衆議院

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第10号 平成19年11月7日(水曜日)

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平成十九年十一月七日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      小川 友一君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    河野 太郎君

      近藤三津枝君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    長島 忠美君

      西本 勝子君    野田 聖子君

      橋本  岳君    馬渡 龍治君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大串 博志君    大島  敦君

      川内 博史君    近藤 昭一君

      田嶋  要君    長島 昭久君

      伴野  豊君    三谷 光男君

      山口  壯君    田端 正広君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    照屋 寛徳君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   参考人

   (元防衛庁海上幕僚監部防衛部防衛課長)      寺岡 正善君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     小川 友一君

  中森ふくよ君     馬渡 龍治君

  西本 勝子君     近藤三津枝君

  松野 頼久君     山口  壯君

  阿部 知子君     保坂 展人君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     関  芳弘君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

  馬渡 龍治君     中森ふくよ君

  山口  壯君     大串 博志君

  保坂 展人君     阿部 知子君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     北村 茂男君

  長島 忠美君     西本 勝子君

  大串 博志君     松野 頼久君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

    〔午前十時二分秘密会に入る〕

深谷委員長 これより秘密会に入ります。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として元防衛庁海上幕僚監部防衛部防衛課長寺岡正善君に御出席をいただいております。

 この際、申し上げます。

 本日、参考人として出席している寺岡正善君は、現在、私人として生活をしており、参考人として公の場に出ることは家族等の生活にも多大な影響を及ぼすことが予想されるため、理事会の申し合わせにより、参考人に対するプライバシーに関する質疑は御遠慮いただきますよう、特に御協力をお願い申し上げます。

 委員長においても、参考人に対するプライバシーに関する質疑は御遠慮いただくよう、強く要望いたします。

 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 おはようございます。民主党の山口壯と申します。

 寺岡さん、きょうは本当にどうも御苦労さまです。私も、寺岡さん、一九八四年から八六年まで、内局の運用課というところにいました。当時は航空自衛隊の運用だったんですけれども、最初の一年間は災害派遣も担当しまして、海のオペレーションルームにもほとんど毎日足を運んでいました。だから、手にとるようにいろいろなことがわかるわけですけれども。

 ところで寺岡さん、防衛庁の勤務で、一番やりがいのあった仕事は何だったですか。

寺岡参考人 お答えします。

 防衛庁で一番やりがいのあった勤務は、海幕防衛課での勤務であります。

山口(壯)委員 寺岡さんの専門職種は何だったですか。

寺岡参考人 専門職種は、海上自衛隊の哨戒機P3Cの戦術航空士であります。

山口(壯)委員 防大の二十三期卒ですね。防大では、幕を含む自衛隊勤務について、何が一番大切だと教わられましたか。

寺岡参考人 防大で、自衛隊での生活云々ということではなくて、紳士たれというのをモットーとして教育を受けてまいりました。

山口(壯)委員 寺岡さんのその実際の経験から、幕での勤務において最も大切なものは何だと認識されましたか。

寺岡参考人 誠実に任務を遂行するということだと考えております。

山口(壯)委員 誠実に任務を遂行するという中には、いろいろ連絡をとり合う、報告を怠らないようにする、あるいはきちっと相談する、こういうことも入っていたわけですか。

寺岡参考人 入っております。

山口(壯)委員 実際にP3Cの航空隊司令として鹿児島で勤務された。部隊を動かすときに、最も大事なことは何だと思われましたか。

寺岡参考人 航空機を運用する部隊でありますので、第一に航空安全、その次に、その上に成り立つ監視飛行等の任務の遂行でありました。

山口(壯)委員 寺岡さんは、アメリカで勤務されたことはありますか。

寺岡参考人 長期にわたるアメリカでの勤務はございません。ただし、海上幕僚監部での勤務を通しまして、何度かアメリカを含む諸外国に行きまして、会議等に参加してまいりました。

山口(壯)委員 三月以上は勤務されたことはありませんか。

寺岡参考人 済みません、私、ど忘れしているかもしれませんが、三月以上というのはなかったかと思います。

 例えば、新任幹部ですね、三等海尉になりたてで、その際に遠洋練習航海に行ったことがありますが、約五カ月超だと思いますが、それが海外勤務と言われればそれが該当するのかなと。済みません、ど忘れしているかもしれません。

山口(壯)委員 今、寺岡さん、遠洋航海と言われたですか。海洋観測システム調査で行かれたんじゃないんですか。

寺岡参考人 少なくとも、それは、私は正確に覚えていませんが、もしも行ったとしても、三月にわたるような連続海外勤務はなかったかと思います。

山口(壯)委員 これは後で事実が判明すれば、正しいかどうかはすぐわかる問題です。

 アメリカに行くと、よく山田洋行という会社が出迎えたりいろいろやっていましたけれども、寺岡さんの場合にも来ましたか。

寺岡参考人 私が海外で勤務する場合は、主として防衛交流あるいは海軍間での交流ですね、海上自衛隊と米海軍での交流、それからあと会議、そういったものが主でありまして、いわゆる一般の会社の方との接触というのはありません。

山口(壯)委員 山田洋行との接触はなかった、こういうことですか。

寺岡参考人 少なくとも、私が紹介された中にそういった方はいらっしゃらなかったと思います。

山口(壯)委員 私は、内局、運用課に勤めていたときに、寺岡さんもカウンターパートとして仕事をされた高見澤が私の机の机の向こうの向こう、隣が今の次官の増田さんということで、高見澤とは二年間、増田さんとは一年間、ずっと仕事をしたわけです。よく、幕のカウンターパートの人が出入りしていましたね。私は航空自衛隊の担当でしたから、空幕の当時運用一班長竹河内さん、彼もいずれ議長になったわけですね。あるいはその当時の運用課長が杉山蕃さんで、よく運用課長のところに出入りしていました。運用課だったから、陸海空のそれぞれの運用課の人が出入りしていたわけですけれども、私の机の上には、空幕の運用課のカウンターパートと、受話器をとればすぐ山下二佐ですと出るようになっていたわけですね。

 この仕事というのは、内局との、それから幕との間で、カウンターパートという仕組みが大体確立していたと思うんです。だれでもいいからぽっと行って報告するというシステムにはなっていない。私は、二年間続いて山下二佐、それからあとで一佐になられた、その方はカウンターパートでした。運用一班では、竹河内一班長というのがカウンターパートでした。それ以外の人に話しないんです、信頼関係がないですから。

 そういう意味で、毎日のやりとりというのは電話で、毎日何十回、あるいは幕に行きあるいは内局に来てもらい、していました。課長は課長で、それぞれ陸海空のカウンターパートのところへ行かれたんだと思うんですけれども、寺岡さんの場合も、海幕の防衛課長として内局とそういう関係だったんですね。

寺岡参考人 私のカウンターパートは防衛政策課長でありました。

山口(壯)委員 日にどれぐらい連絡をされていましたか。

寺岡参考人 数はわかりませんが、必要なときは連絡をとっておりました。

山口(壯)委員 そんな数の少ない話ですか。ほとんど毎日、何度も何度もとられるのが普通の形でしょう。

寺岡参考人 毎日とらない場合もあります。少なくとも、必要な場合には、その都度連絡はとっておりました。

山口(壯)委員 寺岡さんの部下の方はどうですか。

寺岡参考人 私の部下も、直接いわゆる防衛政策課との連絡調整をする者もおりますし、各幕の、運用課であるとかそのほかいろんな課と調整する者もいますし、その部下が防衛政策課の部員あるいは先任等と毎日とっていたかどうかについては、それはわかりません。必要な都度とっていたと思います。少なくとも、たまにとるという感じではないと思います。

山口(壯)委員 私は幕の状況もよくわかっていますから。この中で幕で仕事をした人はないでしょう。その中で、大体、一班長とか二班長とかあるいは防衛課長、全部の人が見渡せるように仕組みができていたわけですよ、当然課長からいろんな人がちゃんと把握できるように。そうでないと全体が把握できないですよね。ちょっと今の答弁は私には非常に不自然に聞こえます。

 海幕防衛課と防衛政策課の間にホットラインはありましたか。

寺岡参考人 ホットラインは、記憶する限りはなかったと思います。

山口(壯)委員 寺岡さんがいろいろ防衛政策課と連絡をとられた中で、特にこれは内局には言わない方がいいな、そんなことはありましたか。

寺岡参考人 ありません。

山口(壯)委員 当時の二〇〇三年の五月の八日に、統幕議長が記者会見をされたわけですね。その二時間後ぐらいに寺岡さんも防衛課長として記者ブリーフィングをされました。その統幕議長とそれから海幕の防衛課長、ほとんど相前後しているんですけれども、ブリーフィングも寺岡さんがされましたか、統幕議長への事前のブリーフィングです。

寺岡参考人 ちょっと、これについては説明しないと誤解されるおそれがあると思いますので、説明申し上げます。

 たしか五月八日だったと思いますけれども、日にちはわかりません、五月八日か七日かわかりませんけれども、米海軍に対していろんな問い合わせをしていた内容の回答が来たので、それを取りまとめて、当時の一番最新の状況としまして、海幕内での必要な方への情報共有のためにまとめた、まとめさせた。そして、多分その件につきましては、防衛部長それから海幕長まで報告に行ったと思います。その情報を、当時の統幕議長は石川海将でありまして、前の海上幕僚長である、それから私が三等海佐のころに一番最初に防衛課に来たときの当時の防衛課長であったということもありまして、現在の一番最新の状況ですよという内容について、ブリーフィングではなくて、ジャストインフォメーションをいたしました。

山口(壯)委員 ジャストインフォメーションとして直接お話をされたわけですね。

寺岡参考人 はい、そうです。

山口(壯)委員 それは二十万ガロンだったという数字ですね。

寺岡参考人 その数字も含まれていたと思います。

山口(壯)委員 統幕議長の記者会見で、この問題というのは最初から準備されていたわけじゃなくて、記者さんの質問に答える形でやりとりが行われています。しかし、普通は数字がなければ答えられない話です、二十万ガロンだったという話は。したがって、そのジャストインフォメーションということで伝えられている、この、防衛庁、今の防衛省、寺岡さんのおられたときは防衛庁だけれども、防衛省からの資料には二十万ガロンの数字というのが事前のブリーフィングの中に全くないんですよ。だから、寺岡さんはブリーフィングされて、それで答えた、こういう認識をされたでしょう。

寺岡参考人 そこも若干私は説明をしなければいけないと思いますが、これは私の全くの、これも私の全くの失敗なんですが、当時統幕議長が記者ブリをするということを私は全く失念しておりまして、たまたまそのタイミングが統幕議長が記者ブリをされる前だったわけですね。さらに、私が、これは記者ブリのためではなくてジャストインフォメーションということも言い忘れていた。そういった背景がありまして、統幕議長は、内局との調整の終わった対外応答要領について私が説明に来たというふうな認識をされたと思います。そういった認識で記者会見の方に臨まれましたので、その発言をされた。

 そういったいきさつがあり、防衛庁記者クラブの方から、要するに、ざわざわざわと、今の数字は何なんだというような疑問が起こりまして一時ちょっと紛糾して、記者会見が一時中断したと思います。

 その後、防衛庁の主要幹部と、では、今後どういうふうにして対応していこうかという話し合いを私も含めてしまして、それでは、実際の情報をつかんでいる海幕の防衛課長が一番よく理解しているんだろうから、君が記者ブリーフィングをしなさいということで、私が記者ブリーフィングをしたという経緯でございます。

山口(壯)委員 統幕議長に渡した資料の中にはその二十万ガロンとかあるいは給油の話というのはなかった、こういう説明ですね。

寺岡参考人 あったかなかったかについては、私ははっきり申し上げまして、記憶は定かではございません。ただし、そのときの少なくとも最新の米軍情報、まだ公にされていない米軍情報についての情報をジャストインフォメーションしたと思っております。

山口(壯)委員 これは防衛省から出てきた資料ですけれども、「「国政調査権に基づく資料要求(二〇〇七年十月三十日)」について」という資料があるんです。その中で資料三というところに統合幕僚会議の議長さんへのブリーフィングの資料がある。その中で二カ所。一カ所には「以上の他、有事法制関連、キティホーク給油等に関する報道があった。」という説明をしているわけです。最後の方に、今度は参考資料として「キティホーク給油関連」、どういう資料であったかこれは出されていませんけれども、しっかり書いてあるわけですね。

 だから、防衛課長として怠りなく仕事はされていたと思いますよ。当然、大事な話として認識されていたんですから。部下に命じられて、きちっとした資料をつくっておけよ、統幕議長から聞かれたらどうするんだと、当然それはされていたと思いますよ。それはジャストインフォメーションじゃないんじゃないですか。現実には、きちっとした仕事ぶりだったんですよ。どこからも責められる余地のない仕事ぶりですよ。報告、連絡、相談、きちっと行われている。ごく淡々とプロフェッショナルとして仕事をされていた、抜かりなく。そういうことだと思いますよ。

 寺岡さんの下に、何人の班長さんがおられましたか。

寺岡参考人 班長は三名と、室長が一名だったと思います。

山口(壯)委員 その班長というのは、寺岡さんの時代、先任と呼ばれていたわけですか。

寺岡参考人 班長と先任は違います。班長の下に、その班を業務統括するような、要するに補佐を、班長の補佐をするような者がおりまして、それを先任と称しておりました。

山口(壯)委員 統幕議長による記者会見の後、寺岡さんが記者ブリーフをされた。そして、そのときに、記者さんから相当きつく、二十万ガロンではちょっと少ないんじゃないか、補給艦に給油するにしてはえらく少ないんじゃないか、こういうかなり鋭い質問が出ていますね。

 私も全部あの記者会見のことは一字一句読ませていただいて、もうほとんど頭にたたき込んでいるんですけれども。統幕議長のときにざわざわした割には、急に出てきたということであれば、鋭い質問、ほとんど軍事について極めて正確に把握しているような質問が何発も何発も行われています。そのとき、どういう感触を持たれたんですか。

寺岡参考人 まず、直接のお答えにはならないかもしれませんけれども、統幕議長に対してジャストインフォメーションではなくて正規の報告だという先ほどの御意見がございましたけれども、正規に報告する場合は、統幕議長に正規に報告する場合は、当然、統幕の各幕僚室を経由して報告するのが正規の報告でありますので、そういった意味では正規の報告ではないと私はここで申し上げたいと思います。

 それから、記者会見でもめたときは、そのときは確かに鋭い質問がございまして、最初十分ぐらいの予定が、三十分前後は、要するにブリーフィングをというか、記者からのいろいろな質問を受けたというふうに認識しております。

 そして、その際一番問題になったのは、燃料の転用ですね、それについてどう考えているんだという質問だったと思います。

山口(壯)委員 翌日九日に、二十万じゃなくて八十万だったという報告がありましたね。石川統幕議長と寺岡さんとは旧知の仲で、海幕を通じても先輩後輩で目をかけていただいた。その先輩に二十万ガロンということを言ってしまった寺岡さんだったから、それですぐ統幕議長のところへ行かれたんですね。

寺岡参考人 九日の状況につきましては、もともと八日の時点での二十万ガロン、あるいは九日の時点で私が海幕の燃料担当者から情報を、情報というか実際こうなんですよと示されるまでは、私は二十万ガロンが正しいものだと本当に信じておりましたし、その数字しか知りませんでしたので、何の疑いもなくそれを信じておりました。九日の日に、多分、朝、新聞に載ったと思います、その数字がですね。それを見た海幕の燃料担当者の者が、これは違うということを防衛課の方に報告に来たというふうに思います。

山口(壯)委員 だから、統幕議長にすぐ行かれたという、そういうタイミングだったですね。

寺岡参考人 その数字、要するにこれは二十じゃなくて八十ですよという報告が上がったときに、直ちに報告には行っておりません。

山口(壯)委員 なぜですか。

寺岡参考人 まず、たしか私の記憶では、もちろん八日の日に防衛庁でいろいろな記者会見があったということ、それから、九日の日は官房長官が記者会見をされて、そのときに二十万ガロンだという同様の趣旨の発言をされたこと、そういったことから本当にその数字を今直ちに発表することがいいのか悪いのか、あるいは、この数字は、今やっている、当時やっていたOEF支援活動ですね、これに対してどういった意味合いを持つんだろうか、そういったことをいろいろと考えておりました。

山口(壯)委員 防衛省から出ている資料の中に、十五ページというものがあるんですけれども、そこにペコスとポール・ハミルトンと、そこだけが浮き彫りになった資料が出てきているんですね。そこに書き込みがあるんです。これは寺岡さんの字ですね。

寺岡参考人 私の字です。

山口(壯)委員 したがって、当然、この数字の話の持つ意味は大きいわけだから、二十万ガロンだから一日で使っていたので、そんなに遠くまで、イラクに近いところまで行けるわけがないという論理構成でやっていたから、それがもしも八十万ガロンだったらもう少し違う論理構成にしなきゃいけないかもしれない。そういうことで、ここに寺岡さんは約二十二万ガロンだと書き込まれて、欄外に、ペコスからキティーホークに八十万ガロン、一日の消費量として八十万ガロンだと、何かそういう書き込みがあるんですね。ペコスが八百十二で、ポール・ハミルトンが三千。補給艦に八百十二でポール・ハミルトンに三千、プロフェッショナル中のプロフェッショナルとして、少しおかしいと思わなかったですか。

寺岡参考人 私も、その数字に、まさにおかしいなと思ったのは、と認識したのは、海幕の燃料の担当者から数字を実際に、彼らも表をつくっておったと思いますので、その数字と照らし合わせてみて、これはおかしいということはその時点で認識しました。

山口(壯)委員 ということは、書き込まれたのは燃料班長から指摘を受けた後ということですか。

寺岡参考人 そこの記憶は、わかりません。

山口(壯)委員 この二月二十五日ですね、どちらも二月二十五日に行われている。二月二十五日には、ほかに数字はありましたか。

寺岡参考人 その二月二十五日というのは、実際に燃料を補給した実施日だと思います。

 私が、その今提出されている資料、それと同じものを見たのは五月の九日だと思います。

山口(壯)委員 五月の九日にこの資料を見られた。ということは、間違いだったと指摘されてから書き込まれた、こういう順番になりますね。

寺岡参考人 済みません。五月の九日じゃなくて八日の日ですね。八日の日だったと思います。

山口(壯)委員 八日の日ということは、ジャストインフォメーションで石川統幕議長に言われた、そのときにこれを書き込まれた、こういうことを今おっしゃっているわけですね。後で私もそれをしっかりと精査して考えてみます。

 この八日の、その内局の防衛政策課が作成した対外応答要領については、当然、内容あるいは論理構成について承知されていたわけですね。

寺岡参考人 内局が作成した応答要領については、多分海幕の防衛課の方にも合い議が回ってきているだろうと思いますけれども、正確に記憶しておりません。

山口(壯)委員 もちろん、「海・防」と書いて合い議先にはなっているんです。なっているんですけれども、これは当然、事の重大さからして課長決裁だったわけでしょう。

寺岡参考人 そのときの合い議の様式が実際にあるとすれば、そこに「海・防」と書いてあれば、私が決裁しております。

山口(壯)委員 ああいう仰々しい対外応答要領、かなり仰々しいですよね、今もう一回見てみても。ということは、事態は相当大変なことなんだなという認識は持っておられましたね。

寺岡参考人 五月八日、九日……。八日の時点ですかね、その時点での、先ほど申し上げました防衛庁での記者会見のときの記者の皆さんの反応を考えると、やっぱりこれはちょっと大きな事態だなという認識はありました。

山口(壯)委員 そして、寺岡さんが石川統幕議長にジャストインフォメーションで二十万ガロンとお伝えになられたことが、実は一夜にして誤りだったということがわかった。どういうふうに思われましたか。

寺岡参考人 やっぱりこれは相当大変なことになったなというふうに認識しました。

山口(壯)委員 そういう場合、普通どういうアクションになりますか。

寺岡参考人 通常は、直ちにその状況について報告をする、そういうアクションになります。

山口(壯)委員 そうされたんですか。

寺岡参考人 私から自発的にそれは行っておりません。ただし、燃料系統につきましては、所掌する燃料系統の、海幕にも内局にもございますので、その系統で当然上がっているものと認識しておりました。

山口(壯)委員 それは、寺岡さん、防衛省から出てきた応答要領をよく覚えておられるんだけれども、現実に防衛課長として統幕議長に続いてブリーフィングをされたんですから、燃料系統で上がるからいいだろうとは普通の軍人は思わないでしょう。それは統幕議長を支える防衛課長として、二十万が八十万だったということを、まあ、だれかがやるからいいだろう、そういう感覚は私は寺岡さんの場合は当然持っておられないと思いますよ。

 私は、多分こういうことだったんじゃないですか。二十万ガロンだったということを八日に統幕議長が言われて、そして後、記者ブリーフィングで寺岡さんが相当厳しい質問をばんばんばんばん浴びた。何かおかしいぞ、おい、本当に補給艦二十万ガロンだけか、ちょっと調べろと。こういうことをきっとされたんだと私は思うんですけれども、どうですか。

寺岡参考人 その際、多分そういうことをしたんだろうなとは思いますけれども、実際の記憶は、申しわけございません、ありません。

山口(壯)委員 防衛課にも燃料班長さんのカウンターパートがおられたと思うんですけれども、だれだったですか。

寺岡参考人 直接のカウンターパートではないかとは思いますけれども、少なくとも私は、当時の名簿を見れば思い出すかもしれませんが、現在、記憶にはございません。

山口(壯)委員 当時の名簿を見れば当然思い出しますよね、それは、形は違えど戦友ですから。そういう意味では、私の場合も、もう二十年以上前になりますけれども、当時の運用課の戦友の顔はみんなよく覚えています。大変だったですからね、いろいろ。

 私の場合も、実は同じことがあったんですよ、大韓航空機にまつわる話ですけれども。余り細部は言わない方がいい、秘密会といえども。しかし、体質が全然変わっていないんです。あのときは、撃墜されたときは後藤田官房長官で、情報の徹底ぶりはすごかったです。後で、矢崎さんという大蔵省から来た防衛局長だったですけれども、私がこっそり呼ばれて、よく防衛庁を守ってくれた、本当に崩壊の危機だったぞ、よく守ってくれたと。

 実は、今回のやつはそれよりずっと重い話なんです、ずっと重い。防衛省解体の危機と思って差し支えない、本当は。防大二十三期の寺岡さんが身命を賭して尽くしてこられた海上自衛隊のみならず、防衛庁、今はそれが防衛省になっている、私たちは、このあり方次第によっては相当大きな対応を考えた方がいいのかな、そういう危機感を持っているんです。その辺はいかがですか。

寺岡参考人 少なくとも、私が当時報告をしていなかったということの結果、今のような事態に陥っているということについては、まさに今委員がおっしゃられましたとおり非常に重大な問題であろうと認識しております。

山口(壯)委員 対外応答要領をつくるというのは内局の仕事ですね、取りまとめて。その場合、内局というのは数字のこととか全くわかりませんから、当然海幕のカウンターパートに確かめるわけです。この件についても当然例外じゃなく、当時は淡々と進められたはずですから、当然していますよね。そのことは承知されていますか。

寺岡参考人 対外応答要領についても、先ほど申し上げましたように、多分合い議が回ってきているんだろうけれども、回ってきたという記憶が今ございませんので、そのときにどういう作業をしたか、回ってきた際にどういう作業をしたかについては、申しわけございません、わかりません。

山口(壯)委員 普通の会話は、海幕のカウンターパートの人が防衛政策課内局の部員に、いや、部員、ちょっとこっそり相談があるんですけれども、実は大変なんですよ、二十万というふうにきのう八日の日には打ち合わせたけれども、実は八十万という話が入っている、これはまだだれにも言っていないけれども、部員、どうしますかと。だって、対外応答要領というのは外のやつ全部かかわっているんですから。海幕から出た資料で、次の日の、次の日というか、その日の福田官房長官、あるいは十五日の石破さんの話にもなるわけですね。

 だから、そういう意味で、部員同士では、あるいは部員とカウンターパートの間では必ず話があった、そう思って間違いないですね。

寺岡参考人 私の部下と例えば内局の担当、担当というかカウンターパートとの間でそういったやりとりがあったかどうかについては、承知しておりません。また、私は、当時の防衛政策課長に対してそういった話はしていなかったと思います。

山口(壯)委員 普通の場合は、そういうやりとりというのは当然ありますよね。

 そういう中で、こういう話が高見澤に伝わる、高見澤は当然上の守屋局長にどうしますかと。彼の性格はよく知っていますから、絶対そういうところは抜かりない。守屋さんと当然話ししましたね。守屋さんは、一時的に来ておられる大臣にはそれは言わなかったでしょう。だけれども、自分で、いや、これはやぶ蛇になるから言うな、こういう決断をしたんだと思いますよ。

 防大で、文民統制というのはだれのだれに対する統制だと教わりましたか。

寺岡参考人 政治の軍事に対するいわゆるコントロールだと思っております。

山口(壯)委員 きょうは、寺岡さん、私も実はもっともっと聞かなきゃいけないことはありますけれども、私の印象では、寺岡さんは非常に高潔な方です。その高潔な方が、今回の上塗りの話に加担すべきじゃないと思いますよ。どういう理由であれ、途中でやめられた。これは不思議なことですけれども、そのことはせんさくするつもりも全くありません。しかし、これからの寺岡さんの人生が恵み多きものになるように私は祈りたいと思いますから、やはりここでもう一度見詰め直していただいて、日本の本当の防衛のあり方というものからした場合にどっちが正しいか、しっかり見ていただきたいと思います。

 終わります。

深谷委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 寺岡参考人が海幕防衛課長に着任したのは二〇〇二年十二月と聞いておりますが、間違いありませんか。

寺岡参考人 私も昨日いろいろと自分の資料を調べようと思っていたんですけれども、当時の資料すべて焼却しておりまして、いつだったか、はっきり申し上げて覚えておりません。

 防衛省に記録があれば、そのとおりだと思います。

赤嶺委員 かなり細かい質問項目を事前に出しておりますので、それにかかわっての、まあ恐らく着任の時期ぐらい覚えているんじゃないかと思いましたが。

 ただ、当時は、イラク戦争を前にしてアメリカがペルシャ湾周辺に大量の米軍艦船を集結させようとしていたときであります。こうした米軍艦船への給油について、海上自衛隊が給油を行うことになった、そのときにどういう方針を持っていたんでしょうか。つまり、対アフガンの任務を持っていれば問題ない、ほかにいろいろ任務はあるかもしれないけれどもアフガンの任務を持っていれば問題ない、あるいは、これはアフガンの給油支援だから、イラク戦争への支援にならないよう、これは除外しなければいけないという方針だったのか。

 また、当時、寺岡参考人、日米間のやりとりで、あなたの部署というのはいろいろなやりとりの窓口でもあったと思いますが、どのようなやりとりが日米間であったんでしょうか。

寺岡参考人 まず、日米間でのやりとりでありますけれども、米海軍とはいろいろな意見交換をやっておりました。その際に、もしもイラク戦争が始まった場合、私が意見交換あるいは調査をした、情報収集をしたのは、もちろん日本国憲法の枠の範囲内でどういったことが海上自衛隊として支援することができるだろうか、こういった趣旨ですね。特に、当時はいろいろと掃海の話等も出ておりましたので、掃海のニーズがどうなのかとか、そういった話、意見交換をやっておりました。

 それから、補給活動に際してどのような方針で行っていたかということでございますが、これにつきましては、基本的に海幕においては運用課が所掌しておりまして、そういった方針あるいは細部の実施要領であるとか、あるいはそのほかの具体的要領があるのかどうか私は承知しておりませんけれども、そういったことは運用課が承知しておりましたので、私はどういった方針で給油活動を行うのかということについては十分に承知しておりません。

赤嶺委員 参考人は、艦長の発言でキティーホークの給油が明らかになった後の二〇〇三年五月八日に、先ほどの山口委員が指摘しましたブリーフィングを行っています。そこで、キティーホークが二月二十五日の時点でOEFに従事していたことを確認した、このように述べる一方で、いつからいつまでOEFに従事していたかはわからないとブリーフィングの中で発言しています。

 要するに、二月二十五日時点の任務のみを確認したということですね。

寺岡参考人 通常、任務を確認する場合は、どういった任務をやっていますかという形で聞いたんだろうと思います。少なくとも私の認識では、OEFの作戦海域にキティーホークが滞在する限りその任務には従事しているだろうというふうに考えておりました。

 あと、そのほかに、いつからいつまでという私の応答がなかったということなんですけれども、それは多分、米軍からそういった細かい情報まで提供されていなかったからだと思います。

赤嶺委員 今の参考人の御答弁の中で、二月二十五日を米側に問い合わせてOEFの任務についていたと認識したのか、あるいは、二月二十五日はその海域にいた、作戦海域にいた、だからそうなんだとあなたが思ってそのような認識になったのか、その点いかがですか。

寺岡参考人 まず、与えられた任務の期間については、私は、これは私の想像であります、その海域にとどまる限りOEFの任務には従事していると。これは、私はそういうふうに、一般的なことから私はそういうふうに思うものであります。

 そして、キティーホークが、二十五日の時点という質問をしたかどうかわかりませんけれども、キティーホークの任務は何かという質問をしたときには、OEFの任務を付与されているというふうに米側からの回答があったというふうに思います。

赤嶺委員 ところが、中間報告では、参考人が誤りに気づいた後に上司への報告を行わなかった理由として次のように述べております。米補給艦ペコスへの給油量が八十万ガロンであっても米空母キティーホークが不朽の自由作戦従事中に当該燃料を完全に消費することは確実であると。

 寺岡参考人は二十五日時点の海域にいたという認識でOEFということになったらしいんですが、なぜ二十五日以外も、八十万ガロンであれば二十五日以外についても確認しておかなきゃたどり着かない認識ですが、なぜ当時、八十万ガロンであってもこれはOEFだというような判断ができたんですか。

寺岡参考人 いつまでOEFに、先ほど委員が御質問されましたように、いつまでOEFの任務を付与されているんだということを直接的に、まあ聞けばよかったと今思っておりますけれども、少なくとも当時は、やはり米海軍としての部隊の直接的行動ということになりますので、なかなか、聞いても聞いても教えてくれないという状況が相当長い間続きました。

 そういった中で、二十五日前後といいますか、要するにその補給を受けたときには、どこに、どんな任務をしていたんだというような質問だったと思いますけれども、OEFだという回答があったということでございます。

赤嶺委員 ですから、その後、八十万ガロンだということがはっきりしたと。八十万ガロンであっても何でOEFだというふうな判断ができるんですか。

寺岡参考人 また別の情報としまして、空母の一日の平均燃費といいますか、燃料使用量約二十万ガロンという情報も得ておりましたので、八十万ガロンであれば、そのまま二十万ガロンで割れば四日ということになりますけれども、多分二十という数字はいわゆる通常航行で消費する燃料の量だと私は考えておりまして、作戦行動をやるというか、例えば艦載機の離発着をするとかそういった場合には増速したり、そういったこともしますので、当然燃費は高くなると。ということであれば、四日は多分もたないだろうと。

 さらに、OEFの作戦海域というのはペルシャ湾の南の半分といいますか、その部分もOEFの作戦海域になっておりまして、あそこの海峡のところから、ホルムズ海峡のところからずっと直線で引いてみても、大体空母で、四日かかれば、最短距離で四日かかれば飛び抜ける可能性あるんですけれども、燃費も高くなるだろうというふうに考えた場合には、ちょうどぎりぎりのラインぐらいで、少なくとも八十万ガロンであれば燃料は消費するだろうというふうに考えたからです。

赤嶺委員 もう時間がなくなりましたけれども、一点だけ。

 もう一つ報告しなかった理由で、事態が鎮静化しつつあったということをお述べになっております。だから、その後、私も衆議院で問題にし、非常に大きな問題になっていったんですが、鎮静化したという判断は、なぜそんな判断をしたんでしょうか。

寺岡参考人 私がそう考えたのは、少なくとも防衛庁内での対外的な応答要領についてはほぼ固まったと。さらに、五月九日の日の官房長官の応答要領についても防衛庁での応答要領に沿った形での応答がなされたということは、少なくとも二十万ガロンということで政府、防衛庁については認識の統一が図られたと。

 そういったことから、これは鎮静化しつつあるだろう、そうなってくるだろうというふうに考えたからです。

赤嶺委員 今のお話を聞いていて、隠ぺいの体制ができ上がったというように、それで鎮静化したということにしか受けとめられません。

 真相解明はこれからも続くということを申し上げまして、質問を終わります。

深谷委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 当委員会に、月曜日、寺岡参考人、上申書を送られてきましたね。この中に、「提出した供述書以外に申し上げることはございません」、こういうふうに書かれていますね。

 防衛省の中で聞き取り調査をして、そこで事の経緯についてはすべてお話しになったということだと思いますが、そのお話しになった内容の中で、この委員会で明らかにできない秘密はございますか。

寺岡参考人 まず、防衛省がどういった報告書を書いたかということについて、私……(保坂(展)委員「お話しになった内容」と呼ぶ)私が話した内容ですか。私の話した内容で……(保坂(展)委員「秘密があるか」と呼ぶ)秘密。秘密事項ということですか。(保坂(展)委員「はい」と呼ぶ)秘密事項は、問われてみないとわからないということですが、基本的にはございません。

保坂(展)委員 今の山口さんのやりとりの中で、統幕議長の記者会見、二十万ガロンという数字が出たときに、記者がざわざわして、どうなんだという質問が飛んで、中断をした、そして、今後どうしようか、どう対応すべきかということでいわば協議をした、その結果、防衛課長であった寺岡課長がやり直せということに至ったというお話をされましたが、そのときに協議をされた、相談をされた方はどういう方ですか。思い出す限り言ってください。

寺岡参考人 一堂に会して話をしたわけではありません。その際に関連する相談あるいは話し合いをした方は、当時の運用局長、それから、失礼しました、防衛局長、それから官房長も入っていたと思います。それから次官、それから長官もいらっしゃったと思います。ただ、それぞれの方と同じ内容の話ではなかったように思います。

保坂(展)委員 そして、最終的に、寺岡課長がやれということはだれの指示によるものですか。

寺岡参考人 そこははっきりと覚えておりません。多分、いや、はっきり覚えておりません。申しわけございません。そういうふうな情勢になっていった、そういうことであります。

保坂(展)委員 防衛局長ではありませんか。

寺岡参考人 申しわけございません。記憶が確かではございません。

保坂(展)委員 もう一つ。そうして記者会見をやり直したものの、質問などを受けて、本当にこれは二十万ガロンなのかなということで、調査を寺岡さん自身がしたのかもしれないと先ほど言われましたね。調査をするとしたら、だれに調査をさせるんですか。どういうルートですか。部下のどの方に、どういうふうな方法で調査をするんですか。

寺岡参考人 調査を命ずるとすれば、多分私の直属の、重要な問題ですから、直属の部下である班長とかあるいは先任だとか、あるいは艦船の担当者ぐらいになると思います。

保坂(展)委員 この二十万ガロンが間違いだったということがわかった以降も、官房長官あるいは大臣、そして我が党の今川正美議員も、これは十六日ですか、安全保障委員会で、その二十万ガロンはもしかすると航空機用の使用も可能だったんじゃないかという趣旨の質問をしています。それに対しての応答の資料も、二十万ガロンでいけと。鎮静化したとはいうものの、質問は続いていたわけですね。

 でも、二十万ガロンでいいというふうに、寺岡さんだけの責任範囲でこれをコントロールしていたんですか。今、いわば、この問題は重要だということで、防衛庁の幹部が全部集まって、これは重大だという事態があったんじゃないですか。そこのところは、本当にあなただけの責任で、幹部はみんな知らなかったという説明ですが、本当ですか。

寺岡参考人 八十万が、二十万の、誤りであったという事実について、防衛省のだれが、防衛省内局のだれが承知していて、海幕のだれが承知しているかという全体については、私はわかりません。

保坂(展)委員 また戻しますが、それでは、それだけ防衛庁の幹部が集まって、寺岡さんの記者会見が終わった後、さて、どうしようかという相談、協議はなかったんですか。この二十万ガロンが、八十万ガロンに、実は誤記されていた、間違っていたということをめぐって、防衛庁内の、寺岡さんも加わって、この問題はどういうふうに処理をしていこうかという相談や協議の場は本当になかったんですか。これは大事な点なので、正直に答えてください。

寺岡参考人 ちょっと私も頭の整理のために申し上げますが、五月八日の記者会見のときは、八十万という数字はどこにもなくて、二十万がすべて、真実だったわけです。少なくとも……(保坂(展)委員「その後、わかったんでしょう」と呼ぶ)ええ。それで、そのわかった後ですね。わかった後については、私はどなたにも報告をしておりません。これは偽らざる真実であります。

 ただ、ほかの燃料の実績を収集している海幕の課がカウンターパートの課等に報告することは当然あったんだろうと。まあ、あったかなかったかわかりませんが、そういったルートはあった。その後、内局でその数字が、もしも知り得たとしたらですね、どう取り扱われたかについては、私は承知しておりません。

保坂(展)委員 ところが、防衛省の報告書は、直接燃料に携わる海幕運用課や海幕需品課の責任には言及していないで、寺岡課長の責任には言及しているんですね。これは不自然じゃないですか。

寺岡参考人 中間報告の前に、一番最初に何か報告があったということも聞いておりますけれども、少なくともその報告、私は見たことありませんが、それを、内容について若干情報を得た際に、私が一番、供述調書というか答申書ですかね、それを書いた内容とほとんど一緒の内容であって、ほかの部分はほとんど抜けているというか、何も調査されていないような、そういった印象を受けました。

保坂(展)委員 きょうはもう時間がありませんけれども、これだけ重要な事態だということはもう十分わかって出てこられていると思うんですが、このことが、実は八十万ガロンだと、手書きの文字の話も先ほどありましたけれども、それが寺岡課長一個人の独断でこのことをずうっと封印をしていた、あとの幹部は全く知らない、つまり、個人がこれだけ重大な事実を、寺岡課長限りで全部責任を負う、こういうことでいいんですか。本当は防衛庁組織全体の問題じゃないんですか。ここのところ、今、どう率直に感じていますか。自分が全部、このことについては全責任を負って、自分だけの問題なんですか。

寺岡参考人 少なくとも私が知り得る範囲というか私の所掌においては、ありていに申し上げれば海幕防衛課の意見としては、そこは私の判断でストップさせたと。私が知り得る部分はそこだけです。

保坂(展)委員 もう一度。それは御自分の責任ですけれども、全体としての責任は、寺岡さん自身がこの問題をわかりながら言わなかったというところに根本原因があったという報告書なんですよ。それでいいんですか、当事者として。それで終わります。

寺岡参考人 防衛省から出された報告書については、いわゆる私は作成担当でも何でもございませんので、そこはわかりません。どういった内容が書かれているかについても、私は十分承知しておりません。したがって、どう答えていいかわかりません。

保坂(展)委員 終わります。

深谷委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 寺岡参考人におかれては、御苦労さまでした。

 参考人は御退席くださって結構でございます。

 これにて秘密会を閉じます。

    〔午前十一時四分秘密会を終わる〕

     ――――◇―――――

深谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 本日は、本案の審査に関し、防衛省問題について集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、内閣府政策統括官原田正司君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房参事官伊原純一君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省運用企画局長高見澤將林君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 先日行われました党首会談、この党首会談は、テロ対策新法を何としても成立させたいという総理の国益に対する強い思いで実現したものと推察いたします。しかし、国民の目線では、唐突だったとの印象もまた禁じ得ません。

 ねじれ国会というこの現実を踏まえて、党首会談に至った総理の思い、御所見を、国民にわかりやすく御説明をしていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 実は、こういう国会状況であるということでございまして、きょう、この数日間、割合と順調な話し合いが行われているというふうなことで大変結構なんでございますけれども、その前の状況というのは、私が総理になりまして、国会が再開されまして、以来、まあ膠着状態というように言ってもよいような状況が続いていた。なかなか法案審議も進まないというようなことでございまして、こういうふうな衆議院、参議院のねじれているような状況というのは、こうなることは、可能性、極めて高いわけですね。不幸にしてそういうふうな状況になってしまった。

 この事態を打開するためにはどうしたらいいのか。このような状況が続けば、国民生活に関係するような法律も通らなくなってしまう。そのことは、国民の皆さんに御迷惑をかける。そしてまた、国際的にも、日本は一体何をやっているのかな、こういう疑念も与えかねない。こういう状況というのは何とかして打破したい。この思いをもちまして、民主党の小沢代表に会談の呼びかけをさせていただいたということであります。

 その結果、小沢代表も快く応じてくださったということで会談が実現いたしたわけでございますけれども、その結果はいろいろなことがございました。結果としてはいろいろなことがございましたけれども、しかし、思いというのはそういうふうなことでございまして、今の状況、そしてまた、こういう状況はこれからも続くんだということになれば、何か工夫しなければいけないということは当然あるわけで、それは私の責任でもある、こう思って会談をいたした次第でございます。

西銘委員 総理、国民の生活のためになるならば、今後ともこの党首会談を呼びかける御意思はありますか。

福田内閣総理大臣 これは、必要に応じて、また、相手のあることでございますから、相手の方がノーと言ったらそういうことは実現しない。

 しかし、思いは恐らく同じだと思います。私は、お話をしておりまして感じました。やはりこういう状況について大きな懸念を持っておられるんだなということを思いましたので、それは話し合いをすればお互いわかり合えるんじゃないかな、そこで新しいものをつくり出すことができるんじゃないかな、こんなふうに思った次第でございます。

 もちろん、今御審議中のテロ新法につきましても、時間の問題もございますので、なるべく早く可決できないかなというようなことにつきましても十分な御相談を申し上げました。

西銘委員 党首会談の後の報道もいろいろありますけれども、自衛隊の海外派遣のための恒久法について政策協議ができれば、今この特別委員会で審議中のテロ新法が廃案になってもいいという報道もありました。

 私たちは、これまでこの特別委員会で、証人喚問や参考人質疑など野党の皆さんの要求をすべて受け入れて委員会の審議を進めてまいりました。党首会談でそのような話が出たとは到底考えられませんが、それで間違いはありませんか。

 あわせて、総理御自身のテロ新法成立にかける信念を改めてお聞かせください。

福田内閣総理大臣 一般法の話が出ましたけれども、この一般法は、これは言うのは簡単だけれども、しかし、これを決めるのはなかなか難しいんですよ。そして、この法律の中身については国会でもって十分な議論をしていただきたい。そして、これは自衛隊が海外でどういうことをするかという行動の範囲を決めることですから、これはなかなか大事なことです。

 したがって、国会の議論も十分していただかないと、これを決めるわけにいかない。そしてまた、国会議論を通して国民も理解をしていただくということが大事なんですね。また、国際社会もやはり日本の活動というものを、自衛隊の活動というものを理解してくださる、そういうふうな、時間的な手続の必要性ということを私は大変重く感じておりますので、そう簡単にできるものではないと思っております。

 これは、いずれにしても来年以降の話であるということでありますので、今の御審議願っているテロ新法、これとは、どういうふうにつながるかということは、ちょっと今のところ申し上げられません。

 いずれにしても、テロ新法というのは、テロにかかわることについて、テロが方々に拡散することを防ぐために、洋上でそれを防ぐための国際協力活動ですから、このことはどうしても継続させていただきたいという強い気持ちを持っておりまして、それはいまだに変わっておりません。

 十一月一日でこの活動は中断されました。中断と言いたいですよね。ですから、その中断の期間がなるべく短い方がいいなというようにも考えておりますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思っております。

西銘委員 この特別委員会の質疑を聞いておりましても、例えば、野党の皆さんの質疑の中で、国会承認があれば野党の皆さんもインド洋での活動に合意できるのかなというふうに感じたり、いろいろあります。

 恒久法で政策協議が調えば今審議中のテロ新法が廃案になってもいいという報道を見たときには、実は、私たちは、この特別委員会でこれだけ一生懸命、月曜から金曜まで、何度も理事会、与理懇を繰り返しながら審議をしている者としては、何だこの報道はと少々頭に来たものですから、よもやそういうことはあるまいと。

 仮に恒久法の政策協議が、これはちょっと時間がかかると思いますし、その前に、今審議中のこのテロ新法を何としても成立させるべきではないか、これが国際社会の中に生きる我が国ができること、お互いさまでできることは堂々とやっていこうではないかという趣旨で、総理に、よもやそういうことはないでしょうかという意味で、多少失礼かとは存じましたけれども、質問をいたしました。

 少し視点を変えてみたいと思います。

 十九世紀の半ばでありますけれども、皆さん御存じのペリー提督が黒船を率いて、燃料と水の補給を求めて、徳川幕府に開港を迫っております。ところが、このペリー提督は、江戸湾に来る前に、当時、琉球王朝の首里城に立ち寄っております。今ある首里城とは少々趣を異にしますけれども。そこで燃料と水の補給を確保した上で、前もって確保した上で、江戸に来ているのであります。

 地政学といいますか、アメリカ海軍のしたたかさといいますか、国際政治の流れ、大変なものを感じるわけでありますが、この燃料補給が確保できないと、うまくいかないと、ペリー提督ですら江戸までは来られなかったのであります。そこまで用意周到に準備をしないと、国際社会の中では生き残れないのかなという思いであります。

 よく、外交の歴史を振り返ってみましても、国際社会の、国際政治の動きは複雑怪奇と言われるようなこともありますし、何が起こるかわからないということもあります。

 そこで、総理御自身が石油会社に勤務をした経験もおありと聞きます。今特別委員会で審議中のこの法律が、中東から九〇%の原油を輸入している我が国の国民生活に大きなかかわりを持っていると思います。直接この法律の目的には書かれておりませんけれども、間接的にも国民の生活に直結した法律だと考えております。総理御自身が石油にかかわる仕事に従事をしていたという点も含めて、この法律の重要性、改めて御所見をお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 燃料と水というのは、これは歴史を変えるんですね。ペリー提督が来た、燃料、水を要求したということでありましたけれども、そのもとをたどると、アメリカの船、捕鯨船が日本の近海まで来て鯨をとっていたんですね。そのために燃料、水を欲しいというようなことはずっと要求してきたというふうなことはございました。これは吉村昭という歴史小説家が「海の祭礼」に詳しく書いてありますけれども、おもしろいので。

 そういうことは、第二次大戦がなぜ始まったかといったことも、これは石油ですよね。そしてまた、今でも、その石油というのは日本のエネルギーの大宗を占めるという状況、これは、日本の経済の首根っこをつかまえている、国民生活もそれに左右される、そういう状況にあるということでございますから、これは石油確保というのは大事ですよ。燃料確保は大事ですね。

 そういうための航路の安全ということは、これも当然考えなければいけない。今回のテロ特措法は、新法は、これはそういうシーレーン確保ということじゃありませんよ、目的は。しかし、間接的というか、場合によっては直接的と申しますか、テロ活動が海洋に拡散していくということになれば、我が国のそういう大事な航路が阻害されるという可能性があるわけですから、それは日本の経済にも影響を与えかねない。そんなに大げさに考えるなというふうな話もあるかもしれぬけれども、しかし、もしそういうような事態が来た場合のことを考えれば、その前にそれを防ぐための努力をするというのは当然のことですね。これは、日本に限らない、ほかの国にとっても大事なことだというふうに思っております。

西銘委員 けさの報道によりますと、民主党から対案の要綱のようなものが出てきております。今日まで長時間の質疑に答弁に立ってこられた官房長官、民主党案に対する御所見をお聞かせください。

町村国務大臣 今も野党筆頭理事さんにも伺いまして、これは正式に御提案をいただいたのでございましょうかと、ちょっとそっと伺ったのでありますが、まだ正式の提案でも正式の提示でもないということでございましたから、もう少しお待ちをして、できるだけ早く御提案をいただければありがたい、こう思っておりまして、その中身をもう少し詳細に伺った後に、でき得べくんば、接点があり、かつ、それがもし受け入れられるものであれば修正なりをして、賛成をしていただきたい、こう思っているものですから、楽しみにと言うと大変失礼な言い方になるかもしれませんが、期待を持って、正式の民主党さんの御提案をお待ちしているところでございます。

西銘委員 ぜひとも国民生活のために、国民のために、民主党から早く対案が出て、いい形で成立できることを祈念いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて西銘恒三郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 ただいま民主党の対案についての御質問がありました。昨日来、報道で、テロ新法に対する対案の骨子をまとめたというふうに報道がされています。今、官房長官の方から、正式なものでないからなかなかコメントできないというお話がありましたけれども、新聞報道によりますと、アフガニスタンに展開します地域復興チーム、PRTに自衛隊や文民を派遣して、農地の復興による食料生産の確保、医療の提供、被災民への援助物資の輸送、治安維持改革、この四分野に取り組むことが柱だというような記載がありました。

 ただ、給油活動につきましては、今後、国連決議に基づく活動と位置づけられた場合に参加を検討するというふうに骨子ではされているようであります。

 民主党の対案が正式に決定され、提示されましたら、給油活動の継続、再開の大筋で合意できれば法案修正も視野に入れるべきだと私自身は考えておりますが、総理はこの点、どのようにお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 ただいま官房長官から答弁申し上げましたけれども、今の時点で民主党の対案、これは正式な御提案でないということで、コメントをするというのは適当ではないと考えております。

 仮にの話ですけれども、給油活動の継続とか、それから早期再開で合意できるということになるのであれば、その具体的な道筋について真剣に協議し、また検討することになる、こういうことは言えると思います。

富田委員 ぜひそういうような形になることを民主党にも期待申し上げたいと思います。

 きょうの集中審議は防衛省問題です。

 守屋前次官の証人喚問にも私は質問をさせていただきました。証言を聞いていて、次期輸送機CX用エンジンのシステム、この選定経緯がやはりはっきりしないな、そこにやはり疑惑が出てきているのではないかなという思いをいたしました。この件に関して、総理と防衛大臣にちょっと一点ずつ御質問したいと思います。

 守屋前次官に十月二十九日に、エンジンシステムの調査選定に関与していませんかと私の方でお聞きしましたら、「全く記憶にありません。」「私がその段階でこの問題に携わることはございません。」というふうに答弁されました。

 この委員会のその後の審議で、エンジンシステムを最終的に選定した防衛省の装備審査会議の議事録が存在しないということが判明しました。会議でのメモと会議に提出された資料はあるということで、私もそのメモの写しと資料をいただきました。でも、これでは選定の経緯は全くわかりません。守屋次官が発言したという記載はありました。発言の記載がある以上、関与していたのは間違いないので、守屋次官の私に対する答弁は真実ではないんじゃないかという疑いを持っています。

 実は、次期輸送機の開発経費は、次期固定翼哨戒機PXと合わせて約三千四百五十億円だと。もう巨額の開発費をかけてやっている。このエンジン本体も、エンジン本体だけでも一基五億九千百万円。防衛省の資料によると、これを四十二基導入したい、まだ計画だけれども導入したい。そうすると、エンジン本体だけで、もう五百億円になるんですね。これだけの金額が、今後導入することを予定されている会議の議事録がないというのは、ちょっと信じられない。ただ、実際につくっていないようです。

 やはり、税金を投入するわけですから、きちんと議事録を作成する必要があるんじゃないか。特に、装備品調達に係る選定システムに国民の不信を招かないよう透明性を高めるといった意味からも、またシビリアンコントロールの面からも、こういう重要な会議の議事録作成を義務づけて、また防衛機密を害さないような配慮をした上で、一定期間後にきちんと議事録の公開もする、こういったことを考えるべきではないかなと私は考えています。

 実は、総理は、本格的な国立公文書館をつくることにずっと長く取り組まれてきました。これは、そういったきちんとした意思決定の記録を残して、将来国民にきちんとそのときの判断が間違っていなかったかどうか判断していただこう、そういった趣旨だとも思います。議事録作成を義務づける、そして一定期間後公開する、こういったことを総理はどのようにお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 防衛省のいろいろな記録につきまして、特にお金のかかる防衛装備品の調達のような重要な案件につきまして、会議の議事録、そしてまた関連する諸資料、当然のことながら、これを作成して、そしてそれは保存しなければいけないということでありまして、また時間がたてば公開をする、こういう義務も当然あるわけでありまして、そのことが、やはり防衛の透明性、公正性といったようなものに関係する、国民の信頼を得るためには欠くことのできないことだというふうに思います。

 書類をどうするかということについては、これは今いろいろ議論がございますけれども、行政文書について、現行の法令、規則に基づいて一層適切に管理するということが求められておりますし、その管理の充実というために法制度のあり方についても検討していかなければいけない、そのように思っております。

富田委員 実は、質問に当たり、防衛省の方にこういうふうに尋ねたんですね。防衛省の会議で議事録作成されているものはあるか、作成されているとしたら、その作成根拠は何なんだというふうに尋ねましたら、こういう文書が返ってきました。「防衛省において開催される各種会議は、その会議で審議される内容などを勘案し、会議を所管している担当部局が、個別に議事録の作成の要否を判断しており、防衛省として統一的な基準等をさだめている訳ではない。」こういうふうに文書で回答をいただきました。

 防衛大臣、これでは、意思決定の経過はわからないし、要するに、都合の悪いものは隠しておいていいということにつながりかねないと思うんですね。やはり、防衛省としてもきちんと、会議の議事録等をどう残していくか、統一的な基準を定めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 私は、そのとおりだと思っています。

 だれがいかなる見識に基づいて何を述べ、そしてどのような過程においてそれが決まっていったかということは、きちんと記録に残しておかねばなりません。ただ、安全保障にかかわることでございますので、委員おっしゃるように、その管理の体制をどうするかということはきちんとしなければいけないと思います。

 各担当部署において出すか出さないか決めるんだということは、文民統制の観点からいってどうなんだ、それを判断するのは政治だろうということが意識として抜け落ちているんじゃないか、省をお預かりする者としてそういうことを言うのもお恥ずかしいことですが、そのように私は思っております。そういうような基準というものについても、我々文民統制をする側の視点をきちんと踏まえて考えていかねばならないと思います。

 ただ、どういうものをつくり、どういうものをつくらないかということは、政府全体、委員も財務省あるいは法務省で要職をお務めになりました、ほかの省庁との整合というものもあわせて勘案する必要がある、このように考えております。

富田委員 ぜひ、石破大臣のリーダーシップできちんとした基準を考えていっていただきたいと思います。

 十一月一日の当委員会で、この防衛省に絡む疑惑の件で質問をさせていただきました。このときに、本年の一月三十日、三十一日、二月一日と、CXエンジン機材の連接性等の技術的な問題について現場でチェックする会議が開催されたというふうに大臣政務官の方から御答弁がありました。この会議に本来当事者でない日本ミライズの社員が参加していた、これは問題じゃないのかと防衛省内で問題になって、当時の久間防衛大臣や守屋次官にきちんとその件の報告がされたというふうな報道がされていましたので、事実どうなのだというふうに尋ねましたら、大臣政務官の方から、まだ確認できていない、しっかり確認しますという御答弁がありました。

 その後、いろいろまた報道されて、実はこの件に関して、やはり防衛省の中で契約業務の公平性や情報管理の点から問題だという声が出てきちんと報告書を作成した、その報告書に基づいて大臣や次官に御報告して直接説明をしたというような報道が、けさの新聞でもされていました。

 大臣政務官、確認されましたか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のこのCXエンジンの技術的連接性についての会議でございますが、御指摘のとおり、本年の一月三十日から二月一日までの三日間現地で行われており、これは防衛省からも、当時の技術研究本部の担当のほかに、防衛省からの参加要請によりまして、CXの機体製造会社である川崎重工、そしてまたエンジンの納入企業であります山田洋行、そしてまたエンジンの製造元でありますアメリカのGE社の担当者がそれぞれ参加をいたしております。そして、今委員御指摘のとおり、日本ミライズの担当者も、GE側との企業間契約に基づきまして、その補佐役として出席をいたしております。

 御指摘の、この会議に日本ミライズの担当者が出席をしていた件につき、当時の久間元大臣やあるいは守屋前次官に報告が行われたかどうかという点でございますが、引き続き現在調査中でございまして、多少敷衍して申し上げますと、現在、この担当者に確認をいたしております。しかし、この担当者の証言でやや判然としない点、あるいはあいまいな点がありますために、引き続き精査を行わせていただいているものでございます。

富田委員 ちょっと今の答弁は納得できないですよ。もう調べればすぐわかる話ですよね。新聞報道で報告書まで作成されたと言われているのに、引き続き精査というのはないんじゃないんですか。

 それと、大臣政務官、要するに、防衛省側から依頼した参加者、そして、GEが連れてきたんだというふうに今もちょっとおっしゃいましたし、十一月一日も言われましたけれども、実はこの時点ではGEの代理店は山田洋行、日本ミライズじゃないんですよね。日本ミライズに代理店がかわったのは七月。一月に何で日本ミライズの社員が、しかも、本来この一月の時点では山田洋行と日本ミライズは裁判で係争中だったんです。その係争中の相手方が同じ会議にいるなんて、本来山田洋行が了承するはずないじゃないですか。そこにいたということがおかしいんです。では、何でいたんだ、だれがいさせたんだ、ここが問題だと思うんですね。そこを調査していますか。

寺田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 この日本ミライズの同席につきましては、我々も詳細な調査を行いました。これは先ほども申し上げたとおり、GE側が企業間契約に基づき、補佐役、具体的には通訳の支援業務というふうなことで契約関係を結んでいたことが確認をされております。

富田委員 いや、それは後からつけた理由だというふうに新聞でも報道されているんですよね。もう少しきちんと調査をしていただきたいなと思います。

 もう時間もあと一分しかありませんので、防衛大臣に一つ提案をしたいんですが、十一月一日の答弁の後、その日に、GEの方で山田洋行と日本ミライズとの契約を停止した、代理店の権利についても停止したことが公表されたようです、報道がされていました。であるとすると、八月三十一日に公募で受け付けた契約の相手方の資格を日本ミライズは失うわけですから、今後防衛省の方で、六基目のエンジンを購入するに当たって、やはり製造元、メーカーと直接契約できるような、何かそういう手段がないのか検討すべき。常に代理店が入って、代理店がマージンを抜くというような、そこに調達に対する疑惑が出てくるので、できれば製造元とじかに契約できたらいいと思うんですが、最後にその点について御意見を伺えればと思います。

石破国務大臣 そういうやり方ができるはずだと私は思っております。

 ただ、今代理店を通しておりますのは、結局代理店の能力、はっきり言ってしまえば商社が、人的ネットワークを持っているとか商慣習をよく知っているとか法律を知っているとかいう話なのでありまして、それではそれを官の側が持てばいいのではないのと。それはもう商社を通じた方がいい場合もございますよ、商社を通じるから全部悪いなんということを言うつもりはありませんし、今まで適切な働きをしてきたのもたくさんあると思います。しかしながら、それを通さないやり方、それもあるというふうに私は思います、直接契約も含めまして。

 ですから、そういう調達改革のあり方について、今、寺田政務官を長としますチームを作成いたしまして、検討を始めました。ほかの国でどうやっているか、そのときに行政改革の流れに逆行しないか、どういうやり方が一番正しいのか。仮に人員をふやすことがあるとしても、それは公正性、透明性を保つために必要なものであるとするならば、それは国会にまたお願いをしなければなりません。

 いい方法を早急に確立して、また国会の御議論もいただきたいと思っております。

富田委員 ありがとうございました。これで終わります。

深谷委員長 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 まず冒頭、総理に、ただいまの与党のお二方の質問を受けて申し上げたいと思います。

 先ほど、与党の、自民党委員の質問の中に、このねじれ国会に対してどう対応するのかというような御質問がありました。ねじれ国会のねじれという言葉が非常に否定的な言葉、ネガティブな言葉として使われている。

 我々からしますと、与党と野党が衆議院と参議院では占めている多数が違う、これは民意なんです。七月の二十九日に行われました参議院選挙で、私ども民主党を中心として野党に多数の支持を与えた、これは民意でございます。何かこの、ねじれ、ねじれという言葉を使う中に、衆議院、参議院の両院ともそもそも自民党と公明党の与党が多数を占めていることこそが正常な姿である、そこに私はおごりを感じるんですね。

 皆さん方に申し上げたいと思いますけれども、昨日の被災者支援法、民主党案を与党がのむ形で合意に至りました。

 この被災者支援法だって、私たちはずっと言ってきた、被災者の支援金はもっと用途を拡大してもいいんじゃないのかと。しかし、与党あるいは政府は、被災をした家屋等を撤去すること、片づけることに使ってはいい、だけれども新たに家屋を建てたりすることに使ってはいかぬと。何でですかと聞いたら、それは個人の資産に対して公金を使うことになる、個人の資産形成に資するものであってはならないと、一貫して言われてきました。

 しかし、不幸にして、本人には何の罪も落ち度もないのに、天変地異によって生活するすべを失った方あるいは仕事の糧を失った方に対して、それは余りにも酷じゃないかと言ったけれども、頑として我々の主張というものは通りませんでした。

 反面で、経営に失敗した企業に対しては公的資金だとかいう形で支援をする。経営に失敗をした方は公的資金で救われるけれども、何の落ち度もない被災者に対しては、国の支援金は使い道が限られているんだと。こんなことは理不尽じゃないかということをずっと一貫して主張してきた。しかし、この参議院選挙で我々がこの主張をして、そして野党が多数を得たことによって、今回与党も合意をすることになりまして、この被災者支援法の改正が行われたわけであります。

 薬害肝炎の問題にしてもそうです。まさにこの方々もそうです。何の罪も落ち度もない人たちがまさに行政と業界の不作為によって命を落とす羽目になった。あるいは今も苦しんでいる方々が多数いる。また、それに気がつかない人たちもいる。

 この問題が前に進んだのは、やはり七月の参議院選挙の民意によって我々が多数を得たからなったわけでありまして、先ほど総理も与党の委員の質問に答えて、不幸にしてねじれているということをおっしゃいました。しかし、ねじれていることが不幸であるならば、これは、言葉はきついかもしれませんけれども、その七月の民意に対してつばするようなものではないのかなというふうに私は思いますので、不幸にしてねじれているという言葉は失礼ではないかと思いますけれども、その不幸にしてということに対して、それは政治側の言い方です、与党側の言い分です、そのことについてぜひ発言を撤回していただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 ねじれているというのは、別に優劣関係も何もないんですよね。事実を客観的に述べているだけであります。

 不幸にしてねじれているというのは、不幸にしてこういう状況があるということに対して不幸だというふうに私は申し上げたつもりです。

渡辺(周)委員 この点について、ねじれているという言葉を多用することによって、いかにもこれが不健全なのだということを言っているわけですよ。そのことについては、これは私は冒頭に言いたいというふうに思います。(発言する者あり)

 周りのやじがちょっとうるさいので、注意してください、委員長。

 私は、与党の発言にそのように答えたから、それに対して私は申し上げたのであって、これはこちらの委員からあれこれ言われる筋合いのものじゃないと思います。委員長、注意してください。

 この点については、また機会をとらえて、我々の主張というものがまた形になるように。決して、政策協議を私たちは何も否定するものでも何でもありません。実際、政策協議が進んでいる部分だってあるわけですから。その点については、かたくなに我々が拒否しているかのような言い方はぜひ慎んでいただきたいというふうに思うわけであります。

 さて、この集中審議の質問に入る前にどうしてもこの委員会でやっておかなければいけない問題があります。

 過日のこの委員会でも我が党の長島委員が質問をされましたけれども、鳩山法務大臣が、友人の友人がアルカイダであるという発言をされました。この点についても官房長官が文書で注意すると言いましたけれども、また先日、十一月の三日ですか、御自身の御地元であります九州の福岡県の久留米ですか、御地元で発言をされています。テロリストの怖いのが平気でこの国をうろうろしている、私はその事実を知っているから申し上げているというふうに発言をされているわけですね。

 私も最初、この鳩山法務大臣の発言を聞いたときは、私も、鳩山法務大臣、かつては民主党に籍を置いていらっしゃいましたので、当然面識はありますし、お話をしたことも何度もあります。そのときは、外国人の特派員協会の中で発言をされまして、舌足らずだった、誤解を招いたとおっしゃいましたけれども、あれだけおしゃべりな方が舌足らずなわけがない、これは思いながらも、それはもしかしたら行き過ぎたジョークだったのかな、外国人の前でしゃべられたから何か意思が伝わらなくてそんな発言にとられたのかなとも思いました。

 しかし、官房長官が注意をされた。そして、その後、今度は、バリ島のテロで亡くなられた大阪にお住まいの遺族の方が、だとするならばなぜそれを事前にとめてくれなかったんだという抗議をされたことも新聞報道されているんですよ。そして、今回また、本当のことを言うとみんなが怖がるから言わないんだというようなことをまたおっしゃっているんですね。本当のことを、事実を言うとみんながびっくりしてマスコミも騒ぐ、この国をテロから守る、テロリストの怖いのが平気でこの国をうろうろしている、私はその事実を知っているから申し上げているとまたおっしゃっているわけですよ。

 ここまで行くと、私は、行き過ぎた冗談だとか失言だとかではなくて、これは本当なんじゃないかと。時と場合を選ばずに言ってしまった冗談だとか失言のたぐいではなくて、これは法務大臣としておっしゃっているんだとすれば、これはもう法務大臣みずからに尋ねられて、これはどういうことですかと。日本の治安を守る最高責任者である法務大臣、その役所のトップである法務大臣がここまで繰り返し言うということは、本当に、当初言われていました、ひげの生えた、あるいは変装したアルカイダが何度もこの国に出入りしている、また、テロリストの怖いのがうろうろしている、こういうふうに何度もおっしゃっているわけですよ。

 私たちは、この委員会で、アルカイダがインド洋で一体何人拘束されたのか、あるいは、アルカイダの拠点をアフガニスタン本土で幾つ破壊をし拘束したのか、さんざん議論してきました。

 ところが、その一方で、この国の法務大臣が、この国にはテロリストの怖いのがうろうろしているんだ、何度も出入りしているんだと言われると、この委員会でやっているそもそもテロ対策、もしかしたら、私たちは足元のことを全く気にしないで実はやっていたんじゃないか。片っ方の法務大臣は、うろうろしているんだと言っているわけですよ。

 これは事実を確認した方がいいと思いますが、いかがですか、官房長官。

町村国務大臣 先週金曜日に、法務大臣から、二ページの事実経過に関する説明というメモが届きました。これは衆議院の法務委員会でも、法務大臣みずから御説明をされたというふうに聞いております。今後の発言においては、十分慎重に、かつ正確を期してもらいたいという話をその際伝えたわけでございます。

 委員御指摘のように、たしか日曜日の朝刊に、うようよしているという発言が報道されておりましたので、私、また日曜日に電話いたしました、鳩山大臣に。そうしたら、大臣の方からは、これはテロの脅威と、これを踏まえたテロ防止のための上陸審査というものを徹底しなければいけないと、みずからの職務を戒める意味で、そういう趣旨で発言をしたというような説明があったので、その説明をもって私は了としたわけでございますが、委員御指摘のような、そうした誤解等々を招く、招きかねないような発言であるとすると、それは大変まずいので、引き続き鳩山大臣には、誤解を招かないような発言をするようにさらに伝えておきたい。委員からもそういう御指摘のあったことを含めて、お伝えをしておきたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、私は鳩山法務大臣に取り次いでくれと言っているんじゃなくて、これは、今官房長官がおっしゃった、テロリストが不法入国をする、あるいは水際で食いとめなければいけないという例え話として出したにしても、余りにも不穏当ですね、法務大臣ですから。一般の議員が言ったり、あるいはメディアの方々やコメンテーターの方々が言う分には、ああ、そういうこともあるかなと思います。

 しかし、一国の法務大臣がこれだけたび重ねて言うわけですから、これは発言を慎重にしてくれとか失言のたぐいということではなくて、本当にそうなんじゃないか、法務大臣、あなたは本当は何か知っているんじゃないのか。私、これはまじめにやはり聞くべきだと思いますね、注意をするとかではなくて。その点についてはいかがですか、総理。

 これは逆に、ほっておくと国民は、法務大臣があそこまで繰り返し言うんだから何かあるんだろう、今、日本の国の中でと。そういうふうな不安を持ちますよ、治安をつかさどるトップがそう言うわけですから。これについては真剣に確認されたらどうですか。

町村国務大臣 具体の事実をもって鳩山大臣が言っておられるとしたら、それは本当に大きな問題だろうと思いますが、私は、何か具体の、特定の人物が出たり入ったりして国内を歩き回っているということを意図して言っているというふうには受け取っておりません。

渡辺(周)委員 このことばかりはやりたくありませんけれども、テロ対策の特別委員会の中で、同じ国の法務大臣がテロリストがうろうろしていると言っているわけですから、これは調べた方がよろしいんじゃないですか。注意をするということは、例え話のたぐいということで日本政府としては法務大臣の発言はとらえているということで理解してよろしいですか、総理。

町村国務大臣 具体の事実があるというふうには私は聞いていないのでありまして、もし本当にそれが事実であるならば、それは、関係当局ともしっかりと相談をし、対策をとらなきゃいけないことになるわけですよね。それが法務大臣としての務めだ、こう思いますが、現実にそういうアクションを今とっておられるのかどうか私はわかりませんが、そういう事実があるという報告で私は聞いておりませんものですから、そのように鳩山大臣のおっしゃっていることを受けとめているわけであります。

渡辺(周)委員 事実がないのにここまで重ねて言われるのであったら、これは法務大臣として不適格ですよ。それについてはどうお考えですか、総理。

福田内閣総理大臣 もともとの発言が、爆破事件を事前に知っていたかのような印象を与えてしまったということなんですね。すぐに補足説明や訂正をいたしましたと。うろうろ発言は、これはそのことを指したことだというふうに説明を受けております。

 ですから、いろいろな人がうろうろしているというイメージじゃなくて、この人が一人でうろうろした、そのことは、事前に知っていたかのような印象を与えたこの人物である、こういうふうなことなんです。

渡辺(周)委員 この議論はもうこれで終わりにしますけれども、これが例え話であるならば、報告書を二日に出して、三日の日にまた同じことを言っているわけで、これはいたずらに不安をあおることですので、法務大臣としてはもう不適格ですよ。その辺、やはり私は、罷免なりの御判断をいただきたいと思います。

 そして、もし何か根拠があるのであれば、当然、これはどういうことかということで深刻にとらえて、政府を挙げて調べるべきだと思いますけれども、最後にもう一度総理に伺います。

福田内閣総理大臣 これは、先ほど申しましたように、そういう事実はあった、しかし、それは犯罪の起こる前ということでなくて事後のことであったということでもって、それを十分な説明をしなかったということをわびているわけなんですけれども、そのことについてもう一回触れちゃったわけですよ。

 ですから、それが誤解を与えたということであれば、それは本人がまたもう一回おわびしなきゃいかぬということになるかもしれませんけれども、そういう事実関係だったということを御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 理解はもちろんできませんけれども、きょうは防衛省問題の質問をいたしますので、この場でこの話は終わらせていただきます。

 さて、官房長官、昨日、我が党の武正公一委員から、民主党が外交防衛部門会議の中で資料を提出してくれという資料の中に、補給艦がどこで給油をしているかということについて資料を受け取りました、防衛省の方から。そして、その資料があると言ったら、政府の方では、それはないはずだというふうに言われましたけれども、実際は、ここに、UAEの場所で給油を受けたという検査調書があるわけですね。

 それに対して、そのUAEの国の地名はちゃんと書いてあるんですよ。それは、我々が防衛省からいただいた検査調書の中にちゃんとあるんです。ところが、政府は、そんなものは出していないとおっしゃいましたけれども、武正委員の質問時間のときには間に合いませんでしたが、後でちゃんと出てまいりました。

 その点について、政府がこれまで、ない、出していないはずだと言っているものが、ちゃんと我々は防衛省から受け取っているわけです。我々は決してうそも何も言っておりません。その点については、我々はその資料に基づいて政府側に質問したわけでありまして、それまでは、これは非常に機密に属する部分であるから出していないのだと言っているけれども、機密どころかちゃんと名前を書いて出してきたわけでございます。

 その点について、これはやはり防衛省として、だとすれば、もう名前を出してこちらに、野党に提出するわけですから、これは全部公表しちゃったらどうですか。そのことを、まず今手を挙げられた防衛大臣に伺いたいと思います。

石破国務大臣 御指摘の、民主党からいただきました資料の要求に対しまして、当省より提出をいたしました納品書、検査調書の一部におきまして、非開示情報でありながら非開示の処理を怠っておりました部分が一点ございました。これは、すべて私どもの不手際でございます。これは、もう何とも申し開きのしようもございませんで、深くおわびを申し上げる次第でございますし、民主党並びに武正委員に対しましても、大変に失礼なことであり、申しわけのないことでございました。深くおわびを申し上げます。

 他方、この非開示処理を怠りましたことは、まあ怠ったわけでございます、意図してやったものでも何でもございません。当省といたしまして、このようなことを公表する、それで怠った、こういうことではございませんで、また、寄港地、港でございます、これを特定することにつきましては、これを公にすることによりまして、円滑な活動実施に支障を生ずるというおそれがございます。また、当該国との信頼関係もございます。

 これは、なかなか御理解をいただきにくいことだとは思っておりますが、私どもとして、開示をするというような意図を持ってやったものでもございません。したがいまして、引き続きまして、非開示情報とさせていただきたいと思っております。

 委員の御指摘は、もうこうなったんだから全部出せということだと思いますが、この手のものは、先ほど来申し述べておりますように、安全にかかわりますこと、また他国との信頼関係に関することでございますので、引き続き非開示ということでございます。

 委員並びに御党に対しまして、深くおわびを申し上げます。失礼いたしました。

渡辺(周)委員 いや、別におわびを言われなくてもいいです。我々としては、非開示のものを出していただいたわけですから、大変ありがたいなと思っているんですね。

 ただ、もし非開示だということで、今大臣おっしゃったように、非開示であるものが、何らかのミスであるとして、出たならば、これは、当然本来なら当該する国と調整をしなきゃいけない。我々、何度も資料を出してください、とにかく情報開示をできるだけしてくれと言ったけれども、当事国とのすり合わせがあるとか調整があるとか言って、結局出てこない。だとすれば、今回、出てきちゃったことについて、その当該する国に対して当然のことながら謝罪なり何らかの経過報告をしなきゃいけないと思いますが、その辺はどうなっているんですか、これで終わりですか。

石破国務大臣 非開示扱いということでございますので、当該国に対しましてということの議論をここでお答えすること自体、不適切かと存じます。何を言っているんだというお怒りはよくわかりますが、非開示扱いということでございます。

 いずれにいたしましても、こういうことで当該国に御迷惑がかからないように、そして、こういうような不始末でございますが、安全確保に万全が期されますように努力をさせていただくということで、どうか御容赦賜りたいと存じます。

渡辺(周)委員 というのは、防衛庁のこういう資料管理といいましょうか、原本管理というのは、非常にこれは信用できないんですよ。

 我々が航泊日誌を出してくれと言ったら、それは、本来なら保管期間なんだけれども過って廃棄をしてしまったと。しかし、なかったと言っているものが、アメリカの公文書館の方から航泊日誌が出てきたら、いや、そこの部分だけは残っていましたと。ないと言ったものが出てきてみたり、今みたいに、出せないと言っているものが実は名前入りで出てきたり。中には、実はコピーがありました、これは、二〇〇一年のこのオペレーションが始まってすぐの、本来保管期間を過ぎているから廃棄したはずだったものが、実はコピーが出てきた。こういうものが出てくるわけです。

 それが、みんな、後から後から、実はありました。廃棄していましたと言って、我々が必要とするものに対しては、ないと。それで、しばらくすると実はあったということなんですけれども、これは、何か隠ぺいしているんじゃないですか。これは、私、さっき午前中の参考人の話を聞いていてもそう思いましたけれども、どうも何かまだ隠しているな、組織ぐるみで隠しているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですけれども、大臣、どうなっているんですか。

石破国務大臣 私も、副長官あるいは長官を合わせて二年半やらせていただきました。また、今回、防衛大臣を拝命しておるわけですが、正直申し上げて、そのような管理状態が極めてずさんであったというふうなことは、率直に認めざるを得ないと思っております。

 ある意味で、これは開き直りに聞こえるといけませんが、委員会でこのような御指摘をいただくことによってこういう体制の不備が明らかになるというのは、それはそれなりに、非常に変な言い方ですが、文民統制がきちんと機能しているということなのかもしれません。

 それで、私は思うのですが、防衛庁というものが自衛隊管理庁みたいなところがあったのではないか、あるいは、大綱によって決められたものをそのまま買うというようなそういう役所だったのではないか。もちろん、現場においてそれぞれの隊員たちは本当に服務の宣誓どおりに一生懸命やってきたのですが、この管理の体制をどうするのだということについて恐ろしく抜け落ちておった部分があるのではないかと思っております。

 それで、もうミスは全く言いわけの余地はございませんが、こういうミスが起こらないための体制というものはきちんと組んでまいりませんと、有事に動く組織になりません。それはちゃんと点検をし、徹底的にやらなければだめだと思っております。

 野党の御指摘から大変いろいろなことを得たものがございます。どうぞ、今後とも御指摘をいただいて、国のための組織ですから、万全を期すために政治のお力もぜひおかりをしたい、おかりしなければいけないと思っております。

 私として、組織的な隠ぺいとかなんとかそういうことは全くございません。それは、そういうことではなくて、本当に単純なミスが起こる、あるいはそれを上が、上という言い方を仮にしますならば、把握する体制になっていない。だとすれば、一体どこに問題があるのか。人員が足りないのか、あるいは体制がまずいのか、あるいは制服、背広の関係というものがもっと改善の余地はないか、あらゆる観点から検討して、こういうことですということをお示しするのが私の責務だと思っております。

渡辺(周)委員 もうくどくどとは申しませんけれども、あったと言っていたものがない、そして、ないと言っていたものが追及したら出てくる、あるいはコピーは出てきました、一体文書の管理はどうなっているんだろうか。このことをまず、これまでも議論をしてきましたので、これについてはちゃんとやっていただかないと、防衛省という組織は一体どういう組織なんだというふうに思わざるを得ないわけですね。

 それから、先ほどの公明の富田委員の質問にも関連をしますけれども、我々が防衛省にいろいろな資料を出してくれと言っても、機密に触れる、あるいは、これは出せない、秘密の部類だと言いながら、民間人がエンジンの技術的な問題を話し合う会議には出席をしていた。エンジンの技術的な問題を話し合うというところは本当に機密じゃないですか。だれの声がかりか知りませんけれども、こういうところには無関係の民間人が出席をしておいて、我々国会では、資料を出してくれと言うと、それは機密だと言う。全く矛盾をしているわけですね。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、先ほど、こういう会議が何度も開かれている、その都度、議事録を残すか残さないかというのはその部局によって違うんだというふうな話が政務官の話の中にありましたけれども、実際、こういう会議の中にこういう事例が幾つもあったんじゃないですか。この人だけがまれな例として一回出たんじゃなくて、いろいろな業者が、実はこうした機密と防衛省側が言うような会議に民間の業者が出席しているようなことも多々あったんじゃないですか。いかがなんですか。

石破国務大臣 政務官からお答えをいたしましたように、この民間人は、通訳といいますか補助の人間として入ったということだそうであります。

 ただ、その場合に、秘密保持というものがきちんとなされていたかどうかということは確認をしなければなりません。そしてまた、そういう場合に民間人を陪席させる上においては、きちんとしたそういう基準あるいは許可というものが必要だと考えております。

 そういう場合に、過去そういうものがあったかどうか、どのような手だてで調べられるのか、ちょっと帰って検討いたしますが、今委員御指摘のような、ミライズが同席をしておった、これだけに限定できるということを言い切れるだけの自信が私にはございません。過去のものも含めまして、それは調べます。

 あわせまして、これから先、どのような基準であるいはどのような秘密保持の体制をもって、例外的に認めるとするならばだれがそれを許可するのかということも含めて、きちんとした体制は確立を必ずいたします。

渡辺(周)委員 といいますのは、もし会合に出ていれば、通訳だと称して、例えば商社の商売っ気のあるビジネスマンが当然同席することだってあるわけですね。もしかしたらこれは、スパイが通訳だといって当然入ってくることもあり得るわけで、これは文書管理のみならず、こうした省内で機密という部分において余りにも危機管理がなされていないんじゃないか。これは一体どういうことなんですか。

 今、省内で経緯説明の報告書がされたということですけれども、これは新聞報道です、けさの朝日新聞。もしそうであるならば、これはやはり何らかの形で公表すべきじゃないでしょうか。一体どういういきさつで民間人が同席をして機密に触れる会合に出られたのか。もしかしたら、今大臣、調べられるとおっしゃいましたけれども、こんな例は実はしょっちゅうあったんじゃないか、そう思わざるを得ないですね。

 これはまさに、癒着の一つの根本的な問題でもありながら、あわせて国家機密に関する国防上の問題でもあるんじゃないかと言わなければなりませんけれども、いかがですか。報告書をまず、あるのであれば何らかの形で出すべきだと思いますし、また、この点について徹底して調査して、いつまでに結論を出したいということをお考えなのか、今この時点でお答えいただけることをお答えいただけますでしょうか。

石破国務大臣 これは、どのようにして調べるかということがございます。

 CXのエンジンについて御指摘をいただきました。関係者の記憶等々あるいは面会票等々を合わせまして、この件に関しましての御報告になっておるわけでございますが、これを全件ということになりますと、どういう形でできるのか、それは検討させてください。ここで、こういう形でこのようにやりますということが今申し上げられる状況にはございません。

 ただ、本当に、委員御指摘のように、そういうところへスパイのような者が入っているということは断固排除しなければならないことです。そういう者がいなくても、仮に通訳だとか技術的な専門家だとか、そういう者がいなくても、きちんとした話ができる体制をつくっていかねばならないことであります。

 調査はいたします。どういう形で調査するか、そしてまたその報告をどのような形で行うか。報告はすべきものと私は考えております。

 今後とも、国会の議論等々もよく踏まえまして、当省としてこのような考え方で臨みますということを明らかにし、また委員の御意見等々を賜りたいと存じます。

渡辺(周)委員 時間が来たので終わりますけれども、情報開示をしてくれという立法府、国会には、機密だ、機密だといってちっとも開示されずに、防衛省の中での会議には、まさに技術的な問題を扱うような、機密に属するような会合では無関係の民間人が同席をしている。これは全くもって不可解な事実であります。全く許しがたい話であります。ぜひこの点については、我々も今後ますます真相究明に向けて努力してまいりますけれども、きょうのところは、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

深谷委員長 この際、大島敦君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 まず、石破大臣に質問をさせてください。

 なかなか世の中には、局長というのはどんな人かわからないと思うんです。民間企業、大企業ですと大体役員クラスの方なのかなと私は思っていまして、防衛省におきまして、局長の任期というのは大体何年ぐらいなんでしょうか。

石破国務大臣 任期が特に定まっているわけではありませんが、通例におきまして、局長は一年ないし二年務めるものと承知をいたしております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 前回、これはテレビが入っていなかったときなんですけれども、石破防衛大臣はこの場で、各防衛省の局長クラスの皆さんに、GPS対応型の携帯電話、どこにその方がいらっしゃるかわかるような電話を局長さんにも持ってもらう、どこにいてもわかるように持ってもらうということを、強い決意を持ってこの場で述べられました。

 翌日のテレビ報道あるいはワイドショー、ラジオを聞いてみますと、これは賛否分かれておりまして、ちょっとやり過ぎではないのかなという意見もあったり、いや、やるべきだ、やはりどこにだれがいるかわかるようにした方がいいという意見もあったかと思うんですけれども、今、防衛大臣としては、その御決意は変わらないでしょうか。

石破国務大臣 これはいろいろな受け取り方がなされておりまして、一部報道あるいは一部のお話によれば、防衛省の課長以上に全部GPSを持たせると石破大臣が発言し、防衛省強い反発みたいな、そういうような報道もなされておる。

 ただ、私が申し上げたいのは、まじめな話、危機管理官庁でございます。そして、イラク特措法に基づきまして今でもクウェートに展開をし、そしてインド洋から帰国の最中であり、ネパールに出して、ゴラン高原に出しているわけです。常に時差というものを念頭に置いておかねばならない仕事だと思っております。そして、危機管理に当たる省庁でございます。

 そうしますと、防衛省の全員に持たせるということを私は言っているのではありません。危機管理の任にある者は、それは居場所が明らかにできないようで一体何がどうするんだ、そのときにプライバシーが優先するのであるならば、危機管理よりもプライバシーが優先するのであるならば、そういう人はそういうセクションにいなくて結構ですということを私は申し上げております。何のために我々は仕事をしているのかという認識をちゃんと持ってほしいし、これは、休日にゴルフをしていたとか、そういうことがあるわけです。そういうような状況でありながら、それが事務方のトップでありながらプライバシー云々ということを言われることは、私は極めて心外だということを申し上げているのです。

 したがいまして、どういう形が一番よいのか。GPSを持つのが嫌だということであるならば、あるいはほかにいろいろな問題があるとするならば、お休みの日にどこにいますかということとあわせて、緊急な事態があったときにどれぐらいの時間で本省に来られるか、いないとするならば、どうしても来られないということもありますでしょう、だとするならば、それにかわる者はだれであるのか、そういうことを明らかにすることは、危機管理を掌握する官庁として当たり前のことだと私は今でも思っています。

大島(敦)委員 なかなか官僚機構はしぶといと思うんです。役人の人から見て恐らく大臣というのは、この大臣は一年の人なのか半年の人なのか、そういう見方を持っていらっしゃると思うんですよ。ですから、役所の人たちにしっかり仕事をさせるというのは、しっかりとした意思がないと難しいと思う。

 石破大臣がおっしゃったとおり、例えば、今私たち国会議員が持っている携帯電話というのは優先的につながるようになっているわけです。これは、災害のときとかあるいはテロが発生したときにお互いに連絡がとれるように優先的に通話ができるようになっている。これを築いたのは私たちの先輩議員なんです。その議員が、やはり私たちの仕事としては必要かということで携帯電話を、そのような回線を開いていただいたわけです。

 ですから、私たち国会議員でもそうやって築いているわけですから、石破大臣がおっしゃったとおり、課長以上なのか局長以上なのかはともかくとして、どこにいてもしっかりと連絡をとれる体制というのは、やはり危機管理官庁でしたら必要だと思うんです。ですから、それをいつごろからやっていただけるのか、もう一度御答弁いただければ幸いです。

石破国務大臣 方法につきまして、本日また会議をいたすことにいたしております。これは、私は一日も早い方がいいと思うのです。これは、一日のおくれがとんでもないことになる可能性もありますので、悠長なお話をしていても仕方がありませんから。

 ただ、こういう御意見もいただいたんですね。国民の税金でそんなものを持たせるよりも自分の金で持たせなさいと言う方もいらっしゃいまして、ああ、なるほど、そういう反応もあるのかななどと思ったりしております。

 私は、今十一月でございますので、十一月のなるべく早い段階でこういう形にするというものを決めたいと思います。それはもう一日も早い方がいい、そのように思っております。全力を尽くします。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 続きまして、これはなかなか、外交、安保の問題は難しい問題で、わかりにくい問題なんですけれども、先ほど与党の委員の方が一般法について触れられたかと思います。その点について福田総理大臣に何点か伺わせてください。

 まず、集団的自衛権あるいは個別自衛権、あるいは集団的安全保障といってもよくわからないと思うんです、何が個別自衛権なのか、集団的自衛権なのか。

 これは恐らく、わかりやすく説明しますと、福田総理を例に出しては申しわけないんですけれども、私と福田総理が友達同士であったとして、福田総理が不意に殴られたときに殴り返していい、これが個別自衛権だと理解するわけです。集団的自衛権というのは、私と福田総理が、兄弟の契りと言ってはなんですけれども、それを結んでいて、福田総理が殴られたときに、私が殴られていないのに殴り返す、これが集団的自衛権だと思うんです。

 国際連合というのは、第一次世界大戦、第二次世界大戦の教訓を得てできた国際組織ですから、武力行使は原則禁止なわけですよね。武力行使は原則禁止ですから、ぶたれたらぶち返しては本来はいけないということになっているわけです。だけれども、一定の期間を区切ってだったら、ぶたれたらぶち返していい、友達がぶたれたらぶち返していいということが今の国連の組織の中では認められております。これが多分、国連憲章の五十一条なんですけれども、「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、」ということです。

 国連という組織は、わかりやすく言うと、町内会だと思っているのです。要は、町内会に各国々が参加して、町内会として、一番最初に福田さんが殴られたときには、では、みんなで、まずは殴り返して自分を守らなくちゃいけない、友達も守るんだと。そしてそれから、不法な人あるいは悪意を持った人を町内会としてしっかり抑え込んでいくというのが、憲章に書いてある、五十一条の集団的安全保障という考え方だと私は理解しているのです。これは、一つの人類の知恵だと思っているのです。

 そうすると、この一般法の枠組みをどう考えるかというのは、これからさまざまな議論があると思うんですよ。国連憲章にのっとって、国連、安保理、なかなかこの安保理というのも難しい組織ですよね。町内会でも、役員の方がいらっしゃって、その中で特に有力な役員の方が五人いらっしゃって、この役員の方が一人でも反対したら町内会としての悪い人を懲らしめるという活動ができない、そういう欠陥も持っているとは思うんですよ。

 でも、国連という組織は国際的な公共財だと私は考えておりまして、そうすると、安全保障、一般法の枠組みを考えたときに、やはり国連の安保理の決議に基づいて、決議の範囲内で、それぞれの作戦というのか、あるいは懲らしめる行為をやった方がいいかなと思うんですけれども、その点について、福田総理のお考えがあれば伺わせていただければ幸いでございます。

高村国務大臣 今の委員のいろいろな例え話、おおむね正しいんだと思います。うまく話すものだなと思って聞いていたわけであります。

 国連の決議といっても、いろいろな態様の決議が考えられるわけであります。例えば、一三六八と言われるもので、テロを抑圧、防止するためにみんなで頑張りなさい、こういう決議もあるわけであります。それから、国連決議ではっきり、PKOでこういうものをつくって、そして国連の統括のもとにやりますというものもあります。それから、国連の決議でつくるんだけれども、ISAFのように、統括のもとに入らないで例えばNATOの指揮下でやるとか、そういうものもあります。そして、一番大きいものは国連軍であります、国連軍。これはまだできたことがないんです、典型になるような国連軍はできたことがない。

 ですから、国連決議といってもいろいろな段階がある。それぞれ、どの段階からどういうふうに評価するのかということは、これは政策の問題としてあると思います。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、基本的には、さまざまな国連の決議があって、一般法をつくるとして、それぞれの国連決議を前提として、私たちは、例えば自衛隊になるかもしれないし、あるいは別の組織かもしれないし、民間人かもしれないし、政府の組織かもしれない、それを国際の平和のために出していくということ、そのことは非常に正しいかなと思うのです。

 それ以外の枠組みで、例えば、国連の決議がなくて出していくことを認めるかどうかという範囲はどう考えればいいのかなということについて、ぜひ福田総理に御答弁いただければ幸いと存じます。

高村国務大臣 自衛隊を出す場合には憲法の要件がありますけれども、その憲法の要件との関係で、必ずしも自衛隊が動くから何らかの国連決議がなければいけないということはないんだろうと思います。それは、今までの一貫した政府の憲法解釈からいえば、そうでございます。

 ただ、それと、憲法解釈とは別に、やはり自衛隊が動く場合には何らかの国連決議があった方がいいという考え方と、必ずしもそうでないという考え方と、いろいろあり得るんだと思って、まだ政府の中では必ずしも、例えば今の新法なんかは、一三六八という大ざっぱな国連決議があるわけでありますが、仮にそれがなくとも活動に参加することが憲法違反だとは考えていないし、政策的にも、それは武力の行使をしない以上はいいんだ、今のところ、そういうふうに考えてこの法案を出しているわけであります。

大島(敦)委員 なかなか難しいと思うんですよ、今後の議論の中で。

 私は、特措法としては、今回のテロの特措法があり、イラクの特措法があったと思うんです。それぞれ特措法でそれぞれの事態に対処していくのも悪くはないなという意見もあるかと思うんです。

 今の議論は、それぞれの特措法を議論していくと結構時間がかかるし、臨機応変な対応ができないから、そうすると、一般法をつくって、一応フレームは用意しておいて、その枠内で我が国は国際貢献をしていこうという話で、その内容については、PKOのような武力行使を伴わないものからISAFのような武力行使を伴うものまでいろいろとあるとは思うんです。

 ですから、そのときに、なぜこういうことを言うかというと、これは福田総理に少し耳を傾けていただきたいと思うんですけれども、福田総理は十七年間サラリーマンをされていて、大きな会社の課長まで行かれた方なわけですよ。そうすると、大きな会社の課長まで行かれて、恐らく、石油のビジネスですから、二十代、三十代、四十代にかけて、向こうの方と、要は外国の方との交渉が多かったと思うんです。

 その際に、今までの我が国の交渉というのは、要は、ちょっと待ってくれ、本社に聞いてみるからという交渉の仕方が多かったと思う。ちょっと待ってくれ、本社に聞いてみるからと。向こうの、外国の方にとっては、全権を委任されて交渉に当たっておりますから、非常に気持ち悪く映るのが私たちの交渉術だったわけです。

 今は、私の世代ですと、ちゃんと日本の交渉相手もすべての権限を与えて、それで一対一で交渉した方がスマートじゃないかなというのが通説になっているわけですよ。でも、言葉が違うし、意外と相手の方が交渉なれしていると、やり込められていることもあるかと思うのです。

 そうすると、二回の特措法というのは、意外と日本としては、外国との、譲歩というわけじゃないんだけれども、ある程度自衛隊の皆さんに危険をさせないような一定の歯どめがあるかなという思いも自分はあるんです。これから一般法を議論していく中で、そういう意見もあるとは思うんですよ。

 その点について、どの程度までが認められるかの範囲について、御所見があればいただきたいなと思うんですけれども、総理、いかがですか。

福田内閣総理大臣 一般法というのは、これは自衛隊の海外における活動の範囲を規定するということでありますけれども、一般法に、自衛隊の活動だけでなくて、ほかの、民間の活動も入れてもいいじゃないかとかいったような議論も出てきても私はおかしくはないと思いますよ。

 ですから、その辺は、その範囲というものをこれから考えることで、そしてまた、仮に自衛隊が出たときに、どういう状況の中で出られるのか、どの範囲、どういう種類のことをするのか、そういうこともこれから議論をすることなんです。

 イメージとしては私ども持っておりますけれども、しかし、御党においても、当然そういう問題はこれから考えていくであろうと思います。そして、それを国会を中心として議論する中において、やはり、自衛隊の海外における活動ですから、国民の理解も必要だというように思います。議論することによって国民が深く理解してくださるような、そういうような我々のこれからの国会論戦というものを進めていく必要がある。そういう中から範囲も規定していくということになろうかと私は思っております。

大島(敦)委員 補足的につけ加えさせていただきますと、先ほどの外国との交渉術というのは、今回のイラクのオペレーションというか作戦に当たって、一番最初の段階からフランスとドイツは参加していなかったですよね、イラクについては。これは、どうして参加できないのかなというのはわかるような気がするんです。

 まずは、フランス人なりドイツ人なりが、イラクがこのような状態になってしまいそうだなということをある程度予感していたのかなというところが一つ。自分もそう感じましたから。

 もう一つが、アメリカの方から見て、大陸ヨーロッパの方が極めてまぶしく見えるところがあるのです。大陸ヨーロッパのドイツ人の方とかフランス人の方は、どっちかといったら誇らしい感じを持っていたりもするのです。これはソフトパワーかもしれないけれども、ノーと言えるんですよ。ただ、我が国は、戦後、非常にお世話になったところもあって、なかなかノーと言いにくいところがあると思うんです。

 ですから、一般法をつくるときに、私は、慎重というのかな、ある程度、慎重にブレーキを踏めるようなものを入れておいた方が無難かなと思っている次第なんです。

 それでは、論点をまた移しまして、違う論点について質問をさせてください。

 また石破大臣で申しわけないんですけれども、今回、守屋さんの件にまた戻って済みませんけれども、防衛省の若手の方から守屋さんとはどんな人かとちょっと聞いてみると、評価は高かったんですよ。要は、仕事は手抜きをしない方、すべての防衛省の基地なりいろいろな施設をすべて回っていらっしゃる方、国民の目線で仕事しろと常に言い続けた方だと聞いておりまして、若手の役所の方が残念がっているわけです。どうしてこの人がということを残念がっていて、一つには、防衛省の一般国民からの不信をあおったとともに、若手の人たちの残念な気持ちもふやしてしまったのかなと思うんです。

 そこで、今、石破大臣は、防衛監察本部、これは九月からできている本部、たびたびここで、特別防衛監察ということで、いろいろと調べていただくということを答弁されています。防衛監察監という方がトップにいらっしゃいまして、大体六十人ぐらいを率いて、防衛省の方かなと思ったら、法務省から来ている検察官の方が任に当たられているという話を聞きました。

 そこで、防衛監察本部を機能させるということが結構大切かなと思っていまして、そうすると、これは報告書というのを公開するのかどうか、ちょっと伺いたいんですけれども。

石破国務大臣 これは公表を必要な範囲でしていかなければいけないものだと思います。これは、実際にどうであったかということを、自衛隊のユーザーは国民ですので、国民に対してこういうことでございましたということはきちんと明らかにする必要があるのではないでしょうか。

 私は、自衛隊というのは防衛省のものではないと思っております。国民のものですから、自分たちの安全、国の独立という大根本、これを守る組織がこういうことなんですということをきちんと国民にお知らせすることは必要なことだと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 そうすると、どのような範囲かはともかくとして、一応公表をされるという理解でよろしいわけですよね。再度確認させてください。

石破国務大臣 そのような御理解で結構です。

大島(敦)委員 もう一つは、組織の、今私が聞いたところですと、防衛監察監という一番トップの方は法務省から検察官の方が来ていらっしゃって、そのほかもう一人、法務省から来ていらっしゃって、ほかすべてが防衛省の方だという話を聞いていまして、なかなか、これは自分もそうなんですけれども、友達のことを調べて報告するというのはつらい仕事だと思うのです、サラリーマン社会の中においては。同じ組織の中でローテーションしていくわけですから、今もなかなかつらいお仕事をしているのかもしれない。自分の同僚に対して、だれとどこで飲み食いして、ゴルフに行きましたか、行きませんでしたかと聞いている。

 そうすると、この防衛監察本部のメンバーは、六十人中二人が他省庁からの出向ではなくて、もう少し多くした方が組織としては機能していくと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 防衛施設庁事案がありましたときに、これはどうするんだということを自民党の中で、浜田理事が委員長となられまして、私もメンバーでありましたが、議論をしたことがございます。随分と長時間議論を行い、案というものも具体的に提示をしました。そのときに、やはり外から来ている人を入れなければだめなのだと。捜査機関ではありませんが、そのノウハウというものもあります。法律との兼ね合いもございます。人権に対する配慮もございます。そういうようなことで、外から来ている人を入れるということにいたしました。

 今、委員御指摘のように、友達といいますか、同僚といいますか、それを監察するというのは、それはつらいのですけれども、やはり自浄作用としてそういうものがあるというのは必要なのではないかと思っております。

 私は、蛇蝎のごとくという言い方はよくないのかもしれませんが、そのように嫌われる嫌われ者がいなければ組織は健全にならないのだというふうに思っておりまして、ある意味、それを恐れない人でなければなってはいけない。そして、そこできちんと職務をした人がその後、正当に遇される、そういう仕組みも必要だというふうに思ってまいりましたし、今でもそう思います。

 外の人を入れるかどうかということについて検討はいたしますが、私は、そういう役目を持った者がいなければ組織は健全にならない。他方、戦前の軍法会議というものが必ずしも厳正に行われなかったというところに旧軍の不幸の一つがあるということもよく認識をいたしております。そのあたり、どのように動かしていくか。

 今回、特別監察、なるべく急いで結果を出したいと思っております。作業自体はほとんど了したというふうに聞いておりますが、まずそのことをきちんと見ました上で、委員の御指摘も踏まえながら、さらに検討を重ねてまいりたいと存じます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 これまでも、私も厚生労働委員会が長かったのですけれども、いろいろと不祥事というのは時々取り上げさせてもいただいておりまして、私は、余計な仕事だと思っているのです。できれば、与党の中で、しっかり皆さん管理監督者としてこういう事案がないようにしてほしいといつも願っておりまして、私たち野党が、私たちは貴重な質問時間でこのような不祥事を細かく追及していくのは、先ほど総理だったか石破さんでしたか、答弁の中で、こういう質問をしていただくのはありがとうということを御礼は言われたのですけれども、もう少し建設的な議論をしたいなと思っております。

 ぜひ、与党の皆さんにお願いを申し上げたいのは、皆さんの方が情報にも、時々、先ほど公明党の委員の皆さん、情報が入ってこないところもなかなかあるそうなんですけれども、やはり細かくチェックをすること。時々質問するだけでも大分違っていきます、政府というのは。質問をしっかり、例えば部会の中あるいは省庁の中で、大臣、政務官が質問するだけでも役所のレベルは上がってくるんです。危機管理というのは、組織をつくったから解決する問題ではないと思うんです。

 最後に、福田総理、この間もここで述べさせていただいたんですけれども、九月十一日、二〇〇一年のテロがあったときに、埼玉県の自宅に帰ってテレビをつけると、二機目が突入している瞬間を見て、私は、東京も対象になると直観して、命がなくなってもしようがないなと思って、議員会館に夜中に駆けつけた経験があるんです。そういう国に対するコミットメントをしっかり果たすことが私たち国会議員として必要だと思いますので、ぜひ今後ともよりよい議論を積み重ねていきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 この際、三谷光男君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 この大事なテレビ集中審議に再び質問の機会をいただきまして、委員長、理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。先週に引き続きまして、まさに今、公正性、透明性が問われております防衛装備品の調達の問題について、質問をさせていただきます。

 まず、先週の質疑でも取り上げました、チャフ・フレア・ディスペンサーの納入における山田洋行の過大請求、水増し請求の事案についてお尋ねをいたします。

 チャフ・フレア・ディスペンサーというのは、輸送機やヘリコプターを敵の攻撃から守るために、おとりの金属片や熱源を発射して、敵のレーダーを攪乱させる装置のことです。海上自衛隊の哨戒ヘリに配備をされています。メーカーはBAEシステムズ社、代理店はまさに今問題となっている山田洋行であります。この問題は、先週の守屋前次官の証人喚問の中でも取り上げられました。

 問題となっておりますことは、この装備品の納入において不正な水増し請求があったのではないか、あるいは、あったのに処分がなかった、そして、そのことに守屋前次官が関与したのではないか、こういう疑いであります。

 まず、大事なことは、チャフ・フレア・ディスペンサーの納入における山田洋行の過大な請求、不正な水増し請求というものはあったのかなかったのかということです。そして、あったとするならば、なぜ処分がなかったのかということであります。

 そのときの契約書は、既に防衛省から出していただいております。平成十二年度、山田洋行と防衛庁との三件合計八億一千万円だった当初契約、最初の契約が、平成十四年度に減額変更されて最終的に合計で六億二千万円、一億九千万円分の減額変更が行われました。この当初契約の後に、ニューヨーク駐在の防衛庁原価計算部の輸入調達専門官の鈴木信丈さんがメーカーのBAEシステムズに問い合わせて、これは不正な見積もりだと確認したとされています。BAEシステムズから防衛庁鈴木さんにあてられた文書があることは、防衛省もお認めになられています。

 先週の質疑でも伺いました。そのときには、江渡副大臣から、調査中だという答弁がございました。きちんとした説明はなかったのですが、率直に聞きます。これは過大請求だったんですか、不正な水増し請求だったんですか。お答えください。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員から御指摘のあった点でありますけれども、本件につきまして、平成十四年の五月に契約変更に至るまでの過程におきまして、種々の調査等が行われているわけでございますけれども、その調査の結果として、当時、山田洋行による意図的あるいは作為的な過大請求というものがあったというふうには確認がなされておりません。

 なお、先ほど来のことでございますけれども、この件については、まだ現在も調査中でございまして、現段階においてまだ詳しいことは申し上げられる段階ではございませんけれども、今の段階で把握しているその経緯等の概要を申し上げさせていただければ、当初、山田洋行から提出されたBAEの見積もりを踏まえまして、定められた手続に沿って契約をしたわけでございます。その後、担当者が、業務遂行の途中におきまして、この見積価格にBAEと山田洋行との間のそごというものがあるのではないか、そういう可能性というものを把握いたしまして、BAEに問い合わせるなど調査を行ったところでございます。

 この調査を経まして、最終的に、見積もりや減額変更の内容につきまして、関係するこのBAEと山田洋行の方が見解が一致するような状況が出てまいりまして、これを踏まえて減額変更というものを行うべきというその判断が出てきた、そして平成十四年の五月に変更契約を締結した、こういう流れになっております。

 まだその辺のところで、今委員の方から御指摘がありました、当時の鈴木調査官の方の内容等も全部踏まえながら、再確認ということ、そしてまたBAEの方にも再度問い合わせしているという最中でございます。

三谷委員 今の江渡副大臣のお答えというのは、今のところ作為的なことがあったということは確認をされていないが、まだ調査は続けている、こういうことですね。

江渡副大臣 お答えいたします。

 委員のおっしゃるとおりでございます。

三谷委員 今、お話の中に、BAE社に確認をしている、今もしているところだというお話がございました。過去の、当時のことも確認をしているんでしょうか、どうでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、過去のこと、やりとりを含めて確認を行っているところでございます。

三谷委員 BAEシステムズ社からの当時のニューヨーク駐在の輸入調達専門官鈴木信丈さんあての書簡文書、これは十一月一日の本委員会での質疑の中で、民主党の川内博史委員も、この文書を出してくださいと請求をされています。私も、出していただきたいと請求をしております。一番明白なんですね。明白だと思うんです。不正な水増し請求があったのか、そうじゃなかったのか、一番わかりやすいんです。

 実は不正な水増し請求だったかどうかを判断するのは、今も調査中、まだ調査は継続中だとお答えになられました。一週間前にこの審議の中でお尋ねをして、そのときも調査中。それから一週間たちました。そして、わかりますのは、確かに、不正な水増し請求だったかどうか判断するというのは非常に難しい、非常に難しい話だと思います。私も契約書をいただきましたけれども、前の質疑のときには、前の日、この契約書三冊、読み解くのに徹夜をいたしました。ひどい目に遭いました。装備品への知見、あるいはその取引を含めての専門的な知見も必要ですし、最初の契約を結んで実際に納品されてから防衛庁はお金を払うわけですね。その間に為替などさまざまな要素が加わる。

 減額変更されるというのは、ほかの装備品の取引でも、輸入装備品の場合はしょっちゅうあるというふうに聞いています。ただ、わかりやすく言えば、その減額変更の中に、見つかってしまったのかもしれないその水増し請求分が潜んでいる可能性がございます。

 この先ほどの文書、書簡でありますけれども、当初契約を結ぶ際に、この場合、代理店は一社でありますので山田洋行、見積書があって予定価格が決まります、そして当初契約が結ばれる。山田洋行のこの事案の見積書を防衛省は当然持っていると思うんですね。持っていると思うんです。そして、今請求している文書というのは、メーカーであるBAEシステムズ社からの見積もりの内容がその中に記載をされている、記載をされているんです。きのう、防衛省の担当の方が話してくださいました。この文書を出してほしい、出してほしいというふうに頼みましたら、それは出せないと。理由は、まさにBAEシステムズ社からの見積もりが記載されているからだというお話でありました。だからBAEシステムズ社からの了解が必要なんだ、了解を今求めているんだけれども回答がない、だから出せないということだった。

 だけれども、見積もりが、その当時の記載されている見積もりですね、わかるんじゃないですか、大きく乖離していれば。最初に山田洋行から出された最初の見積もりが、予定価格を決めるのに、防衛省の中にこれはありますよね。ありますよ。そして、今のそのBAEシステムズ社からの見積もりの内容がしたためられた文書を、我々は請求してもまだ出してもらえませんけれども、担当の方々は見ておられる、持っておられるわけですから、これが一番わかりやすい話だと思うんです。

 どのようにその見積もりの内容が書かれているんでしょうか。出していただくのが一番ありがたいんですが。お願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 見積もりでございますが、まさに委員おっしゃられるとおり、BAEが作成して出してきている見積もりということになるわけでございます。

 先ほど副大臣の方から御答弁の中で触れさせていただきましたけれども、調査の途上で、見積価格にBAEと山田洋行との間のそごの可能性があるのではないかという疑いを持って調査を進めたわけでございますけれども、最終的には、見積もりを含めて、BAEと山田洋行両者の見解が一致することを確認したということで減額変更ということに相なったわけでございまして、そのときの調査としてそういうことになっておるわけでございますけれども、いろいろ御指摘もあり、そのあたりの経過を詳しく再確認しようということで、最初から御答弁しておりますとおり、BAE社にそういう関係書類も送って、その内容の正確さ、真偽等を含めて確認を行っているところなわけでございます。

三谷委員 小川参事官、もう一つ確認をしたいのですが、江渡副大臣もおっしゃいました。今、参事官もおっしゃいました。その見積もりの中身も含めて、今、BAEの見積もりと山田洋行側の見解が一致するとおっしゃいましたね。見解が一致するというのはどういうことなんでしょうか。

 つまり、私が申し上げたいのは、ここが額として一番わかりやすいことなんだということを、私、先ほど説明をいたしました。過大請求があったかどうか、額が乖離をしているのかどうなのか。額はどうなんですか、お答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 その点、今確認中でございますので、詳細はお答えできないわけでございますけれども、もちろん金額を含めての確認をしておるということでございます。

三谷委員 また確認中であります。ずっといろいろな方も聞いておられますけれども、調査中というお答えが大変多いわけであります。私は、防衛省のこの問題に対する対応というのは極めて不誠実だというふうに思います。

 防衛省は、山田洋行からの最初の見積書を持っている、当然、BAEシステムズ社からの先ほど申し上げた当該文書を持っている。さっきも申し上げましたように、額はどうなのかということです。何で確認中なんでしょうか。両方持っていますよね。両方持っているんじゃないんですか。持っていないのですか。額のことを私は言っているんです。額はほとんど一致をしているのか、乖離をしているのか、そのことを聞いておるんです。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の見積もりということでありますと、これはBAE社が作成したということになりますので、そのBAE社の見積もりでございます。

三谷委員 今のお答えは、私も頭が余りよくないものですから、意味が全くわからないのですが、ちょっとわかりやすく今のお話をもう一回御説明いただけませんでしょうか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 契約そのものは防衛庁と山田洋行との間で結ばれておるわけですけれども、その契約を結ぶ際の積算といいますか、その資料としてBAE社から見積もりを受けておるわけでございます。したがって、先ほど申しましたのは、見積もりということになればBAE社作成のものになるということでございまして、山田のものとBAEのものがずれるという性格のものではないということを申し上げたところでございます。

三谷委員 まだよくわかりません。きちんと説明をしていただかなければならないと思います。過大請求があったならもちろんのことなんですけれども、あるいはなかった場合でも、こうこうこういう理由で、だれでもわかる、テレビをごらんになっている国民の皆さんもわかる説明で、納得できる説明をしていただかなければならないと思うんです。

 先週、私、総理に質問をいたしましたけれども、まさにこの調達の問題に取り組む立派な決意を総理は述べられております。守屋さんの問題を指して、こうした行為が防衛装備品の調達の公正性、透明性に疑念を生じさせていることは極めて遺憾だ、そして、去る二十三日に防衛大臣に対し、速やかに事案の処理を徹底し、そして厳正な処分と実効ある再発防止措置を講じると非常に強い口調でお述べになられました。(発言する者あり)いいことです。本当にいいことだと思います。

 石破大臣、速やかに事案の処理を徹底させていただきたいと思います。

石破国務大臣 私が事務方から報告を受けておりますのは、当時、山田洋行による意図的、作為的な過大請求といった不正行為は確認されなかった、このような報告を受けております。

 では、そのように意図的、作為的ではなかったと断ずるのはなぜなのだということになります。恐らく委員と同じ問題意識だと思います。

 このことにつきましては、BAEにも確認をしなければなりません。いろいろな契約行為を行いますときに、この内容を非公表とするというようなことが当省とメーカーとの間で交わされておるとしますと、これを一方的にこっちが言っちゃうということはできないわけでございます。

 そもそも、そういうことをやること自体が本当にいいのかということもございまして、この事案につきまして、何でこんなことになっているのか、乖離が、乖離というのは水増し請求分の乖離だとすれば、何でこんな金額になるの、契約の内容は一体何ということをきちんと明らかにしなければならないと思います。

 これは、私、今までも確認はやっているわけですが、担当課がかなり、何の言いわけにもなりませんが、オーバーワークになっておりまして、この点、人員の増も含めまして態勢を組み直せというふうにきょう指示をいたしたところでございます。これは海外のメーカーも絡むことでございますので、態勢をきちんと組み直しまして、総理の御指示がきちんと反映できますようにこれも全力を尽くしてまいりたいと思います。

 今までの確認の結果が必ずしも十分ではございません。これは、私の責任できちんと確認をし、意図的、作為的ではないということはなぜなのかということを国会の場においてきちんと申し述べるように全力を尽くします。

三谷委員 大臣、恐縮ですけれども、もう一回確認です。

 今大臣がお話しになられました、乖離があるかないかわかるように国会でもちゃんと説明をするように全力を尽くすとおっしゃいましたけれども、これは結果でありますので、さっきも見積書で、双方に見積書があるでしょうというお話を申し上げましたけれども、それを見せていただければ本当は一番わかりよい話なのだと思うんですよ。そのような形で、それに準ずるような形で説明をいただける、確認をしていただけるということでございますね。

石破国務大臣 私が乖離と申しましたのは、意図的に作為的に過大な請求がなされたものではないということですから、その過大という部分が乖離といえば乖離なのですね。それが過去の契約、つまり、チャフ・フレア・ディスペンサーというものを過去どのようにして調達してきたのか、あるいはSH60だけに装着をするものではございません、委員、冒頭御指摘のように輸送機にも装着をするものでございます、そのときと一体値段が違うのか違わないのか。見積書もございますが、当然同種のものを今までも契約してきたわけですから、そことの乖離という観点からもこれは議論をしなきゃいけないことなんだと思っております。

 契約の内容も、物そのものの内容なのか、あるいはメンテナンス、あるいは技術指導みたいなものを含んだ契約の内容なのか、そこまで子細に見ませんと、このことの全貌というのはわかりません。そこも含めまして、乖離にもいろいろな乖離があるというふうに思っております。

 なぜそういうような食い違いが生ずるか、とにかく当省として、作為的、意図的なものはありませんというふうに申し上げるだけの、断定する根拠というものについて、いろいろな観点から全部精査したいと思っております。

三谷委員 はっきりと明示できる、わかりよい、とっても難しいんです、ぜひお願いをいたします。

 そして、この調達の問題でありますけれども、まさに総理の言葉どおりに、実効ある再発防止措置をとらねばならないというふうに思います。たまたま守屋前次官の大変衝撃的な問題が起きました。山田洋行という軍需専門商社に焦点が当たって、まさに今も取り上げております山田洋行の納入に係る過大請求事案がクローズアップされましたけれども、この過払い、過大請求事案のことで、防衛装備品の調達の問題をいろいろ調べてまいりますと、あるいはきょうも審議をごらんになっておられる皆様が思われるのは、今のような話を聞けば、あるいは今回の山田洋行の記事にも報じられているような話を聞けば、こうした過大請求、装備品の調達の世界の中で、やりたい放題とは言わないまでも、ほかの案件でも頻繁に起きているんじゃないかと考えるのではないでしょうか、考えるのが自然なのではないでしょうか。

 そこで、防衛装備品の調達において過大請求が起こらないように、どのようなチェックをきかせているんでしょうか、働かせているんでしょうか。また、過払い請求が発覚したときに、どのような処分が行われるのでしょうか。説明をお願いいたします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、過大請求が起こらないような審査といいますかそういう御質問でございますけれども、当然、価格のチェックということに相なるわけでございます。一品生産物で市場に類似品が出回っていないようなものについては、原価が適正に構成されているかという原価計算の内容を審査して適正性をチェックする。それから、一般の市場に出回っているようなものであれば、市場価格をチェックしてその適正性をチェックするというのが基本で、そういう中で過大な請求が起こらないようにやっていくということでございます。

 過大請求が起きた場合の対応の御質問でございますけれども、一つは、当然、過払いが生じたときに、民事の損害賠償請求をするわけでございますけれども、それに加えて、過払いの違約金ということで、損害賠償額と同額を請求するということをしております。それから、あわせまして取引停止の措置、これは、期間は、過払い事案が確認されたときから今申し上げました損害賠償額が確定をして支払いが完了するまでの期間でございますけれども、そういったのが過払いの対応になります。

三谷委員 今、小川参事官、取引停止が処分に値する、あるいは平成十六年から違約条項ですか、そのお話をされました。だけれども、なかなかこれは抑止になっていない。あるいは、取引停止、これは処分とも言わないそうでありますけれども、ペナルティーじゃないんですね。聞きますと、発覚したときからお金を返したときに停止期間が終わっちゃう。悪質だから長いとか、そういう話ではないということです。

 そして、もう時間がありませんので聞きません、特に海外メーカーからの装備品の輸入、まさにCXエンジンでありますとかチャフ・フレア・ディスペンサーでありますとか、代理店はほとんど一社でありますので、きのうも調達の担当の方が、海外メーカーからだったら言い値になっているんじゃないのかという話をしたら、できないんです、できないんですと。文句を言うことも、下をうつむかれて、なかなか……。国内で特注品をつくらす場合だったらまだいろいろな指示ができるけれども、なかなか言えないというようなお話。それは確かでしょう。だけれども、できないでは済まないわけでありまして、これは石破大臣も、まさに調達改革、例外なき見直しということも言っておられます、あるいは徹底した調達改革をするんだ、人も入れかえてというようなお話もされています。

 もう時間がないので、最後にまとめて総理に伺います。

 総理、今のお話を伺いまして、防衛装備品の調達改革、なかなかこれは容易な話ではないとお感じになられたんじゃないかと思います。そして、この話の中でも再三申し上げておりますけれども、調達改革に向けて、これは無論なんですけれども、みずから信頼回復のために疑いを晴らすということをまた新たに徹底していただくということが大変大事なことだと思いますので、そのことも含めて、今後の取り組みについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 公務員の、政治もそうです、政治、行政あわせまして、これは国民の信頼というのは大変大事なことでございます。そして、特に防衛に携わる諸問題につきまして、これはやはり国民の信頼なくして成り立ち得ない、そういうものであると思っております。ですから、私も、今いろいろな防衛省にかかわる問題が提起されていることにつきましては、本当に残念に思っております。

 今委員からも疑念の呈された問題につきましても、これをきちんと説明できるように、できる限りの努力をすべきであるというように考えております。今、防衛省も懸命にこの諸問題の解明に取り組んでおるところでございますので、私もさらに督励をしてまいりたいと思っております。

三谷委員 質問を終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 総理とは初めて議論をさせていただきます。関係閣僚の皆様方にも、三十分間おつき合いをいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 まず、財務大臣、本委員会の所管大臣ではないわけでございますが、忙しい合間を縫って御出席をいただきましてありがとうございます。まず、財務大臣に一問お伺いをさせていただきたいと思います。

 新聞の報道によりますと、この防衛省問題について今大きく取り上げられております山田洋行さんの御関係の方の結婚式、正確に言うと披露宴なんでしょうが、奥様が出席をされた。その際にお車代をいただかれた。しかし、それは祝儀としてお返しになられている。しかし、当時の山田洋行の宮崎元専務は、これは新聞の記事ですから、地検特捜の供述には、車代などの趣旨でそれぞれ、これは久間さんのことも書いてあるんですけれども、額賀さんに百万円をお渡ししているというふうに供述しているらしいという記事がございます。

 この記事の事実関係について、大臣のみずからの御発言で真実を語っていただきたいというふうに思います。

額賀国務大臣 今委員がおっしゃるとおり、二〇〇五年の十一月下旬でしたか、山田洋行のオーナーのお嬢さんの結婚式に御招待を受けました。当時の宮崎専務が御招待状を持ってきました。私はそのときに山田オーナーとはほとんど面識がありませんからちゅうちょしておりましたところ、お嬢さんであるからぜひ出席してほしいということで車代を置いていったことは事実でございます。後で中を見ましたところ、はっきり数えたわけではないけれども、新しい札で二十万円前後であった。その後に私は防衛庁長官になったものですから、立場上、私は、みずからのかわりに妻を代理出席させて、角を立ててはいけないと思い、そのお車代として預かった二十万円をそのままお祝い金としてお返しをさせていただいた。

 今、おっしゃるような報道があったということでございますけれども、全く事実に相違しておりますし、事実無根でございます。私は、山田オーナーともほとんど会ったこともないし、それから宮崎専務から招待を受けたり接待を受けたりしたこともありません。

川内委員 財務大臣、国の財布をお預かりになられる財務大臣ですから一点だけ確認をさせていただきますが、新聞の記事では、車代などというふうに書いてございます。他方で、車代は二十万円だったんだろうというふうに思います。そうすると財務大臣、額賀さんとしては、新聞の記事、車代など、などの方に含まれる残りの八十万については、差し引きですね、車代などで百万円、車代は二十万円、引くと八十万が残るわけですが、それも一切ない、一切ないということでよろしいでしょうか。

額賀国務大臣 そういうふうにおっしゃいますけれども、もし百万円もある大金であれば、常識外れのことでありますから、すぐ返却したと思います。それが当然のことであります。

 私は、山田オーナーとはほとんど面識はなかったわけだけれども、政治家として、よく選挙区でも、あるいは友人、知人でも、余り会ったことがなくても、お祝い事であるならば特別な事情がない限り出席させていただこうか、そういう思いであったことでございますので、そこは明白に否定をしておきたいというふうに思います。

川内委員 財務大臣、ありがとうございました。どうぞお仕事に行かれてください。(発言する者あり)これも仕事ですけれども。

 それでは、総理、総理は観閲式に御出席になられて、国民から信頼をされる防衛省・自衛隊でなければならないという決意をお示しになられました。私もそのとおりだというふうに思います。

 今、私の同僚議員である三谷議員と防衛省事務方との議論を聞いていただいたと思うんですけれども、防衛大臣もこのチャフ・フレア・ディスペンサーのことに関して作為的、意図的な過大な請求はなかったのだと結論はおっしゃる。しかし、それを証明する根拠をお示しください、文書を示してくださいと言うと、調査中です、確認中ですということになるわけですね。私は、それでは十分な説明がなされているとはとても言えないというふうに思います。

 防衛装備品に係る調達に絡んで高級官僚が業者と癒着をし何か悪いことをしているのではないかということは、長い長い歴史があって、ずっとさかのぼればシーメンス事件というのがあり、当時は、山本権兵衛、我が薩摩の先輩ですけれども、山本権兵衛内閣が総辞職をするというぐらいの事件に発展をしているわけでございまして、これは総理としても、国民から信頼を受けなければならないというのであれば、着眼は大局ですが着手は小局ですから、例えばこのチャフ・フレア・ディスペンサーなどの事案について、督励するというだけではなくて、この委員会で出た書類をちゃんと出しなさいとかというようなことをきちんと細かく指示しないと、結局何も出てこないということになるのではないかというふうに思います。

 そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、このチャフに関してですが、先ほど防衛省事務方は、BAEからの見積もりが出ているんです、防衛省に出ているんです、メーカーからの見積もりが出ているんですという説明だったんです。それはそのとおりなんです。

 しかし、防衛装備品の見積もりの流れを解説させていただきますと、私が解説をするようなことではないかもしれませんが、解説をさせていただくと、まずメーカーは代理店に見積もりを出すんです、そして、その代理店がいろいろな書類を取りまとめて防衛庁あるいは防衛省にまとめて書類を出す。

 そうすると、この過大請求事案は何が疑われているかというと、BAEから山田洋行に出された見積もり、これがBAEがつくった真正な見積もりです、その真正な見積もりを山田洋行が過大に改ざんをしているのではないかということが疑われているんです。BAEの名前になっているんですよ。だけれども、数字を書きかえているのではないかとか、そういうことが疑われているんです。

 したがって、BAEが山田洋行に出した真正な見積もり、さらには、山田洋行が防衛省に、当時防衛庁です、防衛庁に出した見積もりを見比べれば、何だこれはというのがわかる可能性があるんです。総理、その見積もりを防衛省に対して国民の皆さんに説明できるように出しなさいということを御指示いただけますか。

石破国務大臣 総理からこういうことについてきちんと明らかにしなさいという御指示はちょうだいをいたしております。それから、見積もりも、今おっしゃいましたように、BAEが出した、それを山田洋行が改ざんをしたということだって考えられるのではないかというお話でございました。ですから、見積もりというものが、本当に山田洋行がどのように関与をしていたのか、それは本当にそういうようなものがあるのか、存在するのか、そういうものを含めてきちんとチェックをしなければ事柄の内容はわかりません。そういうものの存在、不存在も含めまして、これはチェックはいたします。

川内委員 総理、総理は防衛大臣にきちんとしろよということを指示していると。その指示に基づいて今防衛大臣がお答えになられたわけですが、今防衛大臣はチェックいたしますとしかおっしゃらないんですね、チェックいたしますと。我々国民にそのチェックする内容を、きちんと情報を開示していただけますねということを申し上げているんです。

石破国務大臣 当然のことだと思っております。

川内委員 まずそこが出発点であるというふうに思いますので、このチャフの件に関してはよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 さらに、今、給油新法あるいは期限切れになった旧テロ特措法に関連して、国民の皆さんが一体本当はどうだったんだろうねとさまざまに御心配になっている象徴的な例が、二十万ガロン、八十万ガロンの給油取り違え問題であるというふうに思います。そのことが明るみに出たときに……。

 総理は官房長官でいらっしゃった。そして、その官房長官の発言として、キティーホークに給油された給油量は二十万ガロンだから、あっという間に消費される量だから、一日で使っちゃう量だから、イラクには転用されていないんだよ、心配ないよということを国民の皆さんに御説明になられたわけですよね。二十万ガロンという数字が説明の根拠だったということだと思うんです。それは、その発言は今となっては間違いですけれども、当時、そのように二十万ガロンを基礎として説明をしたということでよろしいでしょうか。

福田内閣総理大臣 そのとおりでございます。

川内委員 それで総理、実は私も、我々国会議員は捜査機関ではないので、新聞の記事とか雑誌の記事をずっと見ながらいろいろなことを想像するしかないんですが、当時の新聞の記事をずっと見ますと、五月六日の産経新聞、五月七日の北海道新聞の朝刊、五月八日の京都新聞朝刊などが、当時の第五空母群のモフィット司令官の発言として、海上自衛隊からキティーホークは八十万ガロンの給油を受けている、八十万という数字を出しているんですね。あらゆる報道を検索すると、数字を出しているのはこの三紙なんです。八十万という数字を出しているのがこの三紙。

 当時のキティーホークに給油されたのが八十万ですよと米国の司令官が発言をしている報道があるということは、当時官房長官であられた総理は御存じでしたか。

福田内閣総理大臣 そうなんですよね、本当に。その記事を私は見ていなかった、そしてまた、その後に官邸に報告をしてきた防衛省の、当時防衛庁ですね、防衛庁の数字を信用してしまった、こういうことなんであります。

川内委員 大変官房長官というのはお忙しいお仕事ですから、総理の方がさらに今激務だと思いますが、知らなかったということでございます。だから、二十万ガロンという数字について疑いを持つことなく、一日で使う量だということを御発言になられていたというふうに思うんです。

 実は、朝、この給油取り違え問題のかぎを握るというふうに思われる、当時の海幕の防衛課長さんの参考人質疑がございまして、その方は、全部自分の責任だ、私が上に上げなかったんだというふうにおっしゃっていらっしゃいました。しかし、私は、その参考人質疑の中でおかしいなと思ったことがあるんです。

 それはどういうことかというと、本委員会に提出をされた資料で、五月八日に統合幕僚会議議長が記者会見をされている、その記者会見をされているときの資料が本委員会に提出をされています。その統合幕僚会議議長の記者会見のとき、事務方がつくった資料を持って記者会見に臨まれるわけでありますが、その記者会見資料の中に参考としてキティーホーク給油関連という記述があるんですね。だけれども、キティーホーク給油関連のどういう資料をつけたのかということについては、本委員会に提出をされている資料にはついていないんですよ。

 これはまた私はおかしいなと思うことで、これはまた、総理のちゃんとしろよという指示に基づいて石破大臣が御答弁になられることだと思いますが、本委員会に提出された資料、キティーホーク給油関連というこの資料がどのような資料であったのかということはきちっとやはり本委員会に提示をされるべきと考えますが、総理の御所見を伺います。

福田内閣総理大臣 その資料がどんなものか、これは防衛大臣の方にただしまして、必要あらば提示するということにいたします。

石破国務大臣 総理から御指示があったとおりでございますが、それが何であるのか、どのようなものであるのか、それが複数の資料があることもございます。そのときに、これがそうなのだということについて、かかわっておった者の、供述という言い方はよくないのですが、聞き取りが一致をしませんと、これだという特定ができません。これか、これか、これか、どれかみたいなことで国会に御報告をすることもできません。そういうような事情もございますが、今委員が御指摘になりましたような資料等について特定できるものがあるのかどうか、引き続き必要な確認、調査を行います。

川内委員 総理が官房長官時代、あるいは石破大臣が防衛庁長官時代に、二十万ガロンだからイラクには使えないんだということを繰り返しおっしゃっていらっしゃる。その二十万ガロンに根拠を置くのであれば、事務方は、その二十万ガロンが本当に正しいのかどうかということは、しつこいぐらいに多分精査をしたのではないかなと私は想像します。

 なぜかならば、私たちが国会で質問をしますと、あるいは質問主意書を出しますと、あるいはいろいろなことを政府に対してお尋ねしますというときに、そんな簡単に答えが返ってこないですよ。調査中です、確認中です、先ほどから繰り返し言葉が出てきますけれども。そういう中で、この二十万という数字だけはなぜかあっけなくすっと通るなんということは、私には考えられないし、国民の皆さんも恐らく何かおかしいなと思っていらっしゃるからこそ、これだけ大きな問題になっているわけです。

 そういう意味では、今私が申し上げた資料については、もしかしたら、この統合幕僚会議議長の会見の資料には八十万という数字がきちんとあったかもしれない。逆に言えば、この統合幕僚会議議長の会見資料には二十万という数字もないんですよ。二十万という数字もないが、しかし二十万という数字をこの議長は会見で言っているんです。そこがミステリーだというふうに思いますので、ぜひぜひ、政府が一番この臨時国会で通さなければならないという法案に関連する情報でございますので、よろしくお願いをしておきたいというふうに思います。

 それからもう一点、国民の皆さんのこのインド洋での給油に係る大きな疑問として、少し本件に詳しい国民の皆さんがおっしゃることは、各国に給油している油はもしかしたらアメリカから買って、それをアメリカにただで給油しているんじゃないの、そうだとしたら余りにもお人よしなんじゃないですかというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。私も、その国民の皆さんの素朴な疑問、もしかしたらアメリカから買っているのではないかという疑問について、きょう残りの時間で政府、閣僚の皆さんに御説明をいただきたいというふうに思います。

 まず、インド洋で調達している油はF76という特殊な規格であるというふうに聞いておりますが、よろしいでしょうか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 このインド洋で調達をしている油、これは、現地でいわゆるNATO規格のF76という軽油を使用しております。これは、通常は軍用艦船用の燃料でございますので、一般用の軽油と比べましてエンジン内での着火性が極めてよい、また、含有する硫黄分が少なく、金属腐食を生じにくいというふうな特質を有する油でございます。

川内委員 わざとNATO規格なんて言わなくてもいいじゃないですか。米軍規格でしょう、米軍規格。

寺田大臣政務官 これは、いわゆるNATO規格でございまして、米軍規格ではございません。

川内委員 こんなことで議論する気はないんですよ。米軍もF76なんです。

 では、インド洋で給油しているヘリコプターの航空燃料の規格は何ですか。

寺田大臣政務官 ヘリ用のものはJP5という規格でございます。

川内委員 私はきょうここに資料を持っておりますが、JP5というのは米軍の規格ですよね。

寺田大臣政務官 これはヘリ用にいたしまして、我が国ももちろんこのJPというものは使っております。

 軍用については汎用性があるものでございまして、アメリカのみの特許をとっているものではないというふうなことでございます。

川内委員 いや、だから……。まあいいや、もう私の方で断言します、ここに資料がありますから。JP5は米軍の規格。総理、いいですか、私、資料を持っていますから。F76というのも、これはNATOの規格でもあるが、米軍の規格でもあるんです。

 それで、本題はここからです。

 では、F76というこの特殊な油は、軍用の油は、先日の安保委員会で原口委員がこう聞いています。民間会社でも取り扱える、いわば民民で供給できる、そういう油なんでしょうか、私はそういう油ではないという認識を持っていますと聞いています。それに対して石破大臣は、そういう油ではない、要するに、民民で取り扱える油ではないと認識をしているというふうに御答弁されています。これは、そのとおりでよろしいですか。

石破国務大臣 民民で取り扱えるというか、取り扱うことのない油ということでございます。いろいろな意味で、委員御案内のとおり、極めて特殊な用途でございますので、民民が使えないということではございませんが、民民が使わないということでございます。

川内委員 民民が取り扱わない油であると。

 そうすると、石破大臣の答弁に続けて政府参考人の方が、F76は、先ほど来申し上げておりますように、もちろん政府間のサポートが要るわけでございますけれどもというふうに参考人として説明をしていらっしゃいます。

 この政府間のサポートというのは何なのかということになるわけですけれども、もう時間がありませんので私の方で申し上げますが、政府間のサポートとは、結局、F76はさまざまな研究開発をされて特許がさまざまにある、したがって許諾がなければ製造、精製することができない、したがって、米軍に対して許諾料を払っているのではないか、あるいはそれを精製しますよという何らかのコミッションを払っているのではないか、それを政府間のサポートというふうにおっしゃっていらっしゃるのかなというふうに思うんですが、これは私の想像です、正式な政府の御説明をいただきたいというふうに思います。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 これは、何も許諾料あるいはコミッションは一切払っておりません。

 この政府間の問題については、確かに我が国もかつてアメリカからFMS契約でアメリカの調達機関であるDESCから購入をしたことはございますが、これはFMSでございますから、デリバーの時期も確定ができない、そしてまたロットも直前までわからないというふうな制約があるために、インド洋におけるオペレーションでは使用しておらないところでございます。

川内委員 そうすると、ここの政府間のサポートとは何ですか。政府間のサポートを説明してください。私の想像は、おまえの想像は違っているよということを今御説明いただいたわけですが、政府間のサポートとは何なのか、それはお金が絡むことなのかということを御説明ください。

寺田大臣政務官 今まさに委員御指摘の、安保委員会で答弁をした政府参考人に確認をいたしました。そのところ、それは決してお金が絡む話ではなくて、あくまでこうした給油活動を行うために、各国政府、すなわちGG間の大枠な、オーバーオールな了解をとっているというふうなことでございまして、個別の調達について国が関与しているというふうなことで申し上げたのではないということでございます。

川内委員 質疑を終わらせていただきますが、個別の調達について国が関与しているなどと私は申し上げているわけではないです。政府間のサポートというのは、その特殊な油を、特殊な油ですから、特殊なところしか買えないわけですよ、そういうことをやっていいですよということを政府間で約束している、そして、その民間の会社はそこから調達をする、買うということですねということを聞いているんです。どうですか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 この点については、これは軍用規格ではございますが特殊な油ではありません。すなわち、一般の民間の石油会社も、合成によって、ブレンドによってつくることができる規格であるというふうなことでございますので、委員がおっしゃられたような意味での関与はないということでございます。

川内委員 終わらせていただきますが、総理、これは研究開発を重ねられてつくられた油ですから、特許が詰まっているんですよ。そんな勝手に民間の会社でも精製できるみたいなことを政府が答弁されるのは、私は極めて不誠実だというふうに思います。この問題は今後さらにこの委員会でやらせていただきたいというふうに思っています。

 以上です。

深谷委員長 これにて渡辺君、大島君、三谷君、川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、総理に質問をいたします。

 この間、新テロ特措法案をめぐって重大な出来事がありました。先週の火曜と金曜と二回にわたって、総理と民主党の小沢代表との間で行われた党首会談であります。そこで二党の連立が話し合われました。国民はみんな唖然としております。会談は、既に決まっていた本委員会の審議時間を削ってセットされ、そこでテロ法の扱いをめぐって重大な議論が行われているわけです。

 小沢代表は、辞意を表明した四日の記者会見で、総理が我が国の安全保障政策について極めて重大な政策転換を決断された、その中身として、連立が成立をするならテロ法にはこだわらない、このように確約したと述べております。

 総理、これは事実ですか。

福田内閣総理大臣 御質問の点について申し上げますと、テロ新法は、我々としても、ぜひ御審議をお願いし、そして、なるべく早く可決をしていただきたい、こういうお願いをしているわけでございまして、この考え方は全く変わっておりません。

赤嶺委員 総理がこの会談でもう一つ確約したと小沢代表が述べている点があります。それは、自衛隊の海外派遣は国連の活動に限る、特定の国の軍事作戦は支援しない、このことであります。総理はそういうことを確約したんですか。

福田内閣総理大臣 今おっしゃった部分だけで自衛隊の海外の活動をすぐ規定するというのは、なかなか難しいと思いますよ。

 そしてまた、自衛隊の海外活動につきましては、これはいろいろな議論があるわけでございまして、それは国会でも十分議論する必要があるというように思います。ですから、そう簡単に決めることができる問題ではないというように私は思っております。

赤嶺委員 つまり、そういうような話し合いはあったわけですね、そういう中身の話し合いは。

福田内閣総理大臣 いろいろなお話をしましたので、その部分としてそういう話もあったかもしれませんが、ですけれども、その部分だけですべてが決まっているという話ではありません。

赤嶺委員 その中身というのが大変重大なんですよ。特定の国の軍事作戦を支援しない、こういうことであれば、今審議しているテロ法、つまりインド洋での海上自衛隊の米軍支援活動はもうやらないということになるわけです。一方、国連活動の枠組みのもとであれば海外での武力行使を認めるというのであれば、武力行使を目的、任務とする国連の活動には参加しないというこれまでの政府の憲法解釈の大転換になるわけです。事柄は、そういうことにかかわる問題なんです。国民にとって非常に重大な関心を持たなければいけない出来事であるわけです。

 会談の一方の当事者である総理が会談で何を言ったのか、どういう立場なのか、これは総理にもはっきりさせる責任があります。きちんと説明していただけますか。

福田内閣総理大臣 今おっしゃられた話、これは部分ですから、部分の話ですから、それでもってすべてを推しはかることはできないというようにまずはお考えください。そして、我が国は我が国の憲法というものがございまして、その範囲でやっているんですよ、そうでしょう。それを超えるようなことになるのであれば、それはそれなりの議論も必要でしょうし、国民の合意も必要でしょうし、そういう手続を踏んでやらなければいけないということを申し上げております。

赤嶺委員 手続を踏んでやらなければいけないという総理の答えはありましたが、どんな話し合いだったのか、どういう議論になったのか。国民にとって、しかも、戦後の日本の政府の憲法解釈、この憲法解釈を変えるような中身の会談が明らかにならない。そしてテロ特措法、これについても議論されている。こういう状態で法案を通すわけにはいかない。一体何を話し合ったかというのを、もっと国民の前に明らかにすべきであると思います。

 それで、テロ法をめぐって、もう一つ重大な問題があります。先ほども取り上げられました、政府がやらないと言ってきた、現行テロ特措法でのイラク戦争への支援、これを実はやってきたのではないかという問題であります。

 四年前、イラク戦争に参戦した米空母キティーホーク、この給油が発覚したときに、総理自身が官房長官として虚偽の答弁を行いました。しかも、当時から陸上自衛隊はその誤りに気づきながら事実を隠ぺいしていたということが明らかになりました。

 総理は、私まで疑われる、総理御自身がそのようにおっしゃいました。この間の政府の調査で、これらの隠ぺい問題、きちんと解明されたという認識ですか。これは総理が、私まで疑われるとおっしゃった問題ですから、総理がお答えください。

石破国務大臣 これは、るる御説明をいたしておりますとおり、二十万、八十万、これを取り違えまして、そのままの資料が当時の福田官房長官のもとに上がったものでございます。

 午前中に恐らく参考人質疑をなさったと存じます。秘密会ですから、私ども、その様子をうかがい知ることはできませんが、当時の防衛課長もそのようなことを申し上げたのではないかと思います。

 委員御指摘のような隠ぺいとか、そういうような事実は全くないということを政府はるる申し上げておるわけでございますし、きょうの参考人の質疑におきましてもそういうことがあったのではないか。私どもとして、そういうことがなぜ気づかなかったのかという点につきましては、今後とも本当に重大な関心を持ち、改善をしていかねばならないと思います。

 政府として、あるいは自衛隊の中において、改ざん、隠ぺい、そういうようなことは一切ございません。

赤嶺委員 総理、防衛大臣はいろいろ、防衛省の中のことですから、言いわけ、弁解しておりますが、総理大臣の認識として、これらの問題は解明された、こういうような御認識ですか。

福田内閣総理大臣 これは隠ぺいだというふうに言われますと、これを解明するのはなかなか難しいですよ、隠ぺいじゃないんですからね。

 しかし、そういう前提でもって、今防衛大臣が言いましたとおり、この問題は、本日の午前中の委員会もあったようでございまして、解明されたものと私は思っております。

赤嶺委員 この間の、けさの秘密会議、何であれを秘密にするのかわかりませんが、秘密会議、そして守屋事務次官の証人喚問、この二つを通して、本当に総理がおっしゃっているとおりなのか、重大な疑惑がまた新たに生まれております。

 当時、総理は、防衛庁からアメリカ側に確認をして、目的外使用はないという返事をもらった、このように述べておられました。ところが、けさの参考人質疑で、当時の海幕防衛課課長寺岡氏は、当時、米海軍の行動は聞いても教えてもらえなかった、教えてもらえなかった、キティーホークの浮かんでいる海域から判断して、OEFの任務だと判断した、このように発言しているわけです。アメリカ側に確認したというのはうそだったということであるわけですよ。確認していないんですよ。

 同時に、守屋前防衛事務次官は、先日の証人喚問で、当時、アメリカ側に事実の確認をしたのではなく、テロ特措法に基づく油の使用に疑惑を及ぼす可能性があるので、そういうことはないと言ってほしいとアメリカ側にお願いした、このように述べているわけですよ。

 要するに、総理、二十万ガロンもうそだった、アメリカ側に確認したというのもうそだった、二重のうそに基づいて説明した責任、これを総理は明らかにすべきじゃないですか。(発言する者あり)

 答えさせてください。委員長、答えさせてください。委員長、秘密会について、官房長官、理解していないようですから、委員長から申し上げてください。

 質問にできるんですよ、これは。質問にできるという理事会での確認のもとにやっているんです。

 委員長、答弁させてください。(発言する者あり)

 議事録も公開できるんです。そういう手続を知らないで、官房長官が大臣席からやじらないでください。

深谷委員長 お静かに願います。

福田内閣総理大臣 その午前中の、秘密会ですか、その内容は私どもは知らないですよ。だから、それをもとにして質問されても、お答えすることはできません。

赤嶺委員 ですから、やはり最初から公開しておけばよかったなと思ったんですが。

 ただ、あの防衛課長が朝の秘密会で言ったことは、実は今政府が繰り返している内容なんですよ。きのう、防衛省は、これまでの給油活動七百九十四回の全件調査の結果を公表いたしました。目的外使用はないと結論づけているわけですが、読んでみて、何の根拠もありません。アメリカなどの補給艦への給油、イラク作戦など複数の任務を持った艦船への給油、合計三百件、ほぼ四割が、よくわからないから海域から推定した、このように言っているだけです。これは、朝の海幕防衛課長と全く同じ説明なんです。イラク作戦への転用がないとは言えないんです。

 しかも、先日の委員会で町村官房長官は、イラク戦争のような大規模な空爆を行う艦船であっても、対アフガン任務を兼ねていれば給油できる、このように答弁しているわけです。

 総理、要するに、当時も今も、大体あの海域に艦船がおれば、どういう任務につく艦船であっても日本政府は給油を認める、そういうことではありませんか。

石破国務大臣 何か予断を持っておっしゃっておられるとしたら、それは間違いだと思います。

 私どもは、そのようなずさんなことはいたしておりません。また、海幕防衛課長が何を申したか、私どもは知る立場にございません、後ほど議事録を見なければいけませんが。それと防衛省の見解が一緒なのは当たり前のことであって、違うこと自体それは非常に問題だと思います。それは、真実は一つしかないのであり、防衛省が申し述べていることも課長が申し述べていることも、一致するのは当然であります。

赤嶺委員 真実は、きちんと確認しないで、イラク戦争には使われなかった、こういう報告を繰り返しているということであります。

 質問を終わります。

深谷委員長 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 私は、去る十月二十九日の守屋前防衛次官の証人喚問で、日米両政府が合意した辺野古沿岸V字形滑走路の機密図面が、守屋前防衛次官、佐藤前那覇防衛施設局長を通じて特定の土建業者に流出をしたのではないかとただしたところ、守屋さんは事実を否定しました。沖縄では、このことが半ば公然たる秘密のように流布されております。

 石破防衛大臣は、守屋証人喚問後の記者会見で、書類持ち出しがあるとすればゆゆしい問題だ、経緯を精査すると表明されました。どのように経緯を精査したのか、精査した結果はどうだったのか、お答えください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘の、流出したという、普天間飛行場代替施設に係る機密図面ということなんですけれども、いかなるものかは不明でございます。また、防衛省といたしましても、不明であることから、そのような図面が流出したということは確認できません。

 したがって、もし今後しかるべき事実というものが明らかになったとすれば、防衛省といたしましても適切に対応してまいりたい、そのように考えているところでございます。

照屋委員 いかなる図面かわからぬと言って、私は特定して聞いているんだから。辺野古沿岸案、V字形滑走路の機密の詳細図面だ。石破大臣も精査をすると記者会見で言っているんだ。大臣、お答えください。

石破国務大臣 恐縮であります。

 機密の詳細図面という御指摘でございました。それは、私どもで機密であり、そして詳細であるというものが流出するということであれば、つまり、防衛機密等々に係るものであるというふうに委員が御指摘になるとするならば、これがそうだということを承知していないということを副大臣が申し上げたところでございます。

 当省といたしまして、機密の詳細図面が流出したということは確認をいたしておりません。

照屋委員 このV字形滑走路の機密図面流出は、事実であるとすると、総理、大変な問題だと思います。ところが、流出させたと思われる業者が、現に図面を所持し、社員や下請業者に見せたとの情報も私のところに寄せられております。

 防衛省は、疑惑を持たれている業者からも事情を聞かれたんでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今、先ほど大臣の方からもお話があったわけでございますけれども、御指摘の図面というものが、特に機密図面というものはいかなるものかというのは不明であるわけでございまして、ですからこそ具体的には承知しておらないわけでございますので、事情聴取等は行っておりません。

照屋委員 石破大臣、この流出図面問題について、守屋前事務次官やあるいは佐藤前局長から、大臣が直接事情を聞くおつもりはありますか。

石破国務大臣 機密に指定したものが流出したという事実を私どもは確認いたしておりません。繰り返しになりますが、事実とすれば、機密図面のようなものが出たとすれば大変なことであります。

 ただ、委員御指摘のように、沖縄に関します図面等々について流出した事実について何か承知をしておるかにつきましては、これは必要に応じて聞いてみたいと思っています。

 ただし、今まで聞いてまいりましたのは、服務規則違反ということについて聞いてまいりました。つまり、在職中に服務規律というものがあって、ゴルフをした、マージャンをした云々かんぬんということは、それに明らかに触れるものでございますので、当省といたしまして、服務規律、在職中のということについて聞いた次第でございます。

 この機密図面についてというのは、それとはカテゴリーを少し異にいたしますので、どういうやり方がよろしいか、そのことも含めまして検討いたします。

照屋委員 福田総理に尋ねます。

 防衛商社山田洋行、日本ミライズ絡みの次期輸送機CXエンジンの発注をめぐる防衛利権疑惑、守屋前事務次官のゴルフ、飲食接待などは、我が国の防衛、安全保障政策上も絶対に許せない不正行為であります。防衛が一部官僚や政治家の欲望の対象であってはならないと思います。

 これまでの報道で明らかになった不正事実を踏まえて、福田総理、どのような所見をお持ちでしょうか。

福田内閣総理大臣 今般の防衛省の不祥事につきまして、私は、まことに残念なことが起こったというように思っております。もとより、防衛というのは国民の信頼なくして成り立ち得ない、そういう観点から考えて、あってはならぬことが起こった、こういうふうに思っております。

 ですから、こういう問題については徹底的に解明をしなければいけないし、これからどういうことになりますかわかりませんけれども、場合によっては司直の解明とかいうようなこともあろうかと思いますけれども、これは国民の前にいずれ明らかになることだというように思います。

 防衛大臣に対しましても、この問題のよって来るところ、そしてまた、この事件の解明、そしてまた同時に、こういう問題が二度と起こらないようにする、そういう体制をしっかりと築き上げてくれということを厳しく申し渡しているところでございます。

照屋委員 石破大臣、次期輸送機CXエンジンを初め防衛装備品の調達については、私は、随意契約を含め調達のあり方を根本的に見直す必要があると思います。防衛大臣の決意をお聞かせください。

石破国務大臣 調達のあり方については、根本から見直したいと存じます。

 随意契約すべて悪いわけではございませんが、なぜ随意契約にする必要があったのかということはきちんと明らかにされなければなりません。公正な競争があったのかどうかも担保されなければなりませんが、防衛装備品でございますので、競争というものが一体どれだけ確保されるのかという観点からも議論がされなければなりません。

 あわせまして、我が国は武器輸出三原則を堅持しておりますので、バーゲニングパワーというのがどこまできくかということは、諸国とは違う事情があることは事実でございます。

 そういうような難しい制約の中で、どのようにして装備品の調達改革を実施するか、このことに今回はきちんとした答えを出したい、私はそのように思います。

照屋委員 私は、テロ特措法、イラク特措法に反対の立場であり、審議されているいわゆる新テロ特措法についても反対であります。

 外務大臣に尋ねますが、インド洋におけるいわゆる海上阻止行動は、何カ国、何隻の補給艦が参加して始まったのか、そして、今現在何カ国、何隻の補給艦が活動に参加をしているのか、お答えください。

高村国務大臣 各国の派遣状況を調査した最も古い記録によりますと、二〇〇二年五月には十五カ国から二十八隻が参加、同年十一月には十二カ国から四十二隻が参加、このときが我が国が把握している範囲で最多の隻数であります。(発言する者あり)補給艦ですか、全部でしょう。全部でいいんでしょう。(照屋委員「はい、結構です」と呼ぶ)

 その後、政府として約半年に一回調査を行ってきていますが、二〇〇三年十一月以降はおおむね十カ国弱から合計十五隻程度が参加し、そのうち、補給艦は三隻から五隻程度で推移をしております。

 現在は、七カ国から補給艦三隻を含む十五隻の艦船が参加して、不審船等に対する無線照会や乗船検査等を行っていると承知をしております。

照屋委員 福田総理と石破大臣に尋ねますが、沖縄では、米軍基地建設に絡むいわゆる島田懇事業や北部振興事業が数千億円単位で既に実施をされ、現に実施されつつあります。ところが、これらの事業をめぐって、贈収賄、官製談合疑惑、一部官僚や政治家の利権疑惑が語られております。

 これらの事業執行の内容について、政府、防衛省として、警察や公取委員会あるいは会計検査院等を総動員して徹底的に捜査、疑惑解明すべきだと考えますが、総理と大臣の決意を伺います。

石破国務大臣 委員御指摘のいわゆる島田懇談会事業や北部振興策の補助を行いますに当たりましては、事業の目的に沿っているかどうかということをよく精査し、内容及び経費等につきまして補助金適正化法などの関係法令に基づき十分に審査し、適正に執行していく必要があることは当然であります。そのように考えておりますし、今までもこのような考え方に基づきまして執行してきたところでございます。

 会計検査院などの外部機関からの検査などを求められます場合には、これは当省といたしましても、当然のことでございますが、適正かつ全面的に協力をしてまいるということでございます。

 委員御指摘の、会計検査院あるいは警察、公取委、その力をフルに使いまして疑惑を解明せよということでございますが、私ども、今までも適切に事業を執行してきたと考えておりますし、あるいは会計検査院等々の御指摘等につきましても、これは全面的に協力するのは行政機構として当然のことだと考えております。

照屋委員 総理の御決意も一言お聞かせください。

福田内閣総理大臣 ただいま御指摘の個別のことについては、これは捜査それから諸調査機関等ございまして、そういうふうなことについてどうするかということは申し上げるわけにいきませんけれども、一般論として、必要なことについてはその法律等に従いまして今後手続を進めていく、こういうことになります。これは一般論でございます。

照屋委員 終わります。

深谷委員長 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして防衛省問題についての集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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