衆議院

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第4号 平成16年4月19日(月曜日)

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平成十六年四月十九日(月曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 自見庄三郎君

   理事 石崎  岳君 理事 北村 誠吾君

   理事 久間 章生君 理事 増原 義剛君

   理事 遠藤 乙彦君

      赤城 徳彦君    岩屋  毅君

      江崎洋一郎君    遠藤 利明君

      大村 秀章君    左藤  章君

      塩谷  立君    菅原 一秀君

      谷  公一君    中西 一善君

      中山 成彬君    仲村 正治君

      西野あきら君    蓮実  進君

      鳩山 邦夫君    林田  彪君

      松島みどり君    宮下 一郎君

      森岡 正宏君    山口 泰明君

      上田  勇君    大口 善徳君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (事態対処法制担当)   井上 喜一君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        阿部 正俊君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住部長)   鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省条約局長)    林  景一君

   衆議院調査局武力攻撃事態等への対処に関する特別調査室長   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  植竹 繁雄君     西野あきら君

  佐藤  錬君     宮下 一郎君

  田中 英夫君     左藤  章君

  宮澤 洋一君     松島みどり君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     田中 英夫君

  西野あきら君     植竹 繁雄君

  松島みどり君     宮澤 洋一君

  宮下 一郎君     佐藤  練君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出第九八号)

 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出第九九号)

 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出第一〇〇号)

 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出第一〇一号)

 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出第一〇二号)

 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出第一〇三号)

 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四号)

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)


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     ――――◇―――――

自見委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られておりません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

自見委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件の各案件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として消防庁長官林省吾君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省北米局長海老原紳君及び外務省条約局長林景一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 おはようございます。自由民主党の石崎岳でございます。

 きょうは、お忙しい中、小泉総理大臣も御出席をいただいての委員会開催でございますが、一部野党の委員が欠席という中で大変残念であります。

 我々国会議員というのは、選挙において有権者の負託を受けて、国政の重要課題について議論をし一つの結果を出すということが我々の大きな使命でありますが、審議拒否というのは国会議員の使命の放棄ということでございます。大変残念であります。

 きょう、共産党の委員は出席をいただいております。

 私は衆議院の厚生労働委員も務めておりますが、先週金曜日に厚生労働委員会で起きました事態、私は大変ゆゆしき事態だと認識をしております。厚生労働委員会委員室の前におきまして、民主党議員がピケを張る、徒党を組む、そしてバリケードを築く、そして委員長の入室を暴力をもって阻止する、こういう事態が先週の金曜日に発生をいたしました。

 私は、国会は言論の場でありますから、言論の名においては大方の発言というのは許容されるだろうというふうに思っておりますけれども、実力をもって、暴力をもって委員会の開催、審議というものを阻害する、中止するということはあってはならないことだというふうに思いますし、私は、この民主党そして社民党の暴挙に対しては強く抗議をしたいというふうに思っております。

 かかる事態が一日も早く終息することを願い、国民がかかる事態を直視して厳粛なる審判を下していただくことを希望しております。

 さて、先週の木曜日の夜でございますが、イラクにおいて拘束をされていた三人の日本人の方々が解放されるというニュースが飛び込んでまいりました。私も北海道で、北海道の方、二人が拘束をされていたということでほっといたしました。その後、土曜日にも残る二人の邦人の方が解放されました。

 今回のイラクにおける邦人拘束事件、本当にいろいろな教訓を残したというふうに言えると思いますが、私は、小泉総理が、当初から一貫して、自衛隊の撤退はない、その中で邦人救出に全力を尽くすという方針を当初から明確に打ち出して終始一貫ぶれなかったというところが非常に大きなポイントで、その総理の方針は正しかったと。これは多くの国民がいろいろなアンケート調査においてもそのような支持を打ち出していると私は思っております。

 そういう中で、イラク情勢が緊迫化する中で、邦人が三人、そして二人、計五人拘束されていた、そして無事解放された、この事態を受けて、小泉総理の現在の率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクにおける人質誘拐事件につきましては、政府としても、各省連携のもとに、全力を挙げて、当初、三人の方々の無事救出を図らなければならないというもとで、一方では、犯行グループの、自衛隊を撤退させよという要求に応じてはならない、このような理不尽な要求に国策が左右されてはならないという観点から、犯行グループの要求に応じない、テロに屈しない、そして人質になった三人の無事救出を図るという難しい仕事だったと思います。

 おかげさまで、関係省庁、連携を密にして、二十四時間昼夜兼行態勢をしいて、国内の対応はもとより、関係各国にそれぞれ協力を働きかけました。もちろん、現地の外務省の職員も、イラクの人脈、あとう限りのつてを頼って、犯行グループなり人質に接触するすべを求めまして全力を挙げました。

 結果的に、犯行グループの要求に応じることなく、三人が無事救出された。そして、後ほど二人が新たに拘束されたということが判明いたしましたが、そのお二人の方については、前の三人の方と違って、何の犯行声明もない、要求もない、どうなっているのかという心配もしておりましたが、これも突然解放されるという事態に至りまして、おかげさまで、五人全部が無事解放されることになりました。

 このことは、関係各国政府の御協力、そしてイラク人関係者の格別な御尽力、そして我が省、我が政府挙げての取り組みの結果でありまして、何よりも、理不尽な要求に屈することなく五人の方々が無事解放されたということについて、よかったなと思っておりますが、今後とも、不測の事態に備えて、政府としては、ふだんから、万般の注意、そして、しっかりとした適切な対応を心がけるように努力をしていきたいと思っております。(拍手)

石崎委員 私は、今回の教訓として、拘束されていた方々はイラクの敵ではないんだ、イラクのために汗をかこうとしていたということをイラクの人たちに理解してもらう、それから、日本の自衛隊もイラクの復興支援のために汗をかいているんだということをイラクの人たちに十分周知徹底して理解してもらう、そういう広報、連絡、PR、そういったものがいかに大事であるかということを感じました。

 それから、アメリカのブッシュ大統領も、六月末の主権移譲に向けて、国際的な枠組み、国連の関与、そういったある意味でSOSといいますか、アメリカ一国だけではもう対応できない、そういう認識を過日の米英首脳会談、その後の記者会見等々で披瀝している。そういう状況からかんがみて、日本も、日本の外交も、やはりイラクのしっかりとした安定政権ができるために、六月三十日以降の安定のために、日本は、アメリカ追随ということのみならず、アメリカを中心とした国際的な枠組みがイラク復興支援のために、政権移譲のためにしっかりとできるような枠組み形成のための外交的な努力をすべきではないか、そのように今回の事件を契機として痛感をしている次第でございます。

 さて、きょうの質疑は、事態特ということで、有事法制、国民保護法制を中心とする七法案三条約の審議でございます。昨年、有事三法というのが成立をし、そして、今回の提案案件によって日本の有事法制というのが一つの完結を見る、一つの体系ができる、そのような大変意義のある今回の議案でございます。

 さかのぼると、総理の政治的な師である福田元総理時代からこの有事法制というのは研究が始まって、四半世紀を経て、今日、この議会において完結をしようとしている、非常に長い歴史を持つ有事法制であります。ある時期、長く、日本の政治の中ではタブー視されていた部分もございますが、今は与野党幅広くこうして議論ができるということはすばらしいことだというふうに思っております。

 そういう意味で、総理が出席でございますから、この有事法制の完結、そして今回提案をされている七法案三条約の意味合い、そういったものを、総理のお言葉として、国民の皆さんにわかりやすくその意義を御説明していただけたらというふうに思います。お願いいたします。

小泉内閣総理大臣 この有事の問題になりますと、福田内閣時代から、できるだけ早く有事に備える法案、対応を日本としても整えるべきだという議論が行われましたが、なかなか、嫌なときを想定したくないという声もありまして、できなかったわけなんですが、実は、その前、昭和四十年、私のおやじが防衛庁長官のときに、三矢研究という事件が国会で大きな話題になったんです。

 私、まだ学生時代でしたけれども、おやじが、連日、テレビで、野党から追及を受けている。防衛庁の、いざ有事になった場合に日本がどうするんだ、いわば図上研究ですね、これについて、けしからぬ、けしからぬと。

 学生ながら、不思議に思って見ていましたよ。備えあれば憂いなし、これがどうしていけないんだろうと。政治として、いざというときを常に考えておかなければならない。その一番責任ある衝の防衛庁が内部で研究をしている。けしからぬ、けしからぬでしょ。備えをしないと憂いがなくなるのかと。その議論はおもしろいなと思いましたけれども、何かぴんときませんでした。それ以来の懸案ですよ。今、ちょうど四十年ぶりですかね。

 やはり、有事、どこの国でもそうです。備えあれば憂いなし。これ、おかしいと思う人の方がおかしいと私は思うんです。備えのことを考えると憂いが来ると。ようやく、備えあれば憂いなしというのが全世界共通の認識、常識だなというのがわかってきたからこそ、こういう有事に対する法整備もしようということで、大体与野党共通の認識が出てきたということはいいことだと思っております。

 今回の、いわゆる国家の緊急事態に対処する必要な法制を整えるということは、私は、当然の責任でありまして、できるだけ早く整えていく必要があると思っております。

 また、今回の七法案及び三条約は、武力攻撃事態対処法に定められた基本的な枠組みに沿って整備するものでありまして、武力攻撃事態対処法と相まって国家の緊急事態に対処する万全の態勢が整うものと考えております。政府としては、この七法案三条約の速やかな成立、承認をお願いしたいと思います。

石崎委員 そういう中にあって、この国民保護法制初め関連法案、国民の権利、そういうところにかかわる部分があるということで、一部、懸念を持つ向きもある。そういう意味では、この法案の有するその有事態勢、対応の中における国民の生活や権利、そこにかかわる部分については国民の理解を得る、国民の納得を得る、その上で法律を成立せしめる、そのことが大前提であろうというふうに思っております。

 日本の有事、国家が危急存亡のときにあって、国民の権利というものはそれが優先されるかどうか。私は、常識的な議論としては、国家の存立が危ういときにおいてはその危機対応というものがある意味で優先される場合もあるであろう、それだけに国民の権利というものは一部制限される場合もあるであろう、そのことを国民が十分理解した上でこの法律が成立する、そういうことが非常に大事なポイントではないかと認識をしております。

 そういった意味で、緊急事態における基本的人権の問題あるいはそれに際する補償、こういったことがこの法律の非常に大きなポイントでありますけれども、その点について国民にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

井上国務大臣 基本的人権のことにつきましてのお尋ねでございます。

 日本の憲法といいますのは、基本的人権というのを真ん中に置きましてつくられておりますが、言ってみれば、この基本的人権を守るために憲法がつくられている、こう言っても過言でないと思うのであります。

 しかし、基本的人権は絶対的なものかといいますと、それは必ずしもそうではないわけでありまして、今御指摘にありましたように、国民の生命とか、そういうようなものを守るためにこれはどうしても制限せざるを得ない場合があるわけでございまして、有事の場合におきます場合がそういったことに該当すると思います。

 ただ、その場合にも、基本的人権の制限というのは必要最小限度のものでなくてはいけないということでありまして、こういったことを法律の方にも規定いたしておりますけれども、そういう考えのもとに、制限される場合にはやむを得ないものとしてお願いをいたしたい、こんなふうに考えております。

 ただ、その場合の手続につきましても、公正かつ適正な手続によりまして基本的な人権の制限がされないといけないということでございますし、特定の個人に損害をこうむらせるような場合にはそれに対するまた適正な補償、これも必要である、そのように考えまして、必要な規定を整備したところでございます。

石崎委員 そういう面での国民の理解を得る努力というのをこれからも引き続きぜひともしっかりとお願いしたいというふうに思います。

 今回のイラクにおける邦人拘束事件、そういうときには、政府全体が一つの危機管理状態といいますか、危機対応状態になるわけであります。有事とまではもちろん言えませんけれども、一つのやはり緊急事態、エマージェンシーであるというふうに思います。そういうときに、総理も、総理官邸におられて、本当にしっかりとした情報、正確な情報というのが時々刻々総理のもとへ届けられるかどうか、非常に不安な部分あるいは悩む部分、意思決定に本当に苦しむ部分、そういうことは容易に想像されるわけであります。

 ましてや有事ということになると、これはスピードが要求される緊急の状況であります。そのときに、やはりそういう体制、情報がしっかりと入り、意思決定ができ、そしてそれに即応できる体制というのが整備されている、そういうことが非常に大事ではないかというふうに思います。法律を幾ら整備したとしても、それに伴う体制や人間、そういったもの、あるいは情報がしっかりと入ってくるんだ、そういうことが非常に大きなポイントではないかというふうに思っておりますけれども、そういった意味で、今の政府の危機管理体制、危機対応体制というのがどうなのか、私はやや心配な部分があります。

 総理も、もう総理になられて三年経過をしているわけであります。その間、いろいろなことがありました。現時点で、そういう態勢、対応というのが十分なのか、あるいはもっともっと必要なものがあるのか。一部野党からは、そういう専門のセクションをつくってはどうか、役所をつくってはどうか、そういう提案もありますが、総理の実体験として政府の危機管理体制についての御認識をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 いわゆる危機管理、有事にどう備えていくか、これは政府として国民の安全を図るという観点から極めて重要な仕事である。特に、いろいろな各省の対応を総合的に管理しなきゃならないということから、内閣官房を中心に、今までも、それぞれの事案については、一つの省だけの問題ではない場合が多いですので、連絡、連携は緊密にとるようにやってまいりました。

 今後も、緊急事態あるいは予測せざる事案が発生した場合については、常に二十四時間態勢で対応するというような体制も整っておりますし、中心は内閣官房になりますが、各省連携を緊密にして万全の態勢をとっていく必要があると考えております。

石崎委員 私の持ち時間、もう終わりましたけれども、今回の国会における議論を通して有事に対するしっかりとした態勢、それから、野党との間でも緊急事態基本法というものをつくろうという議論がございます。想定される危機としては外敵の侵入よりも大規模テロではないか、そういう議論の中でその両面の態勢、対応というものをしっかりと構築する、そのことが必要だというふうに思っておりますので、しっかりとした対応を希望して、谷議員に質問を譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

自見委員長 この際、谷公一君から関連質疑の申し出があります。石崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷公一君。

谷委員 谷公一でございます。

 まず、先ほど石崎委員もお話がございましたが、イラクの人質が三人に続いて二人も解放されたということにつきましては、大変うれしく思い、この間の政府の腰の据わった対応に敬意を表するところでございます。

 まずそれをお話しさせていただきまして、今回、このような大きな歴史的な法案審議に質問できることを、一年生議員として大変誇りに思っているところでございます。

 実は、先日、我々衆議院の一回生議員で、勉強会で講師として元副総理の後藤田正晴先生をお招きしました。今後の政治課題などを幅広くお話ししていただいたわけでございますけれども、その中で、有事法制は本来五十年前の自衛隊成立と同時に制定すべきであった、やっとここまで来た、ぜひとも今国会で国民保護法制を成立させてほしい、そういうふうなお話がございました。国家の危機管理のあり方について高い識見と豊富な経験を有する大先輩の言葉として、私は大変重く受けとめたわけでございます。

 今回の国民保護法制の制定によりまして、国家の有事の際に国民を保護する仕組みが法律上やっと整えられ、国として当然備えられるべき形が相当程度整えられたというふうに私は考えているところでございますが、改めて、総理の見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 一言に有事といっても、その時代、時代によってどのような有事態勢が出てくるのかというのは、想定できるものもあるし、また、最近のテロのように想定できないようなものもあります。突然、地震の場合などは、今の予知体制が大分研究が進んでいると言っておりますけれども、これまたなかなか、予知というものは必ずしもはっきりできるかどうかという難しい問題もあります。

 もちろん、武力の攻撃、これについても、国家の安全、国民の生命財産を守るということから考えますと、そういう対応をふだんから考えていかなきゃならないというのは国の基本的な責務だと思っております。そういう観点から、ようやくここに来て有事の問題についてしっかり政治として対応しようという認識が与野党を通じて出てきたということは歓迎すべきことだと思っております。

 今回、そういう国民的な意識を背景にしてこの法案審議も今国会で行われていますし、できるだけ国民の皆様方の御理解を得ながら、国家としての有事の態勢はどうあるべきかという点について、できるだけ早く、十分な審議をしていただきまして、早急に本法案を成立させていただきたいと思っております。

谷委員 それでは、少し具体的なお話に移らせていただきたいと思います。

 今回の国民保護法制における地方自治体、特に都道府県の位置づけといいますのは、計画の策定とかあるいは管内市町村の計画の協議、避難の指示、避難住民及び被災者の救援等、大変大きなものがあるかと思います。

 しかし、必要な人員、要員、質も含めて、専門的かどうか、そういう質も含めて確保できているだろうか、あるいは養成できるだろうか。あるいは、二十四時間、例えば深夜、特定の県に連絡しても、すぐそれが知事に、あるいは防災監とか、そういうポストを設けている府県もふえているわけですが、そういう責任のある方にすぐ直ちに行くような連絡体制ができているのだろうかということについて若干危惧をしているところでございますが、そういう地方自治体、中でも都道府県における危機管理体制をどういうふうに整備していくのか。できれば、何年をめどに整えていくのかということにつきまして、麻生大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、谷先生御質問の中で、御存じのように、部長級、次長級以上の防災・危機管理専門職というものを設けております県は、平成十年までは九府県しかありませんでしたけれども、今では三十七都道府県にまでふえてきておりまして、専任職員を配置している都道府県も多くなってきておりますので、体制としては着実に充実しつつあるというところが正確なところだと思っております。

 また、御存じのように、自治大学校が定期的に研修をしておりますところにおきましても、この種のことを自治大学校の中の研修の中に入れることにもいたしておりますので、そういった意味では、確実に意識として出始めておりますし、また、阪神・淡路大震災が直接のきっかけかとは思いますけれども、いろいろな意味で県知事さんの意識も非常に変わってきた、意識が出てきたというのが正しいと思いますが、そういった経験則に踏まえて出てこられておりますので、職員の日直、宿直、そういったようなものも確実に広がってきております。

 したがいまして、今回の法律が通りますと一層整備されると思っておりますし、事実、これは計画するだけじゃだめで実地の訓練も必要だとは思いますけれども、それがいつまでに完全にでき上がるかと言われるその最後の質問のところが、なかなかこの種の世界、一〇〇%のない世界ですので、随分スピードアップはさせておりますけれども、一応の体制はこの法律が通りますと数年ででき上がるとは思いますけれども、いつまでに、何年でと言われると、ちょっと完璧な答えを持っているわけではございません。

谷委員 実は私は、九年前に阪神・淡路大震災に兵庫県職員として遭遇したわけでございますけれども、いろいろたくさんのことを学んだというよりも学ばされたということでございますが、その中で、あえて言えば三つのことを学んだように思います。一つは、備えの大切さということ、二つ目が、初動態勢、初期の対応の重要さということ、そして三つ目に、地域、コミュニティーにおける防災力の大事さということでございます。

 そういう経験から、この経験を踏まえて国民保護法制を考えてみますと、仕組みとしてはいろいろな方の意見を聞いてよくできているかと思いますが、先ほど石崎先生も少し触れられましたが、問題はそれがうまく働くかどうかということかとも思うんです。

 今、大臣の答弁もございましたが、国、都道府県、市町村などのそれぞれのリーダーが自覚を持ってもらわなければならない。そして、実際に働く、日ごろから訓練をする、働く組織を持っていなければならない。さらに、国民も国の指示に従うという国なり行政への信頼と協力、そういったことが不可欠だというふうに思っているところでございます。

 そういう意味で、今回の法案の中で、避難・誘導、さまざまな措置が国、都道府県、市町村を通じて、机の上だけでなく全体として適切に機能し、実効性を確保しなければならないというふうに思っているところでございますが、どういうふうに取り組まれるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘があっておりますように、この国民保護法制というものをやらせていただくに、実践的に、これはやはりモデルをつくらぬといかぬのだと思っております。

 現実問題として、各県の大きさにもよりますし、都市部の多いところもあれば、そうじゃないところもある。いろいろな意味で地域によってかなり差があるとは思いますけれども、一応基本としてこういったものをやらねばならぬという一応基本的なものが一点。

 もう一点は、兵庫のように、つい九年前にあの種の大惨事を招いたときの経験をお持ちのところとか、その種のことの全く、福岡のように地震がこれまでないというようなところと、これはもう全然意味が違いますので、そういった意味では状況も違いますので、訓練をやるにしても何をすればいいのかはよくわかっておられぬというところと、そうじゃないところ。

 もう一点は、やはり知事さんの意識としてこれはやらなければいかぬということで、あのときでも自衛隊と共同防災訓練をしておられた県は全国でたしか四県か五県しかなかったと思いますが、あの阪神・淡路大震災以後は各県でほとんど皆やられるようになった等々、やはり事故が起きてからやるんじゃちょっと正直申し上げて悲しい話ですので、あらかじめ準備をしておかれるというのは大事なところだと思いますので、この訓練につきましては、地方の意見も取り入れて、総務省として消防庁と一緒にこの種の計画の作成をやり上げたいと思っております。

谷委員 それでは、国民保護法制の中の自衛隊の役割について、石破大臣にお尋ねをしたいと思います。

 今回の法案の中で、自衛隊による国民保護等派遣の仕組みが新たに設けられているところでございますが、武力攻撃事態等において自衛隊はどのような国民の保護のための措置を行い、また、緊急対処事態においてどのような緊急対処保護措置を行うのかということをまずお尋ねしたいと思います。

 しかし、どうも翻って考えてみると、そもそも、そういう緊急時において、自衛隊は、自衛隊の役割からすると、外の敵を排除する、侵害排除、防除が第一の任務でありますから、国民保護等派遣により国民の保護のための措置を実施する余裕というのはあるんだろうか。人員というのか、そういう現実の自衛隊の力からして、とてもそこまでないのではないかというふうにも思ったりするわけでございますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 先生御案内のとおりでございますが、今回の法案を整備することによりまして、都道府県知事からの要請等に応じまして国民保護派遣を行います。武力攻撃事態にあっては国民の保護のための措置、緊急対処事態にありましては国民の保護のための措置に準ずる緊急対処保護措置を行う、こういう法律の仕組みでございます。

 では何をやるのということになりますと、まず第一に、避難・誘導に関する措置、第二として、食糧あるいは飲料水の供給等の避難住民の救援に関する措置、第三に、NBC汚染対処でありますとか人命救助でありますとか災害の対処に関する措置、そして第四に、災害の応急の復旧の措置ということをやるわけであります。

 これじゃ災害派遣と何が違うんかね、こういうことになりますが、一つは、武器使用の権限を持っております。警察官がその場にいない場合に限ってでございますが、警職法にのっとりまして、例えば、混乱に乗じまして避難住民の生命財産に危害を加えようというような者がいるかもしれない、そのときに、警察官がいない場合に限りまして、武器使用の権限、警職法五条、七条でございますが、これに従って行うことに相なるわけでございます。したがいまして、この派遣につきましては、総理大臣の承認を要する、こういうことになっております。

 先生御指摘の、自衛隊はほかにもっとやることがあるのではないか、それはそのとおりで、これは昨年の三法案のときからある議論でございます。

 しかしながら、災害と武力攻撃事態、何が違うのというと、災害は、先生が一番よく御存じのように、一度どんと起こったらば後はだんだん終息をしていくね、災害のときには、自衛隊も来れば、消防も来れば、警察も来れば、みんな来るね、だけれども、武力攻撃事態の場合には、ひょっとしたらば自衛隊はほかに行かなきゃいけない、敵と戦えるのは自衛隊だけですから、そういう場合は当然起こり得ると思っております。

 しかしながら、その主たる任務に支障のない限りにおいては、やはり国民を保護するということにおいて自衛隊の力が発揮される場面はたくさんあるだろう。やはり災害と武力攻撃事態というのは分けて考えなければいけませんが、しかし、自衛隊が活動できる、そういう場面も必ずあると考えております。主たる任務に支障のない範囲内において国民の保護のために自衛隊が活動する、それが今回の法案でございます。

谷委員 今、大臣の答弁にありましたように、あくまでも主たる任務に差し支えない範囲でそういう措置を講ずるというふうに御理解をさせていただきたいと思います。

 さて、今回の関連法案の中に、日米物品役務相互提供協定、いわゆるACSAの改正の部分がございます。この改正協定は、実は中身が、我が国を、武力攻撃事態等のときだけではなくて平時においても適用できるふうに改正されているわけです。

 それを見て、一部の方々といいますか、あるいはマスコミも含めて、いや、これは平時においても無限定の対米追随ではないかというような批判、あるいは新聞の見出しなどでも、「自衛隊・米軍 進む一体化」というような見出しで、あたかも、何か非常に、さらに、さらにといいますかもっと緊密になって、それが追随ではないか、国としての主体性が確保できるのかというような批判がございます。そういう批判についての外務大臣のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

川口国務大臣 我が国としてアメリカ追随がこれによって深まっていくのではないか、主体性がないのではないかということについてでございますけれども、まず、ACSAに従って物品、役務の相互提供ということが、その手続を決める枠組みでございますけれども、それが提供できるかどうかということについては、我が国の国内法に根拠があるということに限られているということでございます。

 したがって、その国内法をつくるという過程、これは我が国の主体性の発揮そのものでございますので、そういう主体性がなくなるのではないかという問題はないということでございます。

 五条というのが武力攻撃事態等の際の活動でございまして、新しくできる六条というのが、国際の平和、安全への寄与、大規模災害への対処その他の目的のための活動ということでございますけれども、新しい六条においても、仮に米政府から要請を我が国が受けたといたしまして、それは規定されていることですけれども、「その権限の範囲内で、」我が国政府の権限の範囲内でということが条約上の文言に書かれているわけでございます。

 したがって、先ほど申し上げたことと同じような結果なんですけれども、自衛隊による米軍に対する物品、役務の提供は、「付表2に定める日本国の法律の規定であって現に有効なものに従って行われる」というふうに書かれているということでございまして、どのような場合に自衛隊が米軍に物品、役務の提供をできるかということは、そういう意味では、国内法に我が国の国民の意思が十分に反映をされている、そういった国内法に従って行われるということでございますので、主体性の確保ということは十分にできると考えております。

谷委員 わかりました。

 それでは、質問時間が終了いたしましたのでこれで終わらせていただきますが、まだまだ、いろいろな基本方針、法制定後もさまざまな、いろいろな行うべきことがあろうかと思います。仕組みよりもそれが実効性あるようなものにすることが大変大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

自見委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党を代表して御質問させていただきます。

 まず、今回、三名の方、そしてまた引き続き二名の方が解放されまして、非常に御本人も、また御家族にとっても大変喜ばしいことであると思いますし、また、国民の皆さんが御心配しておった、皆さんにとっても朗報であった、こういうふうに考えております。

 そういう中で、総理のリーダーシップ、また、チェイニー副大統領ともいろいろ会談された、また川口大臣初め政府関係者の方々、そして現地対策本部、また現地の外交官の方々、あるいは関係各国の方々、またイラクの地元の指導者の方々、こういう方々の御努力によって今回の結果を得たと思います。ただ、日本ではなくてさまざまな国でまだ人質になっておられる方がいらっしゃる、そういうことを考えますと、一刻も早く今人質になっている全員が無事解放されることを願ってやまない、そういう思いでございます。

 今回、総理は、一つは、テロに屈してはいけない、国家の政策というものが、そういう違法な人質ということによってこれがゆがめられてはいけない、それは民主主義の死にも通ずる、こういう国際的な要請、民主主義の要請が一つある、それとともに、国民の生命を守らなきゃいけない、こういう義務もある、この二つの義務の中で非常に難しい御判断をされた。

 しかしながら、その中で、もうすぐに、自衛隊の撤退はこれを拒否すると明確に出されたこと、これについては非常に私も評価させていただきたいと思いますし、また、国民もこのことを冷静に判断し、六割か七割の方々がこれを評価されておるということで、このことについて、私も、政府の対応について大変評価をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 さて、そういう状況の中で、イラクの情勢について、アメリカのブッシュ大統領は四月の十三日の記者会見で、現在の暴力は内戦でもなく人民蜂起でもない、イラクの大部分は比較的安定しており、大部分のイラク人は暴力を否定し、独裁に反対している、こういうふうにイラクの情勢について述べられておるわけでございます。

 私どもは、ファルージャでありますとかあるいはナジャフでありますとか、スンニ派、シーア派が反米で一致したとかいうようないろいろな情報を聞きますので、国民の皆さんもイラクの情勢について心配であると思います。また、サマワで我が自衛隊が非常に活躍されているわけですけれども、そういうことから考えましても、総理としてこのイラクの情勢についてどのような御認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクの情勢におきましては、不安定な状況にあるのは事実でございますが、ここで、それでは米軍が撤退した場合どうなのかということを考えますと、さらに混乱を深めるのではないか。

 我々の目に映るのは、いわゆる武装勢力といいますか、テロリストのグループといいますか、何としてでも早く米軍撤退せよ、また外国の軍隊撤退しろという動きが強く報道されます。しかし、私は、イラクの全体の国民を見れば、早く治安を回復して自分たちの手によってイラクに安定した民主政権をつくるということを考えると、今の時点で米軍が撤退したら困るという人の方が多いんじゃないでしょうか。

 今回の事件におきましても、自衛隊の諸君はイラクの復興支援、人道支援に活動しているんだと理解して、自衛隊歓迎だという方々もイラクにはたくさんおられます。現に、過日、イラク統治評議会のイラク人の方々が日本においでになったときも、自衛隊の活動を歓迎するというお話を私も聞きましたし、イラクにおきましてさまざまな考えがあるのは承知しておりますが、必ずしもすべての国民が、今すぐ米軍は撤退せよとか、自衛隊撤退しなさいとか言っているとは限らないと思っております。

 やはり大事なのは、国際社会が協力して、イラク人が希望を持ってみずからの国を再建、復興できる環境を早く整えるということだと思います。開戦時に米軍の攻撃に対して賛成しなかったロシアにおいても、フランスにおいても、ドイツにおいても、今米軍を撤退しろとは言っておりません。

 そういう中で、できるだけ早く政権を移譲しなきゃならない。国際社会の関与、いわば国連の役割をもっと強めていこうということについては、私もかねがね、ブッシュ大統領のみならず各国の首脳にもお話ししているとおりであります。先日、チェイニー副大統領が来日したときも、その点を強く私は申し上げました。

 今後、できるだけ早く、イラク人がみずからの国を再建させようとする意欲をどうやってつくり出していくかということも、イラクの安定を考えると極めて重要なことであると思いまして、日本政府としても、各方面に、国連の重要性を認識し、国連の役割をもっと大きくするような方法を働きかけていくと同時に、イラク人のさまざまなグループに対して、イラクを復興できるのはイラク人自身しかありませんよ、イラクを復興させ、安定した民主的な政権をつくるのは、アメリカでもない、国連でもない、ましてや日本でもないと。イラク人自身が、反米勢力、親米勢力の対立を乗り越えて、自分たちが立ち上がって自分たちの国を復興させていくんだ、そういう意欲を持たない限り、イラクの安定した民主政権をつくることはできないのではないか。

 そういう点についても、イラク国民全体の、みずからの国はみずからの国で立ち上げようという意欲の重要性、これに対しても、日本としてこれからもよくイラクの人々にもお話しして、日本の支援は人道支援、復興支援、イラクの国民が歓迎することを、評価していることを、イラクの国民が嫌がることは日本としてもする必要はない。一部のグループが、必ずしもイラク国民の全体のグループの声とは思っておりません。その辺はよく注意しなきゃならない。

 そういう中で、国際社会で、今イラクの人道復興支援というのは国連がすべての加盟国に要請しています。その要請にこたえて、日本はイラクに復興支援、人道支援を、資金的支援のみならず人的な支援も行おうということで、自衛隊の諸君に、厳しい状況でありますが、イラクで活動していただいている。

 これからも、このような考えのもとで、一日も早く、イラク人が希望を持って自分たちの国を再建できるような環境づくりにも日本は協力していかなきゃならないと思っております。

大口委員 米英首脳会談におきましても、国連が中心的な役割を担っていく、ブラヒミ特別代表の提案を支持していく、こういうことで、今、アメリカもイギリスも、また、総理がチェイニー副大統領とお話しされて、いろいろとイラクの問題について前向きな方向でやっておられる、努力されておる、今そのお話をお伺いして感じたわけでございます。

 そういう中で、やはりこれから国連が中心になっていく。ただ、治安の維持、これは非常に大事です。だから、米軍の駐留も必要です。ただ、主要国がやはり国連の傘のもとで本当に協力し合っていく、こういう体制をつくっていかなきゃいけない。そこにおいて、小泉総理はブッシュ大統領と極めて親しい間柄にあって、何でも言える関係にあると私は思うんですね。また、諸外国に対しても、EU初めあるいはアラブ連合の方々、いろいろな方に対して、私は、日本というのはいろいろと今までも大事につき合いをされてこられて、発言力もある、そういう点で、国連の中心的役割が機能するように、本当に総理の働きを期待したい、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 私も、今まで、ブッシュ大統領と何回か会談し、また、アメリカの政府高官の皆さんとも会談するたびに申し上げているんです。アメリカがイラクに領土的野心を持っているということはない、そういうことはみんなわかっていると。アメリカがイラクに安定した民主的政権をつくるというこの大義、善意、これは、私はわかっているけれども、しかし、その点を考えると、イラク国民に余り理解されていないんじゃないか、あるいは多くの世界各国の中にはそういう点で理解を得るのに不十分な点があるんじゃないかということから、アメリカの大義と善意が、イラクの国民はもちろん、全世界の国々にわかるようにできるだけ行動すべきだと。

 いわゆる国連の場におきましてもいろいろ議論されておりますけれども、アメリカの力というのはすべて認めております。しかし、世界、世の中、力だけで動くものじゃない。力と権威というもの、信頼というものがあります。そうすると、今、国際社会に安定した社会をもたらそうという場合に、アメリカの旗のもとにというよりも、国連の旗のもとにすべての国がイラクの復興に力をかそうということの方が、アメリカの善意も大義も理解してもらいやすいんじゃないかということを、私は常々申し上げているわけであります。

 その点についても、対応は十分考えるべきだというようなことを言っておりますし、最近の動きは大体そのような方向になってきたなと。日本としても、これまでもそのような方針をアメリカにも国連にも各国にも、そしてイラクの国民自身にも働きかけている。そして、早くイラクの治安が安定して、多くの国民が、軍隊やら自衛隊だけでなくて、一般の民間人も、一般の企業もイラク復興支援に参加できるような環境をつくっていくことが極めて重要だと思っております。

大口委員 次に、四月の十四日、実は、胡錦濤国家主席とチェイニー副大統領が会談をされて、その中で、北朝鮮が少なくとも三個の核爆発装置を保有している、こういう新しい情報を提示されたりしておる状況でございます。

 そういう点で、本当にこの危機管理というものをしっかりとしていかなきゃいけないな、こう考えておるわけでございますが、今、この有事法制の審議の関係で、緊急事態に対処するための措置として政府が緊急事態基本法が必要と考えているのかどうか。それから、これは、災害対策基本法など既存の法令との関係を十分整理して、もし必要があれば、国民にわかりやすい形で政府案を提示すべきであると思うんですが、この点について総理の御見解を聞きたいと思います。

井上国務大臣 昨年成立いたしました武力攻撃事態対処法の審議におきまして、この基本法につきましていろいろな議論がございました。最終的な取り扱いにつきましては、当時の与党三党と民主党との合意によりまして、基本法制を検討していく、こういうことに相なったわけでございます。しかも、事態はさらに進みまして、自由民主党、公明党、それから民主党で今基本法制の検討の協議会が設置されておる、御案内のとおりだと思うんですが。

 それを拝見いたしますと、これは武力攻撃事態とか、有事ですね、それから大規模のテロだとか大規模災害、こういうのに適用される基本法制をつくるということで基本的には合意をされておりますし、その主要な項目というんですか、骨子については、今提案しております法案が衆議院を通過する前までに関係者で固めるということになっておりまして、さらには、来年の通常国会の終わりまでにその基本法の成立を期すというようなことが三党の合意になっているわけですね。

 こういう状況でありますので、私どもといたしましては、この三党の協議を見て、いずれずっとまとめられてくると思うのでありますが、その状況を見ながら対応しないとと基本的には思っておるのでありますけれども、我々としても必要な検討は行い、我々として求められるものがあれば、そういったものについて御意見を申し上げたい、そんな状況でございますので、今政府が基本法案をまとめまして国会に提出するのはいかがなものかというふうに考えております。

大口委員 昨年NHKの調査がありまして、武力攻撃を受けたときに安全は保護されると思わないというのが七七%いるということで、今国民保護法制が議論されておるわけですが、国民がそういう今意識にあるということでございます。

 その中で、今、島根県が公開模擬訓練というのをやりました。それで、その中で、これは国民保護法制担当課長さんですか、防衛庁の課長さんです。それこそ自衛隊の移動と住民の避難、これが、国道が三本しかないというような状況の中で、いろいろと議論があったと。確かに、住民の避難といっても、これは市町村が丸ごと移動しなきゃいけないとか、非常に大きな移動があるわけです。それと、自衛隊の移動ということがある。

 こういう中で、課長さんも、軍事を優先するか住民の生命財産を優先するかは、これは相矛盾するものではない、国を守る、国民の生命財産を守るということはその目的は同じと思います、ただ、外敵と戦って除去してしまわなければ本質的な対応はできないわけですから、自衛隊に与えられた役割を皆さんにもぜひ御理解いただきたい、こういう答弁をされておるわけです。

 そこで、国民保護法における自衛隊と、それの主たる役割である侵害排除の任務と地方公共団体との関係、そして連携ということを、先ほど答弁がありましたが、簡単にお答えいただければと思います。

石破国務大臣 済みません、それは島根ではなくて鳥取の例ではないかと思っております。

 そこで、今先生が御指摘になったようなことがあったわけで、その場になって何が起こるかわかりませんが、出たとこ勝負みたいな話は絶対にだめでございますので、この国民保護法案におきまして、都道府県あるいは市町村において国民保護協議会というのをつくってくださいということになっております。そのときに、諮問機関でございますが、いろいろな例を検証してください、その場合には自衛隊も参加ができるということになっております。必要なときには、また、武力攻撃事態等が発生しましたときには、職員、私どもの職員ですが、これを都道府県対策本部の会議に出席させ、連絡調整に当たらせる。

 それからもう一つは、この法案で自衛隊法を一部を改正しております。これは八十六条でございますけれども、これは、そういうような場合に、自衛隊と、そしてまた都道府県知事、あるいはそのほかの機関、これが相互に緊密に連絡をし、及び協力する、こういうようなことが定めてあるわけでございますが、これに国民保護等派遣というものを追加いたしました。

 要は、先生が一番よく御案内のとおり、条文だけどんなに整えてもだめなんでありまして、できれば市町村においてそういうような協議会を早期に発足させていただいて、あらゆる可能性を議論していただいて、一本しかないといっても、それじゃ何にもできないかと言えばそんなことはないわけであります。

 いずれにしても、そのときになって大慌てでどうしましょうというようなことをやりますと、この法案の実効性が相当に損なわれるというふうに考えております。

大口委員 最後に、戦時国際法、残虐行為を禁じる条約などから構成される法体系は、国際人道法と呼ばれ、その番人となる国際刑事裁判所、ICCに、今、欧州、中南米、アフリカを中心とする九十カ国以上の国が参加しております。しかし、残念ながら、我が国はまだ参加しておりません。

 その大きな理由として、紛争時の住民や捕虜の人権保護を定めたジュネーブ条約追加議定書の批准がおくれていたことにあると指摘されております。それが今国会でようやく実現をする運びとなった。批准に必要な国内法が有事関連法案として提出され、議論が開始された今、これを機に集団殺害を罪と定めるなどの必要な国内法の整備を進めて、国際刑事裁判所、ICC参加への道を開くべきである。我が党は一貫して、生命や人権を重んじる人間の安全保障を外交の目標に据え、国際社会へ貢献するよう訴えてきました。

 まだまだ残虐行為がまかり通る世界の中で、少しでも法の支配を強めるために、我が国も速やかに国際刑事裁判所、ICCへの加入をすべきであると考えますが、川口外務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

自見委員長 川口外務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

川口国務大臣 それでは、委員がおっしゃられましたように、今回の一連の法制度の整備の中で、ジュネーブ追加議定書1、2、これを批准するということが可能になれば、ICCの規程を締結するのに向けて一歩前進をするということは確かでございますけれども、それ以外にも、恐らくまだ整備をしなければいけない法制、必要性が残っているということでございまして、例えば集団殺害ですとか扇動ですとか、そういったことについてどのような法整備が必要かということがまだ課題として残っております。

 したがいまして、我が国といたしましては、今この規程の内容あるいは各国における法整備の状況について精査をするということと、国内法令との整合性について引き続き必要な検討を行っているということでございます。

 政府として、もともと、この準備過程では非常に積極的にイニシアチブをとったという経緯がございます。二〇〇二年にICC規程が発効いたしましたので、それを踏まえまして、政府として検討を進めていきたいと考えております。

大口委員 どうもありがとうございました。

自見委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今国会に政府が提出された有事七法案、そして三条約は、昨年成立した武力攻撃事態法、これに沿って、米軍支援と、それから国民総動員の体制を具体化しようとするものであります。日本が攻撃を受けていない段階から日米共同の軍事態勢をつくって、自衛隊だけでなくて、自治体や民間など、官民挙げて米軍を支援しようというものであります。憲法九条の極めて重大な法案であり、我々は、撤回すべきだという立場です。

 そこで、この法案を審議する上で重大な問題は、有事法制で支援する米軍の行動そのものであります。アメリカは、先制攻撃戦略に基づいて、国連のルールを踏みにじってイラク戦争を引き起こしました。大義も道理もない米軍の戦争、そして戦闘行動が、今、問題になっています。そのもとで、日本が、今、米軍支援の広範な法制度をつくること自体が世界の平和にとっても極めて重大だ、こう考えています。

 そこで、きょうは、そのアメリカが今なお繰り広げているイラクに対する戦争と、これを支援している日本政府の姿勢について、せっかくの総理出席の機会でありますから、伺っていきたいと思います。

 そこで、ちょっと資料を配付していただきたいと思いますが、こういう地図を持ってまいりました。総理のお手元にも行っているかと思いますが、これを見ますと、もうイラク全土で武力抗争が頻発している。中部、そして北部、南部にまで、イラク全土が戦闘状態という事態がよく見えると思います。

 中でもファルージャの実態、この米軍の占領支配に全土で武力抗争が広がったのは、もちろんそこの占領に批判を持つイラク人勢力の行動があるわけですけれども、ファルージャは、アメリカの海兵隊が、これは沖縄で都市型訓練施設で訓練を受けた海兵隊員ですが、ファルージャの町を取り囲んで、そして住民を封鎖してしまう。そこにクラスター爆弾まで使って空爆をしている。イスラム教の礼拝所まで二度にわたって攻撃をしている。この攻撃によって犠牲になったイラク人は六百人を超え、負傷者も千人を超えています。

 しかも、そのファルージャの市民を援助するための人道援助も、食糧援助も、電力も、水も、町を包囲している米軍によって遮断されている。その中で犠牲になっているのは、罪のない市民や女性や子供たち、そしてお年寄りであるわけです。病院はベッドが足りず、負傷者が廊下にそのまま横たわっている状況だと伝えられています。

 これはもうまさに無差別の殺りく行為であり、イラクの人々の怒りが一気に広がっているわけですが、同時にその怒りは、米国に任命された統治評議会の評議員でさえも辞職を表明するような事態に至っているわけです。ガズ・ヤウェルという評議員が、米軍のやり方はファルージャの町全体に対する集団的懲罰である、こういう武力弾圧を拒否する、このように言っているわけですね。

 こういう状況のもとで、世界もアメリカに自制を求めているわけですが、ブッシュ大統領は、占領支配に抵抗する勢力を軍事的に一掃する、こういう立場をとって、さらに米軍を二万人増強し、力で抵抗勢力を鎮圧する、この姿勢を変えておりません。

 総理は、アメリカのこういう姿勢、やり方を支持するのですか。

小泉内閣総理大臣 全体として、イラクに早く治安を回復し、一般の国民が復興事業にいそしむことができるような環境をつくることが大事である、その一環であると承知しております。

 もちろん、中には武装勢力もいるでしょう、反米勢力もいるでしょう、何としてでも六月までにイラクの暫定政権をつくらせないように混乱させようとする勢力もいるでしょう。しかし、全体として、イラク人が早く自分たちの政権をつくり、治安を改善させていこうということで、皆が協力をしている状況にあるのではないかと思っています。その中で、苛烈な、そういう、治安を悪化させたい、外国の勢力を撤退させたいというグループがいるのも事実だと思います。そういう中での激しい戦闘が一部にあるということも承知しております。

赤嶺委員 そういうイラクの状態に対して、さらに米軍は二万人増派して、それで軍事的に一掃するという、ファルージャのような、町を包囲して、しかも、統治評議会がこれは無差別の集団的懲罰であると言って批判している、世界も批判している、そういうアメリカのやり方を支持するのですか、こういうことを聞いているんです。

小泉内閣総理大臣 アメリカは、硬軟両方いろんな対応をとっていると思います。統治評議会も、だれが辞任し、だれがそのような声明を発表しているのかというものもまだ定かでありません。統治評議会の皆さんも、アメリカに協力していこう、そしてできるだけ早く自分たちがイラクの国を再建させたいという気持ちを持っておられると思います。また、統治評議会の皆さんの中にも、国連の関与が強まってくるということに対しても議論は一様でないということも聞いております。

 いずれにしても、全体として国際社会がこのイラクの復興、安定に向けて取り組もうというアメリカの姿勢というものは、妥当だと思っております。

赤嶺委員 私は、そういうアメリカのやり方、ファルージャに見られるようなやり方を終わらせるのではなくて、さらに派兵を増強して一掃するということについて、総理の今の姿勢は本当に納得できません。

 国際社会のお話をしましたが、アメリカのああいう軍事一本やりのやり方には、アメリカが有志連合を組んでいる国々の中でも批判と亀裂が起こっております。

 私は、ここで注目したいのはポーランドです。ポーランドはイラク中部の治安任務を分担しているわけですが、十六日にポーランドとウクライナ両国の国防相が会談して、両国の派遣部隊は戦闘のためでなく安定化のために配備したものと強調し、両国部隊の戦闘への参加を拒否する姿勢を確認しています。もう一つ、ポルトガルの内相も、ポルトガル軍の任務は治安維持だとし、紛争が悪化し、治安部隊としての任務遂行が困難になった場合、唯一の解決策は撤退ということだろうと。

 つまり、アメリカのイラク占領体制を支えてきた有志連合の国々から米軍の掃討作戦に対する批判が上がって、そして、軍隊の撤退を決定する国や真剣に検討する国が出てきているわけですね。

 それでも総理はアメリカのやり方を支持するんですか。そして、支持して、こういう状態になってもなお自衛隊のイラク派兵を続けていく、こういう理由があるんですか。この二つの点について答えていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 ポーランド、ポルトガルの状況については後ほど外務大臣から答弁させますが、私は、アメリカとしては、できるだけ国際社会の協力を得ながらイラクの復興、安定に向けようとしている、現に国連ともいろいろ協議を続けている。そして、イラクの国民が早く自分たちの国の再建に取り組むような状況ができるようにどのように治安面での改善を図ろうかという努力をしているのであって、私は、今、国際社会もこれに向かってそれぞれ力をかそうということになっているんだと思います。

 今の時点で、アメリカけしからぬから、アメリカ出ていってくれというのは、イラク国民の多数の意見でもないと私は思っております。ましてや、国際社会で、開戦の経緯はともかく、今アメリカ撤退せよということを思っている国はほとんどないと言っていいんじゃないでしょうか。そういうことも考えながら、日本というものは、支援、協力策を考えていくべきときではないかなと思っております。

川口国務大臣 今、ポーランド、ウクライナというふうに例を挙げられましたけれども、ポーランドもウクライナも、あるいはほかも、基本的にみんな国連の決議にのっとって行っているわけでございます。これはアメリカもそういうことであります。

 今イラクで大事なことというのは、六月三十日の、政権を移譲する、主権を移譲するという期日を守るということでありまして、これについては国際社会は一致をしているということです。そして、それをやるために非常に重要な、それができるかどうかということがかかっている重要なことというのは、イラクの治安が維持されるということであるわけです。そして、それをめぐっては、ほかの国、今イラクに対して連合の一員として軍隊を派遣している国についてはみんな同じ考えでいる。

 いかにして治安を今イラクにもたらすかということがかぎであって、これは、政権を、主権を移転するということについて反対の勢力がたくさんいるということです。その人たちが最後の抵抗をしている。それを抑えるということは、六月三十日に向けて政権、主権の移転をするということのために非常に重要であると国際社会がみんな認識をしているというふうに考えております。

赤嶺委員 私たち日本共産党は、国連の枠組みのもとに、イラク国民に主権を返還して、そして、治安の安定とともに、アメリカの撤退、占領の早期終結ということを考えているわけですが、今議論しているのはそういうことではなくて、まさに六月三十日に向けてと外務大臣はおっしゃいました。そして、その六月三十日に向けて、米軍がファルージャのように町を包囲して、全住民、年寄り、子供、女性、選ばずに攻撃を加えるようなやり方、これに対して有志連合が反対をしている、有志連合の中に意見が挙がっている。我々は治安維持のつもりで来たんだ、ああいう武力弾圧、戦闘行為には参加できないと、ポーランドやルーマニアやポルトガルも批判を始めている。そういうことを問題にしているわけです。

 アメリカは、国際社会の協力を得てと言いました。国連のブラヒミ提案に対するいろいろなアメリカの態度もあります。しかし、それ自身も、アメリカの武力一本やりの占領の矛盾と破綻がそうさせたものであっても、そういうことを言いながらもなお軍事的にイラク国民を弾圧するというやり方は捨てない、ここに私は最大の問題があると思うんです。

 そこで、そういう状態になっても自衛隊をイラクに置いておく、この理由はどこにあるのか、こういうことを改めて総理に問いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 軍事的な力を行使しないでイラクに治安が回復されれば、これにこしたことはありません。

 一方、武装勢力は、軍事的組織をもって、日本の国民のみならず、各国の、軍とか軍事的な組織に全く関係ない人まで誘拐して人質にしております。日本人は幸いにして解放されましたが、まだ誘拐されて人質に残っている各国の人たちはイラクにいるのです。

 しかも、そういう武装グループは、アメリカが軍事的な行使をしなくても、彼らは、軍事的力を用いてもアメリカを追い出そう、各国を追い出そう、イラクを混乱させようと思っているのですから、そういう勢力に対して、はい、話し合いでと言うばかりでは、イラクに治安というのは回復されないんじゃないか。

 そういうことで、アメリカは、今、各国と協力しながら、いかに早くイラクに治安を回復するか、そして国際社会が関与し、そして国連の役割を重視しながら、イラク人がみずからの力で立ち上がるような政権を早くつくりたいという努力をしているんですから、日本としても、イラクの国民すべてが、米軍撤退せよ、自衛隊撤退せよと言っているとは思っておりません。全体ではやはり、今、米軍撤退したら困る、国際社会が手を引いたら困る、今のイラクの無法な武装勢力がイラクで影響力を持ったら困ると思っている方が、イラク国民に私は多いと思っております。

 自衛隊の諸君もサマワ地区では多くの住民から歓迎されています。現に、イラク統治評議会の幹部の皆さん十数名、先日来ましたけれども、自衛隊の派遣大歓迎と言っていました。

 そういうことを考えると、一部の報道だけで、一部の武装、理不尽な行為をして無辜の市民を殺害していることに対しては触れないで、今、米軍を撤退しなさい、各国、治安状況、協力するのはおかしいと言われても、そうすると、ますますこれはイラクを混乱させようとする勢力の思うつぼになってしまうんじゃないか。そこが難しいところなんですよ。

 アメリカの関与を得ながら、アメリカの力を活用しながら、そしてどうやって国際社会がイラクの復興、安定にそれぞれの国の国力にふさわしい支援をするか。そして、イラク人みずからが、これは自分たちの国だ、自分たちの国は自分たちの国で再建させるんだという意欲を我々は支援していく、そういう環境をつくっていくことが今極めて重要だと思っております。

 日本も、国連の要請に基づいて、日本の国力にふさわしいイラク復興、安定のための支援、人道支援をこれからも継続していかなきゃならないと思っております。

赤嶺委員 ファルージャの町を取り囲み、住民を遮断し、そしてそこに戦闘機で爆撃を加え、罪のないお年寄りや、そして女性や子供たちまで殺されている。これは、こういう住民は軍事的に一掃されなきゃいけない勢力なんですか。そして、総理は明確にこのアメリカのそういうやり方というのを支持するんですか。

 そういうやり方を支持するのか支持しないのか、このことについて明確に答弁していただきたいと思います。

自見委員長 小泉総理大臣、質疑時間が終了いたしておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 ファルージャだけの問題ではありません。武装勢力は、国連まで攻撃し、各国の大使館まで攻撃し、イラク人でさえも攻撃する。そういう無法な非道な勢力、こういうことに対してやはり毅然とした態度をとらなきゃならないのは、イラクの治安を担っている人たちも考えているんですから、ファルージャだけじゃありません。イラク全体の安定した民主的な政権をつくるという観点から考えるべき問題ではないでしょうか。

赤嶺委員 ブラヒミ提案でも、アメリカが任命した統治評議会が……

自見委員長 赤嶺君に申し上げますが、質疑時間が終了いたしておりますので、お守りくださいませ。

赤嶺委員 イラク国民の信頼を得ていないというようなことも言われていますし、そして宗教者からも、アメリカの占領や日本の自衛隊まで反対するデモがサマワで起こっている。そして、けさの報道によりますと、サマワで銃撃戦まで繰り広げられている。これは、イラク国民が納得のできない占領をアメリカが……

自見委員長 赤嶺君に申し上げますが、質疑時間が終了いたしておりますので、終了してください。

赤嶺委員 力ずくで続けている結果だということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

自見委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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