律第十二条の三。こういう手当ては一応はもう既にあるわけでございます。

 ただ、これで十分なのかどうなのかということにつきまして、いろいろ考える必要があるんだろうというふうに考えました。そこで、これは閣議決定をいたしました。十月三十日の閣議決定で、実は公務員の給与改定問題を決めたわけでございますけれども、基本的にはほとんどベースアップするということなんでありますが、その中で、「不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当の取扱いについて、総務省において制度の在り方に関する検討会を開催し、来年の春までを目途に結論を得る。」ということを閣議決定いたしました。この中で、退職手当制度のあり方とか懲戒制度とか刑事処分の問題、幅広い議論をやってもらって何らかの答えを出す必要があるということで、この検討会を近日中に立ち上げよう、こう思っているところでございます。

石原(宏)委員 官房長官、記者会見があられると思いますので、どうぞ退席を。

 本来は、この法案の中身とか、そのバックグラウンドにあります、日本みずからのテロとの闘いの意義といったようなことを議論する必要が一番大切だと思うんですけれども、しかし、それとは本質的には違うんですが、今言った守屋さんの問題等がこの法案を通す上で国民の納得を得るためにやはり障害になっていると思っているものですから、この辺の質問をさせていただいている次第であります。

 今、官房長官の方から、退職した元公務員に対してその退職金の返還等を求めるルール等もこれから来春を目指して検討していくということは、これは私は大変重要なことではないかというふうに思います。特に、トップのけじめといったルールをしっかりと、先ほどの日銀総裁の話ではありませんけれども、やはりルールを決めていかないと。トップの不祥事、今までそういうことは余り発覚をしてこなかったわけでありますけれども、まさにリーダーであるトップのけじめをつけるルールというのが今大変に求められているのではないかというふうに私は思います。

 関連をして、ちょっと防衛省の方にお伺いしたいと思います。

 トップのけじめという点で、実は、私が政治家になる前に勤めておりましたみずほという銀行がありますけれども、三行統合直後にシステム障害を起こしまして、大変お客様に御迷惑をおかけいたしました。その責任をとる形で、統合前の旧行の頭取への退職金の支払いを凍結して、何年も支払いを留保しておりました。

 既に守屋前事務次官への退職金は支払われているというふうに認識しておりますけれども、山田洋行の元専務と守屋前事務次官の濃密なつき合いのうわさというのは春先からあったというような話を記者さんにも聞くんですけれども、防衛省として、倫理規程違反のおそれがある場合、その人間に対する退職金の支払いを凍結するということは可能なのでしょうか。

 また、例えば守屋前事務次官の問題が前次官が退任する直前に報道された場合、まだ詳しい調査が行われる以前に退職金の支払いを凍結するということが、先ほど官房長官は起訴中でなければ凍結はできないような感じで言っていらっしゃいましたけれども、こういう報道がもし退任の直前に行われたような場合、これは凍結をするということもやはり臨機応変にする必要があるのではないかと思うんですが、その点、御回答いただけますでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思うわけでございます。

 先ほど官房長官の方からお話がありましたけれども、まず、退職前のときはどうであるか、そして退職後がどうであるかということでお答えさせていただきたいと思うんです。

 退職した場合のことでありますけれども、先ほど官房長官からもお話しありましたけれども、退職手当の支給の一時差しとめということができることになっております。

 これは、委員も御承知かもしれませんけれども、かつて厚労省で岡光さんという事務次官を経験した方があったわけですけれども、そのときの問題等がありまして改正したんですけれども。

 退職手当の支給の一時差しとめということで、これは国家公務員の退職手当法第十二条の二ですけれども、そこにおきまして、退職した者に対しまだ一般の退職手当等の額が支払われていない場合におきまして、その者の基礎在任期間中の行為に係る刑事事件に関して、その者が逮捕されたときまたはその者から聴取した事項もしくは調査により判明した事実に基づきその者に犯罪があると思料するに至ったときであって、その者に対し一般の退職手当等を支給することが、公務に対する国民の信頼を確保し、退職手当制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障が生じると認めるときには、一般の退職手当等の支給を一時差しとめができるという内容であります。

 これは、先ほど官房長官からもお話しありましたけれども、あくまでも刑事罰に相当すると認められるようなとき、思料できるようなときには、最大一年間猶予ができるということになっております。ですから、今回の守屋前次官に対して、自衛隊の倫理法に違反する疑い、この疑いだけでは、退職した隊員の退職手当の支給を差しとめるということは無理でございます。

 また、自衛隊員の退職前に、自衛隊倫理法違反を含め規律違反の疑いがあるというふうに認められた場合ですけれども、一般的には、自衛隊の施行規則の第七十二条、この規定によりまして、たとえ本人が退職を申し出たとしてもみだりに退職をさせてはならないという規定がございます。そして、この場合、その規律違反の事実を調査いたしまして、必要に応じて懲戒処分等を行った後にその退職を承認することとなりまして、当該処分を勘案して退職手当を支給するというふうになっています。

 なお、この懲戒処分が懲戒免職という場合においては、もちろん退職手当は支給されません。

 以上でございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 起訴されなくても、犯罪の疑いが濃厚であるときには差しとめができるということが理解できました。

 次に、検察が守屋前事務次官の贈収賄の一件に取りかかったとか、守屋前事務次官が次期主力輸送機のCXのエンジン購入の選定に際して随意契約にできないのかとか部下に発言したといった報道がなされておりますけれども、今までの質疑からも現状の防衛省の調査の話が出ておりますが、防衛省の今までの守屋前事務次官への調査、ヒアリングの中で、守屋前事務次官が便宜供与を行ったという事実は今のところは確認できていないという理解でよろしいでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今年度のCXエンジンの調達につきましては、厳格に会計法規に従ってなされておるところであり、また、昨年八月のいわゆる適正化方針、すなわちこの財務大臣通知によりまして、随契適格のものについても事前に一般競争を経るというふうな手続でもってなされているところでございます。

 なお、守屋前次官の個々の言動について逐一把握をしているわけではございませんが、今御説明したとおり、本件はいまだこの法令に基づく手続の途上でありまして、契約の相手方もまだ決定をされておりません。したがって、前次官の個別の言動によって調達結果に影響が生じたということはございません。

石原(宏)委員 今のところ、防衛省の調査等では、CXのエンジンについてはまだ購入がされていない、決定していないということで、贈収賄になるようなことではないという、認識を改めました。

 ただ、実際に、もしそういうトップが贈収賄的な行いを行おうとして部下に命じたときに、やはりトップに従わないと、これは悪いことなんですけれども、従わないと自分の出世に影響するということでついつい怖くて従ってしまったような方が、省庁の中で、終わった後にそれを証言できるかとなると、自分まで犯罪者として取り扱われてしまう危険性というのがあるわけであります。

 内部統制をこれからいろいろと石破大臣考えられているということなんですが、内部告発をした者がその罪を許されるような、そういうことも考えていく必要もあるんじゃないかと思うんですけれども、その考え方について所見があれば、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

中江政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の内部告発者を保護する制度といたしましては、委員御案内のように、公益通報保護制度がございます。防衛省におきましても、公益通報者保護法に基づきまして、防衛省内の職員からの法令違反行為についての通報を処理する制度を整備いたしております。

 具体的には、防衛省の内局、各機関に公益通報を受理する窓口を設けておりまして、通報を受けた後、それに係る調査あるいは是正措置の実施等を行うとともに、職員が当該通報を行ったことを理由として不利益な取り扱いを受けることのないよう保護を図っているところでございます。

 昨年四月にこの制度が発足したばかりでございますので、この制度が十分に防衛省内に浸透しているかどうかという点もあろうかと思いますので、この点については職員への一層の周知を図っていきたいと思っておりますし、また、この制度の活用のされ方についてもよく点検をしていきたいと思っております。

 また、来年度の予算要求におきまして、いわゆるヘルプラインといたしまして、外部の弁護士事務所を窓口といたしまして公益通報を受けるという制度を現在要求しているところでございます。

 なお、委員御案内のとおり、一般の公務員におきましては、刑事訴訟法に基づきまして、「その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」とされているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 次に、ずっと議論をされておりますけれども、転用疑惑の問題について御質問をさせていただきたいと思います。再三議論がされているんですけれども、もう一度確認をするということで質問をさせていただきます。

 海上自衛隊の補給艦から給油されたガソリンが、転用されてイラク戦争に用いられたとの批判がありますけれども、既に米国より転用なしとの回答を得ているわけですが、米国が転用なしと回答した根拠についてもう一度詳しく教えていただきたいと思います。そこのところが、今まで委員会で質疑をしている中で説明は出てきているんですけれども、もう一度質問をさせていただきたいと思います。

 きのうの当委員会でもちょっと御発言があったと思うんですけれども、イラク戦争開戦前の米軍の海上阻止活動に使用されたガソリンのうち、日本からの給油の割合が二〇%、イラク戦争開戦後の米国の海上阻止活動に使用されたガソリンのうち、日本からの給油の割合が七%といった、ちょっと粗い説明があったと思うんですけれども、かなり粗い説明なので、その他アメリカが示したもしくは防衛省としての根拠があれば、御説明をいただけますでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 油の消費量につきましての米国政府の考え方でございますけれども、これは十月の十八日に発表されております。

 それで、その一番のポイントは、日本の海上自衛隊の補給艦によるすべての給油活動は、日本がOEFの支援活動を設定した海域内で行われており、同海域はその全域が米国のOEF作戦海域に含まれている、また、海上自衛官が給油任務の割り当てについて米国側要員と緊密に連携し、適切な任務を行う艦船のみが日本から給油を受けることを確保することができたということでございますので、米国政府自身も、日本政府が申し上げていますようなそういう調整のプロセスというのをきっちりやっているということをまず第一に確認しているということでございます。

 それから、二点目でございますけれども、昨日、大塚先生の方からの御提起がありましたけれども、あくまでも油というものは物理的に違わないということでございますので、その点について相当量ということでやるべきではないかと。その相当量といった場合に、国全体で考えるという考え方と、それぞれの個艦ということで考える考え方というものがあるわけでございますけれども、いずれにしても相当量であろうと。そして、ここで言っておりますのは、全体の消費量ということで見た場合に、二〇%であるとか七%であるとか、そういったことがあるということを言っているわけでございまして、その意味で問題がないと。

 しかし、しからば個艦ベースではどうかということも米国政府の書類にございまして、それは燃料を追跡していくということが書いてございまして、ただ、それは非常に複雑だということを言っているわけでございますけれども、同じ米国政府の資料の中に、米国政府は、日本がOEFに参加する艦船のみに燃料を補給するという日本政府との合意に誠実に従ってきたと考えており、提供している情報がこれを裏づけるものと考えるということでございまして、私どもとしては膨大な情報を集めております、その中には明らかにできないものも含まれておりますけれども、こういった情報をすべて確認して、現在、その確認作業を実施しているということでございまして、こういうそれぞれのプロセスを通じまして、きちっとそういった燃料がどのように使われているかということが明らかにできるのではないかというふうに考えております。

石原(宏)委員 済みません、これは事前通知していなかったんですけれども、今の話の中で、アメリカから提出されている資料の中にはアメリカの軍艦の船舶日誌みたいなものも含まれているということで、言えるかどうかあれですけれども、もし言えれば。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 キティーホークの関係につきましては、既に航海日誌を私どもの方としても入手して、委員会で御説明を大臣の方からさせていただいておりますけれども、そのほかの艦船につきましても、航海日誌、できるものはすべて入手できるように、もちろん、七百七十七件というのはアメリカのものだけではございませんし、またアメリカの艦船でも、一々そういったことを調べなくても問題がないことははっきりしているものもございますけれども、私どもとしては、できるだけ航海日誌を含めた資料を入手しておるということでございます。

石原(宏)委員 転用疑惑はないということを証明するために、アメリカ政府も努力をしていただいておりますし、また防衛省の方でも努力をしていただいているということが、今の説明で国民の皆様にもわかったのではないかというふうに思います。

 次に、ちょっと本質論の話をさせていただきたいと思うんですけれども。

 海外派遣に関する憲法上の制約、また法律上の制約というものを、日本だけではなくて、実は、諸外国のものと比較してこういう議論の中では考える必要があるんじゃないかと思います。

 物事を考えるときには縦横の軸が必要で、どちらかというと、この国会での審議は縦の、日本の歴史の議論が多くて、外国は関係ないんだ、日本は日本なんだという考え方もあるわけでありますけれども、やはり国際比較をして、今の時代に合っている、どういうふうにほかの国は考えているのか、それをすべて参考にする必要はないと思うんですけれども、そういうことが基本的に必要ではないかと思うのです。

 非常に基本的な話なんですが、例えば、主要八カ国と超大国になろうとしているインドなんかも含めて、海外派遣に関する憲法上もしくは法律上の制約、どういうものがあるか、ちょっとお教えいただけますでしょうか。

梅本政府参考人 お尋ねの主要八カ国とインドについての海外派遣に関する憲法上の、法律上の制約ということでございます。

 これらの国が自国の部隊を海外派遣する場合の根拠あるいは制約、議会の関与といったことについては、極めて詳細な調査が必要でございますし、また、それぞれの国の中で高度の政治的な問題としていろいろな議論が行われているわけでございます。ただ、ここは時間もございませんので、私どもが把握している諸点をわかりやすい形で取りまとめれば、おおむね次のとおりということでございます。

 まず、アメリカやフランスにおきましては、憲法上の規定に基づき、軍の最高司令官たる大統領が部隊派遣を決定することになっております。また、そういうことで議会の承認は不要という立場をとっております。これは行政府と立法府の間に一定の緊張関係があるとございますが、少なくとも行政府はそういう立場をとっているということでございます。

 また、英国におきましても、派遣は君主の大権ということで、これは慣習法上確立をしておりまして、君主の大権を代行する首相が英国の軍を海外派遣するに当たり、議会の承認は不要という立場をとっているというふうに承知をしております。

 イタリアの場合は、部隊の海外派遣につきましては、憲法の規定、これは諸国家間の平和と正義を保障するための国際組織を促進し、かつ助成するという憲法上の規定を根拠といたしておりまして、さらに手続的には、海外派遣を閣議決定した後六十日以内に上下両院で承認される必要があるというふうに承知をしております。

 また、法律上の制約を有する例としては、ドイツでございますが、これはいわゆる部隊の海外派遣に関する議会関与法というのが二〇〇五年に発効しておりますが、部隊の域外派遣には、原則として、任務、派遣地域、派遣兵士数の上限、派遣期間等といった事項について議会の事前承認が必要であるというふうになっていると承知をしております。

 また、カナダにおきましては、国防法上の規定によりまして、国防上の緊急事態である場合、国連憲章、北大西洋条約、その他類似の集団的自衛に係る取り決めのもとでカナダが措置をとる場合には、国会の承認なく部隊の海外派遣が可能であるというふうに承知をしております。

 なお、ロシア及びインドにつきましては、憲法や法律における制約規定があるというふうには承知しておりませんけれども、例えば、インドにおきましては、政策として、部隊の海外派遣がPKO等国連の明確なマンデートに基づくことを原則としているというふうに承知をしているところでございます。

石原(宏)委員 この新法の議論の中で国会承認の話もありましたけれども、やはり諸外国を比べると、国会承認を必要としていない国もあるというのも事実だと思いますし、国会承認が絶対というわけでは、縦軸で見るとなかなか議論はあると思うんですが、国会承認がすべて絶対であるというふうには私個人としては思っておりません。そういう諸外国の比較なんかも参考にしながら、この場での議論を深めていく必要があるのではないかというふうに思います。

 最後に質問をさせていただきます。

 ちょっとこれは新法等と関係ないんですけれども、今議論が出てきている中で、防衛省の次期主力輸送機CX、大変私は関心を持っておりまして、実は視察にも行きたいなというふうに思っているんです。これは防衛大臣の所管ではないんですけれども、石破大臣、政治家としての個人的な見解を伺いたいんですが、ぜひともこの次期主力輸送機のCXについては、大変性能のよい輸送機であると伺っておりますので、武器輸出三原則の制限はあるんですけれども、日本の航空機製造産業の育成のためにもこのCXを諸外国にセールスしていくことが私は非常に重要だと考えているんですけれども、石破大臣の政治家としての御見解をお伺いできればと思います。

石破国務大臣 我が国の武器の輸出管理につきましては、武器輸出三原則などによって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも慎重に対処するという方針を堅持してまいるところでございます。

 その上でどう考えるかというお話ですが、堅持はいたしますよ、何が武器かというのは、委員御案内のとおり経済産業省において判断されるものです。では、例えばボーイング767という飛行機がありますが、あれは相当日本のものが入っているわけですね、世界じゅうに売っておるわけですね。では、いわゆる空中給油輸送機でございますが、KC767という飛行機をどう考えるんだという議論がございます。やはりこの辺は余りあいまいにしないで、何が我が国の平和的な国家としてのあり方に資するものであるかという議論はきちんとしておかねばならぬことだと思っております。

 委員御指摘のCXもそうですが、議論としてありますのは、US1という飛行艇、救難艇がございます。飛行艇というのは余りあちこちでつくっておるものではございませんで、これは人命救助あるいは火災の消火、そのようなものに大きな効力を発揮するとも言われております。では、これはどうなんだというお話もございましょう。

 私は、世界じゅうに武器を売って、これは武器輸出三原則の精神にありますとおりで、紛争を助長するなどというのはもってのほかである、そのことはよくわかっております。

 ただ、前も答弁で申し上げたかもしれませんが、冷戦時代の武器のつくり方の流れと今とは全然違ってきておって、武器の値段は物すごく高くなっている。非常に複雑であるから開発リスクも物すごく高いのである。そして、いろいろな国が、このインド洋のオペレーションもそうです、イラクのオペレーションもそうです、いろいろなオペレーションを、国と国との戦いじゃなくてテロとの闘いという国際社会が一致して取り組まねばならぬときに、武器の共用化というものも国際社会の一致団結した取り組みとして必要なのではないだろうか。そのときに、日本として、世界で一番高い武器を有しており、納税者に物すごく負担がかかり、リスクが物すごく高いということも我が国として負い、そして、インターオペラビリティーと申しますか、相互運用性においてなかなか難しいところがある、このことをどのように考えるのかという御議論は国会においてぜひなさっていただきたいと私は思います。

 政府として、武器輸出三原則というものを堅持するという方針に変わりはございません。

石原(宏)委員 時間が参りましたので、これで質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、中森ふくよ君。

中森委員 おはようございます。自由民主党、中森ふくよでございます。本日はよろしくお願いを申し上げます。

 質問の前に、きょうは十一月一日でございます。テロ特措法の期限当日でございます。インド洋上で海上自衛隊の「ときわ」などの撤退が始まると伺っております。本日まで、連日、五十度を超える、また洋上という過酷な環境の中で、日本の代表として誇りとその責任をしっかり持って活動を続けてこられた海上自衛隊員の皆様に、また御家族の皆様に心からの感謝を申し上げ、あわせて敬意を表させていただきます。

 それでは質問に入らせていただきますが、一部、伊藤議員と重なる部分があろうかと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。

 当テロ特別委員会のあり方と、恒久法制定の協議を進める場を設ける件についてでございます。

 防衛省のミスや事故等が次々と露呈をしております。防衛省の守屋前事務次官の接待漬け、不透明な発注先業者の選定、また、昨日は、名古屋空港での自衛隊F2戦闘機が炎上するというまだ原因不明の事故が発生したところでございますが、こういった不祥事等が今審議中の海上阻止活動法案の行方を左右することがあってはならないと存じます。

 また、安全保障の観点からも申し上げれば、防衛省におかれましては、完璧な管理統制を行わなければなりません。そのためには、これらの国内重要案件はぜひとも安全保障委員会等でしっかりと腰を据えて討議していただく、そのように思うのであります。そして、当テロ対策委員会は、海上阻止活動法案の審議に重点を置くことが望ましいと存じますが、いかがでございましょうか。官房長官がおいでになりませんので、お答えをいただければありがたいのですが。お願いいたします。

石破国務大臣 官房長官がお答えになるべきかと思いますが、私の方から一言申し上げさせていただきます。

 私、冒頭にも申し上げましたが、委員御指摘のような次官の問題、あるいは給油量の取り違え、航泊日誌の誤破棄等々で、この委員会で、与党の皆様も野党の皆様方も、それぞれお立場の違いこそあれ、この補給活動あるいは日本国のあり方についていろいろな御議論をなさりたい、にもかかわらず、こういうことがございまして、本質的な御議論をいただくことの障害になっておるということは、防衛省をお預かりする者として本当に申しわけなく思っております。おわびを申し上げます。

 ただ、これから先、国際活動というのが本来任務になりました。自衛隊という実力組織を使って、今まで文民統制というのは、あえて言葉を選ばず申し上げれば、実力組織がどうやってクーデターを起こさないかというのが文民統制の本質みたいに言われておったと思うんです。もちろん、これから先もそれは必要なことですが、むしろ、この実力組織を使ってどのようにして国益を実現するか、あるいはどのようにして国際社会に対する責任を果たすのか、そういうことが文民統制の大きな部分を占めてくるのだろうと思います。そのときに、防衛省・自衛隊という組織がそれを行うにふさわしい組織であるのかということは、やはりあわせて議論をされねばならないことで、これはこれ、それはそれということにはなかなかならぬのだろうというふうに思っております。

 今回の誤破棄事案でありますとか、あるいは補給量の取り違え、そういうことは、これから先、ますます本来任務としての国際任務を負っていかねばならないときに、あってはならないことでございます。このことを両々相まって御議論をいただきながら、この補給の継続、まあ、中断しちゃうのでしょうから継続という言い方がいいのかどうか知りませんが、また再開できますように、私どもとして防衛省のあり方についてもきちんとした考えを申し述べ、そしてまた、きちんとした結論を早急に得て、こういう活動を行うにふさわしい組織、そして国民の皆様方に信頼していただくにふさわしい組織、それをつくっていくことが私どもの責務だというふうに考えておる次第でございます。

中森委員 ありがとうございました。

 法案を通すための時間の問題があろうかと思います。どうか、議員の皆様の理解をいただきながら、海上阻止活動の審議が中心となりますようにお願いをしたいと思います。

 さて、国際連合加盟国も百九十二カ国となりまして、世界は大きく変化をし続けております。そして、日本は、自衛隊法の改正によりまして、国際平和協力が本来業務となったわけでございます。ですが、この分野の集団的自衛権等の課題は未整理のままであります。そのため、一九九一年の湾岸戦争から、ゴラン高原の国際平和維持活動(PKO協力隊)や旧テロ法案等々、現在に至るまで審議をすることさえなかなか困難な状況であったということが言えるのではないかと思います。

 そこで、国際協力活動や国際貢献に対応し得る、石破先生も、今、一般法制という話が出ましたけれども、その前の段階でもよろしいのでございますが、新たな法案を策定するのか、あるいはしないのかも含めて、ぜひ、未整理な部分の問題を解決するための協議の場を早く設置していただきたいと存じます。国際協力の活動を行う場合の基本的な法律の整備をこれ以上放置していくことは、もはや限界と存じます。石破防衛大臣から、与野党を超えての協議の場の設置についてお伺いしたく存じます。

石破国務大臣 先ほど官房長官からも答弁がございましたが、総理は、長島委員からの御質問にお答えをいたしまして、そういう場をなるべく早くつくりたいということをおっしゃっておられます。もちろん、国会において御議論いただくべきところでございますが、政府といたしましてもそのような作業を進めておりますけれども、どういう場でやるんだと、安保委員会でやるのか、小委員会を設けるのか、あるいは外務委員会、あるいは内閣委員会、いろいろな委員会にかかることかと思います、国会におきましてそういう場ができることを政府としても期待をいたしておるところであります。

 また、党におきまして、当時私が小委員長を務めておりました小委員会におきまして、案はできております。例えば、自民党的に申し上げれば、これを国防部会、安全保障調査会、政審、総務というふうに上げていくステップが必要でございましょうし、与党の公明党さんとの議論、調整というのも当然必要でしょう。民主党におかれても、そういうようなことが進められるのだというふうに思っております。

 これは、委員、まさしく集団的自衛権とおっしゃいました、集団的自衛権の議論の部分とそうじゃない部分というのがあるんだろうと思います。

 例えば、イラク特措法のときに議論がありましたが、サマワで活動している自衛隊、あのムサンナ県の治安を守っているのはオランダ軍ということでした、オランダ軍がやられて助けに行けないのは集団的自衛権が使えないからだという御議論がありましたが、それはそうではないのであって、オランダ軍が野盗、強盗、テロリストのたぐいに襲われたというときに反撃をしているのは、それは自衛権を使っているわけではございません。

 自衛権は、国または国に準ずる組織から攻撃を受けたときに使うものでございまして、野盗、山賊、盗賊、強盗、そのたぐいからやられたときに応戦をしているのは、それは自衛権とは言わない。どこかの国が自衛権を使っていないにもかかわらずそれを助けに行くのは、それはもともとの自衛権を行使されていないのだから集団的自衛権の議論になるはずがない。

 これは政策論の問題なのでございますね、憲法論というよりも。だとすれば、何が憲法論で、何が政策論なのか。何でもかんでも集団的自衛権の議論にぶち込んじゃうのは、それは粗雑な議論だろうと私は思っております。そういうことも含めましてきちんとした議論を、各党、そしてまた国会の場において、政府が申し上げるのは僣越なことでございますが、御議論をいただければ大変に今後のためになるのではないかと愚考する次第であります。

中森委員 ありがとうございます。一日も早い議論の開始を期待申し上げます。

 それでは、新法案が成立しない場合についてお伺いをいたします。

 法案審議の中で、政府は、海上阻止活動が停止すると国益上問題が生じると繰り返して訴えてこられました。そこでお伺いをいたします。過去、日本においてもダッカ日航機ハイジャック事件があり、また、町村官房長官が先ほどお話しされましたけれども、地下鉄サリン事件では多くの方々が犠牲になりました。今回、日本は、世界各国と協力してテロとの闘いをしてまいりましたが、このスキームから一方的に離脱することとなり、対外的な立場はいかがなるのでしょうか。通告してございませんけれども、国連安保理の常任理事国入りにつきましては後退となるのでしょうか。

高村国務大臣 海上自衛隊の補給活動によって我が国が支援してきた海上阻止活動は、インド洋をテロリストの自由にさせないための大きな抑止効果を発揮しておりまして、結果として、中東に石油需要の九割を依存する我が国のエネルギー輸送ルートの安全確保にとっても重要であるわけであります。

 こうした中で、我が国が補給艦を撤退させた場合、海上阻止活動の効果的な実施が損なわれることもありますけれども、それにとどまらないで、我が国がテロとの闘いについて消極的姿勢に転じたと国際社会に受けとめられ、当然のことながら、各国の対日姿勢に影響しないでは済まない、こう思っております。

 憲法上の制約を抱える日本が、湾岸危機以来十五年かけて積み上げてきた努力と、かち得た国際社会の信頼と評価を水泡に帰さないためにも、海上自衛隊による補給活動をぜひとも継続する必要があると考えます。

 常任理事国入りしたい、国際社会でしかるべき役割を果たしたい。言うことを言いたいんなら、やることをやれと国際社会から言われかねないことだ、こういうふうに思っております。

中森委員 ありがとうございます。

 日本はかえがたい信用を失ったのではないかと私も思っております。

 続いて、この新法案が成立しない場合、日本にどのような影響が出るかということでお尋ねいたしたいと思います。

 日本のあらゆる商品の輸送、その大動脈として東名高速道路があります。そこがもし大事故で不通になってしまえば、日本の経済は大混乱に陥ることは必定です。インド洋、マラッカ海峡は、ちょうどこの日本の東名高速道路に置きかえることができるのではないかと思います。インド洋を通りマラッカ海峡を通過してくる海上ルートは、石油を初め日本が輸入する重要な貿易航路であると存じます。

 アフガニスタンへの後方支援として各国に石油を補給しながら麻薬や密輸品の押収にも一役買っていただいた海上阻止活動が、テロには、目に見えない虫よけ効果、いわゆるナフタリン効果が大きく働いていたと思っております。

 十月二十八日、ソマリア沖のアデン海で、日本企業が所有するゴールデン・ノリという船が乗っ取られるという事件が発生しています。本日以降、インド洋上は航行する日本また諸外国の船舶にどのような危険があるのか、お教えください。

高村国務大臣 通告がございませんでしたけれども、我々がわかることは、インド洋が平和の海である、テロリストの自由の海でない、そしてそこを日本のタンカーが自由に航行できるということは、日本にとって死活的に重要なことでありまして、東名高速道路が一時的にとまるなんという比ではないぐらい重要なことだ、こういうふうに考えております。

 そして、まさにこの海上阻止活動というのは抑止効果でありまして、今自由に航行できる状況を保っているということはその抑止効果もあってのことでありますから、この平和の海であるという状況が続くように私たちとしてもやるべきことはやらなければいけない、そういうことだと考えております。

中森委員 ありがとうございます。

 この大事な海上阻止活動が、国際社会のみならず、日本国民の生活を守るための活動でもある以上、国民生活を守るために、現在でき得る範囲の活動をしなければならないと思います。

 先日発表された世論調査では、派遣延長支持率がおよそ五〇%、反対が三五%程度と聞いております。広範囲に国民生活を左右させる法律であることを思えば、政府は国民の皆様にもっと理解していただける努力を広報などを通じてやるべきと思いますが、こういったことについてはいかがでございましょうか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。

 福田内閣メールマガジンというのがございまして、それに私がこの活動継続の必要性ということを、六百字しかいただけませんでしたので六百字で書いたのですが、それのお返事の中で、そうだったのというお返事がやたら多いんですね。アメリカの戦争に加担するものだと思っていた、そういうことをおっしゃる方もあるし、そんな報道もあるが、いや、そうではなくて、世界四十カ国が参加をしていて、そしてまたOEF・MIOも多くの国が参加している、何だ、たくさんの国がやっているんだねということ。

 そして、委員御指摘になりましたように、日本自体がOEF・MIOの補給をやっておるのであって、実際の哨戒活動をやっているのはほかの国でございますが、これも多くの国が参加しているんだね。そして、それをやることによって、あの地域の平和の海、平和な地域をつくろうとする、そういうような活動のために貢献しておって、そのことによって今外務大臣がお答えになったような国民生活が守られているんだね。油がちゃんと入ってこなきゃ、トラクターも動かぬわけですよ、コンバインも動かぬわけですよ、漁船も動かぬわけです、電気もつかぬし、車も走らぬわけですよ。そのことのためにもなっているんだよね、そういうことは初めて知りましたという人が、福田内閣のメールマガジンをごらんになる方でもいっぱいおられるわけです。

 だとすれば、政府というのはもっともっと努力をしていかねばならないし、心ある皆様方とともに、今後、再開に向けて一生懸命努力をしてまいりたいと思います。

中森委員 ありがとうございます。ぜひ石破大臣も、国民に向けて、一方的でよろしいんですが、テレビでもお話をしていただきたいと期待するところでございます。

 次に、人道支援の詳しい内容についてお伺いいたします。

 去る三十日でございますけれども、福田総理が、時期が来たらアフガンに人道支援を行いたい、こう答弁なさっていらっしゃいます。実は、この答弁、発信ですと、今まで人道支援はしていないように誤解を受けやすいんですね。それで、重なりますけれども、私たちは、これまでに総額千三百八十億円の人道復興支援をしていると伺っておりますので、支援が事実であれば、具体的に支援の内容をわかりやすくお教えください。

高村国務大臣 福田総理がおっしゃったのは、治安がもう少しよくなれば人がたくさん行ってもっとできるねとおっしゃったのです。

 我が国は、アフガニスタンを再びテロと麻薬の温床にしないとの決意のもとに、これまでに、二〇〇二年一月のアフガニスタン復興支援国際会議を初め、日本で計四回の国際会議を開催しております。

 治安分野の改革支援として、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰、いわゆるDDRと言われるものでありますが、これで主導的な役割を果たす等、これまでアフガニスタンの和平、復興に積極的に貢献してきております。

 また、我が国は、厳しい治安状況の中でも、知恵を絞りつつ、これまでに、政治、治安、復興等の幅広い分野で、今委員がおっしゃったように総額千四百億円以上の支援を実施してきております。実施額では、米国に次いで世界第二位でございます。我が国のこのような支援は、アフガニスタン政府を初め、国際社会から高い評価を得ているところでございます。

 そして、日本だけじゃありませんけれども、国際社会全体が復興支援をした結果、パキスタン、イランなどから五百万人以上の難民がアフガニスタンに帰ってきているんです。あるいは、二〇〇三年から二〇〇六年まで、GDP成長率は平均年約一〇%。初等教育、二〇〇〇年の一九・二%から二〇〇五年は八六・五%に就学率が上がっている。五年前、百万人超えだったわけですが、今五百四十万人の子供が就学をしている。女性の就学率は、タリバン政権下はゼロ%だったのが、今三五%になっている。はしか予防接種を受けた子供は、二〇〇〇年の三五%から二〇〇五年の六四%に向上した。

 こういうような成果も見られる一方で、また、残念なことにアフガニスタンは依然として治安改善や麻薬対策等困難な課題にも直面しております。引き続いて国際社会による一致した支援が必要で、我が国は、来年、G8サミットの議長国でありますから、G8において重要な課題となっているアフガニスタン和平、復興に引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。

中森委員 最後になりますけれども、海上阻止活動と並行して、NGOを活用し民間外交を拡大させる件についてお伺いいたします。

 私は、以前、アフガニスタンの子供たちの小さな写真展を二つの目的で開催したことがございます。一つは、寒い冬をアフガンの子供たちに何とか乗り越えて生きてほしいという祈りを込めて。二つ目は、戦争で食べることもままならない同年代の子供たちがいることを日本の子供たちに知ってほしくてでございます。

 たくさんの親子連れが見学に訪れてくれました。あるとき、まだ一年生ぐらいの女の子が、ポケットからかわいい財布を取り出して、財布ごとお小遣いを差し出そうとするのです。この子供たちの小さな行動も立派な外交だと思うのです。

 また、アフガニスタンの現地でもたくさんのNGOが、例えば学校の再建や中古机の寄贈など、その地域に必要とされている活動を続けています。

 陸上自衛隊のイラク先遣隊長を務められた参議院議員佐藤正久先生の著書を拝読いたしましたけれども、さまざまな苦労を重ねて、やはり現地に飛び込み、住民との信頼関係を築き、日本人の和の心と相手を思いやる心で復興という支援活動を成功させたのだと確信しています。

 NGOも自衛隊も個人個人も、それぞれの立場で日本人らしくできることを地道に行う。人と人とのつながりを大事にし、それを基本にして進めていく支援であり、外交であります。海上阻止活動法案を通し一定の力でテロを撲滅しながら、こういったまさに草の根の民間外交も行う。外務省としてはどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。また、積極的にこの活動を支援していっていただきたいと思いますが、このことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

高村国務大臣 先ほど、総理が時期が来たらもっとできると言ったのは、治安がよくなればもっとできますねという話で、特にNGOの方たち、今は全土避難勧告ということになっていて、NGOの方たちにもできるだけアフガニスタンの外に出ていただいて、援助をする場合も遠隔操作でやっていただきたい、こういうことをお願いしているところであります。もちろん、それでも中に残ってやっていただいている方もいるわけでありますが、くれぐれも安全対策をとりつつやっていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。

 NGOの方たちの活動というのは本当に役に立つわけでありますから、できるだけ早く治安の面、治安がよくならないとNGOの活動もできにくい、こういうことがありますので、そういう面と両方一緒に進めながら、政府としても、NGOの方たちとも連絡をとって、本当に地域に密着していますから実際の事情をよく御存じなので、そういう方たちにもいろいろ御提案いただきながら、何がアフガニスタンの人たちのために役に立つか、そういうことを考えながらやっていきたいと考えております。

中森委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

深谷委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 本法案につきましては、昨日、我が党の赤松、田端両議員の方から中身について御質問させていただきましたので、私の方は、守屋前次官に証人喚問の際に質問させていただきましたが、その際になかなか明らかにできなかった部分について、きょうは三十分お時間をいただきましたので、確認をさせていただきたいと思います。

 次期輸送機CX用エンジンの選定経緯についてまずお尋ねをしますが、もともと、この次期輸送機というのは、航空自衛隊の輸送機C1が用途廃止により平成二十年代初めには所要機数を割り込む見込みだ、その後継機として平成十三年度から開発を行っている、将来の戦術空輸所要や国際協力任務などを考慮して飛行性能の向上や最大搭載量、貨物室容量の充実を図るんだという趣旨で開発がされてきたというふうに防衛省の方から説明を受けました。

 それだけ重要な機材であると思うんですが、これが何か疑惑に包まれるみたいな形になると余りいいことではないと思いますので、明らかにできることは防衛省の方でもしっかり明らかにしていただきたいというふうに思います。

 平成十四年の十一月十五日に、このエンジンシステムに関する調査の官報公告がされました。それに対してGEを含む三社が応募されて、提案内容も出てきた。三社の提案内容を検討した結果、性能的にはみんな同じぐらいだということで、最終的にGE社が選定されたというふうにこれまでも説明されてきました。

 そもそも、選定手続というのはどういうふうにされたのか、そして、なぜGE社が選定されたのか、まずお聞かせ願いたいと思います。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 CXエンジンの選定につきましては、今委員御指摘のとおり、平成十四年の十一月に調査官報公告を行っております。いわゆるコンペ方式という方式でございます。すなわち、随意契約を結ぶ前でも公募を募って適正な選定行為を行うというふうなことで、三社から御提案があったわけでございます。

 この三社とも、いずれも、要求性能、推力でありますとか積載重量、あるいはまたエンジンの安定性、騒音性、こういったような要件が満たされておりました。

 したがいまして、経費の比較を行ったわけでございます。経費面については、エンジンの取得に関する経費、また、その後のトータルとしての総コスト、いずれも比較をいたしまして、最も安い、すなわち安価であったことから、平成十五年の八月に米国GE社のエンジンを選定したところでございます。

富田委員 経緯は今のでわかるんですが、守屋前次官の証人喚問の際に、私の方から、証人はこの調査にかかわっていないか、あるいは選定の経過について何かかかわりはないのかというふうにお尋ねしましたら、調査に関しては、大変恐縮でございますけれども全く記憶にありませんというふうにお答えになられて、十五年の八月八日の選定についてかかわっていたというふうに思えるけれどもと尋ねましたら、私は、防衛省におけるこの種の装備品の選定作業というのは、やはり現実の陸海空の部隊が使うものですから、そういうものに、部隊の運用性とか整備性とか補給性とか、そういうものをやはりその担当者が検討していくということでございまして、私がその段階でこの問題に携わったことはございませんと明確に言い切られました。

 そうしましたら、民主党の川内委員が私の後に質問されて、装備審査会議で決めたんだろう、装備審査会議の議長はだれだというふうにお尋ねになって、守屋さんは、私でございますというふうに答弁されたわけですね。

 装備審査会議の議長、装備審査会議で決定されたとすると、守屋さんは当然知っていたわけで、私の質問に対してうそをついたのかということになると思うんですが、防衛省はそこをどういうふうに考えていますか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、平成十五年八月八日の装備審査会議では、当時の守屋事務次官を議長といたしまして、大臣から諮問を受けました。そして、今回、技本、技術研究本部の方で取りまとめました御指摘のCXエンジンの選定案を審査し、そして、大臣に対し答申を取りまとめたわけでございます。したがって、当時の守屋事務次官、前次官は議長という立場でございます。

 なお、守屋前次官の証人喚問におけます答弁の個別の信憑性や信頼性については、防衛省としてコメントする立場にございません。

富田委員 今のをそのまま、はいそうですかとは言えないんですね。議長として携わっていたんだから、当然知っていたということは間違いない。

 ただ、昨日のこの委員会での質疑を聞いておりますと、装備審査会議の議事録自体ないというような御答弁を政務官はされていました。議事録がないというのは、それもにわかに措信しがたいというか、信用しがたいんですが。

 では、議事録がなかったとしても、その装備審査会議でどういうふうにGE社のエンジンに、システムに決定されたんですか。その会議に当然多くの役人の皆さんがかかわっていて、もう何年もたっているからやめちゃった人もいるでしょうけれども、実際まだその会議にいた方もいらっしゃるんですから。どういうふうに、まあ安かったからGE社にしたというにしても、どういう議論を経て、その装備審査会議でGE社に決まったんでしょうか。教えてください。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今、装備審査会議でのこの議論の過程についてのお尋ねでございます。

 まず、この会議自体の会議録ないし議事録なるものが存在をしないことは、昨日も御答弁を申し上げたとおりでございます。

 そして、この会議における議論でございますが、先ほども御説明を申し上げましたとおり、三社からの提案、これを審査いたしております。

 まず、審査の順序といたしましては、要求性能についての審査をいたしました。その点については、委員御指摘のとおり、三社とも要求性能をすべて満たしている。したがって、次に経費についての比較検討に入ったわけでございます。その間において、当時の守屋事務次官は議長としてこの会議を主宰しております。

 以上でございます。

富田委員 昨日、ちょっと事前レクの際に、ちゃんとその会議にいた人から答弁できるように準備しておいてくれというふうにお願いしたんですが、具体的にどんな話があったのかがわからないと、記録はないわ、経過も教えられないわというのでは、何があったんだかわからないじゃないですか。

 装備審査会議のメンバー、組織はどんなふうになっているんだというふうにきのうからずっと防衛省にお尋ねしていたんですが、ペーパーが、一枚紙か何かないかと言ったら、ありますというふうに言っていたんですが、なかなか出してくれませんでした。けさになっても出てこない。いいかげんにしろと言ったら、十時十九分に私の国会の事務所にファクスが入ってきました。

 こういう一枚で、装備審査会議の議長が事務次官で、委員があると。その下に調整部会と書いてあるんですね。具体的にはここで決めたんじゃないんですか。装備審査会議には調整部会で決まったことを報告して、それを了承したのが装備審査会議だったんじゃないんですか。そう思われるんですが、どうですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 具体的な装備審査会議へかけるまでのプロセスでございますけれども、御指摘のありました総合調整部会の議を経るわけでございまして、その結果をまず報告して、それに基づいて審議はしますが、形式的なということではなくて、そこで一応議論は行うということでございます。

 もうちょっと申し上げますと、調整部会の前に、本件でありますと技術研究本部、それから航空幕僚監部、契約本部の専門家によって構成された評価チームで評価を実施しまして、その案を調整部会にお諮りをして、それから装備審査会議、そういうプロセスでございます。

富田委員 何かはっきりしないので、こればかりやっていられませんから、次に行きますけれども。

 防衛省は、このCXの試作機をつくるに当たって、エンジンを何基かGE社から購入して試作機をつくると。昨日伺いましたら、試作機は二機つくるんだと。双発機ですからエンジンは二つつくというふうなことでした。予備のエンジンを一つ置いておくので全部で六基になるというような御説明もいただきました。

 五基のエンジンの購入の過程の書類もいただきまして、まず平成十七年二月九日に三基、十八年二月二十一日に二基購入しているというような御報告でした。

 こういうふうに、試作機のエンジンのために、三基買って、二基買って、もう一基買うんだという。十七年の二月、十八年の二月というふうに購入が続いていると、通常だと、ことしの二月、十九年二月、十八年度の予算の範囲内で購入するんじゃないかなと、ずっと書類を見ていて思ったんですが、なぜこれは十九年二月に契約されなかったんでしょうか。

寺田大臣政務官 今、試作機のエンジン取得の時期についてのお尋ねでございます。

 まず、試作一号機については、御指摘のとおり、十六年度にエンジン三台を購入しております。これは、機体の双発につけます二台、あと予備用の一台でございまして、この予備用の一台でもって、さまざまなテスト、試験を実施するわけでございます。

 次に、十七年度に二台購入をしておる。これは試作二号機の本体につけます双発の二台でございます。

 実は、この試作二号機の予備機につきましては、もう既に予備機としての試験は終わっておりますので、実際の初飛行のときに間に合えば結構なものでございます。一号機の初飛行は本年末、二号機の初飛行は平成二十一年度初を現在予定しておる。したがって、この予備エンジンの取得については、御指摘のとおり、十八年度の取得である必要はない、十九年度の取得で間に合うということでございます。

富田委員 八月十日に実施されたCX用エンジンの入札についてちょっとお尋ねします。

 入札の公告というのを防衛省からいただきました。この公告を見ますと、十三項の(一)というところに「入札に要求される事項」というのがありまして、「この一般競争に参加を希望するものは、必要な証明書を、平成十九年八月八日十七時までに提出しなければならない。」というふうに書いてあります。この必要な証明書というのは一体何なんだというふうにお尋ねしましたら、米国GE社の代理店証明であるというふうに防衛省の方から答弁いただきました。

 山田洋行は米国GE社の販売代理店であったわけですけれども、本年七月、山田洋行の元専務が設立した日本ミライズというのが今度販売代理店になっている。したがって、八月十日の時点では、GE社の代理店証明の書類を提出できるのは日本ミライズだけだ。この事実はもう確定しておりますよね。

 ところが、公告の第四項「競争参加資格」の(三)というところに、「平成十九・二十・二十一年度防衛省競争参加資格「物品の販売」のA、B又はCの等級に格付けされ、関東・甲信越地域の競争参加資格を有する者であること。」というふうに参加資格が書かれているんですね。A、B、Cの資格がなきゃだめだと。日本ミライズは、できたばかりの会社ですから、Dランクだというふうに報道されています。

 結果として、応札できる企業はこの日本に存在しないんですよね。存在しないのに、昨年財務省の方からああいう通達が出たからといって、やったって無駄なことがわかっているのに、何でわざわざ入札にしたんですか。何かのエクスキューズのためにやったんじゃないんですか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 現在、政府といたしまして、この随意契約、随契の全般的な見直しに取り組んでいる。委員御指摘のとおり、昨年の八月、いわゆる適正化方針が財務大臣通知として発出をされたわけでございます。そうした中で、競争的な土俵を整備することによって適正な契約に導いていくというふうなことが決まりました。

 すなわち、本件のような輸入契約においても、製造元である外国企業との代理店契約を有することが契約履行上不可欠なものであっても、例えば公告期間、これは十日間でございます、その間にこの代理店契約が変わることもあり得る。あるいはまた、一般に国内で販売権を持つ企業は一社のみであるとは限られません。また、企業間の協議によりまして、今申し上げましたように販売権の変更もあり得るということで、なるたけ調達においては競争原理を導入しよう、そしてまた透明性を導入しようというふうなことで、今回行いました一般競争入札は極めて適切なものであると思料いたします。

富田委員 かなり苦しい答弁だとは思いますが、政務官はそれ以上は言えないんでしょうから。

 政務官が、実は、きのう、おとといのこの委員会で、八月十日にやってだめで、八月十七日にもう一回やってやはりだめだったということで、その結果を受けてこういうふうに政務官が答弁されていました。現在、予決令第九十九条の二の規定に基づきまして公募手続を実施いたしました、そしてこの公募自体は八月の三十一日に締め切りが行われたわけでございます、現在その結果を踏まえまして装備施設本部において所要の検討を行っております、いずれにいたしましても会計法規を厳正に適正に適用していく中で厳正なる結論を出してまいる所存でございますというふうに答弁されました。

 予決令九十九条の二、これを見てみましたけれども、要するに入札ができなかった場合に随契ができるというふうに書いてある規定であって、公募しろなんてどこにも書いていないんですよね。それを、なぜわざわざ公募したのか。

 もう一つ、八月三十一日に公募が締め切られたというふうなことですけれども、応募した企業はあったのか。日本ミライズだけが応募したんじゃないかというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 本件の手続につきましては、二度ほど入札を行ったことは委員御指摘のとおりでございます。そして、私が昨日答弁を申し上げましたように、予決令の第九十九条の二におきまして、入札あるいは再度の入札をしても落札者がいないときは随意契約によることができるというふうなことで、随契の手続に当然移るわけでございます。

 しかし、随契を行う際、先ほども御説明したとおり、広く公募を行う、すなわち、いわゆる総合コンペ方式、これをとることが一般的でございます。このため、八月の二十日に、入札資格を制限せずに広く公募を行いました。そして、八月三十一日に締め切り、現在、一社がこの公募に手を挙げている状況でございます。現在、装備施設本部の方で、その結果を踏まえまして所要の検討を行っているさなかでございます。

富田委員 一社が応募したというのは、企業名を明らかにしませんでしたけれども、これまでの経過から考えて、日本ミライズしか代理店証明を出せないんですから、応募できないわけですよね。

 所要の検討をしている、厳正な結論を出すとおっしゃるけれども、仮に日本ミライズに契約相手を決めて、そこと契約したら、国民は許しませんよ、そんなこと。山田洋行の専務としてずっと守屋さんを接待し続けて、ずぶずぶの接待した人間が新しくつくった会社に、防衛省が、あなたのところしか代理店証明を持っていないからあなたのところと契約しますなんて、そんなことを国民が許すと思いますか。政務官、どうですか。

寺田大臣政務官 現在、所要の検討中でございますが、いずれにいたしましても、我々としては、公明正大な手続、そして会計法規に厳正にのっとった手続で行うべきことは当然のことでございます。

 なお、最後の試験用の一台、六台目の取得については、現在、二年国庫債務負担行為という契約形態でございますので、この点については十九年度及び二十年度まで契約期限があるものでございます。

富田委員 今の政務官の答弁は、もう少しまだ余裕があるから、その中でちゃんと検討して、国民の不信を招かないようにしますよという趣旨だと受けとめますけれども、予決令の八十九条にも、これは入札の場合ですけれども、契約担当者は、契約の相手方となるべき者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不当であると認めたときは、この人を落札者にしなくていいという規定もあるんですよね。

 この趣旨からしたら、日本ミライズを契約の相手方とするというのは、もう著しく、本当に公正を害するし、公正な取引の秩序を乱すし、著しく不適当だというふうに言えると思いますので、ぜひそんな会社と契約しないように要望を申し上げまして、この件はこれで終わりますが、その関係でもう少し……(発言する者あり)大臣に聞けというお話が。大臣、どうですか。

石破国務大臣 政務官がお答えをしたとおりでありますが、委員がおっしゃいますように、「ずぶずぶ」のと、かぎ括弧をつけますと、そういうことをやったところだからエンジンを買わないということの議論はあります。

 ただ、それが公明正大な手続にのっとって行われ、そしてそれがエンジンの性能も十分所要を満たすものであり、価格が適正であるとせばということは、これはよく慎重に議論しなければいけないことだと思います。

 では、どういうやり方があるか。それは、法令等々をよく見ながら、あるいは契約の実態等々もよく見ながら、総合的にという言葉は余り使いたくないのですが、判断をしていかねばならぬことだと思っております。

 委員がおっしゃいますように、国民の皆様方がどのように御判断になるかということも、それは行政として心せねばならないことだと思っておりますが、そのことのみをもってして、今かくあるべきということはお答えできる状況にございません。

富田委員 大臣のリーダーシップに期待しますので、よろしくお願いいたします。

 守屋前次官の喚問の際、ちょっとはっきりしなかったんですが、随意契約にするときに指名随契審査会を経る。一部報道では、守屋前次官が小池大臣とのいろいろトラブルの中で次官を続けたかったのは、指名随契審査会に影響力を及ぼしたかったから自分は次官で残るんだ、あるいは自分の指名したものを次の次官にというような報道もされています。

 ちょっとそこは違うんじゃないかなと思うので、あえてお聞きしますが、指名随契審査会というのはどんなふうに行われる審査会ですか。

寺田大臣政務官 御指摘の指名随契審査会でございますが、これは、随意契約を結ぶ際、あるいはいわゆる指名競争契約でもって選定をする際、あるいは一部のあるスペックの指定、要件指定があるときの一般競争入札に付するとき、これについて付議がなされるわけでございます。

 随契手続の場合で申し上げますと、この指名随契審査会につきましては、随契についての適格要件の審査になるわけでございますが、本会の会長は装備施設本部の副本部長でございます。また、委員は装備施設本部の課長級の職員等によって構成をされている実務的な会議であり、同審査会は事務次官が参加をすることはございません。

 また、この随意契約についての、最終的にはこれは大臣承認となるわけですが、制度上も経理装備局長の決裁、すなわち専決事項とされておりまして、経理装備局長までの判断、決裁でもって承認することとされております。

富田委員 その件はよくわかりました。

 もう一点、守屋前次官の喚問の関係で確認をさせていただきたいんですが、日本ミライズが、ことしの一月に、CXエンジン調達納入に関する、防衛省の中で行われた関係企業の会議に技術担当者を出席させた、それが防衛省の中で問題になったという報道が、二十九日、証人喚問の朝、ある一般紙に載りました。

 その点、こういうことがあったのかというふうに私の方でお尋ねしましたら、守屋さんは、私はその事実は承知いたしておりませんというふうに答えましたので、それで私の質問は終えたんです。ところが、昨日、産経新聞が、それはうそだ、偽証の疑いありというふうに書かれて、きょうは日経新聞が、三月に報告が上がっていたはずだと、具体的に、防衛省内でのこの一月の日本ミライズの社員の会議への出席について報道がされています。

 防衛省の中では、この件について、どういうように事実を把握されているんでしょうか。

寺田大臣政務官 まず、御指摘の会議でございますが、正確に申し上げますと、防衛省内で行われた会議ではございません。この会議は、実は、CXエンジンに関する、いわゆる機材の連接性、すなわちエンジンと機体とがいかにうまく連接をするか、その配管でありますとか配線でありますとか、ここらの、かなり技術的な問題について具体の現場でチェックをする会議でございます。

 御指摘のとおり、平成十九年の一月の三十日、三十一日、そして三日目といたしまして二月の一日に行われたものでございます。

 これには、技術研究本部の担当者のほか、防衛省からの参加要請によりまして、CXの機体メーカーである川崎重工、そしてまたエンジンの納入企業であります山田洋行、そしてまたエンジンの製造元であります米国GE社、それぞれの担当者が参加をいたしております。

 他方、この場には日本ミライズの担当者も出席をいたしておりましたが、同者につきましては、防衛省から要請をしたものではなく、アメリカGE社が民間企業側の契約に基づきみずからの補佐役として伴い出席をさせたものであるというふうに承知をいたしております。

富田委員 今ちょっと一点答弁漏れがあると思うんですが、新聞報道では、きょうの日経新聞ですけれども、引用させてもらいますが、当時の久間防衛大臣や守屋次官ら最高首脳にこの三月に一連の経緯を報告したというふうな報道がされています。そうすると、当然守屋前次官はこの件は知っていたので、私の質問にここでもまたうそをついたということになるんですけれども、そこは、この三月に防衛省の首脳に報告を上げたんですか。

寺田大臣政務官 防衛省首脳への報告の件でございますが、現時点で、前次官初め幹部に報告したかどうかについては、十分確認ができていない状況でございます。

富田委員 では、確認するんですか。

寺田大臣政務官 確認をさせていただきたいと思います。

富田委員 もう時間が迫っていますので、あと一点だけ確認させていただきたいんですが。

 証人喚問の際、民主党の委員の方から、GE社の防衛部門の責任者と守屋前次官が次官室で会っていたという件について何点か御質問がありました。その際、守屋次官の方から、こういう、機材をいろいろつくっている大手の会社は、みんな自分のところに年に一回あいさつに来るんだというような御発言もありました。

 そうだとすれば、当然GE社からも受けて当たり前なので、実際に防衛省の方では、機材を調達する大手の、まあ外国の企業の幹部の表敬を毎年受けていたのかどうか、その点について確認したいんですが、どうですか。

寺田大臣政務官 いわゆる防衛産業あるいはまた諸外国を含む軍需産業のメーカー各社が守屋前次官に表敬に来ていたかにつきましては現時点では把握し切れておりませんが、一般論として言えば、海外のこうした防衛産業の幹部が時折、事務次官を含む当省幹部を表敬訪問する、あるいは面会の申し込みもするということはあるものと承知をいたしております。

富田委員 もう時間ですので、これで最後にしますが。

 大臣、ちょっと通告していないんですが、けさのテレビで産経新聞の記事を取り上げていまして、守屋前次官に質問したときも、どうも休日の行動をきちんと防衛省は掌握していない、事務方幹部のですね。局長がどこにいるか、次官がどこにいるかもわからないような、危機管理上問題じゃないかなというふうに質問していて思いましたけれども、その件に関して、けさの新聞でGPS携帯導入という案があって、大臣はもう、やるぞと言っているけれども、局長たちはとんでもないと、子供じゃあるまいしとか、プライバシーの侵害だというような声が上がっているというふうなことですが、大臣、この点について今の時点のお考えをお聞かせ願えればと思います。

石破国務大臣 私は、そのようなことに対して、子供じゃあるまいしみたいな発言をする人の気持ちがよくわかりません。それは危機管理官庁ですから、居場所を明らかにするのは当たり前のことであって、明らかにできないのなら、その理由を述べていただきたい。そのようなことがあるんだったら、報道に言わないで私に直接言えばいいんです。陰でこそこそ言うようなことはやめてもらいたい。

 危機管理官庁ですから、もしそういうような、行動が把握されるのがいやだったらば、防衛省にいなくていいんです、そんな人は。国民のために働いているんだ、危機管理官庁であるという自覚が足りないのではないか、私はそのように思います。これだけいろいろなことが出ていて、何でそういうことが平然と発言できるのか。私は、そういう方は防衛省にいていただかぬで結構です。

富田委員 大臣、私も全く同感ですので、大臣のリーダーシップを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小澤俊朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 午後、民主党の時間に入りました。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、きょうは十一月一日ということで、海上自衛隊、インド洋の最終日ということでございますが、これは党派を超えまして、立場を超えまして、石破大臣よくおっしゃる、大変厳しい環境の中での激務を完遂されましたことに対しまして、心から敬意を表したいというふうに思います。

 特に、国内でいろいろな防衛省にまつわる問題が出てくる中で、遠く海の上で一生懸命給油活動をされてきた、しかし自分の組織の当時のトップは二百五十回もゴルフをやっている、こういうことに関して、やはり何とも言えないものを感じているのではないか、そういうことを思うわけでございます。

 そして、ただ、きょうのこの日に関しまして、最終日を迎えたわけでございますが、何かこう、このときとばかり、民主党に対する批判めいた発言が聞こえてくるやに感じるわけでございます。この点に関しまして石破大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、これは以前予算委員会でも議論になった点でございますが、今回このような法案がこういうタイミングで出てきたこと、そしてまた、八月の臨時国会の際、わずか四日の国会でございましたが、その際に実際何が起こっていたかということを改めて振り返ってみますと、八月七日から十日に開かれていた。しかし、そのまさに同じ時期に、当時の防衛大臣は日本にはいなかった、アメリカに行っていたということですね。マダム・スシというふうにおっしゃった方でございますが。それと、同じ八月の七日に、大臣が当時の防衛次官の守屋さんを更迭した、こういうさまざまなことが起きていたわけでございます。

 したがいまして、今回こういった形で最終日を迎えたことに関して、予算委員会でも石破大臣の方から反省の弁ということがあったわけでございますが、改めてこの場において、そのことをもう一度確認させていただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 政府の立場であれこれ申し上げることはいかがかと思いますが、恐らく与党の方々も、民主党のせいとかそんな話をしておられるのではないと思っております。

 私が反省の弁的なことを申し上げるとすれば、八月の時点で国会を早く閉じてしまうのではなくて、お盆休みを返上してでも、これだけ大事なことだから議論すべきではないのかという話を自民党内でいたしておりました。自民党の国防部会、たしか概算要求を議論する場ではなかったかなというふうに思っておりますが、そのときに、私、一議員としてそういうことを申し上げ、議論をしたことがございます。

 ただ、一般法もそうなんでございますが、もう私も当選七回もさせていただいておって、そういう立場にある人間がそういうふうに党をまとめられなかったということはおのれの責任だということはよく認識をしなければいけない、人のせいだとかなんとかいうことではなくて、そのときに、お盆休みを返上してでもこれをやろうよということで、党内のコンセンサスとかそういうふうなパワーとか、そういうものを形成できなかったことはみずからの責任だと思って反省をしておるところでございます。

田嶋(要)委員 私も、議席を預かる一人として、そういう意味ではこれからも前向きな議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず第一点、質問通告をちょっとしていない点でございますが、けさも民主党の外務防衛の部門会議でトピックとして上がったものでございます。

 OEFでございますが、OEFの活動が、これも石破大臣でございますけれども、予算委員会で、警察的活動というふうにおっしゃいました。この警察的活動の意味でございますが、これは警察活動とどこが違うのかという点に関しまして、御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 委員御案内のとおり、警察というのは対象を国内にするものでございます。例えば、この東京にニューヨーク市警がやってきて捜査をするということが極めて考えにくいということにありますように、警察権というのは、一部の例外を除いて国内で発動されるというものでございます。対内的作用と申し上げてもよろしいかと思います。

 それに比しまして、いわゆる軍事力というもの、これは対外的作用、これがメーンであるということでございます。もちろん、治安出動でありますとかあるいは海上警備行動でありますとか、そういう警察力の補完的に行われるものは当然自衛隊法も予定をいたしておりますが、あくまで軍事力、防衛力というものは対外的な作用、警察というのは対内的な作用、大体こういうふうに分けますのが物事の道理ではないかというふうに思っております。

 したがいまして、警察活動というものをインド洋において行っておるということは、用語として必ずしも適切ではない。したがって、警察的というふうに申し上げた次第でございます。

田嶋(要)委員 今最後、インド洋とおっしゃいましたが、これはOEF、すなわち空爆、アフガン本土の空爆等を含めて、それが警察的活動である、そういうことでよろしゅうございますか。

石破国務大臣 それは九・一一が起こって、アメリカが個別的自衛権を発動し、NATOが集団的自衛権を発動し、ANZUSの中のオーストラリアがやはり同じように集団的自衛権を発動したということは委員御案内のとおりであり、国連決議によってそれは確認をされておるわけでございます。

 それはいろいろな物事の考え方はあろうかと思いますが、タリバン政権という、国に準ずる組織というものがございました。自衛権の対象ということになるわけでございます。それがあります間はそれが自衛権的なものを含むということは、そういうことだと思っております。それが国連憲章上は、これは防衛大臣がお答えすることではないのかもしれません、誤っておったら後で訂正をいただきたいと思いますが、国連憲章五十一条には、安保理が適切な措置をとるまでの間、こういう書き方がしてございます。ただ、タリバン政権が倒れ、カルザイ政権にかわった時点で、自衛権というものは変質を遂げたのではないかというふうに私は思っております。

 そして、今のOEFの活動というものが、あるいはISAFの活動というものがタリバン政権の同意を得て行われておるということもございまして……(発言する者あり)ごめんなさい、カルザイ政権ですね、失礼しました。同意を得ておるということもございます。OEFというものとISAFというものは、それはもちろん分けて考えねばならないものであって、同列に論ずるつもりは全くございません。そのあたり、よく気をつけて議論をせねばならないと思っております。

田嶋(要)委員 かつて予算委員会でも防衛大臣は自衛権の変質という同じ表現を使われましたが、もう一回確認ですが、その自衛権の変質ということは、もはや自衛権ではない、自衛権の行使ではないという意味ですか、それとも、自衛権ではあるけれどもその性格が変わったという、どちらでございましょうか。大臣が言っておられる言葉なんで、大臣にお答えいただきたい。

石破国務大臣 国際法的にどう考えるかということは専門的なことでもございますので、国際法局長にまた答弁を求めていただければと思います。ここで、自衛権を使っているかどうかということをほかの国が判断することなのかどうかということだと思っております。

 それぞれの自衛権というものは、それぞれの国が使っておるものでございます。国連憲章五十一条というのは今申し上げたとおりでございます。少なくとも、タリバン政権が崩壊し、カルザイ政権が成立をしたという時点で、これは、客観的にといいますか、私が外から見ております範囲におきまして、変質という言葉を私自身は認識しておるところでございます。

田嶋(要)委員 私の質問は、先ほど、自衛権が変質をしたという御認識だということを予算委員会でも言われたとおりでございますが、その自衛権の変質というのは、防衛大臣の御認識は、自衛権から何か違うものに、例えば先ほどおっしゃった警察的活動に変質をしたという意味でございますか、それとも、自衛権なんだけれども、自衛権の性格が変わったという意味でしょうかという質問でございます。

高村国務大臣 防衛大臣とずっと一緒にいましたから、防衛大臣が言ったことも聞いているわけでありますが、もともと、カルザイ政権が成立するまでは、自衛権としてアフガニスタン攻撃をした。その後は、カルザイ政権が成立した後は、カルザイ政権の同意のもとで、同じような行為であっても行われている。

 まさに、国連憲章で禁止されているのは、対外的な武力行使が禁止されているわけで、それに対して、自衛権、個別的自衛権なり集団的自衛権がその違法性を阻却する、こういうことでありますが、カルザイ政権が成立した後は、カルザイ政権の同意のもとに、そういう対外的武力行使という行為ではなくなったので、わざわざ自衛権をもって違法性阻却を論ずる必要がなくなった、こういうことであります。

田嶋(要)委員 先ほど石破大臣がおっしゃいました補完的ということに関して、もう一つお伺いしたいんです。

 補完ですから、主ではないということだと思うわけでございますが、OEFの米軍中心にした空爆がアフガニスタン・カルザイ政権の同意に基づいて行われている活動である、それが補完的な活動であるということは、主たる活動として、アフガニスタン政権自体も自国内において警察活動として同様な活動を行っているという理解でしょうか。

高村国務大臣 今委員がおっしゃったような理解でございます。

石破国務大臣 私が補完と申しましたのは、国内における治安出動あるいは海上警備行動、これは警察力の補完ということでございます。それは、条文にそのとおり書いてございます、特別な必要がある場合とか。そこで自衛隊が出ても、それは自衛権を使っておるという評価にはなりません。それは警察権の行使という評価をするという、国内における法的な整理を申し上げたところでございます。

田嶋(要)委員 了解しました。

 今、高村大臣がおっしゃいました。そういう意味では、私と同じ理解だということでございますが、そのカルザイ政権が、特にことしに入って、無辜の民が大勢殺されている現状に、ある意味、もうこれ以上はちょっと厳しいというようなメッセージを累次にわたって発信されておるわけでございます。

 そうすると、自衛権の行使のときから、今のような警察的活動に性格が変わったということでございますけれども、しかし、同意を出しているカルザイ政権から、今の活動に対して、ちょっと困った、今の状況じゃまずいという発信が出ているということでございますが、この状況を踏まえて、今後我が国として、今のOEF活動に関しては、やはり現状を見直していかなきゃいけない、原点に立ち返って、今のようなやり方が本当にいいのかどうかということを再検討していくべきではないかと私は考えておるわけですが、その点に関して、防衛大臣、御答弁いただけますか。外務大臣ですか。

高村国務大臣 確かに、カルザイ大統領が、米国等がアフガニスタンの領域内で実施している活動に関し、一般市民に被害が及ばないよう要請したわけでありますが、そういったことを踏まえて、現在、アフガニスタンとNATO及びOEF参加国の間で、一般市民の被害を回避するための方策について議論が行われている、こういうふうに承知をしております。

 こうしたカルザイ大統領の要請は、米国等に対して、アフガニスタンにおける治安維持、回復活動そのものを中止するよう求めているものとは理解していないわけであります。現に、本年六月二十三日の記者会見においても、カルザイ大統領は、反政府勢力掃討作戦における国際社会の支援に対してアフガニスタンは感謝しているというふうに述べたと承知をしております。米国等は、活動は、引き続いて、基本的に領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて行われているものである、こういうふうに解釈しているわけであります。

 特に、誤爆等があるわけでありますから、そういうことはやめてくださいよとか、空爆ももうそれほど必要ないんじゃないですかとか、そういう具体的なことについてはいろいろ協議をしている、こういうことだと思います。

田嶋(要)委員 もともとアメリカが、自衛権発動ということで、国連安保理に対して自衛権を発動するよという報告をしたその文書の中にも、無辜の民の犠牲は最小限にするという文面が最後に入っておりますが、しかし、そうはいっても、日に日にそういった犠牲がふえていく中で、やはり私は、限界に近づいているんじゃないかなと。これを泥沼化と呼ぶかどうか、今イラクの状況に一歩一歩近づいてしまっているのではないかな、そういう印象を持つわけでございます。

 実際、そういった協議がなされているということですが、無辜の民を傷つける、誤爆をすることなく今のような空爆活動というのは、実際そういったすき間が本当にあるんだろうかということを考えると、それは大変非現実的な、机上の空論ではないかなというふうに私は思っておるところでございます。

 それで、質問通告がなかったわけでございますけれども、次には、通告したところに入らせていただきます。

 今の論点とも絡むわけでございますが、前回質問に立たせていただいたとき、二人の、実際民生活動で御尽力されている方々のお名前を引用させていただきました。

 同じ本を持ってきましたけれども、「医者井戸を掘る」こういう本を書かれた方、ペシャワール会の代表者の中村哲さんでございます。この本、たまたまアフガニスタン攻撃が始まった月に賞をとられておりまして、そして、イラク戦争が終わった後に、この中村さんという方は、いわばアジアのノーベル平和賞に当たるところのマグサイサイ賞という非常に有名な賞をとられた方でございます。

 それから、もう一人引用をさせていただいたのは、ほかの方も引用をした伊勢崎さんという方でございまして、この方はもちろん、政府の人間として、かなりの長い期間アフガニスタンに駐在をしつつ、DDRという目覚ましい成果を得た活動でリーダーシップを発揮された方でございます。

 せんだって委員会で、高村外務大臣がこの中村さんという方にはお会いされたことがないというようなお話もございまして、ちょっと私は残念な感じがしたわけでございます。政府の立場として、自衛隊による給油活動は絶対続けなきゃいけない、そういう思いで法案を出しているにしても、私は、この六年間の実態がどういうものであったか、現状がどういうものなのか。

 そして、自衛隊のこれまでの活動が、いい面、悪い面、どういったものをもたらしたのか、あるいは武力による攻撃がどういった実態をつくり出してきたのか。政府は勢いいい面を強調しがちだし、反対する側は勢い悪い面を強調しがちかもしれませんが、しかし、バランスのいい、いろいろな人の意見を聞く必要がある。

 特に、私が思いますのは、これはやはり、そちらに座っておられる皆さんも私たちも、アフガニスタンの日常というのはなかなか経験できないわけでございます。そう考えると、今申し上げた中村哲さんや伊勢崎賢治さんのような方は、ほかの政策分野の議論と違って、大変貴重な生の声を聞ける情報ソースである、私はそのように思うんですね。

 こういった法案を出してくる、その前には、これまでの六年間の総括というものがあったと思うんですが、そういう際には、これからでも私は遅くないと思うんですが、ぜひそういった方々の話を一度聞いていただきたいと思うんです。

 というのは、不思議でならないのは、なぜ現地で六年間あるいはもっと長いこと活動をしておられる方々が反対しているかということなんですよ。私たちもいろいろ勉強させていただいて、しかし、資料を読む、人の話を聞く、すべて間接情報ですね。

 ただ、この中村さんにしても伊勢崎さんにしても、伊勢崎さんはDDRを成功させた立て役者、中村さんは十何年と井戸を掘り、まさに火に油を注いじゃいけない、火には水だということで、水を生み出す井戸を千五百本もアフガニスタンで掘り続けた方ですよ。そういった方々の生の経験を軽視してはいけないと私は思うんです。

 そういう意味で、今回、この法案提出に至る過程において、もし外務大臣ですら、まだそういった方に会ったことがないというのであれば、これからでも私は遅くないと思うんですが、そういう考え方がある、アフガニスタンにはそういう現実があるんだな、そういうことを知っていただきたい、そのために、こういった方々の声を聞く場を、ぜひ時間をとっていただけないかというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

高村国務大臣 前に委員会で申し上げたのは、中村さんにお会いしたことはない、ただし、私は、テレビで出演している中村さんのお話を数度にわたって聞いて、本当に心から敬意を表しているわけであります。ただ、この海上補給の問題については意見は違いますけれども、それは心から敬意を表しているわけであります。伊勢崎さんについては、自民党の部会に来ていただいて、それでじっくりお話を聞いたことがあります。

 さらに、私たちはかなり忙しいんですけれども、もしお会いする機会があれば、お会いするのにやぶさかでございません。

田嶋(要)委員 この二人にもちろん限る話じゃございませんが、大変重要な判断を、今回の法律が切れて新法という形で出してくるに際して、反対をしている、特に現地の経験の長い方がどういうふうに思っておられるかということは拝聴に値すると思います。私たちも、継続賛成の方々の意見も多く聞いてまいりました。

 そういう中で、特に、このOEFに代表されるような軍事行動、空爆がどれだけ彼らの仕事をやりにくくしているかという側面もあるということをやはり強調しておるわけでございますので、そういった方々が絶対反対なのか、六〇対四〇で反対なのかわかりませんよ、しかし、総合的に考えて、反対だと言っている声は小さくないと私は思っております。

 それで、同じく人的貢献に関して、もう一つ確認させていただきたいと思います。

 アフガニスタンは、退避勧告が今全国に出されておるわけでございます。そして、車の両輪として、湾岸戦争のときのように、お金だけ出しっ放しじゃだめだ、人的貢献も重要だという話があるわけでございますが、これは、人的貢献というのはもちろん自衛隊に限る話ではないと思うんですが、外務大臣、お伺いしたいんですが、退避勧告が出ると自衛隊以外の人というのは一切アフガニスタンに入れない、日本人は入れないんでしょうか。

高村国務大臣 退避勧告は勧告でありますから、一切入れないとか、それに強制力があるわけではありません。

 ただし、今、NGOの方たちには、できるだけ出てください、そして仕事を継続するにしても、外から遠隔操作でするようにしていただけませんかということはお願いをしているところでございます。

 また、JICAの人たちは、アフガニスタンの中でも比較的、比較的ですよ、全部退避勧告なんですけれども、比較的安全なところに集まっていただいて、安全策を講じながらやっている、こういう状況でございます。

田嶋(要)委員 そういうことであれば、私は人数だけじゃないと思うんですけれども、特にこれまでのDDRのような貢献から学べることというのは、やはりキーとなるポジションに有能な人材がいれば、我が国として、経済的な貢献のみならず、人的にも大変大きな貢献ができるのではないかというふうに思います。

 きょうも、私がインタビューした一人の女性の方がアフガニスタンに入るということで日本を立っているというふうに承知しておるんですが、そういった方々、大使館、あるいはJICA、あるいは国連の職員としていろいろな入るルートがあるわけでございますので、もちろん日本のような治安状況にはないかもしれませんが、私は、やはりそういった方々の人的貢献というのが今後の活動の中心でなければいけないというふうに考えております。

高村国務大臣 委員に御指摘いただいたように、日本のDDR、旧兵士の武装解除、もう六万人ぐらいの方の武装解除をしまして社会復帰をしていただいていると高く評価されているわけでありますが、これは一応終わった段階で、さらにDIAGという非合法武装集団の武装解除をこれから日本がまた中心になってやろうとしているわけでありまして、アフガニスタンの大使館全員がそれに、専従が二名でありますが、大使以下全員、そういうことにかかわっていこう、こういうふうに思っております。

田嶋(要)委員 新法について、時間は限られていますが、お伺いします。

 この新法、きのうまでの議論を聞いていてまだちょっとわかりにくい点があると思うんですが、OEF・MIO以外の活動を、給油された船が活動していいのかどうかという点に関して、もう一度確認をいたしたいんです。

 おとといの高村大臣の御答弁、それと官房長官の御答弁によりますと、要するに並列でいろいろな仕事をしていてもいいのだ、すなわちOEF・MIOをやる、それが含まれていればそういう船には給油ができるのだ、そういう理解でいいかと思うわけでございますが、であれば、OEF・MIO以外のその他の活動、その他の任務に関しては、これはOEFに限定をされず、OIFでもOSWでも何でもいい、そういう理解でいいですか。

高村国務大臣 これは何度も御答弁したことでありますが、実態としてOEF・MIOの仕事をしている艦船であればそれでいいということが法の建前でございます。

田嶋(要)委員 大変わかりにくいと思うんですね。実態としてというのは、おっしゃっているのはあれですか、自衛隊が給油した量、例えば二十万ガロンなら二十万ガロン、その給油された量にふさわしい活動量がOEF・MIOでその船によって行われればいい、そういう意味ですか、実態というのは。

高村国務大臣 実態としてというのは、私は恐らく参議院の予算委員会で使った言葉だと思いますが、これは質問者が、多分民主党の方だったと思いますが、質問者が、それではOEF・MIOという冠さえつければほかのことをやっていてもいいんですか、こういうことを質問されたので、いや、冠さえつければということじゃありませんよ、実態としてちゃんとOEF・MIOをやっていなきゃだめですよ、こういう意味で実態としてという言葉を使っているわけであります。

田嶋(要)委員 実態としてという言葉をお使いになった経緯はわかったんですけれども、それを質問しているわけじゃないのでございます。

 実態としてというのは、例えば、私が今理解しようとしたのは、自衛隊から給油を受けた量が二十万ガロンだったら二十万ガロン相当はOEF・MIOに専念しなければいけないという意味の実態的なという意味ですかということです。逆に言えば、自衛隊から二十万ガロン給油を受けたけれども、どう考えても五万ガロンしか消費しない程度の間はOEF・MIOをやっていたけれども、その後イラクに行ってしまったらそれはだめだ、そういう意味ですかということです。

田中(和)委員長代理 高村外務大臣、質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いいたします。

高村国務大臣 OEF・MIOの活動を、渡した油の量だけの間はずっとOEF・MIOの活動をしていなければいけない、こういうことであります。

田嶋(要)委員 だから、私の理解でいいんじゃないかと思うんですけれども。

 要するに、油はまざるという理屈がありますね、現実的に。ただ、そういう現実の話じゃない。それはわきに置いておいて、二十万ガロンという理論的な数字を受け取ったのであれば、二十万ガロン相当のOEF・MIOの活動をしなきゃいけないということですね。ということは、その後でどこへ行こうと、あるいは、二十万ガロン分どこかでMIOの活動をすれば、もらってすぐにイラクに行って、イラクから帰ってきてから二十万ガロン相当のMIO活動をしてもいいということですね。

高村国務大臣 そういうことじゃなくて、今現実にやっているオペレーションは、防衛大臣に言っていただいた方がいいのかもしれませんが、これからどれだけMIOに従事するかということと合わせて、現時点ではOEFとOEF・MIOと両方でありますが、そういうことに合わせて補給する油の量を決めているわけでありますから、もらっておいてすぐイラクに行って、帰ってからOEF・MIOに参加すればいい、そういうことを言っているわけではございません。

田嶋(要)委員 では、順序はそうじゃなかったとしても、最初に申し上げた、五万ガロン程度のOEF・MIOの活動しかせずに、OEFやあるいはOIFや、そういう活動にミッションが変わるということは認められるんですか。

高村国務大臣 ですから、例えば二十万ガロン補給したら、その二十万ガロン分はその次の活動でOEF・MIOの活動に従事してもらわなければいけない、こういうことを言っているわけであります。

田嶋(要)委員 ちょっと時間が来ましたけれども、そういうことはもちろん法律にはどこにも書いていないわけですし、それはもう本当に歯どめがかからなくなると思いますよ、交換公文でとおっしゃりたいんだと思うんですが、大臣。しかし、世の中一般の人から見たら、結局何でもありになっちゃうじゃないですか。

高村国務大臣 法律でこういうことに使いますよということをはっきり書いてあるわけですから、歯どめがかからなくなるおそれは全くないと思います。

田嶋(要)委員 いや、法律に書いてあるのは、OEF・MIO、日本語ですけれども、海上阻止活動をやる船に給油ができると書いてあるだけなんですよ。

石破国務大臣 七百七十七回、一番直近まで入れれば七百九十四回ということになりますが、その油がどのように使われたのかということの膨大な作業を大体了そうとしておるところでございます。

 それを見てみますと、本当にOEF・MIOに使われた、OEFに使われたということが、その我々が例えば二十万、三十万補給をしたものが、船がどのように航跡をたどったかということを見ますと、OEF、OEF・MIOに従事しておったということがよくわかるわけでございます。

 先般、寺田政務官が行って確認もしてまいりましたが、現地の司令官あるいは各国の要員、それも日本の油ってこういうものなんだよということはよくよく認識をしておるということでございました。今後、これをどのようにして確実あらしむるかという御議論はまたあってしかるべきと思います。

 交換公文が新しくなりますので、それがどのような内容になるのか、あるいは現地における確認が口頭だけで足りないとするならばいかなる確認が必要なのか、そういうことにつきましても、今後政府として法の趣旨どおり使われるように努力をしてまいります。

田嶋(要)委員 最後に一言ですが、今の法律でOEFに対して給油をする、今度の法律ではOEF・MIOに対して給油をする、そういうふうになっていますね。ということは、より限定的になっているわけです、その点に関しては。しかし、どちらの場合でも複数のミッションを背負っていていい、そういうことですね。私の理解が正しいと思うんですが。より困難になってくるわけですよ、そこをしっかりと間違いなくやるということが。そうですね。

 だから、交換公文でやるとおっしゃいますけれども、この六年間の実績は、どう見ても国民から見たらいろいろなことが怪しい、不安を感じるわけですよ。それだったら、なおこれから同じような構造、構造は変わっていないんです。今までOEFだった部分がOEF・MIOということになって限定されて、MIOをやっている限りそれ以外もやっていいということになると、その区分に関して、私は多くの国民が不安感を持つと思うんですね。

 その現状は全然変わらないということを私は最後に申し上げまして、私の時間を終わりにいたしたいと思います。

田中(和)委員長代理 次に、古賀一成君。

古賀(一)委員 一昨日に引き続きまして、きょうも質問に立たせていただきます。

 それで、今の高村大臣の御答弁、同じような交換公文を交わす、そこで担保される、法律にも書いてある、こういう御答弁でございましたけれども、これは田嶋議員がその整合性をしっかり国会としてただそうと思っておるのでありますけれども、今のような論理は、私は不誠実だと思います。

 刑法に殺人はしてはならないと書いてある、だから、書いてあるではないか、犯罪が起こるはずがないという論理とよく似ているんです。(発言する者あり)いや、私はそう思いますよ。自衛隊倫理規程にこういうことはしてはならぬと書いてありながら、トップは七年間にわたりこれだけの違反をやってきた。そこの実態と書いてあることのその疑念というものをどう担保するのか。それを真剣に、この給油の行き先というものを聞いておるわけですけれども、私は、政府というものはもっと誠実に、もちろん出せない数字はあるのかもしれないけれども、説明をすべきだと冒頭に申し上げたいと思います。

 何か御意見があるようでございますので、では御答弁をいただきたいと思います。

高村国務大臣 法律にそういうことが書いてないとおっしゃったから、書いてありますよと答えたのが一つであります。

 そして、もう一つは、バーレーンで自衛隊の担当官がきちっと、現在、OEFもしくはOEF・MIOに参加している艦船であることを確認し、そして、その上でどれだけその任務に従事するかも確認して給油量を決めているという実態と、その二つを述べたことでございます。

    〔田中(和)委員長代理退席、浜田委員長代理着席〕

古賀(一)委員 しかるべき量の石油を積んで港を出た後は、実は、先ほど来ずっと答弁があるように、多目的の任務をしょっている、担っているということはお認めのとおりでありまして、今の話だけでは、私は、担保された、国民の心配あるいは憲法上の問題というものが明確に説明されたことにならないと思うんですよ。これは何度やっても十分、二十分かかってしまいますので、私はみずからここで打ち切らせていただきますけれども。

 これも質問通告していないんですけれども、せっかく石破大臣がおられますので、これもきょうの質疑を聞きながらぜひ申し上げたいと思ったことを申し上げたいと思うんです。

 守屋事件に関しまして、とりわけ寺田政務官の答弁も何度もありましたけれども、これを聞きながら、与党の富田委員から国民が許さないという言葉が先ほどありました。さもあらんと思ったんですけれども。

 私は、そこで、ちょっと視点を変えて、この守屋事件を見ながら子供たちはどういう印象を受けたんだろうと思ったんですよ、子供たち。おとといも言いましたけれども、私の地元においても、あるいは全国放送で流されるあの自衛官の災害救助の姿を見ても、子供たちは恐らく、自衛隊の皆さん、泥にまみれて、暑いさなか汗にまみれて本当によくやっていると思っていると私は思うんです。地元の自衛隊行事も、本当に近年は地域との交流が、あるいは地域からの親しみが年々増していることを私は感じるんです。それはいいことです。

 ところが、今度の守屋事件で、汗を流して泥にまみれて頑張っている自衛官、立派だと思っておるその子供たちが、その自衛隊のトップ中のトップが……(発言する者あり)まあ事務方の、失礼しました。そこでそうずっこける必要はございません。事務方のトップ中のトップが、一番偉いと言われるその人が、これだけの、二百回に及ぶゴルフ三昧というか接待も受けていたということを知ったときに、それはもう、キャリア制度であるとか幹部候補生がどうのこうのということは子供たちは知りません。単純に、災害救助で汗を流している人のトップに、事務方のトップに立つその人がこういうことをやっているというのをけしからぬと思うかもしれないけれども、世の中というのはこういうことをした方が偉くなるんだと受け取る子供だっていますよ。

 教育基本法の議論が昨年ありました。関連三法もありました。国の守り、愛国心、あるいは道徳という議論もありました。ところが、国の守りのトップに、ナンバーツーと言いましょう、立つ者がこういうことをやっていたときに、本当に政府の言っていることとやっていることは違うじゃないかと私は思うと思うんです。

 それで、私は、石破大臣の問題の分析力、抽出力、もうずっと聞いておりまして、大した能力があると尊敬申し上げております。問題は、せんだって来、その問題点を抽出されながら、分析されながら、これについては悪いから今後こうするという御姿勢等がありましたけれども、問題は、本当は実行だと思うんですよね、実行。

 これについて、私はぜひ、先ほど言いました、子供がどう受け取ったか、隊員がどう受け取ったかも含めて、これはもう実行に、不退転の決意、石をも貫く、まあ、石破という名前はよく似ていますけれども、岩をも貫く、そういう気持ちでやっていただきたい、決意をここではっきりと再度述べていただきたい、かように思います。

石破国務大臣 子供がどう思うかであります。

 私は、委員がおっしゃるようなことを思う子もいるかもしれません。ただ同時に、やはり、どんなに偉い人でも悪いことしたらすぐばれるんだ、そういう権力、そういうものにおぼれてしまえばこういうことになるのよというのも、私は一つの教訓ではないのかしらと思ったりもするのです。

 もう一つ、実行というお話がありました。

 これは、例えば参事官制度という議論を随分いたしました、私、前に長官のときに。これは、委員も官僚出身でいらっしゃいますからよく御案内と思いますが、普通の役所で言う参事官と私ども防衛省で言う参事官というのは、位置づけが異なっております。大臣は素人でございますから、基本的に。

 そうしますと、膨大な自衛隊・防衛省というもの、二十七万もおります。それが素人の大臣にコントロールできるか、統制できるかといえば、それは必ずしもそうではないであろう。だとすれば、補佐する立場としての参事官というのが要るのだ。よって、防衛参事官という職が設けられておるわけでございます。それが、当省、防衛省設置法の場合には、官房長その他の局長は防衛参事官をもって充てる、こういうふうになっておりまして、事務次官以下すべて自衛隊員でございますので、このあたり、どうなんだと。

 つまり、政治がコントロールするというからには、それをサポートする参事官も同じように政治任用であらねばならないのではないかという議論は議論としてあるわけでございます。これをまたマスコミもいろいろな書き方をしておりまして、某大手新聞は、私がそのように論じましたならば、社説で、やはり文官統制が必要だというふうにお書きになるわけであって、いろいろな考え方が世の中にはあるのだろうと思います。

 それは、防衛省の中の文民統制の仕組みをどう考えるか、もう一つは、いわゆる制服と背広との関係をどのように考えるか。文民統制がきちんと透徹されるという意味と、いざ有事のときにきちんと、迅速、正確、的確に動くか、こういう二つの観点から議論せねばならないことでありまして、これは精神論を幾らぶっておってもどうにもならないことだと思います。

 そうしますと、防衛省設置法そのものを、本当にこれでいいのかという白紙的な議論は私は必要なんだと思っております。ですから、名前だけ変わってよかった、よかったという話を私は全く好みません。これをどう考えるかということは、やはり、国会における御議論もございますが、私は、自分の責任として、防衛省内あるいは私個人として議論をきちんと起こし、提示をいたしたい。そして、それを実現することが、今回の教訓といいますか、これを単なる不幸な事件、残念な事件に終わらせないために必要なことだと思っております。

古賀(一)委員 具体的に参事官制度の検討ということで進みつつあるということを知りました。これについても、ぜひ、相撲協会じゃありませんけれども、制服、背広に限らず、外部の、守秘義務の問題はあるでしょうけれども、そういったものも私は検討すべき事柄じゃないかと、今初めて聞きまして感じたところです。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 これまで、この委員会での法案審議、ちょっと私なりに総括をしてみたわけですが、まずはテロ特措法の根拠、とりわけ憲法上の問題という大きい問題がありました。そして、今度は給油の実態、とりわけ転用疑惑というものが追及をされました。それから、防衛行政のいわゆる信頼性というか、守屋事件を中心とするいわゆる乱れの指摘、追及がありました。そして、そういうところにも、大変、これは事実をはっきりさせなきゃならぬということで相当の時間が費やされているけれども、なかなかまだ十分なものはないと私は感じております。

 それで、もう一点、四番目の視点というものが、六年前のあのテロ特措法の審議のとき私もここにおったんですけれども、そのときと決定的に違うのは六年の時間が経過したということでございまして、この六年の結果、テロ根絶、アフガン復興はどこまで本当に進んだかという大きい論点が私はあるのではないかと。それで、その一端を前回、二日目に質問したわけです。

 そのほかにも、私がきょう申し上げたいのは、六年たって、給油でスタートし、今回も給油で延長という提言でありますけれども、やはり国際貢献というものは進化をしていかなきゃならぬと私は思うんですね。そういう面で、今後の国際貢献の選択肢というものも、私は日本にとって、この委員会にとって重要なテーマだろうと思っております。

 そして、六番目の問題は、今までまだ若干しか出ていないと思いますけれども、八十万ガロンの問題もありますけれども、一番大切なのは、私は文民統制、シビリアンコントロール、いわゆる国会承認が今回削られている、この問題ではなかろうか。

 こういうふうに、本法律の問題を鳥瞰図的に、私なりに分析してみました。

 そこで、そのスタートとして、まず外務大臣にお聞きしたいんですけれども、我々は、九・一一に始まり、そういう事件、事象というものに追われてきた感じもするんですけれども、そもそもアフガン内戦から今日に至るまで、途中、タリバン政権もあり、ムジャヒディン政権もあり、そしてアルカイダの温床となった事実もある。いろいろな混迷、停滞、破壊、そういうものがアフガンではずっと続いてきたんですよね。こういう大きい流れの中に私は今があるんだと思うんですよ。

 これについて、外務大臣として、アフガンが今日、ざっと三十年近くも内戦のまま推移し、確たる再建、再興の光がまだ見えていないという現状、これについて、過去を振り返って、どういうところに原因があって、なぜ今日のアフガンの現状があるのか、この過去の経緯をひとつ日本政府として大ざっぱにどう判断しておられるのか、それをぜひお聞きしたいと思います。

高村国務大臣 私なりに整理した過去の経緯を申し上げますと、アフガニスタンは、一九七九年のソ連侵攻以降、八九年のソ連軍撤退後も、国内各派同士が覇権をめぐって抗争を繰り返す内戦状態が続きました。九四年末、同国におけるイスラムに基づく統治の実現を目指すタリバンが新たな勢力として台頭いたしました。タリバンは、九六年に首都カブールを制圧し、イスラム国家の樹立を宣言するに至りました。その後、反タリバン各派、北部同盟でありますが、との間で一進一退の攻防が続き、九八年にはタリバンは国土の大半に勢力を拡大した。

 タリバンは、厳格なイスラムの適用による人権侵害、テロ支援疑惑等のため、国際社会の非難を受けて、特に九八年八月のケニア、タンザニア米大使館爆破事件以降、タリバンが同事件の首謀者との疑いがあるウサマ・ビンラディン及びアルカイダを庇護していることから、米国を初めとする国際社会から非難が強まりました。このような流れを受けて、国連安保理は、タリバンに対しウサマ・ビンラディンの引き渡しを要求し、タリバン及びウサマ・ビンラディンに制裁を科す安保理決議を累次にわたり採択しているということであります。

 このような状況下で、二〇〇一年九月十一日に米国同時多発テロが発生したわけであります。同テロの脅威を除去するため、二〇〇一年十月、米英などは軍事行動である不朽の自由作戦を開始したわけであります。この軍事行動は、アルカイダのテロリスト訓練キャンプやタリバン政権の軍事施設に対する措置を含んでいるわけであります。これによりタリバン政権が崩壊し、同年十二月に、ボン合意に基づきカルザイ暫定政権が発足するに至ったわけであります。

 大体そういう経緯をたどって今日に至っているということだけ、とりあえず申し上げます。

古賀(一)委員 そこで、アフガンの歴史をひもといたときに、今、アフガン国内だけでの権力の攻防というか政権交代の御説明があったわけです。ところが、いわゆる一九七九年のソビエト侵攻、八九年の撤退、そのときに、西欧諸国、アメリカも、陰に陽に、もちろんソビエト共産党政権というものを追い出すという国際的なせめぎ合いがあって、かかわってきたと思うんですね。

 それで、ソ連が撤退をした。そのときに、この前も若干申し上げましたけれども、アフガンの皆さんの歴史に対する印象を聞いたときに、要するにあのときが一つのチャンスだったと。

 ソビエトが撤退をした。そのときに実は何が起こったかといえば、既に割拠しておりました軍閥等々、既にそのときに内戦もずっと続いておったわけですが、この人たちが、いわゆる政権を目指して、カブールへ各軍閥が、昔の戦国時代、武将たちが京都を目指したような、まさにそういう状況ですよ、攻めていった。

 そのときに、やはり西欧諸国もその軍閥に、もちろんソビエトがいなくなったわけですから、金を渡し、そこでソビエト撤退が実現したのはいい。そのときに、実はしっかりソビエト当時にあった国軍、そういうものはそのとき立派なものがあったんですね。それをムジャヒディン政権は、いわゆる解体をし、解体して取り上げた武器をまたほかの国に売るというような、統治よりも、もう政権をとって自分が権力につくことだけで、次なる国軍再編、治安再編と、いわゆる経済をどう興していくかというところのシナリオがないままに、アメリカが結局、ソビエトが出ていった、これでよしということで引いたわけですね。

 私は、ここは非常に重要ないいチャンスというものを西側諸国というかアメリカは失ったんだと思うんです。今回もよく似ているんです。タリバン政権は倒れた、しかしその後のシナリオ、何かがないために、当時のソビエト撤退と同じような状況、全く同じとは言いませんけれども、そういう状況が起こっている。私は、やはりここだと思うんですよ。

 何が言いたいかといいますと、要するに、タリバン政権の打倒あるいはソビエト撤兵、これはよく似た感じです。これはなし遂げた。ところが、それ以降、次なる、いわゆる国おこし、とりわけ私は、国軍の充実、警察力の再編整備というものは非常に重要だと思うんですよね。ここが抜けているから何もかもがうまくいかないという状況もあると思うんですよ。ここについて、まさに六年、給油という形で日本は貢献してきた、今までの経験を踏まえて、ここに日本が新しい知恵を提言していく、あるいは音頭をとっていく、そういう最大のチャンスが今だと私は思っているんです。

 政府の提案は、給油を引き続き、三つの対応措置を一つに絞って給油だけをやりたいと言ってはおりますけれども、私は、この六年を経た今というものは、アメリカも一つの隘路に立ち至っている、イラクでもそう、イランでも何が起こるかわからぬ、こういう状況の中で、私は本当に外務大臣に申し上げたいんですけれども、日本がまさに新しい貢献、シナリオ、スキームを出し、そして周辺国を含めた音頭をとる今一番のチャンスだと思うんですよ。

 この点について、私は、強い発信は今までこの委員会で聞いた気はしません。この点が私は一番重要だと思うんですけれども、この点、政府として何を考え、何をしようとしているのか、これははっきりとこの六年の節目に国民に提示すべき問題だろうと私は思うんです。

 この点について、基本的な日本政府の、外務省のお考えをこの際もう一度聞かせていただきたいと思います。

高村国務大臣 今、治安維持とそれから人道復興支援、これを車の両輪としてやっていくということを何度も言いました。そういう中で、治安維持の面で、国軍の再建と警察力の再建が大切であると委員がおっしゃったこと、全く同感であります。

 そして、G8の中でも、そういう治安組織の再建ということに関してやろうではないか、こういうことも決まって、それぞれの国が分担して治安組織の再建、そういうことをやろうということになっておりまして、日本はそのうちの武装解除の部分を受け持ったわけであります。そして、日本の受け持った部分は非常にうまくいっていまして、六万人のいわゆる旧国軍の兵士の武装解除が終わったわけですね、一応。

 これから、終わった部分をDDRと普通言っていますが、これからDIAGという、今度は国軍でなくて非合法勢力、非合法の武装勢力の武装解除をやろうではないか、これを日本が中心でやろうではないかと。それぞれの国がそれぞれ担当してやっていますが、そういう点についても、日本もやれるお手伝いはしていく、ただし、日本がやる中心は武装解除である、こういう役割分担をして今やっているわけであります。

 そういう中から治安体制ができて、治安がよくなればさらに人道復興支援もやりやすくなる、そして、人道復興支援が進めば治安もまたよくなるといういい循環にしようと思って、今、一生懸命努力をしているところでございます。そして、来年は日本はG8の議長国でありますから、まさにそういう面でも全体的なリーダーシップをとっていく、そういうことであります。

 委員がおっしゃっていることに反対する面はないわけであります、輸送の問題だけは別にして。

古賀(一)委員 このDDR、武装解除、動員解除、就業支援というか、奇跡の動員、武装解除と、これは言い過ぎかもしれませんけれども、確かに、日本が丸腰でこれだけのものをやった。やはり日本人はまじめですよ、自衛隊の皆さんも。

 ところが、司法改革を担っておられるのはイタリア、警察再編はドイツ、国軍再編はアメリカ、こうなっておるんですけれども、結局、これの密なる連携で、武装解除をした、銃は出した、アメリカも来た、日本も来ている、ついにアフガンもいい方向へ進むだろうと思って、北部同盟を中心に割と素直に武装解除に応じたわけですよ。

 ところが、その後よくならない、就職先がないというようなことで、治安も司法制度も国軍もまだしっかり進まない。そこのスピードというかタイムラグがあるものだから、結局また、あるアフガン人に言わせれば、最初は光が見えた、そっちに行こう、行くために、武装も渡せるようなら渡そうと来たけれども、何年たってもどうもよくならない、それならもとに戻ってという、実は、もとに戻ろうとする、光が見えないなら。このトンネルの先に光がないなら、もと入ってきた入り口に戻ろうじゃないか、こういう例えをされたんですね。

 そういう国民の心の揺らぎが今あるということなんで、私は、その明かりの一つとして、見える形の、アフガン人がこれなら我々夢を持てるという具体的な援助を、そろそろモデル的にももう出して、あとの警察あるいは司法改革、国軍再編はもちろんやりながら、もっと治安の次にある経済の光、社会の光という部分を、そろそろ日本がもっとずうずうしく、どうせ資金を、税金を使って貢献するならば、日本らしいそういう貢献というものをたくましく示していい時期だろう、こう前々から思って、何度もしつこいようですが、この点を言ってきたわけでございます。

 そこで、私、皆様方に特に一つ申し上げたいことがあるんです。

 六年前、まさにこの第一委員会室で、十月に国会審議がございました。私も質問に立ったわけですが、その前に実はある新聞記事が出まして、それを当時この委員会室で私は指摘したんです。

 二〇〇一年十月四日、各新聞が報道したんですね。いわゆる当時の国務長官、コリン・パウエルでありますが、コリン・パウエル長官が日本への期待というようなコンテクストでこう発言したと書いてあるんですね。

 すべてのアフガニスタン国民を代表する政府が誕生すれば日本はその支援のための重要な立場に立つ、国を安定させ国民に希望を与え彼らが平和に暮らすことを手助けする、このことこそ日本ができる最大の貢献ではないかと。

 アメリカの当時の国防の最高のトップにあるコリン・パウエルさんが日本の各紙に発信したというか、すべての新聞に載りました。私は、これは大変重要なメッセージだと。

 当時は、アメリカもそう、世界各国そう、日本もそうでありますが、この九・一一でどういうように参加したらいいんだろう、何ができるんだという困惑と未経験の中にこの法案が審議されたんです。

 それで、三つのメニューを出し、とりあえず給油でスタートしたということなんですけれども、今日、六年がたったわけで、そして現状は先ほど言いましたような現状にあるわけでありまして、私は、やはり、何度も言うようですけれども、米軍が言っているのかアメリカが言っているのか、あるいは政府の方針なのかわかりませんが、ただ給油だけで、六年間同じ給油で日本はいいんだと、それにとどまっていていいんだろうかと。

 日本の……(発言する者あり)いや、別に、勘違いしないでください。私は、日本らしい、日本が得意な経済的な分野でもっといい貢献は幾らでもある、それを政府は議論していないのではないかと思うんですけれども、新しいそういう国際貢献メニューというのは、この六年を機に、各省庁全体で、政府まとめて、どういう真剣な論議をしたんですか、給油以外に。

町村国務大臣 今、古賀委員から、給油もぜひやろうというお話があったので、励ましのお言葉をいただいた、こう受けとめました。

 きょう、たまたま十一月一日になってしまったのでありますけれども、政府には海外経済協力会議という、総理大臣をヘッドにして、外務大臣、経産大臣、財務大臣が集まりまして、それぞれの地域なりあるいはそれぞれのテーマに即して、どういう日本の国としてやれることがあるかということで、折に触れてやっております。ちょうど、このアフガニスタンに対してどうするのかということがあるものですから、けさ、実はその会議をやったところでございます。

 そこで、これから日本が進むべき道、基本的には、ことしの八月にアフガニスタン政府と合意をいたしました四つの重点分野というのがあるわけであります。一つは先ほど来お話の出ているDIAGを中心とした治安の改善、二番目が農業、農村開発を中心とする地方の総合開発、三番目がインフラ整備、そして四番目が日本がまた特に得意な分野であります教育分野への支援強化。みんなそれぞれ少しずつはやっているんですが、特にこの四分野に今後は民生面での活動をやっていこうではないかと。

 そのために、まだ残された二・一億ドルを有効活用していくと同時に、不足の場合は、ちょうど今補正予算をどうするのかという議論も始めているものですから、そんな補正予算の追加ということが、今後政府部内で少しく議論をして、必要があればそれもやっていこうではないかというような議論をけさやったわけでございます。大方針はそういうことで、それをどう具体化していくのか、今後事務方の作業にしばらくゆだねようということに相なりました。

 しかし、こういうことはもう当然今までもやってきたし、これからもやってまいります。しかし、これだけで十分なのかどうなのかということで私どもはこの法案の提案をしているということは、古賀委員、先ほどお認めをいただいたわけでございますから、両々相まってしっかりやっていこうということでございます。

古賀(一)委員 いや、私は、給油に甘んじている今の姿はおかしくて、給油をやめて別の方に転換すべきだという意見でございますが。

 それで、今、補正予算へ向けて考えているんだというお話がございました。二・一億ドル、オファーした中の残りですか、まだあるんだと。私は、この前もちょっと言って時間が足りなかったんですけれども、実は、やはり国民にこれは見えなきゃだめ。もう、アフガン政府だけ、そういう関係者だけでは、私は見えないと。

 アフガン人自身がおっしゃいますよ。三十年間内戦をやってきて、やはり本当の意味での行政を円滑に執行していく組織そのもの、人そのものが枯渇していますよ。だから、お金をもらったって、これはどうやってメンテしてやりゃいいんだ、これはどういう形で運用して、何をこれから付加価値をつけて金にすればいいんだとか、そんな発想がある人がいないわけですよ。

 したがって、私は、極めて、今後の貢献は、日本らしい、そして国民に見える、そして農民にも、まだほとんど学校に行っていない、識字率は三〇%台という、本当に、書いたって伝わらないというわけですからね。そういう現状で三十年間来た国民ですから、私は、わかりやすい日本の協力をした方がいいと。

 そこで私は、実は三つぐらいあるんですけれども、これはもうとやかく言いませんが、一つは、向こうから聞いた、昔、日本はソバの栽培の協力に来てくれたと。これを何とかならぬだろうかという話があった。

 それでもう一つは、今、フィルムソーラーというのがあるんですよね。今、日本はドイツにどんどん輸出をしていますよ。いわゆるソーラーシステム、太陽光発電。これは今相当金がかかる。かなり堅固なる構造物で今我々はイメージしますけれども、実は、いわゆるフィルム、厚さ一ミリ、要するにじゅうたんのように、紙のローラーのように巻けるんですね。これはもう今つくっているんです、九州でつくっているんです、会社の名前は言いませんけれども。これが今ドイツにどんどん輸出されているという話も聞きます。非常に、一平米わずか一キログラム、百平米で百キロ。

 ところが、アフガニスタンは、太陽が刺すほど痛いほど実は太陽豊かな国なんですね。ところが、電気がないんです。ホテルも全部自家発電。一般の人には電気が届かない。カブールでしかり。遠くに行ったら、もう村とかに行ったら電気がない、こういう状況なんですね。

 そうしますと、日本の最たるいわゆる太陽光発電のシステムを、アフガンのしかるべきところにばんと、五百メーターでもいい、一万平米でもいい、あるいは百平米のものを幾つでもいい、示せば、そこに日の丸をきちっと掲げて、日本が我々民生のこの太陽発電を、あの尊敬する日本の技術でつくってくれた。これは私は大変な発信になると思うんですよ。これが一つ。

 そしてもう一つ。私は、今アメリカも注目しているし、現にブラジルで、いわゆる国是と言わんばかりにやっているあのエタノールも、この前申し上げましたけれども、これも今、日本がようやく取り組んでいる。

 農林省、きょうお見えですか。私は、ぜひ、農林省の、農林行政の宣伝にもなる。ひとつ、エタノール、バイオマス・ニッポンの計画を、私、この前ちょっとこの場で申し上げたんですけれども、やはりみんなにわかってもらいたいし、政府関係者も、内閣官房長官もおられる、外務大臣もおられる。ぜひ、どういう状況になっているか、そのフィージビリティーをちょっと説明いただきたいと思います。

吉田政府参考人 ありがとうございます。

 我が国におきますバイオエタノールの取り組みの状況についてのお尋ねでございますが、国産バイオ燃料の生産振興、これにつきましては、地球温暖化の防止それから地域の活性化などにつながりますとともに、従来の食料などの生産の枠を超えた農林水産業の新たな領域を開拓するものであるというふうに認識をしてございます。

 そこで、本年二月には、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るための実現に向けた工程表を関係七府省において取りまとめました。

 この工程表におきましては、当面は、規格外小麦などの安価な原料を用いまして、二十三年度に単年度で五万キロリッターの生産を目指します。そして、中長期的には、やはり、食料自給率が三九%と低い我が国でございますので、食料供給と競合しない稲わらなどのセルロース系原料あるいは資源作物を活用しまして国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図ることとしてございます。

 農林水産省では、本年度から、北海道の二地区それから新潟県、この三地区におきまして、てん菜あるいは規格外小麦などを原料といたしまして、バイオエタノールの本格的導入に向けた実証事業を始めたところでございまして、合わせました施設の生産能力は三万一千キロリッターを予定しているところでございます。

古賀(一)委員 今の説明のように、日本の場合は、食料と競合しないような形でという制約の中でバイオマスの研究に取り組んでおりますけれども、アフガンは、この前も申し上げましたように、太陽は豊か、水の問題はありますよ、これは何とかしなきゃならぬ。しかし、太陽は豊か、サトウキビはとれる、てん菜はとれる。今はどうしようもなくて、前払いをしてくれるケシ栽培に走っているという状況なんです。これは麻薬の原料ですよ。世界にとって、国民にとって何もいいことがない。

 今概略のお話がありましたけれども、日本も世界各国も今取り組んでおる、そして、現に、ブラジルを中心に、もう相当の部分はバイオマス燃料に転換している国もある。石油危機は来る、高騰している。まさに、アフガンにとってもこのプロジェクトというのは、サトウキビを植えろということでやって、そこに、私はこの前も申し上げましたけれども、日本がODAで提供する、無償援助で提供するいわゆるタンクに、協力日本と日の丸でもプリントしたそれを全国何カ所かでもつくる、そういうような平和貢献、経済貢献のシナリオを私はぜひともこの機会に、これは別に与党、野党を超えて、日本として発信することをぜひともやっていただきたい。

 きょう結論は出ません。しかし、こういうソーラー・アンド・バイオエタノールということは一つのメニューとしてテークノートしていただけたと思いますし、今後も私は聞きたいと思いますので、これでこの件については終わりたいと思います。

 それで、あと五分しか残っておりませんが、先ほど鳥瞰図的に分類をしました六項目の最後に申し上げました国会承認であります。せんだって、きのうも質疑がありましたけれども、どうも納得ができません。

 要は、今までは三つのメニューがあったけれども、今回は給油という一つの任務に特化した、だから法律に書いてある、したがって、旧法でありました国会承認規定は不要と考える、シビリアンコントロールは侵すものでない、こういうお考えでありますけれども、法律が施行後、部隊が派遣されたときに、明らかにこれは国会として承認ができない、規模が大き過ぎるではないか、時期が間違っているのではないか、こういうことを、少なくもこれまでは国会承認という手続そのものがあったんですけれども、今度は、法律に書いてあろうがなかろうが、そのプロセスそのものは欠落させておるわけですね。

 これは、一九九二年のPKO法の審議、それ以来、日本がずっと、いわゆる自衛隊の海外派遣において、シビリアンコントロールとして、最低のものとしてつくり上げ、守ってきた、このシステム、憲政のシステムを、今回は、書いてあるから、国会のほかの一切の手続は、法案の採決以外はないという構成に持ってきたことは、私はゆゆしき問題だと思うんです。

 今までの説明では、国民の皆さん、国会の皆さん、自民党も含めてですよ、我々みんな国会議員ですから、納得できるものではないと私は思いますので、私どもを納得させる、今言ったように、国会の手続そのものは省略して、とめることができない、その条文を削った理由というものを再度わかりやすく説明をいただきたいと思います。わかりやすくお願いします。

町村国務大臣 とめるもとめないも、この法案が成立しなければ終わるわけですから、まさにシビリアンコントロールそのもののエッセンスが、今この委員会の場ではないんでしょうか。そのことをどうぞまずお踏まえいただきたい。

 そして、部隊の規模あるいは装備、こうしたものについて、これまでは承認の時点で、承認の中身ではありませんよ、承認の中身ではないけれども、基本計画でいわば情報提供がなされていたではないかというお話です。

 この点については、後ほど防衛大臣から、まさに国会の審議の中で、どの程度のもの、きのう私は少しラフに、今程度の規模、人員あるいは装備、船の数と申し上げましたが、官房長官よりはそれは防衛大臣から、大体向こう一年間、このくらいの人数で、このくらいの船の数でやっていこうという、この国会での審議というものが、まさにこれから活動しようとしている、その具体のものを皆さん方にお示ししているんです。そこで皆様方が賛成するか反対するか、これ以上の国会承認はないではありませんかということを申し上げております。

 逆に、この法律を前提にして、では、古賀委員は一体何を国会承認事項にせよとおっしゃっているのか。承認しろ、承認しろとおっしゃいますが、では、何を承認事項に係らしめろとおっしゃっているのか、そういうことについて前向きの御意見、御提言があるなら承りたいと存じます。

石破国務大臣 今、官房長官から御説明がございましたが、今の特措法では一体何が承認になっているかということでございます。これは、条文をお読みいただければおわかりになりますとおり、基本計画に定められた協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動を実施することについて国会の御承認をいただく、こういう規定になっておるわけでございますね。

 ところが、今提案を申し上げております法律におきましては、これは活動の種類、内容というのは補給だけやりますということが書いてあるわけで、そしてまた、範囲、外国の範囲も含め、実施区域についても法律で定めてあるわけでございます。

 そうすると、あとは一体何なんだということになるわけですが、本法案の第四条第二項におきましては、補給支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊などの規模及び構成並びに装備につきまして、実施計画として閣議決定をいたしました上、遅滞なく国会報告を行うということにされておるわけでございます。では、どうなっているんだということでございますけれども、この法案自体、今御審議をいただいている最中でございますので、自衛隊の部隊などの規模ですとか構成ですとか装備ですとか、そういうものについて確定したものを申し上げることができないということなのでございます。

 では何なんだ、ではいろいろなものを出すのかということになるわけですが、これは六年間やってきまして、当初は、補給艦あるいは護衛艦、これが複数であったこともございました。ただ、ずっとやってみまして、今、一隻・一隻態勢にございます。

 これは、例えばイージスを出しましたときに、何でイージスを出すんだという議論がありました。それは、対空脅威をどうとらえるかとか、居住環境をどのように確保するとかいう話がございましたが、他方、では北朝鮮のミサイルの脅威等々これあり、日本近海にイージスがなくていいのかというお話もございました。ほかに居住性が確保されている船もあるではないか、こういう議論もありました。

 そういうことを考えますと、現時点におきます想定として、将来この法案に基づきまして派遣する海上自衛隊の部隊の人員、艦船の隻数につきましては、現行法を上回るということはないというふうに考えておるわけでございます。

 では、派遣期間についてはどうなんだということでありますが、この法案は一年でございますので、その中において適切な期間を定めるということになるわけでございまして、明らかにされておらないではないかということにつきましては、明らかに今できない、しかしながら、内容は今を超えることはない、あるいは一年を超えることはない、当然ですね。一年の中で適切な期間を定めるということでございまして、明らかにすべき点は国会審議の中で明らかにさせていただくと申し上げておるのは、そういう意味でございます。

    〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕

古賀(一)委員 今いみじくもおっしゃいましたように、現段階では、派遣期間、派遣隊員、船艦の数、規模等々、だって、ペーパーをもらっていませんよ。しかし……(発言する者あり)いや、だから、わかっていない、まだ今はお示しできない段階だと言っているんです。

 これまでの法律は、対応措置を実施した後に二十日以内に、もう現実、何隻が行く、もちろん基本計画に書いてあるとおりですよ、それ以下ですよ。それで行った事実を踏まえ、艦船が何隻、隊員が何ぼ、それを固まったところで承認していただけるかどうかということが担保されているんです。それが、今の段階でも、法案審議そのものだと言ったって、今は、艦船が何ぼ行くんだ、何人行くんだ、それが示されていない、その中で承認と。

 結局、これはもう皆さんお気づきのとおり、私は、そういう、参議院が過半数を割った、与党としては厳しい。(発言する者あり)いや、そうですよ。これまで十五年間、シビリアンコントロールの、最低これはやらなきゃならぬということで、PKOから与野党もいろいろな論議があった、その結果守られてきた一つの憲政の文化なんですよ、基本なんですよ。それを今回、要するに国会承認と。

 法律の採決は、参議院が否決すれば、三分の二でもう一回採決して通してみせる、それはできる。しかし、国会承認に係らしめたらこれはやばいということで、実は憲政の一番重要な部分を、今回今のような説明で、そのような論議で、何と憲法上一番大切にすべきシビリアンコントロールというものをここから外した。これは与野党を超えて、国会としてそれでいいのか。みんな国会議員ですよ、きょうお並びの三閣僚は。私は、一つの本当にあしき、せっかくつくり上げてきた日本の憲法運用、それに対する大変な汚点を残す法律だと思い、再度この点は、国民の代表としてあるいは議員として、この点は一番の重要問題であると御指摘しまして、時間が来たということですから、きょうはこれで質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 ただいまの時刻が十一月の一日の午後二時二十五分であります。あと十時間足らずで現行法の期限がやってまいりまして、そして石破防衛大臣は、インド洋に展開をしている我が国の海上自衛隊の護衛艦と補給艦に対して撤収命令を下さざるを得ない、こういうお立場だろうというふうに思います。

 我が国のインド洋における海上補給、洋上補給活動、今をさかのぼるところ六年前、平成十三年の十二月二日から開始されてきたというふうに認識をしております。この六年間に世界の十一カ国に水と油の供給を続けてまいりました。合計で四十九万キロリットル、七百九十四回の補給をしてきた。二十九日ですか、パキスタンに最後の補給をした、こういうことでございます。

 私も民主党の一員でありますから、この補給活動について多くの同僚議員が非常に懸念を持ってきた、そして、防衛省の対応によって、このとうといとうとい、海上自衛隊の皆さんが懸命に努力をしてきたその活動に傷がついてしまったということは、本当に不幸なことだったと思います。しかし、フェアに考えてみて、この補給活動を続けてこられた海上自衛隊の皆さんには、国民の一人として、深く敬意と感謝を申し上げなければならないと思っております。

 と同時に、この補給活動を中断すること、この六年間やってきた活動をここで中断せざるを得ないこと、これが必ずしも国益のプラスになる、そう思わない議員も我が党の中にはたくさんいます。このことは申し上げておかなければなりません。しかし、一方で、今まで海外に自衛隊を派遣する際に、国連の決議というものが一つ大きくメルクマールとして日本の安全保障法制度の中で議論されてきた、非常に重んじられてきた、このこともまた事実だと思うんですね。

 私は、実は、我が党内の部門会議の際にも、外務省あるいは防衛省からいろいろ説明をしていただいているその中で、本当にこの補給活動を継続したいのであれば政府としてもう少し工夫のしようがあるんではないですか、こういうことを申し上げてきたことがあるんです。

 一つは、先ほど来私の同僚議員が指摘をしているように、そして、先ほど石破防衛大臣も、その当時は一議員として自民党の中でそのように主張されたというお話でしたけれども、八月の上旬から国会を開いてそのままきちんと議論していれば、お盆返上できちんと議論していればこんな事態には立ち至らなかった、これもまた事実だと思うんですね。ここの怠慢の部分を、私は今ここであげつらって指摘しようと思ってはおりません。

 私がこれまでずっと、これは通告しておりません、私の単なる浅知恵でありますけれども、私は、今この給油活動に国連の授権がないということが、もし仮に、我が党の同僚あるいは野党の中で、この法案に賛成できない、この給油の継続に賛成できない重要なポイントであるならば、政府は、それを満たすような条件を整えるように努力するべきだったと思っているんです。

 私は、ただそうすべきだと抽象的に申し上げているわけではありません。一つアイデアを申し上げます。

 ISAFという活動がありますね。これは、アフガニスタンの本土の国内の治安維持、治安の改善に対して三十七カ国の軍隊が協力活動をしております。そして、このISAFは、一番最初に設立をされたのが二〇〇一年の十二月の二十日であります。国連決議一三八六、これによって創設をされました。

 しかし、そのときはカブールだけやっていろと。NATOが中心になってこのISAFをつくりましたけれども、カブールそしてカブールのその周辺だけ、それが管轄地域でした。しかしその後、このISAFは、二〇〇三年の八月にNATOがその指揮権をドイツとオランダから継承して以来、まず北部、そして西部、そして南部、東部と管轄地域を拡大してきているんですね。

 それは、二〇〇三年の十月に安保理決議一五一〇というものが採択をされまして、この一五一〇によって、ISAFの活動範囲をカブール及びその周辺地域の外まで拡大することが決定したんです。その決定に基づいて北、西、南、東へと展開したんですね。これがISAFの展開の過程であります。

 そこで、私の提案は、このISAFの活動というのは何のためにあるか。これはアフガニスタンの治安の安定のためにある。では、我々が今まで六年間給油活動を続けてきましたこのOEF・MIOという活動は、陸上における治安の安定に全く関係ないかというと、そうではないですね。

 この前、政府が、何か諸外国のひんしゅくを買って、決議一七七六というISAF一年延長の決議の中に、あたかもOEF・MIOのミッションが国連のお墨つきを得たかのような、そんな決議をおとりになりました。その努力は多としましょう。しかし、いま一歩、三歩、十歩足りないんです。

 私の提案は、このISAFの陸上における展開が終わった、そして洋上のMIOミッションというのがもしこのアフガニスタンの安定化に資するというのであれば、ISAFの管轄地域を洋上に展開するというアイデアも私はあってもいいんじゃないかと思うんですね。

 現に、町村官房長官は、これは参議院の予算委員会でこうおっしゃっています。テロリストの移動であるとか、あるいはそれを支える資金とか麻薬とか等々の動きを海上で阻止するということがすなわち陸上の活動、テロリストのさまざまな活動あるいは復興活動というものをいわば下支えしている、海の方から下支えする、そういう活動なんだろうなという意味で大きな意義を持っている。私も大賛成です。

 ぜひ、外務大臣、これは新しい国連決議をとる必要があるのかないのか、ここは事務方に伺いたいところでありますが、仮に新しい国連決議が必要ならば、それをとるような国連外交を展開していただきたい、これが一点。

 このISAFが北から西、東、南に展開するときに、一々新しい国連決議をとっていません。ということは、もしかしたら、NATOときちんと交渉すれば、NATOがきちっとそういう、あ、そうだね、考えてみたら、今までOEF・MIOでやってきたけれども、日本がやっている、あるいは十一カ国でも頑張ってやっているその海の活動というのは、陸上におけるISAFの活動と関係あるねということで、もしISAF・MIOというくくりができたならば、恐らく、多くの我が党の同僚議員も、代表を含め、納得していただけるんではないだろうか、私はそういう期待を持っています。

 いかがでしょうか、外務大臣。

高村国務大臣 突然の御提案でありますから、直ちに、あるいはむげに、それはだめだと言うつもりもございませんけれども、私たちは、今の補給活動は国連の決議は必要ないと考えてやっているわけでありますから、先ほど委員も、一七七六で、この活動に対して、評価し、そして続けてほしいというこの活動を含むそういった活動に対して、そういう決議をとったことを、ひんしゅくを買いながら、こういうふうにおっしゃいました。

 国連決議がなくて今やっているものについて、わざわざ、今ISAFについて、入れてくれ、今までと違う、そんな活動をすることはひんしゅくを買うことにならないんでしょうか。一七七六をとることをひんしゅくとおっしゃって、こっちの方はひんしゅくにならないんでしょうか。そういうところもよく検討して教えていただきたいと思います。

長島(昭)委員 ひんしゅくと申し上げたのは、例えば、ドイツが、あのISAFの一七七六、ISAFの一年延長の決議の中に、我が国がいろいろ外交で努力をして、これに何とか我が国がやってきた活動を関連づけたい、そういう努力をしたときに、ドイツが何と言いましたか。ISAFに参加もしていないのに、ISAFの延長決議に口を挟むのはいかがなものか、こう言いましたよね。私はこういうコメントは非常に重要だと思うんですよ。だから、私はひんしゅくという言葉を使いました。もしかしたら言葉が過ぎたかもしれません。

 一方で、我々がやっている活動がISAFと関係がある、非常に深い。まさに官房長官がおっしゃったとおりであります。だとすれば、我々がやっている活動とISAFの活動とを関連づけて、もう一歩なんですよ。あの何かMIコンポーネントというような、ああいう本当にたった一文字ではなく、堂々と我が国がNATOと交渉して、そして我が国の活動を国連の決議に基づくISAFの拡大版として位置づけ直せば、これは私は、こそこそやるようなことではなく、堂々と国際社会に対して、我々がやっている活動の意義を主張することになるんじゃないでしょうか。いかがですか。

高村国務大臣 今、私たちの補給活動は、国際社会から評価され、祝福され、続けてくれと言われてやっているので、こそこそやっているものではありません。

 何か国内事情で、ISAFと全く違うとは言いませんけれども、無理やり関係をつけて、そして、そういう国連決議をわざわざとる、そのためには、ドイツが言ったのは、ドイツも、みずからの国内事情で早く決議してもらわなければいけないということがあったので、そういうことを一部言ったということは聞いておりますが、あれはドイツはドイツの国内事情で言ったというふうに承知をしております。

長島(昭)委員 いや、外務大臣、私は、どうしてもこの補給を政府はお続けになりたい、そして、多くの国民もこれは評価をしている部分がある。野党の中にも、この補給活動というのは続けた方が国益になるのではないかと思っている議員もいる。そして、総理が、きょうは総理はいらっしゃいませんけれども、民主党の言うこともよく聞いて協調しながら、この前、党首会談をやって、どういう話になったかよく知りませんが、そういう話の中で、我々はこの国連決議というものを非常に重視している。これは日本の今までの安全保障の法体系から考えて非常に重要なポイントだということで主張しているんです。

 そういう主張と政府の主張と、やはりお互いに歩み寄っていく努力をするべきじゃないですか。私は別に、私が確かにこそくなんという言い方をして挑発をし過ぎたのかもしれません。しかし、外務大臣、今の私たちの提案について……(発言する者あり)ああ、ひんしゅく、ひんしゅくと言った。ひんしゅくも不適切だったかもしれません。しかし、これは言葉の問題ではなくて、やはり私が今申し上げた提案をぜひ真摯に受けとめて、外務省としてぜひ御検討いただきたい。いかがでしょうか。

高村国務大臣 冒頭、むげにだめだと言うつもりはありません、こう申し上げたんです。だから、私は、長島議員がいつもどういうことを言っておられるかということもある程度は存じておりますし、それは評価をさせていただいているところもあるわけでありますから、むげにそれはだめだと言いませんが、なかなか難しい問題である。

 そして、私たちは、今国際社会から評価されて、そして、国連決議があるかないかというのも、これはなかなか難しい問題なんですよ。

 一三六八という国連決議があることはあるんです。そして、例えばISAFの国連決議とPKOの国連決議、これはまた別ですよね。それから、国連軍でもできちゃえば全くあれだけれども、何でISAFならよくて、一三六八はだめなんだと。そこは違いがありますよ。違いがあることを認めた上で言っているんですよ。

 だけれども、PKOとISAFではまた違うわけですよね。PKOの場合は国連の統括のもとに入るんですけれども、ISAFの場合はNATOの指揮下に入るわけですね。それはよくて、一三六八で評価するというのはだめだという、そこの決定的な違い。ISAFとPKOは決定的な違いがない、ISAFと一三六八は決定的な違いがあるというのも、ちょっと独断じゃないかなという感じはいたします。

長島(昭)委員 外務大臣は多分、理解をされてそういうふうにおっしゃっているのかもしれませんが、決議一三六八と決議一三八六は大きく違います。決議一三八六は、ISAFというものを創設する、国連の授権があるんです。授権、わかりますよね。国連の授権のもとにつくられた組織なんですね。

 現行法が根拠にしている一三六八というのは、我々の活動に授権するものではないんですね。我々のもとになる活動、つまり、OEF・MIOは国連が授権している活動ではないんですね。しかし、その後のいろいろな決議を通して、確かに追認、認知はされてきています。そのことを否定するつもりはありません、事を正確を期すために申し上げますけれども。しかし、その間には大きく違いがあるので、授権した活動を非常に重視している、そういう同僚議員が多いということだけぜひ御理解をいただきたい。これはもうこれ以上いたしません。

 そこで、私は、昨日以来の同僚議員の質疑を聞いておりまして、油の話がさんざんされています。その油の話も後でちょっとしようと思っていますけれども、きのう、伴野議員が、油を供給するからまざったのまざらないという話になってややこしいことがある、こういう話をしました。きょうも田嶋議員が、もっと日本が自己完結といいますか、国民の皆さんの税金を使って日本の協力をするわけですけれども、その日本の協力がほかの不純物と交わらないような形で、つまり、油の場合はまざったりまざらなかったりという議論があるわけですから、そうでない形で日本の活動を再定義することができないだろうか、こういう提案があったんだと思うんですね。私はぜひそこも提案を申し上げたい、こう思うんです。

 日本はこの海上阻止活動のお手伝いを今までしてきたわけですね、補給によって。何でこの海上阻止活動そのものに日本は参加することができないんでしょうか。

 公海上における船舶検査は、たしか周辺事態安全確保法そして船舶検査法が一緒にできました、このときに憲法上は合憲という判定が出ていますね。周辺事態安全確保法は、当然のことながら周辺事態の認定がなかったら発動しないわけです。しかし、これはもう外務省、外務大臣も何度も何度も御答弁なさっていますけれども、この海上阻止活動というのは、国連海洋法条約に基づく旗国の同意によって行われる合法的な活動だと。しかも非戦闘地域ですね、しかも武力の行使が行われるわけではない。

 なぜ日本は、補給活動に甘んじて海上阻止行動の正面に立たないんでしょうか。立ったらいかがでしょうか。御答弁いただきます。

高村国務大臣 防衛大臣がお答えになった方がいいのかもしれませんが、憲法上の制約その他から、同じ実力部隊が動くについても、得意分野がどっちかというと、やはり補給についての方が得意分野だということは言えるんだろうと思います。

 周辺事態安全確保法のときも、いろいろ議論があった末に、非常に厳格な制限を加えられて、ほかの国がやっているような乗船検査はとてもできない、こういうような結果になっている。周辺事態ですらですよ。船長の承諾がなければできないというような、ほかの国では考えられないような条件をつけてやっと成立したという経緯がある中で、日本はなかなか難しいな、こういう判断があるわけです。

長島(昭)委員 それは周辺事態法の御説明としては正しいと思いますけれども。

 しかし、もし日本が、政府がおっしゃっているように、このインド洋の安全確保は重要だ、シーレーンの安全確保は重要だ、我が国はそういうことから撤退するのか、こう声高に叫ばれるのだったら、そんな補給活動じゃなくて正面に立ったらいいじゃないですか。

 例えば、それは海上阻止活動は海上自衛隊は不得手だというのであれば、私はそれは本当にそうかどうか専門家に伺いたいところですけれども、しかし、ほかにも情報提供、警戒監視、これは石破防衛大臣の領域に入っていくと思いますけれども、我が国はP3Cが八十機以上ある。このテロ特措法がつくられるときも、米側からP3Cはどうかという話があったということも私は仄聞しておりますけれども、P3C、あるいはきのう赤松委員の話がありましたイージス艦、こういうものを出して、そして警戒監視をやる。これだって非戦闘地域でしょう。武力行使にはつながりませんね。憲法上問題がある行為ではありませんよ。

 私が言いたいのは、おとといも私申し上げました。何か政府は、この補給活動さえ守れば、補給活動さえ継続できれば事足れりというような、非常に何か、また気をつけて言葉を使わなきゃいけませんけれども、視野が狭いといいますか、貧困な発想でやっておられるんじゃないか。そこが非常に、国民として懸念を持っているんですよ。

 外務大臣は非常に……。防衛大臣、いかがですか。専門的領域ですから。

石破国務大臣 実際に何が役に立つかということで考えれば、それはP3Cを飛ばすということもあり得ると思います。イージスを浮かべるということもあり得ることです。それを、委員おっしゃるように、非戦闘地域という概念を設定し、もちろん、このことの是非はいろいろな議論があるでしょうが、一体化しないということを担保し、武力の行使に当たらないということで情報を提供するということはできないことではありません。

 ただ、P3を飛ばすということも、私も役所に入る前、白紙的に考えてみたことはあるのです。そうすると、どこをベースにして飛ばすのか、そしてまた、海の上を飛ばすのか陸の上を飛ばすのかということ、それが、それぞれの船に積んでおります哨戒ヘリというものとどれだけの差があるのか。P3は海上をやたらめったら飛んでいるという話は今ないわけだと承知しておりますが、陸の上を飛ばしたときに、今のP3がどれだけできるか、ベースをどこにするか、いろいろな議論があるんだろうと思います。

 そしてまた、イージスの場合でも、イージスの得意分野というのは、委員ともよく議論していたことですが、対空脅威に対して非常に高い能力を持っておりますわけで、一時期イージスを出しました。そこは居住性の問題もありましたが、今イージスを下げておりますのは、今イージスでなければOEF・MIOの役割というものが果たせないという判断をしておらないところがございまして、白紙的にそういうことを否定はいたしません。

 ただ、今日本が一番いいのは何であろうかということを考えましたときに、補給というのが、ほかの、今委員がお上げになった二つよりは、よりふさわしいのであろうということを判断しておるわけで、そういうことがないということを申し上げているわけではございません。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 今最後に石破大臣がおっしゃった、OEF・MIOの補給活動に対してイージス艦がふさわしいかどうかという判断でしょう。OEF・MIO活動そのものにイージス艦が要るか要らないかというのは恐らくまた別の判断だろうというふうに思いますので、そこはぜひ、またこれは一般法というか、もしかすると、官房長官、今回の法案だってこれから与野党協議になるかもしれないんでしょう。

 そのときに、いろいろなアイデアが入っていって、そしてさっきの話になるんですよ、国会承認の話に。つまり、今は単一のメニューにして、全部ここの場で議論をするからそれでいいよ、それで国会報告でいいんだよ、こういう話ですが、しかし、メニューがふえていけば、当然のことながらもとの法体系に戻るわけですね。ここは、官房長官、否定されませんよね。

町村国務大臣 大変前向きな発想のもとでの御発言ということを、私は大変うれしく、高くまず評価をし、受けとめさせていただきます。

 ぜひ、長島委員、民主党全体の御意見として……。いや、本当にまじめな話で、民主党全体の御意見として、小沢党首にかわって、今、長島党首がこの場でそういう御提言をしていただくことを私どもは心待ちにしているのであります。

 もちろん、いろいろなオプションがあった。あった中から私どもは、結果的に過去の経験値で、今石破防衛大臣が言われたような形で一つに今絞ってきております。それは事実です。

 しかし、こういうオプションもあるじゃないか、こういうオプションもあるじゃないかということは、それは私はあり得ると思うんですよ。これしかないなんて別に思っちゃいません。当初、私も若干検討に加わった者の一人として、もっといろいろな選択肢があった。しかし、やはり憲法との兼ね合いで、ここはもしかしたらまずいかもしれない、自衛隊の能力からしてここはちょっとまずいかもしれない、ここは危険が高いかもしれない、こうやって絞っていった結果、今の補給活動というのにだんだん集約されてきたわけです。ですから、今回、その一点に絞った法律にした。

 しかし、選択肢がもしふえてくれば、では、そのうち具体に、いつまでにどういう部隊編成で何をやるのかということをやる場合には、事前であれ事後であれ、国会承認ということがあってもそれは私は妨げるものではない、このように思います。

長島(昭)委員 この国会承認の問題は、私、一昨日提起させていただきまして、その質疑のときもそうですし、他の同僚議員に対する答弁の中でも、これでいいんだという、こういうお話でしたけれども、確かに、メニューがふえていけば検討する、こういうお話はひとつ前向きだというふうに思います。

 これまでも、PKO法もそう、それから周辺事態法もそう、それから、たしかテロ特も最初そうだったと思いますが、政府が出してきた法案には国会承認はないんですね。なぜないのか。それは、政府はなるべくさっとやりたいと思っているんでしょう。しかし、それは必ず議員の方から、特に与党修正でこれは入っているんですよ。

 ですから、きのう赤松委員がこれでもというお話をされておられましたけれども、しかし、これはぜひ与党の皆さんも考えていただきたい。この安全保障の法体系、これは一昨日も御提示をさせていただきましたけれども、(パネルを示す)こういう法体系でずっとやってきた。これはやはり崩してほしくないんですよね、これは意味があってこういう法体系で来ているわけですから。自衛隊の海外派遣に関しては国会承認に係らしめるというのが、我が国の防衛法制、安全保障法制の一つの大きな原則だったんですね。

 しかも、それは、先ほど諸外国と比べてどうかという話が他の委員からありましたけれども、我が国固有のなんですよ。つまり、我が国は統帥権の独立という、そういうことでどんどん軍が独走していった、そういう歴史があるからこそ、そのときに国会がきちんと機能しなかったからこういう国会承認の規定をわざわざ設けている。このことはぜひ今後の審議の中で前向きに取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。

 もう一言申し上げますと、やはりこの給油量の問題、取り違え、誤破棄、四年間隠ぺい、こういうことで、今防衛省の中でのシビリアンコントロールに対する国民の皆さんの不信は高まっているんですよ。こういうときだからこそ、国会による民主的コントロールをきちんときかせるという法案をみんなでつくりたい、こういうことだと思うんですよ。いかがですか。

町村国務大臣 私は、今、国会情勢がこうだから国会承認を外したと、先ほど前の委員も言われたけれども、そうではないんです。これだけ法律に書けば十分国会承認以上の意味があると申し上げたんです。

 ついでに申し上げて恐縮でございますが、今の補給支援特措法を前提に置いていただいた上で、何をそれでは国会承認事項にするのか、そういう具体的な御提案をいただければ、私ども、法案を修正し、そして民主党が御賛成をいただけるのであれば、法案を修正するにやぶさかではございません。どうぞ具体に、この部分を国会承認にすべきである、そうすれば民主党は賛成しますよとおっしゃっていただければ、どうぞ。

長島(昭)委員 私が国会承認の問題にこだわって、そしてそれがクリアされたから民主党は全員賛成ということには絶対なりません。それは私申し上げておきます。これは私が個人的に今質問しているだけでありますから。

 そして、今どういうポイント、どういう事項を承認に係らしめたらいいかという、こういうお話でした。これは、官房長官、ちょっと議論がすれ違っているんです。私は一昨日も申し上げました。官房長官がおっしゃっているのは形式論なんです、法形式論。私が申し上げているのは実質論なんです。つまり、我々が承認をする際にどういう情報を参照できるんですか、こういう話。

 防衛大臣は二日前に少し前向きな御答弁をしていただいているんですよ。それは何かというと、部隊の規模ですとかそういうものを条文に落としていくことが、法技術的にどうなんだろうか、これはいいですね。そして、どんな部隊を出すんだという御質問はあるでしょう、与党からも野党からも。これぐらいの規模です、そういうような装備を持っていきます、あるいは派遣期間はこのようなものでございます、こういう答えをすることによって文民統制が担保されないかという御発言をされたんですが、その後の官房長官のお話ですと、法案審議の最中にそういうことを細かく言うのは不適切だ、こういう話だったんですよ。

 結局は、法案審議のときにはそういう、ある種、承認に、あるいは我々立法府として必要な情報を与えられないままこの法案は処理されていくことになりかねない。ここはぜひ御理解いただきたい。これは形式論と実質論、多分、政府のお立場からは恐らく形式論をずっとおっしゃるおつもりだと思うんですけれども。

町村国務大臣 先ほど石破大臣が実質的なことも、これは、国会の答弁というのはただ単に言いっ放しで後に記録が残らないというわけじゃないんです。これもある種、まあ法とは言いませんけれども、非常にその後の行政にとっては重要な事項を国会で申し上げているわけです。そういう意味で、実質的に八百人を超えないとか、一隻・一隻ということを担当大臣の責任で申し上げたんですから、そこで、今の実質論は十分カバーをされているんだということを申し上げたいわけであります。

長島(昭)委員 国会承認の問題は引き続きやりたいと思います。

 そして、さっきのメニューの話ですけれども、これからが実は本題だったんですが、今アフガニスタンの治安の安定化のために何が必要か、ぜひこれをみんなで議論しないといかぬと思うんですね。アフガニスタンがテロとの闘いの最前線だ、これはお認めになると思います。そして、このアフガニスタンの安定こそがテロリストの跳梁ばっこを許さない、きちんとアフガニスタンを再建していく、そのことがまさにテロの根絶につながるし、アフガニスタンの安定につながる、このことはお認めになると思います。

 それでは、このアフガニスタンの安定化のために何が必要か。一つは治安の回復ですね。もう一つは民生の復興ですね。そのためには、アフガニスタンの国内において、軍事、非軍事、両面からのサポートが必要なんですよね。治安維持の国際協力がISAF、そして、人道復興支援の国際協力がそのISAFのもとで行われているPRT。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、小沢代表はISAFということを発表されました。恐らく多くの国民の皆さんは、えっというふうに受けとめられたのかもしれません。実際、町村官房長官も最初の記者会見で驚天動地というふうにおっしゃいました。そして、高村外務大臣も予算委員会のこの場で、簡単にISAFなんか行けないんですよと珍しく非常に語気を強めて御答弁なさったのが印象的だったのでありますが、しかし、ISAFというのはそんなに、我が国の今までやってきた、九三年以来ずっと積み重ねてきたPKO、あるいは我が国が参加をするかしないかを議論してきた国連のPKOのスタンダードから見て、ISAFの今やっている活動はそんなに特別な、特異な活動なんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

高村国務大臣 ISAFがやっている活動というのは、かなり幅広い活動をやっていると思います。治安維持を中心にいろいろな活動をやっておりますが、私が予算委員会でどう言ったか正確に覚えておりませんけれども、多分、委員がおっしゃったように、そんなに簡単に行けない、こう言ったんで、絶対行けないと言ったわけではないんです。

 ですから、やはり、日本の憲法の制約のもとで、そして制約のもとということになると、ほかの国の軍隊が来ているのと違って、いろいろ武器使用などにも制限がある、そういう中で要員の安全が確保できるかとか、あるいはほかの国の軍隊の足手まといにならないかとか、そういういろいろな問題を十分検討しなければいけません、それに比べて今の補給活動は国際社会から高い評価を得ております、こういうことを申し上げたんだと思います。

長島(昭)委員 そこで、ISAFですが、今外務大臣もおっしゃっていただいたように、ISAFには、武力行使をがんがんやっている部隊と、まあそうでもない部隊とありますね。特に北と西は、先ほども少し外務大臣がおっしゃいましたように比較的安定している。厳しい状況であることは間違いないと思いますけれども、全土に退避勧告が出ているというのも間違いないと思いますが、しかし、ISAFにもいろいろな幅がある。

 それと同時に、このISAFのもとで人道復興支援活動をしているPRTというのがありますね。これは、軍と民が協力をし合ってやる。

 そこで伺いたいんですけれども、例えば韓国。韓国はことしいっぱいで撤退をしてしまうことになるそうでありますが、バグラムというところで活動をしている韓国軍、二百人ぐらいの韓国軍ですね、何人か文民も入っていると思いますが。この二百人のうちの五十名ぐらいは医療部隊、そして残る百五十名は土木部隊。土木部隊というのは、まさに我々がカンボジアでやったようなことですね。医療部隊はサマワでもやりました。こういう韓国の活動、この医療行為は、これまで四年間に実に二十五万人のアフガニスタンの人々の医療行為を行ってきた、大変とうとい活動です。

 それから、たくさんあるんですけれども、ニュージーランド。バーミヤンという、やはりこれも比較的治安は安定している地域ですけれども、このニュージーランドも、学校、道路、橋、病院の建設をしてきた。大統領選挙や地方選挙の支援をやってきた。武装解除、日本もやってきましたけれども武装解除。地域警察訓練センターの設置、こういうことを通じた治安分野での改善活動を頑張ってきた。

 ずばり伺います。こういう韓国やニュージーランドのような活動を我が国は担っていこうという意思はないんでしょうか。あるいは法的に何か問題があるんでしょうか。

高村国務大臣 PRTのような民と軍の連携強化の重要性というのは、私たちも認識をしているわけであります。現にイラクのサマワでは、陸上自衛隊の活動とODA、車の両輪とする復興支援を実施して、現地住民やイラク政府からも高い評価を得ているところございます。

 一方で、アフガニスタンのような厳しい治安状況においては、危険な事態に対応せざるを得ないような状況も排除されないわけで、憲法九条との関係で慎重な検討が必要だと思っています。絶対無理だと言っているわけじゃなくて、慎重な検討が必要だと思っています。

 それで、先ほども言いましたように、要員の安全の確保だとか、あるいは日本として効果的な貢献ができるか、総合的な判断が必要になる、こういうふうに思います。

 いずれにしても、日本の憲法の制約というのは、それがあるから絶対できないというものではありませんけれども、そういう中で、その武器使用とかなんとか、いろいろそういう延長線の中で要員の確保をするというのはほかの国の軍隊ほど簡単ではないとか、あるいは場合によっては、だれかがおっしゃっていましたけれども、弱い味方は敵より怖いとかこの委員会の中でおっしゃっていましたけれども、そういう結果にならざるを得ないようなことは避けなければいけないと思っています。

長島(昭)委員 今のような外務大臣がおっしゃった総合的判断というのは非常に重要だと思いますよ。しかし、同じ政府がイラクには自衛隊を派遣しているんですね、人道復興支援をやっている。イラクもたしか全土に退避勧告が出ていますね。イラクの危険度とアフガニスタンの危険度と違いがあるんでしょうか。

 イラクで人道復興支援をした自衛隊が、憲法のお話もされましたけれども、アフガニスタンで人道復興支援の活動に従事できない、そういう理屈はあるんでしょうか。

高村国務大臣 先ほど申し上げたように、絶対できないということを私は言っていないわけであります。ですから、民主党の方から具体的な提案でもあれば、私たちは検討するにやぶさかではありません。

 ただ、先ほどから言っているように、慎重な検討が必要でありますし、イラク全土の中でサマワという特別の地域を選定するに当たっては、当時の奥大使とかいろいろな方の大変な努力があって、ここならできそうだねということを決めたという、それはもう大変な調査検討があったということは申し上げておきたいと思います。

長島(昭)委員 これは軽々に論じるべきものではないというのは私も理解しております。行け行けゴーゴーで、そして犠牲者が出た、じゃ、だれが責任をとるのか、こういう話でございます。

 しかし、大臣、既に今日本人の方がアフガニスタンにたしか百四十四名入られていますね。外務省の職員の皆さんはもちろん、国連の職員、あのUNAMAのナンバースリーは日本人の方ですね、それから、JICAの職員、企業関係者、NGOの皆さん、今懸命にアフガニスタンの本土で汗を流しておられる。

 高村大臣、彼らの安全確保について、政府はどういう施策を講じておられますか。

高村国務大臣 できるだけ、全土退避勧告が出ておりますが、その中でもカブールを中心とした安全なところに集まっていただいて、そういう中で、例えばJICAの皆さんなんかは、それぞれみずからの安全を守る知見もあるわけで、お互いに外務省本省と連絡をとり合いながら、できるだけ危険に遭わないような、そういう活動を、彼ら自身が主としてそういうノウハウを持っている人に残っていただいてしているわけでありますが、一般のNGOの方たちにはできるだけ外に出ていただいて、継続しなければいけない仕事がある場合には、外から遠隔操作で事業を続行していただくようにお願いをしているところでございます。

長島(昭)委員 政府として彼らの安全確保について十分な施策を講じていると私はとても思えないのです。この方たちの活動は本当にとうといですよ。今一番アフガニスタンに必要な活動、つまり民生支援ですよ、その民生支援の最前線に立っておられる皆さん、この皆さんを政府が責任を持って安全を確保してさしあげられないというのは、私は、政府として責任ある態度だとは思えないんです。

 例えば、自衛隊の皆さんに、彼らを守る警護の任務で現地に行っていただいたらどうだろうか、こういう意見もありますね。この点について、石破大臣、どのようにお考えになられますでしょうか。

石破国務大臣 PKO法のときも、またあるいはイラク特措法のときも、警護の任務を入れる入れないという議論はございました。そのときの武器使用権限あるいは危害許容要件、それは今までと何ら変わるものではないと思っております。

 そうすると、何が問題になるかというと、駆けつけ警護というカテゴリーの危険への接近というものをどのように評価するか。ですから、自己保存の最低限のということを言ってきたわけで、警護対象が襲われました、そこへ助けに行きます、NGOでも何でもいいのですけれどもね、それを、危険への接近として、今まで認められてこなかったものを認めるか認めないかという議論だと思います。間違っても、これも委員御案内のとおり、カンボジアで当時の西元陸幕長がおっしゃっておられた、撃たれる訓練をする、それによってそういう状況を現出するみたいな、私はそれが望ましい姿だとは思っておりませんで、警護の本質はその駆けつけ警護みたいなところにあるのかなという気はしております。

長島(昭)委員 次の質疑者の大島委員のお許しを得て、少しはみ出して質疑をさせていただきたいと思います。

 まさに今大臣がおっしゃっていただいたのがポイントだろうというふうに思うんですけれども、これは、きょうは法制局の方はいらしておりませんけれども、ああ、いらっしゃいますか。自己保存ということで整理してきた、それをはみ出てしまうと憲法上の問題が起こる。そのはみ出るケースかどうかが、今おっしゃった駆けつけ警護。例えば、かなり離れたところでNGOの要員が被害に遭っている。済みません、助けてくださいと電話がかかってきて、そこへ自衛隊の部隊が駆けつけていって警護することができるかどうか。

 しかし、これは、自己保存のための、つまり自己防衛的な武器の使用とある種攻撃的な武器の使用との間に、武力の行使と武器の使用との間の線があるんだろうと思うんですね。今言ったような駆けつけ警護であっても、自己の管理下にあるという、今の現行法で認められている武器の使用の権限がありますけれども、それのある種ちょっと拡大したものというふうに考えて、やはり治安維持みたいに、相手をたたかないと治安が安定しないという、これは明らかに今の憲法解釈上かなり無理があるとは思うんですけれども、やはり自己の管理、あるいは自己と一緒に活動している、あるいはこのエリアで自分たちが今管轄のもとに置いている、そういう人々、文民の人たちを助けるために必要最小限度の武器の使用を行うということは、これは必ずしも憲法上問題になると思わないんですけれども、法制局の御見解はいかがでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 お答えいたします。

 警護任務ということにつきましては、これまで、自衛隊の海外の活動を根拠づけておりますPKO法なり現行のテロ特措法なり、一つも規定されておらないわけでございます。

 それはなぜかということになると思いますけれども、今、駆けつけ警護とおっしゃいましたが、一般的に申し上げれば、警護というものは、内容あるいは対象について何を考えるか、さまざまでございますけれども、かなりの程度、概して言えばというか物によってはといいますか、その任務を十全に遂行、達成するためには、武器の使用要件というものが、現在のPKO法であれば二十四条、テロ特措法であれば十二条に規定されている要件で十分であるかという問題、すなわち、これまでなぜそれが憲法上問題でないとされていたかというと、それは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものだからということで定式化されてきたものを超えるものが必要じゃないかという問題を随伴するということであるために、それが今まで実現しなかったのだというふうに思います。

 そうでありますと、そのようないわゆる自己保存のための武器使用というものを超えるものが全部だめだということを申し上げているわけではございませんけれども、そういう武器使用をした場合に、その武器使用の相手方が、いわゆる国または国に準ずる者、組織といったものに対して行った場合には、やはり憲法九条の禁ずる武力の行使に当たるおそれがあるという問題もつとに指摘されてきたわけでありまして、したがいまして、例えば仮に武器使用の相手方が単なる犯罪集団であることが明確な場合など、その武器使用が武力の行使に当たるおそれがないと言えるような枠組みを設定することができる場合があれば、お尋ねのような任務を遂行するための武器使用でありましても憲法上許容されないわけではない、その旨はこれまでも申し上げてきているわけでございます。

 ただし、そのような枠組みをどう設定するか、できるかということにつきましては、十分な検討が必要かと存じます。

長島(昭)委員 法制局の答弁はいつもこういう答弁になるので、わかったようなわからないような話になるんですが、必ずしも否定はされなかった、こういうことでございますので、これを議事録にとどめることには一定の意義があったんじゃないだろうか、こう思います。

 私がなぜこういう話をするかというと、やはり民生支援が本当に重要だ。アフガニスタンでの民生支援が本当に重要だ。テロとの闘いにおいても、アフガニスタンの復興支援というのは本当に重要だ。そして、その正面に、やはり我が国は、国際社会の一員として、そして、まさに先ほど外務大臣もおっしゃいました、国連安保理の常任理事国入りを目指す国として、本当に我が国がどういう役割を果たすべきかということは常に考えていかなきゃならない。

 しかし、命を削る競争をしても仕方がありませんので、そこは慎重を期すとしても、これは最後に石破大臣に伺いたいんですが、やはり、カンボジアのPKO以来ずっと我が国が積み上げてきた国際貢献のやり方の議論、そして二〇〇四年には防衛計画の大綱を見直して、国際安全保障、国際の平和と安全というものが我が国の平和と安全に直結するんだということで、国防とともに、国土防衛とともに国際平和協力というものをもう一つ目の柱として掲げました。そして、ことし防衛省に昇格をしたときに、国際平和協力活動というのはまさに自衛隊の本来任務化いたしました。こういう流れの中で、今回、アフガニスタンにおいて我が国が何をなすべきか、こういう議論が提起されているんだろうと思うんです。

 特に、これは小泉総理でありますが、イラク特措法で盛んに言われていたことは、危険なところだから自衛隊の皆さんに行ってもらうんですよ、文民の人に行かせられないんですよ、こういう御発言がたびたびありました。まさに、危険である、そして文民の人を丸裸で行かすわけにいかない。

 しかし、それでも百四十四人の方が今でも頑張っておられる。そして、今までも、カンボジアでPKOで行かれた警察官の方が命を落とされた、ボランティアの方が命を落とされた。イラクでは外交官の方が命を落とされた。自衛隊の皆さんは、今までPKOで亡くなられた方は一人もいらっしゃいません。本当にそれは幸運なことだったと思います。

 しかし、自衛隊の皆さんだけを守って、文民の皆さんならいいという話ではないと思うんですね。そこは私は、政府として、これからアフガニスタンの中で我が国がどういう役割を果たすべきかという議論を正面からやって、場合によっては自衛隊の皆さんにも活動していただかなきゃならぬ、そういう場面というのがこれから出てくるんじゃないだろうかと思うんです。

 特に、二〇〇三年、イラク戦争が始まる前、アフガニスタン戦争が一定の区切りがついた。五月一日にラムズフェルド国防長官が、テロとの闘いが終結した、こう宣言した。そこから、その九月、十月にこのテロ特の最初の延長の議論がありました。私は議事録を繰ってみました。これは与党も野党も責任があると思いますが、アフガニスタンであのとき、当時は今と比べても危険度は大分低かった。あのときに、我が国の国会の議論はどういう議論だったかというと、専らイラクの議論か、もしくは海上阻止活動がどうだこうだ、こういう議論に終始していたんですね。

 これは、私は、政府だけを責めるつもりはありません。与野党挙げて日本の国会というのが何となく惰性で今まで議論を避けてきたようなところがあるので、私は、あえてきょうは、私ども政党の政策ののりを越えた部分もありましたけれども、こういう問題提起をさせていただきました。これからもぜひこういう議論を政府の皆さんとやっていきたいし、与野党超えてやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党衆議院議員の大島です。

 きょうは、この特別委員会で初めての質問で、私も七年半の国会議員の活動の中で外交、安保について質問をするのはきょうが初めてですので、短い間ですけれども、いろいろと御質問をさせてください。

 一九八九年十一月九日がベルリンの壁の崩壊でして、自分の人生の中で二度ほど衝撃が走った国際的な事件がございまして、一つが八九年の十一月九日のベルリンの壁です。

 自分自身がその二年前まで三年半ほどドイツで暮らしておりまして、当時、西ドイツ、東ドイツがある中で、時々車で東ドイツの中を走りながら西ベルリンまで行き、そしてチェックポイント・チャーリーから東ベルリンの中に入ったりしていったり、あるいはライプチヒのメッセ、ホテルがフルブックだと民間の普通のアパートメントに泊まりながら、向こうのドイツ人の方とお話しすると、大島さんと違って私たちは旅行する自由がない、そういうことを言われたものですから、八九年の十一月九日のベルリンの壁が崩壊したとき、これは私は衝撃が走りました。

 もう一つが、二〇〇一年の九月の十一日のテロです。ちょうど国会が終わって埼玉県の自宅に帰りテレビをつけたときに、二機目が貿易センタービルに突っ込んでいく瞬間でして、その瞬間、自分は、これは世界じゅうで起きているのかなと思いまして、我が国に対するコミットメントをしているものですから恐らく日本の東京もテロの対象になっているかもしれないと思い、夜、車を走らせて赤坂の議員宿舎まで戻った、そういう経験があります。ただ、翌日、国会のこの周辺では非常に平穏無事に過ぎておりまして、その危機感というのが非常に希薄だったなと考えております。

 そして、たまたま今回のこの質疑に当たって、二〇〇一年の十一月あるいは二〇〇三年の四月に、毎月一回自分でレポートを書いているものですから、これを読み返してみて、当時の自分の感覚が今でも通用するのかどうかというところを、検証というのかな、もう一回振り返ってみました。

 二〇〇一年の議論のときには、自分としては、戦後の我が国のあり方が日米の同盟関係をもとにしてできているものですから、やはり米国に対しては支援をしなければいけないなという立場が一つあるとともに、同じアジアの、あるいは中近東も大きくはアジアに入るかもしれませんが、そこの民族というのかな、住んでいる人たちに対する一定の配慮も必要なのかなと思っておりました。

 これも自分の経験がありまして、自分がまだ二十代の若いときにドイツで暮らしていて、何の不自由もなく、のんきというんですか、余りストレスを感じてないで生活していたんですけれども、イスタンブールの飛行場におりたときにほっとしたという感覚は今でも持っています。御承知のとおり、イスタンブールというのは、ボスポラス海峡を挟んで西欧と東洋のちょうど真ん中でして、イスタンブールに住んでいるトルコ人の何%、数%かは蒙古斑を持っているなんという話も聞いたことがありまして、自分が持っているアジア人としての血というのかな、そのほっとした感じというのは今でも大切にしているところがあるんです。

 ですから、今回のアフガニスタン、二〇〇一年のアフガニスタン、あるいは二〇〇三年のイラクについても、日本の国旗をどこまで軍事行動において見せていいかというのは、いつも微妙な線を自分は考えていたところなんです。

 ですから、アフガニスタンについても、海上での活動で今まで現地でのいろいろな活動をされた方に聞くと、アフガニスタンの方たちが私たちのそういう行動について知らないことによって日本に対する親近感を持っていらっしゃるという話もお伺いしたり、あるいは今回のイラクのサマワについても、行かれた自衛官の方が本当に皆さん任務をちゃんと最後までなし遂げられて無事に戻っていらっしゃったことは、私としては非常によかったなと思っておりまして、イラクの人たちと交戦状態に陥ることもなかったということは非常によかったなと思っております。

 今回の特措法について、やはり政治家としての、将来どういうようになっていくかという予見性も必要なのかなと思っております。自分自身、二〇〇三年の四月のイラクのときにも、そして二〇〇一年の今回のアフガニスタンのことについても、特にイラクについては、非常に慎重に対処すべきだということを当時書いておりまして、ややもすると非常に不安定な状態に陥るリスクがあるのかなということをアメリカが勝利したその瞬間でも思っておりまして、それを前提として日本の外交というのが組み立てられていれば、我が国としてのリスクというのが軽減されるのかなと思っております。

 ですから、今回、私も、アフガニスタン、行ったことがないんですよ。ですから、アフガニスタンについての、周辺のパキスタンにしても、周辺の国々にも足を踏み入れたことがないものですから、自分として自信を持って、アフガニスタンが今後こうなるということはなかなか言えない。

 ただ、これまでの歴史、先ほど高村外務大臣から御説明がありましたアフガニスタンを振り返ってのこれまでのあり方を見てみますと、特に、ソ連に対してアフガニスタンの方たちが、イスラム教徒の義勇軍と一緒にソ連軍を追い返した、要はソ連軍に対して打ち破った、追い返した、その説明を聞きながら、民族の感情というのは十分配慮しなければいけないのかなと思っているんです。

 今、タリバン政権の人たちが非常にふえてくる。そして、それに対してISAF等で、警察権ですか、治安維持を強烈に図っていくと、逆に、異民族なものですから、感情というのがある一定の限界を超えると、ソ連の軍を追い返したような感情を持つおそれもあるのかなということを考えながら、ずっと今回の皆さんの専門的な審議を聞かせていただいておりました。

 ですから、これまでの経緯はよくわかりました。高村外務大臣としては、今後、アフガニスタンが、治安が回復して混乱状態から脱していくということが確信を持てるかどうかについて、率直な御意見をまず伺わせていただければ幸いと存じます。

高村国務大臣 何年ぐらいで治安が回復するかということはちょっと申し上げられないと思うんですよ。ただ、ソ連が侵攻したときと今の状況が違うのは、国際社会全体が支援している、そういう状況にあるということは、これはかなり違うということはあると思います。

 それから、曲がりなりにも、国際社会が、みんなが承認しているカルザイ政権というものがある。そして、これに対して国際社会がどう協力して、そして治安活動と人道復興支援がいい循環になっていけば、私は、これは成功し得る、成功させなければいけない、そういうふうに思っております。

大島(敦)委員 なかなか答えづらい質問で申しわけなかったと思うんですけれども、自分のおそれというのは、他民族の皆さんがアフガニスタンに行ったとき、要は、彼らが、中東の人たちが持つ気持ち悪さが多分あるのかもしれないなと思っておりまして、そこの臨界点を超えないように、スムーズにアフガニスタンの体制を整える必要があるのかなと思っております。

 もう一つは、我が国のコミットメントの仕方なんですけれども、なかなか遠い国であるとともに、私は若干引きぎみなところがありまして、やはり、住んでいらっしゃる方たちの自治に任せた方がよりスムーズにいくのかなというところもありまして、我が国のコミットメントとしては、これまでの議論にありましたとおり、軍事ではない面でしっかりとアフガニスタンにコミットメントしていった方がいいかなと思っておりまして、きょう、先ほどニュースを見ていましたら、町村官房長官がきょうの午前中に、アフガニスタンに対して補正予算を組みなさいという御発言をされたようにNHK等で流れておりますので、その点について、御意見なり、聞かせていただければ幸いと存じます。

町村国務大臣 きょう朝、関係閣僚が集まりまして、海外経済協力会議というのを閣僚レベルで折に触れて開いております。これだけアフガニスタンのことが話題になっているので、これに対する我が国としての協力のあり方、これまでの評価、今後どうしたらいいかという率直な議論を大臣ベースでやりました。

 その中で、これから四つの分野を重点にやっていこうということが、ことしの八月に日本政府と先方政府との間で合意ができているので、それらをしっかりまずやっていきましょうと。それらに加えて、さらに新しいニーズもやはりあるのではないだろうか。そういう中から、ちょうど外務省の方でも、今補正予算の要求をしています、具体にはこれこれですというお話があったものですから、それならば、ちょうど年末に向けて今補正予算の議論が始まっているはずですから、必要な予算は確保していく必要がありますね、よく事務当局で詰めてください、そんな話をきょうしたわけでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 これから、質問通告に基づきまして、若干地味な質問を何点かさせてください。

 今回の質問に当たって、国連憲章をもう一回読み直してみますと、今回二つの、ISAFという活動ともう一つ、OEFという活動があって、ISAFについてはよくわかるんですけれども、OEFというこの活動について、多分、私の記憶では、一番最初アメリカは自衛権の行使だったと思っておりまして、今現時点においてOEFというこの活動はどういうステージにあるのか。アメリカの当初の自衛権の行使がそのまま続いているのか、あるいは違っているものなのか、その点についてちょっと確認をさせてください。

高村国務大臣 OEFは、当初は、明確に自衛権とアメリカ自身が言って発動したわけでありますが、タリバン政権が崩壊してカルザイ政権が成立し、その後はカルザイ政権が国内の治安維持の権限と責任を持っているわけでありますが、そのカルザイ政権が治安維持をすることについてのお手伝いといいますか、そういうことをカルザイ政権の同意もしくは要請に基づいてやっている、それがOEFの法的性格でございます。

大島(敦)委員 私も、レクで来ていただいて、高村外務大臣のところにいらっしゃる外務省の若手の皆さんに聞くと、合意文書があるかと言うと、ないという答えが返ってきまして、通常、日本でも、米軍の皆さんが我が国のために駐留していただいていて、そこには合意文書があるわけなんです。今回、合意文書がなくても、それはカルザイ政権のもとで、要は、アフガニスタンのために駐留していてもいいよということを口頭でも言えば、そこにいてもいいという理解でよろしいんでしょうか。

高村国務大臣 口頭でも一向に差し支えない、こういうことであります。

 その上で、例えば二〇〇二年の一月にブッシュ大統領とカルザイ・アフガニスタン暫定行政機構議長が発出した米国とアフガニスタンの新しい関係に関する共同宣言においては、両国はタリバンの残党やアルカイダのネットワークを根絶するため継続して協力するというコミットメントを再確認した、こういうことを言っておりますし、また、二〇〇四年三月にベルリンで開催されたアフガニスタン復興支援会議で採択されたベルリン宣言においては、不朽の自由作戦がアフガニスタン政府の要請と歓迎に基づくものであることを明記した上で、その関与が新しいアフガニスタン治安武装部隊が十分に組織、運用されるまでの間、継続されることについて合意がされているわけであります。

 これは別に要式行為ではありませんから、アフガニスタン政府が口頭で、いいですよと、あるいはやってくださいですよね、いいですよというよりもやってください、そういうことだと思います。

大島(敦)委員 そうしますと、もともと、テロを受けて米国が、普通の戦争というのは、国及び国に準ずる者に対してするのが戦争なんですけれども、と僕は伺っているんですけれども、初期の段階では、タリバンも含めて、国に準ずる者ではなくて、そこに人というのを入れたかと思うんですけれども、人かな、大分解釈を広くとっているかと思うんですよ。

 今回、今までの御議論の中で、アフガニスタンにおいて、例えば、非常に治安が不安定なところがあって、そこに対して米軍が今いろいろと攻撃をかけているという話も聞いておりまして、そのことも、どういう活動か、今、カルザイ政権から頼まれた、いてくれということと一定の軍事行動をするというのは、どうも私、まだ理解できないんですけれども、その点について、もう一度御意見をいただければ幸いでございます。

高村国務大臣 先ほど申し上げましたように、カルザイ政権が治安の維持をする権限と責任がある、それを手伝ってくれということで、それをアメリカ初め幾つかの国が手伝っている、こういうことでありますが、個々的な行為では、例えば空爆すれば中には誤爆がある、それについては、じゃ、誤爆まで承認したのかと言われれば、それはそうじゃなくて、カルザイさんの側からすれば、そういうことはやめてくださいよと。個々の行為についてはともかく、全体としての包括的な同意がある、こういうことだと思うんですね。

 例えば、日米安保条約に基づいてアメリカ軍が日本にいても、個々の行為が全部いいかどうかはまた別でありまして、早朝に訓練があったような場合に、日本として、やめてくれ、そういう文句というか注文をつけるということは、それはあるわけでありまして、個々の行為すべて一々の同意ということではなくて、包括的な同意がある、こういうふうに解釈をしております。

大島(敦)委員 今、日米安保条約というお話が出まして、過去の経緯、どうして米軍が我が国にいるかということをいろいろと調べていただきますと、これは古いんですけれども、昭和三十五年の、これは当時の法制局長官の答弁として、いわゆる他国に行って他国を防衛するということは、国連憲章上は、集団的自衛権としてそれは違法性阻却の事由として認められているということで、今の高村大臣の御発言は、そのカルザイ政権のもとにおける米軍の駐留というのは、日本においては集団的自衛権の行使ということで、これは旧日米の安全保障条約にも明文化されている文章なんですけれども、そういう理解なのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高村国務大臣 米軍が日本にいるのは、どこか第三国から攻撃された場合に、アメリカがみずから攻撃されていないにもかかわらず実力をもって反撃をする、その権利を集団的自衛権というんです。だから、アフガニスタンが、隣の、どこかの国から攻撃されたときに、それに対してアメリカが反撃するのは集団的自衛権でありますが、国内の治安の問題のお手伝いをするというのは、それは集団的自衛権とは全く関係のない概念であります。

大島(敦)委員 もう少し伺わせてほしいんですけれども、これは国連の総会での決議が七四年にありまして、侵略の定義に関する決議がございます。どういうものが侵略かという定義でして、その中で、受け入れ国との合意に基づきその国の領土内に駐留する軍隊の合意に定められた条件に反する使用、または合意終了後の右領土内における当該軍隊の駐留の継続ということで、今高村さんがおっしゃっているのはこの侵略の要件には当たらないと思うんですよ。高村大臣がおっしゃっているのは、同意を与えたということは、米軍がいることは侵略ではないと。

 だけれども、米軍がどうしてそこにいるかということは、侵略ではないということはわかるんだけれども、自分の解釈としては、侵略には当たらないんだけれども、どうしてそこに米軍がいるのかと。米軍としてはまだ戦争状態だという認識をしていると自分は考えていて、例えばイラクですと、これは集団的安全保障の枠組みの中に入っていると伺っているから、これはいいでしょう。ただ、アフガニスタンにおいては、ISAFという集団的安全保障という枠組みとOEFという枠組みがあって、OEFが、どうして米軍がそこにいるのかというのは、カルザイ政権がそこにいていいよというのは確かに侵略には当たらないけれども、米軍としてはまだ戦争状態が続いているという理解に立てば、それは自衛権の行使ではないかなと自分は思うんですけれども、その点について、もう一度お聞かせください。

高村国務大臣 国連憲章で、戦争あるいは国際的な武力の行使、こういうものは禁止されているわけなんですね。違法になっているわけです。でも、中には、違法性阻却事由というのがありまして、それは、自衛権、個別的自衛権にしても集団的自衛権にしても、自衛権がある場合は国際的な武力行使も違法性が阻却されますよ、こういうことなんです。

 カルザイ政権が成立してからは、カルザイ政権の同意に基づいて治安活動のお手伝いをしているわけですから、もうそこに国際的武力行使というのはないんです。違法な国際的武力行使がないんです。ですから、自衛権という違法性阻却事由云々をする必要がない、こういうことを申し上げているんです。

大島(敦)委員 なかなか、この点について、私としては理解がまだ足らないところがありまして。

 そうすると、今おっしゃっていたことについて、要は、もともと武力行使自体が悪い、しかしながら、こういう攻撃をされたら、国連が一定の処置をとるまでは個別自衛権とか集団的自衛権がある、それから集団的安全保障に移行してISAFがあるということはよくわかるんですよ、自分自身は。

 ただ、今米軍がアフガニスタンにいて攻撃している対象というのが、治安とはいっても、そこにタリバン政権の人たちがふえてきたり、ひょっとしたらアルカイダもそこにいるとすれば、そこに対する米軍の攻撃というのは、治安維持よりも、米国側から見ると、やはり自衛権の行使だという認識がすっきりする考え方だと思うんですけれども、その点について、もう一度最後に御答弁をお願いいたします。

高村国務大臣 自衛権の行使とか、これは個別的自衛権にしても集団的自衛権にしても、国際的な武力行使が本来違法なんだけれども、これは自衛権の行使だから違法じゃありませんよと言うために自衛権の行使ということをわざわざ言うわけであります。いかなる意味でも、カルザイ政権の同意を得て、中のタリバン一統に対して攻撃をするのは、国際的武力行使ではもうなくなっているんですよ。タリバン政権のときだったら、まさに国際的武力行使なんですよ。だから、これは、違法性がないと言うためには、自衛権の行使ですよと言う必要があるわけです。

 だけれども、もうタリバン政権というのはないんです。そして、これは、一部の残党がいるだけで、もう国際的武力行使ではなくて、カルザイ政権が治安を維持するためにいろいろ活動している、そのお手伝いのためにやっていることは国際的武力行使じゃありませんから、自衛権という言葉をもって違法性阻却するんですよとわざわざ言う必要がない、こういうことでございます。

大島(敦)委員 最後になるんですけれども、私としては、丁寧な外務大臣の説明にはまだ納得至らないところがあります。

 なぜかというと、一つは、米国の武力行使容認法というのがまだ継続をしている状態の中で、その中には、国、組織または個人に対してということで武力を行使する権限があるということで、米国の大統領がこれを宣言している状態の中での一つの作戦ですから、これはカルザイ政権の中での要は治安を維持するために作戦をとっているとはなかなか認めにくいのかなと思うのが一点。

 もう一つは、OEFに参加する米艦船から爆撃機がアフガニスタンの本土を空爆している事実が明らかになったりしていますから、ちょっとその領域を超えているのかなと自分自身は思うんです。

 この点につきましては、丁寧な御答弁をありがとうございました、議事録をもう一回読ませていただいて、次回質問できれば、もう少し続けさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 今の論点は非常に重要な論点であろうというふうに思いますので、ちょっと引き続き聞かせていただきます。

 我が国政府は、OEFあるいはOEF・MIOについて警察的活動であるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでありますが、では他方で、米国政府がOEFあるいはOEF・MIOを警察的活動であるというふうに政府として見解を示している文書がありますでしょうか。教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

小松政府参考人 OEFまたはOEF・MIOの国際法上の根拠ということにつきましては、民主党の部門会議でも随分御質問をいただきまして、また質問主意書もいただきまして、これは御回答申し上げているところではございますが……(川内委員「ちょっと委員長、ちゃんと質問に答えさせてくださいよ。アメリカが文書を示しているかという質問です」と呼ぶ)したがいまして、そういうこともございますので、アメリカとも、お答えをするに当たっては、アメリカと考え方のそごがないかということは事務的にすり合わせているわけでございます。

 そこで、どこかの文書でアメリカがそういうことを発表しているということは承知しておりませんけれども、私どもの考え方は説明し、基本的にアメリカ政府の考え方と整合性がある、そごがないというふうに理解をしております。

川内委員 いや、文書があるかと聞いたんですよ、私は。文書はないと承知しているじゃなくて、文書はないんでしょう。

小松政府参考人 アメリカ政府ではございませんので、文書があるかないかということを私が申し上げることはできませんけれども、私どもが承知している限りそのような文書はないということを申し上げているわけでございます。

川内委員 日本の政府の見解とアメリカの政府の見解が違うことは、それはあって当然ですから、それはそれでいいわけですが、アメリカは、明確に戦争法を適用し、爆弾を落としている。日本の政府は、それを警察的活動であるということで容認している。警察的活動によって空爆が行われ、市民が誤爆により傷つくことは、警察的活動の範囲のうちである、仕方がないのだという理解でよろしいですね。

小松政府参考人 アメリカの今度の行動の根拠につきましてのアメリカの国内法について先ほどから御言及がございますが、私どもの理解としては、アメリカの国内法においてアメリカの軍隊がどういう行動をとるかということのアメリカ国内法上の根拠という話と、先ほど来外務大臣が御答弁申し上げておりますように、このOEF、OEF・MIOにおけるいろいろな活動が国際法上どのように評価されるかという問題は別なものではないかというふうに理解しております。

川内委員 そうですね。まさしくそうだと思います。

 日本の自衛隊の艦船はテロ特措法に基づいて行動する。では、アメリカの軍隊はアメリカ国内の何法に基づいて行動していますか。

奥田政府参考人 アメリカ政府としては、対アフガニスタンの軍事行動、それから対イラクの軍事行動、いずれについても、大統領が米軍の最高司令官である旨定める米国憲法に基づいて行っていると認識しています。

 また、あわせて、戦争権限法に基づき、米国議会は、二〇〇一年の九月に、同時多発テロ事件に関して必要かつ適切なあらゆる実力の行使を大統領に認める内容の決議を採択しておる。二〇〇二年の十月には、今度はイラクに対する米軍の使用を大統領に認める決議を採択しているということで、この二つの決議が直接的な根拠になっておると承知しております。(川内委員「決議。決議って何」と呼ぶ)

 戦争権限法に基づいて、この特別のといいますか、今回のアフガニスタン、今回のイラクの軍事行動に関しては、この戦争権限法に基づいた決議でもって許されておる、そういうことでございます。

川内委員 だから、ちょっと国民の皆さんにもわかりやすく説明してもらわないと困るわけですよ。この議事はみんなが見ているんですからね。

 アメリカ国内で何法に基づいてアフガニスタンやイラクに展開する米軍は権限を与えられているんですかと聞いているわけです。戦争権限法というんですか、戦争権限法が議会で成立をし、その戦争権限法に基づいて、アフガニスタン、イラク、それぞれ決議が出されて、そしてアメリカ大統領が軍の指揮をしている、そういう理解でいいんですか。わかるように説明してよ。

奥田政府参考人 失礼いたしました。そのとおりでございます。

川内委員 だから、戦争をアメリカはしているわけじゃないですか、アメリカ国内法においてはね。だから、それを国際法上どのように解釈するかというのは、それは日本政府の勝手な解釈であって、警察的活動というのは日本政府の解釈であるということでよろしいですね。

高村国務大臣 先ほど国際法局長がお答えしましたように、日本政府の国際法上の考え方とアメリカの考え方は同じである、そういうことをすり合わせをしている、こういうことを申し上げたところであります。

川内委員 同じであると言うんだったらば、じゃ、OEFあるいはOEF・MIOを、カルザイ政権によって授権をされた警察的活動であるというふうに、米国政府にもしっかりどこかの文書に書かせてくださいよ。

小松政府参考人 国際法上の性格について認識は一致しておりますが、それを文書で確認をする必要があるとは思っておりません。

川内委員 全然私は理解も納得もできないですね。国際法上の認識について一致をしていると。では、国際法上の認識とは何なのか。警察的活動を行っているという認識でしょう。その認識が一致していると言うのであれば、何で米国政府がそのことを言わないんですか。一致していると思っているというんだったらいいですよ、一致していると我が国政府は思っているというんだったらばいいですけれども、一致していると言い切ったんだからね。一致していると言い切っているのであれば、米国政府に警察的活動であるということをどこかの文書に書いてもらわなきゃ、うそでしょう。

高村国務大臣 我が国は一致していると思っていますから、一致している、こう申し上げたので、何が問題なのかよくわかりませんし、何で文書をそんなことで取り交わさなきゃいけないかも全く理解ができません。

川内委員 詭弁を弄するのはおやめいただきたいなと思うわけです。だって、一致していると言っているわけですから。(発言する者あり)言っていないんですか、では。ばかにするのもいいかげんにしてくださいよ、国民を。国際法上の認識は一致していると言っているんですよ。では、国際法上の認識とは何なんですか。国際法上の認識というものを説明してくださいよ、ここで。

小松政府参考人 これは累次御答弁をしているところではございますが、もう一度御説明をしろということでございますので、やや時間がかかったとすれば申しわけございませんが、まず、OEFとそれからOEF・MIOの国際法上の根拠ということについて、たびたびこの国会でも御議論がございますので、私どもの考え方についてはアメリカに説明し、アメリカと基本的に考え方は一致、そごはないということを認識しているということでございます。

 その内容でございますが、まずOEFでございますが、これは質問主意書もお受けいたしまして、答弁書というものをもうお出ししているところでございますけれども、これは、九・一一を受けて、まず、当初は米国及びその他の諸国の個別的または集団的自衛権の行使として開始されたものと考えている、こういうことでございます。

 それで、その後でございますが、その後につきましては、平成十三年十二月五日のボン合意を受けて同月二十二日にアフガニスタンに暫定政権が成立した後に同国の領域内で行われている不朽の自由作戦下の米国等の活動は、国際法上は、基本的には、領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、同国の警察当局などの機関がその任務の一環として行うべき治安の回復及び維持のための活動の一部を補完的に行っているものと観念される、これがOEFについての考え方でございます。

 次に、OEF・MIOでございますが、国連決議一三六八号に基づきまして、九・一一テロに対して各国が協力をしてできる限りのことをやろうではないかという呼びかけがございます。この呼びかけに基づいて、OEF・MIOの参加諸国が、基本的に国際的な検査活動を行っておる。

 この検査活動の内容は、無線の照会、それから、その無線の照会で疑惑があるということでございますれば、最終的には乗船検査もするということでございます。

 そのうち、無線照会につきましては、そもそも、国際法上、何ら問題のない活動でございます。

 次に、乗船検査につきましては、基本的には旗国主義の原則というのが海洋法上ございますので、国連海洋法条約に別途臨検という規定がございまして、無国籍船であるとか海賊行為を行っている場合には旗国の同意がなくても乗って検査できる、こういう臨検の権利がございますけれども、それがない場合には旗国の同意が必要でございますので、基本的には旗国の同意ということを根拠に活動を、乗船する場合には行っている。

 これがOEFとOEFのMIOについての国際法上の根拠としての日本の考え方でございまして、これはアメリカにも説明し、基本的にすり合わせを行っているということを申し上げている次第でございます。

川内委員 いや、だから、それらを総称して、石破大臣や高村大臣は、警察的活動あるいは警察的権限の行使という言葉をこの委員会の中でさんざんぱら使っているじゃないですか。だったらば、アメリカ政府に対しても、このOEFあるいはOEF・MIOというのは警察的権限の行使なのだ、空爆して無辜の民が死ぬこともそれは警察的権限の行使の範囲内なのだということにしてもらわなきゃおかしいでしょう。認識は一致しているとおっしゃるわけですから。

 では、警察的権限の行使とか警察的活動というのはうそなんですか。余りにも短く言い過ぎたと、訂正されるのなら訂正してくださいよ。

高村国務大臣 一般的に、一国における治安維持活動は、軍事活動と言わないで警察的活動と言っていると承知をしておりますし、軍隊がそれを代行しても警察的活動である。

 私らは、空爆して無辜の民が死んでもいいなんということを一言も言ったことはありません。誤解を招くようなことはおっしゃらないでいただきたい。

川内委員 結果としてそうなっているでしょう。結果としてそうなっていることを警察的活動とおっしゃるのですねということを確認しているんですよ。

高村国務大臣 包括的にOEFの活動は治安維持活動であり、それは警察的活動と一般的に言われるところでございます。

川内委員 それでは、一つだけ解釈を事務当局から教えていただきたいんですけれども、二〇〇一年十一月十三日にブッシュ大統領が署名をした、テロに対する闘いにおける一定の非民間人の逮捕、取り扱い、裁判に関する軍事命令に基づいて、米国がOEFにおいて拘束したテロリストを不法戦闘員としてキューバ・グアンタナモ湾にあるキャンプ・デルタに収容し、軍事裁判にかけている。つまり、米国は戦争法を二〇〇一年十二月以降も継続して適用している事実を我が国政府としてはどのように説明されるのか。

小松政府参考人 突然の御質問でございますので、手元に資料を持ち合わせてございませんが、アメリカが申しておりますことは、ジュネーブ条約に基づきまして、捕虜資格がある戦闘員であるかという観点から、アルカイダでございますか、その一部の拘束した者について、捕虜資格がない者だというふうに解釈をしているというふうに理解しております。

川内委員 済みません、もう一回ちょっと説明してください。

小松政府参考人 恐縮でございます。

 突然の御質問でございますので、今手元に資料を十分は持っておりませんが、今申しましたのは、ジュネーブ第三条約、いわゆる捕虜の待遇に関する条約というのがございまして、ここで、捕虜となるものという第四条の規定がございます。この中で、この条約において捕虜とは、次の部類の一に属する者で敵の権力内に陥ったものをいうというのがございまして、後は非常に長うございますのではしょって申し上げますと、紛争当事国の軍隊の構成員及びその軍隊の一部をなす者、こういうようなことを言っているということで、こういう正規の軍隊の構成員ではないというふうに解釈をアメリカがしている、一部、アルカイダ等の拘束をしました者につきましては。アメリカ政府としては、そういう解釈でそれを取り扱っておるというふうに理解をしております。

川内委員 と理解をしているのは日本の政府であって、アメリカは不法戦闘員として……(発言する者あり)認識が一致しているとさっきから言っているじゃないですか、日本の政府は。だから、一致しているんですかということを聞いているんですよ、中谷さん。国際法、解釈が違うんだと今図らずも言ったじゃないか。どうなんですか。(発言する者あり)じゃ、一致していないじゃない、認識が。

小松政府参考人 ジュネーブ条約に基づきまして捕虜の待遇をしているということであれば、これは戦闘員と認めているではないかという御指摘であればわかるわけでございますけれども、今、基本的に申しますと、一部のアルカイダ等につきましては、国際的なテロリストということで犯罪者である、犯罪者として、正規の軍隊の構成員が捕虜になった場合の捕虜資格を与えていないということをアメリカがやっているわけでございます。

 そこで、今拘束している者を戦闘員として扱っていないので、おまえがさっきここで言っていることと矛盾しているんじゃないかという御指摘がちょっと、申しわけございません、私、よくわからないわけでございます。

川内委員 だから、戦闘員とはアメリカは言っていないんですよ。不法戦闘員と言っているんでしょう、不法戦闘員。それで、軍事裁判にかけるわけでしょう、軍事裁判に。不法な戦闘員として軍事裁判にかけると言っているんですよね。そこはどう説明されるんですか。ちょっとよくわからないんですけれども、明確にちょっと答えていただきたいですけれどもね。

小松政府参考人 私どもが承知しておりますことは、グアンタナモ米軍基地に拘束されているアルカイダの関係者は、捕虜資格を有する者ではないということで、そういう捕虜資格を有する正規の軍隊の一員ではないということで拘束されて、軍事委員会法に基づき、軍事委員会による裁判手続の対象となるというアメリカ国内法の解釈に基づき、その手続が進められているというふうに理解をしております。

川内委員 だから、軍事裁判にかけられるということですね。

小松政府参考人 突然の御質問でございますので、アメリカの国内法の詳細について今手元に資料を持っておりませんが、ただ、この軍事裁判で、日本はもう軍事裁判はございませんので、軍事裁判で扱われた者が戦争の相手方であるということに限られるかという問題はあろうかと思います。

 私どもの承知しておりますのは、先ほどから申しておりますように、このアルカイダ関係者は捕虜資格のない人間ということで、しかし、米軍とアフガニスタン等において現実に実力の行使をし合う間柄にはあった。それは、警察行動の一環としての実力の行使をしても、犯罪者集団と撃ち合いになるということは当然あり得るわけでございます。

 その場合に、その裁判手続がどういうことでこの裁判になるのか、日本には特別裁判所がございませんので、全部一つの裁判でございますので、そこのところにつきましては、ちょっと非常に技術的細目でございますので、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、今、突然の御質問でございますので、今ここで正確にお答えをする材料を持ち合わせておりません。申しわけございません。

川内委員 いや、委員長、先ほどから政府は、我が国政府の認識と米国政府の認識は一致している、一致していると先ほどから繰り返しおっしゃっているわけですね。

 では、この不法戦闘員として、グアンタナモ湾にあるキャンプ・デルタに収容され、軍事裁判にかけられている方たちのことをどう解釈すればよろしいのでしょうかと言うと、最後には、突然の御質問なのでちょっとうまく答えられないというふうにおっしゃられたわけでございまして、この私の質問に対して、政府としてしっかりとした見解をお出しをいただけるように。

 なぜかならば、警察的活動とおっしゃるのであれば、それは犯人とか容疑者とか呼ばれなきゃいけないわけですね、犯人とか容疑者。しかし、不法戦闘員と呼ばれているわけで、軍事裁判にかけられるわけですね。なぜかならば、米国は米国の国内法によって、戦争権限法によってアフガニスタン作戦やイラク作戦を継続させているからではないかというふうに思われるわけで、この辺については、政府としてのちゃんとした御見解をお示しいただきたいというふうに思いますので、理事会の方でお取り扱いをいただきたいと思います。もう答弁はいいです。

田中(和)委員長代理 では、理事会で協議をさせていただきます。

川内委員 済みません。

 それでは、証人喚問の続きをさせていただきます。

 イラク特措法に基づいてサマワに陸上自衛隊が派遣をされました。このサマワの陸上自衛隊のキャンプに関して、山田洋行さんが仕事を請け負っていたという事実がありますか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 このイラク特措法に基づきます陸上自衛隊、サマワの宿営地で活動していたことは、委員おっしゃるとおりです。

 山田洋行のクウェート事務所でありますヤマダコーポレーション・クウェートオフィスと、契約に基づきまして、この宿営地の宿舎二十五棟及びその工事に関する役務等を調達いたしております。

 この調達に係ります契約金額は、約一億五千三百万円でございます。

川内委員 イラクにもかかわっていたと。

 私は、テロ特措法の給油のA社、B社も、この間ずっと会社名が明かされないわけでございますけれども、ぜひ本委員会で、なぜA社、B社二社にずっと随意契約で二百何十億もの油の調達をお願いしなければならないのかよくわからないので、A社、B社、名前を明かしていただきたいなと。そうでなければ、もしかしたらA社、B社のうちの一つが山田洋行さんじゃないかとか、あらぬ疑いを受けるのではないかというふうに思います。どうでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 この点につきましては、確かに、委員会の場、国会審議では明らかにしておらないわけですが、これは、契約相手方の個別の名称が明らかになることにより、当該企業の正当な利益を害するおそれがある、ひいては自衛隊の活動の円滑な遂行を妨げるおそれがあるということで、実はこの点につきましては、この開示請求に対して東京地裁の確定判決も出ておりまして、当該情報を明らかにすることは、人の生命財産への不法な侵害に該当し、また犯罪を誘発するおそれがある、したがって不開示につき相当な理由があるとの判決を得ているところでございます。

川内委員 いや、石破大臣、その東京地裁の判決というのは、会計法は争点になっていないんですね、判決文を読むと。会計法以外の部分で争っていて、結局、国側の主張の方が分があったということで、開示しなくていいよという判決になっているわけですが、私は、会計法の考え方とか、あるいは、この間のさまざまな随意契約の内容についてはしっかりと公開をすべきですねという政府の態度からすれば、この判決、確定判決といったって、地裁ですから、別に判例として確定しているものではないということから考えれば、A社、B社について、新たな政府の判断として社名を公開するという判断があってもいいのではないかというふうに思いますが、防衛大臣の御意見をいただきたいと思います。

石破国務大臣 確かに、これは会計法をめぐる問題でございます。

 ただ、その場合に、なぜ明らかにできないかという理由は、今、地裁レベルではございますが、政務官が判決を御紹介し、これは委員も御案内のとおりでございます。

 そうしますと、これは会計法であり、また今回の問題であったとしても、やはり明らかにできないという理由は共通しているのではないかと思っております。

 地裁レベルということでもございますし、判例ではございませんが、上告がなされておりませんので、これは一つの確定したといいますか、判例という言い方をしてはいけないのですが、判決として争いがないものだというふうに考えております。

 これをさらに明らかにせよということになりますと、これはやはり、きのうも申し上げましたが、秘密会とかなんとか、そういうふうなレベルでどのようにしていくかという議論になってくるのかなという気が私はいたします。

川内委員 では、本委員会の理事会の先生方に秘密会を開いていただいて、私は、さまざまな防衛庁、防衛省の調達に関する疑惑あるいは問題点というものが指摘をされている中で、六年間にわたりA社、B社という二社がずっと随意契約でこの調達にかかわってきている、しかもそれは六年間で二百何十億という金額にわたっているということを考えれば、しかるべき情報公開のあり方というものを本委員会で御議論をいただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、次の論点に参ります。

 平成十五年八月八日、装備審査会議で、CXエンジンはGEのエンジンにいたしましょうということが守屋事務次官が議長の会議で決まりました。その装備審査会議に提出をされた資料には、メーカー名と、そのメーカーの代理店となる商社名も入っておりましたでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 既に資料については提出をさせていただいておりまして、その当該資料の七ページにおきまして、応募のあった三社のメーカー名、そしてまた国内販売代理店についても記載があるところでございます。

川内委員 当然、事務次官に対しては、この装備審査会議、会議の招集の紙とかを見せていただきましたけれども、三十分という会議の時間をとってございました。当然、次官が議長を務める会議ですから、事前にレクをされたもの、説明をされたものと、議長はこの会議の内容を当然事前に把握をしていたものというふうに思われますが、その御確認をいただきたいということを申し上げておきましたけれども、いかがだったでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 確かに、一般的には、この手の審査会議がとり行われます前には、議長に対して、すなわち本件であれば事務次官に対して事前説明を行うのが通例でございます。

 今現在、当時の担当者に聴取を行っているさなかでございまして、現時点においては、守屋前次官に対して事前説明を行ったとの明示的な確認はなされておりません。引き続き確認中でございます。

川内委員 いつまでに本委員会に御報告をいただけるのか。

 いつも防衛庁、防衛省は、確認しております、関係者に聞いておりますとずっと言い続けるんですね。一カ月も二カ月も言い続ける。いつまでに本委員会に報告をしてくれるのか。当時の関係者なんか何人かしかいないんですよ。何人かに聞けばわかることを、確認していますとずっと言い続ける気ですか。

 いつまでに報告するのか。あしたまでなのか、あさってまでなのか、ここではっきり言ってください。

寺田大臣政務官 今まさに、さまざまな資料要求も含め、本当に寝ずに二十四時間態勢でやっておりまして、可及的速やかに御報告をさせていただきます。

川内委員 いや、ちょっと、鉢呂先生、可及的速やかじゃおかしいですよ。(発言する者あり)

 では、委員長にお願いします。可及的速やかというのはあさってまでだ、こうちゃんと指示してくださいよ。

石破国務大臣 これは、可及的速やかはあさってということを意味いたしませんで、確認ができればあしたでもよいのです。

 つまり、できなければ、ですから、複数関係者がいるわけで、その言っていることがきちんと一致をしない、そこに不一致がある場合には、これは確認できたというふうな評価ができません。昔というか以前のことでございますし、みんなが克明に日記をつけているわけでもございませんので、それぞれの言っていることが一致をして、これで間違いないなということがわかった時点を確認と申します。

 ですから、わかり次第御報告はいたします。

川内委員 可及的速やかにお願いいたします。

 それでは、次の論点に移らせていただきます。

 チャフ・フレア・ディスペンサーについて水増し的請求あるいは過大な請求があったのではないかという問題ですが、この問題に関して、平成十四年二月五日に、外国メーカー、そのチャフ・フレア・ディスペンサーのメーカーから、防衛庁のNYオフィスの鈴木信丈氏、証人喚問にお願いしておりますが、鈴木信丈氏にあてて、山田が不正を働いたのだとする内容の書簡が届いているはずです。

 この書簡の内容を御説明いただきたい、あるいは本委員会に御提出いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今、委員の方から御指摘にありました、その当時のBAE社作成の文書等ということになるわけでございますけれども、現在、同社に対しまして、その内容の確認を行っているところでございまして、ですからこそ、同社の了承なくしては公表することはできないものですから、その点は差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 今何て言ったの。同社の了承なくして公表できない。何法に基づいて言っているんですか。根拠法を言ってくださいよ。

江渡副大臣 お答えいたします。

 我々が調査ということでお願い、この当時のBAE社の作成したということに対して聞いたことは、書簡について聞いていることでございますので、法律云々云々では当たらないものだと私は思っております。

川内委員 行政にあてられた行政内部が保有する文書は、行政文書じゃないんですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 正式に出された文書で、それがきちんとしたものであるということが確認されれば、行政文書である場合があると思いますけれども、本件につきましては、途中過程、いろいろ調査しておりますけれども、BAE側の見解といったものにも変化もありまして、それが果たして、BAE、おっしゃられるレターというものがあれば、真正なものかどうかというあたりも議論の対象にもなりまして、仮にこれを了解をとらないで公表した場合に、社会的波及があるというような問題もあり得ますので、やはり同社の確認、了承が要るというふうに考えております。

川内委員 今審議官が、BAE側の見解に変化があったと重要な証言をされましたので、ぜひ了承をとっていただいて、御説明を本委員会に対していただくようにしていただきたいと思います。

 それでは最後に、昨年十二月八日の、スパークスさんと宮崎さんと守屋事務次官の事務次官室における面会あるいは面談についてお伺いをさせていただきます。

 事務次官室での面談だったわけですが、アポイントはどなたがとっていらっしゃったのか、アポイントはだれが入れてきたのか、それとも、アポイントは秘書さんを通さずに、守屋事務次官が、十二月八日の十時から十時五十分はスパークスさんと宮崎さんがこの部屋に来るからねというふうに御自分で予定をつくられたのか、いずれでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 確かに、昨年十二月の八日、守屋当時の事務次官と、スパークス氏ほか三名の方が事務次官室を訪問しております。

 このアポの申し込みですが、我々も、次官室のメンバーを初め確認をいたしておりますが、今までのところ、残念ながら、記憶にないケースを含め確認できておりません。

 また、面会票の方で確認をしたところ、委員御承知のとおり、九時五十六分から十時五十分までが、これは市ケ谷の門を入ってから出る時間でございますが、先般の守屋証言にもございましたとおり、守屋前次官は約十五分というふうな受け答えをしておりましたが、現状、以上のようなことでございますので、引き続き確認を行ってまいりたいと思います。

川内委員 聞いていると、防衛省は確認が好きな役所だなと。本当に、確認だけして何もわからないということが多いんじゃないかなと思うんですけれども。

 これは、増田事務次官も会見で、この三者の、まあ、ほかにも人が、GEの関係者が何人かいたようですが、スパークスさんと宮崎さんと守屋さんの十二月八日の会見については、なぜそういうことが行われたのかを調べなければならないという趣旨の会見をしていらっしゃるというふうに聞いておりますよ。それはしっかりと調べる、どういうことであったのかということを調べると。

 いや、石破さん、事務次官の会見は防衛省はホームページにアップしていませんから、我々は新聞情報です。事務次官が事務次官会見でそのようなことをおっしゃられたということを私は読みました。それを発言しました。したがって、それは本当かどうかわかりませんが、そのぐらい、事務次官室で人と会うというのはとても重たいことだと思いますよ。だから、しっかり調べたらいかがですかということを申し上げているわけですが、石破大臣、どうですか。

田中(和)委員長代理 石破大臣、時間の関係がございますので、簡潔にお願いします。

石破国務大臣 事務次官室で何が話されたか、ここは当然のことながら記録をとっているわけでもございません、明らかにはなりません。ですから、ここでその資料を出せとか調べろと言われましても、こう調べました結果こうでございましたというお答えをすることはなかなか難しいのかなと思います。

 ただ、事務次官室にそういう人が出入りして、いろいろなそういう疑いを持たれるようなことは余り好ましくないなというふうに私は思っておるところでございまして、大臣室にはなるべくそういう人には来ていただかないようにはしておるところでございますが、これはどういう形にするか、ちょっと考えてみたいと思います。

川内委員 終わらせていただきますけれども、昨年の十二月は、ミライズはGEの代理店でも何でもない、防衛省に対する納入実績もない、単なる一会社の社長さんであるという立場ですよね。そういう方がGEの社長さんと事務次官室で会うというのは、私は、無言の便宜供与であると言わざるを得ないことだと思いますね。

 ぜひこの件についても、石破大臣のしっかりとした調査能力を発揮していただけるようにお願いをして、終わらせていただきます。

田中(和)委員長代理 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮でございます。

 いよいよ本日、十一月一日二十四時をもってテロ特措法の期限が参ります。去る二十九日に、海上自衛隊の補給艦「ときわ」が最後の給油活動を行ったということでありますけれども、きょう、先ほど午後三時に、石破防衛大臣が撤収命令を発出されて、その結果、護衛艦「きりさめ」とともに帰国の途につくことになります。約三週間後には、横須賀そして佐世保に、それぞれ帰港してくると。

 ところで、外務省に伺います。事務方で結構ですが、給油の使用目的をこの間限定するということでいろいろ議論がありました。現行法に基づく各国との交換公文も効力を失う。そして、バーレーンで調整している有志連合司令部に派遣されている海上自衛隊の二人の、佐官のクラスの方だと思いますが、籍は在バーレーン日本大使館員の身分となっていると承知しておりますが、この二人も、残務処理はするとしても、帰国をする、そういうことになりますね。

江渡副大臣 お答えいたします。

 今、委員の方からお話がありましたとおり、海上自衛隊の派遣部隊は、本邦到着は約三週間後というふうになるわけでございます。

 現在、テロ特措法に基づいて協力支援活動に関する連絡調整を行うために、バーレーンに連絡官を二名派遣しているところでございますけれども、これらの連絡官につきましても、テロ特措法に基づく協力支援活動が終了しますものですから、連絡官の撤収に必要な手続等、これをしっかりと行った後、帰国する予定でございます。

笠井委員 交換公文についてはどうなりますか。

梅本政府参考人 交換公文でございますが、交換公文におきましては、まさに我が国がこの特措法に基づき提供するものについていろいろと定めているわけでございます。したがって、特措法の方が切れますと、まさにその提供が行われなくなるということでございますが、しかし、交換公文そのものは、一たん提供されたものを例えば仮に第三国に移転する場合には事前に我が国の同意をとるとか、そういうことが入っているわけでございまして、したがって、交換公文は、そういう意味では生きているということでございます。

笠井委員 これはいつまで生きているということになりますか。

梅本政府参考人 交換公文そのものには終了の規定というのはございませんけれども、まさに法に基づいて補給活動が行われなくなるわけでございます。したがって、行われなくなってしまえば、その補給をしたものが一たん使われてしまいますので、その時点で、事実上、この交換公文が作用するということはなくなるということでございます。

笠井委員 町村官房長官、本日二十四時をもって海上自衛隊による給油、給水活動などの根拠が法的になくなる、基本計画もなくなる、要するに、テロ特措法が失効するということになるわけですね。改めて確認したいと思います。

町村国務大臣 失効するわけでございます。

笠井委員 政府として、続けたいという願望を持っておられるんでしょうけれども、これまで言われてきたような延長とか継続ということではなくて、根拠法が失効する、こういう事態になるわけであります。さきの参議院選挙で示された民意があり、新しい国会の力関係が生まれて、そして、延長を許さないという世論が存在する中でこの日を迎えた。

 湾岸戦争への掃海艇派遣以来、政府の方針に反して任務半ばで帰還するという、初めての歴史的な事態ということに、これはなるわけでありますが、新法によって同様の活動を新たに行うかどうか、それが是か非かが問われるという新たな段階に二十四時以降入るということであります。

 高村外務大臣、ともかくも、そういう形で不朽の自由作戦から離脱をして、そして、新法ができるまで給油活動もできない、そういう状況が生まれた、こういう状況ですが、私、今だからこそ、やはり憲法九条を持つ日本にふさわしい外交の出番だというふうに思います。何がやれるか、立ちどまって真剣に、冷静に考えるべきときだと思う。

 一昨日の当委員会で、私は、アフガニスタンでは、治安が悪化するという状況がある中で、無辜の市民が犠牲になる状況を一刻も早く終わらせたいと、平和と和解のプロセスが始まっていることを、カルザイ大統領や、それから潘基文国連事務総長の発言も引用して紹介いたしました。そういうことについては福田総理も、これは委員の考えと同じだ、重要であると考えていると、その点については答弁をされました。

 そこで、それに関連して議論していきたいんですが、まず、外務省にお答えいただきたいと思います。

 最近、特に二〇〇五年ごろから新たに広がりつつあるアフガニスタンにおける平和と和解のプロセスということについて、具体的にどのような動きがあると承知をしているか、政府、議会の動きも含めて、特徴的な内容について報告していただきたいと思います。

奥田政府参考人 今、委員御指摘の、国内和平に向けたアフガン政府の取り組みでございますけれども、二〇〇五年の三月に和平強化プログラムというものがアフガニスタン現政権によって開始をされました。このプログラムは、反政府戦闘員に対して、アフガニスタン政府の正統性の承認、それから市民社会への復帰の機会を与えるというものでありまして、二〇〇七年五月まで約二年間の間で約三千八百名のタリバンが政府側に投降したというふうに承知しています。

 最近では、今御指摘の、カルザイ大統領、それから潘基文国連事務総長の御発言もありましたけれども、カルザイ大統領は、九月の末に、国連総会の機会に、我々はアルカイダ及びテロリストネットワークに参加していない多数派のタリバンと平和和解プロセスを進めつつある、現在のよい機会を利用してプロセスを進めなければならないというふうに述べました。

 それから、九月の末には、タリバン最高指導者オマルや、それからイスラム党の指導者、これは直接的にはタリバンではありませんけれども、イスラム党指導者のヘクマティアルに対して直接会談も提案をしておるということで、一歩歩を進めております。その点は、このようにアフガニスタン政府がこのような和平プロセスを推進していくという決意を表明している点は、我々としても大変重要であると思っております。

 他方、今のところ、タリバン報道官は、大臣や他のいかなる政府ポストにも関心がない、外国軍がアフガニスタンから撤退しない限りアフガニスタン政府とは交渉しないということを言っております。カブールのアフガニスタン政府側の大統領府の副報道官は、十月十五日現在ですけれども、そういうわけで、今のところ、タリバン司令官との交渉というものは行われていないというふうに述べています。

 したがって、基本的に前向きな動きが見え始めているのですけれども、まだまだこの先どうなるかということは予断を許さない状況であるなというふうに思っております。

笠井委員 今、るる報告がありました。前向きな動きが見え始めているけれども、いろいろとまだ、そういう点ではこれから注目するということだと思いますが。

 高村大臣、一昨日、私の質疑に対して総理は、我が国としては、国際社会と協力しつつ、アフガニスタン政府のこのような努力、平和と和解のプロセスという努力の問題だと思うんですが、支援してまいりたいという形で答弁をされました。どのような形で支援をしていこうとされているのか、あるいは、これまでもこういうことでやっているんだということもあれば、その点についてお答えいただけるでしょうか。

高村国務大臣 最近、カルザイ大統領や潘国連事務総長がアフガニスタンの国内和平プロセスを推進していく決意を表明している点は、重要だと考えております。今後の動向を注視する必要はありますが、我が国は来年G8サミット議長国でもあり、国際社会と協調しつつ、アフガニスタン政府の和平推進に向けた努力を積極的に支援していく考えであります。

 我が国はずっと和平推進のために努力して、復興支援会議、東京で二〇〇二年にやったのを初め、四回も我が国で会合を開き、そして一千四百億円ものお金を提供して人道復興支援に努めて、そしてDDR、国軍の武装解除、国軍といっても新しい国軍を再建する前の国軍の武装解除、そしてこれからDIAG、非合法武装集団の武装解除、そういうようなこともやってまいりますし、そして国際社会と連携をして国内和解ができれば、それはそれで大変いいことだと思いますので、そういうことに日本政府としても努力をしていきたい、こういうふうに考えておりますし、一方で、海上自衛隊の輸送活動は早く復活できればいいなと考えております。

笠井委員 一方でという話はまたあるわけですが、今、こういう進行しているプロセスに対する問題で、総理は一昨日の答弁の中で、外交は平和的に行われるべきだと思いますけれども、しかし、今のような状態で、それが不幸にしてできないということで、その状況をどうやって打開するか、それはあらゆるいろいろな方策を考えなければならないと思うと。改めて会議の速記録を見ながら、非常に意味深いことを述べられたなというふうに私、あの質疑を振り返りました。

 大臣は、そういう意味では、プロセスを打開するという点では、打開しなきゃいけないというふうなことを総理は言われたわけですが、どうやって打開するか。

 アフガニスタン国内で開始されている包括的な和平合意の努力を促進するというところで、今大臣も、国内和解ができればいいことだということで言われたわけですが、そのための国際環境をつくるための、本当に直近になってのこういう動きですけれども、どういう外交努力、あらゆるいろいろな方策ということで総理も言われたわけですが、どんなことを考えていらっしゃるのか、あるいは考えていかなきゃいけないなということで、もう少し具体的に、検討すべき中身というか、こんなふうなことを考えているということがあれば答弁をお願いしたいんですが、どうでしょうか。

高村国務大臣 この和解というのは極めて困難だということも一方で考えておかなければいけない話で、先ほど政府委員が言ったように、一方のタリバン側は、外国軍隊がいる限り和解はしないんだ、交渉に応じないんだ、こういうことを言っている。一方、今、外国軍隊が一気に引いてしまえば、それこそ、ただでさえ悪い治安がまさに混沌という状況になるようなことが目に見えている。

 そういう中で、今の治安をよくしていく努力、復興支援を進めて国民の生活をよくしていく努力、それと一緒になってこの和平ということを進めなければいけないわけで、そう簡単に、我々が和平交渉をやろうよ、それじゃ、やりますよと両方が言うような状況ではないということも一方で考えながら、まさに来年は洞爺湖サミットも行われる、そういう中で、政府一体となって、そして国際社会が一体となれるような、そういうことをいろいろ考えていきたいと思っております。

 具体的に言えと言いましたが、今、とても具体的な方策を言えるような状況ではないということであります。

笠井委員 タリバン側が、外国軍隊がいる限り交渉しないと言っている問題があると。私は何も、タリバンの立場を理解して何とかということではありませんが、しかし、なぜそういうふうに言っているかということについては、それはそれで見ていく必要があるんじゃないか。なぜ治安が悪化しているかという問題であります。

 一昨日も私、質疑の中でも紹介したわけですが、アフガニスタンでの議会での動きですね。上院の中でも、タリバンの戦闘員及びその他の過激派の掃討を中止すべきだ、交渉開始の働きかけが行われる間にタリバンへの軍事作戦は中止すべきだということを、議会でもそういう決議が上がるというのは、つまり、タリバンの理屈ということで、それを特別なグループというふうなことだけで片づけるのではなくて、なぜこんなに治安がこうなっているということについて国内でそういう議論があるか、これはよく見ていかなきゃいけないんだろうというふうに思うんですね。

 カルザイ大統領にしても、そういう状況をいろいろ見ながら、タリバンの中でも圧倒的には、ビンラディン、アルカイダとは違う人たちがいるんだ、そういう中でどういう努力をするかということで、先ほどおっしゃったような、内務省なんかがアフガニスタンで中心になって、DIAGということで努力をする。武器とか弾薬、これをもう手放すということになれば、その地域の開発プロジェクトをしようという形で、そこに国連や世銀なんかがプロジェクトをつける、日本も支援しているという話が先ほどあったんだろうと思うんです。だから、その辺はよく見る必要があるなと私は非常に思っております。

 それから、総理は、私の答弁で言われた中で、これも私、どういう意味かなと思ったんですが、国連の方が動くということも必要かもしれないし、我が国も一定の発言権もあるだろうし、そういう見えないような形でいろいろな交渉をするということも当然あるだろうと思う、ですから、当然、我が国の外交もそういう努力をする、今そういうことができない状況であるというのであれば、そういう道を探る努力をしなければいけないと。

 これは、なかなか見えないところでもいろいろあるのか。日本政府としても動いていこうかなという、今のプロセスが始まったということを念頭に置いて、そこを見られて言われているのかなというふうに思ったんですが、外務大臣は、そういう観点で、どういう努力が可能だとか、あるいは、見えないところでというのはちょっとどういうことかとは思うんですが、その辺のところは何かお考えはあるんでしょうか。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

高村国務大臣 見えないところでの努力をここで言っちゃうと見えちゃうことにもなるわけでありまして、本当に幅広い、あらゆる可能性を考えてやっていかなければいけないんだと思います。

 私たちは、スリランカだとかその他いろいろなところで和平努力をしているということもあるわけでありまして、このアフガニスタンの問題についても、日本は歴史的にアフガニスタンの人たちに嫌われているようなこともしてきておりませんし、それから、今かなりの人道復興支援もして、それなりに評価されている、アフガニスタンの人たちに評価されている。カルザイ大統領には自衛隊の補給活動も評価されているわけでありますが、そういうことも含めて、日本のプレゼンスというのはそれなりにアフガニスタンにあるわけでありますから、日本としても、あらゆる可能性を考えて努力をしていきたい、こういうふうに思っております。

笠井委員 カルザイ大統領も自衛隊の活動を感謝しているというふうに言われましたが、ある意味、支援を受けている方がありがとうと言うんでしょうね、それは当然だと思うんです。

 しかし、ごく最近になって、つまりあの発言、先ほどもおっしゃっていた、この春にそういう発言があったということでしたけれども、その後も、ごく最近になって、タリバンの高いレベルへの働きかけや呼びかけが始まっているという新しい局面も進んでいる。それだけ国内の状況がある。政府自身もアフガニスタンで何とかしようとしているという新しい段階になっているということであります。

 私は、外交努力が大事だとおっしゃった、そして前向きの動きがある、それをバックアップしようということも考えていらっしゃるということであれば、そういう努力を進めるというのならば、大臣、やはり米軍などによる報復戦争とか、それからタリバンを一からげにして標的にするような掃討作戦という、いわば治安の悪化をもたらす、そして政治プロセスの障害になるような軍事行動は中止させるべきだし、日本はそういう軍事行動の支援をやめるべきだということで、そこに踏み切りどきだ、まさにこの十一月一日ですけれども、そういう局面に入っていると思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

高村国務大臣 やはり国連決議でも、ISAFにしてもOEFにしても、これはみんな評価されている。それも、最初に評価されただけではなくて、最近に至っても評価されているわけでありますから、まさに国際社会の総意でありまして、それと同時に、やはりオサマ・ビンラディンは捕まえなければいけない。そして、そういう人たちをかくまっている勢力があるとすれば、やはりそれを捕まえるためには一定の力の行使ということも必要なことだ、こういうふうに思っております。

 それから、そういう軍事力の支援ということをおっしゃいましたけれども、今出している新法は、軍事力の支援はしないんですよ。要するに、海上阻止活動だけの支援をする、そういう法律でありますから、日本政府は軍事力の行使の支援をするということはありませんので、念のために申し添えておきます。

笠井委員 累次の国連決議を挙げられましたが、最近の国連決議についても、あのときも議論がありました。そして、安保理で全会一致にならなかった。ロシアは棄権するという形になって、かなり日本が働きかけをしながら無理をしたという話も大きく問題になりました。中国も、こういうことが繰り返されないようにということも言った。そういう問題があった問題であります。

 そして、ビンラディンを捕まえなければいけない、当たり前です。テロリストを捕まえなければいけないのは当たり前です。

 テロをなくさなきゃいけないということでありますけれども、そのために力の行使が必要だということでやることが、それが結局は一般市民の犠牲を生むと先ほども議論がありました。市民を標的にしているんじゃないんですと言うけれども、タリバンというのを標的にして十把一からげにやるという中に、結局、先ほど来アフガニスタン政府自身が苦労している、タリバンというのは一つじゃないんだ、そういう中に、そういう意味ではきちっと社会復帰できるとかという人たちがいるんだというところにぼんと掃討作戦をやれば、そこで犠牲を生むのは当たり前なので、そういうことがかえってまた反発を生むということで、事態が悪化しているという問題があるわけであります。

 そして、新法は軍事力行使の応援じゃないと言われますけれども、しかし、海上阻止行動という形でこれを新たに新法によってまたやろうということになったときに、では、その給油を受けた米軍などの艦船が空爆作戦をやるということについては否定されないわけでしょう、この間の議論だって。結局、そういうことを支援するということにつながっていくわけです。したがって、その問題というのは、私は本当にきっぱりこの点でけじめをつけるべきときに来ているというふうに思うんです。

 では、高村大臣に伺いますけれども、先ほども紹介しましたアフガニスタンでの上院の決議だけじゃありません。九月九日に公表された国連のアフガニスタン支援ミッションの報告書でも、軍事的対応について、不幸な効果をもたらすことにしかならないだろうということを述べている、そういう言及がある。そして、日本がとにかく一緒にやっているという国々の中でも、イギリスの軍隊のジョク・スターラップ参謀総長も、アフガニスタン問題や世界じゅうの問題を軍事的に解決できるとの誤解が広がっているけれども、これは誤った認識だ、全体的に見ればこれらの問題は政治的にのみ解決できると。私、イギリス軍の参謀総長がそういうことを言うのは、ある意味で非常に注目をしました。

 やはりそういうことが、アフガニスタン国内だけじゃなくて、日本が一緒にやっているという国々の中、あるいはNATOの国々の中でも、増派についてもいろいろ議論があります、これ以上また軍事的にやっていいのかどうかと。国内の世論もある。そういう事態がなぜ起こっているというふうに大臣はお考えでしょうか。

高村国務大臣 日本政府も、軍事的力の行使だけでこの問題が解決できるなどということを言ったことはないわけであります。

 ただ、今、アフガニスタン政府には一定の治安維持能力もまだ備わっていないし、そしてタリバンの残党というのも相当の力を持っているわけで、そういう中ではやはり国際社会が治安の維持についてもお手伝いする必要がまだまだあるというのは、これは現実であります。

 我々は、お金を出すだけではなくて人も出して、そして人道復興支援をしていきたい、こう考えるときに、治安が本当に悪い中では人も出せない、そういう状況もあるわけで、治安がよくなることと、人道復興支援ができて復興が進む、復興が進めばまた治安もよくなる、こういういい循環にするために、そのいい循環にするために一定の力の行使も、それも国際社会の連帯した総意に基づく力の行使も必要だ、こういうことを申し上げているわけであります。

 それからもう一つ、日本の貢献等を評価した安保理決議について、ロシアは棄権したじゃないかと言ったけれども、十五の安保理理事国のうち十四が賛成したんですよ。一つが棄権した。

 そして、棄権した国のラブロフ外務大臣にこの間お会いしました。お会いしたときに、私たちはこれに反対だから棄権したんじゃないんですよ、ただ、この決議をするのに時間が余りにも足りなかったから、もう少し時間をくれ、もっとよく説明してくれと言ったのに、時間が足りなかったからやむを得ず棄権したんです、これからはもう少し日本とも直接話し合っていきましょう、直接話してください、こういうお話がラブロフ外務大臣から直接ありました。棄権した一カ国も決して反対ではないと明確に私におっしゃいました。

笠井委員 ロシアの外務大臣と直接お会いになったのは高村大臣ですから、その直接話した中身というのは今御紹介のようなことなんでしょう。

 しかし、今御説明の中にも、説明に時間が足りないという形で言われたわけですね。では、なぜその説明不足のままそういう形で決議まで持ち込んだのか、それだけ焦ったのかという問題が逆に浮き彫りになってくるわけですよ。国連安保理でいえば、この種類の決議は全会一致でやってきた、しかし、海上阻止行動というのは国連の行動じゃないから、そういうことも含めて、そこに入れるのは違和感があるという議論もあった中で、しかし、時間が足りないというふうにロシアの外務大臣が言われるような形で決議を通すようなことになったわけですね。その点は、私は、今の御答弁の中でも非常に、そんなに無理したのかということを実感したというのが一つあります。

 それから、今、軍事力の行使だけでということではないんだと言われましたが、しかし、軍事的な行使ということが悪循環を呼んでいるというのが、それが実際にアフガニスタンの国会の中でもそういう問題意識のもとに決議が上がっているし、それから世界の各国の中でもそういう声が上がってきているというわけであります。

 よく、車の両輪という形で政府が説明されます。両者やるんだ、軍事の面とそれから民生の面と。そういう問題の立て方はおかしいんじゃないかというのが私の非常に感じているところです。軍事ではなくて政治解決ということで、実際にこういう動きが起こっているんだから、それを後押しするという形で日本が専心する、それができるときに今来ているんじゃないか、十一月一日二十四時。こういうことで、本当に考え直すべきだと私は考えているんです。大臣、どうでしょうか。

高村国務大臣 先ほどから申し上げているように、政治解決が必要だ、人道復興支援が必要だ、そういうことについては全く反対をしていない。それどころではなくて、一生懸命日本政府はやってきている、やってきているんです。

 ただ、やはりタリバンという勢力がまだ残って、そして相当の実力を持っている。そういう中で、治安がうまくいかない、カルザイ政権はまだ弱体だ、そして国際社会に助けを求めている、国際社会の総意で助けよう、こういうことでありますから、日本も国際社会の一員として、日本自身は武力を行使したり、直接自衛隊を出して何するということではありませんけれども、やはり国際社会の努力は理解をしていかなければいけないんだろう、こういうふうに思います。

 それから、安保理決議を急いだのは日本じゃないんですよ。安保理決議、あれはドイツの国内事情でドイツが急いだということは、これは客観的事実でありますから、申し上げておきます。

笠井委員 安保理決議について言えば、では日本は待てと言えばよかったんです。もっと急がないでよくここはやろうじゃないかということで国連の中でもやればよかったんです。ロシアがそういうことを言うようなことを日本の側からだってできたはずであります。

 しかも、今、大臣、今のアフガニスタン国内で起こっている努力というので、大いにそれはバックアップするし、やってきているということを言われましたが、そうであればこそ、それを台なしにするようなこと、それをおくらせるようなこと、逆行させるようなことは、今立ちどまって、この時点だからやめるべきだ、考え直してやめるべきだ、自衛隊を撤退して、もう行かないということではっきり決断して、そういう形でやるべきだ、それこそ本当にアフガニスタンの問題を解決する上でも大事だということを私は強調したいと思います。

 もう一つの問題、きょうは取り上げたいのは、給油活動にかかわる燃料調達をめぐる問題であります。

 総理は三十日の閣僚懇談会で、今問題の随意契約を見直して、契約を監視するための第三者機関を設置するように指示されたということであります。

 そこで、防衛省にまず伺いますけれども、守屋前次官と山田洋行の癒着疑惑で改めて浮き彫りになった問題、随意契約の不透明さでありますけれども、同じような実態が海上自衛隊の給油活動をめぐってもあるのではないかと先ほどもありました。

 そこで、防衛省にまず質問しますが、給油活動のための艦艇用燃料、これは軽油二号というものでありますけれども、この調達の企業選定の経緯、六年間の契約総額の簡潔な説明をしてください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 艦船用燃料の調達に当たりましては、現地で部隊運用との連接性と即応性、特にこの即応性ということが一番大事なわけですけれども、このことを確保しつつ、安定した確実な供給能力のある企業と契約する必要があるわけであります。

 そこで、平成十三年と、また十六年にも実施しておりますけれども、供給能力調査ということをさせていただきまして、結果的に二社のみがこの能力があるというふうに判断されたところでありました。さらにまた、事故等によりまして契約企業の供給能力を失う場合ということがあるかもしれない、そういうことに備えまして、複数の供給元を確保する必要があるだろう、そういう観点から、艦船用燃料の調達に当たっては、確実な供給能力がある二社以上の企業との契約が必要となったわけでございます。

 なお、平成十九年に、このときにはまた公募を行いました。公募を行いましたけれども、応募者は平成十三年、十六年に実施した供給能力調査によって出てきたこの二社のみだけだった、そういうところで、同じ理由から、当該二社と随意契約を行ったということでございます。

 加えまして、あくまでもこの契約を秘密として行うということは契約の目的が競争を許さないということもありますけれども、これらのことから、会計法第二十九条の三の第四項に係って随意契約を実施しているところでございます。

 また、テロ特措法に基づきまして、現地での艦船用燃料調達に係る契約に当たりましては、調達した燃料を海上自衛艦艇に納入する場所等の契約内容について、万が一公にするようなことになった場合におきましては、自衛隊によるテロ特措法に基づく活動の円滑な遂行を妨げるおそれ等があることから秘密とする必要があるために、会計法第二十九条の三第五項の規定によるところにおいて随意契約ということを行っているというところでございます。

 そして、調達実績でございますけれども、現地調達実績、十九年度の現在において、総額七十四万キロリットル、三百五十三億円になります。

 以上でございます。

笠井委員 今、供給能力調査を行ったというふうに、その結果二社ということで言われましたけれども、何社を対象にして調査をした結果二社になったんでしょうか。

江渡副大臣 お答えいたします。

 当初、十八社でございます。

笠井委員 給油活動が開始されてから六年間に三百五十三億円ですか、にも上る契約が二社のみと随意契約で結ばれているわけでありますが、今話もありました、先ほどもありましたけれども、その二社の企業名は非公表ということであります。

 そこで、随意契約といっても、通常の競争入札と同じく、予定価格というものは設定していると思うんですけれども、その点はどうか。また、その予定価格を事前に企業側に知らせることはあるでしょうか。お答え願いたいと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 予定価格につきましては、前回契約したその実績というものを踏まえさせていただきまして、石油価格の動向とか、あるいは企業が提出する見積価格等、これらをしんしゃくさせていただきまして、適正に設定しているところでございます。

 なお、算出方法の詳細につきましては、今後の契約に係る予定価格を逆に企業側に推定されるというような形になるかもしれませんので、その辺のところの答弁は勘弁いただきたいと思います。

笠井委員 もう一つ答えていらっしゃらないんですが、予定価格を事前に企業側に知らせることはありますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきます。

 ございません。

笠井委員 これは、現場では、予定価格というのは封筒に入れて、業者の方がいる、かなり緊張した話し合いになる、そしてそれが深夜にまで及ぶということであって、こちらでは知らせない、明かさないということであります。そのように、私、承知しております。

 石破大臣、防衛省としては、随意契約といえども、通常の競争入札と同様に、予定価格を設定して、透明性、公正性が担保された契約がなされているということを先ほどの説明でもおっしゃりたいんだろうと思うんですけれども、果たしてそうかという問題であります。

 防衛省が予定価格を公表した二〇〇二年四月からことし四月までの過去五年間のこの二社との随意契約の実績、百三十七件というのがありますが、これは防衛省の資料でありまして、私もそれを調べてみました。その結果、落札率、予定価格に占める契約額の割合ですけれども、この百三十七件のうち、一〇〇%という契約が全体の九六%、百三十一件を占めております。

 予定価格は明らかにしない、類推されては困るという形で、そういうふうに言われていながら、これだけの、一〇〇%が全体の九六%あって、そして百三十一件もある、これは不自然だというふうに石破大臣は思われませんでしょうか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 予定価格の算定の方法につきましては先ほど副大臣からお答えしたとおりでございますけれども、当然、その水準につきましては、企業側に最大限価格低減努力を促すということで、厳しい査定を経て算出するわけでございます。

 そういう結果、これも当然のことかもしれませんけれども、予定価格は企業側の見積価格を下回る厳しいものになるのが常でございまして、その上で、会計法令の定めによりまして、予定価格を超えない価格をもって契約するということが当然義務づけられております。

 先生おっしゃられましたように、そういう前提に立って省議ということが行われるわけで、しばしば長時間に及ぶわけでございますけれども、そういうぎりぎりの省議の結果、ようやく予定価格を超えない価格になったところで落札するということで、落札率が一となるケースが多くなっている、そういう現状でございます。

笠井委員 極めて不自然だと思うんですよね。だって、そういう形で、相手にも知らせない、そして、いろいろこれを積算すると言われるけれども、では、何で予定価格なんか必要なのかという話になってきますよ。そういう形でやっている、予定価格を設定して通常の契約と同じ仕組みで同様にやっているというんだったら、これまた、全契約の九六%を占めるなんということはあり得ないと思うんです。

 それだけではありません。この百三十七件の随意契約のうち、落札率が一〇〇%でないものが、二〇〇二年の五月二十七日に二件あります、二件。それから、ことし一月三十一日に四件ということで、合計六件が一〇〇%にはなっていない。しかし、それぞれの別個の契約が実施をされまして、予定価格も概算価格も異なるにもかかわらず、その落札率を見ますと、二〇〇二年五月の二件は、二件ともに九九・二%であります。そして、ことし一月の四件でも、すべて九九・四%という形でそろっています。

 しかも、これはA社、B社と二つあるわけで、A社、B社、こう書いてありますけれども、A社の場合、ことし一月三十一日の二件の場合、九九・三七五%と下三けたまで全く一緒なんですね。そして、B社の場合二件ありますが、計算しますと、これはもうどこまで先に行くかわからないんですが、九九・三六六六二三五九と続いていって、下三十一けたまで全く一緒なんです。予定価格が事前に二社に漏れているんじゃないかと言われても、これは違いますよとだれが言うのかということになるんじゃないかと思うんですよ。

 この間のいろいろな事態がありました。公式の場では厳しいやりとりをしている、緊張した中で夜中までやっているというふうにしながら、国民は考えますよね、別の場所、ゴルフがある、接待がある、そういうところで予定価格を漏らしていると。このあたりで、もうちょっと上、もうちょっと下みたいな話があるのかもしれない。そんな官製談合が行われているのではないかと指摘されても仕方のない実態だと思います。

 石破大臣、おかしいと思いませんか、これは。石破大臣に大臣の認識を伺います。大臣、石破大臣。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、契約によっては一円単位まで一致しているということがあるわけでございますけれども、事情を申し上げますと、この契約は大きく二つの部分に分かれておりまして、一つはいわば燃料本体の価格、もう一つは諸経費の部分でございますけれども、諸経費は実費精算になる関係で、予定価格も企業の見積価格をそのまま受けておるわけでございます。

 したがって、その部分は一円単位になる場合がある、ある場合というか、そういうケースが多いわけでございますけれども、燃料価格の方は、そういうことはございませんで、もう少しけた数の大きいところで予定価格を出すものですから、あとは、先ほど申し上げた事情で、折衝していく過程で、当然、キロリットル当たり百円単位とか千円単位になりますと、この水準はここというところが一致するということでございますので、一円単位でもってそれが知られているということでは全くございません。

笠井委員 見積もりをそのまま受けている部分もあるということを一方で言われましたが、そんなようなことをしながら予定価格を設定すること自体が今問われてきていると思います。

 しかも、先ほど、燃料というのは値段が決まっているんじゃないかというふうに言われましたが、そんなことを言うなら、予定価格なんてあえて言ってそんな厳しい話をしなくたって、自動的にぱっといくという話になるはずです。しかし、あえてこの問題でもやるということになっている。契約も別個に実施をされて、予定価格も概算価格も異なるにもかかわらず、落札率が九九・二%とか九九・四%とか一〇〇%とかそろっていくということがあり得るのかと。先ほどの説明を聞いても、私は納得できません。余りに不自然。企業側が予定価格を事前に知ることなしに不可能じゃないかと。しかも、その二社の名前については、先ほどありました、企業の正当な利益を害するおそれがあるということで公表できないと。

 私、一体どこが正当な利益なのかというふうに思うんです。正当でも何でもないんじゃないかと。随意契約を見直すというなら、こうした実態にもきちんとメスを入れるべきじゃないですか。

 石破大臣、今度は大臣。不自然と思わないか、そしてメスを入れるべきじゃないか。これは入れなくていいと言ったら、これはもう全然国民は納得しませんよ。

石破国務大臣 国民というのはだれを指すのか、これはなかなか議論のあるところでありますが……(笠井委員「国民ですよ、一億二千万人」と呼ぶ)いや、一億二千万人と言われましても、それは全員がどうかはわかりません。それはいろいろな党の支持者の方がおられるわけであります。

 ただ、この予定価格の算出方法について、今申し述べましたような理由で示せないということになっておるわけでございますが、過去の予定価格についてはどうであったか、これも出せない部分はたくさんあります。確かにそうなのですが、本当に何にも出せないのということについては、ちょっと考えさせてください。何も本当に出せない、出せない、出せないで、私は別に、そういう作為があったとか、ゴルフやマージャン、そういうところで何か話が決まったとか、そういうことだとは全く思いませんが、全く何も予定価格の算出方法について出せないのかどうなのか、過去についてはどうなのか、少し検討させていただきたいと思います。

 基本的に、私はそのような、委員がおっしゃるような談合によって価格が決まったとは全く思っておりません。

笠井委員 予定価格が出せないというふうにやってきて、こういう結果になっているんですよ。それを、こんな不自然なことになっている。国民と言われましたけれども、これは党派に関係ないです。だれが聞いたっておかしな話です。それを見直すとかあるいはメスを入れる、きちっと見てみる、調べてみる、大臣、それぐらい言わないと、これは大きな話ですよ、三百五十億円という。それはいかがですか。

小川政府参考人 大変恐縮ですが、繰り返しの説明になる部分もございますけれども、ぴったり一致しているということは、さっき先生、諸経費についても、見積もりをそのまま予定価格にするのはおかしいということをおっしゃられましたけれども、あくまで燃料価格全体の、大部分は燃料本体価格でございまして、現地における油槽船、バージとかタンクの諸経費の部分は実費精算で、払った分を出すという関係で、そこを予定価格に入れても意味がないものですから、便宜上、もらったものを入れておるということだけでございますので、燃料本体価格については、当然ながら、企業側に何ら示されていない、全く秘密になる中での厳しい省議をしております。

笠井委員 示されていなかったら余計でしょう、こんなに一致するというのはおかしいじゃないですか。

 大臣、これは調べてみる、調べます、その一言ぐらい言えないんですか。いかがですか。なかったら大変ですよ、これは。調べないというのはおかしい。

石破国務大臣 いやいや、笠井委員初め多くの方々にまだ御得心をいただけないようでございますので、御得心がいただけるようなきちんとした説明ができるようにいたしたいと存じます。

 ただ、私、今参事官が申し上げましたように、これはもう、いろいろなことから積み上げますと、こういう率になるのも、それは事の当然というふうに考えております。

 したがいまして、御納得いただけるような説明の仕方、それがどのようなものであるか、そのためにどのような数字が、さらに必要なものがあるかどうかは検討はいたします。

笠井委員 先ほど公募という話もありましたが、既にことし四月に公募で行われた二件を見ても、いずれも随意契約が結ばれて、落札率は一〇〇%なんですね。公募にしても、何の見直しにもなっていないわけです。これは本当にきちっと調べて見直すべきだ。今、調べてみます、ちゃんと報告しますと言われました。やっていただきたい。事は、海上自衛隊の給油活動に関する艦船用燃料の調達をめぐって官製談合が行われているんじゃないか、こういう疑惑のかかる問題ですよ。本委員会の審議にもかかわる重大問題だ。

 公正取引委員会、お越しいただいていると思いますが、厳正な調査を求めておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 個別事案につきましてはお答えを差し控えさせていただければと思いますけれども、独占禁止法の観点からの一般論を申し上げさせていただきますと、今、入札等のいろいろな発注に当たりまして、競争関係にある事業者が共同して受注予定者などを決定する、それによって競争を制限するような場合には独占禁止法に違反する行為となりますけれども、単に落札率が高いなどの外形的事実だけをもってしては、直ちに問題とすることはできないと考えているところであります。

笠井委員 こういう形で、とにかく三百五十億円の税金が使われているということでありまして、きょうからガソリンが上がるわけです。そして、とにかく庶民は、一円、二円ということで安いところという形で行くわけです。そういう形で必死な状況の中で、政府、防衛省は、これは軍事のことであるからなかなか明らかにできないとか、テロとの関係があるという形で、結局そういう形で明らかにしないでいろいろ進めている。それがまたいろいろな温床になる。実際に守屋さんの問題もありました。

 こういう形で国民の税金が五兆円ということで防衛費、軍事費に使われているという問題でありますから、ここに本当に今メスを入れなきゃいけない。こういう問題が非常に今問われているということを強く強調して、質問を終わりたいと思います。

深谷委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 アフガニスタンの問題に入ります前に、石破大臣に、一、二、不祥事の問題をお伺いしたいと思います。

 石破大臣は、防衛関係の会社などと宴席やゴルフに行ったことはありませんか。どうですか。

石破国務大臣 私も、この仕事、二十二年目でございますので、当選一回、二回ぐらいのときに全くなかったかと言われると、それは、もう全く、絶対ゼロですという一〇〇%の自信があるわけではございません。ただ、防衛関係の仕事をさせていただくようになってから、ゴルフ、マージャン等々、防衛関係の会社とやったことはございません。

辻元委員 防衛省の中でも深刻に受けとめて調査をなさっていると伺っています。以前は、例えば談合問題などが出たときはアンケートをかなり広範にとったりされたと思いますが、そのような調査をされるおつもりはありますか。

石破国務大臣 特別監察を実施しておるのは、先生御存じのとおりでございます。これは新たにできた制度でございまして、当面、本省の課長以上あるいは将補以上四百二十名を対象に特別監察を今実行中でございます。

 あわせまして、今先生御指摘のアンケート、私はアンケートという言い方は余り好きじゃないのですが、聞き取りですね、あなた、そういうことをやったことはありませんか、このくだんの山田洋行、日本ミライズ以外も含めてやったことはありませんかという、問い合わせといいますか聞き取りといいますか、これを現在実施しておるところでございます。

辻元委員 その中で、新しく守屋前次官のような行為、あれほどひどくなくても、二百回とかですね、をしていた者が出てきた場合は、きちんと厳しくさらに聞き取りをし調査をするということですね。

石破国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

辻元委員 私が理解できないのは、この間から本委員会でも、大臣経験者の方には聞き取りなどをされないということなんです。

 私は非常に深刻だと思うんですね。守屋前事務次官、そして、例えば久間長官、大臣をされていますけれども、久間さんの場合は宴席に行ったことがあるという御発言までされているわけですね。

 特に、昨年、防衛施設庁の談合案件にかかわる調査報告書について、安保委員会でもかなり厳しく各委員が議論しました。その調査報告書を出して、絶対こういうことが起こらないようにすると言ったときの責任者が、守屋事務次官であり、当時の久間防衛庁長官だったわけです。

 この談合の事案というのは、五十年代から防衛庁の中で行われ、そして天下りの数で割り振り表を決めて、天下りの数が多いところにはそれだけの仕事を回す。皆さん御承知だと思いますよ。というような談合が五十年代から行われてきた。それをなくすために徹底的にうみを出すという先頭に立った人が、あのときは守屋事務次官であり、久間防衛庁長官であったわけです。ですから、物すごく深刻ですよ。

 ですから、私、大臣経験者だけ聞き取りから排除するというのではなく、この際、何も後ろめたいことがなければ大臣経験者の方だってちゃんと聞き取りに応じられると思いますので、石破大臣、それぐらい深刻な事態でありますので、大臣経験者も含めて調査をされるという決断をなさった方がいいと思いますけれども、いかがですか。

石破国務大臣 施設庁事案のときの長官は額賀福志郎長官ではなかったかというふうに思っております。(辻元委員「いや、調査報告書の」と呼ぶ)そうですか、済みません。その時期か。何しろ大臣がよくかわりますもので、ややこしいのでありますが。

 私どもが守屋前次官あるいは現職の者に聞き取りを行っておりますのは、それは捜査権に基づいてやっているわけでも何でもなく、自衛隊倫理法あるいは規則に反したかどうかということに基づいてやっているわけでございます。長官、大臣、まあ長官も国務大臣でございますが、彼らに対して、私も含めまして、そういう倫理規程がかかるかというと、これはかからないわけですね。

 そうすると、いかなる権能をもってかつての経験者の方々に聞くかというと、それは権限の淵源というのがないわけでございます。そうすると、一種の越権行為みたいなことになりますので、当省といたしまして、かつて長官を経験された方々、大臣を経験された方々に権限なくして聞くということはなかなか難しい。やるべきだという委員のお気持ちは、私もよくわかりますし共有する部分もございますが、権能なくしてやることは難しいという判断をいたしております。

辻元委員 私は、それより深刻な事態だと申し上げているのは、初当選は十一年前なんですけれども、安保委員会にずっと所属しておりまして、安保委員会は不祥事始末委員会かと言われるぐらい、この十年間ぐらい不祥事の問題を議論してきたことは御承知のとおりですよ。情報流出案件もそうですし、薬物問題、いろいろな問題をずっとしてきたわけです。今に始まったことじゃないわけですね。ですから、私は、さらにこれは求めていきたいと思います。

 そういう中で今回新法を出されていますけれども、新法を出す資格はない、もう一度しっかり内部を引き締めてから国際協力をどうするかと言う資格があるんじゃないでしょうか、私はそう思いますよ。(発言する者あり)

 今回、先ほどから油の調達の問題も出てきていますけれども、いろいろな疑惑が出てきているわけです。それは、先ほどからイラクへの給油の転用疑惑とか、それから、それぞれ自衛隊という実力部隊が海外に出ていったときに、法律にどれだけ合致して活動するかというのは最低限のルールですよね、そこにも疑惑が出てきているという事態なんです。今、別次元という話が出ましたけれども、別次元ではないと思います。国内では深刻に受けとめるべきだと思います。そういう認識に立って、今回の新法及びアフガニスタンの問題について質問をしたいと思います。

 私は、この六年間、やはりイラクもアフガニスタンも泥沼化してきているんじゃないかと思うんですね。テロの対策というのは、しっかりその原因を分析する、状況分析をするということじゃないと、対策が打てないと思います。ですから、その原因の特定とか、今までやってきたことが本当にこのテロ対策にどれだけ効果があり、何が問題だったのかということをここで立ちどまって考える、そして、転換すべきことがあれば勇気を持って転換する時期ではないかというように思います。

 これは日本だけではなくて、国際社会というわけですけれども、例えばドイツやアメリカや、それから、オランダもそうです、カナダもそうです、さまざまな議会で激論が闘わされていますよ。ドイツでは、つい先日は与党の中からも反対者や棄権者が出たんです。あそこは大連立を組んでいますから、数でいえば賛成者が多かったようですけれども、しかし、世論調査をしても六一%が延長反対というように新聞にドイツでは出ています。ですから、そういう意味では、これは国際的に、今、このテロ対策というものをここでちょっと立ちどまって考えないとまずいぞという声があると私は思うんです。

 確かに、派遣している国の、例えばメルケルさんもそうですよ、国内的に反対の声があっても延長法案を通したい。お立場は一緒ですよ。ですから、野党が言っても、それは守りに入るから、日本も離脱せんといてな、どこも離脱せんといて、日本が離脱したらドイツもと国内で言われる。それは、今政権をとって参加している立場の者にとってはそうかもしれません。しかし、一たび世論とか、それからイスラム社会がどう見ているかとか、大きな範囲で今やはり検討し直すべきだと私は思っています。そういう観点から質問をさせてもらいます。

 高村外務大臣にお伺いします。

 この間の委員会で、給油活動の実態の検証ということで、今までの六年間の実態の検証の中で、日本が給油した油はOEF全般に最初使われていた、それがだんだん減ってきて、MIOが中心になってきたという御答弁をされていますね。それで、アフガニスタンへのミサイル空爆、ミサイル攻撃を日本は給油活動で支援してきたということで間違いはないのかという質問に対して、間違いはありませんと、これは十六日の参議院の予算委員会で答弁をされています。

 MIO以外の活動、要するにOEF全般に支援していて、だから、このミサイルとかの攻撃にも給油支援していたというのは間違いないとおっしゃっているんですけれども、具体的にどのような事例があったのか、どのようなことをしてきたのかを御答弁いただきたいと思います。

高村国務大臣 テロ対策特措法は、九・一一テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める諸外国の軍隊等の活動に対する協力支援活動を定めているわけであります。

 政府としては、インド洋における海上阻止活動を含め諸外国の軍隊等が不朽の自由作戦のもとで行っている活動については、一般にこの法律に基づく協力支援活動の対象となるものであると考えているわけであります。不朽の自由作戦におきましてはアフガニスタン国内でのアルカイダやタリバンの掃討作戦も行われており、海上自衛隊はこれらの作戦を海上から支援する米国等の艦船に対しても補給を行ってきた、これは間違いないところでありますが、それらの作戦の詳細については公表されておらず、我が国としても承知をしていないわけであります。

 間違いないと言いましたが、私が多分そうだろうと思ったということでございます。

辻元委員 間違いないという高村大臣の御答弁は一カ所じゃなくて連発しまくっているんですね、この間。

 それで、もう一つ事例を挙げます。ちょっと確認させてほしいんですけれども。

 岡田さんが、予算委員会で、OEFという作戦の一環としてアフガニスタン本土にミサイル攻撃をしたりあるいは爆撃機や戦闘機を飛ばして攻撃するということは、そういう艦船に対して自衛隊が間接、直接に給油するということなのかという質問に対して、そういうことはやってきた、そういうことに海上自衛隊が補給をしてきたことはありますと。

 要するに、これによりますと、爆撃機や戦闘機を飛ばしたり、そういう攻撃をするための艦船に給油をしてきたということでよろしいですか。

高村国務大臣 そういうこともしている艦船に補給をしたというふうに認識をしております。

辻元委員 ということは、そういうこともしている艦船というのは、そういう爆撃機を載せていくとか、それを支援するとか、そういう理解であると思うんです。

 旧法によれば、きょう切れる旧法によれば、旧法の第三条関係の別表の備考というところに、私今持っていますけれども、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油は含まない、戦闘に行く航空機については含まないと旧法ではされているわけです。これを含まないとした理由は何ですか。

高村国務大臣 私が答えるのが適当かどうかちょっとわかりませんけれども、それは武力行使の一体化との関係、そこを幅広くとってそうしたんだろう、こういうふうに思います。

辻元委員 私は、このテロ対策特別措置法が六年前に審議された委員会の委員でした。それで、この範囲について大分議論した覚えがあるんです。中谷さんが大臣だったですね。

 高村大臣、今、武力行使……。ちょっと、教えなくてもいいじゃないですか、高村さんと議論しています。武力行使との一体化の範囲ということを今おっしゃいましたね。結局、このときも集団的自衛権の行使の議論になりましたよ、何が集団的自衛権に当たるのか当たらないのか。爆撃に行く攻撃機にいきなり給油するのは、集団的自衛権に当たるんじゃないかという指摘が強かったから排除したんじゃないですか。

高村国務大臣 油の補給自体は、いかなる意味でも実力行使ではありませんから集団的自衛権にはなりません。

辻元委員 そうすると、艦船はよくて、航空機を排除した理由をもう一度聞かせてください。

高村国務大臣 このような支援を我が国が行うことが現実には想定されていなかったことから、明文で除外したと認識をしております。

辻元委員 そうすると、爆撃に行く航空機を運んで船が行くわけですよ、これは結局航空機そのものに給油することと同じでしょう、やっていることは。違いますか。

 本法案では、航空機そのものに給油することは禁止されているけれども、あのとき高村さんは、今、OEF全般の活動について支援するんだから給油はできるんだ、爆撃に行く飛行機を載せている艦船の給油支援はとおっしゃったわけですけれども。あのときの議論は、高村大臣は、テロ対策特別措置法の審議のとき、ミサイルを飛ばしたりなんかすること、そういうことについての補給もあるということは、当然、そのとき説明があっただろうとこの間答弁されているんですね。こんな説明なかったですよ。航空機は除外されているのに、それを載せていく艦船も私は同じだと思いますよ、そこへの補給も。

 結局、あの法案をつくるときに、航空機及び攻撃に使う艦船に対しての給油という話はなかったし、かつ、航空機に給油することと爆撃に向かう航空機を載せていくその艦船に給油することというのは、結局、私は武力行使の一環であり同じことをしていると。

 ただ、MIOと攻撃に行く船、これは全然性質が違うじゃないですか。ですから、そういういろいろな議論があって、航空機はもっと直接的だからやめておいて、そして艦船ならそのときは議論できなかったからいいだろう、これは、結局、私はイラクの転用の問題と同じ性質のことだと思いますよ。いかがですか。

高村国務大臣 現行のテロ対策特措法においては、まさに御指摘のとおり、協力支援活動として行う物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備は含まないものとしているわけであります。こういうふうに、こういうことは含まないよと除外したということは、まさに船に対していけないということはないですよということではないでしょうか。

辻元委員 そういう読み方ができることは、私理解できるんですよ。

 しかし、航空機は入れないというのは、集団的自衛権の行使、武力行使と一体化するじゃないかということが議論されて、それでわざわざ航空機を除外したんです。しかし、その戦闘する航空機を載せていく船も同じ。この六年間、そういう攻撃に……(発言する者あり)そんなことないですよ。石破さん、何かあるんだったら言っていただきたいと思いますけれども。

 結局、これは集団的自衛権の行使の議論が最初からくすぶっているんですけれども、そこをうまくこの間ごまかしてきた。イラクの転用問題もごまかしてきた。そして、実際現地でやっていることは何かといえば、攻撃していく、発進中の、爆撃機も載せていく艦船に給油してきたということは、私は、これは集団的自衛権の行使、本法ができるときの六年前に議論があった、これに抵触する行動をしてきたと思いますよ。

高村国務大臣 平成十三年の十月十五日に、衆議院のテロ特委で中谷国務大臣がこういうふうに話しております。米軍からそのようなニーズがなかったという点で外しておりまして、今回も同様に、そのようなニーズがないのではないかというわけで外したわけであります。

 ニーズがないから外したと、当時の国務大臣がそういうふうに答えております。

辻元委員 それは、中谷さんが答弁したことは知っています。しかし、議論が随分あったことも中谷さんは御存じだと思います、集団的自衛権の。中谷さんに言っても仕方がないんだけれども、大臣じゃなくて。議論があったんですよ。

 この六年間やってきたことを点検するという意味で、私は、そのような、要するに攻撃対象の、攻撃をするというものに直接給油しているということがこの委員会でかなり明らかになってきましたけれども、多くの委員が想定していなかったことであるということは、今、石破大臣、うんとおっしゃいましたけれども、しかし、そういうことに使ってきた。

 そこでお伺いしたいと思うんですが。

 この間、MIO以外には使わないという答弁もされています、新法はOEF・MIO以外の活動には補給できないと答弁されていますね、高村大臣。きょうは、実態的にとかいう発言がまた出てきているわけです。そうすると、今まではそういうことをやっていたけれども、今回は、OEF・MIO以外は、もう一度確認したいと思いますけれども、給油は行わないと。今まではそういうことをしてきてしまった、でも、これからはしませんよということですか。

高村国務大臣 OEF・MIOに従事している艦船に補給をするということを言っているわけです。時々艦船というのはほかの任務もあわせ持つことがあるわけで、私が実態的ということを言ったのは、何かをごまかすために言ったんじゃなくて、むしろ、ごまかしませんよという意味で言ったんです。

 それは参議院の予算委員会だったと思いますが、野党の委員が、OEF・MIOの活動もやっているという冠さえつければほかのことをやることが主のあれでもいいんですか、こういう話がありましたから、いや、冠さえつければいいというのではなくて、OEF・MIOの活動を実態的にやっている、そういうものじゃなきゃだめですよと、むしろごまかさないために言った言葉であります。

辻元委員 その実態的な中身は、先ほどの御答弁ですと、例えば二十万ガロンだと、二十万ガロン分はその給油した直後にMIOの活動をしてもらわないと困るという御答弁でしたよね。その実態的というのは、そういう中身のことを想定しておっしゃっているんですか。

高村国務大臣 補給する際に、海上自衛隊の連絡官が、今まではOEFも含みますけれども、これからはOEF・MIOの活動で、これから、例えば二十万ガロンなら二十万ガロン分、OEF・MIOにこうやって活動します、そういうことをきっちり説明を受けた上で二十万ガロンなら二十万ガロンを補給する、こういうことを申したわけでございます。

辻元委員 それは、現場で説明を受けるということですか。だれがだれに説明をしてそれで了承するというか、これからはきちっきちっとそれがMIOに使われているか点検していこうという御趣旨ですね、今説明を聞いてということは。現場でそういう確認を一々するということで理解していいですね。

石破国務大臣 御趣旨のとおりでございます。

辻元委員 では、もう一回伺います。それは口頭ですか、文書ですか。

 今、高村外務大臣の御発言、二十万ガロンという例、しましたね。そうしたら、それが実態的に、さっきの御答弁は、すぐに二十万ガロンをMIOに使ってもらわないと困るという御答弁をきょうされているわけですよ。ところが、今は、いろいろな作戦があるから、もう一回確認しますよ、給油を受けてすぐイラクに行く、イラクに行って帰ってきてMIOの活動をする、これはいいんですか。どうしてだれも答えられないの。

町村国務大臣 だれが答えても同じなんですけれども。

 時間の後先の議論というのは、別に一義的に大きな問題ではないんです。要するに、さっき高村大臣が言われたように、実態として何万ガロンであっても給油したものがMIOの活動に使われていればそれでいいということなんです。

辻元委員 なぜこの質問をしたかといいますと、あの二十万ガロンと八十万ガロンを取り違えたときの福田官房長官の御答弁も、そのときの石破長官の御答弁も、二十万ガロンだったからイラクまで行けませんというふうに言っているわけですよ。だから、OEF・MIOに使っていて、イラクの作戦には使っていないと言ったわけですよ。そうでしょう。ですから、今私は聞いているわけですよ。今度はどうするんですかと聞いているわけです。先にイラクに行って、後でMIOの活動をしました、これは認めるということですね。いかがですか。

町村国務大臣 認めるということです。

辻元委員 そうしたら、今までと変わらないじゃないですか。あのとき皆さんは、二十万ガロンだけだからイラクには行けなくて、だからMIOを証明しているんだとおっしゃったわけですよ。違いますか。

町村国務大臣 二十万ガロンの説明は、そういうことをしたかもしれませんが、私が今言っているのは、一般論としてそういうことが可能であればそれでいいと。要するに、この渡した油が、補給した油が、その船が、いつであるかは別にして、ちゃんとMIOの活動をやっていればそれでいいということなんです。

辻元委員 今までと同じじゃないですか、それは。結局、そこがさんざん問題にされてきたわけですよ。そうでしょう。

 そうしたら、もうちょっと詳しく具体的に伺いたいと思いますが、その艦船、今までと答弁も違いますよね、姿勢も違いますよね、全然。(発言する者あり)

 もう一回ちょっと確認しますね。高村大臣は、さっきは二十万ガロン分を先に使ってもらわないと困ると言ったわけですよ。ですから、私が確認しておこうと思ったわけです。これは大事な点です。だって、この委員会でさんざんこれが問題になっているじゃないですか。

 今、官房長官は、先にイラクに行ってさんざん活動をしてから帰りにちょろっとMIOをやるのかどうか知らぬけれども、二十万ガロンをやるんだったらいいと。全然大臣によって答弁が違うじゃないですか。高村大臣、先に。

高村国務大臣 法律的に言えば、いわゆる油というのは不特定物でありまして、量が問題。その量が、入れたところで、その量だけがその船によってOEF・MIOで使われればいいということなんです、法律的には。

 実際のオペレーションとすれば、バーレーンでやっている実際のオペレーションとすれば、実際にこれからすぐイラクに行くようなものについては認めてこなかった、こういうことであります。

辻元委員 認めてこなかったと今、高村大臣はおっしゃったわけですけれども、大臣、新法では、今、新法を対象にして議論していますけれども、新法では認めるんですか。

高村国務大臣 法の趣旨からいえば、油を入れた、その油というのは、まさに不特定物だから、まざっちゃってどれがどの油だかわからないわけですよね。その分が、その入れた範囲の中で確実にOEF・MIOに使われれば法的にはセーフだ、こういうことであります。

辻元委員 油は一々印がついていないからということは、野党もずっと指摘してきた点なわけですよ、ずっと。こちらからずっと指摘してきた点でもあります。

 さて、もう一回聞きますよ。そうしたら、イラクに先に行く船に給油をして、その後MIOの活動に従事する、これでもオーケーという外務大臣の御理解。先ほどと答弁を変えますね。どっちですか。

 今まではそれは困ると言ってきたわけですよ。先ほど数時間前にそういった答弁をされたわけです。それを変えるという御趣旨ですか。どっち。

高村国務大臣 実際にイラクに行って一カ月も二カ月もオペレーションして帰ってきて、それからMIOに従事した、そういうような場合に、その前に入れたものが量が同じだからいいというわけにはいかない、私はこういうふうに思います。

 ただ、それがほんの数日間で、入れた部分がまだ残っているような状況の中で、帰ってきて同じ量がOEF・MIOに使われてもそれはいいんだとこの法案提出者の官房長官が言っておりますから、私もそうだと思います。

辻元委員 これはすごく不毛な議論かもしれないんですけれども、ちゃんとやっておかぬとね。なぜかというと、そうしたら聞きますよ、外務大臣に。二十万ガロン、先ほどの例。そういうことを外務大臣が答弁されたから確認しているわけですよ。行ってもらったら困ると、さっき。

 例えば、大臣が例に出された二十万ガロンを入れますね。イラクに行きますね。それで、なくなって、さらにほかから給油される。それはどうなるんですか、日本から給油したものは。どうなるんですか。

高村国務大臣 そういうのは合理的な範囲ではなくなるんだろうと思います。だから、OEF・MIOの分ですよということで入れて、そして、ほかの任務に移ったとしても、その油が当然残っている範囲の中で戻ってきてするような場合は、そのことがはっきりわかるわけでありますから、そういうときは法の目的に反すると言えない、こういうことを官房長官はおっしゃったんだろうと私は理解をしております。

辻元委員 では、もう一回確認します。

 残っている範囲でとおっしゃいましたね、今。残っている範囲でと。だから、残っている範囲でなかったらだめということですね。

高村国務大臣 ですから、合理的な範囲と言っているのは、例えば二十万ガロンを入れました、そして、入っていた油が全体が百万ガロンだとすると、その百万ガロン全部使い切っちゃって、ほかからまた給油を受けて、戻ってきてMIOに行って、これは前に入れた分ですよというのは合理的な範囲ではないんだろうと思うんです。そういうようなときは、入れたときから合法的でなかったね、こういうことになるんだろうと思います。

辻元委員 今、そういう場合は合法的でなかったねとおっしゃいましたね。そういう場合が発生したらこの法律違反に当たるということでいいですね、今回の新法は。そういう仕組みになっているという理解でいいですね、運用は。どうですか。もう一回、ちょっと。

 大臣、聞いてください。

 今、合法的でなかったねということだとおっしゃったということは、新法に基づく運用は、今大臣がおっしゃったような事例に適用、それは百万ガロンじゃなくてもいいですよ、何ガロンであろうが、事例に適用されるようなことが、反するようなことがあったとすれば合法的ではないと言えるねと今おっしゃったということは、そういうことがあった場合はこの新法では法律違反になるということですね。

高村国務大臣 合法的でなかったねということは、違法だったねということと同じ意味で使っております。

辻元委員 そういう場合は、例えば今それがイラクに行ったという場合だったら、イラク戦争に転用したので法律違反を自衛隊がやったということになるわけですね。

高村国務大臣 それは、アメリカならアメリカの船がおかしなことをやったねという話になる。自衛隊が入れるときにそのことを知っていてやったならば、それは法律違反だったね、こういうことになります。(発言する者あり)

辻元委員 今、アメリカのせいじゃないとおっしゃいましたけれども、アメリカのせいじゃないですよ、それは。

 今までと一緒じゃないですか。アメリカが勝手にやっている、だから私たちは知らなくて、勝手にやられましたと。そんな法律をつくっているんですか、これは。

 要するに、どういうことかというと、非常に厳しく、日本はほかの諸国よりも自衛隊を外に出すときに厳しくいろいろなことを議論してきたわけですよ。今の答弁だと、今までよりずさんじゃないですか。

 もう一回言いますよ。そうすると、自衛隊は給油するときにどうやってそれを確認するんですか。自衛隊が知っていたならばとおっしゃいましたね。ということは、自衛隊はどういうふうに、どこにどう行って、これからこの船はどういう作戦に従事して、この二十万ガロンはその作戦の途中のいついつ使いますということを確認して給油するんですか。

高村国務大臣 今までもそういうふうに確認して使ってきていると承知しています。

辻元委員 ところが、疑惑が出てきているわけですよ、実際に。

 大臣、もう一度。そうすると、いろいろな人がこの点を確認しているのは、この疑惑みたいなことは悲しいことですよ、実際に。ずっと延々と。それはきちんと文書でやるんですか、どういうルールでやるんですか。新法をお出しになるならば、今までよりも厳しくやるということの運用をお考えになってのことでしょう。どうやってやるんですか。

石破国務大臣 それは午前中もお答えをいたしましたが、一つは、アメリカがレターというか声明を公表しましたね、日本の法律の趣旨どおり誠実に使ったということを言いました。私ども、七百九十四回すべてについて、本当にそのように行われたかという確認作業を今了しつつあるところでございます。今まで私が見た、これも膨大なぞという言葉ではとてもじゃないが形容できないような作業でございましたが、これを全部見てみまして、目的どおり使われたということの確信を私は持っております。これは近々明らかにさせていただきたいと思いますが。それが一つ申し上げたいこと。

 それから、これから先どうするのかということですが、口頭の了解、わかりましたねというだけでは不十分だと思っております。いつ、どのような目的で、どれだけ使うかということについて、どれだけ記録に残せるかということは検討し、できれば早い時点で、こういう形でいきたいというのを明らかにしたいと思います。

辻元委員 できるだけ早い時期にとおっしゃいましたけれども、そこを明らかにしていただかないと、審議は前に進まないと思いますよ。だって、そこはすごく大事な点ですもの。(発言する者あり)それはそうやと今おっしゃっていますけれども。そこはすごい一つの、今回の新法はMIO以外には使いませんというのが、はっきり言えば新法の売りと言うたら変ですけれども、皆さんそうしているわけじゃないですか。さんざん答弁されていたわけですから。そこをきちっと担保されないと。私は、新法をお出しになっていますけれども、そこが肝だと思うんですよ。

 私は、これは私の考えですけれども、実態的な現場での運用ではあいまいで、なかなか難しい。それは、実際にイラク戦争はやっているわ、アフガニスタンはやっているわ、ごちゃごちゃになるというのが実態じゃないですか。今までも、だから流用していたんじゃないか。政府はしていないとおっしゃいますけれども、私はしていたと思っています。それで、そのときの御答弁自身が、二十万ガロンだったからとか、八十万ガロンだと言われて。ですからそこのルールを、大臣、そこをどういうように確定させるのかということを本委員会できちんと、近いうちとおっしゃっていますけれども、やはり出さないと。今ちょっとやっていても、何か答弁がふらふらで。

 こんな場合はどうや。これは言うたら、後でまたアフガニスタンのは、きょうはちょっと時間がないので別の機会に、やっていることは戦争なのかどうなのかということを議論したいと思いますけれども。これも大事なポイントですからね、実態的には戦争だと思いますよ。だから、実際の作戦行動、各国の作戦行動とかいろいろありますよ、その中に入り乱れるというのが実態ですよ。そこにここだけ切り取って日本はかなり無理を重ねて法律をつくってきたから、こういうことになっていると思います。

 石破大臣にお聞きしたいと思います。

 そこの部分、いろいろな委員が指摘していますが、どういうようにきちんと証明するのか。いつ聞かれても、これはこう使いましたというふうに出せるように。文書なりルールを決められるんだったら、それをいつまでにどういうふうに、アメリカと協議するんでしょう、諸国とやるんでしょう、どうされるおつもりなのか、しっかりと見通しを出してください。

石破国務大臣 私が答弁をしてまいりましたのは、今現場で、空になっちゃった、ハイオク満タンみたいなことをやっているわけではない。一体何に使うんですか、どれだけ必要ですか、いつお使いになりますかということを、現場で我々の調整官がきちんと調整をしながらやっているということでございます。(発言する者あり)バーレーンです。やっているということですね。

 それでは足りぬ、そういうのを文書にして残せということであれば、どういう形が可能かはアメリカと話をしなければいけないと思います。ただ、そこで交わしても、そこから先、そのとおりに使ったかどうかということまでそれは証明するものではないわけですよ。その後、どう使ったかわからないと言えば、それだけのことなんです。

 話はもとへ戻りますが、七百九十四回、何で私たちが全部調べたかといえば、それがそのとおり使われた、アメリカが口先だけではなくてきちんと使ってきたということを確認しておるわけでございます。ですから、これから先、仮に「疑惑」というものがありとすれば、それはいつでもそれが確認できる体制というのが整っているかどうかということですが、そこまでやらなければ同盟国というのは信じられないものなのでしょうか。今回、アメリカがきちんとそのように声明も出した。我々も、これはアメリカから言わせれば、何でそこまで出さなきゃいかぬのだということかもしれません。ですけれども、向こうも本当に誠意を持って膨大な資料を提供して、我々がきちんきちんとそれを見て、ああ、やはりそのとおり使われておったな、私はそのことにある意味安心もし、同盟の信頼性というものも確認した思いでおります。

 その後、何が必要かということについて委員の方から御意見があれば、ぜひお述べください。

辻元委員 きょうはこれで終わりますけれども、続きまたやります。時間が来ました。今の四十分間の間でも、高村大臣と町村官房長官の考え方が違ったんですよ。だから、そこをはっきりしてくれと言っているわけです。

 そこはとても大事なポイントですよ。ですから、大臣の間でも、いや、先にイラク行ったらあかんとか、いや、行ってもいいんだ、違うわけですよ、きょうの委員会の中でも。そんな法案をお出しなんですか。そんな法案を出しておいて、OEF・MIO以外には使いませんという答弁を続けてきたのかと。その点を指摘しているわけです。

 まだ答えたいんですか。もう時間なんです。答弁されても、私、言いわけされるように思うんですよ。その程度の、きょう何時間かの審議でも、それぞればらばらの答弁しかできないような法律は、もう撤回した方がいいです。

 終わります。

町村国務大臣 あと三十秒聞いてください。全く違うことを言っておりませんし、念のために。

 MIOに限定したとおっしゃるが、先ほど田嶋議員に私はお答えしましたが、その船が、もちろんMIOの活動はやらなきゃいけませんが、他の目的を同時に持って行動しても構わないんですよということはさっき申し上げたのです。何かMIOの活動に一から百まで全部時間を使って、全部の石油を使う、そういうことじゃありませんよということだけは念のために申し上げておきます。

辻元委員 でも、そういう答弁をされてきたから聞いたわけですよ、私は。MIO以外は使わないと。

 終わります。

深谷委員長 次回は、来る五日月曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時六分散会


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